ジョジョのスタンドが24時間定期で変わりながら使えるアーツの『異常なまでに動物に好かれる』体質な見た目はマフィア風なジョジョラーの奇妙な物語 (サイコロさん)
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番外第1章 No.2の奇妙なロドス劇場!
第一話 単なる日常の一部分


 "ヤンデレ"と"ほしい!"の方々が多かったので書きました。
 後々………大人スズランかわいいすぎるだろォ!!


 午前5:00のとある一室。一見すれば武器開発室と思われるこの部屋はとあるオペレーターの私室である。

 

 

 如何にも研究結果をまとめた本たちは漫画や小説で、壁に掛けられた……なんか厳ついメカニック的な、例えるなら未来のリボルバー2丁に、少し黒めなレイピアや刀は、オペレーターの愛用武器である。

 黒茶と白で構成されたレトロシックな部屋ん中、オペレーターは黒色のベッドから起き始める。

 

 

「ンン~~! 実に清々しい朝だッ!」

 

 

 オペレーターの名は『No.2』。ロドスのある意味最強な男である。

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 No.2はテキパキと顔や髪(天に昇るようなアホ毛)を整え、お馴染みのドクター似の赤黒いコートとレユニオンの兵士がよく着けている白い仮面を"シュッ!"としたようなスタイリッシュな白仮面を身につける。

 

 

「……角が邪魔だな~」

 

 

 ちなみにNo.2はサルカズとオニを合わして×2したような見た目である。

 簡単に言えばおでこからサルカズみたいな、ねじ曲げたような禍々しい黒色の鬼の角である。(妖怪ウォ○チでいう黒鬼)

 

 

「よし! これでよし!」

 

 

 いつもながらも、白仮面に角専用の穴を開けて、それをつける。

 ……どこまで大きくなるんだろう?

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 午前5:10。No.2は部屋から出る。

 

 

「さぁてとぉぉお?」

 

 

 No.2は腕を組んで念じるように考え始める。

 

 

「……! 確か今日はロドスの食堂当番だっけ!」

 

 

 余談だがNo.2は、こう見えて、本当にこう見えて、こんな不審者コーデを着た脱獄中の連続殺人鬼みたいな見た目に反して、家事スキルがめっちゃ高い。

 掃除はマンガやフィギュアを汚したくない理由、料理はトニオさんの料理を真似したい、という理由等から頑張って練習をした。

 結果的には大成功。ロドス内の男性オペレーターは、下手にやったことない家事は全てNo.2に任せろ、っていう謎の合言葉がある。

 

 

 そのためにロドス内のお仕事としては、食堂のオカンと何故なのか分からないが教官、エンジニアを任されていた。

 ……エンジニアになった理由は多分、F(フー)·F(ファイターズ)13号(人型ロボット)を作ったからかな……(白目)。

 

 

「よし! では戦場(食堂)へ参るか!」

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 此処は食堂。

 

 

 腹を空かせたロドスの化け物達(オペレーター達)が、群れをなしてゾンビの如く食堂へと向かう。

 対するのは度重なる戦いを潜り抜けてきたロドスによって精錬された料理人達(エリートオペレーターズ)

 これは単なる戦いではない! 失敗した瞬間、ロドスはよくて一時混乱、最悪崩壊してしまう……そう言うなればロドスの桶狭間!

 負ければ死ぬ運命! 勝つしか道なき者共による決戦の場である……。

 

 

「全員整列!」

 

 

 No.2の若く威厳ある声が食堂に響く。

 それによってまさに軍隊のように並ぶ料理人達。

 

 

「今回はいつも通りではないことは皆も重々承知しているだろう! 何故ならば、今回は急に熱を出した料理人13名が、今日は参加出来ないことだ!」

 

 

 13名。それは、かなりの戦力が無くなってしまうことを表す。

 それを理解しているからこそ、料理人達は険しい顔だった。

 

 

「だが、俺たちはやらなければならない! やり遂げなければいけない!」

 

 

 No.2は必ずしもやり遂げなければいけない、と料理人を鼓舞する。

 それは、これが────ロドスを左右するかもしれない……いや、()()からだ。

 

 

「我々人間は、常に"食べる"ことと一蓮托生だ。それは生物にとっての本能であり、はたまた娯楽の一種となりうる、必要不可欠な行為だッ!!」

 

 

「我々料理人は、そんな"食べる"物を"作る"運命を選んだ強者だ! 我々は、エリートオペレーターも、一般オペレーターも、此処にいるロドスにいる人々を最高のパフォーマンスができるようにしなければならない!」

 

 

「覚悟はいいか……! 俺は出来てる! 必ず全員満腹にすることをッ!」

 

 

 No.2は最後に料理人達の目を見る。

 

 

 それは料理人の目ではなかった。それは戦場を駆け走る決死隊の目だった。

 フッ、とNo.2は笑みを溢す。

 

 

「料理人共ッ! いざ戦場へ参るぞォオ!!」

 

 

『『『応!』』』

 

 

「安全第一! 健康第一! (過労)死ぬんじゃァねぇぞォーー!!!」

 

 

『『『オオオオオッ!!!』』』

 

 

 No.2の渾身の叫びひ手を挙げる料理人達(決死の覚悟した強者達)

 するとNo.2は、右斜め後ろで立っていたフォルテの大柄な男に話しかけた。

 

 

「首尾は?」

 

 

「材料は余裕持って約1500人分は有ります。また包丁含む調理器具にも揃っており、ロドスに滞在する全員、約1200人は後10分後から食堂利用可能と既に伝えてあります。首尾は上々です」

 

 

Parfact(完璧だ)! あとは……」

 

 

「ええ。グムが着てくれるかどうかですね……」

 

 

 俺たちはあのフライパンと盾がよく似合う可愛い少女を思い浮かべる。

 あの少女がいるといないとでは、料理人の士気にかなり関係ある。

 是非とも、今日は参加してほしいが、グムは今日に限って休養日。

 

 

「仕方ねえ! 健康第一だ、無理して参加させる訳にはいかねぇ。俺たちでやるぞ」

 

 

「そうですね……ッ!!?」

 

 

 その時、マッターホルンは驚いていた。

 俺は後ろを振り向く。そして驚いてしまった。

 

 

「グム参上ー!」

 

 

 そこには笑顔がよく似合う少女が、グムが居たからだ。

 

 

「な、何故、此処に!?」

 

 

「昨日、皆が大慌てしていたから、何があったんだろー?って思って聞いたら、突然人手が足りないって聞いたから、お手伝いしにきたの!」

 

 

 俺はマッターホルンの胸を借りて男泣きしていた。

 なんと心優しい少女だと、俺の知り合いとは全く違う、本当に"優しさ"と"善意"で来てくれた素晴らしき女の子だと、俺は泣いた。

 

 

「よっしゃァ! これで勝つるしかない! いくぞぉ!」

 

 

「「おおー!」」

 

 

 マッターホルンもグムは俺と同じように片手を天を貫くように手を上げた。

 

 

 そして戦い(朝食)の時間がやってきた。

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

「おい! 新しい注文(オーダー)が入ったぞ! チャーハンセット1つ、サラダセット2つだ!」

 

 

「出来たッ! 極東セットの方にこれを渡してくれェー!」

 

 

「おい、しっかりしろよ! 誰でもいい! 誰かコイツを起こしてくれェ!! 目が、目が死んでいるんだよぉーーー!!!」

 

 

 午前6:30。戦闘(朝食)の時間が始まった。

 

 

 料理人達にはこんな言い伝えがある。

 『朝食を乗りきれ、そうすれば勝つる』という謎の言い伝えがある。

 それはロドスにいる人々の殆どは、誰かと楽しく飲みに行ったり、一人で静かにジャンクフードを食べたりするが、それは昼と夜のお話。

 朝食は必ずといってもいいほどに、ロドスに滞在する全員が食堂を使う。

 

 

 そのためになにがなんでも朝を乗りきれば、例え料理人が一人だけでもなるようになる。

 そうこれは勝敗を分ける戦い(朝食)の時間、だからこそNo.2を含む料理人達は命を懸けていた……。

 

 

「落ち着けッ! いいか? まずチャーハンセットとサラダセットは☆1コックチームに任せて、他は今のまま集中しろ! 先ほど出来た極東セットを頼んだのは『ジェシカ』だッ! 決してとりあえず極東出身の方に渡せばいいといえ楽観的な考えはするなよ、殺されるぞ! 後目が死んでいる奴には、お前の秘蔵コレクションの隠し場所をバラすぞ、と脅しながら起こせェ! いいな!?」

 

 

『了解!』

 

 

 No.2はテキパキと、ピザを回しながらもコンソメスープを同時進行で作っていた。

 ちなみに☆1チームは、ロドスの料理人ではならの分け方であり、☆1チームは初心者、☆2チームは中堅、☆3チームはベテランが多いと考えればOK。

 

 

「お前の性癖バラすぞッ! いいか、俺は言うぞ!? お前は実はロリきょ「起きたッ! だから言わないで、頼む!」よし、下準備は任せた!」

 

 

「……起こし方が少し残酷では?」

 

 

「マッターホルンよ。此処での生き残る良いことを教えてあげよう。それはズル休みする奴は(社会的に)殺せといえ暗黙の了解がある。だからこれでいい、分かったか?」

 

 

「んん……まあ」

 

 

「それよりもピザセットは既に完成させたから、これ頼むな」

 

 

「ああ承知した」 

 

 

 マッターホルンは俺が作ったピザセット5つを器用に持ち運ぶ。

 ……後で持ち方教えてもらお。

 

 

「ぅぅ……うぅぅ」

 

 

「グム大丈夫かッ!?」

 

 

「ははは……ちょっとお腹が空いてね……」

 

 

 グムは少し苦しそうながらも、調理する手は止めていないが……やはりほぼ毎日朝ごはんを作っているグムからすれば、数少ない休養日を返上している挙げ句の果てに、いつもより13人少ないこの激戦、常人なら耐えれる訳がねぇ!

 

 

「……グム、お前は──「大変だッ! 第2ウェーブが来るぞォ!」~~ッ!!」

 

 

 第2ウェーブ。

 それは普段早起き、または朝早く起きた人々が食べに来る第1ウェーブと比べて、子どもや普通に起きた人々が食べに来る大波、これの後は寝坊した、あるいは今日は休みのオペレーターが来る第3ウェーブがある。

 ロドスに滞在する人々を10とすれば、第1ウェーブは2、第2ウェーブは7、第3ウェーブは1。

 つまりこれが激戦(朝食)の最高超! これは全員が本腰を入れていかなければ、成し遂げることはできない。

 

 

 すると突然、料理人はまるでおぞましいモノに遭ってしまったような、ムスカの叫びのように叫び始めた。

 

 

「う、嘘だろ………!」

 

 

「う、うわぁァあああ!!」

 

 

「い、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!」

 

 

 俺はそんな叫ぶ料理人達が見ている方向へと目を凝らす。

 そこには今の俺たちにとっては、あまりにも強大で、最悪な食いしん坊がいた。

 

 

「おはようごさいまーす!」

 

 

 その名は『ミヅキ』。以前食堂が、遊び全開で開いた大食い大会で、ロドス内の材料を食いつくした……そして今は圧倒的な恐怖の塊である。

 

 

「んっとー、とりあえず極東セット5つ、和風朝ごはんA~Cセットをそれぞれ3つずつ……ああっ! No.2さんがいる! ……それだったらピザセットを10個、よろしくお願いしまーす!」

 

 

 それはあまりにも今の俺たちにとって残酷な注文(オーダー)だった。いや死刑宣告かもしれない、そんな勘違いをしてしまうほどだった。

 

 

「……グム頑張るから! No.2さんはミヅキの注文お願いね!」

 

 

「グ、グム!」

 

 

 グムは別の注文(オーダー)に応えるべく、調理に戻っていた。

 俺は、元気に振る舞おうとするグムの背中を見送ることしかできなかった。




 本作にご期待いただける方は、是非高評価と感想をお願いします。
 今後ともよろしくお願いします。脱字や誤字報告もしてくれると有難いです。


 ☆筆者の一言


 ……書きたいものを書く。それが俺が今、小説を書く理由だ。
 ……だからこそ言わせてもらおう。









 こんな展開もありじゃないかなってね 


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第一部 龍門逃走
プロローグ 全ては此処から始まった……


 ※注意、主人公は口が悪い上にイカれています。あと亀更新かもしれない(しれなくない)。
    


「俺、ロドス(ここ)辞めたいんだが?」

 

 

 呆気なく発した一言。

 それは普段は心の奥底にある()()()()()()ことであった。

 それは深夜に密かにやっているバーではよく響いていた。

 

 

「ガシャン………は?」

 

 

 白い恐竜みたいな頭と肌をしているバーテンダーが拭いていたグラスを落としていた。

 見た目に反してめっちゃ丁寧なアイツがグラスを落とすなんて、珍しいな………。

 

 

「……No.2殿、もう一度先ほどの言葉を言ってくれませんか? 私だけ聞こえるほど出来る限り声を小さくしながらでお願いします」

 

 

「えっ? どうしたんだよぉトゥエルヴヘブゥ~? 聞こえなかったのかァーーー??」

 

 

「ええ、その通りです。先ほど耳を防ぎたくなるようなこの世の絶望と終焉が詰められたような内容だったのですが、念のため、念のためにもう一度言ってくれませんか……!」

 

 

 謎の気迫に圧されながらも、俺はちゃんと聞こえるようにもう一回言ってやった。

 スゥゥゥゥゥ――――――………………。

 

 

 

 

 

 

「俺はロドスを辞めるゾッーー!!12F(トゥエルブエフ)ゥーーッ!!!」

 

 

「アウトォォオオオオオオッッッッ!!!」

 

 

 突然発狂する12F。両手で頭を抱えながら、まるで悪夢にうなされるように唸り始めた。

 

 

「なんてことだ……! このままでは、このままではァ! ロドスが、ロドスそのものがァあーーッ!!」

 

 

「オイオイ俺のアーツ能力がロドスにとってかなり支えだからって、別に崩壊まではいかねぇだろ。まあ効率低下ぐらいか」

 

 

「おお哀れな天然鈍化乙女タラシよ。どうやら自分がやってきた今までの行為の重大さがわかっていないようだ。はははもうおしまいだ………(キラーン)」

 

 なに? 俺がロドス辞めることを言っただけでそこまで人格変わる? 何処ぞの神父みたいな感じになっているぞ。

 

 

「オイオイ☆。そこまで悲観しなくてもいいじゃないか。逆に考えるんだ。もう辞めさせてもいいんじゃないんかッと……ね」

 

 

「貴様ァ! それでも人間かァーー!!」

 

 

 おっ、結構ノリいいねェ!

 

 

「まあまあ一旦COOLになろうぜ☆。戦いで最も重要なのは『理性』だ。"落ち着く"ことこそが最も当たり前で大切な()()だ。なのでまずは一旦COOLになろうぜ☆」

 

 

「……確かに今さらギャーギャー喚いてもしょうがないですね。で、何でロドスを辞めたいのか、理由だけ教えてくれませんか?」

 

 

 元の口調に戻った12F。俺はどうしてこう思った主な理由を話し始める。

 

 

 モワモワモワ~~ン……。

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

『No.2君。鈍感だからこそ君は天然女タラシなんだ』

 

 

『No.2。いい加減に女の子たちを引っ掻き回すのは止めたらどうだ? そんなんだから女タラシなんだ……』

 

 

『キミっていう奴は、誰かしらの性癖を破壊しないと気が済まないのか……! だからこそ女、いや乙女タラシなんだよッ、キミ!』

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

「見返したいんだ……! 俺をバカにしやがったアイツらに……!!」

 

 俺はカウンター机を思いっきり叩いた。

 俺のことを馬鹿にしてくるアイツらを見返すためには、まずは女タラシという不名誉な呼び名を撤廃しないといけない。

 そのためには俺が女タラシじゃないことを証明するには彼女を作ることが一番だと思ったからだ。

 そうすれば少ないとも"女の子の気持ちは分かっている少々ナンパ気味な男"だと少しだけ不名誉さがなくなる……筈だ!

 

 

「多分、No.2殿の先ほどの言葉を聞かせればいいと思いますよ」

 

 

 どうやって辞職宣言で見返せれるんだ?

 

 

「まあ、とにかくごちそーさん。俺はいい加減に眠るわ」

 

 

「おやすみなさい、No.2殿」

 

 

「おうよ。12Fもな」

 

 

 こうして俺は自室へと向かって眠りについた。

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

「ドクター。話がある」

 

 

 此処はとある四畳半の書庫みたいな、一通りに家具が揃っている部屋、コーヒメーカーと簡単な調理器具、そしてパソコンと積まれた紙の山によって埋もれている机。

 俺はもう一つの机の方でパソコンをカチャカチャしながら、ドクターの秘書をやっていた(エンターキーは強く押す派)。

 俺は一通りのやるべき仕事を終えたので、15分休憩中のコーヒーを飲んでいるドクターに話し掛けた。

 

 

「ん? どうかしたのか、No.2?」

 

 

「ああ、とってもとっても大切なことなんだ」

 

 

「君のことだ。どうせ君の"スタンド"と呼ばれるアーツ能力の検証実験をしたいのだろ? それは残念だが却下させてもらう」

 

 

「いや、違うことなんだ。しかも実験よりも更に重要なことだ」

 

 

 あまりにも真面目な顔と態度で話す俺に、違和感を持ったのか、顔を向けるドクター。

 

 

「驚いた。君がそこまで真面目に話すなら、聞く価値は有りそうだな」

 

 

「まあな、"本気"と書いて"マジ"と言うように、今回ばかりは少し真面目な話だ。なので使わせてもらうぜェ!」

 

 

 その瞬間、俺から紫色のオーラが漂う。

 俺はドクターとは反対向きになる。

 

 

「アーツとは違い、己の精神と心で呼び起こす"超能力"。それはまるで"背後霊"の如く……」

 

 

 俺は上半身だけドクターを向けるように、右へと反らす。

 

 

「誰かは言った。それは『傍に立つ(Stand by me)』。誰かは言った。それは『立ち向かう(Stand up to)』……と!」

 

 

 そして紫色のオーラが徐々に人型の形へとなっていく。

 そして────

 

 

「その名は『幽波紋(スタンド)』! そしてコイツがァ────」

 

 

 ────筋骨粒々な戦士となった!

 

 

「【星の白銀(スタープラチナ)】だぁッ!!」

 

 

 まるで俺の影から現れたように、俺の背中と背中合わせになるように出てきた。

 そして俺はドクターの後ろに向かって指を差す。

 

 

「【星の白銀(スタープラチナ)】! ドクターの後ろにある本棚をドアを塞ぐように置くんだァーー!!」

 

 

 俺の指示どおりに本棚を両手で持ち、そしてドアを塞ぐように置き直した。

 さらに俺は天井に顔を向ける。

 

 

「ドクター、確かお前さんには"シラユキ"ちゅう頼れる護衛がいたよなぁ? その他にも確か二人ほど部屋に隠れた護衛がいたよなぁあ?」

 

 

 俺の笑顔(圧)に狼狽えたドクターが頷く。

 俺は【星の白銀(スタープラチナ)】に向かって笑顔で言葉を放った。

 

 

「今から殴って確認するのはメンドーだけどよぉ。確かこういう時に便利な技ありましたよねぇ?」

 

 

 おそらく荒木先生のノリで生まれた必殺技、おそらく誰もが忘れているだろう、あの必殺技を!

 

 

「【流星指刺(スターフィンガー)】!!」

 

 

 その瞬間、両手にある10本の指が部屋の隅を、天井を、ベッドを貫いた。

 ……えっ? なんで10本とも【流星指刺(スターフィンガー)】使えるって? それはねェ………気合いだよ。

 

 

「………どうやら誰もいないようだな」

 

 

「ねえ、多分3000000龍門幣ぐらいの損害出たと思うんだが?」

 

 

「……(サッ)」

 

 

「……(ササッ)」

 

 

 俺は無言で外套の内側からとある黒いカードを取り出し、ドクターに向けてポイッと投げる。それを無言で受けとってポケットに入れるドクター。

 

 

「では、本題に入りたいと思う」

 

 

「あ、待ってくれないか。パソコンが壊れていないか、確認させてくれないか? 君とは違ってコーヒーが近くにあってこぼれていたら、パソコンも私もお陀仏だから……(白目)」

 

 

 ……確かに。アーミヤちゃんにバレたらアレだな…。

 そしてドクターはパソコンをカチャカチャし始めた。

 

 

「……よし! セーフだ!」

 

 

「オーケー! と言ってもアンタにこれを受け取ってほしいだけなんだ。これを受け取って承諾してほしいだけなんだ……頼むぜ、ドクター」

 

 

 俺は茶色い封筒を渡す。ドクターは封筒から紙を取り出す。

 

 

「────ッ! こ、これはッ!?」

 

 

「おっと動くな」

 

 

 俺はドクターに向かって『だが断る』で有名な某漫画家のポーズをする。【星の白銀(スタープラチナ)】も俺と同じようにポーズをとる。

 

 

「知ってるか? 【星の白銀(スタープラチナ)】は、こめかみから数センチの距離で撃たれた拳銃の弾を()()()()()()ほどの"精密動作"と"動体視力"に優れている……あとは分かるな、ドクター?」

 

 

「~~ッ!」

 

 

「おっと【星の白銀(スタープラチナ)】は約5メートルという短けぇが、四畳半(約7.28㎡)しかないこの部屋ならば圧倒的な脅威となる。そうフェイゼみたいなタイプなスタンドだ。また俺が気合いと根性の名のもとで鍛えた【流星指刺(スターフィンガー)】は射程距離15m、時速1500kmを誇る……」

 

 

「……なるほど、ドアに本棚を置いたり、護衛が居ないのを確認したのはこの為にだったのか……」

 

 

「そうだドクター。俺はこう見えて残虐で冷酷な性格というのは知っているよなぁ? なァに心配すんな、『YES』か『はい』のどちらかで答えてくれるだけでいいんだ……」

 

 

「……なんでこんなことをした、No.2」

 

 

「俺だってなぁ……こんなことをしたくなかった」

 

 

 俺はドクターから目を離さず、思い出を語るように染み染みと話し始めた。

 

 

「俺は辛かった……何故に悪口を言われる、この職場に耐えれなか「本音は?」出会いを求めるのに、こんなワーカホリックの溜まり場じゃあ絶対ムリだと思ったから……あっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 長い長い沈黙が続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てッんめぇ! そんなくだらねぇことでロドスを辞めようとするんじゃねええッ! もっともっと働きやがれこの雰囲気と貫禄だけは戦場帰りのジジイの若造がァ、ロドス(ウチ)は終身雇用かつ仕事がジャンジャンくる今生きるホワイト企業じゃボケ! こッンの悪意がない故にかなり(タチ)(ワリ)ィ天然鈍感男も女を見境なく口説く子どもの性癖破壊マシーンごときがァァアッッッッッッ!!!」

 

 

「うるせぇこのムシ食い野郎がッ! オメェーこそケルシー先生という妻がいながら、アーミヤ、ロスモンティス、スズランを含む幼女のパンツハンターという社会人、いや人間として存在してはならねぇゴキブリ以下! いや例えた生物の方が可哀想レベルの"仕事しか取り柄ありません"しか価値ない、ケルシー先生が詐欺師に騙された方がまだマシやと思えるような不審者コーデ野郎がァアッッッッッッ!!!!!」

 

 

 俺とドクターは睨みあいながら罵倒する。それはまさに虎と竜のようだった。

 

 

「オイオイ忘れたのかァあ? オメェは既に俺の【星の白銀(スタープラチナ)】の殺傷範囲にいることをッ!」

 

 

「チッ、この精神力()()()へラグ将軍以上がッ………!」

 

 

「さあ! 『YES』か! 『はい』か! ハッキリ言葉に出して言ってもらおうッ! 犯罪予備軍(ドクター)!」

 

 

 悩みに悩むドクター、それはまるで「ねえ、さらっと私の悪口言わなかった?」今後のロドスを左右するような重大プロジェクトを決めるかのように。

 そしてドクターは、固い固い口を開いて遂に答えた。

 

 

 

 

「是的ッ!」

 

 

「何故に炎国語ォーー!?」

 

 

 だが、俺は聞いたッ!

 俺は【星の白銀(スタープラチナ)】で壁を破壊する。それは外へと繋がっていることを示すように、眩しい太陽の光が差してきた。

 

 

「ドクター……確かに受け取ったぞ、貴様の言葉を……」

 

 

 俺は壁の穴の方へと向かう。

 最後に俺はドクターの方へと顔を向ける。そして────

 

 

「また何処かで会えることを期待しているぜ、ドクター」

 

 

 俺は【星の白銀(スタープラチナ)】で、自分の体を投げさせた。

 そしてやっぱり最後はアレで〆るよな!

 

 

アリーヴェデルチ(さよならだ)

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 壊れた壁が日を差し込む部屋、ドアには本棚が置かれており、そこら中まるで何かを貫かれた跡があるボロボロな部屋にたった一人だけ机にもたれた人影が居た。

 それはドクターと呼ばれる、ロドスアイランドの責任者の一人だった。

 

 

「ククク………甘い、実に甘い! ホイップクリーム増し増しのショートケーキよりも甘過ぎるぞ、No.2!」

 

 

 ドクターは不敵に笑っていた。いや()()()()()

 

 

「なァんで私がパソコンを弄っていたのか、わかっているのか、No.2?」

 

 

 ドクターはパソコンの画面を覗き込む。

 そこにはとあるソフトが起動していた。

 

 

「これはとある通信ソフトだ。ただし音声すらも録音して送れるかなり高性能な通信型ソフトだがな」

 

 

 そしてドクターは最後にとある一言を足した。

 

 

「彼、No.2はロドスを抜けた。理由としては『新しい彼女を作るため』だ……!」

 

 

 そして『送信』と書かれた所をクリックした。

 ドクターは椅子にバタンッと座る。

 

 

「………クククククククククハッハッハッ!!

 

 

 ドクターは笑い始めた。徐々に声を大きくしながら笑った。

 

 

「これは闘争? 戦争? いや違う! これは『狩り』だッ! 弱い弱い手負いの獣を、ただただ追い詰めるだけの戦いだ……!」

 

 

 ドクターはコートから何らかの手帳を取り出した。

 それは、誰かのあらゆる情報が載っていた。

 

 

「コードネームNo.2、由来は好きな人物(キャラ)の人生哲学が起源であるまた身長187cm体重は細身な見かけによらず147kgの体脂肪率0.04%の着痩せ型である感染者でありその症状ゆえに目の結膜部分が黒く染まっている本人が言うには特にないらしくアーツ能力のスタンドに合わして毎日特徴的な格好をするが基本的には黒いフード付きコートと両目しか空いていない白仮面を被るまた本人は気づいていないがシルクハットと黒の貴族服に眼鏡とオールバックそしてタバコのセットは最高にカッコよく裏では密かに取引されているとかいないとか趣味嗜好は主に筋トレととある漫画の読書そしてスタンドを使った実験だがオペレーター達にいろんなことを誘われて多種多様なことはある程度できるまた戦場ではスタンド次第によって変わるが主に前線の維持と突撃を我先と行う命知らずであるため彼には危険度の高い任務が回されるまた口はかなり悪いが根は優しい感情的ながらも冷静に対処できる力を持っており様々な企業が彼には注目しておりさらに彼は乙女心以外はなんとなく察する能力や悪意とその人が行った罪を見るだけで判別できる能力がある。他にも……」

 

 

 ドクターはフードとマスクを外す。それは()()()らしい顔つきで、茶色の瞳、黒髪のショートというボーイッシュな髪型だった。

 

 

「また私のことを非常に気にかけており時には私はドクターでなくてもいいっということを肯定してくれた上に"アンタがドクターじゃなくなっても俺はアンタについていく"という私の最大の心理的な支えとなるだけではなく時には秘書ではなくてもドクターだから大丈夫という考え方はなく私の仕事を手伝う優しさがありそれは他のオペレーターにもやっているそして必ず恩は恩で返す性格でありそれはまるで……聖人か」

 

 

 ドクターはとある写真を愛しそうに見始めた。

 それはドクターとNo.2と呼ばれた男の、仮面を外した素のままの姿を写したものだった。

 

 

「君は私の心を支えてくれるまさに()()なんだ。私は誰かを守ったり、戦ったり出来ない。ただただ安全圏から指示と仕事をする。まさに『脳』だけなんだ……だからこそ温かく鼓動を打つ『心臓』がなきゃ生きれないんだよ………!

 

 

 ドクターはフラフラと立ち上がる。

 その目には光は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処から始まった……悲しき逃走の始まりだね……No.2♡」

 

 彼女は笑った。その笑顔は不気味さを通り越して清々しい笑顔だった。

 

 




 本作にご期待いただける方は、是非高評価と感想をお願いします。
 今後ともよろしくお願いします。脱字や誤字報告もしてくれると有難いです。


 ☆作者一言

 (ヤンデレ)女ドクター×オリ主ってなくない? だから書いた、後悔していない。
 ※主人公はドクターの顔を見ましたが、女だと分かっていません。


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第1話 龍門を敵に回した男、No.2

 アンケート結果から次の舞台は『龍門』となりました!
 えーーー私、筆者はヤンデレWの小説を深夜に読んで、検索して、イラストからまじすこになって、深夜テンションとノリで書いていますので、もしも設定が違う所や、それはおかしいだろ、という所があればバンバン感想に送って下さい。




(アークナイツやったこと無いし………アークナイツ小説書くの難ちい……)


「んで、こうしてロドスを辞めたって訳よ!」

 

 

「No.2の旦那、遂に頭イカれましたか?」

 

 

「イカれてないぜぇ! 魚肉団子スープとスピリタスをそれぞれ3つずつ追加オネシャス!」

 

 

「そんな酒が魚団子店にある訳ないでしょ、No.2の旦那」

 

 

 時刻はロドス辞めて二日後のお昼、人々が賑わう龍門繁華街のB級グルメランキングトップのとある魚団子店、そこには戦場のど真ん中に即出店する屋台の店主。敵もオリジムシも何故か俺を三枚おろしにしていく包丁の達人、通称『戦う板前さん』のジェイと絶賛ニートの俺がいた。

 毎回思うんだけどさ~、本当に板前なのか、と疑うぐらいに強いんだけど~、オリジムシが目をぱちくりさせている間にドクターの食事になっている程に包丁さばきが速すぎるんだが?

 

 

「てかさ~、俺のことは『J(ジェイ)·ガイルの旦那』って読んでくれよぉ、いや待てよ……ジェイ……ジェイ……アンタは俺の旦那だった………!」

 

 

「変なこと言わないでください、そもそもロドス辞めて大丈夫やんすか?」

 

 

 ジェイの心配を俺は鼻で笑う。

 

 

「フッ。俺だって考えずにやっている訳ではない! そう、こうやって魚団子スープをふーふーしていることも無意味じゃないことと同じようにッ!」

 

 

「……いつまでふーふーしているんすか?」

 

 

 ちょっと待てよ。意外と熱いんだよ………アチッ!

 

 

「まあまあそんな事は置いといて……俺がこの後どうするかって話なんだが………実は龍門(此処)でやっていこうと思うんだ……」

 

 

「………え?」

 

 

 

「まあ俺の家族はいないし、感染者である俺からすれば肩身は狭いんだがな、此処、龍門にはいろいろお世話になったんや、此処で骨を埋めたいんだ」

 

 

「へ、へぇ……そ、そそそんなんすか……」

 

 

「まあ最悪、此処を拠点とした旅人をやるわ、こう見えて俺、いろんな景色を眺めるの好きなんだ」

 

 

「あ、ああ、あああ……オワッタヤンス」

 

 

 ほんの少し夢を思い出して、感傷に浸る俺に対して顔を青く染めるジェイ、心なしか包丁も震えている気がする。

 

 

「オイオ~イ! 何で顔を青くしているだよぉ! まるで俺が龍門(此処)に居たらヤベェ目に遭うことを確信したような感じを出しているんだよぉ?」

 

 

「だって、だって旦那は────女タラシですから」

 

 

「殴るぞジェイ」

 

 

 失礼な発言されたが、俺は魚団子スープを一口、魚団子と一緒に食べる。

 ふむ………この魚団子は例えるならば本来の素材の良さを100%出しただけではなく、ダシが効いたスープによって101%へと、限界を超えさせていた………魚肉の噛み応えある食感とあっさりながらも味わい深いスープによる連繋が俺の舌にダイレクトアタック……。

 

 

 俺は席から立ち上がる。

 

 

「賛美しよう! この魚団子スープを造り出した者へと! ジェイッ!!」

 

 

「立ち上がらないでください、旦那。埃が舞いやす」

 

 

 あまりの美味しさに賛美しようと立ち上がる俺を冷静にツッコミを入れてくるジェイ。

 ……ノリ悪いな~。

 

 

「てか、旦那って感染者なんですか?」

 

 

「まあな」

 

 

 俺はかけていた黒いサングラスを外す。

 ジェイはそれを見てギョッと目を丸くする。

 

 

「だ、旦那……」

 

 

 それは、俺の目の結膜と呼ばれる白い部分が源石のように黒色に染まっていた。

 まあ俺の目はジョジョでいう第五部のポルポの目つきを鋭くしたような感じだろう。

 

 

「まあ源石(オリジニウム)が両目に入っちまってな。不幸中の幸いなのか、盲目にはならなかったぜ」

 

 

「失礼なことを聞いてすいません……」

 

 

「いや、いいんだ。それよりも今日の下宿はどうするか……そろそろ仕事も探さないとな……」

 

 

「それなら龍門近衛局はどうでしょう? さらに今なら小官の自宅に居候ができますよ」

 

 

「だったらペンギン急便なんてどう? 下宿先だったら、ペンギン急便が所有しているセーフハウスがあるし」

 

 

「へぇ~、旦那良かったすね、仕事が見つかって」

 

 

「おうよ! まさか仏様は俺のことをちゃんと見てくださっているんだな!」

 

 

 ガハハと豪快に笑いながら日本酒をゴクリと勢いよく飲む。

 ゴクッゴクッと飲んでいる音が店内に静かに響く……そして盃を置く。

 

 

 ………さてと状況整理でもすっか!

 

 

 まず俺の左手側の席に座って、俺の空っぽとなった盃に日本酒を注ぐのは龍門近衛局のエリート! 様々な攻撃も、天災すらも防ぐ大盾使い、まさに龍門の盾、硬派イケメン、規律の緑鬼! HOSHIGUMA(ホシグマ)aaaaaaaa!!!

 続いて俺の右手側の席に座って、魚団子スープが入ったスプーン使って、"あーん"させようとしているのはペンギン急便の謎の5人目! 時止めというアークナイツのDIO様、ミステリアスオーラ全快のトランスポーター、ホシグマと正反対なる軟派イケメン、青の堕天使! MOSITElIMA(モスティマ)aaaaaaa!!!

 

 

 

 

 

 …………………………。

 

 

 

 

 

 

「2……3……5……7……11…………13」

 

 

「どうしたのNo.2? 突然素数を数え出して?」

 

 

「確かNo.2は、焦ると素数を数える癖がありました。それでは?」

 

 

「ああなるほど」

 

 

 ホシグマの言葉に納得したのか、モスティマは手でポンと軽く叩く。

 そうだよ! まったくその通りなんだよぉお!!

 

 

「何で旦那は焦っているんでしょうか?」

 

 

 ジェイは悪人面を困惑の色に染めている。

 嘘だろ? まさか気づいていないのかよ!

 

 

「ガハハ! まさかこんな()()()()にお酒も注いでくれるだけではなく、あーんさせて貰えるなんて、此処は天国なのか!? 本ッ当に幸せ者だな~♪」

 

 

 俺はわざとらしく大きな声でジェイに自慢するかのように話しかける。

 しかし目だけはジェイを睨むようにしながらだけど。

 

 

「……ハッ!!? いつの間に来たんですか!? 奥方!?」

 

 

「遅いわ! もっと早よ気づけや!」

 

 

 そう、いつの間にか俺の隣の席は龍門二大イケメンによって占領されており、その上何故か俺の両手は二人によって封じ込められていた。

 

 

「? 聞こえなかったのですか? ではもう一回言わせて頂きますと、今後は龍門近衛局で働きませんか? さらに今なら小官の自宅に居候できますよ?」

 

 

「ちなみに、ペンギン急便のお仕事はちょっとしたお荷物を旅行気分で運ぶだけで大金が入る簡単なお仕事だからね」

 

 

 ……どうしよこれ?

 

 

「は! そもそも俺は感染者だか「「知ってるよ(ます)、それがどうしたの(ですが)?」」マジかよオイ」

 

 

 おかしいなぁ~? 確か機密事項のハズなんだけどなぁあ?

 

 

「で、でもよ! 確か龍門は感染者NGだろぉ? アンタらはよくても他はアウト! つまり俺は結果的に有名どころはなにがなんでも働けねぇんだよぉ!」

 

 

 龍門は感染者は発見次第に非常に冷酷で、捕まった場合は収監や流刑、更には処刑されてしまうこともあり、感染者であることが発覚した場合は即座に龍門近衛局の執行対象となって連行される。

 

 

 しかし龍門はまだマシな部類に入ると俺は思う。

 他の国々には死ぬまで源石を発掘させられる所があるからだ。

 つまり感染者であることは、この世界、テラでは非常に不利なことである。

 

 

「いや、あるのでは?」

 

 

「……ふぇ?」

 

 

 明らかに変な声で反応した俺は悪くない。そんぐらい突拍子もない、真面目なホシグマからあり得ない発言だったからだ。

 ハテナマークによって頭を埋め尽くさせられ、呆然としている俺。

 その時、俺の肩に手をポンッと乗せたモスティマが答えてくれた。

 

 

「ロドス·アイランド。またそこへ就職して、お手伝いという理由でこっちに来ればいいんじゃないの?」

 

 

 ……突然だが、この感染者に厳しい龍門の検査をどうやって龍門に入ったか教えよう。

 簡単なことだ。検査かつ警備に引っかからなければいい話だ。

 

 

「【リトル·フィート】ぉお!!」

 

 

 俺は異様に長い刃がついた人差し指ロボットの人型のスタンドを呼び出し、俺の両腕を切りつけるようにした。

 切りつけた所から鮮血の血飛沫が出てくる。

 そして血飛沫に注目がいったのか、ホシグマとモスティマが俺のことを一瞬だけ見失ってくれた。

 

 

「!? これは!」

 

 

「血!!?」

 

 

 そしてそこの席には誰も居なくなっていた。

 

 

「ッ! 何処行った!?」

 

 

「多分店の外では! No.2は都合が悪くなったらすぐに逃げる癖がありますので!」

 

 

 そう言ってモスティマとホシグマはジェイの魚団子店から出ていった………そろそろか。

 俺はジェイの襟元から出て、ジェイのモフモフな耳元へロッククライミングの応用で向かう。

 

 

(聞こえるか、ジェイ?)

 

 

「え!? 旦那、何処にいるんすか!?」

 

 

(黙ってくれ。いいか? 俺のアーツは知ってるか?)

 

 

(確か……ランダムでしたか?)

 

 

(まあ似たようなもんだ。とにかく今はこの店から出してくれるだけでいい! そしたら俺を外へと連れていってくれッ!!)

 

 

(わ、分かりましった)

 

 

 そしてジェイは厨房から出て、店への出口へと向かってちょいと急ぎ足で向かい始めた。

 これで後は……()()()()へと移動すればいいだけだ……!

 

 

 俺がそう考えていると、既にジェイが店への扉を開けようとした。

 後はおもいっきり扉を開けて、逃げるだけだ……その時だった。

 

 

 

 ガシッ。

 

 

 

 そのジェイが開けようとした扉が急に女性の片腕ほど開き、そこから細い女性の手がジェイの手を掴んだ。

 

 

「「────ッ!!??」」

 

 

 すると扉が徐々に開いていき、そこからとある二人の女性がいた。

 一人は腕を組んで、悠々な態度で、もう一人はジェイの手を掴みながら笑顔だった。

 

 

「「逃げられると、思っていたカナ?」」

 

 

 何故か目のハイライトはなかった。




 本作にご期待いただける方は、是非高評価と感想をお願いします。
 今後ともよろしくお願いします。脱字や誤字報告もしてくれると有難いです。


 ☆作者一言


 よいこのみんなは絶対に深夜テンションとノリだけで書いちゃダメだからね!
 筆者みたいに苦労する運命だからね、ね! ね!!(威圧)


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第2話 悪人面コンビVS龍門の盾&アークナイツのDIO様

 ※注意、筆者はネタバレ上等で書きます。ご注意ください。


 此処はジェイの魚団子店。

 

 

 龍門のB級グルメランキングトップであり、龍門に観光として来た観光客が、ジェイの悪人面さえも気にしないほどに飯がうまい。

 

 

 やっぱりオススメとしては、名前にあるとおりの魚団子スープ、あっさりながらもダシが効いたスープとお子さまにも食べられるほどに丸められた魚団子は噛み応えがあって満足感が溢れてしまう。

 他にも魚関係の料理も、ジェイの華麗なる包丁さばきによって魚特有の臭みを失くし、魚しかないうまみを最大限に引き出しており、団子スープ劣らずの美味しさを誇っている。

 

 

 そんな笑顔という満開の花が溢れるはずのジェイの魚団子店。

 そこは今、戦場と化していた。

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

「まったく……何処へと行ったかと思えば、ジェイ殿の耳元だとは思いもしませんでしたよ」

 

 

「けど念のために外で待機してよかった~。こうして発見できたからね」

 

 

 あはは、と安心したような笑顔で笑っているホシグマにモスティマペア。

 一方こちら……悪人面コンビでいっか。反対に顔を青く染めて"どうしようか(白目)"と頭をフル回転させていた。

 

 

(旦那! これは不味いッスよ! やべぇじゃねえのかぁぁ!)

 

 

(落ち着けジェイ! 口調が変わりかけている! 一旦落ち着くんだ!)

 

 

 ジェイが口調が変わる気持ちはよく分かる。

 ホシグマとモスティマは今からマフィア共を殲滅させる気か!っていう意思を感じさせられるようなオーラを漂わせる挙げ句、完全フル装備なのだから。

 こちらは小さくなって戦闘力5の俺に、俺を外へと出すだけかと思ったのか、包丁を厨房に置いた丸腰のジェイ。

 

 

 ジェイが包丁を取りに行けば、後ろからホシグマによる盾回転攻撃、またはモスティマに単純に剣で切り捨てられる運命。

 今いるここから厨房まで約7~8m、全速力でダッシュしても必ず一発はもらってしまう……万事休すか……!

 

 

(旦那、俺に任せて欲しい)

 

 

(ジェイ!?)

 

 

(たった今、本の僅かだけど、奥方の気をそらすとっても最善の一手を思いつきやした)

 

 

(ッ!?? バカヤロー! 相手はあのホシグマとモスティマだぞ!? 下手なブラフは余計に相手を警戒させるだけだッ!)

 

 

(違います。完璧に()()()()()()方法です。本当に任せてください)

 

 

 小声ながらも力強く、自信満々な態度を示すような目をするジェイ。

 なんていう目つきなんだ……! まるで数十年間修羅場を潜り抜けてきたような……『覚悟』してきた目だ……!!

 

 

(……やれ、ジェイ。俺はお前を信じる!)

 

 

(フッ。任せてください)

 

 

 さてとお手並み拝見としますか……。

 ジェイは息を吸い込んで、そしてホシグマ達に言い放った!

 

 

「奥方、いい加「失礼!」グフゥ!?「当て身!!」ゴブァ!??……は、話を聞いて「「黙って!!!」」ギャァアア!!!」

 

 

 この瞬間、たったこの瞬間(ジェイが理不尽に殴られた瞬間)からこの時僅か0.03秒! No.2は【リトル·フィート】を解除して走り出した!

 

 

「逃げるんだよぉ!!」

 

 

「ッ! モスティマ殿!」

 

 

「わかってるって」

 

 

 そして時を止められた。そこで問題だ!

 この時を止められたこの絶体絶命、俺は一体どうやって逃げきれるのか?

 

 

 答え①ハンサムでカッコいい俺ちゃんは突如この絶体絶命を切り抜けれるアイデアをズキュゥゥゥンとひらめく。

 答え②なんとなくピンチに陥っていることを察した俺の友達が助けに来てくれる。

 答え③(社会的に)死ぬ。俺はロドスに(一生)雇用されるだろう……。

 

 

 俺は考える。多分人生で三回目の本気で真面目に考えている。

 よし! 答えは①「はいカチャリ」カチャリ……③だったよ……。

 

 

 俺は動けない間にモスティマに手錠をカチャリとされた。

 よくみたら龍門での感染者の暴動に対する特殊型手錠やんけ、オワタ。

 

 

「よーし! これで任務完了! 早速だけどもロドスに報告しとく?」

 

 

「そうですね。この後飲みに行きませんか?」

 

 

「まずはロドスからね」

 

 

 そうやってこの後の予定を話しているホシグマたちを俺はなんにも出来なかった。

 正確に言えば、この特殊型手錠は本来だと、あまりにも強すぎるアーツを持った凶悪な犯罪者を弱らせるための物であり、作成コストが高く、作成にも手前がかかるので、少なくとも俺みたいな奴には絶対使わないはずなんだかなー……。

 

 

 俺はジェイをチラ見する。

 そこには腹を抱えた状態の白目となったジェイが何かを吐きながら痙攣して倒れていた。

 確か……ホシグマって種族オニだからね、オニの本気の腹パンには耐えれなかった様子。

 

 

 ……終わった。さてここからはどうなるか。

 

 

 俺はもはや諦めかけていた。

 そもそも俺のスタンド、【リトル·フィート】はあれだぞ、あれ。戦闘向けではあるけどね。相手に一撃でも与えて物や何かを()()()()()()()………ハッ!

 

 

 ククク……やはり答えは①のようだな!

 

 

「? どうした、No.2。なんで笑っているの?」

 

 

「遂に頭がイカれてしまったのですか?」

 

 

 不敵に笑ってしまう俺を、遂に理性が無くなってしまったのかと心配するホシグマたち。

 心配御無用。俺は既に活路を拓いてしまったようだ。

 

 

「俺はバカだ、俺は大バカ野郎だ! 常識なぞは捨てた!! 【リトル·フィート】ォ!」

 

 

 俺はスタンドを呼んだ。しかし出たはよかったのだが、手錠のせいで消えかけていた。

 だが、ほんの一瞬、たった一瞬、たった一撃で俺は逃げきれる。

 

 

「俺をぶった切れェ(小さくしろォ)ーーー!」

 

 

 消えかけていたのが理由か、ほんのかすり傷程度しか俺を切れなかったが、これでいい。

 俺はおそらく5cmぐらいまで縮んだのか、ホシグマたちがまさに巨人に見えてしまうが問題無し、なぜなら俺の手にあった手錠が外れてガシャン、と落ちたからだ。

 しかしホシグマたちは慌てず、むしろ悪あがきをしたことに呆れていた。

 

 

「No.2殿。小さくなってどうしたいんですか? 手錠が外れたからって小官から逃げれるとでも?」

 

 

「むしろ小さい方が捕まえやすくなっているよ。もうちょっとマシな悪あがきは出来なかったのかな」

 

 

 ……いいぞ! 完璧に油断しやがっている!

 俺はピンチの中、とあるシーンを思い出した。それはアニメのホルマジオの暗殺シーンだった。

 俺はポケットからおもちゃほどに小さい車3~4つを取り出す。

 その時、モスティマは俺の考えに気づいたようだ。

 

 

「ッ! 伏せてッ!」

 

 

「遅いわァ! 解除しろ、【リトル·フィート】ォ!」

 

 

 

 

 ドドガガガガガガガガガガガン!!!!!!

 

 

 

 

 俺が車を投げた瞬間、ジェイの魚団子店は車によって埋め尽くされて半壊した。

 モスティマたちとジェイは急激に大きくなった車によってガラス窓、壁を突き破り、外へと飛ばされていた。

 俺は小さくなったことが吉となったのか、車に潰されることなく、車の下にいた。

 

 

「────後で賠償金払うか」

 

 

 俺はそう決心した。

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

「待ちやがれェ! この"龍門スラング"がァーーー!!! "龍門スラング"の後で"龍門スラング"! そしたら"龍門スラング"で"龍門スラング"ッ!!!」

 

 

「なんで逃げるのさ。ただロドスへと戻って来てほしいだけなのに……」

 

 

「納得できる理由を教えてください! No.2殿!」

 

 

 只今午後23:37の曇り空、俺はスラム街で、何故か全身包丁を身に付けて、頭には『No.2コロす』という何故か物騒な、実際に血で書いたような文字をしたハチマキに包丁を付けて、手にはもはや隠す気0の何らかの赤い液体がこびりついた長包丁を持ちながら怒り狂ったエンヤ婆のように追いかけてくるジェイとホシグマ、モスティマから逃走中。

 俺はジェイに謝りながら逃げていた。俺が全面的に悪いからね。

 

 

「ジェイ! 俺が悪かった! 言い訳してもいいなら一つだけ言いたいことがある!」

 

 

「言ってみろ! "龍門スラング"がッ!」

 

 

「あん時本当に打開策があれしか思いつかんかった! 賠償するから許してくれ!」

 

 

「違う! そんなくだらねぇことじゃねえ! 俺は、お前のせいで、お前が俺の店を半壊したせいで! 隠していた秘蔵コレクションがワイフーにバレたんだよぉーーーーー!!!」

 

 

「そっち!?」

 

 

 因みに余談だが、ワイフーとジェイは(半ば強制的に)付き合っており、もしもエロ本等のソッチ系が見つかったら…………"ラブ"がつくホテルでジェイが見違えるほどに窶れる。

 ワイフーは……失礼だが少し病んでおり、自分が絶対正しいと思っているのか……もしもジェイが浮気紛いなことをしたら、ホテルで"教育(調教)"される運命なのである。

 

 

……ごめん。

 

 

「……ごめんな。賠償額の2倍をお前んところに振り込んどくわ。本当にごめん……」

 

 

「……ッ!!」

 

 

「今度飲みに行こう。代金は俺が払うからさ、一緒に行こう」

 

 

 ジェイは泣いていた。その間だけは何故か静かだった。

 

 

「……そろそろ、か」

 

 

 そんな残酷ともいえる静寂の中、女性の小声が聞こえた。

 ()()()()? 何の意味なのか、今の俺には検討がつかない。

 だが俺は、()()()()へと既に着いていた。

 

 

「よぉーし! 後は風船を飛ばせば……!」

 

 

 俺はあえて小さくなることで、入ろうとする人々の荷物に紛れていたが、帰るルートは沢山の風船を一斉に飛ばして、そのうち一つに飛び付けばいい、と考えたのだ。

 さすがの龍門も風船で脱出できるとは思っていないだろう。

 

 

「よし! 俺の勝ち確定! 第三部、完ッ!」

 

 

 俺はまた小さくなって、沢山の風船を結びつけていた紐を【リトル·フィート】で切って、俺は風船と共に空を舞う。

 

 

「チッ! どれだ、どれが旦那が乗ってる風船だ!」

 

 

「数は……ざっと百は超えてますね」

 

 

「これは────負けたね……」

 

 

 よっしゃ、追っ手共も諦めムードが出ている!

 俺はこの後について考え始めていた。

 

 

(あとは……そうだな。感染者という立場を考慮した上で……感染者、か)

 

 

 俺は思い出していた。

 それはとある任務、俺が感染者となってしまったあの任務のことを。

 

 

(()()()は……大丈夫かな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、俺は落ちた。

 

 

「ッ!??」

 

 

 俺は困惑した。何故なら追っ手には遠距離攻撃手段がなかったはずだったのに……下を見れば一目瞭然だった。

 それはあの任務の時、一緒にいた()()()が──────

 

 

「逃げてはダメ。あなたはロドスに居なければいけないから」

 

 

 ────"グレースロート"がクロスボウを俺に向けていた。




 本作にご期待いただける方は、是非高評価と感想をお願いします。
 今後ともよろしくお願いします。脱字や誤字報告もしてくれると有難いです。


 ☆筆者の一言


 アクセルって男だったんだね……キラーン。


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