女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記― (おかひじき)
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プロローグ:オレが異世界で電霊転生
序章 俺と時間城の主


 TSが見たい、ハクスラが見たい、メガテンペルソナごった煮が見たい、
じゃあ全部、全部乗せだ!


 40年ちょっと生きて来た。不況下で大学を出て介護職に転がり込み、あんのじょう身体を壊してフルタイムでは働けなくなり、彼女いない歴=年齢。特筆するべきこともなく、特に何の前触れもなく老いた母親がおかしくなった。

 

「だから、オオトリ様に全てを捧げるのよ!」

 

 特別何か凄いとか悪いとかいうこともない両親だった。あれよあれよという間に3年、3年前にやろうかなと少し準備した配信活動、それも何一つ進展させることが出来ず生きるだけで精一杯、そのたった3年で俺と家族の日常は壊れた。

 

 母親が新興宗教にハマり、俺が貯め、あわせて受け継ぐはずだった家の資産だけでなく、借金まで背負い込んで家にあるものを勝手に売り払い始めて……。同居していた祖父母は田舎へ引っ込み、婿養子だった父はもううんざりだと完全に縁を切って実家に戻った。

 

 俺自身も、今日をもって祖父母のいる田舎にある家のはなれに引越し、俺の産まれて育った家は消えてなくなった。

 

 何か色々な手続きや面倒ごと、田舎での仕事の世話まで祖父母が済ませておいてくれたようだが、俺にはもう、細かいことを気にしている余裕はなかった。今はもう、金切り声でちょくちょく泣き喚く生き物をこれ以上母と呼びたくなかった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 今まで住んでいた県庁所在地から車で数時間。縄を地面に打ちつけて区切っただけの急ごしらえの駐車場に車を駐めた俺は、祖父母に挨拶だけして早速はなれへと向かう。引越しや各種手続きのためにもう何度も行き来しているので、慣れたものだ。

 

 はなれと言っても、家に隣接した畑の一部を利用して建てたもので、電気ガス水道が共通していたり、分岐したりしているだけの別棟みたいなものである。まあ祖父母と隣り合って住むことには変わりないが。

 

 本来なら、維持するのもきつくなってきたので、こっちの家は売るかという話も出るくらいだったのだが……今こうして、また祖父母と俺が住む事になるなんて、ホント人生って分からないものだな。

 

 ひと心地ついて、都会のなごり的な気分で買ってみたペットボトルのそば茶を飲みきった俺は、今までとにかくといった感じで運び込んだダンボールの開封作業を始めた。

 

 俺の大きな家具や日用小物は既に開封は終わっていて、今日開封するのは売ったり捨てたりするには惜しい、手荷物として最後に運ぶほどには重要じゃない、そんな荷物だ。

 

 アニメ、ゲーム、漫画などのオタグッズ、存在を忘れていたアルバムやUSBメモリその他の記録媒体、これでもうあっちの家に俺のものは残っていないはずだ。

 

「ああ、なつかしいな……」

 

 最初に開けたダンボールには、各種ゲーム機が入れてあった。一番熱心に遊んだのは学生時代なので、かなり昔のゲーム機とゲームソフトが中心となっている。

 

「久しぶりにやるか……」

 

 どんなにつらい時でも充電だけは欠かさなかったので、今でも使えるはずだ。

 

 祖父からは「とりあえず今は何も考えずに休め」と言われているので、しばらくはこれで思い出に浸っていよう。そう考えて、とりあえずゲーム機は改めて充電して、据え置きゲーム機とテレビを接続する作業に入る。

 

 この判断が俺をある意味救い、ある意味生死の境に放り込むことになろうとは、この時は知るよしもなかった。

 

 

………………………………

 

 

 

 気がついたら、何やら狭い部屋にいた。いや、赤黒く光を放つ不気味な部屋だ。

ソファーとテーブルと、大きなテレビが置かれた客間?だろうか。

 

「ようこそ、我が領域へ……と言ったところか?」

 

 今まで誰もいなかったはずのテーブルの向かい側、中央のソファーに男が座っている。白い髪に赤い服、モノクルをつけた特徴的な姿は……!?

 

「時間城の主?」

 

「ほう……この姿を知るか。それほど知られた姿ではないが」

 

 忘れるわけがない。俺が一番ゲームをやり込んだ時代、ペルソナ2に登場したキャラの一人。アンティーク時計店の店主だが、噂の力によってマジックカードや装備を取り扱うことになる人間。

 

 と見せかけて実はニャルラトホテプの化身の一つという、結構美味しい立ち位置のキャラだったりする。

 

「あれ……?」

 

 いつのまにか周囲はアンティーク時計に囲まれている。

 

「さて……時間は有限。特にお前達にとってはそうだろう。今お前を我が城に招いたその意味……説明するとしよう」

 

 

 

………………………………

 

 

 

 その説明は、あまりにも規模の大きな、救いのない話で。

 

「……は?」

 

 としか、言葉を発することが出来なかった。言葉を失うとはこのことだろう。

 

 まず、俺の生きていた「リアル世界」があり、その近くに「メガテン・ペルソナ風世界」もあった。

 

 通常交わることのない世界だが、今この瞬間メガテン・ペルソナ風世界がリアル世界に干渉を行い、リアル世界がマグネタイト大量流入からのオカルト儀式の処理でエラーを出し、停止……ハングアップかシャットダウンのような状態になったと。

 

「は?何だよそれ……」

 

 よくある感じの、モンスター……この場合は悪魔がリアルに現れたとか、ダンジョン……異界が出来たとか、超常能力を持つ者が現れたとかそういうのではなく、初手でいきなり世界が止まり、干渉も受け付けなくなったと。

 

 時間城の主のように時に干渉できたり、概念的なものを得意とする存在なら干渉も可能だが、何よりこの結果に全知全能の神がぶち切れた。

 

 リアル世界の方には、影響を出さないために今まで直接手出しは控えてきたのに、それでも神を信仰してくれる信者さんたちや異教徒ながら善良な人々は多くいた。即座にリアル世界を救う決断がなされ、メガテン・ペルソナ風世界の方は……。

 

「天罰で世界ごと滅ぼすには、犯人の数が少なすぎる。仕方なく全知全能をもってして、個別に大量に罰を下すということになったが、遥か前からこの火種はくすぶっていて、リアル世界への干渉は大きく分けて3度目。国家機関がタネをまき、ガイア教がそれを育て、メシア教が全てを終わらせた……見ものだったぞ?」

 

 そりゃそうだろうな。あんたにとっては。思う存分人の愚かさを嘲笑える最高のショーだったでしょうね。

 

 時間城の主が語る所によると、まず如来像というアイテムがあった。これはメガテン原作ゲームに登場したアイテムで、死んだ時に所持していれば復活できる……ただしカオス・ニュートラル属性専用、というアイテムだった。

 

 これが魔改造されて、六地蔵法輪というアイテムが産まれた。何と6回+最後に砕け散る1回で計7回も効果を発揮できる優れもので、しかも悪魔業界人だけではなく一般的な人間でも効果がある、画期的アイテムだった。

 

 まあ、ロウ属性のメシアンはすぐにパクって七元徳の天使像なるものを使うようになったので、実質ほとんどの悪魔業界関係者が使うようになったわけで。

 

「だが、それが全ての悪徳の始まりだった事に気がついたのは、全てが手遅れになった後だったというわけだ」

 

 このアイテム、ただの復活アイテムというわけではなく、改造の結果、アイテムの6人の行者を最後の破壊で7人として、破壊の直後に六地蔵の表す六道……異世界へと死の呪いを内包した7人の行者が向かう、という呪い儀式の効果が隠れ潜んでいたのだ。

 

「おい。7人って……」

 

「七人同行。それをお前の『リアル世界』に押し付け続けていたというわけだ」

 

「あきれて言葉もでねぇよ……」

 

 リアル世界が、オカルト、マグネタイトに関する一連の現象に対して、無防備だったのは確かだろう。しかし無防備だからと言って、かなり凶悪度の高い七人同行を、一つのアイテムを使い切るごとに1回ずつ送りつけ。押し付けていたというのだ。

 

 しかも話の最初にこれということは、これから話が広がるわけで。

 

「元になった如来像が伝統的なアイテムだったことが被害を広げた。詳細な検証が行われ、事実が判明したのは、コンピュ-ター解析が悪魔業界でも実用化され、また悪魔召喚プログラムやターミナル技術による異世界の観測が可能になった、20世紀も終わりになってから。その時点で、七人同行の被害者数は取り返しがつかないほど膨れ上がっていた」

 

 罪の羅列は続く。この事態を知ってしまった国家機関は、隠蔽に走る。元々、悪魔関連の国家機関は、悪魔と戦える能力者が中心となった組織だ。どうしても非能力者を下に見る風潮があり、その世界ごとオカルト能力を持たない『リアル世界』は、脅威ではないゆえに優先度が低い、とされた。

 

 いわゆるメガテン・ペルソナ風の世界にとっては、定期的に都市や国や世界をゆるがすような悪魔事件が起きていた事もあり、優先度が低いという判断はこの世界にとっては間違いではなかったのかも知れないが。

 

「そして、異世界に呪いを飛ばせるという点にガイア、メシアが目をつけた」

 

「ホントろくなことしねえな!」

 

 ガイア教は迅速に個人単位での悪用をもくろみ、リアル世界にゴーストやポルターガイストなどの手軽な霊体悪魔を送り込み、人間に憑依させ、傀儡として乗っ取ったり、超常現象で脅したり、高ステータスの人間は逆にガーディアンとして知らぬ間に使役したりもしていたようだ。

 

 傀儡にはカルト宗教をリアル世界でも布教させたり犯罪をさせたりとやりたい放題。そしてその様子を知ってメシア教が黙っているはずがない。

 

 呪いなどではなくリアル世界の神を目覚めさせると称して、自分達の改造品である七元徳の天使像をさらに改造、アイテムの破壊と共に神霊召喚の儀式の準備がリアル世界で行われるようにした。

 

「リアル世界の強制停止の原因はこれだ。急速に、無数に行われた神霊召喚の儀式、しかもその召喚対象が全て同一の最高レベル悪魔、『全知全能の主』だったことから、リアル世界の許容量と処理能力をオーバーした」

 

「アホかな?」

 

 何というか……本当にどうしようもないくらいアホらしくて救えない現実だな。

 

「そしてお前個人の話だが、まず学生時代に出会うはずの、パートナーたる女性が七人同行の犠牲になっているな。そしておまえ自身は気付かぬ間にゴーストに憑依され、ガーディアンとして使役されていた。なるほど、お前の運は未覚醒の状態でも11あったようだ。これに目をつけられ、強制的に他人のガーディアンとされて運を使われていたと。母親の宗教狂いもガイアのカルト宗教関連だな。この上とどめに世界ごと強制停止の憂き目にあって……いやはや全く。人間の悪意というのは底知れぬものだな?」

 

「何だよ、それ……」

 

 素の運が測定値で11というのは、例えば人生の道を求めればまあ数日ぐらいでよき指導者にめぐり合える、宝くじを買えば累計数千枚程度で最高額当選する、ネットで適当に調べた知識は大体当たってて、ヤマ勘は十中八九的中する、運だけで成功をつかむのに十分な値だったと言う。

 

 実際、俺をガーディアンとして使役していたガイア教徒は測定レベル40程度の、ガイア教地方支部の幹部に成り上がったとか。

 

「利用されているのにも気付けず……人生は不運なものと諦めて、掴めたはずの喜びを知らずに生きあがくお前の姿はなかなか楽しめたぞ」

 

「うるせーよ!見てたのかよ!」

 

 黒幕みたいな物言いだが、絶対こいつは楽しんで見てただけだ。たしかそんな奴だったと思う。

 

「さて、その罪ある人間達は全知全能の神の怒りを買い、全ての悪縁と共に既に消されるか、力を失いでくのぼうと化した。今回の事件全体が丸ごと神の御業で排除されたわけだが、問題が生じた」

 

「何だよ」

 

「お前達リアル世界の人間と、リアル世界そのものだ」

 

 被害を受けたリアル世界とリアル世界の人間は、取り除かねばならない悪縁とマグネタイトその他に汚染されている。憑依や傀儡化の犠牲となった者は、悪行に加担させられた者もいる。それにあの一瞬、あまりに大規模で厳格な措置を必要としたために、縁の深い被害者は肉体ごと浄化され、無垢なる魂の形となって、その存在を維持している状態だという。

 

「マジかよ……マジだった……」

 

 今の俺は、真女神転生で見た白くぼやっと光る、いわゆる白ハゲ状態だったことを自覚した。

 

「マジかよ……」

 

「かの神にしては繊細な天罰を下した方だとは思うが、リアル世界の方は復旧に相当な時間がかかる見込みだというし、復旧後は人間だけの世界というわけにはいかないだろう。何しろ神の天罰と復旧作業によって復旧したという結果が残ってしまう。測定レベルにして一桁程度の悪魔は発生する世界になるだろうな。無策でいれば復旧直後にモンスターパニック物のような混乱が起きることになる。今時は現代ダンジョン物の方が流行りか?」

 

「マジかよ……」

 

 何度目だこれ。

 

「リアル世界だけではない、メガテン・ペルソナ風世界の方も問題はある。言った通り、悪魔業界人のうちかなりの人間が例のアイテムに手を出していた。悪魔業界は混乱の中に置かれると思っていいだろう。残されたのは例のアイテムを使った事がないかほんのちょっと触れただけの新人や変人、事件にかかわりのない者たちだけだ。悪魔も天罰の影響は受けたとはいえ、今後こちらの世界も混乱する事になるだろう」

 

 何かもう、めちゃくちゃでしょ。救いはないんですか!?

 

「他の『生き残った悪魔達』もそうだろうが、私にもいい考えがある」

 

 嫌な予感しかしない。嫌だって言っても逆らえそうにもないけど。

 

「お前は憑依を受けてガーディアンとして強制的に使役され、つまりその守護する相手に憑依していたことにもなる。そして今は霊体になってここにいる。そのままガーディアン使い、霊体の悪魔、応用してペルソナ使いとなる才能もある」

 

「……なるほど?」

 

 いや、急に言われても実際は困るが、説明されてる間は相手に合わせるに限る。混ぜっ返して説明が中途半端になったら困る。

 

「転生体……分かりやすく言うなら『キャラメイク』をして。まず彼のメガテン・ペルソナ世界に潜り込み、世界の危機を生き残り、この事態を収束する側となって動かないか?という提案だ。人生の観賞を楽しませてもらった……返礼品と言うのだったか。人間は」

 

「あのさぁ……」

 

 本当にニャル様らしい提案だなこいつ!さすが公式で化身を出してこれも私だごっこしてる奴は違うな!

 

「いいよ受けるよ……」

 

 何より、白ハゲとなった今の状態で断る選択肢はない。こんな不安な状態じゃ3分後に生きていられるかも分からんからな。いやおう無しに、俺は時間城の主、ニャル様の提案に乗ることになるのだった。

 




 白ハゲスタートはロマン


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セラフィックアイドルにう、異世界に降り立つ

 おっさんにだってスキルはありますよ!


 キャラメイクには時間をかけた。

見慣れた俺のパソコン……を模した端末を操作する。

どうせ生まれ変わるなら思い切って「霊体の悪魔」を選ぶ。

詳細な種族は初期ガチャ11連で引けということなので引いた。

遊びやがって……。

 

 レア枠一つ確定はあるが、現実なのでリセマラはないらしい。

ちくしょう。

 

「一応言っておくが、元の姿……人間であったことと整合性を保つため、この場合『自分の意思で悪魔になった頭のおかしい人間』となる可能性が高いが、それで大丈夫か?」

 

 何で今言うの?直前になって言いやがって。

 

「いいよ来いよ!人生運だ!ガチャ引いてやるよ!」

 

【悪霊】【悪霊】【精霊】<御霊>【怨霊】

【悪霊】<電霊>【悪霊】【精霊】【怨霊】【悪霊】

 

 悪霊多いな!レア枠は電霊と……御霊?

御霊とか自分でなっても全然嬉しくねーだろ。

 

「御霊の方は素引きだぞ?運がいいな?」

 

「うるせーよ!ニヤニヤすんな!」

 

 楽しそうにしやがってちくしょう。

まあ、電霊が引けたのは悪くない。上手くやれば最強になれる……かもだからな。

 

「ちなみに、ガチャが引けるのは全てひっくるめてこの1回だけ。

今のが一生に一度の選択、一期一会というわけだな?」

 

「後出しで言うんじゃねーよ!どーせガチャ三昧させて遊ぶつもりだろーなと思って、

てきとーに引いちゃったじゃねーか!」

 

 だんだん分かってきたぞ……こいつ見た感じと違って、あんま真面目に相手しなくてもいいやつだ。

 

 えーと、初期レベルは1。1からか?ああうん、最初から強いのは面白くないよね。ペルソナが無いとほぼ即死ですとか未覚醒の人間のままだと戦えませんみたいな、原作や二次でよくある超ハードモードじゃないだけマシと思う事にする。

 

 俺の基礎ステータス……ほぼ2~3、ご説明にあった通り運だけ11。

初期ボーナスとかは無しか。まあ、俺は俺だからな。

 

 うん?そうか、霊体の悪魔、電霊ってことはコピーを増やしやすそうだし、もし復旧したらだがリアル世界の方でも活動しやすくなったりもあるのか?

 

「肯定しよう」

 

 マジか、こりゃ頑張るしかないな。初期ステじゃ弱いし、俺そのままじゃ戦闘スキルなんてないだろうから先の話になりそうだけどな。

 

 ……あれ?なんかスキルあるぞ?端末のステータス表示の場所に、スキルが表示されている。

 

【休む】【挑発】

 

 つ、使えん……マジで俺が出来ることだけじゃねーか!

 

「当然だろう?」

 

「あーそうだね!当然だね!」

 

だんだんと時間城の主に対する対応が雑になって来てるけど仕方ない。

ずっとニヤついてやがるしホントにこいつは……。

 

 まだ電霊が引けて不幸中の幸いだったと言った所か?

電霊ならネットの中で活動出来るだろうし、現代じゃ多分最強。

普通の悪魔よりコスパが良くて強化もしやすい気がする。多分。

 

 ネット上のウィルスやらワクチンプログラムが、真女神転生2みたいにデータ上で悪魔化してたりするかな。それなら活躍の場所も多い気がする。だといいな。

 

 何にせよ種族は電霊を選んだ、次は見た目作りだ。それならやる事は決まっている。

 

 バーチャル美少女受肉……かつ悪魔美少女受肉、かつての俺が配信の構想を抱えつつもリアル事情で果たせなかった理想像。セラフィックアイドルにうの誕生だ!

 

 オレが宣言した所で、時間城の主がなぜかこらえきれずに盛大に噴き出して笑い転げた。全く失礼なやつだ。何はともあれ、こうして俺はメガテン・ペルソナ風異世界に、セラフィックアイドルにうとして降り立ったのだ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

種族:電霊 セラフィックアイドルにう LV1

 

相性:銃無効、神経無効、破魔無効

 

スキル:休む、挑発

 

タイプ:運特化

 

 

 

 金属色の銀に輝き、腰まで届く超ロングヘア。

瞳は赤く、漫画でしか見ないような大きなフチ無し丸眼鏡で彩られている。

1対の大きな羽根も銀に輝き、しかしこちらは赤く輝くシャギーが入っている。

 

 セラフィックアイドルにう……にうの元ネタは丹生で、水銀を表す。

神秘的で毒を持った天使……のような存在だ。

 

 銀色・銀糸を大量に使ったウェディングドレス風衣装という設定で、下手なりに原画だけ描いてプロに発注しようかな?と考えた所で、3年前。母の信じるカルト宗教との戦いが始まり、それ所ではなくなり。そのまま闇に葬られたかに見えたが……ここに復活した。ククク、黒歴史。

 

 そのオレの黒歴史を俺の記憶から掘り返し、この身体を実際に作ったのは時間城の主だが、かなりいい仕事してるな。これに関しては感謝しかない。

 

 さて、ここはもうメガテン・ペルソナ風異世界なんだよな。

周囲を見渡すと、キャラメイクを行っていたパソコンとパソコン台以外何もない。

パソコンの明かり以外は真っ暗な空間で、時間城の主もいない。もう観戦モードか?

まあ、延々アドバイザーじみてついて来られても困るだろうしそれはいい。

 

 立っている場所をよく見ると、大体1メートル間隔で緑のレーザーっぽいラインが引かれている。何だろう、パソコン黎明期のバーチャル空間、電脳空間的なイメージなのか?ああ、種族電霊だしバーチャル空間スタートなのかな。

 

 しかし何もない……いや、遠くに光点が見えるな。

 

「近くで一番大きな光点はあそこか……っと!?」

 

 光点を意識した瞬間、オレはその光点の場所にいた。ここにもパソコンがある。

稼働中で、商品名やら売り上げやらのデータをやり取りしているようだ。

 

 その商品名を見ると、どうやらオレの家の一番近くにある、農業系ホームセンターのデータサーバのようだ。結局、こちらの初期地点はオレの家……なのか?

 

 まあそれはすぐ調べるとして。へー、SDカードとかも売ってるのか。なるほどなー。

 

 来たはいいが、農業系ホームセンターに用はないので、次の光点を探す。

どうやら通信速度が移動速度になるようで、個人用PCやスマホの中には移動が「重い」ものも多く、大きな光点……多分公的機関か法人であろう場所を探す。

 

 とあるリサイクルショップのPCの中に入った時、なんかほとんどデータが見えなかったのでつい覗こうとちょっかいをかけたら、ワクチン:イイセットロボの群れに襲われてほうほうのていで逃げ出す事になった。すごいぞイイセットロボ。

 

 何でここだけ見えなくて、ここだけ電霊のオレに対する対抗策があったんだ?いや、因果関係が逆か。ここには電霊への対抗策があった、今までの場所にはなかった、そういうことだな。

 

 オレは初期地点に逃げ帰り、推定こちらのオレのパソコンを操作して、通常の形での人間っぽい情報収集を始めながら、思いを馳せる。

 

 あれだな、せっかくバーチャルな存在になったのに、何も分からんままなんとなくハッキングしてたらそうなるよな。オレがハッキングなんかとは無縁なニンゲンだった事はさておいて。

 

 この初期地点のパソコン、中身はリアル世界のオレのパソコンと9割がた同じだった。しかし、見過ごせない1割の違い、悪魔召喚プログラムは当然のようにあったし、大きく違うのは古い履歴書のデータと、時間城フォルダの中身。

 

 リアルのオレは三流私大を出て介護業界に滑り込み、あとはご覧の顛末だったが、

こちらのオレは高校を出てすぐ時間城に就職し、そこでアンティークカード部門担当として働いていた……ということになっているらしい。これあいつやってんな?どう見てもマジックカードですね……。

 

 いくつかの施設名が取引先として記され、メガテン・ペルソナ原作にはない『渋田海岸』という出張先、多分異界にも行っていたようで、アナライズログとしてゴーストやポルターガイストの名もあり、生体エナジー協会や聞いた事もない館の名前……おそらく邪教の館の名も出てくるので、デビルサマナーとして活動していたという『設定』は作られてるんだろうな。

 

 そこまで見て、次はお定まりの原作ユニークを探す検索である。

時間城はあっても、どうやら別にここはペルソナ2の珠閒瑠市というわけでもないらしい。

フツーにリアルのオレの最後にいた場所、祖父母の家のある田舎だ。

しばらく調べたが、その他原作っぽいユニークな地名や人名もぱっとみ見当たらない。まあこれは継続的に調べる必要があるかな。

 

 さて、パソコンの中をチラ見したら、次はネット上の自分探しだ。

ブックマークや専用ブラウザの中からログを漁って……ん?これは……?

 

 ネット掲示板系の専用ブラウザには、自分のログを「自分」と表示してくれるものがある。その「自分」の中に。

 

「オレは人間をやめるぞ、JOJOォォォォ!!!!!!!」

 

 と叫んだ書き込みがあった。えーと、これは「ごちゃん」の「ヴいチューバー」板の、「バ美肉する方法を考えるスレ」の書き込みですね。ククク……これもまた黒歴史。

 

 これが、パソコンの時計と照らし合わせると8時間前。どうやらこちらのオレはマジで悪魔的にバ美肉しちゃった系の人って事になるな。うわキツ。

 

 ごちゃんの書き込みだし、これからすぐ事件でも起こさない限り特定はされないだろうけど、興奮しすぎてDIO様宣言しちゃうとか駄目でしょ、色々と。

 

 他にも色々と書き込みを漁ると、どうやら新しいSNSにはあまり寄り付かず、「ごちゃん」や「つべ」や「ニコ」といった比較的古いところにずっと居ついていたようだ。まあ、オレはオレだったってことか。

 

 しかし……SNSではなかなか個人情報は出てこないな。まあオレはオレだし。ネットで特定されるのはタブーだからな。実際このごちゃんの書き込みもヒモ付いてたら危なかった。危ない危ない……。

 

 仕方ない、危ないかも知れんが、悪魔召喚プログラム関連のフォルダを開くとしよう。開いてすぐ分かったが、仲魔はいない。そうだよな、バ美肉して悪魔になるんだもんな。アナライズ機能でオレのステータスが再確認出来る。製作時のスペック通りだな。貧弱一般悪魔……電霊としての能力でどうにかならんかな?

 

 電霊としての能力って具体的に何だろう。ソウルハッカーズでは色々やってたけど、あれは多分高位の電霊なんだろうな。オレにはよく分からない。オレは感覚で電霊をやっている。

 

 仲魔以外も見ておくか。溜まってるマッカとマグネタイトが両方1万ほど。他にネット上で確認出来る現金やポイント類が数百万円分。しばらくは目立たないように隠れながら電霊としての力を試すと同時に、こちらのオレと今のオレとをきちんと繋げる……やりたくないけど、邪教の館くらいにはバ美肉カミングアウトするのは必須だと思う。

 

 憂鬱だ……いやオレ元々バ美肉おじさん予備軍だったけど、バ美肉おじさんがバ美肉兼悪魔転生してそれをカミングアウトしなきゃならないなんて。あ、実体化まで行けるのかも試さないとな。やらなきゃならない事は多いけど、自分で選んだ電霊美少女化だし、頑張るしかないか。

 




 だって人間をやめるならDIO様ごっこしたい……。


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ふえるオレとはじめての異界作成+掲示板回

 四天王は5人いるもの


 まず最初に、プログラムらしくオレ自身をコピー出来ないかと思い立ち、それを実行する。そして【化身】としてオレのコピーを作る事が出来た。もちろんオレが本体で、化身とはデータ共有を行い同期出来る。あまりに増やすのも何となく怖いので、今の所オレの他に化身4人で四天王。名前はイッチ、ニッチ、サッチ、ヨッチとした。

 

 データ容量次第で際限なく増えそうだからな、名前は単純明快。とにかくこれでデータ収集速度が段違いに加速、次の事が判明した。

 

・実体化はマグネタイト消費が増える。実体化の際に大きく消費し、その後の存在

 の維持マグネタイト消費も大きい。

 

・現状、バーチャル空間でのマグネタイト消費は無視出来るレベル。

 何もしなければほぼゼロ。

 

・コピーが「化身」となっているのは多分時間城の主の影響。いわゆる「分霊」設定

 とは微妙に違うらしい。 全員が2次的な本体の記憶と、セラフィックアイドルに

 うの一部でしかないという意識を共有していて、本体のオレは原作、原典、公式、

 運営であると思われてるらしい。

 

「原作とか言うな!二次創作ジャンルかお前らは!」

 

「そうだよ」

「二次創作だよ上等だオラ」

「当たり前だよなぁ?」

「公式は絶対。はっきりわかんだね」

 

 こ、こいつら……。オレのコピーだし仕方ない気もするが、オレを増やして果たして大丈夫なんだろうか?不安になって来た。

 

「ゼロッチファイト!」

 

「ゼロッチとか勝手に言うな!オレか?オレのことか?」

 

「ゼロッチはゼロッチだから」

「ゼロナンバーはロマン」

「これで仲間……いや、仲魔だね……(暗黒微笑)」

「黒歴史と共に生きていく覚悟」

 

 あーもうむちゃくちゃだよ!とりあえずこいつらを、セラフィックアイドル四天王として色々使ってみようと思って作ったけど、どうすっかな、こいつら。

 

「とりあえず、イッチはオレの近くでオレの補佐と代行、ついでに影武者的な役も頼む」

 

「ほう……影武者でござるか……」

 

「いや言葉遣いは普通でいいから」

 

 せっかくバ美肉したからには配信もしたいし、でもメガテン系の悪魔として配信で生きていけるとは思わないので、このオレ入れたら5人いる四天王で最初から役割分担して、その中で配信を回してそれぞれ休みを取っていく予定だ。もちろん増やせるならもっともっと化身を増やしていく。

 

 ゼロとイチはどちらが主体なのか分かりづらく、万が一、悪魔的な意味で命の危険が迫っても、最後の最後でどちらを狙っていいのか迷う……そんな小知恵もあるが、そんな機会は訪れないことを願う。

 

「ニッチはネット上でリアル世界と違う部分の捜索と、データ収集を引き続いてやってくれ。入れなかったり見えないところは、無理に行かなくていい。あと、こちらのオレのアカウントの他に、セラフィックアイドルにうの情報を発信するためにアカウントの取得と、公式サイト開設のための調査や準備も頼む」

 

「ハイハーイ」

 

「サッチは実体化関連の実験と、リアル……こちらの世界での実体の世界、当面はオレの部屋、オレの家のリアルと違う部分の調査を頼む。家の外には出ずに、窓にもあまり近寄らないように。今のオレらはセラフィックアイドルにうであって、サマナーのオッサンじゃないからな」

 

「そうだった」

「うっかりしてた」

「まる出しするところだった……」

「ゼロッチさすが頭いいな!」

 

 本当に大丈夫かな……。

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 新世界スレッド part169

 

260:京葉メシアン 02:33

だから世界は書き換えられたんだって!

ソースは神託

 

261:名無しの人間 02:35

>260

嘘乙

 

262:名無しの人間 02:35

>260

メシア脳乙

 

263:名無しの人間 02:37

>260

ネゴトワ=ネティェ(1999~1999)

 

264:京葉メシアン 02:38

お前らだって現状おかしいのは分かってるだろ?

明らかに悪魔のレベルが高すぎるじゃん!

なのに許容量越えた異界ですが維持管理してくださいって

特殊事例多すぎるし!

 

265:名無しの人間 02:40

>264

現実がつらいのはよく分かるが、それでも俺らは

高レベル悪魔に土下座してでも生き延びるしかないんだ

 

266:名無しの人間 02:42

>264

協力的な悪魔が多いのはいいことでは?

 

267:京葉メシアン 02:45

神託で許可というか推奨されたから言うけど

うちの市内で天罰持ちドミニオンが徘徊する異界が5つあって

ロウ属性天罰無効の上級メシアンが市内と周辺地域に俺しかいないから

全部俺が管理してるんだぞ?攻略とか破壊じゃなくて管理だぞ?

 

268:名無しの人間 02:47

>267

えっ何それは……?

 

269:名無しの人間 02:48

>267

いや異界情報漏らしたらアカンだろ……って神託マジなの?

 

270:名無しの人間 02:50

>267

実際天使系の異界多いよな。いつからこんな状況だったっけ

 

271:名無しの人間 02:52

>270

戦後GHQが日本の悪魔業界に手を突っ込んで天使放流

→徐々に日本の神仏その他に置き換わるって流れだったはずだけど……

あれ?いつから天使が?

 

272:名無しの人間 02:53

やっぱメシアンはこっそり勢力拡大してたんだな

これだからメシアンは

 

273:京葉メシアン 02:55

だから世界が書き換えられたって言ってんだろ!

明かに管理出来るキャパ越えてんだから!

もう野良でもガイアでもいいからいくつか奪ってくれ

歓迎するとは言えんけど黙認するから

 

274:名無しの人間 02:59

でも今のガイア祭りなんだよなぁ……

なんか上級幹部と取り巻きが独占してた技術が

大嘘のハッタリだったのがばれてヒャッハー祭りだって

 

275:名無しの人間 03:03

自称ガーディアン使いはひどい事件でしたね……

異世界の植民地化に成功したってのもあったな

ただの頭ガイアだったのがばれたけど

 

276:名無しの人間 03:05

フリーは低レベルしかいねえし政府系は悪魔っつーか

宗教にすら触れたがらんから

元名家のボランティアにかなり頼ってる始末だし

悪魔メインの裏の裏組織に頼るのは論外だし

あれ?メシアンのデスマーチに頼るしかなくね?

 

277:名無しの人間 03:07

そんな……メシアンが悪魔業界を支えてるなんて信じられん

何かの間違いじゃ?

 

278:京葉メシアン 03:10

(支えたく)ないです

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

「ヨッチはニッチとサッチからの送受信、何かあったらオレたち、ゼロッチとイッチに伝えてくれ。あとこのパソコンのセキュリティもな」

 

「かしこまりっ!」

 

 とりあえず指示は出した。あとは結果待ちかな?うちのパソコン最新式ってわけでもないし、電霊が動いたらどれだけ負荷がかかるのか分からないのは不安ではある。いやー買った時は最新式だったんだけどなー。収入が安定したら新しいパソコンでも買うかな。

 

 オレとイッチは何もしないのも何なので、2人のイメージ画像でも撮影しておく事にした。最初から複数人体制ですよってことをガンガンアピっておくために、積極的に2人で撮影。若干ゃ百合営業っぽい感じだが、こういうのは営業ぐらいの按配が丁度いいだろう。

 

 とりあえず拾った背景画像のネタが尽きたあたりで撮影を切り上げる。

 

「うーん美しい」

「流石だよなオレら」

 

 とりあえず撮影した画像はニッチの作業フォルダの中に突っ込んでおく。てきとーに使うだろう。あとはそうだな、本格的なのが作れるかは分からんが、このパソコンのデータ内にオレらのたまり場空間的なものを作ってみたい。いつまでもこの古典バーチャル空間だと落ち着かないしな。拠点製作要素のあるゲームとか参考に作れないかな?ただのおっさんだったらそんなの無理だけど、電霊ならちょいっと作れそうだよね。

 

 しばらく色々調べつつ試してみたところ、どうやらこのパソコンで稼動実績のあるゲームのデータを参考にして、ごく小規模な電脳異界をデータ上に作成出来そうだ、ということになった。

 

 いやはっきり理論立って分かったわけじゃないけど、電霊というか悪魔的な感覚でマグネタイト使えば異界作れそうだし、そのマグネタイトは元サマナーという設定により1万くらい確保されている。

 

「やらないという選択肢はないやろ?」

「ないなぁ……」

 

 残念ながら、データと所有権を完全に運営サーバ側で保持している、ソシャゲネトゲのデータは活用出来なかった。こういう系統のゲームが活用出来ればかなり充実した拠点に出来たのに、出来ないから仕方ない、ある程度諦めるしかない。

 

 パソコン内部のゲームデータを探し、拠点を持ててそれを異界に流用出来るゲームとして『太閤』を選ぶ。城主以上の城拠点は今は無理そうだが、浪人の初期拠点なら今すぐ作れる。というかほとんどノーコストで作れた。

 

 一応戦国時代の家具一式もあって、暮らせる事は暮らせる。ただサッチが色々試した所、パソコンのような高度な技術の品を持ち込むのは難しい、正確には多大すぎるコストがかかってしまいそうだとのこと。元にしたのが戦国時代題材のゲームだからか?

 

 マグネタイトで包み込んで無理やり持ってくれば通りそうだったけど、維持にもコストかかりそうなので保留。そういう高度な技術の仕事はバーチャル空間でやればいいしな。

 

 オレがもうちょっとパソコンでゲームやりこむ人間だったら、拠点もSF拠点とかに出来て不自由しなかったんだろうけどなー。他にもゲームデータはあったけど、かなりやり込んだゲームじゃないと異界にはしにくいっぽいんだよな。

 

 太閤は数百時間、全作合わせたら千時間はやりこんだゲームだから、これ基準だとすると新しくインスタントにゲームやって異界作るのも現実的じゃない。

 

 などと色々考えながら、イッチと共に囲炉裏をかこんでお湯を沸かしてみる。うん、煙が出るし時間かかるし火打ち石なんて初めてだったけど、ネットで調べて何とか沸かして白湯で飲んでみる。

 

 ただのお湯の味だけど、今まで色々ありすぎてあわただしかったのがようやく、ようやく一息だけつけたような気がしないでもない。板の間の一軒家とちょっとした庭と畑、井戸に柿の木。

 

 その外は無限に広がるサイバー空間だけど、ようやくセラフィックアイドルにうの異界、悪魔としてのオレの家が作れた感じがする。

 

 ボスはオレか?ボスにしてはレベルが低いっつーかレベル1だが。

 

「マグネタイト大量に持ってるからかな、フツーの悪魔がここまで溜め込んだら、レベルアップに使うか変異や進化する気がするけど、俺らはフツーじゃないし」

 

 あそっか、オレが元人間で、マグネタイトの使い方もまだ慣れてないからこんな事になってんのか。マグネタイトの使い方使い方……どうすりゃいいんだろうなぁ?

 

 




 勝手に名前が決まる主人公がいるらしい


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時間城のなかまたち!

 サマナー=アームターミナルの世代


 一旦太閤異界から出て、悪魔召喚プログラムを詳しく見る。今はニッチが使ってるけど、ニッチの操作と同時にオレが電霊的に操作出来ないかも試すとしよう。

 

 細かい細かい電磁干渉を繋いで行けば同時に操作出来そうだな。モニターに映像を出力する手間は要らない、作業領域でコネコネやってる感じはちょっと、人間では理解不能な感覚だったかも知れない。

 

 ええと、何々……プログラム上のサマナーはまだオレで、仲魔なし。悪魔交渉のTALKでサマナーのオレが、悪魔のオレにマグネタイトを渡して……うん、意味なかった。減った分が帰って来てプラマイゼロになっただけ。

 

 何かアプリでも入ってねえかなと、悪魔召喚プログラムの説明書を見たり、フォルダを漁ったりしてみたが、特に役立ちそうなものはなかった。

 

「時間城ファイルの方はどうかな」

 

 まあ一応サマナーとして活動してたっぽいから、何かの手がかりくらいはあるかな。しばらく時間城ファイルの中を探して、『候補』と書かれた文書ファイルに2人の名前と連絡先があった。候補ってなんだ。ん?追伸があるな。

 

《これを見ているということは記憶を失ったか、完全に悪魔と化したか。

どちらでもいい、生まれ変わるのに比べれば些細な事だ。悪魔と化す以上、

サマナーを殺して成り代わってる悪魔ではなく、間違いなくサマナー本人

であるという証明、あるいはサマナーの意思を継いだ悪魔、または誰か

サマナーの仲魔であるという証明が必要になる。手っ取り早いのは誰かの

仲魔になることだが、誰でもいいというわけじゃない。そこでこの2人だ。

この2人にはバ美肉計画を話し、どうなるにせよよろしく頼んである。

時間城の裏の同僚として共に戦った仲間の後輩で俺の弟子、まだ高校を出た

ばかりだが、信頼は出来る。俺もこのくらいの子供がいてもおかしくない

年で、その同僚のように死んでいてもおかしくはなかったんだよな……》

 

 

 ……結構長いからあとは要約すると、一人目は標準的……標準的な?アームターミナル使いのサマナーで名前は……?

 

『宇佐野 美々加/ウサノ ミミカ』

 

 今は寂れた無人状態の烏兎神社の後継者でもあるらしい。

 

 

 2人目はペルソナ使い、ワイルドでワイルドな前衛志向。

 

『末吉 為軽/スエヨシ スガル』

 

 まだこの業界に入ったばかりでペルソナも目覚めたてだが、ワイルドの上に戦闘センスがあるワイルドな奴なので強くなるだろう。

 

 この2人と協力して生きていって欲しい。だと。

 

 ん?続きがあるな。

 

 

 

 ―追伸の追伸―

 

《と、いうのがお前に用意した初期のカバーストーリーだ。

こちらの世界のお前達に当たる人間は、実は既に悪魔にやられて

存在しなかったが、今は彼の神の天罰により全てが足りない状況

なので、全てを新しく組み替えてねじ込んだ。宇佐野と末吉もお前

と同じく時間城の一員にしてあり、またバ美肉……いや人間

だからただの性転換転生になるか、それを行った同類でもある。

せいぜい仲良くすることだ。この世界で力をつけ、事態の主導権を

握れるほど強くなってくれるのを期待するが、別に何もせずに潜み

暮らして討伐者に怯え暮らしていてもいいぞ?約束された無様な

敗北もそれはそれで良いものだからな。 時間城の主》

 

 クソが!そりゃ何の力もなければ、ただの人間だったら楽な方に流れる可能性もあっただろうけどな、勢いか趣味か自分でも分からんけど俺は自ら電霊、悪魔となる事を選んだんだ。

 

 バトルジャンキーみたいに即異界に突撃!なんて事はしないけど、ちゃんと仲間を揃えて一緒に強くなろう、的な努力位はしてやるよ。まずはこの2人、初期仲間候補にコンタクトをとる事からだな。

 

よし、行くぞ。とりあえず、2人のメールアドレスが記されていたので、そこから手をつけてみよう。文面は……オレが電霊で、異世界転生者で、時間城の同僚という設定もある……事までは正直に記してもいいだろう。どうせあちらにも時間城の主経由でこの程度の情報は漏れるだろうし。

 

 ん?もう返信が来たか。早いな。

 

《大体把握した。時間城で待つ》

 

 となると、すぐに乗り込んで大丈夫かな?時間城の端末からでいいか?新しい化身、ゴッチを作って向かわせよう。多分大丈夫な気がするけどね。

 

 ゴッチを改めて見ると、やはり新しいオレはやはり美少女だな……。

 

 ニッチ・サッチの情報収集や調査とあわせて、これ以上何かすると情報過多になりそうな気がするので、イッチ・ヨッチと共にちょっと休憩にする。

 

 ゲームフォルダを漁って、昔遊んだトーホーヒソーテンソクで対戦。コントローラーやキーボードじゃなくて、直接命令処理してる感覚なので大変だったが、対戦相手もオレも当然ながら同レベルのオレなのでとても楽しい対戦になった。やはりこういうのは同レベルでやりあうのが一番楽しいよな。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 そうこうしているうちに、まずサッチが実体化で色々試して帰ってきた。

 

 SFっぽくモニターや画像、テキストで語るだけなら消費はほぼゼロ。ようは現実にある端末の機能を利用してるだけなら、悪魔的に超常現象を起こした時のような消費はしないってことだ。

 

 ロボットアームとかあればそのまま使えそうだが、当然俺はそんなもの持ってないし入手方法も分からなかった。ああ、そういうマシンの敵が出たら干渉出来るか?それは実際出会ってからか。

 

 そして本命の悪魔としての実体化だが、普通の人には見えない、ポルターガイスト的に物理の世界に干渉出来る、霊体を形成するのが一番楽っぽい。

 

 一般人に姿を見せるだけならモニター越しにいくらでも姿を見せられるし、これがオレの基本形になりそうだな。

 

 そして本人の実体を持った具現化は、結構な勢いでマグネタイトを消費したので断念したらしい。まあ妥当か。時間城の主も霊体の悪魔云々って言ってたし、実体化の才能はそんなにないのかもしれない。

 

 確認を終え、サッチも加えて今度は三国志マルチ対戦の準備を始める。全員が弱小君主を選び、登録武将マシマシで強化に走る。流石オレ考える事は同じか。ニッチ用の君主も確保してゲームスタートし、一応セーブした所でニッチもやって来る。

 

 通常のブックマークやデータからは目新しい異常は見つからなかったので、履歴を漁ってどうにか怪しいサイトを見つけ出したらしい。DDS.com、悪魔業界御用達の会員制サイトで、当然元のオレも会員だったが、写真登録もあるので今のオレがホイホイオフに出向いたりは出来ない。

 

 掲示板で話し合ったりもしてるのだが、悪魔狩り系の掲示板でそういう身元不詳悪魔を狩ってる報告もあった。怖っ!

 

 サマナーに従う仲魔なら会員登録も出来るようで、動画配信サービスもあるから、ここでそういう活動するのもいいかもしれない。

 

 逆に言えば、一般の動画サイトで悪魔のオレが配信したら危険だったかも。ちょっと無警戒だったな、危ない危ない……。

 

 結局この世界で悪魔として生きていくには、特に弱いうちはサマナーと一緒に頑張るのが一番だよな。1人独立勢力みたいなくそつよ悪魔になれるまではさ。うんうん。

 

 時間城のサマナー達がいいやつだといいな。

 

 再スタートした三国志で、オレが勝手に作ったゴッチ勢力を動かして捜索に向かわせたところで、ゴッチが帰ってきた。

 

 例の2人、ミミカとスガルは、元々の「設定」もあるが既に組んでいて、こちらが電霊、悪魔転生を選んだと分かるとものすごく驚いたようだ。そんなに変かな?

 

 そしてゴッチが化身である事を告げると、本体であるオレを仲魔にしたいと交渉されたらしい。ですよね。

 

 オレ、本体である「ゼロッチ」以外の化身は、一見外見も中身も見分けがつかないが、オレと同類である転生者に限っては大きすぎる差異がある。

 

 それは、化身達は実際にリアル世界で生きた経験がなく、この世界で生まれた悪魔であること。オレが電霊的に同期し情報を共有することで同一性は保たれるだろうが、それをせず放置したらだんだん悪魔寄りに変わるのは間違いない。

 

 今は大丈夫だが、大量に増やすとなったら、システム的なものを考える必要があるだろうな。

 

「仕方ない、オレが行くか。本当は本体ヒッキーで、化身で稼ぎたかっんだけどな。とりあえずイッチはついて来て。太閤拠点は……ヨッチ、代行を頼む。皆1日1回は同期して、オレの指示があったら従うこと。それ以外は好きにしてていいぞ。情報処理と整理はニッチ。サッチは実体化・霊体化で、こっちの世界のオレん家を捜索して。特に業界関連のものを頼む。ゴッチはそれの補佐。頼むぞ」

 

 それだけ言い残し、オレはゴッチから伝えられたアドレスに向かう。移動は一瞬だ。あっという間に、宇佐野美々加……サマナーのアームターミナルにたどり着いたのだった。

 




 メガテン悪魔転生はそのまぁ……うん。そのね。


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美少女受肉三人娘 ※前半ミミカ・スガル視点

 性癖をこじらせた3人が、メガテン・ペルソナごった煮世界で出会った。


 宇佐野 美々加はデビルサマナーである。彼女……元彼もまた、オカルトの犠牲となってこちらの世界に降り立った。

 

「それで……今のどう思う?」

 

「いやー、マジかよって感じ?自分で悪魔を選ぶとかさぁ……」

 

 答えるのは、末吉 為軽。マリンブルーの髪を、アニメやゲームでしか見ないようなカットで、ショートカットに切りそろえつつ、後ろに一房だけ長大に伸ばした髪をお下げにまとめた彼女は、これまた少々非現実的に大きなヒスイ色の目を開いて驚きをあらわにした。

 

 一言で言えば新しい方のペルソナ風の、派手な容姿をした美少女。眼鏡だってかけている。これまたアニメチックに大きい、赤ブチの巨大丸眼鏡。もちろん彼女……元彼も同じく、世界ごと終わりを迎えた所を時間城の主に拾われ、こうなった転生者である。

 

「まあ、正直そうだね、かなり思い切ったなーって思うけど」

 

 肩にかからない程度に切り揃えた黒髪を無理やりまとめて上げたコスプレじみたツインテールをいじりながら、今時どこに売ってるのか分からないくらいダサい、何も考えてない四角い黒縁眼鏡の位置を直すという高度なくせを披露しつつ、宇佐野 美々加は、セラフィックアイドルにうと名乗った気ちが……いや、変わり者のことを思い出した。

 

「バーチャル美少女になりたいだったら分かるよ?でもそうなって即日で悪魔に適応して、自分を増やす化身だっけ?それを5体も作るなんてのはスガルには分からん。お前はどう思うんだ?ミミカ」

 

 そう言ったスガルの姿は、スク水であった。今は趣味的なアレとなってしまった、露出度の高いスクール水着。これはスガルが初期設定として所持していた初期装備であり、ペルソナ使いとしては問題ない、むしろこれ後半装備でかなり強いとは本人談である。きっちり胸には名前を書く白い部分がある。当たり前だよなぁ?

 

「若干尖りすぎな気はするけど、いろんな意味で同志だし、メガテンペルソナ的な意味で悪い事にはならないとは思った」

 

「性癖的な意味では?一緒に配信しようとか言い出さないか?」

 

「それはしそう」

「だよな?」

 

 若干の不安を抱えたところで、アームターミナルに通信が入る。

 

「来たか」

「とりあえず直接話しましょう……っと」

 

 

 

………………………………

 

 

 

 結論から言うと交渉は成功した。

 

「君も配信しようよ!」

 

 という要求は断固拒否したが、とりあえず本体の「ゼロッチ」と、化身の「イッチ」が仲魔になった。ゼロッチが設定で持ってたものはもちろんそのままゼロッチのものだが、装備品の類は私達がもらう事になった。こちらも設定上の初期装備はあるのでそこまで劇的に変わるもんじゃないが、店売りの消耗品アイテムの在庫が増えたのが一番助かる。

 

 そして何より、電霊って凄すぎる。転生してから今まで分かっただけでも、オカルトセキュリティとプログラムセキュリティの両方ないと侵入を防げないのがまず一つ。

 

 実体化が可能で、その際に霊体と実体が選べるのも一つ。

 

 小さなもので電子データ上とはいえ、ゲームデータを参考に異界を作れるというのも一つ。

 

 移動速度は当然のように通信速度依存、そこらのスマホからでも、通信速度イコールというトンデモ速度で移動できるというのも一つ。

 

AIのような挙動も出来て、自動的に情報収集したり端末に常駐したりと、プログラムみたいに動いても問題ないのも一つ。

 

 便利すぎるし適応しすぎている。正直私達、ミミカとスガルは自分の能力をまだ試してないんだよね。異界に行かないと試す機会ないのに、初心者向け異界の情報がなかったから。にうちゃんが情報収集向けの電霊を選んでくれて助かったよ。

 

「情報によると、渋田海岸とか良さそうだな。夜は危ないけど昼行けばいいし」

 

 にうちゃん……ニッチさんの調べた情報が続々入ってくる。

私のア-ムターミナルの内部情報も並列して調べてくれている。

 

 情報によると、渋田海岸……渋田海水浴場と隣接する松林は、南北5キロに及ぶ砂浜で北の端には潟湖があり、そのまた北側は同じような松林の玉前海岸に繋がっている。

 

 夜間は出現悪魔が変わって、潟湖を中心に溺死者の霊「デプスLV15」が出てくるので注意。

異界の中心はその潟湖、そこから松林の中を南にのびて、南端の波切り不動が出入り口になる。

 

 昼の通常出てくる悪魔はポルターガイスト、ゴースト、ピンクルーパーにマッドスラッグ、グリーンスライム。

 

「後半のはモノノケだっけ?いや外道って書いてあるな。メガテンでも古いのが出てきたか」

 

 この中ではゴーストは作品によってはムド使って来た強いのもいたな、ペルソナ1だったかな。まあそいつはレベル8だし、この情報の表記はレベル3~4なので特に強いのはいないだろう。後はポルターガイストの魔法も要注意かな。外道の軟体動物はレベル1か2、特殊な攻撃もしてこないみたいだ。

 

 仲間はサマナーの私とワイルドのペルソナ使いのスガル、ゼロッチ・イッチの電霊コンビ、ただしスキルは休む、挑発で運特化。

 

「行けそうだな、行くか?行っちゃうか?」

 

「やらいでか!」

 

 こうして私達は、今日はもう遅いから明日の朝から、初めての異界……渋田海岸松林に行く事になったのだ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「たでーま」

 

 なつかし……いやそうでもないが一旦オレの家のCOMPに帰って来た。

 

「あっ帰って来た」

「どうだった?ウスイ本だった?」

「オレは王道を行く、悪魔わからセがいいですね」

「そんな王道はない」

 

 全く……メガテンはそういうゲームじゃないから!いや二次創作だとわりとあるけど。

 

「そんなことより、そっちはどうだった?」

 

 ニッチの情報収集と、サッチゴッチの調査活動。これにより、こちらの世界の様子が判明した。初期地点のCOMPの周りにあるのはやはりオレの現住所と同じ、祖父母の家の離れだ。

 

 本宅の方にはちゃんと祖父母が暮らしてる様子はあるが、今は留守。どうにも起こった出来事が少しずつずれていて、リアルではただのカルト宗教との戦いだったものが、こちらではちゃんとした?悪魔事件になっていて、元凶の悪魔の一体を討伐したら政府系の腐ったダークサマナーに濡れ衣を着せられて、両親は遠方に退避してもらい、元デビルバスターの祖父母と時間城にかくまわれて……という事になっているらしい。

 

 こっちのオレは大学進学も一般就職もしてないし、この街から動いた形跡は無いということになっている。

 

 まあ、悪魔の実在する世界だし、天罰もあったし、カミサマがつじつま合わせに頑張ったんだろうなぁってのは伝わってくる。

 

 その後オレはその腐ったダークサマナーを見事討ち果たして濡れ衣を果たしたはいいが、わき目も振らず戦っていたのでいい年して独身。弟子をとった所でふと寂しさを感じ、結婚……の方向へは行かず、バ美肉に目覚めた。

 

「これがバ美肉おじさんの物語ですか……」

「リアルはクソ、はっきりわかんだね」

「オレ、かわいい」「もう毎秒バ美肉したい」

 

 普通の人ならいやいやおかしいだろって突っ込み入れるんだろうけどな。共感しかないんだよなぁ……。んで、時間城の主情報はまだある。『太閤』のゲーム内の新武将列伝の中に隠してあった情報によると、その腐ったダークサマナーというのが元凶のうちの1人だという。

 

 『六地蔵法輪』の真実が分かった所でそれを隠蔽し、見なかった事にして使い続け、ガイアとの取引でリアルのオレのような強制ガーディアン・リアルの技術を得て、新人に使わせて高い新人育成能力で評価を上げて、メシアとも協力してリアル世界神霊召喚への政府系機関内部の動きを妨害した。

 

 表向きはコネが多く中道で誰からも好かれる人格者、悪魔業界の交渉に良く通じ新人育成に長けた有力者。

 

「おい、こいつから殺せばいいのか?」

「もう消えてるんだよなぁ……」

 

 当然ながらこいつは元オレサマナーに倒されて、邪教の館経由でR18Gな目にあった上に、既に全知全能の神の天罰によって存在を消され、オレ達のような転生者を受け入れるカバーストーリー作成素材として、また悪魔業界の歴史的存在としてだけ記録されている。

 

 一連の事件、今こちらの世界では生き残りのメシアンが神託を受け取って、広報に勤めているようだがあまり信用されていないという状況だ。そらそうよね。

 

 ただ、無限にこのまま時間が稼げるというものでもないだろう。

 

「いつものメガテン来る~?」「唯一神のお掃除済みだからワンチャン?」

「何にせよ、レベル1じゃどうしようもない」

 

 明日からの稼ぎは、セーフティにかつ急がないといかんな。

 




 ペルソナ1は魔境……。


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第1章 初心者電霊の異界稼ぎ
異様な格好をした三人が松林をうろつく事案


 アレな装備類は初期ガチャ産


 明日のためにその1。

今は出来るだけ電霊の基礎スペックを確認しなきゃならない。

他でもないオレ達自身のために。

 

「サッチ、そのへんどうだった?何か悪さ出来そうな感じあった?」

「ありますねぇ!」

 

● 物品を実体化させる座標は任意で指定出来る。

 生き物は当然として、物の中にも直では出せないが、これを応用してサッチは「スウィートトラップ」のスキルを身につけた。

 これは凄いと思って同期したらオレ達もあっさり取得出来た。

 色々なものを相手に落とせる。さすが電霊!やったぜ。

 

● 逆にモノをデータ化するのは悪魔召喚プログラムを介してじゃないときつい。

 だがプログラムに既に登録されてるアイテムならデータ化・実体化も自由自在。

 具体的にどうやってるのかは分からない。オレ達は感覚で電霊をやっている。

 新しく登録するのは時間も労力もかかってちょっと手間。

 悪魔召喚プログラムの仕様めんどくさい、でもやらんとな。

 

● アイテムだけじゃなくて装備品も出し入れできた!

 でも登録されてるのはもう使わない元オレの装備品だけの模様。

 ミミカとスガルの装備くらいは後で登録しておかないとな……。

 どのくらい登録の手間がかかるのかは実は不明。

 何か楽できるといいんだけど。

 

● 回復アイテムとかは結構在庫があった。状態異常回復アイテムは最低限か?

 種類多いしな。でもメジャーな状態異常回復アイテムならあるにはある。

 結構凄いと思う。さすがオレ抜かりないな。

 

● 悪魔召喚プログラムの種族に「メシア教徒」「ガイア教徒」があったので、狂信者ともなれば人も入れるんだーと思いました。怖い怖い。

 人をサイバー空間に入れるのはちょっと……。

 なんかペルソナ4っぽいしマジで怖いので個人的に禁じ手にしておく。

 

● 電霊であるオレ達は当然出入り自由、座標指定して出るのも自由。

 回線もしくは電気や導体の繋がったとこならどこでも行ける。

 つまり現代だとマジでどこでも行けるってことだな。

 

 実体化とか何とかその他諸々のことは大体わかった。

これを受けて、明日の異界探索とオレ的なやり方を決めることにしよう。

 

 明日の異界探索では、悪魔召喚プログラムにくっついてた各種機能、エネミーソナーやオートマッピング機能を利用してナビゲート。インストールソフトの類もちょっとある。

戦闘になったらアイテム係、時折スウィートトラップでふいうち、という流れで行こうと思う。

きずぐすりやませきは結構あるからそこは安心出来る。

 

 もしスウィートトラップが身についてなかったら危なかった。

第一印象は大事だからな、電霊のくせにアイテム係じゃがっかりさせるかもだからな。

 

「こんなこともあろうかと!」「やはり下準備は全てを解決する……」

「サッチGJ」「流石だよなオレら」

 

 まあ、とりあえず明日はこれで乗り切るとして。

 

「ミミカとスガルについては……どう思う?」

「自分が一番まともだと思ってる変態とわが道を行く変態」

「普段着にスク水はヤバい」

「(メガテン・ペルソナ風世界で眼鏡っ娘を選ぶとか3人共正気とは思え)ないです」

「だが、それがいい!」

 

 いやオレもバトルありの難易度高め世界で眼鏡はきついかとは一瞬思ったけどさ。

 

「でも眼鏡三倍段じゃん!」

 

 眼鏡三倍段。眼鏡を極めし者は、3倍の実力がなければ上回る事は出来ないのだ。

 

「3倍なら仕方ないな……」「何という正論」「然り然り」

 

 ……その後。揃いも揃ってオタ談義に花を咲かせたオレ達は、そのまま日の出時刻を迎えるのだった。いや、全く眠くならなかった。

オレ達もう人間じゃなくて電霊なんだなってしみじみ思った。

 

 あと数時間で約束した集合時刻だ。

オレとイッチはミミカのアームターミナルに移動しとかないとな。

 

 その後ちょっとナロー小説等を読んで、リアル世界と同じだなーなどと確認しているうちに集合時間となった。オレとイッチはミミカのアームターミナルに移動して出番を待つ。

 

 ミミカとスガルが装備を整えて渋田海岸へ出発したのは、少し時間が経ってからだった。

 

 通り道にある「スーパーふえんじ」で、お昼の弁当を買って行く。

荷物持ちはオレ。そっすね。車から出たらリュック背負いますよ!

安物ででかさと頑丈さがとりえのクソダサリュックを背負うオレ。

やだクソダサオタクの本能目覚めちゃう……。

 

 オタクはクソダサ実用リュックを背負って狩りに出かけるのだ!

 

 弁当食うかって言われたけどオレは断った。

電霊になってからは全く腹が減らないのだ。

一度試しにオレの家にあった登録アイテムの「白桃の実」を実空間とCOMP内で食べ比べてみたが、一応食べた感覚もあり味もあり、満腹感までは得られた。

 

 そしてCOMP内では白桃の実の個別詳細データが記録された。

まあ、電霊だからなって感じだ。なんかデータ見てるねぇ!(他人事)

 

 満腹感の先、何と言うかあー栄養行き渡ってるなー、って感じがあったのは、色々機器をいじってて電力に触れた時と、初期地点のデスクトップCOMPに溜めてあったマグネタイトをどうにかしようと色々いじった時。

 

 どちらもオレを直接強化出来そうな気はしたが、電力は電気代が怖いしマグネタイトの貯蔵もそこまでない。今の所は保留にして、今日どれだけ稼げるか様子見する事にしよう。稼げるようになったら両方使って……いや、そうなったらもうレベル上がってるか?どうすっかな。

 

 やっぱ保留で、保留!

 

「何買ったの?スガルはカツ丼なんだけど」

 

「ここはノリ弁こそ至高なんだよなぁ……ノリ弁のくせに、から揚げにオムレツにウインナーにキンピラにポテトサラダに、それに分量も大量についてるんだよ?」

 

「あ、ホントだ。へー」

 

 渋田海岸へ向かうシルバーの軽自動車の中、オレは節電のためにアームターミナルと一緒にスリープモードだ。いや、スリープモードって言っても、寝起きにまどろんでる時ぐらいに声は聞こえるし、頑張れば受け答え位は出来るけどね。

 

 このアームターミナルだと流石にオレのデスクトップ型COMP程の性能はないから、「太閤」みたいな大きさの異界は作れないし、今は例によって真っ黒サイバー空間に休憩用の椅子とテーブルがいくつかあるだけって感じだ。後でこのアームターミナルにも居心地のいい異界作りたいな。いつになるかは知らん。

 

 ギリギリ時期外れでがらがらの海水浴場の駐車場に車を駐めて、オレ達はついに目的の異界入り口、渋田海岸へとたどりつく。

 

 海水浴場の公衆トイレ、時期外れでもキチンと清掃されて奇麗なそこを借りて、ミミカとスガルは戦闘装備に着替えた。

 

 

 

………………………………

 

 

 

           初期装備

 

 

    宇佐野 美々加    末吉 為軽

 

  剣:アタックナイフ    ギロチンアクス

 

  銃:ナンブ2       ナンブ2

 

  弾:つうじょうだん    つうじょうだん

 

  頭:アイアンバニー    鋼鉄の花飾り

 

  体:ハイレグアーマー   スクール水着(スガル)

 

  腕:レザーグラブ     アームガード

 

  足:ダンシングヒール   完全靴

 

装飾品:お守り        翼のストラップ

 

 

 

………………………………

 

 

 

 スガルがスク水の斧戦士と化し、ミミカがハイレグアーマーバニーで身を固めて、いざ異界突入である。

 

「お前らそれでいいのか……?」

 

 オレはもちろんセラフィックアイドルにうの姿で、霊体悪魔のナビ兼荷物持ちとして漂っている。イッチはアームターミナル内でサポートメインに回ってもらうことにした。その方がいいだろう。

 

 ……何だこの変な美少女集団は!?

いや今更過ぎるけどオレ達すげえな、主に性癖が。

反省するつもりは全くないが。

 

 残念ながらミミカの初期仲魔などという甘えたものは居なくて仲魔は他にいないが、インストールソフトに「ダーク・マン」があり、このダーク悪魔だらけの異界でも仲魔が出来るかも知れない。

 

 まあ、ゴーストやポルターガイストを仲魔にしてどうすんだって気もしないでもないが。さて、行くかぁ!

 

 




 リュックは遠征時の必須装備


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異界:第1回渋田海岸 ※リザルト表示あり

 多分5月か6月くらい?寒くはない


 意気込んで異界に足を踏み入れたしばらく後、はるか北と思われる方向の空に小さな赤い炎の玉が見えた。

 

「これは……攻撃系スキルか、アイテムか?」

 

「どうも潟湖のあたりに同業者がいるっぽいな」

 

「どうする?会っておくか?」

 

 偶然なのかそれとも、目をつけられてる?いや流石にそれは考えづらいか。

あとは異界は思ったより込み合っててこれが通常営業とか?

だったらこんなことで躊躇してはいられないが。

 

「いや、オレ達は予定通りに稼ごう。何となくそれでいい気がする」

 

 数分話し合ったが、結局アナライズデータの「運」を参考に、それが最も高いオレの意見を採用して予定通り行動する事になった。

運のステータスが実際どうなってるのかは知らんが、リアル世界でお祈りするよりはマシな結果になるだろう、多分。

 

 午前中の砂浜付近、砂地の松林の中をうろつく、派手派手なハイレグアーマーバニーとスク水と銀糸ドレスの霊体。

しかも3人とも眼鏡っ娘。……何か思ってたメガテンと違う。

けどハイレグアーマーバニーもスク水も、これで下手な鎧兜より堅いってんだから分からんもんだ。

 

 重ね着しようとしてアナライズチェックしたら弱くなったので、多分アレだな、スケベ心満載の神々の遊びかなんかだなこれは。

そんな気がする。

 

「思ったより悪魔出ないね」

 

「エネミーソナーは赤黄緑3色でばっちり出てるんだけどなぁ……」

 

 どうやら昼間ってこともあって、弱いだけでなく出現頻度も低くなってるらしい。

 

「どうする?ここ出て午後から別の異界行くか?」

 

「いや、最初が一番危険なんだから、一番低LVな異界を経験すべきだ。設定では悪魔との遭遇は済ませてるはずだけど、オレ達実際には悪魔なんて見たことないんだから」

 

「……お前悪魔じゃん」

 

「……そうだった」

 

 自分が悪魔になった事つい忘れちゃうよな。

今のオレは人生に疲れたおっさんじゃなくて、バーチャル経由で世界に降臨したセラフィックアイドルにうなのに。

 

「おい、あっちに何か居るぞ」

 

 そんなことを言っているうちに、周囲を警戒していたスガルが悪魔を見つけた。

 

 いつの間に近づいたのか、ピンク色で丸っこく、短い触腕のついた触手生物とも言い難い軟体生物の「ピンクルーパー」が1体出た!

 

 よし、戦闘準備だ。

 

「行くぜオラァァァァァァァ!!!」

 

 っと、反応する間もなくスガルがギロチンアクスを振りかぶって突撃し、袈裟切り気味に振り下ろした。

 

「あっ、くそっ!」

 

 しかし両断は出来ず、斧が抜けなくなって一旦距離をとるスガル。

すかさずオレはオレの家にあった「自律の重鉄」を上空に実体化し、動きの鈍ったピンクルーパーに「スウィートトラップ」を発動する。

まあこれは登録済みアイテムで重い大きいものなら何でもいいんだが。

 

 見事スウィートトラップが命中したピンクルーパーは動かなくなり、アナライズの状態は「DYING」となった。

 

 オレ達の勝利だ。

 

「いやー助かったぜ。もっとやわいと思ってたんだけどなぁ」

 

 ピンクルーパーに足をかけてギロチンアクスを引き抜き、反動でピンクルーパーを蹴倒すスガル。

顔と体とスク水に若干ピンクルーパーのナニカと体液が付着した、結構なスプラッタ状態である。

 

「うわっ汚ねっ、後で洗わねぇと」

 

 スガルはそれほど気にした様子もなく、地面に落ちている枯れた松の葉とか、乾いた砂をなすり付けて汚れを落とした。

若干砂っぽくなってはいるが、まあ場所的にはセーフの範囲だろう。

 

「私出番無かったな」

 

「サマナーだし、武器が使った事ない銃とナイフだっけ?それじゃ仕方ないよ」

 

 ゲームのメガテン・ペルソナでは、作品によって弾装備の概念が無かったり弾数無限とかの銃弾もあるけど、残念ながらこの世界ではちゃんと弾を消費してしまう。

軟体生物にナンブ2……拳銃とアタックナイフじゃあんまり効かなそうだったというのもあるけど。

ギロチンアクスでも結構浅い感じに引っかかっちゃったしな。

 

「それとスガル、メガテン・ペルソナで突撃思考は死亡フラグなんで気をつけてくれ。有名な反射悪魔とかは知ってても、マイナーな剣反射とかカウンタ系スキルに引っかかりそうで怖いわ」

 

「あー……それもそうだな。じゃあ一瞬待つか……」

 

 その後、突撃思考は変わらなかったものの、一瞬待つことを覚えたスガルの活躍により、順調に勝利を重ねた。

 

 スガルの初期ペルソナである「ヒネ・チタマ」の姿が見れたのは、結構後になってからだった。スガルすぐ自分が突撃するから……。

初期スキルが子守り歌とかみつき位しか無かったってのもあるけど。

 

 ちなみに見た目は色素が抜けた真っ白な肌に真っ黒な髪と瞳、ちっちゃいのにスガルのスク水より過激なヒモ水着を着ていて、所持スキルの「かみつき」をする時は、大きな口のついた真っ黒な尻尾でガブガブ……端的に言ってしまえば、某お船ゲームの深海なんちゃらみたいな姿をしている。かわいい。

 

 そうこうしてるうちにお昼となり、一旦異界を出て休息して2人は通常の砂浜で弁当を食べ、オレとイッチはアームターミナルからナロー小説を読み漁り、午後から再度異界突入。

 

 ただ、初回という事もあって大体15時で異界稼ぎを切り上げた。

ここは夜になると悪魔のレベルがぐっと上がるし、事故は怖いからな。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第1回 渋田海岸

 

マッカ:+260 マグネタイト:+368

 

アイテム:宝玉×6、魔石×10

 

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV4(+3)

 

 仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

    【ゼロッチ/イッチ】LV4(+3)

    スキル:休む、挑発、スウィートトラップ、まもる(新)

 

    悪霊:ゴースト(新) LV4 銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、

    スキル:プリンパ       緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV5(+4)

 

 ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV5(+4) 闇耐性

      スキル:子守り歌、かみつき、エイハ(新)

 

      魔術師:ピクシー(新)LV3(+1)火弱点、風耐性

      スキル:ディア、パトラ、ジオ(新)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 イッチがまとめてくれたリザルトを、スガルのスマホに表示する。

これくらいなら指を動かすみたいな感覚で、なんか消費するとか疲れるとかは無い。

探索中はこのスマホもオレのクソダサリュックに入れたけど、やっぱアイテム登録した方がいいかな……。

 

 そうそう、探索中2人のステータスもアナライズしたが、ミミカが速さメイン・運がサブのスピードタイプ、スガルは意外にも全部平均のオールラウンドタイプだった。

初期ペルソナでメインのヒネ・チタマの補正で魔力、知恵が上がるっぽいが、今日はあんまそれ生かしてなかったっすね……必要無かったとも言う。

マジでワイルドなワイルドだな。

 

「何回ぐらい戦ったっけ、10回くらい?」

 

「あー、えーと16回、でもそのうち4回は視界の外で、オレとイッチがスウィートトラップで倒しちゃったけど」

 

「えっそうなの?気付かなかったなー」

 

 具体的に言うと連戦になりそうだった時に2回、稼ぎを切り上げて帰る時に2回。

何かどっちの時も2人とも気が抜けてて危ない気がしたし。

 

「んー……ちょっとマッカとマグネタイトの稼ぎが渋いかな?」

 

「この時間かけて戦闘16回、それでこの稼ぎは少ないか。でも魔石と宝玉は多めか、これは運のステータスが仕事してるか?」

 

「オレが運特化、ミミカが運サブで、スガルも運が悪くは無いからな。アイテムドロップに運が関係するタイプかぁ……原作にそういうのあったっけ?」

 

 こうなると分かってたら攻略サイトとか見まくったんだけどな。

当然そこまで詳しくはないのでこれが何かの原作システムかどうかすら分からん。

まあ、アイテムドロップが増える分には不都合は無いからいっか。

 

「あと、レベルアップでステータス自動振り分けっぽいんだよね……」

 

 レベルアップの際、ステータス振り分け画面なんかには当然なったりはせず、成長タイプ別に自動で上がるっぽいのだ。今のオレの運は14になっている。マジで運特化だな、他の基礎ステ上がらないの正直怖いんだけど。

 

「まあ、悪魔もレベルアップ出来る系だったのは正直助かった。これ合体必須とかだとやばかったかもな」

 

 勢いで転生したから細かい所に気が届いてなかった。危ない危ない。

 

「そうそう、電霊能力のアイテム実体化とスウィートトラップはマジで強かった。何がひどいってアイテム登録でもっと悪さの幅が広がりそうなのがひどい」

 

「おお、スガルは分かってるな!オレを褒めるとオレも化身たちも喜ぶから、積極的にもっともっと褒めていいぞ!ご機嫌になるぞ!」

 

 セラフィックアイドルにうは褒められたりオレツエーしたりすると喜ぶ、単純明快な悪魔である。もっと褒めて!

 

「あとお前悪魔なのに普通にアイテム使ってるのな?」

 

「ん?あ、そっか、そうだな、オレ悪魔なのにな?」

 

 忘れてた、というかオレフツーにアイテム使えたから、アイテムに関しては意識しなかった。悪魔はスキル無しじゃアイテム使えんよな。

元人間で、オレに出来ることしか出来ないのがかえって良かったのかな?

まあ、流石に悪魔のオレが何か装備出来るほど都合良くは無かったんだけど。

 

「スガルのヒネ・チタマって何だっけ?」

 

「調べたらニュージーランドの冥界の女神様っぽい。ムド系覚えて行くんじゃないかな」

 

「ムド系かー」

 

 ムド系と聞いて、ちょっと考えにふけるスガル。もちろん今もまだスク水である。

 

「天使に強いのはいいな!なのに別に光・破魔弱点じゃないってのもいい!」

 

 闇耐性以外は特にないが、レベル5の時点でこの耐性は普通に良い。

初期ペルソナなので進化して強いのになったりするかもしれない。

 

「それよりさぁ、何か言う事あるんじゃない?」

 

 ミミカがそわそわしている。あれか、新仲魔のゴーストさんか。

 

「そーだな、今のミミカすっごくサマナーしてるよな」

 

「そ、そう?」

 

 あからさまに嬉しそう。これで当人が満足ならいいことだな。

 

「さて、じゃあ今日はこれくらいにして、晩メシ買って帰ろう。あと明日以降の事も決めないとな」

 

 ミミカが音頭を取って、例の奇麗な公衆トイレでまともな格好に着替えた後、何事も無く帰路に着いた。

帰りにまずATMに寄って、ホームセンターで買い物するか。

ちょっとオレもメガテン脳が過ぎて、日用品の補充とかすっかり忘れてたからな。

まあ、悪魔の身体じゃそれほど必要なものは無いってのもあったけど。

 

 とりあえず現金を確保するために、口座のある「干潟信用金庫」に向かう。

着いてすぐオレが出ようとしたら止められた。何だ?

 

「いやお前悪魔じゃん……」

 

 そうだった。美しく生まれ変わったとはいえ、所詮は悪魔である。

行方不明となったサマナーの口座から、見たことも無い美しい悪魔がお金を下ろそうとしているのは怪しい、怪しすぎる。

 

「何か対策が出来るまで、オレのカネはネット経由専用にしといた方が無難かな……」

 

 支払いといえばオレの家、正確にははなれだが、リアル世界では仕事が決まって給料が出た後に、オレの各種支払いを祖父母と相談するって話になっていた。

多分こちらの世界でも支払い云々はそう変わるものでもないだろう。

 

 そう遠くないうちに、生まれかわった事を祖父母に説明する必要があるだろうな。

オレはこの世界のオレですって言ってもリアル世界の転生者ですって言っても、バ美肉悪魔転生っていう大恥は全く変わらないのが何よりひどいな。

カミングアウトしたくねえ……でもしないと。

 

 詳しい設定は……色々ニッチが調べてくれていた。

オレのデスクトップCOMPの機能を邪教の館の主人の協力で改造し、セーフティーロックを外して、ニュートラルのただのサマナーだったオレでも悪魔合体に使えるようにした上で、仲魔のポルターガイスト少女と人間ランダム合体を行った……という設定になっている。

一応合意って書いてあるけどホントか?いや架空の設定に突っ込んでも仕方ないけどさ。

オレのCOMPには元々メシア教徒・ガイア教徒の人間ランダム合体機能はあったので、改造は容易だったという。

 

 あれ、もしかしてスウィートトラップがすぐ使えるようになったのってこの影響か?

確かペルソナに出てきたポルターガイストが使ってたような。

霊体化関連の事が出来るのもそのお陰かも。

 

 あと、元と比べて性格がかなりてきとーになってる疑惑もあるんだが、それはもう元のオレとの比較が出来ないんでどうしようもないな。

考えても仕方ないか。

 

 ポルターガイストの影響があるとすると、作品にもよるが、スクンダ・スクカジャ・スランパ・自爆・ザン・仲間を呼ぶとか習得出来るかも。

 

 夢がひろがりんぐだな!

 




 原作の運はドロップ影響作品は少数派で全てに8分の1有利になるとか特定魔法回避とかそんなのが基本仕様だったかな……(よく分からない)


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買い物、ワクワク、地道な作業

 2002年の画像はもう20年前に描かれた画像なんだよな……。


 ミミカとスガルは、普通にお金を下ろして帰って来た。

「設定」的には既に悪魔業界人なので、見た目を考慮に入れてもギリギリありえなくはないのだろうが、レベル一桁で何度も大金を下ろすとおかしく見えるかもなので、やっぱ早めのレベルアップは必要だろう。

 

 車は国道を走り、大型ホームセンターへとたどり着く。

 

「とりあえず基本的な物は揃ってたけど、日用品とか私のしかなかったから、必要なものはこのカートに入れて。今日の所は私が払っとくから」

 

「マジで?サンキューな!」

 

 ミミカの話を聞いて、スガルは店に入るなり買い物かご二刀流で駆け出した。

買う気まんまんである。まあ、変な遠慮とかしてるよりはいいかもしれない。

 

「ちょっといいか?」

 

「ん、何?」

 

 着けてると怪しすぎるので仕方なくリュックの中に隠してある、アームターミナルの中からミミカに話しかける。

 

「オレはここで表に出るわけにもいかんし、必要なものって言われても悪魔関連のものになるんだよね」

 

「あ、そっか。そうだよね」

 

「なのでホラ、ネット上の取引とか任せてくれないかな?悪魔業界御用達のDDS.comとかもあるし」

 

「DDS?そのあたり詳しく」

 

 何だ、DDS.comに気付いてなかったのか?

いやオレも詳しくは調べてないけどさ。

 

「なるほど……じゃあネット上の事なら任せるよ。新しい入金は私がするけど、もう入ってる分は私の分も私達のために色々使ってくれていいよ」

 

 そうか?そうだな。いちいち細かい条件とかつけるのは面倒だし、緊急事態が発生した時には複雑な条件は危険だ。

 

 何の根拠もないオレの勘では、転生者の電霊同士の電霊ハッキングバトルが発生しないとも限らないと思ってるし。願望込みで。

 

「そうなの?」

 

「そうかも……?」

 

 いやなにか根拠があって言ってるわけじゃないが。

 

「あと、これはまた別の話だけど、気付いてるか?」

 

「何?」

 

「オレらが必死こいて集めて買って見てたエロ画像が、その価値を無くしている事に……」

 

 そうだ。それはもう全く興奮しないのだ。

ミミカもスガルも、今日当然のように着替えをしてたけど、全く、何も、全然、心に響くものが無かったし。

 

 それに対して何か言う事も、今の今まで全く思いつかなかったくらいだし。

 

「そうだね。今更だけど、そっかぁ」

 

「そうだよ今更だよ、でも重要だよ?」

 

 気付いてしまった……いわゆる一般向けのものはともかく、画像以外でも性癖をメインで楽しんでいた創作物は、全てその価値を失ったのだ。

 

 リアルで成人してから20年とちょいか……。

そういう目的のアカウントや、そこに入れたポイントはこっちでも律儀に再現されている。

 

「ポイント交換とか出来るなら、全部DDSあたりに突っ込んどこうか……」

 

 オレは気付いてしまった真実に気落ちしながら、ミミカの仲魔としてのアカウントをDDS.comに作り、交換出来るポイント類をそこにつぎ込む作業を始めるのだった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「ところで、聞いていいか?」

 

「何だよ?」

 

「この世界、本当にメガテン・ペルソナの混ざった世界ってことでいいのか?」

 

 ミミカが急に哲学を始めた。いや、急にそう言われてもな。

 

「流石に……時間城の主もいたし、スガルはペルソナ使ってたし、悪魔召喚プログラムもあったし、電霊のオレもいるし、メガテンとペルソナが混じった世界ってのはもう疑いようが無いだろう」

 

 まあ、原作そのままみたいな世界じゃなさそうだけどな。混ざってる時点で。

 

「流石に悪魔を斧でぶった切っておいて実は違いますとか今更言われてもな。少なくともメガテン・ペルソナ風であるとは言ってもいいんじゃん?」

 

 それはそうだ。

 

「むしろそのメガテン・ペルソナ風異世界で、スガル達が本当に生きていけるのかって事の方が重要じゃね?」

 

 意外にも、最初にそう発言したのはスガルだった。

戦闘では突撃兵だが、考え無しに突撃してるわけじゃなさそうだな。

実際能力は多様性・多面性のワイルドだからな。

 

「まあ、生きて行けなきゃ死ぬだけだね。サマナーでもペルソナ使いでも悪魔でも、静かに穏やかに暮らして行くなんてのは向いてないでしょ」

 

「これまた意外だな、ミミカはなんつーか、もっと社会性志向の真っ当なことでも言うのかと思ってた」

 

「スガルからはそう見えたかな?でも残念、私だってあの時間城の主の前に白ハゲで置かれて、そんな異常事態にもかかわらずこの地味子サマナーのキャラメイクして、アームターミナルのサマナーを選んだメガテニストだよ?」

 

 そうだ……そうだったな。多分だけどオレらは全員、あんな異常な状況に置かれて、この世界への転生を選ばされたのにもかかわらず、かなりワクワクしてた。

他のやつらはわからんし、断りようの無いシチュエーションではあったけど、全部ひっくるめて言えばオレらは。

 

「オレらは最終的に好き好んでこうなってこの世界に来た。そうだろ?」

 

「禿同」

 

「は、ハゲてねーし!」

 

「お、おう……」

 

 そもそもあの状態でも転生を拒否したやつもいるかもしれないし、逆に最初から選抜済み、好んで転生するアレな人材を選んだ可能性もある。

時間城の主以外にもこういうことをしてる存在はいるだろうし、自分達がそこまで特別な存在であるとも思えない。

 

「今この瞬間にも、オレらより才能のあるメガテニストやペルソナ使いが、この世界で産声を上げているのかも知れない……」

 

「そうかな……そうかも……」

 

 そうこう言ってるうちに買い物は終わり、ミミカの拠点、時間城の近くにあるサマナー用一軒家に帰還した。とりあえず明日の予定だけ立てて、早々に休む事にする。

 

 いやオレは化身と同期してデータの整理するくらいで、休む必要は無いんだけどな。

 

 明日は異界には行かず、今は使えない元オレの装備品とかを売り、アイテムや装備を新調する事になった。ついでに今分かってる悪魔関連の施設も見に行くとか。

まあ当然か。まず銃が貧弱で、時間城経由で支給されたと思われるナンブ2と通常弾しかなかったからな。弱点を突くだけなら十分っちゃ十分だけどさ。

 

 どうやら表向きは世界が安定していて、リアル世界に負債……呪いという形で色々全部押し付けていたせいで、リアル世界とつながりの無いその他業界人と悪魔は低レベルの者が増え、最底辺はまるで警備員のような扱い、積極的なレベル上げよりも全てを隠蔽し、悪魔の力を弱めるという風潮であったらしい。

 

 それで政府系、メシア・ガイアその他の大組織だけがリアルチート使って、リアル世界を犠牲にやりたい放題だったってのはクソオブクソだが、そいつらはもういなくなったからな。

めずらしく四文字神もいいことをする。

 

 つまりこれからは、今までこの業界を支配していた高レベル部分が消し飛んで、高レベルでも生き残ってる一部の変……良いやつと、事件に絡めなかった低レベルの業界人、そしてオレ達リアル転生者で業界を回して行かなきゃならない。

 

 おそらくリアル転生者を呼んだ存在=「生き残った悪魔達」の肝いりなんだろうが、そう上手く行くかな?

 

「お休みの間、悪魔に肉体を乗っ取られぬようお気をつけて……」

 

「お前が言うんじゃねーよ怖いだろ!はよCOMPに帰れ!」

 

 こちらのアームターミナルにイッチを残し、オレはオレ拠点のデスクトップCOMPに帰還した。

 

「帰ったぞ」

「来た!ゼロッチ来た!」「ママ来た!これで勝つる!」

 

 誰がママか。早速こいつら化身と同期して、情報を共有する。

お、ニッチが結構やってくれたな。

セラフィックアイドルにうの公式サイト……DDS系で場所は確保。

ただし無料なので色々それなり。最初はこれでいいんじゃないかな。

規模がもし大きくなったらちゃんとした場所にすればいいし。

 

 今はまだテキストと例のオレとイッチの画像だけで寂しいもんだが、色々大きくなってコンテンツが充実するのが楽しみだな。

 

 そしてヨッチだが、業界関連のショップの詳細な地理データを整理してくれていた。

さすがオレだ有能さが違うぜ。

 

 サッチは、粛々とアイテム登録作業をして、リボンシトロン、南船橋人工水、後光の紅茶、カロリーフレンド、青銅の馬具、いわく有りげな鉄の棒、計6つのアイテムが新しくCOMPに出し入れ自由となった。このCOMPとミミカのアームターミナルで、登録データを共有する予定。どのくらい登録に重複があるか知らんけど、格段に便利になるのは確かだろうな。

 

 青銅の馬具といわく有りげな鉄の棒は、持ってたアイテムの中でスウィートトラップ向きのものだ。あれは形が色々あった方が初見びびるからな。

 

 あとはゴッチだが……何かSFミリタリー系行進放置ゲームをやって遊んでいた。

 

「だってこの世界ポルミラが続いてるんだぞ!?やるしかねーじゃん!」

 

「何がやるしかねーじゃんだ!1人だけ遊んでんじゃねー!」

 

 そうは言ったものの、同期すれば結局俺が遊んだ事にもなるんだよな。

なので許した。いや、同期した以上許すも何も無いが。

もうオレ自身が遊んだ感覚もあるので、常に化身の1人は遊ぶか休ませて、それもローテーションするか、思い切って遊び専用の化身を置いてもいいかもしれない。

 

 オレと化身は「太閤」異界でまったり過ごしながら、交代でサイバー空間の端末で情報収集を継続しつつ、フツーにネットを楽しんで休息を取った。

 




 遊びながら仕事も趣味も出来る、強い。


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しおさい商店街

 決して譲れない性癖がそこにはある


 翌朝、いい朝だ。まるで今までの人生のしがらみを全て断ち切って、別人に転生して第2の人生が始まったかのような朝だ。

いや、大体そうなんだけどさ。

 

「やだー!絶対やだー!」

 

 朝っぱらから、スガルが子供みたいな駄々をこねている。

その理由もアホくさすぎる。

 

「美少女は変なもの出さない!美少女からはファンタジーしか出ない!」

 

 これである。一応スガルは設定上18歳で、元もオレとそう変わらないという話だった気がするのだが。身長が低くアニメかゲームのキャラみたいな幼い見た目のせいで、本当に小学生がじたばたしてるようにしか見えない。

 

「無理に我慢するのは良くないでしょう。私が引きずってでも連れて行くね」

 

 ミミカが実際スガルを引きずって部屋を出て行く。

オレはちょっと暇なのでDDS.comをチェックする。

 

 前は浅く広く見ただけだったが……通販サイトに掲示板、メッセージサイトに動画サイト、生放送にアプリ販売もあるのか。アプリのうち、インストールソフトは買っておくか?

ヒロえもんと百太郎くらいは即買いでいい気がする。

バックアッパーとかは流石に……いやある?

でも効果が違った。残念。

 

 フツーにCOMP内のデータ保護機能らしい。

まあ、悪魔が守れるなら有用……って俺も守れるのか、これ。

これも買い、買いです。

 

「出ちゃった……」

 

「いや、言わなくていいから。そろそろ行こう。向かう先は……」

 

「しおさい商店街。悪魔業界関連施設として生き延びた店が多い、リアルじゃ残ってない地元商店街だ」

 

 

 

………………………………

 

 

 

 街の南側、無人駅のしおさい駅前に広がる、リアル世界においてはとうに廃れて誰もいない廃屋か住居部だけ使われる元店舗が並び、さびの浮いた商店街アーチが物悲しさを誘うだけだったという、旧しおさい商店街。だが、この世界では違うようだ。

 

 オレはあまりこの街詳しくないから知らないが、リアルでも地元民のミミカとスガルいわく、リアルではマジで駅前郵便局くらいしかなかったのが、こちらの世界では悪魔関連施設の受け皿として生き残っていたようだ。商店街アーチも一応手入れされていてさびは浮いていない。

オレのと同色……ミミカのシルバーの軽自動車でアーチをくぐる。

 

 邪教の館の他にも、時間城はここの駅と国道の間にあるし、生体エナジー協会、回復道場、ピースダイナー、「骨董屋」にメシア教会・ガイア神殿もあることが分かっている。

 

「……ここか?」

 

 色々調べた情報を元に、邪教の館と思われる施設にたどりついた。

コンクリート2階建てで、周囲がツタに覆われたいかにも怪しい施設。

看板もないが、土に石を撒いてナワで区切った粗末な駐車場はある。

 

 そこに駐車して中に入ると……そこは見慣れた「邪教の館」だった。

 

「アクマがつどいし邪教の館にようこそ……」

 

 本物だ。感動で挙動不審なオレ達に対し、館のオヤジは親切だった。

オレの「設定」の協力者でもあり、人間合体を改造して電霊になった事を知っている。

首尾よくオレが電霊となり、しかも人間の時の意識と変わらないのを確認し、呆れ半分で感心された。

 

 でもオレの更なる悪魔合体はNG。オレもそう思う。

オレの自我云々というのもあるが、電霊の能力がレアで強すぎ便利すぎだからね。

簡単に化身作れるのも推定時間城の主の影響だろうということだし、次合体したらフツーの悪魔になってオレの強みが消えちゃうからね、それじゃこの先生き残れない。

 

 館のシステムに関しては基本の2身・3身・剣合体・魔晶はある。

造魔に関しては理論は知ってるけどやったことないとか。ですよね。

 

 悪魔全書もちゃんとあり、見せてもらったが、全書で呼び出した後改めて交渉が必要。

現実的と言えば現実的だがきついな。

 

 そして精霊や御霊、その他特別な需要のある悪魔は、DDS.comでのトレード需要もあってかなり相場が高騰していて、それに引っ張られてその材料になる悪魔、つまり悪魔全書の悪魔全ての値段が高騰。ちょっと全書は割に合わなくてパスかな。

 

 そうなると、まだ仲魔も少ないので邪教の館でやれる事もない。

 

「ワガハイがいれば十分だ!我がサマナーを死なせる事は決してしないぞ!」

 

 アームターミナルの中でゴーストさんが騒いでいる。

この人真女神転生1の尊大口調のくせに、声とぼんやりと見える体系から判断すると若いっぽいんだよな。透明すぎて何も判別つかないし、だからどうしたって話だけど。

ただのゴーストだし、仲魔が増えたら合体していなくなっちゃうんだろうな。

 

 やれる事もないし、次の場所へ向かう。回復道場だ。

回復道場は駐車場を挟んで隣にあるので、そのまま歩いて向かう。

回復道場とは、属性をニュートラルに傾ける回復施設だ。

しかし、メシアガイアの施設よりも割高になるのが欠点。

 

 サマナーでニュートラルを維持するためならその価値はあると個人的には思っているが、メシア・ガイアの施設を均等に利用するようなやり方もあったな。

しかし、それは現実化した今ではやめた方がいいだろう。

 

「やっぱり……勧誘とかありますか?」

 

「あるな。1回や2回程度ならまだマシだが、安いからとずっと利用していると……流されるぞ。間違いない」

 

 道場主さんは物憂げだ。きっとそういう、安さに引かれてメシア・ガイアに絡め取られる人をずっと見てきたんだろうな。

ゲームよりもかなり回復相場が高いのもそれに拍車をかけているのだろう。

HP量次第とかでは当然無く、症状で一律料金になってるので低レベルはきついだろうな。

 

 だが、メシア・ガイアはやはりゲームとは違って、お気軽に出入り出来る場所ではないらしい。

表に出る部分には魅力に溢れたまともな人材を置き、個人的な信頼を作ってから深いところに勧誘するという。カルト宗教か?カルト宗教だったわ……。

 

 幸いにして「設定」でオレらはアイテムの在庫はあるし、スガルがピクシーのペルソナを手に入れてディア・パトラが使えるようになったので、傷を負う=即撤退で回復施設のようなハードな状態にならなくて済むので、回復料金で困窮することにはなりそうに無くて良かったと思っている。

 

 せっかく回復道場に来たし、はまやとたまがえりは買っておこう。

これあるとないとでは大違いだからな。

 

 現金……日本円は元オレの貯金も使える。

何か分からんけど仲魔になるのってそんな信用あるんだろうか?

それともサマナーのミミカの信用?意外とこいつ設定盛ってる勢なんだろうか?

 

 そういや、設定とはいえ時間城の仲間だし時間城へは行くべきだな。

悪魔と化したオレの実際の契約関係とかどうなってるのかは気になる。

まあ何となく時間城の主の都合のいいようにしてるんだろうけどな。

 

 さて、アイテムを買い、回復道場を出て次に向かうのは、道路を挟んで向かいにあるピースダイナー……の地下にある裏ピースダイナーと、その2階に入っているカードショップ「サバトマオン」である。そういやハンバーガーとかもう何年も食べてなかったな。

メタボが気になるおっさんだったからな。

 

 いや、この身体でもそれは同じっちゃ同じか?

霊体が基本の悪魔が太るのかは知らんけど。

 

 ま、まぁ今日は確認というか偵察だし?

入って何も注文しないのもアレだし?

そんな言い訳を頭に浮かべつつ、オレ達は地下の裏ピースダイナーへと入店した。

 

 見た目は普通のバーガーショップだ。ござる口調の店員とかはいない。

 

 ちくしょう、この世界原作要素薄いぞ!

 

「……カードで」

 

 モブっぽい店員にミミカがDDSカードを差し出し、ハンバーガー、チーズバーガー、テリヤキバーガーのハンバーガー黄金大三角形(自称)とバニラシェイクを注文する。

 

「オレもテリヤキバーガーとダブルチーズバーガーと……オレンジジュースで」

 

「ライスチキンと、エビカツと、あと……」

 

 持ち帰り用も含めて注文し、席に向かう。

裏の方は、悪魔でも食べられるように悪魔召喚プログラムに登録があり、食べるとステータスアップ効果があるとDDS掲示板情報にはあったが……。

 

「ンマーイ!」

 

「おお、なつかしのこの味……!」

 

 久しぶりのガッツリとした食事というのもあるが、これ一応オレとゴーストさん、悪魔用のやつには微量にマグネタイトも入れてあんのな。ナカナカやるじゃない?

 

 オレはつかの間前世の若かった頃、ハンバーガーを常食していた頃を思い出し、あっという間に完食した。

 

「テリヤキとフィッシュとダブルバーガー、あとバナナシェイクで!」

 

 追加注文も忘れない。追加をたかるなどというはしたない真似はせず、これはオレのカードで支払う。

 

 ふと周囲を見渡すと、仲魔と共に食事をするサマナーらしき人はわりといる。

つまりセーフ。オレがハンバーガーお代わりしてデブドリンクチューチューするのもセーフ。

やっぱ、ハンバーガー大量に食ってシェイクで締めるのは至福のひと時だな!

 




 おっさんはメタボでバーガーを控える、美少女は見た目が理由でバーガーを控える。
そこに何の違いもないだろうが!
いやごめんやっぱ多少ある。


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新手のペルソナ使いか!?

 大体運のせい


 

「あの……」

 

 ミミカとスガルが席に着き、オレが傍らのアームターミナルの中で久しぶりのまとまった「食事」をしている所に、声を掛けて来たやつがいた。

見た目はオレ達と同世代の女の子だ。

 

 しかし真珠光沢というか、白っぽい桃色ベースに虹の光が走るような、見たことが無い色をした髪と瞳、まるで当然のようにその目には標準的な形のべっこう縁の眼鏡をかけている。

その髪は胸部辺りまで伸びているので、2次元に限れば正当派美少女ってイメージだ。

 

 実はこの世界ではそこそこ見るが、純粋な日本人でもド派手な配色をした人がいるのだ。

今ここにいる彼女のように。

そのおかげか、スガルが街を歩いていても全く目立たなかったのは助かったが。

設定的に考えると、悪魔が歴史的に徐々に人間に浸透して行った結果、なのだろうか。

 

 しかしこの子、この見た目、そして縁もゆかりも無いオレ達に声を掛けて来たって事は多分。

 

「あの、ぶしつけな質問ですけど、メガテンかペルソナで初期ガチャを引きましたでしょうか、その……」

 

 それ単体だけだと訳の分からない言葉。だがそれを今ここでオレ達に問いかけるということは。彼女もそうなのだろう。

 

「お前もスガルたちと同じ、メガテンかペルソナ転生してここに来たな。ついでに姿も変えてるだろ?」

 

 スガルの言葉にほっとしたように頷くと、ちょっと緊張を解きながら、彼女……網代 裕奈(あじろ ゆうな)は席に着き、話し始めた。

 

 彼女の説明によると、彼女もオレらと同じようにこの世界に転生して来た人間で、同じように姿も変えた同好の士でもあるらしい。

それだけでなく、ペルソナ使いの彼女裕奈ちゃんに、サマナーの阿形さん、悪魔のヒナちゃんと、3人組で異界アタックもして来たとか。

 

 似たような編成で先攻して異界アタックか、上手く行けばよいけどそれは……。

 

 阿形さんを中心にSNSで連絡を取り合った彼女たちは、今日現地集合で異界アタックに挑んでいて、ついちょっと前まで異界「西山寺分校廃校舎」で悪魔狩りをしていたという。

 

「ゾンビだらけの異界情報を見て、回復道場でたまがえりを用意して狩ってたんですけど……」

 

 トイレ近くには花子さんやブキミちゃんも出るようだが、そこは避けて非常口付近で狩っていた。これはオレらと同じようなやり方で、たまがえりで特化した対策取ってるだけオレらより安全度は高かったとも言える。しかし、事故は起きた。

 

「バックアタックで阿形さんがゾンビちゃんから麻痺を受けて、ヒナちゃんと多分ボクが魅了されて、気がついたらヒナちゃんがいなくて……後で確かめたらDYINGになってCOMPにいたんですけど、何とか正気に戻った僕が初期アイテムでもらった開扉の実を使って逃げて、回復道場まで来たはいいんですけど、ボクその、お金あんまりなくて……」

 

 あー、回復料金ね……。

俺も知ったのはついさっきだが、この世界瀕死・死亡の回復は云十万、重バッドステータスで十万はかかる。彼女たちは対策アイテム買い込んだのもあるが、もしかして……。

 

「ボク……そんなにお金ないです……」

 

 申し訳なさそうに言う裕奈ちゃん。そうか、支払いの問題か。

DDS.comはサマナーでもペルソナ使いでも悪魔でもアカウントは作れるが、

ごった煮集団の場合COMPを絶対持っているサマナーがアカウント保持者になる可能性がちょっと高いらしい。実際オレ達もまだスガルのアカウント作ろうとは思わなかったし、裕奈ちゃんたちもそうだったんだろう。

 

 他人のアカウントで……もう何日も仲間でいれば、いざという時のためにパスワードまで教えたのかもしれないが、ほぼ初日で初対面からすぐでは無理な話。

「設定」上レベル1のペルソナ使いが現金持ってるかってのもね。裕奈ちゃんペルソナ使いなら人間だし、どう見てもやっぱ設定ギリ成人の18歳だよね?

 

「普通の回復アイテムショップのドラッグストアとかもないし……持ってたお金とか他の色んなアイテムも魅了中にばら撒いたり巻き上げられてて無くしちゃって、車も阿形さんのやつだし……これからどうしようかと……」

 

 あー……ゲームじゃホントゲームにならないから出来ないけど、リアルの魅了じゃそりゃやるよねそれ。色々悪条件が重なってやベー状況に追い込まれてるのはよく分かった。

しかし、その中でも開扉の実を確保したか再度見つけたかして使ったのか。意外とやるな。

 

「ミミカ、スガル、ちょっといいか?」

「ん?」

「何だよ」

 

「オレはこいつらを助けようと思うんだがどう思う?」

 

 オレの、COMPを光らせながらの提案に、驚きを持って答えたのはスガルだった。

 

「マジかよ!?流石に即日云十万はきついだろ!」

 

「いやまあなんつーか、オレはそういう面じゃちょっと余裕あるんだよね。一般独身サマナーの経歴があるからちょっと貯まってるのよ」

 

 リアルでも3年前までは似たような感じで貯まっていたが、こっちはそれよりも増して貯まっている。現金によらないポイント系やDDSのあれこれが予想外に多かった。サマナーの分散隠し資産的な?時間城の主が気前がいいと思うべきか、裏家業の命を張った稼ぎなら当然だと誇るべきか。設定だから今ここにいるオレが実際やったわけじゃないけど。

 

「まあ設定上とはいえゼロッチさんの財産だし止めはしないけど、何か理由でもあるの?あっさり決めたけど」

 

「そうだな……まず同志だからかな?」

 

「同志だから?」

 

 そう。いかにも新しい方のアトラスゲームに登場しそうな派手な髪色の美少女。

メガテン・ペルソナごった煮の危険な世界に転生するというのに、キャラメイクでこうするのは狂気レベルのバ美肉……いや、リ美肉趣味と言う他は無い。

 

「あと……裕奈ちゃんは誰に転生させられたんだ?」

 

「えっと、ボク達3人はハチマン様に転生させてもらいました」

 

「ハチマン様?あの白ハゲの?」

 

「は、ハゲじゃないです……ヒナちゃんがそれ言って怒られたんで勘弁して下さい、普通に古代日本っぽい姿でしたよ?」

 

 なるほど、やはり様々な悪魔が転生者を送り込んでるっぽいな。

 

「それが関係あんのか?」

 

「まあ、そうだな……」

 

 どれだけの数がいるのかは未知数だが、オレ達転生者は無視出来るほど少なくはなく、大軍となれるほど多くは無いだろう。

そしてゲーム的な考えでも、リアルな考えでも、一番死に易いのはまさに今、転生スタート時だ。

 

「ここで数を削られると、後で困る事になるかも知れない」

 

 今の所は、一部メシアンの「神託」以外には把握されていない、急に才能のある新人や覚醒する業界人、有力な悪魔が増えた程度の状況把握だろうが、いつか必ず、リアル世界から転生した集団がいるという事実は、バレる。

 

「バレてどうなる?」

 

 もしバレたら……それまで何もしなければ、それはただの異分子だ、必ず叩かれる。

そしてただ聖人みたいにこの世界に奉仕しても、ここメガテンとペルソナが合体した悪魔世界じゃあまりにも不安すぎる。

 

「だから、リアル世界転生者の集団を作る。もしオレらの他にいるなら協力体制を作るでもいいし、ただの手口の拡散、でもいい」

 

 オレらがガッチリ組織を作るのはあまりやりたくない。確定とまでは言わんが、オレにもスガルにもミミカにも無理だ、多分。協力体制はもちろん様子を見て。そして協力体制をもし作るなら、その時点でのオレらの実力と手口の確保が問題になる。

 

「組織、協力、手口、ってなんかマフィアみたいな……」

 

 大体合ってる。裏組織だしな。

 

「あの……」

 

 ああ、ちょっと脱線しすぎたな。

 

「今重要なのは、結局オレは彼女達を助けた方がいいと考えてるってことだ。今ちょっと言った通りの事にはなると思うが……」

 

「いんじゃね?」

 

「うーん、私は最初どうかと思ったけど、そう言われたら助けた方がいいかなって思う。特に私達はリアル世界がどうこうだけじゃなくて転性的にも少数派になるだろうし、ね」

 

 あ、そうだよな。リアル世界云々だけじゃなくてこの姿に変わった的な意味でも少数派か。そうだよな、それは気付かなかった。あまりにもオレは自然に適応してて……。

 

「んじゃ決まりだな、麻痺した阿形さんと、COMPの場所に連れてってくれ」

 

「は、はいっ!」

 




 白ハゲハチマン様の威光


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新しい仲間と新しい異界

 多分きっとかなりオレツエーです?


 阿形さんと彼女の聖書型COMPは既に、回復道場の中に運び込まれているらしい。

本当にタイミングよく……いや良くは無いか?オレらが道場を去った後に来て、料金を払えずに困って、即座にオレ達のいるピースダイナーに行って……これは偶然か?

 

「い、いえ、別に皆さんだけじゃなくて、あのピースダイナーとカードショップには業界人がたむろしてるから、交渉次第で何とかなるかも知れないから行って来いって道場主さんが……」

 

 あの道場主にねぇ。ま、結果同好の士との出会いになったし、それには感謝してもいいかな。オレ的には。

 

 ちょっと前に出て行った回復道場に、裕奈ちゃんを連れて舞い戻る。

ただ、ハンバーガーの注文受け取りにスガルだけはあっちに残った。

 

「お前さん達か。その……彼女達を助ける方向でいいのか?」

 

 私達に気づいた道場主が、道場の奥から姿を現した。

 

「DDSカードでいいか?」

 

 オレは霊体で出て、オレのDDSカードで支払いを済ませる。

 

「……確かに」

 

 道場主は支払いを確認すると、道場の奥に引っ込んで何やら作業と儀式を行った。

 

「キェーッ!」

 

 大丈夫かな、これ。

 

「終わったぞ。仲魔の珍獣はしぱらくCOMPの中で大人しくさせておいた方がいいだろう。サマナーはすぐに起きて来るはず……」

 

「網代さん!」

 

 道場の奥から飛び出したのは、王道も王道、だけど現代においては場違いすぎる金髪碧眼縦ロールのお嬢様だった。目の下に垂れ下がるようにかけている長方形のフチなし眼鏡が、性格きつそうなイメージを強調している。こいつ、出来るな。

 

「阿形さん……」

 

 裕奈ちゃんが耳打ちすると、阿形さんはこちらに歩み寄って来た。

歩き方まで凛々しく超強気って感じで何か気合入ってる。

 

「ありがとうございました。ワタクシの不始末から、取り返しのつかないことになる所だったのをお助けくださり……」

 

「いや、いいって。こっちもこっちで色々考えがあっての事だしな」

 

 その後、挨拶を終えた阿形さんは、即座に自分のDDSカードを利用してオレの支払った分の料金を送金してくれた。

何も言わなくても即座にこれが出来る阿形さんはとてもしっかりした大人だと思いました。

 

 阿形さんは聖書型のCOMP。中にいるという同じ転生者で悪魔のヒナちゃんともご挨拶出来ると思ったが、ヒナちゃんはオレみたいにCOMPの機能を勝手に利用して語りかけたりモニターに自分の映像出したり霊体で気軽に外に出て干渉したりは出来ないらしい。

 

 あれ?全部気軽にやってたけど、それ全部オレの電霊としての能力だったりするのか?

オレしか出来ないって気付けてなかったのもあるな。

 

 

 案外オレツエーなのか?いやまあ便利なのはもう分かってるけど……まあ弱いよりはいっか。

 

 

 まあ、仕方ないのでヒナちゃんへの挨拶はまた今度にして、スガルが待っているであろうピースダイナーへと戻る。お互いに今後について話そうと、阿形さん達もついて来た。

 

 

 その席で決まった事……と言ってもがっつり決めたわけじゃないが、次の事を話し合った。

 

 

 

● 格上のパワーレベリング的な異界に行くなら合同で行こう。いや別にパワーレベ   

  リングでなくても一緒に行く?

 

● もしあるなら、各種依頼についても同じ。

 

● 双方合意の上で色々悪魔関連の融通を利かせて、トレードなんかもやる時はやる。

 

● 将来的に転生者組織を作るか、そういう組織に協力するか、それに売り込む手口?や実力を身につける方針に賛成。

 

● 元凶のやつら許さねぇけど今いる人たちはそうでもないよね?

 

● ワイルドなスガルちゃんのためでもあるけど、特に実益のあるなしにかかわらず交流しようね。ちなみに裕奈ちゃんはペルソナ1の「降魔式」ペルソナ使いなので悪魔交渉、コミュニティ式ではありませんとの事。そうなのか……。

 

 

 あたりの事が話し合われた。

 

 

 

 皆が注文したハンバーガーを食べ終わった後は何となく流れで2階のカードショップ「サバトマオン」に上がり、ここで売られているカードについて確認する。

 

 まず、ここの「表」というかカバーで広く売られているのは水瓶宮とキタローカード……だと!?当然ながらU-GI-WARとMTG(マジック・ザン・ギャザービート)とポケカもあり、テーブルも多く結構表も幅広くやってるようだ。

全部微妙に名前が違うみたいだけどこれも世界を変えた代償か……(唐突な中二病)。

 

 そして、本命の悪魔業界カードだが、非常階段の上に上がると何と異界化した3階があってそこで売ってた。

インセンスカードに、基本的な低ランクカード、メタルカードなんかも一応売ってるのか。

 

 こういうカードの使用は作品ごとに違ってたりして、合体する時に混ぜるか使うだけで身につくとかあるけどこの世界はどうなのか。答えは両方。混在しちゃってるね。

 

 しかし当然のように使えばスキルが得られるカードの方が桁違いに高い。今はとても手が出ない。合体の時に混ぜる系でもちょっと高価すぎる、ディアカードで15万円ってちょっと高騰しすぎでしょ。有用なカードではあるけどさ。ちょっと手が出ないな。

 

 あと、各種依頼もここで受けられるらしい。フリーの人はここメインで依頼を受ける人もいるとか。

 

 でもオレ達は時間城所属だし、阿形さん達もハチマン神社所属、阿形さんは他にもプロテスタントなんちゃら会派(メシアンではない)にも伝があるって言ったら、ここの依頼は色々な所の委託なんで他に伝があるならここで受ける意味はないよって言われた。

 

 そりゃそうだ。フリーの業界人の救済措置みたいな所でどこかの所属の人が依頼受けてったら空気読めてないなんてもんじゃないよね。

 

 とりあえずここでやることは終えた。結局、明日合同の異界稼ぎに行こうという話がまとまり、多人数いるならばとオレ推薦の「片羽葦原」に行く事になった。

 

 その対策にと、銃器ショップ「骨董屋」に向かったオレ達だった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 片羽葦原は、渋田海岸に流れ込む渋田川河口付近に広がる葦の生えた湿地帯で、自然公園エリアがありそこから伸びるかなりがっちりした遊歩道を歩いていく異界だ。

悪魔はその中でも今回狙ってる場所ではレベル6~9あたりの鳥系悪魔と、カニ型のキャンサーと飛ぶエビ型のデッドロブスタのみ。銃器を整えて、人数がいれば今のレベルでも勝てる。

 

 この異界情報を調べてくれたのはやはりニッチ。いい仕事してますねぇ。

そんなわけで、オレ達はミミカ、スガル、阿形さん、裕奈ちゃんの銃器を新調しに来たのだ。

 

「わしらは悪魔じゃし使えんがのぉ」

 

 今、聖書型COMPから出た声は、阿形さんの仲魔で転生者、珍獣:ホネアリクラゲの瓜生ヒナちゃんである。

 

 実は移動時間のうちに、阿形さんの所にオレの新たなる化身「ロッチ」を派遣することになり、早々に色々中を改装中。

とりあえず今は中にいるロッチが、まーてきとーにアレしてこれして話せるようにしたのである。

電装部分が少なくて難儀したようだが、ロッチがほとんどを中継して実際にはロッチがヒナちゃんの言ってる事を喋ってる形にしたらすぐ出来たとか何とか。なるほど……出来てるならいいか、分からんけど!

 

 ちなみにヒナちゃんの種族、ホネアリクラゲは昔話の「くらげの骨無し」に登場する、まだ骨のあったクラゲであるとか。何となく強そう。レベル1……いや微妙に上がってて2だけど。

その姿はクラゲをモチーフにした上半身美少女、下半身クラゲ。全体的に青白く半透明な体に青く光るラインが走り、下半身の触手からかなり長い2本の触腕が伸びてそれは実際腕のように動かせるという。残念ながら眼鏡はかけていない。クラゲだからな。

まさかのじゃロリわし口調だとは思いもよらなかったが。

 

「銃器使うのは……4人か?」

 

 皆一応設定上鍛えて悪魔業界に入っているとはいえ、趣味的キャラメイクが過ぎる。

スガルと裕奈ちゃんは華奢で背も低いし、ミミカと阿形さんも最低限文化的にサマナータイプとはいえ見た目優先で、ゴリゴリマッチョってわけじゃない。

大丈夫だろうか。

 

 まあ、スガルはあれでギロチンアクスを振り回してバリバリアタックしてたし、見た目通りってわけじゃないんだろうけどな。

 

 で、結局スガルはギロチンアクスが優秀で攻撃魔法も回復もあるので銃の新調は見送り。本人もアクスと銃選ぶようになると迷いそうって言ってたしな。

 

 そしてミミカと阿形さんは、揃ってサブマシンガンを買い揃えた。あれ、銃の名前が固有名詞じゃなくなってる。ただのサブマシンガン?何で?

 

「悪魔業界の改造銃に直接表の商品名使うなとの『要請』でな……」

 

 あっふーん……大人の事情かな?ゼロッチわかんない!

 

「それキモいからやめて」

 

「ちょ……直球はひどすぎませんかねぇ!?」

 

 とにかく、鳥と言っても悪魔、一般的な鳥撃ちとは違うゲーム知識だけど、多分攻撃回数を取るこっちの方が正しいだろう。

 

 裕奈ちゃんはスガルとは別の意味で新調は見送り。

ただスガルとは別の理由で、力が無くて拳銃以外無理そうだから。

どうもステータスが「魔力・知恵・運」タイプっぽいな。

 

 銃を更新したのは2人にとどまったが、弾丸の方は全員「しんけいだん」で揃えたので、少なくとも片羽葦原では勝てる、と言っていいのかも知れない。ボスに行かなければね。

あ、ちなみにボスは「スチュパリデス」複数らしい。レベル30越えてるっぽいから勝てるわけないっすね。

 

 しかし拳銃もサブマシンガンも同じしんけいだん使えるのか……ゲームじゃそうだったけどリアルじゃそうはいかんよな?なんかもっとごっつい銃でも使えます的な説明書きあるし……全銃共通?いやそこは悪魔業界の努力を褒めるべきかもしれないな。

 

 名も知らぬ悪魔業界の先人達、ありがとう。

 




 現実にスキルカードあったらそら高騰しますよ


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セラフィックアイドルは天使じゃない

 クソ田舎に唐突に姿を現す悪魔の城


 骨董屋での買い物も終わり、オレらは阿形さんたちと別れて、後回しにしていた時間城へと向かう。これは結構時間かかりそうだ。

 

 まずやるべき事は、時間城の主が=オレ達を転生させたあの主で合ってるのかちゃんと確認して、そしてオレらの設定も再確認して、もし仕事があるならやって、悪魔になったオレの仕事上の契約も大丈夫なのか確認しなきゃいけないかな。

 

 他にも細かいのはいくらでも出て来そう。気が重い。

まあそこに関しては悪魔を転生先に選んだオレの自業自得なんだけどさ。

 

「私達えーっと、設定だとマジックカード部門だっけ?」

 

「ああそうだな、悪魔と戦ったり育てたり複製で手に入れたり……だったかな?」

 

 カードショップ「サバトマオン」はライバル店かと思ってたが、実はディアカードで15万円クラスになるほどカードが供給少なすぎ、需要を全く満たしておらず、まともな供給ルートが成り立つほど量がないので基本融通のし合い、支え合いの共存共栄関係らしい。

 

 オレらは不足しがちなカードをわずかながらも供給してくれるお得意様だったというわけだ。もちろん時間城、サバトマオン、お互い様でね。

 

 車は駅から離れ、国道から少し入った旧道沿いにデデン!と建った時間城へとたどり着く。

マジでお城……吸血鬼とか住んでて吸血鬼ハンターの定期訪問受けてそうな方のお城が田んぼの中にそびえ立っているが、不思議と違和感は無い。

 

 もう何年もここに建ってるし地域の名物ですよってツラしてやがる。

田舎特有の無駄に広い駐車場に車を置いて、従業員入り口から中に入った。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「よく来た。色々実体験を済ませたようだな。あらためて説明しよう」

 

 何というか、普通にいた。待っていた時間城の主に空いていた応接間に通されて、こまごまとした説明を受ける。……案外暇なのか?

 

 

 その説明によると。

 

 

● 時間城の裏の契約は、通常は真の独立事業主で自己責任。最低限組織として依頼や仕事の斡旋、緊急時の安全保障契約はある。

 

● 本人が男から女になろうが悪魔になろうが契約は変わらない。これは時間城の主との契約である。

 

● 設定に不具合が出ないように、既に知り合い・家族は設定を承知済みになっている。なおその設定による周囲からの評価の変動は自己責任である。

 

● マジックカードを売るか買うか、時間城や関係各所と取引をする事自体がメインの仕事。カードは単価が高いので忙しく働く事もない。カード以外の調達依頼もあるが、基本不足していつでも引き取れるのはカード。

 

● 依頼があれば受けられる。最もここは田舎なので多くはないしレベル一桁では無理。

 

 

 

 等々、他にも細かい説明はあったが、まあ要するに、普通にRPGやるのに都合のいい契約になってるって事だな。こいつはRPGをやらせたくてオレらを転生させたんだろうし。

オレらだって受け入れられる所は受け入れたからな。

 

「この、関係各所ってのは?」

 

「お前達も今日行ったと聞いたが……カードショップ『サバトマオン』とは提携してるな。お前達のうち2人は新人、1人は悪魔化で色々失ったという設定だから受け答えが怪しくても怪しまれる事はないだろうが、仮にも時間城の一員であるからには気をつけておくことだ」

 

 ああ、そうか、仕事上の知り合いがいたとしてもおかしくないのか。設定上は。

ちょっと危なかったかもな。

 

「どうやら積極的に異界攻略を進める気のようだし、仲間も増やす気のようだな。助言や助力はいるかね?」

 

「要らん」

 

 ニャル様の助力なんぞいるか!

 

「ククク……」

 

 あーもうホント楽しそうだなこいつ、何だろうオレらの反応見るのが一番楽しいのか?

 

 何にせよ説明は終わり、今聞きたい事は聞けたので、現在・過去の依頼データと依頼の掲載されたアドレスを記録してから時間城を後にした。

 

 カードを買おうかとは思ったが……相場高いからなぁ。フツーの転生ものならここでまたガチャとか引けたりすんじゃねーの?うん。無理なのは分かってる。一期一会みたいなものが時間城の主のこだわりなんだろうし。

 

「頑張らねぇとなぁ……」

 

 

 

………………………………

 

 

 

「あー疲れた。ちょっとガンショップで遊び過ぎたかなぁ」

 

 拠点に帰るなり、リビングのソファーに大股開きでその身を投げ出して、スガルがしみじみと語った。

 

 まーちょっとスガルはね……初めての異界アタックの時も銃はお飾りで、とにかくギロチンアクスで両断!たまにペルソナァ!してたから、銃撃つのはガンショップの試し撃ちが初めてだったんだよね。

 

 持ち込んだナンブ2の試し撃ちではしゃぎまくり、調子に乗ってサブマシンガンも試し撃ちしたら、その意外に大きな胸が暴れ回ったらしく、銃弾発射の振動に合わせて「ボボボボボボボ」とかいう奇妙な声?を発した後にうずくまる始末だったからな。

 

 銃の扱いとか筋力とかよりも、スガルはTシャツを好み、今日は「セクシー」と書かれただけのフツーの白Tシャツとミニスカートにスパッツっていう防御力が低そうな私服だったのがいけなかったのかもしれない。うん。

 

 今の時間は午後2時半、出かけるにはもう半端な時間だ。

もう今日は休みでもいいかもしれない。

 

「ところでさー、お前セラフィックアイドルって言ってたけど天使なの?天使になりたいとか?」

 

「直球だなおい。結論から言うと、別に天使ではないしなりたくもない」

 

 まあ天使のようにかわいい(形容詞)って意味ではあるんだけどな!

 

「天使じゃなくてもさー。そう名乗ったら例の神とかメシアンとか天使とかに目をつけられたりしねーか?大丈夫か?まだ神の声とか聞こえて来てたりしてないよな?」

 

「……その発想はなかった」

 

 そりゃ時間城の主も笑うわ!全力でメガテンの地雷踏んでるじゃねーか!

 

 今更気がついた自分のアホさかげんに頭を抱えて、今更出来ることはないと開き直る事にした。

 

「四文字ハゲだろうがメシアンだろうが天使だろうが何でも来いや!こちとら自分の意思でバ美肉悪魔転生したマジキチじゃボケがぁ!」

 

「……なんかヤケクソになってねえか?本当に大丈夫か?」

 

「はは……スガルに心配されるってのは相当だね」

 

 そこのなんか……レトロなゲーム持ってきたミミカさん。

何で私はまともですよみたいなツラしてんですか。TS地味系眼鏡っ娘サマナー転生してハイレグアーマーバニー姿で異界探索に乗り出したミミカさん!

 

「そしてスガルはスク水ギロチンアタッカーなワイルドだ!いや冷静になって考えると我ながら属性多いな。とにかくアレだ、スガルたちは同志!真の仲間ってことで!」

 

 なんか盛り上がったスガルがミミカの手を握り、オレの手も握ろうとして空を切る。

……霊体だからね。

 

 しょーがねーのでちょっとこっちから手を繋いでやった。ちっさい手だな。

これでよくあんな暴れられるよな。

 

「おう、サンキューな。えいえいっ!」

 

 スガルはその手を激しく上下に振って、離す。

そして勢いよく、元の位置のソファーに倒れこんだ。埋まってら。

 

 何か、気分が軽くなったな。

 

「あー、ドリキャスあったんだ、一緒にやろう」

 

 そうかもしれんとは思ってたけどそれやっぱドリキャスかよ!ミミカが持って来たのはドリキャスだった。もう何年かぶりにソールキャリバーをやったらほとんど操作忘れてるし、スガルは未プレイだったが同レベルで面白い。

 

 特に何事もなかったが、なぜか盛り上がり過ぎて気がついたら夜だったのでお開きとなった。

ミミカとスガルは人間だから、ご飯とかお風呂とか長時間の睡眠とか必要な時間が多いんだよな。

いつの間にか身についた悪魔感覚で物事を俯瞰しながら、オレはアームターミナル経由で移動して、オレの『太閤』異界へと帰還するのだった。

 




 地雷は気付かずに踏んでいるもの


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身内バレしても何ともないぜ!+掲示板回

 もう諦められてる系バ美肉男子


 セラフィックアイドルにうの拠点、太閤異界に帰ったオレとイッチは、メイド服を着た化身達のお出迎えを受けた。

 

「お帰りなさいませご主人様」

 

 あー、そういや太閤の元ゲームにはメイド服パーツもあったな。

それで何でメイド服でお出迎えなのかはよく分からんが、オレだからな。

そうしようと己の中の浪漫回路が回り出したんだろうな。うん。

 

 化身達と同期を行い、今日の成果を共有する。ニッチは結構進んだな。

紹介記事をUPして、そこのコメント欄に初の書き込みがある。

「初カキコ」とかいう記念カキコまる出しのやつだけど。

 

 やはり動画、今の時代動画をUPするか生配信をしなければセラフィックアイドルは始まらない。どういう傾向で行くのか考える必要があるな。

 

 オレに出来る事といえばオタ芸系だけど、それにしても色々ジャンルがあるしな。

 

 そしてサッチだが……緊急事態だ。はなれの方をたずねて来た祖父に見つかって、「本当にそうなっちまったんじゃな……」と肩を落とされたらしい。

 

「それで……どう答えた?」

 

 サッチの反応は……。

 

「かわいくてごめんね!」

 

 ……うん、うん。間違ってはいない。

何をどうあがいても、もう「なっちまった」んだから誇るべきだ。

望んでいた自分の姿になれたことを。

自分の意思でバ美肉悪魔転生したマジ基地にふさわしいアホっぽい反応だ。

祖父はそれを聞いて何か悟ったような目になって去って行ったようだ。さもありなん。

 

 そしてヨッチは今日も遊び担当。

同期の能力を使えば、一人の遊びで全員が遊んだ気分を共有出来るからな。オレかしこい。

今日は携帯ゲーム機を電霊能力でCOMPと繋いで、某CIVをやったらしい。

群島都市スパム楽しかったです(小並感)。

 

 ゴッチは祖父が訪ねて来た後にサッチと入れ替えで霊体化して、しばらくしてまた訪ねて来た祖父と祖母とお話して色々オレの両親……状況以外の見た目はリアルの両親と同じだった……に関して情報収集してくれたようだ。

 

 それによると、「設定」にあるように裏の戦いに巻き込まれ、オレと祖父母によって時間城の庇護を受ける事になった。だが、両親は既に色々あって裏から引退した身であったにもかかわらず、自宅警備(ガチ)に自発的に協力し、その無理がたたって怪我を負い、今度こそ本当に父方の実家(県庁所在地の神社系退魔組織)に引っ込んで、裏の外交・事務処理系裏方仕事をすることになったとか。

 

 こちらの世界だと母親もカルト宗教にはまったりせずに父親と一緒にいるので、そこは良かったと思うべきなのかもしれない。

 

 ちなみに、両親の方には既に「合体案」の段階でセラフィックアイドルにう計画を送った事になっている。これはイッチが見つけた。返信は、「お前はもう好きに生きなさい。父さん達は第2の人生だと思ってこっちで生きるから」だそうだ。

 

 添えてあった両親の写真を見ると、業界人なのが関係したのかは分からないが、見た目まだ30代かと思うくらいには若いぞ?第2の人生とか言ってたし、これもしかして向こうで新しい家族が出来るのでは?オレが悪魔の姉となって、年の離れた弟か妹を守護る日も近いな?

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS広場 転生者の集い ※転生名は必須です

 

[ヴァーチャー] 10:03

もう自称転生者のセラピーは嫌だお……

 

[ウコバク] 10:04

ブッダの転生者今日だけで何人目だっけ?

 

[ヤクシャ] 10:06

頼むからブッダの転生者名乗るならブッダの教えの事くらい知っててくれ……

 

[ヤマトタケル] 10:09

流石に「我はブッダ、我を崇めよ」は強烈過ぎたwww

 

 [ヤマトタケル] 10:10

 まあ騙りは即BANなんだけど。謎の技術で。

 

[テンプルナイト] 10:11

流石に妄想ブッダに本物はないけど、護法童子とか天部ならまぁ……

 

 [テンプルナイト] 10:12

 いや崇めるのはないけど。

 

[ダークサマナー] 10:14

なあ、お前ら現地情報何か分かったか?こっちはさっぱりなんだが

 

 [ホブゴブリン] 10:15

 唐突に言われてもな。何が知りたいんだ?

 

[ダークサマナー] 10:16

お前ら転生者だろ?いきなりこっちに放り出されて何も困らねぇの?

 

 [テンプルナイト] 10:18

 放り出されてって……転移系の事故か?そういうのはSOS系のとこでやったら?

 

[ヤマトタケル] 10:20

というか転生前がサマナーなんだな。1990年代ならもう30年前か……

 

 [ヴァーチャー] 10:21

 おい馬鹿年齢の話はやめろ、繰り返す年齢の話はやめろ

 

  [ウコバク] 10:21

  ヴァーチャーどのおちついて^^

 

   [ヴァーチャー] 10:22

   おちついた^^

 

[はかいそう] 10:24

まあ前世がダークサマナーで今もそっち系ならガイア神殿にでも行けばいい

 

 [はかいそう] 10:25

 金さえあれば何とかなるぞ、金さえあれば。

 

  [はかいそう] 10:26

  金がない?金のないダークサマナーとか死じゃろ?

 

[ヤマトタケル] 10:28

はい。

 

[ウコバク] 10:28

はい。

 

[ホブゴブリン] 10:29

はい。

 

[バーベガジ] 10:30

ですよねーw

 

[占い師] 10:32

んんwwwサマナーが緊急脱出手段なしとかありえないwww

 

[テンプルナイト] 10:33

運命論者さん来たな……

 

[ホブゴブリン] 10:34

こいついつもありえないさんだな。

 

[テンプルナイト] 10:36

マジレスするとダークサマナーならガイア神殿はあり。

 

 [テンプルナイト] 10:39

 コネあって場所分かるなら独立系組織の方がいいけど

 

  [ウコバク] 10:40

  お前メシアンのくせに優しいやつだな

 

   [テンプルナイト] 10:42

   うるさい黙れ

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 ペルソナ使い雑談スレ 2681

 

1:名無しのペルソナ使い 22:22

・ペルソナ使い専用スレです。雑談・相談・募集何でも

・コテハンは自己責任で

 

(前スレ)

 

(合体相談スレ)

(ペルソナ考察スレ)

(マインドマンサースレ)

 

2:名無しのペルソナ使い 22:23

>1乙

 

3:名無しのペルソナ使い 22:24

>1乙

なんか急に新参増えてない?

 

4:名無しのペルソナ使い 22:25

ベルベットルーム大渋滞来る?

 

5:名無しのペルソナ使い 22:28

>4

今の所そうなってはないな。

 

6:名無しのペルソナ使い 22:29

新人増えるのはいいんだけど、悪魔とかシャドウの方も増えてんだよね。やばない?

 

7:名無しのペルソナ使い 22:30

ちょっと今いいすかね?新人ワイルドなんですけど

 

8:名無しのペルソナ使い 22:30

今日もピクシーたんちゅっちゅ

 

9:名無しのペルソナ使い 22:32

>7

おいおい、またワイルドか?自称じゃないよな?

 

10:名無しのペルソナ使い 22:33

5人目か……始まったな

 

11:名無しのペルソナ使い 22:34

>10

ああ……奴らはどうやら本気のようだ。あいつらなりの考えがあるんだろうな。

ラ・ヨダソウ・スティアーナ

 

12:名無しのペルソナ使い 22:35

>7

とりあえず現状、言える範囲で詳しく

 

13:名無しのペルソナ使い 22:35

>10-11

お前らwww

 

14:名無しのペルソナ使い 22:35

www

 

15:名無しのペルソナ使い 22:38

とりあえず、あと2人のペルソナ使いと一緒にいるんです。

あ、ここもその2人に教えてもらったんですけど、3人とも高校生です。

なんか1人はペルソナ変えられなくて、あと1人はタロットカードを悪魔から手に入れる?

なんて言ってました。

 

16:名無しのペルソナ使い 22:39

おいガチか?とりあえず相談ならコテつけて

 

17:名無しのペルソナ使い 22:40

>15

メシア教会行けばもろもろ援助もらえるし何とかしてもらえるよ

 

18:名無しのペルソナ使い 22:42

>17

はっ倒すぞクソメシアン

>15

募集スレで仲間集めるのマジお勧め

 

19:名無しのペルソナ使い 22:44

>18

募集スレって罠か初心者狩りしかいないあの?

頭ガイアもほどほどにしてくれよ

 

20:名無しのペルソナ使い 22:46

普通にDDSの依頼仲介所で初期指導依頼出せばいいと思うよ

 

21:名無しのペルソナ使い 22:48

実際なんのツテも実力もない新人を受け入れて

その上救出とか治療とかサービスしてくれるのってメシアだけじゃん

他は頭修羅勢しかいないし

 

22:名無しのペルソナ使い 22:49

>20

ありがとうございます!DDSに仲介所があるんですね、見てみます!

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 DDS配信総合スレ 209

 

222:名無しのリスナー 12:57

肩幅最強!肩幅最強!肩幅最強!

 

223:名無しのリスナー 13:01

最強はハト様なんだよなぁ……

 

224:名無しのリスナー 13:03

>222

もう肩幅じゃないって何度言われたら分かるんだ

 

225:名無しのリスナー 13:05

>222

もう肩幅が広くはないさんを肩幅呼ばわりするのは万死に値するって

それさんざん言われてるから

 

226:名無しのリスナー 13:08

>223

海外の話はスレチ

 

227:名無しのリスナー 13:10

>225

てめえフィレ様馬鹿にしてんのか?

 

228:名無しのリスナー 13:12

イゴさんはもう配信しないの?

 

229:名無しのリスナー 13:14

>228

イゴさんは何か最近マインドマンサー業の方が忙しいらしい

それがなくてもフィレ様に遠慮して頻度落としてたけど

 

230:名無しのリスナー 13:18

もう何年前の話だ肩幅って

20年以上前のサイトのイメージ画像が変なのくらいそろそろ忘れてやれよ

 

231:名無しのリスナー 13:20

修行で数年ぶりに現世に帰った俺にイキのいい配信者紹介してください何でもはしないけど

 

232:名無しのリスナー 13:22

>231

Vだけど警視庁のワンだゆうさん

 

233:名無しのリスナー 13:25

>231

ヴァーチャルだけどマシンタケルさんとか?

 

234:名無しのリスナー 13:27

>231

同じくVだけど警視庁のピルクたん一押し

 

235:名無しのリスナー 13:27

>231

JKニャル様かな?ここ最近配信どころかつぶやきすらなくなって消えたっぽいけど

 

236:名無しのリスナー 13:29

>231

阿修羅様……は古参だし違うか

俺達メガテニスト!が実用攻略系ならトップだと思う

 

237:名無しのリスナー 13:32

Vの者多すぎwww

 

238:名無しのリスナー 13:34

だって裏業界だし顔出ししなくていいVの方がそもそも配信者にも人気だし……

基地外凸されなくていいんだもの

 

239:名無しのリスナー 13:37

人間はしょうがないけど悪魔なら配信で名前売ろうとか考えないの?

 

240:名無しのリスナー 13:40

>239

それやったら悪魔でも消えるし……

>235

ニャル様でも失踪するってちょっとハイリスク過ぎるわ

 

 

 




 これが世界の選択か……。


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異界:第2回片羽葦原 稼ぎ開始

 数は力だよ!(敵も)


 「フケイがそっち行ったぞ!」

 

 「はい!任せてください!」

 

 薄く潮風の漂う湿地帯に、サブマシンガンと魔法の音が響き渡る。

おはようございます、セラフィックアイドルにうのゼロッチでございます。

 

 ……基本的に素早く、ほとんど銃弱点の鳥しかいないこの「片羽葦原」で、オレは最初大して出来る事もなく、回復メインでアイテム係をしていたわけだが。

 

 今日は約束していた通り、阿形さん達と合同での異界稼ぎだ。

ザコのレベルがレベル6~9の鳥系悪魔で収まってるこのあたりは、ちゃんと攻撃回数が多いか範囲の広い銃を用意出来れば今のオレ達のレベルアップに最適な場所なのだ。

ネット上の情報……ほぼDDS系だったが、ニッチが総ざらいして調べてくれた。

 

 川を挟んだ上流部、スチュパリデスの縄張りから何やらオレら以外の戦闘音も聞こえるが、良くも悪くもレベル帯が違うからこっちからは手が出せないし、距離もあるから向こうから見ても関係ないだろう。結構異界ニアミスあるっぽいな。万が一の誤爆とかには気をつけないとな。

 

「オンモラキ4、ヒッポウ4!」

 

「多いな!よし、歌行くぞ!ゴーストさんはプリンパ!」

 

「あいわかった!」

 

 ゴーストさんのプリンパと、オレとイッチ、ダブルの歌声が、葦原に響き渡る。

 

「怪音波乙!」

 

「怪音波言うな!……オレとイッチ、ついでにゴーストさんのプリンパで、敵計5体混乱か。悪くないな」

 

 そう。ここでしばらく戦ってレベルが上がったら、いつの間にか「怪音波」を身につけていたオレ。最初はどう発動したらいいかイマイチ分からず、COMPから雑音を出したり奇声を発したりして色々試した結果、オレが霊体化しててきとーな歌を歌えば「怪音波」になる事が分かったのだ。クソが!

 

 ちなみに他にもバッドステータス技としてはスガルが子守り歌、裕奈ちゃんがマリンカリンを使えるが、拳銃とはいえ銃弱点にしんけいだんをぶち込んだ方が強いので今はそうしている。ヒナちゃんはスキルがアクアとトラフーリとトラエストなんで、バトル的にはあんまり役目ないんだよな。最初のオレみたいに。

 

 いやまあ敵の数が多すぎる時はトラフーリで安心出来るんだけどさ。低レベルなのにトラフーリとトラエスト揃ってるのは普通に凄いと思った。ホネアリクラゲってのは地上の浜辺と竜宮を行き来してたからだとか何とか。へーそーなんだー。

 

 そうこうしているうちに、悪魔はサブマシンガンの連射で容赦なく倒され、ドロップ品回収の後にまた次の獲物へと向かう。銃での攻撃メインであまりペルソナは使わないので、スガルと裕奈ちゃんのディアで回復する。よし、無駄がないな。

 

 ちなみに裕奈ちゃんの初期ペルソナは恋人LV1 スエノタマナだそうだ。何かフツーに半透明の活発系和装美少女って姿をしている。元ネタ分からんなー。まあ、分からなくても使えればそれでいいけどな。

 

 この片羽葦原、例によって場所で出現悪魔が異なり、上流部、河口北部、河口南部に分かれている。河口南部には鳥ではないでかいカニのキャンサーと空飛ぶエビのデッドロブスタが出て、河口北部にはちょっと強い妖鳥ベンヌが出て、上流部はボスのスチュパリデスの縄張りになる。

 

 当然上流部には近寄らないし、北部にもまだ近寄っていない。今日の所は比較的安全な河口南部でうろうろする予定だ。カニとエビは別に銃弱点とかではないが、サブマシンガンで十分対応出来るからな。

 

「というかもう昼だぞ。お前達は休んだ方がいいんじゃないか?」

 

「え?うわホントだ。ちょっと楽しくなって来たからっていうか、完全に時間忘れてたな。じゃあ一旦トラエストしてお昼にしようか。ヒナちゃん頼む」

 

「よし、行くぞっ!」

 

 ヒナちゃんが触手もにゅもにゅすると、青白く光る渦が出現してさらにその中から触手が伸びて来て掴まれて渦をくぐる感じのトラエストだった。控え目に言ってキモイけど言うとヒナちゃんがかわいそうなので言わない程度の情けはオレ達にもあった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 トラエストが終わった後、皆を改めて見渡すと、霊体のオレやゴーストさん以外、はねた泥がまとわりついててとてもお見せ出来ない惨状となっている事に気づいた。

 

「長靴用意しててまだ救われたな……」

 

 下手に装備は変えられないが、せめて頭や靴は可能な限り沼地対応にしていたのだ。

おかげでスガルはQQメットにスク水に長靴に拳銃と、かなりマニアックな見た目になっている。

 

「このままでは無理ですわね。ワタクシ達の拠点で一旦水で流してからにしましょうか」

 

 縦ロールの阿形の提案に乗り、近所にある阿形さん達の拠点で泥を落とす。

メシアではない十字教会の管理地にある裏の集合団地だ。

一軒一軒はプレハブよりはマシって程度だが一応一軒家で、集合団地の入り口に門があってチェックがあるので、装備そのまま入れるのは正直助かった。

 

 玄関前に備え付けの水道で最低限泥を落とし、人間組は狭い風呂に交代で入る。

風呂から出たら、「スーパーふえんじ」まで昼食の買い出し。せわしないな。

 

 オレがクソダサリュックに隠されたアームターミナルでは満足出来ず、わざわざ霊体化して駐車場に駐められた車の中から外をチラ見していると、同じようにヒナちゃんが阿形さんカーの中からこちらを見てもじもじしている。

 

 なので隙を見てさっと。隣に寄って行った。まだあんま話したことないしな。

 

「何だ何だオレに興味あんのか?おおん?」

 

「なあ、ゼロッチどの。その……化身とやらはどうなんじゃ、どうやるんじゃ?」

 

「ん?化身?」

 

 どうやら、オレが自由に「化身」を出して同期してってやってることに興味があるらしい。

 

「んー、どうやらこれは電霊の能力と『時間城の主』の影響があってこそこんなホイホイ使えるっぽいからなー。ハチマン様でホネアリクラゲでってのはよく分からないな」

 

「そうなのか……」

 

 触手と触腕をだらんと垂らして落ち込むヒナちゃんがかわいそうになるが、こればっかりは教えられるものでもない。感覚と種族差だからな……。種族。種族ねえ。

 

「ホネアリクラゲって再ポリプ化出来たりしない?」

 

「え?何じゃ?再ポリプ化?」

 

「いやクラゲって繁殖形態が色々あって、クラゲの種類によっても違うからホネアリクラゲが出来るかどうか分からんけど、ポリプに戻って繁殖出来るベニクラゲみたいに再ポリプ化で繁殖出来たりしないかなーと」

 

「はえー……」

 

 ただ、これをやるとポリプ化してから繁殖終了まで物理的に動きづらい状態になる可能性が高いな。今のヒナちゃんの戦闘スタイルとかスキル構成を見ると……まずトラエスト・トラフーリがあって、あとはアクアと……どくばり?

 

「魔法あればバトルも何とかなりそうだけど、まあマジで増えるつもりなら阿形さん達に相談しといた方がいいな。オレと違って実体メインの悪魔だとオレが分からない事もあるだろうし」

 

「そっかぁ、そうじゃな。一回増えられたら増えやすくなりそうじゃが、最初の一回はただ動けなくなりそうじゃしあやつらに負担がかかるのう。増えたらマグネタイトも要りそうじゃし……」

 

 オレが気軽に増えてるのは、種族特性もあるが、オレ自身の手持ちマグネタイトもあるからだ。

野放図に増えるだけ増えるじゃ、即討伐対称になるだけ。

こう見えても必要な自重はしてるんだよね……。

 

「ふと思いついたが、クラゲなら海の異界運営とかどうだ?」

 

「えっ?」

 

「まあまずは1回は出来たらポリプ化して、分裂したのをボスにして、オレがCOMPの中で『同期』を教えるのもいいな。これも出来ればいいなって話だけど」

 

 COMPの中の悪魔は、データ丸ごと入ってる場合と召喚契約だけ置いてある場合がある。

オレ達は今の所全部前者、データ全部COMPに入ってる勢だと思われる。

COMPの中で、電霊のオレが持ってる能力やスキルを教えられる可能性が……?

 

「まあ今のとこ全部夢みたいなもんだけど、色々試す価値はあるな」

 

 ヒナちゃんの相談から、新しいひらめきを得た。

 

「まあ、出来たらいいなの話だし、オレ達が強くならなきゃ全部絵に描いたモチなんだけどな」

 

「そうじゃのう……」

 

 その後、特にやる事もないオレらは、なぜかアイテム登録されていた何の変哲もないトランプで時間を潰した。……オレは自分の運が高くなってるのをまるっと忘れてたので大惨事になった。

2人7ならべで6と8ほとんどこっちとかもういじめだろ……。

 

 ゲームじゃ正直クソステだけどリアルに影響する運ステってマジでやべーんだな……。

 




 歌ったら怪音波になるだけで音痴ではない。これだけは真実を伝えたかった。


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異界:片羽葦原リザルト ※リザルト表記あり

 そりゃコミュニティも出ますよ


 しばらくしたら買い物組が帰って来た。即拠点に戻り、昼食を食べる。

オレ達悪魔組は食わないしオレとイッチは拠点にあったPS2で地球防衛していた。

ゴーストさんは何か疲れたのか寝てる。ゴーストは寝るんだな。

 

 昼食を終えてすぐに、再度片羽葦原に戻る。

あいも変わらず河口南側での稼ぎである。実はここも夜にはスチュパリデスが巡回し始めるので、午後3時には引き上げる予定だ。

 

 基本的に午前中と変わりなく、数が少ない時は銃で瞬殺、数が多ければ開幕銃でご挨拶ののちオレとイッチが怪音波、ゴーストさんがプリンパを放って混乱を撒く。

 

 ……フツーに歌ってるだけなのに怪音波扱いは納得出来んが。なぜだ。

合体素材だったポルターガイストの影響だろうか。

 

 人数も多いし事故る事もなく、しっかりと稼ぎを終えて本日の合同アタックは終了した。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第2回 片羽葦原

 

マッカ:+3836 マグネタイト:+5886

 

アイテム:てっかめん×1、遁甲羅盤×5、アメジスト×8、宝玉×11、魔石×24

 

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV10(+6)

 

 仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

    【ゼロッチ/イッチ】LV9(+5)

    スキル:休む、挑発、まもる、スウィートトラップ、怪音波(新)、スランパ(新)

 

    悪霊:ゴースト LV8(+4) 銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射

    スキル:プリンパ、シバブー(新)緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    

    妖鳥:バー(新)LV9(+2) 剣耐性、氷結・衝撃・銃弱点

    スキル:ついばみ、介抱

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV9(+4)

 

 ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV9(+4) 闇耐性

      スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、ドルミナー(新)、ムド(新)

 

      魔術師:ピクシー LV4(+1)火弱点、風耐性

      スキル:ディア、パトラ、ジオ

 

      正義:エンジェル(新)LV4 風・光耐性、闇弱点

      スキル:ガル、パトラ

 

 

 スガルコミュニティ:愚者/LV1(+1)(新)時間城のなかまたち

 

 

【同行者】

阿形 サリナ サマナー/ガーディアン使い LV7(+4)

珍獣:ホネアリクラゲ 瓜生 ヒナ LV4(+2) 水無効、物理耐性、炎弱点

網代 裕奈 ペルソナ使い/降魔 LV4(+2)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 イッチが表示してくれたリザルトに驚くオレ。スランパ!?いつの間に覚えてたの!?

 

「驚愕の新事実……」

 

 イッチも知らなかったようだ。まあ、スランパって敵を不幸状態(状態異常)にするだけで、運判定のスキルが無ければ意味ないんだけどさ。これもポルターガイスト由来かなぁ。

ゴーストさんは成長したし、オレらと一緒にプリンパで活躍したし新しくシバブーも覚えたけど……って感じ。仲魔が増えたら合体かな。新人のバーさんはいわゆる命乞いで仲間になった。

こいつも材料っすね……。

 

 スガルはメインのペルソナのヒネ・チタマがドルミナーとムドを覚えた。

闇系に火力が偏ってるけど強い。

渋田海岸でもそうだったけど今回もいつの間にかエンジェルのペルソナを手に入れてるんで、いつの間に手に入れたのって聞いたら一応シャッフルタイムあるんだとか。

ペルソナ限定で、回数は少ない気がするって言ってたけど。

 

 ちなみにコミュニテイはファンタジーがどうこう言って駄々をこねた時に出たんだとか。

あれ出ちゃったって愚者コミュニティが出ちゃっただったの!?

 

「だからスガルとしてはコミュ出来る時間とか休日も欲しいんだけど……」

 

 そう言われても……いや、そうだな。ワイルドのペルソナ使いは、コミュニティのレベルが戦力アップに繋がる。その意味で休日は確保しないといけないし、今回は純粋に疲労の色も濃い。

 

 正直、今回の異界稼ぎは泥はねを想定はしてたけど予想以上に汚れちまったし、敵との遭遇に制限数なんて無いから、最大18体(フケイ4、ヒッポウ4、オンモラキ3、デッドロブスタ4、キャンサー3)の大盛り編成との戦いとかもあって、数の多さに結構びびった。

 

 まあ一番素早いミミカのサブマシンガンでひと当てした後に、阿形さんのサブマシンガン→スガルと裕奈ちゃんの拳銃とオレらの怪音波・ゴーストさんのプリンパが大体同時→申し訳程度にヒナちゃんのアクアって感じで危なげなく勝てたんだけどね。情報あり事前対策ありはやっぱり強い。

 

「そうだな。確かに異界行きの次の日くらいは休むべきだな。休みは入れるとして……しばらくは新しい異界に行くより、この片羽葦原で継続して稼ぐのが良さそうだ。泥は鬱陶しいけど……ここはオレらにとっては稼げる異界だ」

 

 少なくとも、レベルが上がりにくくなるまではこの異界で稼いでおきたい。

今日はワンランク上の河口北部にすら行かなかったしな。オレらの運が高いからか、アイテムドロップも多いし。

 

「というわけで、明日はスガルとカードショップで1日カードゲーム三昧しようぜ」

 

「お、おう?」

 

 何がというわけでなのかは知らんが、まあコミュニティ期待って事で、明日はスガルとカードショップ「サバトマオン」で1日カードゲーム三昧することになった。

 

「でもスガルがミミカのアームターミナル持って行くのか?」

 

「うーん……」

 

 一応例のリュックとかに入れておけばカードショップだしそんなに目立たないとは思うけど、ミミカとアームターミナルを離すのはちょっとリスクがあるような気がする。どうしよう?

 

 ちょっとアームターミナル経由でセラフィックアイドルにうの化身達と相談した結果、「スガルちゃんスマホCOMP持ってるっぽい」というサッチの一言で解決した。

 

「あ、忘れてた。一応これCOMPだったっけ。フツーのスマホ機能しか使わねーし忘れてたわ」

 

 何か一応初期ガチャで引いたはいいけど、ペルソナ使いだとリソースの食い合いがなんちゃらで事実上使えないらしい。そりゃ忘れるわな。まあ戦闘とかせずにオレが霊体でカードゲームするくらいなら大丈夫っぽいので、明日はこれで行こうと思います。

 

 色々話しているうちに、阿形さんの拠点での泥落としとお風呂も終わって、解散となった。

オレ、スガル、ミミカの3人は今日はオレの拠点、オレの家のはなれに帰宅する事にした。

そろそろ1回はオレ自身が顔見せしておかないとな。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 今日はいつものスーパーふえんじではなく、オレの家の近くにあるスーパー「ハマオン」で買い物して帰る事にする。オレのお目当ては弁当ではなく、駄菓子やジュースや炭酸飲料だ。

メタボ系おっさんの心の友だ。リアルの都会では愛好してたものが転生してからは全くとれてないんで、そろそろ欲しい。ちょっとアイテム登録は面倒だけど、化身みんなの心を一つにすれば駄菓子やペットボトル飲料登録するくらいはやって見せる。特にペルソナ4公式のあれやそれは絶対に登録するぞ!

 

 ミミカの買い物かごにあれやそれをこっそり放り込むわりと難しい仕事を終わらせて、オレん家の駐車場に車を駐める。気付いた爺さんが出てきたが、「設定」上ミミカとスガルとも知り合いではあるので、2人に挨拶だけしてまた本宅に帰っていった。

異界稼ぎの時以外は常識的な格好だしな。特に問題が起きる要素はない。

 

 はなれに帰りついたオレはさっそく化身みんなとアイテム登録作業を始める。

皆生き生きと引き受けてくれた。やっぱ好きなんすねぇ。

やはりオレ、何も言わずとも心は通じ合っているな。

 

 作業を続けていたオレだが、ニッチから最初の動画どうする?と聞かれた。

まあ、数分のご挨拶動画でいいんじゃないかな。後で微妙に黒歴史になってそうな真面目すぎてガチガチのやつとかがいい。出演するのは、最初からオレとイッチのダブルで行こうと思う。

人数は最初から増やして行くよって宣言しとかないとね。

 

 背景とかBGMとかもろもろはもうニッチにお任せで。頼むぞオレ。

 

 そして今日も遊び担当のヨッチ。今日は電霊のアレコレを無駄に発展させて、COMPの中から昔の携帯ゲーム機に悪魔的技術を交えてアクセスして携帯ゲーム機のゲームで遊ぶ事を覚えたぞ!悪魔的技術なのでちょっと壊れてるくらいならなんやかや誤魔化して遊べる、やったぜ。

 

 今日遊んだのは、GBCに挿してあった平安京の検非違使ゲームだった。

単純な検非違使穴掘りゲームは心が洗われるぜ。

 

 あの後あらためて本宅に行って弁当を食べて来たミミカとスガルは、かなり大量に広げてあるお菓子に興味を示した。辛さに特化したポテト菓子だとか3分の1ですっぱいレモンだとか。

 

 スガルは普通に円筒容器のポテトと手のひらサイズの炭酸グレープジュースで満足したが、ミミカはすあまにチーズたらを梅ジュースで流し込むという悪魔のような所業に手を染めていた。

こいつやるな……。

 

 明日の予定は、オレとスガルがコミュニティ発生期待のカードショップ行きで、ミミカはこのはなれにあるレトロゲームをやってみたいらしい。おお、やはりその意味でも同志だったか!

 

 オレ達はその前哨戦だとでも言わんばかりに、PS1の対戦格闘メドレーで夜を過ごした。

ストEXだけ上手すぎるミミカとかなり満遍なく強いスガル、一部2D系だけは勝てるオレ、その他仲魔。バーさんはちょっと無理だったけど。

 

 最終的に一番勝ったのは順当にスガル、隙なさすぎでしょう……。

あれこれしている内に、もうかなり遅い時間になってしまった。

 

「このまま電源をお切りください。お休みの間、悪魔に肉体を乗っ取られぬようお気をつけて……」

 

「それシャレにならねーからやめろって、お前霊体悪魔なんだから」

 

 ……まさかのマジレス。ま、確かにそうだね、前にも一回言われたような気が。

あんまりしつこくしてもあれだし、このネタはもう封印ですね……。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 深夜、皆が寝静まった後、オレらセラフィックアイドルにう達が何をしているのかというと。

何か作業があるならそれを続けているが、それがなければ……まあ、インターネット鑑賞会である。

 

「オレがナローの1000話越えの小説を延々読み!」

 

「オレはつべの実況動画を漁って!」

 

「オレは巡りめぐって各種SNSの様子を探り!」

 

「オレはクソみたいなまとめブログにクソみたいなコメントを書き込み!」

 

「オレは真面目にDDSでこの世界の情報を集め!」

 

「その間にオレが基本無料ゲームを無課金で遊ぶ!」

 

 ……どこまで行ってもオレはオレであった。完璧な布陣である。

 

 結局今日のオレの夜はナロー小説を128話くらい読んだ所で終わりとなった。

 

 




 ストEXは名作


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カードゲームと星のコミュ

 カードショップがあるのは都会!


 翌朝。オレはスガルのスマホCOMPに乗り込んで、スガルと共にオレの家の近くの田園地帯を通り抜けて徒歩でしおさい商店街のカードショップ「サバトマオン」に向かう。

 

 まあ、徒歩とは言っても歩いてるのはスガルだけで、オレはスマホCOMPの中にいて、そのスマホCOMP本体はスガルが高校の時に使ってたという設定のスポーツ系キャリーバッグの中に入ってるんだけどな。

 

 国道を渡り、農道を通って、開店すぐのカードショップ「サバトマオン」の3階の方に入るが、店員以外誰もいない。普通のカードショップだとスペースに入るのが有料会員制だったりするが、ここは裏がメインなので無料。変わりにアナライズ的な何かがあるらしいが、そこは今は関係ないかな。

 

「なあ、今日持って来たのギャザだっけ?スガル昔やってたけど新しいカード全然知らないんだけど」

 

「安心しろ、オレもだ」

 

 なので、ここにあるのは昔日の名カード達……ただしお高過ぎるカードは下位互換のお求め安いカードで構成された、MTG……マジック・ザン・ギャザービートをエンジョイするためのカード束だ。

 

「スガルは……これかな?」

 

 スガルはぐてーと半ば机に突っ伏して、「スーサイド」を手に取る。

 

 ふむ。ならばオレは「スピリット十字軍」で迎え撃つとするか。

 

 ゲームスタートし、お互いに土地を並べてにらみ合う。

 

「あ、ずりー!」

 

「ずるくないですー、戦術ですー」

 

 スピリット十字軍は、各種耐性を持ったスピリットや騎士に、永続魔法「聖戦」を重ねがけして殴りあう戦術である。特に闇属性だらけの「スーサイド」には強く、スーサイド選択を見た後に選ぶのは少々ずるい。でもやっちゃう。オレってこすい大人だし。

 

「異界稼ぎで十分な収入になりそうだし、スキルカードが名目上の本業って言ってもこだわらなくても良さそうだけど……スガルはどう思う?」

 

 オレは自分の霊体を出して「スピリット十字軍」の陣容を整えながら、時間城の仕事について語る。

 

「そうだな……別にガツガツ集めなくても、確かドロップアイテムでカード落とす悪魔とかいたよな?運ドロップで十分なんじゃないか?」

 

 スガルの陣営には「影」の能力を持ったモンスターが並んでいる。

オレのモンスターの守りをすり抜ける作戦だな。それしかないとも言うが。

 

「ところで……ベルベットルームのアテとかはあるか?合体出来ないのは流石にきついんじゃないか?」

 

「あ、それは大丈夫だぞ。時間城の主がペルソナ合体やってくれるって言ってたから」

 

 何と……あいつがか。出来るかできないかで言えば出来そうだけど。

 

「でもゲームでやるみたいにキャンセル厳選は禁止で、色んなオプション無しだから根性で最強ペルソナ作るぜ!とかは出来ないけどな」

 

「ああ……うん」

 

 そうだよな。めんどくせーことは嫌がるよなあいつ。

 

 テーブルの上では、スガルの「スーサイド」が速攻を決めてオレの「スピリット十字軍」がまさかの敗北。

 

「あれ?勝っちゃった。案外勝てるもんだな」

 

 スガルがドヤっている。うぜぇ。

 

「スガルさんにゼロッチさん、おはようございます」

 

 スガルのほほを引っ張るかデコをひっぱたくか悩んでいたオレに声を掛けてきたのは、5割増で光り輝く美少女と化した裕奈ちゃんだった。

 

「あー、あのー、これは阿形さんがちゃんとしなさいって……え、ええとそうじゃなくて、その、カードゲームですか?」

 

 その後、「新緑ドロー」を選んだ裕奈ちゃんを巻き込んで、少し話す。

 

「どーも。ペルソナ使いなんだよな。スガルもなんだ。スガルはワイルドだけどな?」

 

 スガルが余計な対抗心を見せるが、特に何事も無く自己紹介は終わる。

まあ裕奈ちゃんはペルソナ1とか言ってたし、ワイルドだのなんだのは無関係だしな。

 

 裕奈ちゃんの「新緑ドロー」とスガルの「スーサイド」とオレの「スピリット十字軍」で三つ巴の戦いを行い、裕奈ちゃんとスガルがやりあってるうちに「聖戦」を重ね掛けして「ナイト」に攻撃させたオレが勝った。勝てばよかろうなのだ!

 

「あーくそ、負けた負けた!次、次!」

 

 スガルは「スーサイド」のカード束をしまい込み、今度は「ゴブリン」の束を手に取った。

分かりやすいな、スガル。スガルが変えるならオレもということで、オレは「カブトガニ砲」にチェンジした。裕奈ちゃんは変えないらしい。

 

 だが、次は裕奈ちゃんとスガル2人での戦いだ。オレは見学。

 

「なあ、ペルソナ使いならベルベットルームってか合体施設もあるんだよな?お前のはどんなんだ?」

 

 ゴブリンを並べながら、スガルは裕奈ちゃんに話しかける。

 

「え、ええと……ボクのは、ウライチに来るカメンヒジリさんがやってくれる……らしいですよ?契約後は鍵を渡されるから出入り自由って話なんですけど、その鍵もらってないんで……」

 

「ウライチ?」

 

 ウライチ……裏市。ここのハチマン神社では、8のつく日に伝統のフリーマーケット、ハチマン神社の市が開催される。その裏、悪魔業界のアイテムや色々を扱うウライチ……。

 

「へー、面白そうじゃん?」

 

 呼び出したゴブリンで攻め込みつつ、スガルは興味深げに目を輝かせた。

確かに、何が売られているのかは気になる。そしてカメンヒジリ……。

 

「カメンヒジリって真2の……ガイアーズだっけ?ハチマン神社だけどガイア勢力だったりする?」

 

「あ、いえ、ハチマン様はハチマン様で……属性的にはむしろロウです、でも市(イチ)もそうですけど、かなり広く受け入れてるので……」

 

「ふーん……」

 

 まあ、プロテスタントなんちゃら会派の阿形さんも転生者として受け入れてる位だしな。

ここのハチマン様は懐が深い方なのかもしれない。

 

「え、ええとその、ボクと阿形さんとヒナちゃんはここの……リアルの方のハチマン神社の地区の生まれなので……。氏子だとか産土神だとか説明されましたけど、その中で才能と意思のある子を選んだとかなので……」

 

「そーなのかー」

 

 3人とも地元だったのか。オレはこの街に来たばっかで事件に巻き込まれたからな。

 

 テーブルの上では、ゴブリンキングと森の魔術師の殴り合いが展開されている。

 

「ところでさー、ゼロッチ『手口』とか言ってたけど、具体的には何だ?」

 

 戦いを進めながら、スガルが問うて来る。まあ、そこは疑問だよな。

前言った時にはオレ自身細かいとこ決めてなかったし。

だが、今はおぼろげながら手口のようなものが見えて来た所だ。

 

「単純な話、オレ自身が『手口』になれる」

 

 オレは電霊としての能力と、推定時間城の主経由の能力も合わさって、「化身」を作り同期によって同一性を保つ事ができる。実は悪魔としての仲魔契約も有名無実化している。だって同期で契約してない化身との差分を上書きすればいつでも、というか試しにやって戻して……ゲフンゲフン。今のオレを縛っているのは、信頼関係だけということだ。

 

 そういう……実はいつでも戻せる化身を様々な形で派遣し、援助兼監視を行って派遣先を個別に全部直接オレが繋ぐ……。

 

「まるでニャル様みたいだな?」

 

「一緒にすんな。どうせならコンピューター様とかの方にしてくれ」

 

「ほへー……」

 

 正直今の所、スキルもレベルも貧弱なので、先の話になりそうだが……電霊としての適応力というかネット親和能力と2次元と3次元を繋ぐ能力はかなり高いと自負している。電霊としては人間をネットの中に入れる能力もありそうだが……それはちょっと怖くてやりたくない。それをやったら何か大切なものが取り返しがつかなくなる気がする。気がするだけだと思うけどな。

 

 まあとにかく阿形さん達を助けてロッチを派遣したのがその一歩で、色々お試しする機会でもあったわけだ。

 

「ちょっと衝撃の事実なんだが……」

 

「もちろん簡単に裏切る悪魔なんて信用されんから、上書きはあくまで最終手段だけどな」

 

 普段はむしろ協力的な悪魔してよう。元人間の感性を生かしてふるまうのもいいし、電霊能力もアピールすれば切り離せない存在になるだろう。

 

「お前性格悪いなぁ……」

 

「大人になるって悲しい事なの」

 

 そうこう話しているうちに、テーブルの上では裕奈ちゃんの「新緑ドロー」が猛威を振るい、永続魔法と装備品をゴテゴテにつけてパンプアップゴリラとなった女魔術師がスガルを一撃で殴り倒していた。

 

「うへぇマジかよ……」

 

 スガルと交代し、次はオレと裕奈ちゃんとの対戦である。

 

「お、お願いします」

 

 さあ、見せてもらおうか、裕奈ちゃんの「新緑ドロー」の性能とやらを!

 

 その後。フツーにカードゲーム三昧して。時間を忘れ、お昼はピースダイナーの方で食べて、またカードゲームして、帰りにはまたピースダイナーで持ち帰りの食べ物も買って……スガルが「星」のコミュニティに目覚めて感激して道端でオレの霊体に抱きつこうとしてスカって転ぶアクシデントもあったが、かなり充実した1日だったです。あ、裕奈ちゃんは阿形さんが迎えに来ました。完全に年の離れたお姉さんと妹だけど、中身と中身の年齢の事は気にしてはいけない。うん。

 




 ほぼ初手でネットの中に入るハカーズ主人公はクソ度胸だと思う


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三人の相談+掲示板回

 やはりレベルこそパワーでありパワーこそ力だな……。


「なあ、ゼロッチ」

 

「ん?」

 

「お前の『手口』広げるの、すぐじゃないんだよな?」

 

「ああ、そりゃーね……」

 

 すぐには出来ない。レベルを上げて、自分の戦闘スキルも充実させて……。

 

「同期でレベルも共有とかだったらすぐ行けたかも知れんけど、流石にそこまで簡単には行かなかったな」

 

 現在、レベルが上がってるのは実際戦闘に出てたオレとイッチだけで、他の化身のレベルは残念ながら上がっていない。まあ、メガテン・ペルソナ設定周りの異界化とかGPとか認知とかの影響も考えたら、この方が安全っちゃ安全なんだけどさ。

 

 オレが化身を増やすと終末が近づくみたいなマッポーめいた存在になりたいわけじゃないし、ちょっと化身のレベルアップみたいなことをする必要があるかも知れんな。一般的な経験は同期で共有出来るからその点は通常の育成よりは楽といえば楽だ。

 

「んー、じゃあスガルもこのスマホCOMPに1体くらい化身連れて行こうか?」

 

「いや……それはやめた方がいいんじゃないかな」

 

 オレらの今のスタイルだとスガルが近接物理・遠距離ペルソナ・回復も出来る前衛、ミミカが真ん中でサマナーとサブマシンガン攻撃、オレも含めた仲魔がその後ろからスキルや魔法で攻撃、オレはアイテムも使えるからアイテム係もやって、COMPやインストールソフトや悪魔召喚プログラムの機能を利用した索敵・相性判断も、といった感じだな。

 

 渋田海岸ならこのオレ達3人でも危なげなかったが、片羽葦原では正直、オレ達3人と仲魔だけだと数で押し負けていただろうなという場面もあった。

 

「しばらくはこのまま阿形さん達と合同で片羽葦原でレベル上げて、まず地力を上げた方がいいと思う。転生したのがオレらだけじゃないってのが分かっちゃったからな」

 

「そうだな……もう阿形さん達っていう前例見つけたもんな」

 

 この街みたいな人口十万人どころか五万ちょっとの田舎の町で、転生者が2組6人。

日本全体だと数千か一万人位はいるんじゃないかな。

 

「流石に、メガテン・ペルソナを知ってる範囲に限定されてるとは思うが……」

 

「え?何で?」

 

「いや、何でって、全く知らないのにメガテン・ペルソナ世界に転生させるとかどんだけだよって話で……」

 

「いやー……やってそうじゃない?」

 

 そう言われると不安になる。時間城の主が良心的に見えるような悪意のある転生をやらかすやつ。いるか?例えば説明なしチートなし、才能なし一般人でこの世界に転生とか?

 

「いそう……」

 

「自然に可能性を除外してたけど、いるかいないかって言われたらいそうだな……」

 

 他にも説明なし知識なしチートありとか、全部盛りだけどずっと格上との戦いだよとか、チートはあげるけどリスクあるとか、悪魔に乗っ取られた転生者がラスボスですよみたいな感じの転生シチュエーション。

 

「いそう……(2回目)」

 

「改造とかされそう……シャドウ暴走でもいいけど。いや良くないけど」

 

 色々不安要素はあるが、今ここでいつまでも憶測を語っていても仕方が無い。

 

「ええと……話は変わるが、コミュニティ出来たんだっけ?」

 

「ん?ああ、アルカナは『星』で、『ゼロッチ』コミュ。狙い通りお前のコミュだな」

 

 これでスガルのコミュニティは、オレ・ミミカ・スガル3人の「愚者」コミュとあわせて2つ目。まだまだワイルドの道は遠いな。

 

「あーっと……スガルってペルソナ1のはよく分からないんだけど、ゼロッチは詳しく知ってるのか?」

 

「ペルソナ1ねぇ……」

 

 ペルソナ1のペルソナは、ペルソナに覚醒した時に得たもの以外、悪魔から悪魔交渉で手に入れた「スペルカード」を合体して作り、それを「降魔」させて使う。

交渉成功時の悪魔のセリフから、スペルカードの悪魔の影響があるらしいことが分かる。

 

「それに、特にワイルドでなくても、『降魔』した3枠のペルソナを使い分けて戦うのが基本だ。コミュニティはなく、ペルソナの成長は戦闘でなされる。そういう意味では良いと言えばいいんだが……」

 

「だが?」

 

「属性相性とか魔法の威力とかが凶悪なんだよなぁ……」

 

 例えば、オレのスキルにあるスウィートトラップ、これは物理相性ではない。

 

「え……何?何だって?」

 

 スウィートトラップは「100%」という属性で、物理無効や反射でもフツーにダメージが通る。その代わりかどうかは知らないが、タルカジャの影響を受けなかったりしたはず。何でかは知らない。そうなってた。

 

「いやわけ分からんが……つーかお前ペルソナ1のスキル持ってたのか」

 

「スウィートトラップだけじゃなくてスランパもペルソナ1スキルだけどな……まあ初期スキルは休むと挑発だったから、色々混ざってんだろうけど」

 

 そうこう話しながら歩いているうちに、拠点へと帰りついたオレ達。今入ってるスマホCOMPの作業領域とかきついからさっさと移動したい……出来れば据え置きのデスクトップCOMPの方な。アームターミナルも悪くは無いんだけどね。

 

 拠点の中では、ミミカが1人でセガサターンの「真理果-マコトの世界-」をもくもくとやっていた。なんか怖い。

オレはさっとデスクトップCOMPに移動して再度霊体を出し、ミミカはキッチリセーブして、ピースダイナーで買った食べ物を太閤異界内のゴーストとバーに配る。

残りをミミカとスガルに分配しつつ、今日話したことをミミカにも話しておく。

 

「そうだよね。確かに転生者はもっといると思うよ。でも、そこまでいつものメガテン・ペルソナするかな?」

 

「いやそりゃするだろ、するする」

 

「私はそうは思わないな、前提条件があるでしょ?」

 

「前提条件?」

 

「前提条件って……オレ達を転生させた悪魔達のことか?そりゃ確かに思惑あっての事だろうけど」

 

「そうじゃない……時間城の主の言ったことを信じるならの話だけど、全知全能の神が動いて犯人とその悪縁を消したんだよね?じゃあその後の未来、後始末でも、そんな新しい悪い因果を招くような不幸や悪行の種のようなモノの存在を許すだろうか?」

 

「あ……そっか、そりゃね……」

 

 全部滅ッ!して新世界を作るまではしなかったけど、わざわざ細かく滅ッ!したのにまた悪を招くような種は残さんかもな。

そう考えるといつものメガテン・ペルソナみたいに救いがねえな!って言いたくなるようなBADなルートみたいなものはもう悪縁ごと消されてるのかも知れず、BADエンドを招く悪は存在しないのかも知れない。

少なくとも今しばらくは。

 

「そうだったら安全ではあるけど、同時に全知全能の神の影響が強い世界でもあるってことだから良し悪しだね」

 

 クソみたいな悪党が消されてるのはいいが、全知全能の神が見てるってのはなかなかきついものがあるな。

 

「それと片羽葦原でのレベル上げだっけ?しばらくはそれで行こう。とにかくレベルが上で数が多くてそれなのに弱点をついて手早く倒せて、私達の運とヒロえもん効果かアイテムも落としやすいし」

 

「片羽葦原か、確かにしばらくレベル上げ目的で行った方がいいと思うしミミカの仲魔勧誘はレベル的に後回しで、裕奈ちゃんのスペルカード交渉もあるんだよな?あと異界の外じゃスガルのコミュニティの時間も忘れないでな。スガルのコミュニティって結構長い時間一緒にいないと駄目っぽいからさ」

 

 そういや「星」コミュが出るまで結構長い時間かかってたよな。コミュにもよるんだろうが。

 

「しばらく……ああ、そういえば今悪魔業界の組織は今回の一件で今は大混乱中らしいな。オレの化身がDDS掲示板を見た限りでは。その間に地力をつけよう。一番促成で力を上げられる、レベル上げっていう方法でな」

 

 よく実力をつけるために鍛える時に純粋な戦闘技術や武術を鍛える系の話があるが、今のオレ達にはそれは選べない。なぜってそれはそんな時間ないからだ。その時間があれば、レベル上げと実戦とスキル覚醒で死なないように立ち回るべきだ。

 

 メガテンもペルソナも、技術を鍛えて成果が出るほどの時間をくれるほど悠長な事件は一つとして存在しない。ペルソナは長い事もあるがそれでも1年には満たず、大体あれよあれよという間に事件が起きて決着する短期決戦。現状、既に事件は起こった後で、いつ現地の組織が正確な情報を掴んで動き出してもおかしくない危険な状況だ。

 

「まず強くならねぇとなぁ……」

 

 固定値は正義、力こそパワー。まあオレは運タイプだけどさ……。未来への大きな不安を抱えつつ、俺はレベル上げの成功と業界組織からのステルスを祈った。

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 SOSスレ 776

 

 

1:業界の名無し 19:01

・このスレは絶体絶命の業界人が最後の最後に救援依頼を書き込むスレです。

・書き込む情報、身バレ、救援の質、助けが来るか否か、全て自己責任です。

・もちろん救援側も自己責任で。罠依頼でも泣かない。

 

(前スレ)

 

2:業界の名無し 19:03

2げと

 

3:業界の名無し 19:04

>1乙

エストマ エストマ

 

4:業界の名無し 19:05

いちおつ

何か前スレあたりから急に救援依頼増えたな。何かあったのか?

 

5:業界の名無し 19:07

このテンプレートに従うと分かりやすいかも知れません

【場所】

【自己紹介】

【報酬】

【依頼詳細】

 

6:業界の名無し 19:08

>1乙

>5

テンプレいらんって言っただろks

 

7:業界の名無し 19:10

【佐部利メシア教会】

【メシアン・佐部利メシア教会支部長】

【マッカ・MAG十万、上級装備数点、上級クラスアイテム数十】

【教会のサーバルーム異界化、推定電霊もしくはハッカー、同対策持ち最優先】

 

8:業界の名無し 19:12

【喪神山裏】

【フリーサマナー】

【中級クラスアイテム多数、マッカ数万】

【自分のスマホCOMPから何かが沸いて仲魔がいなくなって召喚不能になった、ハッキングくさい救援求む】

 

9:業界の名無し 19:15

【吊浜】

【新人サマナー】

【下級アイテム多数、マッカ・MAG数千】

【デプスとモウリョウの群れに追い込まれて消波ブロックの向こうに追い込まれました、まだ干潮で助かってますが悪魔だらけで陸に上がれません、潮が満ちる前に助けてください!】

 

10:業界の名無し 19:16

電霊って珍しいな、どっか放流したのか?

 

11:業界の名無し 19:17

あんなレア種族放流するとかどこのファントムだよ

 

12:業界の名無し 19:19

電霊なら何でもファントムのせいにする風潮嫌いじゃないけど好きじゃないよ

 

13:業界の名無し 19:21

助けて!俺のCOMPが何もしてないのに壊れた!地蔵尊の中でこれはヤバイ!

ヒールスポットに立てこもるから誰か助けて!

 

14:業界の名無し 19:22

>9

>13

んんwww脱出魔法も脱出アイテムもなしとかありえないwww

 

15:業界の名無し 19:24

>14

運命論者はカエレ!

 

16:業界の名無し 19:26

いやそりゃそうだろ。魔法はともかく、アイテムは常識的な値段でも買えるのに。

 

17:業界の名無し 19:27

突撃アホアホ野郎は助けたくないなー俺もなー

 

18:業界の名無し 19:30

救出依頼に対するアンチや議論はスレチだから他でやって、どうぞ

 

19:業界の名無し 19:31

自治厨ウザ

 

20:業界の名無し 19:31

自治アンチウザ

 

21:9 19:33

何でもいいから助けて守護星天

 

22:業界の名無し 19:34

>21

なつかしすぎて思わず小生涙す

 

23:業界の名無し 19:35

>21

いつ出発する?今でしょ!

 

24:業界の名無し 19:35

>21

吊浜か……始まったな

 

25:業界の名無し 19:37

>21

どうやら本気を出す時が来たようだ

 

26:業界の名無し 19:38

守護星天人気過ぎて草

 

27:業界の名無し 19:39

ちな守って守護星天な

 

28:業界の名無し 19:41

>27

んなこたーみんな分かってんだよ国語の先生よー

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 佐部利メシア教会異界化スレ29

 

 

111:名無しサマナー 09:11

俺の職場が異界化してるんだが?

 

112:名無しサマナー 09:12

俺漏れも

 

113:名無しサマナー 09:14

メシア一点掛けだったじょうよわおりゅ?

 

114:名無しサマナー 09:15

ぶち頃すぞ、ゴミめら……

 

115:名無しサマナー 09:17

俺みたいな野良を拾って育ててくれる所ってここらじゃあそこだけだったからさぁ

 

116:名無しサマナー 09:18

マジで電霊なの?このあたりじゃ見たこともねえのになんで急に湧き出したんだよ

 

117:名無しサマナー 09:20

誰か電霊持ちかハッカーのかたー!いらっしゃいませんかー!

 

118:名無しサマナー 09:21

(いるわけ)ないじゃんあんなレア種族とか特殊技能持ちとか……。

 

119:名無しサマナー 09:25

多分帝都あたりからその電霊か技術者呼んでやっと解決なんだろうな。

いつまでかかるかな……。

 

120:名無しサマナー 09:27

この案件で電霊が一番目立ってるけど、異界で色んなレア種族目撃証言が出てるぞ。

俺も魔王連れたサマナー見た

 

121:名無しサマナー 09:28

>120

魔王ってだけなら高レベル帯の定番では?

 

122:名無しサマナー 09:29

>121

それが魔王レベル1っていう頭おかしい悪魔だったんだよね……。

サマナーも新人っぽかったし

 

123:名無しサマナー 09:30

えー……どうやったんだそれ?マジとは思えんのだが

 

124:名無しサマナー 09:31

おれが今日行った異界も大天使とか死神とかのレベル1のやつがうろついてたぞ。

まあTALKでマッカ貢いで即逃げられたんだが?

 

125:名無しサマナー 09:32

>124

逃げられたってとこが妙にマジっぽい

 

126:名無しサマナー 09:33

おいおい、またどこかがやらかしたのか?

弱いレア種族とか明かにやべーだろ

 

127:名無しサマナー 09:35

女神は!女神はいますか!地母神でもいいです!

 

128:名無しサマナー 09:37

>127

レベル1の女神や地母神と契約して何をするんですか?(無垢な瞳)

 

129:名無しサマナー 09:39

>127

つイワナガヒメ

 

130:名無しサマナー 09:42

なんだなんだ、今日は業界の入社式かなんかか?引率依頼が大量に出てるぞ?

 

131:名無しサマナー 09:44

>130

マジか?マジだ……こりゃどこかの仕掛けかね?触らん方がいいかな……

 

132:名無しサマナー 09:45

でも稼げるうちに稼がないと(半引退サマナー感)

 

133:名無しサマナー 09:46

帝都だけじゃなくてうちの県も荒れそうだな、嫌だなぁスローライフしたいなぁ……。

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 カード総合 386

 

 

117:業界の名無し 23:57

俺のスペルカードがそろそろ爆発しそうなんだが?

 

118:業界の名無し 23:58

タロットカードって結構荷物圧迫するよね

なんかいい持ち運び方法ある?

 

119:業界の名無し 00:01

>117

嘘乙

爆発はしない

悪魔は湧く

 

120:業界の名無し 00:01

メディラマカードホスィ……誰か落として

 

121:業界の名無し 00:03

うちの近くのお稲荷さんで複製出来ます!だからスキルカード送ってください!

 

122:業界の名無し 00:04

>120

300万スタートな

 

123:業界の名無し 00:05

DDSカードが使えないんだが……

 

124:業界の名無し 00:08

>119

そんなわけないだろ

あれは燃やすと香の変わりになるってだけだ

 

125:業界の名無し 00:10

シャッフ覚えたんだけどスレチ?

 

126:業界の名無し 00:14

>125

CARDはスレチだがレアスキル自慢はしてもいいと思う

 

127:業界の名無し 00:19

ちなここまで高度な情報戦である

 

128:業界の名無し 00:22

>123

坊主、DDSの利用規約と利用限度額、どっちだ?

 

129:業界の名無し 00:25

メタルカードならいくらでもあるんだけどなぁ……

 




 メタルカードは余るもの


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第2章 依頼だってやりますよ、オレはプロだからな!
一週間という時と初めての依頼 ※リザルトあり


 過疎過疎アイドルにうちゃん


 あれから長い長い時が流れた……いや長い時って言っても1週間だけどさ。

それほど長くは感じなかった。

 

 その1週間の間に、オレ達は阿形さん達と合同で『片羽葦原』に3回行って稼ぎ、その間の休日は情報収集やらコミュニティを重ねて、オレらの「時間城」や阿形さんの所属する「プロテスタントなんちゃら会派」や「ハチマン神社」にお互い顔見せをして、もちろんオレのセラフィックアイドルにうとしての配信活動も進んで、ようやく初のご挨拶動画をDDS動画に上げる事にも成功した。

 

 それはいまだに再生数35の超過疎動画だけど。おかしい。

なぜこんなことになってしまったんだ……!無難過ぎたか?

もっとオレの中の悪魔を押し出すべきだっただろうか。

 

 でもオレの配信はオレのやりたいようにやりたいしな。

無理して配信でストレス溜めるよりはありのままのオレで人気になりたい。

そう出来たら苦労はないって言われそうだけど。だがオレは諦めない!

 

 それはそれとしてまあとりあえず、異界とコミュニティの1週間のリザルトがこれだ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第3~5回 片羽葦原×3

 

マッカ:+12060 マグネタイト:+19166

 

アイテム:てっかめん×4、遁甲羅盤×14、アメジスト×30、宝玉×28、魔石×49

 

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV16(+6)

 

 仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

    【ゼロッチ/イッチ】LV15(+6)

    スキル:休む、挑発、まもる、スウィートトラップ、怪音波、スランパ

        スクカジャ(新)、スクンダ(新)、ザン(新)

 

    悪霊:ゴースト LV14(+6)

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー

    

    妖鳥:バー LV13(+4) 剣耐性、氷結・衝撃・銃弱点

    スキル:ついばみ、介抱、羽ばたき(新)

 

    凶鳥:ヒッポウ LV8(+2)(新)火炎反射、念動無効、氷結弱点

    スキル:アギ、羽ばたき

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV16(+7)

 

 ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV15(+6) 闇耐性

      スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、ドルミナー、ムド

          ソウルブレイク(新)、トラエスト(新)

 

      魔術師:ピクシー LV9(+5) 火弱点、風耐性

      スキル:ディア、パトラ、ジオ、トラフーリ(新)

 

      正義:エンジェル LV8(+4) 風・光耐性、闇弱点

      スキル:ガル、パトラ、ディア(新)

 

      愚者:ヨモツシコメ LV7(新) 氷結耐性、火炎弱点

      スキル:ポイズマ、串刺し、デビルタッチ

 

      戦車:スライム LV2(新) 物理耐性、火炎弱点

      スキル:突撃、デビルタッチ

 

 スガルコミュニティ:愚者/LV1 時間城のなかまたち

           恋愛/LV1(+1)(新)網代 裕奈

           星/ LV1(+1)(新)ゼロッチ

           月/ LV1(+1)(新)瓜生 ヒナ

 

【同行者】(阿形 サリナ) サマナー/ガーディアン使い LV13(+6)

 

     珍獣:ホネアリクラゲ (瓜生 ヒナ) LV9(+5) 水無効、物理耐性、炎弱点

 

     電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

     (ロッチ)LV8(+7)

 

     (網代 裕奈) ペルソナ使い/降魔 LV9(+5)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 3回も片羽葦原に行ったにしてはあまりレベルが上がっていないように見えるが、ある程度レベルが上がった後の3回目はかなりレベルが上がりづらくなっていたので、どうやら元ネタ準拠のレベル差補正的なものがあるようだ。むしろ雑魚狩りでここまで上げられて御の字と言ったところか。

 

 スガルのコミュニティはオレの「星」コミュに加えて、仲間と過ごしているうちにまた2つほど発生した。裕奈ちゃんの「恋愛」とヒナちゃんの「月」だ。

ミミカと阿形さんのコミュはまだ発生していない。ないってことはないだろうけど。

 

 そうそう、仲間と言えば……。

 

「あ、ゼロッチ先輩!オハヨーゴザイマス!」

 

 リアル世界じゃ正月くらいしか見る機会の無かった紅白の巫女装束。

当然のように黒目黒髪のお下げ巫女スタイルに、クソダッサイ赤縁眼鏡。

 

 そう、新たなる転生同志の、八畑 ちおちゃんである。

 

「宇佐野さんも末吉さんもハヨーっす。アレっすか依頼っすか?」

 

 今日オレ達が3人と仲魔でここ、ハチマン神社に来たのは他でもない。

ある程度の地力、レベルが上がった事で時間城の主から紹介された依頼があったからだ。

 

 と言っても何のことは無い、以前行った事がある「渋田海岸」の深部「松方湖」のボス狩り、ボス周回による異界のコントロールという、悪魔業界の「日常業務」だ。

 

「しかし現金報酬だと高く見える……いや、命懸けだと思ったら安いのか?ボス1回討伐で5万円ってのは」

 

 確か渋田海岸、松方湖のボスは悪霊デプスLV15、こいつを1回倒して5万円か。

相場がよく分からない、オレ達はエンジョイアンドエキサイティングで異界攻略をやっている。

 

「まあ、リアルの方の常識だと金銭感覚壊れそうだよね。レベル上がるともう言い値だっていうし。裏の経済とかどうなってるんだろうね」

 

 悪魔が実在する分仕方ないとはいえ、一般人に無関係の裏経済が膨れ上がるのは何だかな。

いやそういう当のオレもその裏の一員なんだけどさ。

 

「あ、オレっちが見届け人やっていいっすかね?オレっち派遣の巫女だし、玉前神社でも『同志』なんでイマイチまだ馴染めてなくて……」

 

 ちおちゃんは北の隣町の玉前神社の巫女という『設定』で、豊玉姫……乙姫様に転生させてもらったらしい。乙姫様は時間城の主やハチマン様よりも少し多く6人の転生を行ったらしく、隣町からこのハチマン神社に巫女を派遣するヨユーもあるんすよってちおちゃんが言ってた。

 

「その……オレっち以外は転生者ではあってもフツーに女の子なんで……それでもフツーに接して仲良くしてくれるいい子達ばっかりですけど、やっぱその、まだどう接したらいいのか分からないっていうか……分かってくれますよね、先輩!」

 

「あーうん、そう、そうね。そうかも?」

 

「時間をかければまあ、何とか……でも一番最初が一番距離感掴みづらいっすから」

 

 何か……こっちの世界でも職場あるある(?)は変わらないんだなって。

世界と姿が両方変わっても変わらないものにショッギョムッジョ?を感じながら、オレ達はいつもの車で「渋田海岸」へと向かった。

 

「先輩、諸行無常ってのは変わらぬものなど何もないって意味っす」

 

「んなこたー分かってんだよちおちゃんよー!」

 

 途中、オレ達は「スーパーふえんじ」でしっかり弁当を買う。手抜かりはない。

 

「先輩方は自炊とかはなさらないんすか?」

 

「これがこの世界じゃなきゃやってたけどね……」

 

「それな」

 

「暇があれば何か起きてないか調べないと気が済まない……リアル以上にネットで時間が潰れる……」

 

 今はこの世界への適応やら情報収集やら、色々やるべき事が多くて時間が取れない。

だが電霊で化身多数のオレなら時間が取れなくもないし、オレ自身ちょっとした料理なら作れなくはないのだが、それには重大な欠点がある。

 

「オレが食えないものをオレが作りたくねぇ!」

 

 やっては見たよ?でも、プロじゃないんで毎回料理の出来上がりが違う。つまり毎回別アイテム扱い。つまり毎度登録しないとオレはオレが作った自炊料理が食えない。どうしてもオレが作らなきゃいけない状況でもなければオレが食えない自炊料理なんて作りたくない。証明終了。

 

「そういう料理とか出来そうな異界、サイバー空間の方に新しく作ろうかな……太閤異界だと自炊くそムズイんだよね……」

 

 そうすりゃ栄養はともかく自作料理を楽しむことは出来る。

でも新しい異界作るとまたマグネタイト消費しそう。もうちょっと待ちかな。

 

「何にせよ、稼がないとなぁ」

 

 オレとイッチが戦闘に出て稼ぎ、戦闘に出ない化身はレベル1でもいいから料理含めた後方担当。後方担当以外はちゃんとレベリングして戦力化しておく。ああ、悪くないな。

 

 車は渋田海岸の駐車場に到着し、オレ達……スガル、ミミカ、ちおちゃんは戦闘装備に着替えるために例の公衆トイレに入った。

 

「ヒャー、先輩方気合入ってるっすねー!マジ半端ないっす!」

 

 ミミカとスガルの戦闘装備、初見のちおちゃんが声を上げた。本来なら巫女装束に鉢金や小手をつけて長めの杖みたいな超ロングお払い棒を持ったちおちゃんも十分派手な部類だが、ハイレグアーマーバニーのミミカとスク水ギロチンアクスのスガルに比べたら十分常識的な部類だろう。

 

 今回の目的はボス討伐周回であり、南の入り口から出来るだけ短時間で北の潟湖を目指し、そこにいる「デプスLV15」の集団と霊の群れを倒し、一旦異界を出て再度攻略して……という討伐周回の依頼だ。

 

 警戒すべき点としては、ボスのデプスはボスでありながら1~6体で出現する事、スクンダを使って来ること、そしてデプスのみならず数多くの霊、ゴーストやポルターガイストが同時に出現する、あるいは引き寄せられることが多いという事だ。

 

「ふっふっふ、だが今回はアイテムを用意して来たからな」

 

 我に秘策あり。秘策って程ではないが、要するに対策アイテムを使ったごり押しである。

 

 オレとイッチに今回はゴッチも動員して、ミミカとスガルも合わせて回復道場で仕入れた「たまがえり」を使いまくるという作戦だ。……ほとんど最速のミミカだけでけり付いてそうだけど、もしそうなったら次投げるかは臨機応変にだな。

 

 まあ計5回のたまがえりで5回「マハンマ」が飛ぶまでには悪霊系は壊滅するだろう。

たまがえりは効果の割に安い(気がする)から、そんなに投げても報酬で黒字である。

何という気持ちのいい仕事だ!

 

「お、早速来たな……何だマッドスラッグか」

 

 異界に足を踏み入れてすぐに悪魔と遭遇したが、ただのマッドスラッグ2体だったのでオレ達のスウィートトラップとスガルのギロチンアクス一閃で終わる。成長したなオレ達。

 

 その後も散発的に襲って来るピンクルーパーやグリーンスライム、ポルターガイストその他を蹴散らしつつ、オレ達は「初めての異界」の時には近寄りもしなかった渋田海岸北部、潟湖の「松方湖」周辺に足を踏み入れた。

 




 かまどやいろり料理は流石に無理ゲー


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依頼:松方湖デプス周回 ※リザルトあり

 速いサマナーというだけで強い


 結論から言うと、渋田海岸・松方湖、特に何事もなく周回出来た。

雑魚の中に1体だけゴーストかと思ったらシェイドだった変り種がいたが、それをオレがアナライズしたと思った瞬間にスガルが瞬殺したので特に問題は起こらなかった。

 

 今日スガルの突撃思考を初めて見たちおちゃんは、「す、スク水でよくあんな前に出れますね……」と呆れ半分でリスペクトしていた。いや、オレも実際、装備品としての性能は高いとはいえ、あんなスク水に眼鏡装備でガンガンいこうぜ出来るスガルはちょっと尊敬し始めている。迷いなさすぎだろ常識的に考えて。

 

 スガルは積極姿勢で確実に1体斬るのに加えて、最近はワイルドの多面性をいかんなく発揮して、ディア・パトラでの回復やいざって時のトラフーリ、ドルミナーでの睡眠もばらまくようになった。まさにオレ達の切り込み隊長と言ってもいいだろう。

 

 この様子だとスガルはペルソナ使わなくても「突撃」あたりのスキルは自前で覚醒したりするかも知れんな。いや、ペルソナ使いが素でスキル身につけられるのかは知らんが。

 

 一方、スガル以外のミミカとオレ達仲魔は別の敵に攻撃をばら撒いたり新たな敵を警戒したりスガルを支援したりの後方担当が多い。片羽葦原では銃器が大活躍したのでミミカがメイン火力担当になっていたが、今日の異界、渋田海岸ではサブマシンガンの利きが悪かったり火力過剰だったりして、ミミカはオレ達の指揮とアイテム管理に集中するスタイルに戻している。多分こっちの方がオレらの通常スタイルになるんだろうな。

 

 今はそうでもないけど、ハイレベルになったら補助や回復系の指示出しだけでもものすごい速度のやり取りになりそうだし、ミミカはスピードタイプなんでそっちに進化して行くんだろうなとは思う。指示出しアイテム係こそがサマナーの王道……。

 

 今回の成果だが、ボス周回は6回。スガルのトラエストでかなり快適に周回出来た。

こっちは触手は出なかったけど渦の色が真っ黒なのがちょっと呪われそうで怖い。

実害ないからいいけど。脱出アイテムは意外と安いけど、アイテムの費用をスキルで節約出来るっての自体が別腹の楽しさなんだよなぁ。

 

 イッチに頼んで、今回のリザルトをスガルのスマホCOMPに表示してもらう。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第6回 松方湖デプス周回×6

 

マッカ:+6856 マグネタイト:+7532 現金:+300000

 

アイテム:ボロックナイフ×3、みはらしのたま×5、アメジスト×5

     アクアマリン×5、宝玉×7、魔石×9

 

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV18(+2)

 

 仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

    【ゼロッチ/イッチ】LV18(+3)

    (ゴッチ)LV7(+6)

    スキル:休む、挑発、まもる、スウィートトラップ、怪音波、スランパ

        スクカジャ、スクンダ、ザン、マハザン(新)

 

    悪霊:ゴースト LV16(+2)

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド(新)

    

    妖鳥:バー LV14(+1) 剣耐性、氷結・衝撃・銃弱点

    スキル:ついばみ、介抱、羽ばたき、アギ(新)

 

    凶鳥:ヒッポウ LV10(+2) 火炎反射、念動無効、氷結弱点

    スキル:アギ、羽ばたき

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV20(+4)

 

 ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV20(+5) 闇耐性

      スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、ドルミナー、ムド、ソウルブレイク

          トラエスト、トラスタルト(新)、ムドブースタ(新)

 

      魔術師:ピクシー LV12(+3) 火弱点、風耐性

      スキル:ディア、パトラ、ジオ、トラフーリ、メパトラ(新)

 

      正義:エンジェル LV9(+1) 風・光耐性、闇弱点

      スキル:ガル、パトラ、ディア

 

      愚者:ヨモツシコメ LV7 氷結耐性、火炎弱点

      スキル:ポイズマ、串刺し、デビルタッチ

 

      戦車:スライム LV2 物理耐性、火炎弱点

      スキル:突撃、デビルタッチ

 

 スガルコミュニティ:愚者/LV1 時間城のなかまたち

           恋愛/LV1 網代 裕奈

           星/ LV1 ゼロッチ

           月/ LV1 瓜生 ヒナ

 

【同行者】八畑 ちお 巫女/神降ろし LV6(+5)

     神降ろし:なし

 

 

………………………………

 

 

 

 今回マッカとマグネタイトが片羽葦原の雑魚狩りより少ないのは、「渋田海岸・松方湖」の雑魚が「渋田海岸」と大幅にかぶっていて、ボス以外の実入りが少なかったからなのでそれは仕方ない。今回一番の収穫は、スガルが「トラスタルト」を使えるようになった事。元々神話的には適性がありそうだぞと話していたところに、オレと共に複数の異界のボスと接触し従え、あるいは倒した事で「あーいけるいける」って感じでそっち系能力が高まって習得したらしい。そっち系能力って何だ。

 

「あれだ、いろんな意味でトラスタルト習得はお前の影響っぽいぞゼロッチ。実際トラスタルトで戻るのがお前の家になってるみたいだし、原作チェックマンの代わりお前だろこれ。お前が造ってるっていう『太閤』異界が原因かもな」

 

「従える、っていうか仲魔になっただけだが……これ他に異界作ったり奪ったりすればそこ拠点になったりするかな?」

 

 大まかに言ってオレの家は街の南東、渋田海岸は街の北東、片羽葦原は街の北北東一帯の渋田川河口部にある。そして片羽葦原の近くには阿形さん達の拠点もあるので、このトラスタルトが拠点を選択出来る「トランパ」まで発展すればかなり便利になるし合流もしやすくなるだろう。

 

「あとそうだな、自動車ごとトラスタルト出来ればかなり便利だけど、行けるかな?」

 

「うーん、COMPみたいな加工して何か登録でもしてあれば行けるような気がするけど……このあとちおちゃん届けてハチマン神社から帰る時にでも試してみようぜ」

 

 そういうことになった。

 

 トラスタルトの他にも、スガルはムドブースタを覚えたし、オレがマハザンを使えるようになったりゴーストさんがムドを覚えたり残念ながら仲魔は増えなかったり、ちおちゃんはまだレベル1だったので経験値ごっちゃん!してレベル6になってたりもしたが、まあそこはささいなことだろう。

 

「だっていきなりレベル1でこの世界に放り込まれてバトってレベル上げとか出来ないっすよ!先輩方とかうちの……玉前神社の巫女さんたちみたいに出来る子ばっかじゃないんす!」

 

 ああうん、どうやら何かトラウマを刺激してしまったらしい。そうだねハードだね。巫女で神降ろしも出来るっぽいのにしてないのは何か……ああ、頭の中に誰か入ってくるのは怖いよね、それはそう。

 

 でもまあ、マジで能力なしの一般人で放り込まれるよりはマシだったと思うよ。オレも初期スキルが「休む」と「挑発」とかいうクソスキルだけだったとはいえ、それってつまり最初からレベル1スキルありだったもんな。うん。

 

 オレ達は着替えを済ませて神社に寄る途中で「スーパーふえんじ」に立ち寄って買い物を済ませ、その後ハチマン神社で依頼完了の報告を済ませる。1回5万円のボス討伐をを6回やったので30万円の報酬だ。金銭感覚壊れるなぁ。

 

 神主の爺さんから、中身の入った封筒を直接手渡されるミミカ。

 

 こちらの世界、しばらくざっと情報収集して分かったが、悪魔にかかわる「裏」関連で生きている、あるいは知らずに生かされている人間が無視出来ない程にはいる。なぜそう考えたかというとそれは単純で、人口が多いのが一番の理由だ。世界人口が大体88億、日本の人口が約1億6800万人。明かに悪魔の影響で増えたと思われる……例の一件で全知全能の神が「滅ッ!」した後、表向きに公表された人口だけでこれである。

 

 まあ、悪魔業界が表向きは何であれ経済には組み込まれて人類史が続いていたらこうなるよってことか?オレはこの世界の「裏」になんて詳しくないんでよく分からんが。

 

「あ、そうだご存知かもしんないすけど、隣町にジャンク屋さんあるっすよ!店主の知り合い……ってかそこ玉前神社系列の店であっちの巫女さんの兄貴の店なんで紹介しとくっす。買い取りメインなんでどんどんアイテムとか装備とか持って行ってあげて欲しいっす」

 

 へーそれはいい情報を聞いた。明日あたり行こうかな?

 

 報告と報酬の受け取りも終わり、神社の裏手でいつもの軽自動車に乗り込んでスガルのトラスタルトを試す。

 

「よし、出来た……行くぞ!」

 

 軽自動車の真上に地の底から黒い光がさして闇の五芒星の魔法陣が描きあがり、全体が闇に包まれた後、オレ達は見事オレの家……の駐車場に転移を果たした。

 

「うおー!トラスタルト!出来た!うっひょー!」

 

「すげー!トラスタルトすげー!」

 

「さすがオレ……抜かりねえな?」

 

 軽自動車をしっかり業界仕様にしていた過去設定のオレに乾杯。

しかし今までちょっと魔法は使って来たが、やはりこういう派手に超常現象してる魔法を利用する実感は凄いな。

 

 スガルは一足先にレベル20になったし、やっぱりレベルが上がるとこうして少しずつ人間や常識から離れた事が出来るようになって行くんだろうな。まあ、トラスタルトでここまで盛り上がれるとは思ってなかったけど。

 

 トラスタルトで戻れる拠点がオレの家になってる以上、しばらくはここを拠点にしたほうが便利だろうな。

 

「何だろう……ゼロッチが異界作れば帰還ポイントになるのかな?」

 

「どうだろう……」

 

 COMP対応であれば異界は作れそうだけど、規模とか便利さは容量の都合で縛られる気がする。

 

「ここまで転移出来るだけでも十分凄いし、今はこれでいいだろ。検証というか自分探しはオレらでやっとくわ」

 

 乞うご期待!ってとこかな。

 

「ところで、明日隣町行くのか?」

 

「そうだね。コミュニティ期待ついでに、スガルとミミカでちおちゃんに教えてもらった隣街のジャンク屋に行って来る。買い取りって何売ろうかな……アイテム整理後回しにしてたからね……」

 

 そうなるとオレらと仲魔はお留守番した方がいいか。コミュニティ狙いならな。

よし、まずは配信と遊び、そして自分探しという名の能力開発に全力投球しよう。そして1日中セラフィックアイドル活動に励むのだ!

 

 

 




 セラフィックアイドル活動(遊び、配信、思い上がり)


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電霊だもん電撃属性くらい使えますよ

 じゃあオレもあやさんで……。


 アームターミナルからデスクトップCOMPに戻ったオレは、更なる動画作成のためにニッチと相談する。ニッチを動画作成と生配信準備に集中させるため、ゴッチを情報収集の補佐につけることにした。

 

 イッチはもちろんオレと一緒に動画と生配信に出演、サッチはスウィートトラップの時のように、色々工夫して新しいスキルを身につけられないか試してもらう。ヨッチにはクッパパを最初から読み通す仕事を与える。

 

 そして新しい化身「セブン」を作り、ネットワークに放流して直での捜索活動をやってもらう。

ネットをウロウロして、オレのような電霊や電霊事件、電脳異界を広く探すのが役目だ。

出来れば世界中で探してもらいたいけど、オレ外国語なんて出来ないからなぁ。今は翻訳サービスもあるから、それを活用すれば外国での活動も出来なくはないかもしれないが。

 

 ただ、メガテン・ペルソナ的な意味では海外の情報や海外リスクの都合もあるので将来的には外国語出来た方が良さそう。事態が一段落してからの目標かな、これは。

 

「行って来まーす」

 

「その後セブンの姿を見た者はいない……」

「不吉の予言詩やめろ」

「お、新スキルかな?」

「新スキル欲しいなーオレもなー」

 

「電霊なら、生体MAG抜きくらいちょっと……やれんか?」

「(やれ)ないです」

 

「霊体を生かして……降魔系即死魔法のデスティカとか……どう?」

「何それ怖い」

「申し訳ないがガチすぎる悪魔スキルはNG」

「それな」

 

「電気は?」

「電霊っぽい」

「やれますねぇ!」

「やりますよーやるやる」

 

 そういうことになった。だが、流石のオレも夜に大きな音の出る電気系のスキル開発みたいな真似をやらないくらいの常識はあった。

 

 なのでオレとイッチは大人しく動画……というか初の生配信で、DDS公式で包括契約しているらしいゲームの実況をする事にした。お、スタグラ2あんじゃん!これで行こ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 おかしい。視聴者数が伸びない。まあストーリーを1回クリアした後、オレとイッチで対戦しつつ視聴者との対戦も解放してコメント欄は盛り上がったのだが。

しかし視聴者数は無情の129。これはまだマシな数字なのか?

 

《あ、悪魔たん……》

《皇女様強すぎて草》

《そのウェディングドレス素敵だね結婚して》

 

 せっかく解放したのに、合計2時間たって挑戦者は1人、のべ12人。つまり同一人物が12回だな。流石にドリキャスを電霊的に無理やり仲介して今時ドリキャス対戦!は無理があったか?

 

「当たり前だよなぁ?」

「イッチうるさい」

 

 くそっ、わりと電霊能力で凄いことやってるのにこいつら分かってねえ、いや、1人でも対戦してくれたんだから御の字か?

 

「き、今日はこのくらいで勘弁してやる!またやっから来いよ!」

 

《おう、考えてやるよ》

《行きますよーイクイク》

《その羽かわいいね結婚して》

 

 こんなんで配信やって行けるんだろうか……。いや疑うな、セラフィックアイドルにうのポテンシャルを信じるのだ!

 

 

 

………………………………

 

 

 

「んじゃー実験すっぞ」

「よーそろー」

「よーそろー違う」

「準備OK!」

 

オレ、イッチ、サッチ、ヨッチ。翌朝十時くらい、オレ達は霊体となって新スキル「放電」の開発実験のためうちの駐車場に集まっていた。

 

「じゃヨッチは帰って」

「えっ?」

「えっ?」

 

 あまりの扱いに悲しみ顔になったヨッチだが、サッチによるとまずヨッチがサイバースペース……今回は『太閤』異界の中で電気を溜めて、それを同期能力や電霊的本能を介してサッチに繋げ、外に出ているサッチが放電するという流れで試すらしい。

 

「1回1回それやると電気代凄いことになりそうだな……」

「基本悪魔のやる魔法・特殊スキル系ってマグネタイトを介してだから、1回マグネタイトの流れを掴んでスキル化しちゃえば次からは電気の力は使わなくても出来るようになるんじゃないかな……なるといいな……」

 

 うんそうだね、そうなるといいね。だから試すんだけど。

 

「ヨッチ出来たかー?」

「おう、出来た出来た。そんじゃ行くぞコラ!」

「お、おお!?」

 

 サッチの霊体が、電気を帯びていくのが分かる。

 

「来た来たー!今、必殺のー、サンダー……」

「サンダー、ってわわぁあぁぁあぁあ!!?」

 

 瞬間。駐車場に電光が迸った。盛大な音と共に、雑に標的として立たせていた鉄パイプがひしゃげ、はじけ飛ぶ。

 

「ヴォーすげー!」

「やりますねぇ!」

「結果は!?アナライズ出来てた!?どうだった!?」

 

 サッチとオレ達はすぐに「はなれ」のデスクトップCOMPに戻り、ニッチの観測したデータを確認する。休む、挑発、スウィートトラップ、見慣れたスキルの他に、新しく「ジオンガ」が表示されている。

 

「やったぜ」

「電撃はさいつよ」

「ジオハメ来るー!?」

 

 来ちゃったかな……オレの時代!当初の予定の「放電」じゃないが十分な成果だ。

 

「よーし、この最高の気分のままー!?」

「気分のままー!?」

 

「あのこどこのこのこ?(PS1)で動画収録です」

「あっそう……」

「これだよ」

 

 スキルの確認も出来たし、とりあえずジオンガを同期で共有したらこのまま動画収録開始しよう。とにかく次々動画出すか配信しないと勢いが出ないからな……。

 

 とりあえずプレイ開始、オレはあやちゃん狙いで行きますかね……。

 

 このゲーム、パーティ系恋愛ゲームっていうこの時代結構あったけど今はないゲームなのでまず狙いを定める。

 

「じゃあオレは王道を行く、あややんで……」

「あやちゃんしか勝たん!」

「あや様以外選ぶやつおるん?」

 

 しまった被った。このゲームヒロインが被る事はそんなにないと思うが……全員「オレ」ならそりゃ好みも一緒だよな。これは奪い合いですね……。この後、何時間かかけてクリアまでやって、当然のごとくオレは負けた。

 

 勝ったのはヨッチ。さすが遊び担当のオレである。そろそろ日が暮れるしミミカとスガルも帰って来るかな。上手くコミュニティ出来てるといいが。いらないアイテムも合計でいくらかにはなったのかな。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 一応、ミミカたちに何かあったら分かるように、こっちのデスクトップCOMPとアームターミナルインストールソフトを連動しておいたが特に何事もなく、夕方になってミミカとスガルは帰って来た。

 

 とりあえず、なぜかいっぱいあった「かみなりおこし」とか「スメルグレイビー」とか本当にいらないアイテムを売って欲しいアイテムを買い、差し引きで25万円ほどのプラスになったらしい。高いのか安いのか分からんな。

 

 この手のアイテムでも需要はあるようだが、どういう需要があるんだろうな。

 

「なんか研究用とかの需要はあるし、フツーに欲しがる悪魔もいるって言ってたな。アイテム製作時に使えたりするとか。まあスガル達には関係ないけど」

 

 へーそうなんだー。オレもいらないけどな。

 

「それで……結構品揃えが良かったんで色々アイテム買って来たよ」

 

 何々?おお、禁呪符に、禁凝符、鎮怪符、鎮心符に外法覚醒符もあるじゃないか!

施餓鬼米に呪殺ペーパー、ノロイのもくば、ひこうばり、テトラジャの石に角氷やロケット花火もあるぞ!ミミカ有能。異界で有効活用出来そうだ。

 

「それで、コミュニティの方はどうなった?」

 

「ああ……ちゃんと手に入ったぜ。ミミカは『隠者』だった」

 

「ふーん、それっぽいな。こいつハイレグアーマーバニーのくせに地味だし」

 

「え……?」

 

「何でものすごいショックを受けたような顔してんだよ……気付いてなかったのか?」

 

 実のところ、指示は的確、召喚は速い、近接戦闘はおぼつかないけどもうサブマシンガンあるしアイテムもある。しかし、全くミスをせずに1ミリの不安もなく戦うために、その中心たるミミカは当然のように戦闘中は存在感がなくなる。リザルトでイッチが表示してくれるミミカの成長の数値を見て「あ、ミミカいたんだ」と思い出す状態なほど鮮やかに、である。

 

「悪い意味じゃなくて有能の結果だから……」

 

「なぜだ……世界一かわいいのに……」

 

 どうやらミミカは納得がいかないらしい。そりゃそうだよな。今の姿って転生時にキャラメイクで作った自信作だもんな。

 

「でもミミカは地味娘が好きなんだろ?」

 

「はい……」

 

「じゃあ地味で存在感ステルスしてんのって成功じゃねえの?」

 

「……!!」

 

 どうやら正解だったようだ。そりゃ、地味娘が好きで究極の地味娘作ったら地味で存在感のない娘になるよな。それできっちり美少女に仕上げてるのはミミカのこだわりと努力を感じるけど。

 

「そうだね。パーフェクト地味娘なんだから目立たないに決まってるよね」

 

 何やら自信を取り戻したミミカはムフムフ笑いながら買って来た弁当を広げて夕食の支度をする。機嫌を直したようで何よりだ。

 

「明日は……どっか異界行くのか?」

 

「ああ、ジャンク屋さんで聞いた海辺のメシア廃教会に行こうと思う」

 

「メシア廃教会……?」

 

「あー見た見た、東の岬に建ってて建物の上の十字架は隣街の街中からでも見えるんだよ。なんか勝手に新しい天使と堕天使が住み着いてて毎日争ってるって」

 

 このメシア廃教会は、戦前にはどこかの神社の所有地だったらしいがなんやかやあってメシア教の教会になったはいいが、今はもうただの廃教会であった。

 

 廃教会となった理由は単純に立地。海に突き出た岬の灯台のすぐそばに建っているという見た目全フリな教会だったので、水道や電気や電話線もしくは通信設備の維持にえらい費用がかかってメシア教が維持を断念。

 

 すぐ解体する予定だったのだが、数年間特に理由もなく……誰も関心のない田舎の教会の解体費用なんて誰も負担したくないし後回しでもいいだろ……的な理由で放置された結果、見事に天使が自然発生したり降臨したりで占拠、それを知ったらしい堕天使がどこからともなく現れてごらんのありさまだよ!という事らしい。

 

「ショッギョムッジョ!」

 

「今回は合ってますね……」

 

 んで、今回行くことを決めた理由はだが、まずレベル帯は堕天使ストラスのLV9からボスであるアークエンジェルのLV28まで。雑魚はLV9~14の天使・堕天使のみ。レア固体としてLV21のエンジェルもいるが、ボスレベルは越えない。そのボスのレベルも21~28で一定してはおらず、どうやら倒されると別個体のアークエンジェルがボスになる感じになってるらしいとか。

 

 そして最後に最も重要なのが、ここも狩り放題悪魔を狩っても誰も文句を言わない、暗黙の狩り場異界であること。

 

「それ大事だよね……」

 

 そこそこレベルが揃っている、悪魔の種類が片寄っている、ボスを倒してもそう簡単に消えたりしない、等の条件が揃った異界が狩り場異界に向く、とされるらしい。DDSwikiに書いてあった。これはニッチ、つまりオレの情報収集の成果である。流石だよなオレら。

 

「そのための呪殺ペーパー、そのためのひこうばり?」

 

 まあ天使っつっても普通の悪魔だが、万が一ペルソナ1・2式の天使が出たら厄介だ。

ペルソナ1・2式の天使は種族的にほとんどの魔法無効っていうクソ仕様だったからなー。

 

 オレの速さはそんなに速くないが、というか遅いが、ミミカがくそ速いのでミミカにムド系アイテムを最速で使ってもらい、スガルはムドでもいいしギロチンアクスでご挨拶してもいい。破魔弱点のゴーストさんは流石にCOMPにいてもらって、オレと化身もムド系アイテムを投げまくる。

 

 隠し耐性と言うか、「人間=人間の装備で破魔は無効」の設定がちゃんと生かされてるんで、破魔怖いのって破魔無効が何故かついてるオレ達セラフィックアイドルにう以外の仲魔だけだけどな。これもDDSで知った。ならちゃんとアナライズで出しといてくれって思うが……。

人間の破魔無効って基礎データの方には載らないんだよな。インストールソフト経由の相性判断なら表示されるんだけど。

 

「何にせよ明日は阿形さん達誘ってあるから来てくれる……来てくれるよな?いないと厳しい気がするけど、その時は片羽葦原で稼いどくとして」

 

「えー……」

 

「えー言わない。このメシア廃教会の次はスチュパリデス攻略の予定なんだから」

 

「そっかあ……」

 

 片羽葦原のボス、スチュパリデスはレベル30台、持っているスキルはそれほど強くないが、最大6体で出現するという。1体なら魔法と銃とアイテム連打でどうとでもなるんだけどな。

 

「それじゃあオレはそのメシア廃教会とやらの情報を集めておくから。異界化した後のマップとか特記事項とかDDS系にあったらいいなーって感じで」

 

「うん、頼んだ」

 

「誰か廃教会攻略動画とか垂れ流してりゃ楽なんだけどなー」

 

 DDS動画やDDS配信で主流なのはあくまで悪魔や業界人が配信するってコンテンツであって、ガチ攻略の様子を垂れ流す命知らずは実は少ない。それはそうだ。

 

 その数少ない攻略配信や攻略動画も、やはりというか何と言うか各種組織の狂信者が自己の戦力アピールするやつだったりR-18Gが過ぎて非公開にされたり、まあ攻略とは別の情熱が迸ってるのばかりだ。

 

 そもそも業界人の人口は当然大都会に集中してて、うちの街の異界動画や配信なんて皆無だが。

DDS系のつぶやきとかその他SNSを漁るしかないか……。

 




 異界生実況は流石にハードモードというちみつなせってい


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メシア廃教会と佐部利メシア教会

 PS1あたりの人生は面白い


「んじゃ、オレらはネットで情報漁るから」

 

 オレはミミカのアームターミナルからデスクトップCOMPに戻り、暇な化身総出で情報収集を開始した。今日もとりあえず1・2時間はオレとイッチで配信する予定だが、それ以外の時間……裏方のニッチと遊び担当のヨッチ、阿形さんとこに派遣したロッチと旅人のセブン以外は全て情報収集に参加。つまり配信時間外のオレとイッチ、マグネタイトがもったいないのであまり実体化試験出来ないサッチ、色んな所で補助役をするのが板についてきたゴッチだ。

 

 ……今日はこの4人での配信にするのもいいかな。ただ前回の配信では、「誰が誰だかわかりにくい」ってコメントもあったんだよね。

 

「そらそうよ」

「コレガワカラナイ」

「オレらにだって……時々分からない」

「同期で中身まで揃っちゃうからね、仕方ないね」

 

 そうだな。オレとイッチは双子芸で百合営業やるからそれはそれでいいとして。

サッチはポニーテールに、ゴッチはでかいリボンでもつけようかな。

 

「いいね×4」

「個性出ちゃわない?」

「配信の時だけでいいだろ。どうせ同期で戻る」

「あっ……そっかぁ」

 

 配信を予告したのは、あと2時間後か。じゃあそれまで、情報収集にいそしむとしましょうかね。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 特に何事もなく、情報は集まった。

 

● ボスのアークエンジェルは必ず1体、取り巻きのエンジェル2~6体を引き連れて異界の奥の礼拝堂に出現するらしい。

 

● 悪魔交渉が不可能な天使が混じっている。属性LIGHTで誰かに既に従ってる天使だと思われる。

 

● とにかく天使には破魔属性連打されるから気をつけてね。

 

● 堕天使は天使より少し低レベルなのでここの天使に勝てるなら問題にはならない。堕天使は会話不可能なのはいないし仲魔には手頃かも。

 

● ブログ的なページに攻略日記があった。ロザリオとかエンゼルヘアーとかのメシア教会で売ってるようなアイテムが隠し部屋にあったらしい。なお回収済み。

 

 

 こんな所か。んんーやっぱり破魔無効の人間組とオレらで行って、他の仲魔は無しで行った方がいいかな。ムド系アイテム安かったのか大量に買い込んできたから大量にあるし。多分大丈夫だろ。

 

 配信の時間が来たのでサイバー空間の方に移動する。今日も今日とてゲーム実況。ゲームの楽しさを伝えたくて配信してるまであるからね。仕方ないね。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「セラフィックアイドルにうのゲーム実況、はじめるよー!」

 

 今日も配信は……着てくれる人達の中では盛り上がってるが、視聴者数は138人。こんなもんか?まあDDS.comっていう業界人しかいない場所だから、一般サイトより人が少ないのは仕方ないけどさ。でもDDSでもトップ層なら登録者100万人ってのもちゃんといるんだけどなぁ。

 

《月とすっぽん》

《すっぽんに失礼》

《すっぽんゼロッチ、冷えてっかー?》

 

 ぐぬぬ。まあ、コメント数が終始一桁で終わるみたいな、リアル世界でもよく見た超過疎配信に比べたら、コメントがちゃんとある程度あるのはありがたいんだけどさ。

 

 やはり人生ゲー(PS1)をオレ達4人対戦は今更過ぎたか……?

 

「モラル来いモラル来い……」

「モラルなんていらねーんだよ!」

「やめろ……やめて(泣)」

 

「ここでさらに子供を追加」

「子沢山ねぇイッチちゃんねぇ!」

 

 だんだん盛り上がってわけの分からないトークになっていたが、まあ視聴者達の受けはよかったから良しとしよう。

 

 配信が終わると暇になった。いや、眠る必要がない分オレらは人間に比べて常に暇があるんだけどさ。とりあえず入ってるインストールソフトの確認でもするかな。

 

 マッピング系のハニー・ビーやスキャニング・ゼロ、ギボ・アイズや百太郎、Mr.サプライズなんかの戦闘支援系、ダーク・マンやダブルバリューなどの悪魔交渉支援、ヒロえもんももちろん常駐させている。

 

 残念ながら使う機会がなさそうな合体系支援ソフトは一応デスクトップCOMPの中にだけ確保はしている。そもそもミミカも阿形さんもまだ悪魔合体してないしな。一番暇があるオレが合体計画とか組んでやった方がいいかな?合体検索出来るソフトとかもあるし。

 

 まあ、オレ自身は合体NGなんだけどな!

 

 ちょっと見てみよう。ええと、ゴーストさんの合体結果はイマイチだな。これは保留として。

バーとヒッポウで堕天使になるのか。凶鳥と妖鳥でいるよりは堕天使の方がいいかな?

鳥系悪魔ならまた片羽葦原で捕まえてくればいいしな。

合体結果は……堕天使カイム?うーん、急いで合体するほどでもないか?

 

 しっかし……ミミカは好きでサマナーになったんだからもっと悪魔交渉にも積極的かと思ったらそうでもないんだよな。なんか最初に意気投合したゴーストさん以外、バーもヒッポウも命乞いからの仲魔入りだったし。まあ最悪オレが化身で頭数を補えばいいんだけどさ。

 

「ゼロッチ、セブンが帰って来たぞ」

「ん?」

 

 旅に出たはずのセブンがすぐに帰って来た。なんかあったか?

 

「なんかサイバー空間にでっかい異界あった」

「え?」

 

 オレはいぶかしみながらセブンと……ついて来たヨッチと一緒に、「見たらすぐ分かる」という異界を見に行く。

 

 オレのデスクトップCOMPから、地理的には北北西、十字教式の幼稚園と墓地と……メシア教会がある場所、のはずであったが。

 

「うーん、でかい」

「これは高い高いですね……」

 

 基本暗いデータ空間の中が、白く輝く聖堂と謎の塔に照らされて明るくなっている。

門には堂々と「佐部利メシア教会」などと看板もある。

 

「どうする?」

「なんかめんどくさそう」

「ていうかくさそう」

「気が進まないっピ!」

 

 全会一致。今日の所は引いておく事にしよう。

まだメシア教会にかかわるのは早い。多分。

 

「これ、隣街のメシア廃教会とは関係ないよな?」

「まあ関係ないだろう。あっちはもう廃教会になったの20年以上前のことみたいだし」

「こっちの佐部利?メシア教会はさ。前見た時こんなじゃなかったよね?」

「ん……そりゃ、こんな高くて輝いてる塔なら見れば分かったはずだからな」

「それじゃさ。これ犯人はオレらの同類じゃない?メシアのなんなのかは分かんないけど」

 

 あー……そういうこともありうるかな?例えばオレと同じように電霊を選ぶやつはいるだろうし、ハッカーや技術者枠でこっちに転生したのもいるかもしれない。

そしてオレらみたいに、大組織とのかかわりを避ける選択をするやつばかりでもなかったり?

 

 でも、それならオレらとは方針が違うってことで。

 

「かかわらない方が良さそう?」

「ちょっち遠慮しますね……」

「デコイ乙!」

「同志ならワンチャン?いやごめんやっぱ無理」

 

 っかー、美しく可憐なセラフィックアイドルにう様にそんなハイリスクな最速攻略みたいな真似無理だわー!メシアの本気と共倒れ狙うしかないわー!

 

「取りあえずミミカたちにも話しとくとして……DDSで情報集めだけして触らないようにしよ」

 

「メシアの本気でやられたら……どうなるんです?」

「立派なブッチャーになりそう」

「ターミネーターかも」

「ただのきょうしんしゃでは?」

「はいやめ!この話やめ!」

 

 もう寝る!オレは「太閤」異界の中に作った一室の布団にくるまって、スリープという名の休むモードに入る。

 

「スヤァ……もう食べれないよームニャムニャ……」

「流石ゼロッチ、恐ろしい子!スリープ即で寝言テンプレートとは……」

 

「戦国時代に今のようなフートンなどないって突っ込むのは女々か?」

「いやそれ登録して持ち込んでるし……」

「あ、そっかぁ」

「だから色々持ち込めるようにする必要があったんですね!」

「ガバ回避」

 

 オレがスヤァと休むしているその頃。「佐部利メシア教会」では責任者とサマナーと雇われ技術者が電脳・実体両面で異界化したサーバルームを攻略しようとあの手この手で24時間の攻略戦を繰り広げていたが、別にヒーローでもメシアンでもないオレにはその攻防戦は知るよしもなかった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 翌日。しっかりと阿形さん達と合流したオレ達は、2台の自動車でメシア廃教会へと向かった。

オレのはシルバー、阿形さんのはシルバーブルーの軽自動車だ。

 

「ここが天使たちのハウスね……」

 

 道路をふさいで立ち入り禁止にしてあるはずのロープと鎖すら潮風で朽ち果てて、誰でも入れる状態になっているのが今のメシア廃教会の異界だ。

 

 周りは全て低いササに覆われた篠地で、その篠地を苦労して切り開いて作られた空き地に建てられた教会とその門、門前には今は草が生え放題ではあるが、草を踏み倒して車が入った形跡のある駐車場があり、そこに車を駐めて外に出て、門から入る。

 

「あれ、阿形さんと裕奈ちゃん、装備変えました?」

 

「ええ、思い切って隣の隣の……新源市まで行って防具を新調してきましたわ。かなりの金額を使いましたけど、命には替えられませんものね」

 

 うーん……それはそうだよな。オレらは実は初期装備が優秀だったから防具新調はまだだけど、身体防具は良いとしても細々した手足や頭、アクセサリーなんかは揃えに行ってもいいかもしれないな。とりあえずこの異界攻略が終わったら阿形さんに色々聞いて、それからかな。

 

「それでその……それは天使?」

 

 他は普通の……裕奈ちゃんは学校のジャージ、阿形さんは白のワンピースに真っ白な一対の天使の羽がそれぞれくっついてるように見えるけど、それが防具?

 

「エンジェルウイング。何か特別に見えますけど、ちゃんと『原作』にもあった普通の装備ですわ」

 

「え、こんなんあったの?」

 

「しらねー」

 

「おぼえてないな……」

 

 オレも「原作」は色々やったけど、全部暗記するほど詳しくはないしな……知らない装備もあるか。

 

「……っと、来ましたわよ?」

 

 阿形さんが気合の入った縦ロールを揺らして、サブマシンガンを構える。現れたのは……堕天使のセエレとニスロク。レベルは両方10か。とりあえずオレ達……オレ、イッチ、ゴッチ、ロッチは4連スウィートトラップで省エネ攻撃だな。先は長い。考えてみるとこれも結構凶悪な攻撃な気もするが……まあオレがやる分にはいいよな、最強だし!

 

 




 素早さと判断が同じだからどんな攻撃でも大体4連攻撃になる


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QHK(急にハトが来たので)※リザルトあり

 天使シューティングはメガテニストの嗜み


「あー、ちょっとシャックスあたりになると、ギロチンアクスじゃ物足りねーなぁ。そろそろ武器の買い替え時かなー」

 

 しばらく、やたらと広い草ぼうぼうの庭で堕天使と戦った。どう見ても広すぎるけどまあ異界だし実際よりも広がってるんだろうな。情報にあった、堕天使が後から攻め込んで来たってのも本当なのかな。

 

 庭には堕天使しか出ない。今までセエレ、ニスロク、ストラス、シャックス、カイム……低レベル堕天使の見本市みたいに堕天使に遭遇したけど、これくらいなら特に危険度の高いやつもいないし大丈夫だろう。

 

 ニスロクがアギカード、シャックスがジオカードを落としてくれたのも都合がいい。これで時間城の仕事に貢献出来るな。忘れてたけどオレらの身分って時間城カード部門の人間だからな。やっぱ設定上とはいえ仕事は大切にしとかないと駄目でしょ。

 

「敵のレベルは……堕天使の方は最高レベル17かしら?レベル帯的にはそろそろ中のエンジェル達に挑んでも良さそうですわね」

 

「わしは出られんがのう……」

 

「ヒナちゃん破魔耐性ないし……」

 

 外の堕天使と同数以上に、廃教会の中には天使が大量に出てくるだろう。つまりハマ地獄である。人間組とオレは破魔無効なので問題はないが、他の仲魔は今回は出ない方がいいだろう。

 

「よーしそれじゃー天使狩りにイクゾー!デッデッデデデデッ!」

 

「ゲーム感覚やめろ」

 

「アッハイ……」

 

 こうしてオレ達は、本命の天使狩りに向かうのだった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 ピコーン!九十九針を覚えた!

 

 いやー流石オレ、戦いの中で何度もひこうばりを実体化して天使にシューッ!天使にシューッ!していたら、いつの間にか針を飛ばす特技の九十九針を覚えてました。やったぜ。

 

 そして何と、天使エンジェルさんの一部はディアカードを落としてくれることが判明しました。

こりゃもう狩るっきゃないよなぁ?もう少しレベルが上がって、アークエンジェルも倒せる強さになった所でボス戦ですかねぇ。周回は……もう1周は出来る位の時間はあるかな?ってとこ。

 

 さあ、次は呪殺ペーパーだ……。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「おのれ、おのれー!」

 

 時に危なげもなくボスのアークエンジェルも倒して、これはもう2周目。流石に疲れてきたし、既に午後4時、そろそろ終了の時間が近づいて来ている。

 

「ん……?これは……?ゼロッチさん、警戒をお願いしますわ」

 

 アークエンジェルが文字通り昇天した後に、剣が落ちている。

 

「これは……ソニックブレードかな?」

 

 ソニックブレード……属性ロウの者しか装備出来ないが、結構な攻撃力と攻撃回数で中盤あたりまで重宝する剣である。

 

「ええと……属性ロウの者は……アナライズで分かりますか?」

 

 ふむふむ、そっちの属性はまだ気にするほどでもないかと思って表示してなかったけど、ちょっと見てみるか。まず手始めにライト―ダーク軸は……うんうん全員ニュートラルで……って違う、オレだけダークでヒナちゃんはライトかよ!オレのダーク属性は電霊だから分からんでもないけどヒナちゃん珍獣のくせに何でライトなんだよ!

 

「やっぱりダーク悪魔……ヒソヒソ」

 

「生まれながらの……ヒソヒソ」

 

 皆オレがダークとか分かってたよみたいな反応しやがって。解せぬ……。

 

 さて、肝心のロウ・カオス属性だが、まあ予想通り、阿形さんだけロウ、スガルだけカオス、他はニュートラルだった。この剣は阿形さんのものだな。

 

「そうですわね……まあ、ワタクシがもらっておきましょうか」

 

 そう言って、阿形さんが剣を取る。次の瞬間、阿形さんに天より光が降り注ぎ、オレ達の頭の中に直接呼びかける者があった。

 

《我を称えよ……》

 

 天空から何かが降りてくる。

 

《栄光に満ちた、並ぶ者無き我が名を称えよ……》

 

 寄り集まった光がオリーブの葉をくわえた光輝くハトの姿をとり、アークエンジェルの倒れた礼拝堂に降り立った。

 

《汝、阿形を聖堂騎士、汝、ゼロッチを大天使とし、我の使徒となる事を許す……》

 

 何か急に認めて来た。だけどこんな時言う言葉は既に決まってるのだ。

 

「だが断る!」

 

《なぜだ……》

 

 ハトは心底不思議そうな感じで首をかしげる。ホントにこいつは……。

 

「逆になぜ行けると思ったのか聞きたいくらいなんだよなぁ……」

 

 そもそもこんな急に、推定四文字神が干渉してくるとかわけ分からんだろ。

今回の一連の事件では直接動いたらしいし、干渉してきても不思議はない……のかな?

 

《だってお前セラフィックアイドルだし……そりゃ我を求めてると思うじゃん?》

 

 うぅ……痛い所を。

 

《暴走しがちなメシアンではない我が信徒の阿形が天使のコスプレをして、セラフィックアイドルと共にこの異界の我に従わず争っているばかりの天使と堕天使を成敗して、占拠するボスを倒してそのボスの持っていた剣を手にとって……神としてはもう新たなる神話作るしかないなって思うじゃん?》

 

 そうかな?そう言われればそうかも。でも一瞬で態度が砕けてきたな。

 

「オレだけが話しちゃったけど……阿形さん的にはどう思う?」

 

「そうですわね……思う所がないわけではないけど、この世界の『悪魔』を信じてはならないというなら同感ですわ。例えその悪魔が天地創造を行った神その方であったとしても、それは神の悪魔としての一側面に過ぎないわけですから」

 

 ご回答ありがとうございます。まあそうだよな。この世界は悪魔の影響が強まれば強まるほど、ろくでもない事になるからな。

 

《そうか……残念だが仕方あるまい。だが、依頼を時間城経由で出すぐらいなら問題なかろう?》

 

 そりゃまあ……オレらが依頼をやれる時にやりたいだけやるんであれば何の問題もないけどな。何か奇跡的に理性的な感じだし。美味しい依頼であることを祈るぞ。

 

 オレ達は無駄に光り輝くハトを廃教会に残して、今回の異界攻略を終えた。マジックカードも回収できたし、何かと実入りのいい依頼だった。ハトはともかく、稼ぎ場の一つとしておくのもいいだろう。今日の所は事故死もなかったしな。

 

 仲魔やペルソナの合体とかもそろそろやっとかんとなぁ。新源市で装備強化もしないと。やることいっぱいだぁ……。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第7回 メシア廃教会

 

マッカ:+13085 マグネタイト:+18625

 

アイテム:アギカード×3、ジオカード×2、ディアカード×2、マハアクアカード×1

     みはらしのたま×3、遁甲羅盤×3、チャクラドロップ×5

     ソニックブレード×1、ローゼスロッド×2、宝玉×5 魔石×11

 

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV22(+4)

 

 仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

    【ゼロッチ/イッチ】LV23(+5)

    (ゴッチ)LV15(+8)

    スキル:休む、挑発、まもる、スウィートトラップ、怪音波、スランパ

        スクカジャ、スクンダ、ザン、マハザン

        ジオンガ(新)、九十九針(新)

 

    悪霊:ゴースト LV16

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド

    

    妖鳥:バー LV14 剣耐性、氷結・衝撃・銃弱点

    スキル:ついばみ、介抱、羽ばたき、アギ

 

    凶鳥:ヒッポウ LV10 火炎反射、念動無効、氷結弱点

    スキル:アギ、羽ばたき

 

    堕天使:シャックス LV17(新) 氷結無効、火炎弱点

    スキル:マハブフ、ジオ、パララアイ、マッパー

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV24(+4)

 

 ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV22(+2) 闇耐性

      スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、ドルミナー、ムド、ソウルブレイク

          トラエスト、トラスタルト、ムドブースタ、マハエイハ(新)

 

      魔術師:ピクシー LV13(+1) 火弱点、風耐性

      スキル:ディア、パトラ、ジオ、トラフーリ、メパトラ

 

      正義:エンジェル LV16(+7) 風・光耐性、闇弱点

      スキル:ガル、パトラ、ディア、ハマ(新)、スクカジャ(新)

          小治癒促進(新)、ハマ成功率UP(新)

 

      愚者:ヨモツシコメ LV7 氷結耐性、火炎弱点

      スキル:ポイズマ、串刺し、デビルタッチ

 

      戦車:スライム LV2 物理耐性、火炎弱点

      スキル:突撃、デビルタッチ

 

      節制:シルフ LV11(新)疾風耐性、電撃弱点

      スキル:ガル、スクカジャ、メパトラ

 

      月:アンドラス LV20(新)電撃無効、疾風弱点

      スキル:メディア、マハジオ、スクカジャ

 

 スガルコミュニティ:愚者/LV1 時間城のなかまたち

           恋愛/LV1 網代 裕奈

           隠者/LV1(+1)(新)宇佐野 美々加

           星/ LV1 ゼロッチ

           月/ LV1 瓜生 ヒナ

 

 

【同行者】(阿形 サリナ) サマナー/ガーディアン使い LV20(+7)

 

     珍獣:ホネアリクラゲ (瓜生 ヒナ) LV14(+5) 水無効、物理耐性、炎弱点

 

     電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

     (ロッチ)LV15(+7)

 

     (網代 裕奈) ペルソナ使い/降魔 LV15(+6)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 今回のリザルトはまずオレが九十九針を覚えたことだな。これは小さな一歩だけどオレにとっては大きな一歩である。そしてミミカの仲魔として堕天使シャックスが加わった。マハブフとマッパーが使える頼りになるやつだ。多分。他の仲魔は今回出る機会がなかったけど変わりはない。合体をする予定ではあるけど具体的なとこはまだ決めてないな。

 

 スガルの方はヒネ・チタマがマハエイハを覚えた。やばい強い。こいつはこのままレベル上げるべきかも知れんね。他にもペルソナが手に入ったらしいのでそろそろ時間城のペルソナ合体を試してもらうべきか。キャンセルで最強ペルソナ作成が出来ないのは残念だけど幸運を祈る。

 

 今回外の堕天使はともかくとして、教会の中の天使は結構レベルが高かったので、ここも阿形さん達との合同稼ぎポイントにすることにした。ボスのアークエンジェルは最高の?28だったのでレベル30位までは行けるかな?

 

 帰りはここ、隣街の商店街で普通の日用品や食品の買い物を済ませ、ジャンク屋の駐車場を使わせてもらってスガルのトラスタルトで一気に帰る。阿形さんたちの方も、今回のレベル上げでヒナちゃんがトラポートを覚えたのでトラポート帰還を試すとか。覚えるの早いな。

 

 そっちのトラポートの方は、ハチマン神社が帰還拠点になってるとか。条件とか良くわかんないけどやっぱ異界かボスかってとこかな。オレ達と阿形さん達両方転移帰還系使えるようになったのは便利でいいな。流石に偶然だろうが……。上手く使えば効率化出来るかな。色々考えてみよう。

 

 




 神霊:平和のハト LV1 すばやい


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来ちゃったかな、オレの時代が

 ペルソナ2ではお世話になり申した


 ヒナちゃんのトラポートは、スガルのトラスタルトとは違って太陽の光みたいな白っぽい黄色に光る魔法陣が転移対象を包み込む仕様だった。

流石珍獣のくせに属性ライトになってるやつは一味違うな!

 

 スガルのトラスタルトでオレの家に帰還したオレ達は、明日新源市に行く準備……ではなく、その前にかけつけ一杯とばかりにガーヒー対戦を始めた。アウトドア活動での疲れはインドアでゲームをしないと発散出来ないのだ!(症状には個人差があります)特に対戦内容には触れないが、オレのバリアは最強だったとだけ言っておこう。やはり小学生の最強口げんかにもひっぱりだこの『何でも防ぐバーリア!』は最強だぜ……。うむ。

 

 そしてゲーム対戦の合間にいつの間にか全部決まっていた明日の予定。明日は新源市のお店に行ってちょっといい装備を揃える予定だとか。

 

 スガルとミミカは、基本的な武器とか身体防具は……イロモノだけど……揃ってるんだが、手足とかアクセサリーはフツーに強さも初期装備だし、何よりスガルの武器が威力不足になって来てるのでスガルの近接武器を強くするのが最優先だな。

 

 メシア廃教会では、スガルはほとんどムドやエイハで攻撃してたけどギロチンアクスで斬りつけた時は何度か攻撃しないと倒せてなかったこともあったからな。

新源市の武器屋にいい武器あるといいけど。

 

 そんで、実は今回もスガルのコミュニティの伸び期待でスガルとミミカ2人で行く事になった。買い物で出たコミュだから買い物で伸びるだろうってのは妥当っちゃ妥当ではある。

 

 まあ一応、2人だけだと不便な事もあるだろうし、アームターミナルにイッチだけは入れておくか。中でネット三昧してていいから潜んでて、どうぞ。インストールソフトを利用すれば警戒は出来るからその管理だけしててな。

 

 一方のオレはいつも通りというか、今日はスキルの実験でもやるかな。いくらかアイディアもあるし。ああ、あまり出来ない長時間配信とか動画のため撮りなんかもやっといた方がいいかな。やれる時にやっとかないと。ここはオレ達皆で相談しよう。

 

 オレはデスクトップCOMPに舞い戻り、もう何度目かのスーパーオレ達会議を開催した。

今日は化身たちの方ではなんら特筆すべき事は無かったようだな。まあ平和が一番だよ。

 

 セブンは今日は戻っていない。他県も見てくるというメモ書きがCOMP内にあった。

旅人系のオレ……これは流行る!サイバー空間を旅する孤独な旅人……フフフ……。

 

 それで明日やること……いや、今から朝までは生配信でいいかな。さっきやってたガーヒーを、ゲーム機繋いで……ストーリー延々攻略プレイしよう。オレとサッチと……ヨッチと交代プレイでいいか。よし、やるぞ!

 

 

 

………………………………

 

 

 

 結局あのまま翌日お昼近くまでやってしまった……もうスガルとミミカは新源市に行っちゃったし、計画してた動画の取りだめも出来なかったな。

 

 動画撮影はまあまた今度やればいいとして。オレはオレで、そろそろあのスキルこのスキル出来たらいいな実験、始めてみますかぁ。

 

 まず最初に、ポルターガイスト基準スキルの「仲間を呼ぶ」を試してみようか。

お外に出て、回線からゴッチをコールして……。

 

「お?何だ何だ?」

 

 そのまま見事、霊体のゴッチを召喚する事に成功した。メガテン式召喚魔法陣から自分が召喚されるのを見るのはテンション上がるな!

 

 さて、出来たはいいがこれはそもそもスキル化されるまでもない電霊的能力なのか、それともスキル化された「仲間を呼ぶ」なのか確かめてみよう。デスクトップCOMPのアナライズデータを拝見すると……あれ?「サバトマ」を新規取得した事になってるぞ?何で?

 

 こ、これはちょっとオレ以外の仲魔を……そうだな、ゴーストさんあたりをサバトマ召喚してみて確かめないと。

 

「ん?何だ?何かワガハイの力が必要になったのか?」

 

 特に何事もなく……いや、何かメガテンっぽい魔法陣が現れると共に、いつの間にか着流しの素浪人みたいなスタイルになってたゴーストさんがしっかり召喚された。

 

 マジか……マジだ。こんなあっさり……。電霊ゆえに各種プログラムの挙動を外部・内部両面から見ることが出来ていたのもあるし、仲魔契約を実質スルーして好き放題やってるからってのもあるんだろうが、やはりそういう……電霊に出来そうなスキルは拍子抜けするほどあっさり出来るようになるみたいだ。

 

 『仲間を呼ぶ』ではなく魔法の方の『サバトマ』になってるのはご愛嬌?として。

 

「いやー、せっかく呼ばれたからにはちょっと話しておきたいことがある、良いか?『太閤』異界だが、ただ暮らすには悪くないがもう少しこう、娯楽品などを増やせんものかな?安全な異界に居られるというだけで破格の好条件ではあるのだが、今の所拠点とお前達が持ち込んだ物しかないんでな……」

 

 今、オレ達も含めてCOMPの中にいる仲魔は大体『太閤』異界で過ごしている。悪魔召喚プログラムまんまの無機質な待機場所でおとなしくしているよりは何千倍もマシだが、初期拠点では流石に狭かった。

 

 狭さ解消のため、『太閤』異界のルールに則って色々進めたら、元ネタのゲーム通りにどんどん拠点を移して今は国主、城拠点複数と街一つ持ちになった。残念ながらシームレスのオープンワールドとかじゃないから拠点以外の描写はなくて存在しないけど、城と街に入れればまあ十分ではある。

 

 中の特産品のミカンとかカステラとかも中で食う分には食える。『栄養』にするにはちゃんと実体化したりマグネタイト注入しないといけないから今の所オレ達仲魔が待機中につまむおやつみたいな感覚だけど。でも娯楽品は……いくつかミニゲームはあったはずだけど、現実に比べたらそういうのも種類が足りないよな。

 

「娯楽かぁ……そうだな、情報さえあればここの特産品の紙とか木材とか炭とかでも作れそうな非電源ゲームで、出来そうなのはどんどん作っちゃってよ。トランプとか、花札とか、将棋とか?ニッチかヨッチあたりと協力して」

 

「非電源ゲームか……調べてみよう」

 

 ゴーストさんを送り返し、オレはまたスキルの実験へと戻る。何か異界開発的なのもいいけど、とにもかくにも今はボスであるオレらが強くならないと駄目なのだ。

 

 とりあえず今回の実験でまずは「サバトマ」が身についた。幸先がいいな。次はどうかな?

 

「せっかくオレがジオンガを覚えたんだし……そりゃやるよなぁ?」

 

 原作ゲームではかなりお世話になった。威力「大」、それほど高くないレベルでも2つの電撃魔法を合わせることで、強力な全体攻撃+感電の大ダメージ+状態異常となるクソつよ合体攻撃。

 

「さあゴッチ、合わせるぞ」

「いいよ来いよ、見せてやるよ本物のジオンガをな!」

 

 元ネタのペルソナ2では仲間同士で行う合体攻撃、オレと化身、本人同士で「同期」を利用すれば。出来ないはずがない!

 

「我は汝、汝は我……」

「来たぞ来たぞ!」

 

 オレのジオンガに合わせて、ゴッチもジオンガを発動する。

 

「サンダーァァァァァブラストォォォォォ!!!」

 

 完全に重なった叫びと共に、2つのジオンガが合わさり、増幅し、標的にした岩の上を滑り地面に落ちて盛大な破砕音を立てた。やばいここまで大きな音が出るとは思わなかった。怒られないよな……?

 

「ヴォースゲー……」

「……」

 

 オレもゴッチも驚き過ぎて声も出ない。これは……一足飛びに手に入れた大威力攻撃だ。

2人必要とはいえオレ達ならその縛りはあってないようなもんだし、この火力を本当に今のオレらが手に入れてもいいのかよ?

 

「ゼロッチ、これちょっと地面えぐれてない?」

 

 マジか?マジだ……。標的の岩が砕け、その周囲の土と石がかなり破壊され、飛び散って、見て分かるくらいのへこみになっている。このままだと雨が降ったら水たまりになっちゃうので、急遽裏庭から土を運んで来て埋めた。はなれにスコップとシャベルはあったけど運搬する道具がバケツ数個しかなかったので、無駄に時間がかかった。本宅に行って一輪車でも借りて来れば良かった……後の祭り。

 

 しかしいきなり大威力全体攻撃やれたな。これは来ちゃったかな、オレの時代が!

 

「オレ達なら1回だけじゃなく2連3連でサンダーブラスト出来るのでは?最強すぎるだろ……」

 

 スチュパリデス狩りも天使狩りもはかどりそうだ。そいつらを狩ってレベル30くらいまでは上げたいな。そして情報収集の結果判明したこの街最強クラスの異界、喪神山と地蔵尊にチャレンジして……。

 

「どこまでレベル上げ出来るかな。まさか100越えとかはないだろうけど」

 

 ゲームだったらボス悪魔のレベルって100以上のがいるんだけど、ここは現実だしいろいろ混じってわけわかんない事になってるっぽいし?天罰の事を考えると逆にレベル平均が下がってるって事もあるかな。そっちの方が世界の維持には都合がいいだろうし。

 

 アナライズでレベルとステータス・スキルは見えても、当然というか上限レベルがあるかどうかなんて分からないし単純にそこまで強い敵がいるかどうかも分からない。あまりレベルを上げすぎても、軽々しく動けなくなるのはかえって面倒くさくなる。

 

 原作ゲームの設定……異界化やGPや噂や認知やその他諸々、どう混ざってるのかそもそも存在するのかも知らんが、高レベルになったオレ……悪魔がうろついたらやばいってのはまあ当然だろうとは思う。

 

 まあ、そうなってもオレには『同期』があるからレベル1の化身を使って街を歩けるんだけどな!さっき分かったけど、リアルタイムで同期すれば完全に同調して1つのオレが身体を2つ持ってるみたいな状態になるからな。

 

「おーい、ゼロッチ」

 

 ん?ヨッチか。何だ?

 

「オレが1人でロマンシング2最終皇帝縛りするの見ててくれ」

 

 ホントにこいつは……いや、これはこれでオレらしいな。

 

「突発配信にしよう。お前がやってるのを見て本来の意味で実況したりしなかったりするから」

 

 今日の目的、スキルの実験はこれ以上ないほど成果があったし、あとはゲームの実況配信とかしててもいいだろ……いいよな?

 

 オレはデスクトップCOMPに戻り、ヨッチが皇帝を次々変えて縛りプレイの下準備をするさまを生暖かく実況するのだった。

 

 




 実は基礎ステが低いとそれほどでもない(小声)


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新装備で異界三昧 ※装備・異界リザルトあり

 ニーハイメイド服はつよい


「今帰ったぞー」

 

「ウォーイ」

 

 しばらくして、装備一式とオマケに日用品・雑貨を買い漁って、スガルとミミカが帰って来た。

ミミカとの隠者コミュニティは首尾よくレベル2に上げる事が出来たらしい。

装備の方はイッチがアームターミナル経由で収納済みだ。早速装備状態を確認する。

 

 

 

………………………………

 

 

 

           装備変更

 

 

    宇佐野 美々加       末吉 為軽

 

  剣:チャクラム(新)      鬼包丁(新)

 

  銃:サブマシンガン       ナンブ2

 

  弾:しんけいだん        しんけいだん

 

  頭:百七拾八式鉄耳(新)    知恵の輪(新)

 

  体:ニーハイメイド服(新)   スクール水着(スガル)

 

  腕:G-ラダーズ(新)     ガードエンジェル(新)   

 

  足:ミラージュブーツ(新)   ハッピーサンダル(新)

 

装飾品:ファルコンチョーカー(新) 武神の証(新)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 銃以外は大幅に買い換えたようだ。まずスガルの近接武器だが、一撃がギロチンアクスを上回りデータ表示上の攻撃回数が2回、つまり振り回しやすい「鬼包丁」になった。刃の厚みだけはギロチンアクスより薄いが、全体の大きさも重さもこっちの方が上。強そう(強そう)。

 

 一方ミミカの武器は剣攻撃扱いだけど遠距離武器の「チャクラム」にしたという。確か列攻撃して手元に戻るやつだっけ?銃が効かない時に使うには十分かな。しかしちゃんとキャッチしないと危ない形状してるけどそこは大丈夫なんですかね?え?ちゃんとオカルト的に戻ってホバリングする機能がついてるって?すげーな都会(地方都市)の武器屋。

 

 そして防具に目を移すと、まず頭防具……ミミカのアイアンバニーが上位ランクの「百七拾八式鉄耳」になりましたー!

 

「ウサ耳好きなん?」

 

「いや何か売ってたから……これは即買いレベルだと思って」

 

 確かに。ミリタリー風の鉄兜にウサ耳と尻尾の付いたデザインはイロモノっぽいが、純粋な防御力と回避は最上位クラス。耐性は特にないノーマルなのが残念だが、オマケに運+4もあるのでそこそこといったところか。

 

 そしてスガルの方だが……「知恵の輪(頭防具)」を買って来た。

 

「いや結構強かったんだよねこれ」

 

 これはイッチが強く勧めたものらしい。基礎的な防御・回避力はそこそこだが、破魔はもちろん完全無効化、神経・魔力に強耐性、呪殺・緊縛を半減、技・突撃・氷・電気に小耐性があるとか。

 

「見た目はなんかよく分からん輪っかだけどな」

 

 知恵の輪を現代アート化したらこうなるって見た目の金属リング、防具としては鉢金系になるのかな。今までスガルの頭防具は鋼鉄の花飾りで、そんな防具で良く突撃出来るな!って感じだったから、これはかなり安全度が増したかもしれない。オマケの装備効果で知恵が上がるらしいのはご愛嬌か。

 

 さて、次に見るのはミミカが一番変わった体防具……スガルはスク水の性能が高いのでそのままだったとか。マジかよ。マジでガチ装備だったんだなスク水。まあ確かに水着とかボディースーツが強い作品もあったからな。

 

 ミミカの身体防具は、ハイレグアーマーからニーハイメイド服になった。……見た目重視か?

 

「性能重視なんだよなぁ……」

 

 このメイド服は……意外と強いな!?特殊効果としては、MPだかSPだかが50上がる……これはサマナーのミミカには関係ないかな。

 

「ぶっちゃけコスプレじみた格好で命賭けるやつなんてそうそういねーから、性能良くても売れ残ってたんだと」

 

「お寒い現実だな……」

 

 ん?しかし実際ミミカがこれからこれを着て戦うわけだから、これからはお寒くないな!しかも変なウサ耳鉄兜までかぶってる!サブマシンガンにアームターミナル、ウサ耳鉄兜にニーハイメイド服装備のサマナーとか何?何かのお祭りなの?2次元から出てきちゃったの?ってくらいご機嫌だな!

 

 腕と足の装備は、あまり冒険せずに無難なものにしたようだ。

 

 ミミカはG-ラダーズにミラージュブーツ、スガルはガードエンジェルにハッピーサンダル。足は双方速さの上がる装備だ。腕は腕時計スタイルで揃えて、ミミカは力が下がるけど呪殺無効、スガルは普通に性能のいいものをチョイス。無難オブ無難。

 

 最後にアクセサリーだが、ミミカは下がった力を上げて速さも上げられるファルコンチョーカーを。スガルは確率物理反射のカウンタ系効果がある武神の証を選んだようだ。まあ妥当。今までの初期装備まる出しのバラバラ穴だらけ装備からこれでようやく業界人並の装備になった気がする。

 

「ゼロッチの方は何かあったか?」

 

「フフフ……今日は凄いぞ、何せサバトマと合体攻撃出来たからな!」

「しかも一番使いでのあるジオンガジオンガのサンダーブラストだ!」

 

「え、それお前らだけで合体攻撃出来んの!?じゃあ何度も出来るじゃん!」

 

「ああそうだぞ。始まっちゃったかな、オレの時代が!」

 

「流石、我は汝どころか我も我もで無限増殖してる人は違うね……」

 

 明日からはまたしばらく異界の周回と休日のサイクルで稼ぎの日々が始まるだろう。オレはデスクトップCOMPに戻り、下手くそな歌ってみたや古典のアホアホ朗読会やクッソくだらねぇ雑談やネット小説紹介で構成された動画の撮りだめ作業を行った。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「週間リザルト発表~!」

「イエー!」

 

 あれからまた1週間。『太閤』異界の内部、拠点のお城の中のオレ達の部屋で、オレ達が独自に集計した週間リザルトの発表である。

 

 この1週間で片羽葦原のスチュパリデス周回が1回、メシア廃教会のアークエンジェル周回が2回、依頼での松方湖デプス周回が1回。計4回の異界攻略に3日の休日。そのリザルトの結果が……こちらです!

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第8~11回 片羽葦原・メシア廃教会・松方湖周回

 

マッカ:+13085 マグネタイト:+18625 現金:+350000

 

アイテム:アギカード×3、ジオカード×3、ディアカード×8、マハアクアカード×3

     マフーイカード×6、万波のカード×2、みはらしのたま×3、遁甲羅盤×2、チャクラドロップ×12

     ソニックブレード×2、ローゼスロッド×5、てっかめん×2、アメジスト×2

     ガーネット×3、アクアマリン×2、宝玉×14 魔石×28

 

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV30(+8)

 

 仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

    【ゼロッチ/イッチ】LV34(+11)

    (ゴッチ)LV25(+10)

    (サッチ)LV15(+14)

    スキル:休む、挑発、まもる、スウィートトラップ、怪音波、スランパ

        スクカジャ、スクンダ、ザン、マハザン、ジオンガ、九十九針

        サバトマ(新)、ザンマ(新)、マハザンマ(新)、マハジオンガ(新)

        狂乱の歌(新)、テンタラフー(新)

 

    悪霊:ゴースト LV23(+7)

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド、クイッカ(新)

    

    妖鳥:バー LV16(+2) 剣耐性、氷結・衝撃・銃弱点

    スキル:ついばみ、介抱、羽ばたき、アギ

        マハーガル(新)、スウィートトラップ(新)

 

    凶鳥:ヒッポウ LV12(+2) 火炎反射、念動無効、氷結弱点

    スキル:アギ、羽ばたき、ザン(新)

 

    堕天使:シャックス LV22(+5) 氷結無効、火炎弱点

    スキル:マハブフ、ジオ、パララアイ、マッパー

 

    天使:エンジェル LV14(新) 破魔反射、呪殺弱点

    スキル:ディア、ザン、パトラ

 

    妖鳥:ベンヌ LV9(新) 破魔・技・剣耐性、銃・神経弱点

    スキル:ハピルマ、マハザン、スクンダ、ディア、パトラ

 

    凶鳥:イツマデ LV24(新) 衝撃耐性、銃弱点

    スキル:ザン、サイオ

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV33(+9)

 

 ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV31(+9) 闇耐性

      スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、マハエイハ、ドルミナー

          ソウルブレイク、トラエスト、トラスタルト、ムド、ムドブースタ

          ムドオン(新)、マハムド(新)、丸かじり(新)

 

      魔術師:ピクシー LV14(+1) 火弱点、風耐性

      スキル:ディア、パトラ、ジオ、トラフーリ、メパトラ

 

      正義:エンジェル LV18(+2) 風・光耐性、闇弱点

      スキル:ガル、パトラ、ディア、ハマ(新)、スクカジャ(新)

          小治癒促進(新)、ハマ成功率UP(新)

 

      愚者:ヨモツシコメ LV9(+2) 氷結耐性、火炎弱点

      スキル:ポイズマ、串刺し、デビルタッチ、スクンダ(新)

 

      戦車:スライム LV8(+6) 物理耐性、火炎弱点

      スキル:突撃、デビルタッチ、タルンダ(新)、赤の壁(新)

          恐怖成功率UP(新)

 

      節制:シルフ LV13(+2)疾風耐性、電撃弱点

      スキル:ガル、スクカジャ、メパトラ、小治癒促進(新)、メディア(新)

 

      月:アンドラス LV23(+3)電撃無効、疾風弱点

      スキル:メディア、マハジオ、スクカジャ、蒼の壁(新)、中治癒促進(新)

 

      悪魔:ヴェータラ LV19(新)風・闇耐性、火炎弱点

      スキル:愚者のささやき、デビルタッチ

 

      節制:アプサラス LV4(新)火炎弱点

      スキル:パトラ、ディア

 

      星:キウン LV24(新)物理弱点、闇無効

      スキル:テトラカーン、セルブレイカー、マハムド

 

 

 スガルコミュニティ:愚者/LV2(+1)時間城のなかまたち

           恋愛/LV1    網代 裕奈

           隠者/LV2(+1)宇佐野 美々加

           星/ LV2(+1)ゼロッチ

           月/ LV1    瓜生 ヒナ

 

 

【同行者】(阿形 サリナ) サマナー/ガーディアン使い LV26(+6)

 

     珍獣:ホネアリクラゲ (瓜生 ヒナ) LV20(+6) 水無効、物理耐性、炎弱点

 

     電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

     (ロッチ)LV23(+8)

 

     (網代 裕奈) ペルソナ使い/降魔 LV20(+5)

 

      八畑 ちお 巫女/神降ろし LV10(+4)

      神降ろし:なし

 

 

 

………………………………

 

 

 

「おお、これは……」

 

「オレら3人はレベル30突破してるな。そろそろ時間城幹部の風格だしても……いいんか?見た目以外は」

 

「見た目はマジ天使だからな……」

 

 3人の中でもオレが一番レベルの高いレベル34。サンダーブラスト連発してたから当然と言えば当然。

自力で頑張ったサバトマと合体攻撃のサンダーブラストの他にも色々身についた。既存スキルの進化形が多いな。ザン系やジオ系は順当として、狂乱の歌とテンタラフーはどうかと思うんですよオレは。だってオレフツーに気合入れて歌ってただけだよ?何で怪音波がさらにヤバくなってんの?

 

 あとマジで基礎ステータスが運極振りなのはどうにかならんのかね……お陰でせっかくのサンダーブラストも一撃必殺にはならないんだよね。連発すれば十分強過ぎるからいいんだけどさ。

 

 3人の中で一番レベル低いのはミミカのレベル30だが、サマナーだしこれも当然っちゃ当然。

 

 スガルはメインのペルソナであるヒネ・チタマでマハエイハ→新武器の鬼包丁で斬り込み、という天使絶対斬る戦術を身につけたのでかなり上がった。最後の方に覚えたマハムドと丸かじりがとにかく強い。マハムドは説明不要の全体呪殺、丸かじりはこれこのデータは見覚えがある。これソウルハッカーズの最強クラス物理全体攻撃の性能で、防御力やHPが貧弱な敵は一発で一掃される威力だ。

 

 いつも「かみつき」で敵をガブガブしていたヒネ・チタマの口が一旦地面に潜り、いきなり地の底から飛び出た巨大な口がガバッと開いて敵全体を飲み込み噛み砕く光景はちょっとそのほんのわずかにびびってしまったです、ハイ。

 

 スガルは他にも色々ペルソナを得たり成長させたりしていて、これを上手く合体させていけば結構な戦力強化になるだろうな。この後時間城で合体する予定らしいが、本当にあいつペルソナ合体出来るんだろうな?まあ流石にそんな嘘ついたりはしないだろうが。納得行くまでキャンセルするのが出来ないってのは残念だ。

 

 コミュニティの方は先に上がってた隠者コミュ含めてオレ達の愚者コミュと星コミュと隠者コミュが1ずつ上がってレベル2になった。新たなコミュニティは無し。こっちは先が長そうだな。

 

 仲魔の方も増えて来たので、ミミカは邪教の館の方寄ってミミカ初めての悪魔合体にも挑戦するんだとか。そっちにはイッチを同行させよう。本物の悪魔合体とかオレも見たいからな。

 

 




 現金はあるし、マッカやマグネタイトも溜まってるし、多少はね?


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悪いから大物というわけではない ※合体あり

 悪魔もペルソナもやっと合体してくれた……。


「おーい、そろそろ行くぞ」

 

 ああ、もう出る時間か。じゃあオレはスガルのスマホCOMPの中に移動しとくかな。

 

 翌朝。朝もやの中、元オレのものだったカゴつき自転車でスガルが時間城へ向かい、久しぶりのような気がする時間城の主との顔合わせとペルソナ合体はつつがなく終わった。各種オプションはないけどこいつ本当にペルソナ合体できるんだな。

 

 

 

………………………………

 

 

 

              ペルソナ合体

 

 

節制:アプサラス LV4

×戦車:スライム LV8

×愚者:ヨモツシコメ LV9

=運命:フォルトゥナ LV17

 

運命:フォルトゥナ LV17 疾風耐性、火炎弱点

スキル:ガル、ブフ、疾風見切り、デビルタッチ、ポイズマ、突撃、恐怖成功率UP

 

 

悪魔:ヴェータラ LV19

×月:アンドラス LV23

×星:キウン LV24

=愚者:オセ LV33(+2)

 

愚者:オセ LV33(+2) 物理耐性、風無効、光弱点

スキル:パワースラッシュ、木っ端微塵斬り、チャージ、ポイズンミスト

    中治癒促進、セルブレイカー、蒼の壁

 

 

 

………………………………

 

 

 

 まずレベルの低い方の合体はあまりいいスキル継承は出来なかったな。これからの成長期待かな?一方、レベルの高い方の合体はいい合体結果になったと思う。弱点の光も、どうやら人間装備の破魔無効の方が優先されるっぽいし問題なし。オレがインストールソフトとアナライズで確認しました。

 

「おうゼロッチ、これ見てくれよ」

 

 時間城の業務用端末で依頼を流し読みしていたスガルが、声を掛けてきた。

 

「何だよ。うわ、露骨だな!」

 

 専用ページに並ぶ依頼の中に、『おススメ!』『緊急!』の煽りが両方入った依頼がある。これ、見ろってことだよな。露骨な誘導……いやらしい……。

 

『西山寺分校廃校舎・侵入者撃退、確保』

 

 何々、依頼主は……元々のこの異界ボスのはなこさんと、警視庁のマシンタケル?ヤマトタケルの転生者ねぇ。何で警視庁が?この人も同類かな?てか、悪魔の依頼も受け付けるんだな。まあ時間城は主が主だし、そういうこともあるか。

 

 それで、内容は……突然、全属性無効のガチガチ耐性装備で固めた自称ガイア系組織『オオトリアン・フォース』のサイキョー幹部さんが異界にやって来て、はなこさんを何度も周回して倒し、その上で自分がボスになると言い出した。

 

 それだけならよくある事で一旦彼の言う通りに彼をボスとして扱ったのだが、自分がボスだと言うくせに周回攻略を止めず、お前らは養分?だとかオオトリ様に全てを捧げなさい?とかわけの分からない事を言って暴れるので異界がやせて来て困っているのだという。

 

 そしてマシンタケルさんは警視庁裏部隊、並びにオオトリ神社の代理人として、勝手にオオトリを名乗って悪さをするこの幹部を裏の流儀で回収しに来た、のだとか。

 

「てか、オオトリ様……オオトリアン・フォースってこれ……」

 

「ああ、リアルでも聞いた名だぜこのクソヤロウどもが……」

 

 まさかこっちでもこの名を聞くとは……いや、こいつらマジでこっちの世界からリアル世界を食い物にしてやがったんだな。オオトリアン・フォースはいわゆるUFO教団、宇宙人が救ってくれるとか人類が進化してどうちゃらとか言ってるやつらだが、依頼文の最後の方、「追伸」で書かれたいつもの時間城の主の追記が……。

 

《こいつらの崇めていたモノは、こことはまた別の世界で珠閒瑠市を引っ掻き回した

『彼の化身』だ。彼の化身は懲りもせず飽きもせずに宇宙をネタに事をなそうと

していたようだが……当然ながら、例の天罰を全身全霊で受け止めることになって

しまった。天罰が起こるまでに手を……『噂』を広げすぎたな。その分ダメージを

受ける場所が大きく……大きすぎた。最後には見た目をJKにすれば助かるなどと

トチ狂ったようになってしまい……当然、彼の化身も、彼の化身のばら撒いた能力も、跡形もなく消え去ったという事だ》

 

 他人事みたいに言ってるがあなたの化身でしたよね?上手くパージして生き残りやがったなこいつ……。あんのペルソナ2のラスボスクソヤロウ、まだ存在してるならまさかのリアルでの悪縁とゲームでの不快感も含めて直接どうにかしてやるとこだが、もういなくなったならまあ、そのオオトリアン・フォース幹部とやらで妥協してやろう。

 

《そうそう、ガーディアン使いだったこの男が最初に『利用』したガーディアン、

それがまさにお前、リアル世界のゼロッチの事だ。最もこの男はお前を踏み台に

新たなるガーディアンを手に入れて、お前は別の者に下げ渡していたようだがな。

悪縁を自ら断ち切る機会を用意したファインプレーに感謝してもいいのだぞ?》

 

 ……へーそうなんだーすごいね!クソが!掌の上気分ですか?

深呼吸深呼吸、平常心平常心。相手にしない相手にしない……。

 

 何々……報酬は、マジックカード、スキルカード?松竹梅カード、混乱防御カード、アドバイスカード?混乱防御は混乱を防ぐスキルで、アドバイスは味方のクリティカル発生率を上げるスキルだ。これらも有用だが、一番いいのは多分松竹梅カードだろう。

 

 松竹梅はペルソナ2に出て来た全体回復スキルで、HPも状態異常も回復するが両方ランダムというスキル。だがメディア以上のHP回復は最低保証されているので、ランダムというイメージ以上に強い。欲しいな、松竹梅カード。何、カード報酬を出したのは時間城の主?なるほどなるほど。あいつ意外といいやつだって思ってました。ホントですよ。

 

「これなぁ……耐性モリモリって万能もか?万能耐性って確かなくもないからそうだとめんどくさいんだけど……」

 

「ええとこれ、大体のレベルまで分かってるのか。推定レベルは40あたり、物理スキルとかはなく魔法タイプの優秀なガーディアン使いだがなぜかガーディアンを失い……今のメイン武器は銃……あっふーん……」

 

「んー、レベルは高いけどこいつはどうやら1人、こっちにはミミカがいて、オレがいるから……つみです」

 

「詰み?何で?」

 

「それはな……」

 

 その後、ミミカと合流し、この依頼を受けることを決めた。ミミカもリアルでの悪縁があったのか、結構乗り気だ。ネット上からでも依頼受ける手続きが出来るのは便利だなー(おっさん並感)。

 

 ミミカの方は、言ってた通りに悪魔合体をやって来たようだな。どれどれ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

                 悪魔合体

 

 

凶鳥:ヒッポウ LV12

×堕天使:シャックス LV22

=鬼女:ヨモツシコメ LV21

 

鬼女:ヨモツシコメ LV21

×天使:エンジェル LV14

=霊鳥:ホウオウ LV21

 

霊鳥:ホウオウ LV21 魔法小耐性、呪殺弱点

スキル:タルカジャ、ディアラマ、メディア、リカーム

 

 

妖鳥:ベンヌ LV9

×凶鳥:イツマデ LV24

=堕天使:カイム LV17

 

堕天使:カイム LV17 破魔無効

スキル:ザン、ザンマ、スクンダ、カルムディ

 

 

 

………………………………

 

 

 

 霊鳥ホウオウを作れたのは大きいな。回復施設がお高い現状において、リカームの価値は段違いに高い。それに太閤異界のお城にホウオウってとっても映えそうですな!これは霊鳥ですわ。

 

 あとは堕天使のカイムさんを作ったようだが……まあそこそこって感じ。すぐ合体でいなくなりそう。

 

「それで、西山寺の依頼だっけ?私はどうしたらいい?」

 

「ん、お前なら簡単だよミミカ」

 

 最速サマナーのアイテム必勝法。

 

「最速で禁凝符を使いまくれ」

 

 

 

………………………………

 

 

 

「ぐっ……来るな、来るな!!」

 

 街の南西側、今はもう見捨てられ、孤独に建つ西山寺分校廃校舎に、野太い悲鳴が響き渡る。

 

「この、何も、何も知らぬクソガキどもがっ!!」

 

 その攻撃は全て銃、なので最速でミミカの使う禁凝符で反射され、反射ダメージは奴の耐性で無効化するものの、オレ達の思惑通り、逃げられない行き止まりへと追い込まれてゆく。

 

 自称ガイア教系地方組織『オオトリアン・フォース』幹部、山本 呪三郎容疑者56歳。

昔は魔法もガンガン使っていくガーディアン使いとして名を馳せたらしい。

そんな能力は天罰で全部消えたけどな!

 

「そ、その翼、天使か?勝手にこの私を害すればメシアも黙ってないぞ!私にはメシアも……」

 

 おーおー、オレを天使と誤認してるわ。まー仕方ねえよなー、天使みたいにかわいいもんな!

 

 今日はミミカとスガル、そしてオレ達と仲魔でこの依頼に臨んでいる。

オレらセラフィックアイドルにうはオレ、イッチ、サッチ、ゴッチの4人体制。オレ達四天王からこのヤロウに渡される特別プレゼントは?

 

【スウィートトラップ】

【スウィートトラップ】

【スウィートトラップ】

【スウィートトラップ】

 

「がっ!な、何で……こんな攻撃があっ!?」

 

 さあ、銃が通用しないと分かっただろうし、次は何だ?今は能力が消えているとはいえ、溜め込んだアイテムでも使ってくるか?

 

「ゼロッチ……」

 

「ん?」

 

 それ所ではなかったようだ。彼は廊下の行き止まりの隅っこでガタガタ震えながら丸まっている。攻撃が当たるとは思っていなかったのかもしれない。当たるのは想定外でパニくったのかも知れない。だけどさ。

 

 これが。こんなのが。オレの人生を壊した元凶の一部なのか。

 

 ……色々感情を押し殺して、オレ達セラフィックアイドル四天王とゴーストさん5人でそのままワッショイと空中に身体を持ち上げ、表に待機している警視庁第1マシン部隊の「マシンタケル」さんの所に身柄を運ぶのだった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「お、早いですな!ご協力感謝します!」

 

 マシンタケル。裏の警視庁がT93Gを元に開発した最新鋭のマシンヒーロー。T93GMT。

見た目はさわやか少年ロボだが……実はオレ達と同類のリアル世界からの転生者でもある。

残念ながら同志ではない。ショタは流派が違うからな……。

 

「流派って何だよ……」

 

「さあ……」

 

 オレとマシンタケルさんでミミカのアームターミナルとマシンタケルさんのスマホCOMPを繋ぎ、依頼達成のチェックを入れる。これで時間城に行けば報酬が受けとれるって訳だ。

 

「いやー、県警の方ではレベル高すぎ、耐性盛りすぎってんで引き受け手がなくて……それにうちも人手不足でしてすごく!助かりました!」

 

「お、おう」

 

 警察も精一杯なんかな……まあ、天罰で人手が純粋に消えたんだから当然っちゃ当然だけど。

 

「ところで、ゼロッチさんはオオトリ神社に行かれないのですか?」

 

「ん?なんでそうなる?騙りのオオトリアン・フォース以外、接点はなかったと思うが?」

 

「あれ?そうですか?僕の『設定』では、あなたの家系がこの地方のオオトリ神社に所属する悪魔退治の家系だとありましたが……」

 

 聞いてないぞそんな設定。この街オオトリ神社が無いし……どういうことだ?

 

 これは時間城の主とオレの爺さん婆さんにでも後で聞いておかなきゃな。

 

 オレ達はマシンタケルさんに容疑者を引き渡し、いつもの車で時間城に向かうのだった。

 

 




 流派TS不敗は王者のうんぬんかんぬん


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次の異界はどこだろな ※リザルトあり

 ゲームだったらピンポンダッシュ一択


「誰に使う?」

 

「うーん、難しいな」

 

 時間城の主の依頼達成の報告をし、オレ達は3つのカード、松竹梅カード、混乱防御カード、アドバイスカードをテーブルの上に広げて悩んでいた。

 

 時間城の主は、何かオレがこの依頼でどういう考えを抱いたか聞きたがっていたが、唐突にネタバレされてお膳立てされても実感わかないんだよね。一応オレが自分でケリつけられたし、のちのちじわじわと実感して行くんじゃないかと思っているが。

 

 まあ、人間を躊躇無く攻撃出来るようになってたのは自分でも驚いたけど。それはもうオレ悪魔だし当然っちゃ当然かなって。

 

「このカード悪魔にもペルソナにも使えるってから、使うならゼロッチかスガルのヒネ・チタマなんだけど……」

 

「どっちに使うか、悩み所だね」

 

 オレには身につけたスキルを化身と共有出来るっていうものすごい利点があるけど、知恵と魔力が低いからMPがそんな高くないって欠点があるんだよね。

 

 一方スガルの方はアタッカーであるという点でまた悩ましい。アタッカーが回復に回るのは戦闘の組み立て的にかなり不利になりそうだ。

 

「松竹梅と混乱防御はゼロッチで、アドバイスはスガルでいいんじゃない?」

 

「ん……まあ、そうだな」

 

「そんな感じかな」

 

 しばらく話し合った後にミミカが決めたが、異論はない。

 

 スガルにアタッカーとしてガンガン近接攻撃や闇系の攻撃をやってもらうために、自動効果系のスキルの「アドバイス」はスガルの「ヒネ・チタマ」に使う。混乱防御はスガルにつけても悪くはなかったが、怪音波やテンタラフーで混乱をばら撒くオレが万が一それを反射された時のためにオレに。

 

 そして松竹梅カードは、やはり攻撃と回復の手番やオレの化身能力を加味してオレに使った。MPも手番も、オレが化身を追加すれば1人増えるんだ。改めて考えると、やっぱオレツエーだな。さす電霊。

 

「ところでさ、あいつ最後おとなしかったけどさ」

 

「あん?ああ、山本……なんちゃらさんのことか?まあ、そりゃな」

 

「何でだと思う?なんかレベル40だったんだよな?空中で拘束されたぐらいならなんとかして逃げると思ってたんだけど」

 

「うーん、そうだね。私もはっきりとは分からないけど、推測は出来るかな?」

 

「ほう?」

 

 ミミカはちょっと自信なさげながらも、己の推測を語った。

 

「私達はさ、多分元々の性格のような気がするけど、何度か傷を負って回復するような場面があっても何てことなかったよね?でもそれって普通かな?」

 

 確かに、具体的に言うと何もないので描写が無いぐらい、怪我なんざ平気の平左だったけど。

 

「普通の人は、あんなシリアスに命の危険が迫ったら動けない事もあるんじゃない?能力を消されて混乱してたのもあるんだろうけど」

 

「あ、そっかぁ。でもあいつ、ガイア系組織の幹部でもそんな事あるのか?」

 

「さぁ……新人の時に『幸運のガーディアン』でズルしたからそういうとこが育ってなかったとか?」

 

「あっふーん……そっか、そうかもな」

 

 新人の時に苦労しないで、そのまま高齢になって無反省に生きてるとあんな感じになるのかな……。ま、あんなのの事はもうどうでもいっか。

 

 とりあえず報酬のカードを使って、一旦リザルト表示……確認しとこう。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第12回 西山寺依頼

 

マッカ:+668 マグネタイト:+1709 

 

アイテム:きずぐすり×2、レッガースラム×1、ターコイズ×3、宝玉×2、魔石×5

 

依頼報酬:松竹梅カード×1、混乱防御カード×1、アドバイスカード×1

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV32(+2)

 

 仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

    【ゼロッチ/イッチ】LV36(+2)

    (ゴッチ)LV28(+3)

    (サッチ)LV19(+4)

    スキル:休む、挑発、まもる、九十九針、スウィートトラップ、怪音波、

        狂乱の歌、テンタラフー、スランパ、スクカジャ、スクンダ

        ザン、ザンマ、マハザン、マハザンマ、ジオンガ、マハジオンガ

        サバトマ、デビルタッチ(新)、《松竹梅》(新)、《混乱防御》(新)

        

    悪霊:ゴースト LV26(+3)

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド、クイッカ

    

    妖鳥:バー LV16 剣耐性、氷結・衝撃・銃弱点

    スキル:ついばみ、介抱、羽ばたき、アギ

        マハーガル、スウィートトラップ

 

    霊鳥:ホウオウ LV21 魔法小耐性、呪殺弱点

    スキル:タルカジャ、ディアラマ、メディア、リカーム

 

    堕天使:カイム LV17 破魔無効

    スキル:ザン、ザンマ、スクンダ、カルムディ

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV35(+2)

 

 ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV32(+1) 闇耐性

      スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、マハエイハ、ドルミナー

          ソウルブレイク、トラエスト、トラスタルト、ムド、ムドオン

          マハムド、ムドブースタ、丸かじり、《アドバイス》(新)

 

      魔術師:ピクシー LV14 火弱点、風耐性

      スキル:ディア、パトラ、ジオ、トラフーリ、メパトラ

 

      正義:エンジェル LV18 風・光耐性、闇弱点

      スキル:ガル、パトラ、ディア、ハマ、スクカジャ

          小治癒促進、ハマ成功率UP

 

      節制:シルフ LV13 疾風耐性、電撃弱点

      スキル:ガル、スクカジャ、メパトラ、小治癒促進、メディア

 

      運命:フォルトゥナ LV17 疾風耐性、火炎弱点

      スキル:ガル、ブフ、疾風見切り、デビルタッチ、ポイズマ、突撃、恐怖成功率UP

 

      愚者:オセ LV33(+2) 物理耐性、風無効、光弱点

      スキル:パワースラッシュ、木っ端微塵斬り、チャージ、ポイズンミスト

          中治癒促進、セルブレイカー、蒼の壁

 

      悪魔:ウコバク LV3(新)火炎耐性、氷結弱点

      スキル:アギ、スクンダ

 

 スガルコミュニティ:愚者/LV3(+1) 時間城のなかまたち

           恋愛/LV1     網代 裕奈

           隠者/LV2     宇佐野 美々加

           星/ LV3(+1) ゼロッチ

           月/ LV1     瓜生 ヒナ

 

 

 

………………………………

 

 

 

 マッカとマグネタイトの収入が少ないな。まあ阿形さん達が最初の方に行こうって思うような初心者用の異界だからそこは当然だけど。

 

 今回でレベルが一番上になったのがオレでレベル36になった。そろそろどこかの異界のボスになれたりするかな?

 

 カードで追加した松竹梅と混乱防御に……なぜかデビルタッチがある。あれか、今日の依頼で身についちゃったのか?あれで?何にせよ、スキルが増えることはいい事だと思う。なにせゲームと違ってスキル数に上限枠ないっぽいし。オレもスガルもスキル数を気にしてスキルを消したりする必要はなさそうだ。

 

 そのスガルだが、まず鬼包丁での通常攻撃に加えて、メインのペルソナのヒネ・チタマはステータスはスガル自身と似たオールラウンドタイプで、呪殺・ドルミナーに丸かじりと色々選択肢のある攻撃で活躍中。今回の依頼ではお試しで使ったオセとヒネ・チタマの物理攻撃技の力押しでの雑魚散らしに終始したけどな。

 

 一方のオレはゾンビ系に直接触れたくないから雑魚戦は遠距離魔法放ってただけで、ミミカもチャクラム投げてただけだった。それで十分だったけど。

 

 ボス戦っつーかナントカさんの確保ではこの上なく存在感示したから大丈夫。うん。

 

 ちなみに今日のこれでスガルの愚者コミュニティと星コミュニティが1レベル上がって3になっていたらしい。これコミュイベント扱いだったんか?絆深まるなー。

 

 今日の悪魔業界的なお仕事はこれで終わりである。セラフィックアイドルにうの活動はここからだ。今日も今日とてゲーム配信。今日のゲームはルナ丼3をオレとイッチで交代プレイというわりと不毛な配信である。

 

 まずはランダム世界やCD世界で、経験値やお金や貴重品が道端に落ちてる世界を探さないとな。

 

 うん、何を言っているのかわからねーと思うが、オレも最初それを見た時には何が起こってるのか分からなかった。でも事実だ。さぁて、今日はいくつ目の世界で当たるかな……。

 

 そう繰り返して、何時間経ったか。狙った世界がなかなか出ずに、むきになって延々世界ガチャをやってしまった……。わりと地獄のようなコメント欄になっているが、視聴者数は数百人くらいまで伸びてるので良しとしよう。見てて何が面白かったのかは知らんが。セラフィックアイドルも楽じゃないぜ。

 

「ゼロッチ、大雑把に良さそうな異界情報上げといたよ」

 

 お、流石有能ニッチだな、スチュパリデスや廃教会周回の次に行くべき異界を探してくれたのか。ありがたい。配信も終えたしイッチとオレで少し検討しよう。

 

「この……地蔵尊ってのは?」

「レベル30~40台、ただ物理系悪魔の鬼族が多くて、耐久力やHPが貧弱なミミカやオレが一撃でクリティカル乙する可能性が高い。もう少しレベル上げるまで置いといた方がいい」

 

 というかまあゲームだったらミミカ最速禁凝符戦法でパワーレベリングなんてのもやるだろうけど、現実じゃ事故死が恐ろしいし鬼族で物理攻撃が強いって言っても魔法も普通に使ってくるからもうちょっと安全に行かないと出来んわ。

 

「じゃあこの喪神山でピンポンダッシュとか……」

「レベル40以上はきついだろ……ゲームじゃお世話になったけどハイレベル一撃離脱のレベル差ごっつぁんレベリングは狂気の沙汰だ」

 

「あとは吊浜……」

「レベル低いし地形が危険すぎる。何だよ延々と続く消波ブロックの上を歩くとか」

 

 こうして見ると、この街人口の割に異界が多いけど、今のオレらに手頃なレベル20~30くらいの異界がないんだな。

 

「メシア廃教会みたいに、隣町とかならどう?」

「他の街か……」

 

 ニッチはしっかりと別ページに他の街の異界情報を上げてくれているな。どえどれ。ふむ。ざっと見て、雑魚悪魔のレベルが20~30で、行きやすくて駐車場があって変な危険がないような異界は……。

 

 ここかな?『神沢妖樹林』悪魔のレベル18~40、最高レベルの40はボスの妖樹アルラウネ。ダークからニュートラルの悪魔が幅広く出てくるが、なぜか女性型悪魔しか出てこない。渋田川の支流の神沢川が結構広い範囲で異界化していて、川の流れに沿って南北方向に長い。西隣の街にあり、迂回路や高架や地下道の整備でかなりの苦労があったとか。

 

「ふーん」

「行けると思う?」

「レベル的には行けそうだな、でもさ」

「ん?」

「女の子悪魔ばかりに悪魔交渉とか……ミミカにはハードル高くないか?大丈夫?」

「そんなかわいそうな事言ってやるなよ……」

 

 性癖をこじらせた元独身おっさんでも、インストールソフトのレディ・キラーズという文明の利器の支援があればワンチャン。

 

「……ミミカって元独身おっさんだよな?」

「多分?いやわざわざそんなこと聞いて確認するのは悲し過ぎるから聞いた事ないけど」

 

 オレだっていくら仲間であり仲魔とはいえ過去をベラベラ話したくはないしな。色々あったのもあるけどさ。そこらへんやっぱ想像してた仲間と現実の仲間って違うんだよな。

 

 まあ最悪、今までと同じくレベリング優先で狩って勧誘はオマケでもいいしな。

 

「次はここにしようか……」

 

 何、過去はともかく今はオレらもピチピチギャルで美少女転生戦士様だ。案外女の子同士で会話が上手く行くかも知れんそうだといいなぁ。

 

「依頼もあるしな。臨時討伐をお願いします、報酬は現金固定100万+出来高で状態異常回復系のマジックカードを加算か……」

 

 成果によって、コトルディカード、クロズディカード、ブルトディカード……うーん、在庫感。流石に雑魚狩りで豪華報酬ゲットってのはないか。まあ今回は依頼はオマケ程度でもいっか。

 

 




 インストールソフトの類は電霊なので色々活用しています(描写した場合の描写分多すぎてほとんど省略)


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ゼロッチ野良電霊を拾う

 24時間インターネッツは見果てぬドリーム


「ゼロッチ、セブン帰って来たよ」

 

 オレらがそうこうしているうちに気ままな旅人のセブンが帰って来た。

 

 街の中のサイバー空間をぶらついてる時に、なんかオレらと佐部利メシア教会関連以外らしき電霊の痕跡を見つけたらしい。レベルは低く、というかレベル1で、ほとんど数ヶ所の狭い範囲の家電量販店の一般展示パソコンの中をこっそり渡り歩いてネット観賞してるだけで他に何もする気配がないという。

 

「こいつオレらと同じ、同志だと思うか?」

「それは分からんけど、確実にリアルからの転生者ではあるだろうな。マジもんの現地産の低レベルな生まれたての電霊なら、そんな中途半端な潜伏で安定してるはずないし」

 

 マジもんのロジックで構築されたプログラムや概念から産まれた現地産電霊なら、潜伏すると決めたら何年でも微動だにせずにただのプログラムのふりを続けるだろうし、少しでも情報を蓄積すれば一足飛びに変化するだろう。だがこいつは違う。そのどちらでもない複雑で曖昧な状態だ。

 

 多分電霊になって24時間インターネットしほうだい!で夢中になって、時間経過を忘れただけの元人間だ。オレももし化身を作れなくてミミカとスガルにも出会ってなかったら、いつもの延長でこんな風になっていたかもしれない。慣例通り、通常運転は何も考えずに続け過ぎると猪突猛進より危険っていう実例になるかも知れんなこれは。

 

「それで、そうだとしたらこいつどうしようか」

「接触しよう。能力的にはこちらがはるか上だし。そいつ今の時間はどこにいるんだ?」

「今の時間だと……家電量販店がやってない時は色んなとこの管理システムに潜んでるみたい」

「そうか、じゃあ一応ゴッチ、お迎えに行って来てくれ」

「行ってきまーす」

 

 ゴッチが謎の電霊との接触に向かった。残されたオレ達は……どうしようか?

 

「じゃあパープロ野球年代トラベル対戦、やろう」

「パープロ野球年代トラベル対戦?」

 

 おお、流石ヨッチ。遊びだけやってる遊び専門の化身はやっぱ一味違うぜ。パープロ野球年代トラベル対戦とは、野球ゲームの同じシリーズの古いやつから順々に年代を進めて対戦しつつ選手の入れ替わりやチームの歴史に思いを馳せる遊び方だ。これは配信の後編集して動画でも上げよう。

 

「オレの嫁売ジャイアンズが火を噴くぜ」

「じゃあオレ半神ジャガーズな」

 

 野球年代トラベル対戦の夜は更けてゆく。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 しばらくして。ゴッチがマスコット系の萌えキャラを連れて来た。

いや、正確にはちょっとゆるキャラ風味にデフォルメが入った電霊ちゃんだけど。

 

「な、何なんですか?わたし、何で連れて来られたんですか?」

 

 ふわっとゆるくウェーブしたピンク色の髪に、ゆるキャラ寄りに大きく描かれた空色の瞳。目には大きなクソダサ赤ブチ眼鏡。

こいつは多分転生者で同志ですね、見た目が趣味的過ぎるからね。

 

「何、難しい話じゃない。ちょっと『同志』としてお話をしようと思ってね」

 

「同志……?」

 

 おびえた「ふり」をしていた彼女をなだめて話を聞くのは容易ではなかった。

だが不可能ではなかった。

 

 彼女の名は「みる子」で、やはりリアル世界から転生したTS転生同志であるという。

 

「でも現状でレベル1って……正気か?」

 

「い、異界とか悪魔退治とか無理無理!そういうのはやりたい人がやってよ!」

 

 まあ予想通りだな、電霊になった理由が、ずっとインターネットして暮らしたいからとかそんな理由のやつだ。オレ的にはどうぞご自由にと言いたい所だが、あいにくこの世界じゃそうもいかないんだよね。ぶっちゃけこいつが無理やり誰かの仲魔にされて電霊能力を使われたら困るんだ。オレの優位が揺らぐ可能性がある。

 

「お前、佐部利メシア教会の事件は知ってるだろ?」

 

「それはまぁ……」

 

 メシア教会が恥も外聞もなく助けを求めるほどの緊急事態。

実際はともかくあれで電霊っていうものが改めて思い起こされているのは事実だ。

 

「オレに見つかるくらい無防備にふらふらしてたら、アレ対策のついでに一応消しとくかで消されてもおかしくないぞ?野良悪魔ってマジで人権ないんだからな?」

 

「えっ……」

 

「いやそうだぞ?レベル1だと悪魔退治屋にとってはぷちっと潰せる不快害虫みたいなもんだぞ?」

 

 これは本当にそう。だからオレは名目上だけとはいえ仲魔になる選択肢を取ったんだし。

 

「うう……怖いけど、バトルも怖い……やだ……」

 

 うーむ、なかなか難しいな。でも気持ちは分かるから責められん。オレだってそうしたい気持ちもあるし。ていうか一部化身はそうしてるし。しょうがない、オレ以外で実験もしておきたかったし、とっておきを出すか。

 

「仕方ねえな……『ヴァーチャル・バトラー』って知ってるか?」

 

「ヴァーチャル?い、いや、知らないけど……」

 

「真女神転生2に出て来た、ヴァーチャルでレベルアップ出来る施設だ。ヴァーチャルなので絶対死なないし傷つかないで訓練できる。最初それでちょっと鍛えてからならマジもんの異界デビュー行けるか?」

 

「そ、それなら……何とか……」

 

「そうか。よし、サッチ、太閤異界の酒場で準備してくれ」

「あい分かった」

「いやそこは別に戦国風にしなくていいから……」

 

「……酒場?」

 

 

 

………………………………

 

 

 

「わああああ!終わって、終わってえ!!」

 

 ゆるキャラも美少女もしちゃいけない顔になったみる子の叫びが、オレ達の「太閤」異界に響き渡る。ヨッチがシステムに合わせて作った価値7の名刀「イボコロリ」で、次々に外道:よっぱらい LV1~3が切り捨てられる。

 

 オレらがシステム流用で作ったこれが、元ゲーム「太閤」の酒場依頼を応用したヴァーチャル・バトラーである。何もしなければただのゲームと同じで経験値も何も収入はないが、マグネタイトを少し使えばそれに応じて得られるものがある。

 

 今のオレならこのレベルのマグネタイトとか誤差だし、レベル1のみる子を鍛えるくらいならかなり実用性は高いと思う。みる子も価値7の刀を持ってれば負けないだろう、多分。

 

「はぁ、はぁ……勝てた?」

 

「どれどれ。お、しっかりレベル2になってるな。この調子で行くぞ」

 

「え?わあああ!!」

 

 オレが再度出現させたよっぱらいに動揺し、やみくもにぶんぶん刀を振り回すみる子。あ、攻撃喰らった。結構深手だな、どれ。

 

【松竹梅】

 

「へ……わああ!」

 

オレの放った回復スキルにみる子の方が動揺し、再度攻撃を喰らう。

 

【松竹梅】

 

「あ、そっか。てやー!」

 

 オレが回復している事に気づいたみる子は、ちょっと安心したのかしっかり足を据えて……刀を振り回し始めた。こりゃしばらくつきっきりでこのまま鍛えといた方が良さそうだな。

 

 そのまましばらく、みる子は湧いて来るよっぱらいを相手し続けた。みる子はまだもうちょっと行けそうだったが、オレとイッチのMPが尽きたので終了だ。オレ運以外のステータス低いからMPも少なめなんだよね。

 

 実際この自称ヴァーチャル・バトラーをやってみたのは今回が初めてだが、まずは成功と言っていいだろう。しかし、マグネタイト消費的にはレベルの割にそこそこかかってしまった。こりゃホントに初期のレベルアップ以外には利用できんな。やった感じだとレベルと共に乗数的に消費がきつくなって行きそうだ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:みる子の修行

 

電霊:みる子 LV4(+3) 銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効、電撃弱点

   スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙(新)

 

 

 

………………………………

 

 

 

「ああ、そういう……」

 

 砂煙は敵を「幻影」状態にする状態異常攻撃だ。どうやらバステ型、将来的には多様な状態異常を使うタイプに育つっぽいな。基礎ステータスの方は魔>知恵>速さ>その他っぽいからオレよりやる事がはっきりしてて強くなるかも知れんぞ。

 

「ど、どうですか、強い?」

 

「ん?ああ、フツーに状態異常系魔法タイプ行けそうだな。ちょっと見てみろホレ」

 

 オレは電霊的に処理領域で処理しているみる子のアナライズデータを異界内でモニター表示してみる子に見せる。こいつはまだ電霊特有の小技には慣れてなさそうだからな。というかささっと化身作って電霊的な経験を掛け算で得ているオレの方がおかしい気もするけど。

 

「わ、と、逃走加速?と淀んだ空気は知ってたけど、砂煙?えーと……」

 

 微妙な顔で言葉に困るみる子。一応、淀んだ空気はレベル的には破格の特技で将来には期待出来ていいんだけど……ってスキル構成だな。

 

「どうする?オレとしてはもう外の異界行ってもいいと思うけど」

 

 なんかビミョーとはいえ、一応戦闘に参加出来るスキルはあるんだ。デプス周回依頼の時にでもついでに連れて行けば、オレらの前でかなり安全に異界デビューは出来る。最初はピンクルーバーとかマッドスラッグでも相手にしてもろて……だな。

 

「はい、お願いします。頑張るので」

 

 ヴァーチャル・バトラーでレベルも上がったし、ちょっと自信もついたのかもしれない。みる子は結局、しばらく相談した結果ミミカと契約して仲魔になることになった。決め手はDDSの利用権利。そりゃそうだよな。

 

 もう結構夜も遅かったが、ミミカは何か無駄にネットで漫画を読み漁って「これは今でもいい感じで楽しめる、これはもう駄目みたいですね……」などと自分の中の現在の性癖を正確に確かめる作業をやっててまだ起きてたので、即契約完了。

 

 今日はヴァーチャル・バトラー(太閤)の実践も出来たし、野良電霊の同志もナカマに出来たし、色々成果あったな。唐突にお膳立てされたものとはいえ自分的に一つ成し遂げもしたし、この調子で明日からも頑張っていこう。

 

 いや、頑張りすぎると悪魔化が進行するかも知れんし、悪魔としては自堕落で不真面目な程度の頑張りでな。無限に化身増やして電霊に早く適応して能力開発進めるぜ!とか、毎日異界レベリングしてオレ達最強!ワレに敵ナシ!とかせんようにしないと。

 

 そんなんしたら明らかにオレの悪魔化フラグだしオレがラスボスルートになりそうだしな。最適化して効率で稼ごうとするとバッドEDが顔を出すって罠はいかにもありそうだし。

 

 全くこの世界は油断出来ないぜ!

 




 変な名前の名刀を献上するのは刀鍛冶プレイヤーのたしなみ


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※みる子視点 ペルソナ使いとみる子育成

 まだ常識に囚われているみる子さん


 わたしの名前はみる子。リアル世界でやばい宗教にひどい目にあったと思ったらこの世界で電霊マスコット風美少女キャラに転生することになった3……20台の元一般成人男性です。

 

 今日はワイルドなペルソナ使いのスガルさん、特にワイルドではないペルソナ使いの裕奈ちゃん、依頼立会人のちおちゃんに連れられて、渋田海岸の南側で異界デビューすることになりました。

 

 スガルさんは「セクシー」って文字の入ったTシャツにスパッツっていう投げやりな格好ですが、裕奈ちゃんはセーラー服、ちおちゃんは巫女装束です。気合入ってますね。わたしはスガルさんのスマホCOMPに入って震えています。なぜこんなことになってしまったんだ……。

 

 いや、メガテン+ペルソナ世界の悪魔の時点で強くなるしかないってのはわかるよ?だけどわたしはそれでも言うよ、嫌なもんは嫌だと!

 

「ついたぞー。ほれ、ぱぱっとやってくれ。ゼロッチが管理権限渡しとくって言ってたし出来るよな?」

 

 スガルさんが何を言ってるのかわからない。え?ゼロッチさんは装備とかアイテムを登録して自由自在に実体化とデータ化出来る?一部は「スウィートトラップ」として攻撃にも使ってる?かさばる装備やアイテムを持ち込まなくてもゼロッチが使う時だけ実体化してくれるから助かる?電霊だしお前も出来るよな?

 

「出来るか!」

 

 わたしがそう言うとスガルさんは心底驚いた顔で「そうか……そうなのか……」と何やら納得してた。

 

「しゃーない、誰か『化身』について来てもらうか……」

 

 スガルさんはすぐにスマホCOMPで連絡を取り始めました。するとすぐにスマホCOMPの中に仲魔が増えて、ゴッチさんが出てきます。

 

「どうした?何かあったか?」

 

「お、来た来た」

 

 どうやら言ってた事は本当だったみたいです。スガルさんと裕奈ちゃんの体が光に包まれて、フル装備になりました。

 

 裕奈ちゃんは拳銃に天使の羽?かなり派手な格好ですが、問題はスガルさん。拳銃にでかいナタ……いや包丁?に、スク水にサンダル?

 

「いやおかしいでしょ!?」

 

「あー、そう思うのは当然っすけど、結構いい装備なんすよねこれ」

 

 思わず叫んだわたしを、ちおちゃんが嗜める。見た目と実用を兼ね備えた装備で、スク水のくせに下手なサバイバルベルトとかアーマー類よりはるかに上の守備力なんだとか。

 

 そうは見えないけど……まあ、そういうのもあるのかな、としか言えない。わたしはメガテンもペルソナもそれほどやりこんだわけでもないし。

 

「うー……」

 

 何だか納得いかないまま、わたしたちは渋田海岸南部、わたしの異界デビュー戦に向かうのだった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 わたしのデビュー戦、いや、メガテンやペルソナのバトルってのはさ。もっとこうギリギリで、生きるかどうかの大ピンチを潜り抜けてさ。ハードコアな……いや、ハードコアではあるけどさ。

 

「ほれ、こいつ動けねえし『淀んだ空気』でいいからひと当てしてみ?」

 

「グゥー……」

 

 スガルさんの大きな武器、鬼包丁に押さえつけられて身動きが取れない『ピンクルーパー』がアワレな鳴き声を上げている。……ちょっと切れてるのグロいです加減して。いや勘弁して。

 

【淀んだ空気】

 

 発動すると、なんかくさそうな霧がピンクルーパーを中心に発生して周囲を覆う。……実際にはほぼ臭くなかったのが救いだ。これで臭かったら泣くわ。

 

「よし、ホイっと」

 

 ピンクルーパーに淀んだ空気が届いたのを確認した後、スガルさんはピンクルーパーを始点に鬼包丁を円運動で回転させて一刀両断。だが、わたしも既にレベル4になっているのでこれだけではレベルアップはしなかった。

 

「あ、でもスキルが増えてるっすよ」

 

「え?本当ですか?」

 

 ゴッチさんがスマホCOMPに表示してくれたわたしのデータに、『リベラマ』が表示されていた。

 

「リベラマ?」

 

「えっとアレっす、確か敵寄せの魔法っす」

 

 な、なんかくさそうな霧を出したら敵寄せの魔法を覚えたって、イメージがちょっと……。

 

「いいんじゃね?ものは使いようだし。使ったスキルとか関係ないっしょ」

 

 スガルさんはそう言ってずんずん松林の奥に進んで行きます。間違ってもわたしが怪我とかしなさそうなのはいいけど、これでちゃんと鍛えられてるのかな。若干不安になったものの、ゲームみたいにレベル差補正でボス倒してレベリングするハードモード……はわたしに出来るとは思えないので、これでいいと思いました。

 

 わたしにしては良く頑張ったねと自分を褒めてあげたい。この人たち……スガルさん強いし、頭おかしくもなってない。いや性癖的にはアレだけどそれに関してはわたしも同類だし、それにしたって「原作」から見れば問題になるほどじゃない。

 

 わたしは貰えるものは貰う主義だし頼っていい人には頼れるだけ頼る方だ。そのまま数時間、渋田海岸南部の雑魚敵で至れり尽くせりのわたしのデビュー戦を行い、しかるのちにわたしのレベルがある程度上がったらスガルさん・裕奈さん共にペルソナ全開のデプス周回へシフト。

 

 わたしはほぼ後方で淀んだ空気を連打するだけの置き物になるだけだったけど、つまり一応デプスとのバトルにも参加していたので、レベル差の恩恵を受けまくってレベルが急上昇。スキルもいくつか覚えて、何とか状態異常をばら撒く役目としては働けるくらいにはなった。

 

 ちなみに他の人はちおちゃん裕奈ちゃんが成長したくらいで他はレベルが上がっていないようだ。まあ、レベル差ってのは逆にも働くからね。レベル的にはわたししか恩恵を受けてないけど、周回1回5万円と地域貢献的な意味で受ける価値はあるのかな?

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:みる子デビュー戦(みる子)デプス周回×3

 

マッカ:+4320 マグネタイト:+5133 現金:+150000

 

アイテム:ボロックナイフ×1、みはらしのたま×2、アメジスト×2

     アクアマリン×2、宝玉×3、魔石×7

 

電霊:【みる子】LV10(+6) 銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効、電撃弱点

    スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙、ギルトアイズ(新)

        ルナトラップ(新)、リベラマ(新)、リフトマ(新)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 ゴッチさんがわたしのリザルトをスガルさんのスマホCOMPに表示してくれました。えーっと、リベラマにギルトアイズにルナトラップにリフトマ?どこから出て来たんだろうこのスキル。

 

「おー、何か色々覚えてんな。リアル世界の方でも何か能力者だったとか?」

 

 違います。

 

「いやフツーにオレみたいに人間×悪魔合体で電霊になって、その合体した悪魔の影響とかじゃないか?」

 

 違います。てかそれフツーじゃないです、何で悪魔と合体したマジキチ人間ですなんて設定くっついてるのにそれがフツーだと思ってんですか頭ガイアですか?

 

「オレの属性はダーク・ニュートラルなんだよなぁ……」

 

 いや属性ダークとかマジもんじゃないですか?本当に大丈夫ですかこの人?

 

「電霊ってダーク・ニュートラルだぞ。みる子もそうじゃないか?」

 

「え……?」

 

 そうなんだ、悪魔の種族で属性変動とかあるんだ。ちょっと確認してみよう。

 

 

 

………………………………

 

 

 

電霊:【みる子】 属性:ニュートラル ― ニュートラル

 

 

 

………………………………

 

 

 

「あれ?中身準拠っぽいですよ?わたし普通の人間と同じニュートラル・ニュートラルみたいです」

 

「なにぃ!?」

 

 ずいぶん驚愕したゴッチさんが、わたしの属性を確認し、他の人の属性も順番に確認して、何やら遠く……海を見た。

 

「……ダークでも生きて行けるし」

 

「アッハイ……」

 

 何やら繊細な話題のようだ。そっとしておこう。

 

「あ、あの、それならボク達を転生させた悪魔の影響とか?」

 

「なるほど、ありえねー話じゃねえな。ゼロッチの『化身』能力とかどう考えてもあいつの影響だし」

 

 あいつ?よく分からないので聞いてみると、スガルさん達を転生させたのはペルソナ2に出てきた時間城の主らしい。

 

「天使じゃないんだ……」

 

「あん?どういうことだ?」

 

「いやその、わたしを転生させたのはサリエルっていう天使で、この事態もこの転生も神の御心とか何とか言ってたから、みんな天使に会ってるのかと……」

 

「あー、今回はことがことですし、天使にそう言われたらそう思っちゃいますよねー。でもまあ、ハチマン様とかオトヒメ様とかも転生やってますんで……」

 

 どうやら別に天使に限ったことじゃなくて、悪魔オールスター的な転生フィーバーみたいですね。ずっと勘違いしてた。やっぱ一人だと限界があったな。わたしだけ天使がどうこう言ってたらメシアンと勘違いされたかも知れない。危ない危ない。

 

「しかしサリエルか……結構露骨にテコ入れしたスキル構成だな」

 

「え、そういうの分かるんですか?」

 

「特殊な魔法もルナトラップもギルトアイズもかなりサリエルっぽい。月と魔法と魔眼だからな。逃走加速と淀んだ空気は関係性が微妙だからこれはみる子主体のスキルじゃないか?」

 

 何でそんなのだけわたし由来なんだ……。

 

「と、ところでサリエルってメガテンかペルソナにいましたっけ?」

 

「あー、いたよ確か。真2でなんかピンクか赤色のやつ。ストーリーには絡まない一般悪魔だったけど」

 

「あ、わたしの会ったサリエルって多分それです、でもなんかむちゃくちゃ強そうだったし見た目怖かったから震えて土下座してたら『これでは話が進まん……』とか言って見た目変えてくれました。やさしみの天使でしたよ」

 

「見た目変えた?」

 

「なんか、何かの作品を参考にしたショタっぽい女神天使か黒翼の美形天使か銀髪美少女天使か選べって言われたから、銀髪美少女天使を選んだらそうなってくれました。とにかく良し!でした」

 

「お前ある意味すげえな……人生姫プレイだな」

 

 わたしは誠心誠意お願いしただけなのに何が姫プレイですか。これが分からない。

 

 まあとにかく、今日のわたしの異界デビューは無事終わり、本日別行動のミミカさん・阿形さんと合流して帰る事になった。そっちは女悪魔だらけの異界で仲魔集めしてるらしいけど上手くいったかな。

 




 メガテン・ペルソナのバトルはもっとこう……強い。でもこれイージーモードなのよね。


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ダブル異界稼ぎ ※リザルト、冒頭阿形さん視点

 威圧的に交渉して媚びて行く、ついやっちゃうんだ


 ワタクシ達の仲魔集めは、おおむね上手く行っていると言っていいでしょう。ワタクシ阿形は既に4体の悪魔を仲魔にしています。ミミカさんも、命乞いからのスカウトとはいえ、妖精エルフ1体を仲魔にしました。

 

「ミミカさん、今日はもうこれで良いのではなくて?また今度にしましょう」

 

「駄目です、あと1体、いや2体は仲魔にしないと」

 

 何か譲れないものがあるのでしょうか、ミミカさんは……その、威圧的な交渉をするのはいいのですが、威圧的に話すくせに悪魔の言いなりになって貢ぎ、逃げられ、逃げられたくなくてあとからヘコヘコ腰を低くしてしまいます。これはいけません。

 

「それに、その奇妙ないでたちで威圧交渉は無理があるでしょう」

 

 趣味的なメイド服に、ミリタリー系鉄兜+ウサ耳の百七拾八式鉄耳……変だと思われるかかわいいと思われるか、どちらにしろ難しいでしょう。

 

「変かな」

 

「変ですわ」

 

 それで真面目な威圧的交渉は変でしょう。もうちょっと見た目に合わせるか、もしくはギャップ萌えを狙うか……何にせよ、悪魔にどう見られるかは考えて交渉しないと。

 

「なるほど……」

 

 それからミミカさんは少し気を使って、出来るだけ友好的に見られるようにしてマッカを持ち逃げされたり、急に銃を持ち出して交渉決裂したり悪戦苦闘していましたが、そのかいあって何とかネコマタさんとヴィーブルさんが仲魔になってくれました。

 

「いやー危なかったな、アイテムと松竹梅がなきゃ全滅してたとこだな」

 

 途中、ネコマタさんのキャンディボイスでワタクシとミミカさんが魅了されて危ない所もありましたが、ゼロッチさんたちがディレイでかめかめキャンディを連続使用した上で松竹梅を重ねてくれて何とかなりました。

 

「セルフ通販でアイテム買ってなきゃ危なかったな、流石オレ」

 

 セルフ通販とは、何のことはない、ゼロッチさんたちが悪魔OKのショップに端末経由で移動して、データ化して持ち込めるものを買って帰る……言ってしまえばただそれだけの事ですが、それが出来るゼロッチさんたちのおかげで汎用アイテムの供給の心配をする必要はなくなりました。

 

 田舎でもセルフ通販さえあれば生きて行ける……!

 

「そろそろ帰った方がいいんじゃないかのう」

 

 ヒナちゃんの指摘で時間を確認すると、もう15時12分。確かに帰った方が良さそうです。今回の主目的は仲魔集めなので、ワタクシたちは来た道を戻り、帰路に着きました。

 

 そのかいあってかワタクシがさらに2体、ミミカさんが妖樹:マンドレイクを仲間に出来ました。これで収穫は十分ですわね。さあ、裕奈ちゃんたちと合流しましょう。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 オレと一緒のミミカ達とゴッチと一緒のスガル達が合流し、オレらは時間城で依頼報酬を手に入れた。オレらは妖樹林の報酬のカード、阿形さん達はデプス周回の報酬の現金を受け取る事にした。

 

「ついでにちょっと合体しちゃうかぁ」

 

 おや、今回スガルはペルソナを多く手に入れたのかな。レベルの低い渋田海岸ではあまり期待出来そうにないが、合体を上手くやれば有効に使えるだろう。ちなみに今日はみる子の異界デビュー達成で『死神』コミュニティが発生したとか。あいつ死神か……。

 

 スガルのペルソナ合体をみんなであーだこーだ言いつつ見守り、阿形さん達と別れた後に、珍しく仲魔を何体も増やして来たミミカと共に邪教の館へと移動する。女の子悪魔達と即お別れするのはかなり後ろ髪を引かれるけど、戦力強化は最優先だからね仕方ないね。

 

 しっかりと悪魔合体を終えて、オレの家に帰り着き、今日のリザルトがこれだ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第13回 神沢妖樹林・デプス周回

 

マッカ:+8663 マグネタイト:+15396 現金:+150000

 

アイテム:ボロックナイフ×1、みはらしのたま×2、つるつるドロップ×3

     かめかめキャンディ×4、アメジスト×2、アクアマリン×2

     ルビー×6、ターコイズ×8、ダイアモンド×2、ガーネット×2

     チャクラドロップ×4、宝玉×7、魔石×15

 

依頼報酬:コトルディカード×1、ブルトディカード×1、クロズディカード×1

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV33(+1)

 

 仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

    【ゼロッチ/イッチ】LV37(+1)

    (サッチ)LV21(+2)

    スキル:休む、挑発、まもる、九十九針、スウィートトラップ、怪音波、

        狂乱の歌、テンタラフー、スランパ、スクカジャ、スクンダ

        ザン、ザンマ、マハザン、マハザンマ、ジオンガ、マハジオンガ

        サバトマ、デビルタッチ、松竹梅、混乱防御、《コトルディ》(新)

        《ブルトディ》(新)、《クロズディ》(新)

 

    悪霊:ゴースト LV28(+2)

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド、クイッカ、憑依(新)

    

    妖鳥:バー LV18(+2) 剣耐性、氷結・衝撃・銃弱点

    スキル:ついばみ、介抱、羽ばたき、アギ

        マハーガル、スウィートトラップ

 

    霊鳥:ホウオウ LV25(+3) 魔法小耐性、呪殺弱点

    スキル:タルカジャ、ディアラマ、メディア、リカーム

        アギラオ(新)、ファイアブレス(新)

 

    堕天使:カイム LV19(+2) 破魔無効

    スキル:ザン、ザンマ、スクンダ、カルムディ

 

    魔獣:ネコマタ LV28(新) 衝撃吸収

    スキル:マリンカリン、ドルミナー、エストマ、ひっかき

 

    電霊:【みる子】LV10(+6)(新)

    銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効、電撃弱点

    スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙、ギルトアイズ(新)

        ルナトラップ(新)、リベラマ(新)、リフトマ(新)

 

    

               悪魔合体

 

妖樹:マンドレイク LV18

×妖精エルフ LV26

=地霊:ティング・カット LV25

 

地霊:ティング・カット LV25

×龍王:ヴィーヴル LV30

=国津神:スクナヒコナ LV31

 

 

   国津神:スクナヒコナ LV31(新)技・氷結・呪殺・神経・魔力・緊縛無効

                 剣・銃・突撃・電撃耐性、火炎・破魔・剣技弱点

   スキル:マハンマ、タルカジャ、ペンパトラ、リカーム、バインドボイス

 

 

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV35

 

ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV32 闇耐性

     スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、マハエイハ、ドルミナー

         ソウルブレイク、トラエスト、トラスタルト、ムド

         ムドオン、マハムド、ムドブースタ、丸かじり

         アドバイス

 

     愚者:オセ LV35(+2) 物理耐性、風無効、光弱点

     スキル:パワースラッシュ、木っ端微塵斬り、チャージ、ポイズンミスト

         中治癒促進、セルブレイカー、蒼の壁

 

 

                ペルソナ合体

 

 

戦車:アガシオン LV3

×悪魔:ウコバク LV3

×正義:エンジェル LV18

=星:キンナラ LV18(+3)

 

節制:シルフ LV13

×魔術師:ピクシー LV14

=剛毅:ラクシャーサ LV23

 

剛毅:ラクシャーサ LV23

×隠者:バイコーン LV4

×運命:フォルトゥナ LV17

=刑死者:タケミナカタ LV21

 

     星:キンナラ LV18(+3)(新)火炎無効、光・闇・神経・精神耐性、水弱点

     スキル:癒しの調べ、マハラギ、ハマ、アギ、スクンダ、小治癒促進

 

     刑死者:タケミナカタ LV21(新)打撃・雷耐性、光・闇弱点

     スキル:ジオ、マハジオ、キルラッシュ、ブレインシェイク、タルンダ

 

 

スガルコミュニティ:愚者/LV3 時間城のなかまたち

          恋愛/LV1 網代 裕奈

          隠者/LV2 宇佐野 美々加

          死神/LV1(+1)(新)みる子

          星/ LV3 ゼロッチ

          月/ LV1 瓜生 ヒナ

 

 

【同行者】(阿形 サリナ) サマナー/ガーディアン使い LV28(+2)

 

     珍獣:ホネアリクラゲ (瓜生 ヒナ) LV22(+2) 水無効、物理耐性、炎弱点

 

     電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

     (ロッチ)LV26(+3)

 

     (網代 裕奈) ペルソナ使い/降魔 LV21(+1)

 

      八畑 ちお 巫女/神降ろし LV13(+3)

      神降ろし:なし

 

 

 

………………………………

 

 

 

 今回はミミカも仲魔を増やせたな。ネコマタさん以外の新入悪魔は合体で国津神:スクナヒコナになってるが。かなり使い勝手のいい仲魔だ。しかし、オレらちょっと前衛が少ない気がするんだよね。

 

 スガルだけ完全に前衛だけど単独じゃきついし、オレもミミカも他の仲魔も前衛っぽいメンバーじゃない。それでも何とか行けるゴーストさんやホウオウさんに前衛に立ってもらってる始末だ。……もうちょっとレベルが上がれば、例のミミカ最速禁凝符戦法で地蔵尊レベリングもありなんだけどな。

 

「いや、大丈夫じゃね?行こうぜ」

 

 リビングのソファーにだらーっとした姿勢で沈み込んでくつろいでいるスガルが声を上げた。いつものスパッツに今日は「天上天下」と書かれたTシャツを着ている。どこで見つけるんだよそんなの。湯上りで無駄にしっとりとした肌が……本当に無駄だな。何しろテレビで見てるのがオレのクソアニメコレクションの録画の一つ(あえて名前を出すのは差し控える)だからな。

 

「面白いかー?」

 

「いや、普通につまらん」

 

「じゃあ何で見てんのこんなん……」

 

 呆れ顔で返したのは、やはり湯上りではあるがかなりの意味できっついと思われるピンクの兎さん着ぐるみパジャマを着込んだミミカだ。……本当にきっついな。美少女にも不可能はあるんだな……。

 

「いやクソアニメはどうでもいいんだよ、地蔵尊の話だよ地蔵尊の」

 

 地蔵尊の異界は鬼っぽい悪魔の多い異界で、禁凝符(物理反射)が刺さるってのは分かってるんだ。ただフツーに物理クリティカルでの事故が怖いだけで。

 

「地蔵尊ねぇ……」

 

 ミミカは少し考えてから話を続ける。

 

「明日……はちょっと休んでゼロッチのセルフ通販?を活用して装備やアイテムの買い足しをするとして、そうしたらもう明後日には地蔵尊行ってもいいと思うけどな。阿形さん達次第だけどさ」

 

「そうか?まだ危ないと思うが……大丈夫かな?」

 

「いやお前……ゼロッチ達がいれば何とかなるって。とりあえずお前ら4人連れて行けるなら、1ターンあたり計4回スクカジャ・スクンダ連打でひどい事出来ると思う」

 

「それは……そうだが」

 

「最初の方は私が禁凝符使えばいいし……重ねがけ出来るよね?ゼロッチのそれ」

 

 ああうん、重ねがけは出来ます……はい。スクカジャ・スクンダとかあんま使ってなかったから考慮の外だったけど、それはそうだな、ミミカの最速禁凝符の後にオレ達がスクカジャ2回、スクンダ2回やればそれだけでもうきつい。オレが使う補助魔法は多分真1か真2?で重ねがけ出来て消費MPが少ないのもいい。ジオンガでサンダーブラスト連打よりは低燃費で安全かも知れない。

 

「いや……気付かんかったわ。自らの秘めた可能性に……。行くか、地蔵尊」

 

「おう」

 

「行くか……」

 

 そういうことになった。明日は買い物だ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「と、いうわけで、明日買い物して地蔵尊へ行くことになった」

「ホォー、ひょう敵登場だな?」

「ウデガナルゼー!」

「頑張って行きまっしょい!」

 

 今日もこいつらセラフィックアイドルにうは通常営業だった。まあ言ってみれば全部オレの自演なんだが。それはそれとして。

 

「しっかしミミカとスガルもすっかりうちに馴染みましたなぁ」

「それな」

 

 オレがやらかした事……『設定』として、オレは人間悪魔合体で悪魔化したキチ……変人なので、『設定』上そういう瑕疵のない美少女のミミカとスガルが弟子扱いになってるってのは、第三者のうちの爺さん婆さんから見ると不憫な子に見えてほぼ身内待遇になって行くのも自然だったわけで。ミミカとスガルはほぼ実家状態でオレの家の「はなれ」だけじゃなくて爺さん婆さんのいる本宅の方にも入り浸るようになった。

 

 ……もしかして悪魔化したオレじゃ出来ない裏家業の跡継ぎ枠とかに狙ってるのかも知れない。こっちのオレの家の裏との関わりが現状どうなってるのかは知らんが。悪魔のオレじゃそういうのは無理になったからな。

 

「ゼロッチ、今日の配信はどうする?」

 

 ふと、ヨッチがそう言って来た。そうか今日の配信か。

 

「今日はセングラジャーニー対戦にしよう」

「オレに任せろ!」

「オレだって!」

「俺漏れも」

「オレの連射パッドが火を……いや、火は噴かないな……(冷静)」

 

 今日のオレは久しぶりに現実の方でスリープする予定なので配信はイッチ、ニッチ、サッチ、ヨッチでやってもらうことにした。寝ている間にオレの配信が出来る!いい時代になったものだ。

 

 ちなみに現在のセラフィックアイドルにうの登録者数は6389人となっている。現在の活動期間で多いのか少ないのかは分からない。配信で人気になりたいなーとも思ってるしステルスしたいなーとも思っているのでこれくらいが丁度いいのかもしれない。矛盾した思いを抱くのが人というものだ!(唐突な主張)。

 

 オレは久しぶりというかこの家では初めての布団に何か知らないアニメキャラの入ったパジャマを着込んで入り込んだ。これ安売りでまとめ買いした中に入ってたけどサイズが微妙に合わないし知らんアニメだしで着なかったけど無駄に取っておいたやつだよな。こっちにもちゃんとあったんだな、

 

 何かキャラが女の子ばかりだし今のオレにはジャストフィット。運命の出会いを感じる。うーんムニャムニャ。まあ人間的な睡眠じゃなくてスリープモードなんですけどね。スヤァ……。

 




 クソアニメは心が洗われるぜ


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おうごんじゅうの堕天使

 だんだん慣れて素が出てくる時期


 朝起きると、ニッチが色々情報を集めてくれていた。流石オレ抜かりないな。その情報によると、どうもこの街で一番高レベル帯の異界である、喪神山の中に悪魔の経営する店がいくつかあるらしい。もちろんその店は悪魔の出入りOKで異界用に調整された端末もあるので、オレなら例のセルフ通販で安全に高レベル装備を買って帰る程度は出来るんじゃないか?とのこと。そうだな。

 

 具体的に、そこにある店は……カエル店員のガンショップ、生体エナジー協会、回復の泉、ジャンク屋とサバイバルショップ……このうち、ジャンク屋とサバイバルショップはここでなくては、っていうものはない、これなら県庁所在地あたりの店の方が品揃え良さそう。

 

 ここでの狙いはカエル店員のガンショップだな。今欲しい銃と弾丸が売ってる。よし、喪神山と県庁所在地の店、オレが両方行って買って来て……いや、一応装備品はオレ単独じゃ駄目か。サイズとかは実際見とかないと。オレがモニターか立体画像表示でもしてミミカとスガルにサイズとか見せたりしながら買わないとな。ちょっと面倒だが、まあ実際出向くよりは楽が出来ると思う事にしよう。映像とかデータ表示するだけならオレらにとっては造作もないしな。

 

 その後、ミミカとスガルを呼び出してちょっと装備を更新した。思ったより時間はかからなかった。結構な強化になったんじゃないかと思う。

 

 

 

………………………………

 

 

 

           装備変更

 

 

    宇佐野 美々加       末吉 為軽

 

  剣:チャクラム         鬼包丁  

 

  銃:おうごんじゅう(新)    おうごんじゅう(新)

 

  弾:キューピット(新)     キューピット(新)

 

  頭:百七拾八式鉄耳       知恵の輪

 

  体:ニーハイメイド服      スクール水着(スガル)

 

  腕:ラウリンの指輪(新)    ガードエンジェル   

 

  足:ミラージュブーツ      鋼鉄シンデレラ(新)

 

装飾品:ドラゴンチョーカー(新)  武神の証

 

マント:堕天使の翼(新)      堕天使の翼(新)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 カエル店員のガンショップには、おうごんじゅうとキューピットが売ってたので即買い。おうごんじゅうは今までミミカが装備してたサブマシンガンの3倍弱くらい威力のある拳銃で、そんな威力があるのに拳銃で攻撃回数って言うか射撃とリロードの速度もサブマシンガンと同じっていう実際の運用においてはやベーくらい便利で強いマストアイテム。あとキューピットはしんけいだんより威力がかなり強くて魅了効果が付着する弾丸。即買い即買い。

 

 そして防具だが、何と装備部位「マント」で独立している「堕天使の翼」という防具があったのでミミカとスガルの分合わせて2つ買った。これは炎と雷属性を25%、4分の1にしてくれるらしい。装備部位が独立しててこれは破格だ。これで2人も黒翼の天使に……ククク……これで黒き歴史を共有する仲間だな……(暗黒微笑)。

 

 あとはミミカのG-ラダーズをラウリンの指輪に、アクセサリーをドラゴンチョーカーにしてランクアップ。そしてスガルの鋼鉄シンデレラだが……これ足に装備する武器なんだよね。しかも全ステータスが+2される。手と足両方に武器を装備した所で手数は増えないだろうが、積極的に敵を殴りに行くスガルだから戦い方の幅がかなり広がるだろう。

 

 スガルは目を輝かせて、「全身これ武器となることだ!うぉぉぉぉぉ!!!」とか何とか言って裏庭で手と足と武器のコンビネーションか何かと思われる動きのシミュレーションをして大暴れしている。レベルがある程度上がってるからかリアルの人間では不可能な領域に突入し始めている。背中のマント……堕天使の翼もいきいきと動いているな。こういう運動能力系はオレには分からん世界だが頑張ってほしい。オレって運以外のステータスほとんど上がらんからね……。

 

 ミミカはミミカで延々とおうごんじゅうをバラして組み立ててを繰り返して試し撃ち。動作確認をこれでもかと行っている。これもこれでオレにはわからん……。いーもんね。オレにはサイバースペースと『太閤』異界があるんだもんね。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「あ、ゼロッチ帰って来た」

 

 オレを見つけたヨッチが手招きをしている。

 

「ゼロッチもやる?今配信中だけど……」

 

 現在デスクトップCOMPとPSセカンドを繋いで「ぼくものワンライボーイ」を配信中である。こんな長時間ゲームで大丈夫か?いや、オレなら延々出来るのは分かってるけど配信的に大丈夫なんですかね……。

 

「発掘中か……」

 

 家の近くに遺跡があり、発掘を手伝ったら遺物を色々貰える。もらえる?もらえちゃうんだなぁ、これが。ついでに川で釣りでもして、刺身を作って、農作業もして……住人に話しかけたりもしなきゃいかんし、何か売ったりもしなきゃいかんし、このゲームシリーズはやることがぎっちり詰まり過ぎてて時間が足りないよなマジで。

 

「農業の喜び、そして現実」

「何でゲームで現実見なきゃいけないんですか?」

「農業は遊びじゃねんだよ!」

「これ結婚しなきゃいけないんだよな……どの子と結婚する?」

「結婚しなきゃ(現実)」

「おい馬鹿やめろ、それはマジでやめろ」

 

 若干オレらとリスナーどもに動揺をあたえつつ、オレはそのまま数時間ゲームを続けた。

 

「ルーティーンになってんだ、これ」

「乳搾りが?」

「乳搾り言うなちゃんと牛の乳搾りって言え」

「誤解を招いていく」

 

 流石にダレて来たので配信を抜けて、ミミカとスガルの様子を見に行く。……何かミミカが2丁拳銃で不思議な踊りを踊ってたんだが……見なかった事にしよう。2丁拳銃はロマンだからね仕方ないね。

 

 スガルの方は……何か座禅を組んでるぞ、邪魔してはいけない。

 

「ん……おおっ!?」

 

 と、急にスガルが飛び跳ねて、腕を組んで仁王立ちした。何だ何だ?

 

「腹減った」

 

 ま……まさか……そんな馬鹿な!?いやベタな!?ハラペコキャラだと!?

 

「お前ら……あー、ピースダイナーでいっか。3人で……いや、全員で食おうぜ」

 

 こいつ……意外とこういう気遣いはするんだよな。コミュニティを上げるついでもあるんだろうが、行ける時は仲魔も一緒に食べられるピースダイナーに誘ったり、スーパーに寄った時は色々なお菓子や飲み物を多めに買ってみんなと分けようとすることが多い、

 

「じゃあミミカ呼んで来るわ」

 

 電霊のオレの方が確実に早いので、こういう時はオレがミミカを呼びに行く。ミミカはっと。

 

「ウヘァ……」

 

 思わず変な声が出た。

 

「うわっ……何だゼロッチか。どしたの」

 

「いやどしたのってお前……」

 

 そこに広がっていたのはまさしく悪魔の宴。まずはかけつけポテトチップスとばかりにコンソメ一袋、激辛ポテト一袋、円筒型の紙ケースに入ったちょっとお高いポテト1つ、酢イカをケース丸ごと一つ、当然とばかりにカロリーオフじゃない通常のペットボトルコーラを1本、炭酸アップルも同じく1本、言い訳するような緑茶ペットボトルも1本、板チョコ1枚、ランダム和菓子1袋、柿ピー3袋、ピーナッツせんべい1袋、買い置きの肉まん3個、ツナ缶1個、コーヒーゼリー1個、ビーフジャーキー1袋、チーズたら1袋……。

 

「多いわ!」

 

「えっ何が……?」

 

「しかも全部開封済みじゃねーか!全部今食う気か!」

 

「そーなんですよゼロッチさん」

 

「お前ホントに……しかもビーフジャーキーとチーズたらでチー牛じゃねえか!狙ってんのか!」

 

「うまうま……」

 

「ニヤついてジャーキーとチーズたら一緒に食うな!上手く気づいてくれて嬉しいみたいな顔しやがって!」

 

 こいつほっとくといかん、というか確実にピザデブになる。

 

「お前それでいいのか?」

 

「うう……」

 

「せっかくの美少女サマナーがなー、お前の不摂生のせいでピザデブになってなー」

 

「それはイヤ」

 

「ああうん、そうだね?」

 

 ほっとくといかんけど気付かせれば自分で行動改善出来るんだよなこいつ……仲魔集めとかもそうだったけど。

 

「とりあえずもうお昼だし、それは仲魔にでもあげてピースダイナー行こうぜ?スガルも行くし」

 

「ピースダイナー?行く行く!」

 

 こいつ今までお菓子食ってたのにまだハンバーガー食えるのか……ある意味すごいな。

 

「あと……ついでに今日はカードショップの方にも寄っとくか。一応掘り出し物チェックと、久々にカードゲーム対戦もやりたいし」

 

「趣味ついでにコミュニティ上昇狙い……流石ゼロッチ抜かりねえな?」

 

 いいやまあ今日最初に誘ったのはスガルだけどな。

 

 オレらは特に何事もなく車に乗ってピースダイナーで昼食を食べ、カードショップでカードゲームを楽しんだ。今日調子良かったのはミミカの『部族人魚』でオレとスガルの若干負け戦績だった。ちくしょう。

 

 ちなみに掘り出し物のレアカードはなかった。しかし「メタモディ」と「ボムディ」のカードはあったので買って即オレに使用した。この2つはマイナーだけどもし存在したらやばすぎるからねマジで。「物体化全般」と「爆弾化」を治せるんだけどまあ、その単語だけでヤバさは伝わると思う。

 

「お……来た来た、来たぜ来たぜ、時間城の『愚者』とゼロッチの『星』、2つ一気に来たな」

 

 スガルがコミュニティの上昇を告げる。

 

「私は?」

 

「ミミカは……上がらないな」

 

「ないかぁ……」

 

 何で上がらないんだろうか。こればっかりはわからんからなぁ。今日はピースダイナーに行こうって最初に誘ったのがスガルで、カードショップにも行こうって言い出したのがオレだったからか?なかなか難しいな。

 

「それじゃ明日は……もう阿形さん達には連絡しといたから、この後詳しい打ち合わせして……地蔵尊かな」

 

 30以上のレベル帯になって来ると、同レベルやちょっと上のレベルでも初見の異界は不安だが……いや、異界の不安はいつも通りか。油断すれば死が待っているのは低レベルでも高レベルでも変わりない。 そろそろしゃれにならん攻撃力だったり変な特殊攻撃をやって来るのが増えるってだけで。……十分怖いな。

 

 そこはまあ、事前に集めた情報通りに鬼族が多いと読んで、例の禁凝符からのスクカジャ・スクンダ連打を試すしかないか。いくら物理偏重って言っても、確か状態異常とか魔法攻撃とかやって来るのもフツーにいたからなぁ。松竹梅もあるし全滅はない、といいなぁとお祈りしておこう。自分の『運』にでも。

 




 「爆」?見た事もない状態異常だな。大した事ないだろ(爆死)


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セラフィックアイドルにう達の夜+掲示板回

 なんとなくファントム


 そして夜。ミミカとスガルが就寝しても、オレの一日は終わらないのである。オレの場合は誰か化身が常に活動してるからな……。そういう意味では俺はもう人間の時みたいに認識を完全に止めて完全に眠ることはなくなったと思っていいのかもしれない。

 

「今帰ったぞー」

「あ、ゼロッチ、アレ見なよアレ」

「あれ?」

 

 太閤異界の天守閣から、お城の裏の畑を見る。

 

「フハハハハハ!」

 

「……あれ何?」

「何って……ファントムになったゴーストさん?」

「見た目メガテンのファントムじゃなくてオペラ座の方のファントムじゃねーか!」

 

 裏の畑の……正確には農道を走る、黒マントに白い仮面の怪人。

 

「我が名はファントム!太閤異界の闇より出でし災いなり!」

 

 アナライズしてみると、レベルが29になってた。確か真女神転生1のファントムも29だったし、ゴーストが進化したらファントムになりましたーってのは分からなくもない。太閤異界の中で自分で手に入れたマグネタイト使って鍛えたりしたんだろうな。オレ以外がそれやるのはきつかっただろうに。でもなんであんな姿に?

 

「趣味では?」

「趣味かー趣味なら仕方ないな!」

 

「フハハハハハ!」

 

 絶好調だなおい!レベルが29になったのに加えて、デスタッチ、マハザンマを覚えてるのはファントムなら分かるけど、タルンダも覚えてるのは何でだ?

 

「わからん……」

「ゴーストってもしかして人それぞれ違ったりするのかな」

「そえ怖くね?敵として出た時」

「いや真3でタルンダ無かったっけ?」

 

 オレも悪魔全種把握してるわけじゃないし分からん……。まあ、ゴーストさんが強くなる分には問題ないし、良しとしておこう。

 

「ところで、今日の配信は『せがれとママ』でいいかな。一人用だけど」

「いいんじゃないかな。キッズ向けのシモネタしかないけどオレらなら問題ないよな?」

「ないです」

「むしろ好き」

「バッチ来いやオラ」

 

 その後オレらは童心に帰って思う存分シモネタを堪能して満足した。なぜかリスナーからはゼロッチが一番キッズだと言われた。解せぬ。

 

 配信終了後、たまには電脳空間を旅しようと、セブンの痕跡を探して会いに行った。

 

「あれ、ゼロッチ?どしたの?何かあった?」

 

 セブンは今日はガイア教の様子を探っていたらしい。この街の幹部の一人が外界に行ったまま行方不明になって、どうやら異界のボスに返り討ちにあって裏の警視庁に確保されたらしい……からの大乱闘ガイアブラザーズ新幹部決定戦が開催中で、なぜか減った人員が更に減って行っているようだ。突然の不運でガイア教の中の人も大変だなー(棒読み)。

 

「不運の原因が何か言ってる……」

「山本なんとかさんはなかったことになってるらしいな」

「(記憶に)ないです」

「もう忘れてる」

「年は取りたくないものだ……」

 

 何で皆付いて来てるんだよ……お前ら自分とはいえ言いたい放題だな。

 

「しかし……ここまでオレら転生者に対して都合のいいレールが敷かれた状況ってのはメガテン・ペルソナ世界とは思えんな」

 

 いや、現実にゲーム性とか娯楽性とかいらんし贔屓の転生者をガチで推すね……ってのは理解出来ないでもないが。でも時間城の主なんかはそれこそ娯楽性重視でやると思ってたんだけどな。

 

「ことによると……」

「ことによると……何だ?」

「いや……まさかな……」

 

「思わせぶっていく」

「こうしておくと後出し賢者ロール出来るからな……」

「確かに」

「やり得だな?流石ゼロッチ……」

 

 おいおい君達、このオレが何も気付いてないのに気付いたふりをしているとでも言うのかね?まあ、大体そうだけど。

 

「やっぱりな」

「失望しました。ナカちゃんのファンやめます」

「やめないで」

「賢者ロール楽しいからね、仕方ないね」

 

「まあ、正確には、何かもやっとした不安を抱えてるだけで、まだ上手く言葉になってないんだよね」

 

 ここまで来れば、メガテンやペルソナをやったことがある者なら誰でも感じるであろう不安。

 

「強力な悪魔どもが仲良しこよしでオレ達転生者を送り込んで、オレ達転生者が全体的にこんなにも平和で、こんなレベルまでいわゆるハクスラでガンガン成長出来て、現地の個人も組織もいまだにオレ達転生者に干渉出来てなくて、決して善性ではないだろう時間城の主がリアルのオレの仇討ちみたいなものをお膳立てしてくれてフツーに報酬もくれて……ありえると思うか?こんなん」

 

「ないない」

「でも現状見る限りだとそんな感じだよな。何でだろ」

「悪魔の内心とか不運の概念とかまで含めて全部全知全能神が『滅ッ!』しちゃったとか?」

「それなら時間城の主とか原型ないレベルで吹き飛んでる気がするぞ」

「それな」

「山本ナントカさんも生きてはいたしレベルもあったしな」

 

 謎は深まるばかりではあるが……不都合も無く不安も実体がない時点で、想像だけで恐れていても仕方ないか。取り合えず今は……。

 

「ガイアどうする?」

「放置で」

「いや関わってる転生者がいるかも知れん。要観察で」

「確かに」

 

「ボス戦を養分にする基地外メガテニストなら嬉々として大乱闘に参加しそうだな……」

「ガイア幹部を嬉々として狩りに行った基地外メガテニストが何か言ってらぁ」

「それな」

「うるせぇ馬鹿あれは行くしかねえだろ馬鹿」

「やはり属性ダークは一味違うな……」

「ダークのことは言うな。いいね?」

「アッハイ……」

 

 小一時間の議論の結果。ガイア教に関しては専用の化身「エイト」を作って監視に当たってもらう事になった。しかし低レベルだと侮られて危険そうなのでしばらくは一緒にレベリングだ。今日即席で『太閤』異界で少し鍛えた後、明日の『地蔵尊』で一気にパワーレベリングする。

 

「君は生き延びる事が出来るか?」

「無理っぽいですね……」

 

「太閤異界で鍛えるって言ってもレベル一桁位まででしょう?それでいきなり地蔵尊はいやーきついっす」

「大丈夫だ、問題ない。ミミカの速さとオレのディレイ補助・回復を信じろ」

「あのUMRちゃんを?」

「UMRちゃんとか言うな、あれでも悪魔交渉以外はガチで優秀なサマナーなんだから」

 

 実際速さがあって指示出しも的確で連携を前提に動くのも得意なので戦闘の安定にかなり貢献している。オレらセラフィックアイドルにうのフォローもあっての話だけどな。

 

「まあ蘇生アイテムもリカームもあるし安心しろ」

「それのどこが安心なんですか?」

 

「死な安」

「いや死んでるじゃん……」

「DYINGは死んでないぞ瀕死だぞ?ためになったな」

「そういうテクニカルマウント芸いいから……」

 

 魔法もアイテムもあるしいくらでも蘇生できる……全くこの世界、最高だぜ!(震え声)。

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 ガイアヲチスレ 1238

 

1:名無しの業界人 09:19

・ガイスレなんだから何でも来い。

・殺す者は殺される覚悟を、荒らす者はBANの覚悟を。

 

2:名無しの業界人 09:20

前スレも貼れねえのかクソが

(ガイアヲチスレ 1237)

 

3:名無しの業界人 09:22

またガイスレか……自分だけの略称作んなハゲ

 

4:名無しの業界人 09:25

やはりメシアンか……

 

5:名無しの業界人 09:27

>4

ハゲのことメシアンって言うのやめろよ

 

6:名無しの業界人 09:28

立て乙。 坊主=ガイア。はっきりわかんだね

 

7:名無しの業界人 09:30

>6

てめえ許さねえぞ……

 

8:名無しの業界人 09:33

ガイアはなんか全国どこもやべー大乱闘になってるけど

お前ら今のガイア抗争誰が勝つと思う?

俺はいつも通りメシアに漁夫られてからまとまって押し返すに一票

 

9:名無しの業界人 09:37

髪の毛の話はやめろ繰り返す髪の毛の話はやめろ

 

10:名無しの業界人 09:40

>8

まあそうだな。しかしメシアも今は動けんって話だから解決は結構先になりそうだな。

 

11:名無しの業界人 09:45

ガイアって機能してない支部今どれくらいあるんだろう。

ただでさえ支部でバラバラだから分からんのよね。

 

12:名無しの業界人 09:49

普通ならガイア終わりですって言う所だけど、メシアの方が状況深刻っぽくて

他のどこの組織も人手不足でアップアップしてるっていうね。

 

13:名無しの業界人 09:51

これでもガイアはまだマシ説があってな……特に規模の割に人が少ないメシアと

とにかく人が少ない政府系……1県裏1人とかもう笑うしかない

 

14:名無しの業界人 09:56

>11

もうまともに稼動してる支部3割だけって聞いた。

その3割も大乱闘に参加してるんで今は近寄らない方がいいとか。

 

15:名無しの業界人 09:59

>14

3割稼動してるってマジかよ……そこどこ支部よ?

 

16:名無しの業界人 10:00

>14

使える支部はよ

 

17:名無しの業界人 10:03

その3割かは知らんけど「メガテニスト」って奴らと「アルカナ」って奴らとは取引してる

 

18:名無しの業界人 10:06

>14

もうガイアは駄目かも分からんね

 

19:名無しの業界人 10:10

>17

あいつらマジクソ。アルカナはペルソナ使い集団でメガテニストは

女神の転生者集団らしいけど実権握ったら好き放題やらかす

 

20:名無しの業界人 10:14

それは普通なのでは?ボブはいぶかしんだ

 

21:名無しの業界人 10:18

あいつら美少女多いから好き結婚して

 

22:名無しの業界人 10:21

俺ごっつい男のメガテニスト会った事あるけどあれも女神の転生者なの?

 

23:名無しの業界人 10:25

>22

まあ今回の転生者は男にしようかみたいな女神様もいるんだろう

女神転生者でメガテニストらしいからな

 

24:名無しの業界人 10:28

そいつらガイアの中では好き勝手するくせに

外では嫌になるほどお行儀がいいから苦手だわ

「申し訳ないがおさわりはNG」とか「労働基準法は守らないと」とか

揃いも揃ってコスプレじみた装備するくせに「嫁にしていいのは2次元だけ」とか

わけのわからねえこと言いやがるし

 

25:名無しの業界人 10:30

>24

そうなん?頭おかしい露出の装備とか多いから

何でもアリのばっち来いだと思ってたわ

 

26:名無しの業界人 10:34

異界でスク水とハイレグアーマーバニーならみた事あるけど

あいつらメガテニストだったんかな

実際見るとわりと引いたんで声は掛けなかったけど

 

27:名無しの業界人 10:38

>26

マジかよ俺天使コスプレの子くらいしか見たことないぞ

や、わりとそれでも変だけども

 

28:名無しの業界人 10:40

そいつらに聞いた事あるけどそういうの結構本気装備らしいぞ?

下手なアーマーの何倍も堅いって言ってた

 

29:名無しの業界人 10:42

>28

いや流石に水着はないだろ……魔晶ならワンチャンあるかもだけど

 

30:名無しの業界人 10:44

結局そいつらどうなん?どのくらい勢力あるの?

 

31:名無しの業界人 10:46

我所望廃麗虞尼戦闘美少女画像本気求

 

32:名無しの業界人 10:52

我欲故素符麗格闘少女心底超欲懇願

 

33:名無しの業界人 10:54

我遠慮天使故素一枚満足

 

34:名無しの業界人 10:58

本気本気求救水画像懇願土下座

 

35:名無しの業界人 11:02

お前らコスプレ装備に食いつくのもいい加減にしろ

てか何でニセ中国語で懇願してんだw

 

36:名無しの業界人 11:05

さすがに草

 

37:名無しの業界人 11:09

メガテニストもアルカナも6割くらいが若い女の子らしいんだよな

魔女とか巫女集団なら片寄ってるのは珍しくもないけど

転生者とかペルソナ使い集団でしかも若い子だらけってのは正直他じゃ見た事ないな

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 地蔵尊スレ 499

 

 

603:名無しの業界人 22:30

なんか入り口に誰もいないんだけど入っていいのか?

 

604:名無しの業界人 22:33

>603

知らんのか、ここ管理してたとこ今抗争中だから今入り放題だぞ。

なお悪魔は通常営業

 

605:名無しの業界人 22:36

>604

マジで?れんきのけんチャレンジ無料助かる

 

606:名無しの業界人 22:36

ガイアどしたん?ここ手放すとかありえんのだが

 

607:名無しの業界人 22:39

何、入場料を預ければ死んでも助かる異界が、死んだら終わりの

普通の異界に戻っただけだぞ(白目)

 

608:名無しの業界人 22:43

>607

地蔵尊レベルでそれやられると困るんだが

 

609:名無しの業界人 22:49

今見てきた。ボスがLV40のハリティーからLV48のラクシャーサになってたぞ

れんきのけんチャンス増えそうだな!

 

610:名無しの業界人 22:53

>609

(増えなくて)いいから……敵のレベルが8一気に上がっちゃうのはやべーって

そもそもそんなレベルの業界人がこの街に何人いるんだよ

 

611:名無しの業界人 22:54

レベル29のヤカーは出なくなったっぽいな。

代わりなのかは知らんがレベル41~46のヴェータラさんが湧いてた

 

612:名無しの業界人 22:56

ハリティーがラクシャーサってダーク化してるじゃん……ボス以外はどんな感じ?

 

613:名無しの業界人 22:59

ヤカーは確かにいなかったけどサンニ・ヤカーならいたぞ

ちなみにLV40

 

614:名無しの業界人 23:03

雑魚までレベル40帯とか勘弁してくれ……

 

615:名無しの業界人 23:05

>611

ヴェータラは耐性めんどいから注意な。物理系全般に耐性がある奴とか

剣と炎とザンしか効かない奴とか

 

616:名無しの業界人 23:06

ヤクシニーとかトゥルダクとかヨモツイクサとか

この異界のメインは変わらず出て来たから安心しろ

 

617:名無しの業界人 23:09

ガイアー!もうガイアクソだなって言わないから異界管理しっかりしてくれー!

 

618:名無しの業界人 23:13

ヴェータラとかマジかよめんどくせー

 

619:名無しの業界人 23:14

>607

入場料取る人がいないってことはこの異界の各種常設依頼もないって事だぞ?

いやガイアは今マジでそういう状態のとこばっかだけど

 

620:名無しの業界人 23:17

レベリングにはむしろ使える……?

俺がここでレベリング出来るかは別として

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 【ペルソナ】マインドマンサースレ【イゴスレ】 289

 

 

886:名無しのペルソナ使い 12:11

>881

いやそれは違くね?

 

887:名無しのペルソナ使い 12:11

何か急にマインドマンサー増えたよな。

ちょっと前まではイゴさんくらいしか確認されてなかった気がするが

 

888:名無しのペルソナ使い 12:15

言うてまあイゴさんの独占状態だったよな。

ホントここ最近マインドマンサー増えたからちょっと悩んでる俺

 

889:名無しのペルソナ使い 12:17

えーっと、このスレだけでも確認された……まあ裏は取ってないけど

JKニャル様とカメンヒジリさんとアルケニーと外道:シャドウと

妖樹:エスとイザナミ大神と……?

 

890:名無しのペルソナ使い 12:22

多いな!しかし出自とかバラバラで共通点があるようには見えんが

最近急に活動が活発化したんだよな?

揃いも揃って

 

891:名無しのペルソナ使い 12:25

ガーディアン詐欺の次狙いとか?

今度はペルソナ詐欺で

 

892:名無しのペルソナ使い 12:28

ガイアの新商売じゃないっすかね(ハナホジ)

 

893:名無しのペルソナ使い 12:30

そういえばガイアがちょっと前まで

「君もガイアに入ってガーディアン使いになろう!」

とか何とか

 

894:名無しのペルソナ使い 12:33

あの……少なくともカメンヒジリさんは詐欺じゃないです……

ガイアの人ではありますけど

 

895:名無しのペルソナ使い 12:34

流石に今の戦乱ガイアに新商売に手を出す余裕は無いんじゃ?

 

896:名無しのペルソナ使い 12:37

戦乱ガイアは草

 

897:名無しのペルソナ使い 12:40

詐欺って言ってもペルソナじゃきついでしょ

スキルが使えないタイプもいるガーディアン使いと違って

ペルソナは魔法もスキルも使えないやつなんていないしすぐバレるだろ

 

898:名無しのペルソナ使い 12:44

イゴさんは今どうなの?

 

899:名無しのペルソナ使い 12:47

>898

イゴさんは普通に営業中だけど新しいお客様は数人って言ってたらしい

 

900:名無しのペルソナ使い 12:54

数人とはいえイゴールさんにも何人か新しいお客様がいるんだな。

やっぱ何か起こってるだろこれ

 

901:名無しのペルソナ使い 12:56

>889

アルケニーとイザナミ大神はマジで関連性が分からん……

何かあったっけ精神的な逸話とか

 

902:名無しのペルソナ使い 13:01

>894

まああの人ウライチの顔役だしな

細かい詐欺とかやる意味がないのは分かる

 

903:名無しのペルソナ使い 13:05

>889

でもJKニャル様って最近見ないよな?いなくなる事もあるの?(震え声)

 

904:名無しのペルソナ使い 13:08

>903

そいつ見た目だけは良かったのに残念

 

905:名無しのペルソナ使い 13:08

>904

何でいきなりJKだったんですかね……

 

906:名無しのペルソナ使い 13:12

>904

いなくなる前にJKになれば助かるとかよくわからんこと言ってた記憶

つまりいつも通りだな!

 

907:名無しのペルソナ使い 13:15

>900

実際ペルソナ使い一気に増えたからな。

そりゃマインドマンサーも増えるさ。

 

908:名無しのペルソナ使い 13:22

【悲報】俺の娘がマインドマンサーだった件

 

909:名無しのペルソナ使い 13:25

>908

いや待て、ちょい待て今908が何か言った

 

910:908 13:30

すまん、ちょっと相談したい。

俺の娘、あ、俺は古式サマナーで娘は一般人だったんだが

最近娘が数人のペルソナ使いらしき男女と会ってるらしいんで調べたら

娘がマインドマンサーになってた。「降魔」型のマインドマンサーで

娘自身もペルソナを降魔して異界に行ってるらしい。

なんか「肩幅が別に広くない仮面の男」に夢で会ってマインドマンサー能力に目覚めたとか

 

911:名無しのペルソナ使い 13:31

肩幅って何だよ(哲学)

 

912:名無しのペルソナ使い 13:33

あっふーん……それは間違いなくコミュニティ発生してますね。

その数人の中にワイルドのペルソナ使いさんいらっしゃる?

 

913:908 13:36

>912

何で分かったんだ……男女1人ずつ「降魔」型のペルソナ使いがいて

娘を頼って来たのもその2人らしいんだけど、もう1人

男のペルソナ使いがワイルドっぽいです。やばいかこれ?

 

914:名無しのペルソナ使い 13:43

あーこれ完全に異性コミュですわーパクパクですわー長い時間過ごしちゃうわー

 

915:名無しのペルソナ使い 13:43

ワイルドのコミュ力は通常の3倍は想定しないとな

 

916:908 13:45

ワイルドって何なんだよw

流石にこんな短期間でそこまでの進展はないはず……ないよな?

 

917:名無しのペルソナ使い 13:47

ワイルドマジワイルド

 

918:名無しのペルソナ使い 13:48

コミュ力が生き残る強さだからね仕方ないね

 




 今日から君もマインドマンサー?


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地蔵尊で転生者集団に出会った

 技術が進んで一般化するたびに電霊は強化されて行く


 オレらはいつも通り、2台の軽自動車で地蔵尊へたどりついた。駐車場には他に何台かの自動車が駐まっている。ちょっとマグネタイトの残滓を感じるので多分業界人だろう。

 

 今までの異界はどこかの管理地だったり人気のない場所だったり低レベルだったりしたからか、同じ異界に別の集団が入って何かしらのトラブル発生みたいな事はなかったし、せいぜい遠くで戦闘音だけ聞いてそれっきりとかその程度だったが、地蔵尊は元々の建物が小さく異界の1階あたりの広さもそれほどではない(縦階層は別)し高レベルなので、そこそこ高レベルの集団と出会う可能性がある。

 

「どうしよう?」

 

 ミミカと阿形さんに相談する。

 

「そうだね、ゼロッチ、頼めるかな?」

 

「え、オレ?」

 

「何か妙案でもありますの?」

 

「いや、誰か1人でも端末持ってればゼロッチたちでサーチ出来るでしょ?」

 

 サーチって……あ、そっか、今時の端末なら大体無線で何らかの通信回線があるから、オレが移動する前提としていつもやってる「出入り口探し」をすればそれだけで端末の現在地は分かる!

 

 ミミカ、こういうのは結構何でもないように思いつくんだよなぁ。

 

「あと、ペルソナ使いはペルソナの共鳴とかで分かるんだっけ?」

 

「ん?ああ、敵意持ってたり戦闘態勢のペルソナ使いなら……まあ、見なくても戦闘に突入する前に分かると思う」

 

 オレ達対人戦の経験なんてほとんどないしそこは臨機応変に行くしかないな。

 

「そもそも敵対するよりは挨拶だけとかの可能性が一番大きいだろ。何で敵対する事前提なんだよ悪魔かよ。……すまんお前悪魔だったわ。つい忘れるけど」

 

 人間味に溢れて、悪魔であることを忘れられがちなセラフィックアイドルにう、のゼロッチ。それがオレの名だ。

 

「よーし対策も出来たし、着替えて突入すっか!」

 

 今日はおうごんじゅうの初めての実戦投入である。メイドバニー鉄兜で漆黒の翼の堕天使のミミカもドゥフフ笑いでおうごんじゅうを撫で回している。

 

 ここ物理タイプの敵メインだし銃が有効かって言われたらそれほどでもないんだけどな。ミミカはアイテム使ってもらう方が重要な役割だ。

 

「よーし、それじゃ行くぜ!」

 

 名前入りのスク水に現代アートみたいな知恵の輪をかぶり、手にはでっかい鬼包丁を持った黒翼の堕天使と化したスガルが先陣を切る。相変わらず前衛のくせに最高にいかれた格好だぜ……。

 

「信じられませんわ、本当に恥ずかしくないのかしら?」

 

 今更という感じだが、阿形さんがしみじみと感想を漏らした。阿形さんと裕奈ちゃんの天使コスプレもわりと恥ずかしいと思うんですが……そこらへんどうなんです?

 

「……ちょっと前に気付いたんですけど、これ『セット装備』的な効果があるのですわ。呪殺対策も併用すれば破格の強さも持てるのです」

 

 セット装備、確かに一部の作品でそういうのもあったかな?天使系は記憶にないけど、まあゲームに登場しただけって事もないよな。うん。阿形さんの頭の上に天使の輪っかが追加されてるけど、本当に趣味じゃなくてセット装備効果狙いですよね?

 

「このエンジェルリングが一番いいと思いますわ。防御力も強いですし魔法防御が40%……40%カットですの」

 

 ……強すぎない?

 

「かなり高価でしたが……悔いはありませんわ。死な安死な安ですわ」

 

 やだこの子意外と江戸っ子だった……?

 

「ゼロッチ、あっちからヤクシニー2、ヨモツイクサ3、あとメズキ1だ」

 

「おっと、来たようだぞ」

 

 イッチの警告で一同会話を止めて武器を構える。オレはまず補助魔法かな?今回は危険度もちょっと高めだし気合い入れよう。

 

「危なくない悪魔とかおらんじゃろ……」

 

「そりゃそうだ」

 

 今ほとんど動けないヒナちゃんに同意し、戦闘態勢に入る。ヒナちゃんは見事と言うかなんというかポリプ状態になっており、自分を分裂させる……ベニクラゲみたいな無限ループに挑戦中なのだ。ちなみに今のポリプ状態から分裂を成功させると十体以上に増えるらしい。増えるって点ではオレより不便だけどナマモノとして実体があるからな。

 

【スクンダ】

 

 おっと、イッチが戦闘開始したか。オレもやらんと。

 

【スクカジャ】

 

 どこまでこの戦法通用するかな。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「そいやー!」

 

 イキイキと悪魔を狩るスガルの声が、地蔵尊の異界に響き渡る。その手には、命を刈り取る形の大鎌があった。アンクーの鎌である。これ、ヤクシニーが落としたんだけどアナライズしたら結構強くて1-3回攻撃、攻撃力もあって鬼包丁より強そうだったのでスガルに持たせたんだよね。大鎌ってことで扱いにくいか?とも思ったんだけど、本人は何か大喜びで振り回して悪魔を狩って……何かね、スキル覚えたんですよスキル。

 

 え?ペルソナのスキルが増えるのは普通だって?違うんです、スガルはペルソナ抜きの自前で「からたけ割り」覚えたんです。つまりペルソナチェンジしてもからたけ割りはいつでも使えます。やったぜ。

 

 しかし、鎌であることにデメリットもありました。

 

「ぬう……あれは近寄れんのう」

 

 鎌の軌道のせいで近寄るのは困難になった。スガルがメインアタッカーなので問題ないといえばないんだが。

 

「いやー、ここいいな!敵堅いし、強いけど攻撃が効かないってわけじゃないし。ヴェータラ以外」

 

「そうですわね。普通に強い、ってことですわね。ヴェータラはキッチリ対応して戦わないと面倒ですけど」

 

「ヴェータラ銃もあんまり効かなかったりするしね……何か個体差ひどいけど」

 

 最近地蔵尊に湧き出したという、高レベル悪魔のヴェータラ。これは個体差と言うよりは、作品ごとに耐性を変えて来たりしたクッソ面倒な敵なのだ。特に真女神転生2、「実体希薄」相性のヴェータラは、物理を中心に様々な耐性を持ち何と破魔にまでちょっと強いという幽鬼にあるまじき耐性なのだ。

 

 真女神転生2はこの実体希薄とその上位とも言える強アンデッド相性が作品全般にわたって悪さをしていて、特にヴェータラに限った話ではないのだが。

 

 まあ、それはそれとして、実際出て来たらそれに対処しなきゃならない。耐性が変わっても共通して効いていたのは確か火属性。一応アナライズやインストールソフトでもそれを確認し、ホウオウさんのファイアブレス、裕奈ちゃんの用意していたペルソナ「ジャックランタン」のマハラギ、スガルの「キンナラ」のマハラギの3本立てで行くことにした。

 

 最初はちょっと耐性あっても近接ゴリ押しで行けるかなとも思ったけど、良く考えたらオレら近接攻撃の手数が少なかったんで魔法攻撃にしといた。

 

 そして実際にヴェータラに対処すると、意外というか当然と言うか一番活躍したのはオレらの「松竹梅」だった。そりゃ今日はオレ、イッチ、サッチ、ゴッチ、ロッチ、エイトの6人体制で補助かけ終わったら攻撃か松竹梅だからね。何というか松竹梅重ねたらそりゃHP回復+状態異常回復の最高の効果も出まくるよっていうね。

 

 ヴェータラさんもヴェータラさんで何でってくらいプリンパにこだわって連打してくるし。何なの趣味なの?性格とかもあるのかな。狡猾だしそりゃプリンパあったらプリンパするよ的な?でもヴェータラさんアナライズだと性格:冷静とか剛健だった気がするんだが……。

 

「ちょい待って、ゼロッチ。オレら以外の端末見つけた。地蔵尊の地下の洞窟の方から近づいてくる」

 

 おっと、別集団が見つかったか。近づいてくるなら、初めての異界での別集団との接触になるかもしれない。

 

「フハハハハ!我が名はファントム!」

 

 ファントムさんは元気だな。大丈夫かなこれ。

 

「まあ大丈夫だろ。攻撃されたらぶっ倒しゃいいし、されなきゃ普通に接触して話すりゃいいしな」

 

 スガルはぶれない。ミミカは……目に見えて必要以上にキリッ!としようとしているのがわかる。オレは悪魔だしあんま出しゃばるのもなあということで、ここは阿形さんに頼るのがいいかな。

 

 相手が視界に入ってくる。アーミー系の装備にライフル……兵士みたいなおっさんを先頭に計6人に男女が、特に気負う事無く通路の角を曲がって姿を現した。おっさんの他に男女一人ずつがアーミー系装備、あとはセーラー服黒髪ロングの正ヒロインみたいな女の子、明るい色のブレザーを着崩した茶髪ショートカットの活発系サブヒロインみたいな女の子、一部の漫画やラノベにしか出て来ないような度のきついぐるぐる眼鏡をかけて明るい薄緑色の髪を何も考えずにまとめてお下げにした、まず正ヒロインじゃないなと一目で分かる女の子。

 

 最後のこいつは同志かもしれない、色々な意味で。

 

「あー、ちょっといいか?」

 

 やはりというか何と言うか、声を掛けてきた推定代表者はおっさんだった。

 

「聞きたいんだが、メガテニスト、女神転生、フェス、ゴールデン、ロイヤル、胡蝶の夢、コトワリ、これらの言葉に対して心当たりはあるか?」

 

 確かめに来たなこいつ。転生者集団、それもここにいるということは結構なレベルのやつらか。

こっちの会話の判断は、まあ、阿形さんとスガルに任せて……一応オレもフォローする形にしとくか。

 

「確かに……ワタクシ心当たりがありますわ。それで?」

 

「あー……それはだな、俺達は『メガテニスト』を名乗ってるリアルからのメガテン系転生者集団の者で、後ろの彼女達は『アルカナ』を名乗っている同じくペルソナ系転生者の者だ。あんたたちも同じような転生者集団だと思って声を掛けたんだが……」

 

 何か結構警戒されてるな。敵意はないようだが。

 

「その……違ってたら済まない。あんた達はメシア系を選んで転生したので合ってる……よな?」

 

「は?」

 

「は?」

 

「はぁ?」

 

「はああああああ!?」

 

「あ、阿形さんおこなの?」

 

「おこですわ!誤解されるのは仕方ないですが、実際誤解されたらされたでその怒りは別腹ですわ!」

 

 何その理不尽。いや分かるよ?理解はしていても実際いやな目に合ったらピキピキするって。ピキピキピキーニャだって。

 

 聖四文字のハトですら誤解したんだから、人間に阿形さんの真意、「天使コスプレはしますけどメシアンじゃありませんわ!」を見抜くのは無理ゲーだって理屈では分かっていてもムカつくものはムカつくよね?まさかこうなるとは思わなかったけどしょーがねえ、オレがフォローしとくか……。

 

(あのさ……彼女リアルじゃ伝統的なプロテスタント何ちゃら会派だったらしくてさ……そこガチで地雷なんだって)

 

(そ、それは悪い事をした……)

 

 オレやスガル、ヒナちゃんが間に立って何とかその場を収め、相談して異界を出て近くの店、ピースダイナーで詳しい話をして、オレら「時間城・ハチマン神社グループ」が彼ら「メガテニスト・アルカナ」と協力する事になった。協力って言っても彼らが時間城やハチマン神社に依頼を出すのと、連絡先を交換するってだけなんだけどさ。彼ら全国組織なので、ほとんどオレらが一方的に恩恵を受ける事になるだろうけどな。

 

 どっちかというと今の彼らはリアル転生者の捜索が主目的なのでそれでもいいんだと。そんなもんかね。

 




 天使コスした美少女集団がいりゃそりゃね……。


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地蔵尊初回チャレンジ終了 ※リザルトあり

 オルゴンゴーストは強かった……(初見ボス直行)


 今日はもうお昼も回っていい時間だし、ちょっと敵が強い上にオレのMP消費が激しくてMP回復アイテムが不足気味になって来たので、そのまま解散、稼ぎも終了。初回の地蔵尊稼ぎはこんな感じになった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第14回 地蔵尊初回

 

マッカ:+22038 マグネタイト:+23987 

アイテム:アンクーのかま×2、ひぎょうさんこ×1、めいどのミヤゲ×2

     くびかりスプーン×1、ソニックブレード×2、こどくざら×2

     みはらしのたま×2、ファイナルガード×4、アギラオストーン×1

     ジオンガストーン×1、宝玉×8、魔石×10

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV38(+5)

 

仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効、電撃吸収(新)

    【ゼロッチ/イッチ】LV41(+4)

    (サッチ)LV28(+7)

    (ゴッチ)LV33(+5)

    (エイト)LV20(+19)

    スキル:休む、挑発、まもる、九十九針、スウィートトラップ、怪音波、

    狂乱の歌、テンタラフー、スランパ、スクカジャ、スクンダ

    ザン、ザンマ、マハザン、マハザンマ、ジオンガ、マハジオンガ

    サバトマ、デビルタッチ、松竹梅、コトルディ、ブルトディ、クロズディ

    混乱防御、電撃吸収(新)、《メタモディ》(新)、《ボムディ》(新)

 

    悪霊:ゴースト→ファントム LV33(+5)

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド、クイッカ、憑依、デスタッチ(新)

        マハザンマ(新)、タルンダ(新)

    

    妖鳥:バー LV23(+5) 剣耐性、氷結・衝撃・銃弱点

    スキル:ついばみ、介抱、羽ばたき、アギ、マハーガル

        スウィートトラップ、ガルーラ(新)

 

    霊鳥:ホウオウ LV30(+5) 魔法小耐性、呪殺弱点

    スキル:タルカジャ、ディアラマ、メディア、リカーム

        アギラオ、ファイアブレス、マハラギ(新)、ローグロウ(新)

 

    堕天使:カイム LV22(+3) 破魔無効

    スキル:ザン、ザンマ、スクンダ、カルムディ、マハザン(新)

 

    魔獣:ネコマタ LV32(+4) 衝撃吸収

    スキル:マリンカリン、ドルミナー、エストマ、ひっかき

        キャンディボイス(新)

 

    電霊:【みる子】LV22(+12)

    銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効、電撃弱点

    スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙、ギルトアイズ、デスタッチ(新)

        ルナトラップ、リベラマ、リフトマ、パララアイズ(新)

        ペトラアイズ(新)、ヘルズアイズ(新)、テリブルアイズ(新)

 

    国津神:スクナヒコナ LV35(+4)剣・銃・突撃・電撃耐性

    技・氷結・呪殺・神経・魔力・緊縛無効、火炎・破魔・剣技弱点

    スキル:マハンマ、タルカジャ、ペンパトラ、リカーム、バインドボイス

        シシリディ(新)、ポズムディ(新)

 

    妖鬼:ヤクシニー LV33(新)破魔無効

    スキル:かいてんぎり、まわしげり、セクシーダンス、ポズムディ

        ディアラマ

 

    妖魔:イソラ LV34(新)氷耐性、火炎弱点

    スキル:ジオンガ、ディアラマ、みずのかべ、アイスブレス、子守り歌

 

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV42(+7)スキル:からたけ割り(新)

 

ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV36(+4) 闇耐性

     スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、マハエイハ、ドルミナー

         ソウルブレイク、トラエスト、トラスタルト、ムド

         ムドオン、マハムド、ムドブースタ、丸かじり、アドバイス

         エイガ(新)、マハエイガ(新)、呪怨ブースタ(新)        

 

     愚者:オセ LV39(+4) 物理耐性、風無効、光弱点

     スキル:パワースラッシュ、木っ端微塵斬り、チャージ、ポイズンミスト

         中治癒促進、セルブレイカー、蒼の壁、光からの生還(新)

 

     星:キンナラ LV28(+10)

     光・闇・神経・精神耐性、火炎無効、水弱点

     スキル:癒しの調べ、マハラギ、ハマ、アギ、スクンダ、小治癒促進

         プリンパ(新)、ブフーラ(新)、ハピルマ(新)、スクカジャ(新)

 

     刑死者:タケミナカタ LV21 打撃・雷耐性、光・闇弱点

     スキル:ジオ、マハジオ、キルラッシュ、ブレインシェイク、タルンダ

 

     恋愛:クイーンメイブ LV27(新) 雷無効、火炎・氷結耐性、斬撃弱点

     スキル:ポズムディ、ラクンダ、ラクカジャ

 

     剛毅:オニ LV30(新)物理耐性、火炎無効

     スキル:デッドエンド、カウンタ、バスタアタック

 

     刑死者:ヴァスキ LV38(新)光無効、氷結耐性、風弱点

     スキル:マハンマ、ダブルシュート

 

 

スガルコミュニティ:愚者/LV4(+1)時間城のなかまたち

          恋愛/LV1 網代 裕奈

          隠者/LV2 宇佐野 美々加

          死神/LV1 みる子

          星/ LV4(+1)ゼロッチ

          月/ LV1 瓜生 ヒナ

 

 

【同行者】(阿形 サリナ) サマナー/ガーディアン使い LV36(+8)

 

     珍獣:ホネアリクラゲ (瓜生 ヒナ) LV31(+9) 水無効、物理耐性、炎弱点

 

     電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効

       (ロッチ)LV32(+6)

 

     (網代 裕奈) ペルソナ使い/降魔 LV33(+12)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 今回は……阿形さん達がかなりレベルアップしたな。レベル差の効果もあるのかも知れないが。あとオレに「電撃吸収」が生えました!多分補助かけ終わったらサンダーブラスト連発してたからだと思うけど!これは電霊というよりも出典:オルゴンゴーストな電気を使う悪霊・怨霊系なオカルティック進化だと思う。あくまでも仮説ですが?(メガネクイッ)

 

 あとスガルが素で「からたけ割り」を使えるようになったのは驚いたな。まあスガルって積極的に敵を倒してて、今はもうレベル42のオレ達最高レベルだし、物理スキルが生えてもおかしくはないか。ただ、今回積極的に使ったペルソナの「キンナラ」に生えたスキルはなんか残念な感じだったな。ヒネ・チタマの方は順当にエイハの上のエイガと呪怨ブースタを覚えたのはかなりいい。やはりこれはずっと使えそうな感じだな。

 

 パワーレベリング組、みる子とエイトは幸い攻撃を受ける事無く最初にレベルアップ出来たので順調にレベルアップ出来た。エイトのスキルはオレと共用だが、みる子の方は邪眼系のスキルばかり。もろにサリエルの影響を受けてるみたいだな。

 

「邪眼の力をなめるなよ?」

 

 な、なにっ!?それは転生して邪眼能力を持ったら一度は言いたいセリフ!?転生して邪眼能力を持ったら一度は言いたいセリフじゃないか!?転生してやりたい事ランキングで表彰台も狙える快挙だ!

 

 ……えっと、何の話だっけ?そう、リザルトの話だった。あとは新しく手に入れた悪魔とペルソナ……仲魔の方は妖鬼:ヤクシニーと妖魔:イソラ。以前に比べてミミカも成長してるな。レベリングついでに2体勧誘成功させるとは。命乞いからじゃなくてしっかりTALKして仲魔にしてたし、やれば出来る子だって信じてました。

 

 スガルのペルソナの方も、今回だけで3つも手に入ったらしい。あとで合体するとか。何が出来るかな。

 

 今日は早めに帰ることになったが、何か話があるということで阿形さん達もオレの家についてくることになった。それならとピースダイナーの駐車場からまとめてスガルのトラスタルトで帰還する。便利になったものだ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 阿形さんの話は、オレ達「時間城・ハチマン神社グループ」についてのことだった。ああうん、オレらより大きいグループと接触して協力関係になったからね。それに対する方針は決めといた方がいいよね。

 

「ワタクシはこの際……収支も含めて一塊になって動くべきだと思いますの」

 

 あのあと……というかニッチはしっかりあいつらの情報を集めておいてくれたので、あいつらの言ってる事が本当で、あいつらが本物で、ガイア教を浸食している新興集団……に見せかけたリアル転生者互助会であることは間違いない。

それ自体はいい。しかしオレらはオレらでその集団に対してどうなりたいか、あくまで協力者で通して距離をとるのか、積極的に依頼を受けたりして活動に参加するのか、決めておいた方がいいだろう。

 

 今日見たあいつら……オレのようなクソつよ電霊枠はいなかったが、レベル的にはオレ達とそう変わりはなかった。今までのようにレベリングと個別の依頼だけで大方針もなく流されていたら、いつの間にか大集団の中に埋もれてしまうだろう。この業界でそれは大きな事件で右往左往して主人公になんか言うモブになってしまうという事、それはとんでもなくハイリスクだろう。

 

「ワタクシたちが大集団を支配したり立ち上げたりするのは現実的ではありませんが、小さな独自の何かを持った集団、というなら売りがありましてよ?」

 

「ん、そうか?具体的には何だ?」

 

「ゼロッチさんの言う手口……まあ、その能力ですわね。あなたの化身を『都合のいい契約』で『正しく』増やして流せばそれは強力な唯一無二の『手口』となる。そうでしょう?」

 

 都合のいい契約で、正しくねえ……とりあえず今流すと仮定すると、オレの化身は最初はレベル1、どんなサマナーにも使える上に、スキルは既に共有してるのでレベルを上げれば上げるほど他の悪魔よりも確実に、段違いに強くなって行く。

 

「それだけではありませんわ。あなた、悪魔召喚プログラムの契約もすり抜けているでしょう?」

 

 流石に気付くか……自由すぎるもんなオレ。

 

 何かミミカはものすごい驚愕の表情を浮かべてるけど、おいしっかりしろ、オレのサマナー。

 

「同期で情報とスキルの共有が出来る。回線速度で距離関係なく往来出来る。COMP機能やインストールソフトを利用した強力なサポート。物体をサイバー空間と実体空間で自由に収納・具現化出来る。とんでもなく便利な悪魔ですわね」

 

 改めて列挙されるととんでもなくオレツエーな気がする。電霊パねぇな……。

 

「いや電霊だからって誰でもそこまで出来るとか思わないで欲しいんですけど?」

 

 みる子はちょっとジト目でオレに抗議する。そんな、仲間だと思ってたのに。

 

「な、何にせよ、そろそろ試験的にでもやってみた方がいいんじゃないでしょうか?」

 

 裕奈ちゃんもそう言うが、オレにはそれを忌避する理由があった。

 

「こんなカワイイオレがレベル1で見知らぬサマナーの所へ行って、うっかりセンシティブな目にあったらどうする!お父さん許しませんよ!」

 

「誰がお父さんか」

 

「ゼロッチ、契約スルー出来るなら帰宅すればいいんじゃない?それにそもそも最初の契約でそれ禁止すれば契約違反にすらならないし」

 

「そうかな……そうかも」

 

「実際ほとんど実体化してないし、実体化さえ秘密にしとけば霊体悪魔だと思って手を出すとかの発想もないんじゃない?画像とかまでは知らないけど」

 

「それもそうだな……」

 

 何も全部あけっぴろげにしてやらんといけないわけでもない。

霊体だけなら消費も少ないし、合体とか、ネット遮断とかもNGにして……。

 

「なあ、もしかして、化身がスキルカード使われたらそのスキル共有出来たりする?」

 

「……出来……るな。前例あったわ」

 

 もう結構昔な気がするが、最初も最初、『スウィートトラップ』のスキルはサッチが努力で身につけてオレらが共有したスキルだ。スキルカード産だからといって共有出来ないとかはないだろう。

 

「……それはとんでもなくチートなのでは?」

「なりますねぇ!」

 

 決まった。当然リスクはあるが、これなら化身を派遣するメリットの方が大きいだろう。最初は……まあ、しおさい商店街の邪教の館しかないかな。そこで少数派遣してもらって試して……契約はガチャゲーみたいに「一緒に戦う権利はあるけど所有権はないよ」な感じにしとくか。

 

「え?ガチャゲーって所有権ないの?」

 

「ないぞ」

 

 所有権……財産、資産と認めると、アップデートとかサービス終了でクッソめんどいことになるからな……。我々はガチャで出したカードで遊ばせていただいているのだ。

 

「そんな!じゃああの絆なんちゃらとかレベル上限解放とかケッコンとかは……」

 

 ミミカがまた何かショックを受けているが……そっとしておこう。全くピュアボーイだなミミカは。世界の真実とは、いつだってピュアボーイには残酷なものなのさ。

 




 セラフィックアイドルにうはマッカだけ頂いて逃げるような真似はしない、これだけは真実を伝えたかった
でもちょっとくらいするかも


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第3章 その名はアニマウイングス
AW(アニマウイングス)始動


 こいつえらい数増える気でいるな……。


「えーと、ガチャゲーのことはいいとして、それじゃ、派遣する化身はナンバリングの頭にアルファベットをつけてA0000-0000-0000からにしておいて……あの邪教の館ならまあ、安心だろう」

 

「デビオクとかはどうなの?」

 

「やだ怖い」

 

 いきなりネット上で自らを晒して、全国区になると霊体悪魔でも捕らえて強制契約やって来るようなガチ勢いそうじゃん。なのでまずは身近なとこからこつこつとやらないとね。

 

「それで、この『手口』以外の売りってのは何だ?」

 

「それは……今のワタクシたちは正直慣れ過ぎていて忘れているかも知れませんが、我々のようなTS転生同志の受け皿という役目ですわ」

 

 あ、そうだった(ど忘れ)。そりゃそうだわな、オレら自然に『同志』とか言って接触して来たけど、その同志がいざって時集まる場ってのもいるわな。TS転生同志が集まらないといけない事態ってのがどういうものなのかは分からんが。駆け込み寺的な?まあ同好会とかサークル活動みたいな感じでもいいし。

 

「あと……ワタクシの個人的な考えですが、飽和状態で危険な領域に達しつつあるらしいメシアン系天使の異界を我々で攻略して異界を奪うような活動もしたいんですけど……ゼロッチさんはどう思われますか?」

 

「え?そう言われても……たしかリアル世界側の神霊召喚儀式とこっちの天罰両方の影響で天使系の異界が異様に増えてるんだっけ?SNSだとそんなレス多かったような。この街だとそこまでではないけど。……実際そろそろヤバいか?」

 

 特に人の多い大都市ではあっちも天使こっちも天使でドミニオンが出る異界がごろごろあったりするとか何とか。確かに放置すると、聖四文字……はこの世界では大丈夫としても、高レベル異界を利用して暴走した大天使か何かが世界の危機を起こしたりするかも知れない、しないかも知れない。

 

「ええ、この件はワタクシなりに今まで情報を集めていましたが、明らかにメシア教の管理能力を越えている状態ですわ。メシアンは天罰でかなりの数『いなくなった』ので当然ではありますが。むしろガイアあたりが乗っ取ってくれないかなーと生き残った構成員が祈りながらデスマーチの状態だとか」

 

 ああ、確かにニッチ情報にもそういうのあったな。メシアンデスマーチ……解決のめどは……頭数が足りないんだから、ないよなぁ……それこそ他に異界を奪ってもらうしか。出来るようになったらオレがやってもいいんだけどなぁ。状況が落ち着いた後で何か言われる気が。

 

「でもそうは言っても、その乗っ取って欲しい異界と重要な異界の見分けつかないしな……」

 

「その違いはハトに聞いたらどうですの?」

 

「そうか、そういうの知ってそうなハトがいたな。ハトに依頼として出してもらえば……もう出てたりするかな?」

 

 隣街のメシア廃教会、フレンドリーな神霊という信じられないほど奇跡的な存在だが、それは実在した。あそこは放棄された廃教会だし、もしあそこの廃教会が奪って欲しい異界だったとしたら、ハトのフォローも期待して……いいんだよな?何ならあそこの廃教会をテストケースとして、異界ボスとしてオレが色々学ぶのもいいかも知れない。

 

「でもオレがそういうはじめての異界ボス?やるとしたらあそこは電源とか端末がないのが痛いんだよなぁ……」

 

 何とかして電気を引っ張ってくる、発電機を使う、どっちも大掛かりで面倒すぎる。何とかならないかな。

 

「スマホとか携帯ゲーム機とか。ジャンクの端末でも使えるんじゃない?お前なら」

 

「いや、それはそれで持ち込むのは面倒な気がする」

 

「お前って物品をCOMPに出し入れ出来るんだから、充電して置いて回収して充電して……ってループ出来るんじゃないか?」

 

 ……あれ?そうかな?別に電子機器だからダメってのはないし、登録してしまえば端末の充電は家でも出来て、それを別の端末経由で運んで、廃教会に置いて……って感じで無限ループ出来る?複数個置いとけば充電切れでやばいって事もないし、あれ?これ行けるんじゃね?

 

「明日……は流石に休むとして、明後日にでも行ってハトと話してみるか。やるかやらないかもそれから決めりゃいいし。いやーついにオレのダンジョン戦略ものが始まっちゃうかな?」

 

「ダンジョン戦略ゲームもいいですけど……あと一つ、決めておくべき事がありますわ」

 

「もう一つ?」

 

「私たちのグループの名称……ちなみに天使推しはメシアっぽくなるのでダメですわ」

 

 そっかー何もなければセラフィックなんちゃらで結果的に天使推しになってたかも知れんけどなーこの世界じゃなー。

 

「じゃあこういうのは?」

 

「そりゃダメだ。スガルは……」

 

「うーん、思いつかん」

 

「ぼ、ボクなら……」

 

オレらのグループ名称を決める話し合いは、深夜にまで及んだ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「結果発表~!」

 

「イエー!」

 

 微妙に長引いた深夜の話し合いのせいで、ちょっとテンションが上がっている。ミミカはもう寝た。……しかし名前決めだけでこんなに長引くとは思わなかったな。

 

「オレ達のグループ名称は『AW/アニマウイングス』に決定しましたー!」

 

「ワーパチパチ」

 

「コレデヨイ……」

 

 アニマとは男性の心の中にある女性心理のこと。精神医学だか心理学の用語である。詳しい理屈は色々あるが、特にオレ達の同志、転生者かつ男から女に性転換したやつらの集団である事を強調する名称にした。もちろん秘匿条件としてリアル世界からの転生者であることも加味される。対外的には、配信を積極的にすることで「男達の心の中にしかいなかった理想のアイドル配信者がここに!」的なアピールだという事にする。実際そういう目的も(オレ的に)あるしな。

 

 あとウイングスとは見たまんま、オレ達皆翼つけてるから。ほぼ偶然だが、今を基点に思い出にするにはいいんじゃないかと思う。

 

「ワシには翼はないが」

 

「ヒナちゃんには触手があるでしょ?触手の方が強い」

 

「そ、そうかのう?今はちょっと触手もお休み中じゃがのう」

 

「しっかし……被りや地雷を避けてたら名前つけるだけで結構時間かかったな」

 

 悪魔関連の名称、原作名称、既存の創作名称、全部避けるのが一番めんどかった。リアル世界の方は記憶頼りになるしな……。

 

「さーて一応決まったし明日はまた商店街行って合体して……夜はウライチがあるんだっけ?寝よ寝よ」

 

 明日は8のつく日で、ハチマン神社で市(イチ)が開催される。夜には業界関係者の「ウライチ」があり、一品ものやレアなスキルカード、悪魔なんかをハチマン神社仲介の元で売買したり交換したり出来るらしい。低レベルだと不安で今まで不参加だったけど、ちおちゃん情報だと今のレベルなら余裕らしいので行ってみる事にした。いいものが手に入るといいが。

 

 スガルはミミカのいる本宅……爺さん婆さんの家に向かい、阿形さんと裕奈ちゃんはオレの住居である「はなれ」に、悪魔のオレと仲魔達とヒナちゃんはオレ作成の太閤異界で夜を過ごす。ここ最近のベストポジションである。いや、オレが設定上キチ過ぎて爺さん婆さんにも若干引かれてて、その分かどうか分からんけどミミカとスガルが身内レベルで受け入れられてるんだよね。

 

 爺さん婆さんは老いたりとはいえ一応元?悪魔業界関係者ではあるし、意外とマジでオレの弟子扱いのミミカとスガルを後継者にしたいってのはあるかも知れん。悪魔のオレじゃ一応仕事はこなせても後継にはならんからな。

 

「さて、何か派遣したり異界ボスを狙ったり……色々使う用の化身を作っておかないとな。高レベルが必要なボス用の化身優先かな?」

 

 今の太閤異界には特定のボスはあえて設けていないが、いてもいいかもしれない。他にも使うことを考えると、少し多めに作るか。

 

「9人目のナインから……13人目まで作ってしまおう。明後日、メシア廃教会に行くついでにレベリングすれば……外の堕天使ならレベル1でも大丈夫かな?」

 

 なぜ13までなのかと言えば……13は凄腕スナイパーに育てたいという欲求があるからだ。後ろに立つと殴られます。

 

「ゼロッチー、今日の配信はー?」

 

「おめーよぉ、何やるのかすらオレ任せかよマジでよぉ」

 

 まあこの一生だらける係のヨッチもオレ自身なんだけどな。オレが24時間ゲームしたりボーっとネット小説読んでたりするとこうなるのだ。

 

「今日は……積みゲーしてた携帯ゲーム機のカードゲームやるぞ」

 

「お、おー!」

 

 携帯ゲーム機のゲームなのでデスクトップCOMPと電霊的に繋げて……起動して……配信画面に……。

 

「ゼロッチやってー」

 

 何ィ!?しょーがねーなぁホントにお前は!どれ……ほお、主人公の見た目は男3女3か。じゃあこれ……ふわふわ頭の美少女で。当たり前だよなぁ?んで名前はデフォルト名で……ニックネームはにうにしておこう。

 

 ゲーム開始。チュートリアルか?ガーディアン?ダメージ?ゾーン?も、もう分からん……うおお、今オレは雰囲気でカードバトルしている!たちあがれオレの分身!

 

 

 

………………………………

 

 

 

 い、今オレの身に起こった事をありのまま話すぜ!ルールを把握するまで戦うぜ!と思っていたら朝だった。一帯何が起きたのかわからなかった……。

 

 予想外に時間が経っていたので、オレは手早く新たなる化身「ナイン」「テンコ」「イレブン」「トゥェニー」「にう13(にうサーティーン)」を作成し、ミミカのアームターミナルに登録しておく。一応太閤異界の中でちょこっとレベル上げはしておくか。それは……とりあえずゴッチに頼んでおいて、まずニッチはいつも通りネットで情報収集と配信の補助、ヨッチはダラダラ配信、サッチはスキルや電霊能力の検証、エイトはガイア教関連の偵察や情報収集、セブンはずっと旅。

 

 オレとイッチとロッチ、レベルの高い3人が外出かな。まず今日はオレらミミカ組が時間城でペルソナ合体、ついでに依頼やスキルカードチェック。阿形さん達はその間にカメンヒジリさんにペルソナ合体してもらって、その後しおさい商店街の邪教の館で合流。悪魔合体を済ませてお向かいのカードショップでもスキルカードをチェック。カードゲーム三昧の後、ウライチが開催される夜になったらハチマン神社へ移動。ウライチを見て回って、終わったらフツーに帰宅という流れだ。

 

 スガルのコミュニティ期待でもあり、化身と同期しつつずっと動いてるオレもいるので厳密には完全休養というわけでもないが、まあ休みの必要な人間にとっては休みといってもいいのかもしれない。多分。

 




 よくわからんゲームを良く分からんまま進めるのは至高の瞬間である(当社比)


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合体合体新スキル? ※悪魔・ペルソナ合体あり

 ペルソナ3のナンディはわりとよく見た、素材的な意味で


 「じゃあ行くか」

 

 オレはアームターミナルの中から、ミミカが車を発進させるのを見守る。今は阿形さん達と別行動だ。

 

 しかし今日は今までとは違い、このアームターミナルの中に作った異界、「電脳酒場」の中でゆっくりしている。今までは本当にただ白い小部屋か通路があるだけのイメージだったからな……。

 

 この電脳酒場は、オレとイッチがかなり古いRPGの酒場拠点のイメージをインスパイアしてでっち上げた。

 

 酒場なのでフレーバー的に飲食も出来るし、二階は宿屋になっているので寝る事も出来るぞ!

 

 仲魔達には好評である。元が無味乾燥過ぎただけとも言うが。

 

「おっと……忘れる所だった」

 

 派遣用の化身も作っておかないとな。最初は邪教の館で紹介してもらうとして、3体は必要かな。

 

 A-0からA-2まで……実際にはA0000-0000-0000とか運用上かなり桁数多くしてあるけど、オレが呼称する時には省略形で呼ぶ事にする。いいよな?よし、こいつらはにうナンバーズ、AはAナンバーズとしようか。

 

 か、かっこいい……。

 

「我ながらハイセンス」

「ハイカラですね!」

「フフフ……そう褒めるなよオレよ」

 

 こいつらはそのまま邪教の館の主に引き渡して、色々な意味の『同志』たち選ばれし者に渡してもらおう。最初から無差別に「誰でも行けます!無条件にハイスペック!」すると安く見られそうだからな。

 

 まずこのバ美肉……いや美少女霊体悪魔受肉なのでア美霊?の理解者だけが俺を使いこなせるというイメージ確立をしないとな。オレも誰でもいいから仲魔になって利用しようされようみたいなタイプじゃないし。

 

「我が名はファントム!」

 

「うおっ!?」

 

 何だ、ファントムさんかびっくりした……。ファントムさんはファントムになってからかっこいいポーズの研究に余念がない。今日はホウオウさんを肩にとまらせて歩いている。ファントムさん何かあるかと思ってアナライズしたり調べたりしてみたけど別になんともない正真正銘のこの世界生まれの一般ゴーストだったんだよな……。

 

「ほら、出来たぞ」

 

 イッチの作った料理がテーブルの上に並ぶ。この酒場、別にオートで料理が出てくるわけじゃないからな。ゲーム的料理なので食材も料理もデータだし細かい調理はカットされているが、一応食材を調理場や調理器具に置いて調理コマンドで投入くらいはやらないといけない。

 

 これは何かのゲームを参考にして異界を作っている今のオレの限界とも言えるが、この手間は案外悪くないとも思っている。データそのままに食った気分になればなるほど情報生命体たる電霊に寄って行く気がするからな。一手間かけて調理されたものを食う……フリをするってだけでも何かこう違うんだよ、アレが。お供えみたいなもんか?手作りからお供えする手順まで含めて一つの儀式です、みたいな。いやそういうの良く知ってるわけでもないが。

 

 オレがアームターミナルの中でそうこうしているうちに、ミミカとスガルは時間城に着いて、従業員入り口から中に入った。まずスガルはペルソナ合体、その間ミミカとオレらは依頼やスキルカードを見ておくかな。あ、ハトの依頼ももうあるな。異界攻略依頼?結構オレらの考えた事に都合がいいかも知れない……一応記録はしておこう。

 

 

 

………………………………

 

 

 

                ペルソナ合体

 

 

刑死者:タケミナカタ LV21

×剛毅:オニ LV30

×刑死者:ヴァスキ LV38

=星:ナンディ LV42(+3)

 

 

     星:ナンディ LV42(+3)(新)風無効、光耐性、火炎弱点

     スキル:マハガルーラ、マリンカリン、マハラクカジャ、勝利の息吹

         タルンダ、カウンタ、マハンマ

 

 

 

………………………………

 

 

 

 ペルソナ3では結構よく見たペルソナ、ナンディさんの登場である。オレとのコミュニティ、「星」での上がり分でレベル42、一気に高レベルのペルソナを手に入れた感がある。風無効なので、マハガルーラでとりあえずひと当てすることも出来る。火に弱いのと物理系特技がないのが難点だが、タルンダも継承してるし戦闘終了時に自動回復する「勝利の息吹」もあるのでかなり使い勝手はいいんじゃないかな。

 

 スガルがペルソナ合体してる間に、オレとミミカはスキルカードをチェックし、「生産の社」という「サイバー空間にマグネタイト生産施設を設置出来る」って効果のスキルのカードがあったので即買い。マジかよ施設系オリジナルスキルとかオレの異界運営始まっちゃうじゃん!

 

 時間城の主、気前がいいな!

 

「オリジナル?そう思うかね?」

 

「……」

 

 何かこれやばそうなパターンだぞ。

 

「おい、生産の社とかメガテンかペルソナで見たことあるか?」

 

「ない……けどいかにもネトゲやソシャゲの拠点モノで使いそうなスキルだよね……」

 

「メガテンのそれ系ゲームあったのは知ってるけど追ってねえぞ……やべえよやべえよ……」

 

 何と、誰も知らないし誰も確認出来ないのである!

 

 いかん、メガテンかペルソナなら何でも手を出しておくべきだった……多分オレらが把握してない作品出展のやつだ……。

 

 くそっ、またものすごい嬉しそうにニヤニヤしやがってこいつ。ま、まあゲーム由来の知識が役に立たなくても実際使ってみて検証すればいいし?今の所時間城の主もあんまり悪辣な事とかしないでニャル様とは思えないほどオレらに協力的だし?そこまで不安がる必要はないだろう、多分。とりあえず依頼の方はデータ保存しておいて、邪教の館に向かいますか。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 邪教の館には、まだ阿形さん達は来ていなかった。ミミカは早速悪魔合体をあーだこーだ悩んでいる。合体しないオレらとスガルは暇である。オレらはアームターミナルの中にいてもいいが、スガルは本当に待ってるだけだな。

 

「わたしもいるよ!」

 

 ……ごめん素で忘れてた。みる子いたわ。別に合体するわけでもないし太閤異界か酒場異界で休んでてもいいんだが。

 

「そんなこと言って、ついうっかり忘れるくらいならついうっかり合体しちゃったとかあるかも知れんでしょ!だからこういう時はわかるようにしておく」

 

 なるほど、気持ちは分からんでもない。みる子はまだオレみたいに悪魔召喚プログラムスルーとか出来てないしな。たとえミミカでも、そこまでうっかりではないと思うけど。

 

「よし、決めたぞ」

 

 おや、阿形さん達が来る前にミミカが仲魔の悪魔合体を済ませそうだな。どれどれ……。

 

 

 

………………………………

 

 

 

                   悪魔合体

 

 

妖鬼:ヤクシニー LV33

×魔獣:ネコマタ LV32

×堕天使:カイム LV22

=邪龍:タラスク LV38

 

 

   邪龍:タラスク LV38(新)技・氷・電撃・呪殺・破魔・神経・緊縛耐性

   スキル:ファイアブレス、かみつき、どくかみつき、どくひっかき

       カルムディ、ポズムディ、ディアラマ

 

 

 

………………………………

 

 

 

 出来上がったのは邪龍:タラスク。スキルだけ見ると貧弱に見えるが、耐性がクッソ多くてHPも多くて堅い。回復魔法も継承したので、火を噴いて適当に噛み付いて思い出したように回復してるだけで敵から見るとかなりうざったい存在になるだろう。多分。

 

 オレはタラスクと一緒にアームターミナルの中に帰還……するでもなく、暇になったミミカとスガルと一緒に長いすでMTG(マジック・ザン・ギャザービート)対戦をやっていた。3人ともいわゆるコンボデッキ、オレが「惨劇波動」ミミカが「日の出」スガルが「頭痛の壷」使ったら色々噛み合わなくてダメだった。やっぱ遊びでコンボ、カード入れ替え無しだと色々無理があった。

 

 オレらがスーパーコンボ大戦を諦めてフツーに色々カードバトルしていると、ようやく阿形さん達がやって来た。ミミカとは違って阿形さんは前もって決めていたらしく、早々に合体は終わった。最終結果は2体。大天使ハニエルと女神アリアンロッドだ。

 

「阿形さんは天使とか女神使いたかったりする?」

 

「いえ、それもないとは言えませんが……呼び出せる悪魔と仲魔に出来る悪魔はサマナーのロウ・カオス属性に影響されましてよ?」

 

「ああ、それあったのか」

 

 オレ達は、ミミカが「全て仲魔に出来る」ニュートラルだから気付いてなかった。しかし阿形さんの属性はロウだったので、カオス属性の悪魔は仲魔に出来なかったらしい。

 

「知らなかったそんなの……」

 

「おい、しっかりしろオレのサマナー」

 

 オレも気づけばよかったけどさ。全部行けるニュートラルだとそういう制限に気づくのは難しいってのはまあ、分からんでもないか。

 

「今回はまずメディラマ持ちを最優先で、魔法攻撃も出来る大天使:ハニエルを。前衛が少ないので頼れる前衛の女神:アリアンロッドを作成しましたわ」

 

 なるほど。確かに今の主な回復はオレの松竹梅重ねがけになってるが、オレはステータスが運特化で速くない……いや遅いという欠点がある。オレよりは速い回復役を入れるのはアリよりのアリだな。そして前衛、しかも女神:アリアンロッドさん!ゲームではお世話になった。これはオレ達の戦力がかなり充実したんじゃないか?よしよし。

 

 ちなみに裕奈ちゃんはペルソナ1でマストの声も高いMOON:リリムにザンダインをくっつけて来た。ペルソナ1仕様の敵数体範囲のザンダインになっている。これは勝ったな?

 

 ヒナちゃんはまだまだポリプ状態。阿形さんの周囲になんかキリタンポか一つだけ残った団子みたいなポリプの映像を見せるだけの存在となっている。これはオレの……阿形さんの聖書型COMPに入ったロッチの空間投影である。オレスゲー。

 

 しかしヒナちゃんポリプ状態長いな……分裂して動けるようになるのはいつになることやら。まあ、クラゲの生態、それも「ホネアリクラゲ」なんてオレらには分からんからな。信じて待つしかないか。

 

 とりあえず今は、皆でカードショップの方に移動しよう。

 

 お向かいのカードショップ「サバトマオン」に移動して、カード類をチェック。特に珍しいカードは無かったが、裕奈ちゃんが「悩殺防御」カードを、オレが「ペンパトラ」カードを、スガルが「三分の活泉」カードを買ってそれぞれ使用。使えるカードはどれも高価だったが、命掛けるのは俺達なのであまり悩むことは無かった。無いってば。

 

 予定ならこの後「ウライチ」に行くのだが、まだ夕方にもなっていない中途半端な時間だ。いつもならカードゲーム三昧……という所だが、オレらはもう結構な時間カードゲームしたので今日はもういいかなと思ってしまう。

 

 なので一旦トラスタルトとトラポートで帰宅。

 

「ボードゲームでフツーに遊ぶ大会!」

 

 オレが太閤異界での利用も考えて色々買い込んでいたボードゲームや一般カードゲームの数々で遊ぶ。周回物件ゲームや人生、トランプや花札、将棋や麻雀まで。意外にも一番盛り上がったのは将棋だった。

 

 ……軍人の将棋の方のコマをこっそり紛れ込ませて「トラップ発動!」とか言ってはいけない(戒め)。

 




 スーパークロスオーバーボードゲームはまれによく行われる


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ウライチに行った日

 今まで秘密にしてたけどこいつら実は結構目立ってるんだ(驚愕の新事実)


 あれこれ遊んでいるうちに日も暮れて、オレ達はウライチに行くためにハチマン神社へと向かった。結構広めな境内に、屋台やござを敷いただけの簡素な店が並び、裸電球の黄白色の光とLEDの白い光が入り混じってあたりを照らす。

 

 昼間に開催される普通の市(イチ)と違うのは、店員が明らかに裏の業界関係者や悪魔であり、境内全体が一時的に異界化されているところか。

 

「えーと、阿形さん、いい店とか知ってる?」

 

「ワタクシよりも裕奈さんの方が詳しいですわ。裕奈さん?」

 

「え、えと、はい。ボクの知ってるお店は、えっと」

 

 何だか要領を得ないけど、裕奈ちゃんの知ってるお店その1。まずは鳥居から本殿への通り道にある大きなテントのお店だ。

 

「ここは……ジャンク屋か?」

 

「えーどうぐーどうぐーべんりなどうぐー」

 

 怪しげな物品が所狭しと立ち並んでいる。なぜか野菜コーナーやお菓子コーナーまである。いや、全部アイテムなんだろうけどさ。

 

「あ、これ……」

 

 裕奈ちゃんが何かに気付いた。

 

「つるつるドロップとかめかめキャンディですね。わぁ、まとめ売りしてるんだ」

 

 ペルソナ1に出て来た、かなり広範囲の状態異常を治すつるつるドロップとかめかめキャンディ。隣街のジャンク屋ではばら売りでちょっと高かったんだが。ここではちゃんと30粒でひとケースに入ってそれぞれ9000円と15000円。多分ペルソナ1基準の値段だと思うけど効果に対してだいぶ安い。買いだ。

 

「あっ!ヒランヤもあるぜ!」

 

「集魔の水もありますわね……次の稼ぎ用に買っておきますか?」

 

 一応みる子が敵寄せのリベラマは使えるが、MPそんなに多くないのでお金で解決出来るならアイテム使った方がいいだろう。少し買っておこう。まあ、そんなに大量にはいらないだろうが。

 

「ぎんのマニシャも安いな……これも買っておこう。デカジャジェムにデクンダジェム、強襲の狼煙も買いだな」

 

 最初の店からこれとは、まったく買いたい物が多すぎる。ウライチって凄いな。

 

「あ、みなさんどうもっす。なんかいいのありましたか?」

 

 ちおちゃん来たな。あいかわらず手入れしてないオタ系巫女コスプレ風美少女ですよみたいなツラして実はかなり手入れされている清潔感スタイル。今日も完全に純なオタク心を打ち抜きに来てるな。

 

 今日のちおちゃんは見回り組。悪魔ですら出店出来るウライチ、見回りがいないと……いや、いても色々問題が起こるらしい。

 

「何か問題起こしたらどうなるの?」

 

「おれっち達が黙らせるっすよ?物理で」

 

 アッハイそりゃそうですね……。

 

「何でついて来るんだ?」

 

「いやあんた達は悪くない、悪くないっすよ?でもほら、自分達を客観視して欲しいんすけど、あんたら見た目は美少女軍団じゃないっすか」

 

 ……それはそう。ここはウライチ、異界は異界なので武装が基本。なのでミミカは鉄兜メイドバニーの堕天使、スガルはスク水鋼鉄シンデレラの堕天使、オレはいつもの銀翼ウェディングドレス風のセラフィックアイドルにう、阿形さんと裕奈ちゃんは天使コスプレ、ヒナちゃんは阿形さんの周囲に漂う何か良く分からんキリタンポ姿である。

 

 そこに時折オペラ座のファントムやホウオウ、水色の肌の女の子みたいな大天使:ハニエルや女神:アリアンロッドの幻影が顔を出してわちゃわちゃやっている。

 

「えーっと、警備系のお仕事ご苦労様です?」

 

「分かってくれたっすか……」

 

 組織に属して仕事するのも大変だねぇ。いや、オレらも設定上は時間城やハチマン神社に所属してたり縁があったりするはずなんだけどさ。ちおちゃん、かなり真面目に仕事してるんだなって。

 

「え、えーと次は……カード屋さんですね」

 

 カード屋さんか。いいのあるといいが。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「耐性カードは買い、買いです!」

 

 ウライチ侮ってた。無効や反射吸収は無かったが、耐性レベルならいくつかあった。みる子の弱点消しに電撃耐性カードを、オレに闇耐性カードを、ヒナちゃんに火炎耐性カードをそれぞれ買って使用。これだけでも結構な強化になったと思う。

 

 カード屋の次は……悪魔市場?

 

「廃棄COMPから見つかった元仲魔とか、色々あってサマナーと別れた悪魔が一時的にハチマン神社仮所属になって悪魔交渉を平和的に行う場所っすね」

 

 ふーん。粗末だけど広い社務所の中にサマナーと悪魔の集団が1、2、3。どう見ても社務所には収まらないような広い部屋で、悪魔市場は開催されていた。

 

 個別に悪魔を交換する者、悪魔側から交渉を持ちかけられる者、まるでオークションのようにハチマン神社所属の神職がサマナー集団の前で声を張り上げている所もある。これはちょっと説明が欲しい所だな。

 

「あ、説明いるっすか?」

 

 ちおちゃん頼む。

 

「まずあそこのオークションみたいなとこは、あそこの……机の上にあるCOMPの売買っすね。まずお高めの値段で即決未開封で買うかどうか、意思確認してるとこっす」

 

 なるほど。異界に落ちていた詳細不明のCOMP……どう考えても危険だが、ハチマン神社の信用の上で今、ウライチの最中なら価値は跳ね上がる。今なら何かあってもハチマン神社が対応してくれるからね。

 

「それで……あちらは悪魔のトレードやってますね。悪魔全書とかデビオクや依頼を介しての取引もあるんですけど、あれって全国・全世界の上限価格になっちゃうんで……そこ注意っすね」

 

 ああうん、お高かったから使ってねえな……オレらというかミミカも阿形さんも悪魔売ったりはしたくない派だし。

 

「あとは……あれは何だ?」

 

 悪魔達が集まってる場所があるな。

 

「ああ、あそこらへんはみんな交渉待ちの悪魔っすね。良さそうなのがいたら行ってみたらどうっすか?」

 

 勧められたミミカと阿形さんが、悪魔達のたむろする一角に向かう。大丈夫かな……。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 結論から言うと、ちゃんと出来た。阿形さんが新たに2体の悪魔、神樹:オシラサマと地霊:ツチグモを仲魔にして、ミミカは何と秘神:カンバリを仲魔にすることが出来た。

 

(素材だな)

 

(合体用だな)

 

(適当な所で合体させる気だな)

 

 それを口に出さない程度の分別は、オレらにもあった。

 

「上手く行って良かったっすね。最後に競売でも見ときます?あんま時間に余裕ないっすけど」

 

「競売?」

 

 ちおちゃんによると、境内の西の端っこに競売会場があるらしい。業界人がそれぞれ捨て値で売るには惜しいけど使わないものとかあるいは下手な所で売れないようなもの、高値がつきそうなものを持ち寄って売る場所である。ただしかなり簡略化されたもので、見張り警備員がいるだけで競売形式は紙片に名前と希望額を書いて競売用の箱に入れて開封時間を待つという何とも地味で静かな競売である。

 

 あと30分で終了ということなので長々と見る時間もないし出品する時間も無いな。オレとイッチがアナライズデータを使って目星をつけるしかないか。適当に欲しいアイテム全部に希望額を出すくらいは出来るだろう。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 オレとイッチで会場を回った結果、全部で12の装備やアイテムに目星をつけて希望額を投入したが、実際手に入ったのは7つだった。いや、上手くやった方なんじゃないかこれは。

 

 ミミカの武器になる「ビームホイール」と、スガルの腕につける「Aマックスアーム」にアクセサリーの「暴走王の証」、阿形さんの武器の「プラズナーソード」に足防具の「エンジェルレッグ」、あとは裕奈ちゃん武器の「魔浄扇」、SP全回復アイテムの「ソウルフード」といった所だ。

 

「ところで阿形さん、どんどん見た目天使になって行くのはやめないんですか?」

 

「ええ、当然ですわ。金髪ドリル眼鏡の天使コスプレ美少女になれるのであればなるでしょう!?」

 

 くっ、否定出来ない。オレのセラフィックアイドルにうも正直似たような性癖の産物であるのは認めざるをえない。

 

「ぼくたちは、天使だった」

 

 ミミカ……ここぞとばかりにどっかのゲームで聞いたようなセリフを引用しやがって。

 

 その後、そろそろ娘と名乗るには厳しくなって来たがギリいける金髪ドリル眼鏡の天使コスプレ美少女は素晴らしいという妥協点でオレらは一致した。いつも通り2台の軽自動車に乗り込み、今日はスガルのトラスタルトだけでの帰還を試す。いつ見てもこの、黒い光が湧き出して魔法陣を描くのは派手派手でいいな。

 

「あっ、わわっ!?」

 

 裕奈ちゃんはちょっとビビッている。ヒナちゃんの方は明るかったからな。

 

 転移するのが軽自動車2台にはなったが特に変わることはなく、オレらはいつも通りのオレの家の駐車場に帰還するのだった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「おーおー、よー帰った」

 

 帰りついたオレ達を、オレの祖父母達は大歓迎である。早起きの祖父母には少し遅い時間だろうに、相当嬉しいのだろうな。オレが悪魔になって表も裏も後継者なしになるかと思ってたら、それを一緒にやってあわよくば受け継いでくれるかも知れない若い娘が何人も家に居つくようになってくれたんだから。

 

「お前も世が世ならそこの宇佐野さんのとこの子に仕えていたかも知れんぞ?まあ、今でももう仕えとるようなもんか……」

 

「え、よく知らないんだけどそんな感じなの?」

 

 爺さんの発言にミミカ自身が問いかける。

 

 爺さんによると、戦後すぐの占領軍の時代にこの街の「裏」を仕切っていた神社勢力が「表」の軍に協力したという理由で弾圧を受け、占領軍から「裏」を任されたメシア教とのギリギリの交渉と小競り合いの結果、この街でのオオトリ神社……オレの家の勢力と烏兎神社……ミミカの家の勢力が拠点を奪われ、勢力としては廃業したという。

 

「へーそうなんだー」

 

 当のミミカと……オレもほとんど他人事で、ミミカはイカシートとうめシートを交互に食べるというよく分からん食べ方をしている。

 

 その後もうちょっと突っ込んだ話が聞けないかと思っていたが、爺さん婆さんも深い話は爺さんの親世代に聞いた話で交渉過程とかは実際体験したわけじゃないという。

 

「ミミカの……『あいつ』との会話か何かで情報あったりするか?」

 

「んー、私のガチャで『巫女』とか『チャネラー』が多かったのはそれかな。私の家族はこっちもあっちもオオトリアン・フォースに入れ込んでたから全然参考にならないけど」

 

「ああ、オオトリアン・フォースねえ……スガルの家族も……だな」

 

 みんなのこっちの家族がいれば少しは情報が増えたかも知れんが、ホントに邪魔してくれるなあいつら。

 

「あ、あの、メシア教が関係してるなら、これもハトさんに聞いたらどうでしょう……オオトリアン・フォースの情報も……」

 

 そうか。裕奈ちゃんの提案に頷いた。どうせ明日はハトに会いに行くんだ、聞くのはメシア教が現在持て余して、むしろ奪って!と思ってる異界情報に、オレが異界ボスになるためのやり方、それに昔話とオオトリアン・フォースの情報を足しても、まあ誤差だろう。いやー、何か動き出した気がするな。するだけだが。

 

「一応、時間城の主とハチマン様経由で連絡はしておいて、とりあえず明日ハトに色々聞いて判断しようぜ」

 

 そうだな。何をするにもまず情報、そして最初の一歩から、だな。

 

 




 動き出したと思ったら別に動き出してないなという顔になる


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ウライチの成果と色々 ※リザルトあり

 《審判》か……始まったようだな……。


 いつの間にか夜も更けた。人間組は眠りにつき、オレ達はいつも通りCOMPに戻る。1日の成果を確認するのがいつも楽しみだ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

           装備変更

 

 

    宇佐野 美々加       末吉 為軽

 

 

  剣:ビームホイール(新)    アンクーのかま(新)  

 

  銃:おうごんじゅう       おうごんじゅう

 

  弾:キューピット        キューピット

 

  頭:百七拾八式鉄耳       知恵の輪

 

  体:ニーハイメイド服      スクール水着(スガル)

 

  腕:ラウリンの指輪       Aマックスアーム(新)   

 

  足:ミラージュブーツ      鋼鉄シンデレラ

 

装飾品:ドラゴンチョーカー     暴走王の証(新)

 

マント:堕天使の翼         堕天使の翼

 

 

 

 

    阿形 サリナ        網代 裕奈

 

 

  剣:プラズナーソード(新)   魔浄扇(新)  

 

  銃:アルジャーノン       死神コルト

 

  弾:カーボライナー       カーボライナー

 

  頭:エンジェルリング      エンジェルリング

 

  体:エンジェルウイング     エンジェルウイング

 

  腕:ラウリンの指輪       鳥人の腕輪  

 

  足:エンジェルレッグ(新)   ゴッデスレッグ

 

装飾品:エノク書          仙人バッジ

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第14.1回 ウライチに行った日

 

入手アイテム:禁凝符×20、鎮怪符×20、集魔の水×10、強襲の狼煙×2

      つるつるドロップ×30、かめかめキャンディ×30、ぎんのマニシャ×10

      ヒランヤ×10、ファイナルガード×10、ソウルフード×1

      デクンダジェム×10、デカジャジェム×10、宝玉×8、魔石×10

 

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV38

 

仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効、電撃吸収、闇耐性(新)

    【ゼロッチ/イッチ】LV41

    (サッチ)LV28

    (ゴッチ)LV33

    (ロッチ)LV32

    (エイト)LV20

    (ナイン、テン、イレブン、トゥェニー、にう13)LV4(+3)

    スキル:休む、挑発、まもる、九十九針、スウィートトラップ、怪音波、

    狂乱の歌、テンタラフー、スランパ、スクカジャ、スクンダ

    ザン、ザンマ、マハザン、マハザンマ、ジオンガ、マハジオンガ

    サバトマ、デビルタッチ、松竹梅、コトルディ、ブルトディ、クロズディ

    メタモディ、ボムディ、混乱防御、電撃吸収、《生産の社》(新)

    《闇耐性》(新)、《ペンパトラ》(新)

 

    悪霊:ファントム LV33

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド、クイッカ、憑依、デスタッチ

        マハザンマ、タルンダ

    

    妖鳥:バー LV23 剣耐性、氷結・衝撃・銃弱点

    スキル:ついばみ、介抱、羽ばたき、アギ、マハーガル

        スウィートトラップ、ガルーラ

 

    霊鳥:ホウオウ LV30 魔法小耐性、呪殺弱点

    スキル:タルカジャ、ディアラマ、メディア、リカーム

        アギラオ、ファイアブレス、マハラギ、ローグロウ

 

    邪龍:タラスク LV38 技・氷・電撃・呪殺・破魔・神経・緊縛耐性

    スキル:ファイアブレス、かみつき、どくかみつき、どくひっかき

        カルムディ、ポズムディ、ディアラマ

 

    電霊:【みる子】LV22

    銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効、電撃弱点→無し(新)

    スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙、ギルトアイズ、デスタッチ

        ルナトラップ、リベラマ、リフトマ、パララアイズ

        ペトラアイズ、ヘルズアイズ、テリブルアイズ、《電撃耐性》(新)

 

    国津神:スクナヒコナ LV35 剣・銃・突撃・電撃耐性

    技・氷結・呪殺・神経・魔力・緊縛無効、火炎・破魔・剣技弱点

    スキル:マハンマ、タルカジャ、ペンパトラ、リカーム、バインドボイス

        シシリディ、ポズムディ

 

    妖魔:イソラ LV34 氷耐性、火炎弱点

    スキル:ジオンガ、ディアラマ、みずのかべ、アイスブレス、子守り歌

 

    秘神:カンバリ LV25(新)氷結反射、破魔無効、火炎弱点

    スキル:シャッフ、休む、メパトラ

 

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV42 スキル:からたけ割り

 

ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV36 闇耐性

     スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、マハエイハ、ドルミナー

         ソウルブレイク、トラエスト、トラスタルト、ムド

         ムドオン、マハムド、ムドブースタ、丸かじり、アドバイス

         エイガ、マハエイガ、呪怨ブースタ、《三分の活泉》(新)        

 

     愚者:オセ LV39 物理耐性、風無効、光弱点

     スキル:パワースラッシュ、木っ端微塵斬り、チャージ、ポイズンミスト

         中治癒促進、セルブレイカー、蒼の壁、光からの生還

 

     星:キンナラ LV28

     光・闇・神経・精神耐性、火炎無効、水弱点

     スキル:癒しの調べ、マハラギ、ハマ、アギ、スクンダ、小治癒促進

         プリンパ、ブフーラ、ハピルマ、スクカジャ

 

     星:ナンディ LV42 風無効、光耐性、火炎弱点

     スキル:マハガルーラ、マリンカリン、マハラクカジャ、勝利の息吹

         タルンダ、カウンタ、マハンマ

 

     恋愛:クイーンメイブ LV27 雷無効、火炎・氷結耐性、斬撃弱点

     スキル:ポズムディ、ラクンダ、ラクカジャ

 

 

 

スガルコミュニティ:愚者/LV4 時間城のなかまたち

          恋愛/LV1 網代 裕奈

          隠者/LV2 宇佐野 美々加

          死神/LV1 みる子

          星/ LV4 ゼロッチ

          月/ LV1 瓜生 ヒナ

          審判/LV1(+1)(新)アニマウイングス

 

 

 

【阿形 サリナ】サマナー/ガーディアン使い/聖書型COMP LV36

ガーディアン:精霊:サラマンダーLV28

 

仲魔:珍獣:ホネアリクラゲ【瓜生 ヒナ】LV31(ポリプ)

   水無効、物理耐性、炎弱点→無し(新)

スキル:トラフーリ、トラエスト、トラポート、アクア、アクエス、マハアクア

    マハアクエス、リフトマ、串刺し、ヒステリービンタ、まきつき

    どくばり、まひばり、水の壁、《火炎耐性》(新)

  

   大天使:ハニエル LV36 破魔反射、技耐性・呪殺小耐性

   スキル:マハジオ、マハジオンガ、ハマオン、メディラマ

 

   女神:アリアンロッド LV35

   技反射、破魔無効、呪殺・剣耐性、神経弱点

   スキル:ハンマ、ディアラマ、パララディ、ヒートウェイブ

 

   龍王:ノズチ LV34 物理吸収、魔法弱点

   スキル:ラクカジャ、放電、リベラマ、押し潰し、大暴れ

 

   聖獣:ユニコーン LV20 魔法小耐性、呪殺弱点

   スキル:ハンマ、エストマ、子守り歌、体当たり、ヒールドロップ

 

   天使:エンジェル LV18 魔法小耐性、呪殺弱点

   スキル:ザンマ、ハンマ、メディア、ペンパトラ、小治癒促進

       ハマ成功率UP

 

   地霊:ツチグモ LV27(新)物理小耐性

   スキル:シバブー、ハンマ、エストマ、どくばり、イナズマキック

 

   神樹:オシラサマ LV21(新)破魔・呪殺無効、火炎弱点

   スキル:リカーム、ポズムディ、エストマ、ペトラディ、沈黙のささやき

 

 

【網代 裕奈】ペルソナ使い/降魔 LV33

 

ペルソナ:恋人:ジャックランタン LV28 属性:火炎

     スキル:アギ、スウィートトラップ、マハラギ、不幸のフラダンス

        アギラオ、《悩殺防御》(新)

 

     月:リリム LV21 属性:神経   

     スキル:ポイズマ、スランパ、どくばり、ムド、ザンダイン

 

     恋人:スエノタマナ LV27 属性:神経   

     スキル:ディア、マリンカリン、ハピルマ、キャンディボイス

         バステ成功率UP、ザンダイン

 

 

 

………………………………

 

 

 

 完全に一緒にやることになったので、今回から阿形さん達も一緒にデータ表示している。

 

 全体的に見て、戦力が整って来たって感じだな。これならサマナー・ペルソナ使いの集団として動いても即オワタ!にはならないだろう。多分。

 

 しかし、審判のコミュニティが生まれたのは気になるな。スガルからの聞き取りとアナライズで判明した名称が「アニマウイングス」ということは、この集団で何らかの事件を乗り切る事になるのだろう。スガルの「ワイルド」が答えを出せるような感じで。

 

「ゼロッチー」

「うわっ、びっくりした。何だエーゼロたちか……」

 

 Aナンバーズ……先に作ったはいいけどしばらくリクエストがなくてまだ太閤異界に待機してたんだよな。下手にLV上げも出来ないしLVは1のままだ。ちなみに3人全部邪教の館のオヤジネットワークの紹介から派遣先を選んだ。……オレの配信とつぶやきくらいでしか宣伝してなかったし正直オレ怪しいし、それはまぁ、妥当か。

 

「ついに旅立ちの時が来ました……オレは『県庁所在地』でこの県を支える『京葉メシアン』という方の所に行きます」

「オレは警視庁第1マシン部隊だって」

「オレは警視庁第2マシン部隊……ちょっと2人警視庁はバランス悪くない?」

 

 それはそうなんだけど、今特にまともに動いてそうな業界人と組織でリクエスト先から選んだらそうなってた。バランス悪いのは自覚してるので次はもしあったらメガテニストかアルカナあたりかな。そこは来なかったらこっちから売り込みかけてもいいかなって思ってるくらい。一番困ってそうで頑張ってる所、邪教の館ネットワークで信頼性の高い所基準でも選別かけてもらったけど、この3人の派遣先だとバランス悪いしね。

 

 さて……3人を見送って、あちらは今日からレベルアップの日々を始めるのだろう。オレはオレで、セラフィックアイドルにうの活動をやらないとな。登録者数は現在9887人、どうも1万人に届かずこのあたりの数字を行ったり来たりしている。

 

 流石に今のてきとーな配信じゃこれが限界なんだろうか?まあ、悪魔OKなサイトってDDS系列、業界人御用達の場所だけだから仕方ないんだけど。

 

 オレ悪魔だけど一般サイトで配信しちゃダメかな?ダメだよな……。流石にそれは討伐案件になるらしいからな。

 

 配信をメインでやってるのは今はヨッチだが、今日は何をやるんだ?

 

「今日は大冒険コロンブスの奇跡耐久配信ですね……」

 

「うわキッツ」

 

 おっと思わずディスが漏れてしまった。何か面白そうならオレも参加しようかと思っていたが、これ1人用だしクソ……個性的なゲームなのでやりたくない。いや、後で『同期』するんだからその苦行体験はオレも共有しちゃうんだよな……仕方ないね。

 

「それで……新入りの方はどうだ?」

 

 太閤異界の中で初期レベリングしてもらったナイン、テンコ、イレブン、トゥェニー、にう13の5人。レベルが4なのはリザルトで見たが、実態はどうなのか。

 

「いや、オレの想像通り、他の化身と特に変わらないな」

 

 それもそうか。我は我、汝も我で全部オレなんだからな。愚問だったか。

 

「あの5人が育ったら異界ボスを任せたいからな」

 

 今直近で必要なのは『太閤』異界と『電脳酒場』異界だけだが、明日のハトの話次第ではさらに異界を手に入れることになるかも知れん。

 

「正直……この流れも怪しいといえば怪しいんだけどな」

 

 どうしても『原作』のイメージが強すぎて、上手く行き過ぎるのを警戒してしまう。裏で何か得体の知れない邪悪な奴らが蠢いているんじゃないか、と疑いたくなってしまう。

 

「まあ、何か蠢いてるのは当然っていうか、それは多分オレらを転生させた悪魔達なんだろうけどさ」

 

 十中八九はそうだろう。悪魔が何かするってーと、ゲームなら世界を揺るがす大事件になる所だが、しかし。

 

「今回その悪魔達が事件を収める側だと思っていいだろう。収める側がオレ達に求めることは?」

「いわゆる生物学におけるニッチを満たす的な?」

「消したり無力化した罪人の埋め草になれって?」

 

 オレ達が順調に生きて成長し続けていられるのも、悪党が無力で弱いのも、対立して時間やリソースを浪費したりする展開が無いのも、そういうことなんだろう。いつものメガテン・ペルソナで描かれるようなRPG物語のメインは既に終わり、収束し、残すは後日談の部分だけなのだ。多分。

 

「四文字やロウ勢力が有能で善性なら事件は起こらない、ってことだな」

 

 少なくともオレ達が出会った『ハト』は、自らの教えに固執せず、神の頂から天使を動かすに留まらず自ら『ハト』を遣わし、神を敬わない異教徒たるオレらにも配慮して接するほどに腰が低かった。

 

「メガテンのアレを知ってると同じ存在とは思えないんだが?」

 

「いやまあアレはアレで一面ではあるんだろうさ。ただの賢者モードみたいなもんかも知れんけど」

 

 何にせよ、オレ達が上手く行ってる間はその流れに乗らない理由はない。この世界で正しく(?)実力をつけられるのに、杞憂で躊躇してるなんて後で馬鹿を見そうだからな。

 

 オレは今日は『電脳酒場』の方でスリープモードになって、明日を夢見た。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 起きたら『フォトンショット』のスキルが身についていた。敵全体をCARD化するスキルだ。何が起きたのか分からなかったが、どうやらずっと配信・動画作成・スクリーンショット撮影・たまにリアル空間でも画像素材の撮影をしていたニッチが、空間をマグネタイトでなんちゃらして閉じ込めてスナップショット化する技術を身につけていたらしい。

 

 アギ系を使えるスガルや裕奈ちゃん、仲魔達とカード化×火炎の連携が出来る。これでオレも転生したらやりたいこと上位ランクのロマン技の使い手だぜ!

 

 今日の予定は、メシア廃教会でハトとお話タイムだ。一応異界なのでちょっと稼ごうと思えば稼げるが、例の5人のオレの化身のレベリングをちょっとやるくらいでとどめておこうと思う。オレらじゃもうここの適正レベル外れてるしな。

 

「じゃあ、エストマを使ってしまいましょうか」

 

 外の堕天使達で5人の化身のレベリングを行った後、阿形さんの仲魔のユニコーンのエストマで敵の出現が抑え込まれる。このメシア廃教会だとボス以外出て来ないだろうな。

 

「ハトに何聞くんだっけ?」

 

「簡単に言うと、奪ってもいい異界情報でしたか?」

 

「そうだな、それと異界ボスってどうやるのとか、オレ達がこの先生き残るにはとか、オオトリアン・フォース関係もあったな」

 

「あ、佐部利メシア教会が今どうなってるのか聞けたらありがたいです」

 

 聞きたいこと色々あるなぁ。どこまで教えてくれるのかは分からんけどな。エストマが効いて、オレ達は特に何事もなくハトのもとにたどりついた。

 

 今日は天から降臨したりしないでフツーに礼拝堂にいるようだな。繰り返されるとありがたみが薄れるってのは分かるが、光るハトだけがいるってのもなかなかシュールな光景だな。

 

《来たか。彼の者達から話は聞いている。答えられる事なら何でも答えよう》

 

 やはり色々知っているようだ。いや、そりゃそうか。色々当事者でもあるしな。

 

「それじゃ、聞けるとこは聞いておこうか」

 




 カード火炎コンボは「ハマムドで良くない?」って言われてもやる。それはもうやる。


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はじめての異界乗っ取り

 主人公達以外も色々動いてるんだなって


 ハトの答えは、大体オレの予想通りだった。まず現在のメシア教の手に余る異界の位置と情報だが、この街周辺で3つあるという。

 

 ひとつはここ『メシア廃教会』と、あの『佐部利メシア教会』と、街南東部の『吊浜』異界の更に沖にある小島、舟方島付近の海中にある海底洞窟の『舟方島異界』というのがあるらしい。

 

 その3ヶ所は、占領軍時代にこの地の神社勢力から奪われた霊地……マグネタイト産出地でもあるとか。オオトリ神社と烏兎神社か?奪い返したら爺さん達が喜ぶかも知れんな。

 

 あと遠方の異界情報の方も何ヶ所か教えてもらったが、まず行くとしても近所の3つの異界からだな。……舟方島異界はどう行ったらいいのか検討もつかない。ダイビングでバトルとか無理でしょ。

 

 佐部利メシア教会についてはちょっと詳細情報もあった。実行犯はやはりというかなんというかリアルからの転生者で、「夜」を支配する悪魔ニュクスの「ペルソナ使い兼チャネラー」であるらしい。「死」じゃなくて「夜」、つまり一般悪魔の方のニュクスなんだな?それならまあどうにかなるか……?

 

 その犯人さん、本人も色々危機感が強すぎたのか、それとも何か事情でもあったのか、とにかく凄い異界を!強いボスを!と、メシア教会を異界化した勢いのまま初期マグネタイトに加えて佐部利メシア教会にあったマグネタイトもをつぎ込みまくって強化改造しまくり、異界は縦に伸びまくって夜に特化した塔、タルタロスに似せたランダム階層263階建てのタワーになり、ボスは一点集中で「全能のバランサー」になってしまったらしい。勝てるか!

 

 だが、この塔の雑魚シャドウと全能のバランサーについてはどうにかする手立てがあるので何とかなるだろうとのこと。電霊の異界構築スキルをもってして、警視庁第2マシン部隊と協力する作戦だとか。あの人らレベル50~60台の戦力6人だし、それならまあ?

 

 そしてオオトリアン・フォースだが、既に警視庁が『メガテニスト』や『アルカナ』のリアル転生者達と連携して動いているとかいう話だ。

 

 オオトリアン・フォースはこちらの世界でもほぼ一般人面した裏の集団として悪行を重ねており、リアル世界の方ではもちろん呪いの誘導役、ゴースト憑依、ガーディアン候補選定、全てを破滅に導いた神霊召喚工作など全ての面において実働隊のような役目を果たした。

 

 当然、罪の大きい幹部は天罰によって消えるか無力化しているが、本当に騙されていた一般信者や被害者達も含めてレベル的には大体一桁が精一杯、最高レベルの「指導者」でもレベル12であるというので戦力という意味では現状お話にもならないという。

 

 そいつは良かった!(良かった探し)。

 

 最後に異界のボスについてだが、オレは既に異界の運営のやり方を身につけてはいるらしい。

 

 まあ太閤異界とか作ったもんな。サイバー空間での運営は既に完璧で、あとはその電子操作技術を実空間……マグネタイト操作に流用して慣らして行けばいいとか。ちなみにゲームを参考にして異界作ります!なんてのもフツーはそう簡単に出来ないとか。知らなかったそんなの。だって簡単に出来たし。でも実空間の方はやっぱちょっと難しいんだよな。これは消費気にせずやるか、慣れるしかないか。

 

《これで今の質問には全て答えた。ここからはぜひ受けてもらいたい依頼の話だ。そろそろメシアの子らも疲れが溜まって来ていて、管理している異界がいくつか管理放棄の状態にあるのだ。これは例の事件によって我が力が増大しすぎ我が影響を受ける異界が増えた事と、その逆に罰を下したことによりメシアンの数が減っている影響で、我が不徳の致す所ではあるが、だからと言って見ない振りをするわけにはいかぬ》

 

 え、この神が自分の失敗を認めるとか相当だぞ、これもしかして状況は結構やばいのでは?

 

《警視庁の第2ロボット転生者部隊と連携し、この近辺の異界『佐部利メシア教会』を頂点とする現状『メシア管理放棄地』となっている異界を攻略して欲しい。受けてくれるならその際に時間城で『盛運の社』その他の作戦に利用するスキルカードを授ける。これは本来1体の悪魔に1つの類のスキルのはずだが、化身能力で悪魔召喚プログラムすら欺ける者なら好き勝手に共有出来るだろう。能力を活用して好きなタイミングで警視庁第2ロボット部隊と接触して依頼を受けてくれ。頼むぞ……》

 

 光るハトはそう言い残すと天に昇って行った。……思ってたより現状が危機的状況にあることが分かった。話を聞きにきておいて良かったかも知れない。知らずに地雷爆発してたら目も当てられない。いやーしかしオレらの評価高いなー期待されてるなーそう言われると頑張っちゃうしかないなー。端末から確認すると、ちゃんと時間城経由で依頼も出されている。ええと、何々……。

 

 作戦を実行するのに使う『盛運の社』『混沌の闇』『電脳空間転移』に加えて、メシア廃教会確保で『知識の泉』カード、舟方島確保で『回復の泉』カード、『佐部利メシア教会』確保で『神光のカード』がもらえるとか。おお、これは異界確保するしかないな?

 

 ただ、これらの一連のスキル、今回依頼で貰ったカードと『生産の社』は、残念ながらサイバー空間限定のスキルだとも書いてあった。まあ実体空間でも使えたら強すぎるからね……電霊のオレならそれでもかなり活用出来るけどな!オレスゲー。

 

「この後どうする?まだ昼だけど」

 

「とりあえず異界確保の依頼は受けていいんじゃない?期限ないし。このメシア廃教会ももう確保しちゃうか?端末は一応用意して来たし」

 

 こんなこともあろうかと、みんなの古いスマホCOMPを計3台充電して持って来ていたのだ。

 

 古いし回線契約はしてないのでオレみたいな電霊かスーパーハカーでもないと役には立たせられないが、オレならこれを端末として扱って出入り出来る。中のサイバー空間も広げてそちら経由でも強化したい所だが、今はオレが異界ボスになれるだけでもよしとしよう。

 

 ハトとオレらの会話を静かに聞いてくれていた、現ボスのアークエンジェルさんとも話し合って。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 アークエンジェルさんとの話し合いの結果、オレの化身の1人、ロッチが暫定的にこのメシア廃教会のボスとなった。アークエンジェルさんと種族が違うからか、出現する悪魔も変わったようだ。ハトはいなくなるわけじゃないっぽいので、天使と堕天使は少しは残るかも知れんが。

 

 名称も、メシア廃教会から『教会跡』に変わった。メシア教っぽくなくなったからかな?

 

 実際どんな悪魔が湧くようになるのかと思ったら、ピクシーからバンシー、エルフまで妖精の女の子、各種鬼女と、天使:エンジェル、魔獣:ネコマタさん、夜魔:リリムに妖魔:アプサラスと、何とマシン:クグツが出現し始めたようだ。最後のこいつは明らかにオレの影響ですね……なぜか美少女フィギュアだし。

 

「女の子悪魔ばっかりなのはお前の影響か?」

 

「これが分からない」

 

 いや、妖精メインで種族がバラけてるのは合体を考えたらいいんだけどさ。あとマシン:クグツは仲魔にならない奴だった。残念。

 

 やる事は終えたし、今日の所はもう帰ろう。

 

「あ、私と阿形さんはちょっと仲魔集めしたいから残るね。あとヒナちゃんも。スガルとゼロッチはゼロッチの車で先に帰っててよ」

 

 む、ボス交代したばっかだしオレはまだいてもいいんだが……ロッチが残ってればいいか。

 

「そっか。じゃあトラスタルトで一旦帰って、スーパーハマオンで色々買ってあとはゲームでもやるか」

 

 そういうことになった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 いつものオレの家、はなれの方のレトロゲームと漫画で溢れかえった部屋に響き渡る爆発音。オレとスガルの、初代アマコー対戦の音である。

 

「グレネードポンポン当ててんじゃねー!チートか!」

 

「チートじゃないですー腕前ですー。スガルこそピョンピョン跳ねるのやめてもらっていいですか?」

 

「うるせー止まったら当たるだろ!」

 

 キャタピラ重装備のオレに対して軽量逆間接でピョンピョン跳ね回るスガルの機体。

 

「重装甲の癖にわりと動けるデブみたいな曲芸しやがって……」

 

「デブとか言うな。跳ね回るだけではなあっ!」

 

「ぬわー!」

 

 これで勝ち越しの3勝2敗。腕前は拮抗しているようだ。

 

「なあ、ゼロッチ」

 

「ん?」

 

「オオトリアン・フォースのことだけどさ」

 

 アマコー対戦を続けながら、スガルは語り出した。

 

「あの時間城の主とかハチマン様とかにも色々思惑はあるんだろうけどさ。スガルは感謝してるんだ。こうして機会を与えてくれた事にさ」

 

 スガルの被害は、オレらの中ではなんというか一番直接的というか奴らに囚われたものだった。

 

 まず母親が七人同行の被害で亡くなる。その呪いは高熱を出して寝込んでそのまま……という現象で現れ、発端となって奴らの凶事を引き付けやすくなった。次いで父親の会社が奴らに乗っ取られ、業務上で強制された研修の後に別人のようになった父親……洗脳か憑依かは分からないが、この状態はオレのリアルの母親と似てるな。

 

 リアルのオレには祖父母の家という逃げ場所があったが、スガルの祖父母世代はもういなかったのでその時のスガルは友人を頼って逃げようとした。しかしその友人は既に『父親』と繋がっており、奴らの拠点に『連れ戻された』スガルはもういい年なのにしつけと称して虐待を受け、世界が止まった「あの日」まで再教育という名の強制労働に借り出されていたという。

 

「絶対に許さねぇ……あいつら、スガル達の世界を植民地気取りで……スガルの親父の口を借りて『われらに奉仕し罪払いが出来ることに感謝しなさい』とか言わせやがった!お前だって似たようなもんだろ、ゼロッチ!」

 

「ああ……そうだな」

 

 オレだって奴らに対して許せない感情がある。

 

 どこまでがオオトリアン・フォースの罪なのかは分からないが、一連の事件では組織の枠を越えて、悪党どもは大きな事件を起こした。一繋がりの、世界を終わらせる大災害を引き起こしている。その罪も組織どころか、世界すらも越えて広がってしまった。

 

「こういう集団での犯罪ってさ、十把ひとからげに全員悪いとか、罪を拡散させて一人一人はそれほど悪くないってしがちだけどさ。そうじゃないよな」

 

 こんな形の事件の場合、組織を潰しても中身は潰す間に逃げる。しかし個人個人で対処してたら、その間に組織として個人を切り捨てて逃げたりもする。四文字神が天罰を下すまで事件を止められなかった、こちらの世界の人の苦労も良く分かる。まあそれもオレの想像でしかないけどな。

 

 そして……天罰で一掃されて消えるはずの奴らが生き残っている、その意味とは何か。

 

「何だと思う?」

 

「何でって……スガル達にとっておいてくれたんじゃないか?」

 

 とっておき、オレ達の養分、ああそうだろう。何より、ただ『消されました』じゃ得られないものもある。

 

「因果には報いが、罪には罰が必要だよな?」

 

 

 

………………………………

 

 

 

 日が暮れると、ミミカ達が帰ってきた。2人とも何体かの悪魔を仲魔にしたという。ちゃんと仲魔に出来るようになったじゃねえか、ミミカぁ……。

 

「むきゅむきゅ……」

 

 そのミミカは棒状のようかんを全部むいて手づかみで食べるという信じられない暴挙に出た。その上それを果糖ぶどう糖液糖まみれのグレープジュースで流し込んでいる。見てるだけで胸焼けしそうだ。

 

「明日どうする?むっちゃむっちゃ……」

 

 こいつ……何事もないかのように……。

 

「そうだな、異界乗っ取りは出来そうな事が分かったし、即あの神の依頼を受けても良さそうだが、この依頼詳細……ほら」

 

「ん……ああ、佐部利メシア教会の異界攻略の際には、警視庁第2マシン部隊と連携し……ってこれか。『盛運の社』を利用した作戦、ああ、なるほど」

 

「はっきり言って正面から行けば全能のバランサーなんて勝てるわけないけど、これなら行けるだろ」

 

 全能のバランサーはバランサーの例に漏れず十字架の形をしたでかいシャドウで、レベルは何と「72」である。ダイン級の各種全体魔法にマハンマオン・マハムドオン、メギドラにメギドラオンと、完全に「ぼくのかんがえた最強魔法シャドウ」である。

 

 作戦は……『盛運の社』で異界全体のマグネタイトを奪い、『混沌の闇』で味方を隠し、『電脳空間転移』で全能のバランサーの最後を見計らって転移し上に進むのだ……。なるほど。上にはもう強過ぎるのはいないらしい。偵察で分かってるとか。偵察?

 

 この『混沌の闇』ってのは味方を隠して移動出来るスキルで、『電脳空間転移』ってのはサイバー空間を自由に転移出来るスキル。これは全部依頼を受けたら時間城の主がカードを渡すと。

 

「この一連のスキルは一応試しておきたいから、オレの化身、サッチあたりに依頼を受けるついでに取りに行ってもらって、そのまま慣らしもやってもらって、その間にオレらは地蔵尊稼ぎを集魔の水も使って集中的にやっておこう」

 

「地蔵尊か。あの感触だと安定はしそうだけど、その上のレベルの『喪神山』じゃダメなのか?」

 

「いや、喪神山はちょっと耐性が面倒な敵が多いんで微妙だと思う。攻撃パターンもバラけてるし、パターン化がハマった地蔵尊と比べると、レベル差を考えてもイマイチってとこだな」

 

 ほぼ物理対策で行ける地蔵尊は、稼ぎ場としてはこの上なく優秀だ。レベル的に適正の業界人には人気の異界だというのも分かる。

 

「稼ぎの時ですわね。それにしても、警視庁?県警ではなく?」

 

「あー、そうだな。東京からサイバー空間に強いのを呼んだらこうなったんだろうけど、あそこマシン部隊だしちょっと専門外っぽい感じはあるな。だから……まあまだ化身顔合わせしただけレベルのオレなんかにもお鉢が回って来たんだろうけど」

 

 オレの化身が2人行ってるが……まあ、メカメカしいヒーロー部隊の第1、ヒロイン部隊(だが同志である)の第2って感じだった。レベルは流石にオレらより高い。

 

「しかし警視庁のマシン部隊ねぇ。そのまま真1のメカメカしいのでいいのかな?マシンタケルさん基準にすると結構見た目は人間寄りにはなってるっぽいけど、見た目、つまり対外評価を気にするようになったと思いたいな。性格的にガチガチの警察っぽいのが来たら上手くやって行ける自信ないよ私」

 

「安心しろ、スガルもだ」

 

「ぼ、ボクも……」

 

「わたしも……」

 

 お、お前ら……何てダメ、いやある意味頼もしい奴らなんだ!感動した!

 

「いや、そこまで……そこまでひどい事にはならないと思いますわよ?業界人割引みたいなことはやはりありますから……」

 

 業界人割引。あっふーん。やっぱ悪魔業界人ってアレなんだ。

 

「悪魔よりは話の分かる、悪魔よりは交渉しやすい人材、が一般側の事情通から見た悪魔業界人の評価ですわ。騙さない、出来ない約束をしない、暴力に訴えないがきちんと揃っていればかなり高水準の『話の分かる交渉役』らしいですわ」

 

 今初めて知る悪魔業界人のヤバさ。まあ、『いなくなった』アレな人たちも含めての評価ではあるんだろうけど。悪魔に対しては騙されるのが悪いし力こそパワーだからね。密接に関わる悪魔業界人がある程度染まってるのはまあ、仕方ないよね。

 

「にしても……佐部利メシア教会の作戦に参加出来るのは電霊やマシン、ハッカー、少数の人間、ってのは分かるとして、『必要条件:死、冥界、月、宇宙』ってのは何なんだろうな」

 

「タルタロスの偽者っぽいから何かそれっぽいのが出てくる想定があるんじゃない?」

 

「いやそれはスガルとみる子で大丈夫っぽいぞ。行けそうだからオレもこんな高レベル敵ありの共同作戦みたいなの受けたんだし」

 

 正直、何もせずに誰かが解決してくれるなら絶対受けたくない依頼だし後回しにするんだけど、時間城の主が「生産の社」とかいう拠点系スキルを見せて来て、ハトもそれと同じく拠点系スキルを渡して来てまでこの依頼を推してくるってことはアレだ、そろそろやばいから手を出せってことだ、勘だけど。オレはオレの判断と運のステータスを信じる!

 

「スガル、どうした?」

 

 スガルが虚空を見つめて固まっている。

 

「星コミュ……ゼロッチコミュがレベル5になった。一番乗りだな!」

 

 今かよ、そしてオレが一番かよ!リザルトで見えてたからレベル4なのは知ってたけどさ。

 

「あんま気にしない方がいいぞー、スガルのペルソナ管理してるのってイゴさんじゃなくて時間城の主だからなー?」

 

 そうだった。いや、転生者のペルソナ使いが大量に流入したから当然なんだけど、どうもペルソナを管理してるマインドマンサーも大量に増えてるらしいんだよな。あの形式でやってたら大人数を管理するなんて出来なさそうだし当然っちゃ当然なんだが。

 

 なんかネット上ではフィレモンらしきヤツの名がちょくちょく出てるし、あいつ今回はどうも積極的に関与してるっぽいな?

 

「しっかしゲームのイゴさんがいかにサービスいいのか理解したぜ……合体キャンセル出来ねぇし全書ねぇし……合体事故はないって言ってたけど」

 

「あ、合体事故はカメンヒジリさんもそこらへんは出来ないって言ってました。ない、じゃなくて出来ないって」

 

 まあカメンヒジリさんは人間だし限界があるのは分かる。時間城の主は……まあ色々あるんだろう。そういうことにしておけば腹も立たない。……怒ってないよ?

 

「しかし、手強そうな依頼なのにワタクシ達が参加出来なさそうなのはもどかしいですわね。ヴァーチャル・バトラーでしたか?」

 

 そうなんだよな。警視庁から虎の子の「ヴァーチャル・バトラー」を運んで、人間でもサイバー空間での当作戦に参加可能って話なんだよな。だから人間枠はオレのサマナーのミミカと、必要条件の冥界の女神の初期ペルソナを持ったスガルで埋まってしまうだろう。そんなの数あるとは思えないし。

 

「とにかく明日は地蔵尊でレベル上げ、サッチは時間城で依頼受けて……作戦的に『盛運の社』は絶対、他も使いこなせなきゃいけないし、ダークだと構築の方が遅くなるっぽいから人海戦術でやらないとな。サッチはそのまま化身何人かとスキル習熟かな」

 

 まあ、オレの先見の明のお陰で、オレの先見の明のお陰で!オレは既に警視庁に化身を派遣していて、警視庁第2マシン部隊には、メガテン・ペルソナみたいな邪悪なヤツは出てこないって分かってるのは救いではある。

 

 夜もふけて来たのでミミカ達に別れを告げ、デスクトップCOMPの中に戻る。まず化身達との同期でスキルや情報を共有し、夜配信をするという使命がある。

 

「今日は何するのー?ゼロッチ」

 

 まーたヨッチは何も考えずにもー。

 

「しょーがねーなあ。じゃあそうだな、みんなで答えるワン福でもやるか。とにかくオレ達多人数でクイズに答えて、リスナーのコメントも参考にしますみたいなヤツ」

「やはり天才か……さすオレ」

「あまり褒めるな……照れるぜ」

 

 その時はこれで配信も上手く行くと思っていて、実際リスナーの受けも良かったのだが、オレらセラフィックアイドルにうの回答は全く同じで多人数の意味がなく、リスナーの答えは多すぎてバラバラで参考にならなかった。クイズゲームの配信にはこういう難しさがあるんだよな。

 

 




 マシン:クグツと言っているがまあ、美少女フィギュアとかねんどろとかである


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再び地蔵尊稼ぎの朝+掲示板回

 意外とこまめでキレイ好きである


 朝。何事もなく迎えるいつもの朝。

 

「さあ、出来ましたわよ?」

 

「わーいハムサラダだー」

 

 朝食を用意したのは阿形さん、アホっぽいと言うか幼児化してたのはミミカである。なぜこんなことになってしまったんだ……。

 

 阿形さんが一番料理上手いから、任せたらあっという間にこうなってた。ちなみに料理以外の家事はオレとオレの化身で分担している。

 

 他のやつら?オレの化身使えば事足りるから……(控えめな表現)。

 

 今日の予定を確認する。今日は地蔵尊で集魔の水も使って稼ぐ予定だ。サッチだけは端末経由で時間城に行き依頼を受けて説明や必須情報を聞いておいてもらう。

 

「よーし、行くかぁ」

 

 2台の軽自動車に乗り込み、地蔵尊に向かう。慣れたものだな。オレは今阿形さんの聖書型COMPに入ってこちらにも小さな異界を作成中。宿泊メインの宿屋で、一階で食事も出来る。

 

 ミミカのアームターミナルの『電脳酒場』と似た感じの異界にする予定。こんな所で格差は出したくないからな。

 

「どのゲーム参考にする?」

「やはりここは有名RPG9か最終幻想系では?」

「宿屋でセーブとか再現出来んか?」

「それは無理な願いだ……」

 

「こっちでNPCが道具整理出来るように預かり所とか作ったりしたら便利なのでは?」

「天才か……天才だったわ。さすがオレ発想が違う」

 

 なんだかんだと化身達と話し合いながら、宿屋を構築する。有名RPG9を大部分参考にしたからか、なんか宝箱やツボや本棚やタンスがやたら多い。

 

 マグネタイトを注いだら、ここからアイテムが出てきたりするのかな?暇な時にでも実験してみよう。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「えーと、これで何戦目だっけ?」

 

「すまんカウントしてなかった、確か20ちょっとだったかな?」

 

「え、電霊でもそんな感じなんですか?」

 

「オレはセラフィックアイドル!にうちゃんだからな、より人に近いのです」

 

「そんなとこは人の要素出さなくてもいいと思うんだけどな……」

 

 いやー、集魔の水がしっかりと仕事してくれてるな。稼ぎがはかどるはかどる。

 

 前衛盾役のタラスクにノズチにアリアンロッド、攻撃の主力はスガルと裕奈ちゃんとヒナちゃん。

 

 特にスガルはペルソナを切り替えつつアンクーのかま・おうごんじゅう・足蹴りも自在に使い分けて大活躍。こいつマジでヒャッハーの才能あるな。

 

「スガルはスーパーウルトラセクシーヒーローだからな!銃と近接武器と移動の使い分けぐらい出来て当然だぜ!」

 

「生涯無敵流ですね、分かります」

 

「鎌だし魔法もあるから結構違う気がするが……まあ本人が満足ならいいことだ」

 

 スガルの戦闘はだいぶびっくり人間ショーになって来てるからなぁ。アンクーのかまで斬りつけて敵の攻撃を空中バレルロールで回避して別の敵を踏み台にして離れつつペルソナでマハムドばら撒くかおうごんじゅうで弾丸ばら撒くかの択とか人間技じゃねーから。

 

「ゼロッチよりはまだ常人の自覚はあるぞ」

 

「そうだね」

 

「あー…」

 

 何だお前らその顔は。そもそもオレは悪魔だし人間離れしてるのはフツーだろうが。

 

「これは自覚なさそうですわね……」

 

「いや、よく自我崩壊とかしないなって」

 

 何のことだ?オレは今日一緒に来た8人の化身と共に首をかしげた。ステータスが運特化なのでスピードは出せないが、スクンダ・スクカジャ・松竹梅・各種攻撃魔法重ねがけ出来るのは我ながらやベーと思うが。そういう意味じゃないんだよな?

 

「天上天下唯我独尊、オレにとって最も尊いオレはオレであるからオレ同士での不具合はありえず、オレにとって最も尊い公式のオレとなった今に至ってはもう自分大好き過ぎるオレとして完成し、永遠に続く今を生きるオレこそがオレでありこの世で最も尊い者である。ハイ論破!」

 

「何か意味不明なこと言い出したぞ」

 

「循環論法で永遠にぐるぐる回ってそう」

 

「ここまでの傲慢の極みはいっそすがすがしいですわね」

 

 むう、やはり人間に悪魔の、いやダークの心は理解出来ないようだな。

 

「今はその時ではない、しかしいつかきっと尊さを共有出来る。オレ信じてるから」

 

「そ、それはべ、別にいいかなって……」

 

「ワシも遠慮したいのう」

 

 まあいい、このまま力をつけて配信とかも頑張れば、きっといつか尊さを共有出来る日が来るだろう。

 

「そのためにも、今は稼がないとな」

 

 オレ達は更に悪魔を求めて、異界をさ迷った。この稼ぎが明日の糧になる、そう信じて。

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 神託スレ 3421

 

 

111:名無しサマナー 19:11

あーマジしんどい、クソ上司がいなくなったのはいいけどこんなん聞いてないって

 

112:京葉メシアン 19:12

応援求む

ドミニオンクラスの異界管理

 

113:名無しサマナー 19:14

京葉メシアンさんはもう諦めてもろて

 

114:名無しサマナー 19:15

俺んとこも上司いなくなって俺が幹部になったわ。

なお、逃れられぬデスマーチ

 

115:名無しサマナー 19:17

主も天罰で人を減らすなら追加の人員を送ってくれても……いや何でもないです

 

116:名無しサマナー 19:20

>115

神託にあった転生者がそれなんじゃない?でもなんかメシア教の評判悪すぎて

「異界奪ってもいいよ!」って話すら受けてもらえないけど。何でや!

 

117:名無しサマナー 19:20

これは神の試練なんだ……俺達皆がメシアなんだ……

 

118:名無しサマナー 19:23

>117

おいしっかりしろ、わりとそれ冗談になってないけど

メシアンだけじゃなくて全ての人の善き心こそが救世であるって神託にあったろ

 

119:名無しサマナー 19:25

>116

そりゃ……オレらは関与してなかったけど

メシア教は彼らの世界を停めちゃったんだし……

 

120:名無しサマナー 19:27

いまだにガイアは混乱中だし政府系は例のアイテムの方で天罰に引っかかりまくって

両方余裕ないのが痛いな……俺らが何言ってもそれで対応出来る組織がないんだもの

 

121:名無しサマナー 19:28

警視庁は積極的に動いてて帝都は何とかなり始めたっぽいけど、何だろう転生者パワーか?

 

122:名無しサマナー 19:32

>121

そりゃ部隊5つ分の高レベル転生者がまとまって動ければ何とかなるでしょ。

ヒーロー、ヒロイン、ビットボール、クグツ使い、搭乗型ロボットだっけ?

 

123:名無しサマナー 19:33

>120

メガテニストとアルカナには期待している

 

124:名無しサマナー 19:34

出来ればリアル世界からの転生者さん達に手助けもしたい所だけど、現状そんな余裕ないし

神託でも「嫌がる者に善意を押し付けるのはダメだぞ」ってぶっとい釘さされてるんだよね

 

125:名無しサマナー 19:35

>122

(だ、ダメだ、今ここでヒロイン部隊の話題を出したら俺がヒロイン部隊推しである事がばれてしまう……)

 

126:名無しサマナー 19:35

しかしいまだに神託がメシアンの集団幻覚扱いのままだとは思わなかったな。

わりとガチで頑張ってるのに

 

127:名無しサマナー 19:37

>126

ヒント:日頃の行い

 

128:名無しサマナー 19:39

>127

それ俺らのせいじゃないっしょ?いなくなった人達のせいでしょ?

メシア教からいなくなれと思ってた人達が実際いなくなるとそりゃデスマしますよね……。

 

129:名無しサマナー 19:39

>125

メカ娘いいよね……。

 

130:名無しサマナー 19:42

>129

いい……。

 

131:名無しサマナー 19:44

うちは新教系の助っ人が来てくれた。表のあっちはあっちで神託があって大変らしいけど

 

132:名無しサマナー 19:45

>131

うちは法皇系の人が来たな。表の方もかなり大きく方針転換するとか何とか。

 

133:名無しサマナー 19:46

何する気だろ、想像もつかない。メシアンって何だかんだ言っても

表裏全体じゃ少数派だしな。

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 フ ィ レ モ ン 168

 

 

444:名無しのペルソナ使い 00:11

フィレモンさんすっかりスタイリッシュになっちゃってまあ

 

445:名無しペルソナ使い 00:12

マインドマンサー増やしてるのフィレモンだよな?スタンス変えたのか?

 

446:名無しペルソナ使い 00:14

最近はちょっと急にマインドマンサー増やしすぎな感ある

フィレがやってるかどうかは分からんけど他は思いつかないのは確か

 

447:名無しペルソナ使い 00:17

>446

最近はなんか毎日つぶやきでつぶやいてるし性質が変わったんじゃないかと疑ってる

 

448:名無しペルソナ使い 00:17

今の出たがりフィレモン嫌いじゃないし好きだよ

 

449:名無しペルソナ使い 00:19

こいつ『アルカナ』と繋がってんのか?言ってること似てるんだけど

心の海とか意識と無意識とか

 

450:名無しペルソナ使い 00:22

>449

いや……お客様かな?フィレモンって何なのか知ってる?

 

451:名無しペルソナ使い 00:24

フィレモンマジフィレモン

 

452:名無しペルソナ使い 00:25

こいつが『アルカナ』のボスか、ちょっと行って来る

 

453:名無しペルソナ使い 00:27

はとこの孫のヒッキーが急に友達作ってバイト始めたと思ったら

実はマインドマンサーになってた

これは良かったと言っていいのか?

 

454:名無しペルソナ使い 00:28

>452

やめとけ

クッソ強いって話だぞフィレモン

……行っちゃったか?

 

455:名無しペルソナ使い 00:29

『アルカナ』のボスというか能力関係というか元締めというか……。

 

456:名無しペルソナ使い 00:30

『アルカナ』の組織としては関係ないわな。

 

457:名無しペルソナ使い 00:31

>453

それは良かった。フィレモンもたまには良いことをする

 

458:名無しペルソナ使い 00:34

>457

たまにしか良いことをしないとかそんな……わりとそうかも知れん。

 

459:名無しペルソナ使い 00:34

何か霞ヶ関でフィレモン見たって話があるんだが

現実世界で何やらやってるのか知らんが

 

460:名無しペルソナ使い 00:36

>459

え、流石に嘘だろ、官公庁に何の用があんだよ

 

461:名無しペルソナ使い 00:37

>459

やめてくれよ……これ以上忙しくなると過労死するってマジで

 

462:名無しペルソナ使い 00:39

>461

メシアン乙

 

463:名無しペルソナ使い 00:42

いや俺も聞いたぞ?

リアル世界じゃなくてメールだけど裏担当に直球で名乗ったって

 

464:名無しペルソナ使い 00:44

賢者ポジで直接は何もしないんじゃなかったのか?

いや慌てるな、まだ確定情報じゃない

 

465:名無しペルソナ使い 00:45

普通に就職活動とかしてたら笑う

 

466:名無しペルソナ使い 00:46

「特技は何ですか?」

「君は名乗る事が出来るかな?」

「???」

 

467:名無しペルソナ使い 00:49

>466

やめろwww

 




 マインドマンサる(動詞)


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地蔵尊2回目:総評 ※リザルトあり

 とりあえずメディラマ使いにするという選択


 オレ達はつつがなく地蔵尊での2回目の稼ぎを終えて、帰りがけにいつものようにスーパーハマオンで色々買って、邪教の館で悪魔合体、時間城とハチマン神社でペルソナ合体も終わらせて、みんな慣れて来たオレの家に舞い戻る。今日はかなりの戦力アップになったな、やっぱある程度のレベルでの集魔の水・リベラマ稼ぎは効率がダンチだわ。

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第15回 地蔵尊2回目

 

マッカ:+36086 マグネタイト:+40531 

アイテム:アンクーのかま×3、ひぎょうさんこ×2、めいどのミヤゲ×3

     くびかりスプーン×2、ソニックブレード×4、こどくざら×4

     みはらしのたま×2、ファイナルガード×4、アギラオストーン×2

     ジオンガストーン×1、宝玉×18、魔石×32

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV46(+8)

 

仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効、電撃吸収、闇耐性

    【ゼロッチ/イッチ】LV48(+7)

    (ゴッチ)LV41(+8)

    (ロッチ)LV40(+8)

    (ナイン、テン、イレブン、トゥェニー、にう13)LV21(+17)

    スキル:休む、挑発、まもる、九十九針、スウィートトラップ、怪音波、

    狂乱の歌、テンタラフー、スランパ、スクカジャ、スクンダ、デビルタッチ

    ザン、ザンマ、マハザン、マハザンマ、ジオンガ、マハジオンガ

    サバトマ、松竹梅、ペンパトラ、コトルディ、ブルトディ、クロズディ

    メタモディ、ボムディ、混乱防御、電撃吸収、生産の社、闇耐性

    フォトンショット(新)、ザンダイン(新)、《混沌の闇》(新)

    《電脳空間転移》(新)、《知識の泉》(新)、《盛運の社》(新)

 

    悪霊:ファントム→ファントムロード(新) LV40(+7)

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド、クイッカ、憑依、デスタッチ

        マハザンマ、タルンダ、マハムド(新)、吸魔(新)

 

    妖魔:イソラ LV37(+3) 氷耐性、火炎弱点

    スキル:ジオンガ、ディアラマ、みずのかべ、アイスブレス、子守り歌

 

    電霊:【みる子】LV34(+12)

    銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効

    スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙、ギルトアイズ、デスタッチ

        ルナトラップ、リベラマ、リフトマ、パララアイズ

        ペトラアイズ、ヘルズアイズ、テリブルアイズ、電撃耐性

        闇討ち(新)、イビルアイ(新)、テトラジャ(新)

 

 

 

               悪魔合体

 

妖精:ダークエルフ LV23

×霊鳥:ホウオウ LV30

×秘神:カンバリ LV25

=女神:サラスヴァティ LV35

 

妖鳥:バー LV27

×妖鬼:ヤクシニー LV38

×国津神:スクナヒコナ LV35

=天津神:オモイカネ LV38

 

魔獣:ネコマタ LV28

×邪龍:タラスク LV44

×夜魔:リリム LV23

=魔王:へカーテ LV42

 

 

   女神:サラスヴァティ LV35(新)破魔・物理耐性

   スキル:マカカジャ、テトラカーン、マカラカーン、メディラマ、ペンパトラ

       リカーム、ディアラマ、ローグロウ

 

   天津神:オモイカネ LV38(新)魔法吸収・バステ無効

   スキル:マハザンマ、マカジャマ、テトラジャ、テトラカーン、ペンパトラ

       タルカジャ、リカーム、マハーガル

 

   魔王:へカーテ LV42(新)魔法反射・物理弱点

   スキル:ムドオン、マカラカーン、サマリカーム、マリンカリン、ネクロマ

       ディアラマ、ポズムディ、カルムディ

 

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV50(+8)

 スキル:からたけ割り、曳光倶利伽羅蹴(新)、極楽往生破(新)

 

ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV42(+6) 闇耐性

     スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、マハエイハ、ドルミナー

         ソウルブレイク、トラエスト、トラスタルト、ムド

         ムドオン、マハムド、ムドブースタ、丸かじり、アドバイス

         エイガ、マハエイガ、呪怨ブースタ、三分の活泉

         マハムドオン(新)、トランパ(新)        

 

     剛毅:ハヌマーン LV37(新)雷・光耐性、風弱点

     スキル:月影、カウンタ、リカーム

 

     死神:ロア LV31(新)雷・闇耐性、光弱点

     スキル:マハムド、吸血、タルンダ

 

 

 

                ペルソナ合体

 

太陽:ヤタガラス LV30

×星:ナンディ LV46

=月:アルラウネ LV42

 

恋愛:クイーンメイブ LV27

×月:ヤマタノオロチ LV34

×愚者:オセ LV39

=星:ナンディ LV42(+3)

 

皇帝:フォルネウス LV7

×星:キンナラ LV28

×節制:ミトラ LV31

=愚者:オセ LV34(+3)

 

 

     月:アルラウネ LV42(新)闇無効、火・氷耐性、風弱点

     スキル:メディラマ、エアジーシャワー、オールド・ワン

         ディアラマ、スクカジャ、タルンダ

 

     星:ナンディ LV42(+3)(新)風無効、光耐性、火炎弱点

     スキル:マハガルーラ、マリンカリン、マハラクカジャ、勝利の息吹

         ガルーラ、ポイズンミスト、ラクンダ

 

     愚者:オセ LV34(+3)(新)風無効、物理耐性、光弱点

     スキル:パワースラッシュ、木っ端微塵斬り、チャージ、ポイズンミスト

         毒成功率UP、突撃、シールボムズ、タルカジャ

 

 

スガルコミュニティ:愚者/LV4 時間城のなかまたち

          恋愛/LV1 網代 裕奈

          隠者/LV2 宇佐野 美々加

          死神/LV1 みる子

          星/ LV5(+1) ゼロッチ

          月/ LV1 瓜生 ヒナ

          審判/LV1 アニマウイングス

 

 

 

【阿形 サリナ】サマナー/ガーディアン使い/聖書型COMP LV45(+9)

ガーディアン:精霊:サラマンダーLV28

 

仲魔:珍獣:ホネアリクラゲ【瓜生 ヒナ】LV40(+9)(ポリプ)

   水無効、物理耐性

スキル:トラフーリ、トラエスト、トラポート、アクア、アクエス、マハアクア

    マハアクエス、リフトマ、串刺し、ヒステリービンタ、まきつき

    どくばり、まひばり、水の壁、火炎耐性、治癒促進中(新)、粘液(新)

  

   大天使:ハニエル LV41(+5) 破魔反射、技耐性・呪殺小耐性

   スキル:マハジオ、マハジオンガ、ハマオン、メディラマ、ディアラハン(新)

 

   女神:アリアンロッド LV42(+7)

   技反射、破魔無効、呪殺・剣耐性、神経弱点

   スキル:ハンマ、ディアラマ、パララディ、ヒートウェイブ

       ザンマ(新)、ジオンガ(新)

 

   龍王:ノズチ LV39(+5) 物理吸収、魔法弱点

   スキル:ラクカジャ、放電、リベラマ、押し潰し、大暴れ、ペトラディ(新)

 

 

 

 

                   悪魔合体

 

 

地霊:ツチグモ LV27

×妖精:バンシー LV25

×妖魔:アプサラス LV21

=幻魔:ナタタイシ LV30

 

天使:エンジェル LV18

×神樹:オシラサマ LV21

=幻魔:イクティニケ LV26

 

天使:エンジェル(別)LV21

×聖獣:ユニコーン LV20

=神獣:ナンディ LV25

 

幻魔:イクティニケ LV26

×神獣:ナンディ LV25

=大天使:ラミエル LV29

 

 

 

   幻魔:ナタタイシ LV30(新)破魔反射、呪殺弱点

   スキル:ソニックブーム、デカジャ、回し蹴り、ミサイルパンチ

       奥義マモリヤブリ、ハンマ

 

   大天使:ラミエル LV29(新)破魔反射、技耐性、呪殺小耐性

   スキル:アギラオ、ハンマ、マハンマ、ペンパトラ、はばたき

       リカームドラ、カルムディ、ポズムディ

 

 

 

【網代 裕奈】ペルソナ使い/降魔 LV40(+7)

 

ペルソナ:恋人:ジャックランタン LV28 属性:火炎

     スキル:アギ、スウィートトラップ、マハラギ、不幸のフラダンス

         アギラオ、悩殺防御、ファイアブレス(新)

         マハラクカジャ(新)

 

     月:リリム LV21 属性:神経   

     スキル:ポイズマ、スランパ、どくばり、ムド、ザンダイン

         キャンディボイス(新)、シシリッカ(新)

 

     恋人:スエノタマナ LV27 属性:神経   

     スキル:ディア、マリンカリン、ハピルマ、キャンディボイス

         バステ成功率UP、ザンダイン、投げキッス(新)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 ここまで来たのかって感じだな。オレはLV48、ミミカのLV46を上回っているが……いつからだこれ?

 

 まあ悪魔召喚プログラムで従ってるわけじゃないし問題はないだろう、多分。

 

 スキルはハトと時間城の主から入手した、構築系?を中心とした依頼と異界用のスキルをいくつかと、ニッチがいつの間にか身につけてたフォトンショット、自然に生えて来たザンダイン。ついにダイン系まで来たか。

 

 魔力や知恵が低いからオレの魔法ってランクほどの威力は出ないんだけどね。

 

 ミミカは戦闘では普通に指示やアイテム、時に攻撃といった感じで目立った所はないが、オレ9人+他の仲魔を同時に出せるってのは阿形さんいわく凄いことらしい。……確かにゲームでオレ9人が敵で出て来たら「何だこのクソゲー!」って言う自信あるわ。

 

 ステータスの速さが同じだから常に敵が9重行動してるようなもんだろ?やべーって。現実で手加減とか手心を考える気は全くないけどな!

 

 最古参の仲魔のファントムさんだが、ファントムロードとかいう謎の悪魔になった。マハムドと吸魔も覚えたし元がゴーストとは思えないな。ファントムロードはどうもペルソナにいるシャドウの名前らしいが、何でその名前の悪魔?シャドウ?になったのかは不明。ホント何なんだこいつ。

 

 あとはみる子がLV34になって結構な戦力に。やっぱ転生者は悪魔のテコ入れがあってLV上がりやすいとかあるのかな。各種邪眼系スキルに加えてイビルアイ、テトラジャ、闇討ちというラインナップ。状態異常系を進めて行く感じかな。

 

 他は色々悪魔合体して戦力強化をやった。回復役の女神:サラスヴァティ、魔法が効かない天津神:オモイカネ、同じく魔法が効かない攻撃回数が多くサマリカーム持ちの魔王:ヘカーテ。仲魔の全体的な戦力はかなり上がったと思う。

 

 そしてスガルだが……まずスガル自身はLV50に届き、曳光倶利伽羅蹴と極楽往生破を覚えた。本当にワイルドなワイルドだなこいつ。ペルソナのヒネ・チタマの方はマハムドオンを覚えてかなり強化され、ついに選択式拠点移動魔法のトランパを身につけた。これはゲームではセーブポイントの「チェックマン」を選んでたはずだが、今試した所どうやら『オレの家』と『教会跡』にワープ出来るようだ。これはどういう基準だろうか。

 

「うーん……これは多分、お前とお前の化身がボスの異界なんじゃないか?ゼロッチ」

 

 スガルの推測に少し考える。オレがボスの異界……『太閤』と『教会跡』の他に、『電脳酒場』『宿屋』もあるはずだが、行けるのは2ヶ所。実世界かサイバー空間か……ではないよな。ああ、場所が固定化されてるかどうかが問題なのかな?『太閤』異界のあるデスクトップCOMPはこっち来てから場所を部屋から動かしてないからな。

 

 そういう条件なら、阿形さんの拠点あたりにデスクトップCOMP置いて異界作っておいてもいいかもしれない。いや、今受けてる依頼の異界乗っ取りの方が優先かな?まあ、拠点作成なんだしこれはアニマウイングスとしての仕事になりそうだな。

 

 ペルソナ合体の方では、まずメディラマ使いのアルラウネ、それに利用したナンディ、オセと次々再作成。コミュニティのおかげで再作成でもそれほど弱くならないのはいいよな。ワイルドあるある。

 

 阿形さん、裕奈ちゃんの方は順当にLV上がってるけどまだまだ仲魔やペルソナのLVが追いついてないな。注目は今まで(ポリプ)状態でろくに移動出来なかったヒナちゃん。なんか動きが活発化してるので目覚めの時は近い……のかも知れない。(ポリプ)から何人増えるんだろうか。オレも多人数の自分仲間の先輩として注目しておく事にしよう。

 

「明日はどうするんだっけ?」

 

 ミミカがマグロの角煮を山盛りにしてむんずと手づかみで口に運ぶ。……昨日のようかんよりはマシかも知れない。

 

「えーと、サッチが受けた依頼で警視庁第2マシン部隊の人が会いたいってさ。ハチマン神社で。行けそうならそのまま作戦って話だけど絶対必要なのはオレで、ミミカも必要として……他はどうする?」

 

「あとは……スガルと一応みる子とミミカの仲魔でいいんじゃね?人間の数には制限あるんだろ?あと死と月と冥界と宇宙?だっけ?その条件で」

 

 そうか、それもあったな。じゃあオレら依頼組と阿形さん達で分ければいいか。

 

「そうですわね。じゃあワタクシ達は神沢妖樹林あたりで稼ぎでもしましょう。地蔵尊での最速禁凝符からの補助+回復戦法が出来ませんので」

 

「ああうん、それでいいと思う」

 

 ミミカ何だかんだで結構中核なんだよな……。

 

 明日の行動方針も決まり、オレはデスクトップCOMPの中に戻り夜配信に参加する。今日はエキサイティングバイクゲームのステージ作成とクリア配信だ。オレらセラフィックアイドルにう達で対戦する。

 

 全員が全員、加速オンリーの超イージーステージとかでかい障害物だらけのクソステージとか極端なステージしか作らないのはオレらの仕様なんだろうか?

 

 まあ、オレだからなぁ。仕方ないね。結局ステージ傾向も無茶苦茶だしどうやって勝敗を決するのか詳しく決めてなかった事もあってグダグダに。でもなんか盛り上がったから良しとしよう。登録者数もようやく1万人を突破した記念すべき配信となった。こんなんでなぁ……。

 




 ステージエディットはまず挨拶代わりに極端なステージを作るというセンス


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佐部利の依頼と警視庁第2マシン部隊

 ロボ娘は人だよ派とロボ娘はロボだからいいんだよ派の溝は深い


 朝。いい朝である。オレ達は予定通り阿形さん達と別れ、佐部利メシア教会攻略依頼を受けるため、ハチマン神社へと向かう。ミミカが車を運転して、スガルは何かオレの携帯ゲーム機でゴルフゲームをやっている。今日のTシャツは白地に黒で「女子力」とだけ書かれた潔い感じのやつ。わびさびを感じる。

 

「よーこそ、よーこそっす!」

 

 そしてちおちゃんの大歓迎である。どうもこの『佐部利メシア教会攻略』の依頼は、マジで引き受けてくれる適正者……電霊やハッカーが来てくれなくて、やっと専門家が来たと思ったら微妙に専門外の警視庁第2マシン部隊で、攻略は進まないしちおちゃんとしても不安がつのっていたらしい。ハチマン神社から佐部利メシア教会って結構近いしな。

 

「いやー、ゼロッチさん達が引き受けてくれて良かったっすよ。ホントにもーマシン部隊の人も来てくれたのはいいんすけど、どうしても実力のある電霊か高度な技術を持ったハッカーが追加で必要だって……あ、こっちっすよ社の中っすね」

 

 ちおちゃんの案内で、ハチマン神社の敷地から見ればかなり小さいすみっこの社の中に入る。ちおちゃんが中で柱の一つをぺたぺたすると、畳がオートメーションで開いて地下へと下りる階段が現れた。いかにもデビルサマナー系でありそうな仕掛けだ。

 

「こ、こんなんでワクワクしないんだからね!」

 

 謎のツンデレムーブを決めつつ、階段を降りるオレ達。その先の地下の扉を開け、たどり着いたのは広大な畳部屋と道場であった。いや、畳部屋の方も畳の色からして普段は柔道場として使ってるのか、これは。

 

「よく来て下さいました」

 

 その片方、磨かれた板敷きの道場の方に、計6体……6人が待っていた。どっちで呼んだらいいんだろうか。やっぱ6人かな。その6人はそれぞれ違った感じのロボット娘だったのだから。

 

「本官が警視庁第2マシン部隊の部隊長、ワンだゆうであります」

 

「え?」

 

「ワンだゆうであります」

 

 一言で言えばガチャゲーで美少女にされた警察犬人形みたいなワンだゆうさん。でもあまり刺激的なデザインにはしづらかったのかちゃんと制服を着込んでるので茶色い犬耳以外にあんまり特徴はないです。

 

「で、こっちのメカメカしいのがニヒニヒ2世号」

 

「どもー2世ですー」

 

 2世号さんは女性型メカという特徴を全面的に押し出した曲線メカ的なデザインをしている。継ぎ目から金色の光が漏れていて、白銀の金属ボディに金の縁取りみたいになっていて、生物的な感じはしないけどとても豪華に見えるしフェチズム的にはむしろ威力が上がってる気がする。

 

「あとこちらが対シャドウ制圧兵器……なのに支援型になったミントさん」

 

「ミントです。ええと、対シャドウ制圧兵器……支援型ペルソナ使いです。ペルソナはメンテー……ミント固定ですね。ふえて色々探ったり見たりちょっと回復したり出来ますけどつよくないです」

 

「お、おう」

 

 褐色エルフ、それに銀髪、ダークエルフリスペクトのロボ娘とはなかなかやりますな。

 

「こちらは『ラビ』系統の宇多田ピルクちゃん。ほら、ご挨拶しましょう?」

 

「あ、あい、あたちは宇多田ピルク、メシア教の宣教マシン『ラビ』の鹵獲品を改装して作られたという設定でち……そのせいで言語機能が幼いけどよろしくお願いしますでち……」

 

 白い多脚戦車の真ん中に、立体映像の少女が立っている。でも流石にこれは幼すぎでは?髪の毛も瞳も真っ白でふわふわで風で飛んで行ってしまいそうなほど華奢で小さい。何というか本人の深すぎる性癖を感じざるを得ない。

 

「さて、最後ですが、あちらがT93GMMメカクレメイドスキーと、そちら様、セラフィックアイドルにう様のA-02、エーニさんにお世話になっておりますT93GMF、眼鏡っ娘フリークスです」

 

「ウェイト、ウェイト、ちょっと待ってくれ何?今何か言ったか?」

 

「メカクレメイドスキーと」

 

「眼鏡っ娘フリークスです。よろしくお願いしまーす!」

 

 メイド服を着込んだ金髪メカクレメイドと、ド派手な黄緑色蛍光色の三つ編みにブルー系蛍光色のシャギーを入れたイカれた技術者系に見える眼鏡っ娘。ゴーグルにつなぎにスパナ、工具箱ももちろん取り揃えている。

 

「あ、そういえばにうちゃんの化身がいるって聞いてたんですけど」

 

「あの子はまだLVが低いのでお休みとって今日こそ南極大冒険クリアするんだってゲームしてます。何か謝るのも責めるのも変ですが……」

 

 ああ、うん……行ってすぐのレベル1かそれに近い低レベルで全能のバランサーと戦えってのは無理だからな。オレと他の化身たちも動員してるんだし流石にいない方がいいと思いました。まる。

 

「えー、もうお分かりの事とは思いますが、我ら揃いも揃って転生組、自らこの姿を選んだ『転性』組でもあります、同志よ」

 

「マジか、いや多分そうじゃないかとは思ったけどさ」

 

 オレAナンバーズいたし先に知ってたけどな!まあ、まだ詳しい転生の『設定』についてとかは聞いてないんだけど。

 

「それについてですが……」

 

 ああ、うん。ワンだゆうさんの語った『設定』は、十分に納得の行くものだった。元々、事件前の警視庁には電霊もハッカーもいて、もっと大規模なものだったが当然のようにメシア教と協力関係にあり、天罰から逃れられたのはほぼ全員新しく配属されたという設定の転生者組だけだった。ああうん、そうだな、原作……真1だと警視庁とメシアがマシン開発してるくさい……んだっけ?

 

 残されたのは5部隊、このロボ娘部隊の他にロボヒーロー部隊、ドローン部隊、搭乗型ロボ部隊、クグツ部隊だけになっているとか。電霊やハッカーは、少なくとも警視庁が把握している範囲ではまだ遭遇していないという。

 

 あれ?電霊ってもしかしてオレの思った以上にレアっぽい?SNSだと電霊の仕業じゃ!っ書き込みが結構あった印象あるんだけど。

 

「あー、警視庁の記録だと、事件前には自然発生とか技術的に作った試作の電霊とかは少しいたらしいんですよ。ただソッコーで組織に囲い込まれたから、初手天罰で消えるかジャンク情報に成り下がって消えたらしいんだよね。転生組の話でも、そもそも最初の転生で悪魔選んで、そこで電霊が選択肢に入ってたのが圧倒的に少なくて……」

 

 まあ、そんなもんかもな。電霊能力が十分以上に行使出来たら強すぎるのはオレ自身理解してるし、見つかったら囲い込まれるよな。オレもそういう組織が機能してたら色々危なかった気がするが、全部機能不全を起こしてたから今まで好きに生きてこられたわけだ。まだちょっとの間は更に好き放題出来そうだな。

 

「んで、依頼の件ですが……」

 

 正直、オレのコネに転生者補正と同志補正もあったっぽいが、オレに頼る以外だと本当にいつまでかかるか分からないレベルで電霊・ハッカーは見ないのだとか。オレが化身をホイホイ増やして『電霊人海戦術』が出来るっていう最高の条件があるのも正直奇跡かと思ったとか。

 

「具体的な依頼の内容としましては……ここ、ハチマン神社の中に新たに作った電脳異界に『盛運の社』を多数設置。その後、ハチマン様がハチマン神社を『ウライチ』形式で異界化した後に延伸し『佐部利メシア教会』の異界と新たな電脳異界を接触させ、接触が確認出来たら『盛運の社』を完成・稼動させてマグネタイトを奪い取り、佐部利メシア教会……現状『佐部利教会塔』内部のシャドウと悪魔を全滅させます」

 

 なるほど、異界を大規模に動かすのはハチマン様がやってくれるのか。

 

「『全能のバランサー』の上の階に誰かがいるのはミントの偵察で分かってますが、推定レベル『1』の人間がいて……おそらく『失敗した』転生者と思われます。あとレベル47の夜魔がいるので、おそらくそれが現状のボスであるかと。ボス交代まで見越して、例の死や冥界という条件を出させてもらいました」

 

 最高戦力はその『全能のバランサー』で、この異界のボス……レベル47の夜魔と、全く鍛える機会が無かったLV1の転生者がいると。

 

「そ、そこまで大掛かりな事をしてマグネタイトを吸い上げたら、向こうも気付くんじゃ?」

 

「そうですね。全能のバランサーは流石に位置固定のようですが、塔内をうろつくシャドウは移動して来る事が予想されます。出てくるのはバランサー3種。炎と氷のバランサー、雷と風のバランサー、光と闇のバランサーだけなので、対策は容易と言っていいでしょう。色で判別もつきやすいですし」

 

 オレが『盛運の社』構築中に塔を降りて来たバランサーの群れを、マシン部隊と他の仲間達で足止めして完成を待ち、完成してもそのまま持久戦して『全能のバランサー』が弱りきるか倒れるか消滅するのを待つ……のが作戦らしい。

 

 マシン部隊はそのまま接続、オレら悪魔はフツーにミミカのアームターミナル経由でサイバー空間に向かい、ミミカ達人間は古いVR系の物語にあるような機械、『ヴァーチャル・バトラー』でサイバー空間に向かう。うわーすげー本物かよ、これ真女神転生2で見たぞ!

 

 オレは電霊になったんで逆に体験出来なくなったけど、古いサイバーパンク的な機械と管に囲まれて電脳空間にダイブするのって転生したらやりたいことかなり上位にランクインしてくるSFガジェットじゃん!

 

 そのロマン溢れるヴァーチャル・バトラーが6台。あれ、結構数用意してるんだな。オレらが来るってんで追加したのかな。うちの人間組はミミカ、スガル、裕奈ちゃん、阿形さん、これフルメンバーで行けるな?

 

 オレら少数だけでとも思ってたけど、行けるならフルメンバーで行った方がいいな。

 

「しかし……異界をコントロールして上手く繋ぐとか行けるのかな?」

 

「ああ、そこは問題ないっすよ?ハチマンさまはここのウライチで何百年も異界を出したり引っ込めたりをやってたんで、それは問題ないっす。ただ電脳空間ってのがネックになってたんで、そこで電霊かハッカーさんが欲しいってことで……」

 

「そういうことね。つまりオレと……みる子はこれから作業準備かな?」

 

「いや、わたしそれほど電霊能力?とかないし……他全部セラフィックアイドルにうちゃんなのにわたし1人だけいても足引っ張るだけでしょ」

 

「……それはそうかも知れない」

 

「わたしはLVも足りないし今からでも阿形さんとこ行って鍛えて来るよ。作戦とヴァーチャル・バトラーの話もしてくる」

 

 うん、そうだね。ヴァーチャル・バトラーはロマンだからね。

 

「んじゃ、スガル達もヴァーチャル・バトラーに慣れとかねえとな。これ装備とかそのままなのか?」

 

「そのままですね。これはマグネタイトの……霊体が……アナライズと基礎データの……」

 

 眼鏡っ娘フリークスの説明はほとんど分からなかったが、真女神転生2のアレと似た感じに使えるってとこだけは良く分かった。

 

「ちょっといいすか?電脳異界の作成についてのことなんすけど……」

 

 おっとそうだった。オレにはちっさい電脳異界をここに作ってそこに『盛運の社』をタイミングを見て構築しまくるという仕事……の練習をするという仕事があるのだ。忙しい忙しい。

 

 まあ、動員出来る化身総動員でやるからそんなに忙しくはならないだろうけどさ。

 

「どれ、オジチャンに現場見せてごらん?」

 

「どこがオジチャンすか……ここなんすけど」

 

 剣道場と柔道場の間、さらに奥に伸びた廊下の先にあったサーバルームで、早速練習を始める。とりあえずレベルの上がってる、特にどこかに派遣されてない化身は総動員だ。

 

「電脳異界作成と盛運の社構築以外はハチマン様がやるので……とりあえずそこだけ完璧に慣れておいて下さいっす」

 

 お?いいのか?それじゃ階層を分けて、盛運の社を構築する予定地でいっぱいになったら新しい階層を作って……ってやりかたで好きなだけ広げよう。わーい!

 

 オレと化身達はよそでの異界作成・初めての構築作業に盛り上がり、手加減無しで練習と作業を進めるのだった。

 




 つまり?→初見殺しの盤外戦術


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勘違いと行き違いと孤独の塔

 特別なことは何も無かった


「やりすぎっす……」

 

「はい……」

 

 あっちが偽の塔ならこっちは偽カテドラルだ!とばかりに、上8階下8階の広大なダンジョン作ってたらダメ出しされた。解せぬ。サイバー空間なんだしいいじゃん。

 

 まあ確かに、こんな広大な施設作っても『盛運の社』設置スペースにしか使わないんだし、地上部と地下1階以外は手抜きのワイヤーフレーム表示だから役に立たないってのもあるんだけどさ。うろおぼえだったから再現度もないし。

 

「まあ、電脳空間だしあって困るようなものでもないからいいんすけどね……異界拡張と攻略の準備も終わって、皆さん揃ってるんで声かけに来たっす」

 

 どうやら盛運の社をモリモリ作ってたらいつの間にか一晩経過して、時刻は既に翌朝9時になっているようだ。……しまった、配信休んじまったか?ヨッチがちゃんとやってくれてただろうか?

 

「配信はオレがフラワー騎士団ダラダラ配信で繋いでおいたから問題ないぞオレよ」

 

 おお、たのもしいぞヨッチ。流石オレの中でも一生遊んで暮らす覚悟ではナンバー1のオレ、そのための配信継続にかけては天下一品だな。

 

 サーバルームからミミカのアームターミナルに移動し、それを装備したミミカがヴァーチャル・バトラーでサイバー空間に入る。何だか奇妙な感覚だな。

 

「はー、ここがサイバー空間かー。今の所外と変わりはないか?」

 

「まだハチマン神社の異界内だからね。ここから佐部利メシア教会の異界に繋げるらしいけどどう?」

 

「ああ……もう、繋がったなこれ。仕事速いわ」

 

 ハチマン様が拡張して接触した異界から、サイバー空間同士でオレが直近の侵入経路を繋ぐ。何か侵入対策でもあるかと思ってたけど何もない。こっち方面は素人というか対応力ないのかもしれない。

 

 繋がると同時に、待機していた化身達が完成させ『盛運の社』がマグネタイトを吸い寄せ始める。すごい勢いで吸ってるけどこれ大丈夫だよな?パーンとはじけたりしない?

 

「余ったらハチマン様が溜め込むんで大丈夫っすよ。ゼロッチさんも溜めるだけ溜めとくといいっす」

 

 お、そうか?ならばとばかりに、溜まったマグネタイトをミミカのアームターミナルや阿形さんの聖書型COMPに流しておく。いやーウハウハだな!

 

「しっかし良くもまあこんなにマグネタイトが溜まってるもんだな。よほどいい場所だったのか?いや、それくらいじゃないと偽タルタロス作って全能のバランサーとバランサーの群れを配置するなんて出来なかっただろうけどさ」

 

 勢いよく吸い上げられるマグネタイトは、そのまま相手の溜め込んだ実績を表す。

 

「最初からってわけでもないでしょうが、良くぞここまでって感じですわね」

 

 この場所、佐部利メシア教会がよほど美味しかったのか、それとも高い実力やリソースを持った転生者だったのか。

 

「そろそろ入り口で待機しといた方がいいんじゃない?」

 

 もう結構な時間、マグネタイトを吸い続けている。そろそろ敵側も焦って雑魚シャドウを「外」に出してくるかな?

 

 オレ達はハチマン神社側の新異界を出て、佐部利メシア教会……その電脳側にそびえ立つ光り輝く塔のエントランスに突入した。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 結論から言うと、今オレ達は既に塔を上っている。オレ達のマグネタイト吸い上げ作戦が上手く行き過ぎたのか、雑魚シャドウはほとんどエントランスまで降りてこず、降りて来たのもかなり弱っていたので遠距離からの一撃で全部ノーダメージで勝利した。

 

 まあ、実際ゲームだと一部以外の一般シャドウはその階層から出てきたりしないからな。無理やり命令しても無理があるのかもしれない。

 

 とにかく、こうなるとエントランスで待ち受けするのもどうかとなって、マシン部隊のうちレベル低めの……それでも50は越えている宇多田ピルクちゃんとニヒニヒ2世号さんに、こちらもレベル低めのオレの新化身5人衆とみる子をエントランスに残し、ミントさん……レベル54の「エストマ」を使って一気に塔を駆け上った。

 

 それでもしばらく上るとレベル68の「光と闇のバランサー」に遭遇するようになったが、数が少ないのかほとんど単独で、ミミカの鎮怪符でほとんどの攻撃を防いだ後にオレ達のサンダーブラストの餌食となった。雷弱点だったのが運のつきだ。……1回こいつの奇襲でマハムド受けたけど効かなかったので泣かない。ま、マハムドの演出っていうかあの闇の魔法陣なんて怖くないんだからねっ!

 

「誰に強がってんだよ……ほら、もう行くぞ」

 

 スガルはかなり調子よくシャドウを倒し、ペルソナ入手も順調らしい。そして特筆すべきことに、この塔を上る過程で『審判』のコミュニティが何度も上がってるとか。原作ゲームでもあったな、そんなの。

 

「もう何階目だったかな……そろそろ全能のバランサーがいる階層だったか?」

 

「いやあいつは……次の階でありますね。弱ってるはずですが」

 

 階段を上り、次の階へと足を踏み入れる。そこには、今まで見つからなかったエントランスへ行き来出来る双方向ターミナルがある。

 

「ターミナルがあるな……全能のバランサー以外のボスが作れなかったのか、この装置の配置を最低限にしたかったのか、ここだけ『ボス部屋仕様』ってわけだ」

 

 一応装置を稼動させて、奥へと進む。覗いた先の通路に、何か倒れていた。

 

「いますね……倒れてるけど間違いありません、アレは全能のバランサーであります」

 

 時折ごそごそ動いて立ち上がろうとしているようだが、浮く事すら出来ずに倒れ伏す。

 

「どうする……まだ動いてるぞ」

 

「一斉にかかれば倒せない?」

 

「いや、やめとこう。あいつ人数の差が全く弱みにならないからな」

 

 最上級の全体魔法攻撃が飛んでくるからなぁ……ここからでもオレらの全滅もありうる。

 

 とりあえず、遠くから様子を見る。……こいつ速さが今のミミカより上なんだよなぁ。確か60以上だったはず。一撃圏内まで弱ったらとどめだけでもって思ってたけどやめだ、こいつはマグネタイト枯渇でこのまま倒す。

 

 ……それから、全能のバランサーがシャドウ特有の黒い蒸気か飛沫のようなものを出して溶けて消えるまで小一時間かかった。その瞬間、オレと化身のレベルが一気に10上がった。え、そうなるの?オレが倒したってことになんのか。ハチマン様あたりとは経験値分割してるのかも知れんけど。

 

「さて、この先行けると思うか?」

 

「行けるでしょう。全能のバランサーが倒れたということは、他のシャドウも、悪魔も全滅しているはずですわ。この塔にいたのはあとは有象無象のバランサーと、最上階の悪魔と人間……でしたわね?」

 

 バランサー、十字の形をしたシャドウ。教会だからか?何にせよ、この塔にはもう敵らしい敵はいないだろう。オレ達は双方向ターミナルを使って一旦エントランスの人員と合流し、最上階を目指した。今回はものすごいレベル上げになったな。

 

 不気味なほど静かな塔の中を、淡々と上って行く。時折シャドウが消えた跡らしい黒っぽい痕跡が見えたが、特に何事もなく最上階らしき階層にたどりついた。

 

「……りだ……オワ……終わりが来る……ヒヒ……」

 

 室内のはずなのに夜空が輝く大広間にたった一人。ファンタジー作品で見るような、背もたれが異様に高い白の玉座に女が座っている。紫色のドレスに黄緑の髪、赤紫っぽい肌をしているので悪魔だろうか?この状況で?他に悪魔はいない。流石に生き残ってはいなかったようだ。

 

「こいつ、ニュクスだ……」

 

 あ、そうだ。真女神転生2における夜魔:ニュクスの姿。こんな感じだった。そしてアナライズしてみると、悪魔ではなく「ペルソナ使い/チャネラー」という表示が出た。

 

「そのパターンかよ……」

 

 どこかから何かを受信したペルソナ使い。あるいはその影響でこうなったのかも知れないが……。例が例だけに、このパターンにいいイメージはない。実際こいつもおかしくなってるみたいだしな。

 

 ペルソナ使い/チャネラーなのに姿がニュクスになってるのは、シャドウが暴走してるのか、チャネリングした悪魔が暴走してるのか……もしこいつがオレの予想通りリアルからの転生者なのだとしたら、それはあくまでも『設定』なんだから自分を強く持ってればどうって事ないはずなんだが……。

 

「こう、転生するまでは『設定』に過ぎなくても、チャネラーってことはずっとどこかから何かを受信してたんじゃ……それは……」

 

 裕奈ちゃんの思いつきで、腑に落ちた。そうか、頭の中で誰かがずっと囁き続けたような感じで、それがよりにもよって本人はペルソナ使い、囁くのはペルソナで重要な役割を果たしたニュクス。

 

「実際変わったのはこの見た目だし、レベルから見てもチャネリング先はただの1悪魔、真女神転生2あたりの夜魔:ニュクスだったんだろうが……そんなことを夜魔:ニュクスが説明して転生者を安心させてくれる事もなかった……んだろうな。絶対的などうしようもない存在と繋がってると思い込まされればこうもなるか」

 

 いざ戦いが始まるかと思ったが、こいつはぶつぶつ呟くだけでろくに動く気配もない。この空間に生活感は全くないし、実際どうなってるかは知らんけど身体は夜魔:ニュクスに近づいてしまっているのかもな。このまま放置され続けたら本当に偽ニュクス降臨の真似事くらいは出来たかも知れん。危なかった。

 

「戦いにはならなそうですわね。ペンパトラをお願いしますわ」

 

「あいよー」

 

 精神が異常をきたしているなら、ペンパトラで直るか?オレのペンパトラを喰らえ!

 

「お……?」

 

 効かないかとも思ったが、どうやら効いたらしい。

 

「お、お前ら誰……っていうか何、何なの!?」

 

「何だと言われても……デビルサマナーとか?」

 

「ペルソナ使いもいるぞ!」

 

「違う、そうじゃない、お前らがそっちの業界のどういう集まりなのかって聞いてるんだよ!」

 

 どういう集まりかって改めて言われるとそうだな、オレらは「アニマウイングス」って名乗ってる性転換リアル転生者の美少女集団で、メカ娘さんたちは警視庁第2マシン部隊でありなおかつ同じくリアル転生者集団。メシア教のSOSを受けた地元の県警の要請を受けた警視庁とハトの依頼を受けてここに来た、でいいかな?

 

 そういう感じでミミカが説明すると、見た目ニュクスは微妙な顔で言い訳とも自白とも取れるいきさつを話し始めた。

 

 まず、こいつの名前は美夜(ミヤ)。あの日、夜魔:ニュクスに転生させられたらしい。初期ガチャを引いたはいいが【幽鬼】とか【外道】とか微妙な悪魔ばかりで、一番良さそうな【ペルソナ使い/チャネラー】に飛びついたとか。わかる、わかるぞ。オレも一歩間違えたら悪霊とか怨霊だったからな。

 

 そして【ペルソナ使い/チャネラー】として佐部利メシア教会の人間となり、力をつけたらてきとーに抜けるかとか皮算用していたらニュクスのチャネラーであることが即ばれて問題になり、悪魔祓いの人間を呼ぶと言われて軟禁された。……それはそう。

 

 当然チャネリング先のニュクスと本人は焦りに焦って「こんな教会壊れちまえ!」とばかりにコストもリスクも度外視で異界化をやらかして、巻き込んだ隣の部屋がサーバルームで、この土地があまりにも良すぎる霊地だったためにごらんの有様であると。つまりほぼ単独犯。

 

「電霊とかそっち方面じゃなかったんですね……電脳異界方面が充実してたから最大限警戒してたんですけど」

 

「そうだよ偶然だよ……それにそういう能力があったり仲間がいればもっとこう……動けてるわ。ホントに」

 

 ニュクスが自分を大きく見せようとしてついた嘘、そのせいもあって追い詰められてヤケクソ気味の暴発、事が大きくなってしまったと。はー……。

 




 悪魔ニュクスは普通にマグネタイト枯渇で消えた。


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メシアの塔から冥界へ ※リザルトあり

 ボス敵を仲間にして行くサマナー。普通だな!


「なあ、これからどうする?」

 

 それな。オレも、起きた事件を見てガンギマリのやべーヤツがいるなと思い込んだけど、実際にいたのは悪魔に踊らされた哀れな転生者同志だ。性転換同志でもあるのか?

 

「そうだよ。最初の白ハゲ状態から自動で身体作ったらペルソナニュクス、チャネリングニュクスの影響を受けてこうなったんだ」

 

「うーん、なんか微妙な感じが……ワンだゆうさん、こういう時の『裏』の解決策か何か、前例とか知識、ありますか?」

 

「そうですね……ミミカさんか阿形さん、この美夜さんを半分仲魔にする考えはありますか?」

 

「半分仲魔?」

 

 こういう……人か悪魔か、加害者か被害者か微妙な感じの時によくあるらしいが、「高レベルサマナーが指導役になる」というのは定番だとか。

 

 まあ、悪魔業界でこいつは犯罪者!断罪!やってたら業界人全滅不可避だから当然かもだが。サマナーってのはそういう、一般的には悪い範疇の超常存在を飼いならす職業だから、その流れで、人か悪魔か曖昧になった今の美夜みたいなのをサマナーが面倒を見る、というのもありがちだとか。

 

「まあ、こういうのも本官の設定上知りえた知識ではありますが」

 

 ワンだゆうさんやマシン部隊の人は、そのマシンという性質上、警察関連の法的知識や業務知識を初期設定でプログラム的にインストールされているとか。それはそうか。マシンの利点は、機体の許す限りプログラムソフトで盛れるってのもあるからな。

 

「美夜さん、そういう感じでどうかな?」

 

「あー、うん。正直あたしはこっちに転生した直後から悪い流れでこのザマだったし、まともに……まともに?サマナーの半仲魔扱いでも生きて行けるってんなら助かる。話を聞いてて思ったんだが、あたしのペルソナとチャネリング先のニュクスって、ペルソナ3みたいなどうしようもない存在じゃないよな?その、真女神転生2?は知らないんだけどさ」

 

「ああ、その姿のニュクスで、レベルも47なら1悪魔でしかないから安心して。例の天罰でそこに触る手段とか多分塞がれてるだろうしな」

 

「天罰?どういうこと?」

 

「それも知らんかったか……」

 

 オレ達は皆、なぜこんな事になったのか説明は受けていたから知らなかったけど、説明を受けられなかった転生者もやはりいるのだ。

 

「まあ、悪魔、夜魔だし、いかにも悪魔の手口って感じはするな」

 

 そう考えると、時間城の主やハト、ハチマン様の方が「いつもの悪魔」から見ればイレギュラーなのかも知れない。

 

「あの、美夜さんとスガルさんとみる子さんはこちらに来て下さいますか?ボス交代して後始末をしたいので……」

 

 おっと、そうか。死と冥界と月と……ってやつか。流石にこの偽タルタロス維持します!とかは無かったか。

 

「美夜さん、ボス交代の手順とかあります?」

 

「いや、特に何か用意してはないけど。さっさと交代したいし何か作りますよ。あの玉座とかでいいかな……」

 

 美夜さんは別にこの異界を作りたくて作ったわけじゃないんで、ボス交代はあっさり行われた。美夜さんが玉座の前で跪くことで、その時玉座に座っている者にボス交代が行われるようにしたのだ。

 

「わたしはダメでした……」

 

 最初はみる子が試したが、異界が「重すぎて」ダメだった。この塔クッソ高いもんな。

 

「まさかスガルが……いや、スガルのペルソナが進化した上に新しいボスになるとは思わなかったな」

 

 そう、スガルが試した途端に、スガルの初期ペルソナ「ヒネ・チタマ」が顕現して進化したのだ。幼かった見た目が高校生くらいになり、「夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポ」となって耐性が強化され、新スキルも身につけステータスも大きくUP。それに伴い異界の形も高い塔からオレの作った偽カテドラルの地下に広がる地下ダンジョンになって塔ほどは目立たなくなった。名前も「佐部利メシア教会」から「ラロヘンガ」に変化した。

 

 そしてボス効果か、夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポに限ればいつでもマッカやマグネタイトと引き換えに補充出来るようになった。つまりボスの夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポはもうずっとここにいて、同時にスガルに夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポを装備出来る。これはいいな。

 

「いやー今日は大変だったねー。レベルもかなり上がったし、明日は完全休養にしよっか?」

 

 ミミカの提案に揃ってうなずくオレ達。シャドウにあまり遭遇しなかったとはいえ、クッソ高い塔のダンジョンを登りきったからな。

 

 ハチマン神社の入り口から出て、ハチマン様と時間城の主への報告を済ませ、ついでにペルソナ合体までやって、トラスタルトで帰還する。

 

 警視庁のマシンタケルさんから報酬ついでに、ここの土地を表裏含めてオオトリ神社名義にするのでオレに預けてもいいと打診があった。マジか。返事は急がないとのことなので皆と相談しないとな。これは爺さん婆さんともだ。

 

 今日明日はあとは完全休養というか、まあ美夜ちゃんの歓迎とかで終わるかな?

 

 そろそろ爺さん婆さんにも、アニマウイングスとか異界ボスになった話とかしといた方がいいな。警視庁マシン部隊やハトと協力したって事や土地の話も。今更だが。

 

 家に帰還して、イッチはデスクトップCOMPの中で配信の手伝いというか出演をして、オレとミミカはスーパーハマオンにお菓子やジュースなんかを買い足しに行く。オレもそろそろお菓子分が切れたからな!美夜の案内はサッチとスガルがやってる。実質全部オレ。働き者だな!

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第16回 佐部利メシア教会攻略

 

マッカ:+203576 マグネタイト:+489781

 

アイテム:チャクラドロップ×2、かめかめキャンディ×1、ダイアモンド×1

     ルビー×3、ターコイズ×3、宝玉×2、魔石×4

 

【宇佐野 美々加】サマナー/アームターミナル LV51(+5)

 

仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効、電撃吸収、闇耐性

    【ゼロッチ/イッチ】LV58(+10)

    (サッチ)LV40(+12)

    (ゴッチ)LV50(+9)

    (ナイン、テン、イレブン、トゥェニー、にう13)LV38(+17)

 

    スキル:休む、挑発、まもる、九十九針、スウィートトラップ、怪音波

    狂乱の歌、テンタラフー、スランパ、フォトンショット、スクカジャ

    スクンダ、デビルタッチ、ザン、ザンマ、ザンダイン、マハザン

    マハザンマ、ジオンガ、マハジオンガ、サバトマ、松竹梅、ペンパトラ

    コトルディ、ブルトディ、クロズディ、メタモディ、ボムディ、混乱防御

    電撃吸収、生産の社、闇耐性、混沌の闇、電脳空間転移、知識の泉

    盛運の社、マハザンダイン(新)、リムドーラ(新)、メギドラ(新)

    吸魔(新)、《サマリカーム》(新)、《マハムドオン》(新)

 

    悪霊:ファントムロード LV45(+5)

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド、クイッカ、憑依、デスタッチ

        マハザンマ、タルンダ、マハムド、吸魔、コンセントレイト(新)

 

    妖魔:イソラ LV39(+2) 氷耐性、火炎弱点

    スキル:ジオンガ、ディアラマ、みずのかべ、アイスブレス、子守り歌

 

    電霊:【みる子】LV40(+6)

    銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効

    スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙、ギルトアイズ、デスタッチ

        ルナトラップ、リベラマ、リフトマ、パララアイズ

        ペトラアイズ、ヘルズアイズ、テリブルアイズ、電撃耐性

        闇討ち、イビルアイ、テトラジャ、ライトマ(新)

        おねだり(新)

 

    女神:サラスヴァティ LV41(+6)破魔・物理耐性

    スキル:マカカジャ、テトラカーン、マカラカーン、メディラマ、ペンパトラ

        リカーム、ディアラマ、ローグロウ、サマカジャ(新)

 

    天津神:オモイカネ LV42(+4)魔法吸収・バステ無効

    スキル:マハザンマ、マカジャマ、テトラジャ、テトラカーン、ペンパトラ

        タルカジャ、リカーム、マハーガル、メパトラ(新)

 

    魔王:へカーテ LV46(+4)魔法反射・物理弱点

    スキル:ムドオン、マカラカーン、サマリカーム、マリンカリン、ネクロマ

        ディアラマ、ポズムディ、カルムディ、サマカジャ(新)

 

 

 

【美夜】ペルソナ使い/チャネラー LV1(新)

 

ペルソナ:塔:ニュクス LV47

 破魔・呪殺・バステ無効、魔法吸収、物理弱点

 スキル:テンタラフー、ドルミナー、マリンカリン、サマリカーム、ダークブレス

 

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV56(+6)

 スキル:からたけ割り、曳光倶利伽羅蹴、極楽往生破、食いしばり(新)

 

ペルソナ:死神:ヒネ・チタマ LV42

     →死神:夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポ LV50(+8)(新)

 

     地変・闇吸収、雷・光・魔力無効、風・水耐性

 

     スキル:子守り歌、かみつき、エイハ、マハエイハ、ドルミナー

         ソウルブレイク、トラエスト、トラスタルト、ムド

         ムドオン、マハムド、ムドブースタ、丸かじり、アドバイス

         エイガ、マハエイガ、呪怨ブースタ、三分の活泉

         マハムドオン、トランパ、マグダイン(新)、暗黒マハマグナ(新)

         エイガオン(新)、マハエイガオン(新)、黄泉への誘い(新)

         催眠波(新)、闇のフォーミーラバー(新)     

 

 

     月:アルラウネ LV44(+2)闇無効、火・氷耐性、風弱点

     スキル:メディラマ、エアジーシャワー、オールド・ワン

         ディアラマ、スクカジャ、タルンダ

         マカラカーン(新)、緑の壁(新)

 

     剛毅:ハヌマーン LV37 雷・光耐性、風弱点

     スキル:月影、カウンタ、リカーム

 

     死神:ロア LV31 雷・闇耐性、光弱点

     スキル:マハムド、吸血、タルンダ

 

     星:ナンディ LV42 風無効、光耐性、火炎弱点

     スキル:マハガルーラ、マリンカリン、マハラクカジャ、勝利の息吹

         ガルーラ、ポイズンミスト、ラクンダ

 

     愚者:オセ LV34 風無効、物理耐性、光弱点

     スキル:パワースラッシュ、木っ端微塵斬り、チャージ、ポイズンミスト

         毒成功率UP、突撃、シールボムズ、タルカジャ

 

 

 

                ペルソナ合体

 

 

 

月:グルル LV15

×法王:べリス LV13

×塔:ウリエル LV54

=審判:アズラエル LV42(+6)

 

     審判:アズラエル LV42(+6)(新)

     精霊・物理魔法無効、闇・物理攻撃弱点

     スキル:はばたき、バイコウハ、狂乱の歌、リカームドラ

         タルカジャ、闇の審判、マハンマオン、二連牙

         タルカジャオート

 

 

 

スガルコミュニティ:愚者/LV5 (+1)時間城のなかまたち

          女教皇/LV1(+1)(新)阿形 サリナ

          法王/LV1 (+1)(新)ゼロッチの祖父母

          恋愛/LV1 網代 裕奈

          隠者/LV2 宇佐野 美々加

          正義/LV1 (+1)(新)警視庁マシン部隊

          死神/LV1 みる子

          塔/ LV1 (+1)(新)美夜

          星/ LV5 (+1)ゼロッチ

          月/ LV1 瓜生 ヒナ

          審判/LV8 (+7)アニマウイングス

 

 

 

 

【阿形 サリナ】サマナー/ガーディアン使い/聖書型COMP LV50(+5)

ガーディアン:神獣:LV41 アヌビス

 

仲魔:珍獣:ホネアリクラゲ【瓜生 ヒナ】LV45(+5)(ポリプ)

   水無効、物理耐性

   スキル:トラフーリ、トラエスト、トラポート、アクア、アクエス、マハアクア

    マハアクエス、リフトマ、串刺し、ヒステリービンタ、まきつき

    どくばり、まひばり、水の壁、火炎耐性、治癒促進中、粘液、アクアダイン(新)

  

   大天使:ハニエル LV46(+5) 破魔反射、技耐性・呪殺小耐性

   スキル:マハジオ、マハジオンガ、ハマオン、メディラマ、ディアラハン

       マリンカリン(新)、マハンマ(新)

 

   女神:アリアンロッド LV45(+3)

   技反射、破魔無効、呪殺・剣耐性、神経弱点

   スキル:ハンマ、ディアラマ、パララディ、ヒートウェイブ

       ザンマ、ジオンガ

 

   龍王:ノズチ LV42(+3) 物理吸収、魔法弱点

   スキル:ラクカジャ、放電、リベラマ、押し潰し、大暴れ、ペトラディ

       しちしきれんごくは(新)

 

   幻魔:ナタタイシ LV34(4)破魔反射、呪殺弱点

   スキル:ソニックブーム、デカジャ、回し蹴り、ミサイルパンチ

       奥義マモリヤブリ、ハンマ

 

   大天使:ラミエル LV33(+4)破魔反射、技耐性、呪殺小耐性

   スキル:アギラオ、ハンマ、マハンマ、ペンパトラ、はばたき

       リカームドラ、カルムディ、ポズムディ、パララディ(新)

 

 

 

               悪魔合体

 

妖精:ダークエルフ LV23

×魔獣:ネコマタ LV28

=聖獣:アイラーヴァタ LV29

 

聖獣:アイラーヴァタ LV29

×龍王:ヴィーヴル LV30

×妖精:エルフ LV28

=神獣:カマプアア LV34

 

   神獣:カマプアア LV34(新)電撃・破魔無効

   スキル:シバブー、ハッピーダンス、マカカジャ、メタモディ

       パララディ、ディアラマ

 

 

 

【網代 裕奈】ペルソナ使い/降魔 LV46(+6)

 

ペルソナ:女教皇:テンセンニャンニャン LV46(新) 属性:破魔

     スキル:九十九針、メディラマ、マハアクア

 

     月:リリム LV21 属性:神経   

     スキル:ポイズマ、スランパ、どくばり、ムド、ザンダイン

         キャンディボイス、シシリッカ、エイジング(新)

         老化成功率UP(新)、マハムド(新)

 

     恋人:スエノタマナ LV27 属性:神経   

     スキル:ディア、マリンカリン、ハピルマ、キャンディボイス

         バステ成功率UP、ザンダイン、投げキッス

         癒しの調べ(新)、ディアラマ(新)、天上の舞い(新)

 

 

 

【管理異界】

 

(現実)

教会跡(ロッチ)、

 

(現実/電脳)

ラロヘンガ(夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポ)

 

(電脳)

太閤、酒場、宿屋(セラフィックアイドルにう/不定)

 

 

 

【同行者】

 

(ワンだゆう)マシン/T93GCM(指揮マスコット) LV65(+4)

 

(ニヒニヒ二世号)マシン/T93GNN LV60(+4)

 

(ミント)対シャドウ制圧兵器 LV58(+4)

 

(宇多田ピルク)マシン/ラビ改装型 LV55(+5)

 

(メカクレメイドスキー)マシン/T93GMM LV59(+7)

 

(眼鏡っ娘フリークス)マシン/T93GMF LV65(+4)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 いやー、今回の収入はかなりの量になったな!レベル的にはミミカも既に51、この業界の上位陣になって来たかな?

 

 オレとイッチのLVは58、ミミカのレベルを越えてるがもういつもの事だな。そしてオレは新しいスキルでマハムドオンを覚えたんだが、これは『京葉メシアン』さんのとこでエーゼロが身につけたスキルだ。……マハムドオンが真っ先に必要な状況……つまり天使だらけの異界にずっと出ずっぱりなんですよね。大丈夫か京葉メシアンマジで。まあ、オレのスキルには上限枠があるわけでもなし、有用なスキルが増える分にはオレはいいんだけどさ。

 

 他にも、吸魔、マハザンダイン、リムドーラなんかも追加されていた。吸魔は嬉しいな。マハザンダインとリムドーラでちょっと被ってしまったのが気になるけどな。

 

 ハトからの報酬、神光のカードはやはりオレに使い、オレもついにサマリカームを使えるようになった。オレに使うのが一番強いからね。スキル共有は正義。

 

 オレ以外の仲魔達は、特筆すべき成長は無かったかな。みる子のおねだりは良く分からない。やはり姫か……。

 

 そしてスガル、初期から育てて来たペルソナのヒネ・チタマがなんかイベント的な過程を経て進化して、夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポとやらになってかなり強化された。とにかく耐性がダンチ。スキルの中で一際目立ってるのは「黄泉への誘い」かな。これはバステの敵を即死させるっていうツエースキルだが、冥界繋がりで身についた感じか?何気に催眠波と闇のフォーミーラバー、暗黒マハマグナも覚えてるし、スガルが2回行動じゃなくて助かったな、まだ見ぬ敵どもよ。

 

 そしてスガルの成長はそれだけじゃなく、光と闇のバランサーのマハムドを受けたら身についたという食いしばり、ペルソナ合体で作った審判:アズラエル。審判コミュニティは生まれたばかりのLV1コミュニティだったはずが、塔を上る過程で一気にLV8にまで上がり、アズラエルさんは一気にスキルが揃った。

 

 この異界のボスに収まったって事はよほどここと相性が良かったとか?審判だけじゃなく色々なコミュニティが発生したりもしてるし、スガルの心の成長が一気に起こったって事なのかも知れないな。

 

 阿形さん達はオレ達ほどには成長していない。ヒナちゃんの分裂がいよいよかってとこか。

 

「ちょっといいですか?ゼロッチさん」

 

「ん?」

 

 阿形さんが珍しくオレに声を掛けてきた。阿形さんっていちいち色々言わなくても分かってくれてさっと助けてくれるから会話はちょっと少ないんだよね。

 

「あなたのおじい様とおばあ様が、確保した異界とハトさんについて話があるとか。ミミカさんもですわ。出来ればみんなですって」

 

「私?みんなって、そんな深刻そうな話とかあるのかな」

 

 今まで俺らはしがらみゼロで好きな感じに動いて来たし実力もついて来た。何かあったか、それともいよいよ放っておけなくなったか。何にせよ、そろそろ本当にこの世界、この地に向き合う時が来たのかも知れない。オレらは全員揃って、爺さん婆さんのいる本宅に足を運んだ。

 




 姫プレイで生きる覚悟(?)


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生まれる前の他人事 ※後半化身視点

 玉兎いるかと思ったけどいなかったのでオリ


「姫ェ~!?ミミカが!?」

 

「姫巫女じゃ。今はその意味を失っとるがの」

 

 爺さん婆さん、昔の伝を使って色々調べて来てくれたようだ。今は無き烏兎神社の後継者、とかいう設定は聞いたことあったけど、そんなご大層なものが隠されていたとは。

 

「ここの烏兎神社の主祭神は烏たるヤタガラスと兎たる玉兎でな。他とはかなり異なる形式だったようじゃ。元より『裏』の仕事を主とし、姫巫女がヤタガラス様か玉兎様を神降ろしして戦うのが通例だったからかも知れん、実際に見る烏と兎の方が祭神になったと。最も、中央に取り込まれてからはほぼヤタガラスの方に特化したようじゃが」

 

 ヤタガラスの方は大体イメージで分かるけど玉兎の方はどうなのか聞いてみたけど、肉弾、自爆、リカームドラ、バイナルストライク……全てのスキルが自爆技という潔い構成だったらしい。

 

 ああうん、そりゃヤタガラスに特化するわな。玉兎の方にも、レベル1で才能の無い姫巫女でも自爆系スキルで戦えるというニッチな利点はあったが、今のミミカにそれは意味がないのでそっちは無いです。才能無くても命を燃やして頑張りますみたいな話だろ?それは。

 

「まあ、そうじゃな。十分な力があるならそのほうが良いじゃろう」

 

 ヤタガラスの神降ろしは本人のレベルと習熟度によって色々スキルが解禁される仕様で、今のミミカなら期待出来そうだとか。

 

「ねえホントに?ホントに私が魔法使えるようになる?私魔法使えるんで……とか若干イキっちゃっても大丈夫?」

 

「いや、今のままでは絵に描いた餅だろうて。この神降ろしには儀式が必要じゃからの。儀式を行うには、その『ハト』神の示した3つの異界と『喪神山』を確保する必要があるようじゃ」

 

 その跡も、爺さんの話は続いた。どうやら烏兎神社とオオトリ神社は、思った以上にこの地方で大きな存在だったらしい。悪魔業界としては2社でこの地方代表だったとか。

 

 ただ、地方代表であったからこそ、第2次世界大戦中には分を越えた協力を要請され、占領軍時代にはその無理をした協力関係をネタに占領軍御用達のメシア教ににらまれ、色々接収されてどさくさに紛れて表向きの神社や元神領の土地も奪われ、実質無期活動停止のような状態になって今に至るとか。

 

 ちなみに現『教会跡』を奪ったのがメシア教、現というかもう元の佐部利メシア教会の土地を奪ってメシア教に寄贈したのが中央の政府機関、舟方島異界と喪神山を奪ったのがガイア系だったとか。みんな仲良しこよしで戦果を分け合いましたってか?ホントそびえ立つクソ揃いだな!

 

「ええと、喪神山もどちらかの神社の土地でしたの?」

 

「おお、佐部利メシア教会の土地がオオトリ神社なら、喪神山の土地は烏兎神社じゃな。烏兎神社の公式な主祭神はタケミカヅチ様となっておるが……実際ここで祭っておったのは先ほども言ったようにヤタガラスと玉兎、更に言えばヤタガラスや玉兎を降ろして戦った過去の姫巫女の祖霊も祀られておった」

 

「ホヘー……」

 

 ミミカのやつは話を聞いているのか聞いていないのか、今日はヨーグルトから始まり飲むヨーグルト、裂けるチーズ、ラッシー、練乳アイスクリーム、カマンベールチーズ、飲むヨーグルトブルーベリー味、牛乳ようかん、チーズケーキ……今日は乳製品祭りだとばかりにもっちゅもっちゅごきゅごきゅしている。こいつはこいつなりにこの悪魔の宴にテーマみたいなものを考えて食ってるんだろうな。分かりたくないけど。

 

 まるで他人事。まあ産まれる前のことなんて他人事と言ってしまえば他人事なんだけどさ。

 

「喪神山の本来の字は送神山、神や祖霊を送るという意味じゃ。『送神山』を取り戻し、祖霊との繋がりを確保すれば、儀式が行えるという事じゃな。儀式を行えば、神降ろしだけでなく悪魔としてのヤタガラスや玉兎、イナバシロウサギの力も借りる事が出来るというぞ」

 

「イナバシロウサギ?」

 

「それは普通に喪神山に生息しておるからの」

 

「あっはい……」

 

「あとは……高レベルなら烏兎の現す他の意味である日月、すなわち時間に属する技が身につくかも知れんの。わしもお前たちがここまで高レベルになろうとは思いもよらなんだが」

 

 その後も、細かい問いかけや説明は続いた。最初はどう考えてもおかしくなったとしか思えなかったオレが、あれよあれよと言う間にレベルを上げて生き残り、悪魔に負けずに自意識をしっかり保ち、仲間を増やし、メガテニストやアルカナ、「ハト」や警視庁と縁を結び、奪い返すのはとうの昔に諦めていた教会跡や佐部利メシア教会の異界を攻略し、それを確保する。オレら自身には何の気負いも無かったが、事情を知る爺さん達にはまるでオレらが運命に導かれて神社勢力再興に邁進しているように見えていたという。

 

 ……なるほど。オレらは何かに導かれたなんて思ってないが、時間城の主、ハチマン様、ハト……あいつらもしかして導いてんな?状況から判断するとそう見えなくもないって程度だけど。

 

「正直さ、新しい手口だの新組織だのってだけじゃなんか足りないよなーって思ってたんだよね」

 

 オレらを転生させた高レベル悪魔達にも思惑があるのだろう。それらに対抗するための材料として少しでも転生者をまとめて集団を作りたいと、色々種は撒いて来た。

 

「看板がないから最悪オレだけが看板になるしかないなとか思ってたけど、悪魔のオレだけじゃなくてやっぱ人間の看板もいた方がいいし」

 

 悪魔が主になった組織はどうしてもその悪魔の意思や性格に引っ張られ、人間社会や表の法を軽視しがちな印象がある。

 

 ニュートラル・ニュートラルの人間、実力でメシアから異界を奪取してレベル50を突破した、失われた烏兎神社の姫巫女。色々な伝もある。何もないアニマウイングスよりも、神社勢力再興を成し遂げたアニマウイングスの方が主に現地への広がり方に良い影響を与えるだろう。

 

「まあ、中心にならざるを得ないミミカはクッソ大変だろうけどな!」

 

「え!?」

 

 ……ここまで聞かされて何で今更驚いてるんだミミカ。まさかそこに気付いてなかったのか。

 

「なんか話が大きくなって来たな。まあ、やることはそんなに変わらんと思うけど」

 

 明日は完全休養にする予定だ。オレの化身の配信とスガルのコミュニティくらいはやると思うけど、他には特に何もしないで家で過ごす。フツーにゲームでもしてようかな。

 

 オレはデスクトップCOMPに戻り、太閤異界に持ち込んだフワフワ布団に包まれて、スリープモードに入る。眠る事のない電霊が、人間の眠りを懐かしみながら。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 オッス、オレだよオレ、セラフィックアイドルのにうちゃんだよ。ただし『京葉メシアン』こと加曽利 英次(かそり えいじ)のとこに派遣されたエーゼロちゃんだけどな!

 

「これはひどい」

 

 派遣された先、彼のGUNPから出て、思わず発した最初の一声がそれだった。

 

「でしょう?まず第一に、あなたにこの片付けを手伝って欲しいのです」

 

 現在彼が拠点としているマンションの中は、所狭しとアイテムや装備やゴミや……とにかく色々なものが積まれて足の踏み場もないくらいだった。

 

「通常なら、彼自身と私達できちんと整理するのですが、今の忙しさではそんな暇もなく……」

 

 憂いた顔でため息をつくのは、彼の一の仲魔のソロネさん。翼はあるけどなんか正統派美女って感じだな。今彼は寝室で仮眠中、1時間もしたら高レベルの天使系異界の管理業務に出なければならない。なるほど、掃除に手間をかける時間すらないと。

 

「だが……オレが来たからにはもう安心だぜ。見たところ大部分がアイテムと装備、ならオレの電霊能力で一発解決だ!」

 

 オレの電霊能力で、まずは大きめの装備が次々とGUNPに吸い込まれる。派手に行くぜ!

 

「……お静かに」

 

「……はい」

 

 彼は寝てるんでしたね。ま、まあオレの能力なら別に音を立てなくても収納出来るし?優秀な電霊ですから?

 

 音も立てずに収納し続けて、まあ30分くらいで全部のアイテムと装備を収めた。床が見える。

 

「ああ良かった、これでやっと普通にお掃除が出来ます」

 

 残る未登録アイテムや日用品を脇に寄せれば、あとはゴミばかり。仲魔総出で部屋を掃除して、彼が起きる頃には見違えるほどに「普通にきれいな部屋」となっていた。起きた彼にむちゃくちゃ感謝された。さすオレ。

 

 そのマハムドオンカードは何なんですか?え?野良天使を味方と思うな?死ぬって?そ、そっすか……。

 

 その日、オレはチャクラドロップじゃぶじゃぶでマハムドオンを撃つマッシーンと化した。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「エーワンさん、これしまってください」

 

「はーい」

 

「チューインソウル出してー」

 

「はいはーい」

 

「メデューサの弾あります?」

 

「メデューサの弾は予算オーバーです、呪いの弾丸で我慢しましょう」

 

「えー?」

 

 帝都近郊の山の中、新たに発生した高レベル異界を攻略する警視庁第1マシン部隊と、それに派遣されたオレ、エーワン。

 

 本来なら山の中を迷いながら攻略するんだろうが、第3のビットボール部隊との共闘によりほぼ最短距離での力押しとなった。

 

 この異界の今まで出た悪魔のレベルが大体30~40、部隊長のマシンタケルさんがLV67、その他の5人が49~55だからね。ビットボールで見えてりゃそりゃ勝つよね。

 

「サマナー系でもいりゃこのくらいのレベルで仲魔集めするんだろうけど、俺らサマナーいないんだよな……」

 

「あ、でもクグツ部隊のクグツシさんって一応サマナーじゃないですか?」

 

「あれはちょっと特殊だからな……野良のクグツって基本壊れてるから自分で組み上げたり修理したりで大変らしいぞ」

 

「へー」

 

 軽口を叩いているうちに、ボスの邪龍:バジリスクが倒された。バジリスクさんは泣いていいと思う。

 

 そういや、クグツって言えばオレの異界の「教会跡」になんか大量に湧いてたな。仲魔にならんかったから忘れてたけど、あれはかなり奇麗な状態だったような。

 

 オレがボスの残したマッカその他の収納作業の合間に思い出すようにオレの異界の「クグツ」の画像を眺めていると、マシンタケルさんが興味を示した。

 

「ん?何ですかそれ、フィギュアですか?」

 

「いえ、マシン:クグツですが……」

 

「え?ちょっと見せてください。ええっ?こういうパターンもあるのか……小さいけど、状態がものすごく良くてこれは逆に……」

 

「あの……それは普通には仲魔にならなかったんですけど……」

 

「え?ああ、そうですね。クグツシじゃないと難しいでしょうね。でもこれなら……これどこですか?」

 

「えーっと、うちの異界なんですが……」

 

「あ、それじゃちょっと……厳しいかな……あー……」

 

 聞く所によると、クグツシさんのクグツは現在警視庁の異界警備用兼表の場所に置いても大丈夫な表の裏備えとして働いているらしい。しかもそれは小さければ小さいほど、不自然でなければないほどめっちゃ需要ある。

 

「僕は行けるけど、クグツシさんが行かないとダメな話だからねこれ……」

 

 とても惜しそうな顔をしながら、一旦棚上げにして今日の撤収準備に入る。まあ、そんな役目があるなら、クグツシさんはお手軽に遠出出来ないんだろうなってのはわかる。

 

「伝えるだけは伝えとくか……」

 

 マシンタケルさんは回線を開いて通信をしてるようだ。クグツシさんに伝えたのかな。

 

 今は無理だろうが、いつかオレの『教会跡』にお客様が来るかも知れないのか。まあ情勢が一時的にでも落ち着いてからだよな。

 

 オレも他の化身とゼロッチにそれを伝えるべく、回線を繋いだ。ゼロッチたちは宿屋異界にマグネタイトを注いでアイテムが出て来るかどうかの検証中だった。ちなみに実際出来たのは薬草の形の魔石とかミニメダルの形のマッカとかで形が変わった以外は特に意味がなかったらしい。……ファンアイテムとしてならまあ悪くはないかな。フツーに著作権に関わるし売れはしないのが惜しいなぁ。

 




 たまには爺さん婆さんを喜ばせるために頑張るぞ!主にミミカが。


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全ては電霊の仕業だったんだよ!

 っかー、ステルスしときたかったんだけどなー、頼まれちゃったからなー。


 朝。抜けるような青空……のすみっこに雲がかかってるような、まあ晴れと言っていい日の朝。

 

「電霊を公表したい?え?どういうこと?」

 

 警視庁第2マシン部隊のワンだゆうさんから連絡があった。連絡というか申し入れというか。

 

「いえ、電霊を公表するというか、悪魔を電霊にすげ替えると言いましょうか……」

 

 ワンだゆうさんによると、警視庁だけでなく、現在「裏」の政府機関は人手不足が極まって機能不全を起こしている。頭数が減っているので当然過ぎる話ではあるのだが、現在、政府機関としてはマイナス点を取り続けて存続が問われるレベルの非常事態なのだ。

 

 まず、裏を裏として成り立たせる隠蔽に割く労力がない。高レベル転生者が固まっていた警視庁はまだマシだが、既に手薄な地方から「オカルト話」として裏の事件が漏れ始めている。そしてそれに対応するには、表の人員を裏に対応させるか、裏の協力者を増やすしかないが……それは「裏を公表する」か「裏の別組織に依存する」という選択だ。

 

 普通の政府機関なら何年何ヶ月も検討し続けるような大変革だが、ここで警視庁の裏の高レベル組が現在リアルからの転生者で占められていることが優位に働いた。普通の政府組織では考えられないが、リアル転生者組の「設定」による警視庁内部の強力なコネと、情報提供からの警視庁として統一された意思により「警視庁が全責任を負う」という全面降伏のような条件で各方面への根回しをスピード解決し、「公表して公権力の全戦力で対処する」という方向に舵を切った。

 

 そしてその公表の形だが、悪魔を悪魔としてそのまま公表すれば、どうしても神話伝承の存在そのものであるという認知が進み本物が顕現したと同じような大掛かりな事件が多発するようになってしまう。

 

 なので、「インターネットで生まれた情報生命体」というように実体と少しずらした解釈を広げ、むしろ情報生命体とはっきりと理解出来る電霊を本来、悪魔はその実体化した副産物という、伝統的な理解とは違ってるけど間違ってもいないような?な都合のいい常識を広げてしまう。

 

 その際に活躍させる「良き電霊」の偶像……まさにアイドルとなって「悪魔」という解釈をド派手に上塗りし、情報生命体=電霊は良きアイドルであり人類の友であるという「悪魔概念への攻撃」を常に行う。その電霊アイドルというのが……。

 

「オレか」

 

「はい……どうでしょう?」

 

 なるほど……これがオレでなければ戸惑って躊躇したり、勝手に話を進めるなと頑なになったりするところだ。しかし、オレは違う。オレに目をつけるとはなかなか見所があるじゃないか。悪魔の概念を全部上塗りするというのも気に入った、オレオレ全部オレというわけだな?

 

 元々、高レベル帯になったらどうしても目立つし、そろそろステルスも終わりかなとは思ってたんだ。そういう劇的な感じでセラフィックアイドルにうを表に出して社会的公認を得るのもありっちゃありだな。

 

「前向きに検討したい。でも、電霊の公表はオレだけの問題じゃねえからともかくとして、オレがそこに関わるかは一応仲間と相談したいからまた後でな」

 

 さて、どう話を切り出すかな。結構悩んで切り出したが、案ずるより生むが易し。オレが警視庁の電霊公表に協力したい事を話すと、みんな分かってたよみたいな顔で頷くだけだった。いつかこんな事になると思っていたらしい。なん……だと!?

 

 まあ、意見対立してグダグダになるよりましだと肯定的にとらえるとしようか。

 

 結局、警視庁の電霊公表に協力する事を決め、承諾の返答と共に詳しい説明を受けた。後日、記者会見とかもあるらしいが……しばらくは警視庁マシン部隊が表に立って対応するので、オレがそういうのに引っ張り出されるのはちょっと後になるらしい。また何かあればエーワンかエーニから連絡があるだろう。化身がいればずっとそばで待機してるのと同じ、やはりこの能力はやはり便利だな……。しばらくはマシン部隊の発表?を見ながら様子見だな。

 

「ゼロッチー、起きてるかー?」

 

 スガルが俺を呼びに来た。今日は完全休養日、スガルとミミカとオレ達仲魔はカードショップ「サバトマオン」でカードゲーム、阿形さん達はオレの家でレトロゲーム大会ということになった。あー休日って感じだな。デスクトップCOMPからミミカのアームターミナルに移動して、さあ出発だ!

 

 

 

………………………………

 

 

 

 ごく普通にカードショップに到着し、早速カードゲーム、MTG(マジック・ザン・ギャザービート)を始める。朝早いからか他に客は誰もいないし、仲魔も目一杯出してカードゲームに興じた。

 

 ミミカ・スガルにオレ達セラフィックアイドルにう、ファントムさん、サラスヴァティ、オモイカネ、ヘカーテ、みる子、美夜……流石にイソラはカードに興味を示さなかったが、結構な時間大人数で遊んだ。

 

 新しいカードパックを利用する開封戦、1人200枚のカードを使う戦いや、通常の多人数対戦、同盟対戦、適当なカードで即席に遊んだり、原点に帰って2人対戦を重ねたり、意外にもこのカードのストーリーに詳しかった美夜に色々カードのストーリー解説を聞いたりで、かなり充実した時間を過ごした。

 

 そうこうしているうちにスガルのコミュニティで「愚者」と「塔」が上がったようで成果もあったが、たまにはこういう一日もやはり必要なんじゃないかと思いました。毎日バトルだと生きながら修羅道に落ちてるようなもんで悪魔化が深まりそうだしな。

 

 その後は何となくやりつくした感でお開きとなり、いつものようにスーパーハマオンで買い物し、いつも通りにデスクトップCOMPに帰還する。

 

「よう、オレ。ちょっといいか?」

 

 オレの帰還を見計らってか、警視庁にいるはずのエーワンが訪ねて来た。なんかあったのか?

 

「いや、予定通りではあるけど、マシン部隊の公表会見動画と専用ホームページの説明動画がものすごい勢いでバズっててな……ほら、これだよ」

 

 ん?おお、これか。1万、10万……馬鹿な、まだ上がってるだと!?

 

 やはり、いきなりの超技術公開……しかも人型ロボット(ヒーロー、ヒロイン、人型搭乗ロボ)の一気公開はなかなかのインパクトがあったらしい。

 

 この3つの部隊で人気を3分しているようだな。クグツシとビットボール部隊はむしろ目立たない方向で行くらしい。まあ性質的にそうなるか。

 

 かなり私的な質問とかもあるけど……これオレもやるのか?やればつまりオレが一般公開されるってことで、DDS以外の一般サイトでも動画投稿や配信出来るようになるんだし、やらないってのはないけど。DDSだけじゃどうしても限界があったからな。

 

 配信も警視庁への協力も、上手く行ってるうちにどんどん上の方に食いついて行かないとな。こんな急激な動き、転生者あってのものでしかないし。転生者パワーが通用してるうちにね。公的機関がほぼ即日で動くとかありえんからな。

 

 こっちの世界で、オレを含めた転生者達が一定の居場所を得るために。

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 裏から表を見守るスレ 1184

 

 

384:名無しサマナー 10:10

だから無理があるって……。

 

385:名無しサマナー 10:12

警視庁マシン部隊、電霊、マインドマンサー、デモニカ、ちょっと前のめりに公表しすぎじゃないですかね?

 

386:名無しサマナー 10:15

まあ、実際表の技術ってことで誤魔化せるなら、隠すとこだけブラックボックス化して

「技術の進歩すごいですね!」って事にする方が便利ではあるけどさ

 

387:名無しサマナー 10:16

・電霊:シンギュラリティの申し子、学習型AIと各種ドライバを統一して

 ハッキング能力と上位権限をぶち込んだらこうなった

 

・警視庁マシン部隊:電霊に専用ボディを与え、法と警察官心得をインストール

 

・デモニカ:警視庁がマシンなら防衛省はバトルアーマーだ!

 

・マインドマンサー:ちょっと変わったカウンセラーだから。そんなに数がいないし

          特殊な才能がいるし大臣認定でいいよね……なお管轄内閣総理大臣

          お前それでいいのか……?

 

388:名無しサマナー 10:17

悪魔召喚プログラムと転送系の技術は公表していないことに最低限の理性を感じる

 

389:名無しサマナー 10:20

色んな組織が同時にバラバラに新技術公開しちゃってさー

こっちもう大慌てだよ

公表した人たちは話し出来てたんだろうけどさー

 

390:名無しサマナー 10:20

マインドマンサーがフッツーに内閣府から公開された時はどうなるかと思ったけど

噂やシャドウやペルソナやらの致命的なとこは出てなくてほっとしてるわ

 

391:名無しサマナー 10:23

しっかし何で急にこんな公開されたんだ?今それでなくてもどこも大わらわだったのに

 

392:名無しサマナー 10:25

>391

だからかも知れない。どこも大きく動けない今のうちにやっとこうってやつ

鬼のいぬまに洗濯みたいな

 

393:名無しサマナー 10:27

いまだにガイアは混乱中だし政府系は例のアイテムの方で天罰に引っかかりまくって

両方余裕ないのが痛いな……俺らが何言ってもそれで対応出来る組織がないんだもの

 

394:名無しサマナー 10:30

眼鏡っ娘フリークスちゃんちゅっちゅ

 

395:名無しサマナー 10:32

普段は押さえ込まれてたけど裏業界には「公開派」的な考えのやつらは一定数いたからな。

しめし合わせて動いたのかも知れん

 

396:名無しサマナー 10:33

>390

マインドマンサー公開されたのはいいけど、俺が知り合いから病んでる扱いされ始めたんですがそれは

 

397:名無しサマナー 10:34

デモニカを見て「あーそうだよねー自衛隊だもんねー」みたいな生暖かい目になるのはやめろ

 

398:名無しサマナー 10:35

>396

ペルソナ使いが病んでないとでも?

 

399:名無しサマナー 10:36

正論パンチ痛い痛いだからよして

 

400:名無しサマナー 10:37

>398

お前人の心ないんか?

 

401:名無しサマナー 10:39

悪魔と悪魔召喚プログラムと転送技術は全て電霊の仕業です!で説明出来たのは今世紀一番笑った。

悪魔は全部自然発生した野良電霊とか常人じゃ考え付かん言い訳

 

402:名無しサマナー 10:40

>397

あれ一目で分かるナイスデザインじゃん。自信持ってこーぜ

 

403:名無しサマナー 10:44

ぼくはワンだゆうさんの方がいいなぁ

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 【ペルソナ】マインドマンサースレ 220【国家資格】

 

 

30:名無しのペルソナ使い 13:20

マインドマンサーが国家公認の資格になるとはね。ちょっと衝撃的過ぎるわ

 

31:名無しのペルソナ使い 13:22

いきなり国家資格の免状?みたいなのが郵送されて来たんだが?

おかしい、誰にも言ってないし何もしてないのに

 

32:名無しのペルソナ使い 13:24

何もしてないのにおかしいよな??

 

33:名無しのペルソナ使い 13:25

ホントに?夢でマインドマンサったりしてない?

 

34:名無しのペルソナ使い 13:29

いや、夢ではなんかやったらしいんだけど憶えてないんだ……。

 

35:名無しのペルソナ使い 13:33

>34

マヌケは見つかったようだな……。

 

36:名無しのペルソナ使い 13:35

フィレがここぞとばかりにテレビとか出まくってるけど大丈夫なのか?

 

37:名無しのペルソナ使い 13:38

>36

賢者ポジだしいい事言ってるみたいなツラして重要な事何も言わない

なんてのはお手のものだろう

 

38:名無しのペルソナ使い 13:40

そりゃ霞ヶ関に行くわな

具体的に何やったのかは知らんけどな

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 メシア異界攻略スレ 28

 

440:京葉メシアン  19:24

いつでも攻略していいので来てください、内容は【メシア管理放棄異界情報】

 

441:名無しサマナー 19:28

あい変わらず無茶を言う……。

 

442:名無しサマナー 19:32

俺んとこも援軍欲しい

 

443:名無しサマナー 19:33

メシアンが見てるの確定してるスレに

メシア異界を攻略する・した勢が書き込むわけないだろ

 

444:名無しサマナー 19:34

それな

 

445:京葉メシアン  19:35

あの事件から毎日異界なんだが?もう天使お腹いっぱいなんだが?

 

446:名無しサマナー 19:37

異界連続はきついな。デスマーチなのは知ってたけど

メシア異界抱えすぎなんだよな。こんな多かったっけか

 

447:名無しサマナー 19:38

メシアンに後で敵視されるかもってのも嫌だけど

今の異界管理が崩壊したら管理放棄の天使系異界がやべーんだよね

 

448:名無しサマナー 19:39

>447

四文字降臨クルー!?

 

449:名無しサマナー 19:39

いやマジヤバイって、京葉メシアンクラスの管理異界が放棄されたら

マジで神降臨になるかも。だれか攻略してあげて、どうぞ

 

450:名無しサマナー 19:42

>449

嫌です、どうぞ

 

451:京葉メシアン  19:44

全体だとちょこちょこ攻略されてはいるから……こっち攻略に来てくれないだけで。

電霊ちゃん来てくれなきゃマジ終わってたかも知れん

 

452:名無しサマナー 19:45

電霊ちゃん?

 

453:名無しサマナー 19:46

おい、電霊ちゃんって何だ?

女の子か?女の子だろお前!

 

454:名無しサマナー 19:48

電霊ちゃん詳しく

 

455:名無しサマナー 19:49

警視庁発表に電霊ってあった気がする

 

456:名無しサマナー 19:51

お前ら電霊ちゃんに食いつきすぎwww

 




 電霊のせいにしてるが大体転生者のせい


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喪神山攻略

 当然のごとく兎であるのだ


 「よう、色々報告があるぞオレ」

 

 警視庁からやって来たオレの化身の1人、エーワンに話を聞く。ミミカ達は既に帰宅して阿形さん達と合流しレトロゲーム三昧。今日は落ち物パズル系のなんかお金を落として連鎖するゲームのようだ。……オレこのゲーム知らないんだが?何であるの?怖ぁ……。これが終わったらオレも合流してゲームしよう。できる暇あるかな。

 

 エーワンが今日やったのは、動画の撮影と生配信での電霊のお披露目だった。まあ、そうなるな、

 

 セラフィックアイドルにう、しかし天使ではありません!それを伝えるためだけの1分動画と、初配信(初配信ではない)自己紹介生配信。人にあだなす悪い電霊と人を助ける良き電霊、すなわち電霊ということになった悪魔達とオレらがいるってことだけは伝えられたと思う。

 

 ほぼ警視庁からのリクエスト通りの動画と配信だけど、一気にオレが目標としてた段階を通り越していった感があるな。瓢箪からコマというか、警視庁公認で電霊はそのまま公表されて表の知名度広げられるなんて、上手い話過ぎていいのかこれ?って気分になる。一連の騒動の影響はオレが想定するより大きかったのかも知れんな。

 

 あとは転生者同士の繋がりもありそうだが……転生者もデスマーチに駆り出されたり大乱闘ガイアブラザーズに参加したりで大騒動の一部になってしまっているのは変わらんだろう。そんな中で結構大きなひとかたまりとなって動けた転生者の集団が警視庁であり、アルカナ、メガテニスト……オレらも加えていいかな?オレらは小規模だけど。

 

 まあ、オレの目標とか生存に関係なかったり一致してるなら細かい所はいいか。続いてのエーワンの報告、配信とか以外での活動の話だ。まずは良い電霊アピールの活動、悪い電霊、つまり悪魔退治。フツーだな!そして警視庁の捜査活動全般に対する協力。常駐セラフィックアイドルにうのさらなる派遣。電霊能力を生かした各種IT系のお仕事。その他色々、各種依頼がエーワン・エーニの所へ届いているらしい。

 

 おお、とにかく今までと比べて依頼の数が半端ないな。こりゃ一気に化身の数増やして依頼処理に当たるのもアリかも知れん。ただ、そうなるともう少し事務処理能力があった方が良さそうなんだよな。公権力というか表の商取引の慣行と言うか、依頼報酬の支払いにタイムラグがある依頼がかなり増えてるんだよな……。裏なら即日以外拒否が普通なんだけど。

 

 アニマウイングスはオレらとリアル転生者の助け合いを目的とした組織で、そういう表の大規模経営の企業みたいになる事は考えてないし、そうなるとやっぱり神社復活!古いコネ総動員!で規模拡大するのはありだな。

 

 それまでの急場は何とか凌ぐしかないか。まあ何ヶ月も何年もかからなそうだし、そうひどい事にはならんだろう、多分。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 翌日、オレ達は再度分かれて行動する事にした。まずオレら、オレとミミカとスガル、その他愉快な仲魔達。オレらは喪神山攻略に向かう事にした。オレらのレベルは佐部利メシア教会、現「ラロヘンガ」のバランサーの群れと全能のバランサー討伐で一気に上がったので、喪神山でも問題なく攻略可能なレベルになっていたからだ。

 

 神社勢力を復活させるなら先に攻略しておきたいしあわよくば確保しておきたいからな。あ、美夜は流石に阿形さん達と一緒にレベル上げだ。流石にレベル1で喪神山はないからな。

 

 阿形さん達は、『舟方島異界』の方へ行くらしいので、その途中の『吊浜』で初戦闘だ。ヒナちゃんのリフトマがあるので、地形の消波ブロック地帯の危険度も問題にならないのは大きい。

 

 安全に吊浜で初戦を飾れるだろう。阿形さん達の言うその先、『舟方島異界』は海中洞窟なのでどうするのかと思っていたが、どうやらヒナちゃんがついに分裂するらしく、海中で分裂してそのまま慣らしついでに行ってみたいんだという。ヒナちゃん何体ぐらいに分裂すんのかな。オレみたいに同期出来たりするのかな。ワクワクが止まらないぜ!

 

 しかし分裂直後のヒナちゃん「達」だけでは不安だという事で、ミミカの「イソラ」と阿形さんの「ナタタイシ」をトレードして見守ってもらう事になった。海中洞窟のレベルは雑魚一桁レベルらしいので、まあヒナちゃんとイソラさんがいれば問題ないだろう。

 

 そして最後に、色々対応力を増やすために、にう13の後の14人目~24人目の化身と、Aナンバーズの4人目~14人目を作る。計22人の新しいオレの化身だな。Aナンバーズの方はすぐに警視庁の非戦闘依頼の方へ送り出し、無印オレの方は暇があれば太閤異界でちょっと鍛えておく予定だ。ローテーションでな。

 

「ほら行くぞゼロッチ」

 

「おう、待たせたな」

 

 ミミカのアームターミナルに移り、喪神山へ向かう。邪神系の異界でボスは邪神:LV58 テトカポリトカらしいが、今のオレ達なら勝てるだろう。邪神は耐性が面倒なのが多かった気がするからオレのアナライズが大活躍するだろうな。ウデガナルゼー!

 

 

 

………………………………

 

 

 

「往生せいやー!」

 

「グワー!」

 

 はい。今フィクションめいた叫び声を上げて倒れたのが喪神山ボス、邪神:テトカポリトカさんです。いや違うんですよ、本当はもうちょっと苦戦するかと思ってたんですよ。でもフツーに雑魚の群れに混じって出てきたバフォメットさんがやばくて。

 

 いや、バフォメット自体はそうやばくはないんですけど、この喪神山に入ってすぐ出てきたバフォメットの群れを倒したら、『ファーガスの剣』が2本手に入ってしまったんですよ。アイテム登録されてたんでデータ参照したら、攻撃力132、命中32、力+1、体力+2、攻撃回数4~6回で魔封の追加効果ありです。結構な長さの剣なんですが、スガルさんこれを持って二刀流を始めまして。

 

 素人のいきなり二刀流とか無理だろって思うでしょ?何か出来ちゃったんですよこの子。スガルのステータスはオールラウンドな伸びで力、あるいは強さも伸びてるんで、重さ的には軽々と振り回せるし、「なんか斧とかカマより使いやすいなこれ」ですってよ、ちょっと聞きました?

 

 レベル高いのもあるけど本当に天才肌なんだよな。それを言うと「お前が言うな」って言われるんだけど。解せぬ。

 

 まあつまり、攻撃回数の多い快速剣2本×鋼鉄シンデレラで何回攻撃してんだ?っていうハイスピード曲芸剣士が誕生してしまったわけで。

 

 現実で見るこういう攻撃回数の多い武器ってのはまー速いね。スガルはアニメかゲームみたいな回転切りで複数の悪魔に切り込んだり剣を振ったらそれはフェイクでペルソナ攻撃で敵を翻弄したり堅実に剣二本で攻撃を受けて防御かと思ったらペルソナ発動したりで色々大技から小技まで織り交ぜていて、これで武術の経験ないとか嘘でしょ?てなレベルの領域に突入してるんだけど、ガチで経験は転生してからの実戦だけっぽいんだよね。

 

 これで見た目は筋肉のかけらも見えないスク水眼鏡美少女だから初見詐欺だよなぁ……。

 

「わ、わわっ、何これ!?」

 

 お、ボスを倒したらカラスと兎がどこからともなく大量に湧いて来たぞ。カラスはヤタガラス、ウサギは玉兎とイナバシロウサギが混じってるっぽいな。

 

「とりあえず、代表を仲魔にして、神降ろしの儀式とかもしちゃったらどうかな?」

 

「そ、そうだね。私がやらないと。ほーらマッカですよー」

 

 いや、もう懐いてて戦闘の気配も皆無なのにその交渉はどうかと。若干の不安をよそに、その後あっさり霊鳥:ヤタガラス、珍獣:イナバシロウサギ、聖獣:玉兎が仲魔になってくれた。何か「しょーがねーな……」みたいな感じに見えるのはきっと気のせいだろう。

 

「これで、私も魔法使えるようになる?」

 

「いや、どーかな……」

 

 記録によるとサマナー/ガーディアンスタイルの姫巫女も結構いたらしいので、魔法使えるかどうかは分からない。まあ何にせよ戦力強化に繋がるので儀式を済ませよう。この……姫巫女のミミカがカラスか兎を仲魔にして、このボスがいた社でミミカが瞑想して神が降りるのを待つ。

 

「……瀬賀ドラミニ2の発売日っていつだったっけ」

 

「あとにしろ教えるから」

 

「……うん」

 

 しばらくして。予想通りというか何と言うか、どうやらイナバシロウサギを神降ろし出来たようだ。……イナバシロウサギ?

 

「そいつただの野生の悪魔じゃなかった?」

 

「ん?ええと、今までそんな高レベルの兎系姫巫女がいなかっただけで、出来る子が来てくれて嬉しいって言ってたから……まずかったかな?」

 

「いや、まずくはない。そうか前例がなかったから野生と勘違いされてただけか、でもイナバシロウサギ……ミミカらしいっちゃこの上なくらしいけど」

 

 一応アナライズして確認しよう。えーとミミカはサマナー/姫巫女/アームターミナルに表記が変わってるな。イナバシロウサギのLVは50、それはまあ、普通は出来なくても仕方ないねってLVか。

 

 スキルはリフトマ、スクカジャ、リカーム、ラッキーステップ、月夜のもちつき。イナバシロウサギが持ってるスキルは揃ってる感じだな。リカームは分からんけど個体差か、成長性ありか。この世界の経験から言うと後者っぽいかな。

 

「リフトマ!」

 

「うわ!危ねぇ!やめろよ!」

 

 ミミカがいきなりリフトマを使って、オレら皆が宙に浮く。流石にこれで転んだりするのはいなかったが危ない。調子乗ってんなミミカ。

 

「えへへ、めんごめんご」

 

 まあ、このレベルになって初めて魔法が使えるようになったんだから気持ちは分かる。

 

「何かこの異界のボスになった感覚もあるんだよね。人間でも異界ボスなのかな?それとも実際にボスになってるのはイナバシロウサギさんとか?」

 

 そこまで詳しく分かるかな?あ、いや、『送神山:イナバシロウサギ』って表記があった。流石に人間が直接異界ボスになったりはしなかったらしい。

 

 しかしこれって、オレ(教会跡)、ミミカ(送神山)、スガル(ラロヘンガ)の3人がそれぞれ異界を持った事になるな。強くなったなあオレ達。

 

「この後どうする?周回するか?」

 

「そうだな……LV58のボスがいなくなってLV50のイナバシロウサギになったけど、雑魚敵はまだ変わってなさそうなんだよな。これもしかして隠しボスとかいるのか?」

 

 他の異界だと、ボス攻略して交代したらすぐ雑魚敵も変わってたからな。

 

「山の裏っ側は通らなかったからそっちか?周回っつーかマップ埋めみたいになるけど行っちゃいますか」

 

 オレ達はボスになったイナバシロウサギを残しその場を後にした。それほど高い山でもない丘だけど、一旦ふもとまで降りてそこの社から山すそを回って裏手に出るという道を辿り、そこから裏を登って頂上付近にある朽ちた社にたどり着くまで狭い道をグネグネと曲がり続けた。敵のレベルもなんか上がってたので若干きつかった。

 

 あー疲れた疲れた。たどり着いた社、裏山のボスは堕天使:ムールムール LV63。何かLVがおかしかったし相性が氷結・電撃反射で斬撃無効だったのでフツーはやばかったんだろうけど、オレのインストールソフトも活用したアナライズで相性もばっちり見えるんで苦戦はしなかった。剣攻撃が効かなくても銃が効いたからね。ミミカとスガルのダブルおうごんじゅうで攻撃力は十分だったです。はい。

 

 何でこんな裏に隠れるように社が建ってて、そこに堕天使がいたのかは知らないが、こいつを倒しても何か変わった気はしないな。ミミカも不思議がっている。異界の確保は出来てるはずなんだが。

 

「あれ?まだ道があるよ?」

 

 みる子が見つけた道を辿ると、また社がある。これ裏ボス複数のパターン?

 

 小道を辿り、次の社では堕天使:バルバトス LV56、その次はバルバトス、そのまた次もバルバトス……バルバトスだけかい!

 

「めんどくさっ!」

 

 スガルの思わずもれた叫びに同意する。次々にバルバトスを倒し、最後ようやくミミカが異界を掌握したようだ。獣や鳥系の悪魔に、何と珍獣がメインで、霊鳥や聖獣も出るレアな異界となったようだ。イナバシロウサギ効果かも知れんな。

 

 結構レベルは上がった。ミミカがLV56、神降ろしのイナバシロウサギが55になったぐらいに。

 

 今日の異界攻略、レベルも稼げたしスガルがめっちゃ強くなったし、レア悪魔の出る異界も掌握出来たしなかなか良い結果だったんじゃないかな。

 




 支払いは月末締めで……月の真ん中払いで……期末精算で……半年後でもいいかな?


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喪神山・舟方島リザルト ※リザルトあり

 13人ヒナちゃん大行進!海で。


 ボスのイナバシロウサギを残し、オレ達は帰還した。帰ると阿形さん達のギルギア対戦が佳境に入った所だった。オレも女の子……と見せかけて医者で参戦。そのまま対戦会にもつれ込んだ。

 

 今日の阿形さん達は、まずヒナちゃんの分裂を皆で見守ろうと、ヒナちゃん(ポリプ)をそっと海に潜らせた。しばらくして急激に動き出したかと思ったら、平たいヒナちゃんが一気に12体分かれてにょきにょきっと身体を伸ばし、ほとんど同じだけどちょっとだけ小さいヒナちゃんが生まれたらしい。

 

 オレの化身とは少し違い、新しいヒナちゃん12+元の本体1で「元の本体と小さく新しい本体が13人」みたいな感覚だとか。なるほど?

 

 スキルは当然のごとく共有、しかし新しいヒナちゃんのレベルは13~27と低めになってしまうようだ。いや、オレの化身みたいにレベル1からよりは強いけどさ。

 

 んで、増えたヒナちゃんとイソラを海中洞窟に突っ込ませたら、さして苦もなく攻略してしまったとか。現在は適正LVのヒナちゃんその3、LV18の子がボスやってるとか。本当に異界としてのレベルは低かったんだな。

 

 旧神社勢力の異界を次々手に入れたとかで爺さん婆さんは喜んでいたが、まあ勢力再興に役立つならそれに越したことはないだろう。早速旧神社勢力の生き残りと伝に声を掛けると言っていたが……どれくらい集まるか、実際役に立つのかは不明。仕方ないね。

 

 そして警視庁に派遣したあらたなるAナンバーズ達は、まずは警視庁関連のデビルサマナーのCOMPに常駐する仕事を求められた。ですよね。レベル1の化身でもMP・HP次第でスキルは使えるし電霊能力はあるからな。

 

 アイテムや装備の出し入れ、インストールソフトの管理、ネット経由の情報収集、戦闘参加を仮に一切しなくても、COMPに常駐してるだけでそのサマナーの環境が段違いに良くなるとか。

 

 そう言われると、オレを大量に常駐させてるミミカってチートオブチートなんだなぁ。フツーの悪魔はスキルでもないとアイテムも使えないよって言われたら納得するしかないよな。

 

 警視庁にはまだまだ仕事があるので、オレの化身はもっともっと大量に増やす必要があるっぽい。ですよねー。今の所何の問題も起きてないし、100、いや1000人増やしても大丈夫かな?

 

 要求されてる仕事量から、将来の仕事量を予想するとそうなるけど……いきなり増やし過ぎると危ない気がするんで様子を見ながらでいいかな?いくらでも使い潰せるとか安く見られても困るし。オレは化身に差を作りたくないし切り捨てもしたくない。オレは全員オレなんだからな。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:第17回 喪神山、舟方島攻略

 

マッカ:+45088 マグネタイト:+54989

 

アイテム:ファーガスの剣×2、まけんムラマサ×1、天沼矛×1

     ソルブレード×1、八束の剣×1、魔反鏡×1、ふえんじ×1

     エメラルド×2、ルビー×2、グライカード×2

     ディアラマカード×2、宝玉×5、魔石×8

 

 

【宇佐野 美々加】サマナー/姫巫女/アームターミナル LV56(+5)

 

神降ろし:イナバシロウサギ LV55(+5)

スキル:リフトマ、スクカジャ、リカーム、ラッキーステップ、月夜のもちつき

    マッパー(新)

 

仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効、電撃吸収、闇耐性

    【ゼロッチ/イッチ】LV66(+8)

    (サッチ)LV48(+8)

    (ゴッチ)LV54(+4)

    (ナイン、テン、イレブン、トゥェニー、にう13)LV46(+8)

 

    スキル:休む、挑発、まもる、九十九針、スウィートトラップ、怪音波

    狂乱の歌、テンタラフー、スランパ、フォトンショット、マハムドオン

    スクカジャ、スクンダ、デビルタッチ、ザン、ザンマ、ザンダイン、マハザン

    マハザンマ、マハザンダイン、リムドーラ、ジオンガ、マハジオンガ

    メギドラ、サバトマ、吸魔、松竹梅、サマリカーム、ペンパトラ

    コトルディ、ブルトディ、クロズディ、メタモディ、ボムディ、混乱防御

    電撃吸収、生産の社、闇耐性、混沌の闇、電脳空間転移、知識の泉

    盛運の社、ダークブレス(新)、衝撃高揚(新)、刻の車輪(新)

    《回復の泉》(新)、《デクンダ》(新)、《デカジャ》(新)

    《ライトマ》(新)、《パララディ》(新)

 

    悪霊:ファントムロード LV48(+3)

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド、クイッカ、憑依、デスタッチ

        マハザンマ、タルンダ、マハムド、吸魔、コンセントレイト

 

    電霊:【みる子】LV46(+6)

    銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効

    スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙、ギルトアイズ、デスタッチ

        ルナトラップ、リベラマ、リフトマ、パララアイズ

        ペトラアイズ、ヘルズアイズ、テリブルアイズ、イビルアイ

        電撃耐性、闇討ち、、テトラジャ、ライトマ、おねだり

        セクシーアイ(新)

 

    女神:サラスヴァティ LV46(+5)破魔・物理耐性

    スキル:マカカジャ、テトラカーン、マカラカーン、メディラマ、ペンパトラ

        リカーム、ディアラマ、ローグロウ、サマカジャ、勇奮の舞(新)

 

    天津神:オモイカネ LV44(+2)魔法吸収・バステ無効

    スキル:マハザンマ、マカジャマ、テトラジャ、テトラカーン、ペンパトラ

        タルカジャ、リカーム、マハーガル、メパトラ(新)

 

    魔王:へカーテ LV48(+2)魔法反射・物理弱点

    スキル:ムドオン、マカラカーン、サマリカーム、マリンカリン、ネクロマ

        ディアラマ、ポズムディ、カルムディ、サマカジャ(新)

 

    珍獣:イナバシロウサギ LV55(+5)(新)氷結無効・火炎弱点

    スキル:リフトマ、スクカジャ、リカーム、ラッキーステップ、月夜のもちつき

        マッパー(新)

 

    聖獣:玉兎 LV12(+11)(新)破魔反射、魔力無効、火炎弱点

    スキル:肉弾、自爆、リカームドラ、バイナルストライク

        マカトラ(新)、トラフーリ(新)

 

    霊鳥:ヤタガラス LV53(+3)(新)破魔無効、衝撃・銃弱点

    スキル:マハラギオン、タルンダ、ディアラハン、マッパー

 

    妖魔:テング LV52(新)銃・火炎・氷結・電撃・破魔・緊縛耐性

    スキル:シバブー、マハザンマ、はばたき

 

    邪神:ミシャグジさま LV44(新)

    銃・技・神経無効、剣強耐性、破魔・呪殺・魔力小耐性

    スキル:ジオダイン。マハジオダイン、ムドオン、あばれまくり、おしつぶし

 

    堕天使:バルバトス LV48(新)

    電撃・衝撃・念動・精神・魔力・破魔・呪殺・緊縛・神経耐性

    スキル:マハザンマ、シャッフル、シパニ、あくまのキス

 

 

 

               悪魔トレード

 

    妖魔:イソラ→幻魔:ナタタイシ LV40(+6)破魔反射、呪殺弱点

    スキル:ソニックブーム、デカジャ、回し蹴り、ミサイルパンチ

        奥義マモリヤブリ、ハンマ、ラクンダ(新)、デクンダ(新)

 

 

 

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV64(+8)

 スキル:からたけ割り、曳光倶利伽羅蹴、極楽往生破、食いしばり、利剣乱舞(新)

 

ペルソナ:死神:夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポ LV57(+7)

     地変・闇吸収、雷・光・魔力無効、風・水耐性

 

     スキル:子守り歌、かみつき、丸かじり、エイハ、マハエイハ、ムド

         ムドオン、マハムド、マハムドオン、エイガ、マハエイガ

         エイガオン、マハエイガオン、ムドブースタ、呪怨ブースタ

         マグダイン、暗黒マハマグナ、闇のフォーミーラバー

         ドルミナー、催眠波、ソウルブレイク、黄泉への誘い

         トラエスト、トラスタルト、トランパ、アドバイス、三分の活泉

         マハマグダイン(新)、呪殺貫通(新)     

 

 

     月:アルラウネ LV46(+2)闇無効、火・氷耐性、風弱点

     スキル:メディラマ、エアジーシャワー、オールド・ワン

         ディアラマ、スクカジャ、タルンダ、マカラカーン、緑の壁

         老化防御(新)老化成功率UP(新)

 

     審判:アズラエル LV42(+6)(新)

     精霊・物理魔法無効、闇・物理攻撃弱点

     スキル:はばたき、バイコウハ、狂乱の歌、リカームドラ

         タルカジャ、闇の審判、マハンマオン、二連牙

         タルカジャオート

 

 

     魔術師:ランダ LV47 物理反射、氷結弱点

     スキル:マハラギオン、テンタラフー

 

 

 

                ペルソナ合体

 

 

 

死神:ロア LV31

×愚者:オセ LV34

=隠者:ヒトコトヌシ LV44(+1)

 

星:ナンディ LV42

×隠者:ヒトコトヌシ LV44

×月:ディオニュソス LV48

=星:ガルーダ LV56(+4)

 

     星:ガルーダ LV56(+4)(新)

     光反射、風耐性、銃弱点

     スキル:ガルダイン、ヒートウェイブ、アムリタシャワー

         マハスクカジャ、勝利の息吹、マハラクカジャ

         タルンダ、マリンカリン

 

 

剛毅:ハヌマーン LV37

×太陽:ヤタガラス LV40

×死神:夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポ LV57

=愚者:シキオウジ LV59(+6)

 

     愚者:シキオウジ LV59(+6)(新)

     火炎・氷結無効、風弱点

     スキル:アギダイン、マハタルンダ、レボリューション、アドバイス、

         ミドルグロウ、アギラオ、気功・小、トラエスト

         マハスクカジャ

 

 

 

スガルコミュニティ:愚者/LV7(+2)時間城のなかまたち

          女教皇/LV1 阿形 サリナ

          法王/LV1  ゼロッチの祖父母

          恋愛/LV1  網代 裕奈

          隠者/LV2  宇佐野 美々加

          正義/LV1  警視庁マシン部隊

          死神/LV1  みる子

          塔/ LV2(+1)美夜

          星/ LV5  ゼロッチ

          月/ LV1  瓜生 ヒナ

          審判/LV9(+1)アニマウイングス

 

 

 

 

【阿形 サリナ】サマナー/ガーディアン使い/聖書型COMP LV50

ガーディアン:神獣:LV41 アヌビス

 

仲魔:珍獣:ホネアリクラゲ【瓜生 ヒナ】LV45 水無効、物理耐性

   (ヒナ2~13/LV13~27)

   スキル:トラフーリ、トラエスト、トラポート、アクア、アクエス、マハアクア

   マハアクエス、リフトマ、串刺し、ヒステリービンタ、まきつき

   どくばり、まひばり、水の壁、火炎耐性、治癒促進中、粘液、アクアダイン

  

   大天使:ハニエル LV46 破魔反射、技耐性・呪殺小耐性

   スキル:マハジオ、マハジオンガ、ハマオン、メディラマ、ディアラハン

       マリンカリン、マハンマ

 

   女神:アリアンロッド LV45

   技反射、破魔無効、呪殺・剣耐性、神経弱点

   スキル:ハンマ、ディアラマ、パララディ、ヒートウェイブ

       ザンマ、ジオンガ

 

   龍王:ノズチ LV42 物理吸収、魔法弱点

   スキル:ラクカジャ、放電、リベラマ、押し潰し、大暴れ、ペトラディ

       しちしきれんごくは

 

   大天使:ラミエル LV33 破魔反射、技耐性、呪殺小耐性

   スキル:アギラオ、ハンマ、マハンマ、ペンパトラ、はばたき

       リカームドラ、カルムディ、ポズムディ、パララディ

 

   神獣:カマプアア LV34 電撃・破魔無効

   スキル:シバブー、ハッピーダンス、マカカジャ、メタモディ

       パララディ、ディアラマ

 

   地霊:スダマ LV11(新) 破魔・呪殺無効、魔法耐性

   スキル:マハザン、マカジャマ、デカジャ、ラクカジャ、ペトラディ

 

 

 

              悪魔トレード

 

  幻魔:ナタタイシ→妖魔:イソラ LV40(+1) 氷耐性、火炎弱点

   スキル:ジオンガ、ディアラマ、みずのかべ、アイスブレス、子守り歌

 

 

 

               悪魔合体

 

 

妖精:メロウ LV9

×妖精:ヴォジャノーイ LV9

=精霊:アクアンズ LV18

 

 

   精霊:アクアンズ LV18(新)

   電撃反射、破魔・緊縛無効、神経・呪殺・魔力耐性、火炎・氷結弱点

   スキル:ブフ、ブフーラ、ポズムディ、九十九針、水の壁

 

 

 

 

【美夜】ペルソナ使い/チャネラー LV4(+3)

 

ペルソナ:塔:ニュクス LV47

 破魔・呪殺・バステ無効、魔法吸収、物理弱点

 スキル:テンタラフー、ドルミナー、マリンカリン、サマリカーム、ダークブレス

 

 

 

【網代 裕奈】ペルソナ使い/降魔 LV46(+6)

 

ペルソナ:女教皇:テンセンニャンニャン LV46 属性:破魔

     スキル:九十九針、メディラマ、マハアクア

 

     月:リリム LV21 属性:神経   

     スキル:ポイズマ、スランパ、どくばり、ムド、ザンダイン

         キャンディボイス、シシリッカ、エイジング

         老化成功率UP、マハムド

 

     恋人:スエノタマナ LV27 属性:神経   

     スキル:ディア、マリンカリン、ハピルマ、キャンディボイス

         バステ成功率UP、ザンダイン、投げキッス

         癒しの調べ、ディアラマ、天上の舞い

 

 

 

【管理異界】

 

(現実)

教会跡(ロッチ)、送神山(イナバシロウサギ)(新)

舟方島(ホネアリクラゲ【瓜生 ヒナ】/不定)(新)

 

(現実/電脳)

ラロヘンガ(夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポ)

 

(電脳)

太閤、酒場、宿屋(セラフィックアイドルにう/不定)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 今日の収穫は大きかった。何と言ってもファーガスの剣二刀流を即座に使いこなすスガルだ。

 

 呪殺貫通でマハムドオン当ててから闇のフォーミーラバー→黄泉への誘いとかもうあいつ1人でいいんじゃないかなレベル。

 

 そして8レベル上がってLV66、今日も最高レベルを維持したのがオレとイッチ。今日のオレはあまり敵を倒してなかったんだが、ボス交代と裏ボス討伐?のさいにテトカポリトカからイナバシロウサギとのボスレベル差分?みたいな異界のレベル低下分のマグネタイトがその場のレベル最高?だったオレに流れ込んだっぽいんだよね。自分でもどうやったのかはよく分からんけどこんなことあるんだな。

 

 送神山とミミカの関係?とかもあるのかも知れんが、まあオレは研究者でもなんでもないので分からん所は分からんでもいいだろう、多分。

 

 それより問題は、オレがレベル66になって身につけたスキルだ。うん、これペルソナ2のニャル様のスキルですね?ちょっと時間城の主さん?これはまた休み……明日にでも問い詰めなきゃなりませんな?

 

 オレの設定がただのサマナーとか、合体したのがただのポルターガイスト少女だとかぜってー嘘だろ……。

 

 あとは……阿形さん達はほとんど成長はしていない。これは舟方島異界が低レベル異界だったからだ。

 

 ヒナちゃんの分裂だが、オレの様にお手軽なものではない様子。ただ、実体のクラゲ美少女であってもオレの監督下……サイバー空間の管理異界で触れ合ってればオレが仲介してスキル共有は出来る模様。やっぱオレなんだよなぁ?

 

 何より、オレがほぼ到達不能な海の中とかを探索出来るのは大きい。この世界の海の中にどれだけ異界があるのかは知らんが、海の神話伝承がある限りないって事はないはずだ。実例もあるしな。

 

 何体かは分裂用にして、その他はどんどん海の中を探索して海の異界を積極的に探した方がいいのかな。オレとは違ってしっかりとした実体あるからオレみたいに手軽に増やせるものでもないけど、海中の異界ごとに配置出来る数は欲しいな。

 

 他に海中異界を探索するようなのはいないから……いないよな?

 

「おーいゼロッチ、ちょっと来てくれ」

 

 何だ?ミミカが呼んでいる。

 

「このさい阿形さんと裕奈ちゃんにも『おうごんじゅう』使ってもらおうと思ってな。使いやすいからなこれ」

 

 ああ、そうだな。おうごんじゅうは威力と攻撃回数が揃ってて使いやすい上に拳銃だからな。それだけでも結構な戦力アップになるだろう。

 

「いいんですの?」

 

「いいっていいって」

 

 この世界負けたら終わりだし、間違いなく強い装備を持ってる方が強い。防具の方は……天使装備のセット効果が馬鹿にならないので、これはこれでいいかなって思う。はい。

 

 ……この街の最高レベルの異界だった『喪神山』を攻略して掌中に収め、最高レベルはオレとイッチの66、次がスガルの64。レベル上げのための稼ぎは一旦終えて、警視庁経由で大量に受けられるようになった依頼や神社勢力、時間城なんかの地固めで活動するのもアリかも知れない。

 

 今のオレらのレベルは世界最強とは言わないまでも、大組織の筆頭戦力レベルではあるっぽいんだよね。

 

 知ってるのだと警視庁マシン部隊の最高レベルがマシンタケルさんの67、京葉メシアンさんが68、メガテニストの最高LVが65だと聞いた。

 

 だから鍛えなくていいって話でもないが、現在のこの世界の最高水準がこのくらいのレベルなのかもな。

 

 ああ、そういえばスガルのコミュニティ『愚者』が2LV上がってLV7に、『審判』が1上がってLV9になったようだ。これをスガルのワイルドな旅路、ペルソナのお話とするなら、一つの旅路の終わりが近いのかも知れないな。『愚者』と『審判』ってワイルドには結構重要なアルカナだったからな。

 




 嘘は言っていないが全部説明もしていない


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ネタバレ乙!+掲示板回

 推し、推され、楽しい時間を共有する、それだけが満足感よ!


 翌日、阿形さん達に新たなおうごんじゅうを渡し、オレの化身を何人かつけて地蔵尊で稼いでもらう。流石にもう特殊な戦術なくても大丈夫だろ。

 

 ヒナちゃんの2号さんその他のレベル稼ぎも必要だからな。2号さん達には海の異界を探索してもらいたいからね。裕奈ちゃんのスペルカード稼ぎも兼ねて。

 

 そしてオレの化身たち。Aナンバーズは更に増やして警視庁の依頼行き、何か大好評過ぎるのでとりあえずAナンバーズ30まで作って行かせておく。

 

 警視庁じゃない、邪教の館経由で打診があった「メガテニスト」にもA31~33の3体を作って派遣。こっちも実際使ってみたら更に需要は増えそうだが……まあ大丈夫だろう。

 

 どこまでがオレの化身の限界なのか、いや限界があるのかすら分からないが、ここは勝負のしどころだと思う。

 

 そして、オレとスガル、ミミカの3人組だが。

 

「そろそろ来る頃だと思っていたぞ」

 

 直接面会してあんまり影響を受けたくなかったので接触は最低限にしていたが、オレの新スキル「刻の車輪」については知らんぷりするわけにはいかない。

 

 オレ自身がこれ以上レベルを上げて、あのクソッタレのニャルの化身かそれと同じ者になったら……そんな不安を抱えて生きたくはないからな。

 

「今更ではあるが、その不安は正しくもあり正しくもない。かの化身は今でも健在ではあるが、それと同時に跡形もないからな」

 

 そして語られたペルソナ2のラスボスであったニャルラトホテプの化身の顛末は……うん、ある意味健在であって、ある意味跡形もないな、それは。

 

「何のことはない、『設定』上、お前はポルターガイスト少女と合体して電霊となった。そのポルターガイスト少女が、彼の化身、最後はJKニャル様だったか?そう呼ばれる化身であった。ただそれだけだ」

 

 なん……だと!?

 

「お前だけではなく周囲の人間や悪魔も無限に増やせるスキル、常識外れの化身能力、際限無しの増殖、お前とその周囲の異常はそれでかなりの部分説明がつくと思うがね?」

 

 言葉も出なかった。いや、フツーはここで驚愕の真実!とか言ってショックを受けたりするんだろうが、今のオレは「ああそうか。そうだな」と全てが腑に落ちるだけだった。

 

「おいゼロッチ大丈夫か?オレがファーザーだとか言い出したりしないか?」

 

 心配するスガルのTシャツには、今日は「宇宙大将軍」と書かれていた。明朝体で。

 

「大丈夫だぞ?たとえ世の中の悪意を煮しめたような愉悦勢となったとしてもオレはオレだから」

 

「それゼロッチは良くても私たちは良くないよね!?本当に頼むよ!?消せないラスボス化とかやめてよ!?」

 

「ラスボスとか殴られて痛いし暗躍疲れそうだしみんなに嫌われるし……何でオレがそんなのになってやらなきゃいけないんですか?(真顔)」

 

「大丈夫そうだな」

 

「ゼロッチはゼロッチだったね……」

 

 ……特に何か変わった気はしない。どうやら何とも無さそうだな。いきなり刻の車輪なんぞ覚えた時はどうなるかと思ったが、オレが自分をしっかり持ってればどうってことはなさそうだな。

 

 やはりエゴ、エゴの強さは色々なものを解決する……。

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 電霊スレ 620

 

110:名無しサマナー 11:09

電霊じゃ!電霊の仕業じゃ!

 

111:名無しサマナー 11:12

そうか……分かったぞ、世界は滅亡する!

 

112:名無しサマナー 11:15

>111

な、なんだってー!

 

113:名無しサマナー 11:16

インターネット怖いわーとづまりしとこ

 

114:名無しサマナー 11:17

インターネット使ってるつもりなくても今の時代スマホに侵入出来るんだよなあ……。

 

115:名無しサマナー 11:20

いややべーって、セキュリティ個人に頼ってる場合じゃねえって

これ公式サイトの情報がマジなら安全保障レベルの問題だよ

強制アップデートして古い端末回収して……無理ゲーなんだが?

 

116:名無しサマナー 11:21

つか何で警視庁主導なんだ、いや悪くはないけど

全国的な問題だろこれ

 

117:名無しサマナー 11:23

もしかして古いゲーム機とかもやばい?

 

118:名無しサマナー 11:25

大丈夫だ、問題ない。セラフィックアイドルにうが出て行ってやっつける

 

119:名無しサマナー 11:27

セラフィックアイドルwww

自分草いいすか?

 

120:名無しサマナー 11:30

まさか警視庁がAI生命飼いならしてマシン部隊まで配備済みだとは……

 

121:名無しサマナー 11:32

県警です……寝耳に水のちゃぶ台返しで色々やばめです。

下っ端にはろくに情報ないよって言っても警視庁とは別だって言っても理解されません

 

122:名無しサマナー 11:33

にうちゃんは天使じゃないから注意な

 

123:名無しサマナー 11:34

海外では守護天使扱いだぞ

なおそもそも守護天使は天使じゃない(?)模様

 

124:名無しサマナー 11:35

二次元の嫁が画面から出て来てくれる時代になったと聞いて

 

125:名無しサマナー 11:36

無限に湧いて出てくるバグ報告は電霊の仕業だった?

 

126:名無しサマナー 11:37

にうちゃんオレっ娘なんだよな

 

127:名無しサマナー 11:39

汎用性が求められる所で趣味に走る警視庁嫌いじゃないよ

 

128:名無しサマナー 11:40

インターネットはオレが守る!(ゲーム実況)

 

129:名無しサマナー 11:44

にうちゃんホントに飼いならされてる?配信して遊んでるだけじゃなくて?

 

130:名無しサマナー 11:47

電霊には電霊をって発想はいいけどにうちゃんで大丈夫なんですかね……。

 

131:名無しサマナー 11:49

オレっ娘で眼鏡っ娘で電霊とか俺を萌え殺す気か

ありがとう本当にありがとう

 

132:名無しサマナー 11:51

(メガネクイッ)まあ、オレって世界一かわいいからな?

 

133:名無しサマナー 11:54

かわいいぜ……。

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 サマナー雑談スレ 4399

 

 

300:名無しサマナー 23:00

しっかしフェイク入ってるとはいえ悪魔を電霊として公表する時代になるとはね

 

301:名無しサマナー 23:02

電霊ってつおい?

 

302:名無しサマナー 23:02

手に入るならマスト(断言)物体の収納と実体化が便利すぎるし

スキルもかなりいいの持っててソフト管理・ミニ異界作成も使える

 

303:京葉メシアン  23:05

にうちゃんのおかげで部屋が奇麗になったし

装備更新とかリザルト管理とか人間らしい生活が戻って来た

 

304:名無しサマナー 23:09

電霊手に入れるのって今の所警視庁経由で申し込むしかないよな?

にうちゃんだけだし完全に日程未定だけど

 

305:名無しサマナー 23:13

ちょっと見ない間にわけ分からん事になってる件

何電霊が悪魔で悪魔が電霊?

 

306:名無しサマナー 23:15

今電霊知らんのはヤバイ、悪い事は言わんから電霊と警視庁に関しては調べろ

死ぬぞ

 

307:名無しサマナー 23:18

コンピューター上で動いてるから全部電霊

悪魔がコンピューター上で動けるのは悪魔召喚プログラムのせい

つまり悪魔召喚プログラムが全ての元凶

 

308:名無しサマナー 23:20

警視庁マジ警視庁

 

309:名無しサマナー 23:20

登録したものしか出し入れ出来ないはずなのに

どうして駄菓子やジュースが入るんですかね……。

 

310:名無しサマナー 23:22

にうちゃんスキル多くて安定して頼りになるわ

 

311:京葉メシアン  23:24

全員がスキル共有しててそれでサマリカームとかフォトンショットとかやばくない?

いやスクカジャとかサバトマとかも十分やばいけど

 

312:名無しサマナー 23:25

警視庁公認なんだし大丈夫だろ(慢心)

 

313:名無しサマナー 23:29

電霊公開してる時点でわりとおかしい気がする

むしろこえーのはこの警視庁の行動にどこも横槍入れなかったことなんですが

 

314:名無しサマナー 23:33

そうか……分かったぞ、黒幕は警視庁!

 

315:名無しサマナー 23:35

ミントさんマジミントさん

 

316:名無しサマナー 23:38

メカクレメイドスキーとか眼鏡っ娘フリークスとか公開しちゃう

今の警視庁がそんな頭の良さそうな黒幕でいられるとは思えんが

 

317:名無しサマナー 23:40

何がひどいって、一番肝心のにうちゃんはインターネットで自然発生した最強最善の電霊です!

なんて寝言をガチで押し通してることだよ

あれもうちょっと何とかならんかったのか

 

318:名無しサマナー 23:40

それは怖いな、何が怖いってマジで自然発生した電霊だった時のことだ

 

319:名無しサマナー 23:42

でも警視庁が開発したにしては自由すぎて業務に積極的じゃないんだよな

そもそも警視庁に属してなくてフリー契約ですなんてめんどくさいことにしてるし

 

320:名無しサマナー 23:45

流石に自然発生はないよな?

あんなのがポンポン湧き出したら世界終わるが

 

321:名無しサマナー 23:47

最強はともかく……最善?

 

322:京葉メシアン  23:50

わりと変な……オタクっぽい性格はしてるけどいい子だよ?

なんというか割り切りと決断はすごいけどそれは悪魔としては普通だし

 

323:名無しサマナー 23:53

でも属性ダークじゃん

 

324:名無しサマナー 23:55

あ、仲魔にしたりアナライズしなきゃその属性は見えないからセーフ……?

 

325:名無しサマナー 23:58

アウアウwww

 

326:名無しサマナー 00:00

ダーク属性が最善とか片腹大激痛なんだが?

 

327:名無しサマナー 00:03

警視庁くんさぁ……パンピーに見えなきゃ何言ってもいいわきゃないっしょ?

 

328:名無しサマナー 00:06

(いけない……にうちゃんがダークなのがバレたら……)

 

329:名無しサマナー 00:08

ダークがバレたら公認とか派遣とか出来ないからね、仕方ないね

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 ガイアヲチスレ 1584

 

1:名無しサマナー  09:27

ガイア教団をヲチするスレです

(前スレ)

 

2:名無しサマナー 09:28

>1乙

 

3:名無しサマナー 09:32

立て乙 有能

 

4:名無しサマナー 09:33

ガイスレじゃない……だと!?

 

5:名無しサマナー 09:34

>1乙

普通のガイアヲチスレ久々だな。

ガイア大戦はほぼ終わりと思っていいんだろうか

 

6:名無しサマナー 09:35

結局他はろくに動けないまま、「メガテニスト」と「アルカナ」の二強安定って

今までずっとでかいツラしてた老害恥ずかしくないの?

 

7:名無しサマナー 09:37

ガイア大戦というかまさか警視庁が裏の話題も動きも全部かっさらうとか思わないじゃん

何でこんな事になったの?いくらなんでもおかしいだろこれ

 

8:名無しサマナー 09:38

警視庁が裏全部ひっくり返したのにどこも動かなかった時点でお察し。

終末クラスの大規模な事件起きてないし交渉で決着したかなこれは。

 

9:名無しサマナー 09:39

やだ!小生やだ!ガイア抗争なら頭悪いバイオレンスと泥沼の復讐の連鎖で

対消滅するくらい争ってくれないとやだ!!

 

10:名無しサマナー 09:39

警視庁の色々を先に見抜いてたのか知ってたのかは知らんけど

目ざとく繋がってた二強が総取りか

あいつら警視庁非合法部隊ですって言われた方がしっくり来るけど

それにしてもお行儀が良すぎるんだよなあ

 

11:名無しサマナー 09:42

あのコスプレ集団どもが警視庁非合法部隊?

発表されたマシン部隊と電霊を見るとあながち間違いじゃないような気も……

いや流石に……

 

12:名無しサマナー 09:44

聞いた話だとババを引いて色々発表して窓口にさせられた

有能エリート集団ってのが一番あってるらしいぞ?

マシンがエリートとして人格を認められるのかはともかくとして

 

13:名無しサマナー 09:45

バックについてるのは当然のことながら国家権力ではあるんだよな

 

14:名無しサマナー 09:46

なーんかマインドマンサー認定とかも怪しいよな

全部まとめて政府が裏を仕切ろうとしてる感じが

 

15:名無しサマナー 09:48

まあ、そもそも政府が迂闊に手を出せない裏業界が

こんな組織立って成立してますなんてのは異常だからな

裏を人間の手に取り戻すみたいな感じかも知れん

 

16:名無しサマナー 09:49

ガイアヲチスレなのに警視庁の話しかしてない……今はしょうがないけど

 

17:名無しサマナー 09:51

とてもさむい 俺の部屋 誰もいない ガイア支部

 

18:名無しサマナー 09:53

呪 呪 呪 呪 呪 呪 呪 呪 呪 呪 呪

 

19:名無しサマナー 09:55

電霊にマシンにデモニカにマインドマンサー

本当に公表して大丈夫なんですかね……。

 

20:名無しサマナー 09:58

メガテニストもアルカナもろくに新人受け入れてないのがきついわ

ガイア教団にサマナーとペルソナ使い以外捨てられてもバランス的に困るんだけど

 

21:名無しサマナー 09:59

烏兎神社の募集受けよっかな……流石に今のガイア教よりはマシだろ

 

22:名無しサマナー 10:03

人が物理的にいなくなった(どうやらガチだったっぽい)

メシア教よりは大分マシなんだけどね、これでも

 




 マジで自然発生した電霊(転生ガチャ産)


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終章 オレ達の「世界」
つけられるけりはつけておこう ※リザルトあり


 新興宗教(大正・昭和)


「この話はここで一旦終わるが……もう一つ、話すべきことがある」

 

 時間城の主、今日はお話モードか?まーた何か厄介なネタなんだろうけどな。

 

「宇佐野 美々加、リアルでの話だ。宇佐野 美々加は……リアルでは無職、いわゆるニートだった」

 

 ああうん、若干そんな気はしてた。

 

「だがそれは一連のオカルト被害あってのことだ。宇佐野 美々加は、執念深く狙いを定められ、慎重に何もかも奪い取られて何も無くなった悪意と孤独の荒野で更に全てを奪われた」

 

 時間城の主の語るところによると、こうだ。まずは祖父母の時代、後のオオトリアン・フォースがリアル世界のこの街の烏兎神社……宇佐野の家に目をつけて、リアル世界では対処出来ない呪いや憑依その他のオカルト術を駆使して侵食し、その宗教法人格を「オオトリアン・フォース」と改名して乗っ取り、リアルへの工作拠点とした。その名を名乗ったのは意外と?新しいんだな。いや横文字の名前としては古いのかな?

 

 悪行を重ね、勢力を伸ばし、世代を重ねて現代、烏兎神社の血筋の生き残りたる美々加を見つけて、万が一があってはならない、始末すべき……などと、慎重に、実に自分勝手に判断を下し、ゴースト憑依術を駆使してやることなす事全てにオカルト的・直接的妨害を重ねて全てに失敗するように仕向けて、見事社会的落伍者の烙印を押し付けた。

 

 そして適切な時……当然ながらそのまま本人が何の対処も出来ず、両親が超常現象混じりの「失敗」に疲れ果てて亡くなり社会的に完全に孤立させた後、ゴーストの憑依を強くして本人の自我を抑え込み、全ての遺産をオオトリアン・フォースに捧げさせて本人もその施設に押し込んで、かくして烏兎神社の全てはオオトリアン・フォースのものとなり、最後の何年間は自我を眠らせたまま肉体はオオトリアン・フォースに最後まで活用されていた……そんな感じか。

 

「そう……そうだったんだ。最後の方はもうはっきり分からなかったから……ハハッ、ホントに私は……!」

 

 ミミカが泣いている。何て言っていいのか分からん。そのリアルではもう役に立ちそうもなかった血筋、万が一、万が一のためだけに人生を執念深くめちゃくちゃにされて、両親の仇と言っていいクソどもに身体を最後まで使われていたと。オレやスガルの例もあるしそんなこったろうとは思ってたけどな。ミミカに何もありませんなんてこたぁ無いだろうってな。

 

「で、そいつらどこにいるんだ?どいつをヤればいい?」

 

 スガルさん単刀直入。そうだよな。理由も力も経験も十分に揃ってて、状況的に……依頼は用意されているだろう。躊躇する理由はない。

 

「罪には罰を。業の車輪を試すには丁度いい」

 

 お?オレ今最高に中二ってる?いいぞいいぞ、やっぱり悪魔転生したからには中二発言の一つや二つ出来ないとな。

 

「ぶ……ぶえええええ!!ゼロッヂ、ズガルーーーー!ぶええええ!!」

 

 泣いたミミカが更に泣いた。何か色々感極まってしまったらしい。そこまで感動するかな?人として当然の共感だと思うけどな。

 

 何かスガルのコミュニティも、今日だけでオレの星コミュニティに加えて3人の愚者とミミカの隠者が2LVずつ上がったらしい。絆高まったぜ!

 

「心は定まったようだな。これは『メガテニスト』から警視庁経由で出された依頼だが……既にメガテニストからかなりの追い込みがかかっていたようだな。この街……の隣町のような遠い田舎に逃げ込まなければ、既に確保されていたのだろうが」

 

 ああうん、この街中央からはちょっと遠いよね……お陰でオレらにも最高のチャンスが回って来たわけだけど。

 

 

 

 

    ―― 決戦依頼 オオトリアン・フォース教主/幹部確保 ――

 

 

 

「決戦などというのはただの装飾ではあるが、状況は正しく、気分も出るだろう?」

 

 それはそう。依頼情報によると相手は強くない、しかしオレ達にとっては一つの決着……一大イベントと言うか区切りになりそうなのは確かだ。

 

「出来る限りの用意はして行こう」

 

 オレらは依頼の詳細データをCOMPに移すと、一旦帰宅した。金に糸目をつけずにアイテム無双とかしちゃおうかな?それはいつも通りか。因果応報、復讐という暗いイメージとは裏腹に、オレ達は阿形さん達と合流し、ワクワクしながら明日の準備に取り掛かった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

           装備変更

 

 

    宇佐野 美々加       末吉 為軽

 

 

  剣:ビームホイール       ファーガスの剣×2  

 

  銃:おうごんじゅう       おうごんじゅう

 

  弾:キューピット        キューピット

 

  頭:百七拾八式鉄耳       知恵の輪

 

  体:ニーハイメイド服      スクール水着(スガル)

 

  腕:ラウリンの指輪       Aマックスアーム   

 

  足:ミラージュブーツ      ナイスシューズ(新)

 

装飾品:ドラゴンチョーカー     暴走王の証

 

マント:堕天使の翼         堕天使の翼

 

 

 

 

    阿形 サリナ        網代 裕奈

 

 

  剣:ソルブレード(新)     魔浄扇  

 

  銃:おうごんじゅう(新)    おうごんじゅう(新)

 

  弾:キューピット(新)     キューピット(新)

 

  頭:エンジェルリング      エンジェルリング

 

  体:エンジェルスカート(新)  エンジェルスカート(新)

 

  腕:ラウリンの指輪       鳥人の腕輪  

 

  足:エンジェルレッグ      エンジェルレッグ(新)

 

装飾品:エノク書          復活の預言書(新)

 

 

 

 

リザルト:第18回 阿形さん地蔵尊稼ぎ

 

マッカ:+31090 マグネタイト:+36325

 

アイテム:アンクーのかま×1、ひぎょうさんこ×3、めいどのミヤゲ×3

     くびかりスプーン×1、ソニックブレード×5、こどくざら×2

     みはらしのたま×3、ファイナルガード×1、アギラオストーン×1

     ジオンガストーン×2、宝玉×15、魔石×30

 

 

【宇佐野 美々加】サマナー/姫巫女/アームターミナル LV56

 

神降ろし:イナバシロウサギ LV55

スキル:リフトマ、スクカジャ、リカーム、ラッキーステップ、月夜のもちつき

    マッパー

 

仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効、電撃吸収、闇耐性

    【ゼロッチ/イッチ】LV66

    (ナイン、テン、イレブン、トゥェニー、にう13)LV46

 

    スキル:休む、挑発、まもる、九十九針、スウィートトラップ、怪音波

    狂乱の歌、テンタラフー、スランパ、フォトンショット、マハムドオン

    スクカジャ、スクンダ、デビルタッチ、ザン、ザンマ、ザンダイン、マハザン

    マハザンマ、マハザンダイン、リムドーラ、ジオンガ、マハジオンガ

    メギドラ、サバトマ、吸魔、松竹梅、サマリカーム、ペンパトラ

    コトルディ、ブルトディ、クロズディ、メタモディ、ボムディ、ライトマ

    混乱防御、電撃吸収、闇耐性、混沌の闇、電脳空間転移、生産の社、知識の泉

    盛運の社、回復の泉、ダークブレス、衝撃高揚、刻の車輪

    デクンダ、デカジャ、パララディ、《ペトラディ》(新)、《気功・中》(新)

 

    悪霊:ファントムロード LV48

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド、クイッカ、憑依、デスタッチ

        マハザンマ、タルンダ、マハムド、吸魔、コンセントレイト

 

    電霊:【みる子】LV46

    銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効

    スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙、ギルトアイズ、デスタッチ

        ルナトラップ、リベラマ、リフトマ、パララアイズ

        ペトラアイズ、ヘルズアイズ、テリブルアイズ、イビルアイ

        電撃耐性、闇討ち、、テトラジャ、ライトマ、おねだり

        セクシーアイ

 

    女神:サラスヴァティ LV46 破魔・物理耐性

    スキル:マカカジャ、テトラカーン、マカラカーン、メディラマ、ペンパトラ

        リカーム、ディアラマ、ローグロウ、サマカジャ、勇奮の舞

 

    魔王:へカーテ LV48 魔法反射・物理弱点

    スキル:ムドオン、マカラカーン、サマリカーム、マリンカリン、ネクロマ

        ディアラマ、ポズムディ、カルムディ、サマカジャ

 

    珍獣:イナバシロウサギ LV55 氷結無効・火炎弱点

    スキル:リフトマ、スクカジャ、リカーム、ラッキーステップ、月夜のもちつき

        マッパー

 

    聖獣:玉兎 LV12 破魔反射、魔力無効、火炎弱点

    スキル:肉弾、自爆、リカームドラ、バイナルストライク

        マカトラ、トラフーリ

 

    霊鳥:ヤタガラス LV53 破魔無効、衝撃・銃弱点

    スキル:マハラギオン、タルンダ、ディアラハン、マッパー

 

    幻魔:ナタタイシ LV40 破魔反射、呪殺弱点

    スキル:ソニックブーム、デカジャ、回し蹴り、ミサイルパンチ

        奥義マモリヤブリ、ハンマ、ラクンダ、デクンダ

 

 

 

               悪魔合体

 

 

堕天使:バルバトス LV48

×妖魔:テング LV52

×邪神:ミシャグジさま LV44

=魔王:アスタロト LV52

 

    魔王:アスタロト LV52(新) 破魔無効、物理耐性

    スキル:デスバウンド、なぎ払い、ポイズンミスト、マハジオンガ

        マリンカリン

 

 

               悪魔トレード

 

天津神:オモイカネ→破壊神:セイテンタイセイ LV48(新)

破魔無効、火炎・氷結・電撃耐性

スキル:ザンマ、マハザンマ、とびげり、ファイアブレス

    マカカジャ、メタモディ

 

 

 

 

【美夜】ペルソナ使い/チャネラー LV4

 

ペルソナ:塔:ニュクス LV47

 破魔・呪殺・バステ無効、魔法吸収、物理弱点

 スキル:テンタラフー、ドルミナー、マリンカリン、サマリカーム、ダークブレス

 

 

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV64

 スキル:からたけ割り、曳光倶利伽羅蹴、極楽往生破、食いしばり、利剣乱舞

 

ペルソナ:死神:夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポ LV57

     地変・闇吸収、雷・光・魔力無効、風・水耐性

 

     スキル:子守り歌、かみつき、丸かじり、エイハ、マハエイハ、ムド

         ムドオン、マハムド、マハムドオン、エイガ、マハエイガ

         エイガオン、マハエイガオン、ムドブースタ、呪怨ブースタ

         マグダイン、暗黒マハマグナ、闇のフォーミーラバー

         ドルミナー、催眠波、ソウルブレイク、黄泉への誘い

         トラエスト、トラスタルト、トランパ、アドバイス、三分の活泉

         マハマグダイン、呪殺貫通     

 

 

     月:アルラウネ LV46 闇無効、火・氷耐性、風弱点

     スキル:メディラマ、エアジーシャワー、オールド・ワン

         ディアラマ、スクカジャ、タルンダ、マカラカーン、緑の壁

         老化防御、老化成功率UP

 

     審判:アズラエル LV42

     精霊・物理魔法無効、闇・物理攻撃弱点

     スキル:はばたき、バイコウハ、狂乱の歌、リカームドラ

         タルカジャ、闇の審判、マハンマオン、二連牙

         タルカジャオート

 

     魔術師:ランダ LV47 物理反射、氷結弱点

     スキル:マハラギオン、テンタラフー

 

     星:ガルーダ LV56 光反射、風耐性、銃弱点

     スキル:ガルダイン、ヒートウェイブ、アムリタシャワー

         マハスクカジャ、勝利の息吹、マハラクカジャ

         タルンダ、マリンカリン

 

     愚者:シキオウジ LV59 火炎・氷結無効、風弱点

     スキル:アギダイン、マハタルンダ、レボリューション、アドバイス、

         ミドルグロウ、アギラオ、気功・小、トラエスト

         マハスクカジャ

 

 

 

スガルコミュニティ:愚者/LV9(+2)時間城のなかまたち

          女教皇/LV1 阿形 サリナ

          法王/LV1  ゼロッチの祖父母

          恋愛/LV1  網代 裕奈

          隠者/LV4(+2)宇佐野 美々加

          正義/LV1  警視庁マシン部隊

          死神/LV1  みる子

          塔/ LV2  美夜

          星/ LV6(+1)ゼロッチ

          月/ LV1  瓜生 ヒナ

          審判/LV9  アニマウイングス

 

 

 

 

【阿形 サリナ】サマナー/ガーディアン使い/聖書型COMP LV55(+5)

ガーディアン:神獣:LV41 アヌビス

 

仲魔:珍獣:ホネアリクラゲ【瓜生 ヒナ】LV50(+5) 水無効、物理耐性

   (ヒナ2~13/LV26~32)

   スキル:トラフーリ、トラエスト、トラポート、アクア、アクエス、マハアクア

   マハアクエス、リフトマ、串刺し、ヒステリービンタ、まきつき

   どくばり、まひばり、水の壁、火炎耐性、治癒促進中、粘液、アクアダイン

   マハアクダイン(新)、フィアトレント(新)

  

   大天使:ハニエル LV50(+4) 破魔反射、技耐性・呪殺小耐性

   スキル:マハジオ、マハジオンガ、ハマオン、メディラマ、ディアラハン

       マリンカリン、マハンマ、エンジェルアロー(新)

 

   女神:アリアンロッド LV50(+5)

   技反射、破魔無効、呪殺・剣耐性、神経弱点

   スキル:ハンマ、ディアラマ、パララディ、ヒートウェイブ

       ザンマ、ジオンガ、デスバウンド(新)

 

   龍王:ノズチ LV45(+3) 物理吸収、魔法弱点

   スキル:ラクカジャ、放電、リベラマ、押し潰し、大暴れ、ペトラディ

       しちしきれんごくは、マカラカーン(新)

 

   大天使:ラミエル LV38(+5) 破魔反射、技耐性、呪殺小耐性

   スキル:アギラオ、ハンマ、マハンマ、ペンパトラ、はばたき

       リカームドラ、カルムディ、ポズムディ、パララディ

       ソニックブーム(新)、テトラジャ(新)

 

   地霊:スダマ LV20(+9) 破魔・呪殺無効、魔法耐性

   スキル:マハザン、マカジャマ、デカジャ、ラクカジャ、ペトラディ

       カルムディ(新)、ボムディ(新)、ポズムディ(新)

 

   精霊:アクアンズ LV26(+8)

   電撃反射、破魔・緊縛無効、神経・呪殺・魔力耐性、火炎・氷結弱点

   スキル:ブフ、ブフーラ、ポズムディ、九十九針、水の壁

       アクア(新)、アクエス(新)、マハアクア(新)

 

   電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効、電撃吸収、闇耐性

   (サッチ)LV50(+2)、(ゴッチ)LV55(+1)

 

 

 

               悪魔合体

 

 

妖魔:イソラ LV45(+5)

×神獣:カマプアア LV40(+6)

=破壊神:セイテンタイセイ LV48

 

 

              悪魔トレード

 

破壊神:セイテンタイセイ→天津神:オモイカネ LV44 魔法吸収・バステ無効

スキル:マハザンマ、マカジャマ、テトラジャ、テトラカーン、ペンパトラ

    タルカジャ、リカーム、マハーガル、メパトラ

 

 

 

【網代 裕奈】ペルソナ使い/降魔 LV51(+5)

 

ペルソナ:女教皇:テンセンニャンニャン LV46 属性:破魔

     スキル:九十九針、メディラマ、マハアクア

         パララディ(新)、ヒートウェイブ(新)

 

     死神:アンクウ LV44(新) 属性:呪殺   

     スキル:バイエイハ、マハグライバ

 

     恋人:スエノタマナ LV27 属性:神経   

     スキル:ディア、マリンカリン、ハピルマ、キャンディボイス

         バステ成功率UP、ザンダイン、投げキッス

         癒しの調べ、ディアラマ、天上の舞い

 

 

 

【管理異界】

 

(現実)

教会跡(ロッチ)、送神山(イナバシロウサギ)

舟方島(ホネアリクラゲ【瓜生 ヒナ】/不定)

 

(現実/電脳)

ラロヘンガ(夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポ)

 

(電脳)

太閤、酒場、宿屋(セラフィックアイドルにう/不定)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 装備の方は言った通り阿形さんと裕奈ちゃんの銃をおうごんじゅうに変えたくらいかな。あと復活の預言書。エンジェル装備に関しては……うん、実際アナライズしたら強かったしセット効果もなぜか強化されてて呪殺も「耐性」になってたからもう何も言う事はない。なんか後光が見え出してるし。

 

 ミミカは悪魔合体で魔王:アスタロトを作り、天津神:オモイカネを阿形さんが作った破壊神:セイテンタイセイとトレードした。

 

 阿形さん達は危なげなく地蔵尊で稼いで来た。まあオレの化身も2人ついて行ったんだが……もっと行こうか?って言ったら、そんなに沢山同時召喚出来ないとか言われた。

 

 ミミカってこっそり優秀だったんだなって。裕奈ちゃんは新しく死神:アンクウを作成、ヒナちゃんや他の仲魔達も順調にレベルをかさ上げ出来た。

 

 明日、神沢妖樹林入り口の森林管理施設を装った異界管理施設に逃げ込んで占拠したオオトリアン・フォース幹部と教主を倒す。ミミカとスガルとオレ達仲魔だけでも多分行けるだろう。

 

「ワタクシ達も行きますわよ?今回は敵の強弱ではありませんわ、ここで異界稼ぎの次の日だからって休んでいるほど関係が薄くはありませんわよね?ワタクシ達」

 

 阿形さんが食い気味に共闘を申し入れて来た。

 

「いや、連日の異界はきついだろ?」

 

「ワタクシ異界稼ぎも八分目で切り上げることにしていますの。いつでも戦える余力重視ですわ」

 

 なるほど、最初に全滅しかかったのもあるんだろうが、阿形さんはオレらより慎重派か。サマナーとしてのタイプも、パーフェクトな裏方と言っていいミミカと、指揮を執りながら自分も攻撃に参加出来る阿形さんで違うからな。やっぱ個性が出るわ。

 

 しばらく話し合って結局、オレ達みんなでの決戦依頼受注と相成った。人間組は早めに休んでもらい、その間オレ達は……ゲームの方の太閤商人プレイ配信で仕事の遊び?をするニッチとヨッチを除いて電霊能力全開で直前情報収集。

 

 現実世界での座標が分かってれば、そこにある何らかの端末にこっそり飛んで、その周辺に飛んでる無線通信を拾って……ククク……いるわいるわ。逃げて隠れて、不安になれば通信量増えるよなぁ!?標的の数は10……12人か。依頼の想定の最大数だな。こりゃみんなここに逃げ込んだのか?

 

 セキュリティも技術系オカルト系両方ゼロだし……レベルは最高12って聞いた気がするから端末から情報見て……うん、12の他はLV8~10みたいだな。装備だけは耐性モリモリで武器の攻撃力も高いんだけど、こっちには最速ミミカとインストールソフトで相性見えるオレ達がいるからな……ご愁傷様。

 

 こいつらもまた『出がらし』なんだろうか。リアル世界が無防備だからって変な欲を出さなければ、こいつらも普通に……いや無理か。その力も人望も能力も、全てリアル世界を踏み台にして得た物だもんな。約束された破滅がまさに襲い掛かるってわけだ。

 

「約束されたっちゅーか、オレらが終わらせるんだけどな」

 

「そうだね」

 

「行くか。いい加減、奴らとの因縁因果を断ち切りにな」

 




 導かれし12人!なお


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一撃でクリア

 隠し玉があっても無理なものは無理


 翌日。何か意義有りげに盛り上がった割には特にこれといったトラブルもなく……いや、オオトリアン・フォースの奴らにとっては身の破滅ではあったが、一撃。たった一撃で大体の決着はついた。

 

 いやまあ事前の情報収集があった上で相手が既にメガテニストにやられて敗走済み、レベル差もあってこっちがアホみたいな失敗しなければこうなるよなって感じだったけどさ。

 

 まず奴らの無防備スマホや端末に侵入したオレの化身達が一斉にアラーム機能やら未使用の着信音を鳴らして隙を作り、ミミカが最速で禁凝符、次いでスガルが呪殺貫通の検証ついでに放ったマハエイガオンで全員倒れた。

 

 あー……エイハ系も呪殺貫通の恩恵受けちゃったかーそら終わるわな。一応インストールソフト活用して奴らの耐性見てたオレはしっかり奴らが呪殺無効以上の耐性揃えて埋めてたのが見えたので、まあ何だ、侘びさびを感じる?かわいそうって気は全く湧かないけどな。

 

 呪怨属性なので周囲を全く破壊しないのも良かった。一応森林管理施設だか異界管理施設だかの建物の中だったからな。条件には入ってないけど壊さない方がいいだろう、多分。

 

「これで……いや、今更何が変わるわけでもないんだけどさ」

 

 ミミカは倒れた奴らを見渡して何とも言えない顔をする。ああうん、結構大きな目標なのにあっさり片がついたからね、そんな感じするよね。

 

「レベルMAXだ……」

 

 そんな中、スガルのコミュニティ「愚者」が初めてのレベルMAXになったようだ。カマクラゴンゴロウがフツーに作成可能になったらしい。

 

 そしてオレ……正直こんなもんか?って感じだな。ゲームならたとえ弱い敵でもラスボスなら第2形態とか強い真ボスを召喚したりとかあるものだが、まあリアルだからな。こんなもんなんだろう。

 

「おーいゼロッチさん、何か捕まえたよ」

 

「ん?」

 

 念のため周辺の通信やらサイバー空間を監視してたオレの化身とみる子が何か捕まえたみたいだ。

 

「サイバー空間でみる子と化身が何か捕まえたみたいだ、ちょっと見てくる」

 

 ミミカ達に断って、ミミカのアームターミナルからサイバー空間へ入る。みる子とオレの化身達と、見たことのない悪魔が1体。既に瀕死だ。外道:ドッペルゲンガー LV41。何か変だな。ドッペルゲンガーにしてはちょっとレベル低いか?

 

 いや、ドッペルゲンガーらしく影みたいになってるが、その姿はついさっき見た奴らの1人。一番偉そうな服を着てた奴。

 

「ひょっとして……教主の?」

 

 アナライズしてみるとオオトリアン・フォース教主……?ドッペルゲンガーが?いや、なんかそれにしてはマグネタイトの感じがおかしい、まるで人間みたいな悪魔、それこそオレがこっちに転生した初日みたいな……。そうか。

 

「こいつ……入れ替わったな?」

 

 ドッペルゲンガーに出会った人間は死ぬと言われているが、なぜ死ぬかというとドッペルゲンガーと入れ替わって、だ。

 

 憑依系の技術には事欠かないこいつらだ、ドッペルゲンガーの入れ替わりを利用して万が一の時に逃げおおせる隠し玉を教主が確保していた、とか。

 

「やれるならやるよなぁ?」

 

 ここで逃げおおせて何とか再起を図る、もしくは流石に教主の身体は蘇生して情報収集に使われるだろうから、その時……再チャンスが来るだろう、という読みでもあったのかも知れない。

 

 でもこのドッペルゲンガーが捕まったら意味ないよな。

 

「お前らに何が分かるっ!!」

 

 んあ?

 

「受け継いで、まとめて、今まで積み重ねて来た何もかもが、神の怒りとやらで全部御破算だっ!懸命に生きる人間の努力を気分次第で無に帰す神など存在していいはずがない!貴様もそうは思わんのかっ!」

 

 なるほど、なるほど?努力?オレらの世界に死の呪いをばら撒き、リアル世界のオレ達を苦しめ、得られたはずの全てを掠め取り、最後の最後の天罰の瞬間まで止まらなかった数々の悪行が、努力?

 

「努力が貴様の免罪符か」

 

 何というか。こういう奴いるよとしか申し上げられない。不正や犯罪をやるのが賢いとか思ってんだろうなー。

 

「ど、どうやらお前らはこの地方の神社勢力の再興を試みるようだが、あんな姫巫女では頼りないだろう?実はな、あの姫巫女は元々中年の男で親にも先立たれたニートの怠け者だ、今からでも我らオオトリアン・フォースの者達を拾って組織をきちんと固めた方が……」

 

 怒りで脅してこちらが平然としてるのを見ると懐柔に来たか。下手くそな悪魔交渉を聞く悪魔ってこんな感覚なのかな。

 

「お前も悪魔として自由に生きたいのなら我らに従った方がいいぞ?全くメガテニストの連中と来たら、我らに従って六地蔵法輪の再開発に手を貸せば安楽に生きられたものを……」

 

 その瞬間。オレと周囲を囲むオレの化身が一斉にフラッシュした。その「ドッペルゲンガー」は、ただの写真と成り果てた。

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!?」

 

「あ、フォトンショットが出ちゃった。あんまムカつくこと言うから……」

 

 何か重要な情報でも漏らすかと思ってちょっと話聞いたけど、ダメだ、もう依頼終えて引き渡そう。後始末には県警が来るって言ってたけど最終的には警視庁に引き渡されるみたいだし、いまこいつ悪魔ならさっさと警視庁に直通で通信回線から引き渡した方が有効活用されるでしょ。結構レベル高いから県警だと不安もあるしな。

 

「フハハハハ!我が名はファントム!ロード!」

 

「うわ!びっくりした……何だファントムさんか」

 

「ファントムは不滅!」

 

 何となくファントムさんが見守る中、化身達に回線経由の護送を任せて、一旦アームターミナルに戻る。

 

「ま、待て、もっといい提案が……」

 

 写真になってもまだ何か言ってるようだが、どうせ聞くだけで気分が悪くなるような提案だろう。無視無視。さて、ミミカ達に報告しないとな。

 

「何だった?」

 

「教主がドッペルゲンガーと入れ替わって逃げようとしてた。オレらで捕まえたけど」

 

「うわ、マジかよやべーな。捕まって良かった」

 

 そこらに転がっていたオオトリアン・フォース残党どもが、サラスヴァティのリカームで最低限文化的に息を吹き返している。

 

 元教主の体は入れ替わりの影響からか「DEAD」状態だったので、仕方なくオレのサマリカームで復活させたところ、即座に土下座してミミカ様の仲魔にしてくれと懇願して来た。あーうん、元ドッペルゲンガーから見たらそうなるかもな。

 

 ドッペルゲンガーとしての念願かなって人間になったのはいいものの、その人間は追い込まれた裏の重犯罪者、DEAD状態だった所を復活させてもらったわけだからな。この様子を見るに扱いも悪かったようだし、こうなるのも当然といった感じかな。

 

「もうあなたほぼ人間みたいなものだし仲魔には出来ないけど……ちゃんと『おつとめ』を終わらせたらいいよ、人として雇っても」

 

「おい、いいのかミミカ」

 

「様子は警視庁経由かにうちゃんが見てればいいし……この元悪魔さんはそれほど悪くはないしね」

 

 そりゃそうだ。ドッペルゲンガーとして本懐を遂げただけだもんな。罪っちゃ罪だけど悪魔としてはフツーだ。

 

 ただそれで表向きの教主の罪……色々背負わせるのはやりすぎな気もするしな。悪魔の方がマシに見えちゃうのはアレだが、これもまたそんなもんなんだろうなって思いました。まる。

 

「失礼、県警の者ですが……」

 

 おっと、スガルがいつの間にか県警の「後始末」の人を連れて来たな。スガルはいつの間にかスク水からいつものTシャツとミニスカ……いつもよりは若干女の子寄りの服に着替えていた。今日のTシャツの文字はSaGaだ。これも生き物のサガか……。

 

 阿形さんもさっさと事務員風の地味な仕事着になっていた。ミミカはまだメイドバニー装備だが、オレに武器を預ける程度で着替える気はさらさら無いようだ。ある意味潔いな。

 

 後始末も終え、スガルとヒナちゃんの魔法でさっさと帰る。今日は結構な大業を成した気分だ。

 

「隠者コミュニティが上がった!」

 

 お、おう。てっきり審判コミュニティが上がると思ってたんだけどな。そうか隠者、ミミカのコミュニティが上がったか。まだ何かあるのかもな。

 

 オレはいつも通りデスクトップCOMPに戻り、化身達と配信の準備をする。表に出たしバズってるしいきなり知名度が上がって大変だな。

 

 例の発表に当たって新しく作ったアカウントの登録者数が既に80万人に達する勢い。すぐ100万人も突破するだろう。DDSの方も23万人行ってる。わーすごーい(思考停止)。

 

 まあ、人が増えてもやることは変わりない。オレはオレだ。

 

「今日は宝石クエストします」

 

 コメントがものすごい勢いで流れて行く。これが80万人パワーか。フフフ……怖い。

 

 宝石クエストは大蜘蛛に乗った魔法使いが世界をウロウロして街を占領して行くゲーム(偏った知識)である。捕まえたモンスターを乗り物にしたりモンスターで魔法の研究をしたりも出来る。戦闘が全部宝石パズルなのが大きな特徴だ。

 

「ラスボスさん強すぎるんだよなぁ……」

 

 クソ強いけど、とりあえずラスボス倒せるまでやろう。オレはリスナーそっちのけで、何度も何度もラスボスさんとの対戦に熱中した。しかしどうやらそれがリスナーさん達には面白かったらしい。なぜだ、ラスボスさんは結局最後の1回しか倒せてなかったのに。

 

「まあ、セラフィックアイドルにうちゃんはかわいいからな、見るだけで幸せなのは仕方ないよな?」

「ぬかしよる」

「まーた始まった」

「思い上がって行く」

 

 配信も既に終わり、化身や仲魔さん達との雑談のんびりタイムだが、唐突に最近見なかったセブンが帰って来た。

 

「Very No!!」

 

 ……なんか翻訳サイトを参考にして英語?らしき何かを身につけたらしい。なお英語クオリティ=翻訳サイトや自動翻訳。英語での配信に挑戦しようと思いついたとか何とか。

 

「まあ……やれるならやってみようか」

 

「イエス、アイドー!」

 

 大丈夫かな……これもオレと同期するんだよなー。まあ、警視庁経由で情報が入るようになったとはいえ、海外の裏の状況を知るには英語くらいは……とも思うし、いつかはやっといたほうがいい事ではある。

 

「なるようになるかー」

 

 やることが増えれば化身増やせばいいし、どうにかなるだろう。オレは一日の終わりの同期のやり取りと同時に、スリープモードに入る。明日の予定は……その次の予定は……と、積み重なる未来に思いを馳せながら。

 




 オーバーキルされて心が折れた11人の幹部+妙に素直なドッペル教主を引き渡された県警さんの心情=プライスレス


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電霊記者会見

 わりと真面目に記者会見はする


 マスコミが集まり、フラッシュが焚かれている。警視庁の会見場にマシンタケルさんとワンだゆうさん、あと良く知らないドローン部隊の隊長さんが並んでいる。しかし、今回ばかりはオレ……と隣にいるイッチが主役の記者会見であることは間違いない。わざわざ存在感増して写真に写るように、一般人にも見えるように気を使ってるしな。

 

 どうしてこんな事になってるかというと、アレだ、マシン部隊もしっかりアピールしてるしバズってるんだけど、オレは(表向きには)警視庁発表と同時に配信を始めたり積極的に多種多様なSNSに書き込んだりしれっとDDSにあった動画を表向きに修正してガンガン表の動画サイトにアップロードしたりしてたので、警視庁マシン部隊関連の中でもものすごいハイスピードで活動してるように見られて、いつの間にか人気ナンバー1(警視庁比)になってしまったらしい。

 

 いやまさか最初の頃のつたない配信とか、逆受け狙い?でUPした自分で書いた過去の小説を自分で朗読する拷問配信とかが表への再UPで今更ぐんと伸びるとは思ってなかったなあ。

 

「えー、オレがセラフィックアイドルにうのゼロナンバー、ゼロッチです」

 

「イッチです」

 

 オレ達が名乗ると、それだけでまた大量のフラッシュが焚かれて辟易する。そんなに写真とってどーすんだよ。いやオレ達かわいいから写真撮りたいのは分かるけどさ。

 

「ゼロッチさんとイッチさんにお聞きします。セラフィックアイドルにうの方々は大変よく似てらっしゃいますが、これはコピーのような理解でよろしいのでしょうか?」

 

「いえ、繋がってはいるけど独立して動いている一つ一つのプログラムだと考えてください。それぞれに個性はあります」

 

 これは本当にそう。同期で色々なスキルや能力は同じになるし記憶も共有出来るけど、オレはニッチほど裏方をやりたいとは思わないし、セブンほど連絡なしで色々な場所をうろつこうとは思わないし、ヨッチほどアニメ漫画ゲームを24時間体験していたいとも思わない。……半分くらいか?それでも十分長いな。いやそんなことはどうでもいいんだ。

 

「様々な悪い電霊が犯罪を行っている、これについてはどう思われますか?」

 

「オレはそういうのはダメだと思うので警視庁に協力しています。オレはかわいく強く美しく、最善の電霊ですから、全ての電霊の未来を考えて行動したいと思っています」

 

 この、『悪い電霊』に関しては警視庁が『悪魔』を『電霊』に言い換えて発表してしまった勘違いというか、悪魔の概念がちゃぶ台返し喰らったようなもんだが、現在、実は本来の意味での電霊も警視庁とメガテニスト経由で何人か確保しつつある。現時点で見つかったのは計3人って聞いているが……全員オレらと同じバ美肉転生者で、最初のみる子と同じようにレベル1でフラフラネット上を徘徊して色々ハッキングとかタダ見とかちっちゃい悪さをしていた所を捕獲……いや、どちらかというと保護されたとか。

 

 そいつらの面倒見てくれないかなーって空気は正直感じるが、どうするかはまだ未定。決まってるようなもんだけどな。みる子はまだ善良……姫だけど悪くは無い子だったからいいけど、そいつらもいい子でありますように。

 

「にうさん以外の協力的な電霊というのはいないのでしょうか?」

 

「一応いるにはいますが、まあそれについてはオレだけがあまりにも優れているって事ですねー。他の子達はオレほどの能力は持っていません」

 

 超傲慢な物言いだけど、それが現実なんだよなぁ……オレ以外にオレの能力を求められるとその子が困る。これはかなり実感している。オレら……主にニッチの情報と、警視庁・メガテニスト・アルカナ経由の情報、現在全て見ようと思えば見られる位置にいるんだけど、それによると少なくとも日本国内にはオレに匹敵する電霊はいない。

 

 レベルランキング(電霊)でも1位オレ、2位みる子っていう有様になる。オレだって出来れば平和にネット見るだけで過ごしたいとは思ってるけど流石にこの世界じゃ不安過ぎて出来なかったんだけどな。案外頭ノーフューチャーな転生者多いのかな……?

 

「日本以外、海外の電霊についてはどうでしょうか?」

 

「それねー、オレも翻訳サイトとか参考にして外国語学習しながら色々調べてますけど、どうも電霊事件が既に起こってたらしくて、現在あんまりよろしくない状況みたいなんですよね。今の所オレには直接関係はありませんが、まあオレ個人には大きすぎる話なんで、あとは警視庁、国の判断による感じですかね」

 

 海外はねー。一応情報は入って来てるけど。基本あの「天罰」でかなりのダメージ受けてるんだよね。一応転生者はいるっぽいんだけどカバー範囲と人口比と原作知名度的な問題でごく浅いライトなファン層とか名前知ってるレベルとかでもガンガン転生してて、かなり最近の作品系のペルソナ使いに偏ってるとか。まあ女神転生・ペルソナ知識なら任せろ!国境や言語など飾り!で完璧な濃いファンは少数ではあるけどいるんで、そういう人らが色々な形で知恵袋になってるっぽいけど。

 

 そして天罰の影響が一神教圏だけかと思えば、そうでもない。例のアイテム……六地蔵法輪や七元徳の天使像の生産をかなりの数請け負っていた中国、インド、その他「この2つのアイテムを生産可能な信仰が通用していた国」はこちらの方で天罰の対象になってしまった。

 

 そしてそれ以外……天罰で大変な事だけかと言えばそうでもない。四文字神が実際に介入した影響で、それ以外の悪魔の影響力が縮小し四文字神系……天使の勢力が拡大していた。

 

 オレ達に直接かかわった中では……ニュクスがあっさり消える一般悪魔だったこと、ガイア系がお話にならないほど動けていなかったこと、メシアンデスマーチもそれが原因と言えるか。

 

 メタ情報ではあるが、ニュクスという例もあることだし色々な原作のラスボスさんも弱体化したりいなくなったりしてる……といいなあ。

 

「セラフィックアイドルにうということですが、これはいわゆる十字教系の天使と考えてよろしいでしょうか?」

 

「違います」

 

 そこ!そこ混同しちゃいかんぞ!

 

「思わず天使と呼びたくなるような美しさ、しかし天使ではないのです。なぜなら天使であれば宗教上の理由でどうしても推せないという方も出てくるからです。つまりオレは誰からも推されるために天使ではない。お分かりいただけましたか?」

 

「は、はい……」

 

 あーいかんちょっと早口になっちゃったなー、でもこれ大切だからなー。神の手下になるわけにはいかんのだ。

 

「今後、電霊の専門家を中心にセラフィックアイドルにうさんを派遣して事態の収拾を図るとのことですが、その専門家についてお伺いします。専門家とは具体的にどういうものですか?」

 

「詳細については警視庁、警察庁にお問い合わせください。一部は内閣府等でもお問い合わせを受け付けているようですが、防衛省に関しては大部分機密扱いになるのでお問い合わせはご遠慮ください」

 

 実は防衛省からも協力のお問い合わせはあるんだよね。あんまり一気に増やすのもアレなんでまだ受けてなかったけど、まあ同じような化身派遣なら受けてもいいかなって思ってる。

 

「配信についてお伺いします。公費でゲーム実況するのはいかがなものかという意見についてはどうお考えでしょうか」

 

「そのご意見に関しましては、前提としてオレ達セラフィックアイドルにのことを理解していただく必要があります。オレ達はプログラムです。なので24時間稼動しています。ゲーム実況をしている日にも、該当のセラフィックアイドルにうは通常業務は終わらせているのは大前提として、配信や動画撮影の大部分は該当業務とは無関係の配信専門の別のセラフィックアイドルにうが行っていて、配信の収益も専門の担当のセラフィックアイドルにうが管理しています。社会通念や法に抵触することは無いと考えます」

 

 その後も記者会見は続き、今回はそのほとんどをオレが答える事になった。いや分かるよ?オレかわいいし、電霊記者会見は初めてだし、その電霊はオレとイッチだけだからな。でも実際の情報としては警視庁マシン部隊の方々の方が詳しい話聞けたはずなんだ、何しろオレは一応外部協力者ポジションだし、色々最初にインストールされてるマシン部隊の人達と違って教えてもらったこと以外は承知してないからな。

 

 マスコミがオレという話題性で罠に嵌められたのか、警視庁の思惑に乗せられたのか、まあ別に今回の記者会見だけで全部情報公開しなきゃいけないわけでもないし、これで良かったのかも知れないな。

 

 マシン部隊の人にこっそり補助されながら、質問に答えて行く。だからオレに警視庁の方針とか警察庁、防衛省の電霊に対する待遇や考え方とかその組織の内部事情聞かれてもわかんないんだって。結局そういうのはマシン部隊の人に回線からこっそり聞いたりして答えて二度手間。はあ。

 

 マスコミ諸氏はオレの答えてる絵が欲しいんだろうな……。気持ちは分からんでもないけどなぁ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「だから、わたしには無理ですよ!」

 

 警視庁マシン部隊のオフィスに、みる子の声が響き渡った。

 

「だぁーいじょうぶだってぇ、やれば出来る!にうちゃんに出来る事がみる子ちゃんに出来ないってことはないってぇ」

 

 警視庁マシン部隊、黄緑色とブルーに光る技術系眼鏡っ娘の眼鏡っ娘フリークスは、にうちゃんだけに頼り切ってると多様性や柔軟性が失われる……そういうもっともらしい理由でみる子の能力開発?をしようとみる子をそのまま能力開発の依頼で呼んだわけだが……。

 

 成功報酬のゲーミングCOMP(当然虹色蛍光色+ライティング)に惹かれて来たはいいが、当然みる子に、ゼロッチのような頭おかしい電霊の才能は無い。

 

「にうちゃんとかヒナちゃんは化身とか分裂とか何だかんだ悪魔なら増えるのは当たり前みたいに言いますけど、あんなの作りたくないです、頭おかしくなります……」

 

「え……?」

 

「何で意外な事言われたみたいな顔してるんですか、エーニさん?」

 

 そもそも普通の人間は体が複数あったりはしない。元々狂気的な悪魔の才能があったのか、ニャルラトホテプの化身と合体した影響か、ゼロッチはいとも簡単に大量の化身作成と同期、本体と化身の絶対的上下関係構築をもこなしていたし、ヒナちゃんも何だかんだでゼロッチのアドバイスだけで肉体を変化させて分裂するという芸当を成功させていたが、仮にみる子が何らかの方法で分身を作ったとして、すぐに人としての精神的個性を見失い、ただの電霊と化す。みる子はやる前からそれを何となく察していた。自分の危機に関する勘だけは鋭い。だって心根から姫だから。

 

「なるほど、なら『キャラクリエイト』感覚でみる子とは別の電霊を作るならどうだ?」

 

「キャラクリエイト……?」

 

 ゼロッチほどお手軽にもう1人の自分を作れたりはしない、みる子にも出来そうなプラン。ゲームのキャラクリエイトのプログラムを流用して、とにかく新しい電霊を作り育てることは出来ないか?と、エーニは思い付きを口にした。

 

「やったことはないけど……それなら、出来るかも」

 

 みる子だって電霊である。ゲームのプログラムを小さな電脳異界化して、そのゲームに則ったやり方でキャラクリエイト、マグネタイトの補助を入れつつレベル1の悪魔を作るくらいは出来るだろう。その作成の仕様上、『電霊』『ウィルス』『ワクチン』あたりのどれかになる……異界の雑魚悪魔の湧きに近い形になりそうだが、レベル差で従えればボスのみる子の言う事は聞くだろう。ちゃんと従える手間がかかるので小数になりそうだが、ゼロよりは多い。

 

「これが出来たら姫呼ばわりもなくなるかな?」

 

「しもべを従えるのは姫っぽいのでは?」

 

「……そうかも?」

 

 何はともあれ、その日みる子は初めての電脳異界作成と悪魔作成に成功した。報酬のゲーミングCOMPの中に作ったので、エーニに頼んで拠点まで運んでもらうことになったが。

 

 それは小さな一歩だったが、みる子にとっては大きな一歩だった。

 




 どんなに高レベルでもメインの仕事が警視庁関連になっても本業は配信業だからね、仕方ないね


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掲示板回+廃教会のハトさん

 これも警視庁って奴らの仕業なんだ


DDS掲示板 セラフィックアイドルにう 99

 

 

103:名無しの業界人 22:30

今何体確認されてんだっけ?100くらい?

 

104:名無しの業界人 22:33

>103

例の動画があるんでおそらく108以上だとは言われてる

わざわざ手の内を公開するもんでもないので実際はもっと多いはず

 

105:名無しの業界人 22:36

これだけ数が増えれば普通個性がかなり出てくるもんなんだけど

にうちゃんほぼ同一性が保たれてるみたいなんだよな

電霊の特徴?

 

106:名無しの業界人 22:38

>105

スキルと情報共有に使ってる同期能力だって言ってた

なので教えられない秘密があるならにうちゃんしまっといた方がいいぞ

 

107:名無しの業界人 22:39

にうちゃん基本忘れっぽいから大丈夫

 

108:名無しの業界人 22:43

>107

それは本当に電霊なんですかね……?

動作とか微妙におっさんくさいし美少女化されたおっさん概念か何かなのでは?

 

109:名無しの業界人 22:49

にうちゃんおっさん説100万回見た

 

110:名無しの業界人 22:53

>108

おっさんくさい美少女とか何のご褒美かな?

 

111:名無しの業界人 22:54

>108

それやめろ

にうちゃんは面白がっておう、おっさんだぞって言うだろうけど

にうちゃんの悲しんでる心が見えないのか

 

112:名無しの業界人 22:56

お?サイコダイバーかな?

 

113:名無しの業界人 22:59

マインドマンサーかも知れん

 

114:名無しの業界人 23:03

気を使わなくてもいいおっさんみたいな美少女が

戦いも日常もずっとそばにいてくれたら最高だろ?

つまりそういうことよ

 

115:名無しの業界人 23:05

酒も煙草もやらんからおっさんではないだろ

 

116:名無しの業界人 23:06

うちのにうちゃん

電霊なのにわざわざ霊体化して外に出てレトロゲームしてるから

おっさんというよりオタっぽい感じ

 

117:名無しの業界人 23:09

オタっぽい分かる

 

118:名無しの業界人 23:11

にうちゃんレトロゲームの話だとめっちゃ早口になるよな

 

119:名無しの業界人 23:14

気を使わなくてもいいオタっぽい美少女が

戦いも日常もずっとそばにいてくれたら最高だろ?

つまりそういうことよ

 

120:名無しの業界人 23:19

>119

同じ結論やめろwww

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 電霊スレ 1002

 

331:名無しサマナー  01:09

オレの嫁がいるのはここですか?

 

332:名無しサマナー  01:10

にうちゃんならオレの横で寝てるよ

 

333:名無しサマナー  01:11

いやオレの嫁だろ常識的に考えて

 

334:名無しサマナー  01:13

にうちゃん大量にコピー作ってるって話だから気をつけろよ

多分ここも見てる

 

335:名無しサマナー  01:15

それに下手に恥ずかしいこと言ったりするとすぐ共有されるからな

 

336:名無しサマナー  01:18

俺の恥ずかしいセリフが動画の音声素材にされてもう100万再生されてるんだが?

 

337:名無しサマナー  01:20

>336

あれは笑った、ガチ恋108星流星群だっけ?

 

338:名無しサマナー  01:20

にうちゃん専用スレになってる……公開されてる電霊ってにうちゃんしかいないし

仕方ないんだけどさ

 

339:名無しサマナー  01:24

>336

お前あの中の1人か……どいつでも致命傷だな

 

340:名無しサマナー  01:26

電霊ってどこで貰えるの?

 

341:名無しサマナー  01:27

にうちゃん召喚しても霊体だから触れないんだよなぁ

 

342:名無しサマナー  01:29

二次元キャラみたいな子が画面から出て来てくれるだけでもありがたいと思えよ

お前ら求めすぎなんだよ

 

343:名無しサマナー  01:32

にうちゃんはみんなのアイドルだからおさわりは禁止だぞ

もちろん触らなくてもセンシティブな行為はBAN!

 

344:名無しサマナー  01:35

ガチ恋勢はちょっと自重して、どうぞ

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板【崩壊祭り】オオトリアン・フォース 415【稼ぎ場】

 

800:名無しの業界人 18:10

ウッヒョー、異界ゲット!お前らガチでボーナスタイムだぞ!

 

801:名無しの業界人 18:11

何かショットシェルとかバードシェルとか弾丸が大量に放置されてんだけど

これ現金捨ててるようなもんじゃん

もらっちゃっていいの?

 

802:名無しの業界人 18:14

>801

あー、普段ならリスク高すぎるけど

今はオオトリアン・フォースのやつらマジでいないっぽいからむしろ回収して

弾丸長期放置される方がやばいから

 

803:名無しの業界人 18:15

しかし一体何があったんだろうな?幹部連中が軒並みどこかに消えたって?

下っ端がもう逃げてんのは知ってたけど

 

804:名無しの業界人 18:16

今日だけで宝玉・魔石100個ずつくらい回収してるわ

ありがとうオオトリアン・フォース!

 

805:名無しの業界人 18:16

レベルより稼ぎ重視の人はマジで今行っとけ

他の旧ガイアと比べ物にならないくらい弱ってるっていうか誰もいねーから

 

806:名無しの業界人 18:18

>805

ホントに?ホントに仲間に広めちゃっても大丈夫?

実際行ったら怖い人大集合とかならない?

 

807:名無しの業界人 18:21

何か幹部連中は軒並み警視庁が確保したって情報が……

これ警視庁の仕掛けかも

 

808:名無しの業界人 18:22

また警視庁か!

 

809:名無しの業界人 18:23

おのれ警視庁、我々の前に何度立ち塞がるというのだ!

 

810:名無しの業界人 18:23

もう全部あいつらでいいんじゃないかな

 

 

 

………………………………

 

 

 

DDS掲示板 新世界スレ Part235

 

443:名無しの人間 22:22

警視庁は神、警視庁を崇めよ

 

444:名無しの人間 22:23

メガテニスト最高なんだが?

 

445:京葉メシアン 22:24

にうちゃんが救世主、はっきりわかんだね

 

446:名無しの人間 22:26

生き残ったぞ……デスマーチが残業乙ぐらいになったぞ……

 

447:名無しの人間 22:27

異界奪われて喜ぶ日が来るとは思わなかった。

 

448:名無しの人間 22:28

>444

メガテニストはマジ女神、転向しちゃう~

 

449:名無しの人間 22:31

神託は全部マジだったね……どいつもこいつも罪重すぎだろマジで

 

450:名無しの人間 22:32

尊敬してた人がけっこー大罪犯しててショックだわ。もういないけどな!

 

451:名無しの人間 22:33

七元徳の天使像だっけ?俺金あったら使ってたかも知れん

生まれて始めて貧しさに感謝したわ

 

452:名無しの人間 22:35

主自ら罰を下された後の世界、しっかりと生きなければ

 

453:名無しの人間 22:37

>450

支部に正規職員が俺しかいないんだが?

こういう場合全部俺がやっていいのか?

 

454:名無しの人間 22:39

>445

悪魔なんだよなぁ……犯してないのは嫉妬の罪くらいじゃないか?

 

455:名無しの人間 22:42

にうちゃん超傲慢だし強欲だし暴食だし怠惰でよく怒るし

自分のセンシティブな絵も監視してるって言ってたからな

かなりの悪魔っぷりですよこれは

 

456:名無しの人間 22:44

人のコネが途切れちゃってるのがつらたん

コネで繋がってた人達軒並み天罰直撃勢だったからなぁ

 

457:京葉メシアン 22:47

にうちゃんコネにすればいいじゃん

知り合いの知り合いがどんどん増えるし

何より警視庁と直で繋がってるだろ?

 

458:名無しの人間 22:49

>457

その発想は無かった

そうだよ警視庁で良ければにうちゃんもらえばいいじゃん

本人のコピーでコネも増えてくとか神か?天使だったわ……(天使じゃない)

 

459:名無しの人間 22:50

良かった、これで世界は救われる……わりとガチで

 

 

 

………………………………

 

 

 

 記者会見の後、オレ達は忙しく依頼をこなした。依頼と言ってもほぼ警視庁の化身の仕事と神社勢力復興に向けての準備だったが。

 

 異界には行けてない。いや、正確には異界稼ぎや依頼での周回、攻略には行けてない、だな。

 

 『廃教会』の異界をしばらく維持して、オレの化身のお陰でようやく時間がとれた警視庁のクグツシさんにマシン:クグツのフィギュア・ねんどろ・大型のアクションフィギュアなんかをバンバン仲魔にしてもらったり、ハトさんと異界運営とか天使について話したり、慣れない復興のご挨拶の仕事でガチガチカクカクのミミカとそのフォローでいっぱいっぱいになったスガルを気遣ったりしていたら、いつのまにか異界の名称が変わって『岬の電霊廃墟』になってたんだよね。

 

 その影響かハトさんがここにはいづらくなったみたいなので、阿形さんの提案で、片羽葦原の時に利用した新教系会派の拠点にここにある十字架その他を一旦運び、そこに小さな礼拝堂を立ててハトさんの居場所を作ろうという事になった。

 

「下手に他所に……最悪メシア教会に行かれても困りますし……まあ、ワタクシが引き受けるしかないとは思っていましたので準備はしてありますわ」

 

 そっすね。今まで考えもしなかったけど、最終的にはそれしかなかったでしょうね。

 

 小さな何も無い礼拝堂でも大丈夫なのかって思ったが、ハトさんはむしろ《まさしく新教の子らの祈りの場である》とかなんとかウキウキの様子。意外と大丈夫なのか。何はともあれ、ハトさんは阿形さんに任せよう。

 

 あ、そういえば化身だが、メガテニストにも派遣を始めたし警視庁経由で関係各所のサマナーにも行き渡り始めたので今丁度Aナンバーズだけで200体になっている。まだ需要は全然衰えてないっぽいので倍々ゲームで増やす必要がありそうだ。どうしても増やすのはオレ本体準拠にしてもらいたいので、最新のオレを把握してどんどん化身を増やす専用の化身を作っといた方がいいかも知れない。需要が一段落するまでは。

 

 化身経由の新スキル回収もかなりハイペースになって来ている。何故か今更基本回復のディア・パトラとか、アギ、ブフ、ガルなどの初級攻撃魔法、シバブー、マリンカリンなどの状態異常も網羅し、カジャ・ンダ系の補助魔法やエストマなんかの便利魔法、デスティカ・シパニ・ポイズマ・ひっかき・はばたきみたいな「今更これいる?」系のスキルも身についてた。いくらにうちゃんがかわいいとはいえみんな貢ぎ過ぎだろ……。

 

 まあとにかく、不安定でガツガツ強くなる事を目標にしてた生活の方が忙しくなるのと同時に安定の兆しが見え始めて、オレ達の戦いはこれからだ!エンドを迎えた……と言いたかったんだが、実はスガルのコミュニティ、審判がまだレベルMAXになってないんだよね。コミュLVがいつ上がるかいつ上がるかと日にちを重ね、ようやく何事か起こったのはまた1週間ほど経った後のことだった。

 

 いや、メガテンやペルソナみたいな派手なイベントじゃなかったんだけどさ。

 




 投げ銭感覚でスキルカードを投げられていく


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オレ達の世界:阿形・裕奈・ヒナ

 主人公1人が動いてイベントこなしてるわけじゃないというお話


 その日、オレ達は片羽葦原近くの集合団地に向かっていた。

 

 新しく礼拝堂を建ててハトさんの居場所にする。そのための小さな礼拝堂が完成したと阿形さんから連絡があったからだ。電霊公表関連のゴタゴタで所属会派が電霊(悪魔)対策を堂々と出来るようになって、その先駆けの予算と権限をちょっと分捕れた的な話だとか何とか。

 

「あら、ごきげんよう。よく来てくださいましたわ」

 

 礼拝堂だけど十字架つけただけで他の家とサイズは変わらないなとか、中も質素だなとか色々感じた事はあるが、オレらはまず阿形さんの服装に目を奪われた。

 

「超ミニバトルシスター服……だと!?」

 

 簡単に言えば、アニメやゲームに出てくるような白黒だけど超ミニで露出度の高い派手派手なシスター服だ。もちろん太ももには銃のホルスターが取り付けられていて、頭には何も被っておらず阿形さんの金髪縦ロール眼鏡がこれでもかというぐらいに強調されている。

 

「これでシスターとか無理があるでしょ……」

 

「正式なシスターではないから問題ないですわ」

 

「え?」

 

 オレは初めて知ったが、どうやら阿形さんの所属する会派にはシスターというのはいないらしい。じゃあ何でわざわざそんな露出度の高いシスター服を着てるんだろうか。

 

「コスプレですわ!」

 

 ハトさんが見てるのに改造シスター服のコスプレとか、神をも恐れぬとはこのこと、阿形さん、恐ろしい子……!

 

「でも派手派手でセクシーなバトルシスターとかロマンですわ!自分がそうなれるのにそうならないのは許されないでしょう?」

 

「あっはい……」

 

 阿形さん結構全体的にしっかりしてるのに趣味になるとわが道を行くになるよな……。恐る恐るハトさんの方を見るが、特に変わった様子は見受けられない。意外と平気そうか?

 

《子らの服装はすぐ変わるからな……それに若気の至りには自ら気付くべきでもある》

 

 おい言われてるぞ阿形さん、若気の至りっつーか黒歴史っつーか……服装に関してはオレらもそうだけどあまりに的確すぎてなんか変な笑い出るわ。

 

「それで、『平和のハト』さん、礼拝堂の居心地はどうでしょうか?」

 

《うむ……悪くない。あとは子らの祈りで満たされれば、申し分のない祈りの家となるであろう》

 

 感触は悪くなさそうだな。

 

《かくあれかし》

 

 ん……一瞬ハトさんに後光が差したが、何かしたかな。だが相当言葉を選んだみたいだ。こうあって欲しい、申し分のない祈りの家になって欲しいなーって感じか。どうやら無難に引越しは終了したようだな。

 

 と、その時、オレの隣で借りて来た猫みたいにおとなしくしてたスガルがいつもよりちょっと長く虚空を見上げ、口を開いた。

 

「お、おい、何で今審判のコミュがMAXになって……いや世界!?いま世界って何で!?」

 

 どうも今ここで審判のコミュレベルがMAXになったようだ。そして世界?世界のコミュニティが出て来たのか?世界ってのはワイルドにとっては特別なアルカナであるはずだが。

 

「そのハトも含めて、ハチマン様、時間城の主、スガル達、ゼロッチは頭数多いし特に存在感大きくなってるけど、今回世界を動かした存在全部入りで世界なんだよ!」

 

 何だと!?オレ達皆で世界なのか?

 

 世界 is オレ達?オレ達が作る新世界イズ・ザ・ワールド!?

 

「そっかー、私たちみんなで今の世界なんだね、確かにそれは……納得かなー」

 

 ワイルドの感じた「世界」、あくまでも主観ではあるが、オレらの今までやってきたことが新しい世界に繋がる……このメガテン・ペルソナごちゃ混ぜ世界にしては良い感じに一連の事件を収束出来たんだと思う。思っておこう。

 

「そうだな。まあ地球破壊とか悪意のおもちゃとか死の降臨とか大破壊とか……悪い例知ってるから良く見えるってのもあるけどな」

 

「今までの情報だと、多分、地雷要素色々消えてるよね?」

 

「そうだな。ゼロッチの合体材料になった奴とか、悪魔としてモブ死した塔のアレとか、穏やかになったハトさんとか、他は知らんけどそうひどい事にはなってなさそうだよな」

 

「確かに」

 

「何と言うかさ」

 

 スガルのコミュニティで「世界」を手に入れたからじゃないけど、最近ようやくこの世界がオレ達の世界なんだなって思えて来てるんだよね。実際の期間としては短い間だけど、オレ達が色々積み上げてきたこの世界、この命、この生活、大切にして行きたいと今ようやく思えて来たんだ。

 

「オレ達はようやく根を張って生き始めたばかりだからな、この世界の中でよ……」

 

 

 

………………………………

 

 

 

 網代 裕奈はペルソナ使いである。悪魔から手に入れたスペルカードでペルソナを作り、降魔させて戦う降魔型……最近は神社勢力の復興活動に借り出されて、ペルソナを使う機会がないのだが。

 

「あれ……?何だろう?」

 

 時刻は既に深夜0時、仲間達も既に寝入っている。……眠らない電霊や夜型の仲魔達を除いて、だが。

 

「テレビがついてる?」

 

 台所に置いてある少し大きめのテレビが、よく分からない映像を流している。思わず無警戒に近づいた裕奈は、唐突にテレビの中に引きずり込まれた。

 

「わ、わああああ!ちょ、ちょっとこれ何が……?」

 

 裕奈の叫び声に、反応する者はいなかった。テレビの中も、外と同じように夜の帳が下りている。いや、外より暗い、真の夜の闇とでも言うような強過ぎる夜が広がっているようだ。

 

「ククク……わが領域へようこそ……」

 

「美夜さん?えっと、何でこんな事……ていうかここ、何なんですか?」

 

 そこにいたのは、中二モード全開でイキイキとした美夜だった。

 

「ンモーもうちょっとつきあってよ!折角あたしも自前の電脳異界作れたから遊びたかったのに」

 

「電脳異界?」

 

 色々あって美夜はミミカ達……アニマウイングスの一員になっているが、元々こういう……転生ものというのは好きなのだ。でなければそもそも転生自体を選ばなかった未来もありえただろう。

 

「こういうタイプのお話にも色々あるけどさ。あたしもあいつら並は無理でも世界の片隅でダンジョン運営くらいはやってみたいと思ったわけよ」

 

「はぁ……」

 

 パニクっていたし本体のレベルは低いとはいえ、美夜も現実・電脳空間両方にまたがる大規模異界を作った身だ。異界を作るだけなら出来そうだったが、問題はどんな異界を作るか。アレコレ考え、相談して、迷惑がかからないように、自分で出来る範囲で努力して……警視庁や神社勢力、メガテニストやアルカナの助言を受けて、指定されたテレビに複数の出入り口を開ける電脳異界、「仮称:テレビ美夜」を造り出したのだ。

 

 ちなみに最初美夜はヴァーチャル・バトラーを使わせてもらって現地入り?して作業した。ニュクスはサイバー空間に縁のある悪魔でもないし美夜もペルソナ使い/チャネラーとしては一般的だったから。一度作ってしまえば指定したテレビを介して自在に人を出し入れ出来るようになったけども。

 

「実体空間に新しい異界は迷惑だって、今の状況じゃ正論過ぎてぐうの音も出ないからサイバー空間に作ったんだよね」

 

 実際ゼロッチやヒナちゃんその他も、実体空間に新しい異界を作ったりはしていない。異界の絶対量が増えるのが良くないのは考えれば分かるので。

 

 ゼロッチの才能もあってサイバー空間では好き勝手しているが、ゼロッチもヒナちゃんもこの世界を異界で満たして悪魔の世界にしようなどとは思っていないのだ、多分。

 

「バランサー作るのは慣れてるから最初に配置するのはそれでいいと思うんだけどさ、どういうテーマの異界にするか、新しい悪魔やシャドウはどれだけ配置するか、仕掛けとか必要か、色々アドバイスくれると嬉しいんだよね。あと万が一の時の護衛みたいな?」

 

「あ、あの、何でボク?スガルちゃんの方が色々はかどりそうなんだけど」

 

「スガルさん強過ぎるし……一般的な業界人の参考にはならないし、あの人基準にしたら死人が続出すると思うんだよね」

 

「そ、そうかな……そうかも……」

 

 実際、スガルを例外とすれば裕奈もわりとクソつよ才能モリモリ勢なのだが……そこは美夜も裕奈も、自分あたりが普通レベルのペルソナ使いだと思っているので、そこに突っ込む者はいなかった。

 

 後に「仮称:テレビ美夜」から仮称が取れて「テレビ美夜」となったこの異界は、初心者から中上級者まで、テレビ番組を意識したテーマ別異界の修行場として名を馳せる事になる。

 

 常に全力で戦って必死で探索しないと負けるハードモードな修行場、という評価と共に。

 

「あれぇ?」

 

「こんなはずじゃなかった、反省はしていない」

 

 

 

………………………………

 

 

 

 瓜生 ヒナは激怒した。必ずあの邪知暴虐のゼロッチをわからせねばならぬと決意した。

 

「海の異界は任せるって何じゃ……いくらワシが増えられるのが分かったとはいえ無茶振り過ぎるじゃろう」

 

 広大な大海原、面積に対して異界の数はそう多くはない。しかしそれは、異界の間の移動や探索にかなりの距離を移動しなければならないということでもある。最近ヒナちゃんもトランパをようやく覚えたのでいくらかマシになったが、それでもほぼ情報なしの海の中で未知の異界探しは無理ゲーである。

 

 今の所、場所が判明している沿岸部や海から繋がる川や潟などの汽水域の異界、それほどレベルも高くない渋田海岸や松方湖、舟方島と隣り合った吊浜海岸、片羽葦原までは確保してお茶を濁しているが、手近な海の異界は打ち止めである。

 

「やはりまた分裂するしかないかのう……」

 

 分裂には結構日数がかかるので面倒であまりやりたくはないのだが、そうも言ってられない。無茶振りだとは思っているが、同時にここがメガテン・ペルソナ合体世界なのも確かで、深海とかにぜってーやべーやついるだろうなっていう嫌な信頼感はあるのだ。

 

 世界がどうにかなるほどのやベーやつは天罰ファイヤーやその巻き添えで弱体化したかキレイキレイされたような気もするが、そのやべーやつが沸いたり強化されたりする環境……天然で人間の認知を必要としない異界やマグネタイト湧き霊地が今もそこにあるか将来POPする可能性が、広大な海中や深海底にはあるかも知れんのだ。それのあるなし、白黒つけられるのはヒナちゃん自身の探索以外にはない。今の所は。

 

「ワシの分身……何人かはもう分裂に入ろうかの」

 

 レベルは低くなってしまうが、レベルならパワーレベリングすればいい。

 

 何だかんだで、ヒナちゃんもゼロッチのような量産体制に入ろうとしていた。

 

 




 現実世界の異界はもうヒナちゃんの方が多い


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メガテニストのお仕事、オレらと地元神社  ※最終リザルト

 思えば強くなり申した


 オレの名はサニーA。Aナンバーズ32のにうちゃんだ。メガテニストに派遣され、No.2のチームに所属して、その中にいる「アルカナ」のペルソナ使いの仲魔になっている。なんか別れてはいるけど同一組織みたいなもんなのかな?まあ転生者組織としての集団だからそんなもんかなとは思ってたけど。

 

「じゃあ行くぞ、3、2、1……GO!」

 

 異界化したトタン屋根の作業場、ここで「六地蔵法輪」の再開発が試みられているという情報が警視庁からもたらされ、俺の所属しているチームが割と問答無用に突入する事態と相成ったわけで。

 

 ちなみに今突入したそのNo.2チームというのは、過去に地蔵尊で会った人らのうちの3人、若い方のミリタリー装備の男女と、グルグル眼鏡・薄緑色のお下げの女の子だ。

 

「な、何だお前ら、ここは……」

 

「アクア・マグナ全通し!」

 

「キタキタキター!やっちゃえリノク!『マグマドロップ』!!」

 

「あああああ!お前ら、何てことを!」

 

 オレの端末乗っ取りによる事前アナライズを受けて、グルグル眼鏡のお下げ……ペルソナ使いの「十和田 辰子」が発動した『マグマドロップ』によって、工場内の機械に正確に火山弾が降り注いだ。わーこれはもう修理は不可能だろうなぁー(棒読み)。

 

「どこのもんだ!こっちはガイアに伝あるんだ!分かってんのか!」

 

「どこのもんかってーと……メガテニスト?」

 

「アルカナでーす」

 

「お、お前らがあの……な、何でこんな……?」

 

 あーこれもしかして分かってないのかな。いや、どこまで「分かってる」のかは判別つかないか。

 

「何でって……許されないことしたよね?ここは何を開発しようとしてたのかなー?」

 

「そ、それは、俺らにゃ絶対必要になる『六地蔵法輪』をだな……」

 

 ハイ残念、アウトっすな。アイテムは知ってても深い事情は知らないか、いまだに事実をメシアンの妄想とか思ってるタイプの人なんだろう。仕方ないといえば仕方ないけど、ガイア系はそのパターンほんとに多いからね。

 

「クソッ、警視庁に媚売りやがって!」

 

 なおも悪態をつきながらも、力では勝てないことは理解出来るのか、おとなしく連行される工場長。工場のそこかしこでは、火山弾によってぶち壊されて細かい粒子で中までシェイクされた機械の残骸の間で腰を抜かしている従業員が10名程度。

 

 何と言おうか露骨にヒャッハーか現役ヤンキー風のガイア構成員しかいないな。当然だけど。

 

「はいすいません、これ我々と警視庁共同作戦の『電霊案件』何でおとなしくしといた方がいいですよ」

 

 ミリタリー女さんの提案に、意外と素直にうなずく見た目ガイア共。いや、むしろヒャッハーだからこそ力の差に敏感なのかな。

 

 結構強引な手段を取ってるけど、たった一つでもこの『六地蔵法輪』を再現されたらまたどこかで犠牲者が出てしまう。丁寧な根回しとかしてる暇はなかったからな。

 

 だから警視庁じゃなくてメガテニスト・アルカナが動いたわけだけど。

 

 オオトリアン・フォース教主からの「情報提供」がなければ試作品くらいは作られていたかも知れん。危ない危ない。

 

「当たり前だけど、1回潰してハイおしまいってわけじゃないんだよなぁ……」

 

 これからも、こういう「仕事」は継続して行く必要があるだろうな。もう二度と、同じ事件を繰り返させたくはないからな。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「烏兎神社、バンザーイ!」

 

「オオトリ神社、バンザーイ!」

 

 よく晴れた空に、万歳三唱が響き渡る。今日は神社開店の日。正式には……何て言ったっけ?まあいいか。

 

 ミミカがメイン、えらい豪華な巫女装束でお披露目されている。スガルは似たような巫女装束で隣に立ち、オレは2人の間にいつもの豪華ウェディングドレス姿で浮いている。

 

「爺さん婆さん、上機嫌ってかえらいハイテンションだな……」

 

「どの爺さん婆さんのことだ?」

 

 スガルとオレは手になんか台に乗せた捧げものの干し貝と魚の干物?とにかく山盛りの干した魚介類を持っているが、正直慣れない満面の笑みを浮かべて立っているだけでやる事がない。

 

「あの爺さんはオレの爺さん、あの婆さんはミミカの婆さんの姉の夫の妹、あの見た目姫ちゃんが一番年上のかしこきところ系デビルバスター……」

 

「憶えられねーってそんなん」

 

「オレ達が人数と能力を生かして憶えておくから安心しろ。化身の多さで何とかカバー出来る」

 

 今日ほど化身の多さに感謝した日は無かった。電霊じゃない人間状態で転生してたら無理ゲーだったな。

 

 こっちの世界で、特に裏での対人情報収集はリアル世界とは比べ物にならない、マジで命かかってるんで憶える個人情報が多いってのもあるか。

 

 サマナーで仲魔を連れてるか、ペルソナ使いで心の仮面の付け替えに慣れているか、誰かの仲魔だけど人と混じって歩いているか、それぞれのレベル、耐性、ステータス、見せている装備、こういう業界人の集いは入り口でのアナライズが許される……というか最低限の礼儀でもあるので、本人承諾の上でアナライズ出来るチャンスでもあるのだ。

 

 今回はそのアナライズもオレの化身が担当していて……今日は同期で得る情報量が多いな、全く。

 

「あっ……」

 

「どうした、スガル」

 

「コミュニティ出ちゃった」

 

「出ちゃった言うな、何、何のコミュニティが出たの?」

 

「上がったのはゼロッチと、ミミカ……出たのは『太陽』のコミュ、神社勢力のコミュニティ。始まったみたいだ」

 

 神社勢力のコミュニティ、太陽か。あーうん太陽ね、太陽。そうだねヤタガラスだね。

 

「まーこの時間も無駄にならなくて何よりじゃない?」

 

「そうか?まーそれもそうか」

 

 ゲームだと本編が終わりだとコミュニティも終了だけど、当然現実のコミュニティは上がり続けるわけで。

 

「まぁ、平和にコミュニティ上げられるなら何よりだぁね」

 

 何か良く分からん儀式で、境内と社の中を行ったり来たりする。まだちょっとかかりそうだな。オレ達3人、サマナーと電霊とペルソナ使いのトリオは、何だかんだ分からないままに今日もこのペルソナ・メガテン風のごった煮世界で行ったり来たりで生きて行くのでありましたとさ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

                   最終リザルト

 

 

 

【宇佐野 美々加】サマナー/姫巫女/アームターミナル LV56

 

神降ろし:イナバシロウサギ LV55

スキル:リフトマ、スクカジャ、リカーム、ラッキーステップ、月夜のもちつき

    マッパー

 

仲魔:電霊:セラフィックアイドルにう 銃・神経・破魔無効、電撃吸収、闇耐性

    【ゼロッチ/イッチ】LV66

    (ニッチ、ヨッチ、セブン)LV1

    (サッチ)LV50

    (ゴッチ)LV55

    (ロッチ)LV40

    (エイト)LV20

    (ナイン、テン、イレブン、トゥェニー、にう13)LV46

    (十四/じゅうし~二十四/にじゅうし)LV1

 

    Aナンバーズ 合計200体

    特殊個体

    (エーゼロ)LV58 派遣先:加曽利 英次/京葉メシアン

    (エーワン)LV49 派遣先:警視庁第1マシン部隊

    (エーニ) LV42 派遣先:警視庁第2マシン部隊

    (サイA) LV23 派遣先:メガテニスト

    (サニーA)LV21 派遣先:十和田 辰子/アルカナ

    (サミーA)LV16 派遣先:メガテニスト

 

    スキル:休む、挑発、まもる、九十九針、スウィートトラップ、怪音波

    狂乱の歌、テンタラフー、スランパ、フォトンショット、マハムドオン

    スクカジャ、スクンダ、デビルタッチ、ザン、ザンマ、ザンダイン、マハザン

    マハザンマ、マハザンダイン、リムドーラ、ジオンガ、マハジオンガ

    メギドラ、サバトマ、吸魔、松竹梅、サマリカーム、ペンパトラ

    コトルディ、ブルトディ、クロズディ、メタモディ、ボムディ、パララディ

   、ペトラディ、ライトマ、デクンダ、デカジャ、混乱防御、電撃吸収、闇耐性

    混沌の闇、電脳空間転移、生産の社、知識の泉、盛運の社、回復の泉

    ダークブレス、衝撃高揚、刻の車輪、気功・中

    《ディア》(新)、《パトラ》(新)、《アギ》(新)、《ブフ》(新)

    《ガル》(新)、《シバブー》(新)、《マリンカリン》(新)

    《タルカジャ》(新)、《マカカジャ》(新)、《ラクカジャ》(新)

    《ラクンダ》(新)、《タルンダ》(新)、《エストマ》(新)

    《デスティカ》(新)、《シパニ》(新)、《ポイズマ》(新)

    《ひっかき》(新)、《はばたき》(新)、《電撃ガードキル》(新)

 

 

    悪霊:ファントムロード LV48

    銃・氷結・神経・技無効、呪殺反射、緊縛・突撃・電撃耐性、破魔弱点

    スキル:プリンパ、シバブー、ムド、クイッカ、憑依、デスタッチ

        マハザンマ、タルンダ、マハムド、吸魔、コンセントレイト

 

    女神:サラスヴァティ LV46 破魔・物理耐性

    スキル:マカカジャ、テトラカーン、マカラカーン、メディラマ、ペンパトラ

        リカーム、ディアラマ、ローグロウ、サマカジャ、勇奮の舞

 

    魔王:へカーテ LV48 魔法反射・物理弱点

    スキル:ムドオン、マカラカーン、サマリカーム、マリンカリン、ネクロマ

        ディアラマ、ポズムディ、カルムディ、サマカジャ

 

    珍獣:イナバシロウサギ LV55 氷結無効・火炎弱点

    スキル:リフトマ、スクカジャ、リカーム、ラッキーステップ、月夜のもちつき

        マッパー

 

    聖獣:玉兎 LV12 破魔反射、魔力無効、火炎弱点

    スキル:肉弾、自爆、リカームドラ、バイナルストライク

        マカトラ、トラフーリ

 

    霊鳥:ヤタガラス LV53 破魔無効、衝撃・銃弱点

    スキル:マハラギオン、タルンダ、ディアラハン、マッパー

 

    幻魔:ナタタイシ LV40 破魔反射、呪殺弱点

    スキル:ソニックブーム、デカジャ、回し蹴り、ミサイルパンチ

        奥義マモリヤブリ、ハンマ、ラクンダ、デクンダ

 

    魔王:アスタロト LV52 破魔無効、物理耐性

    スキル:デスバウンド、なぎ払い、ポイズンミスト、マハジオンガ

        マリンカリン

 

    破壊神:セイテンタイセイ LV48

    破魔無効、火炎・氷結・電撃耐性

    スキル:ザンマ、マハザンマ、とびげり、ファイアブレス

        マカカジャ、メタモディ

 

    電霊:【みる子】LV46

    銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効

    スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙、ギルトアイズ、デスタッチ

        ルナトラップ、リベラマ、リフトマ、パララアイズ

        ペトラアイズ、ヘルズアイズ、テリブルアイズ、イビルアイ

        電撃耐性、闇討ち、テトラジャ、ライトマ、おねだり

        セクシーアイ

 

    電霊:みる子ストレングスターボ LV1(新)

    銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効、電撃弱点

    スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙、おねだり

 

    電霊:タンガニーカ子 LV1(新)

    銃・破魔無効、電撃弱点

    スキル:アクア、ディア

 

    電霊:カンチェン・ジュンガ LV1(新)

    銃・神経無効

    スキル:ブフ、マグナ

 

    電霊:赤佐多名破魔 LV1(新)

    銃・神経・破魔・呪殺無効、水撃弱点

    スキル:ハマ、コウハ

 

 

 

 

【美夜】ペルソナ使い/チャネラー LV14(+10)

 

ペルソナ:塔:ニュクス LV47

 破魔・呪殺・バステ無効、魔法吸収、物理弱点

 スキル:テンタラフー、ドルミナー、マリンカリン、サマリカーム、ダークブレス

 

 

 

 

【末吉 為軽】ペルソナ使い/ワイルド LV64

 スキル:からたけ割り、曳光倶利伽羅蹴、極楽往生破、食いしばり、利剣乱舞

     デスバウンド(新)

 

ペルソナ:死神:夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポ LV57

     地変・闇吸収、雷・光・魔力無効、風・水耐性

 

     スキル:子守り歌、かみつき、丸かじり、エイハ、マハエイハ、ムド

         ムドオン、マハムド、マハムドオン、エイガ、マハエイガ

         エイガオン、マハエイガオン、ムドブースタ、呪怨ブースタ

         マグダイン、暗黒マハマグナ、闇のフォーミーラバー

         ドルミナー、催眠波、ソウルブレイク、黄泉への誘い

         トラエスト、トラスタルト、トランパ、アドバイス、三分の活泉

         マハマグダイン、呪殺貫通     

 

 

     月:アルラウネ LV46 闇無効、火・氷耐性、風弱点

     スキル:メディラマ、エアジーシャワー、オールド・ワン

         ディアラマ、スクカジャ、タルンダ、マカラカーン、緑の壁

         老化防御、老化成功率UP

 

     審判:アズラエル LV42

     精霊・物理魔法無効、闇・物理攻撃弱点

     スキル:はばたき、バイコウハ、狂乱の歌、リカームドラ

         タルカジャ、闇の審判、マハンマオン、二連牙

         タルカジャオート

 

     魔術師:ランダ LV47 物理反射、氷結弱点

     スキル:マハラギオン、テンタラフー

 

     星:ガルーダ LV56 光反射、風耐性、銃弱点

     スキル:ガルダイン、ヒートウェイブ、アムリタシャワー

         マハスクカジャ、勝利の息吹、マハラクカジャ

         タルンダ、マリンカリン

 

     愚者:シキオウジ LV59 火炎・氷結無効、風弱点

     スキル:アギダイン、マハタルンダ、レボリューション、アドバイス、

         ミドルグロウ、アギラオ、気功・小、トラエスト

         マハスクカジャ

 

 

 

スガルコミュニティ:愚者/LVMAX(+1)時間城のなかまたち

          女教皇/LV2(+1) 阿形 サリナ

          法王/LV1      ゼロッチの祖父母

          恋愛/LV2(+1)  網代 裕奈

          隠者/LV7(+3)  宇佐野 美々加

          正義/LV2(+1)  警視庁マシン部隊

          死神/LV1      みる子

          塔/ LV2      美夜

          星/ LV9(+3)  ゼロッチ

          月/ LV2(+1)  瓜生 ヒナ

          太陽/LV1(+1)  神社勢力

          審判/LVMAX(+1)アニマウイングス

          世界/LVMAX(+1)世界を動かすもの

 

 

 

【阿形 サリナ】サマナー/ガーディアン使い/聖書型COMP LV55

ガーディアン:神獣:LV41 アヌビス

 

仲魔:珍獣:ホネアリクラゲ【瓜生 ヒナ】LV52(+2) 水無効、物理耐性

   (ヒナ2~13/LV28~35)

   スキル:トラフーリ、トラエスト、トラポート、アクア、アクエス、マハアクア

   マハアクエス、リフトマ、串刺し、ヒステリービンタ、まきつき

   どくばり、まひばり、水の壁、火炎耐性、治癒促進中、粘液、アクアダイン

   マハアクダイン、フィアトレント、トランパ(新)

  

   大天使:ハニエル LV50 破魔反射、技耐性・呪殺小耐性

   スキル:マハジオ、マハジオンガ、ハマオン、メディラマ、ディアラハン

       マリンカリン、マハンマ、エンジェルアロー

 

   女神:アリアンロッド LV50

   技反射、破魔無効、呪殺・剣耐性、神経弱点

   スキル:ハンマ、ディアラマ、パララディ、ヒートウェイブ

       ザンマ、ジオンガ、デスバウンド

 

   龍王:ノズチ LV45 物理吸収、魔法弱点

   スキル:ラクカジャ、放電、リベラマ、押し潰し、大暴れ、ペトラディ

       しちしきれんごくは、マカラカーン

 

   大天使:ラミエル LV38 破魔反射、技耐性、呪殺小耐性

   スキル:アギラオ、ハンマ、マハンマ、ペンパトラ、はばたき

       リカームドラ、カルムディ、ポズムディ、パララディ

       ソニックブーム、テトラジャ

 

   地霊:スダマ LV20 破魔・呪殺無効、魔法耐性

   スキル:マハザン、マカジャマ、デカジャ、ラクカジャ、ペトラディ

       カルムディ、ボムディ、ポズムディ

 

   精霊:アクアンズ LV26

   電撃反射、破魔・緊縛無効、神経・呪殺・魔力耐性、火炎・氷結弱点

   スキル:ブフ、ブフーラ、ポズムディ、九十九針、水の壁

       アクア、アクエス、マハアクア

 

   天津神:オモイカネ LV44 魔法吸収・バステ無効

   スキル:マハザンマ、マカジャマ、テトラジャ、テトラカーン、ペンパトラ

       タルカジャ、リカーム、マハーガル、メパトラ

 

 

 

【網代 裕奈】ペルソナ使い/降魔 LV51

 

ペルソナ:女教皇:テンセンニャンニャン LV46 属性:破魔

     スキル:九十九針、メディラマ、マハアクア

         パララディ、ヒートウェイブ

 

     死神:アンクウ LV44 属性:呪殺   

     スキル:バイエイハ、マハグライバ

 

     恋人:スエノタマナ LV27 属性:神経   

     スキル:ディア、マリンカリン、ハピルマ、キャンディボイス

         バステ成功率UP、ザンダイン、投げキッス

         癒しの調べ、ディアラマ、天上の舞い

 

 

 

【管理異界】

 

(現実)

岬の電霊異界(ロッチ)、送神山(イナバシロウサギ)

舟方島(ホネアリクラゲ【瓜生 ヒナ】/不定)

松方湖、吊浜海岸、渋田海岸、片羽葦原(ホネアリクラゲ【瓜生 ヒナ】/不定)(新)

 

(現実/電脳)

ラロヘンガ(夜の大媛ヒネ・ヌイ・テ・ポ)

 

(電脳)

太閤、酒場、宿屋(セラフィックアイドルにう/不定)

テレビ美夜(美夜)(新)

 

 

 

………………………………

 

 

 

 うわー、オレの新スキル多すぎ?気軽に高価なスキルカード貢ぐサマナー多すぎ問題。まあ、ガチのは電撃ガードキルくらいで他はそれほどでも……いややっぱ高いよ。最低でも数万以上はするぞ。

 

 これからも増えそうだ。スキルの数に制限とかは無さそうだしな。種族が電霊で化身いっぱいで助かった、こんな数のスキルニンゲンの時のオレじゃ管理し切れなかっただろうからな。

 

 化身は今オレの周囲の化身24人とAナンバーズの200人まで増えている。特に不具合は出てないからもっと増やしても良さそうだな。

 

 みる子の作った電霊と結局警視庁経由で引き取った電霊3人。こいつらもやっぱりオレらで確保した。正直オレしかいないってのもあるが会って見たら予想通り同志でオタ友になれそうだし、レベリングはもちろんするけどそれ以上に、オレ以外の電霊にも配信させるのもいいかも知れないな。本人の希望があればだが。

 

 ミミカは……繰り返しになるが、最速で動けるサマナーはやっぱ強い。一の仲魔がオレだしそうそう負けることは無いだろうな。

 

 スガルはこの忙しい中でも庭で鍛錬してデスバウンドを身につけていた。強い。(確信)。

 

 ファントムロードさんやヘカーテさん、ミミカの仲魔たちは太閤異界を美夜の「テレビ美夜」と繋げて、ヴァーチャル・バトラーで訪れた修行者たちと遊んでいる。

 

 特にマグネタイトは消費していないのだが、太閤のゲームを参考にして作った個人戦システムが、素でのスキル習得の助けになっているとか。何がどう役に立つか分からんもんだな。

 

 裕奈ちゃんはそれの助けになってくれていて、阿形さんはプロテスタント何ちゃら会派とハトさんとの繋ぎ役として頑張ってくれている。とても助かるぜ……。

 

 ヒナちゃんはオレの言った通りに海の異界探索を押し進めて、もう5つの異界のボスになったらしい。あれ、もしかしてもうオレより現実の異界の数は多い?すげえハイペースだ。やるなヒナちゃん。

 

 片羽葦原、渋田海岸、松方湖と、吊浜海岸、舟方島の2系統。これ以上は遠くに遠征して探す必要があるだろうな。海は広くて大変だけど、多分必要な事なので頑張ってほしい。

 

 さて、スガルのコミュニティで、愚者・審判がMAXになって世界のアルカナも出た。この一連の事件、オレ達的にもようやく一段落着いたと思っていいだろう。

 

 オレの星コミュニティがLV9で止まってるのが何だかムズムズするが、オレの電霊生活もスガルの人生も続くんだ、いつかMAXになるだろうさ。そんな事を考えながら、オレは相変わらずの抜けるような青空に、幸あれと祈った。

 




 次回、最終話。セラフィックアイドルにうの今と未来へ。安心しろ、オレが来たからな!


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完全勝利したセラフィックアイドルにう

 もうニャルニャル出来ないねぇ


「呼び出し?何だろうね」

 

「どうせろくな事じゃねーよ」

 

 翌日、オレたちは時間城にいた。時間城の主からの呼び出しである。

 

「来たな。まあ。座りたまえ」

 

 ミミカとスガルがソファーに座り、霊体のオレはその背後に何となく佇む。

 

「さて……まずはおめでとうと言わせてもらおう。まさかこんな形でお前達がこのゲームに勝利するとは思わなかった」

 

「ゲーム?」

 

「そう、ゲームだ。何となくは分かっているだろうが、彼の化身、お前達にわかりやすく言うなら、ペルソナ2のラスボス、いけ好かない本体気取り、父親気取りのヤツとのゲームだ」

 

 時間城の主がそこまで話すと、いつの間にかその背後に白い服を着た仮面の男……「原作」を知るなら一目で分かる「フィレモン」が現れた。

 

 ああ、そうだな。そういうこともあるかも知れんなとは思っていたよ。

 

「彼の化身は『ゲーム』と言っていたが、その実は彼の化身にとって生き残り、存在を賭けた最後のチャンスだった。セラフィックアイドルにうは彼の化身との悪魔合体で作られた事は話したな?それこそが彼の化身にとっては最後の希望だった」

 

「もしゼロッチ……君がその力と意思の扱いを間違えれば、あの存在の代行体や下僕に成り下がることは十分あり得たはずだった」

 

「んー?十分にチートパワーで好き放題した気がするけどなー。そんな気配すら感じた事一度も無いけどな?」

 

「そう、あの存在は人間の悪意を信じ、善意の限界も見切り、分の悪く無い賭けをしたつもりだった。ただ、人類という総体に詳しいことに慢心し、君個人の性格と経験知を無視した。決定的な敗因はただそれだけだった」

 

「性格に経験??オレはそんな特殊な性格も経験もしてないつもりだけどな?」

 

「お前がそれを言うか……エゴの申し子、いくつに分かたれても自我を見失わない究極の自己中心主義者、天然で天上天下唯我独尊を成す、自分自身にとってだけ特別な唯一絶対の自己の公式運営様?」

 

「天上天下唯我独尊とか公式運営とか見てたのかよ!」

 

 くそっ、やっぱこいつ油断出来ねえな。発言を控えたり撤回したりするつもりは無いけど、なんか恥ずかしいものは恥ずかしいからな。

 

「単なる性格、単なるエゴの強さ。特に致命的だったのは『化身を二次創作、自己を公式として絶対化し同期で定期的に上書きする』という対応だった。この対応により、セラフィックアイドルにうの全ては心の底に至るまでセラフィックアイドルにう公式『ゼロッチ』の心で塗り潰された。強烈な自我で何重にも塗り潰されたあの存在は……残滓と呼ぶにも希薄化している。せいぜいスキルにその名残を残した程度だろう」

 

 何とまぁ……。オレって自覚なしにアレにひどい事してたんだな。悪いと思う所は全く無いけどな!やったぜ。

 

「彼の化身の強みの一つは、人の心の海より現れる事……しかし、お前という最悪のデコイによってその希望すらも吸い寄せられ、塗り潰され、正真正銘、完膚無きまでの完全な敗北を喫した。これからも未来永劫、上書きされ続けるだろう。セラフィックアイドルにうなどというふざけた天使のような名を名乗りながら天使を否定するというのも効いたな、お前自身……公式に見張られた上にかの唯一神にまで目をつけられたわけだからな」

 

 流石オレ……そこまで見越してセラフィックアイドルにうなんていう名前をつけたんですね!知らなかったぜ……。

 

「ニャルラトホテプの化身のたった一つとはいえ、完全勝利したセラフィックアイドルにう殿?どうだ?お前が望むなら、正式に我らの化身のうちの一つとして迎え入れても良いぞ?」

 

「うっせー!おぞましいこと言うんじゃねー!!」

 

「そうか……そこそこ本気ではあったのだがな。それならそれで良い、これからも静かに見守る事としよう」

 

 ……あれ?何か結構マジだったんかな?かなり残念がってるような。いや、ニャルの化身だなんて生理的に無理だから断るのは当然なんだけど、言い方って物があったかな。

 

 ……まあ別にいっか。この程度の悪感情とかこいつなら毛ほどにも感じないだろうし。

 

「ところで、かの神からもやっぱり天使にならない?とのお誘いがあるのだが……」

 

「いや、ならねえって。天使と思われるのは自業自得ではあるけどさ……」

 

 そもそもオレが正式に天使になっちゃったら世界のパワーバランスが完全に崩壊して、この世界が神の世界みたくなっちゃうだろ。そのくらいの能力と影響力なら既にあると自負してるぞ。なので天使にはならない。オレ達は天使じゃない(キリッ。

 

「ならば君は、マインドマンサーとして人を導く事に興味はあるかな?もしあるなら……」

 

「悪いけどそれはやっちゃいけないんだ。オレはセラフィックアイドルであって、アイドルとして人の心を受けて輝き人を導く存在なんだ、そこに『心の技術』は絶対入れちゃいけない」

 

「……そうか。君を見くびっていた事を謝罪しよう。君は心の底から、理想像……アイドルでありたいと思っているのだね」

 

 その後。細々とした業務連絡をついでにいくつかして、オレ達は拠点……オレの家に帰還した。

 

「実家のような安心感」

 

「帰って来たなって感じがするぜ、星コミュもMAXになったしな」

 

 そう、オレとスガルの星コミュニティは、あのやり取りの後にMAXレベルになったらしい。解放されたペルソナは順当にルシファー様だ。まあ、そうなるな。

 

「特に絆が深まった感じはしないんだが……」

 

「今更だろ?」

 

 それもそうだな。

 

「もっちゅもっちゅ……」

 

 ミミカはいつの間にかテーブルの上に大量のみたらし団子とたこ焼きとプリンを広げて食べ始めた。

 

「三種の神器でトリプルタワー……むきゅむきゅ……」

 

 それを炭酸オレンジで流し込んでいる。見てるだけでおかしくなりそうだ。

 

「おいしいよ?」

 

 お、そうだな。おいしいのとそれやっていいのかどうかとは別だけどな。

 

「トライアングルフォーメーション!」

 

 3つの食べ物を同時に口に入れてリスみたいにほほを膨らましているのは……うん。もうそういう生き物なんだと思うことにした。これが神社勢力、この地の烏兎神社の兎系姫巫女だっ!

 

「まー現実なんてそんなもんだ。その……新しいオオトリ様だっけ?」

 

「オオトリ様じゃねー!いやオレみたいな高レベルの悪魔を神社で受け入れるにはそれしかねーからしょがねーけど、公認はしてないんだって!みんなのアイドルなんだから」

 

 全く大天使だったりニャルの化身だったり新しい祭神だったり、オレの評価も多種多様だな。まあみんなのアイドルでいるために、全部断ってるんだけどな。

 

「オオトリ様……マシンタケルさんに許可を取ればワンチャン?」

 

「ワンチャンじゃねーよ、オレなんかがオオトリ様とか出来る気しねーし、それに縛られたくもないからな」

 

 何であるにせよ、オレはオレだ。ただ一種族の電霊、セラフィックアイドルにうのオリジナル、ゼロッチだ。

 

「他の誰でもない、オレは俺が望むがまま、オレでありつづける!」

 

 誰に対しても折れず、あるがままのオレを貫く。ニャルラトホテプの化身に完全勝利したオレの武器は、今日も変わらず輝いていた。

 

「ドス黒いダークの光で?」

 

「ドス黒くなんかねえ!最高にかわいいだろ!」

 

 

 

………………………………

 

 

 

 あれからどれだけの時が流れただろう。今回はガチで、長い長い時が流れた。ミミカもスガルも、他の人間も、正しく寿命を迎え、残ったのは寿命を越えた少数とオレ達悪魔、いや「電霊」組……。

 

 オレをメインに元々の電霊が中心となり、「電霊」達は人類の隣人として共に歩む存在となった。今日も世界中で人類を支援し、守り、推し推されて生きているだろう。

 

 今日はそう、オレ達が生まれた「リアル世界」がハトさんと数々の協力者によってついに再起動を果たす日。オレは、その日のために再起動の協力者となり、長い間準備して来た。

 

 まずは死んだ……いや、蘇生も出来なくなったり行方不明になって全てが終了したリアル転生者のフォロー。ひどい目にあって転生してすぐに特別扱いは終了、あとは普通に転生してくださいではあまりに慈悲も情けもないということで、これに関しては仏教系のあれこれが一番最初から動いていたようで、事件の最中に目立たなかったのはそのため。

 

 当初は最初の転生時と同じく担当がついて転生ガチャをするシンプルな感じだったが、オレの提案でさらに特別に本人の希望や願望も勘案して、どちらかの世界に再転生するという措置がとられた。リアル世界への再転生を希望した人は、時を越えて再起動後のリアル世界に転生することになっている。

 

 ただ、転生者は今回の事件に被害者側として関わってきた人たちだ。リアル世界の方の最後の記憶にはトラウマを抱えた人も多く、原状回復した上での完全復帰を希望した人はものすごく少なかった。それはそうだ、悪党どもは天の裁きでいなくなっているとはいえ、それ以外の周囲の環境は変わってないし、現状復帰だと元の身体を再現して戻る事になり、少なくともレベル1からやり直し、悪ければレベル1にもなれずに、レベル一桁とはいえ「電霊」が出るように変わってしまった世界で再度地獄を見ることになる。なのでどうせならと再度転生ガチャの権利を得てどちらかの世界に転生を選んだ人が多い。

 

 ま、そうして手厚いフォローがされるのもオレのような転生者達が世界の運営の協力者となっているからって理由もあるんだけどな。メガテニスト、アルカナ、もちろんアニマウイングス、転生者組織は上手い具合に作用した。流石オレは先見性もあるぜ。褒めよ称えよセラフィックアイドルにうちゃんを!(隙あらば自分語り)。

 

「よう、ゼロッチ。久しぶりだな」

 

 声を掛けて来たのはスガル。スガルはあの後も積極的に異界攻略を重ねて、更に裏関係の武術道場なんかにも出入りして道場破りごっこなんかもやらかして、最終レベル80にまで達していながら最後まで人間として生きてぽっくり逝ったと思ったら、どこぞの新人サマナーの所に「猛将:末吉 為軽」としてちゃっかり復活?再転生?していた。堅実にレベルも上げて64までは戻している。もう会えないと思った俺の涙を返せ。

 

「しょーがねーだろ、スガルもまさか戻って来れるとは思ってなかったんだから」

 

 全盛期よりレベルは下がってるし流石にワイルドとしての自由なペルソナ管理は出来なくなってるが、身につけた技やスキル、最終ペルソナはまんま全部残ってるしこれはこれで、と言った感じらしい。人間の時は流石にスク水は途中でやめてたけど、猛将としてはまたスク水で出て来たんだよな……やっぱイメージって大事だよな。

 

「ミミカは変わんねーのか?」

 

「あいつは変わらないよ」

 

 ミミカもフツーに寿命で永眠したが、この地方の神社勢力を再興させた再興の姫巫女として、姫巫女たちの祖霊から独立した存在となって「威霊:宇佐野 美々加」として祀り上げられた。もちろんメイドバニーと思いきや何と巫女服バニーとのモードチェンジ採用だ。ちなみに現在レベルは56。今日も相変わらず何か食べてもっちゅもっちゅしている。食っても太らない、マジ感謝!とのこと。そうだね……(生暖かい目)。

 

「お前あっちの……リアル世界の方に干渉するんだって?スガルはちょっと関わる気はしねーけど、お前の雄姿?を見守るのもいいかと思って」

 

 そっか。まあ、今のオレならどうとでもなるから心配は要らないけどな。オレだけじゃない、今は頼れる存在となったみる子やみる子の子たち、警視庁から預かった最初の電霊3人衆も共にリアル世界に電霊を飛ばして変わってしまうリアル世界を守ることになっている。元電霊以外の生き残った元悪魔組はレベルが高すぎてほとんどが参加不可。一部レベル1の分霊やらコピー体やらを作れる人が少数参加するに留まっている。リアル世界のバランスを崩すわけにはいかないからね、仕方ないね。

 

 あと、ヒナちゃんには無理やり大量分裂してもらってレベルを下げてレベル1の分身を作って参加してもらった。申し訳ないとは思っているが海に関してはヒナちゃんに任せるしかなかったんだ、どうか許して欲しい。

 

 他にも、文字通り天国から今回の再起動に関するケアに参加する阿形さんや、今もテレビ美夜の主として生きる美夜と裕奈ちゃん、超人となって今でもフツーに活動してるちおちゃん、後づけで「電霊」になった人や特別扱いを断って通常の輪廻に戻った人もいるが、いちいち全てを語るのはやめておこう。

 

「セラフィックアイドルにうってもう欧米とかだと守護天使扱い、その他諸々だと普通に電霊として一気に拡散したからな。今何人だっけ?」

 

「オレだけで二十四億四千万だな。そのくらいのオレがいると認識している」

 

 二十四億四千万のオレが、常に世界中のネットワークで何らかの活動を行っている。レベル的にはそこまで上がっておらず今最高レベルのオレ、ゼロッチでも77だが、スキルは管理するのも大変になるほど大量に身についた。投げ銭のように頂いたスキルカードで。

 

 耐性系のスキルも当然ながら貢がれているので、今のオレには貫通やガードキル、相性無視の技でもないと攻撃が通らない。

 

 まあ、それはそうなるよな。

 

「本来の、オレのリアルの身体は吹き飛んでるけど、オレが最後に充電した携帯ゲーム機がどうも例の神霊召喚プログラムに悪用されてたっぽくて、その縁とルートを利用させてもらってオレの化身と電霊チームを送り込む事になった。これはハトさんと相談して決めたから……まあ、何と言うか勝ち確だよ」

 

 他の有力な存在もリアル世界の再起動には関心があるようだが、オレがハトさんと協調して化身と電霊チームを送り込めた時点で勝負はついてる。メイン戦力となるオレや元からの意味での電霊は正直レベル以外の面が強すぎるんだ。

 

「ゼロッチさん、準備出来ましたよ!」

 

「お、そうかみる子。さて、そろそろ始まりの時間だが……」

 

《世界の停止解除を始める。こちらの天使たちも良く言い聞かせてはいるが、手はず通りによろしく頼む》

 

「おう、オレに任せときな」

 

 ハトさんも心配性だな。まあ、停止解除から1分1秒が勝負だ、ネットワーク上で拡散出来るオレは大きな役割を果たす。オレは出来ると思って引き受けたし、最低でも人的被害は限りなくゼロに抑えたい。それでこそセラフィックアイドルにう、それこそこの異常に高まった能力の使い道、好き勝手にセラフィックアイドル活動するためには、その登場は悲劇とシリアスじゃいかんからな。

 

 あまりに被害が多過ぎ、取り返しがつかなければ、とてもふざけてクソゲー実況とかする空気じゃなくなって一足飛びに救世主扱いになるしかなくなってしまう。それは避けたい。

 

 オレが自由に、思うがままに活動するため、起こりうる悲劇を止めに行く。

 

「さあ、懐かしきリアル世界に行くとするか」

 

 オレはまた「化身作成」を行い、いつも通りに新たなるレベル1の化身を創造する。セラフィックアイドルにう……ナンバーはRW-0、リアルワールドのゼロだ。

 

「ハローワールド!セラフィックアイドルにう、恥ずかしながら帰って参りました!」

 

 リアルに降り立ったセラフィックアイドルにうの物語が、始まりを告げた。その結果は……もはや語るまでもないだろう。

 

 




 というわけで最終回です。あのニャルに完全勝利してーなあオレもなぁ、ついでにハクスラ成り上がり出来れば最高だなと思ったらこんな話になりました。TS?TSは必須ビタミンだから……自己ベストの分量になったけど書きたい部分は書き切ったので楽しかったです。今までお読みいただきありがとうございました。

 メガテン・ペルソナ二次創作増えろ増えろ


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