戦艦三笠、海賊世界であろうとも勝利を手にする! (島田愛里寿)
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プロローグ
大海賊時代。それは海賊ゴール・D・ロジャーが死に際に放った言葉より始まった。
これに触発された人々は海に駆り立てられ海賊になり、大海賊時代への突入となった。
そうして世界は天竜人などを中心とする世界政府及び世界政府・世界貴族と市民を守る海軍と自由を謳歌し、犯罪行為を行う海賊に勢力図は二分されていた。
そんな世界に本来この世界に生まれることとない人物が現れた。
彼女はのちに第三の勢力を立ち上げ、海賊や世界政府に干渉されない勢力を築き上げることとなる。
その人物の名は
「‥‥どういうことでしょうか?」
ここは新世界洋上。
そこにはこの世界にはあるはずのない鋼鉄艦が当てもなく航行していた。
その艦の船体はクルップ・セメンテッド鋼で構成されており、帆は出されておらず煙突らしき構造物を二つ搭載してそこから黒煙をだして航行している。
船体各所には大小さまざまな大砲が搭載されており、副砲として40口径15センチ砲14門と補助砲として40口径7.6センチ砲20門を搭載。
そして船体の前後に二基づつ40口径30センチ連装砲を搭載している。
そして船首には黄金に塗装された菊花紋章が堂々と鎮座していた。
そうこの艦こそ、現実の世界において日本に唯一残存していてかつ世界的にも現存しているのが珍しい前ド級戦艦である戦艦三笠である。
その艦橋の上にある露天艦橋にて水平線を眺めながら茫然としている彼女こそこの戦艦三笠の艦娘である三笠であり、この物語の主人公である三笠である。
「いやほんとにどうなってんですか?確か私は男だったはずですし、ついさっきまでは家の部屋のベットで寝ようとしていたはず‥‥それがなんでかの有名な戦艦三笠の露天艦橋でしかもかの東郷平八郎提督がおられた場所に立ってるんですか?それになんで姿がニコ〇コやpi〇ivとかで始まったオリジナル艦娘の三笠になってるんですか??」
そう。彼女は本来は男であった。しかも戦艦三笠が好きなだけの大学生であったのだ。断じて艦娘ではなかったし深海棲艦も存在しない普通の現実世界出身者であった。
「はっ!そうですよ!これは夢です!私がかの戦艦三笠の露天艦橋の上で立ってるのもなんでか姿が艦娘の三笠になってるのも夢ですよ!頬をつねれば…っていたたた!ゆ、夢じゃないんですか…」
『あ、あの~』
夢じゃないかと悩んでいた、三笠だったが声をかけられてそちらを見たら艦これを知っている者ならだれでも知っている人物?がいた。
「あ!あなたは悪名高いエラー娘!」
『そんなに悪名高くないですよ!ひどいですね!!』プンスカ!
とまぁ茶番をしつつもエラー娘が話始めた。
『と、ともかく!本当にすみません!!』土下座!!
「へ?」
彼女曰く彼が艦娘三笠に転生したのには訳があった。
実は艦これ世界と現実世界は同じ神が管理していたそうなのだがその神が極めて無能でエラー娘たちに仕事をすべてやらせていてつい最近になってようやく他の神から叱責を食らって無期限謹慎処分に。
そして代理の神が引き継いだのだがその際のゴタゴタで死亡者リストに彼の書類が入ってしまって彼は寝てから心臓発作で急死したのだという。
代理の神はすぐさま気づいたがすでに後の祭り。とにかく彼の親の今後の人生は明るいものにして彼には別の世界への転生と艦娘の体と艦これ世界の提督としての知識・経験・才能・鎮守府候補地を与えることにしたらしいが艦これ世界の艦娘の数を減らすわけにはいかないので彼の世界で人気のオリジナル艦娘の中から艦これ世界に干渉しない者を選び決めたのが三笠であったという。
『本当にすみません!!』
「い、いえいえ構いませんよ。事故なら…」
まぁそう言われた三笠は自身の不運を呪ったが好きな戦艦の艦娘になったので「災い転じて福となす」の精神でやっていくことにした。
「と、ところでこの世界は?」
『あ、はい。ONEPIECEの世界だそうです!!』
「うわぁ…」
彼女は前世であまりONEPIECEを知らなかったが海賊関係であることは知っていたために不安しかなかった。
『元気出してください!この海図を渡しておきます!』
「これは?」
『鎮守府候補地になっている島への航路が書かれてあります!そこに行ってこれからの艦娘生を楽しんでください!では!!』
そう言ってエラー娘はどこかに転移していった。
「はぁ…まぁ向かいましょうかね」
「了解しました!」
「うん?」
そうしてぼやいていた彼女の隣から声がしたのでそっちを向くと艦これの装備妖精さんがいた。
「あなたは?」
「副長妖精です!艦長!これからよろしくお願いします!」
「…はい。よろしくお願いしますね。とにかく本艦は鎮守府予定地らしい島へ向かいます!機関全速!」
「了解しました!機関全速!」
そうしてONEPIECEの世界に来てしまった戦艦三笠はこの世界では桁違いの速度である18ノットで島へと向かった。
主人公の見た目はMMD作品でブラスターBが作成された、三笠(オリジナル艦娘)をイメージしてください。
次回 鎮守府設置、泊地?
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鎮守府設置…泊地?
神々の不手際によって三笠に転生してから数日後。
三笠は鎮守府候補地である島に到着した。
したのだが‥‥
「どう見てもトラック諸島ですよね?これ?」
到着した三笠はその島…いや諸島に見覚えがあった。
かつて第二次世界大戦時に日本海軍の真珠湾とも言われた一大軍事拠点、トラック諸島にそっくりだったからである。
「はぁ…まぁ拠点がないと艦の整備や補給もできませんしね」
そう言って三笠は船体を鎮守府らしき施設がある島の港に接舷させて上陸した。
『三笠様!お待ちしておりました!!』
「うん?」
上陸して鎮守府らしき施設に入ったところで大勢の妖精たちが待っていた。
「あなた方は?」
『はい!私たちは建造ドック担当妖精です!』
『私は整備班副長妖精です!で、こちらが班長のおやっさんです!』
『よろしくな?』
「はい!よろしくお願いいたします」
と、建造や整備の妖精さんたちが自己紹介をしてきた。
【一人明らかに女性なのにおやっさんと言われている妖精がいてしかも三笠以上の貫禄を誇っていたが…】
そうして執務室に入った三笠は早速鎮守府とその島の資料を読んでみたが‥‥
「やっぱりトラック諸島そっくりですね…ん?おお!あの28㎝榴弾砲もあるんですか!これは実物を見ておきたいですね…」
と半分趣味に走ろうとしていた時
『三笠様~!建造しましょう!建造!』
「建造ですか?そうですね…確かに私しか洋上機動戦力はいませんしこの世界の海賊とかは頭がおかしいくらいに頑丈でしつこいです。28㎝榴弾砲で船を沈めても『悪魔の実』の力で変に反撃されてはたまりませんし…」
・28㎝榴弾砲
1884年(明治17年)に大阪工廠がドイツで原型が開発されイタリアが改良して運用していたイタリア式28㎝榴弾砲を参考にして開発し、1892年(明治25年)に沿岸砲台用の砲として正式採用された大型臼砲である。
日露戦争においては対ロシア艦隊用に各地の沿岸要塞に備えられていたこの砲が二〇三高地の戦いを含む旅順攻囲戦にて火砲の不足により最終的に18門も取り外されて現地に分解して運送されて組み立てられて攻防戦に参加。
そののちに旅順港内に立てこもっていたロシア第一太平洋艦隊を撃滅した。
「ま、なにはともあれ戦力増強は必須事項ですからね。建造しましょうか」
『やったー!』
どうも妖精さんたちは三笠が来るまで暇暇で仕方がなかった様子。
そして造船ドックへ…
「さて、建造レシピはお任せいたしますね?」
『はい!お前ら!回せ~~!』
カンカンカンカン!!
『ところで高速建造剤(ボイラー)使います?』
「ああ。できたらお願いします」
『アイサー!!』
そして三笠の一声で妖精さんたちは高速建造剤を使用して建造速度を速めた。
「‥‥ところでどんなレシピで回したんですか?」
『はい!装甲巡洋艦二隻です!』
「装甲巡洋艦ですか‥‥はい!?装甲巡!?」
その報告に三笠は驚いた。装甲巡洋艦。この艦種は装甲は戦艦に近いが火力等は巡洋艦のままの艦なのだ。三笠としては二等でもいいので普通の巡洋艦が欲しかったので少々困った事態になった。
「いやいや!今の現状理解してますか!?資源の量も限られている現状を!!そんな現状で装甲巡洋艦を二隻も!!」
『大丈夫ですよ~。資源は一通りの鉱脈や油田が諸島内にありますから~』
「いやなんですかそれ!知りませんでしたよ!?」
私の心配は!?と三笠がドック妖精を問い詰めていた時…
ビー!ビー!ビー!
<建造完了しました!!>
警報音とともに建造終了の案内が鳴った。
「…はぁできてしまったのは仕方ありません。報連相の不手際は後で問い詰めますのでとりあえず」
『はい!シャッターオープン!』
そう言ってシャッターを妖精さんたちが開けたそこにいたのは割烹着とメイド服を着た二人の姉妹と思わせる艦娘二人であった。
「あなたたちは?」
「大日本海軍一等巡洋艦春日」
「同じ大日本海軍海軍一等巡洋艦日進」
『『着任しました!!』』
整備班班長の妖精さんのモデルはパトレイバーの榊班長で、春日・日進のモデルは月姫の遠野家の姉妹のメイドさんです!
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司令部命令 海賊ヲ殲滅セヨ!
三笠が装甲巡洋艦春日と日進を建造してから数週間後。
「第二艦隊近海警戒任務より帰還しました!損害なし!!」
「第三艦隊近海への遠征に出発します!!」
トラック諸島は大いににぎわっていた。
三笠は春日・日進に続いて当面の間は巡洋艦や駆逐艦を中心に建造を推し進めることにして、第二艦隊旗艦として日清戦争時世界最速を誇った高速巡洋艦である二等防護巡洋艦『吉野』以下『浪速』『高千穂』『秋津洲』と第三艦隊旗艦として通称三景艦と言われる『松島』『厳島』『橋立』を建造して遠征等を行い、海図作成励んだ。
「海図がないと今後の計画すら立てられませんからね」
そう三笠は言っていたが少し不安があった。
その世界はワンピースの世界だ。海賊が跳梁跋扈している海に欠陥を抱えた三景艦を改修したとはいえだしていいのか?という思いがあったからだ。
「‥‥ほんとに大丈夫でしょうか?」
「大丈夫ですよ~。ほんとに三笠様は心配性ですね~。あ、これお茶ですどうぞ!!」
「春日…」
三笠にお茶を出してきたのは割烹着を来たメイドさんっぽい見た目の艦娘の装甲巡洋艦春日である。
・一等装甲巡洋艦春日 春日型装甲巡洋艦 一番艦 姉妹艦日進
春日は同型艦の日進とともにアルゼンチン海軍がイタリアのイタリアアンサルド社に発注していたジュゼッペ・ガリバルディ級装甲巡洋艦の「リヴァダヴィア」と「モレノ」として建造された装甲巡洋艦である。
進水式後に互いに戦争に備えていた大日本帝国海軍とロシア帝国海軍の双方がこの二隻に目を付けて購入交渉を行っていたがイギリスの仲介もあって大日本帝国海軍が購入に成功。
しかし、旅順港閉塞作戦に従事中に濃霧の影響で前が見えずに先行していた二等巡洋艦(防護巡洋艦)の吉野の左舷後部に衝突して艦首に装備していた衝角でたたき沈めるという失態を演じた。
そして同日に機雷に触雷して轟沈した戦艦初瀬と八島の穴を埋めるべく第一戦隊に姉妹艦日進とともに編入され、黄海海戦にて初陣を飾り、海戦の第一弾を放った。
日本海海戦開戦においては日進とともに第一戦隊の後方に陣取り、バルチック艦隊と交戦。何度かの回頭の末に日進は艦隊の最前線に立ち三笠の次に被弾した艦となった。
<武装>
・25.4cm(40口径)単装砲一門(この砲は春日のみの装備である)
・20.3cm(45口径)連装砲一門(日進においては二門である)
・15.2cm(40口径)単装砲十四門
・7.6cm(40口径)単装砲八門
・45.7cm水中魚雷発射管単装四門
「というかあなたは吉野とはうまくやってるんですか?日進から『姉さんが吉野さんを避けてます』って相談受けてるんですけど??」
「げげ!もー日進ちゃんったら!大丈夫ですよ!気まずいだけですし」
「はぁ…それが避けてるって意味ですy「三笠様!」ってん?」
春日に吉野との関係をよくするようにと三笠がとがめていると日進が電報をもって駆け込んできた。
「第三艦隊旗艦『松島』より緊急電です!」
「ん。なになに?『我、後方より海賊と思しき帆船数隻の追撃を受ける。交戦許可を求む。なお本艦隊の速力は低速なり、快速艦の支援を欲する』…春日、日進」
「はい」「はい?」
「直ちに交戦許可を出しなさい。とはいえ三景艦のカネー式32㎝砲はまだ問題点だらけのじゃじゃ馬ですから快速の吉野以下の第二艦隊を救援に」
「「了解!!」」
三笠の指示を受けた二人が通信室と待機室の走っていった後、三笠はつぶやいた。
「やはり近海の海賊を殲滅するには数が足りませんね。…駆逐艦と水雷艇、あと姉に当たる敷島型や富士型も建造したほうがいいですかね…とはいえ装甲の問題も‥‥あ!そういえばあの艦がありました!!」
そう言って彼女は造船ドックに電話をかけてとある艦の造船を依頼した。
鎮守府近海
新世界にて活動している海賊らの間で海図に乗っていない諸島は注目の的であった。白ヒゲ傘下の海賊たちはまだ行こうとはしていなかったが新世界で旗揚げした新米の海賊団がこの諸島に攻め込むために向かっていたのだがその際に調査遠征で出航した松島配下の第三艦隊と対面してしまい面倒ごとを避けようとした第三艦隊を海賊が追っかけているのだ。
第三艦隊旗艦 巡洋艦『松島』 脳内BGM 坂の上の雲「天気晴朗なれども波高し」
「…後方の海賊共は?」
『はい!いまだ後方から追尾してきます!!』
「忌々しい海賊風情が‥‥!」
巡洋艦艦娘の松島はこの世界において三笠が春日・日進の次に建造した艦娘であり、海賊を嫌っている艦娘でもあった。
かつては清国海軍の定遠と鎮遠を抑える目的で建造され、日本海軍連合艦隊初代旗艦を務めた彼女は帝国海軍の誇りを誰よりも持っており、海賊を嫌っていたのだ。
『艦長!三笠様より通信!『第二艦隊の快速巡洋艦部隊を急遽派遣せり。応戦も許可す、何とか持ちこたえよ。なお、接舷切り込みされるのは何としても避けよ!』とのこと!!』
「…ふ。やっとか」
『艦長?』
「副長妖精。よく考えろ?本艦松島は現在艦隊の最後尾にいる。して本艦のカネー式32㎝砲はどこにある?」
『‥‥あ!!』
そう。松島型にはカネー式32㎝砲が艦首部に搭載されているが一番艦の松島のみ後部に搭載しているので後方に射撃ができるのだ。
「32㎝砲打ち方用意!観測手!距離を報告せよ!!」
『距離4600!』
『距離4600!!主砲打ち方用意!!』
「撃て!」
『っ撃てぇ!』
そうして松島は自慢の32㎝砲を放った。
世紀末海賊団 旗艦
「ひゃっはー!船長!あいつら逃げていきやすぜぇ!」
「おう!このまま追いかけろ!あの鋼鉄の船を奪っちまえば海軍なんて怖くねえぞ!」
そうこいつらは海軍対策で松島以下第三艦隊を奪ってついでにトラック諸島を占領しようと考えていたのだ。
その時
ピカ!
「船長!なんか最後尾の大型艦が光やしたぜ?」
「あん?光っただあ?なに寝ぼけたことを…」
ダガァァァァン!!
なんと海賊船団旗艦に、松島が放った32㎝砲の初弾が直撃してしまったのだ。これにより海賊団は混乱状態に陥り、急行してきた第二艦隊に背後を取られ、海の藻屑となった。
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世界政府海軍へ対処せよ
世紀末海賊団を第三艦隊と第二艦隊が殲滅した後、三笠は艦隊増強を命じた。
二つの艦隊各艦の整備が終了するまで仮装巡洋艦や砲艦を近海に派遣して海図の作成を急がせたが、今後も海賊が殴りこんでこないとも限らない。
そこで三笠はある国の艦隊を建造した。
東洋一の堅艦と言われた艦を擁する艦隊。
通称 北洋水師
「你好!(こんにちは)装甲艦 鎮遠ネ!三笠、よろしくネ!」
「相似地(同じく)装甲艦 定遠ネ。很高兴见到你(よろしく)」
そう。かつて清国海軍がドイツに発注し、日本が松島型を建造することになった鎮遠と定遠である。この二隻のうち鎮遠は日本海軍に所属していたので三笠はその装甲と火力の高さを認めていたのだ。
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。あなた達北洋水師には近海防衛を頼みたいのです。うちの各艦は快速艦が多いのですが拠点防衛には宝の持ち腐れになってしまうので…」
「了解ネ!さ、定遠行くネ!!」
「ちょ、待って!!」
そうして鎮遠は定遠を引っ張って早速出航すべく北洋水師全員を集めに行った。
「さてさて…次の問題はこれですね…」
そういう三笠の手元には世界経済新聞があり、そこには写真付きでとある見出しが出ていた
『新世界の脅威!?海賊船団を攻撃する謎の鋼鉄船の艦隊!!』
どうも上空に偶々記者が飛んでいて艦隊戦を目撃して記事にしたようだ。
「参りましたね…おかげで最近世界政府の海軍艦艇が出没していると赤城さんから報告が来ています。なんとか威嚇射撃で追い返してますが…」
実はこの記事が出て以降、近海に存在していた海軍の基地から調査目的で軍艦が来ていたのだが、展開していた砲艦赤城が威嚇射撃を行って追い返していたのだ。
・砲艦赤城 艦娘モデル…空母赤城
摩耶型砲艦の四番艦として1890年に就役し、日清戦争に参加した砲艦にして軍艦としては初代赤城でもある。黄海海戦にて初陣を飾り、活躍したが初陣で艦長が戦死し各所に大損害を負った。その後1911年まで活動して除籍となったが1912年に民間船『赤城丸』となり1945年に台風で一度沈没し浮揚されたものの1946年に触雷でまたもや沈没したが再び浮揚されて運用。1953年に老朽化でようやく解体された。
この間、商船として活動した期間を含めると63年も活躍したことになり、実は空母赤城よりも長生きである。
「赤城さんには結構負担をかけてしまってますからね…ただ変に諸島内に入れてトラブルになるよりかはましですが…」
「あら?私は別に負担と思ってませんでしたよ?」
「赤城さん…」
そう三笠が砲艦赤城の気遣いをしていたその時に艦娘赤城が入って来た。
「私としては帆船相手に被弾を気にせずにストレス発散…じゃなくて、仕事ができるので楽しかったのですが?」
「赤城さん…本音が駄々洩れですよ?」
「あら、でもさん付けはよしてくれませんか?あなたは連合艦隊旗艦。一介の砲艦にさん付けは示しがつきませんよ?」
実は三笠は先輩艦らに敬意を表してさん付けしていたがかりにも連合艦隊旗艦は三笠なので、示しがつかないのでやめてくれと言われていて鼬ごっこ状態であったのだ。
「しかしですね…自分は戦艦と言えども先輩方をないがしろにするのは…」
「ですからその気遣いが余計なんですよ!あなたは総旗艦なのです!もっとどっしりと構えてください!だいたい…」
世界政府の海軍への対応を考えていた三笠だったが赤城に説教されることになった。
次回は数年後になって三笠の性格も少々変わります!
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天竜人
感想お待ちしております!!
数年後、三笠はかなり威厳のあるしゃべり方になっていた。
エラー娘曰く『多分体と魂がまだうまく適合できていなかったんでしょう。適合できたので三笠らしいしゃべり方になったんだと思います!』とのこと。
「おはようございます!」
「ん、おはよう」
そうして勢力を拡大した彼女らは遠征も近海以外へと拡大させた。
しかし、日清・日露戦時の各国の駆逐艦や水雷艇はかなりの小型艦だったので三笠は艦娘状態での航行を認めて遠征を行った。(アニメ艦これみたいな感じ)
そうして彼女らの活動で近海に接近する海賊は皆無に近くなったが政府艦艇はうろついているので気は抜けない。
そんな中、三笠は春日・日進・松島、そして新規に建造した戦艦敷島とともに艦娘形態でとあるところに向かった。
その場所の名はシャボンディ諸島。
「へぇ~。ここがシャボンディ諸島ですか…なんか楽しそうですね!」
「姉さんはしゃぎすぎですよ?」
「なぜ私がここに…」
「我慢してください松島、拿捕したり引き上げた海賊船に積んであった宝物をため込んでいても仕方ないでしょうが」
そう。三笠はこれまでの活動で沈めた海賊船を引き上げで調査などをしていた際に結構な量の宝物を確保していたのだが、あまりにも確保しすぎで倉庫が一個埋まるほどだったので売りに来たのだ。
「さて、換金所、換金所は‥‥あ、あそこか。姉さんと松島は一緒に来てくれないか?」
「分かったわ」「ああ」
「では私と姉さんは店の外でお待ちしておりますね?」
「ええ。よろしくお願いします」
そう言って三笠は敷島と松島を連れて換金所に入っていった。
換金所 店内
「すみません。換金をお願いできますか?」
「あ、はい。畏まりました!ではこちらに…」
そう言われて彼女たちは女性店員の案内の元、店の奥に案内された。
「では換金されるものは何でしょうか?」
「あら?あなたが鑑定されるのですか?」
敷島は専門の店員がやるものだと思っていたので思わず聞いたが
「はい。全店員が鑑定の資格を持っているので私でも大丈夫なのです!」
「そうでしたか。では松島」
「ああ」
そう言って三笠が松島に宝物類を提供したのだが‥‥
「こ、こここここれはぁぁぁぁ!」
「だ、大丈夫?」
「ちょ~っとお待ちを!!」
そう言って女性店員は大急ぎで席を外して店のさらに奥に走っていった。
「な、なにがあったのでしょうか?」
「さ、さあ?」
そうして数分後、
「お、お待たせしました!」
彼女はオーナーらしき男性とともに戻って来た。オーナーらしき彼は丁寧に宝物一つ一つを確認していったが顔は驚愕に満ちていた。
そして彼が提示してきた金額に三笠らは驚愕した。
「お、お待たせしました!金額は七億です!」
「「「な、七億!?」」」
「ええ。さすがの私も驚いています!こんなに上質な宝物は初めてですから…おいお前!店の外までお見送りしてさし上げろ!」
「はい!」
そう言われた女性店員の案内で金を受け取った三笠らは店を出ようとした所…
「まさかあそこまでの価格になるとは‥‥」
「ええ、私もびっくりですよ」
「まったくですね‥‥ん?」
三笠は店内の他の客たちが顔面蒼白で外を見ているので間から外を見たのだが頭を抱えた。
なんと春日と日進がデブで不細工な男性と口論していたからである。
「はぁ…何をやってるんでしょうかね?あの子らは??止めに行きますよ?」
「はい」「はぁ…まったく」
「あ、まっ待ってください~!」
そうして三人が店を出ていったのだが、ほっとけない性格の女性店員もついていってしまった。
「何事ですか?春日、日進」
「あ、三笠様!実はですね~!!」
春日の言い分はこうだ。待っていたら突然この男が声をかけてきて「我輩の奴隷にしてやるだぇ~」と言ってきたという。
(基本的人権の尊重は!?あ、この世界にそんなのなかったですね)
と三笠が黄昏ながら頭を抱えているとそのデブ男が三笠に近づいてきて話しかけてきた。
「‥‥なんですか?」
「ふ~む。お前はなかなかの顔だな…よし、お前も奴隷にしてや「Mourir!(〇ね!)」ぷぎゃああ!!??」
なんとそのデブ不細工男が三笠をも奴隷にしようとする発言をした直後に人一倍真面目な松島が艤装を瞬時に展開してカネー式32㎝砲をその男の顔面に直撃させてしまったのだ。
(なお松島はフランスで建造されたのでフランス語を時々話す)
そしてその男は数件の家の壁を突き破っていってしまい、それをみた女性店員は三笠のそばで腰を抜かしてしまっていた。
次回 脱出と帰還
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脱出と帰還
感想お待ちしております!
「や、やりやがったぁ~~!!!」
「女たちが天竜人を殺したぞ~~!!」
周りの野次馬も理解に少し時間を要したが慌てて逃げ出した。
「ちょー!?松島さん!?何しでかしてんですかー!?」
「あんなクズ生きてる価値ないだろう?」
春日は面倒ごとを起こした松島に怒ったが松島は当然のことをしたというスタンスだ。
「で?どうするの三笠、私としてはこの子を連れてさっさと帰るのがいいと思うんだけど?」
「ふぇぇぇぇ」
敷島はさっきの女性店員を担いでそう言った。
「そうですね…」
三笠は悩んだ。ここで彼女をお持ち帰りしてもいいがそれは誘拐と同義ではないか?と、しかし下手に残していくと冤罪をかけてしまう恐れもある。
「‥‥やむを得ませんね。こっちの失態ですし連れて行きましょう、松島帰ったら説教です」
「え!?」
「当たり前でしょう?」
三笠は部下の失態もあるので連れて帰ることにしたのだ。ただ松島は後程説教されるようだが。
「さ、行きましょう。あとあなたの名前は?」
「は、はい。マヤ・ウミノですぅ」
数十分後 洋上
『右舷装甲板に被弾!』
『火災!火災!上甲板にて火災!』
『火災じゃない!蒸気管が割れて蒸気が漏れてる!!毛布で塞げ!急げ!速度が落ちる!!』
「まったくしつこいですね‥‥」
「まぁ相手さんにも面子があるでしょうし」
三笠らは船体をだした春日に乗って帰還の路についたのだが世界政府海軍の帆船数隻がおってきていたのだ。
「トラックからの電文は?」
『はい。現在第二艦隊の巡洋艦部隊が急行中だそうですが大和と武蔵が海底の測量中の為出撃不能。コルベット艦の比叡と金剛は哨戒中に戦闘に突入して時間がかかったために間に合いそうになく、砲艦赤城が近海にいたので急行中だそうです』
『あと北洋水師に関しては‥‥』
「分かってます。足が遅すぎて間に合わないんでしょう?」
『いえ、同じく世界政府海軍の艦艇と交戦していて殲滅に成功したと…』
「わぉ」
なんでこんな事態になっているかというとシャボンディ諸島から春日で撤収した後に海軍大将がシャボンディ諸島についたせいで海軍の面子が丸つぶれになったのと天竜人が怒り狂って『何がなんても殺せ』と命じてきたので近海にいた軍艦を総動員して捜索していた最中に哨戒任務中だったコルベット艦の『比叡』『金剛』を捕捉して攻撃を仕掛けたのだ。
この二艦はこの世界では初実戦だったために撃破に手間取ったのだ。
北洋水師の艦隊は波が穏やかで大和・武蔵が測量した海域で訓練中に遭遇して定遠・鎮遠は持ち前の重装甲をいかんなく発揮し、衝角戦術も生かすことができたので大満足だったようだが…
・葛城型巡洋艦(スループ船)二番艦大和 【同型艦 葛城・武蔵】
艦名の由来は奈良県の旧国名の大和国であり、二代目の戦艦大和とは名前の由来が違う。
1883年2月23日に、小野浜造船所で起工され同年3月に神戸にて大和と命名。1887年11月16日に竣工し、初代艦長に東郷平八郎が就任した。日露戦争には海防艦として第三艦隊に所属し、1902年からはその艦種のまま測量任務に従事し、1922年に測量艦の艦種が作られると武蔵とともに測量艦に類別変更された。
その後、北見大和堆や大和堆(この二つの堆はこの艦が測量したことに由来する)を測量した後に刑務所練習艦となったが姉妹艦は次々に解体されたにも関わらず残り続け第二次世界大戦も生き延び終戦から一か月後の台風で沈没し、1950年に解体された。
「とにかく三笠様!応戦する許可をください!なんで応戦しちゃダメなんですか!?」
「あのですね春日?私たちは帰還を急いで石炭を惜しみなく使ってもらいましたよね?此処で戦闘態勢にさせると帰還までに確実に石炭が足りなくなりますよ?」
「あー!そうだった!!」
そう。実は三笠は戦力拡充を急ぐあまり給炭船の担当を考えておらず、春日は全速航行しっぱなしのせいで石炭が足りなくなってきたのだ。
(ちなみに春日・三笠は艦橋上の最上甲板で指揮をとってますが日進・松島・敷島・マヤは艦橋下の司令塔にいます)
その時…
『前方に艦影多数!』
『第二艦隊臨時旗艦の吉野です!』
『吉野より電文!<コレヨリ撤退ヲ支援ス。追伸:後々ジックリ話ガ出来タラウレシイデス春日サン>だそうですが…』
「う~ん」バタン!
「ちょ!春日!?」
「絶対怒ってますよぅ…」
そんなこんながありつつも海軍艦艇を吉野以下第二艦隊と数分遅れで到着した砲艦赤城が退け春日は無事にトラックに帰還した。
(なお春日は吉野に艦時代の衝突の件でみっちりO・H・A・N・A・S・Iさせられたという)
今回出てきたマヤ・ウミノはインフィニットストラトスに出てくる山田摩耶先生をイメージしてください!
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開戦
海戦は次回です!
感想お待ちしております!!
そんなこんなで帰還した三笠らだったが問題は山積みであった。
なにせ松島の行為は正当防衛に近かったが、いわば政府の要人(最も天竜人はそんな扱いを受けているのがおかしいような人種だが…)を殺害してしまったのだ。手配されても仕方がない。
とはいえ三笠としては到底松島を渡すつもりはなかった。
なんせ相手は松島を害しようとしたのだ、それに奴隷を基本禁止しているはずなのに奴隷を普通に連れていたからだ。
そしてマヤから天竜人の実態を聞いたら余計にイラつくような内容だったからというのもあるが‥‥
(あんな奴らに松島や部下たちを引き渡すわけにはいきません‥‥!)
そう決心した三笠は各艦隊司令官を作戦室に招集すると同時に工廠にとある艦隊の建造を指示した。
それは三笠と因縁深い艦隊であった。
作戦室
「と言うわけで世界政府海軍相手に戦争吹っ掛けようと思うのですが‥‥」
「いや、なにがと言うわけなんですか」
そう言う三笠にツッコミを入れたのは数日前に建造され仮装巡洋艦にして通報艦と補給艦を兼任している仮装巡洋艦部隊旗艦の仮装巡洋艦 信濃丸であった。
仮装巡洋艦 信濃丸(艦娘モデル アズレンの空母信濃の狐としての要素をなくした感じ)
日本郵船の貨客船であったが日露戦争勃発により仮装巡洋艦として徴用され、日本海海戦の影の立役者となった艦として知られている。
明治38年5月27日午前4時45分にバルチック艦隊を発見し、『敵艦隊らしき煤煙みゆ』の第一報を発した。この発信は二等巡洋艦『厳島』によって中継され三笠に伝わり連合艦隊が出撃することになった。
日露戦争後徴用を解除されシアトル航路に復帰するも太平洋戦争においても輸送艦として徴用されてしまう。
老朽化激しく触っただけで鉄板の表面がはがれるほどであったが奇跡的に撃沈されずに終戦を迎えた。その後復員船として活躍し1951年に船籍を剥奪されてスクラップとして解体された。
「あなたが言いたいことは分かりますがうちの艦隊数で対応できるとは思えませんよ?」
「いいえ。三笠様がおっしゃっていることはよいと思いますよ?」
慎重な意見を言う信濃丸に対して砲艦赤城が話し始めた。
「これまで警戒艦として戦ってきた私から言わせていただきますと艦艇数に関しては気にすることはありません。むしろ私一隻でも十隻の海軍艦艇を相手にできるでしょう、天竜人に関してもこれまでに撃沈した船に乗っていたんですが‥‥」
「ちょっと待ちなさい。赤城さん?私は報告を受けてませんよ?」
「人間として終わっていたので適切に処理して海に流しておきました♪」
「「「「うわぁぁぁ…」」」」
どうやら赤城はこれまで警戒・哨戒任務中に天竜人が乗った船を撃沈したことがあり天竜人を捕縛したことすらあったようだが天竜人は赤城の逆鱗に触れたらしく処理され、赤城は報告する価値なしと勝手に判断して報告しなかったようだ。
「‥‥その件については後で聞かせてもらいますよ?続けて?」
「はい♪そもそも相手は帆船なのでボイラー艦かつ鋼鉄艦である私たちの艦隊なら余裕で対抗できるでしょう」
「‥‥わかりました。しかし三笠様、お願いが」
「なんですか?」
「この世界ではいまだに奴隷が認められていると言います。その救助許可をいただきたく」
「分かりました。ではその件についてはあなたに任せます」
「‥‥よし!」グッ!
信濃丸はマヤから奴隷の話を聞いて以降『奴隷船を見つけたら即刻航行不能にしてくれ』と哨戒担当の艦に打電しており奴隷は救助、奴隷商人はガトリング砲でハチの巣にしていたので誰も異論はなかった。
「‥‥それは構いませんよ?でも基地を攻撃して占拠した後はどうするのですか?」
そう聞くのはコルベット艦の比叡だ。
金剛型コルベット二番艦 比叡 姉妹艦 金剛(艦娘モデル アズレンの比叡)
金剛型コルベット艦としてイギリスで建造されたコルベット艦。帆船としての機能と近代軍艦としてのボイラーを搭載している艦。
日清・日露戦争に参加し、日清戦争の黄海海戦にて衝角戦法を取ろうとした北洋水師の艦隊の艦と艦の間に切り込んで離脱に成功するも弾薬庫直上の士官室に火災が発生し、弾薬庫に注水。戦闘能力を放棄して撤退した。
日露戦争後、測量艦としての任に就いた後に除籍の上解体された。
「ああ、その件ですが‥‥占領はせずに戦力化されないようにしておけばいいです。むしろ戦力を割くのは良作とは言えません」
「分かりました」
「さて、他にありますか?‥‥無いようですね。では徹底抗戦といこうではないですか」
こうして世界政府・海軍とトラック諸島の三笠艦隊は交戦状態に入ったことが確認された。
次回 トラック諸島沖海戦
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トラック諸島沖海戦前夜
海戦を入れようと頑張ったのですが次回に延ばさざるを得ませんでした…すみません。
坂の上の雲ネタたくさんです!!
謎の女性による天竜人殺害。
これに世界政府や海軍は大混乱に陥った。
なにせ天竜人が殺されるなどと前代未聞。
おまけにまんまと逃げられたのだ。
海軍や政府の面子は丸つぶれである。
そのため現在、マリンフォードにある海軍本部のとある一室に大勢の軍人が集まっていた。
海軍中将達と、三大将。そして、今回彼等を呼んだセンゴク元帥が会議をしていた。
「‥‥以上が調査結果です」
「なんてこった‥‥」
報告書の束を持った海兵の話を聞き、センゴク元帥は苦虫を噛み潰した様な顔をした。他の中将・大将達も同様である。
今回の件での被害は大きい。松島が放ったカネー式32㎝砲は榴弾を使用していた上に遅延信管という起爆が遅くなる信管を使用していた関係で砲弾で飛ばされた天竜人がマリンフォードの商店街近くで起爆したせいで街に少なくない被害が出ていたのだ。
「しっかし、まさかこんな女の子がこんな事するなんてなぁ」
「おまけにまんまと逃げられちゃったしねぇ」
「なにをいっちょるんじゃ!海軍の面子は丸つぶれなんじゃぞ!!」
三大将もこの件には大きく注目しており、赤犬に至っては自身の失態かのごとく怒り狂っていた。
まぁそりゃそうである。
なんせ島から脱出され、追撃した海軍船は春日に追いつけず、急行してきた吉野旗下の快速巡洋艦戦隊にハチの巣にされて轟沈してしまったのだから。
とはいえ帆船が石炭で蒸気を発生させて稼働する日露戦争時代の軍艦に速度でかなうわけないし火砲は世界政府海軍の船は後装式のは近代の砲と同じだがボーリングの玉のような砲弾を発射するタイプが基本で戦艦三笠などが使用している我々が思い描く三角形のとんがった帽子をかぶった炸薬の詰まった炸裂弾と言うのは限りなく少ないのだ。
ここで、再び世界政府海軍と戦艦三笠率いる日清・日露戦争時代の艦隊‥‥ここからはトラック艦隊と呼ぶがその戦力差を説明しよう。
世界政府海軍
・海軍船(帆船)
火砲…球体の鉄の塊を発射して帆船*1を破壊するのが目的か海獣撃退等が目的。装甲貫徹力は無きに等しい。
速力…風に関する悪魔の実の能力保有者がいれば話は変わってくるだろうが基本的に4ノットから7ノットなので自転車と同じくらいの速度である。なんども言うが悪魔の実の能力者がいれば話は変わるが…
防御力…大将や中将等の悪魔の実の能力者が敵弾を打ち落とすかなどしているのでわからないが基本帆船なので木材で建造されている。
すなわち防御力皆無。むしろ現代の榴弾(装甲を貫くのではなく表面で起爆して周囲に損害を与える砲弾)でも簡単に破壊されるだろう。
トラック艦隊
・戦艦三笠
火砲…主砲40口径二連装30cm砲×2・副砲40口径15cm砲×14
速力…18ノット(時速33km)
防御力…他の敷島型戦艦はハーヴェイ装甲だが三笠はクルップ装甲なのでさらに強靭な防御力を持っている。
・戦艦敷島
火砲・速力は三笠と大差なし
防御力は上記の通りクルップ装甲より質が多少劣るハーヴェイ装甲であるが帆船相手には十分すぎる。
・装甲艦定遠
火砲…305mm連装砲 2基4門・150mm砲 2門・57mm速射砲 2門・47mm速射砲 2門・37mm砲 8門
速力…14.5ノット
防御力…東洋一の堅物と言われた過去から十分
・戦艦???ー?・???ー??*2
火砲…Pattern 1895 30.5cm(40口径)連装砲2基・Pattern 1892 15.2cm(45口径)連装速射砲6基・Pattern 1892 7.5cm(50口径)単装速射砲20基・オチキス 4.7cm(43.5口径)単装速射砲20基・マキシム 7.62mm機銃4基
速力…16.2~17.64ノット
防御力…1900年代当時としてはそれなりなので無問題。
…代表的な戦艦相手でも雲泥の差であるのだ。
そもそも速度の差で負けているし、同行戦に持ち込んでも側面に多数装備されている副砲群にハチの巣にされるだろう。
そのため世界政府海軍の得意な大将・中将・少将等の接舷切り込みがひっじょ~~~に難しいのだ。
とはいえ世界政府海軍としては世界政府からの討伐要請を無視するわけにはいかない。
おまけにこの鋼鉄船部隊は近隣諸国の奴隷船などを狩りまくっていて各国からも討伐指示が出ている。
「ぶわはっはっは!!困ったものだのう!!」
「黙っとれガープ!!幸いこやつらの拠点と思しき諸島群は分かっておる。そこである命令が下された」
「「「「!!!」」」」
このセンゴクの言葉に三大将やガープ、各中将・少将・左官らは息をのんだ。
「我が海軍総動員でのバスターコールである!!!」
数日後…
世界経済新聞にある見出しが掲載された。
「海軍総出撃!!天竜人を殺害した者たちが駆る鋼鉄艦隊を撃滅すべく出動!!」
この見出しを世界政府はビッグモルガンズにわざわざ依頼して掲載させたのだ。一種のプロパガンダである。
とはいえこれは世界中に出まわるので当然三笠以下トラック諸島艦隊にも知られるわけで‥‥。
「すべての哨戒任務中の艦艇並びに仮装巡洋艦部隊に命令!!『数日以内に敵艦隊来襲確実!発見した場合は直ちに打電し一旦離脱し、可能ならば観測し続けるべし!』」
「「「「「了解!!!」」」」」「「「「「收到!!!!」」」」」」「「「「「заметано!!!」」」」」
そして二日後の夜
トラック諸島沖 仮装巡洋艦信濃丸
『艦長。あれ見てください』
「え?んん~??」
副長妖精に呼ばれて夜勤中だった信濃丸は双眼鏡で指示された方向を見た。
「へ?あれは‥‥」
『はい。帆船です、しかも青色の目立つ色具合から…』
「世界政府海軍の船だね」
『艦長先ほどから無線に変な呼び出し音が来てますが…』
『恐らくこちらを味方と見間違えているのではないでしょうか??』
「そうですね朝になるまで距離を維持!!」
『『『『了解!!』』』』
翌朝…
「白けてきたわね…おまけに霧も深い…まぁとにかく敵船を確認します!臨検隊用意!!」
『はっ!!!臨検隊用意!!第四カッター降ろし方!』
『んん‥‥???ひっ左艦首!!!世界政府海軍の大艦隊視認!!!』
『「ッ!!!??」』
そこには百船近い帆船艦隊がいた。
「副長。なんだか日本海海戦を思い出しますねぇ?」
『まったくです。おまけに気象状況・波の状況・作戦前に設定された座標暗号地点も一緒と来てます』
「なら我々には八百万の神々の加護があるのかもしれません。そして英霊の皆様の…よし敵座標並びに敵情を打電せよ!!」
『了解!!!』
≪発・仮装巡洋艦信濃丸、宛・連合艦隊総旗艦 戦艦三笠 敵ノ艦隊ミユ。地点203 本日天気多少の霧あれども戦闘には支障なしと予想す。繰り返す敵の艦隊、203地点にて捕捉。本日天気晴朗なれども波高し!!!≫
こうしてのちの世に世界政府海軍の悪夢ともいわれることになるトラック諸島沖海戦が始まろうとしていた。
次回 海戦
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トラック諸島沖海戦
信濃丸が電文を送信して数分後…
カチカチカッチカチカチカチ…
『信濃丸より緊急電を確認!』
『『『『!!!』』』』』
戦艦三笠の電通室に詰めていた妖精たちに激震が走った。
『タ連送です!』
『ん』
カキカキカキ…
『ん!すぐに三笠様に届けろ!』
『はい!!』
この電文を受け取った三笠は…
「直ちに全艦出動!出航を命じます!」
『『『はっ!!』』』
『出航用意!錨を上げ!』
『出航用意!錨を上げ!』
パッパッラッパ、パッパッラッパ、パッパッラッパッパッパッラパ~
『総員石炭捨て方!総員…!』
『急げ!早くしろ!』
海戦の場がどこになるかわからない以上、各艦ともに甲板上に積みあがるまで石炭を満載していたのでそれを捨てねばらなず…
『これで高級料亭で何回豪遊できるかなぁ?』『もったいねぇなぁ』
『そこ!ちゃっちゃとやる!』
という愚痴が各艦で見られたのはお約束である。
そうして三つの連合艦隊は事前の作戦計画にのっとって出航していった。
そしてこの時、三笠通信長妖精がふと思いつき全周波数帯に向け通信が発せられた。
『敵大艦隊見ゆとの警報に接し、トラック諸島連合艦隊は直ちに出動、これを撃滅せんとす。本日天気晴朗なれども波高し』
これはかつて日本海海戦前に大本営への報告の際に秋山真之作戦参謀がふと思いついて挿入した有名な言葉である。
この時、トラック諸島より出撃した三つの連合艦隊は大まかにこのように編成されている。
第一連合艦隊
大日本帝国海軍
第二連合艦隊
清国海軍北洋水師
第三連合艦隊
ロシア帝国海軍バルチック艦隊・旅順艦隊
この三つの連合艦隊はそれぞれの所属国家ごとの特色があるので一つの大艦隊にまとめることは危険であると三笠が判断したことで結成された。
そして先遣偵察艦の任を受けて先行していた第一連合艦隊所属第三艦隊旗艦の厳島から世界政府海軍捕捉と敵情の続報が入ってきたことと三笠のマストにて監視をしていた士官妖精が世界政府海軍艦隊を発見したことで海戦間近と判断した各連合艦隊ではそれぞれ準備を始めた。
第三連合艦隊では将兵妖精一同に第一種公式服への着替えを命じたのち、将官妖精と艦娘はシャンパンで、一般水兵妖精らはラム酒で乾杯して気勢を上げた。
第二連合艦隊では艦娘・将兵一同に中華料理がふんだんにふるまわれ、普段食べられない高級料理まで提供されたことで士気高揚して、船体までもがキラキラしているように見えたという。*1
そして第一連合艦隊ではすべての艦娘・妖精たちに鯛の塩焼きを始め山海の珍味が供され、日本艦に残っていた恩賜の菊正宗で乾杯をし、『天皇陛下万歳!』『日本海軍万歳!』を唱えていた。
このように各連合艦隊ではそれぞれ兵員の士気を上げて決戦に備えた。
ここでこんな悠長に構えていいのか?と疑問に思うかもしれないが日清・日露戦争のころの戦闘前はこんなもんである。日清・日露戦争時代の戦闘艦の平均速力は18.5キロ程度、日本は最大で33キロは出せるし清国海軍艦艇に至っては12キロほど…。基本的に第二次大戦期の戦闘艦や現代の艦艇に比べたら遅いのだ。
よって黄海海戦においても互いを発見しても海戦開始まで二時間近くかかっていた。
おまけに今回の相手は帆船、清国海軍よりも遅いのだ。昼飯を食う暇すらあったわけである。
さて、ここで世界政府海軍とトラック諸島艦隊の艦隊進路を説明しよう。
世界政府海軍 ⌇ トラック諸島艦隊
⌇
⌇第一連合艦隊三笠←ーーー
⌇
ーーーーーーーー→ ⌇
ーーーーーーーー→ ⌇
ーーーーーー→ ⌇
ーーーーーーーーーー→⌇ 第二連合艦隊定遠←ーー
ーーーーーーー→ ⌇
ーーーーーーーー→ ⌇
ーーーーーーーーー→ ⌇
⌇
⌇第三連合艦隊旗艦←ーーーー
⌇
⌇
⌇
おおよそこの図のように双方は艦隊を動かしていた。なぜ世界政府海軍側は一列ではなくいくつも列を組んでいるのかと言うと実は世界政府海軍の拠点マリンフォードからトラック諸島のある海域にいくまでは帆船では航行が厳しい海域を通らねばなかったのと*2各地からかき集めた船で編成せざるを得ないので練度に不安が隠せず、単横陣に近い陣形で各艦隊を大将らが御守りをしつつ、指揮をとらなければならかったからと言うのがある。
おまけに船長がパワハラ気質な船もあったので士気を保つのが難しく、士気は完全に低下していた。
そして双方の艦隊は相対した。
「むぅぅ…」
この時、センゴクは頭を抱えていた。予想以上に味方の士気低下が見えていたからだ。
「ぶわっはっはっは!センゴク、面白い顔になっとるぞ!」
「だまっとれガープ!!おぬしにも今日はしっかり働いてもらうからな!」
相変わらずガープは能天気なようである。
そして三笠は…
パッ!
敵との距離が8000mに達した時、手を左に折った。
『とーりかーじ!いっぱい!』
『とーリかーじ!』
この時、第一連合艦隊旗艦三笠は敵前でUターンをした。日本海海戦よりもU字に近い形でである。
三笠はかつて秋山真之が考案した作戦に習い敵の頭を押さえることを最優先したのである。
そして同時刻、第三連合艦隊旗艦は面舵を取って同じくUターンを行いこちらも敵の頭を押さえる進路を取った。
とはいえこれは場合によっては味方の破滅を招く恐れがあった。
三笠以下の各艦が次々と回頭している間は僚艦共々射撃は不可能に近く、また敵にとっては制止目標を打つに等しい。
これは実際の日本海海戦で発生した事態でもあった。
しかし、この世界の標準的な軍艦の射程は日本海海戦時代の砲とは違い有効射程距離は100m程度であった。
なので砲弾がとどくわけがない…。
「ええい!さっさと撃て!!」
「む、無理ですよ!届くわけがありません!!」
何隻かが勝手に発砲したが先頭艦に届く前に海に弾着し、当然のように弾着した。
おまけにこれはセンゴクの指示を無視しての行動であったので艦隊全体が混乱状態に陥っていた。
そして三笠以下、第一連合艦隊第一戦隊・第二戦隊が回頭を完了したその時…
『距離6300!』
『射撃を開始しますよ?』
「…ええ。お願いします」
『打ち方はじめ!』
『前部六インチ砲!試し打ち方!目標、敵艦隊先頭を航行中の敵艦!速力おおよそ2ノット!打ち方はじめ!』
『前部六インチ砲試し打ち方!』
『距離6300!打ち方!はじめ!!』
『用~意!てぇぇえ!!!』
こうして三笠の右舷前部に設置されていた六インチ砲から伊集院信管を搭載し、下瀬火薬を満載した榴弾が世界政府の悪意を乗せた船に向かって飛翔していった。
次回 運命の砲弾
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