ウルトラマンになったのに (オヒサマックス)
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光の巨人に憧れて
若輩者の始めての作品なので暖かい目で見てください、よろしくお願いします。
俺は特撮ヒーローが好きだった。仮面ライダーとか、ウルトラマンとか、スーパー戦隊とか。
ガチのファンとかじゃなかったし、なんなら凄いにわかだったけど、本当に好きだった。理由は…なんかカッコいいからとか、そんな薄っぺらいものだけど。
単にそれだけの高校生だった。
そんな俺はある日に終わった。
そして気がついたら、俺は
その後のことは…まあ、割愛するけども。兎に角、色々あって俺は一人になっていた。その時の俺はまだチビで、それで一人なのが怖くて。ついこの前まで高校生だったのも忘れて泣きながら誰かに助けを求めた時、
…混乱はしたけど、俺は
そんな感じで強引に納得して、それから何回かの春夏秋冬を経験して、色々学んだ。
例えば
そして今日、新たな学びを得た。
そして、それは想像の何倍も何百倍も理不尽で、怖い存在だった。
「キシャァァァァッ!!」
俺は怖くて震えてた。足が動かなかった。逃げなきゃいけないのに、逃げなければ死んでしまうのに、腰が抜けて立てなかった。
もう死ぬのは嫌なのに、
「何してるの!?早く逃げなさい!!」
そんな俺を助けてくれたのは少女だった。少女に無理矢理立たされ、腕を引っ張られ、走りながら考える。
その子のことは見たことがあった。俺が働いている酒屋で偶に酔い潰れたお父さんを迎えに来ていた子だ。
別に接点はない。この子が俺を助ける理由なんてどこにもない。だって、話したことすらないし、なんなら向こうは俺のことを覚えてもないだろう。
「…な、なんで助けて…くれたの…?」
少女が苛立ちと困惑の混ざった顔でこちらを振り向いた。
…冷静に考えたらこの状況でこの質問はない。なんせ後ろから怪獣が迫ってきていて、そして互いに全力疾走。無駄な会話は無駄な体力の消費にしかならない。俺、馬鹿なのかも。
「ほっとけないでしょ!普通!誰かが死にそうだったら!!」
ーーーー。
その時、少女のすぐそばに熱戦が放たれた。
俺達はその衝撃で吹っ飛ばされ、地面を2、3回転がってから瓦礫の山に突っ込み、止まった。死にはしなかった。
けれど、衝撃による痛みと傷で、2人とも動けそうにはなかった。
(俺は、また死ぬのか…)
俺はもう、諦めていた。
物音がした。ふと目を向けると、そこには先程まで一緒に走っていた少女がいた。少女は瓦礫から抜け出そうと、もがいていた。
恐怖から一刻も早く逃れようとしているーーーーのではないのは見てわかった。確かに、その目には恐怖の色があった。しかしそれ以上に、生きようとする意思がその目にはあった。彼女はまだ、諦めていなかった。
「あんた、諦めてんじゃないわよ…こんな意味わかんないバケモノに殺されるなんて嫌でしょ?だったら、さっさとここから抜け出して、生き延びて、それで好きに生きようじゃない!」
不器用な言葉。だけどそれが、諦めてしまった俺への、彼女なりの励ましなのは伝わってきた。
もしかしたら、瓦礫をどかせるかもしれない。彼女も助けられるかもしれない。ここから逃げ出せるだけの力もあるかもしれない。
ーーーー
(どうか!頼む!力をくれ!この状況をなんとかできる力をくれ!だって、あんなに優しい子がこんなところで死んでいい筈ないんだからっ!!!)
ーーその祈りが、願いが、純粋な助けたいという想いが。少年を、もう一つの姿へと変えた。勢いよく飛び出した、少年が変化した光の矢は。
天高く昇り、そして巨大な人型となり…降り立った。
少年だけが知るその存在。人々を護るヒーロー、
お話を書くのって難しい。
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初陣はほろ苦く
ーーーー
少年はその事実に気づくのが遅れた。始めに目の前に
「ギシュァァァァァア゛!!!」
ーー目の前にいた怪獣が己に突進してきていることに気がついた。
(ヤベッ…!)
認識が遅れれば対応も遅れる。いかに人類を遥かに超越する基礎能力をもつウルトラマンといえども、それは例外ではない。
反射的に怪獣の巨体を受け止めたが、半端に受け止めた影響で体勢を崩され、そのまま真後ろに倒れ込む……直前で自分のすぐ後ろの少女への被害が頭によぎり、無理矢理身体を捻って倒れる方向を真後ろから右に変えた。
結果、受け身すら取れず瓦礫を増やすこととなったが、少女の身体を自身と怪獣の巨体で押し潰す事はなかった。
それにひとまず安堵する
「グゥゥ…ギシュァァァァァァアア゛!!」
自分を未だに受け止める態勢のままの無防備な
しかし、その攻撃は思考を安堵から切り替えた
攻撃が当たらない状況に苛立ち、熱線で
「グルルゥ…ギシュァァアア゛!」
怪獣は怒りに怒っていたが、先程のように不用意に近づいて蹴り飛ばされないように隙を見せるまで距離をとるつもりだった。
少年も、何が何だか分からないままに戦っていたが、相手が攻めてこないなら現状の確認を、と視線をバレないように自分の身体に移す。
銀色を主とし、次に紺色が目立ち、赤や黒のラインが入った身体。そして胸の中心で鮮やかに輝く
殆ど間違いなく、自分は
そして相手の怪獣。見たことはないが、二足歩行で熱線を吐く所謂
それならさっさと決着をつけようと、スペシウム光線の構えを取り、光線を放とうとした。が、そこで疑問が生じた。
光線って、どうやったら撃てるんだ?
自分はウルトラマンだ。なら、光線が撃てる筈。でも、どうやって…?
取り敢えず両腕に力を込めてみた。しかし何も起こらない。
今度は全力で両腕に力を込めた。しかし、何も起こらない。
そうして困惑しているうちに、
ーーー。
「グゥワッ…!!!??」
隙だらけの
困惑。激痛。熱。それらが
ーーーーツィォン…ツィォン… ツィォン…ツィォン… ツィォン…ツィォン…
「グワァ!??グゥゥア………!?」
「そこのバケモノ!!!ソイツを殺すんなら、私を殺した後にしなさい!!!」
ーーそれに、待ったをかける少女がいた。
少女に怪獣をどうこう出来るような力は無い。身体が瓦礫に埋まっていて、逃げることすらも出来ない。この状況でも勇気一つでいられる程の強い心もない。
それでも少女は叫んだ。本当は恐怖心でいっぱいでも、それでも怯えて苦しんでいる人を見捨てたくなかったから。
例えそれが無駄な足掻きでも、諦めたくなかったから。
「それとも何かしら?それだけデカい図体してても、小さな私一人に怖がってるのかしら?それじゃあ仕方ないわね、ノロマで怖がりなマヌケには小さな人間一人殺すのも無理だものね!!!」
悪口をどれだけ並べても、向こうが言語を理解できているとは思えない。でも、兎に角自分を先に殺しに来るように。分かりやすく相手を軽んじた態度が伝わるように。
その隙に、あの少年が逃げられるように。
ーーーーツィォン…ツィォン… ツィォン…ツィォン… ツィォン…ツィォン…
体力の消費と、いままで味わったことのない種類の疲労で、くたくただった。もう痛いのは嫌だった。また、諦めそうだった。
でも、怪獣の足跡が少し遠のいているのに気がついて。遠くの少女の顔に恐怖の色があるのに気がついて。諦めていい筈なんてないと、思い直した。
もうカラータイマーが鳴り始めてから時間が経っている。再びの格闘戦は厳しい。と、なると不意をついての一撃しかないが、武術の心得は無いのでその類の攻撃は無理だ。
しかし光線技は出し方が分からない。こうしているうちにも力が抜け、怪獣は少女に迫っているのに。
(………ん?)
なら、この感覚でなら
分からない、けど。やるしかない。
彼の両手は十字にクロスしていて、そして
相変わらずの駄文。話の終わらせ方がわからない。
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空飛ぶ巨人と空泳ぐ魚
投稿頻度や内容は相変わらずですが、この作品を読んでくださっている方に、またはこれから読んでくれるかもしれない人のために、精々頑張らせていただきます。
ーー爆発音。そして、土煙。
そして怪獣の死体が光線によって完全に消失しているのを確認した時、その安心感ーーーーー光線がしっかり出せた事、その光線で怪獣を倒せた事、怪獣の死体が辺り一面に撒き散らされたりしなかった事ーーーーーにより、
そして、そのまま倒れ込みそうになった…が、寸前の所で踏み止まった。
勿論、カラータイマーは先程から鳴りっぱなしだし、そもそもカラータイマーなど無くても十分に自覚できる程には疲れている。
しかし、だからといって身長数十m・体重数万tの巨体が倒れ込んだら大惨事だし、なにより自分に勇気をくれた
どうにかして、この場を去らなければなるまい。少年はそう思った。
このままだといつ地面に倒れ込んでしまうか分からない。なのでいち早く人の住んでいない場所に移動して、そこで
なので空を飛ぶことで町にこれ以上被害を出す事なく立ち去りたいのだが、光線の時と同じで方法が分からない。
だが、今回は光線の時とは違い、命を賭けた戦いを行なっているわけではない。それを終え、帰還するところなのだ。なので、割と冷静に記憶を蘇らす事ができる。
そして案外早く思い出す事ができた。
映画『シン・ウルトラマン』にて、外星人ザラブがウルトラマンの飛行能力について、彼の身体を構成するスペシウム133の反作用で重力を歪めることによって飛行をしていると説明していた…気がする。
つまり、光線と同じ感じでやればいけるという事だ。多分。
(それじゃあ、やるぞ!)
「シュゥゥワッ…チ!」
そうして
「ありがとう」という、何よりも嬉しい感謝の声が。
「ふへへへへへ…」
森林の奥深く。通常、人間が来ないような場所で1人薄気味悪い笑みを浮かべているのは、先程まで怪獣と対峙し、なんとか勝利をもぎ取った
現在は、時間切れにより
少年とって
そんなヒーローに感謝の言葉を貰い、感無量となった少年は、現在の残念な姿に成り果ててしまったのだ。少年の中の何があっても忘れないリストは絶賛更新中である。
ーーある程度落ち着いてきたところで、少年は少しは冷静に思考するようになっていた。
まず、自分の謎について。そして、自分の力量不足について。最後に、これから現れるかもしれない怪獣…そして外星人について。
一つ目の自分の謎について。これに関して、少年はぶっちゃけ深く考えていなかった。
(俺の
二つ目の自分の力量不足について、これに関しては流石に能天気な少年も深刻だと捉えていた。
(あの怪獣と戦った時、殆どの事が上手くできなかった。一番は光線だけど、それ以外にも格闘戦についての知識だのがあれば油断して一撃もらうとか、そういうのは無かっただろうし。光線とか飛行とかは一応できるようになったけど、いまのままじゃ通用しないとかも普通にありえるし。なんか、遠方からホーミングできる光線とか、そうじゃなくても八つ裂き光輪みたいなのは出来るようにしておきたいよなぁ…色々と便利そうだし。他にも、タイプチェンジとかも出来たらいいよなぁ…
知識にあるウルトラマンがやっていた事はあらかた試しておいた方が良いだろうなー。ウルトラマンになったのが一回しかないから出来る事と出来ない事も把握できてないし。R/Bでやってたみたいに修行とかした方がいいかもな…て、いうかそう考えるとニュージェネヒーロー天才過ぎない?ギャグ調とはいえR/B兄弟とかなんとなくで光線出すし、空飛ぶし。ジードも遺伝子とかあるんだろうけど初戦でレッキングバースト撃ってたし。つーかやっぱりヒカルっておかしいよな…ギンガも凄いけどヒカルも凄すぎるだろ……俺なんか光線の撃ち分からなくて顔面に熱線喰らったのに…)
因みにこの
そして三つ目の今後に現れるかもしれない怪獣・外星人について。
(怪獣にしろ外星人にしろ、その全てが危険で倒さなければならない相手って訳じゃない。普通に友好的なのも居るし、やむを得ない事情がある奴等も一定数いる。…居るんだけど、そうじゃない奴等が大多数なんだよなー、少なくとも他の星に態々来る奴らとかは。
それ以外にも元々星にいる怪獣とかも、基本的に会話できる知能なんか無い奴ばっかだしな。この前に現れた怪獣とか正にソレ…て、いうかアイツの事なんて呼ぶか決めてないじゃん。今後他の怪獣が現れた時にちょっと不便かも…あと単純に締まらないし。とりあえず怪獣とのファーストコンタクトだったから、ファストンと呼ぼう。
兎に角、ファストンみたいな会話できるような知能が無くて、無秩序に人間の生活を害するタイプの怪獣は倒す方針でいこう。ちょっと可哀想だけど、絶対に人間を襲わせない様にしてもらうとか無理だしな。
…そう考えると最初の方に考えてた倒す必要のない、簡単に言えば悪くない怪獣・外星人への対応って難しいよな。万が一にも俺がソイツ等に騙されてて、他の人達に被害が及んだら…って考えたら怖いし、本当に悪い奴等じゃない事だってあるのに即爆殺とかして言い訳ないし…
まぁ、でも。怪獣が今後も出て来るとは限らないし、なんなら外星人がこの星にやって来るなんてかなり確率低いからそこまで心配しなくてもいいだろ、うん)
だが、自分がこうして突然に
そしてーーーー
「あれは、魚…?」
ーーーーほんの数日先で、
空を泳ぐ魚が突風と共に現れ、人々の生活を撒き散らすその姿を。
最初に現れた怪獣の名前はファストンとなりました。
タイトルに空泳ぐ魚と書いておきながら最後にちょっと出た…というか出ることが示唆されただけなのは、作者がどうやって出せばいいかわからずに次話にぶん投げたからです。
また、この「ウルトラマンになったのに」に登場する怪獣や外星人は基本的にオリジナルにする予定なので、気が向いたら怪獣・外星人の名前やアイデアを感想欄に書いてみてください。作者の語彙力の限界まで活かせるように努力します。
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