幻想結界陣 (一誠)
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気がつけば森の中

文章があまりにも酷かったので書き直しました。


今俺は昨日までの事を思い出しながら途方にくれていた。

昨日は確か学校から帰った後、風呂に入り少し早めの晩御飯を食べて、その後自分の部屋でパソコンを開いたり、

布団に入ってラノベを見て適当に時間を潰していた。

そしてラノベを読んでいる内につい寝てしまった。

 

今の話を聞いても特に不審な点は無いだろう。

俺も今の話を聞かされたら「だからどうした?」くらいしか思わないだろう。

問題は起きたあとの事なのだ。

 

俺はいつもどうりの時間に起きて、違和感に気がついた。

(あ~背中イタッ….何でこんなに布団がゴツゴツしてるんだ?)

そう思って布団を見ようとしたのだが―――

 

「は?」

思わずそんな声を出してしまった。

何故ならそこにはあるはずの物が無く、代わりに茶色い地面があったからだ。

「ど、どうなってんだ!?」

叫びながら俺は周りを見回した。

そこにあったのはいつもの見慣れた光景ではなく、木々が生い茂る森の中だった―――

 

 

こうして話は冒頭に戻るのだが、今俺は途方にくれていた。

朝目が覚めたら森の中に居ました何て普通の人生ではまず体験できないだろう。

少なくとも此処は家の近所では見たことが無いし、あったら知らないハズが無い。

(じゃあ此処はどっか遠い場所か?)

そう思ったのだが、それは無いなと思わず笑いそうになった。

まずこんなことをする意味がないし、やったところで何の意味も無いのだ。

何処かに監禁するならまだしも、こんな森の中にこんな格好をさせて放置することに何のメリットも無い。

こんな格好というのは、今俺が着ている服の事で、黒を基調とした色合いの着物を着て、腰に刀を二本差しているという格好の事だ。

着物はまだしも、問題は刀の方だ。

さっき軽い冗談のつもりで刀を振ってみたのだが、何とそれだけで目の前にあった60mはあろうかという大木がまるで紙のように簡単に切れてしまったのだ。

もし誰かが俺を誘拐して此処に放置したとしても、こんな危険な物を持たせておく訳がない。

「こんな物持ってたら銃刀法違反で捕まるぞ….」

そんな事を言いながらこれからどうするか考える。

ひとまずずっと此処にいるよりは移動したほうがいいだろう。

もしかしたら人に会えるかもしれないし、あわよくばこの森から出られるかもしれない。

そう思った俺はとりあえず歩き出したのだが….

 

「何処だ此処?」

案の定自分が今何処にいるのか全くわからない状況になってしまった。

そもそも此処が日本なのかどうかも分からないというのに適当に歩き出したのが間違いだった。

さっきの場所に戻ろうにも獣道をかき分けながら歩いてきたので戻ろうにも戻れない。

「参ったな、どうするか..…」

そう言いながら自分の額に手を当てて汗が滲んでいる事に気がついた。

今までずっと休まずに歩き続けていたので気が付かない内にだいぶ疲労が貯まっていたのだろう。

「少し休憩するか」

そう言って近くの木に寄りかかって座り込む。

座った瞬間にどっと身体から疲れが出てきた。

どうやら思ったより疲労が貯まっていたらしく、俺は凄まじい眠気に襲われた。

(このまま寝て起きたら夢でした。ってなったらいいんだけどな……)

そんな事を思いながら俺は目を閉じた…

 

 

 



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能力と実力

この世界に転生してからもう一ヶ月になる。

展開が早いって?気にしたら負けだ。

まぁ、とりあえずこの世界のことが大体分かってきた。

まず、この世界には妖怪や神様なんかがいるということ。

妖怪は妖力、神様は神力という力を持ってること

妖怪や神様の中には、『○○する程度の能力』という力を持った奴がいること

ちなみに俺の能力は『結界を作る程度の能力』だ。

ひとまずこの一ヶ月で得た情報はこんなものだ。

 

今俺は山の中を散策してる。

妖怪だって腹は減るし喉も乾くからな。

山なら動物もいるし食べられる山菜なんかもあるだろうと思って入ったのは良いんだが……

「迷った……」

まさか自分がここまで方向音痴だとは思わなかった。

参ったなぁ、まだ何も見つけて無いのに……

あぁ、腹減った。

 

あれから山の中を歩き続けたが、これといった収穫もなくいつの間にか夜になってしまった。

「しょうがない、今日はここで寝るか。」

近くにあった手頃な洞窟の中に入って結界を張る。

「ホント、便利だなこの能力。」

こうしておけば寝ている時に襲われる心配も無いしな。

そう心の中で思いながら寝転がる。

ゴツゴツした岩が当たって少し痛かったが、贅沢は言ってられない。

一日中山の中を歩き回って疲れが溜まっていたのか、俺はすぐに眠ってしまった。

 

「ふぁぁ……よく寝た….」

なんていうベタなことを言いながら起き上がる。

今は多分7時ぐらいだろうと思い外を見ようとして、おかしなことに気がついた。

外が真っ暗なのだ。

まさか夜になるまでずっと寝ていたはずはないし、寝てすぐに起きた訳でもない。

(いったいどうなってるんだ?)

そう思いながら外を見てみれば、その疑問はすぐに解決した。

何故なら……

『グルルルル……』

体長5mは越そうという馬鹿でかい熊が洞窟の目の前に立っていた。

おそらくこの洞窟は目の前の熊の住み処だったのだろう。

自分の住み処を勝手に使われてかなりおこらしい。

しかし、こんな危機的状況の中俺は、

「今日の朝飯は熊か…」

なんて呑気なことを言っている。

何故なら、もう分かっているんだ。自分の力っていうのを。

俺は腰に差してある愛刀の『飛焔』と『陽炎』を抜く。

抜くと同時に走り出し、一気に熊の後ろに回り込む。

そしてそのまま熊の両腕を切り落とした。

『グオアアァァアア!!!!!』

熊が苦痛の声を漏らしながら倒れる。

立ち上がろうとしているみたいだが、腕が無いからなのかうまく立てないでいる。

俺は熊の目の前に行き、

「悪いな、俺が生きる為なんだ」

そう言って刀を振り上げて、熊の頭を切り飛ばした。

熊の身体は激しく痙攣を起こした後、全く動かなくなった。

 

「ふう、いくら生きる為とはいえ、生き物を殺すのはいい気分じゃないな。」

俺はそう言いながら今食べる分だけを切り出して残りを結界の中にしまう。

(こういう時にも使えるってホント便利な能力だな。)

そんなことを思いながら手頃な木の枝や葉っぱを集めて火を起こす。

ある程度火の勢いが強くなってきたら、適当な枝に肉を刺して焼いた。

残りの肉をどうしようかと考えて、今の自分の力について考えてみた。

最初の豚猪も、多分今の熊も、この世界ではかなり強い部類に入るらしいのだ。

そんな奴らを簡単に殺せてしまう自分は本当に妖怪なのだろうか?

何故初めて使うはずの刀を扱えるのか?

そもそも何故俺はこの世界に転生したのか?

考えれば考える程訳が分からなくなってくる。

(まぁ、今は考えていても仕方ないか)

そう思って目の前の肉を見てみると、

「………」

そこにあったはずの肉が無く、代わりに焦げ臭い匂いを放つ黒い物体があるだけだった……



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弟子

あの後何とか黒い物体を完食し、腹痛に耐えながら何とか山から脱出した。

もう絶対にあんな失敗はしないと強く決意しながら林の中を歩いていると、

「止めてください!イヤッ、離して!!」

「おい、暴れんじゃねえよ!!」

「おとなしくしやがれ!!」

着物を着た女の子が二匹の妖怪に襲われていた。

鬼のような顔をした奴が女の子の腕をわしづかみされていて、その姿を見てもう一匹が気持ち悪い笑みを浮かべている。

朝から酷いものを食べた上に先程から続いている腹痛のせいでイライラしていた俺は、

――バシュ!!――

「なっ――」

無言で笑みを浮かべていた奴の頭を切り飛ばした。

そいつは何が起こったのか理解できない内に死んだ。

それを見ていた鬼面の妖怪が、

「テメェ、何しやがる!」

女の子を放り出して俺に向かって殴りかかってきた。

俺は鬼面の拳が当たる前に自分の周りに結界を作る。

「ギャアアァァァ!!!!」

いつかの豚猪と同じように腕がひしゃげて、地面をのたうち回る。

俺が無言で鬼面に近寄ろうとすると、

「ま、待て!許してくれ!俺はあいつに命令されて仕方なk「うるせぇ」ガハッ――」

言い切る前に鬼面の脳天に刀を突き刺した。

 

「ふぅ、これで終わりか。お嬢さん、ケガは無いかい?」

俺は少し離れたところに避難していた女の子に声をかけた。

「え、あ、はい。大丈夫です。助けて頂いてありがとうございました。」

よかった。さっき放られた時にどこかにぶつけたんじゃないかと思ったんだけど。

それよりも……

「いや、別にお礼を言われるようなことはしてないよ。

助けたのだって自己満足だし。それよりさ……」

俺は最初に会ったときから疑問に思っていたことを聞いてみた。

「どうしてそんなに妖力持ってるのにどうしてさっきの奴らを追い払わ無かったんだ?」

俺が見た感じだとこの子が纏っている妖力はそこいらの雑魚妖怪とは比べ物にならないくらいの量だ。

なのに、たいして強くもない妖怪に捕まりそうになっていた。

「えっと、私、産まれたばかりで、妖力とかの使い方が良く分からなくて、それで……」

(つまり、他の妖怪よりも妖力が多いが、その使い方が分からずに困っていると)

そんな風に頭の中で整理していると女の子が突然

「お願いします!私を弟子にして下さい!」

とお願いされた。

(どうしようか?別に断る理由は無いけど……まぁ話し相手がいるだけでだいぶ違うだろうし、別にいいか。)

「よし、わかった。今日からお前は俺の弟子だ。よろしくな!」

「本当ですか!よろしくお願いします!私は風見 雨音(かざみ あまね)って言います!」

「雨音か。良い名前だな。俺は……」

ここまで来て気がついた。

俺には名前が無い。

いや、転生する前の名前ならあるけどそれはあんまり使いたくないし……

「?、どうかしました?」

「よく考えたら俺って名前まだ無い……」

「え!そうなんですか?」

「ああ。参ったなぁ、このまま名前が無いって訳にもいかないしな……」

「だったら、私が師匠に名前をつけても良いですか?」

雨音がそんな提案をした。

正直言って自分でつける気気はなかったのでちょうど良かった。

「じゃあ、お言葉に甘えようかな。」

「本当ですか!そうですね…それじゃあ"蚩尤(しゆう)というのはどうでしょうか?」

「蚩尤か、まあ、悪くはないかな。よし!これからはその名前を使わせて貰おうかな。」

「やった!ありがとうございます!」

こうして、俺に名前と可愛い弟子ができた。

 




雨音の能力については次の話で説明します。


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