メカゴジラシティ召喚 (アメコミ限界オタク)
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第一話 メカゴジラシティ召喚
どうしてもやりたかった。
西暦2050年。旧日本、富士樹海。
文明が滅びて久しいこの地球に置いて、文明を記録した唯一の都市がある。熱光学迷彩の効果を持つガスに囲まれた領域に、その都市は存在していた。
ナノメタルの都市。それがこの都市だ。
ナノメタルはまだ機能している。
打ち捨てられたジェットジャガーや戦車のスクラップ部品からまだ使える部品や僅かに使われているナノメタル。
そういったパーツを必死こいて探して集めて作った、手作りのナノメタル探知機。
その探知機がここにあり得ないほど巨大なナノメタル反応を示したのだ。
そして見つけた。
ナノメタルで建造されたこの都市を。
ホバーバイクでシティの入り口まで移動すると、パスワードや鍵が無くても出入口が自動で開いた。
ここまで来て、都市に入れずに門前払いにされる心配は無いらしい。
なにより驚いたのは……。
「こいつ、まだ動く!まだ動くぞ!!」
破壊されたはずのメカゴジラ、その残骸がまだ機能していて、この都市を建造したんだ。
「すみませーん!誰かいませんかー!」
当時の管理人や技術者が誰かここに残ってればナノメタルの使い方も聞けて都合がいいのだが、誰もいないようだ。ホバーバイクで都市の全てを回り、スピーカーや無線を使って何時間も人を探してそこら中をうろうろしていた。しかし、一度も応答が無かった。
これだけの規模の都市なら、人を検知する管理システムぐらいあるはずだ。
入り口にあった自動ドアなんかが正にそのシステムの一部だろう。
流石に人がいたらとっくに俺の存在に気付いてなにかしらのコンタクトを取るはずだから、やはり誰もいないんだろう。
仕方無いので、自力でこのシティーを制御してるコンソールを探すことにした。そして運が良いことに、コンソールは簡単に見つけられた。
見逃していたが、入り口から入ってから真っ直ぐ歩いたところにメカゴジラの頭がある部屋があり、それがナノメタルシティの制御コンソールとして機能にしていた。
言うなれば、そう、ここは……。
「メカゴジラシティ」
名前を付けるならそうなるだろう。
メカゴジラの頭に有線ケーブルで自作コンピューターと繋げると、キーボードを打ち込む。
空中投影された液晶を見ると、その言語はビルサルドの母語に設定されていた。
「はあ?ビルサルド語かよこれ、めんどくせーー!!」
俺は純粋な日本人の血筋だが、日本語以外にも英語とビルサルド語も多少は習っている。
両親が存命中、技術者でビルサルドとも仕事をしていた両親から教わっていたからな。
「ちょくちょく読める単語はあるんだけどなぁ……。単語の意味が分からなかったり文章になると良く分からなかったりするじゃん、もう!!どうせなら日本語でやれよ!!ここ日本だろ!!」
中途半端に読めるビルサルド語にぶちギレながら、俺は僅かに読めるビルサルドの言葉を取っ掛かりにしてビルサルド語を日本語に翻訳する作業に没頭する。
水と保存食は大量に持ち込んでいるのでしばらくここで生活しながら作業しても困らない。読めない言葉にイライラしつつも、気長に作業すること数週間。
ライフラインの設備を動かせる程度には翻訳が進んだ。
持ち込んだ水と食べ物の残量が無くなりかけていた上に身体も汚れていた俺にとって、シャワーを浴びることができるようになり、食料生産プラントの再稼働や食料庫へのアクセスができるようになったのは運が良かった。
食料庫にある缶詰めやレーションの山を見たときはその迫力に結構びびった。
これをひとりで食べていいのか、と後ろめたさすら覚える程度には大量の食べ物が備蓄されていたからだ。
元々メカゴジラシティで作業していた兵士や作業員を養うためのものだけある。数百人の人間を数週間、俺ひとりなら数百年は食っていける量だ。しかも食料生産プラントでは肉や野菜の培養もしていて、その食材の加工から調理までの過程も自動化されている。
食材の培養が終われば、旧時代の料理も食べられるようになるはずだ。
とにかくこれで作業環境は整えることができた。
メカゴジラシティの制御を完全にものにするため、今日もコンソールを打ち続ける。
それから数ヶ月が経ち、制御システムの日本語化は大部分が終了。
システムの完全な掌握が完了し、ナノメタルシティを制御することに成功した。
使っているコンソールはナノメタルを変型させて作った新品ピカピカの筐体。
それまで使っていたボロいスクラップキーボードはナノメタルに吸収させて、より高性能の新品として作り替えた結果、こうなった。
座っているイスもナノメタル性だが、その座り心地は金属とは思えないほど柔らかく、綿の詰まったクッションのようだ。
これも分子レベルで結合率を操り、自由に形を変えられるナノメタルの変型の自由度を証明している。
カタカタカタカタカタカタ。
「…………」
ズズズ。
机に置いているコーヒーを一口飲み、無言でひたすらキーボードを叩く。朝昼夜、寝る間も惜しんでひたすら作業に没頭している。
こうしてみると、ここに来てからの生活は旧文明の社畜というやつにそっくりだ。メカゴジラを建造していた作業員や技術者が残していたログを見たが、彼らも今の俺と似たような生活をしていたようだ。尤も、俺はその人たちほど切迫した状況では無いので休みはちゃんと挟めている。その分、労働環境では俺の方が恵まれているんだろう。
それから数週間が経過。
システムの日本語翻訳は完全に終了。シティの制御システムも8割は既に掌握しているが、兵器関係のシステムはファイアウォールが固く、未だにアクセス出来ずにいる。
このままだと、ナノメタルを兵器や武器に変型させるのは勿論、設計図のインストールすらできない。
ふぅー、とため息をつくと休憩がてら、飯の時間にしようと席を立つ。
「なあー、そろそろ俺に心を開いてくんないか?」
メカゴジラの生首にそう話しかけるが、当然ながら返事は返ってこない。
食事から帰ってくると、もう一度武器開発プログラムへのアクセスに挑戦する。やっぱりうんともすんとも言わない。
帰ってくるのは『エラー』というメッセージウインドウのみだ。最後の難関。ここさえ突破できれば、あの憎き怪獣の王ともう一度戦うことができる。
「俺は諦めないぞ、絶対にな」
そして半年経過。
俺がこの都市に来てから1年近い時間が流れた。
『アクセス成功、武器開発システム正常に稼働。プログラムにアクセスできます』
唐突に最後の難関を突破することに成功した。
「や、やった……! やったぞおおおおおおおおおおと!!!!!!!!」
一瞬、実感が遅れてやってくると、興奮で体が震えだし、ついに喜びが爆発して全身でこの喜びを表現する。
「やったあああああ!!!アハハハハ!!ざまぁみろ!!これであいつを倒せる!!あの破壊神を!黙示録の獣を!!」
―――ゴジラを!!
早速、試しになにか兵器を造ってみることした。
ちょうど、旧メカゴジラ建造プラントで破壊されたパワードスーツが転がっているため、そのスーツを補修、元にしたホバーバイクのような高機動兵器を造ることに決めた。
兵器開発は俺が求める兵器の概要さえ打ち込んでしまえば、後はシティを統制する演算コンピューターが兵器の設計から建造まで自動的にやってくれる。
『高機動兵器ヴァルチャー。完成まで後1時間』
タブに映るのはホバーバイクよりも速く、パワードスーツより装甲が硬い人型高機動兵器ヴァルチャーの全体図とカタログスペック。
これを量産し、メカゴジラと編隊を組ませて援護させれば、ゴジラだって一殺のはずだ。
メカゴジラ一機でさえ、ちゃんと起動さえすれば勝てたんだ。今度こそ勝てる。
グゥ~~。
「急に腹減ってきた」
そこまで考えると、今度は一気に気が抜けてきて腹が減る。
取り敢えず兵器開発とメカゴジラの再構築は後にして、今は食事のために部屋を出る。
すると、急になんの前触れもなく、強烈な光に包まれて眼が眩む。
思わずその場で眼を庇い、俺は芋虫のように床に丸まりそうになる。
「……?なんだ、今の?……立ちくらみ?」
一日の大半をデスクワークで過ごしているせいで、血が一気に頭から引いた影響かもな。
その時の俺は気付いていなかった。
ナノメタルシティごと異世界に飛ばされていたことに。
少年
この物語の主人公。名前はまだない。
メカゴジラシティーを自力で発見し、ビルサルドの言語を日本語や英語に翻訳し、兵器開発をひとりでこなせる天才。
なにげにシティー発見までひとりで旅をして生きていたため、サバイバルスキルや戦闘力も高いのかも知れない。
作者の別の作品の人類最強娘とは別ベクトルでチート。
メカゴジラシティー
アニゴジ三部作の第二作、決戦機動増殖都市に登場するナノメタルでできた都市。
正体は2万年間かけて成長したメカゴジラがナノメタルを増殖させたもの。
ナノメタル
ビルサルド人のガルグとベルベ曰く、最強の物質。
自立思考する物質であり、ナノメタル自体が自分で考えて自分の分子構造に組み替えたり、他の物質を有機物・無機物関係無く美味しく召し上がって自己増殖をすることができる超チート物質。
ちなみに映画ではエクシフ・地球人・フツアに「禍々しい」「悪いもの」「毒」とボロクソに言われていたがゴジラ・アースにシティーを破壊される瞬間までビルサルドの命令通りに働き、戦っていてこういう物質にありがちな暴走とかは一切無かった。
どちらかというと、暴走していてたのはナノメタルを見つけて勝手に盛り上がったり勝手に警戒していたビルサルド人や人類の方。
ヴァルチャー
アニゴジ三部作に登場する高機動パワードスーツ。
プラズマジェットがついた可変式の翼で空を飛び回りながらエネルギーライフルでゴジラアースを撃ちまくるシーンが最高にかっこいい。
映画では三機しか製造できなかったが、今作では主力兵器として量産される。
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第二話 この異世界にゴジラはいない
明日も12時更新です。
『緊急警報。非常事態発生、非常事態発生』
メカゴジラシティが急にアラートを鳴らし、大音量で警告を始める。
一体、なにが起こってるのか。
それを知るために俺はホバーバイクに乗り、シティの外へ飛び出す。
大空から眼下に広がる景色。
それはここ1年近くですっかり見慣れてた鬱蒼とした暗い樹海……ではなく、穏やかで温かい日光を浴びる平原だった。ホバーバイクで飛んでいると、穏やかな風が頬を撫でる感触が楽しい夢のように気持ちいい。
「なんだこれ?何が起こってんだ?」
俺は自分の目に映るこの光景が信じられず、しかし、五感はこの美しい景色を現実と認識していた。
破壊された街でもなく、ゴジラの影響を受けた森林でもない。自然本来の、ありのままの美しさがそこに広がっている。
大気組成、地質、水質、植物、動物、そして星座、あらゆる環境変化を見逃さずに計測する。
そして調査を始めてから数日、結論が出た。
結論として、俺はメカゴジラシティと共に地球とは違う惑星、もしくは異世界に来てしまったと判明した。
どういうことなのかまるで意味が分からないが、とにかくここは地球とは違う惑星ということだ。
ゴジラが残した汚染や小型怪獣がいないのはいいことだが、なによりも問題があるのは……
「ゴジラいねえじゃねえかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そう、この世界に転移したのは俺とメカゴジラシティのみであり、この世界にゴジラはいない。
「くそぉ……あんまりだぁ……ちくしょうぅぅ」
ようやくゴジラへ復讐ができるはずだった。その矢先にこれだ。もはや表現する言葉が見当たらないレベルの失望と喪失感に打ちのめされている。
「はぁ……、とにかく元の世界に戻る方法探すか」
あくまで最後の手段だが、最悪、この世界全てをナノメタルに喰わせる必要があるならそれも躊躇わないつもりでいる。
とりあえず今のままだとゴジラと戦うためにはナノメタルの総量が足りていないので、メカゴジラシティ周辺の平原の土地を慎重に食わせて量を増やす。
コンピューターによる演算だと1億5000万トンほどナノメタルがあれば確実にゴジラに勝てるという結果が出ているため、それを目標にして美しい自然の破壊を最小限にするよう、注意して節度を考えながらナノメタルを増やしていく。
ヴァルチャーの量産とメカゴジラを含む兵器の再設計、ナノメタルの増殖。どれも一度軌道に乗れば全自動で行えてしまうので、暇になってしまった。
突然降って湧いた休暇。
特にすることも無かった俺は外に出かけ、この世界の風景を楽しむことにした。
ホバーバイクで空を飛び、ツーリングを楽しんでいるとやがて小さな町を発見した。
この世界にも文明があることに心底びっくりした俺は、遠くからその町を観察して見たがその町は俺の知る人間の町ではなかった。
その町の文明レベルは、高く見積もっても精々が中世レベル。町を囲むように作られた壁も木製であり、どちらかというと柵に近い。
そしてなにより、住んでいる人間が変だ。
そこに暮らす人々は見た目こそ人間だが、体から動物のような耳や尻尾が生えている。
始めはそういうファッションなのかと思ったが、何日もかけて観察を続けると、それらの耳や尻尾が体から直接生えているモノだと分かった。
結論として、彼らは人間と動物、両方の特徴を持った未知の知的生命体ということだ。
便宜上の名前として人と獣の亜種だから『亜人』と呼ぼう。
彼ら亜人の町は人口十万人ほどのそこそこ大きな町であり、野菜がそこら中に自然に生えてるため、食料にも畜産にも困らないちょっとよく分からないほど肥えた土地だ。
まあそんな土地で暮らしているからなのか、文明レベルこそ低いが、亜人の身体能力は超人的と言って良いほど高い。
特に兵士の体力は凄まじく、人間と言うよりも猛獣と言った方が良いくらい強い。
そして亜人は仲間同士で深い結束で結ばれている。
赤ん坊を連れた母親が食事や仮眠を取るとき、近所の人間が赤ん坊の面倒を見ている。まるで自分の子どものように優しくあやしてる。
怪我をした老人を心配し、畑仕事で忙しい大人の代わりに遊び盛りの幼児たちがこぞってその老人の世話をしている。微笑ましく尊い光景だ。
体が弱く、家から出られない母のために一生懸命働く女の子のために、周囲の大人たちができる限りの親切と手助けをしてる。
家族が揃って夕食を食べて団らんするのは、この町ではありふれているが、俺には二度と訪れないことだ。
どれも尊く、そして地球人類が怪獣たちに奪われた尊厳だ。
「……いいなぁ」
いつの間にか、無意識にそんな事を口にしていた。
思えば、俺の両親は子どもの頃にゴジラとの戦いで死んでいる。そこからはずっと厳しく合理主義で、俺のような保護者すらいない子ども、弱者には冷たい世界で暮らしてた。
その日の食料にも家族の愛にも恵まれなかった俺には、この町がひどく羨ましかった。
こういう優しい世界が現実にあるんだなぁ。
いつの間にか俺は兵器開発とナノメタルの増殖を行う片手間に、この町を観察するのが日課となっていた。まるでストーカーのようだが、これはあくまで偵察だ。
未知の種族に対する警戒であり、観察だ。観察時に撮影した映像はログ化して保存している。
兵器開発中の暇な時間、俺はそれを見返していてはひとりでニヤついた笑みを浮かべていた。
時系列は日本国召還の本編の1年くらい前。
転移先はクワ・トイネ領の森林地帯。
位置的にはロウリアとクワトイネの国境の間に近いぐらい。
発見した町の正体は最序盤でロウリアに虐殺されたギム。
町の暮らしについてはだいぶ捏造。ほぼ捏造。
少年がおセンチ野郎なのも今後の行動のための都合良い捏造だよ☆
ちな平行世界の日本も転移してきてる設定だけど出番はまだ先。
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第三話 GNドライヴ[T]
亜人の町を発見してから数ヶ月が経過。
ナノメタルの総量を1億5000万トンに達したため、一度ナノメタルの増殖は打ち切った。
兵器開発については三機一隊のヴァルチャー編隊を10ダース。
操縦方法は遠隔による手動操縦と自動操縦を切り分ける遠隔操作と人が直接乗って操作する有人操作の操縦システムを採用。
武装は50ミリ口径プロトン粒子ライフルを2門。実弾ではなく、圧縮したプロトン粒子を発射するいわゆる粒子ビーム兵器だ。
破壊力は戦車の主砲どころか、戦艦の47センチ砲並みだ。そしてこれは粒子圧縮率や出力を調整することでその威力、射程の細かいコントロールまで実現した。
怪獣が相手にドンパチやるための機体だし、多分、この威力調整機能を使う日はまず来ないだろう。まあ念のため搭載できる機能は全て搭載しておいた。
飛行速度はかつて存在していた戦闘機と同じようにマッハ2に達し、機動力や運動性能はヘリコプターよりも融通が効き、ホバリング性能も遥かに高い。
メカゴジラシティの半径50キロ圏内であればらシティから無限にエネルギーの供給を受けることができ、その範囲内なら遠隔操縦もできる。
逆に言えばシティから50キロ離れたら活動時間が大幅に制限される上に、遠隔操縦機であれば墜落もあり得るということになる。時間と資源にはかなり余裕があるため、その問題を克服するため、さらに高い能力を持つ新型ヴァルチャーの開発にも着手した。
そして一機だけ完成までこぎ着けた新型ヴァルチャー。
上記のエネルギー問題を克服し、性能の大幅な向上にも成功した最新モデルだ。
飛行速度は巡航形態でマッハ2、最大速度ならマッハ7を超えるマニューバが可能だ。パイロットにかかる負担も慣性制御装置によって緩和することができる。
なぜここまでの機体を建造できたかと言うと、
使っているエンジンに秘密がある。
GNドライヴ[T]
ナノメタルシティ内のサーバーから新しく見つけたデータに残っていた記録にそのエンジンについて基礎理論や未完成の設計図が残されていたのだ。
そしてこのGNドライヴが生み出す未知の粒子……GN粒子がもたらす効果についても研究データが残されていた。
本来はメカゴジラにGNドライヴを搭載する予定だったらしいが技術的、時間的な問題が多く採用を見送られたこのエンジンを数ヶ月もかけて技術的課題を見直し、克服した。
開発に成功したこのGNドライヴ[T]を試験的に搭載したヴァルチャー……さしずめプロトGNヴァルチャーか。
プロトGNヴァルチャーを開発。テストを行った。
その結果、通常のヴァルチャーにGNドライヴ[T]を載せただけのプロトGNヴァルチャーはド派手に空中分解を起こし、爆発四散した。
「ふははは!見ろ!ヴァルチャーが!ヴァルチャーがゴミのようだ!!あははは!きれいな花火じゃないか!アハハハハハハハ!!」
数ヶ月かけて開発した新型が爆散した。
数ヶ月間の俺の苦労はなんだったんだろう。
そう思うと面白くって可笑しくって、不思議なことに腹の底から笑えた。次の日腹筋が筋肉痛になるほど笑ったのは、生まれて始めての体験だ。
そして次の日、腹筋の筋肉痛が治ると早速GNヴァルチャーのデータと設計を見直して解析する。
そして結果として、通常のヴァルチャーにただドライヴを載せるだけだとその互換性の無さ、ドライヴとヴァルチャーの相性、タウ型GN粒子の影響で機体にかかる負担がもはや自殺に等しいレベルであると判明した。
つまり、ヴァルチャーにGNドライヴ[T]を搭載するためには機体設計そのものをGNドライヴ[T]に合わせて改良する必要があるということだ。
「こりゃあ、また手間がかかるなぁー」
まあ時間も資源もいくらでもある。
気長にやればいい。
俺の心のオアシス、亜人の町の映像を見て一息つく。
気長にやればいい、焦る必要はないんだからな。
少年
主人公。擬似GNドライヴの開発に成功。
この時点で兵器関係の技術は他の国から見ればカンスト状態なのに最終目標が打倒ゴジラだからまだ進化し続ける魔帝もドン引きのマジキチ。そしてすっかりギムの町が大好きとなる。
そして最初の以降は兵器開発に専念して調査をほとんど行っていないため、この世界に平行世界の日本国があることや弱肉強食のルールも知らない無知無知状態。
プロトGNヴァルチャー
擬似GNドライヴ搭載型ヴァルチャーの試作品。
性能は半端なく高かったけどドライヴの負荷に耐えきれずに爆発した。
フリーザ様も大興奮の打ち上げ花火となる。
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第四話 アニメじゃない
プロトGNヴァルチャーの失敗から更に数ヶ月が経った。
遂にプロトGNヴァルチャーの第二世代機、GNドライヴとの互換性を持つGNドライヴ搭載型の機体・プロトGNヴァルチャーⅡが完成した。
電力とGN粒子技術を応用したこの機体は、通常のヴァルチャーと比較しても全ての面に置いて圧倒的に高い性能を誇る、正に戦闘用ヴァルチャーと呼ぶにふさわしい機体となっている。
カタログスペックでは機動力はGN粒子の斥力効果と慣性制御が実現したジェット推進無しで通常機に並ぶ高い飛行能力とホバリング能力。必要な場合、通常機と同じようにプラズマジェットを使うことで更に加速することが可能だ。
防御面では圧縮粒子を用いたあらゆる攻撃を緩衝、遮断する粒子フィールド。
機体装甲に吸収されたGN粒子が機体重量を軽減し、また装甲強度を高めることでただでさえ高い機動力と防御力を押し上げている。
武装についても同様に、圧縮粒子をビームとして発射するGNビームライフルを二門装備している。
このGNビームライフルの最大出力は、従来のプロトン粒子ライフルよりも何十倍も高い。
今までに開発したヴァルチャーを置き去りにするような、圧倒的なポテンシャルを秘めた機体が完成した。
――クッソつえぇだろ?これ試作品なんだぜ。
昔読んだサッカーマンガのセリフを引用すると、自然とこんな感じの感想が出てきた。
なによりこの機体、空中分解の心配がない。
ちゃんとGNドライヴ[T]と互換性を持たせるために一から設計を見直した、その甲斐が!あったというもの!
まあそのお陰で実のところ、見た目は背中にあるコーン型スラスターと胸にあるGNドライヴ以外は従来のヴァルチャーと同じだが、中身は全くの別物となっている。
そしてこのGNヴァルチャーの開発と平行して、ドライヴを搭載してない通常機を進化、改造しておいた。
それが通常ヴァルチャーをそっくりそのまま進化させた機体、ウォーカスタムヴァルチャーだ。
戦闘用に開発したプロトGNヴァルチャーⅡとウォーカスタムヴァルチャー。
同じ名前の兵器がふたつ並ぶと、どちらの方が強いか比べたくなっちゃうのが男の子というもの。強さランキングは永遠のロマンだ。
メインコンソールからシミュレーターシステムにアクセス。ウォーカスタム機とプロトGNヴァルチャーⅡの機体データをインストール。
生活用ロボットに命令して食料庫からキンキンに冷えた飲み物とポップコーンを運ばせると、戦闘シミュレーションプログラムを実行する。
メカゴジラシティ上空に立体ホログラムが投影される。投影されるのは勿論、それぞれが異なる技術で、そして同じ目的で造られた二機のヴァルチャーだ。
『戦闘シミュレーションを開始します』
そしてホログラムのヴァルチャー同士が激突する。
凄まじい機動力と加速力で激しい挙動を行い、子どもの頃に見たロボットアニメのような死闘を繰り広げる2機のヴァルチャー。
遠隔操縦AIの性能は互角だが、やはりGNヴァルチャーの方が性能面で有利なようだ。
ウォーカスタムのプロトン粒子ライフルはGNフィールドで完璧に防がれ、逆にGNビームライフルの威力は少し擦っただけで翼を焼かれる始末だ。
ナノメタルの自己増殖と変形機能を駆使することで、装甲とエネルギーを犠牲に突貫で損傷を直してはいるがこのままだとウォーカスタムはじり貧だ。
おっと流れ弾飛んできた、ホログラムだと分かっててもクッッソリアルでなかなか迫力がある。怖えぇ。ビビって落としたポップコーンを拾って食べる。
アニメの主人公なら、ここから逆転の一手を考えて見事に勝利するのだろうが、これはアニメじゃない。やはり機体の性能の差が戦力の決定的な差となったようで、最後はウォーカスタムが呆気なく撃墜されてシミュレーションは終了した。
『戦闘シミュレーションを終了します』
ホログラムが消える。
量産機の正式採用はGNヴァルチャーで決まりだ。
GNヴァルチャー
擬似GNドライヴを搭載した高機動型パワードスーツの量産型。
性能はこの時点で異世界最強だがまだまだ進化の途中。
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第五話 ガンダムヴァルチャー、大地に立つ。
GNヴァルチャーを正式採用してから数ヶ月経過。
プロトGNヴァルチャーⅡのデータから発展機としてより実戦向きに進化発展させた機体としてガンダムヴァルチャーを開発した。
この機体は頭頂高22メートル、重量44トンとこれまでのGNヴァルチャー比べてかなり大型化している。参考までに言うと、以前のGNヴァルチャーは頭頂高7メートル、重量10トン程度だ。
およそ3倍の身長に4倍以上の体重と、かなりサイズアップしたのだが、その分機体性能と安定性はこれまでの比ではないほど跳ね上がっている。
このガンダムヴァルチャーの戦闘コンセプトを狙撃・砲撃・機動戦・格闘戦に設定し、それぞれに特化したカスタム型や第二世代のガンダムの開発も視野に入れてはいるが、そこは今のところ保留にしておこう。
ヴァルチャーの開発に夢中ですっかり忘れていたが、そろそろメカゴジラの開発にも本腰を入れて着手しないといけない。
ガンダムヴァルチャーの試運転は既に完了しているので、今日はヴァルチャー開発の一時終了祝いと休暇を兼ねて、この機体でシティの外に出かけてみようと思う。
最近はヴァルチャー開発に忙しくてすっかり忘れていたが、例の亜人の町の様子を見てこようっと。
荷物確認!弁当ヨシッ!水筒ヨシッ!医薬品ヨシッ!着替えヨシッ!タオルヨシッ!全部ヨシッ!
しゅっぱーつ!
GN粒子の光は朝焼けの空とすごく相性がいい。
主に綺麗さという意味で。
ガンダムで空を飛んでいると、あっという間に亜人の町上空に着いた。
気付かれないように光学ステルスモードで機体を透明化しているため、目撃される心配もない。
久々に見に来た町は……燃えていた。
「は?」
どう言うことなんだこれは。なんで町が燃えてんだよ。
眼下で広がる光景は、この世の地獄。
ワイバーンの群れが亜人たちの町を蹂躙している虐殺の現場だ。これは生存競争じゃない、虐殺だ。
ゴジラが東京を襲った時を思い出す。
俺の家が焼かれ、家族が全員死んだ夜。
失意の中、難民キャンプに避難していたあの日、メガヌロンや大コンドルの群れに襲われて食われる恐怖。
この穏やかな町を見ているうちに忘れかけていた記憶を鮮明に思い出した。
そうだよな。怪獣は皆殺しにしなきゃ、怪獣と戦わないと。
そのためのガンダムだ。
クワ・トイネ公国西部、国境から20キロの町ギム。
その日、亜人撲滅を掲げる人間史上主義国家ロウリア国の軍隊がこの町への侵略を開始した。
クワ・トイネ国の食料事情を支える、特になにもしなくても野菜が生えてくるほど豊かな土地はどんな世界に置いても宝の山だ。特に、弱肉強食、力が全てのこの世界では強いものがこれを奪うことは罪ではないのだ。
そして亜人排斥国家であるロウリア国が、亜人が多く住むクワ・トイネ国民がこの土地に住むことなど許しはしない。
――獣風情が、誰の許しを得てこの土地に住み、この世界で糞を垂れ流し、息を吸っているのか。
ロウリア国は非常に傲慢なことに、クワ・トイネ公国の亜人への認識はこの程度でしかなかった。
よって、いつかこの日が来ることは想像に難くない。
「ロウリアのワイバーン多数がギムへ侵攻してきた!!
同時に歩兵……数万が国境を越えている!!
繰り返す、ロウリアが攻めてきた!!はっ?!やめ……――――ッッッ!!」
斥候からの連絡が途切れる。
「なにがあった!?応答しろ!繰り返す!応答しろ!」
ギムの駐屯兵がロウリア王国方面へ双眼鏡を向けると、ロウリアのワイバーン部隊がすぐそこまで迫っていた。
ギムの駐屯飛龍隊が直ちに全騎出撃し、迎撃に当たるが、元々数も質も負けている相手に不意を突かれたようなもの。
瞬殺という言葉の意味の解説に使えるくらい、あっさりと飛龍隊は全滅させられた。
「ちくしょう……やってやる!ひとりでも多く道連れにしてやる!!行くぞぉぉ!!」
迎撃に当たった飛龍隊を返り討ちにしたロウリアワイバーン部隊は、その勢いのままギムの町を攻撃する。
町を守ろうとしたギムの兵士は、正規兵も義勇兵も逃げ遅れた民間人まで関係無く無差別に爆撃を受け、ある者は体を粉砕され即死し、ある者は生きたまま火に焼かれて苦痛に悶えながら焼け死んだ。
地平線では数万を超えるロウリア歩兵がギムの町の数キロ近くまで列を成して進軍している。
「ここまでか……」
この町の防衛を誇りにしていた名も無き騎士は、頭から血を流して倒れていた。
下半身は崩れた家屋の下敷きとなり、身動きすら取れずに、悪魔のようなロウリアのワイバーンが我が物顔で飛び続けている空を見上げている。そのワイバーンの一匹と目があった。
彼女に向けてそのワイバーンは大きく口を開くと、火球を吐き出そうとする。飛龍隊を悉く撃墜し、ギムを焼き払ったあの攻撃を。
「いずれ、お前たちに我が神が報い下す……それまで好き勝手やってろ……」
その時、ワイバーンの頭をオレンジの閃光が貫いた。その光線はキラキラした雪のような粉を散らして消える。
ロウリアのワイバーンを一撃で葬る絶大な殺傷力とは裏腹に、儚くも永久の美しさすら感じられる。
とうとう神が降臨したのか。
あまりにも呆気ないワイバーンの最期と、その光のあまりの神々しさに、彼女……セイエイは本気でそう思った。
神の光はその一発では終わらず、ギムを襲うワイバーンに次々と降り注ぐ。天から降り注ぐ神の光は、寸分の狂いも撃ち漏らしもなくワイバーンを貫き、撃墜する。まるで神話のような光景だった。
ロウリア軍歩兵隊、騎兵隊がギムに到着する。
その眼前には、光学迷彩を解除した鋼鉄の翼を持つ巨人の天使が中空に現れる。
ギムを守るようにロウリアの軍に立ちはだかる光を纏う鋼鉄の翼のある巨人。
セイエイの目には、それが神の降臨として映っていた。
そして神はゆっくりと大地に降り立つ。
鋼鉄の巨人ガンダムヴァルチャー、異世界の大地に立つ。
ガンダムヴァルチャー
少年が造り上げたGNヴァルチャーの進化形態にしてOガンダムポジションの機体。今の時点では一機しかないがボタンひとつで量産可能かつ、既に無敵の兵器なのにまだ進化し続ける情け無用の鬼。
日本含む列強国がガンダムヴァルチャーの存在を知れば、軒並み息の根が止まるレベル。
セイエイ
ケモミミくっころ女騎士。
騎士になったばかりのぴちぴちの16歳。
主人公である少年を差し置いて今作で最初のネームドキャラになった金髪碧眼美少女。
GN粒子の光を纏いながら降臨したガンダムヴァルチャーに神を見出だした。多分ヒロイン枠。
ロウリア王国軍
原作でもギムで虐殺してた胸糞連中。慈悲はない。
ギム
クワ・トイネ公国のロウリア国境付近の町。
人口は10万人程度でそこそこ大きい。
日本国召還原作ではロウリアの侵略を受けて物語で最初の胸糞展開の舞台となる。
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第六話 ガンダム無双
ロウリア国軍はもっと気合いだせ、戦闘シーンを持たせろ(無茶ぶり)
王国軍10万の前に、突如として天から降りてきた空を舞う巨人、ガンダムヴァルチャー。
その手にあるのは巨人にふさわしい大砲サイズの銃。ワイバーンを殲滅したのはその銃による攻撃だ。
大地に立ったその巨人は、ロウリア王国軍騎兵隊の前に立ちはだかる。
ロウリア指揮官は魔法通信で全軍に命令を下し、虎の子の大砲全門をヴァルチャーへ向ける。
ヴァルチャーに向かって大砲を撃ち続ける。ヴァルチャーは無防備なまま、砲弾を受けるが、GN粒子を浸透させて強化された超硬化ナノメタル複合装甲には掠り傷程度の損傷すら与えられ無い。
「文明のレベルが違いすぎる」
コクピットの中で敵軍の攻撃を観察して、俺はそう呟いた。敵の攻撃はGNフィールドを使うまでもなく、ナノメタル装甲だけで簡単に防げている。
相手の技術力はどれだけ高く見積もっても精々が中世レベルの技術。相手の使う大砲だけ中世時代にしては頭ひとつ高い技術を持つのに対して、俺の扱うガンダムヴァルチャーは宇宙人から技術提供を受けて何世紀分もの技術革新が進んだ時代の兵器だ。テクノロジーの差は何百年どころか、下手すれば何千年単位で差がある。
どう転んでもここから先はガンダムによる一方的な虐殺になるだろう。
しかし、あの連中は町を攻撃した。平和に暮らしていただけの人たちをな。
「なら仕方ないよな」
誰かに言い訳するように、自分の行いを正当化して割り切ると、俺はビームライフルを軍隊へ向ける。そして敵の中心に狙いをつけ、トリガーを引く。
120ミリ口径ビームライフルから放たれた圧縮粒子は寸分違わず、狙い通りに敵軍のど真ん中に命中。
同口径のプロトン粒子弾のおよそ20倍の威力を持つ粒子ビームが炸裂し、たった一撃で100人以上の敵が死に、その数倍の敵が負傷する。
敵もガンダムの攻撃の威力に動揺しているらしく、前方の兵士はとにかく後ろへ逃げようとし、後方の兵士は勇敢にも突撃しようして下がろうとする者と前に出ようとする者がぶつかって大混乱に陥っている。
混乱してる敵軍に向かって、容赦なくトリガーを引き続ける。
粒子ビーム弾が連続で放たれ、その一発一発が100人以上の敵軍を葬り、その数倍の敵を負傷させる。
「……………。」
ポチポチポチポチ。
トリガーを無言で引きまくる。
動く相手は撃ち、動かない相手には消滅するまで更に撃ちこむ。
そうして10分ほどビームライフルを撃ち続けていると、クレーターだらけの荒野には辛うじて残った死体の残骸と血痕が転がる地獄絵図となっていた。
町の方へ振り返れば、亜人や少数の人間が俺を……というよりもガンダムを見上げて、恐ろしいものを見る、というよりも大きな存在に敬意を払うような目をしていた。
「初めまして戦友の皆さん!お目にかかれて光栄です!」
コクピットブロックを開けて、ワイヤーラダーを使って地面に降りる。一応助けたんだから、いきなり攻撃されてぶっ殺される心配はないはず。……ないよな?
戦々恐々としながらワイヤーラダーを伝って地面に降りる。
そうすると亜人の兵士が数人、町からやってくる。先頭に立っているひとりが違う装備を着ているのは、多分そいつが隊長なのか、あるいは貴族などの偉い身分なんだろう。
「こちらはクワトイネ公国、西部方面騎士団団長モイジだ、此度の戦における日本国と貴官の応援を感謝する」
言葉が通じるのは録画した映像で分かっていたが、ちょっとよく分からない単語が出てきたな。
日本国だと?
日本という国は、とっくの昔にゴジラの攻撃で滅んでいるはずだ。
国として存在しているはずがない。
どういうことなんだ?
「日本国……いいえ、俺はナノメタルシティからあなた方を救いに来た」
「なのめたるしてぃ?失礼ながら、そのような国の存在は聞いたこともない。
あの鋼鉄の巨人も、なのめたるしてぃの兵器なのでしょうか?」
猫なのか犬なのかは分からないが、ケモミミの男、モイジはガンダムに興味津々のようだ。
「そうです、あの機体もナノメタルシティ製の兵器です。名前はガンダム。ガンダム・ヴァルチャーです」
「ガンダムヴァルチャー!あれがあの鋼鉄の巨人の名前なのですね!」
興奮しているモイジに、俺はガンダムについて軽く説明をする。
やたらと眼がキラキラしてるなこの男。全身傷だらけなのに大丈夫なんだろうか。
「ヴァルチャーは鳥よりも遥かに自由に空を飛び、先ほどのように大砲以上の攻撃力、そして無敵に近い防御力を持つ、現時点で我がナノメタルシティの誇る最強の兵器です。」
「あ、あの!! あのガンダムという兵器に触ってみてもよろしいでしょうか!?」
「こ、こら!!恩人に向かって無礼だぞ!!」
モイジの横にいるネコミミの女騎士、俺と同い年くらいの少女が非常に興奮した様子で割り込んでくる。 兵器というのは軍事機密の塊だ。それに触らせろ!というのが失礼であることはモイジも承知なんだろう。
だけどなぜだろう。このネコミミ女騎士の俺とガンダムヴァルチャーを見つめる瞳は、異常な熱狂を感じる。
「いえいえ、大丈夫ですよ。どうぞお好きなだけ触ってみてください」
「やったーー!ありがとうございます!!」
ネコミミ女騎士がガンダムの表面をペタペタ触っていると、騎士たちの一部や町の住人の一部、主に小さな男の子たちが羨ましそうな目でガンダムとそれに触る女騎士を見ていた。
「……他にも触りたい方がいるなら、ご自由にどうぞ」
そういうと男の子たちが大挙してガンダムに押し寄せた。
モイジ達騎士団からもナノメタルシティについて質問責めにあっているしで、しばらくは帰れそうにないな。
少年
名無しの主人公。
日本国原作のギムの悲劇に介入した結果はまだわからない。
武力自体は最強無敵なので苦戦することはない。
ナノメタルシティの存在と力を知らしめる。
モイジ
原作死亡キャラ。原作だと妻子諸とも悲惨な末路を遂げているが今作だと少年の武力介入の結果、余裕で生き残った。
ナノメタルシティの存在とその力を知る。
セイエイ
本作のオリキャラ。多分ヒロイン枠。
ガンダムに触り放題。良かったね。
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