咲-Saki-消えゆく京- (神狼K)
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プロローグ
急速の余命宣告


どうも神狼です。

なんかこんな物語を書きたかったので書きました。

基本できるだけキャラのアンチは避けます。


俺の名前は須賀京太郎だ!

 

清澄高校の一年生で、まぁ金髪しか特徴のない平凡な高校生──だった。

 

──今は麻雀部に入っている。

 

しかも男子は俺だけだ。……ははっ! “どんなハーレムだよ”と思っていた時代が俺にもありました。

 

今は雑用や買い出しをやらされているが、まぁ俺は麻雀弱いしこれぐらいはな! ……と明るく振る舞ってみたが、男子が一人だけというのは周りの視線が冷たかった。

 

ハハッ……。

 

……さてと、俺は今買い出しの帰り道であり、ちょうど部室についたところだ。

 

ガチャ、と俺は荷物片手に扉を開けて部室に入る。流石の俺も重たい荷物が体に染みるぜ!

 

「流石に皆帰ってるか……」

 

誰もいない静かな部室を見て、思わずそう独り言を漏らした。……とりあえず掃除して、それから帰るとしますかね。

 

俺は何やってんのかな……。俺なんかがいて意味なんてあるのかな。

 

「はぁ……」

 

部活やめようかな……。

 

そうふと頭を巡った。

 

「……なんか今日は変だな。ネガティブな事ばっか考えちまうな。……帰るか」

 

嫌なことばかり頭を遮り、気持ちを切り替える為に帰ろうとした……その時。

 

ドグン……ドグンッ! と心臓が握り締められるような激痛が走った。

 

「心臓が……い…た…い」

 

あまりの痛さに思わず踞ってしまう。頬には大量の汗が吹き出し、目がチカチカする。吐き気もする……っ!

 

……これが最悪な物語の始まりだった。

 

「どうなってんだよ……がぁっ! はぁはぁ……っ!」

 

ドグン、ドグンと鼓動が強く、激しく打ち付ける。これをなんとか耐えて、立ち上がる。とはいえ、壁を支えにしながら、やっと歩けるという状態である。

 

なんとか痛みは収まったが……病院いったほうがいいかもな……。

 

こうして俺は家に帰った。

 

 

 

 

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

 

 

 

 

次の日の朝、俺は学校に登校した。

 

心臓の謎の痛みについては母さんに話さなかった。心配掛けたくなかったら……。

 

「……」

 

ガラガラと開けたスライドドアの音が響きわたる。

 

今の俺はクラスの除け者だ。悪意があるわけではない。あくまでも嫉妬や憎しみだ。

 

何でアイツが麻雀部の部員なんだ? あんな弱くて情けない奴が、てな……。

 

皆は悪くない全部それの引き金となった俺の自業自得なのだ。

 

「あ、京ちゃんおはよう!」

 

「ああ、おはよう」

 

咲は俺にいつも挨拶してくれる。なんだか些細な事がとても嬉しく思えた。

 

思わず表情が暗くなってしまい、俺は咲から顔を背けた。こんな顔をアイツに見せられねぇからな。

 

「…京ちゃん大丈夫?顔色が悪いけど」

 

咲は俺なんかを気にかけてくれる。その好意はとても嬉しいが……。

 

「えっ? ……いや別に大丈夫だぜ。心配すなよ。それよりチャイムなったぞ」

 

「え、……うん」

 

咲は納得いかなそうな表情をしていたが、チャイムが鳴りそうなのは本当なので、渋々といった感じで、自分の席に向かう。

 

こんな良い奴だからこそ心配させたくない。

 

咲は、俺と違って全国が近いんだから。

 

 

 

 

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

 

 

 

放課後になったため、俺は咲に声をかけた。

 

「咲」

 

「なに?京ちゃん」

 

咲は不思議そうにしながら、俺の方へ振り返った。

 

「俺ちょっと用事あるから部活出られないから伝えといてくれ」

 

俺は申し訳無さそうにしながら、咲に言う。

 

「うんわかったよ。また明日ね!」

 

「ああ」

 

俺は、和のいる教室の方へ走って行った咲を見つめていた。

 

 

 

 

 

俺は病院に行くことにした。

 

いきつけの病院に着くと、けっこう広い病院内は意外と混んではいなかった。強いていうなら、ご老人や子供と付き添いの母親などがいるくらいかな。

 

「須賀さん」

 

「はい」

 

ナースさんから、俺の名前が呼ばれ診察室に入る。中にはクールビューティーな感じの美人な女医師がいた。

 

「こんにちは、京太郎君」

 

「はい、こんにちは先生」

 

この人は千冬先生、毎回この病院に俺は通っている。この病院に風邪を引いて行くときは、酷い場合は先生に家まで車で送ってもらうほどに、この病院と先生とも長い付き合いで、仲良しだ。

 

流石に今では送り迎えを遠慮している。だって一人の患者に肩入れしたり、身内ひいきはあまり良くないからな。

 

「今日はどうしたの?」

 

「……最近心臓に激痛が走るんですよ」

 

「……なるほど、それは検査したほういいわね。こっちに来て」

 

「分かりました」

 

俺は検査をしてもらった。なんか最先端の精密検査だったな。なんか凄いや。

 

検査終了後、千冬先生はレントゲンを見ながらかなり深刻そうな顔をしていた。

 

「検査どうでした?」

 

「原因不明の心臓病ね……。このままだと余命2ヶ月ないかもしれないわ……」

 

「そうですか」

 

なんだか頭が真っ白になる。そんな事言われても、何がなにやら……。自分が死ぬなんて、理解出来ねぇよ。何で俺なんだよ……っ!

 

沸き上がる激情を押さえながら、俺は千冬先生の名前を呼ぶ。

 

「先生……」

 

「…いつも通り千冬でいい」

 

プライベートでは名前だけで呼んでいる。仕事場では今まで一度も呼んでいないが、この時ばかりは不安で一杯で素直に頷いた。

 

「千冬さん、俺は治りますか?」

 

「……手術の成功率10%以下、でも見つけるから成功率を伸ばす手術法を」

 

「ありがとう、千冬さん、俺帰るよ……家で頭を整理する…」

 

「……わかった」

 

あまりにも絶望的な宣告に、俺は家に帰るしかなかった。今はとにかく母さんや親父、そしてカピバラのカピーに会いたかった。

 

 

 

 

 

 

俺は家に帰って、部屋に戻り、少し休む事にした……。

 

ん? 携帯が鳴ってるな。

 

相手は……部長からか。

 

流石に買い出しは勘弁してほしいな。無視します! ごめんなさい……。

 

俺は眠気に身を任せて、カピーを抱きながら寝た。

 

翌日……。

 

俺は学校を休んだ。

 

理由は朝から発作が二回も起こったからだ。こんなに辛くて酷いんだ。もう学校辞めるしかないのかな……。

 

このままじゃ出席日数が足りなくて留年だしな……。ふぅ、明日は学校に行くか……。

 

「ん? また部長からか……。俺は動けないのに……」

 

もう俺には部長に心配されるという可能性を考えるほど余裕がなくなっていた……。雑用や買い出しの連絡であるとしか思えなかったんだ。

 

……部長を無視するのは心が痛むが、それ以上に心臓が痛むのだ。本当に痛い。辛い……っ!

 

さらに翌日……。

 

コンコン

 

「失礼します」

 

ガチャ

 

俺はノックをして、職員室に入る。

 

向かう先は担任の可愛い先生のところだ。

 

「須賀君身体はもう大丈夫なの!? ……どうしたの?」

 

 

俺の真剣な雰囲気を察したのだろう。俺の目の前にいる、俺の担任のは心配そうな眼差しで、俺を見つめる。

 

「これ……」

 

それは退学届けだった。

 

「須賀君……? 何か嫌な事があったの? もしかして……先生のせいかな?」

 

 

先生は悲しそうにウルウルと、目に涙を潤ませながら、俺は見つめる。

 

「ち、違いますよ……」

 

俺はあわてて、訂正する。

 

そんな、まるでこの世の終わりのような目で、俺を見ないでください……。

 

「……事情を話してくれないかな?」

 

先生は真剣な顔で言うが、俺は首を横に振った。

 

「無理ですよ。いくら先生でも……」

 

「そう……部活はどうするの?」

 

「退部届けを出しに行きますよ……」

 

「そう……あのこれ先生の番号とメールアドレスだから何かあったら頼ってね?」

 

「ありがとうございます」

 

この先生はいつも俺の事を気にかけてくれる……。先生と別れるのは寂しいな……。でも、これは仕方のない事なのだ。もう決まったことであり、覆すことはできなのだから……。

 

「では、〝さようなら〟」

 

「〝またね〟須賀君」

 

俺は先生の目から、一筋の涙が零れ落ちているのを見てしまった。

 

 

 

 

 

 

俺は職員室しつから出ていって、現在は部室にいた。

 

「あれ? 誰もいない」

 

しかしそこにはボードに〝合宿〟と書かれていた。

 

「はぁ、なんだ……俺に知らせもしないで行っちゃったのか……」

 

俺は所詮その程度の存在なのかな。

 

そう思いながら俺は退部届けを机に置き俺は部室を出た……。

 

もし俺がこの時ボードの裏の紙に気づいてれば(原作の京太郎に向けてのメッセージ)少しは変わったかもしれない……。

 

俺はその後千冬さんと共に東京に行くことになった。

 

東京になら、治療、最悪の場合は延命が出来る病院があるかもしれないからだ。ちなみに、千冬さんは親の代わりの付き添いである。

 

 

「……もうすぐ出発するけど、大丈夫?」

 

「はい、大丈夫ですよ……」

 

「……じゃあ行こうか!」

 

「はい!」

 

千冬さんは俺に明るい笑みを向けてくれた。そんな千冬さんに元気付けられ、少しだけ元気になった。

 

しばらく移動していると……。

 

「……京太郎君、君は何か悩みはない?」

 

「悩み……ですか」

 

「うん、学校で何かあるとか、または…部活とか?」

 

「っ!!」

 

「大丈夫!? 京君!」

 

「だ、大丈夫です…あれ今京君って」

 

「うっ……」

 

年上で、あのクールビューティーな千冬さんの顔が真っ赤だ。そんなに俺が子供の時に呼んでた愛称が照れ臭いのかな?

 

「昔みたいに呼ばれて嬉しかったですよ千冬姉?」

 

「そ、そう? なら京君って呼ぶよ、き、京君……」

 

「…ありがとう千冬姉さん」

 

俺達は暖かい気分になりながら時間が過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

一時間後……。

 

「東京に着いたわよ」

 

「ここが東京……」

 

「今から病院に話を着けるからあそこの公園で待ってて」

 

「分かりました」

 

俺はそこの公園で待つ事にした。

 

「はぁ、いいな太陽が暖かいなぁ」

 

なんかいいな、俺はこんな平和な日々が病気一つで壊れてしまうんだな。俺はどうなるんだろうか?

 

「惨めに死ぬのか?」

 

「救われるのか?」

 

「それとも……」

 

俺は言うのをやめた怖かったからだ

 

「千冬姉まだかなぁ」

 

「あれ?こっちに誰かくる……」

 

果たしてそこにいた人物は?

 



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第一章京の旅立ち
あなたに救いの手を…


どうも、徹夜した神狼Kです!果たしてヒロインは?ではどうぞ!


「(あの人……どこかで見たような……?)」

 

「……あの」

 

俺が考えていると、あっちから声をかけてきた。

 

「はい、何ですか?」

 

「もしかして……京君?」

「えっ。……もしかして照さんですか?」

 

俺が驚きながら、思い浮かんだ幼なじみの姉の名前を言うと、彼女………宮永照さんはコクリと頷いた。

 

「うん………久しぶりだね」

 

照さんは何故か嬉しそうな笑顔で俺に話す。

 

「はい! 本当ですね……。咲とまだ仲直りしてないんですか?」

 

そう、咲がインターハイに出るきっかけになったのは照さんと仲違いになったから。そして咲は照さんと仲直りするためにインターハイを目指しているのだ。

 

俺は仲直り出来ているのか、とても心配していたため、聞いたんだ。

 

「……どうしてもまだ許せないの」

 

照さんは笑顔が一転して、表情が曇らせながら、俺から視線を逸らした。

 

「仲直りできるといいですね」

 

「…うん」

 

俺がそう言うと、照さんは少しだけ明るくなった気がした。

 

やっぱり、照さんや咲には太陽のように明るい笑顔が一番なんだよな。

 

『…………』

 

それにしても、なんか湿った空気になっちゃったな。せっかく照さんに会えたのに。

 

「あっ、そういえば照さん、全国出場おめでとうございます」

 

「あ、ありがとう京君…(わぁ// 京君凄くかっこよくなってるよぉ)」

 

俺がそう言うと、照さんは少し照れくさそうにお礼を言う。

 

はは、やっぱり照さんは照さんだな―――――

「………っ!?」

 

ドグンッ

 

―――突然、俺の心臓に激痛が走った。

 

「京君!?」

 

照さんが、何か言っているが、激痛に………、襲われた、俺に……は……聴力も、低下したようで、全く、聞こえない。

 

この痛み……、今までよりも一番激しい痛みだ。

 

「戻った……京ちゃん!」

タッタッタ

 

遠くから、誰かが走ってくる。多分、千冬姉なんだろうな。

 

「ぐぅっ!!!! はぁああぁぁぁ!!!」

 

「息がまともにできてない! ……病院に運ぶ、手伝って!」

 

「は、はい!」

 

そして俺はとうとう…

 

 

 

 

 

意識を

 

 

 

 

失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side照

 

 

 

 

 

私………宮永照は、幼なじみの京君と再会した。

 

久しぶりで、何を話せば良いのかも分からない中、京君は真っ先に私と咲の仲の事を心配してくれた……。

嬉しかった。

 

誰にも相談出来ずに、時間だけが過ぎていく時に、京君は『仲直り出来ると良いですね』って言ってくれた。

 

「点滴は?」

 

「準備出来ています」

 

「よし、さすがに手術は難しい!薬で落ち着かせなくちゃいけない」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

「京君……いったいどうしたの……? それになんで東京に?」

 

私は現在、色々医療器具で痛々しい姿になった京君を見つめながら混乱していた。

―――京君は長野にいたはずなんじゃないの?

 

―――なんでこんなに苦しんでいるの?

 

「京君……死なないで」

 

混乱する中、私はただ京君の無事を祈る事しか出来なかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後…

 

「あの! 京君は……どうですか?」

 

私は京君を運んでくれた人に問いかける。

 

「一命はとりとめたけど……、いつまた発作が起こるか分からない危険な状態……」

 

「なら私がついてます!」

私が叫ぶように言うと、その人は若干驚いような表情になる。

 

「……貴女は京ちゃんの知り合いなの?」

 

彼女は怪訝そうにしながら、私に聞いてきた。

 

「そうです。……私は宮永照といいます!」

 

「……わかった、薬を今から作るからその間貴女が面倒を見てくれる?」

 

「わかりました」

 

私の目を彼女は見た後、私が京君の側にいる事を彼女を承諾してくれた。

 

「…お願い」

 

「はい!」

 

「京君……私がついてるからね…」

 

「――――」

 

私は京君の手を両手で握りながら、そう決心した。

 

 

 

 

 

side京太郎

 

 

 

 

「―――あれ? 俺は…………」

 

「……う……ん。きょう……くん」

 

俺が目を覚ますと、照さんが隣で寝ていた。看病してくれたのか……?

 

「…ありがとう照さん」

 

「ふ…にゅう//」

 

俺が照さんの頭を撫でると、照さんは気持ち良さそうにしていた。

 

「ん……。……っ! 京君!!」

 

「ファっ!?」

 

照さんは突然目を開けた後、俺に抱き付いてきた。

 

俺は驚きと気恥ずかしさから、ヘンテコでマヌケな声を上げてしまった。

 

「……よかったぁ。心配、したんだよ……? 目が覚めなかったら私……、私………ぐずっ」

 

照さんは涙を流して、俺に必死に不安な思いを明かした。

 

……照さんはなんでこんなに優しいんだろう……。今まであまり会ってなくて……、なのに……暖かいなぁ。

 

人に抱かれるなんて久しぶりだな。前までは咲とばっかりいて常に温もりを感じてたのに……。良い匂いだなぁ。

 

「照さん……っ!」

 

「京君……泣いてるの?」

照さんが言った通り、俺は泣いていた。涙腺が崩壊したように涙が止まらない。

「すいません……。俺は、ずっと、孤独だったんです」

 

「……」

 

照さんは黙って、俺の話を聞いている。

 

「最初の……、うちは、皆から麻雀を、たくさん、教えてもらえて……」

 

涙が溢れて言葉が途切れ途切れになりながら、俺は照さんに胸の内を明かした。

「でも! そのうち、買い出しや雑用ばかり、やらされて! ……存在意義がぁ、それをやり続ける事でしか示せないで!!」

 

今思えば心が弱っていたからこんなに話せただけなのかもしれない。だけど今は感情を爆発していて止まらない。止まれない。

 

「でもぉ! 俺が悪いんでず! 強くなれないがら! 弱いがら! 結果が出ぜないがらぁ!!!」

段々と自分の声の大きさがヒートアップしていくのがわかる……。だけど照さんは静かにそれを聞いてくれた。

 

俺は子供のように、泣きじゃくる。恥ずかしさは今の俺にはない。

 

「クラスの皆にも! 沢山文句や罵倒を受けて! 『お前なんかあの場所に相応しくない!!』『消えろ!!』だの『お前なんて役に立たない奴死ね』って言われてぇ!!」

 

「……っ!!」

 

いつの間にか、俺は照さんに抱き締められた。

 

まるで、俺を引き留めるように、消えそうな俺の心を包むような温かさが伝わる。

 

「それで……ぞれでぇ」

 

「……辛かったんだね」

 

照さん、泣きじゃくる俺に優しい声をかけてくれた。

「ずっと一人でどんなに辛くても皆のためにがんばったんだね……。京君は優しいよ」

 

「てる…さん」

 

俺は優しくなんかない。そんな言葉が今の俺には出なかった。

 

多分完全に心が疲弊しているせいだ。そうに違いない。

 

「でも……あまり一人で背負わないで? ……今京君には私がついてるから」

 

俺が……、悪いんだ。

 

「私は何があっても君についてるから。だから……」

「照さん!!!」

 

俺はとうとう、照さんを抱き締め返した。

 

 

 

 

side照

 

 

私は黙って、京君の頭を撫でている。

 

「(咲……私はずっと我慢してた。でも、もういいよね? 咲、あなたがわざわざ突き放したんだもんね? ……京君は渡さない。京君はもう傷つけない。だって……私が守るもの)

 

私はずっと自分に嘘をついてた。妹の咲が京君の事好きだと思ってたから。

 

…………でも咲、あなたは京君を傷つけた。……それがたとえ傷つける意思がなくても、結果的にあなたは傷つけつけた……っ!

 

「…照さん、ありがとう……」

 

「当然だよ、だって私はあなたの事が……」

 

私がそう言おうとした時、病室に一ヶ所ある扉が開いた。

 

「薬の調合が終わった……」

 

「千冬姉……、ありがとな」

 

「と、当然よ。可愛い愚弟が困ってるんだもの」

 

京君は千冬さんにお礼を言うと、千冬さんは照れくそうに、自身のスノウホワイトの髪の毛を撫でている。

「はは……、愚弟はひどいなぁ」

 

京君は心から笑っていた……。

 

「そういえば咲達元気かな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side咲-Saki-

 

一方清澄では……

 

「えっ?」

 

今、私こと宮永咲は困惑していた……。京ちゃんが学校をやめた……? なんで?

 

「そうよ。最初は私も、先生から聞いて驚いたけどね。……ま、というわけでこれからは五人で部活動ね」

「ちょ、ちょっと待つじぇ! なんで京太郎はやめてるんだじぇ! ……なんであたし達が合宿いってる時に……」

 

部長が締めくくろうとすると、優希ちゃんが食い下がるように部長に問い詰めた。

 

「……須賀君は、本当になんで……」

 

「…………」

 

優希ちゃんだけでなく、あの原村さんまで困惑していた……。

 

まこ先輩は思考が止まったかのように沈黙していた。

なんで? 私なにか悪い事した? 謝るから、京ちゃん戻ってきて、居なくならないで……っ!

 

「…とりあえず大会に向けて「待ってください!!」……なにかしら?」

 

「部長は心配じゃないですか!?」

 

「心配よ、だけど大会がそれ以上に心配なのよ」

 

私はあまりにも過ぎた部長の言い方に…

 

「……っ!!」

 

パシンッ!!!!

 

乾いた音が部室に響く。私は部長にビンタをした。

 

普段の私の腕力では考えられない程に、力の籠ったビンタだった。

 

「……」

 

「咲さん…」

 

「咲ちゃん…」

 

「あなたは!! ………あなたという人はぁ!!」

 

「咲! 落ち着くんじゃ!」

 

私は部長に掴み掛かろうとした時、まこ先輩が私を止めた。

 

「はなしてください!まこ先輩!」

 

「落ち着くんじゃ! ……久!」

 

私がまこ先輩に叫びながら、まこ先輩の顔を見ると……、まこ先輩も怒ったような顔をしていた。

 

その表情は入部当初の私なら分からないほど、感情をグッと抑えた表情だった。

「……今のは悪かったと思うわ。だけれど咲、もう少し今をみなさい」

 

「っ!」

 

「……私達の今目指しているのは、全国優勝よ。それを理解しなさい。………じゃあ今日は解散よ」

 

「…この人でなし!」

 

私は生きてきた中で、こんなにも怒りが湧いたのは、これが初めてかもしれない。

 

私は部室のドアを開けて出ていった。

 

 

 

 

 

side久

 

「この人でなし!」

 

「咲さん!」

 

「咲ちゃん!のどちゃん!待つじぇ!」

 

私……竹井久は、お怒りながら、出ていった咲を追いかける和と優希を見送りながら、無感情にそんな光景を見ていた。

 

「……久、おんしは本当に自分を悪役にして場を納めるのが得意じゃのう」

 

「あら? なんの事かしら私は本当に「そんくらいにしとけえよ…」……」

 

「たとえ学校を辞めようが、京太郎はわしの後輩じゃ。いくら久でも余りにもドが過ぎておるぞ………っ!」

 

まこは本気で怒ったような表情で私に怒号に近い声を浴びせる。

 

「………」

 

「少しは頭冷やしんしゃい……」

 

バタンッと、まこは強く扉を閉めた。

 

―――はぁ、私って本当に最低ね……。

 

まこが出ていった後、私は思考する。

 

私の夢はインターハイに出場する事。だから夢のためなら誰だって犠牲にできるわ。

 

それが部員でもね………。だけど須賀君は良い後輩であり、……私の麻雀部の誘いに唯一まともに応じてくれた男子……。

 

……彼の周りの評判は散々だったわ。

 

学校をやめた理由の噂だって、……周りの空気に耐えられなくなったとかヤクに手をだし逃亡したとか、雑用に嫌気がさした……。

 

どれもこれも在られもないない噂だけど、最後のはゾッとした……。

 

……須賀君、あなたの事は大事な後輩だと思ってる……。

 

だけど今は大会が大切なの、今この部活を壊すわけにはいかないの……。

 

だから、この大会が終わったら私は…………。

「あら……?」

 

私の頬に水が伝った。アマもれかしら?

 

さっきから目や頬に水が入って視界が歪む……。

 

「須賀君……っ!」

 

本当に私って勝手な女ね。

こんなにも胸が痛むなんて、……違う、これは雑用する男子を失ったくやしさよ。

ぜったい……そうにちがい、ない……わ……っ!

 

 

 

 

 

 

side京太郎

 

病院での翌朝。

 

「ふぁぁ……」

 

俺は目を覚ました。

 

気分は爽快だな。……今のところはだが。

 

「……起きた?」

 

「あ、おはよう千冬姉」

 

「うん、おはよう京ちゃん」

 

俺が隣を見ると、千冬姉がいた。

 

「今日は歩けそう?」

 

「大丈夫ですよ」

 

千冬姉の言葉に、俺はそう返した。

 

「そうか、じゃあとりあえず、朝食をとって照に知らせて、出掛けようか」

 

「……ふふ、楽しみにしてますよ」

 

千冬姉の言葉に、俺は小さく微笑みながら言う。

 

「とりあえず、食事は何が良い?」

 

「だったら千冬姉の作ったご飯がいいな」

 

「なっ/// ず、随分可愛い事いってくれるわね//」

 

「もしかして照れてる?」

俺が少しニヤニヤしながら言うと、千冬姉は更に顔を真っ赤にした。

 

「わかった! 調理するから、いってくる!」

 

「…あっ、行っちゃったな。……ん?」

 

少し弄り過ぎたかな。……っと、千冬姉とすれ違って、照さんが入ってきた。

 

「京君、もう起きてる?」

「はい! 大丈夫ですよ。照さん」

 

「ごめんね、急に来ちゃって」

 

俺が元気よく返事をした後、照さんは申し訳なさそうにしていた。

 

「いえ、嬉しいですよ。照さん」

 

俺がそう言うと、照さんは顔を少し紅く染めた……。

「そ、そう// あっ、そうだ、今日は何か予定ある?」

 

「えっとその事なんですけど、照さんは空いてます?」

 

「う、うん空いてるけど」

俺の言葉に、照さんは期待の眼差しを向けてくる。

 

「じゃあ一緒に出掛けませんか? 千冬姉も一緒だけど……ダメですか?」

 

俺は上目遣いで不安な眼差しになりながら照さんに聞いた。

 

「いいよ!! 全然いいよ!」

 

「そうですか!よかった」

断られないでよかったぁ。ホッとする俺だったが一つ疑問があった。

 

「でも照さん、大会は大丈夫なんですか?」

 

照さんにそうきく。

 

「え? うん、大丈夫だよ。京君は心配しないで。私達はシードだから2日あたりは心配ないよ」

 

「そうですか!」

 

俺が一安心していると、病室の扉が開いた。

 

「ご飯できた……。あれ、来たんだ照」

 

「はい、それは……」

 

「私お手製のご飯だよ」

 

照さんと千冬姉はめっちゃ仲良くなっていた。

 

「なるほど……(……一歩リードされた……)」

 

「じゃあ京ちゃん、どうぞ」

 

「じゃあ、いただきます!」

 

俺が手を合わせて、箸でご飯を食べる。

「モグモグ……。ん! 美味いよ! さすが千冬姉!」

 

「そ、そう?ならよかった」

 

千冬姉は嬉しそうに微笑んだ。微笑んだ千冬姉は女神のようだった。白衣も羽織ってるし、スノウホワイトの髪の毛が合わさって、さしずめ雪の女神だなぁ。

 

「ん? どうしたの?(なんだか視線が熱い//)」

 

「い、いえいえ、なんでもありませんよ!」

 

俺はハッとなり、すぐに視線を逸らした。

 

「京君……」

 

「て、照さん?」

 

照がプクーッと頬を膨らませて、『私怒ってますよ?』みたいなアピールをしている。

 

ヤバい……照さんの膨れ面が可愛いよぉぉぉ!!

 

 

 

 

 

なんやかんやで食事はおわった。このあとはいよいよ出かけるのか……楽しみだなぁ!

 

 

 

 

 

外……。

 

「えっ?ラウンド〇ンですか?」

 

「そうよ、ラウンドワ〇よ」

 

「というか! 隠せてませんよ!」

 

「なにが?」

 

「と、とりあえずいってみる事にした。……というか美少女と美女に挟まれてるなんて役得だなぁ」

 

「ふぇ? 美少女!?///」

「ふ、ふむ美女か///」

 

照さんと千冬姉が顔を真っ赤にしていた。

 

「えっ!もしかして……」

「口に出てたよ」

 

「は、恥ずかしい! ふ、不幸だぁぁぁぁ!!!」

 

どこかのそげぶさんの口癖を叫んだ。

 

ラウンド〇ン

 

「お客様は大人一人学生二名でよろしいですか?」

 

「うむ」

 

「合計で3000円になります」

 

「はい」

 

「ではいってらっしゃいませ」

 

千冬姉がすべて支払いをしてくれた。

 

「うーん、まずはどうします?」

 

ゲートを越えた後、俺は何をしようかと迷う。

 

「えっと、まずはゲームとか?」

 

「えっと、じゃあまず太鼓の〇人で」

 

「うん」

 

ゲームプレイ中…

 

『6億コンボ達成だどん!』

 

「」

 

「ふぅ、太鼓の〇人って楽しいね!」

 

俺は咲が地区予選で言っていた事を言ってみた。

 

「つ、強すぎる」

 

照さんはすごくヘコんだ様子だ。

 

少し心配だが、多分大丈夫だろう。

 

「さて次はどうする?」

 

「ローラースケートはどうですか?」

 

「……っ」

 

「どうした照?」

 

「もしかして照さん…」

 

照さんの動揺に、千冬姉は心当たりがないみたいだが、俺には分かるぜ。

 

「ふぇぇ、ごめんなさいぃ。スケートできないよぉ」

……やっぱり照さんは照さんだな。どんなに麻雀が強くても、一人の少しポンコツな女の子だ。

 

「……教えてあげますから元気出して……ね?」

 

涙を潤ませる照さんに、俺はそう優しく呼び掛ける。

「うん!ありがとう京君!」

 

「ふむ、なら行くか」

 

『はい』

 

千冬姉の言葉に、俺と照さんは同時に返事をした。

 

というわけで

 

「えっとまずはこうして……」

「ふぁあ!?」

 

俺が一瞬だけ手を離した瞬間に、照さんは盛大に転んだ。

 

「い、痛いよぉ」

 

「だ、大丈夫ですか? はい、立ってください」

 

とりあえず頭を擦り、手を取り、立たせる。

 

うーん、これは咲並のボンコツぶりだぞ、さすが姉妹。

 

……しかし

 

 

 

 

 

十分後

 

「できたー!」

 

そこには元気に滑り回る照さんの姿が……っ!

 

「まさかコツを掴んだら……マジか!? ってぐらい早く上達するとは……」

 

「なかなか侮れないな宮永の血は……」

 

俺と千冬姉は感心、はたまた諦めにも近いような声音で呟いた。

 

「京君!褒めて褒めて!」

「はいはい、良くできましたね!」

 

「ふわぁ…///」

 

俺はカピバラのカピーで鍛えた撫で術(?)を惜しみ無く使うと、照さんは気持ち良さそうにしていた。

 

「そ、そんなにイイものなのか?」

 

「ふぁい//」

 

照さんは呂律が回らない状態で千冬姉の言葉に頷いた。

 

「京ちゃん。わ、私にも……して//」

 

「良いよ」

 

「……ッ……ッッ!!」

 

「気持ちいいか?」

 

「あ、ああ……。夢見心地だったよ……正直侮っていたよ//」

 

「そ、そうですか」

 

こうしてたくさんハメをはずせた。

 

 

 

 

 

そして帰り道……

 

「今日は楽しかった」

 

「うん、そうだね京君」

 

「また来れるといいな…」

「……はい!」

 

俺は病気に勝つ! 最初はネガティブだったけど今は違う。掴むんだ明日を! ……しかし

 

「ぐぅっ!!!!」

 

ドグン!

 

病気は非情にもそんな俺を侵食していく……。

 

「京君!!」

 

「ぐぅっ!……はぁはぁ」

「おさまった……?」

 

「大丈夫!?京君!」

 

「な、なんとか」

 

「どういう事?……あの細胞と………ブツブツ」

 

「ち、千冬さん?」

 

「えっとああなった千冬姉は止まらないんですよねぇ」

 

「そうなんだ……」

 

----俺は生き抜けるのかなぁ。

 

いきなり不安になる俺だった。

 

 

 

 

ホテル……

 

「千冬姉病院じゃないの?」

 

「さすがに病院の薬臭い環境ばかりではダメだろう。病院に近いこのホテルに泊まろう、金は心配無用だ」

「ありがとう千冬姉…」

 

俺は千冬さんの言葉に、少し感動しながら言う。

 

「とりあえず移動しよう」

俺達が移動する中……

 

「ん?あれ?照さん?」

 

「あっ!京君?」

 

「………」

 

なぜか照さんと同じホテルだった。そして照さんの隣にいる美少女はいったい?

 



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休息と苦しみを与えよう…

ホテルで会った照さんの隣にいたのは……

 

 

「ねぇねぇ、テルー。あの人誰?」

 

淡い金色の長髪をしていて、可愛い美少女だった。

 

「京君は須賀京太郎っていうんだよ……」

 

「そうなんだー。私は大星淡! よろしく!」

 

金髪の娘……大星淡は興味深そうな顔で俺を見た後、自己紹介をしてきた。

 

「ああ! よろしくな淡」

俺と淡は握手を交わした。少しひんやりしてるな。

 

「あの淡がまともな自己紹介を……。やっぱり京君は何かもってるね」

 

照さんは何か言っていたが、小さくて何を言ってたのかは分からなかった……。

「ねぇ、京太郎。京太郎はどこから来たのー?」

 

「長野からだ」

 

淡の質問に俺は正直に答えた。

 

「へぇー、京太郎って麻雀できる?」

 

「できるが………弱いぞ。凄くな……」

 

俺は少し暗い表情になりながら、淡の質問に答えた。

麻雀か……。病気や照さんとの再会とかバタバタしてて全然できてないよな……。

 

「そうかなー。なんか京太郎からは強そうな匂いがするのになー。まぁいいや! ぶっちゃけ強いほうが好きだけど、京太郎だから許す!」

 

「なんだよ! 許すって」

あはは、と俺は可笑しくって、笑った。

 

「さぁ? 自分で考えろー。」

 

プイッと淡は俺から視線を逸らした。

 

「なんか短期間で仲良くなってる……」

 

照さんは驚いたように、目を丸くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、麻雀不足なことに気付いた俺は麻雀打つことにした。

 

麻雀をするために、とりあえず照さん達白糸台の部屋に移動した。

 

「わぁぁぁ……」

 

そこは広かった。なぜか自動麻雀卓があるしな。……なんであるんだ?

 

「じゃあ打ちますか」

 

「ふふん、まぁ少しは手加減してあげるよ」

 

「京君、よろしくね」

 

「……須賀君は大丈夫だろうか……。まぁ照は手加減が上手いはずだから大丈夫だろう」

 

上から、俺、淡、照さん、菫さんの言葉で、菫さんは俺を勇気づけるように話す。……まぁ俺は焼き鳥だろうけどな……。

 

「リーチ!」っ

 

淡がリーチをしてくる、強いなぁ……咲達みたいだな…

 

「……」っ

 

「うーん違うな」

 

とりあえず一発での放銃は免れたようだった

 

「ツモ!」

 

しかし淡はあがった、けどなんか久しぶりに放銃しなかったな、……次あがり目指そうかな無駄だろうけど

 

「お、リーチです」っ

 

その後運がよかったのかリーチに漕ぎ着くた

 

「ツモです!」

 

やった……信じられない、まぁ周りが凄く手加減してるのはわかる…だけど俺からすればそれでも十分強すぎるにもかかわらず上がれたなぁ、嬉しいな

その後は結局四位だったが何回かあがれたから嬉しかった

 

「ふーん、なんだ凄く弱いわけじゃないじゃん、うちの二軍の中ぐらいはあるんじゃない?」

 

「え、そんな事ないぞ、俺は全然弱いよ」

 

「もう!京太郎はなんでそんな謙遜するの!強いったら強いの!」プンプン!

 

「お前、褒めながら怒るとは随時器用だな」

 

菫さんがなんか呆れていた

「だが須賀君、淡の言う通りだぞ、確かに私達にはまだ届かないが初心者なのにここまで強いのは凄いんだそ、」

 

「京君はもうちょっと自信をもったほうがいいよ?」

「…ありがとう」

 

なんだか温かい気分になった、俺は一旦白糸台勢に別れ(といってもお隣だが…)を告げた、

250(白糸台)→260(京太郎&千冬)という感じ

 

「ただいま…、千冬姉は出掛けてるのか…ん、電話だ」

『宮永咲』

 

「咲か…あいつも東京来るんだよな……まぁ俺がいなくてもあいつは大丈夫だろ………でも咲と話そうかな」ピッ

「もしもし…咲か?」

 

『京ちゃん……なんで学校辞めたの?』

 

「はは、お前はバカ正直に聞いてくるな」

 

『そうだよ私はバカだもん、……なんでなの京ちゃん寂しいよ…悲しいよ』

 

咲……ごめんな、俺は今病気なんだ、だから会えない……と言えたらよかったんだよな、だけど俺の口は違う言葉がでてきた

 

「……本当にか?」

 

『えっ?』

 

「お前と最後に一緒に登校したのはいつだったかな、一緒に遊んだのは?お前や俺の家に来たのは?一緒に帰ったのは?」

 

『京ちゃ…』

 

「俺が雑用や買い出しに苦労してる時、部活が終わっても整備をさせられてる時お前は何をしてた?」

 

違う……俺が自分から隠してたんだ心配や迷惑を掛けないように…自業自得なのに……

 

「最後にお前と打ったのは何時だっただった?俺は麻雀を打ってる記憶さえないがな……」

 

やめろ!咲を傷付けるな!止まれよ!俺!

 

『………ゥ……ッ』

 

咲が泣いてる!………俺の感情……照さんの時のように勝手にペラペラ喋る口………

 

「っ!!」

ツ---

俺は無理矢理唇を閉じ噛み締めた……血がでてもお構い無く……咲は傷つけたくないんだ…。

 

『ごめ…んね』

 

『わたし……何も分かってあげられなかった……』

 

『ごめ「咲!!!」……っ!』

 

俺はこれだけは言わなくちゃいけない

 

「ごめんな……こんな幼なじみで………」

 

『っ!!京ちゃプツン…………………………』

 

俺はそれだけ言って切った本当に俺は最低だな言うだけいって切るなんて……自己険悪に浸るなか俺はとりあえず自分をおもいっきり殴った……

 

 

「京ちゃん!どうしたんだ!その傷は…」

 

「……すいません」

 

「……手当てしたやるからこっち向け………唇まで切れてるじゃないか…今仙豆をやる食え」

 

「………」ポリポリ

 

仙豆って…ドラゴン〇ールかよ………はぁ……早く風呂入って寝たいな、幼なじみ傷つけて最悪な気分だ…

「じゃあ、俺風呂入ってくるから…」

 

「大丈夫?お風呂私もいようか?」

 

この人本気で言ってるから凄いよな、……まぁ今は冗談言える雰囲気でもないか

「…大丈夫だよ千冬姉、じゃあ入るね」

 

「…うむ」

 

 

入浴タイム

 

「…熱いな」

 

身体に熱が伝わる…この熱さが生きてる実感をわかせる…余命宣告から3日、残された時間も少ないから無理矢理状況を飲み込んだが正直怖い……死ぬのがなにより俺が死んで悲しむ人がいるのか……?、だが脳内に浮かぶのは…母さん、千冬姉、そして……咲と照さん、俺は何がしたいんだろうか?照さんとは再会してなぜか仲が良い……咲とは遠く離れてる…。対照的だよな、咲とは中学まで仲が良かったが麻雀や病気のせいで遠い仲になり、照さんとは昔はあまり話さなかったが今は麻雀と病気のおかげで再会した、そして良い仲になった…… 、

 

「くっ!どうすれば良いんだよ!!」

 

俺はどうすれば……

 

入浴終了

 

結局結果を見いだせないまま寝床に入る

 

「…お休み京ちゃん」

 

「うん、お休み千冬姉」

 

俺は疲れたので考えるのをやめて寝る事にした……

翌日、俺は早く起きた、出かける時は一声かけると言われたので千冬姉にちょっと外の空気吸ってくると言い、部屋を出た

 

外…

 

俺は今外にいる、夏なので外はもう明るい、しかし人影は少ない、俺はその中を歩いている時、視線を感じた…

 

「……」チラッ

 

「……」バッ

 

……なんだ、淡か……ってえっ?まだ見つかったと気づいてないな、これは…………ふふ

 

「……ぐっうぅ急に胸が痛くなってきたぞー(棒読み)」

 

「京太郎!?」バッ

 

「冗談だって冗談!ははっ!」

 

「バカ!!」

 

「いぃ!?」ビクッ

 

「心配したんだからぁ……」ポカポカ

 

「お前…咲みたいだな」

 

「だれ?」

 

「…なんでもないさ、さてなんでこんなとこにいるのかな?」

 

「…偶然通りかかって京太郎を見つけたから話かけようと思ったら話す機会を失って……」

 

「なるほど、お前可愛いな」なでなで

 

「ふぁっ!な、撫でるなぁ…///」

 

「照れるなよぉ、このこの!」ツンツン

 

「……いい加減に……っ!?ひっ」

 

「?、どうした?」

 

「(淡…京君に手をだしたら『デス』だよ)」ニコォ

「(ヤバいヤバい!なんでテルーが?更に笑顔が怖いよ!なに!?デスって)」ガクブル

 

「淡?」

 

「ひ、ひゃい!」

 

淡噛んだな…大丈夫かな、俺は淡に

「大丈夫か?」と声を掛けるが淡は震えたまま動かない、どうしたんだ?っと考えていると

 

「あっ、京君!おはよう、奇遇だね」

 

「はい、おはようございます」

 

「淡?ちょっと来ようか?」

 

「ひ!た、助けて……」

 

照さんは何故か淡を連れて「バイバイ」と言いながら立ち去っていった……

 

「なんだったんだ?」

 

こうして俺は部屋に戻る……

朝食を食べた後、千冬姉は出掛けたが俺は外に出ても問題ないらしい、ちょっと外に出ようかな。

 

インターハイ会場

 

「はぁ、なんで俺はこんなとこに来ちゃったのかなぁ」

 

やっぱり未練が……ありまくりだよな、さて入るか、俺はとりあえず、試合を観ることにした、まだ二回戦だが清澄は接戦していた、白糸台は圧勝かな、咲…頑張ってるかな…、俺は会場を立ち去ろうとした…が、そこに一人の人物が現れる……それは……

 



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幸運を映す照魔鏡は何を見いだすのか…

どうも神狼Kです、前回沢山選択をしてくれてありがとうございます♪ではどうぞ


そこにいたのは……照さんだった。

 

「照さん……」

 

「京君……やっぱり麻雀に未練が……?」

 

「ははは……やっぱり照さんには何でもお見通しですね。はいそうですよ未練ありまくりで来てしまいました……」

 

俺は来た理由をあっさり明かした別に隠すことでもないからだ、しかし照さんはやっぱり強いなぁ。

 

「照さん、貴女の試合は素敵でした憧れましたよ……俺には到底辿り着けない場所にいる照さんにね……」

 

「京君はなんで諦めるの?」

 

「……」

 

「なんでそんなに悲しい目をするの? やっぱり咲が悪いの……」

 

「違う!! 咲は悪くない!」

 

俺はつい叫んでしまった。幼なじみの咲は悪くないんだ全て俺が……悪いはずなのに。

 

『京太郎!もう少し自信を持ちなよ!』

 

葛藤している時、ふと淡の言葉が脳内に過る。……自信? 自信ってなんだよ。悪いが、今の俺にはとても理解できそうにないぜ、淡。

 

「とにかく咲は悪くないです」

 

「京君……君は本当に優しいんだね」

 

「……俺は優しくないです」

 

「京君……」

 

照さんはゆっくりと、しかし力強く俺のことを抱き締めてきた。俺の鼻にはふんわりした柔らかい感触と甘い匂いに包まれる。

 

「京君、前にもいったはずだよ、一人で背負わないでって……」

 

「照さん……」

 

照さんは俺に優しくしてくれる。だが……いつまでも甘える訳にはいかないじゃないか。俺に力がない……この先力がなければ死ぬだけだ。

 

「照さん、ありがとうございます」

 

俺はできるだけ優しく、照の抱擁を振りほどいて一歩離れた。

 

「ですが、俺は大丈夫ですから……ではまた」

 

そして、俺は照さんの優しさから逃げるようにその場を後にした……。この時、照さんがどんな表情で俺のことを見ていたのかは知らない。

 

「京君……」

 

ただ、照さんが悲しそうに俺の名前を小さく呟いていたのは聞こえた。

 

side咲-Saki-

 

私は宮永咲。清澄高校に通う平凡な文学少女……のはずだったんだけど、幼馴染の男の子……京ちゃんに麻雀部へ誘われてから、私の人生は大きく変わった。

 

こんな私が麻雀部のえ、エースとして活躍出来たのも、インターハイの舞台に来れたのも、仲間の力もあるけれど、京ちゃんの支えがあったからだ。

 

それなのに私は……京ちゃんの苦しみに気付いてあげられなかった。見も蓋もない噂、クラスからの追害……私は幼馴染失格だと思う。

 

懺悔が海のように大量に溢れてくる中、私はインターハイ会場のロビーにいた。現在は二回戦で永水、宮守、姫松の強豪の三校を下して一位で準決勝を突破して一旦解散となったから、ここにいる。

 

だけど……私の心には大きな穴がぽっかりと空いているような気持ちになっている。その理由を私は知っていた。

 

京ちゃん……須賀京太郎がいなくなったことだ。

 

会いたい……でも私には会う資格なんて無いのかもしれない、でも会いたい。でも場所が分からない。

 

そんな無限ループのような思いに苦しんでいた。そんな時……見つけてしまった。

 

「京ちゃ……お、お姉ちゃんっ!?」

 

あ、ああ。

 

何で?

 

何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で。

 

ナンデ?

 

そこには京ちゃんを抱き締めるお姉ちゃんの姿があったのでした。

 

私は訳が分からなくなった、ぐちゃぐちゃな思考を抱えながら無我夢中で、その場から逃げ出した。

 

side照

 

私はどうすればいいんだろう? 京君はきっと思い詰めてるんだ……自分が弱いと、周りに力を借りず自分で強くならないといけないと自分自身を追い込んでいるんだ……。私は京君を助けたいけど……わからない、わからないよぉ。

 

でも!

 

「……京君、私は君を助けたい!」

 

こうして私はあることの準備をするために動きだした、時間がない、私にも、京君にも……。

 

 

side淡

 

うぅ、今朝は酷い目に遭ったよぉ。テルーにロン(物理)されちゃって、頭がズキズキするし。ちなみに今私は外でテルーに頼まれごとされてるんだよ。それは京太郎を探すということ! なんでなんだろう?

 

あれ、おやおやあれは?

 

「もしかして京太郎?」

 

「……淡か」

 

ビンゴ! やっぱり私ったら高校100年生ね! それにしても、なんか京太郎元気ないなぁ。私は心配になりながら、京太郎に声を掛ける。

 

「ハロー! ハッピーうれぴーよろぴくねー?」

 

「はは……、おう元気だよ」

 

なんかさっきより元気になったけど空元気っぽいなぁ。むー、そうだ!

 

「ねぇねぇ!この近くにパスタやデザートが食べ放題のお店があるんだけどいかない?」

 

「いや俺は『グゥゥゥ!!!』………おっふ」

 

突然、京太郎のお腹から大きな音がなって、アイツは頬を赤くして変な声を上げた。ふふ、なんか京太郎らしくなってきたなー♪

 

「ぷっ! きょ、京太郎?」

 

「現金なお腹ですいません」

 

「なんで謝ってるのにドヤ顔すんの……」

 

京太郎は何故かキリッと顔を引き締めてドヤ顔を私に決めてきた。もう、なんか訳分からないよ!

 

「「……ぷっ!」」

 

「あはははは!!!!」

 

「あはははは!!!!」

 

なんだか、可笑しくなっちゃって、私と京太郎は周りを気にせずに大笑いしてしまった。うん、やっぱり京太郎は笑顔が一番だね! と思いつつ、これでテルーが連れてくるように言ってた店に案内すればミッションクリア! 報酬はデザート食べ放題と京太郎の笑顔!

 

よし、早速ご案内だ!

 

side京太郎

 

急に淡に連れ出され、店に連れてかれた京太郎です……。まぁ腹が空いてたのは事実だしな。さて、こうなったら、とことん食って腹ごしらえしてやるか!

 

カランカラン、鈴が鳴り響く中、俺と淡は中に入った。するとパン! といきなりクラッカーを鳴らしたみたいな大きな音が聞こえてきた。

 

「うわぁっ!?」

 

なんなんだぁ!? 今の音は? あれ千冬姉と照さん? あと、白糸台の菫さん、誠子さん、尭深さん…なんでこんなところにいるんだよ。

 

「はぁ……焦ってた私がバカみたいじゃないか」

 

「すいません、うちの照が急に呼び出してしまって」

「いや、大丈夫だ、そっちこそ京ちゃ……京太郎のために来てくれてありがとう菫君」

 

「いえ、まだ会って日は浅いが京太郎はもう私達の友ですので」

 

「おー、菫先輩、格好いいですね!」

 

「……菫先輩、ユニーク…」

 

「尭深、お前それキャラ違うからな…」

 

「…残念」

 

 

なんか菫さんに突っ込まれて、尭深さんが残念そうな表情してるし、何の会話してたんだよ……。

 

「京君!今日は難しい事は忘れて、たくさん食べよう?」

 

照さんはニコッと微笑みながら、俺の手を握った。あんな逃げ方したのに、……貴女は照さんは本当に……お人好し過ぎだ。

 

「……はい!」

 

ごめんな、今日俺はもう少し甘える事にした。照さんに、皆に甘えて難しいはことは、この瞬間だけ忘れることに決めた。

 

「さぁ! 食べよう食べよう!」

 

「はい!」

 

俺はどうなるのかはまだわからない、だが暗く生きるより明るく生きるほうが良いよな! 確かに俺は甘いかもしれない……だが俺は俺なりに病気と向き合ってやる! ……そうだろ? 心臓病! 俺は負けねぇぞ!

 

「モグモグ、美味いですね!」

 

「そうだね!ほらもっと食べよう?」

 

「はい! ……モグモグガツガツ」

 

こうして俺は食べて食べて食べまくった!

 

「ふぅ!食った食った」

 

「…………体重大丈夫かな」

 

「照……お前」

 

「な、ななな何!?菫!私は何も言ってないヨ!」

 

「照さんは綺麗だから大丈夫ですよ」

 

「き、京君!!」

 

菫さんの哀れみの視線に気付いた照さんは青ざめた表情から、恥ずかしそうな真っ赤な表情となる。とりあえずフォロー入れておくとしよう。

 

「むー」

 

「……京ちゃんはモテモテだな」

 

「あなたも好きなんじゃありませんか?千冬さん」

 

「む、何を言う菫君、わ、私は別に……」

 

「京太郎も大変だな……」

 

「……京太郎!」

 

遠くで菫さんと千冬姉が話しているのが気になるが、唐突に淡が俺に抱き付いてきたので、意識は淡に向くことになった。

 

「京君…」

 

「うわぁ、淡、照さん!」

 

な、なんてこった! おもちが両手におもちだぁぁぁぁ!!! 幸福だぁぁぁ!

 

とまぁ、トラブルもあったが、こうして辛さを忘れてられた楽しい1日は終わりを告げた……。

 

 

 

 

 

 

 

『今日から最後にカウントをつけます。

ハッピーエンド、バットエンドや様々な報告を行います。

二番を選んだ読者《プレイヤー》様の活躍により最悪バットフラグは見事回避しました。

この調子でハッピー目指して頑張りましょう!』

 

---照と淡の好感度はあがりました!

 

---千冬がサブヒロインに加わりました

 

---京太郎に病気克服フラグlevel1が立ちました!

---ハッピーエンドに一歩近づきました!

 

----咲に???フラグが立ちかけてます……。

 

 



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星は京に降り注ぐ…

どうも遅れました、今回料理の知識がでます、ではご覧ください!


翌朝になってまた俺は目覚めた、昨日は楽しかったな、今日は麻雀の練習でもするかな、なんか少しずつ麻雀がしたくなってきた、やっぱり俺は麻雀に魅了された人の一人なんだな、と思う、インターハイはいよいよ準決勝か……淡や照さんは大丈夫なんだろうか、確かに照さん達は強いけどやっぱり大きな大会では何が起こるか分からない、テレビでもつけるか……

ピッ

『大将戦終了!!』

 

「終わったのか、もう少し早めにつければよかったな」

 

『なんと!初出場の阿知賀が一位通過!白糸台は二位通過だぁ!いやぁすこやんまさか王者白糸台が二位になるとは思わなかったね』

『うーん、でも阿知賀のほうもギリギリって感じがするしやっぱり副将戦の失点と大将の大星さんの能力が通じなかった動揺が二位になった要因かな、宮永さんの大量得点や中鋒戦の役満もあったわけだから。』

 

『なるほどね、決勝のリベンジに期待です!』

二位通過か俺は決勝に進出してて嬉しく思うんだけどやっぱり王者だから一位じゃなかったら多少の批判はあるみたいだな、……隣の部屋に行こうかな。

 

青年移動中……

 

コンコン

 

「失礼します、……あれ?淡だけか」

 

「…………」

 

淡はうつむいている俺は心配になり声を掛ける

 

「淡、決勝進出おめでとう、試合みたぞ凄いじゃないかダブルリーチ」

 

「……っ、でも、私は、あんなに高校100年生とか、言っておきながら、一位になれなくて、悔しくて。」

 

泣いてるのか、言葉は途切れ途切れだった、そんな淡に俺は

 

「なにいってるんだ」

ペチン

 

「いた…」

 

「お前は一生懸命頑張ったんだ、それにさ王者にはこんな言い方失礼かもしれないが全力を尽くしたらそれでいいじゃないか、お前を責める事なんてなにもない」

 

「それにもしこのままじゃ嫌なら特訓だ!頼りないかもしれないけど俺も付き合うから」

なでなで

 

「京太郎は優しいね、私嬉しい!」

 

「よーし!じゃあ早速麻雀しに行こう!京太郎の特訓にも付き合ってあげる!」

 

「ははは!よろしく頼むな!淡」

 

「この高校100年生大星淡に任せなさい!」

 

誇らしく胸を張りながら淡は頼もしく言う

 

「じゃあ行くか淡」

 

「うん!」

 

 

物陰に照さんがいたことには気がつかなかった

 

 

side照

 

「淡…よかった元気になって、私もそろそろ行こうかな………でも」

 

『今の京太郎は精神がかなり不安定な状況下にある、くれぐれも麻雀をやる時には注意してくれ』

 

千冬さんがそういっていた、でも京君は死なせない私が守るからそれにもう私には京君のいない未来は考えられない、……いこう京君や皆のところに……

 

 

sideいろんな目線

 

俺と淡は二人ではさすがに練習できないので照さん達の帰りを待っていた、

 

「そろそろテルー達が帰ってくるはずだよ」

「おう、そうかよし!照さんがきたら沢山練習して本当に強くなってやるぞ!」

「少しは前向きな思考になってきたじゃん」

 

そうして俺達が話ているとガチャとドアが開く音がして照さん達が帰ってきた、照さん達は突然来ていた俺にも快く練習に付き合ってくれたんだ、それで俺達は練習を始めた

 

「うーん、これですか」

 

「うん、うまく避けたね」

俺は少しずつではあるが強くなっているそうだ、強くなっている実感は湧かないが照さんや菫さん、淡や誠子や尭深さんにまで褒めてもらえたから間違いないんだろう

 

「ポン」

 

誠子さんが今ので3副露になった、

 

「ツモ」

 

「誠子、凄いですね!」

キラキラ

 

「う//そうか?ありがとう」

 

なんだか照れてる様子、可愛いなぁ、っといつもの悪い癖だ、さて集中集中っと

「京君それロンだよ」

 

「わぁ、やられましたぁ」

「えっと、ツモ三色、赤1、ドラ2満貫です」

 

「うん、その調子だよ京君!」

 

「は、はい!」

 

照さん達との麻雀はとても楽しかった、全力でなくても本気でやってくれたんだ、たまに(:−:)な展開にもなったが楽しかったから乗り越えられた、咲達との麻雀とは違うんだ、咲達とのはひたすら打ちのめされるつらいものでしかなかった、点棒を払うのと焼き鳥になる作業しかなかったんだ、だけど照さん達との麻雀は楽しかったよ、……………早くみんなに会いたい、それで今度こそ見返すんだ、強くなったぞ、もう足手まといじゃないから仲間に入れて、一人にしないでくれよな……

 

「京君?どうかしたの?」

「え?いや、なんでもないです!、それよりもっとやりましょう!」

 

「うん、わかったよ京君」

二時間後

 

「今日は終わりにしようか」

 

「ありがとうございました、良い勉強になりました」

 

「ああ、……そういえば君は元々はどこの高校だったんだ?」

 

菫は知りたかった、京太郎の事を

 

「……清澄です」

 

「清澄?ああ、今準決勝を一位通過したあの高校か」

「須賀君は病気で来たって事だったよね」

 

「はい」

 

ちなみに尭深をはじめ照以外に白糸台勢の中には余命を受けた事は京太郎は話ていなかった……心配を掛けないために

 

「……あ!そうだ、せっかくですから今からなにか料理を作りますよ、俺、こう見えて料理得意なんですよ!」

 

「えっ、そうだったの!?」

 

「…意外」

 

誠子と尭深は驚く、

 

「では座って待っていてください、20〜30分で完成させますので」

 

「うん、わかったよ、何か手伝えるかな?」

 

「それじゃあ箸、スプーンとフォーク、ナイフを持っていって貰えますか?………あっ、いえやっぱりナイフはいいです、危ないので」

 

「心配してくれたの?」

 

「はい、そうです」

 

「即答かぁ///」

 

「じゃあ照さん待っていてください」

 

「う、うん//、わかったよ」

 

というわけで

 

「いざ参らん、白糸台の食卓」

 

まずはトマトの冷スープだな、次にトマトの味噌炒め、次に酢豚だな、よっしラストはマカロンでメニューは決まりだな、さて作りますか

 

調理中………

 

「できました、まずはトマトの冷スープからどうぞ」

「いただきます」

 

「う、美味い!」

 

「トマトにはビタミンAになるβ-カロチンをやや多く含んでいて。これは、抗発ガン作用や免疫賦活作用で知られているんだが、その他にも髪の健康維持や、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、そして、喉や肺など呼吸器系統を守る働きがあるといわれてるんだ。」

「へぇー、詳しいね」

 

「皆は女の子だから、ほら髪は女の命っていうだろ、だからそれを作ったんだ」

「あ、ありがとう、私達のために」

 

「次はナスの味噌炒め。」

「モグモグ、?、甘い?」

「ああ、野菜は新鮮なものを使ってるからな、スーパーの野菜とはまるで違うだろ?」

 

「新鮮って凄いな」

 

「ナスには紫紺色のナスニンと呼ばれるポリフェノールの一種、アントシアン系の色素で、強い抗酸化力があり、ガンや生活習慣病のもとになる活性酸素を抑える力が強く、。また、コレステロールの吸収を抑える作用もあるんだ、さらにナスには体を冷やす効果があり熱中症予防にも効果的なんだ」

 

「うわぁ、京太郎の優しさが見に染みるよぉ」

 

「よし、次に肉料理だな、酢豚だ」

 

「む、パイナップルが入っているが?」

 

「はい、パイナップルには肉を短時間で柔らかくする効果があるんです」

 

「本当だ、柔らかくて美味しい」

 

「酢とは古くから利用されている人類最古の調味料なんだ。酢酸やクエン酸をはじめ、アミノ酸などの有機酸が豊富に含まれており、疲労回復や生活習慣病予防に効果的で健康と美容に良いとされ、古くから多くの人々に親しまれてきたんだ。」

 

「なるほど、酢をたくさんとれば肌がツルツルになるんだ!」

 

「そういうことだ。次がデザートだ」

「スイカだ」

 

「最後はシンプルだな」

 

「はい、冷えてますので塩はお好みでどうぞ」

 

「モグモグ、美味い」

 

「お茶に合う」

 

「お茶ってタカミン、冗談だよね」

 

「合う」

 

「いやいや「合う」」

 

「合うの」

 

そんなこんなで食事は終わった、小説を見てる皆さんも熱中症には気をつけてください、

 

 

「ふぅ、今日はありがとね、京太郎」

 

淡と俺は今ホテルの屋上にいる、目的は……

 

キラン☆ミ

 

「あ、流れ星だ」

 

「願い事が叶うって言うよね」

 

「そうだな、次来たら願い事でもするか。」

 

「うん!」

 

☆〃『やぁ』

 

「また来たな」

 

「京太郎は何を願ったの?」

 

「そうだな、これからも皆で仲良くいれますようにって願ったんだ」

 

「皆……か、うんそうだね!いつまでも一緒にいようね!」

 

「いつまでもはむずかしいな」

 

「細かいことはいいんだよ!」

 

「はは、そうだな、淡は?」

 

「……京太郎の病気がなおりますようにって」

 

「淡……」

 

「ふふ、なんだか照れるね」

ニコッ

 

「……っ//」

 

その時の淡の笑顔はとてもキレイだった……

 

「…えっと、じゃあ戻ろうか……」

 

「待て」

 

「わぁ!?」

 

俺たちはいわゆる壁ドン状態になった

 

壁淡京

 

「きょう…たろ?」

 

「……なんで俺のために?」

 

「それ…は///」

 

「なんで俺のために願い事をしたんだ?」

 

「えっと……あの///」

 

「……っ、悪いつい気になってな、いやなら言う必要はないぜ///」

 

「じゃあな!」

 

「……バカ」

 

淡の声は夜空に消えていった………

 

 

 

清澄宿舎

 

「京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん」

 

「なんで、お姉ちゃんと一緒にいるの?何で?ナンデ?」

 

咲は京太郎以上に不安定になっていた

 

「京ちゃん……会いたい………会って謝りたい…………」

 

「京ちゃん……あぁ、京ちゃん、私の大好きな京ちゃん、………なんでお姉ちゃんは私の存在を否定したり京ちゃんを私から奪うの!?私悪い事した!?ねえ?ねえ!?、……まぁいいや、今日は寝よう、京ちゃん………お休み」ツー

咲の目から涙がこぼれる…

 

『淡の好感度が上がりました』

 

『咲は堕ちかけています』

『京太郎の寿命が少し伸びました』

 

『京太郎の死まであと3ヶ月』

 

 



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運命の選択

どうも、今回は照になりました、


翌朝……

 

「……ふぅ」

 

目覚めはも体調も普通だった、まだ生きてる事からの安堵がもれた、俺は携帯を確認する、

AM7:05ダヨー

 

「ちょっと早めだな……………ん?」

 

着信だ、相手は照さんだ、

「はい、もしもし」

 

『もしもし京君?ごめんねこんな時間に』

 

「いえ…大丈夫ですよ!」

『今日は検査とかある?』

「ないですよ」

 

『そうなんだ……よかったら二人で出掛けない?』

 

「いいですよ!」

 

『そう……、ならホテルの玄関口に集合、わかった?』

 

「はい、わかりました!すぐに行きますね」

 

『それじゃ』

 

プツンと電話が切れる、照さんと外出か、あれ?これってデートなんじゃないか?……デートか…初めてのデートがまさか照さんなんてな……最弱と最強か……真逆同士が肩を合わせてデートなんて誰が思うんだろうな、さて着替えるか……………

青年着替え中…

 

「…よし!行くか」

 

俺は階段を下りて玄関口に向かう、そこには既に照さんがいた

 

「おーい、照さ〜ん」

 

「あ、京君、早いね」

 

「そんな俺より早い照さんのほうが早いと思いますよ」

 

「ふふ、行こうか…」

ぎゅっ

 

「はい」

 

俺達は無意識の内にてを繋いでいた、

 

さて、まずはどこに行こうかな

 

「どこかいきたい場所があるんですか?」

 

「うん、映画を観に行こうかなと思ってたんだけど、皆とスケジュールが合わなくて、さすがに一人じゃ寂しいから」

 

「なるほど、確かに一人映画はきついですね」

 

「ちなみに何を見ようとしてたんですか?」

 

「『本能寺の変』って映画」

 

「えっ!照さんって戦国好きなんですか!?」

 

「えっ、う、うん」

 

「奇遇ですね!俺も戦国が好きで特にこの映画見たかったんですよ!まさか照さんまで好きだったとは思いませんでしたよ!」

 

「そ、そうだね、面白そうだよね(凄い食い付き…千冬さんの戦国好きって本当だったんだ)」

 

「さぁ!早く行きましょう!直ぐ行きましょう!」

ぎゅっ

「え!?き、京君速いよ!」

俺は照さんとてを繋ぎながら走ったため照さんが引っ張られる形になっていたが俺は気づかなかった……

 

映画鑑賞中

 

「良い映画でしたね」

 

「そうだね……最後の信長のセリフが心に響いた」

 

「……照さん最後泣いてましたもんね…俺もですけど」

 

「うぅ///恥ずかしいよ///」

「このあとどうします?」

「そういえばお腹減らない?」

 

「そういえば……『ぐぅぅぅ!!』ははは…//」

 

やばっ!余りにも映画が良くて腹ペコなの忘れてた、女の子の前でデリカシーねぇ……

 

「ふふ、可愛い音が鳴ったね、じゃあそこのレストランに入ろうか」

 

「………はい」

 

店内

 

「わぁ、メニューが沢山ありますね、」

 

「うん、適当にめに入った店だけど当たりだったみたいだね」

 

「照さん見るめありますね!」ニコッ

 

「そ、そうかな、照れるな……照だけに」

 

「……ははははは!!上手いですね!照さん!」

キラキラ

 

「う、うん(滑ったかと思った……恥ずかしい//)」

「とりあえず、メニュー決まりましたか?」

 

「うーん、私はハンバーグセットかな」

 

「俺はレディースランチで」

 

「えっ?京君レディースランチ好きなの?」

 

「はい、そういえば良く咲に頼んでましたけど最近は食べてませんでしたね。」

「そうなんだ咲と……」

 

「そういえばその時に一度まわりに咲は良い嫁さんだなって言われたっけ」

 

「………」ピク

 

「でも咲のやつ『嫁さん違います!』って即答されたっけ、あいつ…なにも即答することないだろ、まったくな、ははは」

 

「…へぇー(咲…いくら恥ずかしいからって即座に否定することないでしょ、)」

 

「すみませんー、レディースランチ一つとハンバーグセット一つくださーい」

 

「かしこまりました!」

 

咲の行為に照は少し咲に同情しました

 

十分後

 

「お待たせしました」

 

「はい」

 

「ごゆっくりどうぞ」

 

「頂きます!モグモグガツガツ」

 

「もぐもぐ……もきゅもきゅ」

 

「ん、美味しいですね」

 

「そうだね、次外食する時ここにしようか」

 

「そうですね……ってもう次の事考えてるんですか?」

 

「はっ、迷惑だった…?」

「いえ、そんなことないですよ!…楽しみにしてますね!」

 

「うん!」

 

こうして食事は終わった、会計を済まして外を歩いていると

 

「京君」

 

「はい?」

 

突然照さんが立ち止まった

「あれは……」

 

--《雀荘‐セブンズヘブン‐》

どうやら麻雀ができるカフェのようだ、客はそこそこいるようだった

 

「あそこ入りたいんですか」

 

「……うん、なんだかあそこから強いオーラが見える」

 

「オーラ……ぅ…」

ドグンッ

 

「京君?大丈夫!?」

 

「い、いえ大丈夫です!」

「……そう?また苦しくなったら言ってね?」

 

「わかりました」

 

「……入りますか?」

 

「いいの?」

 

「はい、元々照さんが誘ってきたんですから俺は照さんに合わせますよ、それにそのオーラってやつが気になりますしね」

 

「分かった、じゃあ入ろう」

 

カランカラン

 

「いらっしゃいませ、お二人様ですか?」

 

「はい」

 

「かしこまりました、……二番席にプロがお着きになってますがそちらに致しますか?」

 

「プロ……?」

 

「凄いんじゃないんですか!プロと打てるなんて、それにオーラとはプロの事じゃないんですか?」

 

「うん、確かにそうだね」

「二番席でお願いします」

「かしこまりました」

 

店員さんに案内してもらうとそこには三尋木プロ、小鍛治プロとはやりプロだ

 

「……小鍛治プロ」

 

「あっ、宮永さん、なんでここに?」

 

「きっと健夜さんの力を感じて来たんじゃね?知らんけど」

 

「はい、そうです。」

 

「あれ?そこの格好いい子は誰かな☆」

 

「俺ですか?俺は須賀京太郎です、はやりプロですよね」

 

「わぁい☆私の事知ってるんだ!」

 

「一人身だからって焦るなよはやりさん…知らんけど」

 

「『ビキ☆』なんの事かな?万年身長が伸びない咏ちゃん?」

 

「……喧嘩売ってるのかねぇ、わかんねーけど…」

 

「落ち着いて二人とも皆見てるよ!」

 

「と、ところでなんで健夜プロ達がここに?」

 

あわてて話を変える照さん

「この店は私達の行き付けの店なの」

 

「そうなんだよ☆他にはナイショだゾ☆」

 

「わかりました」

 

「ねぇ、宮永ちゃん、そこの彼は彼氏?」

 

いきなり咏プロが聞いてきた

 

「……い、いえ違います」

「そうですよ、俺なんかじゃ照さんに釣り合いませんよ」

 

「そうかな?お似合いな感じがしたけどなぁ☆」

 

「そうですか?」

 

「と、ところでよかったら打っていく?」

 

「いいんですか?」

 

「おー、遠慮するなよー、」

 

「京太郎君も打てる?」

 

「はい、弱いですけどね」

「うん?ならお姉さんが教えてあげようか?☆」

 

「是非お願いしたいところですね!」

 

「とりあえず打とうか」

 

「じゃあ☆咏ちゃんと健夜と宮永ちゃんと京太郎君でいいんじゃないかな☆」

 

「はやりプロはいいんですか?知らんけど」

 

「うん☆私は最初は見とくよ☆」

 

こうしてプロ達とお手合わせする事になった……俺はしらなかったこの麻雀中でとんでもない事態に発展するなんて……

 

牌の読み方……

 

マンズ……漢数字(一九など)

ピンズ……大数字(19など)

ソウズ……小数字(19など)

 

東一局親咏…ドラ《9》

 

俺の配牌は最悪だった

 

[二五七68835東北北白中]

 

「(はぁ三向聴以下かよ、役もせいぜい断公九か)」

「(…これか)」っ二

 

「(さて、宮永さんは一局目は様子見か…須賀君のお手並み拝見かな)」っ

 

「(親だから上がりたいねぇ)」っ

 

そして数巡目

 

「リーチ」っ

 

咏さんのリーチ宣言

 

「(早くて詠めないな)」っ

「悪いね、それだよ」

 

「リーチ一発一通の12000満貫だねぇ」

 

さすがプロだ……強い、照さん以上かもしれない程にに強さだ

 

「やりますね!」

 

「まぁ一応プロだからねぇ、強くなきゃね」

 

「さて1本場だぜぃ」

 

東一局1本場

 

「リーチ」

 

まただ速い……読めるわけないのに他はあたらない、だが俺は…

 

「ロン、七対子、一盃口、の6000払い」

 

 

「………」

 

「咏ちゃん、流石にやりすぎだよ」

 

「むぅ、さすがにやりすぎたかな?」

 

「……京君」

 

「……いえ、大丈夫です、むしろ俺なんかでも力を出してきてくれて光栄です」ニコッ

 

「えっ?……いや、ごめんちょっと調子乗ってた」ズキズキ

 

「須賀君は純粋すぎるね、……それが身を滅ぼさなければいいけど…」

 

「……次2本場だね」

 

「…………」

 

東一局2本場

 

「(また最悪な配牌だ)」

 

「……」っ

 

「ポン」

 

「ツモ500と300オール」

 

ここで照さんの連荘が始まった

 

東二局親:照

 

「ツモ1000オール」

 

東二局2本場

 

「ツモ3000オール」

 

「(でもこのままじゃ京君が飛んじゃうな、差し込みなら立派な戦術だよね)」

 

東二局3本場

 

「リーチ!」

 

次の局、俺はやっとのことで聴牌できたが、俺はあがれるのか?……無理だ、俺の実力じゃ……

 

「……」っ

 

「!、ロン!」

 

「(あちゃー、差し込みで一位狙いか)」

 

「リーチ一発断公九ドラ2満貫です」

 

「はい」

 

京太郎13000

 

「(そうか……照さんはきっと俺を哀れんで……哀れむ…?俺を…?………っ!!!!ぐわぁぁぁ!!!!)」ドグン!!

 

そう考えた瞬間、『頭』に激痛がはしった……頭が痛い!……はぁはぁ…

『あなたは弱いのよ、弱者のクズ』

 

部長!?……いや違うこれは俺の作り出した幻覚だ

 

『あなたはただ雑用やって私達の負担を減らしてれば良いのよ、大会が終わり、新入部員が入ればあなたはもういらない』

 

やめろぉぉぉ!!!!!部長の顔と声でそんな事言うなぁぁぁぁ!!!!

 

『それともあなたは何?自分が強いと言うの?……あはは!!笑わせるわね?あなたは負け犬よ…』

 

 

「京君?」

 

「あれ?須賀君どうしたの?」

 

 

 

「(俺が負け犬?……俺は負ける運命…?)」

 

「俺は……」

 

『照の好感度が上がりました、京太郎に???フラグ、』

 



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汝は何を求む?

どうも!遅れました、今回から選択肢は活動報告にてアンケートを取らせていただきます!これを投稿した後活動報告を作りますのでそちらにどうぞ、では京太郎はいったいどうなるのか?ではどうぞ

※アンケート締め切りました


---俺は諦めたくない。

 

力が欲しいな……―――――――――――――――――――――――――――――キュィィィィン!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眩しい……あれ? ここ、どこだ?

 

うわ、地面がガラスか危ないな。とりあえず歩いてみる………。

 

『あの…』

 

「え?俺の事ですか?」

 

突然目の前に緑色の髪をした美少女が現れた。

 

『うん……あのね、君は力が欲しいんだよね』

 

「ああ、そうだよ」

 

『君は何で力が欲しいの?周りには力を貸してくれる人達がいるのに……』

 

「えっ?」

 

少女の言葉に、俺は驚きの表情をする中、少女は話を続ける。

 

『私は弱いけど…みんなが守ってくれるよ?』

 

「俺は守られてるばかりじゃ嫌なんだ。そんなんじゃ俺は成長できない。だから力が欲しいんだ」

 

何故か、この子の前では本音をぶつけられる。

 

『…君は本当に周りを見ているの? 自分の事ばかりじゃない?』

 

「え?」

 

ドキッと、俺は自分の本質を言い当てられたように、表情が固まってしまう。

 

『確かに守られてるばかりなのは嫌だよ? ……でもね弱い人には弱い人なりの支えかたがあるんだよ?』

 

緑の人………ミドリと呼ぼうか……。ミドリはそう言った。力だけが全てではないと、俺は……

 

「…………」

 

『あの、でもね考えすぎちゃダメだよ? さっきの君みたいに周りが見えなくなっちゃうからね』

 

「お前は一体――――」

 

『さぁ次に進んで。……また会おうね』

 

シュゥゥゥと、ミドリは消えていった………。

 

ミドリがいた場所に扉が出現した。

 

……今は進むしかないようだ。

 

俺は新たにできた水色の扉を開いた……。

 

 

 

 

 

扉の先に居たのは水色の髪をした、……ミズって呼ぶか。

 

『来ましたか……。あなたは須賀京太郎ですね?』

 

「はい、そうです」

 

この子は、先程のミドリよりも気が強そうだ。

 

更に言えば、なんか和に似ている。

 

『こんな現象が起こり戸惑いもあると思いますが。最後まで逃げないでください』

 

そうだ……。ミドリはおどおどした感じだったのだが、彼女は真面目で知的な雰囲気をだしたクールな感じだ。

 

『あなたには覚悟はありますか?』

 

「覚悟…」

 

今度もミズは、ミドリのように、何かを問いかけてくる。

 

『そうです、力には良いことばかりではありません。……ある人は力のせいで性格が歪み、またある人は病によって生と死をさ迷い力を手にしたましたが、力のせいで死にかける人生を歩み、最後に力のせいで大事な者をなくしていることに気づいてさえいない』

 

「力は人を変える……ですか?」

 

俺の言葉にミズは静かに頷く。

 

『そうです。大きな力は人を変えます……。そして、あなたは力に飲み込まれない覚悟はありますか?』

 

力に飲み込まれない覚悟……。

 

俺にはそんな覚悟はあるのか? ただ力だけを欲しいと思っていた。俺に力をてに入れてコントロールする素質はあるのか?

 

『あなたは何か勘違いしていませんか?』

 

「え?」

 

『今は覚悟を聞いているのです。素質やコントロールできるかは関係ありません』

 

ミズは俺の心を見透かしているように、俺が悩んでいた本質を言い当てた。

 

「覚悟……」

 

――――京君

 

―――私が京君を守る

 

照さんの優しくて、温かい笑顔が俺の脳内に浮かんだ。

 

「……覚悟はできています。俺は力に溺れません。仲間を……………大切な人を傷つけたりしない!」

 

『……ふふ、良い目になりましたね。……まぁまだまだ青二才ですが』

 

「あはは。まだ二十歳にもなってませんよ。俺は」

 

ミズの言葉に、俺はそう返すと、ミズはクスリと可愛く微笑んだ。

 

『次の門にお進みください。……私は応援してますよ。あなたならあの境地に辿り着けるかもしれませんね』

 

ミドリ同様、シュュュウという音を鳴らして、ミズは消えていった。

 

そして、さっきみたいにまた扉が現れた……。

 

俺はこの先にある様々な関門を突破すれば強くなれるのだろうか?

 

……今は先に進もう。

 

俺は扉を開けた。

 

さて次は……『ボォォォ!!!!』うおぉぉ!? 俺は飛んできた炎を即座に避ける。

 

『ちっ、避けられたな』

 

そこには炎を纏っている赤色の髪をしたこれまた美少女だがかなり気が強そうだ。

 

ほむらって呼ぶか。

 

『てめぇが清澄高校一年生で男の癖に顎ひとつ動かすだけで女にこきつかわれる情けなくてバカな清澄の黄色い空気、須賀京太郎か』

「ひどい言われようだなぁ、おい!?」

 

あんまりなほむらの言葉に、俺はここにきて、勢いよくツッコミをいれた。

 

こいつ……まるで優希みたいな奴だ。

 

『うるせぇ! オレはなぁ! てめぇみたいな女にホイホイ従うプライドのねぇ男は大嫌いなんだよ!』

 

「……雑用とかは大会だから仕方なく」

 

……訂正。優希はこんなに凄まじくないぜ。

 

『うるせぇ!そんな言い訳垂れるんじゃねぇ!てめえそれでも男か!』

 

ブォォォンという効果音を鳴らしながら俺に殴りかかるほむら!

 

「危な!? おい……どうしたんだ?」

 

俺が拳を受け止めると、ほむらは面白くなさそうにしながら、引っ込んだ。

 

『……ちっ、てめえはプライドを持ってないのか?』

「プライド……」

 

今度はプライドか……。

 

考えた事、余り無かったな。

 

俺みたいな存在が、プライドなど生意気だと、俺を知っている者は言いそうだな……………照さんを除いては。

 

『そうだ。世の中プライドがねぇと勝ち上がれるもんも、勝ち上がれねぇぞ。負けたら悔しがり力に変えたり、怒ったりするんだ。少しはどこぞのヘタレ王子を見習いやがれ!』

 

「ヘタレって……ベ〇ータかよ……。……プライドか」

 

俺にも一応プライドがあったはずだ。なのに今は雑用やったり……今考えれば女にこきつかわれる情けない男だなぁ、俺は……。

 

『わかったか?プライドがなくちゃなぁ……てめえはいつまでまっても雑用係だぞ!』

「っ!!」

 

俺は……負けたくないな。

……誰よりも負けたくない、諦めたくないという気持ち、それが俺のプライドだ。

 

『へっ、少しはプライドの大切さが分かったかよ?』

「ああ!ありがとなほむら!」

 

俺はニコッとほむらに微笑む。

 

『ふ、ふん分かれば良いんだ///』

 

すると、ほむらは顔を赤くしている。

 

「もしかして照れてる?」

『うるせえ!ばーか! ……………おいっ!』

 

「ん?なんだ…?」

 

『負けても良いなんて思うな……。常に負けない気持ちを忘れるな、それがたとえ格上でもな』

 

「……ああ」

 

そうか……、俺は勝つ前から、格上には少し諦めたような気持ちがあった。

 

俺は今、それを克服出来たのかな……。

 

『ふっ、じゃあまたな』

 

「…おう!また会おうぜ」

ほむらは消えて扉が現れた。これで四個目。

 

行くか……

 

………そこに居たのは………………………幼女?

 

『誰が幼女なのー?』

 

「君……」

 

またもや、言い当てられたが、俺はもう驚かない。

 

俺は幼女に指をさした。

 

「指差しはダメだよー?」

幼女に注意される金髪少年の絵図……シュールだな。

ま、冗談はさておき今回も問があるのかなぁ?

 

『そうだー、君って麻雀出来たよねー』

 

「ああ、出来るけど…まさか」

 

『そうですー、今回は実技テスト……みたいなー?』

「今回の君は軽いな」

 

『そうかなー?何時もこんな感じだけどなー。』

 

「じゃあ早速」

 

『始めるよー』

 

東一局

 

「わーい、私が親だー」

 

「(強そうには見えないけど強いんだよな? きっと)」

 

「これかなー」っ

 

「(勝ちたい……)」っ

 

東一局十三巡目

 

「リーチだよー」っ

 

幼女捨て牌

 

東西白中北5⑤五九白白發{横三}

 

「(うへぇ、読めないな)」っ

 

「あ、それそれ!」

 

「リーチ一発のみだねー」

くっ、当たっちまった!

 

東一局1本場

 

「あっ!ちなみに君と私だけだから二局だけだよー」っ

「なるほど、あくまで俺とお前だけの勝負か」っ

 

六巡目

 

「リーチだよー」っ

 

「(またリーチか。しかも全部字牌で何が当たりなのかさっぱりだ! こいつどんだけ引きが良いんだよ!)」っ

 

「えっとツモ!」

 

「リーチ一発ツモ平和断公九ドラ2……跳満♪」

 

「ぐはっ! ………ちくしょう」

 

「あはは、まだまだだよー」

 

「……今度こそ!」

 

俺はめげずに、再度諦めずに言う。

 

東一局2本場

 

「リーチ!」っ

 

「ダブルリーチ!?」っ

 

「一発は無しだね」っ

 

「(俺はなんで弱いんだよ! ……勝ちたいな〜)」っ

「……ホイ」っ

 

俺が、内心で呟いている合間、幼女は少し悲しそうな表情をしていた。

 

「(なんで勝てないんだろう。気持ちよく勝った事なんて一度もない。オカルトってチートだよな……っ!)」っ

 

「………むぅ」っ

 

幼女は苦しそうな顔をしながら、悩んで牌を捨てる。

「(どうやって勝つんだ? オカルトがない俺に……。努力しても追い付けないし………麻雀って楽しいのかな?)」っ

 

「………っ、来ないなー」っ

 

「(なんで俺は麻雀やってるんだろうか……)」

 

『麻雀って楽しいよね!』

『ツモ、海底……』

 

俺はインターハイ、長野予選の決勝の事を思い浮かべる。

 

 

――――やっぱり所詮は力がないとダメなのかな……。

 

「『でも諦めたくない』」

「っ!?」

 

「そう思ってるよねー」っ

幼女は俺の言葉を予測していたかのように、俺と同じ言葉を発した。

 

「……そうだよ、諦めたくない。強くなりたい」っ

 

「君にはオカルトがないのはわかるねー?」っ

 

「ああ」っ

 

「君は強いよー?只ね決定的な差があるんだよー」っ

「……」っ

 

「それはやっぱり『オカルト』だよー」っ

 

「君に力はないんだよ」

 

「……」っ

 

「だから私達がいるんだねー」

 

「っ!……り、リーチ」っ

「君は何が欲しい?」

 

「………」

 

「流局だね、さてクエスチョンだよ!」

 

「この中で欲しいのは誰かな?」

 

 



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貴方に勝利と希望を捧げます

お待たせしました、さて能力はどうなったのか……、それからまた選択肢がありますがまたこれを投稿した瞬間活動報告でお知らせします、読者様の一部の方には最後のチャンスになります、ちなみにアンケートの期間は特にありません、意見が最低でも4つほどでたら嬉しいです、ではどうぞ


「お前だ」

 

「ふぇ?、私でいいの?私は幼女だよ?」

 

「……俺はここまで来た子達のおかげで様々な事を気づかされたよ。周りに頼る勇気、覚悟、プライド、そしてお前からは希望だ」

 

「……須賀京太郎ぉー」

 

そう、俺はこの幼女……………いや妖夢にしとくか、そう妖夢に気づかされたんだ周りは気にしない。

 

俺は咲のように嶺上開花で和了ないし、和のようなデジタル《天才》でもない。

部長のような事もできないし、まこ先輩のような記憶力もない。

 

優希のような東場での火力とポテンシャルもない。

 

だけど俺は俺なんだ、他の誰でもない『須賀京太郎』なんだ!

 

「力を貸してくれるか?」

妖夢は一度俺の目を見つめた後ニコッと笑い答えた。

 

「喜んで〜♪」

 

そう宣言した瞬間妖夢の身体が光だして、俺の胸の中に入りこんだ。

 

『ヤッホー、聞こえる〜?』

 

「あ、ああ聞こえるぞ」

 

『私を選んだからには絶対に勝たせてみせるんだよ〜。さぁ現実に戻ろうね〜』

フワリと俺は意識を失い、現実の世界に引き戻された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideナレーション

 

 

「――――……っ!」

 

----ここは……あっ!麻雀は?

 

咏37000

京太郎13000

照25000

健夜25000

 

-----ヤバイな、じゃあ頼むぜ、俺の力とお前のオカルトを合わせれば………

 

-----怖い者なしってね〜♪

 

妖夢は俺の脳内に、語りかけてくる。

 

「さぁ、やりましたか」

 

「っ、うん」

 

俺の溢れ出す闘志に、健夜さんは、少し動揺した様な素振りを見ながら、俺の言葉にうなずいた。

 

東三局

 

「(……鳴いてやっと和了できる配牌か。だがやってやる!)」っ

 

京太郎は勢いよく牌を捨てる!

 

「(京君の中の何かが変わった?………もう一度照魔鏡で見るべきかな?)」っ

「(もしかすると………かもねぃ)」っ

 

「(……京太郎君の雀力が上がった……?)」っ

 

それぞれ京太郎の変化には気付いていた。だがたった一回打つのを見ただけで流れが変わったのを気づくのは流石IHチャンプとトッププロといったところか……。

 

そして流局寸前に……

 

「ロン! 6000!」

 

京太郎の高々な和了宣言に振り込んだ咏は少し苦笑い

「あちゃー、でも次は流す………知らんけど」

 

咏35000

京太郎19000

照25000

健夜25000

 

しかしまだ最下位に変わりはない。だがここで発動する。

 

『行くよ〜京太郎!』

 

能力発動《???》

 

「っ!?」

 

照は見た、鏡から京太郎の真の本質を…

 

東三局1本場

 

「リーチ」っ

 

京太郎のダブルリーチ。

周りは警戒しつつ手を進めようとするが……

 

「ツモ! ダブリー、ツモ、ドラ2の満貫だ!」

 

満貫は親では12000点、つまり…

 

「(さっき和了した時の倍? ……偶然……なのかな?)」

 

照は京太郎の和了に疑問を抱く中プロは………

 

「(……オカルト、だね。でもさっきまで感じられなかったって事は、今ここで覚醒した? ………恐ろしいねぇ)」

 

咏は気付きながらも、心なしか嬉しそうに笑っているように見える。

 

「(…京太郎君は凄いなぁ………負けていられない…)」

 

雀士としての火が灯る健夜。

 

「……よし」

 

心のどこかで少し舐めていたのかもしれない自分を恥じる健夜だが、今はもう一切油断しない。

 

「いきますよ!」

 

京太郎は気合いのはいった声で言う。

 

東三局2本場

 

「カン!」{裏一一裏}

 

「もう一個カン!」

{裏二二裏}

 

「(心が軽いな。今ならやれる。咲みたいな事も……、だけど…、油断はしない!)」

 

「ツモ!」

 

「わぉ」

 

「………京君」

 

「綺麗……☆」

 

全員思わず見惚れてしまった。あまりにも綺麗な和了……、いやそれだけじゃない。京太郎がここに来て、初めて満面の笑み、楽しそうに麻雀をしていた事に対してもだろう。

 

「清一色、一盃口、ドラ1、嶺上ツモ、倍満!」

 

咏31000

京太郎31000

照21000

健夜21000

 

ついに咏に追い付いた京太郎。しかも照や健夜とも10000点差がある、しかしそれよりも気になるのが……

 

「(もし彼が開花した能力が和了した点数を次局で倍にして和了する能力なら次は……)」

 

「(役満級の点数になる!)」

 

咏と照が思考する中……

 

「……次いきますよ」

 

京太郎は、そう宣言した。

東二局3本場

 

「……」っ

 

「(これ以上和了れたらマズイねぇ。なら押さえるしかない!)」っ

 

「(京君が強くなったのはとても嬉しい! ……けど私にも意地があるんだよ、このままにはさせない!)」

「(あれー? なんか私場違いな気がしてきたな☆ 何でだろう?)」

 

そして……

 

「ツモ……断公九のみ」

 

照が京太郎の和了を止めた。ここから照の連荘が始まるのか?

 

東三局

 

「リーチ」っ

 

照は、5巡目辺りという早めのリーチをかけた。

 

「(今回は去年みせたインターハイの『アレ』が見れそうかな)」っ

 

健夜は内心、そう呟いた。

「(照さんは一体何を仕掛けてくるんだろう、だが)」っ

 

『私達の前に敵無し、だよー?』

 

京太郎も逃げ腰ではない。

決して、負けるつもりなどない気迫がある。

 

「(一難去ってまた一難ってやつかぁ……、だけどやるしかないよねぇ!)」っ東

 

「ポン!」っ

 

京太郎は咏の捨てた牌の東を鳴いた。そして再び咏へ順番は回る。

 

「おっと、リーチだぜぃ」っ

 

ツモ牌がずれて照がツモるはずだった牌でリーチをしたようだ。

 

しかし………

 

「ロン」

 

「あちゃー」

 

照の和了牌だったようだ。

「リーチ平和のみ」

 

そして次局に健夜が和了した後、健夜の親の倍満で和了して、一位になり南に突入した。

南一局

 

「………」っ

 

数巡後

 

「リーチ」っ

 

「ツモ」

 

咏がリーチをして仕掛けるが京太郎が和了して、更にその後三倍満を和了して健夜をトップから引きずり下ろした。

 

「くっ」

 

その後も攻防戦は続いて京太郎は一位のまま終わりそうだったが……

 

「……つ、ツモ。リーチ、一発、ツモ、断公九、平和、三色、ドラ1、倍満……」

なんとか健夜が親倍満をツモり逆転した。

 

終局……結果

 

一位健夜

二位京太郎

三位照

四位咏

 

「ありがとうございました! 最初は苦しかったですけど、楽しかったです!」

「京太郎君が楽しめて何よりだよ。だけど流石に親での三倍満にはヒヤッとしたかな……? あはは……」

健夜は右手で、自身の額の汗を拭いながら言う。

 

「ビリっケツかぁ……悔しいねぇ。またやろう! また次は負けないから! ……………知らんけど!」

 

「あれれ?もう解散って感じかな☆」

 

「うん、まぁ出しきった感があるしね、ごめんねはやりちゃん」

 

「別に良いよ☆、見てて楽しかったしね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから京太郎達は解散して今は照と京太郎の二人っきりだ。

 

「……京君凄いね。急に覚醒しちゃうなんて」

 

「いえ、なんというかある意味照さんのおかげだと思います。照さんのオカルトに似てるオカルトですし、お揃いって感じで照れくさいですね……」

 

「も、もう京君は恥ずかしい事を平気で言うね///」

 

「わわ、すみません…」

 

照の顔が赤くなりそれが可愛いと思った事は京太郎の中の秘密である。

 

「じゃあ帰ろう?」ギュッ

 

「は、はい!」ギュッ

 

手を繋ぎ帰っていく二人の姿はまるで恋人のようであっとかないとか……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私ってほんとポンコツ」

 

夜風にあたりながら咲は冷静になり後悔していた。

 

「……京ちゃんはたくさん助けてくれたのに私は何もしてない」

 

「京ちゃんは自分だげが負けてて悔しかったし傷ついていたはずなのに私は調子に乗って無意識のうちに京ちゃんにたくさんひどい事言っちゃった……」

 

それはある時には「何で京ちゃんは弱いのかな?」っと余りにも酷く残酷な言葉をかけた。

 

「私達がまともな指導もしないでいたから、勉強する時間もなくただ雑用をやらせてたから……なんだよね」

 

今は冷静になっているからよかったがもし今日京ちゃんに会っていたら感情が高まって殺していたかもしれない……会わなくてよかった、と咲は思うのであった。

 

 

 

ホテル

 

 

「今日はいろいろありすぎて疲れたなぁ……寝るか」

 

そして夜は明けていく

 

 

 

翌日

 

京太郎は散歩に出掛けていた

 

「今日は良いことあるかな?っとあれ?」

 

京太郎の目の前に今人がいたなような?

 

 



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海底に浮かび上がる京

まず最初に……申し訳ありません!、選択肢では二人でしたが衣さん一人ヒロインに追加です!、あとは麻雀描写がありますが手抜きです!。私の力不足がこんな残念な結果を招きました、大変申し訳ありません!。それからこれを投稿したあと活動報告にて選択肢がありますので、ぜひ参加してください



そこにいたのは三人の男女一人は見覚えがあった。

 

「ハギヨシさん…?」

 

一人は俺の師匠であり友達でもあるハギヨシさんだ。他の二人は見覚えがあるが思い出せない。

 

「……京太郎君ですか、久しぶりですね。どちらに言っていたのですか?」

 

ハギヨシさんがこちらを見ると、最初は二人の少女達の方を見ていたが二人が何かを言うと直ぐに寄ってきた。

 

「……ちょっと事情があってな。ハギヨシさんこそどうしてここに?」

 

「おや? お忘れですか? 私は龍門渕家に仕える人間です。そのお嬢様が来ているのなら私も付いていきますよ」

 

「あぁ! 思い出した! あの二人は透華さんと天江衣さんだ」

 

「今あなた私の名前を呼びましたわね!」ピーン

 

透華さんの名前を呼ぶと凄い速さでこっちに寄ってきた。頭にある癖毛がなんか、ピーンと立っていた。

 

「は、はいそうです。覚えていませんか? 清澄の部員だったんですけど」

 

「そうでしたわね!あなたは清澄のサポートをしてらしていた須賀京太郎ですわね!」

 

「覚えていてくれて光栄です」

 

「いやですわ! ハギヨシの友達は私の友達でもありますわ! 気軽に名前でもらって構いませんわよ」

 

そう笑顔でいってくれる透華さん。

 

うわぁ凄い寛大な人だな。ハギヨシさんが仕える理由が良く分かる。

 

「とーか! ハギヨシ! 一体だれと話しているのだ?」

 

そこへ来たのが見た目は無邪気な子供に見えるが麻雀の実力はトップクラスの雀士、天江衣さんだった。

 

「初めまして、俺の名前は須賀京太郎と言います。元清澄麻雀部にいました」

 

「元? 清澄を辞めたのか?」

 

衣さんが疑問に思いながら首を傾げている。

 

「はい、やむを得ない事情がありまして。では失礼します」

 

俺はこれ以上話すとボロが出そうだったので立ち去ろうとしたのだが……。

 

「待ってください」

 

ハギヨシさんに引き止められてしまった。

 

「……他にも何か?」

 

俺は突然苦しくなった心臓の痛みをこらえて平然を装いながらハギヨシに聞く。

「…いえ、もしよろしければご一緒にプライベートプールに行きませんか?」

 

 

「そうですわね、今日会ったのも何かの縁ですわ。ご一緒に行きませんこと?」

「うむ!きょうたろうも一緒にどうだ?楽しいぞ?」

 

ハギヨシさんの提案に便乗して賛成する透華さんと衣さん。

 

うーん、どうしようか、まぁこれも一時的な発作なわけだし体調に関して問題はないだろう。

 

「はい、分かりました御言葉に甘えさせていただきます」

 

俺はせっかくの誘いを無下にしたくないし、むしろ誘ってくれて嬉しかったので行くという選択肢をえらんでしまった。

 

「オッホッホッホッホ! では参りましょうか!」

 

…まぁ、透華さんの性格上逃げられるとは思っていなかったが。

 

そう思いながらハギヨシが運転する車に乗り込む。ちなみに外見からしてリムジンだ。あの長いやつを想像してるヤツはそれで合っている。

 

中を見るとテレビが付いていたり、座席がふわふわだったり、広かったりと高級感が溢れる作りになっている。

 

「……」

 

座るとやはりふわふわだった。なんだかクセなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

十分後、プールに到着した。

 

「ここですわ!」

 

「広いですね」

 

「では着替えましょうか。京太郎君はこちらに来てください」

 

「は、はい」

 

俺はハギヨシさんに付いていき、着替えた。

 

 

 

 

十分後

 

俺は予め用意されていた水着に着替えた後、準備運動をしてさっそくプールの中に入った。

 

水の中はひんやりとした冷たさが身体全体を駆け回り良い気持ちだ。

 

「……よし!」

 

俺は病院に行ってから運動が全然できていなかった。

だから今日はたくさん泳ごう!

 

「……スゥーー」

 

ジャッバン!

 

俺は壁を蹴り得意なクロールで水中を泳ぐ

 

そしてリターンをしてまた泳ぐ、それを繰り返しながら徐々に身体を慣らしていく。

 

「〜〜〜♪」

 

ふと、右側を見てみるとブラジル水着を着た透華さんの姿があった。今はビーチチェアに座りながらハギヨシさんにうちわで涼んでいた。

 

「……ぷはぁ!」

 

そういえば衣さんは何処へいったんだ?

 

そう思いながら俺が辺りを見回していた時……

 

「おーい!きょうたろう!」

 

「おっ!」

 

俺の背後から衣さんの声がして後ろを振り向いた時に衣さんがこっちに向かって飛び込んできた。

 

そのため、俺は反射的に衣さんを抱き抱えてしまった

 

 

「衣さん、危ないですよ」

 

「うん? きょうたろうが受け止めてくれたから問題ないではないか」

 

 

衣さんは俺の方を見て首を傾げながら言ってくる。でも俺が受け止めてなかったら危なかったんだけどなぁ。

 

「そういえば衣さんは泳ぎは上手い方なんですか?」

 

「うーん……。衣はそんなに身体は大きいほうではないからな、大して速くはないな」

 

 

「つまり上手いほうではないと?」

 

「……………うん」

 

 

俺は少しいじわるな質問をすると、衣さんは恨めしそうに俺のほうを見ながら頷いた。

 

「じゃあ俺が教えましょうか?」

 

「……む?」

 

俺が泳ぎの指導を提案すると衣さんは意外そうな顔をした。

 

「何でそんな意外そうな顔をするんですか?」

 

「…衣を弄り倒すのかと思った」

 

「俺そんなに人足らしに見えますか!?」

 

衣さんの思わぬ言葉にうちの部長を思いだしながら衣さんにツッコミをいれる。

 

「それはどうでも良い。本当に教えてくれるのか?」

「は、はいもちろんです! ……まぁ、俺で良ければですけどね……」

 

「……うむ! その心構え気に入った! 是非とも衣に教えてくれ」

 

「はい! 分かりました」

 

こうして俺が先生で衣さんが生徒の奇妙な指導が始まった。

 

 

 

 

 

「うーん、こんなもんかな?」

 

俺は衣さんにある程度の事を教えたあと。合格を言い渡した。

 

「はぁはぁ、やっと終わったのかぁ…」

衣さんの身体は小さいため、長時間の練習には向かないのだが三時間も俺の指導を熱心に聞いていた。

 

よっぽど泳ぎの遅さがコンプレックスだったようだ。

 

「お疲れ様です、今運びますね、……よいしょ」

 

「こ、コラ!衣は子供じゃないぞ!」

 

俺が衣さんをお姫様抱っこで運ぼうとすると、衣さんが大きく反応した。

 

「いや、別に子供扱いしてるわけじゃないですよ? ただこの運びかたのほうが楽だし、衣は疲れてるようですしね」

 

俺はただ気を使って衣さんを運んでいるだけだという事が伝わったのか、衣さんは黙ってしまった。

 

「あ、着替えはどうしようか?」

 

このまま女子更衣室に入る訳に行かない事に今さらながら気がついた俺はどうしようかと頭を悩ませる。

 

「……ハギヨシさんはいないし、透華さんもとっくにあがっているしなぁ…」

 

「……仕方ない、運ぶだけならセーフだろ。衣さん!」

 

「な、なんだ//」

 

「今から女子更衣室まで運ぶので着替え終わったら言ってください。また入って、衣さんを運びますので」

「…わ、分かった」

 

俺の言葉に返事をする衣さんだが何故か顔が赤い。もしかして、風邪でも引いたのだろうか。

 

「衣さん?、大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫だ!」

 

「……そうですか」

 

仕方がないので俺は黙って歩く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、着きましたよ。俺は急いで着替えてくるので、…あ、衣さんはゆっくりで良いですからね?」

 

「むー!子供扱いするな!」

 

「別にそんなつもりじゃないのに……。じゃあいってきます!」

 

これ以上機嫌を損ねたら、あとで気まずくなるので俺は素早く着替えに行く。

 

 

 

 

 

side衣

 

「むぅ、衣を子供あつかいしないのはあいつぐらいだな」

 

なんだかんだでとーか達は悪い意味ではないが、衣を子供扱いするからな。

 

「うんしょ、うんしょ」

 

衣は濡れて脱ぎにくい水着を脱ぎながら考えていた。

「…きょうたろうは麻雀では強い部類なのだろうが、衣からしたら凡人だ」

 

だがきょうたろうの中から、とんでもない強大な力を感じとったのだ。

 

「衣は気になる。……夜あたり誘うか…?」

 

いや、気が向いたらでいいか。それにいくら強大でも万が一衣を恐れられたら……………悲しいからな。

 

「よーし、早く着替えねばな」

 

衣はそそくさと身体を拭きながら着替える。

 

靴下、パンツ、服、スカート、最後は少し濡れている髪の毛にウサギの耳みたいなカチューシャを付けて完成だ。

 

「衣さーん、入って良いですか?」

 

む、ちょうど良いタイミングできょうたろうが来たな。

 

「入って良いぞ」

 

「分かりました」

 

 

 

 

 

side京太郎

 

「分かりました」

 

ガチャ

 

俺は衣が着替えた事を確認すると部屋に入る。

 

「…ん?、まだ髪の毛が乾いてませんね。もしよかったらついでに俺が髪を乾かしましょうか?」

 

俺も髪の毛乾いてないんで、っと言葉を付け足して衣さんに聞いてみる。

 

「わかった。頼んだぞ」

 

衣さんはドライヤーがある場所の椅子に座る。どうやや俺に任せてもらえたようだ。

 

「了解しました、衣様〜♪」

 

俺はドライヤーを持ちスイッチを押す。そして相変わらず少しうるさい音をたてながら温かい風がでてくる。

 

「んん♪」

 

俺が髪の毛に優しく触りながら髪をなで回すと、心地よいのか甘い声をだしながらニヤけている衣さん。

 

「気持ちいいですか?」

 

「うむ、なかなかここちいいなぁ……」

 

少しずつ滑舌が悪くなっていく衣さん。だがそんなに気持ちいいが良いならやっている俺的には嬉しいな

 

「ありがとうございます」

「…むかし、誰かにやっていたのかぁ…?」

 

「まぁ、咲とかには『昔』はやっていましたね」

 

「昔は、か。何だか寂しさを覚える言い方だな」

 

「本当ですね」

 

衣の言葉に同意する俺。咲と俺は昔ながらの幼なじみだった。毎日遊んだり、学校では隣の席だった、もちろん今でも奇跡的に同じだが、最近は麻雀やいろいろあって俺と遊ぶ事はなくなり、和達ばかりになってしまった。

 

「それにしても情けないです…」

 

「何がだ?」

 

「俺は咲が他の同性のやつの友達ができて俺の事を忘れかけるぐらいできて欲しかった、だけどいざできて咲がいなくなったら、寂しくなっちゃって」

 

「……人という生き物は一人では生きて行けぬ。その感情はまともだ」

 

「……そうですか?」

 

「うむ、きょうたろうはさきのためを思ってずっと願っていたのだろう? ならむしろきょうたろうは清廉潔白な人間だと衣は思うぞ」

 

「衣さん…」

 

衣さんの言葉が自然と心に響いた。

 

衣さんの言葉には、説得力があった。

 

「…嬉しいです、ありがとうございます! 衣さん!」

 

俺は満面の笑顔で衣さんにお礼をいった

 

「こ、衣は何もそこまで褒められる事は言ってない! きょうたろうを知っている者なら誰だって言うはずだ!///」

 

「はは、それじゃあ髪の毛も乾きましたし行きますか」

 

「うー、またお姫様抱っこか? あれは意外と恥ずかしいのだがな」

 

「なら、止めます?」

 

俺は衣がお姫様抱っこが嫌なのかと思いそう聞いた。

「せ、せっかくだから続けろ!」

 

「はい分かりましたよ」

 

衣さんの許しももらえたし早くハギヨシさんのところに行かなくちゃな。

 

「それじゃあ行きますよ」

俺は衣を抱き抱えながら歩き出した。

 

 

 

 

 

車の前で待っているハギヨシさんを見つけて駆け寄る。

 

「おやおや、さすが京太郎君ですね。もう衣様と仲良くなられましたか」

 

「はい、衣さんとは仲良くなれそうです!」

 

「そうですか、では車にお乗りください。あとそれから今日は予定がなければ龍門渕家の別荘にお泊まりになりませんか?」

 

「えっ?でも‐‐」

 

「ご心配は無用です、その家には私とお嬢様と衣様しかおりませんから」

 

俺の心配事をよんでいたかのようにハギヨシはそう話す。

「はは、分かりました! 今日は是非泊まらせていただきます」

 

「かしこまりました、では座席にお乗りください」

 

ハギヨシはわざわざドアを開けてくれたので、俺は衣さんを抱き抱えまま車に乗った。

 

「むぅ! 私より衣のほうが目立ってますわね…」

 

「あはは…」

 

相変わらずの透華さんの性格に微笑ましいほうの笑みが漏れる。

 

「それでは出発いたします」

 

ハギヨシさんがそう宣言した。

 

「そういえば透華さんは何で東京に?」

 

「それは清澄の応援にですわ。私達を倒しておいて負けるだなんて許せないからですわ」

 

「透華さんらしいですね。じゃあ俺が会ったのも偶然なわけですね」

 

「そうですわね、しかし貴方に出会えてラッキーでしたわ」

 

「何でですか?」

 

透華さんは嬉しそうな顔をしながら言うもんなのでつい聞いてしまった。

 

「それはハギヨシの友人がとても素敵な方だった事を確認できたからですわ」

 

「……俺って素敵ですかね?」

 

透華さんの言葉を疑うわけではないが過大評価じゃないかと俺は思う。

 

「それは悪い謙遜ですわよ。もう少し自信を持ちなさいな」

 

「は、はい」

 

俺は透華さんの言葉に頷くが、俺には謙遜しているといった自覚は無かった。

 

 

 

 

 

龍門渕邸‐‐‐IN別荘

 

「さぁ、着きましたわよ」

「……大きいですね!」

 

俺は驚きの声をあげた。透華さんが言っていた別荘は大手企業の旅館みたいに大きかった。

 

「さぁ、こちらですわよ」

透華に先導されながら俺は別荘の中に入っていく。

 

中に入ると、広い玄関があり、そこで靴を脱いで中にあがる。

 

とにかく広かった事だけは確かだ。もう何がなんだか分からん!

 

 

 

 

 

 

 

このあと俺は部屋に案内されて今は部屋にあるソファーにもたれ掛かっていた。

「…はぁー、疲れた」

 

さっきも言った通り、俺は病気になって以来本格的な運動をしていなかったため体力が落ちていた。だからこうして脱力していた。

 

「(…確か余命宣告から一週間ぐらいは経ってるんだよな)」

 

俺はこうして脱力する合間も一週間を振り替えっていた。

 

俺は病気があったから照さんに出会えたんだ、そしてホテルで淡と出会って自分に自信を持つことの大切さを学ぶ事ができた。

 

照さんが一緒にいたから能力に覚醒できた、それも照さんにそっくりな能力……。

 

「あはは……」

 

俺の能力といっても妖夢という能力の精霊(?)って奴がいないとろくな制御もできないけどな。

 

「……俺はまだ死ぬわけにはいかないんだ」

 

必ず生き延びてやる!

 

そう胸の奥に決意を固めているとドアからノック音がした。

 

コンコン

 

「須賀京太郎! 少しよろしいですか?」

 

「はい、どうぞ!」

 

ドアが開くと透華さんがいた。透華はドアを閉めると素早くこっちのほうへと近寄ってきた。

 

「須賀京太郎!」

 

「は、はい?」

 

透華さんは俺のほうを見つめる

 

「夕食が終わった後麻雀で勝負しなさい!」

 

そして透華さんは何の脈もなく麻雀の勝負を吹っ掛けてきた。

 

「良いですけど、何でですか?」

 

俺は透華さんの誘いに困惑しながらも透華にわけを聞く。

 

「特に理由はありませんわ。強いて言うなら貴方の実力を知りたいからですわ(衣も気に入っている事ですし、もし彼に実力があるなら是非龍門渕に招待したいものですわ)」

 

「……そうですか? 透華さんの期待に応えられるか分かりませんが、やるからには……負けませんよ!」

俺は自分らしからぬ闘争心を燃やしながら透華にズバッといい放つ。

 

「そうですか! なら私も全身全霊をもってお相手しますわ!」

 

こうして俺達は夕食後に勝負する事を約束した。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食を食べ終わった後、俺と透華さんと衣さんとハギヨシさんの四人は麻雀卓で向かい合っていた。

 

ちなみに衣さんとハギヨシさんは数あわせのためだ。

まぁ二人共快く引き受けてくれたが……。

 

「(うー、衣がきょたろうを誘おうとしていたのに……。とーかに先を越されてしまった…)」

 

なんか、衣さんがしょんぼりしているけど……。

 

「では、始めますわよ、須賀京太郎!」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

今回の麻雀のルールは特別ルールにした

 

①持ち点は25000点

 

②衣さんとハギヨシさんが和了っても俺と透華さんは点数を失わない

 

③東一局、四局、南一局、四局は俺が親で残りは全て透華さん

 

これ以外は全て通常ルールだが、これのメリットは親が多く沢山のチャンスがあること、デメリットは相手にもチャンスがあることだ。

 

「(俺が見たところ透華さんは和と同等ぐらいの実力はありそうだ…)」

 

俺はこれから始まる麻雀に緊張の色を見せながらも開幕した。

 

 

 

東一局親:京太郎

 

「(配牌は絶好だ。問題は俺がこの好配を上手く生かせるかだな)」

 

俺はそう思考しながら牌を切る。

 

 

 

 

 

そして数巡後に俺はリーチ宣言をした。

 

京太郎配牌

 

{二三四④④⑤⑥⑦77888}

 

「(断公九に“7”のドラが二つでツモったら満貫か…。シャボ待ちだから、今の俺なら、ツモれるはずだ)」

 

 

 

そして2巡後に俺は和了する。

 

「ツモ! リーチツモ断公九ドラ2で満貫です!」

 

和了:京太郎 25000→37000

 

放銃:透華 25000→13000

 

「ぐぬぬ…、なかなかやりますわね」

 

透華さんは悔しがっているが、俺は喜びに浸る余裕はない。次の跳満はほぼ確実に和了るが最後まで油断はできない…っ!

 

「次にいきましょう」

 

「ええ!」

 

東一局 1本場

 

『さぁ、いくよー』

 

妖夢がそう言いながら、俺と一つになるような形で重なる。

 

こうする事で、能力が発動出来る。今のところ負担は無い。

 

「リーチ!」

 

俺は妖夢の力を借りて『前の和了った点数を次の局で倍にして和了る能力』を発動した。

京太郎の配牌

 

{一二三四五六七七七八九東東}

 

そして初盤からのダブリーだ。しかも“東”のドラが三つに、混一色も確定してるため。倍満、親の点数にして24000だ。待ちはシャボ待ちなため、恐らくロン和了りになるのだろうが、もし透華さんに直撃させる事ができれば透華さんは文句なしのトビ&焼き鳥で俺のパーフェクト勝利だが…………

 

「リーチですわ!」

 

「(まぁ、そう簡単に和了せてはくれないよな)」

 

そして次巡に俺は和了れなかいまま透華さんが満貫をツモった。

 

その後は俺がリーチのみの和了りをして、南四局まではなんとか俺がリードしているが、東三局辺りから透華さんが急に強さが増した。照さんに近いか、それ以上の力だったかもしれない。

 

だがそれでも俺が逃げ切っての勝利で終わった。

 

だが、もし最初から透華さんがこんなに強かったら、間違いなく負けていたし、下手をすれば、とんでいたかもしれない。

 

『次も勝とうねー』

 

妖夢は消えていったあと俺は力が抜けて倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に俺が目を覚ましたのはベッドの上だった。俺は辺りを見回すと衣さんが隣で寝ていた……って、ファッ!?

 

「こ、衣さん…?」

 

「……むにゃ」

 

俺が声をかけるが衣さんは寝たまんまだ。

 

ガチャ

 

そこへハギヨシさんが部屋の中へ入ってきた。

 

「おや、目を覚まされましたか」

 

「ハギヨシさん、これは一体…?」

 

俺は戸惑っているが、そんな俺を見ながらハギヨシさんは微笑みながら近寄ってくる。

 

「衣様がどうしても京太郎君を看病したいと言われましてね。ですからこうして看病を寝ずにして疲れて寝てしまわれているのでしょう」

 

「そうだったんですか……」

 

俺は衣さんの方を見ながら申し訳なさと嬉しさの混じったような気持ちになった。

 

「あの、透華さんは?」

 

「お嬢様ならお帰りになりました」

 

「え?」

 

「お嬢様はあなたに負けて相当悔しかったようでして、帰って猛特訓すると仰られていましたね」

 

なるほど、あの透華さんなら納得といえるな。

 

「そういえば俺はどのぐらい寝ていたいました?」

 

「半日ちょっとですね」

 

「えっ!?」

 

俺は思わず声を出しながら驚愕した。

そんなに!? 今までそんな事なかったからこそこんなに驚いている。

 

「…んー。おはよぅきょうたろうー」

 

と、丁度衣さんが起きたようだ。俺とハギヨシさんは顔を見合わせる。

 

「とりあえず、朝食にいたしますか」

 

「…そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして朝食をとった後ハギヨシさんにホテルまで送ってもらった

 

「では、お気をつけて」

 

ハギヨシさんがそう挨拶をして車をだそうとした。

 

「きょうたろう!」

 

だが衣さんがそれを止めた。

 

 

「私もここに残るぞ!」

 

「えっ!?」

 

きゅ、急にそんな事言われても、俺は戸惑ってしまう。

 

「京太郎君、衣様を頼みますよ」

 

ハギヨシさんは笑顔で衣さんを車からおろした。

 

「きょうたろう!」

 

「衣さん…」

 

「私も残ってお前の力になりたいのだ」

 

笑顔でそう言ってくれる衣さん。というかハギヨシさんの車がいってしまったので、選択の余地はなさそうだった。

 

「………」

 

そしてその時ある人物が俺達の前に現れた。

 

それの人物とは……

 

 



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月と星は京で交差する(前編)

今回は短いです。そしていつも通り活動報告で選択肢があります。書き方に改善点があれば、遠慮なくどうぞ!


「…あ!、あれは京太郎と天江衣!」

 

俺が衣さんの言葉に驚いてる中、淡が俺と衣さんのいる方へと速歩きやって来た。

 

 

「京太郎!」

 

「淡、おはよう」

 

「うん!、おはよう!……………じゃない!!」

 

「うわぁ!?」

 

俺が挨拶をして淡も返してくるが、突然淡は叫びだして俺は思わず驚いた。

 

「……何なのだ? このバカは」

 

「ば、バカって言ったわね!?」

 

「バカをバカと言って何が悪いのだ?」

 

衣さんの挑発に煽り耐久ゼロの淡は衣さんを睨み付けた。というか何でだ?、淡と衣さんって仲が悪かったのか?

 

「……なんだって?」

 

「おい、衣さんに淡、落ち着けって」

 

俺はとりあえず二人を撫でて落ち着かせる。

 

『あぅ//』

 

二人とも気持ち良さそうに目を細めている。案外愛でるとは凄い力を秘めているのかもしれないな。

 

「ほら、衣さんは謝る」

 

「む、むぅ…」

 

俺がそう言う。

 

すると衣さんは、自分が悪いという事に自覚があるのか、子供は拗ねているように顔を伏せた。

 

だが俺は手で優しく衣の顔を掴み俺の顔へと寄せる。

 

「衣さん…、謝ってください」

 

「…ふにゅ…。……ごめんなさい」

 

「ぷくく…京太郎に怒られてる…w」

 

「……ぐ、ぐぐぐ…」

 

淡が笑いを堪えて自分をバカにしているため、衣さんは歯軋りしている。

 

「お前もだ」

 

俺は淡の頭に軽くチョップする。

 

「いたっ!?」

 

「お前も簡単に挑発に乗るなよな」

 

まぁ、やったほうもそれもやり返したほうも悪い。所謂、喧嘩両成敗を俺はしているわけだ。

 

「……こっちもごめん」

 

渋々ではあるが衣さんに向かって頭を下げて謝る淡。

 

「うむ、衣はお姉さんだからな!、許してやる」

 

「ありがとう、ところで京太郎は何してたの?」

 

蟠りが無くなった途端、直ぐに俺の方へと向き直り俺に話しかけてくる淡。

 

この対応の早さはなんとも淡らしいなと俺は思いつつ、淡に昨日衣さん達の誘いにより別荘へ行っていた事を話した。

 

「ふーんそうなんだー。(こ、これはもしかしてライバル出現!?)」

 

「そういえば、淡はどうしてこんな時間に?」

 

俺は手元の携帯で今の時刻を確認するが、そこそこ早い時間であり、まだホテル周辺は静かなくらいだ。

 

「うーん、何となくこう京太郎来るなー、みたいな?」

 

「お前は犬か!」

 

思わず淡にツッコミをいれたが、淡は誇らしげにしている。

 

「ふふん!、何せ私は高校百年生なんだからね!」

 

指で100の形を作りながらどや顔で言ってくる淡の姿はなんだか少し和んだ。

「そうか、とりあえず中へ入ろうぜ」

 

「あれ、なんか雜?」

 

「気のせいだ」

 

「そうだよね!」

 

あれ?、この子こんなにアホだったっけ?

 

だがそんな事は気にせずに俺達はホテル内に入っていった

 

 

 

 

 

 

 

そして衣さんと淡と俺は今俺の部屋に居る。

 

「そういえば、大会が終わったあとなのに何でまだ白糸台はここにとどまってるんだ?」

 

「あれ、京太郎は知らなかったっけ?」

 

「何が?」

 

「実は‐‐「10月1日に行われる高大交流戦に向けての準備だろう?」…………そうだよ」

 

淡が話そうとした時衣さんが先に言ってきた。

 

そのため淡は少し不機嫌になりながらも衣さんの言葉に頷く。

 

「高大交流戦?」

 

俺は大会に関して何も知らないため首を傾げるが淡が説明してくれる。

 

「高大交流戦って言うのは高校の雀士と大学の雀士が大会で戦う大会の事なんだよ!」

 

「その交流戦は高校麻雀連盟と大学麻雀連盟? っていう奴らが男女関係なく強い人を五人一組の五組をオーダーして、先に3勝した方が勝ちっていうルールらしいよ」

 

「へぇー」

 

淡の説明に俺は面白そうだと思った。

 

「そ・れ・よ ・り」

 

ダキッ

 

突然淡が俺に甘えるように抱きついてきた。

 

「な、なんだ?」

 

「こんなに近くに美少女二人がいるのに京太郎は何も思わないの?」

 

「いや、可愛いと思うけどさ」

 

「だけど、何で急にそんな事を言ってんだ?」

 

俺の疑問に淡は答えず急に顔を真っ赤にして悶絶し始めた。

 

「〜〜〜〜っっ////」

 

「ど、どうした!?熱でもあるのか!?」

 

俺が淡と額と額を合わせて熱を計る。

 

「あれ?意外と大した熱じゃないな」

 

だが淡の顔は真っ赤だ、何故だろうかと俺は思考していると、淡が突然前のめりに倒れてしまった。

 

「あ、淡!」

 

「どうしたのだ!?」

 

俺と衣さんはあわてて仰向けに倒れた淡を抱き起こした。

 

「あわあわ〜////」

 

淡は顔がゆでダコになってのびていた。

 

「うおっ!? 凄い真っ赤だぞ!、速くベッドに寝かせます!」

 

「こ、衣は冷たいタオルを持ってくる!」

 

俺達は余りにも突然の出来事にパニクったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん」

 

しばらくした後に、淡は目を覚ました。額に違和感を感じたのか、淡は手で額に触ってしまい衣が持ってきたキンキンに冷えていたタオルが落ちてしまった。

 

「ん、…あれ?私いつの間にか寝ちゃったんだ」

 

ベッドから起き上がる淡。どうやら俺達の頑張った甲斐もあり回復したようだ。

 

「目が覚めたか」

 

「き、京太郎…//」

 

そんな淡を俺は包み込むように抱き締めた。淡は少し恥ずかしがってバタつくが女の淡よりも力の強い男な俺なので、少ししたら淡は抵抗をやめた。

 

「き、京太郎…?」

 

「心配したぞ…、淡が急に倒れてさ」

 

「……」

 

「熱があるならいってくれよ」

 

「へっ?」

 

淡がすっとんきょうな声をあげるがそれに気付かずに俺はシリアス口調で続ける

「…もう無理するなよ」

 

「ちょ、ちょっと待って!?」

 

「何だよ?」

 

 

淡が急に大声出して立ち上がった。

 

「私は熱なんて出してないわよ! あれは……その、恥ずかしかっただけなんだから!」

 

淡は恥ずかしそうに俺の方を見てそう告白する。

 

つまり俺は勘違いしていて本当はなんか恥ずかしくなって気絶したのか。

 

「なんか悪かったな……。俺のせいだろ」

 

俺は自分のせいで女の子を気絶させてしまった事に内心かなりショックを受けた。それを知ってか知らずかあわてて淡は喋る。

 

「べ、別に京太郎のせいじゃないから!」

 

「……そうなのか?」

 

「うむ、衣も京太郎が悪くないと思うし、だからと言って淡も悪くない」

 

衣さんもそういってくれる

「そうか…? じゃあ気を取り直して何かするか…」

どんな事しようかな。



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月と星は京で出会う(後半)

今回は短いです、何故かと言うと選択肢をするために話が前後半に別れてしまったからです…(言い訳)

選択肢は活動報告です。

今回もよろしくお願いします!


 

「ここは無難にトランプでもするか?」

 

「トランプか…良いぞ!、衣もやりたい!」

 

「ふふん♪、トランプの実力も高校百年生という事を分からせてやるんだから!」

 

衣さんと淡もやる気を出してるみたいだし、トランプをする事にした。

 

だがその前に俺は立ち上がってキッチンに向かう

 

「どうしたのだ?きょうたろう」

 

「せっかくだからクッキーでも作ろうかなと思いまして、衣さんと淡はクッキー好きか?」

 

「うん!大好きだ!」

 

「わ、私も大好き!たくさん作って!」

 

「…私も」

 

「そうですか、じゃあ作ります……?」

 

あれ?今一人だけ返事が多かったような……。

 

俺は後ろを振り返ると、そこには目をキラキラさせた照さんの姿があった…………………。

 

「って!?、何で照さんがここにいるんですか!?」

俺は突然現れた事に驚いて心臓をドキドキさせながら照さんに突っ込んだ

 

「『お菓子』これこそが私を召喚させる呪文」

 

「そんな単語でインハイ美少女チャンプ召喚できるんだー、すげぇ…」

 

俺は考えるのを止めた

 

 

 

 

 

 

 

 

照さんも加わっての四人分のクッキーを作って皆に配った後、トランプの何をやろうかと考えていた

 

「うーん、最初だからここはババ抜きにしましょうか?」

 

「うむ、衣はそれで良いぞ!」

 

「私も良いんだけど、テルーってトランプとかものすごく強そうだよね」

 

「そうかな?」

 

「あー、確かに照さんってポーカーフェイスとか得意そうだな

 

俺は照さんとの対局した時に照さんが常に無表情だった事を思い出しながら淡の言葉に同意する

 

「じゃあババ抜きだな」

 

俺は掌からトランプを取り出した、「どこから出したの!?」という淡の言葉が聞こえてくるが、そこは雑用クオリティという事で納得してもらった。

 

俺はトランプをシュッシュッという音をたてながら切る。

 

「よし、混ざった」

 

俺は照さん達にトランプを平等に配る、その間照さん達はクッキーを美味しそうに食べていた、美味しそうで何よりだ。

 

 

 

配り終わったあとは重なっているトランプを整理していよいよババ抜きの開始だ。

 

俺はポーカーフェイスは得意な方だが淡達にはなんか見抜かれそうで怖い。

 

だが日頃麻雀で負け越しているから、トランプぐらいは勝ちたいと、気合いを入れ直して、向かいにいる淡からカードを引く。

 

ちなみにババ抜きの順番は……

 

京→淡

↑机↓

衣←照

 

という順番だ。

 

 

 

 

まず最初に照さんがあがった。

 

「どれにしようかな」

 

ちなみに俺の残り手札は一枚、淡と衣さんは二枚ずつだ。

 

俺は右のカードを選ぶ素振りを見せる

 

「……よし」

「(…おーい淡ー、そんな嬉しそうな顔するなよ…、声もすげぇバレバレなんだけどー!?)」

 

これは驚いた、淡も衣さんもポーカーフェイスが超下手くそだったのだ。

 

……いやいや!?、どんだけ下手くそなんだよ!?。

「……えっと」

 

左を選ぼうとすれば…。

 

「………ぅぅ」

 

目に涙を溜めてウルウルしてくるのだ。

 

……一体どうすれば?、と意外に本気で悩んだ結果………………。

 

「ほい」

 

「あ……」

 

運命とは残酷なものだ、人は皆勝ちたいという欲望には勝てないものだ。

 

まぁそんな重いもんではないが、俺は左のカードを選んだ。

 

「あがりっと…」

 

「う、うわぁぁぁぁん!!、ぎょうだろうにまげだぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

淡は大声でわんわん泣き始めてしまった。

 

…やばい、マジ泣きだ。

 

「あ、淡、元気だせよ…、い、一回負けただけだぜ?」

 

ナデナデ

 

俺は淡の頭を優しく撫でながらできるだけ優しい声で淡を励ます

 

「……うぅ、ヒック…………わたしはぁ…」

 

「遊びたから、な?」

 

「……うん」

 

こうして淡のメンタルが脆い事に一瞬で気付いたこの場の全員は黙ってトランプを片付けた

 

 

 

 

 

 

トランプを片付けたあと、今後の事を考えていた。

 

千冬姉は自分より更に上の医者を探すと出掛けている、そして今の俺はこのままいけば今は8月後半で、9月に入るから…、11月には俺は死んでしまうらしい。

 

「照さん達に衣さんを任せたが大丈夫かな」

 

そう、俺の雰囲気で察した照さんが上手く淡と衣さんを誘導してくれたわけだ。

「それにしても咲達はどうしてるかな…」

 

咲達は今は大会が終わって長野県に帰っている。

 

正直、わざわざ東京に来たんだから、このまま手ぶらで帰って死ぬわけにはいかない。

 

だけど咲達が心配な気持ちは消えない……が…

 

「まぁ咲達なら大丈夫だよな、むしろ雑用の俺の事なんて忘れて新しい部員が入ってるのかもな」

 

もしそれが本当ならゾッとするが、仕方のない事だ。

何故なら俺が麻雀で結果を残せてないせいなんだからな……。

 

「あ、そういえば泊まる場所はどうしようかな」

 

選択肢は活動報告にて



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白糸台へのシフトチェンジ

今回で第一章完結です、完結と言ってもゲームでいえばセーブポイントです。

今回も活動報告で選択肢がありますのでお願いします!




 

俺は悩んだ末に照さんの部屋に行った。

 

コンコン…

 

「照さん、入っても良いですかー?」

 

『大丈夫』

 

ガチャ

 

照さんからの許しをもらえて、俺はゆっくりドアを開けて入った。

 

「失礼します」

 

「どうしたの?京君」

 

「はい、実は‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐えっ?」

 

俺は照さんの方を見て驚きの余り固まってしまった。

何故なら照さんがメガネをかけながら本を読んでいたからだ。

 

本には驚かない、だが問題なのはメガネなのだ、なんて破壊力抜群なんだろうか、普段かけてない分ギャップ萌え……ってやつなのだろうか、ものすごく可愛かったのだ。

「…似合ってますね、そのメガネ」

 

「あ、これ?、実はこのメガネ、度がはいってないんだ」

 

「えっ?、じゃあ伊達?」

「そうだよ」

 

なるほど、照さんも咲と同じ文学少女…、メガネをかけた時の雰囲気を味わいたかったんだろう。

 

「それで、何?京君」

 

「実は…その、白糸台の寮に泊まれませんか?」

 

「え?、ど、どうして?」

 

もちろん疑問に思った照さんは俺に理由を聞いてきた。

 

「実はホテルの泊まる期限が切れちゃって、それで病気がまだ完治してないですから、まだ東京に残らなくちゃいけませんから」

「なるほどね、泊まるあてがないんだ」

 

 

「そうなんです」

 

照さんは考える素振りを見せながら考え込んでいるようだった。

 

何か問題でもあるのだろうか、と俺が疑問に思っていた時、照さんは口を開いた。

 

「実はね、私の高校は去年まで女子高だったんだ、だから男子生徒が数人しかいなくて……」

 

「一応転入はできるんですね…」

 

どうやら転入を前提にしなければ話が進まないらしいので、仕方なく転入を考えた上で照さんの話を聞く。

 

「だから、まだ男子寮がなくて、だから個室だけど、朝食はほとんど女子だらけの場所だけど大丈夫?」

 

 

「少し溶け込めるか心配ですけど、大丈夫です」

 

「そう、なら私の方で転入の事はするから、今日は荷物をまとめておいてね?」

 

「はい!、分かりました!」

 

そう言ったあと、俺と照さんは別れた。

 

 

 

 

 

京太郎の部屋

 

「よし、荷物整理はこんなもんで十分だろう!」

 

これであとは明日を待つばかりだな。

 

そして俺は、少し早い眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝になった。

 

俺は荷物をまとめたバックを持ってホテルのロビーにいた、そしてそこへ照さん達白糸台勢と衣さんが姿を表した。

「おはよう!きょうたろう!」

 

衣さんが勢い良く俺に抱きついてきたので、俺はしっかりと受け止めた。

 

「おはようございます、衣さん」

 

俺が衣さんの頭を撫でると衣さんは気持ち良さそうに嘆息を漏らした。

 

「おはよう、京君」

 

「はい!おはようございます、照さん」

 

照さんと挨拶を交わしたあと、早速俺は白糸台勢の皆さんと共にバスに乗り込む。

 

 

 

 

 

機内

 

……ヒソヒソ…ワァ、カッコイイヨネ!…………ソウダネ……オトコノコ…フヒヒ……

 

予想通りというか、男である俺が珍しいみたいで、女子達がざわめいていた。

 

俺は少しパンダとか引き寄せのために注目されているという動物達の気持ちを知った。

 

「わぁ!スカ〇ツリーだ!」

 

俺の隣の席に座っている衣さんは窓の景色を見ながら楽しんでいた。

 

衣さんが楽しそうで何よりだ、と俺は思った。

 

「(……高大交流戦か…)」

俺は昨日、淡と衣さんから聞いた大会について思い出していた。

 

淡とかの話によれば、実力があれば男子も出場できるようだが…。

 

「(俺は数々の出場者候補から代表を勝ち抜けるのか…?)」

 

未だに俺は完全に自分の力に自信が持てずにいた。

 

別に妖夢の能力が信用できるわけじゃない、だがあれは二回和了らなければ力は発揮されない。

一回目は倍の基準となる土台の和了。

 

二回目はいよいよ倍に膨れ上がった力を放出する和了。

 

「……まぁ、俺は全力でやるだけだよな…」

 

しかし、俺はまだ知らなかった…、その大会で俺の運命が大きく変わる出会いがある事に………。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが……寮か」

 

白糸台に着いた後、俺は衣さんと共に菫さんに案内してもらった、ちなみにこの場にいない照さん達がいない理由は、流石に大人数で移動してると目立つので遠慮してもらった。

 

本当は菫さんに場所だけ教えてもらえれば、と思っていたのだが……、菫さんがどうしても案内したいと言われたので、行為に甘える事にしたのだ。

 

………だがそれがいけなかったのだ。

 

俺達は寮に入った。

 

中は意外と普通で、普通の旅館のような感じだった。

まぁそれでも普通の寮と比べれば、格段に豪華なのだが……、そんな風に思いながら俺と衣さんは菫さんに先導されながら歩いていく。

 

それにしても中の空気や匂いは何とも甘ったるい感じだ、別に気にならないが、何とも言えない気分だな。

「ここが今日からお前達の住む部屋だ、くれぐれも問題を起こさないようにな?」

 

「しませんよ!そんな事」

「はは、冗談だよ、これでも君の事はかなり評価しているよ」

 

菫さんは面白そうにペロリと小さく舌をだして笑っていた、……あれ?菫さんってこんなキャラだったっけ?、と俺は少し驚いた。

「あはは…、菫さん、案内ありが……と…」

 

パタリ…

 

あれ…?意識が朦朧としてきたぞ…?、今まではこんな事なかったのに…

 

「京……っ!…は…く…」

「き……ろう!」

 

二人が何か言っているが、全く頭にはいってこない……、はいってくるのはノイズのみだ。

 

そして俺は完全に意識が暗闇へと沈んでいった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あ…れ?」

 

次に俺が目を覚ましたのは見知らぬ天井だった。

 

「……京君」

 

そして俺が目を覚ました事に気が付いた照さんがかなり心配そうな顔で寄ってきた、心なしか目元が赤くなっている。

 

「………衣さんと菫さんは?」

 

「…天江は京君が倒れた事がショックだったみたいで、泣いてて、さっき泣きつかれて寝ちゃった…」

 

「……そうですか…っ」

 

俺はズキン、と頭と心が傷んだ。

 

「…菫はずっと京君を看病してた、…ほら、下向いて」

 

照さんの言葉にすぐさま下を向くと、ベッドの毛布がかけられた状態で椅子に座ったまま俺のベッドに寄り掛かった状態で寝ていた。

「……スゥー」

 

「……菫さん…」

 

「それから、明日は淡や天江、そして菫にあの心臓病の事を話すけど、良いよね?」

 

「…はい」

 

これは仕方ない、正直病気については余り知られたくはないが、こんな事になってしまったんだし、知ってもわくてはいけないだろう。

 

「今はもう夜遅いから、このままベッドで寝てて」

 

よく見たら照さんはパジャマ姿だった………って!?

「て、ててて、照さん?、何でパジャマ姿なんですか…?」

 

俺はかなり動揺から吃りながら照さんに恐る恐る聞いた。

 

「…それはね……、…………えい」

 

ポフッ

 

照さんは菫さんごと俺のいるベッドの中に潜り混んできた。

 

「…ふぅ、温かい…」

 

スリスリ

 

照さんは俺の胸板に顔を擦り付けながらうっとりしていた。

 

しかしながらこれはマズイ状況ではないか…?。

 

思春期真っ盛りである俺のベッドに二人の少女、しかも二人共麻雀のチャンピオンの美少女雀士だ。

 

いやいや雀士は関係ないんだけどさ…?、かなりヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!

 

「…照さん…その、恥ずかしいです…」

 

「ふふふ、可愛いよ京君……」

 

「……スゥー」

 

「……ひっ!?」

 

菫さんの寝息が俺の耳にあたって、凄くくすぐったくて、俺は短い悲鳴をあげてしまった…。

 

「京君、大丈夫だから、ただ京君が寂しがらないように添い寝してるだけだから………ね?」

 

「……好きにしてください…」

 

俺は今も続いている菫さんの寝息のくすぐったさで目に涙を溜めてウルウルさせながら、俺は諦めて照さんの好きなようにさせた。

 

「………」ブチッ

 

ガバッ

 

「……えっ?」

 

「……京君、私は我慢できない……っ!」

 

何か深夜テンションによって、照さんがおかしくなってしまったようだ。

 

俺は何か本能的な危機からか、あわてて身を捩らせて照さんから離れようとする

「照…さん…っ!、落ち着いてください…っ!」

 

病気による苦しさもあって、抵抗と言えるような抵抗が出来ない俺は言葉でしか照さんを止まる事が出来ない。

 

「……はっ!、ご、ごめん京君……、私……京君にひどい事を……」

 

やっと我を取り戻した照さんは罪悪感いっぱいといった表情で俺に謝ってくる。

どうやら十八禁的な展開にはならずに済んだようだ。

「……いいんですよ、照さんも疲れてたんですよね?」

 

「………………………………………………襲いたかったのは事実…」ボソッ

 

「何か言いましたか?」

 

「…何でもない」

 

変な沈黙が起きたあと、結局俺と照さんと菫さんはそのままの状態で寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌朝。

 

「さて、話してもらうぞ」

そこにはキリッとした菫さんの姿と両方の頬っぺたが赤くなっている照さんの姿があった。

 

実は朝になって菫さんが目を覚ました時に俺が寝ている事に気付いて赤面。

 

しかし俺の今の状態で犯行が行えない事に即座に気付いて、同じく俺の隣で寝ていた照さんを叩き起こして、そのまま照さんは連行されて今の状態だ。

 

「…私が話すけど、良い?」

 

照さんが俺に気をつかって、そう言ってくる。

 

「……お願いします」

俺はどう話せば良いのか分からなかったので、情けないが照さんに説明してもらう事にした。

 

「じゃあ話すね?、実は‐‐‐‐‐」

 

 

 

十分後、話が終わり菫さんは驚きの余り呆然していた。

 

「そんな事が……」

 

「…私も最初は信じられなかった、けど、これが現実」

 

照さんが悲しそうな顔でそう菫に話す。

 

「……そうか、京太郎、私に出来る事があったら何でも言ってくれ力になろう」

菫さんが真剣な顔で俺を見つめながら言ってくる、そんな菫さんが俺はとても頼もしく見えてしまった。

 

「ありがとうございます」

俺の思いは、感情はその一言につきる。

 

「……さて、天江達にも話してくるから京君と菫はここでお話でもしててね」

 

照さんはそう言って部屋を出ていった。

 

「…………」

 

「…………」

 

少し沈黙する空間が俺と菫さんを支配している。

 

そんな空間が嫌だったのか菫さんは話し始める。

 

 

「お前は何で冷静なんだ?」

 

「え?」

 

「私だったら……、行動する前に身も心が硬直して動けないと思う」

 

「………」

 

俺は黙って菫さんを見つめながら話を聞く

 

「だが、君は即座に行動した、…何故余命を宣告されて治る確率も10%以下と言われても君はそんなにも明るくいられるんだ?」

 

「…確かに普通ならそうかもしれません、ですが…、俺にはやらなくちゃいけない事があるんです」

 

「……それはなんだ?」

 

「……それは…」

 

「……言いたくないのか?」

 

「……」

 

俺は頷いた、…だって言えるわけないだろ、あんな情けない理由なんだから。

 

「なら言わなくても良い、人間は誰もが言いたくない秘密も在るだろうからな」

菫さんは何も追求はしてこなかった、もしこれが部長辺りなら聞いてきそうだけどな、……そういえば部長、優勝おめでとう。

 

「……ありがとうございます」

 

俺はそんな関係のない事を考えながら菫さんに感謝した。

 

こうして白糸台での生活がスタートしていく……

 

第一章完

ーーーーーーーーーーーー

‐久々の経過報告‐

 

『菫がサブヒロインに加わりました』

 

『清澄との仲直りフラグ1が点灯しました』

 

『照と菫の好感度が上がりました』

 

 



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第二章照の試練
照魔鏡は京を映し出す


今回は後半にオリジナル設定があります。

というよりここからオリジナルキャラや設定が結構出てきます。

出来るだけ世界観を乱さないように頑張りますのでよろしくお願いします。

今回も活動報告に選択肢があります。




 

「………んー」

 

私、宮永照は何時もより早く起きていた、その理由は京君を観察するためだ。

 

実のところ私と京君が再会してまだ1ヶ月で尚且つ病気の事で忙しかったから、ろくに京君が普段何をしているのか分からなかったから決行したのだ、決してやましい気持ちがあったからしてるわけじゃない、…………うん、…そう。

 

私はそう自分に言い聞かせながら廊下を歩く、普段は眠たげにのんびりと歩く私とは違い、『凛』とした佇まいで歩く私を見た菫は私に寄ってくる。

 

「おはよう菫」

 

「あ、ああ、おはよう、今日はどうした?お前にしては随分早く起きてるな?」

「…ちょっと訳あり」

 

「……はぁ、面倒事だけは起こしてくれるなよ?」

 

諦めたような表情でいつも通り苦労人ポジの菫には何時も感謝してる、と私は心の中でお礼を言いながら、私て菫は食堂の方へ歩く。

 

 

「おはようございます!宮永先輩!」

 

「うん、おはよう」

 

私が食堂に来るといつもこうやってプチ騒ぎが起きてしまう、けど私は気にしない。

 

私は真っ先にもう一人騒ぎを起こしている原因の金髪イケメンの方へと向かった。

 

「おはよう、京君」

 

「あ、はい、おはようございます!、照さん」

 

私に気が付いたら私にとびっきりの笑顔を向けてくれる私のよm……ゴホン、私の幼なじみである須賀京太郎、通称京君だ。

 

京君の目の前にある料理はレディースランチと呼ばれるものだ、これはこの前初めて知った事なんだけど、どうやら京君は大のレディースランチ好きだったようなのでこの食堂の数十種類はあるレディースランチには大変満足してるようだった。

 

「あれから、3日が経ったけど……、京君は相変わらず人気だね」

 

「やめてくださいよ、男が珍しいだけですよ、きっと…」

 

私は少し嫉妬心をだしながら言ったんだけど、京君には私が京君をからかっているように見えたようだ。

 

「そうなのかな?」

 

「そうです」

 

私と京君がそんなやり取りをしていると、菫が私の方へとやってきた

 

「おはよう、京太郎」

 

「はい、おはようございます、菫さん」

 

京君と菫が軽い挨拶を交わした。

 

「そういえば、衣さんはどうしたんですか?」

 

「……さすがに白糸台に転入はできないらしいから、部屋で待機だ」

 

「…まぁそうですよね」

 

「食事は心配いらないが、ちょくちょく顔をだした方が良いぞ?、ウサギは寂しいと死んでしまうらしいからな」「そうですね」

 

天江がウサギなのは否定しないんだ。

 

「…それと、ほらお前の分だ」

 

私の目の前に和食の定食を置いてきた菫にお礼を言う。

 

「ありがとう」

 

「気にするな」

 

いつもの事だ、と笑いながら言ってくる菫。

 

「…いただきます」

 

「いただきます」

 

二人で手を合わせてそう言ったあと京君と菫との食事を楽しみながら時間は過ぎていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になった、私は今京君の教室に向かっていた。

理由は麻雀部に案内するため、…京君は気付いてないけど、今の京君は私の全力に届かなくても、全国でトップ10にはいれそうなほど強い。

 

私は正直とても京君を心配している、京君は余りにも自分を過小評価し過ぎている、あのままだと二軍にも全力で戦って二軍の子達を壊しかねない……。

 

「(京君は知らなすぎているんだよ、自分の力を………、でもそこまで自分の力が信じられないぐらい酷い目に合わせた咲達を私は許さない……っ!)」

 

これは八つ当たりでも何でもない……。

 

私は想像した、自分の力が何一つ通用しない毎日、まともに教えてくれないのにただトビ&焼き鳥の繰り返しの毎日、……毎日の雑用と買い出しの日々…。

 

内容は別に変じゃない、初心者である京君には全国にはまだ届かない、新入部員がレギュラーに変わって雑用などをする事は当たり前。

 

……だけど少なくともうちの部は、いくら弱くてもそんなに牌を触る暇がないくらいの過剰な雑用は一切やらせない。

 

「……着いた」

 

そう考えてる内に京君がいる教室へとたどり着いた。

私はスライド式のドアを開けて京君のいる席を確認した。

 

そこには予想通り女性顔負けのキレイな金髪が太陽の光によって輝いていて眩しい私の太陽……京君の姿があった。

 

「(……我ながら惚れすぎてるかもね……京君に)」

周りからは普通の金髪でも……、私からしたら黄金より美しい黄金の髪の毛なんだから……。

 

私はゆっくりとした足取りで京君に近づいていく、京君はこちらに気付いてないのか欠伸をしながら外のテニス部の練習風景を眺めていた……。

 

そして……。

 

「きょーくん」

 

「わぁっ!?」

 

私は後ろから京君を抱き締めた、我ながら似合わない、私は普段はこんな性格じゃないのに……。

 

そんな私の行動に驚いた京君が、すっとんきょうな声をあげながら驚いている。

「て、照さん…//」

 

「京君、今日は部活初日でしょ?、初日から遅刻なんてカッコ悪いから早く行こうよ」

「分かりましたから、離れてください!///」

 

京君は私に抱きつかれているのが恥ずかしかったのか、顔を少し赤らめながら私から離れた。

 

私は少し残念な気分になりながらも気持ちを切り替える。

 

「じゃあ部活まで案内するから行くよ」

 

「分かりました!」

 

私と京君は教室を出ていった。

 

「照お姉さまが乙女に………っ!?」

 

「な、ナンダッテー!?」

「く、須賀の奴羨ましい……っ!」

 

「……フヒヒ」

 

混乱した京君のクラスメイトに気付かずに……。

 

 

 

 

 

私と京君は別校舎にある麻雀に向かう。

 

「それにしてもいよいよ白糸台の人達と打つんですよね…、とばないか心配です…」

 

「大丈夫だよ、今の京君なら大抵の子には負けないよ」

 

「そうですか?…えへへ」

私の言葉に少し照れくさそうにしながらも喜びの笑顔をほころばせている京君。

「そろそろ着くよ」

 

「はい!」

 

 

そして部室の前に着いて、私はドアを開けた。

 

ガチャ

 

中には誰もいない、どうやら菫達はまだ来ていないようだ。

 

「…とりあえず座ろうよ」

「は、はい」

 

私と京君は同じ赤色のソファーに座わった、距離を少し空けながら…。

 

『………』

 

私達は無言だ、静かな空気が私と京君を包み込む、でも不思議と気まずさはない。

 

「……」

 

私は京君を見つめた、京君は気付いてないんだろうけど…、今の京君は今にも死にそうな危なげな雰囲気が出ていた。

 

だから京君の周りに人が集まるのかもしれない、放っておけないから。

 

私が京君の周りを見ているとあっという間に人が集まる、淡、菫、尭深、誠子、天江、そして………私。

 

普通なら金髪で不良みたいで目が虚ろっぽくて危なげな雰囲気のおかしな人を近付こう、助けようなんて思わないと思う。

 

でも京君は違う、やっぱりもってるのかもね、人の常識じゃ計り知れない『カリスマ』ってものを……。

 

「……フフッ」

 

「どうしたんですか?、急に笑って」

 

突然笑い出した私を不思議そうに見つめてくる京君。

「だ、大丈夫だよ、私は平気だから…」

 

だって言えるわけないもん、………………京君にカリスマっ言葉がスゴく似合わない事に笑ったなんて言えるわけないもん。

 

 

 

 

 

そしてその小さな騒ぎのあとに菫達が入ってきて、いよいよ部活の開始だ。

 

この部にはもちろん監督が存在するけど、今は二軍の指導に向かっている。

 

それはさておき、私達がやる事余りない、強いて言うなら今は大学の交流戦に向けてのデータを見ている、………ぐらいかな。

 

「それにしても余り見ていなかったが大学の雀士の実力は凄まじいな」

 

そう菫が言うが無理もないと思う、何故ならその大学側の代表のデータが凄まじいからだ。

 

「……あれ?このデータ」

私はあるデータを見つけた、見つけてしまった。

 

「………っ!?」

 

それは私にとって今でも乗り越えられない壁みたいな存在でもある雀士。

 

「……部長」

 

元白糸台高校の部長である雀士。

 

その人は圧倒的なデジタル麻雀で白糸台高校を高校麻雀屈指の強豪へと導いた人。

 

麻雀の様々な物事を全て計算のみで片付ける、ある意味オカルト染みたデジタル打ちNo.1

 

名前は‐‐‐‐‐。

 

『白河雪那』

 

「雪那部長……っ!?」

 

私の思考を遮るほどの音量で菫が驚愕の表情を見せる。

 

「わぁっ!?、な、なに!?」

 

淡が菫の声に反応してアワアワしている、その姿は何とも微笑ましいけど、今はそれどころじゃない。

 

「……私、もう帰る」

 

私は立ち上がって出口に向かって歩く、京君と淡が心配そうに私を見てくるけど、それを気に止める余裕は今の私には無かった。

 

京君観察は延期した。

 

選択肢は活動報告にて

 

ーーーーーーーーーーーー[経過報告]

 

『照シナリオ、《照の試練》が解禁されました。』

 

『照の好感度が上がりました』

 

 



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機械神の降臨

今回は色々捏造があるかもしれませんが、できればスルーしてくださるとありがたいです。今回も選択肢があります。

あとお気に入りが百を越えたので何か本編に絡む特別選択肢も考えてますので、決まり次第活動報告で発表するので期待しないで待っててください。


 

翌朝

 

私の目覚めた後の気分は最悪だった。

 

思い出してしまった、私が受けた雀士最大の屈辱の時の事を……。

 

「……今の時間は9時…か」

 

私はとりあえず時計を見る、…もう授業が始まってる時間だった。

 

今日は学校に行ける気分でもなかったので仕方なく私は私服に着替える。

 

 

 

「……」

 

私の服装は赤色のフード付きのパーカーに薄い青色のホットパンツ、それから黒いニーソックスに黒いブーツだ。

 

それから気休め程度にサングラスもかける、何故ならこの時間帯は警察に補導されかねないからだ。

 

「……いってきます」

 

私の声は誰もいない広い個室に虚しく響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出てみたのは良いけど、私には行く宛なんて無かった。

 

けれどただ寮に引きこもっているよりはましだと思ったから、こうして出てみたわけなんだけど…。

 

「……何で…?」

 

普段はあり得ない(?)迷子に私は今陥っていた。

 

まさか…?咲じゃあるまいし、姉である私が迷子になるなんてあり得ない…。

 

「………グスン」

 

私は自分自身が情けなくて涙が出てしまった…。

 

何で部長の事を思い出しただけで、こんなに動揺しているのだろうか…?、いやそれは私自身がよく知っている事ではないのか…?。

そんな自問自答を繰り返していると……。

 

ドンッ

 

「……っ、すみません」

 

「………っ!?」

 

私は思考に没頭し過ぎていつの間にか人にぶつかってしまった、そしてぶつかった人に謝るためにその人の方を向いた、そして私は驚愕した。

 

「……あれ、照ちゃん?」

……私を照ちゃんなんて呼ぶ人は限られている、その人は紫色の髪の毛をサイドテールにしていて、メガネをかけてる、そして白い肌に私の紅の瞳とは真逆の蒼い光を放つ瞳、最後に無機質なボカロ声………、間違いない、この人‐‐‐。

 

「雪那…部長?」

 

「…久しぶり、宮根さん」

「………え?」

 

「………冗談、久しぶり照ちゃん」

 

部長……だった、この人の真顔のジョークも久しぶりだなぁ…、この人のジョークはいつも笑えない。

 

「……久しぶりです、あの時以来ですね」

 

「……そうだね、再会した記念に喫茶店で何か奢るよ」

 

「……ありがとうございます」

 

私は部長のお言葉に甘えて喫茶店に移動する事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

とある喫茶店

 

「…それで照ちゃんは悪い子になっちゃったのかな?、こんな時間帯に街を歩いてるなんて、…驚いちゃった」

 

雪那部長はコーヒーを飲みながら私に問いかけてきた。

 

…部長の反応は当たり前ではある、何せ私は高校生だ、どんな理由があっても学校があるのにサボって街を歩いている姿を見たら心配になるだろう。

 

「…………貴女のせいですよ」

 

私は雪那部長には聞こえないほどの小さな声をボヤく。

 

「…照ちゃん、三連覇したんだってね、おめでとう」

「……っ!!」

 

雪那部長は黙っている私に気をつかって話題を変えたつもりなのだろう、表情を変えずに私にお祝いの言葉を贈ってくれた………。

 

……けど、その大会三連覇こそが、私にとって触れてほしくない古傷だった。

 

「……貴女なんかに祝われても何も嬉しくない!」

 

バンッ!

 

私は雪那部長に対しての不満を爆発させて、焼けるように熱くなった思考に身を任せながら部長の前で机を叩く。

 

「………」

 

「私は……っ!、手加減されて優勝しててにいれた偽りの連覇なんていらない!」

 

「……何の事?」

 

「とぼけないでください!」

 

そう、私はこの人に手加減されてIHを優勝したんだ、この人が本気を出せば、悔しいけど私じゃ勝てなかった、昔も……そして今も……。

 

「……手加減した覚えはないよ」

 

「嘘です!、だってあの時……っ!」

 

私は昔の事を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が家庭の関係で東京に引っ越して白糸台に入学した。

 

そして成り行きで麻雀に入った。

 

そこ《麻雀部》は一年生なのに強い私にも先輩方は妬まずに優しく接してくれた。

 

そんな麻雀部に入部してから一週間ぐらい経った日に私は雪那部長に出会った。

「ロン、8000の満貫です」

「うぐ、また負けたぁ………、照は強いね、これなら今年のIHで部長を優勝させてあげられるかも」

 

「部長…?」

 

私はこの時はまだ雪那部長にまだ会ってなかったため部長という単語に首を傾げた。

 

「そう、白河雪那部長、去年は私達が足引っ張ったせいで臨海が優勝して、私達は準優勝になったの…」

 

当時の先輩は悲しそうに悔しそうに、そして今にも泣き出してしまいそうな顔をしながら語っていた。

 

そんな話をしていると、部室のドアが開いた。

 

ガチャ

 

「……おはよう」

 

「部長ー、今はこんにちはの時間ですよー?」

 

「……こんばんは」

 

「何でですか!?」

 

「………冗談よ」

 

「それで、そこにいる子が期待の新人ちゃん?」

 

「そうです。ほら照、自己紹介して」

 

「宮永照です…」

 

私は軽い挨拶で済ませた。

「…よろしくね」

 

これが私と部長の初めて出会った瞬間だった。

 

 

 

部長は私が思ってたよりずっと凄い人だった。

 

ここの部員は彼女を凄く慕っていた、一つ下の私達一年生も一つ上の三年生も彼女に対して敬語であり、彼女に不満を抱く人なんて誰一人としていなかった。

 

 

そして大会前日にチーム虎姫のメンバーが発表された。

 

「もう知ってると思いますが、改めて自己紹介を致します、私は監督兼コーチの冥波澪です。」

 

澪監督は真っ白な肌に白い髪の毛をポニーテールにしている。瞳の色は黒い。そしてプロポーションも良くて部員の憧れのまとでもある。

 

そんな監督が改めて自己紹介をしたあと部室が静まり返っている理由である例の本題について話始めた。

 

「分かっているとは思いますが、今日は大会に出る五人のレギュラーを発表致します」

 

監督の一言一言が彼女達の緊張を高ぶらせていく。

 

「まず先鋒、白河雪那」

 

最初に部長の名前が上げられて、周りが部長に対して拍手をする。

 

「…次に行きます」

 

監督の言葉によって、また緊張の空気が渦巻きだす。

「次鋒、弘世菫」

 

次にあがった名前は私の親友でもある菫だった、しかしとうの本人は緊張から顔がカチコチに固まっていて面白い顔になっていた。

 

「……おめでとう菫」

 

「……あ、ああ」

 

私は小声で菫を称賛した。けど菫は素っ気なく返す。いや……正確には私の言葉を返す余裕がないのかもしれない。

 

「最後に大将です」

 

私が考えてる合間にも名前はあげられていって、とうとう大将まできてしまった。

 

「大将は宮永照です」

 

私の名前があげられた。

 

「やったな!照!」

 

「うん、ありがとう」

 

菫が自分の時以上の喜びの表情で私に話しかけてくる、私は本当に良い親友を持ったなぁ、っと思った。

 

「レギュラーに選ばれなかった人は悔しさをバネに更に精進してください。そしてレギュラーに選ばれた五人はレギュラーとして自覚をもって大会に望んでください」

 

『はい!!』

 

監督の言葉でその場は締めくくられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…インターハイ団体戦は優勝で幕を閉じた。

 

そして、ここからが本題である個人戦だ。

 

私と部長は別ブロックだったけど、お互い圧倒的な実力で勝ち上がっていって、とうとう決勝戦だ。

 

『では、決勝戦スタートです!』

 

アナウンスと同時に私達の戦いに火蓋が落ちた。

 

戦いは圧倒的に雪那部長が私を含めた三人を勝っていた。その差は南局に入っても縮む事は無かった。

 

「……くっ」

 

そして、私が親のオーラス。部長が一位で私が二位で差は丁度部長に役満直撃で逆転できるぐらいの点差だった。

 

難しい条件ではあるが、1%でも可能性がある限り、私は諦めない。

 

 

 

しかし、私はなんとか国士無双の聴牌の白待ちにもっていけたは良いものの、国士を狙っている事は周りからはバレバレで二人はベタオリ、部長にも絶対にバレているはず…………それなのに…。

「………」っ白

 

部長は何の迷いもなく、河に白《和了牌》を捨てた。

「ろ、ロン!…国士無双」

『な、なんと!最後の最後にルーキーである宮永選手が前年度優勝者であり先輩でもある白河先輩から役満直撃の大・逆・転・勝利だぁぁぁぁぁ!!!!』

 

そう興奮気味のアナウンサーの声は私の耳には入らない。

 

「(な、何でですか…?、私を苔にしてるんですか?)」

 

明らかに危険牌だと分かっていて部長は河に捨てた。

「…おめでとう、照ちゃん」

 

笑顔で私に背を向けて去っていく部長……。

 

「……ふざけるな…」

 

あのときの私は冷静じゃなかった、……けど誰でも言いたくなるのは間違いない。

 

「ふざけるなぁぁぁぁ!!!!、白河雪那!!」

 

しかし、私の声を無視して雪那部長は会場から姿を消した………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部長…、何であのときわざと放銃したんですか?」

そして現在、再会した部長に私は問いつけめる。あのとき部長がした行為は私の雀士としてのプライド、誇り、力をめちゃくちゃに傷つけられた。

 

「……答えは自分で見つけるものだよ」

 

「……教えてくれないんですか?」

 

「……ねぇ、せっかくだから私も久々に白糸台に行きたいんだけど良いかな?」

部長はあからさまに話を反らした。でも麻雀部に行けば、また部長と麻雀ができると思った私は……

 

「分かりました、行きましょうか」

部長の話に乗った。

 

 

 

 

 

 

 

麻雀部の部室に来たけど、予想通りというか皆に心配された、菫は私の事情を知っているからか三十分の説教ぬ止まった。(それでも十分長いけど……)

 

そしてその後に淡と京君に部長を紹介した。

 

「へぇー、それじゃあセツナって強いんだ?」

 

「…高校生に負ける気は毛頭ない」

 

「それじゃあ勝負しようよ」

 

そんな感じで麻雀をする事になった。でも私は参加しないで見ていた。

 

メンバーは部長、淡、菫、尭深になった。なかなか面白い組み合わせだと思った。

 

『よろしくお願いします』

東一局

 

親は菫だ。

 

「……」っ

 

菫はじっくり考えながら牌を切っていく。

 

「ふふん♪」

 

淡はいつも通りリラックスした状態で打っていた。

 

一方、雪那部長は目が虚ろになっていた、あれは集中している証。そして部長は三人が気付かないぐらいの圧倒的な速度で三人を観察して相手の癖、呼吸、心拍数、視線、思考、弱点、長所などを全て脳内に保存して分析していく。その観察力はもはや三人が裸になって身体中に数字を書かれているようなイメージが呼び起こされる。

 

これこそが雪那部長の真骨頂である『デジタル麻雀』。

 

他にも『デジタルの神』、『麻雀界一のデジタル打ち』、『デジタルオブギア』の称号がある。

 

 

 

「リーチ」

 

そして4巡後に部長の先制リーチ。

 

「……」っ

 

「ロン」

 

「……くっ」

 

放銃したのは菫だった。

 

「リーチ一発ツモ平和断公九ドラ2の跳満」

 

東ニ局

 

親は南家の淡になる。そして淡は得意なアレを使う。

「」っ

 

そうダブルリーチだ。別にこればかりが淡の魅力ではないんだけど淡の強さの芯となっているのがダブルリーチ。

 

正確には相手を4向聴以下にする『絶対安全圏』が一番強いんだけど、淡にはやっぱりあの火力と速攻の備わったダブルリーチが一番の淡の伝家の宝刀だと私は思う。

 

でもその『程度』では部長を止める事は出来ないと私は思ってしまう。

 

「……」っ

 

次巡

 

「リーチ」っ

 

「なっ!?」

 

雪那部長のリーチ宣言に驚く淡。それはそうだ。何せ部長は淡の『絶対安全圏』を無視してでのリーチだ。

「(でも部長に限って空リーチはあり得ない)」

 

 

私がそう思っている合間にも淡はノンストップで牌を切っている。淡はもう逃げられないのだ、最初にリーチをしてしまったため怪しくても突っ込んでいくしかない。

「ロン」

 

「……え?」

 

淡の驚きの表情をしているが雪那部長はそのまま牌をパタリと倒した。

 

「リーチ一発ニ盃口断公九ドラ1の跳満」

 

 

 

 

 

 

 

その後も部長の勢いは止まらず、淡達は徹底的に封殺されて一回も和了る事が出来ずに雪那部長のパーフェクト勝利になった。

 

「ありがとうございました」

 

「…やはり部長は強いですね。私は結構強くなったつもりだったのですが、やはりまだまだみたいです」

 

「というより部長が強すぎるだけです…」

 

尭深がそう苦々しそうに小さな声で、しかしハッキリとした声音で部長に言葉を漏らした。

 

「……精進してね」

 

「…はい」

 

ぴしゃりと正論を言われてへこむ尭深は可愛いと思う。

 

「圧巻でしたね!、照さん」

 

京君は目を輝かせながら私の方を見てくる。どうやら今の対局が凄くて壊れてしまったのかもしれない。

 

「京君……壊れた?」

 

「……はい?」

 

京君は首を傾げながらつぶらな眼差しで私を見てくる。………どうやら私の方が汚れていたらしい。

 

「何でもないよ京君…」

 

「……?。熱でもあるんですか…?」

 

そして逆に私の方が心配される始末……。

 

「どれどれ」

 

ピト

 

「……え?」

 

私は今京君に額と額を合わせられて熱を測られています……。京君は天使です。

「……っっっ!!////」

 

ボンッ!!!っという音を鳴らして私は倒れそうになった。

 

「照さん!?」

 

そして私は意識を失った………。



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京の誘い

UAが20000を越えましたが、私はまだまだ未熟者ですのでこれからも精進します。

今回も活動報告にて選択肢がありますのでよろしくお願いします。



‐‐‐‐ん?

 

「………あれ?」

 

私はゆっくりと意識を覚醒させる。

 

まだ視界がぼんやりとしている。でも後頭部がずきずきしていた。

 

「…私は一体…?」

 

自分の記憶を確かめながら考えているとドアが開いた。

 

ガチャ

 

「照さん、起きたんですね」

 

入ってきたのは京君だった。京君は笑顔のまま私の方へと歩み寄ってきた。

 

「……さてと」

 

ピト

 

私の額の上に冷たいタオルをゆっくり被せる京君。

 

「……きょう…くん」

 

「大丈夫です、俺はここに居ますよ」

 

私が手を伸ばせば直ぐに京君は私の手を優しく包み込むように握ってくれた。

 

それだけでも私の心に安らぎを与えてくれる。どうやら私は京君病にかかってしまったようだ。

 

「本当にビックリしましたよ。何しろ突然顔を真っ赤にして倒れたんですから」

「…ごめんね」

 

「良いんですよ」

 

京君は私に向かって太陽のような笑顔を振り撒いて私を見つめてくる。

 

「……部長は?」

 

「雪那さんならとっくに帰りました」

 

「……そう」

 

私は内心舌打ちをした。せっかく真相を確かめるチャンスだったのに……。

 

「……照さん、雪那さんと何かあったんですか?」

 

心配そうに私の顔を覗く京君。私は京君の言葉に少しビクってしてしまったけど、私は話せなかった。

 

「……私と部長の問題だから」

 

「そうですか…。でも何かあったら言ってください!。俺、照さんの力になりますから!」

 

「京君………ありがとう」

私は微笑みながら京君の頭をそっと撫でた。

 

「と、当然の事です!//」

少し照れる素振りを見せながらも京君は私の瞳から目を逸らさずにそうはっきりとした声で私に告げた。

 

「……ふふ」

 

そんな京君の姿はとてもたくましく見えた。

 

『グゥ〜〜〜』

 

「あっ」

 

突然2つの音が鳴り出した。……この音はまさか、っと私はお腹が減っている事を知らせる音という事に気付いて顔が真っ赤になって恥ずかしい気持ちになった。

 

「お腹……すきましたね」ニコッ

 

「う、うん///」

 

「それじゃあ……」

 

私がそう言うと京君は立ち上がって………私を抱き抱えるように持ち上げた。

 

「ふぇ?、きょ、きょうくん!?」

 

「この時間帯だと、もうある程度店は閉まってますからね、でも一つだけ良い店があるんですよ」

「でも照さんは病み上がりですからこうやって抱っこしてるわけです」

 

京君の心遣いはありがたいと素直に思う、けど……やっぱり私の恥ずかしい気持ちは変わらない。

 

「嫌…ですか?」

 

「良いよ!行こうよ!楽しみにしてるからね!」

 

断れるわけない。だって京君は捨て犬みたいな目をするんだもん。だから私は断れないのは仕方ない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は京君にお姫様抱っこをされながら夜の暗がりを進んでいた。

 

「それで京君は何処に向かっているの?」

 

「それはまだ言えませんけど、俺がこの場所《東京》に来て数日後ぐらいに偶然見つけたとっておきのお店なんですよ!」

 

誇らしげに京君は笑顔で話す。でも私でも知らないお店って一体なんだろう…?。……あ、もしかしてピンク色のお城……?

 

「何か今変な事考えてませんでしたか?照さん」

 

「ううん、何でもないよ?//」

 

 

 

 

 

「もう少しで着きますからね」

 

そしてしばらく歩いていると京君は路地裏を通って左側にある階段を上り始めた。

 

すきま風が私の頬に触れる。なんだか少しドキドキした気分になる。

 

……それにしても、私は京君の腕を京君に気付かれない程度にそっと触った。

 

京君の腕って表面は柔らかいのに芯はものスゴくがっちりしてる…。

 

「着きましたよ照さん!」

私が京君の腕に夢中になっていると京君が私に着いた事を知らせながらドアを開けていた。

「また来たのね坊や」

 

お店の中は落ち着いた静かな雰囲気だった。

 

でもそんな事より気になった事がある。それは……

 

「坊や…?」

 

京君に対する店員のお姉さんの態度だ。なんだか親しそうだから、少し嫉妬をしてしまう。

 

「あら、なかなか可愛らしいお嬢さんを連れて来たわねぇ。坊やの恋人?」

 

京君にそんな事を聞く店員。こ、恋人って…///。

 

今の私の顔は多分真っ赤になってる。他人からそんな風に見えるのかな?って思ったり。

 

「残念ながら違いますよ」

そうやんわり否定する京君。残念って事は脈あり…なのかな?、て私は密かに期待をしてしまう。

 

「あら、そうだったの?。お似合いだと思うわよ」

 

「はは、ありがとうございます」

 

にこやかに店員と話す京君。

 

「さぁ、とにかくお座りなさい。いつもみたいに料理が欲しいのよね?」

 

「はいお願いします!」

 

「分かったわ、待っててね。お嬢さんもリラックスしながら待っててね」

「はい…」

 

私が返事に満足したようで店員は笑顔で奥の方にある調理場に向かって歩いて行った。

 

「あの人は朝倉里奈さんって言うんだ」

 

「ふーん。でも何で路地裏にあるこの店に?」

 

「それは「うぇーい!」……来た」

 

私は奇声が聞こえた方を見ると酔っぱらった小鍛治プロと三尋木プロ。そして若干顔は赤いけど酔っぱらっていないはやりプロがいた。

 

「あー!京太郎きゅんではないれすか!」

 

「…健夜さん、また随分酔っぱらってますね」

 

「知らんけどぉ!私も健夜プロも酔っぱらってないしー」ケプ

 

「…なんかごめんね?」

 

「…なんではやりプロはそんなにテンション低いんですか?」

 

私はツッコミどころ満載なところはスルーして一番気になった事を聞いた。

 

私がそう聞くと、はやりプロは顔の顔が苦笑いになった。

 

「そりゃ目の前でゲロ吐かれたらテンション下がるよー」

 

どうやらプライベートでは逆に苦労してようだった。

「ドンマイです、はやりさん」

 

「うぅ、ありがとう京太郎君…」

 

京君が労うと、はやりプロは嬉しそうに京君に抱きついた。

 

「……それより、もしかして京君がこのお店知ってるのって……」

 

「察しの通り酔っぱらいに絡まれたからです」

 

「里奈ちゃん!どんどん料理持ってきてー!」

 

「あはは…」

 

私もはやりプロにつられて思わず苦笑いしてしまう。

でもプロ達の珍しい姿を見られたのでこれはこれで貴重な体験だと思った。

 

「お待たせ坊や」

 

そして里奈さんの料理がついに完成した。京君のお墨付きなので私は結構楽しみにしていた。

 

「…いただきます。………………あ、美味しい」

 

私はまず目の前にあったペペロンチーノを頬張ると、口一杯にきつくならない程度にニンニクの味が広がった。

 

「そうですよね!美味いですよね?」

 

京君も同じく私の隣でハンバーグを食べていた。

 

 

 

「そうだ、明日休みでしたよね?。もし良かったら明日一緒にどこか出掛けませんか?」

 

料理を食べ終わった後に京君が急にそう言ってきた。

それってデートなのかな?っと思った私はもちろんオーケーした。

 

「うん良いよ」

 

「良かった…。いつの間にか元気になってますしね」

「京君が看病してくれたから……「コラー!、何イチャイチャしてんらー!」」

私と京君が話してる時に突然健夜プロが京君に抱きついてきた。

 

「わふ!?」

 

「京太郎君!、私はアラフォーじゃないよー?アラサーだよ!」

 

健夜プロは小さな胸を京君の顔に押し付けてグリグリしていた。なんだか京君は苦しそうだ。

 

「……健夜プロ何をしてるんですか?」

 

見かねた私が健夜プロを京君から離そうとするけど……離す気配はない。

 

「何、私は京太郎君とイチャイチャしてるんだけど!」

 

「…京君が苦しそうです。離してください」

 

「いやだー」

 

…ダメだこのプロ早くなんとかしないと…。

 

私がそう思っていると健夜プロはいつの間にか眠っていた。

 

「あー、やっと健夜ちゃんも眠ったんだ」

 

「…咏プロも寝てますね」

「この二人、散々暴走したあと眠っちゃって見事に翌日になると忘れてるからねー」

 

「…健夜さんやっと寝ましたか……運びましょうか?」

 

京君は静かに健夜プロを剥がしたあと膝枕をしながらはやりプロに提案する。

 

「うーん、じゃあタクシーを呼ぶからそこまで頼めるかな?」

 

「はい分かりました」

 

京君は手慣れた手つきで健夜プロをおぶる。

 

「京君、慣れてるみたいだけど毎日巻き込まれてるの?」

 

「いや……知り合いにもこんな人いるから…かな」

 

京君がそう言いながら歩き出した。私と咏プロを背負ったはやりプロも歩き出す。

 

「里奈さん、また来ますね!」

 

「フフ、またおいで坊や」

里奈さんに見送ってもらったあとに再び歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はやりプロとも別れて暗い夜道を歩いていた。

 

正直門限は過ぎてるけど今更なのでそこはスルーしておく。

 

「照さん」

 

「なに?」

 

「俺って強くなれてますか?」

 

そう突然私に聞いてくる京君。思わず私は京君の顔を覗いた。

 

……京君の目は真剣だった。だけどそれと同時に不安な目をしていた。

 

この前にもこのような質問を言ってきた事を私は覚えている。

 

やっぱり不安なんだ京君は………自分が強くなっているのか不安でしかたないんだと私は思った。

 

「…昔の話しをして良いかな?」

 

「良いですよ」

 

京君は一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに私のほうを見て頷いてくれた。

 

「じゃあ話すね?」

 

 

 

私は雪那部長との間のわだかまりを告白した。

 

今思えばあれは勢いで言ったのかもしれないけど、京君に話した事には後悔はしていなかった。

 

「私だって最初は強くなかった…。5歳頃から麻雀を始めて…10年以上も努力してインターミドルを優勝したり出来たんだよ…」

 

「照さん…」

 

「でも京君は違う。京君は麻雀を始めて5ヶ月弱…。しかも実践経験をほとんどない状態だよ?。まだまだこれからだよ。だから…自分を卑下しないで…」

 

私は京君を抱き締めた………出来るだけ優しく安心できるように…。

 

私はこれぐらいしかできない……。でもどうか……どうか…京君が絶望しませんように……。

 

「ありがとうございます照さん……」

「京君…?」

 

「…俺、がんばります。ですから照さんも頑張って壁を乗り越えてください!」

「っ!…うん!」

 

私と京君は暗闇の中でも笑いあっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日…

 

「ふわぁぁ…」

 

今日は京君とのデート…遅刻するわけには行かない私はいつもより早く起きた。

「…京君のおかげで遅刻しなくなったかも」

 

私は小さな変化に気付いて笑顔になる。

 

「顔洗って早く約束した場所に行かないと…」

 

私はベッドから起き上がって、軽く背伸びをして体をほぐしたあと早足で寮の個室にある洗面所に向かった。

 

 

 

洗面所に着いて顔を洗ったあとにまた部屋へと戻って服がたくさん入ってるクローゼットを開けた。

 

「…どれにしようかな」

 

いつもみたいな服装にしようかな…。それとも別の服装にしようかな……。

 

「…うーん」

 

選択肢は活動報告にて!

 

ーーーーーーーーーーーー[途中経過]

 

照の好感度が上がりました!

 

照に覚醒フラグが建ちました。

 

京太郎の寿命が1ヶ月伸びました…!

 

京太郎の余命残り3ヶ月

 

 



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京君とデート

更新遅れてすみませんでした!。

今回は少し短いです。

今回は重要な選択肢があるので、活動報告にてじゃんじゃんご投票ください。

ではどうぞ!


私が着ていく服に悩んでいる時にふとこの前淡が見ていたファッション雑誌の事を思い出した。

 

「(…確かレモンイエローのカーディガンとホットパンツの爽やかコーデがデートに最適だって言ってたような…)」

 

私はクローゼットを開けてその服を探した。服の量は女子高生にしては少ないしほとんど菫達が選んでくれた物が大半だけど……。

 

「……あった」

 

奇跡が起こったのか、クローゼットの中からちょうどその服が見つかった。

 

「……ついでに日差しが眩しいから帽子も被ろう」

 

 

 

 

十分後。私は着替え終えた。今思えばこんなにおめかしをしたのは初めてではないだろうかと思えてしまう。

 

「……次からはファッション雑誌とかチェックしてみようかな…」

 

やっぱり私も女の子なんだな、って実感した。

 

「…行こう」

 

私は自室から出ていった。そして京君の待っている場所まで歩いた。

 

 

 

 

 

「あ、おはようございます照さん」

 

寮の玄関前には既に京君が来ていた。私は携帯の時計を確認しながら早足になる。

 

「京君、待った?」

 

「いえいえ俺も今来たところですから」

 

京君は笑顔でそう私に答える。どうやらそんなには待たせてないようだ。

 

「(よく考えたら同じ寮に住んでるんだから待ってるもなにもないよね)」

 

「では行きましょうかお姫様?」

 

「ふぇ?……うん///」

 

京君が私に手を差し出してきた。その姿はまるで本物の王子様のようだった。

 

私はそんな京君の姿に赤面しながら手をとって歩き出した。

 

 

 

今私と京君は駅のすぐ側を歩いていた。

 

「今日は何処に行くの?」

私が京君に質問すると京君は微笑んだ。

 

「今日は遊園地です」

 

「遊園地……ふふ、楽しみ」

 

「そう言ってもらえると昨晩悩んだ甲斐があります………それじゃあこのバスに乗っていきましょう」

 

京君の言葉と同時にバスが目の前に停車した。

 

「うん分かった」

 

私と京君はバスに乗ってお金を機械の中に入れて乗車した。

 

そして奥の方に二人用の席が丁度一つ空いていたのでそこに私達は座った。

 

『出発します』

 

機械音と同時にバスは走り出した。

 

「今回行く遊園地はですね、主にゆったりとしたアトラクションが多くてのんびりと堪能出来るんですよ。他にも馬の乗馬体験とか」

「馬……ふふふ」

 

私は京君の言葉ににやけてしまう。何せ私は昔から動物が大好きなのだ。

 

「京君着いたら早速馬乗りに行こう!」

 

「動物が好きなんですか?」

 

「うん!大好きだよ」

 

「そうだったんですか!気が合いますね。俺も動物とか好きで家にカピパラを飼ってるんですよ!」

 

「えっ?本当に!?。今度長野に行った時に京君の家に行っても良い?」

 

「はい大丈夫ですよ…………………生きて帰ってこられたら……」ボソッ

 

「〜〜♪」

 

京君の最後の言葉は私の耳には届かなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

二十分後

 

いよいよ遊園地に到着した私と京君は素早く1日券を貰って早速園内を捜索していた。

 

「確かこの先に動物のふれあい体験がある筈です」

 

「楽しみ♪」

 

私は楽しみな気持ちでいっぱいだった。

 

「(…そういえばこうやって楽しい気分になるのは久々かもしれない)」

 

私は白糸台に入学してから菫みたいな心を許せる友人もいたし、今では尭深や誠子、そして淡もいる。

 

でもやっぱり心の底ではまだ無意識の内に壁をつくっていたのかもしれない。

 

でも……京君は違った。久しぶりに会ったのに京君だけには気を許せた。…………それに心もキュンキュンする…。これは一体何なんだろう?。

 

「照さん!見つけましたよ」

 

私が思考している間にいつの間にか目的地に着いたようだ。……それにしても考え事してたのによく転ばなかったな…って我ながら驚く。

 

「……照さん?」

 

私が黙っていて心配になったみたいで不安そうに私の顔を覗いてきた。

 

「あ、ごめんねぼーっとしてただけだから」

 

「そうですか。それじゃあ行きましょう」

 

「うん!」

 

 

 

ふれあい体験があるエリアには多くの人達で賑わっていた。

 

「さて、最初はどうします?」

 

「…あそこに犬のふれあいコーナーがあるから、まずはそこから」

 

「分かりました」

 

私と京君は犬のふれあいコーナーへと歩いた。周りは子供連れの夫婦やラブラブしてるカップルもいた。

 

「やっぱり休みの日ですから人が多いですね」

 

「カップルも多いよね」

 

「俺達も周りからしたらカップルに見えるんですかね?」

 

微笑しながら京君はそう言った。京君の言葉を私は意識して少し顔の頬が熱くなった。

 

「……っ///」

 

「照さんもう少しで着きま………照さん?顔が赤いですよ。大丈夫ですか?」

 

「え、あ、大丈夫でふ!………グスン」

 

京君に突然声をかけられたからか、私は誤って舌を噛んでしまった。…痛い。口の中から鉄の味がする。

 

「舌、噛んじゃったんですか?……見せてください」

「……アッ」

 

私は舌を出した。空気に傷口が触れてズキズキする。

「あー舌から血が出てますね。えっと…確か舌用の傷薬が……」

 

「な、なんへもっへるほ?訳(な、なんでそんなの持ってるの?)」

 

私は不思議に思ったので聞いた。何故なら薬なんて普段から持ち歩く物ではないから。

 

「…清澄にいた頃、よく咲が日頃から舌を噛んだりしてたからですね。あいつ、ポンコツですからね、あはは…」

 

京君は苦笑いをうかべながらそう理由を述べた。

 

「……」

 

私は『咲』という言葉に不機嫌になる。私にとって『咲』は敵なのだ、京君を追い詰めた…京君の一番近くに居ながら京君の苦悩を知らない奴……。

 

「…っ、もう大丈夫だから行こう」

 

ギュッ

 

「え、…はい!分かりましたよ」

 

私のわがままに一切嫌な顔をせずに付いてきてくれる京君。

 

私はまだ微かな口の中の痛みを感じながら犬のふれあいコーナーへと京君と一緒に歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私と京君は夕方になって今は帰り道を歩いていた。

 

オレンジ色の日差しがビルとビルの隙間から通り抜けて私と京君を写し出す。

 

「今日は楽しかったですね!」

 

「……うん」

 

京君の言葉に私は少し素っ気なく返事をしてしまった。

 

京君は少し心配そうな顔をしていたので私は安心させるように小さく微笑みながら京君と目を合わせた。

 

「…今度は菫達と一緒に行こうね」

 

「……はい!」

 

京君は大きく頷きながら笑っていた。その笑顔はスゴく綺麗だった……。

 

 

 

 

 

「ふぅー」

 

私はパジャマ姿でベッドに寝転がっていた。

 

今日は楽しかった、と心から思った……思ったけど……。

 

「……咲」

 

咲……宮永咲。私の妹の名前を呟きながら私は顔を歪める。

 

私は咲を許せないでいる。何故なら京君を傷つけたのだから。

 

…だけど咲を恨むのはダメなのは分かってる。京君がいくら優しさとはいえ周りに話さなかったのもまた非があると言えなくもない。

「(……そういえば明後日………高大交流戦の高校代表の選考会でまた全国から選抜メンバー候補が集まるんだっけ)」

 

私はカレンダーに書いてある『選考会』と書いてある部分を見つめながら思考する。

 

確か京君は選ばれてないから知らないと思うけど、プロからの審査で選ばれるチャンスがあるだろうから明日伝えないと……。

 

「…お休み京君……zzz」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー[途中経過]

 

・照の好感度が上がりました。

 

・照シナリオ『姉妹の絆』が解放されました。

 

 



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第三章姉妹の絆
始まりの照


またまた更新が遅れて申し訳ありません、更に今回は短いです。

次回は出来るだけ長くして読者様方を楽しませるように頑張ります。

今回も活動報告にて選択肢を実施致しますので、よろしくお願いします。


‐翌朝‐

 

「………ん」

 

朝日の日差しにより私は意識を覚醒させられた。

 

ムクリとベッドから起き上がり「ふわぁぁぁ…」っと欠伸をしながら身体をほぐす。

「…7時ジャスト」

 

私は時計を見ながらクスリと笑った。

 

「(さて、速く食堂に行こう…)」

 

私は食堂に行くために制服の入ってるクローゼットに手をかけた。

 

 

 

 

 

 

着替え終わった後に私は部屋を出て真っ直ぐ食堂へと向かう。

 

「…ん?。照か…おはよう」

 

「菫、おはよう」

 

途中で菫と遭遇したためお互いに挨拶をかわす。

 

「そういえば今日だな高校選抜チームの選考会は」

 

「……ふぇ?」

 

私の身体は硬直したように動かなくなる。おそらく顔も顔面蒼白になっているだろう。私の顔に冷や汗が伝う。

 

「……照、お前まさか…選考会の日を忘れたわけじゃないよな?」

 

「え?。そ、そそそ、そんなわけない!。確かに選考会は明日……」

 

私は目を泳がせながら、自分に言い聞かせるように菫の言葉を即座に否定した。

「……はぁ、私は淡達を連れて先に行っている。…お前は連れて行きたい奴を連れてこい……遅れるなよ?」

 

菫はそう言い残してそそくさと歩いて行った。

 

「…ありがとう菫」

 

私は菫に感謝をしながら急いで京君の部屋へと向かった。今ならまだ部屋に居るはず…。

 

 

 

コンコン

 

「……京君。入るよ?」

 

私はノックをして京君の部屋のドアを開けた。

 

ガチャ

 

「あっ」

 

「む?お前はみやながてる…」

 

私は京君の部屋の光景を見て呆然とした。

 

何故なら……天江衣と京君がベッドで抱き合っているような体勢になっているからです……。

 

「エ、キョウクン?。ドウシタノカナ?ナゼアマエとキョウクンがベッドデ?」

おそらく今の私の背後には『ゴゴゴゴゴゴ』という効果音が起こっているだろう。

 

「…て、照さん?これは違いますよ?」

 

「そうだぞ、これはきょうたろうが起こすために(肩を)激しくしたからだぞ?」

 

「………キョウクン。OHANASHIしようか」

 

「えっ?あ、あぁ……」

 

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

 

朝7時半ジャストに京君の悲鳴が廊下に大きく響き渡った……。

 

 

 

 

 

 

数分後

 

「……勘違いしてごめんなさい」

 

私は勘違いして我を失い京君を…そのゴニョゴニョした事を謝った。

 

天江の話だと京君は今日選考会に呼ばれている衣を起こすために肩を揺すって激しくやりすぎて京君はバランスを崩した時に私が来た……らしい。

 

我ながらなんというタイミングで来てしまったんだと驚愕した。

 

「…それで京君を選考会に連れて行きたいから来たの……ほら、選抜対象に選ばれてない人は選ばれた人が連れて行かないと入れないから」

 

「…なるほど、照さん!態々俺のためにありがとうございます!」ニコッ

 

京君は私がひどい事をしたにも関わらず笑顔で私にお礼を言ってきた。

 

「…行こうか///」

 

「はい!」

 

たぶん、今私の顔は赤いはず………。

 

「衣も居るぞ!わすれるなー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今私達はインターハイ会場に来ていた。

 

因みにここまで来るのにはタクシーをひろって来た。

「やっぱりいつ見てもスゴいですねー。なんか」

 

私の隣を歩く京君が感慨深そう面持ちで呟く。

 

「…そんなものかな?」

 

私はインターハイ会場には大会以外にも何回も来た事があって馴れてしまったので京君の気持ちがよく分からなかった。

 

「そんなものですよ」

 

そんな私に京君は意味深な雰囲気を纏わせながら私に向かって微笑みを浮かべていた。

 

「さ、行きましょうか二人共」

 

「うん!」

 

「…そうだね」

 

天江は元気な声で……私は京君の言葉が気になり上の空気味な声で京君に答えて会場のドアを開けて選考会場に向かって歩く。

 

「それにしてもたくさん人がいますね」

 

京君が周りをチラチラ見ながら落ち着かなさそうにして言う。

 

「まぁ高大交流戦って実は三年に一度しかやらないから運営側も気合いをいれてメンバーを集めたんだと思うよ?」

 

「だがあくまでも交流戦は祭りみたいなものなのだから楽しめば良いと私は思うがな」

 

私の言葉を付け足すような形で天江が会話に割って入ってきた。付け足したいのではなく話したいから無理矢理会話に入ってきたのかも知れないけど……。

 

「……」

 

ゾクッ

 

『っ!?』

 

突然とてつもない威圧感を感じて私達は一斉に威圧感を感じた後ろを振り返った。

 

しかしそこには誰も居なかった。

 

「…照さん、今さっきとんでもない威圧感《プレッシャー》を感じたんですけど…気のせいだったんでしょうか?」

 

京君が身体を微弱に震わせながら私に問いかけてくる。

 

「…分からない」

 

そんな問いかけに私は分からないと答えるしかなかった。

 

今の気配は得体が知れなかった。だけど今分かる事は一つだけ。

 

それは……。

 

「…とてつもない人外を思わせる雰囲気だったな」

 

天江が私と京君に聞こえるようにそう呟く。そう、正に天江の言う通りの印象が私の中にはあった。

 

「…とりあえず先を急ごう」

 

「…そうですね」

 

「うむ」

 

私達は話を切り上げて再び選考会場へと歩いた。

 



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迷い家と京の奇妙な交わり

更新が大幅に遅れて申し訳ありませんでした!!。

今回は新展開です。

久しぶりなのでおかしいところがあるかもしれません。

今回も選択肢が活動報告でありますので、お願いします。

では、どうぞ!



side京太郎

 

俺と照さんと衣さんの三人で会場の奥へ進んでいくにつれて、強い気配が増えてきた。

 

俺も自然と、気が引き締まってくる。

 

照さんと衣さんは緊張した様子はない。やはり慣れているんだな。

 

「……ここか」

 

そして、ずっと真っ直ぐ進むと、扉が目の前にあった。その扉の右側に『高大交流戦 選考会場』と書かれている白い看板が置いてあるため、間違いないだろう。

 

「じゃあ、京君は待っててね」

 

「暇ならば、会場を散策されば良い」

 

照さんと衣さんは俺に一言言ってから、会場の扉をガチャっと開けて中に入っていった。

 

「(これから、どうしようかな……、衣さんの言った通りに、会場を散策してようかな)」

 

今の俺に出来る事なんて、限られてくるため、大人しく、会場を散策する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(とは言ったものの…、特に面白いものは無かったなぁ…)」

 

まぁ、当たり前か。ここは麻雀の大会を行う場所なんだから、アミューズメント施設なんてあるわけないないよな。

 

俺は今、会場の休憩室にて自動販売機で買ったジュースを開けながら思考していた。

 

あれから十分ぐらい、会場を散策したが、これと言ったものが無かったので休憩中なのだ。

 

「(俺も体力が落ちたかな………ゴクゴク)」

 

俺は自分の謎の病気によって変化した体力を再認識しながら、ジュースを片手で飲む。

 

ちなみに、メーカーは………ココアだな。

 

まぁ季節も寒くなった事だし、妥当じゃないかな。

 

俺が一人で寂しくのんびりと、休憩していた時。

 

ガチャっというドアがあく音と共に美少女が入ってきた。

 

白い髪の毛に、目に光が無いのが特徴的などこか俺と似たような感じだな。立派なおもちがあるけど。

 

「あー、ダルい…」

 

美少女は俺と向かい側となるソファーにぐったりとしながら、座った。

 

「あの…、大丈夫ですか?」

 

余りにもスライムのようにグニャリと身体をソファーに沈めているもんだから、俺は心配になって、声をかけた。

 

「…うーん、ダルいからジュース奢ってー」

 

「え?、は、はい…分かりました」

 

自分で声をかけといて何だが、見ず知らずの人にジュースを催促出来るこの人は、スゴい度胸だな。

 

まぁ自然と、不快感はないから奢るけど。

 

チャリンと自動販売機にお金を入れる。

 

「何が良いですかー?」

 

「…ちょいタンマ」

 

「あ、はい」

 

俺が質問すると、美少女は考え込んでいた。

 

そこにはさっきまでのだらけた感じは無くなり、不思議な雰囲気を出していた。

「…イチゴジュース」

 

「分かりました」

 

俺はイチゴジュースのボタンを押した。

 

『ピンポーン♪アタリデス!』

 

「は?」

 

俺がボタンを押したら、そんな機械音と一緒に二つのジュースが出てきた。

 

「…これ、当たり付きだったのかよ」

 

余りにも唐突な出来事に、俺は思わずツッコミをいれながら、ジュースを二つ取り出した。

 

「はい、ジュース」

 

俺が美少女の元に向かって、二つ渡すが、彼女は一つしか取らなかった。

 

「あ、あの?」

 

「二つも飲むのはダルいからあげる…」

 

ストローを刺しながら、美少女は話す。

 

「ありがとうございます!」

 

俺は彼女にお礼を言って、ありがたく受け取った。

 

ストローを入り口に刺して、俺はチューチューと音を少しをたてながら飲んだ。

うん、甘い…。イチゴの風味と牛乳の甘さが絶妙にマッチしてて…これがなんとも……

 

「ねえ」

 

「はい?」

 

俺がイチゴジュースの素晴らしさを思考していると、少女が声をかけてきた。

 

「おぶって…」

 

「え?」

 

いきなり、そんな言葉を言ってきた少女に、俺は理解出来なかった。

 

いや、言葉は分かるんだけど……

 

「俺と貴女って初対面ですよね?」

 

「……ん」

 

彼女はコクリと頷く。良かった、俺がおかしいわけじゃない…。

 

「普通、初対面にそんな事を頼みますか?」

 

「…うーん、君は安全そうだから……多分」

 

「えー」

 

彼女は適当な事を言う。

 

「ちなみに何処まで?」

 

「病院…」

 

「……どこか悪いんですか?」

 

少女からの出た単語に、俺は少しだけ表情が曇る。

 

「うーん…、違う…」

 

「じゃあ、何で?」

 

彼女からの思わぬ返事を疑問に思って、俺は首を傾げながら聞いた。

 

「君って病気なんじゃないの?……心臓とか」

 

「っ!?」

 

俺は驚愕した。彼女のいっている事は正しい。

 

でも、初対面なのに…何故?という疑問が浮かぶ。

 

「でも…なんで…っ!?ぐっ…がぁ…っ!」

 

突如、俺の身体に激痛が襲った。

 

「…っ!大丈夫!」

 

少女が何かを言っているが聞いている余裕がない。

 

「(痛い……まるで身体が千切られてるみたいだ…っ!)」

 

‐‐‐心臓が割れそうだ。

‐‐‐吐き気、頭痛がする。

 

‐‐‐目眩がして、世界がひっくり返った。

 

倒れたんだ、俺は。

 

「ぐっ……ぶ…ぶぶぉっ…」

 

口から血が吐き出された。

視界全体が赤く染まった。

「………‐‐‐」

 

そして俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side照

 

私は今、選考会が終わって会場の中央に来ていた。

 

もちろん、白糸台メンバーと天江も一緒だ。

 

「京君は何処かな…」

 

私は周りをキョロキョロと見渡す。

 

「照……少しは落ち着け」

そんな私の姿に、同じ麻雀部メンバーで親友の菫は呆れたように見つめる。

 

そんなあからさまに呆れなくても……。私は少し傷付いた。

 

「……あれ、着信だ」

 

私はスマホが小刻みに震えているのに気がついた。

 

ディスプレイを見てみると、京君からだった。

 

もちろん、私は応答を押して電話に出た。

 

「もしもし…」

 

『…やっぱり宮永照』

 

「…貴女は誰?」

 

聞きなれない声に少し驚きながら聞いた。

 

『私の事はどうでも良い。それより…須賀京太郎って人…貴女の知り合いだよね?』

 

「え…」

 

私は表情が固まって強ばる。嫌な予感で身体が震える。

 

『その人が…』

 

‐‐‐止めて、言わないで……

 

私の予感は………

 

『意識不明の重体になった』

 

悪い方向へと当たってしまった。

 

「あ、あああ…っ!」

 

「どうした!照!?」

 

私は地面に崩れ落ちた。

 

「テル!しっかり!」

 

足に力が入らない。

 

「みやながてる…お前」

 

不安で涙が溢れる。

 

「京君が…京君がぁぁ…」

「京太郎がどうした!?」

菫が私のスマホを手に握って電話に出た。

 

「もしもし!病院の場所は!?」

 

菫が焦るように大きな声で叫ぶ。

 

『…白糸台総合病院』

 

「分かった…直ぐに行く」

菫はピッと電話切って、私にスマホを渡した。

 

「照!しっかりしろ…。白糸台総合病院に向かうぞ」

菫は私の両腕を掴みながら起こさせた。

 

「さぁ…行くぞ!」

 

私は手を引かれながら、白糸台メンバー+αと共に病院に向かった。

 

 

 

 

____________《途中経過》

 

・京太郎に死亡フラグ&???フラグ発生。

 

・照視点が一時的に出来なくなりました。

 

・京太郎の寿命が一週間になりました。

 



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絶望へのカウントダウン

最近、もしも京太郎が野球部に所属していたらという妄想をしている神狼です。
今回は短いですが、一応これにて第三章完結です。

活動報告もあります。

ではどうぞ。



side菫

 

私と照、それから白糸台メンバーに天江は、バスで白糸台総合病院へと向かっていた。

 

「………」

 

照は黙ったまま私に寄りかかりながら、呆けている。

目元は薄く涙の跡がある………というより、現在進行形で泣いている。

 

「ねぇ…スミレ…、京太郎は大丈夫なんだよね…?」

淡は不安そうに私のほうを見つめてくる。

 

他のメンバーも私の方を見てくる。

 

「それは……、着いてみないと分からない」

 

私自身、まだ心の整理が出来ていない。

 

照がこんな状態だからこそ、冷静でいられるのかもしれない。

 

 

「(京太郎……)」

 

私は心配な気持ちで一杯になりながら、私の唯一の男性の友達の名前を内心で呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白糸台総合病院に着いた、私達は電話の女の指定した病室へ向かった。

 

「…ここか」

 

私は“須賀京太郎様”と書かれている札を見つけた。

病院内の独特な消毒液のような臭いが、私達を更に不安にさせる。

 

「……行くぞ」

 

私はコンコンとノックをして病室に入った。

 

「‐‐‐‐‐‐」

 

中には一人の制服を着ている女と、白衣を着ている大人の男性と女性が京太郎を見守っていた。

 

「京君!」

 

照は直ぐに京太郎の元へ駆け寄る。

 

「こんにちは。君たちは須賀京太郎君の友人?」

 

「はい。あの…」

 

「おっと、すまん。名乗るのを忘れてたな。俺の名前は医龍ハサン。医龍と呼んでくれ」

 

男性の方は医龍という名前らしい。茶髪の少しヤンチャそうな雰囲気をした人物だ。

 

「…私は日下部遥」

 

女性の方は落ち着いた、静かそうな雰囲気だ。髪の色は青。

 

「早速で悪いのだけれど、場所を診察室に移して説明をします」

 

日下部先生はそう言うと、立ち上がって、直ぐ様病室から出ていった。

 

「俺が案内する。…ところで、そこのお嬢さんは大丈夫か?」

 

医龍先生は照の方を心配そうに見つめる。

 

照は京太郎の胸元で抱きついたまま固まっている。

 

きっと、離れたくないんだろう。一度だけ離れただけで、このような状態になったのだから、無理もない。

「尭深、誠子。照を頼んだ」

 

「…分かりました」

 

尭深は静かに頷く。

 

「任せてください」

 

誠子も異論は無いようだ。

「それじゃあ…「待って」…ん?」

 

私が行こうとした時、淡の静止の声に、私は反応して歩むのを止める。

 

「どうしたんだ?」

 

私の問いかけに、淡は黙って京太郎の方へ向かって近くにある椅子に座る。

 

「私は行かない。京太郎が心配だから……。それに、私が行ってもさっぱり理解出来なさそうだしね」

 

淡には何時の様な自信は影も形も無く、むしろ自虐的な発言をする。

 

「ふん、独立不羈なお前がまさか京太郎に縛られているとはな」

 

 

天江が皮肉気味にそんな事を言う。

 

「まぁ…なんだ。衣も、アホなほど天真爛漫なお前じゃないと張り合いがないからな。意気消沈してないで元気を出せ」

 

そう言うと、天江は優しく、ポンッと淡の頭を短く撫でた後、病室から出ていった。

 

「あ、ちょっと!?。一人で行っても診察室の場所分からないでしょ、子供なんだから…」

 

医龍先生がそんな事を言いながら、病室を出た。

 

外から「衣は子供じゃない!」という怒号が聞こえてきたが、あえてスルーしておこう。

 

「では、頼んだぞ」

 

私はそう言って、病室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医龍先生の案内で、私と天江は、診察室にたどり着いた。

 

ガチャっとドアを開けると、日下部先生がレントゲン写真を壁に貼っていた。

 

「医龍、案内が遅い…」

 

「ス、スマン…」

 

日下部先生の注意に、医龍は両手を合わせて謝るポーズをしながら、日下部先生の隣の椅子に座る。

 

この二人は夫婦か!、とツッコミたくなる衝動を抑える。

 

だが、ハッキリしてる事は……コイツらは、リア充という事だけだ。

 

「さ、そこに掛けて」

 

「はい」

 

私と天江は二つの椅子に、それぞれ座った。

 

「まず、簡単な検査だけをしました」

 

「本当は一週間かけて、じっくりやりたかったんだが…………」

 

医龍先生は、言い難そうに渋っている。一体どうしたんだろうか。

 

「…もしかして余命が短いのではないですか?」

 

天江は言い慣れてない敬語を使いながら言う。

 

その表情は、自分の言葉を否定して欲しそうな顔だった。

 

「正解。もう病状は悪化を辿る一方。…だけど、もう1つ分かった事があるわ」

「それは一体…?」

 

「…ここ」

 

日下部先生は、カルテのレントゲンの脳の部分を指した。そこには僅かに小さく黒くなっていた。

 

「これはガンみたいな類ではないの…」

 

「古傷みたいな部分だな。…頭を強く打ったような跡だ」

 

「ふむ…」

 

天江は難しそうな顔で、考え込んでいる。

 

一方私も考えていた。

 

「(…心臓‐‐‐頭の古傷。共通点がない)」

 

「どんな些細な事でも良いから、話してくれない?」

日下部先生がそう言う。

 

だが、私は照みたいに京太郎とはまだ知り会って間もないからな。

 

「……そういえば、きょうたろうには違和感がある」

「…違和感?」

 

「まるで、大事なものがすっぽりと抜けているような……」

 

その時の私には、よく分からない事だった。

 



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第四章京太郎の入院生活
京に人は集まる


新年あけましておめでとうございます!

更新が遅れて大変申し訳ありませんでした!

なかなか思い付かなかった、作者の実力不足です。

返す言葉もありません…。
今年から心機一転! 頑張ります。

それから、今回も神狼Kの活動報告にて選択肢があります。

何度も申し上げてすみませんが、選択肢を選んでくださらないと、物語が書けませんので、お早めにお願いします(しつこくてすみません)

では、短いですが、どうぞ!


先生方の話が終わり、京太郎達がいる病室に戻ってきた。

 

「どうだ? ……京太郎の容態は……」

 

「……まだ目が覚めないよ」

 

淡は、私に悲しそうにそう告げる。

 

私は近くにある椅子に、ゆっくりと腰を下ろす。

 

「……照。大丈夫か?」

 

私は心配そうに、照を見つめる。

 

だが、大丈夫じゃないのは一目瞭然だった。

 

照の目には光がなく、今にも消えてしまいそうな……そんな弱々しい雰囲気だった。

 

「……京君」

 

照は、京太郎を布団越しで抱きつく。

 

「………ん」

 

ピクリッと京太郎が僅かに反応した気がした。

 

「京君……?」

 

照も京太郎の異変に気付いたようで、優しくだが、京太郎の肩を揺らす。

 

「…………あ」

 

そして、京太郎は静かに目を開いた。

 

目を覚ました!

 

「京君! 京君!」

 

照が、感極まったようで、涙をポロポロ流しながら、京太郎に抱きついた。

 

私は安心からか、下半身に力が入らずに、崩れるように、地面に膝をつく。

 

「部長、大丈夫ですか?」

そんな私を心配しながら、尭深と誠子が私の元へ駆け寄ってくる。

 

「……大丈夫だ。誠子、すまないが、近くにいる先生を呼んできてくれないか?」

 

「わ、分かりました!」

 

誠子に頼んだのは、この中でまともに一番動けると判断したからだ。

 

誠子は、慌てながら部屋から出ていった。

 

「…………」

 

そういえば、京太郎は照をしっかり抱き止めながらも、何も話さない。

 

きっと混乱しているんだな。

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

「先生、こっちです!」

 

「は、はい。須賀京太郎君でしたね……」

 

誠子が、見た事の無い先生を連れてきた。

 

即座に先生は聴診器を持ちながら、京太郎の元まで走った。

 

「ごめんね!。少し退いてくれませんか!」

 

「…………はい」

 

先生の言葉に、照は涙を拭いながら、渋々退いた。

 

「よし。京太郎君。まずはちょっと計らせてねー」

 

先生は京太郎の着ている服を緩めると、そこに、聴診器を持った手を突っ込んでいく。

 

「はい、深呼吸してね。吸って」

 

「……すぅーーー」

 

京太郎は、先生の言葉を素直に応じて息を吸う。

 

「……はい。吐いて」

 

「はぁーーー……」

 

京太郎が息を吐いた瞬間に、先生はあからさまにホッとしたような表情をしている。

 

「……ふぅー。どうやら峠は越えたみたいだね。今は心拍数、呼吸は通常通り。僕の予想だと、多分、寿命も伸びていると、思うよ」

「っ! ……良かったぁ」

照は更に涙を流しながら安心していた。

 

私は、自然と照を抱き締めていた。

 

照の身体は微かに震えていた。

 

「‐‐‐‐ただねー。上げといて落とすのも申し訳ないんですが、今の京太郎君はストレスが極度に悪い影響を与えるから、慎重にねー」

 

先生は若干冗談っぽい口調で話す。

 

だが、目は一切笑っていない、真剣なものだった。

 

まだ一安心は出来ない…………という事だな。

 

「おっと、申し遅れましたー。僕の名前は波多野 雅紀と言います。よろしくね!」

 

そういえば、この人……、さっきから敬語とタメ口が混ざった口調だな。

 

 

「……照、さん」

 

突然だった。京太郎が急に照の名前を呼んだのだ。

 

「京君……。本当に良かった……っ!」

 

照は先程よりも、更に涙の量を増やして、私の胸元を濡らしながら喋る。

 

「……お邪魔でしたね。じゃあ! 何かあったら、呼んでね!」

 

波多野先生は、嵐の如くはあっという間に去っていった。

 

「……すみません。心配、かけてしまったみたいですね」

 

京太郎は、シュンと気を落としたような顔で話す。

 

そんな京太郎に、照は私から離れて、京太郎に思いっきり抱きついた。

 

「……本当に心配したんだよ……っ!!」

 

ポカポカと、照は弱々しく京太郎の胸を叩く。

 

「……照さん。……菫さん、淡、衣さん、尭深さん、誠子さん、本当に………………すみませんでした!」

京太郎は深々と頭を下げた。

 

……こいつは、京太郎は、自分の身体よりも、周りの事を心配して、謝った。

 

「……良いんだ。お前はもう、私達の仲間なんだぞ? 一杯頼れ」

 

私は笑顔で、京太郎に優しく話す。

 

……私らしくないな。

 

でも、こんなに危なっかしくて、今にも消えてしまいそうな奴を、私は放っておけない。

 

そこには善意からなのかは、または…………恋心からなのかは分からない。

 

「スミレの言う通りよ! むしろ、先輩達よりも頼りになる、この高校100年生を頼りなさい!」

 

そして、さっきまで意気消沈していた淡は、一変して生意気な口を叩きながらも、頼もしい一言で、京太郎を元気付ける。

 

まったく、こいつは……。

「きょうたろう! 衣は言った筈だ、 お前の力になりたいとな!」

 

天江は、満面の笑顔でそう話す。

 

「私も……、まぁ会ってまだ少しだけど、お前は大切な後輩だから、……助けてやらなくもない」

 

誠子は壁に身体を預け、頬をポリポリかきながら言う。

 

照れているのがバレバレだな。素直に好きな後輩と言えば良いのにな。

 

「……私も京太郎君を大切な存在だと思っている。だから、私に出来る事があったら言ってね」

 

尭深はお茶を飲まずに話す。

 

皆が京太郎の事を心配して、力になりたがっている。

「……っ!」

 

そんな光景に京太郎は泣いていた。

 

ギリッと歯を食い縛って、声は出していないが泣いていた。

 

「京君……」

 

そんな京太郎を照は複雑な表情で見ていた。

 

私も同じ気持ちだった。

 

嬉しくて泣いているのかもしれないが、京太郎の涙を流している姿を見たくない。

 

女心は複雑なのだ………………。というか……私が女心などという言葉を使う日がくるとは思わなかったぞ。

 

「…………ありがとう。皆、本当に、ありがとう 」

京太郎が私達に頭を下げる。

 

頭を下げると、涙の粒がポタリと落ちて、ベッドを濡らしていく。

 

私は……私達はそんな京太郎を黙って見守っていた。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄《途中経過》

 

・ここからは京太郎の寿命が毎回変化します(ストレスが溜まれば減る。良い事が続けば、完治も……?)

・チーム虎姫、衣の好感度が上がりました。

 

・次回から、京太郎視点に戻ります。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




その他気になる事があれば、感想欄にどうぞ。


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京太郎の入院生活一日目

少し遅れましたが、無事に投稿できました。

少し短いのはすみません。
この作品もUAが30000を越えたので、今回の活動報告での選択肢は、特別記念として少し変わってますので、是非選びに行ってください。

ではどうぞ!


9月1日(火)

 

「うーん……」

 

俺‐‐‐‐須賀京太郎は、重たいまぶたをゆっくり開いた。

 

ここは俺の入院している白糸台総合病院の個室タイプの病室だ。

 

それはともかくとして、俺は結局、検査入院を余儀なくされた。

 

理由は峠を越えたとはいえ、またいつ危険な状態になるか分からない状況だからだ。

 

はぁ……、せっかく白糸台で楽しい学校生活してたのになー。

 

だが、いつまでヘコんでても始まらない。

 

今は安静にしておかないとな。

 

ガラガラーッ!!

 

「京太郎〜〜〜!!」

 

「うぉっ!?」

 

突然、病室の扉が勢いよく開いたかと思ったら、元気の良い声で、俺に誰かが抱きついてきた。

 

驚いた俺は思わず、すっとんきょうな声を上げながらベッドに倒れ込んだ。

 

つまり寝ている状態。

 

「……って、淡?」

 

俺は抱きついてきた人物の身体を抱き締めて理解した。

 

ふんわりと女性独特の甘い香りに、俺よりも綺麗な黄金色の髪の毛。更にその金髪は流星群が流れる星空を思い抱かせるような粒子のようなキラキラしたものがある。

 

ここまで明確に分かるほど近くに…………淡がいた。

「そう! そう! おはよー、京太郎!」

 

淡は俺から離れながら、元気をもらえる満面の笑顔でそう話す。

 

「おはよう……。ん? 照さんも?」

 

混乱しながらも、俺は淡に挨拶をしながら、後ろを見ると、開きっぱなしの扉の前でモジモジしている照さんがいた。

 

その姿は小動物並……いや、それ以上の可愛さだった。

 

「お、おはよう……京君///」

 

照れたように笑みを浮かべる照さん。

 

あれ? 俺、何かしたか?

 

俺が照さんの反応に戸惑っていると、照さんはゆっくりと俺と淡のいる方向へ歩み寄ってくる。

 

両手には重そうなバックを抱えている。

 

照さんは、うんしょ、うんしょ、と言いながら運んでいる。

 

「ふぅ……。これ……京君の着替えとその他諸々」

 

照さんは、疲れた様子でバックを置きながら話す。

 

「お疲れ様です。淡は何も持っていない様子だが?」

俺は疲れた様子で椅子にペタリと座っている照さんの頭を撫でながら話す。

 

照さんは『えへへ……』と言いながら、照れたように頬を赤く染めている。

 

「えーとぉ……。テルが運びたいっていうから、つい………テヘッ☆」

 

淡は最初は困ったように顔を固まらせていたが、段々とふてぶてしい顔になっていき、終いには舌をペロッと出しながら、手を頭にコツンと軽く打つという、いわゆる『てへぺろ☆』をしていた。

 

その行為は大変可愛い仕草ではあったが……、照さんを手伝わなかった。なので、フリーになっている左手で……………淡の顎に触れた。

 

「あわっ!?」

 

淡が恥ずかしそうに顔をゆでダコのように真っ赤にしているが、そのまま俺は指で顎をクリクリしながら、刺激する。

 

「ひゃあ……、ふあぁ…。アワァ……ッ」

 

淡はジタバタしているが、俺は止めない。

 

顎は淡の弱点でもある。それを知ったのはつい最近の出来事なのだがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして五分後。ようやく俺は淡を弄るのを止めた。

 

「ふにゃぁぁぁ………っ//// 」

 

淡は椅子に座って、俺のベッドに横倒れて撃沈していた。

 

ちょっと、やり過ぎたかなー。

 

「京君。元気そうで良かった」

 

「えっ?」

 

照さんは、嬉しそうに微笑みながら、俺を見つめる。

そんな照さんに、俺は首を傾げる。

 

「京君。昨日の今日だから、大丈夫かなって思ったんだ。だから菫と病院の先生から許可を貰って、1日学校休み&病院寝泊まりOKサイン貰ってきたんだ〜♪」

「えぇぇっ!?」

 

俺は目を見開きながら、驚いた。

 

それは、照さんの行動力に驚いていた。

 

というか、照さんってこんなにも積極的だった事に驚いた。

 

けれど、それと同時に俺の知らない照さんの一面を見られて嬉しかった。

 

「という訳だから1日、淡と京君の介護をやるからね」

 

照さんはやる気十分といった様子で、両手をグッと握りしめながら、俺に宣言した。

 

「……はい! お願いします」

 

俺は照さんの頼もしさに、笑みを浮かべながらお願いした。

 

こうして、俺の入院生活一日目(昨日をいれれば二日目)がスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よっし! 和了ったぜ!」

 

俺はあれから、一時間ほど照さんが持ってきてくれた携帯で、ネトマをしていた。

 

「京君。この場面はもう少し待てばこれが入ってきたから………こうする」

 

そして、俺の左隣では照さんが熱心に麻雀を教えてくれていた。

 

「……むぅー」

 

一方、俺の右隣では淡が面白くなさそうに足をバタつかせながら、俺の方をジーッと見ていた。

 

その理由は淡の説明が俺には理解出来なかった事にある。

 

だけどな……、なんだよ! 『とりあえずダブリーだ!』とかさ。

 

いきなりダブリー出来るわけないだろ。俺のはお前みたいな能力では無いんだから。

 

という訳で、仕方なく淡には大人しくしてもらった。

「……ぐぬぬ」

 

だが、淡は物凄く不満そうに顔を歪めながら、俺に子犬のような目で俺を見ていたりする。

 

なんだよそれ! ちょー弄りたくなるんだけど……。

「……ほーれ、ウリウリ」

俺はとうとう我慢出来なくなり、淡の頭を片手で優しく撫でた。

 

「あわっ!? ………っっっ!? 」

 

淡はすっとんきょうな声をあげた後、顔を真っ赤にして目をトロリとさせながら黙ってしまった。

 

「おー、京君はテクニシャン」

 

照さんは棒読み口調で、パチパチと拍手をしながら俺を絶賛(?)する。

 

「いやー、それほどでもー」

 

俺も照さんにノって棒読み口調で返す。

 

「京君。遊びはここまでにして、ネトマの続き……しよ?」

 

照さんが画面を見ながら、俺に言う。

 

「わーたーしも手伝う〜〜〜っ!!!!」

 

一方淡はもはや玩具を欲しがっているだだっ子のように、足をバタバタと暴れている。

 

「わ、分かった! 悪かったよ……」

俺は

 

俺とした事が、ついやり過ぎてしまった……。

 

だけど、淡って弄りたくなるんだよなぁ……、可愛いからさ。

 

「じゃあ……誰かを呼んで麻雀する?」

 

「お〜っ! テルー、ナイスアイディア!」

 

照さんの何気ない言葉に、淡はキラキラと目を輝かせている。

 

その眼差しは、照さんを『貴女は天才か!?』とでも思っているような感じだ。

実際、その通りだと思うけど……。

 

「じゃあ誰を呼びます?」

「ふむ……、じゃあ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐」

 

照さんは考え込むようにしながら、言葉を発した。

 



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姫々は京で舞う

久しぶりの投稿です。

今回はいつも見てくださる読者様にお礼を籠めて、麻雀描写に気合いをいれてみました。

作者は麻雀は素人なので、間違っていたらすみません。

それから、今回は長めなのです!

最後に活動報告にて、選択肢がありますので、よろしくお願いします。



「‐‐‐‐尭深とか?」

 

照さんは癖毛《ホーン》をピコピコさせながら言う。

「なるほど。……でも、今は授業中だと思いますけど?」

 

俺がそう言うと、照さんは……そうかと言いながら、再び考え込む。

 

その間に、俺は両手を組ながら思考する。

 

他校の人は東京に来ているため、大丈夫だが、そもそも面識が全然無い人達ばかりだ……。

 

「……あっ! そうか、衣さんなら、なんとかしてくれるかもしれない」

 

俺は善は急げということわざに従い、携帯を取り出して電話帳を確認する。

 

そこには、いつの間にか登録された衣さんの番号があった。

 

………多分、ハギヨシさんの仕業であろう。

 

俺は迷わず、その番号に電話をかけた。

 

プルルという音が鳴る間もなく、ノータイムで電話は繋がった。

 

『もしもし、きょうたろう? どうかしたのか?』

 

電話の主はもちろん、衣さんだ。

 

「あのですね……、良ければなんですが、他校の人とは面識ある人いますよね?」

 

『うむ、確かに面識あるぞ? それがどうかしたか?』

 

衣さんは不思議そうな声音で俺の問いかけに答える。

やっぱりな。確か、俺がいなくなる前に部長が合宿って言っていたから間違いなかったと思ったら、ビンゴだ。

 

「それでですね、その他校の人と、リハビリを兼ねた練習試合をしたいのですが……」

 

俺が遠回しに、遠慮気味に話すと、衣さんが笑った。

『フフンッ、構わない。きょうたろうのためなら、お姉さんである衣に頼るが良い!』

 

ポンッという音が電話越しから聞こえてきた。

 

おそらく、……ミニなおもちを張っているんだろう。

そんな光景を想像すると、なんだか微笑ましくて、俺はクスリと笑顔になる。

 

「……なるほど」

 

一方で、照さんは何かを思い付いたかのようにスマホを取り出して、誰かに電話していた。

 

『では、人が見つかり次第、衣が連れてきてやろう』

「ありがとうございます!」

 

『フフッ♪ ではな〜♪』

プツンっと電話は切れたため、俺は携帯を胸ポケットに仕舞う。

 

はぁ……病院の服にもポケットがたくさんあれば良いのになぁ。

 

「‐‐‐‐ふむふむ、ありがとう。それじゃあすぐに向かう」

 

照さんの方も電話が終わったようだ。

 

「京君。練習相手が見つかった。行ってくる」

 

そう照さんは短く俺に告げると、スタスタと歩いて、病室を出ていった。

 

「………よし。なら、私はタカミン救出大作戦をしてこようかな〜!」

 

いつの間にか、淡はサングラスをかけて、凛とした声音で俺に言う。

 

ちょ、マジか!?

 

「お、おい! 淡……」

 

「じゃあ、いってきます!」

 

俺が嫌な予感がして、淡を引き留めようとしたが、時既に遅し。

 

淡は病室の窓から飛び降りた………………ここは、一階だけど。

 

「……はぁ。なんか大人数になりそうだな」

 

俺は菫さんの胃に穴が開かない事を祈りながら、白糸台総合病院のパンフレットを見る。

 

パンフレットには様々な情報が載っていた。

 

曰く、ここの手術は成功率100%だ。

 

曰く、ここには『私、失敗しないので』という口癖のフリーの凄腕美女の女医がいる。

 

等々、余りにもアレな情報が盛りだくさんだが、次のページを見て、俺は度肝抜かした。

 

「ま、麻雀ルーム!?」

 

なんと、ここには入院患者のために用意した、個室タイプや団体でやるためのサービス付きのVIPルームもあるらしい。

 

おい、これは……なんか病院としてはどうなんだ? って思いながらも、俺は内心喜んだ。

 

ラッキーだ。ここでなら、病院から出ずに、ゆっくりとリラックスしながら麻雀が打てそうだが……。

 

費用が……十人タイプのプランで一万はするらしい。

しかも無制限。

 

なんという学生の懐に優しい値段なんでしょー………………

 

「って! 金取るのかよ!?」

 

俺は思わず突っ込んだ。

 

「……アンタ大丈夫?」

 

 

……いつの間にか入ってきていた、先生らしき女性が俺のツッコミを聞いていたようで、可哀想な人を見るような目で俺を見てくる。

 

「……大丈夫です///」

 

俺は恥ずかしさから、顔を赤くしながら先生(?)に答えた。

 

「あっそ。なら早く上着脱いでくんない? 検査するんだかさ」

 

「あ、はい」

 

俺は先生に急かされるままに、上着を脱いだ。

 

恥ずかしさは無い。

 

「はーい。じゃあ熱を測って〜」

 

先生はそう言って、胸ポケットから体温計を取り出して、俺の口に突っ込んだ。

「ん……」

 

「うんうん。素直な子は嫌いじゃない……。次は心臓に異常が無いか調べるから、鼻で深呼吸してー」

 

先生は首にかけていた、聴診器を俺の胸に当てる。

 

「吸って」

 

「すぅ〜〜〜」

 

俺は息を限界まで吸う。

 

「吐いて」

 

「はぁ〜〜〜」

 

そして、息を吐いた。

 

それをした後、先生は『OK』マークをした。

 

「うん。今日は大丈夫そうだね」

 

先生は満足したように、コクコクと頷いている。

 

「あの……」

 

俺はそんな先生に訪ねたい事があるため、呼び掛ける。

 

「ん? なーに?」

 

先生は不思議そうにしながら、俺の顔を覗きこむ。

 

「この病院では、麻雀ルームというのがありますよね?」

 

「まぁね。このご時世は麻雀が好きな人が多いから、作ったみたい」

 

確かに麻雀の競技人口は一億人を突破する程に人気だ。

 

まぁ世界の人口は七十億人はいる訳だから、ほんの一部な訳だし、サッカーの競技人口は約二億五千万は超えているらしいから、まだ世界で一番人気なものではない。

 

だが、メジャーと言えるぐらいの数ではある。

 

「それなんですが、今日って一部屋空いてます?」

 

俺がそう聞くと、先生は驚いたように目を見開いた。

「へぇー、須賀も麻雀するんだ」

 

「『まだ』弱いですけどね」

 

俺は『まだ』を強調しながら話す。

 

そう……、俺はまだまだ弱い。照さんや淡達の足元にも及ばないぐらいに。

 

だけど、俺は強くなってみせる。

 

何故なら、照さん達は一緒に隣を歩いてくれているからだ。

 

彼女達はもっと先に行ける資格を持っているのに……………。

 

だから……強くなりたい。

「……良い目してるじゃん。頑張ってね、じゃあ一部屋開けておくから」

 

「えっ!? ちょっ、ちょっと……「あ、そ・れ・か・ら」」

 

先生は言うだけ言って立ち去るのかと思いきや、戻ってきた。

 

「君には特別サービス、無料にしておいてあげる♪」

先生はウインクをしながら、立ち去っていった。

 

そして不覚にも、可愛いと思ってしまった。

 

「……良い目、か」

 

そして、最後ら辺に言っていた言葉が俺の胸に突き刺さって離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三十分後。

 

時間は経って、現在俺がいる場所は団体用の麻雀ルーム。

 

そこには目を疑う程のビックメンバーが揃っていた。

「怜ー。練習試合とはいえ、大丈夫なん? 無理に能力使用はアカンよ?」

 

「……大丈夫や、多分」

 

竜華さんは怜さんに膝枕をしながら心配の眼差しを向けるが、怜さんは曖昧に答えた。

 

そう、あの! 名門千里山のエースである園城寺怜さんと、部長である清水寺 竜華さんの二人が照さんの誘いを受けて来てくれたのだ!

 

なんでも、高校代表として東京に来たのは良いが、せっかく沢山の強豪校が集結しているので、練習試合を検討していた時に照さんから連絡があったみたいだ。

俺は怜さんと竜華さんの微笑ましい光景を見ながら和む。

 

べ、別に竜華さんのおもちに目を奪われている訳じゃないんだからね!

 

「あら、貴方は清澄の……」

 

……っと、そこへ俺に声をかけてくる人物が現れた。

俺は振り返ると、なんと風越の部長であり、実力はエースと言っても過言ではない人、福路美穂子さんがいた!

 

「あ、いえ。正解には元清澄です。今は白糸台に在籍しています」

 

俺はなるべく丁寧な口調で、美穂子さんの言葉を訂正する。

 

「……そうなんですか。白糸台に転校したんですね。衣ちゃんからは話を聞いているわ。今日はよろしくね」

 

美穂子さんは俺なんかにも、ニコッと優しい笑顔を向けてくる。

 

「は、はい。よろしくお願いします!」

 

俺は動揺から、少し吃りながら頭を膝にくっつく程に垂直に下げた。

 

「す、凄く身体が柔らかいのね!」

 

美穂子さんはキラキラした目で俺を見てくる。

 

「あはは……」

 

俺は若干苦笑い。

 

「‐‐‐‐‐‐」

 

……そして、先程から俺の方をジィーーっと見てくる少女がいた。

 

確か、東横桃子さん……だった筈だ。

 

「こんにちは」

 

「………私が見るんッスね」

 

「へ?」

 

桃子さんは突然そんなような事を俺に言う。

 

「私……。ステルスモモって自称するぐらいに、消えるような影の薄さには自信あったッス」

 

桃子さんは少し嬉しそうに……、しかし怪訝そうな表情をしながら俺に話す。

 

……和なら、真っ先に言うだろうな。そんなオカルトありえません。略して『SOA』と……。

 

「俺は……消えるとか良く分からないが、お前は確かに今、俺の目の前にいる。だから言わせてもらう! …………SOA!」

……決まった。

 

俺はドヤ顔で桃子さんに言うと、桃子さんはプルプルと震えていた。

 

「……ップ! あはははは!!!! 君って、おっぱいさんみたいなセリフ言うのに、面白くておっぱいさんとはやっぱり違うッスね」

 

桃子さんは爆笑して、腹を抱えながら笑った。

 

「あはは。やっぱり俺には和のセリフは似合わないか?」

 

「そうッスよ! 良い意味でッスけどね。私は東横桃子。モモで言うッスよ」

 

「ああ! 俺は須賀京太郎だ。俺も京太郎で良いぞ」

「む、長いッス」

 

桃子さん……モモに釣られて、俺も自己紹介をすると、モモが唸りながら言う。

何かを考えている様子で、俺も、俺の隣にいる美穂子さんも首を傾げる。

 

「あ! ならなら、私は京さんって呼ぶッス。なんだか渋くてイカさないッスか?」

 

モモは目を先程の美穂子さんより輝かせながら自慢するように、俺に詰め寄る。

「あ、ああ。良いんじゃないか?」

 

「え、ええ! 私もそう思うわ」

 

俺と美穂子さんは空気を読んで頷く。

 

 

 

 

 

 

そして、俺は美穂子さんとモモとで自然な流れでアドレスを交換した後、他の方を見ていた。

 

「尭深さん!」

 

「あ、京太郎君」

 

次に俺が見かけたのは尭深さんだ。

 

俺は尭深さんに駆け寄る。

「尭深さん、どうしてここに……?」

 

「えっとね。淡ちゃんが、『怪盗100年生、参上!』って言いながら、私は説明もなく連れてこられた……」

 

え”!? ……俺は内心驚いていた。

 

まさか、本当にやるとはな……。

 

まぁ、淡のあの感じからだと冗談は言ってなさそうだから、読めてはいたけどな。

 

「あ、あはは……」

 

「………」

 

俺は菫さんの事を考えると笑うしか無かった。

 

尭深さんは笑い事では無い、死活問題だと言いたげにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に俺は、これまた凄い人達がいる所に行った。

 

「ウフフ。今日は小蒔ちゃんの地力を少しでも上げるための良い機会だから、沢山打ちましょうね?」

 

「あ、はい! 頑張ります!」

 

……主におもちが。

 

いや、麻雀の実力も凄い人達なんだ。

 

片方の名前は神代小蒔さんで、去年のインターハイでは衣さん、三箇牧高校で去年の全国の二位の荒川憩さんと並んで、別格の一年生として挙げられていた雀士の一人なのだから。

 

さらに、照さん、衣さんと同じく『牌に愛された者』だからな………。

 

……もう一方の名前は岩戸霞さん。

 

永水高校麻雀の部長であり、俺が見てきた中でも、トップクラスのおもちだ。

 

……ハッ! いかんいかん。煩悩滅却。

 

彼女は鉄壁と言っても良い守りと、刹那に見せる圧倒的な火力を持ち合わせたオールマイティーな雀士らしい。

 

……ある程度強くなって気付いたんだけど、彼女達は対局中のを見る限り、妖夢みたいな人成らざる者を宿してるっぽいんだよなぁ。

いや……宿してるというか、その時限定? 降ろすって言い方がしっくりくるな。

とにかく凄い雀士なのだ。

「あらあら、先程から私達に熱い視線を向けてくるのは、貴方かしら?」

 

「あ、はい!?」

ヤバい。余りにも思考にふけってたから、視線が霞さん達のおもちに固定されたまんまだった……。

 

怒ってるかな。

 

「ウフフ。私は別に怒ってる訳じゃないのよ? ただ……少し視線が情熱的だったのが、気になっただけなのよ」

 

霞さんは微笑みを浮かべながら、俺に話す。

 

なんだ、安心した……。

 

「まぁ、小蒔ちゃんに手を出したら…………ウフフ♪」

 

霞さんは微笑むだけで、それ以上何も言わなかった。

なんか逆に恐ろしい!

 

「は、はい。分かってます!」

 

「あ、あの……。貴方が須賀京太郎さんですよね?」

突然、霞さんの背中に引っ付いていた小蒔さんが、俺に声をかけてきた。

 

「はい。そうですけど?」

俺は思わず首を傾げずにはいられなかった。

 

何で俺の事を知っているのかが、不思議だったからだ。

 

「……び、病気なんです……よね?」

 

「っ!?」

 

何で……小蒔さんが俺が病気という事を知っているんだ……。

 

小蒔さんの呟きに、俺は驚きの表情を隠せずにはいられなかった。

 

「……やっぱり、シロちゃんの言った通りだったんですね」

 

「シロちゃん?」

 

聞き覚えのない名前だ。

 

「私……シロちゃんに誘われて来たんです」

 

「……ダルい」

 

「うわっ! いつの間に!?」

 

小蒔さんと霞さんの後ろに椅子にもたれ掛かっている少女がいた。

 

「あ、あの時の人…… 」

インターハイ会場の休憩室で、俺が休んでいた時に入ってきた、ダルそうにしていた少女だ。

 

また、俺の命の恩人でもある人だ。

 

「………確かあの時は自己紹介してなかったね。ダルいけど、自己紹介する。……私は小瀬川白望……。」

 

「あ、はい。俺は須賀京太郎です」

 

白望さんは自己紹介をしてくれたので、こちらも自己紹介をした。

 

すると、白望さんは『ダルい……』と言いながら、立ち上がって、他の所に歩いていった。

 

「……そ、それでですね。私は医療などは分かりませんが、東京にいる間は力になりますので、よろしくお願いします!」

 

小蒔さんはペコリと頭を下げた。

 

……凄く優しい人なんだな。

 

初対面の相手にここまで言ってくれるなんてな。

 

「で、では私は打ってきますので、良かったら勝負してくださいね」

 

そして、そのまま小蒔さんと霞さんは怜さん達がいる方向へ歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、残るは顔見知りばかりだな。

 

「京君。私、頑張った……」

 

ソファーで照さんは疲れた様子で座っていた。

 

俺は照さんの隣に座る。

 

「簡単に言ってましたけど、千里山さんを連れてくるの、大変だったんじゃないですか?」

 

照さんが俺のために、千里山さんを連れてきてくれたのは嬉しかった。

 

でも、それが照さんの負担になっているなら、それは俺にとってはつらい事だ。

「ん、大丈夫……。少し千里山の監督を『説得』に時間がかかったけどね」

 

んーっと照さんは腕を伸ばしながら言う。

「そうなんですか……」

 

「そうなんだよ。さてと、じゃあ打とうよ」

 

照さんはやる気満々だ。

 

心無しか、最初から右腕がスクリュー状態な気がする……。

 

 

 

 

 

 

とりあえずは、怜さん、小蒔さん、照さん、そして俺という面子でやるんだけど………いきなりヤバいな。

いや、集まってくれた人は全員格上なんだけど、その中でも凄い面子だ。

 

「……始めよう」

 

照さんが真剣な眼差しで俺を見ながら宣言した。

 

 

 

 

 

東一局 親:照 ドラ:{東}

 

親は照さんになり、順番は照さん、怜さん、小蒔さん、俺という形になった。

 

「………」

 

「………」

 

「……えっと、はい」

 

小蒔さん以外の人は黙々と牌を切っていく中、次は俺の番だ。

 

京太郎の配牌

 

{二二五六七⑤⑦⑨189北北}ツモ{3}

 

……うん。奇跡かってぐらい配牌は悪くないな。

 

京太郎:打{⑨}

 

 

 

 

 

数巡後

 

京太郎の配牌

 

{二二五六七①⑤⑦789北北}ツモ{⑥}

 

よし張った。……だが、これだと最高で満貫だが、俺には和了れるか分からない。

 

だが、関係ない。

 

「リーチ!」

 

{横①}

 

俺は千点棒を置いて、リーチ宣言する。

 

照さんは最初の一局のみ、見に入るため問題は無し。

他の怜さんや小蒔さんもテンパイしている気配は無いため問題ないだろう。

 

何より、テンパイしたからには、絶対に和了したいしな。

 

 

 

 

 

そして、終局間近に……

 

「ツモ! リーチ、ツモ、役牌、1000と2000です!」

{二二五六七⑤⑥⑦789北北北}

 

よし、なんとかに和了だ!

中々の好スタートだな。

 

京太郎:25000→29000

 

照:25000→23000

 

怜:25000→24000

 

小蒔:25000→24000

 

 

 

 

 

東二局 親:怜 ドラ:五

 

今回は怜さんという強敵が親だけでなく、照さんも動き出すから、ここからが本番だな。

 

 

 

 

 

数巡後

 

「リーチ……」

 

{横白}

 

怜さんの先制リーチだ。というか怜さんってリーチの時に点棒を立てるけど、あれっ地味に凄いな……。

 

「……えっとえっと、これ!」

 

小蒔:打{9}

 

小蒔さんの捨てた牌を怜さんはスルー。

 

「はふぅ……」

 

あからさまに安堵したように、小蒔さんはソッとおもちを撫で下ろす。

 

というか……。

 

「小蒔さん。それ、現物だから全然安牌だよ」

 

俺が言おうとした時に、照さんが安堵していた小蒔さんに言う。

 

「ふぇぇ!?」

 

ガーンという効果音が付きそうな程に小蒔さんはショックを受けていた。

 

 

 

 

 

 

だが、場が和んだのも束の間だ。

 

何せ、怜さんがリーチしたのなら、ほぼ確実に一発が付くはずだ。

 

京太郎の配牌

 

{二三①②④⑦⑧⑧889南西}ツモ{發}

 

だが、俺の今回の配牌は悪いものだった。

 

まぁ、{八}が二枚くれば三色などが狙えるんだがな。

「……ふぅ」

 

怜さんの捨て牌の中には發があったため、現物が出来てそのままツモ切り。

 

京太郎:打{發}

 

「ポンだよ。京君」

 

「あ、はい」

 

ここで、照さんが鳴いた。

{横發}{發}{發}

 

「………」

 

照:打{①}

 

照さんは黙って{①}を捨てた。

 

そして照さんが鳴いた事により、再び俺のツモ番だ。

これで流れが変わってくれたら、良いんだけどな。

 

ツモ{六}

 

くっ、{六}か……。いらないけど、これは多分怜さんの和了牌だ。

 

何故ならこれは、怜さんがツモるはずだった牌だからだ。

 

だから…………

 

京太郎:打{南}

 

これを捨てた。

 

「ロン」

 

「照さん……っ!」

 

だが、俺の捨てた{南}は照さんの和了牌だったみたいだ。

 

「發のみ、1000」

{一二三①②③234南南}{横發}{發}{發}

 

「っ!!」

 

そして怜さんは照さんの和了りに心底動揺している様子だった。

 

俺は照さんの独壇場になるかと思っていた。

 

京太郎:28000

 

照:24000

 

怜:24000

 

小蒔:24000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東三局 親:小蒔 ドラ:{一}

「………Zzzz」

 

あ、小蒔さんが寝息をたてながら、寝ていた。

 

「こ、小蒔さ……っ!?」

俺は小蒔を起こすために手を伸ばして肩を揺らそうとした時…………、それは悪寒だった。

 

「…………」

 

小蒔さんは目を開けた。

 

すると、彼女の瞳は茶色から紫の瞳へと姿が変わった。

 

そして俺は直後に感じた…………この人はヤバい、危険だ。

 

いや、正確には小蒔さんにとりついた者が危険なんだ。

 

「………」

 

「………ッッ!?」

 

小蒔さんの瞳を見ていると、心臓が握る潰されるイメージが思い浮かび、自然と冷や汗が流れる。

 

「………ツモ」

 

パタリと、手を使わずに超能力なのか、勝手に倒れた。

 

「……天和」

{一一一②③④567東東東白白}

 

「なっ……」

 

――――天和。

 

四槓子、純正九蓮宝燈に並んで、非常に和了り難い役満として知られている。

 

その確率は33万分の1…………、都市伝説としては、天和で和了った者は死ぬとも言われているほどだ。

 

「……何なん? 照よりも滅茶苦茶やん……」

 

怜さんは怯えぎみに、重たい空気の中そう呟いた。

 

「……神を降ろした」

 

そして、あの照さんまでも俺と同じように冷や汗を流していた。

 

「…………」

 

コ”コ”コ”コ”コ”という音が聞こえてきそうな程に、小蒔さんのオーラは強大だ。

 

「……とにかく次だ」

 

俺はそう言いながら、牌を倒した。

 

{一四八①⑤⑨39東西北白中}ツモ{南}

 

九種九牌……。これもそのナニカの仕業なのか……?

小蒔:24000→72000

 

京太郎:28000→12000

 

照:24000→8000

 

怜:24000→8000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東三局1本場 親:小蒔 ドラ:{②}

 

俺は小蒔さんを見ながら思った。

 

――――あんなに他人に優しく出来る女の子も、麻雀ではこんなにも怖くなるんだな。

 

確かに今の小蒔さんの姿はナニカの仕業なのは分かっている。

 

だけど、それでも怖いと少しだけ思ってしまった。

 

そんな自分が物凄く嫌で、対局中なのに自己嫌悪に陥って集中力が乱れる。

 

小蒔:打{北}

 

照:打{北}

 

怜:打{南}

 

次は俺の番だ。

 

京太郎の配牌

{一二六七④⑤789南北白發}ツモ{白}

 

今回は良好な配牌だな。

 

京太郎:打{北}

 

 

 

 

 

 

数巡後。

 

「……リーチ」

 

照:打{横一}

 

照さんがリーチをかけた。

怜さんはベタオリしていて、俺はもう少しでテンパイになるため、粘っている。

{一五六七④⑤789南白白白}ツモ{②}

 

くっ、よりによってドラか……。

 

正直、{②}を頭にするのは得策じゃない。

 

だから、下手に抱えたりすれば、命取りなはずだ。

 

だが、{②}は余りにも捨てるには危険過ぎる。

 

……まぁ明らかに危険牌なんだよな。

 

「だけど……っ!」

 

京太郎:打{②}

 

パシンッ!!! っと少し強めにツモ切りした。

 

「……」

 

照さんはスルー。

 

小蒔さんは見向きもしない。

 

怜さんに関しては既にオリているため問題ない。

 

「……ふぅ」

 

俺は思わず、気が抜けそうになる。

 

だけど、まだ終わりじゃない。

 

まだまだ危険は残っているからな。油断は決して出来ないし、したら間違いなくトビだ。

 

それぐらいの面子である事を再認識するために、俺は周りを見渡す。

 

外野では、皆が黙って俺達の麻雀を見ていた。

 

問題は面子だ。

 

照さん……、言わずもがな女子インターハイ最強。

 

怜さん……、一巡先を読む力を持っている。

 

小蒔さん……、現在進行形で、凄まじい力を見せている。

 

油断要素なんて一欠片もない。

 

頑張らないと……、負けるわけにはいかない。

 

照さん、淡、菫さん、尭深さん、誠子さん、衣さんの想いに答えるために……っ!

 

キュィィンッ!

 

な、何の音だ?

 

急に変な音が聞こえてきた。もしかして、小蒔さん?

『違うよー。君の想いに私は答える。進化したんだよ。君の力、和了った点数を次の局で倍にする能力。さらに―――――――』

 

 

 

 

 

―――――――――――― 途中経過

――――――――――――

・京太郎の能力に覚醒フラグがたちました。

 

・清澄との仲直りフラグ2

――――――――――――---途中経過を終了します――――――――――――



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地面に埋もれても咲き誇る花(前編)

長い前書きとなります。

まず初めに……申し訳ありませんでした!!

リアルで人生を揺るがす大変なことがありまして、遅れることとなりました。コメントでいつまで待たせるんだ、というものもありましたので、この場を持って謝罪させて頂きます。

申し訳ありませんでした!!(二度目)

麻雀描写は相変わらずミスがあるかもしれませんが、見つけ次第教えて頂けると、幸いです。遠慮せず、このド素人に説教してやってください。

もう点数計算が酷いようなら、点数のところは出さずに麻雀描写と最終順位だけにしようか(白目)

久しぶりなので、今回は前後半に分けて、後半は後日投稿致します。

では、駄文ですが……どうぞ!





「……?」

 

俺の脳内には一人の少女の姿が過った。

 

彼女は黒くて長い髪の毛で、瞳の色は青色。雰囲気はどこにでもいそうな感じだった。

 

見覚えこそなかったが、どこか誰かに似ていた……。

 

『……』

 

彼女の表情は悲しげだけど、笑顔でもあった。

 

そんな不思議な表情をしている少女が俺に、小さい手を差し伸べてくる。

 

――――お前はこんな俺に力を貸してくれるのか?

 

『…………』

 

ニコッ、と少女は無言で笑みを浮かべた。

 

そうか。ありがとな。誰だか分からないけど……。見覚えなんてないが、お前には何処かで会ってる気がするな。

 

とにかく、使わせてもらうぜ。

 

 

 

 

 

 

「……もうすぐ会えるよ。京………貴方の記憶が導いてくれる。だから──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――――京太郎?』

 

「……ん」

 

俺は能力の精霊のような存在………妖夢の声により、意識が現実に引き戻された。

 

『大丈夫? ボーッとしながら、打っていたけど』

 

「(ああ、もう大丈夫だ)」

「…………」

 

小蒔:打{白}

 

俺は小蒔のラスツモを切るのを見送って、牌を伏せた。

 

「……ノーテン」

 

「テンパイ」

 

「ふぅ……。テ、テンパイ……」

 

「……ノーテン」

 

上から小蒔さん、照さん、怜さん、そして俺の声だ。

 

結局、俺はテンパイする事が出来なかった。

 

だけど、巻き返して見せる。次は……………俺の親番なんだからな。

 

「………よし」

 

俺は気合いを入れて、一緒に麻雀をしてくれている三人を見る。

 

「小蒔さん、照さん、怜さん………。俺、全身全霊を籠めて貴女達にぶつかります。だから、照さん達も本気できてください」

 

「……京君」

 

俺が真剣な眼差しを照さん達に向けながらそう言う。すると照さんもよりいっそう、真剣な眼差しで俺を見返す。

 

「………行きます!」

 

照:8000→9500

 

京太郎:28000→26500

 

小蒔:72000→70500

 

怜:8000→9500

 

 

 

 

 

 

東四局 親:京太郎 ドラ:{1}

 

空気が張り裂けそうな程に闘志が充満する。

 

そんな空気の中、俺は自身の配牌を確認する。

 

京太郎の配牌

 

{一一一八九①②③23北白白}ツモ{白}

 

京太郎:打{北}

 

俺はノータイムで北を切った。

 

道は配牌を見た瞬間に決まったからだ。

 

だから、今の俺には迷いなんてない。

 

 

 

 

 

次巡、再び俺のツモ。

 

京太郎の配牌

 

{一一一八九①②③23白白白}ツモ{九}

 

テンパイ……。だが、これじゃあダメだ。

 

京太郎:打{八}

 

「ポン」

 

{八}{横八}{八}

 

俺が切った牌を、怜さんが鳴いた。

 

その表情には覚悟を決めた、雀士としての怜さんの顔だった。

 

瞳の色が淡い緑色になり、怜さんを起点に風が僅かに吹いている。

 

「怜……っ!」

 

そんな怜さんを心配そうに見つめる竜華だが、止めることは出来ない。

そんなことをすれば、怜さんの覚悟を踏みにじってしまうからだ。

 

怜:打{發}

 

小蒔:打{白}

 

「……っ!!」

 

ん、一瞬だけ、怜さんが激しく動揺したような……?

 

いや、今は気にしている場合じゃない! 来た! 少しでも追い付くチャンスが!

 

京太郎の配牌

 

{一一一九九①②③23白白白}

 

よし、これで全てが整った。

 

「小蒔さん! その牌カンッ!」

{白}{白白}{横白}

 

俺は嶺上牌へと手を伸ばした。

 

そして、嶺上牌を掴んで、手元へ持っていく。

 

「………ツモ」

 

{一一一九九①②③23}ツモ{1} {白}{白白}{横白}

静かに、ゆっくりと嶺上牌の{1}を置いた。

 

さて、後は新ドラは…………………白だ。

 

「ツモ、役牌、チャンタ、ドラ5。そして………嶺上開花。倍満です」

 

俺は静かな声で、少し汗をかきながらそう言った。

 

「……未来が、変わった……」

 

怜の配牌

 

{二二二②②②111中} {八}{横八}{八}

 

「……あっ!」

 

怜さん、あの時にテンパイしていたんだ……。

 

しかも三暗刻と対々和の複合……、ってそれに俺の和了牌を三つも抱えてる!?

 

「あ、危なかったぁ……」

 

俺は椅子に思いっきりもたれ掛かった。

 

本当に危なかった。

 

もしも、怜さんが{發}じゃなくて、{中}を切っていたら、俺は和了れなかったな……。

 

「………」

 

とにかく、次だ。

 

次が正念場だ。

 

 

 

 

京太郎:26500→50500

 

小蒔:70500→46500

 

照:9500

 

怜:9500

 

 

 

 

 

 

東四局1本場 親:京太郎 ドラ:{6}

 

「………」

 

京太郎の配牌

 

{一九①⑨19東東南西北白發}ツモ{二}

……国士無双。ドラマやプロ戦とかでは見た事あるけど、自分の配牌で見るのは初めてだな。

 

『国士』にはその国の中で最も優れている人物、『無双』は並ぶ者のない意味を指す。

 

……ヤベッ。天和も国士無双も1日でそう何回も見れるもんじゃないぜ? これは……今日俺は死ぬのか?

『京太郎、天和はまぁアレだけど……。国士無双は私の能力で出したものだって忘れたの?』

 

妖夢が俺にそう言う。

 

―――能力? ……ああ。そうか、親の倍満は24000だから、今回は丁度役満なのか……。

 

『そうそうー。分かってるねー。じゃあ頑張ろー』

 

妖夢は俺の隣に出てきて、俺の手に触れる。

 

俺の手は…………震えていた。

 

というより、身体中が物凄く重たく感じる。

 

……当たり前か。何せ短い間で、こんなにもプレッシャーに当てられているのと、能力を二つ使用したからな……。あくまで、俺の使っているやつ(オカルト)は、妖夢が居てこそ成り立つものであり、俺の身体では、オカルトの負担に耐えられる許容なんてたかが知れているからな。

 

「くっ……」

京太郎:打{二}

 

俺はプルプルと多少震える手で、牌を切った。

 

次は照さんのツモだ。

 

照さんはゆっくりと山牌に手を伸ばす。

 

ここまで照さんは余り動いていない。

 

正直、この点差だけど、俺は緊張が止まらない。

 

照さんの運、技術、能力に関して、俺と照さんでは天と地ほどの差がある。

 

「……リーチ」

 

照:打{9}

 

「なっ……」

 

ダ、ダブルリーチだ。

 

照さんは牌を横に倒して、点棒を置いた。

 

その点棒はジュゥゥゥ……と熱を帯びたように、熱そうな音を発している。

 

怜:打{西}

 

小蒔:打{北}

 

「ロン」

 

照さんは冷淡な声で宣言しながら、パタリと、牌を倒した。

 

{五六七⑤⑥⑦567北北北白白}

 

「ダブルリーチ、一発、役牌、三色同順、裏がのってのドラ2………倍満」

 

……え? いきなりの倍満!? 照さんの実力なら、気にすることじゃないけど………。

 

「……次、行くよ」

 

ギュルルル!!!!!

 

照さんの両腕から、凄まじいハリケーンにも似た竜巻が発生している。

 

「………小蒔ちゃん」

 

「………」

 

霞さんが呟いたその時、小蒔さんの瞳にはうっすら潤んでいた気がした。

 

もしかして……あの神を降ろすやつって……自分で解けないのか?

 

「……小蒔さん」

 

『敵の心配してる余裕……ないと思うよ』

 

そうだな妖夢……。妖夢の言葉は正しいけど、どうしても小蒔さんが気になる。

 

「……京君」

 

「は、はい!?」

 

突然照さんが、俺に抱きついてきた。

 

な、何事!?

 

「て、テル!? む、むうぅぅっ!!」

 

淡が騒いでいるが、この際、気にしてられる余裕がない。

 

照さんの吐息が脳内に直接響いているような感覚がするほどに、照さんと俺の距離は近い。

 

「……今の神代小蒔は、降ろした神に体が乗っ取られてる。だから神代小蒔に憑いている神を負かさないといけない」

 

照さんは俺の耳元で小さく呟いた。

 

ああ―――、そう言うことか。

 

照さんは俺が小蒔さんのことを心配している心境を読み取って、まず抱きついて緊張を解して、耳元で呟いたのは、そのことを確実に伝えるための行為だったのか。

 

「……というより、照さん? なんか余裕そうですね?」

 

「………」

 

俺は照さんの顔を覗き込みながら、思ったことを口にした。

 

何故なら、今の照さんは全然焦った様子がないからだ。

 

俺の疑問に照さんは………

 

「……これは私から、京君への試練。だから私は一線引いて見守ってる。ガンバ」

 

ニコッと優しい笑みを浮かべながら、俺にそう言った。

 

うわぁ……。やっぱり照さんは凄すぎる。俺なんかより、一歩も二歩も上手だな……。

「……はい、頑張ります」

 

俺は、照さんの強さに改めて驚きながらも、真剣な眼差しで照さんに返事をした。

 

「あのー、そろそろ夫婦でのイチャラブタイム止めてくれへん? 口から砂糖出そうやわ」

 

突然、怜さんがニヤニヤと笑った表情でそう言ってきた。

 

というか怜さん、めちゃくちゃ麻雀卓に体預けてますけど、大丈夫ですか? と俺は心配になった。

「まだ嫁さんじゃない」

 

「まだ!?」

 

照さんが真顔でそう言ったため、俺は目を見開いて驚いた。

 

あ、それに顔真っ赤なんだけど。凄く恥ずかしい!

 

「……いいから、さっさと始めろ!!」

 

淡がそう叫びながら、俺の頬を軽く、本当に心底注意を払ったように手加減をしたパンチがとらえる。まぁ、俺は取り敢えず、痛がる振りをしておく。

 

さて……反撃開始だ。

 

 

京太郎:50500

 

小蒔:46500→30500

 

照:9500→25500

 

怜:9500

 

 

戦いは次局に続く。

 

 

 

To Be Continued




申し訳ありませんが、今回は選択肢はございません。

前話の誤字や描写ミスを修正しつつ、また亀更新ながら、投稿致します。



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地面に埋もれても咲き誇る花(中編)

お久しぶりです。もう忘れ去られたと思いますが、個人的な事情で、時間がとても空いていたので、自分に何かできることはないかと思っていたら、自分の作品を読み返してました。

そしたら、書きたくなったので書きます。

寒い自分語り、失礼しました。

これからも、ちょくちょく亀更新となりますが、またよろしくお願いします。

今回は三人称に挑戦してみました。

ではどうぞー( ノ;_ _)ノ


ふとした些細なきっかけから突如始まった交流麻雀。

 

打っている面子は麻雀歴が一年にも満たないド素人の男、須賀京太郎。

 

インターハイ二連覇という絶対王者として高校女子麻雀界に君臨している宮永照。

 

()()()()により神を降ろして、その身に憑依させ文字通り、神の如き強さを発揮する姫、神代小蒔。

 

未来を見通す能力を持ち、病弱ながらも鋼の如き意思を持ち戦う、千里山の裏エース、園城寺怜。

 

彼、彼女らが織り成す奇跡の闘牌が今始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南一局 親:照 ドラ{東}

 

折り返し地点、東は終わり、南一局が始まった。東局では京太郎の親倍、照の倍満をトップ目の小蒔から直取りしたことにより、圧倒的な点差が逆転し、順位が大きく入れ替わった。

 

怜もまだ一度も和了っておらず、東三局での和了のチャンスを逃しているが、まだ彼女の実力からして、このまま最下位に甘んじる訳がないので、巻き返しを虎視眈々と狙っている。

 

照の親から始まる南一局の第一打はなんとドラの{東}であった。強気な切り出しに、京太郎はいよいよギアをあげてきたか、と悟った。

 

『これは京君への、私からの試練』

 

(この局は本当に一番大事なところだ。最後までトップでフィニッシュする為には、この照さんの親、必ず断ち切る)

 

京太郎は照から耳打ちされた意味深な言葉を思い出しながら、山から牌を掴んだ。彼の肝心の最初の配牌である。

 

京太郎の配牌。

 

{一五九①②⑦3379東南南}{西}

 

(な、なんだこりゃ……っ!?)

 

京太郎の配牌は最悪であった。まるで清澄高校時代に戻ったかのような見慣れた酷いものだったが、これでもなんとかやっていくしかない。

 

いや、むしろこの配牌はどのように切っていけば、遅れを取り戻せるか知っているではないか。何せ、麻雀を始めた頃からずっと、このような調子でやってきたのだから。

 

後ろ向きな気持ちになってはいけない。リスク管理は必要ではあるが、決して心で三人に負けてはいけないのだ。

 

ただでさえ、自分は実力が他者より遥かに劣っていて、運も大して無いし、技術だって半人前、いやそれ以下なのだ。

 

京太郎は{五}を切り飛ばした。安全に行くのではなく、攻めることを選択したのだ。

 

(この配牌を整えていたら、時間が掛かりすぎる。それなら、チャンタ、または混一色を狙うしかない)

 

「カン」

 

「え?」

 

{横五}{五五五}

 

この時、京太郎は逃げずに攻めることを選択した。確かに点差を縮められており、尚且つ、神に体を乗っ取られた小蒔を救わなければいけないという状況下の中では攻めることは大切なこと。

 

むしろ、それがないとお話にすらならなかった。

 

しかし、彼は考えすぎるあまり、一つ懸念を忘れていた。それは……照は前局で倍満を和了している。つまり、次に和了するとすれば、それは京太郎に大ダメージを与える一手。

 

新ドラ牌は……{四}、つまりはドラは{五}ということになり、彼女の鳴いたのは{五}であるため、ドラ四が確定する。

 

そうして照が取った嶺上牌は……{二}だった。

 

「ツモ」

 

照が牌を倒した。

 

照の配牌

 

{二三三三四四四六六六}ツモ{二}{横五}{五五五}

 

「嶺上開花、タンヤオ、対々和、三暗刻、清一色、ドラ四……数え役満」

 

「……っ!!」

 

京太郎はまるで照にドリルで心臓を貫かれたような気分だった。それくらいに衝撃と精神的ダメージが強かった。

 

それは思わず、胸に手を当てて風穴が空いてないか確かめるくらいにリアリティーのあるものだった。そして、京太郎には確かに見えていた。

 

彼女の左腕に竜巻のような風が集まり、ドリルのように鋭い武器となり、それがやがて病室全体を包み込む台風の目になっていた。

 

この場は今まさに完全に照という一人の絶対的魔王に支配されているということ、そしてもう一つ変化があったのは、今まで大人しく口数の少なかった小蒔の口角が三日月のように歪んでいたのだ。

 

「……人間にしてはやるようだな」

 

それは普段優しい小蒔から出た声とは思えない冷たくて低いものだった。口調も明らかに本来の小蒔とは程遠い。

 

そこには確かに神がいた。

 

京太郎もまた死の淵をさ迷い、能力の精霊のような存在、妖夢と出会い能力を手に入れた。小蒔の場合は姫として、神々と同調して、神を降ろして強大な力を発揮する。

 

それがどういう訳か、こうして神の人格が表に現れてしまう程に深く小蒔は眠りについている。

 

それが、今起こっている現象の正体、その片鱗。

 

「貴様、ただの人間の雄でありながら、外的に能力を宿す者よ。貴様の中に宿る精霊と我が同調したことにより、こうして表に出られた。感謝してやる」

 

(同調?)

 

『京太郎、私という存在を通して貴方が能力を使うのは、ある意味、あの神代小蒔と原理は似ているんだよ』

 

そこに京太郎にしか見えない精霊、妖夢が現れて京太郎に説明をする。

 

そう、彼は精霊を通して能力を行使するのと同じように、小蒔の場合は神を通して強力な雀力を発揮していた。

 

だが、現在の状況は照が断言した通り、神によって小蒔の体は乗っ取られてコントロールが効かなくなっている状況である。

 

目には目を、歯に歯を、と同じように似ている京太郎によって小蒔を倒して神から解放するのだ。

 

(やるしかない、小蒔さんがこうなったのは俺のせいでもあるみたいだし、必ず助ける)

 

京太郎はヒリヒリとした空気を肌で感じながらも、その折れることの無い強い意思を胸に、小蒔を真っ直ぐと見つめてそう改めて決意した。

 

 

 

 

京太郎:50500→2500

 

 

 

小蒔:30500

 

 

 

照:25500→73500

 

 

 

怜:9500

 

 

 

 

南一局一本場 親:照 ドラ:{南}

 

親である照が自動麻雀卓のサイコロを回すボタンを押して、コロコロと回り始める。そこから山牌の開口が決まり、親から順番に牌を取っていく。

 

そして配牌が終わって、それぞれが自分たちの自牌を確認しようと、目を向けたその時……小蒔以外の三人の脳内に電流のような衝撃が走る。

 

理牌する必要も無く、自分たちの配牌の異変に気が付いた。この時、たまたま対局をせずに交流試合を観戦するギャラリーに混ざっていた宮守高校の三年生である小瀬川白望は京太郎の自牌を覗いた。

 

照と同じく勢いに乗ってきた京太郎がどのような配牌となっているのか気になったからだ。相変わらずダルい、と思いつつも、京太郎のことを気にかけていた。

 

(……なにこれ)

 

白望は思わず立ち上がって、全員の配牌を見回した。そして絶句しながら席に戻った。

 

この時、小蒔を除いた三人の配牌は……。

 

照の自牌

 

{一九①②19東南西北白發中} ツモ{⑨}

 

京太郎の自牌

 

{一九①⑨19東南西北白發中}

 

怜の自牌

 

{一九①⑨19東南西北白發中}

 

国士無双を照は聴牌(テンパイ)しており、京太郎と怜は一向聴(イーシャンテン)という状況であった。本来ならば、ここはそれぞれが国士無双を狙おうと躍起になるところである。

 

しかし、ここで照は牌を倒した。

 

「……九種九牌」

 

照の宣言した九種九牌とは配牌時の第一ツモの時点で公九牌(ヤオチューハイ)が九種ある状態のことを指す。そして、その状態の場合、打ち直しを申し出ることが出来るのだ。

 

これにより、照の親は連荘という形でまた打ち直しとなる。この時、照は確信めいた予感がしていた。この{②}を切ったら、自分は間違いなく死ぬと。

 

そして、その予感を裏付けるように小蒔の配牌は恐ろしいものであった。

 

小蒔の配牌

 

{二二二二②②②222255}

 

四槓子(スーカンツ)……それは役満であり、天和、九蓮宝燈と並び、和了ることが難しい役の1つとされている。

 

それを臭わせるような配牌だった。

 

もしも仮にこれを照が{②}打ちからの小蒔によるカンをされて、そこから連続でカンをして嶺上ツモで和了した場合、役満の点数がそっくりそのまま照の責任払いとなり、大ダメージを受けるところであった。

 

仮に国士無双を諦めたとしても怜が国士無双を聴牌している為、ロンをされて結局は役満を直撃されるところだったのだ。

 

魑魅魍魎がひしめく交流麻雀、果たして京太郎はこの境地を切り抜けられるか。

 

To Be Continued……。




とりあえず、この交流麻雀が終わるまでは、選択肢出せないかもしれません。すみません!

次回、怜死す!?

麻雀スタンバイ!


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