荒島 真己のスキキライ (平均以下のクソザコ野郎)
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キャラ紹介(5/11更新)

荒「よォ、見に来てくれてありがとよ。このページは1話目じゃなく、今現在この小説に登場するキャラクターを紹介しているページだ!大元を知らねェヤツは元作品である『ウルトラマンカイナ』を読めって話だが、いかんせん数が多い...。なんで、ここでは主に俺含むこの小説の登場キャラが多く所属する"惑星調査隊"のメンバーを紹介していくぞ。耳かっぽじってよォく聞いとけよ?」

⚠注意⚠
①全員いません
②プロフィールが書かれていない人物に関してはこちらの幻覚が多分に含まれます


 

 

① 荒島 真己(アラシマ・ミコト)


年齢:25


容姿:身長185cm。ギザ歯にオールバックの髪型が特徴。私服ではメンズのファー付きジャケットを愛用している。

BURK隊員の男性。

優秀な学者のように聡明な知性や知識、観察力と、飢えた野生動物のような凶暴性と暴力性を併せ持った男。

女性の色気や芳香に関しては大の苦手であり、それがとても強いシャーロットや駒門には5mほど距離を置くか、ゴモラを模した着ぐるみで話している。「めちゃくちゃクッセェ」らしく、弘原海の事も尊敬はしているものの、2人と接触したあとはあんまり近付かない。

女性隊員がエロい目で見られるとどこからともなく現れる男①。

好きな食べ物はハンバーグやカレーなどの子供っぽい食べ物、カフェラテ。

 

荒島談:俺だな。特に言うことはねェ

コメント:エロい目で見てるうちの子。最初に作った時はこんな方向性じゃなかったけど書いてくうちに受け感が出てきた。R-18描きたいんだけど難しすぎて死にそう。

個人的イメージソングは日食なつこ「エピゴウネ」BUMP OF CHICKEN「Hallo,World!」

 

②リーゼロッテ

年齢:15

身長:150cm

容姿:金髪金目の美少女。長い髪をハーフアップツインテールに束ねている。ドナルド並に尻がデカい。

 BURKドイツ支部から惑星調査隊に参加したBURKセイバー隊の女性パイロットであり、若くして隊長の座に昇り詰めた才媛……なのだが、高飛車で自信過剰な性格が玉に瑕。

今小説のメインヒロイン(概念)。酒に弱く動転しやすくメンタル弱そう。でも頼りになる隊長。

好きな食べ物はカリーヴルスト(焼きソーセージにカレー粉とケチャップをかけた食べ物)、ブロートヒェン(ちっちゃいパン)。要はパンとソーセージと自国の料理が好き。

 

荒島談:直属じゃないが一応上司。...上司だよな?遊んだ数はBURKでは1番多い。セイバー隊で頼りにしてる奴も多いし、多分向こうだったらもっといるんじゃねェかな。関係ねェがお前俺のジャージのズボンぶっかぶかにしたよな

コメント:静が濃すぎてヒロインになってない気がするかわいそうな子。ごめんなさいオリーブドラブさん。この子と荒島の会話集とか日常とかもっと描きたい。スキルツリーを戦闘機関連の技能に振りまくってる気がする。

個人的イメージソングはヨルシカ「ただ君に晴れ」

 

③劉静(リウ・ジン)

年齢:21歳

簡単な容姿:身長172センチ。ボーイッシュな顔立ちの紺髪金眼。鬼太郎ヘアーになってそうでギリギリなってない感じのM字バングな短髪。腹筋と腕筋が割と逞しめ。

BURK中国支部爆撃機隊からの参加者。

スタイルに反したボーイッシュな顔立ちと、歯の浮くような台詞を平然と吐くキザな性格の男性的な雰囲気を持つ「BURK女性陣の『男役』」。

今小説では荒島の友人として登場しており、お互いに向ける感情もそこそこデカい。

好きな食べ物は小籠包と花茶(花を用いた中国のお茶。ジャスミンティーが有名)。花茶に関しては荒島やアルマにしょっちゅう飲ませてくる。

 

荒島談:俺の友達で頼れる後輩2号。ファッションとか詳しいからたまに服見てもらってるな。それ以外はだいぶボロ出てんだけど。つーかお前172もあったの?

コメント:リーゼロッテ除けば一番に許可出たキャラ。荒島と喋らせとけば何話しても割と違和感ない気がする。リーゼロッテにも分けてほしい。

個人的イメージソングはAdo「レディメイド」

 

③シゲタ

年齢:33

 元フランス外人部隊出身。対テロ作戦の最前線にいすぎて人殺しと気配を隠すことに慣れきっている。

 寡黙という程ではないが、自身のことはあまりしゃべりたがらない。

小説では前田力也、八木夢乃との3人組で登場する事が多い。多分BURK生活を1番堪能してる。

女性隊員がエロい目で見られるとどこからともなく現れる男②。

好きな食べ物はバゲット。よくツナとバター、その他調味料混ぜたやつを乗せて食ってる。たまに前田にあげる。

 

荒島談:お前紹介と違わない?前田、八木と一緒に行動してるとこよく見かけんな。

コメント:経歴のおかげで荒島の格闘能力をいくら盛っても最終的なストッパーにできるキャラ。この作品で1番大人をしてるかもしれない。

個人的イメージソングはカンザキイオリ「君の神様になりたい」

 

④ 士道 剣

年齢:23

容姿:身長195cm。こげ茶の髪で、主人公っぽい髪型をしている。犬っぽくてCV櫻井孝宏みたいなイケメン。

BURK男性隊員。

ホピスファイトでは主人公を務める。

鶴千 契とは犬猿の仲でありつつも、信頼し合うライバルのような関係。

荒島とは高校大学での先輩後輩で剣道部所属。その名残から荒島の事を「荒島先輩」と読んでいる。BURK日本支部ではレストランなどに1番詳しいらしい。

荒島の無茶振りに1番付き合わされている苦労人。

好きな食べ物は多すぎて言えないらしい。強いて言うなら照り焼き。

 

荒島談:頼りになる後輩で高校からの仲。こいつなんで彼女いねェの?作れよ

コメント:エリーとのCP妄想が止まらない。キャラの概要が少なすぎたのでほとんどホピスファイトと自分の幻覚で保ってる。容姿に関しては身長以外全部捏造。助けてくれ。

個人的イメージソングはオーイシマサヨシ「世界が君を必要とする時が来たんだ」

 

⑤ 叶 亥治郎(かのう げんじろう)

年齢:52

容姿:丸い細ぶちメガネの壮年の男性。穏やかな笑みを浮かべている事が多い。

大学の准教授位を持つ隊員、ホピスファイト編では専門家目線での現地調査をする予定だった。

柔術もしくは合気道の達人であり、格闘訓練では荒島をよく投げ飛ばしまくっている。

荒島とは義理の親子。荒島を産んだ直後に亡くなった荒島母の言伝で荒島を引き取った。

娘がおり、おそらく妻子持ち。

好きな食べ物は和食全般。

 

荒島談:叶先生〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!(☆こっち向いて☆)(☆論文添削して☆)

コメント:出番が少なくてごめんなさい...もうちょい露出増やしたい...

 

⑥前田 力也

年齢:15

容姿:眉のちょい下くらいまでかかった黒髪ぱっつん、分厚いゴーグル型眼鏡にちょっと丸っこい輪郭のあどけない少年。

リーゼロッテと同じく、わずか15歳で惑星調査隊に選ばれた少年。

メカニックの才覚に秀でており、数々のBURKメカの修理点検を問題なく完遂させる。同い年という事で、リーゼロッテとは互いに名前呼び。好きな食べ物はカロリーメイト(プレーン)、ソイジョイ(ブルーベリー)、麺類。多分社畜気質。

 

荒島談:休めっ...!お前が、お前がそんなに働く必要ないんだ...!

コメント:そういやこいつショタだったな...っていつも思うし原作だと一人称「俺」なんですよね。個人的イメージソングはSEKAI NO OWARI「RPG」backnumber「ヒロイン」

 

⑦八木 夢乃

年齢:17

容姿:浅栗色のサイドテール

射撃技能特化型のお嬢様、気品よりも実利を優先するので言葉遣いは一般的

覚悟ガンギマリ、肉体的には貧弱(精鋭基準)。

『スキキライ』世界では前田力也、シゲタとの3人組で行動する事が多い。通称「だんご三兄妹」。

戦闘に関しては射撃技能特化と言うだけあって百発百中の銃撃で相手を撃ち抜く。反面近接格闘に関しては苦手意識が高く、先輩隊員である望月珠子やエリー・ナカヤマに稽古をつけて貰っている。なお本人いわく「地獄」らしい。

好きな食べ物は天ぷら。大根おろしに醤油か、天ぷらに塩をかけて食べるらしい。

 

荒島談:(エリーと望月による訓練を見て大爆笑してる様子)(この後荒島もシゲタと弘原海を相手に体験する)

コメント:お嬢様キャラって事全然忘れてるキャラ。ただの陽キャ女子高生のつもりで書いてる。ザインも見なきゃ...

個人的イメージソングはYOASOBI「アドベンチャー」

 

⑧木場 司

年齢:29

容姿:身長178cm。ダークブラウンのマッシュヘアーに影のある雰囲気の細長い目が特徴。面長気味。

BURK男性隊員。

士道 剣の元教官で、多月とはもう1人の教え子、鶴千 契とのライバル関係に手を焼いていた教官仲間。

真面目だが無表情で人間味がないとよく言われるのが悩みで、最近は趣味を探している。

女性隊員がエロい目で見られるとどこからともなく現れる男③。

好きな食べ物はそうめん。たまに卵スープに入れて食べるのが好き。

 

荒島談:教官組と話した事あんまりねェんだって!!!でも木場さんの関節技はマジでエッグいしいったいし手加減のての字もない

コメント:個人的には「盲信」「信仰」の言葉と牧師、神父の服が1番似合いそうなキャラ(偏見)。十字架ついた窓(名前わからん)背にして手を組んで欲しいし聖書を諳んじてほしい。

イメージソングは米津玄師「春雷」

 

⑨エリー・ナカヤマ

年齢:24

容姿:茶髪に3色メッシュを入れたロングヘアー。見えないように刈り上げを入れ、スプリットタンに多くのピアス、ギョロっとした大きな眼が特徴。

日本生まれアメリカ育ちのBURKの女性隊員。

先進的だが古風な母親に話し方や礼儀、アメリカ人の父親に銃の撃ち方や喧嘩の仕方を教わっており、純粋な格闘術では駒門にも引けを取らない。私服ではスカジャンかレザージャケットを愛用しており、ポケットにはメリケンサックが入ってる。

好きな食べ物はフライドポテト。Lを頼むが毎回ちょっとだけ食べきれない。

 

荒島談:士道とエリーちゃんの3人でよく飲みにいくな。最近は士道と2人で会うこと多いみてェだし...仲人の言葉でも考えとくか

コメント:たぶん胸より脚の人間。ピアス穴は3個以上空いてると嬉しいし地上任務の時は男女の区別つかなくなるくらいガッチガチの装備だと思う。



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脳内設定(兵器・チーム編)

BURKショットガン

新しくBURKで開発された近中距離対応ポンプアクション式散弾銃。

別称及び通称『マスターキー』。

近距離、中距離においてはBURKガンよりも破壊力、貫通力に優れている。通称の『マスターキー』はこれに由来する物で、高い威力を活かし敵性宇宙人達の篭城拠点の入口をいとも簡単に破壊した事から名付けられた。

その威力から察せられることであるが、使用時にかかる反動はBURKガンとは比べ物にならない。八木 夢乃隊員が実験的に使用した所、1発の使用で後方に吹き飛ぶほどのものであった。(書面上の為こう書いているが、実際には3人のスタッフが八木隊員をガードしていた為に八木隊員に怪我は無かったことを追記しておく)

主に使用する隊員は木場 司、荒島 真己、シゲタの3人。

木場、荒島の2人は使用1時間前に必要書類を記入し、備品管理科に提出してから使用すること。

 

BURKガン・ガンカートリッジ

BURKガン使用時に装填する2つのカートリッジ。

非殺傷実弾、光線弾の2種類に分かれる。

光線弾は怪獣、巨大ロボット及び巨大化した敵戦力へのみの使用が認められている。

非殺傷実弾は超硬質ゴム製。非殺傷と言ってもBURKガンで射撃されては骨折などの大怪我は免れない。あくまでも"命は取らない"というだけなのだ。ちなみに、通常の殺傷性ありの銃弾も存在する。

 

BURKバンシー

一筋のラインが入った真っ黒なスーツと特殊マスク、専用武装。及びそれを着用した5人小隊。装備は自動小銃、BURKガン、ナイフ、隊員個人に支給される特殊専用武装。

敵地内部にて『瀕死、及び重傷』となったBURK隊員の救出、敵勢力の殺害を主な活動内容とする。

その活動内容から、特殊な精神肉体負荷訓練とテストを課せられ、それに合格した者が入隊させられる。任期は3年。それを超えたら1ヶ月の休暇が与えられ、バンシー以前の業務に復帰する。給料と出会いは1番あるらしい。

 

BURKバトン

『スキキライ』世界のBURK隊員1人1人個別に支給されている特殊電磁警棒。当初は開発部で『BURKケラウノス』と名付けられていたが、使用者の隊員達と一部上層部からブーイングをくらったことにより現在の名称に改められた。使用者の体格に合わせたSS、S、M、Lのサイズがあり、SSはクーカ、及びアリアに合わせて作られた。ちなみに隠し持てる武器としても人気がある。

 

BURKヘルメス

『スキキライ』世界で配備されている万能バイク。

悪路も水路もなんのその。丈夫なタイヤとマシンパワーでスイスイと現場に向かうことが出来るモンスターマシン。

ネームドキャラでの使用者は荒島、弘原海、手力、士道。

士道は荒島に金を握らされて免許を取らされた。

 

BURKケラウノス

開発部渾身のネーミングが光る超威力の固定砲台。

普段はBURK基地の地下で眠っており、上層部の許可、いくつもの複雑な手順と手続きをこなさねば使用する事ができない。使用できる弾も一発だけ。その分、威力と射程は桁違いに強い為、付近の隊員はその場から離れるように命令される。

 

BURKサキュバス

設計図のみで確認されている誘引型怪獣捕獲装置。

対象の怪獣のメスのフェロモンを散布して捕獲する...らしいが、企画倒れしているらしく倉庫で埃にまみれている。



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イチワカ・ンケツ
ナカヨ・クケンカシナ 【挿絵追加】


スペースシャトル型宇宙船『BURK(バーク)スコーピオン』。

隊員たちに与えられた個室が並ぶ区域...その中の一室で、2人の男女が激しい感情をぶつけ合っていた。

 

「ふっ...くぅっ...あらしま、さんっ...」

「っ...ハッ、中々、お前もっ、耐えるなァ...」

 

1人は、いつもはツーサイドアップの鮮やかなブロンドの長髪をポニーテールにした、見目麗しい少女、リーゼロッテ。

もう1人は、オールバックにした黒髪にギザ歯が特徴的な青年、荒島 真己。

荒島の部屋で2人向かい合いながら、互いの魂がぶつかり合う。

 

「!やっ...あ」

「これが弱いんだな...耐えられるなら耐えてみせろよ...!」

「ダメダメダメダメ...!!やだやだやだやだやだぁ!」

 

そして、決着が着く。

 

「ハッハァ...これで終わりだリーゼロッテェ...超ッ、振動波ァァァ!!!」

「やぁぁぁぁっ!!!!私のパワードォォ!!」

 

画面の中で争う怪獣「ゴモラ」が、アメリカのウルトラマン「ウルトラマンパワード」のHPゲージを必殺の【超振動波】で0にする。

 

「っしゃァ勝ったァ!!!!!」

「パワァァドォォォ!!!!!」

 

画面上に映る雄叫びをあげるゴモラ。それに加えて表示される『1P WIN』の文字。

そう、これは日本のゲーム会社が発売した格闘ゲーム『ウルトラ×モンスターズ ドリームスーパーバトル』。大型ゲーム会社「ナムコン」が、彼らの所属する『BURK(バーク)』全面協力の元制作された格闘ゲームである。制作協力の報酬として、BURK(バーク)に最速で届けられたゲームを、2人でプレイしていたのだ。

 

「はぁっはァ!!!!おいおいどうしたリーゼロッテェ!天才様がこの荒島くんにゲームで勝てないとかあっていいのかなァ!?俺の十勝八敗だが???勝ち越しなんだけどなァ〜!?!?」

「今のは!!!!今のはナシでしょうあんな隠しコマンド(EX化)あるなんて知らなかったんですぅー!!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ほぉーん??????ま、これで1つ結論が出たな」

「...なんですか」

 

リーゼロッテの肩に手を置いて、穏やかな顔で微笑んで答える。

 

「お前のパワードは、俺のゴモラに勝てないってことだ」

 

ブチッ(何かが切れる音)(コントローラーを引っこ抜く音)

 

「む゛ー゛ー゛ー゛!!!!!!!!!!!」

「あっやめろコントローラーで殴りかかって来るなあっ意外と強っ」

 

シヌ!ヤメロリーゼロッテ!!!!

シネーッ!!!!!パワードォォォ!!!!!

オマエガカイジュウジャネェカヤメロ!!!!

 

 

「あいつの部屋は騒がしいな...?」

「...後で注意しておきますよ」

 

BURKの隊長、弘原海はコーヒーを飲みつつ、その部下、駒門 琴乃は眉をひそめてそう言った。

 




申し訳ありません!!!
次話の作成に時間がかかると判断し、次回予告は撤回させていただきますm(_ _)m
代わりと言ってはなんですが、今話の設定及びキャラの解説を付け加えさせていただきますm(_ _)m



荒島 真己(アラシマ・ミコト)
今作の主人公。というより視点主?
学者の卵で、BURK隊員。
「ウルトラマンカイナ」では、変身前は着ぐるみを被っている姿のみ登場。
その後も素の姿は描写されていなかった。(こちらが特に設定してない)
非常に子供っぽい性格であり、自分の苦手なものや人に対してのリアクションがわかりやすい。
秋赤音の空様のキャラ、叶 亥治郎の教え子という設定が付けられているが、荒島の行動には叶も手を焼いているようだ。
今回の格ゲー対決の為に先々の分までできる仕事を終わらせた。バイタリティと有能さがすごい。
年齢は25歳。

リーゼロッテ
今作のメインキャラ。(予定)
BURKドイツ支部、セイバー隊隊長。
名家からのプレッシャーからかメスガキのような振る舞いをしてしまうお労しい少女。個人的に精神安定剤案件だと思う。
荒島とは今回の格ゲー対決の他にも様々な勝負事をする仲であり、これまでの戦績は16勝17敗。(今回の格ゲーで負けた為+1敗)
私服とか持ってなさそう(偏見)なので戦闘服で来た結果荒島にブチ切れられた末にジャージ履かされるかセイバー隊の誰かにヘルプコールを要請したかもしれない。


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ザッ・シニノッテタ【挿絵追加】

今話は前話の編集前あとがきにあった『キライ・ナ=シセン』ではありませんm(_ _)m
ご容赦ください


午後の12時。

 

「やぁ、荒島くん」

 

昼下がりの待機時間。

カフェオレを楽しむ荒島に、1人の女性隊員が親しげに話しかけてくる。

豊満なバストとヒップを持ちながらも、男役さながらの美麗で中性的な顔立ちで男女を魅了する特徴的な容姿。

『劉 静』隊員が、荒島の前の椅子に座って来た。

それに対して、荒島は、苦虫を噛み潰したような顔で劉に応対する。

 

「......」

「おいおい、なんだいその顔は。まだ何も話してないじゃないか」

「...お前がこっちに対してにこやかに話しかけてくる時はな、大抵俺にとって不都合な事がある時なんだよ...」

 

荒島は、1人ごちる。

 

「先月はお前がお前のファンに送るチョコ作りを手伝わされ」

「あぁ、美味しかっただろう?」

「月初めはお前の写真のオークションごっこの司会をやらされ」

「君があんなに闇オークションの司会役が上手いとは思わなかったよ」

「先週はついにお前のファンから小言を頂いた。"静様に近づかないで頂けます?"まぁ結局お前のイタズラだったけども」

「あの子はノリがいいんだよ。いい子だったろう?」

「菓子折りは美味かったが二度とやらせんな。普通に殺したくなったわ」

 

悪びれもせずに劉隊員は肩をすくめる。

荒島はそれを見て、自分の頭を撫で付けてから、劉隊員に問う。

 

「...で、何の用だ?悪いが時間かかるようなもんは無理だぞ。俺はカフェオレを飲むのに忙しい」

「時間がかからないものであればいいのかい?まぁそれで言うなら時間はかからないさ」

 

そう言うと、劉隊員は懐から一冊の分厚い雑誌を取り出した。男女両方、普段使いからコスプレまで、全てのファッションについて描かれた若者向け人気ファッション雑誌『yan-yan』の特別号「街ゆく若者特集」である。

主に編集部が過去4年かけて街ゆく若者を撮影したスナップ写真を主にした特集だが...

 

「お前それどこから出した...?」

 

その特別号はかなり分厚く、少年漫画雑誌「ドラドラ」にも引けを取らない程の厚さの雑誌をどこからか取り出した劉隊員に引いてしまう。

 

「どこからでもいいさ。えーと...」

 

その劉隊員は雑誌のページをパラパラとめくっていく。ファッション雑誌をめくるその姿でさえも絵になるようで、劉隊員を見つめる視線は多い。

(なんで近くに荒島がいるんだ)というような疑問と嫉妬の混じった視線も多少荒島に向けられるが、劉隊員がひとつ一瞥すればなくなっていく。

 

「...あ、この写真だよ」

 

劉隊員が指さしたひとつの写真。

ツーブロックにブラウンのコート、ニットのセーターを着用した青年が、壁にもたれかかっている写真だ。

現在から3年ほど前の撮影写真の中から選ばれた物らしく、『No.1』という順位と、編集部のコメントが下に綴られている。

 

「えーっと、『寒さが深まってきた秋の終わり頃出会った青年。温かみのあるブラウンのコートに白いニットのセーターがマッチしています。個人的にかなりモデル体型であった所もグッド。彼が今何をしているのか、とても気になる写真です』だって」

 

そう劉隊員が雑誌から視線を戻すと、荒島は顔を手で隠して天を仰いでいた。まるで見たくないものを見たかのように。

 

「...」

「ねぇ」

「知らん」

「ねぇちょっと」

「知らん」

 

劉隊員の目つきはだんだんいやらしくなっていく。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「これ君だろう?」

「他人の空似」

「絶対君だよこれ」

「知らん」

「じゃあ叶先生に聞いちゃおっかな」

「俺だからやめてくれ」

 

叶の名前を出した途端に渋々認める。

その顔は、非常に照れくさそうに真っ赤に染まっており、深いため息をつく。

 

「はァァァ〜〜〜〜〜〜」

「それにしても君、なんだいこの格好?サークルの優しい先輩みたいな恰好してるじゃないか。今オールバックなのにこれでは竹内涼真のような髪型してるな君。ねぇ君」

「女しこたま喰ってそうとも言われた」

「はっはっは、なんかソフトSな所ありそうだからね君。実際そんなでもないだろう?」

「大学の時は文芸と怪獣サークルだった」

「文芸!?君も意外だな」

「つっても小説描いたりはしてねェけどな」

 

特別号を手に取りながら話す。

 

「しかしお前、よくこんなもん買ったな...うっわ高ェ」

「確か別売りで6000円だったね。本誌も買うともうちょっとした筈だよ」

「ほとんど専門書みたいなもんじゃねェかよ」

「ファッションに関してのと言ったらあんまり間違いでもないからね。街ゆく通行人を撮ってるから、自然なオシャレっていうものがほら、うん、わかりやすいだろ?ぷふっ」

「ハリセンボンみたいになってるぞ...笑うな」

「すまないすまない...はーあ、笑った笑った」

 

そうして、暫く雑談をした後。

 

「そういえば劉」

「どうしたんだい荒島くん」

「これ誰かに見せてないだろうな?」

 

その端正な顔を後ろに向けて眼をそらす劉。

カフェオレを飲み干して回り込む荒島。

雑誌を懐に仕舞い立ち上がる劉。

カップを片付けて足に力を込める荒島。

 

「...おーっと子猫ちゃん達とお茶会の約束があったの忘れていたよあーっはっはっはー!」

「てめェ見せやがったなァ!?待ちやがれ吐くまで逃がさねェぞ!!」

 

テーブルをパルクールのようにひらりと飛び越え、劉隊員は走り去って行くが、それを逃がさんとばかりに荒島は劉隊員を追いかける。

 

鬼ごっこの結末は、どちらかの勝利か、はたまた駒門弘原海のお説教か。どちらにせよ、今日も地球は平和である。




ドラドラ
小学生に人気のコミック雑誌。
稀にフェチズムを感じさせる漫画が連載されたり小学生のその後の人生に多大なる影響を与えたりする。
おもちゃ等の懸賞も人気。
オマージュ元はもちろんガッツな笑いとド迫力なあの雑誌。

yan-yan
若者向け総合ファッション雑誌。
あまりにも多岐に渡る取り扱いに、年々価格がちょっとずつ高くなっているともっぱらの噂。
BURK隊員の中でも購入している人物が多数いる。

荒島の写真を見た人物
「...へぇ〜...ふぅ〜〜ん...ま、まぁ...いいんじゃないですかねぇ?私の直属の部下ほどではありませんけど???」


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ケイ・ジバン

()の位置にはその隊員を表すようなハンドルネームが現れていると解釈してください<(_ _)>
全員分考えると頭がパンクすると判断しこのようになりました。


カチカチカチッ

 

BURKとかいう面白集団w

 

1:名無しの防衛隊 削除

(BURKセイバー編隊飛行動画)

(スパーリング動画)

(劉静、リーゼロッテ企画ドッキリ動画)

(着ぐるみ使用怪獣解説動画)

ヤバすぎやろこいつら

 

2:名無しの防衛隊

どこぞのKaiTuberよりKaiTuberしてる

 

3:名無しの防衛隊

ツインテちゃんかわいすぎて5回抜いたわ

 

4:名無しの防衛隊

>>3

(リーゼロッテ)隊長じゃ二度と間違えんなクソが

 

5:名無しの防衛隊

公式の女性戦闘服がほとんど児童ポルノ法違反なんだよなぁ…

 

6:名無しの防衛隊

15とか17があんなん着てるとかドスケベすぎる

エロゲの世界だろ

 

7:名無しの防衛隊

>>6

わかるわ

あんなん見て勃起しない方おかしいやろ

 

8:名無しの防衛隊

男子隊員とかもう慣れきってるやろなぁ...

 

9:名無しの防衛隊

露出気にしとる子もおるで

ワイの推しの(エリー)ちゃんや

(エリーのつぶやき。「そろそろブランケットじゃなくてパンツとかにした方いいかなぁ」)

 

10:名無しの防衛隊

>>9

俺も(エリー)ちゃん好きやわ

動画でもご飯作ってたりするよな

 

11:名無しの防衛隊

>>9

推しって程でもないけどおにぎりやらは作って弁当で食ったわ

ガッツリ向けはもうちょい味濃くした方美味いで

 

12:名無しの防衛隊

>>11

ガッツリはだいぶ多いし源たれやら肉とかガンガン入れてたじゃん

お前もしや岩塚?

 

13:名無しの防衛隊

>>9

ズボンじゃなくてブランケット巻いてんの草すぎる

貧乏か?

 

14:名無しの防衛隊

>>13

少なくともお前よりは貰っとるで

 

15:名無しの防衛隊 削除

本気スパーリング動画いつ見ても怖いわ

(鶴千)とかいうやつ(士道)相手に殺意ありすぎやろ

 

16:名無しの防衛隊

>>15

相手の(士道)もすごいぞ

(鶴千)に全然動じんし顔面行ってもすぐ殴り返すからな

 

17:名無しの防衛隊

本気スパーなら(士道)vs(鶴千)もいいけど(荒島)vs(木場)とか(叶)vsSさんとかヤバいで

 

18:名無しの防衛隊

(叶)ってあの(叶)か????

あの人もスパーするんか??????

 

19:名無しの防衛隊

>>18

スパーやなかったかもしれん

なんかどっかの動画で組技投げ技をSさんか(荒島)にかけてた気するんよな

 

20:名無しの防衛隊

(叶と荒島が道着着て道場にいるサムネ)

これやな

終盤まで(叶)が(荒島)を敵役に護身術とか教える動画だけど

終盤の乱取りがほんまにやばい

(荒島)がマージで敵わん掴みもできん

 

21:名無しの防衛隊

>>20

ヒェッ

 

22:名無しの防衛隊

>>20

「ヴォッッ」「ゲホッ,オァッッ」

この声だけでめちゃくちゃ苦しいんやろなぁ

「オラもっかァい!!」

めちゃくちゃ元気やん

なんやこいつ

 

23:名無しの防衛隊

どいつもこいつも当然のように高身長なの腹立つわ

(叶)でさえも芝刈薪夫みたいな穏やかイケオジやんけ絶対

 

24:名無しの防衛隊 削除

>>23

ええよな...

イケメンやろな...

 

25:名無しの防衛隊

(リーゼロッテ)ちゃんと(ヴィルヘルミーナ)ちゃんがたまにやるバズった映像再現みたいなの好きやわ

煽りグルメレースだのでっかいレンジとトランペットで演奏するやつだの

 

26:名無しの防衛隊

>>25

いっつも思うけどあれは誰が2人に吹き込んどるんや

 

27:名無しの防衛隊

面白系と怪獣解説の編集は(荒島)と(氷川)が多いらしいで

この間の質問コーナーで言ってたわ

 

28:名無しの防衛隊

質問コーナーまであるんか!?

 

29:名無しの防衛隊

>>28

結構おもろいで

この間は(叶)と(シャーロット)だったわ

 

30:名無しの防衛隊

(シャーロット)さん目の前で初対面の部下に吐かれたんやろ?

かわいそやったわ

 

31:名無しの防衛隊

シャ「これからよろしくね」

隊員「よろsオベロロロロロロ」

シャ「」

 

32:名無しの防衛隊

>>31

ここいたら多分笑ってまうわ

 

33:名無しの防衛隊

>>31

実際このスピードだったらしいな

 

34:名無しの防衛隊

>>31

袋取り出すの早すぎて見えなかったらしい

 

35:名無しの防衛隊

お前らドッキリ企画で何が好きや?

 

36:名無しの防衛隊

>>35

まずお前が話せやカス

 

37:名無しの防衛隊

>>36

殺すぞブス

いきなりパイ投げられるやつや

 

38:名無しの防衛隊

>>36

王道やんけ

あの動画の(ナターシャ)ちゃん良かったわ

まさかパイクリーム舐めるとは

 

39:名無しの防衛隊

(士道)が(駒門)にやる時めちゃくちゃビビってたけど最後には勢いよくやったの笑ったわ

雄叫びが雄々しすぎる

 

40:名無しの防衛隊

「ヤアァァーッッッッッ!!!!!」ブンッ

「おぶっ」ベチャッ

 

41:名無しの防衛隊

年上が年下にパイをぶつけるな

新成人やぞ

 

42:名無しの防衛隊 削除

>>41

この後撮影スタッフに頼んでやり返したからセーフ

 

 

 

 

 

荒島の自室。

パソコンを開き、2人の男女にインターネットの「掲示板」を見せている。荒島が立てたスレッドには、たちまち50程のレスがつく。

 

「...とまぁ、動画の反応はこんな感じらしいな。こんなのをあてにするのか?氷川、ジャハナム」

「防衛隊が動画チャンネル作って投稿してみたりするのって初めてだし。編集してる身としてはどんな反応なのかはちょっと気になるかなーって」

 

1人は、ナターシャ・ジャハナム。

褐色の肌に、腰まである長さのウェーブヘアが特徴的な女性隊員。

人懐っこい性格であり、チーフメカニックとしても才能を発揮する才覚の高さも相まって、メカニック部門の花として人気。

 

「...フィードバックや指摘は、あればある分いい。...最も、未だ動画の編集には慣れんが」

 

もう1人は、氷川 雄一郎。

機械のように冷徹だ、と称される一方で、自身の事を「甘いヤツ」と語る寡黙な男性隊員。20歳と言うにはあまりにも冷静すぎる所もあるが、人命を救出することに重きを置いた優しい男。

 

「いきなり俺の部屋に来た時は驚いたんだが、そこら辺の謝罪は?我先輩ぞ?」

「あ〜っ、ごめんなさい荒島さぁーん!」

「すまない、荒島さん。俺が遅くまで残っていたのをジャハナムが気を遣って引っ張って来たんだ」

「あれっもしかして私に擦り付けられてる?」

 

謝罪の言葉と共に荒島の手を取るジャハナム。

氷川も謝罪し、自身が来た理由を説明する。

 

「ジャハナム、距離が近い。あとそれがなかったら俺の部屋に1人で来るつもりだったのか」

「え、うん」

「氷川、お前だけが頼りだ。このバカ女に普通の女は恋人でもなんでもない男の部屋に1人で来ないというのを伝えてくれ。あと簡単に男に近づくな。あとが酷いぞ」

「荒島さん、俺には無理だ」

「ちょっと酷くない!?じゃああそこで爆睡してる隊長はなんなの!?」

 

そう言いながら、ナターシャは荒島のベッドを指さした。

荒島のベッドには、間違いなく荒島ではないブロンドヘアーが荒島の枕に広がっていた。布団で顔が隠れているものの、そのブロンドヘアの正体は、BURKセイバー隊隊長、リーゼロッテである。

 

「あまりうるさくするな、起きるだろうが」

「その保護者エミュに気を取られると思わないでね荒島さん」

「そういえば、いたな。気になってはいたが」

 

ベッドを見やる2人と、唇に人差し指を当てる荒島。

もっとも、ナターシャはそれに止まることはなかった。

 

「正直2人とも距離近すぎると思う」

「そんな訳ねェだろ」

「いーやあるね!」

 

そう言ってナターシャは荒島のベッドの下からタブレット端末を取り出す。

 

「なァそれいつ仕込んだ?どこから持ってきた?」

「荒島さんがスレッド立ててた時!ちゃんと自分のだから大丈夫!」

 

ナターシャが端末を操作している際、氷川は立ち上がって本棚へ近づく。

 

「荒島さん、本読んでもいいか」

「コラッ雄ちゃん!お姉ちゃんの話聞いてなさい!」

「ジャハナム、君は俺の姉ではないしむしろ俺の方が年上だ」

「読んでもいいけど散らかすなよ」

 

 

 

(........私、いつ起き上がればいいんですかねぇ)




芝刈薪夫=草刈正雄

リーゼロッテの爆睡理由=普段の彼女では考えられない程のハードな訓練の疲れ。自身の部屋に行くより近い荒島の部屋に意識朦朧状態で転がり込んだ。

タブレット端末=リーゼロッテと荒島の距離が近すぎる所を見た隊員達の反応。一部抜粋。
「荒島が俵抱きでリーゼロッテ隊長運んでた」
「荒島はロリコン」
「勝負に乗るリーゼロッテ隊長ちょろすぎんか?」
「手は出すなよ荒島」
「後方保護者面いい加減にしろ荒島」

この後=リーゼロッテはナターシャにおんぶされて部屋に帰還。氷川は荒島の本を借りて自室に戻った。


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アネ・キブンシュ=ウライ

今回は会話文多めです。


「頼もーうッッ!!!」

「ウワーッ!?!?」

 

格納庫内に場違いのように置かれた倉庫。

誰も使わない為に、もはや荒島専用の着ぐるみ制作室となったその場所を勢いよく開いたのは___

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ヴィルヘルミーナ・ユスティーナ・ヨハンナ・ルーデル。

ハンス・ウルリッヒ・ルーデル大佐を先祖に持つ、透き通った白い肌に映える黒い長髪のポニーテールが特徴的なドイツ人である。

その彼女は今、機嫌が悪そうに格納庫へと向かっていく。

ちなみに彼女だけでなく、同じく格納庫に用があるという男性隊員、日ノ出 新も一緒である。

人助けを趣味とするお人好しである彼にとって、かなりご機嫌が悪そうな彼女の様子は、個人的に気になっていたため、彼女に工具の搬入を手伝って欲しいと頼み込み、共に格納庫へ歩いているのだ。

 

「なぁ、ヴィルヘルミーナ。さっきから機嫌が悪そうだけどどうしたんだ?」

「...あぁ、すみません」

「謝って欲しい訳じゃないんだけどさ、なんでかなーって」

 

少し直接的すぎたかと考える彼を知ってか知らずか、ヴィルヘルミーナは考え込む様子をみせる。

 

「あー、いや、無理に話さなくてもいい」

「リーゼロッテの事は知っていますね」

 

リーゼロッテ。

ドイツ名家の才媛。

史上最年少でBURKセイバーパイロットの適正資格を得た天才少女。

BURKセイバー隊隊長。

挑発的な態度と、ハーフアップツインテールが特徴的なその存在は、隊の中でもかなり癖のある人物として知られている。

 

「もちろん知ってるけど...」

「じゃあ荒島との関係も」

「ッスー....ッ」

 

荒島 真己。

BURK随一の奇人変人。

でありながらも、苦労人のようなアダルトチルドレン。

女の芳香が苦手な為、駒門とシャーロットの不在が確認できない際は着ぐるみ姿や、着ぐるみの頭のみを被った風変わりな姿をした人物。

 

「おい?」

「うんまぁ知ってる。それで、その2人がどうしたんだ?」

「...ないんです」

「え?」

「...ッテが、...くれないんです」

 

ふるふると身を震わせて叫ぶ。

 

「リーゼロッテがっ!荒島にかかりっきりでっ!最近話してくれないんですよッ!!」

 

妹分(リーゼロッテ)不埒な男(荒島)と、2人で怪しげな雰囲気であることは、姉貴分(ヴィルヘルミーナ)にとって無視できない事であった。

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

「...で、俺の着ぐるみ制作を邪魔したわけだ」

「ど、どうやら...」

「む"ーっ!!!!!」

 

即落ち。

勇んで倉庫の扉を開いたはいいものの、足払いからの捕縛にてぐるぐる巻きにされたヴィルヘルミーナを横目に、日ノ出から事情を聞く荒島。

この時まとっているのはいつもの隊員服や着ぐるみではなく、ツナギに作業帽などの工場ルック。

怪獣「グドン」の着ぐるみを作っている途中らしく、グドンの頭や体を模したものが置かれている。

 

「む"ーっ!!!む"む"む"ーっ!」

「そ、そろそろ離してあげたらどうでしょう?ほら、姉妹のように育ったと聞いてますし。荒島さんと仲良くしてたら心配するのもやむを得ませんよ」

「...そうだなァ、さすがに猿轡くらいは外してやるか。あと日ノ出。お前俺をそういう風に思ってたのか」

 

口に巻かれていた布を取り、日ノ出の一言に遺憾の意を表明したところで、ヴィルヘルミーナに向き直る。

 

「で、俺に何の用だユスティーナ・ヨハンナ・ルーデル」

「はーっ...はーっ...日ノ出さんから聞いただろ、荒島 真己」

「まさか、あいつに勝負を仕掛けるのをやめろと?イヤだ」

「違う!!」

 

あまりにも早い否定の言葉に、思わず拍子抜けする日ノ出と荒島。

 

「えっ違うの?」

「ち、違うのか、ヴィルヘルミーナ?」

「むしろ、リーゼロッテの姉貴分としては感謝したいんだよ、荒島 真己」

 

息を整えて話し始める。

 

「...あいつは、リーゼロッテは、小さな頃から才媛であれ、優秀であれとされてきた。もちろんそれは、リーゼロッテのご両親の確かな愛の上で、適切な量の教育だったと思うし、リーゼロッテ自身も、そんなご両親の期待に答えようと努力してきた」

「...だけど、頑張り過ぎることが多いんだ」

「小さな頃から必要以上の課題やトレーニングをこなしてしまうし、失敗がひとつでもあったら、それがどんなに小さなことであっても、なくすことができるまで必死に考え込んでしまう」

「それで怪我をしてしまう事もあったし、空回ることもあった」

 

「...まァ、あいつクソ真面目だもんな。隊長にはあんななのに」

「荒島さん」

「はい」

 

「私もご両親も、その真面目さには助けられた事もあるのだが...その真面目さこそに、体や精神を病むのではないかと思っていた」

「そこに現れたのが、お前だ。荒島 真己」

 

「おっ、いいぞ褒めろ」

「荒島」

「ウッス」

 

「........お前は、リーゼロッテに勝負と題して、様々な事をさせてくれた」

「時にはボロボロになったあいつを引き剥がしてでもベッドに放り込んでくれた事もあったな」

「だが今日は感謝しにここに来たのではない」

「マジで?」

 

縄を器用に切り裂き、立ち上がったヴィルヘルミーナに身構える荒島。日ノ出はそんな2人を見やりながら、ヴィルヘルミーナに真意を問いただす。

 

「そうだ、気になってた!ヴィルヘルミーナ、君は一体何を...」

「決まっているでしょう、日ノ出さん...荒島 真己!貴様にっ....!

 

チキチキ!リーゼロッテについて知ってるのは誰だクイズ対決

 

を挑むっ!!!」

「ちょっとした俺の緊張感を返せやこのクソガキィッッ!!!!!」




荒島vsヴィルヘルミーナ=僅差でヴィルヘルミーナの勝利。「あいつの寝巻きだのなんだの知るわけねェだろ10歳差だぞ!!」
大会=判定はセイバー隊隊員(たまたま暇だったエリー)。5問先取で勝利。
開催理由=荒島がどこまでリーゼロッテを知っているか勝手ながら調べる為と嫉妬。
この後=本を返しに来た氷川と、ヴィルヘルミーナがいないので探しに来たリーゼロッテが騒がしい倉庫に登場。日ノ出から顛末を聞いてリーゼロッテがマジ切れofマジ切れ。
着ぐるみ=荒島の趣味。3体目らしい。


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フジョ・シカイギ

腐女子の妄想程度ですが、人を選ぶかも...という表現があります。
(ガチホモシーンはない)


夜。

1人の女性隊員、劉静の通信端末が光り、相手の端末に繋がる。

劉静はひとこと。

 

「進捗どうですか?」

『あ"〜〜〜〜〜む"り"〜〜〜〜〜〜』

 

トントントン、とペンで机を叩く音。

通話相手は何やら書き物をしているようだが、なかなか成果が芳しくないらしい。苦悶の声が後に続く。

 

『男の筋肉難しすぎる〜...内容が内容だから迂闊に誰かに頼むわけにもいかないし〜!』

「いいじゃないか荒島くんに頼めば。彼子供っぽい癖にやたらチョロいし優しいからなんでもやるしなんでも許してくれるぞ?」

 

酷い言いようである。

 

『荒島くんは無知な純真幼女ちゃんだからだめ...』

「ブッフォ」

 

こいつも幻覚が酷い。

相手は180台の大男で、自分よりも年上である。

 

「荒島くんが幼女なら人類大体幼女だろ」

『わぁかってないんですなぁ静ちゃんは!』

 

どん、と机を叩く音。

劉はまた始まったぞ、とメッセージアプリを開いた。

 

【挿絵表示】

 

 

『というかそもそも私は荒島くん自体に興奮してる訳じゃなくて__

「はいはい、LAne見て」

『えっなに...は???児ポじゃないですか』

「んぶふっ」

 

本人が聞いたら無表情で全否定しそうな言葉に、劉は吹いてしまった。

 

『こんなドスケベな写真いいんですか!?!?!?』

「女の子がそんな言葉使わないの」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「おい」

「なんだい?親友の荒島くん。今日はイギリス風のブレックファストさ」

「今は朝じゃなくて昼だろうが。じゃなくて、昨日のあれはなんだったんだよ」

「...んっ、おはよー荒島さん!」

「荒島くん、おはようございます」

「あぁ、邪魔して悪いなフィオリーニ、エリーちゃん。おはよう」

 

昼の食堂。荒島は劉が昼食をとっている席の真ん前に自身の昼食の親子丼が載った盆を置いて座る。

劉の隣にはブラウンのミディアムウルフのアルマ、その向かいには髪をポニーテールにして刈り上げが見えるようになったエリーが座っている。

 

「ン゛...や、やっぱりその呼び方続けてるんですね」

「約束だったろ?ロイヤルストレートで勝ったら名前にちゃん付け」

「あれはお酒の席だったじゃないですか〜!」

 

荒島とエリーは2人してアルマと劉が知らない話で少し盛り上がっている。

 

「「...」」

「...あー、昨日士道、俺、エリーちゃんで飲んだんだよ。そん時士道がなんかトランプ持ってきてて...で罰ゲームポーカーでもするかって」

「その時に荒島くん、調子に乗ってロイヤルストレートで勝ったらなんでもしてやるよって言っちゃって...」

「で、この呼び方」

 

コーヒーカップを置いた劉が叫ぶ。

 

「なんでそんな楽しい事に呼んでくれなかったんだ僕たちを!」

「えぇごめん...同じくらいの年齢だったからさ...」

「許さんぞエリー...ところで荒島くん、昨日の写真が何に使われたか知りたいかい?」

「いや別に...お前なら悪用しないだろ?じゃあ俺スパーリングしてくるわ」

 

親子丼をかきこんで、お盆と食器を戻し、格闘技場に走っていく。

 

「...荒島さんってこう...1度懐に入ったら無条件で信用するみたいな所あるよね」

「あぁ言うとこをなんとかしろよと昨夜言ったんだけどもなぁ...なぁ、エリー?」

 

劉がエリーの席を見ると、エリーは机の下に入り込んでいた。

 

「....」

「...エリーちゃん?」

「しんどい」

 

一言。

 

「...あー、大丈夫かい?」

「むり」

「...何だっけ、好きなキャラと荒島くんそっくりなんだっけ?」

「へいぜる」

 

それきり何も喋らないエリー。

結局出てきたのは、昼休みの終わる直前であった。




最初=イベントに出す漫画を書いてるエリーと、監視の劉。ナターシャは知ってるけど遅くまで起きれない為爆睡中。

ポニテエリー=ラーメン食ってた。「1度懐に入ったら」辺りで完食。滾る感情を抑える為机の下に。

ヘイゼル=漫画原作異能アニメ「スナックキャッスル」のキャラ。お菓子モチーフの異能力を持った双子の兄妹が、「お菓子の城」を作る為に同じような異能力を持った人々を仲間にする話。
ヘイゼルは主人公の偽物でありながら本物になろうと主人公と敵対する敵キャラ(退場寸前で改心する)。

飲み会メンバー=23歳と24歳と25歳の団子。最終的にポーカーは士道が勝った。荒島いわく「つまんね〜〜〜〜〜〜勝ち方」らしい。

写真の行方
=劉:リーゼロッテに爆撃したあと元の写真を消した。
エリー:消した。

エリーの感情=当て馬になることは絶対にないです。この小説の正式CPは荒リゼ。


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センパイノニチ・ジョウ

今日の更新が1回だけだと思ったか?2回だよ
あと初の男性メイン回だよ


「じゃあなみっちゃん!また顔出せよー!」

「潰れてなきゃまた来てやるよ!」

 

休日の昼。

昼食を取るサラリーマンやバイトに向かう大学生などが多く入り乱れる時間帯に、荒島は1人、中学からの友人が店長を務める小さなレストランを後にした。

時刻は14時。自宅に帰るには少し早い時間に、どうすべきか考えながら歩いていると、ふと見覚えのある顔を発見した。あれは___

 

「多月さん?」

 

「BURK」の特別調査隊に同じく選ばれた先輩男性隊員、多月 草士郎である。荒島の頭には、士道と鶴千の犬猿コンビに手を焼く元教官コンビの片割れ...という失礼な認識しか荒島にはない。この街中をぶらぶら散歩するようなイメージも、同様になかった。

 

「...つけてみるか」

 

そして荒島 真己という人間は、他人のプライベートを察して去るような殊勝な人間ではないのである。人に振り回され、同じ数だけ振り回す。そんな人間が、プライベートなどをよく知らない先輩を発見して、大人しく帰るはずがなかったのだ。

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

尾行を開始しておよそ15分。

荒島が多月について得た情報は、この通りである。

① 割とドジ

頭を看板にぶつけたり、自分の靴紐を踏んでしまったり。

大丈夫かとハラハラさせられるような振る舞いが目立っている。

② 知り合いに悪人面が多い

男女共に悪そうな顔した奴らが多い。直前なんてヤクザの親分とその愛人みたいな2人と楽しそうに話してた。

③ 路地裏ばっか行く

猫じゃん。

これはまぁ尾行に気付いてる感じもある。

 

「...荒島、そろそろ出てきて貰っても構わないぞ」

「...あー、いつからバレてましたか?」

「友人と話していた時からだな。異星人かと思ったが、まさかお前だったとは」

「いや紛らわしい真似してすんません」

 

頭を軽く下げて謝る荒島。それを見て多月は軽く笑うと、

 

「いや何、気になってしまったならしょうがない。お前はそういう人間だと、叶先生から聞いていたからな」

「あー...そいつはどうも」

「...そうだな、荒島。今はまだ暇か?」

 

 

 

 

「...ここは」

 

荒島と多月が訪れたのは、孤児院。

主に怪獣被害によって発生した孤児を引き取っている場所であり、BURKを初めとした様々な団体が支援し、協力することで成り立っている。

 

「お前も知ってるみたいだな」

「えぇ、BURKが表立って支援してるとか__」

 

2人がBURKの隊員証を門にかざして開くと、1人の女性がこっちへと向かってくる。

 

「多月さま!今日はいかがされたんですかー!?」

 

デニム製でできたシスターなどが着用するような頭巾に、その下の豊かな金髪とパンツの上からでもわかるほどにむっちりとした太ももが特徴的な女性だ。しかし、もっとも目を引くのはその身長。

180cm台の身長を持つ荒島よりも、頭ひとつ分高いのである。

 

「エリアさん。いつもお出迎えありがとうございます」

「いえいえ!あぁ、荷物お持ちします!そちらもBURKの?」

「あァ、はい。荒島といいま゛ッ」

 

横っ腹に襲いかかる強い衝撃。

 

「な、何だァ?」

「...誰だーっ!おまえーっ!」

「コウジくん!?だめですよちょっと!」

「コウジそのお兄さんは違う人だぞ!」

 

コウジと呼ばれたその少年は荒島の腰を抱きしめるようにして荒島の顔を見て再び口を開く。

 

「バーカ!」

「あ゛ぁ!?」

 

その瞬間にコウジはジャングルジムに逃げていく。

 

「....クククク...」

「...あ、荒島」

「荒島さま...?」

「上ォォ等だあのガキ追いかけ回して捕まえてやらァ!!!」

 

ーーーーーーー

ーーーー

 

「全然捕まらねェ...嘘だろ...」

「あー、まぁこの孤児院広いからな...」

「すみませんすみません...!」

 

10分後。結局コウジを捕まえられなかった荒島は、元の多月とエリアが立っていた所へ戻ってきた。紙袋は手に持っておらず、中身はカステラなどのお菓子だった為に孤児院の中にしまってきたらしい。

 

「...んで、多月さんは結局、孤児院になんの用があって来たんです?差し入れ?」

「まぁそうだな。今日みたいなお菓子だったり本だったりが多い」

「多月さまは高い頻度でこちらの様子を見に来てくださったり、子供たちの相手もして頂いたりもしてるんですよ!...私も、多月さまにこの孤児院を働く場所として紹介していただいたんです!」

「へェ...んで、あなたは?エリアさん..,だっけ?どっから来たの?海外?」

「海外...と言えばそう...ですね?」

 

多月を見るエリア。

 

「...あぁ、荒島は大丈夫だ。偏見はないぞ」

「そうでしたか!」

「...えっ何?あっもしかして...」

 

エリアは荒島の言葉に同意するように頷くと、僅かな黄金の光を放ち、その姿を変える。

岩のような頭、黒い体色に3つ連結した結晶体。そして曲線的なボディーライン。それは...

 

『私は、グレゴール人のエリアと申します。この孤児院のボディーガード...のようなものです』

 

喋りながら、先程までの人間態に戻っていく。

 

「はー...確かに宇宙人がBURKに協力してんのは知ってたけど、こんな所にまで...」

「ふふふ、驚きましたか?エネルギーが足りなくなっていた所を多月さまに助けて頂いたのです」

「正確に言えば、寄生された怪獣相手に戦闘を挑むも敗北。そこから地球へ...で、こっちに移ったんだ」

「今でも納得してないです。なんでこっちの打撃通じてるはずなのに怯んでないんですかー!?」

 

頬を膨らませ、腕を振るエリア。

 

「...寄生された怪獣?」

「あぁ、まだこちらでは確認されていないんだがな...」

「そうなんですよ!リベンジマッチしたいですけど…そうしたら多月さまも、ウルトラマンも困りますね...」

「...何もなきゃ、いいんすけどねェ...」

「...そうだな、せめて...ここに来る子供たちがいなくなるくらいに、平和になっていると嬉しい」

 

午後の穏やかな日差しの下、3人は静かに思いを馳せた。




孤児院=BURKや役所の子ども課など、様々な団体が協力して創設した大きな孤児院。保育園から高校生までの多くの孤児を受け入れている。教育などについては近くの学校などに任せ、孤児たちの帰る場所としての側面が強い。人間がスタッフの割合の多くを占めるが、今回登場したエリアの他に、男性のチェーン星人(ライト、レフト)、女性のクレア星雲人がスタッフとして所属している。

グレゴール人エリア=グレゴール人の1人であり、孤児院スタッフの宇宙人たちのリーダー。頭に付けたフードは、映画で見たシスターへの憧れから。スタッフになる前のチェーン星人2人組をしばき回して更生させて引き入れるなど、種族も相まってかなりの武闘派。多月とは1年前から(おそらくカイナ前から?)の付き合い。

寄生された怪獣=エリアとの戦闘の後死亡。寄生した物質は消えた。


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ナカヨ・スギ

正直に言えば勝手に設定生やして良かったのかと思う


「叶先生、この音波についてなんですが」

「ん、どれ...」

 

「叶先生!やっぱりあの怪獣の皮膚から採取できました!これで麻酔をもっと強く出来ますし体の負担を減らせますよ!」

「本当かい荒島君!よくやったぞ!」

 

「叶先生、レポート提出に参りましたー」

「見せてみなさい。...ふむ。これ田中くんのレポートじゃないか!?ちょっと田中くん!?いくら忙しいからって代わりに提出させない!」

スンマセーン

 

「叶先生はなに食いますか!?俺取りましょうか!」

「すまない荒島君。君の盛り方は些か私の胃腸に厳しい。そんな盛り方ではご飯だけで腹が膨れる」

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー

 

「叶先生と荒島さんってば仲良すぎませんか?」

「んぶふっ」

「ブハッ」

 

昼の食堂。

八木 夢乃は突如そんなことを言い出し、前田 力也とシゲタをむせさせる。

 

「...や、八木。どうしたんだ急に」

「そうですよ八木さん。今更そんな」

「夢乃でいいですよ?そんな事より今はあの2人組です」

 

そう言うと、八木はオムライスを食べていたスプーンで、互いに食事をとっている荒島と叶、リーゼロッテを指す。

 

「...擬似家族か?」

「シゲタさん!?」

「やっぱりそう思いますよね?」

「夢乃さん!?」

 

そんな3人のやり取りが聞こえて来たのか、3人の席を背に食事をしていた荒島がその後ろを向いて話しかける。

 

「?お前らなに話してんだよ?さっきから。気になってしょうがねェじゃねェか」

「え?...あー、その」

「お前と叶先生が仲良すぎないかって話だよ。教え子で助手だとは聞いていたが」

「(...正直ナイスですシゲタさん)」

「...あー、えぇ〜...」

 

シゲタの一言に考え込む荒島。そんな彼に声をかけるのは叶だった。

 

「...ふむ、荒島くん。説明してあげたまえ。彼らにならいいだろう。弘原海隊長も、ヴァルトシュタインくんも知っている事だ」

「あ、いいんですか?」

 

そのやり取りに困惑の表情を浮かべる3人。

 

「え、リーゼロッテ隊長も知ってるんですか!?」

「えぇまぁ...あのゴリラ司令官も、ついでに駒門隊員も知っているはずです」

「...で、なんなんだその"知っていること"ってのは」

 

シゲタが荒島に聞く。

 

「あぁいや、大した話でもないんだよな。俺と叶先生、義理の親子なんだよ。俺親ナシらしくてさ、亡くなった母さんの言伝で叶先生に引き取られた…みたいな?」

「...あぁ。それで合っているとも。正確には私くらいしか面倒を見れる人間がいなかったからだがね」

「...ほーぅ...そりゃ嫌な事思い出させちまったな」

「何年前の事だと思ってんだよ...」

 

「そうだったんですね!...じゃあリーゼロッテ隊長はなんでそのことについて知ってるんですか?やっぱりその、階級権限的な?」

「違いますよ!?あれは...」

 

---------

-----

-

 

私はいつものように荒島さんを連れて、服を見に行ってました。

 

【...ん?ちょっと待ってくださいね】

 

ーーーーーーーーー

 

「ヴァルトシュタイン隊長って荒島さん連れて服見に行ってるんですか?」

「え?そうですけど...」

「いっつも連れてかれてるけどおかしなとこあんのか?」

「「...」」

 

顔を見合わせる八木と前田。

 

「...あっ、まぁ、ふーん...」

「どうぞ、続けてください」

「えっ、なんですか...?」

 

ーーーーーーーーーー

 

...まぁ、服を見に行ってたんですね。色々着せ替えとかしながら、ある程度買って。で、ベンチに座ってどうしようかと悩んでいたら、

 

「あれ、荒島君にヴァルトシュタイン君。何してるんだい?」

「叶先生!」

「あれ、こんな所に来るなんて随分珍しい感じしますねぇ。どうかされたんですか?」

「あぁいや、つい先日スポンサーの方から映画のチケットを3枚ほど譲って貰ってね。これから映画を見に行くんだが…君たちもどうだい?」

「いいじゃないですか!行こうぜリーゼロッテ」

「はいはい。荷物持ちはお願いしますよ?」

 

とまぁ、そんな感じで映画を観にいったんですよね。

 

「それにしても、荒島君がいて助かったよ」

「?なぜです?」

「いや、この映画のおまけがサイズにしては結構力の入ったジオラマでねぇ」

「叶先生、ジオラマお好きでしたもんね。お部屋にも飾っていたんじゃありませんか?」

「ジオラマですか...え?それが荒島さんとどう関係が?」

「うん。それ親子じゃないと貰えないんだよ」

「なるほど。....なる、ほど?え?」

「あっ」

「えっ荒島さんと叶さんって親子なんですか?血の繋がりあり?」

 

-

-----

---------

 

「...と、言う感じで知ったんですよね」

「...あの、叶先生随分と軽く発表しましたね...」

「いや正直あの時は本当にあのジオラマキーホルダーが欲しかったんだよ...だからダメな大人を見る目で見るのはやめてくれないかな前田くん...」

 

八木はその話を聞き、突如机に突っ伏す。

 

「あーリーゼロッテ隊長彼氏いていいなー!!欲しいなー私も彼氏!」

「なに言ってるんだ、夢乃」

「だってショッピングして映画見てって完全にデートじゃないですか!もうナンパあしらうのヤダーッ!」

「しょうがねぇなぁ、今度の休みに前田連れてどっか行ってこいよもう...」

「あれっシゲタさんに僕の休みが潰された気が...」

「お前も15だろうが。ちったぁ青春でもなんでも楽しめよ」

「えっいいじゃん前田くん遊ぼうぜ私と!原宿でもなんでも見に行こ!」

 

今日もBURKは平和である。




昼食のメニュー
=前田:肉じゃが定食
シゲタ:親子丼
八木:オムライス

荒島:カレーライス(らっきょ付き)+サラダ大盛り
リーゼロッテ:カルボナーラ
叶:カレイの煮付け定食

苗字問題
=荒島姓は本人の強い希望で残しており、役所でも「叶」ではなく「荒島」で処理されている。

買い物=レディースに入る時は一瞬強い抵抗を示した。が、服を見る際はリーゼロッテに似合いそうな服を積極的に選ぶ。

映画=端的に言えば『のぼうの城』のような籠城もの。
主人公側のキャラが全員死ぬが、爽やかささえある終わり方に3人の情緒は不安定に。部屋に帰ったらおいおいと泣いた。特典のキーホルダーは主人公たちの城。

八木と前田=本当に行ったらしい。秋葉原と原宿で遊んで帰った。デート経験も原宿経験もないので書けない。誰か書いてくれ。

荒島の過去=虚偽あり。


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ショタイメ・ン

「荒島さんとヴァルトシュタイン隊長っていつからそんなに仲が良くなったのですか」

 

そんな物言いで会話を始めたのは、床に座り自身の体のサイズを測られている望月であった。

 

「...あァー、いつからだっけか?調査隊できてそっからの付き合いだった気がすっけど」

 

望月の腕や脚の長さや太さをメジャーで測っていた荒島がそれに返す。

しかし、リーゼロッテはそれを否定する。

 

「初対面はもっと前ですよ?」

「...えっマジ!?」

「えっ!?...忘れたとか本当に記憶ザコですねぇ?...しょうがありません。私と荒島さんの出会い、お話してあげましょう」

「(覚えがねェんだけど...?)」

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー

 

あれは6年前のことでした。

私はまだドイツに住んでおり、BURKに入るための体力をつけようとして、ランニングをしていました。

今思えば、結構おバカさんでしたね。9歳の女の子が1人でランニングなんて。

 

『ほっ、ほっ...あ、えっ』

 

しゅん、という音が聞こえた後、私はどこかの廃墟に瞬間移動していました。

 

『(...ここは...)』

【〜...〜〜!】

【〜〜、〜〜〜〜〜】

 

飛ばされた先には、黒い宇宙人が2人いました。

その宇宙人は何やら言い争っているようでしたが、こちらに気づくのに時間はかからなかったです。

 

【...!〜〜!】

【〜!〜〜!〜】

『...は、はr』

 

パシィン

 

乾いた音と共に、ほっぺたに激しい痛みが走ります。

ぶたれたんです。

 

『...え』

【〜〜〜〜〜】

【〜〜〜〜〜】

 

パシィン

パシン

バシッ

 

笑い声らしき声と共に、私を叩き続ける宇宙人たち。

幼い頃の私にとって、それはとてつもない恐怖を感じる時間でした。

 

『やだっ...やだ!やめて!』

 

バシッ

パシッ

 

『やめっ...やめ...』

 

パシン

パシィ

バシン

 

『...や...』

 

私の意識が途切れる瞬間、騒がしい音が近づいて来ました。

なにか固いものをぶつけていくような音が、こっちに向かって来たんです。

 

【?】

【?】

 

~!

...ニイ...-ヨ

 

ドアの前で話し声が聞こえたあと、再びその音は私と宇宙人がいる部屋のドアを叩いたんです。

 

ゴンゴンゴンゴン

 

【〜!】

 

1人の宇宙人がドアを開けた時...3人目の宇宙人が、ドアを開けた宇宙人を巻き込んで吹き飛ばされました。そして...

それを行った人は、凄く血まみれの日本人でした。

 

『オラァッ!!!テメェとっとと大学返せクソエイリアンがボケカスまっくろけのクサクサ野郎大学卒業出来なかったら叶先生に呆れられんだろうがオラァァァッ!!!!』

 

1人目と3人目を蹴りと鉄パイプで壁まで追い詰め、そこからは殴る蹴るの大乱闘。自身の頭からの血も気にせずに、ひたすら宇宙人を殴り続けていました。...それを行ったのが...

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー

 

「そこにいる荒島さんです」

「??????????????」

「なんで思い出せないんですか!?!?」

「だって大怪我したのは覚えてるけどお前とあった覚えねーもん!!」

 

いつの間にか来ていた鶴千の背中に隠れて返す荒島。

 

「...それにしても、ヴァルトシュタインはそんなことがあったのか」

「なーに階級上の私を呼び捨てしてるんですか鶴千隊員。次の服合わせあなたですからね」

 

鶴千のスネを蹴るリーゼロッテ。

 

「...まぁ、頭に怪我してましたし、病院で手術を受けたあと即帰国したらしいですから。覚えてないのもまぁしょうがないですね」

「おう、しょうがないな」

 

荒島のケツを蹴り飛ばすリーゼロッテ。

 

「ギャウン!!!」

「...ま、貴方がいなかったら私もここにいなかったので。感謝してますよ?それなりに」




序盤何してたの?=服制作の為のサイズチェック。ヤバい所はリーゼロッテにやってもらう。
惑星調査隊=この小説の世界線では地球以外の惑星を探索する為、新たに結成し、日本に常駐する部隊という認識。ホピス星が初の実践投入ではある。
黒い宇宙人=荒島によってそこそこの傷を負わされた後母船へ。生死不明。
この後の荒島=リーゼロッテの言った通りに日本に帰国。大学に戻った時は叶先生に泣かれるし、行方不明になってたので友人達からも驚かれる。


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オオミソカ

荒リゼ「「あけましておめでとうございます」」
荒「去年はお世話になりました」
リゼ「棒読みすぎませんかね?今回はある意味長編です。お楽しみください!」


大みそか。

年の暮れ、12月31日。

忙しく過ごした1年を、酒とつまみとごちそうでいたわる日。

エリート揃いである惑星調査隊にも例外はなく、怪獣の出現などの緊急時以外はささやかなパーティーの許可が出されている。

 

「士道、エリーちゃん。おせちはどうだ?」

「うん、黒豆もだし巻きも全部ばっちり」

「焼き物に酢の物もだいたい出来ました!」

「劉、甘酒」

「もうできるよ。あとはお好みでしょうがとか用意するべきかな?」

 

.年越しそば担当の荒島を初めとしたこの4人は、キッチンで正月料理の準備をしていた。

 

「お前ら、あっちで食わねぇのか?」

 

4人を見つめるのは弘原海だ。酒こそ飲んでいないが、持っている皿にはパーティー会場の食堂にある会議室の大皿から持ってきたであろう手羽先が皿に入っており、いつもそばにいる駒門も、おしるこ(エリー作)をすすっている。

 

「マジで言ってんスか隊長ォ?」

「正月ですよ!?おせちにそば食べなきゃ!」

「このためにいい肉取り寄せたんですよ!?!?!?」

「僕はただの付き合いですが。あ、まだ手羽先残ってました?」

「別に言ってくれたら肉くらい取り寄せたんだがなぁ...手羽先ならまだあるぞ」

「わーい」

 

そう言いながら弘原海が持つ手羽先をひょいひょいつまむ4人。

 

「ゴチになりまァす!」

「ったく...まぁいいか。じゃあ年越し料理頼んだぞ」

「うーっす」

 

ーーーーーーーーーーー

 

キッチンを後にした弘原海。

大皿周辺にはナターシャ、氷川、八木、前田が談笑していた。

 

「だから年始の企画は兎コスだって!私たちのルックスの良さ利用しない手はないよ!」

「健全な動画作りをしろと言っているだろ。羽子板だ」

「前田くんポッキーゲームしよう!折れた方負けね!」

「夢乃さん、ポッキーを双剣みたいに構えても乗りませんからね」

 

苦笑しつつ大皿にあるスナック菓子を取る弘原海。

 

「お前ら、相変わらず仲いいな」

「あーっ!聞いてください隊長!氷川くんが新年の企画反対するんですよー!」

「ただでさえ色物扱いされているのにこれ以上進めてどうする気だ。ここは身体能力を活かした羽子板勝ち抜きだろう」

「デュクシ、デュクシ」

「チョコ付きますよ夢乃さん」

 

ビターチョコを口に放り込む。

 

「じゃ、あんま言い争いすぎんなよ」

「了解ですー」

 

ーーーーーーーーーーー

 

「...クーカ、君はその、...」

「おい待て木場、今何を言いかけた?なぁ、何を言いかけた?」

「んっ、んふふふふ...んふふふふふ...てぢっ...手力さっ...んっはっはははは」

「さ、さすがに笑いすぎだろ!?」

 

木場、クーカ、望月、手力の4人は、4人でアルバムらしきものをめくっている。

 

「随分と珍しい様相だな、望月」

「たいちょっ...んふっ...お疲れ様っ...です...ふふふ」

「お疲れ望月。なに見てんだ?」

「い、今までのBURKの出来事をまとめたアルバムなんですけどっ...」

 

笑いを堪えきれない様子の望月を見て、弘原海は落ち着いた様子の木場に話を促す。

 

「...あー、望月はその、このアルバムの手力がツボにハマったようで...」

「そんなにか。見せてみろ。...なるほど...ぜーんぶブレてるな手力」

「タイミングが悪すぎたんですよ...」

「んっっひひひふふふふ」

 

笑い続ける望月を心配し、背中をさすりながら、クーカが話しかける。

 

「お、おい望月。大丈夫か?」

「だ、だいじょうっんひっひふふふ」

「隊長、望月はダメです」

「...あー、しばらく笑わせとけ。薬盛られてる訳でもなんでもねぇし、そのうち落ち着くだろ」

「隊長。そういえば鶴千達は?見当たりませんけど」

 

手力が聞く。

 

「あぁ、あいつらなら...」

 

ーーーーーーーーーー

 

「...」

「湿っぽい雰囲気してますねぇ。いや、お墓参り中ですけど」

「鶴千、怪獣災害に巻き込まれた1人だし...やっぱりなんか、思うところもあるんじゃないかな」

「リーゼロッテ、こっちの掃除も手伝ってもらいたいんだが...」

「はいはーい、今行きますよ」

 

鶴千、リーゼロッテ、日ノ出、ヴィルヘルミーナの4人は、BURK基地から1駅離れた場所にある市管理の村墓地の掃除をしていた。

墓地の掃除に駆り出されているのは4人だけではなく、市の職員と近所の住民も墓参りのついでに掃除をしていっている。

掃除にあたっていた市の職員が、日ノ出に話しかける。頬の痩けた痩せ型の男だ。

 

「申し訳ありません、せっかくの年末にBURKの皆さんまで引っ張って来てしまって...」

「いえいえ!構いませんよ全然!見たところ、かなり広いようですし...職員さんだけでは大変でしょうから」

「そう言っていただけると助かります...見ての通り、管理が行き届いていない状況でして...」

「...やっぱり、怪獣騒ぎで?」

「...はい」

 

無言で墓を清め続ける鶴千。その様相は、日ノ出の眼には悲しんでいるようにも、怒りを堪えているようにも見えていた。

 

ーーーーーーーーーーー

 

「おーい、そば食うか?」

「頂こうかしら...。フォークは、と...」

「アリアさん、まだ箸慣れてないんですねー!ふふふ」

「お前も中々慣れなかったよな?フィオリーニ」

 

シゲタの持ってきた年越しそばをすするアリア、アルマ、多月。

それぞれが好きなように具材を入れ、食べる。

 

「シゲタ、あなた辛子入れすぎじゃないかしら...?」

「あー、多月さんえび天入れてる!いいなー!」

「えび天ならまだ2パックあったぞ。シゲタさん辛子入れすぎると痔になりますよ」

「えび天5本入れてる多月にリュージュ、お前らに言われたくねぇんだよな」

 

大みそかはふけ、パーティーも進む。

来年も、彼らの未来に光があるよう。




アリアとクーカ間違えた.,.そば食べてるのがアリアです


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ミズア・ソビ(オリーブドラブ様の作品)

活動報告にて募集している『荒島関連CPが見たい』にて、オリーブドラブ様から頂いた作品です!


 

 ――BURK惑星調査隊によるホピス星調査の任務から、約2ヶ月。それだけの月日を経た今も、荒島真己(あらしまみこと)隊員の胸中には腑に落ちないものがあった。

 

 調査に参加していたオーストラリア支部出身の天才女科学者こと、シャーロット博士の話が事実ならば。あの惑星は凄まじい威力の光波熱線によって滅ぼされたことになる。……が、その熱線を放ったという「下手人」の行方は終ぞ掴めないままだったのだ。

 

 つまり最も肝心な真相だけが判明しないまま、調査隊の任務が終わってしまったのである。腑に落ちない、という感想に尽きているのは彼に限った話ではない。だが、彼を苛んでいるのはそれだけではなかった。

 

(……なんか、もっと大切なことを忘れちまってるような……そんな気がするんだよな)

 

 調査任務の後、いつの間にか隊員服の胸ポケットに納められていた1本のペンライト。その得体の知れない物体に視線を落とし、荒島は独り思案する。

 それが――かつてホピス星で共闘した「ウルトラマンリード」が残した、変身システム起動点火装置「ベーターS(スパーク)フラッシャー」であることを、今の彼は覚えていない。だが、「分離」を経て記憶を奪われた今も、彼の脳裏には僅かな違和感が残ったままとなっているのだ。

 

 このペンライトは一体何なのか、ホピス星で起きていたことと何か関係しているのか。答えが出ないまま、彼はその「相棒」を静かに凝視――

 

「あだぁっ!?」

 

 ――していたのだが。その思案を断ち切るような衝撃で脳を揺さぶられ、彼はパラソル下のビーチベッドから転げ落ちてしまうのだった。

 

「荒島ーっ、そんなところで何カッコ付けた雰囲気出してんのー? 早くこっち来なさーい!」

「ふふっ……さっきからそこで何を黄昏ているんだい? 君にそんな優雅な格好が似合うとは思えないのだがなぁ?」

 

 その様子を遠くのプールから眺めていた爆乳美女達は、くすくすと微笑を浮かべながらビーチボール遊びを堪能している。彼女達は皆、扇情的な水着姿に相応しいスタイルの持ち主ばかりであった。

 

「……バカヤロー! てめーらどこ狙ってんだゴラァァ! BURKセイバーのパイロット様がなんてヘタクソな狙いしてやがるッ!」

「きゃー! 荒島が怒って来たー!」

「あははっ、逃げろ逃げろ〜!」

 

 怒り心頭といった表情で起き上がった荒島が、彼女達が居る広大なプールに向かって怒号を上げたのはその直後だった。そんな彼の反応すらからかうように、美女達は白々しく逃げ回っている。

 

 鍛え抜かれ、引き締まっている腰回りに反した安産型の巨尻と、特大の爆乳。そんな抜群のプロポーションと絶世の美貌を併せ持つ彼女達は――荒島と同じく、ホピス星の調査任務に加わっていた宇宙戦闘機「BURKセイバー」のパイロット達なのだ。

 

 今日は久々の休暇を利用し、このリゾートホテルのプールまで遊びに来ていたのである。同じく休暇中だった荒島をいきなり呼び出した挙句、ドライバーとしてこき使いながら。

 

「あははっ、それにしてもさっきの転倒はなかなかにユニークだったね。退役後のセカンドライフはリアクション芸人かな?」

「やかましい! さっきの1発は絶対お前だろ、(リウ)ッ!」

「さぁて、それはどうだろうね? ふふっ!」

 

 プールに飛び込んだ荒島が真っ先に捕まえたのは、中国支部出身の劉静(リウジン)隊員だった。「中国支部の王子様」とも呼ばれている男装の麗人であり、そのボーイッシュな美貌で男女問わず多くの者達を惑わせて来た曲者だ。

 

「……だとしたら君は今夜(・・)、僕にどんな『仕返し』をしてくれるのかな?」

「な、なにぃ……?」

 

 荒島の太い腕でか細い肩を抱き寄せられた彼女は、満更でもないと言わんばかりにうっとりと金色の目を細め、蠱惑的な微笑を浮かべている。

 白く優美な彼女の指先は、水の中で荒島の逞しい腹筋を挑発的になぞり上げていた。男装の麗人、と呼ぶにはあまりにも暴力的なGカップの乳房が、むにゅりと彼の胸板に擦り付けられる。

 

「……劉、お前なぁ……」

「うふふっ……君の力で『本気』を出されたら……僕の身体は一体、どうなってしまうのだろうね……?」

 

 男の欲望を煽るように白い柔肌を隙間なく密着させ、むっちりとした巨尻を水中でくねらせる彼女の瞳が、荒島を射抜いていく。

 紺色のショートヘアから漂う甘い女の香りと、筋骨逞しい肉体に擦り付けられた柔肌の温もりが、荒島の「雄」を煽っていた。強い雄の「遺伝子」を欲する本能の匂いが、2人の境目を曖昧にして行く。

 

「ごふっ!?」

「なぁ〜に私の部下に手を出してるんですかっ! 荒島さんのえっちっ! り、劉も少しは抵抗しなさいっ!」

「ふふっ……おやおや、これは残念。どうやら『真犯人』は他に居たようだね?」

 

 そこに炸裂したのは――BURKセイバー隊の隊長であるドイツ支部出身の美少女、リーゼロッテによるビーチボール攻撃だった。彼女の登場に劉静は肩を竦め、苦笑を浮かべている。

 金色のツインテールを振り乱し、頬を赤らめて荒島を糾弾している稀代の才媛は、Aカップの極致とも言うべき真っ平らな胸を張っている。

 

 その胸とくびれたウエストに対して、あまりにも巨大な安産型の爆尻は、想い人が他の女性と触れ合っていたことへの嫉妬に震えていた。先ほど荒島を転倒させた1発も、実は彼女の仕業だったのである。

 

「……この速度と角度、今度こそ間違いねぇ! 真犯人はテメェかリーゼロッテ〜!」

「あははっ! ざぁ〜こざぁ〜こ、10歳も下の女の子に遊ばれてるよわよわ隊員っ! 悔しかったら捕まえて見なさ〜いっ!」

 

 この1発でようやく「真犯人」に辿り着いた荒島は、両手を振り上げてリーゼロッテを追い始めて行く。そんな彼に悪戯っぽく舌を突き出した爆尻美少女は、満面の笑みを咲かせて彼の追跡から逃げ回るのだった。

 そんな2人の様子を、劉静を含む他の女性隊員達は微笑ましげに見守っている。彼女達を率いてきた若き隊長は、想い人が自分だけを見てくれているという悦びに震え、幸せに満ちた笑顔を振り撒いていた。

 

「たはは……リーゼロッテ隊長ったら、荒島隊員好き好きオーラ全開じゃん。でも良かったよ、荒島隊員もちょっとは元気出たみたいだし」

「今回の旅行も、実際のところは隊長が彼のために企画したものだったからね。最近の彼は何か思い詰めているようだったし、隊長もずっと心配だったのだろう」

 

 ホピス星の調査任務が終わってから約2ヶ月。その間は怪獣や異星人の襲来も減少傾向にあり、束の間ながら平穏な日々を過ごせることも多かったのだが。荒島はそんな中でも、どこか浮かない顔をしていた。

 その様子を心配げに見詰めていたリーゼロッテの切ない表情を、劉静達は今でもはっきりと覚えている。だからこそ、屈託なく笑い合っている2人を見守る彼女達も、朗らかな微笑を溢しているのだ。

 

「待てコラァア〜ッ!」

「あははっ、待っちませ〜んっ!」

 

 劉静達に見守られる中、荒島とリーゼロッテの追いかけ合いが続いて行く。102cmという特大の桃尻をぷりぷりと振り、プールを泳ぐリーゼロッテは、自分を追い掛けて来る想い人に愛を込めた眼差しを向けていた。

 それはウルトラアキレスの地球降着という、新たな戦いの幕開けから約4ヶ月前のことであった――。

 

 ◇

 




荒島関連CPの募集は活動報告、及びメッセージにて引き続き行っております。他人任せの企画ではありますが、よろしくお願い致します


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ヘンタ・イジョウソウブ(俊泊様の作品)

 俗に言う『元・惑星調査隊メンバー』と呼ばれるBURK隊員が国籍を問わず駐屯している日本列島のBURK基地。ここに或る意外すぎる人物が訪れた事により、ほんの小さな、されど或る意味では奇妙と言えなくもない出来事が起こりました。
これから一万と千数百文字分、アナタの目はアナタの体を離れて……この不思議な時間の中へと入っていくのです……。

(イメージOP:『007 テーマ( https://www.nicovideo.jp/watch/sm4194697 )』)


「いや、それにしても大統領府長官自らお出でになられようとは……」

 

透き通った白い肌に、長い黒髪をポニーテールにした女性隊員__ヴィルヘルミーナ・ユスティーナ・ヨハンナ・ルーデルは、自身の母国の政府……を通り越して国家元首たる現・大統領の側近中の側近の一人が来日、そして態々この基地にまで自ら来訪してきた事に対して、未だに驚きを隠しきれませんでした。

 

「うむ、事態は急を要する。よって私 自らが君達2人に重大な頼みをしにきたのだよ」

 

そう重々しく口を開いた、この黒髪のスマートな中年男性こそがドイツ連邦共和国大統領府の現・長官なのです。

彼は来訪に当たって、基地内に存在する高級ホテルのスイートルーム並の設備がある高官用予備室の一つを宛がわれていましたが、そこへ備え付けられている執務室側へヴィルヘルミーナともう一人の隊員、荒島真己の二人を呼び出していたのです。

 

「はァ、そんなお偉方が来るとは、相当な一大事なんでしょうが……なんでまた俺達のような平隊員に?」

 

荒島は少し訝しむようにして口を開きました。それも其の筈です。BURK隊員とは いえ、高官は おろか隊長クラスですらない一介の平隊員である自身とヴィルヘルミーナの二人を名指しで、国家元首側近という雲の上にも近しい者から御指名が掛かったというのだから、これは異例中の異例の一つだと言えなくもないのです。

ヴィルヘルミーナの方はドイツの原隊へ復帰後に、リーゼロッテの元での副長になるのかもしれませんが、それは一先ず置いておくとしましょう。

 

「ああ、それは どうしても君達2人にしか頼めない事だからだよ」

「私と荒島にしか?一体どういう事です?」

「ああ、実は我が国の大統領閣下が酷く気を病んでおられるのだ……」

 

荒島とヴィルヘルミーナの質問に、大統領府長官__以降は『府長官』と略しますが、その府長官たる彼は鬱然とした顔で答え、そしてドイツ連邦共和国の現・国家元首すなわち現・大統領の精神的な不調を訴えました。

 

「大統領閣下が!?そ、そのような話は一度も……!」

「それは当然だ。この事は大統領府スタッフや高官らの極一部しか知らぬ事なのでね」

 

驚くヴィルヘルミーナに、府長官は知れ渡っていない理由を答えました。

 

「実質的に極秘事項も同然ってワケか……そんなのを俺ら2人ごときに……?」

「一体、大統領は何をそんなに悩んでおられるのですか?」

「それは……君を含めたドイツ支部女性隊員一同の態度にだよっ!」

 

府長官は両目をクワッと見開きながら声を荒げて、大統領の悩みの原因はヴィルヘルミーナを含めたBURKドイツ支部に属する女性隊員の態度だと指摘してきたのです。

 

「...はァ?んん?」

「え……!?いや、おそれながらリーゼロッテの方は自信過剰で我が儘そうな所も有りますが、実態は寧ろ真面目すぎる程ですし、なにより少なくとも私とリーゼロッテに至っては其れなりに戦果を挙げている筈ですから、大統領の悩みの種になる程の事は……!」

 

荒島は困惑し、ヴィルヘルミーナは流石に大統領が胸を痛める程の事は行っていない筈だと訴えました。

 

「ああ、そうだ。君達の戦功は余り有る物だ。ならば、なんで其の武勲に見合った物を全く穿こうとしないのだッ!?」

「「は、穿くぅ!?」」

 

感情が昂った声で憤怒しながら述べられた府長官の台詞に、荒島とヴィルヘルミーナは声を揃えて困惑の声をあげました。

ともあれ、府長官は自身が此の基地を訪れるに至った経緯を話し始めたのです。

 

 

さて、府長官が話し始めた其の内容ですが、その話は今から遡ること数週間前。

そこは、ドイツのベルリンミッテ区。ここに建つのは白亜の外壁と濃い茶色っぽい屋根が特徴的な建物ことベルビュー宮殿__20世紀末から第一大統領官邸として使われている建物ですが、そのコの字型主殿の殆ど隣に庭を挟んで建つ楕円形の建物こそが、大統領の職場とも言うべき連邦大統領府です。

この一室では、ドイツの現・大統領が報告を受けていました。

 

「現在、BURKドイツ支部に籍を置くドイツ人女性パイロット達の活躍により、敵性巨大怪獣および敵性異星人に対して多大なる戦果を挙げております。また、あるドイツ女性パイロットの乗機のランディングギア用タイヤが着陸直後にパンクした等の微妙な話こそ有れど、それを払拭する程にリーゼロッテ・ヴァルトシュタイン、ヴィルヘルミーナ・ユスティーナ・ヨハンナ・ルーデルなどの我が国の精鋭たる女性パイロット等が、出向中の日本をはじめとして各地で戦果を挙げております」

「いいだろう。...ところで、私が考案した『勲章Tフロント』は、皆ちゃんと穿いてくれているのかね?」

 

報告説明を一通り聞き終えると、口髭を生やした黒髪の初老男性__ドイツ連邦共和国の現・大統領は突然、勲章Tフロントに関して部下達に訊ねられました。

その勲章Tフロントというのは、この大統領が、目指しい活躍を続けるBURKドイツ支部の女性パイロット達に何か特別な報酬を与えられないだろうかと考え、新たに勲章の副賞として授与される事となった、勲章用の紐部分を長くしたような柄の紐を結って作ったかのようなデザインのTフロントの事です。

 

「…………」

 

大統領が勲章Tフロントの話題を口にした途端、その場に一瞬の沈黙が流れます。部下の一人が気まずそうな視線を送ると、先程まで報告を行っていた者がゆっくりと口を開きました。

 

「大統領閣下、実は彼女らに穿くよう強く奨めては いるのですが……」

 

この部下が口ごもると、その隣に居た別の部下がその言葉に被せるようにして、現状を重苦しい顔で伝えました。

 

「現場の女性パイロット達には極めて不評で、受賞者は誰一人として穿いていないという話です……」

「………………!」

 

報告を聞き終えると、大統領は黙り込んでしまうと共に、身を震わせながら同じくプルプルと震える左手で老眼鏡を外し、ゆっくりと口を開きました。

 

「……四人だけ残れ。ルゲモン、ルムリッヒ、マンチェロ、アンポンタン」

 

最後のだけ酷い呼び名が聞こえたような気がするでしょうが、このさい気にしないようにしましょう。ともあれ大統領が命ずると、指名された四名と、側近中の側近であるが故に指名されずとも残る必要が有る大統領府長官と もう一名の最側近らを除き、皆がゾロゾロと退室していきました。

 

「誰も穿いてないとは、どういう事だッ!?和食屋の鯛がッ!食べたい時間と金を削ってまで考えたんぞ!!」

 

他の者が退出し終えた途端、大統領は憤怒の罵声を発せられたのです。

 

「俸給は予算の関係で上げられないから、私のポケットマネーを削って、東欧料理店から大好物のボルシッチィ!を取り寄せるのも我慢し続けて副賞を設けたのに、あ痛たたた、足の小指ぶつけた。いや、そんな事より、どいつもこいつも大っ嫌いだッ!!」

 

革靴ごしだった為か、机の角に足の小指をぶつけた割には薄い反応で、即座に話を戻して大統領は怒鳴り続けました。

 

「大統領閣下、どうか御気をお鎮めください!」

 

冷静さを欠いた大統領の怒号に、先程に残るよう指名された部下の一人が大統領を必死に宥めようとします。

 

「黙れ、とにかく大っ嫌いだぁッ!どいつもこいつも私の事バーカ!にしやがって!!」

「大統領閣下!Tフロントを皆が恥ずかしがっている可能性も……!!」

「日頃からハイレグレオタード着といて今更なばかりか、それや制服用パンツルックの上に重ね穿きする前提で作らせたんだから、そう恥ずかしくない筈だろッ!!」

 

大統領は部下の言葉に反論すると、机の上にペンを勢いよく投げ捨て……

 

「畜生めぇぇえええええッ!!」

 

と大きく叫びました。

 

「超一流デザイナーのジャーガ氏に発注し、スマブラのプレイも忘れてウオッと驚きつつガンバレッるよう最上級の絹を使わせたのにッ!!」

 

自分のアイディアには一片の間違いも無いと力説する大統領は、ハイレグレオタード型戦闘服に勲章Tフロントを着用したイメージイラストとして描かれた日本の萌えアニメ風な女性キャラのイラストが描かれた立て看板が置かれていました。彼は八つ当たりするかのように其れを思いっきり殴りつけます。

しかし、その看板の構造上、殴られて大きく傾いた直後に起き上がり小法師のように勢いよく起き上がって大統領の鼻先へ衝突したのです。

 

「たっ……!………っ!!」

 

不意打ち的な痛みに、大統領は鼻を片手で押さえながら、ちょっとした屈辱に、またも身を少し震わせました。

 

「っ……!ウルトラマン達も醤油飲んでヘイヤッ!となる程の代物の何処に不満が有るというのだ!?」

 

そして大統領は部下達の方へ向き直ると、すぐさま叫ぶような言葉をつづけたのですが、先程の看板に鼻先を打たれた屈辱も有って錯乱しかけたのか、ワケの解らない例えまで使い始めました。

 

「へい、らっしゃいッ!って、仮に私の判断力が足らんかったというなら、何を考案すれば良かったというのだ!?ロシア大統領の考案したガーターベルトのようなのかッ!?」

 

またワケの解らない言動が混じったものの、ロシアの方ではドイツに先駆けてBURKロシア支部の女性戦車兵 向けとしてガーターベルト型の勲章が現・ロシア大統領の考案により作り出されて授章が開始されていました。

形状の関係から『ガーター勲章』と通称されると共に「そしゃロシアじゃなくてイギリスだろっ!」と突っ込まれるのが割と常態化しているのが玉に瑕でこそあるものの、

こちらの方は、任務に当たる戦車兵の邪魔になり難く且つ女性らしさを引き出す物として、ロシア支部の女性戦車兵の間で其れなりに好んで着用されています。これにはドイツ大統領も一目 置いていたのです。

 

「……それかド派手さも考慮し、ノーパンやオパンツ系はオワタ!って事でニプレスにしとけば良かったか?………服を脱ぐと目にささるニャン!って胸自体が おっぱいプルーンプルンッ!!って勲章になって!!」

 

ヴィルヘルミーナならば兎も角、リーゼロッテの方は尻は さておき胸の方で其れは不可能なのでは ないかとも思われますが、それは さておき

怒髪天を突くが如き状態となった大統領は随分と破廉恥な発言まで挟む程に錯乱してしまいました。

 

「日頃からウンッタンッと世界中を守り……出撃中に買ったばかりのポルシェ、ポルシェッが、じゃバーイキンマンのようにウザい怪獣に潰された日系ドイツ人のシバタさんッ!らを始めとした彼女らに報いようと考えた勲章Tフロントを誰も穿かぬとはッ!………」

 

彼が個人的に印象深かった女性隊員の例を出すのは未だしも、更にワケの解らない例え方が混じる程に錯乱しきった大統領でしたが、それで体中の怒りを全て発散しきったのか、しばし沈黙した後、ガックリと肩を降ろしました。

 

「私の誠意は彼女らに届かない……こんな状態で、これ以上 国民を纏める事は叶わない……もう終わりだ」

 

大統領は生気の籠らない声で心情を訴えました。

流石に飛躍しすぎな内容も含まれたので、部下達は少し戸惑ったものの互いに視線を合わせながら大統領に内心で同情しました。

 

「プディング……よし帰ろう」

 

何故か或る洋菓子を指す言葉をドイツ語では なく英語で言った直後に発せられた大統領の言葉に__前半の何故に洋菓子名が出てきたのかも含めて__部下達は、またも戸惑いました。

 

「溜まっている執務を少しでも早く片付け、その上で私は辞任する。ただ私の在職中この制度だけは残す。辞任後は好きにしろ……」

 

どうやら『よし帰ろう』とは辞任を意味していたようです。敢えて勲章Tフロントの制度を自身の在職中だけは残しつつ自らは取り止めないまま辞任すると言う辺り、僅か希望を託そうという意思が大統領から見受けられました。ともあれ、こうして大統領は顔を伏せながら言葉を締め括ったのでした。

 

 

「つまり……その勲章Tフロントってのを誰も穿かねェから、辞任を口にするほど、大統領が参ってる...って事か?」

「う、うーむ……」

 

大統領府長官から事の一部始終を聞き終えた荒島は、少し困惑し先程までは柄にもなく敬語だったのが、普段のようなタメ口に戻ってしまっていました。隣に立つヴィルヘルミーナも どう返事していいか分からず小さく唸るのみでした。

それも其の筈です。確かに本当に辞任してしまうとなると割と一大事なのかもしれませんが、それさえ除けば……一国の国家元首が一体どんな悩みを抱えているのかと思えば、わざわざ大統領府長官が訪れる程の案件だろうかと、二人とも内心で呆れてしまっていたのです。

 

「大統領閣下は、お酒も お煙草も口にせず、たまに自身への御褒美として好物の鯛とボルシチら海外料理を食される事が有るのを除けば、質素倹約に国政に務めておられる。そんな大統領の数少ない嗜みの一つは、国民や人類を守るべく日夜戦い続けている我がドイツのBURK隊員達に、極上の贈り物を授ける事だ。だが大統領の寛大すぎる御心が、肝心のパイロット達に届いていないとは、私は大統領が あまりにも御不憫で、うっうう……」

 

と府長官は、やや大げさに二人の同情を誘うように涙を頬で濡らした。

 

「あっ、ああ府長官、どうか泣かないでください。府長官の御話を聞いて大統領が私達の事をどれだけ思っていてくださったのか、よく理解できました」

 

見かねたヴィルヘルミーナが府長官に歩み寄り、どこまで本心だったのかは少し怪しいものの彼を宥めるようにして大統領への理解を口にした。

 

「おお、そうかそうか!わかってくれるかルーデル君」

「ただ、おそれながら穿きたいとまでは……あれ、股間や お尻に食い込んで痛そうですし」

「なっ、なんだとっ!?」

 

ソレとコレとは別……理解は示しつつも穿くのは躊躇する気持ちを多少バツが悪そうにヴィルヘルミーナは述べました。

女性パイロット達が勲章Tフロントを好まない理由は多々あるのですが、その中でも一番の理由は、TフロントかつTバック……というよりは関取の回しを細くしたような見た目の関係で、階段を昇る時や座った時に尻や股間などの割れ目に食い込んで、ハイレグレオタード型戦闘服等の上に重ね穿きする前提とは いえ流石に痛そうだからというモノなのです。しかも、BURKセイバーをはじめとした戦闘機はレーシングバイクのシート型であるが故に、お尻を突き出すような姿勢となる必要が有るので更にキツく食い込むのです。

 

「あーその……それで府長官が自ら訪れたのは、ヴィルヘルミーナ達に勲章Tフロントを無理矢理 穿かせる為、って事……ですか?」

 

まだ困惑の余韻を残しつつも、辛うじて敬語で取り繕えるくらいには平静さを取り戻した荒島は、やや動揺する府長官を見かねて彼に問いかけました。

 

「えっ?あ、ああ……いや、そういうワケでは ないのだ。親愛なる大統領閣下の御為、私みずからの指揮でPVを撮ろうと思い、この基地を訪れたのだ!」

「「PV?」」

 

今の話の流れだと、どうにも嫌な予感しかしないと荒島とヴィルヘルミーナは思うのでした。

 

「そうだ!我がドイツのBURK女性エースパイロット達が勲章Tフロントを穿き、高らかと大空を舞うPV動画を!そうすれば大統領も きっと御元気になられて、辞任も思い留まってくれる筈!!」

「は、はぁ……お言葉ながら、今の大統領はパイロット達の自主性を尊重なされる御方だと御聞きします。私達が命令で勲章Tフロントを穿いても、大統領閣下は御喜びになられないのでは?」

 

現・大統領の事を実は そこそこ敬っていて出来れば辞任もしてほしくないかなとも思っていたヴィルヘルミーナでしたが、それでも大統領府長官がPVを撮ろうとする動機が割と不純で強く賛同できなかったヴィルヘルミーナは、大統領を出汁に府長官の提案をやんわりと撥ね除けようとしました。

 

「だ、大体なんでこの事を話すのにリーゼロッテを呼ばないんです?」

「ああ、それは勲章Tフロントを穿いてPVに出演してくれるよう、君達2人にヴァルトシュタイン君を説得してほしいからさ」

「えっ、私達にリーゼロッテを?」

 

荒島からの問いに府長官は割と素直に答え、ヴィルヘルミーナは またも少しだけキョトンとしました。

 

「そうだ。ヴァルトシュタイン君は中々に気位が高く、上部機構からの命令という形でなければ勲章Tフロントを穿いてくれない可能性も考えられる。それでは彼女の自主性を奪って強制的に穿かせた事となってしまう。大統領閣下はそれでは御喜びになられない。だが聞けば君達2人は片やヴァルトシュタイン君の幼馴染かつ彼女の姉貴分で、片や よくゲーム対戦などをする其れなりに親しげな間柄であるそうじゃないか。だから君達2人から……特にルーデル君は勲章Tフロントを制服か戦闘服の上に穿いた状態で、勲章TフロントとPVの件を受けてくれるよう説得すれば、きっとヴァルトシュタイン君も自主的に穿いて出演してくれる筈なのだよ!」

「「え、えぇえ……」」

 

自身の読みを力説する府長官に、荒島とヴィルヘルミーナの二人は少し引いてしまいました。

 

「まあ君達2人にも強制するつもりは毛頭ないさ。だが、もし君等が私の企画に賛同して出演やヴァルトシュタイン君の説得も受けてくれて説得にも成功したならば……まずルーデル君には、PVを作るに当たってヴァルトシュタイン君が出ているカットを元に作成したブロマイドの全バリエーションを無償で与えると共に、ヴァルトシュタイン君が一定以上のアップで出ているシーンの未編集ノーカット版を全て無償で与えよう」

「えっ!そ、それは本当ですか!?」

 

府長官が示した条件にヴィルヘルミーナはピクッと反応し、そして飛びつきました。

 

「本当だとも。BURKの主立った戦闘機のコックピット内は耐G性を考慮してスポーツバイクのシートの如き伏臥体勢となっているそうだね。そのうえで勲章Tフロントを強調させつつ厭らしくなりすぎない映し方をするには、コックピット内に複数のカメラを特設してパイロットの下半身を様々なアングルから同時撮影した上で編集する必要が有るのだ。それを利用し、様々なアングルからヴァルトシュタイン君を映した物の未編集かつノーカットな代物だ。なんなら、この基地の総司令官と弘海神隊長ら辺りを立会人としつつ証拠映像も撮影しながら契約書を交わしても良いのだが……」

「わかりましたッ!不肖ヴィルヘルミーナ・ユスティーナ・ヨハンナ・ルーデル!敬愛する大統領閣下の御憂慮を取り除く為にも、閣下より承りし勲章Tフロントを着用の上、PVへの出演と、リーゼロッテ・ヴァルトシュタインへの勲章フロント着用と其の上でのPV出演への説得に御協力させて頂きますッ!!」

「お、おいおいおい!リーゼロッテに黙って勝手に……」

 

府長官からの説明を受けたヴィルヘルミーナは先程まで内心にて やんわり撥ね除けようとしていた思考と消極的だった態度は何処へやら、頬を紅潮させて鼻息を荒げながら府長官の提案を受け容れ、

当のリーゼロッテに黙って、解釈次第では隠し撮りの延長と取れなくもないような事をするのを快く思い切れなかった荒島は、ヴィルヘルミーナのテンションに少し たじろき ながらも、彼女へ苦言を呈しようとしました。

 

「ああ、それから荒島君にはPV動画の広告収入等で得た毎月の収益の1/4を、君のBURK隊員としての月給に上乗せする形で渡そう」

「は?か、金で釣ろうってワケですか?」

 

ヴィルヘルミーナへ苦言を呈しようとしていた荒島を遮るようにして述べられた府長官の言葉に、荒島は顔を引き攣らせながら問いました。隠し撮りの延長に当たるのかもしれない事の次は、ある意味では買収だと言えなくもないのかもしれない事を提案されたのだから当然です。

 

「そういう風に受け取られてしまっても仕方ない事は自覚している。ただ、聞けば君は公務員か軍人に相当する身分にありながら公的空間である基地内での勤務中にも関わらず私服に当たる筈の怪獣着ぐるみを着用して過ごす事が有るばかりか公用格納庫の一角を私物化して着ぐるみ制作室としているようだが、BURK的には部外者である私には其れを咎められる権限は無いので、それは さておき……」

「うっ……」

 

府長官から言われるまで、長らく当たり前のようにやってきた事なので荒島は特に意識していなかったのですが、着ぐるみは よく考えると私服に相当する筈だから公的空間での勤務中にて着用する事はBURK隊員という公僕として褒められた事では ない筈だし、実質的に黙認されてきた事とは いえBURK公用の格納庫の一角を自身の着ぐるみ制作室としてしまう事は公的区画の私物化に相当する筈の事なのでコレまた褒められた事では ありません。

 

府長官自身は、自分はBURKに籍を置かない部外者なので一隊員である荒島の行いを咎める権限が無い、とは言いましたが、一国の国家元首の最側近クラスである彼がBURKの上層部へ此の事を問題点として報せれば、BURK上層部が荒島に対して罰則等の何らかのペナルティを課してくる可能性も充分に考えられるのです。

痛い所を突かれた荒島は言葉を詰まらせてしまいました。

 

「君が趣味としていると聞く怪獣着ぐるみ制作は中々に金が掛かるそうで、充分に高給取りであるBRUK隊員の月給をもってしても、着ぐるみ一体ぶん作るのにも懐事情と相談しながら極めてローペースで作るしかないそうじゃないか。例のPVの収益の一部が君の懐へ月々に入るとなれば、その金で もっと良い制作機材をそろえて制作ペースとクオリティの両方を向上させられるだろうな」

「そっ、そりゃまあ確かに……」

 

府長官が続けて語り出した利点は確かに荒島に取っても魅力的な内容でした。

 

「それに今のようなBURK格納庫の一角に間借りした制作室など では なく、もっと本格的に自前設備の整ったアトリエそれも地底怪獣に下から突かれてもビクともしないほど頑丈なシェルター方式の物を建てられもするだろうし、もし自作に拘らないのであれば例の追加月給でプロの職人に外注してしまうという手段も取れるようにもなる筈だ。なんなら君とも、立会人同席と証拠映像撮影の上で契約書を交わしても良いのだが……」

「...あァ....うぐゥ...」

 

府長官が続ける魅力的な内容に荒島は、先程に痛い所を突かれたばかりという事もあって、心を揺れ動かしました。

 

「何が『うぐぅ』だ荒島!何を迷う!?リーゼロッテのブロマイドとドUP映像もとい一国を揺るがしかねない大事では ないか!大体お前に取っても利点だらけの良い話だろうにッ!!」

「うお?!急に掴みかかんじゃねェ!というか お前、本音が漏れ……近い近い近いッ!!近ェ!わかった、わかったって!!」

 

荒島も一緒だった方がリーゼロッテの説得をやり易いと踏んだのか、ヴィルヘルミーナは自身の巨大な両乳房が荒島の胴体前面に押しつけられて潰れ広がる程にまで接近して彼に掴みかかり、相変わらずの荒い鼻息のまま言いました。

そんな状態で掴みかかられた荒島は当然ながら動揺し、慌てふためくようにして叫びました。そもそも荒島が基地内での着ぐるみを着用する事が有るのは一部の女性の色気や芳香を大の苦手としているからなのです。ヴィルヘルミーナとは距離をとったり着ぐるみで防いだりする必要が無いとはいえ、1メートルを超すバストを有した彼女から強く密着されたのでは溜まったものでは ありません。

 

「あー、それで二人とも、この件を受けてくれる、という事で良いのかね?」

「えっ?あっ、ああ……もちろん、御受けさせて頂きます!お任せ下さい」

「う、うーっす...」

 

見かねた府長官が改めて問いかけると、二人はハッと我に返ったように互いから離れて府長官へ了承の言葉を返しました。ヴィルヘルミーナは先程までの荒かった鼻息も殆ど収まって一応は落ち着きを取り戻したようであり、

荒島も先程のヴィルヘルミーナの勢いに やや流された感が有るものの其れが最後の一押しとなったようで、腹をくくったかのような態度と表情になっています。

 

「おお、そうかそうか二人とも ありがとう!ただヴァルトシュタイン君を説得する時に、さっきみたいに くっつくのは控えておいてくれよ」

「へっ、あっ先程のは、その……」

「ありゃ俺からくっ付きに行ったワケじゃ……」

 

上機嫌でありながらも釘を刺す府長官の言葉に、先程まで互いに密着していた事を思い出したヴィルヘルミーナと荒島は揃って顔を真っ赤にして動揺しはじめました。

 

(さっきのような二人の密着具合を見たヴァルトシュタイン君が妬いて拗ねて断りました……等という御粗末な結果にでもなったら、目も当てられんからな)

 

心の中で本音を吐露する府長官でしたが、確かに説得に行ったヴィルヘルミーナと荒島がリーゼロッテの前で、抱き合う等の密着行為をしたらリーゼロッテが焼き餅を妬いて勢い任せに断りかねません。そのような結果となってしまっては御粗末だというものです。

 

「まあまあ兎も角、君達ならば必ず私の提案に賛同してくれると思ったよ。それに何もルーデル君とヴァルトシュタイン君の二人にだけ勲章Tフロントを穿かせて撮るワケではない。ヴァルトシュタイン君が受けてくれ次第、勲章Tフロントを授与されているBURKドイツ支部系女性パイロットの所属基地や出向先を巡って声をかけ、撮影場所たる特定基地へ臨時集合してもらうようにするつもりだ。嘗ての惑星調査におけるBURKセイバー隊の元臨時隊長として、ドイツ支部の女性パイロット達へ多大な影響力を誇るヴァルトシュタイン君が率先して勲章Tフロントを穿いたPVの話を受けたと言えば、他の女性パイロット達も悪い顔をしないようになる筈だからな」

 

府長官は、まだ動揺しているヴィルヘルミーナと荒島をなだめるように話だしました。どうやら彼は惑星調査以来、雷鳴を響かせるリーゼロッテの影響力を利用して、他のドイツ支部女性パイロット達を懐柔しようという腹積もりでもあるようです。

 

(ふーむ、我ながらリーゼロッテの映像無償提供に釣られて、つい了承してしまったが、私と荒島……最低でも私だけは賛同する事は既に織り込み済みというワケか……)

 

思えば府長官は、ある意味では怪獣や侵略異星人よりも恐ろしいのかもしれない魑魅魍魎が跋扈するという政界にて国家元首の側近中の最側近たる地位にまで登り詰めた男なのです。話術や調略の類に関しては一日の長……いや、そもそも更なる年齢差や人生経験差も有るので実際には一日どころでは ないのでしょうが、とにかくヴィルヘルミーナは大体そんな感じの皮肉めいた感心を府長官へ寄せるのでした。

 

 

その後、荒島そしてハイレグレオタード型戦闘服の上に勲章Tフロントを重ね穿きする格好へと着替えたヴィルヘルミーナの二人で、リーゼロッテに勲章Tフロント着用の上でのPV出演について……もちろんヴィルヘルミーナがリーゼロッテのブロマイドや下半身を延々と映した映像の無編集ノーカット版をもらうのだという点は伏せたままですが、そうして説得しに行った結果、リーゼロッテは多少 渋る素振りを見せたものの大して時間をかけずして了承し、

大統領府長官はリーゼロッテとヴィルヘルミーナが勲章フロント着用の上でのPV出演を了承した事実を引っ提げて、勲章Tフロントを授与されたBURKドイツ支部系女性パイロット達が駐屯している各基地を巡ってオファーを出した結果、彼女らの殆どがオファーを了承したので

彼の思惑通りPV動画の撮影は大々的に成功し、完成したPV動画を視聴したドイツ国大統領はスッカリ機嫌を直して辞任は取り止めるどころか、来期の大統領選にも出馬する決意を固めたのだそうです。




ここの国(ドイツ)はもうダメだ(変態的な意味で)

濃すぎる短編を送ってくださった俊泊様、ありがとうございました!


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ショートケー・キ

「ん〜♪おいしいですねぇ」

「そりゃ良かった。気まぐれも役に立つもんだ」

 

丸い皿に乗せられたのはショートケーキ。

ふわふわのスポンジにホイップクリーム、そしてその上の真っ赤で瑞々しい苺。奇を衒う事はない、シンプルかつ王道のケーキである。

フォークで切り分け、口に運ぶ。リーゼロッテのそんな動作を僅かに微笑み見守りながら、荒島はカフェラテに口をつける。

 

「それにしても雨、やみませんねぇ」

「そうだなァ。風も強ェし、落ち着くまではうちでゆっくりしてけよ。なんもねェが」

「むしろ叩き出そうとしたら大声出しますからね」

「やめろ」

 

出されたレモンティーに口をつけながら、リーゼロッテは荒島の部屋を見渡す。BURK基地にある荒島の部屋とは違い、彼のプライベートが伺える部屋だ。衣装タンス、部屋に入った際にすぐつけられたストーブ、そしてベッドのそばに貼られたゴモラのポスター。備え付けられた本棚には怪獣や現代科学に関する本、漫画、その他趣味に関する本が系統立てて並べられている。

テレビの下には携帯ゲーム機と最新鋭の大型ゲーム機『プレイステーションγ(ガンマ)』。

 

「なんというか、子供っぽいですねぇ。本当に」

「ほっとけ。いちご食べんぞ」

「やめてくださいよちょっと!メインディッシュなんですから!」

 

再びケーキを口に運ぶ。柔らかなスポンジとクリームの甘さが口の中で溶け合う。初めて見た時から察していたが、おそらく結構お高めなケーキだ。

 

「...これどこで買いました?」

「高校の友達の試供品貰ってきただけだからプライスレスだぜ」

「これで試供品なんですか!?!?」

「いや、その友達画家なんだよ」

「パティシエなった方いいと思いますけど...??」

 

あいつ絵にしか興味ねェから無理かな、と笑う荒島。

 

「そんなに気に入ったなら、また貰って来てやろうか?」

「大丈夫ですって。確かに美味しいですけど、迷惑をおかけする訳にはいきませんし」

「ガキが遠慮なんかするもんじゃねェよ」

 

そう言って再びカフェラテを飲む。リーゼロッテもレモンティーをちびちびと飲む。

それにしても、おいしいショートケーキだ。何よりクリームがすごい。

食レポの経験がある訳ではないが、こう、コク?というものが感じられる。いちごもいちごでいい物を使っているとわかるが、これをなぜ画家が作ったのか。うーん、謎だ。

口をもぐもぐと動かしながら見ると、写真立てが目に入る。

 

「...っん、荒島さん。その写真は?」

「あァ、これか?」

 

荒島は写真立てを持って来ると、見せてくれる。

『黒田第一中学校 卒業式』と書かれたパネルの前で、恥ずかしそうにはにかんだ少年と、その少年の隣に立つ夫婦らしき男女だ。

夫婦の方は写真が劣化しており、顔を詳しく窺い知ることができない。

 

「俺の兄貴と、両親だそうだ」

「...ご両親は確か」

「母さんは俺を産んで死んだ、らしい。兄貴と父さんは行方知れず」

「...そうでしたね。すみません」

 

リーゼロッテは、どこか申し訳なさそうな顔で謝る。

それを見た荒島は、普段と変わらないような声で返した。

 

「別にいいよ。覚えてねェ事なんざ、ないも同じだろ?」

「そう、でしょうか?」

「俺にとっちゃそうなんだよ。だから、お前が気に病む事でもねーの」

 

再びケーキを口に運ぶ。もう残り少ない。

いちごがポロッと落ちた。

 

「........あ、あの!」

「どうした?」

「...わ、私は、貴方と一緒に遊びたいし、まだ勝負をし足りません」

「お、おう。なんだ急に」

「ですから、その、黙って1人でどこかに行くとか、やめてくださいね」

 

荒島はぽかんとした顔でリーゼロッテを見る。

 

「...あ、荒島さん?」

「っはっははは...なに言い出すかと思えば...」

「き、きちんと真面目なんですけど!?」

「わかったわかった!大丈夫、行かねェよ。楽しい事なら、分けた方が得だからな」

「わ、わかってますか本当に〜!?」

「わかってるわかってる!...お、雨もやんできたな」

 

荒島の部屋の窓からは、曇り空から差し込む日差しが見えてくる。

 

「服は...まだ乾いてねェな...しゃあねェ。娘さんが置いてった服あるからそれ使え。あっちにんなぶかぶか服で戻るわけいかねェだろ」

「すいません、ありがとうございます」

「あれ置いてあると俺が変質者みたいに思われっから嫌なんだよ。いらなくなったら捨ててくれて構わねェぜ。もういらねェっつってた」

「お言葉に甘えさせていただきます」

「おう、俺コンビニ行ってくるからその間に着替えとけ」

 

ばたん。

マンションの扉が閉まる。

リーゼロッテの脳裏には、先程の荒島の顔が浮かんでいた。

 

『覚えてねェ事なんざ、ないも同じだろ?』

 

普段と変わらなそうに見えて、どこか寂しそうに話すその顔が、いつまでも頭から離れなかった。



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オンセンリョコウ(オリーブドラブ様の作品)

 

 ――ホピス星での惑星調査任務から約3ヶ月が経過してからも、地球では度々敵性異星人による怪事件が発生していた。世界各地で頻発するそれらの事件に対処するべく、地球防衛を担うBURKの隊員達は異星人の悪行に日々目を光らせている。

 

 BURK屈指のエリート集団である惑星調査隊の隊員達も当然、その任務に従事する毎日を送っていた――の、だが。とある使命を帯びた数名の隊員は何故か、緑溢れる野山に囲まれた、大自然の温泉宿に身を寄せていた。

 

 約2週間前。この温泉宿の近辺で、宇宙忍者「バルタン星人」の目撃情報が何件も寄せられて来たのである。そのため、隊長の弘原海(わだつみ)をはじめとする数名のメンバーが訪れたのだが、2週間に及ぶ調査でも全く尻尾が掴めずにいた。

 他の調査隊メンバー達は別件の対応に追われており、人員を交代することは出来ない。かと言って、成果が見えないまま長期間しつつある調査の中で、疲弊し始めている隊員達のコンディションも無視出来ない。

 

 そこで。弘原海は一旦隊員達をリフレッシュさせるため、現場に近い温泉宿で休息を取ることに決めたのである。そんな弘原海に追従する隊員達は、長い任務の疲れを少しでも癒すため、大自然を一望出来る露天風呂に身を浸していた。

 

「ふぅー……生き返るぜぇ。ここのところ、ずっと張り詰めたままだったからなァ。お前らも、今のうちに少しでもリフレッシュしとけよ。この後すぐに調査再開なんだからな」

 

 長年に渡る鍛錬の「質」と「量」を物語る、筋肉という名の鎧で全身を固めている弘原海。その身を湯に浸し、束の間の休息を満喫している豪傑は、部下の男達を見渡しながら豪快な笑みを浮かべている。惑星調査隊の隊長であり、隊の「おやっさん」としても慕われている良き親分だ。

 

 口の悪い若手隊員から「ゴリラ」と揶揄されることも多い彼の筋肉量は、もはや霊長類の限界値を超えているのではとも噂されている。並の男はもちろん、鍛え抜かれた軍人達でも彼の身体を一目見れば本能で理解するだろう。「あ、勝てないわ」と。

 

「うへェ...リフレッシュの最中なんだから、こんな時くらい仕事の話はよしてくださいよォ……。せっかくこんな良い湯と眺めなんですから」

 

 そんな隊長の言葉に露骨に眉を顰め、子供っぽく苦言を呈している恐れ知らずな青年の名は荒島真己(あらしまみこと)

 肉食獣の如き獰猛な顔付きと、オールバックの黒髪を特徴とする惑星調査隊の主力メンバーだ。ホピス星の戦いにおいては、ペンライト型起動点火装置「ベーターS(スパーク)フラッシャー」で「ウルトラマンリード」に変身していた人物でもある。

 

 弘原海の身体が筋肉で膨れ上がった「重鎧」ならば、彼の身体は戦うための筋力のみで構成された「軽鎧」。

 さすがに体格や単純な膂力においては弘原海には及ばないが、荒島の肉体はまさしく闘争に適する形として練り上げられ、引き締められた「戦士」の身体であった。六つに割れた腹筋と盛り上がった胸筋が、その筋肉の「質」を物語っている。

 

「しかし、バルタン星人か……。やはり宇宙忍者の異名で呼ばれているだけあって、今回はなかなか骨が折れる調査になりそうですね」

 

 荒島の隣で湯に浸り、ため息混じりに緑豊かな絶景を一望している若手隊員の士道剣(しどうつるぎ)。彼は高校時代における、荒島の後輩であった。

 195cmという調査隊随一の体格を誇る彼の筋肉量は、その長身にさらなる迫力を齎している。ホピス星では「ウルトラマンシュラ」に変身して戦っていた彼の肉体は、地球に帰還してからの鍛錬でさらに磨きが掛かっていた。

 

 焦茶色の艶やかな髪を靡かせる、爽やかな美青年。そんな印象を与える美貌に対して、首から下の肉体は「調査隊最強格」の噂に違わぬクオリティに仕上がっている。

 荒島を凌ぐ密度と硬さを持つ彼の筋肉は弘原海に次ぐ「質」に至っており、彼の胸筋と二の腕と腹筋は、見る者を男女問わず常に圧倒している。逆三角形を描いた彼の肉体美を前にして怯まない者など、とうに見慣れている調査隊メンバー達くらいなのだ。

 

「俺達が2週間も掛けてこの一帯を調べ尽くしても、まだ発見出来ていないのだからな……。だが、森の奥にはまだ新しいバルタン星人の足跡もあった。とっくに居なくなっているとは言い切れない以上、捜査の手を緩めるわけには行かん」

 

 士道の元教官であり、この調査隊メンバーの中でもベテランの隊員である木場司(きばつかさ)

 ダークブラウンのマッシュヘアーに、影のある雰囲気の細長い目が特徴である彼は、湯に浸りつつも捜査が進展していない現状に神妙な表情を浮かべていた。ホピス星の事件では「ウルトラマンヴェルゼ」に変身していた彼は、怜悧な眼差しで大自然の絶景を一瞥している。

 

 教え子である士道ほどの体格ではないが、その鍛え抜かれた筋肉には一切の「無駄」が無い。初めから意図して作り上げたものではなく、BURK隊員として最前線で戦い続ける日々の中で、ごく自然に醸成された純粋なる闘士の身体であった。

 絶え間ない死闘の中で無意識のうちに最適化され、洗練された天然の肉体美。彼自身は「士道や荒島ほど鍛え込んでいるわけではない」と語るが、それはあくまで彼個人の主観でしかなく、彼の肉体は紛れもなく「完成された兵士」そのものであった。

 

「……ってことは、もうしばらくは俺達も東京に帰れそうにありませんね。ま、ここの温泉宿は料理も絶品と評判ですし……それを楽しみに頑張るとしましょうか」

「そういえば、女湯に行ったリーゼロッテ達は大丈夫なんだろうな? この男湯からはちょっと離れてるようだが……」

「なぁに、あっちには日本支部屈指の女傑様も居るんだ。何も心配は要らねぇさ」

 

 強く逞しい遺伝子を欲する雌の本能を抉り出し、出会う女達を次々と(無意識のうちに)堕として来た、筋骨逞しい美男子達。

 そんな彼らは口々に語らいながら、先のことを見据えつつも秘湯の温もりを堪能している。その効能によって疲れを解消された彼らの肉体は、次なる闘争に向けて静かに燃え上がろうとしていた――。

 

 ◇

 

 男湯からやや離れた地点に設けられた、男子絶対禁制の女湯。その秘湯に、白く瑞々しい柔肌を浸している調査隊の女性メンバー達は、揃って恍惚の表情を浮かべていた。

 すれ違う男達の視線を攫い、星の数ほどのケダモノ達から獣欲を向けられてきた絶世の美女達。その見目麗しさからは想像も付かない覇気と実力を以て、不埒な男達を退けて来た女傑達は、束の間の休息をその白く艶やかな裸身で堪能している。

 

「ふぅっ……これはなかなかの秘湯だな。2週間の疲れも吹っ飛ぶようだ。この効能ならあと1ヶ月は戦えるぞ」

 

 日本支部屈指の女傑と呼ばれ、BURK惑星調査隊においても実質的な副官として隊員達を指揮していた駒門琴乃(こまかどことの)

 亜麻色のロングヘアと怜悧な美貌、そして抜群のスタイルを誇る彼女は、108cmのLカップという超弩級の爆乳を湯に浸し、至福の笑みを溢している。くびれた腰に反してむっちりと実っている安産型の巨尻を含む全身で、彼女は秘湯の効能を実感していた。

 

「ちょっと、冗談じゃないんですけどぉ? さらにあと1ヶ月もこんなど田舎でウロチョロするつもりなんですかぁ? 確かに良い湯ですけど、私はゴメンですからね! さっさと例のバルタン星人をブッ倒して、東京の基地に帰りたいんですからっ!」

 

 豪奢な金髪のツインテールを下ろし、102cmという特大の爆尻と白く瑞々しい裸身で温泉を堪能している、BURKセイバー隊の隊長ことリーゼロッテ。

 制式宇宙戦闘機(BURKセイバー)のエースパイロットとは思えぬほど小柄な彼女は、まな板のような自分の胸と琴乃の爆乳を見比べながら、いつも通りの悪態をついていた。そんな彼女の隣で湯に浸っている紺色ショートヘアの爆乳美女は、蠱惑的な微笑を浮かべている。

 

「ふふっ……確かにね。これほど良い温泉なら、僕としてはプライベートで来たいところだよ。任務のことも全て忘れて、もう一度ここに来られるように……まずは英気を養わないと、だね」

「分かっている、今のはあくまでものの例えだ。私としても、これ以上の長期化は望むものではない。早く奴を発見せねば、近隣住民の不安は尽きないのだからな」

 

 94cmのGカップという豊満な巨乳を湯に浮かべ、妖艶な笑みをリーゼロッテに向けている「中国支部の王子様」こと、劉静(リウジン)。91cmの巨尻をむにゅりと底に押し付け、スラリと伸びる白い美脚をピンと伸ばしている彼女の言葉に、琴乃も瞼を閉じて頷いていた。

 

「そうですね……こんなに素敵なところなのですから、今度は調査隊の皆で旅行に来ましょうよ。私、お弁当作りますね!」

 

 2人のやり取りに、白く優美な手を合わせて同意し、華やかな笑顔を咲かせているエリー・ナカヤマ。茶髪に3色のメッシュを入れたロングヘアと、ギョロっとした大きな眼の持ち主である彼女は、そのやや奇抜な容姿とは裏腹に家庭的な人物であった。

 華奢でありつつも、均整の取れたプロポーションである彼女の身体は、秘湯の効能なのかさらに磨きが掛かっている。そんな彼女の優雅な笑顔に、劉静もふっと微笑を溢していた。

 

「張り切ってるね、エリー。……しかし君1人で全員分は難しいだろう。その時が来たら、この僕が力になってあげよう。君は士道隊員の分にだけ注力すれば良いさ」

「えぇっ!? わ、私は別に士道くんとはそんなっ……!」

 

 荒島の紹介で士道と知り合い、年が近い3人での飲み会の他にも、士道との2人の交流を重ねているエリー。そんな彼女の胸中をおおよそ察している劉静は、挑発的な笑みを浮かべ、金色の眼を細めている。

 

「……っ」

 

 両手を頬に当て、恥じらいの表情を見せるエリーのいじらしい姿に、女傑達はどこか落ち着かない様子でそわそわと太腿を擦り合わせている。温泉の熱さとは異なる理由で頬を紅潮させている彼女達は、無意識のうちにその極上の肢体から、雄を狂わせる濃厚なフェロモンを振り撒いていた。

 今まさに、男湯で汗を流している「意中の男」達。その逞しい身体に想いを馳せていた彼女達にとって、エリーの様子は他人事ではないのだ。荒島の圧倒的な「雄」を目の当たりにして以来、己の肉体に秘められた「雌」の本性を自覚させられていた劉静も、その1人であった。

 

「……って言うか劉、あなた料理とか出来ましたっけ?」

「いいや全く。力になるとは言ったけど、僕が作るとは言ってないよ。作るのは僕に頼まれた荒島隊員だからね」

「結局あの人任せですかっ!?」

 

 中性的な美貌と、王子様然とした佇まい。そんな顔立ちや立ち振舞いとは裏腹な、雄の本能を刺激する極上の女体。男女両方を魅了するその色香で、劉静は多くのファンを虜にしているのだが――気心の知れた仲であり、自身を"使う"立場であるリーゼロッテには通じなかったらしい。

 自分で引き受けていながら、しれっと他人にやらせようとしている彼女の不遜な佇まいに呆れながらツッコミを入れるリーゼロッテは、特大の白い爆尻をぷるぷるっと揺らしている。宝石のように美しい劉静の双眸で射抜かれた女性は、どんな無茶振りにも応じてしまいがちなのだが、BURKセイバー隊の隊長はその魅力にも全く屈していない。

 

「……なんだか、落ち着かんな。こんなに良い湯だってのによ」

 

 そんな若手隊員達が、疲れを忘れてはしゃぎ合っている中。BURKセイバー隊の中で最も経験豊富なベテランパイロットである、ラウラ・"クーカ"・ソウザ・サントスは、腑に落ちない表情で湯に浸っていた。

 

 BURKセイバー隊の中でも最年長の31歳である彼女は、その年齢とは裏腹な幼児体型の持ち主である――いわば、「合法ロリ」であった。138cmという部隊屈指の短身とボーイッシュな金髪ショートヘアからは、少年のような印象すら受ける。

 だが、むっちりと実った79cmの安産型桃尻は、紛れもなく成人女性のそれを想起させる扇情的なラインを描いていた。見掛けこそ10代前半の少女だが、彼女は紛れもなく子を産める1人の女なのだ。

 

「クーカさん? どうかしましたか?」

「まだ事態が終息していない以上、リフレッシュし切れないというのも分かるが……今は少しでも身体を休めないと、いざという時に戦えんぞ」

「あぁ……もちろん分かってるさ、駒門。分かってるんだが……さっきから、誰かに見られてる気がするんだよなァ」

 

 雄の興奮と獣欲を掻き立てる、特大の桃尻をむにゅりと底に擦り付けながら。蠱惑的な柔肌を大自然に晒し、その乳房を湯に浮かべている絶世の美女達。

 男の欲望と夢が凝縮された、その絶景を遠方から観測している不埒者の気配。それに勘付き始めていたクーカの直感が、警鐘を鳴らしていたのだ――。

 

 ◇

 

 そんなクーカの直感通り。女湯からやや離れた林の奥には、琴乃達のあられもない姿をつぶさに観察している「不埒者」が居た。

 地球人のそれを遥かに超える視力で、女傑達の白く艶やかな柔肌をねぶるように凝視しているその不埒者こそが――この近辺で度々目撃されていた、バルタン星人だったのである。

 

「……ふん、こんなところに絶好の『覗き場』があったとはな。なかなか地球人も、趣のある場所を用意するではないか」

 

 バルタン星侵略軍所属、偵察兵メガヴァーデ。その名を冠する宇宙忍者は、金色に輝く双眸で琴乃達の湯浴み姿を遠方から見つめていた。

 だが、地球人の美的感覚を持ち合わせていない彼は、琴乃達の裸身が目当てで覗いているわけではない。バルタン星人の偵察兵である彼は、BURKの精鋭たる惑星調査隊の戦力を測るためにこの地に訪れ、敢えて「餌」となる目撃情報を流させていたのである。

 

 そんな彼の狙い通りに現れた調査隊メンバー達は今、露天風呂という無防備な場所で生まれたままの裸身を晒している。その戦力を測り、あわよくば即座に抹殺する上では、これ以上ない好機であった。

 女湯の脱衣所に忍び込み、琴乃達のブラジャーやパンティを物色し、下着の裏地に染み付いた彼女達の匂いを鼻腔で堪能していた宿主の男。彼を締め上げ、この「絶景スポット」の存在を聞き出していた彼は、爪を研ぐように両腕の鋏を擦り合わせている。

 

(我らバルタン星人にとって、この地球は因縁の地であり……絶好の「移住先」でもある。よもや、この地に侵略するための偵察任務を任せられる日が来るとは……何という誉れか。ラスヴァーダ様、感謝致します)

 

 バルタン星人の中でも、特に好戦的な個体が集う侵略軍。その頂点に立つ武闘派司令官「ラスヴァーダ」に偵察を命じられていたメガヴァーデは、母星にとっての因縁の地とも言うべき地球に訪れている事実を、独り噛み締めている。

 だが、念願の地球降下に感動している場合ではない。自分には果たさねばならない務めがある。そう気持ちを切り替えたメガヴァーデは、改めて琴乃達の扇情的な湯浴み姿を念入りに観察する。茂みの中から琴乃達の柔肌を隅々まで観察している彼の双眸は、闇の中から妖しい輝きを放っていた。

 

(……見たところ、武装しているようには見えんな。文字通りの丸裸だ。しかし油断は出来ん。奴らは3ヶ月前、あのホピス星に残置されていたキングジョーの現地改修型を撃破した実績を持っている)

 

 約3ヶ月前、ホピス星の荒野で繰り広げられた死闘。12人のウルトラ戦士とBURKセイバー隊が、キングジョー・ホピスナイトカスタムを撃破したその戦いは、バルタン星人達も遥か遠くから観測していた。

 そこでBURK惑星調査隊の――地球人の底力を目の当たりにしたバルタン星侵略軍は、彼らの存在が大きな障害になると認識していたのだ。だからこそ今こうして、ラスヴァーダから深く信頼されているメガヴァーデが、偵察兵として派遣されているのである。

 

(宇宙警備隊の介入があったとはいえ、地球人の一部隊があのキングジョーを破壊したのは事実だ。この宇宙を統べる最恐最悪の殺戮集団……「テンペラー軍団」でも破壊し切れなかった、あのキングジョーをな)

 

 この次元における、あまねく災厄の根源。全ての怪獣災害の元凶。そのように呼ばれ、全宇宙のあらゆる勢力から畏怖されている「テンペラー軍団」。その首魁の手で更地となったホピス星は、草一つ残らぬ死の大地と成り果てた。

 その災禍からも生き延びていたキングジョーに引導を渡したのが、あのBURK惑星調査隊なのだ。テンペラー軍団の恐ろしさも、その攻撃を耐え抜いていたキングジョーの頑強さも理解しているからこそ、メガヴァーデは慢心することなく琴乃達に狙いを定めている。

 

(テンペラー軍団がこの地球に目を付け、ホピス星のような更地にしてしまうのは時間の問題。その前にこの星を占領し、奴らを迎え撃つための軍備を整えねばならんというのが、ラスヴァーダ様のお考えだ。私はその忠実なる僕として、然るべき「務め」を果たさねばならん立場にある)

 

 地球という絶好の環境を渇望し、テンペラー軍団の打倒という野心も秘めているラスヴァーダ。そんな彼の大望を成就させるべく、メガヴァーデは茂みからゆっくりと身を乗り出して行く。

 突き出された両腕の鋏。その中心点に眩い光が集まり始めていた。彼はここから、両腕の熱光弾で琴乃達を狙撃するつもりなのだ。

 

(少々距離はあるが……この程度ならば、まだまだ私の射程圏内だ。それに、如何に精強な戦士であろうと所詮は非力な女。私の手に掛かれば、全員の殺害に5秒も掛からぬ)

 

 少しでも弱い個体から始末し、敵方の手数を最小限の労力で削ぎ落とすのが戦いの鉄則。屈強な男(わだつみ)達との戦いを後に控えている以上、女達に手こずってはいられない。両チームが合流する前に、素早く片方を始末する必要がある。

 

 身体能力の面で優位に立っているからといって、安易に近付いたりはしない。宇宙忍者という異名の通り、闇に紛れて敵を討つ。それが宇宙忍者たるメガヴァーデのやり方であり、矜持だった。

 両腕に収束して行くエネルギーが、とうとう最高潮に達する。蓄積された光熱が弾丸となって、鋏の中央から飛び出すのは時間の問題であった。

 

「我が侵略軍の偉大なる野望。その実現への礎となる栄誉……存分に受け取るが良い」

 

 そして、ついにメガヴァーデの両腕から熱光弾が発射される――その時だった。

 

「……!?」

 

 こちらに気付けるはずなどない。この距離から、自分の位置を把握出来るわけがない。にも拘らず、調査隊メンバーの1人――クーカと視線が交わる。

 狙撃銃のスコープを覗き込んだ射手が、自分に狙いを定めている同業者(スナイパー)に気付いた瞬間のように。メガヴァーデはただ瞠目し、戦慄した。

 

「なッ……!?」

 

 次の瞬間、クーカが風呂桶の下に隠していた光線拳銃「BURKガン」の引き金を引く。その銃口から閃く熱光線で眉間を狙われたメガヴァーデは、咄嗟に身をかわして直撃を免れた。

 思わぬ反撃で集中力を乱されたため、両手の鋏に充填されていたエネルギーが霧散してしまう。狙われていたのはこちらの方だったのだと、メガヴァーデは頭より先に本能で理解していた。

 

(おのれッ……この距離から私の殺気を掴んで来るとは、やはり私の見る目に狂いはなかったようだなッ! やむを得ん……! 見つかったからには、この場で全員始末するのみだッ!)

 

 多勢に無勢である以上、本来なら一旦退いて体勢を立て直すべきなのだろう。だが、ここで引き下がって相手に猶予を与えれば、男女のチームが合流してしまい、ますます手が付けられなくなってしまう。

 接近戦に伴う負傷は覚悟の上で、この場で女達を確実に抹殺するしかない。咄嗟にそう判断したメガヴァーデは、バルタン星人ならではのテレポート能力で自身の身体を瞬時に移動させ――女湯の座標に出現する。

 

「死ねぇえいッ! 地球人のメス豚共がッ――!?」

 

 その瞬間移動で相手の虚を突き、体勢を立て直す暇も与えず至近距離からの掃射で殲滅する。その手段に踏み切ったメガヴァーデは、女湯の床に着地した瞬間、両手の鋏から熱光弾を放とうとしたのだが。

 

「な、何ィィィイーッ!?」

 

 それよりも疾く――彼の視界が「真っ白」になってしまう。メガヴァーデがテレポートする瞬間を目撃していた琴乃達は、自分達の背後に回り込もうとしていた彼の狙いを見越して、一斉にバスタオルを後方に投げ付けていたのだ。

 琴乃達の蠱惑的な白い裸身を包み、不埒な視線からその柔肌を守るはずだった白のバスタオル。その布に視界を塞がれたメガヴァーデは、逆に先手を打たれる形になってしまっていた。

 

「……やっぱり俺達が無防備になったタイミングを狙って来たな、この変態セミ星人ッ!」

「バルタン星人のテレポート戦術なんて、もうとっくに研究され尽くしているのですから……そんな手は通じませんッ!」

 

 バスタオルを目隠しに使ったことにより、身体を隠すものが一切無くなってしまったクーカとエリー。彼女達は羞恥に頬を染めつつ、生まれたままの姿で温泉から素早く飛び出して行く。

 

 地球人基準の美的感覚が分からない異星人相手とは言え、自分達の湯浴み姿が覗かれていたことに怒る2人の女傑は、バスタオルで視界を塞がれたメガヴァーデの鳩尾に渾身のローリングソバットを叩き込む。

 回転の加速を乗せ、ピンと伸びた白く優美な美脚。その御御足がメガヴァーデの腹部に勢いよく減り込むと、衝撃の反動で白い桃尻がぷるんっと弾んでいた。

 

「……残念だったな、バルタン星人ッ!」

「丸裸なのは、手の内を調べ尽くされた君達の方だった……ということだよッ!」

「ざぁこ、ざぁこっ! 変態よわよわお間抜け忍者っ! 私達の柔肌を盗み見した罪、その命で償わせてあげますッ!」

 

 さらに。羞恥故の憤怒に燃える琴乃、リーゼロッテ、劉静の3人は、息を合わせて跳び上がると、流麗な空中回転蹴りを同時に繰り出していた。彼女達の肉感的な美脚が540°の弧を鮮やかに描き、メガヴァーデの頭部に炸裂する。

 絶対不可侵の乙女の聖域。その全てが余すところなく、「丸見え」になってしまうのも厭わず。彼女達は白い美脚を豪快に振り上げ、メガヴァーデの頭部に芳しい足先を減り込ませていた。同じ地球人相手なら、頭蓋骨が陥没するほどの威力だ。

 

 命中の瞬間。ピンと伸びた彼女達の美脚から伝わる衝撃の波紋が、女傑達の豊満な実りをどたぷんっと弾ませる。

 最前線の戦士として苛烈に鍛え抜かれ、キュッと引き締まっている腰に対してあまりにも豊穣な果実。琴乃と劉静の、白く豊かな爆乳。安産型のラインを描いた、リーゼロッテの巨尻。その淫らな純白の膨らみが、ぶるるんっと蠱惑的に揺れ動いていた。

 

「うぐぉおおッ……!?」

 

 視界を封じられて体勢が安定しない状態のまま、立て続けに急所に蹴りを叩き込まれたメガヴァーデは、たまらず転倒してしまう。

 滑る床にもたつきながらも、なんとか立ち上がろうとする彼の周囲は――すでに、BURKガンを構えた女傑達に取り囲まれていた。彼女達は風呂桶やバスタオルの下に、いざという時のための「得物」を隠し持っていたのだ。

 

 逃げ場を与えぬよう周りを取り囲みつつ、同士討ちを避けるために敵を転倒させ、射線上に仲間を入れないように立ち回る。そんな彼女達に完全包囲されてしまったメガヴァーデは、絶体絶命の窮地に陥っている。

 

「……我々をか弱い女と、心のどこかで侮った。それが貴様の『敗因』だ、バルタン星人ッ!」

 

 そして、女性陣の義憤を代弁するかのように琴乃が吼えた瞬間。彼女達は一斉に引き金を引き――倒れ伏したままのメガヴァーデにとどめを刺そうと、BURKガンの銃口から熱光線を発射する。

 

「……味な真似をぉおッ!」

 

 だが、このまま容易く斃れるバルタン星人ではない。前が見えないままでも、自分が置かれている状況を「音」で理解していたメガヴァーデは、転倒している体勢のまま再びテレポート能力を発動させるのだった。

 

「しまった、またテレポートでッ……!」

「もう再使用出来るのかッ!?」

「奴はどこにッ……!?」

 

 視界を塞いでいたバスタオルだけを残して、忽然と姿を消してしまったバルタン星人。その瞬間を目の当たりにした琴乃達は、乳房と桃尻をぶるんぶるんと揺らしながら、焦燥の表情を浮かべて周囲を見渡している。だが、一向に彼の姿は見えない。

 

「はぁ、はぁ、はぁッ……! あ、あと少しで蜂の巣にされるところであった……! さすがはあのホピス星から生き延びた惑星調査隊、と言ったところかッ……!」

 

 そんな彼女達の生まれたままの裸身を、「頭上」から見下ろしているメガヴァーデ。彼は思わぬ反撃に息を荒げながらも、再び熱光弾を放とうと両手の鋏を構え直していた。

 

 土壇場で咄嗟に発動させたテレポートだったため、十数メートル程度の上空にしか上がれなかったが、彼女達の虚を突くだけならこの程度の高度で十分。今度こそ、確実に女達を抹殺してやる。その一心で充填されて行くメガヴァーデのエネルギーが、鋏の中心点に再び収束し始めていた。

 

(貴様らの言う通り、私は心のどこかで見くびっていたのかも知れんなッ……! だが今度こそ、本当に油断は無いッ! 逃げ場など与えん、この温泉もろとも木っ端微塵に消し飛ばしてくれるわッ!)

 

 己の慢心を恥じつつも、必殺の信念を以て地上の女湯に熱光弾を撃ち込もうとしているメガヴァーデ。その位置に気付いていない琴乃達は、今も取り逃がしたバルタン星人を探して周りを見渡している。

 今度こそ、彼の攻撃を止められる者はいない。最大火力まで引き上げられた熱光弾によって、琴乃達は女湯もろとも爆炎に飲み込まれてしまう。

 

 ――そうなる、はずであった。

 メガヴァーデの背に、大量の「実弾」が撃ち込まれるまでは。

 

「……うぐわぁぉぁあッ!?」

「なっ……!? 奴め、上に居たのかッ! 皆、奴は私達の頭上だッ!」

「逃しませんよぉおおっ!」

 

 予期せぬ方向から、予期せぬ火力の銃撃を受けたメガヴァーデの悲鳴が上がる。その声で頭上を取られていることに気付いた琴乃達は、上空に向けて即座にBURKガンを構え直していた。

 

(な……なんだこれは、私は何を食らったのだッ!? 地球人の携行火器に、これほどの威力があると言うのかッ……!?)

 

 地上から飛んで来る熱光線を必死にかわしながら、メガヴァーデは奇襲を受けた背後に視線を向ける。

 その先には――新型ポンプアクション式散弾銃「BURKショットガン」を構えている、荒島真己と木場司の姿があった。

 

 クーカが放った第1射の銃声を耳にしていた男達が、ようやくこの場に駆け付けて来たのだ。琴乃達の姿は湯煙で見えていないが、響いて来た銃声とバルタン星人の姿で、男達は即座に状況を察している。

 

「……どうやら、今回のバルタンは随分な女好きだったみてぇだな。こっちのことなんざ眼中に無えってか?」

「随分とうちの看板娘に夢中だったなァ?こっちに背中を向けるなんて、狙ってくれって言ってるようなものじゃねェか」

 

 大切な部下や仲間達を狙われたことに対する、静かな義憤に燃える弘原海と荒島。BURKガンとBURKショットガンで武装している男達は、腰にタオルを巻いた姿でその肉体美をこれでもかと強調している。

 

「エリーさんや皆に手を出そうとしたツケは……高く付くぞ、バルタンッ!」

「可能ならば生け取りに……と言う話だったが、この状況では『射殺』もやむを得んな?」

 

 同じく、仲間達の窮地に駆け付けて来た士道と木場も。上半身の盛り上がった筋肉を見せ付けながら、BURKガンとBURKショットガンの引き金に指を掛けていた。

 メガヴァーデが最も危惧していた、男女両方のチームの合流。その展開が、最悪なタイミングで訪れてしまったのである。

 

「し、しまった……! 女共に手こずるあまり、奴らの接近を見落としてしまうとはッ……! このメガヴァーデ、一生の不覚ッ!」

 

 先ほどテレポートを使ったばかりであり、再使用までの充填期間(クールタイム)が終わっていないメガヴァーデは、今すぐこの場から逃げ出すことが出来ない。絶体絶命の危機が、再び訪れていた。

 

BURK(うち)の奴らに手ェ出すなんざ...500億年速ェんだよ!ざァこ!」

 

 そんな彼を鋭い眼光で睨み上げる荒島は――仲間達を狙っていたバルタン星人に対し、親友(リーゼロッテ)の言葉を借りて、「死刑執行」を宣言した。

 

「うっ、ぐわあぁああーッ! ラ、ラスヴァーダ様ぁあぁあーッ!」

 

 ――そして、男女両方からの容赦ない一斉射撃によって。熱線と実弾の「的」にされてしまったメガヴァーデは「ド派手な花火」となり、敢えなく爆散してしまうのだった。

 

 なまじ上空に移動していたために、弘原海達も琴乃達も、同士討ちを恐れることなく挟み撃ちに出来るようになっていた。それが、彼にとっての最大の誤算だったのである。

 

 かくして、件のバルタン星人は完全に撃破され――湯煙が視界を覆い尽くす中、弘原海達は琴乃達の無事を確認するのだった。前がよく見えないまま、男達は守り抜いた女達に声を掛けて行く。

 

「駒門! お前らも無事か!?」

「ふうっ……助かりました、弘原海隊長! 我々だけでは上空から不意を突かれるところでした……!」

「おうっ、全員怪我もねぇようだし何より……!?」

 

 ――だが、琴乃達は失念していた。バスタオルを目眩しに使った自分達は今、本当に一糸纏わぬ全裸なのだということを。

 そして、弘原海達は甘く見ていた。さすがに琴乃達なら、この状況でもバスタオルくらいは巻いているだろうと。そんな風に思っていた時期が、彼らにもありました。

 

「……あ」

 

 次の瞬間、大自然の爽やかな涼風が吹き抜けて行き。双方の視野を塞いでいた湯煙を、ふわりと消し去ってしまう。

 

「……きゃああぁあぁあーっ!」

 

 その時に映った「絶景」は、どちらにとっても決して忘れられるものではなく――女傑達の黄色い悲鳴が青天を衝いたのは、それから間もなくのことであった。

 

 ◇

 

 ――ちなみに。

 女湯の脱衣所で、琴乃達の下着を握り締めたまま気絶していた宿主の男も、敢えなく逮捕となっていた。そして、BURKショットガンの使用手続きが間に合っていなかった荒島と木場は、帰還後間も無く始末書を書く羽目になったのだという。

 

「チクショーッ!!!BURKガンで充分だったじゃねェかよ!!!!」

「(...感情というのは恐ろしい...)」

 

 ◇



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キャット・ファイト=ドッグ・ファイト(オリーブドラブ様の作品)

 ◇

 

 ――ホピス星での惑星調査任務から約4ヶ月後。地球全域で頻発し始めていた怪獣災害や異星人犯罪に対処するべく、惑星調査隊のメンバーをはじめとするBURKの精鋭達は、次代を担う新米達の教導に注力し始めていた。

 

 その一環として、ホピス星の調査にも参加していたBURKセイバー隊の隊長・リーゼロッテは、アメリカ合衆国のカリフォルニア州に位置する航空基地に派遣されていた。

 15歳という若さで、BURKセイバー隊の隊長にまで登り詰めた才媛。そんなトップエースの技術を、アメリカ支部のパイロット候補生達に伝授するための「教導任務」として。

 

 それから、さらに1週間後。リーゼロッテが派遣されたカリフォルニア州の航空基地に、1台のジープが訪れていた。身分を確認するべく駆け寄って来た警備隊員は、そのジープに乗っている2人組の男女が羽織っていたジャケットを目にして、思わず息を呑む。

 

「あ、あなた方はもしやあの……!?」

「ははっ、驚かせちまって悪いな。手続き、進めて貰っていいか?」

「ハ、ハッ!」

 

 赤と白を基調とするフライトジャケット。それはBURK随一のエリート部隊である、惑星調査隊のメンバー専用の物だったのだ。ハンドルを握る黒髪オールバックの男は気さくな佇まいで手続きを済ませると、開いた門から基地内へと車を進めて行く。

 

「アイツが教官……どうにも俺にはピンと来ねェぜ。教え子達相手に要らん虚勢を張って、トラブってる絵面しか浮かんで来ねェな」

 

 晴天の空の下、ジープを運転している黒髪オールバックの男――荒島真己(あらしまみこと)隊員は、片手でハンドルを握りながらサングラスを取り、訝しげな表情で基地の景観を見渡している。ホピス星の戦いでは「ウルトラマンリード」と一時的に同化し、現地で遭遇したキングジョー・ホピスナイトカスタムの脅威から、BURKセイバー隊の美女達を守り抜いていた男だ。

 野獣のような獰猛さを兼ね備えた精悍な貌は、歴戦の勇士に相応しい風格を漂わせている。筋骨逞しい「雄」の肉体をフライトジャケットの下に隠し、彼は基地の様子を眺めながらリーゼロッテを探していた。

 

 惑星調査隊随一の「問題児」と呼ばれることも多い彼だが、リーゼロッテの教導内容を案じている姿はさながら保護者ようであった。リーゼロッテとは兄妹、あるいは恋人のような間柄である荒島としては、彼女のことか心配だったのだろう。

 

「だから僕達がわざわざここまで様子を見に来たんだろう? 彼女の教導が上手く行かなかったら、惑星調査隊の名折れだからね」

 

 一方。荒島の隣で頬杖をついている、紺色ショートヘアの怜悧な美女――劉静(リウジン)隊員は、穏やかな微笑を浮かべていた。

 優雅な佇まいでサングラスを取り、金色の双眸で基地を見渡す彼女の美しさは、すれ違う隊員達の視線を大いに惹き付けている。蠱惑的で艶やかな桜色の唇に、男性隊員も女性隊員もゴクリと生唾を飲み込んでいた。

 

 「中国支部の王子様」と呼ばれるほどの中性的な美貌を持ち、女性隊員達から絶大な人気を集めている彼女だが。フライトジャケットの下に隠された身体は男好きする――という言葉では足りないほどに、扇情的であった。

 BURKセイバー隊の精鋭として鍛え抜かれ、細く引き締まっている腰に反して、その乳房と桃尻はあまりに豊満だったのである。荒島を相手に手続きをしていた警備隊員も、彼女の妖艶な肢体には釘付けになっていた。

 

 隙間なく柔肌にぴっちりと密着している、赤いハイレグレオタード状の特殊戦闘服。その戦闘服によって強調される、凹凸の激しいボディライン。雄の獣欲を掻き立てるその曲線は、劉静という女の肉体を蠱惑的に描き出していた。

 張りのある爆乳の形をくっきりと浮き上がらせ、身体のラインに張り付いているそのレオタードはかなり際どい「角度」であり、股間に深く食い込んだV字のラインは鼠蹊部の線まで露わにしている。むっちりとした白く肉感的な太腿も、雄の欲望を刺激する蠱惑的な匂いを漂わせていた。

 

 Gカップの爆乳と安産型の巨尻はジープの揺れに応じてぶるんぶるんと弾み、その全身からは甘く芳醇なフェロモンが滲み出ている。レオタードの食い込みによって剥き出しにされた白い桃尻は妊娠・出産に適した淫らなラインを描いており、一際汗が溜まりやすい腋や鼠蹊部には、特に芳しい「雌」の匂いが染み込んでいた。

 

 多くの男達に幾度となく狙われたその肉体はまだ、誰の物にもなっていない。妖艶さと凛々しさを兼ね備えた金色の双眸は、隣に座る「意中の男」をちらりと見詰めていた。

 荒島真己という男に秘められている、ワイルドな「雄」の魅力。その色香に魅入られた劉静の内に眠る「雌」の本能が、下腹部を熱く疼かせている。その想いを悟られまいと、彼女は飄々とした佇まいで基地の方へと視線を移していた。

 

「調査隊の名折れ? よく言うぜ、お前はただ単に面白そうってのが9割だろうが」

「失礼だね。10割だよ」

 

 リーゼロッテの教導任務が気掛かりだった2人は休暇を利用し、わざわざ東京からこの基地まで「様子見」に来ていたのだ。助手席に座り、スラリとした白い美脚を組んでいる劉静は、自分に見惚れているこの基地の隊員達に軽くウインクしている。

 

「お、おい見ろ! あの劉静隊員が、俺にウインクしたぞ! 俺だけにだ!」

「バカ、劉静様がウインクしたのはこの私よ! あんたみたいな新兵如きが相手にされるわけないでしょ!」

「なんだと!? お前も新兵だろうが!」

「なによ!? あんたよりは成績上でしょうが!」

 

 その「サービス」に沸き立つ隊員達は男女問わず、自分だけにウインクしたのだと無益な争いを始めていた。劉静という女の身と心は、すでに隣に居る荒島真己のモノなのだということも知らずに。

 

「相変わらず色ボケが多いとこだな……よし劉、やっぱお前帰...あァっ!?」

 

 すると、次の瞬間。宇宙戦闘機の高速飛行による「風切り音」を察知した荒島は、劉静と顔を見合わせてブレーキを踏む。

 その音の発信源を追うように振り返った2人の視線の先には――こちらに迫って来る2機の戦闘機の機影があった。

 

 1950年代のジェット戦闘機「F-86セイバー」。そのシルエットを彷彿させる、BURKの制式宇宙戦闘機「BURKセイバー」だ。どうやら、その2機の戦闘機は互いの背後を取り合う模擬戦を繰り広げているらしい。

 

「荒島隊員、あれは……!」

「アメリカ支部仕様のBURKセイバーか……!? だが、あの無謀極まりねェ挙動は……!」

 

 2機のうち、追われている方――つまりより速く荒島達に近付いている方の機体は、非常に豪快な挙動で低空を飛行していた。

 荒島達を乗せたジープの真上をギリギリで通り過ぎたその機体は、猛烈な勢いで急上昇している。よほど、背後を取っている「対戦相手」の機体に手こずっているのだろう。

 

 そんな荒々しくも繊細な操縦をこなせるパイロットなど、そう多くは居ない。最初に飛んで来た機体は紛れもなく、惑星調査隊から教導官として派遣されていた、リーゼロッテ隊長の乗機であった。

 

「うぉっ……!? リーゼロッテの奴、なんて無茶苦茶な操縦してやがる! 新米共に何教えてやがんだよッ!」

「……いや、無茶苦茶なのは彼女だけじゃないようだ。むしろあっちの方が……!」

「何っ……どわァあっ!?」

 

 その風圧に煽られた荒島は怒号を上げるが、すぐにそれどころではなくなってしまった。劉静が静かに呟き頭を下げた瞬間、2機目のBURKセイバーが再び荒島の頭上を駆け抜けて行ったのだ。

 立て続けに猛風に煽られた荒島は、運転席から転げ落ちそうになっている。基地の管制塔から飛んでいる何らかの怒号も、風音で掻き消されていた。

 

「あ、あいつら無茶苦茶にも程がある! ……それにしても、リーゼロッテの操縦に付いて行けてるなんて、対戦相手のパイロットもかなりの腕前(バカ)じゃねェの!?」

「……」

 

 何とか体勢を立て直した荒島は呆れた様子で空を仰いでいるが、劉静は神妙な面持ちで2機のBURKセイバーを観察している。

 青空を駆ける2機の戦闘機は、互角(・・)のドッグファイトを繰り広げているのだ。しかもリーゼロッテ機を追っている「対戦相手」の機体には、候補生が使う練習機用のマークが付けられている。

 

(……なるほど、そういうことか)

 

 それはつまり、惑星調査隊のエースであるリーゼロッテにも匹敵し得る実力を持った候補生(・・・)が居る、ということを意味している。その「才媛」の存在を知っていた劉静は、「やはり彼女か」と言わんばかりに目を細めていた。

 

「どうやら、教え子の方もなかなかのじゃじゃ馬のようだね。リーゼロッテ隊長と互角に渡り合えるほどの新米といえば……やはり『彼女』だろう」

「『彼女』、だァ……? 知ってんのか」

「BURKセイバーの製造元である、アメリカ合衆国の巨大軍事企業。そこのご令嬢にして、今期最強のホープと名高いアメリア・ゴールディン候補生さ」

 

 現在の制式採用機であるBURKセイバーをはじめ、数多の航空兵器開発に携わって来た巨大軍事企業。その社長令嬢にして、今年から入隊して来た新米パイロットでもある未来の女傑――アメリア・ゴールディン。

 彼女がリーゼロッテの「対戦相手」なのだと見抜いていた劉静は、鋭い表情で空戦の様子を観察している。背後を取られそうになっているリーゼロッテ機は、アメリア機の苛烈な追撃に追い詰められているようだ。

 

『くっ……! 実戦経験も無いざぁこのくせに、よくもこの私に一対一の模擬戦なんて挑む気になりましたねっ! 格の違いというものを存分に分からせてあげますから、覚悟しなさいっ!』

 

 ジープに搭載された無線機から響いて来る、リーゼロッテの緊迫した声。その声色から彼女の「焦り」を悟った荒島と劉静は、剣呑な面持ちで視線を交わしている。

 豪奢な金髪のツインテールが特徴の貧乳爆尻美少女は、かなりのピンチに陥っているようだ。劉静のものと同じ、惑星調査隊仕様の赤いレオタード型戦闘服を纏う彼女は、必死に操縦桿を握り締めている。

 

『それさっきからずっと言ってますけどぉ、一体なぁにを分からせるって言うんですかぁ〜? チビでまな板の教官殿ぉ〜?』

 

 その一方、生意気な態度を隠そうともしないアメリア候補生の声は、普段のリーゼロッテを想起させる傲慢不遜そのものであった。実力こそ群を抜いているようだが、人格面ではかなりの問題がある人物のようだ。18歳の言動ではない。

 艶やかな金髪をショートに切り揃えたKカップの爆乳美女は、無線機の向こう側から挑発的な声を上げている。アメリカ支部仕様の白いレオタード型戦闘服に身を包んでいる彼女は、好戦的な笑みを浮かべて操縦桿を押し倒していた。

 

『な、なんですってぇえ〜! 候補生の分際で何という無礼っ! 今すぐその減らず口、黙らせてあげますっ!』

『だったら早く私の機体を振り切ってくださいよホラホラ〜! このままこっちのロックオンが完了したら、もう勝負が終わっちゃうんですけどぉ〜?』

『こ、このぉお〜っ! ちょっとおっぱいと背が大きいからって調子に乗ってぇえ〜っ!』

『責任転嫁はやめてくださいよぉ、教官殿がチビ過ぎるのがいけないんじゃないですかぁ〜! その上そんな肉厚たっぷりのデカケツだから、どチビのくせに私より体重が重いんじゃないですかぁ〜?』

『む、むきぃいぃい〜っ!』

 

 実力も経験も確かだが、高飛車でプライドが高いリーゼロッテ。並の教官では歯が立たないほどの才覚の持ち主であり、その実力や生い立ちもあって傲慢な振る舞いが絶えないアメリア。

 高慢かつ好戦的なこの両者が、「教官」と「教え子」という立場で鉢合わせてしまったからには、どちらが上かを決める一対一の模擬戦に発展するのは必然だったのだろう。彼女達は「負けた方がプール掃除」という条件付きで、無益な決闘を始めていたのだ。

 

「なんか……似た者同士だな、アイツら」

「いわゆる『同族嫌悪』……って言うのかも知れないね、彼女達」

 

 誰が言った言葉だろうか。「争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない」。まさにその通りの光景を目の当たりにした荒島と劉静は、互いに顔を見合わせて何とも言えない表情を浮かべている。

 

 だが、この模擬戦は今のところ、アメリア機の方が優勢になっている。リーゼロッテ機はなかなか彼女の追撃から逃げ切れず、ロックオンされるのも時間の問題となっている。

 このままアメリア機に完全にロックオンされれば、リーゼロッテの敗北が確定となってしまう。そうなればもちろん、惑星調査隊の面子は丸潰れ。リーゼロッテの教導任務も、事実上の失敗となる。

 

「……けど、彼女の実力だけは確かだよ。少なくともパイロットとしての素養は、今年の候補生達の中でも群を抜いているんだ。実戦経験が無いのにあれほどの技量と度胸……ハッキリ言って、才能だけならリーゼロッテ隊長の上を行ってる」

「……ちッ。はァァ...」

 

 安産型の白い巨尻をむっちりと強調している、赤いレオタード型の戦闘服。その強化繊維の隙間に細い指先を差し込み、桃尻の「食い込み」を直しながら、劉静は冷静沈着にアメリアの能力を分析している。そんな彼女に対し、荒島はもどかしい気持ちを拳に込めて震わせていた。

 

 確かにアメリアは天才だ。言葉遣いこそ最悪だが、生まれ持った才能や家柄に胡座をかくことなく努力して来た事実は、彼女の乗機の動きが証明している。ただの七光りが、BURKセイバー同士の空中戦でリーゼロッテを圧倒出来るはずがないのだから。

 

 だが、それはリーゼロッテも同じこと。彼女がどれほど厳しい訓練を己に課して来たか。名家の期待に応えるために、どれほど努力して来たか。それを知る荒島はジープに積まれた無線機に手を伸ばし、けたたましく吼える。彼女の本当の実力を、呼び覚ますために。

 

「……おい、リーゼロッテェッ!」

『えっ……あ、荒島さんっ!? どうしてここに……!』

「どうしたもこうしたもあるかッ! いつまでルーキーに花を持たせてやる気だ? お前にそんな謙虚な指導が似合うわけねェだろうが!」

『……!』

「名門の重みを背負って、その機体に乗ってる理由は何だ! その名に相応しいパイロットになるためなんだって、お前が自分で言ってたことだろうが! だったら思い上がってる新米に見せてやれよ、テメェの本気って奴をよォ!」

 

 荒島が吠えた叫びに瞠目するリーゼロッテは、コクピットの機内で独り、操縦桿を握る手を震わせる。それは緊張でも恐れでもなく――武者震い。

 誰よりも大切な人が、愛してやまない男が自分を見ている。激励してくれている。その喜びが、彼女の全身を熱く衝き上げていた。

 

『……ふんっ……言われなくたって、そろそろ身体が暖まって来たところなんですよっ! この私の本気、そこでよぉ〜く見ていなさいっ!』

「遅せェよ!...かましてやれ、リーゼロッテッ!」

 

 レーシングバイクのシート状になっているコクピットに、甘い熱を帯びた下腹部と鼠蹊部を擦り付けながら――リーゼロッテは勇ましい笑顔を咲かせて、顔を上げる。前のめりになった瞬間、102cmの特大ヒップがどたぷんっと弾んでいた。

 後方に突き出された安産型の爆尻に、赤いハイレグレオタードがえげつないほど食い込んで行く。その白く豊穣な桃尻が、深い食い込みによって「丸出し」になっていた。妊娠・出産に適した特大の巨尻は、彼女の幼なさに反して淫らな曲線を描いている。

 

 操縦桿を握るリーゼロッテの白い手指から焦燥の強張りが消えて行き、乗機の挙動が本来の「冴え」を取り戻して行く。先ほどまでとはまるで違うリーゼロッテ機の動きに、背後から彼女を狙っていたアメリアは冷や汗をかいていた。

 

『誰に発破掛けられてたのかは知らないけど……操縦技術は私の方が遥かに上なんだから、勝てるわけがないわっ! パパの会社でBURKセイバーの性能限界を研究して来たこの私に、あんた如きがぁあっ!』

 

 だが、彼女にもパイロットとしての意地がある。製造会社の令嬢としての矜持がある。BURKセイバーのことなら誰よりも知り尽くしている自分が、先任とはいえ歳下のパイロットに負けることなどあってはならない。

 

 その「焦り」故に操縦桿を強く握り締め、アメリアは大きく前のめりになって行く。白のレオタードを内側から押し上げる100cm以上の爆乳がシートにむにゅりと押し付けられ、安産型の白い巨尻が後方にぶるんっと突き出されていた。

 その豊かな尻肉に深く食い込み、柔肌にぴっちりと密着しているレオタード。その股間部分と鼠蹊部、そして両腋には、彼女の豊満な肉体から分泌された甘い汗がじっとりと染み込んでいる。アメリア機のBURKセイバーも最高速度に達し、縦横無尽に飛び回るリーゼロッテ機を必死に追い続けていた。

 

『ふんっ……確かにセイバーの操縦技術だけ(・・)なら、あなたに分があるのかも知れませんね。けど……実戦の世界は、それだけで決まるほど簡単じゃあないんですよっ!』

『くっ!? ま、負けるかぁあっ!』

 

 一気に加速したリーゼロッテ機が大きく宙返りを始める。そのまま後方に回り込み、アメリア機の背後を取ってロックオンするつもりなのだろう。そうはさせじとアメリア機も加速して行くが――それに伴う強烈なGが、パイロット達の全身に襲い掛かっていた。

 

『はぁあ……ぁああーっ!』

『くっ、そ……ぉおおおーっ!』

 

 どちらの肉体にも凄まじい負荷が掛かり、全身の血液が逆流するような感覚に襲われる。互いに気力を振り絞り、魂を削り合う。その苛烈な粘り合いを制したのは――リーゼロッテ機だった。

 

『くっ……あ、あぁっ……!』

 

 リーゼロッテの気力が尽きるよりも僅かに早く、アメリアが先に操縦桿を握る手を緩めてしまったのである。本当の死地を経験していない新米故の覚悟の甘さが、紙一重のところで勝敗を分けたのだ。

 その一瞬の緩みを突き、リーゼロッテ機は華麗な宙返りでアメリア機の背後に回り込む。そのままロックオンを完了させた彼女は間一髪、この模擬戦に勝利するのだった。

 

『あっ……!』

『ゲームセット……! スジは認めてあげますけど、口の利き方はなってませんねぇ? ざぁこ、ざぁこっ!』

『く、くぅう〜っ……! くやじぃい〜っ!』

 

 僅かな油断を突かれ、あっという間に背後を取られてしまったアメリアは、BURKセイバーの機内で悔しげにシートを叩いている。そんな彼女をいつもの調子で煽っているリーゼロッテだが、しとどに汗ばんだ柔肌から漂う濃厚な香りが、消耗の激しさを物語っていた。

 何しろ、エリート集団の惑星調査隊に属している自分が、稀代の天才とはいえ候補生相手の模擬戦で負けそうになっていたのだ。万一あのまま負けていたら、末代までの恥を晒すところだったのである。表面上は高慢に笑っている彼女だが、その頬はかなり引き攣っていた。

 

 そんなリーゼロッテの辛勝を見届けた荒島は緊張の糸が切れたのか、ジープの運転席にドカッと腰を落としている。彼の隣にゆっくりと腰を下ろした劉静も、白く肉感的な太腿を組み、ふっと笑みを溢していた。

 

「ふぅーっ……やれやれ、トラブルどころか危うく教え子に負けちまうところだったじゃねェか。ヒヤヒヤさせやがるぜ、全く」

「ふふっ、仕方ないさ。アメリア候補生の操縦技術はすでに、僕達にも引けを取らない域にまで達していたんだ。リーゼロッテでなければ、彼女の鼻っ柱を折ることは出来なかった。先達としての威厳を保てる実力を持った、立派な教官様じゃないか」

「ま……今回くらいは、そういうことにしておいてやるか。あの生意気そうな新米も、こうなっちまったからにはアイツのことを認めるしかないだろうしなァ」

 

 劉静の言う通り、アメリアの才覚は目を見張るものがあった。各国支部のエースパイロットを集めて編成されたBURKセイバー隊。その中でもトップクラスの実力者であるリーゼロッテを、実戦経験も無いパイロット候補生があと一歩のところまで追い詰めたのだ。

 スジが良い、などという言葉で片付けて良い次元ではない。まさしく、宇宙戦闘機に乗るために生まれて来た「天賦の才」と呼ぶべき逸材なのだ。世界各国の現役パイロット達が聞けば卒倒しかねない話だろう。

 

 何より彼女は、才能や生まれのアドバンテージに慢心することなく、己自身の弛まぬ努力でその技術を磨き上げて来たのである。他の同期達では勝負にならないのも当然であった。生まれ持った才能だけで渡り合えるほど、リーゼロッテは甘い相手ではないのだから。

 そして、そんな彼女だったからこそ、リーゼロッテも全力で彼女の挑戦を引き受けたのだろう。生い立ちに左右されることなく、ただ真っ直ぐに突き進むアメリアの姿に、己を重ねて共感していたのかも知れない。

 

 今回の模擬戦を経験したアメリアはリーゼロッテの「覚悟」を学び、より精強なパイロットに成長して行くことだろう。いつの日か、世界を救う一助にもなれるかも知れない。

 そんな未来をふと思い描いた荒島と劉静は、少々生意気だが頼もしい「後輩」が出来たのかも知れないと、微笑を向け合っていた。その時、荒島は何かを思い出したようにハッと顔を上げる。

 

「……そういやぁ、今回の模擬戦の下限高度(・・・・)はどのくらいだったんだろうな? さっき俺達の真上を通り過ぎた時も、かなりギリギリの低空だったんだが……?」

「管制塔から飛んでる怒号を見るに……どうやら2人とも、あの時に下限を下回っていたようだねぇ。と、言うことは……」

 

 基地の管制塔から響いて来る、激しい怒号。傍受した無線からその叫びを耳にしていた劉静は、苦笑しながら肩をすくめていた。

 実は2機のBURKセイバーが荒島達の頭上を通過した時、リーゼロッテもアメリアも、予め定められていた下限高度を下回っていたのである。つまりその瞬間から、2人はすでに「失格」となっていたのだ。

 

 ――そして、「負けた方はプール掃除」という取り決めに変更は無い。

 

「あんたがさっさと負けを認めないからぁあぁあ〜!」

「うるさいうるさいうるさ〜いっ!」

 

 その後。管制塔から怒号を飛ばしていた基地司令官にこってりと絞られた2人は、揃ってプール掃除のペナルティを課されてしまうのだった。が、この2人が大人しく掃除などするはずもなく、彼女達は互いに涙目になりながら罵声を浴びせ合い、ホースの水を掛け合っている。

 

 そんな2人の喧騒を耳にしながら、ジープに背中を預けて腕を組んでいる荒島は、劉静と共に掃除の終わりを待ち続けていた。

 ペナルティが終わったら近くの街に繰り出して、本場(アメリカ)のハンバーガーでも奢ってやろうという、せめてもの気遣いなのだが。夕暮れを迎えている今も、彼女達の掃除は全く終わる気配が無い。ぎゃあぎゃあと騒ぎ合うリーゼロッテとアメリアの怒鳴り合いは、プールの外にまで響き渡っていた。

 

「……まーじで、新米共に何を教えてんだよアイツはァ……」

 

 どうやら結局、最初の懸念通りの結果となってしまったらしい。くすくすと笑みを溢している劉静の隣で、ゲンナリとした表情を浮かべている荒島は、深いため息と共に黄昏の空を仰ぐのだった。

 

 ◇

 

 ――それからさらにしばらくの時間が経ち、ようやくプール掃除が終わった頃には。すでに日が沈み、辺りは暗くなり始めていた。

 

「あ〜っはっはっは! やあ〜っと終わったぁあっ!」

「これで自由だあぁあ〜っ! あはははっ!」

 

 そして掃除を終えたリーゼロッテとアメリアは、大の字に寝転んで互いに大笑いしていた。一通り散々喧嘩して、喧嘩しながら掃除もして、一周回って仲良くなったのかも知れない。

 互いの誇りを賭けたあの模擬戦は、技術面以上に得るものがあったのだろう。げらげらと屈託なく笑い合う彼女達の様子はまるで、小学生同士の青春のようであった。

 

「ったく……やァっと終わったか。ほんっと、ガキみたいな奴らだぜ」

「ふふっ。それ、君が言えたことかい?」

「うっせェ」

 

 罵倒の叫びが徐々に笑い声に変わり、最後はそれ一色に染まって行く。そんな彼女達の様子を耳にしていた荒島と劉静は、ふっと口元を緩めて笑い合っていた。

 やがてプールの方から、空腹を知らせる音がぎゅるぎゅると響き渡って来る。しかも、2人分だ。どうやら今夜のハンバーガー代は、リーゼロッテの分だけでは済みそうにないらしい――。

 

 

「てめェら少しは遠慮しやがれッ!!!早々にダウンしたリーゼロッテはともかく、他の2人は食いすぎだろうが!」

「うるさいわねイエローモンキー!さっさと次のバーガー頼みなさいよ!えびフィレオとビッグマックね!」

「荒島くん。見てくれこのハンバーガー、バカみたいなチーズとパティの量だよ!持って帰ろう!...あ、サムライマックお願いしたい。ドリンクはどうしようかな」

「........うっぷ.....アメリアが大食漢なの忘れてました....」



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シンヤドライブ(俊伯様の作品)

深夜の或る道の駅。その向かいの通りには小さな民家や小型低層マンションが少数ずつ並ぶ程度かつ背後は田園地帯となっている為に人気は無いが、駐車場用の照明と24時間営業な休憩室を兼ねた道路情報無人提供コーナーと建物の隅に併設された同じく24時間営業なコンビニおよび隣の敷地に建つ24時間営業なセルフサービス式ガソリンスタンドの灯りに照らされている御陰で多少の明るさを保っている。

その駐車場へ、初心者マークが指定位置に貼られたキャブコンこと『V670(4WD化仕様)』が荒っぽい運転で入ってくる。これまた荒げに駐車するのだが駐車用白線の枠内に綺麗に収まっている。

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「は、はぁ……やっと止まった……」

 

彩雅(助手席)

「はぁ、へぇ……ジ、静様ぁ……」

 

静(運転席)

「いやー深夜ドライブも中々いいもんだねえ。他の車が少ないから飛ばしやすいよ」

 

クーカ(テーブル付き後部座席)

「はぁ、はぁ……お、お前……免許取り立ての癖して、ぶっ飛ばしすぎだっての!ったく、後は俺が運転するから お前は他の席で、持ってきた茶でも飲んでろよ」

 

彩雅(助手席)

「いやクーカさんも駄目でしょ。数少ない対向車やパトカーの人とかに小学生が運転してるかと思われても面倒だし」

 

クーカ(テーブル付き後部座席)

「小学せ……っ!や、やかまし……うっぷ!」

 

「あれ?クーカさんが車酔いだなんて意外だなぁ。確かBURKセイバーの操縦は僕よりも激しかった筈なのに……」

 

クーカ

「自分の操縦で酔うワケねーだろ!だいたい航空機と自動車の揺れ方の違いも有れば、運転席や助手席が酔い難くて後ろ側の席ほど酔い易くなるのは……」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「まぁまぁ、そんな状態で蘊蓄を語っても余計に疲れるだろうから、後の運転は私が しますよ。静様はコッチの助手席へ御移りください」

 

静(運転席→助手席)

「あっ、うーん、日本円で1600万円もした此のキャブコンを早々に壊したくないから、僕としては複座四輪バギーよりは大人しい運転をしてるつもりなんだけどなぁ」

 

彩雅(助手席→運転席)

「さっきのアレで大人しいんですか……?でもほら、静様はここまでずーっと運転されたんmですから今回ばかりは……」

 

クーカ(テーブル付き後部座席)

「初心者マークを付けて深夜道をぶっ飛ばす高級キャブコンってのも妙な光景かもなあ……」

 

互いの席を代わる劉静(リウ・ジン)と魏彩雅(ウェイ・ツァイヤー)。

 

クーカ(テーブル付き後部座席)

「それじゃ運転がマシになるなら、俺もソッチの右向き席の方へ移るか」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「あっ、それじゃ私も」

 

クーカ(テーブル付き後部座席→右向き席)

「お前はその席!」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「えー」

 

彩雅

「あっ、そうだ静様!中国支部の爆撃機隊へ戻ってから風龍のメインパイロット席をお使いになられるのならば、その時はサブパイロット席は どうか私に」

 

「えっ、魏くんをかい?」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「そんなこと言って、本当は静様の戦闘服ごしの お尻を『特等席』から堪能しようって魂胆なんでしょ?」

 

彩雅(運転席)

「いやー、いいでしょ別に。その際の操縦とか戦闘とかも、ちゃんとこなすつもりなんだから」

 

クーカ(右向き席)

(なんだコイツら……)

 

静(助手席)

「クーカさんは、なんで僕達の深夜ドライブに参加しようと思ったんです?」

 

クーカ(テーブル付き右向き席)

「ん、ああ実はアリアから薦められたんだよ。ただ、なんか『大元の作者以外で感想を送ってくれてるのが其の人だけだから媚びといて』と、よく解らん薦められ方をしたんだが……」

 

静(助手席)

「な、なるほど……」

 

彩雅(運転席)

「それは そうと、気分転換にラジオでも聴きましょう。知ってる番組は無いので適当にですけど……」

 

静(助手席)

「ああ、それも良いね!深夜だから音は小さめにね」

 

彩雅(運転席)

「はーい」

 

クーカ(右向き席)

(車は ぶっ飛ばすクセして、そこは守るのか……)

 

車載ラジオを点ける彩雅。

 

ラジオからの男の声

『マイクテスト……』

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「えっ、マインクラフト?」

 

静(助手席)

「袁(ユェン)君『マイクテスト』だよ。でも此の声、聞き覚えが有るような……」

 

ラジオからの男の声

『……ゴモラ。異論は認めない』

 

ラジオからの女の声

『防衛隊員だよね?怪獣かっこいいとか言って大丈夫?』

 

クーカ(右向き席)

「!?……女の声も、しかも防衛隊員って、まさか……」

 

ラジオからの男の声

『……名前名乗れ』

 

ラジオからの女の声

『アルマ・フィオリーニと申します』

 

クーカ(右向き席)

「やっぱり……!」

 

ラジオからの男の声

『荒島真己と申します』

 

静(助手席)

「はぁっ!?」

 

彩雅(運転席)

「あっ!もしかしてBURKの広報部が企画してるって噂の短時間深夜ラジオなんじゃ……!」

 

静(助手席)

「あっ、あーアレかぁ……」

 

クーカ(右向き席)

「まさかアレを本当に やるとは……」

 

ラジオの男の声あらため荒島

『……日曜日に更新できなかった時の詫び替わりに投稿する、荒島とアルマがパーソナリティを勤める短時間深夜ラジオです』

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「へー……詫び替わり……そのうち状況が変わってソレすら形骸化していったりして」

 

静(助手席)

「ま、まあ、そうなった時は継続不能となった事を公に認めつつ其の理由をきちんと述べて、今後の放送形態とかをどうするのかを告知をするなりした方が、ダンマリ状態をズルズル続けるよりは視聴者からの印象も良くなるだろうね」

 

荒島

『……更新ってなんだよ』

 

ラジオからの女の声あらためアルマ

『あ、スタッフさんから そこ追及ダメって出てる』

 

彩雅(運転席)

「あー、リュージュさんがクーカさんに今回のドライブへの参加の薦める時に言ったっていうアレも、その追及ダメなヤツと似たような理由だったりして……」

 

クーカ(右向き席)

「んな、まさか……いや、有り得なくもないか?」

 

アルマ

『私と荒島さん割と話すこと少ないからじゃないかな...劉静がいないとそんなじゃない?』

 

彩雅(運転席)

「ん?最後の辺りが聞き取りにくかったけど、でも……」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「なんか引っ掛かる内容が聞こえたような……」

 

静(助手席)

「まあまあまあまあ!正確に聞き取り損ねた箇所は、もう仕方ないだろうから、なるべく静かに続きを聞こうじゃないか」

 

彩雅(運転席)

「んー、まあ、そうですねえ……」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「うーん……」

 

クーカ(右向き席)

(誤魔化しやがって……悪運の良い奴め……ん)(ウトウト)

 

荒島

『マジでゴモラだったらいくらでも語れるわ』

 

アルマ

『好きだよねゴモラ。リーゼロッテ隊長から聞いたんだけど部屋にゴモラのポスター貼ってるんだって?』

 

荒島

『いわゆる推しよ。いっちゃん最初のウルトラマンと戦ったタイプのゴモラ。これ話したら余裕で1時間超えるわ』

 

彩雅(運転席)

「いや、どんだけなの……」

 

静(助手席)

「あはは……初代ゴモラの被害で亡くなった人の遺族からクレームが来ないか少し心配かもね」(苦笑)

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「大坂城で、有人状態だった筈の61戦車が蹴飛ばされたりとかしてましたしねえ……あっ、そうだ。皆は何か好きな怪獣とか無いの?」

 

静(助手席)

「えっ?うーん、好きというか愛用してる怪獣なんだけど僕なら『ペガ星人』かな」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「あー、あのネットで画像検索や動画検索とかした際に『ペガッサ星人ペガ』の方が割と優先的に出がちになってる所為で、ペガって固有名のペガッサ星人の事を存在そのものが検索妨害だと思ってそうだなって一部で言われてるっていう」

 

彩雅(運転席)

「でも愛用と言いますと?」

 

静(助手席)

「ああ、それはね……日本の大手ゲーム会社のナムコンがBURKの全面協力の元で制作したっていう『ウルトラ×モンスターズ ドリームスーパーバトル』っていう格闘ゲームが有るだろ。僕は其れをプレイする時には殆ど必ずペガ星人を使うようにしてるんだけど……ちょっと待ってね」

 

静が自身のスマホを取り出して、3D格闘ゲームの動画を表示する。

 

静(助手席)

「ほら、こんな感じのだよ」

 

彩雅(運転席)

「へー、ペガ星との気圧差で地球上だと体が水揚げされた深海魚みたいに膨らんじゃうから宇宙船内から出られない、面白いキャラですね」

 

静(助手席)

「ああ、このあくまでも自身が乗っている宇宙船それも円盤龍ナースとかとは違って本来は怪獣枠たりえない物で戦うという独特感とか、なんとかして宇宙船内から動かぬまま目的を達しようとする黒幕たらざるをえない感、そして画面外のヒロタって人への他力本願な割合が少なくない感じとかを僕は気に入っているんだ」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「なるほどぉ……あっ、実は私も、あのゲームでは『魔神怪獣コダイゴン』を愛用してますねー」

 

静(助手席)

「ほお、なかなか渋いのだね」

 

彩雅(運転席)

「あー、そう言えば蘭玲さん、調金でアクセサリーを作ったり、プラスチックから美少女フィギュアを自作するのが趣味な筈だけど、それでしょ」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「うん、元・人形って所が気に入ってるのー」

 

静(助手席)

「ふふっ、ある意味で袁くんらしいよ。ああ、魏くんは何か好きな怪獣は無いのかい?」

 

彩雅(運転席)

「んー、私はー……どっちかというとウルトラ戦士枠なんだろうけど……」

 

彩雅も自身のスマホを取り出して、静たちに視せるべく動画を表示するが、カーミラの両乳房と尻肉が超大幅に誇張されて、激しく動く度にそれらがプルプル揺れている。

 

彩雅(運転席)

「この愛憎戦士『カーミラ』ってのを常に使ってますね」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「あっ、これ絶対に お尻で選んだでしょ」

 

彩雅(運転席)

「あ、やっぱ解る?ウルトラ戦士は男性ウルトラマンも概ね良い お尻してるから好みなんだけど、やっぱ女性ウルトラマンだった方が お尻の肉感が解りやすくて、そそるんだけど……(以下略」

 

静(助手席)

「ま、まあ其れも魏くんらしくて良いんじゃないか」(冷や汗)

 

彩雅(テーブル付き後部座席)

「えー」

 

静(助手席)

「あっ、そうだクーカさんは何か好きな怪獣は……」

 

クーカ(右向き席)

「くー、かー……くー、かー」

 

静(助手席)

「あっ、寝てるよ」

 

彩雅(運転席)

「ホントだ。さっきから会話に入って来てないなと思ったら……」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「クーカさんが、くーかーくーかー寝息をたてちゃって……」

 

彩雅(運転席)

「たぶん、さっきの静様の運転に晒され続けた所為で疲れちゃったんですよ」

 

静(助手席)

「えー、そうかなー」

 

彩雅(運転席)

「きっとそうですよー。歳くうと疲れやすくなるそうですし」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「ツァイやん、そんなロリババァなんて言うとクーカさんもガチで気を悪くするよ」

 

彩雅(運転席)

「いや、そこまでは言ってない」

 

静(助手席)

「んー、走行中にベッドへ寝転ばすと急停止とかの時に却って体が跳ねすぎるかもしれなくて危険だから、その席のままにしておこうか」

 

彩雅(運転席)

(やっぱ、車の運転は荒くても其処の安全面は配慮するんだ……)

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「ああ、それなら安全性が更に高い筈な、こっちの後部座席の方へ運んで……」

 

彩雅(運転席)

「いやアナタ、クーカさんが隣で寝てる隙に髭でも書こうって魂胆でしょー?」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「バレたか。あっ例のラジオ番組、話してる間に終わっちゃったみたい」

 

静(助手席)

「本当だ、別の番組になってる。意外と放送時間が短いんだなあ……ところで折角、日本の道の駅にしては珍しく併設コンビニが24時間営業の所に停まったんだから、そこで何か買って夜食とでもいかないかい?」

 

彩雅(運転席)

「あっ、いいですね、それ!」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「じゃあ私が買ってきますんで、なに食べます?」

 

静(助手席)

「じゃあ僕は黒豚饅と、フルーツ乗せ杏仁豆腐と、ペットボトルのジャスミンティーを」

 

彩雅(運転席)

「あっ、私はチャーシュー饅と、後2つは静様と同じので」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「了かーい。あっ、ところでクーカさんは何を『喰ーか』解ります?」

 

静(助手席)

「えっ、寝てるからクーカさんの分は無くても良いんじゃないのかい?」

 

彩雅(運転席)

「うん私も、くーかーくーかー寝てる人を起こしてまで買わなくても いいと思う」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席)

「うん解った。じゃあ、くーかーくーかー寝てるクーカさんが何を喰ーか は気にせず買ってこないって事で」

 

静(助手席)

「いや君達、いつの間にそんな日本語での駄洒落みたいなのを覚えたんだい?」

 

蘭玲(テーブル付き後部座席→起立)

「いやまあ色々ありまして……それじゃ買いに行ってきますんで二人とも後で お金かえしてくださいねー」

 

彩雅(運転席)

「うん、わかったー」

 

静(助手席)

「ああ、ちゃんと返すからレシートを捨てないようにね」

 

蘭玲

「はーい。じゃ、行ってきますねー。ん……ぽいぽいちゅっ、ちょっと待ってねー♪」

 

小声で歌いながら車外へと出て行く蘭玲。

 

静(助手席)

「にしても袁君は何かの作業で待ってもらう時に、あの自作らしき歌をよく口ずさむね、魏くん」

 

彩雅(運転席)

「ええ。何かの切っ掛けが有ってハマったんですよ、きっと」

 

クーカ(右向き席)

「くー、かー……」

 

(終)




『袁蘭玲(ユェン・ランレイ)』
 BURK中国支部爆撃機隊に所属する女性隊員であり「劉静さまファンクラブ会員」の一人でもある。
曹白牌や夏侯純と違ってムッツリしておらず自身の欲望や性癖を隠そうとしてない。当然レズっ気満載。ぶりっ子っぽい。気に入った女性に自身の臍を舐めさせたがるので、それで付いた渾名が「妖怪『臍舐めさせたがり』」。
調金でアクセサリーや自身の性癖が多大に含まれた美少女フィギュアを作るのが趣味。魏彩雅(ウェイ・ツァイヤー)の事は「ツァイやん」と呼ぶ。

『魏彩雅(ウェイ・ツァイヤー)』
 BURK中国支部爆撃機隊に所属する女性隊員であり「劉静さまファンクラブ会員」の一人でもある。
清楚な御姉さん然としているが実際には相当な尻フェチ。しかも同じく尻フェチである曹白牌や夏侯純と違ってムッツリしておらずに自身の性癖を得に隠そうとしていない。彼女も当然ながらレズ系あるいは両刀系。


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ツヅ・キモノ
ゴア・イサツ(前編)


今回はリーゼロッテの苗字が出ます(今更)


 

【挿絵表示】

 

 

 

「さみィなここは...」

「情けない人ですねぇ」

「もこもこだったお前に言われたくねーわ」

「ははは、すまないヴァルトシュタインくん、ユスティーナくん。君たちの帰省に我々も乗っかってしまって」

「構いませんよ、叶先生。荒島だけでは少々心もとない所でした」

 

日本から飛行機でおよそ14時間。

荒島が運転するレンタカーに同乗する叶、リーゼロッテ、ヴィルヘルミーナの3人は、リーゼロッテの実家へと向かっていた。

 

「なんだこの18歳...俺様に喧嘩でも売ろうってのかァ?」

「ステイ、荒島くん」

「ワンッ」

「見ろリーゼロッテ。あれがかわいそうな大人だ」

「犬の鳴き真似がお上手ですねぇ...」

「クゥーン...」

 

そんな漫才じみたやり取りの後、荒島が問いを投げかける。

 

「あれ、でも俺がなんでドイツまで?叶先生の手伝いって訳でもないですよね?俺聞いてないし、私用って言ってましたよね」

「そうだね、僕がドイツに行くのは昔からの友人に会いに行くからだよ。その友人の住居が、ヴァルトシュタインくん達の実家と近い所にあると言うから、同乗させてもらったんだ」

 

あの時は若かったなぁ、と1人思いにふける叶を横目に、リーゼロッテが口を出す。

 

「あぁ、荒島さんがドイツに行くのは私がお父様に荒島さんの事を手紙に描いたからですね」

「何してくれてんだお前」

「普段の日常を半月ごとに書いて送っていたら、"ぜひその青年に会わせてほしい"と」

「で、オッケーしちゃったの?」

「はい」

「俺を通せよ。俺を。そういうのは普通本人に確認取るんだよ」

「荒島さんならまぁ許してくれるかなーって。静さんも結構こき使ってるじゃないですか」

「あの花茶ジャンキーが...」

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー

 

「行きたくねェ〜...!!!!!!!」

「ほらヴィルヘルミーナ、足持ってください」

「合点」

「マジでごめん!行くから!行くからそれで運ぼうとすんな!身長差考えろ!!」

 

叶と別れた後の、リーゼロッテの実家前。

手首と足首を持って運ばれようとする荒島を雪の上に放り投げ、リーゼロッテがガンガン、とドアについているドアノッカーを鳴らす。

荒島の目には、単なる大きめの一般的な家屋にしか見えない。

想像とは違ったな、と1人思っている時に、ガチャ、と扉を開けて出てきたのは、リーゼロッテよりも背が高い少年少女だった。

 

『あっ、お姉ちゃんだ』『久しぶりー』

『また背伸びた?お母様とお父様は?』

『大きい方の家でお客様とお話してるよ』『あ、ヴィルちゃんだ』

『まだ2人続けての喋り方が抜けていないんだな、全く...』

 

2人とは離れているかつ、ドイツ語で楽しそうに話しているために中々手持ち無沙汰な荒島。

 

「....」

 

雪だるまや雪像を作っている。

 

『...あっ忘れてた、荒島さーん!うわっ」

「...おう...どうした...」

「なんだその雪だるまは...」

「いや...久しぶりの会話邪魔しちゃ悪ィかと思ってよ...暇だったし...」

 

そう言った荒島は、スコップでゴモラの雪像を作る手を止めて、リーゼロッテ達の元に歩いていく。

 

『誰?』『誰ー?』

『この人は、えーと...荒島さん自己紹介」

『俺は荒島真己。お前らの姉ちゃんと同じ場所で働いてるお兄さんだ。好きな怪獣はゴモラ。よろしく』

「えっすご...荒島さんドイツ語できたんですね」

「な訳。挨拶と自己紹介とあと簡単な意思疎通の単語覚えてきただけだ」

 

リーゼロッテの弟妹は、2人で顔を見合わせてヒソヒソと話す。

 

『『ごうかーく』』

「んん?」

 

2人は荒島の両手を掴むと、玄関まで引っ張ろうとする。

 

「あ、待てコラ!靴脱がせろ、ちょっと」

「あはは、随分気に入られましたねぇ荒島さん」

「私は私の家にも行ってくる。また後でな、リーゼ」

「リーゼロッテ、なんなんだこいつらは!?」

「騒がなくっても大丈夫ですよー、ただ懐かれてるだけなので!さぁ、暖かいスープでも飲みましょうか。荒島さんはアイスでいいですね?」

「いい訳ねェだろ!レモンティーよこせ!」



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ゴア・イサツ(中編)

詫びが出来ねぇ...なんも出てこねぇ...


『お邪魔しますー』

 

不格好なドイツ語が少し響く。

 

「荒島さん、今は私たちの両親はいないのでいりませんよ?」

「いいんだよ別に...人んちなんだから落ち着かねーんだ」

 

中は広々としたつくりになっており、弟妹たちがいたからなのか、薪ストーブで部屋は温められていた。

 

「おぉ...すげー過ごしやすそうだな。広いし」

「ドイツの一軒家は多分、みんなこんな感じだと思いますよ?」

「マジかよ。すげーなドイツ」

 

『荷物は』『こっちだよ』

 

リーゼロッテの弟妹が、荒島に向けて声をかける。

 

「...なんて?」

「荷物はこっちの部屋に置いてください、って言ってます」

「あぁなるほど...」

 

ーーーーー

ーーー

 

「部屋に荷物置いてきたぞ。メシでも作るか?」

「ちょうどお昼どきですね。叶先生はどうされるんでしょう」

「向こうで食うそうだ。寝るのもご友人の家らしい」

「へぇ!随分仲がよろしいようですね」

 

キッチンに向かいながらそんなことを話していると、玄関先から扉が開く音がする。

 

「あァ?誰だ?」

『お父様』『お母様かなー』

「お出迎えに行くので、荒島さんもついてきてください」

「あいよ」

 

リーゼロッテと共に玄関に出る荒島。

そこにいたリーゼロッテの父は、一言で言えば「かわいいおじさん」であった。

荒島よりも頭2つぶんほど低い身長。くりくりとした瞳に丸い鼻。鼻の下にはカイゼルひげを蓄え、卵のような小太りの体型。

しかし、そのようなマスコットじみた外見であっても、その立ち振る舞いには高潔さが溢れていた。

 

「キミが、アラシマ、くんかね?」

「は、はい。ご息女にはいつもお世話になっております」

「ククク、そうかネ。リーゼロッテにか...手紙には、随分と君のことを信用しているような事が書かれていた。どうやらそれは、間違いでは無いようだね」

「お父様?」

「おっと、これ以上は怒られてしまうネ。ついてきたまえアラシマくん。あとでアルバムを見せてあげよう」

 

はっはっは、と笑いながら、父親は家へと入る。

 

「....お、おっかねぇ...」

「お父様、雰囲気はとっても怖いんですよねぇ。人柄とか見た目はいいひとなんですけど」

「いやまぁ、悪い人ではないのはわかってんだけどよ。...いかんせん慣れねぇんだよなぁ…」

「あれ、お父様に会ったことが?」

「あー、大学行ってる時にちょっとな。つってもこっちが見かけただけだし、人違いかもしれん」

 

そんな事を話しつつ、再び家の中に入る2人。

そして。

 

「今日はリーゼロッテがお友達を連れ帰ってきたから、ちょっと張り切っちゃったわ。貴方いっぱい食べそうだから、好きに食べてね?」

「は、はァ…申し訳ない、自分も手伝ったんですが」

『お客様だから』『気にしないでー』

 

リーゼロッテの母と弟妹が瞬く間に作った晩御飯を前に、荒島は手を合わせる。

 

「じゃあ、いただきます」

「遠慮なく食べてくれたまえ。私の妻の料理は絶品だからね。あつっ」

「お父様、だから一旦冷ましてから食べてください」




後で活動報告にネタ募集の項目でも載せときますね...お気に入り登録お願いします...


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ゴア・イサツ(後編)

「いやぁアラシマくん君は飲めるなぁ!どうだいもう一杯!」

「いえいえそちらこそォ!」

「あなたうふふ飲みすぎですわようふふふふふ」

「お母様も酔いすぎですよぉ!ヴィルヘルミーナお水持ってきてください!」

「わ、わかった。おば様ほら、お水ですよ」

 

食後。

夕食に舌鼓を打った後に皿洗いを済ませた荒島は、リーゼロッテの父に晩酌に誘われ、両親と一緒に飲んでいる所だった。

 

「リーゼロッテが君のような青年を連れてくるとは思っても見なかった!どうだい、娘は!」

「こっちの方でもよく部下をまとめてますよ。セイバー隊の人間からも信頼されてるようで」

「そうかそうかぁ...いやネ、実を言えば、少しだけ心配だったんだよ」

「はァ...一体何を?よくできた娘さんでしょう」

 

父親は自分の手元と、壁の写真に目を向け、ぽつりぽつりと語る。

 

「...うちはそもそも、軍隊に所属する事はあっても、戦いに出ることは少なかったんだ」

「?それは、どういう事ですか」

「軍楽隊を知っているかネ。国王陛下や、君たちの天皇陛下の御前で演奏を行う軍の音楽隊。本来、ヴァルトシュタインはその軍楽隊を排出する事に特化した...と言うと過言かもしれないが、まぁ、それが多い家だったのだ」

「...はァ、本当ですか」

「そうだとも。現に私と私の妻は同じ軍楽隊であったし、家系図等でも軍楽隊の方が多い。娘息子たちも、あの年齢からすれば異様とも言える楽器の腕前だ。...リーゼロッテを除けば、だがネ」

 

再び目をふせる父親。

 

「あの子は、楽器も、歌も歌えない、弾けないらしいんだよ」

「...えェ?」

「いや、君がそんな反応をするのはわかる。かなり珍しい部類の症状らしくてネ。実際生活には影響はないんだが」

「...大丈夫だったんですか?かなり真面目でしょう、リーゼロッテは」

「最初のうちはかわいそうなくらい落ち込んでいたんだが...1週間程で持ち直してネ。妻が言うには、『それなら戦闘機に乗って演奏する所を守ります』と言いだして...それで今だ」

「随分急ですね!?」

「そうだろう?...だが、安心した事も事実なんだ。...あんなリーゼロッテは、もう見たくはない」

 

そう話した丸い顔は、父親としての優しさと、少しの不安がわかる表情が浮かんでいた。

 

「...そうだ、アラシマ君。もしよかったら、君が娘を____「やっとお母様寝かしましたぁあ!」「ァ....ァ....」

 

ヴィルヘルミーナを引きずり、居間に入ってくるのはリーゼロッテ。ヘアゴムを取られ、長い金髪が下ろされている。

 

「おォ...随分と苦労したみたいだなァ」

「もぉぉぉぉなんで荒島さんかお父様手伝ってくれないんですかぁ!?聞こえませんでしたぁ!?」

「いや、最近壁を防音素材にしたから...」

「...そうでした...手紙にありましたもんね...忘れてました...ヴィルヘルミーナ...哀れな犠牲....」

「か...勝手に殺すな...」

 

 

 

「いやしかし、君はとても子供っぽい青年だと聞いていたが、まさか庭にあんな雪像ができるとは!」

「その節はすみません...」

「ははは、いやいや。何も怒っている訳ではないさ。最初こそ驚いたが、見れば中々よくできてる。君は彫刻もやるのかい?」

「荒島さんは大体のことはよくできますよねぇ?着ぐるみ作れますしバスも運転できますし」

「なんなら開発と整備もしていたような気もするが」

「あー、雪像とかバス運転はバイトと趣味ですかね。叶先生がその、金を出してくれたんで。開発と整備はただの叶先生とか整備士の補助だ」

 

叶の名前を聞いた時、父親の眉がぴくりと動いた。

 

「うん?叶先生と知り合いなのかい?」

「知り合い、というか...義理の息子で。おr..私の事を引き取ってくださったんです」

 

父親はそれを聞くと顎に手を当てて考え込むと、突然立ち上がり書斎(らしき方向)に駆け込む。しばらく待つと、1つのファイルを持って戻ってきた。

 

「それは?」

「私もよくはわからないんだが...どうやら叶先生に届けて欲しいそうだ。郵送だと問題があるようだから、必ず手渡しで渡してくれ...と」

 

そのファイルのタイトルには、こう書かれていた。

 

"第三細菌 デックアールブについての考察と実験"

 

「.....デック...アールブ...?」

 

 

 

 




やっと!!!!!!やっと名前出せた!!!!!!!!!!!!

以下ゴア・イサツ編に出た設定解説

前編
ヴァルトシュタイン家=ドイツ語では"森の石"という意味の名前。反対にすれば石ノ森。これが仮面ライダーだったら重要ワードだった。この姓で有名な人はベートーヴェンのパトロン、フェルディナント・フォン・ヴァルトシュタイン。ぶっちゃけ軍学隊の家にしようと思ったのはこの人いたから。

叶の友人=叶と同年代かちょっと上くらいの女性。見た目イメージは特に決めてない。強いて言うならかっこいい系?叶の初恋がこの人だったらいいなって。叶と様々な事について意見を戦わせ合った。

花茶ジャンキー=中国出身宝塚女優の劉静。荒島に突発的に花茶の押し売りと布教をする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
中編
リーゼロッテの父=軍楽隊の隊長。現在は引退し、楽器店経営。前編では仕事の為の話し合いをしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

後編
デックアールブ=今作のメインヴィラン。というかラスボス。


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フネデヨ・ヅリ 1(俊伯様の作品)

薄らとした月明かりが反射して闇に浮かぶ夜の海……』

『その中に不夜城の如く浮かぶ機帆走スーパーヨット……』

『明るい昼間に見ると青く美しい海も…

夜に、それも陸地から遠い沖から見ると暗く不気味である』

『スーパーヨットの灯りの美しさを際立てる独特な魅力を有していると共に、美しい自然も時として人間に牙を剥く』

『この暗い水底にも、人類文明を破壊しうる巨大怪獣を時に育む程の様々な環境が備わっています…』

『我々は、かつて深い闇に覆われた海の底から海上や地上へと現れ、人類へ災厄の一端をもたらした怪獣の同族を調査すべく、この海域まで やってきました。このライトアップされた船の ずっと下にも、時に殺人魚いや破壊魚へと化しうる怪獣候補生が潜んでいるのでは ないでしょうか?』

紺色の短髪と金の瞳をしたボーイッシュな顔立ち、それに反した大きなバストとヒップを持つ長身な女性__彼女こそが我がBURK中国支部爆撃機隊女性陣において『男役』とか『王子様』と呼ばれる劉静(リウ・ジン)隊員……アタシを含めた彼女のファンクラブ会員は「静(ジン)様」と呼んでいる。

その静様が小型艇に備えられた座面に腰掛けて、ボイスレコーダーを口元に構えて収録予定の台詞を口にした。

ああ、それにしても船の灯りに照らされて、静様の御尊顔とたわわに実った御乳が闇夜に浮かびあがり、ミステリアスな魅力が一段と麗しく……

「ま、調査とか対決つっても単なる『夜釣り』なんだけどな」

静様の美貌に見とれていたのをぶち壊しにするようにかけられる若い男の声。日本の小面とかいう能面の如く凹凸の少ない白い顔と頭を含めて真っ白な全身の所々に火傷のような大きな黒いシミが付いた人間体形な異星人……の着ぐるみからだ。

「ちょっ、荒島さーん……静様が折角いい感じに決めてくれたんだから、茶々入れないでください!今、収録中なんですよね!」

「はははっ、さっきの荒島君と夏侯(シャホウ)君の声も入ってしまったろうけど、僕が言い終えた後だったから被ってないだろうし、上手くカットしてくれるだろうね」

アタシが異星人の着ぐるみ男に文句を言うと、静様は笑顔でフォローを入れる。こういう所も静様の魅力なんだろうけど、ちょっと優しすぎ……?いや静様だって厳しい時も有るには有るんだけど、こういう時は行き過ぎなんじゃないかという感じがしなくもない。

「はぁー……曹(ツァオ)ー、撮れてるー?」

「んー大丈夫。色んなアングルから船を撮れたし、もう戻っても良いんじゃない?」

なんだかんだで静様が言うフォロー内容も正しいという事もあって、アタシは溜息をついた後、

今回の動画撮影に当たってBURK宣伝部から支給されたキャスター付き三脚ビデオカメラでこの小型艇の母船である機帆走スーパーヨットを映していた、BURK中国支部爆撃機隊に属するアタシの同期、曹白牌(ツァオ・パイパイ)へと声をかけると、当の彼女がコッチを振り返りながら返事を返す。

「そっかそっか。じゃ戻るか……あっ、一応、戻るまでの間も撮っといて。後で『だんだん船がアップになっていく映像も欲しかった』とか言われるかもだし」

「了解了解」

そうしてアタシ達はこの小型艇の操船の為に乗船してきてもらっていた母船員に頼んで、この艇をスーパーヨットまで戻してもらった。

そのスーパーヨットは、船首が昔のラム(衝角)のように突きでているが故に、古代の地中海で使われていたような軍船...を想起させなくもない外観や構造をしている。今は各部の照明を点けてライトアップされてるから、さっき静様が収録したナレーションの台詞にも有ったように、まさに夜闇に浮かぶ小さな不夜城の如き様相を醸し出している。

「そう言えば、船を外から撮影するだけならカメラマン担当にされた私だけで良かったのに、なんで夏侯や静様……あと荒島さんまで付いてきたの?」

「そりゃアタシは一応、現場監督担当にされちゃってるから撮影状況を把握できる場所まで付いていかないとまずいでしょ。静様は『本来、美しい船は外から見てこそさ』っていう大昔の映画みたいな台詞を仰って付いてこられて、荒島さんは『んじゃ俺も外から拝んどくか』って付いてきたんだよ」

 

「あっ、なるほどー」

「静様には折角だから広報動画冒頭で使うっていうナレーションの収録もしてもらっておいたってワケ」

曹から挙げられた疑問にアタシが似てないモノマネをしながら説明した。荒島さんのは特に。まあ、夜闇の中に美しく浮かび上がるスーパーヨットは確かにアタシも正直に言って見ていて悪くない気持ちにさせられたので、二人の気持ちも解らないでもないのだが。

「まあ、ぶっちゃけコレで良かったんじゃね?アタシも曹も出払ったら荒島さんめが静様とスーパーヨットで二人っきりになっちゃうだろうし」

「えっ!?いやスーパーヨットの正規船員だって何名も居るんだから、なにも二人っきりって事には……」

「そうだけど、共用部でも船客用ラウンジや船尾デッキテラスには船員は あまり来ないだろうから、実質2人きりになりやすそうでしょうよ」

「た、確かに……やっぱ二人とも付いてきててほんと良かった……」

アタシは静様と荒島さんには聞こえないように曹との会話を続けた。

アタシや曹を含めて静様ファンクラブには、静様が割と目付きが悪くて粗野そうな男である荒島さんと多く交流する事を内心で あまり快く思っていない子が決して少なくはない。それなのにも関わらず、ファンの子達が今は全く過激化しないのは静様が楽しそうで面白そうにしているからあくまでも、あくまでも静様の為なんだと何とか割り切るようにしている他、当の荒島はドイツ支部のリーゼロッテ隊長代行との付き合いの方がメインであって静様とはラブじゃないライク止まりな友人関係でしかなく、静様も そういう感じでの付き合いに留まっているらしいので一線をこえる事は無さそうだという安心点からなのだ。

ただ、静様は荒島さんをからかう事に味をしめたのか、以前にはプールにて荒島さんへ誘惑っぽい台詞と態度をなされたと聞くし、いつか何かの拍子……例えば互いに酒が入った状態等で一線を越えてしまう可能性も皆無とは言い切れない。静様にも出来れば少し控えてもらいた………いや、待てよ。

以前に静様はファンクラブの子をけしかけて荒島さんへのドッキリ企画を仕掛けた事が有った筈。実は静様も自身のファン達が荒島へ どういう感情を抱いているのか薄々ながらも勘付いていて、それを逆手に取って御自身が御楽しみになられる為に最初から計算づくで利用している可能性も……そう言えば静様は『程々に黒幕でいられる方が性に合っている』と公言なされる等、お腹が割と黒い所や其れをあまり隠そうとしない所も御有りだから、有り得なくもない。地味に恐ろしいかな……。

ソレはともかく。アタシ達が乗った小型艇がスーパーヨットに着くと共に、それの船尾両舷に設けられている格納庫扉から小型艇もろとも船内へ入ったアタシ達は釣りの撮影の準備を進めた。この船の格納庫扉は開放状態であれば、そのままスイムプラットフォーム(水面近い高さに張り出して水面からの出入りを容易にした部分)となるので、そこが今回の広報動画の主要撮影場所となるワケだ。

「っかし今更だけどよ、広報動画の為に指名とくじで決まったヤツと先着志願者の四人だけで撮影スタッフまで兼ねて、船で夜釣りしつつ釣った生き物の解説までする動画を撮って来い、なんて上も割と無茶 言うよなァ」

「まあまあ、いいじゃないか荒島君。こうして本来なら欧米や中東のセレブしか乗れないようなスーパーヨットに乗れる上、ゆったりと寛げもする副産物が付いてくるんだから。それに今回の企画動画の着想元だっていう番組が大昔のドキュメンタリー番組じゃなくて、水曜どうでしょうだったらどうするつもりだい?港で寝釣りでもする気かい?」

「まあなァ……」

白い異星人の着ぐるみ男がマスク部分を外すと、オールバックにした黒髪と、サメのようなギザ歯。そして悪魔のように目付きの悪い男の顔が露わになる。彼こそが当の『荒島さん』こと荒島真己だ。

 

静様が選出された『惑星調査隊』における同僚であり、静様の出向先たる日本支部にて彼女の心を__弄り対象へのライク止まりの好奇心故らしいと言え__ある意味では掴んでやまない、我がBURK中国支部爆撃機隊を中核とする『劉静様ファンクラブ』にとって小憎たらしい存在でもある。

 

上層部から今回の企画動画撮影に当たって支給された大型深海魚用の高耐荷重な電動リールの釣り竿を用意しながらその荒島さんと会話を続けていたのだけど、

今回の企画動画の着想元となったドキュメンタリーというのは数十年前に放送されていたという、生物学者であり釣り人でもある番組ホストが世界各地の川や湖や河口を探検し、目撃者や、実際にソレらによって襲われた被害者などの話を元に、その背後に潜む生き物の謎に迫った末に釣り上げて、その釣った生き物の生態などを解説した後にリリースする……という、ややサスペンス調となった番組の事だ。

 

上層部および広報部の意向で、その番組を着想元としてBURK隊員が水棲怪獣の幼体を釣って解説し同じくBURK隊員がそれを撮影する、という広報動画の企画が立ち上がった。

それで趣味と実益の為に生物学を習得しているという荒島さんに釣り役としての指名が掛かり、

釣り役が後もう一人は居た方が良いという広報部の意向により人事部にてくじ引きが行われた結果、もう一人の釣り役に静様が決まって、

現場での監督相当役とカメラマン担当役をそれぞれ先着志願で計2名を決めると聞いたアタシと曹が、静様を荒島さんに独占させてなるものか、というか静様がアイツと殆ど二人っきりで割と良い雰囲気になり易そうな船旅は許すまじと大急ぎで志願した……というのが、アタシを含めた此の4人を撮影メンバーとしてスーパーヨットに乗ってここまで来た経緯となる。

アタシは、釣られた大物魚を掬い上げる為の網の配置準備を進めながら、釣りの準備を進めながら話す静様と荒島さんの会話へ横耳を傾けた。

「いや、そりゃそうなんだけどよ。なんで単なる釣り船じゃなくて、こんな全長100メートル越えのデカいスーパーヨットなんて用意してくれたんだァ?しかも今時、本格的な帆まで付いてるようなモンで」

「んー、無茶な命令に従う僕達をそのまま労って不満が出ないようにするって意図もあるかもしれないけど。海洋性の巨大怪獣が近くを通っても襲われにくいようにする為なんじゃないかな?機帆走なのを選んだのは、万が一にエンジンが故障しても帆をコンピューター制御から人力操帆に切り替えて帆走のみでも帰投できるようにってトコかも」

「なるほどなー……ま確かに異星人とかに操られている場合とかを除けば、動物ってのは1匹だけじゃ自分よりもでかくてすばしっこい物襲わねェもんな。なるべくデカい船の方が いいってのは正解かもな……、俺だって海に出るなら、コレみたいなスーパーヨットの方がいい」

「うん、そういう事なんだろうね。ああ、たぶん上が夜釣りに拘ったのは、ビル街とかも昼間に見るよりも夜景として見た方が綺麗に思えるのと同じ感覚で、夜にライトアップされた姿の方が綺麗で視聴者の気を引きやすいと踏んだからじゃないかな?実際に僕も、昼間の乗船時に見た時よりも、さっき小型艇で外から見た時のライトアップ姿の方が美しく思えたし」

「ハッ、それだけならいいけどなァ。大方向こうの想定してんのは『防衛隊の中性的美女』推しなんじゃねェの?」

「あぁあぁ、それも有り得るかもね。それにしても、君が僕にそんな事を思っていたとは...部屋の鍵は開けておくかい?」

「あァ!?いきなり下をぶっ込んでくんじゃねェびっくりするわ!!」

「あははっ、今のを下ネタだと思うなんて随分と君もウブなんだねぇ」

概ね荒島さんの疑問に静様が答える形で、共に釣りの準備を進めながら二人は会話を続けてたんだけど、話が進んでいく内に内容が少し痴話__互いの感情はライク止まりである筈だから少し違うのかもだけど__じみてきた。静様が楽しそうにしておられるとは いえ、それを目の前で やられるのは、静様を中性的可愛さすら少なめな男に独り占めされるみたいでなんか面白くなかったので、少し水をさしておく。

「あー、お二人とも!乗船前にも言われていた筈ですけど、上からは着想元のドキュメンタリー番組と同じく、ニュアンスを踏襲するのも兼ねて、釣った生き物の生態とかを解説した後で必ず!リリースするように言われています!いいですか、ちゃんと曹のカメラが回ってる時にリリースして下さいね!」

少し水を差すという目的に則って、静様と荒島さんの意識が向きやすいように、笑顔を作りつつも一部の語気を強めてアタシは二人に話した。

「了解。まァ確かに、ちゃんとリリースしてる事がわかんねェと上がうるせぇかもだしな」

「ああ、でも今回の釣りで狙うよう上から言われたのは確かアンゴーラス...とかいう怪獣の幼体だそうだ。確かアレは昔、釣り上げられた幼体を内陸へ連れ去って飼育したせいで、それを取り返しに深海から上がってきた怪獣サイズの親魚によって沿岸部限定とは いえ其れなりの被害を出している。そんなのを狙って釣ろうなんて動画を公にしたら『防衛部隊であるBURKが自ら再度の怪獣災害を態々まねくつもりかッ!?』って批判されるかもね」

アタシの台詞に二人は意識をこっちへ向けて、各々の返事をした後で、今度は少し珍しく静様の方が疑問を口にした。

「んあぁ、それは だな……」

「ご安心ください、静様!長年の研究により、どうやらアンゴーラスは体長が1メートル前後を越える辺りから親元から巣立ち、そして体長が10メートル弱を越えるまでは同世代の若魚と群れを作って行動する事が明らかになっています!この海域は そういう若いアンゴーラスの群れの定住地となっている情報も確認済みです。だから、そういう巣立った後かつ釣り竿で釣れ得る範疇サイズな若いアンゴーラスを狙うんだとなれば、批判も入らないはず……と、いうのが上の判断だそうです」

荒島さんが静様の疑問に答える そぶりを見せると共に、アタシは我ながら反射的に其の前にグイッと躍り出る。最初だけ また語気を強めて、荒島さんが言い出そうとしていたらしき台詞をさえぎってから、静様の疑問に答える内容を説明した。

静様ファンとして小憎らしい男に、そうそう いいところを静様に見せられてたまるかっての。それで代わりにアタシが いいところをアピールするってワケだけど。

「おー、なるほど……確かに、それなら批判も出なさそうだね。夏侯君も中々に詳しいじゃないか」

「へへっ、それ程でも。まあ現場撮影の監督役として乗船前に上に近しい人から詳細を教えてもらってましたからね」

へへんっ、静様に褒められて、アタシの いいとこアピールも成功したみたいで、やっぱり嬉しくて気持ちもいい。乗船前に教えてもらったのは事実だけど、それも正直に言っておいたので適度な謙遜として良いアピールポイントとなった筈だ。

「でも、例のアンゴーラスの成魚は身長60メートルもあったのに対して、1メートル前後で巣立ち始める若魚とかが亜成体の扱いとなるなんて不自然な気がするな。なんでなんだろね?」

「へっ?そっ、それは其の……って曹……!」

「………ふっ」

背後から聞こえてきた女性の声での疑問内容については事前に聞かされてなかったので、答えに窮して戸惑ってしまったんだけど、その声は そもそも曹の声だったという事に気付いて後ろに振り返ると、当の曹が「してやったり」と云った感じのドヤ顔をしながら小さく鼻で笑っていた。

コイツ……アタシにだけ静様に いいとこアピールさせて溜まるかって、アタシが知らないような事をわざと聞いてきて、地味に足を引っ張りにきたな……!

「あーそりゃ、殆どのアンゴーラスは体長20メートル以上に育つ前までに寿命が尽きちまうんだ。だから大昔に沿岸へ被害をもたらした個体は実は相当な長老クラスだって事、アンゴーラスは信じられない程の高齢産卵と高齢受精が安定して可能だって事も判明もしてるみてェだから、60メートルの親魚から1メートル前後の子魚が巣立つってのも、そう可笑しくねーってこったな」

「なるほど、流石は本業研究員の荒島君だね」

さっき曹が態と挙げた疑問の内容に荒島さんがスラスラと答え、それに静様は感心したような声をあげた。

「ぐぬぬ……」

「……いや曹がわざと疑問を出して足を引っ張るからだろうが……!」

荒島さんに静様への いいところを見せられてしまったのが悔しかったのか、曹は大体そんな感じの表情をしながら小さく呻いたんだけど、そもそも彼女が足を引っ張るべく疑問を口にしたのが原因なんだから、アタシはジト目になりながら曹をしばいた。

ともあれ、釣り及び撮影の準備を終えて、静様と荒島さんは錘の付いた高耐荷重の電動リールに餌である魚の切り身を付けて遠くへ放る。

曹はキャスター付き三脚の前に乗った大型ビデオカメラを操作__夜だけど船の照明で明るめなので暗視モードじゃない通常モードで__して、リールを夜の海に垂らす二人の姿を映している。

アタシは現場での撮影監督役……とは言っても、上や広報部門からザックリ聞かされた大体どういう映像等を撮影してくれば良いのかに則って、何をして何を撮ったりすれば良いのかを指示する程度なので、動画撮影のメインである釣りさえ始まってしまえば概ね暇だ。静様や荒島さんが釣り上げた魚とかを網で掬ったり、曹が撮影中のビデオカメラのモニター部分を時折 覗くなりして何を映すかカメラを止めるか等を指示したりするくらいしかやる事が無い。

「いやー、それにしてもルアーがメインで、餌を使うにしても魚の切り身で安心したよ。流石にゴカイは遠慮したかったからね」

「流石のお前でもゴカイは苦手か?」

「うん、まあ厚手の手袋越しでなら何とか触れるけど、あんまり積極的に見たり触ったりは したくないよ。それは そうと荒島君、さっきのキャスティングといいインドア派だって割には中々の竿さばきじゃないか」

「そりゃまあ、上から提供された電動釣竿型コントローラー付きの船釣りシミュレーターで散々 事前練習させられたからな」

「ああ君も そうだったか。僕もだけど、アレはアレで それなりに面白かったから文句が言い辛いんだけどね」

「わっかる。ま、竿さばきっつっても、この船自体が動き続けてるから、それが そのままトローリングになるぶん俺らは其処まで上等なテクニックが いらねぇだろうから深海魚ねらいも楽なモンだろ」

「ふふっ、そうかもね。今回の動画企画の着想元だっていう番組のホスト生物学者さんよりも、環境が恵まれているぶん僕達の方が色々と楽だろうからね」

静様と荒島さんは並んでリールを海へ垂らしたまま会話を続ける。

荒島さんらが言った通り実は今も、このスーパーヨットの船長__本当はクルー長というのだが__に頼んで、ここの海域を船でゆっくりと旋回させ続けてもらっている。

これによって釣りをしている最中はトローリング(深海などにいる魚を釣る技法の1つらしい)状態となるので、ルアー釣りだとしてもルアー操作のテクニックをそこまで必要しない。釣る難易度が高いという深海魚釣りの難易度が多少は相殺される筈...らしい。

また、静様が言ったように、例の番組ホストな生物学者はメイン対象が淡水魚だったが故に、偶に小船に乗る程度だったのに対して、

アタシ達は全長が110メートルにも及び統合電気推進と帆走を併用した豪華な機帆走スーパーヨットを用意されて船上で寛ぎながら釣りや撮影を行えるぶん現場環境に恵まれているから、確かに例の生物学者に比べて色々と楽なのだろう。

また、ちょうど今は晴れていて海も荒れてないのも幸いだった。柵とかが無くて水面に近いが故に波を被る事も有るスイムプラットフォームに居ても波に さらわれたり海に落ちたりする危険性も無さそうだし。

それはそれとして。あのまま荒島さんめが静様と二人だけの世界みたいな感じになっていくのも面白くないから、アタシからも適当に話を振って何とか会話に混じっていくようにしておく。

「あー、そう言えば荒島さんは普段、着ぐるみは着ぐるみでも、ゴモラの着ぐるみ姿らしいですけど、なんで今回は その異星人っぽい白スーツなんです?」

「んあ、そりゃまあ船に乗って沖に出るってんだから、ゴモラのだと万が一に海に落ちた時に、動き難くて上手く泳げずに溺れちまいそうだろ。それにいかにも"ネタ枠でござい"って恰好の方が面白ェじゃねェか」

 

アタシが質問、という形で振った話に荒島さんが答える。それに静様が更なる疑問を口にした。

 

「なるほどねぇ、でも確か君、テぺト星人のスーツを誰かから匿名でプレゼントされったって言ってた筈だろ?どうせ海に来るなら、そのテぺト星人の方が水棲っぽいぶん適任だったんじゃないのかい?」

「あァ。俺も考えは したんだけどよ、テぺト星人は河童モドキだから海とは また違うし、なにより……試しに着てみたら尻や臍や胸板のラインが裸並に浮き出んだよ!男の乳首まで浮き出るなんてバカじゃねェのって思ったぜ。流石に俺も恥ずいんで、作って送ってきてくれた奴にゃワリィが、ありゃ着ずに仕舞っとく事にしといたんだ」

「えぇえっ、荒島さんの……」

「お尻とかがぁあ……!?」

先程の静様の疑問への荒島さんの回答を聞いたアタシが途中まで台詞を言いかけたところで、アタシの台詞の最後あたりに被さるようにして後方から曹の声が聞こえたんだけど、彼女も荒島さんの説明を聞いて、つい台詞を発してしまったそうだ。

「あははっ、それは ちょっと見てみたかったかもね、夏侯君に曹君」

 

「変な趣味植え付けようとしてんじゃねェ、バカ。こいつの言う事は気にすんなよ」

急に静様から、そういう感じの話を振られてアタシと曹は やや戸惑って口籠ってしまった。

 

「えっ、それは その……」

「まっ、まあ……ほんの少しくらいは……」

一応……実は、さっき荒島さんがテぺト星人のスーツについて説明した時に、彼の お尻へ つい目が行ってしまった際に、不覚にも ちょっと見てみたいかもと思ってしまったので、嘘じゃない筈。静様のファンクラブ会員としては悔しくもある事を感じてしまったのが少しアレだけど。

「頼むからやめとけクソガキ共」

やや困惑するようにして返した荒島さん。腹立つ。

アタシは、お尻にしても一番いいのは静様と思って……いや、静様よりも お尻が大きくてスタイルの良い美女の お尻にも目を奪われがちになった事もあるから、それは嘘になる。

ただ彼が今着ている白いスーツの時点で、スーツ越しからでも男性特有の筋肉感と柔らかそうな丸みと肉感が両立されてそうな荒島さんのお尻の形が...いやいやいや、ダメよこれは、静様ファンクラブ会員として小憎たらしく且つ中性的な可愛さも少なめ__メイクでもすれば実は そうでもないのかもしれないけど__な相手の お尻にまで魅力を感じそうになってしまったという事になるから、地味に悔しい。

このままだと我ながら考えが変な方向へ行ってしまいそうな気もしたので、気持ちを切り替えるのを兼ねて話題を少し変える事にした。

「あー、それで……今 着てる その黒い染みみたいなのが付いた白スーツも異星人の着ぐるみだそうだけど、いったい何ていう異星人なんです?」



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フネデヨヅリ 2

「あー、それで……今 着てる その黒い染みみたいなのが付いた白スーツも異星人の着ぐるみだそうだけど、いったい何ていう異星人なんです?」

 

「んあ、これか?こりゃ『欠番12話星人』ってんだよ」

 

「欠番12話星人?随分と変わった名前だけど聞いた事も無いような……」

 

アタシが気持ちを切り替えるべく聞いた事に荒島さんが答え、また静様が疑念を口になされた。正直に言ってアタシも、そんな妙な名前の星の住人なんて思い当たらなかった。

 

 

「あー、やっぱ本来の呼び名じゃないマニア間の仇名じゃ わかんねぇか。いやな、実は欠番12話星人ってのは本来の呼び名じゃなくてある出来事から取った通称なんだ」

 

「ある出来事?」

 

「おう。コイツは数十年前に、地球人の女や子供に採血や血液結晶化の機能を備えた腕時計を配布して、地球人の血液を集めてたそうなんだが……」

 

「あっ来たっ、引いてるッ!」

 

荒島さんが説明を続けている最中、静様の釣り針に魚らしき物が掛かったようだった。

 

「えっ、曹!はやく静様にカメラあわせてッ!」

 

「やってる!」

 

アタシはカメラマン担当の曹へ即座に指示し、それへ彼女も短く返事してきた。今回の撮影任務内容的に竿へ針がかりさせた方を映しておかないと拙いばかりか、

静様のファンとして彼女が真っ先に魚を釣り上げる勇姿を披露するかもしれない状態でカメラが有るとなれば、それを映して記録しないワケには いかない筈。

 

「さ、竿を立てて、竿尻をお腹に当てて……うっ、ぐぐぅうッ!す、凄い引きだ……!んくぅ……リールは、一気に巻きすぎずに多少は泳がせて、魚を疲れさて抵抗できなくさせるんだっけ………んぐくぅあッ……!!」

 

ジ、静様……魚を釣り上げるだけで、そんな傍から見聞きしててムラムラしてきそうな表情と声を出されなくとも……いや、シミュレーターで練習したとは いえ実践で釣り上げるのは初めて且つ初めてで掛かったのが其れなりの大物かもしれないとあれば、緊張も相まって そうもなるかな………ん?

ふと、曹が回しているカメラのモニター部分が目に入ったので、それを覗き込む。

モニターには前のめりになった所為でズボンにピッタリ張り付いて形が露わになった、静様の90センチ代初頭の お尻のドアップが映し出されていた。

 

「ふぅー……ハァハァ……」

 

「お、おぉおー……」

 

カメラを操る当の曹は頬を紅潮させて鼻息を荒くしてたんだけど、静様の突き出された お尻のドアップをカメラに収めている真っ最中なのだろう。

 

うん、正にナイスアングルだ。カメラのモニター部分を覗き込みながらアタシも思わず感嘆の声をあげてしまった。うん、まあアレだな。静様よりも大きな お尻の美女に視線を奪われても、さっきみたいに荒島さんの お尻にまで魅力を感じそうになったとしても、なんかんだで やっぱ静様の お尻こそが一番いいと思うんだよなぁ……って、違わないけど其れでも違う違う!これは見てたいけど、監督役としては静様の お尻ばっかりじゃなくて彼女の顔や胴体も映して、魚を釣り上げる勇士を映させなければならない。

 

「ツァ、曹……気持ちは解るけど、静様の お尻ばっかりじゃなくて、顔や胴体ほぼ全体とかも映さないと……」

 

「へっ?あっ、ああ、うん……」

 

曹にしか聞こえない音量にした声でアタシが曹に言うと、彼女は我に返ったようにカメラのズームの度合いやアングルを調整した。さっきのでアタシや曹の声もカメラに着いたマイクに録音されてしまっただろうけど、後で編集の人がBGMに差し替えるなりして誤魔化すとかしてくれるだろう。

 

「あー一応、静様の お尻が大きめに入る程度をキープしとくから」

 

「ん?ああ、それは……是非ともやっといて」

 

曹が、アングルは引かせつつも静様の お尻自体は画面に入る程度をキープは すると言い出したので、アタシは是非とも其れをやるように言った。なんだかんだで突き出されてズボンが張り付いて形が出た静様の お尻は映しておきは したかったし。

 

「あー、荒島さん。念の為に そっちの大網も用意しといて!」

 

「任せとけ!」

 

アタシは、釣り上げられた魚が大物だった場合に掬い上げる用の網を用意しながら、

更に大物だった場合に二人以上で扱って掬う事を前提とした柄の無い大型網を用意するよう荒島さんへ言い、

それを聞いた荒島さんも自身の電動竿の釣り糸を一旦 上げて、竿を脇に置いて対象たる大型網を手に取った。

 

「んぐっ、み、見えてきたぞぉ……!」

 

「網の準備完了してますから……静様がんばってください!!」

 

針がかりした魚らしきモノが水面近くまで上がってきた御陰で、確かに其の姿が おぼろけながら見えてくるようなった。船の照明が効いているとは言っても灰汁までも夜間だという事も有って全貌までは解りにくいけど、目測で数十センチ・クラスは する其れなりの大物だという事がアタシからも確認できた。あれくらいならば荒島さんに預けた大型網を使わずとも、アタシが構えている柄つきの網で掬い上げられそうだ。

アタシがやる事は静様が釣った魚が船へ充分に寄せられ次第、それを網で掬い上げればいいだけなんだけど、せっかく静様が先に釣り上げ、しかも彼女の釣り実践デビューにおいて いきなり其れなりの大物という勇姿が披露されんとしているのを台無しにしてしまったとあっては、静様ファンとしての名折れ………そういう多少の緊張感を敢えて抱きながら、アタシは静様が釣った魚らしきモノを網で掬い上げた。

 

「よっ……取りました!」

 

「やった……!アンゴーラスじゃなさそうだけど大きいよ!」

 

アタシは網で掬い上げた魚らしきモノをスイムプラットフォーム__この船では、開放状態時に床と化す小型艇格納庫扉の裏面__上へ降ろしながら報告し、静様は初めての釣り実践で釣り上げたのが其れなりの大物だった事に喜び やや はしゃいでおられるようだった。アタシは単に掬い上げるだけとは いえ、静様の晴れ舞台と云えなくも無い事に貢献できつつ彼女が御喜びになられる様が見られて凄く嬉しい。

 

あっ、そうだ……!

アタシは、ふっと思い至ってカメラを回している筈の曹の方へ目をやったのだけど、彼女の表情が何か ゆるんでいた。それで我ながら或る事を察したアタシは曹の斜め後ろへ回り込んで、彼女が回しているビデオカメラのモニター部分を覗き込むと、いい笑顔な静様は映し出されていた……うん、ベストショット……と言いたい所だけど監督役としては、そのまま撮らせておくワケにも行かず、さらに静様の成果たる大物が映し出されないのも問題なので、曹には撮影対象を変えさせる事にした。

 

「おーい曹。静様の御尊顔だけじゃなく静様の成果物も撮って!初めてでの大物だったんだから」

 

「えっ、ああ、そっか」

 

BURKとしての撮影任務としてでは なく、あくまでも静様の成果を映すのだと強調する事で、次から曹が言われずとも自発的に釣り上げられた魚の方を撮ってくれるようにもしておくつもりでアタシは述べた。実際に、そういう風に言われたらアタシでも、そうすると思うし。

 

曹が静様の御尊顔から、静様が釣り上げた魚の方へカメラを向けるとモニター部分にも、

ほぼ全身を鱗に覆われた緑色の体、白目部分が赤くて瞳が黄色っぽいというイクラのような眼と、オニカマスのように鋭い歯、鼻先というよりは額と言える箇所に生えた太い緑色の一本ツノ、鰭なのか腹側に棘のように生えた左右三対の赤い突起、赤い爪のような物が付いてシーラカンスの比じゃない程に発達して殆ど手足として機能しそうな太長めな肉質鰭を持って、魚類というよりは両生類すら通り越して爬虫類なんじゃないかという印象を抱かせる魚……らしき水棲生物が跳ねている様が映し出された。

 

「えーっと、それで釣った人が抱え上げるんだっけ?」

 

「あっ、ああ、そうです。大きくて歯とかも鋭いから慎重に御願いします」

 

「よし、わかったよ」

 

静様からの簡単な質問にアタシは答え、それに静様が返事する。

今回の動画企画の着想元だという番組に少し倣って、釣り上げた人が釣った魚等を抱え上げて其れについて解説した後でリリースする事となっている。

静様は跳ね続ける魚っぽい物に近づいて其の口から釣り針を外すと、突起の少ない背中側を御自身の体側とするようにして其の魚っぽい物を両腕で お抱えになられた。静様との対比からの目測では、この魚っぽいのの体長は70センチ余りといったところか。あらためて静様は初めてにして充分な大物を釣り上げられたものだ……ますます惚れてしまいそうかな。

 

「んぅぐっ……おっと!さ、流石に重いなぁ……えーっと、そもそも、これ なんて生き物なんだっけ?そもそも魚なのかすらも……」

 

「えっ?……か、解説が……ツァ、曹……!」

 

「へっ?私も知らないけど……」

 

魚っぽいモノを抱えられた静様は、それが何なのかを知らないようで、

アタシも生き物について そこまで詳しいワケじゃないのに加えて こんなシーラカンスよりも肉質鰭が発達した爬虫類っぽい奇怪な魚については猶更 知る由も無くて、

カメラマン担当の曹も何なのか知らないようだった…………拙い……これだと静様が解説を行う事が出来なくて企画倒れに……しかも下手すれば静様の恥を晒す事にも……

 

「そりゃガラクアフィッシュじゃねェか?」

 

「えっ、なんだい それは?」

 

急に荒島さんが声を上げ、それへ静様が訝しむように聞いた。

 

「ああ、古生代デボン紀末期に生息していた肉食性古代魚で、数十年前に大内川上流の石灰岩の中から昏睡か自然の冷凍睡眠に陥った個体が発見されたんだよ。それが侵略者に強奪されてガランってのに改造されたそうなんだが……ガランの死滅をもって完全に絶滅したって言われてたのが、こんな所の海底にも生息してたなんてなぁ……」

 

「へ、へぇー……そう言われてみれば以前に資料で見たガランに少しだけ似てなくもないかな?にしても、荒島君が居てくれて良かったよ。僕達じゃ釣った魚の解説をしようにも、それが何なのかすら判らなかっただろうからね」

 

「ん……むぐぐ」

 

「う、ぬぐぅ……」

 

荒島さんの説明を聞いた静様は感心したように上機嫌となった。

アタシや曹が静様の御力になれなかった様を晒した直後に、荒島さんめが詳しく解説して静様へ更に好印象を与えた事に、アタシは苦々しい気持ちになって小さく呻き声をあげ、曹も同じ気持ちなのか静様と荒島さんには聞こえないような絶妙な音量調整による呻き声をあげていた。

更に、よく思い出してみると荒島さんが選抜されたのは、彼が__趣味の怪獣着ぐるみ制作のクオリティ向上目的とは いえ__生物学を収めているのを買われての事だったんだから、たとえ静様が釣り上げたとしても解説する時は荒島さんの土壇場となってしまう……!そういう現実をあらためて認識してアタシは更に苦々しい気分となった。

 

「っ……曹!今の箇所、荒島さんの声も入ってた!?」

 

「……うん、大丈夫。ちゃんと録音されてる筈。アングルは魚を抱えた静様に合わせてたけど、たぶん後で編集の人が上手く荒島さんの台詞だって解り易いように編集してくれると思う」

 

「ん、わかった」

 

苦々しさを紛らわすべく頭をBURK隊員としての撮影任務および現場の撮影監督役としての物に切り替えようとして、さっき荒島さんが説明していた時の声が ちゃんと撮れているのか聞くと、曹は其れに答える等した。アングル自体は静様それも肝心の魚を抱えておられる時の御姿に集中してるならば、せめてもの幸いとなるだろう。

 

「あっ、ちょっと待って。これ、アンゴーラス釣りどころじゃない大発見になるんじゃない!?しかも、それを釣り上げたのがあくまでも静様なのであれば……」

 

「!!……った、確かに!とりあえず暫く静様を追跡するように撮っといて!」

 

曹が言うように、例のガランとやらが斃されて絶滅したとされたガラクアフィッシュが未だ幾つか生息しているという事実はアンゴーラス釣りの比じゃない程の大発見なばかりか、釣り上げた静様にとって歴史的な功績となるのかもしれない。

曹に言われて察したアタシは彼女へ撮影についての指示を出すと、すぐに静様の隣に駆け寄った。

 

「静様、これは絶滅生物の生体を発見したっていう凄い偉業ですよ。とりあえず、このガラクアフィッシュってのをどうするのか決めませんと」

 

「あっ、そっか!一応は釣り上げた僕が第一発見者って事になるんだっけ……うーん、この企画の趣旨に則ればリリースすべきなんだけど、新発見した絶滅生物の生体を生け捕りにしたって事で連れ帰るべきか……」

 

アタシが静様へ説明とかをすると、普段は指揮官タイプとして充分に決断力に優れる静様も流石に此の自体には戸惑いもあって、どうすべきか決めかねておられるようだった。

 

「一時的に深海に潜ってただけって可能性もあっけど、もし そうじゃくて明確に深海魚だったなら単純な水槽やバケツ程度の水圧じゃ魚自体にダメージを与え続けて死なせちまうぞ。生体の映像を撮れたんなら、釣れた場所と放した場所とかを細かく記録して、趣旨通り放しとけばいい。この船にも水槽内の気圧を調整する機能までは備わってねーみてェだし」

 

「ふーむ、なるほど……それじゃあ、リリースしようか」

 

横から話してきた荒島さんの言によって静様はリリースする事に決めたようだった。

またも荒島さんに、静様への いいところを取られたみたいで複雑な心境だったけど、荒島さんの言う事も理に叶っているから、アタシは静様へ迎合するのも兼ねて其れに従う事にした。

 

「……ええ、それじゃ荒島さんは船員さん達に此処の正確な位置情報を記録するよう伝えてきてください。どうせ釣り上げてから大して時間が経って ないから釣り上げた位置から大して離れていませんし」

 

「了ォ解。へへ、いいモン見れたぜ」

 

アタシは荒島さんに少しくらいは此の場を離れてもらうのも兼ねて、船員さん達に位置情報の記録を頼みに行ってくるよう荒島さんへ述べた。

なまじ理に叶っているのが我ながら却って癪でもあった事もあって、顔が引き攣ってしまっていたようで、返事する荒島さんからは、少しだけ動揺の色が見えたが...すぐに笑みを浮かべて伝言を伝えに行った。。

 

「あー、おほん!それじゃ、完全絶滅した筈のガラクアフィッシュの生体を釣り上げて発見してしまったワケですが、本来の企画趣旨に則ると共にガラクアフィッシュが深海魚である場合の気圧差を考慮して、今回は生体の姿を映像に収めつつ釣り上げた場所の位置情報を記録するのみとして、これより海に放流とします」

 

静様は曹のカメラに向かってアドリブであろう台詞を語られた後、ガラクアフィッシュを海面へ ゆっくり降ろしていった。

 

「それじゃあね」

 

そして静様はガラクアフィッシュの体を海面へ完全に沈めると同時に手を離し、それと共にガラクアフィッシュは暗い夜の水底へと潜っていくようにして泳ぎ去っていった。

 

「ごめん。ちょっと息を整えさせてくれ。アンゴーラスの若魚を釣るくらいだった筈が、こんな大発見に繋がって気が昂ってしまいそうで……」

 

「あっ、ああ心中お察しします。飲み物でも御持ちしましょうか?」

 

「ああ、いや大丈夫だよ」

 

普段から冷静あるいは飄々としておられる静様も、この事態に置いて平静を保ち続けるのは骨が折れるようだった。アタシが彼女に落ち着く為の飲み物でも持ってこようかと聞くと、彼女は大丈夫だから不要だと答えた。

 

「おーい、船員に伝えてきたぞ」

 

「ああ、おかえり荒島君。さて君も戻った事だし、あらためてアンゴーラスの若魚の方を狙おうか」

 

「おう、そうだな。俺も少しは大物の一つでも釣らねェとな」

 

「ふふっ、君にも運が向くといいね」

 

「言ってろ」

 

荒島さんが戻ってくると同時に気持ちの切替ができたのか、静様は釣りの再開を口にした。にしても荒島さんめとの会話の流れ的に、距離感が近すぎる感がある静様の事だ。其のうち対戦ゲームじみてきて静様と荒島さんの親睦が更に深まってしまいかねない事態になってしまいそうだった。聞けば惑星調査隊の空戦隊長のヴァルトシュタイン女史ほどでは ないにせよ、静様と荒島さんめは対戦ゲーム等で既に何度か親睦を深めてしまっていると聞くし……。

 

さっきのガラクアフィッシュの件を静様の功績っぽくさせたのに成功しつつ荒島さんめを少しだけ遠ざけて我ながら浮かれていたのも束の間の事でしかないと、あらためて認識したアタシの心境と少しばかりの不安を他所に

静様と荒島さんは再び各々の電動釣り竿を手にしてリールを海へとキャスティングして、次の獲物が掛かってくるのを待った。



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セリフのみ
番外 こんな会話してたらいいね


鶴千、士道、荒島

 

(荒島、苦虫を噛み潰したような顔をしながらチョコをかじる)

荒「まっじィ...」

士「先輩、なに食ってんですか?そんな不味そうな顔して」

鶴「...」

荒「カロリーバー。めっちゃまずいぜ?食うか鶴千」

鶴「...それなら食べたことがある」

士「へぇ。意外だな」

鶴「...いつも食べている味が品切れでな。味は...」

士「あ、味は?」

鶴「..........................................」

荒「ブハハハ!!!そんなに嫌いだったか鶴千!」

鶴「まぁ。...俺は好きではなかったな」

士「どんな味なんだよ...」

荒「じゃあ士道食え。お前だけ味わってないの腹立つ」

士「お、俺ですかぁ!?」

荒「頑張って最後の1本まで消費したんだぞ!食えオラ!」

士「もが。...」

鶴「....どうだ」

士「....?........。....?」

荒「様子おかしいな」

士「...!!!!!!ッン、...え、えぇ...?」

鶴「何があった?」

士「え、いやぁ...そんなに不味くはない...かも」

鶴「!?!?!?!?」

荒「まじィ!?」

鶴「貴様、本当に士道か?BURK日本支部の誰よりも食レポがうまく飲食店情報に詳しい士道か?」

荒「エリーちゃんと3人で飲みに行った時に次々に店の候補出してエリーちゃんを引かせたあの士道か!?」

士「関係なくないですか!?!?いや、美味くもないですよ正直。ただその、味が悪い意味で変わっていくというか...一種のバラエティ感覚というか...」

荒「えっ不味くないかそれ!?」

士「何味買ったんですか先輩!?!?これよく4本食えましたね!?」

鶴「...」

荒「おっ、鶴千がパッケージ見てる」

士「これほんとにカロリーバーなんです?それっぽく作られた違う食べ物じゃありませんよね荒島先輩?」

鶴「...んん?」

荒「えっ...?」

士「...鶴千、どうした?」

鶴「荒島、これはどこで買った?」

荒「あ?そりゃ近くのコンビニで...」

鶴「...俺も、買ったのは近くのコンビニだが。このカロリーバーは随分前からあのコンビニでは売られてないぞ。俺も買ったのはその前だ」

「...これ、本当に大丈夫なやつか?」

荒「士道」

士「はい」

荒「俺は今からシャーロット博士と駒門を探す」

士「はい」

荒「これから10分以内にカロリーバー全部吐くぞ」

鶴「もうトイレに行ったぞ」

荒「はっっっや!?!?駒門ー!シャーロット博士ーっ!!!助けてくれーっ!!!!!!!!」

鶴「...バカな奴らだ」

 

クーカ、木場

ク「あ、木場!お疲れ様」

木「お疲れ様です、クーカ。ちょうど紅茶を入れていたんですが、飲みますか?」

ク「本当か!?飲むぞ!何を飲むんだ?」

木「レモンティーです。粉末タイプのものですが」

ク「構わん。...む、茶請けはないか」

木「あぁ、荒島か未成年組が食べてしまったんでしょう。...私の冷蔵庫にならまだチョコパイなどありましたが、食べますか?」

ク「いや、お前にそこまでさせる訳にはいかないさ。...あち、いただきます。...ずずず」

木「やはりその恰好だと冷えますか?」

ク「...む。そうだな...やはりその、下半身が冷えるな」

木「...ふむ...」

ク「うん?どうした木場?上着を脱いで」

木「ここにいる間くらいはこれを肩にかけていてください。少しは冷えも収まるでしょう」

ク「...そうだな。恩に着るぞ」

 

アルマ、エリー、望月

ア「ガールズトークしようぜ!!!」

望「.......」

望「.......,??????」

エ「フィオリーニちゃん。望月ちゃん混乱してるから、もうちょっと説明しよう?」

ア「えっ!?!?!?こんなに明瞭な目的ないよ!?恋バナしよ恋バナ!いない!?調査隊で好きな人!よりどりつかみどりだよ!?」

望「.......特には....?今のところ必要でもありませんし...」

ア「っかー!それでも花の十代かよ珠子ちゃん!あ、でも困ったからって荒島さん選ぶのは無しね!」

望「選択肢には入ってませんでしたが」

エ「あー、でも確かに割とこういう時の困った時に挙げられがちだよね、荒島くん」

ア「えっ、困ってるのエリーちゃん!?」

エ「違うよ!?ほら、荒島くんってこっちに全然性的な視線向けないし意識しないとこあるよねって話!」

望「...確かに...私達に関しては距離感にも気を使っているように感じますね。あまり関わった事はありませんが」

ア「...あ、でもこの前2人で話す機会あったんだけどさー、その時に"お前とエリーちゃんだったら絶対話しかけにいかない"って言われた!なんで!?友達の友達じゃん!」

エ「そ、その距離感は人によるんじゃないかな!?あ、でも荒島くん除くとするなら私は士道くんかも」

ア「いいとこつくぅ!じゃあ私は__



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BURKラジオ #1 ゲスト なし

ついにやった


「マイクテストマイクテスト、怪獣で一番カッコイイのはゴモラ。異論は認めない」

「防衛隊員だよね?怪獣かっこいいとか言って大丈夫?」

「なんだてめェボケ何もんだコラ。名前名乗れ」

「アルマ・フィオリーニと申します。そういう貴方は」

「荒島真己と申します。ラジオやるぞ」

「んふふ、面白い」

「えー、"このラジオは、日曜日に更新できなかった時の詫び替わりに投稿する、荒島とアルマがパーソナリティを勤める短時間深夜ラジオです。今回は2人だけですが、ゲストも招くのでお楽しみに"...更新ってなんだよ」

「あ、スタッフさんからそこ追求はダメって出てる。じゃあやめとこう」

「つまんねェなァ...で、なんで俺ら2人なんだよ」

「私と荒島さん割と話すこと少ないからじゃないかな...劉静がいないとそんなじゃない?」

「まァそれはそうだな。エリーちゃんとお前だったら絶対話しかけないわ」

「えー酷くない!?来てよもっと」

「嫌すぎ。...あ?ラジオのコーナー紹介しろ?うるせぇぇ

「あ、慌てて荒島さんの方のマイク切った」

「 !!! !」

「たぶん聞いてる人には聞こえないよ?というか放送禁止ワードばっか言わないでってちょっと」

「りんごばななれもんみかん...あ、戻った」

「ラジオのコーナー紹介するよ?いいね?」

「あっス!オナシャス!」

「調子いいなぁ...えーと、『コーナーは"ふつおた"、"一問議題"、"大喜利"があります。基本的には一回のラジオで読まれるふつおたは1、2枚です。一問議題は、リスナーの皆さんが送って来てくれた議題に対して可能な範囲で話し合うコーナーです』。大喜利はじゃあ普通の大喜利ってことかな?説明ないけど」

「そうだろ多分。大喜利は苦手なんだよなァ。ゴモラ談義にしねェ?」

「すーぐ自分の得意ジャンルに持ってくー。ダメだよもう」

「マジでゴモラだったらいくらでも語れるわ」

「好きだよねゴモラ。リーゼロッテ隊長から聞いたんだけど部屋にゴモラのポスター貼ってるんだって?」

「いわゆる推しよ。いっちゃん最初のウルトラマンと戦ったタイプのゴモラ。これ話したら余裕で1時間超えるわ」

「じゃあやめてもらって...」

「あっマジ?」

「マジ。"ふつおたのコーナーでは基本的にはなんでも読みます。メタ事情、こっちの世界線でのBURK隊員への質問など、どしどしお送りください"。こっちの世界線って出てるし。なに?あるの他の世界」

「あるだろ...ゴモラが世界に溢れる世界もあるかもしれない」

「げぇ。やだそんな世界...」

「世界は無限大という事だぜフィオリーニ」

「キメ顔で言われても...あ、そろそろ時間?」

「そうっぽいな。ここまでのお相手はうどんはおかず派、荒島真己と」

「うどんはカレー派、アルマ・フィオリーニでした」

 

「「バイバーイ」」



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BURKラジオ #2

「また始まってしまった」

「あ、ほんとじゃん。あなたの名前は」

「荒島真己。そういうお前は」

「アルマ・フィオリーニです。BURKラジオやりましょう」

「なんかこれが始まると重要な何かが進んでない気がするんだよな」

「具体的には?」

「俺の死に方」

「やめてよそんな怖いこと...同僚の死なんてまだ想像したくないよ」

「まぁそん時はそん時だろ。俺が死んだら未来永劫偉大な俺の英雄譚を語り継いでくれ」

「無様に生きて欲しいよ死ぬくらいなら。えーと、なに?ハガキの募集方法について?」

「一回目で説明しろよお前らさァ...」

「あ、メモ。読みまーす。"ふつおたはメッセージ、及び後ほど建てられる活動報告の中から選ぶ予定です。私達が答えられなさそうなメタ質問についてはあとがきなどでお答えします。なお、お便り等なかったら全部捏造します"」

「ラジオで捏造とか言っていいんだな」

「普通はダメでしょ普通は。ここがなんかすごい特殊空間なだけで」

「バカかお前は。ここが特殊空間なわけないだろスタジオだぞただの」

「いやだってここまで私たちどうやって来たの?」

「車だろ。俺はバイクだけど」

「運転した記憶ないよ?飲酒してないし」

「マジ?...そういや俺もバイクのキー回した覚えねェわ」

「......」

「......」

「やめよっかこの話」

「深淵見たな俺たち。なんかの」

「いやまぁそれはそれとして荒島さんさ、あお茶飲みまーす」

「おうなんだよ」

「うん。...劉と距離感近くない?リーゼロッテ隊長というものがありながらあの距離感なに?」

「それ。お前アイツになんとか言ってくんねェかなァ...リーゼロッテとはそんな関係じゃねェけども」

「いやもう女子隊員の中で格好のおもちゃだよ荒島さん」

「それは嘘だろ」

「ほんとほんと。...実際なんで劉静と荒島さん仲いいの?マブダチの勢いじゃん」

「俺もわからん...あいつ距離感バグってるとこあるし結構ボロ出るとこあるから...」

「なんかキッチンでチョコ作ってなかった?」

「作ったな。ぶっちゃけ既製品でいいんじゃねとは思ったが"それだと感謝が伝わらないじゃないか"みたいなこと言って作らされてた。だからバレンタインの袋に入った2個のチョコのだいたい半分は俺が溶かして形作ったやつだ」

「酷いことすんね荒島さん。もらった人泣いてんじゃない?」

「ファンクラブの数が多いのと劉の奉仕体質が悪い。俺は悪くない。被害者」

「さーて、そろそろお時間のようです」

「聞けや」

「お便りはメッセージ、及び活動報告まで。それでは、チョコはmeiji派、アルマ・フィオリーニと」

「チョコは1粒タイプ派、荒島真己でした」

「「バーイ」」



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BURKラジオ #3【お便りを読む】 ゲスト・士道

「どうも、突然世界の全てを理解してしまった荒島真己です」

「実は1回時点で結構理解してたアルマ・フィオリーニです。BURKラジオ始めましょう」

「メタ質問はあとがきの方で対処するって言ってたのにな」

「やっぱりそういうのも答えさせたいんじゃない?」

「まァ、そんな話は置いといてゲストが来てる。さっさと呼ぼうぜ」

「はーい。じゃあ、ラジオ初のゲストはこの人です。どうぞー」

「...」

「緊張すんなって。取って食わねェから」

「わ、わかってますよ。... 防衛チーム「Bureau of Ultra Repose Keeping」、『BURK』惑星調査隊所属、士道 剣です!本日はよろしくお願いします!」

「よっ、日本支部一の真面目くん!」

「背が高いぞちょっとよこせ!」

「やめてくださいよ!なんですかその煽り」

「ゲスト来たら毎回やってやるからなこれ」

「考えるのめんどくさいなぁ。じゃまぁ、お便り読もっか。結構来てるよ」

「最初だし健全なやつから行くか。...これとかどうよ。ラジオネーム『パイロットになりたーい!』からのハガキだ」

『大きくなったらBURKセイバーのパイロットになりたいです! パイロットの人達って普段何を食べてるんですか!? どうしたらパイロットになれますか!?』

「...だそうだ」

「あぁー...いいねこの純粋無垢な質問。すごい癒されるわ」

「BURKに入りたいと言ってくれるのは複雑ですが、嬉しいですね!パイロットのなり方、かぁ...」

「ぶっちゃけ飯に関しては量と好き嫌いさえなけりゃまァ...」

「荒島さんそれは適当すぎじゃない!?」

「そうですよ荒島先輩!?確かに正しいことではありますけど!」

「そうかァ?まァガキだし納得しねェもんか」

「えーと、『パイロットになりたーい!』くんは小学生とか、中学生なのかな?パイロット含むBURKの隊員は、基本的にはBURK本部の食堂、お店、あとは自分で栄養バランスを考えてお弁当を作って食べてます。何を食べるか、と言うよりかは何でも食べて栄養をとること自体が重要ですね」

「うおっ、真面目回答が来た」

「じゃあ現役パイロットの私も話そっかなぁ。パイロットになる為にはまずは体力!士道さんが言った通りに何でも食べてよく動くこと!あとは...」

「勉強だろ。ただの体力バカじゃパイロットにゃなれねェ。もちろん地上勤務だってそうだが、1番重要なのはどこをどう飛ぶか、どの角度で飛べばいいのかが瞬時に判断できる事だ」

「言いたいこと言われちゃった...。まぁそういう事かな!かるたとかしてみたらいいんじゃないかな」

「ちはやふるですかね?俺も映画は見ましたよ」

「ほーん。お前映画とか見るんだな」

「見ますよ!?最近は"ジュラシックパーク"見ましたね。大迫力でした」

「仕事でいっつも同じようなの体験してんだろ」

「それとこれとは話が違うんですよ荒島先輩...!」

「はいはいそれじゃ今回はおしまい!これまでのお相手は、映画はテレビ派、アルマ・フィオリーニと」

「映画はエンドロールを最後まで見る派の荒島 真己。ゲストは」

「えっ!?え、映画はアクション多めが好き派の士道 剣でした!」

「「ばーい」」

「あ、ありがとうございました!」



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BURKラジオ #4【結局は殺意】ゲスト 木場

「こんばんは、荒島です」

「普通だ...アルマです」

「えー、今回はちょっと俺的には怖い人が来てるので気持ち丁寧にお送りします。木場 司さんですどうぞ!」

「...元BURK防衛学校教官、現惑星調査隊の多月です」

「木場さんの関節技本気で痛いしキツいんだよな...接近戦でも宇宙人相手に使ってるんでしたっけ」

「相手が俺たちに近い人型ならな。基本的に骨の位置が似通っている所が多いし、打撃よりも確実だ」

「ちょっと私達からすると宇宙人相手に近接攻撃挑む人達の方がどうかしてると思うんですけど」

「たまに近接ありきでやってる奴もいるが本来はBURKガンでの制圧が基本だ。お前たちに言ってるんだぞ元剣道部と宇宙人嫌い、そして副隊長」

(荒島の大爆笑)

「お前もだぞ荒島。蹴りだけじゃ距離が足りん。もっと離れて銃を使え。射撃訓練だけは逃がさんぞ」

「ビーッ!!!!!」

「荒島さん奇声あげないでね、ジゴージトクってやつだよ」

「...えー、じゃあ今回のお便りはこちら。ラジオネーム、実を言うとロイ・ロジャースの方が好きなゲーリー・クーパー」

 

BURKで近接戦闘を競うとしたら誰が最強になるんだ?勿論近接ったって色々あるけど殴り合いも銃撃戦もひっくるめて誰が強いか教えてくれよ!

 

「とりあえずBURKガンでの射撃に関しては八木一強だよな」

「たしかに。他の銃でもうまいっちゃ上手いけど、それより扱いが上手い人はいないこともないもんね」

「八木はまだ若いからな。それにしてもBURKガンの腕前や扱いに関しては右に出るものは日本のBURKには...もしかすれば他国にもいないんじゃないだろうか」

「分解修理に関しては八木か先生かだよなァ」

「お前はもうちょっとBURKガンに触れ」

「武器ありだとどう?」

「そこでも色々あるだろ...あー、でも1番優等生で真っ当に強いのは士道だろ。とにかく隙がなくて足運びが違う」

「あいつは剣道をやっていたんじゃなかったか?足運びなどはそこでだろう、同じ高校の荒島」

「まァそっすね。つっても部活にはちょいちょい遊びに行ってたけどガチの試合やった事ねーしなァ」

「意外だねー」

「色んな部活やってたしなァ。高校の先公には『ひとつに決めろ』って散々言われてたけど」

「うわ想像出来る〜!」

「お前...そういう所が人間関係にも現れてるんだぞ」

「聞こえない聞こえなーい。あっそうだ、おいラジオの視聴者うちの女性陣に声かけんなよ?マジでお前らより強いからな特に駒門とエリーちゃんと...駒門は心配ねェか、あいつ180あるし」

「エリーちゃんも私服姿本当にかっこいいから大丈夫だよ。革ジャン着てポニテで剃り込み入ってるし駒門さんに組み手勝ってるし」

「ナカヤマは革ジャンが好きなのか、意外だな」

「エリーちゃん組み手あいつに勝ってんの!?やけに小技うめェとは思ってたけど」

「エリーちゃん調査隊の中じゃ結構年上の方だしねー。アメリカも治安ちょっと悪めだからそこで鍛えたみたい」

「まぁ一番強いのはやはり隊長か?」

「蹴り受け止めてぶん投げんのやめてくれ怖すぎる」

「結局はそうなっちゃうかなー...え、時間そろそろやばい?」

「よしじゃあ最強は隊長ってことで!これまでのお相手は格闘技は親戚にボクサーがいるのでボクシング派のアルマ・フィオリーニと!」

「格闘技観戦したことない派の荒島真己」

「...格闘技の絞め技を荒島に教える木場 司だ」

「「ばーい」」




隊員のファイトスタイル
(あくまで妄想。前田とかリーゼロッテがクソ強でもいい)

荒島...蹴り技主体。飛び蹴りなどの派手な技を好んで決め技に持ってくるが、それを綺麗に決める為の組み立て構築を怠らない。

木場...関節技重視のグラップラー。最悪相手の骨をへし折る(滅多にない)。相手が長袖の多い冬は無双するらしい。

士道...意外と冷静で理知的。相手の攻撃から次の攻撃を察して最短で制圧する。そのため投げ技からの絞め技を多用する。

鶴千...まぁ本編(ウルトラマンメディス)通り。とにかく相手にダメージを与える事特化。強いて言うなら関節技とかはちょっと苦手そう。

手力...小柄(BURK内)な体格を活かして相手の懐にタックルで押し倒しマウント取って殴りまくる。スイッチが入れば鶴千とタメを張れる凶暴スタイル。

日ノ出...避けまくってカウンター戦法。味方が到着するまで時間稼ぎするタイプ。

多月...純粋な空手。正拳突きと回し蹴りが1番怖い。BURK式格闘術も使うが、手の横が痛いと思ってる。

叶...本編でも一瞬出てたが合気道とか柔道。相手を一瞬で投げ飛ばしまくるし絞め技関節技もできる。打撃はちょっと苦手。

氷川...ステゴロもできない訳では無いがバトン使用多。ステゴロだと多分下から数えた方が早そう。その分回避や防御技術高め。

前田...根性はあるがいないよりマシ程度かも。タックルで相手の動き止めたり、押し出しで壁にぶつけたり。今後に期待。

シゲタ...サバットとかシラットとか知らん国の知らん武術使ってそう。基本はCQCとかだけど本気の時は前述の武術。基本的に慈悲はない。大人しく降参しよう。

リーゼロッテ...論外。

ヴィルヘルミーナ...基本的に打撃。シゲタと同じく基本的に慈悲はないが、多分頭に血が上りやすいため直線的な攻撃が多くなりがち。

アリア...ジャッキーアクション。小柄な体格で避けたり飛んだり逃げたり。罠張って転ばせたりなど直接的な格闘行為はしなさそう。いや教わってるんだろうけどパワーが足りない。

ラウラ...武器大好き勢。スネを蹴ったり男の弱点膝蹴りしたりするダーティー戦法で体格差を埋める。130cm台だししょうがないね。

アルマ...平均って感じ。基本的にはBURK式格闘術+BURKガンだが、蹴りで相手をひるませることを覚えた。

劉...洋画のスパイ美女みたいな戦い方する。色々スマートで動きが優雅。最近は自分を持ち上げられる男性隊員に飛びつき、グルンと回して貰いながらの蹴りで相手をまとめて倒すのがお気に入り。

ナターシャ...ジャッキーアクション②。なんか真っ当に格闘してるのが思い浮かばない。ちゃんと戦えばそれなりなんだけどトンチキな戦い方になっちゃう。

エリー...ボクシング主軸。目潰しもするけど何より小技が滅法うまい。一撃の重さよりかは動きで相手の体力削り+顔面攻撃で視界を塞ぐ感じ。ボクシングの小技ってなんだよ(疑問)


弘原海...とにかくなんでも強いしなんでもできる。でもちょっと腹が出てきたけどアクロバット的な動きもできる。最強。

綾川司令...居合の達人。銃使え。なんとなく仕込み杖とか居合とかめちゃくちゃ似合いそうな見た目してると思う。

綾川梨々子...ご令嬢を戦わせるな。SPの方々が体張ってくれる。

風祭...BURK式格闘術。詳細はよく分からんけどたぶんすっごい優秀って感じの動きなんだろうな。実戦経験はこれからでしょう。綾川梨々子のガードマンには充分。


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アラリゼアラジン

今回はCP色強めです。ご注意ください。


①荒リゼ

 

サラサラとした髪に高そうな櫛を通し、丁寧に丁寧に髪を撫でる。

その金の長い髪の持ち主であるリーゼロッテは、嬉しそうに髪をとかされている。

 

「珍しいですねぇ。荒島さんが私の髪を手入れしたいなんて」

「あァー、そうだなァ。...それにしても、お前髪すげェな。引っかかる気しねェ」

「手入れには気をつけてますからねー」

「そうか...まァ戦う時気をつけろよ」

「へ?なにかあるんですか?」

「なにかあるって...単純に捕まえる事のできるパーツが増えるだろ。髪引っ掴まれてボコボコにされたら笑えねェし俺も悲しい」

「ヒュッ」

「...ま、まァそんな事にはさせねェよ。やってもらう事にはなるだろうが今ではねェ」

「...た、頼みましたよ荒島さん!ヴィルヘルミーナも大丈夫なんでしょうか...」

「あァ、あいつなら近接の時はヘルメット被って髪纏めて装備の中に入れてるぞ」

 

②荒静

 

「お前って俺の事大好きだよな」

「...確かに」

「否定しねェのか」

「思い返せばそう思われても不思議でないし、別に嫌いという訳じゃないからね」

「そうかよ」

「君は?」

「あ?」

「...君は、僕の事好きかい?」

「バァーカ。嫌いだったら話してるかよ」

「...ふふふ」

 

③リゼ荒

「んふふふ〜」

「...」

「んふふふふふ〜」

「誰だ未成年飲酒させたのはァ...」

 

あぐらを書いた荒島の膝と腕に陣取り、 下ろした荒島の頭を撫で、首筋にキスの雨を降らしまくるリーゼロッテ。

 

「んふぅ〜...あらしましゃーん...ちゅ、ちゅ」

「あー、もう。後で死にたくなっても知らねェぞバカ」

「死にたくなんてなりませんよぉー♪えへへへへー」

 

この後布団に引きこもった

 

「疲れた」

「...ヘェ」

 

そんな言葉を吐いた男装の麗人、劉静。

本を読んでいた荒島は、興味なさげに相槌を打つ。

 

「疲れた」

「そうか。風呂入って寝ろ」

「君な、こんな美女が腕を広げてるんだぞ。しかも僕は君の親友だ。抱きしめて労うのが当然じゃないのか」

「てめェなんだ、赤ちゃんか?」

「早くしたまえ」

 

腕を広げる劉を見て、荒島は本を閉じて劉のそばに行き、その細い腰と肩に手を回す。肩を軽くポンポンと叩きながら言葉を口にする。

 

「なんかあったか」

「...君、手馴れてるな。隊長にもこういうのやってるのか?」

「リーゼロッテは関係ねェだろ。お前に聞いてんだ」

「...あー、はは...。...昔、中国にいた頃の事を思い出してね。なんでもないんだけど、...君にこうされたかったんだ」

「...趣味悪ィなお前」

「...抱きしめてくれるのはいいが、君ぴくりともしてないじゃないか。男かそれでも」

「ちょっと優しくしたらこれだ!マジ死ねお前!」

「やーだ!僕はもう君から離れないぞ!このまま寝ようぜ!」

 

そう言って荒島に抱きつき、自分の足を荒島の腰に絡ませる。

 

「ふざけんなエリーちゃん呼んでやるからなシバかれろカス女!」

「君僕と一緒にいる時に他の女の名前出すなよ!いつでも君の初めて全部奪えるんだぞ僕は!」

「だァァァァやめろてめェェェェ!!」



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みんなのウワサ

荒島のウワサ① 止まらないらしい。

叶「荒島くん」

荒「ウィッス」

叶「なんで正座させられてるかわかるかな」

荒「ゲームに5万突っ込みました」

叶「君それだけじゃないよね」

荒「あい」

叶「非番の日君ご飯食べてないって聞いたんだけど」

荒「夢中でつい...」

叶「君25だろもう」

荒「サーセン...」

 

アリアのウワサ① ボードゲーム好きらしい。

ア「さてシゲタくん、今日はこのゲームをやるわよ」

シ「...なんだこりゃ。スプークみたいな駒だな」

ア「これは"ガイスター"。1982年、ゲームデザイナーのアレックス・ランドルフが開発した、シゲタくんの言う通り、幽霊を模したこの駒を取り合う2人用のボードゲームよ。」

シ「シンプルながら奥深い...ってヤツか。」

ア「えぇ、もちろんとっても面白いゲームなのよ!でも、私が個人的に勧めたいのはデザインね。優れたボードゲームは見た目もいいものが多いもの」

シ「そりゃ確かに。このボードも青と黒の色合いがダークな雰囲気だ」

ア「わかってくれて嬉しいわ。クーカはせっかちなんだもの。こうして眺めるのもいいものよね」

 

多月のウワサ① 夜食が得意らしい。

木「...寝れんな...ホットミルクでも飲むか...あ?...」

多「あっ」

木「...一応聞いておくが、何をしてる?」

多「...お、おにぎりを握ってる...」

木「..............」

多「そ、そんな目で見んなよ!?しゃーないだろ夜飯食べ損ねたんだよ!」

木「...具は?」

多「具?卵余ってたし卵焼きかな」

木「なら鮭おにぎりも頼んだ。それで見なかったことにしてやる」

多「公務員が贈賄かぁ。世も末だな」

木「言い方」

 

手力のウワサ① 俊足らしい。

弘「おっ、昨日は大活躍だったな俊足くん」

手「しゅ...?...あ、昨日の試合見てたんですか!?」

弘「ちょうど走り込みしてる時にやってたからな。お前が出てたもんでつい見ちまった」

手「本当ですか!?て、照れますね」

弘「なに照れてんだ、恥じることない大活躍だったじゃねぇか。一塁から三塁に一気に行くとは思わなかったぞ」

手「あれはバッターの当たりもよかったんですよ」

弘「嘘つけお前あの後も盗塁だのなんだのしまくってただろ!」

手「まぁオレ、調査隊の中では1番足速いんで?へへへ」

弘「はっは、そうかよ!んじゃ、今日も頼むぞ」

手「あーっす」

 

綾川司令のウワサ① 過保護。

荒「またお嬢さんの警護っすか俺ら」(パンダの着ぐるみ)

駒「しょうがないだろう...怪獣が出てこない時は割とお嬢様の警備部隊兼金寄せパンダと化してるんだぞ私たちは...」(うさぎの着ぐるみ)

氷「...」(ペンギンの着ぐるみ)

荒「そりゃわかってる」

駒「だったら監視に集中しろパン太郎くん」

荒「裏声似合わないようさ子ちゃん」

氷「.........」

荒「...ペン斗くんさっきから喋んないけどどうした?」

駒「おい、大丈夫か?」

氷「.....み、みず...」

荒、駒「「ペ、ペン斗くーん!!!!!」」

 

 

弓「...なんかあっち、騒がしいね?」

梨「そうだね。最近熱いから、誰か倒れちゃったのかも...?」



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水曜どうでしょうパロ

午後4時 北海道にて。

赤鬼、青鬼の衣装を纏った大柄な男2人が、雪ふりしきる北海道の農道で立ち尽くしていた。

青鬼はガキ大将の成人男性、荒島真己。赤鬼はその後輩、士道 剣である。

その士道が、遠慮なのか自嘲なのかわからない感情を込め、笑いをこらえながらカメラを構える手力、同じく笑いをこらえる劉に話す。

 

「どうこれ...大丈夫?バレない?」

「違ェよ。バレるバレないじゃなくてよ、どうして俺達がこんな事しなくちゃなんねェの?」

 

劉が「そうだねぇ」と返す。北海道という極寒の地でも、その表情は変わることはない。

 

「どうしてこの風雪の中俺らはよ...こんな、こんな格好でこんな道端に立ってなくちゃなんない?俺ら昼飯抜きで立たされてよォ。...なんか悪いことでもしたか?」

 

ボヤキの止まらない荒島に返すのは手力だ。

 

「もうそろそろ撤収準備も終わるはずなんで。それが終わったら撤退しますから!どうにか我慢してください荒島さん」

「お前ら先にホテルに行くんだろ?」

 

もはや笑うしかないのか、「ヒャハハ」というような笑い声をあげる荒島。

 

「お前らいないともう本当に不安だよ」

「ご近所さんがもう不審者見る目でこっち見てくんだもん」

「悪ィ今度会った時死んでたらごめんなマジで」

「耐えるよ俺ら!25と23だもんもう」

 

 

 

それから数時間後

 

深夜 0:50

 

「俺と士道は電気を消して寝てたんだろ!?そこに出来上がった陽気なてめェがだ!『ドンドンドン!』ってしてきて俺がんだよって言ったら『寝てるのかい?』ってドア開けて入ってきてドカドカ入ってきたと思ったら電気をつけて『腹を割って話そう』と息巻いて来たんじゃねェか!」

 

「じゃあ説明してやるよどうせこれも使うんだろ動画に!!カメラ回してんだから!今日今ここで何があったのかをよォ!」

 

「俺は今日あれだよお前らご存知の誰に需要があるかも分からねェ日めくりカレンダー全国撮影ツアーの夜を迎えたわけだよ。これが投稿される時にはもう数量限定発売されてるあれだよ見ただろお前ら。俺はその日めくりカレンダーで北海道に飛んだ荒島真己だよ女子を楽しい場所に行かせて真冬の北海道に飛んだ青鬼の荒島だよ!」

 

「あのあと!俺はやァっとこのホテルについたわけだ!時間もねェから風呂入って飯食ってその後論文の書きかけを書き上げて!基地にいる叶先生とシャーロット博士と論文の添削やって!俺はもう精神的にもヘトヘトださぁ寝ようかとした時にまだスポンサーとの挨拶やらなんやらが終わってやァっと寝れるのが12時だお前ら!いいか、12時に俺が布団入って寝ようとしたんだ」

 

「すると現れたのがこの男女なんだよ!!」

 

大爆笑の劉。

カメラを構える女性隊員、夏侯は苦笑いを浮かべる。

 

「なんの気か知らねェけどもこいつが現れて、俺は別になんとも思ってねェよ?思ってねェのに腹を割って話そうとこの女は俺のとこに乱入してきた訳だ!」

 

「俺は別にこいつにわだかまりもなんも持ってねェ。仲もいいさ尊敬もしてるパイロットだ別にコイツと腹を割って話すことなんか何もねェ。ところがこいつは俺に腹を割って話そうと言って!何を話してェか知らないけども俺の部屋に居座っておいカメラ時計を映せ」

 

「0時52分だよ」

「もうかれこれコイツは1時間俺の部屋を離れようとしないんだそうだろ?」

「まだ話終わってないぞ視聴者まだ聴いてくれ」

「俺は再三『帰れっ!』て言ってるわけだ」

「戦闘機パイロットとしてはかなりの技術を持ってる中国のエースだ。人望も厚い。そいつに俺はさっきから

 

バカヤロー帰れ!即刻帰れ!

 

って再三罵声を浴びているにも関わらず帰らないんだよ」

 

そこで士道が口を挟む。

 

「...で、誰か呼んでませんでした?」

「おォそうだよ。で、苦肉の策で!この中国宝塚女(劉D)と同じ部屋の...これまた馬鹿な女なんだけども夏侯(シャホウ)に!今電話をした訳だ」

「『お前の王子様が帰らねェから連れて帰ってくれ』っつったらそこのカメラマンなんて言った?」

「『わかりました、じゃあ手力さんの代わりにカメラ回しましょう』って言って手力からカメラ借りてなんなら今手力も違うカメラ持って今回してんだよどうだお前ら!おかしいだろこいつら!!お前らは知らねェと思うけど俺明日5時起きなんだよ!!!この時点で俺の睡眠時間はあと4時間だ!!」

「もう1つ言おう俺は今風邪っぽいんだ熱があるんだなのにこの男女は大爆笑しながらまだ俺と

 

腹を割って話そう

 

とするんだ!この状況を視聴者のお前らどう思いますか!!!」

 

ひとしきり話し終わった荒島に、劉が口を開く。

 

「いやね、僕が言いたいのは明日朝5時に起きなきゃならないよっていう。いわゆる確認に来たんだよね」

「あぁあぁそうかそうかそれならね?それならそう言ってくれりゃいいんだよ。なにも

 

腹を割って話そう

 

って息巻いて入って来なくても言い訳だろ!?」

 

「改めて荒島くんに明日5時だよって、5時起きだから寝過ごさないでねって言いに来たんだよ」

「うんそうだな?まぁまぁまぁ」

「そしたらね、荒島くんがね?なんかこう僕と、腹を割って話そうと...」

「違ェよそれは全然違うよもう!」

 

10分後

 

「いいか?ある朝5時に起きなきゃいけない男がだ夜中12時に寝ようとしているところに他人が腹を割って話そうと言って自分の部屋に1時間居座ったんだぞ。そいつに

おい!帰れ!

と言ったことは別になんの不思議もない!」

 

「だからね、荒島くんが怒ってないということを聞いたら」

 

さらに5分後

 

「わかりました。明日5時に起きるんだな俺は」

「5時に起きるよ」

「わかりました。ということは...あァもう4時間だなこりゃいけねェ、こりゃ申し訳ございませんでした」

「『早く寝なさい』って言いに来たの僕は」

「あァおォうん。5時なんだから君は早く寝ろということをお前は12時から1時までの間に俺に語ってくれたんだな」

「そうそうそう。...話すことはもうないね?」

「もうもう大丈夫だぜ俺は」

「よしよしよし。じゃあ荒島くん明日頑張ってね!」

「そりゃもうやるぞぉ俺は。そのためにもあと4時間たっぷり寝て。頑張るぞォ...」

 

 

 

 

寝ぼけ眼で起きて、帰りは劉と士道に肩を貸されて帰っていったとさ!!!!めでたしめでたし!!!!!!




日めくりカレンダー
『健全な』写真のみで構成されたBURK広報部から発売される日めくりカレンダー。
去年から数量限定で男性隊員バージョン、女性隊員バージョン、両方のバリエーションで発売されており、価格はおよそ1つ5000円。
両方バージョンが若干売れ行きは悪いが、大まか均等に売れている。

朝5時起きの理由
士道の買い物と市場で海鮮丼を食べる為。
お金は夜のお詫びに劉が出した。
後日BURK公式SNSでその様子の写真が公開された。


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