東方斑繋刀 (にしきの店長)
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零章【慈悲転生篇】
#0 「貴女には生きていて欲しい。」


この作品は転生旅行のリメイク版です。


全てが真っ白、何処までも果てしなく。

歩いてみたり走ってみたりしたが何処までも白い。

上を見ても下を見ても前後左右変わらない景色。

 

「ここは……何処…?」

 

 

ついさっき死んだはずの私はこの白い世界にてそう呟いた。

 

 

 

 

零章【慈悲転生篇】

 

《この世に絶望した者の転生》

 

 

 

時をさかのぼる事数時間前、

数時間と言っているが私の感覚でしかないので実際には数日、いや数週間、はたまた数年間経っているのかもしれない。

 

その日は何をしていた訳でもなく、

久しぶりの外をぼーっと眺めて過ごしていた。

久しぶり、とあるがいつから出ていないと聞かれると自覚している範囲内であれば11年間、でも恐らく15年間。

下手するとこの世に生を受けて一度も外へ出た事がないかもしれない。

 

でもまぁ話はどうでもいいだろう。

私はこの環境に対して何一つ気にしていない(物心ついた時からそうだった)のだから。

 

そして私はおおそよ15年ぶりの外を歩いていると目の前に黒猫を横切った。

 

「あっ…猫……」

 

ところで目の前を黒猫が横切ると不幸になる。という話を聞いた事はあるだろうか。

昔、黒猫は魔女の使いとされていたり不吉の象徴なととされていた為にこう言われていた。

これは当然迷信なのだが今はその迷信をふと思い出す。

 

そしてその猫はそのままの勢いで道路に走っていく。

そう、車が行き交っている道路へ。

タイミングは最悪、ドストライク死への直行ルート。

しかもその運転手は運悪く居眠りしているのがこちらから確認できた。

 

(危なっ……!)

 

そう思うのと飛び出すのはほぼ同タイミング。

人をも葬り去るのに容易いスピードで車が来ているとは頭では理解していたが足を止められなかった。

 

直ぐ息切れがする。

 

「そりゃ人生ずっと引きこもってたらそうなりますね。」

 

足がもつれこけそうになる。

 

「運動神経以前の問題です。」

 

何か声が聞こえる。

 

「聞こえるんですか。まぁもうすぐ○○ますもんね。」

 

何と言ったのか一部聞き取れなかったが走り続ける。

人によってはこう言うだろう。

 

『たかが猫の為に死ぬだなんて』

 

そうとも頭では理解していたが足を止められない。

分かってて飛び出すなど最早自殺。

 

そして私は物の見事に間に合ったが

 

 

グチャッ

 

 

骨が軋み、折れ、肉が潰れる音を伴奏にし、

野次馬の甲高い(悲鳴)とのハーモニーをバックコーラスにして

 

大きく真っ赤な華を咲き、

黒猫が無事に走り去るのを見届けると共に

 

 

肉の塊と成り下がった私が残った。

 

 

 

 

そうして私は死んだはずだ。

 

はず。

 

なのにこの空間にいる。

この空間内を走り回ったから息切れがする。

ほっぺをつねると普通に痛い。

 

でもまぁここまで病的に真っ白だと死後の世界とも思えてくる。

となるとここは地獄なのだろうか、こんな地獄は存在するのだろうか。

永遠に同じ景色、空間に閉じ込め続ける。

そういう地獄かもしれないが何一つ分からない。

 

「何なの…ここ……」

 

「ここは生死の境界ですよ。」

 

生死の境界?

生と死にそんな曖昧なものがあるのだろうか。

 

「ってだれ…?」

 

「私は神です。」

 

カミ?神というと…あの神だろうか?

 

「そうです。現に死ぬ直前に話しかけたじゃないですか。」

 

この神となのる女の声に聞き覚えがあると思ったらそういう事らしい。

それに心を読んでいる事も考えると神と考えるのが正解かもしれない。

 

「さて、本題に入るますが

貴女、死にましたよね?」

 

「………ええ、多分」

 

「それはね、神、つまり私の責任なのですよ。」

 

「……というと?」

 

「本来死ぬはずでは無かった貴女は現に今こうして死んでいる。

それは私の魂の管理の不行き届きが原因なの。」

 

『魂の管理の不行き届き』

 

別段それに対して何も怒ったり悲しんだりもしない。

寧ろありがたいくらいだったりもする。

 

「それで…どうするのですか……?」

 

これがテンプレートなら転生。

はたまたそのまま死後の世界行き、最悪この神の部下になるだろう。

 

「転生させてあげれます。」

 

やっぱりか、でも私は魂の管理の不行き届きに感謝していた。

 

「断ります…」

 

きっぱり、そう神に伝える。

そうしたら神は驚いたような顔で質問する。

 

「どうして?」

 

私はあの日、生に対しての拘りは全くと言っていいほど無くなった。

先程言った通りその神のミスには感謝している。

それになによりあの瞬間、死のうとしていた面も大きい。

黒猫が助かったのならそれは良かったと思う。

心読みができる神ならこの思考も読んでいる事だろう。

 

「言い方を変えます。

転生させてあげれるじゃなく、転生してもらいます。」

 

「……話は聞いてました?」

 

「神は悩めるものに手を差し伸べる義務があります。

そして貴女もその一人です。」

 

そして神はんー…転生先はラノベにしましょうと。などと言っている。

待て、このままだと私は本当に転生してしまう。

 

「そ、そんな無茶苦茶が……」

 

「通じるのですよ。」

 

そうして神のその言葉を聞くやいなや私の意識は段々薄れていく。

そして視界がフィードアウトしていく途中、転生はもう決定事項なのだと悟り、何のラノベに転生するのかと考えていた。

 

 

 

 

「さてと…転生先はインフィニット・ストラトスの世界にしましょう。

でもまぁ幻想郷が存在するんですけどねぇ…

まぁいいでしょう。

まぁ取り敢えずあの作品の人達なら彼の子を変える事は出来るでしょうからね。

…いえ、変えてもらわないと困りますよ。本当にね」

 

そう、神は不敵に笑いながら呟き、転生の術式であろう魔方陣を展開した。

そしてその呟きは誰にも聞かれる事はないのだろう。




神「リメイク版なので転生旅行と展開が似てるとこもありますが、なるべく変えていきたいのでよろしくお願いします。
そして、感想をくれると嬉しいです。」ちらっちらっ


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#1「始まりの始まり」

放置し過ぎました。申し訳ないです(土下座)

前作を見てもらった人なら分かりますが前作のツボミラジオは名前を変えてまたやります( ・`ω・´)キリッ


「ん……どこ…ここ…」

 

そんな事があり、私は転生した。

したのだけれども私は何のラノベに転生したのかを聞かされていない。

なにより今いる環境が特殊過ぎて何のラノベか特定できない。

 

「えっと…周りにあるものは…電子工学の本や…情報系の本…それに…粒子学なんでもござれ……うわ…大量の機材も……」

 

それ以外は質素なベッドに、机、周りは窓一つないし出入口は内側から開けられなくなっている。

監禁状態ということなのだろうか。

 

「ここどこ…?」

 

そう呟くと頭の中に答えが広がる。

広がる。という表現はいささかおかしいかと思うがその表現が一番しっくりきた。

 

 

【日本○○県秋十研究所、最下層一番奥の部屋】

 

 

らしい。…えっ待って何それ

地下深くに監禁状態からスタートとは人生ハードモード。

いや、ルナティックモードからスタートという鬼畜仕様。

初期リスポーン地点がこことか…

 

「何で私はここにいるの…?」

 

そう呟き返ってきた答えは、

 

 

【織斑 千冬、篠ノ之 束の両者の遺伝子を掛け合わせる試験管ベビーの実験成功の為】

 

 

「…どうしろと……」

 

監禁状態、試験管ベビー、実験動物又の名をモルモット

圧倒的、圧倒的理不尽の中、自殺をする為の道具も見つからない。

何よりも、というかそれ以前に

 

「両足に枷なんて……」

 

完全に詰んだと言っても過言ではない状態。

仕方がないので呟き、返答が返ってくるの一問一答形式で情報を集める事にする。

 

「研究者の名前は…?」

 

 

【織斑 秋十、織斑 千冬の父親にあたります。】

 

 

「………動機は?」

 

 

【天才と呼ばれている束と最愛の娘との最高の娘を作り出す事】

 

 

「あー…うん…そう……」

 

言い方的にちゃんとそういう行為を致して私はここにいる訳じゃなさそうね。

親が実験の元締めなんてどうしようもないじゃない。

それに束…束って誰だっけ聞いた事はあるんだけど…

 

 

【原作知識は転生の為の犠牲になったのだ。】

 

 

頭に響くこの声って神の声かいっ!

こんなとこでスタートとか復帰後即死亡を望んでいるのか神は…

 

「正直別にそれでもいい……」

 

私は全てがどうでも(別に死んでも)いいのだ。

ここで死ぬならそれはもう覚悟を決めて受け入れるしかない。

死ぬなら死ぬでそれでいいが本を読み漁る事にしよう。

 

一日目はそれに時間の全てを使った。

 

二日目、また読書。

 

三日目、また読書。

 

四日目、以下同文。

 

そして時間の経過、昼夜もわからない地下な為、現在時間も分からないが自分の感覚で一ヶ月後。全ての本を読み終わった。

 

読み終わりやってくる暇な時間。

さて、どうしましょうか。

脱出は別にしなくてもいいと思ってるし…

死んでもいいとは言ったけど暇な時間は耐えられないわ。

設備が整いすぎて逆に死ぬに死ねないから暇すぎる。

 

という訳で広範囲に信号を出す機械を工作中。

図画工作とかいう感覚だが実際には違うのだろうなぁ…

 

「…できた」

 

そして幾ばくかの時間が過ぎ、(実はほんの10分程度)完成した信号発信機。性能はただただ遠距離にまで通信を飛ばせるようにしただけなので通信内容は数文字しか設定できない。

 

「…まぁいいや、【発射】」

 

……何も起きないわね

 

 

 

 

そして数時間後、自体は急変する。

そう、建物全体の地震(・・・・・・・)と共に。

 

 

な、何これ…こんな事態予測してないわよ

 

「…何が起きてる?」

 

【施設が正体不明の攻撃を起きています。】

 

ど、どういうことなのよ…!

正体不明ってなによ正体不明って!

 

 

そう、そしてようやくこの物語は始まる。

信号を受けたお転婆天災兎のダイナミックな登場によって

 

 

「はろはろー!みんなラブリー束さんだよー!」

 

 

そう、この物語の始まりの始まりがーー

 

 

第一章「無気力者の憂鬱」

【始まりの始まり篇】



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#2「マイネーム イズ」

大分投稿が遅れましたすいません!

理由?PSPと多くのカセットを頂いたからd((ry


「はろはろー!みんなラブリー束さんだよー!」

 

 

鋼鉄の壁、鋼鉄の奥にはコンクリートも見える。

そんな強固も強固、重機を持ってこないととてもじゃないが破るのは無理な壁を破ってきた奇怪かつファンシーな例えて言うなら不思議の国のアリスなどのファンタジーな服、そしてうさ耳カチューシャを装着した女。

それら全ての情報をもってこの女を判断するとーー

 

 

「ふ、不審者…!」

 

 

その女曰く束は凄い勢いでずっこけた。

何故だ、解せぬ。

 

 

「ふ、不審者じゃないよ!束さんが不審者に見える?」

 

「…見える」

 

 

あっ膝抱えて部屋の隅に行っちゃった。

…なんだったんだろ

と思ったらすぐ戻ってきた。

 

 

「って違う違う!あの信号はなんなの!?あれは偶々束さん特製超高性能受信機こと『さながらラノベの主人公』で暇だったから徹底的に電波受信してたから発見できたんだけどあの秘匿電波は国の技術を圧倒的に超えーー

 

 

私はそこから話が長いと感じ内容は何一つ聞いていない。因みに受信機の名前『さながらラノベの主人公』の名前の由来はどんなキャラ(電子機器)の想い(信号)を受け取れるかららしい。

 

 

ーーってな訳で私の親友の家に来ないかなっ?かなっ?」

 

「……ごめん…なんて?…わんもあ」

 

 

あっ束がorzの体制になってる。

だって話長かったんだもん。

束さんをスルーでもなく完全に聞いてないだなんて始めてだなんて言いながらちょっとアレな笑い声をあげてるけどまぁ問題ないだろう。

流石に束があれだったので真面目に話を聞くとこうだ。

 

・私の娘を迎えに来た。

・その腕を買いたい。

 

って娘?ってもしかして…

 

 

「ふっふっふっ聞いて驚け!そうだよ!私こそが篠ノ之 束!君のお母さんとなる存在なのだ!」

 

「…そうですか」

 

 

「……」

 

 

「…………えっそれだけっ!?反応薄くない!?お母さんだよ!」

 

「…そうですか」

 

 

あっ束がうずくまったまま動かなくなった。

だってそんなこと言われても状況把握したのついさっきだし特に思うこともなかったし。

 

 

「…はぁぁぁぁぁぁぁぁ……君なんていうの…?

一応ちーちゃんのクソ親が作った識別名はあるらしいけどそんなナンセンスな物はいらないでしょ。あっんじゃ名前がないのかな?んじゃ名前決めちゃうよ束さんが決めるね?」

 

「あっ…もうそれでいいです…」

 

なんか凄いぐいぐいくるなこの人。

それに顔近い、キスするつもりかこの人。

 

「んじゃー君の名前はーー

 

 

 

 

 

 

場所は変わってとある住宅街。目の前を我が物顔で肩で風を切りながら歩く束に無表情でついて行っていると到着したのは結構でかい家の前に来た。一軒家にしては結構な程に庭がでかい。地味に前世を思い出すから気にしないことにしよう。

 

 

「着いたよ!ここがちーちゃんの家だ!待っててねちーちゃぁぁぁぁぁん!!!」

 

「ぇっ…チャイムは…」

 

 

そう束が叫ぶなりチャイムも鳴らさずピッキングツールを取り出す。お察しのいい皆さんのお分かりのこと、いきなりピッキングしだした。もろに犯罪なんだけどこれは他人のフリをした方がいいのだろうか。

 

 

「フッフッフッこんな錠なんて束さんの前では無いに等しいんだよフフフフフフフフフ「ガチャ」よっしゃ開いた!」

 

 

開けちゃったよこの人。家主逃げて超逃げて。

と思って現実逃避していると、ガンッという鈍い音と共に丁度、人を射抜けそうな眼光の綺麗な黒髪女性がドアを開けて鼻に直撃した。

凄く自業自得。

 

 

「…何をしている束」

 

「やぁやぁちーちゃん!今日も束さんへの愛(アイアンクロー)が激しいね!すっごく痛いよ!」

 

「そうか私もお前への思いが爆発しそうだよ。早く要件を言え束。」

 

「えっ待っちょっ愛が重…目がなんか目が霞んで…言う!言うから!そこの女の子!ロリっこのことについ痛たたたたたたた!!!痛い、蹴らないで!」

 

「……ロリっこちゃう」

 

 

ロリと言われてむっとしたのでげしげし蹴ってたのだが後で鏡で自分の姿を確認したら誰がどう見てもロリっこでした本当にありがとうございました。ちくせう解せぬ。

とか思ってたら束さん曰くちーちゃんは束を無造作に投げ捨て此方に近づいてくる。ヤバいヤられる!

 

 

「はぁ…まぁいい、束に巻き込まれたのか知らないが取り敢えず私は織斑 千冬だ。」

 

 

と思ってた時期が私にもありました。頭を撫でられてるんですが何かくすぐったいモノがありますね。

 

…ってあれ?千冬?おり…むら…?

 

 

「そうだよ、そこにいるラブリー束さんの親友、織斑 千冬が君のもう一人のお母さんだよ。」

 

 

いつにもなくシリアストーンで束がそう言った。

ということは聞いた通り、私のもう一人の母なのだろう。

 

 

「…取り敢えず入れ」

 

 

家主の許可が出たので私達は入る。

家の中は清潔感が保たれたいい家だと思う。

そして私達はソファに座り真面目な顔を付き合わせ、束が事情の説明をした。

 

 

「…成る程、一応は理解した。」

 

「ちーちゃん、私には育児の知識はあってもできない、この子をちーちゃんに任せられるかな?」

 

 

…私ここに住むの?

なんかそれはそれで悪い。

 

 

「構わん、………私達の娘か。」

 

 

…そして何かを考えこむかのように黙る。

当然と言えば当然、いきなりやってきた幼女が娘だと言われて、それをしたのが自身の親と聞いて動揺しない方が珍しいだろう。

 

 

「可愛いでしょ?この子の名前無いみたいだから決めたんだけどさー…」

 

「ほう…何て名だ。」

 

「苗字はちーちゃんの家にお世話になるから織斑、そして名前はーー

 

 

冬音(フユネ)だよ!」

 

 

私こと織斑 冬音はここ、織斑家にお世話になることになりました。



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