超次元ゲイムネプテューヌRe;BUILD (オルソル)
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プロローグ

 初めまして、オルソルと申します。ピクシブでもこの名前で活動しています。
 初投稿はクロスオーバーです。駄文ですがよろしくお願いします。


 やあみんな! てぇんさい物理学者の桐生戦兎だ! 俺達が新世界を創造してから数年。現在は2022年だ。平成から令和になっても、俺達は平和な暮らしを守っている。

 

 エボルトを筆頭とするブラッド族の襲撃、テロ組織ダウンフォールによる戦火の危機を乗り越えた俺達は、ラボを家代わりとしている。

 

 クソほどムカつくバカ、万丈龍我と石動美空、そして滝川紗羽こと紗羽さんの四人で暮らしている。おかげで生活はカツカツ。せっかく作った天才道具も一つ売れればいい方だから、毎日の食事がバランスよく取れていない。そのせいで――

 

「なんかだるいんだけどー」

「戦兎くん~食べ物~」

 

 女性陣が騒ぎ出す始末。 ……ああもう! どうすりゃいいんだよこれ!

 

「……仕方ない」

 

 外に出よう。

 

「どこ行くんだよ」

「買い出し」

「おう。 ……なら俺もついて行く」

「…………ん? 今なんて」

「俺も行く。荷物持ちが必要だ~って騒ぐからよ」

 

 なんだとおっ……! おちゃらけた動きで俺の目をごまかせるかと思ったかバカめ。

 

「じゃあ付いて来い。俺とお前、どっちが早く外出るか勝負だ」

「おう、受けて立つぜ。美空、審判やってくれよ」

 

 万丈が期待した眼差しで美空に審判を頼む。どうせ取り合わないだろうと思っていたが

 

「いいよ~」

 

 二つ返事!! 嘘だろ!!

 

「その代わり早く帰って来てね~。よーいドン!」

「あ!」

 

 困惑する俺をよそに前やった事の仕返しとして何かあるようなしぐさをした万丈は、すぐにラボを飛び出した。

 

「待てよおい!」

 

 続けて俺もラボを飛び出した。後ろから紗羽さんの「いってらっしゃい~」という緩い声が聞こえる。悪い癖なのは承知だが、万丈の事になるとムキになってしまう。 ……どうしたものかな。

 

「万丈。まだ行ってなかったのか」

 

 周りをキョロキョロする万丈に向かってぶっきらぼうに言う。

 

「おい。なんか変なのねぇか……?」

「あ? なんだよ」

「あっ! おい、あれ。空がグルグルしてるぞ!」

 

 子供の様な発言だが、異質な雰囲気を感じた俺は万丈の指差す方向を見やる。

 

「マジかよ……」

 

 万丈の言う通り、空がグルグルしていた。いや、ちょっと深い事を言うと空間がねじ曲がっている……のか。

 

「最悪だ」

「?」

「絶対巻き込まれるな……厄介ごとに」

 

 俺がそう言った瞬間――

 ねじ曲がっている空間がブラックホールのようになり、俺達を吸い込み始めた。

 

「お、あ、うわああああああっ!!」

「ば、万丈っ!!」

 

 俺は慌てて万丈の手を掴む。

 

「おま、引っ張られるぞ!!」

「あ」

 

 天才であろう者が、こんな初歩的な事を忘れるなんて――

 

「最悪だーーーーーーーー!!」

「おおおおおおおおおおっ!!!!」

 

 俺達の声はかき消され、聞こえなくなった。

 

 ――俺達はこれから、一つの世界を救う事になる。

 それがどんな世界かは、次のお楽しみ。シーユー!




 いかがだったでしょうか。
 次の話から本番です。まだ書き方を模索していますが、どうか温かい目で見て下さい。
 感想お待ちしております。


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超次元大戦ネプテューヌVS仮面ライダービルド 夢の合体スペシャル
一話 ビルド登場(前編)


 オルソルです。何かあれば、感想欄にて教えて頂けると嬉しいです。


「うわあああああああっ、俺、落ちてる、落ちてるううううううううっ!!!!」

 

 気が付けば青空の上を飛んでいた。意識を取り戻してなければ死んでたぞ、絶対。

 

「あぶぶぶぶっ」

 

 声が上手く出せない……! ヤバいヤバい!

 

「?」

 

 ポケットの辺りをゴソゴソしていると、ビルドドライバーとフルボトルが取り出せた。

 

「(……! このボトルなら)」

 

 俺はドライバーを巻き、ボトルを入れる。

 

『タカ! ガトリング! ベストマッチ!』

 

 レバーを一回回す。

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

『天空の暴れん坊! ホークガトリング! イェーイ!」

 

 ホークガトリングフォームへ変身した。 ……初変身が基本フォームじゃないとかどうなってんだ、と思う人もいるだろう。でもそこは許してね。一大事だから。

 

「ふぅ……」

 

 取り敢えず落下死の危険は回避された。さて、どこへ下りればいいかな……。

 

「ん?」

 

 目線の先に尖っているタワーを見つけた。パンドラタワーを思い出すなぁ。そんな自分の気持ちを軽く流しつつ、タワーに向けて一直線に進んだ。

 

 

「よっと」

 

 俺はタワーの展望台に降り立った。幸い人は誰もおらず、軽く背伸びできる余裕はある。

 

「ん~」

 

 見晴らしは最高、景色が一望出来て綺麗だ。取り敢えずは気持ちが落ち着いた。ここに住んでいる人に会いに行けば快く受け入れてくれるのではと思った俺は、変身したまま展望台を後にした。

 

 

 

「すいませーん、誰かいますかー?」

 

 俺の声は反響して聞こえなくなった。やまびこをしている感じだった。

 

「誰もいないのか……」

 

 どこか出れる場所を探してキョロキョロしていると――

 

 ビー! ビー! というけたたましい音が響いた。

 

「うおっ、何だ?」

 

 警報に驚いている俺を出迎えたのは――

 

『ガシャン、ガシャン』

 

 という無機質な音を立てるロボットだ。ガーディアンとは違うが、十分な脅威になる。そのロボット達は銃口を俺に向けて撃って来た。

 とっさに翼を広げ前に閉じ、銃弾を全て受け止める。

 

「ふぅ、なんとかなったな……」

 

 相手は目の前のロボット二体。

 

『ホークガトリンガ―!』

 

 ホークガトリンガ―を装備し、俺はいつもの決め台詞を言う。

 

「勝利の法則は、決まった!」

 

 

 それを合図としたのか、ロボットが向かって来た。スピードは速い。でも――

 

「ほっ、よっと!」

 

 少し背を低くすればかわせた。隙だらけのロボット一体に銃弾の猛威を振るわせる。さっきのお返しと言わんばかりにとにかく連射した。

 

『wer*ho@mko!』

 

 そのまま爆散。破片が飛び散った。

 

「まずは一体」

 

 俺の動きにたじろいでいたもう一体が、打撃を食らわせようと至近距離まで接近してきた。

 

「ぐわっ!」

 

 反応が遅れ、打撃をモロに喰らい距離を取らされる。だが、逆に絶好のチャンスだ。

 

『海賊! 電車! ベストマッチ!』

 

 ボトルを入れ替えレバーを回す。

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ」

 

『定刻の反逆者! 海賊レッシャー! イエーイ!」

 

 海賊レッシャーフォームにチェンジした。そのままカイゾクハッシャ―のビルドアロー号を引っ張る。

 

『各駅電車……急行電車……快速電車……』

 

 動かない的なら当てやすい。

 

『海賊電車、発射!』

 

 手を放すと同時に、電車のエネルギー体が発射される。何の抵抗もせずに食らったロボットは爆発を起こした。

 カイゾクハッシャーを下ろし一息ついた。だが――

 

『ガシャ、ガシャ、ガシャ』

 

「そう簡単には終わらせてくれないか……」

 

 次は十体程。一つずつは骨が折れる。後ろに下がっていると、丁度いい位の逃げ道を見つけた。俺はすぐさまその道に飛び込んだ。

 

 

「どうか追ってきませんように……」

 

 ささやかな願いをしながら進んでいく。道は真っ直ぐだから、このまま行けば……! だが、そんな俺の行動をあざ笑うように、ロボットは十体揃って行く手を阻んでいた。

 

「マジかよ……」

 

 驚いてしまったが、正直こうなる事は予想できた。

 

「じゃあ、これでも使ってと……」

 

『ライオン! 掃除機! ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『たてがみサイクロン! ライオンクリーナー! イエーイ!」

 

 よし、と一呼吸入れ、レバーを回していく。

 

『Ready GO! ボルテックフィニッシュ!』

 

 掃除機でロボットを引き寄せる。その間、ライオンのエネルギーを溜めていく。

 

「はあっ!」

 

 ライオン型エネルギーを放出。ロボットはこれで全滅した。構えを解き、変身を解除しようとボトルに手を掛けたその時

 

「侵入者、覚悟っ!」

 

 後ろを振り向くと、女の子が木刀を振りかざして襲い掛かって来た。上段からの振り下ろしを掃除機で受け止める。

 双方ともはじき返して一旦離れる。

 

「侵入者……? 俺、そんな扱い?」

「当然! 無断で入ったら誰でも侵入者なんだよ!」

 

 人指し指を俺にビシッと向けて言い放つ女の子。背は俺より小さく、髪は薄紫、パーカーとワンピースを合わせたような服装をしていた。

 

「私はネプテューヌ。プラネテューヌの女神! 侵入者は私がねっぷねぷにしてやんよ!」

「え、ええ~!」

 

 俺は状況が分からないまま戦う事になったのだった。




 いかかでしたか? 三種類のベストマッチ、ネプテューヌ登場、今回の話だけでも書きたい部分の半分は書けました。なので、あともう半分を書くのみです。
 次回からはビルド恒例のあれが始まります。ご期待ください。


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一話 ビルド登場(後編)

「てぇんさい物理学者の桐生戦兎は謎の渦に吸い込まれ、気づいたらどこか知らない世界に来ていた!」
「そんでもって、私が侵入者をズバーッ、ズバーッと斬り倒してこのお話はおしまい!
 以上、超次元ゲイムネプテューヌ――」
「ちょっとちょっと、勝手な話しないで! 一応の主役は俺なんだから。というわけで、後編スタート!」

                     掛け合い漫才byネプテューヌ&桐生戦兎


「全力全開! って言いたいけどー、まずは様子見っ!」

 

 ネプテューヌと名乗る、女神……女神?

 

「ちょっと待ってくれ」

「なあに?」

「女神ってこう、荘厳な感じとか、近寄りがたい雰囲気出してるんじゃないのか? フレンドリーな女神だなって思ったから、つい……」

 

 戦闘態勢をやめて俺の話に乗ってくれるって事は……案外いいやつなのか?

 

「あーっ! 私の事良い奴だなーとか話聞いてくれそうだなーって思ってるでしょ!」

「はっ?」

 

 声が裏返ってしまうほど驚いた。え、メタ発言? 本編に関わるような事言ったっけ……?

 

「地の文に書いてあるから、それくらい分かるよー。でも手は抜かないよ。こういう時は戦わないと和解できないもんね!」

 

 そう言ったネプテューヌは木刀を日本刀に変えて向かって来た。

 掃除機のホース部分と刀がぶつかり、ガキィン! という音を立てて火花が散る。

 

「なんだよそれ……訳わかんない事言いやがって」

 

『ラビット! タンク! ベストマッチ!』

 

 ネプテューヌを寄せたままレバーを回していく。当の本人は「え、なになにっ!」と驚いているが構わず続ける。

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イエーイ!』

 

 ハーフボディ同士が合わさった瞬間、ネプテューヌは内側から飛ばされた。ようやく基本フォーム! キターーーーーー!! 

 ビルドクラッシャーを取り出し、俺も戦闘態勢に入る。互いのにらみ合いが続き、頬に冷たい風が当たった瞬間――

 距離を詰めていく。距離はそこまでない。でも

 

「俺の方が上手だな!」

 

 左足に力を込めて飛び上がる。

 

「ふふん、主人公をなめてもらっちゃ困るよ」

 

 言葉の意図が分からず、取り敢えずネプテューヌに向けてビルドクラッシャーを振り下ろす。勢いを付けた一撃は確かにネプテューヌに当たり、地面を抉る。

 土埃が晴れて目の前にいたのは、両手で大きなスプーンを持っていたネプテューヌだった。

 

「上から来るよ、気を付けて!」

 

 上? その通りに上を見上げた俺は――

 巨大な何かに押しつぶされた。

 

 

「プリン、プリン!」

 

 喜んでいるようだ。そして数十秒経った頃

 

「おーい、大丈夫ー?」

 

 口元をプリンで汚したネプテューヌが顔を見せたのだった。

 

 

 

「いやーまさか侵入者の正体が男の人なんてねー。私も驚いたよー」

 

 彼女の自室に案内された俺は、プリンの衝撃で騒ぎを聞きつけたコンパちゃんの治療を受けていた。

 

「ねぷねぷはすごいですよ。いつもこんな感じだけど、やる時はやるんです」

「そうなのか? 俺にとっちゃふざけてるようにしか思えないけど」

「えー! ……みんなそう言うし、合ってるのかな……?」

 

 本気で言ったわけじゃないのに……。しょんぼりするネプテューヌに対してコンパちゃんはこう言った。

 

「でも、ねぷねぷはいつも通りが一番いいです」

「やっぱそうだよね! ぐーたらこそ至高!」

「はい、終わりました。どこか痛むとこはないですか?」

 

 治療のエキスパートなだけはある。的確な処置のおかげで傷の痛みが引いた気がした。

 

「ありがとう。助かったよ」

「いえいえ、どういたしましてです」

 

 お礼を言うと、コンコンとドアがノックする音が聞こえた。

 

「ネプテューヌさん、ちょっといいですか? 侵入者についてお話が……」

「あ、いーすん。入っていいよー」

 

 いーすん? 誰かのあだ名か? ドアが開くと、本に座っている小人の女の子と、短パンを履いていて腰回りにに九つの携帯電話を付けたロングコートを着ている女の子が入って来た。

 

「あ、あんた侵入者……!」

「もう大丈夫だよあいちゃん。この人確かに侵入者だけど私が退治したんだ」

 

 侵入者……。あ、まだ名乗ってすらなかった。

 

「失礼だな。俺は桐生戦兎、仮面ライダービルドだ」

「仮面……」

「ライダー……ですか?」

「ああ」

 

 ロングコートを着た女の子がネプテューヌの方を見た。

 

「……ねぷ子。あんたの言ってる侵入者って」

「この人、です……ライダーですよ!」

「え……ええええええええええ!!」

 

 今気づいたのか……! まあ、それもそうか。ついさっき言ったもんな。

 

「まさか……ネプテューヌさん!」

「ねぷぅ!?」

「迷い込んできた戦兎さんにケガをさせたのですか!」

「え、あ、ち、違うよ、誤解だって! ダラダラしてる時に警報が鳴ったから慌てて外に出たら鉢合わせただけだよっ!」

「結局仕事をサボっていたのですね! さあ、今日こそは必ずやってください!」

 

 そう言うと、いーすんと呼ばれている人がネプテューヌの背中をグイグイ押して部屋から無理矢理出させた。

 

「ふぅ……これでしばらくはゆっくりできますね」

 部屋の外からは「おーい、開けてよー。私も話聞きたいよー」と言うネプテューヌの声が聞こえたが、観念したのか姿は見えなくなった。

 

「取り敢えず自己紹介をしましょう。私はこの国プラネテューヌの教祖、イストワールです。よろしくお願いします」

「私はアイエフ。ゲイムギョウ界に咲く一陣の風よ。よろしく」

「コンパです。よろしくです」

 

 三人の紹介が終わったところで、改めて名乗る。

 

「さっきも言ったが、俺は桐生戦兎。仮面ライダービルドだ。よろしくな」

 

 よろしくお願いしますと頭を下げる三人に習い、こちらも頭を下げた。

 

「戦兎さん、あなたはこの世界へ迷い込んできたということでよろしいですか?」

「ああ。丁度いい建物があるから下りたんだけど、こんなことになるなんてな」

「わかりました。でも、プラネタワーの警備ロボットを破壊したので、直すには居てもらわないと困りますね」

「俺に協力してくれって事か?」

「はい、その通りです」

 

 こうなるだろうと予想はしていた。でも、次に飛び出した言葉は俺の予想の斜め上を行っていた。

 

「今日からここに住んでもらいます。ネプテューヌさんのお手伝い兼監視役として」

「…………え?」

 

 その後、イストワールはネプテューヌに同じことを説明し、多少むくれていたネプテューヌも今日だけは遊ぶことを許可され上機嫌になったのか、二つ返事で承諾した。




 後編いかがでしたか? 一人称と三人称が混ざっているかなと思ってしまいますが、恐らくないだろうと信じています。
 ようやく揃ったネプテューヌ組。最重要人物がいませんが、それはまた次回のお話で。
 
 狂気の悲愴が彼らを襲う。


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二話 魔剣の侵略者(前編)

「前回の紹介だよ!」
「えーっと、なになに……天才物理学者の……ってこれ違うじゃない!」
「あいちゃんのノリツッコミいただきました!」
「ノリツッコミじゃないわよ!」
「時間がないですよー!」
「はーい。 ……じゃあおしまいっ!」
「雑過ぎませんか!?」

            あらすじbyネプテューヌ&アイエフ&コンパ&イストワール


「この資料はここでいいかー?」

「うん、いいよー。ありがとう戦兎く~ん。仕事がはかどるよー」

 

 俺がプラネタワーに住んでから一週間が経った。一通り国の説明を聞いた後、目を離さないようにとイストワールに釘を刺された俺は、ネプテューヌの見張りをしていた。

 けれど相変わらずネプテューヌは仕事をサボっていた。やんちゃな子供の様で俺では止められない。だから自由にさせたのだが、そのせいで二人そろってイストワールにこっぴどく叱られた。

 

「一応女神だろ。本来はふんぞり返るのが仕事みたいだと思ってたから正直驚いた」

「うーん……みんなそう言うんだよね~。でもさ、ベールだって私と同じことしてるから違いは無いと思うよ」

 

 資料の山から顔を出しながらネプテューヌは俺にそう言った。

 

「ベールって誰だよ……」

「えっとね、私の友達で、女神で、ゲーマーなんだよね~」

「なるほど、その子も女神なのか……でも、お前よりかはちゃんとしてると思うぞ」

「はっ! そんなぁ……しょぼ~ん」

 

 俺の言葉で傷ついたのか、ネプテューヌは落ち込んでしまう。

 

「いや、そういうことじゃなくてな。お前にもちゃんとした友達がいたんだなって思ってさ」

「どういう意味かな!?」

「そのままの意味だけど?」

「なにそれーー! ひどーい!」

 

 ネプテューヌが頬を膨らませ怒っていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。

 

「はーい」

 

 ネプテューヌがドアを開けると、慌てた様子のイストワールが入って来た。

 

「ネプテューヌさん、戦兎さん! 今すぐプラネタワーから脱出してください!」

「いーすん、どういうこと?」

 

 怪訝そうな顔をするネプテューヌに対して、イストワールは答えた。

 

「プラネタワーが襲撃されています」

 

 

「なあ、ネプテューヌ」

「ごめん、話はまた後でね。いーすん、被害の状況は?」

「幸い被害はありませんが、警備ロボットは全て破壊されてしまいました」

 

 プラネタワーから避難をしながら状況の整理をするネプテューヌ。せっかく俺が直した警備ロボットが全て壊された。

 

「最悪だ……」

 

 俺は侵入者を呪った。

 

「とにかく今は急いで逃げましょう」

 

 イストワールの言葉に従い、俺達がタワー正面入口まで来た時――

 

「見つけたぞ! プラネテューヌの女神!」

 

 リーダー格の男がネプテューヌに指を差してそう言った。男の背後からはマシンガンやら武器を持った奴らが俺達を行かせまいと出て来た。

 

「物騒だな。こんなことして何になるって言うんだよ?」

「女神は全て消す。それがネプギア様の願いなのだ!」

「ネプギアが……? どういうこと?」

 

 ネプギア……。聞いた事の無い名前に俺は戸惑った。

 

「ネプギアって、誰だ?」

「私の妹だよ。でも、今は後にしよう。いーすんは隠れてて」

「わかりました。ケガのないようにしてくださいね」

 

 その言葉と同時にイストワールは柱の陰に隠れ、ネプテューヌは日本刀を取り出した。続けて俺もビルドドライバーを装着する。

 ボトルをシャカシャカと振って、キャップを正面に回す。

 

『ラビット! タンク!』

 

 ボトルを装填する。

 

『ベストマッチ!』

 

 レバーを回す。

 

『Are you ready?』

 

 はぁ……と細く息を吐く。そして――

 

「変身!」

 

『鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イエーイ!』

 

 ラビットタンクフォームへ変身した。それと同時に、俺ははドリルクラッシャーをガンモードにして構える。

 一方、ネプテューヌは刀を構えながら言った。

 

「ねっぷねぷにするから」

 

 

『ハリネズミ!』

 

フルボトルスロットにハリネズミボトルを装填。チャージの後、トリガーを引く。

 

『ボルテックブレイク!』

 

 残党の何人かは攻撃をもろに受けて吹っ飛び、奥にいるリーダーへの道が開いた。脇目も振らずにネプテューヌが突っ込んでいく。

 

「やああああああああっ!!!! クリティカルエッジ!」

 

 リーダーがあまりの素早さに驚いていた。だが、そんなこと織り込み済みなネプテューヌは斬撃でリーダーを浮かし、落下に合わせすれ違いざまの斬撃を繰り出した。

 

「かはっ!」

 

 リーダーは地面に叩きつけられ動かなくなった。気絶したのだろう。それを見た他の奴らは俺達を恐れたのか武器を捨て始めた。

 

「どんなもんじゃい!」

 

 胸を張るネプテューヌ。俺は牽制だけで少し悲しい。でも、誰も殺さないのが一番だ。

 

「ここを襲って何がしたかったんだ?」

 

 俺は誰よりも早く武器を捨てた男に理由を尋ねる。

 

「そ、それは……ネプギア様の侵略の足掛かりとして――」

 

 

「ダメじゃないですか。こんなに遅く来たのに、まだ制圧出来ていないんですか」

 

 ひっ、と息を飲む男。ゆっくりと動く顔に合わせ、俺も顔を上に向けていく。

 

「ネプギア……? ネプギアなの……?」

「ええそうですよ、お姉ちゃん」

 

 ネプギアという少女はそう言って微笑んだ。だが、雰囲気が違う。この笑顔も嘘だろう。

 

「ネプギア」

「なんですか」

「本当に、ネプギアなの……?」

 

 ネプテューヌの質問には答えなかった。沈黙が続く時間を、俺は観察の時間とした。

 ネプギアは鎧を着ていた。色は紫だが、血が錆び付いたのか所々赤黒くなっていた。その上から黒いドレスを着ていた。それも所々破れていてボロボロになっている。そして、最も異質なのは手に握られている剣だ。

 禍々しいオーラを放っているそれは、まるで生きているかのように脈打っていた。

 

「それ、ゲハバーン……だよね?」

 

 ネプテューヌが声を震わせながら尋ねる。

 

「ええ、ゲハバーンです。ただ、これはもう犯罪神を倒すための剣ではなくなりました」

 

 黒に輝く剣――ゲハバーンの切っ先を俺達に向けて言った。

 

「これは、ゲイムギョウ界を滅ぼすための剣です」

 

 ネプテューヌが震えているのを見て、俺はネプギアに尋ねた。

 

「お前……誰だ」

 

 その問いに対してネプギアは――

 

「私はネプギア。プラネテューヌの……ネプテューヌの妹で、この世界を終わらせるためにやって来た。 ……そう言えばいいでしょうか」




 いかかでしたか? 

 プラネテューヌおよびネプテューヌに訪れるのは最大の危機。自分の愛している妹に刃を向けられたネプテューヌはどうなるのか。

 もしもmk2支配エンドのネプギアとネプテューヌが出会うとどうなるかと思い、ネプテューヌ&戦兎編のボスをネプギアとして書きました。

 補足ですが、ネプテューヌ側の時代はG.C. 2022年。シスターズのトゥルーエンディング後。
 初代からシスターズまで、外伝作品を含めた全ての記憶を持っているという設定にしています。基本的に作品間に繋がりがないネプテューヌシリーズですが、時代は同じ方がいいと思ったため、このような設定としました。

 次回からはバトルが続きます。ご期待ください。


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二話 魔剣の侵略者(中編)

「天才物理学者の桐生戦兎はプラネテューヌの住人となり、ネプテューヌの監視役となっている。そんな時プラネタワー襲撃が起こり、俺達は何とか対処したものの、ネプギアと呼ばれる少女が俺達の前に姿を見せたのだった」

                              まじめにby桐生戦兎


沈黙が続く。ネプテューヌの震えが、こっちまで伝わる。そんな重苦しい空気を破ったのは、柱の陰から出て来たイストワールだった。

 

「ネプギアさん……でよろしいですか?」

「何ですか、いーすんさん」

「あなたはなぜ……このようなことを……」

「決まってますよ、そんなの。ただ一人の女神になって、国を治めた。けど、私はお姉ちゃんのようになれなかった。女神殺しの女神、そんな悪評が広まった。だから、私は自分の居場所を作るために、ここを襲ったんです! 私を認めてくれる人達と暮らすために!」

「それが、あなたの望んだことなのですか!?」

 

 イストワールが声を張り上げた。

 

「えぇ、そうですよ。だってもう……お姉ちゃんもユニちゃんも、誰もいない。 ……なら、どんな手を使っても私は皆を取り戻す。だから――」

 

 ネプギアの手に握られたゲハバーンが光り輝く。

 

「私の邪魔をする人は全て排除するのみです」

 

 ネプギアの覚悟の声が、響いた。

 

 

「私はあれから他の次元にも手を出しました。神次元、零次元にも。だから、ゲハバーンの中にうずめさん達もいます」

「ネプギア……」

「大人しく殺されて、お姉ちゃん……!」

「くっ……!!」

 

 俺達は武器を構え直し、身構える。

 

「でも、その前に」

 

 ネプギアは倒れている男達に目をやった。

 

「使えない駒は、消した方がいいですね」

 

 そう言うと、ネプギアは左手に黒い靄のようなものを溜め始める。

 

「お、おやめ……やめてくださいネプギア様!」

 

 さっきまで話していた男が急にうろたえ始める。

 

「死んでください」

「うわあああっ――」

 

 黒い靄がばらまかれると男達は一瞬にして消え去り、後には俺達だけが残った。

 

「ネプギア……?」

 

 信じられないという様子のネプテューヌ。イストワールも目をパッチリ開いて事の顛末を見ていた。

 

「人を、消したのか」

 

 俺は少し強めの声でネプギアに問いかけた。

 

「ええ、そうですよ。殺しました」

 

その言葉を聞いた途端、ネプテューヌはぺたりと座り込んだ。

 

「…………ネプギア」

「なに、お姉ちゃん」

 

 数秒の沈黙の後、ネプテューヌは立ち上がった。ネプギアを見据える顔は涙を溜め、怒りの形相をしているのがはっきりわかった。

 

「ネプギア、わたしの話を聞いて」

「……いいよ。聞いてあげる」

 

 早くして欲しいという顔でネプギアは話を聞く体制を取った。

 

「わたし、知ってるよ。ネプギアは強い子だってこと。でも、こんなの……私が、皆が望んだことじゃないでしょ! 今のネプギアは間違ってる!!」

「…………」

「ネプギアはそんな悪いことしないから!」

 

 ネプテューヌの悲痛な思いを聞いたネプギアは少し目を逸らす。

 

「まだ、間に合うよ。だから、戻って来て……ネプギア」

 

 ネプテューヌはネプギアに少しずつ近づいていく。妹を思う姉の気持ち。それは、父さんとの関係に少し似ている気もした。

 

「…………うる、さい」

 

 ネプテューヌの目線の外でネプギアはゲハバーンを振り上げていた。

 

「うるさいって、言ってるの!!」

 

 ゲハバーンを振り下ろすネプギア。俺はネプテューヌを押し倒し、ドリルクラッシャーで受け止めた。

 

「俺は……お前に、会った事はない。でも、お前が苦しんでる姿は……見たく、ないんだよっ!!」

 

 ゲハバーンを振り払い、ネプギアと距離を取る。

 

「ネプギア、お前は必ず……俺達が救う!」

「救いなんて要らない! 私は、私を認めてくれたあの場所があればいい!!」

 

 再び斬りかかってくるネプギアの攻撃を避けながら叫ぶ。

 

「それじゃダメなんだ! 誰かに認められるんじゃなくて、自分で自分を認められないと……本当の幸せなんか掴めないんだぞ!!」

「黙れええええっ!!!!」

「ネプギアッ!!!!」

 

 そう叫んで前に飛び出したネプテューヌ。ネプギアの動きが一瞬鈍くなる。

 

「……今だっ!」

 

『ローズ!』

 

「ビルドアップ!」

 

 ラビットボトルを外し、ローズフルボトルを入れてトライアルフォームになる。

 花びらで視線を遮り、一気に近づく。

 

「ああっ!!」

 

 振り下ろされたゲハバーンをギリギリで避け、懐に入り込む。

 

「!?」

「これで……終わりだッ!!」

 

 ドライバーのレバーを回す。

 

『Ready Go!! ボルテックアタック!』

 

 左腕、タンクのパンチが決まり仰け反るネプギア。鎧の中心にヒビが入った。

 

 

「これで、諦めてくれるよな?」

 

 俺の活躍でネプギアに膝をつかせたけど、一番の立役者はネプテューヌになる。主役の座譲らなきゃダメかなぁ?

 

「……さすがですね。でも」

 

 ネプギアは即席の魔力弾でタワーの天井を破壊。そのまま上空へ飛んでいく。俺は落ちて来たタワーの塊を掃除機で引き寄せ、足場を作った。

 

「待て!」

 

 ネプテューヌと共に上り追いかける。

 

「なんなの、あれ……」

 

 目線の先にはネプギアが、上空には紫とピンクが混ざった色の魔力弾。それは、とんでもない大きさになっていた。

 

「マジかよ……最悪だ」

「でも、どうする気なの」

「プラネテューヌを滅ぼす気よ!」

 

 ネプテューヌ、イストワールとも違う声が聞こえた。振り返った戦兎達の前に現れたのは、アイエフとコンパだった。

 

「プラネテューヌを破壊? どういうことだ」

「そのままの意味よ。ネプギアはプラネテューヌを滅ぼす気なの」

「そんな……! なんとかならないんですか!?」

「無理ね。プラネテューヌのシェアはネプギアに吸収されてる。どうにか女神化出来ても、もつかどうか……」

「シェアを取り込んでるの!?」

「はい、アイエフさんの言う通りです」

 

 いつの間にか姿を消していたイストワールが現れた。

 

「いーすん! どこにいたの?」

「アイエフさんに連絡を取って、ネプギアさんについて調べていたんです。その途中でこのようなことが」

「でも、シェアを奪っているのは本当よ。今は動きが遅いけど、あともう少ししたら速度が上がってこの国が完全に無くなるわ」

 

 女神化……はよくわからないが、俺はネプギアを止めないと危険になると悟った。

 

「ネプテューヌ、女神化を維持できる時間は?」

「三分……五分なら大丈夫!」

「よし、いくぞ!」

「あいちゃんにコンパ、いーすんはそこで見てて。私がなんとかするよ」

「私達、だろ」

 

 俺もネプテューヌの隣に並ぶ。

 

『グレート! オールイエイ!』

『ジーニアス!』

 

ジーニアスフルボトルを起動し、ベルトにセット。レバーを回す。

 

『イエイ! イエイ! イエイ! イエイ!』

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『完全無欠のボトルヤロー! ビルドジーニアス! スゲーイ! モノスゲーイ!』

 

 ジーニアスフォームへとチェンジする。

 

「刮目せよっ!」

 

 ネプテューヌの体が光に包まれ――

 

「女神の力、見せてあげるわ!」

 

 女神化した。

 

「なんか……色々変わってんな」

「そうね……お互いに、ね」

 

 互いの変わりように驚きが隠せなかった。知っているのならともかく、互いにこの姿を見せたのは初めてだ。無理もない。アホの子からクールになったネプテューヌ、俺はボトルマン。文面だけではおかしいが、実際そうなんだ。

 

「まあ……やるぞ!」

「ええ、主人公の本気を見せるわ!」

 

 俺達は目標をネプギアに定めて飛び立った。




 中編、終わりました。ようやく登場したネプギアですが、既に闇落ち状態。救う手立てはあるのでしょうか。
 次回はいよいよ主役コンビの完結編。最終決戦とその後の二話構成となります。だから実質三話行くかも……?
 ジーニアスも大活躍しますよ。それでは。


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二話 魔剣の侵略者(後編)

「はいはーい! ご存じ主人公のネプテューヌでーす! 今回は、私と戦兎くんがネプギアを倒すお話。絶対に助けるから、待ってて」

                        たまにはまじめにbyネプテューヌ


「やめなさいネプギア!」

 

 ネプテューヌのその一声に、ネプギアが振り向く。

 

「こんなことして何になる。プラネテューヌを滅ぼしたら、お前の居場所は無くなるんだぞ!」

 

 すかさず言葉を畳みかける。こんな程度で心変わりするはずないと思っているが、まずは対話を優先させる。

 

「もう、放っておいてください。お姉ちゃんも、そこの人も」

「ネプギア……やるしか、ないの?」

「待ってくれ」

 

 飛び出そうとしたネプテューヌを静止して、ネプギアに問いかけた。

 

「さっきからどうもおかしいと思ってたんだけどな……もしかして、平行世界のネプギア、だよな?」

「平行、世界……?」

 

 ネプテューヌは知っているはずだ、と言葉を付け加える。

 

「ゲハバーンを使って、友達を殺して、世界をまとめて、それでも一人は辛かったんだろ。 ……だから他の次元に足を運んで、他の女神とも友達になろうとした。でも出来なくて、だから……だからここに来たんだろ!?」

 

 その言葉はネプギアにとって図星のようだ。黙り込むネプギアに今度はネプテューヌが言葉をかけた。

 

「責任を押し付けて悪いと思ってるわ。でも、今のあなたはネプギアの名前を語るだけの悪になっているのよ! ……私は、あなたを止める義務がある。だから、逃げたりしない」

 

 剣の切っ先をネプギアに向け、ネプテューヌは言い放つ。

 

「ここからは、私達の物語よ!」

 

 

 交差しながらネプギアに向かう。ネプギアは魔力弾を放って来た。それを華麗にかわすネプテューヌ。タカの羽根を広げ、ダイヤモンドで防壁を作り攻撃を防ぎながら俺は接近する。

 戦い方は違えど共に戦闘のエキスパート。むやみやたらの攻撃は意味をなさない。

 

「はあっ!」

 

 ネプテューヌの斬撃が空を切る。ネプテューヌに出来た隙を埋めるように、巨大な斬撃が襲う。コミックの煙とニンジャの分身でネプテューヌを何とか守り切った。

 

「大丈夫!?」

「ああ、これくらい……なんとも」

 

 崩れ落ちそうな体をネプテューヌが支える。サンタクロースとケーキでビッグケーキを作り上げると、それを食べて体力を回復させた。

 

「こざかしいですね……大人しくしていればいいものを……!」

 

 ネプギアは魔力弾の一部を切り取るとそれをゲハバーンに纏わせ、即席のビームソードを作り上げた。

 

「これでっ!」

 

 大地を揺るがすほどの一撃が俺達に襲い掛かる。

 

「ハード:ネプテューヌ!」

 

 ネプテューヌがそう言うと、中心に光が集まって――

 黒と紫を基調にした戦闘機となった。

 

「乗って、戦兎くん!」

「お、おう!」

 

 ジェット噴射でずれた一撃がアイエフ達の方へ飛んでいく。

 

「しまった!」

「間に合えっ……!」

 

 俺は苦肉の策でテレビ、クマ、消しゴム、パンダの力を引き出す。テレビの中からクマとパンダと消しゴムが出て来て、エネルギーの刃を押さえつける。

 

「今だ、ネプテューヌっ!」

「ミサイル、発射!」

 

 多重ミサイルでエネルギーを消し飛ばしていく。何とか耐えきり、被害は出さなかった。

 

「よしっ」

「やったわね」

 

 ネプテューヌは戦闘機形態を解除し、ネプギアの下へ向かう。

 

「ネプギア、止めるわ……あなたを」

 

 日本刀の切っ先をネプギアに向けてネプテューヌは宣告した。

 

「あ、そうそう」

 

 ネプテューヌが突然俺の方を向いた。

 

「なんだよ」

「今までネプテューヌって言ってるように思えたけど、この姿は私が女神化したものだから。パープルハートって呼んでくれる?」

 

 え、名前の訂正……戦いの場でこんなこと言われるなんて思わなかった。

 

「あ、ああ」

 

 これからパープルハートだ。そうしよう、そう呼ぼう。

 

「少ししゃべり過ぎたみたいね。これで終わりに…………あれっ?」

「どうした、パープルハートさん」

「あ、もうネプテューヌでいいよ……」

 

 時間が来たのかと思い、ウォッチで時間を確認する。だが――

 

「まだ二分経っただけだぞ!」

 

 二分。五分は行けると豪語していたネプテューヌの女神化が解除される。シェア。答えを示すパーツは既に目の前に存在している……!

 

「ネプギアっ!!」

 

 あらかじめイストワールが避難させていた住人達は何処にいるのか、答えは一つ

 

「プラネタワーかっ!!」

 

 ネプギアの狙いはプラネタワー。それに気づいた俺はネプテューヌに指示を飛ばす。

 

「ネプテューヌ! ネプギアを――」

 

 ガキィィン! 

 金属がぶつかる音が響き、ネプテューヌが持っていた日本刀が折れた。ネプテューヌが見せた隙は大きく、ネプギアに蹴飛ばされ真っ逆さまに落ちて行った。

 

「くっ!」

 

 エネルギーが十分に溜まった。

 

「さようなら。プラネテューヌ」

 

 その言葉の直後、プラネタワーに向けて魔力弾が飛ばされる。大地を抉り、空を染め、重い空気を震わせながら迫る。

 

『ワンサイド! 逆サイド! オールサイド!』

『Ready Go!』

『ジーニアスフィニッシュ!』

 

 俺は脇目も振らずジーニアスフィニッシュを使う。この力に耐えられるか、勝負だ……! 巨大な魔力弾とキックが激突する。

 

「うおおおおおおおおおおっ!!!!」

 

 俺は全力を振り絞り――

 

 

「ぐっ、う……」

 

 どう、なったんだ? 側にいるのはイストワール達。そして

 ――対峙するは姉と妹。ネプテューヌと、ボロボロのネプギア。俺が立ち上がると、見える範囲全てが火に包まれていた。魔力弾の威力は相当なものだったのだろう。

 

「……」

 

 ネプテューヌは無言でゲハバーンを構える。体のあちこちから血が出ていて、今にも崩れ落ちそうだ。体にムチを打っているように見える。

 

「……」

 

 対するネプギアも同じ。一つ違いがあるとするなら、ゲハバーンの破片を持っていることだった。落ちた中で揉み合いになり、巻き込まれたが故にこうなったのか。

 まるで刹那の斬り合いが行われるのかと見間違うほどの緊張感だった。

 

「…………」

 

 あの時のように、冷たい風が頬に当たる。そして

 

 互いに駆けだした二人は――――




 まだまだ練習が必要な戦闘シーン。頑張ります。
 
 決戦の様子を描いた後編。勝つのは主役か、悪役か。どちらにせよ、結末はビターであることに変わりありません。これからどうハッピーに持っていくか……。

 超次元大戦ネプテューヌVS仮面ライダービルド 夢の合体スペシャル 次回完結。


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三話 想い駆ける流星

「ネプテューヌさんとネプギアさんとの戦いに決着がつきます。結末は、みなさんの目で」
                                byイストワール


 駆けだした二人の距離が徐々に近づいて――

 シャキン! と、剣が空を斬る音が聞こえた。

 先に膝をついたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――ネプギアだった。

 

「ネプギア、ネプギア!」

「……聞こえてるよ」

 

 倒れたネプギアの上半身を起こし、目線を合わせるネプテューヌ。

 

「ごめんね。お姉ちゃんなのに、わたし……わたし……!」

「気にしないで、いいよ。 ……本当は、憧れてたんだ」

「……?」

「かっこよくて、誰よりもみんなの事考えてて、それでいて……やる時はしっかりやるお姉ちゃんで、私は、そんなお姉ちゃんになりたかった」

 

 ネプギアの体が透けていく。

 

「ネプ――」

 

 ネプギアがネプテューヌの口に人差し指を当てる。

 

「……わたし、立派な女神になれたかな」

「なれたよ! ううん、なれるよ……! なれるから、ネプギアなら私よりも絶対にいい――う、くっ……!」

 

 ネプテューヌは傷が広がったのか、呻きながら倒れた。

 

「…………ねえ、お姉ちゃん」

 

 ネプギアが倒れたネプテューヌの側にそり沿い、話しかけた。

 

「前に見たんだ、この次元に来る前に……きれいな流星群。一人だったけど」

 

 皆、いなくなった。全てを失った少女の悲しみが、俺にはよくわかる。

 

「ネプギア、死んじゃやだ……一緒に、いようよ……!」

 

 自分よりもしっかり者で、だからこそ未来を託せた。ネプテューヌは話さなかったが、イストワールは話してくれた。自分を犠牲にして、妹と剣の中で共に戦う道を。

 

「お姉ちゃん…………大好き、だよ……………………」

 

 ネプギアの瞳が静かに閉じていく。ネプテューヌは必死に妹の名を叫んでいたが、それも虚しく

 ピンク色の粒子となり、火の粉と共に空へ舞い上がって行った。

 

「ネプギア…………」

 

 妹の名を呟くネプテューヌ。俺は側に行き、そっと頭を撫でる。顔を上げ、体を起こしたネプテューヌは

 

「もし、ネプギアじゃなくてわたしだったら……どうなってたんだろう」

 

 俺に問いかけた。

 

「ネプギアと同じ、って言えないな。正直俺にはわからない。でも」

 

 俺は一旦言葉を区切る。

 

「お前なら……正しい力に出来るんじゃないか?」

「正しい、力…………」

 

 他の面々も駆け寄り、ネプテューヌを囲んだ。

 

「よく頑張ったわね、ネプ子」

「治療してあげるですよ」

「あいちゃん、コンパ……」

 

 二人に肩を貸してもらい、ネプテューヌは立ち上がった。

 

「ネプテューヌさん。 ……今日はゆっくり休んでください。明日、ネプギアさんが帰ってきますから」

 

 イストワールが珍しく労いの言葉をかけた。

 

「う、うっ…………うわあああああああああああん!!!!」

 

 大きな声で、ネプテューヌが泣き始める。その様子を俺は黙って見ていた。一人の大人として、ヒーローとして、今は――

 

 

 

 

 

 翌日

 

「お姉ちゃんただいまー……って、どうしたのその傷!」

「あはは……いろいろあってさー……いたたた!」

「お姉ちゃん動いちゃダメならダメって言ってよ、もうー!」

 

 ネプテューヌの部屋からは、姉妹の楽しい声が聞こえて来た。いつもの日常が戻った。

 

「戦兎さん。この度はありがとうございました」

「いや、別にお礼なんていらない。俺は当たり前のことをしただけだ」

 

 一度、世界を救った事もある。仮面ライダーとして。だから、二度くらいは許してくれるだろう。

 

「そうだ。紹介したい人がいるんだ」

「誰なの?」

「戦兎くーん。おいでー!」

 

 俺の名前が呼ばれた。

 

「いってらっしゃい、戦兎さん」

「ああ」

 

 俺はネプテューヌの部屋の前に立つ。中から「はやく~」と言う急かす声が聞こえる。

 一呼吸し、俺は部屋のドアを開けた。

 

「初めまして、俺は――」

「桐生戦兎くん。またの名を、正義のヒーロー!」

 

 ネプテューヌと目が合う。 ……そういうことか

 

「「仮面ライダービルド!!」」

「以後、お見知りおきを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギョウカイ墓場。そこは、あらゆる魂が眠る場所。死んだ者が逝き着く場所。

 怨念、憎悪、憤怒。あらゆる感情が渦を巻き、一つの姿を形作る。それは奇怪な姿をしていた。ロボットとは似つかず、等身大の何かと言われてもそうではない。

 

「……………………」

 

 ギョウカイ墓場の地面を突き破って現れたそいつは――

 

「オオオオオオオオオオォッ!!!!」

 

 聞いたものを失神させるような唸り声を上げ、上空へ飛び立つ。空から大陸を眺めているそいつの目に映ったのは、工場地帯。

 

「フッハッハッハッハッ……」

 

 強者の匂いを感じ取ったのかそいつは侵略地を――いや、復讐の足掛かりを、ラステイションと定めたのだった。




 主人公ズの物語、完! これにて第一部が終了しました。大変だった。不定期投稿としながらも、見てくれる皆さんのおかげで自分のモチベーションが下がらずにここまでこれました。ありがとうございました。
 
 さて、お次は万丈&ノワール大活躍。ユニちゃんもいますよ。

 ゲームの怨念が、ラステイションを襲う。滅亡まであと――


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超プロテイン信仰クローズ 激神ブラックハート&シスター
一話 プロテインの貴公子


 筋肉バカ、プロテイン好きの万丈龍我は、桐生戦兎とはぐれてしまう。龍我が落ちた場所はラステイション。工業が盛んな国である。
 そんな龍我が立ち向かうのはゲイムギョウ界に復讐を誓う悪の存在。立ち上がれ、僕らの筋肉プロテイン!

「なんなのよこの手紙! バカバカしいにもほどがあるでしょ!」
「お、落ち着いてお姉ちゃん……」
「……覚悟しておいた方がいいかもしれないね」

                        はじまりbyノワール&ユニ&ケイ


「ん、ん…………」

 

 ああー、頭痛てぇ……。ゆっくりと目を開けた俺の視界に映ったのは、赤い空と煙だった。

 

「きゃあああああ!」

「た、助けてくれー!」

 

 耳に響いてくるのは悲鳴と泣き声。

 

「おかーさん! おとーさん! ……うわあああああああん!!」

 

 状況が上手く飲み込めない。でも、目の前で助けてって言ってるやつを見過ごすことは出来ねぇ!

 

「おい、大丈夫か……? おかーさんとおとーさんどこ行ったんだ?」

 

 少年は泣きじゃくりながら指を差した。俺は倉庫近くに二人の大人を見つけた。

 

「大丈夫か、行けるか……?」

 

 少年はこくりと頷いて、俺の側を離れて倉庫の方へ駆け出して行った。

 

「よし。ドライバー、ドライバー……」

 

 ない。腰にない。地面にもない。 ……落とした。

 

「マジかよ、ああ! どうすりゃいいんだよ……! ん?」

 

 慌てて胸ポケットを触った俺は、いつもの感覚があることに気づいた。

 

「あー、あったぞボトル!」

 

 ドラゴンフルボトル。 ……香澄、いつも側にいてくれてありがとな。

 

「っしゃあ、いくぞおっ!!」

 

 ボトルをシャカシャカ振りながら、俺は変な奴らの群れの中へ突撃した。

 

 

「うわあああっ」

「ここはもうダメだあああっ!!」

「私達、殺されるの……!」

 

 近づけば近づくほど、恐怖と絶望の声が聞こえる。取り敢えずそこらへんのでっかいやつにパンチした。

 

「おりゃあっ!!」

 

 ボトルの力も合わさり、でっかいやつは青い炎と一緒に少し吹っ飛んだ。

 

「なんだ?」

「女神様じゃない……」

 

 ざわめきと怪物の視線が一斉に俺に集まる。 ……こういうのは俺がやらかした時だけでいいんだけどな。

 

「グルルルルル……」

 

 怪物の唸り声が耳元で聞こえる。周りを見ると、俺は怪物に囲まれていた。

 

「上等じゃねえか。やってやるよ」

 

 今度は強くボトルを振りキャップを正面に回した。鉄パイプを左手に取り、俺は力強く宣言する。

 

「俺は万丈龍我。仮面ライダークローズだ!」

 

 

 襲い掛かって来る怪物。顔は鉄パイプでぶっ叩き、腹は思いっ切り殴る。そんなことを数十分続けているのに、怪物は逃げないし、倒れもしない。

 

「はぁ、はぁ……どうなってんだよ」

 

 俺の体に限界が訪れ、膝をついてしまった。

 

「ぐ、うっ…………」

「ギシャアアアアアアアア!!!!」

 

 一体が俺に牙をむいて襲い掛かる。俺は反射的に目をつぶったが――

 

「グギャアアアアアア!!」

 

 フェンスに吹き飛んでいた。ガシャーン! という大きな音が鳴り、怪物はぐったりして動かなくなった。

 

「……あー! どこ行ってたんだよ!」

 

 テレテッテテ―テレッテッテレとかいつ聞いてもわかんねぇ音を鳴らしながら出て来たのは俺のドラゴン。クローズドラゴン。

 ボトルはこれしかないが力になって欲しい。そう思ってボトルを投げ渡した。いつも変身の時に入れてる穴に刺さり、青い炎を纏って力を得た。

 

「……?」

 

 まだ胸ポケットに違和感があったので、出してみた。

 

「エボルトの、いや、俺の……!」」

 

 ドラゴン……エボルボトル、だっけな。こんな奴の忘れ形見なんか使いたくないが、しょうがねぇ。

 

「やるぞ!!」

 

 俺は雄たけびを上げながら、ドラゴンは青い炎を纏いながら、残った怪物の群れに再び突っ込んだ。

 

 

 数分後、怪物の群れは一匹たりとも動かなくなった。倒したんだ、俺達だけで。

 

「もう……大丈夫だ」

 

 俺を見ている人達に向けて安心させるように言った。

 

「……ありがとう、ございます!」

「やった、助かったんだ!」

 

 安心する声が聞こえてくる。俺も力が入らなくなって倒れてしまった。

 

「はあ……守ったぜ、戦兎」

 

 どこにいるか分からない相棒に声をかけ、俺は目を閉じた。

 

 

「…………」

 

 んーー……。なんだ、顔が向かってきて……。

 

「うわあああああああっ!」

「のわーっ!!!!」

 

 な、なんだ、ここどこだ! なんだ、女の子! は、は、え?

 

「落ち着くんだ」

 

 尻もちをついてる女の子の後ろから誰か出て来た。

 

「初めまして。僕は神宮寺ケイ。ラステイションの教祖だ」

「…………?」

「君には聞きたい事がたくさんあるが、まず、名前を教えて欲しい」

「おう」

 

 俺はスッと立ち上がり、新世界で考えたセリフをそのまま言う。

 

「俺はプロテインの貴公子、バサッ。万丈龍我だ!」




 いかがでしたか? 第二部、ノワール&龍我編がスタートしました。ラステイションは未曾有の危機に陥っています。そんな状況から始まりましたが、万丈とノワール達なら何とかしてくれるでしょう。

 この作品を投稿してから一週間経ったと思います。作者の頑張りと皆さんの支えで成り立っているので、これからもよろしくお願いします。


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二話 燃えよ教祖

「俺は万丈龍我。前回からは俺が主役の話になってるな! Vシネマ……ってやつ以来だな! 頑張るぜ!」
「……まるで幼稚だね」

                     じこしょうかいby万丈龍我&神宮寺ケイ


「……君は万丈龍我と言うんだね。なら龍我と呼ばせてもらう。いいかな?」

「別に。 ……名前で呼ばれるの、なんか新鮮だな」

 

 戦兎や美空に万丈呼ばわりされているから慣れたけど、龍我呼びはされないからな……。正直嬉しい。もっと呼んで欲しい。

 

「なあ、もう一回」

「は?」

「頼む、もう一回。あんまり龍我って呼ばれないから……もっと呼んでくれ!」

 

 顔を近づけて頼み込む。 ……いけるか……どうだ……!

 

「龍我。 ……これでいいかい?」

「おう! 満足だ!」

 

 いやーよかった。やっぱいい。俺のこと見てる感じがしてこっちがいい。もう戦兎なんかに万丈って呼ばせねぇぞ。

 

「ねぇ」

 

「……まず、君はどこから来たんだい?」

「俺は横浜の産婦人科で生まれたんだ。3203グラムの元気な赤ん坊だった」

 

「ちょっと」

 

「ヨコハマ……? 聞いたことないな。それで?」

「確か二ヶ月くらいで生まれたとか言ってたな……」

 

「……無視すんなあああああああッ!!!!」

 

「なんだ!」

「なんだじゃないわよ、無視ってどういう事よ!」

 

 黒髪ツインテールで青い服を着ている女の子が話しかけてきた。怒ってるよな、どう見ても。

 

「どうしたんだいノワール。今まで何を……」

「頭痛くなってきた。また後でいい?」

「構わない。こちらから話は聞いておくよ」

「お願い、ケイ。はあ……」

 

 女の子は奥の部屋に入って行った。それを見送ったケイが振り向いた。

 

「立ち話も辛いだろう。部屋で話を聞こう」

 

 

「まずはありがとう。モンスター退治の協力、感謝する」

 

 ケイはそう言って座ったまま頭を下げた。

 

「……んなことはいい。ここはどこなんだ?」

「そうだね……龍我、少し長くなるが、いいかい?」

 

 俺は頷いて、ケイの話を聞くことにした。

 

 

「へぇ……ラステーションって言うのか。それに変なモンスター。 ……俺の力を貸して欲しいのか」

「君は特別扱いとして迎え入れる。本来であれば資金繰りに協力して欲しいが、状況が状況だ。ノワールやユニにもそう伝えておく。時間がある時でいい、あいさつをしてやって欲しい」

 

 資金繰り……しきんぐり? なんじゃそりゃ?

 

「わかった」

 

 分からなかったが分かったと言った。冷や汗は出てないから大丈夫だ。

 

「そういえば」

 

 ケイがケースを取り出した。

 

「ここに君を運ぶときに一緒に落ちていたから入れておいた。小型の機械かな。売ればいいものになりそうだ」

 

 売るほどの物が入っているのか?

 

「後、よくわからないがベルトらしきものも入れてある。中は自分で確認してくれ」

 

 ケイがケースの蓋を開ける。

 

「ドラゴン! こんなとこにいたのか! あ、ドライバーもある!」

 

 クローズドラゴンとビルドドライバー。これでようやく変身できる! 

 

「よっしゃあ! 早くモンスター退治行くぞォ!」

「待つんだ」

 

 ケイが俺を止めた。

 

「あ、なんだよ?」

「君は生身でモンスターを倒したらしいね。その強さは目を見張るものがある。だが、今回の敵はそう上手くいく奴じゃない」

 

 ケイは立ち上がり、俺の前に立った。

 

「僕と勝負だ。勝ったら君の行動全てに口を挟まない」

「……何のつもりだ」

「負けたら僕の条件を飲んでもらう」

 

 条件……?

 

「タダ働きはもちろん、援助金は出さない。ボランティア扱いとしてここで五年……いや、十年働いてもらう。これでどうだ?」

 

 ……戦兎と同じくらい、いや、それ以上ひでぇ。でも――

 

「負けない理由が出来たぜ」

「そうと決まれば場所の準備だ。外に出よう」

 

 俺はケイの後を追うように、教会を出て行った。




 お久しぶりです。ようやく書けた……! ノワール、ユニの出番はまだお預けですが、しっかりと関わらせていきたいです。

 余談ですが、この作品を書くに当たり決めていることが一つあります。それは、教祖とキャラクターを少しでもいいから絡ませるという事です。いいキャラなのに登場作品が少ないのは悲しいものです。だったら作品を盛り上げる引き立て役として使おうと思った次第です。

 本日はここまで。さらば。


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三話 拳と思いを乗せて

「久しぶりだな!」
「今まで何をしていたんだい? まさか、サボっていたわけではないだろう?」
「…………大丈夫だ」
「本当かしら……?」

                     ひさしぶりby万丈龍我&ケイ&ノワール

※前回から一ヶ月以上更新がストップしていましたが、身の周りの事が落ち着いてきたので再開いたします。どうぞよろしくお願いいたします。


 バーチャフォレスト。そこなら邪魔は入らないらしいのだが、俺にはわからない。

 

 当然だ。俺は地図とかわかんないからな。

 

「さて」

 

 ケイが俺に振り向いて確認するように言う。

 

「もう一度言うが、僕に勝ったら、だ。それと、変身はしてもいいが、必殺技は使わないで欲しい。一応大切な場所だからね」

 

「おう」

 

「じゃあ、始めよう」

 

 ケイが剣を構える。

 

 続いて俺もドライバーを巻き、ボトルを入れたドラゴンをドライバーにセットする。

 

『クローズドラゴン!』

 

 レバーを回す。

 

『Are you ready?』

 

「変身ッ!」

 

『Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! Yeah!』

 

 この感覚……懐かしいな。

 

「いくぞっ!」

 

「来い!」

 

 こっちに向かって来たケイ。鋭い突きを避け、ビートクローザーで応戦する。

 

『ビートクローザー!』

 

「それは……?」

 

「俺の、剣だ!」

 

 一旦弾いて距離を取る。俺的には拳の方がやりやすいんだけどな……! 

 

 愚痴を言った所でケイは手を緩めてくれそうにない。やるしかねぇか……!

 

「ふっ!」

 

 再び駆け出したケイ。何する気だ?

 

「君はちゃんと周りが見えているかい?」

 

「……?」

 

 一瞬の思考。 ……!

 

「あっ、クソっ!」

 

 やられた、素手になっちまった!

 

「ほらね」

 

「ひでぇな。でもまあ、やりやすくなったぜ」

 

 手を握ったり開いたり。やれる。

 

「今の俺は……負ける気がしねぇ!」

 

「その、意気だ!」

 

 今度は俺をどうするつもりだ……!

 

 剣を真横にして斬りかかるケイ。俺は剣を弾こうと考えたが、甘くなかった。

 

 剣を縦に変えて振り下ろしてきた。

 

「!」

 

 慌てて受け止める。危なかったぜ……!

 

「……」

 

「……殴れば痛い目を見るかもね」

 

「あ?」

 

「こう見えても僕は女だ」

 

「そうだったのか、よっ!」

 

 足で払おうとしても無駄。ケイは一瞬で俺の動きを読み、足を絡ませてきた。

 

「ぐっ」

 

「これでお互い動けないね。さあ、どうする?」

 

 ああ、わっかんねぇ……。戦兎ならいい考えあんのによ……!

 

 ん? そういえば……。

 

「(お前、腕の白い部分使えるぞ。何かあったらそこ使え)」

 

「おらっ!」

 

 戦兎が言ったことを思い出した俺は、腕の白い部分を使って無理矢理脱出した。

 

「っ、やるね龍我」

 

「たりめぇだ。どれだけ戦ってきたと思ってる」

 

「なら、もういいかな」

 

 そう言ってケイは剣をしまった。

 

「なんだよ。ここからって思ってたのに」

 

 俺も変身を解く。

 

「正直荒事には慣れていなくてね。疲れた」

 

「あー……それならしょうがないか」

 

 近くの岩に座り込む。ケイも同じように座った。

 

「なんか、悪い」

 

「どうして謝るんだい」

 

「いや。迷惑だったから、俺の事追い返そうとしてるのかって」

 

 ケイは一瞬悩んだが、すぐに答えを言ってくれた。

 

「君はラステイションの住人扱いだ。今の所追い返す気はない。ただ」

 

「ただ?」

 

「この混乱が終わってもラステイションにいたいのなら、わかっているね?」

 

 やべぇ。そういうことか。

 

「…………考えとく」

 

「戻ろう。ノワールも心配しているはずだ」

 

「おう」

 

 ケイってほんといいやつだな。今の俺にそんな気の利いた言葉は言えなかった。

 

 だから教会に戻るまでの間タイミングを計っていたが、何も言えずに教会に帰って来てしまった。

 

「ノワール、進展は?」

 

「特に…………っ! 伏せて!」

 

 突如響く轟音。崩れた屋根の隙間から見えたのは、

 

「…………」

 

 ロボットのような怪物だった。




 一ヶ月以上間が空いてしまい、申し訳ありません。書く時間はあったのですが、少しドタバタしてしまい、結構な期間引き延ばしてしまいました。

 今日から少しづつ更新を再開しますので、よろしくお願いいたします。アンケート結果も反映します。それでは。


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四話 襲撃

「ネプテューヌ」

「ん?」

「相手の持ち物に何かあると、それはそいつの危険信号だ。って、知ってたか?」

「あ~。お初かも~」

「これ、万丈のやつなんだよなぁ……」

                         ききかんbyネプテューヌ&戦兎


「おい、大丈夫か!」

 

 何とか瓦礫の直撃を避けられたものの、動く範囲が大きく削られた。

 

「ええ。ケイは!」

 

「ここだ!」

 

 良かった、ケイも無事か……!

 

「僕は安全な場所を探して、避難民を誘導する! ここは頼んだ!」

 

「ええ!」

 

 ノワールが力強く頷くと同時にケイが駆け出した。

 

「あなた、バンジョー……だっけ?」

 

「プロテインの貴公子」

 

「そのくだりはいいから」

 

 軽い言い合いの後、ノワールが上空にたたずむ怪物に目をやる。

 

「あいつがここを襲ったの。一方的な蹂躙。被害は甚大だけど、幸い皆軽傷で済んでる」

 

「じゃあ、あいつが」

 

「今回のラスボス、ってことかしらね」

 

 はっきりと姿が見えたわけじゃない。ただ、こいつの威圧感――

 

「エボルトに似てやがる……!」

 

「エボルト?」

 

「わりぃ。わかんねぇ話するとこだった」

 

 目的はわからない。俺達に攻撃を仕掛けないのを見ると、こちらの準備を待っているようにも見える。

 

「でも、こいつのせいで怪物がうじゃうじゃ出て来るんだろ?」

 

「そうよ」

 

「だったら」

 

 さっきぶりでも……!

 

「また、力を貸してくれ!」

 

『ウェイクアップ!』

 

『クローズドラゴン!』

 

 レバーを回す。

 

『Are you ready?』

 

「変身ッ!」

 

『Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! Yeah!』

 

「俺は、クローズ。仮面ライダークローズだぁっ!!」

 

 

 

 プラネテューヌ プラネタワーにて

 

「ネプテューヌさん!」

 

「あれー、ユニちゃん。どうしたのー?」

 

「大変なんです! ラステイションが襲われて……!」

 

「ちょっと待ってて、いーすんに確認取ってくる!」

 

 ネプテューヌは急いで部屋を出ていく。

 

「あ……」

 

「え、っと……」

 

 やっべぇ。あー、どうしよ。

 

「初めまして、だな。俺は桐生戦兎。仮面ライダービルドだ。よろしく」

 

「ラステイションの女神候補生ユニです。よろしくお願いします」

 

 互いに挨拶を終えると同時に、ネプテューヌがネプギアも連れて戻ってきた。ネプギアが真っ先に報告する。

 

「こっちからは何もわからないみたい。薄いバリアみたいなので、情報も、被害の様子も何事もないように見せかけてる」

 

「それにね、女神の侵入も防ぐ機能も付いてるんだって」

 

 二人の言うことは間違いない、と仮定するなら

 

「対処できるのは、ラステイションの女神だけか……」

 

 俺の言葉に二人は頷いた。俺が作戦を決めかねていると、イストワールが口を開いた。

 

「ノワールさんとユニさん以外に対処できる人が一人います」

 

「誰だ?」

 

「確か……バンジョウ リュウガさんと」

 

 万丈……生きてたか!

 

「決まった」

 

 即席の作戦だが、取り敢えず話す事にする。まずは……

 

「敵が来る前、ユニちゃんはどこにいた?」

 

「ラステイションに……」

 

「ユニちゃんはラステイションの女神候補生だから、一応女神だ。出て来れたなら、入る事もできる」

 

 ネプギアが「あ……!」と気づいたような声を上げる。

 

「バリアが張られる前にラステイションに居たなら出入りは勝手に、ってわけだ」

 

 そこらへんの紙とペンを取って説明に戻る。

 

「他の女神が気づかないのも無理ないな。よくよく目を凝らさないと見えないもんな」

 

 言い終わると、さっきの紙にペンで適当な説明を書く。わかりやすいように図形入れた方がいいか、なんて考えつつも、あっという間に書き終えた。

 

「恐らく、敵は実験を兼ねて行った。この戦いが終われば強くするつもりでいただろうけど、ボロが出たな。女神には効果が無かった」

 

「じゃあ、私達も……」

 

「無理だ」

 

 ネプテューヌが「なんでー!?」と驚いた顔で理由を聞いてきた。

 

「ラステイションが襲撃された、なんて言っても他の女神は信じないだろ? 実際、イストワールも今知ったくらいだから……あと、俺達がバリアに入れるとは限らないからな」

 

「アタシも最初の内は戦ってたんだけど、一番大きなのが倒れたら一目散に逃げて行ったの」

 

 様子見をし終わったらやられたか……。

 

「これを踏まえてユニちゃんに頼みたいんだ」

 

 メモを紙袋に入れて渡す。

 

「これは?」

 

「万丈のアイテム一式だ。ルウィーから送られてきたんだよな?」

 

「はい、間違いありません」

 

「なら、万丈に渡して欲しい」

 

 イストワールの確認もバッチリ。

 

「わかりました。行ってきます!」

 

 ユニちゃんはすぐに飛んで行った。

 

「気を付けてー!」

 

 ネプギアの言葉も受け取り、ユニちゃんは更にスピードを速めて行った。

 

「大丈夫かな……?」

 

「大丈夫だろ。さーて、ネプテューヌは仕事だぞー」

 

「ええええっ!!」

 

 仕事をサボっていたのをチクられて大慌てするネプテューヌ。ネプギアとイストワールに言い訳をする姿を横目で見た後、ラステイションに目を向ける。

 

「頼むぞ、万丈」




 次回はフォームチェンジ祭りです。お楽しみください。


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五話 迸る激情(前編)

「まずはあいつに追いつく方法だな」

 

「…………そこから?」

 

「あ? 当然だろ! どうやって行くんだよ! 俺飛べねぇんだぞ!」

 

「飛べない!? ……はぁ。しょうがないわね」

 

 ノワールが瓦礫を剣で斬って適当な大きさにしていく。

 

「これで登れるでしょ」

 

「すっげえー! やるなあ!!」

 

「ちょっと、はしゃがないの!」

 

 無理だ無理だ。だってすげーもん!

 

「…………」

 

 怪物の目が赤く輝いた。

 

「あ?」

 

 ビュュュュュン! って音がして、教会が更に崩れた。

 

「のわああああああっ!!」

 

「くそっ、足場無くなっちまった!」

 

 せっかくノワールが作ってくれた足場が崩れた。怪物も出てきやがった。

 

「グラアアアアアア!」

 

「くっ……」

 

「そこよっ!」

 

 瞬間、俺の足元で爆発が起こった。

 

「うわあっ!」

 

 的確に怪物を打ち倒していく。ノワール、じゃないのか?

 

「遅いわよ、ユニ!」

 

「遅れてごめん、お姉ちゃん!」

 

 お姉ちゃん……? ???

 

「あー、妹?」

 

「紹介するわ。私の妹のユニ」

 

「よろしくお願いします」

 

「ああ、よろしく」

 

 なんかぶら下げてんな……。おもちゃか?

 

「ユニ。その袋、なんだ?」

 

「これ?」

 

 紙袋をあさってメモを取り出す。その後、袋を下にして中身をばらまいた。

 

「おい! ……って、これ」

 

 スクラッシュドライバーとドラゴンゼリー。マグマナックルとボトルだ。

 

「無くしたって思ってたのに、あったのか」

 

「セントさんが届けろって言ってたから」

 

「戦兎……。あいつ」

 

 話してるうちに怪物が集まって来た。

 

「これ以上、ラステイションを壊させないわ。行くわよ、バンジョー、ユニ!」

 

「おう!」

 

「うん!」

 

 ノワールが前に立ち、俺とユニは後ろに立つ。見下ろす怪物に向けて、俺達を囲む怪物に向けて、奮い立たせるように言い放つ。

 

「今の俺達は、負ける気がしねぇ!」

 

 真っ先に俺が駆け出す。犬みたいな奴とかをビートクローザーで叩いたり、斬ったりしていく。ドライバーは床に散らばったままだった。

 

「おらあっ!」

 

 気にしてられねぇ。ビートクローザーを投げ捨て、マグマナックルにボトルを入れる。

 

『ボトルバーン!』

 

 襲い掛かって来た中くらいの怪物二体を殴る。ノワールとユニを掠めて壁にヒビを入れた。

 

「グォォォ…………」

 

「危ないじゃない! って言うか、私の教会なのよここ!」

 

「うるせぇ! ごちゃごちゃ言ってるとやられるから仕方ねぇんだよ!」

 

「じゃあケイが言ったこと守りなさいよ! たくさん働いてもらうんだから!」

 

 ノワールと言い合いになっても俺達は攻撃の手を緩めない。どんどん増える怪物にも負けない俺達の圧と一発一発が重い拳や剣、銃弾が群れを少なくしていく。

 

「ねぇ、お姉ちゃん! このままじゃ!」

 

「わかってる! ここは変身よ!」

 

「うん!」

 

 変身……何か変わるのか。疲れた俺はスクラッシュドライバーとゼリーに持ち替えた。

 

「なら俺も変わるぜ!」

 

 ビルドドライバーを外して、スクラッシュドライバーを腰に巻く。そしてゼリーを入れる。

 

『ドラゴンゼリー!』

 

「変身!」

 

 レンチを下す。

 

『潰れる! 流れる! 溢れ出る!』

 

『ドラゴンインクローズチャージ!』

 

『ブラァ!』

 

 変身完了。二人はどうだ……?

 

「本気を見せてあげるわ!」

 

 おう。 ……何か変わってるのはわかった。

 

「なによ、その姿」

 

「なにって、俺も変わったんだ」

 

「その姿は?」

 

 ノワールとユニの質問に答えるように名前を名乗る。

 

「仮面ライダークローズチャージ。これが今の俺だ」

 

「ふーん……いいじゃない」

 

「ええ、仮面ライダー。噂に聞いていたけど……すごい」

 

 ノワールもユニも納得してくれた。

 

「まだやれるよな?」

 

「当然!」

 

「第二ラウンドよ!」

 

『ツインブレイカー!』

 

 俺もツインブレイカーを装備して、うじゃうじゃいる怪物どもに目を向けた。

 

「今のヒーローは……ノワールと、ユニと、俺だ!」




「せっかく俺が書いたメモ書き見ないのかコノヤロー」

「…………? 次回な」

                        おこぼれかいしゅうby戦兎&龍我


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