ダンガンロンパフィナーレ (暁。)
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絶望は個性豊かな同級生と共に!_A

これはダンガンロンパの二次創作の『創作論破』でございます。

 

お読みいただく前に、必ず注意書きをお読みください。

 

 

 

・原作をプレイしてからお読みすることを推薦します。

というかプレイしてください。神作です。お願いします。

 

・原作ネタバレが豊富です。お気をつけください。

 

・この創作論破独自の設定があります。

苦手なかたはお気をつけくださいませ。

 

・こちらは会話文メインの作品です。

 

・原作のキャラは名前やほんのり匂わせるくらい出るかもです。あぽ?

 

・流血表現・性的表現・残酷な表現などがございます。

 

・駄作。文章がおかしいです。どうか生暖かい目でご覧くださいませ。

 

・○○からきた等のコメントはお控えください。

 

・感想欄でネタバレ・生死予想は構いません。

なのでネタバレが嫌な人は感想欄を覗かないことを推奨します。

 

・こちらをお読みになって体調が悪くなったり、絶望落ちされても

作者は一切の責任を負いません。ほどほどにお楽しみくださいませ。

 

 

 

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わたしは

 

 

5つもころしあいをつくった

 

 

でも

 

 

それをおわらせるひが きた。

 

 

100きせいの18にん

 

 

そのひとたちをまきこんでさいごのころしあいをおこすんだ

 

 

それでしんじつを

 

 

しんじつを

 

 

しんじつを

 

 

しんじつを_

 

 

あかしてみせてよ

 

 

わたしのすがたを

 

 

 

 

 

さっき、入学式が終わった。

クラスメイトと自己紹介をする暇もなく。

席について自己紹介をしあう人達、

寄宿舎を見に行く人達、帰る人たち。

俺は、席に座っていた。

 

あぁ、自己紹介?俺の?

そういえばしてなかったな。しようか。

 

俺は、超高校級の幸運、山本 佑哉。

ただの一般人だけど......

希望ヶ峰に入れてとても嬉しい!

さぁ、クラスメイトに挨拶をしに行こうかな。

 

「こんにちは!!君の名前は何て言うんすか!?」

 

こちらから話しかける必要がなかったようだ。

顔をあげると、可愛らしい茶髪の女の子がにこにこと笑っていた。

そのとなりには、本を片手に持つ、落ち着いた雰囲気の男が居た。

こちらをちらりと見て、少し微笑んだ。

うわ、メガネイケメンのオーラが出てる。

 

「俺?俺は超高校級の幸運、山本佑哉!

ただの一般人だけど、よろしくな!」

 

【超高校級の幸運】山本 佑哉_ヤマモト ユウヤ

 

「ふんふん、ゆーやくんっすか!!

今日からよろしくっす!」

 

「......宜しく、山本。」

 

「おう!よろしくな!

んで?二人は?」

 

「ふっふー、何を隠そう!

あたしは超高校級のネイリストの戸川 音々なんすよ!」

 

【超高校級のネイリスト】戸川 音々_トガワ ネネ

 

えっと、たしか......

オーダーに完璧に答え、

どんな客でも満足できるネイルを

作る女子高生、だっけか?

確かにきれいな爪してるな。

 

「綺麗なネイルだな!」

 

俺が指を指して言うと、

戸川は嬉しそうに笑った。

 

「でしょでしょ!?

これは自信作なんす!」

 

「じゃあ僕、良いかな?」

 

「おう!」

 

「僕は超高校級の読書家、本上 来栖だよ。宜しく。」

 

【超高校級の読書家】本上 来栖_ホンジョウ クリス

 

本上、か。確か、

どんなジャンルの本でも好み、

完璧なレビューを下す男子高生、だよな。

確かに本、読んでそうな雰囲気だし

......本、持ってるし。

 

「んで?本上はどんな本がすきなんだ?」

 

「どんな本?」

 

「あぁ。一番好きな本はなんだ?」

 

そう聞くと、本上の目付きが変わる。

ヤバイ、地雷踏んだか?

 

「僕が一番好きな本?ありすぎて選べないよ。

そもそも一番を決めるから可笑しいんだ。全部一番だよ。

作者によって表現が違うから一番なんて決められない。

比べる対象がないんだ。見る人によって感覚は変わるから。

僕が作者の想い全てを感じ取れる訳じゃないんだよ。」

 

早口でそう捲し立てられた。

......地雷、踏んだみたいだ。

 

「なんか、ゴメン......」

 

「えっ!?あ、こ、こっちこそごめん。

夢中になってたみたいだ。」

 

顔を少し背けて、ちょっと赤くなりながら本上は謝った。

......多分良い奴なんだろう、多分。

 

「あっはは!ふたりとも面白いっすね!

あたしと一緒にクラスメイトに挨拶しに行こうっす!

きっと楽しいっすよ!」

 

俺の手に戸川の柔らかい手が触れた。

本上も手をとられて困惑している。

 

「さ!寄宿舎、行くっすよ~!!!!」

 

「ちょ、まて戸川!あんま引っ張るなって!」

 

「戸川さんっ......!!うわっ!!」

 

本上が隙をとられてコケた。

可哀想に......

 

「くりすくん、重いっす!置いてくっす!」

 

「ちょ、俺も離して......ぎゃああああああ!!!!」

 

結局戸川に文字通り引きずられながら寄宿舎にいった。

本上が呆気にとられてた。本当に置いてきちゃったよ。

 

 

_寄宿舎前

 

「と、戸川さん、山本くん、速いよ......!!」

 

「俺が速いんじゃなくてこいつが化物なんだよ!」

 

めっちゃ引きずられた。痛い。

 

「とにかくっ、挨拶しようっす!

これから5年間も一緒なんすよ!?」

 

「5年間でもクラスは変わるだろうが!!」

 

 

 

「んで~、俺はアイドルなんだって!知らないのかよ!?」

 

「............知らない。」

 

「ハァ!?!?」

 

怒号が聞こえる。

喧嘩でもしてるのか?

そっちを見ると金髪で緑の目の男と

少し幼く見える青髪の女の子がいた。

 

「わぁっ!!こんにちはっす!」

 

戸川がにこにこで声をかけた。

大分勇気あるな。

 

「あっ......!!

俺は超高校級のアイドル☆愛川 流斗だよ~☆

よろしくね~~~~☆☆」

 

【超高校級のアイドル】愛川 流斗_アイカワ リュウト

 

確か、中学生?小学生?

からアイドルやってるんだっけ?

......金髪だけどずっと染めてるのか?

いいのか、それは......

まあ本人が良いならいいけど......

 

「......初めまして!宜しくっす!」

 

「は!?俺のファンじゃねぇのかよ!

チッ、俺様を推してないとか人生損してるぞ。」

 

戸川の反応でファンじゃないとわかったのか、

急に悪態をつき始めた。

......アイドルって怖いな。

 

「......僕は超高校級のスナイパー、中原 未来。

............。宜しく。」

 

【超高校級のスナイパー】中原 未来_ナカハラ ミク

 

スナイパー!?

こんな......幼い見た目で!?

しかもピンはナイフなのか。ライフルじゃないのか......

でもなんかこんな見た目の子が

ライフルとかぶっぱなしてるって思うとあれだ。

ギャップ。ギャップ萌えだ。

 

「スナイパーって、何をするんだ?」

 

「......色々。」

 

「そ、そうか......」

 

2文字で済まされてしまった。

......まぁ、あまり話したがりじゃないんだろうな。

 

「......ゴメン。......面白い答え、思いつかなかった。」

 

「いやいいんだけどな!!俺もごめんな、なんか。」

 

超平和に解決した。

別に悪いやつじゃないみたいだ。

 

「あっ、俺は超高校級の幸運、山本佑哉だ。」

 

「あたしは超高校級のネイリスト!戸川音々ちゃんっす!」

 

「僕は超高校級の読書家、本上来栖だよ。宜しくね。」

 

「......宜しく。」

 

「......ふんっ!変な才能だな!

てめぇらアイドル様に勝てると思ってんのか?」

 

別に張り合ってないけどな。

 

「ねぇねぇ!あっちにも人がいるっすよ!!」

 

戸川が袖をつかんで人の方に指を指す。

 

「戸川さん、人に指を指したらダメだよ。」

 

「はぁ~い」

 

......ダメだ。本上が保護者に見えてきた。

早くも本上、保護者になっちまった。

いや早すぎだろ。さっきあったばかりだぞ?

 

「じゃあね、りゅーとくん、みくちゃん!」

 

「......うん。」

 

「はいはい、次は俺のファンになってから出直してこいよ!!」

 

「うーん、興味ないからパス!で!!!」

 

「おいてめぇふざけんな!!」

 

後ろから愛川の罵声が聞こえてくる。

俺は聞かなかったことにした。

 

 

 

 

 

「......オニイサマ、ココ、ナニスル、場所ナノ?」

 

「umm......泊まる、バショ。」

 

「止マルノ?」

 

「そっちじゃ、ナイ......」

 

綺麗な銀髪の幼げな美形兄妹がいた。

目も綺麗な青色で、美しい。

 

「......ア、コンニチハ。」

 

兄の方がこちらをみて少し微笑んだ。

妹の方もこちらをみて少し会釈をする。

 

「俺は超高校級の幸運、山本佑哉だ。」

 

「あたしは超高校級のネイリスト!戸川音々ちゃんっす!」

 

「僕は超高校級の読書家、本上来栖だよ。宜しくね。」

 

怒涛の自己紹介祭りを済ませると、

兄の方が自己紹介をした。

 

「......ボク、Raila presiって言いマス。

超高校級の社長、デス。

......プレスィ、って呼ンデ。」

 

【超高校級の社長】Raila presi_ライラ プレスィ

 

親を受け継いで社長になった、男子高校生で......

何処だったかな。全然知らない国だった。

兎にも角にも、日本人じゃないことは確かだ。

っていうか、高校生で社長って......凄いな。

経営もうまくいってるらしいし。

 

「宜しくね、プレスィくん。」

 

「よろしくっすよぷれすぃくん!!」

 

「よろしくな、プレスィ。」

 

「......まだ、ボクも、イモウトも、

日本語、上手じゃナイ。デモ、仲良くシタイ。」

 

少しぎこちなく微笑んだプレスィは、

ほんとに......何て言ったら良いんだ?

幼げな......っていうか幼い少年みたいで......

 

「ア......ワタシモ、イイ?」

 

プレスィの妹が恐る恐る手をあげたので、

勿論、と笑顔で答えた。

......妹も美形だな。

というかまだ美形にしか会ってない。ふざけんな。

 

「ワタシ......Raira aress。超高校級の舞台女優、ネ。

アレス、ッテ、呼ンデ。

......仲良ク、シヨウ?」

 

【超高校級の舞台女優】Raila aress_ライラ アレス

 

ハリウッド女優、だっけ?最年少じゃなかったかな。

どんなに幼い役も、どんなに大人な役も、

小さな身体でなんでもこなす天才だって

全世界で話題になった。

兄も妹も人生勝ち組じゃないか。

 

「ア......ニホンゴ、上手クナイ。ゴメン。」

 

「別に構わないよ。

というか十分上手いからな!?」

 

「ホント?......アリガト。」

 

少し照れたように笑う姿も......

やっぱり、幼い。

こんな幼い体で......演技をしているのか。凄いな。

 

「アノ......ワタシ、イッテミタイ、トコロ、アルノ。」

 

「ん?何処だ?」

 

「トショカン。」

 

「図書館!?!?」

 

本上が途端に目を輝かせた。

......凄く嬉しそうだ。

 

「ねーねー、山本くん......」

 

「どうしたんだ?戸川。」

 

「アタシ、本読んだら眠くなっちゃうんだけど......

どーすればいいっすか?」

 

「......頑張れ。」

 

「ハ、ハイっす......」

 

 

 

「ぅぅぅ......」

 

「まーまー!あんま緊張すんなって!」

 

「......は、はい......」

 

二人の女の子が図書館にいた。

薄い紫髪の怯えた女の子と、

赤髪の強気そうな女の子。

 

「う、うぁぁ!?人、人だぁ!?」

 

「そりゃ図書館なんだから、人は来るだろ!」

 

赤髪の女の子がケラケラと笑って、

こちらに手を振った。

 

「なぁなぁ!名前、何て言うんだ?」

 

「俺は超高校級の幸運、山本佑哉だ。」

 

「あたしは超高校級のネイリスト!戸川音々ちゃんっす!」

 

「僕は超高校級の読書家、本上来栖だよ。宜しくね。」

 

「......ボクは超高校級の社長、Raila presi。仲良く、シタイナ。」

 

「ワタシ、超高校級の舞台女優ノRaila aress。ヨロシクネ。」

 

「ほら、お前の番だぞ!」

 

「えっ!?!?わ、わたしですかぁ!?!?」

 

紫髪の女の子が飛び上がっている。

ちょっと話すのが苦手なのか、コミュニケーションが苦手なのか。

いや、どっちもか。

 

「わ、わたしは超高校級の二次創作作家、百合咲虹乃です......

よ、よろしくおねがいします......」

 

【超高校級の二次創作作家】百合咲 虹乃_ユリサキ ニジノ

 

コミックマーケット?やSNSで人気の

超有名な二次創作作家、らしいけど......

正直俺はオタクじゃないからわからない。

絵も、文章も書くらしいけど......

 

「あぁ、君が!

コミケではコスプレをしているから分からなかったよ。」

 

「へ、へ?ま、まさかぁ、とは思いますけどぉ......

わたしの、作品、ご存じ、で?」

 

「勿論だよ。小説だけだけどね。

超一流の文を書くって聞いたから、気になって

コミックマーケットまで行って買ったんだ。

素晴らしかったよ!特に『一晩の夢』が好きかな。

あまりガールズラブに興味のない僕でも楽しく読めて......」

 

「ひ、ひいいいぇええ!?!?

なんで私の同人誌読んでるんですかぁあああ!?!?!?」

 

百合咲はひっくり返ってしまった。

顔が真っ赤だ。

 

「うううううう......恥ずかしい......

普通の一般ピーポー......ではないけど

ヲタクじゃない純粋な読書家様が私なんかの......

作品をぉぉぉぉ............!!!」

 

転げ回ってる。

そっとしておこう。

 

アタシは超高校級のヘアスタイリスト!

灰田 望だ!よろしくな!!」

 

【超高校級のヘアスタイリスト】灰田 望_ハイダ ノゾミ

 

難しいオーダーでも、ふわふわしたオーダーでも、

なんでも完璧に、依頼人が思った通りの結果を出す、

凄いヘアスタイリスト、らしい。

俺はヘアスタイルとか興味ないけど......

隣で女子二人が目を輝かせている。

 

「へぇ!のぞみちゃん、ヘアスタイリストなんすか!

通りで髪が綺麗な訳っすね!

良かったらあたしにもすたいる、してくれないっすか!?」

 

「ワタシモ、ノゾミの......ヘアスタイル、

シテホシイ。」

 

「勿論、良いぞ!

来栖も髪、結ってやろうか?

髪きれいだし、結ってみたいぜ!」

 

「や、やだよ!!!!」

 

珍しく叫んでいる。

そりゃ嫌だろ。

 

「ふー、ふー......」

 

「あれ、生き返ったのか、虹乃!

お前も髪、結ってやろうか!?」

 

「や、やめときます。

陽キャのオーラに潰されそう、だし......」

 

まだおどおどしている。

人と関わるのが苦手みたいだ。

 

......そして、絶望の合図が聞こえた。

 

『ガ、ガガガッ、

皆サーん、キコエテますかぁ~!?』

 

多少の雑音と共に、男とも女ともつかない声が流れた。

だ、だれだ......!?

 

『ウンウン、無事に聞こえていますネ!

じゃあ~......100期生のミナサン!

体育館に、お集まりくださいマセ!』

 

ピー......ガガガッ。

 

嫌な雑音と共に、唐突に終わった放送。

なんだったんだ?

 

「なんか貰えんのかな!?

至急品のタブレット!とか?」

 

「まぁまぁ、取り合えず、行ってみようぜ!」

 

灰田が走って体育館に向かった。

待ってよぉ!という声と共に、戸川も走り出す。

 

「......行ってミヨウ。」

 

「......オニイサマガ、行クナラ。」

 

ライラ兄妹がゆっくりと歩きだす。

 

「じゃあ、行こうか。」

 

「い、行きましょうか。」

 

本上が、本を持って少し微笑んだ。

百合咲が、服を掴みながら上目で見つめてくる。

 

「あぁ。」

 

たった一言、返事をして体育館に向かう。

きっと、希望のハジマリ。ハジマリの、合図。

 

 

それは、絶望に書き消されたけれど。

 

 

_100期生

 

A組

 

【超高校級の幸運】山本 佑哉

【超高校級のネイリスト】戸川 音々

【超高校級の読書家】本上 来栖

【超高校級のアイドル】愛川 流斗

【超高校級のスナイパー】中原 未来

【超高校級の社長】Raila presi

【超高校級の舞台女優】Raila aress

【超高校級の二次創作作家】百合咲 虹乃

【超高校級のヘアスタイリスト】灰田 望

 

_現在9名

 

 

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絶望は個性豊かな同級生と共に!_B

これはダンガンロンパの二次創作の『創作論破』でございます。

 

お読みいただく前に、必ず注意書きをお読みください。

 

 

 

・原作をプレイしてからお読みすることを推薦します。

というかプレイしてください。神作です。お願いします。

 

・原作ネタバレが豊富です。お気をつけください。

 

・この創作論破独自の設定があります。

苦手なかたはお気をつけくださいませ。

 

・こちらは会話文メインの作品です。

 

・原作のキャラは名前やほんのり匂わせるくらい出るかもです。あぽ?

 

・流血表現・性的表現・残酷な表現などがございます。

 

・駄作。文章がおかしいです。どうか生暖かい目でご覧くださいませ。

 

・○○からきた等のコメントはお控えください。

 

・感想欄でネタバレ・生死予想は構いません。

なのでネタバレが嫌な人は感想欄を覗かないことを推奨します。

 

・こちらをお読みになって体調が悪くなったり、絶望落ちされても

作者は一切の責任を負いません。ほどほどにお楽しみくださいませ。

 

 

 

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今日は、入学式、で......?

えっとぉ......

......なんの入学式、だっけぇ......?

とにかく、ぼくは気づいたら教室?の椅子で寝ていた。

 

「ねぇ......起きて頂戴。もう教室に誰もいないわよ......?」

 

そっと顔を上げると、長い髪の優しそうなお姉さんが

にこにこしながらこちらを見ていた。

そのとなりにはワインレッドの長い髪を揺らして

こちらをにたにたと見るお兄さんの姿があった。

......だれだろう。

でも、あいさつしなくちゃ......。

 

「......こんにちは」

 

「挨拶できて偉いわね♥」

 

「いや、同級生だろう?」

 

「あ......ぼく、夏目 颯太。15さい。」

 

【超高校級の???】夏目 颯太_ナツメ ソウタ

 

「あら......才能は?」

 

「さい、のう......?」

 

才能、ってなんだろう......?

頭にのいずがかかったように、何にも思い出せない。

 

 

......怖い。なんだろう、この違和感......

ぼくは頭を抱えてうずくまる。

才能......?

ぼくの......才能......

 

『■■■■、■■■■!!』

 

『■■■■■■■!!』

 

う、うわ......

こわい、こわいこわいこわい

たすけて

 

たすけて......たすけて......こわいよ......

 

「......大丈夫?無理しないで頂戴ね。

何かあったのね?」

 

「......うん。」

 

お姉さんは優しく撫でてくれた。

 

「あっ、私も自己紹介、しなくちゃね。

私は超高校級の精神科医、神崎 美亜です!

よければ今日から宜しくね!」

 

【超高校級の精神科医】神崎 美亜_カンザキ ミア

 

「ふふふ、困ったことがあったらなんでもお姉さんにいって頂戴ね!」

 

ふわふわと優しく微笑む精神科医のお姉さん。

精神科医なのも納得かもしれない。

才能、って、その......チョウコウコウキュウ、っていうのを

指すのかな。......

ぼくの才能って、なんだろうな。

 

「ふむ、推測するに、次の出番はワタシだろう!

そうだろう?なぁなぁ!

このワタシの脳細胞ではそれすらも暴いてしまうのだよ!!

ワタシに恐れ戦くがよい!!」

 

「はいはい、早く自己紹介して頂戴。」

 

「勿論するさ!自己紹介だろう!?

ふっふっふ、よくぞ聞いてくれた!

ワタシは超高校級の探偵、その名も多々良 深だ!

今日からよろしく頼むぞ!」

 

【超高校級の探偵】多々良 深_タタラ シン

 

......偉そう。

ちょっと、こわい。

......近づかない方がいいかな。

 

「ま、まて少年!!

なぜ距離をとる!?」

 

「......こわいから。」

 

「怖がらせてるわよ?」

 

「怖い!?このワタシが!?

ワタシが怖いわけないだろう!?

あらゆる女性が貞操を差し出すほどの寛容なワタシが!!

怖いわけないだろう!?!?」

 

......テイソウ?

 

「貞操を差し出すのと寛容は関係ないでしょう、この変態探偵。

こんな純粋無垢な子の前で何をいっているの?」

 

「違う!ワタシは変態などではない!

これは!!!!美学なんだ!!」

 

「よしよし怖かったわね颯太くん」

 

「聞け!!」

 

後ろで探偵のお兄さんが叫んでる。

放っておこう。

 

「向こうの廊下にクラスメイトの子達がいたわ。

挨拶しにいきましょうか。」

 

「......うん。」

 

手を引かれて、向こうの廊下に歩き出した。

......いい人そう。

 

 

 

「澄ッ!!!!」

 

「......」

 

「澄ッ!!!!!!」

 

「............」

 

「聞こえてないの!?!?!?!?」

 

「無視してんだよっ!!」

 

廊下を歩くと、茶髪の明るいお姉さんと、

薄い空色の髪の落ち着いたお兄さんが居た。

......元気だなぁ。

 

「こんにちは、お二人さん。」

 

「あ!こんにちは!!!!」

 

「......俺の耳元で叫ぶんじゃねぇ。」

 

「クラス、同じだよね!お名前、何て言うの?」

 

「......僕、夏目 颯太。

......さいのうは......わかんない。」

 

「私は超高校級の精神科医、神崎美亜よ。宜しくね!」

 

「ワタシは超高校級の探偵!!多々良深だ!宜しく頼むぞ!」

 

「夏目に、神崎に、多々良ね!!よろしく!

夏目、早く才能が見つかるといいね!!

私は超高校級の弓道部、華道亜希だよ!!!!」

 

【超高校級の弓道部】華道 亜希_カドウ アキ

 

弓道部かぁ。

明るいのに弓道部って、珍しいかも......?

 

「あら、最年少で優勝したって言うのは貴方?」

 

「うーん、そうかも!!!!

えへへぇ、嬉しいなぁ、皆知ってるんだね!!!!」

 

最年少で優勝したって......

すごいなぁ。弓道、って弓でしょ?

重いやつじゃないの......?

 

「......お前いちいち五月蝿いんだよ。」

 

「だってあんたもうるさいじゃんっ!!

内蔵がどうとかさ!!美学とか言ってるけどさ!!!!」

 

「お前みたいな脳味噌のないやつに俺の美学は解らんだろうな。

所詮、弓道部だろう?俺は外科医だぞ?」

 

「ぶん殴るぞてめぇ!!!!!!」

 

急に怖くなっちゃった。

 

「ほら、あんたも早く自己紹介しなよ!」

 

「......俺は超高校級の外科医、独田 澄だ。」

 

【超高校級の外科医】独田 澄_ドクタ スミ

 

......なんか偉そうで怖い。

なんか......怖い。なんか。

でも外科医のお兄さん、綺麗な顔してる。タンセイ?っていうの?

 

「無免許でやってるっていうのは君の事か。

美学を大事にしすぎじゃないかい?

少しは離れた方がいいんじゃないかい?」

 

「......なんだ、まだ用があるのか?

もう自己紹介は終わっただろう。」

 

「ちょっと君ィ、そんな言い方は無いんじゃないかなァ???」

 

「うるせぇ探偵野郎。ムカつく話し方しやがって。」

 

「ちょっと!!初対面の人に向かって失礼じゃないの!?」

 

「......はぁ。」

 

溜め息をつかれてしまった。

申し訳ないから、立ち去ることにする。

 

「じゃあね!また会おうね!」

 

「ふふ、クラスメイトだから毎朝会うでしょう?」

 

「そうだった!えへへ......」

 

 

 

「玲音くん!見てみて!」

 

「あ、危ないよ、万間さん......!」

 

「大丈夫だって!」

 

「き、気をつけてね......?」

 

手すりで遊んでいる金髪ショートカットの幼げなお姉さんと、

それを止めようとする藍色の髪の中性的なお兄さんがいた。

......幼げなお姉さんってなんだろう?

 

「ちょっとそこのお二人さん、いいかい?」

 

「あっ!こんにちはぁ......うわぁっ!」

 

「あ、あぶないっ!」

 

手すりから落ちちゃったから、

中性的なお兄さんが幼げなお姉さんを受け止めた。

 

「気をつけてって言ったじゃん......!!」

 

「えへへ、ごめんごめん。

で、あいさつ?しなくちゃね!!

やっほ~!私は超高校級のマーチングバンド部!万間 咲楽だよ!

ホルンを担当してたんだぁ!!」

 

【超高校級のマーチングバンド部】万間 咲楽_バンマ サクラ

 

マーチングバンド、かぁ。

衣装は、それっぽいかも......?

金髪かぁ。黒髪とか茶髪の人が多いと思ってたぁ。

 

「あら、貴方の演奏、聞いたわよ!

皆の統制を取ってて、尊敬しちゃった!」

 

「そうかなぁ!?

統制、とれてた?

リーダーとして、頑張らなくちゃね!」

 

前向きだなぁ。

直向きにマーチングバンドと向き合ってて、

ぼくも尊敬しちゃう......。

 

「ほら、玲音くんも!」

 

「え!?えっと、その......

僕は超高校級の映画監督、三浦 玲音だよ......!

え、えとえと......その......ごめん、言葉が出てこなくて......」

 

【超高校級の映画監督】三浦 玲音_ミウラ レオ

 

映画監督!!

映画って、あにめとか実写?のやつとか

人がおっきな画面でわちゃわちゃするやつでしょ?

えへへ、映画、楽しいよねぇ。

 

「お、君の映画、見たことあるぞ。

ほら、脚本からキャスティングまで全部君がやったやつゥ。」

 

「あっ、あれ、かなぁ......『狂イ咲ク』......かなぁ?」

 

「あぁそれもだが、それの続編の『舞イ散ル』も好きだなァ。

君の映画、人が普通に死ぬんだが、

なんだか......それも美しいんだよねェ。

美徳、みたいな。君も美学を持っているのかい?」

 

「う、うん。

死は美しいものだから......綺麗に演出しなくちゃ。」

 

「ふぅん。」

 

......死って、美しいものなの?

よくわからないけど......

でも、すごいんだね、映画監督のお兄さんって。

 

「君たちの名前は、何て言うの?」

 

「......僕、夏目 颯太。

......さいのうは......わかんない。」

 

「私は超高校級の精神科医、神崎美亜よ。宜しくね!」

 

「ワタシは超高校級の探偵!!多々良深だ!宜しく頼むぞ!」

 

「わ、わからない!!?

大変だぁ!!大丈夫?」

 

「......だいじょうぶ。」

 

マーチングバンド部のお姉さんがわたわたと心配してくれた。

やさしいなぁ。

 

「ねぇねぇ、他のクラスメイトに挨拶しに行きたい!」

 

「あら、着いてくるの?いいわよ。おいで♥」

 

お姉さんたちが歩き出すから、

ぼくもついていく。

探偵のお兄さんもあとからついてきた。

 

「ま、まってっ!!一人にしないで......!」

 

 

 

結局映画監督のお兄さんもついてきた。

 

「ふふふっ、学校ってこんなに楽しいものなのね!」

 

「......授業は、一般的には......楽しくないが......?」

 

「でも放課後、皆で遊ぶんでしょう?

くれーぷ?とか食べるんでしょう?

ふふふ、楽しみだわ!」

 

「............それは人によるんじゃないか?」

 

他の教室を覗く、黒髪ロングのお嬢様みたいなお姉さんと

紫の長い髪を揺らして、黒髪ロングのお姉さんと話すお兄さんがいた。

 

「あら、こんにちは!」

 

黒髪ロングのお姉さんがそっとこちらを振り返って、

にこにこと手を振った。

 

「......僕、夏目 颯太。

......さいのうは......わかんない。」

 

「私は超高校級の精神科医、神崎美亜よ。宜しくね!」

 

「ワタシは超高校級の探偵!!多々良深だ!宜しく頼むぞ!」

 

「僕は超高校級の映画監督、三浦玲音だよ......。」

 

「わたしは超高校級のマーチングバンド部の万間咲楽だよ!

ホルンを担当してたんだぁ!!」

 

「えっと、夏目さんに、神崎さん、多々良さん、三浦さん、万間さん......

うふふっ、楽しくなりそうね!今日から宜しくお願い致します!

私は超高校級の踊り子、舞原 花蓮です!」

 

【超高校級の踊り子】舞原 花蓮_マイハラ カレン

 

「踊り子、かァ。

そう言えば君の踊り、見たことがあるぞ!

美しくもあったが、少し......エロ」

 

「あらあら!私も見たことがあるわよ!!」

 

「あら、そうでしたのね!

ふふふ、また公演会を致す時は特別チケットを用意するわね!」

 

踊り子か......

ダンスとは違うのかな?

また今度聞いてみよう!

 

「......ほら!次は貴方の番よ。」

 

「......僕は超高校級の哲学者、加賀美 伊織。

......よろしく。」

 

【超高校級の哲学者】加賀美 伊織_カガミ イオリ

 

「哲学!いいなァ!

ワタシも哲学について考えたりするのだよ。

例えば女性の性器......」

 

「哲学者なんだね......!!今日からよろしくね!!!」

 

映画監督のお兄さんが、なにか言いかけた探偵のお兄さんの口を

防ぐように割って話し出した。どうしたんだろう?

 

......哲学、って......なんだろう?

なぜ存在してるのか、なぜ生まれたのか、

とか考えたりするのかなぁ?

......楽しいのかな、それ......

 

「よかったら今度の放課後、皆で遊びましょ!

きっと楽しいわよ!」

 

精神科医のお姉さんがにこにこと提案をした。

遊ぶ?なにして遊ぶのかな......

......たのしみ。

 

「ふふふ、なんだかお友達が出来たみたいね。

すごく楽しいわ。」

 

踊り子のお姉さんが心から楽しそうにふわふわと微笑む。

箱入りお嬢様、なのかな。

とにかく、今日からたのしみにしてよう。

そうだ、じゃあB組の皆を誘えばいいんじゃないかな。

えへへ、たのしそうだなぁ!

 

......そして、絶望の合図が聞こえた。

 

『ガ、ガガガッ、

皆サーん、キコエテますかぁ~!?』

 

多少の雑音と共に、お兄さんともお姉さんともつかない声が流れた。

だ、だれ......??

 

『ウンウン、無事に聞こえていますネ!

じゃあ~......100期生のミナサン!

体育館に、お集まりくださいマセ!』

 

ピー......ガガガッ。

 

嫌な雑音と共に、唐突に終わった放送。

......なんだったのかな。

 

「あら......呼ばれてるわね。

残りの7人の子と挨拶が出来なかったわ......

あとA組の子とも会ってないわね。」

 

「あとで挨拶しにいきましょうよ!」

 

「それもそうだね!!じゃあ行こうか!!」

 

「わっ、引っ張らないで頂戴!?

ちょっと!?万間さん!?」

 

踊り子のお姉さんの手を引いて、

マーチングバンド部のお姉さんが駆けていった。

たのしそうだなぁ......

その後ろをノリノリで着いていく探偵のお兄さんと、

呆れながら着いていく哲学者のお兄さんは、

心なしか楽しそうで。

 

「じゃあ、行きましょうか!」

 

「......うん」

 

「......行こっか。」

 

「......うん。」

 

二人とも、優しくぼくを撫でてくれた。

......結局、ぼくの才能って......なんだろうな。

 

とにかく、二人と一緒に体育館に歩き出した。

きっと、希望のハジマリ。ハジマリの、合図。

 

 

それは、絶望に書き消されたけれど。

 

 

_100期生

 

A組

 

【超高校級の幸運】山本 佑哉

【超高校級のネイリスト】戸川 音々

【超高校級の読書家】本上 来栖

【超高校級のアイドル】愛川 流斗

【超高校級のスナイパー】中原 未来

【超高校級の社長】Raila presi

【超高校級の舞台女優】Raila aress

【超高校級の二次創作作家】百合咲 虹乃

【超高校級のヘアスタイリスト】灰田 望

 

_現在9名

 

B組

 

【超高校級の???】夏目 颯太

【超高校級の精神科医】神崎 美亜

【超高校級の探偵】多々良 深

【超高校級の弓道部】華道 亜希

【超高校級の外科医】独田 澄

【超高校級のマーチングバンド部】万間 咲楽

【超高校級の映画監督】三浦 玲音

【超高校級の踊り子】舞原 花蓮

【超高校級の哲学者】加賀美 伊織

 

next_絶望の合図は銃声と共に!_A



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絶望の合図は銃声の後で!_AB

これはダンガンロンパの二次創作の『創作論破』でございます。

 

お読みいただく前に、必ず注意書きをお読みください。

 

 

 

・原作をプレイしてからお読みすることを推薦します。

というかプレイしてください。神作です。お願いします。

 

・原作ネタバレが豊富です。お気をつけください。

 

・この創作論破独自の設定があります。

苦手なかたはお気をつけくださいませ。

 

・こちらは会話文メインの作品です。

 

・原作のキャラは名前やほんのり匂わせるくらい出るかもです。あぽ?

 

・流血表現・性的表現・残酷な表現などがございます。

 

・駄作。文章がおかしいです。どうか生暖かい目でご覧くださいませ。

 

・○○からきた等のコメントはお控えください。

 

・感想欄でネタバレ・生死予想は構いません。

なのでネタバレが嫌な人は感想欄を覗かないことを推奨します。

 

・こちらをお読みになって体調が悪くなったり、絶望落ちされても

作者は一切の責任を負いません。ほどほどにお楽しみくださいませ。

 

 

 

ご了承頂けない方は今すぐブラウザバック。

 

 

_A

 

俺らは体育館に着いた。

中に入り、周りを見渡すと、

さっき挨拶してない人達がいた。

......もしかして、他の組の人達か?

今年はクラスが4組あって、100期生は全員で64人いるらしい。

あれは何組なんだろうか。

 

聞いてみると、全員がB組らしい。

あれ?C、Dがいないけど、良いのか?

 

「なぁ、戸川、本上。」

 

「ん?なーに?」

 

「どうかしたの?」

 

「今年、100期生は全員で64人だったよな?」

 

「うんっ!いーっぱい同級生いて嬉しいっす!なんでっすか?」

 

「そうだね。確かそうだったと思うよ。どうして?」

 

戸川と本上はこてんと首をかしげた。

......いや戸川はわかる。お世辞抜きで可愛いしな。

本上お前なんで女子みたいな仕草してるんだ?

しかも似合ってるのが悔しい。

 

って、そんなことはどうでもいいんだよ。

 

「......まだ全然集まってないんだ。」

 

「んー?それがどうしたんすま?まだ来てないだけじゃないすか?」

 

「それにしてはB組とA組しかいないし、

それに......同じ組の奴も8人......俺合わせて9人だろ?

あきらかに7人足りないんだ。」

 

「......それは僕も思ってたけど......

......なんだろうね。......嫌な予感がする。」

 

「嫌な予感?」

 

聞き返すと、本上は自分を抱いた。

少し震えている。どうしたんだろうか。

 

「......さっきから、悪寒がして。

なんだか......怖いんだよ。

可笑しいよね......

きっと気のせい、だよね?」

 

かたかたと体を揺らしながら、本上は涙目でこちらを見た。

怖いって言うか......これから来る絶望に、怯えてるような。

......絶望が来ると、示唆されているような。

......希望は無いと、宣言されているような。

 

「大丈夫っすよくりすくん!」

 

そう言うと戸川は背伸びをして、軽く本上の頭を撫でた。

 

「ちょっと、戸川さ......」

 

「落ち着いた?」

 

戸川はにこにこと本上を見る。

本上の震えは止まっていた。

 

「......うん、ありがとう。」

 

「まぁ大丈夫だって!なんかあったら俺が守るし!」

 

「......それ、女の子に言う台詞じゃない?

戸川さんに言ってあげなよ。」

 

「えっ、ゆーやくんが守ってくれるっすか!?」

 

「戸川には一言もいってないだろ」

 

「じゃあ守ってくれないんすか......?」

 

「そうとは言ってないだろ!?」

 

「あんまりいじめないであげなよ。」

 

くすくすと本上は笑っている。

 

「とりあえず!B組の奴等に挨拶しにいこう!!」

 

「うんうんっ!それがいいっすよ!」

 

俺が歩き始めると、

てちてちと、戸川は跳ねるように軽く走った。

そろそろと、本上はゆっくり、歩みを紡いだ。

 

 

 

【超高校級の???】夏目 颯汰

 

 

「......僕、夏目 颯太。......さいのうは......わかんない。」

 

 

【超高校級の精神科医】神崎 美亜

 

 

「私は超高校級の精神科医、神崎美亜よ。宜しくね!」

 

 

【超高校級の探偵】多々良 深

 

 

「ワタシは超高校級の探偵!!多々良深だ!宜しく頼むぞ!」

 

 

【超高校級の弓道部】華道 亜希

 

 

「私は超高校級の弓道部!華道 亜希だよ!」

 

 

【超高校級の外科医】独田 澄

 

 

「超高校級の外科医、独田 澄。......早く散れ。邪魔だ。」

 

 

【超高校級のマーチングバンド部】万間 咲楽

 

 

「超高校級のマーチングバンド部!万間 咲楽だよ!」

 

 

【超高校級の映画監督】三浦 玲音

 

 

「あっ、えとぼくは超高校級の映画監督、三浦 玲音......!」

 

 

【超高校級の踊り子】舞原 花蓮

 

 

「私は超高校級の踊り子、舞原 花蓮です!ふふ、よろしくね!」

 

 

【超高校級の哲学者】加賀美 伊織

 

 

「......俺は超高校級の哲学者、加賀美 伊織。......よろしく。」

 

 

一通り自己紹介をした。

超高校級の名に劣らず、みんな個性的だった。

そしてやっぱり、9人しかいなかった。

今この場には、64人分の18人しかいないってことだ。

 

......やっぱり、何かがおかしい。

そう思い始めたとき、呑気にチャイムがなった。

 

まだ全員集まってないにも関わらず。

 

ぴーんぽーんぱんぽーん......

 

「イマカら、入学式ヲ始めマス!!

ミナサマは、舞台の上ヲ見テクダさい!」

 

そう言われて、思わず舞台を見ると、

なぜかきらきらと光っている階段があった。

ミュージックス○ーション、と呟く百合咲の声が聞こえた気がする。

 

「れでぃ~すあ~んどじぇんとるめ~ん!!

今世紀最大のゲームがはっじまるよ~!」

 

......ウサ耳の生えた小さな女の子が階段を降りてきた。

......なんなんだ?

 

 

_B

 

......うさぎさん?でも、体は人間だ。

......どう言うことだろう?

 

「ミナサマには~っ!!

この学校で暮らすための!

注意事項......いわゆる、校則をお伝えしたいと思います!」

 

こうそく、だって。

面白くなさそう......

 

「1!ミナサマには~、

 

 

この学校のなかで、『一生』学校生活を送っていただきます!」

 

......いっ......しょう?

 

「......一生......って、どういうことなの?」

 

「もちろん!そのままの意味だよ!

みんなは!ここで!死ぬまで!暮らすって!こーと!」

 

「......そんな」

 

......おともだちも、かぞくも。

一生......二度と、会えないってことでしょ?

......そんなの。そんなのってないよ......

 

 

「でも!ひとつだけ!

出る手段があるんだよね~!!」

 

「何......?出る手段が、あるんですか?」

 

向こうの方を見ると、二次創作作家のお姉さんが前のめりになって

うさぎさんに話しかけた。

 

「もちろんだよ!

んっん~......」

 

うさぎさんはわざとらしく咳払いをしてこう言った。

絶望へ導く、一言を。

 

「ここから出る手段。それは......」

 

 

 

「同級生を、殺すことだよ♥」

 

 

 

......ころ、す?

 

明らかに辺りがざわついた。

殺し、という非日常に感じる言葉を。

軽々しく、言われたのだから。

 

 

「......そんなのっ!そんなのってないわ......!」

 

踊り子のお姉さんが叫んだ。

 

「そんなの......出る手段がないのと同じじゃない!」

 

「だってルールだもん。」

 

「酷い......酷いわ......」

 

お姉さんは泣き崩れる。

 

 

「......なんなんだよっ......」

 

幸運のお兄さんが頭を抱えている。

ネイリストのお姉さんはどこも見ていないように見える。

読書家のお兄さんは自分を抱いている。

 

精神科医のお姉さんは僕を守るように前に立っている。

探偵のお兄さんは少し眉を下げている。

 

皆、困ったり、恐怖を感じていたり、様々。

だけど。よくない空気だっていうのは分かる。

 

でも、全く気にしていない人もいた。

 

「んー?じゃあ、みんなのうちの誰かを殺したら出られるんでしょ?

じゃあもう殺しちゃえばいいじゃん。」

 

マーチングバンドのお姉さんがいった途端、

空気が凍りついた。

 

「......死は美しく......美しく殺してくれれば。

美しく殺してくれれば......僕は死んでもいいよ。」

 

映画監督のお兄さんがにこりと微笑んだ途端、

空気がさらに凍りついた。

 

「な、何いってるんだ!駄目だろ......!」

 

「だって......お別れは悲しいけど、ここから出るためでしょ~?

人を殺して何が悪いの?」

 

「......いい加減にしてくださいっ......!」

 

二次創作作家のお姉さんが叫んだ。

 

「もう......もうやめてくださいっ!!

......あなたの目的はなんなんですか!!?」

 

うさぎさんに向かって、叫んでいる。

 

「コロシアイをしてほしいだけだよ~!

だからとっとと人を殺してね!」

 

「私はっ......私たちは外に出たいだけですっ!!

少なくとも私はっ......人を、殺しません!!」

 

「ふ~ん......まぁ見せしめには丁度いいかもね。

ほら!グングニル!!」

 

槍が、降ってくる。

槍が、二次創作作家のお姉さんに向かっていった。

 

 

_A

 

「あぶねぇっ!!」

 

俺は走った。

槍は、スローモーションに見えた。

誰にも死んでほしくない。

誰も、誰も、誰も。

 

「邪魔だよ」

 

誰かが目の前で笑って、

俺を突き飛ばした。

長い髪が見えた。

 

......本上?

 

 

次の瞬間、槍は突き刺さった。

 

......超高校級の読書家、本上来栖に。

 

 

 

 

「本上っ!!返事しろ!」

 

「叫ばなくても聞こえてるよ。」

 

本上はにこりと笑った。

苦しそうだ。とても。

 

「ごめ、ごめんなさいごめんなさいっ......」

 

本上の血を浴びた百合咲は震えながら崩れ落ちた。

......本上は生きている。

生きているけど......

 

 

本上の右腕は、切り落とされた。

コロシアイの、火蓋と共に。

 

 

ノコリ 18人

 

ノコリ 18人

 

ノコリ 18人?

 

 

 

ノコリ......

 

 

 

_B

 

 

「貴女......正気なの?」

 

踊り子のお姉さんはうさぎさんに発した。

軽蔑の目を向けている。

 

 

「うん?もちろん!

ほら!本上くんが大変だよ?」

 

「ふざけないで......!

仲間を......本上さんの腕を返して!!」

 

「無理だよ~。

もうとれちゃったもん。」

 

「いい加減にしてちょうだい!!」

 

 

パァンッ!!

 

 

ビンタを、した。

 

 

踊り子のお姉さんは、

 

 

うさぎさんに

 

 

暴力を

 

 

 

パァンッ!

 

 

再度、響き渡った音。

煙が、出る。

火薬の、臭い。

 

 

 

撒き散らされた、赤色。

それは、間違いなく血だった。

 

 

「いやあああああっ!!」

 

誰かの悲鳴が聞こえる。

 

踊り子のお姉さんの目は、ひくひくと動いていた。

 

「......せ......い......さ......

たすけ......わた......くし......は......」

 

「..................あ............」

 

「........................」

 

踊り子のお姉さんの命は、あっけなく散っていった。

ふわふわと、漂うように。

 

 

 

_ノコリ、17人。

 

_100期生

 

A組

 

【超高校級の幸運】山本 佑哉

【超高校級のネイリスト】戸川 音々

【超高校級の読書家】本上 来栖

【超高校級のアイドル】愛川 流斗

【超高校級のスナイパー】中原 未来

【超高校級の社長】Raila presi

【超高校級の舞台女優】Raila aress

【超高校級の二次創作作家】百合咲 虹乃

【超高校級のヘアスタイリスト】灰田 望

 

_現在9名

 

B組

 

【超高校級の???】夏目 颯太

【超高校級の精神科医】神崎 美亜

【超高校級の探偵】多々良 深

【超高校級の弓道部】華道 亜希

【超高校級の外科医】独田 澄

【超高校級のマーチングバンド部】万間 咲楽

【超高校級の映画監督】三浦 玲音

 

【超高校級の哲学者】加賀美 伊織

 

_現在8名



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生死発表

ダンガンロンパフィナーレ

 

生死まとめ

 

これはダンガンロンパの二次創作の『創作論破』でございます。

 

お読みいただく前に、必ず注意書きをお読みください。

 

 

・こちらは、『ダンガンロンパフィナーレ』の

生死発表です。

(非)日常編や、捜査編、裁判編は存在いたしません。

 

・先にプロローグを見ることをお勧め致します。

 

・原作をプレイしてからお読みすることを推薦します。

というかプレイしてください。神作です。お願いします。

 

・原作ネタバレが豊富です。お気をつけください。

 

・この創作論破独自の設定があります。

苦手なかたはお気をつけくださいませ。

 

・原作のキャラは名前やほんのり匂わせるくらい出るかもです。あぽ?

 

・流血表現・性的表現・残酷な表現などがございます。

 

・駄作。文章がおかしいです。どうか生暖かい目でご覧くださいませ。

 

・○○からきた等のコメントはお控えください。

 

・感想欄でネタバレ・生死予想は構いません。

なのでネタバレが嫌な人は感想欄を覗かないことを推奨します。

 

・こちらをお読みになって体調が悪くなったり、絶望落ちされても

作者は一切の責任を負いません。ほどほどにお楽しみくださいませ。

 

 

 

 

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みせしめ 舞原 花蓮

 

モノウサにビンタかまして拳銃で撃たれたよ

どんま~~~~い

 

※詳しくはプロローグをご覧ください

 

 

 

負傷 本上 来栖

 

 

百合咲を守って腕がないなったよ!!

いい子だね~~~~!!!!

 

※詳しくはプロローグをご覧ください

 

 

chapter 1

 

 

ああ、俺は何を見ているんだろう。

最悪だ。最低だ。

 

コロシアイなんか起きない。

そう過信していた俺が馬鹿だった。

最悪だ。

 

せっかく心を開きかけていたのに。

せっかく絆が深まってきたのに。

 

どうして、どうしてどうしてどうして。

 

どうして、お前が?

 

 

 

 

【超高校級のアイドル】愛川 流斗は、

美しい緑の瞳を絶望に染めて

永遠に覚めぬ眠りへついていた。

 

 

 

chapter 1

 

シロ 愛川 流斗

 

 

 

 

 

 

俺は、

 

 

俺は、

 

自分自身に、投票した。

 

くるくると、ルーレットが回る。

俺が見ていたのは、ただひとり。

 

 

......駄目だ、止まらないでくれ

頼む......頼む......

やめろよ......やめてくれ......

 

 

 

 

 

 

愛川殺しのクロは?

 

 

 

 

 

戸 戸 戸

   川 川 川   

 

 

 

 

......やめろ......!!

 

 

 

「......わたしじゃ、ないんす」

 

「悪いのは、わたしじゃないんすよ!!!!」

 

 

戸川が泣き叫ぶ。

それを見て、目をそらす人、悲しげに俯く人。

それぞれ反応が違って......

 

俺は、戸川をまっすぐ見据えて言った。

出来るだけ、冷静を保ちながら。

 

「大丈夫、戸川は悪くないんだ。

......これは、事故だったから。」

 

「なんで......なんでっ!?

じゃあなんでわたしを指名したんすか!?

わたしを......守ってくれるっていったじゃないっすか!!

わたしはッッ!!生きたいんすよおおお!!!!」

 

取り乱して叫ぶ戸川は、凄く痛々しくて。

 

 

『あたし、幸せになりたいんすよ!!

この世界の、誰よりも自分を幸せにしたいっす!!

勿論、他の人にも幸せをおすそわけするっすよ!!』

 

 

 

そうやって明るく笑った彼女からは想像できないくらい。

いつも優しく俺を励ます彼女からは想像できないくらい。

最低で、最悪で、暗くて、悲しくて、絶望的で。

 

だから、俺は心にも思ってないことをいった。

 

「......戸川は、自分のせいで皆が死んでも幸せになれたか?

......罪悪感で、押し潰されてしまうんじゃないか?

......だから、俺はお前に投票した。」

 

嘘だ、嘘だ。

俺は自分自身に投票した。

お前に死んでほしい訳じゃない。

俺は......お前がいなくなったら......

 

 

「......っ!!

......そう、っすよね。

やっぱり、そうっす。

みんなにも、ゆーやくんにも、くりすくんにも。

ぜーーーっったい死んでほしくないもん......っ!!」

 

「......戸川」

 

「戸川さん......」

 

戸川は無理をして笑う。

本上が悔しそうに俯いた。

 

 

 

「それじゃあ、オシオキしちゃっていいかなぁ?」

 

「......ゆーやくん、くりすくん、それに......皆。」

 

 

「超高校級のアイドル、愛川 流斗くんを殺したクロの......」

 

「......お願いがあるんす。」

 

 

「超高校級のネイリスト、戸川音々さんに......」

 

「わたしの、ぶんまで......」

 

 

「ぴったりのオシオキを用意しました!」

 

「わたしと、りゅーとくんの、分まで!!」

 

 

「それでは......」

 

「......」

 

 

「オシオキターイム!!」

 

「幸せに、なってね!!」

 

 

 

その言葉を最後に、戸川は......

 

首輪をつけられ、天に吊るされた。

 

「~~っ」

 

......俺は死んだっていいんだ

俺より

ただの一般人の俺より

 

 

 

自分が好いたあいつに生きてほしいんだよ

 

 

 

俺は戸川へ手を伸ばし

 

 

 

「だめっすよ、ゆーやくん」

 

 

伸ばした手は

 

 

「じゃあね、みんなぁ......!!」

 

 

伸ばした手は

 

戸川に振り払われて

 

 

戸川は空へ飛んでいった。

 

 

 

戸川は椅子に座り、不安そうに周りを見渡している。

 

その前に、誰かが腰掛けた。

 

それは......

 

 

紛れもない、俺と本上だった。

 

 

_まっかなねいる

 

 

戸川はふっと笑顔になり、

俺達に何かを話しかけている。

俺達であり俺達じゃないなにかは

ふと、戸川の両手をそれぞれとった。

......それから

 

 

 

綺麗にネイルされた彼女の爪を剥がし始めた。

 

 

 

戸川は想像を絶する痛みで叫び、暴れている。

その声がこちらにも聞こえそうで。

 

本上じゃない本上が戸川になにか言った。

それを聞いた戸川は、

ふっと大人しくなった。

さめざめと泣きながら、自分の手を見ている。

 

......いずれ、戸川の手は

赤く染まった。

 

 

おもむろに、俺じゃない俺は靴下を脱がしていた。

戸川は、それを見て目を見開いた。

 

戸川の小さくて可愛らしい足にも、ネイルが施されている。

......まさか

......まさか......

 

 

俺達は、戸川の足の爪を剥がした。

戸川の顔は再び絶望と苦しみに染まった。

でも、絶対に暴れなかった。

......戸川が気絶しても、俺達は爪を剥がし続けた。

 

 

爪が剥がれ、赤く染まった戸川の手足を見て、

俺達はにっこりと笑い、どこかへ行ってしまった。

戸川は、どこも見ていない。

......仲の良かった俺たちに爪を剥がされて......

............。

 

......すごく、苦しそうに見えた。

 

 

前から、大きな爪楊枝が出てきた。

ただの爪楊枝じゃない、金属で出来ている。

......それは、戸川の首に突き刺さる。

やがて戸川の首は飛び......

 

床に、ぽとりと落ちた。

彼女は、絶望の表情をしているように見えた。

 

 

......死の覚悟はあったのに。

残酷で、最悪で、絶望的な......処刑に。

 

 

 

俺よりも、幸せを願った戸川は......

誰よりも希望を持っていた戸川は......

戸川は、絶望してしまった。

 

 

chapter 1 幸せはいつも死合わせで。

 

シロ 愛川 流斗

クロ 戸川 音々

 

 

 

chapter 2

 

 

 

......どうして?どうして?どうして?どうして?

 

 

幸せに......

 

皆で幸せになるって決めたじゃん。

 

 

......アイドルのお兄さんの分まで。

 

......そして、ネイリストのお姉さんの分まで。

 

 

......ねぇ、返事をしてよ。

 

お願いだから......

 

 

 

■■■のお兄さん_

 

 

 

【超高校級の哲学者】加賀美 伊織 は、

自らの研究教室で

深く深く絶望を残した顔をして

冷たく、なっていた。

 

 

 

 

chapter 2

 

シロ 加賀美 伊織

 

 

 

 

 

......僕は、■■のお兄さんに投票した。

 

 

......だって、だって、だって

 

 

しにたく、ないから......

 

 

 

加賀美殺しのクロは?

 

 

多 多 多

々 々 々

   良 良 良   

 

 

 

 

「......ハハ、バレてしまったね。」

 

探偵のお兄さんはにこやかに微笑んだ。

それは、とても清々しくて。

僕には、理解できないものだった。

 

 

 

「......ハハハ、ねぇキミ、ワタシの夢は覚えているかな?」

 

探偵のお兄さんは僕に向き合った。

......探偵のお兄さんの夢?

 

 

 

『ワタシはね、いつか素晴らしい謎をお目にかかりたいんだ!!』

 

 

 

「すばらしいなぞを......みる?」

 

「そうだよ!

前回のなぞは実に面白かったからね!

でも、素晴らしいとはほど遠かった。」

 

大袈裟に肩をすくめた後、

探偵のお兄さんはケタケタと笑いだした。

 

「だから、素晴らしい謎を作ってみようと思ったんだよ!!」

 

......よくわからない。

自分でときたいんじゃないの......?

 

「ワタシはね、思ったんだ。

 

自分で作る謎が、一番至福の謎になるってさ!」

 

......だからって、殺す必要はなかったんじゃないの?

 

「だからその話題に興味を示した加賀美君を殺した!!

一番、素晴らしい謎に近づくと思ったからね!」

 

「......さいてい、だよ。おにいさん。」

 

「......最低だっていいさ。

ワタシの気分は最高だからね!!」

 

ハッハッハと笑う彼からは、少しばかりの恐怖を感じる。

......怖い。とても、怖い。

 

「貴方がそんな最低だって思わなかったわ。

......軽蔑させていただくわね。」

 

「その蔑みの目線、そそるね~!!

はははっ、美女の冷たい目線はいいねぇ!!」

 

 

「じゃあ、オシオキ始めちゃっていいですか!!」

 

「あぁ構わないよ。

残酷に殺してくれ!」

 

 

「それでは超高校級の哲学者、加賀美 伊織くんを殺したクロの

超高校級の探偵、多々良 深くんに......」

 

「あぁ言い忘れていた。」

 

 

「ぴったりのオシオキを用意しました!!」

 

「......期待しているよ。」

 

 

「それではさっそく!」

 

「夏目 颯太。肩書きは__」

 

 

「オシオキターイム!!」

 

「超高校級の■■■、だったね。」

 

 

 

そうして探偵のお兄さんは少し笑った後、

お兄さんの真下の床が消えた。

 

......■■■......?

 

 

_鏡館殺人事件

 

探偵のお兄さんは地面に立つと、

辺りを見渡した。

心から楽しそうに。

 

僕にはその心情は理解できない。

......でも、凄く楽しそうで。

 

 

......探偵のお兄さんは幸せなのかな。

 

あるものを見つけたようで、

急に走っていった。

それはそれはとても大きな館。

......雪山の中に、ありそうな館。

 

そのなかで、お人形さんがなにか話している。

探偵のお兄さんはとても楽しそうに見ている。

 

探偵のお兄さんが扉を開けると、

シャンデリアに潰された1体のお人形さんが居た。

 

妙にリアルで、凄く、凄く怖い。

血のようなものが飛んでいる。

お人形さんは絶望の表情を浮かべ。

周りにいる親族のような人は崩れ落ちて泣いていた。

 

 

恍惚の表情を浮かべてそれを見るのはなんと探偵。

しかも超高校級の探偵。

あぁ、事件を解決してもらえるじゃないか。

 

がっきゅうさいばんの前に探偵のお兄さんは言っていた。

その言葉を、今口にした。

 

 

『Let's start the game!』

 

......さぁ、ゲームを始めよう。

 

 

お兄さんは淡々と証拠を集めていく。

 

 

......でも、その途中にはとても苦しい困難があった。

 

 

証拠品を取ろうとして指が千切れて。

薬品で検証をしようとしたら毒薬が零れて体が溶けて。

罠に引っ掛かり生き埋めになりかけたり。

生きたまま焼かれたり、

水槽のなかに閉じ込められたり、

髪が、腕が、足が、目が、耳が。

 

 

それらを犠牲にしてでも証拠を取り続けるお兄さんは

とても幸せそうで。

 

......あぁ、良かった。

幸せのまま、死ねるんだね。

......よかった。

 

 

 

急に館が燃え上がる。

探偵のお兄さんはそれに飲み込まれた。

勿論証拠も、被害者の体も、全て。

推理なんてしてる暇はない。

暇なんてなかった。

 

 

推理をするために証拠を集めたのに。

自分の体を犠牲にしてまで証拠を集めたのに。

 

 

あぁ、なんて絶望的な。

 

探偵のお兄さんは顔を歪めた。

なんとか証拠のひとつを見た。

その証拠は......

 

 

 

探偵のお兄さんが、哲学者のお兄さんを殺したと言う証拠。

天才探偵が、唯一失敗した証拠。

 

探偵のお兄さんは叫び声をあげ、

そのまま消えていく。

 

館の外で、お人形さんたちは笑い声をあげていた。

 

 

 

【未解決】

 

書類に、青い字でそう書かれた。

 

 

 

 

 

 

chapter 2 深海と織り成す生の不可思議。

 

シロ 加賀美 伊織

クロ 多々良 深

 

 

 

 

chapter 3

 

 

 

「■■っ!!!!返事しろ■■っ!!!!」

 

独田が隣で叫ぶ。

 

「■■■■■っ!!!!」

 

珍しく声を荒らげるプレスィ。

 

 

 

......彼らは泣き叫んでいた。

 

 

 

 

どうして?

 

......どうしてお前”達 ”

が死んでいるんだ?

 

 

ありえない。分からない。

 

 

だって、外に出るのに殺すのは一人で良いじゃないか。

......勿論殺すのは納得できないけど、

どうして、

どうして二人も。

 

 

二人の首には何かが巻き付いた後と、

彼女達が生きていた証......抵抗した痕があった。

間違いなく、間違いなく彼女達は生きていた。

 

......信じたくない。

 

 

 

【超高校級の舞台女優】Raira aressと

【超高校級の弓道部】華道 亜希が、

苦しみの表情で死んでいるだなんて。

 

 

「......亜希......お前が居なかったら、俺は......」

 

「......aress?」

 

誰かの心が落ちて割れる音がした。

 

 

 

 

chapter 3

 

シロ Raila aress

シロ 華道 亜希

 

 

 

......まさか、お前だったとはな。

仲間思いの......お前が_

 

「はははっ!!

あー、楽しかった~!!」

 

こんな、奴だったなんて。

 

 

目を細め、心から楽しそうに笑っている。

自分の髪を使って二人の首を絞めた。

そんな残酷な真実に、耐えられるはずもなかった。

 

 

......あんなに、仲間想いだった

 

 

灰田が、人を__殺めたなんて。

 

 

「お前......よくも亜希をッ!!!!」

 

「ドウシテ、ドウシテ......?」

 

「............ぁ」

 

今にも殴りかからん勢いで独田が叫ぶ。

プレスィが泣き崩れる。

百合咲が光がこもらない目で灰田を見る。

 

それくらい残酷な事件で、猟奇的で。

それから苦しくなるほど絶望的で。

 

 

『日本語、ジョウズジャナイケド、

ワタシハ......ユウヤヲ、尊敬スルデスヨ......?』

 

たどたどしいが優しいアレス。

 

 

『だいじょーぶ!!!!!!

私がみんなを助けてあげるからっ!!!!』

 

眩しいくらいの希望を捧げた華道。

 

 

『あたし、将来は

超絶完璧なヘアスタイリストになるんだ!!』

 

美しい望みをもった灰田。

 

 

そんな彼女らは、

優しさは、

希望は、

望みは、

 

 

すでに、偽りへと、絶望へと変わってしまった。

 

 

「いやー、いつかやってみたかったんだよな、これ!!

あたしの大切な髪で、大切な友達を殺すっていうさ!!

超絶絶望的じゃないかぁ!?!?」

 

きゃははは、と笑って見せる少女は、

いつもの仲間思いの奴じゃない。

......どうして

 

 

 

「なぁ、絶望した?絶望したぁ??」

 

灰田は裂けそうなほど口角をあげる。

そして百合咲を眺めた。

 

「あー、その顔さいっっこう!!

掻き乱した髪も、その後ボサボサになった髪もぉ!!!!

表情も、全部全部全部っ!!!!

あたし好み......♥♥

ねぇねぇ、百合咲もそうでしょ?

あたしのこと、好きでしょ?♥♥」

 

目を光らせて百合咲の顔を覗きこんだ。

百合咲は、完全に絶望しきっていた。

光の籠らない目で、ただただ灰田をながめていた。

 

 

百合咲の隣で、本上はそれを心配そうに見ている。

時折背中を擦っているが、

百合咲は何もしない。

動かない。発言しない。

......まるで、マネキンのように。

 

 

「あー、ほんとにかわいいな。あたしの虹乃♥」

 

灰田は百合咲の髪をほどいて三つ編みを編んでいる。

本上はそれを睨むように見ていた。

 

「かえせっ!!!!亜希をかえせよぉ!!!!」

 

独田は相変わらず泣き叫んでいる。

......彼が愛していたのは幼馴染みの彼女だけ。

 

「......aress......」

 

プレスィはただただ泣いている。

......彼が信じていたのは自分の妹の彼女だけ。

 

彼らの想いは、信頼は、

あっけなく散っていった。

 

 

「ねー、そろそろオシオキしていいかなぁ?」

 

モノウサがそう言った。

独田は、プレスィは、

百合咲は、灰田は、

それに強く反応を示した。

 

 

「もっちろんっ♥♥♥

あー、どんなオシオキなんだー?♥♥

ははっ、超絶楽しみだわ!!」

 

 

「......っ」

 

「......ナンで......」

 

独田もプレスィも黙りこんでしまった。

......俺は、何も言葉を発せなかった。

 

 

「......望さん」

 

「あーー??

あっ!!♥♥百合咲♥♥どうしたーー??♥♥」

 

 

「どうか......」

 

「どうか?♥♥」

 

 

「地獄で反省してください。」

 

「......は?......はぁ?」

 

 

「それじゃあいきましょーう!!!!」

 

「いやだ、待て」

 

 

「オシオキターイム!!!!!!」

 

「やめろおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!!!」

 

 

 

がこん、という音とともに灰田は連れていかれた。

その顔は......

彼女の髪と対称的なほど、真っ青だった。

 

 

 

_塔の上のヘアスタイリスト

 

 

 

灰田は塔の上の窓から、無理矢理顔をつき出されていた。

その目はなにかを訴えるように歪み。

その口はなにかを訴えるように動く。

 

百合咲達はそれを呆然と眺めていた。

 

『のぞみ~、髪の毛下ろして~♪』

 

......まるであの映画のワンシーンのような。

......でも灰田の髪はそこまで長いわけではない。

せめて腰までだ。腰までしかない。

高い高い塔の下まで彼女のかみがとどくわけがない。

 

 

急に手が伸びた。

彼女の髪まで。

 

その手は、彼女の美しい髪を持って引っ張る。

灰田の顔は苦痛に歪んだ。

灰田の赤い髪が数本宙に舞う。

下まで引っ張れるわけがない。

 

 

そんなわけないのに。

 

 

今度は馬をつれてきた。

紐を彼女の髪に結び、馬で引っ張る。

勿論髪が抜けるだけ。

ただ、ひとつ変化があった。

彼女の髪の生え際が、明るい赤みを帯びる。

......赤黒く染まる。

それだけ、たったそれだけが違った。

 

 

灰田は叫び声をあげた。

 

 

全ての手段を試したらしい。

灰田の顔は苦痛に歪み、様々な液体が顔について居た。

血も、涙も、全てが......反射して。

彼女は輝いているように見えた。

 

 

 

灰田は何かを言っている。

 

ゆ り さ き

 

......俺には、『ゆりさき』と言っているように見えた。

 

 

 

彼女の顔は歪む。

頭から更に血が流れている。

その血は彼女の髪に滴り落ちる。

彼女の赤い髪が更に赤く染まる。

 

 

 

あ い し て

 

 

彼女はまた何かを言っている。

......もう何を言っているか分からない。

彼女の顔は絶望に染まる。

 

 

やがて名案を思い付いたらしく、

下にいる何かが指を鳴らした。

 

 

『髪を下に下ろせばいい』

 

 

つまり

 

 

『身体ごと落とせばいい』

 

 

灰田は落ちていく。

ただただ、高い塔の下まで。

 

 

 

それは、映画のワンシーンのようで。

それは、悪役の終焉のようで。

 

 

 

彼女は落ちた。

赤い何かを撒き散らして。

彼女は死んだ。

黒い絶望を撒き散らして。

彼女は消えた。

綺麗な上半身と下半身は、

潰れてしまった。

 

 

下に居た何かは落胆したように灰田を眺め、

やがて塔の中にある階段を上った。

 

 

そして上から梯子をかけた。

 

 

別に髪で上り下りする意味はない。

それが、ロマンなだけ。

 

 

ロマンのため、望みのため。

灰田は死んだ。

 

 

ロマンのため、望みのため。

アレスも、華道も。

灰田の望みで死んだ。

 

_END

 

 

 

chapter 3 望みと希望と優しさはいつか偽りへ変わる。

 

シロ Raila aress

シロ 華道 亜希

クロ 灰田 望

 

 

chapter 4

 

 

 

......わけが、わからない。

なんで?なんできみがしんでいるの?

だって、

 

だって、誰かを殺せばいいって、

 

 

別れは寂しいけど

 

別れは寂しいけど仲間を殺して出れば良いって

 

いってたじゃん

 

 

ぼくは理解できなかったけど

 

少なくとも今、ここで、そうやってしんでいるわけないじゃん

 

だって......

 

 

 

少し常識はずれな■■■■■■■■■のお姉さん......

 

 

 

「......■■さん?」

 

映画監督のお兄さんがそっと呼び掛ける。

......とても悲しげな声で。

 

 

【超高校級のマーチングバンド部】万間 咲楽は

最高級に幸せそうな笑顔を見せ、胸から鮮血を垂れ流して。

ただそこで、安楽椅子で、座っていた。

 

 

 

chapter 4

 

シロ 万間 咲楽

 

 

 

 

ぼくは、手が震えて投票できなかった。

それは、彼女の罪。

でも彼女は......彼女は、依頼されて殺したにすぎない。

彼女は、彼女は罪を犯したけれど

 

 

 

でも......

 

 

■■■■■のお姉さんはぼくの前に立った。

そして......

 

 

ぼくの手を、自分の顔パネルに触れさせた。

......ぼくは投票してしまった。彼女に。

 

 

顔をあげると、■■■■■のお姉さんは

珍しく、朗らかに笑っていた。

 

 

 

万間殺しのクロは?

 

 

中 中 中

   原 原 原   

 

 

......スナイパーの、お姉さん。

 

 

「............ごめんなさい」

 

スナイパーのお姉さんはそっと目を逸らした。

ぼくは、手が震えて

手が震えて

 

 

 

「でも、なんで殺したんだ?

依頼があったからって、殺すって......っ」

 

幸運のお兄さんがスナイパーのお姉さんに話しかけた。

 

「......僕は......」

 

 

 

「僕は、『六芒星』......

......暗殺組織、『六芒星』のメンバー............。

......僕の............本当の名前は『No.99』で。

............『中原未来』は......仮の名前。」

 

 

......暗殺組織。

ぼくにはよくわからないけど......

おだやかではないのは、たしかだ。

 

スナイパーのお姉さんは、袖をまくりあげた。

そこには、タトゥーで六芒星が刻まれていた。

......それが、組織の人間であるなによりの証拠で。

 

「......誰に依頼されたんだ?」

 

「......万間......本人に。」

 

「......そうか。」

 

幸運のお兄さんは顔を伏せた。

 

......それは、余りにも残酷な真実で。

 

「......ねぇ............スナイパーの、お姉さん。」

 

「......どうした、夏目。」

 

「......どうして、マーチングバンド部のお姉さんは......

死を、選んだの?」

 

「 ......皆を守りたい。

......そう言っていた。」

 

 

『えへへっ、ごめんね、法律とか、るーるとか。

当たり前とか、常識とか。

よく......わからないからっ。』

 

そうやって笑うお姉さんの姿が思い出される。

......きっと、死んじゃいけないって分からなかったのかな。

 

 

『......わっ......

......驚いた?』

 

無口でも、それを克服して

皆を楽しませようと、幸せにしようと頑張っていたお姉さん。

......そのお姉さんは、今幸せそうな笑顔をぼくにみせている。

......しんだお姉さんと同じように。

 

 

「......ごめんなさい......

でも、依頼だったから......

僕はそれを............遂行しただけなの............」

 

祈るように手を組むお姉さん。

それは、きっとぼくたちに話しかけてるんじゃない。

......マーチングバンド部のお姉さん。

常識はずれで、ちょっとお馬鹿だったけど......

......凄く、いいひとだった。

 

 

「ねーえ!!そろそろオシオキしていいかなぁ!!!!」

 

「じゃあ......僕は罪を償うから......。」

 

 

裁判席の中央でにこりと笑うお姉さんの目からは、

微量の液体が滴り落ちていて。

......凄く、怖いんだって。

いくら殺人組織のメンバーだからって。

死ぬのは......怖いんだって。

......そう、思ったけど。

 

 

「じゃあ!早速始めちゃいましょう!!」

 

「......僕、本当は......

......死ぬのは......怖くないけど......」

 

 

「オシオキターイム!!!!」

 

「皆と......友達になりたかったな......」

 

 

 

お姉さんは連れていかれた。

誰もが手を伸ばそうとしたけど......

お姉さんは、ただ笑うだけだった。

 

 

お姉さんは辺りを見渡した。

周りには覆面を被った人形がたくさんあって。

 

その人形達は、絶望的な顔をしていた。

 

 

_はーとを撃ち抜け☆

 

 

【依頼状:きそくをやぶったからころしてほしい】

 

【依頼状:いきるってなに】

 

【依頼状:しぬかくごはできてる】

 

【依頼状:いきているいみがわからない】

 

【依頼状:かんぜんはんざいをおこしてほしい】

 

【依頼状:だれにでもやさしくしてあげたかった】

 

【依頼状:きぼうがほしい】

 

【依頼状:あいしてほしい】

 

【依頼状:みんなのためにしにたい】

 

依頼状は、9枚。

 

スナイパーのお姉さんは、それをみて顔を歪めて......

 

覚悟を決めたように、置いてあったライフルを持った。

 

お姉さんの目が光り、自我を失ったように見えた。

 

 

一人目は、黒い髪だった。

 

撃たれた。

 

なぜか踊っていた。

 

 

二人目は、金髪だった。

 

撃たれた。

 

なぜか歌っていた。

 

 

三人目は、茶髪だった。

 

撃たれた。

 

なぜか首が取れてしまった。

 

 

四人目は、暗い紫髪だった。

 

撃たれた。

 

なぜか考え込んでいた。

 

 

五人目は、ワインレッドの髪だった。

 

撃たれた。

 

なぜか燃えてしまった。

 

 

六人目は、銀髪だった。

 

撃たれた。

 

なぜか首を押さえて暴れた。

 

 

七人目は、明るい茶髪だった。

 

撃たれた。

 

なぜか弓を射とうとした。

 

 

八人目は、赤い髪だった。

 

撃たれた。

 

なぜか自分の髪を編んでいた。

 

 

九人目は、金髪だった。

 

撃たれた。

 

幸せそうに座っていた。

 

 

 

依頼をこなしたお姉さんは、

自我を取り戻した。

 

 

そして......全員の覆面を取った。

 

 

一人目は、踊り子。

二人目は、アイドル。

三人目は、ネイリスト。

四人目は、哲学者。

五人目は、探偵。

六人目は、舞台女優。

七人目は、弓道部。

八人目は、ヘアスタイリスト。

 

 

その誰もが、絶望していた。

その誰もが、かつての希望だった。

その誰もが、彼女が求める人だった。

その誰もが__彼女がなりたかった人だった。

 

 

 

九人目は、マーチングバンド部。

 

彼女を指差して、笑っていた。

それは、悪魔の微笑みに見えて。

それは、彼女を恨んでいるように見えて。

 

 

 

『守れなかった仲間』にとどめを刺したお姉さんは、

『自分が殺した仲間』を抱いて泣いた。

深く深く、反省しながら。

深く深く、絶望しながら。

 

 

その後ろから来るのは、

生き残っている、皆に置いていかれたぼくたちにそっくりな人形。

 

ぼくたちはお姉さんが守れなかった仲間を抱いて泣いていた。

ぼくたちはお姉さんを睨んでいた。

 

 

【依頼状:おまえがしね】

 

 

「......っ!!」

 

お姉さんは、それをみて泣いた。

守れなかったなら、自分が殺したことと変わりない。

守れなかったなら、友達になれるわけがない。

守れなかったなら__自分が死ねば良い。

 

 

お姉さんは撃たれた。

自分の相棒の仕事道具で。

お姉さんは撃たれた。

友達になりたかった仲間達に。

お姉さんは撃たれた。

絶望した希望達に。

 

 

 

【依頼状:なかまにうたれてしにたい】

 

 

 

chapter 4 狂い咲く少女の来世。

 

シロ 万間 咲楽

クロ 中原 未来

 

 

 

chapter 5

 

 

......うそだろ

思わずそんな声が口から漏れでた。

 

お前......お前はっ、■■■の分まで生きるって

いっていたのに

 

いっていただろう

 

なぁ

 

 

彼のネクタイには、彼女のネクタイに付いていた装飾が

悲しげな色をして佇んでいた。

まるで、彼の死を悲しむように。

まるで、仲間の死を悲しむように。

 

俺の隣で独田は、そのネクタイに触れて

彼になにかを話しかけていた。

 

 

【超高校級の社長】Raila presiは

自室のベットで沈みこむように眠りこけていた。

 

 

そして......

彼の胸元には、何よりも大切な妹と映る幸せそうな写真があった。

 

 

chapter 5

 

シロ Raila presi

 

 

......思わず手が震えた。

お前はどこまでも孤独なんだな。

どこまでも、どこまでも、どこまでも。

 

 

presi殺しのクロは?

 

 

独 独 独

   田 田 田   

 

 

「あああああっ、亜希ぃ、亜希ぃっ!!

おれは、おれはやったぞっ!!!!」

 

裁判席の中央で涙を流しながら華道の遺影を見ているのは、

紛れもなく、超高校級の外科医で。

華道のことを、誰よりも誰よりも愛した幼馴染みで。

 

 

「......ねぇ、独田お兄さん......」

 

夏目は珍しく独田のことを名字で呼んだ。

俺も幸運のお兄さんとしか呼ばれていないのに。

 

「独田お兄さんは、どうして......

どうして社長のお兄さんを殺したの?」

 

「......あ?

......アイツが、可哀想だったからだ。

......アイツは、気が動転していて......

ライラ......妹に会うために、死のうとしたんだ。

......俺をころして、処刑されることで。」

 

「だから俺は、あの薬を注射した。

......すぐに楽になれるし、副作用も_。

......何よりも、アイツが殺人を起こして妹に会えないのを

防ぐために。......妹も浮かばれないだろう、そんな最期じゃ。」

 

......プレスィは、副作用として幻覚を起こしていた。

妹に会える、幸せな幻覚。

きっと最期まで、妹のことを想い続けていた。

 

 

『アレスは、ボクの自慢ノ妹ダよ。』

 

そう言って悲しげに微笑むあいつは誰よりも妹想いだった。

 

 

「ははっ、俺は......

だから俺はあいつを殺したんだ。」

 

清々しいほどに笑うお前が分からない。

......お前は自分勝手だっただろ、もっと。

 

お前は、お前を誰が動かしたんだ?

 

 

脳裏に浮かぶのは、アイツの笑み。

 

『もっと仲良くしなさいってばーー!!!!!』

 

『あぁもううるっせぇなぁ!!』

 

『なんで医者になったのよ!!!!

沢山の命を救うためじゃないのーー?!!?!』

 

『いや、お前を治す............何でもない』

 

『あーっ!!なんか隠したでしょーーー!!!!!!』

 

『うううううるっせぇ!!近付くなって!!』

 

仲良さげに笑う彼らは、もう二度と会えない。

......それでも、独田は殺人を起こしたのか。

仲間の、ために。

 

 

「じゃあ独田お兄さんは?」

 

「はぁ?」

 

「......独田お兄さんは?」

 

「俺がなんだよ。なんか文句あるのか?」

 

「......独田お兄さんは、幸せなの?

 

 

殺人を起こして、処刑されても......」

 

「あぁ?

......っはは」

 

「俺はな、亜希の分まで生きるってきめたんだ。」

 

「だから、だからな......」

 

「処刑されても......」

 

 

 

「いいわけねぇだろぉぉおおおおおっ!!!!!!」

 

 

裁判場のドアを蹴破って、

独田は走っていった。

どこまでも、どこまでも、どこまでも、どこまでも。

 

 

「あっ!!!!逃げた!!!!」

 

「走って!!!!」

 

夏目が裁判場から出て叫んだ。

 

「ずっとずっとずっとずっと走って!!!!

 

 

生きて!!!!お願いだから生きてよおおおおおおおっっ!!!!」

 

 

 

_走れ!外科医!

 

 

独田は走る。

ずっとずっとずっとずっと。

流れる汗も、涙もそのままにして。

 

手術をしているからか、

華道と弓道をしていたからか、

あいつは俺なんかより

ずっっっと体力がある。

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

 

今回は音声がついているらしい。

きっとモノウサが切るのを忘れたのだろう。

 

「......っ、ぁき、大丈夫だからっ、なっ!!」

 

「ぉれはっ、ぉまえの分までっ、ぃきてやるからなっ!!!」

 

執念を、愛情を、全てをバネにして走る。

ひたすら、ずっと。

 

後ろからなにかが迫ってくる。

 

 

それは、大きな鋸。

 

独田の命を切り裂こうと、迫る。

 

独田はそれを一瞥したあと、

さらに速く駆け出した。

 

 

それは、大きな鎌。

 

独田の命を刈ろうと、迫る。

 

独田はそれを一瞥したあと、

さらに速く駆け出した。

 

 

それは、大きな鋏。

 

独田の命を断ち切ろうと、迫る。

 

独田はそれを一瞥したあと、

さらに速く駆け出した。

 

 

それは、大きな刀。

それは、大きな剣。

それは、大きなギロチン。

それは、大きなカッター。

それは、大きなメス。

それは、大きなナイフ。

 

 

それは、それは、それは、それは。

独田の命を削り取ろうと、

独田の希望を刈り取ろうと、

迫り、迫り、迫り、迫り............

 

 

 

 

人間である限り、ある程度の限界を超えると意識を失う。

人間である限り、ある程度の限界を超えると諦めてしまう。

 

 

独田は

 

 

独田は

 

 

自らの執念を愛情を哀情を

全てを武器にして戦った。

 

 

独田は

 

 

独田は

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」

 

 

独田は

 

 

独田は__

 

 

 

 

ぐちゃり

 

 

ぐちゃ

 

 

ぐちゃあ

 

 

 

嫌な音がした

 

 

「がぁっ!!」

 

 

「あがっ!!」

 

 

「うぁっ!!」

 

 

「ああああああああっ!!!!」

 

 

 

「あき、あき」

 

「おれはおまえを」

 

「おれは......」

 

 

 

 

「す」

 

 

「き」

 

「だった」

 

「のに」

 

 

「おれ」

 

「まも」

 

 

「れな」

 

 

 

「ごめん」

 

 

 

「ごめんなさい」

 

 

 

「ゆるしてください」

 

 

 

独田は生を手放した。

 

独田が生を手放しても、相変わらず刺さるそれは

 

独田を馬鹿にするように

 

独田の執念を愛情を哀情を全てを嘲笑うように

 

独田を壊して、潰した。

 

 

ぽとり

 

独田の透き通るように美しい瞳が落ちた。

それは、武器たちににつぶされて

 

独田の生の証は

廊下に染み付く血だけとなった。

 

 

chapter 5 残された者、遺された物。

 

シロ Raila presi

クロ 独田 澄

 

 

 

 

chapter 6 戦士たちよ、真実を照らせ

 

 

 

ちがう

 

ちがうちがう

 

ちがうちがうちがう

 

ちがうちがうちがうちがう

 

はんにんじゃない

 

 

 

「お前が黒幕なんだろう。」

 

 

ちがう

 

ちがうちがう

 

ちがうちがうちがう

 

ちがうちがうちがうちがう

 

しんじて

 

くろまくなんかじゃない

 

 

 

「なぁ__」

 

 

やめて

 

やめてやめて

 

やめてやめてやめて

 

やめてやめてやめてやめて

 

 

「夏目 颯汰」

 

 

ぼくは

 

ちがうんだ

 

 

「......いや、ちがうな」

 

 

やめて

 

たすけて

 

しんじて

 

ちがうんだ

 

 

 

「【超高校級の実験体】神蔵和泉流......カムクライズル。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒幕 夏目 颯汰

 

 

 

 

 

黒幕 神蔵和泉流

 

 

 

俺は、そっとボタンを押した。

夏目は崩れ落ちたまま、動かない。

涙を流して、動かない。

 

自分がカムクライズルだという事実を受け止められないらしい。

 

......ごめんな、夏目......

 

 

俺は......

 

信じたかった、お前を......

 

 

 

愛川を殺した真のクロは?

 

 

神 神 神

蔵 蔵 蔵

 

 

 

生き残り

 

山本 佑哉

本上 来栖

百合咲 虹乃

神崎 美亜

 

 

 

生き残り?

 

 

生き残り

 

 

■き残り

 

 

■■残■

 

 

■■■■

 

 

■■■■■■■

 

 

独り残された者

 

 

 

 

 

 

 

 

それは

 

 

 

 

 

「ぶっぶー、ふせいかーい!!!!」

 

 

ブザーが鳴り響いた。

 

 

なんで?黒幕は夏目くんじゃないの?

どうして?

 

 

「ねぇねぇ、気づいた?」

 

「投票ボタンはね、」

 

「『モノウサ』のボタンにも押せるってこと♥」

 

 

どうして、どういうことなの?

 

 

「ま、まってくれ!!どういうことだよ!!

夏目は神蔵じゃないのか!!?」

 

「いーや、夏目くんは神蔵だよ。」

 

 

 

「ただ、神蔵なだけだよ。」

 

 

 

「黒幕はね、」

 

 

 

 

「いないんだよ♥」

 

そんな

 

どういうことなの

 

じゃあぼくたちは

 

処刑__

 

 

「どういうことなの!?

結局愛川くんを殺したのは……

黒幕じゃないならっ……!!誰なの!?」

 

「そ、そうですよっ!!

結局誰なんですかっ!?」

 

 

「ふーん、まだわからない?」

 

「分からないよ......。

どうして僕たちは......

処刑、されなきゃ......」

 

 

「うん?いま三浦くん、

『僕たち』って言った?」

 

「犯人自らが気づかないなんて、間抜けだね~!!」

 

 

 

 

「犯人は君だよ。三浦くん。」

 

 

 

「......え」

 

 

 

......僕が?

 

どうして?

 

 

僕はあんな美しくない殺しかたはしない

 

希望を持たせて

 

希望を持たせて殺すんだ

 

だから、ぼくじゃない

 

ぼくじゃない

 

 

 

「じゃあ、早速始めちゃいましょう!!!!オシオキを、ね!!!」

 

「ま、まってくれっ!!!!

こんなの無効だろ!!」

 

「信じられないわっ、三浦くんが犯人なんてっ!!」

 

「そうですよ!私たちは__」

 

 

「......ねぇ、モノウサ。」

 

本上くんが静かに語りかけた。

 

 

「あの時点で、愛川くんは」

 

「死んでいなかったんじゃないかな?」

 

「ふふ、」

 

 

「ふふふふっ」

 

 

「だぁいせーいかぁあああいっ!!!!」

 

 

「本当は生きてたんだよ♥」

 

「でもまだ死体発見アナウンス、鳴らしてなかったでしょ?」

 

 

「だから間違ってはないんだよ~♥」

 

 

「......あのとき、三浦くんは......」

 

「そう!!感圧板を踏んだんだ!!」

 

「そのとき、動いたんだよ、装置がっ!!」

 

「......うぷぷ、そろそろ始めようね、オシオキ。

もう待ってられないからっ!!」

 

 

 

「......信じられません」

 

「私、まだ執筆もあるのに」

 

「私、まだ描かなくちゃいけないのに」

 

「......わたし............しにたくない......」

 

百合咲さんは

 

 

「......そうた、くん」

 

「......しんじてあげればよかったのに」

 

「私......精神科医失格よね......」

 

「............死にたくないの......」

 

神崎さんは

 

 

「......なんで気づけなかったんだ」

 

「......気づかなかったせいで処刑を......」

 

「......僕も、皆も、百合咲さんも......」

 

「皆、死んじゃうなんて_。」

 

本上くんは

 

 

「......俺は」

 

「なんで戸川をクロにしてしまったんだろう」

 

「あいつが死ぬ必要なんてなかったのに」

 

「......俺は......戸川の分まで......」

 

山本くんは

 

 

「......」

 

「............」

 

「..................」

 

「......たす......けて......」

 

夏目くん_神蔵くんは。

 

 

絶望を、感じていた。

とても大きな、絶望。

 

 

 

「じゃあ始めるからね!!!!

オシオキターイム!!!!」

 

僕の耳にはなにも入ってこなかった。

誰もが、連れていかれた。

皆は連れていかれた。

僕以外の

皆が

 

 

僕は

ただ

ひとりぼっちで

 

 

 

しにたくない

 

しにたくない

 

三浦

 

百合咲

 

神崎

 

本上

 

夏目

 

 

......戸川

 

 

 

たすけてくれ

 

 

「うわあああああああああああっっっ!!!!!!」

 

 

_普通の男子高校生の普通の一日

 

 

 

「......」

 

俺は通学路のような場所にたっていた。

 

【走れ!】

 

......

 

指示にしたがって、俺はひたすら走った。

 

まるで、独田のように。

 

 

「いっけなぁい☆ちこくちこくぅ☆」

 

角から女子の声が聞こえてきた。

 

まるで、少女漫画のような。

 

がしゃああああああああんっっっ

 

おれとそいつはぶつかった。

 

 

 

そいつは、刃物を持っていた。

 

俺に突き刺さる。

 

刺さる。

 

「もー、ちゃんと前見てよねっ!」

 

女子は走っていった。

 

いたい

 

いたい......

 

気づけば俺は教室に居た。

 

テストを返している最中らしい。

 

「お前もうちょっと頑張れよ」

 

俺の結果は4点。

 

その低い点数が俺に突き刺さる。

 

 

 

 

物理で。

 

 

 

「がっ......っ!?!?」

 

さっき女子に刺された箇所もいたい。

 

いたい

 

もうやだ

 

やめてくれ

 

 

それから俺は、『普通』の学校生活をした。

 

数学の授業。

 

体育の授業。

 

調理実習。

 

 

でも、それらは『普通』じゃなかった。

 

答えを間違えれば頭を刺されて。

 

シャトルランで足を止まれば足を刺されて。

 

少しでも、1gでも計り間違えれば腕を刺されて。

 

 

もうやだ

 

いっそのこと

 

ころして、くれ

 

 

 

くらい、くうかん。

 

だれもいない

 

しんじたなかまも

 

だれもかれも

 

 

 

 

目の前に誰かが現れた。

 

 

「とが、わ......っ」

 

 

俺が大好きだったひと。

 

俺が守りたかったひと。

 

俺が......俺が指名しなきゃ

 

生きていた、愛しいひと。

 

「ねぇ、山本くん。」

 

「......なんだよっ......」

 

 

「ふふ、山本くん。」

 

戸川は俺の頬に触れた。

 

心拍数が上がる。

どれだけ危機的状況でも、俺は

戸川に、狂わされている。

 

 

「死んでくださいっす!!!」

 

俺は突き飛ばされた。

 

「とが、わ?」

 

突き飛ばされた先には、

 

棘が、大量に生えていて。

 

ぐちゃ

 

ぐしゃり

 

ぐちゃぐちゃ

 

俺の体に

 

ただただ、突き刺さる。

 

 

刺さり、刺さり、刺さり、刺さり、刺さり、

 

 

刺さって刺さって刺さって刺さって刺さって刺さって

 

 

俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は

 

 

戸川がいなきゃ

いきられなくて

 

 

おれは戸川を

 

だれよりも

 

 

 

だれよりもあいしていたのに

 

 

 

俺は

 

戸川を

 

 

 

ころ

 

 

 

 

 

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ

 

 

............

 

 

 

ぐしゃり

 

..................

 

 

 

ぐちゃあ

 

...........................

 

 

 

【オシオキ 完了】

 

 

 

「......颯汰くんっ!!」

 

神崎お姉さんがぼくに手を伸ばした。

 

ぼくは、

 

ぼくは、

 

ぼくは、ただの実験体。

 

被験体。

 

 

ぼくは、

 

ぼくは、

 

ぼくは、本当の才能なんてない。

 

だから

 

お姉さんと一緒に居る権利なんて

 

 

「颯汰くんっ!!」

 

お姉さんがぼくに抱きついて、

 

ぼくと共にオシオキされようとする。

 

ぼくの巻き添えになろうとする。

 

......どうして、ぼくを?

 

 

「大丈夫よ」

 

「大丈夫、大丈夫......」

 

「わたしが、護ってあげるから」

 

 

 

_メンタルナース♥きゅあ みあ

 

 

_落第者の末路

 

 

【たいへんっ!!

みあのだいすきなそうたくんが

おしおきされちゃう 

きゅあみあ、そうたくんをまもって!すくって!】

 

【問1.大切な人を護れ】

 

ぼくたちの前に紙が落ちる。

 

 

神崎お姉さんはそれを取って、

ゆっくりとぼくにそれをみせて微笑んだ。

 

「大丈夫よ、私が守ってあげるから。

救って、みせるから。」

 

 

 

神崎お姉さんは、いつのまにか変身していた。

可愛らしい制服に腕を通し、

可愛らしいヘッドドレスを着けて、

可愛らしい白衣に身を包み、

可愛らしいリボンが胸元についている。

 

 

 

「ふふっ、大丈夫よ。」

 

神崎お姉さんはくすりと笑う。

 

 

......たいせつなひとを、まもれ。

 

 

 

神崎お姉さんを

 

まもらなくちゃ

 

 

 

神崎お姉さんは目の前から迫り来る敵をみて、

 

ステッキを握った。

 

 

 

きらり、きらり。

 

ステッキから綺麗な光が溢れて、

 

ひらり、ひらり。

 

神崎お姉さんの服が可憐に揺れて、

 

ゆらり、ゆらり。

 

敵が揺らいでいって。

 

くらり、くらり。

 

目眩がして。

 

 

 

 

お姉さんは、自分が発光する光に

 

ステッキが発光する光に

 

 

光に

 

 

 

焼かれていた

 

 

 

「お姉さんっ!?」

 

「あぁああああああああっっ!!!!」

 

「あついっ」

 

「やだ」

 

「まもらなくちゃ」

 

「そうたくんっ......」

 

 

 

「......そうた、くん」

 

「しんじて......あげられ......なくて......」

 

「ごめん......なさい......」

 

「............」

 

「............」

 

「............」

 

 

 

............

 

お姉さんは、しんだ。

 

 

おねえさんは

 

みあ

 

みあさんは

 

 

 

「問1_不正解

 

落第とみなし、処罰を執行する。」

 

 

 

僕は落ちていった。

 

どこまでも

 

どこまでも

 

どこまでも

 

闇の中に

 

闇の中に

 

闇の中に

 

実験体でも

 

被験体でも

 

 

 

実験されても

 

 

 

完璧に

 

 

本物のカムクライズルには

 

 

なれなかった

 

 

 

【オシオキ 完了】

 

 

 

百合咲さんは僕に抱きついて、

泣きじゃくっていた。

 

「ほんじょうくん」

 

「しなないで」

 

それはこっちの台詞だよ、と

少し微笑んでいうと、

百合咲さんは僕にすがりついた。

 

おいていかないで、と。

 

子供の様に泣く彼女は、まるで3回目の裁判の後のようで。

 

「ほんじょうくん」

 

「百合咲さん、ごめんね」

 

 

唇をそっと重ねると、彼女は吃驚したように固まった。

 

愛おしくて、切なくて、苦くて、甘い。

そんな、辛い恋だった。

 

 

やがて僕たちは連れていかれる。

 

でも、そこで諦める僕じゃなかった。

 

百合咲さんの処刑は、

 

きっときっと、辛い。

 

だから、僕は

 

百合咲さんと、場所を交換した。

 

 

_rule book

 

 

【ルール違反!ルール違反!

直ちに違反者を処刑しろ!】

 

百合咲さんは、

 

とても大きな本の上にたっていた。

 

ページが捲られそうになり、

百合咲さんは慌てて床を押さえる。

 

百合咲さんは、視界の隅に僕を見つけると、

少し困惑したように唇が動いた。

 

『どうしてこうかんしたんですか?』

 

......きっと、すぐわかるはず。

 

 

処刑された皆は、朽ち行く自分の体を

眺めていなきゃいけなかった。

でも僕の処刑は、推理が正しければ......

 

 

百合咲さんは、本に押し潰されそうになっている。

 

百合咲さんは、

 

天井を押さえる。

 

 

 

......泣きそうな彼女をみて、僕は思案する。

 

このまま潰されれば、死ぬ前の一瞬の恐怖で済む。

......でも

 

彼女は、死を望んでいない。

 

 

僕は走る。

 

望んでいない死を強制することはできない。

 

 

「にじのさんっ!!」

 

百合咲さんを連れ出して、走る。

 

どこか、どこか遠くへ。

 

「くりすくん?」

 

困ったように眉をひそめる彼女の頬に、

美しく光る雫が落ちた。

 

あぁ、運動が出来れば良かったのに。

僕が、運動部だったなら。

 

こんな恐怖を感じさせずに、

もっと速く走れたのに。

 

百合咲さんを肩に乗せ、さらに走る。

 

百合咲さんはそんな僕をみて、そっと

 

足を、地に着けた。

 

なにしてるの、と問いかけても、悲しげに笑うだけで

 

 

「ルールだから、ごめんなさい」

 

 

百合咲さんは、処刑場まで踵を返す。

その後ろ姿は、覚悟を決めた様な。

そんな......そんな。

 

 

「まって、まってよっ!!」

 

「即死出来るなら......私は大丈夫ですから」

 

「でもっ......だって!!」

 

「苦しまずに、死ねるならいいんです」

 

「にじのさんっ!!!」

 

「じゃあ、また......来世で会えたら。」

 

ふわりと手を降る彼女は

 

 

美しくて儚い

 

妖精のようで

 

やがて、処刑は、始まった。

 

百合咲さんは、覚悟を決めたように目を瞑っている。

 

その目は、口は、柔らかく、微笑んでいる。

 

......大丈夫ですから

 

......苦しまずに、死ねるならいいんです

 

言葉が脳裏を巡る。

 

巡り巡って、帰ってくる。

 

次の瞬間、僕は絶望を感じた。

 

即死なんかじゃない

 

 

 

めりめりと、ゆっくり迫っていく表紙。

 

それは、ただただ恐怖で。

 

皮膚が削られる。

 

百合咲さんは悲鳴をあげた。

 

即死なんじゃない

 

百合咲さんは苦しそうにもがいた

 

即死なんかじゃない

 

絶望に満ち溢れた彼女は、やがて息を引き取った。

 

そして、僕も連れていかれた。

 

_れんあいしゅみれーしょんゲームをこうりゃくセヨ!

 

『くりす!早く起きなさいよっ!』

 

王道ツンデレ幼馴染みであろうひとが話しかけてくる。

 

五月蝿い。

 

はなしかけないで。

 

ぼくには

 

にじのさんがいるから

 

 

下駄箱。

 

ぼくは、押し潰された。

 

迫り来る女の人たち。

 

女の人たちは、押し退けても押し退けても

 

ずっと、迫り来るばかり。

 

戸川さんに、山本くんに、怪力と呼ばれた僕でも

 

歯が立たないくらいの人数。

 

くるしい

 

おさないで

 

おねがい

 

にじのさんが

 

にじのさんが

 

 

............くるしい

 

............ぼく

 

......もっと

 

............もっと、よみたかった

 

......「ぼく」というものがたりを......

 

..............................

 

 

【オシオキ 完了】

 

 

「おねがい」

 

「おねがい」

 

「ひとりに」

 

「ひとりにしないでぇっ!!!!」

 

僕はただ、

 

床に座り込んで泣いた。

 

孤独を感じて

 

独りという絶望を感じて

 

彼らの死は、美しいものじゃない。

 

彼女らの死は、美しいものじゃない。

 

希望がないなんて

 

希望を感じられないなんて

 

こんなの

 

こんなの__

 

 

 

すごく、

 

絶望、的。

 

 

独り残された者

 

三浦 玲音

 

 

 

▽『孤独の鍵』を入手しました。

 

 

 

▽『メモ_6』を入手しました。

 

 

 

あーあ、またやっちゃった

 

キャラクターを増やせば増やすだけ

 

作業時間が増えていくだけなんだけど......

 

結局こうなっちゃうし、ね?

 

しかも、今回はキャラデザ募集しちゃったしな......

 

あれ、貴方は読者様?

エヘヘ、いつもありがとうございます!!!!

え?私が誰か?

 

えっと......

 

まぁ、カーテンコールで全て明かしてくれるでしょ!!!

 

アカツキロンパの、生存者たちが、ね!!!!

 

そのとき私は......っ!!

 

ヘヘッ,楽しみだなぁっ!!完結が!!

 

 

_例外が発生しました

 

_character file ■■■■ に例外が発生しました

 

_再起動します

 

 

......まぁまだ全然完結してないけどさっ!!

 

はぁ......

 

 

さぁ、

 

 

執筆を、再開しようかな。

 

 

_アカツキロンパ curtain call へ続く

 



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