平均的な逸般人に生まれ変わった転生者はハーレム目指して頑張ります (年上お姉さんに甘やかされたい)
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オープニング
プロローグ


思いつきのため続くかは分からない。


 

 

 

俺は死んだ。あっけなく死んだ。

しかも死因がバナナの皮を踏んで滑って頭をテーブルの角にぶつけて死ぬとかアホみたいな死に方だ。

無様すぎて恥ずか死ぬ。死んだし死ぬわ。

 

そんな死んだ俺がいるのは真っ白い世界。

何も見えず、何も出来ず、何も喋れないそんな場所。

 

このまま天国やら地獄やらに行くのかなぁ、なんてことを考えていた。

そんな時だった。

 

 

 

──聞こえますか?

 

 

 

なにか聞こえてきた。女っぽくもあり男っぽくもあり、若くもあり年寄りっぽくもある不思議な声。

そんな声が俺に話しかけてきた。

 

 

 

──今あなたの脳内に直接語り掛けてます。聞こえますか?

 

 

 

え?怖い。聞こえないことにしとこ。

 

 

 

──聞こえていますね。良かったです。

 

 

 

あ、強制YES選択肢か。

で?アナタハダァレ?

 

 

 

──………私は神です。知りたいことなんでも教えてあげましょう。

 

 

 

……じゃあ俺の事どれくらい好きか教えて。

 

 

 

──……いっぱいちゅき。

 

 

 

ノリのいい神様でよかったぁ。

それで?神様がなんの用で?

 

 

 

──はい、端的に言ってしまうとあなたには転生をしてもらいます。

 

 

 

て、テンセイダッテェー!?(棒)

……あれすか?よく二次創作であるあの転生?

 

 

 

──そうです。その転生です。

 

 

 

なるほどー。あー、来ちゃったかー。俺の時代来ちゃったなーこれ。

 

 

 

──はい来ました。あなたの時代来ましたよこれ。

 

 

 

めっちゃノって来てくれるやん。気分いいですよこれ。

 

 

 

──それは良かったです。早速ですが転生先を決めていきましょう。希望などはありますか?

 

 

 

……あ、やっぱりアニメ世界とかに行く流れなんすね。元の世界は無理な感じ?

 

 

 

──そうですね。あの世界でのあなたの生は終わりを迎えました。やり直しは効かないのです。それがルールです。

 

 

 

なるほどなぁ。ルールなら仕方ないよなぁ。

じゃあとなるとアニメ世界かぁ。……あんまアニメとか漫画とか見んから分からんな。

 

 

 

──こんな世界がいい。あんな世界にして欲しい。そんな要望さえ教えてくださればこちらでそれにあった世界を紹介しますよ?

 

 

 

あらヤダ良心的。親切なのね神様。

 

 

 

──えぇ、神様ですから。

 

 

 

ドヤ顔が見える見える。

さて、となればどんな世界、か。

……可愛い子が多い世界がやっぱりいいなぁ。

 

 

 

──……なるほど。では女性のタイプを教えて頂けますか?

 

 

 

んー?年上…とか?お姉さん系の方好きですね。

こう……包容力的な?それでいて幼さが見え隠れする性格とか?そういうの可愛いと思います。

 

 

 

──はい、分かりました。ハーレムとかは望まれる方ですか?

 

 

 

ハーレム、かぁ。確かにモテまくりたいと思うのは男の夢……だけどそれが転生したからそれの特典でハーレム権利を与えられる的なのは個人的にはなぁ。

やっぱり自分自身の魅力で好きになってもらいたいじゃん?男のプライドってやつでさぁ。

 

 

 

──なるほどなるほど。では多少のアシスト機能をつける程度に留めておきましょう。ハーレムにできるかはあなた自身の力です。他になにか希望はありますか?

 

 

 

んー、そうだなぁ…………あ。

可愛いメイドさんとか?ほら俺って掃除洗濯料理壊滅的だからさ、可愛いメイドさんにやってもらうの意外と夢だったんだよね。

 

 

 

──それではメイドさんと知り合える機会を与えるようにしましょうか。ただし、そこから仲良くなれるかは自身の力で何とかしてください。先程言ったアシスト機能、上手く活用することをおすすめします。

 

 

 

はーい、頑張ります。

 

 

 

──多少なりともエチチな要素が含まれる世界はどうでしょう。ガッツリ18禁ではなく、こう青春に色褪せない1ページとして刻まれる程度のピンクい要素くらいの出来事が起こるような世界などは。

 

 

 

あ、バッチコイです。

ただ、僕としては健全な感じのがいいので程々でお願いします。

 

 

 

──分かりました。それではこれらの条件に合う世界を探していきましょう。えーとどれどれ……【ToL〇VEる】【新妹魔王〇契約者】【魔装学園H〇H】【ゆらぎ荘〇幽奈さん】【ヴァルキリ〇ドライヴ】……などなどですが、どうでしょう?

 

 

 

……いや、どうでしょうと言われましても俺は知らないし。

 

 

 

──そうでしたね。ではくじ引き形式で決めましょう。

 

 

 

そんな適当でいいんか転生先。

 

 

 

──デケデケデケデケ……デン!

 

 

 

効果音!?

 

 

 

──決まりました!えーと……【ハイスクールD×D】です!

 

 

 

どこでっかー?

 

 

 

──あー、これは中々ハードですね。

 

 

 

ハードなの!?死ぬ?もしかしてアタシ死んじゃう!?

 

 

 

──んー、転生後にすぐ死なれても困りますからね。てなわけで多少自衛できる程度の能力を与えます。チートは望まれますか?

 

 

 

え?チート?そんなんなきゃ生きてけない世界なの?嫌だー。

 

 

 

──嫌と言われましても。まあ、チートが無くても生きてくだけなら問題ないと思いますよ。ただ、危険ではあるので多少自衛できるようにしておかないとと言うだけで。

 

 

 

あー、なるほど?それなら別にチートはいらないかな…?

誰にでも強くは出れないけど、誰にでも勝てる可能性のある能力くらいがちょうどいいかな?チート無双もいいかもだけどやっぱり男は血に濡れてこそ映えるでしょ。

 

 

 

──分かりました。ではあの能力にしましょう。……さて、設定も済んだことです。今からあなたを転生先の世界に送ります。準備の方はよろしいでしょうか。

 

 

 

あ、もうなんすね。それはそれで名残惜しいなぁ。

 

 

 

──私も次の仕事もあるので……すみません。とりあえず新しい能力や体になれてもらうためチュートリアルのような場所で自身を確認してから生まれ変わってもらいます。

 

 

 

なるほど分かりました。

 

 

 

──えぇ、それでは……あなたの次の生に幸多からんことを。……では頑張って下さい。

 

 

 

神様のそんな声を聞いた瞬間に俺の意識が薄れていった。

そして、気がついたら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここどこぉ?」

 

荒野にぽつんと立っていた。



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チュートリアルⅠ

気づけば荒野にいた。

地面は茶色と言うより黒いし、空を見れば広がるのは紫っぽい空。

……え?どこ?

 

いや、まで落ち着くんだ。あの時神様は言っていたな。"チュートリアルのような場所"って。……チュートリアルのような場所ってどこだよ。

 

兎にも角にも現実世界では無いことは確か。俺の知る限りだと地球上にこんな場所は無いはずだし。 ……いや、でもここアニメ世界や。俺の知らない世界が広がっててもおかしくないか。

なるほど、どうしようもない状況だねこれ。

 

てか、俺はここで何をすれば良いの?新しい体になれるためとか言ってたけど何をどうする感じなのこれは。

 

何かないか…………っと、お?ポケットに何か。

 

取り出して見てみると折りたたまれた紙が1枚。広げて読んでみると、

 

 

 

『ミッション:双子姉妹を送り届けろ』

 

 

 

……なんか頭の中で逃〇中のナレーションみたいな声響いたんだが?

てかこれだけ?何か他にないの?世界が俺に優しくない。

そんなことを思っていたらまた頭の中に声が響いてきた。

 

 

 

『制限時間内に敵に捕まることなくルシファー邸の屋敷に双子姉妹を送り届けたらミッションクリアだ』

 

 

 

なるほどぉ!……とはならんのよ。

よし!頑張るぞぉ!って言うと思ってたの?

え?てかほんとにこれだけ?他には?何もなし?

 

 

 

『………』

 

 

 

あ、何も無いんですねありがとうございます。

それならとりあえず、その双子姉妹を見つけなきゃいけないってこと?でどこにいるのよその子たちは。

 

 

 

『………』

 

 

 

何も教えてくれないんかい!

こっからは自力なのね!そうなんだね!クソッタレ!

 

まあとりあえずボチボチ歩きますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからどれだけ時間が過ぎたか。多分1時間くらい?

荒野を歩き続けて疲れた足を休めるために森の中のちょっとした切り株に腰を落ち着け休んでいた。

 

……見つかんねぇー!

どこにいんだよ双子姉妹!てか見た目の特徴のヒントとかもなしに探すことに無理がありすぎるだろ!もう疲れたわ!

体に慣れるどころか既に俺の体はボドボドだァー!

 

てか制限時間内って言ってたけどその制限時間はどれくらいなんだって話よ。

 

 

 

『………』

 

 

 

ほんとにうんともすんとも言わないね!

さっきからずっとこう!何も喋らない!使えないぽんこつめ!

 

 

 

『……んん』

 

 

 

!?咳払いした!?今したよね!?

貴様見ているな!見ていて俺が苦しむ様楽しんでるな!

 

 

 

『…………』

 

 

 

……むぁた無言かよォ!もういいよ!

 

そんなことを心の中で思っていた時だった。

背後の草むらがガサッと音を立てて揺れた。

 

「っ!」

 

ここは森の中。野生の動物とかがいてもおかしくない。

 

熊だったらどうしよ。俺死んじゃう。

まずは落ち着け、とりあえず距離を取ろう。

 

草むらに体を向け、恐る恐る後ずさりしながら距離をとる。

そんな間に近づいてくる何か。そして、その草むらから飛び出してきたのは、

 

「はぁ……はぁ……」

「ここまでくれ、ば………え?」

「……へ?」

 

銀髪のそっくりな女の子2人だった。

 

「「「………」」」

 

この場に静寂が広がった。

 

……もしかして双子姉妹ってこの子たち?

いや、確かに顔クリソツだしね、いかにも姉妹感はあるよね。うん。

 

けどさぁ……ボロボロの見た目の女の子とか地雷臭しかせんやろ!なんこれ!この子達の護衛しろってことでっしゃろ!?いやもう怖い!怖すぎて嫌だ!

 

とは言いたいがここまでボロボロの子達を見て見ぬふりは良心が痛むのも確か。

しょうがない、ここは男として一肌脱ぐべきとこ──ん?

 

その時、辺り一面の時が止まった。

そして、目の前に浮かび上がる謎のホログラムウィンドウのようなもの。

そこに書かれてたもの。それは、

 

 

 

【とりあえず頭を撫でる】

【とりあえず押し倒す】

 

 

 

( ゚д゚)

 

……まじかよ。

え?あ……アシスト機能ってこういうこと?

ギャルゲーやんけ!これギャルゲーですよ!まじかよ、これかよ!

 

てか頭を撫でる?初対面のロリ2人?……ロリコンやんけ!

押し倒す?初対面のロリ2人?……犯罪者やんけ!

 

終わったわ。これもう終わりましたわ。逃げ場ないっすわ。体動かんもん。

選ばなきゃ先進まない感じでしょどうせ。はぁーヤダヤダ。

 

……とは言ったものの選ばねばこちらも動けぬというもの。諦めてどちらか腹括って選ぶしかねぇな。

 

となればどっちがマシだ?……まあ普通に考えれば頭を撫でる方が無難だ。いやまあ初対面なのに頭撫でるのもおかしいけどね。でも押し倒しちゃダメでしょこれ。

 

まぁしゃーない。ここは頭を撫でて初対面のお兄さんから不審者のお兄さんになっとこ。犯罪者のお兄さんよりはマシなはずだ。

 

さてそれじゃ上に……ってちょっと待て?

なんか双子姉妹の後ろの草むらの向こうに何か見えね?

……あれ人じゃね?

 

ボロボロの双子姉妹。そして、その後を追いかけてる数人の人。なるほど!追われているのか!そういやミッションでも敵に捕まるなと言われてたし!

 

つまりここは無理やりにでも押し倒して身を潜めるが正解なのか!マジかよ!すげえな選択肢!いやでももう少し分かりやすく教えて欲しいな!

 

てなわけで下をポチッとな。

 

「「っ!?」」

 

選んだ瞬間に動き出した時間。

俺の体は一目散に双子姉妹の方へと勝手に飛び出していた。

 

口に手を当て声が上がらないように、そのまま双子姉妹を下にするようにその上に覆いかぶさった。

 

「「〜〜〜〜っ!?」」

 

下でじたばた暴れる双子姉妹。やばいね。はたから見たら事故映像だよこれ。

マジで俺やばいタイプのロリコンにしか見えないだろ。ハアハア息荒らげとこうか?

 

あ、双子姉妹の片方が泣いちゃった。あ、もう片方は睨んできた。

……いやまじでごめん。ほんとごめん。でももう少し耐えててね。

そんな中聞こえてきた男の声。

 

『あのガキ共どこいった!?』

 

「「「!?」」」

 

『……こっち方面に来てたよな』

『遠くには行ってねぇはずだ。探せ』

 

そんな言葉とともに散開していく足音。

やがて遠くへと消えていったのを確認して俺は双子姉妹の上からどいた。

てかよくよく思えばあれ敵じゃなかったこと考えてなかったな。まじ危なかったわ。

さて、そんなことより、

 

「とりあえず移動しよっか」

「「……」」

 

そんな俺の言葉に双子姉妹は恐る恐る頷いた。




感想、評価待ってます。


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チュートリアルⅡ

「……よし」

 

草むらから顔を出し辺りを見渡しながら危険を確認。

右よし左よし、正面よーし。

 

後ろに控える双子姉妹に手招きをしながら草むらから出た。

 

2人と出会った場所から既に数キロの移動。

さすがに疲れたなぁ。

 

目の前に見えるのは湖。土地の色や空と見比べてみると段違いに透き通った綺麗な場所。喉が渇いたしちょうどいいね。……飲んでも大丈夫だよね?腹壊したら壊したでそんときだ!

 

そんなことを思いつつ手で作った皿に水を掬い口へ。

うーん、潤う。

 

双子姉妹も俺の方を見ながら恐る恐るといったように水を飲んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、休憩して数分ほど経った。

警戒心を俺に対して持つ双子姉妹。そんな彼女たちと未だに距離は縮めることが出来ていない。

 

まずいな。こっからどっかのお屋敷に届けなきゃいけないというのに、これはヒジョーにまずい。

 

このあとの展開を考えていなかった。はてさてどうするか。

そんなことを思っていた時だった。

 

「……どうして助けてくれたんですか?」

 

双子姉妹の片方がそう聞いてきた。

声をかけてきたのは俺が押し倒した時に睨んできた方。恐らくこっちが姉なような気がする。なんとなくだけど。

衣服のボロボロ具合がもう1人と比べて酷いからね。姉として妹を守ってきたと考えると感動だな。

 

さて、なぜ助けたか。……ぶっちゃけると選択肢が出たから流れ的だったし。

 

 

 

【君たちの体が好みだったのさ(キラリン)】

【体が勝手に動いていただけさ(イケボ)】

 

 

 

キチィーなおい。

てか唐突に出てくるなよ選択肢。なんやねん。も少し助走をよこせ。びっくりするわ。

 

てか上!何がキラリンや!そんなん言ってみろ!ドンビキーやでほんま!

下は……まあ無難だけど俺にイケボなんて求めないで欲しい(切実)。

てか言い方がキザったらしくて俺は好きじゃないです(真顔)。

 

まあ下を選ぶけども。

 

「体が勝手に動いていただけさ」(掠れ声)

 

アカンわ。イケボ出えへんがな。死にかけのチンパンジーみたいになったぞコノヤロウ。キメるところはキメさせてほしいゾ。

 

「そう……です、か」

 

……なんか引かれてない?大丈夫そ?

 

 

 

【てか服脱げよ(姉)】

【てか服脱げよ(妹)】

 

 

 

おいぃぃぃい!それはもう事案なんだよ!

てか唐突にそういう選択肢来るの!?なに!?俺を犯罪者にしたいとかそんな感じなの!?

 

引かれたところに間髪入れずに来るなや!ざけんな!

 

でも選ばなきゃ時は前に進まないんやろ!クソッタレが!……クソッタレがぁ…。

 

……しょうがない。ここはマシな方を選ぼう。

…………いやどっちもまずいわバカが。マシな方とかねぇよこれ。

 

ほんとにアシスト機能なの?ねぇ?……ねぇ!?

はぁ…。とりあえず何とかリカバリーする方法を考えよう。

 

どっちを選んでなんと言えば切り抜けられる?

 

………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………よし、決めた。

 

「てか服脱げよ」

「「!?」」

 

俺は意を決して姉の方にそう言った。

すると途端に驚き、そして、怒りに染った顔になる姉と顔を青ざめ絶望的な表情をうかべる妹。

 

「や、やっぱり体が目的で…!」

「……」

 

俺は何も答えない。いや、"答えられない"。

どうやら相手がその行為をし終わるまでこちらからのモーションはダメらしい。なんてこった、パンナコッタ。

 

「……くっ」

「お、お姉ちゃん」

「…大丈夫。あなただけは私が守るから…!」

 

感動的だな、だが無意味だ。

もう俺の心が罪悪感でいっぱいすぎて…。はぁ…はぁ…!(過呼吸)

 

そうして待っていると服を脱ぎ捨て下着姿になる姉。

いや確かに子供ですけどね?言うてそれでも小学校中学年くらいの子達なんです。もうね、犯罪臭しかせんがな。

 

「ぬ、脱ぎましたよ…!ヤるなら早くして…!」

 

そんなことを言う姉。

辞めて!俺もう死にたい!ごめん!ほんとに口下手で!(選択肢が)

 

震えて睨む姉に近づいて、そして、

 

「……へ?」

 

俺は着ていたパーカーをその小さな体に被せた。

 

「服がボロボロだったからな。あんなボロ切れ着てても寒いでしょ。妹守ってたんでしょ?……頑張ったな」

 

目線を合わせて、努めて笑顔でそう言葉をかけた。

ほうけた顔の姉。やがてその目に涙が浮かんできていた。

さて、

 

「妹ちゃん。その服貸して?」

「え?あ、は、はい…」

 

姉が着ていた服を受け取り湖へ。

ザブザブと軽く洗いながら汚れを落とす。

 

「この服思い入れのあるものとかだったりする?」

「え、あ……い、いえ…」

「そ」

 

うん汚れは多少落ちたな。

あとは手頃な……これでいいかな。

 

落ちていた木の枝を2本手に取りながら服をちぎり破る。

そのまま姉のもとへ行き極力怖がられないように注意しながら優しい声音で話しかけた。

 

「はい、腕出して」

「え?」

「左腕。折れてる……かはよくわかんないけど関節部分痛めてるでしょ?念の為固定しといた方がいい。ほら」

「は、はい…」

 

ちらっと見えた時青く腫れてたからね。見てて痛々しかったわ。

 

差し出された左腕を優しく手に取りながら2本の枝で挟みながら布で固定。簡素だけど応急処置程度ならこれでいいでしょ。

 

「よし、オッケ。痛くない?」

「あ……だい、じょうぶです」

「うんうん、それならよし」

 

さて、こっからどうしようか。

ルシファー邸だっけ?場所分からんのよな。

……聞いてみるか。

 

「お2人は行く宛ては?」

「……ない、です」

 

そうだよなぁ。姉の言葉に納得する。

となれば地道に聞き込んで「でも」……お?

 

「一か八かで行ってみようと思ってる場所はあります」

「……ほう。どこ?」

「現魔王のルシファー様のところです」

 

ビンゴ!

 

「場所は分かる?」

 

そう聞くと頷く姉。

これなら何とかなるな!ゴールが見えてきたな!やったぜ!

 

「よし、じゃあ行こっか。そこまで送るよ」

「……あり、がとうございます」

「……!ありがとうございます!」

 

姉に続いて妹ちゃんまで頭を下げて来た。

……初めはこんな地雷原みたいな子供に関わりたくないと思ってたのに普通に可哀想に思えてきちゃったよ。とことんまで付き合ったるで!




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チュートリアルⅢ

書いて直ぐに投稿してその後ちょくちょく読みながらチェックしてたりするので誤字脱字は多いです。

……空いた時間に書いてる程度のなんで大目に見て下さい<(_ _)>


「……この先?」

「この先ですね」

 

俺の言葉にそう返す姉。

 

森を抜けた先に広がる荒野。

どうやらこの先にルシファーさんのお屋敷があるらしい。

 

でもね?

 

「見晴らし良すぎない?」

 

え?ほんとにここ進むの?右見ても左見ても真正面見ても身を隠す障害物とかないよ?敵に見つかったらアウトぞ?行ける?行けんのこれ?

 

「でもここを進まないと……」

 

んー、そっかぁ。ならしょうがないね!

 

「じゃあ行こか。何かあったら……ま、なんとかなるでしょ」

 

チュートリアルだし。

 

歩き出した俺の後をついてくる双子姉妹。

ちらりと後ろを見てみると不安そうに当たりをキョロキョロしながら歩いていた。なんなら体も小刻みに震えてる。

寒い?違うね。不安なんだろう。しょうがない。ここは大人のお兄さんとして子供たちに安心感を与えてあげなくては。

 

 

 

【と、ところでさぁ。はぁ…はぁ…。その小さなお手手、一緒につなごうよォ。はぁ…はぁ…】

【僕怖がりだからお手手繋いで。おねがぁ〜い(猫なで声)】

 

 

 

安心感を与えるつってんだろうが。

さっきから何?俺をロリコン犯罪者にしたいん?おかしいだろ。なんもアシストしてくれてねぇからなお前。

 

フジャケルナ!モアイ!

 

……ちくしょうめぇ。

 

とりあえずマシな方はどっちか……マシな方を選ぶ選択肢とかもう意味なくね?

 

上は……警察直通ですねこれ。通報案件です。ダメですねこれ。

となれば下になる訳だが……いやこれは不審者。特に猫なで声ってところな。余計なオプション付けんなや。

 

でも上下どっちがいいかと言われたら……下だもんなぁ。

はぁ……俺のメンタルハードモードすぎ。

 

「僕怖がりだからお手手繋いで。おねがぁ〜い」(掠れ声)

 

声掠れてるやんけ!今回ばかりはナイスだ!猫なで声よか全然いいわ!

 

「「え……」」

 

……引かれてるやんけ!声質云々じゃないわ!セリフ自体がダメじゃねえか!

 

「あ、忘れて」

「あ、いえ……ど、どうしてもと言うならいいです、よ?」

「……」

 

おずおずと片手を出してくる双子姉妹。え?何あんたたち。天使?俺お兄ちゃんになっちゃう。

 

まあ出されたのなら断る理由もなし。

 

「じゃあ…」

 

そうして両手に双子を携え俺は荒野を行く。

 

 

 

【ここは楽しくみんなでお歌を歌いながら行こう】

【ここは楽しくみんなで踊りながら行こう】

 

 

 

ほう。なるほど。確かに気持ちを明るくすることはいいことだ。

歌かダンス。……手を繋いで歩きながらダンスってむずくね?てなわけで歌だな、ここは。

 

「ティーダのチ〜〇ポ気持ちよすぎだ〜ろ〜♪チ〜〇ポ気持ち良すぎだろ〜♪」

 

と゛お゛し゛て゛た゛よ゛お゛お゛お゛!

なんでよりによってそれ歌う!?馬鹿じゃね!?馬鹿だわ!

 

「「え」」

 

ロリ2人がすげぇ驚いた表情でこっち見てんぞ!おいもうどうすんだよ!終わったわ……。

 

「……なんですか、その歌…?」

「……ち〇ぽ…?」

「……っ!」

 

まさか!こいつら!チ〇ポを知らない…!?

いや恐らくはその存在は知っているのだろう…!なんならあの時体が目的で…!とか怒ってたし。そういう知識はあるんだろう。

だが!こいつら、男性器の名前を知らないんじゃないか…!?なんという中途半端な純情さなんだ。

 

……え?そんな子にあんな歌聞かせたん?俺最低だな。

 

「……この歌はな、歌うと元気が出る歌なんだ」

 

アホらしくて。

 

「だから歌って笑いながら行こうということさ」

 

決まったぜ。

 

「……なるほど」

「じゃあみんなで歌お…?」

「いや!……それはやめとこ」

 

妹ちゃん。みんなで歌ったらそれはもう狂気だ。侵食されるぞ。

 

そんな時だった。

何かが風を切る音が聞こえてきた。

 

「ん?」

 

左?右?前?後ろ?違う。なんなら地面からとかじゃない。もっと上から……。

そんなことを思い上を見上げた瞬間に何やら巨大な人影が目に入ってきた。

 

「え?」

 

そんな戸惑いの声を漏らした瞬間、その影は俺たちの目の前に砂埃を上げながら飛来した。

 

「っ!」

「あ、あの人は…!」

 

どうやら双子姉妹の知り合いらしい。

 

「見つけたぞォ…!さて、それじゃあ一緒に帰ろうかァ…!」

 

ニチャアとしたようなそんな声が聞こえてきた。

2mを越すようなそんな体躯。腕は丸太のように太く、もはやクマのような大きさだ。

 

あときっしょい。ハゲて歯が欠けてて……どした?発言からしてロリコンでもあるでしょ。……悩み聞こか?

 

「えーと……、どなた?」

「……私たちが監禁されてた牢屋の看守です」

「うっぷ…!」

「っ!」

 

妹ちゃんが吐き気を催した模様。それに気づいて落ち着かせるために背中をさする姉。

なるほど幼女に手を出した、もしくは出そうとしてたタイプのロリコンか。イエスロリータノータッチの誓いを知らんクズなわけね。

 

「ん〜?お前誰だァ…?俺の可愛い双子ちゃんと一緒にいるなんて……、死んどくか?」

 

……え?ロックオンされた。

てか、"俺の"?……まさかのナルシスト系な感じ?

ロリコン、ハゲ、デブプラスでナルシスト?おいおいお腹いっぱいだぜ。

 

 

 

【ヤダなぁ兄貴ィ〜。兄貴の女に手を出すわけないじゃないですかァ〜(敵に寝返り)】

【どけ!俺はお兄ちゃんだぞ!(戦闘開始)】

 

 

 

……ほんっといきなり来るね。

てかおい、上。へい、おい、待てよ。

ドクズにも程がなくて?やめたげてよ。

 

でも下かぁ。……戦闘開始って、多分俺が戦うんでしょ?無理じゃね?

バカにしてるけどあのハゲめちゃめちゃ強そうなんだけど。俺には荷が重いってぇ…。

 

……でも、待てよ?神様あの時自衛するための能力くれたよな?

……なるほどな。つまり俺無双がはじまるわけだな。

フッ、オーケーだぜ。それじゃあ行こうか。

 

……いや、待て落ち着け。あの時俺チートはいらないって言っちゃったよな?……不味くね?

なんであの時拒否したの俺?馬鹿なの俺?馬鹿なんだろうなぁ。

 

と言っても下以外に道はなく。やるしかないのも現実なわけで。

……しょうがない、腹きめるしかないか。

頼むよ…!当たりの能力であってくれ…!

 

「どけ!俺はお兄ちゃんだぞ!」

「「「!?」」」

 

俺の言葉に驚く3人。双子はさらに困惑の交じった表情になってた。

そらそうだ。いきなりお兄ちゃん出来たんだもん。

今思うとこの選択肢もよく分からんがな。何がお兄ちゃんや。いつなってたんだよ。俺も初耳やわ。

 

「……邪魔する気かぁ…!それならその命、もう要らねぇよなぁ…!?」

 

要ります。だからやめて。

 

腕を振り上げる大男。そのまま握られた拳が飛んでくる。そんな時だった。

 

 

 

『戦闘開始を確認。只今より戦闘チュートリアルを開始』

 

 

 

久しぶりに聞いた逃〇中のようなナレーション。

 

……なんか始まったぞおい。




チュートリアル編終わったらどうしよ。

そのまま原作まで時間を飛ばすか、幼少期のエピソードをいくつか書くか……どっちがいいですかね?


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チュートリアルIV

主人公の能力が出たよ。


『今から戦闘チュートリアルを始めます』

 

止まった時間の中。その間ずっと頭に響き続ける声。

 

てか、目の前。男の拳があと数十cmってとこにあるんだけど。死ぬ?我死ぬ系?

 

『死にません』

 

良かったぁ。

 

『ただ痛い目にはあってもらいます』

 

……ダメじゃねぇか。

 

『まず最初にあなたに与えた能力の説明をしましょう。と、その前に……』

 

そこまで言うと時間が進み出した。

瞬間、顔面に走るとてつもない衝撃。

 

なすすべもなく体は空中に投げ出され、顔から血を吹き出しなが吹き飛んだ。

 

「……っ!」

「お兄さ──」

 

と、姉のそんな言葉が聞こえた瞬間にまた止まる時間。

いや、あの……何しとん?殴られたよ俺?

 

『あなたとアレの戦闘力の差を理解してもらおうと……』

 

他にやりようはあるだろ。なぜ殴られないとあかんのや。てか右目見えなくね?今俺の顔どうなってんのこれ。

 

『こうなってますね』

 

目の前に突如現れた手鏡。そこに写る俺の顔は右側半分が原型を留めてないほどにぐちゃぐちゃにされていた。

 

いや……脳みそ出てね?

 

『出てますねwww』

 

なにわろてんねん。お前は笑うなや。

てか鏡しまえ。グロいグロい。

 

『………』

 

無言でズイッと近づけんな。

てかこんなんなのに痛くないな。なんで?

 

『あー、時間止めてますからね』

 

……なるほど?

 

『じゃあ一回時間動かしましょうか』

 

え?ちょいま──

 

「っ!?」

 

『はいまた止めました。どうです?』

 

痛!?痛すぎ!?え?ちょっと待ってヤバない?俺今ヤバない?

時間止めて痛みないはずなのに、錯覚でまだズキズキする感じあるんだけど?

 

『マジヤバでちゃけパねぇ。ですね!』

 

いや、ですね!じゃないのよ。

お前道徳0か。

 

『とまあこのようにアレとあなた……悪魔と人間の力の差は大きいものです』

 

何事もないように話進めんなや。

……てか、悪魔?

 

『はい悪魔です。この世界は悪魔や天使、堕天使など色んな方がいるんですよ』

 

初耳です。もっと先に教えてください。

 

『ちなみにあの双子も悪魔です』

 

……どうしてそういう重要なこと今まで黙ってたの?お前がもう悪魔だよ。

 

『いやー、そんな…』

 

褒めてねえよ。

 

『さて、こんなにも力の差がある相手の倒し方。教えてあげましょう!』

 

あ、やっとか。

てか俺の頭これどうするんよ。

 

『あ、それは後で治してあげるので心配なさらず。……特別に無料ですよ?』

 

これで金取られてたら僕は裁判を起こしてました。

 

『話を戻しますね。あなたに与えた能力、それは【均衡の天秤(ザ・ニュートラル)】です!……ちなみに能力名は今考えました』

 

……余計なことは教えてくれなくていいです。

それで?それはどんな力。

 

『はい、一言で言ってしまえば"互角になる能力"です。相手が自分より格上の相手だった場合に発動する能力。発動後、自分の力が相手と同程度レベルまでに強化されます。相手が空を飛べるのであればあなたは空中を走ることができ、相手が水の中を泳げるのであればあなたは水の中を息継ぎなしで走り回ることができるようになります』

 

……なるほど。

誰にでも強くは出れないけど誰にでも勝てる可能性のある能力……ピッタリだね。

 

『えぇ、そうです。実力は全くの互角。なので最終的に勝ちをもぎとれるのは気持ち』

 

……気持ち。

 

『……いや、心?』

 

……心?

 

『……魂?いや、気合い?もしかしたら根性…?』

 

………。

 

『やっぱり気持ちで』

 

……ちゃんとしましょうや。

 

『より勝つことに執着した、気持ちの強さで勝負は決まります。あなたならアレに勝てますよ』

 

まあ、やるしかないなら頑張るけどさ。

……てかさっきから"アレ"呼びすごいね。

 

『え?だってキモくない?』

 

確かに。

 

『それじゃあ頑張ってぶちのめしちゃってください。応援してますよ。あ、怪我治しておきますねー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、時間も動き出した。

顔の痛みも無い。あとはあの男をぶっ倒すのみ。そうすればチュートリアルはクリアというわけだ。

 

地面に横たわる体を動かし起き上がる。

目の前を見ると驚いた表情を浮かべる3人がいた。

 

「……手応えはあったぞぉ。顔が潰れた感触も手に残ってるぅ。どうなってやがる…!」

 

そんなことをつぶやく男を無視しながら俺は走り出す。

走る勢いそのままに男の顔面に向けて固めた拳を放った。

 

悲鳴も聞こえないままに吹っ飛んでいく男。

その光景をあんぐりと口を開け眺める双子に自分の力にいささか驚く俺。

 

え?強…。

 

「グエェ…!」

 

地面に落ちた瞬間にそんな声が聞こえた。

……潰れたカエルかな?

 

「……ぐはッ!……っはぁ!はぁ!クソ、痛ぇ…!チッ!一体、なんなんだ!てめぇはッ!」

 

なんなんだ?……なんなんでしょうね?

名前……はなんだっけ?前世の名前も浮かんでこないや。

 

なんて答えるべきか。

 

 

 

【ハジケリストです(ギャグルート)】

【通りすがりの仮面ライダーだ(通常ルート継続)】

 

 

 

違います。

どっちも違います。

 

てかギャグルートって何?……いや、なんか怖いなそれ。

となれば下一択になるんだけど……いや、仮面もつけてないしライダーでもないんだが?意味わからんだろ。

 

「……通りすがりの仮面ライダーだ」

「仮面らいだぁ?……聞いたことねぇな」

 

そらそうだ。知ってたら驚くわ。

 

「まあいい……死ねぇ!」

「グッ…!」

 

腹を殴られた。痛い。

けど、顔面潰された時ほどの痛みじゃない。

全然耐えれる。これは、勝機が見えたな。

 

「……っ!な、何ニヤついてやがる」

「……」

「舐め──」

 

セリフ途中に顎に1発。

いつまでこいつはくちゃべってる気なんだろうか。

 

「喧嘩なんだからさ。あとは拳で語ろうや」




感想、評価お待ちしてます。


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チュートリアルクリア

早くチュートリアル編終わらせたくて駆け足気味になっちった。


殴り合いを続けてどれだけ経ったのか。多分十数分くらい?

 

「はぁ…はぁ…」

「……ふぅ」

 

……勝負がつかね。

パワーもスピードもタフさも全部互角ならもうこれは泥仕合にしかならんよ。

 

互いに血を流すような形で対峙。

ここからどうするべきか。

 

喧嘩慣れしてるおかげでこれくらいの怪我なら別に大丈夫なんだけどケリつけられないこの現状に焦れったくはなってくる。

 

「くそぉ…!クソクソクソ!なんでてめぇなんかにこの俺が…!上級悪魔であるこの俺が!クソがァ!」

 

おいおいヒステリック属性持ちでもあるのかよ。属性過多すぎて吐き気が出てきちまうぜ。

 

とかそんなことを思ってたら、なんか手のひらに不思議な光が集まってるじゃないか。

……え?まさかのかめはめ波?

 

「死ねぇ!」

「え、それずっこい──」

 

こちらに向けて放たれたかめはめ波(仮)。

悪ぃ……俺死んだ。

 

「「「……え?」」」

「?」

 

あれ?俺死んでない。

なんだよこけ脅しかよ。

 

「……!」

 

あ、いや、痛いわ。普通に痛いわこれ。

てかなんなら服が吹き飛んでるがな。ギリギリズボン残ってるおかげで公然わいせつにはなってないけど弾け飛んでるわこれ。

 

……あれか?

互角になる能力って、本質は相手と"互角に殴り合える"ようになる感じか。

だからこそ魔法とかそういう摩訶不思議な攻撃とかに対する耐性がぶち上がってる。的な?知らんけど。

 

まあ、普通に痛いからいくら軽減される言ってもあまり喰らわない方がいいな、うん。

 

「……だ、大丈夫なんですか?」

 

姉が恐る恐る聞いてきた。

ここは笑顔でピースサイン。ほっとしたような顔になった。

 

「な、なんなんだお前は…!」

 

男に視線を戻すと、驚愕、怒り、と微かに恐怖の交じった表情。

ここまで追い詰められる相手とは今まで出会わなかった感じか。

全く……、

 

「おい、いいか──」

 

 

 

【殴っていいのは殴られる覚悟のあるやつだけだ】

【俺はかーなーり、強い】

 

 

 

……俺の言葉に横槍入れやがって、と思ったけど普通にいい選択肢やんけ。

てか、この選択肢仮面ライダー好きやな。ライダーネタ多い気がするぞ。

 

とりあえずここは、

 

「殴っていいのは殴られる覚悟のあるやつだけだ」

「っ!……う、うぁぁぁああああ!」

 

俺の言葉に突っ込んでくる男。

……なるほど、気持ちの強さで勝負は決まるってのはこういうことか。

 

冷静さを失った拳というのはなかなかに避けやすい。

なぜなら直線的にしか飛んでこないから。

 

前世で一応喧嘩慣れはしてる俺からすれば今この瞬間、男の放つ拳は、

 

「……止まって見える」

「あぁぁぁあああぁぁあぁあああぁあ!!!」

 

避けて避けて避けて、そして、

 

「よっ……と」

「はぅあッ!!!」

 

股間に足を滑らせ男の弱点へと蹴りを見舞った。……普通にサッカーボール蹴る感じで。

自分で蹴っときながらタマヒュンした。

 

……最初からここ狙えばよかったな。

 

無言でばったり倒れる男。

 

これでチュートリアルは終わったな。

 

「お兄さん…」

「……それじゃラストスパートだ。さっさとルシファーさんのとこ、行こか」

「「……っ。はい!」」

 

うーん、いい笑顔。疲れが全部取れたよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……デケェ」

 

屋敷に着いた。

屋敷っていうか城っていうか……とりあえずデカい。

建物も然り、敷地もヤバい。某ネズミーマウスのドリームランド並みにデカい。

 

……デートスポットに最適だね!

 

「ここまでありがとうございました。お兄さんのおかげで妹も私も死なずに来れました」

「あ、ありがとうございます!」

 

そう言って頭を下げてくる双子。

 

「いいっていいって」

 

チュートリアルですし。おすし?

 

「とりあえず俺は疲れたよ。ここで腰休めてるからお2人は屋敷の主のとこ行っておいで」

「……わかりました」

 

少し不服そうだったけどそれでも納得してくれた姉は妹の手を取り扉を開け敷地の中へ。

その瞬間、

 

『チュートリアルミッションクリア。それでは今から正式に転生を開始します』

 

そんなアナウンスが流れ俺の体が光出した。

足先指から光の粒子になって消えていく。

 

「っ!?お、お兄さん!」

「!」

「……あー、時間らしい。俺は俺の行くべきとこに還るっぽい。さよならだな」

「そ、そんな…!待ってください!まだ私…!」

 

待てと言われても…。

俺の意思じゃないし…。

 

「まあ、またどこかで会えるんじゃない?」

 

知らんけど。

 

「そん時を楽しみにしてるよ」

「……っ!」

「バイバイ」

「……わ、わたし!お兄さんに負けないほど強くなります!妹も守れるように…!」

「おう、頑張れ。応援してる」

 

そんな会話を最後に俺の視界は光に包まれた。

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぎゃあ、おぎゃあ…!」

 

赤ん坊になってた。

……いや、あの……キツイってぇ。




アンケート結果的に次から幼少期編書くことにしやす。
4、5話程度書いて原作に行く感じにしようと思います。
よろしくお願いします。

感想、評価待ってます。
……お気に入り登録してくれたらモチベが上がるよ。


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幼少期
俺の友達


ついに幼少期編突入。

暇だったから連続投稿。


 

 

 

窓から差し込む日差しで目が覚める。

子鳥のさえずりが耳に入り今日もなかなか爽やかな朝だ。

 

ベッドから降り服を着替え、持ち物を確認しランドセルへと突っ込む。

そのまま背中に背負い階段を下りてリビングへ。

そこには既にコーヒー片手に新聞を読む父君と朝ごはんの用意をしてる母君が居た。

 

「あらおはよう。今日も自分で起きてえらいわね」

「おお、起きたか」

「おう──っ」

 

 

 

【俺!参上…!】

【うるせえクソども】

 

 

 

……喧嘩腰やめね?お前俺の親に親でも殺されたんか?

 

「俺!参上…!」

「ヒューヒュー!俺の息子ヒュー!」

「写真写真…」

 

おい親父茶化すな。おいお袋ボーズ決める俺を写真に収めるな。

あぁ、今日も今日とて胃が痛い。

 

そんないつもの日課のようなやり取りを済ませ、朝食を摂る。

家族として当たり障りのない会話を挟みながらの朝食。意外と心地がいいものです。……選択肢(てめぇ)さえいなきゃなぁ!

 

その後は洗面台で歯を磨く。

目の前にある鏡に映る男。俺は歯磨きをしながらぼーっと見ていた。

 

特段何の変哲もない、変哲も無さすぎるモブ顔。

イケメンでもブサイクでもない、まさに普通。普通オブザ普通の顔。ショタという圧倒的プラス要素を持っていても、『あ、こいつフツメンやな』と思ってしまうほどのご尊顔。

 

イケメンじゃなくていいからなんかもっとこう特徴のある顔にしてもらいたかったな。まあ、ないものねだりはよしましょう。普通イコールマイナスでは無いからね。他でカバーしていけばいいさ。

 

そんな自分を慰めながら歯磨きを終え、いつものように学校へと飛び立つ。

玄関の戸を開け、見送りする両親に笑顔で言った。

 

「行ってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう」

「あ、おはよー」

 

そんな挨拶をしながらやってきた場所。

 

そう小・学・校。

 

生まれてからはや7年。あっという間のようなそんな感じがする。

赤ん坊の頃は大変だった。変に中身が大人だともうキツい。精神的に。

子供の振りをするのもだし何より母親のお乳を理性のあるまま飲むとかアレはもう拷問だよ。

おかげで俺は無の心を会得した。無我の境地である。

 

そんなことを思いながら自分の席に座る。

小学校の授業なんて楽勝だぜ、博識なところを見せてカッチョイイとこいっぱい見せちゃうぞ★とか思ってたら、まさかのそこら辺の知識が欠如してるって言うね。

覚えてるのは俺に前世というものがあるだけ。多少あんなことあったなー程度で親の顔とか名前とか知識とか、なんなら自分の名前すら思い出せん。ハードモードすぎやしねぇか神様よォ。

 

「よぉ、ボンちゃん」

「ん?……おぉ、イッセー。おはよーさん」

 

俺を転生させた神様に愚痴をこぼしていると横から声をかけてくる少年。

 

"兵藤 一誠"。通称イッセー。

 

この世界で初の友達だ。今日も爽やかなショタスマイル。

これは将来イケメンに育つ逸材ですよ。……まあ、中身がアレなんだが。

 

ちなみに"ボンちゃん"とは俺のあだ名である。オカッパの友情に熱いオカマを思い出すね。……俺もオカマ目指すべき?

 

本名は『(たいら)凡人(ぼんと)』。……ふざけてんじゃないかって思う。イタズラも大概にしとけよ神様さんよォ…!

 

「おう!あ、そうそうボンちゃん」

「ん?」

「今日放課後暇か?一緒に遊ぼうぜ!」

 

 

 

【だが断る!】

【いつ出発する?私も同行しよう】

 

 

 

また会ったな。そして、帰れ。

毎度あんたの出現にビクビクしながら過ごしてる俺の心を労わって欲しい。

 

断る理由もないし下一択なんだけどさぁ。……だから放課後つってんだろ。

話聞いてない選択肢が最近多くてため息しか出ねぇよ。

 

「いつ出発する?私も同行しよう」

「おう放課後だぜ」

 

知ってる。

こんな俺の訳分からん返答を聞いて嫌な顔せず爽やかフェイスで答えてくれるのは精神の安定に繋がる。やっぱり持つべきものは友だね。

 

「一旦家帰っていつもの公園集合な」

「うぃーす」

「あ、そうそう、紹介したい友達もいるんだよ」

「友達?」

「おう。近所に住んでてさ。学校違うみたいでボンちゃんはまだあったこと無かったはずだろ?」

 

……記憶にございませんな。俺の友達イッセーしかいないし。

……いや違うよ?俺がコミュ障とかじゃなくて、俺って中身がアレだからさ、どんだけ子供のフリしようとしても中途半端になっちゃって、そしたら子供たちが寄ってきてくれなくなっちゃっただけだから。……言ってて泣きたくなってくるわ。

 

「……多分?」

「だよな?だから今日そいつも誘ってるから3人で遊ぼうぜ」

「ええで」

「おっしゃ!じゃあ今日も頑張って乗り切るぞー!」

 

……わぁー、元気。俺も見習わねばな。

それにしても友達か。初対面の人には第一印象が大事だ。

 

……マジで頼むぞ選択肢。フリじゃねぇからな…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校も終わり、ランドセルを置き、我が母君にイッセーと遊んでくる旨を伝え公園にやってきた俺。

 

「おーい、ボンちゃんこっちこっちー!」

 

あ、イッセーが居た。隣には帽子をかぶった子もいる。

なるほどあの子が俺の新しい友達になってくれる子か。やったね。

 

「おまたー待った?」

「いや俺達も今来たとこだぜ。あ、こいつがボンちゃんな。ボンちゃんこいつが友達の"シドー"だ」

 

シドー?……ドラクエにそんなヤツいた気がする。

なんか破壊神とかそんな感じの……フッ、カッケーじゃねーか。

 

「よろしく──」

 

そう言って握手をしようと手を出した時だった。

 

 

 

【体洗う時は股間から洗うタイプ?】

【体洗う時は胸から洗うタイプ?】

 

 

 

……キシャマそんな趣味があったのかー!?




他には誰絡ませようか悩んでる。

モチベ向上のために感想、評価、あとお気に入り登録してくれるとうれしいなー……なんて。


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新しい友達

今回長めになっちゃった。


 

 

 

【体洗う時は股間から洗うタイプ?】

【体洗う時は胸から洗うタイプ?】

 

 

 

なんだよこの選択肢はよォ…!

選択肢、てめぇショタに何聞いてやがる…!キシャマかそんなやつだとは思わなかったぜぃ…!

 

まじで、ほんとに、頼むって言ったよね?

何?お前は初対面のショタに自分の体のどこから洗うのか聞いてんの?それ不審者だからやめた方がいいと思うゾ。

 

はぁ、この2つから選ぶのかぁ…。どっちがマシか?

一見これは胸、のように見えて股間の可能性も有り得る。男同士の冗談、と言うやつで済ますことも出来るわけだからね。……まあ初対面でそんな冗談言うなやと思うわけだけど。

 

でも、なんか胸だと……気持ち悪くない?なんか、なんかね?個人的にはなんかキモく感じた。

てなわけでここは上を選んでおこう。

 

「体洗う時は股間から洗うタイプ?」

「……ふぇ?……へ!?」

「気にしたこと無かったなぁ……、でも思い返すと俺もチ○コから洗ってるな」

 

お前(イッセー)には聞いてない。けどありがとう。お前が答えてくれると冗談っぽく聞こえるから助かる。

 

「ボンちゃんは?」

「俺も股間からだ」

 

本当は腕からだけどやはりここは話に乗るべきだ。

となると、

 

「「……」」

「う、うぇ?……あ、えーと、その……」

 

俺とイッセーの視線がシドーに突き刺さる。

恥ずかしそうに俯きながら顔を赤くしシドーは口を開いた。

 

「お、お股から、かな?」

「だよなー。やっぱりそうだよなぁー」

 

……そんな恥ずかしがる?

チャラけるイッセーを尻目に俺はシドーを見る。

顔を赤くし服の裾を握りしめ恥ずかしそうにプルプル震えている。……え?なんか罪悪感。

 

てか、お股って。おま、それ"股間"よりちょっとやらしい響きなんだからやめようや。

 

「よし!それじゃあ何して遊ぶ?」

 

何するか。ボールは持ってきてるようだしサッカー辺りを──

 

 

 

【カバディしようぜ!カバディ!】

【感謝の正拳突き1万回しようぜ!俺サンドバッグな!】

 

 

 

帰ってどうぞ。

小学生3人が公園でカバディとか危なすぎやろ!

正拳突き1万回は多すぎや。てか俺サンドバッグな!のところ意味がわからん!なんでそうなる!?

 

サンドバッグは普通にヤダし……、カバディかなぁ。

 

「カバディしようぜ!カバディ!」

「「……カバディ?」」

 

俺の言葉に首を傾げる2人。うん、やっぱり知らんよな。小学生でカバディ知ってるやつってそういなさそう。

 

「あー、知らないなら──」

「カバディってなんだ!?教えて教えて!」

「……っ!」

 

……食いつきやば。

詰め寄るイッセーにイッセーの言葉に激しく頷くシドー。

……もうこれはやる流れになってきたな。

 

その後カバディの説明をした俺。

イッセーのよしじゃあやろうぜの言葉で俺たちのカバディは始まった。

 

服は砂まみれになり全身すり傷だらけになった。家帰ったら母君からは怒られて父君からは爆笑された。ぴえん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の事だった、

学校の休みの日。街へゲームを買いに行った帰りの事。

いつも遊ぶ公園。そこを通りがかった時だった。

 

「バウバウバウッ!!!」

「あ、うぅ〜…」

 

なんかシドーがワンちゃんと遊んでる〜。訳でもなくてどうやらワンコロに靴の片っぽを持ってかれていたようで半べそかいていた。

 

つか、あのワンコロ、シェパードじゃね?あかんやつや。

しょうがないここは俺が行きますか。

 

「よっすシドー。どした?」

「え、あ、ボンちゃん。えっと「バウッ!!!」ひぃ! ……うぅ、靴取られちゃって…」

 

知ってる。

となればここは誰か大人の人呼んで──

 

 

 

【吠えた犬に驚き涙鼻水涎を撒き散らしながら大声で大人に助けを乞う。なんなら小便もぶちまけてみよう】

【フッ……、ここは俺に任せて先に行け】

 

 

 

0100かよ。加減を考えろ加減を。

教えはどうなってるんだ!教えは!

てかなんだよぶちまけてみようって。チャレンジ1年生なの?

 

クソが。俺にだってプライドはあるんだよ!

 

「フッ……、ここは俺に任せて先に行け」

「え?…え?」

 

シドーの前に出て犬と向かい合う。

いい目をしてる。まっすぐこちらを睨みつけて流石シェパード(ガクブル)

いや、マジで子供の体からしたらシェパードってライオンみたいだから。マジで。ほんまマジで。

 

これはどう取り返すべきか。なんならあのシェパード靴咥えてるし。……てか、シェパードをなんで放し飼いにしてる?

教えはどうな(ry

 

とりあえずどうしよう。正攻法じゃ無理だし……、

 

 

 

【目には目を。ここは犬の真似をして牽制してみよう】

【シドーに飛びつき無理だ!俺には無理だ!と泣きつく】

 

 

 

プライドはあるつってんだろ!

 

「ワンッ!ワンワン!ワワンッ!!!」

「………」

 

四つん這いになり吠える俺を訝しんだ目で見るシドー。

……おいおいどっちもプライドが折れる選択肢だったのかい。

 

「バウバウバウッ!!!」

 

ヒィ!

……俺には無理だ。ここは泣きつこう。命あっての物種だ。

 

 

 

【犬でダメなら次は熊だ!これで勝つる…!】

【涙鼻水涎を撒き散らしてシドーに泣きつく。死にたくない!死にたくない!と叫んでみよう!】

 

 

 

クォラァァァア!!!選択肢ぃぃぃい!!!

調子乗んなよてめぇ!何、より酷くしちゃってんだよ!

プライドはあるんだよ!やってやろうじゃねぇか!

 

「くま〜、くま〜」

「……えぇ」(困惑)

 

……おい、困惑しちゃってるよ。助けてる相手から困惑されてるよこれ。

てかクマの鳴き声はくま〜じゃないと思います(名推理)

 

がおーの形のポーズ取ってくま〜くま〜はアホでしょ。

 

「バウバウバウッ!!!」

 

はい次ぃ!

 

 

 

【こうなれば百獣の王、ライオンをその身に宿すしかない】

【涙鼻水涎を撒き散らしてシドーに泣きつく。なんならシドーを犬に差し出して俺は助けて貰えるように交渉する】

 

 

 

とりあえず下は無視して……上は不安しかないんだよなぁ。

まあ、道はそれしかないから選ぶけど。

 

「にゃ〜、にゃ〜」

 

……それはもう猫なんよ。

 

「……プフッ」

 

笑ったね!その心、笑ってるね!言っとくけどね!こっちは真面目にやってんだよ!……尚更アホらしくなってくるわ!

 

「……バ、バゥ?」

 

いや犬にも困惑されたんだけど。どないせっちゅーねん。

 

 

 

【致し方なし。ここは伝家の宝刀を抜く時が来たようだ】

【一糸まとわぬ姿で穴という穴から色んな液体を吹き出しながら阿波踊りをする。これで犬は撃退できるね】

 

 

 

もう下の選択肢はよくわからん。どういう状況?

想像してみ?……馬鹿だろ。

確かに犬も逃げ出すよ?……人の尊厳もどっか逃げてくからね?

 

となれば上なんだが……伝家の宝刀って何…!?

俺も聞いたことないんだけど。怖いんだよ。言葉足らずすぎてもうほんとにヤダ。

まあ選ぶけどさ。

 

「……あ、UFO」

 

選んだ瞬間、空を指さしながら俺の口はそう動いていた。

 

……こ・れ・か・よ。

こんなん誰も引っかかるわけ──

 

「……っ!」

「え?」

 

おいマジかよ。シドーも犬も俺の指の先に振り向いてるんだけど。

スゲーナ、デンカノホウトウ。

 

てなわけで今だ!

 

振り向いた拍子に口からこぼれおちた靴。それに向かって手を伸ばす。

一直線に靴へと吸い込まれていく我がお手手。

 

そしてついにその掌に捕えることが出来た。やったぜ。

 

そして、横から俺の腕がパックンチョされた。

 

………まじかよ。

 

「痛ってぇ!」

「っ!ボンちゃん!」

「やるかてめ、このやろ…!」

「グルルルゥゥウ…!」

 

ふーん、あ、そう。ふーん。そういう目しちゃうんだ。ふーん。

 

 

 

【テメーは俺を怒らせた】

【俺が悪かった許してくれ】

 

 

 

「テメーは俺を怒らせたぁぁぁぁあッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い激闘を終えた俺は今シドーと一緒に帰路へと着いていた。

シドーの足にはちゃんと両足揃った靴がしっかりと履かれている。

 

「む、無茶しすぎだよ…。そんなボロボロになって…」

 

噛みに噛まれた俺の体からは至る所から出血していた。体当たりされてアザもできたし、引っかかれて切り傷もできているって言うね。

明日は病院だぜ…。

 

 

 

【俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった…】

【惚れた…?】

 

 

 

……ショタに惚れられても嬉しくないです。

 

「俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった…」

「我慢の範疇超えてるよ…」

 

呆れられたぜ。

 

「ごめんね。そんな大怪我させちゃって…」

「……何を言う。こんなのが大怪我?……死んでないならかすり傷だ」

「……っ。ボンちゃんって、やっぱり強いね」

「だろ?俺つえーの」

「うん……強いね。……ありがとね、ボンちゃん」

 

そんな会話をしながら家に向かうこの時間は、存外悪くはなかった。

 

少しはシドーとの仲は縮められたらうれしいな。




感想、評価待ってます。


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初めての神社

おふざけ選択肢パートと真面目オリ主パートの差がすごい。


 

 

 

さて問題。

今、俺はどこにいるでしょうか。

 

正解は〜、

 

「見られたのなら生かしておく訳には行かん」

「子供とて容赦はせん」

「己の悲運を恨むんだな」

「そ、その子は関係ないわ!だからやめ…!?……ケフッ!」

「お、お母さん…!」

 

とある神社で黒い羽の生えた人達に囲まれてましたー!

HAHAHAHAHAHA!

ははは、はは、はぁ………なんでこうなった。

 

俺は思わず頭を押えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は学校も休み。

日中の特別休暇ということで親はどちらも仕事に。イッセーは別の友達とどこかに遊びに行き、シドーはどうやら家の用事で教会の方に用があるとかで暇を持て余した俺。

寂しいとかそんなことは無い。断じてない。ホントダヨ?

 

ただ、まじでやることがない。

てなわけで気ままに散歩していた。

 

俺の住む町、駒王町。

山に囲まれた都会というよく分からない町並みの広がる場所だが存外気に入ってる。

 

前世は確か田舎育ちで不便も不便な生活を送っていた、ような気がする。

そんな環境と比べてみると利便性◎、懐かしさ花丸をあげたくなるような風景が広がる町。

 

今日は少し遠出しようと思い歩き続けていたが、

 

「ここどこぉ?」

 

どうやら迷子になってしまった。

思っていたよりいつもの活動区域から離れた場所に来ていたらしい。

 

知り合いもいない中どうすることも出来ないままとりあえず歩いていた。

そんな中で見つけた、ドドドンッ!!!と構えられた石階段。

それを見た瞬間だった。

 

 

 

【この先に新たな出会いが待っている。行くしかないっしょ!(オススメ)】

【何やら嫌な予感がする。ここは引き返してお家に帰ろう(やーいチキン)】

 

 

 

いつものあいつがやってきた。

この時の俺は冷静さを欠いていたなと思うよ?

 

やーいチキンなんてことをこの選択肢から言われるイラつきは説明に難なくないだろう。

 

つまりはそういうことだ。

腹が立った俺は、やってやろうじゃねぇかよォ!と意気込んで上を選んでしまったのだ。

 

選んだ瞬間に勝手に階段を登り始める我が体。ほんとに俺の体なんだよな?と毎度思うほどに勝手に動く。

 

そして、登った先で見た光景。

それはまさに大和撫子という言葉がピッタリ似合う母娘が数人の黒い羽が生えた男たちにあんなことやこんなことをされる寸前のシーンが俺の目に飛び込んできた。

 

これはまずい。

そう思い踵を返そうとしたが、

 

 

 

【まずい!可愛い子がピンチだ!ここは一発かましてこちらに一旦注目を集めよう!】

【面倒事は避けよう。あの母娘がどうなろうが知ったことじゃない。殺されても犯されても俺は他人だ。我が身欲しさにここは逃げる一択だ。そして目を背けたことを一生後悔するのだ】

 

 

 

良心に訴えかけるのはずるいと思うの。

もう下の選択肢、後悔すること確定なんだよなぁ。

 

人のいい俺は苦肉の決断で下を選ばないことに決めた。いや選べなかった。故に上を選んだわけだが、

 

 

 

「テーテテテーテ……

 

 

 

 

 

 

うんちょこちょこPィィィィィィイッ!!!

 

いやもう馬鹿なんじゃないかって。

そんな雰囲気ではないじゃんと。

 

もうヤケクソでやりました★

 

そんな俺の言葉に驚いた母娘に男たち。いや、すごい驚いた表情でね、こちらを見てね。そしたらね、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭のようなことになったわけですよ、はい。

 

「……運のない子供だ。最後の言葉くらい聞いてやろう」

 

ピカピカ光る槍を手にした男が切っ先向けながらそんなことを言った。

 

「待って!その子は関係ないのよ!やめてあげて!」

「ええい!うるさい!貴様も!その娘も!すぐにあの世に送ってやる!そこで黙って見てろ!」

 

母親の必死の叫びに怒鳴り声を上げる別の男。

母親の様相はもう散々たるものだった。体のあらゆるところから血を流し恐らく片腕折れてる。

それでも娘の方は無傷でいた。母は強しってね。さすがだと思う。

 

致し方なし。不本意ながら首を突っ込んだのであれば助けてやらねば無作法というもの。

 

ここはアニメ世界。恐らくこの母娘、もしくは母親だけかもしれないが原作じゃ流れ的にこのまま殺されていたんだろう。

原作の流れを変えていいのか?……フッ、いいに決まってるじゃないか。

 

ここはアニメ世界……"だった"場所だ。今は俺の"生きる世界"なのだ。

だったら原作だなんだと気にして助けられる命を助けないとかクズ以外の何者でもないだろ。

……あれ?今の俺かっこよくね?

 

「おっさん」

「……っ、なんだ?」

「抵抗してもいいの?」

 

そんな俺の言葉に男は額に青筋を浮かべながらその手にした光の槍を大きく振りかぶった。

 

「出来るものならなぁぁあ!」

「っ!やめて!」

 

許可が下りた。では遠慮なく。

 

「「「っ!?」」」

「……え?」

 

振り下ろされた光の槍を両手で掴み後ろに力で押されながらも受け止める。

その光景を見た男たちは驚愕の表情に染っていた。

 

やっぱこの能力強いよな。子供の体格でもこの男たちと互角の強さになれるの普通に強能力だよな。

さて、それじゃあ、

 

「おっさんたち」

「「「……っ!」」」

「泥仕合になるけど、覚悟しろよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喧嘩が始まって数分が経った。

辺りの地面は抉れて、建物にもいくつもの傷が入ってる。

 

そして、

 

「はぁ…はぁ…」

 

目の前には血だらけの男。

その近くには倒れ伏してるほかの二人の男もいた。

 

何とか2人はもっていけた。ただラストがやっぱりキツイ。今の俺の体も刺傷切り傷無数に出来ていて、さらには左腕の感覚がほぼ無い。切り落とされたわけじゃないけど多分骨がバッキバキに逝ってる。

アドレナリンのおかげで痛みは無いけど……、うーん、キツイ。

 

「なぜ……、まだ立っていられる…!」

「ん?」

「流血も酷く、意識が朦朧としてきているはずだ…!足にも無数の傷が出来て力が入らなくなってもおかしくない程のダメージ…!なぜまだ俺の前に立っていられるんだッ!!!」

 

……何をおかしなことを言っているのやら。

 

「喧嘩慣れはしてるしね。これくらいの怪我、覚悟の上で喧嘩始めたんだ。今更どうってことないでしょ。……もしかしておたくはそこら辺の覚悟なしに戦ってた?」

「……っ!」

「ダメだよ。……喧嘩は洒落じゃないんだから

「〜〜っ!クソがッ!!!」

 

そう言って飛び出してくる男。

それに対処しようと、

 

「……っ」

 

やべ、思ったより足に来てたっぽいな。膝から力が抜けちった。

 

「死ねッ!」

 

その隙を突いて男の手に握られた光の槍が眼前にまで迫っていた。

まず──

 

その瞬間鳴り響いた雷鳴の音。

一瞬、目の前が光に覆われた。

 

「っ!」

 

光が晴れるとそこには黒焦げになった男が地面に横たわっていた。

 

「はぁ…はぁ…、いつまでも子供に任せきりは良くないですからね」

 

そう言ってにこやかに笑う母親。

どうやら助けてもらったらしい。

 

「ありがとね」

「いえ、それはこちらのセリ──っ!」

 

さすがに疲れたな。3人相手は子供のからだだとキツすぎる。

母娘の声を耳にしながら俺の意識は落ちていった。




戦闘描写めんどくさくて省いちゃいました。
原作突入したらちゃんとそこら辺の描写書くんで許して。

ちなみに男二人の倒し方は金的です。そこ狙えばワンパンだね(男限定)

感想、評価待ってます。


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友との別れ

幼少期編、チュートリアル変に比べて文字数多い。


 

 

 

「そのバナナはおやつじゃなくて俺の晩め、し……だ?」

 

意識が戻った途端、そんな訳の分からんセリフを吐きながら上体を起こした。

辺りを見るとなかなかに荒れた地面に一部が破壊された神社跡。

 

……俺は何をしてたんだっけ?

 

散歩して、階段見つけて、選択肢出てきて、選んだら階段登って……あぁ、喧嘩してたんだった。

気絶するとは情けない。これは反省者ですよ。

 

「ん?」

「「……っ」」

 

……なんか目が合った。黒髪美人の母娘。驚いたようなそんな顔で俺と目が合う。

やめて、そんなに見られると好きになっちゃう。

 

そんなことを思いつつ"左手"で頭を搔く。

 

……ん?あれ?左手って折れてなかったっけ。

 

見てみる感じ折れてるように見えない。なんなら細かな傷すら見えない。あんな激しい喧嘩でそんなのおかしいし……、はっ!まさか俺の秘めたる回復パワーが覚醒したのか!?

 

「あ、腕や大きな怪我は直しておきましたよ。細かな傷までは……量が多くて全部は……」

 

母親の言葉に少し肩を落とす。

……俺の不思議パワーじゃなかったんだな。

 

 

 

【ありがたき幸せ(片膝ついて)】

【チッ、余計なことしやがって】

 

 

 

道徳0100か。

もっと中間のバランスいい選択肢だせよ。

 

下は論外だけど上は上で重いわ。

はぁ……。

 

「ありがたき幸せ」

「え?あ、い、いいのよ。それに感謝をするのはこちらの方ですから」

 

ちょっと困惑された。

そらそうだ。いきなり片膝ついてありがたき幸せとかいう子供。あらあら可愛いわねで済ませる大人がいたら会ってみたい。

 

「まぁ、何はともあれ2人死んでねんなら良かったってことで」

「えぇ本当にありがとうございます」

 

それにしたってなんなんやろかこの男どもは。

未だ気絶している彼らは動けないように縄でぐるぐる巻きにされていた。

 

悪魔……とはまた違うよな。いつぞやに見たデブ悪魔の羽ってこんなんじゃなかったし。となれば天使?いや黒いから堕天使?

チュートリアルの時そんな奴らもいるってチョロっと言ってたよな?

 

「……あなたは誰なの?」

「ん?」

 

考え事する俺に聞いてきたのは娘ちゃんの方。

 

「俺はね──」

 

 

 

【ハジケリストです(ギャグルート)】

【通りすがりの仮面ライダーだ(通常ルート継続)】

 

 

 

またお前か。

ギャグルートは選ばんぞ。俺は!絶対に!

 

「……通りすがりの仮面ライダーだ」

「かめんらいだぁ?」

「その通り。仮面ライダーとは正義の味方なんだぞー?」

「正義の…味方…!」

 

あらヤダこの子お目目キラキラしてらっしゃるわ。これを機にライダーオタクになることを勧めよう。

 

てかこの子も俺と同い年くらいっぽいよな。襲われてたというのによく泣かなかったな!君は仮面ライダーの素質があるぞ!……いや、プリキュアかもしれん!

 

そういや今何時だろ?スマホは……まだこの歳じゃ持ってないし、腕時計は……ああ、この前イッセーたちと遊んだ時に壊したっけな。

 

「あのー、今何時か分かります?」

「ん?……今はね…3時前になるわね」

 

3時前か。気絶して数十分くらいしか経ってない感じだな。

 

「あ、あと〇〇の行き方って分かります?」

「〇〇?それなら階段降りて左に行くと大通りに出るからそしたら駅方面にまっすぐよ?……もしかしてあなたあそこの地区の子?遠かったでしょ?」

「男の子は冒険が好きなんです」

「あらあらそう。ふふふ、いいわね」

 

口元を手で隠して微笑む母親。

何この母性の塊。好きになるわ。

 

『朱璃ぃッ!!!朱乃ォッ!!!』

「「「!?」」」

 

唐突に聞こえた男の声。

 

 

 

【まずい!可愛い子の最強守護神、パピーが帰ってきたようだ!ここは戦略的撤退!逃げるべし!】

【フッ、新たな刺客か。よかろう。我が相手をしてやろう!】

 

 

 

戦うか逃げるしかない件について。話し合う選択肢はないの?

ここは穏便に話し合いで、とかじゃなくて穏便に暴力でってこと?……穏便とは?

 

しょうがない。残っても争いがあると言うなら帰りますよ。大人しく。

 

「おっと自分はそろそろ塾の時間だ。じゃあこれにて」

「え?」

「あ、ま、待って…!」

 

後ろから母親の戸惑う声と叫んでくれる娘ちゃんの声を聞きながら俺はその場を後にした。

ごめんよ。選択肢は絶対でな。自分の意思じゃ止まれないの。

 

家に帰ったら傷だらけの俺を見て母君からまた怒られた。

……最近俺ってば怪我してばっか。……ぴえん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数ヶ月後のある日の事だった。

俺たちは今空港にいた。

 

「あちらでも頑張ってきてください」

「風邪にはお気をつけて」

「えぇ、行ってきます」

 

そんな会話をする我が母君とイッセーとシドーの母君。

今日はシドーが引っ越していくとの事でお見送りに来た。しかも引越し先が海外らしい。

 

シドーの家はそれはそれは神様大好きな宗教家らしく、本場のイギリスに行ってくるぜってことらしい。

 

「お別れになっちゃうね」

「おう!でも俺たちは友達だろ!」

「…っ!うん!」

 

イッセーの言葉に元気に返すシドー。なかなかいい雰囲気じゃないか。お兄さん将来が楽しみだよ。

 

「ボンちゃんも元気でね」

「シドーも風邪引くなよ」

「分かってるよ」

 

今日も今日とてトレードマークの帽子をかぶってる。

俺も何かトレードマークを持つべきか。……いつも着てるパーカーをトレードマークにしてみるかな。

 

「あ!そうだ!俺ちょっと物取ってくるから待っててくれ!」

 

何かを思い出したかのように走り出すイッセー。……なるほどな。アレか。アレ取りに行ったかあいつ。

 

「……ねぇ、ボンちゃんって神様は信じてる?」

「ん?」

 

こりゃまた唐突な質問だな。

そんな質問宗教家に対してなかなか返答が難しいぞ。

何か角の立たないこと……、

 

 

 

【神は死んだ】

【俺は一生……神には祈らねぇ】

 

 

 

角を立たせるなつってんだよ。

 

神様信仰してる人に『神は死んだ』(キリッ)とか言ってみ?なんやこいつ?ってなるやろ。

下も下で、上よかマシだけどなんやこいつ案件まっしぐらや。逃げ場ねぇなこんちくしょう。

 

「……俺は一生……神には祈らねぇ」

「っ!……そ、それはどうして?」

 

……ほら見ろ。なんか声音が悲しくなっちゃってるよこれ。ごめんなほんと。

 

「人を生み出したのが神だとして、それならありがとうとは思うよ。けど人生において出てくる苦難困難が神が用意したものっていうのはいまいち俺はよく分からん。神が用意したものだろうがしてないものだろうが、その苦難困難を乗り越えるために神様、私に力を貸しては俺は好きじゃないな」

「そっか……」

 

俺の言葉に顔に影を落とすシドー。

 

「……だって人はそこまで弱くないと俺は思うからね」

「え?」

「俺はこの逆境を俺の力で乗り越えてやるぜ。だから神様俺のすげーところ見てろよ。的な?神の力よりやっぱり自分の力を信じてたいじゃん?」

「……っ!」

「神様を信仰するのは悪いことじゃない。ただその神を頼りに"しすぎた"時、俺は人としての成長は止まるんじゃないかなって思うのよ。だから1番は自分がどう思ってどう行動するか。神には頼らず見守っててねくらいがちょうどいいんだよ。……と俺は思ってるよ」

「……」

 

俺の言葉に惚けるシドー。

固まっていたそいつは少し時間を置いてから何やら納得したように首を縦に動かした。

 

「うん、うんうん……そっか!そうだね!自分ももう少し自分の力信じてみようと思う。ありがとね、ボンちゃん」

「……いいってことよ」

 

……今の俺カッケーな。素晴らしくかっこよい。

自己肯定感高めてけ?

 

「おーい!」

 

あ、イッセーが帰ってきた。

手には何やら本のようなもの。

 

息を切らしながらイッセーはそれをシドーに対して差し出した。

 

「はいこれ」

「これは?」

「ボンちゃんと二人で作ったアルバムだ!これみて俺たちのこと思い出してくれ」

「〜〜っ!ありがとう!」

 

作ってあげようぜ的な選択肢が出てきてくれたおかげだぜ。

たまには仕事するじゃねぇかよぉ。

 

「そろそろ行くわよー!」

「あ、うん。分かった!……それじゃあね」

 

そう言って手を振りながら行こうとするシドー。

 

 

 

【もう二度と帰ってこなくていいぞー!】

【このパーカーをお前に預ける。俺の大切なパーカーだ。いつかきっと返しに来い】

 

 

 

おう、水差すなや。

道徳0100なんよほんと。

 

まあ、下選ぶけどさ。

 

「シドー」

「え?」

 

呼び止めたシドーに来ていたパーカーを渡す。

 

「このパーカーをお前に預ける。俺の大切なパーカーだ。いつかきっと返しに来い」

「……うん!じゃあ……はい!」

 

パーカーを受け取ったシドーは被っていた帽子を渡してきた。

 

「ボンちゃんにこれを預けます。また会った時交換こしようね」

 

そこで初めて見るシドーの素顔。

俺は固まってたと思う。

 

「あ、うん」

「じゃあね!」

 

そう言って今度こそ親の元へ行ってしまったシドー。

 

そのまま出発時刻になり、飛行機は飛んでいってしまった。

そんな飛び去る飛行機。それを見ながら俺は思った。

 

シドーって女の子だったんだな、と。

なんなら下の名前も聞いたこと無かった気がする、と。

 

そして、そんな女の子に初対面で体洗う時は股間から洗うか聞いたヤツがいるらしい。まじかよそいつ最低だな。




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アニマルの可愛さには敵わない

今回長すぎ…、疲れた。


 

 

 

○月✕日 天気:明日へ続く明るい空

 

今日から家族旅行で京都に来た。小学校の卒業祝い的なアレだ。

それの記念といっちゃあれだけど旅行中は日記をつけてみようと思う。

 

4泊5日のまあまあな期間の旅行。

前々からすごく楽しみにはしてた。京都とか何気初めてだからね。

 

とりあえず初日は泊まる宿に向かい荷物を預け近くの街へ繰り出した。

宇治抹茶やら八ツ橋やらを堪能した。美味しかった。

 

次いでにお土産屋に行ってイッセーの家へ渡すお土産に目星をつけたりもした。……取り敢えず剣にまとわりついてる龍のキーホールダーは確実に買って帰ろう。定番だもん。

 

 

 

 

 

△月□日 天気:我が心は晴れ模様

 

朗報、我に友達出来た也。

 

可愛い、それはそれは可愛い金髪の女の子。

あと他にはその女の子に引っ付いてた子数人とも仲良くなれた。

 

親父やお袋が京都の知り合いと昼間っから酒を飲んでる間暇だったから、散歩がてら1人で京都の街をブラブラ歩き回っていたらたまたまばったり出会った。

 

最初はめちゃめちゃ警戒されてたけど、その時に出た選択肢が一発ギャグでそれを披露したらお前面白いやつだな的な流れで仲良くなれた。

……あんた、たまには仕事してくれるじゃねえか。それはそれとしてエドはるみの真似をさせたことは恨むけども。

 

仲良くなってお手手繋いで京都を案内してくれたのは普通に楽しかった。もうデートよデート。

とりあえずロリコンじゃないが、もうあの子が可愛くして仕方ない。

 

先生のことをお母さんと呼ぶあの現象。あるじゃん?あの子俺の事間違えてお兄ちゃんなんて呼んだの。もう俺はお兄ちゃんです。

これからも妹分として仲良くしていきたいもんだ。

 

……それはそれとしてあの子の頭に生えていたケモ耳や腰から生えたフワッフワのしっぽは恐らく幻覚だと信じたい。

 

 

 

 

 

?月!日 天気:きっと明日も俺の心は晴れるはず

 

旅行三日目。

友達になった女の子。クノウちゃんが俺の止まる旅館に尋ねてきた。……母親と一緒に。

 

その母親さん、ヤサカさんはどうやら娘と遊んでくれたことに感謝しに来たようだった。なんと律儀。見た目だけではなく中身も綺麗だったとは。

 

そう思ったのは事実だけど選択肢、お前は出しゃばらないで欲しかったぜ。

相手、美人とはいえ娘持ちの一回り年上の女性なんだからな?なんで俺みたいなガキ畜生に告白まがいのこと喋らせんねん。

 

年下は男としてどう思いますか?じゃあらへんがな。

じゃあなんで言ったのかだって?お前、もう1つの選択肢が【失せろ、獣畜生】だったんだよ?選べるとお思いで?

 

あらあらうふふで済ませてくれてよかったけど俺の心臓は別の意味でバクバクしてた。なにせ、妹(仮)に両親までいる中のそのセリフだもん。

 

まあ、母親は母親で流石私の息子(涙)とか言うし父親は父親で色を覚える歳か(しみじみ)とか言うし。

クノウちゃんだけは驚いた顔でこちらとヤサカさんを交互に見てた。

 

自分のことを指さして詰め寄ろうとしてきたのでとりあえずサムズアップしといたら満足気にうなづいて落ち着いてくれた。

すまんな。もうお前さんのお母さんは口説かないからね。……選択肢次第だけど。

 

そこからは家族全員でヤサカさんの案内で京都の観光名所を回りに回った。

 

……足は疲れたけどクノウちゃんが楽しそうだったので良しとする。

 

 

 

 

 

★月◆日 天気:我が拳は天を穿つ

 

ついに四日目だ。

京都に居るのも今日と明日の2日のみ。そう考えると寂しくなるな。

 

今日はなにやらお祭りがあったようで午前中は立ち並ぶ屋台を家族+ヤサカ母娘で回っていた。

定番の焼きそばやらわたあめやら、食いすぎて腹が痛い。

 

クノウちゃんと金魚掬いしたり、射的したり、どっちが多くゲット出来るか勝負したりしたけど、まあ俺が勝ちますわな。年上ですし。……またなんか俺やっちゃいました?

 

射的で当てた狐のぬいぐるみを渡したらめちゃめちゃ嬉しそうに抱っこしてた姿は脳内HDにしっかりと保存済みだ。

 

その後屋台を満喫した俺たちは夜、打ち上がる花火を見ようとヤサカさんの伝で屋形船に乗った。

前世含めて人生初だった。

 

そこからみんな酒も入り、俺たち明日帰んだよねーとか話したらクノウちゃんがぐずっちゃった。

ぞんがいなつかれてたようでメチャ嬉しい。もうあっちもあっちで吹っ切れて俺の事をお兄ちゃん呼びするのが普通になってたからね。

 

そんなクノウちゃんを見ていたら現れた選択肢。

 

【ここは兄妹の盃を交わし切っても切れない絆を生み出すべし】

【旅ちは出会いと別れが付き物。この場だけの友情ならば安い言葉を投げかけるべきでは無い】

 

いや、なんかね……珍しく真面目って思ったよ。

いや、盃交わすってなかなか重いけどいつもに比べたら幾分もマシよ。

 

まあ当然上選んだよね。可愛い妹分だ。いや……今日からクノウは俺の妹よ!

そんな説明して盃交わしたらめっちゃ笑顔になってた。妹の笑顔を守るのは兄の特権だからなぁ。任せとけぃ。

 

……ちなみに未成年だからお酒の代わりにりんごジュースでやりました。美味しかったです。

 

 

 

 

 

♡月♥日 天気:別れ時には晴れ晴れな笑顔で

 

ついに最終日。

今日のお昼に京都を出た。

 

午前中は例に漏れずヤサカ母娘と過ごした。おすすめのお土産をいくつか見繕い。最後にヤサカさん手作りのお守りも貰った。

 

あとクノウちゃんからは手作りのミサンガ。

自分のしっぽの毛を使ったものらしい。……しっぽはどうやら幻覚じゃなかったらしい。

 

今俺の左腕にはそのミサンガを装備している。

妹からのプレゼント、これは感涙ものです。

 

お返しに俺は懐中時計を渡した。

最近、中学生になるってことでスマホ買ってもらったしいいかなってことで。

見た目が好きで買ったけど、いちいち取り出して蓋開けてっていう動作のひと手間が何気にめんどいし、なんなら安物だったけどそれでも我が妹は飛び跳ねて喜んでいた。

 

そんな姿を見て俺も心がぴょんぴょんするじゃあ。

 

そこからまた会おうねと約束してバイバイした。

最後の最後に選択肢さんにいい女になれよ!と言わされたがクノウちゃんはやる気に満ち満ちていたのでまあ良しとしよう。

 

またな京都。俺はビッグな男になって帰ってくるぜ。

 

……ちなみにイッセーにはちゃんとドラゴン剣のキーホルダーをお土産で叩きつけてやった。

めちゃめちゃ喜んでた。

へっ、チョロいぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あるぅ日♪街の中♪

黒猫に♪出会ぁた♪

 

ある日の学校の帰り道を歩いていたら、黒猫にばったりと出会ったのである。

中学生になり、新しい登下校の道。

さらには近道になる路地裏でその黒猫はぐったりとしていた。

 

よく見てみればなかなかに傷だらけの体。

これでも俺は猫好きなのである。となれば選択肢に頼ることなく俺の行動は決まっていた。

 

「に、にゃぁん……?」

 

俺が近づくとのそりと立ち上がったその黒猫はこちらを弱々しい目で睨みながら威嚇してきた。

 

なるほど、人間不信になりかけているのか。いや、もうなっているのか。こうなっては仕方ない。

 

 

 

【優しさ溢れる俺には見るに堪えない。ここはひと思いに殺ってしまって楽にしてやろう】

【人のエゴを押付け、手厚い看護をするために保護をする。ただし、治療をするのが動物にとって幸せとは呼べないことを忘れてはいけない】

 

 

 

猫好きなだっつってんぢゃんッ!!!

なんなんだろうかこの選択肢は。この黒猫になにか恨みでもあるのか?見捨てることを是とする選択肢とか聞いたことないわ。

 

当然下をポチー。

 

「ハイハイ大丈夫だよー。落ち着こうねー」

「ふしゃあ…!」

 

抱っこをしたら引っかかれた。弱々しい攻撃だがそれでも痛い。

いいんだ。ここは甘んじて受け入れるさ。

確かに動物を助けるのは人のエゴかもしれん。だがそれでも助けたいと思ったのなら助ける。それの何が悪いというのだ!

 

 

 

てなわけで引っかかれ噛みつかれながらも帰宅。

 

「母ちゃん」

「んー?どうしたのー?」

「俺猫拾ったー」

「え?……あんた傷だらけじゃない」

「これは猫と戯れた証さ……」

 

そういう俺の目は遠い目をしていたと思う。

 

さて、母親と協力しつつ治療をしていく。

治療最中も暴れるので俺が抱っこしながら落ち着かせつつ母親が包帯を巻いたりしてくれた。……一向に大人しくなってくれなかったけど。

 

俺の犠牲もありつつ何とか治療を終え、ミルクや刺身やらを皿にとりわけ猫に出して、俺は母親と話をした。

 

「どこで拾ったの?」

「裏路地」

「……飼うの?」

「え?ダメ?」

 

そんな俺の言葉に頭を悩ます母親。

 

「私はいいけどあの人がなんて言うかしらね…」

「親父かぁ」

 

思い浮かぶのは父親の顔。

ペット欲しいなとは前々から言ってたことがあるけど頑として父親は生き物を飼うのは大変なんだぞーと言われ飼うことが許されなかった。

 

やはり強敵。この壁を乗り越えなければ俺は黒猫を飼えないというのか。

 

ひとまずち父親を待とう。話はそれからだ。

 

 

 

「ダメだ」

 

帰ってきた父親にそう言われた。

 

「ええー、いいじゃん」

「ダメだ」

「見てよ可愛いよ?」

 

首を横に振る父親に黒猫を抱っこして見せつける。

父親が帰ってくるまでの間に多少警戒心を解いてくれた黒猫は今や俺の腕の中では大人しい。可愛い。

 

「……ダメ、だ」

 

言葉に詰まったぞ。ここは攻め時だ!

 

「……それなら仕方ない」

「そうか、分かってくれた──」

「行け!」

「どぅわ…!」

 

油断した父親の膝の上に黒猫を乗せる。

黒猫はそのまま父親の腹に頬擦りを始めた。

 

「ぬ…ぐ…!」

「ほれほれ可愛いだろー?」

「ぬぐぐぐぐ…!」

「ほれほれー」

「ぬぐおぉぉぉぉお!」

 

そして十数分後。

 

「あー、可愛いでちゅねー。よしよしよし」

 

父親は黒猫にデレデレになっていた。

やはりみな、猫様の可愛さには叶わぬのだ。

 

「飼う事決まったけど名前は決めてるの?」

「え?うーん…」

 

母親にそう言われるが確かに考えていなかった。

どうするか……、

 

 

 

【ここはシンプルに黒猫だから、クロカでいこう】

【ここは逆に奇抜にカヴァス二世でいこう】

 

 

 

一世はどこぞ?

奇抜も奇抜すぎだろ。

 

だが、クロカか。これは脱帽。なかなかにいい名前を思いつくじゃないか。

 

「ここはシンプルにクロカでいこう」

「っ!?」

「あらあらいいわね。私も覚えやすいわ」

「今日から君はクロカちゃんだよー。よろちくねー」

 

黒猫、いや、クロカがなにやら驚いたような表情でこっちを見てる気がする。

 

だがまあこれで我が家に家族が1人増えたわけだ。

……親父はキモイから早く黙れ。




次回から原作突入です。

感想、評価待ってます。


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原作突入
甘党後輩


主人公が選択肢の魔の手から逃れられる日は来るのだろうか?
いいや無い!


 

 

 

あたらしい家族を迎え入れてから早数年。

様々な苦難(選択肢)を乗り越えた俺は今やピチピチの高校二年生になっていた。

 

もうこの数年は色濃かった。脂マシマシ豚骨ラーメンバリに濃かった。

 

このままだとこの先の戦いについて来れないから体を鍛えよう的な選択肢が出たおかげでこの日まで俺は某最強ハゲヒーローの筋トレメニューを毎日やらされたし、うちの愛猫の可愛さに酔いしれた不審者たちによく絡まれたりもした。

 

何度かクロカが姿を消すことがあったけど、その度に探し回って連れ戻したりした。余計なお世話だったのかもしれないけど、それでも今はたまにいなくなる時はあるけど毎日ちゃんと家に帰ってきてくれるし、なんなら俺の膝の上でゴロゴロ鳴きながら丸くなってる姿を見ると……( ᐛ)カワイイ(脳死)

 

そんな中でも癒しだったのは今や海外に住む幼馴染や京都にいる我が妹からのお手紙。ありがたかった。それのおかげで俺はまだ戦える…!

 

とまあそんな生活楽しくもあり苦しくもあり、辛くもあり忘れたくもあり……イヤな思い出の方が多いな。

 

そんな俺ももう高校二年生か……、フッ、時間が経つのは早いぜ。

取り敢えず今日も大人しく過ごそ──

 

「なぁボンちゃん!お前はおっぱいとお尻どっち派だ…!?」

「やはりおっぱい、だよね?」

「おっぱいしか勝たん…!」

 

悲報、大人しく過ごせない。

自分の席でスマホをいじっていたらそんなことを聞いてくる"いつもの3人組"。

ハゲ(松田)メガネ(元浜)とイッセー。

 

このアホどもは駒王学園変態三人衆みたいなそんな感じで呼ばれるほどの変態である。

イッセーよ。昔から変態の片鱗はちょくちょく見えていたが……やはりこうなるか。慢心、環境の違い。

 

俺は目立たないフツメンなのにこいつらがこうやって絡んでくるせいで俺も『あれ?もしかしてあの人も変態…?』とかいう視線が刺さるからやめて欲しい。ただ、みんなの頭から忘れ去られるような印象激薄モブキャラである俺は、次の日になればだいたい忘れられてる。

 

喜び難く涙が出るで候。

 

とりあえず質問か。ここは無難にこいつらを落ち着かせる言葉を選んで──

 

 

 

【胸かケツだって?何を言う俺は断然〇〇〇(ピー)だ。女の〇〇〇(ピー)から溢れる〇〇〇〇〇(ピーーーー)は格別だぜ…!】

【胸だろうがケツだろうが大事なのは"誰の"なのか。そこを俺は大事にしている……】

 

 

 

落ち着かせるんだよォッ!!!

 

なんやピーーーーって!今までの経験からしてそれはドギツイ下ネタなんだろどうせよォ!くたばり散らかせ!

 

となれば下……もキチィー!上よかマシだけどキチィー!俺の学園生活に平和が欲しい…。

 

「胸だろうがケツだろうが大事なのは"誰の"なのか。そこを俺は大事にしている……」

「「「!?」」」

 

俺の言葉に胸打たれたような顔になる3人。

そのまま彼らは俺の事を尊敬するような眼差しで見ていた。

 

「流石だ…!流石ボンちゃんだぜ…!」

「確かにな…、俺たちはロマンというものを忘れていたのかもしれねぇ…」

「ボンさん、いや、ボン様。あなたのおかげで目が覚めた…!」

 

そうか、目覚めなくていいです。

 

「元浜!次の時間3年生体育だったな!」

「イエス!そのように記憶してるであります!」

「まさか……イッセー、お前…!」

 

なんか目の前で3人で盛り上がってる。どこか別でやって欲しい。周りの視線が痛い痛い。

 

「ああ……、覗き、行くぞ…!」

「「おう…!」」

 

あ、頑張ってください。

俺は関係ない俺は関係ない。

 

「もちろんボンちゃんも行くよな!興味あるだろ?」

「え、俺は──」

 

 

 

【ありますねぇ】

【ありますあります】

 

 

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃れられぬカルマを何とか乗り越えようやく昼休み。俺は屋上に来ていた。

 

長かった…、実に長かった。

 

覗きがバレて俺もとばっちりくらうし、選択肢は授業中ですら俺を休ませることなく試練をぶつけてくるし。

何が【先生のことをお母さんと呼んでみよう】だよ。フジャケルナ!

 

いやもう一方は【今この瞬間テロリストが襲ってきた場合のシミュレーションをしてみよう。まずは脳内ではなくしっかりと動きの確認をする必要がある。実演だ!】だったからお母さんの方選んだけどさ。

 

いやもう胃が痛い。

 

胃が痛すぎてイカになっちゃう(?)

 

そんなことを考えていると突如と開く屋上の扉。

そこから顔を覗かせたのは俺の一つ下の後輩。

 

「お、来たな猫ちゃん」

「……その呼び方やめてください。ボン先輩」

 

猫ちゃんこと塔城小猫。

彼女との出会いは2年に上がってすぐだった。

廊下ですれ違った時に俺の方をジーッと見てきたり、なんかことある事に俺の方を見てくるから不思議に思ってたから、

 

『俺に気があったりする?』

 

とこっちから聞いたのが初めてだ。ちなみにこの台詞は例に漏れず選択肢。

もう1つの選択肢が【こっちを見てくるということは気があるということ。つまり好きということだ。人気のない教室に連れ込んでにゃんにゃんしまくろう】とかだった。もう死ねばいい。

 

『いえ、ただ……懐かしい匂いがしたので』

 

そんなことを言われた。

え?俺臭う?と自分の体臭が不安になった。

 

まあそんなこともあり今じゃ仲のいい後輩だ。

 

「さて今日は猫ちゃん、あなたが喜ぶものを持ってきたぞ」

「……そ、それは…!」

「新しく出来たスイーツ店の人気ショートケーキだぁ」

「……貰ってもいいんですか?」

 

 

 

【俺と付き合ってくれたらあげちゃう】

【今度一緒に甘味巡りデートしてくれるならええで】

 

 

 

でしゃばるな。

どっちも断られたら俺が傷つく選択肢マジでやめろ。

 

上は……無理。無理寄りの無理。

てなわけで下……も嫌だァ。もうダメだぁ。おしまいだぁ。

 

と言っても選ばなきゃ時は前に進まないし、

 

「……今度一緒に甘味巡りデートしてくれるならええで」

「……先輩ならいいですよ」

「え?まじ?」

 

やったぜ。成し遂げたぜ。

ナイスゥ、選択肢!(手のひらクルクル)

 

「じゃあはい」

「ありがとうございます。……シュークリームいりますか?」

「ひとつ貰おうか」

「ではどうぞ」

 

そうして甘党二人の時間はすぎたとさ。

やはり猫要素を持つものは癒しです。つまり猫ちゃんは癒し。ハッキリ分かんだね。




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旧校舎のディアボロス
彼女を名乗る女


今回短め。


 

 

 

「俺、彼女出来た!」

「……はぇ?」

 

教室に入るなりイッセーからいきなりそんなことを言われた。

はぁ、なるほど。

 

「あ、まあ……おめでと」

 

俺のそんな言葉にイッセーは顔を俯かせた。

ん?なんか俺まずいこと言った?

 

そう思った束の間、次の瞬間、イッセーは俺の両肩を掴んできた。

 

「やっぱボンちゃんは優しいなぁ…」

 

泣かれた。……ナジェ?

 

「元浜と松田にも言ったらよ。虚言も大概にしとけよとか言われてさ…」

 

納得。なるほどなぁ。

まあ、確かにこいつの日頃の行いを見てると中身クソクソのクソな訳だがこいつ見た目は割とイケメンなんだよな。

告白されても不思議じゃないっちゃない。

 

「え?嘘だったん?」

「嘘じゃねーよ!ちゃんと出来たわ!なんなら今日も帰り一緒に帰ることになってるし!」

 

 

 

【じゃあ俺も入れて3人で帰ろっか】

【おめでとう、おめでとう、めでたいなぁ〜、おめでとさ〜ん、クック、おめでとう!(拍手しながら)】

 

 

 

でしゃばるなぁーッ!!!

俺下のやつ知ってる!新世紀的なロンギヌス的な槍的なやつのアレでしょぉ!最終回のやつ!

 

それリアルで、さらに一人でやるもんじゃないと思うの。

 

じゃあ上だな〜。て、バカバカ。

なんでそこでじゃあ俺もってなる?カレカノの時間を邪魔すんじゃないよ。

まあ、ここは冗談ぽく言って流してもらうか。

 

「じゃあ俺も入れて3人で帰ろっか」

「う〜ん、俺は紹介したいからできるならそうしたいけど、とりあえず夕麻ちゃんにも聞いて見なきゃな」

 

マジかよ。OKなんかよ。おめぇ、さてはバカだな?

 

「おーし、お前ら席に着けー」

「あ、先生。じゃ、また後でな」

 

そう言ってイッセーは行ってしまった。

フッ……、どうしよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして!私イッセー君の彼女の天野夕麻です」

 

放課後になった。

目の前にはイッセーの彼女。そして、そんな彼女に腕を組まれて鼻の下が伸びに伸びきったイッセー。視線はもちろん胸元へ。……通常運転だね!

 

俺の隣にいるハゲとメガネはそんな2人のLoveLoveっぷりを目の当たりにした途端に固まっていた。

 

「ま、まさか、ほんとうに…!許せねぇ…!俺、許せねぇよ!」

「イッセーまで裏切りやがって…!」

「ふふふ、イッセー君の友達って面白い人ばかりだね」

 

手で口元を隠しながら笑う彼女は綺麗だ。

ただ、なんて言うか、こう……違和感みたいなのを感じる。俺のただの勘でしかないわけなんだけどもね。

 

 

 

【あんたほんとにイッセーの彼女?】

【あなたは神を信じますか?】

 

 

 

なんで訪問宗教勧誘みたいなこと言ってんの?

 

上も上でそんな疑問持たなくたっていいじゃん。なんなの?人を信じられないタイプの方?

これはどちらにすべきか。悩むぞこれは。

 

……とりあえず上でいいや。

 

「あんたほんとにイッセーの彼女?」

「え?………そうですよ?」

 

なんだ今の間は。

 

 

 

【なんだ今の間は】

【あなたは神を信じますか?】

 

 

 

スパンが短ぇー!

こんな短時間にすぐ選択肢出ることなんて初めてだぞ!どうした!?

 

あと下の選択肢をお前は言わせたいのか!どうしてもか!

 

……だったら選ぶわけないよなぁ!?

 

「なんだ今の間は」

「え?いや、気のせいじゃないですか?」

 

 

 

【俺の目は誤魔化せんぞ】

【ところであなたは神を信じますか?】

 

 

 

またァ!?

いい加減にしろよ!落ち着けボケが!

 

なんでそんなに詰め寄ってんのこいつ!?あとしつこい!特に下の選択肢!

 

「俺の目は誤魔化せんぞ」

「……っ。なんのことでしょうか?」

「おいおいボンちゃん、そんなに俺のこと信じれないのか?」

 

ごめんなイッセー。俺はお前におめでとうと、そう言いたい。

だが選択肢がその道を阻むのだ。たしけてたしけて。

 

 

 

【あなたは神を信じますか?】

【あなたは神を信じますか?】

 

 

 

もう選択肢じゃねぇー!

強制選択肢かよ!ザッケンナ!

焦れったくなってなりふり構わないやり方してくんなクソが!

 

「……あなたは神を信じますか?」

「っ!?……そ、そんな不確かなものにはすがらない主義なんですよ」

「あっそ」

 

これで満足か!なあ!おい!

 

「……ボンちゃんってたまに不思議だよな」

「心得ております」

 

俺というか選択肢がな。

 

「じゃあとりあえず行くか。元浜!松田!また明日な!」

「うきぃー!」

「美人局であれ美人局であれ美人局であれ美人局であれ美人局であれ美人局であれ…!」

 

猿がいた。あと呪詛吐くな。俺も呪われそうでヤダ。

 

そこから俺たちは並んで帰路に着いた。

主にイッセーとユーマちゃんが微笑ましく会話してる光景を後ろから見てただけだけど。

 

……当て付けかな?

 

ただ……、たまにユーマちゃんがこっちを見てきたのは印象に残った。その目はなんて言うか……、喧嘩相手がこっちの出方を伺ってるような、そんな感覚と似ていたのは気のせいだと思いたい。




互角になる能力なら鍛える必要ないのでは?
そんな質問が来ていましたよ選択肢さん。

選択肢「なぁ〜にぃ〜!?やっちまったな!……私は能力にかまけて努力を怠るものは嫌いなのだ!男なら筋トレ!筋肉をつけるべし!」

……本音の方は?

選択肢「主人公、苦しむ姿、チョータノシイ」

……頑張れ…!主人公…!





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堕天使襲来

めちゃサボってた。すまんすまん。


 

 

 

「……なぁボンちゃん」

「ん?」

 

イッセー、ユーマちゃんと一緒に下校した日から数日後の事だった。

朝、いつものように登校してきた俺はいつものように自分の席でスマホをポチポチしているとイッセーが元気の無い声で話しかけてきた。

 

「お前さ……、夕麻ちゃんのこと覚えてる?」

「……ふぇ?」

「ほら俺が紹介した彼女なんだけどさ……、いや、やっぱいいや。忘れてくれ」

 

そう言って自分の席へと戻っていくイッセー。

いきなり何を言うかと思えば。ユーマちゃんのことを覚えてるかだって?俺の記憶力バカにしてるのか?

 

ちゃんと覚えてる(▪▪▪▪▪▪▪▪)に決まってるだろ。

不思議なやっちゃな。

 

「あ、ボンさんイッセーから聞いたでござるか?」

「イッセーの妄想話」

 

イッセーを不思議がりながら見ていたらそんな声が横から聞こえてきた。メガネとハゲだ。

 

「……妄想?」

「そうそう。イッセーのやつ、モテ無さすぎてついに彼女いたとか、妄想と現実ごちゃ混ぜにしちゃったかー」

「後で俺らの秘蔵コレクション見せて正気に戻してやらないとな?」

 

そう言って笑い合う2人。

 

 

 

【お前らの彼女は右手だもんな!】

【……2次元に腰振って楽しい?】

 

 

 

やめたげよ?ほんっとにやめたげよ?心に傷つけないであげて?可愛そうになってくるわ。

どっち選んでも最低なんだよなぁ。

 

「お前らの彼女は右手だもんな!」

「え?いきなり毒舌?」

「……やめろ、その言葉はクリティカル攻撃だ…!」

 

ごめんよ。うちの選択肢が。

それにしてもイッセーの彼女が妄想?……こいつらもう忘れたんか?え?もしかして俺が見たのは幻?ま〜ぼ〜ろ〜し〜。

 

……なーんか……、気持ち悪いなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てなことあってさー」

「……そうですか」

 

昼時。いつものように屋上で猫ちゃんと並んでお昼を食べる昼休み。

そんな中猫ちゃんに朝の出来事を愚痴をこぼすように話した。

 

「やっぱり俺の勘違いなのかね、これは?」

「……そうなんじゃないでしょうか?それより先輩、甘味巡りはいつ行きますか?」

 

……なんだか猫ちゃんがいつもより素っ気ない。

というよりその話題を早く終わらせようとしてるような感じがする。

 

「……なんか知ってる?」

「……っ。何も知りませんよ」

「……ふーん」

 

いつも無表情だから分かりづらいが多少の焦りが見えた。何かあるな。

イッセーに……、それかユーマちゃんのどちらかに。

 

「ボン先輩」

「ん?」

「あまり、その……、深入りしすぎると戻れなくなりますよ」

「というと?」

「………」

 

何も答えてくれないと。なるほど。

 

 

 

【言わぬなら 言わせてみせよう こちょちょギス】

【無理に聞くのは野暮ってもんだ。このは男らしく身を引こう。……それはそれとして甘い物食べたいから放課後デートしたい】

 

 

 

ふむふむ、なるほどな。……こちょちょギスとは?

あと下は最後選択肢(おのれ)の願望出とるがな。

 

ま、そこまで無理して聞くとでもないっしょ。てなわけで下を選びますか。

 

「ところで猫ちゃん、今日の放課後は時間あるかな?」

「え?あ、まあ、はい…?」

「なら今日の放課後甘味巡りしに行こか?」

「っ!……は、はい!」

 

うんうん、これでよし。食いつきがえげつない猫ちゃん。その顔はなかなかにワクワクしているような顔だった。

あかんな、猫ちゃんカワユス。俺、お兄ちゃんになっちゃう(?)

 

さて、そんなことよりも……イッセーの事だな。

猫ちゃんにゃ悪いけどね。あたしゃ好奇心旺盛な男の子なのよ。男の子は謎や冒険が大好きなのさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は飛んで放課後。

猫ちゃんと別れた俺は帰路に就いていた。

 

猫ちゃんとの放課後デートは楽しかった。何より猫ちゃんが可愛かった。

ケーキ頬張る姿、あれはもうリスです。猫でリス、可愛くわけないです。

そして我が財布は軽くなった。後輩に奢るのはセンパイの特権さ(血涙)

 

時間はすで7時になりそうな時間。

日も落ちかけあたりは暗くなりつつあった。

 

居は家に帰ったら何をしようかな。なんてことを考えていた時だった。

 

「……見つけたわよ」

 

そんな声が聞こえてきた。

後ろから聞こえてきた声。思わずふりかえってみたがそこには誰もおらず。

 

え?お化け?なんてこと思った時だった。

 

「どこを見てるのかしら?」

 

若干上から聞こえてくる声。

まさとは思って視線を上に上げていくと、そこには、

 

「ご機嫌よう。唐突で悪いのだけど……、死んでもらえるかしら?」

 

……エッチなお姉さんが3人いた。

 

なんじゃいあれ。なしてそげにドスケベエッチばい?

 

そんな感想が真っ先に浮かんでくるような格好。

ビキニ……とも呼べないようなボンテージ姿の黒髪お姉さん。体のラインがばちこり浮きでるような俗に言うボディコンのような格好をした青髪のお姉さん。ゴスロリチックな衣装に身を包んだ金髪お姉さん。

 

フッ、なんてこった。男子高校生の目には毒だぜお姉さん方。

 

「……なんであの男は鼻を押さえてるんスかね」

「私が分かるわけないだろう」

「……私の話を聞いているの?」

 

おっと、こいつは失敬。

 

「俺の事を殺すと?」

「ええそうね」

「フッ、なるほど──」

 

 

 

【やだやだやーだ!死にたくない死にたくない!(駄々っ子)】

【殺されるのであればここは思い残すことがないように目の前の女共を〇〇〇(ピーー)して〇〇〇(ピーー)しまくっちゃお】

 

 

 

おい、今俺キメッキメでカッコつけようとしてたやん。なんで横槍入れる?やめよ?そういうの。

 

下はあれだろ?レとイとプ的なやつでしょ?俺知ってる。お前はそういうやつだ。

選んでも見ろ、ヤリきる前に殺られるわ。思い残すことがないようはっちゃけたらむしろ思い残すことになるやつや。

 

だからといって上ぇ?……普通に嫌だな。何度も言うがプライドはあるんだよ。なんで人としての尊厳捨てさせようとする選択肢ばかりなの?

 

スゥーーーーー………はぁーーーーー(クソデカため息)

 

「「「?」」」

 

覚悟を決め選択肢を選んだ俺の様子を見た3人は首を傾げていた。

なぜって?俺がその場に腰を下ろしたからだよ。

そのまま地面に背を預け横になる。そして、

 

「やだやだやーだ!」

「「「っ!?」」」

「死にたくない!死にたくなァい!」

「「「えぇ…?」」」

 

フッ、困惑しておる困惑しておる。そして俺もなぜこんなことをしているのか。そんなことが頭をよぎる。ここは無だ。無心でいくしかない。なまじ理性残したままだと俺は死ぬ(メンタル)

無我の境地よ。

 

そのままじたばたすること数分。やっと体が解放された。

 

……俺こんなこと数分も続けてるのかよ。

 

「き、気は済んだかしら?」

 

引かれとるやん。

 

「や、ヤバいやつなんスかね?」(ヒソヒソ)

「わ、分からん。だが人として終わってはいるな。うん」(ヒソヒソ)

 

おいやめろ。ヒソヒソ声でそんなこと言うな。

ヒソヒソ声が聞こえてきちゃってるんだよ。直で言われるより来るんだよ、コノヤロウ。

 

「ところでオタクらは誰?」

「……そういえば名乗っていなかったわね。私の名はレイナーレ。それとも天野夕麻と言えばわかるかしら?」

「……え?イッセーの彼女?……コスプレ趣味があったのか…!?」

「違うわよ!……やっぱりお前、記憶が残っているのね。探して正解だったわ」

 

そう言い手に光の槍を作り出したレイナーレ、いや、ユーマちゃん。

それを皮切りにほかの2人も手に槍を作り出していた。

 

あれ見た事あるぅ。昔神社で見たぁ。

堕天使?堕天使ってやつ。……テンションアガルナー(遠い目)

 

「ほんとに殺すん?」

「ええ」

「なるほど」

 

さてどうしようか。

 

 

 

【ここは黙って我が身を捧げよう。これも運命なのだ。そうだ。そうなんだ】

【まだ夜ご飯を食べていない。最後の晩餐抜きにしてどうして死ねようか】

 

 

 

上は無し。当たり前だよなぁ。

そして下。確かにその通りだ。てなわけで下をポチー。

 

「まあ待ちなさいよ」

「……何かしら」

 

手で制する俺を見たユーマちゃんは立ち止まる。その声には若干のイラつきが感じられた。

 

「いいか?俺はまだ晩飯を食っちゃいない!」

「……だから何よ」

「おいおい最後の晩餐無しに死ねるわけないだろ?」

「そんなの知らないわよ」

 

確かに。こっちの事情なんて知るかって話だよな。

だが、

 

「見たところユーマちゃんは堕天使でしょ?」

「っ!よく知ってるわね。……だったら何よ」

「堕天使ともあろうものが、人間のわがままひとつも聞き入れないとはなかなかに器が小さすぎやしないかね?」

「……なんですって?」

「晩飯を食いたい。その願いを知らんの一言で一蹴するなんてよほど余裕が無いのか。……はぁ、しょうがない。ここは俺が大人の対応で殺されてやりますか」

「〜〜っ!い、いいわよ!最後の食事くらい許せるから!私は至高の堕天使レイナーレ!それくらいの度量がないわけないじゃない!」

 

……やったぜ。

 

「……レイナーレ様ってこういう時冷静さ無くなるのどうにかなんないスかね」

「……私に言われても無理だ」

 

ユーマちゃんの部下ふたりは苦労してそう。頑張って。




スプラにハマり、スマホ買い替えました。どうも作者です。

みんなも色塗りイカタコバトルやろう。

感想、評価待ってます。


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みんな仲良く食後の運動

今回短め。


 

 

 

「……あ、そっち行った」

「は?え?ちょ、ちょっと待…!」

「1人落としたっスよ」

「おい、自陣にまで入られてるぞ」

 

さて、問題だ。久しぶりの問題だね。

俺たちは今何をしているでしょうか。

 

「ちょちょちょ、カバーは!?まだなの!?」

「俺自陣戻ってマース」

「あ、死んだッス」

「おい、今2人に挟まれてるぞ」

 

正解は4人横に並んで仲良くゲームでしたー。

……タノシイナー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に帰りました。

飯を食べました。

2階の自室のベッドに横になりました。

 

はい、ここまでは普通。そう、至って普通のことなのだ。

しかし次の瞬間。

 

「はい、ご飯食べたわね。じゃあ殺すわよ」

 

窓からやってきたエチチチなお姉さんに脅された。

もれなく3人そろい踏み。……わーい、俺の部屋に美女が3人もいる。嬉しいなぁ。溢れ出る殺気を押えてくれたら尚良し。

 

 

 

【もう思い残すこともなし。潔く首を差し出すでござる】

【しょうがねぇ。食後の運動と洒落こみますか】

 

 

 

死にましぇーん。僕は死にましぇーん。なので上は無いでぇーす。

てことで下を選びたいが……なんかこういうテンション好きじゃないな。「洒落こみますか」って言葉すごくカッコつけてる感じがして一周まわってダサくね?

 

「しょうがねぇ。食後の運動と洒落こみますか」

「「「!?」」」

 

立ち上がった俺を見て構える3人。

久々の喧嘩か。美女を相手にするのは気が乗らないが殺されると言われて素直に殺されるわけないんだよなぁ。

 

さて、いざ始まるこの喧嘩。

先手必勝!先にしかけに行くが……、

 

「「「……え?」」」

 

俺の拳は彼女たちを通り過ぎその後ろへ。

どこ行くねーん。助けてくれ。まだ選択肢の呪縛が解けてねぇんじゃ。

 

握られた拳はパーになりそのまま掴んだものは。

 

「食後の運動(ゲーム)、☆YA☆RA☆NA☆I☆KA☆」

 

某携帯ゲーム機だった。

 

……フッ、運動ってこれかよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで言いくるめてみんなでゲームをやること1時間。

 

「どうすればいい!?な、何をしたらいいの!?」

「とりあえず塗れ!塗りまくれ!あと死ぬな!」

「あ、また死んだっス」

「金髪ぅーーーーーッ!!!」(怒声)

「おい、2人殺れたぞ」

「青髪ぃーーーーーッ!!!」(嬉声)

 

ラスト10秒。

ただただひたすらに画面内の自キャラを動かし手にした武器で床や壁を塗るラストスパート。

 

「……こ、これは、どうなの?」

 

画面に映されるフィニッシュの合図。

 

「勝ったスか?負けたスか?」

「いや、これはほぼ互角だろう」

 

映し出されるマップの全体図。勝者は……、

 

「俺たちだーッ!!!」

「「「よっしゃッ!!!」」」

 

みんなでガッツポーズを決めて喜びを分かち合う。

素晴らしい。これが青春か。

 

そうして腕を組んでその場で回ったりハイタッチをしていたらユーマちゃんがハッとした様な顔つきになった。

 

「って、違うわよ!なんで私たちがお前と遊んでるんだ!」

「どうした思春期か?」

「うるさい!今からお前を殺す!いいな!」

「でも殺したら、これ(ゲーム)できないよ?」

「…………もう1戦だけ行きましょう」

 

……ハマったな(ニヤリ)

 

 

 

「そういや他2人の名前って何?」

 

試合に集中しながらそんなことを聞いた。

 

「……ミッテルトっス」

「か、カラワーナだ…!」

 

あらヤダあのお二人さんゲームに夢中すぎ。コントローラー両手にこっちなんて見向きもしない。……フッ、ハマったね(ニヤリ)

 

「あ、ユーマちゃん。そこにある俺のコーラ取ってくれない?」

「夕麻じゃない。レイナーレだ」

 

そんなことを言いつつも画面に集中しながらコーラを取ってくれた。

優しい。しゅき。

 

 

 

【おk、レイナーレね】

【え?ユーマ?】

 

 

 

「え?ユーマ?」

「レイナーレ!」

 

 

 

【おk、レイナーレね】

【え?ユーマ?】

 

 

 

「え?ユーマ?」

「レ・イ・ナ・ァ・レッ!!!」

 

 

 

【おk、レイナーレね】

【なるほど、そういう事か…】

 

 

 

「なるほど、そういう事か…」

「な、何よ…」

「ユマナーレって訳だな」

「違うわよ!」

 

何この子。ツッコミのキレ良すぎ。俺たちいい漫才コンビになれるんじゃない?……一緒にてっぺんとる?

 

そんなこんなで夜は深けていく。

……明日は寝不足だなぁ。




レイナーレたちがポンコツ化。カワイイ!
オリ主に絡むとみんな選択肢に振り回されるんだなって。

オリ主のお家には父と母と遊びに来るイッセーの分と自分の分とでゲーム機とモニターが4つある……ということにして納得して。

みんなもスプラやろうね。

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登下校で女を侍らせてる友人

今回も短め。
最近暇が少なくなってきて書く時間ががが…。


 

 

 

翌日の朝。俺は無事に学校に来ていた。

あの後朝方までみんなでわっしょいわっしょいゲームをやっててまじ眠いんですけどぉ〜。

 

ユーマちゃん御一行は、

 

『い、意外と面白かったからあなたのことは生かしておいてあげるわ。また来るからその時はちゃんともてなしなさいよね』

 

とか言って帰って行った。何あの子ツンデレかよ。

ちなみにそれ聞いて部下のお二人ちゃんは溜息を吐いてた。ほんとに頑張って欲しい。

 

そんなわけで寝不足も寝不足の我でござる訳で自分の席で惰眠を貪ろうと机に突っ伏してた時だった。

 

「ボン!ボンの兄貴ッ!」

「起きてくだせぇ!親方!親方ァ!!!」

 

激しく揺らされる体。

口からあうあうあうとよく分からない声がこぼれさらに突っ伏してたこともあって机にガンガンと頭がぶつかる。

 

「外!窓の外!」

 

メガネの言葉に痛む頭を押えつつ窓の外を見てみる。

そこには登校してきた生徒たち。いつもの風景だ。

その中には幼なじみのイッセーもいる。

ただ、

 

「……隣の誰?」

 

イッセーと一緒に登校してきた1人の女子学生。

赤い、いや、紅いロングの髪をたなびかせたボンキュッボンの美人さんがいた。

 

「知らないのか!?3年のリアス・グレモリー先輩だぞ!?」

「駒王学園、二大お姉様の一角!なんであの人とイッセーが一緒なんだァッ!」

 

そんな叫びと共に崩れ落ちるバカ2人。

よくよく聞けば周りのクラスメイト達も困惑の声を上げていた。

 

リアス・グレモリー……聞いたことなくもないような、無きにしも非ずというか。思い出せそうで思い出せない。さながら喉に刺さった小骨のように出てこない。

 

それにあの人見てるといつかの双子姉妹を思い出す。

 

俺の知らないうちに前々からイッセーとあの人に関わりがあったのかそれともなにかのきっかけで最近知り合ったのか。

その謎は神のみぞ知るってね。

さて、私は夢の中へ──

 

 

 

【そういえばメガネとハゲの昨日のオカズは何だろう?】

【もしかしたらイッセーは朝帰りかもしれない。聞いてみよう!】

 

 

 

行かせとくれぃー。頼むから寝かせて。

どっちも気にならんから。てか知りたくもないから。やめて。

 

は!まてよ?止まった時間の中なら爆睡をかませるのでは?(唐突な閃)

その時、凡人に電撃走る…!

 

さすが俺。俺のIQは53万だぜ…。

さて、では、目を閉じ夢の世界に。

 

……………目閉じれねぇやんけ。

そら止まった時間の中だからまぶたも動かなくなってるわな。

 

はぁ……じゃあまあさっさと選ぼ。

 

「おい」

「「?」」

「お前ら昨日、オカズは何使った?」

「「!?」」

 

俺の質問に驚く2人。

そりゃ俺からこんな話題振られたの初めてでしょうから驚きますわ。

 

「ボン殿が、ボン殿が!」

「あぁ…!ついにこちら側にこられたのだ…!」

 

(行って)ないです。

同類に扱わないで。俺は空気俺は空気。

 

周りの人達からの視線が突き刺さって痛いわ。

 

「よかろう!ならば今日はそのことについて徹底的に語り合おうじゃないか!」

 

あ、結構です。

 

俺の思い虚しく嬉々として語り始めたハゲとメガネのせいで寝る時間が無くなった。

こんなことならイッセーに聞く選択肢にすればよかったと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苦難(眠気)困難(選択肢)を乗り越えた放課後。

今日の俺は街へ繰り出していた。

 

今日の夜中、ユーマちゃんたちがまた来てもいいようにお菓子とジュースの買い出しだ。

もてなせと言われたしもてなさなきゃならぬ。それが紳士としての務めよ。

 

と、ものがパンパンに詰め込まれたリュックを背負い直しながら歩いていると目の前に見知った顔を見つけた。

 

あれはイッセーくんじゃあないかあ。

しかし、隣には見知らぬ誰か。

フードのようなものを深く被り顔が見えない。だが分かるあれは美少女だな。

 

フッ、イッセーよ。お前もプレーボーイになっちまったな。俺は邪魔しねぇよ。幸せになんな。

 

そうして俺は踵を返して歩き出した。

 

 

 

【2人の邪魔はしちゃいけない。でも悔しい。とりあえず手当たり次第にナンパしてみよう】

【2人の間に割り込む。イッセーの幸せを俺は許さん!】

 

 

 

許したげてー?お願いだからー。

 

下は可哀想、無し!

……そうなると自動的にナンパになるんだよなぁ。……はぁ。

 

その後俺は日が落ちるまで街中で女の人に声をかけまくった。誰とも仲良くなれなかった。なんやこいつという視線がすごく痛かったです。

……恥ずかしかったけどどうせ明日には忘れられてるモブ顔だしいっか!(涙目)




いつかこの主人公が神様転生する時に提案されたハイスクールDxD以外の世界に転生してたらのifルートを書いてみたいような気がしなくもない様な気持ちがある。
なおどの世界に行っても選択肢から逃れられない模様。

……時間出来たら書いてみることにします。

感想、評価待ってます。


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理不尽が人を大人にする

お久方ぶりぶりざえもん


 

 

 

深夜。

皆が寝静まるような時間帯。

 

「はぁ!?今のずるじゃない!?あれよ!ちぃとよ!ちぃと!」

「チートじゃないですぅ。技術ですぅ」

「……大人気なさ過ぎないっスか?」

「……あれはモテないタイプの性格だな」

 

俺たちはまた集まっていた。

あと、みっちゃんとカラちゃん。うっせ。黙っとけボケ。

 

いつものインク塗り塗りゲームではなくステージ上で相手をぶっ飛ばす大乱闘系ゲーム。

やはり堕天使と言えど初心者。我が負ける道理はぬぁいッ!!!

 

「つ、次よ!」

「ふははは!受けてやろう!」

「あなた達も援護しなさい!」

「……はぁ」「……うっス」

 

ユーマちゃんの言葉にやれやれと首を振るカラちゃんに頭を押えて返事をするみっちゃん。苦労してるね。後でケーキを奢ってあげよう。

 

「ハハハ!どう!?ハメ技よ!これでもうあなたは逃げられないわよ!」

「……ふむ」

 

俺のキャラのパーセンテージが上がっていってる。

なるほどよく見つけた。だがな?

 

「こうするじゃろ」

「え?」

「そしてこう」

「あ、ちょ…!」

「最後にちょいっと…」

「………」

 

そうして画面外に吹っ飛んでいくユーマちゃんのキャラ。

まだまだ青いのぉ。精進せぇ。

 

「く……」

「ん?」

「クソゲーね!クソゲーよこれはッ!!!」

 

……こうして人は大人になるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういやよ。オタクら堕天使なんでしょ?」

「そうね。それがどうかしたのかしら?」

 

ゲームの合間の息抜き。

テーブルの上にお菓子をしこたま並べ広げ、口に放り込む俺たち。

カラちゃんは部屋に並べられたフィギュアを、みっちゃんは俺の部屋にあった漫画を見ている。

くつろぎすぎでは?

 

「いや、そんな堕天使がなんでイッセーの彼女になったのか気になるやん?」

「っ」

 

そんな俺の言葉に固まるユーマちゃん。

心做しかほかの2人もこちらを警戒し始めたような気がする。

 

「……それを知ってどうするの?」

「いや、どうもせんがな。幼なじみのことだから気になっただけだし」

「……」

 

おいおい無言になっちまったぜ。踏み込みすぎたか?

しょうがない。ここは大人しく身を引き──

 

 

 

【なんで答えてくれない!?焦れったいぞ!ここは詰め寄ってやろう!】

【目を合わせ訴え続けてみよう。目を見れば君の真意は伝わるさ】

 

 

 

選択肢が俺の真意を無視してて草。草超えて森。森超えて涙。

身を引かせてくれ。頼む。どうして君は俺の考えてる通りの選択肢を出してくれないんだい?

世界が俺をいじめてくる。

 

まあ詰め寄るのはアレだしな。目で訴えておきましょ。そうしましょ。

 

「………」

「……な、何よ」

「………」

「そんなに見つめても何も無いわよ」

「………」

「……っ」

「………」

「〜〜〜っ!」

「………」

「……ぅぅぅぅうわかったわよ!教えるわよ!」

 

やったぜ。成し遂げたぜ。

まさかホントに目を見て根負けしてくれるとは思わなかったぜ。さてはキシャマ、チョロいでござるな?

 

「上層部からの命令なのよ。神器(セイクリッド・ギア)を所持しているから念の為始末しろって言われたのよ」

「ほーん」

 

なるほど……わからん。

セイ……なんだって?何を持ってると?

 

てか始末…?

 

「え?殺したん?」

「……っ、そうよ」

「え?でも今日朝見たで?」

「「「え?」」」

 

俺の言葉に堕天使御三方が素っ頓狂な声を上げた。

ど、どういうことだってばよ。俺が見たのはドッペル的なゲンガー的なそういう感じ?え、怖。

 

「あのー、赤髪の、なんつったっけ?……なんたかグレムリンだかなんだか。美人なパイセンと朝歩いてたぞ」

「……なんたかグレムリンって。……もしかして、リアス・グレモリーなんて名前じゃないでしょうね?」

「あ、そんなんだった気がする。確か」

 

そう言うと頭を手で押えたユーマちゃん。おいおい頭お痛か?薬もってこようか?

まじかァ、なんて呟いてる。……とりあえず頑張れ!

 

「……まあ、この件についてはおいおい考えましょう」

「そうッスね」「そうですね」

 

あ、話がまとまったみたいで何よりです。

さてこの後は──

 

 

 

【みんなでマリパしようぜ!マリパ!】

【みんなでマリカしようぜ!マリカ!】

 

 

 

「みんなでマリパしようぜ!マリパ!」

「望むところ!」「負けないッス!」「今日こそ勝たせてもらう…!」

 

みんなの燃える闘志が我が身を焦がすのぉー。

まあ熱中するのはいいけどコントローラーミシミシ逝ってるから気をつけてね。

今日も夜が更けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、時間は過ぎ、眠い目をこすりながらやってきたのは学校。

そしてただいまお昼の時間帯。

 

え?端折りすぎじゃないかって?おま、午前の授業中、ガチのぶっ通しで寝てたんだよしょうがないだろ。

いや、ユーマちゃんたちほんとに負けず嫌いすぎてガチで一睡もしてないから。オールで学校来ましたから。

 

そんなわけで寝不足で痛い頭を押えながら今日も今日とて屋上にて可愛い後輩とお昼を共にしようとしたんだが。

 

「……なあ」

「………」

「え?そろそろなんか喋って?」

 

目の前の幼なじみに捕まったのだ。

話があるとかなんとかで呼び止められ、対面する形で机をくっつけていた。

ちなみにハゲとメガネは飲み物買いに行って今は二人きりである。

 

「話があるとかなんとかなんじゃないの?」

「いや、その……な?」

 

な?と言われても分からんがな。

とりあえずスマホで後輩ちゃんに今日は行けないことを伝えておこう。

 

「……お前ならさ。例えば仲良くなった人がいて、その人がもし敵って分かって……、それでもその子が助けを求めてきたら、でも仲間からはやめとけとか言われたらボンちゃんならどうする?」

「おぉ、藪からスティックな質問。なにゲーム?」

「……まあ、そんなとこ」

 

ふーむ。なるほど何かワケありかい。

最近堕天使からも狙われてたみたいだしなにか面倒事に巻き込まれたなこりゃ。

さて、なんと返すか。

 

 

 

【慈悲は要らぬ。汚物は消毒ヒャッハー(敵対ルート)】

【しがらみに惑わされるな。関係ない。(助けに)行け(ヒーロールート)】

 

 

 

ほう、まともだな。これこそ選択肢よ。

……なかなか癖のあるセリフではあるが。

 

「しがらみに惑わされるな。関係ない。行け」

「え?」

「立場に振り回されて自分のやりたいことを抑えたら後悔するぞ。まずは自分がどうしたいか。それに素直に従えばよかろう」

「……っ。そうだよな。ボンちゃんならそう言うよな…!」

 

お?言葉に熱が籠ってきたな。これは立ち直れたか?

 

「関係ないよな!俺がどうしたいかだもんな!」

「そうとも。さあ、頑張って救ってこい。お前なら出来るさ」

「あぁ!任せとけ!ボンちゃん!」

 

吹っ切れたな。さすが俺。さす俺。

いやまあ選択肢選んでるだけだけどさ。

 

「お?なんかイッセーが元気になってる?」

「なんかいいおかずでも見つけられたか?」

 

あ、ハゲとメガネが帰ってきた。

そこから久々に変態三人衆とお昼を共にした俺。下世話な話題しか出なくて周りからの視線に涙が止まらねぇぜ。

癒しの後輩ちゃんが恋しいと思ったお昼休みであった。

 

さてと、まあイッセーが元気になったはいいがこの街はなんなのだろうか。気になることが増えまくってきちまったぜ。

 

そんな謎を解明するために我々はアマゾンの奥地へと向かった(向かってない)




モチベが続くよう祈っててくれ…!


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至高の堕天使の定義

暇だったから続き書いたんだぜ


放課後になった。

イッセーはなんか用事があるとかでどっか行った。ハゲとメガネ?あぁ、あいつらなら今頃女子の団体御一行にしばかれてるよ。

 

故にぼっち。俺は寂しく帰路に就いていた。

今日も何とか選択肢を捌ききったぜという妙な達成感を胸に道を歩いていた。そんな時だった。

 

 

 

【親方!空から女の子が!】

【ヨツンヴァインになるんだよ!おうはやくしろよ!】

 

 

 

なんだこれは、たまげたなぁ。

唐突な選択肢は心臓に悪いからやめて欲しい。

 

とにかくこれはつまり上を向いて歩こう状態かヨツンヴァインの化け物状態で帰ろうぜ…ってコト?!

なんやその選択肢。

 

とにかくヨツンヴァインは嫌だ!

そんなわけで俺は上を向いた。

そしたら、

 

「……親方、空から女の子が」

 

そこにいたのはユーマちゃんだった。

いつものえっちコンロが点火するような際どいボンテージ姿。

傍らにたずさえてるのは金髪美少女。

これは……ペロ、犯罪の味ッ!?

 

 

 

【やい!そこの堕天使、手を上げろ!】

【無視しよう。心は痛くなるが無視だ。金髪美少女がこの後にゃんにゃんな展開になろうと俺の知ったことじゃないぜ。……それはそうと気になるのであとをつけてみよう(鼻血)】

 

 

 

下は選択肢(テメェ)の欲望しかないんだワ。

俺はいたって健全な紳士なので上を選びますね。

 

「やい!そこの堕天使、手を上げろ!」

「っ!?………っ」

 

あ、声をかけられて驚いたけどこっちを向いた途端『なんだお前か』的な冷めた視線になった。切り替えが早いね。

 

「何してるのよこんなとこで」

 

あ、なんか降りてきた。

そんな友達見かけたから声かけてみたみたいなことをするなんて、そんなに俺たちの仲は深まってたってわけかいブラザー。

 

「それはこっちのセリフでもあるんだよなぁ。何してるの?誘拐?」

「……当たらずとも遠からずってとこね」

 

マジかよ。当たってたのかよ。

 

件の金髪美少女は困惑した様子で俺とユーマちゃんを見てる。

 

「……あ、あの、こちらの方は?」

「この前イッセーと仲良くデートしてたでしょ。あいつの幼なじみの──」

 

 

 

【ヨツンヴァインです】

【変なおじさんです】

 

 

 

普通に自己紹介させてー。

何?ヨツンヴァインにハマってたりするの?淫夢に媚びるなとか言われちゃうから自重して。

 

「……変なおじさんです」

「……え?」

「変なおじさんです」

「……どちらかと言えば変なお兄さんじゃない?」

「じゃあ変なお兄さんです」

「………………え?」

 

金髪美少女ちゃん、困惑しかしとらんがな。どうするのこれ。

ユーマちゃんに関してはもう慣れたもんだね。さすがだね。慣れないで欲しい。

 

「それで?ユーマちゃんはその子誘拐して何するの?」

「……関係ないでしょ」

 

俺のそんな問いにぶっきらぼうに返すユーマちゃん。

え?冷た。そんな子に育てた覚えはありませんよ?

 

「おーしーえーてーよー。俺たちの仲じゃん?」

「鬱陶しいわね。友達でもないのに」

「え?じゃあなんで降りてきたん?」

「………」

 

あ、顔赤くなった。へ、お前はもう俺とブラザーなのさ。

 

それにしたって今回は口が堅い。さて、どうしようか。

 

 

 

【潔く諦めよう】

【目を合わせ訴え続けてみよう。目を見れば君の真意は伝わるさ】

 

 

 

あ、目で訴えますね。

 

「………」

「……なによ」

「………」

「今回は教えないわよ」

「………」

「……しつこいわね」

「………」

「………っ」

「………」

「〜〜〜!」

「………」

「……ぅぅぅ分かったわよ!教えるわよ!」

 

やったぜ、成し遂げたぜ。

やっぱちょろいな。

 

「彼女の持つ神器(セイクリッド・ギア)は希少な力。それを私のものにして『至高の堕天使』へとなるの。そして、アザゼル様やシャムハザ様からご寵愛を賜るの」

「………」

 

なるほど、さっぱりだぜ。

そのセイなんたかってまずなに?イッセーも持ってるようだけど。

 

「えーと、そのセイなんたかは金髪ちゃんがあげることを良しとしてるの?」

「えぇ、そう約束したわ」

「はぁ……、えっと、そうなると金髪ちゃんはどうなるの?」

「死ぬわね」

「はぁ……」

 

……え?わからんわからん。

なんか重い話になってきてない?

 

「えーと?整理しましょか?ユーマちゃんは想い人に振り向いて欲しいから至高の堕天使になりたいと?」

「えぇ、そうね」

「んで?その至高の堕天使になるためにはその子のセイなんたかの力が欲しいと?」

「えぇ、そうね」

「で、そのセイなんたかを取ったらその子は死ぬと」

「その通りよ」

 

……うわぁお。言葉が出ん。

 

「えぇ……、ちょ、えぇ……」

「……なによ」

「だって、好きな人に振り向いてもらうために他人の魅力で勝負するって、ねぇ?」

「悪い?」

 

いや、悪いも何も。ねぇ?

別に人が死んじゃうからダメー、って言いたいわけじゃないよ?堕天使さんだし。なんなら幼なじみ1回殺されてるっぽいし。

 

「自分の魅力で振り向いてもらってなんぼじゃない?他人の魅力で手に入れたって虚しくならん?」

「……関係ないでしょ」

「それって言っちゃえば自分の魅力に自信ないですって言ってるようなもんじゃない?」

「……うるさいわね」

 

怒気を含んだ声で睨みつけられた。

目がガンギマリ。ひえぇぇ……。

 

「ユーマちゃん普通に顔かわいいし、スタイル抜群なんだからもっと自信もちゃいいのに」

「………」

 

そう言うと、そっぽを向いて少し照れてる様子だった。

なんやお前可愛いな。告るぞ。

 

 

 

【思い出せよ!俺達と過ごしたあの楽しい日々を!】

【お前に女の喜びを教えてやる。脱げ】

 

 

 

あ、もう酷い。酷いですね。

なんか色々雰囲気ぶち壊しに来るじゃん。

 

上はいきなり暑苦しくなるし、下はど下ネタやん。

クソが。

 

「思い出せよ!俺達と過ごしたあの楽しい日々を!」

「……っ」

 

お、たじろいだな。

もうこのまま勢いでゴリ推してしまおう。

 

「ゲームをして一喜一憂するあのお前を!あの時にこぼれた笑顔は魅力的だった!」

「……っ!?ちょ、何言って…」

「いいか!お前は可愛いんだ!可愛くてつよい!美少女堕天使!その時点でお前は至高の領域にいるんだぞ!分かったかクソボケェ!」

「〜〜〜!」

 

めっちゃ顔赤い。照れ顔が素敵。凄く……いいと思います。

 

「ぅぅぅうるさい!黙れ黙れ黙れ!」

「そんな顔赤くしながら言っても可愛いだけだぞ!」

「うるさいッ!殺すぞ!」

 

そう言ってその手に輝く光の槍を作り出し、その切っ先をこちらに向けてきた。

……いや、照れ隠しにしては凄ない?

 

「は、殺せるもんなら殺してみろよ!」

 

やめてね?ほんとにやめてね?フリじゃないよ?

イキがってるけど足ガクガクよ?

 

「……」

「……っ」

「……」

「……こ、殺す価値もないわ。ふん!帰るわ!」

 

そう言って踵を返し翼をはためかせて飛び立つユーマちゃん。

そんな彼女の背に向かって俺は声をかけた。

 

「今日は俺がそっちに遊びに行くからねー!待っててねー!」

「来なくていい!」

 

最後まで赤い顔をしながらそう叫んで空の彼方へと消え去った。

 

さて、今日はお友達のお家に遊びに行く予定が出来たな。あの教会でしょ?任せとけ。

さ、お家に帰って遊びに行く支度しなきゃ。




なんかもうレイナーレ……、いや、ユーマちゃんが正ヒロインと化してきてる。

ぶっちゃけ彼女、ポンコツ属性とツンデレ属性持ってそうなんよな。もうヒロインの素質ありありなんだよなぁ。

ヒロインでいいじゃないか。だってかわいいんだもの。
みつを


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木登りするなら虫取り少年スタイルで

アーシアとリアスのこれからについて悩み中。


 

 

 

さて、家に帰った、

ご飯も食べた。

身支度も済んだ。

ゲームも持った。

 

さあ、いざユーマちゃん達が待つ教会へ向かおう。

そう意気込んでいたが、

 

「ふしゃあ…!」

 

なんかクロカに邪魔されている我氏。

部屋のドアの前でこちらに低い体勢で構えにらまれているんですが?

 

なに?俺、なんかしちゃいました?

 

「あの〜クロカさんや。何か御用で?」

「……」

 

黙っちゃったぜおい。

でも睨みは効かせてる。怖いめぅ。

 

「もしかして最近構ってなかったから構ってちゃんかな?」

「に、にゃぁん…」

 

なるほど。図星か。

いや、でも睨みはまだやめて無い。なに?俺を教会に行かせたくないの?

 

「帰ってきたら遊ぼうね。今日は約束があるから」

「っ!にゃ!」

「ちょ…!」

 

歩き出した俺のズボンの裾に噛みつかれてバランスが崩れた。

危ない。頭を壁に打つとこだったぜこんちくしょう。

 

「危ないっての。全く……」

 

とは言ったものの一向に離してくれる気配がない。

さて、どうするべきか。

 

 

 

【クロカの気の済むまでじゃれてやろう】

【無視だ無視。その小さな腹を蹴飛ばし、顔面を叩き、ちぎっては投げちぎっては投げ邪魔者を排除する】

 

 

 

0100選択肢をやめろ。

良心の痛む選択し出すの良くない。

 

しょうがない。

 

「ほーれ、おいでークロカー」

 

そうして俺は愛する飼い猫に向けて両手を広げた。

途端に飛びついてくる黒猫。あらヤダ可愛い。

 

よしよしよしよしよしよしよしよし──

 

 

 

 

 

と、まあ、撫でに撫で続け、お腹をくしゃくしゃとかいてやり、じゃらしとボールでじゃれること結構な時間。いつの間にかクロカは( ˘ω˘ ) スヤァ…状態になっていた。

 

フ…、所詮は猫よ。それはそうと眠る姿はカワユスなので写真を1枚パシャリ。後で現像して額縁に収め部屋に飾ろう。

 

さて、時間がかなり過ぎた。7時くらいからクロカと遊び今や10時だ。なんてこったい。ねこ様とじゃれると時間が飛ぶんだなぁ…。

 

今から教会に向かえば10時半とかそこら辺になるか?

ちょっと急いで行きましょか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、来たぜ、来たよ、来ましたよっと。

教会に……と言いたいがまだ手前の森の中。

ただもう目的地は目と鼻の先。

 

待ってろユーマちゃん。そう意気込んで足を進めていると。

 

「誰だ」

 

唐突に聞こえた男の声。

声のした方を向くとそこにはシルクハットを被ったコートの男が立っていた。……木の上に。

 

 

 

【いい歳して木登りしてる痛いおじさんだ。ここは見て見ぬふりをしよう】

【コートとシルクハットで木登り?妙だな?木登りするなら白いタンクトップのシャツに半ズボン。更には麦わら帽子と虫かご虫あみは必須だ。注意しておこう】

 

 

 

それは虫取り少年(ポケ○ン)では?

やめよ?人の神経逆撫でマンなのかな?

 

ここは無視だろう。触らぬ神に祟りなし。まあ神ではなくおっさんだけどさ。

 

「……おい、聞いているのか。誰だと聞いている」

「……」

「おい…!」

「……」

「おいッ!」

 

やっべー、めっちゃ激おこプンプン丸やんけ。

無視は良くなかったか?いや確かに無視は良くないな、うん。俺が悪いね。でもごめん。選択肢の呪縛により声を出せないんだ。すまなんだ。

 

「くっ…!この私を無視とはいい度胸だな、小僧…!」

 

そうしておっさんの手がピカーと光ったかと思うと次の瞬間にはその手に光槍を顕現させていた。

あらヤダ、堕天使じゃないですかヤダー。

僕これからユーマちゃんと遊ぶだけなので。やめて欲しい。

 

てか、堕天使ならユーマちゃんのお仲間さんじゃね?……無視はダメだったね無視は。

 

「死ね」

 

その一言ともに投げられる光の槍。

だがしかーし、能力発動した俺には高速で迫り来るそれがピッチャーが投げる野球ボールくらいの速さに見えるわけで、簡単に避けられるんですねこれ。

 

「っ!?なに!?」

 

華麗に躱した俺を見て男が戸惑い気味の声を上げた。

さすが俺だね。さす俺。

 

 

 

【気安く人に死ねとか言うなよ、死ね】

【光の槍にビビって逃げ惑う。ここで小便をちびるのがポイントだ。さあ、気張っていこう】

 

 

 

好戦的か情けなく逃げるかの二択ね。ハイハイ。もう慣れたよ。……いや、慣れるかボケェ。

何が小便ちびるのがポイントだよ。俺の情けない姿を見たいだけだろ阿呆。

 

てか上はお前も死ねって言ってますがそれは。

 

「……気安く人に死ねとか言うなよ、死ね」

「っ、くっ…!生意気な…!」

 

目がガンギマリだね。……やってる?(薬)

ユーマちゃん……、いや、みっちゃんやカラちゃんでもいいから来て欲しい。敵じゃないよーって教えてあげて欲しい。

 

「……よくよく見れば貴様、最近レイナーレ様達を惑わしている人間か。いい機会だ。この場で確実に殺しておこう…!」

 

悲報、我氏嫌われてるっぽい。

ユーマちゃんやみっちゃん、カラちゃん来ても意味あらへんがなこれ。詰んだね。帰っていい?

 

そんなことを思っている間にも男は手に光の槍を持ち翼をはためかせこちらに向かって突貫してきている。

その槍が突き出され胸へ突き刺さる……、前に体を捻り避けつつ顔面に足を走らせる。

 

「グッ…!?」

 

通常の蹴りに向かってくる速度が合わさって威力は単純に倍近い。

それをまともに受けて男は鼻から血を流していた。

 

「こ、この私が人間ごときに血を流すことになるとは…!許さんぞ…!」

 

いや、向かってきたのそっちやん。

殺すと言って向かってきたくせに抵抗したら何抵抗してんだと文句を言うと。

なんて言うか、あれだね。

 

「自己中すぎて引くわー」

 

小声でそんなことを思わず呟いた。

そんなことをしてると男は光の槍の数を増やしこちらに連続で投擲。

眩しい雨が降ってきたぜ。

 

「これで!確実に殺すッ!」

 

確かに量はあるが、今の俺は目の前の男。堕天使と同等の身体能力だ。

つまりはそう、光の槍なんぞに当たるもんかって。

 

「もっと工夫した方いいと思いますね」

「っ!?……く、グオォォォォオッ!!!」

 

それでもさらに数を増やすだけで単純過ぎる攻撃。

昔、神社で会ったことある堕天使の方が圧倒的に強かったわ。

 

とりあえず殴っとくか。

 

光の槍を避けつつ男の元へ歩を進める。

右へ左へとユラユラ揺れながら、たまに体をひねり、身をかがめジャンプして攻撃を避ける。

 

「な、なぜ当たらん!?」

「あんた、自分より弱いやつとしか戦ったことないな?」

「な……、く…!」

 

図星を突かれ、苦い顔になる男。

そんな男に向かってジャンプ。

さすが堕天使の身体能力。ひとっ飛びで男の元まで来れた。

 

「な、なに!?」

「歯、食いしばれ」

 

そのまま握った拳を顔面にぶち当て、地面へと叩きつける。

背中から激突した男の口からはくぐもったらうめき声がこぼれた。

そのまま上から顔面を踏みつけるように着地。地面がめり込み、その反動で男の体が浮き上がり、そのままパタリと地面へと落ちそのまま動かなくなった。

 

うーん、弱い。覚悟を持たないやつはやっぱり喧嘩が弱いね。

さて、この男はどうしようか。ユーマちゃん達のとこに持っていくか、それとも放置か。

 

そんなことを思い、首を傾げ、悩んでいた時だった。

 

赤く光る魔法陣が近くに現れた。

その光は段々と強くなり当たりを照らしてやがて何も見えなくなるほどに強まった。

 

「うわ、まぶ…」

 

やがて光が収まり唐突な強い光で痛む目が慣れてくると、そこには2人の美人な女子が立っていた。

 

いや、うん、これは……、なにか面倒事に巻き込まれそうな予感。

 

 

 

【やったね!友達増えるね!】

【やったね!俺たちの冒険はここからだね!】

 

 

 

やったね!俺の胃が死ぬね!




今の主人公のヒロインを1度まとめましょう。

双子の姉、紫藤イリナ、姫島朱乃、黒歌、塔城小猫、九重、天野夕麻(レイナーレ)
カラワーナ(?)、ミッテルト(?)、八坂(?)、姫島朱璃(?)

まだ未確定
アーシア、リアス

こう見るとクソほど多いなと。このままガッツリハーレムにしていくべきか程々でやめとくべきか。悩む。



あ、ちなみに数話前のあとがきに書いてたスピンオフ的なイフの物語的なやつ。アンケートを後々取ろうと思ってますんで。よろしくお願いします。


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面倒ごとは早めに

ヒロインなぁ……悩むなぁ。


 

 

 

「やったね!友達増えるね!」(めちゃめちゃ笑顔)

「「……え?」」

「なんでも」(真顔)

 

とりあえず適当に選択肢を消費する。

目の前の2人は困惑しているが些細な問題さ。……今までに比べるとな。

 

「ま、まあいいわ。あなた確かイッセーの幼なじみよね?話は聞いているわ。ここで何をしているの?」

「あ、どうも。あのウルトラスーパー変態バカデラックス改のイッセーが世話になってるようで。あいつの幼なじみの平凡人です。どうぞよろしく」

「え、あ、そ、そう。えーと……り、【リアス・グレモリー】よ。よろしく」

 

とりあえず自己紹介は大事だ。しっかりと両手を体の横に当て腰を曲げお辞儀をする。

……ぶっちゃけ選択肢が出る前にこういうイベントは自分で消費しとかなきゃならんのだよ…!

 

「……」

 

顔を上げたらなんか黒髪の美人さんがめちゃめちゃこっちを凝視してた。それはそれは凄く見ている。もう逆に怖い。

体に穴空いてしまうわ!

 

 

 

【そんなに見られると照れるじゃないかッ!(服を脱ぎさり自慢の筋肉を主張する。これで女の子はイチコロさ)】

【そちらがその気ならこちらもそれに応えてやろう(見つめ返す。あわよくばそのまま見つめながら熱いベーゼを交わすのだ。コレで女の子はイチコロさ)】

 

 

 

変態じゃないか!変態ですよこれ!

たしかに一殺だね!やかましいわ!

 

変質者になるか犯罪者になるかの二択ね。ハイハイ、胃が痛い胃が痛い。

 

「そんなに見られると照れるじゃないかッ!」

「「っ!?」」

 

声を張り上げ服を脱ぎ去る。あ、ズボンは流石に履いたままですけどね?

良かったよ。選択肢ありがとね。……いや、ありがとうも違うな。

 

とりあえず脱いだ服を投げ捨てボディビルの大会で見るようなポーズを決める。

選択肢により鍛えられたこの肉体を見よォッ!!!(ヤケクソ)

 

「な、なんで服を脱いだの?」

「照れたからさ」

「照れると服を脱ぐの?」

 

そんなこと聞かれても俺は知らんよ。選択肢のことは誰も読めませんから。

 

「女の子に見つめられたら筋肉を見せてしまう年頃なんです」

「そ、そう…」

 

……え?納得しちゃったよ。マジかよ。

 

「イッセーの言ってた通りの変人ね」

「え、えぇ…」

 

いや、聞こえてるぞ。

つか、イッセー。テメェ俺の事変人として紹介したのかよ。

 

俺は選択肢に振り回されて逆立ちで登下校したり、授業中にアクロバットしたりしてるだけ……立派な変人じゃないかッ!

 

「ちなみにそちらの方のお名前は?」

「え?……あ、【姫島朱乃】です。どうぞよろしくお願い致しますわ」

 

あらヤダ。見た目のままに大和撫子な口調。いいですね。好きですよ、そういうの。

 

「それで?あなたはここで何をしているのかしら?」

「遊びに来た」

「「あ、遊びに?」」

 

正直に話すと困惑された。当たり前だね。こんな時間に教会に遊びに来るとかどんな変人だよ。

 

「……ここにどんな存在がいるのか知ってるのかしら?」

「え?堕天使でしょ?知ってる知ってる」

「「っ!」」

 

赤髪の美人さん、リアス・グレモリーさんの言葉に軽く返したら目を見開かれて驚かれた。

あ、やべ。これ言わん方良かったかもしれん。

 

「……ちょっとあなたに聞きたいことが出来たわ」

「あー……、そうなるよねぇー…」

「着いてきてくれるわよね?」

「いやー、今はなー。……約束あるしなー。……また今度でいい?」

 

そう言ってみるが、お2人はジリジリとこちらに距離を詰めていた。

美人2人から迫られるなんてなんて役得なんでしょう。……胃が痛いでござる。

 

 

 

【このままだと乱暴される!工口同人みたいに!逃げるが勝ちだ!さあ、逃走中の始まりだ!】

【このまま身を任せよう。来るべき時が来ただけさ。さあ、その身を彼女たちに任せ心置きなく隅から隅までチョメチョメされよう】

 

 

 

諦めるか逃げるか。なるほどまともな選択肢だな。……内容だけね。

何余計な文足してんだよ。すぐそっちの方の話にしようとするじゃん。

なに?性に多感なお年頃なのかな?中学生?

 

まあ、あれだな。逃げてもどうせ追いかけられるだけだし面倒ごとは早めに処理した方がいいしな。

 

「オーケーオーケー。分かった。俺の事をちゃんと話そう。だがしかし、お互い今はそんなことをしてる暇はあるのかな?」

「……そうね。確かに私たちも暇じゃないわ。いいわ。今は見逃しましょう。貴方も駒王学園の生徒なんでしょう?明日、放課後に迎えを向かわせるわ。その時改めて話しましょう」

「承知仕った」

 

リアス・グレモリーさんの言葉にサムズアップで返す。

 

よしよし、とりあえずは何とかなった。

と言っても明日かぁ。考えただけで胃が爆発しますねこれ。

 

「よし、それじゃあ俺は教会に行くから!アディオス!」

「あら、私たちも教会に用があるの。一緒に行きましょうか」

「……」

 

なんてこったパンナコッタ。結局逃げらんないですね。

チッキショォォォォオッ!(コウメ太夫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、教会の前まで来ましたよって。

道中?そんなん俺を挟んで3人並ぶ形で気まずい空気の中来たよ。おかげで俺の顔はゲッソリしてることだろう。

 

まあいいさ。とりあえず中に入りましょう。そうしましょう。

そうしてドアに手をかけた瞬間。

 

──ドカァンッ!

 

「……」

 

え?なんか横の壁吹き飛んだんだが?

何?中で何が起きてるの?怖いんだが?開けたくねぇー。

 

「あらあら」

「……派手にやってるわね」

 

え?なんか2人は分かってるっぽいんだけど?話についてけないの俺だけ?おいおい寂しいじゃねぇかよォ。

 

「それじゃあ入るわよ」

「えぇ、行きましょうか」

 

え?もう行くの?待って、ちょっと待って。俺心の準備まだよ?ゆっくり行こう?急ぐのは良くない。

 

そんな思い虚しくリアス・グレモリーさんはそのまま扉を開け中へと歩みを進め、姫島朱乃さんもその後に続いて入っていった。

 

そうして俺はそんな彼女たちの背中から中を恐る恐るのぞき込む。

そこに居たのは、

 

「え?部長?……っ!?ボンちゃんもなんでここに!?」

 

ボロボロになったみっちゃんとカラちゃん。そして幼なじみと最近よく絡む後輩。ついでにイケメンがいた。

 

フッ……、頭痛が痛いぜ。




がっちりハーレムの票が多いけどイッセーのヒロイン残さなきゃ存在感が減るもんなぁ。理解してるけどなぁ。
そうなると誰にするか。

一応イッセーヒロイン無しだった場合の展開も一応考えてみたけどなぁ。難しいなぁ。

……最近ずっとこんな感じで悩んでる。

ぶっちゃけ惚れた男(選択肢)に振り回されるヒロイン達の図っておもろいと思うから全員ヒロインにするのもアリなんだよなぁ。


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男の器量と非情な現実

お久だぜ。
ちょくちょく感想来てたっぽくて書いてみたんだぜ。
でも久々すぎてノリを忘れてるんだぜ。
誰か助けて欲しいんだぜ。


 

 

 

「ボンちゃんがなんでここにいるんだよ…!?」

「……っ」

 

驚く表情を浮かべる幼なじみと後輩。

なんて答えるべきか。早速ピンチに陥っている我氏。

 

堕天使と遊びに来たんだぜ(キラリン)なんて言える?無理やろ。

後輩ちゃんはまだしも幼なじみ君は殺されてますからねこれ。

 

 

 

【俺ってさ……夢遊病持ちなんだ】

【腹を割って事実を伝える。堕天使とズブズブのヌプヌプな関係を事細かに教える】

 

 

 

いつもの選択肢さんで安心していいのかキレていいのかわからんね。

 

いやまあ変に言い訳しとくとのちのち大変だしなぁ。

イッセーなら分かってくれる、とは思いたいが余計な一文が怖いんだよなぁ。

 

「……そこの堕天使と俺は友達だ」

「「「「「っ!?」」」」」

「今日は一緒に遊ぶ予定を入れてたからな。ここに来たわけだ」

「な、なんで──」

「まあまあ落ち着きなさいよイッセー君。俺も流れ流れでこういう関係になってるんだから」

 

堕天使3人組は傷だらけの体だが死んではなさそう。目を見開いてこちらを見てる。

 

さて、どう切り抜けるべきか。

 

「あなたは堕天使の味方なの?」

「味方というかそこの3人と仲良くしてるだけの人間なんだよね。別に彼女らがどういう存在であんたらがなんなのか、さして興味もないし」

 

そんな言葉を吐きつつ俺は教会に並んでる椅子のひとつに座った。

いやあのね。ここまでの道のりが結構長かったのよね。森の中とか悪路も悪路でさらに倍疲れてるんだよね。そりゃ椅子に座りますわ。

 

「お、俺は1度夕麻ちゃんに──」

「殺されたんでしょ。知ってる知ってる。俺も殺されそうになった」

「じゃあ、なんで!」

「……」

 

不味い。ここから先どうすればいいかの案が浮かばないうちにシリアス感が深まってきちまった。

くっ!どうする!俺!

 

「ちなみに、ユーマちゃん達のことってどうするおつもりで?」

 

このメンバーのリーダーであろう赤毛の美人先輩。リアスさんにそんな質問を投げかけた。

 

「……この場できっちりと始末するわ。私の手で。私の収める土地に無断で侵入し好き勝手しようとしたんだもの、当然のことよ。……イッセーもそれでいいわよね?」

「っ。……はい」

 

苦々しい顔で頷くイッセー。

そりゃそうか。殺されたとしても元彼女だもんな。思うところもあるはずだ。

 

そのままリアスさんは手のひらをユーマちゃん達に向け赤い何かが集まりだし何かを放とうとしていた。

 

いやいやいや、

 

「ストップ。ストーップ」

「っ!?ちょ…!」

 

そんな彼女の前へと躍りでる俺。

 

「いやいやいや、パイセン考えて欲しいんすけど。ここで堕天使やっちゃ不味いって」

「……それは何故かしら?」

「いや、パイセンの口ぶりからしてね?堕天使とパイセン達って敵対してるっぽいのは理解したけどさ。ぶっちゃけそれって個人でというより種族間の話でしょ?」

「!?あなた、私たちのこと…!?」

「あー、もうそれに関しちゃ後日に。とにかく、上の人達からの判断もなしに個人判断で堕天使消し飛ばして戦争にでもなったら不味いじゃん?そうなったら戦場はどこ?ここ(人間界)でしょ?それは迷惑な話になるよこちらとしては」

 

ここまで話し終えリアスさんを見てみる。

彼女は顎に手を当てなにやら考えてる様子。

 

理解はしてくれたっぽい。あとは納得してくれればいいけど。

 

「ボンちゃん!」

「ん?」

「なんで、なんで夕麻ちゃんたちを庇うんだよ!俺は殺された!ボンちゃんだって殺されそうになったんだろ!なのになんで!」

 

イッセー。いや分かる。わかるよお前の気持ち。

でもどうしよ。ぶっちゃけ死なれたら目覚め悪いんだよなぁ。

 

 

 

【女の嘘は、許すのが男だ…!】

【確かに!じゃあブッコロリー!】

 

 

 

情緒どうした?大丈夫?悩み聞こか?

怖いわー。選択肢の振り幅が怖いわー。

 

まあ、カッコつけさせてもらうよ、それなら。

 

「イッセー」

「………」

「女の嘘は、許すのが男だ…!」

 

いやまあイッセーは殺されてるんだけどね?許すも何も、嘘とかそんなレベルじゃないからね。

 

「……っ。……くっ、ボンちゃんにそんな事言われたら何も言えねぇだろうが。へへ、じゃあ俺も許すことにするぜ」

 

マジかよ。お前単純やな。

お前俺の言うこと聞きすぎやろ。さてはお前俺のこと好きやな?

野郎からの好意は御遠慮だぜ。

 

「それでリアスパイセン。どうです?」

「……そうね。あなたの言う言葉にも一理あるかもしれない。1度報告して判断を仰ぐことにするわ」

「あざます」

 

何とか難は逃れたぜ。これで一件落ちゃ……。

 

「でも、部長、アーシアが……」

 

イッセーが示した場所。そこには椅子に横たわる金髪シスターさんが。

ユーマちゃんが誘拐してた子だ。

 

え?まさか死んでる?……一件落着ダナー(遠い目)

 

「いや、まあイッセーと同じやり方で生き返らんの?」

 

やり方とかは知らんけどまあ行けるだろ!多分ね!あとはそっちに任せた!

 

「そうね。悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を使えば……、それにしてもあなたどこでそのことを?……聞きたいことが増えたわね」

 

いや、そのイーヴィなんだかは知らなかったですはい。墓穴しか掘らんな俺。帰っていい?

 

そんなことを思ってる間にリアスさんは何やら懐からチェスの駒のようなものを取りだしていた。

 

それを金髪シスターさんの胸元に近づけるとそれは彼女の体に吸い込まれるようにして消えていった。

 

その瞬間光が溢れ出し辺り一面を覆うように強烈な光が目を覆った。

 

いや、眩し!目が!目がァ!!!

 

「……っ、ここは…?」

 

あ、目覚めた。

 

そんな彼女の姿を見てイッセーは目から汗を流していた。

 

うんうん、これでほんとに一件落着だな!ヨシっ!

 

「平和的に終わってよかったよかった。それじゃ俺帰るから!」

「「「「「え?」」」」」

「ユーマちゃんたちもひとまずじゃーね!またゲームやろうな!」

「「「え?……あ、はい」」」

「よし!そんじゃ、アデュー!」

「ちょ、待ちな──」

 

リアスさんの声を無視して走り出す。壊れた壁から外へ。

面倒ごとは御遠慮!あとはあなた方で何とかしてくれ!

 

そんな気持ちを胸に俺は家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、放課後。

 

「あー、なあ。部長呼んでるんだけど時間大丈夫か?」

 

イッセーがそう話しかけてきた。

フッ、現実は非情なり。




急ぎ足感はあるけど許して。

個人的にフェニックス編までは書いときたいなーという欲はあるけどモチベが続くか分からない、からみんなモチベちょうだいな。


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お茶には利尿作用がある

ランキングに乗ってるんだけど!(激おこプンプン丸)
なんでこんなのがランキング入りしてんだよ!(ムカ着火ファイヤー)
ありがとうございます!(激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム)


 

 

 

「──こちら粗茶です」

「あ、ども」

 

出されたお茶を手に取り口をつける。

入れてくれたのは大和撫子美人の先輩朱乃さん。

 

うむ、程よい苦味と旨みが交じり合っていてこれは美味しいものだ。……まあ、甘党の俺からすればクソ甘の飲み物が欲しいが贅沢は言えんな。

も少し言うと猫舌だから少し熱いな。

 

 

 

【苦いと叫びペッペッと吐き出そう。そのまま甘い飲み物をご所望だ!】

【勢いよく飲み干す。熱々だが喉と舌を火傷するだけだ、大丈夫】

 

 

 

イジメかな?

朱乃さんに対するイジメでもあるし、いつものように俺もイジメてくる。

 

だが俺は紳士。美人な先輩にそんなことが出来るかいいや出来ない。

故に俺は我が身を犠牲にし下の選択肢を選ぶぜ!

 

「───っ!」

 

喉を通るお茶の熱が我が身を焦がす。

熱い、熱すぎる。淹れたてのお茶はなんと熱いことか。

確実に火傷しましたよこれ。

 

 

 

【もう一杯イッキしよう!こんな美味しいもの一杯だけじゃ物足りん!】

【もう一杯もらい地面へと茶飲みごと叩きわろう!こんな熱いのなんか飲めるかあ!と文句を言うことも大事だ!】

 

 

 

大事じゃないです。やめましょう。

なんでもう1回地獄を体験させられなあかんねん。くそ。

 

「もう一杯貰えますかな?」(震え声)

「あらあら、お気に召して貰えたようで嬉しいですわ」

 

それなら良かったです(涙目)

早く選択肢から解放されたいなー。

 

 

 

 

 

さてそんなことをしていたらリアスさんがやってきた。

お茶?ああ、あの後5杯ほど飲んだよ。喉と舌は焼けてもう無限の彼方に行っちまったぜ。

 

ちなみにリアスさんはシャワー浴びてたっぽい。

なんで学校にシャワーがあるんすかね?あなたのせいで私の喉と舌が無くなりましたが?詫びにシャワー姿見せてもらっても?それで今回のことは不問にしてやろう。

 

「ごめんなさいねボント、待たせてしまって」

 

いやホントです。口の中ヒリヒリしとりますよ。

 

 

 

【全くだこのバカもんが!客を待たせるとは何事だ!胸ぐらを掴みちぎっては投げちぎっては投げ、ボコボコにする】

【もう少しゆっくりでも良かったのに。そうすれば朱乃さんのお茶をもっと楽しめた】

 

 

 

もう!もうもうもうッ!

なんでそう加減を知らないの!

 

実質選択肢はひとつしかない…!けど俺は下の選択肢を選んだ未来が見える。この選択肢と何年来の付き合いだと思ってる。

 

「もう少しゆっくりでも良かったのに。そうすれば朱乃さんのお茶をもっと楽しめた」(震え声)

「あら、そう?」

「うふふ、言ってくださればおかわりは沢山ありますわよ」

「ホントデスカ、ワーイ」

 

ほらこうなる。

そんでこうなると、

 

 

 

【窓を開け茶飲みをFly The Sky、世界記録を目指そう】

【凡人?飲んでなくない?WOW WOW】

 

 

 

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッ!!!!!!!

腹立つぁ!コイツゥ!

 

予想してたけど予想外に選択肢が腹立つ!死ね!くたばれ!ボケェ!

飲むのはまだいいよ!そういうノリはいっちゃん嫌いなんだワ!

 

くそぅ……。

 

「………っ!」

「あらあらいい飲みっぷりね」

「先程からこのようにして飲んでますの。こちらとしては嬉しい限りですわ」

 

それなら良かったぜ(かすれ声)

てかそんなことよりこんなにお茶飲むとおしっこ行きたいのだが?

 

トイレ行っても大丈夫だろうか?

 

 

 

【もうこの場で漏らしてしまおう!スッキリするよ!】

【家に帰るまで我慢だ!人の尊厳を守れ!】

 

 

 

……確かに人の尊厳を守るのはいいよ?

だったら校舎のトイレで良くない!?なんでお家なの!?

 

てか今日選択肢が多い!テンション上がってんな!

 

いやまあ我慢するよそれなら……。

 

「……それでえーと?何か話しあるらしいようで?」

「そうね。そろそろ本題に行きましょうか」

 

そう言って目の前のソファに座るリアスさんは姿勢を正した。

それに習い俺も無意識に背筋が伸びる。

 

ちなみに朱乃さんは座るリアスさんの後ろに立ちうふふと笑ってる。素晴らしい。一昔前のお嫁さんのような立ち位置。さすが大和撫子。

 

イッセー?ああ、俺の座るソファの後ろにイケメンと後輩ちゃんとシスターさんとで4人並んで立ってるよ。

 

「ボント、私たちの部活はわかる?」

「え?……あー」

 

なんかイッセーが言ってたな。あの………なんだっけ?

岡山……お母さん……なんかそんな研究部だよね確か。

 

「オカルト研究部です」(ボソッ)

「オカルト研究部ッ!」

 

そうだそうだ。オカルト研究部だ。オカケンオカケン。いやー思い出せた。え?後ろから後輩ちゃんに教えてもらってないっすよ?自力ですから、はい。

 

「………ま、まあいいわ。そう、私たちの部活はオカルト研究部……表向きはね」

 

 

 

【なるほど。表向きはオカルト研究部ってことは裏向きはオカルト研究部じゃないってことですね?】

【なるほど。表向きはオカルト研究部ってことは別にオカルト研究部じゃ無いわけじゃないんですね?】

 

 

 

……ま、紛らわしいぃ…!

何?構文?構文なのこれ?別に確認しなくてもいい事じゃない?どうでも良くない?確認しなきゃダメ?

 

「なるほど。表向きはオカルト研究部ってことは裏向きはオカルト研究部じゃないってことですね?」

「……え、ええ、そうね」

 

ごめんね、困惑させて。

 

「まずはそうね……見てもらった方が早いかしら」

 

そう言うとリアスさんの背中から何やら黒い翼が生えてきた。

光沢のあるツヤツヤの黒い翼。

 

そんなリアスさんを皮切りに朱乃さんや他のみんなも翼が出ていた。

 

イッセー、貴様もか!

 

「歓迎するわボント。悪魔として、ね」

 

 

 

【みんなが秘密を打ち明けてくれた。ならばこちらも曝け出さなくては無作法というもの(チャックジー……ボロン)】

【みんなだけ翼あるのはずるい!僕にだってあるもん!(ブレザーの裾を掴みあげ翼を表現)】

 

 

 

ボロンじゃないのよ、ボロンじゃ。下ネタNGでーす。

 

翼かぁ…(遠い目)

もう慣れたよ、こんな選択肢(諦め)

 

「……えーと、何してるの」

「ボクニモツバサアルモン」

「そ、そう……」

 

ごめんね、困惑させて(2回目)

 

「それにしても驚かないのね。……ってあの日の夜、私たちのことを知ってる様子だったし当然かしらね」

「まあ、知り合いに悪魔がいるもんで。そいつと雰囲気近かったからなんとなくは」

「そうなの。ちなみにそのお知り合いっていうのは誰かしら?」

「あー、いや、そんな深い仲じゃないしな。名前知らんな」

 

そういえば知らねーな。双子の銀髪姉妹ってことしか。

てかあのチュートリアルって時系列いつだよ。

 

「ちなみに堕天使3人組プラスシルクハットの男堕天使ってどうなったん?」

「あの後上に報告した後に引渡しを済ませたわ。あとは堕天使の方で何とかするそうよ」

「へー……」

 

まあ、ブッコロリーはされないでしょ。多分。いつかまた会えるといいなぁ。

 

「さて、それじゃあ次は私から質問するわね。……あなたはどこの陣営なの?」

「ん?あぁ、人間側」

「……えーと」

「いやー、ぶっちゃけ悪魔とか天使とか堕天使とか。色々いるみたいだけどさ、俺からしたらどうでもいいかなって。俺はその人個人とか関わってみて人となりを見てるわけだから。誰だろうと差別しない主義……ってやつ?」

「……そう。その言葉、信じましょう」

 

やったぜ。信じてくれたぜ。てか今の俺の発言かっくいー!

かっこいいぞ!俺!ありがとう!俺!

 

「ちなみにボントは神器(セイクリッド・ギア)は持っているの?」

 

せいくり……ああ、なんかユーマちゃん言ってたっけ?

そういや、

 

「あれ?イッセー持ってなかったっけ?」

「ああ、これか?」

 

そう言うと左手に現れた赤いガントレットのようなもの。何それカッチョイイ。

 

「そちらのイケメンさんは?」

「僕も持っているよ。魔剣創造(ソード・バース)。魔剣を生み出す力さ」

「え、なにそれカッチョよ。え?他には……」

「あ、私も持ってますよ」

 

手を挙げたのは金髪シスターさん。そういやあなた今日から俺のクラスに転校してきたよね。よろしくね。

 

聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)です。怪我などを治すことが出来ます」

「あらー、本人に似て優しい能力」

「え?い、いえ、そんな」

 

照れる姿……カワイイ( ᐛ)

 

てか、となると俺の能力もせいくなんたか?になるのか。

いや確か名前は……、

 

「あ、そうだ。均衡の天秤(ザ・ニュートラル)だ」

「……あなたの神器?」

「あー、多分?」

 

神器……神器だよな?多分?……まあ、いいや!知らね!

 

「ちなみにそれはどんな能力…?」

「えーとね──」

 

 

 

【教えて欲しくば力づくだ!かかってこい!(戦闘開始)】

【能力は、ひ・み・つ】

 

 

 

どうして!?教えてやれよ!ナジェダ!

 

「能力は、ひ・み・つ」

「そ、そう。まあ深くは聞かないわ。とりあえず聞きたいことは聞けたわ。最後に……ねぇ、貴方も悪魔になってみない?」

 

ほう、これはなかなかのご提案。

イッセーもなってるなら俺も──

 

 

 

【だが断る!】

【悪魔になりたくは無いけどオカルト研究部には入ってあげる!べ、別にあなた達のこと好きなわけじゃないんだからね!】

 

 

 

え?ギャルゲー始まった?

俺がギャルゲーの主人公みたいなことしてるのにヒロインムーブ?まじ?

 

「だが断る!」

「あらそう。残念ね」

「でもオカケンになら入ってもええで」

「ホント?それは嬉しいわね。じゃあこれからよろしく頼むわ、ボント」

 

そう言ってリアスさんが出てきた手を握り返した。

とてもスベスベで女の子のお手手だなぁと実感した。

 

あと、忘れてるかもだから最後に一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小便行きてー




選択肢を考えるのが実はいちばん大変だったりする。


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戦闘校舎のフェニックス
悩みと本音と選択肢


お久、


 

 

 

オカルト研究部に入部してから数日が経った。

オカケンの活動は基本夜中で、なんかチラシ配ったり、契約者?の人の元に行って依頼やら何やら、よく分かんないけど……なんかしてた!

 

俺はと言うと、まあ悪魔では無いのでね、部室にゲーム機持ち込んで依頼とかが無い人と毎日ゲーム三昧。最近なんて着替え持ってきて部室である旧校舎で寝泊まりしてたりする。

 

シャワーはあるし、ベッドはソファー使えばいいし、何より学校がすぐそこ。ギリギリまで朝寝れる。

……最高じゃね?

 

そしてただいま暇してるリアスさんと共にテレビゲームのチェスをしてる。

フッ、リアスさんもチェスはなかなか強いが、ゲームに関しては俺は負け知らず。ボードゲームに関しては未だに無敗を誇る。

てな感じで、いつもいつも負けをプレゼントしてる俺な訳で、その度にキーキー悔しがってる先輩を見ることを楽しんでる俺なわけだが……何やら今日は様子がおかしい気がする。

 

「………」

「………」

 

「………」

「………」

 

「……あ、チェックメイトです」

「………」

 

うん、やっぱりおかしい。

いつもならここで、『キー!もう1回よ!次は勝てるわ!アナタの打ち方の癖は見抜いたわ!』とか、うんたらかんたら噛み付いてくるもん。

 

「……ねえ、ボント」

「え?あ、は、はい?」

 

いきなり名前を呼ばれてあらびっくり。

手元のコントローラーを落としてしまった。

 

「もし、あなたが結婚するとしたら、どんな人がいい?」

 

 

 

身長(タッパ)(ケツ)がデカい女】

【結婚なんて考えてない。なぜなら俺は俺のことが一番好きだから!】

 

 

 

性癖暴露とナルシストを同時に出すんじゃないよボケカス。

それにしたって結婚……なんとも唐突な問いではないか。

 

気分沈んでるのもそれ関連?マジかよ。高校生で結婚考えんの悪魔さんたちって。人生生き急ぎすぎじゃね?人間より寿命長いのに、もっと気楽に生きたら?

 

とりあえず選択肢を消費……いや、どっちもキッツ。

いや、たしかにタッパとケツでかい人好きよ?うん。けどそれをどストレートに言うってどうよ?

 

「……結婚なんて考えてない。なぜなら俺は俺のことが一番好きだから!」

「……そう」

 

俺の言葉に暗い表情のリアスさん。

マジかぁ……ミス?ミスった?

 

「あ、あー、でもタイプで言うなら身長高くて、お、おしりとか胸とかでかい人好きかな〜、なんて……」

「………」

 

無言!

なんてこったい!選択肢を間違えたと思って、もうひとつの方を一応まろやかな表現で言い直したけど、これもダメか!?

なんてこったい、打つ手なし。

 

「……ねえ、もし──」

 

「ただいま帰りましたー!」

 

わっしょい!(?)

な、なんだイッセーか。唐突な大声に驚い止まったじゃねえか。

悪魔としての依頼を終えて帰ってきたか、おつかれさんだね。

 

「部長、ただいま戻りました」

「………」

 

猫ちゃんとイケメンもおるやんけ。みんな帰ってきたんか。

 

「朱乃さんはー?」

「まだっぽい」

 

仕事熱心ね。みんなこうしてがんばってる中、ゲームしてる俺とリアスさんって……ま、いっか!

 

「あ、そういやリアス部長さん。さっきなんか言いかけてたけどなんです?」

「……いえ、なんでもないわ。さて、みんな報告を聞かせて──」

 

明るい口調にもどるリアスさん。

戻ると言うよりも取り繕う?むぅ、気になる。すごく気になる。

 

 

 

【詰め寄ってやれ!言うまで部室に監禁だ!】

【まだだ。まだその時では無い。慌てるな凡人よ】

 

 

 

あ、はい。それ(監禁)なら待ちますね。

すごく待っちゃう。首が伸びすぎて2キロ程伸びるまでは待っておくことにしますね。

 

そんなことを考えつつ、無理に笑うリアスさんを視界にそのまま寝落ちした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はて、どれくらい時間が経ったか。部室のソファで寝落ちした俺は頭に感じる温もりで目が覚めた。

薄目を開けてみると広がるのは闇。

もう深夜。みんなが悪魔稼業を終えて家に帰ったとしたら日付を跨ぐ前だろう。

 

だとすると……1時、2時くらいか。

シャワーも浴びてない。汗くらい流しておきたいな。

 

そうして起き上がろうと……ん?頭の温もり?

 

だんだん目が夜の闇に慣れてくるとそこにいたのは、

 

「あら?リアス部長さん?」

「……起こしたかしら?」

 

赤毛を揺らしたリアスさん。

 

「他のみんなは?」

「帰ったわ。私だけ残ってる」

「なるへそ。……あともしかして、俺膝枕されてる?」

「あら、嫌だったかしら?」

 

 

 

【とんでもない!なんなら今すぐ寝返りを打ちリアス先輩のスメルを鼻から吸い上げ、肺で満たしたい!】

【添い寝の方が良かったなー。お腹ポンポンされたい】

 

 

 

寝起きからフルスロットルで安心したよ。ただ、俺を変態に仕立て上げようとするその魂胆はいただけないな。

いや、まあ?確かに?言葉にはしないけど?してみたいし?されたいよ?

 

ただそれを言葉にして言っちゃあ犯罪者になっちまうんやで。覚えときな?

 

「添い寝の方が良かったなー。お腹ポンポンされたい」

「あら、そう?ボントってたまに子供になるわよね。……いいわ、じゃあ今度してあげる」

 

マジかよ。やったぜ!

おそらく緊張して眠れないと思うけどやったぜ!男の子の夢のひとつが叶うことが確定したぜ!

 

「……さっきの話なんだけどね」

「んー?」

 

さっきの話。みんなが戻ってくる前にしていたやつか。

なんか言いかけてたっけな。

 

「私がもし、あなたに"抱いて"って言ったら……どうする?」

「それはハグ的な意味で?それとも大人な感じの意味で?」

「大人な感じの意味よ」

 

うわぉ、なんてこったい。

大人の階段登る〜?君はまだシンデレラさ〜?

 

頭がついてかんて。

えーと、とりあえずなんて答えるか。

 

「あなたのタイプにピッタリだと思うのだけど、私」

「……あ」

 

確かに身長あって、ボンキュッボンのナイスバデーの年上だ!

じゃあ断わる理由ないね。しょうがないね。

 

とは言っても、そんなことを言う件のリアスさんの顔は浮かない表情。

 

「……リアス部長さん」

「なに?」

「アンタ……別に俺の事好きじゃないでしょ」

「……っ」

 

若いながら土地を治める程の地位の悪魔。恐らくいいとこの家出身だ。

そこに結婚の話題。さらに、"抱いて"という言葉。

 

「……政略結婚が嫌だから既成事実つくっちまって白紙にしよう的な感じだ」

「っ!……変なとこで鋭いわよね、ボントって」

 

フッ、選択肢によって鍛えられた頭の回転を舐めるんじゃあないぜ?私の推理力は53万です。

 

 

 

【俺のアソコも鋭い槍だぜ】

【私の推理力は53万です】

 

 

 

パクリおって貴様〜!

あと、上の選択肢。今はそういう話題から最も離れないといけない時だろうがぁ!

 

「私の推理力は53万です」

「そうね」

 

返答にキレが無さすぎる。調子狂うなぁー。

 

そんなことを思いつつ身体を起こす。頭の温もりが名残惜しい。

 

「ま、あれですわ。抱くも抱かぬもどっちでもいいけどさ、先ずは周り頼ったらどうなんです?」

「……え?」

「イッセーのせいくり……まあ、なんかすごいやつらしいし、朱乃さんも強いんでしょ?1人で抱え込んで潰れられる方が部員たちは悲しいと思うわけ。それなら話しをして解決策なりなんなりみんなで探せばいいんじゃねんです?」

「………」

 

そんな俺の言葉に暗い顔のリアスさん。うーむ、響かんなぁ。

巻き込みたくないのか、はたまた諦めてるのか。……それか、敵対した時のリスクが高いのか。

 

 

 

【リアスさんの顔をつかみモニュモニュと揉み込む】

【リアスさんの胸をつかみモニュモニュと揉み込む】

 

 

 

そういう雰囲気じゃなかろうてー。

胸か顔か?キッツ。彼氏でもない男にそれされるとかキッツ。

マジかぁ。

 

「………」

「え?…あ、ちょ」

 

選択肢を選び、リアスさんの顔を揉み揉みする。

ほっべを掴み上へ。

 

「はい笑ってー」

「な、なひすふの」

「暗い顔じゃ何も変わらんですよ」

「………っ」

 

「まずは笑う。病は気からみたいなもんです。笑う門には福来るとか?ま、笑っとけば何とかなりますって」

「でも、笑うなんて……」

 

「あー!焦れったい!」

 

「ッ!?」(ビクッ)

 

「どうして欲しいんです!?抱けばいいんすか!?それで全部解決ちゃんちゃんで終わる!?平和的にチャラになるの!?助けて欲しいのか!ただただ愚痴を聞いて欲しいのか!そこら辺はっきりしてもらってもいいですか!?」

「え、あ、ぼ、ボント…?」

 

ホンットに優柔不断なんだから…!なんでこう、女って…!ふんすふんす。

 

「自分の内にあるもん全部ぶちまけて欲しいんですわこっちは!何をして欲しいんです!?結婚はいやだってのは分かりました!その後は!?こっちは何をやればいい!?慰めれば満足!?」

「……っ」

 

息を切らし言い切った。

キャパ不足のくせに抱え込もうとして潰れるやつなんていくらでもいる。大人びてるけどこれでもこの人は高校生、まだまだ子供。

 

子供らしく癇癪起こしてわがまま言うくらい許されてもいいだろ。

 

「わ……わ、私は結婚なんてしたくない!」

「そうだ!」

「悪魔の将来とか私の人生に関係ない!」

「そうだ!」

「でも私一人じゃどうにもできない!」

「そうなのか!?」

「誰か、助けてよ…!」

 

「おっけー」

 

「………え?」

 

やっと本音言ってくれたよ。全く、手のかかる子だね。

 

 

 

【困ったことがあったらな、風に向かって、俺の名前を呼べ】

【イッセーにメールを送ろう。後はイッセーに任せとけばなんとかなるっしょ】

 

 

 

クソ野郎ぉ…!

人に丸投げかよォ…!ここまでカッコつけといてそれは無いでしょォ…!

 

「困ったことがあったらな、風に向かって、俺の名前を呼べ」

「……ボント」

「そん時、しっかり助けてやりますわ。人としてね」

「……っ。でも相手は強大よ」

「でももだっても今は無し!俺だって強いぞ!多分!」

 

そういうと、ほうけた顔のリアスさん。

やがて吹き出すように笑った。

 

「ぷッ、締まらないわね」

「我ながらそう思ってますわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、私は帰るわね」

 

あれから少し時間が経ち、落ち着いたリアスさん。

 

「うぃっすー」

「あまり夜更かししちゃダメよ?」

「……もう遅くね?」

「それもそうね。……じゃ、おやすみ」

 

そう言って出ていくリアスさん。

とりあえず俺は……シャワー浴びるか!




ノリと勢いで書いた。
なんかもう、色々適当になってるかもだけど許して


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ゲームは難しい

お久しぶりですね。いつぶりですか?

…いつぶりでしょうねえ?


 

 

 

学校が終わった!

早く旧校舎に行かなきゃ!

 

放課後を迎えたその日の俺は一目散に荷物をまとめ教室を飛び出した。

 

なぜこんなに急いでるのか。それは最近、選択肢で選ばれたミッションを遂行中だからである。

 

そのミッションとは、ポケットの怪物さん、プラ○ナの金ネ○キである。

 

もうね、これ死ぬ。

放課後終わりから夜の12時まで毎日。勝てるまで続くこの生活。

 

既に始めて1ヶ月はすぎたんじゃないだろうか。

誰かそろそろ助けて。ディーとエスの機体片手に技のダメージ計算表やら敵もこっちも使うポケモンの一覧と今まで使った技をまとめたノートとをにらめっこしながらの生活はもうしんどい。

 

早く終わらせたい…!この生活…!

 

てなわけで入口オープン!

 

「ただいま!おかえり!」

 

「うぇ…?」

「あ、あらあら…?」

 

入ったらリアスさんと朱乃さんがいた。

だが、付き合ってる暇はないんだぜ!

早くこの生活を終わらせるという使命が俺を待ってるんだぜ!

 

 

 

【まあ、まずは落ち着いてシャワーを浴びよう。ついでに先輩二人もシャワーに誘おう】

【朱乃……、茶をいっぱいくれないか……?(イケボ)(キラリン)】

 

 

 

あぁ……しんどい……しんどすぎる……。

 

セクハラかナルシストか。どっちもやだけど上は犯罪ですからね。実質一択です。

クソ…!朱乃さんを唐突な呼び捨てかよ…!

怒られないかな…?怒られるかな…!?

 

この人性格ドSだからワンチャンボコボコにされるんじゃないか…!?

 

いや、だからといって上なんて選べないんだけどね?

 

「……あ、朱乃……茶をいっぱいくれないか…?」(震え声)

「……っ、あらあらいきなり呼び捨てだなんて、少しドキッとしてしまいましたわ。お茶ですね?今淹れますね」

 

……怒ら、ない?

やったぜ!(ドヤ顔)(コロンビア)

 

「ああ、一杯じゃないですから。いっぱいですから」

 

…………ん?

 

「あと熱々でお願いします」

 

おいゴラァ!?何勝手に口を動かしてるんだクソボケカスゥ!?

 

一杯じゃなくていっぱい!?たくさんてこと!?しかも熱々!?フジャケルナ!そんなの選択肢に書いてなかったぞ!後付けは卑怯だ!先生に言ってやるぅ!!

 

先生!選択肢くんが僕を虐めてきます!

 

 

 

【諦めなさい(優しい微笑み)】

【‎……ハッ(鼻で笑う)】

 

 

 

このがきゃァ!!こっちが大人しければ調子に乗りおってぇ!!

 

俺は貴様をムッコロス!!

 

「はい、お茶です」

 

差し出されたお茶。

除けばそれはそれは白い湯気がたちこめているじゃありませんか。

なんということでしょう。確実にのどを火傷する熱さを感じますね。

 

「…………ありがとう…!ございます…!」(涙)

 

ちなみにこの後めちゃくちゃ火傷した。

 

あっちいな!ちくしょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──婚約者?」

 

DとSとノートに視線を向けながらリアスさんにそう聞き返した。

 

「ええ、今日ここに来るらしいの」

「なるほど……つまり追い返せと、そう言いたいのだな…?」

「違うわよ……いや、まあ確かに本音を言うとそうなのだけど……」

 

苦々しい顔のリアスさん。大変ね。俺も大変だから話は後でいい?

 

「変に騒ぎを起こさないで欲しいの。あいつ、なんでも燃やそうとするから気に触る言動してしまうと…」

 

なるほど、俺を心配してってことか。

 

感動的だな。だが無意味だ。

 

なぜって?俺の行動は選択肢に縛られてるからだよ!俺がやりたくないと思ってても選択肢の強制力は辞めさせてくれねえんだよ!

 

……それなら旧校舎を出てしまえばいいのでは?

 

 

 

【……ハッ!?金ネ○キ中は旧校舎から出てはいけない!】

【ダメダメ!出ない!お前は出れない!逃がさん!】

 

 

 

貴様ぁ!!

 

ちくしょう!!無言で退出しとけばよかった!!逃げられなくなっちまった!!

終わりだ、もうダメだァ……おしまいだあ…!

 

「……大丈夫ですよ」

「………」

「………」

「………」

「……………多分」

「!?」

 

だってしょうがないでしょ。多分だもん。断定できないもん。

 

そんな時だった。部屋の一角が光出した。

なんだ!?敵襲か!?

 

 

 

【ぐあああ!目が!目がァァァ!(迫真の演技)】

【こちらも負けじと輝き出せ!(部室中の懐中電灯を集め自分を照らし決めポーズ)】

 

 

 

テンションが高い……着いてけねえぜ。

 

「ぐあああ!目が!目がァァァ!」

 

「「!?」」

 

見よ!これが俺の迫真の演技だ!(やけくそ)

 

一通り目を押え苦しんだ後、近くのソファに手を置きそのまま地面へと倒れ込む。完璧だ。素晴らしい。流れるような一連の流れ。もはや芸術だね(?)

 

「………」

 

「「「…………」」」

 

起き上がったら美女3人と目が合った。

 

「…………」

 

「「「…………」」」

 

立ち上がり埃をパンパンと。

ソファに腰かけゲーム機を手に取り続き続きーっと。

 

「…………知らん人がいる!?」

 

「遅い…!」

「あらあらうふふ」

 

「はじめまして。グレモリー家でメイド長を務めていますグレイフィア・ルキフグスと申します」

 

驚く俺を他所に、メイド服を着た銀髪の美女はスカートを摘まそっと頭を下げた。

 

 

 

【こちらも低姿勢で行け!土下座で応戦する】

【ぺこりと挨拶をし、隙を見せた彼女の首元へ手刀を入れる】

 

 

 

戦闘民族やめろや。野蛮すぎる。

ほなもう土下座やないか。何でせなあかんねん。

 

「平ぁぁぁあ!凡人でぇぇぇぇす!よろしくお願いしまぁぁぁぁぁす!!」

 

勢いよく両手をつき頭を地面へとぶつける。

擦り付けるじゃない。ぶつけるだ。痛い。頭痛い。

 

「え、ええ……、よろしくお願いします……」

 

さすがのグレイフィアさんも困惑顔だ。

へ!この程度でたじろぐかメイドよ。貴様にこのステージは早すぎたようだな。

 

……困惑させてごめんね?

 

そんなことより俺は金ネ○キをやらねば。

 

「部長!お疲れ様です!」

「失礼します」

「………」

「お疲れ様です。遅れました」

 

そんなことをしてたらイッセーを始めとした残りのオカケンメンバーがやってきた。

遅かったな。待ってたぜ。

 

「部長、そちらの方は……?」

「ああ、紹介するわねイッセー。彼女はグレイフィア・ルキフグス。私の家のメイドよ」

「よろしくお願い致します、イッセー様」

「……め、メイドさん…!だと…!」

 

初めての本物のメイドを見て歓喜に震えるイッセー。

コンカフェとかとは違うだろ?これが本物さ。

 

かく言う俺も初めて見たけどな!メイドしゅげー。

 

さて、そんないつもの日常に+グレイフィアさんの和やかな放課後ではあるが、そんな時だった。

 

部屋の床に赤い魔法陣が浮かび上がった。

 

……次は何よ、なんなのよ。

 

俺に金ネ○キを進めさせてくれ…!




金ネジキ、挑戦してたことあるけど45戦までが最高記録。

なにあれ、苦行だよ苦行。


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激闘を越えて

ノリを忘れてる…!
これでよかったか…!?分からん…!誰かたしけて…!


 

 

 

床に展開された魔法陣。

それを見た木場は言葉を漏らした。

 

「これはフェニックスの……」

 

フェニックス!?

不死鳥ですか!?テンション上がるなあー!

 

と思ったら突如として吹き上がる炎。

 

火事だ!火事になっちゃうよこれ!大丈夫!?

 

まあそんなことは起きることも無く。炎が収まるとそこから金髪のホスト崩れイケメンが現れた。

 

……………フェニックス…?

なんかこう、イメージしてたのと違うなあ(テンションダウン)

 

「ふぅ、人間界に来るのは久しぶりだ。相変わらずこっちの世界の風はむず痒くて敵わん。……さて、会いに来たぜ、愛しのリアス」

 

髪をかきあげそんなことを言う不死鳥さん。

 

なんだろう。イラッとしますね。

 

そんなことはさておき俺は金ネ○キを進めましょっか。

 

「だ、誰ですか?この人」

「この方は純血の上級悪魔であるフェニックス家の御三男、ライザー・フェニックス様です。そして、グレモリー家の次期当主の婿殿。即ちリアスお嬢様の婚約者であらせられます」

「こ、婚約者ぁ!?」

 

イッセーの声が響く部室。

それに続いてリアスさんのため息がこぼれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──お茶ですわ」

「いい香りだ。リアスの女王が淹れた茶は美味いなあ」

 

はははと笑う不死鳥さん。

そんな彼に対して朱乃さんは異様なほどのニコニコ顔を浮かべていた。ふむ、ぶちギレである。ひえぇ、怖いめぅ…。

 

………敵はジュゴンか。上は取れてるな、よし。

 

不死鳥さんはリアスさんの横を陣取りべたべたと体を触りセクハラし放題。現代社会じゃすぐに警察沙汰になっちまうぜ、不死鳥さんよぉ。

 

「いい加減にして頂戴!前にも言ったでしょう。私は貴方と結婚する気は無いわ。自分の結婚相手は自分で決める!」

 

我慢の限界を迎えたリアスさん。

ブチ切れである。ひえぇ、怖いめぅ…(2回目)

 

……ってちょい待て!敵のジュゴンれいど型か!?

やめて!一撃必殺やめて!

 

「……それは前にも聞いたがな。君の所のお家事情は意外と切羽詰まってるんだろう?」

「家を潰す気はないわ。当主も継ぐし、婿養子だって迎え入れるつもりよ」

「そうか! だったら……」

「でも!……私は私がイイと思ったヒトと結婚するわ。ライザー、少なくともそれはあなたじゃない」

「……俺もフェニックスの看板を背負って此処に来てるんだ。はい、そうですかと簡単に帰る訳にはいかないんだよ」

 

そう言って顎クイをし、目と目を合わせる不死鳥さん。キザったらしくて嫌いです。

それに対してリアスさんも手を払うように不死鳥さんを拒絶した。

 

……ぎゃああああ!一撃必殺当たってんじゃねえよ!敵の命中率おかしいだろ!俺使うと当たんないのに!キイーー!!

 

「おいあんた!いい加減にしろよ!」

 

そうだぞ!いい加減にしろ!

眠るで体力回復して寝言でつのドリル当ててきてんじゃねえ!!

なんで一撃必殺が二回連続で当たるんだよ!

 

「貴族だかなんだか知らないけどそれが婚約者のすることかよ!」

 

……あ、そっちね。

 

「あ?誰だ、お前は?」

「兵藤一誠!部長の兵士だ!」

 

よしよしよし、ひとまず何とか突破した…!

だがこれで48連勝!次がホントのラストだ!かかってこい金ネ○キ!

やっと貴様の命に手が届くぜ…!

 

「おいおい、リアス。眷属にするやつは選んだ方がいい。こんな軟弱そうな男に命を任せるとは見る目がないな」

「な、なんだと…!?」

「……ライザー、今の言葉取り消しなさい」

 

まさしく一触即発の雰囲気。

 

……俺も気合いが入るってもんだぜ…!さあ!来いよ!

 

なんて言ってる間に不死鳥さんとリアスさんの間に火花が散っていた。

もはや二人の交わす視線の空間がぐにゃあと歪んで見える。

 

もはや刃牙の世界だ。

 

「これでも俺は悪魔の未来を考えてるんだ。未来を守るためだったら多少強引にでも君を冥界に連れて帰る。君の眷属全員燃やし尽くしてもだ」

「……!そんなことさせないわ…!」

 

いやああああ!うちのジュカインちゃんが燃やし尽くされたァァァァ!やめてえええええ!

そろそろ勝たせてぇぇぇぇ!この苦行を終わらせてぇぇぇぇ!

 

「お2人とも、お納めくださいませ」

 

魔力と魔力がぶつかる空間にそんな声が響いた。

 

落ち着きつつそれでいて重いプレッシャーを放つグレイフィアの言葉に張り詰めた空気は霧散する。

 

「お嬢様、ライザー様。私はサーゼクス様の命によりこの場におります故、これ以上場を荒らすとなれば一切遠慮は致しません」

 

俺も選択肢の命によりこの場を離れられないんですよねー。

……グレイフィアさんもさてはサーゼクスという名の選択肢に囚われてる感じ?もしかして仲間なの!?

 

「……あなたにそんなことを言われたら、さすがに俺も怖いな。バケモノ揃いと評判のサーゼクスさまの眷属とは、どう足搔いたって勝てる気がしないよ」

「旦那さま方も、おおかたこうなることは予想しておられました。正直申し上げますと、今回が最後の話し合いの場だったのです。よって、決裂した場合の最終手段を仰せつかっております」

「最終手段?」

 

怪訝そうな表情が浮かぶリアスさん。

それに反して不死鳥さんさ何かを察したのかいやらしい笑みを浮かべていた。

 

「それほどまでに意志を貫き通したいというのであれば、レーティングゲームにて決着を、と」

「………っ」

「……なるほどな」

 

レーティングゲーム…?俺は今別のゲームで忙しいんだ。後にしてくれないか?今大事な局面なんだ…!

 

「なあ、リアス。念のため訊いときたいんだが……、キミの眷属は、このメンツで全てなのか?」

「……何が言いたいの?」

「おいおい嘘だろ?俺はゲームを何度も経験してるし勝ち星も多い。君は経験はおろか、公式なゲームの資格すらないんだぞ?そんな君が眷属もロクに揃ってない状態で俺とやり合おうってのか?」

「ど、どういう意味だ!」

 

噛み付くイッセー。

そんなイッセーに勝ち誇ったような笑みを向ける不死鳥さん。

 

「出来レースにも程があると、そういうことだ」

 

不死鳥さんがそうして指を鳴らすとそれに反応して再び魔法陣が展開された。

そこから現れたのは様々な系統の美少女たち。

 

見れども見れども女。女オンリー。男?ナニソレオイシイノ?である。

 

体操服からハッピの少女。

魔術師姿やらチャイナ服やら胸元がはだけた服装やら、果てにはケモ耳まで。よりどりみどり。

 

「彼女たちが俺のかわいい下僕たちだ」

 

フルメンバー。女フルメンバーの不死鳥眷属。

 

それを見てイッセーは愕然とした表情で地面へと項垂れた。

 

「美女美少女揃いが一五人…!?ライザー・フェニックス……なんて恐ろしい……羨ましい奴なんだ…!」

「お、おいリアス。キミの下僕くん、俺を見て号泣してるんだが?」

「……その子の夢がハーレムなのよ」

 

もはや呆れのリアスさんと不死鳥眷属たち。

眷属さんの1人がキモイですわー、なんてことを言ってる。分かる。いや、分かるゥ!(超分かるの意味)

 

「そういう事か………ユーベルーナ」

 

そう言って近くにいた眷属の1人を呼ぶ不死鳥さん。

ユーベルーナと呼ばれた魔術師姿の美女は不死鳥さんの元まで来ると、肩を抱き寄せられ、潤んだ瞳のまま──

 

「うっわ……」

 

──次の瞬間、たまらず口から言葉がこぼれた。

 

あろうことかこの男、婚約者(仮)の前で別の女とキスを始めた。

しかもそれもディップディプなやつ。

 

……ふっ、俺は何も見なかった。そうだろ?(メソラシー

 

「何してやがる…!」

「スキンシップさ」

 

口と口の間に透明な糸を伸ばし口を離した不死鳥さんは嘲笑を浮かべイッセーに向けてそう言い放った。

 

キッショ、死ねば?(ドストレート)

 

「お前じゃ一生こんなことは出来まい、下級悪魔くん」

「ぐっ!う、うるせえ!その調子じゃ、部長と結婚した後もそうやってイチャイチャするんだろ!この種まき焼き鳥野郎!」

「なっ!焼き鳥だと!?」

 

そう言って殴り掛かるイッセーだったが、不死鳥眷属の1人のハッピを着た少女が駆け出し、一撃でイッセーを吹っ飛ばした。

ヒュー、つよつよじゃん。

 

………あ、待て!なんで最後の最後でフリーザーなんか出てきてんだコノヤロウ!

ぜったいれいど持ってる?持ってるよねー。

 

………当たるなよ!頼むから当たるな!今まで当たってきたのはこの瞬間、確実に避けるための乱数調整だったんだよォ!

 

「イッセー!」

「そこのミラは俺の眷属の中で一番弱い兵士だ。その体たらくじゃ……はあ、ゲームは楽しめそうにないな」

「ぐっ……クソ…!」

 

悔し顔のイッセー。

それを心配するリアスさんだったが、覚悟が決まったのか鋭い眼差しで不死鳥さんを睨みつけた。

 

「わかったわ…!いいわ!レーティングゲームで決着を着けましょう!覚悟なさいライザー。あなたを消し飛ばしてあげるわ…!」

 

「……話は纏まったようですね。ではレーティングゲームにて決着をつける。お二方、異存はございませんね?」

「ええ」「ああ」

 

「……では、ゲームの期日は十日後と致します。ライザー様も仰いましたが、その程度のハンデは有ってしかるべきかと―――ライザー様も本格的な修行をするのはお控え願います」

 

お?話が纏まってきたか?

よかったよかった。さて、そろそろ俺も佳境に入った。絶対に勝ってやるぜえ…!

 

「……それにしても、そこにいるのは人間だろう?なぜこの場にいる?」

「彼もこの部活の部員よ。私たちの正体も知ってるわ」

「ふん……それにしても俺を前に無視するとはな。おい人間」

 

「…………」

 

ヨロギのみ持ちフリーザーだとぅ!?まずい!耐えられる!

 

はああああ!ぜったいれいどやっぱ持ってた!

当たるな当たるな当たるな!………きちゃああああああ!よく避けたナイスゥ!

 

「……おい」

 

これであとはこっちの技をもう1回当てれば…!

当たれよ?ちゃんと当たれよ…!?

 

「……貴様、聞こえて「来たあああああああああああああ!!!」…っ!?」ビクッ

 

ついに…!ついに俺は成し遂げた…!

金ネ○キを完走したぞ!!

 

「ぼ、ボンちゃん?ど、どうしたんだ…!?」

「イッセー……俺は成し遂げたぜ……」

「………?……はっ!?まさか!?」

「ああ!ついに完走したぞぉ!」

「す、すげえ!すげえよボンちゃん!」

 

イッセーと手と手を取り合ってその場で回り出す。

嬉しい!嬉しすぎて空を飛んじゃう!

 

 

 

【この喜びをみんなと分かち合いたい!今すぐ放送室に駆け込み全校生徒に勝利のスピーチを披露する】

【この喜びをみんなと分かち合いたい!今すぐこの場にいる全員とハイタッチ会を開く】

 

 

 

あ、迷惑はかけられないのでハイタッチで。

 

「いえーい!」パチン

「いえーい!」イッセー

 

「いえーい!」パチン

「い、いえーい…?」リアス

 

「いえーい!」パチン

「……ようやく終わったんだね」キバ

 

「いえーい!」パチン

「お疲れ様です、ボン先輩」コネコ

 

「いえーい!」パチン

「お、お疲れ様でした!」アーシア

 

「いえーい!」パチン

「あらあら、お疲れ様です」アケノ

 

「いえーい!」パチン

「え?あ……お、おめでとうございます…」グレイフィア

 

「いえいえいえいえーい」パチパチパチパチパチン

「「「「い、いえーい……???」」」」ケンゾクゴイッコウ

 

「な、なんだお前……!」ライザー

「いえーい!」パチン

 

はあああああ…!なんて清々しい!これが達成感ね!ようやくあの地獄の日々が終わるのね!

 

嬉しい!嬉しすぎて地下を掘っちゃいたい!

 

 

 

【この嬉しさを勝利の舞として表現する】

【この嬉しさを渾身のドゥドゥドゥペーイを披露し表現する】

 

 

 

聞け!これが俺のドゥドゥドゥペーイだ!




シリアスブレイカー。

彼が動き出したら同じ空間にいるものたちのIQは下がる能力を持ってるのかもしれない。


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努力も実績も消え去るのが世の常

こんな1話で済むような話をギャグ路線で書くと3話に分かれるというね。

……やっぱりノリがまだ取り戻せないな。


 

 

 

「──……ありがとうございました…!」

 

パフォーマンスを終え、深々と頭を下げる。

 

約2分の俺のドゥドゥドゥペーイ。歌いきってやったぜ…。

最初は困惑していた面々……特に眷属御一行様方は時間が経つにつれ驚きつつも感嘆の声をちょくちょく漏らしていた。どうだ?すげえだろ俺。凄いよなああああ!?

 

「ぼ、ボンちゃんすげえ!いつの間にそんな特技を身につけてたんだ!?」

「ふっ、そうだろイッセー。俺はすごいのさ……」

 

純粋な褒めの言葉を貰えて大満足。

それでこそやった意味があるってものさ。

 

 

 

──パチパチパチパチパチパチ

 

 

 

「……ボン先輩、凄かったです」

「なんだろう。感動したよ」

「ビデオに残しておきたかったですわ」

「す、凄かったです」

 

拍手とともに賛辞の言葉を紡ぐオカケンメンバー。

 

猫ちゃん…!木場…!朱乃さん…!アーシアちゃん…!

ありがとう…!君たちのその言葉で俺はまだ戦える…!

 

「な、なんかよく分からなかったけど、す、凄かった、ね?」

「意味はよく分からないが、拍手ものだ」

「声が二重にも三重にもなって聞こえたよ…!」

「ど、どうやったのでしょう…?」

 

眷属御一行様方もありがとう…!

お褒めの言葉をありがとう!

 

「………………」

「……?」

 

グレイフィアさんと目が合った。

……と思ったら目をそらされた。なぜ?

 

へいへい照れてんのかよー?

はっはーん?俺のパフォーマンスに見とれちまってたなさては?このー、愛いやつめ☆

 

 

 

【目を逸らすなら合わせるまで!自ら目を合わせに行く】

【目を逸らすなら合わせるまで!アピールをし彼女の視線を独り占めだ】

 

 

 

ははは………やばいな。テンションがハイになってた。

 

選択肢が出たことで我に返ったよ。俺頭おかしいことしてたやん(いつもの事)

うわぁー、消し去りたい…!ドゥドゥドゥペーイの記憶…!

 

てかそんなことより!グレイフィアさんにちょっかいかけるのやめません?あの人怖いよ?起こると絶対怖いよ?

俺やーよ?虎の尾を踏むの。

 

てか、振り返るとグレイフィアさんに奇行しかしてないやん。もはや印象がマイナスだよ。最悪だよ。

……俺明日まで生きてるかなー?

 

目を合わせるか、アピールするか、ね。

無理やり目を合わせに行くとさすがにウザイよなあ。それとなくアピールして目が合えばそれでいいか。

 

んじゃ下をポチー。

 

「メイドってぇぇぇぇ!良いよねぇぇぇ!」

 

「「「「……っ!?」」」」ビクッ

 

………えーーーーー。

 

アピールって……ええ…?まじぃ……?

 

「ど、どうしたんだよボンちゃん…!」

「イッセー!」

 

イッセーの肩を掴み目を合わせる。

……目を合わせたいのはお前じゃないんだよ。

 

「メイドって…!良いよな…!」

「え、お……え?」

「良いよなぁァァァァ!?」

「は、はい!良い!良いです!はい!」

 

イッセー、ごめんな。こんな選択肢を自由に暴れさせてしまう不甲斐ない俺を許してくれ。

 

「メイド…!良いよな…!?」

 

「「「「「… っ!?」」」」」

 

「良いよなぁ!」

 

「「「「「………!」」」」」コクコクコクコク

 

眷属御一行もごめんね?

流れがいきなり変わって着いてけないよね?安心しな。俺もだ。

 

「な、なんなんだ?リアス、あいつはなんなんだ…!?」

「………私が聞きたいわよ」

 

「ボン先輩の発作」

「あはは、僕ももう慣れた、かな?」

「うふふ、元気ですね」

 

困惑の不死鳥さんとリアスさん。

 

もはや慣れた猫ちゃんと同じ学年の木場。

朱乃さんは順応が早い。早すぎるて。全部あらあらうふふで済ましてくれるじゃん。しゅき…♥

 

「ぼ、ボント様…?い、一体どうされ──」

「グレイフィアさん!!!!」

「……!」

 

肩を掴めばビクッと体が跳ねるグレイフィアさん。

 

「メイドは……!良い!ですよね…!?」

「……え、あ、あの、その……」

 

…………あ、目が合った。

体が自由に動く。開放されたー!

 

「よし!」

「「「「「「「えぇ…??」」」」」」」

 

どした?みんなそんなゲンナリと不思議そうな顔して(すっとぼけ)

 

大丈夫だ。みんなは頭痛くなってると思うが、俺は頭の他に胃も痛くなってる!代償は大きいんだぜ!

 

「……わ、訳が分からん」

 

 

 

【あ、ライザーだ。ぶん殴ろう】

【あ、ライザーだ。ライザのアトリエを布教しよう】

 

 

 

あああああああ!クソ!やめてくれ!

もう問題起こさないで!俺の胃を虐めないで!

 

「……ライザのアトリエはやってるか?」

「……は?」

「ライザのアトリエ、面白いぞ!不死鳥さんもやろう!」

「な、何を言って……あ、おい!」

 

よし布教はこれでいいだろ。

さてひと段落ひと段ら──

 

 

 

【あ、ライザーだ。ジャッジスルーしよう】

【あ、ライザーだ。ライザップを勧めよう】

 

 

 

ぬおおおおおおお!!!

 

「ライザップは知ってるか?」

「……は?」

「筋肉だ!筋肉をつけろ!筋肉は全てを解決するぞ!結果にコミットだ!」

「だから何を言って……!あ、おい!」

 

よし!今度こそ終わり!

 

 

 

【あ、ライザーだ。顔面にローキックだ!】

【あ、ライザーだ。てかラインやってる?】

 

 

 

むぉおおおおおいいよぉぉぉぉぉぉぉ!

てか顔面にローってなんだよ!巨人にでもなれってのか!?ああん!?

 

「てかラインやってる?」

「さっきから訳の分からんことを…!」

「え?やってないのー?ちょヤバくなーい?」

 

……え?なに?一昔前のギャルみたいな?

やめてよ。俺そんなキャラじゃないよ?

 

「……もういい、人間風情が。消えろ」

 

そう言って炎が吹き出し迫ってきた。

 

え?いや、ちょ、え!?

 

そんなにキレなくてもよくないですかァァァァ!?

 

「まあ無事なんですが」

 

「「「「「「!!??」」」」」」

 

ふっ、均衡の天秤のおかげで身体能力上げて避けてやったぜ……楽勝なんだぜ……。

ふふふ、みんな驚きよる驚きよる。

 

……そういや俺のいたところの近くにゲーム機があった気が。

 

「…………………………………あ」

 

恐る恐る見ればそこには見るも無惨な黒黒と灰になったテーブルが。

もちろんその上に置いていたゲームも灰と化しており──

 

「いやあああああああああ!!!」

 

「「「「「「っ!?」」」」」」ビクッ

 

嘘だ!嘘だと言ってよバーニィ!

 

俺のこの1ヶ月の苦労は!?金ネ○キは!?

 

てかそもそも、やり込みまくったデータが消えたってことだろ!?色も性格も個体値も納得のいくまで厳選して努力値も振りに振りまくった俺の愛するモンスターたちが消えたってことだろ!?

 

「あ、あぁぁぁぁ、うあぁぁぁぁぁ………アぁぁぁんまりだァぁぁぁぁ……!」(´•̥ω•̥`)

 

「「「「「「………!」」」」」」

 

俺の苦労も努力も実績も消えてしまった…!なんで…!なんでこんなことができるんだァ…!

 

 

 

【この悔しさを晴らすために泣きわめく】

【この悔しさはもはや耐えきれない。今すぐ自死を選ぶ】

 

 

 

「な…!そ、そんな泣くことな「びえぇぇぇぇぇぇぇえ!!」……っ!」

 

俺頑張ったよ…!頑張ったんだもん…!

泣くしかないじゃない…!こんなの…!

 

「ま、まさか…!ボンちゃん、全部消えたのか…?」

「………っ」コク

「まじ……かよ……!」

 

イッセーは知ってる。俺がどれだけ厳選作業をしてたのかを。

その苦労を知ってる故、彼もまた受け止められない現実なのだった。

 

「ライザー、あなた……」

 

リアスさんもまた冷たい目を向けた。

俺がこの1ヶ月近く、どれだけの努力をし金ネ○キに打ち込んでいたのを知ってるから。

 

「最低、です」

「「………………」」

 

軽蔑の眼差しを向ける猫ちゃん。

木場も朱乃さんも真顔出ブチ切れだ。

 

……なんか泣いてる手前あれだけど、みんなすごいブチ切れね?今までにないほど怒りを感じるよ。……ありがとう…!

 

「な、お、俺が悪いのか!?全部俺が悪いのか!?別に俺も悪気があった訳じゃ…!」

「じゃあごめんなさいくらい言いなさいよ!5歳児でも悪いことしたら謝れるわ!」

「うぐっ……!」

 

……なんか変な方向で喧嘩が再発してない?

なんかここまで来ると申し訳なさが。

 

「ボント様、ハンカチを」

「ひっく……ありがどう…!」

 

グレイフィアさんから差し出されたハンカチで涙を拭う。

 

選択肢に追い込まれる精神を休ませることが出来る俺の趣味が、一瞬にして。

……もう、俺は戦えない…!

 

「………っ、チッ、もういい。俺は帰らせてもらう…!」

「な!ライザー、待ちなさ──」

 

リアスさんの制止虚しくライザーはそそくさと去っていってしまった。

 

ちくしょう…!ちくしょうめえ…!

 

「……お嬢様、私もサーゼクス様に報告があるので失礼します」

「え、ええ…」

「ボント様」

「ふぇ?」

 

顔をあげれば目の前にグレイフィアさんが。

そんな彼女は目を合わせ、真っ直ぐにこっちを見て口を開いた。

 

「ドゥ?ドゥ、ドゥペーイ?でしたか?……とても素晴らしかったです。あなたは元気な方が似合います。お気を確かに」

 

そう言って、グレイフィアさんもまた魔法陣を展開し帰っていってしまった。

 

元気な方が似合う、か。

 

「確かにな」( ˙-˙)

 

「「「「……!」」」」

 

いや、悲しいけどね?そらね?

まあでも落ち込んでてもいい事ないし。また新作で厳選頑張ろ。

 

……いや、やっぱりまだショックが強いわ。なんかこう胸にモヤモヤがある感じ?というかギューッと苦しい感じ?

あー、ダメだ。絶対数日は引きずるわこれ。

 

 

 

 

 

………………それにしてもメイドのグレイフィアさんを至近距離で見た時になんか既視感あったんだよなー?なんだろ。




覚えてくれてる人、新規の人、お気に入り登録してくれる人、感想くれる人、全ての人に感謝を込めて選択肢さんから挨拶です。



【金ネジキ完走】
【金ダツラ完走】



頑張ってね。


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コスプレは、いいよなぁ

ギャグは書いてて楽しいから筆が乗るんです。
ただこんなノリでいいのかと不安になる。


 

 

 

やってきたぜ!

どこにって?……山にだよ。

 

「エイドリアァァォァァン!!」

 

「……元気ね」

「楽しそうでなによりですわ」

 

シャドーボクシングをしながら叫び、走り登る山道。

体力はアホみたいにあるから疲れ知らずなんだぜ…。

 

え?テンション高いって?素でこんなことやってるわけねえだろ察しろ。

 

なんでこんなことになってるのか。それは──

 

 

 

 

 

『あ、明日から私の別荘で強化合宿をするわ。ボントはどうする?』

『ボン君は部活メンバーですけど眷属では無いのでゲームに参加できませんし、合宿は強制しませんわ』

 

……え?やったぜ!

だったら家でゴロゴロしてたいし……、

 

 

 

【行きます行きます】

【行くしかないっしょ!】

 

 

 

……ふっ、知ってた。

 

 

 

 

 

そんな流れで俺も合宿参加。

まあいいや、部活の合宿とかちょっと憧れてたし。

 

 

 

【合宿所までほふく前進だ!】

【合宿所まででんぐり返しだ!】

 

 

 

( ˆᴘˆ )オッフ…

 

……お前さえいなければ…!俺は平和に合宿が出来たんだ…!

ちっくしょう…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後。

俺たちはでかい屋敷の前にいた。

 

そして俺だけ既に泥まみれ。ほふく前進してきたよこんちくしょう…!

 

なんで合宿が始まる前からこんなにボロボロなんですか?

 

「で、でっけぇ……」

「うわぁー綺麗ですね!」

 

イッセーとアーシアちゃんがすごく嬉しそうでほっこりします。

 

いやだが、確かにでかい。俺ん家もこれくらい大きかったらなあ。

 

 

 

【おほ、でっかあ…♥】

【すごく……おっきいです…♥】

 

 

 

……屋敷の感想だよね?

なんかもう違う意味に聞こえてくるんだけど?言い方を考えろ言い方を。

 

「すごく……おっきいです…♥」

 

「喜んでくれて何よりだわ。ここがグレモリー家が所有する別荘よ。さ、中に入りましょう。着替えたらすぐに修行を始めるわよ」

「すぐにですか!?俺ここに来るだけでもうヘトヘトなんですけど!?」

 

イッセーは合宿で使う荷物を沢山運んでたからなあ。仕方ないね。

 

……まあ木場も同じくらい運んでたけど。なんなら猫ちゃんの方が大荷物だったけど。

 

俺?俺は強化合宿というより付き添い人的立ち位置なんでね。自分の荷物だけ持ってきました。楽でした。……まあほふく前進したのでプラマイゼロや。なんならマイナスや。

 

「弱音を吐かないの。修行ははもっと厳しいものになるんだから」

「も、もっと!?そ、そんなあ…」

 

ふっ、頑張れよ幼なじみよ。俺は陰ながら応援してるぜ。

 

項垂れるイッセーを後にメンバーは次々と別荘の中へと入っていった。

みんなはジャージに着替えて修行かあ。俺は何してようかなー。

 

 

 

【愛する幼なじみを応援するためチア衣装に着替え気合を入れる】

【愛する幼なじみの疲れを癒すためメイド衣装へと着替え身の回りのお世話をする】

 

 

 

 

……ぬぁんでだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!

 

野郎のチアとかメイドとか誰得なんですかねぇ!?ほんとにさぁ!!

 

てかそんな衣装持ってきてないだろ………ぬぁんでリュックの中にどっちも入ってんだよォぉぉぉぉ!

 

てか、なんか色んなコスプレ衣装入ってるんだが!?

 

……ああ、去年、まだ高一の時にやった文化祭のコスプレ衣装かこれ。

文化祭後、選択肢で全部ひきとったんだっけかー。懐かしいなあ。

 

……いや、誰だァ!入れたのはぁぁぁ!!

 

もうどっちがマシとかないよこれ!チアもメイドもコスプレするって時点でダメージは深いんだよ!

 

てか、コスプレ衣装以外のまともな服ねえし!なんでや!

今日家から着てきた服しかまともなやつねえししかもそれ泥だらけだし!

 

おのれ選択肢…!貴様謀ったな…!?

 

…………ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

修行その1。

イッセーと木場が木刀で手合わせ。

 

「きゃああああ!キャッコイイッ!イッセーきゅん!こっち見てえぇぇぇぇ!!」(野太い声)

「ボンちゃんありがとう!チア衣装似合ってるな!」

「ありがどう…!」(血涙)

 

褒められても嬉しくねぇんだよ!

 

ミニスカへそ出しでポンポン持った筋肉男のフツメンが野太い声で応援してるとか事案だろ。子供見たら泣くぞこれ。

 

「い、イッセーさん!頑張ってください!」

 

隣にはこれまたチア衣装に身を包んだアーシアちゃん。ボンボンをフリフリしてイッセーを応援してる。……( ᐛ)カワイイ

 

死なば諸共だ…!誰かは道連れにしてやらねば俺の気がすまん…!

と思ったけど似合っとるやんけワレェ!

 

……ダメージを負ったのは俺だけだったようだ。

 

あ、イッセーが木場にぶっ飛ばされた。

俺は精神的に、イッセーは物理的にボコボコだぜ…。

 

さて、次の修行の準備を──

 

 

 

【チャイナ服、アルヨ?】

【いらっしゃいませご主人様(メイド服着用)】

 

 

 

……殺す。

 

 

 

 

修行その2

朱乃さんとの魔力修行

 

「──魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集めるのです」

「……!出来ました!」

 

お?アーシアちゃんしゅごいねえ。魔力の玉をもう作れたのか。天才だ!

 

「ぐぬぬぬ…!集中…!」

 

それに比べてうちの幼なじみと来たら。

 

「頑張れ頑張れファイトだよ」

「……できた!」

 

そう言って手のひらを覗いてみるとビー玉よりもちいさな玉が出来ていた。

 

「「ちっせぇ……」」

 

壊滅的にセンスがないな。

その後、朱乃さんの説明を聞き、それにより何かを思いついたのかイッセーは朱乃さんに耳打ちしていた。

 

……絶対ろくな事じゃないね、俺には分かる

 

それにしてもこの衣装、スリッドが深過ぎて落ち着かん。

あと頭の髪飾りはつける意味あった?

 

今の俺はチャイナ娘アルヨ。

 

次は猫ちゃんとの修行か。さてさて、どうなる事やら。

 

 

 

【そろそろ、ね?(メイド服着用)】

【ウサウサぴょんぴょん(バニー服着用)】

 

 

 

ぬぅおおおおおおおお……フゥア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!(初号機)

 

 

 

 

 

修行その3

猫ちゃん組手

 

「……ボン先輩、何してるんですか?」

「……うさぎさんです」

「…………」

「…………」

 

……無言やめて?

 

「に、似合ってますね…」

「せめて目を合わせてよ」

 

心が抉られる。もう笑え。いっその事笑ってくれ。

 

なんかあそこまでメイド服を推されたら逆に嫌じゃない?選択肢の思い通りにはなりたくないというせめてものプライド。

そのくだらないプライドのせいでバニー服着用という社会的プライドは地に落ちた。泣けてくるね。

 

「よし!準備おっけ……ボンちゃん、凄いな」

 

さすがのイッセーもバニー姿には驚いたらしい。

驚いてくれたら何よりです(涙)

 

その後イッセーは猫ちゃんにボコボコにされてた。

……へっ!

 

さて次はリアスさんとの修行だな。

 

 

 

【魔法少女にだ〜いへ〜んしん☆】

【メイドは、良いよなあ?】

 

 

 

キィエエエエエエエエエエ!!(奇声)

 

 

 

 

 

修行その4

リアスさんと基礎トレ

 

「ボント……なにそれ?」

「ミラクルマジカルな少女です」

「そ、そう」

 

もう触れるな。頼むから触れるな。

 

何だこのフリフリのドレス。男のこんな格好まじでどこに需要あんだよ。

 

「ボンちゃんが着ても面白いけどやっぱり部長達に着てもらいたかった…!」

 

黙れ。

 

 




あのキャラこのキャラの説明はおいおい話の中でしていくつもり。

……そういえば話の中で出してる元ネタアリの小ネタ、全部理解してる人はいるのだろうか?


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悩みとシャチホコ

タイトルの意味が分からない?
……俺も。


 

 

 

初日の修行が終わり、晩飯時を迎えた。

 

イッセーは全身包帯や湿布まみれにし、ズタボロ状態。方や俺はと言うと精神がズタボロにされ心がボロボロ状態。

 

そんな中で俺は晩飯を作った。みんな疲れてるだろうし、さすがにこれくらいはね?カレーだけどね?簡単にね?イッセーが魔力修行でじゃがいもの皮めちゃめちゃはいだからついでにポテサラもね?

 

……まあ、メイド服を着てなんだけどね?

 

 

 

【お前がメイドになるんだよォ!】

【メイド服に着替えろ!あくしろよ!】

 

 

 

俺、選択肢に勝てなかったよ……。

 

「ボンちゃんの料理かあ。苦手なのによく作れたな」

 

朱乃さんの指導のもと、作ってやったぜ…。

 

「……じゃがいも大きすぎじゃないかしら?」

「全体的に具材が大きいです」

「お、男飯って感じだね…」

 

ごめんね、料理下手で。

 

「でも私たちのために作ってくれたんですよね?美味しいですわ」

 

あげのざんんんんんんん!!(泣)

天使か?いや女神か……いや、悪魔だったわ。

 

それにしてもメイド服は落ち着かん。

グレイフィアさんみたいに本職メイドのような制服じゃなくてDTさんたちが好きそうなミニスカメイド服というね。

 

もはやこの衣装をグレイフィアさんが着たらどこぞの幻想郷の吸血鬼に使えるザ・ワールド使いさんみたいになること間違いなしだ。

 

……てかみんなもう衣装に触れてこない。

なんだろう、助かるのか残念なのかよくわからん気持ち。

 

「それで、イッセー。今日一日修行してみてどうだったかしら?」

「……はい、俺が1番弱かったです」

 

ガックリと項垂れたイッセー。

しゅんとしてしまって物理的に小さく見える程の肩の落としようだ。

 

「そうね、それは確実ね」

「うぐ……」

「でもあなたの赤龍帝の篭手(ブーステッドギア)やアーシアの聖母の微笑(トワイライトヒーリング)は貴重な戦力よ。私はあなたに可能性があると信じているわ」

「部長……」

 

リアスさんの言葉にお目目に光が宿ったイッセー。

ふっ、頑張れよブラザー。

 

 

 

【よし、飯も食ったし風呂入ろうぜ。リアス!朱乃!アーシア!小猫!一緒に入んぞ!】

【よし、飯も食ったし風呂入ろうぜ。イッセー私の全身を洗ってね…♥】

 

 

 

ぬぐぅおおおおお…!

 

上は選べん!犯罪だ!

でも下もヤダ!変な誤解される!

 

なんでこんな選択肢しか出さねえんだこのポンコツがぁ!

 

「よし、飯も食ったし風呂入ろうぜ」

「いいわね。ここは露天風呂があるわ。気持ちがいいわよ」

「マジすか、すっげー」

 

「イッセー、ワタシノゼンシンヲアラッテネ…(ハート)」

「ああ!洗いっこしような!」

 

……イッセー…!お前ってやつは…!

その純粋な返答がいつだって俺の心を救ってくれる…!

 

ありがとう…!本っ当にありがとう…!

 

「おらぁ!早く風呂行くぞ!着いてこいイッセー!」

「お、おお…!いきなり元気だな!ああ、行こうぜ!」

 

「木場ぁ!お前も行くんだよ!」

「え、あ、ぼ、僕もかい?」

 

心は晴れやか。

さあ、傷ついた心を癒しにいざ露天風呂へ!

 

「はあ、元気ね…」

「うふふ、いいですわね」

 

リアスさんと朱乃さんの温かい眼差し。

やっぱりイッセーは俺のブラザーなんだぜ…!

 

……だがこの男。メイド服を着てるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱中すれば時間が経つのは早いとはよく言ったもので、気がづけば5日が過ぎていた。

 

トレーニングをし、飯を食い、寝る。

起きればまた同じことの繰り返し。

 

そして俺はコスプレをし、コスプレをして、さらにコスプレして、飯を食い、寝る。

もはや俺はこの合宿に何をしに来たのか。もはやコミケ会場に行けよと思ったものである。

 

それにしてもこの数日でイッセーの強さのレベルが格段に上がってる。が、本人はそれをあまり自覚してない。

まあ、自覚できるシチュエーションが無いからね。しょうがないね。

 

さてさて、ゲームで不死鳥さんに勝てるのかどうか。結果は分からないがなるようになれってね。

 

まあいざとなったら──

 

「あれ?ボンちゃん?」

「ム?イッセーか?」

 

──月明かりの下、バルコニーにいた俺の元へやってきたイッセー。

 

「寝れないのか?」

「あ、ああまあな……ところでボンちゃん、"それ"はなんだ?」

「これか?これはシャチホコのポーズだ!」

 

地面に前腕をつき逆立ちをした後、背中を反らし足を前へと突き出したポーズ。

なぜこんなことしてるのかって?……察してくれ。

 

選択肢曰く、精神統一のためのヨガポーズらしい。それより腕がしんどい。あと背中も。

もうかれこれ一時間半は休み無しでしてるでこれ。

 

しかも巫女服を着てる。朱乃さんとおそろっちだね!

 

「………はははボンちゃんはすげえな」

「なにが?」

「いつだって底抜けに明るくてさ」

 

明るくしてなきゃやってけないだけだゾ。

俺だって落ち込みたい時もあるけどそんな時間は無いんだよなあ(選択肢)

 

「俺、木場みたいに剣の才能もないし小猫ちゃんみたいに格闘技もてんでダメ。朱乃さんやアーシアみたいに魔力の才能もないし……俺って役立たずなんだなあ、って……」

「…………」

「みんなと修行して、それなりに強くなれた気はしたけど、やっぱりまだみんなと差がデカすぎてさ……」

 

ふむ………………俺も才能ないんやが?剣も格闘技も。なんなら魔力なんて扱えもせんぞ?

なんだ?間接的に俺もバカにされてない?

 

「いくら俺に凄い神器があるからってその持ち主がこんなんじゃダメなんだ。気づいちゃったんだ、俺が一番役立たずだってこと。みんなの足を引っ張っちゃうんだって」

 

 

 

【そうかなあ…?】

【そうかも…!】

 

 

 

……腹立つ返答だな。

イッセーは真剣に悩んでるんだぞ!?軽い!発言が軽すぎるぞ!

 

お前は1回心のノートとかを読んでこい、まじで。

 

「そうかなあ…?」

「そうなんだよ……俺は、弱い…!」

 

「……ま、気づけただけいんでね?」

「……え?」

 

「才能がない。そらお前はお前はお前なんだから、木場や猫ちゃんや朱乃さん、アーシアちゃんにはなれない。なら、お前しか出来ないことを探せばいいだけだろう?」

「………っ」

「その、お前の、それ……セイクリッドギアだっけ?なんかこう、凄いやつらしいじゃん?俺は知らんけど。でもそれを使えるのはお前だけなんだろ?だったらもうあとはガムシャラじゃない?」

「俺が……俺だから、できること……!」

 

左手に目を落としそうつぶやくイッセー。

 

ふっ、それなりに良い言葉を投げられたのではないだろうか。俺はキメる時にキメる男なのさ。

 

……ただしこの男、巫女服でシャチホコポーズをしてるのである。

 

キメるべき時にキメきれない男なのさ…。

 

「気合と根性やぞイッセー!その一点だけはお前はほかより優ってると言える能力だ!猪突猛進の心意気で前だけ見てればよろし!」

「気合と根性…!ああ…!そうだな…!そうだよなあ!」

 

元気を取り戻したイッセー。

ええ顔つきになりおった。晴れたか、悩みは…!

 

「サンキューなボンちゃん!さすが親友だぜ!」

「だるぅぉ?」(巻き舌)

「ああ、ボンちゃんが幼なじみでよかった!ありがとう!」

 

………ちょ、おま、照れるじゃん…?

 

「あー、なんかスッキリしたかも…!んじゃ俺寝るわ。ボンちゃんも早く休めよ!」

 

 

 

【いい夢、見ろよ!】

【枕の下にエロ本置いて寝るとエロい夢見れるらしいで】

 

 

 

「枕の下にエロ本置いて寝るとエロい夢見れるらしいで」

「まじ!?よし、早速やってみるぜ!」

 

まじかよ、お前合宿にエロ本持ってきてたのか。やべえな。

 

そんなこんなでイッセーは去っていった。俺も早く寝てえなー。

 

「あら、ボント………何してるの…?」

 

今度は呆れ顔のネグリジェ姿の眼鏡をかけたリアスさんが現れた。

 

 

 

【ネグリジェ、エッチですね!】

【メガネって……エロスを引き出す魔法のアイテムだと思うんです……】

 

 

 

性癖語りやめろや。




幼なじみの言葉をすんなり受け入れて奮起する原作主人公君。
この作品だと彼は原作より単純な性格になってるのかもしれない。


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鷹のお悩み相談

え?タイトル意味がわからん?
俺も(2回目)


 

 

 

「メガネって……エロスを引き出すための魔法のアイテムだと思うんです…」(しみじみ)

「……え?」

「いえ、なにも」( ˙-˙)

 

とりあえず適当に選択肢を消化する。

……選択肢の性癖多すぎな気がするんよなあ。自重してくれ。

 

「……てかメガネかけてますけど、リアスさんってばお目目悪かったり?」

「これは気分的なものよ。考え事をしてる時にかけると頭がよく回る気がするの」

 

分かる。俺もゲームする時よくメガネかけるもん。

なんかこう……メガネかけたら賢くなった気がしない?あ、しない。そっすか……。

 

そんな中、ふと目に映ったリアスさんが手にしてるもの。

 

「戦術マニュアル……なるほど、不死鳥戦に向けての備え、というやつですかい?」

「ええ……まあ、正直気休め程度にしかならないけどね」

 

ふむふむ、そかそか。

……それにしても皆俺の、いや、選択肢の奇行に慣れてきてるよね。

 

だって目の前で巫女服着たフツメンがシャチホコしてんのに普通に会話してるんやぞ。はたから見たら異様な光景だろこれ。

 

そんなことお構い無しとばかりに、近くの椅子へと腰かけたリアスさんはテーブルに肘を置きため息をこぼした。

 

「……相手は不死鳥フェニックス。その身に宿した力は不死身の肉体」

「やっぱり死なないってことです?」

「そうね。肉体が負った怪我を瞬時に回復させる再生能力があるから厄介なのよ。ほとんど無敵の能力……八勝二敗。公式の試合でのライザーの戦績よ。しかもこの二敗は懇意にしてる家柄との試合で相手に顔を立たせるためのもの、実質未だ無敗なのよ」

「はえー」

 

なるほどなあ……こりゃ勝つの厳しいでぇ。

 

 

 

【不死鳥は僕が殺します】

【負けちゃう?】

 

 

 

……なんでそうすぐ俺出しゃばらせようとするの?やめてよ。

 

「負けちゃう?」

「そうならないように考えているのよ。それに倒す方法なら2つあるわ」

 

お、それはそれは良かった。

 

ところでそろそろシャチホコがキツイんですけど。どうにかできません?

 

 

 

【気合いでシャチホコを継続】

【荒ぶる鷹のポーズへと移行】

 

 

 

あ、荒ぶる鷹でいきましょう。

 

「圧倒的な強力で押し通すか、立ち上がる度に何度でも倒して精神を削るか…」

 

……脳筋かな?(疑問)

 

「前者は神や魔王クラスの力が必要になるわ。だから可能性があるとすれば後者。そのためにはライザーの精神が尽きるまでこっちのスタミナを保つ必要がある。体が再生しても心、精神は確実に疲弊するわ。精神を折り切れれば私たちの勝ちよ」

 

脳筋だったな(確信)

 

なんかもっとこう、作戦は無いのかね?まあそれほど不死鳥さんの能力が強くて小細工が通用しないんだろうけど……だからといって、ねえ?

 

 

 

【そういや、なんで不死鳥さんをここまで嫌ってるのか。その真相を確かめるべくアマゾンの奥地へと向かう】

【そういや、なんで不死鳥さんをここまで嫌ってるのか。目の前のリアスさんへミュージカル風に聞いてみる】

 

 

 

普通に聞かせてくれ…!

シリアス路線の雰囲気流れてるとこに空気読まずにミュージカル風なテンションはマズイって、マジで…!

 

ほなら上を選べって?そんなことしてみろ。本当にアマゾンに行かせられるぞ、確実に。そういう奴なんだ、俺には分かる。

 

「……おぅ〜、どうして〜♪なぜあなたは〜♪フェニックスを嫌うのぉ〜♪⤴︎」

「……ヒィ」

 

おい、怖がらせとるやんけ。

 

まあ確かに無表情で荒ぶる鷹したながら片足けんけんでミュージカル風のテンションで迫ってくる男とか恐怖でしかないわな。

……しかも巫女服やぞ。

 

……ごめんね?怖がらせて。

 

「……私は"グレモリー"なの」

「………………?」

 

うん、知ってますが何か?

 

「私にはどこまで行ってもグレモリーの名が付き纏う。もちろん誇りに感じているわ?でも同時に私個人を殺すものでもあるの」

 

なるほど、良き家柄に生まれた弊害と言うやつか。

 

……真面目な話やんけ。こんな男が聞いて申し訳なく思う。なんだよ荒ぶる鷹のポーズって。なんなんミュージカルって。

……俺にシリアスは無理なんだなあ。

 

「誰もがグレモリーのリアスとして認識してる、リアス個人としては見てくれないわ。だから人間界の生活はグレモリーの悪魔を知る人なんていないから充実してたの」

「…………………」

 

くそ。真面目な話してる横で荒ぶる鷹のポーズをしてるこの構図がとんでもなくいやだ。空気読めないやつみたいじゃない……実際そうなんだよなあ(遠い目)

 

 

 

【ならばリアスにも荒ぶる鷹のポーズを勧めろ!2人でやれば怖くないね!】

【ほかのみんなも起こしてみんなでギニュー特戦隊ポーズだ!因みにお前はバータ枠だ!】

 

 

 

ほかのみんなを俺に合わせようとすんなよ…!

なんで俺に合わせようとする…!?俺をみんなに歩み寄らせろって言ってんの…!!

 

あと俺がギニュー枠じゃねえのな!バータなんだな!まあ確かに荒ぶる鷹のポーズっぽいもんな!

 

……え?じゃあ俺今からリアスさんに荒ぶる鷹のポーズさせんの?嫌なんだが?

 

「リアスよ……俺と同じポーズをとれ」

「……え?」

「早くしろ!」

「わ、分かったわよ…!」

 

ごめんね?ほんとにごめん。声を荒らげたのも選択肢のせいなんだ。誤解しないでね?

 

「こ、こう…?」

「手は肩より上まであげるんだ。上げた片足は腰よりも高く」

「……!お、思ったより……き、キツいわね、これ」

 

……ネグリジェメガネポニテリアスさんがこのポーズをするとなんだかいけないことをしてる感じがする。

しかも足上げてるから見え……いや俺は紳士だ。ここは目を逸らすべきだろう。

 

「……俺から言わせれば」

「……?」

「リアスさんはリアスさんでしかないわけで、こうやって一緒に馬鹿やってる姿しか知らんわけですよ。家柄なんて関係なく俺は先輩後輩、友達として今の日常は謳歌してます。だからまあ前にも言ったでしょう?困ったら俺の名前を呼べ、と。そん時友達として助けますってね」

「ボント……」

 

ふっ、決まったな。

 

……だが、互いに荒ぶる鷹のポーズで向かい合ってるこの状況。なんなんだろうね。雰囲気もへったくれもねえや。

 

「……ありがとう。頼りにしてるわ」

 

 

 

【泥船に乗ったつもりでいてくれ】

【大型の泥船に乗ったつもりでいてくれ】

 

 

 

……それどっちもダメじゃね?

 

「大型の泥船に乗ったつもりでいてくれ」

「それダメじゃない…?」

 

そう言ってクスクスと笑うリアスさん。

晴れたな、顔が。

 

「セリフもポーズも、何も締まらないわね」

「そういうところが俺のいい所」

 

そして、悪い所でもある。

 

まあ、何はともあれリアスさんに元気が戻ってよかったで。

さて、俺も早く寝てえな。で──

 

 

 

 

 

──このポーズはいつ終わんの?




リアスさんの荒ぶる鷹のポーズ見てみたい。


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赤毛のお兄さん

今回、最初で最後のオリキャラが出ます。
これ以上オリキャラ増えません。

……書き始めた頃から時間だいぶ経ってるから読み返してみてなんでこんな設定にしてるんだと頭を悩ませたりなんかした。
まあ、そう言う設定にしたなら合わせなきゃね、うん。


 

 

 

さて、時間も進みレーティング・ゲーム当日になった。

 

イッセーが篭手の力で特大火力を見せたり、猫ちゃんとスイーツをもぐもぐしたり、アーシアちゃんとコスプレしたり、木場と露天風呂で洗いっこしたり、朱乃さんがあらあらうふふしたり、リアスさんとギニュー特戦隊したり……そんな日々を経てオカケンの実力はメキメキ伸びたと思う。

 

……修行ってなんだろうと思った時もあったが、まあ、考えたら負けだろう。

 

俺は観客席という名の校舎の茶道部の部室の方でみんなの戦いを見学だ。畳って、落ち着くよね。

地面へ腰掛け、時間までゆったりと。

 

そんな時だった。

 

「──君が平凡人くんかな?」

「っ!?」ビクッ

 

背後からかかった唐突な声に体がビクついた。

振り返ると真っ赤な髪をたなびかせたイケメン。傍らにはグレイフィアさんによく似たメイドが立っている。

 

「……どなた?」

「驚かせてしまったかな?すまないね。私はサーゼクス・ルシファー。リアスの兄だよ」

 

イケメンスマイルが眩しい。

後光が差すような幻覚が見えるぜ…。

 

それにしてもルシファー…?

なんか聞いたことあるようなないようなあるような?

 

「本当なら屋敷で中継で今回のゲームを見るつもりだったんだけどね。君と話したいと思ってここに来たんだ」

「俺と…?」

 

なんでぇ?俺なんかした?怖いんだけど。

 

「横、失礼するよ」

「あ、どうぞ」

 

優雅に隣へと腰かけるサーゼクスさん。

メイドさんはその横へ正座し位置取った。

 

「えーと、そっちの方は?」

「申し遅れました。サーゼクス様の身の周りのお世話をさせてもらってます、クレアと申します」

「あ、どうも」

「彼女はグレイフィアの妹で私の妻でもあるんだよ」

 

へー、なるほどなあ。

 

……グレイフィアさんの妹?銀髪姉妹…?妙だな…?

 

グレイフィアさんとクレアさん。顔はクリソツ。違いはほぼ髪くらいなもの。

グレイフィアさんはボリューミーあるロングヘアーだとしたらクレアさんはストレートのショート。

 

……心当たりはあるが、いや、そんなまさかねー?(フラグ建築士)

 

「自分は知ってると思いますけど平凡人です──」

 

 

 

【新世界の神になる男だ】

【海賊王になる男だ】

 

 

 

……おいおい、名前を書くだけで人を殺せるノートかひとつなぎ系の大秘宝見つけに行かなきゃならねえぞ。

普通に自己紹介させてー?

 

「──新世界の神になる男だ」

「ははは、リアスから聞いていたとおり面白い子だね」

 

やったぜ、なんか好感触だぜ…。

 

「さて……突然だけどボント君。君は今回のゲーム、どう見る?」

「どうとは?」

「勝負の行方、かな?」

 

 

 

【ワンちゃんかなー?】

【ネコちゃんかなー?】

 

 

 

くっだらねえダジャレ入れやがって。

ワンチャンスのワンチャンを犬ちゃんとかけましたって?バカがよ。

 

「ワンちゃんかなー?」

「……可能性はあるんだね?」

「まあ、そっすねー」

 

あるだけね?その可能性を引き当てられるかは別としての話しね。

 

さて、そんな会話をしているとついに試合が始まっていた。

両陣営、グレイフィアさんが作りだした駒王学園の敷地を模したレプリカ世界へと飛んだ。チームオカケンは旧校舎から、不死鳥さん率いるチーム焼き鳥は新校舎からのスタート。

 

出だしは互いにミーティングから。こりゃあ時間がかかりそうだなあ。

 

 

 

【時間がかかるのならこちらは茶をしばこう。茶筅と茶碗と茶葉を用意するのだ】

【時間がかかるのならこちらはご飯を食べていよう。まずは他を耕し田植えから】

 

 

 

……時間のかかり用のレベルが違いすぎる…!

田植えからなん!?年単位でかかるが!?

 

じゃあもう茶道部モドキをせないけんやんけ。茶の淹れ方なんて知らんがな…!

 

「……何をしてるのかな?」

「茶をシバいてます」

「そ、そっか……」

 

困惑させたね、すまんな。こういうやつなんだ選択肢()って…。

あと茶道部のみんな、道具借りるね。

 

……どうやりゃいいんだ?

…………………ええい!もうままよ!フィーリングでカバーや!

 

「……それで、リアスたちが勝てる可能性はあるという話だったけど詳しく聞いても?」

「ん?まー、不死鳥さんは再生能力あるって話でしたけど、イッセーの最大火力を直撃させればワンパンいけそうだなーって。ただそのためにはタメと直撃させるために接近しなきゃいけない。でも実力差がある相手にそれって難しいし、となるとそれなりのダメージ覚悟で突っ込まないと無理だろうなあって感じですねー」

 

「……今代の赤龍帝。彼が勝利の鍵を握ってるわけだね。そして、曖昧な覚悟だと負ける」

「ちょっち違いますね。イッセーの覚悟はこれっぽちも心配しとらんのですよ。ほぼ負け確な理由は別です」

 

そんな俺の言葉に首を傾げたサーゼクスさん。

ふっ、分からんのかいボーイ?

 

「リアスさんです」

「リアスが?」

 

自身の妹が負けの理由と聞いて少しばかり眉間にシワがよる。ひぇぇ怖いめぅ……怒らないで……。

 

「リアスさんってば優しいでしょ?だから自分の眷属がボコボコにされることなんて良しとしないと思うですよ。だから、イッセーボコボコ、その光景見て心が折れて自分から降参。多分こんなところじゃないですかね?」

「…………なるほど。君は意外と聡明な子なんだね」

 

……え?いやそんな、聡明だなんて……べ!別に嬉しくないんだからね!

 

 

 

【褒められたって…!う、うれしくなんかないんだからね!///】

【何上から目線で言ってんだよ、殺すぞ】

 

 

 

……何出しゃばってんだよ殺すぞ。

サーゼクスさんよりお前に殺意が湧くわ。

 

なんでツンデレかヤンキーなんだよ。

嫌だー!先輩のお兄さんにツンデレ発揮しなきゃいけないとか拷問だよ…!

 

「褒められたって…!う、うれしくなんかないんだからね!///」

「いや、君はよく見てる。私も概ね同意見だからね。こんな時で不謹慎だが少し嬉しく思うよ。リアスのことをしっかり見てくれる友人がいることに……」

 

 

 

【頭のてっぺんからケツの穴まで隅々まで見てます】

【サーゼクスさんも私をよく見て…!】

 

 

 

クァエレぇぇぇぇぇぇ!!!

 

そんな雰囲気か!?そんな雰囲気に見えるかぁ!?

今、リアスさんの兄ちゃんと真剣に話してるんだよ!ちゃちゃ入れんなら死ね!

 

「サーゼクスさんも私をよく見て…!」

「ああ、私も君のことはもっとよく知りたいと、そう思ってるよ」

 

……え(トゥンク

何このイケメン……しゅき。

 

そんなてんやわんやを繰り広げてるうちに戦況に動きが。

 

みんな今いる場所は体育館。不死鳥さんの眷属たちと戦闘していた。

と、思ったら、不死鳥さん眷属の女の子の衣服が弾け飛んだ。

 

「「「………」」」

 

たまらず無言の我々。

 

あらヤダ、イッセーが拝んでる。キッショ。

ドレスブレイク?くたばってどうぞ。

 

「……なんて言うか、独特な子だね」

 

ごめんね、うちの幼なじみが。

 

 

 

【ここはお詫びの気持ちとして自分も服を脱ぐことにする。1人服が弾け飛ぶ度に1枚。まずは上からだ】

【ここはお詫びの気持ちとして自分も服を脱ぐことにする。1人服が弾け飛ぶ度に1枚。まずは下からだ】

 

 

 

なんで隙あらば脱がそうとするの?

あと詫びにもなってねえよ。

 

下からは犯罪だから上からしか選べねえ…!そもそもどっちを選んでも脱ぐことになんのやめろよ…!

 

「……何をしてるのかな?」

「イッセーがあの技を使う度に俺は服を脱がねば鳴らぬのです…!」

「えーと、それは代償的な感じかな…?」

 

 

 

【いいえ、私の趣味です】

【いいえ、イッセーの趣味です】

 

 

 

俺が変態になるかイッセーを変態にするがの選択肢かよ…!

つかスパン短ぇよ…!自重しろ…!

 

友を売れるか?いいや俺は売れない…!なら選ぶ選択肢はひとつだよなあ?……めちゃくちゃ嫌だけどね。

 

「いいえ、私の趣味です」

「あ……そ、そっか……」

 

あははと苦笑いのサーゼクスさん。

 

……引かないでね?




なんでオリキャラなんて出したんですか、選択肢さん。

選択肢「転生させた神に聞け」



なんでオリキャラなんて出したんですか、神様。

神「だってメイドさんと知り合いたいって話だったからぁ、そのままだと人妻じゃぁん?ならキャラ増やしちゃえーって感じぃ?」(ギャル風)


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決戦に向けて

ギャグだと話が長引くなあ(遠い目)


 

 

 

──結論を言おう。負けました☆

 

いや負けたというよりも、負けを認めたの方が正しいだろうか。

 

大方の予想通り、イッセーと不死鳥さんの一騎打ちになったがイッセーがボコボコに。それを見ていたリアスさんが降参した。

 

「……我々の予想通りになってしまったね」ズズズ…

「いやはや、まあしょうがないでしょうね。リアスさんのいいとこであり悪いとこですよ」ズズズ…

 

サーゼクスさんと茶を飲みながらの雑談。

 

隣のクレアさんはしょぼんとしている。

なんかこの人ポンコツみあるんだよなあ。

 

初めましてのときは(`・ω・´)キリッっとしてたのに試合中ずっと⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝ハワワ…してたし。グレイフィアさんとは違って可愛い属性なんだろうなあ。

 

因みにこの時点で俺は上裸。ズボンは何とか履いている。

靴下とかも衣服のひとつにカウントされていてよかったぜ…。

 

「……私はね、この結婚は反対なんだ」

「……ほうほう」

「リアスの幸せを第一に考えたい。私が出しゃばって結婚を白紙に戻すのは容易だろう。でもそれだけじゃダメなんだ」

 

立場のしがらみってやつね。

親の決めた結婚。そこに兄がでしゃばっても一時しのぎに過ぎない。たいへんだねえ、ほんと。

 

「今回のレーティングゲームの結果で自らの力で何とかできるという実績を残せばひとまずは納得してもらえると、そう希望を持っていた訳だが……」

「やっぱり不死鳥さんは強かったってことですね」

 

「……君の実力は私は知らない。それでも率直に聞こう。君なら彼、ライザー・フェニックスは倒せるかい?」

 

再生能力と炎を扱う能力。

難しいな。難しいが──

 

 

 

【勝つさ】

【勝つさ】

 

 

 

──ふっ、そうだよな。

(選択肢)が負けるかも、なんてこと考えるわけねえんだよなあ。

 

「勝つさ」

 

ここぞとばかりにカッコつけ、不敵な笑みを見せる。

 

「……そうか」

 

サーゼクスさんも心無しか穏やかな表情が浮かんだ。こういうのよこういうの。カッコつける時にはカッコさせてくれる──

 

 

 

【多分……きっと……おそらく……ムェイヴィ(Maybe)(ネッチョリネイティブ)……】

【まあ無理だろうがね!フンスフンス】

 

 

 

おい、カッコつけさせろっつってんの。

 

なんで余計なこと言わせるの?いや確かに自信ないけどさ。でも虚勢は張らせてよ。だっさいなあほんと。

 

「多分……きっと……おそらく……ムェイヴィ……」

「えぇ……」

 

ほら、サーゼクスさんもマジかこいつって顔してるよ。そらそうよ。

 

「……ひとまず帰りましょうかね」

 

負けは負けでも次の瞬間には結婚、なんてことはさすがにないだろうし、とりあえずボコボコにされたイッセーの面倒を見てやらねばな。

 

「君に、託してもいいだろうか?」

「リアスさんのこと?」

「ああ」

 

目と目が合う。

真っ直ぐ見つめてくるサーゼクスさん。

やめて、そんなに真摯な目で見られたらもはや無理ですなんて言えませんがな。

 

 

 

【無理です】

【命が惜しいです】

 

 

 

言えねぇつってんだろうがァ!

いや、やるよ!?全然やるよ!?友達だしね!?怖いけど助けようという意思はあったよ!?

 

ほんとになんなんお前?なんでいっつも俺の邪魔すんの?

 

……いやどうしよ。なんかこう挽回できる方法は……。

 

「……無理です」

「……っ、そうか」

 

落ち込むサーゼクスさん。ごめんね、ほんとに。

 

「そういうのはサーゼクスさんじゃなくてリアスさんから聞かなきゃいけない言葉なんですよね。なんで、もしリアスさんが俺の名前を出して助けを求めたら俺んとこ来てくださいよ」

「っ!……ボント君……ははは、うちの妹はほんとにいい友をもったようだね」

 

そんな褒められたって、嬉しくねーぞコノヤロー。

 

……ふぅ、とりあえず何とかなった。ああ、胃が痛い。ひとまず家帰って寝たいな。久しぶりに愛猫に癒してもらお。

 

「……ではでは」

「ああ、またね、ボント君」

 

軽く手を振りサーゼクスさんにバイバイ。扉を開ける廊下へと出る。

 

……この時間の校舎は新鮮だな。旧校舎なら何度か泊まってたことあるからあれだけど新校舎の方は初めての経験。

 

月明かりが眩しいぜ…。

 

そんなことを思ってたらいつの間にかグレイフィアさんが目の前にいた。

ああ、試合中、審判してたんだっけ?お疲れ様です。

 

「ボント様……」

「グレイフィアさん、お疲れ様です」

 

ぺこりと会釈。

心做しか元気がないような……そら、自分の妹の結婚相手の妹……なんて言えばいんだっけ?義妹でいいのか…?

 

まあ、それなりに親交はあっだろうしショックだろうなあ。

 

 

 

【残念でしたねー(煽り)】

【ふっ、ついに俺の出番のようだな…】

 

 

ちょっと男子ー、追い討ちやめなー?グレイフィアちゃん泣いちゃうよー?いやブチ切れかもしれん。やだ恐ろしい。

 

「ふっ、ついに俺の出番のようだな…」

「……え?」

 

 

 

【さあ!来るべき決戦に備え体を鍛えよう!家まで逆立ちダッシュだ!】

【さあ!来るべき決戦に備え体を鍛えよう!1分で1歩、3分で3歩。3歩進んで2分の空気椅子だ!】

 

 

 

2歩下がらせろぉぉぉ!!

 

いや下がらせろってのもよくわからんがね。つまり合計で5分で3歩しか奨めないわけだろ?帰るのいつだよ。

 

……ほなもう逆立ちしかないじゃないか…!

 

「オラァ!」

 

「……っ!?」ビクッ

 

俺が唐突に逆立ちしたらグレイフィアさんがビクッとした。やだぁ、かぁわぁいい〜。

 

さて………あとは家まで気合いだちくしょうがァ!!




ストーリー思い出しのため久々にアニメを見てる。懐かしい作画だね。

4期よりやっぱり1期とかの作画の方が好きだなー。


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