時空神の青年は世界を回す (nite)
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自己紹介

新しく連載小説を始めさせていただきます。昔に投稿していたものの完全改変になります。タグにも書きましたが時系列はバラバラですので話数カウントはなしです




初めまして…でいいだろうか。時空神のミキ・クレイルだ。

読者の諸君、先に言っておくが俺は時空神だから君たちのことも知覚しているからな。あまり迂闊なことは言わない方がいいぜ?

さて、主に今回は自己紹介をしろって言われてるんだ。だから少しばかり俺のことについて話させてもらう。でも三人称視点で語り部を主がしてくれれば俺がわざわざ説明する必要はないと思わないか?主っていうのは作者のことで…まあ絶対神ってことになるんだが…流石の俺もこいつから逃げるのは簡単じゃないから従うしかないんだけどよ。

んじゃまあ軽めに自己紹介と行こうか。さっきも言ったが俺は時空神っていう役割を担っている。簡単に言えばマルチバース上に存在する様々な時空の調査をすることが仕事だ。要は探索者ってことだな。時空が崩壊しそうな時とか神が暴走したり神同士が喧嘩したりしたときに止めるのも俺の役目だ。なぜかと言うとそれができるのが俺くらいしかいないから。

年齢は…一応肉体年齢は二十二歳くらいなんだが、色々あって東京で人生やり直しとかさせられたことがあるから精神年齢は結構いっているはずだ。俺も途中から数えるのをやめたから一応対外的には二十二歳ってことになっている。

因みに既婚者だ。なんなら子供もいるぞ。日本…ないし地球に住んでいる君らじゃよく分からないだろうけど俺の力と嫁の力が混ざってできた子供なんてのもいる。折角だから嫁のことも紹介しておこう。

 

「やっほーミキ。あれ、これ今何かしてるの?」

「ああ、ゼロのやつが小説を書くだとかなんだとか言うからそれの資料的なやつだ」

 

彼女が俺の嫁であるサナだ。本名はサターナ・クレイル…なお旧姓はナブリスだ。

鮮やかな水色の長い髪が背中の真ん中くらいまで垂れていて、身長は俺より少し小さいくらいの百六十二センチだ。俺は百七十八だから…少しってほど少しの差でもないか。サナは魔法使いであり、現代の大賢者と呼ばれている。色んな時空に行って色んな魔法体系を知って何かと魔法を覚えてきた俺からしても天才と呼ばれる希代の魔法使いだ。

 

「このボイスレコーダーに向かって喋ればいいの?」

「なんかいい感じに頼む」

「えーっと…こんにちはサナです。日頃は研究とかしてます。あとミキが暴走したときのストッパー役でもあります。ミキのこと、皆さんよろしくお願いします」

 

なんかめっちゃお母さんみたいなコメントだったな。

俺が暴走したときっていうのは悪戯で俺がやりすぎたときってことだ。断じて神たちみたいに暴れて世界に傷をつけるとかはしていない。

 

「で、どこまで紹介するつもりなの?」

「取り敢えず俺のことを知ってもらえばいいかなって感じ。仲間もいっぱいいるから一気に紹介しても覚えきれないだろ?」

「でも私はいいんだ」

「正妻だからな」

 

あー…言い忘れていたが俺の嫁は一人じゃない。実のところサナを含めて三人いる。最初はサナしか愛さないつもりだったんだが…半ば脅迫のようなことをされて嫁を増やしている。ちゃんとその二人のことも愛しているから読者らは安心してくれ。機会があれば紹介するよ。

 

「でもミキのことって…それだけで多くない?全部のこと一気に紹介したらそれだけで小説大半埋まっちゃうんじゃないの?」

「だから俺のことも少しずつだな。今後の物語を話していくうえで確実に必要な俺の能力と武器と魂に関して話す予定だ」

 

予定だ…というか今ここで説明するんだけどな。

まず俺の能力。名前がついているというわけじゃないんだが俺は【空間模倣】と呼んでいる。どんなものに対しても模倣できるっていう能力だ。制限はないのでひたすら技を覚えて手数を増やすのは俺の戦い方の一つである。一応模倣したばかりのものはオリジナルより劣るが、何度か使っている内にオリジナルと同等の強さになることが多い。

んでだ、この模倣に関して俺は時空神として色んな時空に行った。その結果君らがラノベと呼んでいるあれの人物にも会って技を盗んでいる。まあ全部でもないけど。

例をあげるなら…キリトのスターバーストストリーム、めぐみんのエクスプロージョン、セリカのイクスティンクション・レイとかそのあたりだ。やはり強い技はコピーしたくなるのが性である。

能力についてはこんな感じだな。次は武器だ。

俺の武器は剣、特に二刀流なんだが…ぶっちゃけなんでも使える。神なので神器っていう類のものも持ってるがその時点で剣以外にも銃とかハンマーとかあるので察してくれ。

武器それぞれに名前が付いているが取り敢えずいつも使ってる二振りだけ紹介しておこう。銘は光桜剣(こうおうけん)、そしてだ。どちらも桜に関しているが…それはまあおいおい説明する。今はこの二振りを主に使っているってことを覚えていてくれればいい。白金色の刀身に桜色のラインが入っているのが光桜剣で、淡い桜色の刀身が桜花だ。

そんで魂に関してなんだが…これは宗教的な概念でもあるから日本人には分からないかもしれないけど、すべての生物が持っている魂というものを俺はいくつも持っている。別に多重人格ってわけじゃないぞ?というか多重人格であっても魂の数は一つだしな。

 

『ミキ様ー、呼びましたー?』

『呼んだぞヒカリ』

 

魂の数もすごいことになっているので取り敢えず代表してヒカリを紹介しておく。その名の通り光そのものが魂となっている。正確に言えば光の魔力の魂って感じだな。彼女のおかげで俺は光属性に対して非常に高い適正がある。

他にもいっぱい魂がいるが、それの紹介もまた別の機会にさせてもらおう。サナの言う通り全員を紹介していたらそれだけで小説が一個丸々埋まってしまうことになる。魂のやつらはたくさんいて、そいつらは俺に話しかけてくることがあるということを分かってくれていればいい。

 

「街のこととかそこらへんは?」

「それも追々…サナは何か話しておきたいことはないか?」

「え?うーん…これってミキが主人公の話?」

「そうだな」

「じゃあ特に言うことはないかな」

 

もしそうじゃなかったら何を言うつもりだったのだろうか。心を読むくらいならば容易にできるが、まあわざわざそんなことをする理由はない。

さて、粗方前提条件的なことは話してしまったわけだが…俺の立場について最後に追記しておこう。こういう小説ではあるまじきことかもしれないが、俺は最強である。自称じゃないぞ?全時空を合わせたうえで最強だということは他の神からも認められていることだ。奥の手が強力すぎるってだけなんだけどな。

 

「ミキが最強なのは分かるけど慢心しないでね、ってずっと言ってるよね?」

「慢心なんかしてないさ。楽しんでるだけだよ」

「一緒!!あまり心配かけないでよ?」

 

とまあこのようにサナがストッパーになってくれるので俺も思う存分遊べるというわけだ。絶大なる妻への信頼ってところだな。それにさっきも言ったがサナはこの世界で大賢者と呼ばれていて俺が教えた超級魔法なんかも連発してくるのでストッパーとして優秀だという理由もある。

さて、取り敢えず俺の現時点での自己紹介はここらへんにしておこうか。次回は俺の時空神になった経緯についてあれこれ教えるからな。




作者及びミキからすれば頂点の神こと私です。作者自体がデウスエクスマキナ的なものだと思ってください


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時空神への経緯

あ、おかえり。二話も読んでくれたってことはそれなりに興味を持ってくれたってことでいいのかな?うん、そう思っておこう。折角俺が主人公だっていうのに読まれないまま数多の小説の中に消えるっていうのも空しいからな。

さて、前回言った通り今回は俺がなぜ時空神になったのかということだ。前回は言わなかったことだが俺は神であると同時に人間でもある。元々人間であり、神の力を貰ったのだ。というわけで突然の回想シーンどーん。

 


 

それはこの世界における四年前。まだ俺が定住もせずに旅をしていた時だった。とある街で休憩がてら公園で座っていた時、どこの誰かも知らない男性が話しかけてきたのだった。

 

「やあ、君がミキで合ってるね?」

「そうかもしれないし違うかもしれないな」

 

まだその当時は神器ではなかった光桜剣を男の首元に突きつける。たまに街の中であっても問答無用で襲ってくるような輩がいたので咄嗟の判断のことだった。旅をしながら移動し続けているのに俺の名前を知っていることは最上級に怪しいことだからでもあった。怪しき者は罰するの精神じゃないとすぐに死ぬ世界なんだ、ここは。

 

「うんまあ君がミキなのは知っているうえで話しかけた。どう反応するのか気になってね…君に興味があるファンだよ」

 

男の首に剣先を向けたまま男の姿を観察する。見た目は普通の町人と言った感じで戦闘慣れしている様子はなく、冒険者らしくもない。だがこういう輩は特に盗人や乞食だったりするのだ。そもそもこんな怪しさ満点に話しかけてきたやつがただのファンなはずがない…というのは当然の思考だろう。

 

「ふむ…間近で見るのは初めてなわけだけど…うん…いい素質だ」

「はあ?用がないならさっさと去ってくれ」

 

その街の公園は中々に居心地がよく何か食事でもしようかと思っていたところにこの怪しい男。さっきまではしばらくいようと考えていた公園が既に立ち去りたい場所になっていた。ここで俺が動かないのは偏に男を警戒してのことだ。敵に後ろを向けたら危険というのは勿論のことだが、俺が移動するのを待って周囲に仲間を待機させている可能性もある。俺が先に動くのは得策ではないと考えたのだ。

そしてその考えを読んだかのように男は言った。

 

「仲間なんかいない。本当は連れてきたい子が一人いたんだけど少し急用でね…僕らの仕事は突然のことが多いんだ」

「じゃああんたもさっさと帰った方がいいんじゃないか?」

 

俺の心を読むかのような発言に対して俺は表情一つ変えずに応じる。話を聞く限りではこの街の守衛でもしていそうな内容だが、ずっと旅を続けていた俺は男が戦いに慣れていないということも肉弾戦にそこまで強くないということも見るだけで見抜いていた。魔力も全然感じなかったしな。

 

「いやいや、僕は色々事情があってそこまで急務になることはない。ゆっくり話そうじゃないか」

 

男の一つ一つの言動にイラっとする。ファンだというのであればもっとこちらを立ててほしいものだ。というかファンならさっさとどっかに行け。

当時はまあそんなことを考えていたものだが…ちなみに今でもこの男の言動にはイラっとする。多分喋るだけで相手を苛つかせる能力でもあるのだろう。

 

「僕は君をスカウトしに来たんだ」

「スカウト?」

「ああ、僕らと一緒に働かないかなってね」

 

突然話しかけたうえで仕事のスカウト。実のところ冒険者業をやっているとこういうことは珍しくない。なんせ冒険者業というのは道中で手に入れたものを売って旅をするもので、金を稼ぐという夢があるならまずおすすめできないし、国家の騎士団や傭兵と同じくらい危険な仕事だ。なんせ地球でよくファンタジーの創作物として見られるスライムやらドラゴンやらが普通にいる世界だからな。

当然その仕事に不満を持つ人も多くいる。冒険者業をやっている人はそうじゃないと生きていけない人が大半だからだ。家を追われたとか破産したとかそういう事情を抱えた者が大多数を占める。因みに俺は故郷がなくなったからという理由があるが…これは別の機会に話そう。

要は冒険者には不満が多いので転職をしたいと考えている者も多いのだ。だからスカウトだってそう珍しいことではない。珍しいことではないのだが…読者の諸君が考えている通り悪い仕事を斡旋しようとする者もいるのが現実だ。多くあるのは「実は盗賊の片棒を担いでましたー」って仕事だな。

 

「アットホームな仕事でホワイトだよ」

「何言ってんだ?」

 

なお俺の世界にアットホームだとかホワイトだとかいういわゆる英語と呼ばれる言語は存在しない。当然そんな異国の言葉など理解できないし、なんならこの世界の言語は日本語でもない。俺はまあ東京に行くこともあるし能力を使えば一瞬で言語理解することなど容易なので翻訳して読者に伝えてるってわけだ。

 

「あー、優しくて平和ってことだよ。ごめんね、最近見た場所での決まり文句みたいなものなんだ」

 

よくよく考えてみればこの男が言っていた場所とは東京よしんば日本のどこかということであり、それが決まり文句なのだとしたらその地域はきっと負のオーラがすごいことになっているだろう。

 

「自己紹介をしよう。とはいえ僕に名前はなくて…ゼロとでも呼んでくれ」

「ゼロ、ね…」

 

さっき言った通り英語は存在しないのでゼロという単語もまたこの世界には存在しない。しかし何か特別な意味があるのだろうということは男の口ぶりから察することができた。

 

「んで、職業は?」

「神さ。僕は絶対神という仕事をしている」

 

はい、既に当時の俺は混乱しています。いやまあ混乱というか困惑の方が近いだろう。なんせ職業を神などと言う男が目の前にいるのだから。薬をやっているか、もしくは頭のおかしい宗教勧誘人だと考えるのはおかしくない。なおこの世界にも違法薬物はあるし宗教もある。そんで日本と同じく問題になることも多い。

 

「驚くのも無理はない。だから証明してみせよう。その剣で僕を貫いてみるといい。〈絶対に僕に攻撃は当たらない〉からね」

「ほう?」

 

遠慮なくゼロを貫こうとした。死んでしまったら死んでしまったで俺はスッキリするし本当に当たらないとしたらそれはそれで興味があるからだ。そう、これに興味がある時点で俺は既にゼロの策に嵌っていたのだろう。

剣をそのまま首に突き出す。しかし不自然に曲がりまっすぐ突くことができず掠る気配もない。俺は剣をゼロの腕や足、胴体に向けて斬りつけたがしかしなぜか当たらない。剣を収めて殴ったり蹴ったり…最後には至近距離で魔法も使ったが一度も当たることはなかった。

 

「はぁ…はぁ…どういう手品だそりゃ?」

「手品、というかこれは権能っていうのさ。絶対神の僕だけが使える絶対的な権能さ。そんでもってこういう権能を君にも分けてあげようと思ってね。まあ仕事はしてもらうけど」

 

権能という言葉は多分この世界にも存在しているのだろう。しかしながら聞いたことのない言葉だったので理解することはできなかった。だが当時の俺では想像することもできないほどとてつもない何かなのだろうということはなんとなく感じていた。

 

「力の代償は?」

「最初に聞くのがそれなのは実に合理的だ。合理的な人物でもないと神なんてやっていけなくて…」

「答えろ」

「おお怖い。代償は君らの魔法と同じ仕組みで、権能を使うときは神力を使うことになる」

 

魔法の仕組みは日本でもよく用いられる設定である魔力を消費して魔法を発動するというものだ。同じ仕組みだと言われれば理解するのも簡単だった。

 

「仕事は君がどんな神になるかにも寄るね。僕は君に神の力をあげるだけで君がどんな神になるかは知らないから」

「全知全能ってわけじゃないんだな」

「僕の権能を使えばある程度全知全能を気取ることもできるけどね。基本的に神ってのは自分の力しか使えないものさ。さあ、どうする?」

 

結論から言えば俺はこのタイミングで了承して神の力を得る。そして時空神の力を得た。

当時の神界の状況を説明すると魔神と呼ばれる神と同じく権能を擁した上位存在のせいで神の数が減ったのでその補給をしようと本来はあり得ないことだが、生きている人間を神にしようとゼロが人材を探していたらしい。神というのは生物の信念から生まれるものなので人為的に神を作り出すと言うのは初の試みだったらしい。

しかしここで問題発生。時空神なんていう役職は存在しなかった。そりゃなんちゃって全知全能なゼロもこれには驚いたものだ。

 

「ちょ、ちょっと待て。なんだその権能は!?」

「あー…これが神の力か…なんとなく分かったぞ」

 

当時俺が感じ取った権能は【空間模倣】ただ一つ。なぜ時空神なのに【時空移動】という権能を持てなかったのには理由があって、時空というもの自体は時の女神が管理していたからだ。彼女もまた知り合いなのでどこかで紹介するとしよう。

 

「その役職はまずい…いや待て…これはある意味都合がいいかもしれないな」

「どういうことだ?」

 

神の力が本当だと言うことを知った俺は剣を鞘に戻して訊ねた。権能のせいで攻撃が当たらないのは相変わらずだったしな。

 

「僕は神のまとめ役みたいなものなんだけど、そんな僕でも勝手に神の役職を作ることはできないんだ。でも君のその役職は捉えようによっては結構自由に動けるんじゃないか?」

「知らんよそんなの」

 

聞かれたところで神の仕事とか知らんし答えられない。とはいえゼロの目が怪しく光っていたので多分あまり俺には利益のないことなんだろうなと感じていた。

 

「君はまだ生まれたばかりで神力は回復しないのを感じているだろう?神力ってのは他者からの信仰で増えるからね。だから君にはとある世界で有名な神様をつけてあげよう。そうすれば神から力を分けてもらえるはずだ。あとこの世界での君の目的は達成してから神の仕事は手伝ってくれ。力に慣れる必要もあるからね」

 

俺のこの世界での目的、それは俺の故郷を襲った相手である魔王への復讐だった。現在はその目的は達成されているので魔王討伐に関してはまたどこかで話すよ。

 

「さあ!君は旅を続けたまえ!僕は僕でやることが増えてしまったからね。またあとで…補助係の神を連れてきたときにでも会おう!」

 

そうやってゼロは消えた。ゼロは時の女神よりも上位存在なので時空移動も簡単らしい。

 

「うん、楽しくなりそうだ」

 

俺は自分の力を確認して楽し気に笑った。

 


 

回想終了。うーん、懐かしい。この世界では四年前だけど俺の体感で言うならもう合計で百年くらい前の話なんだよなこれ。

 

「ん?ミキ、何読んでるのそれ?」

「あ、これ前に言ったゼロが書いた小説。一緒に読む?」

「読む読む!」

 

サナが来たんで今日はここまでだ。またな!




前回のあとがきで作者=ゼロみたいなこと言ったんですけど実際のところは分身というか作者の代わりに色々してくれるのがゼロです。ゼロが小説書いてることになってるけど、実際は自分が代筆してるんですねぇ…


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魂のこと

【自己紹介】にて登場した光ちゃんについて名前をヒカリちゃんに訂正しておきます

ミキ「どの光について話してるのか分からなくなるからな」


おう久しぶり。もしかして三話から読み始めるような破天荒なやつはいないよな?話数カウントはしないみたいだが絶対に最初から読んだ方が良いからな?俺は忠告したぞ?後から感想とかで「話分からん」みたいなこと言われても対応しないからな?まあ対応のしようもないが。

さて、今日は魂の話をしよう。前回ゼロから神の力を貰った時の話をしたが、その時ゼロがなんて言っていたか覚えているか?掻い摘んで話せば、まだ生まれたての神は自分自身の神力がないのでどこかの有名な神にサポートしてもらうって話だ。

このサポートっていうのはインストラクターとかアドバイザー的な立ち位置じゃない。なんせ神から神に力を受け渡し、しかもそれに慣れる必要があったからな。中途半端なサポートじゃだめだったってことだ。んじゃどうするんだってなるんだが、ここでこの話のタイトルである魂の話に繋がってくる。

 

『出番ですかー?』

『おう。今そっちに行く』

 

つうわけで場所移動。行先は魂の中だ。

はい、移動完了。文面だと何やってるか分からないだろうから少し説明すると、自分の中というのを強く意識したまま眠ってるだけだ。よく自分の中の力を感じてパワーアップみたいな描写がアニメとかにあるだろ?それをしながら眠ってるだけだ。まあ魂構造が複雑じゃないとこういうことはできないから今読者の君たちがやっても全くできないだろうけどな。

さて、ここが魂の中だ。正確に言えば魂とかそこらへんの色々を内包する空間だ。白とは言い切れないくらいのグレーな壁に囲まれていて、地面もまた同じ色。この壁は広げようと思えば広げることができる。

というか魂の中なら基本的に俺の思い通りになる。机とか椅子を出すくらいなら一瞬で可能だ。ここで暮らしていたいところではあるが、残念ながらそれでは体の方が死ぬのでどうしようもない。神とはいえ元々が人間なので普通に餓死はあり得てしまうのだ。

 

「ミキ様、こんにちはー」

「おうヒカリ。他の奴らを集めておいてくれた?」

「すみません…集合率が悪くて…」

 

一応読者のみんなに紹介するためにヒカリに他の魂たちを集めておくように言っておいたんだが…まあ俺の言うことを聞かない魂とか自由な魂とかいるので今に始まったことではない。ヒカリを責めるつもりもない。

 

「そこにいるのが集まってるやつらか?」

「はい!」

 

見た感じいるのは七人くらいだろうか。大体半分くらいなので…ある意味ちょうどいいかもしれない。ほとんど話しかけてくることもない魂たちが残りの半分なので紹介するならこれくらいがいい塩梅だ。早速一人目から紹介しよう。まずはヒカリから。

 

「私がヒカリです!ミキ様の光の魔力として色々補助をしています!魂の中からでも外に魔法を撃ってミキ様を助けるくらいのことはできます!…これでいいんですか?このボイスレコーダーに意味があると思えないんですけど」

「あとでゼロが聞きなおして文章に起こす用だ。気にしないでくれ」

 

ヒカリは純粋な魔力に意思が宿ったタイプの魂だ。ヒカリの魔力量は俺の魔力量と比例しているので昔に比べれば大きくなっている。とはいっても未だに中学生くらいの身長でしかないのだが。白く少し輝いている髪はヒカリの名に恥じないきれいさという中学生らしくない面も持ち合わせている。そもそも魔力の塊のおかげで見た目は結構簡単に変わるんだけどな。

はい次。

 

「そして私がヤミです。ヒカリと大体同じことしてます」

「簡潔でよろしい」

 

もう一つはヤミだ。俺の主な属性は光なんだが、闇も主属性レベルで使える。昔俺が病んでしまったときに生まれて当初は俺のことを闇落ちさせようとしていたが今では普通に俺のことを手伝ってくれている。別に闇属性だからと言って病んでるとかどす黒いとかはないぞ。ヒカリもヤミも良い子だ。

はい次。

 

「天照大神です。ゼロ様からサポートのために配属された神ですが、今はミキ様のことを慕っているつもりです」

 

こいつが本命、天照だ。日本に住んでいればどこかで一度は聞いたことがある神だろう。日本では宇迦之御魂…いわゆるお稲荷さんと同じくらい有名な神様だろう。なんでこんなビッグネームが俺のことをサポートしているかと言うと、一番天照が適任だったからに過ぎない。

神力を分け与えるということは、ある程度多くの神力を持っている必要がある。となればそこらへんの付喪神ではその役を担えない。となれば神力が多い名前のある神を連れてくる必要があったわけだが…日本は神様がいっぱいいるし有名な神様を、ということになり天照が選ばれたわけだ。

神の世界となる神界への移動は魂の中からでも簡単だし、天照の仕事はもうあまり日本ではないということで基本的に俺の中にいる。出会った頃はどこかの有名な神なのかなと思っていたが、日本に転移できるようになってから天照のビッグネームに驚いた。尚よく勘違いされることだが、天照は女神だ。まあ神なんて複数からの考えによって姿も変わるので日本国民の多くと古事記に書かれている内容を書き換えれば天照は男神になることだろう。

はい次。紹介したい魂は紹介したけどまだ残っているので。

 

「私はミカだよ!ミキの女版さ!よろしくぅ!」

「うざい」

「えぇ…私とミキの思考回路は同じだよ?」

 

こいつがミカ。俺よりも少し身長が低くて体つきが女性というだけでそれ以外は基本的に俺だ。最初から俺の中にいたヒカリ曰く俺の可能性なのだとか。どうやら俺は生まれるときに少しばかり魂に歪みが存在していて、何かが違えばそのまま死んでいたかもしれないらしい。しかし俺は男性として魂が固定されたおかげで死なずに済んだと言う。ただ女性としての魂も残ってしまって今のミカになった。

俺が変成魔法だとか変身魔法を使って女性になった時はミカに表に出てもらっている。そっちの方が女性らしくできるからだ。サナが言うには俺とミカは雰囲気は同じだけど違和感があるみたいだ。

はい次。

 

「私はマイ…喜神です。主様の眷属兼ミキの妻です。よろしくお願いします」

 

はい今、妻を眷属にしているなんてと思ったやつ。いるのは分かってるんだからな。元々俺の眷属になっていた喜神が妻になっただけだ。マイが眷属をやめたくないと言ったのでそのままにしているだけであり疚しいことは何もない。眷属としては俺のことを主様と呼び、妻としては俺のことをミキと呼ぶのは二つの立場を持っているマイの矜持なのだとか。

マイは喜神…言うなればキシンなのだが、他に魂に機神と鬼神がいる。どっちもキシンだ。今はいないけどどこかで紹介することになると思う。鬼神はともかく機神は従順だからな。

はい次。

 

「私が初之神…名前はウイ!一応ミキの眷属っぽいことになってるよ」

 

ミカと同じくらいの身長の黒髪な喜神どころか天照よりも神力が濃い彼女は神界の中でも最古の神とされている。つい最近まで妙な時空に取り残されていたのだが俺が救出してそのまま魂になっている。補足しておくと神というのははっきりとした肉体がないので簡単に魂になれるのだ。別に死んだわけではない。

ウイはその名の通り初物の神なので大体新しい概念が生まれるときは彼女の権能が働いている。時間によって物が消えていくという世界の理だけではいつか何もなくなってしまうからだ。ここで遊んでばかりだけど結構全時空にとって大切な存在である。

はい次。

 

「私は封です。色々と封印の力を使ってミキ様を援護してます。よろしくお願いします」

 

薄灰色の髪をした中学生くらいの少女が多分一番戦闘において役に立ってくれている。封はとあるやばいほどの怨念が籠った木を浄化した際に残った結界をどうにか有効に使えないかと試行錯誤した結果生まれた魂だ。別に人工の魂というわけではないのだが、俺が何もしなければ生まれなかった魂ではある。そのおかげか封はとても献身的だ。

封印と結界というのは根本的に違うので封は結界解除はできないが、封印解除はどんなものであっても無条件で解除できる。

はい次。

 

「私がセイです。あまりミキ様の役には立てていませんがよろしくお願いします」

 

と言っているがめっちゃ役に立ってくれている。力を行使せずとも魂にいるだけで俺のことを守ってくれている。なんせセイというのは聖の力だからだ。もし俺が毒を飲んだり呪いを受けたときに勝手にセイが浄化してくれるのだ。

今は淡く光る金髪の少女だが、元々はどす黒い髪色だった怨念の魂だったりする。何度も怨念の彼女と対話して浄化していった結果なんやかんやあって聖となったのだ。なんやかんやの部分は忘れたころに説明するだろう。

 

「取り敢えず集まったのはこれくらいですね…」

「うん、まあこれくらいだろ普通」

 

残りの魂はどっかで顔を出すだろう。その都度紹介していくからあまり気にしないでくれ。主要メンバーは今ここにいる魂たちプラス機神なので多分紹介するのもほとんど機会はないだろうしな。

一気に三話も使って俺のことを色々と説明したせいで多分既に死んだ目で小説を読んでいる人もいることだろう。説明回が続くと流石に疲れるからな。

というわけで次回は戦闘でもしよう。俺の仕事を紹介しないといけないからな。ん?これ説明回か?まあいいや。また会おう。



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時空神の役割

説明回第四回目だ。すまんな。でも今までと違って血湧き肉躍る戦闘もあるだろう。多分。

今回は俺の日頃どんなことをしているのかについて実演する。多分実際にやりながらの説明の方が分かりやすいだろうからな。

 

「ミキ仕事ー?」

「いえす。ゼロに指定された時空に行ってくるわ」

 

サナに挨拶をして時空転移。俺は拠点のどこからでも時空転移はできるのだが、まあ家の中でやるってのもどうかと思うのでちゃんと外に出てから時空転移している。因みにこの世界では家の中も土足スタイルが主流だが、うちの街では大体は日本スタイルだ。やっぱり汚れは少ない方が良いよね。

ゼロから指定される時空は時空座標という数字で連絡される。時空魔法を理解してないとどういう意味なのかも分からないからここには書かないが…お前らの世界で研究・考察されてる次元概念とはまた違う形だからあまり気にしないようにしてくれ。

さあ、今回指定されたのはこの時空。出現したのは森の中。初めて行く時空において俺が最初に現れる場所は俺には想定できないがランダムではない。その時空の中で一番力が薄いところに現れるようになっている。壁が薄い方が通りやすいっていう理論は時空単位で考えても成立するんだぜ?

俺がこの時空でするべきなのは異常の調査と時空の調査だ。ゼロ曰くこの時空は変な異変が起きているらしいということ。ついでに時空自体も初めて行くとこだから調査してきてねーというなんとも適当な指示だ。まあ俺の上司ってゼロしかいないし、ゼロの部下らしい部下も俺だけだから気が楽なのだろう。

 

『周囲に敵なし!』

『なんなら動物とかもなし!』

 

ヒカリとヤミから周囲の報告を聞く。二人は魔力の塊なので魔力を飛ばして周囲の状況を知ることができるのだ。勿論GPSのような正確なものではないが、二人が基本的にずっと索敵しているので不意打ちを受けることはあまりない。

この世界は…魔力っていう概念はあるっぽいな。魔法も問題なく使えるみたいだし、木々や空の様子を見ても俺の時空とあまり差異はなさそうだ。しかしゼロが指定してきたということはただのありきたりな世界ではないのだろう。それに力が一番薄いということは一番発展していないということでもある。この世界に人間がいるかは分からないが集落をまずは探すべきだろう。

 

「んじゃ手っ取り早く飛びますか」

 

天族としての翼を生やす。日本でよく天使と呼ばれているキャラが背中に生やしているあれだ。俺は空間模倣と全属性適用のおかげで天使にだってなれるのだ。というか悪魔とか、なんなら竜人とかにだってなれる。魔法ってすごい。

うーん、高く飛びあがっても周囲に広がってるのは森ばかり。仕方ないので取り敢えず方向を決めてまっすぐ飛んでみるか…

…おい森終わんないぞ。

…絶対これじゃん!ゼロが言ってた異常これじゃん!

えー、掻い摘んで説明すると、一時間程度ジャンボジェットの三倍くらいの速度で飛んだんだが一度も森は途切れなかった。世界が広がって空や森が形成されている以上必ず気候という概念はこの世界にもあるはずである。しかしながら眼下の森は俺がこの世界に来たときに見たものと同じ青々とした葉を広げている。尚道中で集落っぽいのを見つけることもできなかった。海がないっぽいしもしかして動物はいないのかもしれない。まあ別に海がなければいけないという条件でもないのだが。

 

「でも調査つってもどうすればいいんだこれ?原因がどこかにあるのか?」

『ミキ様、一度下に降りてみては?』

「…せやな」

 

封の提案に俺は同意して地面に降りる。森の中の景色は俺がここに来たときと変わらず、多分この森で迷ったら一生同じところに戻ってくることはできないだろう。

一応原始的な方法で環境を把握しておくか。えー…方位磁針、反応しない。磁力、なし。重力、地球と同じ。大気構成、地球と同じ。魔力、俺のとこと同じ。

木々が永遠に生えていること以外は普通。むしろ困る。でもゼロが異常としてこの時空を探知したのならば元々はこんな森じゃなかったのだろう。うーん…木を切ってみるか。

別時空の俺専用の保管庫から時空魔法で斧を取り出す。何の変哲もない普通の斧だ。多分地球で買った千五百円くらいのやつ。

 

「そーいっ!」

 

全力で斧を幹にぶつけ木を切り倒す。木材は…知らない品種だけど毒があるとか魔力があるとかそういうものではなく普通の木のようだ。地球に輸入しても普通に植林され材木として使用されることだろう。

折角だからできることは全部してみるか。今度は保管庫から武器を一つ取り出した。

紅い刀身に赤い柄、そして刀身を包み込む圧倒的な炎。これが俺の神器の一つ、神器・梅紅(ばいべに)だ。めちゃめちゃシンプルな炎の剣だが、その火力は一撃である程度の広さの海を蒸発させることができる代物である。火力故に普段使いはできないものの、俺の神器の中ではトップクラスの火力を持つ。

 

「すぅ……ふっっ!!」

 

技名もなくただ全力で魔力を込めて梅紅を振る。それだけで俺の目の前の森は一瞬にして燃え尽きてしまう。範囲外だった木々にも多くの火が燃え移っており、しばらくすればこの森は超広範囲で火事が起きるだろう。しかし本当に何事もなく燃えたせいで何の原因も分からなかったな。

 

『いえ、ミキ様!何か来ます!』

 

ヒカリの忠告と共に地面が震える。そりゃ上空を飛んでも見つからないはずだ。だって、犯人は地中にいるのだから。

 

「グオオオオオオオ!!」

「元気でよろしい!」

 

地中から出てきたのはでっかい化け物ツリー。どうやらこの森は全部こいつから伸びた木で構成されていたようだ。それに空間的な歪みも感じるので多分認識修正も使ってるなこいつ。そりゃいつまで経っても森から出られないはずだ。どうせ森から出ようとしたらなんとなく森に戻るように認識を変えて、そして森の中で死んだ者を栄養にしていたのだろう。果物やキノコがなく、動物もいなかったのはそれが原因だと考えられる。

こいつがそのままだとこの時空自体が崩壊する可能性がある。森は少しずつ大きくなっているだろうから、最終的にはこの世界のすべての生き物がこいつに食われて、こいつも餓死して全生物消滅とかいう最悪な未来が待っている。

 

「つうわけでてめえには死んでもらう」

「グオオオオオオ!」

 

俺が先ほど広範囲を燃やしたからか俺のことは既に敵として認識しているらしく、すぐに太い木の根が伸びてきた。大きさの割にめちゃくちゃ早い。こいつ、一体どうやって生まれたんだ?

魔法で障壁を出して根を止める。しかし相当な攻撃力があるようで適当に作った障壁では完全に止めることができなかった。やはり普通に生まれるような生物ではない。もしかしてどこぞの迷惑な神がここに種でも落としていったのだろうか。だとすればそいつは断罪せねばなるまい。

動きが遅くなった根っこを捉えることなど容易だ。まあ別に動き遅くなってなくても狙えるけど。

 

「燃えろ!」

「グアアアアアア!」

 

あ、鳴き声のパターン変わった。ただ明らかに弱点そうな炎を根っこにつけてあげただけなのに。さっきまでの何の飾り気もない状態に比べると断然きれいだぞー。

うん、致命傷っぽい。燃えた根っこは地面の中へと戻っていった。火を消す方法は知っているのか。地面に戻っていった根っこの代わりに三本くらい太い根っこが現れた。果たしてあと何本あるかな。

 

『接近するからお前らバックアップ頼む』

 

身体強化…うーん、アクセラレーション…よし、行ける。

 

「ふっ!」

「グワアアアアアア!」

 

梅紅を背中の鞘に戻して保管庫から光桜剣と桜花を取り出す。そしてそのまま飛んでくる根っこを切り伏せながら急接近。今の俺は根っこと同じくらいのスピードだ。弾くことくらい造作もない。

 

「よお、でかぶつぅ…」

「グアアアアア!」

「炎をプレゼントだ!」

 

二振りを保管庫に戻してからもう一度梅紅を抜く。今度は先ほどのように闇雲に放つ炎じゃなく、明確な意思を持って放つ炎だ。ただの植物風情がどれだけ耐えられるかな?

 

「燃え尽きろ!天地開闢ううううううう!」

 

全力の炎。一瞬にして大樹を飲み込みそのまま空の彼方まで炎の柱が突き刺さる。

炎が消えればそこには切り株の部分だけを残して燃え尽きた化け物がいた。どうやらこの世界では死んでも消えたりはしないようだ。死んだあとの処理なんかも時空によって違うから面白い。

しばらくすれば周囲の森が一気に枯れ始めた。やはりこの木々は全部この化け物と繋がっていたらしい。これで異変の調査は終了だな。ゼロに報告してしまおう。

大体一連の俺の仕事はこんなもんだ。時によっては人に会ったり神を退治したりしている。神様版の何でも屋って表現が正しいだろうか。うん、それでいい。




ミキ「化け物がいたから燃やしといた」
ゼロ「世界終焉シナリオしなくてよかったね☆」


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メイド

さあ、今日も始めて行こう説明回。おっと、文句を言うなよ?現在は大きな事件だとかなんだとかっていうのは全部終わってるからな。まあ今後何か事件が起きる可能性は全然あり得るんだが…まあ期待しないで待っててくれ。そっちとこっちだと微妙に時間の進み方が違うからそっちで何か起きたときに介入するってのも難しいもんでね。

今回はタイトルにもある通りメイドについてだ。実はうちにはたくさんのメイドがいてな。ただまあ経緯含めて主力のメイド全員を紹介するってのも中々に時間がかかるので…今回は回想じゃなくてそのまま過去に視点を戻して小説にするとしようか。えっと…今から大体二年くらい前の話だ。時系列的には俺が目標にしていた憎き魔王を倒したあとだ。当時はまだ時空魔法で時空移動ができない未熟な頃だから日本なんかは知らないぞ。

そんじゃ過去を見る魔法を使用!

 


 

「ミキー…掃除大変だよぉ…」

「魔法使えばすぐだろ」

「そんな便利魔法は持ってませーん」

 

くそ野郎こと魔王を消し飛ばしたあと。旅を終わらせて定住すべく家を作った。旅の仲間は何人もいるものの、全員が生活できるほどの大きさで家を作ったのだ。今までも旅の間はずっと食事なんかを共にしてきたから同じ建物に住むということ自体は問題なかったのだが、その規模故に管理が大変になるという問題があったのだった。なぜ作る途中で気が付かなかったのか。

尚家の大きさと敷地の影響でどこかの街の中に建てることができなかったので建てたのはとある平原の中である。当然魔物なんかも寄ってくるが今更苦労するような相手でもないので心配はない。

 

「私たちも別に出かけないわけじゃないしさ、誰か管理してくれる人でも連れてきたらー?」

「それもありか…」

 

思い浮かぶのは執事とかメイド。

俺たちは家を手に入れたとはいえ知らない土地やら知らない遺跡やらの探索は今後も続けていくという結論に至っている。なのに家の掃除なんかに時間を奪われていては本末転倒だ。確かに誰かを雇うのもありかもしれない。

 

「家事…少なくとも掃除を代わりにしてくれる人がいいな…」

「誰かいい人いる?旅の途中で会った人たちの中にいれば時空魔法で会いに行けるんじゃないの?」

「まだ時空魔法での転移に慣れてなくてそれはできないんだ。だからまあここからすぐ行けるところしかないが……サナ、ちょっと天界行ってくる」

 

天界、それは神の尖兵ともいえる天使が生活している場所である。そして俺は何の因果かそこで天界序列二位としての立場があるのである。

 

〈ちょっと未来から補足失礼するぞ。先日の時空探査で生やした翼があったと思うんだが、実際のところあれは天界で生活する者なら皆が持ってるものだ。魔法で生やした翼なのになんで天界序列なんていう凄そうなものに入れるのかというと、魂関連としか言えない。まだ紹介できてないだけだ。そんじゃ続きどうぞ〉

 

なので俺は天界にいる天使の誰かを使用人として連れてこようと考えたのだ。なぜ天使なのかと言うと、機動力があり、それなりに戦闘力もあり、なおかつ結構暇だからだ。特定の仕事が割り当てられていない天使など日々適当な趣味に時間を使っているに過ぎない。使用人にはうってつけだ。

 

「行ってらっしゃーい」

「カイトたちには俺は使用人探しに言ってるって伝えててくれ」

「りょうかーい」

 

カイトは俺の親友であり旅の仲間だ。同じようにこの家に住んでいる。多分どこか別のところの掃除をしているだろう。

俺は魔法で翼を生やして空へと昇る。通常高く飛ぶだけでは天界など行けるはずもないが、特殊な魔法を使いながら専用のこの翼で飛ぶことで天界へと至ることができるのである。魔法ってすごーい。

はい到着。数十秒で到着するから場面転換も必要なかったな。

雲の上にある白い街。天国の光景を想像しろって言われたらなんとなくで思い浮かぶであろう光景がそのまま天界になる。まあここは死後の世界ではないけど。

 

「ミキさん!いい武器作ったから見てってよ!」

「すまん!今日の目的は別にあるんだ!」

 

一応俺は天界でもある程度活動をしているのでそれなりに知名度がある。先ほどの商人は鍛冶師でもあり、天界の希少な鉱石を元に武器を作ってくれる武器鍛冶師である。なおこれは天界で言うと趣味の範囲だ。なのでお金は必要なく、物々交換でのやりとりとなる。

趣味が鍛冶だとか鍛錬だとか守衛だとか、そういう人間の街と同じような役割を持った人々が集まって天界というのはできているのだ。今日はその中からお世話だとか掃除だとかが趣味な天使を探す。

天使が天界の外に出てもいいのかという疑問については、全く問題ないとしか言えない。別に天使がここから別の世界に行ってはならないという決まりはないからな。因みにこの天界は一つの時空として定義づけされているらしく、移動方法により色んな時空に行くことができる。俺の時空魔法を極めて行けば特殊な魔法なしでも天界に転移することができるようになるだろう。

 

「掃除好きな人はいないかー?なんか世話係とかでもいいぞー」

 

適当に街を歩きながら適当に人材を探す。誰かいい条件の人が引っかかってくれたらいいのだが…

 

「あー、ミキさん」

「ん?メレか」

 

サナと同じくらいの身長で、白い髪のセミロングの女性の天使メレだ。天界では比較的関わりが多い方の天使であり、関係を聞かれたらちゃんと友人と答えられるだろう。さっきの武器屋のおっちゃんは知人だ。そういえばメレの趣味は…

 

「私は家事全般得意ですよ」

「めっちゃ適正」

 

メレの趣味、それは奉仕活動である。掃除とか子供の世話とかそういうの全部やるのだ。しかも悪人(天界では悪人はそうそう出ない)がいたときは箒とかで撃退することもある。まさに俺が探していた人材と言えるだろう。

とはいえメレ自身が何の用で俺が声をかけていたのか分かっていないようなのでそこらへんを詳しく説明する。メレに来てもらえれば一番助かるんだけどなぁ…

 

「なるほど…それって私でいいんですか?」

「できればメレがいいって思ってるくらいだ。頼めないか?一応報酬も希望があれば応えるが」

「ふむ…家ってミキさんたちの家ですよね…ミキさん、その話お受けします。先に戻っていてください。準備したら行きますので」

 

よっしゃ。一人目で快諾。メレが専属でいてくれるならばもう安心だ。俺たちもメレに任せきりじゃないように仕事はするつもりだしな。

 


 

そして一日後。家を叩く者がやってきた。一応家の人たち皆を呼んでおく。

 

「皆様、初めまして。私はメレと申します。今後はここでメイドとして働くことになりましたのでよろしくお願いします」

 

昨日に比べて更に丁寧さが増した話し方に少々驚いてしまう。というかもっと驚くことがその服であり、完全にメイド服なのだ。昨日会ったときは普通の天使の服だったのに一体どこで手に入れてきたのだろうか。

 

「こちらの服は知り合いに作ってもらいました。使用人がマスターたちよりも目立つのはよろしくないと思いまして」

 

確かに天使の服は目立つ。なんせ純白の服なのだ。この世界では真っ白な布というのは中々手に入らない高級品であり、そんな服を着ていれば目立つことは間違いないだろう。その判断は正しかったかもしれない。

 

「マスターって?」

「マスターはミキさんのことです。一番上の存在ですので、私はマスターの部下ということになりますね。勿論サナ様たちへの奉仕も致しますので心配しなくても問題ありません」

 

一応この仲間たちの中で一番強いのは俺だ。それにメレを直接雇いに行ったのも俺だ。だから俺がマスターとなるのも分かる。あまりされない呼び方なので少々気恥ずかしい。

 

「私で時間を頂くのも申し訳ありませんので皆様はお戻りいただいて構いません。マスターは少々お時間を頂きます」

「おう、今後についてだな」

 

サナたちが元の場所に戻っていく。そして俺はメレを迎え入れてダイニングにある椅子に座らせる。メレは既にメイドとしての心構えを身に着けているのか座るのは遠慮がちだったのだが俺が命令して座らせた。既に主と召使いとしての関係が構築されているのはどうなんだろう…

 

「んでまあ報酬については…」

「いえ、給料などは大丈夫です。元より私はあまり私物がありませんので」

「えぇ…」

 

何も払わないというのはこちらとしては少しばかり心苦しいのだが、メレはマスターから頂くのはと言い続けるので結局俺が折れることになった。給料を無理やり渡そうとして拒否されるのはどういうことなのだろうか。

 

「ただ一つ望むとすれば私の部屋を一つ頂きたいです。天使はあまり眠る必要はありませんが、休息は必要なので」

「ふむ、じゃあ取り敢えず家の隣に小屋でも作るよ」

 

家自体は魔法を使えばすぐにできる。時空魔法で空間把握能力を上げれば設計図などがなくとも完璧な家を完成させることができるのだ。昔必要になるかもしれないと身につけた建築関連の知識が役に立ってよかった。

 

「それでは早速仕事に移りますね。私の仕事は家事全般でよろしいですか?」

「基本は掃除。料理とか周辺環境整備もしてくれたら嬉しいかな」

「かしこまりました」

 

そのままメイド服のメレが掃除を始めた。とはいえ拠点は大きいので一人では時間がかかってしまうだろう。もう少しは人員を増やした方が良いだろうか…

そう思ってサナに相談してみたらすぐに答えは返ってきた。

 

「ミキ、そういえば擬人化魔法っていうの開発してなかった?あれ使ってそこらへんの魔物テイムしてみたら?補助メイドなら教育すればいいでしょ」

「なるほど。ありだな」

 

俺はちょくちょく魔法の開発をしている。というのも俺の時空魔法の時点でこの世界には存在しない魔法属性なので自分で魔法を開発して実用的にするしかなかったのである。その中で体の構造にアクセスして疑似的に人間と同じ姿にする魔法を開発したのだ。形としては土をゴーレムにして使役する魔法と似たような感じ。

俺は早速外に出る。できる限り人間形態に近ければ消費魔力も少なくて済むのだけど…あ、スライム。あいつでいいや。擬態するスライムもいるし多分大丈夫なはず。

こちらから攻撃しない限りは攻撃してこない魔物のスライムに近寄って捕まえる。なんか知らないけど捕獲するだけだと反撃とかされないんだよね。そんでそのまま擬人化魔法。スライムの体が光った後、数秒したらそこには一人の女性が立っていた。まあ女性の体をしたスライムだけど。

 

「あれ…?」

「成功だ。スライムの割には結構自我があるんだな」

「スライムは基本的にちゃんと自我はありますよ?」

 

しっかり二本足で立ちながらキョロキョロするスライム。

すごいゆったり生活しているから希薄な自我しかないと思っていた。それこそゴーレム的な存在にしてメレが扱えるようにできればいいと思ったのだが、普通にメイドとして働かせることができそうだ。尚擬人化魔法で思考に影響を与えることはないので敵対している魔物は擬人化してもこちらを攻撃してくる。というか攻撃的なやつには擬人化魔法は効かない。

スライムに色々説明中…

 

「なるほど。まあいいですけど」

「攻撃してこないよな?一応テイムしようかとも思ったけど」

「んー…心配ならテイムしていただいてもいいですよ。スライムの体じゃできなかったことができるようになってそれだけで私の好感度は結構高めですけど」

 

一応テイム。テイムと言っても契約式の魔法で攻撃してこないように縛るだけだけど。

ついでにこのスライムの名前はスラにした。すごい分かりやすいだろ?別に追加人員をスライムだらけにするつもりもないので大丈夫だろうと安易につけた名前だ。

 

「じゃあ早速メレから教えを受けてくれ」

「分かりました」

 


 

おかえり。今の光景はとある時空の魔法である≪次元決戦演算(ディメンション・グラディエイト)『前日譚』(リコール)≫を使った過去視だ。基本的に今後も過去を見るときはこの魔法を使うからな。どこの時空の魔法かは…君らのグーグルやらなんやらで調べればすぐに出てくると思うぞ。

んで話がすごいぶっとぶが俺の三人目の妻というのがこのメレである。順番としてはサナが最初で次にマイ、そんでメレと結婚している。俺はサナしか愛するつもりはなかったのにどうしてこうなった。

 

「懐かしいですねぇ」

「この時のメレって今より固かったよな」

「この時はまだ雇われの身という意識が強かったので…マスターもぎこちなかったですしね」

 

実はメレは隣で一緒に過去を見ていた。折角なので呼んでおいたのだ。スラに関しては別件で仕事をしているのでこの場にはいない。

現在はメレとスラ以外にもたくさんのメイドがいる。その中でメレはメイド長、スラは副メイド長として活躍している。特にメレに関しては更に技術が上がり腕が何本もあるメイドや触手を使えるメイドよりも早く家事をこなす。

 

「ミキさん…」

 

…メレが俺のことをマスターではなく名前で呼ぶときはメイドとしてではなく妻としての振る舞いに切り替わったタイミングだ。どうやら過去を見たおかげか少々気持ちが高ぶっているらしい。

妻に求められたのでまた次回会おう。そんじゃ。




ミキ「俺たちの世界には英語がないことを前に言ったと思うが、天界は時空的に地球とも繋がってるから英語が一応あるんだ。だから地球に転移したことなくてもメレを雇った時点で英語を知ってるんだぞい」


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