ゴブリンスレイヤー初神者初見実況プレイ (うっかり一兵衛)
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表 キャラクターメイキング~チュートリアル

ゴブリンスレイヤー実況はーじめーるよー

 

 先人兄貴姉貴達が面白いからやってみなと進めてくれたので、初投稿です。

今回は実績【辺境の銀等級冒険者】の取得を目的としたプレイとなります。

取得条件は以下の通りです。

 

1.白磁等級から始めて銀等級まで昇進する

 

2.辺境の街にて冒険者登録し、他の街へ転属しない

 

となります。

 

 割合簡単な条件では無いでしょうか?

聞いた話では小鬼100体討伐し、なおかつ小鬼英雄単独討伐で作戦を大成功させるとかあるらしいですね。

初神者にはちょっと無理そうです。

 

 RTA?あれは熟知した熟練者がやるものです。

私のようなクソ雑魚ナメクジに何を期待してるんですか?

 

 さて、それではキャラクターメイキングから始めて行きましょう

……はえー、色んな種族があるんですね

なにこれ、半吸血鬼?

こんなあからさまにやべー種族選ぶ神居るんですか?

 

 ……あ、居るんだあ。

まあ、私は初神者ですからね。

ここはオーソドックスに行きましょう。

種族は【只人】、性別は【女性】とします。

何が悲しくて野郎の尻を見なきゃいけないんです?

 

【真実】先輩、なんで笑ってるんです?

え、その内分かる?うーん先輩がそう言うなら今は気にせず続けましょう。

 

 見た目は自信が無いのでランダムにしましょう。

私があれこれ弄るよりも可愛くなるでしょう、多分、きっと、メイビー。

 

次は能力の決定ですね、では骰子をば……。

 

第一能力値

・体力点 4

・魂魄点 3+1

・技量点 3

・知力点 4

 

第二能力値

・集中度 2

・持久度 5

・反射度 3

 

能力値

 

・体力集中 6 ・体力持久 9 ・体力反射 7

・魂魄集中 6 ・魂魄持久 9 ・魂魄反射 7

・技量集中 5 ・技量持久 8 ・技量反射 6

・知力集中 6 ・知力持久 9 ・知力反射 7

 

 おお、ボーナス1点込みでかなり高いのではないのでしょうか!

集中度以外全部最大値ですよ!

勝ったな、小鬼って最弱の怪物なんですよね?負ける要素無いじゃないですか。

 

 さーて、どんな子かな?

……おー、ランダムにしては整っているのでは?

こう……、クラスで3番目に可愛いって感じです。

体型はスレンダーですね、72とは言いませんが。

 

 さて、冒険者になった経緯・動機はっと……。

賽の目は3・2、【怪物や飢饉が原因で故郷は失われました】?

いきなり重ぉい!

い、いやまだリカバリーは効くはず!

出自は7、農民!

来歴は5、神殿!

邂逅は8、親友!

 

 ……えーと、纏めるとこれって農村に生まれた女の子で怪物か飢饉か疫病で村壊滅。

その後神殿に入り、親友と出会うって事です?

うわぁ……、めっちゃ不憫……。

 

 あ、地母神姉さん、どうしたんですか?

え?姉さん所の信者?こマ?

 

 これキャラロストしたら私怒られる奴では?

戦女神姉さんはそこら辺寛容なのですが……

まぁ、結局は負けなければそれで良いのです!

 

では、2d6を3回振るとしましょう。

 

出目は大きい順から、11・8・6。

 

 呪文のリソースは回数性と聞きました、なら多めの方が良いですね。

呪文使用回数に11、生命力に8、移動力に6振りましょう。

最終的に呪文使用回数は2、生命力が体力4+魂魄4+持久5+出目8+頑健5の26×2で52、移動力は6×3の18です。

 

 では、経験点と成長点を割り振りましょう。

職業レベルは以下のようにします。

・神官レベル2

・戦士レベル1

 

 所謂、神官戦士ですね。

これ以降は神官戦士ちゃんと呼びます。

 

技能は生来技能以外は、冒険者技能1つ、一般技能が5つ取りました。

 

冒険者技能

・過重行動(初歩)・・・鎧の過重効果に適応する体力持久に+1ボーナス、筋力判定に+1ボーナス

・投擲武器(初歩)・・・投擲武器で攻撃する場合、命中判定+1ボーナス

・頑健(初歩)  ・・・生命力に+5ボーナス

・怪物知識(初歩)・・・怪物知識判定に+2ボーナス

 

 

一般技能

・長距離移動(初歩)  ・・・長距離移動判定+1ボーナス

・生産業:農業(初歩) ・・・農業知識・技術判定+1ボーナス

・神学(初歩)     ・・・神学判定+1ボーナス

・芸能:歌唱(初歩)  ・・・芸能実演・知識判定+1ボーナス

・信仰心:地母神(初歩)・・・地母神の奇跡を詠唱せずに使用可能、ただし-4のペナルティ

・沈着冷静(初歩)   ・・・魂魄抵抗、知力抵抗判定に+1ボーナス

・祈祷(初歩)     ・・・祈祷判定+1ボーナス

・礼儀作法(初歩)   ・・・礼儀作法判定+1ボーナス

 

呪文系統:奇跡

 

・解毒(キュア) 種別(属性):治癒呪文(生命) 難易度:10 効果:射程接触の生物1体の毒・病気回復

・小癒(ヒール) 種別(属性):治癒呪文(生命) 難易度:5 効果:射程30mの生物1体の負傷数を回復量分だけ回復

 

 

 あ、【幻想】先輩どうしたんです?

初神者は冒険者技能2つが安定する?

うーん、でもいっぱい技能あった方がなんか出番多そうじゃないですか?

神官戦士ちゃんには成長したら冒険者技能優先して貰う事にしましょう。

 

 初期銀貨100枚で装備整える感じですか。

では、メイン装備はこうしましょう。

 

 

装備

 

戦棍(メイス) 種別:戦槌 用法:片手 属性:殴 命中基準値:5 命中修正:+1 威力:1d6+戦士レベル1 銀貨20枚

 

神官服 種別:衣鎧 回避基準値:6 回避修正:-1 装甲:+1+神官レベル1以上+1 隠密性:普通 移動力修正:0 銀貨25枚

 

円盾(ラウンドシールド) 種別:小型盾 盾受け基準値:6 盾受け修正:+4 盾受け値:+3 隠密性:普通 銀貨35枚

 

 

所持アイテム

 

冒険者ツール、携行食料×7日分、衣服、調理器具、調味料セット、毛布 銀貨5枚

 

 

 依頼で遠出する可能性を考えて毛布と食事関係のセットを購入。

残りは銀貨5枚……、大部屋に泊まって朝飯食ったら吹っ飛ぶ額ですね。

これは早急に金策が必要でしょう。

 

では、早速プレイしていくぞー!

 

 

 

 ゲームスタートしたら冒険者ギルド前ですね。

さてまずは冒険者登録ですが……。

なんか、神官戦士ちゃんの隣に誰か居ますね?

金髪ロングの神官服の美少女ちゃんですが、この子が邂逅の親友ちゃん?

……ファッ!?この子主人公格なの!?

はえ~、メインキャラならこのビジュアルも納得ですね。

とりあえず、ギルド内に入りましょう。

お姉さん、登録オナシャス!

 

 はい、はい、名前は女神官戦士と女神官で。

知力と礼儀作法技能がある為か、すらすらと手続きを進めていきますね。

受付嬢さんとの応対も凄く丁寧にしていますね、彼女農民出なのに上品で学があるのは神殿の教育の結果ですかね?

さあ、冒険者登録が終わると実績【冒険者になろう!】を取得しました。

調べてみましたが取得条件は簡単です、どこの街でも良いので冒険者ギルドで冒険者登録を行う事。

 

 うーん、受付嬢のお姉さんに早速仕事をどうするか聞かれましたが神官ちゃんとちょっと考えましょうか。

神官ちゃんどうする?私最初の冒険者の仕事とか薬草集めのイメージあるけど?

うん?なんだ兄ちゃん、女の子の間に男が挟まるとか死刑物だぞ。

えっ、冒険誘ってくれるんですか!こいつめっちゃええ奴やん!

神官探してた?金ないから回復薬替わり?

あー、分からんでも無いが本人の前でそういうのは止めた方が良い。

 

 で、依頼って何?ゴブリン?

娘さん攫われて村にも被害が出てると、逸る気持ちは分かるけど餅つけ。

即席パーティーはしゃーないが、出会って直ぐ出発されるとこっちが困るんじゃ。

せめて、そっち三人何が出来るか言え。

 

 青年剣士・女武闘家・女魔術師が名前ね。

剣士君は戦士レベル2、武闘家ちゃんは武道家レベル3、魔術師ちゃんは魔術師レベル3。

神官戦士ちゃんも含めて前衛3、後衛2か。

バランスは良いですね、盾持ちの神官戦士ちゃんがタンクで鉢巻君がアタッカー、対大物で魔術師ちゃん、怪我人が出たら神官ちゃんで武闘家ちゃんは後衛の護衛でもして貰いましょうか。

 

 金が無いので仕事選べないのは事実、5人居るならどうとでもなるだろ!

 

 

 結構ゴブリンの巣って遠いんすね……

でも、只人は生来技能で長距離移動ありますから。

洞窟は十分距離圏内ですね、神官ちゃん大丈夫かー?

 

 よーしとうちゃーく!ここがゴブリンの家ですね。

なんか入口にへんなトーテムポールあるけど、神官戦士ちゃんなんか知ってる?

 

目標値:13 知力集中6+神官レベル2+怪物知識ボーナス2+2d6出目8・6=24

 

 え、このトーテムポールあるって事はゴブリンの上位種の呪術師(シャーマン)が居る?

更に上位種が居るって事は、群れの規模も多くて用心棒として渡りの田舎者(ホブ)が居る可能性も高い?

ふざけんなよ冒険者ギルドー!全然そんな情報なかったやんけ!

皆思ってたよりヤバいぞ、備えよう。

 

 じゃあ、隊列は神官戦士ちゃん・鉢巻君・魔術師ちゃん・神官ちゃん・武闘家ちゃんです。

手が塞がるので、光源として松明を魔術師ちゃんと武闘家ちゃんに持ってもらいます。

隊列が間延びしないように、時折後ろ確認しましょうねー。

あー、後一人斥候役居たら気を張り続ける必要は無いのですが。

鉢巻君か武闘家ちゃんどっちかレベル上がったら斥候職取ってよ、若しくは専業雇うか。

 

 全然出てこねえなあ、これちょっと取れ高悪いと視聴者が飽きてしまうのでは?

あ、またトーテムポール有った。

もう確定じゃん、入り口からかなり歩いたしそろそろ来るんじゃね?

とりあえずお互い前の人の3歩後ろ歩く感じで固まって行きましょう。

お、出てきましたね。

 

 まあ、4~5匹位なら神官戦士ちゃんと剣士君で倒せるっしょ。

先手は神官戦士ちゃんからです、おお、最大値のダメージ出ましたね。

ゴブリンの頭目掛けて振り下ろしたメイスが頭蓋骨砕いたみたいです、おおグロいグロい。

さあ、鉢巻君両手で振ればメイスより期待値高いロングソードなんだからぶった切ってって、おおい!

こんな閉鎖空間でぶん回すんじゃねえ!神官戦士ちゃんにちょっと掠って神官服の袖が切れたぞ!

 

 落ち着け!マジで落ち着け鉢巻!

相手ゴブリンぞ!?剣先で突けばそれで良いんだから振り回す必要ないって!

え!?何!?神官ちゃん!は!?後ろからもゴブリン来た!?

マジで!?こいつら挟み撃ちする程頭良いの!?

てか、どっから来たし!

横道ぃぃ!?坑道戦術まで出来んの!?一端に兵士じゃねえか!

誰だよ、ゴブリンは最弱の怪物とか言った奴!

 

 あーあーあー!取れ高悪いとか言ってごめんなさいって!ちょっと落ち着かせて!

武闘家ちゃんなんとか倒せる!?一旦下がって落ち着こう!

鉢巻君、殿は盾持ちが良いから君は先に後衛と合流をってああああああ!!

上の岩に引っかけてんじゃねえぞゴミカスゥ!

ゴブリン相手にしてやるからさっさと剣拾えって!

だあああ!なんかデケェのまで来た!これがさっき言ってた用心棒の田舎者!?どこが田舎者じゃ!もっと牧歌的な奴想像してたわ!

 

 撤退!撤退です!後衛と合流して一旦洞窟出ましょう!

え!?魔術師ちゃんなんで倒れてんの!?

ファッ!?刺されたぁ!?しかも治癒使っても具合が悪いから毒が塗られてたっぽい!?

神官戦士ちゃん解毒持ってるけど現状使ってる暇ねぇ!

鉢巻君、とりあえず魔術師ちゃん背負って!逃げるぞ!

 

 うおおおお!走れ走れ!出口全然見えないけど走れどうせ一本道だから走ってればその内見えてくる!

お!なんか光見えてきた!鉢巻君!武闘家ちゃん!外出たら魔術師ちゃんの解毒するから敵宜しくって

なんだこのさまようよろい!?

おっぶえ、いきなり剣投げやがったって後ろにいた田舎者に命中しました。

どうやら助けてくれたみたいですね、お助けキャラか?

 

 へー、銀等級の冒険者なんだ。

ゴブリンスレイヤー?銀等級ってもっと凄い怪物と戦う者では?

あ、ゴブリン以外興味ない、そうですか……

すっげえ変なのですが、助けてくれるなら否はありません。

とりあえず魔術師ちゃんの解毒をしてしまいましょう。

これで神官戦士ちゃんの呪文使用は残り1回ですね、まぁ必要経費だしあと1回使えるって考えましょう。

 

 ゴブリンスレイヤーさんを先頭に再度隊列を組んで移動します。

横穴ってこれかぁ……、いや、これ初見は分からんわ、暗いし。

こっちから行くんですか、もうやることが殆ど有りません。

ゴブリンスレイヤーさんがぱぱぱっと倒してくれてます。長いんでこれ以降はゴブスレさんって略します。

よく見ろ、鉢巻君。これが洞窟内での剣士の戦い方だ。

 

 おっと、いつの間にか最後の大部屋のようですね。

女神官ちゃんの聖光(ホーリーライト)で目潰しし、ゴブスレさんが道中奪った槍を投げて呪術師の喉に命中させました。

ここで前衛3人が突入、神官戦士ちゃんは後衛2人の護衛役です。

先ほどと違って突き主体でゴブリンを刺していく鉢巻君。

流れるような格闘で次々に倒していく武闘家ちゃん。

倒れたゴブリンの頭を剣で刺していくゴブスレさん。

あっという間に殲滅されましたね、で、被害者の女性は……。

 

 あー……、まー、ね……。

誘拐被害の女性がどうなるかって言うと、そうだよね……。

とは言え、生きていたので良かったですってゴブスレさん何を……。

まだ横穴あんのかよ!?こいつらマジで数多いな!

……うん、これ見たら子供だからって残しておけばどうなるかって考えると致し方なし。

人として生まれた以上、人の安全を守るのは当然です。

その結果、他の動物なんかを処分することになっても、仕方ないと思いましょう。

 

 魔術師ちゃん1人で歩ける?歩けるなら、神官戦士ちゃんには田舎者が持ってた大金棒(モール)持って帰って売りたいんだけど。

カネコマなんだから仕方ないだるるるぉ!?金が無いのは首が無いのと一緒って、それ一番言われてるから。

よし、もうなんかイベント起きねえな?ギルド帰って報告しましょう。先に武器屋で大金棒売りますけど。

帰り道はカットカットカット!

 

 はい、武器屋で大金棒売りました。買うと銀貨90枚なのでどれくらいかな~っと思ってたんですが。

錆びてて状態も悪いので、売値の更に半値の銀貨23枚になりました。

で、ギルドに報告して女性の身柄も神殿に受け渡すと報酬が渡されたのですが

まず、依頼達成金として銀貨20枚、上位種である呪術師と田舎者の討伐で銀貨20枚。

ゴブスレさんに分け前として渡そうとしたのですが、タダ働きで良いとの事です。ゴブリン殺せたらそれで良いってマジ?

とにかく、金がないメンバーなので有難い。合計金額として銀貨63枚が今回の報酬金となります。

命賭けてこの金額って安くない?一人頭銀貨100枚は最低無いと割に合わなかったゾ。

で、一人ずつ銀貨12枚と銅貨6枚で分け合いました。すっくな、ポーション1個買ったら終わりやん。

ゴブリン退治が、って問題じゃないですね。

他は下水道掃除銀貨5枚とかでしたし、となると問題はメンバーの数だな。

今回の事で学んだこととして、ゴブリンは意外と賢い。

でも、単体では強くない。

となると、3~4人で慎重に戦えば良い訳で。

今回みたいな6人で……、まあベテラン含めたから楽だったんでしょうが、分け前が分かれるので1人あたりは儲からない。

儲けと安全のバランス考えるパーティ編制が重要ですね。

 

 何?鉢巻君……え、このメンバーでパーティ組もう?話聞いてた?

お前の装備優先的に変えなきゃいけないやんけえ!その金作るのにまたゴブリン退治行っても今回みたいな銀貨稼げねえんだぞ!

おっと、ここで神官ちゃんの助け舟が。

どうやらゴブスレさんについていくそうです、友達なんだから付いていくって言いましょう。

少なくとも鉢巻君とパーティ組むよりよっぽど安全です。

 

今回のpartはここまで、御視聴有難う御座いました。



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裏 初めての冒険

 春、それは多くの冒険者志望がギルドに来る(新しいセッションが始まる)季節である。

先輩が自身にそれを教えてくれたのは、一体どれくらい前であっただろうかと三つ編みの受付嬢はため息をついた。

兎角仕事が多すぎるのだ、普段のギルド業務に村から出てきた読み書きもままならぬ年若い冒険者志望者の登録業務に

春特有の不審者への注意喚起、そしてギルドに属する冒険者達の昇進審査……。

 

 しかしながら、そんな業務過多であっても決して絶やすことの無い笑顔は彼女がこの5年で仕事に慣れ親しんだ証だろう。

今日もまた新しい冒険者志望者が来る。

扉を開けて入ってきたのは、神官服を身に纏った少女が2人。

長い金髪の神官は錫杖を持ち、もう1人の赤髪の神官はメイスを右腰に下げ左腕には円盾を括っていた。

 

「失礼致します、冒険者登録はこちらで宜しいですか?」

 

「はい!こちらの冒険者記録用紙に御記入下さい」

 

 赤毛の少女がスラスラと記入し、もう一枚を金髪の少女へと手渡した。

神殿での教育が行われたからか、文字が読めないという事も無く手早く書き上げていく

 

「御確認をお願いします」

 

 受付嬢が内容を確認し、許可印を押すとにっこりと笑顔を向けた。

 

「確認いたしました、早速依頼を受けますか?」

 

「いえ、暫くボードを見て回ろうと思います」

 

 そういうと少女達は受付のカウンターを離れて依頼が張り出されているボードへと向かった。

その姿を少し不安に見ていたが、次の志望者が現れた為に通常業務へと受付嬢は戻った。

 

 

 

 

「恒常依頼が地下下水道での溝攫い銀貨5枚、巨大鼠退治ノルマ3匹銀貨10枚、大黒蟲退治ノルマ5匹銀貨10枚……」

 

「やっぱり新入りには安い仕事しか無いね、2人でやるのも厳しいからせめて剣士が1人仲間に欲しいかしら」

 

 むむむっと依頼の紙を睨む親友に女神官戦士はそう言うと、顎に人差し指を当てて考えた。

宿代に食事代、湯浴みも望めば1日に銀貨10枚は飛ぶのだ。

昇級した時に難易度の上がる依頼も受けれるようになることを考えると、装備を買う為の貯蓄もしたい。

となると、1人頭1日銀貨15枚は最低限欲しいと考えてしまう。

鼠・蟲・溝攫いを下水道一か所でやってしまえば日に25枚。

が、この親友がそこまでの肉体労働に耐えうるかと問われると厳しいと言わざるを得ない。

自分のような開拓村で野山を駆けずり回っていた山猿ならいざ知らず、肌の白い冒険よりもギルド職員の方が似合うであろう彼女が折れないだろうか。

 

(この子にも防具を整えて貰わないといけないわね)

 

 純後衛である彼女には最終的に鎧下付き司教服や司教杖を装備して貰うとして、自分は大盾に胴鎧そして刺鉄球か?

何と言う事だろうか、しめて銀貨665枚必要である。

 

(とにかく金が無い、金が有れば問題の8割は解決するのに……)

 

 冒険者なり立ての少女2人に金を稼げと言うのは辛いかろう、双方が歌や踊りが得意と言えど街角で貰えるおひねりなどたかが知れている。

曲がりなりにも神職で育った身で春を売るなど神殿長が嘆く前に殺しに来るか。

結局のところ、命懸けの害獣駆除に行かねばなるまい。

 

(そもそも冒険者の最初の依頼のイメージって薬草採取って想像は一体何からなんだろう?)

 

そんなとりとめのない事を考えていると後ろから声をかけられた。

 

「なあ!君達も新人だろ?」

 

振り返ると鉢巻を巻き、長剣を腰にはばいた少年と引き締まり鍛えた体の少女、そして眼鏡の奥で勝気に吊り上がった目をした少女の3人組みがいた。

 

「ええ、今登録したばかりよ」

 

「あの、貴方達も新人さんですか?」

 

女神官が少年に問うと、ああ!と溌剌な答えが返ってくる。

 

「実は、依頼を受けたんだけど仲間を探そうと思ってさ。君達神官だろう?」

 

「彼女はそうよ、私は一応前衛が出来るけどあまり期待しないでね」

 

特に技能がある訳でも無いし、とポツリと女神官戦士は呟いた。

 

「2人も神官が居て、1人は戦士も出来るとかラッキーだな!2人とも小癒は使えるんだろう?」

 

「私は日に3回小癒と聖光を……」

 

「私は日に2回小癒と解毒よ」

 

「本当かい?いや、実は俺達もう金が無くてさ……。それで回復の出来る神官を探してたんだ」

 

2人合わせて5回有るなら水薬は必要ないなと笑う剣士を見て、すぅっと女神官戦士の目が細まる。

 

(そう思うのは仕方ないにせよ、神職を水薬替わりと笑ってどう思われるか考えないの?)

 

 とは言え、彼の言い分も理解できたし納得も出来た。

何せ、傷や体力回復の水薬や毒消しの水薬は1瓶銀貨10枚する。

合わせて5回使える神官2人居れば、最大で使っても1日銀貨50枚分が浮くのだ。

その分装備に回せるなら、新人としては有難い事この上なかろう。

大なり小なり自分も似たような思いは有るのだ、彼の無神経を咎める口は無い。

 

「それで、依頼と言うのは?」

 

「ゴブリン退治さ!」

 

「……内容は分かったけれど貴方達の事も話してくれる?配置とか技能を知らないと」

 

「そんなの、ゴブリン退治で知る必要あるか?それぞれ戦えば楽に終わるって」

 

「少なくとも私は盾持ちとして一番前に出るんだから、自分の背中の心配までしたく無いわ」

 

「随分と慎重なのね、それとも臆病なのかしら?」

 

 それまで黙っていた魔術師の恰好の眼鏡少女が口を挟む。

自信ありげに豊かな胸を反らし、女神官戦士を睨みつけている。

 

「少なくとも、名前も知らない相手に命を預けれないのはお互い様でしょう?」

 

「はいはい、喧嘩しない!この子の言う事も間違ってないんだから、自己紹介位はしようよ」

 

 パンパンと手を叩きながら格闘家然とした少女が割って入る。

先ほども言ったように、名前も知らない相手と言うのはシコリがある。

 

「それじゃあ、俺からだな。俺は【青年剣士】、職業は戦士で登録してる!」

 

「私は【女武闘家】。職業は武道家なの」

 

「……【女魔術師】、見ての通り魔術師よ」

 

それぞれが名前とギルドに登録した職業を述べる。

こちらも名乗るべきだろうが、職業に関してはさっき剣士に言ったから構わないか。

 

「私は【女神官】です」

 

「私は【女神官戦士】よ、魔術師は何の魔法を使えるの?」

 

女神官戦士がそう聞くと女魔術師はふふんと得意げに語り始める。

 

「王都の賢者の学院を首席で卒業したのよ、【火矢】を日に2回使えるわ」

 

 賢者の学院と言えば随分な名門だ、そこを首席卒業ともなれば王宮の宮廷魔術師への道だってあっただろう。

なぜこのような辺境の街で冒険者をしているのかと疑問に思ったが口を噤んだ。

 

「そう、なら貴女は切り札になるわね」

 

 少なくともただの小鬼に使うのは勿体ない。

使う機会があればあったで困りものだが……

 

「ええ、勿論よ」

 

 女魔術師はそれが分かっているのだろうか、その自信に満ちた顔を見ていると不安に襲われる。

こういうタイプは咄嗟の出来事に弱いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐ依頼に有った場所よ」

 

 武闘家がそう言って指をさした坂の向こうに洞窟があった。

ここに攫われた娘と小鬼が居る、そう思っていると視界にどうしても入ってくる物が有った。

 

「なんだ?これ」

 

剣士が触った趣味の悪い立てかけの棒、故郷が滅びてから怪物の情報を集めていた己の知識がその答えを出した。

 

「トーテムポールよ、不味いわね……。この巣穴は上位種の呪術師が居るわ」

 

 その場の全員の視線が集まる。

そのまま女神官戦士は話し続ける。

 

「これは群れの長が呪術師になった場合にそれを示す勲章みたいなもの、既に中規模の群れになったと考えて良いわ。となると、用心棒として流れの田舎者も居るでしょうね」

 

 初っ端に新人冒険者がやる依頼じゃ無いだろう、少なくとも鋼鉄等級の冒険者がやる案件だ。

ここで与えられる選択肢は2つ、行くか退くかだ。

そして女神官戦士は怪物を相手に退くという選択肢は選ぼうとはしなかった。

 

「私が先頭に立つわ、【魔術師】と【神官】を真ん中に貴方達のどちらかが護衛で彼女たちの後ろについてくれる?」

 

「それなら俺が前に行くよ、【武闘家】頼めるか?」

 

「ええ、良いわよ」

 

 隊列を組み、洞窟の中へと入ると他の種族達と違い暗闇を見通す目など無い只人だ。

ボッと音を立てて松明に火が付くと、灯りがむわっと湿気を感じさせる洞窟を照らす。

ただ、女神官戦士は奇跡を賜り体を鍛えただけの少女だ。

こういう狭い場所で戦う為に、取り回しの良いメイスを武器に選んだがそれは戦うための選択である。

そして戦うのと知るのは違う、神官戦士は斥候が居れば楽になるだろうと実感した。

 

「……また有った」

 

 暫く歩き続けると、入り口にあったトーテムポールと同じ物が見えた。

これで確定だろう、呪術師が居るとなると魔術師の【火矢】が重要になる。

奥へ進むたびに悪臭が酷くなるのが分かった。

 

「皆、固まって行動しましょう。出来るだけ自分の武器に巻き込まない程度の距離は取りながら」

 

 コツンコツンと洞窟に足音が響く中、ベタベタと素足で走る音が聞こえてきた

魔術師が持っていた松明を投げると、小鬼の群れがこちらへ走ってくるのが落ちた松明に照らされた

女神官戦士の頭にザアっと血が集まり、心はサアっと冷えていく。

ぐっと右手に力を入れ、メイスを振りかぶりそのまま小鬼の頭目掛けて振り下ろす。

2kgの鉄の塊が15歳の女性とは思えない程鍛えた腕力で振りぬかれ、小鬼の頭蓋は石畳に落とした西瓜のように弾ける。

 

「この、この、この!」

 

「っ、【剣士】!狭い場所で長剣なんか振り回すな!」

 

 ぶんぶんと、素人剣術……つまりは型も何もない振り回し青年剣士は小鬼を、そして神官戦士も近づけない。

切っ先が神官戦士の僧服の袖に切り目を入れたほどだ。

 

「喉目掛けて突けばそれで良いって!そんなに振り回したらあんたが危ない!」

 

そう声をかけた瞬間、女神官の悲鳴が聞こえる

 

「後ろからも小鬼が来たわ!戻って!」

 

 女魔術師の叫びで自分達が罠にはまったことを神官戦士は悟った。

だが、一本道だったこの洞窟でどうやって小鬼は後ろに回り込めたのか?

そんな疑問があったが、今はこの状況を乗り切るしかない。

剣士と共にこの小鬼を滅し、後方の3人と合流。

一度、洞窟から出るべきか?

先に走らせるべきは掛かり気味の剣士だろう、盾持ちの自分が殿になった方が良い。

 

 だが、神の骰子と言うのは良きにせよ悪きにせよドラマチックな物だ。

こんな時に限って蛇の目が出るのだから。

 

「あっ」

 

 その声を出したのは剣士だったのだろうか、神官戦士だったのだろうか。

洞窟の天井にぶつかった剣士の長剣がカランと音を立てて地面に落ちる。

「GOBBB!」

ニヤニヤと弱い獲物へ目掛けて小鬼がその粗末な武器を掲げ……

そしてそのニヤけ面を横から思いっきりメイスが叩きつけられ、もう1匹は盾で殴られ吹き飛ばされた。

 

「早く立て!剣を拾って走って!」

 

「す、すまん!」

 

 青年剣士が長剣を拾い、後衛の元へと走り出す。

自分もその後に続こうとした瞬間、悪寒を感じた。

後ろを振り向くと、そこには普通の小鬼よりも大きい大金棒を担いだゴブリンがこちらに走ってくるところだった。

 

「ホブ……ッ!」

 

欲望に目をギラつかせ、ニタつきながら走るその顔に怒りが湧く。

しかし、今この状況で戦うのは悪手でありせめて魔術師の援護を得られる状況に持って行かねばならない。

そのはずなのに、何故、その魔術師は倒れているのだ?

 

「彼女……、刺されて……、毒が……」

 

 ああ、世の中は上手く回らないと知っていたのだ。

そんなことは村が滅びた時に身に染みて分かっていただろうに。

 

「【剣士】!その子背負って!洞窟を出て広い場所で戦う!解毒はそこで!」

 

「分かった!」

 

 青年剣士が女魔術師を背負って走り出し、他の2人もそれを追う。

入る時は一本調子で退屈にも感じた道のりが、追われ仲間が死に瀕している脱出となるとなんと長い事か。

 

(とにかく、外へ出る事。【剣士】と【武闘家】がホブを相手にしている間に【魔術師】に解毒を施し、私も戦列に復帰する)

 

 盾役の自分が攻撃を受け、火力役の2人が仕留める。

復帰した魔術師が【火矢】を放てば最高だ。

その為にも、まずはあの光の先へと出なければならない。

 

 そんな考えが途切れたのは、ゆらりと現れた使い古した鎧兜が持っていた剣を女神官戦士に向けて投げたからだ。

一瞬の躊躇の後、身を大地に伏せたその時、後方からホブゴブリンの絶叫が聞え、先ほどの鎧兜が走り抜けたところが見えた。

その後を追うように視線を向けると、倒れたホブの胸に刺さったショートソードを体重を乗せて刺していた。

 

「負傷者1名、他は無事か。運が良い」

 

「あ、あんたは……?」

 

青年剣士の震えた声に、鎧兜は答える。

 

「ゴブリンスレイヤー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いと慈悲深き地母神よ、どうかこの者の血より、病毒をお清めください。【解毒】」

 

 ガチガチと歯がかち合う音が女魔術師からなくなり、険しく歪んでいた顔が緩む。

体内から毒が無くなり、救命処置が完了した。

 

「これでもう大丈夫、毒は抜けたよ」

 

「あ、ありがとう……」

 

「ううん、一緒に依頼受けた仲間でしょ?」

 

 女魔術師は俯きながらも感謝を述べ、女神官戦士はその肩を叩いた。

ぐっと背筋を伸ばすと、神官戦士はゴブリンスレイヤーへと近づく。

 

「まだ迎撃に出てきた連中しか殺れていません、探索も一本道なので真っすぐ進んでいただけです」

 

「一本道ではない」

 

「そんな事無い!俺達はずっと道を真っすぐに進んだんだ!どこにも分かれ道なんて無かった!」

 

「横穴だ」

 

 横穴、その場にいた全員がポツリと呟いた。

ゴブリンは死んだ冒険者の武器を使う時がある、ならばそれがツルハシでないなどと誰が言えようか?

 

「これから残りのゴブリンを殺しに行くが、お前達はどうする」

 

「行きます、依頼ですし怪物は殺さねばなりません」

 

「そうか」

 

 神官戦士がそう言うと、ゴブリンスレイヤーは先ほど喉を刺したホブの腹を引き裂き布で臓器等を包み手で潰した。

すぐに血と汁が混ざりぐちゃぐちゃと音を立てる。

 

「それは何を?」

 

「ゴブリンは金臭さや女の匂いに敏感だ、だから奴らの匂いで誤魔化す」

 

「なるほど、出来る限りこちらの気配を消すのですね」

 

 そう言うと女神官戦士はホブの腹に手を突っ込み、血を顔や首に塗り付ける。

真っ白い神官服にも引きずり出した腸を擦り付けた為にどんどんと汚れていく。

 

「ゴブリンスレイヤーさん、申し訳ないですが背中に塗って頂けますか?」

 

 流石に手が届かないので、と言うと背中を差し出した。

そこまで来て、時間が止まっていた女神官が慌てだす。

 

「な、な、何をしてるんですか!?」

 

「ゴブリンスレイヤー氏のやり方に納得したから」

 

「終わったぞ」

 

 背中にもべったりとゴブリンの血を付けた女神官戦士はゴブリンスレイヤーに頭を下げるとメイスを握りしめる。

呆然とその姿を見る仲間達にゴブリンスレイヤーが語り掛けた。

 

「次はお前達だ」

 

 

 

 

 

 

 うええっとこみ上げる物を堪えながら剣士一行は洞窟を進んでいた。

ゴブリンスレイヤーを先頭につい先ほどまで必死で駆け抜けた道を見直していくと、途中であのトーテムポールの横に穴が開いていたのを見つける。

 

「本当に横穴があった……」

 

「奴らは馬鹿だが、間抜けではない」

 

「武器を使う知恵があるなら、道具を使う知恵もあると」

 

「そうだ、奴らは自ら生み出すことは無いが知恵を盗む」

 

 ゴブリンスレイヤーが進み、一党がその後に続く。

ただ只管それを続け、大きな広い空間へとたどり着いた。

ゲギャギャと呪術師が苛ついた様子でゴブリンを蹴り飛ばす、その先には倒れた只人の女性が居た。

 

「目を潰せ」

 

「は、はい!いと慈悲深き地母神よ、闇に迷える私どもに、聖なる光をお恵み下さい【聖光】」

 

 カッと女神官の杖から光が溢れ、暗闇に目が慣れているゴブリンは突然強い光を浴びせられ目を覆った。

その隙を逃さず、ゴブリンスレイヤーが奪ったボロボロの槍を投擲すると呪術師の喉へと命中する。

生じたゴブリンの混乱が収まるよりも先に、戦士職3人が突入し蹂躙が始まる。

先ほどの失敗を繰り返さないために振り回すのではなく、切っ先で胸を狙って突きさす。

女武闘家は流れるような格闘技で次々とゴブリンの首を折る。

ゴブリンスレイヤーは先ほど投げた槍を喉深く突きさし、呪術師にトドメを刺した。

 

「酷い……」

 

 女神官が布で凌辱を受けていた女性を清めていく。

その時、ゴブリンスレイヤーが骨で出来た椅子を蹴り飛ばし、その隠し穴を全員が見た。

 

「まだ横穴があったのか……」

 

青年剣士がうんざりした顔でその穴を覗き見ると、露骨に顔を顰めた。

 

「子供だ」

 

 穴の中には身を寄せ合い、命乞いをする幼いゴブリンが幾らか隠れており

それが冒険者達の心を暗くさせる。

 

「子供も……、殺すのですか?」

 

 女神官がゴブリンスレイヤーへと尋ねる。

ゆらりと振り返り、ゴブリンスレイヤーは答えた。

 

「ここで見逃せば、こいつらは学習する。そして別の所で巣を作り、同じように娘を攫う」

 

「なら、やるべきことは1つでしょう」

 

女神官戦士のメイスが掲げられ、振り下ろされた。

 

 

 

 

 

「それじゃあ、初依頼達成を祝して……」

 

「かんぱーい!」

 

 木製のジョッキを合わせエールを流し込む。

帰り道に拾ったホブの金棒を売り払い、上位種含めたゴブリンを退治した金額が占めて銀貨63枚。

ゴブリンスレイヤーのお陰で依頼が達成出来たと言ってせめて上位種の金額分を渡そうとしたが、「いらん」の一言で押し流された。

とは言え、駆け出しに銀貨20枚は大きいので有難く配分させて貰う事にした。

1人当たり約銀貨13枚程度、正確には銅貨6枚の銀貨12枚だが……。

 

「それで、今回色々と危ない事もあったけどこのメンバーで一党を組まないか?」

 

「経済的に無理ですね」

 

 えっと、その場の全員が女神官戦士に向けられた。

ゆっくりと全員の顔を眺めると、話しを始める。

 

「まず、今回の仕事で得られた銀貨は63枚。ですが、ゴブリンスレイヤー氏がいたからこの金額なのです。

何事も無く依頼を遂行できたとして、銀貨20枚。上位種がおらず、回収した武器も売らなかったらこのままです。

銀貨20枚を5人で分けると、1人銀貨4枚。一番安い大部屋に寝るとしても銀貨2枚、朝食を食べると銀貨1枚。

水浴びさせて貰うサービスを使うと銀貨1枚、これで使い切りました。貯蓄が出来ない為、武器や防具に水薬を買う資金が作れません」

 

「ほ、他の依頼とか……」

 

「溝攫いで銀貨5枚、鼠やローチ退治でそれぞれ銀貨10枚ずつ。対して変わりませんね、問題点として人数が多いのがまず1点」

 

ぴんっと、人差し指を立て女神官戦士は語り続ける。

 

「次に、今回の洞窟で分かりましたが探索役が居ないのが問題です。もし、斥候が居れば横穴に気付き迎撃出来ていたかもしれませんね」

 

次に中指を立てて指をVの字にする。

 

「これは、【剣士】さんか【武闘家】さんが斥候職のやり方を覚えるなどで解決するでしょうが本職に加入してもらうのが手っ取り早いです」

 

「ちょっとそうなると、分け前が分かれるから完全に赤字じゃない」

 

「ええ、前衛3後衛2はバランスが良いですが駆け出しでするのはキツい人数でした。これが鋼鉄等級なら話は違ったのでしょうが」

 

ある程度信用があってそこそこの金額の依頼が回されるのが鋼鉄等級からだ、それまでは新人冒険者へ回される仕事はキツい・金払いが悪い・汚いの3つのKだ。

 

「我々全員が昇級した時に、一党を組むというのであれば反対はしないのですがね」

 

「そっかあ……、金かあ……、金だよなあ……」

 

ショボンと剣士が落ち込み、武闘家がポンと肩を叩く。

 

「それで、あんた達はこれからどうするの?」

 

女魔術師がそう問うと、女神官が答えた。

 

「私は……、あの人について行こうと思います」

 

「彼女1人でと言う訳にはいかないので、私も付いて行こうかと」

 

「そう……、なら鋼鉄等級になったらまた集まりましょ?」

 

女魔術師がジョッキを突きだし、女神官達はそれに答えるようにジョッキを合わせた。

 



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表 レベルアップ~資金稼ぎ

続き始めるよ~

 

 前回はチュートリアルを終えました。これによりトロフィー【初めての冒険】【皆無事か?】も取れましたね。

それに伴い、経験点1000点、成長点3点が与えられ更には累計経験点が4000となった為に冒険者レベルが2になりました。

これにより、成長点が15点貰えたので、合計18点の成長点が神官戦士ちゃんは持ってる訳ですね。

さあ!と言う訳で、技能取得をしたいと思います!

彼女はどちらかと言うと「戦う神官」ではなく、「回復も出来る戦士」ビルドにしようと思っています。

なので、色々と取りたい技能が有るのですが取捨選択はしなければなりません。

冒険者レベルが2になったので、技能は初歩~習熟まで習得できるのですが、冒険者技能は初歩で5点、習熟では10点支払う必要が有ります。

序盤は出来るだけ初歩冒険者技能を取って、成長点を貯め冒険者レベルが上がったら上げていくのが良いでしょう。

では、経験点1000点消費して戦士レベルを2に上げます。

更に、色々取りたい技能は有りますが、冒険者技能を優先して取得します。

以下が今回取得した技能です。

 

【武器:戦槌】 ……メイス系統の命中判定+1

【盾】     ……盾受け判定と盾受け値に+1

【護衛】    ……ラウンド毎に他のキャラクターに向けられた攻撃を身代わりに1回受ける

【調理】    ……料理判定に+1

 

 合計16ポイント使用でフィニッシュです。

主に戦闘で命中しやすくしてダメージを稼ぎ、防御系技能を取って継戦能力を上げます。

調理は美少女が料理作るとかてぇてぇ……って理由です。

次あたりで【強打攻撃・殴】、【鎧:重鎧】、【魔法の才能】を取ってダメージ増加と回復呪文の回数を増やします。

神官ちゃんだけだとちょっと回復の手が足りないかもしれません、彼女の聖光とかも有用だと分かりましたし。

これからは兎に角資金稼ぎをしていきます、欲しい装備は上を見たら切りがないのですが最低限これだけは用意しておこうというのが以下の物です。

 

(ヘビーメイス)【槌鉾】 銀貨30枚、威力1d6+2

 

(チェインメイル)【鎖帷子】 銀貨85枚、装甲値4

 

(ギャベゾン)【鎧下】 銀貨30枚、装甲値+1、移動力-2

 

 合計銀貨145枚です、1日の最低限必要な銀貨は3~4枚で下水道で出来る依頼全部請け負ったら大体銀貨25枚。

白磁冒険者ってマジで搾取されてるよな、冒険者ギルドのマージンどの程度だ?

これで死んでも自己責任なのに毎年新人来るの、国の闇だよね。

 

 しかし、ギルド備え付けの怪物図鑑を確認して下水道に居るモンスターを調べるとこんな奴が居ました。

(グラトニーラット)【暴食鼠】、討伐報酬銀貨50枚、皮下脂肪が多く火を使った攻撃に弱い。】

銀貨50枚を先ほどの依頼纏め受けで考えると銀貨75枚!毎日行けば3日で目標金額+アルファで好きな物買えます。

なんなら2体仕留めればウハウハですねえ!その分死ぬ可能性高いですが。

 

 と言う事で、油買いましょう。銀貨1枚で油1瓶買えます。3瓶程買っておきましょう。

流石に今日は行きませんが、明日神官ちゃんと一緒に行きます。

神官戦士ちゃんが盾で防ぎながら油ぶっかけて、神官ちゃんに松明投げて貰って焼きます。

それじゃあ、宿屋探しをしましょうか。

神官戦士ちゃんだけなら馬小屋の藁で寝て貰うのですが、神官ちゃんのストレスがマッハでヤバいので止めましょう。

 

 あ、ゴブスレさーん!また仕事連れてってくださいオナシャス!

いや、今じゃないです、はい。

……いきなりまたゴブリン退治連れてかれそうになるとは思いませんでした、変な人ですね。

じゃあ、宿屋に神官ちゃんとシケ込みましょう。

 

 おー、ええやん相部屋。そこそこ広いし。

(宿泊費)なんぼなん?4人部屋銀貨5枚?序盤はおキツゥイ!

てか、2人部屋案内してよ……2人部屋は銀貨7枚?あ、このままで良いです……

え、更にお客さん来る?しゃーない、切り替えていけ。ただ、財布入った背嚢枕に外套被りましょう。

 

 って、お前らかよ同部屋ァ!

同部屋相手、武闘家ちゃんと魔術師ちゃんでした。

君ら明日の仕事どないするん?武闘家ちゃんは剣士君と一緒に溝攫いと薬草集めして魔術師ちゃんはギルドの代筆業のバイトですか。

神官戦士ちゃん達?ええ、下水道でちょっと……

あー!神官ちゃんなんで言っちゃうのー!

言うにしてもせめて情報料せしめてさあ……、まあ言っちゃった以上しゃーない切り替えていく。

ええ、はい油ぶっかけて燃やすと銀貨50枚ですよ。

そっちは魔術師ちゃん居るから元手無しで出来ますね、羨ましい。

 

 

 おっはー!(クソデカボイス)

体力全回復!ギルドで依頼受けて朝飯食べたら下水道にイクゾオオオオオ!!!!(デッデデデデン、デッデン、カーン)

 

 はい、と言う訳で下水道内部です。

2人とも布で顔覆ってて偉いですね、それじゃあまず溝攫いしますか。

ここら辺見てても撮れ高無いんで加速しまーす。

加速中つまらないでしょうからそんなみーなーさーまーのーたーめーにー……

おっと、暴食鼠来ましたね。

それじゃあ、神官ちゃんに油投げて貰いましょう。

いつものメイスではなく、松明装備です。

油まみれになったネズミ野郎を殴って引火させます。

通常は松明使ってもダメージは1d3なのですが、油ぶっかけた上で可燃性のエネミーなので固定で毎ターン6ダメージ受けます。

小娘!派手にやるじゃねえか、これから毎日鼠を焼こうぜぇ?

さて、それじゃあ目標も達成したので帰りまファッ!?

もう一匹来たぁ!?

やべぇ、盾受けぇ!

 

技量反射6+戦士レベル2+【盾:初歩】+1+ラウンドシールド+4=盾受け基準値13

 

盾受け判定:13+2d6:出目2・1=16

 

暴食鼠:牙攻撃達成値12+2d6:出目3・3=18

 

 

ああああああ!!!出目が腐ったあああああ!!!

 

 

牙攻撃:威力1d10-1=出目1-1=0

 

助かったああああああああああああ!!!!!

 

相手の出目も腐ったああああ!!!!

 

生きてるぅ~~!!帰ってこれたぁ~!あっはっははああ!

 

 焦らせやがってこのクソネズミが!

お前も銀貨になるんだよ!オラ、油松明コンボォ!

 

……調理、完了です。

無駄に焦らせやがってよぉ!

とは言え、これで成功報酬25+討伐報酬100で銀貨125枚入手です!

やぁりましたぁ!

一気に収入改善ですよ!必要経費の油と松明補充して週2でやりましょう!

と言う事で、後は同じことしてるので810倍速しましょう。

いや~、これで資金改善何とかなりましたね。

さて、倍速終わりましたので最終的な資金を確認しましょう。

2週間で討伐出来た暴食鼠は……10体!?

つまり、稼げた金額は下水道依頼報酬銀貨100枚+討伐報酬銀貨625枚=銀貨725枚!?

 

やったぜ 投稿者:新人下水塗れ冒険者

 

とか言ってる場合じゃないですわよ!

当初予定してた目標金額に14日で到達しましたわ!

今の手持ちは諸経費引いて716枚です。

いや~……、金持ちになり申した。

 

 さて、この金で何をするかと申しますと。

装備更新の時間だオラァ!

装備屋の爺!金なら有るんだ!寄越せ!

 

まず神官ちゃんの装備です、以下の通りになります。

 

(チェインメイル)【鎖帷子】 銀貨85枚、装甲値4、移動力-6、過重8/14、斬撃耐性

 

(ギャベゾン)【鎧下】 銀貨30枚、装甲値+1、移動力-2

 

 鎖帷子は改造して上に更に神官服が着れるようにして貰うそうです。

神官レベルが彼女2なので装甲に更に+1なので装甲6となります。

これでゴブリンの攻撃は自動でダメージ0になるので、一応安全圏ですね。

 

 次に神官戦士ちゃんですが、神官ちゃんには申し訳ないですが盾役なのでガッツリお金掛けさせて貰います……。

その分最前線で攻撃受け続けるので納得してください!

 

(ブリガンダイン)【胴鎧】 銀貨270枚、装甲値+6、回避修正-2、移動-4、過重7/14、斬撃耐性

 

(アーミングダブレット)【鋲付きの鎧下】 銀貨120枚、装甲値+2、移動力-4

 

(タワーシールド)【大盾】 銀貨80枚、盾受け修正+5、盾受け値+5

 

 

 合計銀貨585枚使いました、残りは131枚です。

ほぼほぼ装備はこれで最終形態になります。

これより硬い鎧は銀貨600枚とかするんで基本手が出ません。

更に移動力も落ちてしまうので実用性のラインとしてはこれがギリギリでしょうか。

装甲8と盾受け+5あれば大体は受け止めれる感じです。

装備更新が終わったのでゴブスレさんを探しましょう。

まぁ、ギルド行けば会えるでしょ……ほら居た。

 

 ゴブスレさーん!ゴブリン退治同行させてくださいオナシャス!

一発OK貰えました、ゴブリン関係マジでウェルカムなんですね。

ただ、一件アドバイス貰えました。兜は被っとけだそうです。石投げられて意識失わない様にって。

それじゃあ、810倍速します。2件ゴブスレさんのダイス振らせない戦法でゴブリン退治してるだけのなんの面白味もない動画なので。

 

 ふぅ……、ホブとか相手にしても普通に防げました。

基本的に神官戦士ちゃんがどっしり構えて攻撃を引き受けつつ、神官ちゃんが目つぶししてゴブスレさんが仕留める感じの連携が上手くいってます。

えー、と言う事で下水道クエストとゴブリン退治合計6件の依頼を達成しました。

こういう軽めのクエストは一律1クエスト経験点1000、成長点3なので×6の経験点6000、成長点18貰えました。

成長点は置いておいたのと含めて20点有りますね、累計10000経験点になり冒険者レベル3となり成長点が更に15点貰えます。

合計35点、すっげえ沢山有るんで楽しみっすね。

まず経験点の割り振りから、6000点あるので3000点使って戦士・神官レベルを3まで上げます。

魔法職は1レベル上がるたびに1つ呪文を追加出来るので、後述の技能と合わせて2つ選びます。

 

 技能は以下の通りです。

 

・【強打攻撃・殴:初歩】  ・・・強打・殴(+n)を持つ武器で攻撃を行った際、命中判定後の効力値に+体力点の4分の1+nのボーナス

 

・【鎧:重鎧:初歩】    ・・・重鎧着用時、装甲値+1

 

・【追加呪文:奇跡:初歩】 ・・・奇跡呪文を追加で1つ習得

 

・【魔法の才:初歩】    ・・・呪文使用回数+1回

 

・【盾:初歩→習熟】    ・・・盾受け判定と盾受け値に+2

 

・【忍耐:初歩】      ・・・消耗度軽減の消耗ランクEX1を使用可能

 

 奇跡呪文の追加ですが、以下の2つを選びました。

 

(バイタリティ)【賦活】 ・・・効力値に沿った回復量で消耗を回復

 

(プロテクション)【聖壁】 ・・・見えない壁を作り出し、敵の移動や攻撃を防ぐ

 

 更に2件のゴブリン退治で銀貨30枚を貰えましたので、ゴブスレさんのアドバイス通りに兜買います。

いやー、結構種類多いですね。どれが良いかなー、(グレートヘルム)【バケツ兜】は視認性悪そうなのでパスしまーす。

お、これ良いんじゃないですか?(ケトルハット)【薬缶帽子】銀貨20枚だそうです。

感知・交渉系判定で-1される代わりに、頭部へのダメージを3減らしてクリティカルを受けた際にする痛打判定を兜を壊す代わりに無効化出来ます。

感知は神官戦士ちゃんの役目じゃないので構いません、交渉系もこれから取る技能あれば相殺できますしなんなら口の回る仲間が出来れば問題無いので大丈夫ですね。

人間要塞化計画が順調に進んでおります、これで後は武器新調すれば冒険の中で魔法の防具が出たらそれを貰う感じですかね。

 

 お、神官ちゃんもレベルアップして新しく奇跡を貰ったようですね。

自分以外のキャラクターが新しく魔法や奇跡を覚える時は指定とか出来ないらしいんですよねー……、今回はどうでしょうか。

(サイレンス)【沈黙】と【聖壁】を取ったみたいです。

沈黙はステルス技能ですね、足音とか消してくれるみたいです。

聖壁は被りましたね、まあ腐る技能じゃないでしょう。

さて、今日もゴブリン退治です。

えーっと、依頼はエルフの放棄した要塞に住み着いたゴブリンの討伐と。

村娘が攫われて助けに行った鋼鉄等級の冒険者パーティも帰ってこない、ふむふむ……。

 

 これやべー案件では?十中八九全員死んでるっしょ。

数も多そうだし、3人でほんとに行けるんです?

ゴブスレさん程の人が言うならまぁ……、彼の判断に従いましょう。

やってて分かったんですけど、ゴブスレさんの指示に従ってたら基本ダイス降らずに勝って行くので楽ですね。

無駄のない駆除業者みたいな感じです。

 

 やってきましたエルフの砦、いやー歩きましたねー。

重装備だからちょっと疲れてるゾ、それでゴブスレさんどうするんすか?正面突撃?

え、火付け?今回のpartなんか放火要素多いっすね。

それで何をすれば?盾役として普通にしとけと、まあ妥当ですね。

それじゃあ、大盾を地面に立てる感じで構えましょう。

ゴブスレさんが弓を準備してるので、ゴブリンの投石や弓矢なんかを防ぎます。

大きい盾なんで普通に防いでくれますね、神官ちゃんもちゃんと隠れてほら。

 

 お、ゴブスレさんが火矢を放ったら景気よく燃え始めました。

普通のエルフの砦は火除けのルーンがあるんですが、朽ち果てて機能してないみたいです。

で、この次は?神官ちゃんの聖壁で入口塞ぐ?あっ……(察し)

ゴブリンバーベキュー大会の始まりだぜ!

聖壁は相手を通さないがこちらの攻撃は通す使用なので石でも投げましょうか……。

あ、ゴブスレさんが燃える水ぶちまけて更に松明投げた。

 

 はえ^~引火したゴブリンが燃えながら走り回ってら。

おー、一縷の望みをかけて飛び降りて地面の染みになってる奴も居る。

いやー、個体ごとに特徴ある行動して面白いですねー。

あ、残党狩りっすか?全部死んだのでは?

あー、地面掘ったりで生き残り居るかもと、じゃあやりますかー。

あ、そこら辺はカットします、そうそう居ないでしょ。

 

 あー、疲れたー。

いやー、結局皆砦で焼死してましたね。

其処ら辺のチェックは大事だから別に良いんですけどね。

それでは、今回のpartはここで終わります。

次のパートはレベルアップの処理から始めまーす。

 




鼠退治の数は1d10振ったら最大値出ました。
新人なのにこんな装備してて良いんですかね……
あと、ルビの振り方ってこれで合ってるんでしょうか


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