ようこそスタンド使いのいる教室へ (球磨川善吉)
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物語の始まり

処女作です。
拙いところ、間違いがたくさんあると思うので、温かい目で見てもらえると幸いです。
是非、アドバイスをくださいm(_ _)m
それと、高専生なので、あまり更新できないと思います……
それでは、本編へ!


 

 

 

 

 

 

「こ…こ……は?」

 

 

突然だが考えてみてほしい。

目を開けると、真っ白な空間にいたなら皆はどうする?

辺りを注意深く見回す?それとも、大声で助けを呼ぶ?

 

「誰かー! いませんかーー?」

 

 

じゃあ、辺りを見回しても、真っ白な空間がずっと続いている場合や声を出しても誰も返事をしない場合はどうすればいい?

 

 

人間って、突拍子のないことに遭遇しても、意外と冷静なもんなんだな。

まあ、驚きのあまり、現実を受け止められないだけかもしれないが……

何故か、さっきから、体がフワフワしてて軽いな……

先が見えないくらい広い真っ白い空間… 体の軽さ…

もしかして、夢の中なのか…?

 

うーん……とりあえず、進んでみるか……

 

『ちょっと待って!』

 

いきなり、後ろから、可愛らしい女性の声が聞こえてきた。

驚きながらも、振り返ってみると…

そこには緑色の髪の女性が立っていた

身長は…160cmくらいだろうか…

俺よりは低いな…

 

「はい?何ですか?」

 

「私は、女神ユリシロと申します。

 貴方様には、異世界転生をしてもらいたく、この場にきてもらいました」

 

「異世界転生?

 なんで俺なんですか?」

 

 

アニメで見てて、

(俺もしたいなあ…)

なんて思ってたけど、本当にあるとは…

内心、超うれしいが…

こういう異世界転生物には、大抵、主人公が事故で死んでたりするからな……

俺はここに来る前の直前の記憶を全く覚えていない。

喜ぶのはその疑問を解決してからだ。

 

 

「実は、不幸にも貴方様は、死んでしまったのです」

 

「死因は、崩壊したビルの瓦礫の下に埋もれたことによる圧死です…」

 

マジか…

この予想は当たってほしくなかったんだけどな…

それにしても、記憶がないのは幸いだな…

ビルの瓦礫に埋もれて圧死とか想像するだけでも痛すぎる。

前世でやり残したこと…

高校入学したばっかだったんだけどなあ…

受験勉強の間、貯め込んでたアニメを消化しようとおもったのに。

人生もこれからっていうところだったのに…

 

「でも、僕以外にもビルの瓦礫の圧死で死んだり、

 ほかの原因で死んでしまう人もいますよね?何で僕なんですか?」

 

 

「それは、異世界転生は限られた人しかできないからです。

 人には、それぞれ魂の強度があり、人にはそれが知覚できません。私は

 現世の魂を死後の世界…いわゆる冥界へと中継する役割を担っています」

 

「ふーん…冥界…そんなものがあるんですね」

 

 

「肝心の貴方様を、転生させる理由は…」

 

「私が退屈だからです」

 

 

 

「は?

 

可愛いからって油断してたけど、ナニイッテンダコイツ。

 

 

「毎日、毎日、冥界へ魂を運ぶばかり……

 私は、新しいことも面白いことも何もない味気ない日々を送ってきました」

 

「そんな中、私の唯一の楽しみが、魂の記憶を盗み見ることでした…

 まあ…見れるのは、その魂が生前強く思っていたもの限定ですがね」

 

 

 

「つい最近ですかね…

 とあるライトノベルについての記憶が多くなったのは……」

 

「その本の名前は『ようこそ実力至上主義の教室へ』」

 

「貴方様も自分が好きな作品でIFの世界を想像したことがありますよね?

 私は、貴方を転生させて、この目でよう実の世界を見たいのです!」

 

 

ようこそ実力至上主義の教室へ。通称「よう実」

アニメ好きやライトノベル好きの人なら、一度は耳にしている人も多いんじゃないだろうか?

600万部以上の売り上げを誇り、小説は20巻以上続いていて、生前の頃は2期のアニメが放送される数日前だった。

小説は2年生編の7巻、生前の頃の最新刊まで全部買うほどファンだった。

その世界に俺は転生するのか? 勉強はあまり得意じゃなかったし、

高校に入る前は、少し体力に自信があったけど、今じゃ全く走ってないし……

卓越した才能もない。

お先真っ暗じゃん。そもそも、よう実の学校って、退学になることも珍しくないよな。

退学… うっ……… 頭が…

 

「よう実の世界に転生するって言っても、僕の才能じゃ、到底よう実の高度育成高校には入れませんよ」

 

「それは、心配しないでください。女神パワーで絶対に入学させてみせます!」

 

「それに、今なら、特典もお付けしますよ」

 

「どんな特典をつけてくれるんですか?」

 

「う~ん…『ジョジョ』のスタンド能力をつけると言うのはどうでしょう?」

 

スタンドか…僕がスタンドを手に入れたら、どんな能力になるんだろう?

時を止めたり、炎を纏ったり…考えただけでもワクワクする。

 

 

「是非、それでお願いします!」

 

「分かりました。では、早速転生してもらいます!」

 

 

「えっ。ちょっと心の準備が…」

 

「では、よい異世界ライフを!」

 

その瞬間、白一色だった、俺の下の地面のタイルが崩れ落ちて奈落に落ちていく。

見上げると、ユリシロが手を口に添えて、メガホンのようにしていた。

何か、伝えたいことでもあるのだろうか?

旅立つ俺に対しての、激励の言葉でもあるのだろうか?

でも、さっきそれは言ったよな?

一体何が言いたいんだ?

何かイヤナヨカンガスル。

 

「一つ、言い忘れていましたけどー!もしも、退学したらー、死んでもらいますよー!

 ただでさえ、死んだ魂を異世界に送り込むだけでー、規約違反なのにー、特典までつけたことがばれたらー、

 私、死んじゃいまーす!それとー、白熱したストーリーを見るためにー卒業にー、Aクラスになってくださーいー、用済みになったらー、覚悟しといてくださいねー!」

 

「それを、先に言えー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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心機一転

少し長くなってしまいました。凄く疲れました(´・ω・`)


 突然だが、今から俺が出す問いについて真剣に考えてほしい。

人は平等であるか否か?

俺個人の意見を言わせてもらうと、人は平等ではない。

生まれた環境が、産んだ親が、個人の才能が、色々な要素が重なりあって格差を作る。

俺たちは、資本主義制度の下で暮らしている。

資本主義は、資本家と労働者を区分し、その間に見えない壁を作り上げた。すべては、個人の実力で決まる。

しかし、それが悪いことなのかというと、断言は出来ない。個人が努力によって積み上げた、業績を、金を、成果を。他の何もしていない人と同じ扱いにするには不憫だ。

資本主義経済の対極として、共産主義が挙げられる。

まあ、その主義を基盤とした国は片手で数えられるほどしか、残っていないが…

前にとある動画サイトのコメント欄で、

『資本主義の短所は、幸福を不平等に分配するところ

 共産主義の長所は、不幸を平等に分配するところ』

という言葉を見かけたことがある。

これを見た当時、強い衝撃を覚えたのを今でも覚えている。

共産主義の先頭を走っていたソ連は、1991年に崩壊した。

俺が思うに、共産主義は人類には早すぎた。世界人口が急速に増大にし、食料や物資が足りなくなった時。

人類が未来への展望を辞めた時、共産主義は光るかもしれない。

反抗期真っ只中の俺は、(人が皆不平等だと思っているのなら平等では?)と考えていた。

今思い返すと、不平等だと思っている程度は人によって全然違う。それらを一緒くたにするのは、あまりにも滑稽だった。厨二病臭くて恥ずかしい。

 

 原作主人公に憧れて語ってしまったが、この問いに決定的な答えはない。人が歴史を積み上げていく中で、この問いは永遠に繰り返されていくだろう。

 

 

 

**************************************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を開けると、そこには満開の桜景色が広がっていた。前世では、記録的な猛暑日が続いていたので、懐かしいと思うのと同時に違和感を覚える。あの女神は退学=死、卒業時Aクラス以外=死と言っていた。本当に俺は死ぬのだろうか...。それを嘘だと信じたい自分がいる。異世界に転生させることが出来るなら、人一人消すくらい造作もないことではないか。怖い。体全体を恐怖が支配する。逃げたいのは山々だ。しかし、もう、賽は投げられた。逃げることは決して許されない。一度は燃え尽きたこの命。別にあいつに恩は微塵も感じないが、地を這いつくばってでも生き延びてやる。

 

取り敢えず、現状を確認しよう。俺が今もっているのは、手に提げている鞄と...ポケットにも何かあるな...

 

 まずはポケットからだな。300円と...

この感触は...スマホか?ケースついてないから、一瞬戸惑ったぞ…落とした時、どうすんだこれ?

そういえば、俺のこの世界での記憶がないんだけど...それにしても何かやけに視点が高いな...まさか...

 

 スマホを取り出して、カメラアプリを起動する。

スマホにパスワードが掛かっていないことが引っかかったが、それほど重要でないと割り切る。

 

「おお...」

 

 インカメラにすると、そこには知らない顔が映っていた。

結構イケメンだな...前世の顔よりも、大分見違えたな…嬉しようで、悲しい... あれ、目から汗が...

俺の元の身長は160cmくらいで、コンプレックスだった。身長が10センチ以上伸びたことは素直に嬉しいな...よし!!

てか、これって転生じゃなくて憑依じゃね?この元の体の持ち主の意識はどうなったんだ?

もしかして...?いや、今は、まだ何も言えないな...それは後から考えよう...

 

 スマホのホーム画面を見て気づいたが、初期アプリしか入ってないな...壁紙も変えてない。

この体の持ち主はスマホに無頓着だったのか?アプリを開いてみても、ないな。使用した

記憶が引き継がれてないから、この体の持ち主がどういう奴か知りたかったんだけど…

おや?スマホの設定アプリにユーザー名があるな。

 

『春夏冬 楓』

 

 すごい、ユーザー名にしてるな。もしかして、これ本名か?確か秋がないから、あきなしって読むんだったけか?前に日本のお洒落な名字を気になって調べたときにあったな。何でも日本に10人くらいしかいないとか。すごいどうでもいいことだな。

うん。

 

 もう、頼みの綱は手提げ鞄しかない...頼む...もし掲示板に春夏冬の3文字がなかったら、大問題になるぞ。

自分の名前も分からないって明らかに不審すぎる。もしかしたら、替え玉とか疑われたりするのかなぁ...

傍にあった、バスの時刻表をみたら、バスが来るまであと5分...早くしないとな...

鞄の中身は...ノート一冊...ノートの表紙には『春夏冬 楓』と書かれている。やっぱり、これが本名なのか?鞄が軽いとは思ったけど、ノートしか入ってないじゃん...筆箱

ないのに、ノートだけって...中のページになにも書いてないし...あの女神ずぼらすぎないか?記憶が引き継がれてないから、自分の名前さえ分からなかったし...女神からの細かい説明も一切なし。持ち物も少なすぎるし...てか、財布ないじゃん。スマホに電子マネー入ってんのか?でも、初期アプリだけだったしなぁ。このスマホも外部と連絡とるのだめなのに何でもってんだ?これ学校に持っていっていいのか?適当過ぎるだろ...てか、これ持ってるのばれたらクラスポイント引かれるんじゃね?マジでこのスマホどうしよう...投げ捨てるか?

いや、それはさすがにダメだな。着いたら先生に相談するか...

 

 バスまであと3分。転生?憑依?特典のスタンドを出してみるか...来い!俺のスタンド!俺が言葉を言い終えるのと同時に、白い玉のような物が現れた。もしかして、これが俺のスタンドか?人型スタンドを想像してたんだけどなあ。スタンドは、ジョジョの奇妙な冒険という漫画に登場する、精神エネルギーが具現化した物だ。スタンドはスタンド使いじゃないと見えない。スタンドはスタンドにしか、攻撃されない。という設定だから、かなり強いと思ったんだけどなあ...まあ、スタンドは成長するものもあるからいいか...大きさは握りこぶし一つ分か...

小さくてちょっと可愛いな。こいつの名前は、オーブにするか。オーブみたいで可愛いし。

自分の意思でスタンドが動いてるのをみるのは感慨深いな...バスまで残り3分。とりあえず、こいつを色々動かしてみるか。

 

 

 

********************************************

 

 

 バスが重いエンジン音を響かせて停車した。バスに乗るのは何年ぶりだろう。

バスの席は全部埋まっていたため必然的に立つことになる。主要なキャラはいるかなっと……

おおっ!? 綾小路に、櫛田、堀北、高円寺がいる!? 原作のあのバスか。主要なキャラが目と鼻の先に。

感動して涙が出そうだ。バスが停車して、杖をついたばあさんが乗ってきた。それから少しして、

 

 

「席を譲ってあげようって思わないの?」

 

 という女性の声が聞こえた。ついに来たか。相変わらず、高円寺は我関せずといった感じだな。優先席は優先であって強制ではないというのは分かるが周りの視線は怖くないのだろうか?俺だったら、嫌でも同調圧力で屈してしまいそうだ。席を譲りたいけれど、立ってるから無理なんだよな。櫛田も参戦して、席を譲ってくれる人を探しているが一向に現れない。それにしても、間近でみる櫛田は思った以上にかわいかった。この裏に、承認欲求お化けがいるのか...オンナッテコワイ。原作知識がなかったら、簡単にだまされるぞ。前世では、このレベルは中々お目にかかれないからな。そうこうしている間に、席を譲ってくれる人が名乗り出てくれた。なんとかこれで、一安心。

 

 さて、学校に着く前に、ある程度指針を決めておこうか。Aクラスへ行く方法は、順当にクラスをAまで進めるか、2000万プライベートポイントでAに移動するか、クラス移動チケットで移動する3つが挙げられる。真ん中は正攻法でいったら、まず無理だが原作では、龍園が葛城をBに移動させていた。恐怖政治でクラスを支配していた龍園だからこそできる技だ。かなり、強引だがクラスの為を思ってやったからこそ、成立している。3つ目は、原作2年生編の体育祭で学年と男女別で一番成績が良かったものに送られていた。まず、須藤を打ち負かさないといけない時点で無理。やっぱり、正攻法でいくしかないのかな?取り敢えず、クラスポイントを増やして隙をみてプライベートポイントを貯める。ありきたりだが、所属するクラスが不確定な現状ではこれで十分だろう。ただ、どんなクラスになっても参謀ポジは獲得したい。クラスを移動するときに、自分の有用性を示せるし、第一原作に介入しやすい。リーダーポジは苦手なのと、原作キャラに無謀な戦いを挑むことになるから却下だ。

 

 

 お? ようやく着いたか。10分くらいだったが、かなり疲れた。どうやら春夏冬君は運動不足のようだ。お金を払って、運転手さんに礼を告げてバスを降りる。ん? あまり歩いてなかったから気づかなかったけど、体が重いし、歩きにくい。身長が10センチ以上伸びたからかもな。

 

「おっと!?」

 やばい。バランス崩した。段差があったわけでもないのに...

 

 

・・・・・・

 

 

「危ないぞ」

 

あれ? 助かった?だれかが僕の裾をつかんでるな。それに、聞き覚えのある声がする。

 

 

「大丈夫か? 」

「ああ...大丈夫だ。ありがとう」

 

 綾小路だ...バスの中で見たけど至近距離で見るとまた違う感動があるな。ホワイトルームの最高傑作。主人公にしてラスボスの男。綾小路清隆。こうしている分には覇気は感じないんだけどな。

 

「名前を聞いてもいいかな?」

「俺は綾小路清隆だ。そっちは?」

「俺の名前は、春夏冬楓だ」

 

 やべ。咄嗟に言ったけど大丈夫か?

 

「春夏冬か? 珍しい苗字だな」

「ああ。俺はおしゃれで結構気にってるんだけどね」

「それにしても、入学初日から転びそうになるなんてついてないよ」

「そういうものなのか?」

「なんか、節目っていうか。新しい事を始めるときに転ぶと幸先不安じゃん」

「ああー。確かに」

 嘘つけ。絶対わかってないだろ。うーん。原作通りホワイトルームから逃げ出してきたのか?

 

 

「そこの貴方たち。邪魔なのだけれど」

 ゲッ。堀北か。初期の堀北は、気に入らないことがあればコンパスで刺してくるし、暴言厨だし、孤高と孤独をはき違えているしで、マジで関わりたくない。

 

「それに、そこの貴方」

 堀北が綾小路に指を指しながら続ける。

「さっき私のほうを見ていたけれど何なの?」

「悪い。ただちょっと気になっただけなんだ。どn..」

「ストップストップ。さっき貴方が言った通りほかの人の

 邪魔になってますよ。積もる話があるかもしれないけど、それは他所でやろうよ」

「それもそうね。もう話すことはないと思うけど」

 堀北はそう言った後一人で歩みを進める。

「酷いな。そんな言い草ないだろ」

「それもそうだな」

 

 

 綾小路がしょんぼりしてるw 初期のころは感情豊かだったんだけどなぁ。どうしてあんな事に(トオイメ)

 校門を潜り抜ける。短期間で二度も校門に感慨深くなるとは思わなかった。人生もわからないものだな。

綾小路と他愛もない話をしながら、掲示板に貼られたクラス分けの張り紙に向かう。ドキドキするなあ。

これで、僕の行動の指針はある程度決まる。行くぞ!

 

Aクラス.....名前なし

 

 

 

 

 

Bクラス......名前なし

 

 

 

 

 

Cクラス......名前なし

 

 

 

 

ちょっとまってこれ、大丈夫だよね?名前ないとかいうオチやめてよ...

 

 

 

 

Dクラス.....

 

 

 

あった~。よかった~。一瞬、春夏冬楓が本名じゃないのでは?って思ったんだけど。

「綾小路はどうだった?」

「Dクラスだった。春夏冬...もDクラスか」

「これから1年間よろしくな!」

「ああ。こっちこそ、よろしく頼む」

 

Dクラスか…

 

これで、俺のとる手段は決まった。綾小路粘着ルートで行くか。綾小路の一番の親友になって、前世での最新刊で有力になった綾小路の一ノ瀬クラスへの移動…それに自分も便乗してついていくか。綾小路なら、やってくれると思えるほどのポテンシャルを秘めている。ならば、俺も彼に相応しい男になるために成長しなくては...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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日進月歩

かなり長くなってしまいました(´・ω・`)


 クラスを確認した後は体育館に行き、入学式に参加した。その前に職員室に寄って行き、先生にスマホについて質問することも忘れない。入学式前だったこともあり、大目にみて軽めの注意喚起で終わった。ふう~。よかった~。ちなみに、スマホは没収された。卒業時に返すそうだ。

入学式は退屈だったな。強いて言えば堀北兄のプレッシャーを少し感じたくらいだろうか。今のところ原作と違うところはなさそうに思えるが。

 

 

 

綾小路とともに教室に入る。この教室で1年間を過ごすことになるのか、途中で教室が変わるのか。はたまた、そのどちらでもなく、俺がこの場所から去ることになるのか。それは誰にも分からない。よう実の世界は少しの差違でストーリーが大きく変わるだろう。もしも、原作で須藤が最初の中間テストで退学していたら?2度の体育祭や選抜種目試験での結果も大きく変わっていたのではないのだろうか?バタフライエフェクトのように、わずかな変化でもそのあとの状態に大きな影響を及ぼすだろう。よう実は緻密に作らている作品だからこそ面白かったが、こうして見ると厄介だな。俺、大丈夫かな?

 

「俺は後ろの方の席だな。春夏冬はどうだ?」

「俺は綾小路の前の席だな」

「奇遇だな。これから、一年よろしくな」

「こちらこそ、よろしく」

 

 

 これはでかいぞ。てか、ここの高校の席順どうなってんだ? 俺が入学したところは、苗字が早いほうから並んでいた。ア行の綾小路は何で後ろのほうなんだ?一体どうやって決めてんだ?

 

「お? お前もお前もここの席なのか?」

「話かけないで。もう話すことはないといったはずよ」

 

 随分トゲトゲしてるな。ここはちょっかいでもかけてみるか。

 

「まあまあ。これから1年間、一緒のクラスなんだからちょっとは仲良くしようよ」

「そんなの人の自由でしょう?何故あなたに強制されなければいけないのか甚だ疑問だわ」

「まあ、強制はできないけどさ。ちなみに君の名前は?」

「何故教えなければならないのかしら?」

「名前がわからないといろいろ不便なことがあるでしょ。」

「もし、教えてくれないなら、黒髪ロング美少女ちゃん って呼ぶことにするけど」

「......堀北鈴音よ」

苦虫を嚙み潰したみたいな、顔してるな。ちょっと攻めすぎたか?まあ、初期堀北からの好感度なんて皆、マイナスみたいなモノだからいいや。

 

ガラガラ...

 

教室の扉が開かれ、茶柱が入ってくる。

 

「お前ら、席に着け。これより、ホームルームを始める」

 

綾小路が、会話の中に入れなくて(´・ω・`)って顔してるな。ちょっと、かわいそうだな。

 

 

暇だ~。二次小説で何度も読んだこの説明を聞く気にはなれない。

要約すると、

・この学校は実力で測る

・入学した俺たちには価値があるので10万ppが支給される

・この学校でppで買えない物はない

 

 

特に原作と違うことはなさそうだな。

 

 

 

 

*************

 

 

 

「質問はないようだな。では、よい学生ライフを送ってくれたまえ」

 

 やっと終わった~。長かった~。取り敢えず、やり忘れたことがあるから一旦、教室出るか。

「春夏s…」

「スマン、綾小路。ちょっとトイレ行ってくるわ」

 

 堀北の相手は頼んだぞ。さ~て。まだあるかな、っと。あ、あった!俺がやり忘れたことは、原作主要キャラのクラスが変わってたり、欠けていないか調べることだ。一応写真を撮ってっと。う~ん。坂柳はA。葛城もA一ノ瀬はB神崎もB。龍園はC。平田はD。軽井沢もD。その他のキャラたちも…大体いるな。多分大丈夫だろう。さて、自己紹介に遅れないように急ぐか。

 

*************

教室に近づくなり、いきなり怒声が聞こえてきた。

 

「うっせぇ。こっちは別に仲良しごっこするためにココに入ったんじゃねえよ」

 

うわ...びっくりしたぁ。そう思うと同時に勢いよく、ドアが開いた。ドアの真正面にいたため、当然、須藤とはぶつかりそうになる。

「おい! どこ見てんだ!?ぶつかりそうになったじゃねえかよ!」

「ごめん。悪かった」

「チッ...」

 怖え...涙目になるんだけど。須藤に続いて、教室を出る人たちを避けながら教室に入る。うっ。視線が...

「今入ってきた君は...まだ、自己紹介をしてないよね?」

「僕は平田洋介。自己紹介を頼めるかな?君で最後なんだけど...」

「さっきのを見てわかる通り、自己紹介が嫌なら、拒否したり出て行ってくれても構わない。それは君に任せる。強制はしないよ」

 平田君さぁ...君は二択を選ばせてあげてるって思ってるかもしれないけど。こんなのするしかないじゃん。女子が出て行ったやつらに対してグチグチいってるのを目の前にして拒否できるわけないじゃん。空気は最悪。しかもラスト。挙句の果てに、この体の持ち主に関しては、名前と入学式に違法な物を持ってきて、スマホに無頓着なことくらいしか分かってない。

ダメだ。こりゃ。ふう~。覚悟を決めるか。

「ああ。やらせてもらう」

 

「俺の名前は春夏冬楓。春と夏と冬であきなしって読む。まあ、察しがついている人もいるかもしれないが秋がないからあきなしって言うんだ。好きなものは、シュークリームでしょっぱいものよりは甘いものの方が好みだ。受験期で鈍ったからだを鍛えるために、積極的に体を動かしていこうと思う。一年間、よろしく」

少ないが、乾いた拍手の音が鳴る。うっ...目から汗が。

 

************

 

寮の説明を受けてから、解散となった。スマホをいじってたやつら、早速ポイント引かれてるぞ。

「なあ、綾小路」

「なんだ?」

「俺と連絡先を交k...」

「是非!頼む!」

 食いつきがすごいな。この時は友達に飢えてたんだっけか?こいつが冷徹な機械にならないように何かできることは無いか...うーん。まあ、後で考えるか。

 綾小路の連絡先ゲット!よーし、早速行動しますか...取り敢えず、茶柱先生に会いに職員室に...今のうちに、行動して只者ではないとアピールするついでに綾小路のスケープゴートにもなるしクラスの連中にも有能性をアピールできる。まあ、原作と乖離してないかを調べるためでもあるけど。只、ポイントの増減に関しては言わないでおくか...一度、地獄を見せておかないとそれぞれの根本的な意識は変わらないからな。

 

 

***************

 

少し迷ったものの、職員室に着いた。やっぱり、何度やっても職員室に入ることは慣れないな。緊張する。

 

コンコン

 

「失礼します。1年Dクラスの春夏冬楓です。茶柱先生に用事が会ってきました」

職員室の先生が一斉にこちらに振り返った。入学式に質問にくる1年生はあまりいないのかな。

児湯室を見渡しても、茶柱はどこにも見えない。ん?なんかデジャブ...

「あの~、茶柱先生がどこにいるか知りませんか?」

適当に近くにいた教師に尋ねる。

「え?サエちゃんの事?サエちゃんならさっきお手洗いにいったわよ~」

 ゲッ...星野宮か...1年Bクラスの担任の教師。確か...表では天然教師を演じているが、裏では魔性の女だったはず。関わったら、面倒臭いことになりそうだな。でも、原作通りに行って綾小路についていったら、この人が次の担任になるかもしれないんだよな。少し、繋がりでも作っとくか。

「サエちゃんには、どんな用事で来たの~?」

「実は質問したいことがありまして...」

「何を質問したいの? もしかしたら私にも答えられるかもしれないわよ~?」

「実は、毎月支給されるポイントについて聞きたいんですけど...」

 星野宮の目つきが一瞬鋭くなったな。心なしか教師陣の視線も強くなった気がする。

「それについて何が聞きたいのかしら~?」

 どうする?正直言って不信感を与えるには十分だが、危機感を与えるにはまだ少し足りないな。未来への布石だと思って言っちゃうか。

「実はプライベートポイントの説明の時に、茶柱先生が『毎月10万ppを振り込む』とは言ってなかったんですよ。少し含みのある言い方をしていたのが少し気になりました」

「他にも、『ポイントで買えないものはない』という言葉も、一体何が買えて何が買えるのか疑問に残りました。教室や廊下中にある監視カメラも不可解です。もしかしたら、日々の素行次第で、ポイントは上下するとか...? ですかね」

「僕が考察できたのはここまでだったので、茶柱先生に答え合わせをしてもらおうと思ったんですが...」

 

...

 

 一気にし~んってなったな。やりすぎたか?入学式初日にしては100点満点に近い回答じゃないだろうか。星野宮の目つきが完全に獲物を見るときのそれで怖い。Aの担任も真島先生もCの担任の坂上先生も皆注目してるな。やばい、おなか痛くなってきた。これだけしてれば、他のクラスに行った時も自分の有用性を示せる...ハズ。

 

「入学初日で、よくそこまで考察できるわね~...」

「貴方の名前は?」

「春夏冬楓です」

「春夏冬君か~。先生覚えちゃったぞ~。あ~あ~。春夏冬君が私のクラスっだったらなぁ~」

 

 

「おい、お前たち、何をしているんだ」

やっと、来たか。

「も~。サエちゃんずるいじゃない?こんな優等生、クラスに居て。サエちゃんには宝の持ち腐れだと思うけど」

「? 春夏冬、なぜここにいるんだ?」

「すいません。先生に聞きたいことがあって...」

「サエちゃ~ん。この子すごいわよ~。一日でこの学校の仕組みに気づくなんて...

 AクラスじゃなくてDクラスなのに~。サエちゃんのクラスの子は個性的でうらやましいわ~」

「何? おい。春夏冬。お前は一体何をしたんだ?」

「今日のホームルームでの話を聞いて、『毎月のppは一定でないこと』

 『それが監視カメラによるチェックに関すること』ではないかと思いました。『ppで買えないものはない』という言葉にも疑問が残りました」

「星野宮先生にそれらを聞いていたところです」

「ほう...」

 

「私のクラスにも、君みたいな個性的な子が欲しいわ~。春夏冬君、うちのクラスに来ない?」

「? 茶柱先生。それらの質問への回答が欲しいのと、

 まだまだ質問したいことがあるんですがお時間をいただいてもよろしいですか?」

「ああ...分かった。ここでは人目があるから一旦、指導室に行くか」

「それじゃあ、ごゆっくり~」

「ついてこい」

「分かりました」

 茶柱の後に続き、職員室を出る。扉を閉めるときに星野宮先生が満面の笑顔でこちらを見ていた。さ~て、こっからどうなるか...

 ノートに質問すること全部書いた方がよかったかな...でも、文房具ないし、これからやらなきゃいけないこともあるし...まあ、アレがあるから何とか大丈夫かな。

 

「着いたぞ」

「失礼します」

「まあ、適当な椅子に座れ」

 茶柱の真正面の席に座る。茶柱と目が合う。ちょっと怖いな。

 

「まず、お前が職員室でした質問に答えよう。『毎月のppは一定ではないのか』『それは、監視カメラによるチェックで増減するのか』生憎だが、そのどちらの質問にも答えることは出来ない」

「それは、今は答えられないんですか? それともいつかは答えが出るんですか?」

「生憎だが、その質問にも答えられない」

「ppで買えるものに関してだが、それには明確な値段が決まっているものと決まっていないものがある。

決まっていないものに関してはその場で要相談になる」

 

「では、クラス決めについて質問です。

 休み時間に上級生のクラスを見ていましたがAからDになるにつれてクラスの席が少ないことに

 疑問を感じました。ここでは退学は珍しいことではないのでしょうか?

 食堂にも行ってみましたが、山菜定食という無料のものがありました。

 食べてみたところ、不味くはないが美味しくもない。ただ、進んで食べようとは思えませんでした。

 毎月10万ももらっていて、山菜定食を食べている人が多いのは違和感を覚えました。

 気になったので山菜定食を食べていた上級生にクラスを聞いたところDと答えた人が7割。

 Cと答えた人は3割でした。BやAに関しては一人もいませんでした。そのことから優秀な人物

 からAに配属され、不良品ほどB、C、Dと下位のクラスに配属されているんじゃないですか?」

「...その質問には答えられない。ただ、学校はクラスを厳正な調整の下、決めている」

 

時間が足りなくて、上級生のクラスに行ったのも食堂にいったのも全部嘘だけどばれないよな?これでばれたとしても鎌をかけたとかいって切り抜けられるだろう。多分...

 

「では、この学校の評価基準について質問です。

 教室で寮についての説明を受けている時も少なくとも5人の生徒がスマホを触っていました。

 そのほかにも聞き耳を立てていると、入試の点数が200点以下人もいました。仮に

 も国立であり、日本のこれからを担う若者を育てるこの学校に生徒がですよ?

 もしかして、学校側は生徒を学力以外でも評価しているのですか? 」

「フッ...その質問には答えられない。」

 せっかく、長い前置きをして嘘までついたのに...しかも何故か笑われてるし...

 

「では、職員室での星野宮先生の発言についてです。

 冗談かは分かりませんが、彼女は俺みたいな生徒を自分のクラスに欲しいと言っていました。

 羨ましいという旨の事も話していたことから、クラス間で競い合うのですか?

 それなら、クラス間の闘争の中で総合力が低い下位のクラスが、

 負けて退学したのなら筋が通っていると思います」

「その質問には答えられない」

 

「ではppで買えるものについて質問です。クラスを移動する権利は何ppで買えますか?」

「2000万ppだ」

 少し茶柱の目が厳しくなったな。やっぱり目つけられてるよな。

 

「ではクラスを新しく作る権利は何ppで買えますか?」

「...前例がないためなんとも言えんが、一番下のクラス...Eクラスとしようか。

 Eクラスを作るのならクラスを作るのに1000万pp。ほかのクラスから人を移動するのに

 一人あたり100万ppといったところか」

 なんかさらっと前の問いに対する答え出したよね?いいのか?

 

「人の命は何ppで買えますか?」

「人の命、プライバシーにかかわるものはすべて売ることができない」

 

「ppで何でも買えるのは生徒だけですか? それとも先生達もですか?」

「お前たち生徒だけだ」

 

「生徒会長になる権利は何ppで買えますか?」

「それは民主主義に反することなのでできない」

 そりゃあソウデスヨネ。国が賄賂認めてるようなもんだから認められないよな。

 

「では、何かを売る権利を買えますか?」

「原則認められていないが例外はある。ただしそれは教えられない」

 

「テストの点は売買できますか?」

「ああ、可能だ。只、そのテストがどれくらいの扱いかによってポイントは上下する」

 

「テストの点を誰かに譲渡できますか?」

「可能だ。ただし、それには手数料がかかる。こちらもテストの扱いによって決まる」

 

「テストの点を誰かに強制的に買わせることは出来ますか?」

「出来ない。ppに関する売買は両者の合意があって初めて成立する」

 

「合鍵は作れますか?」

「可能だ。他者の合鍵を作るときは、本人の合意があった場合より成立する」

 

「学校で賭け事は行われていますか?」

「校則により、学生に相応しくない行動は禁じているが、個人間での合意の取引ならば問題ない」

 

「この学校にある、ボードゲームを扱う部活を教えてください」

「囲碁部、将棋部、オセロ部、チェス部、遊戯部がある」

 遊戯部...なんじゃそれ?

「遊戯部って何ですか?」

「遊戯部は、色々なボードゲームを使い遊んでいる部活だ。

 そこで頻繁に賭けが行われているのをしばしば耳にする」

 

「退学を取り消す権利は何ppで買えますか?」

「2000万ppと、ある代償を払うことで取り消すことができる。その代償は答えられない」

 

ふぅ~。喋りっぱなしで疲れた。このくらい聞けば十分だろ。

「以上で、僕の聞きたいことは無くなりました。お忙しい中、ありがとうございます」

「生徒の疑問に答えるのが教師の責務というものだ。ここを閉めるからもう帰れ」

 その割には、答えられないものが多かった気が...原作と違っている部分もなかったし良かった~。時計を見る

 と1時半を過ぎたころだった。かれこれ30分以上話してしまった...

 

 さ~て。金を稼ぎに行こうとしますか

「さっき言ったこと、忘れないでくださいね...?」

 去り際に、ボイスレコーダーを起動したままのスマホを見せることも忘れない。

かなり、驚いていたようなので効果はあっただろう。先を急ぐとしよう...

 

*********************

遊戯部の活動場所が分からなかったのでもう一度戻って茶柱に聞いた。今思うと少し恥ずかしいな。活動場所に行く前に気になることがあるので、スタンドを出してみる。正直、こいつの性能次第で金をどれくらい稼げるかが決まってくる。頼むぞ...

 

********************

遊戯部の活動場所に着いた。スタンドの性能だが目玉の固有能力?が発動しない。DIOのスタンドなら時止め、仗助のスタンドだと殴った物体を治す能力が固有能力だが、俺には使えない。その能力に気づいてないだけなのか、そもそも能力がないのかは分からないが...取り敢えず不確定要素を省いたうえで、今最大限できることをやろう。

 

コンコン

 

「失礼します。1年D組の春夏冬楓です。先輩方と賭けをしたくて来ました」

 その瞬間、部員たちの視線が集まる。何か、見定められてるっていうか、圧がすごい。

「こんにちは~。私は部長の千住(せんじゅ)って言います。ちなみに3年Aクラスに所属してるよ~。よろしくね~」

「よろしくお願いします」

 

「確認するけど、入部希望ではないんだよね?」

「はい」

 

「いや~。入学初日にここに来る新入生なんて5年に1人いるかいないかってくらい珍しいんだけど...君...もしかして友達いない?」

 うっ...初対面で何てこと言ってんだこの先輩...ちょっと待て。落ち着くんだ。こうやって、こっちのペースを乱すのが彼女の目的かもしれない。その証拠にこの人の目は全く笑って

 いない。

「まだ入学初日ですから、大丈夫です。ここから巻き返していきます」

 

「ふ~ん。頑張ってね!前置きはこのくらいにして、本題に入ろうか! 何で勝負したい?賭け金は?最初は君が決めていいよ」

 『最初は』か。連戦して、がっぽり稼ごうっていうのはばれてるか...

「いいんですか?」

「そうしないと、フェアじゃないし...」

 確実になめられてるな...油断してる今がチャンスか...

 

「それじゃあ、遠慮なく。未使用のトランプを使ったババ抜きでいきましょう。

 部長と僕の一騎打ちです。『お互い同じ金額を賭けて勝者は敗者から賭けた金額をもらう』っていうルールでどうでしょう?」

「お~。どんなものにするかと思ったら...シンプルだね。いいよ!受けて立つ!君は何pp賭けたい?」

「10万ppで」

 

ざわ... ざわ...

 

「10万って...全財産だよね? こんな所で使っちゃっていいの?」

「問題ありません。例え負けて全財産を失ったとしてもこの学校では死なないようにできてます」

 

「忠告はいらないか...オッケー!早速やろう! 」

「取り敢えず、ディーラーは先生に頼むけどいい?」

「ディーラーを務める鎌倉だ。この部の顧問をしている。例え部員だとしても、勝負に情は持ち込まない主義なので信頼してくれ」

「それに、私たちと先生以外にも部員たちっていう監視人がいるからね!」

「分かりました。それでは早速始めましょう」

 

 近くの円卓の席に着く。は~...緊張する...まあ、正直言って最初の勝負は8割くらの確率で勝てるだろう。

気のせいか入室した時よりも圧が少なくなっている気がする。

勝負をする前から負けた時の保身を考えている発言をしたときからだろうか?ブラフだが相手の油断を誘発させれたのはでかい。憐みの視線が...

ここにいるほとんどが部長の勝利を 確信しているのだろう。Dクラスだからだろうか...?悪いが、こっちはこの学校生活に命賭けてんだ。

 こんな所で負けるわけにはいかない。

 「これより遊戯部部長千住常夏(とこなつ)と1年Dクラス春夏冬楓のババ抜きを始める。敗者が勝者に10万ppを支払う。異論はないな?」

 「勿論!」

 「大丈夫です」

 ジョーカーを除いた53枚のカードが俺と部長に配られる。初手にジョーカーが来なかったらこの作戦は9割9分9厘にまで勝率が上がる。

 頼む頼む。来るな!! 俺に配られた手札は26枚。部長の配慮で俺の枚数の方が1枚少ない。

 

ジョーカーは...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ない!!!!!

 

 

 

 よし!勝った!ここまでもったいぶってきたが、俺が考えた作戦はそんなに難しいものじゃない。スタンドには視覚共有ができるものがあることをご存じだろうか?

 原作ではスター・プラチナ、ハイエロファント・グリーンが視覚を本体と共有できることが判明している。しかし、他のスタンドについては名言されていない。

 一種の賭けだったが、オーブちゃんはそれができた。もう、何が言いたいかわかっただろう。俺は相手の手札をオーブちゃんを通して丸裸にしようとしている。

 今回のババ抜きで言ったら、相手のババを引かずに勝負を進めようという訳だ。もしも勝負内容がチェスやオセロだったら、意味がないし、大富豪でも恩恵を受けずらい。

 勝負内容を俺が決めれたのは、本当に良かった。もしも、最初にジョーカーが俺に回ってきたら、部長の観察眼が優れていた場合、

 ジョーカーを引かれずにゲームセットの可能性も0じゃない。

 視覚共有が出来ることの他にもう一つ必要になるのは、スタンドの射程距離だ。幸い、オーブちゃんの射程距離は1.5メートル。

 スタンドとしては、長い部類ではないが大丈夫だろう。射程距離が短すぎた場合、

 複数人の対戦で万が一にも射程距離の範囲外で一人だけ見れませんとかなったら笑い事じゃすまない。

 すべてがうまい具合に進んでいる。

 オーブちゃんを部長の後ろにスタンバイし、初手で被ったカードを捨て場に置く。残りの手札枚数は部長が11枚で俺が16枚。若干俺の手札の方が多いが大丈夫だ。

 俺には天才のような頭脳はないし、運動神経がいいわけでもない。でも、俺にはオーブちゃんというスタンドがいる。悪いがこの試合勝たせて貰うぞ。

 

 「そっちからでいいよ」

 「それじゃあ、遠慮なく」

 少し悩む不利をしながら、部長のカードを一枚引く。部長のカードはすべてお見通しだが、あまりにも早すぎると不信感をもたれるからな...

「じゃあ、次は私が...」

 

*****************************

ババ抜きと言うこともあって、決着はすぐつきそうだ。今は俺のターンで部長の手札が2枚、俺のが1枚。部長のカードに触れる。

「本当にそっちでいいの?」

「ええ...大丈夫です。俺は俺(のスタンド)を信じます」

 部長から引いたカードと俺の手札のカードを捨て場に置く。なんとか、初戦は勝ったな...

 

「よって、この勝負、春夏冬の勝利」

 

 

外野がざわざわしてるな...ふ~。スタンドなかったら、負けてたな...

 

「くぅ~!強いね!途中まで『イケる!』って思ったんだけどなあ~...]

「はい。賞金渡すから、スマホ貸してね」

 スマホに映った200,000の文字。スタンドをこんな所で使うとは思わなかったが本当に勝ったんだな...

「悔しいな~。もう一戦どう?」

「分かりました。やりましょう。次は20万賭けます」

 続く二回戦もジョーカーはこちらに来なかった。正直言ってカードを裏向きにしたり、見えないようにされたら俺の負けに等しいが...それは部長のプライドが許さない。

そんなことしたら、新参者に実力では勝てないから運に頼るって言ってるようなものだからな...

二回戦、三回戦、四回戦、も難なく勝利し、それぞれ全額賭けていたので160万を手にした。そろそろ打ち止めになってもおかしくないが...

「何回やっても無理だ~。もう降参するよ...今の私じゃ勝てなそうだし...」

 ですよね~。160万か。300万くらい欲しいな...

「ババ抜き以外にもやりたいなあ~...そうだ!これから君と私で5回ずつルールを決めて賭けしない?

 賭け金は各勝負の前に決めるってことで!最低10万ppで!やっぱりリスクがないと燃えないからね!」

 このまま勝ち逃げしたら噂だけが一人歩きして、だれも賭けてくれなそうだな。やってみるか。

「是非、お願いします」

「最初は、私が選ぶね!」

「分かりました」

「じゃあ、チェスなんてどう?」

 ルールよく分からない...終わった。

*******************

 

「負けました」

「少し、危なかったけど、なんとか勝ててよかった~」

 賭けたppは10万。こっから、巻き返してやる!

 

**********************

ツカレタ...結構頑張ったぞ。戦績は...

1回戦 チェス 

負け -10万pp

2回戦 ジジ抜き    

 勝ち +100万pp

3回戦 オセロ      

 引き分け ー

4回戦 大富豪      

 勝ち +20万pp

5回戦 将棋      

 負け -10万pp

6回戦 ポーカー   

 勝ち +50万pp

7回戦 ブラックジャック 

勝ち +30万pp

8回戦 スピード     

負け -30万pp

9回戦 ダーツ      

負け -10万pp

10回戦 Eカード     

勝ち +100万pp

 

総額 +240万pp

今の全財産 400万pp

 

こんなに儲けて大丈夫だろうか? 自分でやったが、少し不安になるな。

「君、トランプ系凄く強いね~。敵ながら天晴(あっぱ)れだよ」

「ありがとうございます。あの本当にこんなに貰っていいんですか?」

「何言ってるの!それは、君が魂賭けて挑んだ成果でしょ!? 君が、君の力で手に入れたものでやましいものでは断じてないはずだよ」

 おお...さすが、遊戯部部長...賭けに命を賭けてきた人は違うな...

「いや~。トランプ系に強いから『手札筒抜け』なんじゃないかって疑って、何回もトライしたけど何にも分からなかったよ...」

「...」

「是非、どうやったか教えてほしいな!」

「昔からトランプを使うゲームは強かったですからね...」

「ふ~ん...じゃあさ、君、遊戯部こない? 期待の新人が入ってくれれば面白そうなんだけどなあ...」

「もし、入ってくれたら私と賭けしようよ! 私が卒業するまで、君の強さの秘密を見破れたら私の勝ち。見破れなかったら、君の勝ち。どう?シンプルじゃない?掛け金は500万でど

 う?」

 う~ん...どうしよう。正直言って、賭けるポイント次第なんだよなあ~。俺が持ってる原作知識は2年生編の7巻までだ。賭けのスキルが必要になってもおかしくない。選抜種目試験でも使えるかもしれないいんだよなあ...悩ましい。賭けをする分には、参加は半強制だしな~。てか、もう4時じゃん! まだやりたいことが沢山あるのに!

「すいません...返事は少し待ってくれませんか? 賭けにちょっと自信がなくて... これから食料の買い出しとかあるんで...」

「フフ...分かった!じゃあ、これ私の連絡先だから、決まったら教えてね」

 おお...入学初日で2人も連絡先をゲットしたぞ。順調...だろ。多分。てか、茶柱といい、部長といい、意味深に笑われてるんだけど...なんか、顔に付いてんのか?

「分かりました。では、失礼します」

 

***************************

 教室に荷物を取りに行き、寮に行く。何で笑ったんだろうなあ...   

 

 あっ...もしかして...そうじゃん。さっき俺は『俺の強さの秘密を見破る賭け』について、自信がないと言った。それってつまり...やましいことがあるって言ってるようものじゃん...

一度、自分の純粋な力だって言ってんのに...ミスった。俺があのときすることは、賭けを容認することではなく、賭けの内容について訂正することだった...まあ、過ぎたことはどうしようもないし、早く買い物すませよう。

 

**************************

 文房具に、食料、飲み物、その他諸々含めて3万ポイント。まあ、沢山あるし大丈夫でしょ。ケヤキモールには新入生っぽいのが沢山いた。少し辛い。

よし、腹ごしらえもしっかりしたし...スタンドの能力を確かめてみるか!

***************************

 

 マジかよ...俺は勘違いをしていた。自分もジョジョの主人公たちみたいに、強いスタンドを手に入れられるって、そう思ってた。俺は、死地を乗り越えたこともないし、スタンドどうしの戦いもしたことない。だからなのか...?まあ、俺みたいな奴の精神ってこの程度なのかもな...何度やっても、俺のスタンドの評価は変わらなかった

 

 

 

 

スタンド名:オーブ

破壊力 なし

スピード E(秒速30cm)

射程距離 C (1.5m)

持続力 E (30分)

精密動作性 E (一点に動かそうとすると、30cmの誤差)

成長性 ?

 

能力 ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




スタンドの評価ってこれで合ってますかね?正直DとEの違いが分かりません(´・ω・`)


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