蝶舞う時、桜花咲く (週末ラテ少年)
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伝説任務・桜花の章 雹が舞い散る時
偶然とも言える出会い


 伝説任務の内容ですが、pixivに載せてたやつとは大幅に変えようかと。
 「リメイクのような何か」ってしてるのはこれが理由ですね


 それは、旅人の空とナビゲーターのパイモンが萩花洲を歩いていた時のこと。

 

 

…いっ! はぁっ!

 

 

「なぁ、あそこでヒルチャールと戦ってる人がいるぞ!

助けてあげようぜ!」

 

 

「本当だ。早く行こう!」

 

 

 …とは言ったものの、彼らが着いた時にはその場所は静かになっていた。

 全て、戦っていた少年が倒していたのである。

 

 

「これ、全部あいつが…?」

 

 

「ここ、氷元素の痕跡がある。

あの人、氷元素の『神の目』を持ってるみたい。」

 

 

「おーい! 大丈夫なのかー?」

 

 

 パイモンが声を掛ければ、槍を持っていた少年、もとい戦っていた彼はこちらに気づく。黒髪で、水色の瞳だ。

 服装は、動きやすい雰囲気のようではあるが葬儀屋の制服のようにも見える。

 

 

「全然大丈夫ですよー!

…って2人って、璃月を救ったあの英雄さん?」

 

 

「オイラたちのこと知ってるのか!?」

 

 

「ええ、勿論。

確か……空さんとパイモンさん、ですっけ?」

 

 

「ああ、そうだぞ!

ところで、お前はなんて言うんだ?」

 

 

「そういえば、自己紹介が遅れてましたね。

俺は桜雹(オウハク)、璃月に住む者です。」

 

 

「よろしく、桜雹。

それと、堅苦しいし敬語は抜きで話さない?」

 

 

「確かにそっか。

…って、ここの魔物片付けたから師匠呼ばなきゃ!」

 

 

 師匠ー!と彼が大声で呼ぶと、その当人は現れる。

 その姿は、2人が知る顔でーーー

 

 

「し、魈!?」

 

 

「終わったのか?

…と、お前たちもいたのか。」

 

 

「ちょ、ちょっと待て!

桜雹って、魈が師匠なのか!?」

 

 

「色々あってだな。こいつから頼み込まれ、仕方なくだが。」

 

 

「修行の一環で、こんな感じで妖魔が憑いた魔物を倒してるんだよ。

勿論、師匠の監督下ではあるけど。」

 

 

「我はただ遠くから見ているだけだ。

本当に危険なときのみ、我が助けているが。」

 

 

「結構スパルタなのか…」

 

 

「何か言ったか?」

 

 

「い、いや何でもないぞ!」

 

 

「ハァ……まぁいい。桜雹、次だ。

この辺りだけでなく、旅館の南にかけて妖魔の気配が多数ある。

我が見る事は出来ないが、討伐に回ってこい。」

 

 

「了解です、師匠。」

 

 

 桜雹はその言葉を合図に走り去る。

 

 

「…大丈夫なのか?」

 

 

「あやつなら心配ない。曲がりなりにも我の弟子だからな。

それに、聞いた話では恋仲になっている者が居るらしいからな。」

 

 

「恋仲ぁ!? それって誰なのか!?」

 

 

「我は深くは知らぬ。

それとお前たちだが、代わりにあやつを見ていて貰いたい。

この気配の数、我も別の場所で狩らなければ間に合わん。」

 

 

「それ、桜雹が危なそうなら助けてもいいんだよな?」

 

 

「それは勿論だ。

お前たちが我らの助けをすると()うのなら、手出ししても構わん。」

 

 

「分かった!

それなら、早く行こうぜ!」

 

 

「ちょっ、パイモン!」

 

 

 急ぐパイモン、追う空。

 残る魈は、1人言葉を紡ぐ。

 

 

「…我も行かなくてはな。」

 

 

 夜叉は駆ける。

 全ては帝君との契約の為に。




今のところの登場人物
・桜雹
 オリ主くん。氷の神の目持ちで武器は長柄武器。
 胡桃と付き合ってる(←ここ重要)

・空
 金髪の旅人。時系列はVer.3.3。

・パイモン
 我らが非じょ…ではなくナビゲーター。時系列は空と同じく。

・魈
 降魔大聖様ァ! 色々あって桜雹くんの師匠をしてる。


 できれば海灯祭までに伝説任務は完結させたい


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遺恨の言葉



イベントのブロック崩し、楽しすぎる件




 魔物がいる場所の近くで戦闘準備をしていると、さっき通った場所から空とパイモンが。

 

 

「2人とも何か用ー?」

 

 

「魈は別の場所で魔物を狩るらしいから、代わりに見てくれって。

それに、俺たちも手伝おうと思ってさ。」

 

 

「おぉ、それは助かるよ!

それなら、すぐ近くにいるから2人でやるかー。」

 

 

「分かった。」

 

 

 

 ◇

 

 

 

 妖魔が憑いた魔物の群れを狩ること暫く。

 空の助けもあり、普段よりも良いペースで進んでいた。

 

 

「ふぅ。これで、萩花洲の辺りはほとんど終わったかな。」

 

 

「結構多かったな…

あれだけの量相手にして、桜雹は大丈夫なのか?」

 

 

「確かに。魈といるなら業障を受けたりしないの?」

 

 

「修行をつけてもらって最初の辺りは勿論そうだよ。

今じゃもう慣れてるし、体に支障が出てるわけでもないから大丈夫。」

 

 

「慣れって…」

 

 

「というか、さっき倒した魔物も変なこと言ってたよね…」

 

 

「確かに。殆どヒルチャールだけど、人間の言葉だったし…」

 

 

 言葉の内容は多種多様。

 「ぼくがつよくならなきゃ…」とかがあれば、「おかあさんが…」とか。

 かなりの量のヒルチャールを相手にしただけに、全ては覚えきれてないのだが。

 

 

「何だか、子供の声っぽかったね。」

 

 

「言われてみれば…」

 

 

 空の指摘通りだ。

 しかも声は同じ人っぽいし、これは1人の少年の幽霊が起こしたことなのだろうか。

 

 

「…でも、子供の幽霊が起こしてもあり得なくはないと思う。」

 

 

「どうしてだ?」

 

 

妖魔が憑いた(こういう)魔物は何度も狩った経験があるから言えるけど、何かしら…例えば妖魔とかの影響を受けた魔物の強化の程度は妖魔の強さによるんだ。

怨みとかの感情が強いほど、強化の振れ幅は大きいって感じ。」

 

 

「なるほど…

でも、さっきまで狩ってきた魔物が遺してた言葉はそういった感じじゃなかったよね。」

 

 

「それについては何とも…

言い遺して消える例はあったけど、こんな言葉は初めてだし。

それでも、かなり強い感情があれば出来なくはないと思う。」

 

 

「へぇ…

それなら、魈と合流して話を聞きに行ってみようぜ!」

 

 

「まずは南の方狩ってからね。

まぁ、師匠もそっちに向かってるだろうけど。」

 

 

「分かった。」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「ふむ……

たしかに、その声は一体の霊によって行われたものだろうな。」

 

 

 南の方に向かうと、やはり師匠はいた。

 考えはどうやら同じのよう。

 

 

「その霊は、己の強さを誇示したいだけなのだろう。

霊になってまで強さを見せつけるのに、理由などないと我は考えるが…」

 

 

「子供が強くなるのに理由は要るのかな…

特に、今の時代。」

 

 

「…だが、この近辺に居る可能性が高い、というのが気がかりだな。」

 

 

「魔神の怨嗟に混じるほどですからね。

それこそ、魔神戦争の時代とかに死んでないと難しそう。」

 

 

「…本当にそうなんじゃないかな?」

 

 

「本当なのか!?」

 

 

「でも一理あるね。魔神の怨嗟が周りにいながらも残り続けられるなら、この事件を起こせることも出来なくはない。」

 

 

「桜雹も肯定するのかよ…」

 

 

「ならば、その子供の霊とやらを探すぞ。

ちょうど、南から多くの妖魔のような気配を感じる。」

 

 

「なら、3人がかりでやった方が早そうだね。」

 

 

「賛成。さっさと終わらせるか!」

 

 

 

 ◇

 

 

 

 帰離原に存在する遺跡、帰離集。

 魔神戦争の時代、ある魔神がここで人を治めていたと聞いたが、今は小さな戦場になっている。

 それもそのはず、ここに近づくにつれ魔物の数が増しており、強くもなっているのだ。

 

 

「ちょっと、流石に多すぎるって!」

 

 

「お前も努めろ。1人でも倒れたら直ぐに全滅だ。」

 

 

「それは分かってますけど…はあっ!」

 

 

 暴徒の数があまりにも多い。まるで軍事基地のようだ。

 だが、今更戻ることなんてできない。前にしか道はない。

 が、それでも着実に前には進めている。

 そしてそれらしき洞窟に近づいたところーーー

 

 

「ちょっ、遺跡守衛じゃないか! それに2体も!

後少しなのに…!」

 

 

「ここで来るとは、さながら番人だねぇ。」

 

 

「余裕こいてる場合か!」

 

 

「…此処は我に任せろ。

霊の事はお前が詳しいのだろう? 片付けた後は我もすぐに向かう。」

 

 

「…わかりました。頼みます!」

 

 

 2体の遺跡守衛の間を駆け抜け、洞窟の中へと突入する。

 振り向くと、遺跡守衛や暴徒を前にして儺面を被る師匠が見えた。




桜雹…旅人の強さに驚きながらも頼もしさを感じる。

空…魈に鍛えられただけあって凄いと思っている。

パイモン…魈が言ってたやつ、八重堂の娯楽小説で「フラグ」ってなってるやつだぞ!

魈…○亡フラグ立ててるけど夜叉補正でこの後普通に生き残ってる。


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執念



胡桃復刻まだかなぁ…(投稿日現在)
あと七星召喚楽しぃ





 洞窟の内部に突入。

 この辺りを治めてた魔神はからくりを得意としてた辺り、ところどころに仕掛けが見られた。

 

 

「なんか色々あるな…

奥に進むのは一苦労な気がするぜ…」

 

 

「遺跡の周りだし、そりゃそうだよ。

多分子供の霊は奥にいるだろうし、急ごう。」

 

 

「そうだね。」

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 難解な感じの仕掛けを突破しつつも奥へと向かう。

 侵入者を阻む為のものだろうが、神の目を活用していけばなんとかなった。

 空の協力もあったんだけどね。

 

 

「…そろそろ奥に行けてる気がする。」

 

 

「そうなのか!

早くこんな気味悪いところから出て、外の空気でも吸いたいぜ…」

 

 

「気味悪いって…ここは大昔の魔神が遺した遺跡なんだけど…

パイモンにはそういうのへの敬意とかないの?」

 

 

「俺が旅した間では、そんな雰囲気はあんまり感じてなかったよ。」

 

 

「おい! オイラだって敬意をはらうことくらいできるぞ!」

 

 

「ふーん…」

 

 

「パイモンは食べ物の事ばっかり考えてるからね。」

 

 

「2人してなんでそんなに信用しないんだよ!」

 

 

「ごめんごめん。

…でも、昔の事への敬意は必要だよ。今の璃月が、いくら人が治めてるって言っても、その土台には仙人たちが創り上げてきた璃月があるんだから。」

 

 

「なんか、そう言われたらそう考えそうだな…」

 

 

「まぁ誰がどう考えたって別にね。

それより、早く行こう! 師匠も心配だし!」

 

 

「だな!」

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 中にいた魔物を狩りつつ進んでいくと、大きな広間に出た。

 奥を見ると、小さな少年がいる。

 

 

「ここが最奥っぽいけど…」

 

 

「あれが、その霊なの?」

 

 

「…間違いない。あれは確かに幽霊だ。

とにかく、さっさと成仏させるに越したことはないね。」

 

 

 と、幽霊がこちらに近づいて口を開いた。

 

 

「…おにいさんたち、ぼくに何しにきたの?」

 

 

「?」

 

 

「…やっぱりいいや。ぼくは強くならなきゃいけないんだし。」

 

 

「外で聞いたのと同じこと言ってるな…」

 

 

「キミ。キミはどうして、そんなに強くなりたいの?」

 

 

「どうしてって…

…おかあさんのため。ぼくが弱いから、おかあさんはっ…」

 

 

「…なるほど、そういう事か…」

 

 

「何か分かったの?」

 

 

「おにいさんたちだけで話しててうらやましいよ!

ぼくも混ぜて!」

 

 

「…一つ聞くけど、キミのお母さんはどうなったの?」

 

 

「死んじゃった。

とつぜん周りのフンイキが変わったら、怖いのが友達をおそいはじめて…

ぼくだけ、おかあさんに連れられてここに…

で、おかあさんはぼくをにがそうとして…!」

 

 

「…やっぱり、空の推測通りみたい。

この子は、母親と一緒に魔神戦争で死んだんだ。

無力感に駆られて、力を求めたってわけか。」

 

 

「そ、そんな…!

何かできないのか?」

 

 

「どうもこうも言われても…」

 

 

 と、突然周りの空気感が変わった。

 

 

「そうだ…ぼくは強くならなくちゃ…

つよく…………ツヨクッ!」

 

 

 霊はその体を崩し、散らばる。

 宿った先は、何体もの遺跡機械だ。

 

 

「ちょっ…! まずいぞ!」

 

 

「戦いたくはないけど、今はこうするしかないか…!」

 

 

 お互い武器を抜き、先を別の方向に向ける。

 そして駆け出した。

 

 

 遺跡機械の大抵は目やコアが弱点。

 槍の先に氷元素を集中させ、跳び上がってそこに叩きつける。

 元素はコアへの衝撃と共に、槍にも染み込むようにして武器に纏う。

 

 と、背後から殺気。

 手を挟み込むようにして襲う機械に対し、跳びつつ反転してまた目に氷元素の塊をぶつける。

 殺気を出す辺り、暴走してるなこりゃ。

 

 

「まだまだ来てるぞ!

こんなんじゃキリがないぞ…」

 

 

「…なら」

 

 

さて、本気を出そうか!

 

 

 神の目に溜め込んだ元素エネルギーを解放。

 エネルギーの奔流が雹群として形を成し、そして槍を持つ手に拍車がかかる。

 槍を一振りすれば、雹は敵を襲い、その鋭さで遺跡機械の鎧に大きな傷をつけていく。

 

 

 そうやって機械を減らしてきたところ…

 

 

「…何だ、この騒ぎは。」

 

 

「師匠!」

 

 

「魈じゃないか! 今すぐ助けを「いや、いい事思いついた!」

…はぁ!?」

 

 

「…一体何のことだ?」

 

 

「とにかく、今は緊急事態なんです。耳、貸してください。」

 

 

 そう言って師匠に耳打ち。

 全て聞いた師匠は、仕方ないなと頷いた。

 

 

「キミ! ちょっと話がある!

キミの強さを証明できる方法があるよ!」

 

 

「…突然、ナニ?」

 

 

「この横にいる人は俺の師匠!

この人を倒せば、キミはお母さんを倒した奴より強いと証明できる!」

 

 

「…桜雹、何言い出してんだ?」

 

 

「いや、案外悪くない案かも。」

 

 

 空の言う通りだ。

 師匠ら夜叉は強い力を持ち、璃月を守ってきた。

 魔神戦争の時代を生きてきたと本にはあり、それならばと思ってとった選択だ。

 あの幽霊にさせるべき事は「自分が強いと証明させる」。

 師匠ならこの大群も対処できるだろうが、わざと負けてもらって自己満に浸らせる。

 それが作戦だ。

 

 

「俺たちは手を出さない!

キミの力でやってみせろ!」

 

 

「…ウン」

 

 

 遺跡機械の視線は一気に師匠に集まる。

 と、師匠が両手を広げた。

 

 

「…こいつはこんな事を言ったが、戦う前だが降参だ。

我には解る。この状況、本気を出した我でも手に負えん。」

 

 

「…ホント?」

 

 

「ああ、本当だ。」

 

 

「ソっか…」

 

 

 遺跡機械は止まり、そしてまた少年の形をとる。

 

 

「ぼく、あの怖いのに勝てるんだ! これでやっと、おかあさんを守れる!

おにいさん、ありがとう!」

 

 

「どういたしまして。」

 

 

 そう言って幽霊は消えていく。

 未練は、なくなったようだ。

 

 

「…さて、これにて一件落着かな?」

 

 

「だろうね。」

 

 

「あー…

ほんの少しの出来事のはずなのに、すごく疲れたぞ…」

 

 

「確かに、今日一日は結構忙しかったもんね。

…そうだ、璃月港に戻ったら、お礼に何か奢るよ!」

 

 

「いいのか!?」

 

 

「…あでも、三杯酔だよ?」

 

 

「別に、奢ってくれるなら何でもいいぜ〜!」

 

 

 何やらパイモンがクズっぽい気がするが、悪い気は起きない。

 そうとして、空にはとても力になって貰ったから。

 

 

 4人揃って、外へと足を運ぶ。

 背後から、何かが解放されたように風が吹いた気がした。





 活動報告の所にこのシリーズ関係のものを貼りました!
 読者さんの協力も必要になりそうなので、お願いします!
 ここです↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=290549&uid=411313


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講談と食事


3.4が近くなったので急いで書き上げました



 璃月港に戻ってきた頃にはもう、日は天衡山の向こうへと行っていた。

 注文した料理が届くと、ちょうどよく講談師の声が響く。

 

 

さて、今日は璃月が建国される迄の話です。

 

 

「へえ。今日は面白そうな話だな…」

 

 

 空とパイモンの方を見ると、二人は箸を片手に聴こうとしているよう。俺もなんだけど。

 

 

 

約6000年前、現在の岩王帝君は璃月に降臨し、仙人と共に天衡山で人々を導き始めました。

 

 

現在存在する黒岩場は、この頃から採掘が行われていたそうです。

 

 

 

「黒岩場…行かないから印象薄かったけど、そんな昔からあったんだね。」

 

 

「それは確かに。」

 

 

ーーこの頃、帝君には仲の良い魔神がいました。

 

 

塵の魔神「帰終」と言い、絡繰りの扱いに長けた魔神です。

 

 

「帰終機」も、彼女が発明したものだとか。

 

 

そのうち帝君は、帰終が治めていた場所へ、民と共に移り住みました。

 

 

帝君の庇護下にあった人々は「離の民」と呼ばれ、その「離」と彼女の名から、その場所は「帰離集」や「帰離原」と呼ばれました。

 

 

そして時が経ち、魔神戦争が始まりました。

 

 

民を護る為、帝君と帰終は必死で戦いました。しかしーーー

 

 

「しかし…ってどう言う事だ?」

 

 

「……」

 

 

 帰終という神は現代たる今では歴史書などでしか聞かない。

 つまりーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーー戦いの中で、帰終は命を落としてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーそういう事なのだ。

 

 

 

 

ーー残されたのは帝君、帰離集、そして護っていた民。

 

 

帰離集は崩壊し、全てでなくとも多くの民が殺されてしまいました。

 

 

 

「…これが、あの幽霊が死んじゃった経緯なのか…」

 

 

「魔神に、殺された…」

 

 

 力があればというあの言葉。

 今考えれば、近そうであまりにも遠すぎる願いだったのだ。

 

 

ーー帝君は民を護るために、残された人々、そして仙人たちと共に南へと向かいます。

 

 

「世の塵を払い、民を守る」。

 

 

たどり着いたその場所で、岩王帝君は「璃月」という国を興したのです。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「ーー如何だったでしょうか? この筋の講談をするのは初めてでして。」

 

 

 その声に、俺は軽く拍手で答えた。空とパイモンも、同じのよう。

 

 

「んじゃ、冷めてきてるだろうし早く食べるか。」

 

 

「そうだな!」

 

 

 改めて3人で食べ始める。

 そうやって舌鼓を打っていると、見知った顔が見えた。

 

 

「あーっ! 桜雹に旅人たちだ!」

 

 

「3人が同時に居るのは初めてだな。」

 

 

 遠目に見えたのは胡桃と鍾離先生。2人が外で一緒にいるのも珍しいのだがまぁいい。

 

 

「え、桜雹って胡桃たちと知り合いなのか?」

 

 

「知り合いも何もねぇ…」

 

 

「揃って往生堂に勤めてるよ?」

 

 

 彼女と息を合わせてそう言う。

 真正面にいるパイモンは何故か固まっていた。

 

 

「え、えーっと…だな…

あ、そうだ! 魈から聞いたけど、桜雹に恋仲の人がいるって本当なのか?」

 

 

「え、師匠それ知ってんの!?」

 

 

「ふ〜ん…」

 

 

「まぁ、居るけど…

 

 

 

…そこに。」

 

 

「えっ?」

 

 

「…あ、なるほど。」

 

 

 意味が分からず頭にハテナを浮かべてるパイモン。

 逆に空は理解してるようで、早々にネタバラシが要りそうだ。

 

 

「あーっと…胡桃のことだよ?」

 

 

 そう言って見回すと、空はやっぱりかと手を頭に当てている。

 胡桃はニヤニヤしてるし、鍾離先生は無言だ。

 そしてパイモンだがーー

 

 

「えぇぇぇぇぇーーーーー!?」

 

 

 その日の夕方、璃月港に1人の叫び声が響いた。

 

 

-伝説任務・桜花の章 第一幕 雹が舞い散る時 完-

 




えー、ハイ。
1ヶ月更新してなくてすみませんでした。

海灯祭…頑張って介入させられるように頑張ります…
あとキャラ設定も書きます…


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チュートリアル動画・桜雹「雹花遊爛」


(ナレーション 井上喜久子ver.)
頑張ってそれっぽくは書いてみました



 様々な人が住み、商業で栄える璃月港なんだけど、ただ流れ行く日常を楽しむ人間はそれ程多くないの。桜雹は、そんな日常を楽しむ人の一人よ。

 

 

 しばらく彼を観察して分かったんだけど、読書家、花好き、写真家、夜叉の弟子、そして往生堂の「右腕」など…堂主と同じ歳で様々な顔を併せ持ち、ある意味正体不明の彼に会うのは至難の業でしょうね。

 

 

 一つヒントをあげるとしたら……そうね。自身の興味の矛先が向いたものの元へ、必ず桜雹は現れるの。彼が心の内に秘めている融ける事のない好奇心。それを満たせる存在は、仕事よりも大事なものみたい。

 

 


 

 

桜雹

 

「ほら、突っ立ってないで早く行くよ!」

 

神の目

 

命の星座

桜花座

 

 


 

 

 ある仙人を師匠に持って、桜雹は鍛えられたの。そこまでの力を持ってても多くの戦いを求めないのは、それを桜雹は望まないから。だからこそ、彼がひとたび本気を出せば、その戦闘技術と氷元素の力で相手を翻弄するの。

 

 

 

固有天賦:適宜の本気

 

 仕事と遊び、日常と非日常。相反する物事に対して常に卒なくこなす桜雹は、物事に本気で取り組む時、そうでない時を上手く使い分けられるようになってるわ。桜雹がチームにいる時、チーム全員の元素爆発のレベルが1上がって、威力や効果が上昇するのよ。

 

 

 

通常攻撃:往生堂秘伝槍法・突

 

 通常攻撃では、槍による最大6段の連続攻撃で物理ダメージを与える。

 重撃では一定のスタミナを消費して敵を切り上げ、物理ダメージを与える。

 また、桜雹が落下攻撃を行う時、受けるダメージは通常の半分となる。

 その動きの端々から、師匠である仙人の教えが垣間見えるわね。

 

 

 

元素スキル:雹造山桜

 

 元素スキルボタンを1回押しすると、前方を薙ぎ払い、範囲内の敵に氷元素ダメージを与え、同時にノックバックさせる。

 長押しすると、力を溜めた後に一気に跳び上がり、地面に衝撃を発生させる。この時、衝撃を受けた敵に氷元素ダメージを与え、同時に一定時間、通常攻撃に氷元素を付与する。

 

 天賦『融雹水』開放後、雹造山桜を1回押しで発動した後の一定時間、桜雹以外のチームの会心ダメージが上昇するわ。

 

 

 

元素爆発:雹群開花

 

「さぁ、本気を出そうか!」

 

 桜花の如く、雹は美しく、そして力強く開花する。

 元素爆発を発動すると、周囲の敵に氷範囲ダメージを与え、「雹群撃」を纏うわ。

 「雹群撃」はキャラクターに追従し、自身のキャラクターが通常攻撃を行う時に追撃を行い、氷元素ダメージを与える。また、場に出ているキャラクターの通常攻撃の威力を上昇させるのよ。

 

 天賦『零下の種子』開放後、雹群撃を纏っている時に雹造山桜を長押しで発動した後、雹群撃を纏う間、桜雹の氷元素ダメージが上昇する。

 

 

 桜雹が戦う理由は、自身や身近な友人を守るためなの。だから、危険に晒された時は害がこちらに及ぶ前に素早く勝負をつけるわ。彼の平穏を乱す者がどうなるかは、目に見えて解るでしょう。

 

 戦闘時、まずは雹造山桜を長押しで発動して自身の攻撃に氷元素を付与させて接敵を開始し、槍で一気に切り刻むと良いわね。

 

 元素エネルギーが溜まった後は、「雹群撃」を纏ってさらなる追撃をするといいわ。他のキャラクターに交代して、素早く緩やかな日々に戻ると良いわね。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 葬儀の仕事に明け暮れつつもただ流れる日々を過ごす桜雹だけど、趣味よりも大事なものがあるみたい。それは彼の上司であり、幼馴染であり、恋人である胡桃なの。

 

 桜雹の日常の片隅にはいつも彼女がいて、自由奔放にこの葬儀というちょっと面倒な慣習に彼が身を置けてるのは、彼自身のしご処理能力もあるけど、胡桃という前例もあるから。

 

 桜雹が胡桃と過ごしている時、彼は観察してきた中で一番楽しそうな表情をするの。それだけ、彼にとっての胡桃という人物は、桜雹にとってどれだけ大切なのかがわかるわね。

 

 ふふっ、観察だけじゃ物足りないし、今度は直接会ってみましょうか…

 

 


 

 

・設定集

 基本情報

 

『桜花絢爛』桜雹(☆5)

誕生日:8月26日

所属:往生堂

神の目:氷

武器:長柄武器

命の星座:桜花座

CV:不明(ご想像にお任せ)

突破素材:哀切なアイスクリスタル

     凝結の華

     瑠璃百合

     宝探しの鴉マーク系統

天賦素材:「黄金」の教え系統

     龍王の冠

 

 若くして「右腕」として往生堂の事務を支える少年。反面多趣味であり、その足跡はゆっくりと追うことしか出来ない。

 

突破ボーナス:会心率(19.2%)

衣装:打ちつく雹

 往生堂の制服を動きやすくしたもので、桜雹自身が注文して作ったもの。

 

 

 

・天賦

 

通常攻撃:往生堂秘伝槍法・突

 名前の通り、通常攻撃は胡桃に似たモーションだが、重撃は魈のそれと一致している。

 また、落下攻撃時の被ダメが半減する。

 火力はアタッカーキャラよりやや低め。

 

元素スキル:雹造山桜

 一回押しは前方を薙ぎ払い、氷ダメージを与える。

 長押しをすると地面に衝撃を与え、氷範囲ダメージを与えるとともに通常攻撃に氷付与。上書き可。

 

元素爆発:雹群開花

 「雹群撃」を纏い、戦闘を支援。

 通常攻撃時に氷ダメージの追撃を行い(氷版行秋)、通常攻撃ダメージが上昇。

 桜雹に通常攻撃バフをかけることで、一時的にアタッカー並みの火力を得られる。

 必要エネルギーは90。持続時間15秒で、クールタイム20秒。

 

固有天賦1:零下の種子

 突破で先に取る方の天賦。

 爆発の効果時間の間にスキル長押しをすることで、爆発の効果時間の間、桜雹の氷ダメージ+20%。

 

固有天賦2:融雹水

 後に取る方の天賦。

 スキルを1回押しすると、桜雹以外のキャラの会心ダメージ+10%。

 効果時間12秒、クールタイム18秒。

 

探索天賦枠:適宜の本気

 チーム全員の元素爆発レベル+1。

 

 

・命の星座

 

一凸:迎えし春

 雹造山桜の使用回数+1。

 

二凸:芽生えという兆し

 雹造山桜を1回押しで発動したとき、当てた敵の氷、炎、物理ダメージの耐性-20%。

 

三凸:成長の五分咲き

 元素スキルの天賦レベル+3。

 

四凸:美麗の八分咲き

 元素爆発発動時、「雹群撃」の効果のうち通常攻撃ダメージアップの効果を周囲の味方*1に付与する。

 

五凸:素晴らしきかな、満開

 元素爆発の天賦レベル+3。

 

完凸:舞い散りし桜花弁

 「雹群撃」による氷ダメージの追撃時、氷元素付着のクールダウンがなくなるようになる。

 

 

・モチーフ武器

 

「御花見祈願」

(所々に桜の花が彫られており、全体が赤寄りのピンク色になっている槍)

 

基礎攻撃力:674

会心ダメージアップ:59.4%

 

 その昔稲妻で造られ、様々な人の手を渡るうちに銘が分からなくなった一振りの槍。

 元々は、桜が満開になる日が晴天になるようにと祈るための儀式道具だったらしい。

 

武器効果:花見の祈

 元素チャージ効率+15%、装備キャラの元素爆発発動後、10秒間「桜枝(オウシ)」の蓄積時間に入る。

 蓄積時間中、元素爆発による攻撃が敵に4回ヒットする毎に「桜枝」を一層獲得する。最大五層。

 蓄積時間終了後、または蓄積時間中に装備キャラクターが退場すると、15秒間、次に登場するキャラクターの元素爆発ダメージが「桜枝」一層毎に+5%

 

*1
マルチプレイの仲間




3.4…!明日ですね…!
海灯祭の話も勿論書きますよぉ!


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唯流れ行く日常
とある朝の一幕



後半ガチャになってから更新する作者ェ…



「……なんか暑い。」

 

 

 開口一番がそれである。

 

 海灯祭が近づきつつある冬の朝、布団の中。

 仕事の都合上夜型になってしまうのが俺の生活習慣であるために、寝具は良いものを使う。その弊害で、冬物で寝る時は暑くなりがちなのだが、今回はそれ以上なのだ。

 まぁ、恐らく()()なのだろう。そう思って布団を軽くめくる。

 

 

「…ぅ…すぅ…」

 

 

 やっぱりだった。

 そこにいたのは胡桃。上司であり、幼馴染であり、可愛い彼女でもある。普段は別々の部屋で寝てるのだが、たまにこうなるのだ。寝る前に「私は詩を書いてから〜…」とか言ってたし、その後に部屋に入ってきたのだろうか。

 

 それは置いといて、この状況をどうにかしなければ。

 今日は揃って休日だし、仕事の日のように無理矢理起こすなり布団の中に彼女一人残していくなりという選択肢は取らずとも良い。後者については、胡桃が機嫌をすんごく悪くするから殆どしないのだが。

 とりあえず、胡桃を起こさないように布団から…出……て………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……暑い。」

 

 

 開口一番がそれ…って、もしかして―――

 時計を見る。短いほうの針が指しているのは1()2()の数字。そして感じる胴体が締め付けられるような感覚。

 感覚は置いといて、二度寝してしまったようだ。

 

 

「あ、起きたー?」

 

 

「え? まぁ、今ね。

……で、なんで俺を()()()()()()わけ?」

 

 

「別にいいじゃん。それとも、可愛い彼女に抱きしめられるのが嫌なの〜?」

 

 

「嫌ではないけどさ…」

 

 

 たまに人肌が恋しくなるとかそういうわけでは断じてない。胡桃の気分なんだろうが、()()()()()()()()()()()のだ。純粋な愛情表現なのか、俺がいるとはいえの寂しさを紛らわすための行為なのかはわからない。

 

 

「ほら、今日は休みの日だけどベッドで半日過ごしてんだからさ。ご飯食べよ。」

 

 

「はぁ~い。」

 

 

 引き剝がしながらも優しく胡桃を下ろし、台所へと向かう。

 基本的に料理は俺がやっている。得意の部類に一応入っているからというのもなくはないのだが、胡桃は料理が下手なのだ。仕方ないってのもある。

 慣れた手つきで軽めの料理を作り、先に食べ始める。暫くすれば胡桃もやって来て、同じくといったところ。

 

 

「あ、本日のご予定はー?」

 

「そだなぁ…。そだ、花屋行ってこよ。」

 

 

 そういえば、新年を迎えた訳だから花屋の品揃えも変わっているはず。

 我が家はそれなりに質素な雰囲気だから、花は飾り立てにちょうど良いのだ。因みに、一番好きなのは桜である。

 

 

「分かった! 私は街をぶらぶらしながら何かしらしとくよー。」

 

「了解。総務司の世話になる事はしないでよねー?」

 

 

 一応釘は刺しておくが、それでもやりかねないのが胡桃。

 洗い物を片付ける間にもう行ってしまった彼女を遠目に、そんな事を考えるのだった。俺も早めに行っておこう。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「よし、こんなもんかな。」

 

 装飾用の花、それと食材諸々。大方買い終わり、満足げである。

 それでも暇――という訳で、海を眺めていた。

 眼下の埠頭を覗くと、毎年のように建てられる提灯などの飾りをつけているのがやや小さく見えている。いい感じだし、撮っておこう。

 肩から提げている写真機を出し、何枚か撮っておく。と、声が聞こえてきた。

 

海灯音楽祭、どんなのになるんだろうなぁ。

 

 「海灯音楽祭」…?

 去年の目玉イベントは稲妻から輸入した花火だったが、今年のそれだろうか。面白そうだし、胡桃にも話しておこう。

 

 そうして帰宅したわけだが、胡桃はおらず。代わりに書き置きがあった。

 

 

「なになに……『辛炎と雲菫のとこに行ってくる』?」

 

 

 辛炎……ロックミュージシャンの彼女のところということは、胡桃はもう聞きつけているのだろうか。

 

 また何か企んでいそうだ。そう思いつつも、買ってきたものの収納に手をつけ始めるのだった。




後半ガチャ…神引きしてしまいました…
だが私は謝らない()


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