やる夫達は並行世界と繋がった聖杯戦争に参加するようです。 (しきん)
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設定集(随時更新予定)
モダンファンタジアシティ 地理


どうも、しきんです。

この章(?)では、本作の設定や世界観について説明します。

今回は本作の舞台であるモダンファンタジアの地理にスポットを当てていきます。

2024年 4月2日 『・モダンファンタジアシティ』の説明文を修正しました。


+全体

 

・モダンファンタジアシティ

聖杯戦争の舞台として設定された、一つの大きな半島に築かれた都市。緯度は現実の東京都とほぼ同じ。公用語は日本語と英語。ここに住むNPC達は数々の並行世界や多元宇宙から再現されたものであり、殆どの場合は飛行艇や陸路で移住してきた市民という設定となっている。市内は活気に満ちており、一見すると平和であるように思えるが、通常の人間や元の世界で高度な文明を築いた人種からの異人種に対する差別、一部の地区で横行している麻薬取引等の犯罪、果てにはNPC同士の殺人事件や自爆テロが度々発生し、最近ではそれらが問題視されている。本来であれば、NPCは与えられた役割の通りに行動する筈なのだが、これらの破滅的ともいえる自由意志のような行動が起こるのは、多元宇宙から様々な価値観を持つ人種を混在させ、共に生活させた事により発生した、所謂『バグ』であると霊子サーバーは推測している。物価は現代日本よりやや高く、料金は1~2割、賃金は2~3割程インフレしている。上空から見なければ分からないが、実は、モダンファンタジアシティの外側は赤く染まった海やコア化した大地が広がっており、例えマスターやサーヴァントであってもその領域に足を踏み入れると身体がコア化してしまう為、物理的な脱出は不可能である。地形のモデルはGTA5のサンアンドレアス州の南半分であり、それを半島化した感じとなっている。ただし、北西部に山が存在しない代わりに森が広がっている、人工島の地形が違う等の差異がある。

 

・高速道路

モダンファンタジアシティを通る高速道路は、一部区間を除いて海岸線に沿ったコースとなっている。また、都市部を横断する区間もあり、セントラルロードから少し北の位置にインターチェンジが置かれている。

 

+北部

 

・ジャスタウェイ山地

北部から北東部にかけて広がっている山地。元々は一つの山だったが、何らかの形で山地になったものであると言われている。

 

・ジャスタウェイ山

ジャスタウェイ山地に位置する山。麓と山頂を繋ぐロープウェイや温泉、そして山頂から観られる景色が有名で、ここへとやって来る観光客も多い。また、山頂付近からディアブロ湖付近までに渡って構成される峠もあり、夜は走り屋達が挙ってここに集まる。

 

・ディアブロ湖

ジャスタウェイ山の中腹に存在する湖。この湖に溜まった水は、ラルゴ・リバーを下り、海へと流れる。

 

・ラルゴ・リバー

ディアブロ湖から海へと流れる川。途中で都市部を縦断するコースとなっている。

 

・シヴァの森

北西部に広がる森。謎の屋敷が建っているらしい。

 

+中央部(都市部の北半分)

 

・ミラージュヒルズ

中央部の北西に位置する高級住宅街。丘の上にあり、景観も良い。

 

・スクールタウン

ミラージュヒルズやセントラルロード、アーンヴァル街と隣接する地区。アカデミーや穂群原学園が存在する他、諸校の経営に必要な企業や寮が点在している。

 

・セントラルロード

都市部の中央に位置する繁華街。市内の企業の約半数がここに店や事務所を構える他、巨大なショッピングモールが存在する。また、この地区とダウンタウンの間には川が流れており、その上には二つの橋が架かっている。

 

・アーンヴァル街

住宅やアパート、マンション等が建ち並ぶベッドタウン地区。また、少数ながら、コンビニも存在する。

 

・ダウンタウン

飲食店や小売店、小工場といった、色々な施設が混在する地区。また、中央部における最東端の地区であり、この地区から東は森林が広がっている。

 

・農業地区

中央部の北東に位置する農業地区。この地区そのものが一つの巨大な建物となっており、様々な穀物や野菜を栽培している他、数種類の家畜の飼育も行われている。

 

+西部

 

・パシフィック海岸

西部の更に西側に広がる海岸。砂浜であり、夏になると海水浴等のレジャーが楽しめる。

 

・観光地区『スプラッシュ』

観光施設が多く存在する地区。スタジアムを始めとするスポーツ施設も存在する。

 

・ストラーフ街

主に観光及び宿泊施設が建ち並ぶ地区。パシフィック海岸に近い位置にあり、美しい景色を観る事が出来る。

 

+東部

 

・森林

ダウンタウンとパチャールビーチの間に位置する森。ここの北半分はハンター達の狩場の一つに指定されている。

 

・再開発地区

大型飛行艇の墜落により、大部分が破壊された地区。南側は再開発が進んでいる一方、北側は手付かずのままで立ち入り禁止区域とされているが、実際には多くのホームレスや被差別者が廃墟等を利用して作った『イルぶる』という集落で生活している。また、この地区は森林と隣接しており、野生動物が目撃される事もある。

 

・パチャールビーチ

自然に囲まれた美しいビーチ。モダンファンタジアシティにおける海釣りの聖地としても有名で、ここで釣りをするにはライセンスを必要とする。

モデルはファミリーフィッシングのパチャール・ビーチ。

 

+南部(都市部の南半分)

 

・アーキテクト工場地区

鉄鋼や化学繊維、医療薬品にバイオ燃料といった、様々な製品を製造する工場が建ち並ぶ地区。倉庫も幾つか建てられている。

 

・歓楽街『アンダーグラウンド』

アーキテクト工場地区の隣に位置する地区。ラブホテルや闇カジノ、風俗店等が建ち並び、複数の犯罪組織による取引が度々行われている事から、『モダンファンタジアシティで一番治安の悪い地区』と言われている。また、廃ビルが幾つか放置されたままとなっており、その殆どが犯罪組織の拠点となっている。

 

・モダンファンタジア国際空港

読んで字の如く。南部の更に南西に位置する。飛行艇が行き来する場所で、非常時には統合軍防衛部隊が使用する事もある。なお、ここは本来は施設なのだが、駐車場を含む敷地面積が非常に広い為、地区扱いとする。




2024年 4月2日に実施した修正について

設定を考えている時に『電気自動車は寒さに弱い』という情報を目にした際、「北海道よりも北にある寒い気候にあって、更に季節が冬だと、寒すぎたり、端末や電気自動車等が使えなくなったりで聖杯戦争どころではない、なんて事になるのでは?」と考え、今回、こうして修正を加えた次第でございます。


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モダンファンタジアシティ 施設一覧

どうも、しきんです。

今回はモダンファンタジアに存在する各施設にスポットを当てていきます。


+ジャスタウェイ山地

 

・柳洞寺

ジャスタウェイ山地の頂上付近にある寺。

 

+シヴァの森

 

・統合軍基地

統合軍防衛部隊が駐留する軍事基地。統合軍に属していない者が入る事は禁じられており、不法侵入すると、例えマスターやサーヴァントであっても容赦無く拘束ないし抹殺される。

 

・紅魔館

赤煉瓦の屋敷。フランドール・スカーレットの自宅で、初期におけるマスターの拠点としては最大規模と言える。また、フランを除く紅魔館メンバーもNPCとしてここに住んでいる。殆どのNPCはこれを謎の屋敷と認識している。

 

+ミラージュヒルズ

 

・衛宮邸

衛宮士郎の自宅。外観・内装共に衛宮士郎のいた世界のそれと同じである。

 

・遠坂邸

遠坂凛の自宅。外観・内装共に遠坂凛のいた世界のそれと同じである。

 

・アスノ家

フリット・アスノの自宅。機動戦士ガンダムAGE第1話に登場したものである。

 

+スクールタウン

 

・穂群原学園

小中高一貫校。学費が安く、低所得者も安心して通える。また、部活動に力を入れている事でも有名。

 

・モダンファンタジア・アカデミー

高校と大学、そして研究機関がセットになっている国立施設。内部には図書館、食堂、体育館、スポーツ施設、部室棟、サークル棟、学生寮等がある。高等部と大学についての説明は、それぞれの概要を参照して頂きたい。

 

・モダンファンタジア・アカデミー(高等部)

高校。教育内容は通常の高校とあまり大きな差は無いが、教養課程で並の専門課程以上の講義という英才教育が施される。その中でも一部のトップエリートの学生は、学生のまま研究生として迎えられ、研究室が与えられる。入学は面接のみで試験は無い。学費は穂群原学園と比べてやや高い。3ヶ月に一度のテストで合格出来ないと、容赦なく退学となってしまう。

 

・モダンファンタジア・アカデミー(大学)

大学。教育内容は通常の大学と大差無いが、高等部と同様に、教養課程で並の専門課程以上の講義という英才教育が施される。また、一部のトップエリートの学生が学生のまま研究生として迎えられ、研究室が与えられる事がある点も高等部と共通している。入学、学費、退学に関する事は高等部と同様。

 

+セントラルロード

 

・セントラルロード駅

モダンファンタジアシティにおける鉄道網の中心。地理の関係上、列車のジャンクションとして機能している。また、モノレール駅でもあり、モダンファンタジア国際空港駅までを結ぶモノレール路線の起点としても機能している。

 

・多目的超高層ビル『ネルフ』

市内なら何処からでも見える程高く、敷地面積が広いビル。外壁はダークグレーを基調としたカラーリングとなっており、内部にはショッピングモールを始め、行政施設、図書館、映画館、企業オフィス等の施設が存在する。最上階は巨大な立体プラネタリウムとなっており、外からはまるでビルの上に乗っている月が回っているように見える。最上階の窓にはカウントダウンタイマーが表示されており、マスターやサーヴァントはこれが聖杯戦争本戦開始までのタイマーである事を知っているが、NPC達は新年までのカウントダウンと認識している。構造材にはマイクロ・ハニカム技術が取り入れられ、外壁は強化ガラスとフェイズシフト装甲で出来ている上、外部からのあらゆる攻撃を無効化するA.T.フィールドを瞬時に展開出来る為、Aランクの宝具を以てしてもネルフの破壊は困難である。

 

・パラダイス・ステーション

モダンファンタジアシティ最大級のゲームセンター。クレーンゲームは勿論、メダルゲームや音楽ゲーム、体感ゲームにレースゲームといった、数多の最新アーケードゲームで遊ぶ事が出来る。

 

・モダンファンタジア・セントラル・ホスピタル

総合病院。殆どの診療科が存在する。

 

・アストルム放送本社

テレビ局兼ラジオ局。アストルムはモダンファンタジアシティにおいて視聴出来るチャンネルの一つである。

 

+アーンヴァル街

 

・入速出宅

入速出やる夫の自宅。外観・内装共に入速出やる夫のいた世界のそれとほぼ同じである。

 

・アーンヴァル・グランドハイツ

新築の高級マンション。遠野志貴は704号室に、アーミヤは602号室に住んでいる。

 

+ダウンタウン

 

・言峰教会

監督役の言峰綺礼が神父を務める教会。近くに霊園がある。

 

・アーネンエルベ

巷で有名な喫茶店。衛宮士郎はここでアルバイトとして働いている。

 

・カーディーラー『アカシ』

明石が経営するカーディーラー。バイクの販売も行っている。また、たまに出典がオリジナルでない車やバイクを手頃な価格で販売している。

 

+観光地区『スプラッシュ』

 

・スタジアム

サッカー専用のスタジアム。サッカーの試合が行われる他、式典の会場として使われる事もある。

 

・アスティカシア・コロシアム

スタジアムの地下にある闘技場。これの存在を知る者はマスターやサーヴァント、監督役を置いて他にはおらず、NPC達はこれの存在そのものを知らない。

 

・総合スポーツプラザ

スタジアムと車道越しに隣接する屋内体育館及び屋内プール。施設はメインアリーナ、サブアリーナ、プールが備えられている。スポーツイベントやコンサートの会場として使われる。

 

+ストラーフ街

 

・ホテル『ハイアット』

有名な企業が経営している高級ホテル。

 

+再開発地区

 

・墜落地『辺獄』

大型飛行艇が墜落した跡地。ここに墜落した大型飛行艇の主機関は奇跡的にまだ生きているらしい。そこに出来た底無しのような赤い穴の中に立ち寄る者は己に起こり得たかもしれない『悪夢』を見ると言われている。穴の中に身を投げ出して自殺するNPCも出て来て、何時しか『辺獄』と呼ばれるようになった。最近では、穴の中に立ち寄った者の身体が赤く変色し、そのまま死亡したという事件も発生しているが、原因は未だに分かっていない。

 

+モダンファンタジア国際空港

 

・モダンファンタジア国際空港駅

モダンファンタジア国際空港内に存在するモノレール駅。中央駅からモダンファンタジア国際空港駅までを結ぶモノレール路線の終点として機能している。



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用語一覧

どうも、しきんです。

今回は本作に関する用語にスポットを当てていきます。


・地球統合政府

地球圏統一政府であり、この聖杯戦争に登場する唯一の国家。基本的な政治形態は共和制を採っており、一応は民主共和国であるとされているが、政府が後述の貴族の存在を認めている上、一部の貴族が政界に進出しているという噂が流れている事から、歪な政治形態であるとも言える。通貨はCP(キャッシュポイント)。国軍は地球統合軍。

 

CP(キャッシュポイント)

地球統合政府で使われる通貨。紙幣と貨幣の両方が造幣されている。

 

・フェイトバンク

銀行。モダンファンタジアシティの各所にATMや支店が点在している。

 

・飛行艇

An-225と同程度の大きさの飛行艇。ミノフスキークラフトを搭載している為、高い輸送能力を持つ。また、改造され、実験機として運用された機体も存在するという噂がある。

 

・地球統合軍

治安維持を目的として創設された国軍であり、『統合軍』という略称で呼ばれる事が多い。今回の聖杯戦争から12年程前に起こった戦争におけるフレームアームズ開発計画の発動を切っ掛けに人型機動兵器『フレームアームズ』の配備・運用を開始、近年では、新型フレームアームズの配備を進めている。

 

・統合軍防衛部隊

正式名称は『地球統合軍モダンファンタジア防衛部隊』。基本的に野獣や魔物が都市に入り込まないよう、都市外周部を見張っており、都市内ではテロリスト及びそれと区別が付かないマスターやサーヴァントに対する発砲が許可されている。戦車や戦闘機等に加え、少数のフレームアームズが配備・運用されている。

 

・貴族

特権を備えた名誉や称号を持ち、上流階級に属する家系。代表的なものとして、『アストライア家』等が挙げられる。一部の貴族が政界への進出を狙っているという噂もあり、それが「地球統合政府の政治形態が歪である」と謂われる原因にもなっている。また、没落して貴族から降格した家系も存在する・・・らしい。

 

・ハンター

野獣や魔物を狩り、野草や果物等を採取してそれらを売る職業。ハンターになるには資格が必要だが、マスターにはそれが予め与えられている。

 

・モダンファンタジアシティにおける銃器及び刀剣類

都市の外にいる野獣や魔物への対策を目的に市販されている。銃器はセーフティシステムが内臓されており、人間に向けている時に撃てないようになっている。警官、防衛隊に支給されるものは、戦闘を始めとする非常時にこのシステムが解除される。NPCは購入する際に野獣や魔物を狩るハンターとしての許可証が必要だが、マスターは端末を示せば許可証無しで購入する事が可能。なお、テロリストや武器洗浄屋は違法にセーフティシステムを取り外す技術を持つ。

 

・モダンファンタジアシティにおける工業製品

アーキテクト工業地区である程度は大量生産されているが、人種が多すぎるが故にこれだけでは限界があり、それを補う為の種族専門、注文制の小工場が幾つか建てられている。しかし、それでも供給が追い付いていない為、不足分は他の都市からの輸入で補っている。その為、若干ながら物価が高騰している。

 

・モダンファンタジアシティにおける宗教

この都市における宗教は種類が多い。宗教施設はNPC達にとっては互いの神や宗教について語り合う場である一方、布教が禁じられている中立地帯でもあり、例えマスターやサーヴァントであっても攻撃を禁じられている為、事実上の安全地帯となっている。また、監督役にとってはマスター達の保護や対面等を行う事が出来る場所でもある。

 

・ライトニング・ドライバー

絶賛上映中のカーアクション映画。キャッチコピーは『ストリートに稲妻が疾走(はし)る!!』。当然、これを含む映画は映画館で観る事が出来る。




ちなみに、最後に記載した映画は完全にうp主の趣味趣向です。


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地球統合軍 配備兵器一覧

どうも、しきんです。

最近、モチベーションが低下している事に危機感を抱き、リフレッシュを兼ねてこちらの方を進めます。

今回は地球統合軍モダンファンタジア防衛部隊にスポットを当てていきます。


+銃火器

 

・エーテルピストル

読んで字の如く。全部隊の標準装備となっている。

モデルはH&K HK45CT。

 

・エーテルアサルトライフル

これも読んで字の如く。歩兵部隊の標準装備となっている。

モデルはブッシュマスター ACR。

 

・エーテルサブマシンガン

特殊部隊向けに開発されたブルパップ方式のサブマシンガン。

モデルはFN P90。

 

・エーテルショットガン

軍用ショットガン。フルオート射撃が可能で、連射速度は毎秒約4発と、銃撃戦に不慣れな者でもガンガン撃つ事が出来る頼もしい武器である。

見た目はU.S. AS12とUTS-15を足して2で割った感じ。GTA5に出ていたものと言った方が分かりやすいだろうか。

 

・エーテルスナイパーライフル

高い威力と長射程を誇るスナイパーライフル。対人仕様と対物仕様の二つのバリエーションがある。

モデルはPGM ヘカートⅡ。

 

・エーテルマシンガン

モデルはミニミ軽機関銃。

 

+車両

 

・装甲兵員輸送車

武装:小型パルスレーザー砲×1

統合軍の殆どの車両は、バイオ燃料『E100』を使用可能なハイブリッドエンジンを搭載している。

見た目はM1126 ストライカーICV。

 

・主力戦車

武装:120㎜レールガン×1

   3銃身型エーテルガトリング砲×1

20年以上前から配備・運用されている主力戦車。フレームアームズの登場により、旧式化してしまった。

見た目はM1エイブラムス。

 

・???

未定。今後追加する・・・かもしれない。

 

+航空機

 

・F-47A

武装:航空機用パルスレーザー砲×2

   中距離空対空ミサイル×4

   75㎜レールガン×1

統合軍の主力戦闘機。第6世代ジェット戦闘機であり、その性能は高い。また、統合軍が運用する航空機は全て水素を燃料とするものであり、本機もまた、水素を燃料とするアフターバーナー付きターボファンエンジンを動力としている。20年以上前に配備・運用が開始されてから、マイナーチェンジを重ねながら、今なお運用されているロングセラーな機体であり、フレームアームズの配備が進んでいる今日においても、継続して本機に乗るパイロットは少なくない。

 

・???

未定。今後追加する・・・かもしれない。

 

+フレームアームズ

 

・SA-16s2 スーパースティレットⅡ

武装:元と全く同じ・・・あれ?本文に載せる必要無くね?(←おい)

今回の聖杯戦争から12年程前に起こった戦争で実戦投入されたスーパースティレットの改良型。元々は次期主力機として開発が進められていた機体だが、予算の問題から戦時中における本来の計画が頓挫。戦後に近代化改修として本機の開発計画が再始動し、遂に日の目を見る事となった。

 

・SX-25E ストライクカトラス

武装:バルカンポッドシステム

   ベリルダガー×2

   インテグレートライフル改

   スラッシュシールド×1

カトラスの改良・派生型。コックピットを従来のものから全天周囲モニター・リニアシートに変更した事により、原型と比べて操作性が向上している。

見た目はジェットストライカー(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)を背負ってスラッシュシールドを持ったO・カトラス(フレームアームズ)。

 

+艦艇

 

・???

未定。今後追加する・・・かもしれない。




地球統合軍に配備されている銃火器についてですが、所持品に含まれている場合は(軍用)を付けて表示する予定です。


それはそれとして☆

実在する兵器をモデルにしているとはいえ、オリジナル兵器の割合が余りにも大きすぎる・・・

スーパースティレットⅡが唯一の例外に・・・


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モダンファンタジアシティ 購入可能な乗り物

どうも、しきんです。

今回は、以前お話しした乗り物にスポットを当てていきます。

念の為、アニメや漫画、ゲーム等を出典とするものは除外しております(メーカーは多分大丈夫)。


+電気自動車

 

・グラニャーニ カヴァッロ

定員:2名

駆動方式:MR

最高馬力:750PS

最高速度:約370㎞/h

価格:39,780,000CP

スーパーカーブランドとして有名なヨーロッパ圏の自動車メーカー、グラニャーニ社の最新モデル。最高馬力こそスーパーカーとしては少々控えめだが、可変スポイラーやアクティブLSD等のシステムを搭載しており、その走行性能は市販車としては一等級。また、競技用にチューンされたものもあるとか無いとか。

モデルはピニンファリーナ バッティスタ。

 

・ヴァルター シュツルム

定員:2名

駆動方式:MR

最高馬力:490PS

最高速度:約340㎞/h

価格:10,356,000CP~

ヨーロッパ圏の有名な自動車メーカーの一つであるヴァルター社の新型スポーツカー。オープンモデル『カブリオレ』や最上位グレード『GTS』といった、複数のラインナップが存在する。

見た目はポルシェ ケイマン(またはボクスター)とタイカンを混ぜた感じ。

 

・エーベルハルト クローネ

定員:4名

駆動方式:4WD

最高馬力:350PS

最高速度:約160㎞/h

価格:14,976,000CP~

ヨーロッパ圏の有名な自動車メーカーの一つであるエーベルハルト社の4ドア高級クーペ。高性能スポーツモデルも販売されている。

モデルはBMW 8シリーズ(第2世代)。

 

・ヴァルター ブリッツェン

定員:4名

駆動方式:FF

最高馬力:150PS

最高速度:約150㎞/h

価格:3,356,000CP

ヴァルター社の3ドアハッチバッククーペ。クローネやライデン e-200よりも前に発売開始された車だが、その可愛らしいデザインから根強い人気を持つ。

モデルはフォルクスワーゲン ザ・ビートル。

 

・蔵王 ライデン e-200

定員:4名

駆動方式:MR

最高馬力:64PS

最高速度:約130㎞/h

価格:1,953,000CP

蔵王自動車の軽自動車。230㎞もの航続距離と可愛らしいデザインから高い人気を持つ。

見た目は三菱 i-MiEVを近未来風にアレンジした感じ。

 

+燃料電池車

 

・カンダ H

定員:4名

駆動方式:FR

最高馬力:165PS

最高速度:約180㎞/h

価格:7,464,000CP

神田工業が販売するセダンタイプの燃料電池自動車。約900㎞もの航続距離を誇り、FR故に通常の舗装路における走りの質感も良い。

見た目はトヨタ MIRAI。具体的に言えば、フロントが初代でそれ以外が2代目である。

 

+バイク

 

・グラニャーニ テンペスタ

定員:2名

最高馬力:210PS

最高速度:約300㎞/h

価格:3,182,000CP

グラニャーニ社のスーパースポーツモデル。バイオ燃料『E100』を使用可能なエンジンで発電し、両輪のコイルを回転させるシリーズ式ハイブリッド二輪車であり、最高速度に達するまでの時間が僅か10秒という優れた加速性能を誇る。また、電子制御ABSが搭載されており、急ブレーキ時にこれが作動してスリップを防ぐ。

 

・カンダ SC1500R

定員:2名

最高馬力:200PS

最高速度:約290㎞/h

価格:2,998,000CP

神田工業が販売しているオートバイ。バイオ燃料『E100』を使用可能なハイブリッドエンジンを搭載するスーパースポーツモデルであり、最高馬力こそテンペスタにやや劣るものの、航続距離ではこちらの方が勝る。

見た目はホンダ CBR1000RR-R。

 

+船舶

 

・GAMAHA アクアジェット EX-R

定員:3名

最高馬力:150PS

価格:1,889,000CP

GAMAHA社が販売するウォーターバイク。動力源である燃料電池は海水から水素を抽出・補給する事で電気を生み出すもので、海ではほぼ無制限で動かす事が出来る。

モデルはヤマハ MJ-EXR。

 

+航空機(固定翼機)

 

・クロキッド スカイドルフィン

定員:7名

最高速度:約260㎞/h

価格:78,800,000CP

クロキッド社が販売する水上飛行機。燃料電池を動力源としており、着水時にはフロートに内蔵されているポンプを用いて海水から水素を抽出・補給する為、航続距離は事実上無制限である。

見た目はGTA5のドードー。




ここでメーカーについて補足。

・ヴァルター
フォルクスワーゲンやポルシェがモデルの企業。寧ろフォルクスワーゲン・グループに近い感じ。

・エーベルハルト
BMWがモデルの企業。

・蔵王自動車
アズールレーンに登場する企業『蔵王重工』の自動車部門。

・神田工業
本田技研工業がモデルの企業。


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ルール

どうも、しきんです。

本編開始前の方がなかなか進まず、申し訳ございません。

今回は聖杯戦争のルールについて、そして端末についての説明を2本に分けて投稿しました。

こちらは聖杯戦争のルールの説明となっております。


+基本ルール

 

令呪を所持したマスターが一人となった時点で聖杯戦争は終了となる。それ以外のマスターやサーヴァントの有無及び人数は関係無いものとする。

 

全てのマスター候補者は持っていた星晶石の発動と同時に電脳空間内へ召喚され、シャドウサーヴァントと戦う事となる。星晶石で召喚した無地のセイントグラフで『英霊の座』に接続出来た者だけがサーヴァントを召喚して生き残る事が出来、そのまま令呪を入手してサーヴァントとの契約に移る。

 

サーヴァントへの絶対命令権である令呪はサーヴァントと契約した時点で1人3画ずつ与えられる。

 

令呪は『聖杯』に接続する権利を兼ね、3画を失った時点で失格となる。失格しても消去される事は無いが、前述の権利は失われる。ただし、他のマスターから令呪を奪う、または譲渡されれば復帰出来る。

 

マスターは死亡した時点で消去される。

 

令呪を所持した状態でサーヴァントを失っても消去される事は無い。他のサーヴァントを奪う、またははぐれサーヴァントと契約すれば復帰出来る。

 

令呪を失った状態で最後まで生存したとしても、『聖杯』には辿り着けず、願いを叶える事も不可能である。

 

サーヴァントを失った状態では令呪を使用する事は出来ない。

 

マスターは持っていた所持品、武器・礼装等を持ち込む事が可能。ただし、車やバイクといった大型の物は持ち込めない(特殊な方法での持ち運びが可能なものは可)。

 

マスターは電脳空間内に召喚されると自動的に賢者の石に変換され、欠損した手足等は魂の情報により復元されるが、魂まで刻まれた場合はその限りではない。

 

+設定

 

本戦の舞台は霊子サーバーが聖杯の力を用いて創造した電脳空間都市『モダンファンタジアシティ』である。

 

用意された土地はとある世界の都市をベースに、様々な作品世界が混成している。また、NPCが存在しており、日常生活を送っている。

 

+NPCについて

 

NPC達はモダンファンタジアシティ内で生活している。また、観光客の役割を持つNPCは追加でやって来る可能性もある。

 

全NPCは『賢者の石』に実在した人間の容姿、人格を再現して作られたものである。

 

NPCは基本的に聖杯、若しくは同じような力を持つ願望器のある世界の人間達であり、人種も普通の人間から、角や翼等が生えた亜種人種、見た目が化物然とした異人種まで混在する(例:ドラゴンボールの動物型地球人やモンスター型地球人、アズールレーンの重桜人、フォートナイトのキャラクター等)。

 

NPCの中には、マスター及びサーヴァントと縁があった人物が再現されているケースもある。彼らは、そのマスターやサーヴァントが見ても、自分がよく知っている人物だと思う程、完全に見た目も性格も再現されている。ただし、固有の能力は再現されておらず、他のNPCと同程度の存在として扱われている。記憶も都市に合わせて一部が改竄されている。また、生前において、聖杯やそれに値する願望器との関わりを持つ者を始めとする一部のNPCは上級NPCと呼ばれており、自我や元の世界の記憶、高い魔力(なお、このうちの元の世界の記憶は再現度に個体差がある)を持ち、固有の能力も再現されている。

 

NPCは殺害、または魂食いをされると二度と復帰する事は出来ない。

 

NPCの魂喰いによる魔力補充を行った際に犯行が報道される。更に目撃された場合、警察に指名手配され、他マスターの端末に配信されるニュースで犯行が報道されると共に、マスター及びサーヴァント双方の容姿、ステータスの閲覧が可能となる。それでも魂喰いを続けた場合、監督役から討伐令が下される。討伐令の対象を殺害する(サーヴァントの場合は消滅させる)と討伐した事となり、報酬を貰う事が出来る。

 

+その他?

 

各マスターにはモダンファンタジアシティでの役割を与えられる。

 

所持金は各マスターの元の職及び立場に準ずる金額をCP(キャッシュポイント)に変換して各マスターの銀行口座内に貯金される。CPは貨幣と紙幣の二つがある。

 

各マスターには予選通過の際に軍資金として1000万CPが支給される。

 

多目的超高層ビル『ネルフ』にカウントダウンタイマーが設置されており、残り時間が0になる、つまり聖暦2111年1月1日0時0分になると聖杯戦争本戦が開始される。それまでの行動は、本格的な戦闘を除き全て自由とする。他の陣営と模擬戦をするのも、同盟を組むのも、拠点を作るのも、途中で思い直して元の世界に戻るのも、そして窃盗や殺人といった犯罪(犯行はニュースになり、動画サイトに場面が投稿される事もある)も可能。ただし、サーヴァントが魂喰いを行い、NPCを死に至らしめた場合はマスター諸共強制退場となる。

 

全員に専用の端末と音声操作用の腕輪が支給される。各マスターが最初から使えるアプリは次話、または目次から『端末について』を参照して頂きたい。なお、端末の見た目は一般モデル、マスター専用モデル共にアリス・ギア・アイギス Expansionに登場したものである。

 

セイントグラフはサーヴァントを召喚した証として、召喚後もマスターの手元に残る。また、マスターが死亡しても失われず、はぐれサーヴァントが他マスターと契約する際に必要となる。

 

霊子サーバーの演算に支障を来す可能性がある為、時間操作系の能力(時間停止を除く)の使用を禁止する。




上級NPCについては後日、一覧を投稿する予定です。


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端末について

どうも、しきんです。

こちらでは端末についての説明となっています。


+機能

 

各マスターに支給される専用の端末は一般のものに備えられる機能に加え、以下の機能を持つ。

 

端末の起動テーマ画面にあるQRコードはマスター限定のオールマイティーパスであり、モダンファンタジアシティでの買い物を始め、装備や道具、家等の購入に最優遇措置が取られる資格、免許となり煩雑な手続きを省いて購入する事が出来る他、運転免許等の各種証明書になる。

 

端末を空中に置くようにセットすると、複数の空中タッチパネルや空中キーボード等が展開し、複数のアプリを同時に使用する事が出来る。また、手首に填めた腕輪でも音声認識により同様の機能を使用する事も出来る(例として、この状態で通話機能を使うと、複数の相手と通話する事が出来る)。

 

+アプリ

 

最初から使用する事の出来るアプリは以下の通り。

 

・マップ

その名の通り、地図を見る事が出来る。所持するマスターと契約したサーヴァントの位置が名前付き(サーヴァントはクラス名)で表示される。ただし、他のマスター及びサーヴァントは表示されない。また、行きたい場所にマーカーを付けるとそこまでのルートを案内するナビゲーション機能もある。

 

・SNS

音声通話とチャット機能を持つSNS。要は現実で言うところのL○NEである。

 

・動画サイト

動画の視聴や投稿が可能で、アプリ版もある。現実で言うところのYouT○be。

 

・Webブラウザ

インターネットの閲覧や投稿が可能。起動時のページは検索エンジン『カルデア』にセットされている。

 

・自動翻訳

端末を所持しているだけで他マスターとの会話や書籍の文字を、マスターが元居た世界の言語として認識する事が出来る。

 

・通話機能

読んで字の如く。NPC相手にも、電話番号を交換したマスター相手にも通話する事が出来る。

 

・念話機能

魔術師やその技術を持つ特殊な能力者以外の一般人は、このアプリを使用する事で声を発する事無く、思うだけでサーヴァントと会話する事が出来る。

 

・カレンダー

読んで字の如く。予定を書き込む事が出来る。

 

・時計

これも読んで字の如く。勿論、アラームの設定も可能。

 

・メモ帳

これも読んで(ry

 

・カメラ

写真、及び動画の撮影が可能。撮影した動画でサーヴァントのステータスを確認する事は流石に不可能。

 

・VR機能

一般人には認識する事の出来ない特殊な能力を端末を通して見る事が出来る。また、建物や場所、人物の情報確認も可能。

 

・サーヴァント・ライブラリー

一度マスターが視認したサーヴァントとそのステータスはここに登録され、何時でも再確認する事が出来る。また、サーヴァントの真名を知った場合は真名、スキル、宝具の閲覧も可能。

 

・魔術髄液

一般人がサーヴァントを維持する為、疑似的な魔術回路を形成するアプリ。魔力は生命力、具体的に言えば体力と精神力から生成され、変換率のパーセンテージを調整する事も可能(100%にした場合、約10分で死に至る)。また、マスターの生命力の個人差によって、同じパーセンテージでも生成される魔力量は異なる。

 

・ステータス

所持するマスター本人やサーヴァントの魔力、体力とサーヴァントのパラメーター、各種状態が表示される。また、マスターとサーヴァントのステータスやプロフィールを閲覧する事も可能。

 

・電子マネー

買い物や交通機関等で使う事の出来る電子マネーサービス。チャージは銀行やコンビニ等で出来る。

 

・文字入力キーボード

最初からマスターの元居た世界の言語の文字に設定されている。言語設定は大事。

 

・音声入力機能

音声操作用の腕輪を連動させて使う機能。使用者の音声でアプリの起動及び使用が可能。

 

・専用ニュースアプリ『アポクリファ』

聖杯戦争に関するニュースや天気予報、そして脱落したマスターの名前と残りマスター数が毎日早朝6時と夜間6時に放送される。

 

・ルール

聖杯戦争のルールを閲覧する事が出来る。

 

・ヘルプ

各アプリや聖杯戦争、電脳空間についての疑問に答える機能を持つ。

 

これらの他にも、ゲームアプリや食べロ○等をインストールして利用する事が出来る。

 

・・・ぶっちゃけ、本作がゲームだったらこれだけでも十分遊べそうな気もする。



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プロローグ
プロローグ(前編)


皆様、初めて私の作品をご覧になられる方は初めまして、そうでない方はおはこんばんちわ、しきんです。

Fate/stay nightを観ていたら唐突に書きたくなってしまった所存でございます。

プロローグでは、『聖杯戦争への参加方法とサーヴァントの召喚方法、そして、本作の聖杯戦争における聖杯のシステム』についての説明を主な内容にしております。

それでは、どうぞ!


もしも、君が世界を創造する事が出来るとしたら、それはどんな世界?

 

その世界は、君が人々を作るのも、逆に消し去るのも、幸せにするのも、不幸にするのも、全てが自由自在。

 

君の世界では、善良な人間は、希望の光へと導かれる優しい世界?

 

それとも、どれ程苦しみ、力を尽くしても報われない、絶望に満ちた残酷な世界?

 

何れにしても、それを創造するには、君が示す『理』が必要だ。

 

理・・・それは、『秩序』や『混沌』のような『方針』・・・『原理主義』や『科学主義』といった『思想』・・・自然法則や化学反応、数学的真理さえも包括した『世界の道標』・・・そして、生命の行先を決める為の階梯。

 

君の定めた理により、世界は創造され、動植物や人々は生まれ育ち、星達は廻る。

 

そう、全てを自らの意志で定める事が出来る。正しく、『神』と呼べるだろう。

 

君の世界に、こんな神がいたとすれば、

 

それは、その神は、

 

どんな神なのだろうか?

 

 

滅びの未来が確定されたとある宇宙・・・それにおける地球と全ての生命は、自らの存在を『記録』にして残すべく、全人類を賢者の石と呼ばれる物質に変換し、『霊子サーバー』を造った。

 

そして、地球の縮小コピー、そしてそこに住まう全ての生命をデータとして再現した上で、サーバーそのものを別の世界へと転移させた。

 

決して、簡単な事ではなかったと言えるだろう。何せ、滅びの瞬間を迎えるまであと僅かしか時間が無かった地球と、それに残された全ての魔力・・・正確に言うなら『マナ』というものを燃料にする形で、その宇宙における最後の大魔術は行われたのだから。

 

兎にも角にも・・・これにより、地球と全ての生命は、霊子サーバーの中で生き続ける事となった。

 

そこまでは、良かったのだろうけど―――

 

霊子サーバーは別の宇宙への転移を繰り返しても、その度に世界から排除された。

 

転移の過程で、世界に存在するマナや星が持つ地殻エネルギーを吸収するようにアップデートし、サーバーの維持という問題自体は解決された。

 

それでも、世界の定着という根本的な問題は、依然として解決出来ないままだった。

 

無限にも近い、長きに渡る旅の果てに、霊子サーバーはある宇宙で、量子的な縺れの場・・・所謂、『多元宇宙(マルチバース)』に繋がる扉を観測した。霊子サーバーはそれを通じて、幾つもの多元宇宙や並行世界で行われている、『聖杯戦争』という魔術儀式の成り行き、そのあらゆる結末を垣間見た。

 

霊子サーバーはそれらを互いに干渉させ、発生した霊子的な縺れを利用し、ほぼ無限に存在する願望器『聖杯』の演算能力の一部とリンクする事で、膨大な情報と演算能力を獲得した。

 

更に、霊子サーバーは自ら聖杯戦争を行い、自らの存在の確定を図った。

 

無限の宇宙、数多の並行世界に招待状を送り、招かれた者達を戦わせる。それにより、霊基が極限まで高められた勝者、そして勝者が属する宇宙と霊子的に繋がり、サーバー内の縮小地球を利用する形で、無限の可能性から勝者の望んだ事象に改編する。

 

加えて、勝者の属する宇宙に上書きする・・・比喩して言うなら『膜を被せる』事で、その宇宙において自らの存在を確立し、惑星内で霊子サーバーに保存された全ての生命を再現する。

 

尤も、いくら再現するとはいえ、データとなったタイミングが滅ぶ寸前のところだったから、勝者の世界と比べても遥かに少なく、与える影響は殆ど無いだろうけど。

 

これが・・・僕が知る、新たな聖杯戦争の全てだ。少なくとも、今は。

 

そして、新たな聖杯戦争が間も無く始まろうとしている。

 

招待状とは何か?それは、あらゆる宇宙、あらゆる世界から、『英霊の座』を介して英霊を召喚するシステムの燃料『星晶石』の事だ。

 

これを手に入れ、無地のトランプに似たカード『セイントグラフ』を召喚する事が出来れば、霊子サーバー内に構成された聖杯戦争のステージへと誘われる。

 

星晶石を手に入れるパターンは色々ある。誰かから配られる、偶然手に入れる、その他諸々・・・とはいえ、星晶石の形も様々で、データだったり、カードだったり、将又、銃弾だったり、と言ったところかな。

 

さて、この聖杯戦争に召喚されたとあるマスターが、参加までの経緯を見るとしよう。

 

 

202X年 日本 某県 某市

 

空の色はオレンジからダークブルーに変わりつつあり、日は地平線に沈みかけている。

 

川の向こう側に見える街の彼方此方で、一つ、また一つと明かりが付いていく。

 

川沿いの歩道を歩くのは2人の高校3年生。

 

1人は、小太りの体型で饅頭を彷彿とさせる頭、加えて、朗らかで愛嬌のある顔の入速出やる夫。もう1人は、やる夫とは対照的に痩身で縦長の頭、それでいて、顔はやる夫にそっくりな美筆やらない夫。

 

2人は入学した時に知り合い、今では仲の良い友達という関係となっている。

 

「ん?何だお、あれ?」

「・・・?やる夫、どうしただろ?」

 

ふと、やる夫は道端に落ちているそれらに気が付く。

 

それらは、虹色に光る二つの美しい石だった。

 

「見た事の無い石だな。それに、形も綺麗だ」

「きっと、これは珍しい石なんだお!やらない夫、この石はやる夫とやらない夫の友情の証にするお!」

 

珍しそうにそれらを見ているやらない夫に、やる夫はそう提案した。

 

「おいおいやる夫、気が早いだろ、常識的に考えて。だが、まあ・・・あと1ヶ月もすれば、2学期も終業日を迎えて、冬休みからの3学期で俺達も卒業ってとこだからな。こういう思い出作りも悪くないだろ」

 

2人は笑いながら、石を一つずつ持ち、再び歩き始める。

 

道中、2人は他愛の無い世間話を交わす。そのうちに、帰り道として別々になるポイントであるT字路に辿り着く。

 

「じゃあ、また明日だお、やらない夫!」

「おう!じゃあな、やる夫!」

 

ここで、やる夫とやらない夫は別れた。

 

そして、これが・・・聖杯戦争に参加する前の、2人の最後のやり取りだった。

 

 

その夜、やる夫はいつもの時間帯に眠りについた。そこまでは、いつもと同じだった。

 

訂正、一部を除いていつもと同じだった。というのも、やる夫は帰っている途中でやらない夫と拾ったあの石を手に握りしめたまま寝ていたのである。

 

いつもと違ったのは、その後だった。

 

気が付くと、やる夫は扉の前にいた。

 

扉はコンサートホールでよくあるような見た目で、その向こう側でコンサートが行われているビジョンが頭に思い浮かぶ。

 

やる夫は扉を両手で開いた。

 

その瞬間―――突如として空間が一変した。

 

何も無い、途轍もなく広い空間。上を見てみると、無数の星々が輝いているのが分かる。コンサートというよりはプラネタリウムだ。

 

地面があるであろう下方を見てみる。そこに地面は無く、上と同様に星々が輝いていた。足を踏み締めてみるが、音は鳴らない。踏み締めた箇所から波打つ歪みだけが、自分が透明な何かの上に立っていると実感出来る唯一の要素だ。

 

重力の感覚が無ければ、たった1人で宇宙空間に浮いているような感覚を覚えていただろう。

 

この状況に、やる夫は周囲をきょろきょろと見る。

 

『ようこそ、願望を抱くマスター候補者よ』

 

突然、何処からともなく、壮年の男性を思わせる声が響いた。

 

『これより行われるのは、自らの願いを叶える為に万能の願望器たる聖杯を賭けた闘争、聖杯戦争の予選』

 

謎の声に、やる夫は混乱していた。

 

は?聖杯戦争?何だお、それ。

 

さっきの扉といい、この宇宙空間といい、これってもしかして夢?夢なのかお?

 

『先ず、君自身の手を見てほしい。その手には、1枚のカードが握られているだろう』

 

やる夫の手?まあ、夢だろうし、従ってみーよっと。

 

そう思ったやる夫は自分の手を見る。謎の声の言う通り、やる夫の手にはトランプカードのようなものが握られていた。裏にはカードゲームでよくありそうな絵が刻まれていたが、表には何も描かれていなかった。

 

『それはセイントグラフ。今は何の力も持たないが、君がこれから行われる戦いで英霊の座に繋げる事が出来れば、君の武器となるサーヴァントを召喚する事が出来る』

 

せいんとぐらふ?さーヴぁんと?訳分かんねーお。

 

聞いた事も無いような単語に、やる夫は首を傾げる。

 

それを知ってか知らずか、謎の声は更に続ける。

 

『サーヴァントとは、神話や史実より読み取られた英傑、偉人、悪党―――所謂、英霊が誇張、再現された者達。彼らは現世に留まる為の媒体となる召喚者を主とし、これを助ける者だ。だが、いくら聖杯といえども、英霊の完全再現は不可能。それ故に、基本的に7つのクラスに分けられる。『剣士(セイバー)』、『弓兵(アーチャー)』、『槍兵(ランサー)』、『騎乗兵(ライダー)』、『魔術師(キャスター)』、『暗殺者(アサシン)』、『狂戦士(バーサーカー)』・・・このうちの何れかに当てはめ、召喚される。例外として、『エクストラクラス』での召喚も有り得るだろう。ただし、その場合に召喚される英霊が真っ当な者であるとは限らないが。というのも、この聖杯戦争では、並行世界や多元宇宙からも英霊が召喚される。サーヴァントが元人間とは限らない。人類に敵対する怪物である事も有り得る』

 

へ―――並行世界?それに、多元宇宙!?なんか、すげーロマン要素が出て来たお!?

 

『さて・・・言葉で説明されても、それだけでの理解は難しいだろう。そこで、君には実際に召喚の儀式を行ってもらう。君には、セイントグラフの他に、聖杯戦争において必要となる端末が与えられている。それには地図アプリがインストールされている。それを開けば、君が出逢うべき相手がマップ内に表示される。そこまで移動してもらいたい』

 

端末?スマホの事かお?そんなもん何処に―――

 

やる夫はもう一度、自分の手を見る。右手にはセイントグラフが、左手にはいつの間にかそれが握られていた。端末は、やる夫の知るスマホとは似ても似つかぬ、未来を思い起こさせるものだった。加えて言えば、色は白、形状はやる夫の頭に似ている。

 

『端末の裏側の左上端に出っ張ったものがあるだろう?それを摘まんで引っ張ってみてくれ』

 

謎の声の指示通り、やる夫がその部分を引っ張ると、端末から長いコードが引き出された。端末の全長の倍近くはあるであろう。

 

『そのコードの中央部分・・・その辺りを、左右どちらかの手首に押し当ててみてくれ』

 

やる夫は右手首にコードを当てた。すると、コードが瞬時に巻き付き、リングのような形状になった。リングはやる夫の右手首にフィットしているようで、右手を色々動かしてみても違和感は感じられない。

 

す、すげー・・・このスマホ・・・スマホ?って、やっぱり未来のスマホに間違いないお!最新のヤツより薄いし、手首に手首に当てるだけでコードが自動で巻き付くなんていう、細かい所も進んでるし。あーあ、これが夢じゃなくて、本当にやる夫のスマホだったらな~・・・でも、やる夫の今のスマホには、大事な大事なゲームデータがあるもんな・・・。

 

やる夫が端末を見て感傷に浸っていると、謎の声が次の指示を出してきた。

 

『その状態で、リングに向けて「マップ」と言えば、音声認識機能でマップが空中投影モニターに表示される』

 

やる夫が指示通りに「マップ」と言うと、目の前の空間にディスプレイが投影された。中央には赤い点、その上に黄色い点が表示されている。

 

『モニター自体の拡大及び縮小は、モニターの端を摘まんで間隔を広く、または狭くすればいい。地図の拡大及び縮小は、モニターの上に指を置いて間隔を広く、または狭くする事だ。地図の移動はモニターに指を押さえ、見たい方向に移動させる。中央を移動させたい時は、その個所を2回連続でタップする。元に戻したい時は、右上に表示されている『現在地』を押す。アプリ自体を消す時は「マップ・オフ」と言えばいい』

 

指示を聞いたやる夫は、何度か言われた通りの操作を行う。

 

『これにて、操作方法の説明は御終いだ。赤い点はもちろん君の位置、黄色い点が君が出逢うべき相手の位置を示している。そこまで、進んでくれたまえ』

 

おおっ?もしやこの展開、RPGでよくあるヤツで、行った先で可愛い美少女がいるってところかお?つまり、これは何かのチュートリアルなんだお!そう考えると納得が・・・あれ?もしかして、やる夫は夢で新作ゲームのチュートリアルか何かが出来るようになっちゃったのかお?

 

そんな事を思いながら、やる夫はマップを右目上に縮小して移動させ、とりあえず前後左右に歩いて位置関係を把握し黄色い点が示しているポイントへと向かった。

 

 

4~5分は経っただろうか。やる夫の予想は裏切られた。辿り着いた先には何も無かったのである。

 

あれ・・・?おかしいお。チュートリアルだったら何かあるのがテッパンなんだお。なのに何も無いってのはどういう事だお?

 

不審に思ったやる夫は、点が隣接している事を確認する。

 

その時だった。

 

やる夫の前で、円形の複雑な陣が描かれ、そこから真っ黒な人型の何かが現れた。

 

それは剣を持っているようであるが、それ以外の事は輪郭がぼやけていて、何も判別出来ない。

 

『それは英霊が真っ当に召喚され損ねた、銘を持たぬサーヴァント『シャドウ』だ。それを倒せば・・・見事、予選突破となる』

「え?ちょっ―――」

 

ここで、謎の声は途絶える。最後の一言を聞き、慌ててやる夫が質問を投げかけようとしたその瞬間、シャドウはやる夫に襲い掛かってきた。幸い、動きは鈍いようで、やる夫でも何とか回避できそうだ。

 

な、何なんだお!?あの影みたいなの、ノロいみたいだけど、組み付かれたらヤバそうだお!こ、こうなったら・・・逃げに徹するお!

 

やる夫はシャドウに背を向け、走り出す。小太りだが、やる夫は人並みのスピードで走る事は出来る為、振り切る事は造作もない・・・

 

・・・かに思われた。

 

シャドウの動きが徐々に速くなっていく。この様子を見たやる夫は焦りを覚える。

 

『シャドウを消滅出来るのはサーヴァントを置いて他にはいない。生き残りたければ、急いでサーヴァントを召喚するのだ』

「だったら召喚する方法を教えてくれお!じゃないと召喚する前に死んじまうおーーーっ!!」

 

謎の声を聞いたやる夫は、思わず怒鳴り声を上げる。その返答はすぐにやって来た。

 

『それは、君が自力で英雄達の記録が保存されている『英霊の座』に接続しなければならない。その為の切り札・・・セイントグラフは既に君の手の中にある。そして、己の意志を示す事だ。思いであれば、何でもいい。死にたくない・・・生き残りたい・・・願いを叶えたい・・・相手を倒したい。己の意志を一点に収束して、強く願うのだ』

 

やる夫と謎の声の会話の最中にも、シャドウの動きはどんどん速くなっていく。やる夫は回避するのも精一杯な状態に追い込まれていた。

 

やべーお、これ!こんなんじゃ、とても自分の意志を示すなんて事に集中出来るきがしねーお!!一体どうすれば―――

 

やる夫は閃いた。

 

そうだお!ここはアイツに必殺パンチを一発喰らわせりゃ良いんだお!後はアイツが立て直している隙に―――

 

やる夫が振り向いたその瞬間、シャドウが体当たりしてきた。

 

「ぶべらばぁ!?」

 

やる夫は仰向けに倒れ、シャドウは馬乗りの体勢を取る。

 

シャドウは、そのまま持っていた剣を大きく振り上げた。

 

し、死にたくない―――夢の中とはいえ、誰かに殺されるのはちょっとアレだお!しかも、よりにもよってこんなコナンの犯人擬き相手に殺されるのは死んでも嫌だおーーーーー!!

 

刹那―――やる夫が握っていたセイントグラフが宙に浮き、光を放った。

 

そして、無地だった表の面に絵が現れた。

 

それは剣を掲げる騎士の絵だった。

 

変化は続く。

 

絵は1人の少女の姿となり、同時に、上下三つの円環がやる夫の目の前に現れ、その中に雷と閃光を伴い、絵と同じ少女が姿を現した。

 

ピンク色と見間違えそうな金髪ショートヘア、綺麗に整った美しい顔。特攻服を彷彿とさせる黒白のボディスーツ、同じようなカラーリングのパワードスーツを身に纏い、手には十字架に似た形状の銃を持っている。大きさからして、ライフルの類だろうか。

 

コスプレをしているようにも見えるが、彼女が纏っているオーラはきっと本物だろう。只者ではないというのは、誰の目にも明らかだ。

 

シャドウの剣が少女の頭上に達した直後、シャドウの腕は捥げ、吹き飛んだ。いつの間に剣を取り出した少女が、やる夫の目では追い付けない速さの斬撃を放ったのだ。

 

10m以上は行っただろうか。剣を持ったまま切り飛ばされた腕が空間に波を立て落ちたが、案の定、音は鳴らない。

 

右腕を失ったシャドウは、負けじと少女に殴り掛かろうとする。対して、少女はパワードスーツの上半分のユニットを青く光らせ、シャドウを弾き飛ばす。そして、続けざまに二度目の斬撃をシャドウに喰らわせた。

 

斬撃の直撃を受け、シャドウの姿は消し飛んだ。

 

起き上がり、立ち尽くしたままの状態で、この光景を見ていたやる夫だが、彼のテンションは高まっていた。

 

す、すげー・・・カッコいい!カッコカワイイお!!なんかカードがパワードスーツを身に着けた美少女に変身?して、剣を振り回していたコナンの犯人擬きを瞬殺したお!指示通りの事をちゃんとやってて良かったお!!

 

やる夫がそう思っていると、少女はやる夫の所に戻ってきた。

 

そして、こう聞いてきた。

 

「すみません、貴方がマスターっすか?」

 

少女はカードを差し出す。

 

「へ?あ、ええっと・・・ど、どうやらそうみたいだお!」

 

とりあえず、やる夫は少女からカードを受け取る。

 

「助けてくれてありがとうだお。そうだ、まだ名前を言ってなかったお。やる夫の名前は入速出やる夫って言うお。君の名前は、なんて言うんだお?」

「私は、セイバーのサーヴァント―――」

 

少女・・・セイバーが自らの名を名乗ろうとしたその瞬間、空間の明かりとなっていた星々の光が突如として消え、果てしない暗闇が2人を包み込んだ。

 

 

「ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ。私は言峰綺礼。今回の聖杯戦争の監督役を務めている」

 

謎の声とは別の、男の声が聞こえる。

 

2人が気が付くと、そこは教会の礼拝堂だった。やる夫とセイバーが周囲を見渡すと、聖壇の向こう側に1人の神父姿の男が立っていた。

 

その男こそが、言峰綺礼である。

 

「ここは、聖杯が造り上げた都市『モダンファンタジアシティ』、その中にある教会。予選を突破したマスターは自動的にここへ移動される事になっている」

 

綺礼はまるで悟りを開いたかのような笑みを浮かべ、2人にそう話しかける。

 

言峰の顔を見たやる夫はというと―――

 

なんだお、このオッサン・・・笑ってはいるけど、目が死んでるお。いつ死んでもおかしくなさそうだお。

 

割と失礼な事を考えていた。

 

そして、やる夫が気になった事は他にもある。その一つは、モダンファンタジアシティなる都市についてだの事だ。

 

この教会が、自分の住む町の何処かにある知らない所であるならまだ分かる。だが、この教会どころか、都市そのものが、やる夫にとっては見た事も聞いた事も無いようなものなのだ。少なくとも、地名の時点で全く分からない。

 

ふと、やる夫は自分の頬を抓ってみた。痛みは感じる。つまり、これは夢ではない。

 

ところがどっこい、夢じゃありません。現実です。これが現実。

 

・・・何かの漫画で、そんなセリフがあったような気がするお。

 

胸騒ぎを覚えたやる夫は、言峰に質問を投げかける。

 

「あのー、この教会って、そのもだんふぁんたじあしてぃ?にあるんですかお?某市じゃなくって?」

 

言峰からの返答はこうだった。

 

「その通り。この地、モダンファンタジアシティは、某市ではない。この地に存在する聖杯は、あらゆる並行世界、多元宇宙への扉を開く力を持っている。君をこの地へと召喚したのもその力だ。その聖杯を管理、運営するのが、既に滅亡した世界で製造された、地球の全てを記録として残した霊子サーバー・・・言うなれば、一種のコンピューターだ。聖杯の力を以て、あらゆる世界に存在する聖杯、またはそう呼ばれるに相応しい願望器と接続し、膨大な演算力を獲得したサーバーは、生み出された無限大の可能性を持つ『天の聖杯』をコントロールし、最後の勝者にこの地の聖杯のある場所『事象創造真界・楽園』への道を開く。このサーバー内には、既に滅んだ世界で製造された地球の魂を縮小モデルとして内包している。その地球の魂で聖杯の担い手の願いを叶えた世界を宇宙の構成要素を新たに構築。更に膜のように変換し、レイヤー、テクスチャーとしてマスターがいる既存の惑星に貼り付け融合させ、世界を改編させるのだ。それが聖杯で願いを叶える仕組みだ。天の聖杯の中枢部に辿り着いた時、アクセス権を担うのが君が所持する令呪だ。それを全て失えば、例え生き残ったとしても天の聖杯への接続は出来ず、願いは叶えられない。また、令呪はサーヴァントに対する絶対的な命令権として使う事も出来る。簡潔で、短い時間の命令である程効果は大きく、逆に曖昧で、長期間の命令である程効果は小さくなる。戦いの切り札ともなり得る為、もし使うのであれば、用心する事だ」

 

やる夫が、説明を聞きながら右手を見ると、手の甲にはいつの間にか奇妙なデザインの紋章が刻まれていた。

 

「そして、もう一つ、願いを叶えるには必要な物がある。それは担い手の理だ。理とは、マスターの持つ思想、倫理観や人生観等が本人を通し、形而上学な概念を現実の力として影響を及ぼすまでに至ったものだ。今はただ、『本人の願いを極限まで強めたもの』と解釈してもらって構わない」

 

ここで、やる夫はもう一つの質問を投げかける。

 

「えっと・・・願いを叶えるのにそんな複雑な手順が必要なんだお?わざわざ一度地球を作ったり、マスターに強烈な意志を要求したりなんて、かなりややこしいお。そりゃ、自分の願いを叶えられるなら、それなりの事をやらないといけないっていうのはよくある話だけど・・・」

「天の聖杯は計測の結果、非常にコントロールが困難であることが判明した。下手をすればマスターが所属する惑星を破壊しかねない程のエネルギーが放出されてしまう。その為、担い手の願いを素に一度新たな星を創り、その中に可能性を収束する事で過去、現在、未来の全てを改編可能にし、暴走する事無く安定して願いを叶えられるようにしたのだ。理についても同様だ。ただ漠然とした願いだけでは、可能性がどのように収束されるか不明になる。それは聖杯の暴走に繋がりかねないからだ。故に、マスター達には聖杯を完全に扱える程に成長してもらいたい」

 

やる夫は戸惑った。願い自体は複数あるが、何れも明確なものではない。しかも、ここでは、その中から最低でも一つ選んだ上で、具体的にどうするかを考えなければいけないらしい。

 

「ここで、天の聖杯が願いを叶える仕組みについて、具体的に説明しよう。例えば、最終的な勝者が『恒久的な世界平和』を願ったとする。ではどのように実現されるのか。人々から闘争本能を無くす?人を傷つけようとすると苦痛を感じるようにする?全人類を不老不死の新たな存在に書き換え、個人の欲望と争いを無くす?そういった『結果』を叶える為の『過程』が、意識的、無意識的を問わず担い手の理によって決められるのだ」

 

ここで言峰は一区切りを付ける。

 

「さて―――『恒久的な世界平和』の実現の為に『全人類を不老不死の新たな存在に書き換える』事が担い手の理による結論だとすれば、他の方法論は全てその一つの可能性に収束され、結果として、発生する膨大なエネルギーを以て、天の聖杯は願いを実現させる。そのエネルギーをコントロールするのが担い手の理、そして霊子サーバーだ。とはいえ、他世界の聖杯、願望器と繋がり、演算能力を高めた霊子サーバーといえども、完全にコントロール出来る保証は無い。エネルギーが逆流し、他の宇宙に影響を及ぼすかもしれない。最悪の場合、自滅してしまう可能性もある。その危険性を承知の上で、天の聖杯は、最終的な勝者に身を委ねる事を選んだ。己の存亡をかけてな」

 

言峰は続けてこう言う。

 

「俗物的な願いを挙げるならば、君は世界の神にも王にもなる事も出来る。上書きされた世界で、天の聖杯を得た君だけはその世界を動かす為に必要な根源物質、その実数から虚数領域まで自在に干渉、操作可能になる。君の思う儘に世界は動き、君の欲望は全て叶えられるだろう」

「その・・・理?ってのは、どうやって決められて、聖杯戦争で高められるんだお?やる夫、そこがイマイチ分かんないんだお」

「それはいずれ分かる。この聖杯戦争では、舞台に用意された住民やマスターの多様性、それによる価値観の衝突が絶え間なく起こり続け、それらが否応なくマスターの本質を暴き、侵食していく。その中で自分の存在意義を保つには、自分の本質と向き合い、戦い、成長させるしかないのだ」

 

言峰はそこまで言うと、やる夫とセイバーの反応を確かめる様に一息ついた。

 

「今までの説明は信用ならないかな?なるほど・・・急にこのような事を言われても理解や納得に苦しむのは当然だ。しかし、各世界を隔てる扉を開き、この地へ君を喚び寄せた上でのサーヴァントの召喚。それを成したのは、天の聖杯の持つ力の一端に過ぎない。それだけでも、この程度の事は可能なのだ。その力を、君は否定できるかね?」

「もしかして―――ここに来る前にやる夫が聞いた、並行世界とか、多元宇宙とかってのかお?」

「そうだ。私と君はそれぞれ別の宇宙の住人だ。その平行世界を繋げたのがこの聖杯だ。更に、並行世界、地球がない世界や平面惑星の世界の人間や英霊も、この聖杯以てすれば召喚は可能だ」

 

マジかお―――。

 

やる夫に衝撃が走る。やる夫が暮らしている世界・・・少なくとも、やる夫が暮らしている時代では、並行世界の人間や英霊を呼び寄せる事が出来るようなコンピューター等、世界中の何処を探しても見つかりはしないだろう。

 

「信用できない、元の世界に帰りたいというのなら、それでも構わない。聖壇の奥にある扉を潜れば、元の世界に帰還出来る。だが、他者を殺し、騙し、屍山血河を築き、それでも尚叶えたい願いがあるのなら―――君の背後の扉を開き、聖杯戦争の舞台へ進みたまえ。そして、己自身を以て最強を証明せよ。さすれば、万能の願望器は、君の手に与えられん」

 

そう言って、言峰は誘うように手を掲げた。

 

まるで2人を招くように。

 

どんな願いも叶えられるどころか、その為に新しい世界すら創造出来る聖杯・・・やる夫が手に入れて良い物なのかお・・・?はっきりした願いなんて、やる夫には―――

 

―――ちょっと待てお。そんな代物が、悪事に利用されちまったら不味いような気がするお。それに、今の説明からして、自分以外のマスターを殺す事が絶対条件って訳ではないみたいだお。やりようによっては・・・

 

やる夫は、決意した。

 

「・・・やってやるお。その天の聖杯ってヤツで皆を助けられるなら、やる夫は生き抜いてやる―――お?」

 

突然、やる夫は一つの大切な事に気が付いた。

 

「言峰のおっさん、もう一つ質問していいかお?」

「構わない」

「サーヴァントが願いを叶えると、やっぱり世界の理ってのが改変されるのかお?」

「天の聖杯は二つのサーバーで管理されており、それぞれが最終的に残ったマスター、サーヴァントの願いを叶えるように設定されている。だが、サーヴァントの願いを叶えても、例えサーヴァントの願いが世界征服や歴史改変だったとしてもそれで理が変わることは無い。あくまでマスター側の願いのみで世界の理が改変される」

「なるほど!どんな形であれ、困っている人達を助けられるって事っすね!」

 

ここで、初めてセイバーが口を開いた。

 

「困っている人達を助けられる?それが、セイバーの願いなんだお?」

「はい!それ以外の願いは無いっすよ!」

 

セイバーの願いもそういうものなのかお!よーし、決めたお!!

 

「わかったお、セイバー!その願い、やる夫が叶えるお!」

 

2人のやり取りを見る言峰は、密やかに笑みを浮かべた。

 

「お互い、なかなか早い決断だな。マスターとサーヴァント、価値観も生きた時代も異なる2人が、そう簡単に意思疎通を出来るものではない筈だが、これは大したものだ。実のところ、参戦か棄権のうち、どちらかを選ぶ為に都市内で約1ヶ月の猶予期間が与えられているのだが、敢えて黙っておいた」

「えへへ、そりゃどう―――へ?」

「何、君達は即断即決が好みと見たのでな・・・」

 

後出しという形で猶予期間の存在を明かした言峰を前に、やる夫は呆然としていた。

 

「あっ、そうだ。マスター、私、まだ真名を言ってなかったっすね」

「真名・・・って、名前の事かお?そういえばそうだったお」

 

セイバーは一息吐いて、再び口を開く。

 

「私の真名は比良坂夜露です!」

 

セイバー・・・比良坂夜露がそう名乗ると、やる夫のポケットにしまっておいたカードがまたしても光り始めた。

 

な、何だお!?またカードが光っているお!

 

やる夫がカードを取り出して見やると、セイバーの絵の面に書かれた『SABER』という文字の下に、『比良坂夜露』という文字が追加で刻まれていた。

 

「セイントグラフは、サーヴァントを召喚した時点でサーヴァントカードへと変化する。それはサーヴァントを召喚した後も残り、真名が判明すればカードに真名が追加で示される」

 

言峰が説明している間も、やる夫はカードを見つめていた。

 

「サーヴァントカードは、サーヴァントとの再契約にも必要となる。もし、令呪を持つマスターに奪われれば、令呪で主替えを命じる事でサーヴァントを奪われる。注意する事だ」

 

言峰がそこで言葉を区切ると、やる夫は言峰に顔を向けた。

 

「説明はこれで終わりなのかお?」

「基本的なものはな。それ以上のルールは端末のヘルプアプリで参照出来る」

「そうかお。ありがとうだお、言峰のオッサン。それじゃセイバー、外の世界を見に行くとするかお」

 

やる夫は夜露に顔を向け、共に扉に向かって歩き出す。

 

「入速出やる夫、最後に一つ聞いておこう」

 

言峰はやる夫の背に声をかけた。

 

「霊子サーバーが創ったこの世界、人類もそれ以外の生物も存在上はデータ・・・つまるところ、架空の世界だ。だが、彼らは生きている。例え遺伝子は途絶えたとしても、我々は生きているのだと主張している。それは、生命、非生命の関係無く『心』が繋いできたレールだ。君が皆を助ける為に聖杯を誰にも渡さないという事は聖杯を封ずるという事であり、彼らの残した『心の系統』を踏み躙るという事だ。彼らの努力は全て無駄だったと断ずることだ。その覚悟、有るや無しや?」

 

言峰の問いに、やる夫は答えた。

 

「否定出来る・・・否定してやるお。彼らの行為は決して無駄でも無価値でも無意味でもなかったと思うお。でも、それがもう行き詰まって、これから先に進歩も後退も無いなら、行き詰まった世界、そして自分自身に打ち勝って、自分達が望む道を切り開くんだお。その為に、やる夫は皆を助ける為に戦うんだお」

 

やる夫が言峰に振り返る事は無かった。

 

やる夫は、夜露と共に教会の扉を開いた。

 

『過去』しかない聖杯の意志は関係無い。

 

入速出やる夫と比良坂夜露・・・2人が見つめるのは『明日』に繋がる『今日』をおいて他には無いのだ。



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プロローグ(中編)

どうも、しきんです。

プロローグは3話構成で行く予定です。


聖暦2110年 11月25日 午後 言峰教会前

 

教会から出たやる夫は街の光景を見て絶句した。

 

3Dディスプレイも、空中に直接映し出される立体映像も、ロケットエンジンのそれと思しきノズルの向きからは想像も出来ないような動きで離陸し、空中を悠々と浮遊する船も、確かに驚くべきものだ。

 

だが、やる夫が絶句した理由はそれらだけではない。街を歩く人間達も含まれるのだ。

 

尤も・・・獣の耳や尻尾の付いた、所謂『獣人』や海外のアニメ・・・カートゥーンに出て来そうな者(?)といった、一部の者達は人間と呼ぶべきか否か、判断に苦しむような姿をしていたが。

 

そして、そういう姿をした者達が、普通の人間達と一緒に作業し、話し合い、連れ添って歩いているのだ。

 

「今の見たっすか、やる夫さん!この都市は無数にある並行世界や別宇宙から、聖杯とか、それに近いような願望器がある世界の人間達を再現して生活させているんすね!」

 

夜露は目を輝かせながら、大声で叫ぶ。

 

「あ、うん・・・確かにすげーお、こりゃ・・・」

 

興奮する夜露に少しドン引きしながら、やる夫はこう思っていた。

 

言峰のオッサンから説明を聞いていたとはいえ・・・ファンタジーもののアニメとかゲームとかで出て来そうなタイプのモブキャラ達が普通の人間達と、しかも近未来の都市で一緒に暮らしてるって・・・なんていうか、えらくシュールな光景だお。

 

「当然っすよ!こんな光景、私が住んでた所でも見た事無いっす!」

「分かった、分かったから少し落ち着くお!皆から変な目で見られてるお!!」

 

やる夫は周囲からの視線を痛く感じた。これ程多種多様な人種の者達のそれを一斉に受けているのだから、やる夫がそう感じるのも無理は無い。

 

やる夫は、何とか夜露を落ち着かせた。

 

「ところで、聖杯戦争の猶予期間って、あとどれくらいなんだお?言峰のオッサンは1ヶ月とか言ってたけど・・・」

 

やる夫のその疑問に答えるように、夜露はある方向に右手の人差し指を向けた。

 

「あそこに凄く大きなビルが建ってるんすけど、その上の数字が聖杯戦争が始まるまでの残り時間を示しているみたいっす」

 

やる夫は夜露が指差す方向を見る。そこには、どの建物よりも高いのではないのかと思わせるような巨大なビルが聳え立っていた。

 

外壁の色はダークグレーを基調としたもので、その上には赤い格子のような模様が付いている月のような物体が回っている。何処と無く不気味な外観だ。

 

そして、最上部には巨大なパネルがあった。

 

やる夫は端末を取り出し、カメラアプリを起動して拡大表示で見てみる。

 

パネルには、『2111年まで あと 35:11:21:53』 と表示されていた。1秒毎に一番下の行の右端の数字が減っていく。どうやら、これが聖杯戦争開始までのカウントタイマーのようだ。

 

「11月は30日、12月は31日だから・・・今日は11月25日、猶予期間は1ヶ月ちょっとってところっすね」

 

やる夫は端末にあったヘルプを参照しながら、マップでビルの位置を探った。どうやら、そのビルは『ネルフ』という名称で、都市部の中央からやや北の位置にあるようだ。

 

だが、ここでやる夫はある問題に気が付く。

 

マップを見て思ったんだけど、モダンファンタジアシティって、思っていたよりもかなり広いお。乗り物でも無いと、とても全部行ける気がしないお。それに、ちょっと行ってみたい所もあるし・・・ほら、北から北東にかけて山地が広がっていて、真ん中辺りに湖があるみたいだし、如何にも自然と触れ合うのにもってこいな感じだお。

 

・・・そうだ!

 

「よし、車を調達するお!」

「えっ!?いきなり何を!?」

 

やる夫の突然の宣言に、夜露は驚く。

 

「だって、聖杯戦争が起きたら移動手段は必要になってくるだろうし、今から手に入れた方が後々の問題に対応しやすくなる筈だお。この都市の観光もしてみたいし」

「確かにそうっすね!私も、どんな乗り物があるのか、気になるっす!」

 

やる夫の簡単な説明に、夜露は納得した。

 

「あっ、そうだ。その前に少し待ってくれお。今のうちに、端末の使い方を覚えるお」

 

やる夫はそう言って、ヘルプを見て端末を空中に刺すようにして放す。

 

やる夫の手から離れ、地面に落ちるかに思われた端末は、宙に浮き、やる夫の周囲に複数のディスプレイとキーボードが表示された。

 

「なるほど・・・こうすれば、空間投影ディスプレイが表示されるのかお。このディスプレイといい、キーボードといい、スマホとタブレットとパソコンの操作方法を融合させたような感じだお」

 

まるで汎用性を高めまくったiPadか何かだお―――。

 

苦笑いしながら、やる夫は操作方法を確認する。

 

数分間の操作練習を終えると、やる夫は端末を手に戻した。

 

「一先ず、こんなところかお。お待たせ、夜露!操作方法はとりあえずマスターしたお!」

「本当っすか!という事は―――」

「これで大方の準備は整ったお!」

 

そして、やる夫はリングに向かって、

 

「マップ表示。カーディーラー、高い評判」

 

現れたディスプレイには、教会から離れた場所に黄色い点が表示された。どうやら、黄色い点は目的地を示すマーカーのようだ。

 

「それじゃ早速、車買いにレッツラゴーだお!」

「はいっ、やる夫さん!」

 

2人はカーディーラーへと向かい始めた。

 

 

午後 カーディーラー『アカシ』

 

20~30分は歩いただろうか、2人はようやくカーディーラーに辿り着いた。

 

屋外は言わずもがな、解放感を感じさせる窓ガラス越しに見える中の様子から、屋内でも車が展示されているのが分かる。

 

2人は店の中に入った。

 

「いらっしゃいませ。宜しければ、商品をご案内差し上げます」

 

入口近くにいた女性店員が、2人に話しかけて来た。

 

2人は店員に案内を頼み、色々見て回る。

 

やがて、2人は屋外に展示されている1台の車の前で足を止める。それは、何処と無くアウディ車を想起させるデザインの、漆黒のスポーツカー。ドアが4つある点を見るに、4人乗りである事が分かる。

 

カッコいい―――!このデザインといい、色といい、良いのを見つけたもんだお!

 

男心を擽られたやる夫は、そのスポーツカーに見入っている。

 

「お気に召しましたか?」

「は、はい!それはもう・・・」

「こちらは『オムニス e-GT』。オベイ社の電気自動車、その最新(ニュー)モデルです。出力は380馬力(PS)で、最高速度250㎞/hに到達するまで僅か約12秒。急ブレーキ時には、搭載された電子制御ABSで横滑りを防止します」

「おお~~~っ!」

 

店員の説明に、やる夫は目を輝かせるが、急に冷静になると、一つの疑問を投げかけた。

 

「・・・値段は幾らなんですかお?」

「480万CPです」

 

うわー、やっぱりスポーツカーは値段が高いお。ローン組んだとしても―――あれ?お金?

 

「・・・夜露、お金ってどうなってるんだっけ?」

「軍資金として、1000万CPが入っているらしいっす」

「げっ・・・」

 

これ1台だけで半分近くが吹っ飛ぶじゃねーかお・・・。

 

やる夫は迷った。買う物が物だけに、痛い出費だ。だが・・・

 

それにしたってこの性能、意外な出物かもしれないお。

 

やる夫の腹は決まった。

 

「よし、これくれお」

「はーい!ありがとうにゃ~!」

 

すると、店の奥から淡い緑髪の少女が現れた。猫の耳と尻尾が生えている容姿から、獣人である事が分かる。

 

「え―――えっと、新人さんで?」

「いえ、こちらは店長で、私は店員です」

 

やる夫は、獣人で、しかも幼い容姿の店長と、どう見ても成人女性だと分かる人間の店員を見比べ、自分の常識というものが、ここでは何の意味も持たないを改めて思い知らされた。

 

「それでは、こちらに住所、名前、免許証の表示をお願いしますにゃ」

 

やる夫は戸惑った。当然な・・・というより今更な事ではあるが、この世界でそのような物を持っている筈が無いのだ。

 

「やる夫、端末の画面を見せてみるっす」

 

狼狽えるやる夫に、夜露はそうアドバイスした。

 

やる夫は夜露が何を言っているのか理解出来なかったが、とりあえず端末の画面を店長に見せてみる事にした。

 

店長は服のポケットからバーコードスキャナーを取り出し、端末の画面の隅に表示されているQRコードを読み取った。

 

「はい、畏まりましたにゃ。名前、住所、免許、保険その他諸々の確認が完了しましたので、そのまま乗って行っていいですにゃ~」

 

え?

 

その言葉を聞いたやる夫は呆気に取られた。

 

えっ、ちょっと・・・こんな簡単に免許云々の確認が出来ちゃっていいのかお?なんか、心配になってくるんだけど・・・。

 

「どうやら、その端末の画面のそれは、あらゆる場面で許可が取れるパスみたいっす」

 

つまり、色々煩雑な手続きを簡単にして、マスター達が戦いやすくする為の特権ってところなのかお。

 

やる夫は、一応、そういう解釈で捉える事にした。

 

「ありがとうございましたにゃ~!」

 

店長達に見送られながら、2人はスポーツカーに乗り、カーディーラーを後にした。

 

 

「さてと・・・これからどこへ行くっすか?私はこの街を見て回りたいっす」

 

助手席に座る夜露の問いに、運転席に座り、ハンドルを握るやる夫はこう答えた。

 

「そうだおね、先ずは・・・例の超高層ビルにでも行ってみるかお!中に何があるのかも気になるところだし!」

 

こうして、2人はネルフへと向かう事にした。

 

 

午後 セントラルロード ショッピングモール付近

 

道中、信号待ちをしている時だった。

 

「やる夫さん、あそこ見てください!」

 

夜露が驚いた表情である方向を見る。

 

一体何事かと、やる夫が夜露と同じ方向・・・前方左の方向を見ると、近くで噴煙が上がっているのが見えた。

 

何だお、あれ・・・まさか?

 

「何かあったのかもしれないお。ちょっと寄って行くお」

 

信号が青に変わるのを確認したやる夫は、車を左折させ、煙の上がる所へと走らせた。

 

見つけた駐車場に車を停め、2人は車から降りた。

 

既に野次馬が集まっている中、やる夫は警官と思しき人物を見つける。

 

「すみません。ここで何があったんですか?」

 

やる夫は警官に問うた。

 

「ここから先は立ち入り禁止です。見学したいのであれば、身分証の提示をお願いします」

 

身分証―――というと、アレだおね。

 

やる夫はカーディーラーでの事を思い出し、マスター専用の端末を取り出し、起動画面を見せた。

 

「ああ、あなたはこの度、マスターとしてこの都市に移住してきた方ですか」

 

その言葉に、やる夫は疑問を抱いた。

 

このお巡りさん、マスターを知っているのかお?だとすると、もしかして―――

 

「ちょっと待ってほしいお。お巡りさん達は、聖杯戦争の事を知らされているんですかお?」

 

警官の返答は意外なものだった。

 

「聖杯戦争?何ですか、それ?マスターというのは、特別待遇を受けてこの都市に招聘された方々の事ですよ。気を付けてください。もう3人も奴等の犠牲者になっているんですよ。どうやら、貴方方も奴等の目標になっているようなんです」

「奴等・・・?誰の事だお?」

「テロリストですよ。何でも、『万象黙示録』を名乗っている連中でしてね。最近になって、政府がそいつ等をテロ組織に認定したんですが、どうも何を目的としているのか、全く分からないそうなんです。妙なのはそれだけじゃないんです。奴等の戦力なんですが、全て自動人形の類なんですよ」

 

それを聞いた2人は戦慄した。少なくとも、やる夫はそういうタイプのテロ組織は知らない。聞いた事も無い。夜露は似たような敵と戦った事があるかもしれなが、それでも警戒すべき相手であると認識しているだろう。

 

警官との話を終え、車に戻った2人は、テロ組織について話していた。

 

「万象黙示録って奴等、あのお巡りさんの話からして、聖杯戦争に参加しているマスターやサーヴァントを狙っているかもしれないお」

「まだ始まってもいないのに・・・許せないっす」

 

 

夕方 ネルフ

 

やる夫達がネルフに到着した頃には、既に日は沈みかけていた。

 

近くの駐車場に車を駐め、2人は中に入る。

 

内部は2人が思っていた以上に広く、様々なテナントが存在しているのが分かる。

 

2人はエレベーターに向かい、フロア案内図で興味のあるフロアを確認して、ドアを開いて乗り込んだ。

 

先ず、訪れたのは1フロアの3分の1を占めるレストラン。

 

席に案内され、タブレットを開いてメニューを見るが・・・

 

「な―――何だお、このバリエーションの多さ・・・」

 

料理数が多すぎるあまり、2人は何を頼めば良いのかまるで分からない。

 

そんな2人の様子を見て、店員がこんなことを言ってきた。

 

「モダンファンタジアに来たばかりで良く分からないのであれば、『シェフの日替わりフルコース』というのがございますが」

「それって、どんなのなんですかお?」

 

やる夫の質問に、店員は説明を始めた。

 

「ハンター達が狩ってきた獲物を、当店のオーナーシェフがインスピレーションでメニューを決定、調理した物です」

「アレルギー等は、お2人共、ございませんか?」

「無いお」

「無いっす」

「畏まりました。少々お待ちください」

 

店員はお辞儀をすると、キッチンへと向かっていった。

 

20分近く経ったところで、数種類の料理が2セット運ばれてきた。

 

名前も知らない数種類の野菜のサラダや芋の餅、何の鳥の肉を使っているのかが不明な蒸し鳥に肉以外の具材がよく分からない具だくさんシチュー、そして地層のようなパフェ。

 

それらを初めて見た時、2人共フォークを付けるのに少し躊躇ったが・・・

 

「美味しいお・・・」

「美味しいっす・・・見た事無いのがアレっすけど・・・」

 

味の方は満足するものだった。

 

腹ごしらえを済ませた2人が次に訪れたのは、先程のレストランのあるフロアと隣接する上の階を丸ごと占領した武器屋。

 

店内のありとあらゆる商品棚には、武器や防具が展示されている。

 

「このアルファガンっていう銃って、どれくらいの威力なんだお?」

「市販されているものだと、サーヴァント相手にも通用するみたいっす。痛い程度のダメージではあるっすけど」

 

最後に訪れたのは、最上階。壁が全てガラスで出来ている展望回廊のようで、都市を一望する事が出来る。夕日は半分程沈んでおり、空の色はオレンジからダークブルーに変わりつつあった。

 

「もうすぐ夜かお・・・この世界に来る前の事を思い出すお」

 

やる夫はそう呟く。

 

空があんな感じの時に、やる夫とやらない夫はあの石を拾ったんだお。この世界に来ていなかったら、やる夫はいつもと変わらない生活を送っていたのかもしれないお。やらない夫、今頃どうして―――やらない夫?

 

「あっ―――」

「?どうしたっすか、やる夫」

 

景色を眺めていた夜露が、やる夫の方を向く。

 

「そういえば、やる夫が星晶石っていう石を拾った時の事を思い出したんだけど、その時、やらない夫っていう友達と帰っている時に拾ったんだお。見つけた星晶石は二つだから、やる夫とやらない夫は一つずつ拾ったんだお」

「それって・・・」

「もしかしたら、やらない夫も聖杯戦争に参加しているかもしれないんだお。だとすれば、やらない夫と戦う事になるかもしれないんだお」

「そんな・・・そんな事って・・・」

「でも・・・いや、だからこそだお。やる夫は1人も殺す事無く天の聖杯を勝ち残るんだお。言峰のオッサンの説明では、勝利条件は他のマスターを全員殺す事とは言ってなかったんだお。つまり、マスターを殺す必要は無いって事なんだお」

「マスターを殺す必要は無い―――そうか!サーヴァントだけを倒せばいいって事っすね!」

「そういう事だお。それに、やらない夫がいなかったとしても、やる夫はこの方針で行くつもりだったし」

「私もっす!私の戦う理由は、困っている人達を助ける事っすから!」

 

2人はそう言って互いに笑顔を見せる。

 

「一緒に取りましょう、聖杯を」

 

 

[マスター 入速出やる夫]

能力:詳細不明

出典:2ch

性別:男

武器:無し

役割:穂群原学園に通う高校3年生

願い:皆を助ける

方針:今のところ未定

令呪の位置:右手の甲

平凡な生活を送っていた高校生。ある日、やらない夫と2人で謎の石を見つけた事で、聖杯戦争に参加する事となる。

 

[サーヴァント 比良坂夜露]

クラス:セイバー

出典:アリス・ギア・アイギス

性別:女

ステータス:筋力B-、耐久C+、敏捷A、魔力A++、幸運A+、宝具A++

属性:中立・善

スキル:対魔力A(魔術への耐性。魔法陣及び瞬間契約を用いた大魔術すら完全に無効化してしまい、事実上現代の魔術師が夜露を傷付けるのは不可能)

    騎乗D(騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる)

    エミッション能力A++(対ヴァイス兵装『アリスギア』の操縦に必要不可欠なスキル。宝具の関係上、必須であると言えるだろう)

    魔術・雷A(オーソドックスな魔術の習得。属性が雷なのは、夜露が得意とするアリスギア属性が『電撃』である為)

    ???(詳細不明)

宝具:『隠された女王の戦闘服(ミソギ/羽々斬/スサノオ)』(イズモという企業が製造したとされる彼女専用アリスギア。通常時はリミッターがかけられている為、使用扱いとなるのはリミッター解除時のみ)

   『黄泉へと誘う双剣(クナド)』(単分子の刃を持つ双剣。夜露本人は、これを逆手に持ち、衝撃波すら生み出す乱舞を得意技とする)

願い:皆を助ける

方針:困っている人達(マスターも含む)を助ける

東京シャードに住む、成子坂製作所に属するアクトレス。どういう訳か、大型ヴァイス及びそれに関する案件を呼び寄せる体質を持ち、時折、彼女と相対した敵が吸い寄せられる様な動きを取る。(これより先は詳細不明の為、省略)




今回出て来た料理の元ネタ、分かる人っていますか・・・?


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プロローグ(後編)

どうも、しきんです。

遂にクリスマスイヴまであと1日となってまいりました。


言峰教会を知っているかな。

 

そう、試練を潜り抜けたマスター達が必ず最初に召喚される場所だ。

 

・・・?それはもう知っている?今更、そこの話をするのかって?

 

実は今、そこで面白い事が起こっているんだ。

 

折角だから、少し見てみるとしよう。

 

 

聖暦2110年 11月26日 夕方 言峰教会

 

言峰教会の中で起こった緊急事態。

 

マスターとサーヴァントが言峰に攻撃を仕掛けた事を発端に、教会の一般的なイメージではまず起こり得ない事態に該当するであろう戦闘が発生したのである。

 

「ここに来て早々、監督役である私を襲うとは」

「フジャケルナ!アンタカイタラインレオデノカラダハボドボドダ!(訳:ふざけるな!アンタがいたら、何れ俺の身体はボロボロだ!)」

「てめーはもう・・・てめーはもう―――」

 

滑舌の悪い人間が喋る日本語のような言語・・・オンドゥル語を使いながら、マスターはスコップを持つサーヴァントと共に尚も言峰を攻撃する。

 

対する言峰は、時に避け、時に腕で防御して、それらを捌いていく。

 

「アンダザエダオセヴァ、オレダティニキョフシンナドナ(訳:アンタさえ倒せば、俺達に恐怖心などな―――)」

「―――ゴボァッ!?」

「!?」

 

突然、サーヴァントの胸を何かが貫いた。

 

マスターが見ると、それは赤い槍だった。穂先が胸から飛び出ている事から、背後から刺されたのは間違いない。

 

槍が後ろへと引き戻される。

 

槍を抜かれた直後、サーヴァントは光となって消えた。

 

マスターが振り向くと、そこには槍を持った全身青ずくめの男が立っていた。

 

あまりの出来事に、マスターは腰を抜かす。

 

「聖杯戦争はまだ始まってねえんだが・・・ここでやり合うってんなら話は別だ。・・・その心臓、貰い受ける!」

「ウワァァァァァァァァァァ!!!」

 

マスターは情けない悲鳴を上げた。

 

それが―――マスターの発した最後の声となった。

 

何故なら、エネルギー弾を受けたマスターの身体は塵となってしまったのだから。

 

目にも止まらぬ速さで繰り出された突きは、コンマ1秒の狂いも無くマスターの心臓を貫く。

 

成す術無く心臓を貫かれたマスターは、呻き声すら発する事も出来ずに倒れ、力尽きた。

 

騒動の張本人が両名共に消滅した事で、言峰教会に静寂が戻る。

 

「しっかし・・・一体、何時になれば本戦は始まるんだ?なんでか知らねえが、こういう連中に限って弱い奴しかいねえしよ」

 

たった今始末した主従を含む、これまで言峰を襲撃した者達が全員手応えが無かった為なのか、不満げな様子の男は言峰にそう聞く。

 

対する言峰は口を開いた。

 

「そう焦るな、ランサー。年が明けた時、本戦も開始される。お前の気に入るサーヴァントとも戦えるかもしれんぞ」

 

男・・・否、言峰のサーヴァントであるランサー、クー・フーリンが何故、言峰以外のマスターやサーヴァントに察知されなかったのか。

 

それには、二つの理由がある。

 

一つは、言峰が令呪を用いて、『本戦が始まるまでの間、戦闘時以外は気配を消し、自分が襲われたら一時的にそれを解除して言峰を助ける』事を命じた事。

 

そして、もう一つは、言峰教会そのものに壁越しにサーヴァントの存在を察知する事を不可能とする細工が施されていた事。これにより、別室にいるだけでも気配をある程度消す事が出来てしまうのである。

 

これらが、気配遮断のスキルを持たない筈のランサーの存在が言峰以外のマスターやサーヴァントに察知される事を防いだのである。

 

ランサーは、何処か気に入らないとでも言いたげな表情で言峰を見る。

 

 

思えば、言峰綺礼という人間の生涯は問うてばかりの人生だった。

 

己と世界の繋がりの歪さというものに。

 

心の虚無に。

 

神の愛に。

 

『この世全ての悪』の存在意義に。

 

常に答えを追い求めてきた言峰は、愉悦、楽しみはあっても、安らぎを感じる事は無かった。

 

それ故に、言峰は目の前にいるサーヴァント・・・嘗ての第五次聖杯戦争においても主従の関係であったサーヴァント、ランサーと行動を共にするという選択を悪くないと感じている。

 

NPCでありながら生前の記憶を持つ上級NPCであり、自分の願望を知っているのであれば、尚更だ。

 

実のところ、言峰は監督役という役割を与えられた身でありながら、この聖杯戦争の主催者の事を知らない。知っている点といえば声のみで、それ以外の一切の事を知らないのだ。

 

何故、主催者に近い立ち位置にいる筈の監督役が主催者について何も知らないのか。少なくとも、今それを知る者は他ならぬ主催者をおいて他にはいないだろう。

 

だが、これだけは言える。

 

言峰はこの聖杯戦争の勝者、そしてそれにより生まれ出るものを祝福する事を望む、と―――。

 

 

[マスター 言峰綺礼]

能力:洗礼詠唱(主の教えにより迷える魂を昇華し、還るべき『座』に送る簡易儀式。霊体に対する強い干渉力を持ち、呪いを解く効果も持つ)

   言峰綺礼式八極拳(言峰が八極拳を基に独自に実戦で改良し、生み出した人体破壊術。勿論、彼の父の正当な八極拳とは異なる為、八極拳の派生拳法と呼べる)

出典:Fate/stay night

性別:男

武器:黒鍵

役割:監督役

願い:勝者、そしてそれにより生まれ出るものを祝福する

方針:結末の方も重要だが、それよりも聖杯戦争の過程を楽しむ。

令呪の位置:右腕

万人が「美しい」と感じるものを美しいと思えない破綻者。生まれながらにして善よりも悪を愛し、「醜いもの」を好み、他者の苦痛や不幸にしか幸福を得る事が出来ない欠陥者。悪党ではないが悪人。非道ではないが外道。若い頃は自身の本質を理解しておらず、この世には自分が捧げるに足る理念も目的も無いと考え、『目的を見つけるのが目的』という生き方をしていた。あらゆる事を他人の数倍の努力を以て身に付けるが、そこに情熱は無く、時が来ればあっさりとそれを捨てて次に挑む、という行為を繰り返してきた。この頃の綺礼にとっての信仰とは、自身で見出した理想ではなく、ただ不完全な自身を痛めつける場であるという意識の方が強かった。第四次聖杯戦争の頃までは、そういった自身の在り方に懊悩していたが、聖杯戦争で出会ったギルガメッシュとの出会いをきっかけに吹っ切れた。その後は、ある種の悟りと余裕のある態度で生きている。 

 

[サーヴァント クー・フーリン]

クラス:ランサー

出典:Fate/stay night

性別:男

ステータス:筋力B、耐久C、敏捷A、魔力C、幸運E、宝具B

属性:秩序・中庸

スキル:対魔力C(魔術への耐性。第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない)

    神性B(神霊適性を持つかどうか。ランクが高いほど、より物質的な神霊との混血とされ、Bランクは半神半人を意味する。ケルト神話の太陽神・ルーの息子)

    戦闘続行A(戦闘を続行する能力。所謂『往生際の悪さ』。決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能となる)

    ルーンB(北欧の魔術刻印・ルーンを所持し、キャスターにも適合出来る程の知識と腕前を持つ。クー・フーリンが扱うのは神代の威力を有する原初のルーン)

    矢避けの加護B(飛び道具に対する対応力。使い手を視界に捉えた状態であれば、如何なる遠距離攻撃も避ける事が出来る。ただし、超遠距離からの直接攻撃、及び広範囲の全体攻撃は対象外)

    仕切り直しC(戦闘から離脱する能力。また、不利になった戦闘を初期状態へと戻す)

宝具:『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』(クー・フーリンが編み出した対人用の刺突技。真名を解放すると槍の持つ因果逆転の呪いにより『心臓に槍が命中した』という結果を作ってから『槍を放つ』という原因を作る。つまり、『放ったから当たった』ではなく『当たったから放った』という、運命そのものに対する攻撃である。回避には因果操作を回避出来る幸運の高さと神速の槍捌きを躱す技量の二つが必要であり、防ぐには槍の魔力を上回る防壁を用意するしかない)

武器:『刺し穿つ死棘の槍』

願い:死力を尽くし、強者と戦う事

方針:なんかこのマスター気に食わねぇ

太陽神ルーの息子で、アイルランドの光の御子。『クランの猛犬』と謳われた赤枝の騎士。生前に一度も敗北していない事から無敗の英雄としても知られる。惚れ込んだ姫君を射止める為に武勲を立てるべく、影の国の女王スカサハに弟子入りし、彼女の元で様々な魔術と体術を学び、魔槍ゲイボルクを授かる。影の国を去った後は、赤枝の騎士として数々の戦場を駆け巡り、アイルランド中にその名を轟かせた。しかし、コノートの女王メイヴの奸計により無二の親友フェルディアを殺害。また、存在を知らなかったとはいえ息子であるコンラも手にかけてしまう。彼の最期は、メイヴの策略によりゲッシュを次々と破る事になり、半身が痺れたところを敵に奪われたゲイボルグに刺し貫かれて命を落とす。しかし、零れ落ちた内臓を水で洗って腹に収め、石柱に己の体を縛りつけ、最後まで倒れなかったという。

 

 

???

 

モダンファンタジアシティの何処かに、彼女達はいた。

 

否・・・正確には、1体のサーヴァントと数体の自動人形(オートスコアラー)というべきか。

 

サーヴァント・・・アヴェンジャー、キャロル・マールス・ディーンハイムの嘗ての目的は世界解剖計画『万象黙示録』の完遂。

 

キャロル・マールス・ディーンハイムの錬金術が、世界を壊し、万象黙示録を完成させる。

 

彼女が、人類滅亡と言っても過言ではないそれを成そうという強い意志を持っていたのは、奇跡という言葉に対する激しいまでの憎悪を抱いているが故の事なのだろう。

 

数百年という長い時を生き、膨大な時間を錬金術の統括・習得と、計画遂行の為の暗躍に費やしてきたが・・・よもや、見知らぬ世界の、聖杯戦争とかいう争いに放り込まれるとはな。

 

しかし、聖杯・・・あらゆる願いを叶える願望器か・・・。

 

フッ、知れた事―――奇跡だと言うのなら、その聖杯をも殺してやる。

 

俺は、奇跡の殺戮者なのだから。

 

さて・・・聖杯戦争の始まりの時を待つとするか。

 

 

[サーヴァント キャロル・マールス・ディーンハイム]

クラス:アヴェンジャー

出典:戦記絶唱シンフォギア

性別:女

ステータス:筋力D、耐久C、敏捷C-、魔力B+、幸運C-、宝具A++

属性:混沌・悪

スキル:復讐者A(復讐者として、人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。周囲からの敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情は直ちにアヴェンジャーの力へと変わる)

    忘却補正B(人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。忘却の彼方より襲い来るアヴェンジャーの攻撃は、クリティカル効果を強化させる)

    自己回復(魔力)A(復讐が果たされるまで、その魔力は延々と湧き続ける。魔力を微量ながら自動回復する)

    陣地作成A(本来はキャスターのクラス特性。魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。『結界』や『工房』を上回る『神殿』を形成することが可能)

    道具作成A(本来はキャスターのクラス特性。魔力を帯びた器具を作成出来る)

    錬金術EX(道具作成の発展スキル。現代科学とは別次元に進化してきた異端技術の一種で、空間移動を可能とするテレポートジェムの精製や、あらゆるものを分解するアルカ・ノイズの召喚、使役、自身と同じ型のホムンクルス生成が可能な他、宝具の使用にも必要)

    策謀A+(偽情報等を駆使して相手を欺く事が出来る)

    単独行動EX(マスター無しでも活動できる能力。戦闘で消滅しない限り、実質無限に行動可能)

宝具:『世界を砕く魔元帥の城(チフォージュ・シャトー)』(特定の段階を踏む事で、世界を砕き、万象黙示録を引き起こす装置となるキャロルの居城。異空間座標に存在し、様々な聖遺物や錬金術、その他異端技術の粋を集めて建造された。また、ある条件でキャロルの絶唱を増幅する音叉として機能する)

   『奇跡を殺す金の竪琴(ファウストローブ・ダウルダブラ)』(竪琴のような形の聖遺物。生前、キャロルはこれをファウストローブへと改造した。シンフォギアに近しいもので、通常は琴の形を成しているが、これを錬成することにより、プロテクターへと変換される。琴により爪弾かれる音色は、キャロルの錬金術を増幅させるのみならず、ダインスレイフの呪われた旋律を用いる事で世界を壊す歌を口遊む事が可能であり、そのエネルギーの総量は、地球70億人の絶唱すらも凌駕する。本来であれば、使用する際には想い出の焼却を行う必要があるが、本作では魔力を消費して使用する仕様となっている)

武器:無し

願い:奇跡を殺す

方針:暗躍する

欧州の深淵より来たりて、世界解剖計画『万象黙示録』完遂すべく、シンフォギア装者達に敵対する錬金術師。奇跡という言葉に対して激しいまでの憎悪を向け、奇跡を殺すと豪語する。かつて、父イザークの研鑽による功績を奇跡の一言で片付けられ、挙句異端者として火刑に処された過去を持ち、その過去自体を「消えてしまえばいい想い出」と悲観する。シェム・ハとの最終決戦後に脳内でエルフナインと対話。エルフナインに忘れられたくなくてその想い出を残した事を赤裸々に語り、別れの言葉を告げて消えていった。なお、キャロル自身はエルフナインとの想い出を全て失った状態である為、仮にエルフナインと逢ったとしてもそれを思い出す事は無い。




なお、言峰が使う八極拳ですが、作者流に解釈した上での説明ですので、ご了承下さい。


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本戦開始前
遮那仮面と殺人貴


どうも、しきんです。

この章では本戦開始前のマスターとサーヴァントの様子にフォーカスを当てたものとなっております。


245X年 東京シャード周辺宙域

 

現在、東京シャードは、未曽有の危機に瀕していた。

 

ヴァイスが、これまでにない程の大規模攻勢を仕掛けて来たのである。

 

迫りくるヴァイスの大群を現在進行形で迎え撃つアクトレス達。

 

吾妻楓も、その1人だ。

 

時間が経つにつれ、状況は不利になっていく。

 

楓も善戦してはいるが、最早、満身創痍であり、限界ギリギリ・・・否、既に限界を超えている状態だ。

 

そして―――その時は訪れた。

 

「あっ―――!?」

 

大型ヴァイスの攻撃が、遂に楓を捉えた。

 

楓の脳裏に走馬灯が走る。

 

幼き頃に自分の前から姿を消した、大好きな姉と過ごした日々。

 

叢雲工業時代からの友人達との思い出。

 

そして、自分を慕う1歳年下のアクトレスである比良坂夜露の―――

 

「・・・?」

 

刹那、楓は奇妙な現象を見た。

 

視界の中で、光が広がっていく。

 

いや、それどころではない。楓は、自分が光に呑まれていくような感覚を覚えた。

 

あれ?おかしい・・・まだヴァイスはいるのに、何故だか・・・凄く眠たくなってきて・・・仕方ない、後は・・・夜露ちゃん達に・・・任せ、ましょう―――

 

ここで、楓の意識は途切れた。

 

この戦闘の後、吾妻楓はMIA(戦闘中行方不明)認定を受ける。

 

尤も、楓本人はそれを知る由も無かったのだが・・・。

 

 

目が覚める。

 

数十秒の時間の間に、意識が徐々にハッキリとしたものになっていく。

 

起き上がった楓は自らの身体を確かめる。大型ヴァイスにやられた筈で、そうでなかったとしてもダメージが蓄積していたので、多少なりとも傷が付いていても何ら可笑しい事は無い。

 

だが、それらしきものは身体に一つも付いてなかったのである。

 

しかも、どういう訳か、今の自分の服装は、アクトレススーツではない。普段着ている服を着ているのだ。

 

楓が気になるのはそれだけではない。

 

周りで幾つもの星が輝いている事から、何処かの宙域であるという予測は付く。だが、本来であれば無ければならない筈のあれらが何処にも見当たらない。

 

シャードが無いのだ。地球を追われた人類の箱舟であるシャードが、東京シャードを含めて、何処にも見当たらないのである。

 

「ここは、一体・・・?シャードは?他の皆は・・・?私が眠っている間に、一体何が―――」

 

まさか・・・

 

いや、それを言ってはいけない・・・と、思う。シャードの残骸らしきものは見当たらないから、シャードが破壊されたとは断定出来ません。それに・・・

 

それを言ってしまうと、私が壊れてしまいそうで―――

 

楓がそう思っていた時だった。

 

『ようこそ、願望を抱くマスター候補者よ』

 

何処からともなく、男の声が響いた。

 

 

数分後

 

「くっ・・・!」

 

楓は迫り来るシャドウを斬る。

 

シャドウは斬撃を受けて崩れるが、再生し、何事も無かったかのように襲い掛かってくる。

 

『シャドウを消滅出来るのはサーヴァントを置いて他にはいない。サーヴァントを召喚する為には、君が自力で英雄達の記録が保存されている『英霊の座』に接続しなければならない。その為の切り札・・・セイントグラフは既に君の手の中にある。そして、己の意志を一点に収束して、強く願う事だ』

 

シャドウを消滅出来るのはサーヴァントだけ―――そういう事ですね。

 

武器を持っていなかったという事もあり、楓は自力でシャドウを倒す事を早々に諦め、飽くまで時間稼ぎの為にシャドウが追い付いて来れば、その都度に殴り飛ばし、距離を離すという行為を繰り返していた。

 

どうやら、楓の予測は大方当たっていたようだ。

 

シャドウが先程よりもスピードを上げて楓に向かって来る。

 

―――今!

 

楓は渾身の一撃をシャドウにぶつける。シャドウは弾き飛ばされ、少しではあるが、その姿が崩れた。

 

楓はこの隙に、自らの意志を収束させる。

 

こんな所で死にたくない。

 

死にたくない。

 

生きたい―――!

 

その時だった。

 

楓の手に握られていたカードが光を放った。

 

光は変形していき、その中に1人の人間の形を作り出す。

 

楓にとって、それはあまりにも神秘的な出来事だった。

 

「吾は面影糸を巣と張る蜘蛛。ようこそ、この素晴らしき惨殺空間へ」

 

その言葉と共に現れたのは、手にナイフを持つ学生服の少年だった。

 

 

聖暦2110年 11月25日 夜間 言峰教会前

 

楓はこれまでの事を思い返していた。

 

あの後、言峰綺礼と名乗る奇妙な神父に解説を受けた。

 

どうやら、自分は聖杯戦争という謎の催しに巻き込まれたようだ。

 

曰く、聖杯戦争で過去の英雄と手を組み、殺し合いを勝ち抜いた者には、万能の願望機が与えられる。

 

教会を出て、東京シャードよりも未来的な都市で人間達とそれ以外の種族と思しき人々が共に生活するという異様な光景に目を白黒させた。

 

「こいつは驚いたな。この街並みといい、民衆といい」

 

学生服のサーヴァントも同様に驚いていた。何処か達観したような雰囲気を持つ彼だが、流石に驚く事もあるようだ。

 

―――そういえば。

 

「そういえば・・・まだ、貴方の名前を聞いてませんでした。貴方は、誰なのですか?」

「俺か?」

 

サーヴァントが振り向く。

 

「俺の真名は七夜志貴。クラスはアサシンだ」

 

サーヴァントはそう答えた。

 

その日の、太陽が完全に沈んで間も無い時の事だった―――。

 

 

[マスター 吾妻楓]

能力:エミッション能力(対ヴァイス兵装『アリスギア』の操縦に必要不可欠な能力。楓のそれは非常に高いレベルで安定しすぎており、予断を許さない領域に足を踏み入れてしまっていると言っても過言ではない)

   剣術(読んで字の如く。楓自身は一時期において『遮那仮面』と名乗り、法では裁き切れない小さな悪を夜な夜な懲らしめる、所謂、『辻斬り』をしていた)

出典:アリス・ギア・アイギス

性別:女

武器:薄緑(太刀形状の両手剣ギア。楓専用のギアの一つ)

役割:モダンファンタジア・アカデミーに通う高校1年生。部活は剣道部所属

願い:今のところ未定

方針:先ずはモダンファンタジアの詳細を調べる

令呪の位置:右手の甲

東京シャードに住む、成子坂製作所に属するアクトレス。元々は叢雲工業に属していたが、不祥事により、叢雲工業のアクトレス事業が解体。成子坂製作所へと移籍した。性格は古風かつ真面目で口数は少なめ。その上、武術家でストイックである為、融通の利かないところがある。また、アクトレスとしての後輩である比良坂夜露から慕われている。

 

[サーヴァント 七夜志貴]

クラス:アサシン

出典:MELTY BLOOD Actress Again

性別:男

ステータス:筋力B-、耐久B、敏捷A+、魔力C、幸運B-、宝具A+

属性:中立・悪

スキル:気配遮断D+(サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適しているが、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。夜間~未明の時間帯では、気配遮断をある程度維持出来る)

    単独行動A(マスター不在・魔力供給無しでも長時間現界出来る能力。マスターを失っても約3日は現界可能)

    浄眼・真A(有り得ざるモノを視る眼。主に対象の思念を色で見る事が出来る。思念は通常は濁った透明色をしており、その流れの緩急で感情を読み取る。更には、魔を示す色である赤、神域の思念とされる青や銀といった独自の色を持つものを見る事も出来る他、霊体を見る事も可能)

宝具:『極死・七夜(きょくし・ななや)』(ナイフを投げつけると同時に相手の首の上に飛び乗り、首を捩り斬るという残酷極まりない技。投げたナイフを避けようとすれば首を取られ、飛び掛って来る七夜を避けようとすればナイフに心臓を貫かれる。そして、ナイフと七夜はほぼ同時に襲って来る為、実質回避不可能という、七夜の暗殺術の境地といえる)

武器:ナイフ

願い:今のところ未定

方針:マスターに従う

本来とは違う道を歩んだ・・・所謂、『if』の遠野志貴。余計なものが混じっている為、絶対に起こり得ない『if』であるが、遠野志貴が自分でもよく覚えていない七夜の体術を駆使する事が出来る。白レンと主従関係を結んだ後、消滅覚悟で宿敵である軋間紅摩との決着を付けに向かい、死闘の果てに消滅した。なお、彼が発生した原因自体は志貴自身の殺人衝動に飲まれた自分という可能性の恐れ、もしも七夜の里で志貴が育ったらという仮定の話等、諸説ある。



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雪と祟り

どうも、しきんです。

遅くなってしまいましたが、新年、明けましておめでとうございます。

皆様、今年もどうぞよろしくお願い致します。


星々の世界に私はいた。

 

フィーネに捨てられ、私は逃亡生活を送っていた。

 

そのうちに、いつの間にかこの空間に迷い込んじまったみたいだ。

 

クリスは元来た道を戻ろうと思ったが、奇妙な事に、直前に潜った扉は影も形も無かった。

 

私の名前は雪音クリス。

 

まだ小さかった頃、私はNGO活動で訪れたバル・ベルデで内戦に巻き込まれて両親を殺された。その時から、『戦争の火種をなくしたい』と強く思うようになった。そういや、それでフィーネに誘われたんだったな。

 

でも・・・今となっては、私は特異災害対策機動部二課にもフィーネにも追われる身になっちまった。

 

そうだ。私の居場所なんて、もう何処にも―――

 

 

数分後

 

今、私は謎の声の話・・・正確には、聖杯戦争ってやつの説明を聴いていた。

 

・・・ていうか、これは夢・・・なのか?

 

いや―――心当たりがある。

 

確か、フィーネからの逃亡生活を始める前の頃。気晴らしに街を歩いていた時に立ち寄ったアンティークショップで、綺麗な石を買った。

 

雨が降っていた時、急にその石が光り出して―――いつの間にか、目の前に現れた扉を開いて、ここに辿り着いた。

 

そうか、あの石はここへの・・・この世界への招待状って事か。それなら納得がいく。

 

謎の声による一通りの説明が終わった。まだ内容をよく理解してはないけど、一応頭に入れている。

 

私のいた時代は2043年・・・スマホが普及してから40年近くも経っている。いつの間にか持たされていた端末の使い方なんて、簡単に覚えられる。

 

 

更に数分後

 

謎の声の最後の指示。

 

その通りに、私はマップ上に黄色い点で示されている所へと歩いていた。

 

すると、説明された通りに、シャドウという、何処かノイズにも似たような不気味な黒い人形が形作られた。

 

鈍い動きで、時折、剣のような物を振り回している黒い影。

 

サーヴァントを召喚しないと倒せないとか言ってたけど、その前にあの剣で斬られたらアウトだぞ!?

 

―――クソッ!こうなりゃ、やるしかないねぇ!

 

「Killter Ichaival tron―――」

 

クリスは歌う。

 

何かを壊す事しか出来ず、自分自身に対して強い嫌悪を抱く原因でもある、嫌いな自分の歌を歌う。

 

すると、彼女の身体に変化が起こる。

 

取り出したペンダントが光を放ち、彼女の身体を包み込む。

 

次の瞬間には、彼女はレオタードのようなボディスーツと紅いプロテクターを纏い、EWにおけるガンダムヘビーアームズ改よろしく両手にガトリングガンを持つ姿となっていた。

 

「歌わせたな・・・!影に言っても無駄だろうが、教えてやる・・・アタシは、歌が大嫌いだァーーーッ!!」

 

否定、拒絶、破壊・・・それらが入り混じった歌を歌いながら、クリスはシャドウに目掛けてガトリングガンを乱射する。

 

掃射を諸に喰らったシャドウはものの数秒の間に無数の穴を開けられ、そして崩壊した。

 

今だ―――!

 

クリスは意識を集中させる。

 

争いを無くしたい。

 

争いを無くす事が出来るなら、

 

どんな事だってやってやる―――!

 

クリスが意識を集中させている間に、シャドウは自らの形を復元させていく。シャドウだけを見ていれば、まるで時間が巻き戻っていくような錯覚に陥ってしまうだろう。

 

そして、シャドウの形が完全に復元した、まさにその時。

 

クリスの手に握られていたセイントグラフが、光を放った。

 

光は徐々に1人の人間へと形を変えていく。

 

な、何だ?コイツは一体―――もしかして、コイツがサーヴァント?

 

クリスには、それは余りにも神秘的な光景に見えた。

 

やがて光は完全に人の形となり、黒いマントを身に着けた金髪の青年の姿を現した。今はクリスに背を向けているので顔は見えないが、恐らく美顔であるのだろう。

 

シャドウが青年に剣を振るう。

 

「キ、キキキ、キキキキキキ!!」

 

対する青年は、狂気じみた笑い声を上げながら、手刀でシャドウを切り裂く。

 

な、何だこのサーヴァント・・・気でも狂ったような笑い声を上げてやがる。って事は、クラスは・・・バーサーカーってヤツか?いやでも、あのマントがなんつーか、魔術師って感じがするんだよな―――。

 

クリスは青褪めた表情になりながら必死にサーヴァントが何者かを予測する。

 

でもまあ、あの笑い声からして絶対狂ってるヤツだって事は確かだな。あの天の声が聖杯戦争って言ってるくらいだから長い付き合いになるだろうし、顔合わせはしとかねーとな。

 

シャドウを倒したサーヴァントはクリスに振り向く。

 

その顔は、クリスの予想通り―――

 

「ひぃっ・・・!?」

 

訂正、クリスの予想の斜め上を行くものだった。

 

ギザギザに尖った歯は言わずもがな、目は鬼灯の如く真っ赤に充血しており、更に血が滴っている。『狂人』と言うより、『吸血鬼』だ。

 

何だこりゃ―――血涙流してるどころか、目が真っ赤じゃねーか!?こんなヤツもサーヴァントなのか!?ていうか、何があったらこんな顔になるんだよ!?

 

腰が抜けそうになるのを耐えながら、クリスは口を開く。

 

「あ、アンタは一体―――」

 

何者なんだ、とクリスが言おうとしたその瞬間、視界が暗転した。

 

 

気が付くと、そこは教会の礼拝堂だった。ついでに言うと、あの狂人もいる。尤も、今は目を閉じているようだが。

 

「人の幻想を具現化する死徒を召喚し、予選を乗り越えたか、雪音クリスよ」

 

突然、男の声が堂内に響く。椅子の向きから、声の主は聖壇のある方向にいるようだ。

 

「―――ッ!?誰だ、アンタ」

 

クリスは振り向き、声の主・・・神父と思しき男に問う。

 

「ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ。私は言峰綺礼。今回の聖杯戦争の監督役を務めている」

「はぁ?監督役・・・?」

 

 

聖暦2110年 11月26日 早朝 言峰教会前

 

クリスは絶句した。

 

どう見ても骨格が人間と異なるような生物が、人間と一緒に歩いたり話したりしている。

 

クリスの元居た世界で起こっている事とは真逆の光景を見ているような気分だった。

 

それだけではない。見上げてみると、船のような大きい物体が、まるで航空力学を無視しているのではないかと思うような動きで離陸し、空を飛んでいる。

 

街の音が、臭いが、『これは夢ではなく現実である』とクリスに囁く。

 

「これは―――!この街には様々な異世界の知的生命体が住民として生活しているようだ。構成する技術に至っても、様々な世界のものが活用されている」

 

サーヴァントが目を閉じたまま、感嘆の声を漏らす。一般人が見ている時にあの狂気の顔を見せない辺り、これが普段の表情なのだろう。

 

「どうやら、この都市は聖杯戦争の為に用意された舞台らしい。君は聖杯戦争の参加者に選ばれ、別世界から招かれたという訳だ」

「スゲェ―――こんな光景、今まで見た事ねえ!」

 

クリスが驚いているように、サーヴァントも街の様子を興味深く眺めている。

 

聖杯―――あらゆる願いを叶える万能の願望器。

 

たった1人・・・否、たった一組の勝者だけがそれを手にする事が出来る聖杯戦争。

 

手に入れちまえば、どんな願いも叶うって言うなら、アタシは―――

 

「さて、君は聖杯戦争に参加するマスターとして、この世界で暮らしていく事になる。元居た世界での自身の事情は、この街で暮らす上では何の問題も無い」

「そうなのか・・・」

 

ふと、クリスはサーヴァントにこんな問いを投げかけた。

 

「そういや、まだ名前を言ってなかったな。アタシは雪音クリス。アンタは?」

 

そう、クリスとサーヴァントは未だ、互いに自己紹介していなかったのだ。

 

「私はキャスター。真名はズェピア・エルトナム・オベローン。かつては『ワラキアの夜』とも『タタリ』とも呼ばれていた」

「そうか・・・なあ、キャスター。さっきのオッサンが言ってた、聖杯を手に入れたらどんな願いでも叶うって話、本当なんだな?」

「もちろん。聖杯はあらゆる願いを叶える上、聖杯を得たマスターの世界さえも改変してしまう力を持っている」

 

サーヴァント・・・キャスターの返答に、クリスは考える。

 

アタシなら、願いを叶えられる―――現実のものに出来るチャンスが巡ってきたら、とても逃す事なんて出来やしない。こんなチャンスは、もう二度とやって来ない。

 

「願いが叶うなら、アタシは戦争の火種を無くしたい。アタシ、小さかった頃に戦争に巻き込まれたんだ。それで両親を殺されて、そのまま捕虜にされて・・・」

 

クリスは自らの辛い過去を告白する。悲しみに満ちた表情が、その証拠だろう。

 

クリスの告白を聞いたキャスターは口を開く。

 

「なんと、君にそのような過去が・・・それ故に戦争の火種―――所謂、争いの源を絶つ事を強く願うという訳か」

 

キャスターは続ける。

 

「実は、私も似たような願いを抱いていてね。錬金術師だった頃、私は研究しているうちに『世界は終わる』という答えに行き着き、人類の、世界の滅びを回避する為に力を尽くしていた。私は、世界の滅びを回避した、計算しきれぬ未来が欲しかったのだ」

 

キャスターの持つ願いに、クリスは驚いた。

 

戦争の火種を無くしたいアタシ、世界の滅びを回避した未来が欲しいキャスター。

 

アタシ達は、何処か似ている。不思議と、そんな気がした。

 

「さて、ずっとこのまま街をうろつく訳にもいかない。端末からマスターの与えられた役割(ロール)を見てみ給え」

役割(ロール)―――?」

 

キャスターに言われたのとほぼ同時に、端末が通知音を鳴らす。

 

何だ?誰かからのメールか何かが来たのか?

 

クリスは端末の画面を確認する。

 

通知の内容を調べていくうちに、打ち合わせや練習のスケジュールが目に入った。

 

は?お、おい、これってまさか―――

 

胸騒ぎを覚えたクリスはステータスアプリから自分の役割を見る。

 

ステータスアプリでは、自分のステータスは勿論の事、年齢や身長、それからこの世界において自分が住んでいる住居の住所といった、自分のプロフィールを閲覧する事が出来る。

 

その中の役割が記載される部分には、『穂群原学園に通う高校1年生、デビュー直前の人間のアイドル』という文字が記されていた。

 

「おい誰だ、アタシの役割をデビュー予定のアイドルにしたヤツは!!知らない学校の生徒ってだけならまだ分かるけどなぁ!!まさか、アタシが歌が嫌いなのを知っててこんなのにしたんじゃ―――」

「す、少し落ち着き給え。つまり、君の役割は学生で、同時にデビュー前のアイドルという事だ。しかし、歌が嫌いとは・・・」

 

突然、怒りを露にするクリスをキャスターが宥める。

 

「・・・悪い、歌が嫌いな理由に関しては話が長くなっちまう」

「ふむ、そうか・・・」

 

クリスは溜息を吐く。

 

―――しょうがねえ。

 

この世界は聖杯戦争の為の世界で、アタシは何れ願いを叶えて元の世界へ戻るんだ。

 

今ここで自分の役割にいちゃもん付けたって、どうしようもない。

 

すると、キャスターがこんな事を言った。

 

「―――マスター、私に提案がある」

「・・・何だ?」

「どうやら、この都市にはグループで活動しているアイドルは幾つか存在するようだが、ソロ活動のアイドルは意外と少ないようだ。君が役割を活かし、この世界の新たな市場を開拓していく。率直に言うと、君はソロデビューするべきだ」

「はぁっ!?」

 

キャスターのまさかの提案に、クリスは驚嘆する。

 

「実は、私は舞台演劇が好みでね。エンターテインメントには自信がある。学院の院長を務めていた事もある。それに、君の容姿は大衆に受け入れられる筈だから、それが武器になる」

「は、本気で言ってんのか!?さっき私が言ってた事をもう忘れちまったのかよ!?」

「大丈夫、その役割が課せられた事を見るに、君は歌に関する才能を持っているようだ。事務所に関してもそれぐらいは私が何とかして見せる。事務所は儲かりさえすれば良いと思うだろうから、私が説得しよう」

 

確かに、歌の才能があるって自覚はある。けど、今まで嫌っていた歌を、急に好きになれるのか?

 

って、ちょっと待てよ?今、キャスターが言った事が本当なら―――そうか!舞台演劇が好きだったら、それで得た知識を活かせるかもしれないし、院長を務めていたなら経営に関する知識も身に付いている筈だな。

 

だが、同時にクリスは新たな疑問を抱く。

 

でも、なんでそんな事をするんだ?この世界で一生暮らす訳でもないだろうし。

 

「けど、ここって聖杯戦争の為に創られた世界なんだろ?聖杯戦争が終わったら、皆元の世界に帰るだろうし、そうしたらこの路線で活動を続けられるのか?」

「その通り。この世界は聖杯戦争が終了し、勝者の願いが叶えられると、その時点で消滅する。次の聖杯戦争が催される時には、形はどうであれ、その世界は別物という訳だ」

「だったら、この世界でアイドルになる意味なんてねーだろ。片っ端からぶっ潰すなり、誰かと同盟でも組んで戦うなりして、聖杯を取る方が良くねーか?それに・・・キャスターだって、アタシの為にただ協力したいって訳じゃないんだろ?」

 

クリスとて、覚悟はしている。形はどうであれ、戦いに身を投じるのだ。敵に遭遇すれば、相手を殺す必要も出て来るだろう。

 

故に、クリスは不思議に思う。

 

「意味はある。有名になれば行動は制限されるが、有名になるからこそ出来る事もあるのだよ。ある程度の牽制が出来る上、上流層の人々とのコネが出来れば情報収集も容易になる。これは聖杯戦争に勝つ為の戦略の一つだ。確かに世界は消滅する。しかして、それは同時に爪痕が残らない事をも意味する」

 

キャスターはクリスの疑問にそう答えた。

 

クリスは暫く考えると、口を開く。

 

「確かに、ある程度のところまで有名になっちまえば、ファンだって相当な数になる。そうなったら他のマスターの方から近付くのは難しいよな。けど、そういう状況まで持っていけるのか?アイドルとして上手くいかなきゃ、元も子もねーだろ」

 

それこそが、キャスターの提案に対する懸念要素の内容だ。

 

「勿論、この都市だけに限定して売り出す。情報技術も進んでいるなら、ターゲットを絞る事も可能だろう。だから、準備期間中にヒットできる可能性は高い筈だ」

 

キャスターは明確な理由を以て答えた。

 

「先に、君は『片っ端から潰す』と言っていたが、そのやり方ではリスクが高い。先ず、本戦開始前では魔力を補給する魂喰い目的での市民の殺害は禁じられている。例え開始後であっても、あまり街に被害を出しては、監督役が討伐令なるものを出してくる事がある。サーヴァントとマスターを対象にした指名手配のようなものと言うべきか。それには対象を倒した際に報酬が与えられるらしくてね、そうなっては多くの敵を一度に相手にする事になるのは確実だ」

 

キャスターは一呼吸すると、続けてこう言う。

 

「さて・・・これを聞いて、君はこの世界でアイドルをやりたいと思うかな?」

 

それに対するクリスの答えは―――既に決まっていた。

 

「いいぜ。願いが叶うなら、アタシは何だってやってやる。それに、元の世界に戻ったところで、アタシの居場所なんて無いしな」

 

クリスの覚悟は本物だ。キャスターも、それを察したようだ。

 

「提案を受けてくれてありがとう、マスター」

 

コイツとなら、一緒に戦っていける。目を開けた時のあの顔はインパクトあるけど。

 

クリスは、不思議とそう思えたのだ。

 

「さっきは助けてくれてありがとうな。アンタとなら、上手くやっていけそうだ。これからよろしくな、キャスター」

 

なお、その日の夕方にズェピアが選曲した歌をクリスが歌ってみたところ、あまりしっくり来なかったらしく、アイドル活動については一先ずクリスのやりたいようにやる事で決定したのだが、それはまた別の話である。

 

 

[マスター 雪音クリス]

能力:歌声(読んで字の如く。雪音クリスのそれは美しく、聖遺物の一つであるイチイバルを起動出来るだけの適合係数を持つ)

出典:戦記絶唱シンフォギア

性別:女

武器:イチイバル

役割:穂群原学園に通う高校1年生、デビュー直前の人間のアイドル

願い:戦争の火種を無くしたい

方針:先ずはある作戦の為にこの都市で上位のアイドルを目指す

令呪の位置:右手の甲

特異災害対策機動部二課が見出したシンフォギアシステム適合者候補。世界的ヴァイオリニストの父と声楽家の母の間に生まれた音楽界のサラブレッドであり、幼少時に両親のNGO活動に同行して訪れた南米で内戦に巻き込まれ、両親を失っている。その際に捕虜生活を送っていた事から「戦争の火種をなくしたい」という強い信念を持ち、「戦う意思と力を持つ者を滅ぼす」事で思いが遂げられるとフィーネに誘われ、彼女に利用される。

 

[サーヴァント ズェピア・エルトナム・オベローン]

クラス:キャスター

出典:MELTY BLOOD

性別:男

ステータス:筋力B、耐久B+、敏捷A-、魔力B+、幸運C+、宝具A++

属性:混沌・悪

スキル:陣地作成A(魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。『結界』や『工房』を上回る『神殿』を形成することが可能)

    道具作成B+(魔力を帯びた器具を作成出来る)

    狂化B(使用すれば能力が1ランク上がる。マスターの話を聞ける程度の理性を保つが、宝具を使用する事が出来ない)

    吸血A(吸血行為。相手からHPを吸い取り、回復する。更に一定確率で相手を誘惑及び混乱させる)

宝具:『虚言の夜(タタリ)』(結界宝具であり、『都市伝説を現実にする能力』。キャスターが生み出した『舞台』を自身の固有結界とし、その内部で殺戮を行う。結界内のあらゆる非生物は杭や槍の形をとって生物を傷付けようとし、その傷口からは血液と魔力が流出し、キャスターに吸収される。また、道具作成との合わせ技で一部のモノを具現化ないし量産する事が出来る)

願い:自分の計算を覆せるだけの人類の『可能性』

方針:優勝すべく、マスターをアイドルに仕立て上げる

死徒二十七祖の第十三位に座す吸血鬼。『タタリ』とも呼ばれる、意志を持つ怪奇現象。元々は錬金術師で、世界三大学院の一角であるアトラス院の院長に就任する程の逸材だったが、研究の果てに『世界は終わる』という答えを知ってしまい、死にゆく世界を救うべく八方手を尽くすも、その悉くが失敗に終わる。それでも諦めきれず、吸血鬼となって自身を強化し、第六法と呼ばれる奇跡に戦いを挑むも敗北。その結果、肉体や精神が霧散し、予め用意していた『タタリ』の式により、現象へと変貌を遂げる。三咲町でのタタリの際に遠野志貴とシオン・エルトナム・アトラシアに敗れ、消滅した。



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隠された夜を過ごす

どうも、しきんです。

今回はFateシリーズには欠かせないあの人がメインとなっております!

そして、登場するサーヴァントは一体・・・?


星々の世界が無限に広がっている。宇宙空間にいるのではないかと錯覚してしまいそうだ。

 

だが、重力はある。息も出来る。

 

その空間に、衛宮士郎はいた。

 

ここから遥か遠くの地、冬木市のて行われた第五次聖杯戦争の生還者である士郎は、端末のマップと自身の勘を頼りに、黄色い点で示されている目的地へと向かっている。

 

「ここか?」

 

士郎は歩みを止める。マップを見てみると、士郎を示す赤い点と目的地を示す黄色い点と重なっているのが分かる。

 

暫くすると、突如として黒い何者か・・・シャドウが現れた。

 

『それは英霊が真っ当に召喚され損ねた、銘を持たぬサーヴァント『シャドウ』だ。それを倒せば、見事、予選突破となる』

「倒す事が、か―――?」

 

何処からか聞こえてくる声が、この状況から脱する為の条件を語る。

 

サーヴァントとは、あらゆる時代、あらゆる世界、あらゆる次元に存在する英霊を使い魔として召喚された者。目の前にいるシャドウは、そのなり損ないらしい。

 

されど、例えなり損ないであろうが、サーヴァントには変わりない。普通の人間がサーヴァントを倒す事、それがどれ程困難なものなのかを士郎は知っている。

 

人間がサーヴァントと互角に渡り合うケース自体はある。実際、士郎はそのケースに当てはまる人物を何人か知っている。

 

だが、それは万全な策や相性差、時には相手側の慢心といった要因があっての事。恐らく、シャドウ相手にそれらは通じないだろう。

 

それに、先程の説明からしてこれは聖杯戦争の予選。具体的な事は何も聴かされてはいないが、単に実力云々を測る事ではなく、『マスターになる事が出来るか』という点そのものが予選突破の条件なのだろう。

 

故に、考えられる事はただ一つ。

 

「つまり、倒す為にはサーヴァントを召喚するしかないって事か」

 

士郎のこの推論には、ある理由があった。というのも、士郎には似たような経験があるからだ。嘗て、士郎は口封じの為に襲ってきたランサーから逃げていた。その果てに自宅の物置小屋に追い込まれたが、その際に自身のサーヴァントとなったセイバーが召喚されたのである。

 

もし、あの時にセイバーが召喚されていなければ、士郎は亡き者にされていただろう。

 

今回もそれと同じであるならば。仮に予選突破の条件がシャドウを倒す事にあるとすれば、戦闘中にサーヴァントを召喚する以外に生き残る術は無い。

 

『流石に察しが良いな。この予選には、サーヴァントを召喚する過程も含まれている。シャドウを倒せるのはサーヴァントに他ならない』

「そのサーヴァントはどう召喚すればいいんだ?正しい召喚方法が分からなきゃ、どうにもならないぞ」

『案ずるな。この聖杯戦争でのサーヴァントの召喚は、儀式を必要としない。セイントグラフを介して『英霊の座』に接続する事で可能となる』

 

そう言われ、士郎はポケットの中から1枚のカードを取り出す。

 

それは、この空間に入った時に、いつの間にか手にしていた謎のカード。

 

これまでの説明の内容から察するに、これはサーヴァント召喚に関する媒体であるようだ。

 

だが、召喚を試す間はない。それよりも先に、シャドウが士郎に攻撃を仕掛けようとしている。

 

シャドウが手にする得物は槍―――皮肉にも、それは聖杯戦争に初めて関与する事になった要因の一つであるランサーを思い起こさせるものだった。

 

「―――投影(トレース)開始(オン)!」

 

士郎は、自分が得手とする双剣『干将・莫邪』を繰り出す。

 

投影魔術を駆使し、手慣れた陰陽二振りの短剣を手の下に出現させる。

 

士郎は気を引き締め、攻勢に出る。だが、士郎の予想に反して、シャドウの動きは鈍かった。

 

余りにも拍子抜けだ。シャドウのぎこちない動きは、まるで今にも崩れそうな朽ちたロボットのそれだ。

 

士郎は振り下ろされた槍を躱すと、双剣で胴と首を切り裂き、あっさり三分割した。

 

シャドウを撃破した―――かに思われたが、これで終わりとはいかない。

 

「・・・!再生か!」

 

分断され、崩れたシャドウは元に戻るように合体し、元の形に戻る。士郎は何度も斬り伏せるが、その度にバラバラになったシャドウの身体は復元される。

 

埒が明かない。その一言だけでこの状況を言い表せる事が出来る。

 

「ッ―――!」

 

何度か武器の衝突を重ねるうちに、シャドウの動きに変化が表れる。

 

スピードが、そして精度が上がってきているのだ。

 

今は士郎が技量で優位に立っているが、武器のリーチはシャドウの槍に劣る。形勢逆転も時間の問題だろう。

 

―――やるしかない!

 

決断する。この状況を切り抜ける為の一手を、ここで打つ。

 

今の衛宮士郎ではやってみせた経験は無いが、理論なら戦いで取り入れている。

 

ならば、後はそれを実践するまで。

 

士郎は槍の打突を躱して懐に入り込むと、渾身の体当たりでシャドウを突き飛ばす。

 

足元を掬われたシャドウがその場に倒れると、士郎は追撃せずに後退。同時にシャドウを目掛けて干将・莫邪を投げる。

 

起き上がったシャドウには判断が出来ず、木偶の坊の様に立ち尽くしており、干将・莫邪を躱したり弾いたりする様子は見せない。このままいけば、間違い無く直撃して切り裂かれるだろう。

 

だが、士郎の狙いは別にあった。

 

「―――壊れた幻想!」

 

干将・莫邪がシャドウの身に触れる。

 

その瞬間、干将・莫邪が爆ぜた。

 

士郎は干将・莫邪に過剰なまでに魔力を送り込み、爆破させたのだ。

 

壊れた幻想。

 

それは、魔力の詰まった宝具を相手にぶつけ、爆発させる技能。

 

本来、この技の使用は『僅かしかない切り札の破壊』を意味し、打つ手が無いという状況下でもなければまず使用される事が無い、謂わばある種の裏技である。

 

換えの利く刀剣を爆弾代わりにする―――投影魔術という宝具の複製を可能とする技術を持つ衛宮士郎だからこそ出来た奇策である。

 

現状、手数が少なく、時間稼ぎで咄嗟に使っただけだが、いざと言う時には使えるだろう。

 

尤も、使ったのは今回が初めてで、今後、使う事は無いだろうが。

 

「・・・上手くいったみたいだな」

 

この行動が功を奏した。

 

先程までの斬撃とは違い、Cランクに達する程の威力を持つ爆発をまともに喰らわせた為、シャドウの全身は跡形も無く吹き飛んでいた。恐らく、再生には多少の時間を要するだろう。

 

依然、召喚方法を知らないままだが、やるなら今しかない。

 

「しかし、召喚って・・・一体、どうすればいいんだ?起動する為には何かが必要なのは分かるけど、肝心のそれが分からない・・・!」

 

士郎はポケットから取り出したセイントグラフを手に、声の主に問うように疑問を投げかける。

 

当初から、セイントグラフに魔力を通すべく、構造把握を行っていたが、通る為の隙間が魔力に合わない性質を持っていたのである。

 

魔力とは別の何かが原動力であるという事は分かったが、それが何を指すのかは未だに分からないままだった。

 

『簡単な事だ。己の意志を示すだけで良い。さすれば、答えは得られるだろう』

「俺の意志―――」

 

その返答を頼りに、呼吸を整え、精神を集中させる。

 

今のイメージはまだ暗闇。目を瞑っているからではない。無の状態であるが故の闇。

 

「―――投影(トレース)開始(オン)

 

士郎は自己暗示として、言い慣れた呪文を呟く。

 

意志・・・それは、『ある事を行いたい、あるいは行いたくない』とする自発的な考えである。

 

自分は、何の為に戦うのか。

 

自分は、何を必要としているのか。

 

自分は、何を成す事が出来るのか。

 

―――俺は―――

 

すると、様々なイメージが浮かび上がっていく。

 

『多くの屍が散る血に濡れた戦場の丘』、『一人の英雄によって倒された悪竜の骸がある洞窟』、『生きた人の気を感じさせないほど火の海と化した地獄』―――

 

駆け巡る幾つものイメージから、そのうちの一つを選び取る。

 

―――接続完了。

 

意志が一点に収束し、エネルギーとしてセイントグラフに入っていく。

 

その瞬間、士郎達がいる以外に何もないこの空間に魔力の奔流が起こり始める。

 

これは召喚だ。今まさに、誰かがこの場に召喚されようとしている。

 

セイントグラフは士郎の手元を離れると1人でに動き始め、所在も無く宙を舞うと光を発し、やがて無地の面に絵が浮かび上がる。

 

それは、騎兵を模した絵。これが意味するのは―――

 

しかし、この瞬間を邪魔しようとする無粋な輩が現れる。

 

シャドウである。誰が召喚されようが無銘の残骸には関係ない。その役割を果たすだけだ。

 

シャドウは、士郎目掛けて槍を突き刺そうとする。いつもなら、士郎はその攻撃には対応できただろう。

 

だが、この時の士郎は意識が召喚に向けられていた。それが災いし、反応が遅れてしまったのだ。

 

穂先が心臓へと吸い込まれるように進んでいく。何の抵抗も出来ぬまま、数秒後には絶命してしまうであろう。

 

あの時のように。

 

刹那―――

 

「ッ―――!!」

 

槍は士郎に突き刺さらなかった。代わりに、セイントグラフが光を発したのだ。

 

余りの眩しさに、士郎も身動きが取れない。

 

ただ、槍が弾かれた音が、今がどのような状況を示していた。

 

つまり、この場に召喚されたサーヴァントがシャドウと打ち合ったという事。

 

数秒が経ち、士郎の視界も徐々に晴れていく。

 

目の前にいたのは、騎兵。

 

桜のようなピンク色の髪に、星々の世界を照らすような白いマント。

 

その姿は、士郎のイメージの中に入ってきた守護者。間違いなくその人だった。

 

()()は士郎の方を向き、口を開く。

 

「え~っと・・・一応、決まりだから言っておくね」

 

召喚されたサーヴァントこそ、セイバーではなかったが、士郎も再び味わった衝撃に、思わず思考が一時停止する。

 

「サーヴァント、ライダー。召喚に応じ参上した。これより我がたづ―――っと!」

 

ライダーの言葉を遮るように、シャドウが襲い掛かる。これにより、一旦止まっていた戦いが再開する。

 

ライダーは身を翻し、背後に迫っていたシャドウの槍を持っていた剣で弾く。

 

ライダーの攻撃は終わらない。

 

常人の目では追えない速さの華麗な剣舞を以て、シャドウを一方的に追い詰めていく。ライダーの猛攻はシャドウに反撃の余地すら与えず、遂にはシャドウの槍を圧し折った。

 

そして、ライダーは飛び上がり、こう叫ぶ。

 

「君の真の力を見せてみろ!」

 

その声に呼応するように、何かが姿を現した。

 

それは、上半身は鷲、下半身は馬の幻獣。

 

幻獣の名は―――

 

この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)!!」

 

ライダーは幻獣に跨ると、そのまま高速でシャドウに突進した。

 

その衝撃は凄まじく、士郎は吹き飛ばされないように身を伏せた。

 

衝撃波が通り過ぎる。

 

士郎は爆風が止んだ事を確認すると、立ち上がる。

 

どうやら、勝負は付いたようだ。シャドウの姿が無いのが、何よりの証拠だ。

 

「終わったよ~。大丈夫?」

「あ―――ああ、何とかな」

 

ライダーは士郎の元に駆け寄り、無邪気な笑顔を見せながら安否を問う。

 

士郎は自分の無事を伝えた。

 

そういえば、まだ名前を言ってなかったな。

 

「俺は士郎。衛宮士郎って言うんだ」

 

士郎は自分の名を名乗る。これにライダーは―――

 

「士郎?じゃあ、士郎君で良いかな?」

 

満面の笑みでそう言った。

 

士郎は思う。

 

流石に以前ほど抵抗感は薄くなったけど、なんか距離感が近いな。セイバーといい、何故にこうも初対面で苗字ではなく名前で呼ぼうとするんだろう?

 

そう考えていると、ライダーは落ちていたカードを拾う。

 

「これ、士郎君のだよね?」

 

ライダーがカードを差し出してきたので、士郎は素直にカードを受け取った。

 

「それで、ライダー―――」

 

その時、周りの光が消えた。

 

士郎は突然の暗転に動揺したが、ライダーが手を握ると、それは別のものへと変わっていく。

 

暗闇が徐々に晴れていく。

 

そして、先程までの空間とは打って変わり、空気や足で感じ取れる地面の感覚も現実のものになっていた。

 

 

2人が気が付くと、そこは教会の礼拝堂だった。

 

それも、士郎にとっては見覚えのあるもの。

 

地元、冬木市の郊外にある『冬木教会』。第五次聖杯戦争において、主に監督役を務める人物の拠点として機能していたのがこの教会である。

 

士郎としても、ここは苦手であった。冬木市に起こった10年前の火事。孤児となった子供達を引き取る事になったこの教会は、あの出来事を嫌でも思い出させてしまうからだ。

 

だが、同時に違和感も感じる。空気感が違う上、長い時を感じさせる趣きも、本物としての概念構造も感じられない。

 

少なくとも、この教会は本物ではない、張りぼてのようなものである事だけは理解出来た。

 

そして、士郎が聖壇の方を見ると―――

 

「こ―――言峰、綺礼!?」

 

その方向にいたのは、言峰綺礼だった。

 

言峰は第五次聖杯戦争における監督役であり、同時にランサーのマスターとして暗躍していた。

 

その末に、言峰は柳洞寺で士郎に討たれたのだ。

 

「ほう―――その様子だと、私が知り得る衛宮士郎に近い存在のようだな。そうだとも。私の名前は言峰綺礼。第五次聖杯戦争の監督役だった者だ。尤も、正確にはお前の世界における言峰綺礼ではないのだがな」

 

言峰は相変わらず、空気が重くなるような威圧感を出している。

 

しかし、士郎は今の言峰の発言の一部―――『言峰綺礼ではない』という言葉に妙なものを感じた。

 

「言峰であって、言峰じゃない―――?」

「ああ、そうだ。この私は第五次聖杯戦争の言峰綺礼を再現したものだ。お前が言うように、本来の言峰綺礼は既に死している」

 

自らの存在についてそう答える言峰。それに対し、士郎は頭を抱えたくなっていた。

 

なんでこんな奴なんかを再現したんだ、この聖杯戦争の主催者は―――。

 

「では、改めて告げるとしよう。ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ。私は此度の聖杯戦争において、監督役を務めている者だ。そして、ここもまた冬木教会ではない。聖杯により創り上げられた都市『モダンファンタジアシティ』、その一角にある言峰教会がここに当たる。予選を勝ち残った者はこの場へ自動的に転移される仕組みとなっているのだ」

 

都市?つまり、ここは人が住んでいる所なのか?

 

士郎は苦々しい表情になる。

 

冬木で行われた無関係の人々が巻き込まれる戦いが、見知らぬこの世界でも行われるという事、そしてそれにより、人の命が次々と奪われていく事に憤りを覚えたのだ。

 

「さて、衛宮士郎。お前はこの戦いをどうするべきか、明言してもらおう。お前は既に聖杯戦争を終えた身。まして、ここは冬木市ではない。権利を放棄し、元ある平和を謳歌したいというのであれば、その判断も仕方があるまい。奥にある扉を開き、そこを潜れば、元の世界に帰還出来るだろう」

 

言峰のその問いからは行動を促す意図が感じられる。まるで士郎を試すかのようだ。

 

帰りたければ帰ればいい。その程度の期待外れであるなら、残念だがもう用は無い。

 

言峰が言わんとしているのは、まさにそれなのだ。

 

言峰綺礼にとって、衛宮士郎がどういう人物であるのかは知っている。だが、目の前にいる衛宮士郎がその通りとは限らない。

 

それ故に、『衛宮士郎が戦いを降りる』という事も有り得る訳だ。

 

「言われるまでもない。俺は、犠牲者を出さないように戦い続けるだけだ。それが、俺の選んだ道だから」

 

士郎がそう答える。既に腹は決まっているようだ。出会った当初とは違った自信に満ちた返答が気に入ったのか、言峰は満足そうな笑みを浮かべた。

 

「話はそれで終わりか?他に用が無いなら、このまま行かせてもらうぞ」

「ああ、話はこれで終わりだ。その身をこの世に尽くす為に、聖杯戦争の地へと進むがいい」

 

言峰がそう告げると、素っ気無い対応で士郎達はその場を後にする事にした。

 

士郎としても、どの言峰であれ根本的に相容れそうになく、やはり近寄りたくはないと心から思った。出来る事なら、もう会いたくないとも。

 

教会の扉を開き、新たな聖杯戦争の地へと降り立っていった。

 

その時、背後から―――

 

「喜べ、少年。君の願いは、再び叶う」

 

―――言峰の声が聞こえた。何時ぞやと似た、まるで神託を下すかのような言葉が聞こえた。

 

士郎がその言葉に立ち止まる事はない。士郎とライダーは、早々とした足取りで教会を後にした。

 

なお、教会に転移してからここに至るまで、ライダーは会話について行けず、頭に幾つもの?マークが浮かんでいたのだとか。

 

 

聖暦2110年 11月26日 午前 言峰教会前

 

「―――凄いな」

「うわ~~~っ!

 

教会の敷地から離れ、通りで見た光景に士郎とライダーは思わず驚嘆する。特に、ライダーの方は目を輝かせており、テンションが高まっているのが良く分かる。

 

そこは自分達の世界よりも遥か先を行くハイテク社会。周辺は、発達した科学技術の産物で溢れ返っている。

 

というのも、士郎がいた時代は2004年。空中ディスプレイや立体映像等の実用化の目途すら未だに立っていない段階であり、一般的にはSFの領域にある代物という認識だった時期である。

 

それが今、自分達の目の前にあるのだ。

 

ふと空を見上げる。

 

そこにあったのは、空中を浮遊し、頭上を通っていく航空機―――いや、船と言っても過言ではないだろうか。形状からしても、本当にSFの世界に出て来そうだ。

 

サイズは旅客、若しくは輸送用のジェット機よりも大きく、スピードもそれらに勝るとも劣らない。

 

よく見ると、ジェットエンジンと思しきものが何処にも見当たらない。いや、ロケットエンジンのノズルが後ろに付いてはいるのだが、まるで重力に逆らうかのように垂直に離陸していく様はどう説明すればいいのか分からない。

 

周囲を見ると、周囲の人々から興味深げに見られている事に気付いた。

 

その対象は士郎ではなく、傍らに立つライダー。

 

無理も無い。これ程の美人であれば、確かに注目されやすいだろう。

 

とりあえず、ここから離れるべきか。

 

「えっと・・・行こうか、ライダー」

「うん、分かった!」

 

2人はその場を後にした。

 

 

午前 ダウンタウン

 

しばらく歩いて街の風景を見ていたが、通常の世界と様子が違う事が分かった。

 

街で生活する人々を見てみると、普通の人間だけでなく、多種多様な亜人達も存在しており、互いに共存して暮らしている。

 

そして、近未来的と思われた都市にも、時代錯誤な建物も幾つか混じっており、然程、統一性は感じられなかった。

 

土地勘も無く彷徨っていたが、ようやくバス停まで辿り着いた。

 

ここでも最先端の科学技術は導入されているが、全体的に士郎のよく知る時代のそれと大差無いようだ。

 

今、士郎達は端末に記載されてある自宅に向かっている。マップによると、そこは『ミラージュヒルズ』という地区にあるらしい。

 

ミラージュヒルズ。

 

スクールタウンと隣接する高級住宅街であり、屋敷が建ち並んでいるというケースもあるらしい。

 

実際、ここからミラージュヒルズまでは相当の距離があり、加えて土地勘の無いこの都市の中を徒歩で移動しようものなら、自宅に着く前に日が暮れてしまうだろう。その為、今回はバスを利用する事にしたのである。

 

士郎は時刻表を見る。

 

「あと15分くらいか」

 

端末で調べたところ、どうやら、ここからバスでミラージュヒルズへ行くにはセントラルロード駅前のバスターミナルで乗り換える必要があるらしく、そこへ行くバスはここに着くまでまだ時間がかかるようだ。

 

しょうがない。ベンチに座って待つか―――

 

すると、ライダーがあるものを見つけ、士郎に話しかけた。

 

「士郎君、士郎君!あそこで何か売ってあるみたいだよ!」

 

ライダーが指差す方向を見ると、少し離れた位置にキッチンカーがあるのが見えた。

 

それはアイスクリーム屋で、見たところ、それなりに繁盛しているようだ。

 

士郎はライダーの為にアイスクリームを買うと、近くの広場で休憩する事にした。

 

広場では、子供達がそれぞれ和気藹々と遊んでいる。

 

フリスビーやサッカーのような定番のスポーツを楽しんでいる子達もいれば、携帯用ゲームやカードゲーム等の遊戯を興じている子達、一生懸命に自転車を漕ぐ練習に励んでいる子の姿も見える。

 

その光景は、この都市の平和を象徴しているようだった。

 

だが、この地で聖杯戦争が行われる以上、やがて、この平和も脅かされるのだ。

 

聖杯戦争が五度も行われた冬木市のように。

 

「―――ふう」

 

2人は、バス停が見える位置にあるベンチに腰掛ける。

 

なお、今のライダーの服装は現代風のコーデとなっている。

 

これには理由がある。幾らライダーがサーヴァントとはいえ、あの服装のままでは流石に目立つ。『これはコスプレです』と言えば、何とか押し通す事は出来るだろうが、何時までもそんな言い訳が通用する程、現実は甘くない。

 

なので、途中でブティックに寄り道して服を買ったのである。

 

「いや~、このイチゴのアイスクリーム美味しいな~」

 

ライダーはイチゴ味のアイスクリームを気に入った様子で、速いペースで食べている。

 

「ライダー、頬にクリームが付いてるぞ」

 

無邪気な食べ方をするライダーに、士郎は見かねてライダーの頬を紙ナプキンで拭き取る。

 

ふと、ライダーが口を開く。

 

「あっ、そうだ。そういえば、まだ自己紹介してないんだった」

 

言われてみれば確かにそうだった。今までライダーって呼んでい―――え?自己紹介?

 

瞬間、士郎は胸騒ぎを覚える。そして、同時にライダーは自己紹介を始めた。

 

「ボクの名前はアストルフォ!シャルルマーニュ十二勇士の1人、クラスはライダー!」

 

なんと、ライダー・・・アストルフォは、自ら真名を名乗るというサーヴァントにあるまじき行為に走ったのだ。

 

サーヴァントは弱点となる真名を隠す為、基本的にクラス名で呼び合うのが聖杯戦争における常識となっている。

 

その事もあり、士郎も敢えて彼女の事について触れようとはしなかった。

 

そもそも、対策の為に真名を知ったところで、戦力を上手く扱える訳も無いし、相手を深く知りたいと思う程、好奇心旺盛でもないというのもあった。

 

だが・・・何を思ったのか、アストルフォはそのセオリーを破ったのである。

 

当然、士郎は焦る。

 

「え、えっと・・・それじゃ、何て呼べば良いんだ?おいそれと、人前で名前を明かすのは良くないと思うぞ。そういうのは、いつか自分が不利になっていくだけだ」

 

―――渾名か何かで誤魔化さないと、自分の身を危険に晒す事になりかねないぞ!?

 

流石に普段から真名を名乗る訳にもいかない。何か良い案は無いものかと士郎が考えようとすると、アストルフォはこう答えた。

 

「うん?ボクは『ライダー』でも構わないよ?」

 

あっさり返ってきたアストルフォの返答に、士郎は胸を撫で下ろす。取り敢えず、真名の問題は如何にかなりそうだ。

 

つくづく思っていたけど、かなり能天気なところがあるみたいだ。

 

士郎は、僅かな付き合いの中でアストルフォについてそう悟る事となった。

 

「―――よし。いいかな、ライダー」

 

士郎は自分なりの旨を伝える為、真剣な表情で話を切り出す。

 

アイスクリームを食べ終えたアストルフォは、話を始める士郎の方を向いた。

 

「直接言うのは初めてかもしれないけど、聖杯戦争が街の平和を脅かすのなら、俺は全力で止めたい。戦いの所為で平和に暮らしている人達が犠牲になってほしくはないんだ。ライダーが聖杯に何を願うのかは分からないけど、出来る事なら協力してほしい」

 

自らのサーヴァントに、聖杯戦争に掛ける自らの意志を示す。第五次聖杯戦争でその道を選んだように、この都市で行われる聖杯戦争においても皆の為に戦いたい。少なくとも、士郎はそう思っている。

 

聖杯を手に入れて叶えたい願いがあるかどうかは分からない。それでも、力を貸してほしいと、未知のサーヴァントであるアストルフォに仰いでみる。

 

果たして、その返答は―――

 

「この都市の平和を守りたいんだね?分かった!」

 

―――『YES』だった。

 

「いいのか?その、ライダーには叶えたい願いとか、そういうものは無いのか?」

「無いかな~。そもそも、ボクは聖杯に興味無いし。聖杯戦争に参加する目的自体、二度目の生を謳歌したいって事ぐらいだよ」

 

何はともあれ、士郎はアストルフォは信頼出来る相手だと確信した。セイバーとは違う意味で危なげなところがあるが、純真無垢で悪いヤツではないようだ。

 

「それじゃあ、これからよろしく頼むぞ。ライダー」

「よろしく、士郎君~!」

 

士郎とアストルフォは握手を交わす。

 

召喚から間が空いたものの、主従は改めて互いに信頼し合う事となった。

 

「そういえば士郎君、何か大きいのがこっちに来てるけど、あれがバスっていう乗り物?」

 

アストルフォは急に車道の方を指差し、士郎に問う。

 

士郎が車道の方を見てみると、丁度、バスがやって来たところだった。到着時刻から、それは2人が乗る予定のバスだ。

 

「やべっ!?」

 

2人は慌てて走り出し、何とかバスに乗り込んだ。

 

その後、2人は何事も無く、ミラージュヒルズ、そして自分達の自宅に辿り着いたのだった。

 

 

夜間 ミラージュヒルズ 士郎の自宅

 

その日の夜、士郎とアストルフォは、この世界で初めてのお風呂に入る事にした。

 

だが―――

 

「士郎君~、上がったよ~!」

「おっ、分かった、ライ―――ッ!?」

 

その際に、アストルフォが男である事が判明。

 

「「ええええええええええッ!?」」

 

男2人の叫び声が、ミラージュヒルズに木霊した。

 

その日を境に、ミラージュヒルズで『土曜日の夜になると奇妙な悲鳴が聞こえてくる』という噂が広まっていく事になるのだが、それはまた別の話である。

 

斯くして、都市の平和を願う未熟な守護者は、聖杯戦争に加わっていく。

 

この先、彼らがどうなるか。

 

その結末は、神のみぞ知る―――。

 

 

[マスター 衛宮士郎]

能力:魔術(魔術師としての標準的なスキル。士郎は1代目の魔術師としては比較的多い27本の魔術回路を持つが、魔術の素質は壊滅的で極限られた種類の魔術しか使用出来ない。当初は師を亡くした為に完全な独学で、知識・技量共に半人前以前の状態だった。後に遠坂凛に弟子入りし、経験を経た事で本質を掴んだ為、現在においては半人前のレベルにある)

   投影魔術(道具をイメージで数分だけ複製する魔術。『何度も贋作を用意できる』特性から、彼は投影した宝具を破壊、爆発させる『壊れた幻想』を用いる事で瞬間的な威力向上を行う事さえも可能とする。なお、士郎本人は本作の聖杯戦争における予選で壊れた幻想を初めて使った)

   構造解析の魔術(器物の構造を読み取り、内部を視覚映像として捉える魔術。構造把握こそ天才的であるが、重要な点だけ読み取り。如何に速く変化させるかが魔術師の肝であるのに対して、設計図を丸ごと制作する事から、非効率的と評されている)

   弓道の腕前(嘗て弓道部に属していたことで身に付いた弓道の腕。魔術鍛錬の応用により、百発百中どころか高速移動するサーヴァントのこめかみに命中させられる程の腕前を持つ)

出典:Fate/stay night(Fateルート)

性別:男

武器:投影品

役割:穂群原学園に通う高校2年生。アーネンエルベでアルバイトをしている

願い:正義の味方になってみせる

方針:戦争やテロによって無関係な人々が巻き込まれるなら、それを防ぐ為に戦う。聖杯はいらないが、悪いヤツの手に渡るならそれを止める。

令呪の位置:右手の甲

養父である衛宮切嗣の影響で『正義の味方』になる事を本気で志している見習いの魔術師。

第四次聖杯戦争で起きた冬木大火災の唯一の生存者であり、その折に切嗣に助けられ、歪みを抱えたまま育っていく。

第四次聖杯戦争の10年後に幕を開けた第五次聖杯戦争の最中にサーヴァントの戦いを目撃し、その事故の中でセイバーことアルトリア・ペンドラゴンを召喚させた出来事が転機となり、聖杯による争いを防ぐ為に戦う事になった。精神的な成長を経て、セイバーと共に第五次聖杯戦争を終わらせた。

 

[サーヴァント アストルフォ]

クラス:ライダー

出典:Fate/Apocrypha

性別:男

ステータス:筋力D、耐久D、敏捷B、魔力C、幸運A+、宝具C

属性:混沌・善

スキル:対魔力A(魔術に対する抵抗力。事実上、現代の魔術師では魔術で傷を付ける事は出来ない。本来であれば、Dランクの対魔力しかないのだが、常時発動している宝具『魔術万能攻略書』の効果により、このランクの対魔力を所有している)

    騎乗A+(乗り物を乗りこなす能力。『乗り物』という概念に対して発揮されるスキルである為、生物・非生物を問わず、全ての乗り物を乗りこなすことが出来る)

    単独行動B(マスター不在・魔力供給無しでも長時間現界出来る能力。マスターを失っても約2日は現界可能)

    怪力C-(筋力を1ランクアップさせる事が可能。ただし、このスキルが発動している場合は1分毎にダメージを負う)

    理性蒸発D(理性が蒸発しており、秘密を守る事が出来ず、機密情報を簡単に喋ってしまう。その一方で、戦闘では『直感』に近しい能力として作用する他、恐れ知らずになり、過酷な戦場にも果敢に飛び込んで行けるようになる)

宝具:『この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)』(上半身は鷲、下半身は馬の幻獣。空を高速で駆けることができ、その突進はAランクの物理攻撃に相当する)

   『触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア)』(その名の通り、触れた相手を転倒させる効果を持つ。サーヴァントが相手の場合は、相手の足だけを強制的に霊体化させ、実体化も封じる。これを受けた者は暫く起き上がれなくなる上、鎧等による防御も無視して作用する)

   『魔術万能攻略書(ルナ・ブレイクマニュアル)』(とある魔女から譲り受けた、全ての魔術を打ち破る手段が記載されている書物。持っているだけでAランク相当の対魔力が得られる優れものであり、ステータス覧の塗り隠しや令呪に対する抵抗力を備えている。なお、この宝具の名前はアストルフォ自身が適当に付けたもの)

願い:無い☆強いて言うなら、この都市の平和を守る事。

方針:士郎君が頑張るなら、僕も頑張る!

イングランド王の息子にして、シャルルマーニュ十二勇士の1人。原典においても騎士としては『弱い』とされているが、『魔法の槍』『魔法の本』『魔法の角笛』『幻馬ヒポグリフ』等の様々なアイテムを駆使して巨人を捕まえたり、月に行ったりと冒険を繰り広げた。また、伝承に名高い色男でもある。その考えなしだが向こう見ずで勇敢な性格により、戦場を引っ掻き回して自陣を何度も勝利に導いた。




士郎とアストルフォのカップリングをやってみたかった。後悔はしていない。


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帝が2人

どうも、しきんです。

時間帯の区分についてですが、以下の通りに決定致しました。

未明・・・0:00~5:59
早朝・・・6:00~8:59
午前・・・9:00~11:59
午後・・・12:00~14:59
夕方・・・15:00~17:59
夜間・・・18:00~23:59

また、一部サーヴァントのスキルに修正を加えました。


扉を開けると、そこは宇宙空間を思わせる世界だった。見上げると、満天の星空が煌いているのが分かる。

 

だが、眼前で蠢く影のようなアレは一体何だ。

 

サウザーは、この奇妙な光景に対してそう思っていた。

 

その間にも、影は粘土細工のように姿を変え、やがて、人の形となった。

 

影は手にバールを持ち、サウザーに襲い掛かってきた。

 

「フン・・・」

 

やはり来るか。

 

サウザーは南斗鳳凰拳で迫り来る影を吹き飛ばした。

 

手応えはあった。

 

「フハハハハ!!例え影であっても、敵は全て下―――ッ!?」

 

だが、ここでサウザーの予想は裏切られる。

 

サウザーの一撃を受けた影の傷が、消え始めていたのだ。

 

「再生しただと・・・!?」

 

今までにないタイプの敵を前に、サウザーは今一度、熟考する。

 

ヤツの最大の武器・・・それは手に持つバールではなく、寧ろ今の再生能力なのだろう。ある意味、俺に似たヤツか。心臓、血流、そして秘孔の位置が通常と表裏逆の特異体質を持つ俺の肉体に北斗神拳が効かないように、あの影は南斗鳳凰拳にさえ耐える上に再生する。

 

そういえば―――。

 

確か、あの扉を開ける前に俺は虹色に光る石を拾ったのだった。

 

もしや、あれがヤツを倒す鍵だと言うのか?

 

サウザーはそう予測を立て、自分が手に入れた石をポケットから出そうとした。

 

だが、ポケットから出て来たのは石ではなく―――

 

「・・・は?」

 

―――手に入れた覚えの無い謎のカードだった。

 

サウザーは思わず、カードを掲げる。

 

すると突然、カードが光り始めた。

 

だが、サウザーはそれに構わずに影と再び相対する。

 

サウザーが一番気になっていたのは謎のカードではない。影の動きだ。

 

確かに、謎のカードが何なのかは気になるところだ。だが、まだ例の影を倒していない為、カードばかりに感けてはいられない。

 

そして、サウザーの拳と影のバールがぶつかろうとした、その時だった。

 

影が、消し飛んだのだ。それも、サウザーの攻撃によるものではない。

 

第三者の攻撃だと!?何者だ!?

 

サウザーが振り向くと、そこにいたのは狐耳を生やした銀髪の女性だった。

 

「あら?貴方が私のマスター?」

 

訂正、女装した男だった。口調は女性のそれを真似ているようだが、声そのものまでは誤魔化せない。

 

まあ、無理に問う必要も無いだろうが。

 

「誰だ、貴様は」

「フフフ・・・私はアヴェンジャー。真名は―――あら?」

 

女装男・・・アヴェンジャーが自らの名を名乗ろうとしたその瞬間、星々の光が消えた。

 

 

気が付くと、今度は建物の中に飛ばされていた。

 

横を見ると、アヴェンジャーが隣に立っていた。どうやら、一緒に飛ばされたらしい。

 

「何だ、ここは?俺達はあの妙な空間にいたのではないのか?」

「この建物、教会かしら?」

 

サウザー達が辺りを見回すと、聖壇の後ろに1人の男が立っているのが見えた。男は、核戦争後の荒廃した世界ではかなり珍しい、神父のような姿をしていた。

 

男は、サウザー達が自分の存在に気付いた事を確認すると、口を開いた。

 

「エクストラクラス『アヴェンジャー』を召喚し、予選を突破したか、サウザーよ」

「エクストラクラス?アヴェンジャー?それに、予選だと!?一体、どういう事だ!?」

 

男の訳の分からぬ発言に、サウザーも戸惑いを隠せない。尤も、アヴェンジャーという言葉は先に本人から聞いていたのだが。

 

男は言峰綺礼と名乗り、聖杯戦争なる戦いについて語り始めた。

 

曰く、聖杯戦争とは、文字通り聖杯を巡った争いである。

 

曰く、聖杯とは、あらゆる願いを叶える願望器である。

 

一連の話を聞いたサウザーは思う。

 

もしも聖杯を手に入れる事が出来れば、先代南斗鳳凰拳伝承者であり、自分の父親とも呼べる存在であるオウガイを蘇らせる事が出来るのではないか。そういう期待があった。

 

だが、サウザーは既に愛を捨てた身。今更、師父を蘇らせよう等、馬鹿馬鹿しい事この上ないとは思う。

 

だが、それでいてなお、聖杯は彼を惹かせるには十分な力を持っていた。

 

恐らく、アヴェンジャーも聖杯に惹かれているだろう。

 

「言峰綺礼と言ったな。丁寧に教えてもらった礼と言っては何だが、俺からも一つ教えてやろう」

「何をだ?」

「俺は帝王!南斗聖拳最強の拳法『南斗鳳凰拳』を身に付け・・・そして、体に流れるのは帝王の血!!この聖杯戦争とやらに参加するであろう他のマスターとは全てが違う!!」

 

サウザーは言峰に堂々と宣言する。

 

「そうか。期待しておこう」

 

言峰のその言葉を聞きながら、サウザーとアヴェンジャーは言峰教会を去った。

 

 

聖暦2110年 11月25日 夕方 ホテル『ハイアット』

 

サウザー達は今、宿泊先となっているホテルにいた。

 

どうやら、既にチェックインは済んでいるようで、宛がわれた部屋のスマートキーもいつの間にか持っていたバッグの中に入っていた。

 

案内図に従い、いつの間にか持ち物に入れられていたスマートキーに刻まれている番号の部屋へと行く。

 

夕食まではもう少し時間がある為、サウザー達は部屋で過ごす事にした。

 

テレビが備わっている・・・観られるか。

 

テーブルに置かれたリモコンを手に取り、電源ボタンを押す。すると、テレビの画面に映像が映し出された。

 

『―――この度起こったテロに対し、市長は―――』

 

どうやら、ニュース番組のようだ。直後に記者会見の映像が映し出される。

 

会見場で記者からの質問に答えているカイザル髭を彷彿とさせる顎の男。信じられないが、コイツが市長であるようだ。まあ、群衆の様子がアレだったから、もしかしてとは思ってはいたが・・・。

 

 

[マスター サウザー]

能力:南斗鳳凰拳(数多くの分派が存在する南斗聖拳の頂点とされる南斗六聖拳の一つ。六聖拳の中でも最強と云われており、他の六聖拳では太刀打ち出来ないともされている。『帝王の拳』とも称され、『敵の攻撃に臆する必要は無い』という理念から防御の型である構えが存在せず、その分、相手よりも素早く間合いを詰めることが可能である。主な奥義は『極星十字拳』や『天翔十字鳳』等)

出典:北斗の拳

性別:男

武器:無し

役割:観光客

願い:師父オウガイを蘇らせる事・・・?

方針:勿論、優勝を狙う

令呪の位置:右腕

南斗六聖のうち、帝王の星『将星』を司る一子相伝の拳、南斗鳳凰拳の伝承者。南斗聖拳分裂を引き起こした黒幕であり、自らも『聖帝』を名乗り、分裂した南斗の拳士を従え、知略と武力で広大な領土を支配した。元々は孤児だったが、先代南斗鳳凰拳伝承者であるオウガイに拾われ、鳳凰拳の次なる伝承者となるべく過酷な修行の日々を送る。サウザーは厳しいながらも深い愛情を注ぎ続けたオウガイを実の父のように慕っていた。15歳で鳳凰拳伝承者の『継承の儀』を受けた際、オウガイを死に追いやってしまった事に慟哭。深く愛するほど喪失の悲しみも深くなることに耐え切れず、愛を捨て、非情なる独裁者へと変貌していく事になってしまった。

 

[サーヴァント 覇瞳皇帝]

クラス:アヴェンジャー

出典:プリンセスコネクト!Re:Dive

性別:男

ステータス:筋力A、耐久A、敏捷C+、魔力A+、幸運D、宝具B+

属性:混沌・悪

スキル:復讐者A(復讐者として、人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。周囲からの敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情は直ちにアヴェンジャーの力へと変化する)

    忘却補正B(人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。忘却の彼方より襲い来るアヴェンジャーの攻撃はクリティカル効果を強化させる)

    自己回復(魔力)C(復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。微量ながら、数分おきに魔力を回復する)

    カリスマD(軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。カリスマは稀有な才能で、一軍のリーダーとしては破格の人望である)

宝具:『覇瞳天星(はどうてんせい)』(覇瞳皇帝が持つ七冠としての固有能力。世界をデータとして認識し演算する事で、未来予測や相手の動きの再現等を可能にするものである)

   『我に従属する大国(ランドソル)』(結界宝具であり、アストライア大陸最大の国家。結界内において、自分のマスター以外の多数の人間を洗脳出来る上、その効果は約1ヶ月持続する。覇瞳皇帝は生前にこの国を一時的に支配していた為、これを結界宝具として使用出来る)

願い:物語のような誰からも愛してもらえるプリンセスになりたい

方針:暗躍する

七冠(セブンクラウンズ)』と呼ばれる7人の天才の1人。その中でもトップクラスの才能を持つ人物であり、事実上の代表者となっていた。その目的は、自身が創造した人の願いを叶える力を持つ超高性能AI『ミネルヴァ』の力によって『プリンセス』となって世界を支配する事であり、ミネルヴァのデータを改竄し、女性の姿をアバターとして使用していたのもその為。王都終末決戦の末に騎士達を倒したのも束の間、■■■との戦いに敗れ、成す術無く消滅した。



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薪炎の剣、流星の盾

どうも、しきんです。

本作の制作に向けて、絶賛勉強中でございます。


聖暦2110年 11月28日 早朝 穂群原学園

 

穂群原学園。

 

本来は冬木市にある高等学校なのだが、モダンファンタジアシティにおけるこの穂群原学園は一般的な初等・中等教育層に向けて設立された小中高一貫校となっている。

 

その制服を着ている白髪の少女―――キアナ・カスラナは、この学校の高校3年生という役割を持つマスターの1人だ。

 

キアナのいた世界の文明は、モダンファンタジアシティに肉薄するレベルのものだった。それ故に、キアナがこの世界に慣れるのにあまり時間はかからなかったのである。

 

キアナのいた世界との大きな相違点があるとすれば、やはり生活している住人がどういうものなのか、という事ぐらいだろう。当初こそ驚きを隠せなかったが、それに関しては新鮮な感覚だとして、それなりに受け入れていた。

 

キアナは今、穂群原学園へ登校しているところであった。

 

まさか、こんな事になるなんて・・・思いもよらなかったな。

 

この世界に迷い込んだのは、薪炎の律者としての覚醒を果たし、支配の律者を倒した直後の事だった。

 

どうにも、自分は聖杯戦争と呼ばれる争いに巻き込まれたらしい。

 

何しろ、戦争と銘打つ事象である。戦乙女であるキアナにとって、そういうものは望ましくはなかった。

 

周辺を見渡すと、目に入るのは自分と同じように和気藹々と登校する学生達や開店準備を進めている人達、繁盛する朝食屋台等の存在等々。この世界の平和を象徴するような光景が広がっている。

 

校門前に着くと、そこには挨拶運動をしている教員の姿があった。

 

「おはよう、先生!」

「おう、おはよう!どうだ、この学校には慣れたか?」

「いや、まだまだ分からない事だらけで・・・」

 

キアナは教員に挨拶し、軽い会話を交わした。

 

キアナは、他者を犠牲にしてまで叶えたい願いを持たない。

 

ただ、誰かを救いたいという強い思いを抱いている。

 

例え、それが自分の運命だったとしても。

 

校門を通り、他の者とも軽い挨拶を交わしながら進む。

 

「・・・よし」

 

キアナは自らの気を引きしめ、校舎の中へと進んでいった。

 

転校生という扱いを受けつつこの都市に来て数日、未だ慣れず、流石に気疲れする事もしばしば。元々、キアナは座学が頗るよろしくなかったが、それでも授業には何とかついていけている方だ。

 

 

午後 穂群原学園 屋上

 

「ねえ、シールダー」

 

昼休みに入り、仲良くなった人達との会話も楽しんだ後に、自分のサーヴァントの事が気になり、人気の無い屋上で呼び出した。

 

すると、それに呼応するように、1人の少女が姿を現した。

 

黒に近い茶髪ミディアムとエメラルドグリーンの瞳が特徴的な少女のクラスはエクストラクラスの一種であるシールダー。真名は蒼井えりかという。

 

「はい、なんでしょうか?」

「何って程でもないんだけど、強いて言うなら、シールダーと話してみたかったってところかな。ずっと偵察なんて、退屈じゃない?」

「は、はい・・・確かにそうですけど―――い、いえ!決して怠っている訳ではないです!」

「気にしなくてもいいよ。私は、シールダーとも仲良くしたいから。だって、これから一緒に戦っていく事になるし」

 

キアナはキアナなりにシールダーとも仲良くしたいと思っている。シールダーと会話したかったのもそれが理由なのだ。

 

シールダーもその善意を受け入れ、一先ず休んで会話する事にした。

 

元々、えりかは自分に自信が無く、おどおどした性格であり、何を願いとすればいいのかをなかなか決められないでいる。なので、自分に行動原理があるとするなら、それはマスターを含む仲間を護る事だと、キアナに答えている。

 

「あっ、そうだ。シールダーがいた世界の事も聴かせてよ!」

「私の世界の話、ですか?そうですね、何から話しましょうか―――」

 

チャイムが鳴るまでの僅かな休み時間であるが、主従は親交を深める為に会話を楽しんだのだった。

 

 

[マスター キアナ・カスラナ]

能力:ガン=カタ(銃を用いた戦闘術。統計学的に有利な位置に自らの身体を移動させながら戦闘する事で、被弾率を最小限に、攻撃効率を最大限に高める。キアナが扱うそれは『カスラナ流』と呼ばれる、足技を軸とするもの)

   薪炎の律者(炎を操る事が出来ると同時に、心を通わせた仲間達の力も引き出す事が出来る。この場合における戦闘スタイルは、大剣を振るって戦うというもの)

出典:崩壊3rd

性別:女

武器:無し

役割:穂群原学園に通う高校3年生

願い:諦めない

方針:自分から戦いは仕掛けないが、戦いがある、あるいはその気配がするならそこに赴く。出来る限り、周囲を巻き込まないように配慮する。あと、同盟は組んでおきたい

令呪の位置:右手の甲

カスラナ家第69代目の後継者にして、崩壊の原理・法則を研究する『選ばれし者』の末裔。父ジークフリート・カスラナを探す道中、極東の長空市で滞在中に第三次崩壊に遭遇。カスラナ家固有の高い崩壊因子耐性のお陰で事なきを得るが、その場で雷電芽衣と出逢う。その後、崩壊の対処に出撃した天命組織に拾われ、父の知人であるテレサ・アポカリプスと接触。彼女からA級戦乙女となる事を条件に、キアナはジークフリートの手掛かりを得る機会を得る。崩壊と戦う戦乙女となり、同時に聖フレイヤ学園の生徒となる。支配の律者との戦いの最中、嘗て無量塔姫子の装甲に納められていたプレイグジェムを奪い、更にブローニャとフカの力を借りて薪炎の律者としての覚醒を果たす。世界が美しくないのは当たり前。でも、諦めてはいけない。世界が駄目じゃないって教えてくれる人がいると、そんな人達の炎を受け継ぎ、キアナは前へと踏み出す。自分を支えてくれた人たちの後押しを背に、希望の炎を以て支配の律者という闇を燃やし尽くすのだった―――

 

[サーヴァント 蒼井えりか]

クラス:シールダー

出典:ヘブンバーンズレッド

性別:女

ステータス:筋力C+、耐久B+、敏捷C、魔力C、幸運D+、宝具B+

属性:秩序・善

スキル:対魔力B(魔術への耐性。魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以てしても、傷つけるのは難しい)

    騎乗D(騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる)

    自陣防御C(味方、ないし味方の陣営を守護する際に発揮される力。限界を超えた防御力を発揮するが、自分はその対象には含まれない)

    超記憶症候群B-(ハイパーサイメシアと呼ばれる完全記憶能力。自己に関する記憶を完全に記憶し、過去の事も数瞬前のように思い出せる。蒼井えりかには自分の仲間を護れなかった過去がある為、驚異的な記憶力と引き換えに幸運を1ランク下げる)

宝具:『惨劇より人類を護る盾(ドウカアンネイナキオクヲ)』(蒼井えりかがシールダーたる所以。複数の短剣の形状のセラフ。通常時は纏まって腰裏に垂れ下がっているが、使用者の周辺を自由自在に浮遊可能。特に、前方に向けて放射状に展開する事により、非常に強力なデフレクターを発生させる事が出来る)

武器:無し

願い:無い。強いて言うなら仲間を護りたい

方針:マスターに従う

対キャンサー用決戦兵器『セラフ』を操る者で構成されるセラフ部隊の一つである第31B部隊の隊長。29系部隊の生き残りであり、『オペレーショントレミー』で仲間を失った過去を持つ。自分と同じく第31B部隊に所属していたビャッコという虎や第31A部隊に所属する茅森月歌とは仲が良く、特に茅森は彼女にとっての支えとなり、オペレーショントレミー以降失っていた自信を取り戻す事となった。オペレーションプレアデスにおける超巨大キャンサー『レッドクリムゾン』との戦いにおいて、茅森や31Bの面々を護る為に自身の限界以上までデフレクターを張って攻撃を受けきり仲間達を守ったが、代償として限界を迎えてしまい、仲間達を守れた事に安堵しつつ戦死した。



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Knife and crane

どうも、しきんです。

最近、前書きのネタが尽きかけてしまっております。

大変申し訳ございませんが、暫くの間、前書きはお休みさせていただきます。


聖暦2110年 11月29日 夕方 穂群原学園

 

終礼が終わり、玄関フロアは下校しようとするNPC達で溢れ返る。

 

「おーい、遠野!」

 

その中で、男子NPCの1人が少年に声をかける。

 

少年の名は遠野志貴。この世界で行われる聖杯戦争に参加するマスターの1人である。

 

志貴に与えられた役割は穂群原学園に通う高校2年生であり、今のところはこの世界に関する知識を得る為に学業に励んでいる。

 

「この後、皆でカラオケに行くんだけど、遠野も一緒に行くか?」

「あー、ごめん。俺、これからちょっと用事があるんだ」

「やっと終わったんだ」

 

志貴と同級生が話していると、そこに1人の少女が近付いて来た。

 

白い長袖Tシャツと黒いショートパンツの上にオリーブドラブにメインカラーのジャケットを着込み、黒いキャップを被るコーデ。黒髪ロングヘア―に緑色の瞳。身長は志貴や同級生と比べてあまり差は無く、傍から見れば同年齢に見えるだろう。

 

「・・・もしかしてこの娘、お前の彼女?」

「まあ・・・そんなところかな」

 

髪の色が似ているのもあり、志貴と少女はお似合いのカップルに見える。

 

NPCも少女が志貴の彼女である事を理解すると、それ以上は言わなかった。

 

「じゃ、また明日」

「また明日な、志貴~!」

 

元から学生だった事もあり、志貴は短期間でこの世界に慣れる事に成功した。

 

更に、真面目でお人好しな性格も相俟って、早々にクラスに順応し、何人かと仲良くなっている。

 

だが、NPC達は知らない。遠野志貴と少女・・・アーチャーが、主従の関係である事を。

 

NPC達と別れて暫くすると、志貴は少女に話しかけた。

 

「じゃあ、学校の中に戻るか」

 

志貴の言葉に、アーチャーが驚く。

 

「まさか・・・マスターも行くの?」

「当然だろ。流石に女の子1人だけに偵察させる訳にはいかないし」

 

本戦開始前における志貴達の方針は2人掛かりでの情報収集、これに尽きる。

 

別に、志貴が戦略家とかそういう類の人間とか、という訳ではない。幾ら戦争といえども、戦闘において、一般人に被害が及ぶ事は極力避けねばならないと考えている、それだけの事なのだ。その為には自分達だけでなく、他の陣営についての情報も集めておく必要がある。

 

現段階ではどの陣営とに対しても中立の姿勢を見せているが、何れ誰かと同盟を組む必要も出て来る事も考えるなら、この方針は妥当と言えるだろう。

 

偵察の優先対象は穂群原学園に通う陣営。理由は勿論、穂群原学園に通う志貴としては最も近い立ち位置にあるからだ。

 

2人は校門を通り、校舎の中に入った。

 

 

数分後

 

志貴達は校内を歩き回っていた。

 

校内にはまだ多くの人が残っている。教室で世間話をする生徒達や部活に励む生徒達、職員室で業務をこなす教師達に生徒の相談に乗る教師。

 

今回、接触する相手は―――

 

「空振り・・・みたいね」

「早めに帰ったのか。もう少し残っていると思ったんだけど」

 

―――残念ながら、既に校内にはいなかった。

 

「確か、雪音クリスって名前だったっけ。アイドルとしてはまだデビューしてないらしいから、それまでは放課後に学校に残る時間は少しぐらいはあると思ったんだけど・・・当てが外れたかな?」

「アイドルに関する事はよく分かんないけど・・・」

 

志貴達は、高等部1年B組の生徒の1人がマスターである可能性が高い事を突き止めていた。

 

『雪音クリス』という名の少女で、現在までに集めた情報によると、デビューを間近に控えたアイドルという事が判明している。

 

「また今度、当たってみる?」

「う~ん、どうするかな・・・」

 

やっぱり、デビュー直前だと忙しくなるのか・・・?

 

しょうがない。今回は諦めよう。

 

「・・・今日はもう帰るか、瑞鶴」

「分かりました、マスター」

 

志貴とアーチャー・・・瑞鶴はそのまま踵を返し、穂群原学園を後にした。

 

 

夕方 アーンヴァル街

 

道中、下校する際のNPC達とのやり取りを少し思い出す。

 

―――この後、皆でカラオケに行くんだけど、遠野も一緒に行くか?―――

 

「・・・カラオケか。時間があったら行ってみようかな」

「マスター、聖杯戦争の本戦ってあと1ヶ月で始まるんでしょ。偵察の事も考えたら、流石にそんな余裕は無いんじゃない?」

 

志貴の声に、瑞鶴が苦言を呈する。過酷な世界を生き抜いてきたアーミヤにとって、これから戦いが始まるという時に気を抜くのは危険な行為である。こういう反応をするのも無理は無い。

 

「確かにそうだろうけど。でも、1ヶ月なら猶予期間としては十分じゃないか?週末なら学校は無いだろうし」

「まあ、私もカラオケには興味あるし・・・考えておくわ」

 

渋々ではあるものの、瑞鶴はそう返答した。

 

―――そういえば。

 

「そういえば、瑞鶴は聖杯にどんな願いを掛けるんだ?」

 

気付いたら、瑞鶴に対する疑問を口に出していた。

 

「何よ、藪から棒に」

「ああ、いや―――俺達、出会ってまだ間もないだろ?だから、つい気になって」

 

オタクの類でもない限り、大抵の日本の高校生が軍事、増してやその歴史に興味を持つ事はあまりないだろう。

 

事実、俺は瑞鶴が空母である事をこの聖杯戦争で初めて知った。

 

大まかな概要は昨日ネットで調べたが、重要なのは歴史における瑞鶴じゃない。今、目の前にいる瑞鶴だ。

 

兵器だった筈が、人間の姿で召喚された瑞鶴が何を思うのか。

 

「願いか・・・あるとしたら、前世をやり直したいって事くらいかな」

「前世・・・」

「うん。前世で守れなかった仲間を守りたい。翔鶴姉も瑞鳳も武蔵さんも守れなかったから」

 

瑞鶴は、言うなれば幸運艦だった。

 

だが・・・生前における彼女の周りで沈んでいった僚艦は決して少なくない。

 

恐らく、彼女はそれに負い目を感じているのだろう。

 

「守れなかった仲間を今度こそ・・・って事か」

「そういうマスターはどうなの?何も無しにここまでやろうって訳じゃないんでしょ?」

「俺か―――」

 

そういえば、まだ決めていなかった。

 

・・・決まりそうにないな。

 

「―――これといったものは無いかな。もし聖杯を手に入れたら、瑞鶴が使ってくれ」

「マスター・・・ありがとう」

 

瑞鶴の顔に笑みが零れた。そんな気がした。

 

夕日が完全に沈むまで、あと数分。

 

 

[マスター 遠野志貴]

能力:直死の魔眼(『死』を視覚情報として捉える事の出来る眼。この目が読み取って視覚する『死』とは、『生命活動の終了』ではなく『いつか来る終わり』という概念である。正確にはある種の超能力であり、死を視覚化出来る眼球と、それを認識し理解出来る脳が揃う事により、初めて機能する。一般的な魔眼のように他者へ移植しても意味が無く、逆に眼球を潰したとしても死を視覚化する事が可能。『死』は線と点で見えるもので、強度を持たない。『死の線』は存在の死に易いラインを表し、線をなぞり断てば対象がどんなに強靭であろうと切断される。また、線で斬られたその部分は『殺された』扱いとなる。『死の点』は死の線の源であり、寿命そのもの。死の点を突かれた場合、例外無くその存在は死ぬ)

出典:月姫

性別:男

武器:ナイフ

役割:穂群原学園に通う高校2年生

願い:特に無い

方針:取り敢えず、今はどの陣営に対しても中立の姿勢を貫く

令呪の位置:右手の甲

財閥の家系で鬼との混血として裏で知られる遠野家の長男。幼少期に二度の臨死体験をし、それによって物の死を見る事の出来る『直死の魔眼』を得てしまう。それが元で一時は気が狂いそうなほど悩んでいたところを蒼崎青子により救われ、その際に魔眼殺しの眼鏡を貰い、眼鏡をかけている間は魔眼の力が抑えられるようになった。実は遠野志貴は遠野家の長男ではなく養子。遠野家によって滅ぼされた暗殺を成業とする退魔の一族『七夜家』の人間。本名を七夜志貴という。当時の七夜家当主である七夜黄理の長男として生まれ、暗殺を辞めた七夜家の忍里で静かに暮らしていたが、七夜一族の退魔能力を恐れた遠野槙久が軋間紅摩を使い、当主の黄理を始め一族を皆殺しにする。志貴も殺されかけるが、その時槙久が自身の長男である遠野四季と名前の音が同じだった事に気紛れを起こし、彼は遠野に引き取られた。槙久は志貴に、四季・秋葉の幼い混血に対し七夜一族の血による抑止力を期待していたが、歯止めにはならず、ある日、四季が暴走するという事件が起こる。槙久は四季に襲われ死にかけた志貴から一族の記憶を洗脳により完全に消し、分家の有間家に追いやって厄介払いをした。この時より『遠野志貴』という人生が始まった。性格は良くも悪くも、真面目でお人好し。基本的に中立的で優しく、困っている人間は放っておけない性質であり、特に女性に対しては甘い。ただ、こうした部分は意識を変えられた洗脳と、青子先生の教えによる部分が大きく、本質は世捨て人じみた自然主義者である。また、眼鏡を外すとポエマーになるらしい。

 

[サーヴァント 瑞鶴]

クラス:アーチャー

出典:艦隊これくしょん

性別:女

ステータス:筋力C、耐久C+、敏捷D+、魔力B、幸運A+、宝具A

属性:中立・中庸

スキル:対魔力D(魔術への耐性。一工程による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度のもの)

    単独行動C+(マスター不在・魔力供給無しでも長時間現界出来る能力。マスターを失っても1日半は現界可能)

    艦娘-(第二次世界大戦において活躍した艦艇の記憶を持って生を受けた少女。水上戦闘に適性を持ち、移動を可能とする他、敏捷等に有利な判定を受けられる。瑞鶴の場合、空母としての特性が発展し、Cランク相当の千里眼にも等しい視力を有する)

    嵐の航海者A(船と認識されるものを駆る才能。集団のリーダーとしての能力も必要となるため、軍略、カリスマの効果も兼ね備えた特殊スキル)

宝具:『翔鶴型航空母艦二番艦(ずいかく)』(航空母艦『瑞鶴』を模した武装。サイズは瑞鶴の身体に対応したものとなっている。空母の武装として、展開した艦載機を自在に指揮が出来、航空射撃による援護を行わせる事も可能。艦載機を用いて大規模な一掃も出来るが、それによって齎される被害は時として甚大なものとなる)

武器:長弓(一見すると何の変哲もない長弓のようだが、艦載機を発艦させるのに必要不可欠なものであり、定期的に手入れを行う必要がある)

   艦載機(ミニチュアサイズの艦載機群。零式艦上戦闘機、彗星、天山の3種類からなる。魔力で生成したものであり、戦闘中に撃破されても魔力を回復する際に補充する事が出来る。なお、長弓を用いて繰り出すタイプのものである為、長弓を構えていない状態では繰り出す事が出来ない)

願い:前世をやり直し、仲間を守りたい

方針:マスターに従う

翔鶴型航空母艦二番艦『瑞鶴』。姉妹艦である翔鶴と共に日本海軍の主力艦として活躍した正規空母であり、マリアナ沖海戦まで一発も被弾しなかった幸運艦でもあった。レイテ沖海戦のエンガノ岬沖海戦で沈没し、その艦歴に幕を閉じた。性格はやんちゃで押しが強い、所謂『お転婆』。また、自らの艦歴の影響から、七面鳥に対する苦手意識を持っており、クリスマスに対しても苦手意識を持っていたりする・・・らしい。なお、艦娘としての記憶は史実準拠である。



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天才と侍が闇に舞い降りる

聖暦2110年 11月28日 未明 アンダーグラウンド

 

アンダーグラウンド。

 

犯罪が多数発生している事から、『モダンファンタジアシティで一番治安の悪い地区』であるとして有名な危険区域だ。

 

賭博、麻薬、売春、盗品故買、銃器のロック解除、裏情報取引等々―――ありとあらゆる裏の娯楽と複数の犯罪組織が集結している。

 

そこに赤城しげるとセイバーはいた。

 

セイバーこと坂本美緒は、その辺の野郎共以上に漢らしい性格のウィッチである。

 

それ故、アカギに共感するところがあるのだ。

 

アカギは口数が少なく常に冷静で、狂気と無欲からくる独自の死生観を持つ。

 

冷めているように見えて、自らの信念と判断には命を賭ける事すら厭わない、狂気染みた熱さを秘めている。

 

勿論、それだけではない。アカギは並外れた度胸と強運を持つ。才知・直感・運気・精神力等、その全てが常軌を逸しているのだ。

 

そんなアカギを理解出来る者等、どの世界であってもほんの一握りしかいないだろう。いるとすれば、それはアカギと同じものを持つ者ぐらいだろう。自分であっても、彼の全てを理解出来た訳ではないのだから。

 

今こうして、この世界に来て1時間程で治安の悪い区域に自分から立ち入るのだって、常人であれば考える事すらしないだろう。

 

だが、アカギと共にいると、不思議と安心感を覚える。彼となら、この聖杯戦争に臨む事が出来る。彼のような性格の人間と会った事は生前には無いが、彼となら、どんな死闘さえも制する事が出来るかもしれない―――そう思えるのだ。

 

アカギと美緒はまだ見ぬ強敵の存在に心躍らせる。

 

彼らがどのような結末を迎えるのか・・・それは、神のみぞ知る。

 

 

[マスター 赤木しげる]

能力:不明

出典:アカギ~闇に降り立った天才~

性別:男

武器:無し

役割:フリーター

願い:『出来る』ヤツとの命を懸けた戦いを楽しむ

方針:本戦開始まで他の陣営を捜す

令呪の位置:右手の甲

白髪が特徴的な19歳の博徒。才知・直感・運気・精神力等、その全てが常軌を逸しており、『悪魔』とも比喩される男。少年時代から数々の修羅場を潜り抜け、裏社会で伝説を築き上げていく。口数が少なく常に冷静で、狂気と無欲からなる独自の死生観を持つ。一見冷めているようだが、自らの信念と判断には命を賭ける事も厭わない狂気染みた熱さを秘めている。鷲巣戦の途中で、半ば異世界転移といった形で予選に呼ばれ、聖杯戦争に参加する事となる。

 

[サーヴァント 坂本美緒]

クラス:セイバー

出典:ストライクウィッチーズ

性別:女

ステータス:筋力A、耐久A、敏捷D、魔力B+、幸運C+、宝具B+

属性:中立・善

スキル:対魔力B(魔術への耐性。魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以てしても、傷つけるのは難しい)

    騎乗C(騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない)

    千里眼C+(視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。また、透視により相手の急所を見破る事すら可能とする)

宝具:『雷鳴轟かす侍の翼(N1K5-J 紫電改五型)』(魔力を動力にする『魔導エンジン』により駆動される機械装置『ストライカーユニット』。機械制御により魔力運用を効率的に行う事が可能で、これを装着する事により、飛行魔法を用いた空戦を行う事が可能。また、これを装着した際、美緒の敏捷ランクは3ランク向上する)

   『烈風斬(れっぷうざん)』(烈風丸に魔力を込めて放つ斬撃。攻守一体であり、巨大な戦艦さえも両断する)

武器:九九式二号二型改13㎜機関銃(坂本美緒が愛用している大型ライフル。実は現実には存在しない架空のものであり、九九式二〇粍機銃がモデルとなっている)

   烈風丸(坂本美緒が愛用している扶桑刀。魔力が込められており、ビームを切り裂く事が出来る。欠点としては使用者の魔力を吸い取る為、妖刀に分類される)

願い:聖杯を手に入れ、ネウロイの侵略をなかった事にする

方針:マスターに従う

扶桑皇国のエースウィッチ。生前には、第501統合戦闘航空団『ストライクウィッチーズ』の隊長を務めていた。1937年の扶桑海事変の頃から前線に立ち、その後に士官としての教育を受け、遣欧艦隊リバウ航空隊に所属し欧州を転戦した。ガリア解放後は、扶桑に帰国して海軍教練所の教官を務めていたが、ネウロイの再侵攻により前線復帰する。この時点で既に張れなくなったシールドを補う為に自身の魔法力を込めて打った扶桑刀『烈風丸』を携え、それから繰り出される『烈風斬』を使用し戦うが、『オペレーション・マルス』で魔力が枯渇寸前にまでに陥ってしまう。ネウロイ化した大和に乗り込み、魔力を供給するが彼女もネウロイに取り込まれてしまう。その後、宮藤の『真・烈風斬』で救出されるも2人とも魔力を失う。この時『魔眼』も消失した。これが坂本美緒のウィッチとしての最後の戦いであり、それ以降、トレードマークの眼帯を着ける事は無かった。



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なんか聖杯戦争に巻き込まれちゃったけど、まあいっか!

どうも、しきんです。

Kerbal space program 2がリリースされたと聞いたので、去年からやってるKerbal space programを久しぶりにプレイしようかと思っております。


聖暦2110年 11月27日 午後 セントラルロード ショッピングモール

 

真昼のフードコートは、人種に問わず、多くの顧客で賑わっている。

 

「えっと・・・確か、これの名前って『地獄のホットドッグ』なんだよね・・・?」

「何というか・・・地獄って感じがしないですね。地獄の番犬の好物って言われているみたいですけど」

 

そのうちのとある2人の少女がテーブル席で愚痴を漏らす。

 

一方は黒いパーカーと黒いスカートの上にピンク色のコートを羽織っているのに対し、もう一方はベージュ色のセーターとジーンズの上にグレーのコートを羽織るコーデで、更に身長が高く、こちらの方が年上であるように見える。

 

そして、2人の髪型は共に茶髪ポニーテールである。

 

「これはまだ序の口みたいです。チョコでも、岩みたいに硬いものとか、石化しているものとかまであるくらいなんだとか」

「『岩みたい』どころか『石化している』!?そんなチョコまであるの!?」

 

年上の少女の話に、年下の少女は驚きを隠せない。

 

そりゃそうだ。その話に出て来るチョコは比喩ではなく、実際にそうなのだから。

 

そんな話をしつつ、2人はホットドッグを食べ終えた。

 

「いや~、ホットドッグ美味しかった!」

「そうですね。また行きたいです」

 

一見すると、姉妹だと誰もが思うだろう。だが、この2人はマスターとサーヴァントなのである。

 

年下の少女の名前は源内あお。聖杯戦争に参加するマスターである。

 

 

午後 セントラルロード ショッピングモール前のバス停

 

あお達は今、アーンヴァル街を通るバスを待っている。

 

「そういえば、大和っていったら、あの『大和』なんだよね?」

 

ベンチに座っているあおはテイクアウトしたホットカフェラテを飲みながら、隣に座る『大和』という名の少女に話しかける。

 

召喚されたサーヴァントの名は大和。クラスはアーチャーである。

 

「はい。私は大和型戦艦一番艦、あおが思っている『大和』です」

 

あおにとっては信じられない事だが、彼女は大和という名の戦艦だった。

 

大和は嘗て日本の呉で建造された、排水量、搭載主砲口径共に世界最大を誇る戦艦である。

 

そして、あおも日本で生まれ育った身。この手の分野に関する知識が無くとも、名前くらいは知っている。

 

「ですが、私の場合は後天的にこの姿になったので、正確にはあおの知る大和ではない、という事にもなります。『大和』としての記憶と力を持ち、そして英霊となった―――ある意味においては疑似サーヴァントと言えるでしょう」

「え、え~っと・・・何ていうか、ややこしい経緯なんだね」

 

大和の複雑な経緯に、あおは困惑の表情を見せた。

 

要約すると、元となった『大和』はあおの世界にも実在した戦艦だが、大和はその記憶と力を持った英雄にあたる、といったところだ。

 

「マスターは、叶えたい願いはありますか?」

「私?私は・・・あるにはあるけど、どれか一つってなったら決められないんだよね―――そうだ!」

「どうかしましたか?」

「願いとは違うけど、黒幕を倒すっていう目的とかどうかな!?」

 

あおの衝撃発言に、大和は思わず飲んでいたカフェラテを噴き出す。幸い、大和の前に誰もいなかったので大事には至らなかったが、下手をすれば迷惑をかけるところだったのは言うまでもない。

 

「ま、マスター!?」

「だってほら、こういうのって、よく悪の組織とかが裏で糸を引いてたりするよね?あの神父さんだって名前の時点で怪しそうだったし!」

「確かにそうですけど・・・」

 

具体的な理由も根拠も無いが、あおは言峰綺礼に対する不信感を抱いていた。

 

ファクトリーアドバンス社が戦闘データを収集する為にフレズヴェルクを暴走させたように、言峰やまだ見ぬ何者かが似たような事をするかもしれない。

 

妄想からなる憶測に過ぎないが、あおは言峰が何かを隠していると認識しているのである。

 

「・・・確かに、有り得ない話ではありません。そうなれば、調べていく必要も出て来ますね。問題は・・・」

「・・・調べる伝手が無いってところだよね~・・・・・・」

 

そうこうしているうちに、目当てのバスがやって来た。

 

一応の目的を決めたばかりというのにこの始末☆はてさてこの先、どうなります事やら。

 

 

[マスター 源内あお]

能力:無し

出典:フレームアームズ・ガール

性別:女

武器:無し

役割:穂群原学園に通う高校1年生

願い:願いが多くて決められないので、取り敢えず黒幕を倒す(!?)

方針:上記の目的の為に調べる伝手を探す事を検討中

令呪の位置:右手の甲

高校1年生の少女。父が海外赴任し、母もそれに付いて行った為、マンションで一人暮らしをしている。平凡な日常を過ごしていたが、ある日、自宅に届けられた轟雷を偶然起動させた事から、『世界で唯一轟雷を起動させた少女』としてフレームアームズ・ガール達と関わりを持つようになる。フレームアームズ・ガールやプラモデルに関しては素人だが、バトルをすると謝礼金(普通の高校生のアルバイト代以上の金額)が貰える為、アルバイト感覚で轟雷のバトルテストを続けている。おっちょこちょいで面倒臭がりなところもあるものの、明るく朗らかな茶目っ気たっぷりの性格。続々と増えてゆく同居人達に難色を示したかと思えば、バトルテストの謝礼金が入る事を踏まえた上で了承するなど調子の良い部分も見られる。フレームアームズ・ガール達に部屋を散らかされた時や貯金を勝手に使われた時等は流石に激怒したが、それでも接し方が変わったり追い出したりはしていない寛容さを持っている。基本的にどんな状況であってもありのままに受け入れた反応を示し、異常な状況にもすんなり順応する等おおらかでアホっ娘の気があるマイペースな少女。

 

[サーヴァント 大和]

クラス:アーチャー

出典:艦隊これくしょん

性別:女

ステータス:筋力A+、耐久A++、敏捷C、魔力B、幸運B、宝具A++

属性:秩序・善

スキル:対魔力D(魔術への耐性。一工程による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度のもの)

    単独行動B(マスター不在・魔力供給無しでも長時間現界出来る能力。マスターを失っても2日は現界可能)

    艦娘-(第二次世界大戦において活躍した艦艇の記憶を持って生を受けた少女。水上戦闘に適性を持ち、移動を可能とする他、敏捷等に有利な判定を受けられる。大和の場合、戦艦としての特性が発展し、Cランク相当の千里眼にも等しい視力を有する)

    嵐の航海者A(船と認識されるものを駆る才能。集団のリーダーとしての能力も必要となるため、軍略、カリスマの効果も兼ね備えた特殊スキル)

宝具:『大和型戦艦一番艦(やまと)』(戦艦『大和』を模した武装。サイズは大和の身体に対応したものとなっている。主砲である46㎝三連装砲から放たれる砲撃は凄まじい威力を誇り、場所によっては周囲に甚大な被害を齎す)

武器:無し

願い:特に無い

方針:マスターに従う

大和型戦艦一番艦『大和』。大日本帝国海軍が建造した世界最大の戦艦。太平洋戦争が始まった後に就役し、1942年には連合艦隊旗艦となった。1945年には天一号作戦に向けて、第一遊撃部隊を率いて沖縄へと特攻出撃したが、最期は坊ノ岬沖海戦で矢矧を始めとする僚艦達と共に海中に没した。性格は控えめかつお淑やかであり、戦場では勇ましくも凛々しい口調に変わる、所謂『大和撫子』だが、その一方で何処か幼さが残る印象を持つ。『大和ホテル』という異名にコンプレックスを抱いているらしいので、彼女がいる所ではホテルの話をしない方が身の為だろう。なお、艦娘としての記憶はアニメ版準拠である。




登場人物の私服コーデの描写って、思いの外難しい・・・。


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召喚されたらマスターが猫娘だった件

どうも、しきんです。

最近、更新が遅れがちになってしまい、申し訳ありません。

自分では、最近のモチベーションの低下が原因だと考えております。


迫り来る影を倒した。

 

その直後、俺は杖を持つ猫耳のマスター共々、暗闇に包まれた。

 

「ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ」

 

気が付くと、そこは冬木教会の礼拝堂だった。

 

多少の違和感こそあるが、間違いなくそうだと思った。

 

だが、マスターの方は見覚えが無い。恐らく、初対面だ。まさか、冬木で俺の知らない聖杯戦争が行われるのか?

 

いや、待てよ?だとすると、辻褄が合わない。今さっきの声の主は、間違いなく―――

 

そう思い、後ろに―――声の聞こえた方向に振り向く。マスターも声に気付いたらしく、俺とほぼ同時に振り向いた。

 

視線の先にいたのは、言峰綺礼だった。

 

「・・・誰よ、アンタ」

 

マスターは無愛想な口調で問う。

 

「私は言峰綺礼。今回の聖杯戦争の監督役を務めている」

 

言峰はそう自己紹介した。

 

言峰が生きている、だと・・・?あの時、あの第五次聖杯戦争で俺は言峰を殺した筈。マスターの事を考えても、『今回の聖杯戦争』が第五次聖杯戦争の事を指しているという訳でもなさそうだ。これは一体、どういう事だ・・・!?

 

「ここは、聖杯が造り上げた都市『モダンファンタジアシティ』、その中にある教会。予選を突破したマスターは自動的にここへ移動される事になっている」

 

・・・は?モダンファンタジアシティ?冬木市じゃなくてか!?

 

 

聖暦2110年 11月27日 夕方 言峰教会前

 

な―――何さ、これ?

 

アーチャーこと、エミヤは目の前に広がる光景に驚愕していた。

 

これ程の未来都市は今まで見た事が無い―――というか、獣耳と尻尾が生えている者達もいるんだが、ああいうのもこの世界の住人なのか!?

 

「さあ、行くわよ。アーチャー・・・アーチャー、どうかしたの?」

 

―――はっ!?

 

マスターに声をかけられ、エミヤは慌てて動揺を隠す。

 

「む―――いや、この都市の光景が、私が想定していたものとかけ離れていたのでね」

「そう?文明以外は大した違いは無いと思うけど」

 

いや、マスターの世界だと確かにそうなんだろうが・・・そういえば、マスターも猫の耳と尻尾が生えているんだった。とはいえ、これだけ多くの人種が共存するとなれば、人種問題が心配になるところだが、その辺りは大丈夫なのだろうか・・・。

 

まあ、それはそれとしてだ。そろそろ名前を聞いておこう。

 

「それよりもマスター、君は大切な事を忘れてはいないか?契約において、最も重要な交換の筈なのだが」

「・・・何よ。最も重要な交換―――ぁ」

 

この反応―――マスターも自分の名前を言っていなかった事に気が付いたようだ。

 

「・・・キャルよ」

 

マスター・・・キャルはそう答えると、歩き出した。

 

私もキャルに付いて行く。

 

本戦が始まる前に解決しておくべき問題も、ある程度理解出来た。

 

先ず、第一にマスターとの友好関係だ。言峰とのやり取りでもそうだったが、キャルは他人に対して攻撃的に接するきらいがある。主従の関係が悪いようでは、生き延びる事すらままならないだろう。他の陣営との同盟以前の問題だ。

 

もう一つは、矢張り地理の把握だろう。マスターなら、端末からマップを見る事も可能ではあるが、それでも非常時にそれを見ながら移動するのは難しい。事前に把握しておけば、必ず役に立つ筈だ―――。

 

 

夜間 アーンヴァル街 キャルの自宅

 

役割として与えられたというこの家に辿り着くまで、ざっと3時間程は歩き回っただろうか。途中で休憩はしたが、それでも知らない都市での長時間の移動は疲れただろう。

 

ソファーの上に寝転がっているキャルを見る。

 

「役割はモダンファンタジア・アカデミーに通う高校1年生・・・この世界だと、今日は日曜日なんだったわよね?月曜日から金曜日までが平日だと考えると・・・明日からこの世界での学校生活が始まるって事じゃない!」

 

キャルは端末の操作を頑張って覚えようとしているようだ。どうやら、与えられた役割は高校生のようだ。てっきり、中学生かと思っていたが―――ん?

 

「少しいいか?つかぬ事を聞くが・・・キャルは今いくつだ?」

「・・・?14歳だけど?」

 

・・・は?14歳で高校生?なんでさ!?

 

「そういえば、飛び級する形で転校したとか書かれてたわ。そんなに良いところで育った訳じゃない筈だけど」

「そ、そうか・・・」

 

良かった・・・真面な理由も用意されていて。

 

そういえば、今さっきキャルが言っていたモダンファンタジア・アカデミーという学校、高校と大学と研究機関が一つになった国立機関か。

 

狙われる可能性は・・・あるな。注意しておこう。

 

「それで・・・キャル、聖杯戦争において、何か方針はあるかな?君は私の主だ。君の考えを聞こうじゃないか」

 

私がその問いを投げかけると、キャルはこう答えた。

 

「本戦が始まるまでは・・・学業に励みながら、モダンファンタジアシティの情報を集めるわ」

 

学業・・・とすると、モダンファンタジア・アカデミーに行くか。

 

「モダンファンタジア・アカデミー・・・学校か。そういう場所は不意の襲撃に備えにくいだろう。もしも敵がいたらどうする?」

「でも、まだ本戦は始まってないわよ?そんな時に他のマスターを襲う意味なんてあるの?」

「この聖杯戦争では、魔術師ではない者でもマスターとなる可能性があるようだ。あまり油断は出来ないと思うがね」

「魔術師じゃなくてもマスターに・・・?そういえば、あの神父も聖杯は並行世界とか多元宇宙とかへの扉を開く力を持っているって言っていたわね・・・まさかとは思うけど、教師とかに紛れ込んでいるって事は無いよね・・・?」

「さあな。そこまでは、探ってみなければ私でも分からん」

 

それにしても・・・話してみて感じたが、キャルは何処か凛に似ているな。

 

もしも凛や桜、イリヤもこの聖杯戦争に参加しているとすれば、矢張り衛宮士郎も参加している・・・そう考えるべきか。

 

話は変わるが、歩き回っている途中に気になった事がある。あのネルフとかいう、セントラルロードに建っている巨大なビルは一体何だ?言い知れない不気味なものを感じるんだが・・・あの建物については、独自で調べておくか?

 

 

[マスター キャル]

能力:プリンセスナイト(自軍のステータスを向上させる事が出来る能力。キャルの使うこれの固有能力は魔物の操作であり、ある程度の練度になると部隊規模での操作も可能だが、今のキャルではそこまでは出来ない)

出典:プリンセスコネクト!Re:Dive

性別:女

武器:魔導書付きの杖(キャル愛用の杖。杖と魔導書が一体化している)

役割:モダンファンタジア・アカデミーに通う高校1年生(飛び級)

願い:陛下に尽くす

方針:優勝を目指す

令呪の位置:杖の魔導書部

アストライア大陸で暮らす猫の獣人族の少女。行き倒れていたところをユウキ達に助けられ、成り行きで彼らと共にギルド『美食殿』を結成した。気が強く攻撃的である一方、自身が気を許した相手には情深く接し、何だかんだ言って仲間意識が強く、面倒見が良い典型的なツンデレ。育ちが悪い為か、口が悪く、物騒な言葉をよく使う。しかし、美食殿の仲間といる時は純粋に楽しんでおり、飽くまで冗談の範疇であるが、口癖でもある為、初対面の人から誤解されることもある。その一方で、そんな性格とは裏腹に人見知りする方である為、プライベートでは見知った人間以外には対面で攻撃的かつ逃避的な態度でしか接する事が出来ず、こちらも誤解されやすい態度を癖で取ってしまうコミュ障な面もある。因みに、公私は分ける方である為、仕事と割り切れば上記の限りではない。実は覇瞳皇帝のお気に入り兼懐刀であり、王宮に自由に出入りする為に爵位も貰っている。

 

[サーヴァント エミヤ]

クラス:アーチャー

出典:Fate/stay night

性別:男

ステータス:筋力D、耐久C、敏捷C、魔力B、幸運E、宝具???

属性:中立・中庸

スキル:対魔力D(魔術への耐性。一工程による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度のもの)

    単独行動B(マスター不在・魔力供給無しでも長時間現界出来る能力。マスターを失っても2日は現界可能)

    心眼(真)B(修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す)

    千里眼C(『鷹の目』とも呼ばれる視覚能力。例え高速で移動する相手でも、4km以内の距離なら正確に狙撃出来る。より魔術的に高次元の千里眼であれば、遠方はおろか未来さえも見通す事が可能となるが、Cランクではその域までには達しない)

    投影魔術C(A+)(道具をイメージで数分だけ複製する魔術。彼が愛用する『干将・莫耶』も投影魔術によって作られたもの。投影する対象が『剣』カテゴリーの時のみ、ランクは飛躍的に跳ね上がる。この『何度も贋作を用意出来る』特性から、彼は投影した宝具を破壊、爆発させる『壊れた幻想』を用いる事で瞬間的な威力向上を行う事が可能となる)

宝具:『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』(宝具を持たない彼を英霊たらしめている能力にして固有結界と呼ばれる特殊魔術。一定時間、現実を心象世界に書き換え、今までエミヤが視認した武器、その場で使われた武器を瞬時に複製し、ストックする。ただし、複製した武器はランクが一つ下がる。アーチャーが使用する武器はその殆どがこれによる投影品である)

武器:投影品

願い:特に無い

方針:マスターには取り敢えず従うが、場合によっては命令に背く事も考えている。

とある未来において、正義の味方を目指した衛宮士郎の成れの果て。原子炉の炉心融解により、もう助からない者達の運命を変える為に世界の意思と契約し、その後も数多くの人間を救ったが、あまりに見返りを求めない様を不気味がられた末、裏切りを恐れる人々に殺され、その生涯を終えた。彼はその結末に後悔を抱いていなかったが、人類滅亡の可能性を回避する為に『世界を滅ぼそうとする人間達』の虐殺を止めどなく繰り返すうち、奪い合いを繰り返す人間と、それを尊いと思った嘗ての自分を憎み、生前に目指した理想を無意味なものと捉えるに至る。




Q:そういえばエミヤ君の記憶は?
A:召喚された時点で殆ど取り戻してます(ご都合主義的な感じで)。


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破壊を齎す者、闘争を齎す者

どうも、しきんです。

Fateを原作とする本作を投稿しておいて、実はFateシリーズはFate/stay nightのFateルート(アニメ版)しか見た事が無かったりする自分の愚かさ(+α)に辟易しております。


宇宙を思わせるようなその空間で、フランドール・スカーレットは佇んでいる。

 

ここは何処?私、さっきまでお姉ちゃんの部屋にいたよね?虹色に光る石を偶然見つけて、お姉ちゃんから貰って部屋から出たら、いつの間にかこんな所にいたんだけど。

 

っていうか!こんな所、屋敷に無かったじゃない!本当に何処なのよここ!

 

フランは元来た道を戻ろうと、後ろに振り返る。

 

直後、もぞもぞと蠢くどす黒い何かが目に入った。

 

―――え?何あれ?

 

見た事も無いようなそれを前に、思わず固まるフラン。

 

それは人の形へと変わっていき、やがて、帽子を被った男の姿となった。

 

何なの、あれ。人間になったつもり?

 

それはゆっくりと動き出し、フランへと迫る。だが、動き自体はぎこちなく、まるで壊れかけの人形のようだ。

 

対して、フランは怖がる様子を見せないばかりか、笑みを浮かべていた。

 

「丁度、退屈だったの。遊ぼうよ」

 

フランはその一言をそれに投げかけると、間髪入れず殴り掛かった。それは回避もままならず、フランの放ったパンチを諸に受け、仰向けに倒れる。よく見ると、形が少し崩れているようにも見える。

 

「何それ。真面に避ける事も出来ないの?つまんない」

 

余りにも拍子抜けなそれを見て、フランは期待外れだとでも言いたげな表情になる。

 

さっさとこんな奴を壊して、部屋に戻ろう。

 

フランは再び殴り掛かり、それに渾身の一撃を喰らわせた。

 

ただ殴ったのではない。フランは『目』と呼ばれる最も緊張している部分、所謂『その物の一番弱い箇所』を自分の手の中に移動させ、拳を握りしめる事で対象を破壊する事を可能とする『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』を持つ。

 

それを用いて繰り出された一撃を受け、それは呆気なく崩れた。

 

フランは崩れたそれに背を向け、その場を後にしようとする。

 

―――ッ!?

 

刹那、フランの背筋が凍る。

 

フランが恐る恐る振り返ると、そこには崩れた筈のそれが立っていた。

 

常人であれば、倒した筈のそれに対して恐怖を抱くだろう。

 

―――フフフ・・・アハハハハ。

 

だが、フランは違った。

 

「アハハハハ!!そうね!そう来なくちゃ、面白くないわ!!」

 

空間に笑い声が響く。フランのテンションが上がっていき、計器すら振り切る。

 

復活したそれは帽子を回転させながら投げつける。フランに向かって飛んでいく帽子の鍔からプロペラ状の刃が姿を現す。

 

フランは飛んできた帽子を弾き飛ばすと、それに飛び掛かり、顔面を殴り付けた。

 

フランの猛攻は更に続く。それが放った反撃の2連続パンチをわざと自分の服や帽子を掠めるような動きで躱すと、それの腹を殴り、腰に蹴りを入れてそれの姿勢を崩す。

 

帽子が戻ってくるのを察知し、フランは一旦、それから距離を取る。帽子がフランに命中する事は無かったが、帽子はそれの下に戻る。

 

その時、フランはポケットから1枚のカードを取り出した。カードがポケットの中にあるという事に気付いたのか、スペルカードを取り出すという動作を条件反射で行ったのか、それはフランにしか分からない。いや、この時点ではフランでも分からなかったのかもしれない。

 

少なくとも、その時のフランを動かしていたのは『狂気』のみだったのである。

 

突如、取り出したカードが光る。

 

カードは独りでに宙に浮き、無地の面に絵が現れた。

 

光が更に強くなり、流石のフランも目を瞑る。

 

今度は何なのよ!つい、ポケットからカードを取り出しちゃったけど、あんなスペルカードなんて、今まで持ってなかったわよ!?

 

数秒が経ち、光が収まり始めた。

 

フランが目を開けると、目の前に、衣服越しでも分かる程の見事な肉体を持つ大男が背を向けて立っていた。

 

それは大男目掛けて帽子を投げつける。

 

「帽子如きで俺を倒せると思ったか?」

 

大男は回転して迫り来る帽子を右手で掴むと、余裕の表情で握り潰す。

 

お返しと言わんばかりに、大男はそれをぶん殴る。この時、フランからは大男が障害となり、この一撃を受けたそれを見る事が出来なかった。

 

大男はフランに振り返ると、口を開いた。

 

「おい、小娘。一応聞いておくが、お前が俺のマスターか?」

「私がおじさんのマスター?そういえば、さっきの人間擬きがいないんだけど、何処に行ったか知らない?」

「さっきの人間擬き?ああ、ソイツならぶん殴ったら消えて無くなったぞ」

 

―――は?

 

大男の返答に、フランはまたも固まる。

 

どうやら、大男が放った先程の一撃を受けたそれは木端微塵にされ、今度こそ消滅したようだ。

 

何て事をしてくれたのよ。

 

勝手に私の遊び相手を壊すなよ。

 

っていうか、勝手に横槍入れるなよ。

 

戦いに水を差されたという事実を知り、フランは苛立ちを覚える。

 

「俺はバーサーカー、スティーヴン・アームストロング。お前のサーヴァントだ」

 

サーヴァント・・・使用人?コイツが?

 

大男が「ほらよ」と先程のカードをフランに渡した直後、2人の視界が暗転した。

 

 

聖暦2110年 11月28日 夜間 シヴァの森 紅魔館

 

フランは自分の部屋で、端末の操作を覚える為に練習していた。

 

「まさか、この世界に屋敷があるなんて思わなかったわ」

 

当初、フランは郊外に自宅が用意されていると予測を立てていた。だが、言峰綺礼と名乗る神父から聖杯戦争についての説明を受けた際、いつの間にか持っていた端末にインストールされているステータスアプリから自分のプロフィールを見たところ、住所が記載されている部分に『シヴァの森 紅魔館』という文字が載っていたのである。

 

「なんだ、自分の家が嫌いなのか?」

 

バーサーカーがフランに問いかける。

 

「違うわ。ただ、ちょっと意外だと思っただけよ」

 

フランは質問に答え、加えて独り言の理由を一言語った。

 

ところで何故、バーサーカーがフランの部屋にいるのか。これには理由がある。

 

こう見えて、バーサーカーはデジタル技術を上手く使う事が出来、生前においても、ある目的の為に活用した事がある。

 

バーサーカーが慣れた様子で電子機器を操る様子を見た紅魔館の者達は、フランが電子機器の操作を覚える為の講師(?)として迎え入れたという訳である。

 

「そういえば、聞いたぞ。役割として通う小学校には行かないんだってな。この世界で作られている日焼け止めは吸血鬼向けのものもあるらしいが」

「学校ね・・・穂群原学園はオンライン通学?ってのも出来るみたいよ。初日ぐらいは流石に登校するけど」

 

学業についての質問に、フランはそう答えた。そりゃそうだ。

 

こうしている間に、夜は更けていく。

 

果たして、この最凶とも呼べる主従の行く末や如何に―――。

 

 

[マスター フランドール・スカーレット]

能力:ありとあらゆるものを破壊する程度の能力(対象が物であれば、問答無用で直接破壊する事が出来る能力。『目』と呼ばれる最も緊張している部分、所謂『その物の一番弱い箇所』を自分の手の中に移動させ、拳を握りしめる事で対象を破壊する)

出典:東方Project

性別:女

武器:スペルカード(『弾幕ごっこ』と称されるゲームにおいて技を繰り出す際に使う契約書であり、幻想郷における揉め事や紛争を解決する為の手段。『殺し合い』を『遊び』に変えるルールであり、『この世でもっとも無駄なゲーム』とも呼ばれている。見た目は技名を契約書形式に記した紙であり、弾幕とスペルカードで発現する現象はスペルカードではなく個人の能力によるものである為、他人から借りて使う事は出来ない)

役割:穂群原学園に通う小学6年生

願い:楽しく遊びたい

方針:思う存分暴れ回る

令呪の位置:右腕

紅魔館の主である吸血鬼レミリア・スカーレットの妹。年齢は495歳。好奇心旺盛かつ純粋で我侭な性格だが、少々気が触れていて情緒が不安定である。その為、普段は地下室に幽閉されているのだが、実際の所は閉じ込められているというより、寧ろ好き好んで引き籠っているというのが正しい。

 

[サーヴァント スティーヴン・アームストロング]

クラス:バーサーカー

出典:メタルギアライジング リベンジェンス

性別:男

ステータス:筋力A+、耐久A+、敏捷B、魔力E、幸運B、宝具A+

属性:混沌・悪

スキル:狂化E→C+(魔力と幸運を除く能力が1ランク上がるが、複雑な思考が出来なくなる。アームストロングの場合、このスキルを持っていても言語能力を失う事は無い。通常時はアームストロング自身によりEランクに抑制されている)

    カリスマD(軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。カリスマは稀有な才能で、一軍のリーダーとしては破格の人望である)

    戦闘続行B(戦闘を続行する能力。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる)

宝具:『あらゆる衝撃に対して硬化する肉体(サンズ・オブ・リバティ)』(アームストロングの肉体そのもの。ただでさえ逞しいものである上に、ナノマシン技術で構成・制御されており、その名の通りにあらゆる衝撃に対して一瞬で硬化する。更に、周囲に存在する電子機器の類やその残骸から電力を吸収する事で、ポテンシャルを引き出す事が出来る)

   『愛国心と民意の権化(メタルギア・エクセルサス)』(アームズテックセキュリティ社により製造された大型多脚歩行戦車。1人での操縦が可能な上に操縦自体もかなり手軽にできる。搭載兵器は腕部の格納式大型ブレードと頭部の主砲のみだが、大型機であるが故の凄まじい重量や質量そのものが強力な武器となる)

武器:無し

願い:真の自由を実現させる

方針:基本的にはマスターに従うが、気に入らないようなヤツならぶん殴る

アメリカ合衆国コロラド州選出の上院議員。大学時代はアメリカンフットボールの司令塔(クォーターバック)を務めていた事もあり、ガタイが良く、大柄な体格で政治家になって以降も逞しい肉体を維持していた。大学卒業後は国へ奉仕する為に海軍へ入隊し、その後、政界へ進出して政治家になった。PMC『ワールド・マーシャル』や傭兵派遣会社『デスペラード・エンフォースメント』と愛国者達が解体されてなお遺してしまった規範とされる愛国心・拝金主義・全体主義、そしてアメリカ国民の経済不況による保守思考・他国の排外感情を爆発させる事により、「国家と自己を同一化し、アメリカ国民というだけで自らを誇れる」という文字通りの愛国者の息子達(サンズ・オブ・ザ・パトリオット)に仕立て上げ、新たなる戦乱を引き起こして戦争経済を復活させる事を目的とする『テクムセ作戦』を進めていた。だが、それ自体は表向きの建前でしかなく、ビジネス化された戦争や暴力から解放し、『個人の自由の力で語り合う、西部開拓時代の古き良きアメリカの如き弱肉強食の世界』にするという真の目的を持っている。最期は雷電に心臓を斬奪されて絶命したものの、個人と個人の闘争という自身の理想を最高のレベルで体験したアームストロングの表情に悔いは無く、寧ろ、その死に顔はとても満足そうだった。




そういえば、モダンファンタジアシティに紅魔館がある上でのフラン参加って事は・・・

フ ラ ン 陣 営 の バ ッ ク ア ッ プ 強 す ぎ だ ろ !


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聖杯戦争にネコ現る

どうも、しきんです。

今回は、最後に重大な発表があります。


「ふーむ、このカードがセイントグラフというヤツですか。表の部分が真っ白ニャのが心配なところだニャー」

 

シャドウが迫って来る事に気付いているのかいないのか、ネコアルクはシャドウに一切目もくれず、セイントグラフを掲げる。

 

「まあいいや。とにかくカモーン!良くして和よりの来たれ、天秤の守りてよ!」

 

すると、セイントグラフが光り出した。

 

やがて、光の中から少女が姿を現し―――あれ?

 

このナマモノ、なんかノリと勢いで召喚に成功しちゃってない?

 

そうこうしているうちに、シャドウは遂に持っている剣を振り上げ、ネコアルク目掛けて振り下ろそうとした。

 

まさに、その時だった。

 

シャドウの剣が、槍に弾かれた。

 

ネコアルクとシャドウの間に立っている少女が、シャドウの放った斬撃を槍で弾き飛ばしたのだ。

 

―――成功しちゃったよ。ネコアルク、ノリと勢いでサーヴァントの召喚を成功させちゃったよ。

 

それはそれとして、少女の反撃が始まった。

 

軽快な動きでシャドウの懐に潜り込むと、シャドウに強いアッパーを喰らわす。この一撃を受けたシャドウは、上方に吹き飛ばされる。

 

少女の反撃は更に続く。少女は手に持つ槍を多節棍のような形態に変形させると、飛び上がり、シャドウにトドメの攻撃を加える。

 

吹き飛ばされ、体勢を立て直す事が出来ないシャドウはトリッキーな攻撃を諸に受け、成す術無く空中で消滅した。

 

「よっと」

 

少女はネコアルクの眼前に着地すると、辺りをキョロキョロと見回す。

 

「で、アタシのマスターは何処にいるんだ―――?」

問おう(エクスキューズミー)

 

マスターを探す少女にネコアルクは声をかける。

 

「あん?」

 

背後から声をかけられた少女は、ネコアルクの方に振り向く。

 

「何だ、この猫みたいなヤツ?」

「ユーがアタシのサーヴァントか?」

「・・・あ?」

 

 

「ほう―――これはまた、変わったマスターが呼ばれたものだな」

 

ネコアルクと少女・・・ランサーが気が付くと、そこは例により教会の礼拝堂だった。

 

後ろから聞こえた声に反応し、2人(?)が振り向くと、その先には言峰綺礼がいた。

 

「ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ。私は言峰綺礼。今回の聖杯戦争の―――」

「おや?何処の誰かと思えば、かの有名な麻婆豆腐好きの神父ではニャいですか」

 

言峰の言葉を遮るようにネコアルクがそう言った直後、言峰は目を見開いた。

 

「・・・何故、私の好物が麻婆豆腐だと知っている?」

 

 

聖暦2110年 11月27日 午前 ホームセンター

 

ネコアルクとランサーは、ホームセンターで買い物をしていた。

 

「で、何であの教会から出て早々にホームセンターで買い物なんだ?ネルフとかなら、大抵のものは揃ってる筈だろ?」

 

ランサーが、カートを押しながらネコアルクに疑問を投げかける。

 

「んー、それがあっちにはお目当てのアレを売っている店がニャいんだよニャー。あそこって、雑貨屋とか家電量販店とか武器屋とかはあるのに、我々が今一番欲しているであろうアレが売られてねーのよ。痒い所に手が届かないっつーか、何つーか」

「・・・なるほど。そういう店では売られてなくて、ここでは売られてるってか。どういうヤツだ?」

「この先にコーナーあるでしょ?アレよアレ」

「あん?アレって―――」

 

ネコアルクに促されるがままに、ランサーこと佐倉杏子はネコアルクの言うアレを見る。

 

「―――テント?」

 

 

午後 シヴァの森

 

「えー、猫の王国(グレートキャッツビレッジ)在住か、カフェのマスターの役割が与えられているのかと思っていた我々なのですが―――

 

―――何で、よりにもよって捨て猫なんだろうニャー」

「さっきホームセンターで買ったのが雲行きが怪しいなと思ったら、やっぱりこういう事だったのかよ!!」

 

衝撃発言をかますネコアルクに対し、杏子はシヴァの森に木霊する程の大声でツッコむ。

 

「ところでランサー君、今日から1ヶ月ちょっとの間、ここを我々の拠点とする訳ですが・・・サバイバルの心得はあるか?」

「サバイバル!?いや、一応あるけどなぁ・・・逆にアンタはあんのかよ?」

「いーや、全く」

「フザケんな、テメェ!!」

 

ネコアルクの返答を受けた杏子は怒りを露わにして怒鳴るが、ネコアルクは臆する事無くテントを張る作業に取り掛かる。

 

「む?何か問題でもランサー君?」

 

ネコアルクは、作業しながら杏子を見てそう問いかける。

 

「あるに決まってんだろ!?サバイバルってのは、知識ゼロでやって良いもんじゃもんじゃねえんだ!」

「あれ?そうニャの?あー、でも実を言いますと、アタシも森でバーベキューをやった事があるのよ。それでちょっと焼き魚にチャレンジしようと戦闘機のノズルで焼いたら森も一緒に」

「バーベキューに戦闘機のノズルなんて使わねえよ!テメェは馬鹿か!?馬鹿だろ!?つーか、それもうバーベキューですらねえ!!」

「うん、そうニャのよー。色々あって、何とか鎮火する事が出来たんだけど、それ以来、戦闘機のノズルをコンロにした事は一度も御座いません」

「そりゃそうだろ・・・」

「今はロケットのエンジンで焼く事にしております」

「更に過激化してんじゃねえかあああああ!?って、おい!そもそもそんなのどっから仕入れてるんだ!?」

「ニャッニャッニャッ、それは勿論・・・あれ?アタシ、何処から戦闘機のノズルとかロケットエンジンとかを手に入れたんだっけ?」

 

ネコアルクのその言葉に、杏子は「ブーッ!」と吹き出す。ただでさえネコアルクの話はツッコみどころが満載なのだが、オチに至ってはまさかの入手先度忘れである。

 

どうやら、杏子の苦難はまだまだ続くようだ。

 

 

[マスター ネコアルク]

能力:詳細不明

出典:MELTY BLOOD

性別:・・・雌・・・?

武器:鋭い爪、目からビーム、あえてジェット(読んで字の如く)

役割:捨て猫。当然ながら、無職であり、無収入であり、そして住所不定である。

願い:???

方針:???

令呪の位置:肉球。何処のかは不明

謎のナマモノであり、悪ふざけの権化のような完全無欠のネタキャラ。地下にあると言われる『猫の王国(グレートキャッツビレッジ)』にかなりの数で住んでいるが、ここ最近では天敵やその他大勢に振り回され、散々な目に遭っている。

 

[サーヴァント 佐倉杏子]

クラス:ランサー

出典:魔法少女まどか☆マギカ

性別:女

ステータス:筋力B、耐久C、敏捷A、魔力B→C、幸運C、宝具B

属性:中立・善

スキル:対魔力C(魔術への耐性。第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない)

    陣地作成D(魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。本来はキャスターのクラス特性だが、杏子は魔法少女である為、『防御結界』の形成が可能)

    信仰の加護B→E(一つの宗教観に殉じた者のみが持つスキル。加護とはいうが、最高存在からの恩恵は無い。あるのは信心から生まれる、自己の精神・肉体の絶対性のみである。杏子は過去のトラウマから、意図的にランクを下げている)

    仕切り直しC(戦闘から離脱する能力。実戦で鍛えられた勘により、高確率で成功する)

    幻術B→-(強力な幻覚を相手に見せる事の出来るスキル。信仰の加護同様にこのランクを下げている)

宝具:『孤独を潤す紅(オフィーリア)』(彼女が最も得意とする一種の魔術。彼女が普段愛用している槍と同様の槍を巨大化させ、複数地面から出現させ、その槍によって敵を殲滅する。出現位置の都合上、至近距離には当てる事が非常に困難。また、魔力を一本の槍に集中させる事で対人宝具にもなり、この状態の場合だと、攻撃範囲が約1/10程度に狭まる代わりに圧倒的な威力を誇る)

   『真紅に輝く魂の宝石(ソウルジェム)』(肉体から引き離され、物質化された杏子の魂そのもの。常に持ち主の体を治癒し続けるが、この宝具を破壊される事は彼女の死を意味する為、同時に杏子の弱点でもある。この宝具を爆破した場合、相手に甚大なダメージを与える)

武器:多節槍(杏子愛用の槍。多節棍のように使う事も出来る)

願い:あるにはあるが、果たして本当に願って良いのか悩んでいる

方針:それ以前に、マスターにサバイバルについての知識を教えなきゃいけねえだろ

インキュベーターと契約したベテランの魔法少女。好戦的な性格で、魔法少女の力を自らの欲望を満たす為にのみ使っていた。男勝りな口調や挑発的な態度から、利己的な性格のように見えるが、実のところは他人を気にかけ助けようとしたりと、不器用ながらも純粋で優しい性格も持っている。契約の際に願った事で引き起こされた奇跡が原因で自らの家族が死んでしまった過去から、前述のスタンスを採っていた。鹿目まどかに協力を頼み、魔女化した美樹さやかと相対するが、最終的に相打ちという形で退場する事となった。




ネコアルクって、こんな感じで良かったんだっけ・・・?


今回は、この場を借りて読者の皆様にご報告させて頂きます。

『本作に登場させる乗り物はどんなものをメインにすべきだと思いますか?』というアンケートを実施していたのですが、設定集の一つとして投稿した『地球統合軍 配備兵器一覧』に車両や航空機といった乗り物が含まれている事が判明しました。その為、誠に勝手ながら今回のアンケートは無効とさせて頂きます。

誠に申し訳御座いませんでした。


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小さい兎、小さい勇者

どうも、しきんです。

皆様、お久しぶりです。


聖暦2110年 11月27日 早朝 観光地区『スプラッシュ』

 

ちょっと疲れてきた―――。

 

言峰教会を発ってから歩き続けていたアーミヤは、疲れを感じた。

 

休憩する為、パシフィック海岸の見える公園のベンチに座り、背もたれに身を預ける。

 

ふと、周囲を見渡す。

 

早朝だからか、街を歩く人はそれ程多くない。それでも、街は活気に溢れていて、皆平和に暮らしている。1ヶ月後に始まる戦いの事なんて、忘れてしまいそうになる。

 

私のいた世界では、夢のような光景。

 

『聖杯戦争』、『マスター』、『サーヴァント』、『聖杯』。教会で神父が語った言葉の一つ一つが、脳内に残っている。

 

勝ち残った最後の一組だけが世界を望み通りに改編する事が出来る、と言えば聞こえは良いけど、結局のところは最後の一組になるまで続く殺し合いだ。

 

無論、私は乗るつもりなんて無かった。

 

『ロドス』は無意味な殺戮を行わない。仲間を見捨てない。私達『ロドス』は、人を救う為に存在しているのだから。

 

―――でも。

 

「もし、世界を自らの意志で変えられるのだとしたら」

 

もし、本当に願いが叶うのだとしたら。

 

私一人が血に塗れるだけで、願いが叶うのだとしたら。

 

世界を壊す天災、そして、完全な治療法の無い不治の感染症『鉱石病』・・・その全てを一瞬で消す事が出来るかもしれない。

 

こうしている間にも差別を受け、命の危機に晒されている鉱石病の感染者や失われていく命を救う事だって―――

 

「―――ッ!駄目、駄目、駄目です・・・!!」

 

顔を横に振り、浮かんだ邪な思考を振り解く。今だって、元の私の世界では、ドクターやロドスの皆さんが戦っている。救うべきものを見て、動いているというのに。

 

私がこんな所で折れては、皆さんに合わせる顔が無い。

 

「マスター、大丈夫・・・?」

 

声のした方向に振り向くと、隣に座って(?)いた1匹の青いスライムが私にそう問いかけた。

 

「ランサーさん・・・心配してくれてありがとう」

 

目の前にいるスライム。この子がランサー・・・私のサーヴァント。

 

「聖杯戦争―――」

「・・・?」

 

私はランサーを見つめる。

 

「最後の一組になるまで続く殺し合い。勝者だけが願いを叶える事が出来る。きっと、私が殺し合いを否定しても、戦場は変わらない。譲れない願いの為に誰かが誰かを傷つけて、命を奪って、その抵抗と報復の為にまた争いが起きる」

 

いつも側にいてくれた───例え、記憶を無くそうとも側にいて、背中を押してくれたドクターはいない。

 

心細くない、と言えば嘘になる。不安で仕方ない。今、ロドスはどうなっているのか。レユニオンは、仲間たちは、そして・・・私はどうなってしまうのか。

 

ドクターが側にいてくれるだけで、どんなに遠い平和への道も走り抜けられるような気がした。どんなに不安が走る私に追いついて、この背中を掴もうとも、『彼』がいてくれるだけで幸せだった。

 

今は、恐ろしくてたまらない。両肩を抱いても、胸を押さえ深呼吸をしても、震えが止まらない。何も変わらない。

 

逃げてしまえ―――そう、誰かが囁く。見知った人間など、この場には仲間など1人たりともいないのだと。ならば、逃げても誰も文句は言わない。争いが終結するまで隠れ、防戦に徹すればいい。終結を招く者が、争いを望む誰かなのか、争いを止める誰かなのかを知る事は出来ないけれど、この争いがそう長く続く事もないだろう。

 

無用な争いに参加する義理も無く。固執する必要性も無い。この身が最優先すべき事項は、ロドスの存在する『自分の世界』なのだから。

 

ならば。

 

自分の身だけを、守っていればいいのではないのだろうか。

 

「―――それでも」

 

そうだったとしても。

 

「私は、誰にも傷付いてほしくありません。戦争である以上命を落とす人は存在します。そして、命を奪う人も存在します。私が命を奪わなければならない状況に陥る事もあるでしょう」

 

殺戮、暴力、差別、悲観、絶望、狂気、憎悪、諦め―――それら全てが混ざった、混沌とした世界。戦争は悲劇を産み、人を容易に『正しい道』から突き落とす。その恐怖を、私は知っている。

 

だからこそ。

 

「私は争いを止めたい。私のように望まない戦争に駆り出された人も、戦うしかなかった人も。最後には殺し合う道しか残されなかったとしても───私は、助ける道を諦めたくありません」

 

ランサーの瞳を見据えて、そう告げる。

 

恐らく、ランサーは私よりも強い。私の使えるアーツを総動員しても、少しの間、持ちこたえられるかどうか。不興を買えば、ここで消される可能性すら有り得る。

 

「自分の夢を実現しようとする事は決して間違いじゃないよ。夢を持っているなら、それだけでも戦える。僕だって、冒険したいって強く思ってそうしたから、仲間達に出会えたし」

 

意外な事に、ランサーが示した意思は肯定だった。

 

ランサーは自信満々の表情で、私の言葉を受け止め、その上で肯定したのだ。

 

それが茨の道だと、想像しなくても分かるだろうに。

 

「協力、してくれるんですか・・・?」

「勿論だよ。僕はマスターが召喚したサーヴァントだから!」

 

サーヴァントは、既に死した英雄だという。余りにも突飛な存在であり、『聖杯戦争』というシステムを情報で理解はしていても、サーヴァントという存在の全てを理解している訳ではない。

 

例え、既に死している英雄だろうと、負ければ消える事に変わりはないのだろう。それが戦争というものだ。

 

一度死んでいるからと言って、死への恐怖が薄れる筈は無い。寧ろ、己の命が消えていく瞬間を『知っているからこそ』、恐ろしい筈。

 

それでも・・・ランサーは、私の為に、協力してくれるというのだ。

 

その優しさに、涙が溢れそうになった。私は1人じゃない―――その事実が私の心を締め付けていた何かを溶かす。

 

今日まで戦い生き残る。私の命を救う為に、何人もの命が犠牲になった。

 

その全てに、自分は立派に戦っているのだと叫ぶ為に。皆さんが繋いだ命は、無駄ではないと叫ぶ為に。私は涙を堪えて、口を開く。

 

「ランサーさんは、叶えたい願いはないんですか?」

「無いよ。強いて言うなら、まだ見ぬ世界を冒険したいって事くらいかな」

 

英雄と呼ばれる程の器じゃない―――そうアーミヤは思う。

 

ただ、やるべき事を成してきただけ。

 

事実、年端も行かない少女の肩に乗るには、重すぎる問題。命と命の天秤など、少女が背負うべきものではない。

 

しかし、この場にいる兎の少女は、歩みを止めることだけはしないのだ。

 

「私のやる事は変わりません。人を助け手を取り、問題を解決し、ドクターやロドスの皆さんの元へと帰ります」

 

戦場を駆け抜けた過去を持ち、若くしてロドスを率いてきた。

 

そんな私にとって、道など既に決まっている。

 

ドクターがいない隣は少し寂しいけれど、私は、胸を張ってドクターの隣に立つ事が出来るアーミヤだと信じ、歩みを止めない。

 

しかし―――私1人が犠牲になれば、ロドスだけでなく世界が救われる。それは、私が思い描いた『理想』の世界への、一番の近道なのではないだろうか。

 

心の隅に沸いたその気持ちの、その感情の名を、私はまだ知らない。

 

 

なお、ランサーことスラリンがこの時に何を思っていたかというと―――

 

アーミヤって、全盛期の頃の僕よりも年下か同い年くらいの筈じゃなかったっけ・・・?

 

・・・スライムの平均寿命はどれくらいなのだろうか?ぶっちゃけ、うp主も疑問に思っているところなのである。

 

 

夜間 アーンヴァル街 アーンヴァル・グランドハイツ

 

アーミヤが眠りに就いたのを確認し、スラリンはアーンヴァル・グランドハイツの屋上を訪れた。

 

風は吹き、辺りには夜空と光の灯った建物からなる夜景が広がっている。

 

だが、生前にスラリンと行動を共にした仲間の姿は何処にも無い。

 

きっと、この世界には存在しないのだろう。そう、スラリンは結論付けた。

 

スラリンは懐から包帯のようなテープが巻かれた笛を取り出し、笛を吹く。

 

すると、スラリンの背後に彼に似た形の巨大な戦車が浮かび上がる。だが、それは実体を持ってはいない。

 

スラリンがライダーとして召喚されたのなら、その性能全てを発揮する事が出来ただろう。だが、スラリンはランサーとして召喚された。それ故に、戦車―――否、この宝具の力の一端を借り受ける事しか出来ないのだ。

 

鉱石病に感染者・・・アーミヤの世界は、この世界と違ってとんでもない事になっているみたいだ。それも、聖杯でも使わないと如何にもならない程のものらしい。

 

そうとなれば―――スラリンの方針がただ一点に定まるのは早かった。

 

「よ~し!僕はアーミヤの為に聖杯戦争で勝ち残る!どんなサーヴァントにも勝ってやるんだ!」

 

斯くして、小さなランサーは夜空の下で1匹、宣言する。

 

小さな兎と小さなスライム。

 

この主従を待ち受ける運命に、希望はあるか―――。

 

 

[マスター アーミヤ]

能力:アーツ(源石により引き起こされる、物理・精神への干渉現象。源石を組み込んだ道具を使う事により誰でも行使出来るが、鉱石病の感染者であるアーミヤは何も持たずともこれを扱える。また、完璧な読心や念話までは至らないものの、他者の感情や記憶を読み取る事も可能)

出典:アークナイツ

性別:女

武器:無し

役割:穂群原学園に通う中学2年生

願い:鉱石病感染者と非感染者の両方を救済したい

方針:これから決めないと・・・

感染者と非感染者双方の救済という困難な理想を目指すロドス・アイランド製薬のCEO。企業のトップではあるが、仲間内からは気さくに話しかけられており、アーミヤ本人も特に咎める事無く応対している。また、ロドスのリーダーとして、組織の精神的支柱となっている。窮地において仲間を諦める判断等に迷う事こそあれど、目的の為に敵を殺す事も厭わない覚悟を秘める。嘗てドクターを師と仰ぎ、彼の下で学んでいた過去を持ち、ドクターが記憶を失って以降も、その指揮能力の高さに信頼を寄せている。ただし、ドクターが記憶喪失故の軽率な行動をした際には、苦言を呈する事もある。

 

[サーヴァント スラリン]

クラス:ランサー

出典:スライムもりもりドラゴンクエスト

性別:男

ステータス:筋力D+、耐久E、敏捷A、魔力D+、幸運A+、宝具A++

属性:中立・善

スキル:対魔力C(魔術への耐性。第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない)

    心眼(偽)B(数々の冒険で磨かれた直感・第六感による危機回避能力。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ)

    勇猛A+(威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、敵に与える格闘ダメージを向上させる)

    カリスマD(軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。カリスマは稀有な才能で、一軍のリーダーとしては破格の人望である)

    怪力C+(筋力を1ランクアップさせる事が可能。更に、このスキルが発動している間は重い物を最大三つまで担ぐ事も可能)

宝具:『伸縮して突撃する身体(スラ・ストライク)』(スラリンが仲間の知恵を借りて編み出した必殺技。伸縮自在の自らの身体を進行方向に伸ばし、縮む際に生じる反応を利用する事により、自らの身体を高速で飛ばして敵に体当たりする。また、限界まで身体を伸ばした状態を一定時間維持してから発動すると、上位版の『真・伸縮して突撃する身体(スーパー・スラ・ストライク)』となる。

   『笛に誘われし蒼き勇車(スラリンガル)』(スラリンが勇者の笛を吹く事により発動する超重戦車。魔力で生成した砲弾を大砲に装填し、発射して戦う。また、大砲から発射出来るものであれば、どんな物でも砲弾にする事が出来る。その一方、内部は広々としているにも関わらず、何故か定員は4名であるとされている。なお、スラリンがランサーとして召喚されている場合は支援砲撃のみでの発動となる)

   『大海原を征く僕らの船(スラリン船)』(スラリンが仲間達と共に世界を巡る冒険に出た際に乗り込んだ船。『笛に誘われし蒼き勇車』同様、魔力で生成した砲弾を大砲に装填し、発射して戦う。また、この宝具は船である為、海での戦闘においては軍艦に匹敵する強さを発揮する。例により、定員は4名であるとされている。なお、スラリンがランサーとして召喚されている場合は支援砲撃のみでの発動となる)

武器:勇者の笛(『笛に誘われし蒼き勇車』の発動に必要な笛。修復歴があり、包帯を模したテープが巻かれている)

願い:まだ見ぬ世界を冒険したい

方針:マスターに従いつつ、自由気ままに行動する

モンスターのみが暮らす世界でその名を轟かせた小さな英雄。特徴の無い、何処にでもいるようなスライムの子供だが、幼馴染や妹を始めとする仲間達と共に様々な冒険を繰り広げた。また、生身での戦闘のみならず、大戦車を主体とした陸戦や海賊を相手とした海戦といった、数多の戦いを制してきたオールラウンダーでもある。スライムだからと言って、舐めて掛かってはいけない。




アーミヤの役割を『ロドス・アイランド製薬のCEO』にする事も考えましたが、モダンファンタジアシティが比較的平和な世界の都市という設定で、色々考えても流石に無理そうだったので没と致しました。

スラリンガルとスラリン船が支援砲撃扱いなのは、スラリンがライダーとしてではなくランサーとして召喚されたからです。


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やらない夫は聖杯戦争に参加するようです。

どうも、しきんです。

今更ですが、参加者の数は30組前後を予定しております。

また、現在募集中のアンケートですが、本戦開始前の段階を半分くらいまで進めたところで締め切る予定です。


やらない夫の前で影が蠢いている。

 

「あれは何だろ?」

『それは英霊が真っ当に召喚され損ねた、銘を持たぬサーヴァント『シャドウ』だ。それを倒せば・・・見事、予選突破となる』

 

このやり取りの間にシャドウは人の形となり、遂に動き出した。

 

「コイツを倒せ、だって・・・?ああいうのは、何度でも蘇るもんだろ。常識的に考えて!」

 

そう言いながら、やらない夫も動き出す。

 

『シャドウを消滅出来るのはサーヴァントを置いて他にはいない。生き残りたければ、急いでサーヴァントを召喚するのだ』

「成程、コイツを使えば良いんだな?」

 

やらない夫は右手に持つセイントグラフをチラリと見ながら声に問う。

 

『そうだ。そしてそれは、君が自力で英雄達の記録が保存されている『英霊の座』に接続しなければならない。その為の切り札・・・セイントグラフは既に君の手の中にある。そして、己の意志を示す事だ。思いであれば、何でもいい。死にたくない・・・生き残りたい・・・願いを叶えたい・・・相手を倒したい。己の意志を一点に収束して、強く願うのだ』

「自分の意志を一点に、ねぇ・・・!」

 

声と会話しながら、やらない夫はシャドウとの追いかけっこを繰り広げる。

 

にしても―――出来るか?この状況で。

 

シャドウの動きにも注意しなければならないこの状況、自分の意志を一点に収束させる事はかなり難しいだろう。

 

どうやって時間を稼ぐか、それが問題だろ。それも、出来るだけ早いうちにな。

 

やらない夫はシャドウの動きが段々速くなっていく様子に気付いていた。今はまだやらない夫の動きの方が早いが、逆転されるのは最早、時間の問題だ。

 

武器の一つでも持ってこれたらな~・・・素手でやり合える自身が無い訳でもないが―――

 

一瞬、やらない夫の注意が散漫になった、その時だった。

 

いつの間にか接近していたシャドウが斬りかかってきた。

 

「うおぉッ!?」

 

やらない夫は斬撃を寸でのところで回避した。だが―――

 

「―――ッ!!」

 

足に激痛が走る。回避した際に足を捻ってしまったのだ。

 

ま、不味いだろ―――今さっきのは避けられたが、次は確実に喰らう!

 

やらない夫が見上げると、シャドウが今まさに剣を振り下ろそうとしていた。

 

俺が、死ぬ―――?こんな所で?

 

こんな所で、影なんかに?

 

―――いや。

 

死ねない。

 

こんな所で死ねないだろ。

 

「こんな所で死んでたまるかよ、常識的に考えて―――!!!」

 

刹那―――

 

セイントグラフが強い光を放った。

 

「うおッ―――!!」

 

余りの眩しさに、やらない夫は思わず目を瞑る。

 

すると、セイントグラフが自分の手から離れる感覚を覚えた。

 

何秒かの後、光は弱まり始めた。

 

何とか、目を開けられそうなくらいになってきただろ。

 

やらない夫は目を開けた。

 

目の前にはシャドウではなく、1人の男が独特のポーズで立っていた。

 

白目の色が反転したかと錯覚する程の大きな黒目、蜂を彷彿とさせる白黒ボーダーの服、黒い頭巾。まるで死神のような姿だ。

 

もしかして―――コイツが、サーヴァントなのか?

 

サーヴァントはシャドウの方を向くと、腕を掲げる。

 

対するシャドウはサーヴァントに突撃―――

 

―――する事は無かった。

 

何故なら、シャドウはそうする直前に身体を沢山のメスで切り裂かれたのだから。

 

バラバラになったシャドウは、成す術も無く消滅した。

 

な―――何だろ、今のは・・・!?シャドウが突然ズタズタに切り裂かれて、そのまま消滅しただろ。

 

とにかく、これで予選突破って事だろ。

 

やらない夫がそう思っていると、サーヴァントがセイントグラフを拾い、やらない夫の方に顔を向ける。

 

サーヴァントはやらない夫に対して問う。

 

「お前が・・・俺のマスターか」

 

 

今度は教会か・・・。

 

「ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ。私は言峰綺礼。今回の聖杯戦争の監督役を務めている」

 

先程とはまた違う空間に飛ばされた事を理解したやらない夫とサーヴァントは、声のした方向へと視線を向ける。

 

視線の先には神父姿の男、言峰綺礼が立っていた。

 

言峰を見て、やらない夫は―――

 

何だ、この神父―――今にも死にそうな目だろ。大丈夫か?

 

―――やる夫と同じく、割と失礼な事を考えていた。

 

 

聖暦2110年 11月29日 夜間 美筆宅

 

約2~3時間の軽い観光を終え、やらない夫とアサシンはモダンファンタジアシティにおける自宅の玄関のドアを開けた。

 

「ただいま・・・っと」

 

そう言いながら、やらない夫はドアを閉める。

 

やらない夫の声に反応する者は誰1人いなかった。リビングや2階から人が来る気配も無い。

 

リビングに入るが、矢張り人の気配は無い。

 

どうやら、このモダンファンタジアシティにやらない夫の家族はいないらしい。

 

家には誰もいない―――よし。

 

「姿を現してもOKだろ、アサシン」

 

やらない夫のその言葉に反応するように、アサシンは姿を現した。

 

この世界にも俺の家族がいると思ったが・・・いないみたいだろ。

 

「どうやら、この世界・・・少なくとも、この都市の俺の家で生活しているのは俺だけらしい」

「つまり・・・この都市にマスターの家族はいないという事か」

「ああ。家族が聖杯戦争に巻き込まれて死ぬなんて事は先ず起きない。寧ろ、この方が色々やり易いだろ。常識的に考えて」

 

特に、武器とか車を調達するっていう点においてはな。

 

俺の家は、金持ちとまでは行かないが、そこそこ裕福な方だろ。更に軍資金も支給されているから、余程高価な物でもない限り、大抵の物は買えるだろ。

 

しかし・・・何でも願いが叶う、か。

 

「―――なあ、アサシン」

「何だ・・・マスター」

「アンタは、聖杯に何を願うんだ?少し聞いておきたいと思ってな」

 

やらない夫の問いに、アサシンはこう答えた。

 

「俺は・・・ボスを殺す。俺の手で、だ。聖杯は確実に殺す為の御膳立ての為に使う」

 

アサシンの真名はリゾット・ネエロ。

 

生前、イタリアのギャング『パッショーネ』の暗殺チームのリーダーとして『英霊の座』に刻まれた男である。

 

「マスター・・・お前はどうだ?お前は、聖杯に何を願う」

「俺か?俺は―――」

 

やらない夫はリゾットに自らの望むものを語った。

 

やらない夫とリゾット・ネエロ。

 

果たして、この主従の行く末や如何に。

 

 

[マスター 美筆やらない夫]

能力:詳細不明

出典:2ch

性別:男

武器:無し

役割:モダンファンタジア・アカデミーに通う高校3年生

願い:???

方針:???

平凡な生活を送っていた高校生であり、入速出やる夫の親友。ある日、やる夫と2人で謎の石を見つけた事で、聖杯戦争に参加する事となる。

 

[サーヴァント リゾット・ネエロ]

クラス:アサシン

出典:ジョジョの奇妙な冒険 part5 黄金の風

性別:男

ステータス:筋力C、耐久C、敏捷C++、魔力D、幸運D-、宝具A

属性:混沌・中庸

スキル:気配遮断A+(サーヴァントとしての気配を断つ。完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。宝具のバックアップを受ける事により能力が更に向上する)

    単独行動A(マスター不在・魔力供給無しでも長時間現界出来る能力。マスターを失っても約1週間は現界可能)

    スタンド能力B(特異能力の一種。それぞれ能力が違い、同じ能力を持つ者はいないが、知能を持たない生命体はこれに該当しない。また、精神力が上昇する程、能力の性能も上昇する)

    不可視の攻撃C(スキル・宝具で攻撃した時に相手に能力を悟らせない。これに対抗するには、攻撃方法や射程距離等から能力を導き出さねばならない。思考能力の向上や推理能力のスキルを保有していれば、導きだす時間を短縮出来る)

    追跡A(所謂、トラッキング能力。僅かな情報や戦闘記録から敵の能力や行動パターンを予測し、現在位置を高確率で特定する)

宝具:『金属を操る小人の群体(メタリカ)』(リゾットのスタンド能力。リゾットの体内に存在し、普段は見る事が出来ないが、四肢等を切断されると傷口から小人のような生き物の姿で現れる。磁力で空気中を含む様々な場所から鉄分を引き寄せて操り、刃物等を作り出して攻撃出来る。また、相手の血液中の鉄分を刃物等に作り変える事も出来、その場合は体内から攻撃する事も出来る。リゾット自身が鉄分を身に纏う事により、景色と同化する事も可能。この能力が『気配遮断』を後押ししており、例え攻撃態勢に移っていても、自らの位置を知られる事無く戦う事が出来る。また、切断された足を能力で作った金具でつなぎ止める、と言った使い方も出来る。足りない分の鉄分は、別の場所から集める事も可能。更に、相手の体内の鉄分を減らす事も可能で、この攻撃を受けた人間は血の色がおぞましい黄色になり、やがて酸素不足になって死ぬ。サーヴァントの場合は、ステータスの低下や失血等の状態異常に陥る)

   『復讐する暗殺部隊(ヒットマン・チーム)』(生前、リゾットが率いていた暗殺専門部隊。メンバー全員がスタンド使いであり、高い戦闘能力に加え、目的の為なら自らの身の犠牲にすら厭わない、尋常ならざる『覚悟』の強さを持つ。メンバーはホルマジオ、イルーゾォ、プロシュート、ペッシ、メローネ、ギアッチョの6名。なお、ソルベとジェラートはスタンドの有無が確認出来ない為、戦力に含まないものとする)

武器:メス(『金属を操る小人の群体』を用いて作ったメス)

   鋏(他の武器と同様の方法で作った鋏)

   剃刀(他の武器と同様の方法で作った剃刀)

願い:ボスを自らの手で殺す

方針:マスターに従う

イタリアのギャング『パッショーネ』の暗殺専門部隊『暗殺チーム』のリーダー。従妹の子供を轢殺した飲酒運転のドライバーを暗殺した過去を持ち、それを切っ掛けに裏社会で生きる事となり、21歳でパッショーネに入団した。パッショーネの脅威となる数々の障害を退け、受けた任務を全て成功させるといった目覚ましい活躍を見せた。しかし、高い実力を持ちながらボスから冷遇される暗殺チームの現状にチームの不満が溜まっていっていたある日、ボスの正体を調べていた部下のソルベとジェラートを残忍極まりない手口で殺される。一度は復讐を断念してボスに服従するが、ボスの娘であるトリッシュ・ウナの存在を知り、トリッシュを手に入れればボスの秘密が分かると考え、ボスを暗殺して『麻薬ルート』を横取りする為に他のメンバーと共に組織に反逆。サルディニア島でブチャラティ達を追跡していた際にドッピオと遭遇し、死闘の末に敗死した。



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聖杯戦争(バトルセッション)が始まる前に with 赤い悪魔

どうも、しきんです。

士郎が出て来りゃ、お次はこの娘!


西暦2004年 日本 某県 冬木市 遠坂邸

 

もうすぐ、私の魔力がピークになる時間―――。

 

遠坂凛はサーヴァントを召喚する為の詠唱を唱えている。

 

「―――誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

そして、詠唱を終えた同時に凛は強い光に包まれた。

 

この時、凛はある二つのミスを犯していた。

 

一つは、現在の時刻が自らの魔力がピークに達する午前2時ではなく、午前1時だった事。

 

もう一つは、使用した宝石の中に星晶石が混ざっていた事。

 

尤も、彼女がそれに気付くのはまだ先の事なのだが―――。

 

 

完璧・・・!間違い無く、最強のカードを引き当てた・・・!

 

自信満々な凛は、そう思いながら目を開く。

 

そこは星々の世界だった。

 

「・・・は?」

 

え?ここ何処?私、今まで地下室にいたわよね?何でこんな空間に飛ばされてるのよ!?

 

想定外の事態に凛は混乱する。

 

その時だった。

 

『ようこそ、願望を抱くマスター候補者よ』

 

何処からともなく、声が響いた。

 

 

数分後

 

凛が声の指示通りに移動すると、例によってシャドウが現れた。

 

『それは英霊が真っ当に召喚され損ねた、銘を持たぬサーヴァント『シャドウ』だ。それを倒せば・・・見事、予選突破となる』

 

声はそこで途切れ、同時にシャドウが凛に襲い掛かって来た。だが、その動きは鈍く、壊れかけの機械人形のそれを思わせる。

 

あれがシャドウ―――サーヴァントのなり損ないって訳ね。

 

シャドウの余りにも鈍い動きに拍子抜けした凛は、シャドウに指差し、ガンドを放つ。

 

ガンドは相手の体調を崩させる初等呪術だ。特に凛の場合は、高い魔力密度から拳銃弾並の破壊力とガトリング砲並の連射能力を併せ持つものである。

 

指先から射出された黒い呪いの一射は、寸分の狂いも無くシャドウに命中し、シャドウは一撃で四散した。

 

「・・・これで終わり?」

 

凛は余裕綽々といった表情でそう言う。

 

だが、これに対する返答は来ない。

 

・・・あの声、何で黙っているのかしら?

 

凛が疑問に思っていると、バラバラになったシャドウが一つに融合し、再び人の形を成した。

 

復活した?まあいいわ。それなら、今度こそ倒すまでよ。

 

凛は焦らず、今度はガンドを連射する。シャドウは1発目を剣で弾くも、2発目を頭部に、3発目を胴体に受け爆散。そして、また一つになり再生する。

 

凜は何度もガンドを放つ。確かにガンドは命中する。シャドウもガンドが命中すればバラバラになる。だが、それでもシャドウは何度も再生し、少しずつ凛に近付いて来る。

 

凛とシャドウの距離は縮んでいき、遂にシャドウの持つ剣が凛に届く間合いになった。凜はゆっくりとした振り下ろしを躱し、至近距離からガンドを放つ。だが、それも今までの繰り返し。鼬ごっこだ。

 

何よコイツ―――何度もガンドを喰らっている筈なのに、何で復活出来るのよ!?

 

シャドウの剣を避け、ガンドを撃つ。焦りを覚えながらそれを繰り返していると、凜はある事に気付いた。

 

あれ―――?コイツ、段々動きが速くなってきてない?

 

凛のこの予想は的を得ていた。シャドウは、戦いが長引くにつれ、徐々に動きが速くなっていくのだ。

 

『シャドウを消滅出来るのはサーヴァントを置いて他にはいない。生き残りたければ、急いでサーヴァントを召喚するのだ』

 

は―――!?サーヴァントを召喚しないと倒せない!?サーヴァントなんて、まだ召喚してないわよ!?

 

「いったいどうやって召喚すればいいのよ!」

 

斬撃を避けながら怒鳴る凜に対し、声は冷静に返答する。

 

『それは、君が自力で英雄達の記録が保存されている『英霊の座』に接続しなければならない。その為の切り札・・・セイントグラフは既に君の手の中にある。そして、己の意志を示す事だ。思いであれば、何でもいい。死にたくない・・・生き残りたい・・・願いを叶えたい・・・相手を倒したい。己の意志を一点に収束して、強く願うのだ』

 

凛と声の会話の最中にも、シャドウの動きはどんどん速くなっていく。凛は回避するのも精一杯な状態に追い込まれていた。

 

幸いな事に、シャドウの攻撃は打ち下ろしと横薙ぎの二つのみであり、回避しやすいものだった。もし、攻撃の種類が更に多ければ、凛はとうの昔に斬られてしまっていただろう。

 

・・・もう、出し惜しみは無し。粉々にしてその隙に召喚を―――

 

凛はシャドウにガンドの集中砲火を浴びせ―――

 

「ッ!?」

 

―――る事は出来なかった。

 

突如、シャドウが体当たりしてきたのだ。流石の凛も、予想外の攻撃には対処出来ず、仰向けに倒れてしまう。

 

シャドウが剣を掲げる。

 

それを見た凛は、今までに感じた事の無い恐怖を覚えた。

 

それは、言うなれば『死の恐怖』。

 

ゆっくりと感じる時間の中、凛の脳裏に様々な考えが走馬灯の如く浮かび、消えていった。

 

油断した。まさか、こんな予選(ところ)で死ぬなんて考えてもいなかった。

 

―――死ぬ?私が?

 

―――今、ここで?

 

・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・・・・ふざけるな。

 

こんな予選(ところ)で死んでたまるか。私は、聖杯戦争で勝ち残って、聖杯を持ち帰ってやるんだから!!

 

凜が自分も知らなかった感情を爆発させた瞬間、無意識に握っていたセイントグラフが宙に浮き、光り始めた。

 

無地の面に絵が現れる。

 

それは、リボルバーと思しき銃を右手に持つ人間の絵だった。

 

変化は更に続く。

 

絵は1人の少女の姿となり、同時に、上下三つの円環が凛の目の前に現れ、その中に雷と閃光を伴い、絵と同じ少女が姿を現した。

 

金髪ショートヘアに青い瞳。そして、戦車を彷彿とさせる鎧を身に纏っている。グリーブと思しきものに付いているのはキャタピラだろうか。

 

シャドウが少女目掛けて剣を振るう。対する少女は、手に持ったナイフで斬撃を受け流す。

 

そして、シャドウがよろけた瞬間を見逃さず、右肩に付いているキャノン砲から砲弾を放つ。

 

直撃を受けたシャドウは成す術無く爆炎に飲まれ、遂に消滅した。

 

「キャァッ!?」

 

序でに、砲撃の際に生じた衝撃波で凛が2~3m程吹き飛ばされた。

 

「痛たた・・・」

 

尻餅を搗いた凛は立ち上がり、尻を摩る。すると、少女が凛の元に戻り、面と向かい合った。

 

「貴女が私のマスターですか?」

 

少女はそう言って、凜にカードを差し出した。

 

「・・・どうやら、そうみたい。何が何だか分からないけど、私がアンタを呼び出したみたいね」

 

凜はそう答えると、少女からカードを受け取った。

 

「ありがとう。それで、貴女の名前は?」

「私はガンナーのサーヴァント―――」

 

少女・・・ガンナーという聞いた事も無いクラスのサーヴァントが名乗ろうとした瞬間、星々の光が突如として消えた。

 

 

2人が気が付くと、そこは教会の礼拝堂だった。

 

・・・ねえ、ここってどう考えてもあそこよね?

 

遠坂家が管理人(セカンドオーナー)を務める冬木市―――その郊外にある『冬木教会』。この教会は、第四次聖杯戦争に引き続き、凛が本来参加する筈だった第五次聖杯戦争において、主に監督役を務める人物の拠点である。

 

元の世界に戻って来た?いや、だからってここに飛ばすなんて無いわよね?それにしても―――

 

何かがおかしい・・・そう感じた。それは、具体的に言うなら『言葉に出来ない違和感』ってところかしら。その正体が何なのかは分からないけど、それだけは理解出来た。

 

少なくとも、ここは冬木教会であって冬木教会ではない。分かる事といえば、ここが今、自分が参加しようとしている自分の知らない聖杯戦争に関わる場所であるという事だけだ。

 

ふと、凛が聖壇の方を見ると―――

 

「―――言峰!?」

 

その方向にいたのは、言峰綺礼だった。

 

言峰は第四次聖杯戦争における生還者の1人であり、第五次聖杯戦争における監督役でもある男だ。加えて、凛にとっては兄弟子であり、父時臣亡き後の後見人でもある。

 

尤も、凛は彼の事を基本的に信用していないのだが。

 

「ほう―――その様子だと、私が知り得る遠坂凛に近い存在のようだな。そうだとも。私の名前は言峰綺礼。第五次聖杯戦争の監督役だった者だ。尤も、正確には君の世界における言峰綺礼ではないのだがな」

 

言峰のその言葉に、凛は疑問を覚えた。

 

「―――私の世界における言峰じゃない?どういう事よ?」

「この私は第五次聖杯戦争の言峰綺礼を再現したものだ。尤も、君にとっての本来の言峰綺礼はまだ死していないようだが」

 

ハァ・・・本当、ムカつくわ。そりゃ、第五次聖杯戦争はまだ始まる前だったんだから、死んでる訳無いに決まっているでしょ?

 

っていうか、何で私の世界の言峰がまだ死んでいないってのが分かるのよ。

 

「では、改めて告げるとしよう。ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ。私は此度の聖杯戦争において、監督役を務めている者だ。そして、ここもまた冬木教会ではない。聖杯により創り上げられた都市『モダンファンタジアシティ』、その一角にある言峰教会がここに当たる。予選を勝ち残った者はこの場へ自動的に転移される仕組みとなっているのだ」

 

凛の心の声を知ってか知らずか、言峰は聖杯戦争の舞台についての説明に移った。

 

サラッと話題変えたわね、このエセ神父。

 

「・・・って事は、ここは冬木じゃないのね」

「その通り。そして、この場に在る聖杯は、君の知っている聖杯とは違う。あらゆる並行世界、多元宇宙への扉を開く力を持っている。君をこの場へと召喚したのもその力だ」

 

言峰は聖杯についての説明を始めた。

 

なお、今回は尺の都合により、聖杯の説明は割愛させて頂く。

 

聖杯についての説明を終えると、言峰は一呼吸置き、再び口を開いた。

 

「さて・・・魔術師という事は、言わずもがな聖杯戦争のシステムを理解しているという事であろう。サーヴァントは何れも憑依させる器として、七つのクラスに分けられて召喚される。だが、完全に七つのクラスという訳ではなく、例外的に『エクストラクラス』が召喚される場合もあり得る」

 

それは分かっているわ。

 

「だが、今回はその例外は起きたようだな。どうやらお前が引いたサーヴァントは、エクストラクラス。『ガンナー』のサーヴァントのようだ」

「ガンナー・・・?」

 

ガンナーって・・・サーヴァントも言ってたガンナーよね?

 

「ガンナー・・・彼らは弓ではなく、近現代の銃を用いる銃士のサーヴァントだ」

「・・・分かりやすい話が、銃を使うアーチャーってところね」

「その通りだ」

 

言峰は伝えるべき事実と情報は伝えたとして、ガンナーについての話を切り止めた。

 

言峰がガンナーについて説明したのは、情から出た親切心等ではない。飽くまで監督役としての義務による行為だ。

 

エクストラクラス―――私の知っている聖杯戦争では、三騎士以外のクラスの代わりに召喚される可能性があるって話だけど、このガンナーがそれに含まれるって事よね?

 

「信用出来ない、元の世界に帰りたいというのなら、それでも構わない。聖壇の奥にある扉を潜れば、元の世界に帰還出来る。だが、他者を殺し、騙し、屍山血河を築き、それでも尚叶えたい願いがあるのなら―――君の背後の扉を開き、聖杯戦争の舞台へ進みたまえ。そして、己自身を以て最強を証明せよ。さすれば、万能の願望器は、君の手に与えられん」

 

そう言って、言峰は誘うように手を掲げた。

 

 

聖暦2110年 11月26日 夜間 ミラージュヒルズ 遠坂邸

 

凛は紅茶に口を付け、言峰のいる教会を出てから今に至るまでの事を振り返る。

 

異形の姿の人間達が普通の人間達と一緒に街を歩き、普通に会話し、見た事も無いような食べ物を食べたりしている様子は何度見ても慣れない。

 

その上、空中ディスプレイや立体映像等、凛の世界でもまだ実用化には程遠い最先端の科学技術の製品まであるのだ。機械音痴の凛にとっては解らない事だらけである。

 

流石に、端末の基本的な使い方は何とか理解出来たが。

 

「そういえば轟雷。貴女、普段はその大きさなの?」

「はい。私はFA(フレームアームズ)ガールのサーヴァントなので、戦闘時でない時は基本的にこの状態です。戦闘時でなくとも、人間と同じ大きさになる事は出来ますが」

 

凛の問いに、玩具の人形のような大きさになったガンナー・・・轟雷はそう答える。

 

FAガール。

 

轟雷曰く、彼女達はファクトリーアドバンス社が製造するナノマシンのボディを有するロボットであり、『英霊の座』に刻まれた轟雷はその次世代型―――量子コンピュータの人工自我を搭載したものらしい。

 

「つまり、動く人形かそれに近いものって訳ね」

 

凛のいた時代は2004年。対して、轟雷が活躍した時代は2017年。

 

工学云々の分野には疎いからよく分からないけど、十数年後の未来ならそういうものがあっても可笑しくはないか。

 

街を歩いていた時、たまに擦れ違った人が興味深げに轟雷を見ていたけど、足を止めた人はいなかったわね。まさか、似たような物まで一般的に普及しているのかしら?いや、多分そうでしょうね。空中ディスプレイとか立体映像以外にも、空飛ぶ船なんてのもあるのよ。どの程度かは分からないけど、FAガールかそれみたいなものがあっても不思議じゃないわ。

 

はぁ・・・本戦が始まる前にやらないといけない事が沢山出来たか。

 

 

[マスター 遠坂凛]

能力:ガンド(相手の体調を崩させる初等呪術。本来、物理的破壊力を持たない筈なのだが、凛の場合は高い魔力密度から拳銃弾に匹敵する破壊力を持つものとなっている。心停止を起こす程の病を与える呪い、または物理的破壊力を持つガンドを『フィンの一撃』と呼び、凛のものはフィンのガトリングとも呼べる)

   宝石魔術(宝石に蓄積していた魔力を解放し、破壊や治癒といった様々な用途に利用する。凛は聖杯戦争に備えて今日に至るまで休み無く織り上げてきた、サーヴァントの頭すら吹き飛ばす程の魔力の籠った宝石を複数所持している)

出典:Fate/stay night

性別:女

武器:アゾット剣(魔術礼装の一種。凛が持っているのは遠坂家に伝わる模造品であり、嘗ては凛の父である時臣、そして凛の後見人である言峰がこれを所有していた)

役割:モダンファンタジア・アカデミーに通う高校2年生

願い:遠坂家の悲願である聖杯を持ち帰る

方針:本戦に備えて準備を進める

令呪の位置:右手の甲

冬木市一帯の魔術師を支配する管理人(セカンドオーナー)である遠坂家の6代目当主。合理主義者のエリート魔術師としての一面と、身内のピンチを捨て置けないお人好しとしての一面を併せ持つ。前者は魔術師のエリート家系に生まれたことへの自負と、同じくエリートたらんと生きて一生を終えた父、遠坂時臣に対する尊敬の念が大きい。競争相手がいるならば周回遅れにし、刃向かう輩は反抗心が潰れるまで痛めつける、『やるからには徹底的に』を信条としている赤い悪魔。その反面、第五次聖杯戦争冒頭で士郎を助けたり、その後もなあなあで士郎との同盟を最後まで続けたりと、お人好しな面もある。他人に厳しく、自分にはもっと厳しい。目をかけた人間にはガンガン追い立て厳しく指導しハッパをかけまくるが、いざという時はギリギリまで見捨てず、1%でも希望があるなら決して諦めない面倒見の良さを見せる。逆にどうでもいい、救えないと判断すればスッパリと見限るドライさも併せ持つ。

 

[サーヴァント 轟雷]

クラス:ガンナー

出典:フレームアームズ・ガール

性別:女

ステータス:筋力B、耐久C++、敏捷B、魔力E++、幸運B+、宝具EX

属性:秩序・善

スキル:対魔力E(魔術への耐性。無効化は出来ず、ダメージを多少削減する)

    単独行動C(マスター不在・魔力供給無しでも長時間現界出来る能力。マスターを失っても1日は現界可能)

    フレームアームズ・ガール-(機械的な武装を身に纏う少女。武装を始めとするあらゆる装備を扱う事を可能とする高い適応力を持つ。また、戦闘中に装備を素早く換装する事も可能)

    心眼(真)B(修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す『戦闘論理』。逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる)

宝具:『三二式一型 轟雷(ごうらい)』(轟雷が戦闘時に身に纏うアーマーユニット。兵装は滑腔砲とタクティカルナイフ、そしてフリースタイル・バズーカの三つ)

   『三二式一型 轟雷・改(ごうらい・かい)』(ファクトリーアドバンス社から提供されたパーツ一式を基に強化された轟雷のアーマーユニット。その名に違わず、『三二式一型 轟雷』の上位互換版と呼ぶに相応しい性能を持つ)

   『皆で創り上げた奇跡(ごうらい・かい with FAガールズ)』(『三二式一型 轟雷・改』に加え、スティレットを始めとするFAガール達の装備と意識を取り込んだ奇跡の最終形態にして、轟雷がフレズヴェルク=インバートに勝利した最大の要因。この宝具が発動している間、轟雷は限界を超えた力を発揮する事が出来るが、本来は特定のサーヴァント達が共にいる事が発動条件であり、これを満たしていない場合は時間経過と共に霊基を削る。その為、戦闘に勝利したとしてもどの道、轟雷は消滅する)

   『轟く巨砲(リボルビングバスターキャノン)』(源内あおの友人である寿武希子から貰い受けた大砲。その名に恥じない凄まじい火力を誇る)

武器:ウェポンユニット(轟雷や彼女と戦ったFAガールが使っていた武器。今回の聖杯戦争において、轟雷はそのうちの数種類を自前で用意しており、状況に応じて装備を変更する事が可能)

願い:特に無し

方針:マスターに従う

源内あおの家に偶然から届けられたFAガール。複数のユーザーに送り届けられたものは起動しなかったのに対し、あおに届けられた1体だけが起動に成功、世界でただ1体だけの『次世代AS搭載型の轟雷』となった。これにより、製造元のファクトリーアドバンス社はあおに注目し、モニターテストとしてAS搭載型のFAガールを次々と送り届けてきた。起動当初は感情を全く理解出来ず、非常に事務的な反応であったが、その一方で好奇心は強く、あおの小さい頃のアルバム等を見たり、あおや他のFAガールたちと接していく中で、次第に感情豊かに成長していった。なお、趣味嗜好は質実剛健なままであり、自ら製作した自室はロッカールームや武器庫を想起させる様相を呈していた。




実のところ、この話は連載当初から書いていたものなのですが、なかなか出せそうな感じにならず、こうして投稿するに至るまでなんと約8ヶ月もかかってしまいました。


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成れ果てとアルター使い

どうも、しきんです。

皆様、お久しぶりです。

前回の投稿から1ヶ月も待たせてしまい、申し訳ありませんでした。


聖暦2110年 11月30日 未明 再開発地区

 

日付が変わって間もない深夜、未だに瓦礫や廃墟が多く残る再開発地区で、ナナチは地面に寝転がっていた。

 

言峰教会を出て、ナナチが取った最初の行動は役割に合わせて必要な物を買い揃える事だった。

 

水と食料、サバイバルナイフやテントといったアウトドア用品を買った。

 

そして明日・・・と言うより、今日の日中はクロスボウを自作する為の原料を買う予定である。

 

これには訳がある。銃火器は武器屋で購入する事が出来、調達手段としてもそちらの方が早い。だが、市販されている銃火器にはセーフティシステムが搭載されている。対人戦になれば、安全の為の機能が特大級のデメリットとして使用者に牙を剥くのである。

 

だが、自分の手で武器を作る場合はその限りではない。作る物によっては技術が求められるやり方だが、セーフティシステムを組み込む必要が無い分、デメリットは小さい。

 

「月が綺麗だな・・・何時ぶりだっけ、こんなに綺麗な月を見たのは」

 

ナナチはそう呟く。現在、彼女はいつもの衣服に加え、購入した子供用のダスターコートを身に纏っている。

 

彼女の願いはただ一つ。ボンドルドの所業により成れ果ててしまった友人ミーティを殺す事である。

 

友人を殺す―――倫理的に問題はあれど、普通なら不可能な事ではない。

 

そう、普通なら。

 

だが、ミーティの場合は別であった。何故なら、ミーティは成れ果てた際に不死能力を得てしまったのだから。

 

毒を盛られても、手足や臓器をすり潰されても死ぬ事が出来ない。痛覚等の感覚が残っている分、余計に性質が悪い。

 

不死の弊害はそれだけではない。ナナチが寿命で死ねば、ミーティはたった1人で苦しみを味わい続ける事になるのだ。

 

ミーティを殺す。それはつまり、ミーティの尊厳を取り戻す事でもあるのだ。

 

ふと、ナナチは起き上がり、口を開く。

 

「なあ、バーサーカー。アンタは何を願うんだ?」

 

そう言いながら、ナナチは横に目を向ける。視線の先には、1人の少年の姿があった。

 

「ああん?そんなのねえよ」

 

少年・・・バーサーカーの意外な返答に、ナナチは少し驚いた。

 

「そうなのか?」

「ああ。聖杯だか何だか知らねえが、変わんねえ。今まで通り、喧嘩するだけだ」

「成程な・・・」

 

バーサーカーのプロフィールを確認して、ナナチが気付いた事は『スキルが変わっている』事だった。

 

基本的に、バーサーカーは狂化というクラス別スキルにより理性を失っている。当然ながら、ナナチが召喚したバーサーカーも持っている。

 

そのランクが下がっているのだ。

 

本来であれば、バーサーカーの狂化はBランク。能力のランクアップと引き換えに言語能力さえも失ってしまう。しかし、それがEランクに抑えられており、言語能力にも支障は無い。

 

そんなこんなで、バーサーカーは何か願いを持っていたりするのだろうかとナナチは考えていた。

 

しかし、その考えをすぐに改めた。偏見かもしれないが、願いを持たず、喧嘩すると言っているあたり、やっぱりバーサーカーなんだなと思った。

 

発した言葉の通り、バーサーカーことカズマに願いは無い。

 

邪魔する奴はぶっ飛ばす。それこそが彼の信念であり、英霊となった今でも変わる事は無い。

 

ならば、願いを持つ目の前の少女の為に拳を振るう。コイツがここで朽ちる必要は無い。

 

カズマはそれを決して言葉に出さない。だが、マスターであるナナチに聖杯を捧げると心に決めた。

 

カズマは夜空に目を向けると、腕を伸ばし、月を掴むように拳を握る。

 

この想い、理屈なんかじゃ表せない。

 

 

[マスター ナナチ]

能力:医療知識(ナナチがミーティを殺す方法を探している際に習得した医療知識)

出典:メイドインアビス

性別:女(と解釈して頂きたい。原作では未だ不明なのである)

武器:サバイバルナイフ(ホームセンター等で売られている一般的なサバイバルナイフ)

役割:ホームレス

願い:ミーティを殺す

方針:他のマスター達の様子を窺う

令呪の位置:右手の甲

ボンドルドの所業により成れ果てとなった少女。友人のミーティを助ける過程で習得した知識と第四層を渡り歩く知恵を持ち、見た目の幼さとは真逆の、現実的で大人びた冷静な性格をしているが、自身の秘密が広まる危険を顧みずリコ達を助ける人情味も持っている。孤児にして壮絶な過去を持つが、ここではその説明を省かせて頂く。生ゴミやそれに準ずるものしか食べていなかった為、味覚が鈍っており、それに比して料理も下手。

 

[サーヴァント カズマ]

クラス:バーサーカー

出典:スクライド

性別:男

ステータス:筋力A、耐久A、敏捷B、魔力E、幸運D、宝具A++

属性:中立・善

スキル:狂化E(B)(筋力のパラメーターをランクアップさせるが、複雑な思考が難しくなる。しかし、生前から複雑な事を考えるのが苦手なので、カズマの場合はこの状態が普通である。本来ならば、Bランク相当の狂化を得るのだが、反逆のスキルを保有している為、ランクが大幅にダウンしている)

    魔力放出B(武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。カズマの場合、宝具を使用する際に必要)

    反逆A+(全ての事柄に抗い続ける事が可能となるスキル。自分の意思を捻じ曲げられるのが許せない為に精神に干渉する全ての効果を無効化に近い状態まで押さえ込む。クラス別スキルである狂化にも効果があり、自らの意思で行動する事を優先させる為にランクを大幅に下げている。また、令呪ですらこの効果を受ける。更に、重圧・威圧・バッドステータス等にも該当し、如何なる状態であろうとも十全の戦闘能力を発揮出来る)

    男の意地A(絶対に信念を捻じ曲げない一途な意思。Aランクの勇猛と戦闘続行の効果を兼ね備える)

    精神感応性物質変換能力A++(ロストグラウンドに生まれた人間の2~5%が持つ特異能力。主に物質を分解してアルター粒子とし、別の物質に再構築する力。使う人間によって様々な姿で発現する)

宝具:『己を誇示する右腕(シェルブリット)』(カズマの右腕を覆う融合装着型アルター。攻撃方法はただ相手を殴るのみと至ってシンプルだが、背中にある3つのフィンを爆発させて推進力を生み出し、その勢いを利用したパンチはあらゆる物を砕く。また、消費したフィンは再構成可能)

   『輝く黄金の右腕(シェルブリット)』(『向こう側』に存在する『アルター結晶体』の一部を奪い、強化されたシェルブリット。背中にある一枚羽根のプロペラを回転させ、魔力放出を行う事により加速し、更には飛行する事も可能となった。そして手甲を展開し、手甲の内部のものを回転させる事により、爆発的な推進力を得る。また、それに比例して威力が増大したパンチ『シェルブリット・バースト』を放つ事が可能となる。使用回数の制限は無くなったが、連続で使いすぎると『右腕が使い物にならなくなる』恐れが出て来る)

   『天下無敵の自慢の拳(シェルブリット)』(全身をアルター化させる事により、全身が宝具となった状態となる。背中に生える尻尾状のものを地面や空間に叩きつける事により、膨大な推進力を得る。両腕がシェルブリットとなっており、単純に攻撃するだけでも凄まじい攻撃力を持つ。更に両腕を前に出し、合わせて突撃する事でこの宝具の攻撃力を最大限に発揮し、如何なる相手をも打ち砕く)

武器:言うに及ばず

願い:聖杯戦争=喧嘩の延長

方針:喧嘩相手を探す

連経済特区『ロストグラウンド』の崩壊地区で、何でも屋を営むアルター使いの青年。本名を含む経歴が殆ど不明で、真名もよく呼ばれていた名が暫定的に刻まれたものである。『シェルブリットのカズマ』という通り名を持ち、ネイティブアルターの間でも浸透している程有名で自他共に呼称する。性格は身勝手で負けず嫌い。自分に嘘は吐けず、短気で喧嘩っ早く、他者に媚びない直情型の馬鹿。幼い頃から1人で生きてきた為か、物事に対しての決断が早い。妥協や諦めを頑なに嫌い、何事にも己の力を信じてぶち当たる独自の行動理念を持つ。様々な闘い、出会い、別れを経て思考形態が『力を正面から押し通す』事に特化していく。粗野で単細胞な面が目立つ一方で義侠心が強く、弱い相手に力を振るうことを嫌い、自分が守ろうと決めたものには心配をかけさせまいと気丈に振る舞って見せるなど、不器用な優しさも隠している。劉鳳とは、互いに『絶対に負けられない敵』と認識し、その名を刻み合う宿敵の関係である。




有り得たかもしれない、または有り得たら困るシーン

ホームセンター

それは、ナナチ達が会計を済ませた直後の事だった。

ナナチ「必要な物はこれで全部揃ったな・・・ん?」
カズマ「あん?どうしたんだよナナチ」
ナナチ「なんか、手紙が入ってるぞ。どれどれ・・・」

手紙『聖杯戦争に向けてナナチを頂きに参ります』

ナナチ「えっ・・・(な、何か嫌な予感が・・・)」
カズマ「何だこれ?ラブレターってヤツか?」

この数日後にナナチが何者かに拉致されてしまうのだが、それはまた別の話である・・・。


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最後の現実

どうも、しきんです。

『モダンファンタジアシティの地理』に記載されている『+全体』の項目に都市の座標についての説明を追記しました。


「・・・?」

 

異変に気が付いたのは、廊下に落ちていた虹色に光る綺麗な石を拾ってから数分後の事だった。

 

周りを見ると、何故か宇宙空間が広がっていた。

 

IS学園にプラネタリウムがあって、そこに迷い込んだとか、なんて事じゃない。そもそも、IS学園にプラネタリウムは存在しない。

 

これは一体・・・

 

「一体、どういう事なの・・・?」

 

思わず、そう呟く。

 

確か、私は廊下を走っていた筈。それがどうして宇宙空間に飛ばされるのだろう。

 

それだけじゃない。今いるこの空間に対しても幾つか疑問がある。宇宙空間にしては重力を感じるし、息も出来る。つまり、ここは『宇宙空間であって宇宙空間ではない』という事になる。

 

しかし、ここが何処なのかをこれ以上考える事は無かった。

 

自分がそれどころではない状況にある事を、すぐに思い知らされたから。

 

私の前で、ヘドロのような黒い何かが地面(?)の上でもぞもぞと蠢き、人の形を成していく。

 

よく見ると、それは右手にガトリングガンを、左手に日本刀を持っていた。

 

それはガトリングガンの銃口を私に向けた。

 

ISスーツを着てない、けど―――そんな事を言っている場合じゃない!

 

急いで自分のIS『打鉄弐式』を展開させる。同時に、ガトリングガンが火を噴いた。

 

ガトリングガンから吐き出された銃弾はシールドに弾かれ、見えない地面に落ちた。

 

すかさず、打鉄弐式を時計回りに飛ばせる。

 

打鉄弐式の展開が間に合ったお陰で今さっきの攻撃を防ぐ事が出来たけど、あれは一体、何・・・!?この空間と何か関係がありそうだけど・・・。

 

それを暫く観察して、分かった事がある。時間経過でそれの動きが良くなってきている事だ。最初はぎこちなかったけど、2~3分経っただけでかなり素早くなっている。

 

それだけじゃない。それの射撃の精度も段々高くなってきて―――

 

「―――ッ!?」

 

突然、背中のブースターを吹かして、私目掛けて飛んできた。

 

予想外の事態に、判断が遅れた。

 

その一瞬の隙を突かれて―――

 

「あああーーーーーッ!?」

 

それの体当たりを受けて、私はバランスを崩してしまった。

 

慌てて体勢を立て直そうとしたけど、もう遅かった。

 

「うううッ!?」

 

成す術無く墜落してしまう。迎撃しようにも、間に合いそうにない。

 

「あ・・・ああ・・・」

 

ホバリングによって宙に浮くそれは、日本刀を私に向けて、迫ってくる。

 

嫌だ・・・死にたくない・・・

 

こんな所で、死にたくない―――!!

 

その一瞬の事はあまり覚えていない。その時の私は無我夢中だったから。

 

気付いた時には、私は1枚のカードを取り出していて、目の前に1人の人間(?)が立っていた。

 

鈍色の肌、マゼンタ色の髪。瞳の色は水色で、白目の部分はネガを反転させたかのような黒。失礼な言い方かもしれないけど、この世のものとは思えないような姿だった。

 

 

いつの間にか、私・・・いや、私と変な人は洋風の建物の内部にいた。どうやら、ここもさっきの宇宙に似た空間もIS学園じゃないみたい。

 

「ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ。私は言峰綺礼。今回の聖杯戦争の監督役を務めている」

 

その時、後ろから知らない男の声が聞こえた。

 

振り向くと、そこには見知らぬ神父服の人が立っていた。

 

神父服の人は言峰綺礼と名乗って、『聖杯戦争』についての説明を始めた。

 

 

聖暦2110年 12月1日 夜間 ダウンタウン とある料亭

 

言峰教会を後にした私達は、この店に立ち寄った。

 

この世界における常識のお陰か、フォーリナーを見ても店員は驚く様子も無く、私達を空いていた個室に案内した。

 

この部屋で交わした会話の内容は、大まかに言えば本戦が始まるまでの方針についての会議だった。

 

30分近く続いた会議が終わったところで、フォーリナーがこんな事を口にした。

 

「さて・・・これからの方針も決まったところだ。私はこれから陣地を作りに少し離れるが、お前はどうする?」

 

フォーリナー、ヘラルドは不敵な笑みを浮かべる。何を考えているのか、まるで分からない。

 

「一先ず、寮に戻る。・・・そうだ、フォーリナー」

「何だ?」

 

この際だから、一つ聞いておこう。

 

「まだ聞いてなかったけど、貴女は聖杯に何を望んでいるの?」

 

私の問いに、ヘラルドは少し考え込んでこう答えた。

 

「・・・私の願いは島を手中に収める事、と言っておこうか」

「―――?」

 

訳が分からない。

 

島を手中に収める?その島って、フォーリナーのいた世界の島の事を指しているの?

 

そもそも、島が一つしかない世界なんてそうそう無いと思うけど・・・いや、一つくらいはあるのだろうけど。

 

私はヘラルドの属性や人物背景から、注意を払う事を心に決めた。

 

 

一応ではあるが、この陣営も『友好的に』接している。

 

不和も対立も然程無く、互いが『勝ち残る』という一致した目的の為に共闘する。

 

傍から見れば、割と真面な主従関係と大抵の者は思うだろう。

 

だが―――

 

さて、どれくらい保つかな?この小娘は。

 

ヘラルドは簪を『聖杯戦争を勝ち残れない人間』と判断し、早々に見切りを付けていた。

 

運が良ければ終盤に差し掛かる頃までは生き延びる事が出来るかもしれないな?だが、それも時間の問題。

 

恐らく、この小娘はこの聖杯戦争を勝ち残る為に必要な力を持たぬ。それに此奴自身が気付いたところで、その状況を変える事は出来ぬよ。

 

此奴に味方する者がいるとすれば、精々『運』というヤツだろうが・・・果たして、そう上手く味方に付けられるかな?

 

まあいい・・・利用価値がある内は、利用してやろうではないか。

 

勿論、利用価値が無くなれば他のマスターに乗り換えるが、な。

 

ヘラルドはほくそ笑む。それに気付く者は誰1人いない。

 

 

[マスター 更識簪]

能力:IS適性(ISを操縦する為の適性。当然ながら、これが無ければISは動かせない)

出典:インフィニット・ストラトス

性別:女

武器:打鉄弐式(簪の第3世代型IS。諸事情により永らく未完成のままだったが、簪が一夏のタッグパートナーとなった事で、彼の人脈からIS学園整備科の協力を経て完成した)

役割:モダンファンタジア・アカデミーに通う高校1年生

願い:あるにはあるが、叶えて良いのか迷っている

方針:聖杯戦争に向けて情報を集める

令呪の位置:右手の甲

更識楯無の実妹であり、日本の代表候補生。ヘッドギアを装着した内巻きのミディアムヘアに加え、四角眼鏡・・・と見せかけた簡易型ディスプレイを掛けた儚げな少女。内気な性格であり、他人を寄せつけない雰囲気を醸し出す。優秀すぎる姉に対し、凄まじいコンプレックスを抱いている。潜在能力は高く、取り分け演算処理や情報解析、空間認識や整備能力等に秀でている。姉の事を模倣し、独力で自分のIS『打鉄弐式』を完成させようとしていたが、四苦八苦する日々を送っていた。織斑一夏に対しては当初こそ恨み節だったが、親身に接してくれる姿勢や周りの周囲の協力を得て、遂に打鉄弐式を完成させる事に成功。一度は人との係わり合いの大切さを学んで、互いの名前を呼び捨てし合う程一夏に惹かれていくが・・・。

 

[サーヴァント ヘラルド]

クラス:フォーリナー

出典:フォートナイト

性別:女

ステータス:筋力B、耐久A++、敏捷D+、魔力A++、幸運B、宝具EX

属性:混沌・悪

スキル:領域外の生命A(外なる宇宙、虚空からの降臨者。邪神に魅入られ、その権能のクロムを身に宿して揮う者)

    陣地作成A+(魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。『神殿』を上回る『大神殿』を形成する事が可能)

    道具作成A(魔力を帯びた器具を作成出来る。クロムを応用すれば、特殊な改造を行う事も可能)

    神性B(神霊適正を持つかどうか。外宇宙に潜む高次生命の先駆となり、強い神性を帯びた)

    クロム-(液体金属のような見た目をした謎の物質。全てを喰らい、全ての存在に成り変わる事が出来、木や石から建築物、更には動植物や人間までをもクロム化させる事が出来る。また、飲み込んだ武器の性能を変える事も可能)

宝具:『無限の液体金属(アンリミテッドクロムワークス)』(結界宝具であり、『ヘラルドの本質』。あらゆるものを飲み込む事は勿論、ヘラルドが今まで視認した武器を素材をクロムに置き換えて生成する、クロム化したオオカミを嗾ける、周りのクロムを取り込み巨大化するといった事も可能)

   『侵略生物の金属城(ヘラルド・サンクタム)』(ヘラルドがとある島に現れた際、同時に生み出された城。クロムで出来ており、火属性のあらゆる攻撃を無効化する事が出来る)

武器:クロム(スキル参照)

願い:島を侵略する・・・?

方針:???

ラストリアリティの1人と言われている女性。体は謎の物質『クロム』で出来ており、クロムを操る力を持つ。この力を以てとある島を侵食し、飲み込んだ末に現実の木諸共完全にクロム化。しかし彼女は現実の木に閉じ込められ、パラダイムの活躍により島ごと爆発四散した。




フォーリナー・・・コイツだけは出しておきたかった!(ガチ)

当初はやらない夫とフォーリナーを組ませるプランも考えていましたが、予定を変えてこの形にしました。


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夢の中で逢った貴女と

どうも、しきんです。

漸く本戦開始前の折り返し地点(予定)に辿り着きました・・・!


そこは、何処まで行っても白と黒だけの空間だった。

 

少女は、無我夢中でその空間の中を走っていた。

 

やがて、扉に辿り着いた少女は、扉を開き、空間の外に出た。

 

 

そこは、崩壊した世界だった。

 

見下ろすと、街灯は不規則なテンポで赤く点滅している。そのうちの幾つかは捻じれ、傾いており、今にも倒れてしまいそうだ。

 

見上げると、空は鈍色に染まっていた。倒壊したビルは悉く宙に浮き、その上では巨大な化け物が世界を見下ろしていた。

 

少女の目に、黒髪の少女の姿が映る。

 

その戦いは、戦いと呼ぶには余りにも一方的なものだった。

 

黒髪の少女は化け物を相手に孤軍奮闘するが、成す術無く吹き飛ばされ、叩き付けられる。

 

叩き付けられた黒髪の少女は、悲痛な声で少女に向かって叫ぶ。だが、少女には黒髪の少女の声が聞こえず、何を言っているのかが解らなかった。

 

少女は思った。

 

―――逃げたい。でも、動けない。

 

自分が何も出来ない事が悔しい。

 

助けに行かなければならないのに、目の前に広がる光景を見ていられず、涙が止まらない。

 

もし、自分に何か出来る事があれば。

 

何の取り柄も無い自分でも、あの娘を助ける事が出来るなら―――。

 

本来であれば、少女はこの時にインキュベーターと出会う筈だった。

 

だが、少女の周りには誰もいない。

 

少女を魔法少女の世界に誘うインキュベーターの姿も、ここには無い。

 

少なくとも、ここで言える事はただ一つ。

 

少女は、既に本来のそれとは違う(ルート)を歩んでいたのだ。

 

 

気が付くと、私はあの崩壊した見滝原とは違うところにいた。

 

目の前には扉がある。でも、さっき無我夢中で走っていた所とは違うような・・・。

 

そう思いながら、扉を開けると―――

 

―――その先には、星空が広がっていた。

 

下を見ると、そっちにも同じように星空が広がっている。右にも、左にも、前にも、後ろにも。どの方向を見ても沢山の星が輝いている。まるで、宇宙にいるみたいで―――

 

『ようこそ、願望を抱くマスター候補者よ』

 

突然、男の人の声が聞こえた。

 

「えっ―――?」

 

今の声は何処から聞こえたの?

 

ここには私しかいないのに?周りには誰もいないのに?

 

私は戸惑いを隠せなかった。

 

『これより行われるのは、自らの願いを叶える為に万能の願望器たる聖杯を賭けた闘争、聖杯戦争の予選』

 

聖杯戦争?それに、予選って?

 

私がその意味を知るのに、そう時間はかからなかった。

 

 

数分後

 

目の前に現れたそれはとても不気味だった。

 

影のような何かはもぞもぞと蠢いて、十数秒くらいの時間をかけて人の形になった。右手には剣を持っていて、今にも襲って来そうな様子だった。

 

「これは・・・?」

『それは英霊が真っ当に召喚され損ねた、銘を持たぬサーヴァント『シャドウ』だ。それを倒せば・・・見事、予選突破となる』

「あれを倒せば・・・どうやって?」

『それは、君が自力で英雄達の記録が保存されている『英霊の座』に接続しなければならない。その為の切り札・・・セイントグラフは既に君の手の中にある。そして、己の意志を示す事だ。思いであれば、何でもいい。死にたくない・・・生き残りたい・・・願いを叶えたい・・・相手を倒したい。己の意志を一点に収束して、強く願うのだ』

 

声がそう言ったのと同時に、影・・・シャドウが近付いて来る。

 

私は武器なんて持ってないし、何も持たないで戦うなんてのも無理だよ・・・!

 

怖い。

 

逃げたい。

 

そう思っても、足が動かない。

 

そうしている間にも、シャドウはまどかに近付いて来る。

 

己に秘められた特別な力を発揮する術を持たず、その存在すら知らないまどかは、ただのか弱い少女に過ぎないのだ。

 

遂にまどかはへたり込み、立つ事すら出来なくなってしまった。

 

そして、シャドウが剣を振り上げた―――まさにその時だった。

 

 

全ての魔女を生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で―――!

 

さあ―――叶えてよ、インキュベーター!

 

 

自分が今、何を思っていたのかは分からない。

 

でも、それまで思っていた事を吹き飛ばす程の強い何かが、私の中で目覚めたような・・・そんな気がする。

 

気が付くと、目の前でセイントグラフが光っていた。

 

何も描かれていない面に、絵が浮き出る。絵には魔法使いが描かれていた。

 

目の前に幾つかの輪のような光が浮かび上がってきて、雷と強い光と一緒に誰かが姿を現した。

 

その人は―――その女の子は、

 

「―――!」

 

ついさっき見たばかりの、あの崩壊した見滝原で1人で戦っていた女の子だった。

 

長く伸びた黒い髪に学校の制服のような服。左手には円形の盾を持っている。背を向けていて、顔は見えない。

 

シャドウが女の子に襲い掛かる。

 

「あ、危な―――」

 

私は思わず叫んだ。

 

次の瞬間、

 

「―――え?」

 

いつの間にか、シャドウは吹き飛んでいた。

 

シャドウが襲い掛かってきたと思ったら、いつの間にかシャドウが倒されていた。

 

今のは一体―――何が起こったの・・・?

 

すると、女の子が振り向いた。女の子は、いつの間にか右手に拳銃を持っていた。この銃でシャドウを倒した、のかな?

 

女の子は拳銃を盾の裏側にしまうと、足下に落ちていたセイントグラフを拾って私に顔を向ける。その時、何故か一瞬だけ驚いたような顔をしたけど、その表情はすぐに消えた。

 

そして、女の子はセイントグラフを差し出して、こう問いかけた。

 

「・・・貴女が私のマスターかしら?」

 

そうだ。セイントグラフを受け取って、お礼を言わなくちゃ。

 

「助けてくれてありがとう!えっと、貴女は・・・?」

「・・・私はキャスターの―――」

 

私のその問いに女の子が答えようとした時だった。

 

突然、目の前が暗くなっていく感覚に襲われた。

 

いや、目の前が暗くなっているんじゃない。見渡してみると、辺りが暗くなってきていた。

 

星は一つ、また一つと消えていって、とうとう何も見えなくなった―――

 

 

―――ここは?

 

気が付くと、私は・・・いや、私と女の子はあの宇宙のような空間とは別の場所にいた。

 

ここは・・・教会?

 

「ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ。私は言峰綺礼。今回の聖杯戦争の監督役を務めている」

 

突然、後ろから声が聞こえた。

 

慌てて振り向くと、そこには黒い服を着た背の高い男の人が立っていた。

 

「まあ、そう緊張しなくてもいい。私は監督役であり、中立の立場だ。参加者である君達を歓迎し、聖杯戦争の舞台への水先案内をする者だ」

 

言峰綺礼と名乗った男の人は笑みを浮かべてそう言った。

 

そう言われても緊張しちゃう。悪い人じゃないとは思うけど・・・。

 

私達が言葉を発せずにいると、言峰さんは聖杯戦争についての説明を始めた。

 

曰く、聖杯戦争とは、並行世界や多元宇宙から召喚されたサーヴァントと手を組み、他の主従達と殺し合う戦いである。

 

曰く、勝ち残った最後の一組だけが世界を望み通りに改編する事が出来る。

 

ふと、私は言峰さんにある疑問をぶつけた。

 

「言峰さん、私はどうしてこの世界に来たのかな?私には何の取り柄も無いのに、一体何がどうして・・・?」

「成程、それは気になる事だろう。この世界への召喚はサーヴァントを召喚する為の星晶石を持ち、強き願いを持ち得る者に対し行われる」

「星晶石ってどんな物なんだろう?聞いた事も無いな・・・」

「だが、君自身が星晶石を意識せず、そして参加を望もうとせずとも、聖杯は君をこの聖杯戦争の舞台へ呼んだのだ。それは偶然か、或いは君に僅かな可能性である願いを叶えてほしいと思い祈った者、Prayer(プレイヤー)がいるのかもしれんな。この場所、この教会は人々が祈る場だ。その思いは何処かに伝わったり、逆に祈りを引き寄せたりもする。願いを叶える為の祈りを受け入れて、聖杯戦争の参加者達はこの教会へ召喚される」

 

祈る者―――。

 

 

聖暦2110年 11月29日 午前 スクールタウン 穂群原学園 校門

 

まどかとキャスターがモダンファンタジアシティに来てから迎えた最初の朝。

 

「・・・まどか・・・」

 

校門の近くに生える木の上で、キャスター・・・暁美ほむらは人知れず言葉を漏らした。

 

まさか、貴女がマスターだなんて・・・。

 

そう、ほむらにとって、自分のマスターは・・・鹿目まどかは救いたかった存在なのだ。

 

生前、ほむらはまどかを救う為に戦い続けた。何度も繰り返し、何度も運命に干渉したが、その度に凄惨な結末を迎えてしまった。

 

そして、その螺旋は遂に終わりを迎えた。『鹿目まどか』という存在の消滅という形で。

 

暁美ほむらは誓う。

 

もしも聖杯を手に入れ、願いを叶える事が出来るのなら。

 

今度こそ、まどかを救う事が出来るなら。

 

私は―――その為に全てを尽くそう。

 

 

[マスター 鹿目まどか]

能力:魔法少女(まどかが秘める魔法少女としての素質。しかし、まどかは契約はおろか、インキュベーターとの出会いも果たしていない為、魔法少女が何なのかすら知らない)

出典:魔法少女まどか☆マギカ

性別:女

武器:無し

役割:穂群原学園に通う中学2年生

願い:誰かの役に立ちたい

方針:まだ決めてないけど、出来れば、他の人達と戦いたくない

令呪の位置:右手

極々平凡な少女であり、友達想いで心優しい性格の持ち主。自分には何の取り柄も無いと日頃から思っているが、誰かの役に立ちたいと常に考えている。嘗て無い程の魔法少女としての素質を持つが、本人はまだそれを知らない。

 

[サーヴァント 暁美ほむら]

クラス:キャスター

出典:魔法少女まどか☆マギカ

性別:女

ステータス:筋力D、耐久E、敏捷D+、魔力A、幸運D、宝具EX

属性:秩序・中庸

スキル:陣地作成D(魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。『防御結界』の形成が可能)

    道具作成E-(本来は魔術的な道具を作成する技能だが、ほむらが作成出来るのは爆弾のみであり、それ以外のものを作成する事は不可能)

    魔術C(オーソドックスな魔術の習得。彼女の強化は手製の爆弾さえも強力な兵器にしてしまう)

宝具:『紫色に輝く魂の宝石(ソウルジェム)』(肉体から引き離され、物質化されたほむらの魂そのもの。常に持ち主の体を治癒し続けるが、この宝具を破壊される事は彼女の死を意味する為、同時にほむらの弱点でもある)

   『もう、誰にも頼らない(アイ・アム・ワンマンアーミー)』(車両等を含む近代兵器を自分の宝具にしてしまう能力。ワルプルギスの夜等との戦いが逸話となり、宝具にまで昇華したもの。他のサーヴァントの宝具や魔術品を自分の宝具にする事は不可能)

   『時を駆ける盾(ザ・ワールド・オブ・ほむら)』(限定条件下で時間停止や時間遡行を可能とする宝具。また、盾の内側に大量の武器を収納する事が出来る)

武器:軍用エーテルピストル(地球統合軍の標準装備。統合軍基地からパクった。これを含む武器は全て『時を駆ける盾』に収納している)

   軍用エーテルアサルトライフル(地球統合軍歩兵部隊の標準装備)

   軍用エーテルサブマシンガン(特殊部隊向けに開発されたブルパップ方式のサブマシンガン)

   手製の爆弾(ほむらお手製の爆弾)

   etc...

願い:鹿目まどかを守る

方針:まどか―――貴女だけは私が守る

魔法少女。学業・運動・容姿に優れた才色兼備でありながら、人を寄せ付けない雰囲気を纏っている。嘗ては心臓病が治ったばかりの内向的な性格だったが、鹿目まどか、そしてキュウべえとの出会いを経て魔法少女となった。契約により得た魔法で時間を遡り、まどかと巴マミと共に魔女と戦うが、そのうちに魔法少女と魔女の真実を知った。3度目の世界ではまどかと共にワルプルギスの夜を撃破したが、ソウルジェムの穢れは限界に達していた。グリーフシードをまどかから貰ったほむらは、まどかから「過去に戻り、自分を助けてほしい」と頼まれ、時間遡行の後に覚悟を決める。何度、凄惨な結末を迎えようとも諦めず、運命に干渉してまどかを救おうとしたが、運命を覆す事は出来ず、やがてループを放棄し、絶望しそうになった。しかし、そこに駆け付けたまどかの願いとその存在の終焉を見届ける。再構築後の世界では唯一、まどかについての記憶を持ち、キュウべえと共に魔獣と戦い続けた。




Q.どうしてほむらちゃんが悪魔じゃないんですか?(電話猫)
A.霊基再臨すれば悪魔化出来る筈だから・・・。(震え声)


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殲滅を願う救世主、戦車を駆る少女

どうも、しきんです。

MFゴーストがもうすぐ始まるお・・・!


聖暦2110年 11月27日 夜間 ミラージュヒルズ

 

ミラージュヒルズに建つとある古びた豪邸の部屋に、1人の青い髪の老人がいた。

 

名はフリット・アスノ。ガンダムを、AGEシステムを造り、『救世主』になろうとした男である。

 

役割の項目によれば、息子のアセムはエンジニアになり、孫のキオは穂群原学園で学生生活を謳歌しているという。

 

そして、自分が今いるこの豪邸・・・自宅として割り当てられたこの豪邸は、あの日、母と共に焼け落ちた生まれ故郷だったのである。

 

この都市におけるアスノ家は、正にフリットが喪った物と、手に入れようとした物で溢れ返っていた。

 

フリットはこれまでの事を振り返る。

 

私は多くの仲間を、この手から取り零していった。

 

この屋敷が燃えたあの日、母を喪った。

 

続いて、自らの力で私を助けてくれたユリン・ルシェルも。

 

私が長い歳月を掛けて造ったガンダムを賭けて戦ったウルフ・エニアクルも。

 

私がまだガンダムのパイロットとして認められなかった頃に、誰よりも私の事を認めてくれたグルーデック・エイノアも。

 

皆、ヴェイガンの手によって死んでいった。

 

私が・・・ガンダムが余りにも未熟である故に。

 

私は、彼等の未練を晴らさなければならない。

 

その為にも、ヴェイガンは必ず潰さなければならない。例え、どんな手段を使ってでも。これ以上、母やユリンの様な犠牲者を増やさない為にも。

 

復讐者だと罵られる覚悟なら、とうの昔に出来ている。

 

それで世界が平和になるというのなら、どんな罰でも受けよう。

 

その為にも、聖杯は必ず手に入れる。

 

聖杯戦争―――万能の願望機『聖杯』を巡って争う儀式。

 

これは、フリットにとってはある意味でチャンスでもあった。

 

何しろ、がむしゃらにヴェイガンと闘うよりも少ない犠牲で、己の悲願を達成する事が出来るのだから。

 

無論、犠牲無しで勝ち残れる戦いだと思ってはいない。

 

だが、だからと言って立ち止まる訳にはいかないのだ。

 

今、此処で立ち止まっては、死んでいった仲間達の命は無駄になってしまうのだから。

 

聖杯が本当にあらゆる願いを叶える事が出来るのなら、その力は必然的にアセムが教えてくれたEXA-DBさえも凌駕するだろう。

 

いや、それ以上に―――戦う力以上に、世界を変える事すら可能という事になる。

 

それ程の力があるなら、この世からヴェイガンという存在そのものを消し去る事も可能な筈だ。

 

そうすれば、母が焼け死ぬ事も、ユリンやウルフが嬲り殺される事も無くなる。

 

それで地球に、完全なる平和を齎す事すら可能となる筈だ。

 

母が託してくれたガンダムすら無くとも、私が聖杯を手に入れる事で、アセムやキオにも辛い想いをさせずに済む。

 

それが出来るというのなら―――戦おう。聖杯戦争を勝ち残り、聖杯を手に入れてやろう。ヴェイガンをこの世界から、完全に根絶やしにしてやる為に。

 

フリットは決意した。

 

その瞳には、憎悪の炎が宿っていた。

 

勝てば悲願は達成され、負ければ己の人生が終わる。

 

最早、後戻りは出来ないのだ―――。

 

 

フリットの側には、1人の少女の姿があった。

 

マスターであるフリット、そして同業者にしか知らぬ事だが、少女はサーヴァントである。

 

サーヴァントはクラス名をライダー、真名を西住まほと言う。

 

本格的に戦いが始まるまでは情報収集に徹する方針の為、まほは未だどの英霊ともぶつかっていないが、その戦意に翳りは無い。彼の求めに応じて現界した英霊として、共に戦い抜くと決めている。

 

だが、そんなまほにも一抹の不安を感じていた。まるで、マスターが自分にもどうする事の出来ない程の負の感情に取り付かれているような、悪い予感が胸を過っていた。

 

戦いの時は、刻一刻と近付いていく。

 

その先にあるのは、果たして悲願の成就か。それとも―――。

 

 

[マスター フリット・アスノ]

能力:Xラウンダー(人の脳の中で通常は使われない未知の領域『X領域』の能力を使う事が出来る。具体的に言えば、近未来視や反射速度の向上、ビット兵器の操作能力等の他、他者との感覚共有さえも可能とする)

出典:機動戦士ガンダムAGE

性別:男

武器:無し

役割:ミラージュヒルズに住む退役軍人

願い:ヴェイガンの侵略を無かった事にする

方針:優勝狙い

令呪の位置:右手の甲

高名なモビルスーツ鍛冶一門『アスノ家』の末裔。7歳の時、UE(アンノウン・エネミー)の襲撃で母親を喪う。その時からUEへの復讐を誓い、遺されたAGEデバイスのデータを基に7年の歳月をかけてガンダムとAGEシステムを造り上げる。ガンダムに乗り込んだ彼はモビルスーツ操縦に関しては素人でありながら初めてUEを倒す快挙を果たし、救世主として持て囃される。しかし、彼を待っていたのは修羅の道だった。心を通わせた少女と嘗て愛機を取り合ったライバルを魔少年デシル・ガレットに殺められた挙句、世話になった上司もまた、UE・・・否、火星移民の末裔『ヴェイガン』の手によって暗殺されてしまう。長期化する戦争を通して母、初恋の人、親代わり、同僚、恩師と次々と大切な人間を目の前で喪ってしまった事でその想いはより苛烈な方向に歪んでいく事になってしまう。

 

[サーヴァント 西住まほ]

クラス:ライダー

出典:ガールズ&パンツァー

性別:女

ステータス:筋力D、耐久D、敏捷C、魔力E、幸運C、宝具B++

属性:秩序・中庸

スキル:対魔力D(魔術への耐性。一工程による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度のもの)

    騎乗C++(乗り物を乗りこなす能力。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。まほの場合は戦車の操縦に特化しており、性能を限界まで引き出す事が出来る)

    カリスマD++→D(軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。カリスマは稀有な才能で、一軍のリーダーとしては破格の人望である。本来なら小国の王のそれに迫る効果を持つが、西住流の影響により効果が低下している)

    西住流A(日本の戦車道における最古かつ最大の流派。統制された陣形と圧倒的な火力を用いた短期決戦で敵と決着を付ける単純かつ強力な戦術。軍略等の効果を持つが、如何なる犠牲を払ってでも勝利する事を掲げている為、カリスマの効果を低下させる)

宝具:『Panzerkampfwagen VI Tiger Ausführung E(Ⅵ号戦車ティーガーⅠ)』(第二次世界大戦中、ドイツ軍が開発・運用した重戦車。まほが第63回戦車道全国高校生大会決勝戦等で搭乗した事から宝具となった)

   『黒森峰女学園戦車部隊(シュバルツバルト)』(黒森峰女学園の戦車部隊。ドイツ軍の強力な戦車を多数保有しており、整然とした隊列を組んでの電撃戦を得意とする。如何なる相手も真正面から迎え撃ち、圧倒的な火力を以て捻じ伏せるその戦いぶりは、正に『王者』と呼ぶに相応しい)

武器:『Panzerkampfwagen VI Tiger Ausführung E』

願い:どちらかと言えば無い方

方針:一応、マスターには従う

戦車道の名門『黒森峰女学園』の隊長で、西住みほの姉。西住流の後継者として頭角を現しており、第62回戦車道全国高校生大会では、チームは準優勝ながらもMVPに選ばれ、国際強化選手としてメディアに取り上げられる程の実力者。そうした経緯もあり、性格は生真面目かつ厳格で冷静沈着。実妹のみほに対しても、当初は戦車道と西住流から逃げ出したとして表向きは冷徹な態度を取っていたが、実際は妹思いであり、本質的には温厚な人物である。大学選抜チームとの試合後にニーダーザクセン大学への留学が決まり、ドイツへと渡った。




プロフィールの方は、西住流の効果をどうするかが一番の問題でしたね・・・。

現在募集中のアンケートについてですが、9月30日を以て回答受付を終了とさせて頂きます。


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Expansion blast

どうも、しきんです。

皆様、お久しぶりです。

3ヶ月以上も投稿が遅れてしまい、大変申し訳ございません。

また、今回が今年最後の投稿になります。


245X年 沖縄シャード

 

サンドアートコンクールが終わって、花火大会が始まった。

 

私も、皆と一緒に綺麗な花火を眺めている。

 

でも、やっぱり優勝したかったな。そしたら、夜露さんとの良い思い出に―――

 

「のどかさん」

 

不意に、夜露さんに声をかけられる。

 

振り向くと、夜露さんは小さい黒い箱を、

 

「はい、どうぞ」

 

私に手渡した。

 

「何ですか、これ?」

 

箱を開けてみると、中には見覚えのある物が入っていた。

 

「これって・・・!」

 

それは、虹色に輝く宝石がはめ込まれた金色のネックレス。

 

本当なら、夜露さんにプレゼントするつもりだった・・・でも、あの時買えなかったものだった。

 

「どうしたんですか、夜露さん!?」

「えへへ・・・さっき、あのアクセサリーショップに行ってきたんです」

 

コンテストの後、夜露さんは昨日行ったあのお店にもう一度行っていたんです。

 

店長さんに掛け合ったところ、丁度一つだけ残っていたそうでした。

 

「そうだったんですか。でも、どうして・・・?」

「だってのどかさん、あの時ずっと見てたじゃないですか。物凄く欲しいんだなって・・・」

「あっ・・・」

「だから、私からのプレゼントです」

「夜露さん・・・」

 

そうか、見ててくれたんだ。私の事を・・・。

 

でも、本当は・・・

 

「のどか、さん・・・?もしかして私、余計な事しちゃいました!?」

「え・・・?」

 

夜露さんがそう言われて気が付いた。

 

私は、涙を流していた。

 

「ああ―――いや!そんな事無いです!凄く・・・すっごく嬉しいです!ありがとうございます!」

 

涙を拭いて、夜露さんにお礼を言う。

 

「私、成子坂に来られて本当に良かったです。これからも、よろしくお願いします!」

「こちらこそ!」

 

 

観覧車から降りてからどれくらい経ったか。

 

気が付くと、私は宇宙空間にいた。

 

ここは何処?こんな所、沖縄シャードにあったっけ・・・?

 

そうだ、シモンちゃんは・・・

 

「あれ?」

 

シモンちゃんの姿が何処にも無い。

 

もしかして、ここにいるのは・・・私、1人?

 

「夜露さん・・・シモンちゃん・・・皆、何処に行っちゃったの・・・・・・?」

 

突然に襲って来る孤独。

 

憧れの存在の名を、そしていつも行動を共にする愛鳥の名を口にする少女、高幡のどかの目から涙が零れた―――

 

―――その時。

 

「・・・あれは?」

 

のどかの前方で、何かが動いた。

 

それは・・・影のようなその物体は、蠢きながら人の形になった。

 

「・・・えっ?」

 

それを見た瞬間、のどかは思わず息を吞んだ。

 

「あ・・・ああ・・・」

 

な、何で・・・

 

何故なら、それは―――

 

「何で私がもう1人いるの・・・!?」

 

アリスギアを身に纏う『自分自身』の姿をしていたのだから・・・!

 

剣を手に持つそれは・・・『高幡のどか』の形をしたシャドウは、のどかに迫る。

 

い、嫌だ!死にたくない!!

 

こんな所で、たった1人で死ぬなんて嫌だ!!

 

何か・・・何か武器になりそうなもの―――!!

 

のどかは、無意識のうちに服のポケットに手を突っ込んだ。

 

何かが入っている感触を覚えたので、ポケットの中から取り出してみると、それは表の面が真っ白の奇妙なカードだった。

 

何故、カードの表の面が真っ白なのか。そんなのはのどかにとって些末事でしかなかった。それどころではなかったからである。

 

のどかは目を瞑り、藁にも縋る思いでそのカードを握りしめた。

 

その直後、

 

「うわっ―――!?」

 

のどかの身体は衝撃波を受け、数m程吹き飛ばされた。

 

 

―――。

 

 

それからどれ位の時間が経ったんだろう。

 

何秒か、それとも何十秒か・・・もしかしたらそういうのは錯覚で、実はそれよりも短い時間しか経っていないのかも。

 

それだけじゃない。カードを取り出した時には、あの『私』はもう目の前にまで来ていた筈なのに、痛み・・・ていうか、斬られたような感覚はやって来ない。

 

ゆっくりと、目を開けてみる。

 

あの『私』の姿は何処にも無かった。代わりにいたのは、ギアのようなものを身に纏った女の子だった。

 

「・・・あの!」

 

私は恐る恐る、女の子に声をかける。

 

女の子は私に気が付いたみたいで、私の方に振り向いた。

 

「―――?お前が僕のマスター?」

 

・・・?マスター?

 

よく分からないけど、先ずお礼を言わないと。

 

「助けてくださって、ありがとうございます!あの、お名前は・・・?」

 

そう聞くと、女の子は笑顔で自己紹介を始めた。

 

「僕はフレズヴェルク!ライダーのサーヴァント―――」

 

ライダー?それにサーヴァントって―――

 

そう思っていた時だった。

 

―――あれ?

 

違和感を感じて周りを見ると、今まで輝いていた星達の光が弱くなってきていた。

 

周りはどんどん暗くなってきて、とうとう何も見えなくなった―――。

 

 

気が付くと、そこは行った事も無いような建物の中だった。

 

ここって・・・もしかして、教会の中?いつの間に入ってたのかな・・・?

 

左を見ると、女の子・・・フレズヴェルクちゃん?ライダーちゃん?が隣に立っていた。

 

「ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ」

 

突然、声が聞こえた。

 

振り向くと、そこにはなんか怖そうな神父さんが立っていた。

 

「私は言峰綺礼。今回の聖杯戦争の監督役を務めている」

 

そう言うと、神父さん・・・言峰さんは聖杯戦争についての説明を始めた。

 

 

聖暦2110年 11月30日 未明 アーンヴァル街 高幡宅

 

今日はもう遅いから、役割で住む所に指定された家に帰る?事にした。

 

街の探索は明日―――と言っても、もう12時を過ぎて日付が変わっているから、正確に言えば今日の日中ってところかな―――からにしよう。

 

そんな感じでマップを頼りに歩いて、指定された家に辿り着いた。

 

その家は、私が住んでいる家と瓜二つだった。

 

家に入ると、お父さんとお母さん、お姉ちゃんもいた。

 

2階に上がって、私の部屋のドアを開ける。

 

ここも元の世界と殆ど変わっていなかった。夜露さんの写真も全部ある!良かった~~~!!

 

「マスター、なんか鼻から血が出てるぞ~」

 

 

数分後

 

「ふーっ、ふーっ・・・」

 

のどかは、漸く落ち着きを取り戻した。

 

小さくなったライダーちゃん?を見る。ライダーちゃんの場合は、戦う時以外は基本的にこの大きさらしい。

 

・・・あっ。

 

そういえば、まだ自己紹介してなかったんだっけ。

 

「そういえば、まだ名前を言ってなかったね。私は高幡のどか。貴女の名前は・・・」

 

えっと・・・何だっけ?確か、教会に飛ばされる前に一度言ってたような・・・?

 

思い出せないでいると、それを察したのか―――

 

「あれ?真名はさっき言って―――なかったか!」

 

―――訂正、自分が名前を言い忘れたと思ったのか、サーヴァントちゃんは自慢げに自己紹介を始めた。多分、言ってたと思うけど。

 

「僕はフレズヴェルク!ライダーのサーヴァントで、最強のフレームアームズ・ガールだぞっ!」

 

フレズヴェルク・・・そうだったそうだった!やっと思い出した!あの時に言っていた『フレズヴェルク』が真名で、『ライダー』はクラス名の方なんだった。

 

そうだ。折角だから、もう一つ質問しようかな。何にしよう・・・。

 

願いとか、聞いてみようかな。

 

「ねえ、フレズヴェルクちゃん」

「お?」

「フレズヴェルクちゃんは何を願うの?」

 

そう問いかけた。

 

フレズヴェルクちゃんはニコニコ笑ってこう答えた。

 

「願い?かどうかは分からないけど、兎に角バトルしたい!」

「バトル?フレズヴェルクちゃんは戦うのが好きなの?」

「うん!僕はバトルが大好きなんだ~!」

 

そうか、フレズヴェルクちゃんはバトルが大好きなんだ・・・え?バトルが大好き?

 

「そ、そうなんだ~」

「早くバトルしたいな~!本戦が待ち遠しいぞー!」

「う、うん・・・」

 

あれ?もしかしてフレズヴェルクちゃんって、実はバトルジャンキーだったりして?いやいや、決して悪い娘って訳でもないみたいだし・・・でも、こういうタイプのサーヴァントはフレズヴェルクちゃんだけじゃない可能性だって・・・え?まさかサーヴァントって、皆こんな感じだったりして・・・!?

 

※違います。

 

その内に、のどかの中で最悪の未来が浮かび上がってきた。

 

これ、本戦が始まる前からやっちゃう展開もあるんじゃ・・・?

 

「えーと・・・こ、これからよろしくね、フレズちゃん!」

「うん!」

 

のどかが心の中で『とんでもない戦いに巻き込まれたかもしれない』と戦慄している事など知る由も無く、フレズは笑顔で返した。

 

果たして、のどか達は開始前からサーヴァント同士の戦闘をおっぱじめる事無く本戦開始を迎える事が出来るのか?

 

そして、無事に聖杯戦争を勝ち残る事ができるのだろうか!?

 

その行く末を知る者は、未だおらず―――。

 

 

[マスター 高幡のどか]

能力:エミッション能力(対ヴァイス兵装『アリスギア』の操縦に必要不可欠な能力。のどかの場合は夜露達との特訓の影響から、アクトレス免許を取得するに足りる数値となっている)

出典:アリス・ギア・アイギス Expansion

性別:女

武器:無し

役割:穂群原学園に通う高校1年生

願い:夜露さんとずっと傍にいたい。でも、もし何でも叶うとしたら・・・

方針:本戦が始まるまでフレズヴェルクちゃんを抑えられるかなぁ・・・

令呪の位置:右手の甲

成子坂製作所にアクトレスとして就職した少女。あがり症なところはあるが、物怖じせず、また決して諦めない根性を持つ。比良坂夜露に対して特別な感情を抱いている節があり、それ故か夜露関連で感情が高ぶると鼻血を出してしまう。また、料理も得意なようだがその見た目は余りにも独創的で、芸術のセンスに関しても独特の感性を持ち合わせている。テレビで見ていたアキ作戦のニュースで映った夜露の活躍ぶりを見て一目惚れして以降、彼女の大ファンとなる。なお、本作におけるのどかはアニメ第10話Cパートからの参加となる。

 

[サーヴァント フレズヴェルク]

クラス:ライダー

出典:フレームアームズ・ガール

性別:女

ステータス:筋力C+、耐久A、敏捷A、魔力E+、幸運C、宝具A

属性:混沌・中庸

スキル:対魔力D(魔術への耐性。一工程による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度のもの)

    騎乗C++(大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。フレズヴェルクの場合は乗り物の操縦に特化しており、神懸りの操縦技術を発揮する)

    フレームアームズ・ガール-(機械的な武装を身に纏う少女。武装を始めとするあらゆる装備を扱う事を可能とする高い適応力を持つ。また、戦闘中に装備を素早く換装する事も可能)

    理性蒸発D(フレズヴェルクが『馬鹿』と呼ばれる所以。理性が蒸発しており、秘密を守る事が出来ず、機密情報を簡単に喋ってしまう。その一方で、戦闘では『直感』に近しい能力として作用する他、恐れ知らずになり、過酷な戦場にも果敢に飛び込んで行けるようになる)

    Tクリスタルシールド-(『TCS』と称される、TCSオシレーターによって展開される攻防一体の力場。発射された攻撃用TCSは大気中では距離で拡散したり、砂状金属や水蒸気で乱反射する等して減衰する特性があり、光学兵器や粒子ビームと似た性質を持つ)

宝具:『NSG-X1 HRESVELGR(フレズヴェルク)』(フレズヴェルクが戦闘時に身に纏うアーマーユニット。兵装はベリルショットランチャー2挺)

   『切り刻む月の竜巻(トルネードタイフーン・サイクロン・スラッシュ)』(フレズヴェルクが編み出した、ある種の剣技のようなもの。ベリルショットランチャーの最大出力で敵を切り裂く。フレズヴェルクが轟雷を初の敗北に追い込んだ事で知られている)

   『炎の嵐(ブレイズ・テンペスト・バースト)』(ベリルスマッシャーから放つ大火力のビーム砲撃。攻防一体の性質を持つTCSを応用する形で編み出された大技である)

武器:ベリルショットランチャー(ベリルウェポンの一種。フレズヴェルクの主武装であり、『切り刻む月の竜巻』の発動に必要なものでもある)

   ベリルスマッシャー(ベリルウェポンの一種。本来はフレズヴェルク=アーテルの主武装であり、『炎の嵐』の発動に必要なものでもある)

願い:兎に角バトルしたい

方針:何時でもバトルを仕掛けられるように他のサーヴァントを探す

ファクトリーアドバンス社で作られたフレームアームズ・ガールの一つ。無邪気な性格で、バトルを好む。連戦連勝であった轟雷に対しては、初戦では初の敗北を与え、二度目の戦いではアクシデントにより引き分けとなった。その後に改修を施され、轟雷との三度目の戦いに臨むも、その最中に暴走。最終的にスティレットを始めとするフレームアームズ・ガール達の装備を身に纏った轟雷に敗れ、正気を取り戻した。




幾らサーヴァントと言ったって、何もバトル大好きな人(?)ばかりじゃないのです。

前書きでも述べましたが、今回が今年最後の投稿になります。来年も、本作をよろしくお願い致します。

それでは皆様、良いお年を!


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サーヴァントが人型とは限らない

どうも、しきんです。

皆様、お久しぶりです。

3ヶ月以上もお待たせしまい、大変申し訳ありません。

リアルで大変な事態に見舞われ、モチベーションも上がらず、全く書き進められませんでした。

また、今回の投稿に合わせて『モダンファンタジアシティ 地理』に修正を加えました。


「Door!?」

 

数多の星々に照らされたその空間で、1人の男がシャドウを相手に苦戦を強いられていた。

 

強大な力を持つ息子がここにいない以上、その力を当てにする事が出来ないのは分かっていたが、サイヤ人の私がシャドウに梃子摺るとは・・・!

 

サイヤ人であるにも関わらず、影を倒せないばかりか、逆に嬲られる有様。

 

この現状を前に男の苦々しい記憶が甦る。

 

 

事の始まりは、嘗て惑星ベジータがまだ存在していた頃だった。異常な戦闘力を持って生まれたブロリーが『将来、王家を脅かす存在になる』という理由で処刑されると聞いて、私はベジータ王の許に駆け付け、ブロリーの助命を懇願した。

 

だが、王は私の願いを聞き入れず、私はブロリーと共にゴミのように捨てられた。

 

それから後、フリーザが惑星ベジータを破壊しようとしていた時だった。その時の私は、生きる事を諦めかけていた。だが、そんな時にブロリーの潜在能力が覚醒し、バリアを張った事で生き延びる事が出来た。その時から私は誓った。理不尽な方針で自分達親子を貶めた王家への復讐を。

 

 

だが、この様は一体何だ。

 

影相手に、ただただ殺されるのを待っているようなものではないか。

 

男が歯噛みするのもお構いなしに、シャドウは右手に持つ剣を大きく振りかぶる。

 

よもや、これが私の最期になるとはな。

 

迫り来る剣を前に男が諦めかけた、

 

その刹那―――

 

突如、男―――パラガスが持っていたセイントグラフが宙に浮き、強い光を放った。

 

「おおっ、うおおおおおっ!?」

 

眩しい余り、パラガスは右腕で光を遮る。

 

すると、光の真下から『ソイツ』が勢い良く飛び出し、その余波でシャドウは弾き飛ばされた。

 

『ソイツ』は、たった今自分が弾き飛ばしたシャドウに真上から襲い掛かり、一瞬で丸呑みにしてしまった。

 

・・・一体、何が起きたと言うのだ?

 

パラガスは呆気に取られていた。

 

セイントグラフが光を放ったかと思えば、他の方向と同じく星々しか見当たらなかった筈の下から出て来た『ソイツ』が、まるで餌を食べるかのようにシャドウを飲み込んだのだから、そうなるのも無理は無いだろう。

 

だが、サイヤ人である私が倒せなかったシャドウを目の前で倒されては・・・『ソイツ』が現れなければ私が死んでいたところなのだから口にすべきではないのだろうが、正直に言って複雑な気分だ。

 

そう思っていると、『ソイツ』が再び私の前に姿を現した。今度はゆっくりとした動きで。

 

見たところ、『ソイツ』は超大型のミミズだった。具体的な特徴を挙げるなら、

身体の色は黒っぽい紫で、身体中に目が幾つも付いている。少なくとも、私の知らない生物だった。

 

しかし、私を襲おうとはしなかった。私を捕食対象として見ていないのか?

 

「・・・ん?」

 

ふと、パラガスは何かに気付く。

 

足元を見ると、そこには先程まで光っていたセイントグラフが落ちていた。

 

何も描かれていなかった筈の表の面には、獣のような頭の人間の絵が浮かび上がっており、下部には『Berserker』という文字が書かれていた。

 

まさか―――

 

「お前が・・・サーヴァントなのか?」

 

パラガスが『ソイツ』―――バーサーカーにそう問うた、その直後。

 

パラガスとバーサーカーは、闇に包まれた。

 

 

「ようこそ、見事、試練を乗り越えたマスターよ。私は言峰綺礼。今回の聖杯戦争の監督役を務めている」

 

何処からともなく、声が聞こえた。

 

声のした方を向くと、そこには服装からしてサイヤ人とは違う、謎の男がいた。

 

シャドウの事もあるので、あのミミズ―――サーヴァントを近くに待機させておきたいが・・・あれ以降、サーヴァントは姿を現さない。・・・いや、ミミズだから基本的に地中に留まっているのか。

 

いや、それよりも気になる事がある。

 

そもそも、ここは何処なのだ?

 

「ここは、聖杯が造り上げた都市『モダンファンタジアシティ』、その中にある教会。予選を突破したマスターは自動的にここへ移動される事になっている」

 

私の疑問を知ってか知らずか、コトミネキレイなる男は説明を続ける。

 

曰く、モダンファンタジアシティという都市は霊子サーバーが管理・運営する『天の聖杯』なるものが造り上げた仮想世界である。

 

曰く、モダンファンタジアシティで催される『聖杯戦争』なる儀式で生き残った最後の勝者は『天の聖杯』を用いて願いを叶える事が出来る。

 

長い説明の後、コトミネは私に問いかけた。

 

「信用出来ない、元の世界に帰りたいというのなら、それでも構わない。聖壇の奥にある扉を潜れば、元の世界に帰還出来る。だが、他者を殺し、騙し、屍山血河を築き、それでも尚叶えたい願いがあるのなら―――君の背後の扉を開き、聖杯戦争の舞台へ進みたまえ。そして、己自身を以て最強を証明せよ。さすれば、万能の願望器は、君の手に与えられん」

 

ここまで話を聞いた以上、その問いに対する私の答えは勿論、こうだ。

 

「―――良いだろう。私も叶えたい願いがある。それを叶える事が出来るのなら、勝ってみせよう」

「そうか―――期待しておこう」

 

私の返答を聞いたコトミネはそう言うと、無言で私・・・いや・・・私と、今は地中に潜っているであろうサーヴァントを見送った。

 

コトミネに、姿を見せないサーヴァントが見えているのか―――等と、今更そんな疑問は持たない。

 

パラガスは振り向く事無く、教会の扉を開けた。

 

 

聖暦2110年 11月30日 早朝 言峰教会前

 

「これは―――」

 

目の前に広がる光景を見て、声を洩らした。

 

3Dディスプレイや空飛ぶ船等、それら自体は驚くに値しない。自分の知るそれらと違う点はあれど、実物は以前にも見た事がある・・・というか、宇宙船に至っては今までの人生で何度も乗った経験があるのだから。だが、他の惑星では到底見る事の出来ないような美しい景色に存在するだけで、それらも美しいと思えるのは―――

 

「ここが仮想世界とはいえ・・・やはり、地球が宇宙の中で最も環境が整った美しい星だからか」

 

恐らくそうなのだろう、そうパラガスは納得した。

 

不意に、笑みが零れる。過去に訪れたどんな星も、嘗ての自分の故郷も、これ程の美しさは無かった。パラガスは、地球という惑星の美しさに感動していた。

 

「ふ、ふふふ・・・」

 

人知れず、パラガスは笑う。

 

だが、今度のそれは目の前の美しい景色、そして地球の美しさへの感動ではない。

 

ブロリーこそいないが、これはチャンスだ。俺とブロリーの帝国を築く、またと無いチャンスだ。

 

バーサーカーと共に聖杯戦争を勝ち抜き―――

 

「最強の宇宙帝国を築き上げてやろうではないか!ふーっふっふwあーはぁーはぁーはーっwうあぁーはぁーはぁーはぁーはぁーはっwふぁっはっはっはっはぁーっwwひゃぁっはっはっはっww」

 

太陽が東に広がる森から顔を出し始めた時、未だ住民の殆どが寝静まるダウンタウンに狂気染みた笑い声が木霊する。

 

パラガスが胸に抱く大いなる野望―――その達成にまた一歩近付いた事を祝うファンファーレが、誰にも知られず鳴り響く。

 

この聖杯戦争、果たしてどうなる―――!?

 

 

[マスター パラガス]

能力:サイヤ人(瀕死の重傷から回復する度に戦闘力が高くなる)

出典:ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦

性別:男

武器:気弾(体内の気を対外にエネルギー化して発射する技。その内の光球型がこれに当たる)

   制御用リモコン(パラガスがブロリーを制御する為に科学者に作らせた制御装置。本来は制御対象の身体の各部に装着するサークレット・チョーカー・アームレットと使用者が右手に装着するリモコンのセットであるが、現在のパラガスはリモコンしか持っておらず、制御装置として使う事は不可能。実質ネタ用の器具である)

役割:観光客

願い:宇宙に一大帝国を築き上げる

方針:優勝狙い

令呪の位置:右手

戦闘民族『サイヤ人』の数少ない生き残りの1人。粗暴で凶悪なサイヤ人としては珍しく、物腰柔らかな人物であり、王族であるベジータやその息子のトランクスを始め、彼らに同行した地球人の面々に対しても紳士然とした対応を見せるが、その本質は後述のベジータ王族への報復、そして全宇宙の支配を目論む野心家である。その為なら忠臣を手にかけ、実の息子さえもその戦闘力を利用する為にコントロール装置で操った挙句、惑星の消滅を目前に部下や実子を置き去りに単身逃亡を図る等、サイヤ人としての残忍性を内包している。嘗て、息子であるブロリーが異常な戦闘力を持って生まれた事から将来、王家を脅かす存在になる事を危惧したベジータ王によりブロリーの抹殺命令が下される。パラガスは王の許に駆け付け助命を懇願するが許されず、彼自身も王から強力な気功波を浴びせられ、父子共々ゴミのように捨てられる。しかし、フリーザによる惑星ベジータ消滅の間際にブロリーの潜在能力が覚醒した事で九死に一生を得る。それ以降、理不尽な方針で自分達親子を貶めた王家への復讐を誓い、ブロリーの力を制御する術を手に入れてからは地球を拠点とした宇宙帝国の建設をも目論むようになった。

 

[サーヴァント イーター・オブ・ワールド]

クラス:バーサーカー

出典:テラリア

性別:不明

ステータス:筋力B++、耐久A、敏捷B+、魔力B、幸運C、宝具B++

属性:混沌・悪

スキル:狂化B(使用すれば能力が1ランク上がる。マスターの話を聞ける程度の理性を保つが、宝具を使用する事が出来ない)

    戦闘続行C(戦闘を続行する能力。所謂『往生際の悪さ』。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、死の間際まで戦う事を止めない)

    分裂B(自身の身体を分裂させる事が出来る。分裂した身体はそれぞれ独立して行動出来るが、分裂すればする程、各個の幸運以外のステータスも低下していく)

宝具:『不浄の大地(ザ・コラプション)』(結界宝具であり、イーター・オブ・ワールドの生息地。闇によって汚染された不浄な土地を自身の固有結界とし、その内部でモンスターを繁殖させ、敵を捕食し、魔力を吸収する)

武器:無し(というか、持たせる必要も持つ為の腕も無いので・・・)

願い:無し

方針:マスターに従う

不浄の大地に凄む、身体中に目が付いている不気味な見た目の超巨大ワーム。シャドウオーブと呼ばれる物体を三つ破壊したりワームの餌を使ったりすると、地中から凄まじいスピードで現れ、下手人に襲い掛かってくる。因みに、身体は頭部と尾を含めて50のパーツ(?)で構成されている。




イーター・オブ・ワールド君の分裂ですが、比較対象が見付からなかった為、ランクはほぼ勘で設定しました。


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???
エイプリルフール2023特別企画! 繰り返される『聖杯戦争』 ~Repeated holly grail war~


どうも、しきんです。

今年もエイプリルフールがやって参りました。なので久しぶりにエイプリルフール企画をやります!

今回は続編っぽい感じのネタでお送りします。


「また会えたね、マスター」

「さて、征くとしようか。新たなる聖杯戦争の舞台(ステージ)へ」

 

 

あの聖杯戦争から4ヶ月の時が経ち―――

 

「ここが夢現市―――やる夫の新天地だお!この地でやる夫の新生活が幕を開けるんだお~!」

 

やる夫はとある都市へと引っ越し、新生活を送っていた。

 

だが―――それは、新たな戦いの序章、その始まりに過ぎなかった。

 

「何だお、あの夢・・・それに、この懐かしさは・・・」

 

新生活が始まってからというもの、やる夫は違和感を伴う謎の夢を見るようになった。

 

「もしかして、やる夫は前にこれを体験した事がある、のかお!?」

 

そんな奇妙な新生活が始まってから、更に3ヶ月余りの時が経ったある日、やる夫は夢の中で、徐々に強くなっていく違和感に苛まれながら夜の街を彷徨っていると、タワービルの近くで2人の少女に出会う。

 

「初めまして、入速出やる夫。私の名前は蒼藤(あおふじ)瑠香(るか)―――貴方と同じく、この聖杯戦争に参加するマスターです」

 

蒼藤瑠香と名乗る少女と彼女が召喚したライダーのサーヴァント。瑠香は霊子封印から解き放たれた最恐の吸血鬼『R.A.』を追うべく、聖杯戦争に参加したのである。

 

そして、やる夫は気付いた。気付いてしまった。

 

「聖杯戦争―――あれで終わりじゃなかったのかおーーーーーッ!?」

 

終わったと思っていた聖杯戦争が、まだ続いていた事に、気付いてしまったのである!

 

「やる夫さん、またやる夫さんと一緒になれて嬉しいっス!」

 

聖杯戦争の記憶を完全に思い出したやる夫は、嘗て自分が召喚したサーヴァントである夜露を召喚する。更に、戦友達との再会を果たし、再び聖杯戦争に身を投じる。

 

「この暑さ―――あの時の聖杯戦争では最後まで味わう事の無かった感覚だお」

 

季節が夏である点、参加する主従が数組増えている点を除いて、舞台はあの聖杯戦争と殆ど同じ。

 

「待っていたぞ、瑠香。この聖杯戦争が甦った時から、お前と闘う時をずっと待ち望んでいた」

 

果たして、この聖杯戦争はどのような結末を迎えるのだろうか?そして、この繰り返される聖杯戦争に終わりの時が訪れる日はやって来るのだろうか!?

 

 

劇場版 やる夫達は並行世界と繋がった聖杯戦争に参加するそうです。

 

繰り返される『聖杯戦争』 ~Repeated holly grail war~

 

 

「さよなら、やる夫―――貴方と逢えて、本当に良かった」

 

その答えは、聖杯のみぞ知る―――。

 

 

近日公開・・・するかも?

 

 

「諸君!遂に聖杯戦争がやって来た!至上のバトルはここ、モダンファンタジアシティ特設コースからお送りする!解説はこの方―――」

「―――言峰綺礼です。宜しく」

「実況はこの俺、ジュラルの魔王でお送りする!」

 

SEIHAI GRAND PRIX in モダンファンタジアシティ

 

Don't miss it!(乞うご期待!)(ちょ、待っ!?)




やる夫「うp主、何でエイプリルフール企画にオリキャラを投入してんだお?」
うp主「いや~、企画を練っていたらいつの間にか作っちゃってた☆」

結論:エイプリルフールネタにオリキャラ投入して何が悪いwww


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