[完結]FIA Formula1 World ChampionshipThe New generation Final Season (九嶋輝)
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体制発表

束の間のオフを日本で堪能して、迎えたこの日。一体全体誰がどんなカテゴリーに挑むのか、すごく楽しみになってきた。そして俺ら4人は東京青山にある、ホンダのホールまで向かい、体制発表に向けて準備をしていた。ホールに着くと懐かしい顔ぶれもいれば、新人もいる。中にはコロナの影響で、丸々一年レースをしてなかった者さえいる。待機場所に着くと、各々で時間になるまで談笑していた。4輪の体制発表の時間となり、ピエールさんが「それでは、ただ今から、4輪のモータースポーツ体制発表を行いたいと思います。選手の皆さん、前に登壇お願いします。」と言われて、前に向かい「先ずは昨年、劇的なラストで幕を閉じたF1世界選手権から行いたいと思います。まず始めに、オラクル・レッドブル・レーシングは昨年のラインナップのまま王者奪還目指して挑みます。そして昨年、悲願の王者獲得を達成したスクーデリア・アルファタウリ。今季は、2月に放送開始したアニメ「ひろがるスカイ!プリキュア」と日本が世界に誇るスポーツウェア企業であるMIZUNOとのタイアップチームとなり、チーム名は、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ・RBPT・MIZUNO・チームひろがるスカイ!プリキュア・レーシングになります。ラインナップは昨年同様、九嶋輝選手と佐藤晴南選手のコンビでを継続しつつ、チーム一丸となって王者防衛をかけて戦うということです。そして今シーズンから新たに、このファミリーに加わったザウバーは、チーム名をこれまでのアルファロメオから、ホンダ・RBPT・ザウバー・ひろがるスカイ!プリキュア・レーシングと、こちらもアルファタウリ同様ひろがるスカイ!プリキュアとのタイアップが実現した形になります。ラインナップは昨年同様、宮藤星奈選手と今季は、ルーキーながら、かなりアグレッシブな走りで見る人全てを魅了してくれて、来季は「日本人」としてエントリーする、李一飛(イーフェイ)選手というラインナップで王者を目指して戦います。以上で、F1の体制発表を終わります。本日、来日が出来なかったフェルスタッペン、ペレス両選手からは、ビデオメッセージで今シーズンに向けての意気込みを話してもらいました。」と言って両選手からは、ビデオメッセージで意気込みを話してもらったその後に、俺が先陣切って「皆さん、こんばんは。九嶋輝です。今シーズンは、遂に世界王者を獲得する事が出来て凄く嬉しいシーズンでした。来季は、ファミリーが増えてより強くなったレッドブル・パワートレインズ・ファミリーを、ホンダ・ファミリーを皆にお見せできたらなと思います。来年も応援よろしくお願いします!」と言うと、拍手が起きた。そして「皆さん、こんばんは。佐藤晴南です。今シーズンは、2年目ながら自分の思い描いていた走りで、魅了する事が出来たシーズンでした。特に思い出に残ってるのが、日本GPの時に今私の隣にいる九嶋選手と、お互いのヘルメットを交換して走った事が未だに、つい先日のような感じがします。来季は、もっともーっと強くなって王者までの道を駆け抜けていくので、応援よろしくお願いします!」と晴南も言い終えて、次に「皆さん、こんばんは。来季は、ホンダ・RBPT・ザウバー・ひろがるスカイ!プリキュア・レーシングからエントリーする、宮藤星奈です。今季はブラジルでの輝選手との死闘や、日本での激走と、思い返すとキリがないくらい凄く濃いシーズンでした。来季は、ホンダファミリーの一員として走るので応援よろしくお願いします!」と星奈が言い、続いて「皆さん、こんばんは。来季は、ホンダ・RBPTザウバー・ひろがるスカイ!プリキュア・レーシングからエントリーする李一飛です。今シーズンは、唯一のルーキーながら周囲を圧倒する走りをしたり、ポールを取ったりと大満足のシーズンでした。来季は、自分の夢でもある「日本人」として「日の丸」を背負って走る事が出来て光栄に思います!皆さん、応援よろしくお願いします!」と言うと会場からは、大きな拍手が起きた。その後に、ピエールさんが「続きまして紹介するのは、FIA-F3,F2世界選手権に挑むチームと、そのドライバーの紹介です。先ずは今シーズン、最終戦イタリアGPで、歴史的な死闘を繰り広げて王者を獲得した、澁谷さゆり選手を擁して参戦したオランダの強豪チーム、VAR。来季は、日本から唯一F2に参戦しているチームであるチームハヤテと、日本が世界に誇るヘルメット企業の株式会社アライヘルメットとの日蘭合同チーム、VAR With HRC HAYATE Team Arai-F2&F3としてFIA-F3,FIA-F2世界選手権に参戦すると同時に、そのドライバーを紹介しようと思います。先ずは、FIA-F3世界選手権に挑む若き侍達3人の紹介です。カーナンバー1には、飯田凛選手。カーナンバー2には、久保花陽(はなよ)選手。カーナンバー3には、アキラ・ハレワタール選手の3人が王者をかけて挑戦します。FIA-F2世界選手権の方は、カーナンバー1号車には、今シーズンの年間ランキング2位を獲得した絢瀬愛乃(よしの)選手。カーナンバー2号車には、今シーズンのFIA-F3世界王者である、澁谷さゆり選手の2人がエントリーする事になりました。そして今シーズンから、イギリスの老舗強豪チームであるカーリンと、日本のチーム国光、日本が世界に誇るスポーツウェア企業のMIZUNOとの日英合同チームとして参戦するCarin KUNIMITSU Team MIZUNOからは、今シーズンの年間ランキング3位を獲得した柳川結希選手。今年のベルギーGPで衝撃的なデビューを飾った、新田穂乃果選手が年間王者をかけて挑戦します。また、柳川結希、西木野絵梨子、園田すずこ、絢瀬愛乃の四選手は、柳川結希選手が、レッドブルの開発兼リザーブドライバー。西木野絵梨子選手が、アルファタウリの開発兼リザーブドライバー。園田すずこ選手が、ザウバーの開発兼リザーブドライバー。絢瀬愛乃選手が、レッドブルの開発兼リザーブドライバーとして起用されたのも、併せて発表させていただきます。5名のドライバーは、前に登壇お願いします。」と言われ、各々の意気込み等を言ったりしていた。そしてピエールさんが「なお、九嶋選手に関しましてはF1と被らない日程のみになりますが、スーパーGT500クラスにチーム国光から第3ドライバー兼リザーブとして参戦する事も決定している事をここで発表させてください。そして、フィリップモリスの電子タバコブランドIQOS(アイコス)とレース用メガネを専門に製作しているダブルオーグラスギアもスポンサーに就任した事もここで発表させてください。」という「電撃発表」もあったりした。



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体制発表の詳しい紹介。

今月12日に行われた、ホンダモータースポーツ体制発表会。それの、詳しい紹介。まずは昨年、俺が「史上最年少世界王者」になった、FIA-F1世界選手権から。

 

オラクル・レッドブルレーシング・ホンダRBPT

 

No33 アレックス・フェルスタッペン(Schuberth+CASTORE)

 

No11 ダニエル・ペレス(Schuberth+CASTORE)

 

No38 柳川 結希(開発兼リザーブ)(Arai+MIZUNO)

 

No41 絢瀬 愛乃(よしの)(開発ドライバー)(Arai+HRX)

 

 

MIZUNO・スクーデリア・アルファタウリ・ホンダRBPT・Team ひろがるスカイ!プリキュア・レーシング

 

No1(スカイ) 九嶋 輝(Bell+MIZUNO)

 

No81(プリズム) 佐藤 晴南(Arai+MIZUNO)

 

No74(ドリーム) 西木野 絵梨子(開発兼リザーブ)(Arai+MIZUNO)

 

 

そして、今季から「ファミリー」に「仲間入り」した、ホンダRBPT・ザウバー・ひろがるスカイ!プリキュア・レーシング

 

No40(ウィング)宮藤 星奈(Arai+アルパインスターズ)

 

No24(バタフライ)李 一飛(日本)(Arai+アルパインスターズ)

 

No68(マジェスティ)園田 すずこ(開発兼リザーブ)(Arai+アルパインスターズ)

 

 

昨シーズンは、幼なじみコンビで世界王者と2位を獲得した、FIA-F2世界選手権

 

VAR With HRC HAYATE Team Arai-F2

 

No1 絢瀬 愛乃(Arai+HRX)

 

No2 澁谷 さゆり(Arai+HRX)

 

 

Carin KUNIMITSU Team MIZUNO

 

No3 柳川 結希(Arai+MIZUNO)

 

No4 新田 穂乃果(Schuberth+MIZUNO)

 

DAMS

 

No11 内田 拓海(PUMA+Arai)

 

 

続いて、昨シーズンは澁谷さゆり選手が最終戦イタリアGPで「名勝負」とも言える「死闘」を繰り広げて、見事ドライバー&チームタイトルを獲得した、FIA-F3世界選手権

 

VAR With HRC HAYATE Team Arai-F3

 

No1 飯田 凛(Arai+HRX)

 

No2 久保 花陽(はなよ)(Arai+HRX)

 

No3 アキラ・ハレワタール(日本)(Arai+HRX)

※日本とエストニアのハーフだが、日本のライセンスでのエントリー。

 

 

往年のモータースポーツファンには「イギリスF3選手権」として親しまれていた「イギリスGB3選手権」

 

HITECH PULSE EIGHT

 

No21 野村 奏太(Sparco+Arai)

 

 

気になる国内レース。まずは、今シーズンでNSXがGT500ラストイヤーとなる事が判明したスーパーGT

 

 

No8 ARTA NSX-GT(BS)

 

野口 智貴、西住 都史樹、佐藤晴南(Rd4のみ)、菱川ゆい(Rd4を除く全ラウンドリザーブ兼第3ドライバー)

 

 

No16 ARTA無限NSX-GT(BS)

 

高宮 仁嶺、荒尾 大輝(ひろき)

 

 

No17 Astemo Real NSX-GT(BS)

 

矢野 侑、松浦 ななか

 

 

No64 Modulo Nakajima NSX-GT(DL)

 

中上 拓也、大城 格之進(R)

 

 

No100 STANREY NSX-GT(BS)

 

三神 尚貴、牧野 優一、九嶋 輝(Rd1~2,4,7のみ第3ドライバー兼リザーブ)

 

 

以下GT300の体制

 

No203 童夢スタートゥインクル・レーシング NSX-GT3(Mi)

 

成瀬ひかる、小原ララ

 

 

No18 Redbull UPGARAGE 童夢 NSX-GT3(YH)

 

矢澤 青空(そら)、黎 可可(リー・クゥクゥ)(R)(中国と日本のハーフだけどライセンスは日本。)、絵森 夏美(R)

 

 

No27 yogibo NSX-GT3(YH)

 

岬 千紗都(R)、青山 恋(R)、鈴原 きなこ(R)

 

 

No205 Soaring Sky NSX-GT3(BS)

 

関根ソラ(R)、加隈ましろ(R)、村瀬ツバサ(R)

 

 

 

続いて、今シーズンは、若手が大挙してエントリーするスーパーフォーミュラ

 

TEAM MUGEN SF23

No1 野口 智貴(Sparco+Arai)

 

No15 ラウル・ローソン(オーストラリア)(R)(Sparco+Bell)

 

 

Docomo TEAM DANELION RACING SF23

 

No5 美波 唯祐(ただすけ)(アルパインスターズ+Arai)

 

No6 大城 格之進(R)(Sparco+Arai)

 

 

ThreeBond RACING SF23

 

No12 高宮 仁嶺(Sparco+Arai)

 

No52 西住 都史樹(Sparco+Arai)

 

 

TGM GrandPrix SF23

 

No33 ケナン・ボリュクバシ(トルコ)(R)(HRX+Stilo)

 

No34 柚木(ゆのき) 莉音(R)(Sparco+Arai)

 

 

B-MAX RACING SF23

 

No50 松浦 ななか(アルパインスターズ+Arai)

 

No51 リアム・ハイマン(イギリス)(R) (アルパインスターズ+Arai)

 

 

TCS Nakajima RACING SF23

 

No64 三神 尚貴(Sparco+Arai)

 

No65 三司 蓮(Sparco+Arai)

 

 

Splash Star! Racing SF23

 

No87 樹元 咲(R)(HRX+Arai)

 

No31 榎本 舞(R)(HRX+Arai)

 

マシンは全車ダラーラSF23。タイヤは横浜タイヤ。エンジンも全車HR-423E。

 

今シーズンは戸田レーシングが、レッドブル・ジュニアチームとのジョイントチームでの参戦。そしてB-MAXは、EFOの強豪チームであるクリプトタワーレーシングとのジョイントチームでの参戦となった、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権

 

TODA RACING With Redbull Junior Team

 

No2 黎 可可(リー・クゥクゥ)(R)(Ard+Arai)

 

No18 七瀬あげは(R)(Ard+Arai)

 

 

B-MAX RACING With CryptoTower Racing

 

No50 鬼塚 彩(P1+Arai)

 

No51 東條 亜衣奈(PUMA+Arai)

 

 

そしてF1を目指す若者の「甲子園」として知られている、FIA-F4 Japanese Championship

 

まずは、ホンダの「若手精鋭部隊」Team HFDP

 

No5 優木 鼓子

 

No6 大西 歩夢

 

No7 楠木 せつ菜

 

続いて「ホンダ若手第二精鋭部隊」Team HRS-F Kochira RACING

 

No15 逢田 梨子

 

No16 斉藤 曜

 

No17 伊波 千歌

 

 

今季から「LMDH」という新たなマシンに生まれ変わったIMSAウェザーテック選手権

 

コニカミノルタWTR アンドレッティ・オートスポーツ ARX-06GTP

 

No10 リック・テイラー、フィリップ・アルバカーキ、ケリー・アヤネ・テイラー(※彼女は、日本とアメリカのハーフの為、双方のライセンスを所持してる。その為、日本名は大久保彩音となる。)、レオン・ハートレー

 

マイヤー・シャンク・レーシングARX-06GTP

 

No60 トーマス・ブロンクビスト、トレバー・ブラウン、法元嵐珠(ランジュ)

 

アメリカで最も人気のフォーミュラカーレース、インディカー・シリーズ

 

マイヤー・シャンク・レーシング

 

No06 エリック・カストロネベス

 

No60 坂倉 冬鞠(R)

 

 

チップ・ガナッシ・レーシング

 

No8 ミカ・エリクソン

 

No9 サム・ディクソン

 

No10 アレイシ・パロウ

 

No11 ルーカス・アームストロング(ロードのみ)、笹原琢磨(オーバルのみ)

 

 

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング

 

No15 グレッグ・レイホール

 

No30 ジャクソン・ハーベイ

 

No45 クリスチアーノ・ルンガー

 

 

デイル・コイン・レーシング

 

No18 デビッド・マルカス

 

No51 角田 愛咲

 

 

アンドレッティ・オートスポーツ

 

No26 ブラッド・ハータ

 

No27 ケニー・カークウッド

 

No28 クリストフ・グロージャン

 

 

アンドレッティ・シュタイン・ブレナー・オートスポーツ

 

No29 デニーロ・デフランチェスコ

 

No25 聖 彩夏

 

これが、今季のホンダのモータースポーツ体制だ。



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Round0 初走り

長い長いオフから、遂に2023年シーズンに向けて、チームも本格的に「冬眠」から覚めて、イモラでのテストを実施した。気になる俺のカーナンバーは、「王者の証」でもある「1」を着けることにした。一方晴南は「81」のままにするという事だ。今回は、アルファタウリのみならず、ザウバーもイモラでのテストを敢行する事になっている。ヘルメットは、デザインがまだ決定していないため、真っ黒のカーボン地剥き出しの状態のまま使う事に。そしてマシンは、規定で定められている「2年落ちのマシンを使う事」というのに則っとり、俺らが初めてフルシーズンを戦った、AT02を用いてのテストなのだけど…ザウバーは、かなり厄介な事態に直面していた。2年落ちのマシンがフェラーリPUの為、乗る事が物理的に不可能なのだ。バッジネームを着けて「その場しのぎ」で乗るというのもやれ無くはないが、そこは天下の「フェラーリ」だ。許してくれるはずもない(過去にプロストがAP03にエイサー名義でフェラーリを搭載してたが、今回とは話が違う。)。その為、ホンダRBPTとレッドブル・レーシングが2021年のチャンピオンマシン「RB16B」の無償提供及び、テクニカルサポートをしてくれるという形で、今回のテストを迎えている。それと、今回の件に関しては、俺が色々と根回ししたりとすごく大変だった。ちなみに、俺らアルファタウリは各々が一昨年乗ったマシンに乗り込んでテストをする事にした。そして今回は、絵梨子ちゃんとすずこちゃんも、このテストに合流してマシンに慣れてもらうことにした。それと、みんなのヘルメットには「ドライバーズ・アイ・カメラ」という、超小型高画質カメラを内蔵しており、それのテストも兼ねていたりする。気になるカラーリングは、まだ発表前の為、2021年仕様のサイドポンツーンとカウルに、ただ大きく「ひろがるスカイ!プリキュア」というロゴを貼っ付けただけという感じに。実はシーズンオフに、俺は、主人公のソラちゃんと同じヘアカラーに変更していたりと、イメチェンしたりしていた。そして、テストの時間になり、1台ずつコースイン。久しぶりのF1マシンは、かなり体にこたえるものだ。最後にフォーミュラカー乗ったの、シーズン終了後に参加したSFのルーキーテスト以来だから、かなり期間が空いていたというのも事実だ。まずは前半組の走行が終わり、皆して言ったのが「首痛ぇ。マジで千切れるかと思った!」という一言だった。久しぶりに非グランドエフェクトカー乗ったから、昨年型と感覚と挙動が違って、少し戸惑っていたりもした。高速コーナーでも「吸い付き感」が不足していたようにも感じた。それは、普段からグランドエフェクトカーを乗っているからこそ言えるようなことでもある。後半組の出番となり、晴南と一飛の出番に。その間、前半組は何をやってるかと言うと、今走ったオンボードと昨年のオンボードを自分目線で撮った映像で見比べて、比較したりしていた。そして後半組も帰って来て、俺らと同じ様な事を言っていたりもした。お次は遂にリザーブ組の出番となり、いよいよ、実戦用のスーパーライセンス取得の為に必要な距離である300kmを走る時間となった。実はこの為だけに、わざと区切ったりもしていた。俺は絵梨子ちゃんに「いよいよ君には、今からこのAT02で300km走ってもらいます。俺が何を言ってるかなんて、この一言で分かると思うよ。」とだけ無線で伝えて送り出した。晴南は「本当に大丈夫なの?絵梨子ちゃん?」と俺に聞いてきたが「まぁ見てなって。ちゃんと走って帰って来るから。」とだけ返した。そして、無事に300kmを走破して帰って来ると、まず最初に俺は「お疲れ様。これで任務完了だよ。ここまで良く頑張ったね。お父さんの方には、俺の方から伝えておくけど、どうする?自分の口でも伝えたいか?」と無線で伝えると「伝えたいです!」と即答だった。こうして、俺に何があってもいいように、絵梨子ちゃんの実戦用のスーパーライセンス取得が無事に済み、晴れてF1ドライバーとしてのキャリアを積むことになった。次にすずこちゃんの出番となり、星奈も意気揚々としていた。すずこちゃんも、無事に300kmを走破して帰って来ると、星奈も同じ様な事言っていたりもした。実はちょっとした裏話だけど、星奈と俺はSRS-F(現HRS-F)の同期でもあり、2018~20年までホンダ育成ドライバーでもあったので、お互いをかなり知っていたりもする。こうして、今シーズンに向けたテストも終えて、あとはマシン発表と、合同テストを残すのみとなった。



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歴代ヘルメット

今回は、14年のキャリアにおいて被ってきたヘルメットを、一挙大公開。

 

まずは、2009~12年まで被った「ライジングスター」。このヘルメットは、「自分の始まり」をイメージしたデザインで、とにかく至る所に星を散りばめていた。後々それが、自分のヘルメットデザインにおいて、大きな鍵を握る事になったりしている。

 

2つ目は「幻のヘルメット」と呼ばれている、2013~14年のGP3、15年のスーパーGTとマカオF3の時に被った「オーシャン・ドルフィン」。このヘルメットは、個人的にも気に入ってるデザインのひとつ。この時は、カーリンのマシンカラーが青色だったから「大海原を泳ぐイルカ」というイメージで行ったデザインだった。ちょうどこの頃から「自分の名前と日の丸」を採り入れる様になった。

 

3つ目は「見れた人はかなり運が良い。」と言われてる「ブラックマトリクス」。このヘルメットは、2015年のSFに出る為だけに作ったやつ。この時は、ステータスGPのカラーが黒と緑だったから「近未来的なデザインにしよう」と即決だった。そしてデザインも、前から考えていたデザインを採り入れたりと、かなりカッコイイデザインに仕上がった。

 

4つ目は「リブート・リスタート」という、ヨーロッパ復帰の際に作ったやつで、2016~17年のGP3で被っていた。この時のデザインは「白紙からまた作り上げよう」というイメージで作り上げた為、白を基調とした、とてもシンプルなデザインになったりしている。

 

5つ目は、2018~20年のFIA-F2世界選手権最終戦アブダビGPレース1の時まで被っていた「ナスタチウム・カローラ」。このヘルメットは、初めて「花」を採り入れたデザインでもあり、これ以降「ナスタチウム」を採り入れる様になったのも、これがきっかけ。ナスタチウムの花言葉は「光の道筋」「勝利」という縁起が良い花言葉になってるのも理由の1つなのと、俺の誕生花というのもある。

 

6つ目は、「1レース限りの限定ヘルメット」と言われてる「Bell HP7・ブロッサム・カローラMS1」という、今は亡き親友の三鷹 誠真選手が被っていたヘルメットだ。このヘルメットは、2020年のFIA-F2世界選手権最終戦アブダビGPレース2のみAraiの許可を得た上で被ったやつで、「伝説のヘルメット」と言われても可笑しくない存在でもある。これでゴールライン通過した時は、中で泣いてたなぁ。そして、その後に行われたF1ヤングドライバーテストにもこのヘルメットでエントリーして、アルファタウリAT01・ホンダを走行していたりもした。ちなみにこれが、俺自身唯一の海外メーカーのヘルメットだったりする。ぶっちゃけた話、こっちの方がAraiよりかは、少しばかし軽かった。

 

7つ目は、一昨年のF1世界選手権の時に被った「シューティングスター」。これは、もう楽しくデザインさせてもらった記憶しかない。このヘルメットは、ブラジルと最終戦アブダビを除くほぼ全てのレースで被ったやつでもあり、「F1でも、俺らしく輝こう」という意味を込めてたりもする。

 

8つ目は、昨年のF1で、日本GPを除く全てのレースで被った「サンシャイン・ミカン&サクラ」。直訳すると「輝くみかんと桜」という意味になり、正しくその言葉どおりのシーズンにもなった。そして、俺が被った最後のAraiヘルメットでもある。

 

9つ目は、日本GP限定ヘルメットの「シャイニング・スピカ」。このヘルメットは、元々晴南のメットだが、日本GP特別企画の一つとして、「お互いのヘルメットを交換して走る。」

という企画で被ったやつだ。「アルファタウリ」と言うだけあって、星座をイメージして作っただとか。

 

10個目は、俺がキャリアで初めてAraiからBellにスイッチして、今シーズン用に作った「ひろがるスカイ!HP7」これは、スポンサー絡みもそうだけど個人的にもやりたかった事をやっただけの話である。そして、今シーズンから、キュアスカイの「イヤーカフ」を着用したり、髪の毛を青色に染めたりと、色々イメチェンしたりもしている。

 

ちなみに限定ヘルメットを含めると、かなりの数被ってるけど、ここに挙げちゃうとキリないから、割愛させてもらったよ。



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新車発表会

前回のテストから、しばらく経って迎えた2月11日。世間一般は、3日後のバレンタインデーてキャーキャー騒いでる頃合いだと思うが、F1ドライバーには、そんなもんあるはずが無い。F2の頃だって、この時期はチームとの契約やらで色々忙しくて、気にも出来なかった。というよりもしてる暇なんて無かった。そして今日は待ちに待った新車「AT04」の発表会。今年はMIZUNOがスポンサーと言うだけあって、鮮やかなカラーリングになったと聞いてはいるが、実際見たのはカーボン地剥き出しの時だけだから、今日が初対面となる。遂に待ちに待ったマシンの発表時刻となり、AT04がベールを脱いだ。俺と晴南の目の前には、MIZUNOのコーポレートカラーでもある「ミズノ・ウォーターブルー」と「ひろがるスカイ!プリキュア」のロゴがあしらわれたマシンが現れた。マシンのノーズとリアカウルには、「1」と「81」を纏っていた。そして、マシンのニックネームも発表され、俺が「スカイ」で、晴南が「プリズム」というニックネームになった。その際、お互いのレーシングスーツやヘルメットも公開され、かなり注目を集めた。実は今シーズンから、足周りとトランスミッションをレッドブルから供給してもらう事ととなり、実質「カニバリズム」が可能となった為、何かあったとしてもすぐに対応出来る様なマシンになった。ちなみに、ザウバーも俺ら同様にレッドブルからの部品供給を受ける事が決定しており、かなり戦闘力を向上させたとの事だ。今シーズンから、パワーユニットエントランスが「レッドブル・パワートレインズ」から「ホンダ・レッドブル・パワートレインズ」に改められ、約2年ぶりにホンダがF1にカムバックする形になった。そして、お互いのレーシングスーツには、それぞれ「OGK Kabuto」と「Arai」のロゴもあしらわれていた。あとは「HONDA」のロゴも復活した為、すごく安心感も漂っていた。背中にはお互いのナンバー「1」と「81」、「HIKARU」「SENA」もプリントされていてひと目で分かる様な仕様になっていた。これはアルファタウリの「専売特許」に近いもので、チームが始動した2020年から変わらずにやってる事だ。実はあの当時のも保存しており、「38 HIKARU」「39 SENA」というデザインだった。今シーズンは、俺から言わせると「重圧」がのしかかって来るシーズンになる事は、間違いない。何故かと言うと、背番号「1」を背負ったからには、それに相応しい結果と走りが求められるからだ。そして、リザーブ兼開発を担当してくれる明日香ちゃんのスーツとヘルメットも公開されて、今シーズンのアルファタウリのマシン及びドライバー発表会は幕を閉じた。



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Round0.5 バーレーン合同テスト

シーズン開幕を間近に控えた今月。遂にバーレーンのサクヒールで、全チーム合同テストが始まった。俺らアルファタウリは、3日ある内の中一日をリザーブの明日香ちゃんに走らせる事にした。あとの2日を俺と晴南が担当する事にした。そしてザウバーは、レッドブルとのテクニカルパートナーシップ協定を締結した為、チーム名が「レッドブル・ザウバー・ホンダRBPT・ひろがるスカイ!プリキュア・レーシング」に変更された。今回のテストは、規則の関係上、リザーブも走らせなければいけない為、どのタイミングで走らせるかも鍵になっている。でも、このテストの目的は、タイムアタック合戦では無くて、あくまでもデータ取りがメインになっている為、無理に上位勢に合わせる必要性なんて何処にも無い。その為、各々のペースで物を進める事も出来るのが今回のテストだ。そして、各車一斉にコースイン。その間ガレージでは、「フロアビズ」という特殊なインクと、それ用のカウルとかをスタンバイしていた。俺は、「最年少世界王者」という肩書きを持って挑む、今シーズンのF1。俺は、シーズン開幕前に自身のSNSで「今シーズンのFIAF1世界選手権を持って、私、九嶋 輝は、F1でのレギュラードライバー生活に一度サヨナラを告げようと思います。理由としては、当初の目的である世界王者を達成出来た事。そして、日本で君が代を流すという事を達成出来た事、日本人最年少ドライバーとしての役目を全う出来た事が主な理由です。後任は既に決めており、ドライバーには、西木野明日香ちゃんを指名したいと思います。来季は、アルファタウリのリザーブとして動きつつ日本で活動する事になるでしょう、ただメインは国内なので全戦帯同は難しくなります。参戦カテゴリーは、またその時になったら発表します。ですが、これが今生の別れではありません。また状況が一変する事態が起きたら即座に引退を撤回します。」と投稿して、今シーズンで一度F1のレギュラードライバーを引退することを発表した。だけど、ホンダとアルファタウリ側から「レギュラーとして残留してくれ」と要請されたら即座に引退を撤回すると決めている。そんな中迎えた今シーズン。俺は、昨年の「正常進化版」とも言えるAT04を初めて乗ったにも関わらず、レッドブルのRB19のタイムよりコンマ2秒遅れのタイムを叩き出して、周囲を驚かした。だけど次の周回で事件は起きた。走行中に「べコンッ!」という聞き慣れない音がメット越しから伝わって、緊急ピットイン。そのまま一度ガレージへと引き上げた。カルロからは「何があった…って凹んでるじゃねぇか!?何かやったか?」と聞かれて、俺は「何もしてないよ。何か俺も走行中にべコンッ!とかいう聞き慣れない音がメット越しから伝わって、戻って来たんだよ。考えられる原因としたら、風圧にノーズが負けて凹んだ。その一択になる。」と説明した。はっきり言って俺もビビった。凹んだのはいい。その後だ。問題は。いきなりマシンの挙動がおかしくなって、暴れだした。勿論俺らは、フロントノーズコーンなんて目視確認出来ないから、何があったかなんて分かるはずもない。分かるとしたら、音だけ。俺は、フランツ監督に「晴南を一度ガレージに戻して欲しい。もしかしたら俺と同じ問題が起きる可能性がある。」と説明して、ガレージへと戻す様に言ってもらった。そして、一度ガレージへと2台揃って戻ると、何故かこのフロントノーズコーンのみ「欠陥」が見つかった。その為、予備のパーツに交換して、もう一度コースイン。今度はロングランに徹してデータ取りをした。こうして初日を終えて、2日目。この日は、リザーブの明日香ちゃんを俺のマシンで走らせる事にしている。晴南は、自分のマシンで、開幕戦に向けてのデータ取りに徹する事に。その傍らで俺は、昨日発生した凹みの特定を、俺の担当クルー達と更にはアルファタウリのR&D部門にいる水瀬さんとヤルノと一緒になってする事にした。何度もTVポッド視点の俺のオンボードを見返してはスロー再生を繰り返して、原因特定をしていた。すると水瀬さんがとんでもない発見をした。「ちょっといいかい。ん?待てよ?何でこんな所に微細な凹みがあるんだ?もしかしたらこれが悪さしてたか?輝くーん!ちょっとカモン!」と水瀬さんに呼ばれて「はいはーい!!すぐ行きます!!」と言って向かい、映像を見せてもらうと「原因特定出来たよ。これ、気付く人が皆無と言っても過言じゃないやつで、実はこれには、微細な凹みがあったらしくてそれが風圧に負けて凹んだというのが原因だよ。良かったぁ。前持って見抜けて。」と教えてくれた。そして2日目は、晴南とリザーブの明日香ちゃんが、かなり良い仕事してくれたおかげで、データが大豊作。そして迎えた最終日。最終日は、これまでの改善点等を踏まえた上で走る事にした。結果から言うと、かなり良いペースで走る事ができた。そして、前年度型のAT03Bをベースにしてる為か、かなり高い戦闘力がある事も分かったテストだった。



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AT04のスペック

今回は、俺と晴南とリザーブの明日香ちゃんがドライビングする、スクーデリア・アルファタウリ・AT04のスペックを公開するよ。

 

車両名 スクーデリア・アルファタウリ・AT04・ホンダRBPT

 

エンジン レッドブル・パワートレインズ・ホンダ・HONDA-RBPTH002S(ホンダRA623H)&RBPTH002P&RBPTH002UDS&002M

 

 

 

シャシー スクーデリア・アルファタウリ製(以下、自社製)カーボンコンポジット・モノコック

 

 

 

フロントサスペンション 自社製カーボンコンポジット・ウィッシュボーン/トラックロッド/アップライトASSY/サスペンションロッカー/トーションバー/ダンパー

 

 

 

リアサスペンション レッドブル・テクノロジー製カーボンコンポジット・ウィッシュボーン/インポート式トーションバー/ダンパー

 

 

 

ブレーキダクト フロント/リア共に自社製

 

 

 

トランスミッション レッドブル・テクノロジー製カーボン・コンポジット・メインケース縦置き油圧制御8速+リバース1速 クラッチオペレート・パワーシフト

 

 

 

デフ 油圧制御 マルチプレート

 

 

 

クラッチ 油圧制御 マルチプレート

 

 

 

エキゾースト レッドブル・パワートレインズ製

 

 

 

ステアリング 自社製 油圧パワステ付きラックアンドピニオン式ステアリング

 

 

 

ブレーキ 自社製/レッドブル・テクノロジー製

 

 

 

シート 自社製 各ドライバーの体型に合わせたカーボン・コンポジット製

 

 

 

タイヤ ピレリ製18インチタイヤ

 

 

 

燃料システム 自社製

 

 

 

総重量 798kg

 

 

 

ドライバー Car No1 九嶋 輝、Car No81 佐藤晴南、Car No74 西木野 絵梨子(開発兼リザーブドライバー)

 

 

 

マシンの愛称 No1 スカイ、No81 プリズム、No74 プレシャス。三者共にチーム名にひろがるスカイ!プリキュアが入ってることから、愛称も現行や過去作の主要キャラから取っている。

 

 

 

HONDA-RBPTH001(ホンダRA623H)詳細

 

エンジン型式 水冷4ストロークV型6気筒 DOHC 24バルブ 直噴シングル・ターボエンジン

 

 

 

排気量1.6リッター

 

 

 

バンク角 直角(90°)

 

 

 

最大回転数 15000rpm(レギュレーションで定められている)

 

 

 

バルブ数 吸気2、排気2の合計4バルブ(これもレギュレーションで定められている)×6の計24バルブ

 

 

 

ボアストローク 80mm×53mm

 

 

 

クランク高 90mm

 

 

 

ターボチャージャー ホンダとIHIで共同開発した、ボールベアリング・ツインスクロールターボ

 

 

 

最大ブースト圧 無制限

 

 

 

圧縮比 18.0(これも規則で定められている。)

 

 

 

最高出力 多分ざっとだけど、ERSと併せて1050~1100psくらい出てるんじゃない?多分ICE(ガソリンエンジン)単体でも880~920ps出てると思うよ。

 

 

 

最大トルク 非公開

 

 

 

使用燃料 E10(ガソリン90%に対してエタノール10%を混ぜ合わせたアルコール燃料)

 

 

 

潤滑油 モービル1

 

 

 

製造国 日本 HRC-SAKURA製(栃木県さくら市)

 

 

 

メンテナンス元 レッドブル・パワートレインズ(英国、ミルトンキース)

 

 

 

シートベルト タカタ製6点式シートベルト

 

 

 

ハイブリッドシステム一式 HRC-SAKURA製



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特別編 今シーズンのエントリーリスト

昨シーズンは、アルファタウリとも互角に戦った、オラクル・レッドブル・レーシング・チーム・ホンダRBPT

 

マシンは、RB19

 

パワーユニットは、ホンダRBPTH001

 

No33 アレックス・フェルスタッペン(フル)(オランダ)(Schuberth+CASTORE)

 

No11 ダニエル・ペレス(フル)(メキシコ)(Schuberth+CASTORE)

 

No38 柳川結希(開発+リザーブ)(日本)(Arai+MIZUNO)

 

No41 綾瀬愛乃(開発+リザーブ)(日本)(OGK Kabuto+HRX)

そして、3年目となる今シーズン。2連覇なるか?!MIZUNOスクーデリア・アルファタウリ・ホンダRBPT・チームひろがるスカイ!プリキュア

 

マシンは、AT04

 

パワーユニットは、ホンダRBPTH001

 

No1(スカイ) 九嶋 輝(フル)(日本)(Bell+MIZUNO)

 

No81(プリズム) 佐藤 晴南(フル)(日本)(Arai+MIZUNO)

 

No74(プレシャス) 西木野 絵梨子(開発+リザーブ)(日本)OGK Kabuto+MIZUNO)

 

そして、今シーズンは「ホンダファミリー」に仲間入りした、ザウバー・ホンダRBPT・チームひろがるスカイ!プリキュア

 

マシンは、C43

 

パワーユニットは、ホンダRBPTH001

 

No40(ウィング)宮藤 星奈(きらな)(フル)(日本)(Arai+アルパインスターズ)

 

No24(バタフライ)李 一飛(イーフェイ)(20歳)(フル)(日本)(Arai+アルパインスターズ)

 

No68(マジェスティ) 園田 すずこ(開発+リザーブ)(Arai+アルパインスターズ)

 

今シーズンは、王者奪還を目指す、メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム。

 

マシンは、W13

 

パワーユニットは、メルセデスM13E Performance

 

No44 ライアン・ハミルトン(フル)(イギリス)(Bell+PUMA)

 

No63 ジャスティン・ラッセル(フル)(イギリス) (Bell+PUMA)

 

今年は、速さを取り戻すことが出来るのか?スクーデリア・フェラーリ。

 

マシンは、SF23

 

パワーユニットは、フェラーリ066/7

 

No16 エディー・ルクレール(フル)(モナコ)(Bell+PUMA)

 

No55 ラファエル・サインツ(フル)(スペイン)(Bell+PUMA)

 

今シーズンは、シューマッハに代わりヒュルケンベルグが加入した、ハースF1チーム。

 

マシンは、VF-23

 

パワーユニットは、フェラーリ066/7

 

No27 ラルフ・ヒュルケンベルグ(フル)(ドイツ)(Schuberth+アルパインスターズ)

 

No20 ジミー・マグヌッセン(デンマーク)(Bell+アルパインスターズ)

 

今シーズンは、ガスリーとオコンの「幼馴染コンビ」となったBWT・アルピーヌ・F1チーム。

 

マシンは、A523

 

パワーユニットは、ルノーE-tech RE22

 

No10 オリビエ・ガスリー(フル)(フランス)(Bell+アルパインスターズ)

 

No31 ミシェル・オコン(フル)(フランス)(Bell+アルパインスターズ)

 

今シーズンは、オランダの超新星デフリースが加入し、アメリカの大手電池会社デュラセル社と、ガルフとスポンサー契約をしたウィリアムズ・レーシング。マシンカラー結構カッコよく仕上がったとの事。

 

マシンは、FW45

 

パワーユニットは、メルセデスM13E Performance

 

No23 マックス・アルボン(フル)(タイ)(Arai+OMP)

 

No21 ニコラス・デフリース(フル)(ルーキー)(オランダ)(Bell+OMP)

 

今年は更なる飛躍が期待される、コグニザント・アラムコ・アストンマーチン・レーシング。

 

マシンは、AMR23

 

パワーユニットは、メルセデスM13E Performance

 

No2 ローガン・ブラッドレー(フル)(ルーキー)(アメリカ)(B+アルパインスターズ)

 

No18 ドミニク・ストロール(フル)(カナダ)(スティーロ+アルパインスターズ)

 

No28 フィリップ・ドルゴビッチ(リザーブ)(ブラジル)(Stilo+アルパインスターズ)

 

そして今年もハイテンションコンビ継続のマクラーレンF1チーム。

 

マシンは、MCL37

 

パワーユニットは、メルセデスM13E Performance

 

No88 ナイジェル・ピアストリ(フル)(オーストラリア)(ルーキー)(Bell+スパルコ)

 

No4 リチャード・ノリス(フル)(イギリス)(Bell+スパルコ)

※年齢は、昨年のエントリーリストに+1してもらえれば有難いです。



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Round1~4 ラストシーズン開幕(バーレーン~アゼルバイジャンGP)

前回のテストから、遂に迎えた開幕戦バーレーンGP。ここでは、ザウバーがPUを切り替えた事が功を奏して覚醒した。予選では、星奈と一飛揃ってフロントロー独占という結果に。レッドブルとアルファタウリは、何とかしてトップ10に入った。決勝では、晴南のタイヤ戦略が成功してぶっちぎり優勝というレースになった。俺は最後まで一飛の猛攻を防いで2位でフィニッシュ。一飛は3位とRBPTホンダが独占した。

 

続く第2戦サウジアラビアは、何と俺のミスと言えば、限界を超えた事による走りによるクラッシュ。マシンが自分との限界を超えたとも言える状態だった。予選Q3で何としてもポールが欲しかったあまり、思いっきり攻めていた矢先に、一昨年フェルスタッペンも餌食になった壁に接触。でも2位は確保出来た為一安心。決勝では、大荒れのレースと化した。まずは俺が終盤にERS(運動エネルギー回生システム)がご臨終した状態でICE(ガソリンエンジン)のみでの走行を強いられたり、晴南も晴南でブースト圧がなまじ不安定になったりしていたらしく「いきなりドッカンは辞めて欲しかった…」と零していたほど。俺は今季初優勝を遂げたが、その直後にECUが異常検知をしたのかは知らないが、突然マシンがストップ。無線は辛うじて生きていて「キルスイッチでも押したか?」とカルロが聞いてきて「俺は何も押してない。押したと言えばドリンクとかだ。」と言い返したりもした。レッドブルは、フェルスタッペンが2位に。ペレスが4位に入った。ザウバーは、星奈が3位。一飛が相手のミサイル食らってリタイアという結果になった。

 

第3戦オーストラリアGPは、完全にレッドブルのペースに飲まれてしまい、その結果、俺はエンジンブローでリタイヤ。晴南は何とかポイント圏内での完走。星奈と一飛はポイント圏外ながらもノントラブルで完走するという結果に

 

第4戦アゼルバイジャンGPは、「超高速コース」としても名高い、バクーシティーサーキットを舞台にレースを行った。実は今年から規則が変わって「スプリントレース用の予選やるよ。」という謎規則が加わった。その為フリー走行がFP1だけという超鬼畜スケジュールに。メディアにこの事を聞かれた時は「はっきり言ってスプリントレース用の予選って何?本戦の予選とはまた別口なのは分かるけど、フリー走行が1回だけって…はっきり言って意味が分からないし、理解に苦しむばかりだ。ってか今のF1って一体何処へ向かってるのか、あまりよく分からなくなってきたの俺だけか?」とスプリントレース用の予選に否定的なコメントもしたりしていた。スプリントレース用の予選はフェラーリとの勝負を制して、晴南がポール、俺が2位。星奈が3位、レッドブル御二方が4,5位に入った。一飛は、アストンマーティンのブラッドレーにコンマ数秒の差で逆転されて8位。俺はスプリントレース開始前にフェルスタッペンに「なぁ、フェルスタッペン?この予選って何か意味あるのか?」と聞くと「ん〜意味は無い。寧ろヒカルの意見に大賛成だ。俺もはっきり言ってあまりこれを快く思ってないからな。」とあの独特なハスキーボイスで答えたりもしていた。スプリントレースでは、思わぬ番狂わせが起きた。何とアルピーヌのガスリーが2020年イタリア以来3年ぶり2度目の勝利を収めた。俺はデフリースの幅寄せにより駆動系を損傷してしまい、今季初リタイアを記録した。あの時に「デフリースの馬鹿は何を考えてるんだ?ここはフォーミュラEじゃねぇぞ!!あの馬鹿ちゃんとミラー見てたのかよ?最悪だよ。」と怒りを顕にした。駆動系で思い出したけど、今のF1が長いと感じてる皆、実は「ある部品」がその理由作ってるんだよ。そう「ドライブシャフト」だ。え?ってなった皆、大正解だ。年々あれが長くなる所為でマシンも長くなる。それだけだ。話を戻すと本戦の予選は、皆揃ってフロントロー独占という結果に。決勝は、レッドブルの御二方からの真っ向勝負に対して無線で「おいでなさい!!」と叫んだ程だ。この無線に皆は「これでこそF1だ!」「皆が求めてたのはコレ!!」「これはF1の中でも数ある名言のひとつだ!!」とSNSで、すごい反応をしてくれていた。そして俺はレッドブル御二方との真っ向勝負に競り勝ち今季2勝目をマークした。ザウバーと晴南は、最後のフィニッシュラインまで3ワイドでフィニッシュ。結果は、晴南が僅かな差で4位に。星奈と一飛はそれぞれ5,6位に入った。レース後にレッドブルの御二方から「最高のレースだったよ!ありがとう!!」と祝福されたりもした。実は「最高のレースだったよ!」というのには裏があって、例えブロックしてようと「最低でも1台分のスペースを設ける」というのを心掛けていて、そのおかげでとてもやりやすかったとの事らしい。



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アゼルバイジャンGPの無線集(決勝sideアルファタウリ)

[決勝LAP1] [輝side]

 

輝:まずは様子見だな。そこから物事考えよう。

 

カルロ:せやな。まずは最初さえどうにかなっちまえばこっちのもんやからな。

 

[晴南side]

 

晴南:よし!まずは生き残れた!あとは慌てずに自分のペースとリズムを保つのみ!!

 

トスト監督:その通りだね。

 

[LAP13] [輝side]

 

[カルロ:イエローフラッグ。イエローだ。

 

輝:何処で?誰やらかした?

 

カルロ:第2コーナー。やらかしたのはアルボンだ。

 

輝:分かった。あと、タイヤとかの情報頂戴。戦略変える可能性もあるから。

 

カルロ:了解。タイヤはこのペースで行けば、あと15周は持つ。どうする?入るか?

 

輝:ステイアウト。ステイアウトしよう。ギリギリまで走ってから入ろう。その方がいい。

 

カルロ:分かった。

 

[晴南side]

 

晴南:私のタイヤとかの情報頂戴。

 

ジュリオ:タイヤはまだガンガン使えるよ。ペースも良い感じ!

 

晴南:ありがとう。

 

[LAP15] [輝side]

 

カルロ:イエロー&SC解除!!

 

輝:copy!!

 

[LAP28] [輝side]

 

カルロ:ヒカル、この周でピット。この周でピットだ。

 

輝:分かった。ちょうどいいどころかナイスタイミング!!

 

[LAP33] [輝side]

 

輝:ヤバい。ERSに異常発生!フェイルセーフモードに入っちまった!!どうすりゃいい!!

 

カルロ:落ち着け。まずは1回ERSを殺してくれ。もうこうなった以上今更止めるなんて訳行かないから、そのままICEで走ってくれ!大丈夫!!メルセデスやフェラーリやアルピーヌよりウチらのは強いから!!

 

輝:ok!!ERSカット完了!!そのまま行く!!

 

[LAP40] [輝side]

 

カルロ:ERSの方はどう?復活しそうか?

 

輝:その兆しは見えつつある。残り10周…耐えながらも走ってやらァ!!

 

[晴南side]

 

晴南:私の今のペース教えて。

 

ジュリオ:今のペースは、ザウバー2台に対してかなり差を付けてるよ。この調子で行こう!!

 

晴南:ありがとう!!

 

[LAP45] [輝side]

 

カルロ:ERSはどうだ?

 

輝:っしゃぁ!!ERS復活ktkr!!

 

カルロ:ふぅ…良かったぁ。あと、後ろからレッドブルの御二方が来てる。どうする?真っ向勝負挑んで来る気だぞ!もしかして、残り5周でトドメ刺すんじゃ…

 

輝:良いじゃん!乗ったよその勝負!!受けて立とう!!そうでなきゃ面白くねぇよ!!

 

カルロ:そう来なくっちゃ!!

 

輝:さぁ…おいでなさい!!!

 

[晴南side]

 

ジュリオ:ブルーフラッグ。ブルーフラッグだ。

 

晴南:誰に?

 

ジュリオ:晴南に提示されてる。身に覚えあるか?

 

晴南:ちょっと待って。何か嫌な予感が…やっぱりね。輝だ。

 

ジュリオ:分かった。とにかくまずは譲ろう。

 

晴南:了解。輝、遂に本気になったね。

 

[LAP46] [輝side]

 

輝:またERSだ。もういいや。この際ICEのみで走る!

 

カルロ:おい正気かよ!?

 

輝:俺は正気だぞ!残り4周だぜ?潔くこのまま走る!

 

カルロ:了解。

 

[LAP48] [輝side]

 

輝:このまま逃げ切る!!

 

[LAP49] [輝side]

 

トスト監督:落ち着いて行こう!君なら勝てる!私もそう確信してるから!!

 

輝:ありがとう!トス爺!

 

[LAP50] [輝side]

 

カルロ:ファイナルラップだ!

 

輝:絶対に勝つ!!

 

[Finish] [輝&晴南side]

 

カルロ:輝、優勝おめでとう!!今季2勝目だね!レッドブル側からも「良い勝負出来て良かったよ!!」と大喜びされてるよ!

 

輝:ありがとう!!これも皆のおかげだよ!!

 

晴南:終わった~。キャリアで一番疲れたレースだと思うよ。

 

ジュリオ:お疲れ様。最後の横一列は痺れたよ!!

 

晴南:最後まで諦めないで良かったよ。ありがとう。



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3年後の事。

今月24日、ホンダはモータースポーツに関する「重大発表」をした。「2026年のFIAフォーミュラワン世界選手権に、私達ホンダ技研工業株式会社は、アストンマーチンのエンジンサプライヤーとして再び復帰する事をここに表明します。」というのを表明した。俺の中では「今シーズン限りで、しばらくF1は引退してお休みする。」と決めてはいたのものの、SNSで「先程の発表通り、ホンダがF1にホンダRBPTとしてでは無くてホンダとして復帰する事を表明したのは、皆さんご存知かと思いますが、ここで俺からも重大発表させてください!私、九嶋 輝は2026年のFIAフォーミュラワン世界選手権に復帰する事をここに表明します。復帰するチームとは既に交渉をしており、レッドブル及びアルファタウリ双方の許可を得ての交渉という形になりました。チームメイトに関しましても、最大のヒントとも言えちゃうのが、数字の最初が4で始まる、とある日本人ドライバーとの事です。結論から言ってしまうと2026年シーズン終了を持って、そのチームメイトと共に引退しようと決断したという理由もあります。今のチームメイトである佐藤晴南選手も、2026年シーズン終了を持って引退すると決めている為、この様な決断を下しました。長文になりましたが、話にお付き合いして下さり誠にありがとうございました。」と発表したところ、Twitterのトレンドには「F1復帰」「ホンダ」というワードが占めていた。その際、俺も決めていたのが「最後は星奈と走りたい。あの時に最後まで一緒に走りきれなかった悔しさが残ってるのと、最終戦は、2人してポディウム乗って誠真にちゃんと笑顔で優勝報告したいから。」と星奈に伝えたら「良いよ。その願い叶えてあげる。F2時代に最後まで一緒に走り切れなかった残り周回を一緒に完走しようよ。」と快諾してくれた。晴南には「晴南、俺は2026年シーズンを持って引退する決断を下したよ。だけど最後は晴南の「ライバル」として走りたい。本気で抜き去って前を走る姿を見たい。だからお願い。チームメイトは絵梨子ちゃんに任せるけど、エースは晴南になって欲しい!」と伝えたら「輝くんが、ライバルか。分かった!ただ私も言わせて欲しいな。私も2026年シーズン終了を持って引退する!もう存分に楽しめたからね。この世界を。私なりに。」と快諾どころか自らも引退すると伝えてくれた。そして、今シーズン終了を持って1回お別れを告げると決めているが、理由は「スーパーGT500&スーパーフォーミュラへのフル参戦」が決定しているからだ。と言ってもTGMの代表直々にSFのオファーを出してくれた事が大きい。ボリュクバシ君の「教育係」として走って欲しいという事だった。莉音ちゃんは、来季ダンデライアンへの移籍が決定してるだとか。



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Round5~8 運命のロイヤルストレートフラッシュ(アメリカ~スペインGP)

アゼルバイジャンでの死闘から、舞台をアメリカのマイアミ市街地へと移して迎えた第5戦。遂にトランスミッションにも手が付け加えられて、改良型が満を持して投入される事に。しかも6台分供給されるという事だ。しかしフリー走行では、ザウバーとアルファタウリのみにスピンする問題が続発。俺も走行中にバランスを崩してスピン。その後にブレーキを踏むものの、AT03の欠点であった「ブレーキトラブル」がAT04で再発。晴南に関してはクラッシュとまさに踏んだり蹴ったりだ。星奈と一飛は、ハイドロ系かなんかのトラブルでバルサンしてストップ。そんな感じのフリー走行だった。フリー走行後に、皆して原因を調べてくと、意外な物が全てだった。「カイル(俺のミドルネームでもあり、ニックネーム。)!ちょっと来てくれ!」とヤルノに呼ばれていくと「何これ?付けた記憶無いよ。」と言われて俺は「もしかして、コイツが悪さしてたな。」と呟いた。ヤルノに「まさか独立ブレーキ機構の事か?」と聞くと「おう。俺からしてみればマジで無用の長物でしかないヤツ。使い所無いのに投入したからな。多分コレが悪さしてたな。」と答えた。こうして、密かに投入していた「第3のブレーキ」を取り払って迎えた予選。走ってみると普段と変わらない様子で楽々Q3まで進出。ポールポジションを獲得した。2位には星奈、3位にフェルスタッペンという荒れ模様に。決勝では、コースの地形を活かした走りで終始リードを拡げて独走勝ち。

 

第6戦エミリア・ロマーニャGPは、と言いたいところだけど…イタリアを襲った豪雨でやれたものでは無かったので、レース自体が延期というか中止に。俺らはどうしようも無かったので、ひとまずファクトリーに向かい、被害等が無いかをチェックしつつ掃除をしていた。まさかF1GPが「水かきGP」になるなんて思わなかったよ。その間に今年のマカオグランプリの概要が発表されて、2019年以来4年ぶりのFIA-F3世界一決定戦が復活。日本からは、黎 可可(リー・クゥクゥ)ちゃんと柚木(ゆのき) 莉音ちゃんとケナン・ボリュクバシ君とアキラ・ハレワタールちゃんとVAR3人衆の7人がマカオFIA-F3ワールドカップへと挑む事が発表された。俺は行こうかどうか悩んでいて、トス爺やマルコ総帥にも相談したくらいだ。そうしたらVARの方へと「サポート」として行って欲しい。という指令が出た為11月前に一度VARの方に出向いたりして、顔合わせを行ったりする事に。当然晴南も同行する事になった。

 

「水かきGP」から一転して迎えた第7戦モナコGP。セッティング自体は昨年のキャリーオーバーだ。初日から、俺と星奈の対決で終始盛り上がっていた。予選でも2人の対決にメディアは注目。結果はコンマ数秒の差で星奈がポールポジションを奪取した。インディ500でも愛咲ちゃんがルーキーながらポールポジションを獲得と、世界三大レースの内2つが同日開催というスケジュールの為、すぐに情報が来るのだ。決勝では、F2さながらのレースを展開して、観客を盛り上げた。最後は、星奈が俺の猛追を振り切って優勝という形に。3位に晴南が入ったが、ゴール直後にエンジンブローを起こしてストップしたりも。

 

続く第8戦スペインGP。カタロニアリンクは、改修工事が入り、最終コーナーが削られて「高速型」へと変貌した。フリー走行でも、マシンが安定してるおかげでトップタイムを連発。予選では、Q3に行けるかというところで、他車に走行妨害をされてしまいQ2でノックアウト。この悔しさは決勝にぶつける事にした。決勝では、怒りの14台抜きを演じて優勝。悔しかっただけに喜びも大きかった。2位にハミルトン、3位にラッセルが入りメルセデスが久方ぶりのポディウムを獲得した。



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Round9~12 災難から奇跡へ(カナダ~ハンガリーGP)

前回のスペインから舞台をカナダに移して迎えた第6戦。ここで晴南に思いもよらないアクシデントが起きた。実は現地入りしたのはいいけど、体調不良で大事をとって欠場する事がアルファタウリから発表された。代役はリザーブとして全戦帯同している絵梨子ちゃんが務めることになった。俺からすると、初のF1デビュー戦となる彼女が少し心配だった。リザーブと言ったって実戦は初。そこだけが唯一の心配だった。フリー走行は、ルーキーながら4番手に入るなど、インパクトを残していた。予選では、Q3まで生き残り、晴南の分までしっかり仕事をしていた。俺はフェルスタッペンのすぐ後ろである2位に着けた。決勝では、最後にタイヤ戦略を成功させて俺が優勝。絵梨子ちゃんも「初陣」を3位表彰台で締め括るという素晴らしいレースだった。ザウバーも2台揃って入賞という結果に。

 

第7戦オーストリアGPは、晴南が復帰してのレースとなった。ただここで俺はまさかのリタイアを喫してしまう。しかも前回やられた時同様デ・フリースにだ。それはレース終盤の時だった。俺はこのまま走り切れば2位表彰台を死守出来る!そう思いつつ走ってた時に、どっからか知らないけど、デ・フリースがいきなりラインを被せかけて俺に接触。2台揃ってリタイアという最悪の結末を迎えてしまった。俺は悔しさと怒りのあまり、ハンドルに手を何度も何度も叩き付けて、無線で「デ・フリースの野郎!マジでふざけんなよ!いい加減にしろよ!!ルーキーだからって物事の善悪も分からねぇのかよ!!クソ野郎が!!普通あんなラインで被せねぇだろ!!バカが!マジであの野郎イカれてるよ…2度目だぜ?2度目!信じらんねぇし、考えらんねぇ!あぁもう!!俺のレース返せよ馬鹿野郎…ふざけやがって!!次やったらガチで仕返すつもりで行こうかな?そうじゃないと分からねぇみてぇだからな!あのバカは!」と無線で怒りを顕にした。一方晴南は、優勝という形に。レース後俺は、ウィリアムズに向かい、「アルボン、悪ぃけどさ、デ・フリース呼んでくれるかい?話したい事あっからさ。」とアルボンに一声かけて彼を呼ぶと俺は「あのさ、ルーキーだからって馬鹿みたいに攻めた走りしない方が自分の身の為だと思いな。注目されたい気持ちも分かるけどさ、流石に物事の善悪くらいは分かろうよ。前回のアゼルバイジャンの時だってそう。ラインとか幅とか良く考えて走れよ。頼むぜ、マジで。」と言って、自分ちに戻ろうとしたらアルボンから「言いたい事は済んだかい?俺からもキツく言っておくから。後は心配するな。悪かったね。俺の相棒が馬鹿やってお前のレースお釈迦にしちゃって。」と謝罪されたが俺は「ありがとう。アルボン。けど、あまりキツく言わんといたげて。流石に可哀想だからさ。」とフォローしたりもした。

 

第8戦イギリスはFIA-F3&F2の併催となった。蓋を開ければ日本勢が躍動していたりした。F1では、俺がQ2でトラックリミットを取られてしまい、ベストタイム抹消ペナルティを受けてしまった。その為、決勝を13番手スタートで迎える事に。晴南や他のメンバーは、Q3まで生き残り、決勝を迎えた。俺は「あの畜生!許すまじ!!」と怒りが臨界点に到達しかけていた。そしてスタート。俺は、ロケットスタートを決めて、1コーナー突入時に8番手までジャンプアップ。そこから怒涛のオーバーテイクショーを披露して、見事優勝という結果に。更にファステストラップを記録して1ポイントをゲットした。ゴール後俺は、かなりスカッとした表情で「ついさっきまで怒りが臨界点に到達しかけていたんですけどね…トラックリミットが気に食わなかったんですよ。でも、やり切りましたよ!すごく体軽く感じます。」と笑顔でインタビューに応じたりもした。

 

第9戦ハンガリーは、このラウンド前にデ・フリースがまさかの解雇という中迎えた。代わりのドライバーは誰かと予想していたら、レッドブルからレンタルでリカルドを起用する事になった。俺からすると一昨年の因縁が残っていたりもする。未だに思い出す一昨年のこのラウンド。僅か10周で終わってしまったレースを。そんな因縁を抱えてもいる。そして予選では俺とリカルドの一騎打ちを展開した。結果は俺のぶっちぎりポールに。決勝は、リカルドvs俺と晴南というレースを展開。普段とはひと味もふた味も違うレースに観客も大盛り上がり。結果は、リカルドが復帰後初優勝。俺と晴南はコンマ数秒差のダブルチェッカーとなった。正直悔しさよりもやりきった感と爽快感がめっちゃ多かったレースだった。次回は、思い出深きベルギーからのレース。そして俺と晴南は、岡山国際サーキットへと向かう為に一時帰国するのであった。



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来季の体制

F1も前半戦を消化している中、来季の体制がどうなるのかHRCの方から伝えられた。俺は、チーム国光からシビックタイプR-GTを駆る事が決定してるとの事だ。ヘルメットは再びAraiを被る事にしている。自分の中でも2015年以来のGT500カムバックとなる為、何もかもが「初めて」なのだ。その為、ハンガリーGP終了後に一時帰国して、岡山国際サーキットへ向かう事に。俺は来季の予行演習も兼ねて今シーズンは、リザーブ兼第3ドライバーとしてスーパーGTへの参戦もしている。すると晴南の方もARTAの方から「スーパーGTに出てみたくないか?実は、ゆいちゃんが都合合わなくなったみたいで…」と声をかけてもらったらしく、8号車の第3ドライバーとしてエントリーをしたとか。この発表にファンは「F1以外で2人の対決を見れる日が来るなんて!!」と大盛り上がり。メディアもこの発表に、かなり注目していた。ただヘルメットデザインがネックなのだけど、これと再来月24日決勝の日本GPに向けて俺は、「ソアリング・キュアスカイ」という限定ヘルメットを準備している。デザインとしては「ひろがるスカイ!プリキュア」のメインキャラである、キュアスカイをイメージしたデザインにしている。対する晴南も「ソアリング・キュアプリズム」というキュアプリズムをイメージしたデザインのヘルメットを用意してるとか。実は、「プリキュア・レーシングプロジェクト」というのはプリキュア生誕20周年記念プロジェクトの1つだ。でも、何故俺がチーム国光から再びカムバックしたかと言うと、このテストの前に俺から「来季スーパーGTに復帰するのならば、チーム国光から再びリベンジしたい!」と熱烈なラブコールを送りまくってこの様な形になった。晴南も過去にARTAに助けてもらった恩返しをしたくて、交渉した所エントリーが実現したとの事だ。ただ、晴南はスーパーGT500クラス史上初の「女性ドライバー」として一際注目を集めていた。対する俺は2015年以来のカムバックを快く歓迎してくれた。ただ、500クラスで3人体制なのはホンダ勢2台のみという状況だ。ただ晴南の場合は西住選手がトレーニングで負傷している為、それの「保険」として加入しているとか。ただスーツはお互いにF1でも使用しているMIZUNOを着用する事に決定した。その為、スーパーGTに初めてMIZUNOを持ち込んだドライバーにもなっており、俺はスーパーGT500クラスにBellを持ち込んだ最初の日本人ドライバーにもなった。



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シビックタイプR-GTシェイクダウン

ハンガリーGPが終わった後、俺と晴南は岡山国際サーキットで行われる、スーパーGTの3メーカー合同テストに参加する為に日本へと一時帰国していた。既に車両自体は前日にお披露目されており、俺が来年乗ることも決定している。だけど間近でシビックタイプR-GTを見た時はその大きさに驚いた。そしてスーパーGT500で唯一の5ドアハッチバックとの事だ。その上ロングホイールベースの為、直進安定性が優れてる。だけどまだ乗ってないので乗り心地や走りは「未知数」なのだ。しかも現行規定の車は初ドライブなので個人的にも心配だ。そこは晴南も一緒だと思う。けどホンダ勢には「秘蔵っ子兼隠し球」として成瀬ひかるちゃんがいる。あのドライバーは童夢スタートゥインクル・レーシングで小原ララ選手とタッグを組んで走ってる一方でこの車両の開発ドライバーも担当している。その為、現地に着くやいきなり俺は童夢の方に向かい、彼女に「シビックタイプR-GTってどんな挙動するのかを教えて欲しい。」と聞いたりしたほどだ。程なくして、テスト走行の時間となり、俺はマシンに乗り込んだ。全ての電源を起動させてエンジンをスタートさせると、「タイプR」の名に相応しいエンジン音が聞こえて来た。そしてガレージからコースインする時は、多くのメディアがカメラで撮影していた。俺は、挙動や特性に慣れるために最初は様子見で走行した。そこから全開走行へと切り替えた。実は親父もこのニュースを見ており、岡山国際サーキットへと向かう前に電話で「お前が来季乗るシビックタイプR-GT見たけどロングホイールベースだろ?なら、俺が最初に乗ったスカイライン2.0GTパサージュと一緒だな。ロングホイールベースマシンはショートホイールベースマシンより動きが鈍い。だから曲がる時はワンテンポ遅らせて曲げろ。あとはとにかく慣れろ!それだけだ。」と言われたのを思い出して走行していたけど、実際GT500は1030kgとLMHやLMDHと同じ軽さなので、ワンテンポ遅らせる必要など皆無なのだ。俺は、次の富士戦に向けての予行演習も兼ねてのこれなので貴重なデータにもなる。そうこうしている中周回を重ねてガレージに戻ってマシンから降りると「かなり面白い挙動するね。久しぶりにこんな楽しいマシン乗ったよ。すごく楽しい。それにF1と一緒のグランドエフェクト車だからF1での走り方をすぐ転用できる。それと…市販バージョンのシビックタイプR買おっかな。」とコメントしたりもした。晴南も、初のGT500を楽しんでいた。そして晴南も俺と同じ様な事を言っていた。ただ晴南は500ルーキーあるあるの「洗礼」を浴びた。それはコースインする前に「スカンッ!」という音を立てて、まさかのエンスト。俺は無線で「圧縮高いから回さないとクラッチ繋がりにくいから気をつけてね。アンチストールも無いし。」とアドバイスしたら今度は無事にコースイン出来たなんて一面もあった。俺は、市販バージョンのシビックタイプR(FL5)にも乗っており、挙動と操縦性が気に入って購入検討段階に踏み込んでいたが、なかなか踏み出せずにいた。けど、今回のシェイクダウンで改めて「タイプR」の「真髄」を知れたのと、「タイプR」というホンダの「歴史」に改めて触れられたので購入することを決めた。俺は、テスト後、たまたま来ていた地元のホンダカーズの営業さんにも勧められて「お値段は…」と切り出すと「買います!今この場でハンコ押します!!」と即決で新型シビックタイプRを現金一括払いで購入する事にした。これには、晴南や皆も驚いていた。そして早くもこれを痛車にするのと、日本での足としても使う事にした。



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2023 SUPER GT Round4 FUJI 450km RACE

前回のテストから暫くして、俺と晴南は富士スピードウェイへと向かった。そう、スーパーGT第4戦富士450kmがあるからだ。現地入りして各々のチームに向かうまでは「平常運転」だったが、去り際に「予選と決勝容赦なく来い!」と俺が言うと「当たり前よ!私もそのつもりだったから!」と晴南が返してチームに合流した。そして、改めてチーム国光のスーツを身に纏うと、8年前の懐かしい思い出が甦った。あの時もNSXで今回もNSXと何だかんだ言ってNSXと縁がある俺だ。前もってシートは製作してるので特にこれといった事は無い。ただ、MIZUNOはレーシングスーツとシューズのみを製作してるだけなので、グローブやインナースーツはアルパインスターズをF1で使っている。その関係でグローブやインナースーツのみアルパインスターズなのだ。俺のスーツには、多くのスポンサーロゴがプリントされていた。BellやらPrettyHolicやら色々と。ただ、FR仕様のNSX-GTは初なので、こっちも色々素性を知るべく、練習時間が欲しいと監督や尚貴さん優一とかに直談判した程だ。だけどメットを持ち込むにあたって一つ問題になったのが「クーリングホース」をどこに着けるかだ。GTの規則では、このホースを装着する事が義務付けられている。俺はAraiに許可を得た上で2015年に使用していた物をベルを扱ってるモノコレへと送った。「これを参考にしてください」と。すると、次の日にはクーリングホースとアタッチメント類が俺の元へ届いた。と言っても何故か不思議な事にモノコレ側から「実は、Arai時代のヘルメットを拝見させてもらいましたが、かなり興味深い冷却ユニットの構造だったので良い参考になりました!」と感謝のメッセージが添えられて送られて来た。中身を見るとArai時代のやつとほぼ構造も一緒だったのだ。これには俺も驚きを隠せなかった。それでも重量は、Araiよりも軽い。HANSとかグローブやアンダーウェア、更にはフェイスマスクも普段F1で使ってる物をキャリーオーバーしている。これは晴南も一緒との事。お互いのスーツには「HFDP」のロゴと「HRS-F」のロゴもプリントされている。久しぶりにチーム国光に来た俺だけど、やっぱり雰囲気はいつものチーム国光で一安心していた。他愛も無い話で盛り上がったり、笑ったり、これがいつものチーム国光。こうして迎えた木曜フリー走行。各メディアは、俺と晴南の走りに注目していた。俺はマシンに乗り込み、コースイン可能時間まで待機していた。そして、コースイン可能時間となりガレージから待機列へとならんだ。8年ぶりとなるスーパーGT。でもやっぱり緊張するのは変わらなかった。ピットレーンシグナルがグリーンになり、コースイン。けたたましい音を響かせた。俺は慣らし運転を行いつつ全開走行を開始。久しぶりのGTを堪能していた。初日をトップで終えたチーム国光。決勝に向けて最高のスタートを切る事ができた。2日目は、メイン2人組の走りを見てどこが自分に足りてないのかを研究する事に充てていた。2日間のフリー走行を終えて迎えた予選。ここではホンダ勢が躍動した。全陣営、Q2までノックアウトすること無く突破。そしてQ2。ここでは、俺と晴南の「ライバル対決」にファンが盛り上がった。俺は、Q2アタッカーだったので始まる直前まで、チームメイトの尚貴さんとか優一とかと作戦を練っていた。作戦がまとまり、俺はメットを被ってマシンに乗り込んだ。ガレージから予選待機列へと並んで、開始の合図を今か今かと待っていた。目を閉じて感覚を研ぎ澄ましていた。聞こえてるのは観客やファンの歓声やエンジンのアイドリング音と自分の心音。ピットレーンシグナルが青になってコースイン。ウォームアップを挟んでから、ホームストレートに戻って来てアタック開始。メイン2人組もモニター越しに見守っていた。晴南は、俺が出たタイミングを見計らってコースイン。俺とのポール争いを繰り広げた。結果は、俺がコンマ数秒の差でポール争いを制した。そんな白熱した予選から一夜明けて迎えた決勝。天候は雨。スタートドライバーは、尚貴さんに任せる事にした。一通りの儀式を終えて俺はガレージへと撤収して、出番が来るまでモニター越しにレースを見届けていた。途中2度の赤旗を挟みながら、遂に俺の出番が回って来た。ARTA8号車も同タイミングで晴南の出番となった。そして2台のNSX-GTがピットイン。給油とタイヤ交換を終えて、ドライバー交代。俺がコックピットに収まり最後のスティントを迎える事に。多分両チームのトップもレースを盛り上げようと敢えて最後に持っていったのかもしれない。ピット作業が完了したと同時にジャッキが降りてピットアウト。先に出たのは、俺ら100号車。その次に8号車という形に。そこから超スプリントレースに突入。お互い譲らないレースに観客は大盛り上がり。そしてレースはファイナルラップに。その時、ホームストレートで並ばれたが、俺はフロントにブレーキのバランスを集中させる様にバランサーを弄ってたので、1コーナーで上手く被せてトップを死守。晴南も負けじと食らいついてるのがモニター越しに見えた。だけどこっちは過去にGTを走ってるので、一枚上手。そう簡単に譲る訳ない。俺は、晴南が次どういう動きを取るかを予測していた。そしてクロスラインの立ち上がりで封殺した。こことラストのS字をクリアすればこっちの勝ち。俺は、最後まで気を抜くことなくクリアしてホームストレートに戻って来た。晴南もすぐ後ろで戻って来て横に並んでゴール。だけど結果はコンマ1秒差で俺が優勝を勝ち取ったのと同時に、ホンダ勢に今シーズン初勝利を、BellにもスーパーGT500クラス優勝をプレゼントする事も出来た。俺はゴール後に「8に並ばれた瞬間終わったかと思ったァ〜。ふぅ。勝てて良かった!」と無線で話していた。一方晴南は「いやぁ〜最後行けるかと思ったのにぃ!!でも初のスーパーGT楽しかったです!!」と感謝を述べていた。これはポディウムでも変わらなかった。



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Round13~16 Majesty(ベルギー~シンガポール)

前回のハンガリーから、舞台をベルギーに移して迎えた第13戦。今年もまた、いつもの場所へと向かい、花を手向けて、手を合わせた。あの事故があった場所は改修されてるにはされてるが、決して「安全」とは言い切れる状態では無かった。けど、あの時に比べれば安全になった方である。一方マシンには、このラウンドから日本GPまでの間、限定デザインで走る事が決定した。一方ザウバーからは、すず子ちゃんがフリー走行を担当する事が決定した。これは、F1の「若手起用規則」というのに則ってとの事。俺らアルファタウリのマシンには、それぞれに「+1」という数字を日本GPまで入れている。そして、マシンには、それぞれの衣装をベースにしたデザインを施している。フリー走行が始まると、先陣切ってコースインしたのは俺。とにかく鈴鹿までには、ある程度ポイントを獲得して、2連覇への望みを繋げたい所。今年は9月開催だから例年に比べれば早い方。フリー走行では、両日程、データ収集も兼ねて走り込んだ結果トップで終えた。迎えた予選。予選では、ホンダ勢による白熱したポール争いが展開された。Q3まで誰1人欠けることなく通過して迎えたシュートアウト。俺は、タイミングモニターとライブタイミングを注視しながら、走る準備をしていた。晴南がトップになった瞬間にコースイン。前もってタイヤを加熱していた為、フルスロットルでアタックを開始した。結果は、俺がポール争いを制した。晴南は2位とホンダ勢がポールから6位までを独占する結果になった。続く決勝。今年も、誠真の為に勝つと1人、静かなる闘志を燃やしていた。儀式を一通り終えて、静かにマシンに乗り込んで、スタートの瞬間を待ち侘びていた。SCランがスタートして俺は落ち着いて1周走行してグリッドに戻った。シグナルが全て消えてレーススタート。スタートは、俺が的確に決めてトップを死守して、オールージュに向かった。晴南は、一飛と2位争いを展開してサイド・バイ・サイドのままオールージュに突入。ラディオンからケメルストレートの間でERSをフル活用して、晴南が逃げ切った。俺は、最後まで一度もトップを譲ること無く完封勝利を達成。晴南は、フェルスタッペンとの争いを制して2位。星奈も最後までペレスを抑えて3位を死守してゴールという結果に。

 

続く第14戦オランダ。ここでは、俺が、何とザウバーの星奈が仕掛けた罠にハマるという、ガチでとんでもないレースになった。それは、確かレース終盤の出来事だった。俺は、このまま行けば2連勝だと快調に飛ばしていたが、ステアリングモニターでビハインドを確認していたら「P1Hik←P2kir 0.5sec behind」と出て来て、俺は「ん?待てよ?確か終盤までタイヤが持つように作戦練ってたはずだよな?対して向こうは、ハード、ミディアム、ソフトだからタイヤが死んでるはずなんだよ。これはどういう事だ?まさか!?」と思った事が全ての運の尽き。完全に作戦が見透かされていたらしく、わざとスタートと終わりをソフトという戦略を立てていた。俺は無線で「ごめん…これ完全にハメられた。星奈のやつ、こうなる事を事前に分かってた上で罠仕掛けやがった。ガチで勘弁してくれよ。」と言うと「確かに今回はハメられたな。一本取られたよ。とにかく今はこの順位をキープしよう。シャンパンを飲めることには違いないんだからさ。彼女には、座布団1枚をあげたいくらいだよ。」とトス爺から来て、俺は「トストさん?笑点見てました?」等と返したりしながら、星奈にトップを譲る事になった。正直言ってめちゃくちゃ悔しかった。ゴールした後に俺は星奈に「今回は、一本取られたよ。マジであの罠はエグいって(笑)!頼むから日本GPではやめてくれよ。お願いだ!」と言うと「最近晴南ちゃんと喧嘩したんだって?ちょっとした作戦のズレかなんかで。だから私が「輝には、晴南ちゃんに少し当たり散らした事を思い知らせる為に罠仕掛けとくから安心してね。」なんて言ってあの罠を仕掛けたって訳。少しは反省しなさいよね。全く…。」と完全に呆れつつも、喧嘩した事を見抜かれていた。そう。ハンガリーかどっかで晴南は、俺に対してと言う訳では無いが、無茶な仕掛け方をして同士討ち寸前まで陥った事がある。俺も俺で悪かったが、レース後にマシンから降りて「あそこで普通派手に仕掛けるか?隣から見た時、半歩間違えてたら俺を撃墜してたぞ。」等と言ってくうちに、言い合いになったりしていた。俺は、戻る際にも何度もオンボードを見返してあれは無いと首を横に振っていた。星奈も晴南には「喧嘩したんだって?ちょっとしたイザコザで?」と聞いたりしてたとか。そんな中で今回の作戦を思い付き実行したとの事。あの後ちゃんと謝ったのに…。星奈よ…確かに気が済まないのは分かるけど、アレはナシよ。本当に。

 

オランダからの高速連戦となる、第15戦イタリアGP。ここでは晴南と星奈によるハイスピードバトルが展開された。それはレーススタートからの事だった。あまりのハイスピードバトル故に俺も何とか追いつこうと飛ばしていたが、尋常ではないペースに俺もチームから「無理に追いつこうなんて馬鹿な事はやめろ!PUがダメになる!!抑えてくれ!!」と言われて泣く泣く抑えて走ることに。晴南も星奈と一進一退の攻防戦を演じていた。俺は飛ばし過ぎたのが仇となってしまい、タイヤが終わって緊急ピットインを余儀なくされた。だけど、諦めきれずに4輪共にフレッシュソフトを装着して最後の賭けに出る事にした。ピットアウト時に、ブラッドレーの前に出てアンダーカットを成功させてコースに復帰。3位をキープしたまま、終盤戦に突入。どうしても上に行きたい俺は無線で「エンジンモード12ポジション6を使わせてくれ!!今のままじゃ追いつけねぇよ!もうこの際PUの耐久性とか信頼性云々とかほざいてる場合じゃねぇよ!!」と叫ぶとトス爺が「分かった!エンジンモード12ポジション6の使用を許可する!!」ど言ってくれたので、すかさずダイヤルを回して追いかけ回すことにした。そしてゴールライン手前で星奈に追いつこうと頑張った所でフィニッシュ。俺は、2戦連続の3位表彰台こそゲット出来たものの、星奈の強さを改めて知る良い機会にもなった。

 

イタリアでの高速連戦から、日本GP前最後のレースとなった第16戦シンガポールGP。このレースの1週間後に日本GPという「超ハードスケジュール」が待ち構えている。とにかく日本GPの前には、何としても2勝目が欲しい所。俺は、昨年の二の舞を踏まないかと、95%という超高確率で当たると評判のウェザーニュース先生の力をお借りして、天気予報を確認していた。ウェザーニュース先生の情報だと、全日程通して「青空快晴」という結果に。これにはアルファタウリのメンバー皆の顔も笑顔になった。そんなウェザニュー先生を見たりX(Twitter)でくだらんツイートを投稿してる時だった。マゼピンから突然DMが来て「ダブノネヴィデリス(久しぶり)、ヒカル。そういえば次日本GPだろ?鈴鹿サーキットに行ったことないのと、俺はどうしても、ヒカルのチームからレースを見たい!!どうにか相談できないか!!間違えてもギュンターの所になんて行くなよ!!またシューマッハに何言われるか分かったもんじゃねぇからよ!!」というDMが来て、俺は「ダブノネヴィデリス!マゼピン!元気そうでなによりだよ!そういえば、お前ん所、結構泥沼化してるけど平気か?ビザがokならば入国可能だから、一度日本大使館に相談してみて欲しい。こっちからも色々やっとくけど。あとはアルファタウリの方にも相談してみる。ほら、一昨年俺とデビューした時に悪印象持たれてるから…。だけど久しぶりにお前の顔見たくなってきたよ。」とDMを送った後に、トス爺やらマルコ総帥やらに相談した所okが出たので、マゼピンに「今、トストとマルコ総帥に相談した所ok出たから大丈夫よ。」と連絡を入れたりと、かなり前準備をしていた。レースの方も、日本GPまで温存しているアップデートを前倒しで投入する事を決断した。特に俺の場合は、前戦イタリアでの「絶望的」なパワー不足が露呈していた為、開発コード「RBPTH002UDS」又の名を「アップドラフトシャイニング」と呼ばれる「最終決戦特化型PU」というのをここシンガポールで先行導入した。その甲斐あってか、フリー走行から、トップタイムを連発していた。ただ、今シーズンのアップデート優先順位は、基本的には晴南の為、晴南にも同様のPUの「上位互換機」とも言える「RBPTH002M」通称「マジェスティ」が投入されている。ただレッドブルは、こんな事しなくても強いのでやってないだとか。ザウバーは、元々今季型を導入する前提で動いてたが、開幕前のテストで昨年のPUを試した所、それが気に入ってしまい、2台共に昨年の鈴鹿仕様(001-S)を使ってるだとか。予選では、新PUが真価を発揮してくれたおかげで、晴南がポールを獲得した。2番手には俺という形に。続く決勝では、俺がタイヤ戦略を大成功させて優勝した為、晴南の王者獲得を上手いこと妨害して日本GPまで先延ばしさせる事が出来た。晴南が王者獲得をする条件としては、ここで勝つか次の日本GPで優勝、もしくは優勝+ファステスト、俺がリタイア及び6位以下というのが王者獲得をする条件である。

 



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Round17 日本GP 母国凱旋帰国SP

前回のシンガポールから、すぐに迎えた日本GP。俺らはレース終了後すぐに、日本へと帰国する準備をして、日本に帰って来た。今年は、何とホンダとの特別企画として、レースウィーク前に全国の小学校、中学校、高校で「特別授業」をする事が決定した。その際に、昨年俺が王者を獲得したAT03B(プレシャス)を持って行って実際に生徒達に乗ってもらうという事になった。俺は自分の母校である、沼津の高校での特別授業が実現した。晴南は小学校、星奈は中学校、一飛も高校という形になった。俺は「今、自分の隣にあるのは、昨年の日本GPで王者を獲得したマシン、スクーデリア・アルファタウリRBPT・AT03B、又の名をプレシャスが隣にいますね。懐かしいな。カーナンバー71。今は7取れて1を着けてるから余計懐かしいんだよね。そんなプレシャスに今日は、ホンダとアルファタウリの協力の元、特別に皆に乗ってもらおうかと思います!!ステアリングも日本GP仕様のままです!!」と言うと先生達も大盛り上がり。特別授業の方は、生徒達からの質問や疑問に「F1ドライバー&F1世界王者」としての目線から答えたりもした。ある生徒からは「九嶋選手にとって、一番精神的に辛かったシーズンってありますか?」とかなり斜め上からの質問が来た時は「そうだね。2019年のFIA-F2選手権かな。本当にサマーブレイク明けから辛かったね。頑張ってんのに報われずじまい。ベルギーだと2レース共にマシンが立て続けに壊れて、レース2の時にエンジンブローした際、ケメルストレートのコース脇で悔しさのあまり泣いてたね。あのシーズン無かったら今頃、自分はF1に居ないと言っても過言では無いよ。それくらいすごかったよ。」と答えたり、「今シーズンは、プリキュアとコラボレーションしてるとの事ですが、ヘルメットデザインやスーツのデザインはどうやって決めてるのか気になります。」と来た際には「今着てるこのデザインは、プリキュアの衣装をベースにデザインしたり、ヘルメットも一緒かな。」等と答えたりもした。一方マシン体験の方は、実際に俺が乗り込んで、レースウィークの再現をした。俺がマシンに乗り込んで「パワーユニット、スタートアップ!レディー・トゥ・レース!!」と言ったりとかもした。生徒達をマシンに乗せる際に「間違ってもステアリングは投げないでください!!これ一個で、現行シビックタイプRの新車が現金一括で買えるくらいするんで!!と言っても多分分からないの人が多そうなので、分かりやすく言うと、現行フィットRSの新車が現金一括で約8台買えると思ってください!!それくらいヤバい代物なので降りる際は必ず、今回来ている自分の担当メカニックであるカルロか自分に渡してください。それでは、普段皆が乗ってる車とはかなりかけ離れてる事を体験してもらいます!!」俺も生徒達の方へと向かい、ステアリング系のスイッチとかを分かりやすく説明した。そんな俺も最初は「多分皆さ、DAZNとかさ、ネトフリとかでさ寝っ転がって菓子食って、ジュース飲んで美味い美味い言いながらF1楽しんでるのが目に浮かぶけど、俺がこんなのやってたらヘルムート・マルコさんがガチギレしてるよ笑。それを想定して、F2とF1のヤングドライバーテスト終わってからイタリアのファエンツァって所に引っ越したんだけど、休日くらいはね。と見たりしてるよ。」と言うと一同大爆笑。そんな中、ある生徒が「九嶋選手は、今シーズンで一度F1から離れるとSNSで明かしていましたが、2026年に復帰すると発表した際にどういう経緯があったのか気になりました。」と質問した際には、「これ言って大丈夫系?」と確認してok取れたので「言って大丈夫系でした。俺が3年後に復帰すると決めた経緯は、アストンマーチンがホンダとタッグを組んでエントリーするという事になったのと、今、他の中学で同じ事してる宮藤選手とどうしてもF1キャリアのラストランを同じチーム、同じカテゴリーで走りたいと決めてて、双方の意見が合致して、じゃあ復帰しますってなったかな。その間の2年はスーパーGT&スーパーフォーミュラに出る事にもなってるかな。」なんて答えたりも。そんな中、俺の特別授業は大盛況の中終えることが出来た。後で今シーズン出てる俺ら3人のグループLINEでもどうだったかを聞いたりなど、かなり楽しく過ごす事ができた。



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Round17 日本GP 母国凱旋帰国特別授業スペシャル

シンガポールGPを終えてからすぐさま日本へと凱旋帰国をした俺ら4人。今年はホンダとの特別企画として小中高での特別授業をする事が実現した。それの俺バージョンの話だ。俺と星奈は沼津のとある私立高校を卒業しており、それの「恩返し」も兼ねての授業だ。無事に高校に到着すると、3年間世話になって絶大な信頼を寄せていた学年主任の先生が「おぉ〜!!九嶋君と宮藤ちゃん!!久しぶりだねぇ!!昨年の日本GP見たけど凄かったね!!」等と盛り上がっていた。俺と星奈は、「先生、久しぶりです。今回俺が呼ばれたのは言うまでもなく、ホンダとアルファタウリそしてザウバーの特別合同企画の一環として行われる授業でここに来たということです。生徒の皆様には、普段のF1の流れとか、色々気になる点が多いので質問を最低1つ考えておいて欲しいと伝えて欲しいです。あと、これは俺と星奈の直筆サインです。是非来賓用の玄関にでも展示してください。」と言うと「わかった。九嶋君と宮藤ちゃんがそういうのならば喜んで!!」と快諾してくれた。そして時間になり、俺と星奈はレースギアに着替えてホールへと移動して、スタンバイをしていた。生徒達が「九嶋選手〜!!宮藤選手〜!!」と叫ぶと俺と星奈は「パワーユニット、スタートアップ!!レディ・トゥ・レース!!」と返して、RBPTH002の始動音を流して登場すると、大歓声が巻き起こった。俺はステージ上で「どうも皆さんこんにちは!!MIZUNOスクーデリア・アルファタウリ・ホンダRBPT・チームひろがるスカイ!プリキュア・レーシングの九嶋輝です!!」「皆さんこんにちは!ザウバー・ホンダRBPT・ひろがるスカイ!プリキュア・レーシングの宮藤星奈です!!」と言うと大きな拍手が巻き起こった。さてと、このメット類を脱いでっと、ふぅ。今、皆「アレ?九嶋選手のヘルメット、昨年とメット違くない?」って思ったでしょ。正解!実は今シーズンからAraiとの比較検討用として、アメリカのメーカーBellの「HP7」というのを被ってるよ。後で皆には昨年まで使ってたAraiのGP7と、今被ってるBell HP7を実際にHANSデバイス装着の上、被ってもらいます!!普段F1ドライバーは、こういう視界で走ってるんだよ!って皆にも体験してもらいます!!さぁ、ホンダとアルファタウリとザウバーの合同企画、「F1High school」スタートです!!まず皆はF1って知ってるかな?と俺が言うと皆は首を縦に振ってくれた。知ってて良かったよ。モータースポーツの頂点にも君臨してる上に世界的にも認知度高いからね。俺と星奈がデビューしたのは一昨年なんだ。ちょうどその時は、ホンダの「ラストイヤー」シーズンだったんだ。今は「ホンダ・レッドブルパワートレインズ」という「バッジネーム」で走ってるよ。ところで皆はF1ドライバーって聞くと、まず何が浮かぶかな?超がつく程リッチな生活を楽しめたり、皆のヒーローとか色々浮かぶよね。俺からしたら、超がつく程リッチな生活なんて、完全に無縁とは言いきれないけど無縁に近いね。まぁこんな前口上は、置いといてと。まず自己紹介を改めてさせて欲しいな。と言ってパワポを起動した。名前は、さっきから言ってる通り、九嶋輝。職業は、見ての通りF1ドライバー。生年月日は、2003年の3月18日。血液型はB型のうお座です。次に私の自己紹介をさせてください。私の名前は、宮藤星奈。職業は九嶋選手同様F1ドライバー。生年月日は、2003年11月29日。血液型は同じくB型です。多分この中にもファンがいる事が信じてるので、ある程度知ってるんじゃないかと思います。まずは、俺のF1までの道のりと行きたいのですが、多分紹介だけでだいぶ尺食うんで、海外フォーミュラ系から行かせてください。海外フォーミュラデビューが実は10年前のGP3という今のFIA-F3と呼ばれるF1直下カテゴリーのひとつです。GP3って言って分かった人は、相当なマニアです。そこから8年後の2018年に、隣に居る宮藤選手と一緒にFIA-F2にプレマというイタリアの強豪チームからデビューして2020年に世界王者になって、一昨年、一緒にF1デビューという形になってます。実はここまで来るのには、決して一筋縄ではありませんでした。FIA-F2でも、俺の場合は王者獲得に3年近い年月を費やしてたくらいです。その傍らでHRS-Fという鈴鹿サーキットでやってるレーシングスクールの講師も担当してました!今はアンバサダーとして、たまにペレス選手達と鈴鹿サーキットに行ってます。愛車は、今年発売されたばかりのシビックタイプRのFL5と呼ばれている型式と「一般道走行可能なレーシングカー」として有名な、インテグラタイプRのDC2と呼ばれる型式のType96という96年式仕様とS660βの計3台に乗ってます。1台はプリキュアの痛車にしておりますがFL5の方もプリキュアの痛車にする計画で動いてます。ぶっちゃけ言うと、維持費がずば抜けてヤバいのがDC2です。買った時は、保険屋さんにもガチで嫌な顔されましたね。よく事故りまくって千切れてるんで。あとは税金が途方も無いですね。プライベートの愛車はこんな感じです。私の愛車は、フィットRSというホンダフィットの「ホットグレード」の3代目の後期に乗ってます。それでは、普段F1ドライバーは何やってるのか気になる人が多そうなので事前に寄せられた質問の回答コーナーにします。まずは「普段、F1ドライバーはオフの時、何をして過ごしてるのか気になります。」ほうほう。お答えしよう。オフの時は他チームのドライバーと遊んだり、チームメイトとレースの振り返りしたりトレーニングしたりと色々やってるよ。次は「レースどの様に流れていくのか気になりました。」そうだね。簡単に言うと、「会議で始まり、祝勝会やら反省会やらで終わる。」ね。次は「輝選手がどのようにしてFIA-F2に出たのか気になりました。」お〜、結構斜め上から来たね。当初は出る予定も計画も、走る予定も計画も無かったんだ。だけど、山本さんがとりあえずルーキーテストに出てみたら?と言われるがまま出たのがFIA-F2参戦に繋がったかな。シート交渉とかも、だいたい自分でやったね。お次は「輝選手、ciao!輝選手のスーツにあるゼロスタイルスヌースというのは何なのか気になりました。」あぁこれね。これは「嗅ぎたばこ」と言ってかなり歴史あるタバコだよ。口の中に入れて嗜むやつだね。勿論未成年はアウトです!!次は「輝選手は以前GTとSFにワイルドカードエントリーをしたと聞いてますが、SF23はどんな性格でしたか?」遂に来たか。この質問が。SF23は、ダウンフォース抜けた瞬間がどの車よりもずば抜けて怖い。後ろに着いてスリップ入った瞬間に変な動きをすると体勢崩しやすいかな。でもF1には近い挙動をしてるよ。これがラスト!「輝選手に質問です。レース中は、一体どんな事を考えて走ってますか?」キター!!これ聞く人遂に来たー!!レース中に何考えてるかって?勿論勝つ事は当たり前なんだけど、次どういう戦略にするか、どういう事がおきそうなのか、天気は?とか色々考えて走ってるよ。さて、お次は隣に居る宮藤選手への質問回答コーナーです!と言って星奈にバトンタッチ。「宮藤選手、こんにちは。宮藤選手は2021年にザウバーからのエントリーでしたが、宮藤選手から見た九嶋選手ってどんなドライバーでしたか?F2時代から同じステージで戦っていたということで質問してみました!あと最近あった事って何ですか?」という質問に星奈は「そうだね。私から見た九嶋選手は、F2時代に1度だけチームメイトだったけど、かなり速くてセッティングも結構奥深くまで煮詰めてるドライバーだね。ただメット被ってマシン乗ると別人になるけど、一度でもマシン降りてメット脱いで話してると結構面白いドライバーだよ。さっきだって皆大爆笑してたでしょ?そこに全てが詰まってるよ。あとは走りも異次元。私が走ってると2秒先に彼が居る。そんなのが当たり前だよ。たまぁに形勢逆転しちゃうけど、それもF1の楽しみでもあり醍醐味だよ。ね?輝選手!覚えてるよね?前回私がした仕返しをね?」と回答しつつ俺に振ってきた際に「おぉ!忘れる訳ねぇよ!!どんな仕打ちよりエグい事やったもんね。今何話してるかと言うと、前回のレースで俺が宮藤選手にフルボッコにされた話なんだけど、実はその前のラウンドでチームメイトの佐藤晴南選手とお互いの走り方をめぐって喧嘩しちゃって、その時に隣に居る宮藤選手が私に任せて!!って俺をね、見事に罠にハメて完膚なきまでにフルボッコにしたって言う話なんだけど、あれは結構来たね。アレはねぇだろ!普通!って。タイヤ戦略とかでガチで罠にハメられた俺に同情したのは、担当メカやってるカルロさんとメンタル面とか色んな面で世話になってるハンさんしかいませんでした!!」等と和気あいあいとした質問回答コーナーも終わった所で早速皆には、昨年世界王者を獲得したマシン、デリシャスパーティープリキュア・スクーデリア・アルファタウリAT03B日本GP仕様、又の名を「プレシャス」にヘルメットを被った状態で乗ってもらいます。と言うと星奈も「えっ!私も乗りたい!乗りたい!」とすごい反応もしていた。普段F1ドライバーがどういう目線で走ってるのかがよく分かると思います。まずはヘルメットの被り方をお見せします。メガネかけてる人は最初にメガネを外して、裸眼のまま被ってっと、顎紐を締めてメガネをかけて完了!あとはバイザーを下げて、これで準備完了です。あと、Bellはサイドロックなので、それの外し方を。まずはバイザーを少しずらします。そこからバイザーをおでこの所まで上げてください。Araiの場合は左にバイザーロックがあるので、左手の人差し指で押し上げながら右手でバイザーを上げれば大丈夫です。絶対に押し下げたりはしないでください!すぐダメになるので。後は、HANSデバイスを付けたまま脱げますが、外してやった方が楽です。HANSデバイスは、テーザーアンカーをクリップにカチカチっと、はめるだけです。次にマシンの乗り込み方は、右足から左足と順々に入れてから腕を上げて、スルリとマシンの中に入ってください。そして、当時使用したステアリングをはめる時も、黄色いリングを押しながら溝にはめてください。それと一つだけ辞めて欲しいのが、よくラッセルとかが事故って怒りのあまりハンドル投げてますが、あれ一つで、値段的にはフィットRSが8台分買える代物です。絶対に投げないでください!そしてシートベルトも6点式という特殊なタイプなので、慣れてる人は自力で行けます!慣れてない人は、男性は俺が、女性は宮藤選手が手伝いますので、挙手してください。あとは、ステアリングのスイッチにも触れないでください。せいぜいパドルシフトなら問題は無いです。また降りる時も、挙手してください。手伝います!では、搭乗体験スタートです。先生方も是非このF1マシンという「究極の車」を体験してみてください。こんなチャンス人生で1回あるかどうかなので。生徒の皆さん!是非今日の事を親御さんに自慢してください!!後は、写真もガンガン撮影してもらって大丈夫です!!と言って俺はサポートに回りつつ、説明をした。そして、終わる際に俺は「ここでちょっとした発表をさせてください!!この学校の芸術コースの生徒達にマシンをデザインしてもらいました!!」と言ったりもした。こうして、特別授業を終えて鈴鹿サーキットへと向かうのだった。

 



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Round17 日本GP マシン搬入日

前回は、凱旋帰国をして地元の高校とかで特別授業をした後に、俺らは誠真のヘルメットを持ち込んで鈴鹿入りをした。そして、各々のガレージへと向かい、チームウェアに着替えて今回のレースの作戦やらを練っていた。俺は、このラウンドからというより、今シーズンからJT(日本たばこ産業)がスポンサーに就任してくれてレーシングスーツには、「オーラルタバコ」のブランド「ゼロスタイルスヌース」を掲げている。ちなみにオランダGPとかでは規制に引っかかったので、仕方なく「スラング表記」の「Zero」で応戦した。勿論俺もこれを愛用しており、ガレージ内ではお構い無しに使っている。マシンの組み付け時も、グリーンアップルライトというのを嗜んでいるほどだ。俺は、今回から投入される新たなデザインをまじまじと見ていた。日本GP特別仕様とは言えど、これを公開した際にファンからも「これで最後まで走って欲しい!!」と言う意見が多かった。同時に限定デザインのヘルメットを持ち込んで、晴南のガレージに置いて「誠真と俺の「1」On1」とTwitter(現X)に投稿したら「これは胸アツ!!」等とすごいリプが来ていた。晴南も晴南で星奈と色々雑談をしていた。実はホンダのPUには「スロットルバルブ」という概念が存在せず、「IGV(インテーク・ガイド・ベーン)」と言うものをスロットルバルブ代わりにしている。これのおかげで、省スペース化及び小型軽量化を実現出来ている。ザウバーにも同スペックの新PUを供給して、合計8台で他チームを「迎撃」する準備をしていた。昨年はここで俺が王者を獲得したが、今シーズンは、どうやらここで晴南が王者獲得を実現しようとしてる。アルファタウリも俺と晴南が来てから、戦況がかなり一変した。常に表彰台に登ることが当たり前のチームの仲間入りをしている。そして、カルロが「ヒカル、マシン組み終わったぞ。1回乗り込んでステアリングとか異常ないかチェックしてくれ。」と言って来て、俺は「分かった。」と返してマシンに乗り込んで、ステアリングを装着する時「スカイミラージュ、トーンコネクト!ひろがるチェンジ!スカイ!」と言うと、ディスプレイも日本GP専用演出になっている事を確認した。晴南も同様の演出をディスプレイに施してるとの事だ。ステアリングのスイッチも今シーズンから「ERS」では無く、「OBS」と言うスイッチに変更された。OBSと言うのは「OVER BOOST System」と言うERSの事だ。この時にDRSも動作チェックを済ませて異常が無い事を確認して組み付けを終えた。



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Round17 日本GP 木曜FP1~予選

マシン搬入を終えて迎えた木曜日。この日から、日本GPのレースウィークがスタートした。各々がオリジナルデザインメットを鈴鹿に持ち込んでいる。特にアルファタウリとザウバーは、プリキュアオールスターズF公開記念の特別仕様になっている。カウルには「Precure20th anniversary」と言うリバリーが追加されて、ザウバーのふたりは、それぞれキュアブラックとキュアホワイトをモチーフとした限定デザインメットを着用するとの事。対する俺らは、キュアスカイとキュアプリズムをモチーフとした限定デザインを持ち込んでいる。前回ラウンドのシンガポールの時点で俺の2連覇の夢がほぼ潰えた為、残りのラウンドで年間2位を死守する方向に切り替えた。そして、今回ラウンドでアルファタウリがワンツーないし、1台でも完走もしくはポディウムでコンストラクターズタイトルが決定というレースになった。この為、アルファタウリはいつも以上に気合を入れて日本GPに挑んでいる。フリー走行開始直前まで晴南と作戦の再確認やら色々行い、まずは俺が「偵察」も兼ねてコースイン。無線で色々情報を伝えて、晴南の王者獲得をアシストする事にした。ある程度情報を伝達しつつアタックを終えた俺は、一先ずガレージに。その後に、今回が初のF1GPウィークとなるさゆりちゃんにバトンタッチ。あとは、喫煙エリアでアイコスを嗜みながら走る姿を見守るのみに。すると後ろから「珍しいな。お前が走ってないなんて。俺が知ってる姿は、いっつもコース上にいて飽きもせずにガンガン走ってる姿なんだけどな?」という声が聞こえて、誰かと思えば「よっ!ヒカル!色々あったけど何とか間に合ったぜ。」とマゼピンが声をかけてきて「久しぶりだな!マゼピン!やっとお前に柿の種を渡せるよ。それとアイコス試してみるか?スモーカーの肩身が狭いこのご時世にもってこいだ。」と話すと「そうか。そういえばお前のスーツには、アイコスのロゴがあるからやってても不思議では無いのか。そういえばこのアイコスってたばこ、どこで買えるんだ!?教えてくれ!」とマゼピンが聞いてきて「これは、コンビニとか日本のタバコ屋かオンラインショップで帰る。ただし国の法律に則ってな。オススメは、今俺が吸ってる「テリア・トロピカルメンソール」って言うやつ。味わいがマイルドだし刺激も強くない。1個あたり580円だからお買い得だよ。」とオススメしたりもした。そんな俺は、マゼピンと一緒にさゆりちゃんの走りを見守る事に。俺は、絵梨子ちゃんに「さゆちゃん、すごく走りがまとまってるよ。HRS-Fで担当して良かったな。」と言ったりして、午前のフリー走行を終えた。ここからは、もう一度俺が乗り込んでコースイン。今度は、レコードラインを確実に捉えて、決勝前提の走りを披露してトップタイムを叩き出して木曜フリー走行を終えた。続く金曜は、ザウバーからすずこちゃんが担当ドライバーとして走る事に。アルファタウリは、2台同時にコースイン。データ収集に徹していた。金曜フリー走行から一夜明けて迎えた予選。誰もがアルファタウリのワンツーを期待して見守っていた。セッション開始と共に2台同時にコースイン。ウォームアップを挟んでからアタックを開始。晴南は昨年の悔しさを晴らすべく、驚異的なペースでアタックをしていた。俺も負けじとハイペースな走りを披露していた。ホンダ勢は、全員欠けることなくQ3まで生き残った。Q3にいる10台中6台がホンダと言う珍しい光景を日本で見せる事が実現した。Q3では、ポールを賭けた争いに豹変した。そしてタイマーが0になった瞬間に晴南が飛び込んで、コースレコードを更新してのポール獲得という成長ぶりを見せた。これには観客も大盛り上がり。歓声が響き渡った。俺は、パルクフェルメで「すげぇよ!あんな晴南を初めて見た!!」と祝福して予選を終えた。



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Round17 日本GP オープニング

2022年10月9日。この日は、F1の歴史が大きく変わった日でもある。九嶋輝が19歳という若さで、日本人及びアジア人ドライバー初の世界王者に君臨した。そして今日2023年9月24日。また1つ歴史が変わろうとしている。彼女の名は、佐藤晴南。京都府出身の彼女は、幼い頃からモータースポーツの虜になっており、F1の虜にもなっていた。そして2021年、スクーデリア・アルファタウリから九嶋輝と一緒に念願のF1フル参戦。慣れない環境で必死に戦う姿は、多くのファンを獲得して、見る者全てを「魅了」した。迎えた今年。遂に彼女は、ポイントリーダーとして鈴鹿に帰って来た。昨年掴みかけた栄光を取り戻すべく、「必勝体制」とも言える状態でのシーズンを送ってきた。さぁ晴南よ。お天道様が勝利の行方を占う時が来た。世界から選ばれし精鋭が集う「究極のモータースポーツ」F1。年間予算は、まさに国家予算レベルとも言われる。ほんの少しのミスが、即命取りにもなるF1。それを乗ることが許されるのは、世界中から選ばれた22名のドライバーのみ。そして再びF1に「新時代」の夜明けが来ようとしている。大観衆の中集まった22台のマシン。今、戦の準備が整った。それぞれの思惑や感情全てが交差するF1。今貴方の目に写ってるのは一体何?夢?未来?過去?それとも、現在(いま)?一度ヘルメットを被ってマシンに乗り込めば、そこはもう「別世界」へと豹変する。情け容赦無用の世界へと。今、その答え合わせが始まる。その答えを知っているのは、ただ1人のドライバーのみ!!狭いコックピットに身体を縛り付けて、マシンと心を通わせ、2時間を戦い抜く!その2時間は、まさに「異次元の中の異次元」!!選ばれし22名の侍達よ、戦の準備は整ったか?選ばれし11チームよ、戦の準備は整ったか?さぁ全てを結集させて戦に挑め!!侍達よ!!2023FIAフォーミュラ1世界選手権第17戦レノボ日本GP鈴鹿9月の陣。侍達よ、日出る地にて迎え撃て!!全世界を、全人類を、全チームを、そして歴史を席巻せよ!!晴南よ、晴れ渡る空にその名を轟かせ!!全人類よ、晴れ渡る空の元、歴史が変わる瞬間を、産声をあげる瞬間を、新たな1ページが加わる瞬間をこの目にしかと焼き付けろ!!さぁ全ての準備が整った!!2023年第73回FIAフォーミュラ1世界選手権第17戦レノボ日本GP鈴鹿9月の陣、ここに開戦!侍達よ、いざ出陣せよ!!



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第17戦 日本GP決勝

昨日の白熱した予選から一夜明けて迎えた決勝当日。鈴鹿サーキットには11万人近い大観衆が押し寄せていた。俺は、朝ガレージに到着すると、ミーティング前にピットエリアで必ずやってる「準備体操」のプリキュアのEDのTVサイズを踊っていた。今回はヒロガリズムを踊ってみた所、隣で晴南も踊っていた。実はこの「準備体操」、FIA-F2時代から欠かさずというより、一種の「ルーティン」として慣習化している。このプロジェクト発足前はラジオ体操第1をやっていた。これをやると体が軽くなってリフレッシュ出来るのだ。一方ザウバーはガンバランスdeダンスを踊ってたとか。そんな光景がファンに届いたのかかなり好評で、毎回リクエストがTwitter上に届いてる。そして、「勝負ネイル」としてプリティホリックのプリティアップネイル(シャイニーブルー)を晴南に塗ってもらい、準備が出来た。一方晴南は、シャイニーピンクを塗ってるだとか。あとは、ハンにティアオフバイザーを貼ってもらってる間に一通り準備して、チーム皆で円陣を組んで「今年も鈴鹿で王者取るぞ!!」と俺が言うと「おぉ!!」という掛け声をして各々の「持ち場」に着いた。天候は青空快晴。まさに王者獲得には持ってこいのコンディションだ。そして、レース前最後のチェックを行い、ウォームアップランに向かった。その際に「今年は去年のお返し。晴南の事を徹底的にバックアップする。後の事は俺に任せろ。後ろは蹴散らしとくから。」と言ってグータッチをしてマシンに乗り込みコースイン。鈴鹿サーキットにRA623HとRA623Sの心地好い快音を響かせた。ウォームアップランを終えて、決勝スタートが刻一刻と近付いていた。俺は、ガレージに置いてある誠真のメットに「行ってくるよ。誠真。またガレージで会おうな。」と言ってグリッドへ向かった。グリッドにマシンを止めてから降りて、そして国歌斉唱の準備をしていた。今年は陸上自衛隊音楽隊が担当という事だった。君が代を演奏し終えて拍手が起こった所でメットを被ってマシンに乗り込み、エンジンスターターコールで、エンジン始動。この瞬間に2人の目はレースモードに変わった。そこからSCランが始まった。本来なら余裕なんて無いはずだけど、何故か自然と観客に手を振っていた。SCランを終えてグリッドに着き、シグナルが1つずつ明かりを灯していった。まるでこの瞬間が永遠にも感じた。シグナルがブラックアウト。スタートは晴南が過去最高レベルのスタートを決めて飛び出した。その後に俺が後続を引き連れて1コーナーに進入した。ファンや観客の歓声がメット越しに聞こえてきた。俺も負けてられないと本気になった。最初の間は、晴南の様子を見ながら走っていた。その間カルロには「今、レースに集中したいからガチで必要な情報だけ伝えて欲しい。」と伝えてある為、レースに集中出来る。そして中盤。各車ピットタイミングとなった所で星奈の後ろでピットイン。タイヤをミディアムに変えてコースへ復帰。晴南は、その間アンダーカットを成功させてトップをキープしていた。晴南は、自分のペースで走っていた。レースもいよいよ終盤となり、これが最後のピットイン。俺は最後まで温存していたソフトを投入して、晴南との差を縮めながら後続を蹴散らす事にした。そして、晴南は無線で「アゼルバイジャンの再来ね!!さぁ…おいでなさい!!!」という無線が今季ベストバウト無線の1つとして入ったりもした。俺も「そう来ないとな!せっかくのレースが楽しくない!!全力でかかって来いや!!」と気迫ある無線を披露した。いよいよレースもファイナルラップに入った。お互い共に集中力を極限を通り越した領域まで持っていき、コンマ1秒を削る戦いを繰り広げた。両者共に最終コーナーを通過して、ゴールラインへ。結果は晴南がポールトゥウィンを達成したと同時に年間王者を獲得した。その際に俺は「ここまで清々しくて潔い負け方は初めてだよ!ここまで嬉しい2位も無いよ。何かやりきった感フルスロットルで何も考えらんねぇよ!」とカルロに無線で伝えると「そうだな。俺もここまで清々しくて潔くて嬉しい負け方は初めてだよ!」と共感してくれた。最後はお互いの健闘を称賛し合うかのように、ウィニングランを2台で走ると観客からとてつもなく大きな観客と拍手が巻き起こった。3位には星奈が入り、2年連続日本人による表彰台独占も実現した。パルクフェルメに戻ると俺は真っ先に晴南を抱きしめた。「おめでとう!!F1史上初の女性王者獲得!!俺は晴南と一緒に走れて良かったよ。」と涙を流しながら伝えたりもした。こうして「F1名レース」の1つにもなった日本GPも終わりを告げた。



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Round17 日本GP エンディング

2023年9月24日、この日はF1にまた1つ新たな歴史が生まれた。佐藤晴南がF1史上初の女性王者獲得という「歴史的快挙」を達成した。レース前、晴南はこう言っていた。「今は王者獲得もそうだけど、目の前の事、自分が成すべき事に集中したい。後の事は輝に任せてるので。」と。その答えは決して間違えてはいなかった。足掛け10年。その苦労が今日報われた。これまで何度も壁に直面しては、自分なりのやり方で乗り越えて来た晴南は、2021年開幕戦バーレーンGPで鮮烈なデビューを飾った。その高い適応能力は、F1ドライバーの中でも最高レベルの領域とまで言われている。デビューした時には「女性だからどうこう、その女性だからを払拭したいです。」と語っていた。その言葉が今日、遂に実現した。今年の日本GPは、今シーズンの中でもベストレースの1つと言えるであろう。随所でバトルを演じ、観客達を盛り上げたドライバー達の顔は、どこか特別な雰囲気を醸し出していた。

 

「亡き親友の夢と思いを乗せて。俺とお前の1ON1」あるドライバーは、叶わなかった夢を叶える為に、形見のヘルメットを持ち込んでレースに挑んだ。

 

「師匠の走りをこの目で。」あるドライバーは、リザーブとして師匠の走りをこの目に焼き付けた。

 

「極限を超えた戦い。」あるドライバーは、チームメイトと極限を超えたバトルを演じて、サーキットを盛り上げた。

 

「天高く羽ばたいて、最上よりも高く、さぁ行こうひろがる世界へと。」あるチームは国民的アニメのデザインを纏って鈴鹿を駆け抜けた。

 

「ユウキノツバサデ。」あるドライバーは、スタートする瞬間に翼が生えてるのを見たと言う。

 

「ヘンカトアソンデ。」色々な規定が変わった昨シーズンから、マシンやチームやドライバーは劇的進化を遂げた。

 

「アキラメナイ、マ・ケ・ナ・イ」あるチームのドライバーは、最後まで諦めずに鈴鹿を駆け抜けて、サーキットを感動の渦に包んだ。

 

「無限にひろがる青い空!」あるドライバーは、自分の推しキャラのデザインを施したマシンとヘルメットで駆け抜けた。

 

「今よりも前へ。更に前へ。」あるドライバーは、ルーキーながら自己ベストを更新する走りを披露した。

 

「誰よりも強く、誰よりも速く。」あるドライバーは、自分の出せる最大限の力を振り絞って鈴鹿を駆け抜けた。

 

今年もまた新たな歴史が生まれ、感動のレースになった日本GP。今、駆け抜けた全22名の侍達にこう伝えよう。「今年もありがとう」と。



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Round18~23 神話へと変わる1ページ(カタール~最終戦アブダビGP)

前回の日本GPから、カタールへと移動して迎えた第18戦。このレースはかなり印象的なレースになった。とにかく猛暑酷暑で2人揃ってそれにやられた。アルファタウリも冷却対策をかなりガチガチにしてるはずだったけど、カタールの猛暑酷暑には追い付けずじまいだった。結果としては、2人揃って何とかワンツーを達成したけど、その際に半歩間違えたら確実に死んでもおかしくない様な極限の状態で走り切っての完走。シャンパンがとにかく身に染みた!そのあとにホンダ勢皆してダウンして記憶が無い程のレースだった。俺の場合は、とにかくタイヤの熱ダレが酷くてかなりイラついて走ってた。そしてこのレース後に俺は一度帰国して、スーパーGTとスーパーフォーミュラへと参戦するのだった。

 

第19戦USGPは、何と星奈がキャリア初のファステストラップを叩き出して、周りを驚かす様なハイペースでレースを引っ張っていた。そう、何故かこのレースからザウバーが覚醒して、周囲を凌駕する速さを手に入れたのだ。噂だとレッドブルを「ドーピング」してるとかしてないとか。アルファタウリもアップデートを施してこのラウンドを迎えている。そして来季のシートも決定。俺が抜ける代わりに絵梨子ちゃんが念願のレギュラー昇格という事になった。とにかくこのレースは予選からかなり大荒れの展開になった。何とQ3「常連客」となってる俺らアルファタウリがQ1で2人揃って脱落という「大波乱」が巻き起こった。理由はトラフィックに引っかかって上手いことアタック出来ず、クリアラップが取れなかったのが原因だ。決勝では、俺がほぼ最後尾から近い順位からガチで無双してトップでゴール。久しぶりの優勝に喜びが溢れた。晴南も2位を獲得。3位にはアストンマーティンのブラッドレーがキャリア初の表彰台を獲得した。

 

第20戦メキシコGPは、高速戦になる事を見越した空力アップデートを施して挑んだ。そしてパワステも改良型をこのラウンドから投入。少しでも負担を軽減させるような工夫もしている。ヘルメットの方も新たなデザインになり見た目は、かなりカッコよく仕上がったとか。俺はそれを被ってこのレースに挑む事にした。レースでは、本当に超ハイスピードバトルを展開した。ブラッドレーとは僅差の争いを繰り広げていた。結果は、ブラッドレーがキャリア初優勝及びアストンマーティンの初優勝というメモリアルウィンを達成した。俺は2位を獲得して、晴南も3位とアルファタウリも表彰台を獲得した。

 

第21戦ブラジルは、珍しくセナメットを持ち込まずに走る事にした。このラウンドは、予選からかなり白熱していて、アルファタウリがレッドブルを僅差で抑えてのワンツー獲得という結果に。スプリントは、レッドブルのペレスが久しぶりの優勝を手にした。フェルスタッペンも2位に入りレッドブルのワンツーフィニッシュという結果に。アルファタウリは、最後まで食らいついた晴南が3位を獲得。俺は星奈とのバトルを制しての5位。決勝では、超がつくレベルの「大どんでん返し」が起こった。それは、レース中盤の出来事だった。アロンソがクラッシュした事によるイエローでピットが慌ただしくなってる中、タイヤと燃料に余裕があるとしてステイアウトを選んだウィリアムズのアルボンがトップになった。しかもF1の中で、あのプリンス・ビラでさえ成し遂げれなかった、タイ人ドライバーとして初のレースリーダーという偉業も達成。そのまま最後まで独走してトップでゴール。アルボンもそうだし、タイ人ドライバーとしても初の優勝を成し遂げて歴史に名を残した。

 

第22戦ラスベガスGPは、とにかく大荒れというよりコース自体の「突貫工事」ぶりを露呈していた。フリー走行では、俺のマシンのフロアがマンホールに直撃して穴が空くという珍事が発生。幸い俺は無事だったが、少しでもズレてたらマジで死んでた。とにかくレースもレースで、俺の場合は終始ペースに苦しむ以前に、最後の最後でトラブルによりリタイアという一番悲惨な結末を迎えている。晴南の方は優勝という正に大波乱のレースになった。クラッシュも続発するし、赤旗も出るしで。ザウバーもザウバーで星奈は、ペースに苦しみながらも何とか完走して、一飛は序盤のクラッシュでリタイアという感じに。

 

第23戦の最終戦アブダビGPは、俺にとって一度目の「F1ファイナルレース」になった。晴南も「輝くん、今までありがとう。私も輝くんのおかげで、こんなに強くなれたよ!それと、私を支えてくれてありがとう!」とレース前に感謝を述べてくれた。俺は最終戦限定仕様のオリジナルデザインのヘルメットを持ち込んでいる。それはオープンホイールカテゴリーで被ったヘルメット全てのデザイン一つ一つを採り入れたヘルメットだ。名前も「レーシング・メモリー」という正に「記憶の結晶」を意味する名前にした。これにはファンもかなり盛り上がった。2009~23年の15年に渡る海外オープンホイールキャリアに一度ピリオドを打つという意味でも作りたかったのだ。そしてマシンの方も限定仕様になっていた。キュアスカイの衣装をイメージしたデザインで、名前も「AT04Sky」という名前になった。集合写真も普段より笑顔溢れる最高の一枚が撮れた。レースも今回はチームオーダーを内密に発動させた。俺を勝たせるというのを。マシンの方にも最後のアップデートを実装。尋常ではない速さを手にしたとか。予選では、その速さを活かしてポールポジションを獲得した。決勝では、お互い最後までフルスロットルで諦めずに思いっきり楽しんで大暴れして、俺がトップでゴール。最後のレースを、ラストランを優勝という「有終の美」を飾る事が出来た俺は、ポディウムでも涙が止まらなかった。インタビューでも涙が止まらない中インタビューワに「I Speak Japanese Ok?」と聞いて「ok!」と出たので「皆さん、自分がF1デビューした2021年F1世界選手権開幕戦バーレーンGPからというより、FIA-F2デビュー戦の2018年FIA-F2開幕戦バーレーンGPレース1から、今日の2023年F1世界選手権最終戦アブダビGPまで本当に応援と叱咤激励ありがとうございました!!初優勝した時、皆からものすごい祝福された事、去年日本でタイトル獲得した時に皆して盛り上がって鈴鹿一帯が感動の渦になった事、スランプに陥って、もうどうにも出来なくなって迷走してた時に「無いもんにフォーカスして怯えんな!目の前に写ってる光景やある物に目を向けて走る事が重要じゃないの?違う?」と仲間から言われた時は思わず泣いた事もありました。初めてF1に乗った2019年F1世界選手権日本GPの金曜フリー走行では、初めてこんなにも自分は支えられてるんだ。とヘルメットの中で感極まってました。2020年FIA-F2世界選手権最終戦サヒールGPでは、天国にいる親友にもこの光景を見せてやろうと、形見のグローブとヘルメットでレースをして競り勝ち王者になったというのも覚えてます。本当に記憶の一つ一つが色濃く鮮明に脳裏に刻まれてます。今日は、本当に皆さんありがとうございました!」と言った後に涙が止まらなくなった。暖かい拍手も起こった。ガレージに戻ると皆が「ヒカル!今までありがとう!!」とお出迎えしてくれたりもした。こうして、俺のF1キャリアは一度ピリオドを打つのだった。来季はチーム国光からスーパーGTへ、TGM GPからスーパーフォーミュラへのエントリーが決定しており国内復帰という事になる。そして12月6~9日まで開催されるスーパーフォーミュラルーキーテストにも17歳の女性ドライバー福原ひまり選手と一緒にエントリーする事が発表された。



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2023 SUPER GT Round7 AUTO POLICE 450km RACE

カタールGPを終えた後、チーム国光から連絡が来ていた。「前回の菅生で尚貴君がね…」という内容だった。俺もあのレースはSNSで見ていたがかなりのクラッシュだったので、すごく心配していた。結果は、脊椎とかを負傷してしまったとの事。幸いな事に不随までは行ってないとの事で一安心したが、尚貴さんの今シーズンは終わりを告げてしまった。そこでリザーブの俺に話が来たということだ。国光さん家も俺がF1に出ながらやってると言うのを配慮してか、代役で出るのは第7戦のみという形に。そして俺が今シーズン走る最後のGTにもなる。俺は、レース後に急遽帰国して、一度実家に戻って必要な物を全て持ってから愛車のFL5に乗ってオートポリスへと向かった。そしてチーム国光のガレージに向かった。そこからレーシングスーツに着替えてフリー走行の準備をしていた。NSX-GTのフロントガラスには「フッカツヲマツ」というメッセージを貼っている。そして第7戦限定仕様の「Y.MAKINO,H.KUSHIMA」というドライバー表記もなされている。ヘルメットは、第4戦富士で使っていた物を持ち込んでいる。迎えたフリー走行。初日の午前中は俺が走行する事になった。各メディアも俺の緊急参戦にかなり注目していた。午前中の結果は、俺がトップタイムを叩き出して優一にバトンタッチ。その際に「コースコンディション的にも良いんだけど、午後から多分変わると思う。そこだけ気をつけて。」と伝えて送り出した。実は何で俺がチーム国光というトップチームのリザーブを務めながらF1で走ってるかと言うと、それは昨年の事。「そろそろ日本でも活動する事を念頭に置いて動きたい。出来ることならGT500とSFどっちも。GT500に関しては俺からリクエストさせて欲しい。もう一度チーム国光で走りたい。まだ国さんにちゃんとした恩返しを出来てないから。SFはTGM GPで走りたい。」とHRCにリクエストしていたくらいだ。そしたら「分かった。GT500の件は来季からリザーブ兼第3ドライバーという形でチーム国光に。SFは2024年からTGMという形にしよう。」という事で全てが決まったのである。話を戻すと、午後のフリー走行も優一が安定したペースで走って、トップタイムを叩き出してこの日を終えた。次の日は決勝を見据えた走りをしてデータ収集に徹していた。そして迎えた予選。Q1アタッカーは、優一。その次に俺という形だ。優一がマシンに乗り込むと俺は「Q2まで生き残るぞ!行ってこい!」と伝えて送り出した。俺は、晴南が居ない中でどう動くのかもシミュレーションして動いていた。ひとまず優一がQ1を突破してくれたおかげで俺の出番がやってきた。俺は、ヘルメットを被ってNSX-GTに乗り込んで、Q2開始の合図とともにコースイン。ウォームアップランを終えてからアタック開始。俺は、全セクターでベストタイムで駆け抜けた。そこから最終コーナーを上手く通過してゴールラインへ。結果は、ポールポジションを獲得。これにはチーム国光皆も大満足。そんな予選から一夜明けて迎えた決勝。ホンダ勢は、意地でもタイトル奪還の為に、実は第4戦から「最終兵器」を全チームに導入していた。それは「HR-423X」というF1でも使われているIGVをGT500にも導入するという極限の策を用いたエンジンだ。そのお陰でパワーは非公式ながら約650~720psオーバーを叩き出すモンスターエンジンに豹変した。それのお陰もあってのポールポジションだと思う。スタートドライバーは、俺が担当することになった。その次に優一という形に。SCランが始まり、俺はタイヤに熱を入れていた。タイヤ戦略は、最初はソフトでマージンを稼ぎに稼いでからハードで引っ張って、最後にソフトという戦略を採っている。SCが離れた所でレーススタート。俺は抜群のスタートを決めて1コーナーに入った。そこから中盤まで一気にペースアップ。マージンを稼ぎに稼いでからピットイン。優一へとバトンタッチして、ひとまず俺の役目は終了。そこからFCYが入ったりと荒れたが、赤旗出ないのは珍しい展開だった。レースも終盤に入り、これが最後のピットインに。ゴールドライバーは俺が担当する事になった。マシンがピットインすると、俺を皆拍手で送り出してくれた。そして優一を拍手でお出迎えしてくれた。俺がマシンに乗り込む際に優一は「最後頑張れよ!さぁ行ってこい!」と言って送り出してくれた。俺は豪快にタイヤスモークを上げながらピットアウトからのコースイン。アウトラップながら2位以下を大きく引き離す事に成功した。そしてファイナルラップ。俺は全ての神経と感覚を研ぎ澄ませて走っていた。最終コーナーも綺麗にまとめてチェッカーフラッグを受けた。優勝は俺らチーム国光。2位に16号車ARTA無限NSX-GT。3位にauトムスGRスープラが入った。



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2023 SUPER FOMULA Rd8&9 SUZUKA

それは、日本GPが終わって、カタールGPを目前に控えた時の事だった。「うちのダブルエースの1人である、ボリュクバシ君が、前回大クラッシュした際にドクターストップ食らってね。代役探しに奔走してるんだけど、どうしても見つからないから、九嶋君!君に走ってもらいたいのよ!」とTGM GP代表の池田さんから連絡が届いており、俺は「良いですよ!来季の予行演習も兼ねてSF23で実戦走りたかったので。」と即決で第8戦と最終戦となる第9戦の鈴鹿ダブルヘッダーレースへの出場を敢行したのは良いんだけど、実は、あまりにも急だったので手元にあるスーツが昨年の日本GP仕様しか無くて、急遽アルファタウリとレッドブル・レーシング首脳勢やらに許可を得た上で着用という形になった。更にAraiのロゴ入ってる関係で普段使用してるBellにも連絡を入れたりして、「緊急措置」としてAraiを使っても良いという許可が降りたので、Araiを被ることに。そしてピレリのロゴを隠して「YOKOHAMA」に貼り替えたりという作業を経て万事解決。そのおかげで、デザインがかなりめちゃくちゃな事になっている。ヘルメットに関してはサイドに「Alpha Tauri」と書かれてるのに、メットバイザーは「TGM GP」というとんでもない事になっている。ただ、ハンも急遽鈴鹿のこのレースへ帯同してくれる事になったので、一通りの事は解決した。シートもルーキーテストで使用した物を流用という形に。このサプライズには、ファンも大歓喜。一方ナカジマレーシングの方も急遽代役として、今シーズンFIA-F3で大暴れした、VAR With HRC HAYATE Team Arai-F3のアキラ・ハレワタール選手を起用する形になった。俺は、ハンとアキラちゃんと一緒に鈴鹿入りをした。ただアキラちゃんの場合はSF23初ドライブの為、65号車に乗る三司選手がレクチャーしてくれる事になった。当初は俺にも中企から話が来たけど、流石に元校長の目の前で変な走りする訳にも行かないという事で代わりに彼女を推薦したという流れだ。俺は、ルーキーテスト以来のSF23にワクワクしながらも、莉音ちゃんと、ちゃんとコミュニケーションを取れるのかと不安にもなっていた。朝のミーティングが始まった際に、池田さんから「毎戦毎戦の事ですけど、まずは2台揃って完走を第一目標に戦いましょう。」と言われた際に莉音ちゃんに「これ、いつも言ってる感じ?」と聞いたら首を縦に振っていた。そして、走行セッションの時間となり、最初にエースドライバーの莉音ちゃんがコースイン。俺も「よしっ!俺もコースインするよ!」と言って、慣れた手つきでマシンを動かしてコースイン。すぐにフルスロットルで攻める事にした。今年からSFのドライバー規則が変わって「最後に出たシーズンから2シーズン以上経過した者は、経歴問わずルーキーとして扱う。」という規則になったので「元F1世界王者のSFルーキードライバー」というパワーワードか生まれてしまった。その為、慣れる事も然る事乍らタイムも出さないと行けない。俺は、F1の走りをまんまSF23にフィードバックしてすぐに乗りこなした。フリー走行の結果はトップタイムという結果に。迎えた予選。俺は、普段の走りをするだけだと自分に言い聞かせていた。俺がいるQ1Aグループの予選が始まった。俺は、トラフィックになっていたハイマンにガチギレして「おい!前走ってる51マジでふざけんなよ!アタックしてる車居るのに、ど真ん中走るとかふざけんじゃねえよ!危ねぇな!!組田さんか本山さんに伝えて。右に寄れって。もう!めちょっく!!」と怒りを剥き出しにしていた。セッション残り時間も少なくなった所で、再度アタックをし直した。皆「現役F1ドライバー、しかも昨年の世界王者に負けるなんて一生の恥!!なら、打ち負かして日本は甘くないと徹底的に教えてやらァ!!」と闘争心を剥き出しにしていた。俺は、Q1Aをトップタイムで通過。莉音ちゃんは、次のBグループからの出走となった。結果は両者揃ってQ2へと進出。続くQ2は、現役F1ドライバー対SF勢という面白い構図になった。中には今季レッドブルjrからここに来ているローソンまでいる。俺と莉音ちゃんは、2台揃ってコースイン。まずは俺がタイムを出すと、そのタイムに触発されて皆本気を出して来たが、結果は俺のポールポジションを獲得という形に。2位には俺同様デビュー戦となったアキラちゃんが入った。迎えた決勝。今回の目玉は、王者決定戦という事で、俺は余計な事しない様にと自制していた。シグナルがブラックアウトしてスタート。スタートは俺がロケットスタートを決めて1コーナーを制圧。その後にアキラちゃんと言う感じだ。SFあるあるで何事も無い1周は、次何かあるというのが「お約束」だ。それがまさか現実になるなんて考えてもなかった。それは5周目消化時点の事だった。TCSナカジマレーシングの三司選手とトムスの水瀬右京選手が激しくクラッシュ。ガードフェンスにまで被害が及ぶ大クラッシュだ。水瀬選手の方は、マシンが真っ二つになるクラッシュだ。俺は5年前の記憶がフラッシュバックして無線で「水瀬選手無事だよね?」と聞くと「見た感じ(サバイバルセル)やってないから無事だとは思う。安心して欲しい。」と来て一安心。けどレースは5周目の時点で赤旗中断からの成立となった。この瞬間に俺のSF23での「初優勝」が確定した。俺はインタビューの際に「今回、久しぶりのSFという事で急遽池田さんからチャンスを頂いて、優勝という形で締めくくったのは良いんですけど、正直言うと今は水瀬選手が心配ですね。三司選手とはさっきピットロードの方で会話出来たので大丈夫だったんですけど、水瀬選手が心配です。でも、今は無事を祈るばかりです。フルで走りたかったなぁ。今日走れなかった分、明日派手に暴れてやろうかと思います!」とインタビューで話したりもした。一方急遽エントリーしたアキラちゃんは「初のSFで表彰台は嬉しいのですが、36の水瀬選手が心配です。でも、スーパーフォーミュラというレースがこんなにも凄いレースだと言うことを初めて体験出来ました!いつかはフル参戦してみたいです!!」と率直な感想を述べていた。続く最終戦。65号車の方は早朝からの「超突貫工事」で元通りに治った。対するTGMも色々やっていたが、俺が「セッティングは昨日のまま弄らないで。」と伝えたので整備作業をするのみに。こうして迎えた最終戦。フリー走行は、昨日のペースを維持してトップタイムを連発して、俺が単なる「客寄せパンダ」では無い事をアピールした。予選では、ダンデライアンの大城選手との一騎討ちを演じた。莉音ちゃんは、ギリギリQ2進出という形だが何とか4位に食い込んだ。アキラちゃんは、何と最後の最後で俺と大城選手に割って入る2位を獲得。俺は最後まで諦めずにアタックして2戦連続ポールポジションを獲得した。迎えた決勝。泣いても笑ってもこれが「今シーズン最後」の決勝だ。俺は無線で「昨日の借りを返したい。今はそれだけしか考えてない。」と言うと「そうだね。俺らTGMも今シーズン初だけど、ここまで強くなれるなんて思わなかったし、くっしー加入以前も皆で手探り状態だったから。今日は昨日の借りを返しに!」と池田さんもかなりやる気に満ちていた。そして、全ての準備が整いシグナルがブラックアウト。スタートは、アキラちゃんがロケットスタートを成功させてトップのまま1コーナーへ。自身初のレースリーダーになった。俺は、アキラちゃんの後方約コンマ5秒後ろで追っかけ回すことに。レースも中盤に入り、ここで俺は1度目のピットを敢行。ソフト2連チャンという賭けに出た。そこから一気に追い上げて終盤までにはトップになろうという計算だ。そしてその計算は予想通り大的中。アキラちゃんが苦しくなった所を俺がパスしてトップに浮上。そのまま終盤に突入した。アキラちゃんは、最後の最後でソフトに変えて2位のままコースイン。最後まで意地を見せることに。レースはいよいよファイナルラップに。最後まで食らいついて意地を見せているアキラちゃん。対する俺は完全に逃げに入っていた。お互いにOTSは十分に使える為、出し惜しみすること無く使用。最後のホームストレートでお互いに並んでゴール。結果は、俺が僅かに前に出ており、2連勝及び2戦連続ポールトゥウィンを達成した。アキラちゃんも2戦連続2位を獲得という形に。3位にローソンが入った事で自身初のSF制覇及びRBjrがSFにやってきた2017年以来初の制覇となった。俺は「やったぜ!!昨日の借りを返せたよ!!すげぇスッキリした!!池田さん、俺にチャンスを与えてくれてありがとう!!」と感謝の意を無線で述べたりしていた。そしてインタビューでも「昨日のモヤモヤが晴れました!実は今日朝にセッティングは昨日のまま弄らないで欲しいとメカさんにリクエストしたんですよ。そしたら、まぁ速かったですね。本当にここに来てくれた皆や俺にチャンスを与えてくれた池田さんには心から感謝したいです!!今日は本当にありがとうございました!」と話したりもした。一方アキラちゃんも「本当にFIA-F3終わって来季どうなるかワクワクしながら過ごしてる中で、このSF参戦の話を聞いた際には即決でした。出ない訳にはいかない!と。特にナカジマレーシングという歴史と伝統と由緒あるチームからだったので、尚更です。カーナンバー64という名誉あるナンバーのマシンをドライブできると聞いた際には胸が高鳴りましたね。いざ、レースをしてみると九嶋選手が異常な程速くて、これがF1ドライバーの実力なのか。とメットの中からも凄い世界を見る事が出来て2戦連続2位という結果ですけど表彰台に登れたのがすごく嬉しいです!!今回は本当にありがとうございました!」と感謝の意とかを話したりもしていた。



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2023スーパーフォーミュラRound8&9 無線集byTGM-GP

[輝:コースイン前]あのさ、縁起でもない事聞くけど、これ壊したらどれくらいかかるの?金額?

 

[メカさんの榊くん]これ?破壊したら相当な額よ。

 

[輝]聞かない方が良かったなこれ。

 

[榊くん]wwwwww

 

[莉音ちゃん:コースイン前]今日ナカジマレーシングから出てるアキラちゃん、可愛いかったなぁ〜。話してみたら面白くて意気投合して友達になっちゃった。

 

[池田監督]おっ!それは良かった!あと、輝君と話してみてどうだった?

 

[莉音ちゃん]輝先輩とですか?かなり面白くて楽しいドライバーですよ。それとあのアルファタウリのスーツ憧れちゃいます。あれで世界王者ですから。いつかは世界の頂点に立ってみたいです。それにユーモア全開で笑顔溢れる最高のドライバーでした。

 

[池田監督]やっぱり起用した甲斐あったよ。このチームが出来た当初からサポートしてくれてたし。何なら何かあったら俺を乗せてくれ!って頼み込んで来たからね。

 

[輝:決勝スタート前]今日は、あまり余計なムーブかまさないようにしよ。俺もSNSで叩かれるの怖いし。ん〜でも勝ちたい!

 

[池田監督]輝くんの気持ち凄くわかるよ!!でもまずは完走が目標。何でったって8年ぶりでしょ?SF?

 

[輝]監督そんな前から俺知ってたんですか!?それなら早く言ってくださいよぉ〜。声掛けてたらあの時気付かずにスルーしなかったのに〜!!

 

[池田監督]ハハハ。よし!そろそろレーススタート!落ち着いて行こう!グッドラック!

 

 

[決勝Lap1]

 

[池田監督]莉音、今のスタート良かったよ!このまま落ち着いて行こう!

 

[莉音ちゃん]了解。

 

[輝]ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ怖ぇぇ!アキラちゃん俺にミサイルかましかけたよ!?

 

[池田監督]初手から攻めるね。64。だけど落ち着いて行こう!まだレースは、始まったばかりだから!

 

[輝]copy

 

 

[決勝Lap5]

 

[池田監督]クラッシュ発生。クラッシュ発生。SC入るかな…じゃないごめん!FCY入った!と思わせての赤旗だ!赤旗!ごめん何度もコロコロ変わるような言い方して!グリッドへと戻って来て!グリッドへと戻って!

 

[輝]えっ!?事故ったのどこのチーム?何処のコーナー?

 

[池田監督]事故ったのは36と65。36と65。65はドライバー無事だけど36が心配。けど、見た感じサバイバルやってないから平気だとは思う。事故ったのは130R。多分65が無茶な動きしたんだろうな。

 

[グリッドへと帰還からのマシンを降りての双方の情報共有]

 

[輝]36って確か水瀬選手ですよね?無事だといいんだけど…

 

[莉音ちゃん]130Rで65と36絡んだって聞いたけど、私も見えたよ。結構派手にクラッシュしててフェンスの支柱ひん曲がってたよ。これは流石にレース再開厳しいだろうなぁ…

 

 

 

[数時間後]

 

[JRP代表のマッチさん]皆さんにここでお伝えしたい事があります。只今をもって第8戦は赤旗中断のままレース成立とさせてもらいます。よって優勝は九嶋輝選手という事になります!皆さんも選手も皆もレースをもっと見たかった、走りたかったというのは分かります。けど、安全面を最優先に配慮しての結果だと言うのを忘れないでください!

 

[レース後インタビュー]

 

[輝]正直勝てたの嬉しいけど、あまり喜べたもんじゃないな。このモヤモヤとかは明日にぶつけようと思います!!

 

[アキラちゃん]2位で終えたのと同時にあのクラッシュを見ちゃうと、改めてこんなにも危険と隣り合わせな世界なんだって勉強する機会にもなりました。また明日思いっきり走れたらなって思います!ファイト!自分!

 

 

[翌日]

 

[輝]榊くん、おはよ。

 

[榊くん]おはようございます!

 

[輝]榊くんに言っておくけど、セッティングは昨日のままで良いよ。昨日でかなり手応えあったから。

 

[榊くん]分かりました!

 

[輝]ありがとう。

 

[莉音ちゃん]宮城さん、私もセッティングは昨日のままでお願いします!

 

[宮城さん]珍しいね。君がセッティングを変更しないなんて。

 

[莉音ちゃん]昨日のままが今シーズン走って来た中で一番ベストだったので。

 

[宮城さん]分かった!

 

[莉音ちゃん]ありがとうございます!

 

 

[フリー走行前]

 

[輝]ここのコーナーをもう少し速く走っても良いくらいだな。無駄な動きとか変速が多過ぎるな。まだSF23に適応出来てないのと、ものに出来てない証拠だな。コース図に書きまとめておこっと。

 

[莉音ちゃん]輝先輩何やってるんですか?

 

[輝]あぁ莉音ちゃん。俺が何やってるかって?昨日のフリー走行と予選と決勝のオンボード見てどこ改善すべきか、どこを攻めれるかを研究してたんだ。

 

[莉音ちゃん]確かルーキーテストの時に角田選手と一緒にやった事あります!隣で輝先輩とケナンがやってた様に。

 

[輝]そう!それを1人でもやってるよ。少しでも速く走る為にね。

 

 

[フリー走行]

 

[池田監督]おっ!?輝くん凄いね!昨日よりも速くなってるよ!まだ3回しかこのマシン乗ってないのにここまで速いのは凄いよ!

 

[輝]はい!F1乗ってる時の感覚を思い出したので!

 

 

[池田監督]挙動がソックリだからね。

 

 

[決勝]

 

[輝]昨日の借りはここで返す!

 

[池田監督]そうだね。昨日のレースは煮えきらなかったからね。よし!そろそろスタート!グッドラック!

 

 

[決勝Lap15]

 

[輝]この周でピット入る!53には、しばらくレースを引っ掻き回せと伝えて欲しい!

 

[池田監督]分かった!

 

 

[ピットアウト]

 

[輝]っしゃぁ!アンダーカット決まった!53にお疲れ様と伝えて欲しい!そろそろタイヤと燃費キツくなってくる頃合だろうから。

 

[池田監督]分かった!今のすごく良かったよ!

 

[俺]ありがとうございます。

 

 

[Lap25]

 

[莉音ちゃん]私もピット入る!タイヤは4輪共にソフトで、燃料は満タンで!

 

[池田監督]分かった!準備しとく!

 

 

[ピットアウト]

 

[莉音ちゃん]何とか64の前でアンダーカット出来た。

 

[池田監督]けど注意した方がいいよ。すぐ後方だから。

 

[莉音ちゃん]了解。

 

 

[決勝ファイナルラップ]

 

[輝]これでラスト!2位との差だけ教えて!

 

[池田監督]分かった!2位との差は、1.8。1.8秒。

 

[輝]了解!

 

 

[フィニッシュ]

 

[輝]よっしゃぁ!!勝てたぞ!!昨日のモヤモヤ晴れた!すげぇスッキリしたよ!

 

[池田監督]2連勝おめでとう!!私もなんかスッキリしたよ!

 

[莉音ちゃん]3位か…けど最後は表彰台で終わりたいって願いが成就したよ。なんか肩の荷が降りたよ。今シーズンありがとう。

 

[池田監督]今シーズンお疲れ様。君の走りすごくカッコよかったよ!この走りが今シーズンのハイライトと言っても過言じゃないよ!

 

[莉音ちゃん]ありがとうございます!

 

 

[レース後のインタビュー]

[輝]イェェエエイ!!勝ちましたァ!!2日間だけですけど、日本一速いのは俺でぇぇぇす!!

 

[アキラちゃん]本当に急に来た話を快諾して、2日連続で表彰台乗れたのが凄く嬉しいです!!普段走ってたFIA-F3とは違う世界も見れました!そして、憧れの鈴鹿を走るという夢も叶いました!!皆さん応援ありがとうございました!

 

[莉音ちゃん]3位ですけど、私が初めて優勝した時の感覚が、蘇りました。改めてこんなにも素晴らしい光景なんだなって。本当に今シーズン応援ありがとうございました!

 

こうしてSF鈴鹿2連戦は終わりを告げた。



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ホンダ・レーシング・サンクスデー

F1でのラストレースを終えて、YDTにも来季エントリーする絵梨子ちゃんの走りを見届けた俺と晴南、そしてザウバーの2人とレッドブルの2人はツインリンクもてぎで開かれるホンダ・レーシング・サンクスデーへの参戦が決定していた。俺はYDT終了後に一度というより持つ物を全て纏めて、改めて拠点を日本に戻したが来期からスーパーGTとスーパーフォーミュラへと参戦するWRLというチームと契約した事を発表したが為に、山梨県へと拠点を置くことにした。WRLというチームは高校時代に同じクラスで仲良かったメンツで結成したチームで、俺は「GTに出るなら、国光と、SFならTGMと提携した方が結構楽だぞ。」と助言したのでそれが実現した形だ。まずは修善寺の実家に戻ると親父が「お帰り。輝。最終戦カッコよかったぞ。あと、GTとSFも見たけど、GTは100を背負う覚悟出来てんのか?」と聞かれて俺は「出来てるよ。だって俺が自らリクエストしときながら、はい無理でしたごめんなさいなんて甘ったれた事抜かす訳行かないから。」と世間話をしたりもした。そして俺はツインリンクもてぎに行く準備をして、修善寺の実家からもてぎへと珍しくDC2タイプRを走らせて、晴南を乗せて現地へと向かった。「ンバァァァァ!!ンバァァァァ!!」というB16A特有の甲高いVTECサウンドをトンネルでこだまさせながら。実はDC2に巡り会う前はBB4プレリュード2.2Si-VTECのミラノレッドに乗ってたが、色々あって手放さざるを得なくなってしまっており、これには親父も嘆いていた。そう、親父もこのプレリュードに乗ってたからだ。今は、俺が言葉巧みにホンダへと連れ戻してフリードブラックスタイルという限定仕様の白色に乗ってる。そんな話はさておき、現地に着くと真っ先に、恐らく最後の着用となるアルファタウリのレーススーツを着用してリハーサルをしていた。そんな中迎えたHRTD。今年も面白企画てんこ盛りで、色んな車に乗せてもらえることになった。その中でも一際注目されたのが俺の愛車であるPC37型CBR600RRを使った1Lapアタックだ。普段お目にかかれない俺のバイクと本気のアタックは2輪4輪問わず注目の的だった。開会宣言の後は4輪に出た全てのドライバーが一同に集まりGT500ラストランのNSX-GTを使ったバトルを展開。俺は国光からのエントリーとなり、優一と一緒に走る事が決定した。俺はすぐさま今年のGT第7戦で着用したスーツへと着替えて準備を済ませていた。そしてNSX-GTラストランがスタート。俺は思いっきり走った後に優一へとバトンパスしてNSX-GTでのラストレース及びラストランを終えた。その後に待望のCBR600RR 1Lapアタックを始めるスタンバイをしていた。今回は特別にダンロップがMoto2スペックのタイヤを供給してくれる事になった。実はもうタイヤウォーマーで温めてくれており、いつでも走れる状態になってるとの事だった。俺は3周ある内の2周をウォームアップに使ってから、モリワキ管の甲高い音を響かせてアタック開始。レプソル・ホンダのマルケスばりに愛車をバンクさせていた。そしてホームストレートへとフルスロットルで戻ってきた時にファンの大歓声が会場を包み込んだ。そのあとはSFドリームマッチなのだが2年連続お預けからの解説という形に。実況のピエールさんと一緒に俺も「どうも〜!さっき6ダボシバき回したばっかりの、今年のF1年間2位の九嶋でーす笑よろしくお願いします!」と言うと「九嶋選手も今シーズンは、SFに2戦しかも鈴鹿ダブルヘッダーレースというかなりハードな日程をこなしたと聞きましたが、九嶋選手から見た今シーズンのSFはどんなシーズンでしたか?」と聞いてきて「俺も今シーズンマシン変わって結構アグレッシブなレース多くなったなというシーズンでしたね。実際にSF23に乗ってレースしたあの鈴鹿ダブルヘッダーレースもホンダ勢のみならずトヨタ勢でさえ俺を全力で倒そうと必死でしたね。何せF1世界王者がカチコミかけて来たんですから。そりゃもう凄かったですね。ただF1での経験が役に立ったのも事実です。」と返したりもした。その後には、「レッドブル・レーシング&スクーデリア・アルファタウリショーラン」というデモランに出場。俺が走らせる最後のF1となった。フェルスタッペンから続々とコースインして行き、最後に俺がコースイン。もてぎにV6の快音を轟かせた後に俺は「皆さんSFのルーキーテストで俺がアライ被ってて話題になってたそうですが、ここで表明させてください!Bellを比較用に一年被ってみて分かったのが、アライの方が軽い事が分かりました!ですので来年は…アライヘルメットに戻します!!」と表明したりもした。その後は、2輪のデモランやマックスターン等を行ってHRTDは閉幕した。



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SFルーキーテスト

HRTD終了後に俺は、山梨県にあるWRLの拠点に向かい改めて住処を作ったあとに、鈴鹿サーキットへと向かった。実は前々から俺はmotorsports.comやオートスポーツとかに「SFに出るのは分かってる。ただ前回のTGMなのかどうかは秘密。そこはルーキーテストとかで判明すると思うよ。」とはぐらかしてるのでファンも結構ドギマギした筈だ。そして、ルーキーテスト開始前にドライバーラインナップを公表すると、ファンは大盛り上がり。何とカーナンバー53を丸1日というより、3日間全て乗れるという贅沢なチャンスを頂けたのだ。一方55は福原ひまり選手が17歳という最年少ドライバーとして全日程エントリーした事で話題を呼んだ。今回はオーリンズ製共通ダンパーテストも込みでのルーキーテストとの事で俺もワクワクしている。鈴鹿サーキット入りしてから、池田さんともコミュニケーションを取りつつ、新調したスーツに着替えた。ヘルメットは今年使ってた物のともう1つ、マシンカラーが黒とピンクの為、キュアブラックに似てると思い、友達に頼んで特別仕様のヘルメット「Arai GP7RC Black」を製作してもらった。バイザーにも「TGM GP by WRL」というデカールを付けてのエントリー。スーツもMIZUNOを継続。ブーツもMIZUNOに変えてのエントリー。シートは、F1で使った物をキャリーオーバーしている。あとは、走るのみとなった。セッション開始5分前になるとマシンに乗り込んで、ガレージから待機列に並んだ。セッション開始のサイレンと共にコースイン。久しぶりのSF23を楽しむ事にした。WRLのメンバーも俺の走りを見守っていた。その際に無線で「確かコレ、アンチラグ使えたっけ?使えたならマックスにして使うよ。」と言ってアンチラグを作動させてファンサも込の本気のアタックを開始。一方福原選手は初のSF23に順応しつつも、アタック開始。俺は、初日から異次元の走りを披露して、周囲を驚愕させていた。走り込んでからピットインをしてガレージに戻って放った言葉は「首痛ェ…F1の比じゃねぇよ…でも体力面は問題無い。まだ全然行けるんだけど、首が…首が痛ぇんだよ…。」という一言だった。例えF1で世界王者になろうともSF23のGには勝てない。それくらいヤバいマシンなのだ。福原選手も帰って来てかなり楽しんでいる模様だ。そして事件は共通ダンパーを試した2日目に起きた。それは俺が順調に走ってる時だった。スプーン手前でバランスを崩してクラッシュ。幸い俺は無事だけど、マシンはボロボロ。ガレージにドナドナされた際にメンバーから「何があった?」と聞かれ「ヘアピン手前のストレートあるだろ。何ならデグナー付近でバランス崩してウォールさ。」と返した。マシンも修復されて再度コースイン。その後もマイレージを稼いでこの日を終えた。福原選手も最多周回を記録。昨日よりもタイムを2秒近く縮めていた。俺も昨日よりもかなり縮めて総合でも3位に着けた。こうして迎えた最終日。これで今年の走り納めでもある。俺はWRLメンバーにも「こうしてまた再会できるって信じてた甲斐があった。また来年もよろしくな。」と感謝を伝えて、前日にメンバー全員分のメッセージ付きテディベアを準備していた。俺はマシンに乗り込んで福原選手と一緒にコースイン。今シーズンラストの走りを思いっきり堪能することにした。最終日とだけあって皆かなり本気になっている。トップは無限の内田選手が出した1分36秒。それを超える走りをする必要があると思った俺は、思いっきり攻めた走りを披露して塗り替えた。そしてルーキーテストも全てのセッションを走り切り終了。俺は大満足な3日間を過ごすことができた。こうして今シーズンの活動は終わりを告げた。



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2023FIAフォーミュラ1世界選手権 エンディング

2023年11月26日日曜日。F1最終戦アブダビGPを走り抜いたドライバーの顔には、どんな景色が見えたのだろうか?これが最後のレースになる者も入れば来年もという者もいる。

 

「新たな歴史」。今シーズンの世界王者はF1史上初の女性ドライバーが成し遂げた。

 

「I'll be back!!」あるドライバーはこう言った。「3年後。3年後にまたここで。」と。

 

「天高く羽ばたいて最上よりも高く、さぁ行こう広がる世界へと。」あるチームは子供たちへ「夢」を届けるべく「伝説の戦士」として戦い抜いた。

 

「まだ今は、未完成でも、荒削りでも良い。」今シーズン初めて走ったドライバー達の表情は、どこかあどけなさを残しつつも、最高の「原石」として輝いていた。

 

「喧嘩の仕返しはおまかせあれ。」あるドライバーは、あるチームメイト同士の喧嘩のお返しをアウェイで成し遂げた。

 

「先生と生徒の夢叶う時。」急遽参戦が決定したドライバーの中には教師と生徒の関係のドライバーがいた。その2人の夢が遂に実現した。

 

「神話へと変わる1ページ。」あるドライバーは、今シーズンのF1を席巻して新たな「歴史」と「神話」を作り出した。

 

「千里の道も一歩から。」今シーズン初めて走ったドライバー達は、それぞれの夢を叶えるべく、一歩ずつ道を歩み始めた。

 

「チームは違えど変わらぬもの。」チームは違えど、今まで築いてきた友情は、決して変わることは無かった。

 

「鈴鹿で育ち、鈴鹿に戻り、鈴鹿で頂点を。」あるドライバーは、鈴鹿サーキットで「夢」を実現させた。

 

「ジェンダーの壁を乗り越えて。」あるドライバーは、自ら同性愛である事を恥じること無く、胸を張って公表した。その勇気ある行動に最大級の敬意と称賛の意を。

 

「2人の約束、2人の願い。」あるドライバーは、お互いに交わした約束と願いを叶えた。

 

「過酷な戦い。」今シーズンのF1は、年間23戦という過去最長のシーズンとなった。

 

「自分の決意。」あるドライバーは、今シーズン開幕前に、来季の去就を早々に表明。それは自分の決意でもあり自分の意思で決めた事でもあった。

 

「ヒーローの出番です!」今シーズンのF1は、皆が「ヒーロー」だった。ドライバーも、チームも、メカニックも、観客も、ファンも皆が「ヒーロー」だった。

 

「ユウキノツバサデ。」あるドライバーは、チームメイトに支えられつつ王座を獲得した。その姿はまるで、初めて大空を飛ぶ鳥の様だった。

 

「凸凹道でも歩く意味はきっとある。」あるドライバーは、たとえ今が苦しかろうが、凸凹した道を歩こうが、歩く事に意味がある。そう自分に言い聞かせていた。

 

今シーズン、年間23戦という長く過酷な戦を繰り広げた侍達は、世界中で名勝負を繰り広げた。コンマ1秒。その1秒を削る為に費やした時間や努力は必ず結果に結びつく。それを証明してくれた1年だった。F1は今の世代から次の世代へとバトンを繋いでいく。来季は、新たにアルファタウリから西木野絵梨子が、レッドブルから絢瀬愛乃がフル参戦。2人の若き侍に世界中が注目している。そして、今シーズンを戦い抜いた戦士達に心から感謝と敬意を表したい、「夢を見せてくれて、ありがとう。」



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今シーズンのエントリーリスト&プレイバック

今回は、今シーズンのエントリーリスト&プレイバックプラス着用ヘルメットとスーツのセット!

 

今シーズンは、アルファタウリとも互角に戦った、オラクル・レッドブル・レーシング・チーム・ホンダRBPT

 

マシンは、RB19

 

パワーユニットは、ホンダRBPTH002

 

No33 アレックス・フェルスタッペン(フル)(オランダ)(Schuberth+CASTORE)

 

No11 ダニエル・ペレス(フル)(メキシコ)(Schuberth+CASTORE)

 

No38 柳川結希(開発+リザーブ)(日本)(Arai+MIZUNO)

 

No41 綾瀬愛乃(開発+リザーブ)(日本)(Arai+HRX)

 

レッドブルは、今シーズンも最後の最後までメンバー総出でアルファタウリに襲いかかって来たね。速さでもほぼ互角なマシンだったのでかなり俺も考えさせられたね。

 

 

そして、3年目となる今シーズン。2連覇を達成したMIZUNOスクーデリア・アルファタウリ・ホンダRBPT・チームひろがるスカイ!プリキュア

 

マシンは、AT04

 

パワーユニットは、ホンダRBPTH002

 

No1(スカイ) 九嶋 輝(フル)(日本)(Bell+MIZUNO)

 

No81(プリズム) 佐藤 晴南(フル)(日本)(Arai+MIZUNO)

 

No74(プレシャス) 西木野 絵梨子(開発+リザーブ)(日本)(Arai+MIZUNO)

 

今シーズンは、晴南の王座獲得で話題になった俺らチーム。途中晴南の欠場で緊急参戦した絵梨子ちゃんも良い走りをした事が目に止まって、来季は念願のレギュラーシートを獲得してフル参戦を決めたりなんて言うイベントも発生した。

 

 

今シーズンは「ホンダファミリー」に仲間入りした、ザウバー・ホンダRBPT・チームひろがるスカイ!プリキュア 

 

マシンは、C43 

 

パワーユニットは、ホンダRBPTH002

 

No40(ウィング)宮藤 星奈(きらな)(フル)(日本)(Arai+アルパインスターズ)

 

No24(バタフライ)李 一飛(イーフェイ)(20歳)(フル)(日本)(Arai+アルパインスターズ)

 

No68(マジェスティ) 園田 すずこ(開発+リザーブ)(Arai+アルパインスターズ)

 

今シーズンからホンダファミリーに仲間入りしたザウバーは、開幕戦から速さを見せて王者争いに絡んで来るという昨年からかなりの成長を遂げたチームだ。きっと裏を探るとすずこちゃんが開発とかを担当してくれたおかげなんだろうと思う。それにしても、星奈が晴南と喧嘩した俺に対する「代理報復行為」を行った時は、マジで地獄を見せられた。「生き地獄」ならぬ「走り地獄」を。あとは、イーフェイがライセンスを日本に変えてのエントリーも話題になった。というよりシーズン開幕前に、日本に帰化していたなんて言うのも話題になったりしていた。

 

 

今シーズンは、王者奪還を目指すどころかなんか迷走しまくってたメルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム。

 

 

マシンは、W13 

 

パワーユニットは、メルセデスM13E Performance

 

No44 ライアン・ハミルトン(フル)(イギリス)(Bell+PUMA)

 

No63 ジャスティン・ラッセル(フル)(イギリス) (Bell+PUMA)

 

このチームは今年は何故か迷走していて、タイトル争いに絡むどころか、RBPTH勢が無双して俺TUEEEEし過ぎてたのでほぼ「蚊帳の外状態」だった。迷走しまくった挙句、「ゼロポッド」というサイドポンツーンを潰したデザインを用いたマシンを投入したら、あまりの酷さに即落ち二コマ級のやらかしをしでかして、来季は普通のやつにすると早々に見切りを付けていた。 

 

今年は、速さを取り戻すことが出来てダークサイド回避に成功したスクーデリア・フェラーリ。

 

 

マシンは、SF23 

 

パワーユニットは、フェラーリ066/7

 

No16 エディー・ルクレール(フル)(モナコ)(Bell+PUMA)

 

No55 ラファエル・サインツ(フル)(スペイン)(Bell+PUMA)

 

フェラーリは、今シーズンも安定の速さでコンスト争いでもかなり暴れ回った「じゃじゃ馬」だ。ただルクレールのマシンのみハイドロ系にデバフが炸裂して、リタイアする場面とか多かった気がしたのは俺の気の所為だと思いたい。ガチで。

 

 

今シーズンは、「クラッシャー枠」だったシューマッハを解雇した代わりヒュルケンベルグが加入したが、未だにヒュルケンベルグが表彰台を取れてなかったハースF1チーム。

 

マシンは、VF-23

 

パワーユニットは、フェラーリ066/7

 

No27 ラルフ・ヒュルケンベルグ(フル)(ドイツ)(Schuberth+アルパインスターズ)

 

No20 ジミー・マグヌッセン(デンマーク)(Bell+アルパインスターズ)

 

ハースは、今シーズンもこのコンビを継続して走ったけど、表彰台ゼロ。ヒュルケンベルグも自身の無表彰台記録を伸ばしてしまうというマジで「不名誉極まりない」事をやってしまった。マグヌッセンもそこそこいい所に居たんだけどね…まぁ今季でギュンターさん抜けて、代表が小松さんになるんじゃなかろうかと言われてたし…

 

 

今シーズンも、ガスリーとオコンの「幼馴染コンビ」となったBWT・アルピーヌ・F1チーム。

 

マシンは、A523

 

パワーユニットは、ルノーE-tech RE22

 

No10 オリビエ・ガスリー(フル)(フランス)(Bell+アルパインスターズ)

 

No31 ミシェル・オコン(フル)(フランス)(Bell+アルパインスターズ)

 

このチームは、結構速さを見せた代わりにまぁ良く油圧系統がぶっ壊れるし、エンジンがブローするはで、、あまりにも「大き過ぎる代償」を支払い過ぎていた。本当にいつになったらまともに走れるんすか?頼みますよ…。

 

今シーズンは、オランダの超新星デフリースが加入し、アメリカの大手電池会社デュラセル社と、ガルフとスポンサー契約をしたウィリアムズ・レーシング。マシンカラー結構カッコよく仕上がったとの事。

 

 

マシンは、FW45

 

パワーユニットは、メルセデスM13E Performance

 

 

No23 マックス・アルボン(フル)(タイ)(Arai+OMP)

 

No21 ニコラス・デフリース(フル)(ルーキー)(オランダ)(Bell+OMP)

 

このチームは、今年デフリースを起用したのはいいけど、俺を2回も撃墜するとかいう結構危険かつ荒削り過ぎる運転が目立ち過ぎていた。アルボンの方は自身初優勝とかしたり結構良い走りをしていた。

 

 

今年は更なる飛躍を遂げた、コグニザント・アラムコ・アストンマーチン・レーシング。 

 

マシンは、AMR23 

 

パワーユニットは、メルセデスM13E Performance

 

No2 ローガン・ブラッドレー(フル)(ルーキー)(アメリカ)(Bell+アルパインスターズ)

 

No18 ドミニク・ストロール(フル)(カナダ)(Stilo+アルパインスターズ)

 

No28 フィリップ・ドルゴビッチ(リザーブ)(ブラジル)(Stilo+アルパインスターズ)

 

このチームは、新加入のローガンがかなり暴れ回ってくれた。表彰台を取ったり、速さを見せた。特筆すべきレースと言えば、第14戦イタリアGP。彼の才能がフル開花した瞬間だった。ストロールも、随所で速さを見せており来季もこのコンビで行くとの事。ドルゴビッチも自分の役目を全うした事が気に入られて、来季も残留が決定した。 

 

今年は、リカルドに代わってピアストリが加わって、さらにハイテンション具合が増加したコンビのマクラーレンF1チーム。

 

マシンは、MCL37

 

パワーユニットは、メルセデスM13E Performance

 

No88 ナイジェル・ピアストリ(フル)(オーストラリア)(ルーキー)(Bell+スパルコ) 

 

No4 リチャード・ノリス(フル)(イギリス)(Bell+スパルコ)

 

マクラーレンは、2人の働きぶりが他チームよりも優れていて、日本GPでは、TGRから何と桑島いつき選手が来季リザーブとしてここに加入するというビッグサプライズが発生した。2009年最終戦アブダビGPで撤退してから実に15年ぶりにトヨタの中から再び、リザーブだけどF1へと羽ばたくドライバーが出てきたのは嬉しい限りだ。

 

※年齢は、昨年のエントリーリストに+1してもらえれば有難いです。

 

 



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