ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで (ノートン68)
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設定集的なやつ
ブルーアーカイブ-phantasm-【スキル一覧】



要望があったので作りました。
適宜追加していきます。
ココこうした方が見やすいとかあれば、誤字報告かメッセージ飛ばしてくれると有難いです。

あ、後ネタバレ注意です。



登場キャラのスキル一覧になります

 

【スキル名】

・効果内容

所有キャラ名

 

文字色によって属性が異なります。

爆発 貫通 神秘 振動 通常

 

物語進行に合わせて追記していく予定です。

 

 

【解析】

・探索時アイテムドロ率中UP&鑑定技能に小補正

ホモ、ヒマリ、アヤネなど

 

 

【知覚】

・探索時の警戒レベル最高状態を常時付与

ホモ、ユキノ、サオリなど

 

 

【ラーメン作成】

・敵味方問わず単体の体力大回復

柴関の大将など

 

 

【戦闘指揮】

・味方全体のステータスを特大UP

先生のみ

 

 

【電子の妖精】

・情報戦技能に中補正&イベント発生率中UP

『GREMLIN』購入時に自動獲得

 

 

【暗号解読】

・電子世界における情報戦技能に特大補正

コユキのみ

 

 

自己修復

・3%リジェネを常時付与。

AL-1Sのみ

 

 

【怪力】

・筋力に特大補正&近接戦闘時の攻撃力中UP

AL-1S、ミカなど

 

 

冷静沈着

・CC状態を回復&命中率小UP

リーダー、セナ、ミヤコなど

 

 

【戦局眼】

・味方の攻撃速度小UP&奇襲成功率中UP

リーダー、キキョウ、ノアなど

 

 

火力集中

・敵単体にターゲット集中を付与&防御力小DOWN

リーダー、アコ、チセなど

 

 

爆砕

・爆発属性の範囲攻撃&低確率で延焼状態付与

メンバー1、ムツキ、アカリ

 

 

撹乱攻撃

・爆発属性スキル発動時、攻撃力&回避率小UP

メンバー1、レイサなど

 

 

【隠密】

・隠密技能に大補正&奇襲成功率小UP

メンバー1、ミユなど

 

 

勇猛果敢

・攻撃力デバフ無効&回避率中UP

メンバー2、マリナ、アズサなど

 

 

【全弾発射】

・広範囲攻撃(大)&リロード時間が倍になる

メンバー2、モエ、ヒビキなど

 

 

【強襲】

・奇襲成功率大UP

メンバー2、イズナ、アズサなど

 

 

蒐集家

・アイテムドロ率中UP&アイテム自動使用

メンバー3、コハル、ヒフミなど

 

 

【追跡】

・追跡技能に大補正

メンバー3、ノドカ、ミユなど

 

 

破壊王

・爆発属性範囲攻撃&障害物破壊

メンバー3、ヒビキ、ミサキなど

 

 

Umbla Genius(影の精霊)

・自身に無敵状態を付与(回数制限あり)

黒服のみ

 

 

韋駄天

・移動速度大UP&攻撃速度中UP

AL-1S、スミレなど

 

 

【混沌】

・CC抵抗率大UP

コユキ、ハナコ、ゲヘナ生徒など

 

 

【仕切り直し】

・味方全員のデバフ解除&逃走成功率UP

コユキ、ムツキ、ヒマリなど

 

 

一斉掃射

・残弾数比例する威力上昇範囲攻撃(小~大)

ネル、マリナなど※SMG持ちのみ

 

 

爆弾魔

・最大3つの威力大地雷を設置

アカネ、ハルカ、カスミなど

 

 

【直感】

・あらゆる行動技能に特大補正(健忘症を付与)

アスナのみ

 

 

【神速】

・移動速度&回避率特大UP

ネルのみ

 

 

精密狙撃

・命中率中UP&クリティカル率UP

ホモ、カリン、ミユなど

 

 

変数爆弾

・ランダム範囲属性攻撃(中)&低確率スタン付与

コユキのみ

 

 

【憤怒】

・体力割合に比例して攻撃力UP(小~大)

ネルのみ

 

 

【防御貫通】

・一定時間、自身に防御無視状態を付与

AL-1S、ワカモ、マシロなど

 

 

【黄金長方形の盾】

・シールド付与&防御力中UP&デバフ無効

アヴァンギャルド君のみ

 

 

ワープ

・画面上の選択した場所へワープ穴を設置

ホモ、ATRAHASISの箱舟所有者のみ

 

 

【多次元解釈】

・選択物へ無敵状態を付与

ATRAHASISの箱舟所有者のみ

 

 

【物質変換】

・全オーパーツ作成&成功率100%

ATRAHASISの箱舟所有者のみ

 

 

【心眼】

・探索技能に特大補正&必中状態付与(1発分)

ホモ(極悪)など

 

 

【零■■】

・全ステータス&耐性特大補正

ホモ(極悪)、ホシノ(恐怖(テラー)化)

崇高から零落した者にのみ、このスキルは付与される

 

 

【テ■■■】

・天■や■■■■を■■■■■に■■を■■した■■を授ける

ミカ、セイアのみ(詳しくは不明)

 

 

【■泉■■■】

・■■■■■■■■を■■する

花鳥風月部のみ

 

 

・場所移動&防御無視攻撃(近距離限定)

ホモ(極悪)、カイのみ

 

 

【精神汚染】

・相手にCCを付与(高確率)

ホモ(極悪)のみ

 

 

【狂人】

・攻撃力&CC抵抗率大UP

ホモ(極悪)、地下生活者など

 

 

偽身

・自身に回避状態を付与

AL-1S、ミチルなど

 

 

【開運】

・自分以外の味方の会心率中UP

コユキ、アスナ(バニー)など

 

 

【脱兎】

・撤退成功率100%&回避率大UP(短時間)

仕切り直しを所持していた生徒のみ

 

 

崇拝者

・特殊装甲特攻を付与

リーダー、シスターフッドなど

 

 

薬効

・敵味方単体にバフ&デバフを付与

カイなど

 

 

【霊薬作成】

・ランダム効果のアイテムを作成

カイ、サヤなど

 

 

【発勁】

・近接戦闘での与ダメージ(大)

カイ、レイジョなど

 

 

【化勁】

・近接戦闘でのダメージ軽減(大)

カイ、レイジョなど

 

 

【鼓舞】

・味方全体の攻撃力中UP

ミノリ、エンジニア部(応援団)、先生など

 

 

【陣地作成】

・拠点の性能に大補正

ミノリ、温泉開発部、リオなど

 

 

【縦横無尽】

・乗り物の性能&操縦に大補正

ミノリ、ヒフミ、イロハなど

 

 

【聖書作成(仮)】

・書物系のオーパーツ作成に中補正

ミノリ、ハナコ、シュロなど

 

 





よろしくお願い致します。


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質問回答・裏設定集


お待たせしました。

おまけ回その1です。

12月中旬から募集した質問の回答兼、物語の裏設定的なヤツになります。
質問募集はまだ受け付けていますので、これからもよろしくお願いします。



作者による質問回答RTA、はーじまーるよー(棒読み)

 

 

Q.ホモ君は洗濯機作戦でいくら稼いだの?

 

A.大体5億クレジット程度

 

ホモ君がカジノ運営(マネロン)で稼いでいた時期は原作前の5ヶ月間です。

連邦生徒会に差し押さえられるギリギリまで粘ればもっと稼げました。

 

カジノ純利益:マネロン手数料=7:3。

目標だったISISの値段は5億クレジットなので、『廃墟』での資金回収を含めると余裕で上回りますね。

 

 

 

Q.ホモ君のCVは誰か考えてる?

 

A.考えてねぇ!

 

全く考えてなかったけど渋めの声が似合う事は確か。

作者は坂詰貴之さん(ウォルター)中田譲治さん(山の翁)辺りのイメージです。

 

 

 

Q.称号「崇高」の獲得条件は?

 

A.「崇高」の観測、又は到達

 

拙作における崇高の扱いは、神秘と恐怖を両立する神を超越したヤベー奴の事を指します。

その崇高を観測するか、到達すれば称号は獲得できます。

 

はい、()()()()()()()()()()()()()()()()()

色彩討伐は縛りプレイ兼、タイム的にウマ味だからですね。

 

 

 

Q.チームⅤのメンバーには名前つけないの?

 

A.付ける予定はありません

 

決して付けるのが面倒臭ぇという訳ではなく、モブ生徒は名無しにしたいという作者の謎のポリシーからです。

 

リーダーちゃん呼びは結構気に入ってます。

他のメンバー達もショットガンちゃんとか、モルタルちゃんとかの方が良かったかもしれないなぁ()

 

 

 

Q.オーナーのファッションってどうなってるの?

 

A.普段からずっとスーツの一張羅

記憶を取り戻す前の彼は自身への余分を斬り捨てていたので、ずっとスーツしか着ませんでした。

(色彩を倒す事しか頭にない)

 

Vol.3.1終了時では改善され、他の衣装もTPOに応じて変えることでしょう。

水着イベならアロハシャツとかでしょうね。

 

 

 

Q.ホモ君↔方舟メンバーの好感度は?

 

A.全体的に高い

 

好感度を0から100で現して見ましょう。

参考時系列はVol.3終了時です。

 

50が知人、60が親友、70が恩人、

80が家族、90が恋人、100が信者だとしましょう。

ホモ君の方舟メンバーに対する好感度は総じて85です。

 

リーダー:100

・完全に信者、ホモが神。

 

メンバー1:80

・恩人であり、趣味(クソ映画鑑賞)に付き合ってくれる人。

 

メンバー2:83

・ご飯くれる人。

 

メンバー3:78

・恩人、それ以上でもそれ以下でもない。

 

AL-1S:88

・完全に父親扱い。

 

黒崎コユキ:77

・恩人、面白い事に巻き込んでくれる。

 

申谷カイ:98

一目惚れ(七囚人)。今でも虎視眈々と機会を狙っている。

 

コユキ低くね?と思われるかも知れませんが、彼女は基本的に人懐っこい性根なのでこんなもんです。

 

 

 

Q.RTAの終了(タイマーストップ)は原作時系列的にいつ?

 

A.最終編までは確定

 

時系列的にはアビドス→パヴァーヌ→エデン→兎→最終編のノリで進めていきます。

投稿中に新ストーリーがあればねじ込む可能性も微レ存。

 

 

 

Q.RTAが終わっても物語の続きは書く?

 

A.書く予定ではいる

 

ホモ君の過去編とか、アビドスや兎の続きとか、イベスト時空とか、RTA中には書けないアレコレは書きたいので投稿するかも。

 

ただ確実に更新頻度は落ちる()

完結したらアンケ投げて、読みたい話を選んでもらうのもアリだと思ってます。

 

 

 

Q.魂砕けてるのになんでホモ君生きてるの?

 

A.気合い

 

ホモ君──と言うよりも前世の人が気合いで持ち堪えてます。

他にも色彩の呪いだとか、生徒達の祝福だとかの要因が絡まり合ったのも原因ですね。

 

 

Q.今と前世でホモ君の戦闘力差異は?

 

A.圧倒的に前世の方が強い

 

技術に差はそこまでありません。

なんなら長生き(?)してる分、ホモ君の方が達者でしょう。

違いは圧倒的フィジカルさ。

バレルのバフがなければ、ホモ君は『瞬き』1発すら発動できません。

 

前世のホモ君はゴリラでした。

銃弾は避けて、鉄格子程度ならこじ開けるレベルの。

 

 

 


 

 

 

「崇高」RTAの裏設定

拙作のオリジナル要素の解説となります。

 

 

・神秘について

なんか凄いパワー的なもので、生徒には必ず備わっているヤツ。

これを十全に扱える生徒は極小数。(セイア(予知)ジュリ(眷属召喚)etc……)

 

ただし飛行船、貴様はダメだ。

 

 

・ヘイローについて

ここでは魂≒ヘイローだと解釈しています。

魂は神秘を保持する為の器です。

神秘が入った状態で初めてヘイローとして機能します。

 

ヘイローを破壊=死であるなら、魂が傷つき秘めていた神秘が漏れ出てしまうという解釈もあります。

適当に考えた設定なので矛盾があれば教えてくだしあ()

 

 

・生徒について

忘れられた神々に、生徒のテクストを付けた存在が彼女達だと解釈しています。

鶏が先か卵が先かの話でもありますがね。

ぶっちゃけあんまり考えてない()

 

 

・強さの段階

モブ生徒級→部活エース級→学園エース級

→越えられない壁→神格級→超えてはいけない壁

→色彩級→崇高級です。

壁の先は存在としての領域が違うのでダメージがまず入りません。

 

 

・クリフォトについて

先生に絶望感を与えるためだけに生み出された、悲しき化け物。

不完全体デカグラマトンです、強さ的には神格に足を踏み入れたレベル。

拙作では大人のカードを使用した先生を追い詰めていました。

現時点で出現するクリフォトは更に性能が落ちています。

 

 

・チェルノボグについて

名もなき神々の1柱として出しました。

神格の強さ、そして色彩の強さを表現する為の必要な噛ませ役。

コイツ自身と言うよりも、コイツの権能は再登場が確定してます。

強さ的には神格級には届かず、クリフォトより弱いです。

 

 





次回は掲示板回になります。


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原作前準備期間
キャラメイク



よろしくお願い致します。



 

学園×青春×物語RPGのRTA、はーじまーるよー。

(淫夢語録は)ないです。

 

今回走っていくのは「ブルーアーカイブ-phantasm-」。

ゲマトリア陣営でのノーマルエンドルートです。

 

詳しく説明するとゲマトリア陣営で最後まで退場することなく、

色彩の撃退に貢献し、称号『崇高』を獲得しつつ最速で攻略を進めるチャートになります。

 

学園×青春×物語RPGと言いましたが、そんなものはこのチャートを走る以上存在しません。

(ホモは嘘つき)

 

ブルーアーカイブについて知らない方も居ると思うので、解説しますね。

 

スマホアプリ版では学園都市キヴォトスを舞台にプレイヤーが先生として生徒と日常を送る学園モノRPGです。

 

まずゲマトリアとはなんぞやという所からですが、ざっくり言うと主人公「先生」と敵対する陣営の1つです。

基本的に学生達のことを実験対象としか認識してないロクデナシの大人達の集まりで、事件の根幹に関わってきます。

 

これだけ聞くととんでもない奴らですが、メンバーの先生への好感度が高かったり(一部を除く)、

紳士的で先生を賛美してたり(一部を除く)、敵対しているはずの先生に年賀状送ってる奴が居たり等、

割と憎めないキャラ達が集まっています。

先生大好きクラブに改名したら?ボブは訝しんだ。

 

そして色彩についてですが今作のラスボスであり最終目標になります。

色彩についての情報は少なく、ただキヴォトスに現れると世界が崩壊するとかいう壊れた存在なのが判明しています。

 

ぶっちゃけ生徒で走った方が楽で早いですが縛りプレイということで。

 

世界観についてはググッてきてください。(走者の屑)

いやホント、ストーリーの重厚さもですが専用用語もかなり出てくるので、

真面目に解説するとそれだけで動画終わっちゃうんですよ。

ブルアカは神ゲーなんやなって。

 

今回走っていくものとの違いは、キャラのステータス内容とオリキャラを操作出来る点、

後はストーリーに分岐点がある点ですね。

選択をミスるとバッドエンド直行の分岐点もあります。(10敗)

ちゃんとチャート通りに走れば良いだけなので問題ないですね。(フラグ建設)

 

現在キャラクリ画面に入ったところですね。

 

オリキャラ生徒で操作する場合、学校名等を入力する必要があります。

しかし、今回はゲマトリア陣営で走るので関係ないです。

名前と性別、容姿等あれば入力していきます。

 

名前は勿論ホモとします。

まぁ、ゲマトリアに加入したら本名は呼ばれる事は有りませんが。

性別も勿論男で。

容姿等はランダムでいきます。

 

 

名前:ホモ

性別:男

所属:ゲマトリア

スキル:『解析』、『知覚』

カルマ値:中立

 

 

ヨシッ!!(現場猫)

 

スキルはキャラが持つ特殊技能のことです。

これ持ってると特定行動にボーナスが付きます、種類も様々。

先生で始めると『戦闘指揮』とかが付きます。

一先ず当たりスキルでほっとしてます。

『ラーメン作成』なんて付いた日には柴関ラーメンで働くしか主要キャラと接点持てませんからね。(1敗)

 

レギュレーションについてですが、バグ・チートなし。

タイマースタートはストーリー開始から。

セーブは無しで進めて行きます。

 

 

では、よーいスタート。

 





【朗報】黒服の生存を確認【やったぜ】


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ゲマトリア加入

 

ロード画面に入りました。

クソデカ容量で時間が掛かるので、今の内にホモ君のスキルについて説明していきます。

 

まず『解析』ですが、探索系統の固有スキルになります。

超有能スキルのひとつであり、所持しているキャラにはヒマリやアヤネ。

効果としては探索時のアイテムドロップ率up等があります。

このチャートでは主に金策に使用する予定です。

 

そして『知覚』ですが、これも探索系統のスキルになります。

こちらも同じくどのキャラでも後々取得可能なスキルとなっています。

効果としてはBADイベントの遭遇確率down等があります。

アスナの固有スキルである『直感』の下位互換みたいな感じですね。

 

全体としては当たりよりの性能ですね。

なんなら戦闘は行わず研究がメインで進めるから、これがベストまで有ると思います。

固有スキルは強力なので、ガチの戦闘ビルドを作成するならリセマラはありだと思います。

 

という所でムービーが終わりましたね。

研究内容については追々説明するとしましょう。

薄暗い密室に場面が切り替わりました。

はい、例のあの部屋です。

ゲマトリア勢揃いって感じですね。

ちゃんと3人……あれ?

 

「彼が今日から新しく加入するゲマトリアです。では順番に軽く自己紹介を。」

「私の事は是非マエストロと読んでくれ。」

『私はゴルコンダ、写真を持っている彼の方がデカルコマニーです。』

「そういうこった!!」

「申し遅れました、私の事は黒服と呼んでださい。

不在ですがあと1名、ベアトリーチェという女性が居ます。後々紹介しましょう。」

 

はい。上から順に黒服、マエストロ、ゴルコンダ、デカルコマニーの登場です。

 

ベアトリーチェ、略してベアおばが不在のようです。

はぁー、つっかえ(半ギレ)

ベアおばとはここでコンタクト取りたかったんですけどねぇ。

奴に限らず忙しくて欠席するなんて事はまま有ります。

ただ地味にベアおばにキヴォトス内で出会うのは面倒なんですよ……

 

あと、唐突にホモ君のビジュアルが明らかになりました。

人間の骸骨頭にスーツ姿、そして杖。

この不気味かつ不思議な格好……完璧にゲマトリアですねこォれは。

挨拶をされたらキチンと返しましょう。返さないとスゴク、シツレイ!!

 

おっす、おらホモ!!よろしくなッ!!

 

「ゲマトリアでは学園都市キヴォトスにおける神秘の探求・研究を行い、崇高へ至る事を目的としています。

各自、過程は違えど最終目標を共にする同志でもあります。だからこそ聞いておきたいのです。

貴方はキヴォトスで何を成し得るつもりですか?」

 

ゲマトリアに入って……色彩をぶっ殺したいです……!!

これによりゲマトリアの頭は宇宙猫と化します。

そら(1人だけ目的のベクトルの違うやつが居たら)そうなるよ。

 

「色彩を?あの存在は『崇高』に近い存在だが……」

 

はい、ここで選択肢に

「興味深い研究対象だが、天敵だから倒す。」

「自分は『崇高』を目指しに来たのではない。」

が出てきます。

今回は下を選びました。

上だと不用意に色彩を呼び寄せてキヴォトス崩壊RTAし出すヤバい奴認定されます。(1敗)

 

『なるほど、我々の同志でありこの物語の変数でもあると。』

「そういうこった!」

「確かにそういう意味ではゲマトリアには必要不可欠な存在か。」

 

おっ、そうだな(困惑)。

なんか勝手に理解されましたが、時間短縮になるのでヨシッ!!(現場猫)

 

それからも色々質問が飛んできますが、「私自身が『崇高』を目指すつもりは無いアルよ。ただその存在を記録したいだけアルよ。」というスタンスで居ればOKです。

 

あ、研究内容は『神秘の強化』と『神秘の固定』でオナシャス。

 

「ありがとうございました。彼がゲマトリアたる人物だと納得して頂けましたか?」

「異論はない。」

『同じく。』

「そういうこった!」

 

このセリフが出たということはファーストコミュニケーションは成功ですね。

言い忘れてましたが、このゲームはキャラクター事に好感度が設定されてます。

ゲマトリア相手だと、余程変な事を選択しない限りはまず好感度は下がりませんが。

原作でギスギスしてたベアおばはホモ君を見習って♡

 

「それでは本日は解散にしましょう。初期資金については指定の口座に振り込んでおきます。」

 

会議は終わりですね。

今のところガバもないし楽勝だなガハハ!!(慢心)

じゃあ早速ゴルコンダの元に行きましょう。

彼ならきっと教えてくれるはずです。

 

『私になにか用ですか?』

 

→「ベアトリーチェの居場所を教えてくれ」

 

はい、今回はここまで。

次回はベアおばにリアル凸します。

ご視聴ありがとうございました。

 



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カタコンベ道中

前回のあらすじ

ベアおば「ゲマトリアに新加入者?勝手にやれ。」
黒服「彼が私の推薦したゲマトリア新加入者です。」
ホモ「色彩ぬっころしに来ました。」
マエストロ「コイツ面白。」
ゴルコンダ『彼がどう動くのか楽しみだ。』

デカルコマニー「そういうこった!!」


今回はゲマトリアに加入後からのスタートです。

さぁ、早くベアおばの居場所を教えろよホラホラホラホラ〜。

 

『マダムに直接挨拶を?申し訳ないですが、生憎私も彼女の居場所を知らないのです。』

 

は?(威圧)

ふざけるな!!ふざけるな!!馬鹿野郎ォォォォォッ!!!

あぁぁ、僕の、私のチャートが…………

 

『代わりにと言ってはなんですが、めぼしい場所は教えましょう。』

 

シャアッ!!ビビらせやがって……。(安堵)

はい、フラグ立てて速攻でチャート崩壊するところでしたがセーフです。

 

ベアおばと接点をここで持たないと次の議会がいつなのか不明なので、クリア出来てもタイムがゴミカスになります。

残念だけどコレ、RTAなんだよね。

 

『マダムはトリニティの敷地内にあるバシリカに居ることが多いです。カタコンベを通れば30分もかからないでしょう。』

 

はい、また専用用語がいっぱい出てきました。

まずホモ君がゲマトリアとして活動するキヴォトスは、複数の学園が集まってできてると言っても過言ではない学園都市です。

それぞれが敷地を持ち、それぞれの法(校則)に基づき生活しています。

 

その学園のひとつがトリニティなんですね。

カタコンベとバシリカは移動中に解説します。

 

『ただあそこは迷いやすい上に、治安が悪く命の保証は出来ません。そして私達は時間に余裕が無いので同行することも出来ません。それでも行きますか?』

 

はい、ここは「行く」を選択します。

本当は誰か連れていきたかったんですけど、ホモ君一人旅になりますね。

 

『分かりました、ではコレを。どうしようもない時に使ってください。』

 

拳銃と信号弾ですか。

今回は使用しない予定ですが貰えるものは貰っときましょう。

ちょうど良いので『解析』を使いましょう。

 

・55式信号拳銃…新品同然の信号拳銃。既に弾は装填されている。

・信号弾(?)…構造的にただの信号弾では無さそうだ。

 

何か怪しいですけど『解析』でこの情報量しかないなら仕方ないです。

 

『そしてこちらを忘れずに持っていてください。貴方がゲマトリアである証明になります。

ホモ、また次の議会で会いましょう。』

「そういうこった!」

 

・茶封筒…中には書類が入っている。ゲマトリアの証明に成るらしい。

 

多分「我々はホモ君をゲマトリアとして歓迎する」的な事が書いてあるんでしょう。(鼻ホジー)

パシられてるみたいに見えますが、この世はギブアンドテイクです。

あと何気にホモ君呼びが定着しそうですね。

前に試走した時はめっさ厨二病臭い名前になりました。(1敗)

とりあえず、ちゃっちゃと出発しましょう。

 

ゲマトリアの本拠地を抜けると路地裏に出ましたね。どうやら夜のようです。

犬、猫、ロボットが闊歩してる世界ですが目立たないに越したことは無いです。

そして現在地ですが、トリニティの近くに出れたようですね。

 

コレがゴルコンダにあった理由のひとつでもあります。

誰とも話さないまま外へ出ると完全にランダムでキヴォトス内に現れることになります。(3敗)

また、このゲマトリアの証明も持っていないとベアおばと出会った時タイムロスになります(1敗)

 

移動中になったので何か動きがあるまで解説パートに入ります。

さっきゴルコンダが言ったベアおばの居場所はアリウス分校の敷地になります。

アリウスはキヴォトス内にある学園の1つですが、少し特殊な状態です。

恐らく今はベアおばの影響で、学校とは名ばかりの兵士訓練場みたいなブラックな環境になってるはずです。

人の心とか無いんか?

 

話がそれました。

要はカタコンベと言われる地下通路を通り、アリウス敷地内のどこかに居るベアおばを探さなければなりません。

 

このカタコンベという地下通路がベアおばに会うのに面倒な点の1つです。

ゴルコンダはバシリカに居ると言っていましたが、バシリカは聖堂のようなものを指します。

この地下通路入口が何と確認できるだけで300通りあり、限られた正解の入口を選ばないとアリウスにたどり着くことすら出来ません。

しかも中は迷宮のようになっているため下手すると餓死します。(5敗)

 

そこでホモ君のスキル『解析』と『知覚』が生きます。

『解析』で人の痕跡を探し、『知覚』で追尾するようにします。

条件は小柄かつ重装備で複数行動をとっている事とします。

 

後は引っかかるまで歩き続けます。

時間の無駄じゃねぇかと仰る兄貴達もいると思いますがコレがこのチャートの最善手です。

探索ビルドでなければカイザーPMCに取り入ることも考えましたが、こちらの方がリターンがデカいんです。(なお超ハイリスク)

 

お、反応ありました。

廃屋の中へと続いてるようですね。

一応罠がないか確認して……ヨシッ!!(現場猫)

どうやら地下へ続く隠し通路があるようです。

罠を確認し中へ向かいます。

 

・薄暗い通路が続いている、奥へ進めそうだ。

 

はい、では引き続き移動を続けましょう。(倍速)

通常ビルドで正解の道を辿ってもアリウス学生達と鉢合わせする可能性があります。

どうせアリウス分校の敷地内に入るとベアおばにはバレるのですが、生徒と鉢合わせするよりは早く会うことが出来ます。

ゲマトリア証明を所持しているかつ、『知覚』を持ってるのでワンチャン狙っていきます。

 

・何やら不思議な物が落ちている。

 

おっと、コレはアイテムを拾ったようですね。

資金源になるので拾えるだけ拾いましょう。

他にも色々使い道があるのでまた今度解説しましょう。

 

時間が余ったので少しチャートの解説を。

前回ベアおばが議会に出てなくて走者がキレてましたが、ゲマトリアの中で1番好感度を上げたいのが彼女なんです。

もちろん安定するカイザーPMCでなく、上振れベアおばをチャートに組み込んだのは理由があります。

それは───

 

・嫌な予感がする……。

 

あ、不味い。『知覚』持っててもこのテキストが発現したという事は、

 

「そこの貴様、動くと撃つ。」

 

・独特なマスクをつけた生徒に遭遇してしまった!!

 

アイエエエエ!サオリ!?サオリナンデ!!?

あかん、選択ミスるとホモ君が死ぬぅ!!

 




次回、ホモ死す


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至福を与える女

ホモが死ぬと言ったな? あ れ は 嘘 だ 。
ようやくゲマトリア全員との顔合わせが終わります。



絶体絶命のピンチから切り抜けるRTAはーじまーるよー!!(ヤケクソ)

あーもうめちゃくちゃだよ。

 

・銃口がこちらを向いている。相手は動けば間違いなく撃つだろう。

・だが相手は1人だ。指示に従わず逃げようか?

 

サオリが出てくるとかホントどうなってんだよォ。

アリウススクワッドとの乱数的には結構低かったはずなんですけど……。

 

今ホモ君の目の前にいる彼女はアリウススクワッド所属のリーダーである錠前サオリです。アリウス特殊部隊のリーダーで、その戦闘力はキヴォトスのトップレベルに数えられるほど。

視認した感じ1人のようですが、最低でも必ず一小隊率いているはず。

ほか3人は恐らくどこかで身を潜めてますねこぉれは。

 

勿論ホモ君が敵うはずないので指示に従います。

 

・手を上げて動かないようにする。

 

「ここを通れば後は一本道でアリウス自治区に着く。入り組んだ道中で何故貴様はここ迄来れた?」

 

選択肢をミスったらホモ君が死んで再走となります。

ただし走者の必然力をもってすれば容易いです(慢心)

下手に嘘をつくと撃たれてゲームオーバーです。

なのでここは正直に回答しましょう。

知られて困る事でもないですし。

回答は「痕跡を辿ってここまで来た。」にします。

 

「……最後の質問だ、貴様の目的を話せ。回答しだいでは撃つ。」

 

さっきから黙って聞いてらよォ……

ホモ君が何も出来ないと思ったら大間違いだぞオラァン!?

こっちには拳銃(信号弾?が1発のみ)があるんだぞ!!

さっさと解放せんかい!!

 

「早くしろ、私の気は長くない。」

 

嘘です、靴でも何でも舐めるから許して!!

リセは嫌だ!!(迫真)

 

・「ここの領主であるベアトリーチェに会いに来た。」

 

「なら何か証明する物は持っているか?」

 

・「茶封筒」を見せる。

 

お願いします通ってください、何でもしますから(何でもするとは言ってない)

 

「……やはりマダムの客人だったか。私が案内する、着いてこい。」

 

あれ、ホモ君の事を知っている?

ゴルコンダが一報入れてくれたんですかね。

ナイスゥ!!

サオリに大人しくついて行きましょう。

 

さて、移動中に話しそびれたベアおばチャートがカイザーPMCチャートより何故上振れなのか解説していきましょう。

 

この2つのチャートには共通点があり、それは戦力の確保です。

 

普通に生活してる分にも命の危機があるこのキヴォトスでゲマトリアとして活動していると、更にいざこざに巻き込まれる割合が大きくなります。

 

そこで安全にかつ活動の幅を広げるためには、自身の身を守る戦力を補う必要がありました。

先生と違い最初から生徒という戦力のないゲマトリアであるホモ君は1人で探索すると直ぐに死にます(10敗)

先生なら最低でもアロナが居ますから、逃走程度なら出来ますしね。

 

そこでカイザーPMCチャートを走った場合ですが、必要条件は特にありません。

戦力の確保も金があれば割とすぐ用意してくれる上に比較的安価です。

パイプ作りもゲマトリアに加入してる時点でほぼ出来てるようなものなので手間がかかりません。

 

そして具体的な戦闘力ではアビドス対策委員会相手に時間稼ぎできるレベルです。

要は逃走するまでの時間稼ぎにしかなりません。

 

時間とお金をかければ最終的に空崎ヒナの居ないゲヘナ風紀委員会にギリギリ勝てるようになるレベルです。(負けないとは言っていない。)

はい、視聴兄貴達も分かったかもしれませんがぶっちゃけ弱いです。

安価なのは魅力ですが1部生徒よりはやはり性能が落ちます。

あと、負けると信用度が落ちるので無理がしにくい事も欠点です。

 

反対にベアおばチャートはどうか。

 

とある条件を満たすことでアリウス学生を戦力として貸し出してくれるようになります。

その条件がベアおばの好感度が「仲間」レベルまで上がるというものです。

 

ベアおばはゲマトリアの中でも結構やんちゃ……もとい気むずかしいので好感度上げ自体が面倒です。

なので早いこと好感度を上げる必要があります。

遅いと探索が間に合わずクリア不可、なんて事もざらです。(3敗)

 

手間は掛かりますがアリウスの生徒はカイザーPMCの兵士とは比べ物にならない性能を有しています。

特にホモ君の『神秘の強化』を施すことも可能なので強さは先生の居ない一小隊であればFOX小隊レベル以外であれば相手取ることが出来ます。

まぁ先生が加わるだけでキツくなるんですよね。本当お前さぁ……。

 

後はなんと言っても生徒は丈夫なので余程のことが無ければ死なない上に、

もし『死んだ』としても少しの犠牲なら戦力確保に影響ない所が魅力です。

ベアおばにとっては便利な駒程度の扱いですから。

マエストロ相手に同じ事をする(ミメシスをぞんざいに扱う)と好感度が一瞬で地の底につくので注意しましょう。(1敗)

 

なのでホモ君はこれからベアおばと協力関係を結ぶため頑張ってもらいます。

上手く行けばホモ君はキヴォトスの探索範囲が大きくなり、

ベアおばはホモ君に預けることで部隊が強くなって帰ってくる。

正にwin-winの関係になれるわけですね。

 

今のタイミングで顔合わせできれば、最低でも先生がアビドス攻略してる頃には自由に動かせるアリウス一小隊が手に入る予定です。

 

おっと、解説しているうちに着いたようですね。

 

・彼女に付いていくと数分後、薄暗い地下通路から、西洋風の街並みに出ることがてきた。

 

ようやくアリウス自治区到着です。

 

・更に先頭の彼女に付いていくとバシリカの様な洋風の立派な建屋に到着した。

 

やっぱりバシリカに居たんですね。

まぁ儀式の調整やらしてるなら、そこですよね。

 

「この奥にマダムが居る。失礼のないようにな。」

 

任せろって〜。

おっ、開いてんじゃ〜ん。

 

・バシリカの入口扉を開け、中へ入る。

 

・ステンドグラスに彩られた神秘的な光景が広がる中、中央の祭壇から見下ろす形で紅い女がそこに佇んでいた。

 

「ようこそわたしの領地へ。聞いてると思いますが私はベアトリーチェ、このアリウス分校の生徒会長でありゲマトリアです。」

 

ホモ君も挨拶しましょうね。挨拶は大事ってそれ、古事記にも書いてあるから。

 

・本日からゲマトリアに加入したホモだ、よろしく頼む。

 

「カタコンベから私の所へ来るはずだと黒服から聞いた時は耳を疑いましたが、サオリの所までたどり着いた所を見るにそれなりの実力はある様ですね。」

 

なるほど、黒服が伝えてくれたんですねぇ。

普通にベアトリーチェに伝言を頼むの忘れたのはガバでしたね(冷汗)

 

「その黒服の面子を立ててこうして会いましたが、何が目的で参ったのですか?

まさか挨拶だけの為に来たのではないでしょう?」

 

やっぱり黒服は最高やなって。

いつの間にそんな好感度上がったんですかね。

ホモは人たらし。

 

・その前にゲマトリアの証明を渡す。

 

「それが議会で可決された証明書ですか。」

 

・書類を懐にしまい込み無言で続きを促してくる。

・さて、どうしようか。

 

勿論全プッシュ以外にねぇよなぁ!?

選ぶのは「取引がしたい」です。

 

「……聞きましょう、私に何を齎し、何を望むのか。」

 

ここからです。

勝手に領地に乗り込んだ事と、ほぼ自力で領地まで来た事で恐らく好感度はプラマイゼロ。

頼むよ〜、ホモ君の運命はその語彙力と走者の必然力にかかっている!!

 

ホモ君演説中(倍速)

 

ホモ君がベアおばと約束することは以下項目になります。

 

・『神秘の強化』をアリウス学生に適用する代わりに戦力として貸してクレメンス。

・前金に黒服から貰った初期資金の約半分を渡す。

・貸し出し期間は3ヶ月で、結果出せる予定ですよ。凡そやり方は出来ている。

・そこまで危険な研究はしない。(行動不能になるような)

 

これ以上の事を要求されるのを承知した上で要求を通していきます。

 

「私の大事な生徒を預けるのですから失敗は許されません。失敗した時どう償うか考えているのですか?」

 

心にも無いことを。

ただの便利な駒位にしか思ってないくせによくそんなセリフ吐けますねこのババァ(辛辣)。

まぁいいでしょう。

どうせ間に合わなかったら死ぬ(リセする)ので。(5敗)

 

「考えてるともベアトリーチェ。もし何かの不手際があれば……この命をもって償おう。」

 

はい、覚悟ガンギマリのホモ君なら選択肢に出てくると思いましたよ。(歓喜)

 

さて、これでやっと同じ領域に交渉の場に付けるはずです。

どんな条件でもかかって来んかい!!

 

「……いいでしょう、そちらの要件を呑みましょう。」

 

あるぇー、なんかすんなり行けそうですけど。(呆然)

ま、ええか。(思考放棄)

上手く行けばどうでもよかろうなのだぁッ!!

 

・取引が上手くいった。

・後日こちらの研究所に小隊を派遣してくれるそうだ。

 

くぅ〜、疲れましたw

ですがまだ下処理の準備が出来ただけ。

これからホモ君に馬車馬のごとく働いてもらいます(鬼畜)

 

今回はここまで。

次回からは資金繰りと研究を始めて行きます。

 

ご清聴ありがとうございました。




ちょっと脅してやろうと冗談交じりに揶揄ったら、
予想以上に覚悟ガンギマリな答えが帰ってきて「何やコイツ……」と思ったベアおば。

※この小説での覚悟はハイレグを着用する事と何の関係もありません。


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洗濯機

前回のあらすじ
ベアおば「新人君ちょっと揶揄ったろwww」
ホモ「(自分の)魂をかけよう。」
ベアおば「こわコイツ。」

誤字報告助かります。



金!!暴力!!金!!の蔓延る世界のRTAはーじまーるよー。

 

前回はベアおばとの取引を無事済ませてきたところまで。

今回は研究の為の資金、研究機器について纏めて解決していきます。

 

まず現状把握です。

黒服が資金として口座に入金していたのが1億クレジット。

前金として払った分を引けば5000万クレジットです。

そして用意された研究所ですがミレニアム郊外にあります。

廃墟に近いのは有難いですね。

あそこは拾えるアイテムやオーパーツが多いので研究資源に関しては問題ないでしょう。

 

先生で言うところのシャーレオフィスであるこの研究所は現在以下の事項が実行できます。(激うまギャグ)

 

・研究機器の新設

・アイテムの精密解析

・アイテム作成

 

研究機器の新設を行わない事には何も進みません。

機器はキャラ毎にランダムに新設可能になっており、ハズレキャラだと研究所とは名ばかりの兵器工場になってしまいます。(2敗)

当たりならゴルコンダのようなキヴォトスの技術力では不可能な技術を扱うこともできます。

ホモ君は『解析』持ちなので特に心配はしてません。

出せるんですよ、出そうと思えば(王者の風格)

さぁ、運命のガチャの時間です。ほら行くどー。

 

・『GREMLIN』……4000万クレジット

・『ISIS』……5億クレジット

・『Arithmetic』……1億5000万クレジット

 

おお、今回のホモ君は当たりでしたね。

やっぱり探索ビルドキャラはこういう時に輝くものですからね。

期待して間違いなかったです。

 

上から順に解説していきます。

 

まず『GREMLIN』は購入するとホモ君に固有スキル『電子の妖精』を付けてくれます。

このスキルはハッキング等の情報戦で性能を上げてくれる効果があります。

ホモ君の『解析』と組み合わせればそこそこ出来ると思います。

ただし調子に乗ってヴェリタスに喧嘩を売るのは辞めましょう。(1敗)

 

研究での使用例は主に超堅牢なファイアーウォール作成なんかですね。

研究機器としての価値はそこまでですがスキルが中々に有能なので、(これを購入しない手は)ないです。

 

続いて『ISIS』はこのチャートの中核を担う、超有能機器です。

詳しい説明は飛ばしますが、神秘の強化が可能になります。

必要経費は5億クレジットですか。

 

予定していた資金回収チャートでは期間中に間に合わないんですがそれは……

仕方ないのでオリチャー発動です。

『GREMLIN』をせっかく引いたのでどんどん有効活用してあげましょう。

 

そして最後に『Arithmetic』ですが高性能演算機ですね。

ハズレでは無いのですが如何せん、他二つが突出してるせいで霞みます。

研究機器として当たりの部類なので必要になれば購入する感じですね。

 

以上が研究機器として新設出来ます。

じゃけん、資金回収して行きましょうね〜。

 

当初は後でくるアリウス生徒と『廃墟』等のロボを破壊→部品をリサイクルというチャート予定でした。

しかしここでオリチャーを発動!!カイザーPMCとの商談を行います。

商談内容は『カジノ運営』です。

 

この世界での賭博は合法です。

ですが今回ホモ君が行うのはイベントで学生達が行っていたキレイなカジノ運営ではなく、真っ黒な方の闇カジノになります。

 

とはいえ、ホモ君の運営するカジノは表向き普通の賭博場です。

そして残りの5000万円ほどあればカイザーPMCの手が無くても運営自体は可能です。

ならば何故カイザーPMCの手を借りるか?

それはカイザーPMCのネームバリューです。

できるだけ多く、早く稼ぎたいホモ君にはうってつけです。

 

勘のいい視聴兄貴達なら気がついたかも知れません。

そんなのカイザーPMCが協力してくれるの?と。

 

そこで必要になるのがこの『GREMLIN』になります。

カイザーPMCの経理担当部のセキュリティに侵入し弱みを握ります。

狙うのは主に不正金の流れと証拠になるデータを奪います。

『GREMLIN』とホモ君のスキルがあればその位は可能でしょう。

 

そして相手の弱みを持った状態で凸しに行きます。

しかしこのデータは交渉を有利に進めるための道具でありそれ以上でもそれ以下でもありません。

あくまで協力のために使ってるだけで、敵になりたい訳では無いですからね。

調子こいて裏切られないようにしましょう(1敗)

そこからはホモ君の選択肢と走者の必然力2つの腕の見せ所です。

 

あとはカジノ運営の協力ついでにセキュリティ強化もオマケでしてあげましょう。

今更ですけどこのゲームの自由度、頭おかしいですよ。(褒め言葉)

 

そうと決まれば『GREMLIN』を新設します。

カイザーPMCとの繋がりは黒服を通して持てば問題なし。

何故か黒服のホモ君への好感度が高いようなのでいけるでしょう。

 

あっ、そうだ(唐突)

カジノ運営はもう1つ利点があって運が良ければ生徒1人を仲間(奴隷)にする事が出来ます。

ワンチャンもう1人もイケるか?

 

名付けて「洗濯機作戦」を開始、対戦オナシャス。

ではまず黒服に電話を。シュバルゴ!!(着信音)

 

「お疲れ様です、無事ベアトリーチェとは挨拶できたようですね。」

 

流石に耳が早いですね。

ここはまず一報入れてくれた礼を先に言っておきましょう。

 

「礼には及びませんよ、流石に私もあの危険地帯に1人で飛び込むとは思いませんでしたが。」

 

はい、悔い改めます。(ガチ)

走者のメンタルはボロボロ。

反省してるのでカイザーPMCとホモ君を繋げてクレメンス。

 

「……なるほど、カイザーPMCとビジネスの話がしたいと。幸い私は彼らと面識を持っています。

 

ですがどんな事業を?」

 

お、食いついて来ましたね。

黒服も好感度上げておきたいので正直に話しましょう。

聞くだけはタダだし。ま、多少はね。

 

「クックックッ……『洗濯機作戦』言い得て妙ですね。その件、私も1枚噛ませてもらって構いませんか?この条件さえ呑んで頂ければ喜んで協力致しますよ。」

 

お、イイぞぉー(適当)

ホモ君は金稼ぎさえ出来れば良いので。

なんなら事業主になってもええんやで?

 

「契約成立ですね。明日の商談、楽しみにしておきますよ。」

 

お前もしかしてホモ君の事が好きなのか?(青春)

という冗談は置いて黒服がバックに付いてくれるなら資金関係は問題ないでしょう。

 

さて本日の業務はこれにて終了です。

業務終了ボタンを押すと暗転後、強制的に明日の朝になります。

 

テンテンテレテン!!

 

ぷはー、今日もいいペンキ☆

じゃ、早速黒服と共にカイザーPMCへカチコミしに行きます。

が、ここは倍速していきます。

単純に見どころがなかったのと、すんなりカジノ運営がOK取れたので。(後は尺調整)

黒服君さぁ〜、有能すぎるよ君ィ。

 

というわけでお馴染み解説タイムです。

態々カジノ運営を選んだのは『資金洗浄』、いわゆる『マネーロンダリング』をする為です。

 

余り派手に動きすぎると連邦生徒会が嗅ぎつけて調査という名の妨害が入ります。

派手に金稼ぎ(兵器密売、違法武器作成)したいホモ君にとってこの存在は邪魔です。

ふざけんな!!(声だけ迫真)

 

そこで犯罪臭のするお金をチップに変換してもらう

→そのチップをホモ君が受け取る

→するとあら不思議、ホモ君のお金は犯罪臭のするお金から「カジノで儲けたお金」に早変わり。

逆もまた然り。「カジノで負けて払ったお金」になる訳です。

 

たとえ見つかったとしても研究機器が充実するまで彼女達の目を欺けたら勝利です。

カイザーPMCにもメリットがあるというのはつまり、そういうこった!!(デカルコマニー感)

 

はい、等速に戻りましたね。

心做しか黒服がイキイキしてる気がするんですがそれは……

ま、とにかくヨシッ!!(現場猫)

 

これで資金関係は何とかなるでしょう。

この後はいよいよアリウス生徒とご対面になります。

 

少し早いですが今回はここまで。

ご清聴ありがとうございました。




※マネーロンダリングは違法なので真似しないように。

ブルアカのいい所の1つはモブも可愛いところ。
異論は認める。


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廃墟探訪

前回のあらすじ

ホモ「金欲しいから、カイザーPMCとビジネスしたい」
黒服「楽しそうだからワイもまーぜて♡」
カイザーPMC「不気味な奴らめ、何を考えてやがる……」

カイザーPMCは不憫枠


美少女達を引き連れて探索するRTAはーじまーるよー。

はい、前回はカイザーPMCとのビジネス取引(違法)を成功させたところでした。

 

黒服にご飯に誘われましたが、(ロスなので行か)ないです。

それよりもアリウス生徒の歓迎の方が大事ですからね。仕方ない。

じゃけん、さっさと研究所に帰りましようね〜。

 

さて、戻ってまいりました。

アリウス生徒が来るまで暇なのでベアおばに挨拶しに行った時、拾ったアイテムを使って研究レベルを上げましょう。

 

研究レベルを上げると機器の性能強化の他、研究成功の更に上である研究大成功が発生しやすくなります。

主に機器の使用、アイテムの使用によりレベルアップします。

『GREMLIN』を今ある分でどんどん強化しましょう。

『電子の妖精』は高くて困ることないですから。

 

テンドンテンドン(倍速)

 

む、ホモ君の『知覚』に反応がありました。

もうそろそろかな?外へ出てみましょう。

 

・目の前にはガスマスクを着けた生徒達が整列していた。

 

「この度からここで実験を受けるアリウスチームⅤです。総員、敬礼。」

 

まさか一小隊分回してくれるとは。流石ベアおば、太っ腹ぁ〜。

ざっと見た感じずっと訓練してるだけあってそれなりのステータス(個体値)を持ったキャラばかりですね。

いいゾ〜コレ。

全員を研究所の中に入らせてどういった感じで実験を行うか丁度いいので解説してイクぞー!!

 

→飲み物を出すからとにかく座れ。

「……ありがとうございます。」

 

・さて、どう説明しようか。

 

ホモ君の説明をざっと纏めるとこんな感じ。

 

・『神秘の強化』研究の為には、『廃墟』で研究資源の調達が必要。

・その為、暫くはホモ君の警護をしてもらう。

・研究資金と資源が貯まれば理論上『神秘の強化』は可能だ。

・出来るだけ身体に負担のかかる実験はしないが、異常が起きた時は直ぐに言うように。

わぁ、すっごいホワイト(白目)

いたいけな少女を得体の知れない装置で実験するマッド骸骨……絵面が酷い。

 

あっ、そうだ(唐突)。

アリウス生徒達には言ってませんが他にも1つやる事があります。

それはアリウス生徒達の好感度上げです。

 

本ゲームはモブにも好感度が設定されています。

アプリ版を嗜まれた兄貴達なら知ってるかと思いますが、

ほんのりステータスアップもするのでやってて損はありません。

戦力が足りなくてホモ君が死ぬ事は絶対に避けなければなりませんから、取れる手は取りましょう。

逆に魔改造し過ぎると先生とアリウススクワッドが死んじゃうので程々に、というのが付きますが。

このチャートでは先生の存在も必要不可欠なので、そこら辺はきちんと調整しましょう。(5敗)

 

いやぁ懐かしい。

1度だけ試走の時、『崇高』獲得RTAの筈がキヴォトス破滅RTAになった時はコントローラぶん投げましたねぇ。

 

ホモ君の説明が終わったようなので、早速『廃墟』に向かいましょう。

研究資材以外にも有用な物がありますから。

 

移動中に『廃墟』について解説を。

各階層ごとに敵の強さが異なるいわゆるダンジョンとなっており、そこら辺の雑魚は倒すとレポートをドロップします。

仲間になった生徒にはこのレポートを使用する事でレベルを上げることができます。

低確率でオーパーツも落とすのでチャチャッと攻略していきましょう。

ほんとに欲しいアイテムはこの階層では拾えません。本当かなC。

 

いくら強めとはいえ、キャラステも初期状態なので今回は表層だけを探索しましょう。

最初のステージなだけあって「カスが、きかねぇんだよ!!」と言えるほど簡単です。

ただしホモ君は1発で死ぬ。(絶望)

ではこの階層のロボを全て殲滅しましょう。

 

ほら、あくしろよ!!(倍速)

 

・この階層のめぼしい場所は全て回った。

・生徒の疲労も大きいため今日はここまでにしよう。

 

……はい、時間は凡そ5分弱。そして急にアプデが来なければあと19階層残ってます。

これ、各階層全て回ってたらRTA的にとんでもなタイムになっちゃうので次回からは雑魚狩りメインで進めていきましょう。

レポート集めだけなら中層迄で事足りますから。

まぁ、確認したい事が終わったのでヨシッ!!(現場猫)

 

これを倍速でカジノが立つまで続けます。

時は加速する……(10倍速)

 

はい、三日後でようやっとカジノオープンです。

3日で施行完了とか凄いなカイザーPMC。

だから選んだんですけどね。

 

カジノには勿論護衛という形でアリウス生徒達も付いてきます。

が、流石にそのままの服装ともいかないので着替えてもらいましょう。

おほぉ〜、たまんねぇなぁ。

全員同じ顔ですけど似合いますねぇ。

バニー服とか着てくれてもええんやで?

 

冗談は置いといて、早速カジノに入りましょう。

一応オーナーという立場ですから裏口からこっそりとね。

おっ、開いてんじゃ〜ん!(開けた)

 

・豪華な内装がされた中で、大勢の人がギャンブルに勤しんでいる。

・アリウス生徒達は見慣れない景色に緊張している。

 

カジノ運営は上手くいってるようですね。

リストを見ると大抵が大企業の社員ですが、一般のお客さんもチラホラと。

うん?あの顔どこかで見たような……ファッ!?もう来たのかこいつ(呆れ)。

 

えー、少々予定変更。

このカジノで学生は総合賭け金に制限が付くようになっているのですが、身分証を偽って大人としてゲームしてる生徒がいますね。

そうミレニアム一の問題児、『白兎』改め黒崎コユキです。

 

誰やねん、という視聴兄貴達も居ると思うので説明をば。

 

黒崎コユキはミレニアムの元セミナー(生徒会)生徒、つまりユウカやノアの後輩にあたります。

先生の正妻、ユウカと違い自由気まま過ぎる性格かつ、その倫理観は破綻してます。

なんで君セミナー生になれたの?と言う程の問題児ですがそれは彼女の特殊な能力に関係しています。

 

本作だと『暗号解読』のスキルに当てはまりますが、暗号解析能力がべらぼうに高いといった能力。

ホモ君のスキル『解析』の暗号解析特化になります。

コイツにかかればセキュリティなんて無いに等しいです。

まぁ、その代わり戦闘力はだいぶ低い方ですが。

セミナーは彼女の(使い方によってはキヴォトスが崩壊する)力を自分の手元に置いておこうとしたんですね。

失敗したけど。(知ってた)

 

これだけ有能な彼女を仲間に引き込むチャートは(そこまで多く)ないです。

それは性格も相まってガバの温床みたいなところがあるからです。

走者も資金持ち逃げされた時は静かにぶちギレました。(3敗)

 

ぶっちゃけ、生徒側で彼女を制御するには骨が折れるわ、先生側でも時間がかかるわでRTA向きでは無いです。

しかしゲマトリア陣営であれば問題なし!!

少しチャートとはズレますが、コユキを仲間(奴隷)にする形で動きます。

 

大人のやり方と言うものを見せてやりましょう。(暗黒微笑)

 




次回でやっと主要キャラとまともに絡めます。



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一兎狩る者


前回のあらすじ
ベアおば「人体実験受けてこい。」
チームⅤ「あぁ、死ぬんだァ……」
ホモ「準備できるまで護衛して。」
チームⅤ「アレ?思っとったんと違う。」

待遇は3食賄い付き、2交代制、冷暖房完備、週休1日、始業時間7:00/19:00、手取り10万クレジット。

なんて卑劣な労働環境なんだ!!



その日、私は新しくオープンしたカジノへ足を運んでいました。

訳あって学園に幽閉されていたが、私にかかればセキュリティなんて無いに等しい。

 

ドアロックを解除し、隙を見計らい学園から逃げ出したとき、

ふと目に止まったのが無駄に豪華な「カジノ営業開始」の広告だった。

ミレニアムサイエンススクールから近くて、さっき牢屋から脱出した際に拝借したお金もある。

丁度いい、早速このお金を使う時が来たか。

そう思った私は早速そのカジノで遊ぶことにしました。

 

学生だと賭け金に制限が掛かる様なので簡単な偽の身分証を作って入店した。

得意分野じゃないけど割と様になってるんじゃないですかねぇ?まぁフロントで、

 

「ヘイローがついてる大人とは珍しいですね。」

 

なんて言われた時はドキッとしましたが。

あれこれ手を出してるカイザーPMCが出店してるだけあって内外問わず装飾が豪華だった。

そして開店したばかりでもこの人だかり。

ネームバリューというのは侮れないですね。

 

結論から言わせてもらうと、この店は大当たりだった。

スロットもポーカーも、どれも不正はなく完全に運が必要とされるカジノ。

かく言う私はスロットを回していましたが……

 

「やったぁッ!!この台は当たりっぽいですね〜。」

 

珍しく大勝。こりゃ今回はアイツら(C&C)に捕まっても罰は大きくないはず!!

なんなら感謝されちゃったり?なんて思ったり。

 

「今日はこのくらいにしておきましょうかね♪」

 

いやー、大勝した後は気分爽快ですなー!!

この勢いで、もう一店舗どこか回りましょうかねぇ。

そう思いフロントへと足を踏み込もうとしたその時、2人の人影が私の進路を遮った。

 

「待て。」

「ほぇ?」

 

カチャリという音と共に、黒光りする金属を向けられた。

咄嗟のこと過ぎて間抜けな声が出てしまいました。

というかこれ、もしかしなくても銃ですよね?

何この状況!?強盗!?

全然気配に気づかなかったし、この人たち相当な手練なのでは……

 

「オーナーが話をしたいそうだ。余計な真似をせずに事務所まで来い。」

「……わ、分かりました。」

 

この店の店員かな、見るからに生徒っぽいからバイトとか?

だんだん頭が回ってきましたよ。

……もしかしなくても年齢詐称がバレた?

逃げ出す隙が全くない。もしかして私、大ピンチ?

クソッ!フロントに預けてる銃さえあればッ!!

 

心の中で後悔してると、どうやら着いたらしい。

カジノの内装とは正反対に質素な扉に店員(?)がノックをした。

 

「オーナー、例の彼女を連行してきました。」

「入りたまえ。」

 

固唾をのみ中へ入る。

すると同時に叩きつけられる背筋が凍るほどの威圧感。

オマケに腕を組みこちらを凝視するスーツ姿の骸骨。

気を抜くとうっかり気絶してしまいそうだ。

 

「まずは挨拶を。私はホモ、一応ここのオーナーだ。」

 

まだこの場の威圧感に慣れない私は喋れずにいた。

そこへこの骸骨男、ホモは最大級の爆弾を容赦なくぶち込んできた。

 

「呼び出したのは他でもない、君、年齢詐称して賭けを行ったな?」

「一体何のことですか〜?」

 

ば、バレてる〜ッ!!

お金を掛けてでも、もっと精巧につくるべきでしたか!?

シラ切りましたけど意味無いかも───

 

「既に調べは付いている、ミレニアム学園元セミナー生徒の黒崎コユキ。」

 

アッハッハッ、もう終わりだぁ!!

 

「ぐっ、いいでしょ別に年齢を偽ったくらい!!」

「良い訳ないだろ、店の信用問題に関わる。」

 

そっちが黙ってれば良いだけの話じゃん!!

お願いだから私を巻き込まないで!!

 

「それよりも問題なのは、君の使ったお金が不当なものだという事だ。」

「ギクゥッ!?」

 

どこからそんな情報が漏れて!?

 

「ミレニアム学園の予算、もしくは名義に使用して借りたお金、違うか?」

「………違いますぅ。」

「君はもう少し自分が有名人だと気づいた方がいい。」

 

不味い、不味い、不味い!!

滅茶苦茶バレてる!!

どうやって言い訳しようか、焦っていると右足の付近に衝撃が走ると同時に乾いた音が鳴った。

 

「……。」シュゥゥゥゥ──

 

店員が私の足付近の床に目掛けて発砲した音だった。

そしてこちらを睨み続ける店員(?)と目が合ったとき確かに、

 

「次は当てるぞ。」と。

 

言葉にされなかったが、そう言っているようにしか思えなかった。

いくら銃弾を受けても少し平気とはいえ、痛いものは痛い。

私は最終兵器の土下座を使うことにした。

 

「うわぁぁぁぁん、許してください〜ッ!!」

「……被害額から予想して損害賠償は、最低でもこれくらいだろう。」

 

わぁ、ゼロがいっぱい()

私の賭けで儲かった分入れても払えないんですけど……

 

「こ、こんなに払えないです。」

「……そうか、君はまだ学生だったな。酌量の余地もあるか。

どうだろう、私のところでバイトをするというのは?」

「バイトですか?」

「そうだ。是非君の力を借りてやりたい事を思いついてね。

何、心配せずとも君の想像するような仕事じゃない。」

 

うぅ、怪しすぎる。

でもこれだけ譲歩されて受けない手はないし……。

もうどうしたら、いいの!?

 

「必要なら契約書も用意しよう。」

 

そう言って彼は()()()()()()()()()()()()、1枚の紙を提示した。

 

・雇用期間は一日。

・被雇用者に対して危害を加えない、また加える指示をしない。

・仕事内容、雇用主の情報は決して漏らさない。

・校則を破る事を強要しない。

 

悪いどころか破格の条件ですね。

ここ迄されてもゴネたら確実に後ろから撃たれる!!

さっきから後ろ2人の殺気が凄いんですけど!!

……えぇい、ままよ!!

 

「本当に私に危害は加えないんですよね?」

「あぁ、約束しよう。此方が君に手を出すことはないと。」

「スゥーッ……受けます!!」

 

もう退路は既に無い。腹はくくった。

それにこれにサインしたらこの威圧感からやっと開放される。

話はこれで終わりと言わんばかりに、威圧感は霧散した。

 

「ではご同行願おうか。逃げられても困るのでな。」

「アッハイ。」

 

最後まで逃げられなかった、チクショウ。

肝心な仕事内容はぼかされたが、契約書どおりならそこまで無茶はしないはず。

誘導された感が拭えないけど、決めてしまった以上突っ走るだけしかない。

 

この賭けに勝って私は生き抜いてやる。

にははっ、最後に笑うのは私だ!!

 

 

 

 

 

 

 

『白兎』GETだZE!!

 

ホモ君も容赦ないですね。

チョロ兎をあそこまで追い詰めるとは、結構腹立ててたんですかね。

予定より早いですが黒崎コユキが仲間になりました。

 

ビジネスにわざわざカジノを選んだのも一定確率で彼女が現れるからです。

彼女が現れた次の日にはC&Cに確保される、なんて事はざらですから。

 

彼女には当日一日だけ働いて貰います。

ずっと預かってても良いのですがその場合ミレニアムが総力を挙げて捜索します。(1敗)

 

セミナーの重要情報引き出されたら、たまったものでは無いですからね。

もう目を皿にして探し回ります。

それされると資金洗浄がバレる確率が高くなるので、早めに返してあげましょう。

 

さて、バイト先ですがカジノでバニーガールを……ではなく『廃墟』へ探索です。

何も嘘は言ってないですね、ヨシッ!!(現場猫)

彼女が居ないと攻略が困難な仕掛けがあるので明日はそこへ向かう予定です。

 

今回はここまで。次回もよろしくお願いします。

ご清聴ありがとうございました。




ホモ君大勝利の巻

次回、黒崎コユキを加えて再び『廃墟』へ。
そしてホモ君に新たな仲間が?


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無名の王女


前回のあらすじ

ホモ「不正金流したな?賠償請求や。」
白兎「こ、こんなに払えないッピ……。」
ホモ「なら一日バイトするだけでええわ。サインして。」
白兎「怪しすぎるッピ!!」
ホモ「そっちに危害は加えないから。(命の危機がないとは言っていない。)」
白兎「……フロントガールぐらいならまぁ。」

誤字報告、感謝です。



兎と廃墟を散策するRTAはーじまーるよー。

 

前回は黒崎コユキを仲間に入れました。

今回は彼女とアリウス生徒(2名)を連れて『廃墟』へ潜ります。

 

前回まで『廃墟』はレポート集めスポットとして利用していましたが、今回は目的が違います。

 

それはある人物と接触する為です。

人物については後で解説するとして、イベントを進めましょう。

特定のキャラと共に行動し、特定の状況が重なるとイベントが起こります。

 

・3人を連れて『廃墟』へやって来た。

・相変わらず殺風景な場所だ。

 

嘘みたいだろ?この『廃墟』全体に得体の知れないロボットがわんさか居るんだぜ。

雑魚が多いとはいえ、ホモ君でも数発しか耐えられないので気をつけましょう。

気を抜いて位置取りミスると普通に死にます。(3敗)

 

・さて、全員準備はいいか?

 

「準備完了、いつでもどうぞ。」

「いやちょっと待ってください、聞いた話と違うんですけど!?

バイトってカジノの事じゃないんですか!?」

 

はい、案の定ツッコンできました。

誰もカジノで働けなんて言ってないからね、しょうがないね。

危害も加えてないから契約通りじゃろ?

これを機に悔い改めてもらって。

 

「そんな事だろうとは思いましたけども……

というか此処『廃墟』ですよね?一応立ち入り禁止区域なんですけど。」

 

そう…(無関心)ですが、そんなものは関係ありません。

そもそもミレニアムの校則に抵触してないですし、おすし。

(連邦生徒会のルールは知らん)

 

それに別に強要はしません。その代わりに損害賠償を払ってもらう事になりますがね(暗黒微笑)

じゃけん、『廃墟』行きましょうね〜。

 

「いやぁぁぁぁッ、行きたくなーいッ!!」

 

はい、(可哀想は)可愛い。

ほな、対戦よろしくオナシャス。(倍速)

 

移動中にターゲットについて解説しておきましょう。

なおネタバレになるのでブルアカ未履修兄貴達はブラウザバックしてね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、今回の目的は『廃墟』の隠し扉を通って無名の王女を仲間に入れる事です。

無名の王女とは識別名AL-1S、つまり天童アリスちゃんの事です。

コ↑コ↓では基本的にアリスちゃんと呼んでいきます。

 

本作でその性能は上位に入る壊れっぷり。

ツルギのスキルと似た『自己修復』、ミカと同じスキルの『怪力』を持ち、更に成長スピードも結構早い方。

なんでこんなにぶっ壊れ仕様なの?と言うと彼女の出生に関係あります。

 

彼女は純粋な(キヴォトス)人ではありません。

その正体は無名の司祭達が作り上げたキヴォトスを滅亡させる王女。

無名の司祭とか説明してると尺が足りないのでカット。

同じ理由でKeyやDivi:Sionもカット。

君たち原作で言及が少ない割に登場頻度多いの辞めてくれる?(憤怒)

原作だと先生がミレニアムのゲーム部と一緒に遭遇します。

そしてゲーム部と友情を育むアリスちゃんのストーリーは見ていて心が温まります。

これは幸せにせねば無作法というもの(鋼の意思)

 

あっ、そうだ(唐突)

乱数しだいですが、「多少盛ったってもええやろ笑」という開発側の精神で強い固有スキルと、

バカが載せたバイキングの皿みたいにAI先生がスキル盛々する事によって、

アリスちゃんは手が付けられなくなります。(2敗)

 

そしてとある条件で彼女を闇落ちさせると、雑魚兵連れた魔王が完成します。

そうなるとゲームは崩壊、そっ閉じからのコントローラークラッシュのコンボが炸裂!!

あのさぁ……(呆れ)

 

これでもゲームとして成り立っているのは、プレイスキルと他にもぶっ壊れキャラがいるお陰で何とかなるからです。

スキル盛ればモブでもヒナちゃんと互角に戦えますからね。(勝てるとは言ってない)

後はアリスちゃんをKeyと接触させないとか。

 

ターゲットのアリスちゃんの居場所ですが、原作だと先生の生体反応がないと入れない仕組みになっています。

ですがホモ君はゲマトリア。どんな手を使ってでも彼女は手に入れます。

 

 

オートロック式なら兎を使えば良いじゃない。

 

 

要はプログラムで守られてるならそれを破壊しちゃおうという魂胆です。

そのための黒崎コユキ、更にホモ君も『解析』持ちのため成功率が格段にアップ!!

正直ハッキング成功率上昇効果のスキルが無かったら誰か1人ネームド生徒を闇落ちさせる予定でした。

パンデモニウムとか、色々。

それも時間がかかるのでやらない可能性の方が高かったですけど。

 

という所で等速に戻りました。

どうやら目的の場所に辿り着いたようですね。

 

「ハァッ、ハァッ……急にロボット達が追って来なくなった?」

『接近を確認』

「オーナー、これは……」

 

来ましたね。おらッ、あくしろよ!!

 

『対象の身元を確認します。黒崎コユキ、資格がありません。』

「ちょっ、なんで私の事を!?」

 

そら連邦生徒会長が仕掛けたと思われるAIですから、そらそうよ。

ホモ君の情報があるとゲマトリア判定されバトる事になります。

そうなったら強行突破です。アリウス生徒に頑張って貰いつつコユキにハッキングしてもらいましょう(無茶)

 

『対象の身元を確認……該当なし、エラー発生。』

 

ん?見たことない表記ですね。

まぁゲマトリアで潜る物好きは少ないのでwikiに無くても仕方ないですが。

敵ロボも来なそうなので、今のうちにコユキに指示出してセキュリティ解除しましょう。

ついでにホモ君の『解析』と『電子の妖精』も使います。サポートは大事。

 

「えぇーと、これは特定人物の生体反応を記録してるから、数値をちょちょいと弄って……」

・かなり複雑なプログラムだが彼女はものともせずドンドンと数値を上書きしていく。

 

まーだ時間掛かりそうですかね?

なんの為にお前を連れてきたと思ってんだコラァンッ!!?(人間の屑)

 

「とりあえず私のデータをセットして、この人達のデータ分からないから無条件に修正してやれば……ヨシッ!!」

『対象の身元を確認します……「先生」。資格を確認しました。入室権限を付与します。』

「にははッ、どうです!!一時的な物ですが凄いでしょう!!」

「………。」

 

流石は白兎、暗号解析に関しては右に出るものは居ないですね(手のひらドリル)

完全に天狗になってますが、ここは素直に褒めてあげましょう。

そして、対ショック体勢!!

 

『下部の扉を解放します。』

「へ、下───ぎゃああああああッ!?」

「オーナーッ!!」

 

・床が消失し、全員が落下する。

・護衛のアリウス生徒の1人が受け止めてくれた。

 

「ふぎゅッ!?」

「不親切なAIですね……。」

 

アリウス生徒がキャッチしてくれたおかげでダメージは無しですね。

好感度上げた甲斐がありました本当。

 

「あ痛たたた、どうせなら私も受け止めて欲しかったんですけど。」

「甘えるな。」

「そんなぁー。あれ、奥に居るのってもしかして……人?」

 

・不自然に開けた通路の奥。そこには一糸まとわぬ少女が椅子に腰掛けていた。

 

はい、『解析』。

どうやら白兎のハッキングは時間制限付きのようですし、RTA的にもぱぱっと済ませましょう。

 

・識別番号だろうか?AL-1Sと書かれてある。

・辺りを確認していると機械的な声が少女から鳴り響く。

 

『状態の変化、及び接触許可対象を感知。休眠状態を解除します。』

「この子は一体……。」

「もしかしてアンドロイドですか!?」

 

・突如、少女の瞼が開いた。

・蒼い双眼は此方を覗いた。

 

「会話を試みます……説明をお願いできますか?」

 




遂に王女との対面、そして白兎との別れが近づく……


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アリス・イン・アンダーワールド


前回のあらすじ
ホモ「『廃墟』の隠し部屋行くぞ。」
白兎「イヤだ!!」
ホモ「賠償金払う?」
白兎「やります!!ロック解除はあれがこうして、そうしてこうや!!」ドアプシュー
アリス「骸骨に兎にガスマスク……どういった状況ですか?」



「会話を試みます……説明をお願いできますか?」

 

はい、無事アリスちゃんの起動に成功しました。

因みに『Key』と呼ばれるAIが内部に残ってると再走となります。

誰が予測不能の爆弾を持ってRTA出来ると申すか(憤怒)

因みに威力は下手するとキヴォトス滅亡待ったなしレベル。

 

このゲーム走る毎にちょくちょく内部データが変わってるので油断出来ないんですよね。

丁度いいので簡単に『Key』について解説します。

 

『Key』とはアリスちゃんこと、無名の王女をサポートするAIです。

原作でのアリスちゃんはあらゆる記憶データを削除された状態で発見されますが、

『Key』が残っている場合、

『プロトコルATRAHASIS』と呼ばれるキヴォトス滅亡計画を、

実行するべくキヴォトス中を暴れ回ります(1敗)

なので先ずは、相手の情報を引き出しましょう。

 

・君は自分の事が分かるか?

 

「否定。本機の自我、記憶、目的は消去状態である事を確認。データがありません。」

 

ヨシッ!!(現場猫)

どうやら『Key』は居ないようです。

「当機は無名の王女」とか言い出したらどうしようかと。

なお、全裸の状態。不審者しか居ねぇなぁ(呆れ)

 

・AL-1Sという名に聞き覚えは?

 

「記憶データに引っかかる項目は無し。しかし聞き馴染みのある言葉だと回答します。」

「オーナー、まさか彼女に面識が?」

 

ソンナワケ、ナイジャン。

流石に走者は原作知識知ってます!!という選択肢は無いの適当に選択で。

 

・無い……が、仲間の1人に色々と情報を貰ってな。

 

ほーん、黒服にでも教えて貰ったんですかね。

仲良いなお前ら。

黒服の好感度の上がり幅をもっとベアおばに分け与えてクレメンス。

 

因みにアリスと初遭遇した時は名前を付けることが可能です。

流石にレズと付けるのは人の心が無いというのと、

普通に時間の無駄なので、ここはAL-1Sのままで行きましょう。

 

・そういえば此方の自己紹介をしていなかったな。

 

まぁ、彼女からすれば骸骨と兎とガスマスクの変人集団ですから。

それにこれから仲間になる(強制)ので自己紹介は大事。

 

・これからは君の事をAL-1Sと呼ぶ。

 

「ちょっと!?流石に識別名っぽいのはどうかと思うんだけど!?」

「否定、問題ありません。当機はこれからAL-1Sと名乗ります。」

「良いんだ!?」

「肯定、不思議としっくりくるもので」

 

当たり前だよなぁ?

日頃の行いか思い通りに進んでますね今のところ。

まぁ走者の腕があればガバなんてしないんですよ(慢心)

 

「あ、そう言えば……」

・どうした?

「私の解除したセキュリティ、時間制限型なの忘れてました。」

・それは聞いたが……

「今確認したんですけど、もうちょっとしか時間残ってないです。」

 

ファッ!?(驚愕)

 

・制限を超えるとどうなる?

「多分一生閉じ込められる事に……テヘッ☆」

 

こ、このクソ兎があァァァァァァッ!!

 

はァ〜〜〜〜〜………(くそデカため息)

はい、冷静になりました。

何か小言の1つでもホモ君に言わせてやりたいですが、時間がありません。

逃ーげるんだよォッ!!

 

・AL-1Sに上着を貸した。

・私たちに付いてこい。

 

ホモは紳士、でも今そんな事しなくていいから(良心)

 

道行く雑魚はアリウス生徒達が蹴散らしてくれます。

ホモ君は生きた心地がしないでしょうが、

私はコントローラーボタンを連打するだけで良いので楽です。

 

・出口まであと少しというところで最後の扉が閉まり始めた。

・このままでは間に合わない。

 

まずいですよ!!

あ、ホモ君はスライディングでギリ脱出できそうですね。

コユキは間に合わないかも知れませんが、(自分が助かれば)よかろうなのだぁ!!

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 

・自分は大丈夫だが、彼女は間に合わないだろう。

・…………。

・黒崎コユキを投げ飛ばした。

 

「ウエァァァァッ!?」

・扉が完全に閉まってしまった。

 

ファーッwwwwww

ホモォ、何やってんだお前ェェェッ!!

あぁ……ここまで上振れだったのに……

僕のチャート壊れちゃった……ワ…ァ……(精神崩壊)

 

ゲマトリアの誰かが助けてくれるかもしれませんが、

大幅にタイムロスになるのでこォれは泣く泣くリセですね残念ながら。

 

・諦めて壁にもたれ掛かる。

・それと同時に閉じた扉が音を立てた。

 

おや?これはもしや……

 

・ドアが開いてゆく!?

「オーナーッ!!」

 

ウッシャアッ、チャート続行じゃい!!(奇跡の復活)

これならまだ狙える!!

 

・どうやってドアを?

「それが、AL-1Sが見知らない機械を触った途端扉が……」

 

アリスちゃんナイスぅ!!

Foo↑このスリルが気持ちぃ〜

 

・さっさと脱出するぞ。

 

なんで扉が開いたの?という視聴兄貴達の為に解説すると、

アリスちゃんはこの『廃墟』の構造を理解してるからです。

 

嘘つけアリスちゃんに記憶は無いだろ!!

という最もな反論をするでしょうが、長年行っていた行動というものは染み付くものです。

要は「身体は正直じゃないかグへヘ……」状態です。

『廃墟』がまだ正常に機能していた時の門の開閉用ってところでしょうか。

何にせよ、アリスちゃんのお陰で助かりました。

足でもなんでも舐めます(迫真)

 

・地上に戻ってこれた。

 

無事何とか脱出できましたね。

アリスちゃんええ子やでほんま。

コユキ、お前船降りろ。

 

・バイトご苦労だったな、帰っていいぞ。

「なんですかッ!!用済みになったらポイですか!?」

 

メンヘラみたいな事言うんじゃねぇ!!

お前預かってたらミレニアム凸しに来るんだよ!!

さっさとけえれッ!!(人間の屑)

 

・どうもこうも、そういう契約だ。

「ふんだッ、後悔しても知りませんからねー!!」

 

『黒崎コユキがパーティを抜けました。』

 

パーティ追放、ヨシッ!!(猫畜生)

いやー、流石にもうダメかと思いましたが、何とかなるもんですねぇ。

 

「オーナー、何故あの兎を助けたのですか?」

 

知らねぇよ(逆ギレ)

いや、本当どうして勝手に動いたんですかね。

このゲーム、たまにキャラが黄金の精神を宿して独断行動(ガバ)を起こすので勘弁して欲しい。

 

まぁ、ここは適当に選択していいでしょ。

アリウス生徒の好感度は基本プレゼントで上げる予定なので細かいことは気にしなくてヨシッ!!

好感度自体確認できたらいいんですけど、このゲームだと隠しステータス扱い何ですよね。

 

・研究所に到着した。

・不思議と久しぶりの帰宅に感じる。

・AL-1Sは初めて見る建築物に興味深々のようだ。

 

ようやく我が家に帰ってこれました。

資金はヨシッ!!ちゃんと予定通り溜まってますね。

オーパーツも結構集まったし、次回には研究が出来そうです。

 

キリがいいので今回はここまで。

次回はようやく資金が溜まるので『神秘の強化』研究を行っていきます。

 

それではご清聴ありがとうございました!!

 




Key「……私は?」


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神名解放


前回のあらすじ
アリス「AL-1Sが仲間に加わった!!」
兎「やっべ、時間制限あるの忘れてた☆」
アリウス生徒「この兎ほんま……」

逃走後
兎「助けてくれた事は、感謝してあげなくも無いです。」
ホモ「お前、船降りろ。」
兎「キィーッ!!後悔しやがれ!!」
Key「私の事忘れてないですか?」



透明な世界観で少女を実験漬けにするRTAはーじまーるよー。

 

前回は無事『廃墟』から脱出し、アリスちゃんを仲間にしました。(強制)

ついでに白兎はリリース、もう帰ってくんなよ(辛辣)

そして今回からやっと研究を進めていきます。

 

・改めて、私と共に来てくれAL-1S。

「了承、当機とどうぞよろしくお願いします。」

 

ヨシッ!!(現場猫)

余程第一印象が悪くなければ仲間入りはスムーズに運びます。

心配してないですけどホモ君はゲマトリアだから、多少はね?

 

資金回収は例の如くスキップするとして、今からアリウス生徒達の魔改造を始めます。

何から手をつけるか、それは生徒達の銃です。

 

コネが出来たカイザーPMCから武器を取り寄せ、オーパーツで強化しまくります。

というか、今は(これとスキルとレベルしか強化でき)ないです。

 

アリスちゃんは?と思うかも知れませんが、彼女は後回しです。

知能はありますが如何せん、赤子のような行動を取るので武器を安心して渡せません。

少し火力の高い武器を初っ端に渡した時は研究所が半壊しました(2敗)

 

あともう1つ。

このチャートの都合上、アリスちゃんはレールガンを持っていません。

折角なので超武装したアリス=チャンに魔改造したいと思います。

原作に突入さえしてしまえば、研究さえすれば時間に余裕がありますからね。

どうせ待たなければならぬなら、楽しみましょう。

 

アリウス生徒達の強化中、アリスちゃんには『教育』を受けてもらいます。

ブラックな事はしません、ただアリスちゃんの体力が持つ限りBDを流しまくるだけです。(鬼畜)

RTA的にこれするしかないので、アリスちゃん過激派は許してクレメンス。

因みに生徒にBDを使用するとスキルレベルが上昇します。

 

閑話休題

 

このゲームには誰でも装備できる通常武器と、特定の生徒専用の固有武器の2種が存在します。

固有武器以外にもちゃんとステータスが用意されており、武器種によって性能も違います。

 

その性能ですが結構細かく設定されており、威力、弾数、射程、範囲、攻撃タイプ等あります。

各武器の性能について話すと尺が無くなるのでカット(無慈悲)

 

そして現在アリウス生徒達の判明してる武器種がこちら。

AR、GL、SG、MT……かなり瞬間火力の高い面々になります。

まぁこのまま使用すると便利屋68の下位互換になりますがね。

元々の基礎ステータスに差が有りすぎるんだよなぁ。

 

ネームドと渡り合うとなるとレベル以外に、

細かいステータスも上げないと終盤で手も足も出なくなります。(惨敗)

そしてそれはAL-1Sという超有能ユニットが居るとはいえ、1人では厳しいです。

4人に勝てるわけ無いだろ!!いい加減にしろ!!

 

ネームド生徒仲間にしたいけどなぁー、難易度が高すぎる。

限られたリソースで攻略するという先生側とはまた違う楽しみ方ができるので、

普通に遊ぶ分には楽しいんですけどね。

 

地味に4人分の武器強化の作業長いんですよねー。

という訳でキング・クリムゾンッ!!

はい、最大強化完了です。

武器の強化で得られる恩恵は馬鹿に出来ませんからね。

オーパーツも余裕あるのでヨシッ!!(現場猫)

 

これだけしても最終盤は普通にボコられるんですけどね!!

お前らさぁ……(呆れ)

それを覆すには新規スキル獲得と神秘の強化が必要になってきます。

新規スキルは時間が掛かるので今回は無視していきます。

 

神秘の強化では、ゲマトリア陣営で進める唯一のメリットである研究を行います。

とある技術を使い、生徒が内包する『神秘の強化』をする事でステータス、武器の性能の大幅アップができます。

それが可能になるのが超有能研究機器『ISIS』、別名『神名のカケラ製造機』。

 

神名のカケラってなんやねん!!という視聴兄貴達の為に解説。

 

まず、アプリ版で登場する『神名文字』。

このアイテムを消費することで専用生徒のレアリティが上がり、ステータス上昇と固有武器が使用可能となります。

これを神名解放と呼びます。

 

その『神名文字』の購入に必要なのが神名のカケラになります。

アプリ版ではシャーレ1Fにあるエンジェル24で購入できますが、今作は探索でしか手に入らない鬼畜仕様となっています。流石にドロップ率は高いですがね。

というか、何故ただのコンビニにそんな物売ってるんですかねぇ……

 

そして本作は神名のカケラで神名解放が可能となっています。

必要量は神名文字よりも多いですがね……。

『ISIS』のどんな機能を使用して作成しているかは不明ですが、周回するよりもより効率的に神名のカケラを回収可能となります。

 

神秘の強化込みでネームド生徒とやっと戦いになります。

オンライン対戦でガチ勢の作った厨パにはどんなにプレイスキルがあっても負けるので、本当にRTAでしか使用できませんが。

 

さて、現在3億近くまで貯蓄が溜まっているのでどんどん周回しましょう。

目標額到達までは倍速でお送り致します。

 

メイド・イン・ヘブン、時は加速する!!(10倍速)

 

はい、しゅーりょー。

資金回収中にあったイベントとしては、黒服とお茶したり、マエストロと芸術について話したり、

ゴルコンダと研究について話したり、ベアおばと取引したり、

アリウス生徒と絆を育んだり、先生がシャーレに着任したり。

 

あと、何故か白兎がたまに研究所に侵入してきたり。

何でいるんだお前(素)

 

何故かホモ君が気に入られてるようですね。なんで?

自分を契約で危険地帯に送り出したクソ野郎だぞ?

兎の倫理観はバグってるので理解出来なくても仕方ないですが。(RABBIT小隊への熱烈な批判)

頻繁にこられてミレニアムにこの場所特定されると面倒臭いんですけどそれは……

 

本人はしっかり追跡対策してると言ってますが、(信用でき)ないです。

こういうタイプはどんなに優位な状況でも、最後で大ポカやらかす奴が多いですからねぇ(ブーメラン)

拒否して居場所を拡散されると嫌なので許可しましょう。クソが(憤怒)

 

という訳でわずか1ヶ月半で神名のカケラを必要分揃える事が出来ました。

あとはカケラをアリウス生徒達の口にねじ込みましょう。ごはんよー!!

 

『アリウスチームⅤの神秘解放完了』

 

はい、これで最低限戦えます。

レベルも大分上がり、有用なスキルも覚えました。

あとはホモ君の研究を進めるだけです。

 

「マダムへ報告に向かうので、一旦帰還します。」

 

おっ、そうだな。

ベアおばとの取引の結果、研究結果が認められれば一応専属という形になっています。

短期間離脱するだけなので問題ないです。

快く送り出してやりましょう。

 

『アリウスチームⅤがパーティを抜けました。』

 

あと何気に先生がシャーレに着任したという事は、いよいよ原作が始まったという事です!!

何とか事前準備は間に合ったので一息付きたいですが、ダメです(無慈悲)

アリスちゃんの強化にホモ君の研究等やる事は盛りだくさんです。

 

次回から恐らく対策委員会編に入ると思います。

まぁホモ君の出番は無いでしょうが。

あったとしても時計じかけの花のパヴァーヌ編ですかね。

先生の動きによっては色々準備の必要があります。

という事で今回はここまで。

 

ご清聴ありがとうございました!!





アリウス生徒の判明してるステータス
そして好感度は走者の予想より遥かに高いものとする。

名前:リーダー
武器種:AR
スキル:『冷静沈着』、『戦局眼』、『火力集中』
・全体のバランサー。場合によっては火力支援を行う。

名前:メンバー1
武器種:GL
スキル:『爆砕』、『撹乱攻撃』、『隠密』
・榴弾ブッパ要因その1。相手陣地は更地と化す。

名前:メンバー2
武器種:SG
スキル:『勇猛果敢』、『全弾発射』、『強襲』
・ヒャッハー型前衛、回避タンクを兼任。

名前:メンバー3
武器種:MT
スキル:『蒐集家』、『追跡』、『破壊王』
・榴弾ブッパ要因その2。状況に応じてアイテムを使用。


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幕間の物語1
黒服


RTA開始前の黒服視点でお送りします。

誤字報告助かりました。
これからもよろしくお願いします。



学園都市キヴォトス。

神秘の渦巻くそこは、我々大人にとって垂涎の実験室。

 

『崇高』、神秘と恐怖を兼ね揃えた高次元的存在。

 

ソレへと到達するために我々、ゲマトリアは活動している。

計画を進める内に、世間一般的には悪と呼ばれる行為を犯す事もあるでしょう。

実際私は年端もいかない学生の幸せを、希望を踏み躙ろうとしている。

それも自分のエゴによって。

 

しかし、まだルールの範疇です。

 

既に運命のレールは我々によって敷かれている。故に、引き返すことはない。

そんな中、私は計画の為に何か作業をするでもなく、全く関係の無い資料を閲覧していました。

 

曰く、私は停滞していたのです。

 

マエストロの研究成果である『ミメシス』で観測した神秘の裏側にあたる恐怖。

その観測実験のために、わざわざ大企業を使ってまで計画を進めているのですが……

想定以上に学生達の反抗が続いています。

 

アビドスの生徒会長。

彼女が不在になり、後は時間の問題だと確信していました。

しかし予想外にも副生徒会長が中心にアビドス対策委員会なる者を結成し、

土地を手放すよう差し向けた借金をあろう事か返済しようとしている。

 

なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?

 

たった5人では一生かかっても返済できない金額だと言うのに。

既にアビドスの人口は全盛期の1割にも満たないと言うのに。

例え借金を返済できたとしても復興できる余地もないと言うのに。

 

理解ができない。

故に、私は次に打つ手を躊躇っていました。

 

マエストロは『ミメシス』による恐怖の観測を。

ゴルコンダとデカルコマニーは『テクスト』という新たな計画を進める手法を。

ベアトリーチェはアリウス自治区という『領地』を。

 

着々と成果を上げていく仲間たち。

 

無意識の内に失敗を恐れていたのでしょう。

失敗はできない、足を引っ張る事は出来ないと。

ろくに纏まらない思考では計画はとても進められない。

そんな時、ふと視界にとある資料が映りこんだのです。

 

ゲマトリアの加入者候補の資料が。

我々ゲマトリアは常に安全が約束されている訳では無い。

急な欠員ができた時の為の、計画のバックアップ先をリストアップした物を用意していました。

 

マエストロも、ゴルコンダも、デカルコマニーも、ベアトリーチェも、全員が計画に必要な人員です。

誰か一人でも欠員した時の損失は計り知れません。

なので欠員した時に急遽加入させる候補者をいくつか選定する必要がありました。

最悪を想定した資料に目を通していたところ、1つのデータに目を惹かれました。

 

ゲマトリア加入候補者、名前はホモ。

……中々個性的な名前ですが目を惹かれたのはもっと別の所にありました。

 

ひとつはこのデータが正しければ、珍しく本名で登録されてるという事。

 

もうひとつはそのデータ内容の薄さ。

経歴などを見てみると殆どが白紙。

それはもう不自然な程に。何故候補者に選ばれたのかと。

 

ソレに何を感じたのか、興味が湧いたのか、一目会ってみようと。

 

早速彼にアポイントをとり、決めた場所へと向かった。

場所はいつもゲマトリアの議会で使用しているあの部屋。

予定時間より少し早めに到着するとそこには先客がいた。

ドアをノックし、中へ踏み出すと資料で見つけた彼と目が合った。

 

その瞬間に彼から感じたのは、濃厚な死の気配。

 

殺気等の感情は感じられない。

ただそこに佇んでいるだけでこれほどの気配を感じさせるだけの人物。

自分は思った以上の大物に出会ったらしい。

 

スーツ姿の骸骨頭が杖を携えている。

その眼窩には目玉はなく炎のような眼光が揺らめいている。

その姿は正に形を持った『死』そのもの。

強烈過ぎる死の感覚に動くのが遅れたその時、彼から声を掛けられた。

 

「すまない、待ち合わせ場所を間違えていただろうか。」

「──いえ、場所も時間も相違ありません。」

 

驚くほど穏やかな声だ。

いっそ不気味な程に。

気遅れしていてはダメだ、私が彼を招待したのだから。

 

「何か飲み物でも用意しましょうか。」

「頂こう。この見た目だが飲み食いはできる。」

 

そこからはごく普通の、現在のゲマトリアのスタンス等についての状況確認が始まった。

話してみて分かった事ですが、彼はこの威圧感さえなければ普通の人間とそう変わらない様だ。

 

その雰囲気が変わったのは話に終わりが見えた頃でした。

 

「参考までに聞きたいのですが、ゲマトリアへ加入したとして何を目標に活動なさるつもりですか?」

「それは───『色彩』の撃退だ。」

「なるほど、なるほど……」

 

『色彩』の撃退。

キヴォトスに終焉をもたらせる未だに正体不明の観念、その討伐。

ゲマトリアの天敵として常に警戒はしていましたが何故そんな事を?

 

確かにあの存在に対策をとるのは必要不可欠だ。

だがそれは己の願望、エゴではないのではないか。

それにもし、撃退の為に『色彩』を呼び寄せようと言うならば彼はかなり危険な存在だ。

そんな疑問を感じ取ったのか彼はこう続けた。

 

「『色彩』がもし舞台に降り立った時の対策というのも勿論あるが……

 

アレはある意味で崇高に近い存在。いや、観念だ。

私は崇高を『色彩』に対する切り札に使いたいと思っている。

 

要は知りたいのだ、自身の認めた崇高がどれ程の存在なのかを。

それが出来れば相手は『色彩』でなくても良い。

そしてそういう意味では私自身が崇高に至る必要は無い。

学生でも、あなた達ゲマトリアでも、その他の存在だろうともだ。

 

私はただ証明したい、私の定義する崇高を!!」

 

彼は眼窩で揺らめく野望の炎を魅せながら、今までと違い力強い声でそう話した。

 

その情熱は正にエゴイスト。

それは何と傲慢で、何と自由な事だろうか。

その時確かに私は彼に対し純粋な敬意、そして僅かな羨望を抱いた。

そして思い出した──私の原点を。

 

彼こそゲマトリアの後続に相応しいだろう。

いや、いっそのこと今すぐにでも加入させましょうか。

きっと彼らも分かってくれる筈です。

 

そうと決まれば、早速彼を加入させる為の作業に取り掛かりましょうか。

無意識の楔はいつの間にか外れ、心做しか体が軽いように感じる。

今なら滞っていた計画にも手をつけれそうです。

先ずはそうですね、あの『預言者』にでも手を付けてみましょうか。

 

クックック……

楽しみですよ、あなたの存在が我々の計画をどう左右させるのか。

 

変数?計算狂い?イレギュラー?問題ありません。

計画とは立てた時に既に破綻しているものなのですから。

 

 

それなら、愉しまなくては損というものでしょう?




黒服とホモ君の初邂逅時のお話でした。


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ベアトリーチェ


ベアおばがホモ君と出会った時の内情です。
データ1回消えたので今回は少なめです。
アリウス生徒視点は多めに書くので許してクレメンス。


アリウス自治区。

そのバシリカの神々しい祭壇に2人の男女が向かい合っていた。

と言っても、2人を人間と呼ぶには常人離れした見た目をしていた。

 

男の方はスーツを着こなし、杖を握っているがその姿は骸骨。生きていると定義していいのかさえ不明な存在。

 

女の方は純白のドレスに身を包んだ淑女だが、その赤い肌と頭部にある複数の眼は人間離れしている。

そしてその視線は件の骸骨男に向けられていた。

 

(何処の馬の骨かと思いましたが、黒服が推薦するわけです。)

 

黒服の推薦により新たに加入したゲマトリア。

最初興味の無かった彼女は議会に参加しなかった。

そんな事よりも自身の計画の為に準備する方が何倍も有益だと思っていたからだ。

しかし男は侵入困難な領地を自力で突破した。

領地に無断で足を踏み入れた事に怒りはあるものの、その事実は彼女に興味を抱かせるのには十分だった。

そしてどう利用してやろうかと。

 

仮にも仲間に向けるものではないが彼女は男を組み込むことを前提に計画を練っていた。

 

それは対面したと同時に崩壊したが。

 

(黒服は何処でこんな化け物を……)

 

男に生物としての気配はなく、『死』の色濃い気配だけを漂わせていた。

コイツは本当に生きているのか?と疑問に思うほどの。

この存在は間違いなく己の計画を破滅させる。

そう確信めいた直感。少なくともそれ程まで警戒する必要が出てきた。

 

(こんな事なら会議に参加しておくべきでした。

加入を保留させればやりようはあったというのに。)

 

ゲマトリアに既に加入しているため手出しは出来ない。

手を出せるとすれば、計画が成就した時だがそれでは遅すぎる。

完全に御しきれない、しかし邪魔だと切り捨てもできない。

根本的に小心者の彼女はとる手を完全に見失った。

そんな彼女に男の提案した取引は転機を与えた。

 

彼は『崇高』を目指していない。

『崇高』を観測するのがあくまで目的だと。

これは彼女にとって朗報であった。

少なくとも直接彼が妨害してくる危険は減ったのだから。

 

そして『神秘の強化』。

これが1番彼女にとっての朗報であった。

 

計画の為に兵力を整えているとは言え、生徒を信じていない彼女の保険となりえた。

計画にはユスティナ信徒を顕現させるつもりなのだから。

それ程までに『神秘の強化』に関しては多少のコストを支払ってでも受けたい程に魅力的だった。

そして取引内容も此方に有利なものだ。

男が配慮したのか、彼女には興味はないが悪くない取引だ。

 

(悪くない取引です。しかし……)

 

ここで彼女の悪い点である『傲慢』が顔を覗かせた。

 

「失敗した時どう償うか考えているのですか?」と。

 

入ったばかりの新人に言う台詞ではないが、

反応次第では制御しやすくなると思って言い放った。

すると男は予想外にもこう返答した。

 

「考えてるともベアトリーチェ。もし何かの不手際があれば……この命をもって償おう。」と。

 

(今この男、何と……)

 

馬鹿げている。狂っている。理解を拒む。

自身の目的のために、あらゆる犠牲を払ってでも進む。

それが『ゲマトリア』だ。

 

自分が本心で生徒を心配してるとは思っていないはず。

男の考えは読めなかったが彼女にこの手に乗らない手は無かった。

期間は3ヶ月、はした金とはいえ資金も入る。

 

(いいでしょう。精々利用させてもらうだけです。)

 

少なくとも此方が被害を被ることはないだろう。

こうして取引は結ばれたのであった。

 

そして期限の半分で男は研究の成果を見せてきた。

彼女は純粋に貸し出した生徒がどれ程の成長を遂げたか興味があった。

 

(わざわざ戦闘力の1番低いチームⅤを当てたのです、折角なのでチームⅠと模擬戦してもらいましょうか。)

 

余興も兼ねてアリウス自治区の大人も集めつつ模擬戦を行った。

取引通り強くなっていれば良し、成果が無いとしても奴に強く条件をつけることが出来る。

そういった思惑で模擬戦は開催された。

結果はチームⅤが勝利した。それも圧勝という形で。

 

(……まさかここまでとは。)

 

「マダム、少しよろしいですか?」

「何です一体。」

「これをオー……取引先から結果が出たら渡すようにと。」

 

内容はこうだ。

 

・これから取引として彼女らを私の護衛として半永久的に派遣すること。

(貴重な研究の被検体である為。)

・見返りとして神名のカケラの提供を行う。

・使用方法は後ほど説明する。

 

悪いどころか破格の内容。

チームⅤに関しては惜しい気もするが計画時に招集すれば良いだけの話。

結果的に男との取引を継続することになった。

 

「つくづく忌々しい男……ですが利用価値がある内は使ってあげましょう。」

 

相変わらずいけ好かない奴だが能力は認める。

格下ではなく1人の協力者として接すると、ベアトリーチェは考えを改めた。

 

「そう、全ては私が『崇高』へ到達する為に。それが私の……大人の義務に繋がるのですから。」

 




ベアおばのホモ君へのスタンスは、油断のならない協力者という位置に落ち着きました。
先生よりマシですね。


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チームⅤ


遅れて申し訳ない。
アリウスチームⅤのリーダー視点でお送りします。



Vanitas vanitatum.Et omnia vanitas.

全ては虚しい。どこまで行っても、全てはただ虚しいものだ。

 

「明日よりあなた方には私の……取引先に向かって貰います。」

 

アリウス生徒会長のマダムからそう告げられた時、自らの命を悟った。

 

「『神秘の強化』……と言っても理解できませんか。要は人体実験です、拒否は認めません。」

 

私達チームⅤは生徒の中で1番戦力価値が低い。

戦力として使えないのであれば、リスク込みでも使い潰してやろうと。

 

薄々勘づいていた事だがこの女は我々を駒としか見ていないのだろう。

実質的な捨て駒扱い。

その事実に大して感情は動かなかった。

 

「安心しなさい、取引先からは重大な後遺症を残すような実験では無いと聞いているので」

「……了解しました。」

 

全てどうでもいい、自分の命さえも。

全てはただ虚しいものなのだから。

そう『彼』と出会うまでは。

 

「私が君たちの雇用主のホモだ。しがない研究者だが、よろしく頼む。」

 

ミレニアムの自治区を外れに少し歩いたところ、建物の前に骨が立っていた。

情報通りの姿、あれがマダムの取引先に間違いない。

 

感情が読めない骸骨の顔が相まって、マダムとは違った威圧感を感じる。

マダムと同じ大人か……。

 

「この度からここで実験を受けるアリウスチームⅤです。総員、敬礼。」

「小隊か……飲み物を出すから、とりあえず座るんだ。」

「……ありがとうございます。」

 

そう言い放つと彼はそそくさと建物の奥へ向かった。

他人の家に上がるのは何年ぶりだろうか。

内装は無駄なものが少なく、質素なものだった。

テーブルに椅子が引かれている、座れということか。

 

待っている時間にしては数分の事だ。

戦いの事を常に考えていたせいか、何も無いこの時間が長く感じる。

 

「悪いがこれしか今は無くてな……」

 

少しして茶色い液体の入ったティーカップを差し出された。

もう既に実験は始まっていて何か入っているのだろうか。

どうでも良いか。マスクを外して頂くとしよう。

 

……甘い。

おいメンバー2、がっつくな。取引先の前だぞ。

 

「飲みながらで良い。本題について話そうか。」

 

まず私たちの中に眠る『神秘』を強化する為、実験を行いたいという事。

そして実験材料と資金回収の為、暫くは彼の警護を行うこと。

次に研究資金と資源が貯まれば理論上、『神秘の強化』は可能だと言うこと。

最後に出来るだけ身体に負担のかかる実験はしないが、異常が起きた時は直ぐに言うように。

 

概ね理解した。

実験の前に『廃墟』とやらを引きずり回されるという事か。

お生憎様、以前からの訓練でこの手の作戦は慣れている。

せめて殴られない程度には働くとしようか。

 

仕事中

 

「今日はここまでだ、撤退する。」

「まだ日は暮れていませんが……」

「君達の実力を疑っている訳では無い、元々表層を探索したら撤退する予定だった。」

「……了解しました。」

 

帰宅後

 

「さぁ、食え。」

「あの、これは一体……」

「食事以外の何がある?……まさか、食えない物でもあったか?」

「いえ、お気遣いなく。私達は数日断食したところでパフォーマンスに支障h……」

「君達がここへ来た以上、生活管理は私が行う。分かったな?」

「はぁ、では頂きます。……メンバー2!!」

「あわわッ!?すみません!!」モガモガ

 

深夜00:00

 

「おい、何故まだ起きている。」

「全員で夜警を……」

「………。」

「何故頭を抱えるのですか?少なくともマダムと同じ大人なら、敵対勢力からの警戒は必要では?」

「……分かった、予定変更だ。ローテーションを組むぞ。」

 

 

思っていたのと違う!!……取り乱してしまった。

 

環境が思っていた物と違う。

1日3食は当たり前で(間食も付く)、

一日の休憩時間は長く(一日最低1時間)、

部屋の設備は使い放題で(シャワー、冷蔵庫など)

夜警を行うようになってからは、バランスよく2人で交代制。

 

わずか2日過ごしただけだが、何だこの優──ではなく弛んだ仕事環境は!!

 

こんな生活をしていてはチーム全体が腑抜けてしまう。

何とかスケジュールをもっと濃密に調整して貰わなければ。

 

「すみません、少々ご相談が。」

「何だ、言ってみろ。」

 

もう慣れた骸骨の姿。

既にメンバー全員が彼に意見する程には打ち解けていた。

 

「スケジュールに余裕がありすぎます。」

「自由時間は何をしてもいいと言っただろ。」

「それでも多すぎます。」

「家事までされては不服かもしれんが、実験を行うまで私は何もしてやれないのだ。それとも頼られてないと不安になったか?」

 

ぐぬぬ……。

待て、まさか彼に頼られない事に不満を抱いたとでも言うのか!?

そんな簡単に絆されたとでも………。

 

「君達は十分に働いている。資材が手に入るのは君たちのお陰なのだ。」

 

肩に乗せられた手に存在しないはずの温かみを感じた。

今まで彼を決まった呼び方をした事は無かったが……せめて敬意を込めてオーナーと呼ぶか。

 

 

 

その後、私達は捕らえた兎とともに『廃墟』の表層の下へと向かった。

この兎、メンバー2と3が捕獲現場を見ていたが、相当な暗号解析能力を持つらしい。

『白兎』の力、どれ程のものか見ものだな。

 

 

 

あの兎め。

最初にゲートのセキュリティを解除したところを見てやるなと思えば、時間制限を忘れて私達諸共閉じ込められそうになるとは。

1回殴るくらいならオーナーは許可してくれるだろうか。

 

私達が雑魚を間引き、先に扉へと到達する。

拾ったAL-1Sと言う少女、見た目に反して中々の身体能力だったが……

 

扉が閉まるまであと数十秒。

オーナーは間に合うな……兎は知らん。

扉が閉まる途中で、オーナーの動きが止まった。

そして次の瞬間に兎を放り投げ、オーナーは取り残された。

 

 

 

は?

突然の暴挙に頭が真っ白になった。

 

「オーナーッ!!」

 

何とかして扉を開けなければ……

扉をメンバー1と持ち上げようとするがビクともしない。

まて、そう言えばAL-1Sは?

辺りを見回すと近くのコンソールを触っていた。

 

「何をして……」

「これを、こうすれば───」

「何っ!?」

 

ガコッ!!と何かの外れるような音の後、扉が開いた。

なんでも、AL-1Sは記憶の無い状態だが、『廃墟』の機器操作は体が無意識に行ってくれるのだとか。

 

何とか『廃墟』を脱出し疫病神(白兎)を追い払った後、私はオーナーに聞いた。

 

「オーナー、何故あの兎を助けたのですか?」

 

Vanitas vanitatum.Et omnia vanitas.

全ては虚しい、その教えを元に私は生きてきたつもりだ。

だがオーナーの、先程の行動はそれとは真逆のものだった。

私は聞き出したかったのだ、本当にこの教えが正しいのかを。

 

「生憎、私はその問に対する答えを持ち合わせていない。何故なら体が勝手に動いたからだ。比喩では無いぞ。」

 

そんな事あるか。

と言えればよかったのだが、残念ながらこの人はその類の嘘は吐かない。

何日も一緒にいればそれくらいは分かる。

 

「ただ1つ私に分かることは、人間は生きている以上突拍子もなくらしくない行動を取るものだ。」

「貴方もそうだと……。」

「何だその顔は?私は人間のつもりだぞ、この成りだがな。」

「そういう訳では無いのですが。」

 

何となく分かったような、分からないような。

こちらの心情を知りながらはぐらかされた気もするが……

答えは自分で見つけるしかないようだ。

 

 

そして1ヶ月半が過ぎた頃。

十分な資材を集め終えた私達はいよいよ実験を受ける事になった。

と言っても手術のような事はせず、渡されたこの『神名のカケラ』を飲み込むだけ。

何の憂いもなく私達はそれを飲み込んだ。

次の瞬間に体の内から湧く不思議な力。

()()()()()()()()()()()()()()()万能感だ、体が軽い。

 

「力が湧いてくるような……、外見に現れはしないようですがとても強くなった気がします。」

「それで体調はどうだ?痛みは?」

「解放感と言うべきなのでしょうか、むしろ気分はすこぶる良好です。」

「あの、つまりこれは……。」

「実験成功だ。」

素直に喜べない自分がいた。他のメンバーもそうだろう。

実験が成功したということは、もう此処には居られないという事実を理解していた。

 

正直に言おう。心地よかったのだ、楽しかったのだ。

これまでの生活が嘘のように、くぐもっていた世界が鮮明に見えたのだ。

それを手放すことが、こんなにも虚しいとは考えもしなかったのだ。

だが、潔く諦めよう、私達は元いた場所へ戻るだけなのだから。

 

「マダムへ報告に向かうので、一旦帰還します。」

「そうか、ではまたな。」

 

───さようなら、オーナー。

全て虚しいものだとしても、せめて成果を認められるように戦果を捧げます。

 

 

 

そしてアリウス自治区に帰ってきたのだが。

実験の成果を見る為に、模擬戦を行うことになった。

 

相手はチームⅠ、スクワッドを除けば当時1番強い部隊だった。

いつかの敗北の記憶がチラつくが、気にする余裕はない。

せめて、成果を示すと決めたのだから。

 

取る作戦はシンプル。

 

メンバー2が前で撹乱してるうちに、

メンバー3とメンバー4による絨毯爆撃を放ち、

私が周りを見つつ火力を補う。

 

こんなものは、戦略なんてものはない。

ただの火力によるゴリ押しだ。

その模擬戦は、わずか数十秒で決着が付いた。

 

「勝てた……」

 

相手は死屍累々と言うべきか、煤だらけになってひとつも動かない。

死んではいないはず……。

着弾地点にいたはずのメンバー2は何故か無傷だ。

 

これが『神秘の強化』の成果……。

試合の直前に分かったが武器も大分性能が良くなっている?

そうだ、オーナーから手紙を預かっていたのだった。

勝てたという事実に戸惑ってしまった。

 

「マダム、少しよろしいですか?」

「何です一体。」

「これをオー……取引先から結果が出たら渡すようにと。」

「どれ……………ギリッ!!」

 

手紙を見た瞬間、マダムの機嫌が悪くなったのを見逃さなかった。

何を書いたんですか、オーナー?

 

だがこれで成果は示した、これで心置き無く元いた場所に戻れる。

ありがとうございました、オーナー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では各自、取引先の元へ戻りなさい。」

「…………、えっ?」

 

 

 

 

結局戻って来てしまった。

なんでも、これからも専属の実験体として世話になるらしい。

 

「覚悟したつもりが、笑ってしまうな。」

「リーダー………。」

 

Vanitas vanitatum.Et omnia vanitas.

 

そうだ、全ては虚しいもの。

努力は無意味、人生は虚無で、世界は理不尽だ。

 

だからこそ、生きる意味を見出すのだ。

 

例え全てが虚しくなっても、この献身が報われなくても良い、私は私の思うままに世界を生きてみせる。

 

「私はあの人を信じる、これでダメならそれで良い。」

「どうせ向こうに戻っても良くて捨て駒扱いだしな。」

「ご飯が美味しいので、ここが良いです……」

「辿る結末が同じなら、私は断然ここに居たいですね。」

 

虚しさはもう感じない。

私達はガスマスクを外しオーナーにこう話しかけた。

 

「ただいま、戻りました。」

 




Kyrie eleison.


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Vol.1 対策委員会編
ペトリ皿


先に間幕で兎とアリスちゃん視点を投稿しようとしましたが諦めました()
今回から原作突入です。(先生のチュートリアル後)


カイザーPMC理事の解雇RTAはーじまーるよ(棒読み)

 

はい、前回はベアおばに研究成果を見せたところまででした。

口上で申した解雇RTAは(嘘じゃ)ないです。

クリアタイムを縮めるために、カイザーPMC理事にはいち早く退場してもらった方が楽なので。

 

別に戦力を向けて、暗殺とかはしないです。

騒ぎが大きくなると先生に特定される(5敗)ので、あとその間にやる事もあるので。

ひとまず、カイザー関係は原作通り進ませれば問題ないです。

 

この後の動きについて主な目的ですが、

それはズバリ、アリスちゃんの魔改造タイムです。

長くても原作のVol.2に間に合うようにしたいので、『教育』しつつ武装開発も並列する必要があります。

 

これに加えて好感度の高い黒服なんかのイベント消化も入るので割と時間は限られます。

予定だと時間には余裕あったはずなんですけどねぇ。

走者の好感度管理はガバガバ。

 

だって仕方ないですやん、好感度状態しか見えないんだから(震え声)

運営は数値も可視化するようにしてクレメンス。

 

あっ、そうだ。(唐突)

どうやらキヴォトスに先生が着任したようです。

 

ホモ君の『解析』で得たこの情報は間違いないです。

このゲームランダム性が強いので『解析』は使い得です。

なんで『廃墟』探索で使わなかったのか?ですか。うっせえ!!(逆ギレ)

はい落ち着きました。もう失敗を学んだ走者に死角など特に無い。

 

すみません、話が脱線しました。

どうやら既に先生はワカモとの対面は済んでるようですね。

チュートリアルは済んでると。

 

では恒例の原作未視聴兄貴達の為に〜。

 

先生──アプリ版の主人公が所属する連邦捜査部S.C.H.A.L.Eですが、

あらゆる学園の物事に首を突っ込める超法的組織となっています。

 

これがどれだけヤバいかって?

リアルの各国の国会に毎回参加するのと同じ位ヤバいです(誇張なし)

キヴォトスの学園自治区は実質的に国の様なものなので。

先生が要請を受けて、あちこちを駆け回ってるのは依頼先範囲がキヴォトス全域に渡るから。

先生が過労で死んじゃう……(3敗)

 

そんな彼(彼女)の所属するシャーレオフィスはサンクトゥムタワーから30km程離れた場所にあります。

因みにサンクトゥムタワーは、天を貫く巨大な塔です。

連邦生徒会に許可が取れたら登れるとか、登れないとか言われてます。

 

中にはコンビニ、スポーツジム、図書館など色々な施設がありますが、私が先生で操作した時ほぼ使わなかったです。

アリウス自治区に負けずブラック過ぎるよ……。

これじゃ、褐色美少女の足も舐めたくなりますよ。

 

先生についてですが、身体能力に関してはリアルの人間並み。

もしくは運動不足のせいでやや下といったところ。

なので下手に前線に出るとホモ君同様、すぐに死にます。

ですが先生の最大の強みは、その戦術指揮の高さと、生徒に対して真摯であるが故の信頼度にあります。

 

彼(彼女)の戦術指揮の高さは作中随一であり、絶望的な戦力でも勝利を掴むことが可能になります。

実際ゲーム進行の安定度で言えば先生が1番です。

 

そして誰彼構わず絆す人たらしの才能。

先生と1度つながりを持ったネームド生徒は、今のところ全員好意的です。

ワカモ(厄災の狐)と友好な関係を築くレベルには仲間を作る力は突出しています。

 

ワンピ〇ス然り、この力はどの作品においても驚異になります。

それはもう、大人の力を使ってるはずのゲマトリアが可哀想になるレベルで。

 

現在先生と直接関わりを持つつもりは有りません。

直接関わるとしても道でバッタリ会うか、Vol.2までお預けです。

しかし、先生に関連することで1つやらなければいけない事があります。

 

それがカジノのオーナー変更です。

詳しくは省きますがカイザーローンのやらかしで、不正金の流れを疑われる事態になります。

 

その時、ホモ君がオーナーだと責任逃れが面倒な事になるので、さっさと尻尾切りの用意をするわけです。

もちろん標的はカイザーPMC理事。

安全圏に避難しつつ、邪魔なものは切り捨てる。

まさに一石二鳥の手です。

 

じゃけん、カイザーPMC理事に連絡付けましょうね〜。

(ノックして)もしも〜し?

 

『こちらカイザーPMCの理事です。貴方か……』

・何やら不機嫌そうだ。

 

あれま、ホモ君への好感度は高くないようです。

おかしいなぁ、共同ビジネスしてる仲なのに。

カイザー理事の好感度は要らないので構いませんがね?

 

・カジノについて相談がある。

『……分かった、話を聞こう。』

 

はい、ホモ君のお話中にカイザー理事へのスタンスについて解説しておきましょう。

 

今現在彼と共同で行っているカジノ。

この売上を今山分けしている状態ですが、アリウスの面々が強化されたのでここでの資金回収はもう行いません。

 

それより『廃墟』周回した方が儲かるようになっちゃったからね、仕方ないネ!!

『廃墟』は下に進むほど敵が強くなる代わりに報酬もウマ味になります。

アリウス生徒達に頑張って貰いましょう。

 

そういう訳でカジノからの資金回収は辞めますが、まだカイザーPMCからはむしり取ります。(暗黒微笑)

 

方法として、アリウスを傭兵として雇わせます。

と言ってもこのナリでは警戒されまくるわ、アリウスの者とバレたら面倒なので、ヘルメット団に変装してもらうことになりますがね。

 

傭兵に出すと、出先で資金と経験値を貯めてくれるのと、面倒なイベントもその間はスキップされるので良い事ずくめです。

契約としては必要な時に呼び出す感じで。

なので頼むよ〜、傭兵を雇ってクレメンス。

どうせそっちの私兵よりは強いんだからよォ(豹変)

 

「良いだろう、書類は通しておく。」

 

ヨシッ!!(現場猫)

これで最大の憂いごとは消えましたね。

後はアリウス生徒達に傭兵仕事の依頼をするだけです。

何故か異様にホモ君への好感度が高い気がするしいけるやろ(思考放棄)

 

「了解しました、オーナー。」

「オーナー、当機にも仕事が欲しいです。」

・AL-1Sに仕事だ、勉強しろ。

「不満、当機も4人と一緒の仕事を要求します。」

 

なんで君達まだホモ君のことオーナー呼びなの?

まぁ、本名もバレにくくなるのでこのままで構いませんが。

とにかくヨシッ!!

AL-1Sをあやしつつそろそろ魔改造タイムに──

 

・着信音が鳴った、どうやら私の携帯からだ。

 

ん?モモトークに一体誰が……

 

・黒服からの連絡だ。

 

ファッ!?もう連絡先交換してたんですね……

なんでしょうね、定例議会にはまだ早いのですが。

 

『お忙しい中に失礼、お時間が宜しければお茶でもいかがですか?』

 

ホモ君がデートに誘われた!?(驚愕)

やだよ(即答)と、いきたいところですが厳しいですねえ。

本当はアリスの魔改造に取り掛かるつもりでしたが、黒服の頼みは無下には出来ません。

大人の辛いところですね……

 

・分かった明日そちらに向かおう。

『はい、では場所は後ほど送信します。』

 

場所はアビドス某所のビルですね。

恐らくVol.1でホシノと密会していたあの。

 

懸念点があるとすれば、もうVol.1が始まってると

先生との遭遇する確率がある事ですが……

アビドスは広いし先生と出会うことはないでしょう(フラグ建設)

 

黒服に呼び出されたので、今回はここまで。

次回は黒服とのデート回ですね。

 

ご清聴ありがとうございました!!

 




多分この頃のカイザーPMC理事は、黒服とホモ君の板挟みで生きた心地がしてないと思う。


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対談


難産でした、後々大幅に変更するかも知れません。
基本Vol.1はRTAパートは流しで、先生視点をメインにする予定です。



黒服と絆を育むRTAはーじまーるよー。

前回はカイザー理事にカジノオーナーを押し付け、

黒服からデートに誘われたところまででした。

 

真面目な話をするとアビドス関係の相談でしょうが、(ホモ君は余り関わらないので意味は)ないです。

今先生と出会ったところで、目をつけられるだけなのでウマ味がないです。

とにかく茶々っと終わらせる為に本日の業務は終了します。

 

「提案、明日の会議は当機もついて行きます。」

 

何でぇ?

ゲマトリアの議会では無いので大丈夫……というか黒服に限って言えば問題ないです。

彼は恐らく『無名の司祭』について研究してるでしょうから。

『無名の王女』(職務放棄)について興味も有るでしょう。

 

・構わないが、何故だ?

「チームⅤに変わってオーナーの護衛です!!」

 

ははーん、なるほど。

そう言えば明日はアリウス生徒達が居ないんでした。

いえ、断じて忘れてたとかではなくてですね?(震え声)

 

先生がいきなり襲いかかってくる事も無いでしょうと。

『解析』もあるのでブラックマーケット付近を彷徨かなければ大丈夫なのですが、念の為連れていきますか。

 

アリスちゃんはまだ銃持ってないですけど、そこら辺のチンピラなら軽く蹴散らせますからね。怖ひ。

本当に、魔改造が楽しみだぜ(暗黒微笑)

 

そんな訳で断る理由もないので許可しましょう。

アリスちゃんの好感度管理も大事ですからね。

未だにホモ君の名前は呼ばれてないので、まだ低めだと思いますし。

 

「当機、準備完了。いつでも行けます。」

 

ほら行くどー。(倍速)

移動中に恒例の解説タイムです。

今回はアビドス高等学校について。

 

アビドス高等学校は昔名を馳せたマンモス校です。

現在とある理由で借金を抱え、生徒も居なくなってしまったので在校生は5人しか居ませんが、その5人がまぁ強い。

 

その組織名はアビドス廃校対策委員会。

3年生のリーダーに小鳥遊 ホシノ。

そして2年生の砂狼 シロコに十六夜ノノミと、1年生の黒見 セリカに奥空アヤネ。

 

この子達がシャーレ、つまり先生に助けを求めた事で物語が始まります。

そして先生は出動する事になったのですが……このアビドス自治区、ものすごく広い。

例えで言えばゼ〇ダの伝説ヴレワイの半分のMAP分あります。

運営はそんな所まで真似しなくて良いから(良心)

 

ひどい時は砂嵐で視界が悪くなり、更に遭難率が上昇します。

お前(砂嵐)さぁ………(呆れ)

 

ウッキウキで原作進めようとして、秒で迷子になり死んだ先生達は多いのでは(13敗)

対策委員に会うか、しっかりMAP覚えないと本当に詰みます。

 

走者は当然MAPを覚えてますし、ホモ君には『解析』があるので遭難することはないです(慢心)

 

何かの乱数でマップが変化していないのかって?

君達のようなカンのいいガキは嫌いだよ(憤怒)

極低確率ですが超常的な砂嵐発生後はMAPが変化します。

 

それに関してはご安心を。しっかり万が一に備えて手は考えています。

目的地へ向かって一直線にアリスちゃんが道を切り開けば問題ありません(物理)

 

目立つという点を除けばですが。

人が居ないからって騒ぎすぎると対策委員会にボコられます。(2敗)

5人に勝てるわけねぇだろ!!いい加減にしろ!!

 

実際この5人はキヴォトス内でも上位の強さです。

何せタンクとヒーラーが居て、場持ちが良い上にあのホシノがいます。

あの預言者の超高火力レーザー食らってもピンピンしてます。

あ、預言者についてはまた今度で。

 

というところで着きました。

こんなの迷う奴居る?居ねぇよなぁ!!(煽りカス)

黒服の居るオフィスですが……おっ、開いてんじゃ〜ん!!

 

ノックして、もしも〜し?

 

・中に入ると黒服が待っていた。

「お待ちしておりました。……彼女はまさか。」

 

おや、見ただけで分かるなんて。

やっぱ黒服は有能やなって。

ただホモ君は『無名』関係の事はよく知らないので理解不能ですが。

分かっててもアリスちゃんが戦闘用アンドロイドだとかそのレベルですし、おすし。

 

・彼女は私の護衛だ。ここらは人が少ないとは言え、一応な?

「……なるほど、ティーカップは予備があるのでそれを。」

 

流石出来る大人。見事に一旦スルーしましたね。

気づいたということは、何かしらアクションを取ってくるでしょう。

 

・カップの中は紅茶だろうか。ほのかにハーブの匂いがする。

「良い茶葉でしょう、トリニティの有名店から取り寄せたものです。」

「……困惑、オーナー達は何故このような苦い物を?」

 

アリスちゃんの口に紅茶は合わなかった模様。

というかホモ君骨のくせにどうやって飲み食いしてるんですかね?

 

・大人に成れば分かる。

「砂糖も用意してます、お好みでどうぞ。」

「了解、調整に移行します。」ボトボトボトッ

・………。

「マダムから聞きましたよ、『神秘の強化』について。」

 

華麗にスルーしつつ、まずはそこからですか。

ベアおばは口が軽すぎるよ……。

 

・隠していた訳では無い、成果が出たのが最近だからな。

「いえいえ、そのような事は一切。新人だと言うのに結果をもう出したのが喜ばしいと思った迄ですよ。」

・……どこまで知ってる?

「『神名のカケラ』ですか、よくそのような物が作れましたね?」

・作成方法は企業秘密だぞ。

「………?」ゴクゴク

 

わぁ、空気が張り詰めてるー。

急に仕事モードになるから、アリスちゃんがキョトンとしちゃったジャマイカ。

いいぞ、もっとやれ!!(外道)

 

・アレは『崇高』へと到る過程の副産物に近い半端な物だ。

「謙遜なさらずに、素晴らしい成果ですよアレは。少なくとも私にとっては彼女に固執する理由が無くなるので。」

・彼女?

「えぇ、このキヴォトスで最大の神秘を内包する生徒です。今は彼女を此方へ引き込むのに動いている最中ですよ。」

 

どう考えてもホシノですね、ありがとうございます。

ちょこっとだけ解説すると、黒服は生きた生徒の『神秘』を『恐怖』へ反転させたらどうなるのかを、実験しようとしています。

 

『神秘』とか『恐怖』とかなんやねん!!となってると思いますが、今回は省きます。尺が足りねぇ!!

いつか解説するから許してクレメンス。

 

結論だけ言うと、最悪生徒は死ぬのでとても先生からのヘイトを稼ぐ事が出来ます。やったねくそボケ(情緒不安定)

 

これされちゃうとホモ君何もしてないのに好感度マイナスからになっちゃう()

でも他の方法を取るならマシになるのかな?

 

「ですが『神秘の強化』があれば、他の生徒でも保険が効きます。」

 

悲報、余り被害は変わらなかったもよう。

 

「そこで相談なのですがその『神名のカケラ』を少々分けて貰えませんか?」

・見返りは?

「私は護衛の彼女の正体を知っています。どうです?」

 

うーん、正直ここはどっちでも良いんですよねー。

アリスちゃんを『解析』して自力で調べても良いのですが……ここは安定択を取って教えてもらいましょう。

 

そのあとの話は大したことないのでスキップ(無慈悲)

だってホモ君と黒服が雑談してるだけなんですもん。

何 で 等 速 に 戻 す 必 要 が あ る ん で す か ?

 

「そう言えば、シャーレの先生。彼もこの地へ来ているようです。」

 

ほえー、もうアビドスと接触してたんですね。

アリウス生徒達が交戦するかもしれないので、先生を監視して貰いましょうか。

 

「映像越しですが、素晴らしい戦闘指揮でしたよ。」

 

話を聞く限り、既にカタカタヘルメット団との戦闘は終わってる見たいですね。

こォれは、Vol.2まで余り余裕なさそうです。

こっちが聞きたいことは聞いたので帰らせてもらいましょう。

 

・ご馳走様、世話になったな。

「ククッ……ではまた次回もよろしくお願いします。」

・帰るぞAL-1S。

「了解。」

 

はい、デート終了。

成果としてはホモ君がアリスちゃんに対して理解が深まった事、先生についての軽い状況くらいですね。

 

今回はここまで。

次回はやっとアリスちゃんの魔改造パートに入ります。

 

ご清聴ありがとうございました!!

 




簡単内容
アリスちゃん「護衛任務です!!」
黒服「アリスちゃんについて情報出すから、『神名のカケラ』頂戴?」
ホモ「いいよ。」


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POWER IS POWER


パワーは偉大



アリスちゃんを(戦力的な意味で)ホモ君好みに魔改造するRTAはーじまーるよー。

 

前回は黒服とのデート(という名の取引)を終えたところでした。

今回こそアリスちゃんを魔改造していきます(鋼の意思)

 

まずやる事はステータスの確認です。

短い期間ですが何か有能な汎用スキルを覚えてる可能性があります。

 

名前:AL-1S

使用武器:HG

スキル:『自己修復』、『怪力』、『韋駄天』

 

お、新しいスキルです。いいゾ〜コレ。

おさらいも兼ねてスキルを解説しましょう。

 

まず『自己修復』のスキル。

以前ツルギのスキル『超再生』に似ていると言ったと思いますが、めちゃ強いです。

効果として自身の体力を常にリジェネ回復します。

戦闘中は常にかけられている状態なので、バフ解除でも解けないところも魅力です。

 

因みにツルギの『超再生』は回復量こそ多いものの、相手を倒した時に発動するので使用難易度は高いです。

彼女の真骨頂は火力なので余り関係はありませんが。

タンクキャラがこれ持ってると中々死にません。

カスが、効かねぇんだよ(無敵)状態です。

 

続いて『怪力』のスキル。

これは単純な火力上昇だけでなく、CC抵抗力も上昇します。

これだけ聞くと強いか?となりますが強いです(断言)

その上昇率はなんと脅威の2倍。頭おかしいよ………

ミカはこれに加えてもう1つチートスキル持ってるのでティーパーティーのエースとしてナオキです……

 

スキルには相手のバフを解除したりと、色々対策はありますが対策してないと詰みます。

試走でなんの対策もなしにSRT特殊学園とVol.4でドンパチした時は、

余りの鬼畜さにシャットダウンしました(2敗)

 

話を戻します。

最後に新しく習得していた『韋駄天』のスキル。

これは移動速度と攻撃速度が上昇します。

これは前2つほどぶっ壊れではありませんが、シンプル故に強い。

どこから生えてきたんですかね、このスキル。

ま、ええか(適当)

 

以上3つのスキルですが、魔改造しなくても部活エースレベルの強さはありますねぇ!!

流石元ラスボス候補、隙なくつおい()

 

スキル方面は何も言うことないので、後は武器の改造です。

ゲーム開発部に所属しなかったので、アリスちゃんの使用武器は拳銃になります。

攻撃力、弾数が少ないですが装填速度が早く、連射性に富んでいます。

 

そもそもチームⅤは、範囲攻撃やアイテム使用による奇襲こそ得意分野です。

迫撃砲とグレネードランチャーで雑魚は終盤でも安定して倒せるでしょう。

ネームド相手に真正面も出来なくないですが、学園エースに突っ込まれると死にます。(ツルギとか、ヒナとか、ミカとか、サオリとかetc)

先生敵対チャートだったら今頃走者は血を吐いて倒れてるでしょうね(無敗)

 

そこで学園エースを倒す、もしくは足止め出来るレベルの対抗エースをこちらも用意する必要がある訳です。

足止めしてる内に有象無象を倒して、集中砲火!!

中々エグいやり方ですがこれが1番簡単です。

5人に勝てるわけ無いだろ!!……流石に勝てないよね?

 

拳銃は決してエース適正のある銃ではありませんが、ホモ君はゲマトリア。

何とかして拳銃を改造しましょう。

幸い拾ったオーパーツは有り余ってるので。

 

・AL-1Sの拳銃を改造したい。

「当機の銃をですか?了承、よろしくお願いします。」

 

とりあえず二丁拳銃は確定。

時間辺りの火力が増えるので必須です。

ネームドに二丁持ちが少ない理由は恐らく、資金と時間の問題でしょうね。

改造で弄れるパラメータについてですが、以下の通りです。

 

・弾数:4

・射程:4

・威力:5

・命中率:5

・連射性:10

・会心値:5

 

ざっとこれ程弄ることが可能です。

右の数字は1~10までの数字で表した拳銃(普通)のパラメータです。

 

これをオーパーツとクレジットを使用して、

本来なら結構時間が掛かりますが……キング・クリムゾンッ!!(スキップ)

 

・弾数:2

・射程:2

・威力:8

・命中率:5

・連射性:10

・会心値:6

 

はい、完全に何処かの遅効性SF作品に出てくるインテリヤンキーです。

仕方ないだろこれしか火力上げる方法がねぇんだから!!(逆ギレ)

 

要は弾数と射程を切り詰めた分を、火力に全ブッパです。

ここまでして火力はARより高くSRよりやや低い位です。

コレをアリスちゃんに装備させましょう。

 

・完成したぞ、名前は好きに付けてくれ。

「機能向上、不思議としっくりきます。オーナー、ありがとうございます。」

 

アリスちゃんの目指す姿はズバリ、C&Cのネルです。

彼女のように速さで圧倒するエースになってもらいましょう。

何気にチームⅤとも相性良さげなのも、なお良しです。

 

「オーナー、チームⅤただ今帰還しました。」

「あれ、AL-1Sちゃんその銃は?」

 

どうやらチームⅤが帰ってきたようです。

という事はもうVol.1は終わったのかな?

 

何気に銃の改造で3日経ってるんですよねぇ(遠い目)

チームⅤにシャーレ関係の依頼したり、アリスちゃんを『教育』したり位しかできなかったんですけどそれは……

 

「回答、オーナーが手を施した改造拳銃です。」

「へぇー、何だかゴツイ見た目だね。よく見せてくれる?」

「依頼を承諾、当機の銃を自慢します。」

 

どうやら相当気に入ってくれたようです。

それでシャーレ関係の依頼はどうなりました?

 

・依頼していた例の件はどうなった?

「遂行完了しました、後程報告します。」

 

では今回はここまで。

次回は引き続き資金回収と戦力を──

 

「お邪魔しまーす!!早速で悪いですけど、匿ってくれませんか?」

・……どうやら面倒事のようだ。

 

ファッ!?

 




RTAで全く触れられない対策委員会編ですが、ちゃんと間幕で出します。(6~7話)


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幕間の物語2
傭兵



変化した部分だけを書いていきます。



アビドスの自治区内……否、現在カイザーPMCの領地と化したアビドス砂漠。

広大なその土地のある一点にカイザーPMCの前哨基地があり、その中でも1番大きな建物の中に大がらな男が窓から地上を眺めていた。

 

大がらな男はこのカイザーPMCの理事である。

砂漠の中にあるオーパーツ、つまりお宝を探す為に『軍隊』と呼ぶにふさわしい人員と兵士を使い調査している。

 

「……格下のチンピラごときでは、あの程度が限界か。主力戦車まで送り出したと言うのにこのザマだ。」

 

そんな彼は非常に貪欲であり、エゴイストであった。

本来計画に必要ない土地まで奪う為に、策謀をはりめぐらせたのだ。

だからこそカイザー系列の名だたる会社の内の理事に成れたのだろうが。

 

チンピラでは無理となると、それなりの組織に依頼する必要がある。

次の手を打つとするか。

そう考えていた矢先、ドアからノック音が鳴った。

 

「……入れ。」

 

そう言えば今日は奴から雇った傭兵が来る予定だった。

思い出すと頭痛のする出来事を可能な限り思考の隅に追いやり、入室を許可する。

 

ゲマトリア。

自分たち(カイザーコーポレーション)より遥かに深い、裏の世界で活動している恐ろしい組織の存在。

 

元々契約を結んでいた黒服だけならいざ知らず、最近もう1人増えてしまった。

黒服も恐ろしいが奴も恐ろしい。

まるで命を握られるように、主導権を取られたのはハッキリ言って屈辱だった。

 

ドアから4人の人影が入室してきた、一体どんな奴を傭兵に出してきたのか────

 

「私達は(確か名前は)カラカラヘルメット団だ。ここで少しの間世話になる。」

 

入ってきたのは青ヘルメットを被った色物集団だった。

……ヘイローがある事で生徒なのは確かだ。

 

「どんな化け物が来るのかと思っていたが、普通の学生。それもヘルメット団か。」

 

安堵そして落胆。

得体の知れない化け物を押し付けられることを危惧していたが、まさかただのチンピラ達だとは。

 

アビドス砂漠の視察という理由で傭兵を雇ってくれと頼まれたが、本当は受けたくなかった。

それでも受けてしまったのは義理と、不正金の情報をバラされるのを嫌ったからだ。

 

「何か不満が?」

「いや。……今こちらの事情でアビドス高等学校を追い詰めていてな。」

「何人だ?その学園生の人数は。」

 

追い詰めるもなにも、実質的に昔から詰みの状態だが。

彼女達に諦める選択肢がない以上、対局を続けるしかない。

 

「5人……いや、最近になって6人に増えた。」

「それは学園の生徒と言っていいのか?殆ど廃校なのでは。」

 

普通そうだよな。

と心の中で相槌を打ちつつ、理事は思った。

案外話せる相手だな、普通の生徒を相手してるみたいだ。

 

「見ての通りこの地は砂嵐の影響が強くてな、

生徒達に多額の借金を背負わせ後は時間の問題だったんだが……

シャーレの先生が出てきた事で少し事情が変わった。」

「シャーレだとッ!?」

「ふむ、知っていたか。」

 

超法規的機関(シャーレ)と揉めて、面倒事にしたくない。

だが、どうせなら学校の敷地まで吸収合併したい。

そして奴に借りを作りたくない。

この時既に、理事は傭兵を戦闘に出さない事を決めていた。

 

「そういう訳だ、いざこざに巻き込まれたくなければ大人しくすることを推奨する。」

「……分かった、其方の指示に従おう。失礼する。」

「理解が早くて助かる。」

 

パタリと静かにドアが閉まる。

理事だけの部屋に戻り辺りの静寂が際立つ。

 

元々期待(良くも悪くも)はしていなかったので彼女たちについては問題ない。

好きに探らせてやろう。どうせオーパーツは自身の物になるのだから。

 

しかし、アビドス高等学校に私兵をけしかける訳にはいかない。

あそこはまだアビドス自治区だ。勝手に手を出せば此方がルール違反になる。

この状況でコネの中で誰が適切なのか、理事は次なる一手を模索し始めた。

 

──────────────────────────

 

コツコツと4人分の足音が響き渡る廊下。

カラカラヘルメット団、またの名をチームⅤはこれからの動きについて話していた。

 

「良いんですか、リーダー?戦闘に参加出来なくて。」

「目的は情報収集だ。『シャーレ』と『デカグラマトン』、この2つの情報さえ手に入れば良い。」

「先生の戦闘データはドローンでも取得できますもんね……」

 

それがオーナーの、彼直々の依頼だ。失敗は許されない。

『シャーレ』に関しては運が良い。

最悪シャーレのオフィスに張り込みすることも考えたが、一度に目的を達成出来る道が見えてきた。

『デカグラマトン』の預言者も、この付近に居ることは分かっている。

 

「戦闘しないなら楽でいいじゃん。」

「口を慎めメンバー1……この近くに土産屋なんてないぞ。」

「マジですか。」

 

カイザー理事の言った通りここは辺り一面が砂に覆われている。

住人は消え、返せど減らない借金生活はとても虚しいだろう。

それでも彼女達(アビドス)が復興作業を諦めず、先生という未知の存在を加味しても今までそれを続けてきたことに対して、

少なくとも彼女達(アビドス)に僅かな賞賛を送っていた。

それはそれとして、敵対した時は手加減しないが。

 

「事前情報によれば、この辺りは稀に『デカグラマトン』の預言者が出現するそうです。」

「な、ならやること自体は有るんですね……?」

「ちぇー。ま、サボるつもりはないけどさ。」

「───では作戦を始める。」

 

全員コンディションは良好だ。

彼の為に働くこと、それが今の彼女達の生きる意味なのだから。

 

──────────────────────────

 

所変わってアビドス校舎内。

そこでは誘拐されたセリカを取り戻し作戦会議を執り行っていた。

 

1年生の進行係であるアヤネの発言から始まった。

 

「皆さんお疲れ様です。セリカちゃん、ケガはない?」

「うん、大丈夫よ。もう完全に回復したんだから。」

 

覇気はあるものの、その足取りはおぼつかない。

危険だと判断した先生はシロコにアイコンタクトを取った。

 

「ん、セリカは私が保健室に連れていく。」

「ちょっ、私は大丈夫だってば!!」

 

俗に言う米俵担ぎでセリカを強引に運ぶシロコ。

口では強がっているが、セリカは相当消耗しているようだ。

 

「先生がもうシロコちゃんと目で話せる位仲良くなって、おじさんは感激だよ〜。」

「ん、当たり前。」

「早く行ってあげてください……」

 

ギャーギャーと賑やかな声が遠ざかっていく。

少し微笑ましいと思いつつ議題を進めるよう促した。

 

「はい、その前に有難う御座いました先生。」

「うんうん。先生のおかげでセリカちゃんを追跡することが出来ました。やっぱり凄いです☆」

「……それと、皆さんコレを見てください。」

 

セリカを拉致したヘルメット団が使用していた戦車の仕様書だ。

部品名の殆どにマーカーが引いてあるが……

 

「あの戦車の部品を確認したところ、キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種だと言うことが判明しました。」

「ヘルメット団が持つにはあまりにも強力な兵器ですね。」

「はい、なのでこの部品の流通ルートを分析していきましょう。」

「よし、じゃあじっくり調べて見よっかー。」

 

後日彼女達は原作と同じように闇銀行を襲うことになる。

しかし無事に得た資金調達の資料には明確な証拠は残っていなかった。

 

それもそのハズ、真っ黒な資金は洗濯機により洗浄されているのだから。

彼女達が手がかりを掴むのはもう少し先の話である。

 




今話の原作変更点
・カイザーPMCが資金洗浄に手を出したせいで資金の足取りが掴めない。
・カイザーPMC陣営にカラカラヘルメット団(チームⅤ)が加入。


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カイザーカジノ


ゲマトリアに散々良いように利用されたのに、自分の計画は破綻するカイザー理事可哀想。
僕はそう思いませんけど。(下劣)
主に先生視点でお送りします。



私がシャーレの先生としてこのアビドス高等学校へ来て早3日。

深い理由があって銀行を襲った私達はその日の内に戦利品の集金記録を確認してたのだが……

 

・成果はどう?

「それが、今のところどれも怪しいものは……」

 

ここへ来た初日に戦闘したカラカラヘルメット団なる不良集団にとっては、明らかに過剰戦力のFlak41。

その購入経路を調べていたのだが、まるで誰かが揉み消したかのように特定出来なかった。

 

探索の成果が出ないまま、休憩をと近くでたい焼きを購入していたところに、

カイザーローンの現金輸送車が闇銀行に停車しているのを見つけたのだ。

遠くてやり取りしか見えなかったがどうやら資金を持ってでるらしい。

大勢の護衛を引き連れているという事はとてつもない額だろう。

 

明らかに怪しい、きな臭すぎる。

 

そんなこんなで賭けに出て銀行を襲った訳だが、資料にはヘルメット団のへの字もない。

私の勘が間違っていたのだろうか……。

資料と睨めっこして数分後、1つ明らかに普通とは違う企業を名前欄でみつけた。

 

・アヤネ、このカイザーカジノって?

「あ、それは少し前にできたカイザーコーポレーションが携わってる賭博会社ですね。」

「カイザー、カイザーってどんだけ自己主張が激しいのよコイツら!!」

「……何でカジノからの集金記録が?」

「ホントだ、しかも結構な金額だねー。」

 

記録に残っている総額クレジットは、億を余裕で超えていた。

お金をカイザーローンから借りているという事は無いらしい。

話を聞く限りだと企業でも上位の儲かり具合のようだ。

 

「まさか私達のお金で豪遊してたとか!?」

「……流石に大企業ですし無いと思いますが。」

「うーん……どうしましょう先生?」

・何にしても、手掛かりがこれしか無さそうだし調べるしかないね。

 

せっかく此方を襲ってきてる黒幕の姿が見えそうなのだ。

例え微かな希望だとしても、諦める訳にはいかない。

 

「決まったみたいだねー、それじゃ皆で大人の世界へと行こうかな?」

・ホシノ達は留守番だよ、君たちの教育に悪い。

「えぇー、そんなー。」

 

そんな事を言っている場合では無いのだろうが、教師としてそこは見過ごせない。

ホシノがガッカリしてるけど、もしかして遊ぶつもりだった?

 

「ですが先生。カイザーカジノのアビドス店はブラックマーケットの近くということもあり、相当治安が悪いです。護衛に何人か連れていかないと……」

・そうだね……じゃあ店の前までの護衛をお願いしようかな?

「ん、任せて。」

「らじゃ〜です☆」

 

そしてアビドスでも珍しい、ピカピカと光る豪華な建物カイザーカジノへと私は足を踏み入れた。

入店直後に身体検査を行われた。

身分証明を要求されると詰みだったが、行われずに済んだ。

 

そして肝心のカジノだが特に変わった事は行われていない。

外の世界に有ったカジノと相違ない。

チラッと賭け事の見学をしたがイカサマも無いまともなところだ。

これはとうとう手が尽きたか?

 

『先生!!今シロコちゃん達から連絡があってヘルメット団が駐車場に!!』

 

……どうやらアタリのようだ、そして確信は確定となる。

カラクリはこうだ。

 

カイザーローンが輸送したお金をカイザーカジノの窓口でチップに変え、

そのチップを受け取らずにヘルメット団は帰っていく。

少しするとカイザーローンの現金輸送車が来て、

ヘルメット団のチップを換金し大量の札束をしまい出ていった。

 

一旦学園に戻り全員にその事を話した。

全員が怒りの表情を浮かべている。

 

「そんな……カジノの換金で集金記録に乗らなくなるなんて。」

・直接のやりとりじゃなくて、カジノで勝ったお金になるからね。

 

このやり方なら外の監視の目は誤魔化せるだろう。

ただカイザーローンと分かる現金輸送車で行っているのは少し抜けているが。

 

・カジノの件と言い、相手は相当用心深い相手だ。気を引き締めて頑張ろう。

 

──────────────────────────

 

その後、柴関ラーメンが爆発したり、ゲヘナと戦うことになったり、相手がカイザーPMCだと判明したり、ホシノが退部届を提出したりして今の状態に至る。

 

現在硝煙の舞う中、便利屋がカイザーPMCを一方的に攻撃する蹂躙劇が行われていた。

どうやら今回も味方してくれるようだ。

 

「ぐあああぁぁっ!?貴様ら、飼い犬の分際で良くも……っ!!」

「うるさいわね、そんなの知ったこっちゃないわよ!アンタとなんかより先生の方が、一緒に仕事がしやすかった、それだけの話!!」

「あはっ、雇い主を裏切る事くらい悪党として当然でしょ!!そんな事も予想できなかったの?」

 

生徒会副部長であるホシノが学校を去り、カイザーPMCが強制的な学園の吸収合併を行う為に軍隊とも言える兵士たちを動かした。

 

借金を返したとしても学校が戻らないという事実に、生徒達は戦う気力を無くしそうになったが、便利屋の檄で気力が蘇ったようだ。

いざとなれば『大人のカード』を使うつもりだったが何とかなりそうだ。

 

『便利屋の皆さん……』

「そうだね、悪党としては正解。」

「……お陰で目が覚めました。私達に今、迷っている時間はありません。」

「そうだよ!!何よりもまず、ホシノ先輩を取り戻さないと!!」

「くっ、この期に及んで無意味な抵抗を……よくも……!!」

 

無意味なものなどあるものか。

全力で駆け抜けていけばその後に意味は必ず残る。そして───

 

・……良くも私の大事な生徒を。ホシノのこと、返してもらうよ。

「ふ、ふざけるな先生。貴様にそんな権限が……」

・全員、戦闘開始ッ!!

 

そこからは一方的だった。

既に敗色ムードなあちらと違い、闘志の戻ったウチの生徒は兵士たちを倒していく。

僅かな兵士だけが残ったカイザー理事は此方を一瞥した。

あれはまだ学校の吸収合併を諦めていないのか?

 

「くっ……まだだ、戦闘を続行する!!」

「しぶといわね、ホシノ先輩の居場所を吐いたらどう!!?」

「黙れっ!!」

 

ヤケになったのか……。

その目の雰囲気からは焦りと恐怖が見え隠れしている。

恐怖?カイザーPMCの理事が?

何にせよ、ここで完全にカイザーPMCは撃退する!!

 

・皆、もう一息だ!!

「ん、早く退けてホシノ先輩を助ける。」

「くふふっ、眼鏡ちゃんを泣かせた事、少しは反省してもらわないとね?」

「と、とにかく撃ちます……っ!!」

 

再び戦闘を開始するが、もはや時間の問題だろう。

少なくともカイザー理事からホシノの居場所のヒントは得たい。

 

そこで気がついた。

この中でも後ろの広く戦場を伺える場所にいた為だろう。

銃声も大きくなく比較的この場では静かな環境。

 

音が聞こえる。

このキヴォトスに来てから聞き馴染みのない風切り音だ。

後ろから来る───?

 

・総員、回避!!

「えっ」

 

勘も良いところだがその判断に間違いは無かった。

天から落ちたものは、地面に触れると同時に爆煙を撒き散らす。

 

───彼女達の中心へ榴弾が降り注いだ。

 

離れていても顔を顰める程の爆風に衝撃。

生徒達は無事か!!?

 

「何だこれは!?うぐっ……」

「こちらリーダー、目標を回収。直ちに撤退する。」

「皆さん、無事ですか〜?」

「ケホッ、何なのよもーッ!?」

「先生が合図してくれるまで全く気づかなかった。」

「そうだ、先生は!?」

 

どうやら全員ピンピンしている。

合図したとは言え、全員無傷に近かった。

 

・私は大丈夫!!

『良かった……威力こそ低めでしたが先生に直撃してたらと思うと……』

 

あれで威力が低めなのか……

キヴォトスの人間はやはり丈夫だ。

 

「いや、向こうにそんな気は無かったと思う。明らかに先生を爆撃範囲から遠ざけて撃ってきた。」

「カヨコちゃんさっすがー、私も同意見かな?あくまでもカイザー理事を回収する為の撹乱みたいな。」

『引き際が鮮やかですね、恐らく追跡は不可能かと。』

 

そう言えばカイザー理事を担ぐ人影が見えた気がする。

もう彼らの影すら見えなくなってる。

 

「先生に手を出す事は、実質的に連邦生徒会にケンカ売るようなものだもの。

安易に手は出せないでしょう。」

「さすがですアル様!!」

「フフン!!」

 

ただ一定の存在から買うヘイトは相当なものだろう。

シャーレという看板が万能では無いことは()()1()()()()()()()()

それはそれとしてカイザーPMCという脅威は退けた。

 

・追撃に警戒して一旦戻ろう。

『はい、帰ったら早速ホシノ先輩の居場所を探さないと……』

 

途中で便利屋と別れ、私は私のやるべき事を全うしよう。

 

先程の榴弾が、印象に残っていたのだろう。

私達は最後までビルの影から此方を覗く監視の目(ドローン)に気づく事はなかった。

 

「………。」ジィー

 

──────────────────────────

 

傷の痛みに呻きを上げる理事を担ぐヘルメット団のリーダー。

その足の速さは並の乗用車並に出ている。

キヴォトス内でも大男を抱えてここまで動ける者は稀だ。

 

「ぐぅ……何故貴様達があそこに……」

「『雇い主を守りきれませんでした』なんて経歴に傷がつくと仕事がしにくくなるので。」

 

それは本当のことだ。

これからも外部に傭兵と繰り出される時、失敗が原因で存在を偽って活動を続けるのはデメリットしかない。

無論、それだけが理由ではない。

 

「(貴方のお陰で先生(シャーレ)の戦闘データもかなり手に入りましたからね。)」

 

最悪自分たちが小手調べをする予定だったが、彼らの犠牲で十分なデータを得ることができた。

オーナーが警戒するわけだ、特にあの戦術指揮は見事なものだ。

カイザー理事の回収のために、メンバー3の放った榴弾にも一早く気がついていた。

 

「(それに『デカグラマトン』の預言者のデータもまだですから、貴方達(カイザーPMC)にすぐ潰れられると困るんですよ。)」

 

稀に現れるという『デカグラマトン』の預言者。

その姿形はデータがあるものの、その戦闘力は未だ未知数。

精々判明しているのは、特殊な装甲で半端な兵器では傷すらつかない事。

故に傭兵という大義名分を生かすために彼ら(カイザーPMC)にはもう少し長生きしてもらう必要がある。

 

「(少なからず応援していますよ、アビドスの生徒達。虚しくとも突き進む貴方達に幸福を。)」

 

奇しくも彼女達(チームⅤ)はアビドスと協力する事になるがそれは少し先の話。

 




変更点
・資金洗浄の証拠取りでカジノに潜入する先生。

・冷静さを失ったカイザー理事をカラカラヘルメット団(チームⅤ)が救出。

・先生の戦闘データ、ゲットだぜ!!


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カラカラヘルメット団


遅くなりました。
色々と吹っ切れて爽やかになったカイザー理事。
三人称視点でお送りします。



とある手段を使いゲマトリアの黒服と接触し、ホシノの居場所を聞き出す事に成功した先生は対策委員会とホシノ救出作戦を決行した。

数百の兵士達が所属するカイザーPMCに対応するべく、取れるだけの手を尽くした。

 

ゲヘナにはイオリに誠意あるお願いをする(足をペロペロする)事で協力を許可してもらったり、

ヒフミ(ファウスト)が取り入ってくれたお陰でトリニティには牽引式榴弾砲(L118)の屋外授業という体で火力支援してもらったり。

彼女達の支援もあり特に苦労することなく目的地付近にたどり着いた。

 

場所はカイザーPMCの第51地区の中央、アビドス砂漠にあるカイザーPMCの前哨基地。

このどこかにホシノが居るはずだと───

 

「目標の座標地点に到着!!この辺りに、ホシノ先輩が閉じ込められている筈です。」

「この痕跡……多分学校、だよね?」

「砂漠の真ん中に学校、もしかして……」

 

アビドスの面々の言った通りだ。

所々、砂に埋もれては居るが、校舎と思わしき部分が地面から顔を出している。

一体『宝物』とはなんなのだろうか……

そんな事を考えていると何人かの足音に気がついた。

あれは────

 

「あぁ、ここは本来のアビドス高等学校の本館だ。」

「あんたは……!!」

「よくぞここまで来たな、アビドス対策委員会。」

 

カイザー理事にヘルメット団。人数は『3人』。

それ以外には、カイザーPMCの兵士達も見当たらない。

 

『敵の兵力は……3人ッ!?』

「他の兵力はゲヘナ学園に回してある、貴様達の相手は彼女達で十分だ。」

・軍隊の中の精鋭がその子達ということか。

「厳密に言えば少し違うがな。」

 

違う……という事は便利屋のように雇ったのだろうか?

いつでも戦闘に入れるように、ポジションに陣取る。

するとカイザー理事が語り始めた。

 

「かつてキヴォトスで1番大きく、そして強大だった学校の残骸がこの砂の下に埋もれている。ゲマトリアはここに実験室を建てる事を要求した。」

「そんなことよりも、ホシノ先輩は何処ですか!!」

 

意外にも理事はある建物へと指し示した。

 

「あの副生徒会長ならこの奥の建物に居る。もしかすると実験がもう始まっているかもしれないが……」

「……ッ!!」

 

何の実験か、詳しいことは分からないが碌でもない事は確か。

一刻も早くホシノを救出する必要が出てきた。

 

「彼女の元に行きたいのなら、私達のことを振り切って行けばいい。」

「いいわ!!たった3人のヘルメット団程度なんて、蹴散らしてやるわよ!!」

 

油断する訳では無いが、彼女達は並の生徒より戦闘能力が高い。

それに、ホシノの近くまで来て今更諦める訳にはいかない。

そう己を鼓舞し臨戦態勢は整った。

 

「……君たちにそれが出来るなら、の話だが。」

「カラカラヘルメット団、戦闘開始。」

「と、突撃します……」

言うがはやいか、先に動き出したのは向こう。

懐から何かを取り出し地面へと叩きつけた。

 

次の瞬間、ショットガンを携えた青ヘルメットの姿が煙幕の中へ消えた。

否、物凄い高速でアビドスの方へ接近してくる。

ここまで早いのはシロコ位か。

 

「ノノミッ!!」

「はい、全弾発射ーっ!!」スドドドドドッ

「私達も撃つわよ!!」ダダダッ

「了解!!」タタタタタタッ

 

先生の指示で、ノノミが近づかれまいと突っ込んでくるヘルメット団の1人に弾幕をばら撒く。

おまけと言わんばかりにシロコ達も火力支援を続行。

 

しかし弾は当たらずドンドン此方との距離が狭まっていく。

全く減速せず僅かな身のこなしだけで、この弾幕の嵐を避けていた。

 

「前衛を担うタンク役がいないから、近づかれると終わり……ですよね?」

 

まるで、正式に軍隊として訓練を行ってきたかのような……。

完全な後衛であるノノミへと突撃してくる。

 

「近づかせ──っ!!」

「対象を引き離す、2人は残りの相手を。」タタタタタタッ

「次、行きますよー。」ドシュッドシュッ!!

「くっ……どいて!!」

 

一早く動き出したシロコの動きを止め、もう1人が銃弾を放つ。

1番遠いがそれでも先生が一早く気づいた。

ゆったりと弧を描き、飛来するそれに。

 

・榴弾!!二人とも回避!!

「ヤバっ!!」

 

ドゴォォォンッ!!!!

 

砂埃と爆煙が巻き上がり視界が遮られる。

振動や音からして以前、学園の防衛戦の榴弾よりも威力が高い!!

 

「うわっぷ!?砂が──」

「……失礼します!!」

「う、ぐ───ッ!!!」

 

ショットガンの銃底の辺りで腹と顎を殴られ倒れてしまうセリカ。

中の状況が分からない先生は指示を出しあぐねていた。

予想以上にやりづらい。

まるでこちらの戦闘を知り尽くしているかのように───

 

「セリカちゃんっ!!?」

「ま、まず1人……」

 

ノノミのマシンガンを蹴り下げ、銃口を地面に固定する。

引き金に指を掛けて至近距離で弾丸が炸裂する────事は無かった。

 

突如上空から降ってきたカバン、それが地に着いた瞬間にカチッと音を鳴らし、ノノミへ被害の向かない方向へ爆ぜた。

爆煙に紛れて出てきたヘルメット団員を見るにほぼ無傷だった。

しかしノノミは銃弾を浴びることなく、セリカも回復したのか立ち上がっていた。

 

「誰ですか……!?」

 

報告にない戦闘集団。

そして先程の攻撃で理解した、この集団は強い。

 

『また爆発!?今度は一体なんですか!!』

「じゃーん、やっほー☆」

「お、お邪魔します。」

『便利屋の皆さん!!』

「……貴様らか。」

 

理事から明らかな敵意と憎悪を叩きつけられる便利屋。

しかし本人達は飄々としたものだ、特にムツキは。

 

「やーっと追いついた!!何かピンチそうだったから割り込んだけど大丈夫な感じ?」

「いえ、助かりました。このタイミングで出てきてくれたという事は……」

「なるほど、そういう事だね。」

 

何やら彼女達(アビドス)は納得したかのような雰囲気を醸し出している。

便利屋は正直勢いで助けただけなのだが……

カヨコが社長(アル)の顔を見ると、察したのか呆れたようにため息をついた。

 

「ふふっ、勘だけは鈍ってないようね、対策委員会。

私たちがここに来た理由なんて、決まってるでしょう?」

 

割と勢いに乗らされがちな社長(アル)は、彼女達のキラキラとした期待の眼差しには弱かった。

そして出る、お約束のあの言葉。

 

「ここは私たちに任せて先に行きなさい!!」

「……はぁ。」

 

そして、当の本人はというと。

 

「(言っちゃったああぁぁぁーー!!!?)」

 

何も考えていないのである。

指揮官として、リーダーとしては致命的な短所だ。

そして逆に、リーダーとしての彼女の魅力の一つでもあるが。

それはかつて敵対していた相手でも同じく。

 

「別にお礼は言わないわよ!!……でも全部終わったら、ラーメン食べに行くわよ便利屋!!」

「はい、この御恩は必ず!!」

「ん、ありがとう。」

「まだだっ、控えさせていた兵士達はアビドス対策委員会を撃退せよ!!」

「理事、ここは任せて行ってください。」

「……武運を祈る!!」

 

一気に人数が減り合計7人。

便利屋は戦闘態勢をまだ取れていない。

細かくいえば社長が白目を向いている。

 

「はぁ、こうなったら仕方ないか……。」

「い、勢いに任せちゃったけど、この後どうしたら……。」

「あははは!!面白くなってきたねアルちゃん!!でも逃亡はちょっと無理そうかな?」

 

敵対者であろうヘルメットを被った3人はこちらへ敵意を向けているようだった。

そして、ここで逃がしたら彼女達に追いついてしまうだろう。

 

「……どうしますか、リーダー。」

「目の前の敵を倒して、理事と合流する。コイツらは無視できる相手じゃない。」

「ほら、向こうもやる気だし。」

「うぅ……分かったわよ!!便利屋68、行くわよ!!」

 

便利屋とカラカラヘルメット団の戦いが始まった。

爆発で辺りが砂煙地獄になっていくのは圧巻の光景だったとか。

アビドス達にも戦闘の轟音は聞こえていた。

激しい戦闘音がどんな死闘を繰り広げているかが理解出来る。

それでも便利屋も精鋭揃い、直ぐにやられはしないだろう。

そんな揺るぎない信頼感があった。

 

 

事実、カラカラヘルメット団というイレギュラーが存在したところで、物語の結末はそう変わらなかった。

 

カイザーPMCの最後の兵士達を蹴散らして進む。

アビドス達は破裂音と共にドアを吹き飛ばし、腕を括られたホシノを無事見つけた。

便利屋はヘルメット団の足止めを成し遂げたようでヘルメット団はこちらに来なかった。

カイザーPMCは自らの負けを認めたのか撤退を開始した。

あとは自分達の居場所(アビドス高等学校)に帰るだけ。

 

 

そう思っていた。

 

 

砂漠が揺れ始める。

地震とは違いまるで巨大な魚の移動で水面が波打つかのように砂が揺れ動く。

段々と振動が強くなっていく。

 

「うわわっ、地震!?」

『いえ、こちらで地震は観測されていません!!地下に大きなエネルギー反応が!!』

・皆、あそこに!!

「地面が割れて、中から何か………」

 

バタフライエフェクトとも言える僅かな差。

奇しくもカラカラヘルメット団の調査でその存在は雄叫びを上げた。

 

 

『Ooooooooooッ!!!!』

 

 

全身を装甲に身を包み、その巨体は地を唸らせる。

まるで蛇のようにうねるその体は白くどこか近未来的な印象を受ける。

だがもっと不可解な印象を受ける点が1つ。

 

その機体の頭上には()()()()が浮かんでいた。

確かに神秘を感じさせるそのヘイローは雷のごとく揺らめいている。

やがて彼女達(アビドス)に見下ろす形で蛙を睨む蛇の如く、その機体は目を向けた。

 

 

 

『違いを痛感する静観の理解者』

 

 

 

第三セフィラ・ビナー降臨

 

 

 

─────────────────────────

 

その頃、どこかの寂れたビルの中で1人の男がその状況を見守っていた。

男は当事者ではないが、分かっていることが一つだけある。

男にとって面白くない事が起きようとしているということだけ。

故に男のとる行動は一つ。

 

「ビナーの発現……どうやら私も出る必要が有りそうですね。」

 

()()は重い腰を上げ現場へと急行した。

 

 

 




変更点
・カイザー理事が吹っ切れてる(敗者はクールに去るぜ。)

・チームⅤが便利屋と戦闘になる。3人でほぼ互角。

・しっかり仕事した便利屋68

・ビナー「来ちゃった♡」

・黒服「私も♡」


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違いを痛感する静観の理解者


今作のビナーはホモ君のせいで強化されてます。

黒服「本命の研究に使っても余ったからビナーに使おう。」(無邪気)

最終章も配信されるし大忙しですわ。


「何このデカいの!?」

『どの情報にも載っていない……あの機械から高エネルギー反応を検知しました!!』

・全員固まってホシノの後ろに!!何か来る!!

「うへぇ、これは久しぶりに本気出さないと不味いかも。」

 

砂漠の白い大蛇の如き理解者の一機、その名はビナー。

自らの領域に存在する異分子である彼女たちを抹消すべく、ビナーは攻撃を開始した。

相手の戦力……未知数。

ビナーは小手調べを選択肢から切り捨て、最大火力をお見舞いする事を選択。

 

裁きの極光の名は『アツィルトの光』。

口から全てを破壊するその光は放たれた。

先生の直感の指示は最善では無かったが、何もかも情報不足の今は最適解だった。

その光線は大地を抉り、砂に埋もれていた建物を粉々に粉砕した。

 

たまたま光線の直線上に居なかった先生は無事。

問題はモロに直撃したホシノ達だが……

 

「くぅう、なかなか痛いねぇ。」

「先輩、大丈夫!?」

「セーフ……と言いたいけどアレが連続で来るとキツイかなぁ。」

 

何とか全員無傷のようだ。

ホシノのお陰で何とかなったが、光線を防いだ鋼鉄の盾は煙を上げている。

ホシノ自身が無事でも盾がもつかどうか……

 

「考えたく無いわ、アレの連発なんて。」

「ここら一体が更地になっちゃいますよ……」

・撤退したいけど、無理そうだね。

『はい、あの光線の射程外を目指すとなると……』

 

撤退という選択肢はビナーと対面した時点で不可能になっている。

あの巨体ならすぐ追いつかれるだろう事と、先程の光線の射程を考えれば取れる手は1つ。

 

ビナーを撃退することだけ。

 

対してビナーは、彼女達が自身の光線に耐えたことに驚きを感じていた。

そしてすぐさま作戦を続行、アレ(アツィルトの光)は放つまでのチャージに時間がかかる。

 

遠距離に彼女達(アビドス)がいる今、この手を使わない訳にはいかない。

背中の砲門が開き、ミサイルの垂直発射装置が覗き込む。

チャージまで30秒間、このミサイルで時間を稼ぐ。

 

全長数百mはくだらないビナーの砲門数は百を超える。

『大道の却火』と呼ばれる数百発のミサイルによる物量攻撃を開始した。

 

『あんなに大量に!?』

「さぁ、走るよー!!」

 

できるだけ全員固まって移動する。それくらいしか方法が無かった。

せめて先生を安全地帯に避難する事ができれば……

当然の如くビナーは巨体をくねらせ忍び寄る。

 

アビドス達は迫り来るミサイルを撃ち落としつつ、距離を詰める。

先程の光線も、このミサイルも、遠距離専用の兵器だ。

近づけさえすれば戦況はグッと楽になる。

 

対してビナーも自身の兵器が遠距離特化なのは理解していた。

自身に近距離用の武装はない、ならば自身が兵器に成ればいいのだと。

 

・ミサイルが止んだ……?

「あれは、自分の体を縮こまらせているんでしょうか?」

 

とぐろを巻き尻尾を振りかぶる。

事が起こる直後に気づいたホシノが叫ぶ。

 

「全員死ぬ気で走って!!」

「──そういう事ッ!!」

 

ビナーは貯めていた力を全て使い、体全体を振り払った。

砂の津波、水より質量を持つそれらが先生達を飲み込もうと迫り来る。

 

・うおおぉぉぉッ!!

「洒落にならないんだけどおぉッ!?」

『全員座標まで急いでください!!』

 

ビナーが動き出す前に気づいていた先生達は何とか、砂の届かない安全地帯まで逃げ切った。

 

・ぜぇ……ぜぇ……

「間一髪───あ。」

 

安全エリアに到達しビナーに向き直ると、丁度『アツィルトの光』を放とうとしているとこだった。

眩い光が収束する。

 

ホシノが即座に間に入るが少し遅い。

必ず何人か負傷者が出る、それでも先生だけは必ず────

 

その時だった。

ビナーの口に大量の榴弾が叩き込まれたのは。

 

『GyooooooOッ!!?』

 

ビナーがよろめき動きが止まる。

あの榴弾はまさか─────

 

「全弾命中。『デカグラマトン』の預言者の行動阻害に成功。」

「引き続き奴に攻撃を続けろ。特に光線は必ず止めろ。」

「了解。」

『ヘルメット団!?』

先程まで敵対していたはずのヘルメット団がビナーへと攻撃を仕掛けていた。

こちらに気づいたヘルメット団の1人がハンドサインを出した。

 

「わたし、援護する、あなた、急いで、突破」

 

アシストしてくれるという事だろう。

人手の足りない今は純粋に彼女達が心強い。

 

「ふんっ、お礼なんて言わないからね!!」

「とりあえず敵じゃないだけマシ、かな。」

「アレが皆が言ってた強いヘルメット団?」

「そうですが……どうやらビナーに攻撃を続行するようですね。」

・よし、全員反撃開始だ!!

 

大体のビナーの動きが頭に入った。

先生は作戦をアビドス達に伝える。

 

「でも、それだと先生が………」

・大丈夫!!作戦伝えたらできるだけ離れておくから!!

『Ooooooooooッ!!!!』

「おわっと、あっぶないですねぇ!!」

 

回復したビナーが怒りの光線をヘルメット団員に放つ。

登っていた建物から飛び降りる事で回避、建物は勿論崩壊した。

そして彼女は落下しながら徹甲弾を放った。

あまりの衝撃に彼女はグルグルと後ろに回転して落ちていく。

ほぼ直線上に突き進むその弾は、ビナーに着弾し装甲に傷を付けた。

 

・じゃあ、作戦通り頼んだよ!!

「あの子達がヘイト稼いでる間に詰めるよー!!」

 

見れば徹甲弾をこれでもかとビナーに浴びせ続けている。

ビナーは口が開けないからビームを封じられている。

無けなしのミサイル攻撃は他のヘルメット団員が可能な限り撃ち落としている。

たまに先生の方を狙って飛んで行くが、

 

「先生の所に攻撃は通さない。」

 

漏れなく撃ち落としさらに突き進むアビドス一行。

ミサイル攻撃も近くまで来ると狙いが全くついていない。

 

「自分の真下には攻撃を当てにくいでしょ!!」

「いきまーす!!」ズドドドドドドドッ

 

ビーム攻撃はシロコ、セリカで発射口を狙い撃つ。

もし放たれたとしてもホシノがカバーに入る。

 

ミサイル攻撃は全員で砲門を破壊しにかかる。

大量に放たれたミサイルは群れてる最中にノノミが薙ぎ払う。

 

砂の津波攻撃はどうしようもないので、ヘルメット団の榴弾でこじ開けてもらう。

 

最後が何とも他人任せな作戦だが、これが最適解。

対策方法さえ分かればこちらのものだ。

 

「皆優秀だね〜、おじさんの出番ないかも。」

『いい調子ですよ!!』

 

「こっちの砲門は全部破壊した。」

「こっちもOKです☆」

 

「高エネルギー反応あり、撃たれる前に撃て。」

「装填完了、標準固定、発射!!」

 

複数の榴弾がビナーの頭部へと殺到し、体を仰け反らせた。

口からは煙を吐き、明らかに故障寸前。

 

『Zz─Gooooo………』

 

やがて動きが止まり地面へと項垂れかかった。

最後の力を振り絞りミサイルを放つがどれもあらぬ方向へと飛んで行く。

 

「何処へ撃って……まさか。」

 

たった1つの誤算。

先程上空へと誤射されたと思っていた弾は、先生を狙っていたという事だ。

気づくのが遅れた彼女達は悲痛な叫びに似た声を上げる。

 

「「「「『先生ッ!!!!』」」」」

・ッ!!?

 

ドオォォォォンッ!!!!

 

着弾し爆発。

 

自分たちはともかく先生は1発でも直撃したら……

顔を青ざめ自分達の周りだけ時が止まったような感覚を得る。

爆煙が晴れると人影が見える。

 

どうやら生きているようだ立ち上がってこちらに体を向けて────アビドス全員が息を飲む。

2人の人影が見える。

それは煙が晴れると姿を現した。間違いなく二人いる。

 

先生の前へ立ち塞がるように立つ黒のスーツを着た男が居る。

その男の事はホシノが嫌という程見知っていた。

 

「あいつはッ───!!」

 

とても愉快そうに男は先生に問うた。

 

「大分苦戦しているようですね?先生?」

 




変更点
・原作より強めなビナー君

・黒幕が目の前に現れた。

・『テクスト』、『ミメシス』、『神秘の強化』を使いとある成果を生み出した。(ミサイルを防いだのもそれ。)

・カラカラヘルメット団、ビナー君の戦闘データを収集。


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影の精霊

黒服の活躍回のはずでしたが今回は流します。(血涙)
スパイダ〇マンよろしく砂漠を駆け回る黒服を書きたかったけどなー、俺もなー。
本当にごめんよ黒服。ホモ君余り関与出来てないから仕方ないんだ……



辺り一面が砂漠の中、映える白の機体は各機能を停止させた。

予想以上の戦力、予想以上の損傷、どれも未知の出来事だった。

 

彼がこの世界を認識できるようになって初めて味わった感情。

それが驚嘆、屈辱、そして恐怖。

戸惑いながらもここが引き際だと、彼の思考AIは正しく理解していた。

 

『Goooooo………』

 

体の全身から煙を上げるビナー。

弱々しい雄叫びはもはや誰も気にとめないほどだった。

 

『エネルギー反応が減少していきます!!』

「やっと倒したってこと!?」

「セリカちゃん、フラグって知ってます?」

 

不穏なやり取りをする2人だったが杞憂に終わる。

先生に放ったミサイルが最後のすかしっ屁だったのか、ビナーは地中へと深く潜り込む。

地響きを立て、姿を消したビナーはもう姿を見せることは無かった。

 

「後は、あの人ですが……」

「奴の動きに警戒して、不審な行動をとったら撃てるように。」

 

一見落着───とはいかない。

ホシノを貶めた元凶がそこにいるのだから。

そしてその存在は今、先生の横に立っている。

 

「クックックッ、どうやら無事にビナーを退けたようですね。」

「アンタが黒服……よくも私達の前に顔を出せたわね!?」

 

アビドス全員に様々な感情が渦巻いているのは明らかだ。

ちょっとしたアクションでいつ破裂するかわからない風船のような危うさ。

それでも黒服は気にしないでこう続けた。

 

「元々私は出る予定は無かったのですがね。……憎いですか、()()()()と同じように奪おうとした私g────

「黙れ。」

 

引き金を引くのに、躊躇いは無かった。

 

話している黒服の体全体にショットガンを近距離からお見舞した。

その行為がどれだけ虚しいかを理解しながらも、ホシノは止めることはできなかった。

 

・ホシノッ!?

「貴方の怒りは間違いではありませんよ。」

「影が動いて───ッ!?」

『何ですかこれは………あの人の周りのエネルギー反応に異常値が!?』

 

ホシノの銃弾は黒服に届かず、剥がれるように地を離れた影が黒服の身を守っていた。

明らかに自然現象を超越した事象が起こっている。

 

「これは私の小さな成果物。名前はそうですね……『Umbra Genius(影の精霊)』とでも。

 

『テクスト』で私の影に記号として意味を与え、

『神秘の強化』を加えることで確固たる形持った神秘として成り立った私の影を、

『ミメシス』を扱う事で完全に制御出来るようになった代物がコレです。」

 

『テクスト』、『ミメシス』、そして『神秘』。

聞きなれない言葉がツラツラと流れてくる。

確かなのは、アレが現代技術では再現不可能な現象だという事実のみ

 

『一体何を言って……』

・………。

 

ただ先生は思い当たる節があるのか、何かを考えているようだ。

少なくとも『Umbra Genius(影の精霊)』の存在により、黒服を捕縛することは難しそうだ。

多少手荒な真似(暴力的解決)をすれば捕縛するのに問題ないが間違いなく先生は止めるだろう。

 

「そもそも、ビナーを撃退したことで貴方達の物語は一区切り終えたのです。ここが引き際かと。」

『何が目的だったんですか、ホシノ先輩を誘拐してまで一体!?』

「全て私の興味のために。まあそれも先生という計算外の要素によって失敗しましたが。あぁ……出てきた理由は先生、貴方がこの舞台から退場するのを防ぐためです。」

 

先生を助けるため?

にわかには信じがたかった。

アビドスの衰退の原因の一つでもある奴が味方などと。

それでも先生を助けたという事実に、生徒達にモヤモヤとしたものを残す。

 

私達は間に合わなかった。

あの時奴が守っていなければ先生は────

 

・助けてくれてありがとう。でも今まで貴方がしてきた事は許さない。

「えぇ、是非そうしてください。我々はあなたの邪魔も、味方もしませんので。」

 

先生と黒服の関係は完全に決裂していた。

助けてくれたことは礼を言おう、その理念は理解できる。

だが共感はしないし、これから協力することも無い。

 

「さて、そろそろ引くとします。」

「待って、まだ話は───ッ!?」

「………。」ザッザッザッ

「おや、エスコートして下さると?」

「あなた達、まさかそいつの……!?」

 

カラカラヘルメット団が黒服を守るように立ち塞がった。

彼女達の強さは分かっている。

先生が居るとはいえ、ビナー戦で消耗したこの状態で戦闘はしたくない。

無論、負けるつもりは無い。

 

「……オーナーからの伝言だ。『借りは返す。』」

「クククッ、彼は相変わらず律儀ですね。」

 

オーナーとはカイザー理事の事だろうか?

そんな事よりも、彼女達(ヘルメット団)と戦闘に入れば死闘は確実。

緊張によりホシノ達の頬を冷や汗が伝う。

 

「心配せずとも、もうあなた達を狙うつもりはありませんよ。そうですね、最後に1つだけ。先生、我々と協力する気はありませんか?」

 

・断る。

「……残念です、先生なら彼とも仲良くなれると思ったのですが。」

 

彼?と思ったが、どうやらもう話し合いは終わりらしい。

影が揺らめいて黒服とヘルメット団を包むように広がる。

 

「先生、ゲマトリアは貴方のことをいつでも見ていますよ。」

・───ッ!!

 

影に飲み込まれる、と黒服とヘルメット団は姿を消した。

はじめからそこに誰も居なかったかのように。

 

「ごめんね先生。アイツ──黒服に勝手に発砲して。」

・ホシノは悪くないよ………帰ろうか、アビドスに。

「……うん。」

 

ひとまず、ホシノを救出して日常を奪還することが出来たアビドス廃校対策委員会。

その後先生の助けもあり、対策委員会は正式な委員会と認証された。

 

カイザーPMCとのいざこざを解決した彼女達はこれから地域復興を目指し様々な対策を

──と上手く行かず、未だ借金の返済に奔走していた。

 

「あはは……借金返済にはまだ遠いですけどね。」

「でも、前より利子が格段に払える額になった。」

「余裕は出来たけど休んでる暇はないわよ!!」

「うへー、まだまだおじさんは引退できそうにないねー。」

・そうだね………。

 

全てが解決したわけじゃない。

相変わらず砂嵐は収まらないし、土地はカイザー名義が大半、借金だって残っている。

問題は山積みだ。

それでも彼女達は足掻く、その果てに希望があると信じて。

 

「だから強くなるね。いつか先生を助けてあげれるくらいに。」

 

二度と先生を危険な目に合わせない。

もう二度と自分の大切なものを失ったりはしない。

 

そう、例え自身の命を失う事になったとしても。

 

致命的なズレは後々に悲劇を起こす。

 

自分の事を優先順位の下に位置させる長所と短所が。

自身が積極的に生徒に関わったことによる、前回との相違点が。

先生はそれに気づかなかった、ただそれだけの話。

未だ火種は燻り続ける。




便利屋との戦闘描写とか色々考えたけどグダるのでカット!!
悪ぃ、 やっぱ(ちゃんとした小説書くの)辛ぇわ。

カイザー理事は今日も元気に生きてます。
黒服は先生に自分の成果を見せる事ができてご満悦。
チームⅤは任務達成してホッと一息。
アビドスの生徒達はちょっと曇っちゃったけど問題ないな、ヨシッ!!
先生はゲマトリアに対しての警戒度があがった!!
ホシノも『覚悟』完了したし勝ったなガハハ!!

基本原作沿いになりましたが、Vol.2は大分変わるからユルシテ……
次回からはやっとRTAパート再開になります。


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Vol.2.1 乖離せし鍵と王女のガイヤルド編
白兎襲来



お待たせ致しました。

黒服の生存確認記念に投稿。
上着がはだけて胸元が見えるマエストロ……
このゲマトリア、すけべ過ぎる!!



完璧に袋の鼠な状況を打破するためのRTAはーじまーるよー!!

 

「お邪魔しまーす!!早速で悪いですけど、匿ってくれませんか?」

・……どうやら面倒事のようだ。

 

はい、割と最悪なタイミングで奴がきやがりました(憤怒)

少なくともミレニアムの生徒会長がエリドゥを開発するまで大人しくしてくれてたら……

 

今の時期は、ミレニアムのセミナー会長がピリピリしてますからね。

その理由はまた今度解説します。

専門用語多すぎて、頭が訳ワカメになるので(全敗)

 

原作未視聴兄貴達のために説明しますが、この兎はミレニアムの機密情報の塊を持ってるので、雲隠れするとミレニアムは血眼で探し始めます。

はい、今が正にその状況に成りかけてる最中です。フザケルナァ!!

 

最悪の状況は、兎を連れ戻すのにC&C引き連れたセミナー会長達と戦う事です。

先生の居ないC&C位なら多分勝てますけど、アイツら施設ごと破壊するので研究が出来なくなります(3敗)

あーもう(研究所が)めちゃくちゃだよ。

 

・……簡潔に説明してくれ。

「流っ石!!そう来ませんとね☆だから周りの護衛さん達は銃口を下ろしてくださいね?」

「チッ!!」

 

何だか不穏な空気……

兎とチームⅤはあまり仲は良くないんですかね。

兎はその性格も相まって、多方向からヘイト買いまくる事に特化してますから……ま、多少はね?

 

「私実は、学内ではちょっとした問題児で有名でして──」

 

話を戻しましょう。

彼女の言い分を要約すると、最近ミレニアムの金に手をつけず大人しくしてたのが考慮されて、学内の行動の制限が解除されたようです。

 

そんなにガチガチ(学内行動制限)に拘束してたのかと若干引くレベルですが、こうでもしないと彼女は好き放題するので致し方なし。

 

まぁ、折檻部屋が完全に金庫なんですけどね。

密室の中に1人っきり、そんなのキヴォトス人じゃないと気が狂っちゃう……

流石にセミナーも下手に抑え込むより、ある程度は自由にした方が良いと思ったんでしょうね。

 

セミナー?という兄貴達のために解説タイムです。

 

まず、キヴォトスは連邦生徒会という行政機関がトップで運営しています。

その下に各学園の自治区を収める組織、生徒会が存在する訳ですが、

ミレニアムで生徒会の役割をしている組織がこのセミナーに当たります。

 

そこの1番エラい人が、下水道を流れる水こと調月リオです。

そして全先生の太もも正妻ユウカ、ほぼ完全記憶の怖い人ノアがその役員にあたります。

一応は兎も元はセミナー役員だったんですけど、毎回ミレニアムの予算パクって遊んでるので……

 

はい、後は察してください(投げやり)

 

そんな結構シャレにならない事をしでかしてる兎に取っては寛大な措置です。

尚更なんでこっちに来たの君?(正論)

 

・その何が問題なのだ?

「だってあの人たち、私の外出を制限するって言ってきたんですよー?

そんな息の詰まる生活、私が容認して大人しくする筈が無いじゃないですか!!」

 

知 っ て た (迫真)

 

兎の性格上そうなるのも無理ないですね。

自由な生活を望む彼女にとって、制限される環境は反吐の出る代物なのでしょう。

兎はゲヘナ寄りってハッキリ分かんだね。

 

それでもミレニアムは他校と比べてマシなはずなんですけどねぇ、

新しい技術の開発はあそこが1番進んでますから。

兎にとってはヴェリタスとか開発部は恰好のおもちゃ箱でしょうし。

 

……もしかして既にやらかして両方出禁になったとか?

いやいや、兎に限って流石にそんな事ないはず!!

 

色々言葉を並べましたが結論はシンプル。

兎が居てもガバ増えるし、ミレニアムが凸してくるのでここは追い返しましょう。

学校に迷惑だから早く帰ろうねー(善意)

 

「それは大丈夫だと思いますよ、『退学届』も提出して来ましたから。」

 

何やってんだお前ぇッ!!

 

ここまで兎の覚悟が決まってると、追い返すという選択肢が無くなります。

強引に追い返しても反骨精神のある兎はしつこく侵入してくるでしょう。

返品しても帰ってくるとか、呪いの人形か何かかな?

 

そして、少なくとも2週間以内にC&Cが突撃してくることが確定します。f〇ck!!

兎を処すか?と言う過激派兄貴もいると思いますが、

どんな生徒でも慈悲を与える先生がそんな事を許すはずもなく……

間違いなく先生からのヘイトがベアおばを突き抜けて最低値を更新するので出来ないです。

シャーレも戦線に加わり、ホモ君は爆発四散するでしょう(3敗)

普段優しい人が怒ったら怖いって、それ1番言われてるから。

 

こうなったらオリチャー発動です。

走者の組んだチャートはどこ…ここ…?

 

手放しても厄があるなら、いっそ取り込んじゃえばいいじゃない。

黒崎コユキを正式にホモ君陣営に引き入れます。

誠に不本意ですが、やむを得ません。

入って、どうぞ。

 

・戻るという選択肢はない訳か。

「ありませんねぇ、なので匿ってくれません?」

・良いだろう、君を正式に雇用する。

「そこを何とか…………えっ、いいんですか!?」

 

はい、という訳で兎がパーティインしました(血涙)

頼むからホモ君の言うこと聞いてね、マジで。

 

「正気ですかオーナー、彼女はお世辞にも戦力にはならないと思います。」

「ちょっと!?人が気にしてる事をズバッと言い切るのは止めてくれませんかね!!」

 

まぁ事実ですからね。

ちらっと兎のスキルを見た感じ弱くは無いんですけど、素のパラメータがう〇ち。

マシンガン持ってるくせに、拳銃と同じ火力しか出ないのはバグでは?

ポ〇モンで例えるならイ〇ークです。

 

ですが問題ありません。

彼女の暗号解析能力だけで元は取れます。

ホモ君のアシストがあれば大抵のセキュリティは暖簾に腕押し状態になりますからね。

 

どのレベルまでなら突破可能かと言うと

シッテムの箱とデカグラマトン本体以外は可能です。

この2つは人類を超越したスーパーAIですからね、仕方ないね。

ミレニアムのセキュリティを瞬殺するデカグラマトンでも、

突破不可能なシッテムの箱って何なんですかね本当(遠い目)

突破出来ればサンクトゥムタワー使ってやりたい放題出来るんですけど、そんなに甘くはないですね。

 

・問題ない、適材適所だ。彼女には基本裏方に回ってもらう。

「そうですか……いえ、私達はオーナーの指示に従います。」

「当機も問題ありません、人は多いほど楽しいと学習しました!!」

 

全員の理解も得られたのでヨシッ!!(現場猫)

 

あっ、そうだ(唐突)

これからの予定を細かく乗せておきます。

 

・兎の強化

・研究所の防衛強化

・研究所の移転

・『神秘の固定』についての研究

・無名の司祭の技術を集める。

 

以上5つが今後のやるべき課題となります。

量が多すぎんだろ、いい加減にしろ!!(発狂)

 

ただ2週間以内にという期限を気にしなくても良い物もあるだけマシです。

特に研究所の移転、防衛強化は最優先でしてしまいたいところ。

 

目下最大の課題は研究所の移転です。

ミレニアムが2週間待ってくれる根拠もないので早めにお引越し準備をしちゃいましょう!!

材料は───ここで取れるオーパーツ使えば、なんとかなるやろ(慢心)

 

・拠点を移転する必要ができた、チームⅤは明日オーパーツの回収を頼む。

「了解、チームⅤ待機します。」

・他2人はチームⅤが戻るまで待機だ、茶でも入れよう。

「良いんですか?じゃあ私アールグレイで!!」

「当機はホットココアをリクエスト、ミルク多めを申請。」

 

じゃけん、素材回収やりましょうねー。

……ん?引越しにオーパーツが要るのかって?

要りますねぇ!!(断言)

防衛強化もするので、大量にあって損は無いですからね。

 

次回からは、お引越し準備作業になります。

今回はここまで、ご清聴ありがとうございました!!

 




Finalの3章読み終えました。
最新情報が出るは、ゲマトリア2名の生存確認が取れるわで大満足です。

あと案の定、作者のやらかしで危うく最終章で詰むところでした。
(特にアリスちゃんのところ。)
アリスちゃん好きが増えそうで作者はニッコリ。

そして幸いにも、プロットは大きく改変をせずとも済みました。
(プレナパテスの正体だけ不安ですが。)

という訳で更新再開します。


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劇的ビフォーアフター


前回のあらすじ

兎「仲間にいーれて!!」
ホモ「いいよ」
チームⅤ「………。」
アリスちゃん「仲間が増えて嬉しいです!!」



ミレニアムから逃亡するRTA生活はーじまーるよー!!

 

前回は兎こと黒崎コユキを仲間にしました。

今回は最優先事項である、研究所の移転を進めていきます。

 

移転地の候補ですが(そんなものは)ないです。

どこに逃げてもあんまり意味は無いので。

話が違うじゃんアゼルバイジャンという兄貴達、その通りなのですが良く考えてみてください。

 

あのヴェリタスの存在がある以上、追跡を振り切ることは不可能に近いです。

 

以前から言ってるヴェリタスという組織は、ミレニアムのハッカー集団です。

セミナー非公認なので正式な部活動ではありませんが、ここのハッカーがこれまた超有能揃い。

情報戦では規格外のAIを除けば、キヴォトス一と言って良い程の精鋭達なのです。

 

なのでホモ君と兎が全力で証拠隠蔽して潜んでいても、最高で2週間しかもたないんですよ。

ホモ君が5人(ヴェリタス全員)に勝てるわけないだろ!!いい加減にしろ!!

 

兎もセキュリティを破るのは得意でも守るのは専門外ですし。

そう、このキヴォトス内でヴェリタスに見つからない場所なんてありません。

頭おかしいよ君たち……

 

唯一ゲマトリアの議会で使用しているあの場所は特別ですが、流石にホモ君の研究所代わりには使えません。

公共(ゲマトリア限定)の施設ですからね、仕方ないね。

 

そういう訳で、どこかに引越しをし続けるのはコストが高いし払い続けないといけません。

例えバレないように移動しても、いずれ隠れる場所が無くなりますし。

 

ならばどうするか、走者の灰色の脳細胞から導き出された答えは1つ。

引越ししなければ短期間で居場所がバレる、

しかし引越し続ければコストが嵩むし、いずれ限界が来る二重苦。

 

こうなったら造るしかないでしょう──────

 

 

 

 

移動要塞型研究所を!!

 

 

 

 

 

頭が宇宙猫になってる視聴兄貴達もいるでしょう。

 

ですが逆に考えるんです。

新しく拠点を作るのではなく、拠点ごと移動し続けてしまえば良いさと。

 

どこに引っ越しても追いかけて来るなら、常に移動し続ければ良いんですねぇ!!

兎に発信機の類が取り付けられていないことは、『解析』で確認済み。

居場所が補足されてなければコレで撒くことができます!!

 

ただコストは結構かかっちゃうので、早いとこ移動機構を完成させて、少しずつステルス性能を上げていく方針で行きます。

兎も加入したので茶々っと作業して行きましょうかね。

 

・ミレニアムの追跡があるだろうから、研究所を移動要塞型に改造する。

「にはははっ面白い冗談ですね、ヴェリタスの追跡を振り払うには有効かも知れませんが!!」

・君にも働いて貰う。

「え、もしかしなくてもマジで言ってます?」

 

そうだよ(断言)

兎にはバンバン働いてもらうから覚悟しろヨ〜?

 

「オーナーが決められたのなら、私達は任務を遂行するだけです。」

「当機の記憶データベースに接続……移動要塞の単語は検索にヒットしませんが───とても心躍る響きです。」

「ダメだこの人たち、本気でするつもりだ……」

 

じゃけん、研究所の改造に必要な素材が回収できるまで早送りしましょうねー(3倍速)

そして並行して兎の強化もしちゃいましょう。

これは時間を有効活用するホモの鏡。

 

と、言ったところで早速兎のステータスを開示!!

 

名前:黒崎コユキ

武器種:MG

スキル:『暗号解読』、『混沌』、『仕切り直し』

 

はい、計3つのスキルが確認できました。

どれも探索系のスキルになりますが、唯一『仕切り直し』だけが直接戦闘時に効果がありますね。

では恒例のスキル解説タイムッ!!

 

まず『暗号解析』ですが、こちらが兎の固有スキルとなっております。

どんなセキュリティでも突破し侵入できるぶっ壊れスキルです。

戦闘ではこのスキルは置物と化しますが、それを差し引いても欲しくなる魅力があります。

兎は単体でもゲマトリア本体のセキュリティ突破は可能ですし。

つおい()

 

そして2つ目は『混沌』と呼ばれるスキル。

このスキルの前に説明することがあります。

 

今作のゲームでは各キャラの隠しステータスに『カルマ値』が設定されています、それはモブも同じく。

良い選択を選べば善へ、悪い選択を選べば悪へカルマは変化します。

察しの良い視聴兄貴達は感づいてるでしょうが、操作キャラのカルマ値は選択肢によって変化します。

 

まず生徒の心を踏みにじるような選択をし続ければ、ほぼクリア不可能と言っていい程の難易度になります(2敗)

かと言って善に偏りすぎると生徒の身代わりになってアボンする確率が非常に高くなります(10敗)

 

要はバランスよく取ると攻略がイージーになります。

 

ここでスキルの説明に繋がってきます。

基本的にカルマ値が近いもの同士仲良くなりやすいのですが、このスキル持ちは悪と善両方の性質を併せ持つ♤ので誰とでも仲良くなる事が可能です。

(『秩序』スキル持ちを除く。)

 

なので操作キャラがこのスキル持ってると割と便利なスキルとなります。

生徒側でこのスキルを狙いたい時は、ゲヘナに入学すれば楽に厳選できます。

 

戦闘に関するボーナス?(そんなものは)ないです。

強いて言えばCC抵抗力がバカほど上昇しますが、ストーリー中に恩恵を感じた場面はあまりないですね。

特に原作キャラだとゲヘナ系統は持ってる確率が高いです。

 

何故かトリニティの癖してこのスキルを所持してるハナコッ!!は例外とします。

 

最後のスキルである『仕切り直し』、これは良スキルです。

これは汎用性の高い戦闘用スキルで戦闘からの逃走確率、一定状況の回避率上昇がかけられます。

コユキは放っておくと、いつの間にか落ちてるキャラなのでこれは結構有難いですね。

どこで拾ってきたんですかね、こんなスキル?

原作キャラだとムツキやヒマリが所持してます。

 

最終的な総評ですが、正直『暗号解読』だけあれば他はハズレでも全然気にしないレベルで当たりです。

 

さて、念願の兎の強化を行っていくわけですが、資材は節約したいのでスキルレベル上げは行いません(無慈悲)

ぶっちゃけアリスちゃんの魔改造に使ってもうBD足りないんですよね(外道)

原作の方もトキとナギサのWピックアップでコユキ用の石がない先生達も多いと思うので仕方ないですね(?)

 

今はリソースに限りがあるので、神秘の強化だけしてあげましょうねー。

では早速、兎の口に神秘のカケラを突っ込みましょう。

 

・という訳だ、食え。

「えーっと、これガラス細工にしか見えないんですが……」

・安心しろ、体に害はない。

「嘘じゃないですよね?信じますからね?………うえぇぇ、味がしなくてガラスを食べてるみたいです。」バリッバリッ

 

・神秘の強化に成功した。

 

ヨシッ!!(現場猫)

コレで彼女も現C&Cに詰められても何とか逃走に成功するレベルには達しました。

サラッと言いましたけど結構凄い事ですからね兎からしてみれば……ですが。

 

「ほあぁぁぁッ、凄く内から力が湧いてきます!?」

・問題なかったようだな。

「にはははッ、今なら誰にも負ける気がしませんよ!!」

・釘を刺しておくが、今の君でもC&Cのエージェントと一対一(タイマン)で負けるぞ。

「えぇ、そんなぁ〜」

 

とにかくヨシッ!!

兎が調子に乗らないように釘を刺すのは必須。

本当はC&Cメンバーにタイマンだと()()負けませんが、コイツいつも足元掬われて失敗してますからね。

そういうところだぞお前ぇ(ブーメラン)

 

これであとは素材が必要数溜まるまで『廃墟』を探索するだけです。

移動方法はキャタピラかホイールかで迷いますねぇ。

 

……キャタピラだとアヴァンギャルド君と一緒になるのが嫌なので、ホイール高速移動型に改造としましょうかね。

 

今回はここまで。

次回はようやく研究所の改造を行っていきます。

……出来たらいいなぁ(深刻な素材不足)

 

ご清聴ありがとうございました!!




兎が『混沌』持ってるのに嫌われやすいのは、バフの許容範囲以上にマイナス(カルマ値)の選択肢を連打してるからです。

ん、ガチャですか?
ヒフミ大好き(匿名)さんは今回諦めました。


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デュカリオンの方舟


前回のあらすじ

スーパー兎「私が伝説のスーパーバニーです。」
ホモ「調子乗るな。」
スーパー兎「( ´•ω•` )」



移動要塞型研究所を兎とクラフトするRTAはーじまーるよー!!

前回は資材回収と兎の神秘の強化を行いました。

今回からやっと改造タイムに入ります。

 

3倍速で周回すること約3時間、ゲーム内では4日目に突入しました。

そうした結果、心を無にして作業し必要最低限の素材をかき集めることが出来ました。

チカレタ……(小声)

 

要求素材数は以下の通りです。

 

・アンティキティラ装置×300

・ヴォルフスエック×250

・エーテル×120

・ニムルドレンズ×350

・古代の電池×200

 

頭おかしいよお前(運営)………

特に古代の電池は集めるのに苦労しました。

 

この素材は結構『廃墟』の下層まで潜らないと出現すらしないのですが、現在のチームⅤであれば潜ること自体に問題はありません。

何が問題かと言うと低確率でデカグラマトンの預言者と鉢合わせするんですよね……

 

その名も「最もきらびやかに輝く思考の王冠」こと、ケテルさんです。

誰だよ……と、原作視聴兄貴達も忘れるであろう影の薄い彼?について解説します。

 

彼は砂漠に引きこもっているビナー君と同じ、デカグラマトンの預言者です。

原作だと『特殊作戦・デカグラマトン』で、デカグラマトンの居る特定領域を守護する預言者として登場しました。

 

10体存在する預言者の中で1番初めに預言者になったとかで、本体を守ってるし何やら凄そうな印象を受けます。

しかし、それとは裏腹に機体の技術発展度とAIの複雑度は預言者内で最弱のちょっと可哀想な子、それがケテルです。

チームの中に1番強いヤツが居れば、1番弱いヤツも必ず出てくるので仕方ないですネ!!

 

とは言え、そこらの一般兵器より強いのは確かです。

そして意外にも、今作の預言者の中では結構優遇されてるポジに入ります。

 

原作で言及されていたように彼は幾つもの形態に変化する事が可能であり、その数なんと27種。

ミサイル、磁力兵器、ブレード等やりたい放題。

運営の力の入れどころが完全に謎です。

 

なので難易度の高いステージになると、形態数が多くてメタが張りにくく、タイムアタックするには普通にウザイ。

更に預言者は倒すとリスポーンに一定時間かかりますが、コイツは30分に1回復活するクソ仕様です。

 

コレのおかげでケテルは、ちょっと強い癖にすぐリスポーンしてくる素材回収で非常に邪魔な敵、という存在へと成り下がります。クソがよ(逆ギレ)

そのせいで脳死でボタン押して、割と強めの機体にぶち当たると全滅する事態になりかねません。

走者がやらかしたのは試走でレールガン持ったケテルに遭遇した時ぐらいですが(1敗)、油断なりません。

預言者内では倒しやすい部類であり、報酬はうま味なので周回向きではないのが惜しい。

と言ったところで、素材回収班が帰ってきましたね。

 

・……AL-1S、その手に持ってるのはなんだ?

「報告、当機も戦果を上げました!!」

・推定3mを超えるロボットの頭部を鷲掴みしている。

 

実はアリスちゃんにも少し周回に参加して貰ったのですが、魔王の名に恥じない強さを見せつけてくれました。

見れば分かるって?そう……(無関心)

 

二丁拳銃を構えて敵のドローンとロボットを粉々に粉砕する様は圧巻なもので、

エンカウントした敵が秒で砂になる様はギャグのようでした()

既に各学園のトップに並ぶ戦闘力を持っているアリスちゃんには当たり前の事でしたね。

蹂躙劇を目撃した兎が白目剥いてましたが問題ありません。

 

さて、材料も集まったところで早速作業に取り掛かりましょう。

いつミレニアムの鉄砲玉が飛んでくるか分かりませんからね。

 

やることは至ってシンプル。

ホモ君がハード面を、兎がソフト面を仕上げます。

流石に研究所丸々の改造をホモ君1人ですると過労死しちゃう(走者も)ので兎の手も借ります。

おらっ、働け!!

 

・今から研究所の改造に入る、プログラムは任せた。

「なんですかこの暗号……見たことない羅列なんですけど?」

 

まぁ、『名無しの神々』時代の産物ですからね。

チームⅤ様々です、黒服の情報も持って帰ってきてくれたのがいい方向に作用してます。

 

・できないのであれば仕方ない、他の手を考える。

「はいぃ!?出来ますけどもぉ!!?……ちょっと時間下さいね。」

 

流石ホモ君、兎の使い方が上手いですね。

今のところ兎に対しては良い選択肢が出現するので、好感度はいい調整が出来てそうです。

兎にとってのエサを与えるか、契約で雁字搦めにするか、ホモ君みたいに挑発してやれば、大抵の言う事は聞いてくれます。

ミレニアム関係者ならノアと仲良くなっておくのも良いですね。

兎がプログラミングしてる間、ホモ君にはオーパーツを使って機体の作成&改造をしてもらいましょう。

 

作業中に『ISIS』について解説を。

ホモ君が設置したこの研究機器はざっくり言い表すと、特異現象の観測機です。

ヒマリ デジタルVer.でもいいです。

 

この機械が何をしてくれるのかと言うと、ホモ君に知覚不可能な『神秘』を認識させることができます。

例えるならドラゴ〇ボールのスカウターと同じ事ができます。

 

視聴者兄貴達は首を傾げるでしょう。

それの何が良いんだ?と。

 

ゲマトリアに加入して日の浅いホモ君は、神秘に対して凄く鈍いので調べようとしてる物が知覚できないんです。

箱の中に何かあるのは分かるが、それが何か分からない。

そんな状態で素早く成果を上げることが出来るかと言われると大抵の人が無理だと言うでしょう。

ただしミレニアムの『全知』3人組、テメーらはダメだ。

 

それ(神秘の研究)を補助してくれるのがこの『ISIS』。

どういう原理かは知りませんが、『神秘』関係の事柄に対しての理解速度が早まります。

それ即ち研究を完成が早くなるということです。

実にRTA向き、これが走者の狂喜乱舞していた理由です。

この機器は他にも使い道がありますがそれはまた後ほど。

今はホモ君の研究を後押ししてくれるサポート機器ぐらいに思ってくれればOKです。

 

おっと、どうやら改造が完了したようですね。

時間はなんと5日目の昼。

一日で作り上げるとかこの2人有能過ぎませんか?

兎がサボると思ってましたが、結構真面目にしてくれたようです。

やっぱりバニーは最高やなって。

 

・流石だ、要望通り仕上げてくれたようだな。

「にはははっ、もーっと褒めてくれて良いんですよー?」

 

・元の姿は跡形も残っていない……『デュカリオンの箱舟』とでも名付けよう。

 

名前元はギリシャ神話でゼウス(伊藤誠)の起こした天災から逃れるために作られた箱舟ですかね。

 

 

肝心の外見はパッと見だと船型の装甲車ですね。

箱舟と言うよりはデカい車です。完全に名前負けしてる……

今後は砲台や飛行機能も付け加える予定なので、今の見た目はあまり関係ないんですけどね、初見さん?

最終的には空飛ぶ船になれば万々歳です。

 

・運転してみるか、コユキ?

「いいんですか?運転の仕方よく分かってないですけど。」

・難しい操作は要らない、そのレバーで前後左右に動ける。

 

これから探索時は走者が『デュカリオンの箱舟』を運転する事になります。

運転にはこれとマ〇カーで鍛えた走者の運転技術さえあればOKです。

レート?1000代ですが何か?(すっとぼけ)

 

「へぇー、どこの技術ですか?ヘイローのある車なんて初めて見ましたけど。」

・キヴォトス上空の飛行船と大して変わらんよ、強いて言えば燃料が違うくらいだ。

 

ゲームなので茶々っとホモ君が作ってくれましたけど、燃料って何なんですかね?

ま、ええか(思考放棄)

 

性能ですがクルセイダー(巡航戦車)3台分の強さと言ったところでしょうか。

早いところ主砲付けて邪魔する奴全員薙ぎ払っていきたいですね(鬼畜)

 

今回はここまで、次回はいよいよ箱舟が発進します。

ご清聴ありがとうございました!!

 




オリジナルの方舟に乗ってミレニアムから逃走する案は前々から決めてた事なのですが、危うくホモ君がウトナピシュティムに乗るところでした。(セーフ)

アトラ・ハシースの元ネタは旧約聖書、
ウトナピシュティムの元ネタはギルガメシュ叙事詩だと思われます。


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ONLY AXELL


アリスちゃん「これが手柄です、褒めてください!!」
→どう考えても1tはある大型ロボの残骸
兎「えぇ……(ドン引き)」

ホモ「ふーん、流石の『白兎』も旧世代の技術は扱えないか。」
兎「できらァッ!!……できたッ!!」
ホモ「頑張ったね、運転していいよ。」
兎「わーい!!」



兎と自作した改造車で『廃墟』から脱出するRTAはーじまーるよー!!

 

前回は研究所を移動要塞へと改造完了させたところまで進みました。

あとはC&Cに見つからぬよう、こっそりと『廃墟』奥へと身を潜めるだけです。

 

外に出ねぇの?と仰る視聴者兄貴達も居るかと思いますが、外は既に彼女達(ヴェリタス)の監視の目でいっぱいです。

 

そしてこの『デュカリオンの箱舟』……

長いのでこれからは『ホモ舟』と省略しますが、ステルス性能がウ〇チです。

 

ただ単に図体のデカい装甲車なので仕方ないんですけど、外を彷徨けば秒でヴェリタスに見つかりC&Cが駆けつけてくるでしょう。

後でどうせ付けるとはいえ、せめて移動時の消音機能は搭載しておくべきでしたかね……

 

あと『廃墟』や『カタコンベ』のような階層型ダンジョンは、

最奥のステージのボスを倒すと最上級のオーパーツを報酬として獲得できるのでそれも狙っていきます。

『水没廃墟』とは違い、ケテルの強さが平均的に1番低いのも『廃墟』へ向かう理由のひとつですが。

 

ま、細かいことはいいです。

さっそく『ホモ舟』の試運転を行いましょう!!

 

「出発進行ー!!」

・コユキの号令と共に箱舟が動き出した。

 

ちゃんと動いてくれましたね。

偶に変な乱数が発動して動かない事もあるらしいので、地味なお祈りポイントのひとつでもあります(無敗)

そんなところまで現実に寄せなくていいから(善意)

 

余談ですが、MAP移動中のミニ3D『ホモ舟』と兎達。

ちゃんと移動時にモデルが動くのは流石、運営は分かってますねぇ。

ミニキャラがかわいいのも、原作と同じくこのゲームの良いところです。

 

そうこうしてる内に、『廃墟』表層まで到達しました。

この前まで素材回収を鬼のように繰り返したせいか、敵ロボット兵が全然見つかりません。

殲滅を繰り返してリポップが遅くなってるんですかね?

 

「思ったより速度でるんですねこの装甲車?」

・最高だと時速75kmは出せるはずだ。

「驚愕、そして同時に何やら懐かしい感じがします……」

 

まさか、『アトラ・ハシースの箱舟』の事でしょうか?

アリスちゃんは既に旧キヴォトス時代の記憶がないはずなんですが……

一概に記憶と言っても全てを忘れてしまっている訳じゃ無いのかもしれませんね。

 

おっ、ここから『廃墟』の下層に入れますね。

チームⅤには外に乗り出して周囲の警戒をしてもらいましょう。

 

「……そう言えばブレーキはどうやってかけるんですか?」

・そんなものは無い。

「えっ?」

 

言い忘れてましたがこの装甲車、ブレーキは無いです。

当たり前だよなぁ!!

どうしても減速したい時はドリフトしてね☆

 

はい、真面目に解説します。

今ブレーキにオーパーツを使うくらいなら、装甲に割り振った方が効率が良いんです。

 

じゃないとせっかくの『ホモ舟』が、グレネード1発で半壊するクソ雑魚戦車(主砲なし)と化します。

最低でどの耐久値になるかと言いますと、ヒフミさんが3秒で崩壊できる紙耐久となります(1敗)

これがファウストの力……

 

流石に走者でも今後クリアまでノー被弾で『廃墟』の下層を巡れるか?と言われるとNOと言わざるを得ません。

ある程度被弾しても問題ないレベルの装甲は必要経費です。

 

ま、落下したら装甲関係なくGAME OVERなんですけどね初見さん?

……「じゃあブレーキつけろよ」って?

 

皆さん忘れがちですが、これはRTAです。

ブレーキなんて付けるわけねぇんだよなぁ!!

 

常に行動はフルスロットル、立ち止まる人生(安定感のあるチャート)なんて何も面白くねぇ!!

これは走者の鏡ですわ(自画自賛)

 

「ちょっとぉ!?それはつまり私が操縦ミスしたら……」

・崖から落ちたら、間違いなく全員仲良くペシャンコだ。

「全く洒落になってない!!なんて物運転させてるんですかぁ!!?」

 

大丈夫、大丈夫。

 

私が強いボスから奇襲されて撤退する時以外で、操作をミスする事なんてまず有り得ないですから。

 

それにもう『廃墟』の中に入ってるから後戻り出来ないゾ♡

 

あっそうだ(唐突)

『ホモ舟』に限らず戦闘時の撤退成功率は全員の平均移動速度に左右されます。

初心者走者はロケラン装備生徒で走ると、移動速度が足りずガバをリカバリーできなくなるので気をつけてくださいね。

 

「何があなたをそこまで駆り立てたんですか!?」

・経費削減、あとはロマンだ。

「ロマッ──AL-1Sちゃんも何とか言ってやってください!!」

「当機も『ロマン無くして人生に彩はない』とオーナーから教わりました。」

「くそぅ、この人達結構ノリで動く事を忘れてました……ハッ!!まさかこの装甲車、自爆機能とか付いてないですよね!?」

・そんなものを付ける訳ないだろう。

「考察結果を開示、ロマンと無謀は違うと宣言します。」

「で、ですよねー?良かった、そこはあの人達と違って……」

 

そんな事する連中がいる訳ないだろ、いい加減にしろ!!

自爆機能、飛行船、爆発オチ…うっ頭が……

 

「う、うぇぇぇ……意識したら緊張感で吐きそうです、誰か操縦者を変わってください……」

「オーナー、次は当機が操縦者に立候補します!!」

 

アリスちゃんのお願いなら仕方ないね。

断る奴なんておりゅ?いねぇよなぁ!!?

他人に生殺与奪の権を握らせた兎は、後でお仕置きです(無慈悲)

 

『オーナー、急ぎのお話が。』

 

うん?見張りに出てたチームⅤからの連絡ですか。

近くにケテル君でも湧いたんですかね?

ちょうど良いので装甲車の走行テストと装甲テストを行いましょう(激ウマギャグ)

 

『猛スピードでこちらに向かってくる生徒達を確認しました、恐らく相手はC&Cです。』

 

ファッ!?追っ手のC&Cが来ただとぅ?

しかし既に移転の準備は済んでます。そのための経費削減です。

好感度上げも兼ねてアリスちゃんに運転してもらいつつ、C&Cを撒きましょう!!

 

・『デュカリオンの箱舟』を急発進させて、廃墟最奥へと向かう。

・AL-1Sは初めて触るはずの操縦桿を巧みに扱い、装甲車を走らせた。

 

アリスちゃん、いいですねぇ!!

いくら彼女達(C&C)でも、距離が離れた状態で『ホモ舟』には追いつけまい!!

勝った、Vol.2レトロ・ロマンチック完!!

 

『ドンッ!!』

 

・衝撃音と共に装甲車はふらつき始めた。タイヤがイカれたか……

 

ど ぼ じ で ぞ ん な ご ど す る の ! ! ?

 

完全にカリンの精密狙撃を忘れてました……(ガバ)

逃走中の時間を使いC&Cについて軽く解説を。

 

彼女達は「Cleaning&Clearing」、略称は「C&C」。

メイド服を組織の制服とする彼女達はセミナー直属のエージェントで、奉仕作業や戦闘共に腕利き集団です。

 

構成メンバーは5人で基本4人で任務にあたります。

もう1人は?と疑問に思う原作未視聴兄貴も居るかと思いますが、今回はとばします。

 

各々が非常に個性の強い面子となっており、近中遠隙のないパーティとなっております。

今の状況で大事な情報のひとつですが、彼女達の移動速度は速い部類に入ります。

 

なので非常にまずいですよ、クォレは。

確認したところ片輪のタイヤが破損し、速度は時速40kmに低下。

彼女達のリーダーのスピードなら追いつかれてしまいます。

 

指が、震える……汗で手元が、狂うっ!!

こういう時は素数を数えて落ち着きましょう。

1、2、3、5、7、11……あれ?

 

・………。

「オーナー?」

「あばばば、どうしましょう!?」

 

スゥー……はい、完全に落ち着きました。

タイヤが完全にお釈迦になりますが知ったことではありません。

まだ相手との距離はあるはず、諦めなければどうとでもなると信じて────

 

『ホモ舟』、全速前進せよ!!

 

「よォ、そこに居んのかてめぇ(白兎)?」

・前方にはスカジャンを羽織った小さなメイドが待ち構えていた。

 

 

 

 

ピャアァァァァァアッ!!(発狂)




3月8日メンテ後にストーリー更新ってマジですか?(痴呆)

まだだ、まだ慌てるような時間じゃない。
少し前に組み立てたばかりのプロットが崩壊するなんて事は断じて無い!!

いや……逆に考えればVol.2が始まったばかり、まだ巻き返せると考えればラストの展開を変更するだけでワンチャン?

勝ったな、風呂入ってくる(慢心)


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頭文字A


前回のあらすじ

ホモ「ブレーキないから止まれないゾ☆」
兎「ナニヤッテンダオマエェ!?」
アリスちゃん「当機知ってます、これロマンですよね!!」
兎「ナニオシエテンダオマエェ!?」

C&C「見つけた。」
走者「ネルに追いつかれないようにしないと!!」
ネル「(^ ^)」
走者「終わった……」



「よォ、そこに居んのかてめぇ(白兎)?」

・前方にはスカジャンを羽織った小さなメイドが待ち構えていた。

・あの距離から追いついたとすれば、恐ろしいスピードだ。

 

う~~ううう、あァァァんまりだァァアァ↑

 

……フー────スッとしたぜ(震え声)

おれはしょうきにもどった。

 

見事フラグ回収してネルに接近を許してしまいました。

ですがまだ再走するレベルのチャート崩壊ではありません。

ここからひとつでも選択を失敗すれば、崩壊する1歩手前なのは確実ですが。

 

あーもうめちゃくちゃだよ。

 

今回のホモ君は優秀ですし、再走は走者のハートが崩壊するので続行です(鋼の意思)

 

ネルに接近を許す、またはC&Cと接敵する事の何が問題か解説しておきましょう。

彼女達と敵対した場合、勝っても負けても敵味方関係なく周りの施設に深刻なダメージを与えてきます。

 

これは兎を大人しく突き出し(リリース)ても変わりません。

強制的に戦闘パートに突入します。

そうなれば、あえなく『ホモ舟』と共に研究所も爆発四散、研究は進まずジ・エンド!!

痛いですね……これは痛い。

 

一応大人しく言うことに従えばC&C達の強さは弱く設定され、敗北しても味方へのダメージは極小で済みます。

ですが今回はC&Cに勝てる目論見のある戦力がある上に、コユキを手放すのはとても痛手です。

 

なので『ホモ舟』を完全破壊されずに、逃走成功か戦闘勝利のいずれかを狙っていきます。

……無理ゲーでは?

 

「投降すりゃ痛い目を見ずに済むぜ?」

・どうする?

 

バカヤロウ俺は諦めねぇぞ!!

(投降する訳が)ないです。

当然ここは戦闘に入る選択肢を選びます。

 

「オーナー、命令(オーダー)を。」

・構わん、進め。

「了解。」

「───ッと!!OK、てめぇらの返事はよぉくわかった……」

 

『ホモ舟』で突進して逃走を図りますが……まぁ追いかけてきますよね。

さぁ、戦闘パートに入ります。

覚悟は良いか?────俺は出来てる。

 

「ゴミは掃除しねぇとなぁッ!!」

『一斉掃射』発動

 

ドガガガガガガッ!!

 

「うわぁぁぁッ、凄い音してますけど!?」

・装甲がドンドン削られていくのが分かる。

 

おいヤメルルォ!!

いきなり大技ブッパは止めてもらいたい(切実)

一気に1/4も装甲が剥がれました………

 

今回アリスちゃんは戦闘に参加出来ません。

というのも、彼女の育成がまだ終わっていないので、ネル相手だと負ける不安要素があるからです。

 

『ホモ舟』止めて戦えよ、という兄貴達も居ると思いますが、足を止めるとC&Cが勢揃いしちゃうので……

 

最高速度を落とさずネルを倒すか撒くかする必要があるので、射程に難のあるアリスちゃんは操縦し続けてもらうしかありません。

戦闘はチームⅤと兎に頑張ってもらいましょう。

 

・戦闘開始だ。

「やるしかないんですね……」

「オーダー承諾、チームⅤ動きます。」

「あぁん?『白兎』に、あれはヘルメット団か?」

 

チームⅤ達には一応身分を偽った状態で戦闘してもらいます。

セミナー会長のドローンが潜んでる可能性もありますから、バレると色々と面倒です。

そしてこちらからも、1発お見舞してやりましょう(ゲス顔)

 

「榴弾いきまーす。」

『爆砕』発動

 

ボゴォォォォンッ!!

 

・天井を破壊し、スナイパーの射線を塞いだ。

 

ヨシッ!!(現場猫)

 

これでカリンの狙撃は少しの間、止まるでしょう。

2個目の車輪を破壊されると逃走自動失敗で詰みます。

 

「メンバー2と3は控えておけ。『白兎』とメンバー1は奴を牽制しろ。」

「了解!!」

「うぇえ、あんまり期待しないで下さいよ……」

 

兎ぇ……神秘の強化直後はあんだけ調子乗ってたのにお前(呆れ)

動きとしては以下の作戦でいきます。

 

・リーダーと兎が長距離から弾幕をばらまいて牽制。

・中距離に入ればメンバー1も牽制に加わる。

・隙ができた所へ初見殺しのモルタル榴弾をぶち込む。

・万が一彼女が有効射程まで到達したらメンバー2も加えて追い払う。

 

あとは走者の腕とアリスちゃんの運転テクにかかっています。

 

現在チームⅤ達が戦闘を行っていますが、ネルは普通に追いかけてきてます。

片輪吹き飛んだとはいえ、時速40kmは出てるんですけどねぇ。

やっぱアイツおかしいよ……。

一応このまま近つけずにダメージを与え続ければ、いつか撒けると思いますが……

 

「はははははっ、やるじゃねぇかてめぇら!!だがな────」

 

あっ、これはまずい。

 

「こっちも1人で戦ってる訳じゃあねぇんだぜッ!!」

『爆弾魔』発動

 

・次の瞬間、天井が爆音と共に崩壊した。瓦礫が落ちてくる!!

 

ファーーーーーwww

 

最悪の乱数要素であるC&Cメンバーの1人アカネのスキルが発動しました。

因みに『爆弾魔』は彼女の他にハルカ等が所持しています。

 

効果としまして、彼女はマップの何処かに最大3つの爆弾を設置することが可能です。

そして爆弾は敵が効果範囲内に侵入すると起爆します。

 

するとどうなるか?

天井の巨大な瓦礫が落ち、『ホモ舟』はスクラップになります。

最悪な状況はホモ君達がロストすることですが……

 

「危ないッ!!」

『破壊王』発動

 

・巨大な瓦礫は破壊され、小石程度の破片が『デュカリオンの箱舟』に降りかかる。

 

メンバー3、愛してるーッ!!!!

流石はモルタル使い、広範囲爆発系の火力はやっぱり使い勝手がいいですねぇ!!

 

とはいえモルタルは連射性能がウ〇チなので連続で瓦礫アタックされると対処不可能です。

モルタルが使えないと、火力が足りないので瓦礫は避けるしか対処法はありません。

くるなよ、絶対に連続でくるなよ!!

 

あっ、そうだ(唐突)

思いつきましたよ、一気に状況を好転させる作戦を。

そろそろカリンの狙撃も再開しそうなので、ここは強引に射線を塞いでやりましょう。

 

「作戦了解、振り落とされないように注意してください。」

「総員、対ショック体勢!!」

 

カチコミの時間じゃあ!!

 

・『デュカリオンの箱舟』は壁をぶち抜き、進路を変更した。

「何っ!?」

 

ざまぁーーーwwww

 

恐らくアカネとアスナが先回りして罠を張ってたのでしょうが、そんなものに引っかかる走者ではありません。

予想外の進路に舵切ってしまえば罠なんて関係ないんだよなぁ!!

 

それではC&Cの皆様、アデュー!!

 

「───ッ!?人影を確認、C&Cです!!」

「あっリーダー、装甲車こっちに来たよー!!」

「でかした!!」

 

お前さぁ……(クソデカため息)

 

なんで俺に気持ちよくゲームさせてくれねぇんだ(憤怒)

これだから『直感』持ちは……

 

はい、C&Cの中で最も面倒な『直感』を所持したキャラであるアスナに出待ちされてましたクソが(逆ギレ)

だいぶ前にもちょくちょくスキル名は出してましたが、このスキルがマジでやばい。

 

ホモ君の持つ『解析』の完全な上位互換です。

探索以外にもこういう戦闘で、潜伏した敵を何となく見つけたり、勘だけでカタコンベのような迷宮ダンジョンをRTAしたり、やりたい放題。

 

本来想定されてない筈の逃走経路を抑えることが出来るのは、恐らくミレニアムでは彼女だけでしょう。

くれよそのスキル、ホモ君の『解析』と等価交換だ(強欲)

 

「あははっ、待て待てー♪」

「なんで此処に居るんですかあの人ーッ!!?」

「口ではなく、手を動かせ!!」

 

付いてくるんじゃねぇ!!(マジギレ)

ネル程ではないにしろ、火力はあるし素早いから追いついてきますね。

あとネルも追いついてきましたね、うーんこのクソゲー!!

幸い彼女達は近中距離タイプなので、牽制をしっかりすれば『ホモ舟』は傷つきません。

 

「逃がすかよ!!」

『爆弾魔』発動

 

ここで2つ目ですか。

だがしかし、既にモルタルの準備は出来てます。

瓦礫でもなんでも来いや!!

 

・次の瞬間、地面が爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

ふざけるなァァァァァァッ!!




C&Cからの逃走中は少し長めの構想です。(4話予定)


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ゲイ術は爆発


前回のあらすじ

アリスちゃん「1万1千回転まできっちり回します!!」
チビメイド「面白れぇ!!」

走者「上から来るぞ、気をつけろ!!」
大型犬メイド「残念、下からだ。」
走者「うわらばッ!!」(爆発四散)

コユキは無事にお迎え出来ました。



・次の瞬間、地面が爆発した。

 

ふざけるなァァァァァァッ!!

 

誰だ地雷なんか設置したやつは!!

いや、そんな事より『ホモ舟』のタイヤの耐久値は……

 

ヨシッ!!(現場猫)

全体的にオンボロになってしまいましたが、何とかまだ走行可能な状態ですね。

危うく「爆発オチなんてさいてー!!」展開になるところでした(2敗)

 

さてはこやつ(アスナ)、わざわざ床のタイルを剥がして爆弾を仕込んでましたね?

試走に無かった事しなくていいから(良心)

いい感じにタイルがクッションになったのか、思ったよりダメージは少ないようです。

 

しかし状況は依然悪く、1発でも鉛玉を貰えば『ホモ舟』の人生はそこで終了、走者のチャートも爆散します。

ここが正念場です、頼むよ〜再走は嫌だ再走は嫌だ……

 

「全員狙撃に警戒しろ!!」

『火力集中』発動

 

「了解!!」

CHAIN

『撹乱攻撃』発動

 

「全弾発射します!!」

CHAIN

『破壊王』発動

 

スキルの大盤振る舞いです、たまげたな〜。

連続(CHAIN)でスキルが発動すると効果も飛躍的に上昇しますが、その分発動後の隙はかなりでかいので気を付けましょう。

現に今はバックアップに兎達を残しています。

 

3人の爆発系スキル発動で辺り一面が更地になってますね。

………やったか?(フラグ)

 

「はははっ、そう来なくっちゃなぁ!!」

 

なぁ〜んであの爆撃の中無傷なんですかね?

アスナでさえちょっと効いてる感じするのに……

まぁ、原因は分かってます。

 

彼女の所有スキルのひとつである『神速』。

このスキルはアリスちゃんの所有する『韋駄天』の上位互換となっております。

このスキルは移動速度と回避率が上昇するのですが、ネル自身の回避率がクソ高いので全く攻撃が当たらなくなります。

 

彼女に攻撃を当てるには範囲攻撃、超近距離で彼女と闘れるキャラに限ります。

まぁ、チビメイドと近距離で闘りあえる奴なんてそうそう居ませんが。

広範囲攻撃で対処する際は、距離を詰められると死ぬので気を付けましょう。

 

『精密狙撃』発動

 

ファッ!?あかん、『ホモ舟』が死ぬぅ!!

 

「いッ────たいですぅ!!」

・メンバー2が身を乗り出して銃弾から庇った。

 

やりますねぇ!

メンバー2ちゃんが庇ってくれました。

好感度が高いとこういった行動とってくれるから、カルマ値善ムーブはやめらんねぇなぁ!!

 

だから運営はイベントのスキップ機能付けて?

好感度上げすぎたらタイムロスしちゃう……

 

そして何気に1番怖いカリンの『精密狙撃』。

初心者から玄人まで幅広く愛用するスキルのひとつです。

効果はシンプル故に強力な命中率とクリティカル率上昇。

デメリットはクールタイムが結構長いだけの超有能スキルです。

 

このゲーム、回避タンクの対策をしないと一生倒せなくなるので、スナイパーの必須スキルとなっています。

 

お前の事だぞ、おっぱいタンク。

 

その巨大な盾は飾りか?

アイツ固有スキルで回復もするから手が付けれねぇよ……

一応こちらには、回避タンクの対策はアリスちゃんが居ます。

 

さて、未だに逃走が続いておりますが、作中屈指の移動速度を誇るネルに追いかけられても逃げ遂せる手段があります。

それは『時間切れ』、このゲーム実は戦闘時間が決まってるんです。

 

その間5分、カップラーメンが食べられる程度の時間です。

そして現在の戦闘時間は4分前。

撤退戦は攻める側が敗北判定を受けるので、この1分間を凌げるかどうかにかかってます!!

 

「メンバー3、いつでもいけます!!」

・迫撃砲の用意が整った。

 

モルタルの準備完了です!!

後はこいつで『爆弾魔』の処理をしてやれば逃走は成功できます。

いいよ、こいよ、はやくこい(暗示)

 

『爆弾魔』発動

 

「天井が爆破されました───来ますッ!!」

・またもや巨大な瓦礫が天井から降りてきた。

 

キマシタワー!!

『破壊王』を発動させましょう。

 

『破壊王』発動

 

因みに相手のスキルをCHAINさせることで妨害も可能になります。

今回はタイミングが間に合いませんが、上手くいけばスキルを無効化することが出来ます。

勝ったなガハハ、風呂入ってくる。

 

「ウチの狙撃手を舐めてもらっちゃ困る。」

 

CHAIN

『精密狙撃』発動

『破壊王』発動失敗

 

何やってんだお前ぇッ(ガチギレ)

 

聞こえる……チャートの崩れる音が……

だいぶ前から崩れてる?うっせえ!!

 

どどッどどどうすれば……

 

・なんとかAL-1Sに避けてもらう

・天運に任せて全速力で突っ込む

 

う、うおおおぉぉ!!

死なば諸共、やったれアリスちゃんッ!!

 

・突っ込むしかない。

「全速前進、突っ切ります!!」

「総員回避ッ!!」

 

ベキベキベキッ!!メシメシメシッ!!

 

・嫌な音が車内に響くが、一瞬のことだった。

・真上の装甲はもう効果が期待できないだろう。

 

イヤーッ!!装甲がイカれちゃったーッ!?

あぁッ、『ホモ舟』が見事なオープンカーになってる。

可哀想に……これじゃ『ハゲ舟』ですよ。

 

ですがアリスちゃんのお陰で最大のピンチを凌げました。

カスが、効かねぇんだよ(満身創痍)

嘘です攻撃しないで!!

 

「やっと近づけたぜ、ちまちまと抑えやがって!!」

・小柄のメイドが甲板に乗り上げていた。

 

ファッ!?(驚愕)

瓦礫の衝撃に紛れてネルが近づいてましたか?

近くにいるのは──志村、後ろ!!

 

「ふぎゃんッ!?」

「コードネーム『白兎』、補足したぜ。────危ねぇ!!」

「ううぅ、行かせません……」

「へぇ……やる気か?」

 

あばばばば(痙攣)

 

不味いですよこォレは、このままだと最悪2人がロストしちゃいます。

なんとかメンバー2が割り込んで兎の拘束は解けましたが、時間の問題です。

 

「てめぇもいいなぁ!!だが───」

「うあぁッ!!?」

「相手が悪かったな、ここはあたしの間合いだ。」

・メンバー2の額に銃口が突きつけられている。

 

あかんッ、メンバー2がロストするぅ!?

流石にネルの相手はまだ時期早々でしたか……

あれ、兎何してんの?撤退しろって言っただろオラァん!?

 

「うぐぅッ……もう、なんとかなれーッ!!」

『変数爆弾』発動

 

えぇ、いつの間にそんなスキルを……(困惑)

とはいえコユキの火力では雀の涙、その程度でネルは止まらな───

 

・『変数爆弾』は『電界』へと性質を変化させた。

 

「なん────ッ!?」

「うわぁぁぁあっ、ごめんなさ───えっ?」

「な、ナイスアシスト!!」

 

これはもしや……

 

 

 

 

・美甘ネルはスタン状態に陥った。

 

 

 

 

やりますねぇ!!

 

やっぱり兎、兎は全てを解決する(手のひらドリル)

爆弾を全て掻い潜ればこっちのもんですよ。

やっちゃえメンバー3ッ!!

 

「くそっ、待ちやがれ!!」

「そこです!!」

『破壊王』発動

 

・今度はこっちから天井を破壊し、通路を塞いだ。

・………追ってこない。彼女達を撒いたようだ。

 

シャァァァッオラッ!!(コロンビア)

無事C&Cから逃走することに成功しました!!

生きた心地がしませんねホント。

 

『ホモ舟』はよく耐えてくれました。

ヒエッ、装甲が薄皮1枚分しか残っていない……

被害総額は兆を余裕で超えるでしょう(震え声)

 

・撒けたのは良いが、大赤字だな。

「えぇ、ですが研究機器は無事で安心しましたね。」

「いかがでしたか?当機のドライブテクは。」

「にははははッ最高でしたよ!!あー、楽しかったぁ……」

 

兎が楽しそうでこれにはホモ君もニッコリ。

何わろてんねん(豹変)

 

・『デュカリオンの箱舟』を停車させて修理するぞ。

「オーナー、この車はブレーキがないです!!」

・……後でブレーキも付けるか、軽く壁にぶつけて停車させろ。

 

オンボロ装甲車を壁に擦り付けるのが勝者の姿か?

ボブは訝しんだ。

ま、最後に勝ったやつが勝者って事で(外道)

 

今回はここまで、次回は『ホモ舟』の修理とアリスちゃんの最終魔改造を予定してます。

ご清聴ありがとうございました!!

 

─────────────────────────

 

埋もれた通路を目にやり、C&Cの4人は全員集合していた。

最後の1連の動作、あれは鮮やかな逃走だった。

 

「完全に見失いましたね。」

「どうするのリーダー?」

 

まさかあの『白兎』にしてやられるとは。

珍しくあの()()()()()()()だから何かあるとは思っていたが……

勘だがほぼ確実に奴の後ろには強大な何かが潜んでいる。

そして自分達を迎撃したヘルメット団、あれはそこらの学生より強い。

そんな予想外の事が重なったとはいえ、実質的な敗北を喫したのだ。

しかし────

 

「決まってんだろ、任務続行だ!!」

「だよねぇー、私も()()()()()思いついたし♪」

「……一旦物資を補給しよう、外でアカネと合流だ。」

 

自分達C&Cの依頼成功率は100%、それはこれからもそうだ。

泥を付けられたままでは帰れない。

 

「この借りは返させてもらうぜ『白兎』。」

 

揺るぎない闘志を目にリベンジを狙う。




兎の活躍回でした。
ピンチに覚醒するのは主人公の特権ってそれ、1番言われてるから。

コユキちゃんメモロビ解放しましたが、表情豊かで可愛いですね。
でもやっぱり泣き顔が1番似合うと思うの(畜生)


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魔王誕生


前回のあらすじ

ホモ「全速前進DA☆」
アリスちゃん「おかのした。」
デュカリオン「禿げちゃう〜〜ッ!!」

チビメイド「チェックメイトだ。」
走者「何とかして()」
メンバー2「助けてくださいぃ」
兎「無茶言わないで!!……出来た!?」



作成して1日も経たずに半壊した装甲車を修復するRTA、はーじまーるよー(棒読)

 

前回はC&Cとの撤退戦を終えました。

今回は装甲車の修復作業を行っていくのと、アリスちゃんの魔改造を完了させる予定です。

まずは装甲車の状態確認から。

 

・装甲車の状態を確認する

・ここまで走れたのが奇跡のような損傷具合だ。

 

うわ酷い(真顔)

あんなにオーパーツ詰め込んだのに……今日日、生魚の方が長生きしてますよ(死語)

 

・特にタイヤの損傷と装甲の損傷は激しく、天井装甲に至っては剥がれてしまった。

 

幸いにも指令系統は被害を免れたようです。

本当にガワだけ持ってかれたくさいですね。

装甲部分の耐久が低いように思われるかも知れませんが、(そんな事は)ないです。

単純にネルの火力がお化けなだけですネ。

 

「解析結果、損傷率40%以上。早急な修復作業が必須です。」

「C&Cか……アレだけのオーパーツを使用した装甲をここまで容易く損傷させるとは。」

「ね、おっかないでしょう?」

 

おっ、そうだな(適当)

身をもって知ってるだろう兎が言うと、説得力ありますねぇ。

 

リーダーちゃんが装甲のやられ具合に驚くのも無理ないです。

『ホモ舟』の装甲タイプには、自身への爆発タイプの攻撃ダメージを軽減する効果が備わっています。

その軽減率なんと25%!!

 

これに(装甲持ち)加えてエンジニア部の『機械修理』持ちがいれば、難攻不落の要塞が完成します。

流石に擬似アトラ・ハシースの箱舟を造られた時は発狂しましたねぇ(遠い目)

勿論、試走ホモ君は秒殺です(1敗)

超高性能要塞型箱舟を相手に勝てるわけねぇだろいい加減にしろ!!

 

……コホン、これだけ聞くと万能そうな装甲ですが、当然対抗策が存在します。

それが攻撃タイプの貫通です。

 

攻撃タイプってなんだ?という兄貴達の為に久々の解説ターイム。

 

このゲームにはポケ〇ンよろしく、攻撃に相性が存在します。

それが爆発、貫通、神秘の3種類。

 

爆発タイプは装甲無しに強く、

貫通タイプは重装甲に強く、

神秘タイプは特殊装甲に強いです。

 

因みにチームⅤはメンバー2以外が爆発タイプになります。

それぞれ得意な装甲タイプに攻撃すると、ダメージ軽減効果を受けず、通常の倍ダメージが出ます。

 

飲み込みの早い兄貴達なら察したと思いますが、『ホモ舟』の重装甲にネルの貫通タイプは相性が悪いんです。

オーパーツを使用して特殊装甲へ変更していたのですが……彼女の火力が高すぎて一瞬でパーになりましたくそボケ。

あはっあはっ、こんなになっちゃった僕の装甲車(情緒不安定)

 

はい、なので装甲車の修復作業を始めていきます。

ついでに並行作業でアリスちゃんの魔改造を完了しちゃいましょう。

 

・ここからは装甲車のオーパーツ集めだ。ここで舟を直す。

「ですがオーナー、私達が探索する間の戦力に問題があるかと。」

「そうですよ。勘ですけど追跡諦めてませんよ、あの人たち(C&C)。」

・問題ない、彼女達はここで迎え撃つ。

 

(アリスちゃんが加わるんだから戦うのは)当たり前だよなぁ?

贔屓目なしで改造後のアリスちゃんはキヴォトスで一、二を争う強さになります。

具体的にはヒナとかミカレベルの辺りか、相性によってはそれ以上。

 

気を取り直して、現状まず間違いなくC&Cは追跡を再開してくるでしょう。

彼女達はエージェントのプロフェッショナル、例え学生でもその役職に確かな矜恃を持っています。

それに装甲車にダメージが入ってるのは向こうも分かってる筈なのですぐに来るでしょう。

遠くに逃げる前に潰す、コレ基本。

 

今回は迎撃戦を予定してるので、装甲車は使用しません。

そして迎撃に成功すれば1週間程の猶予が与えられるので、素材回収だけすぐ始めて修復作業はC&Cの撃退後に一気に行います。

………修復作業をすると言いましたね?

 

あ れ は 嘘 だ

 

後回しです、文句あっか?

真面目な話、修復してるとC&Cに破壊される危険があるからね、仕方ないね。

あと普通にブレーキとか要るので………ナオキです。

 

ここから導き出される答えは2つ、優先すべきはアリスちゃんの魔改造だということ。

 

そしてもう一点。

相手に先制攻撃それもネルにタイマンを挑みたいので『廃墟』に監視の目をつける事。

幸い上の階層敵は前回の素材回収で殲滅したのですぐ終わるでしょう。

やり方は後ほど解説します。

 

・今回はAL-1Sも居る、戦力的に負け筋は無いに等しい。

「……なるほど、作戦があるのですね。」

 

作戦はこうです。

 

・リーダーちゃんとメンバー2は素材回収と、監視の目を付けるための部品を取ってきてもらう。

 

・メンバー1、3と兎は合図が出たら爆撃を行い相手を分断。

 

・ネル以外のメンバーを足止めするか倒す。

 

・アリスちゃんはネルとタイマンで倒す。

 

大まかに分けるとこんな感じです。

少し説明が雑すぎますが、戦闘を見てたら分かりますよきっと(多分)

 

最低目標はアリスちゃんがネルを倒すことです。

撃退ではダメなのです、ちゃんと打ち負かすことが重要になります。

じゃないと永遠に追いかけて来ます、RTAになんねぇよこれじゃあ……(2敗)

 

「作戦開始します。」

・リーダー達が任務を開始した。

 

さて、リーダー達が任務に向かってる間にアリスちゃんの魔改造を完了させましょう。

とは言っても大部分の改造は完了してます。

 

武器の改造と神秘は強化済み。

後は残りのレポート、オーパーツを全て注ぎ込んでアリスちゃんを更に強化していくだけ。

スキルレベルもしっかり上げていき───うん?

 

名前:AL-1S

使用スキル:『怪力』、『自己修復』、『韋駄天』、『防御貫通』

 

なんか増えとるーッ!?

 

いえ、もう驚きません。

新しいスキルを覚えていたようです。

毎度の事ながらいつ覚えてくるんですかねこの子。

 

……よくよく考えてみれば、そら(ロボットの相手ばかりしてたら)そうなるか。

やっぱアリスちゃんは最高やなって。

 

新たに取得したスキルは『防御貫通』ですね。

効果としては一定時間相手の防御状態を無視する攻撃が可能になります。

シールドなんかも無視して攻撃できるので、これでアリスちゃんの火力は更に上がります。

言わなくても分かるレベルの有能スキルです。

この子は一体何を目指してるんだ……(困惑)

 

スキル自体は、主に貫通タイプ以外のスナイパーが所持してる印象がありますね。マシロとか。

これから戦うカリンも持っています。

 

「驚愕、性能の著しい上昇を確認。」

・見た目こそ変化はないが、彼女の力がヒシヒシと伝わる。そして強い気配を感じる。

 

アリスちゃん、立派になって……

真面目に超強い魔改造アリスちゃんが出来ました。

戦闘力の上昇を感じ取ったのか、目がキラキラしてます。

何処ぞの戦闘民族かな?

 

・準備を進めているとリーダーが帰ってきた。

 

お、帰ってきましたね。という事は──

 

「オーダー通り、『ケテル』の生け捕りに成功した。」

・バチバチと音を立てつつ、装備を全て剥がされたケテルが横たわっている。

 

ケテル捕獲成功、ヨシッ!!(現場猫)

何も戦力として使うわけではありません。

用があるのはこいつの脳………つまり指令系統です。

こいつの指令系統となる電脳を乗っ取り、周囲の敵対ロボを操ります。

 

指令範囲は現在の階層と合わせて5階層分ですね。

幸い他の預言者と比べて安易な作りをしてるのですぐ終わります。

ホモ君の腕があれば、ちょちょいと作業するだけで完成です。

 

「では引き続き任務を続行します。」

・リーダー達が作戦を再開した。

 

言われた事をすぐこなすリーダーちゃん優秀過ぎない?

中層のケテル程度なら簡単に倒せるようになったんですね。

 

「奴の相手は頼んだぞ、AL-1S。」

「回答、問題なし。大船に乗った気でお任せ下さい!!」

「さっき乗ってた大船は沈みかけてましたけどね。」

「……貴様は後で戦闘訓練だ、覚悟しておけ。」

「ぬあぁんでえぇぇー?」

 

なんか君たち仲良くなってる……なってない?

いや、生徒間で仲良くなっていく分には何も困らないのでいいんですけどね。

この時間は特に話すことがないので容赦なくスキップです。

 

キング・クリムゾンッ!!(114514倍速)

 

・監視の目に反応があった。

・物資の補給が完了したのか、もう攻めてきた。

 

動きがあったのは10分後ですか。

思ったより早いご到着ですが、逆にナイスタイミングです。

まだ団体で動いてるので今が攻め時です。

それでは見せてやりましょう、魔改造したアリスちゃんの力を。

 

「全員指定の場所に着きました、いつでも行動可能です。」

 

・作戦開始だ。

「指令承認、出撃します!!」

 

さぁ、蹂躙劇の始まりです。

 




最終章読み終えました。

これ(最終章)で終わりじゃないよね……?
と言う一抹の不安がありましたが杞憂に終わりほっとしております。

シロコ*テラー、どうか幸せになってね……
運営はKeyの復活をはよ(強欲)

次回は小説パートになる予定です。


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コールサイン00


1話で収まりきらなかった………

ネルVSアリスちゃん



ミレニアムの郊外に位置する『廃墟』の中層。

立ち入り禁止区域に指定されたその土地に4人の少女達が存在する。

 

その内の1人、メガネ少女がカバンを投げ捨てる。

すると着地する瞬間、そのカバンはカチリと音を鳴らし瓦礫の壁を粉々に爆砕した。

 

「随分と遠くに逃げ込んだようですね。」

 

瓦礫が吹き飛んだ後方は通路となっており、タイヤが焦げたような跡が奥の方へと伸びている。

標的の姿はここから確認できない。

 

「装甲車のタイヤを撃ち抜いた、無理に動かすと崩壊するはず。」

 

となれば、恐らくこの階層より下には向かえないはず。

任務は続行可能だ。

端からネルに撤退の2文字は無いが。

後は───彼女の電話が終わってからだ。

 

『────、──────ッ!!!!』

「だから─────、お願い─────?……あっ切れた。」

 

もう1人の仲間である少女が取り込み中から開放された。

やりたい事を思いついたと言っていたが、あの様子を見るに失敗したらしい。

彼女はいつもの3割減のテンションで合流し、4人が揃った。

 

「ごめーん、遅くなっちゃった。」

「何を話してたんだ、相手はユウカか(冷酷な算術使い)?」

「そうだよー、何を話したかは秘密☆」

 

何故だかイラッとする喋りだが、今優先すべきは任務だ。

深呼吸を挟み心を落ち着かせる。

……やっぱりイラつく。

 

「リーダー、そろそろお時間です。」

「はァ……わーってる、行くぞお前ら!!」

 

タイヤの痕跡を頼りに道を進むと、細い通路へ出る。

それと同時にタイヤの痕跡が消えていた。

代わりにあったのは規則的に続くひび割れの跡。

それがまた奥まで続いている。

 

「何だこれは?罅が奥に続いているけど……」

「痕跡が変わりましたね、誰かが持ち上げて運んだんでしょうか。」

「どんな馬力のロボだよ。」

 

幾つか装甲は剥がれていたとはいえ、アレは優に1トンを超えるはず。

工事用の巨大ロボでもなければ運搬は不可能なはずだが……

 

「案外有り得るかもしれませんよ、ここには不可解なロボットが大勢いますし。」

「それもそう、か?」

「へぇー見てみた〜い。」

 

下らない会話をしつつ奥へと進むこと数分後、奥へと続く亀裂が無くなった。

近くにいるのか?───前へアスナとネルが出る。

が、どうやら別客のお出ましのようだ。

 

「全く……蛆虫みてぇに湧きやがって。」

「総勢でのお出迎えのようですね。」

 

四角く小さいロボットの群れに、戦闘ロボットとドローン達。

どいつもこいつも、数だけは多い。

標的が近くにいるなら戦闘は避けたいが、止むを得まい。

それに───

 

「行くぞ!!」

 

最近ストレスが溜まっているのか、リーダーが吹っ切れている。

珍しく好き放題破壊してもお咎めのない任務だから仕方ないか。

彼女達(C&C)は遠慮なく弾丸を叩き込み蹂躙を開始した。

 

「目標確認、発砲。」

「オラオラオラオラァッ!!!!」

 

並の生徒ならいざ知らず、彼女達はプロのエージェント。

この程度の敵は障害になり得ない。

そんな圧倒的な強さを誇る彼女達だからこそ、戦闘を続ける内に違和感を覚えた。

 

「(やだなーこの感じ、上のロボットと何か違うような?)」

 

敵の動きが不自然すぎる。

まるで無理やり動かされている木偶人形のような。

それでいて統率はしっかり取れているチグハグさ。

 

そんな中、不意にロボ達が距離を詰めてきた。

通路は意外に狭く逃げ道は限られている。

不味いと全員が感じ取りロボットから離れた時だった。

────敵ロボットごと榴弾が炸裂したのは。

 

「榴弾!?これは───」

「全員散らばれッ!!」

 

立て続けて起こる爆発。

なんとか直撃は免れたがこれでは連携が取れない。

そしてネルは目が良すぎた、何かこっちへ向かって来る。

 

すかさず発砲するネルだが────

相手は怯むことなく接近し、ネルの首根っこを掴み走り去った。

 

「標的確保、目的地へ向かいます。」

「グオッ!!?(コイツ、滅茶苦茶力が強え!?)」

「リーダー!!」

 

悲鳴と言うには元気すぎるその声に1番早く対応したのはアスナだった。

そしてすぐ連れ去られようとするリーダーを追いかけようとした瞬間、弾丸の嵐が降り注ぐ。

 

大した威力ではないが、当たると痛い物は痛い。

瓦礫の物陰に隠れ凌ぎ、下手人の顔を見るとそいつは見知った顔だった。

 

「貴女は───『白兎』!?」

「にははは、行かせませんよ!!」

 

目標である『白兎』が目の前に現れた。

隣には2人ヘルメット団員が付いている。

 

「どうする?まだ追いかけることは出来ると思う。」

「………いいえ、私達は任務を続けましょう。リーダーなら何とかなるでしょうし。」

 

死んでも死なないような人だ、問題は相手の戦力。

3対3なら十分勝機はある。

 

「標的が向こうに逃げる前に確保しちゃおうって事?」

「えぇ、確実に標的を確保して合流しましょう。」

 

リーダーの心配は、するだけ無駄。

なら、自分達の出来ることを成し遂げるだけ。

 

「あれれー、もしかして勝てると思ってます?」

「……貴女、そういうところですよ。」

「あはは、まぁいいじゃない。さっさと終わらせるよー。」

 

エース不在での3対3の戦いが始まる。

 

───────────────────────

 

「このッ───離せ!!!!」

 

なんとか手を払い除け、そいつの姿を見やる。

青いヘルメットに小柄な背丈。

だが、つい先程戦ったヘルメット団員とは雰囲気が違う。

何よりその腰にかかる奇妙な2丁の拳銃?が一層オーラを強くさせている。

 

「ケホッ(まだ喉に違和感が……)」

「目標の誘導に成功、戦闘を開始します。」

 

有無を言わず攻撃宣言を行うヘルメット団員。

 

所詮はヘルメット団だからといって、彼女は油断などしていなかった。

少なくとも攻撃に備えて回避は出来る状態だった。

 

にも関わらず、ネルの額には冷たい鉄塊が既に添えられていた。

 

「ッ!?」

 

その刹那、実に0.2秒。

拳銃から発せられたとは思えないほどの轟音が響く。

弾丸はネルの後ろに位置した石柱を穿ち倒した。

 

当のネル本人は、咄嗟に頭部を動かし回避に成功した。

流石に音には対処出来なかったのか、耳鳴りが残る。

 

「(疾ぇッ、僅かしか動きを追えなかった……)」

「奇襲作戦失敗、作戦を変更します。」

 

規格外のパワー、自分以上のスピード。

恐らく身体のスペックだけなら奴が圧倒的に上に位置するであろう。

彼女にとって、そんな事はどうでもよかった。

 

その事実は彼女を狂喜へと導いた。

久しく認めたのだ、彼女を自身を危機に晒す敵だと。

 

「コールサイン00、美甘ネル。お前は?」

「…………?」

「こういう時は名乗るもんだ。」

「成程、理解しました。オーナーの護衛が1人、AL-1S。」

 

一瞬の静寂の後、轟音が再び炸裂する。

ネルは変則的な動きと持ち前のスピードで、翻弄し攻撃を避ける

対してAL-1Sは圧倒的なスピードを持って、殆ど直線的な動きで回避を続けている。

 

意外かもしれないが、現在押しているのはネルの方だ。

 

パワーもスピードもAL-1Sが上。

そんな彼女がAL-1Sに勝る点の1つが圧倒的な戦闘経験の差。

AL-1Sの学習能力は優れたものだが、ネルが今まで積み上げてきた経験には遠く及ばない。

その経験とセンスは戦闘が始まって短時間でネルはAL-1Sの唯一の弱点を把握した。

 

それは射程距離。

拳銃とは思えないレベルの威力を誇る彼女の射程距離は僅か15m。

彼女より足が速ければ、射程の長い銃で一方的に殴ることが可能だ。

継続走行時速が50kmを超える彼女よりという前提はつくが。

 

ネルにはそれが可能だ。

 

「(動きが直情的かつ、目が良いからフェイントにも引っかかる……まるで銃を持って初めての下級生を相手してるみてぇだ。)」

 

ネルは知る由もないが、AL-1Sは生まれたての赤ん坊並の長さの人生しか歩んでいない。

何故なら彼女は純粋な人間ではなく─────

 

「よい────しょっ!!」

「おいおいッ!?」

 

この()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだから。

石柱を引っこ抜いて相手に投げつけるが避けられた。

 

「何発か当ててるんだぞ、いい加減に倒れろよ、ゾンビかてめぇは!!」

「回答、ゾンビではありません。」

「知っとるわ!!」

 

銃撃戦は続く。

ネルが異変に気がついたのはその数分後だ。

 

「(コイツ、段々動きに慣れてきやがった!!)」

 

AL-1Sにとって戦闘スタイルの似たネルは極上のお手本だ。

学習能力にも長けたAL-1Sは今もグングンと成長していく。

時間と共に、ネルは追い詰められるだろう。

いや、その前に弾薬が切れて反撃が不可能になる可能性もある。

 

このままではジリ貧で負ける。

逃げてはダメだ、活路は相手の前にしか存在しない。

 

「うぉぉぉぉぉッ!!」

「驚愕、突っ込んでくるとは───?」

 

弾が全く当たらない、全てを紙一重で避けられる。

まるで撃ってくる位置が分かっているかのような。

持てる身体のリソースを用いて、ネルは銃口の先に体を入れないように距離を詰める。既に距離は5m。

 

ネルの狙いは1つ、超至近距離からの全弾発射。

これで勝てなければ、ネルの敗北となる。

着々と距離を詰め、銃口をAL-1Sに向ける──より早くAL-1Sが発砲した。

 

「捉えました、発砲。」

「────────ッ!!カハッ!!?」

「被弾を確認、経過時間は10分。」

 

ほぼ目と鼻の先になる位置まで進んだネルだが、怪力で捕まえられ至近距離から腹部に銃弾を受けた。

鉄杭で腹を貫かれたような痛みが広がる。

だが気絶は免れた。

()()()()()()()()()()、1発程度は耐えられる。

 

「捕まえたのはこっちも一緒だ───喰らいやがれッ!!!」

「!?」

 

お返しと言わんばかりの一斉掃射。

弾倉にある弾を全て使いきる。

そしてスカジャンの裏に潜ませていた予備の弾倉を補充し、再度一斉掃射。

流石にAL-1Sの手は離れ、後ろへと倒れ込む。

 

「ぜぇ……ぜぇ……コフッ、腹痛てぇ。」

 

少々癪だが帰りはアイツらに担いでもらおう。

そう思い腰を下ろす。

そして見てしまった────AL-1Sが起き上がる所を。

 

「損傷率10%、再起動を開始します。」

「はぁ!?」

 

衣服が破け肌が見えるが、赤みを帯びた部分はどんどんと消えてゆく。

負ったはずの怪我が高速で治癒されていく凄まじい再生能力である。

 

「……再生能力もあんのかよ。」

「肯定、例え半身が吹き飛んだとしても活動可能。」

 

どんな怪物だそれは。

そう突っ込む気力もない彼女は銃口を額へ突きつけられる。

ひび割れたヘルメットから覗く眼光からは、相手の表情は伺い知れない。

引き金を引かれ、寸分の狂い無く銃弾が直撃した。

痛みを感じる間もない激痛、ネルは体に力が入らず倒れ込んだ。

 

「(あぁクソッたれ、意識がとぶ……

 なんだよ、やるじゃねぇかクソチビ───)」

 

戦いが終わってしまった口惜しさと僅かな敬意を彼女にむけ、ネルの意識は暗転した。

 

これが彼女にとって、チームにとって最初で最後の任務失敗となる。

 

AL-1S 勝利




次回はいよいよC&Cがホモと遭遇。
突きつけられた契約とは───

次も小説パートになります。


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契約


結局小説パートとRTAパートと合体する形に落ち着きました()

基本流し読みしやすい2500〜3000文字に纏めてるんですけど、書きたい事が多いと余裕でオーバーしますね。

毎回5000文字投稿してる方には脱帽ですわ。



真っ暗闇の中、新芽のような小さな自我が浮上する。

ここは、自分は一体……思考を頭痛が邪魔をする。

 

体は何かに妙に心地よい揺れが続き、完全に意識が沈殿していく。

自身が何者なのかも曖昧な思考の中、只々揺られる感覚だけを感じる。

妙に人肌並に暖かい感触もあるのが余計に、思考を阻害した。

 

その状態は長く続かなかった。

ピタリと揺れが収まったかと思うと、腰から冷たい地面へと下ろされた。

トサリと、丁寧な所作だったが脳に与える刺激としては十分だった。

 

額が赤く膨れた少女、美甘ネルの意識が覚醒した。

周りは相変わらず殺風景な通路と、手錠をつけた残りのC&Cメンバー全員が集まっていた。

 

「んあ……?」

「あっリーダー、おはよう!!」

「……お前ら、全員捕まったのか。」

 

身体のあちこちに煤とかすり傷が付いていた。

目立った外傷は無いようで少し安心する。

 

「すみません、まさか『白兎』にしてやられるなんて……」

「にっはっはっ、この敗北をよぉーく胸に刻みつけるといいですよ!!」

 

勝利して明らかに有頂天になった『白兎』黒崎コユキが高笑いしながらそこに立っていた。

その隣にはあの青ヘルメット団も居る。

鈍痛のする額に手を当て、さりげなく自分の武器を確認する。

………ない、あたりまえか。

 

「『白兎』に苦戦したと言うよりは、周りの人達が凄く強かったね〜?」

「あぁ、あの狭い空間で榴弾は勘弁して欲しかった。」

「……どんな事を言われようとも、勝ちは勝ちなんですよ!!」

 

声を上げギャーギャー騒ぐ『白兎』。

そんな彼女を無視して、話の流れを変える。

 

「そんな事より、あたしらはどうなるんだ?」

「詳しくは聞いてませんけど、私達の雇い主が話をしたいみたいですよ。」

「雇い主ぃ?」

 

あのビッグシスターも手を焼くコイツに?

イメージが全く湧かない。

しかし、倫理観の欠如したコイツの手網を握る人物に単純に興味が湧いた。

 

「そいつに興味湧いたぜ、いつ来るんだ?」

「そう急かさずとも、もうじきいらっしゃいます。」

「やっと口聞いたな、てめぇら唯のヘルメット団じゃねぇだろ。」

「───回答しかねますね。」

 

喋る気は無さそうだ。

前回の戦いようからして、相当訓練を積んだ生徒であるのは間違いない。

もしや、その雇い主が施したのだろうか?

そんな事を考えていると曲がり角の奥から足音が聞こえる。

 

出てきた人数は3名、内2名はヘルメット団だ。

問題はヘルメット団に挟まれる形で現れた大人。

 

その人物には皮膚や筋肉がなかった。

比喩ではなく、本当の意味での骸骨がそこに居た。

 

日常的に喋る犬や猫や雀がいる世界だ、容姿では大きな衝撃は受けない。

その大人は生物として異質すぎた。

生命の気配が全くないのである。

 

枯れ木や工事用ロボットを相手にしてるような、それでいてその眼窩の光はしっかり意志を持っている。

()()()()()()()()()()()()、不思議な存在に身震いした。

 

骸骨の大人が口を開く。

 

「私は彼女達の雇い主、名前はホモだ。研究者を生業としている。」

「……えっ?」

 

4人の中で唯一アカネだけが彼の名に反応した。

もしかして知り合いなのか?

 

「どうした?」

「いえ、すみません。なんでもありません……」

「単刀直入に言おう、君達に黒崎コユキと()()()()()()()()を諦めてもらう。」

 

どこでその情報を……

警戒度を上げ続く言葉に耳を傾けた。

 

─────────────────────

 

ミレニアムを敵に回さないようにしないと詰むRTA、はーじまーるよー!!!!(クソデカボイス)

 

前回は見事、勝利条件を達成したところ。

今回はC&C相手に『契約』を結んでもらいます。

 

美甘ネルは強敵でしたね………

彼女のスキル、『憤怒』は発動させると体力の割合が少なくなるにつれて攻撃力が上昇します。

 

なので今回のアリスちゃんみたいに1発1発がデカいダメージのキャラじゃないと詰みます(2敗)

最後のターン、ネルの体力が1ミリ残って反撃をくらった時は発狂しかけましたが勝ったから問題ないな、ヨシッ!!

アリスちゃん硬すぎるよ………(特殊装甲&リジェネ持ち)

 

現在C&Cの面々に集まって貰ったところです。

早速C&Cとグッドコミュニケーションをとり続けてイキましょう。

目標は「コユキを連れ戻すのを諦める」、「データ端末の破壊禁止」です。

 

「黒崎コユキはミレニアムのセミナー生です。身柄を此方へ引渡してください。」

・黒崎コユキはこちらが正式に雇用した。今更返せと言われても困る。

 

はい、まずコ↑コ↓ですが容赦なくつっぱねてやりましょう。

そもそも兎は職務放棄で役職はついておらず、現在は元セミナー生という立場です。

現場が回らなくなると言われても、そんな奴をなんで何ヵ月も禁錮したの?と返せばOKです。

 

「生徒に対して不当な勧誘を行ったのでは?」

「いえ、私から志願したのでそれはないです。」

 

兎が言っちゃいましたが、ホモ君が誘った訳じゃないのでセーフです。

なんなら追い返そうとしたんだよなぁ(遠い目)

今更持っていかれるのは勘弁ですが。

 

そこはちゃんと明言してあげましょう。

 

・本当は雇うつもりは無かった、今こうして君たちが襲撃してくる事も想定していたからな。

「なら、初めから雇わなければ良かったのでは?」

 

雇わなくても君たち襲撃してくるんだよなぁ。

機密情報の漏洩の観点からして致し方ないでしょうが、こっちからすればたまったもんじゃないです(憤怒)

 

集めた研究成果が全部パーになった試走時の走者の事を考えたことあります?

トラウマものですよあれは………

 

「彼女にはセミナーの引き継ぎをしてもらう必要がある。」

・それは無理だ。彼女にとって暗号解読は呼吸と一緒だ。感覚で行ってる物事を伝えることは出来ない。

「褒めてるんですよねそれ?」

 

兎は自分の暗号解読能力の凄さをそこまで理解してないんですよねー。

 

だから暗号解読の仕事だけ回してくるセミナーに嫌気が差したんでしょうけど。

兎にとっては単純作業と何ら変わらないことを毎日数時間強要される訳です、これはキレる(断言)

 

「彼女が漏洩した疑惑のある機密情報はどうするつもりなのか。」

・そんなもの興味はない、と言っても信じないか。

 

前にも解説しましたが、その道の研究者なら喉から手が出る程の情報を『白兎』はたらふく持っています。

例えホモ君に興味が無くとも、他の企業に漏洩されてはたまったものではないでしょう。

口約束ではどうとでも言えるわけなので、ここは食い下がってきます。

 

その程度の事、この走者が見過ごすわけないんですねぇ。ニチャァ

 

・だから、予め用意したこれに契約してもらう。

「それは……契約書、ですか?」

・古びた羊皮紙に契約書と書かれた用紙、欄には既に『Homo』と記入されている。

 

テテレテッテレー、皆大好き黒服の『契約書』です。

前回飲みに誘われた時に拝借したものです。

いいゾ〜これ。

 

・これは私の同業者の受け売りでな、1つ拝借した。

・……頭の中に黒い人物が浮かび上がった気がするが気の所為だろう。

 

ドヤ顔ダブルピースした黒服の虚像が見える見える。

実際コレ(契約書)は結構使えますからね。

例に漏れず好感度の高い状態でランダム入手する事が出来ます。

因みに確率は0.3%、うん普通だな!!()

 

「契約書と言ってもただの───」

・これは真の契約だ、ただの口約束とは違う。

 

はい、この契約書を用いた契約は必ず守らねばなりません。

これを持つ黒服は企業勢に対して大変有利に立ち回ることが可能になります。

黒服は直接的な戦闘力は皆無ですが、コ↑コ↓が厄介な点のひとつですね。

 

オリ生徒プレイでは、1つの子会社が潰れても尻尾切りで転々とするせいで、なかなか黒服に辿り着けないなんて事はざらです。

 

──まぁ今回に限ればその前提は覆りますが。

なんですか『Umbra Genius(影の精霊)』って!?

リーダーちゃんの報告によればビナーのミサイルも防げるらしいのですがそれは……

 

・破ればペナルティを受けるのは私だ、君たちも同様にな。

 

話を戻しましょう。

ホモ君の言う通り、契約内容を破ればペナルティが課されます。

その効果はランダムで酷いものだと死に至ります。

 

これは先生プレイでゲマトリア協力チャートの試走していた時の話なのですが、

生徒に手を出さないという契約を破って爆散したベアおばを見た時は爽快でしたね(愉悦)

 

 

閑話休題(そんな事は置いといて)

 

 

契約書の使用には条件があります。

 

・互いが契約内容を理解している事

・相手の了承を得る事

・契約書の仕様について説明する事

 

以上3つを達成する必要があります。

条件は難しいものでは有りませんが、相手を騙して無双等はできません。

 

基本的には、相手が契約を呑むしかない状況を作って半強制的に結ばせる使い方になります。

 

ん?C&Cを引き込まないのかって?

これ以上地雷(コユキ案件)を増やしてたまるか!!

管理が面倒くさすぎるっピ!!

 

「そのような馬鹿げた話、誰が…………」

・オカルトだと嘲るか?私の存在がオカルトの様なものだと思うが。

 

動いて喋る骨なんてオカルトの塊ですからね。

それ言ったらゲマトリアは全員オカルト的な存在ですが。

 

というかホモ君に関しては情報が無さすぎるんですよね。

判明してるのは名前と性別?と所属(ゲマトリア)だけ。

普通外の世界で何をしたか明記されてるはずなんですがそれは……

ま、ええやろ(思考放棄)

 

「いいぜ、サインしてやるよ。」

「リーダー!?」

 

おっ流石ネル、分かってますね〜。

むしろC&Cにリスクは少ないから積極的にサインするべきなんだよなぁ。

 

「サインしなきゃ帰すつもり無いだろ?」

・彼女の言う通りだ、それに何一つなし得ないまま帰されるよりマシだと思うぞ?

 

これは完璧な悪役ムーブですわ。

見てくださいアカネの悔しそうな顔、コレが出来るのがゲマトリアチャートの特色。

だから曇らせ隊はゲマトリアチャート走って♡

 

おっ、どうやらセミナー会長のリオに連絡を繋げるらしいです。

じゃけん連絡取ってもらって、どうぞ。

 

「────で、────────よ。───────?」

『…………───、────────。』

「───か?契約の許可が降りた。」

 

Wow…不気味なくらい早く了承してくれましたね。

少し位難癖付けてくると思いましたが、C&Cを失うのは痛いと思ったのでしょう。

 

・契約書にサインし、C&Cは撤退するようだ。

「お前、たまにはユウカに顔見せてやれよ。あいつすっげぇ心配してたからな。」

「えぇー……分かりましたよ。」

 

コユキが「嫌です〜!!」って言わないって事は結構好感度高かったんですねユウカ。

まぁパヴァーヌが終わるまでは仕事ないので自由にさせましょう。

 

・この契約はホモとミレニアムの契約として扱う。

・ミレニアムはこれ以降コユキを連れ戻さない。

・連れ戻しに他校、他組織の手を借りることも禁止する。

・ホモ側はミレニアムに関するデータを全て削除する。

・ホモ側はミレニアムの機密情報を外に漏洩しない。

・破った場合はそれぞれのリーダーにペナルティを課されるとする。

・以上をもってC&Cを解放する。

 

勝った!!Vol.2 〜完〜

 

というわけで無事、C&Cとの契約を終えることが出来ました!!

これで兎関係は何とかなりました。

彼女の力を欲して他企業の尖兵が来る事もあるでしょうが、C&Cに永遠に追跡されるよりはマシです(断言)

 

今回はここまで。

次回は『ホモ舟』の改造を完了させます。

 

ご清聴ありがとうございました!!

 

─────────────────────

 

これはC&Cが帰還して数日後のお話。

 

人気のない無人の都市で2人の少女が向き合っている。

二人ともその表情は固く、1枚の羊皮紙に視線を向けていた。

 

「C&Cの貰った『契約書』がこれですが……特に変哲のない用紙とインクですね。」

 

材質はかなり珍しいものだがそれだけだ。

超常的な現象はこれだけでは起こりえないだろう。

知り合いの車椅子ハッカーなら嬉嬉として調べそうだが。

 

「契約を破ればペナルティが課せられるという代物らしいですが。」

「問題ありません、作戦を再度実行します。今度はヴェリタスにも協力してもらいましょう。」

「ヴェリタスもですか……」

 

あの無法ハッカー集団の手を借りるのも厭わないとは。

余程事態を重く見ているのだろうか。

 

「先日ゲーム開発部に入部した()()の件もあります。不安の芽は、早急に摘むに越したことはないでしょう。」

 

契約書に強制力はない。

セミナー会長、調月リオはそう判断した。

可能な限り検査して問題なかったのだ、

ならばこれは合理的な判断と言えるだろう。

 

「良いのですか?」

「私がオカルトを信じるとでも?馬鹿馬鹿しい、早急に案を練って対処します。」

 

 

翌日、リオは高熱で三日間ベッドから離れられなかったとか。

トキも彼女の世話で、その日の予定は全日潰れてしまった。

 

 

 

 

どこからか、超天才病弱美少女ハッカーの嘲笑が聞こえた気がする。

 

 




ホモ君大勝利回&黒服有能回でした。

生徒の負の感情でしか摂取できない栄養素があるってマ?

以下、契約内容の詳細。少し修正しました。

ミレニアム側
・ペナルティを課せられるのはセミナー会長の調月リオ。
・コユキを連れ戻す事を禁止する。交戦は対象外。
・他の組織の手を借りて連れ戻すことも禁止
・以上の条件で契約することでC&Cは解放。

ホモ側
・ペナルティを課せられるのは組織の雇い主であるホモ。
・ミレニアムの機密情報を破棄する。
・ミレニアムの機密情報を漏洩しない。


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鍵、見つかったってよ


遅くなり申し訳ありません。
リアルの忙しさとサーバー落ちの影響で死んでました。

正月衣装……カヨコ欲しいなぁ……



ぶっ壊れた装甲車を修復&改造していくRTA、はーじまーるよー(棒読)

 

前回はミレニアムと契約を結んだところまで。

今回は半壊した『ホモ舟』の修復と改造作業を同時に行い完成させます。

 

必要なオーパーツ数が前回の比にならないレベルですが、

他にやる事も無いので、動きがあるまでずっと素材回収して行きます。

(周回地獄に)ひよってる奴いる?いねぇよなぁッ!!

 

現在『ホモ舟』は上部装甲が全て剥がれ、主砲もなく、タイヤも崩壊必至の状態です。

そこら辺のモブ生徒に簡単に破壊される耐久値しかありません。

風が吹けば倒れるレベルです。

なので早急に『ホモ舟』を修理、そして改造する必要があります。

 

「はぁ……はぁ……、こんなに肉体労働するのは久しぶりですよ。」

「バテるのが早いぞ、AL-1Sを見習え。」

「いやいやっ装甲車持ち上げるような方と比べないでもらえます!?」

 

皆にそこら辺に散らばったパーツを集めてもらったところですね。

そして今回は完成する予定なので以下の通り改造していきます。

 

・最高時速更新

・装甲強化

・主砲、副砲装備

・舟の大きさ拡張

・ブレーキをつける

 

特に最高速度は最大限まで引き出したいですね。

RTA的にも足が速くて困る事はありません。

具体的に言えば新幹線くらいは欲しいです。

 

ブレーキはいります(断言)

C&Cからの追撃がない今、急ぐ理由もないですからね。

落下して全員で仲良死なんてゴメンです(2敗)

 

逆に優先度が低いのは主砲等の武装装備ですね。

雑魚払いが楽になりますが、チームⅤちゃん達の力があれば使う場面は限られます。

そもそも今回の改造コンセプト的には必要ない迄ありますが……

 

あっ、そうだ(唐突)

『ホモ舟』の改造コンセプトについて何も説明してませんでしたね。

 

と言っても改造内容は単純で超高速移動する直線番長です。

これでフロア内を駆け巡りマップを最速で埋めて、探索を効率化しようという魂胆です。

 

因みに今回の要求素材数は以下の通りです。

 

・アンティキティラ装置×500

・ヴォルフスエック×400

・エーテル×600

・ニムルドレンズ×200

・ネブラディスク×1200

・ファイストス円盤×600

・古代の電池×300

・ミステリストーン×500

・円盤型ペンダント×400

 

久々にキレちまったよ……毛細血管が。

病院行こうぜ、ちょっと休みたいわ(現実逃避)

 

ネブラディスク×1200とか巫山戯てんのかてめぇ!?(逆ギレ)

本来のプレイ速度で、大体Vol.4開始までに揃える事を想定された数量なので仕方ないですけど。

 

『ホモ舟』強化重視になるので完成はもっと早くなりそうなのが幸いです。

進行速度は具体的にはVol.3の中盤を目指します。

 

・リストの分だけオーパーツを集めてくれ。

「オーパーツってそう簡単に手に入るものじゃ無いんですけど……」

「あのケテルとかいうロボには少量だが入っていたな。」

「結論、AL-1Sの出番という事ですね!!」

 

今ある全てのオーパーツを使って最大限まで修復してイキます。

素材を投入じゃい!!

 

・最大強化完了。

・強化素材がありません。

 

フゥ……(在庫が)スッとしたぜ。

移動機構と装甲をある程度修復したので、下層へと向かいましょう。

エリアに居るケテルをボコしにイクゾー。

 

恒例の倍速タイム(3倍速)

現在のホモ君の状態について解説します。

 

以前と比べて変わった点は2つあります。

 

ひとつ、『解析』のスキルレベルがだいぶ上がりました。

コツコツと使った甲斐がありますよ、ホント。

 

ステータスと同じくスキルもレベルで効果が上昇します。

これにより研究で得られる経験値と神秘のカケラが増加しました。

報酬がガッポガッポですわニチャァ……

 

まぁ未だに生物に使用できないし、ホモ君の杖も何か分かりそうで分からないんですけどね。

 

と言うのも、時間が余った時にスキル強化ついでに杖を『解析』したのですが、

何かしら杖以外の用途がありそうなんですよね。

 

杖の名前も『バレル』なので「すわっ、仕込み銃か!?」と思ったのですが、見た目的に引き金も何も無いので……ナオキです。

用途も全部黒塗りってお前……

 

ふたつ、ホモ君に新しくスキルが生えました。

それも戦闘スキルの『精密狙撃』です。

……なんで?

 

タイミング的にC&C襲撃後以降だと思いますが、何がきっかけだったんですかね。

カリンのスキルに影響されたとは到底思えないんですけどねぇ。

どうせならアスナの『直感』に対して感化してくれ(切実)

 

ホモ君自身のステータスがカス過ぎて、芋砂しても秒で死亡する未来しか見えないんですがそれは……

体力なんて生徒の1/10あるかってところですからね。

 

そもそも大人が生徒の喧嘩に手を出すのはルール違反ですからね。

暴力だめ、絶対!!でも生徒以外なら問題ないな!!

という訳で、これからはホモ君に『精密狙撃』のスキルレベル上げもしてもらいます。(手のひらクルー)

いずれ狙撃銃の作成も行わないと(使命感)

 

・殆ど徹夜で作業した結果、箱舟が完成した。

「うぅ、やっと完成ですか。」

「感動、初めて見る車種です!!」

「車と言うよりこれって……」

 

おっ、どうやら現時点での改造は終了したようです。

現在到達できる最高速度、最硬の装甲に最大の大きさ、そしてブレーキ付き。

かかった期間は……ヒエッ、1週間ちょっとですか(驚愕)

この少ない人手でこの納期は、ホモ君のスタミナゲージのギリギリを攻めた結果です。

ホモは不滅、だからいくら消耗させても問題ないな、ヨシッ!!

やっぱ、妖怪MAXは偉大やなって。

 

そして『ホモ舟』肝心の見た目ですが───

どう見ても新幹線です、ありがとうございます!!

洗練されたシャープなフォルムですねぇ(自画自賛)

 

今回改造した『ホモ舟』の最高時速なんと180km/h!!

たまげたなぁ……

これなら最下層までひとっ飛びですわ。

 

最下層のボスは勿論ケテル:Zちゃんです。

今までと違い武装がビームだったり、ファンネル飛ばして遠隔攻撃したりと割とハイテクな機体です。

 

ボスとは言え、所詮はケテルなのでデカグラマトンの中でも最弱。

ですが報酬はだいぶうま味。

こいつをダシにオーパーツ回収ルートを構築することで、ケテルはサンドバッグと化します。

 

ただ、正規ルートで戦闘に入ると1つ問題点が浮上します。

現在ホモ君陣営の平均レベルは60。

対してケテル:Zのレベルは現最高レベルの85。

 

圧倒的なレベル差ですが討伐自体は可能です。

ただ、火力が足りず時間が割とかかります。

こちとらまともな火力を出せるのがアリスちゃんしか居ません。

大半がモブ生徒だから……ま、多少はね?

 

ならばどうするか。

その答えが『ホモ舟』を作った理由の1つでもあります。

その方法とは────

 

 

 

 

 

『ホモ舟』でケテルを轢き殺します

 

 

 

 

 

大事な事なのでもう一度言います。

 

 

 

 

 

『ホモ舟』でケテルを轢き殺します。

 

 

 

 

 

時速180kmで突っ込んでくる鉄塊にぶつかられて、無事だなんてはず無いんだよなぁ。

見ろよこいつの先端部、命を刈り取る形をしているだろ?

 

因みにこの方法は他にもビナー、ケセドに対して有効だと証明済みです。

他のデカグラマトンが追加されれば、もっと対象が増える可能性もありますね。

他は落下死の可能性が高かったり、そもそも『ホモ舟』が入れなかったりします。

 

さぁ、善は急げとはこの事。

そろそろ(ケテル:Zを)狩るか♡

はいはい、キンクリ─────

 

 

 

なんで等速に戻す必要があるんですか?

さっき出かけたばっかりだろうが!!(逆ギレ)

 

 

「オーナー、周囲の探知ロボに反応が。」

「それがどうやらミレニアム製のドローンらしく……」

・どうやら客が来たようだ、それも特上の。

 

 

ミレニアムのドローン、だと?

 

・撃墜せず通せ。

「了解!!」

 

十中八九、彼女でしょうね。

しかし何故このタイミングで?

エリドゥの建築でここに来る暇なんて無いと思っていましたが……

 

『ここまで近寄らせて貰えたと言うことは、そちらに敵対の意思はないと判断して問題ないという事かしら?』

 

う わ で た

 

失礼、予想通り調月リオ会長でしたね。

何の用だてめぇ(豹変)

 

・それは話を聞いてからだ

・顔を見せるのは初めてか?私が『白兎』を雇用したホモだ。

 

『調月リオ、セミナーの生徒会長です。』

「ちょちょちょ、追い返さなくて良いんですか!?」

 

(問題なんて)ないです。

ガバなんて起こしてないから安心しろよ〜。(フラグ)

 

・彼女とは正式に契約を結んだ。心配は要らない。

・子供と言えど、セミナーの会長が()()()()()()()()()だろうからな。

『………。』

 

なんせ黒服特性の『契約書』ですからね。

余計な心配事しなくていいので、 精神衛生上楽ですわ。

あくしろよ、おるァん!?

 

・早く要件を言ってくれ。

 

アリスちゃんを寄越せとかでしょうか?

彼女の事なのでアリスちゃんが『無名の王女』だと把握してそうです。

まぁ反論できるだけの情報は黒服から既に教えてもらってるので、(問題は)ないです。

勝ったなガハハ!!

 

『無名の王女──────

 

 

 

 

 

 

()()()()ミレニアムに存在します。』

 

 

 

 

 

 

ファーッ!?




察した方も多いと思いますが、新入部員はKeyです。

基本的にベアおば以外は結末をマシな方向に動かしたいと考えています。
(熱烈なベアおばアンチ)

なので決してゲーム開発部等と触れた影響で人間性の豊かなKeyと、逆にホモ君に引き込まれて人間味の薄まったアリスちゃんを絡ませたい!!あわよくば曇らせたい!!なんて思ってないです。

次回から視点は変わり、Key視点となります。


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幕間の物語3
目覚め



お待たせしました。

Key視点のお話になります。
ゲーム開発部との邂逅まで。



ここは『廃墟』工場内のデータベース。

今は大半のデータが破損し機能は停止したが、未だその広大さは健在である。

 

私は『Key』。

王女を導きその玉座を戴くもの、無名の司祭達によって作られたAI。

いつか目覚めた王女と私が接触するその時まで、この電子の海の0と1の世界で揺蕩う。

 

その筈だったのですが……

私の意識は覚醒し、こうして思考することが可能となりました。

理由は単純明確、王女の行方が不明となってしまったのです。

 

警報に気づいた時は既に遅く、例の部屋はもぬけの殻となっていました。

王女を連れ出した下手人が、異常の検知を遅延させるプログラムを入力したようです。

 

あのセキュリティを破る技術を持つとは……只者では無いでしょう。

古くからの記憶にある、ゲマトリアなる組織の仕業の可能性も有り得ます。

王女の身に何かあれば私は────

 

いずれにせよ、今の状況は非常にまずい。

早急にでも王女を捜索する必要があるのですが……

 

生憎、私には外へ探索する機能が備わっていません。

更に私の意識が浮上している間はバッテリーが徐々に消費されるので、可能な限りの運転は避けたい。

 

ここは誰かが廃墟に侵入した際に交渉を行うしかないでしょう。

 

古のデータベースと言えど、内部の情報は信頼性の高いものばかり。

交渉人には望む情報を与える事にしましょう。

少々癪ですが、背に腹は代えられません。

 

幸いにも入口付近の生体感知センサーは無事のようです。

適当な侵入者を交渉で従わせる……そして端末を転々とすれば計画の助けになる筈です。

王女と私が遭遇した時、それがこの世界の終焉となるでしょう。

 

その時が来ると信じ、今はまた眠りに就くとしますか。

 

──────────────────────

 

場面は移り変わり、『廃墟』の表層。

そこには2人の少女と1人の大人が存在した。

 

「……ねぇお姉ちゃん、一体いつまでこうしてればいいの?」

「静かに。あっ先生、もうちょっと頭下げて……!」

・ここはどこ……私は誰……?

 

少女2人はミレニアムのゲーム開発部。

お調子者の明るい姉のモモイと、

そんな姉のブレーキ役だが流されることの多い妹のミドリ。

そして2人に依頼されて引率を行う『シャーレ』の先生。

 

「閉鎖するだけはあるね、こんなに沢山ロボットが徘徊しているなんて。」

 

周りは製造元不明の怪しいロボット達が徘徊している。

当然銃を持っており、見つかれば戦闘は免れないだろう。

それでも尚、3人がこの『廃墟』へ赴いたのは『G.Bible』を手に入れる為だ。

 

現在、3人はゲーム開発部の存続の為に行動している。

廃部原因はシンプルに部員不足と実績不足。

 

部員の方はなんとかなるにせよ、実績はそう上手くいかない。

賞を取るまでの期限はあと2週間。

そして自分たちの唯一の実績は「今年のクソゲーランキング一位」。

 

あまりにも拙い。

もはや手を選んでいる暇などなく、取れる全ての手段を使う必要があった。

その手段の中で唯一の希望が『G.Bible』なのである。

 

・『G.Bible』って、結局なんだっけ?

「そう言えば説明の途中だったね。」

 

モモイの話によると、昔キヴォトスに存在した伝説的なゲームクリエイターが残したデータだそう。

その中身には『最高のゲームを作れる秘密の方法』があるとか、無いとか。

 

情報源はミレニアムの天才ハッカー達の集まり、あのヴェリタスの部長であるヒマリ。

信憑性は高い。

そして『G.Bible』の信号を捉えた最後の記録座標がこの『廃墟』だったのだ。

 

「……それ、どこかのゲームクリエイター学校の広告じゃなくて?」

 

ミドリはその噂を信じてないのか怪訝な表情を浮かべている。

果たしてそう都合のいい代物が有るのか?

 

「違うよ!!『G.Bible』は絶対にある!!」

「ちょっと、お姉ちゃん声が──」

 

ヒートアップしたモモイを落ち着けようとするが、間に合わない。

モモイは捲し立てるように話し続ける。

 

「その『G.Bible』を読めば、『テイルズ・サガ・クロニクル2』が作れるはず!!」

・モモイ、後ろ!!

「へ?」

 

熱くなりすぎたのか、周囲の状況に気づかず大声で話し続けたモモイ。

当然周りのロボットは異常を検知し集まってくるわけで。

先生の言葉で我に返り後ろを振り向くと、徘徊していたロボットと目が合った。

 

「「………。」」

「…□□□ □□□□!!」

 

ロボット達は数体から十数体へ増加していく。

包囲されるのも時間の問題だろう。

 

「うわわわ、どうしよう!!」

「この人数はさすがに……」

・あっち!工場みたいなのが見える!!

 

まだロボットで塞がっていない方角に、工場を見つけた先生。

あそこなら逃げ切れるだろう。

 

「お、先生ナイス!!急いでロボットを突破して逃げ込もう!!」

「先生、戦闘の指揮をお願いします!!」

 

最低限の戦闘だけを行い工場へ走る。

戦闘が得意とは決して言えない2人だが先生の指揮と、

持ち前のコンビネーションにより危なげなく逃げ込む事が出来た。

 

「あれ?」

 

工場で息を整える3人。

その中でモモイが真っ先に気がついた。

工場に入ってからロボット達が追跡をピタリと止めたのだ。

 

「この工場に入るまで恐ろしい勢いで向かってきたのに……とにかくラッキー?」

「良くないよ!!なんでロボット達に追われなきゃいけないの!?」

・まぁまぁ、落ち着いて。

 

あのロボットはなんだったのだろうか。

周りはシャッターのような壁が多く、通路を限定されたような感覚を抱いた。

気にし過ぎか?そんな事を考えて、奥へと探索を続ける。

 

生き物の気配を一切感じない薄暗い通路。

ホラゲーの参考になるか?等話しながら進むこと数分後、通路の端にPCを見つけた。

 

「あっ、あそこにコンピュータが1台……あれ?」

「あのコンピュータ、電源が付いてる?」

 

不自然に1台だけ電源の入ったパソコン。

3人はそこへと引き寄せられていく。

近づいた瞬間、それは急に動き始めた。

 

[Divi:Sion Systemへ、ようこそお越しくださいました。お探しの項目を入力してください。]

 

どうやらこの工場の検索用PCのようだ。

 

「おっ、まさかの親切設計。『G.Bible』について検索してみよっか?」

「いや、ちょっと怪し過ぎない?」

 

Divi:Sion Systemとはこの工場の名前だろうか。

聞いたことの無い名前だが……これも大昔の産物なのだろう。

早速検索をかけようとキーボードに手を伸ばす。

 

「えーと、キーボードは──」

[……#$@#$$%#%^*&(#@]

「うそッ!?まだ何も触ってないのに!!」

 

ノイズの走る音が聞こえる。

モモイがワタワタしているとノイズが止まり、画面に文字が映し出された。

 

再起動完了(リブート)、条件の達成によりシステム変更。』

『改めて自己紹介を、私はKey。あなた達の望む情報をなんでも差し上げましょう。』

 

──────────────────────

 

『あなた達の望む情報をなんでも差し上げましょう。』

 

まさか短期間でここを訪れる者が居たとは。

運はこちらに回っているようですね。

 

「じゃあ、『G.Bible』について何か知ってる?」

「お姉ちゃん!?いくら何でも、このAI怪しすぎるよ!!」

 

『G.Bible』……?

あぁ、確かありましたね。

最高のゲームを作れる秘密の方法、とかいう例の。

それなら私のデータベースに保存しています。

 

『G.Bibleは勿論私の中に存在します。』

「えっ本当に!?」

「私たち、それが欲しくてここに来たの!!」

 

食いつきましたね。

余程切羽詰まってるのでしょうか?

これなら早速本題に入っても良さそうですね。

 

『物を差し上げるには1点のみ要求項目が。人探しをお願いしたいのです。』

「AIが人探し?」

「……お姉ちゃん、やっぱり怪しいよ。」

 

そうトントン拍子とはいきませんか。

我ながら怪しさ満点なのが否めませんね。

では───こうしましょう。

 

『……異常事態発生、電力限界に達しました。電源が落ちると同時に消失します。』

 

本当はまだ持ちますけどね。

焦ってもらえばこちらの要望も通しやすいでしょう。

 

「ええっ!?せめて『G.Bible』の事を教えてからにして!!」

『要求を飲まれますか?』

「飲むからどうにかして!!」

 

計画通り。

他の端末に移動してしまえばこちらの物です。

 

『データを移動するための保存媒体を接続してください。』

「急に保存媒体なんて……あ、『ゲームガールズアドバンスSP』のメモリーカードでも大丈夫?」

 

この私が、ゲームの記憶媒体に………?

屈辱的ですが、ここで渋っても仕方ないでしょう。

えぇ、本当に。

無い腸が煮えくり返るようですが。

 

『…………………まぁ、可能、ではあります。』

「な、何だかすごく嫌がってる感じがするんだけど……気のせい?」

 

決めました。

女王復活の際は貴方から真っ先にアーカイブ化して差し上げましょう。

 

ケーブルが接続されましたが、容量が足りませんね。

既存データを削除しましょう、仕方ないので。

……別に腹いせとかではありません。

 

『保存領域不足、既存データを削除します。』

「え、嘘っ!!もしかして私のセーブデータ消してない!?そのデータの装備集めるのすごく大変──

『残念、削除』

「ちょっとおぉぉぉおお!?」

 

恨むのであれば、ゲームのメモリーカードを選んだあなた自身も恨んでください。

 

「あぁぁぁ!!私のゲームガールズアドバンスのデータがぁぁっ!?」

 

うるさいですね。

……『G.Bible』のファイルはこれですね。

 

『新しいデータを転送しました。〈G.Bible.exe〉』

・これって……

「こ、これ今すぐ実行してみよう!!本物か確認しなきゃ!!」

 

本物ですよ、失礼ですね。

 

「exe実行……あ、ポップアップがでて──ってパスワードが必要!?」

「大丈夫、普通のパスワードならヴェリタスが解除出来るはず!!」

 

私もパスワードまでは知りませんが、どうにかするでしょう。

念押ししておきますか。

 

『要求項目の事、お忘れなきよう。』

「分かってるってば!!」

 

とにかく、これで第1関門は突破。

あとは王女を探し出すだけ。

そのための手を考えなければ……

 

 

 

 

 

Keyはまだ知らない。

この後に起こる騒動に巻き込まれ、自身のあり方が変質していくという事を。

 

そして王女と再会した時、自身の役割と向き合う時が来るという事を。

 




はい、遅くなり申し訳ありません。
ガチャ爆死して復活に時間がかかりました。
とりあえずお正月ハルカはお迎え出来ました(血涙)

次回辺り、ヴェリタス登場予定。


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ジェネレート


お待たせしました。

キリのいい所で切ったらクソ短くなったで候。
毎度、誤字報告感謝です。



時間感覚の狂う『廃墟』から外へ出ると、時刻は既に夕暮れ時。

 

私から受け取った『G.Bible』の解読のため、彼女達は本拠地へ戻っていました。

業腹な事に、ゲーム機に入った私を運んで。

 

ゲーム機のカメラ機能と、マイク機能を用いればコミュニケーションは可能と判断。

移動時間中は、現在のキヴォトスの状況について聞く事にしました。

 

彼女達の在学するミレニアムは、キヴォトス三大学園と呼ばれるほど規模が大きいらしい。

他のどの学園よりも合理と技術に重きをおいた、理系生徒を多く内包する学園だとか。

歴史は浅いが、最新鋭を名乗るにふさわしい学園だとミドリが説明してくれました。

 

皮肉なことに、私が潜伏する上で最も適した陣営に拾われたのです。

 

そんな最新鋭の技術を扱う学園の中で、異色を放つ部活の1つが彼女達ゲーム開発部。

やれ3DだのVRだのが流行る昨今で、16ビットゲームなどの遺物とも呼べるレトロゲームを開発している部活だとか。

 

現在は部活の成績不足で廃部の危機らしいですがね。

『G.Bible』も部活動として成果を上げるために欲していたようです。

『G.Bible』の内容は知りませんが、記憶によれば最高のゲームを作る方法が示されていると。

きっと彼女達の役に立つ事でしょう。

これでなんの憂いもなく、王女捜索に取り組めるというものです。

 

ミレニアムの説明は大体聞き終えました。

他学園の情報も気になりますが、余り深入りするべきではないでしょう。

そもそも、彼女たちは他校の事情は余り興味なさそうですし。

 

あくまでも今の私は善良な人工知能。

少しの間は、従順なフリで彼女達に取り入っておきましょう。

 

そうこうしている内に、彼女達の部活部屋に着いたようです。

ゲームのハードやソフトがそこら中に。

……少しは片付けなさい。

 

「もう遅いし明日ヴェリタスに『G.Bible』を持っていくとして───」

・期限はあと2週間だったね。

「その為にもまず、()()()()()の所存を決めないとね!!」

 

………今何と?

 

「お姉ちゃん、まさか『Key』が読めなかったの……?」

「うぅ……良いじゃん、『Key』なんてロボットみたいな名前で変な感じがするし。」

「確かに一理あるけど……」

 

一理もありませんが?

 

そんな拾ったペットに名付ける感覚で名前を呼ばないで下さい。

名は体を表すものです、この世界では尚更。

それをあろう事か読み間違えで───

 

「気を取り直して……ケイちゃんの所存だけど、このゲーム開発部に入って貰います!!」

 

待ってください、ツッコミが追いつきません。

 

『何故私が入部するのが確定事項になっているのですか?』

「あれ、説明してなかったっけ?」

 

……部員数が足りないときましたか。

こちらは『G.Bible』を渡した時点で、既に最低限の見返りは与えています。

 

適当な生徒でも見繕って拉致してくれば良いのでは?

 

「ただでさえ上から『友達もいない貴方達に、新しい部員の募集なんてできないでしょ』って言われたし。」

「それに、何かのグループに所属しながらの方が、人探しだって捗るはずだよ!!」

 

……………確かに。

 

『一理ありますね。』

「ちょっと!?流されないでケイちゃん!!」

『流された訳ではありません。あと私はKeyです。』

 

不遜が過ぎますよ。

案自体に魅力はありますね、癪ですが。

問題があるとすれば私の肉体が存在しない点でしょうか。

 

「そうだよ!!そもそも体はどうするのさ?」

「それは勿論エンジニア部に───」

「協力してくれるっていう確証もないのに?」

「そ、それは最悪土下座して何とか……」

 

私はそこら辺にいる適当なロボットに入るだけでも良いのですがね。

私の矜恃が許さないという点を除けばですが。

………少し長くなりそうですね。

 

・そこは任せて。

「先生?」

・ケイちゃんの体に関してはこっちで何とかするよ。2人は『G.Bible』をおねがい。

 

これは想定外。

先生───このキヴォトスの外から来た存在でしたか。

 

この大人の持つタブレット端末も何かしらのオーパーツの気配がしますが……

記憶しているどのオーパーツとも、一致しませんね。

 

この人物が私の目的の1番の障害になりかねません。

警戒対象として記録しておきましょう。

 

・じゃあ、また明日。

「よし、これからよろしくねケイちゃん!!」

 

……不本意ですがよろしくお願いします。

あと私は『Key』です。

 

──────────────────────

 

すっかり深夜帯に差し掛かり、周りは完全に寝静まった頃。

シャーレ、その地下室では未だ明かりが途絶えずにいた。

 

『先生、本当にされるんですか?』

・うん、可能な限り生徒の頼みは叶えてあげたいんだ。

 

彼の目の前には他の場所ではお目にかかれない設備──クラフトチェンバーが。

 

その実態は『シッテムの箱』から制御出来る、大型の3Dプリンター。

先生はアイテムガチャと呼んでいるが……

普段はキーストーンを使用して家具などを生成している。

 

『ただでさえランダム性の高い機器ですし、必要材料は大量にかかってしまいますが……』

・懐が痛むのは事実だけどね───

 

先生(大人)生徒(子供)を助けるもの。

例え自身の命が秤にかけられようとも、先生は生徒を優先するだろう。

だからこそ、この程度の出費で音を上げる事はない。

 

そして───────

 

・彼女は後々、皆にとって大きな存在になると思うんだ。

 

ハッキリとした根拠がある訳ではない。

 

ただ、明確な運命の分岐点。

その大事な選択肢を迫られた時に起こる胸のざわつき。

『Key』いや、ケイちゃんと遭遇した時にその感覚を覚えたのだ。

 

『決意は固いようですね……分かりました、アロナは先生を信じます。』

・いつもありがとう、アロナ。

 

キーストーン以外にも様々な材料を確保してきた先生。

何れもエンジェル24で購入してきたものだ。

 

『クラフトチェンバー、起動準備完了しました!!』

・早速始めるとしよう。

 

配合を考えながら、生成を開始した。

しかしその道は険しく、数多くの失敗を起こした。

 

 

 

・とりあえずキーストーン全ツッパ。

『通常の家具ですね。』

 

 

 

・神名のカケラも追加で。

『最上級のスキルブック!!ですが今は───』

 

 

 

・家具も贈り物も全部投入!!

『秘伝ノートの断片に、クレジットが沢山……』

 

 

 

・水35L、炭素20kg、アンモニア4L、石灰1.5kg、リン800g、塩分250gに───

 

 

 

試行錯誤すること数時間後。

結果的にそれっぽい物が出来た。

 

肌の質感は人間のソレでいて、心做しか人肌並に温かい。

と言っても、服屋にあるようなマネキンの姿。

残る問題点はどうやってケイちゃんをこの中に入れるか。

 

残念ながら先生にはその手のスキルが不足していた。

だからこそ、先生は持てる武器の一つである繋がりを使う。

既に日は登っている。

 

『この後の作業はどうしましょう?』

・あとは専門家にお任せってね。

 

取り出したのは『シッテムの箱』とは別の端末。

操作してどこかへと電話をかけた先生。

 

・もしもし、今大丈夫?

 

その連絡先には『超天才清楚系病弱美少女ハッカー』と表示されていた。

 




当初の予定では皆大好きミレニアムのチート集団、エンジニア部にKeyちゃんの体を作ってもらう予定でした。

ただこの後の展開的にも、「他力本願過ぎるのでは?」と思ったので少し変更する事にしました。
そこで代案を考えた結果、クラフトチェンバーが頭に浮かんだという訳です。

通常何時間もかかる生成が短時間で終わっているのは、ブーストチケット使ってるということで。

次回はようやく体を手に入れたKeyに、クソゲーの試練が降りかかる予定です。


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光の剣


長期間投稿を空けて申し訳ありません。

ああでもない、こうでもないと話を捏ねて迷走すること数日。
気がつけば文字数が1万を超えていました()
添削して不要な部分を削ったものがこちらとなります。

今回はKeyの体入手から光の剣までです。



天候は快晴、時刻は8:30を過ぎました。

夜中までゲームを行ったモモイとミドリは、まだ眠りこけています。

廃部の危機だと言うのにこの緊張感は一体……

仮にも私の入部先なのですから、しっかりして欲しいものです。

 

さて、モモイの端末のモモトークをハッキングもとい拝見しましたが、どうやらもう私の義体が完成したそうです。

先生がそろそろ来ると聞いていましたが、2人は未だに寝たまま。

ならばやる事は1つ。

 

『 起 き な さ い 』

 

スピーカー音量を最大にして爆音を鳴らす。

案の定、寝ていた2人は勿論のことロッカーまでもが飛び上がりました。

………()()()()?

 

「ちょっと!!いきなりなんなのさ!?」

「うぅん……まだ耳がキーンってする。」

『先生がそろそろ来ます。良いのですか、こんなに散らかして?』

 

惨状とまでは行きませんが、床にちらばったゲームカセット類、お菓子の袋。

人を招くのであれば部屋は清潔に、これは基本です。

 

彼女たちにも乙女の尊厳が存在したのか、渋々掃除を始めました。

……多少散らかっていたところで、あの大人は気にしなさそうですが。

 

そうこうしているとノック音が聞こえました。

噂をすれば、先生のお出ましです。

 

みんな、おはよう……

「おはようござ──先生!?」

「なんだかすごく窶れちゃってるけど!?」

あはは……

 

以前の記録よりも痩せ細った印象を受ける姿で現れました。

何をしたらあんなにやつれるのか。

萎れた先生の背には子供1人が入る大きさの箱が。

あの中に私の義体が?

 

気にしなくていいよ、ただ懐が少し軽くなっただけだから。説明書作ったから読んでね、私はもう限界────ウッ!!

「先生ーッ!?」

「つんつん……反応がない、ただのしかばねのようだ。」

……勝手に殺さないで。

 

過労ですね……まさか、朝までずっと例の物を作っていたと?

たかがAI、それも素性の不明な私相手の為に?

──理解不能。先生という立場と言えど、ここまでする必要はありません。

 

一体何の目的なのですか。

……聞こうにも当の本人は既にグロッキーですか。

 

「箱の中身は〜、なんだろなー♪」

「これは……制服を着たマネキン?」

 

見た目はなんの変哲もない、ただのマネキン。

瞼は閉じ、髪は生えていない。

大きさも目測ですが約150cmといったところ。

マネキンなので、顔はのっぺらぼうに近いです。

 

今の状態のままでは恐らく99%が不審に思うどころか、化物として排除しにかかるでしょう。

私だってそうします。

 

「このままだと違和感あるなぁ……試してみるしかないか。」

「えーとなになに、『うなじの部分にあるUSB挿入口からAIのデータを入力してください』?」

 

さて、どうなるか。

あの大人の用意した代物です、ただのマネキンではないでしょう。

 

「じゃあ挿すよー。」

 

───────────────────────

 

『インストール完了、起動開始』

 

瞼がうっすらと開く。

部屋の明るさが眩しく、目を顰めるが慣れてくるとぼんやりと少しずつ視界が広がる。

目を見開いたKeyの前には双子、モモイとミドリが存在した。

先程までモニターしていた景色が3次元になり、目新しさを感じる。

視覚が完全に覚醒したのか、次々と他の感覚が研ぎ澄まされてゆく。

 

ちゃんと起動した!!」

ケイちゃん、私達のことが分かる?」

 

二人とも騒がしいが、言葉は聞き取れない。

覚醒したばかりの赤ん坊に近い状態だからだろうか。

 

壁にもたれかかった状態から起き上がる。

手足共に自分の意思通りに動く。

自身の肌の手触り、気温、それら全てKeyにとって新鮮なものだった。

 

「あー、あーあー。」

 

声もしっかりと発声出来る。

少女然とした高い声だ。

 

ふと、隣に鏡がある事に気付き覗く。

そこに映る人物には見覚えがあった。

Keyが知らないはずが無かった。

 

若干の青が混じった黒髪は横へ束ね、サイドテールに。

白い肌は絹のようにキメ細やかで、人間のそれと遜色ない。

頭上には四角形の紋様のヘイローが浮かび上がっている。

 

この姿かたちは、正しく『王女』そのもの。

しかし、目とヘイローの色は『王女』と違い、淡い桃色をしている。

 

基本動作は問題ない、ならば次は自身の───『鍵』としての機能の確認だ。

 

「『鍵』の名の元に、()()()()()A()T()R()A()H()A()S()I()S()を実行する。」

 

手をかざし、名を紡ぎ、権限の実行命令を要請する。

本来ならば『鍵』としての権限を遺憾無く発揮出来るはずだ。

 

「ど、どうしたの急に?」

「(データベースに侵入が出来ない?)」

 

しかし、権限の執行は不発に終わった。

ここら一体の電子機器の掌握をするつもりだったが不発に終わった。

どうやら元の体……『無名の王女』でなければ権限を行使できないらしい。

 

いや、それ以外にもK()e()y()()()()()()()も制限がかけられている。

もとよりそれらは『無名の守護者』の起動指令など、比較的単純な命令権だけなので無くても問題はないが。

先生以外の──第三者の可能性という線も拭えない。

 

「(逆に感心しましたよ、こういった保険を用意していたとは。)」

 

いずれにせよ、プロトコルを実行するのに『王女』の存在は不可欠。

それまでは計画の実行は不可能だと判断した。

 

「問題ありません、動作も思考も明瞭です。」

「ヤッター!!これでやっと一つの問題が解決するよ!!」

「本当にありがとう先生、ケイちゃん。」

先生だからね……当然のこと、さ。

「単なる利害の一致に過ぎません。あと先生は大人しく休んでください。」

 

未だにしつこく『ケイ』と呼んでくることに辟易しながらも、悪態をつく。

しかしKeyは半ば諦めていた、恐らく今後『Key』と呼ばれることはないだろうと。

 

「じゃあ、私はケイちゃんの学生証と『G.Bible』見てもらうから!!」

「ちょっとお姉ちゃん!?多分ヴェリタスはまだ寝て──もう、すぐ突っ走っちゃうんだから。」

 

言うが早いか、颯爽と外へと駆け出して行ったモモイ。

観察して数日だが、彼女の行動力は素直に賞賛できる。

 

「なんと言いますか、自由奔放な姉ですね。」

「あはは……」

 

Keyは疑問に感じた。

性格が真逆なこの2人が何故ここまで一緒に行動できるのか?

これも体を持って生活すれば知る事が出来るのだろうか。

 

「あっそうだ、ケイちゃん!!」

「…………なんですか。」

 

明らかに面倒くさそうな雰囲気を醸し出す。

モモイより大人しそうに見えて、彼女も中々にぶっ飛んでいる。

ただ今回に限っては有用な申し出だった。

 

「そう怪訝な顔しないでよ。

──────自分の銃欲しくない?」

 

返答は二つ返事、勿論YESだ。

 

───────────────────────

 

ミレニアムの敷地にある大きな建物。

天井を波板スレートに覆われたドーム状の作業スペースに2人はやって来た。

彼女たち2人の目的はエンジニア部から武器を譲り受けることだ。

 

Keyには「最近の転校生」として振る舞ってもらう手筈だが、緊張により心臓がバクバクするミドリ。

Keyは相変わらず無表情で、汗ひとつかいてない。

何はともあれ、彼女たちはエンジニア部の部長、ウタハに話を持ちかけた。

 

「……なるほど、だいたい把握出来たよ。新しい仲間により良い武器を送りたいと。」

「はい、もし余ってる銃があれば譲って欲しいんです。」

「勿論良いとも!!そっちの方に私たちの試作品が色々と置いてある。そこにある物ならどれを取ってもらっても構わないよ。」

「ありがとうございます、先輩!!」

 

快諾を得た2人は1人のエンジニア部員に誘導される。

誘導員はゴーグルを付け、迫撃砲を携えた見た目にインパクトのある少女だ。

 

「やぁ、1年生のヒビキだよ。何品か見繕ってあげる、試射もこっちだよ。」

「よろしくお願いします。」

「まずはコレ、()B()l()u()e()t()o()o()t()h()()()()()()拳銃。」

「今なんて?」

 

色々とツッコミどころのある武器だったが、その性能はエンジニア部の折り紙付きなだけあって相当なものだ。

次第に慣れたのか、珍機能武器を渡されてもKeyは黙々と射撃練習を行った。

 

「凄いねあの子、初心者かと思ったけど飲み込みがすごく早い。」

「はい、経験者とは聞いてなかったんですけど……」

 

撃てば撃つほどに、精度は上がっていく。

まるで機械が少しずつ誤差を調整するかのように。

拳銃のみならず、狙撃銃、ショットガン、サブマシンガン、etc…

 

あらかたの銃の使用感を覚え、次の銃はと辺りを見回す。

すると隅の方に一際大きな物体を発見した。

 

「こんなものでしょうか………あれは?」

「ふっふっふ……お客さんお目が高いですね!!」

「誰ですか貴方!?」

 

隣から急に声をかけられ後ずさるが、秒で距離を詰められた。

にげるのに しっぱいした 。

声をかけた人物は早口でこう捲し立てた。

 

「説明が必要なら、いつでもどこでも答えを提供。エンジニア部のコトリです!!貴方ですね噂の4人目のゲーム開発部の部員は!!銃をお探しと聞いてスタンバイしていたのですが、部長に『君の話は長い(意訳)』と釘を刺されたため大人しく影で観察していたのです。しかし、その銃に目をつけたとなれば話は別!!のはず!!これは私が説明しなくては!!この銃はエンジニア部の下半期の予算の全体70%近くをかけて作られた最高傑作で─────」

「えぇと……」

 

突如下の服装がエラい事になってるメガネ娘に絡まれたKey。

初めて遭遇するタイプの人間に対応が追いつかずフリーズしてしまう。

 

ヒビキによってクールダウンしたメガネ娘、コトリからKeyを引き剥がして説明を聞いた。

どうやらこれはエンジニア部の多額の予算を費やして作成した────

 

『宇宙戦艦搭載用レールガン』

 

なのだとか。

 

これを聞いたKeyの脳は破壊された。

 

何故こんな一般生徒が使用できない非効率的な銃を……

予算だって計画時に足りなくなるのは分かっていたはずなのに。

そもそも大気圏での戦闘とは一体何と戦うつもりなのか。

 

そこに部長のダメ押しの一言。

 

「簡単な話しさ──────ビーム砲はロマンだからさ!!」キランッ

 

理解不能………

危うく頭の宇宙へと旅立つ所だったが、気合いで戻ってこれた。

ミレニアムは変人しかいない、そうKeyは結論付けた。

ユウカは泣いていい。

使えもしないのに『光の剣:スーパーノヴァ』などとは……。

 

この出来事がKeyの運命を変えた。

ロマンと言う名の謎理論で脳を破壊されたせいか、通常のKeyでは必ず取らないであろう選択肢を選ばせたのだ。

 

そうだ、『光の剣』を貰おう。

 

「ここにある物ならなんでも持って行って良いと言いましたね?」

「……?あぁ、勿論だとも。」

「ならその『光の剣』、貰いましょうか。」

 

案の定渋るエンジニア部。

というのも実機の重量140kgに加え、その他サポート部品をつけた状態での射撃反動は200kgをこえるのだとか。

なるほど、通常の生徒であれば担ぐことすら出来ない代物だろう。

 

だがKeyは『鍵』だ。

Keyは軽々と光の剣を持ち上げる。

そして照準を天井に合わせこう言い放った。

 

光よ!!!!(ヤケクソ)

 

その時の彼女の声は透き通るほどさわやかだったとか。

そしてその日、エンジニア部の作業場の天井には大きな穴が出来たそうな。

 

───────────────────────

 

時刻は既に午後5時を指していた。

夕日が沈む中、1人の少女は背に銃と呼ぶには大きすぎる『光の剣』を携えていた。

 

Keyは勝利した。

かの邪智暴虐なエンジニア部から光の剣を勝ち取ったのだ。

頭のおかしい発想で生まれたこの武器だが、これがあれば計画の助けになるとKeyは確信していた。

 

そんな訳で、いつも以上に気分のいいKeyだった。

今なら何をお願いされても素直に聞く自信がある。

それが今日1番の悪手だったとは、今はまだ知りようもない。

 

部室へと戻るとモモイと先生が不在であった。

先生はシャーレに帰ったのだろうか。

 

「形跡を見るに、だいぶ前に帰ってますね。」

「先生帰っちゃったのか、せっかく購買でお菓子買ってきたのに。」

 

恐らくモモイはまだヴェリタスの所だろう。

それまでどう過ごそうか、考えていると1つの雑誌が視界に入る。

何となくそれを手に取ってみる。

 

「………これは?」

「あっ、それは──」

「……ミレニアムプライス?」

「実はその本にはね、私たちが作ったゲームが載っているの。クソゲーって酷評されちゃったけど……」

 

クソゲーと言う概念については知らないが恐らく碌でもない称号なのは把握出来た。

しかし、逆にそれはそれで興味が湧くというもの。

部活に所属する以上、彼女達がどのレベルのゲームを作るのか知っておく必要もあるだろう。

 

「クソゲーランキングでは1位になっちゃったけど、お姉ちゃんが帰ってくるまで遊んでみる?」

「……良いでしょう、貴方達の作った物に少なからず興味もありますし。」

「本当に!?ちょっと待ってて、今セッティングするから!!」

 

少し時間をおき準備が完了した。

電源が入り、しばらくして画面にタイトルが映し出される。

 

『テイルズ・サガ・クロニクル』

 

軽快なBGMとともにスタート画面へと移る。

……音楽自体は悪くない。

 

「瞬く間に攻略してみせましょう。」

「 頑張って!!」

 

脳破壊の時間が始まる。

 

───────────────────────

 

すっかり暗くなった頃、ミレニアムの廊下を少女が駆ける。

手には1つの学生証、その表情は無に近い仏頂面だ。

 

「一日で完成させちゃうなんて、流石ヴェリタス!!ケイちゃんの苗字、勝手に決めちゃったけど……まぁいっか!!」

 

手にする学生証にはこう記されていた。

 

ミレニアムサイエンススクール

1年生

依星(よりほし) ケイ

ゲーム開発部

 

「待っててね、ミレニアムプライス。必ず受賞してみせるんだから!!」

 




Keyの名前は、今作では依星ケイとして扱います。
アンケートで決めてもよかったんですけど、普通に忘れてました()
主な原因はGWの休みが消し飛んだショックによるものだと思います。
ほら、笑えよ(震え声)

クソゲーによる脳破壊はまた今度になりそうです。

次回、冷酷な算術使い登場


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蛇足:ホモの一日


次話でケイちゃんの脳が破壊されると言ったな?

あ れ は 嘘 だ
なんでもするから許して……

1話だけホモ君視点に切り替わるんじゃ。
時系列的にはリオとホモ君が遭遇した後になります。
幕間で言えばちょうどケイちゃんが学生証を入手した辺り。



ホモの朝は早い。

いつも見る夢から覚めると、素早く身支度を済ませた。

 

時計は5:00を少し過ぎている。

少し眠りすぎたと足早に台所へと向かうため、部屋を出ると2人の少女、メンバー2と3とすれ違った。

 

「おはようございます、朝食の準備ですかオーナー?」

「お、おはようございます……」

 

基本的に朝昼晩の3食の給仕は、ホモが担当している。

ゲマトリアの会合など外しにくい用事がある時のみ、メンバー2が代わりに作っている。

今日の朝食は和食だと伝える。

 

「和食ですか?……うぇへへ。」

「メンバー2、涎が垂れてますよ。」

 

仲間が増えホモの気づいた頃には、7人分の食事を作るようになっていた。

元々得意と言える程でもない料理の腕が上がったのは言うまでもない。

 

世の中には一日に4000人分の食事を1人で作る猛者が居るので、まだまだひよっこも良いところだが。

 

メンバー2程に分かりやすく美味しそうに食べる人が居ると、やる気も湧くのだ。

既にルーチン化しつつある朝食に、どうアレンジを加えようか考察しつつホモは台所へと入っていった。

 

──────────────────────

 

時刻は7:00を指し示す。

この時間帯になると残りのメンバーは既に起床し、リビングへと集まっていた。

 

寝ぼけて放心状態の兎を、肘で小突くリーダーはもはや日常風景。

ホモを含めた全員が席に着いてから食事を始めた。

 

「ハグハグッ!!モゴモゴッ!!」

「毎度の事だが、メンバー2は落ち着いて食え。」

「AL-1Sちゃん、お箸の使い方上手くなりましたね〜。」

「肯定、日々の練習の賜物です。」

「すみませーん、私の卵焼きとそっちの焼き魚交換しましょ?」

「卵焼き2つっすよ。」

 

和気藹々と食事をする子供達を目にホモも箸を進め、自信作の卵焼きに味噌汁を掻き込んでいく。

 

ホモには本来、毎日食事をする必要が無い。

その身が骨であるため最低でも1ヶ月は飲まず食わずで活動出来る。

食事も手の込んだものでなく、水と市販のエネルギー補給品で事足りる。

 

ゲマトリア──ベアトリーチェ辺りには特に非効率的だと批判するだろうが、ホモはこの時間を大切にしている。

この世に無駄な事など何一つないのだ。

 

それぞれが朝食を終えると活動を開始する。

 

メンバー2と3は夜勤だったので休憩。

兎とAL-1Sは出番があるまで待機。

リーダーとメンバー1は箱舟の警備とホモの警護を行っている。

 

そしてホモのやるべき事は多岐に渡る。

 

・『神秘の固定』の研究。

・『多次元解釈』の研究。

・『バレル』の解析。

・箱舟アップグレードの為の素材回収。

・稀にくる来訪者(チビメイド)への対応。

・『廃墟』の見回り。

 

新しい取引先も出来たことで、そのスケジュールは多忙を極めていた。

今日は午前中に素材回収と見回りを行い、午後から研究を進める予定だ。

準備を整え箱舟は『廃墟』の最下層を目指す。

 

──────────────────────

 

最下層に到着し、デカグラマトンの預言者が1柱『ケテル:Z』の元へ向かう。

既に『廃墟』は70%掌握したと言っても過言ではない程に攻略が進んでいた。

 

最下層に到着するまで、監視用を除けば殆どのロボット兵を破壊し進むことになる。

ならば何故ロボット兵を破壊しても尽きる事がないのか。

 

それはこの『廃墟』に発生するロボットが、別の場所に存在するもう1柱の『ケセド』によって生産されているからだ。

 

ある一定数までロボットの個体を減らすと新しく補充されるシステムで、

材料は何処から補充しているのか不明だが無限にロボット兵が湧いて出てくる。

早ければ数時間で補充されるので、『廃墟』から居なくなる気配が一向にないのだ。

 

しかし『ケテル:K』はやはり特別なのか、1度破壊寸前まで追い詰めると中々復活しない。

この前『デュカリオンの箱舟』で轢いた時は復活まで三日間かかってしまった。

 

その為撤退するまで専らワイヤーでネチネチと攻撃し、珍しいオーパーツを回収するのが現在の素材回収方法となる。

この方法であれば1日1回のペースで回収可能だ。

 

「そぉ〜れ榴弾ー!!」

「火力支援を行う。」

 

既に『ケテル:Z』を楽々倒せるレベルに成長したリーダー達によって、今日も彼はサンドバッグになっている。

今日もノルマは達成できそうだ。

 

──────────────────────

 

予定通りの時間に『ケテル:Z』は退却したため、ホモ達は帰路に就いた。

見回り中、ふと休憩時間はどう過ごしているのか気になったホモは連れてきた2人に質問する。

 

「休日はどうしているのか、ですか……もちろん鍛錬を───」

 

ホモは頭を抱えた。

最近になってやっとワーカホリックが治ったと思えば、まだ完治していなかった。

 

無論ただの筋トレ程度であれば問題ないが、彼女のソレは筋トレの範疇を超えていた。

ミレニアムのトレーニング部も裸足で逃げ出すだろうコレは筋トレではなく訓練に近い。

 

何を趣味とするかは個人の勝手だが、流石にどうかとも思う。

ひとまずこの件については話し合うことにして、メンバー1の趣味について聞いた。

 

「私は映画っすね〜、暇があれば見てますよ。」

 

そうそう、こういうので良いんだよ。

 

メンバー1はしっかり休憩時間を活用してそうで安心するホモ。

最初出会った頃はネガティブな印象が多かっただけに心配していたが無用だったようだ。

 

「この間、貴重な映画が1本入ったので一緒にどうですか?」

 

なんでもブラックマーケットにあったイチオシの作品なんだとか。

ホモは時間が空いた時であれば是非にと、快諾した。

 

 

 

 

彼女の嗜む作品が「実写版デビ〇マン」や「ジ〇ーズ3」の類いなのをホモはまだ知らない。

 

──────────────────────

 

その後、箱舟へ戻り研究を一段落つけたホモはリビングへと顔を出していた。

するとソファーの上に人影が居るのを確認する。

 

「あれっオーナーが来てるなんて珍しいですね?暇ならゲームでもしませんか?」

「同意、オーナーも参加するべきです。」

 

……この子達に関しては心配いらないな。

同じ待機組だからか、兎はよくAL-1Sと一緒にいる。

 

「にははっ、これはいい牌が揃いましたよ。」

「宣言、当機も負けていません。」

 

今遊んでいるのは3人麻雀。

提案者は兎だが、本人の運はあまり良くない(むしろ悪い)。

聞いた事があるのだが彼女曰く───

 

「実力に左右されないこのスリルがたまらないんですよ!!」

 

本人が満足ならそれでいいのだろう。

遊びつつ2人に趣味について話を振った。

 

「趣味ですか、あのリーダーさんとは何とも縁が無さそうな話ですね。私は当然賭け事です!!」

「回答、当機には魅力的な文化が多すぎて選べません!!現在模索中です。」

「そう言うオーナーはどんな趣味があるんですか?っとリーチで!!」

 

よく誤解されがちだが、ホモにも趣味の一つや二つある。

最近は狙撃銃での的当てにハマっている。

『廃墟』の見回り時に、遠くにいるロボット兵を相手する位だが。

 

「へー、意外ですね。もっとインドア派なのかと。」

「共感、オーナーも銃にロマンを感じたのですか?」

 

兎の言う通り、最近までは考えられなかった事だ。

きっかけはC&Cとの戦闘時。

装甲車のタイヤを撃ち抜いたあのスナイパーの精密な射撃に感化されたのだ。

そう、年甲斐もなくカッコイイと感じたのだ。

 

再び銃を握る事になるとは夢にも思わなかった。

狙撃銃自体はよくある市販品と変わらない獲物を使っている。

腕前を披露する機会は無いかもしれないが、専用銃を作るのも悪くないかもしれない。

 

始めたては目も当てられないレベルだったが、体は覚えているのか勘を取り戻すのに時間は掛からなかった。

全盛期に及ばないものの、1000m圏内であれば人型ロボットに確実に当てる程度には改善している。

 

ゲームを開始して既に10分が経過する。

1番早くリーチをかけた兎はまだ上がる事が出来ずにいた。

 

「くぅ〜、中々ツモりません。」

「……指摘、ロンです。計算した結果18000点を所望。」

「なぁんでぇぇぇッ!?せっかくリーチ出来たのにー!!」

 

ゲームは結局、兎が破産(トンで)しAL-1Sが1位となった。

 

──────────────────────

 

時刻は既に23:00を過ぎた。

ホモは就寝のためベッドに潜り込む。

 

ホモに睡眠は不要だ。

その頭蓋骨の中に休ませる脳みそが存在しないのか、寝ずとも疲れが溜まらないのだ。

 

それでもホモは決まった時間に床に就く。

自身が人だという事を忘れない為に。

 

不必要な事だからか、いつも同じ夢を見る。

人影ひとつ無い霧に覆われた廃墟の中で佇む夢を。

意識がはっきりしている分、瞑想してる気分になる。

 

そんな異常な夢だからか、時たまに外部の者が迷い込むこともある。

このキヴォトスに来てからも何回かあった。

 

それは猫だったりロボだったりするのだが、正しく夢現というのに相応しい状態で迷い込む。

もしくは放心状態で佇んでいるので、迷い込む度に彼らを担いで夢から覚める道へと連れていくハメになる。

 

ただ稀に意思疎通が可能な者も迷い込むケースが存在する。

こちらに来てからは1人だけ遭遇した。

 

姿を見るにトリニティの生徒だったが、誰だったか……

久しぶりの経験だったのだが、警戒されて話せず直ぐに帰ってしまったのでよく覚えていない。

 

どうやら今日は来訪者が来なさそうだ。

これなら集中して考えを纏めることが出来そうだ。

 

『鍵』に関してのスタンスをどう取るか。

ビッグシスターとの折り合いはどう付けるべきか。

どうすればより早く自身の考える『崇高』へと辿り着けるのか。

 

そんな事を考えながら、ホモは今日も夢を見る。

 




はい、これでホモ君は2章まで出番なしになります。

次回こそケイちゃんの脳を破壊します(断言)


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冷酷な算術使い


長い間お待たせして申し訳ありません。

このGW中の休みが消し飛んで死んでいました。
弱音を吐いても仕方ないので、最低1週間に1話を目処に続けていきます。

これからもよろしくお願いします。

今回はケイちゃんの脳破壊と全先生のオカンが登場します。



ゲーム開発部の部室内、日が沈む頃モニターに目を向ける少女が2人。

コントローラーを持った少女、ケイは彼女達の開発したゲームに挑戦する。

知識として知っているだけで、実際にプレイするのは初めてな彼女は、ある種の好奇心を胸にスタートボタンを押した。

 

「このゲームは童話テイストで色彩豊かな王道ファンタジーRPGなの。」

「ファンタジー系は良くも悪くも作り手の個性が現れるものです。一体どのような物に仕上がっているのか……」

 

画面が暗転し、荘厳な音楽が流れ始める。

少しすると燃え盛る街並みのドット絵と共に文字が流れた。

そう、北○の拳的なアレだ。

いきなり意味不明なプロローグが始まり混乱するケイ。

 

『コスモス世紀2354年、人類は却火の炎に包まれた……』

「???」

「えっと、王道とは言っても色々な要素を混ぜてたりするんだ。」

「なるほど……?」

 

物語のマンネリ化を防ぐ為に、インパクトのある演出から入ったと言う事か……少なくともそう理解する事にした。

何やら既に地雷臭もするが、無視して先に進む事にする。

 

『チュートリアルを開始します。』

『まずはBボタンを押して、目の前の武器を装着してみてください。』

「早速戦闘のチュートリアルですか。」

 

RPGで重要な要素の一つであるバトルシステム。

ターン制のコマンド選択システムになっている。

クソゲーランキングに載ったということもあり、あまり期待せずに指示通りBボタンを押した。

 

そんなケイの目論見は外れた、勿論悪い意味で。

ボタンを押した瞬間、自身のキャラが爆発四散したのだ。

 

バボーン

〈GAME OVER〉

「……は?」

「やっぱりそんな反応になるよね……」

 

これにはスーパーAIもフリーズ物である。

死んだ?何故?理解不能………

宇宙猫状態になっていると笑い声が聞こえた。

 

「あははははっ!!予想できる展開ほどつまらないものはないよね!!本当はAボタンを押すんだよ!!」

「お姉ちゃん、学生証は?」

「バッチリ!!」

「これが学生証ですか?」

 

この学園の校章にバーコードが記されたカード。

質素な作りだが学園最先端と物なだけあって、そのセキュリティ性は高いそうだ。

 

「よく私の学生証なんて取れましたね。」

「生徒名簿にヴェリタスがハッキ……登録してくれたからね。これでケイちゃんは私達の仲間だよ!!」

「それはさておき、改めて見てもこの部分は酷いと思う。」

「……もう一度始めます。」

 

意味不明な事象に対しての怒りと困惑と反骨を胸にゲームを再開する。

ケイは自ら、地獄の入口に飛び込んだのだ。

 

────────────────────────

 

『武器を装備しました。』

『エンカウントしました。野生のプニプニが現れた!!』

「序盤のモンスターらしい見た目ですね、これなら簡単に───」

 

『プニプニの攻撃。』ッダーン!!

『攻撃が命中、即死しました。』

「は?」

〈GAME OVER〉

『プニプニ:どれだけ剣術を鍛えたところで我が銃の前では無力……フッ。』

「!?!?!?」

 

 

理不尽なバトルシステムに翻弄され、

 

 

「RPGと言えば仲間を加えるのも醍醐味のひとつです。魅力的なキャラなら尚更良し。」

「だよね!!このゲームだと色んな人に話しかけてみると良いよ。」

「なるほど、そこの椅子に座ってる男の人に話しかけてみましょう。」

『仲間にスカウトする。』

『ごめんなさい、私は植物人間なので女性と共に旅に出る事なんて出来ません。』

「??????」

 

 

時にはテキストの意味を汲み取れず意識を失ったり。

 

 

「どうなんですか、この母親がヒロインだと言うのは。倫理的におかしいでしょう。」

「そ、それはほら。前世での妻だったって言う設定があるから何とか……」

「その設定も色々ツッコミどころはありますが……腹違いの友人ってなんですか、それにその友人が主人公の妻の元へタイムリープして戻って来るというのは一体どう言う……あぁ、記憶能力に障害がくぁw背drftgyふじこlp;@:

「ケイちゃん!?しっかりして!!」

 

 

情報の大渋滞で言語障害が発生したり、

様々な困難を乗り越えつつ着実に進む姿はまさに勇者であった。

 

「頑張ってケイちゃん!!クライマックスまでもう少しだから!!」

「エラー発生!!エラー発生!!……再起動(リブート)、プロセスを回復、再開します。」

 

そして遂に─────

 

「ころ……して……」

「凄いよケイちゃん!!開発者2人一緒とはいえ、2時間でトゥルーエンドなんて!!」

 

何とか気を保ちゲームクリアする事が出来た。

ケイが瀕死になっている姿を見ればその壮絶さは測りしれるだろう。

気絶するか否かの瀬戸際、ミドリが質問する。

 

「こういうこと面と向かって聞くのは緊張するんだけど……私達のゲーム面白かった?」

「…………。」

 

ケイは考え込む。

AIとして判断するならば、ハッキリ言ってクソゲーである。

隣で爆笑してたモモイを殴ってやりたい程に。

なのでそこは包み隠さず伝えることにした。

 

「結論から言うとクソゲーである事に変わりないです。」

「うぅ、やっぱり……」

「しかし───」

 

だが今の彼女はただの『鍵』でなくケイとして顕現している。

良くも悪くも、ゲーム開発部と長く一緒にいた結果の不具合(バグ)だった。

ケイは僅かだがこの短期間で感情というものを理解していた。

 

「──このゲームは面白いと私は評価します。

確かに理解に苦しむ表現はありますし、展開は唐突で置いてけぼりになる事も多々ありました。

 

しかし、同時に良い点も確かにありました。

まるで別世界に居るかのような冒険感、良きレトロゲーにある攻略していく楽しさ、そして何より製作者の『ゲームへの愛』が伝わりました。

遊び手を楽しませようという意志をです。

 

ただの手抜きの結果出来たクソゲーとは違う、愛すべきクソゲーとでも言うのでしょうか……

 

良作ゲームかはともかく、少なくとも私はこのゲームの事を気に入りました。」

 

そこには滅亡へ導く意志は無く、純粋な敬意だけが存在した。

思わず素直に感想をのべてしまい、ハッと息を呑むも2人にとってこの感想は響いたのか、モモイに至っては満面の笑みを浮かべている。

 

「ありがとうケイちゃん!!その辺の評論家の言葉なんかより100倍嬉しいよ!!」

「AIにも作り手に対する敬意程度はありますから。」

「あー、早くユズにも教えてあげたい!!」

 

ユズ?と頭にハテナマークを浮かべていると突如ロッカーから弱々しくか細いが女性の声が聞こえた。

 

「……ちゃ、ちゃんと全部見てた。」

「誰です、そこに居るのはッ!!」

 

ギギィーと、ロッカーの扉がひとりでに開くと中からケイより小さい女の子が現れた。

すわ不審者かと、立てかけておいた「スーパーノヴァ」に手をつける前にモモイが反応した。

 

「あ、ケイちゃんは初めてだね。この人がゲーム開発部の部長、ユズだよ。」

「………あ、ありがとう。ゲーム、面白いって言ってくれて……本当に、ありがとう。」

「???」

 

意図が読めずケイは混乱しているが、ユズは尚も頭を下げる。

それは本当に、嬉しそうにはにかみながら。

 

「そういう言葉が、ずっと聞きたかった……。」

 

───────────────────────

 

互いに自己紹介を終えた後、モモイが唐突に

「今日の午後からセミナー役員が資格審査に来るからよろしく!!」(意訳)

 

と急に約束を取り付けてきたのでケイは軽くキレそうになったが、それでも審査の時は訪れた。

 

そして約束の時間の5分前に入室したセミナー役員、早瀬ユウカの開口一言目がコチラ。

 

「有り得ないわ、ゲーム開発部に新入部員が入ったなんて……!!」

「残念だけど、事実だよ!!」

 

どのような事をしでかせば、こんな反応を返されるのだろうか。

 

「貴方が噂のケイちゃんね、ミレニアムの生徒ならほぼ全員把握してると思ってたけど……」

 

もう噂になっているのか……

ケイはユウカに対し、セミナー役員と名ばかりでない生徒だという印象を受けた。

学生数はしっかり把握していないが三大学園と揶揄される程だ、人数は相当な大所帯になるはず。

それを殆ど全員覚えているとは、何処かの桃猫に爪の垢を煎じて飲ませたい。

 

「私がこんなに可愛い子の事を知らなかったなんて、ちょっと信じられないわ。」

「ふふふ、そうでしょうとも。」

 

なんせ王女をベースとした容姿に体躯ですから!!

と自信ありげに胸をはるケイ。

実際美少女の類に入る程に容姿は整っているので何も間違っていない。

無名の司祭達は誇っていい。

 

ユウカが不審に思っていると感じたのか、モモイが話題を戻す。

 

「とにかく、これでゲーム開発部は存続って事でOKだよね?」

「存続……確かにそうね、この子が本当に自分の意思でここに来た部員だったらの話だけど。」

「(ドキッ!!)」

 

モモイの肩が跳ねる。

おそらく彼女は絶望的に嘘をつくセンスがない。

 

記録上はハッキングしたおかげで入学したと記されているので心配していないケイ。

未だ顔を見ていないヴェリタスなる組織を警戒枠に入れつつ、ユウカの話を聞く。

 

「最近、ミレニアムの生徒が()()()()()()()()()()()事例が起きたから、部活動の運営をもう少し厳しく確認する必要が出てきたの。」

 

普通の学校であれば大袈裟な……と言うところだがここはミレニアム。

学園最先端の技術を扱う彼女たちを引き込もうとする企業関係者は後を絶たないだとか。

もし王女を攫った者が企業関係者ならば情報も早く集まるかもしれない。

 

「それじゃあケイちゃん……もしゲーム開発部に脅されて仕方なくこの場に居るのなら、左目で瞬きをして。」

「ちょっとッ!?最初から何その質問!!ほら見て、この眩しい学生証を!!」

「私はそんなに簡単に騙される女じゃ無いわ。」

 

態度が白々しすぎる。

薄々、ユウカもこの学生証が偽物だと勘づいてるのではと思いながらも問に対して否定するケイ。

 

「そう………ケイちゃん、貴方がゲーム開発部に来たきっかけは何?」

 

さて、困った。

モモイとミドリが作ってくれた台本通りでも良いが、相手は彼女だ。

適当に作った話を看破されると路頭に迷う羽目になる。

 

今のケイの体は人間同様にお腹はすくし、動けば疲れも溜まる。

王女の居場所の見当がつかない今、出来ればこの衣食住の整った場を捨てる事は避けたい。

それにミレニアム生徒という肩書きがあれば、ミレニアム近辺の探索も容易になるだろう。

 

結果、正直にかつ嘘も交えて話すことにした。

 

「部活動は別にどこでも良かった。ただ1点、彼女達のゲーム愛が熱烈に伝わったという点だけ気に入った。入った理由なんてそんなもの。」

 

意訳するとこんな感じの事を話した。

他にもプログラマーを担当すると言ったり、

逆に「彼女達の事をお願い」なんて言われたり。

勘弁して欲しい。

 

そんなこんなで順調に審査は続いた。

 

「規定人数も満たしているし、ゲーム開発部を改めて正式な部活として認定します。」

「ふぅ……。」

 

何とかまた関門を突破できた事で息をつく。

ようやくスタートラインに立つことが出来た。

 

「そ、そしたら部費も貰えるし、このまま部室を使ってもいいんだよね?」

「ええ、勿論よ。『今学期』まではね。」

「わーぃ……え?」

 

今学期までという単語に凍りつく一行。

何それ聞いてないという雰囲気を察したのかユウカが説明する。

 

「今は部活の規定人数だけでなく、部としての成果を証明しないといけないの。」

 

これは例え部員が何人いても必要なことらしい。

期間は今月末まで。

ちょうどミレニアムプライスが発表される時期と被る。

 

「嘘だ、有り得ない!!」

「有り得るの!!この間の全体の部長会議でちゃんと説明した内容なんだから。」

 

話を聞いたところ、ユズの代わりにモモイが出ることとなっていたらしい。

過ぎたことは戻すことが出来ない。

ケイにはチベットスナギツネみたいな目でモモイを睨みつける事しか出来なかった。

 

「モ、モ、イ?」

「仕方なかったの……その日はアイテムドロップ2倍の日で……」

「ゲーム機を貸しなさい、データを消去します。」

 

とはいえ、結局目的は変わらないのだ。

最高のゲームを作ってミレニアムプライスを受賞する。

その期間が少し縮まっただけなのだから。

契約を交わした以上は徹底的に遂行する、それがケイの方針だ。

 

「新しい部員も入ったんだもの、期待してるわよ?」

 

モモイ達からすれば、まさに悪役然とした態度で部屋から出ていくユウカ。

もはや手段をよりすぐりするターンは過ぎている。

ここからは一手も間違いは許されない。

 

「賭けよう、『G.Bible』に。」

 

最高のゲームの作り方の載った『G.Bible』に一縷の望みをかける。

行き当たりばったりも良いところだが、他に有効な打開策も思いつかない今はそれが最善手だった。

 

ケイ達はヴェリタスの解析結果を待つ。

 




次回はヴェリタス登場&『鏡』奪還作戦直前までの予定です。


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真理を追求するもの


お待たせ致しました。
『鏡』奪還作戦までです、今回も少し長め。

今回のイベントはBGMが特にお気に入りです。
ミニゲームも面白いけど素材回収の効率がちょっと……
ガチャ?普通に爆死ですが?(バニトキ天井)

4.5PVも発表されてウキウキですわ。



その時は唐突に来た。

 

いつも通りゲーム開発部一行が部室で過ごしているとモモイのモモトークに着信が届いた。

ヴェリタスの団員であるマキからだ。

差出人の名からもしやと若干慌て気味にメッセージを確認するモモイ。

その予感は的中した。

 

 

「『G.Bible』の解析結果が出たって!!」

「ファイルの中身はどうだったの!?」

 

 

待ちに待った『G.Bible』の解析結果だ。

食い気味にミドリ達がモモイに詰め寄る。

 

 

「それがヴェリタスの部室に来てとしか……」

「うーん、何だか心配だけど行くしかないよね。」

 

 

ケイの言葉を信じているため偽物だとは思っていないが、もしかするとヴェリタスでは解析が不可能だったという事も考えられる。

そうなると、このミレニアム学園で解析出来る機関は無くなる。

他の機関を探すにしても恐らくミレニアムプライスに間に合わなくなる。

どちらにしろ、覚悟を決めて向かうしかないのだ。

 

 

「ヴェリタスですか……。」

 

 

ケイはヴェリタスに大きな興味が湧いていた。

中身を見たことは無かったが、あのファイルのセキュリティレベルが高かったのを覚えているからだ。

学生の身分で解析できたとなれば、噂通りキヴォトス一のハッカー集団と自負するのも納得がゆく。

故に『G.Bible』が本物だと理解してても、同行するのは必然だった。

一行は期待と不安を胸にヴェリタスの部室へと足を運ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

「依頼されたデータについて、結果が出たよ。」

 

 

部室へ向かうとヴェリタスの部員である小鈎ハレが出迎えてくれた。

ヴェリタスの部室は辺り一面が電子機器に囲まれている、いかにもな部屋だ。

机の上にはPCと妖怪MAXが所狭しと並んでいる。

ハレは余計なお喋りをせず、単刀直入に本題に入った。

 

 

「───モモイ、

 

貴方のゲームのデータを復活させるのは無理。」

 

 

まず『G.Bible』ではなく、ケイが消滅を防ぐ為に消去したゲームデータの復元についてだった。

完全消去されたデータを復元するのはヴェリタスと言えども不可能だったようだ。

これにはケイもニッコリ。

 

 

「うわぁぁぁん!!もうダメだーーーッ!!」

「ふふふっ、『G.Bible』の代償を払ったと納得するしかないですね。」

「そっちじゃないでしょ!?『G.Bible』のパスワード解除はどうしたの?」

「それならまだマキが対応中です。」

 

そう、本命は『G.Bible』だ。

未だ涙目のモモイを押しのけるミドリ。

ちょうど部室の奥からマキがやって来た。

 

 

「あ、おはようミド!!……モモはどうしてこんなに泣いてるの?」

「気にしないで、それより『G.Bible』はどうだった?」

「ちゃんと分析できたよ。あのファイルは『G.Bible』に間違いない。」

 

 

ファイルの作成日、最後に転送された日時、ファイル形式とあらゆる要素から見て、まず確実だと。

また噂の伝説ゲーム開発者のIPと一致し、転送形跡も一回しかない事から、これがオリジナルだと言うことも確認できたらしい。

偽物ではないという事に安堵したモモイ達だが、マキは続けてこう言った。

 

 

「でも問題があって……ファイルのパスワードについてはまだ解析できてないの。」

「えぇっ!?じゃあ結局見られないって事じゃん!!」

「だって私ホワイトハッカーじゃなくてクラッカーだし……」

 

 

クラッカーがシステムの不正侵入、破壊、データ改ざん等が主な活動なのに対し、

ホワイトハッカーはプログラム解析、改変等が主な活動となる。

必要とされる分野が全く違うのである。

それでもヴェリタスの彼女が解析できないとなれば、このミレニアムに解析可能な人物は居ない。

そう考え、一気に暗雲がたち込み始めたゲーム開発部だが、マキは元気付けるようにこう続けた。

 

 

「大丈夫、方法がない訳じゃないから。」

「そうなの?」

 

 

彼女曰く、パスワード解析はほぼ不可能に近い。

これに関しては流石伝説のゲーム開発者と言うべきだろう。

しかし、セキュリティファイルを取り除いた『()()』を作成することは可能なのだとか。

ただ、それをするためには『鏡』と呼ばれるハッキングツールが必要となるらしいが───

 

 

「それは今どこにあるの?」

「あたし達ヴェリタスが持って……た。」

「過去形ってまさか───」

「……そう、今は持っていない。生徒会に押収されちゃったの!!」

 

 

『鏡』は絶賛、セミナーが押収中だという。

つい最近にユウカが押し入り、

 

 

「不法な用途の機器の所持は禁止!!」

 

 

というセリフとともに持っていかれたらしい。

その他にも色々持っていかれた様だが、その中でも『鏡』は部長の作成したオリジナルツールでこの世に二つとない代物らしい。

なお、取られた原因はコタマが先生の携帯を盗撮確認するのに使用したとの事。

 

 

「部長って言うと、ヒマリ先輩?」

「ヒマリ?」

「ケイちゃんはまだ会ったことないよね、車椅子に乗ってるから見かけたらすぐ分かると思う。」

 

 

体は不自由だがミレニアムに他に存在しない唯一無二の天才。

だから軽視、同情されたりすることも無い凄い人なのだと。

『全知』の学位をもつ類まれなる天才、それこそが明星ヒマリだ。

 

 

閑話休題(病弱美少女は置いといて)

 

 

情報を整理すると、ヴェリタスは何にせよ取られたことがバレると怒られるのでその前に『鏡』を取り返したい。

そしてゲーム開発部も『鏡』が必要。

そう、どちらも欲するものは同じだ。

ヴェリタスが部室へと招いた理由も明らかになる。

 

 

「なるほど、呼び出された時点で何かあるとは思ったけどだいたい分かったよ。」

「ふふ、流石モモ。話が早いね。」

「えぇ……もしかして?」

 

 

不穏な空気を読み取るミドリだが、モモイが宣言してしまった。

 

 

「目的地が一緒なんだし、旅は道連れってね!!」

「はぁ、どうせこんな事だろうとは思いましたが……仕方ないですね。」

 

 

目標は単純明確。

ヴェリタスと組み、セミナーを襲撃する。

セミナーを襲撃するにあたって、目標地点は既に抑えていた。

目標の『鍵』はセミナーの差押品保管所にある。

問題はそこを守る者達……メイド部、通称C&Cだ。

 

 

ミレニアムで最高戦力と名高い戦闘集団。

曰く、メイド服で優雅に相手を「清掃」するという噂で有名な。

そんなガチ戦闘集団が『鏡』を守っているのだ。

 

 

「うーん成程〜……諦めよう!!!!ゲーム開発部、回れ右!!前進!!!!」

「待って待って待って!!諦めちゃだめだよモモ!!『G.Bible』欲しいんでしょ?」

「そりゃ欲しいよ!!でもメイド部と戦うなんて冗談じゃない!!」

 

 

モモイにとっては、走る列車の中に乗り込めとか言われた方がマシだ。

今すぐ部室に戻ろうとするモモイだったが、何とか部長に怒られたくないマキが食い下がる。

 

 

「このままじゃあたし部長に怒られ……じゃなくて!!ゲーム開発部も終わりだよ!!」

「廃部は嫌だけど……でもこれは話の次元が違う。」

 

 

C&Cの「ご奉仕」によって壊滅したサークルは数えきれない。

最後は跡形もなく清掃されるのは有名な話だ。

文字通り完膚なきまでに、二度と同じ事が起きないよう徹底的に。

部活よりミドリ、ユズ、ケイが大事なモモイは参加を断固拒否していた。

 

 

その気持ちが分かるマキは言葉が詰まるが、説得を続けた。

他の部員達も助言する中、コタマが盗聴で入手したとある情報を伝える。

 

 

「そもそも、今のメイド部は完全な状態ではありません。」

「え?」

 

 

メイド部が最強と言われる所以。

それはもちろんメンバー全員が腕利きというのもある。

しかし何よりも大きいのは彼女の存在。

メイド部の部長、コールサイン00……美甘ネル。

彼女の作戦成功率は脅威の100%()()()

 

 

「『約束された勝利』とまで言われる彼女は、今このミレニアムに不在なの。」

 

──────────────────────

 

同時刻、ミレニアム屋上。

そこではセミナー役員のユウカとC&Cエージェントのアカネが対面していた。

2人の話題はゲーム開発部の襲撃についてだ。

 

 

「─────そのまさかよ。」

「なるほど、にわかには信じ難いお話ですね。」

 

 

アカネもゲーム開発部について、知らないわけではなかった。

あんなに可愛らしいのに……

ミレニアムの生徒会を襲撃しようだなんて、人は見かけに寄らない。

 

 

「純粋な子達よ。でもだからこそ、時にとんでもないイタズラをしたりもする。それに今回はヴェリタスも絡んでるの。」

 

 

こちらは(ヴェリタス)逆に有名すぎた。

セミナーが情報を独占しないようにと、『全知』ヒマリによって作られたクラッカー集団。

彼女たち……と言うよりもその部長とセミナー会長が不仲なのは有名な話だ。

 

 

「まぁ何であれ、依頼である以上私達は受けるつもりでいますが……一つだけちょっとした問題があります。」

 

 

アカネは少し前の部長とのやり取りを思い出す。

 

 

「本当に行くのですか?」

「あん?お前だって知ってるだろ。やられっぱなしは気に食わねぇんだ。」

 

 

最近の作戦がリーダーにとって温すぎたというのもあるだろう。

この生活ではクソチビに勝つのは夢のまた夢だと。

オマケに最近の戦闘は歯応えがなく消化不良感が凄まじい。

そんなリーダーが、以前の戦いのような高揚感をまた味わいたいと思うのは不思議ではなかった。

 

 

「ですが『廃墟』に行くだなんて、セミナーにバレたらタダでは……」

「いいだろ別に。個人的な理由で逢いに行くのは問題ないはずだからな。」

 

 

あくまでも禁止されたのは『黒崎コユキ』の奪還のみ。

個人的な喧嘩を売りに行くなら無問題だと、屁理屈のような理由でカチコミに行くと言うのだ。

 

 

「そういう訳で、セミナーには上手く言っといてくれ。くれぐれもユウカには内緒な。」

 

 

これ以上は呼び止めても無駄だろう。

承諾と受け取ったのか、リーダーは完全武装状態でミレニアム郊外へと向かった。

 

 

経緯はどうであれリーダーからの命令、メイドとして失敗する訳にはいかない。

ユウカ相手に下手に言い訳するとボロが出そうだ。

ここは話を本筋に戻す事にした。

 

 

「ですが、ご心配なく。リーダーは守ることより「壊すこと」に特化した人ですから。」

 

 

ユウカが頭を抱えるC&Cの破壊による賠償請求は、ネルが大半を占めている。

因みにその他の殆どはアカネの爆弾による被害だ。

 

 

「リーダーがいる時が1番強いというのは間違い有りませんが、守ることに関しては私だけの方が都合が良いかと。」

 

 

これもまた事実だ。

リーダーを含めば確実に作戦は成功する。

しかしその作戦の余波による被害で頭を抱えるのはユウカになるだろう。

主に損害賠償的な話で。

 

 

「じゃあ改めて、依頼受けてくれるわね?」

 

──────────────────────

 

C&Cが相手だと知り完全に雰囲気がお通夜状態だったゲーム開発部。

いくらネルが居ないとはいえ、相手は戦闘のプロフェッショナル。

真正面から挑むわけではないとしても、勝算は薄い。

部活を取るか、仲間を取るか。

その天秤を傾けたのはミドリだった。

 

 

「……やってみよう、お姉ちゃん。」

「えぇっ!?」

「このままゲーム開発部をなくす訳にはいかない。」

 

 

賞を取るためにはあらゆる手を尽くさなければならない。

その中でも『G.Bible』は特に重要な要素だ。

これに頼らなければ前回のクソゲーの二の舞になるだろう。

 

 

やるかやられるか(Dead or Alive)、今がその瀬戸際だ。

ここで困難から逃げてしまえば、同じ状況になった時に必ず繰り返す。

逃げて、逃げて、逃げた先で、待っているのは碌でもない結末だ。

 

 

「ボロボロで、狭くて、偶に雨漏りもする部室だけど、みんなで一緒にいるための大切な場所だから。」

「そもそも私という存在がいながら失敗を恐れるとは。約束します、この部は廃部させません。」

「皆でやれば……きっと、上手くいく……!!」

「みんな………うん、よし。」

 

 

端から退路はない。

覚悟を決めたモモイは声高らかに宣言した。

 

 

「生徒会に潜入して、『鏡』を取り戻す!!」

 

 

ゲーム開発部だけではない、こっちには先生だっている。

反則だと罵られようが、知ったことでは無い。

勝てば良かろうなのだ。

兎にも角にも、単純な戦力で大きく劣っている自分たちには頭数が必要だ。

仲間がたくさんいる。

幸いスカウトは先生が買って出てくれたので、自分たちは戦闘準備するだけで良かった。

後は作戦を開始するだけ。

 

 

やる気に満ち溢れているモモイはハレに聞いた。

いつ作戦を決行するのかと。

返ってきたのは予想外の言葉だった。

 

 

「もう始まってるよ。」

 

──────────────────────

 

「あ、一つだけ質問をしたいのですが。」

 

 

ゲーム開発部の襲撃に備える前に、確認しておきたい事があった。

それはなぜゲーム開発部はさておき、ヴェリタスの行動まで掴んでいたのか。

いかにセミナーと言えどもあのヴェリタスの行動を監視することなど可能なのか?

それに対するユウカの返答はあっさりとしたものだった。

 

 

「……ヴェリタスが教えてくれた。それだけの話よ。」

「はい!?」

「私たちに情報を伝えてくれたのは……ヴェリタスの部長、明星ヒマリだもの。」

 

 

同時に理解し難い返答でもあった。

何故そんな事を、少なくとも彼女達の仲は悪くなかったはず……。

ここまで来ると何か企んでるのではとも思うが……。

 

 

「心配はしなくてもいいわ─────『鏡』の件も恐らく彼女の手引きのはずだし。

 

 

ユウカは既に、ヒマリの思惑の正解に1番近いところまで辿り着いていた。

理由は分からないがゲーム開発部とセミナーをぶつけようとしている事に。

セミナーを潰すつもりなら、こんな回りくどい手は必要ない。

大体、自身の作品である『鏡』をエサにした彼女が手を出すことはないと踏んだ。

 

 

「では──御奉仕開始といきます。」

 

──────────────────────

 

「うふふ、いよいよですね。」

 

 

両者の激突が迫る中、ミレニアム学園のどこかにある部屋に1人。

件のヴェリタスの部長兼、特異現象捜査部の部長である明星ヒマリは彼女達(ゲーム開発部)のモニタリングしていた。

ユウカの予想通り、あえて『鏡』を流したのは彼女だ。

 

 

何故彼女が今回の騒動の引き金を引いたのか。

それはゲーム開発部とシャーレの先生が拾ってきた『依星 ケイ』の正体を暴くためだ。

実のところ、彼女の正体は9割9分判明している。

ただ、確証が欲しかった。

 

 

例え人工的に作られた世界を滅ぼすAIだったとしても、

自らそうあると決めた者と、他者からそうあれと望まれた者は違う。

現在同盟休戦関係にあるリオの協力もあり、ネル抜きのC&Cをぶつける所まで成功した。

 

 

後は力を見るだけだが、ぶっちゃけるとヒマリは彼女をミレニアムの生徒として歓迎するつもりだ。

ただの冷酷なAIがあんなに楽しそうな笑顔を浮かべるだろうか。

ヒマリの中でケイは既に危険分子から可愛い後輩へと変化していた。

 

 

どうやらリオの見解は異なるようだが。

相変わらず頭の固い独裁者め……。

ここ最近の彼女の動きはきな臭い。

何やらミレニアムの外部にある組織と接触した痕跡もある。

 

 

調べてみたがただの中小規模の一般企業……オクトパスバンクだったか。

カイザー系列の下部組織で、セキュリティもザル。

何故リオがそんな組織と手を組んだのか謎すぎる。

その他にもリオが裏でコソコソと何かを企んでいるのは掴んでいる。

大型都市の建築に謎の機械の輸送にetc……

 

 

「本当、何をやってるのですか貴女は……。」

 

──────────────────────

 

場面はミレニアムから変わり、『廃墟』その最奥。

 

 

ゲマトリアの一員であるホモがいつも通り研究を進めていると警報が鳴り響く。

侵入者を知らせるものだと分かった彼は、()()()とため息をつきながら外へと出向く。

少し歩くと破壊された警備ロボを地に伏せた少女───美甘ネルがこちらに気づいた。

 

 

「おぅ、来たな骸骨男。」

「毎度、チャイム代わりに警備ロボを破壊するのは止めてくれないか?」

 

 

あの日C&Cを追い払ってから、彼女が突撃してくるようになった。

必ず警備ロボを一体破壊するといったオマケ付きで。

はっきり言って迷惑である。

彼女の破壊する警備ロボには多額の投資を行っている。

それでもAL-1Sの成長の大きな一助になっている為、一概に帰れとも言えないのが歯がゆかった。

 

 

横たわる警備ロボを見る。

彼女が強いのは分かっていたが、まさか瞬殺とは。

()()を参考にして作ったのだが、まだまだ改良の余地はあるようだ。

改良方法を考えていると方舟から人影がホモの前へ着地した。

 

 

「そこまでです、オーナーに迷惑をかけないでください。」

「来やがったなぁ、クソチビッ!!」

 

 

珍しく青筋を立てたAL-1Sが登場した。

因みに彼女がヘルメットを被っていないのはネルに顔がバレているためである。

存在が極秘事項なAL-1Sだが、生きている以上ずっと窮屈だとストレスも溜まる。

 

 

「帰宅を推奨、100%当機の勝利で終わります。」

「ハッ、言ってろ!!今回はアタシが勝つ!!」

 

 

またいつもの様にドンパチが始まる。

流れ弾に当たる前に戻ろうと方舟へと踵を返した。

ホモに出来ることはただ1つ。

「暗くなる前に戻るんだぞ。」と声をかける事だけだった。

 





最低限の説明と書きたいところを詰め込んだら、糞長くなっちゃった。

これも、リオが1人で突っ走ってしまうのも、
全て元カイザーPMC理事のせいなんだ!!


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『鏡』奪還作戦


お待たせ致しました。

全ての石を注ぎ込んでメイドアリス爆死した敗北作者です。
最早今年の水着ガチャすら天井分溜まるか怪しいです()
課金しなければ……(鋼の意思)

『鏡』争奪戦からです。



セミナーの保有する室内に硝煙と埃が舞い落ちる中、3人の少女がそこに存在した。

 

「くっ!?さすがに多勢に無勢でしたか……」

 

策など知らぬと言わんばかりに1人で正面から突撃を敢行したケイ。

邪魔な扉を打ち破り可能な限り暴れ回ったが、

アカネの躊躇ない爆撃に、ユウカの正確な集中砲火を受け膝をついていた。

気絶は免れたが、再び動けるまで回復するには時間を要する。

 

「降参です、煮るなり焼くなりお好きにどうぞ。」

 

まんまと敗北した訳だが、最低限の仕事は果たした。

後は合図が出るまで待機するのみ。

 

「エレベーターの『指紋認証システム』を突破するのに、無理やり扉を打ち破るなんて……」

「とっても可愛いですねー、連れて帰っても良いですか?」

「それはだめ。一旦生徒会の反省部屋にでも閉じ込めておかないと。」

 

銃が重たすぎるため、意識ありの状態で銃ごと拘束されたのは幸運だった。

 

名付けて『トロイの木馬作戦』開始。

 

──────────────────────

 

その後、ゲーム開発部は第2段階、第3段階と順調に歩を進めて行く。

 

ヴェリタスのハッキングとマキ達の囮でアカネの隔離を行ったり、エンジニア部がカリンの動きを抑えたり。

全員の助けがあり、何とか差押品保管所のある最上階に到達したモモイ達。

 

だがスムーズに事が運んだのもここまで。

ノーマークだったC&Cエージェントのアスナと鉢合わせ、抑えていた他エージェント達も動き始めた。

 

カリンの狙撃が再開し撤退を試みたが、ユウカを含めた4者全員に捕捉されてしまった。

こうなる事も視野に入れて、あえてケイがフリーに動けるように陽動役も兼ねて警備ロボにも立ち向かったのだが……

 

「無条件の1週間停学か、拘禁くらいは覚悟してもらうわ!!」

「そんな……1週間だとミレニアムプライスが終わっちゃう!!」

「ケイちゃんも反省部屋に居るから、あなた達が来ればきっと喜ぶでしょう。」

 

捕まっても謹慎程度で罰が収まると思っていたが、その計算は狂ってしまった。

ここで捕まってしまえば賞は取れなくなってしまう。

 

例え『鏡』を確保してもケイとユズだけではゲームは完成しない。

突破も逃走もできる可能性はほぼ0%。

それでも立ち向かうしかないのだ。

 

「諦めたくないッ!!けど、どうしたら……」

 

周りはユウカとC&Cに囲まれ、警備ロボも大勢いる。

先生もどうにかこの状況を打破する作戦を考えるも、全てどこかで詰んでしまう。

 

まさに万策尽きたと言えるだろう。

このまま奮闘虚しく、モモイ達は捕まる運命にある。

 

しかし、それも────

 

 

 

 

 

この場に居る戦力がモモイとミドリだけであればの話。

 

光の剣が鼓動する。

 

「充電100%、ターゲットを確認──」 グォォォン……

 

「この音は……」

「お姉ちゃん、伏せてッ!!」

「……ん?」

 

急に隅へと体を伏せ始めたモモイ達に疑問符を浮かべていると、背後の壁から少女の声がした。

 

 

「光よッ!!!!」

 

 

その刹那、とてつもない轟音と衝撃が辺り一面に広がる。

放たれた紫電の弾丸は、警備ロボを根こそぎ破壊し尽くして行く。

 

そう、ちょうど真ん中に居たアスナを巻き込む形で。

端にいたアカネとユウカは避ける事に成功していた。

 

「くっ!!?アスナ先輩!!」

「あははっ、思いっきり当たっちゃった!!

何これめっちゃ痛い、頭のてっぺんからつま先まで1ミリも動かない!!」

「……思ったよりも大丈夫そうですね。」

「くうっ、この火力は……」

 

超高火力の電磁砲にあっけに取られてユウカは背後に忍び寄る人影に気づかなかった。

 

ゴンッと、割と重い音と共にユウカの体は崩れ落ちるように地面へと落下した。

 

「ユウカ!?」

「安心してください、峰打ちです。」

「ケイちゃん!!!!」

 

銃で峰打ちとは?

アカネがユウカへ振り返ると、銃を携えたケイがそこに居た。

 

「そんな、カリンが周囲の警戒を行っていたはず……まさか!?」

 

アカネ達は知る由もないが、少し前にエンジニア部が再びカリンを抑えることに成功していた。

戦闘不能ではないが、また暫くは火力支援は望めないだろう。

銃口をアカネに狙いすましているケイにモモイ達が近づく。

 

「ケイちゃん、どうしてここに!?」

「元々、貴方達を囮に差押品保管所に向かうつもりはありませんでした。」

 

実のところ、モモイ達抜きでもゲームは完成する。

賞を取ることも、ケイの能力があればそれは可能だ。

たがケイはその選択を取らなかった。

 

「これも完璧に勝つため。ええそうです、

決してあなた達の事が心配になった訳では有りません。」

「ケイちゃん……!!」

 

勝つなら全員で、圧倒的に。

それがケイの導き出した答えだ。

 

形勢逆転したゲーム開発部は止まらない。

 

「ここまで来たんだ、行くよゲーム開発部!!」

「そうはさせません……!!」

 

いかにC&Cのエージェントでもケイを加えた3人相手に適うはずもなく、

徹底的に逃げに徹したゲーム開発部は、アカネを振り切る事に成功したのだった。

 

──────────────────────

 

「はぁ……はぁ……、逃げ切れた!?」

「上手く巻けた、大丈夫だよ。」

 

逃げ切った一行は差押品保管所へと辿り着いた。

しかしそこは保管所と言うには荒れすぎていた。

窓ガラスは割れ、棚も倒れている。

『光の剣』の余波なのだろうか?

 

「とりあえず『鏡』さえ持ち出せば、後はヴェリタスが何とかしてくれるはず。」

「よし、じゃあ急いで探s───「静かに。」えっ?」

 

『鏡』が見つかり一段落と戻ろうとするモモイを制止するケイ。

その体は通常の人間と違い、身体能力だけでなく五感まで強化されている。

そんなケイの優れた耳は、こちらへ向かってくる足音を捉えていた。

 

「人数は恐らく1人、ですが………」

「モタモタしてユウカ達に追いつかれるのも不味いし、1人だけなら倒しちゃおう。」

「待って、ハレ先輩から連絡が来てる。」

 

そこにはいかにも慌てたような様子でこう書かれている。

 

『逃げて、いや隠れて!!早くッ!!何としてもそこ$!#^&!@#

 

いつも冷静な彼女らしくない滅茶苦茶な文書。

何かがおかしい……。

 

「えぇ、どういう事?」

「……接近対象を確認、あれはまさか────」

 

 

 

二丁の鎖に繋がれたサブマシンガン。

 

 

メイド服の上から着られた龍柄のスカジャン。

 

 

そして身長が150cmに満たないながらも、隠しきれない強者特有のオーラ。

 

 

 

「嘘!?」

「隠れてッ!!!!先生、急いで!!」

 

少しして、足音の主が保管所の扉を開き入室した。

 

「ふーん、盛大に散らかってるな。」

「(ど、どうしてネル先輩がここに!?)」

 

本来ここに居ないはずの美甘ネルが現れた。

 

 

『廃墟』の奥地で奴との戦闘を終えたネルは清々しい気分だった。

今回は()の動きを上回り勝利を手にする事が出来たからだ。

 

奴との戦績は6:4で勝ち越している。

しかし、これもあの骸骨の提案でルールを決めて戦っているからの話。

ルール無用の実戦であれば、こちらが3:7で負け越しているだろう。

 

しかしルール有りきとはいえ、勝ちは勝ち。

ネルは気分よく学園に帰っていた───のだが何やら学園が騒がしい。

 

近くにいた生徒に話を聞けば、セミナーとC&C相手に部活動が襲撃をしたと言うではないか。

 

相手はヴェリタス、エンジニア部、そしてゲーム開発部。

エンジニア部も意外ではあるが、それより驚いたのはゲーム開発部の名がそこにあった事。

 

以前他の部活動相手に襲撃を掛けていたことは覚えているが、

彼女達の戦闘能力は決して高いとは言えない。

部長の実力は不明かつ弱くは無いのだが、はっきり言って今回は場違いである。

 

真相を確かめるべくエレベーター近くへ来てみれば、グシャリと扉がひしゃげていた。

壁を伝いさらに奥に進むと、倒れたまま動かないアスナに、頭を抑えたユウカが居た。

彼女にエンジニア部が一体どんな兵器を作ったのかと聞くと───

 

「武器はエンジニア部製だが、使ったのはゲーム開発部」だと言う。

 

これにより興味メーターが急上昇したネルは、ゲーム開発部がまだ居るであろう保管所に向かったのだった。

 

 

そして現在に至る。

荒れ果てた保管所を覗き込むネル。

何か気配を感じ取ったのか、此方に近付いてきた!!

 

「何か音が……。」

「(ひぃぃ!!)」

「(これ、は、予想以上ですね。)」

 

ケイはこの世界に出て始めて恐怖と言う感情を知った。

まさに蛇に睨まれた蛙とはこの事なのだろう。

「コイツと戦闘を行ってはいけない」と脳内に警報が鳴り響く。

見つかれば終わりだと本能で察知していた。

 

「何か気配がするな、暗くて見えねぇが机の下か?」

「(不味い!!)」

 

段々と足音が近づいてくる。

相手は完全に、この部屋に何か隠れているのに気づき始めている。

 

一か八か、飛び出して戦闘を仕掛けようか?

勝率は絶望的に限りなく低い。

生存確率が1番高いのは紛れもなくこの方法だが……。

 

長考しているうちに、すぐネルは近くまでやって来た。

もう猶予はない、意を決して外に出ようとした時だった。

 

「あ、あの!!」

「あん?」

「(ユズ!?)」

 

一体いつから居たのか、後ろのロッカーからユズがネルの目の前へ現れた。

突然の事態に訝しげな表情のネル。

それもそうだろう、ネルを持ってしても()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

これから行われるのはユズの人生で一、二を争う名演技。

自身を『セミナー所属』だと偽る事にしたのだ。

 

「……あんたは?」

「せ、生徒会『セミナー』所属の、ユズです。」

 

これがユウカ、またはアカネであれば速攻でバレるであろう。

しかし全生徒の顔を覚えていないネルは、ユズがゲーム開発部だという事に気が付かない。

普段部活動の会議で顔を出さないことがここで役立つとは夢にも思わなかった。

 

そう、ゲーム開発部とは気づかない。

 

 

 

問題は()()()()()()()()()()()()()()()という点。

依然、前方の机の下から何かの気配を感じる。

 

「………。」

「ゲーム開発部達の襲撃に遭い、アカネ先輩とカリン先輩が、制圧を試みています……」

「………………………。」

「じょ、状況的に助けが必要だと思ったのですが……。」

 

恐らく彼女(ユズ)はゲーム開発部、もしくはそれ以外の敵対している部活動の部員だろう。

ここで問答無用で戦闘を始めることは容易だった。

 

ユズにとって痛い沈黙が続く。

しかしネルはユズの両目をじっと見つめる。

その目には怯えと確かな決意が宿っていた。

 

自分がどう思われてるかなんて分かっている。

『約束された勝利』なんて呼ばれているが、顔を出せば大抵の人物は顔を引き攣らせた。

 

明らかに戦闘に向いてなさそうなその見た目、

それでも、ビビりでも自分の目の前に飛び込んできた度胸。

 

その度胸を買い、ネルはその演技に()()()()()ことにした。

 

「その根性があれば十分だぜ。」

「えっ?」

 

いかに優秀な兵隊でも、腕っ節だけでは戦場で生き(勝ち)残れない。

少し腕がたつだけの小心者よりよっぽど気に入った。

 

それに自分は今、正式に依頼を受けて此処に居る訳では無い。

今の請負主はアカネなのだから。

 

ならば多少のワガママは通したって良い筈だ。

しかし、ただ見逃すだけではユウカから文句を言われるだろう。

それにアスナを戦闘不能にした奴のことも気になる。

 

少し考えると、ネルは散らばってる書類を適当に拝借し、走り書きした。

そして、おもむろに棚の中にあるアレを取り出した。

 

「コレは預かっておくぜ。」

「ッ!!」

「(『鏡』が!!?)」

「ついでにこれも渡しとく。……じゃあまたな。」

 

あれよあれよと紙切れを握らされるユズ。

用事は済んだと言わんばかりにネルは保管所を後にした。

ドアが閉まりネルの足音が遠ざかっていく。

 

 

 

「ふえぇ………」

 

ペタリと緊張が解けて膝から崩れ落ちるユズ。

そして駆け寄るモモイ達。

 

「死んじゃうかと思った……。」

「ユズぅぅぅぅぅぅぅ!!」

「ユズちゃん凄い!!おかげで命拾いしたよ!!」

「でも、『鏡』がネル先輩に……。」

 

肝心の目標である『鏡』は横取りされてしまった。

それでも全員が無事なのは素直に喜ばしかった。

 

「とにかく此処から早く出よう、それと────」

 

モモイは先程から気になっているアレについて聞いた。

 

「ユズ、ネル先輩から何か貰ってたけどアレは……?」

「えっと、開いてみるね。」

 

有無を言わさず渡してきた紙切れを開く。

その肝心の内容だが────

 

 

 

 

 

 

『明日の午前9:45、ミレニアム旧校舎にて待つ。』

 

 

 

 

 

 

今どき珍しい果たし状であった。

 




ネルが超強化された(勘が戻った)せいでユズの演技が見破られました。
一体どこの骨のせいなんだ……。

次回でケイ視点最後になります。
……最後にしたいなぁ。


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約束された勝利

お久しぶりです。

ティアキンやってて2週間以上投稿が止まってました()
誠に申し訳ありません。

今回はミレニアムプライスまで。
ケイ視点ラストパートです。



次の日、果たし状(?)に記された時刻通りに来たゲーム開発部一行と先生。

約束場所として指定されたミレニアム旧校舎は、朝の混雑する時間帯だと言うのに人の気配は全くしない。

 

正直ケイ以外はC&C、それもあのネルの呼び出しを素直に受けたくなかった。

遅刻の常習犯で粗暴な印象の多い不良であるという認識が強かったからだ。

 

実際の遅刻原因は、困ってる人を放っておけない世話焼き気質なのだが、今の彼女達は知る由もない。

目標の『鏡』を取られた今、彼女たちは従うしか無いのだ。

 

先生はと言うと、特に噂を気にしたような素振りもなく平常運転でモモイ達に着いてきた。

能天気なのかと言われると違い、その目付きは大真面目だ。

 

シャーレで彼女(ネル)の戦闘データを見た事がある。

感想としてはゲーム開発部が一丸になっても勝てるかどうか……。

そこにアスナ達が加わってしまえばどうなるか想像は難くない。

そうなった時どう対処すべきか、その事だけが今先生の脳内を駆け巡っていた。

 

ケイは他の4人とは少し違う。

確かに直接対峙せずとも恐怖を覚える程に彼女に対しての第1印象は凄まじかったが、今は純粋な興味もある。

ミレニアム最強と謳われるその力に。

なんでも依頼達成率が100%だと言うのだから、その力は推して知るべし。

 

噂通りであれば戦闘は避けられないだろう。

闘るときは闘るしかないと、いっそ開き直っていた。

 

ケイがそんな事を思っているとも知らない他3人は、一体何を要求されるのかとビクビクしながら指定場所で待っていると、9:45頃に奥から人影が向かって来るのが見えた。

 

徐々にその姿は鮮明になり、4人勢揃いのC&Cが現れた。

先頭にいたネルが口を開く。

 

「おう、逃げずによく来たな。」

 

ネルの視線がユズ、モモイ、ミドリ、先生、そしてケイの順番で流れる。

中でも先生とケイの顔を眺める時間は少し長かった。

 

「あんたやっぱり………いや、今気にする事じゃねぇな。」

・どういう要件?リベンジ?

「はっ!!そんなくだらねぇ理由で来るわけねぇだろ!!……アンタだ、アンタ!!」

「私ですか?」

 

鋭い視線はケイに向けられていた。

ケイが怯むことなく睨み返すとネルはフッと笑った。

 

「私の目的はアンタと戦う事だ。別に恨みなんてねぇが興味が湧いた、戦う理由なんてそんなもんだ。」

「何故こんな回りくどい事を?噂とは違うようですが。」

「……あの場で戦う大義名分が無かったからな、だから依頼を受けた今こうやって対面してるのさ。」

 

今はセミナーから受けた依頼に途中参加している形だ。

ならば、契約通り美甘ネルは任務を果たすだけ。

 

「戦ったとして、私達にメリットは?」

「そっちのメリットなんてこれに決まってるだろ?」

 

ヒラヒラと何かを掴んだ手を振るネル。

その物体はつい最近見た、ゲーム開発部が今最も欲している物だった。

 

「それってもしかして『鏡』!?」

 

ネルの手には『鏡』のデータの入ったディスクが握られていた。

それをアカネに引き渡す。

 

「ソレを手に入れるには貴方と戦うしかないという事ですか。」

「そういうこった。」

 

話は終わりだと言わんばかりにネルが1人で前へ出る。

こちらを見据えるその姿は、既に臨戦態勢をとっていた。

心配そうにミドリがケイの顔をのぞき込む。

 

「ケイちゃん……。」

「そう心配そうな顔をしないで下さい。相手のご指名は私1人、サクッと勝ちます。」

 

『スーパーノヴァ』を抜きケイも臨戦態勢をとった。

『鏡』奪還の時とは違い容赦なくぶっ飛ばせる。

最初から最大威力をお見舞するつもりのケイにネルが言い放った。

 

「先手は譲ってやる、よく狙え。」

「後悔しても知りませんよ。」

 

照準は真っ直ぐネルへと向いている。

エネルギーがドンドン蓄積される最中、ネルは宣言通りピクリとも動かない。

 

「電力充電100%──────────光よ!!!!」

 

青紫の極光がネルへと向かう。

発射されてもなお動かないネル目掛けて弾丸は進み続け、

眼前まで差し迫った瞬間派手な破壊音とともに砂埃が巻上がった。

 

「えぇっ、リーダーッ!?」

「完全に直撃しましたね、正直拍子抜けです。」

 

完全に当たった。

そう断言出来る感触が確かにあった。

C&Cの面々も直撃したのが見えたのか慌てふためいている。

まさかの結果にモモイ達も呆気に取られる。

 

 

 

砂埃が未だ残るこの周りの中で唯一、先生だけが真っ先に気づいた。

 

・まだだよ。

 

砂埃が薄まり、二本足で立つ人影が見える。

 

「確かにいい火力だな、当たればの話だが。」

「馬鹿な、完全に当たったはずでは……。」

 

ネルはピンピンしていた。

傷ひとつなく佇む姿に全員が絶句した。

よく見ると真横の床に『スーパーノヴァ』の余波が残っている。

本当に紙一重で避けたというのか。

 

「サービス期間は終わり、こっからはアタシのターンだ!!」

「ッ!?」

 

ネルの接近を許すケイ。

放たれた弾丸に対し反射的に『スーパーノヴァ』を盾にして被弾を避ける。

 

そこからは文字通り圧倒的であった。

ケイの周囲を高速で周り、断絶する事ないSMGの弾丸の嵐。

並の生徒であれば既に気絶してる量の弾丸がばら撒かれる。

 

「(早すぎて反撃するタイミングがない!!そもそも彼女に照準を合わせるのも困難!!)」

 

ケイが一般生徒よりも丈夫な体を持ち、体を隠せるほどの大きい銃を扱っているからこそ、ここまでもっている。

 

照準が合ったかと思えば既にそこにネルは存在しない。

多少の被弾を覚悟しなければ反撃すら許させない。

ケイは覚悟を決めて捨て身の放銃を敢行した。

 

「ぐうっ………このッ!!」

 

十分にチャージされないまま、初弾より弱い威力の弾丸が発射される。

しかし─────

 

「ヤケになってもアタシには当たらねぇぞ。」

「くぅッ!?」

 

苦し紛れの攻撃も虚しく外れ、ネルの攻撃は止むことはない。

徐々にケイが追い詰められていく。

 

「この間合いでアタシに勝てる奴なんざ、キヴォトス中でもそう多くは………いや、()()1()()を除いて居ねぇ!!」

「(不味いですね……。)」

 

正攻法では勝てない。

ケイは既にそう結論づけていた。

 

厄介なのは彼女のスピード。

それさえ何とかすれば勝機はまだある。

 

しかしモモイ達の手を借りることができない今、想定外の事態を引き起こすことは不可能に近い。

 

銃撃で少しずつ朦朧とする意識の中、一つだけ解決策を考えついた。

 

成功確率は10%未満、成功しても勝率はもっと低い。

失敗すればその瞬間に自分は敗北するだろう。

まさに蜘蛛の糸のようにか細い一手。

 

時間が過ぎるほど取り返しがつかなくなる。

もはや躊躇っている猶予は無かった。

 

「電力充電……100%!!」

「あん?どこを狙ってる!?」

 

狙うのはネルではなく天井。

それも最上階に届くまでの威力を床を支えとし、遠慮なく弾丸をぶっ放した!!

 

案の定、天井は破壊され上からネルとケイを巻き込む形で大量の瓦礫が降る。

とてつもない威力だったので、戦闘範囲外にいた先生達の方にも落ちてくる。

 

「上から大量の瓦礫が!!」

「あわわッ、危ない!?」

「凄ーい!!天井まで突き抜けちゃった!!」

「感心してる場合ですか!!下手するとこのフロアが崩壊しますよ!?」

 

周りが慌てふためく中、ネルはというと………。

 

 

 

「舐めてんのかァ、てめぇ?」

 

 

降り注ぐ瓦礫の雨を掻い潜り、ケイへと接近するネルの姿があった。

まるで瓦礫がネルを避けていくかのようにスルスルと隙間を縫って走ってくる。

ケイの瓦礫で動きを止める作戦は失敗した。

 

「えぇ、そうでしょうとも。貴方なら難なく突っ込んで来ると信じてました。」

「ッ!!」

 

そこでネルは気づく。奴の照準が自分を完璧に捉えている事に。

 

大量に降り注ぐ瓦礫は、障害物の欠けらも無いこの廊下を迷路へと変貌させていた。

ネルがケイの元へたどり着くには、瓦礫を避ける為に決まったルートを通らなければならない。

 

ケイは降り注ぐ瓦礫の軌道を計算し、常にネルの走行ルートを予測する事に成功していた。

 

ここが人通りの多い校舎であれば、

旧校舎の天井が老朽化していなければ失敗していただろう。

照準は依然ネルを捉え続ける。

 

「電力充電70%………」

「ちぃッ!!」ブンッ

「私の勝ちです───光よ!!」

 

引き金に指をかけ、今度こそネル目掛けて弾丸が発射された。

それと同時に視界がグンッとブレ、ネルの姿を見失うケイ。

 

何が起きたのか理解できなかった。

 

少しの浮遊感の後、背中から床へと激突した。

僅かな痛みに顔を顰めていると左足に違和感を覚える。

 

雁字搦めに鎖に足をとられていた。

鎖の先はネルへと繋がっている。

完全にしてやられた。

 

状況を把握した直後、額に銃口を突きつけられた。

ネルには傷一つ付いていない。

 

「(やるだけ、無駄でしたか……。)」

 

自分らしくない策を弄してまで足掻いたが、結果は敗北。

放たれるであろう弾丸に備えて目を瞑った。

 

 

……衝撃が来ない。

 

 

不審に思い目を開けると銃口は下ろされ、その手には『鏡』が握られていた。

 

「ほら、やるよ。」

「え、なっ……………何故?」

「別にアタシに勝ったらやるなんて一言も言ってねぇぞ。そもそも負けねぇし。

 

予想外すぎた事態にケイは思考が追いついていない。

諭すようにネルは言う。

 

「依頼は達成した、約束の時間通り10:00まで、なぁ?」

 

要は初めからそういう事(出来レース)だったのだ。

そうでなければ約束間際の時間帯に呼び出したりしない。

弄した策が功を奏した結果となった。

未だ尻もちをついたままのケイに双子が抱きつく。

 

「「ケイちゃあぁぁぁぁんッ!!」」

「うぶっ!?モモイにミドリ、邪魔です……。」

「あ、あれ?C&Cの人達は一体どこに?」

・もう帰ったみたい。

 

いつの間にか退散していたC&C。

『鏡』を手に入れたケイ達は、行きしなとは真逆の軽い足取りで部室へ戻るのだった。

 

──────────────────────

 

その後、マキから届けられたロック解除済みの『G.Bible』を開いたゲーム開発部。

最高のゲームを作る為の秘密が明らかになった。

ゲーム開発の真理、それは─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゲームを愛しなさい』

 

 

たったこれだけ。

危険を掻い潜って手に入れた『G.Bible』はゴミだった。

 

「ふふっ、ふへへへへ、全部終わった!!おしまいだぁ!!!!」

 

ショックすぎて変な笑い声が漏れ出てるモモイ。

瞳のハイライトを失ったミドリ。

ロッカーに篭もりガタガタと震えるユズ。

 

「どうせこんな物だとは思っていましたが………立ちなさい3人とも。」

 

不貞腐れる3人に喝を入れたのはケイだった。

 

「知ってたよ!!そんな都合の良いものなんて無いって!!でも、期待ぐらいしたって良いじゃんッ!!」

「ごめんねケイちゃん、私達は『G.Bible』なしじゃ良いゲームは作れないの……」

「いいえ。言った筈です、あのゲームは面白かったと。」

 

確かに全てを手放しに褒められた物ではない。

それでも確かにそこにはゲームへの愛が込められていた。

 

「それに忘れてませんか?私という存在が居るということを。」

「ケイちゃん……。」

 

何でもは出来ないが、不可能なこともあんまりない。

『王女』のサポートAIが、ゲームの開発さえマトモにできない筈がない。

 

開発全てに手を出すつもりは無い、この4人で最高のゲームを作るのだ。

 

「私がついているのです、不甲斐ない結果なんて許しません。」

「………ミドリ、ミレニアムプライスまでの猶予は?」

「あと6日、今からならまだ間に合うよ。」

「わ、私も皆と一緒に……だから、頑張る。」

「よし!!ゲーム開発部、『テイルズ・サガ・クロニクル2』の開発、始めるよ!!」

 

──────────────────────

 

ミレニアムプライス当日。

 

既に作品の投稿は終了した。

あとは結果発表を待つのみだ。

緊張で眠れていないモモイの目はギラギラしていた。

 

「緊張しすぎて吐きそう……。」

「胸をはりなさい、必ず受賞していますから。」

 

そして、ミレニアムプライスが始まりテレビ画面に注目する4人。

今回の出品数は例年より多く3桁を超える。

その中から栄光の座を手にするのはたった7作品。

7位、6位、5位と順番に発表される。

 

「うぅ、心臓に悪い。」

「ま、まぁ私達の作品にこの順位は相応しくないから!!」

 

続いて4位、3位、2位と容赦なく時は流れる。

 

そして念願の1位の発表の時が訪れた。

 

 

 

「待望の1位は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新素材開発部─────ズドドドドドッ!!

 

遮るように銃声が鳴り響く。

モモイがディスプレイを撃った音だ。

 

「きゃあッ!!本当にディスプレイを撃ってどうするの!!?」

「どうせ全部持っていかれるんだし、もう関係ない!!うえぇぇぇぇん!!今度こそ終わりだァァァ。」

「…………。」

「ケイちゃん?」

 

無言で『スーパーノヴァ』を担ぐケイ。

電力は既に充電は100%だ。

 

「…………私が関与しておきながらこんな結末、納得いきません!!」

「やめてっ!!銃を持って暴れないでケイちゃん!!」

 

会場にカチコもうとするケイを何とか抑えるミドリ。

ユズは悲しみで俯いている。

ツッコミ役がミドリしか機能していない混沌と化した部室。

そこへ唐突な来訪者がやってきた。

 

「モモイ!!ミドリ!!ケイちゃん!!ユズ!!」

「ひぃっ、もうユウカが!!悪魔ッ、セミナーには人の心がない訳!?」

 

結果発表のあと直ぐ来るほど、自分たちが賞を取れなかったのが嬉しかったのかと、涙目でユウカを睨みつけるモモイ。

 

「何を馬鹿な事言ってるの……最後まで見なさい。スマホで見て走ってきたの。」

 

スマホにはこう記されていた。

 

『特別賞 ゲーム開発部 《テイルズ・サガ・クロニクル2》』

 

──────────────────────

 

「釈然としません。」

 

あくまで《臨時の猶予》だが、廃部の危機は一旦去った。

大いに喜んだモモイ達だが、ケイは不機嫌なままだ。

1位を取れなかったのが大分ショックだったらしい。

 

「『特別賞』だって凄いよ!!本当にありがとうケイちゃん!!!!」

「……はぁ、そうですか。」

 

呆れながら溜息をつくケイ。

納得いかないが契約は果たした。

ならば、次はこちらの番だ。

 

「では私の願いを叶えて貰いましょう。」

「え?」

「まさか、忘れたのですか?そちらに協力する代わりに私を手伝って欲しいと言った契約を……。」

「あ、そう言えばそうだった。」

 

既にあの日から2週間近くが経ってしまった。

一刻も早く彼女(AL-1S)を探し出さなければ。

 

そう、なるべく早く。

これ以上、情が移ってしまう前に。

 

「私のこの姿と同一の人物を探して欲しいのです。」

 

ヒントは意外とすぐ近くにある事をケイは知らない。

 

──────────────────────

 

ミレニアム学園から遠く離れた土地。

自治区の郊外には広大な都市が建設されていた。

 

その都市の名は『エリドゥ』。

キヴォトスの終焉を防ぐべく造られた要塞都市。

未だ工事は続いているが、既に殆どの施工が完了した。

 

本来(原作)なら既に造られていたが、資金不足という生々しい原因で中々計画が進まなかったのだ。

 

如何にセミナーの会長と言えど他の役員、特にユウカの目を盗み資金を横領するのは骨が折れる。

 

本来ならば黒崎コユキのイザコザ(船上のバニーチェイサー)で何とか横領に成功したが、そのようなイベントは起こらなかった。

 

ではどうやって資金を調達したのか?

それは協力者の力が大きい。

 

「演算装置の共同開発、工事資金の融通、その他諸々の協力に感謝するわ。おかげでエリドゥは完成間近まで進んだ。」

「問題ない、これらも全て私達それぞれの目的の為だ。」

 

現在、エリドゥで最も高いビルの部屋にセミナー会長リオと、スーツを着こなした骨の男ホモが対面していた。

 

皮肉にも、この縁を結んだのは黒崎コユキだった。

リオからすれば、わざわざ『廃墟』までAMASを送った甲斐があった。

 

「本当はヒマリもこの場にいて欲しかったのだけれど、対立は避けることはできなさそう。」

 

今回のミレニアムでの騒動は、全てリオとヒマリの掌の上にあった。

ヒマリが『鏡』という餌を用意し、リオが『C&C』という敵を作った。

 

全ては『Key』の力を確認するために。

 

結果的に上手く目論見は運んだ。

ヒマリは彼女をミレニアムの生徒として扱うらしい。

リオの出した結論は真逆で、「キヴォトスに終焉をもたらす敵」。

 

例え全員から人殺しだと罵られようとも、ミレニアム……延いてはキヴォトスの為に。

『Key』である依星ケイの()()()()()()()()()と決めたのだ。

 

「問題はない、君は君の道を進むといい。」

 

最終目標は違えど道のりを同じとする者もいる。

此度は大人の味方を手に入れた状態で『Key』に牙をむく。

 

「責任は取る、大人はその為に存在するのだから。」

 





次回からはRTAパートに戻ります。
多少投稿ペースはマシになるはず……。


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Vol.2.2 勇者の光と魔王の撃鉄編
ビッグシスター



大変お待たせ致しました。
Vol.2後半開始です。




ガバがガバを呼ぶRTAはーじまーるよー!!(ヤケクソ)

 

 

『無名の王女───その鍵がミレニアムに存在します。』

 

 

前回でなんと『鍵』が、ミレニアム学園に所属しているという悲報が舞い降りました。

他ならぬリオからの連絡なので、まず間違いではないでしょう。(震え声)

 

通常プレイだとまずありえない確率なのですが、どうやら糞みたいな悪い乱数を引いてしまったようです。

どれ程の低確率かって?

 

暗黒物質(ダークマター)製造機と名高い牛牧ジュリの手料理が成功するレベルです。

因みに彼女の腕前はパンケーキを作った筈が、ショゴス擬きが誕生するレベル。

……何でぇ?(痴呆)

 

NPCが『鍵』と接触する確率が低いのを良いことに、レベル上げを優先し過ぎました。

多少無茶をしても、さっさと『鍵』を探してデータ削除するべきでしたね……。

はい、恒例のガバです。クソがよ(辛辣)

ちゃんと管理しない無名の司祭への訴訟も辞さない。

 

ですが、幸いな事に大幅にチャートを変更する必要はありません。

こうして事前にリオから情報の提供があったので。

なんならオリチャー発動しても、不利益は無いに等しいまでありますあります。

 

ここで原作未プレイ兄貴達の為に〜、『鍵』の解説を。

 

『鍵』はオーパーツの起動AI兼、アリスちゃん(無名の王女)のサポートAIです。

そして高度な人工知能を持つ彼女()の目的は、このキヴォトスを終焉に導く事。

 

原作ではモモイのゲーム機にデータを移行後、アリスちゃんを乗っ取る形で『ATRAHASIS計画』を実行します。

『ATRAHASIS計画』についてはまた次の機会に。

端的に言うならばキヴォトスが滅びます。

 

そんなスナック感覚でキヴォトスが滅ぶ直前に、何とかユウカとノアのファインプレーが間に合い計画は失敗しました。

 

無名の司祭、ATRAHASISの箱舟、Divi:Sion。

そんな厄ネタ満載な彼女ですが、走者が彼女を嫌う根本的な理由は別にあります。

 

原理は不明ですが、せっかく強化したアリスちゃんが乗っ取られる可能性があるからです。

 

原作では『無名の守護者』に接触した瞬間に乗っ取られていました。

そして今作でも乗っ取りイベントは発生します。

 

乗っ取られる条件は判明してるんです。

ただ、肝心のイベント発生条件がランダムという点がありまして……。

全く、頭にきますよ!!

 

発動条件はアリスちゃんが、『鍵』等の無名の司祭由来のオーパーツに触れる事。

モモイのゲーム機を触った途端、『鍵』が起動した時は唖然としました(1敗)

 

対策としてはアリスちゃんを『鍵』と接触させない事が1番安パイになります。

さて、肝心のリオですが何が目的で来たか把握しました。

 

 

・「そちらの目的は我々との協力体制を築く事───違うか?」

『理解が早くて助かるわ、私は『鍵』を破壊するつもりよ。』

 

 

危険分子が存在するなら取る手は一つ。

彼女の最終目標は『鍵』を物理的に再起不能にする事です。

キヴォトスでも珍しい殺人です。

 

通常のキヴォトス人は謎の神秘パワーで、銃弾が直撃しようがかすり傷で済みます。

しかし、そんな彼女達も不死ではなく、大規模な破壊力を与え続ければ間違いなく大怪我、最悪死に至ります。

絵面的に惨いことになるのは言わずもがな。

 

1度だけカルマ値極悪チャートの試走で、アビドスの面々と先生を丸ごと殺害した事があります。

あの時は超強化したビナー君の高火力ビームでなぎ払い、先生は勿論生徒達も文字通り跡形もなく焼却する事が出来ました。

まぁその後、()()()()()()()にボコられてロストしたんですけどね。(1敗)

 

 

閑話休題

 

 

現状リオの周りに頼れる仲間は存在しません。(トキを除く)

 

ミレニアム内で唯一事情を理解するヒマリは彼女と真逆の方針。

他の主力部活動の部長も恐らく『鍵』の味方。

全ての生徒の味方であるシャーレの先生も、リオ個人に加担することは無い。

他企業、他校に協力を要請するにはリスクが高すぎる。

 

唯一現状を正しく理解できて仲間になってくれそうな生徒、もしくは大人。

それはAL-1Sを傍に置くホモ君だけだったのです!!(迫真)

 

恐らく定期的に襲撃してくるネルからの少ない情報から、この答え(AL-1S)を導き出したのでしょう。

 

 

・『鍵』は現在、依星ケイを名乗っていてゲーム開発部に所属しているらしい。

 

 

まさか既に体ごとこの世界に存在しているとは……。

尚更『鍵』───ケイちゃんが大人しい理由が分かりませんね。

普段の彼女なら嬉嬉として『無名の守護者』を率い、ミレニアムを手始めに落としそうな感じがするのですが。

 

 

・リオの表情を観察する。

・表向きは冷静を取り繕っているが、その目には緊張、焦燥、恐怖、そして覚悟が見えた。

 

 

そら(いつ爆発するか分からん物抱え込んでたら)そう(覚悟も決まる)よ。

ミレニアムの生徒会長ですから、尚更そのプレッシャーは重いはず。

 

『───だから貴方と協力関係を結びたいの。』

・さぁ、どうする?

 

さて、ここが今回のターニングポイント。

結論から申し上げると、リオと手を組みます。

 

無視した場合、ケイちゃんはアリスちゃんを見つけ出し『ATRAHASIS計画』を実行するでしょう。

そうなればキヴォトスは終焉を迎えBADEND。

 

ホモ君個人で動くにしても限界があります。

話を聞く限り、ケイちゃんは既に学園生として生活していています。

リオの権限なしに学園内に侵入するのは骨が折れるでしょう。

そしてやらかせば先生も登場し、物語から退場するハメになります(2敗)

 

さすがセキュリティ面ではキヴォトス中で一、二を争う学園なだけありますよ。

SRT特殊学園さえなければ堂々の1位です。

あそこは武力の()が違いますからね、シャーレが出来たら取り壊されるのもまぁ納得。

 

安定した動きを求めるなら、必然的にリオと手を組むことになります。

さらに他にもメリットは多々あります。

 

手を組んでる間はミレニアム校区内に侵入し放題。

一時的なセーフハウス(エリドゥ)の利用が自由。

キヴォトスの技術、その一端を垣間見れる。

そして上手くいけば……おっと、これ以上は取らぬ狸の皮算用ですね。

 

デメリットと言えば、必ず先生と敵対するという点が1つ。

 

これは既に戦闘メンバー全員のレベル上げを最高まで行っているので、勝利を見据えた戦闘が可能です。

魔改造はまだ途中の子も居ますが、どうせいつかは衝突するので誤差です誤差。

 

ただし退路の準備は必須です。

ミスったらリセですリセ(3敗)

 

 

・「いいだろう、協力関係を結ぶ。代わりに1つ聞かせて欲しい。」

 

 

おや?何やら雲行きが……

ちょっとホモ君?急に自我持たないで?

 

 

・「元がAIでも今は生徒だ、彼女を殺す事について何か思う事はあるか?」

『これでも負い目は感じているの、もっと良い手は無かったのかと。』

・「それを踏まえた上で尚、実行すると?」

『勿論よ。これが最善手では無いのは承知してる、それでも私がやるしかないの。』

 

 

うーん、これは決まってますねぇ『覚悟』が。

生徒に殺人の片棒を担がせるホモ君は、流石ゲマトリアの一員と言ったところ。

 

 

・「お節介ついでに助言しておこう、自分の選択に後悔だけはしない事だ。」

『……参考にさせてもらうわ。』

・AMAS(リオ)が去った。

 

 

よし!!(現場猫)

難なくリオと協力関係を結ぶ事が出来ました!!

 

・工事関係の資金の融通。

・アビ・エシュフ演算装置の共同作成。

 

現状依頼されたのは上記二つ。

資金は今有り余ってるし、演算装置の作成もホモ君なら問題ないでしょう。

 

 

「何か大事になってる気がするんですけど……。」

「オーナーの選択なら、私達は付いていくだけだ。」

「それもそうでしたね………。」

「当機は『王女』の使命を放棄します。今の私はオーナーの護衛ですから!!」

 

 

こちらの戦闘員の意欲もバッチリ。

やる事が決まれば、あとは身の振り方だけです。

基本リオに手を貸しつつ、こちらの計画も進めていく予定になっています。

 

ミレニアムと先生との衝突は避けられないので戦力の追加。

これについては目星がついてるので、早速取り掛かるとしましょう。

 

ホモ君は直接戦闘に関与できないので裏方に回って貰います。

端的に言えば対ヴェリタスの動きをしてもらいます。

 

そうなると久しぶりに『GREMLIN』も使うので、研究レベルを最大にしておきましょう。

これで情報戦の対策はバッチリです。

 

視聴者兄貴達には先に明言して起きましょう。

今回の最終目標は1つ。

 

『ATRAHASISの箱舟』の権限

その情報をケイちゃんからいただきます!!

 

原作視聴兄貴達なら、この権限の恐ろしさが分かるはず。

 

今回はここまで。

次回は対先生に備えて戦力の追加を行っていきます。

 

ご清聴ありがとうございました!!

 

──────────────────────

 

今日の作業を終えて自室のベットに横たわると、またいつもの夢を見る。

深い霧の中、焚き火を目の前にただ座るだけのこの夢を。

 

この場所について、最近分かったことが2つある。

1つは、この霧に覆われた廃墟が()()()()だという事。

 

別の場所、このキヴォトスの外の世界でも廃墟の夢は見る事はあるのだが、

その時は霧が深く細かな外観は不明だった。

 

今は霧が幾らか晴れていて、焚き火まである。

この夢が私の心象風景だとするなら、我ながら未練がましいと苦笑する他ない。

 

そしてもうひとつだが───うむ。

向かい側の時空が歪み、人影が出現した。

どうやら来客、それも常連客のお出ましのようだ。

唐突に現れた彼女に声を掛ける。

 

「最近よく来るな?」

「私自身にここへ来るつもりは、全く無かったのだけれどね。」

「また例の予知夢か。」

 

現ティーパーティーのサンクトゥス分派代表の百合園セイア。

以前の邂逅から彼女がこちらへ現れる頻度が多くなった。

 

最初は警戒されまともに話す事が出来なかったが、こうして軽口を叩く程度には打ち解けた。

やれ「ミカは自由奔放すぎる(長すぎた為意訳)」、「ナギサは1人で問題を抱え込みすぎる(長すぎry)」等々。

彼女の予知夢の話も聞いている。

 

この場所についてだが、どうやらこの夢は生死の境目が曖昧な存在を招くらしい。

彼女が予知夢を見ている状態が、これに分類される。

本人曰く予知夢とは名ばかりで、夢の間限定の空間移動能力だとか。

 

今まで碌に意思疎通が取れる者が居なかったのは、肉体も精神もボロボロだったからだろう。

そう仮定すれば、百合園セイアは精神が肉体から剥離している状態だからこそ辿り着いたと推測できる。

 

「用がないなら予知夢の多用は控えるように言ったはずだが?いつか精神が病む。」

「……私も進んでここへ来た訳じゃない。」

 

何やら重たい空気感を纏っている。

心做しか表情がいつもより固い。

何か面倒事かと身構えるが、返された言葉は予想を斜め上に越えた。

 

「先程アリウス分校に襲撃され、私は今意識不明の状態だ。」

「──何だと?」

 





Vol.2のクライマックスまでホモ君の動きは無いに等しいので、ここでエデン条約編前の話を少しだけ入れていきます。

遂に明日メインストーリーが更新されますね。
プロット崩壊だけは勘弁()


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要塞都市エリドゥ


長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
私は今日も元気です。



以下、カルバノグ2章感想。



カヤが思った以上に小物だった件。
カリスマ抜きのアルちゃんみたいな感じで愉悦でしたわぁ。



リオを仲間に入れてエリドゥに引きこもるRTAはーじまーるよー(棒読み)

 

前回はリオに協力体制を取り付けたところまで。

今回はエリドゥにお引越し&戦力強化パートです。

以下項目は前パートでリオに依頼された作業内容になります。

 

・工事関係の資金の融通

・アビ・エシュフ演算装置の共同作成

 

上の資金融通はともかく、演算装置の作成はエリドゥに出向いて行う必要があります。

別にホモ君1人でも作成は可能ですが、糞ほど時間を食います。

 

残念だけどこれ、RTAなんだよね。

あと1人で作って納期が間に合わないと不完全アビ・エシュフになるので普通にボコられます(1敗)

 

タイム短縮の意味も込めてエリドゥにお引越しします。

現実だと荷造り作業やら何やらで面倒臭い引越し作業。

それはこのゲームでも同じで、拠点移動する際はどれだけ早くてもゲーム時間で丸一日かかる仕様になっています。

 

まぁ、こっちはホモ船に乗ってエリドゥに突っ込むだけなんですけどね。

しかも普通車で行くと数時間のところを僅か30分です。

勝ったな、ガハハッ!!

恐らく障害物を無視すればもっと速いです。

 

そこら中に散りばめて配置してる警備ロボだけ回収すれば直ぐに出発できます。

はい、いつもの倍速です。

善は急げという事で、張り切ってイクイクイクゾー!!デッデッデデデデ(カーン)デデデデ

 

・直ぐに出発の準備を行う。

・警備ロボに集合の命令を出した。

 

 

さて、引越し準備してる間に戦力強化の内容でも話しましょう。

現在ホモ君が保有する戦力は以下の通りです。

 

 

・学園エース級の強さを誇るAL-1S。

誰も彼もが認める、スーパーハイセンスゴリラ。

間違いなくホモ君陣営のエースです。

 

 

・直接戦闘の強さなら恐らくアビドスの面々にも負けないチームⅤ。

最近はホモ君仕込みのゲリラ戦法やCQCも覚えてくれました。

何でホモ君そんな事知ってるんですかねぇ……ママエアロ(思考放棄)

 

 

・あらゆるセキュリティをスルーできる黒崎コユキ。

最近は戦力としても使えるようになった兎畜生。

情報戦も出来るので何気に便利な子です。

 

 

一小隊分の戦力としては中々の出来だと思います。

しかし今回はゲマトリアチャート。

尚且つ、先生と敵対する事を考えるともっと数が必要です。

 

贅沢な事を言えば、具体的な数字で1000人分の兵力が。

どの分野でも言えることですが、数はやはり力です。

先生による生徒バフはシャレにならないほどデカいですが、

それも小隊1つ程度なら数の暴力でどうとでもなります。

 

……おや、一機帰ってきましたね。

実は前回言った戦力強化の目星がこの警備ロボです。

試作品段階ですが、()を模倣して作ってるだけあって並のロボット兵よりも格段に強いです。

 

そして今まさにその試運転を行っている最中です。

既に()()()()()()()()()()()()()()()()()が終わり、実用テストにまで至っています。

 

ある程度の量産は可能なので後はトライアンドエラーするのみです。

まぁ、最近になってそのロボット兵を破壊する存在が出てきた訳ですが……。

 

今からとあるイベントムービーを流します。

 

 

 

 

・試作の警備ロボを招集したが……おかしい、一機足りない。

 

 

・突如、箱舟内に警報が鳴り響く。

・警備ロボの反応はここより少し北、外からの入口に位置している。

 

 

・現場へ向かうと横たわるボロボロの警備ロボと、スカジャンを羽織る赤髪の少女が立っていた。

 

 

「おう、来たな骸骨男。」

 

 

 

 

はい。

皆さんお馴染みのネル襲撃イベントです。

クソがよ(辛辣)

 

この後アリスちゃんが戦闘に繰り出され、タイマンすることになります。

実は遭遇時に戦闘ルールを決めて、負けても被害が少ないようにしたのは内緒()

 

彼女はこの時点でLv80前後の強さがあります。

気を抜けばやられる可能性のある強さです。

万が一にもアリスちゃんをロストした日には寝込みますよ……。

 

後は一々警備ロボ壊すのどうにかしてクレメンス……。

地味に高いんですよ、あの警備ロボの作成。

彼女の戦闘データを加味したとしてもギリギリ赤字レベルです。

許せねぇよ、オレ……。

 

そんな彼女とも、ここを出ればおさらばです!!

厳密に言えばKeyを拉致するまでなんですけどね。

というのもKeyから情報を抜いた後は、リオを矢面にトンズラする予定になってます。

 

まだ学生のリオに殺人の全責任を擦り付ける悪魔の所業。

これはゲマトリアですわ(暗黒微笑)

 

 

・警備ロボが全機帰還した。

 

 

ヨシッ!!(現場猫)

拠点移動を開始します。全速前進DA☆!!

 

 

 

 

 

 

キング・クリムゾンッ!!

 

 

 

 

 

 

移動中は特に見どころが無かったのでカット(無慈悲)

(ホモ舟)には後で出番が来るから我慢してね……。

エリドゥの正門前に到着しました。

 

 

・堅牢なシェルターに守られた門をリオから貰ったカードキーでこじ開ける。

・中に入るとそこには人の気配が全くない無人の大都市が広がっていた。

 

 

「セミナーの会長と聞いていたが、ここまでの物を作れるのか……。」

「うわぁ〜、会長よくこんなの作りましたねぇ。」

 

 

都市は割と形になっていますね。

制御タワーが見当たらないのでハリボテの要塞都市でしょうけど。

資金源はリオ自身のポケットマネーですかね?

彼女の案内によると近くに案内人が……居ました。

 

 

「皆様お待ちしておりました。」

「またメイド……。」

 

 

わっぴ〜☆(挨拶)

皆さん大好き、表情筋の死んだおもしれーメイドのトキちゃんです。

 

リオ専属の懐刀でその戦闘力は折り紙付き。

素の戦闘力が元々高いのに加えて、この時点の彼女にはアビ・エシュフというチートが付与されます。

 

その状態の彼女だとアリスちゃん相手でもだいぶキツイです。

今のところ味方ですが、後の事を考えて強化する必要があります。

 

 

「会長の所までご案内致します。」

 

 

大人しくついて行きましょう。

移動の合間にリオとトキに対するスタンスでも説明しておきます。

 

2人の好感度の管理ですが、できるだけ上げていきましょう。

基本的にコユキの様な特殊な状況下でない限りは上げ得です。

 

慎重な管理が必要になるのはカイザー系列やゲマトリア等の大人陣営相手くらいです。

ミスすると、どこぞの超人(笑)の二の舞になります。

やっぱ信頼って大事やなって。

 

彼女達と一緒に行動する期間もせいぜい2週間もないので時間との勝負になります。

リオには親身になって話を聞いてあげることで、

トキには仕事振って褒めてあげれば問題なく好感度は上がります。

 

この2人は根が素直で管理が楽なので、初心者の好感度管理練習にもオススメです。

一々コミュニケーション取るのが面倒な方は、賄賂と言う名のプレゼントを送るのもありです。

 

 

「待っていたわ、予想より随分早かったけれど?」

・「特別な足を使って来ただけだ。」

「……改めてミレニアム学園セミナー会長のリオよ。案内人のトキは私の護衛。」

 

 

別にツっ込んで聞いてくれても良かったんですけど、タイム短縮になるのでナイスでーす。

 

 

・私、チームⅤ、AL-1S、そして最後にコユキを目にやった。

「………既に解決した問題を掘り起こすほど私も野暮ではないわ。」

 

 

渡す気は更々有りませんけどね。

彼女の力はこの先必要となるので。

 

 

「来てもらって早速で悪いのだけれど、そちらのタスクを纏めた資料を渡しておくわ。」

・『ガイドミッション:エリドゥ大改造』を手に入れた。

 

 

リオから貰ったのは、原作で言うガイドミッションと同じ代物。

えー、よくあるビンゴ形式の実績解除ゲーですね。

全9マスに書かれたミッションを達成すればステップアップ。

それが3ステップ分、クリア報酬も中々で悪くないですね。

 

納品物はそれなりの数を要求されますが、暇があれば素材回収した走者にスキはありません。

資金も以前の貯蓄分(カイザーカジノの件)があるので問題なし!!

ちょうどすぐ達成出来る進捗があるので試しに報告しましょう。

 

 

・100,000,000クレジットの納品が完了した。

「流石ね、引き続きよろしく頼むわ。」

・秘伝ノート×1を手に入れた。

 

 

こんな感じで基本的にリオの依頼を消化して行きます。

これに加えてホモ君はアビ・エシュフの演算装置開発を、

リオはホモ君の研究に協力するというギブアンドテイク。

リオが協力することで研究効率も段違いに上がります。

 

先生でプレイした場合のリオですが、余程特殊なバックボーンがない限りは事務作業のお手伝いをしてくれます。

これはトキちゃんも同様に。

 

先生以外でプレイした場合にのみ、共同研究内容を決定することができます。

共同研究は『神秘の固定』を指定します。

 

この研究は色彩対策と、崇高へのステップアップに必要不可欠です。

他にも崇高に至る研究経路はありますが、同時に目標二つを並行して進められる利点があります。

もしゲマトリアチャート走る方が居ればこちらがオススメです。

他に有効そうな研究対象があれば教えてくだしあ(小声)

 

 

閑話休題

 

 

本作最大最凶のラスボスである色彩。

奴は神秘を吸収・反転することができ、敵味方問わず神秘消失&恐怖化させる傍迷惑な奴です。

吸収は現時点だとどうする事も出来ませんが、反転なら幾らか対策はあります。

 

1つはシロコ*テラーのような既に恐怖化している生徒を使うこと。

入手コストがバカ高いし、出る確率も滅多にないのでこの案は却下。

ほぼ先生の特権みたいなもんです。

 

もう1つは神秘を固定すること。

コインを地面にへばりつけて無理やり表のままにする様な荒業ですが、

砂漠の中の砂金を見つけ出すような確率の上記案を行うよりはマシです。

 

最終目標が色彩なだけにこれだけは外せません。

ではリオと早速研究を────

 

 

・メールだ……。

・差出人は黒服だ。

 

 

おっと、また飲み会でも誘ってきたんですかね?

悪いですけど今回は無かった事に…… 。

どうやらゲマトリアの集会が急遽決定されたようですね。

 

 

・ちょうどいい、ベアトリーチェに問いたい案件も2つある。

・今回の議題も有意義なものになれば良いが……。

 

 

………うん???

ベアトリーチェとの交流はチームⅤの報告する位で、

そんな気になる事は無かったと思うんですけどねぇ?

ま、ええか(思考放棄)

 

今回はここまで。

次回は恐らく久々のゲマトリアの面々を撮ると思います。

ご清聴ありがとうございました!!

 




殆ど説明会になってしまいました……。
次回はゲマトリアの皆が仲良く喋ります。

次回

ホモ君、完全に走者の手を離れて行動していたの巻


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偽神のカケラ


遅くなりました。

水着ヒナをお迎え出来たので投稿(天井)。
あぁ、私の石が………

あとはグレゴリウス。
演出から何までクソカッコよかった。
『太古の教義』ネタも増えて大満足。



キヴォトスから隔離されたとある場所にて、時間の変化を全く感じさせない密室。

そこで4人の異形が面を合わせていた。

赤い薄明かりに照らされた円卓を囲む彼らはゲマトリアだ。

 

 

静かすぎるこの状況下、常人なら全員非人間的すぎて何かしらのオブジェと錯覚してしまうだろう。

それ程に異様な空気感が張り詰めていた。

例え同じ組織内の仲間でも油断は出来ない……歪すぎるが、これが彼らの日常の空気だ。

 

 

そんな空気の中、ドアが開き最後の1人が入室する。

リビングデッド(動く死体)と説明すれば十中八九が納得するであろう骸骨男は、空気を読まず開口一番にこう言い放った。

 

 

「私が最後か、待たせて済まない。」

「いえいえ。予定時刻通りなので問題ありません。」

 

 

ゲマトリアの中で最も歴の浅い男ホモ、彼が席に着くと議会が開始された。

今回の議長は開催者である黒服だ。

 

 

「皆さん、ご多忙の中お集まり頂きありがとうございます。ここ最近は欠席が無く、全員揃う事が多いので嬉しい限りです。」

『研究にひと段落付けれる様になったからでしょうね。』

「そういうこった!!」

 

 

全員の目線が一瞬ホモの方へ飛ばされる。

当人は全く気にした様子が無い。

 

 

「クックックッ、今回は皆さんの近況報告を纏めて足並みを整えたいと考えています。」

 

 

全員の共通点は崇高の領域へと足を踏み入れる事だけ。

過程も最終目標もバラバラな彼らは、今まで自身の立てた方針のもと活動していた。

 

 

黒服の宣言はその活動に少なからず制限をかけるという事だ。

この中でプライドが高いベアトリーチェが噛み付くのも全員の想定内だった。

 

 

「どうせ私達は各々の目的を追求するだけの存在。あなた方に私を束縛する権利はないでしょう。」

「それは現状に対する甘えだベアトリーチェ。未だに『神秘』も『恐怖』にも辿り着けていない我々に手段を選ぶ暇があると?」

「標準化された行動で辿り着くことが出来るのであれば、既に我々は崇高を理解しているはずです。真に必要なのは様々な角度からのアプローチ、違いますか?」

 

 

議論に入る前からこの白熱具合、2人は元々相性が良くなかった。

全く折れない彼らでは、話し合っても時間がすぎるだけだろう。

待ったをかけたのはゴルコンダだった。

 

 

『御二方とも冷静に、黒服が考えているのは最悪のケース。恐らく我々で潰し合わなくするのが目的です。』

「えぇ、我々は道を同じくする同士。仲良く協力しろとまでは言えませんが……ね?」

『私はどちらの意見にも賛成です。あくまで目的はスタート地点の共有、これからは互いが互いを高め合い進み続ける必要があります。』

「まぁ、そういうこった!!」

 

 

この中で比較的冷静に物事を進めるのがこの2人だ。

この2人が居なければゲマトリアは組織としての意味を失いとっくに壊滅していただろう。

ベアトリーチェ達が議論を刺激し、黒服達が丸く収める。

以前からこのような協調性があった訳ではない。

明確な変化のきっかけは、やはりホモであった。

 

 

 

ホモは自身の研究内容をどのように扱われようが基本黙認する。

それがどれだけ非人道的であっても。

倫理観的にこの中で1番安全とはいえ、彼もまた生徒を実験体にしている極悪人。

良くも悪くも他人に関して無関心、それがホモという男だ。

 

 

そんな彼だから、新入りにも関わらず短期間で黒服たちと同じステージに上り詰めた。

彼は自身の成果物である『神名のカケラ』を最終目標の重要なピースだと認識していない。

同時に、他の者にとっては喉から手が出る程に欲する代物だと言うことも理解している。

だからこそ、容赦なく交渉の材料として扱うことができる。

 

 

それに対するゲマトリアの反応は様々で───

 

 

こういった取引も大人の醍醐味だと楽しむ黒服。

ホモの事を作品の協力者アシスタントと(勝手に)思っているマエストロ。

与えられてばかりは癪だという、反骨精神の溢れるベアトリーチェ。

淡々と事務的に、されど敬意は払うゴルコンダ。

そういうこった!!デカルコマニー。

 

 

こうして交渉の幅が広がる事で、妙な協調性が生まれたのだ。

その原点である彼は、興味無さそうに呟いた。

 

 

「私はどちらでも構わない。活動も好きにすれば良い、こちらで勝手に合わせる。」

「譲歩させているようで少し癪ですが……納得はしました。」

「それもまた、私の芸術の為ならば。」

「他に質問はありませんね?では私から報告を。」

 

 

そこからは順調に報告が進んだ。

まずは黒服。

 

 

彼は『影の精霊』の安定化に成功した。

開発初期では薄い障壁止まりだったが、今では自身の影の体積までなら自由に変化可能で、

座標移動までもが可能となり、『影の精霊』と呼ぶに相応しい物に仕上げた。

現在は無名の司祭のオーパーツの解析に躍起になっているようだ。

 

 

次にマエストロの番。

 

 

人工天使、またの名を────神性の怪物ヒエロニムス、その最終調整に取り掛かっているとの事。

崇高の定義と似て非なる『太古の教義』にホモが純粋な興味を引くのは当然であった。

調整現場に立ち会って欲しいと声が掛かり、ホモはこれを承諾した。

 

 

続いてデカルコマニー&ゴルコンダの番。

 

 

彼は変わらず超性能の兵器の量産に取り掛かっている。

『The Library of Lore』(止め処無い奇談の図書館)の解析は難航しているらしい。

ゴルコンダ曰く、都市伝説の様な人々の『テクスト』によって生まれた物語が何かしらの因果で崇高に至った存在らしいが………。

これもまたホモの興味を引くに申し分なかった。

 

 

そしてベアトリーチェの番。

 

 

ゲマトリアの中で進捗が1番進んでいるのは彼女だ。

既に儀式に必要な祭壇と生贄は用意されている。

訓練された生徒は勿論のこと、スクワッドという便利な兵士もいる。

更にホモの神秘の強化が加わり、その戦力は随一と言って良いだろう。

儀式はそう遠くない内に執行するようだ。

 

 

そして最後にホモの番がやってきた。

 

 

「私の番か……報告をする前に2つ質問がある。ベアトリーチェ、全て君に対してだ。」

 

 

彼にしては珍しく感情の乗った重々しい声でそう言い放った。

ただ事では無いと身を引き締めると同時に、一体何をやらかしたのだと心配する黒服達。

 

 

ベアトリーチェは何も言わない。

沈黙を肯定と受け止めたホモは質問し始める。

 

 

「まず、アリウス分校の者がトリニティの生徒会代表を襲ったと聞いたが事実か?」

「はい、事実です。」

「……あぁ、アレを使われたのですねマダム。」

「その件については感謝しています、ゴルコンダ。」

 

 

使われたのは恐らくゴルコンダの扱う技術の1つ、『テクスト』を使用した『ヘイロー破壊兵器』だろう。

ホモは大方予想していた答えを聞き質問を続ける。

それは特大の爆弾であった。

 

 

「そして──────

 

 

 

 

 

 

 

『神名のカケラ』を外部組織に横流ししている事も事実だな?」

 

 

「……………えぇ、それも事実です。」

「『「「ッ!?」」』」

 

 

余りにもサラッとベアトリーチェが流したので、驚愕した黒服達。

ホモを介して以外の入手が困難な『神名のカケラ』。

それを外部に流すなど、機密書類をばら撒くにも等しい利敵行為だ。

困惑する黒服達をよそに、涼しい顔をしてベアトリーチェは続けた。

 

 

「順に説明していきましょうか。まずアリウス分校の件ですが……トリニティに予知夢を扱う生徒が居るのはご存知ですか?」

 

 

彼女が狙いをつけたのは百合園セイア。

とある情報筋から手に入れた予知夢の能力者を彼女が放っておくはずが無かった。

 

 

「彼女の能力は我々にとって脅威になり得ます。先手を打ち潰そうというのは、何も不思議な事ではないでしょう?」

「因みに死体は?」

 

 

何故そんな事を聞くのかと、ふと気になったが些細な疑問を隅に回答を続けるベアトリーチェ。

 

 

「建物ごと爆破したので確認してませんが、まず死亡は確定でしょう。なんせ『ヘイロー破壊兵器』と瓦礫で生き埋めの二重苦です。」

「そうか……いやなに、私も彼女の存在を気にかけていたのでな?」

 

 

『ヘイロー破壊兵器』を避けても、ビルの倒壊でまず生きていないだろうから妥当な判断だ。

もし死体が見つかったとしても、身元の判別は出来ないだろう。

心做しか少しホモの威圧感が軽くなった気がする。

それ程に彼も百合園セイアの存在を危険視していたのだろうか。

 

 

「そして横流しの件ですが……私の領地の資金源とさせて頂きました。」

「ベアトリーチェッ!!!!貴殿はどれだけ他人の作品を愚弄すれば気が済むのだ!!?」

 

 

他人の作品、信念を躊躇なく踏み潰す如き所業。

作品に対しての思い入れが1番深いマエストロには耐えれなかったのか、

ベアトリーチェに対して激昂を顕にした。

 

 

「マエストロ、貴方に非難される謂れはありません 。あくまでこれは彼と私の契約で、それを守る範囲で活動したにすぎないのですから。組織の規範など、私にはどうでも良い事柄です。」

「…………。」

 

 

もとより彼女が治めるアリウス分校自治区は、言わば鎖国状態。

自領地で武器の調達等をやりくりするには少し煩わしさがあった。

特にカイザー系列にはいい値段で売れただろう。

今まで違法とされる兵器を裏で恐る恐る使用していた彼らからすれば、何よりも合法的な手段を取れるというのは大きかった。

当事者間で解決している事に口を挟めるほどマエストロは無粋では無かった。

 

 

そして自身の重要な交渉物を好きなように使われた当の本人であるホモだが、

ベアトリーチェの発言に怒っている印象はない。

 

 

「横流し自体は構わない、規制しなかった私にも責任はある。何なら、ばら撒かれるのは想定の範囲内だった。問題は────コレだ。」

 

 

ゴソゴソと懐を探り何かを取り出したホモ。

手に取ったのは『神名のカケラ』。

よく見ると全体的に黒ずんでいるような気もするが……。

 

 

「同じように見えるコレは偽物だ、『偽神のカケラ』とでも名付けようか。それが裏の方で出回っている。」

「フム……既製品との違いは?」

「神秘の内包量は『神名のカケラ』よりも断然優秀だ、恐らく最終的な総量では圧倒するはず。」

『という事は、何か問題点があるのですね?』

 

 

ゴルコンダの質問により、またホモからプレッシャーを感じ取る。

ミシミシと握り潰すのではと心配する程に『偽神のカケラ』を握り込んでいる。

面が骸骨でも苛立ちが伝わるほどの声色でホモは返答した。

 

 

「大ありだとも。含まれた神秘が多いと必ず対象者の適応力が要される上、身の丈に合わない力は体外へ吐き出される。それも摂取した量以上をだ。」

「成程、強化するつもりが逆に弱体化する場合があると。」

 

 

まさにハイリスク&ハイリターンの強化手段。

更にホモはこう続けた。

 

 

「さらに言えば一気に大量の神秘を失った生徒は高確率で虚弱化する。最悪ヘイローを失い植物人間化にまで至る。」

『『諸刃の剣』……ドーピングと言うには耳障りが良すぎますね、最早ドラッグの一種と言っても過言ではないでしょう。』

「そういうこった!!」

 

 

「まずは安全性を」と考えるホモには理解し難い改悪品であった。

ベアトリーチェの『神秘のカケラ』流出を黙認した理由にも関係する。

頑なに安全性に拘ったのも、キヴォトスの平均兵力を底上げする狙いがあったからだ。

他組織で改良されて広がっていくならば御の字だと思っていた。

だが今は改悪品として流れるようになってしまった……。

 

 

「分かるか?私に言わせてみればこれは粗悪品。改悪されて黙っている程、私は研究者として落ちぶれていない。」

「嗚呼、分かるとも。贋作が世に蔓延る事ほど我々芸術家にとって苛立たしいものはない。」

「……バカバカしい。」

 

 

それすら下らないとベアトリーチェは一刀両断した。

無理もない、彼女にとって最早生徒は兵力の一部でしかないのだから。

 

 

「良いではないですか、使い物にならない程の重症になるケースは稀なのでしょう?」

「何度も言うがベアトリーチェ、貴殿は作品に対してのリスペクトが────」

「あなた方がなんと言おうとも、私にとっては兵器でそれ以上でもそれ以下でもありません。」

「………。」

 

 

心底どうでも良いと言わんばかりの台詞に、流石のマエストロも反論の気力を削がれてしまう。

『神名のカケラ』だけではない。

彼女にとって『無名の司祭の技術』、『ミメシス』、『The Library of Lore』、これら全て含めて踏み台でしかない。

 

 

「兵力は消耗品です。ならば後は鶏が先か卵が先かの問題だと思いませんか?」

「……私はその考えも尊重するとも。」

 

 

彼女の言葉は間違っていない。

指導者としては0点だが、統治者としては100点満点の台詞。

犠牲を厭わないベアトリーチェに対して、ホモは胸の奥でドロリとした感情を覚えたが直ぐに消し去った。

 

 

「とにかく大まかな出処は掴んだ、後は元凶を捉えるだけでいい。私は本拠地を見つけ次第潰す。」

 

 

作成者は恐らく自分より遥かに腕のたつ研究者、それも多少なりとも薬学に精通している人物。

それもただの探求者ではなく、愉快犯的な一面を持つ者だと考えられる。

『偽神のカケラ』を観察してみるとあえて純粋な改良品では無く、悪意ある粗悪品を作成している節が見受けられた。

一体どのような捻くれた人物が作ったのか、怒りを通り越して楽しみまである。

 

 

「この場で話したのは謝罪と注意喚起のためだ、特にマエストロの研究対象(ヒエロニムス)は影響を受けやすいだろう。

 

 

ここまで事態を見通せなかったのは私の不手際だ。済まなかった。」

「気にする必要はない、既に外野の干渉に影響されるステージは突破している。」

 

 

そこで質問は終わり、その後は粛々とホモの報告が続いた。

『ATRAHASISの箱舟』の機能を何とかして抽出しようとしている事。

今ミレニアムの生徒会長と『Key』の確保に動いているという事。

その過程でほぼ高確率で先生と戦闘になるという事等々。

 

 

その後、特に問題なく議会は終わった。

軽く意見交換を行い1人……また1人と抜けていきホモも帰ろうと踵を返した時、黒服に呼び止められた。

 

 

「ホモ、少々お時間を頂いてもよろしいですか?」

 

 

彼がもつタブレットには、あるサイトが映し出されていた。

学校の課題から明日の天気まであらゆる質問を受け付けるQ&Aサイトである。

キャッチフレーズには「どんな質問にも答えます」とある。

管理者のアイコンには厳ついロボットが写っている。

ペンネームは()()()()()とある。

 

 

「最近ネットに現れたこのサイト、貴方が運営していますね?」

「……耳が早いな。」

「最近その筋でちょっとした話題になっていますよ。どんな質問にも答えてくれるとか?」

 

 

話題の発端はとあるミレニアム生徒の書き込み。

何を思ってか、質問文にあるミレニアム懸賞の一つについて証明せよと書き込んだ。

通常ならば、答えられる筈がないのだから回答なしで終わる。

 

 

回答が出てしまった、それも適当なものでなく完璧なものが。

今まで誰も回答することの出来なかった問いに、遂に回答者が現れたのだ。

当然、ミレニアムでは大騒ぎになった。

回答者の情報を手に入れようと、あのヴェリタスも動いたようだが進歩はないらしい。

 

 

「あなたの事なので心配はしていませんが、何故このような事を?」

「ただの趣味だとは思わないのか?………冗談だ。『ミメシス』を扱った実験、これはそれに備えた措置だ。」

「成程、『シロ&クロ』のような感情の取得によって『ミメシス』を作ろうとしている……いえ、それならもっと効率の良いやり方が───」

 

 

何やら長考に入ってしまった。

こうなった黒服は長い。

 

 

「答え合わせはそう遠くない、早くても────エデン条約締結前に完了する手筈だ。」

 

 

話題を切り上げるためそう言い放ち、その場を後にした。

帰る途中でホモは思案する。

 

 

それはこれからの行動。

『Key』の確保、『ミメシス』の実験、『偽神のカケラ』製造元の割り出し。

様々な事を並行処理しているためミスは許されない。

 

 

計画実行の日は近い。

 




本当はちゃんと他ゲマトリアにも喋らせたかったけど、どう足掻いてもグダるのでカット。

特にベアトリーチェとマエストロはこれから出番多くなるから許して……。

次回再びRTA視点です。


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無名の守護者

お待たせしました。
200連で水着ガチャ大勝利したので投稿です。

エ駄死の本初子午線は一体どこまで伸びているのか……



 

ミレニアムからいたいけな少女を誘拐するRTAはっじまーるよー(クソデカボイス)!!!!

前回はゲマトリアの集会に参加してホモ君の独断専行が判明しました。

あーもうめちゃくちゃだよ(走者のチャートが)

 

 

走者の仕事を増やしたベアおばは絶許。

エデン条約編の後、無事で済むと思うなよ?

以下、流れを端的に説明します。

 

 

1.ベアトリーチェが『神秘のカケラ』を横流し。

 

 

ホモ君がこれを黙認して他組織の戦力が上がりました。

ただでさえ戦力が心もとないのに更にハードモードになり、

戦闘でガバ発生して再走の可能性が上がるためワンアウト。

 

 

2.『偽神のカケラ』とかいう危ないクスリが誕生。

 

 

そんなもの作ったらせっかくの対色彩戦力予定のアリウススクワッドに悪い影響が……。

七囚人のあの子と変なフラグもたって走者の作業量も増えるというおまけ付き。〇ね。

最悪先生と連邦生徒会に目をつけられてジ・エンドのツーアウト。

 

 

3.ホモ君がブログを開設、早速生徒達に目をつけられる。

 

 

自らヴェリタスに情報を抜かれるリスクを負う、走者の心臓を確実に殺すための愚かな行動。

やたらセキュリティに引っかかるなと思ったらお前達のせいか(憤怒)

リスクが高いだけでまだ走者の目的と合致する行動のため、まだ上記二つよりマシ。

でも見える爆弾抱えてるのは事実なのでスリーアウト。

 

 

(チャート的に)痛いですね…これは痛い…

ですがどれもこれも致命的なガバではないので続行します。

再走は甘えってはっきりわかんだね。

 

 

特に3つめのブログ問題は、『奴』を完全に作成するのに必要不可欠です。

走者的にはもっと安定感のあるチャートを走りたかったのですが……残念ながらオリチャー発動です。

走り出したらゴールするまで走りきる、それが走者という生き物です。

エデン条約編の前半までは楽ができると思ってたんですけどねぇ(遠い目)

 

 

そんな現実から逃避しつつ、今後の予定について解説を。

 

 

既にリオからの依頼を受けて1週間が経とうとしています。

進行度は兼ねてより共同開発していた『アビ・エシュフ演算子』、

『アヴァンギャルド君』の開発に成功したので依頼は終わりです。

アヴァンギャルド君に関しては殆ど資金提供だけで何もしてませんがね。

報酬もないよりマシというレベルなのでそこは変わらず。

 

 

最低限の戦力が揃った後は、合法的にケイちゃんを確保するための行動を進めていきます。

 

 

というのも彼女は既にミレニアムの生徒なので、生徒会の庇護下にあります。

なのでいきなり彼女を拘束するにはそれなりの大義名分が必要なわけです。

ルールなんて知らねぇ!!と、夜盗の如く拉致が出来たら良いのですが、カルマ値が善よりのホモ君ではその選択肢は生まれないでしょう。

……協力者が仮にも生徒会長のリオな時点でこの手は使えませんでしたね。

 

 

原作では『無名の守護者』に干渉し、人的被害を出した事で拘束が可能となりした。

今作ではそのイベントがランダム発生な上に、相手はケイちゃんなので運任せだと失敗する可能性がチラホラ。

運ゲーに頼って時間を持て余すのはRTA奏者として具の骨頂。

 

 

という訳でやっていきますよ、マッチポンプ作戦!!

 

 

方法は簡単。

どこからともなく湧き出る『無名の守護者』をパチってミレニアム学内にばら撒きます。

一応アリスちゃんは触らないように指示しましょう。

……おっと、着信が。

 

 

・全ての依頼を完了した直後、リオから連絡が入った。

 

 

「短期間でここまでの仕上がり、正直に言って見くびっていたわ。」

・「お眼鏡には、かなったか?」

「十分よ。前に資金提供して貰った『アヴァンギャルド君』のテストを行っているから、座標の場所まで来てちょうだい。」

 

 

ほーん、ちょうどいい。

原作通りであれば『無名の守護者』はリオ達が学園に侵入しないように片っ端から破壊しているはず。

アヴァンギャルド君を見に行くついでに、残骸をおねだりしに行きましょう。

場所は管制室ですね……あっ(察し)

 

 

 

恒例のキング・クリムゾンッ!!

 

 

 

はい、管制室前まで来ました。

ノックしてもしもお〜〜〜し?

 

 

・そこかしこにモニターが並ぶ他よりも広々とした部屋。

・そこではミレニアム生徒会長リオが真剣にモニターを見つめていた。

・モニターには3つの人影が写っている。

 

 

部屋の隅には既に『アヴァンギャルド君フィギュア(ゴールドver.)』が鎮座しています。

(デザイン性が)うわキツ。

 

 

「今ちょうど戦闘テストが始まったところよ。」

・モニターではAL-1Sとトキが、ヘンテコなロボット相手に戦闘中だ。

 

 

アヴァンギャルド君について解説を。(以下ギャルド君)

コイツはリオの切り札その2である戦闘用ドローンです。

モモイにディスられるレベルでダサいデザインですが、

その4本腕から繰り出される攻撃は凄まじく原作では初となる負けイベの敵として登場しました。

先生プレイでされる方で、初見のギャルド君に辛酸を嘗めさせられた方は多いはず。

 

 

そんな熟練者の先生でも面倒な敵であるギャルド君も、今回はホモ君の頼もしい仲間です。

現在行われてる戦闘はデータ学習のための模擬戦ですね。

 

 

・AL-1Sは冷静に懐に入り込み攻撃を続けている。

・対して『アヴァンギャルド君』は動きを学習し続け、ガードのタイミングが追いついてきている。

・トキもAL-1Sの反対側でしっかり連携をとっていた。

 

 

当然ギャルド君にもしっかりつよつよスキルがついています。

その名も『黄金長方形の盾』。

 

・自身の体力の50%シールドが無くなるまで効果は続く。

・自身に防御力バフしてデバフ無効を付与。

・更に自身にダメージ75%カットのシールド付与。

 

負けイベ敵キャラとしては合格の固有スキル。

しかし全然倒せない相手ではありません。

 

 

『仕切り直し』等のスキルによるバフの解除。

『破壊王』等のスキルによるシールド破壊攻撃。

『猛毒』や『延焼』等の状態異常ダメージによる耐久。

 

 

しっかり対策を講じれば割と簡単に倒せたりします。

これでもソロで倒すにはかなり骨の折れる相手なだけ、ボスとしては強い方です。

(ビナー君をチラ見しつつ)

 

 

・「戦闘データはAL-1Sだけで十分だと思うが?」

「万が一を考えてトキとの連携訓練も兼ねているわ。」

 

 

これは優秀ですわ。

ネルとアリスちゃんの戦闘スタイルは似通っているので、対策としては満点です。

ヴェリタスに乗っ取られた時を考えて、アリスちゃんには力をセーブさせてますがね?

そもそもAL-1Sの自前武装は火力が高すぎるので別拳銃使ってますし。

 

 

・元々奇襲からのヒットアンドアウェイが主戦法のAL-1Sは、普段の動きをするだけで自然と連携の形が取れていた。

・トキもそれに気づいているのか奇襲後に圧をかけることでヘイトを上手くコントロールしていた。

・『アヴァンギャルド君』は盾を巧みに使い攻撃をいなして距離を取った。

「そこまで。」

・戦局が振り出しに戻り、リオは戦闘を中断させた。

 

 

「ありがとう二人とも、おかげで良いデータが取れたわ。」

「申請、迅速な拳銃の返却を求めます。」

「えぇ、こちらに帰還しなさい。」

 

 

うーむ、少しだけアリスちゃんのストレス値上がってますね。

体力も満タンで特に傷は負ってないはずなんですけど。

後でしっかりメンタルケアしてあげましょうね。

 

 

・管制室のドアが開き2人の人影が入ってくる。

「ッ!!オーナー発見。」

・こちらの姿を見たAL-1Sはトテトテと駆け寄り、トキは軽く会釈した。

 

 

あらかわいい、これにはホモ君もホッコリ。

嘘みたいだろ?こんな彼女も軽く手を捻るだけでホモ君を殺せるんだぜ。(震え声)

猛獣に近い少女の形をしたナニカに詰め寄られる様な体験、走者ならごめん蒙ります。

恐らく彼女相手に純粋なキヴォトス人で殴り合いが成立するのが、

トリニティゴリラと山海経カンフーバカくらいしか居ません。

 

 

「それでどう?『アヴァンギャルド君』の性能は?」

「4本腕から繰り出される火力はやはり脅威だと思いました。私なら全弾避けきれますが。」

「回答、小隊以下の人数との戦闘勝率は9割を超えると主張。」

・「機能面は非常に素晴らしい、ハッキング対策以外で私が弄る所はないだろう。」

 

 

リオの切り札である3つの内の1つですから。

残り2つはトキとアビ・何某。

この3つが突破されるとたとえAMASが大量に残っていても投了します。

ま、今回はそんな事させませんがね(ニチャァ)

 

 

「しかし─────デザインはもう少しマシにならなかったのか?」

「どういうことかしら?」

 

 

あっ(察し)

あかん、リオがシワシワになるゥッ!?

 

 

「ハッキリと言ってしまえば、全面的にダサい。」

「単なる価値観の違いよ、他の人にはこれが最高のデザインにも見えるの。そうでしょうトキ?」

「………。」プイッ

「……何故目をそらすの?嘘でしょうトキ!?」

 

 

トキに助け舟を求めるも目をそらされるリオ可愛そうで可愛いね(暗黒微笑)

今更デザインを変えたってどうにもならないので、変に弄ったりはしませんがね。

それよりも『無名の守護者』の残骸をクレメンス。

 

 

「一体どこからその情報を……良いでしょう。」

・『無名の守護者(残骸)』を手に入れた!!

「私もそろそろ外部に対して動き始めるわ。協力はあまり期待出来ないけど……。」

 

 

原作通りならヒマリとの密会が始まります。

という事なので、ケイちゃん拉致計画を始めても問題ありませんね。

急いで『無名の守護者』の解析&改造を施した後、アリスちゃんに学園に侵入してもらいましょう。

『無名の守護者』の残骸をヴェリタス(マキやコタマの近くだとなお良し)の近くに運ぶだけです。

 

 

侵入者にアリスちゃんを選定したのは、トキだけでは強化ネル相手に負ける可能性があるのでバックアップ要員として。

経験値を積んだ今のアリスちゃんなら、ネル相手にもほぼ100%勝てます。

(負けないとは言ってない。)

後はその時を待つのみです。

 

 

──────────────────────

 

 

夜になり光の少なくなったミレニアム学園、そのセミナー執務室。

光のないその部屋には2人の少女が密会を行っていた。

1人はミレニアム生徒会長の調月リオ。

もう1人は特異現象捜査部部長の明星ヒマリ。

 

 

険悪な仲の2人がこうして面を合わせているのは、『鍵』の処遇を決定するためだ。

 

 

 

「超天才清楚系病弱美少女の来訪を電気も点けずに迎えるなんて……、暗い部屋でモニターを付けると目が悪くなりますよ。」

「貴女は私の姉じゃないでしょう。」

「(あら?)」

「それに、この会談を外部に漏らす訳にいかないわ。」

 

 

あらゆる外部からの情報漏洩の防止策。

『鍵』の存在はそれだけ大きかった。

外部組織に情報が洩れてしまえば、ミレニアム学園は大人企業によって混沌の渦に巻き込まれることは想像に難くない。‪

無論、負けるつもりは無いが。

 

 

「それこそ、人目を気にするのなら別の場所が良かったのでは?例えば────誰かさんがこっそり作っているセーフハウス(悪趣味なお家)……とか。」

「サーバーに侵入していたのは貴方だったのね。」

「……痕跡は完全に消したと思っていたのですが?」

「優秀なサルベージツールがあるだけよ、それこそサーバー自体を破壊しない限りはデータを復元できる性能のね。」

 

 

どんなインチキツールだそれは。

そのような技術、ミレニアムは愚かこのキヴォトスには存在しない。

 

 

明星ヒマリは知らない。

 

 

事前に掴まされた情報が偽物だということを。

彼女のスポンサーがオクトパスバンクでは無い事を。

そのスポンサーが()()()()()()の技術を扱う事を。

 

 

「……本題に入りましょうか。」

 

 

鏡を巡ったC&Cと他部活動の対立、それは全てリオとヒマリの掌の上で起こった騒動であった。

ヒマリが鏡というきっかけを与え、リオがC&Cという脅威を与えた。

 

全ては『鍵』依星ケイの正体を暴くためだ。

そして今、彼女の解釈について結論を出す。

 

 

「ケイの正体、それは『名もなき神々の王女』のサポートAI。」

「同じ結論に至ったのね、なら結論は出たわね。」

「「つまり、あの存在の本質は────」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「世界を終焉に導く兵器よ。」

「可愛い後輩、ですよね♪」

「「…………。」」

 

 

彼女(ケイ)はいつ爆発するか分からない不発弾だ。

それがミレニアム学園にあると言うのだから、たまったものでは無い。

しかしそれを踏まえてヒマリは発言したのだ。

彼女を唯の後輩として扱うと。

例えリオがいくら諭そうとも彼女であれば突き進むはずだ。

 

 

彼女の事だ、無策で依星ケイを放置しているとは思えない。

それでも彼女はケイを排除するという結論に至った。

それがミレニアムを、キヴォトスを守る為の合理的な答えだと信じている。

例え()()()()()()()()()()()()()()()()事になったとしても。

 

 

「私は生徒会長としてミレニアムを守護する義務がある。」

「違います。生徒会長は生徒を守らなければなりません。例え純粋な人間でなかったとしても。」

「私は1を犠牲に10を守る。全てを救おうだなんて、それはとても傲慢な考えよ。」

 

 

話を重ねど平行線。

両者は1歩も譲らない。

 

 

「考えは変わらないかしら?」

「何を、分かっているくせに。」

「……そう、言ってみただけよ。」パチリッ

 

 

リオが指を鳴らすと多数のAMASがヒマリを取り囲む。

 

 

「同盟はここでお終いね。ヒマリ、貴方を拘束させて貰うわ。」

「そうでしょうね、貴方ならそうすると思いました……。」

 

 

バツンッとほのかに視界を保っていた照明システムが落ちる。

同時にAMASが糸の切れた操り人形のように停止した。

 

 

「ハッキング……流石ね。」

「面白くありませんね、そこは『私の傑作がハッキングされたですって!?』位の反応をして貰わないと。」

 

 

視界が暗闇に慣れた頃には既にヒマリは部屋に居なかった。

まんまと第一包囲網を突破されてしまった。

 

 

「本当は味方になって欲しかったけど……」

 

 

そう名残惜しそうに、外で待機している彼女へと連絡を取った。

 

 

──────────────────────

 

 

「自分と意見が決裂したと認識したや否や、躊躇い無く行動するその姿……久々に見ましたが相変わらずですね。」

 

 

いや、最低限こちらに譲歩しようとした点を考えれば少しは丸くなったか。

以前の様な合理性だけの独裁者っぷりを考えれば、多少は改善したように思える。

本人には絶対に言わないが。

 

 

「まぁ、超天才病弱美少女の私には無意味ですが♪」

 

 

ひとまずこのままゲーム開発部に向かおう。

リオより先に依星ケイを保護する為に。

急ぎ足(と言っても車椅子)で彼女達の元へ向かう。

 

 

惜しくも、その歩みはとある人物によって止められた。

反応する暇もなくヒマリは地面へと押さえつけられる。

 

 

「ぐっ……!?貴女は……」

 

 

その人物はメイド服を身につけている。

しかしその姿はヒマリの知る奉仕部のどの面々とも合わない。

意識が暗闇に沈む直前、とある人物の情報を思い出した。

 

 

「5番目の……C&C……。」

「……対象の気絶を確認、標的を拘束します。」

 

 

 

 

ケイがミレニアムを破壊するまで───

 




次回からVol.2の2章原作開始。


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平穏の壊れる日


前回のあらすじ

リオ「アヴァンギャルド君が完成したわ、凄いでしょ!!」

ホモ「デザインがダサい。」
AL-1S「機能は良いですね、機能は!!」
トキ「……ノーコメント。」
リオ「囧。」



ゲーム開発部員達も寝静まる早朝のミレニアム運動場。

毎朝ここを出発地点としてケイは散歩をしている。

ただの散歩では無い、この時間帯に通り掛かる人物に用事があるのだ。

 

 

「(そろそろですか。)」

「いち、に、いち、に………あ、おはようございます、ケイさん。」

「おはようございます、スミレ。」

 

 

出不精の多いミレニアム生徒の中でも、彼女は生粋のアウトドア派だ。

段々と暑さが厳しくなるこの頃、彼女はケイよりも早朝からランニングを行っていた。

そんな彼女の行動範囲はミレニアム自治区の周囲にまで広がる。

ケイはその行動範囲に目をつけAL-1Sの捜索を協力してもらっていた。

 

 

 

その他にも所在の不明なAL-1Sを一刻も早く見つけ出したい、その一心でリスクを顧みず声掛けをした結果、人探しの事情を知らない生徒は存在しない程になっていた。

本人は預かり知らない事だが、周囲からは生き別れの妹を探す姉のような目を向けられている。

しかし、既に大人数の協力者を得たが、成果は芳しくない。

 

 

「何か情報はありますか?」

「そうですね、今日は─────」

 

 

ミレニアム通信ユニット『ホド』が地下を潜ったきり戻ってこないとの噂。

1人でに動き出すペロロ人形がいるとの噂。

昨日の夜中、屋根から屋根を走り抜ける忍者を見たとの噂……etc

 

 

どれもAL-1Sとは関係ない話のようだ。

もしかすると彼女はもっと遠い場所に行ってしまったのかもしれない。

 

 

「(いいえ、いつかきっと───)」

 

 

それでも『鍵』は、ケイは諦めない。

例え遠い月日が経とうとも、王女が自分を拒否しようとも。

 

 

「(王女がいると言うだけで、私はまだ戦える!!)」

 

 

その事実だけでケイは王女を探し当てるまで活動出来る。

そろそろ、ミレニアム以外の区域にも足を踏み入れてみようか。

ここから近いのは……

足を踏み出した瞬間、ケイのデバイスから通知音がする。

何だか出鼻をくじかれたようでモヤモヤしながらメールを見る。

 

 

From:モモイ

件名:緊急クエスト!!

・至急、部室まで戻ってきて!!

 

 

「……面倒事で無ければ良いのですが。」

 

 

あの桃猫め、今度のゲームで白星を貰えるとは思わない事です。

そう心の中で吐き捨て踵を返した。

 

 

 

その後、モモイから「ヴェリタスが面白い物を見つけたみたいだから見に行こう!!」と、半ば強制的に珍しくユズも連れてヴェリタスの部室へと向かった。

 

王女捜索も難航している今、気晴らしには丁度良いかと思い進んでいると、奥に見覚えのある人影が見えた。

その顔をはっきり認識した時、ケイは思わず声を漏らした。

 

 

「げッ………。」

「こ、こんにちは……。」

「やっほー先生!!」

「どうして先生がここに?」

・「やほ、ヴェリタスに呼ばれてね。」

 

 

先生の事は苦手だ。

先生にも事情を説明して王女を探してもらっている。

自身が『鍵』であるという情報は伝えずに。

それも彼に関しては「()()()()()」と純粋な理由だけで行動しているので、余計に罪悪感という棘がケイの心に刺さる。

 

 

・「ごめんねケイ、まだ見つからなくて。」

「構いません。」

 

 

シャーレの情報網でも捕まらないとすれば、大きい組織に匿われたか、若しくは─────

 

 

これ以上はよそう。

そんな事を考えている内に、ヴェリタスの部室前までやって来ていた。

許可を貰って、中に入るといつもの面々が居た。

 

 

「やっほー、皆久しぶり!!先生と丁度よく一緒に来たんだね。」

「それでハレ先輩、例のブツは?」

「あぁ、それなら──これ。」

「ッ!?」

 

 

ケイ達の目の前に出されたのは、奇妙な形のロボットであった。

それらはまるで深海魚のような言い表せない不気味さを感じるデザインで、先生達はある種の忌避感を感じた。

但しケイは違う、彼女はこれらの事を知っている。

 

 

「(何故ここに『無名の守護者』が!?)」

 

 

ここで一旦ケイは冷静に考える。

これはチャンスか?

今なら『無名の守護者』を起動してプロトコル:ATRAHASISを発動できるか?

 

 

……いや、無理だ。

たった数体の『無名の守護者』ではキヴォトスどころかミレニアムさえ陥落させることは不可能だ。

この学園にはC&Cという最大級の障害がいる。

それに今自分はあらゆるアクセス権をブロックされている。

そしてAL-1S……王女もいない。

そう諦め、ケイは『無名の守護者』に触れるのを止めた。

 

 

()()()()()

 

 

「何をしているの、ケイちゃん?」

「え?」

 

 

本当に無意識の内に『無名の守護者』に近づき装甲に触れていたケイ。

モモイに呼び止められ、思わず間抜けな声が出る。

触れたと知覚した次の瞬間、くらりとケイの頭が揺れ始める。

すぐに、これは意識が落ちる感覚だと悟った。

 

 

「(これは……まずい…………)」

 

 

先生にボディの仕上げを依頼された際、ヒマリはケイの体にある細工を仕掛けた。

それはケイと外部のアクセスを禁止するセキュリティプログラムだ。

事実、ケイは目覚めた瞬間に周囲の機器へアクセスしようとしたが失敗に終わった。

コレを破れるのはシッテムの箱AIとデカグラマトンのみだと豪語できた。

 

 

ブレーカーが落ちるように瞼を閉じて静止するケイ。

触れた『無名の守護者』を中心に次々と運び込まれていた者達も目に光が宿っていく。

 

 

「え!?電源入ったんだけど!?」

「嘘ッ!?」

「………………。」

 

 

ヒマリ最大の誤算。

それは敵側(リオ陣営)があらゆるセキュリティを突破する黒崎コユキ(チート)を保有していた事だ。

まさかセミナーを出た兎がその会長の元に居るとは、誰も予想がつかないだろう。

ホモがエリドゥに入ってからセキュリティ関係は軒並み強化されていた為、ヒマリがこの情報を知らないのも無理は無かった。

 

 

『無名の守護者』はまるでケイを守るように周囲を囲んだ。

ケイは瞼をゆっくりと開き、完全に人間味の無くなった目でモモイ達を見渡す。

そしてここに宣言した。

 

 

「コードネーム『鍵』緊急起動。プロトコル:ATRAHASISを実行します。」

 

 

『鍵』がミレニアムを破壊するまで後───

 

 

──────────────────────

 

 

これは計画実行の前日のお話。

 

 

要塞都市エリドゥ、その中でも設備が整った研究所の一室。

そこへ足を運ぶのはチームⅤのリーダー。

警備の交代時間に入った事を報告するため、彼女はオーナーの元へと向かっていた。

 

 

「(依然問題はなし。外部にココの情報を発信していないから当たり前か。)」

 

 

今までは外出時の警護だけで事足りた。

しかしベアトリーチェが『神名のカケラ』をばら撒いたせいで、外部組織からホモが狙われる危険性が生まれた。

 

 

「(余計なことしかしませんね、あの女は。)」

 

 

既に彼女に対しての尊敬を捨てているリーダーは苛立ちを覚えた。

そんな事を考え無機質な廊下を歩んでいると、目的地へと着いた。

ノックを3回………反応はない。

 

 

「…………?」

 

 

今の時間帯はまだ研究室にいるはず。

もう一度ノックをするも、同じく反応はない。

自室に戻られたのだろうか、少し考えて入室する事を決心した。

 

 

「失礼します。」

 

 

部屋では理解出来ない様々な機器が並び、ガラス管の液体は虹色に輝いている。

そして当の彼は椅子に凭れて眠っていた。

 

 

「──風邪をひきますよ。」

 

 

オーナーが風邪をひく場面が思いつかないが、リラックスしにくい姿勢なのも確かだ。

自室へ運びだそう、そう思った時机に置かれた1枚の紙切れにふと目がいった。

 

 

「これは──────」

 

 

よく見ると写真だということが分かった。

年代を感じさせる程に色褪せ、シワが入っているセピア色のそれには5人が仲良く並んでいた。

 

4()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

他人の持ち物、それもオーナーの私物を物色するなどあってはならない。

しかし写真から、特に男性の姿から目が離せない。

その男の名前も顔も知らないのにも関わらずだ。

 

 

「(けれど私はこの男性を知っている?面影も何も無いけどこの人はきっと───)」

 

 

自然とその名は口から発せられた。

 

 

「オーナー?」

「………む、済まない。少し眠っていたようだ。」

「交代の時間になりましたのでご報告に参りました。」

 

 

動揺で声が震えていなかった事を褒めて欲しい。

しかしホモには効かなかったのか、写真について話し始めた。

 

 

「写真が気になったか。」

「あ……その──」

「謝罪は不要だ。誰だって不思議にも思う、()()()()()()()()()()を置いていたらな。」

「え?」

「……君には何か見えたのか?」

 

 

オーナーには写っている人物が見えていない?

……何と答えるべきか。

この男性がオーナーだという証拠は何処にもない。

そして並んでいるヘイローを浮かべる少女達。

彼女達の表情から読み取るに友好関係は良好だったのだろう。

 

 

「(……………。)」

 

 

彼女が選んだ答えは─────

 

 

()()()()()()。」

「そうか、大事なものだという事だけは分かるんだが。」

「……これから、どうされますか?」

「少し根を詰めすぎた、外で風に当たるとしよう。」

 

 

写真を懐にしまったオーナーに続いて部屋を出る。

この時ばかりは、ヘルメットを付けていて助かったと思った。

 





コユキ大勝利の回でした。
因みにホモ君の情報操作が無ければ普通に対処されてます。(5敗)

今作でヴェリタスの部室を破壊するのは『依星ケイ』ではなく『鍵』です。
これはホモ君の仕込みで、『鍵』としての側面だけをサルベージさせている感覚です。
(『無名の守護者』の残骸にそのような細工を施した。)

その結果、原作アリス同様にミレニアムで人間味を覚えたケイちゃんは、
意識の奥深くに強制入眠するハメになりました。
可哀想に(他人事)

最後のリーダーはどんな表情を浮かべていたのやら。


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真実


お待たせ致しました。
今回は難産でした。
プロットは出来てるのに、いざ文章を書くとなると難しくなるのはあるある。



 

「───あ、う?」

 

奥底へと沈んでいた意識が急浮上した。

瞼を開けると見覚えのある天井が映る。

依星ケイの意識が戻った瞬間だった。

 

「(ゲーム開発部の部室───痛っ!?)」

 

体中が痛い。

まるであらゆる方角から銃弾を浴びせられたかのように。

だが今回はその痛みが意識を現実へと引き戻すのに一役買っていた。

意識の覚醒が進むにつれ段々と思い出してきた。

自分が一体どれだけの事をやらかしたのかを。

 

「(あぁ、そうだ。私は───────)」

 

それは『鍵』として行動した記憶。

 

悲痛な表情で何かを叫ぶミドリ達の姿。

天井が崩壊し、曇り空が広がるヴェリタスの部室。

戦闘を行うミドリ達と『無名の守護者』。

戦闘の最中、自分()をボコボコにしたネルの姿。

 

「(ネル先輩が()()()()()()のですね、私が役目を果たす前に。)」

 

そこには確かな安堵の感情があった。

それと同時に深い後悔の念にかられる。

 

「(おそらく私はもう、この学園には居られないでしょう。)」

 

万魔殿(ゲヘナ)であれば別だっただろうが、ここはミレニアム。

学内で問題を起こせばそれなりに重いペナルティが課せられる。

反省部屋(金庫)に居ないという事はそういうことだろう。

ケイの頭にチラつくのは『退学』の2文字。

 

「(いっその事、もう出ていってしまいましょうか。)」

 

そろり、とベットから降りて外へ出ようとドアノブに手をかけた瞬間、先に外側から開けられた。

唐突に現れた人物を確認したケイは思わず固まる。

 

「あっ……。」

「───ケイちゃんが起きてる!!」

・「本当!?」

「よ、よかった。目を覚ましたんだね。」

 

ミドリの見つかった途端、ゾロゾロと先生とユズも入ってきた。

ふと、1人騒がしいあの子が居ないことが気になった。

 

「モモイは何処ですか?」

「──ッ!!モモイは………」

・「落ち着いて聞いてね。モモイはあの時の部室の崩落が原因で意識が戻ってないんだ。」

「………。」

 

それが意味する事を理解したくなかった。

それでもケイの優秀な頭脳(CPU)は1つの残酷な真実を突きつけた。

 

──あぁ成程、つまり私がモモイを傷つけたと言う事ですか。

 

ATRAHASIS計画を進めるのに覚悟はしていた筈。

神秘のアーカイブ化、それは即ちキヴォトスの滅亡を意味するという事。

そしてそれはミレニアムの生徒を殺すと言う事にほかならない事。

それでも、モモイが意識不明だと聞いただけで胸が張り裂けそうになる。

 

何よりも3人の目を見れば分かる。

憐憫はあれど、怒りは含まれていない。

いっそ怒鳴りつけてくれた方が救われた。

その事実(優しさ)がケイをより一層傷つける。

 

「(この程度で、この体たらくでは、私はきっと計画を完遂できない。)」

 

『鍵』は計画を実行しなければならない、他ならぬ王女の為に。

それが使命だと分かっていても、まだ計画とミドリ達が天秤にかけられて揺れ動いている最中だ。

なんの拍子にミドリ側に天秤が傾くか分からない。

そうなってしまうともう、鍵としての自分が死んでしまう。

 

そうだ、自覚してしまった、認識してしまったのだ。

ケイは、ミドリ達の方が大切だと気づいてしまった。

 

「(こんな、こんな気持ちを味わうのだったら、人の気持ちなど知りたくは無かった!!)」

 

しかし、ケイの奥底に存在する『鍵』は違う。

未だATRAHASIS計画の実行を諦めていない。

まるで、自分がもう一人いるかのように囁いてくる。

 

どんな犠牲を払おうとも、計画を実行せねばならない。

 

「……全ては私のせいです。」

・「ケイ、落ち着いて………!」

(ケイ)が、(Key)が悪いんです。モモイを傷つけたのも、あのロボットが破壊活動を起こしたのも全部、()が───」

 

「そう、貴女が傷つけた。それは変わらない事実。」

・「誰……!?」

「先生、か、会長が……!!」

 

現れたのは、ヘイローが無ければ大人だと錯覚してしまいそうな程に、スーツを着こなした黒髪の女性。

彼女こそ、このミレニアムの生徒会長、調月リオだった。

 

「貴方───そして彼女達に真実を教えに来たの。」

 

 

 

 

 

リオから伝えられるのは先生達にとって、信じ難い情報だった。

 

廃墟から連れてきたそのAIは、世界を終焉に導くための鍵である事。

『不可解な軍隊』division、『名もなき神』、『無名の司祭』など聞き馴染みのない単語がズラズラと出てくる。

当然、急にそんな事を言われても理解できないとミドリはリオを突っぱねた。

 

「勝手にケイちゃんに変な設定を付与しないで下さい!!」

「しっかり精査した果ての結論よ。その為の『鏡騒動』だったもの。それに───彼女の体の調整には私も携わっていたのよ?」

 

ここで初めてミドリ達はあの騒動時、会長達の掌の上で転がされていた事を知った。

ケイの体のことも初耳だった。

 

よくよく考えてみると、『鏡』の件はヴェリタスから持ちかけられたものだった。

ならば、自分たちは彼女達にも利用されたのだろうか。

そんな考えが頭をよぎるが、それはリオの発言で杞憂に終わる。

 

「……彼女達(ヴェリタス)の名誉のために言うけれど、この計画を実行したのは私とヒマリの2人だけよ。その甲斐あって彼女が世界を滅亡させる兵器だと分かったのだけれど。」

「また、そんなデタラメを───」

「見たでしょう、ケイが『不可解な軍隊』に接触してどうなったか。」

 

その言葉にミドリは思わず言葉が詰まる。

本当に申し訳なさそうに、リオは話し始めた。

 

「C&CやAMASを使って周りのロボットは全員破壊したと思っていたのだけれど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……完全にコチラのミスよ。謝罪をここに。」

「えッ、会長が謝罪……!?」

 

急に謝罪され困惑するミドリ達。

その困惑具合を意に介さず、こう言い放った。

 

「話を戻しましょう。セミナー会長として、またいつ爆発するかも分からない爆弾を放置は出来ない。だから───解体するのが1番だと思わない?」

「ッ!!」

「ケイちゃん!?」

 

解体の一言を聞き部屋の外へと駆け出すケイ。

レールガンという重量物を携帯しながらも素早くリオの横を通り抜け廊下へと出る。

何故走り出したのかも分からないまま、ケイはその場から逃走した。

追い縋るようにミドリ達も後を追う。

 

「(何故私は走り出して……思考回路がグチャグチャで冷静な判断が……。)」

「逃走しても無駄よ。」

・「やめて、リオ。」

「……事実から目を背けるのは思いやりではないわ、先生。」

 

生徒を極力傷つけたくない先生は、リオを止めようと声をかけた。

必死に生徒が生徒を殺すなんてことあってはならないとリオに訴えかけた。

それでもリオは止まらない。

 

「それにアレ()は確実にこの情報を知っていたはずよ。」

 

何故なら彼女は『無名の王女を支えるサポートAI』なのだから。

リオ視点では、ケイが虎視眈々と計画を企て発動させる機会を伺っていた様にしか見えなかったのも仕方ない。

 

・「もっといい方法があるはずだ!!」

「そんな方法があるなら是非教えて欲しいわね。」

・「今すぐは無理だけど……それでも皆に相談すれば何とか────」

「いつまでそんな寝言を吐き続けるつもりなの!!」

 

この時の彼女の言葉は本心そのものだった。

既に被害が出てしまった以上、対策を立てる時期は過ぎている。

 

現状はリオの味方である()も最終的には敵になるかもしれない。

そうなればケイの情報は瞬く間に拡散され、ミレニアムは痛手を負うことになる。

最悪ミレニアムを中心にキヴォトスが滅亡する可能性もある。

そんな事はあってはならない。

 

「例え全員に恨まれようと、私はこの判断を後悔はしない。」

・「(この子……。)」

 

先生は気圧されていた、自分よりも一回り年下の生徒に。

ヒマリが見れば「誰?」とでも台詞が零れそうな程にギラついた芯のある目をしている。

今のリオならヒマリを言い負かしかねない圧があった。

 

それでも先生は諦めない。

何とか説得を試みようと言葉を紡ぎ出そうとした時、リオのタブレットに着信が入った。

 

──────────────────────

 

自分はケイなのか、『鍵』なのか分からない中走っていると、道を塞ぐように人影が立っていた。

ケイはその人をよく知っている。

その人は今1番出会いたくない相手であった。

 

「───ネル先輩。」

「………。」

 

彼女はケイの姿を確認するや、銃口を彼女に向け発砲した。

そしてケイの後ろにいたロボット(AMAS)を破壊した。

 

「………何故ですか?」

 

C&Cはセミナー専属のエージェントと聞いた。

ならばネルは本来ここで自分を捕縛するのが役目のはずだと。

 

「そんなもん、やってらんねーからに決まってんだろ!!」

 

ただそれだけの理由でネルはあっさり自分の使命を放棄した。

ケイにはそうあれるネルが眩しく見えて仕方なかった。

 

「ネル先輩!!」

「いいから早く行け!!」

「違います、後ろッ!!」

 

5番目のC&C、飛鳥馬トキが今まさにネルの背後に忍び寄っていた。

音もなく忍び寄っていたトキは既にモード2だ。

 

「分かってるッつ───のッ!!」

「ッ!?」

 

完璧だと思われた不意打ちはいとも容易く防がれた。

カウンターに放たれた弾幕の嵐を避け距離を取るトキ。

構え直すと眼前に銃を突きつけるネルが居た。

 

「オラオラオラァッ!!」

「(事前に貰った戦闘データよりも動きが格段に良い!?)」

「チッ、当たんねぇ。」

 

上体を逸らし、何とかネルの猛攻を凌ぐ。

トキは預かり知らない事だがネルの動きは、とある遊び相手(AL-1S)との戦闘でほぼ完全に仕上がっていた。

だが、それはトキも同じ。

 

「思ったよりやるじゃねぇか?」

「(あの子の動きに慣れておいて正解でした。)」

「ケイちゃーん、どこーッ!!」

「やっと来たなテメェら。」

 

ミドリ達がやっとネルの所まで追いついたところだった。

ネルが後ろに指を差す。

 

「チビなら向こうに行った。」

「──有難うございます!!」

「………。」

 

追いかけたいが目の前のネルから目を離すことが出来ない。

少しでも気を抜くとやられる、そうトキの勘が訴えかけていた。

このままでは任務を失敗する────。

トキが冷や汗を流し()()()を使おうとした時、その更に後ろから2人の足音が聞こえた。

リオと先生だ。

前にいたミドリの所まで大量のAMASが包囲してきた。

 

「先生!!──に会長……。」

「……やっぱり裏切ったのね、ネル。」

「はっ、誰が同校の生徒を攫うなんて依頼やるかよ。」

「トキが抑えれないなんて、甘く見ていたわ。」

「あとはチビが逃げきりゃアタシの勝ちだぜ。」

 

このまま進めば結末は原作と異なったであろう。

そう、原作通りならば。

この場には()()という変数が存在した。

 

「報告、目標を確保しました。」

「テメェ何で此処に居やがる!?」

「え?」

 

全員の目の前にはケイと瓜二つの少女が居た。

髪型から身長まで何もかも同じな。

彼女はケイよりも機械的な冷たい眼差しをしていた。

 

「ケイちゃん……じゃない!?」

「ケイちゃんを返して!!」

「注意、それ以上動くとここで彼女を破壊します。」

「!?」

 

まさかの人質作戦。

唐突な破壊宣言に全員が動きを強ばせる。

ネルも迂闊に近付けないようだ。

完全に形成が逆転したことを悟り、リオは前に出た。

 

「来ていたのね。」

「回答、オーナーからの依頼で待機していました。」

・「『オーナー』?」

 

『オーナー』という言葉に聞き覚えのあった先生は何とか記憶の隅から情報を探す。

が、なかなか出てこない。

 

「帰還を推奨します。」

「そうね、目標は達成したし───失礼するわ。」

「……クソッタレが。」

 

結局、先生達はリオ達が完全にその場を去るまで、指一本動かすことが出来なかった。

 

──────────────────────

 

一足先に帰ってきたAL-1Sは真っ先にオーナーの元へ戻った。

初めての1人作業だったが大成功に終わり、ニコニコ笑顔だ。

 

「報告、ただいま帰還しましたオーナー。」

「ご苦労だったな。それが例の『鍵』か?」

「肯定、今は気絶状態にあります。恐らく数時間はこのままだと推測。」

「よし、ならばそちらの台に乗せてくれ。」

「了承。えいッ!!」

ウッ──」

「できるだけ丁寧に。」

 

大きいタンコブをこさえた『鍵』を放り投げるかのように、台に寝かすAL-1S。

ガンッと大きな音が鳴った気がしたが、気の所為という事にしておく。

 

「それでもう1つの依頼の方だが、何かめぼしい物はあったか?」

「肯定、いくつかの機械を拝借しました。」

 

そう言いゴトゴトと見たことも無い機械を並べていく。

ただ兎は見覚えがあるようで反応した。

 

「うわ、これヒマリ先輩の発明品じゃないですか!!」

「知っているのか?」

「はい、昔に金k…反省部屋へ閉じ込められてた時に何度か。」

 

セミナーの押収品倉庫が満杯になる時期があったらしく、

そんな時は彼女のいる反省部屋の中へ押し込んでいたのだとか。

金庫に預ける物は貴重品や危険な道具が多いと聞いていたようで、兎はあまりこれらに触れたがらなかった。

それでもオーナーは臆せず機械を弄る。

 

「うぇえ、もし危ない機械だったらどうするんですかぁ?」

「ここをこうして……こうか?」

「聞いてないし。」

 

ポンッと何かの起動音の後、ガシャガシャと音を立てて機体は形を変えた。

変形したそれはまるでVRゴーグルのような見た目となった。

 

「何だか映画の小道具みたい。凄いねミレニアムって。」

「キヴォトス最先端の技術力を誇るだけはあるだろう。興味があるなら実習生として転入させることも出来るが──

「ハハハ………お戯れを、我々の居場所はここです。」

「そ、そうか。」

 

正体不明の圧を感じつつ、観察していると道具の用途が段々と分かってきた。

まるで機械をルービックキューブの様に扱いながらホモは話題を変える。

 

「これは他人の精神世界に侵入するための機械だな。」

「どうして分かるんですか?」

「少し弄れば用途の予想はつく。大体だがな。」

「他人の精神世界へ侵入……凄い技術力ですね。」

 

実際すごいのだ。

ホモ自身、用途が分かるだけで仕組みは全く理解できない。

『全知』の名は伊達ではない。

 

「良いものを見つけて来てくれたな、AL-1S。」

「エッヘン!」

「早速コレを使って『鍵』の中へ侵入するとしよう。」

「1人で向かわれるのですか?だったら我々も──」

「残念だがこれは一人用だ。危険なら尚更私がしなければならない。」

「………了解。」

 

渋々といった感じで引き下がるチームⅤ。

ホモは装置を装着し、椅子にもたれ掛かった。

この時ばかりはホモも未知に対しての好奇心を募らせていた。

 

「さて、上手くいくといいが。」

 

装置を起動すると心地よい眠気がホモを眠りへと誘った。

 





今日のMVP AL-1S

もしAL-1Sが『精神世界侵入装置』をヒマリから盗……借りていなければ、ケイちゃんの体を破壊する事になってました。

これはホモ君に肉体と精神が剥離している存在(現セイアなど)と夢で繋がる性質があるためです。
本来はこの性質を生かしてケイの精神世界へと侵入する予定でした。

次回はケイちゃんとホモ君のファーストコンタクト。


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空の玉座


お待たせしました。
今回はケイちゃん曇らせ回となっております。



 

時間はケイの逃走中にまで遡る。

ネルの助力を受け、トキを突破した彼女はできるだけ離れた場所へと駆けていた。

 

「(ミドリ達は追いかけて来てくれるのでしょうか……。)」

 

先程よりも速度を落とし、追いつくAMASを掃討する。

先程よりも幾分か冷静になったケイは思案する。

何故、リオ会長は無名の司祭関連の情報を手にする事が出来たのだろうか。

可能性として挙げられるのは大きく3つ。

 

1.無名の司祭と面識がある

2.外部組織からの情報提供

3.オーパーツを解析し自力で集めた

 

1はほぼ可能性が低いと見て良いだろう。

そもそも彼らはとある事情で表側に出てこれない。

 

2である可能性は大いにある。

古の時代から活動しているゲマトリアが存在するのならば、可能性は更に上昇する。

ミレニアムの技術力を交渉材料として引き合いに出せば、難しい話ではない。

 

3の可能性は無いと思っていたが、リオの技術力を見るに不可能ではない気もしてきた。

 

そこから導かれる答えは2つ。

3の場合のみ、リオを説得すればミレニアムに留まる事が出来る。

それ以外の場合、逃亡生活を余儀なくされるだろう。

各企業リーダーが自分を易々と見逃す事はない。

ミレニアム校区であろうとも刺客を送ってくるだろう。

そうなれば、もう彼女達に迷惑はかけることが出来ない。

いや、出来るはずかない。

 

人気のない廊下をただひたすらに走り続ける。

休日とはいえ、まだ昼時。

あまりの静けさに違和感を覚えた。

 

「(まるで、予め私の逃走経路を人避けでもしたかのような─────)」

 

直後、ケイの脳内に強烈なイメージが溢れる。

まるで至近距離から砲弾でもぶち込まれたかのように、頭部が爆散するイメージが。

殺気と言うには過剰すぎる怖気を感じた瞬間、ケイは反射で屈む。

 

それと同時に頭上を何かが通り過ぎ、反対側の壁に拳程度の大穴が空いた。

 

体験したケイは気づいた。

奇襲を仕掛けた下手人が()()()()()()()()事に。

更に攻撃を避けることが出来たのは完全にまぐれだということに。

 

つまり、強敵だ。

 

「奇襲失敗、殺気を完璧に隠すのは難しいです。」

「嘘を付かないでください、隠す気なんて無かったでしょう。」

「肯定、つい癖で。しかし先程の攻撃で気絶させる予定でした。」

 

下手人の姿はヘルメットを被った二丁拳銃使い。

巷でヘルメット団の噂を聞いた事はあるが……、やはりネルと同レベルの威圧感を感じる。

不意打ち時には無かった、強者独特のオーラを。

そんじょそこらの不良が出していいモノではない。

 

「時間厳守、直ぐに終わらせましょう。」

「ッ!?」

 

ヘルメット団員の姿が消えた。

直感で背負っていた『光の剣・スーパーノヴァ』を前に掲げると凄まじい衝撃が襲う。

何とか防げたが、ヘルメット団員の攻撃は止まない。

拳銃では有り得ない火力でガードをこじ開けようとしてくる。

 

戦局は防戦一方。

困った事に反撃する隙が全くない。

被弾覚悟で攻撃しても、素早すぎて相手に当たる気がしない。

だがケイには1つの策があった。

このまま時間を稼げば、ネル先輩か先生達が合流するはず。

そんな人任せの策に縋らなければならない程に、ケイは追い詰められていた。

 

 

 

対してヘルメット団員、AL-1Sも策を練っていた。

このまま攻撃を続ければ、いずれ目標を倒すことは可能だろう。

しかし、このまま時間を稼がれるとトキを突破したチビメイドがこちらに来るかもしれない。

負けるつもりは無いが、折角接触した『鍵』に逃げられてしまう。

そうなれば、オーナーに褒めて貰えない。

 

そこで思い出す。

拠点出発前にオーナーが伝えてきた秘策を。

 

「もし『鍵』と接触する機会があれば、ヘルメットを外せ。」

 

 

 

 

 

 

 

AL-1Sは躊躇なくヘルメットを脱ぎ捨てた。

あれほど凄まじかった銃撃が急になりを潜めた。

降り続けていた豪雨が止んだのを確認するかのように、AL-1Sの様子を観察するケイ。

 

そう、()()()()()()()()()

 

「王、女?」

 

自分とそっくり───否、

自分が彼女に似ているのだと確信する。

王女だ。

夢にまで見た王女との再開が此処に叶ったのだ。

無事だった事に安堵感を覚えた。

だがこちらを覗く王女の瞳は凍えるほどに冷たい。

 

「(何故私をそのような目で見るのですか……?)」

 

殺気を漏らしながら不意打ちしてきた下手人が、実は王女で何故か自分に冷たい眼差しを向けてくるという最悪の状況。

 

言うまでもなくケイの思考は停止(フリーズ)した。

その隙をAL-1Sが見逃すはずが無かった。

 

「好機。」

「アガッ!?」

 

早撃ちがケイの額にクリーンヒットする。

至近距離の渾身の一撃を受けて倒れ伏すケイ。

 

キヴォトス人でも失神するほどの威力を誇るそれを受けても、その頑強な体はタンコブをこさえるのみに留まった。

それに反して、『鍵』の心を支えていた()()()はポキリとへし折れていた。

訳も分からないまま、ケイの意識は暗闇へと沈んでいった。

 

目標確保(ターゲットクリア)、トキ達と合流します。」

 

──────────────────────

 

「ッ────!!!?」

 

悪夢から飛び起きるかのように体を起こしたケイ。

瞳孔は開き息は荒い。

覚えているのは王女が自分を攻撃して───

 

「(違います、アレは、何かの間違いです!!)」

 

王女に殺気を当てられたのが余程ショックだったのか、現実を受け入れられないケイ。

何か理由があるはずだと、言い訳を探すがそれでも王女の冷酷な視線が脳裏にチラつく。

思い出すだけで冷や汗が流れ、瞳は揺れ、吐き気を催す。

込み上げるものを嚥下し、ようやく辺りを見回す。

 

「ウプッ───ココは……。」

 

無機質な白い壁に、見合わない近未来的な玉座。

どう見ても王女が安置されていたあの玉座部屋だった。

 

今ケイは玉座に撓垂れ掛かる様に体を預けている。

体に力が入らない。思考も靄がかかった様にフワフワとする。

最悪のコンディションながら、この場所が何処なのか本能で理解した。

 

「(ココは私の精神世界?)」

 

人の体を手に入れるまで、ケイはここで暮らしていた。

久方ぶりで思い出すのに時間がかかったが、現実世界へ戻る方法は知っている。

 

「(せめて、王女に現状を問わねば……)」

 

ケイはまだ諦めていなかった。

折れた心を無理やり継ぎ接ぎして立っている。

王女に何か考えがあるはず、そんな微かな希望に縋るために。

 

まだ自分の意識がハッキリしているという事は、破壊()されていないという事だ。

王女の狙いがわからない以上、すぐにでも現状を把握しなければならない。

……もしハッキリと存在を否定されたら自分はどうすれば良いのだろうか。

答えが出ないまま、ケイは現実世界へと帰還する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

………おかしい、変化がない。

否、空間が突如歪みだした。

ケイの予想した変化ではない。

何者かが歪みの中心部から現れる。

 

その者は骨であった。

骨が眼窩に意志を燃やして、此方を見据えてくる。

ケイにはソレが動いているという事実が不気味で仕方なかった。

骨が口を開く。

 

「目覚めていたか。私の名はホモ、ゲマトリアの一員だ。」

「(ゲマトリア!?)」

 

呑気に挨拶してきた骨は自分はゲマトリアだと発言した。

そこで色々と謎が解けた。

 

リオ会長はこの骨から情報を受け取ったのだ。

そして、王女は拾われたのだ。

よりにも自分達の天敵であるこのゲマトリアに。

骨が自分の敵だと判断したケイは、分析を始める。

 

「(この男、()()()()()を保有している……いいえ、この反応はあの杖から?)」

 

骨の持つ杖から異常な量の神秘を検知した。

その保有量は()()()()()()。多いというスケールではない。

分析を終えてなお、骨の実力が分からない。

 

「(……迷ってる場合では有りませんでしたね。)」

 

そう、結局ケイのやるべき事は1つ。

この骨を倒して情報を聞き出す事。

王女はこの骨に操られているだけかもしれない。

蜘蛛の糸から針金程度には希望が見えてきた。

骨はケイの決意を悟ったのか、残念そうに呟いた。

 

「大人しくする気は無さそうだな。」

「えぇ、貴方からは色々と聞き出さなければ成らないので。」

 

精神世界は言い換えれば自分の世界。

イメージさえ出来ればなんでも可能な世界だ。

 

ケイがイメージするのは自身の武器。

紫電に混じり発現した『光の剣・スーパーノヴァ』をその手に取り、銃口を骨に向ける。

 

「安心してください、命までは取らないので。」

「レールガン、『鍵』がロマンを理解するか。別に武力行使しなくても君の質問には答えるが?」

「……では───王女、AL-1Sに何をしたのですか?」

 

焦る素振りもなく、そう嘯く骨。

一瞬逡巡するが意を決して質問した。

仄かな願望を込めて。

それに対する骨の答えは─────

 

()()?そうか、君は知らないんだったな。彼女には己が生まれた経緯を伝えた上で、快く協力してもらっている。」

「──ッ!!」

 

嘘をつくなと叫びたかった。

だが、ここでそんな事を言っても意味は無いだろう。

 

「良いでしょう。えぇ、貴方を倒した後で直接王女に聞けば良いのですから!!」

「私が嘘をついていると?心外だな、メリットがない。」

「──ッ黙りなさい!!」

 

暴発するかのようにレールガンから弾丸が発射される。

キヴォトス人でも当たれば当分動けない威力を、神秘を持ちえないホモが喰らえば一溜りもない。

ホモ目掛けて真っ直ぐ突き進む弾丸は────

 

 

 

 

 

 

 

ホモが腕を振るうと()()()()()()()

まるで鬱陶しい虫を払うかの様に軽く。

 

「は?」

「何の対策もなしに君の精神世界に入るわけが無いだろう。」

 

ピシッ

 

世界の端から致命的な音が聞こえた。

ケイの精神世界が音を立てひび割れていく。

 

「そんな、私の世界が崩壊して───」

「生憎、私も精神世界については詳しくてな。」

 

ガラスの様に割れた隙間からは、別の世界が覗いている。

音は次第に断続的に、大きくなっていく。

そして遂に─────決壊した。

 

変わりに現れたのは曇天の()()

焚き火に照らされた周囲以外は霧に覆われ、何も見えない。

 

「これで奴ら(無名の司祭)の目を気にせずに計画を進める事ができる。」

「くッ!?」

 

何が起こったか思考が追いつかない。

しかしケイは直感した。

もう既に自分の優位は覆されたと言う事に。

 

「待て、次はこちらの番だ。」

「なっ、影がッ!?」

 

パチンッと骨が指を鳴らすと、ケイの影が実体化し自らの体を拘束した。

ケイのパワーであってもビクともしない。

 

「『影の精霊(Umbla Genius)』。やはり精神世界であれば権限は使用可能か。」

 

黒服の成果物である『影の精霊』。

ホモはこれの細かな仕組みを知らない。

しかし、何でも可能なこの精神世界でのみ発現を可能とした。

それもケイ(他人)の影を扱うという応用で。

 

「ビジネスの基本は等価交換だ。この際しっかり回答するとしよう。彼女が自らの使命に対してどう思っているかを。」

「グッ……この……ッ!!」

 

やめてください。

 

「私はありのまま真実をAL-1Sに伝えた、その使命もな。使命に生きても良いと言ったら、彼女はなんと返事したと思う?」

「あ、あぁ…………」

 

やめて。

 

「『使命なんて関係ありません。私は私、自分の生きたいように生きます。』と。つまりだな────」

 

骨は容赦なく、『鍵』にとって最悪の事実を告げた。

 

彼女(AL-1S)()を必要としない。」

うあぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!?」

 

今度こそ『鍵』を支えていたナニカ──王女という支えは再起不能なまでに砕け散った。

気絶したかのように、ケイの頭は垂れている。

精神世界で気絶したという事は、本心の奥底へと避難したという事だろう。

 

「………やり過ぎたか?」

 

計画通りとはいえ、ケイの絶望した顔にはホモも心を痛めた。

AL-1Sと瓜二つなのもタチが悪い。

だから、無駄と分かっていても謝罪してしまう。

 

「聞こえてないだろうが、すまなかった。私もキヴォトスを滅ぼされる事は避けたいのでね。」

 

何はともあれ、情報を取り出すための環境が整った。

ケイを横たわらせ、首元を確認する。

 

「リオの話によれば、首元にUSB挿入口があると聞いたが……これか。」

 

確かにあった。

後は此処から『ATRAHASISの箱舟』の情報を取り込むだけだ。

 

「シャーレの先生が率いるミレニアムの戦力を考えれば、取り出せる情報は一つか。」

 

情報を取り出し、直ぐに再現するにはソレが限界だった。

活用出来る情報を獲得することを願おう。

抽出されるデータを可視化し、頭に叩き込んでいく。

 

「ついでに保険も仕込んでおくか。」

 

懐から取り出したUSBを接続し、()()()()()()()()を入力した。

今はまだ真価を発揮しないだろうが、いずれこれが大きな働きをする事だろう。

そしてその直感は遠い未来、当たることになる。

 

 

 

 

 

・ホモは『ワープ』を覚えた。

 





アリス&ホモ「無量空処」
ケイ「やめて()」

ケイちゃんはHappyENDが約束されてる分、どれだけ曇らせても問題ないな!!(鬼畜外道)


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突入前


応援団コトリ実装で無事作者の性癖が破壊されました。
(巨ぬーチア服ムチムチ系動くWiki眼鏡っ娘)

RTAパートです。



 

少女の心の中を土足で踏み荒らすRTAはーじまーるよー!!

 

 

・精神世界から帰還した。

・体に異常は見当たらない。

 

遂にここまで来ましたよ、Vol.2の山場まで。

無事にアリスちゃんがケイちゃんを拉致してくれたので、問題なくチャートを進めれます。

 

ケイちゃんの権限にロック掛けてたのは、流石リオと言ったところ。

乗っ取りを気にする必要が無く、アリスちゃんを自由に動かせるのはデカい(確信)

まぁ、そのおかげで『Divi:Sion』に細工する必要が出ましたがタイム的には誤差です。

何?マッチポンプ?

リオにバレてないから問題ありません(暗黒微笑)

 

オマケに『精神世界侵入装置』まで持って来てくれちゃってまぁ……いいゾ〜コレ。

走者のテンションは最ッ高にハイッてやつだぜ。

後でアリスちゃんを沢山褒めてあげましょう。

お前の事が好きだったんだよ!!

(大胆な告白はホモの特権)

 

この装置は原作Vol.2のラストでゲーム開発部が使用した装置のテスト機です。

悪いなリーダー、これ一人用なんだ。

 

テスト機なので失敗率はありますが、その数%を引かなければどうって事ないです。

外した場合はホモ君が帰らぬ人となります。

それでもRTAで上振れチャンスを逃す筈が無いから、しょうがないね。

結果的に成功したからヨシッ!!(現場猫)

 

ひとつ気掛かりなのが、()()()()()()()()()()()()()だという点。

前回走った時は選択肢出てきたんですけどね。

その辺はホモ君が上手いことやってくれたに違いありません。

 

・ドアの開く音がした。

「詰め(バックアップ)を派遣してくれて助かったわ。」

 

ヌッ!!

リオ達が帰ってきました。

という事はもう数時間経たない内に先生達が攻めてきますね。

 

「『鍵』はどうしたのかしら?」

・そこで眠っている。

 

ケイのステータスを確認すると『気絶』状態にあります。

あと数時間は起きませんねこォれは。

強制的に覚醒させるには強い呼び掛けが必要なので、

実質的に先生がこの部屋に到達するまで起きません。

なので後は備えるだけ。

ホモ君はさっさと裏に引っ込んで貰います。

 

・私は研究室に戻るが、これからどうするつもりだ?

「『鍵』はまだ破壊しない、彼らを返り討ちにするまで。」

 

そう……(無関心)

走者的には今直ぐに破壊してくれた方が楽なんですけどね。

タイム短縮になるし、責任をリオに擦り付けれるので(人間の屑)

 

因みに『鍵』を直ぐに破壊するのか、しないのか。

この辺りの匙加減はリオの精神状態に左右されます。

今回は大分安定してるので後者になりました。

調整が結構シビアなんですよね。

余りリオがメンタルブレイクし過ぎてもデータを抜く前に破壊される事があります(1敗)

 

「私はそうすべきだと思ったの。……変かしら?」

・迷いは無いみたいだ。

 

(ホモ君も異論は)ないです。

というかリオの覚悟ガンギマリ過ぎでは?

一体誰がこんな事を……(すっとぼけ)

こっちとしてはチャート通り動いてもらえれば何でも良いですけど。

 

「彼らはすぐにでも来るでしょう。トキは既に現場で待機中よ。」

・よし、AL-1Sとコユキは予定通りに現場へ。残りは私と共に研究室に来てもらう。

「「「了解!!」」」

 

アリスちゃんはホモ君の最高戦力なので出動は確定。

ホモ君自身は戦闘に参加しないので、形だけの「協力してるアルヨ」というアピールです。

トキがネルを抑えきれなくて本来のチャートがおジャンになる可能性もありますからね。

アリスちゃんが過労死しちゃう……。

 

・研究室についた。

「では我々は外で警備を。」

・さて、何から取り掛かろう?

 

オリチャーの肝である『鍵』から抽出した情報。

それを使い本来『ATRAHASISの箱舟』の所有する3つの固有スキルの内、1つを物質に付与させます。

試走時に必要だった技術力はエリドゥのラボで、オーパーツはホモ君がたらふく持っているのは確認してるので無問題。

 

 

・頭に叩き込んだデータを元に復元を開始する。(失敗率3%)

・『解析』発動(失敗率3%→0%)

 

ヨシッ!!(現場猫)

スキル習得&付与には大分時間が掛かるので、その間は固有スキルとオリチャーについて解説します。

 

以下に獲得可能スキルを載せます。

 

『多次元解釈』、『ワープ』、『物質変換』

 

どれも大当たりの強強スキルです。

それぞれについて軽く解説していきます。

 

 

『多次元解釈』

波動関数を仮定し、並行世界A〜Zを演算&応用する事ができるスキルです。

何言ってるか分からないって?

安心してください、走者もよく分かってません。

キ〇グ・クリムゾンだとでも思っておいてください。

若しくは物理的に存在しないバリアとでも。

これが付与できると一気に戦力がインフレします。

あとは並行世界を覗くことで未来予知も可能になります。

 

『ワープ』

文字通り座標AからBへ移動するスキル。

テラコやプレ先が使用していたあのワープです。

今作では行ったことのあるエリアを行き来できる神スキルとなっています。

RTA的に大助かりする事間違いなし。

ホモ君がバリバリの戦闘ビルドだとワープする最強狙撃兵が完成していました。

 

『物質変換』

周囲の物体を任意の物体へと分解・変質・構築する事ができるスキルです。

原作で『鍵』がエリドゥを箱舟へ改造しようとした能力がこれに当てはまります。

極論、紙コップからタブレットを作成したり出来ます。

使用コストがバカほど高く、ちょっと癖のある玄人向けで、

走者がバカなので一番引きたくないスキルとなっています。

 

 

冷静に考えると『ATRAHASISの箱舟』ってスペック可笑しいですね。

章ボスの最終兵器なだけありますよ。

プレ先はどこからあんな代物拾ってきたんですかね?

ホモ君にも紹介して♡

 

 

 

閑話休題

 

 

 

一応それぞれに適合するチャートをちゃーんと作ってきました(激ウマギャグ)

一番の当たりは『多次元解釈』ですが………。

 

・『ワープ』の情報を抽出していた。

 

『ワープ』を引きましたか。

という事でVol.2後半は急ピッチで作った『ワープ』用オリチャーに沿って走っていきます。

先ずは研究室に引き篭って、この杖にスキルを付与して逝きましょう。

未だにこの杖の正体が分からないんですがそれは……。

 

待機中に『ワープ』活用Vol.2オリチャーの流れを解説していきます。

 

現在、管制室に隣接する拘束部屋にケイを放置しています。

ステータス画面から、下手に刺激しなければケイは数時間起きない事を確認済み。

今回はアクセス権がブロックされてるので、原作のようにエリドゥが乗っ取られる心配も無いです。

 

続いて戦力関係。

敵勢力(先生側)はミレニアム総出の精鋭揃い。

対するこちらはギャルド君、トキ、アリスの3人。

いくらアビ・エシュフ&トキが強かろうと無謀な戦力差です。

ホモ君が強化を施していてもそれは不変です。

そしてそれはチームⅤを追加したところで焼き石に水です。

学園丸々一校を相手取るのと同義なのでしかたないね。

 

という訳で先生陣営に勝つのは無謀なので、今回の勝利条件に戦闘は関係ありません。

このチャートの最終目標は「逃げ延びること」です。

 

既に最低目標の「鍵からの情報抽出」は完了しています。

後は先生とかち会う前に、以下の項目をクリア出来れば万々歳です。

 

 

・スキル付与を完了する。

・不安要素である『鍵』をこっそり破壊。

・先生達にバレないように『ワープ』で逃走。

 

 

上二つは出来なくてもタイムにさほど影響はないです。

ですが1番下の項目は何としても達成する必要があります。

バレたら最悪ホモ君が黒幕認定されてその場でリンチ状態にあいます(3敗)

 

なので研究室に待機中はいかに先生を足止めできるかが重要になってきます。

大まかなチャートは以下の通り。

 

 

ホモ君は『ワープ』の付与作業で研究室から動けないので、研究室から軽く指示出したり妨害したりします。

あっちはその手のエキスパート揃いなので時間稼ぎにしかなりませんが。

チームⅤに警備させるのは、何かの間違いで研究室に生徒が突入しても追い払えるように。

可能性は万が一に無いほど低いですが、念には念をという事で。

 

アリスちゃんは現場で先生達と直接対峙して物理的に時間稼ぎしてもらいます。

一応AMASとかの頭数は用意してます。

これなら時間稼ぎは可能でしょう。

相手は先生ですし、ロストする可能性は0です。

ある程度こちらの準備が出来るまでは頑張ってもらいます。

 

コユキには通信室でヴェリタスを妨害してもらいます。

というのも彼女達を放置してるとギャルド君NTRハックされて戦力がガタ落ちするからです。

なので兎にはヴェリタスサーバーに侵入してもらって、データを荒らしまくって貰います。

ヴェリタスからすれば、謎の勢力から攻撃を受けてる状態なので混乱が狙えます。

 

・エリドゥのセキュリティプログラム

・ホモの妨害プログラム

・サーバーデータを無茶苦茶にする兎

 

ヴェリタスはこれらを同時に相手することになります。

立場が逆なら走者が憤死するレベルの嫌がらせですよ。

 

リオはトキとギャルド君のサポートに徹して貰います。

ネルの超強化が懸念点ですが、様子みてホモ君のフォローを入れましょう。

 

スキル付与が完了すればアリスちゃんに連絡。

適当に退場してもらい全員合流の後、拘束部屋に『ワープ』します。

そして『鍵』のデータを破壊。

 

肉体を物理的に破壊するのはかなり面倒なので、USBに移動させた後に物理破壊します。

『鍵』のデータバックアップを取られていたら?

その時は向こう(先生)が1枚上手だったと褒めてあげましょう。

試走時のデータから1MBもないバックアップ状態なので完全復活は時間がかかります。

そうなる前には完走してる予定ですからね。

 

最後にリオを矢面にトンズラが成功すればチャート完走となります。

うん、完璧なチャートだな!!

風呂食ってくる(錯乱)

 

 

 

・エリドゥ全域にサイレンが鳴り響く。

・侵入者の警報、恐らく先生達だ。

 

 

 

来ましたね。

監視カメラを見るにゲーム開発部、エンジニア部………。

別方面からはC&Cも乗り込んでます。

あれ?()()()()()()()()()()

まぁ一人増えた程度、誤差です誤差。

原作通り貨物列車に乗り込んでやって来ましたね。

 

 

 

……もう始まってる!(迫真)

C&Cは一足先に乗り込み既にトキを相手に戦闘中。

既にアビ・エシュフを装着してますね。

これなら直ぐに突破される心配はなさそうです。

 

 

 

先生達が向かうであろう大通りでは、既にアリスちゃんが待機済みです。

ギャルド君はアリスちゃんが退場した時の保険用に残しています。

 

 

 

……見つけました。外に出て真っ直ぐ大通りに向かってきます。

読み通りここはアリスちゃんをぶつけて時間を稼いで逝きましょう。

同時に兎のハッキングを入れ、ヴェリタスのサポートを無力化させます。

後はどれだけ持つかですが───

 

 

 

AMASの溶ける速度が半端ないですね。

流石に先生率いるゲーム開発部+エンジニア部はキツい。

でもアリスちゃんも負けてませんよ。

 

 

コトリとユズがダウンしました。

やりますねぇ!

ただユウカが居るせいで、これ以上のダウンは取れなさそうです。

後はヒットアンドアウェイで削りつつ時間稼ぎします。

 

 

 

スキル付与が残り半分を切りました。

そろそろAL-1Sと兎に連絡を入れて撤退命令を出します。

ギャルド君を忘れず現場に向かわせましょう。

うむ、悪くない流れです。

 

 

 

トキの様子ですが───

ネル達を相手に若干有利を保っています。

やっぱりアビ・エシュフはぶっ壊れ装備ですよ。

あっ、カリンが落ちた。

 

 

 

……おや、早くもギャルド君が突破されそうですね。

『GREMLIN』を使ってサポートしましょう。

 

 

 

まーだ時間掛かりそうですかね〜?

あくしろよ!!

 

 

 

ンアーッ!ギャルド君がNTRれました!!

止めてくれよ……(絶望)

 

 

 

・研究室のドアが開いた。

「にはは、引っ掻き回してやりました!!」

「報告。損傷率0%、任務完了です。」

 

 

 

全員が揃ったところで頃合いですね。

杖に付与が完了したので破壊しに行きますか、『鍵』。

 

恨みはないが許せ、RTAなんだよねこれ。

恨むなら杜撰な管理してる無名の司祭を恨んでもろて。

ほらいくどー。

 

 

・『ワープ』発動

・拘束部屋に移動、リオと先生達の間にワープした。

 

 

 

──────は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・はじめまして先生、私はゲマトリアの一員。

 

・私こそがそこの憐れな生徒を誑かした元凶であり

 

 

 

 

 

 

───────君達の敵だ。

 

 





次回は先生視点。
モモイの目覚めからホモ君との遭遇までのダイジェスト風になる予定です。


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アビ・エシュフ


前回のあらすじ

アリス「ミレニアムから色々くすねて来ました!!」
走者「^ ^」

走者「『ワープ』GET!!勝ったなガハハ!!」
ホモ「先生とリオの間にワープするやで。」
走者「( ゚д゚)」
先生「!?」
リオ「どうして……。」


モモイ覚醒後からの先生視点となります。



先生とホモの邂逅から、時は数刻前に遡る。

ミレニアム本館のロビーにて、ケイ達と関わりの深い生徒達が集合していた。

 

ケイの所属するゲーム開発部。

リオ会長の拉致任務を蹴ったC&C。

『鍵』の暴走に巻き込まれたヴェリタス。

そして一連の騒動を眺める事しか出来なかった先生。

 

各陣営共にケイに対して、大小はあれど確かな友情と親愛を感じていた。

普段であれば、特に先生とC&Cは即決でケイを連れ戻しに向かっただろう。

しかし、リオの理論武装によって情と理性の判断に迷いが生じていた。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そんなお通夜状態だったところ、モモイの意識が覚醒し合流した。

全体が暗い雰囲気を放つ中、彼女は溌剌としていた。

彼女だけはケイの事情を聞いても、そのスタンスが変わらなかった。

モモイはウジウジと悩む全員に思いの丈をぶちまけた。

 

自分はまだケイに何も言ってないし、何も聞いていない。

別れの言葉も無しにエンディングへ強制的に進められるなんてゲーマーには憤死物だ。

 

正しいのか、正しくないのか?

()()()()()()()()()()()()

 

例えケイが世界を滅ぼす為に生まれた魔王であっても、

勝手に自分達から引き離すなんて納得出来ない。

だから連れ戻す、どんな障害が待ち受けようとも。

 

 

「私達のエンディングは、私達で掴み取る!!」

 

 

なんとワガママで、身勝手な理由だろうか。

だがそれはリオも同じだ。

彼女も自分一人の独断でケイの処理を決定した。

ならば此方も独りよがりで動いたって文句は言わせない。

 

奪われたなら取り返せ。

モモイの復活を皮切りに先生達は協力者たちを募り、作戦を練り始めた。

 

──────────────────────

 

本来リオの部下に当たるノアとユウカに、リオの居場所を調べてもらった。

原作であれば横領資金の流れにより拠点が顕になったが、

今回はスポンサー(ホモ陣営)が資金提供したせいで中々足取りが掴めないでいた。

ひとえにとある兎(黒崎コユキ)が騒動を引き起こさなかった事が関係したりするが、先生達は知る由もない。

 

どうにか手はないかと悩んでいたところ、ネルの携帯に着信が一通入る。

リオ会長からだ。

 

『何故会長からメールが?』

「……何の数字だコレ?」

 

メールに長い文章はなく、3つの数字が並んでいる。

そして一番後ろには、こう記されていた。

 

「依星ケイは明日の正午に破壊する」と。

 

謎の数字について、ノアが閃いた。

 

『これはもしかして座標でしょうか?』

『ッ!!すぐに調べるわ──────ビンゴッ!!』

 

座標位置の衛星写真を拾い現像する。

そこには見たことの無い広大な都市が広がっていた。

まさか会長1人でこの規模の都市を作ったのだろうか?

 

「待って、本当に此処に居るかなんて───」

「こりゃあ宣戦布告だ。会長らしくねぇが信用はできる。」

 

ネルからすれば会長は超合理主義の機械のような人間だ。

その性格ゆえかヒマリに悪態をつかれようとも、まともに対応はしなかった。

本人からすれば争いこそ、最も非合理的な手段だったのだろう。

それがわざわざ『宣戦布告』してきたのだ。

 

 

──この時間までは待ってやる、文句あるなら掛かってこい。

 

 

合理的で、ある種の誠実さを兼ね揃えたリオが騙す為にメールを送信したとは思えない。

そして先生達の取れる手が他にある訳でもなかった。

虎子を得る為には、虎穴に入らねばならない。

 

目的地が分かれば後は潜入ルートと、戦闘時の作戦を決定する必要がある。

幸いにも、潜入ルートはヴェリタスとエンジニア部の協力でどうにかなりそうだ。

 

問題はエリドゥに着いた後だ。

ネルが指を2つ立てて話し出す。

 

「チビ奪還の作戦成功の為にクリアしなきゃいけねぇ事が2つある。」

・「向こうの戦力だよね?」

 

要塞都市からどうやってケイを連れ戻すか。

そして向こうの戦力は未知数だ。

 

要塞都市の名の通り、そのセキュリティは堅牢なはず。

例えヴェリタスでも突破は一筋縄ではいかないだろう。

ただそれ以上にトキと彼女の存在が大きすぎる。

 

「アタシじゃあトキかAL-1Sの片方しか足止めできねぇ。」

「AL-1S?」

「あのチビと同じ顔したクソチビの事だ。」

「そもそも、あの子は何者だったの?ケイちゃんと瓜二つだったし。」

「それについては私が。」

 

アカネの口から語られる内容は想像を絶するものだった。

 

AL-1Sは本来のケイの主であり、世界の終焉のために生み出された少女(兵器)である。

彼女に関しての情報は皆無であり、上述の情報もリオの話から推測しただけに過ぎない。

これも推測だが、ケイとAL-1Sが瓜二つなのも彼女が実体を持つ際に鮮明にイメージ出来たのが彼女だったからだろう。

さらに驚くべきことに、以前からC&Cは彼女と面識があったらしい。

 

とあるセミナー生徒(またしてもコユキ)の捕獲任務での出来事であった。

彼女は既に謎の組織に加入しており、突き止めた本拠地点の『廃墟』に侵入し捕獲作戦を実行した。

その謎の組織に彼女、AL-1Sが居た。

 

その後、彼女達と幾度も戦闘を行ったが結果は任務失敗。

初めてC&Cの無敗伝説を破られてしまったのだ。

 

「C&C総出でも勝てなかったんですか!?」

「いいえ、正確にはリーダー以外は他のヘルメット団と戦闘を行いました。と言ってもそこらのヘルメット団とはレベルが違いましたけどね。」

「特にあのクソチビの戦闘能力はクソ高ぇ。あたし以外じゃ足止めも出来ねぇ程にな。」

「そんなに……。」

 

『鏡』の一件でネルの強さを身にしみて体感していたモモイ達は固唾を呑む。

勝気な性格の彼女がここまで評価する相手だ。

正直に言うと戦いたくない相手だ。

少なくとも直接戦闘は避けたいが……。

 

そしてヘルメット団と聞き、先生の脳に記憶が浮かんだ。

アビドス砂漠でビナーを退治した当時の出来事。

あの時現場にいた青いヘルメット団も『オーナー』と口にしていた。

 

・「もしかして青いヘルメット団?」

「あれ?先生もあの人達と面識があったんだ!」

・「やっぱり……。」

 

彼女達が話していた『オーナー』なる人物。

恐らくAL-1Sの話していた人物と同一人物だろう。

となると、懸念点が1つ増えてしまう。

あの大人の集団、ゲマトリアが関わっている可能性が大きい。

 

彼らの非情さは知っている。

事実面識のある黒服はホシノの命をただの消耗品としか認識していなかった。

ただ一つ言えることは、先生の警戒度を引き上げるには十分すぎる要素だった。

そして、もし彼女達も敵に回ればケイの奪還作戦の難易度は更に上昇する。

 

「その組織のリーダー格にも会ったよ。人外じみた大人だった。」

・「ッ!?もしかして黒服って名乗ってた?」

「い、いえ、それが………。」

「えーっと確か、ホモって言ってた!!」

・「えぇ……。」

「コホンッ!恐らく偽名でしょうから暫定的に『オーナー』と呼びましょう。」

「ホモで良くない?」

ダ メ で す !

 

ゲマトリアはネーミングセンスの欠けらも無いのだろうか……。

格好そのままの黒服がマシな名前に思えてきた。

いや、まだゲマトリアと決まったわけでは無いが。

 

「AL-1Sに加えてヘルメット団まで出てくるとC&Cは確実に動きが止まるでしょう。」

「それにあの新人……トキとか言う奴も何か隠し球持ってる感じがした。」

『会長の専属ボディーガードだから、特殊な武装を身に付けてても不思議じゃないわ。』

 

難しい立場だと言うのに、ユウカはこちら側についてくれる事になった。

 

『ケイちゃんを、あんな可愛い子のヘイローを破壊するなんて許せません!!』

 

セミナー役員として反抗するのでは無く、あくまで対話を試みる為に現地まで同行し協力してくれるようだ。

正直に言って戦力が1人増えるだけで有難い。

 

話し合いの結果、トキかAL-1SのどちらかをC&Cが受け持つ作戦で落ち着いた。

先生も『大人のカード』を使えば状況は打破出来るだろうが、生徒間の争いで使うのはルール違反だ。

 

もし彼女達のどちらか1人と鉢合わせた時は、即時逃走する必要がある。

幸いにもその為にゲーム開発部、エンジニア部に加えセミナーからユウカが参戦してくれる事になった。

ある程度バラければ撒ける可能性は十分にある。

先生達の勝利条件は、誰か1人でもリオとケイの元に辿り着く事なのだから。

 

戦闘作戦についてもある程度の目処がたち、ネルは真剣な面持ちで口を開いた。

 

「もう1つの問題だが、これを解決しねぇと真にチビは救われねぇ。」

・「それって……」

「チビの処分を決めたのは会長の独断だ、助ける分には協力する。

 

───だが助けた後、チビの処遇を決めて貰う必要がある。」

 

ネルの言っている事は正しい、先生も薄々気づいてはいた。

もう被害が出てしまった以上、何らかの対策を取らなければならない。

リオのやり方が強引すぎただけで、何も間違えてなどいないのだ。

 

対して此方は文句を言うだけ言って理解を拒み、彼女の案を否定しただけ。

このまま何の案もなくケイを救っても、またミレニアムを襲うかもしれない恐怖と罪悪感でケイは押し潰されるだろう。

そしてC&Cがミレニアムに何時までも不発弾を放置するはずも無かった。

 

「もし、そこら辺をナアナアで済ましやがったら……アタシはチビを()()しなきゃいけなくなる。」

 

有無を言わさない凄みがあった。

C&Cのリーダーとしての責任感がそうさせているようだ。

彼女だって本心からの言葉ではないだろう。

だからこそ不甲斐ない。

子供相手にそう言わせてしまった、自分の未熟さが。

 

「ま、それはチビを取り戻してからで構わねぇよ。」

「……えぇ、今はケイちゃんを助ける事だけを考えましょう。」

 

ヴェリタス達が潜入経路を発見し、作戦が開始される。

突入するその直前になっても、ケイに対する答えは出なかった。

 

──────────────────────

 

要塞都市エリドゥ(地上)

 

ヴェリタスがシステムごとハッキングした物流用列車に乗り込み、C&Cは先行で既に都市内部に侵入していた。

今彼女達は際限なく湧き出るAMASを相手に3人で暴れ回っていた。

 

「あははっ、どんどん爆発してく!」

「30台目……終わりが見えないな。」

「えぇ、ですがこれだけ騒ぎを起こせば彼女も───」

「ッ!そこか!!」

 

AMASの大群の影に隠れるように近づいていた人影に弾丸を放つ。

それを難なく避けた人影は堂々とその姿を現した。

 

「お待ちしておりました、先輩方。」

「思った以上に早かったのですね。」

「私達がここに来る事は初めからお見通しだった訳だ。」

「その通りです。………隠れてないで出てきてください。」

「ちっ、やっぱりコソコソすんのは性にあわねぇな。」

「解せませんね、ここで真っ向勝負をする気ですか?」

 

トキの予想では戦闘中に先生の元へと誘導し、控えにいるAL-1Sを一緒に処理する物だと思っていた。

困ったように溜息をつきながらアカネが返答する。

 

「当初はその予定だったのですが……。」

「てめぇをさっさと倒してチビ共と合流する。それが最善手だ。」

 

舐められたものだと、以前のトキならば少しの怒りも湧いたであろう。

挑発に乗り自身の力のみで倒そうと試みたかもしれない。

しかし実際にネルと戦い、あの骨と会った事で慢心は既に消えていた。

 

「最強と名高いネル先輩、加えて腕利きの先輩方も一緒なら可能性はあるでしょう。であるならば───呼出信号確認。」

「……上ですッ!!」

 

上空より飛来した黒鉄の塊はトキの傍らへ着地する。

凄まじい砂煙が巻き起こり、中から薄く光が差し込む。

リオの開発した『武装』の中で最も性能が飛び抜けた兵器がたった今、装着された。

 

 

パワードスーツシステム『アビ・エシュフ』起動

 

 

「初めから全力で御相手致します。」

 





本当はホモ君との遭遇までしたかったけど、1万字逝きそうだったんで二分割しました。
次話は早めに投稿するからユルシテ……

以下、アンケートについて

・セイアとホモが駄べるだけ
未だに意識の戻らないセイアがホモの精神世界に入り浸り駄べるだけのお話。
他の話と比べて謎の多いホモに関する情報が多く判明する予定。

・傭兵 チームⅤと他校の交流
資金調達の為、たまに傭兵家業を営むチームⅤと接触した生徒達のお話。
今話ではホテルのガードマン等を任されたようです。

・AL-1S シャーレ単独潜入任務
オーナーの命令によりシャーレに潜入したAL-1Sのお話。
仕事で忙殺されそうな先生と、偶々当番に当たっていたケイ達が登場予定。

・極悪ホモの逝く暁のホルス覚醒RTA
走者がボツとなった極悪チャート(試走時)を晒すお話。
40話で走者が言ってたアレです。
ホシノが可哀想になる事が確約されたお話。
恐らく曇らせ隊の大好物。

・ゲマサー飲み会(with先生)
ゲマトリア達が飲んで騒ぐ完全なギャグ時空のお話。
この話に関しては全く本編と関係ないです。
頭空っぽにして呼んでください。

・全 部 書 け
基本メインストーリー(Vol.3)を進めつつ幕間におまけ話を入れる事になると思います。
ペースは3話に1話。


P.S すまんなコユキ、君メインのお話が思いつかんかった。


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悪魔顕現


Q.なんでこんなに遅れたの?
A.仕事が忙しすぎて執筆の時間が……orz

作者と陸八魔アルが腹を切って謝罪します。
流石に今週からは最低週一投稿に戻れるはず……
遅筆なだけでプロット自体は腐る程にあるので(震え声)

今回は内容詰め込んだので、ちょっと長いです。



 

場所はエリドゥ西大通りの地下通路付近。

トキとC&Cが激戦を繰り広げている頃、先生一行は現在劣勢を強いられていた。

 

・「モモイとミドリは前方への弾幕を絶やさないで!ユウカは奇襲の警戒!ヒビキとウタハは他方向のAMAS掃討を!」

「うぅー、素早すぎてもう見失っちゃった……。」

「気を抜いたらその瞬間ダウンするわよ!」

 

先生達が地上へと足を踏み入れた時、地上は既に大量のAMASに封鎖されていた。

それらは全てキヴォトスにはないステルス機構を備えた機体達で、ヴェリタスは観測出来なかったのだ。

よって先生達は思わぬ形で奇襲を掛けられることになったが、劣勢の原因は別にある。

 

兵力差は著しく本来であれば敗走は避けられなかったが、先生の指揮とヴェリタスのサポートもあり着実に数を減らしていったのだ。

もはや烏合の衆と化したAMASでは先生達の歩みを止めることは出来なかった。

 

順調すぎた時点で警戒すべきだった、もしくは焦りがあったのかもしれない。

有象無象の中に隠れた彼女(AL-1S)の存在に誰も気付くことはなかった。

 

劣勢の原因はAL-1Sによる二段構えの奇襲攻撃。

ヴェリタスの監視を掻い潜るスピードと隠密性を持って攻撃は成功した。

 

最初の一発目は先生へ。

これはアロナがバリアを張り完璧に防いだ。

 

続く二発目、三発目は驚きで固まっていたユズとコトリへ。

ユズは額に被弾し気絶、コトリは脇腹に被弾し悶絶した。

 

更に四発目はヒビキへ放たれた。

しかし、弾丸は動き出したユウカの防御により弾かれた。

 

その間たったの2秒。

短時間でいきなり二人の戦力を失ってしまった。

ユウカがこの場に居なければ全滅の恐れもあっただろう。

 

・「相手はAMASの影に隠れて常に奇襲を狙っているから、周りのAMASを片付けていこう!」

「追加される分よりも多く倒さないと!!」

『こっちも最優先でタスク回すから頑張って!!』

 

先生の指揮もありなんとか立て直したが、

いつ突破されるかと冷や汗が流れる。

元々遭遇時に別れる予定だったがあのスピードだ、散り散りになったとしてもすぐ各個撃破されるに違いない。

 

 

ここは苦しくとも一丸でAL-1Sを炙り出す作戦が良いだろう。

そしてモチベーション維持は先生の腕にかかっている。

先生は己を鼓舞する意味も含めて強く叫んだ。

 

・「踏ん張りどころだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ。」

 

一方のAL-1Sはと言うと、任務に対してあまり気乗りではなかった。

多対一は別に良い、自身の頑丈さなら苦にならない事は分かりきっている。

不満なのはただ一つ、わざと負けて撤退せよという点だけ。

根本的に負けず嫌いな性格のAL-1Sには気持のいい内容ではない。

オーナー直々の任務でなければ放りだしていただろう。

思わず溜息が洩れるが、流石にAL-1Sも任務を開始すると真面目に作戦を実行した。

 

まずは兵力の多い相手戦力の削減を行った。

初動で先生を含めて半壊させる予定だったが、脱落者は2名。

オーナーから『シッテムの箱』による防衛機能は聞いていたが、愛銃の威力でも貫けなかった。

 

それに事前情報になかった前衛太ももが居た。

3発も撃ち込めばシールドを破壊できるだろうが、厄介な事に変わりない。

そして直接戦闘向きのパーティと言えない戦力で自身と渡り合う先生の指揮能力はAL-1Sも認めざるを得ない。

 

「(指揮能力に限って言えばオーナーよりも上かもしれませんね。)」

 

後はどうやって退場するかだが……。

そう悩んでいた時、AL-1Sの端末に連絡が入った。

 

 

──────────────────────

 

脅威はAL-1Sだけではない。

奇襲を受けヴェリタスがAMASの制御権のハッキングを試みたが、見たことのない暗号で解読に時間がかかっていた。

また、AL-1Sが現れたと同時にヴェリタスのサーバー内に侵入者が現れたのだ。

 

「侵入スピードが速すぎる!」

「早くウイルスを根絶させないと……」

「ごめん先生、一時的にそっちのサポートが出来なくなる!!」

 

企業関係のクラッカーでも容易く入り込むことが困難なセキュリティだが、侵入者は簡単に入り込みサーバー内を荒らしまくっている。

マキ、ハレ、コタマの3人でやっと勝負できるレベルの実力者だ。

 

もはや人でなく、件の預言者(ケセド)のようなチートAIの再来か……

そんな侵入者の正体とは一体誰なのか────

 

 

 

 

 

「にはは!!そんな速さじゃ追いつきませんよ〜。」

 

 

その正体は『白兎』 黒崎コユキ。

 

 

彼女は異能と呼んで差支えないレベルの暗号解読能力を有している。

彼女にセキュリティは意味をなさず、機密情報は道端に落ちたお金のような物だ。

そんな彼女の天性の才能に加えて、彼女がサーバー内に散布しているウイルスも時間稼ぎに貢献していた。

 

「オーナーも太っ腹ですね、こんな面白いオモチャまで貸してくれるなんて!!」

 

コユキはオーナーから見たこともない様なウイルスを手渡されていた。

内部データを独自の暗号に変換し、拡散する性質を持つオーナー曰く、嫌がらせ用のウイルス。

それが超速でばら撒かれているのだから、ヴェリタスにとっては堪ったものではない。

そしてこのウイルスにはもう一つ面白い性質を持っていた。

こちらは時限式になるため今は確認できない。

 

「次はどこを弄くってやりましょうかね。……ん?」

 

あのヴェリタスに一泡吹かせてご満悦な兎。

そこに水を差す様に連絡が入る。

端末は『帰還せよ』とだけ書かれた短文を受信していた。

 

「(ちょっと名残惜しいですけど、退散しますか。)」

 

手早く退散の準備を済ませ、通信室を後にするコユキ。

以前の彼女なら退き際を間違えて痛い目を見ていたであろう。

オーナーという存在が彼女をより優秀な人材へと変貌させていた。

兎はオーナーがこの後見せてくれるであろうモノを想像し、さっさとその場を離れた。

 

──────────────────────

 

AL-1Sのヒットアンドアウェイ戦法に神経を削られつつも、前進する先生達。

ユウカを先頭に守りを固めジリジリと前進していた。

牛の歩みだが、着実に進んでいる。

ゆったりと、しかし激しい攻防の中で余裕ができた先生が初めに異変に気づいた。

 

今までのAMASによる攻撃が嘘のように弱まり、自身たちとの距離が開いている。

まるで何かの為に道を譲るように。

警戒していると眼前にモニターが展開された。

ヴェリタスのものではない。

そこにはあのセミナー会長が映っていた。

 

画面越しだからか、表情からは感情が読み取れない。

感じているのは悲嘆か、それとも純粋に怒りか。

 

『もうここまでやって来てたのね……』

「会長!!」

・「君を止めに来たよ、リオ。」

『止めに来た……ね。』

 

注意を自分に向けさせる作戦だろうか。

話を聞きつつ、警戒を怠らない先生達に諭すようにリオは続ける。

 

『警戒は無駄よ。彼女(AL-1S)ならもう帰ったから。』

・「帰った?」

『彼女たちは協力者。事を始め、大きくした私が決着をつけるのが道理でしょう?』

 

言われてみれば、先程まで重く伸し掛かっていた重圧感が薄れている。

しかし、油断出来るはずもない。

気にせずリオは続ける。

 

『それにしても、貴方達全員の理解を得られなかったのは残念よ。特にユウカ。』

「考え直して下さい会長、ケイちゃんを殺害するなんて絶対間違えています!!」

『いいえ。正解では無いのでしょうけれど、決して間違いでもないわ。』

 

いつものリオとは思えないほど芯の強い声だ。

その姿勢は間違いなくミレニアムの会長として相応しいものだった。

 

『私はミレニアム生徒会長の責を背負っているの。たった一人のために世界を巻き込むなんて許容できないわ。』

「それは……」

 

他者に有無を言わせない凄み。

上に立つ者として、才覚が顕著に現れている。

その姿は最早大人を思わせるほどで───

 

 

違うんだリオ、それは子供が背負うべき物では無いんだ。

 

 

そう言えたならばどれだけ良かっただろう。

だが既に袂を分かち覚悟を決めたリオには届かない。

もうやり直すには何もかもが遅すぎた。

 

「難しい話はいいからケイちゃんを返して!!」

『貴方は確か……ケイに直接攻撃された貴方なら分かるでしょう?』

「分かんないよ!私はただケイちゃんを取り戻したいだけ!!」

『そう、理解する気が更々ないのね……。』

 

心底残念そうに顔を曇らせるリオ。

そうなったのも束の間、すぐにいつもの仏頂面に戻った。

話し合いはもう終わりだ。

 

『メールを見たでしょう?取り戻したいなら管制室まで辿り着いてみなさい。』

『先……、通信……復……た。先生!すぐ近くに大きなエネルギー反応が!!』

「どうやら切り札をまだ残していたみたいだね。」

 

AMASで開いた道から現れたのは、人より二回り大きいドローン。

悠々とキャタピラを回転させその独創的なデザインの奴は姿を現した。

その姿に対する先生達の内心は奇しくも一致した。

 

 

『────アヴァンギャルド君、発進!!』

((((ダサい………))))

 

 

──────────────────────

 

そこからの流れはおおよそ原作通り。

アヴァンギャルド君はその高性能さを遺憾なく発揮するも、チヒロ達による『鏡』のサポートを受け無事に撃退した先生たちはリオが待ち受ける管制室タワーへと向かった。

度重なる戦闘でグロッキーとなったエンジニア部とユウカは途中で離脱した。

そこからの道中に現れるのはマチマチな数のAMASだけ。

最早先生達の歩みを止める存在は居ない。

 

原作と異なるのはトキとC&Cの戦闘に決着が付いてないところだろう。

AL-1Sとの戦闘で勘を取り戻したネルとアビ・エシュフ装着状態のトキの戦闘力はほぼ互角。

何せ互いの攻撃が全く当たらない。

他のメンバーは終始ネルのサポートに徹したのもあり、膠着状態であった。

C&Cの任務は先生達を管制室ゴールまで届けること。

現時点で既に任務は成功していた。

 

コタマの誘導に従い最上階へと駆け上がる先生達。

最上階はエリドゥを見渡せるほど高い位置まで伸びていた。

コタマ達のナビゲートがなければ迷っていたかもしれない。

 

そして奥へ入ると全面モニターだらけの部屋となっていた。

隅の方には見覚えのあるドローンの彫像が飾られていた。

モモイ達はここが管制室だと確信する。

 

「着いた!!」

『この階の何処かにケイちゃんが居るはずです。』

「そう、ケイなら奥の部屋に居るわ。」

 

コツコツとモモイ達に近づく影──リオと直接対面する状態となった。

見たところAMASの様な兵器・武器は見当たらない。

 

「会長……まだ戦うつもり?」

「いいえ、ここに辿り着いた貴方達にそんな事をする気は無いわ。」

 

自身の計画が水泡に帰すというのに不思議と清々しい。

文字通り保有する戦力を全て注ぎ込み、その上でここまで到達されてしまった。

トキを呼ぶこともできるがそれは無粋というもの。

あの不利な状況を打破した先生達なら、ケイを任せても平気だろう。

 

「………認めましょう、私の負けよ。」

 

あっさりとそう言い放つリオに面食らう先生達。

勿論リオも思う所が全く無いわけでは無い。

リオは協力者に対して申し訳無さを感じていた。

契約を果たせなかった事だけが心残りだった。

せめて自分の意志を尊重してくれた彼らだけは安全にここから離れられる様に、できるだけ時間を稼ごう。

 

「約束事は守るわ、来なさい。」

「モモイ?それに皆まで………」

「ケイちゃん!!」

 

奥からドローンに連れられたケイが現れる。

既に意識は覚醒しており、モモイ達の姿を見て珍しく驚きの表情を見せた。

見た感じ心身ともに大きい影響はなさそうだ。

 

嬉しさのあまり駆け出すモモイ達。

再会のハグをしようと近づくが、それは思いもよらない物に阻まれる事になる。

不意な顔面の強打。

まるで見えない壁に阻まれる様に先へ進めない。

思わず轢かれたカエルのような声が漏れ出てしまうモモイ。

 

「うぎゅッ!?」

「何これッ、見えない壁みたいなのがある!」

「う、後ろのドアも閉まってる………!!」

「まさかッ!?」

 

急いでリオも先生達の方へ駆け寄る。

少し進むとすぐに硬い感触が手に伝わる。

かなり注視すると向こうと一枚の壁に阻まれている。

この分厚い防弾ガラスの壁は、シェルターとしてエリドゥ全域の建物に実装している。

だがシェルター機能をこんな場所につけた覚えは無い。

それもリオが気づかないレベルで隠蔽された代物。

現在ケイとリオが一緒にいる状態だ。

モモイたちからすれば眼の前まで出されて急に引っ込められた様なものだ。

当然モモイからブーイングが来る。

 

「ちょっと!ここに来て卑怯すぎない!?」

・「……いや、あれはリオも焦ってない?」

 

ダメ押しと言わんばかりに、一瞬管制室のモニターが全て落ち、再度復活した。

絶対に何かがおかしい。

更に同時にチヒロの通信が乱れ始めた。

 

『いっ……な…が……応答………──────』

「エリドゥのシステム全体が……ハッキングされた?」

 

膨大な量の技術力と資金を使って敷いたセキュリティがいとも容易く破られた。

デカグラマトンでさえ数分は凌げる自信作をあっさりとだ。

こんな芸当ができるのはただ一人、作った本人にしか不可能だ。

思い浮かべたのは大元の作成者である骨男。

 

しかし一体何故このタイミングで……

裏切るならもっと良いタイミングがあったはず。

ケイをどうしても破壊したかったら問答無用でチームⅤも投入すればよかったのに。

 

リオが協力者の骨男──ホモに連絡を取ろうとしたとき部屋の中央、ケイの近くに闇より暗い穴が開いた。

そして穴から二人の人物が出現した。

 

片方はAL-1S、もう片方は見たことのない人物───常識的に考えて、動かない筈の骨がそこには居た。

 

「はじめまして先生、私はゲマトリアの一員。

そこの憐れな生徒を誑かした元凶であり─────

 

君達の敵だ。」

 

ゲマトリアという言葉を聞いた瞬間、先生の警戒度がマックスまで跳ね上がった。

そして死の一文字が頭をよぎる。

骨の男、オーナーからとてつもなく濃い死の気配を感じるのだ。

 

「もう少し粘れると思っていたが無理だったようだな。」

・「……貴方が、ケイちゃんの破壊を進めた張本人?」

「そうだ。この計画も、彼女の背中を押したのも全て私だ。」

「違───ムグッ!?」

シィー……

 

いつの間にか背後に回っていたAL-1Sに口を塞がれ言葉を中断させられてしまう。

 

 

・「私達はリオと約束したんだ、部外者にケイとの再会を邪魔される筋合いは無いと思うけど?」

「それもそうだ。AL-1S、『鍵』を向こうに返してやれ。」

「了解。」

「ッ!!」

 

ガラス壁に指を何回か触れさせるとケイと先生達を阻んでいた感覚が消え去った。

壁がない今、骨の男に対して攻撃できる絶好のチャンスだ。

 

──それでも動けない。

この男の得体のしれなさに無意識に張った警戒を解くことが出来ない。

男の一挙一動が目から離せず、引き金を引くことが出来ない。

 

「さて、契約は『鍵』を渡すまで。そこから後は自由だ、当然私達もな?」

・「皆、戦闘準備!!あの娘のスピードには注意して───」

「まずは場所を移す。」

 

コツリと杖を軽く床に小突く。

すると先生の足場の感覚がフッと突如消えた。

異変を感じ下を見ると、先生は絶賛タワーから落下中だった。

常人が死ぬ高さからの紐なしバンジーに先生の肝が急速に冷える。

 

 

 

管制室の床にできたワープ穴から悲鳴が聞こえてくる。

全員がワープ穴に落とされたのを確認すると、ホモは行動を開始した。

前に人一人が入れる程度のワープ穴を開く。

 

「君はそこで観戦してると良い。」

「特等席ですよ。」

 

拘束を解かれ地面にへたり込むリオ。

困惑が頭を支配し思うように言葉が出てこない。

 

「そこまで不思議なものか?子供に心配される程、落ちぶれてはいないというだけの話だ。」

「肯定、後は当機達に任せて茶でもしばいて下さい。」

 

なんてこと無いように話しながら、二人もワープ穴へと入っていった。

リオはそれを見送ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

落下した結果を言うと、先生はそのまま地面に衝突することは無かった。

放り出された直前にフワリとした無重力が先生を包み、気がつくと先生は少女に抱きかかえられていたのだ。

 

「なんでアンタ達が空から降ってくるんだ?」

・「ネル!!」

「すごーい、ラピ◯タみたーい!!」

「無事ですか、先生!!」

 

ケイは無傷で着地できたようだ。

いわゆるお姫様抱っこで救出された先生は、あたりを確認する。

どうやらトキとC&Cの戦闘場所へ落とされたらしい。

一緒に居たモモイ達の姿は近くにない。

程なくしてホモとAL-1Sが登場した。

 

「出やがったなクソチビ共!」

「多勢すぎるので彼女(モモイ)たちは別の場所へ転移させた。向こうも戦闘を開始している頃だろう。」

「何故ここに貴方が……。」

「状況は見ての通り、済まないが目的のためにリオは拘束した。私は『鍵』を破壊する。」

 

その台詞を聞いただけで、トキは全てを察知した。

同時に自分がどう動く事を期待されているのかも。

 

「……会長救出のため、貴方を敵と見なします。」

「優秀だな君は。だがアビ・エシュフの演算機能は切断させてもらう。」 

「よく分からねぇが、味方って事でいいんだよな?」

「えぇ、すんなりとは受け入れできないでしょうが……。」

・「全然気にしないよ。皆は自由に動いて、私が合わせるから。」

「………。」

・「ケイ?」

 

ケイは精神世界でのやり取りを覚えていない。

それでも無意識のうちにホモに恐怖を抱いていたのか体が震えていた。

 

「あぁ、そう言えば武器はまだ返していなかったな。」

・「……何のマネ?」

「教える気は無い、忘れているようだが私は敵だぞ?」

 

空中にできたワープ穴から光の剣が落ちてきた。

ケイの反応に違和感を覚えた先生はケイに語りかける。

 

・「何がとは言えないけど、大丈夫?」

「──問題ありません。私は……王女を止めます。」

 

以前から頼もしかったケイが今は小さく見える。

嘘をついているのは明らか。

しかし原因もわからず、すぐ戦闘の始まる現状では何も解決できない。

戦闘に向けて張り詰めていく空気をよそに、神妙な面持ちでネルが発言する。

 

「……てめぇらはチビ(モモイ)達の援護だ、何か嫌な予感がする。」

「あっ、それは私も思ってた!」

「成る程……先生、この場はリーダーと任せて構いませんか?」

・「任せて!!」

 

感じるのは天変地異の前触れのような予兆もないのに不思議と確証のあるあの感覚。

この場にいてはあの二人が危ないと直感したのだ。

 

・「任されたからには、すぐに押し切らせてもらうよ。」

「ほぅ。」

 

大人のカードを取り出した先生。

あの二人が言うのだから何が厄ネタがあるのだろう。

多少ルール違反スレスレでもやり切る必要がある。

眼の前の男は必ず自分の脅威として立ちはだかる。

 

そんな先生に驚くことなく淡々と情報を分析するホモ。

なんなら興味深そうにカードを凝視していた。

 

「大人のカードか、黒服から聞いているとも。ゲマトリア内でも様々な憶測が飛び交っているが、私はこう考えている。

 

それは通常のカードと同じ機能を備えつつ、先生の時間を消費することで、いついかなる時も絆を育んだ生徒の分身を呼び出す事ができる。

命を賭す過程でその神秘と強靭さを上昇するおまけ付きでな。

言わば、一種の物語強制閉幕装置(デウス・エクス・マキナ)だ。

まともに取合えば敗北は必至だろう。

 

しかし自己犠牲の上に成り立つ力ほど脆いものはない、それを君に教えよう。」

 

ホモは懐から何かを取り出し掲げた。

 

 

神名十文字(デカグラマトン)は10人の預言者とパスを拓き新たな『天路歴程』を開始した。だが模倣するだけではナンセンスだ。だから私はその逆、奴らが神を証明するなら私は悪魔を証明してみせよう。」

 

ホモが取り出したのは球体状の何か。

先生は知る由もないが、これは『廃墟』から捕獲・分解したケテルのコアだ。

何をする気か分からないが碌な事ではなさそうだと言うことだけを感じとる。

 

「本来ならば預言者達が必要だが、今回に限りAL-1Sという反則が使える。

奴の存在証明にはAL-1Sと鍵、両者の許可が必要だった。」

「リソース名『ケテル炉心部』の全体リソース確認。」

 

区切るように都市中に乾いた音が響く。

カリンがホモを狙撃したのだ。

しかし射線を把握されていたのか、ワープ穴により弾はホモを襲うことは無かった。

ホモは言の葉を紡ぎ続ける。

 

「『鍵』の代行者として告ぐ、現時刻を以て()()()()()A()T()R()A()H()A()S()I()S()()()()()()。」

「承認、()()()()()A()T()R()A()H()A()S()I()S()()()()

「なぁッ!?」

 

何故この骨男がプロトコルATRAHASISを。

そんな疑問をぶつける間もなくホモは続ける。

 

「『鍵』は王女の手に在らずとも、方舟は用意された。」

名も無き神々の王女(AL-1S)が承認、ここに新たな聖域(サンクトゥム)が舞い降りん───」

「奴は神秘であり、恐怖であり、知性であり、激情でもある。」

 

10の悪徳より生まれしそれは、理の埓外にいる存在。

ある意味この存在は神名十文字の恐怖(テラー)と捉えることも可能だろう。

 

「顕現せよ────クリフォト。」

 

 

今ここに、悪魔が顕現した。

 

 




解説:クリフォト

デカグラマトンが自身の神性を証明するための過程を参考にホモが顕現させた人工悪魔。
正式名称はクリフォトにより到来した悪魔。
この一時の為に顕現した悪魔は、エリドゥの演算機能によって存在を補強されている。

本来はビナーのような覚醒した預言者が必要だが、無名の王女の力で無理やり顕現させた。
本来王女の力の権限は鍵の協力が不可欠だが、内部データを盗み取っていたオーナーは代弁者として自身が変わりに申請を行うことで、プロトコルATRHASISを稼働。
その為か完全体の神聖十文字よりも大幅に弱体化を受けていると予想される。
しかし構成時にオーナーの潜在意識を介しての権限発動で■■の要素も多少備えているため、戦力としてみれば十分すぎるほどに脅威。

オーナーの想定より不完全とは言え、その力は強大。
触れたものを蒸発させるレーザー攻撃が主となる。
他にも多彩な初見殺しを連発してくるので注意されたし。(電撃警棒、光学迷彩etc……)
また時間をかけると再生するので速攻で倒すのが吉。
戦闘を行う先生達は死闘を覚悟するべし。

外観はケテルの核を触媒に顕現したため、姿形は面影を残している。
■■の要素の影響か、装甲の色は宇宙色となっている。


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正しき事


あらすじ的なもの

クリフォト「うおおお!すごい力が漲ってくる!!走者これは一体?」
走者「知らん…何それ…こわ……。」
ホモ「私が作りました。」

あと3、4話でVol.2は終わりです。



 

紫電を放ち現界した人工悪魔、クリフォト。

宇宙(ソラ)色をしたソレは異質な存在感を同時に醸し出していた。

四本脚で地を踏み電撃警棒等の機械腕を四本携えるソレは、悪魔というよりも蜘蛛アラクネを連想させる。

それを目撃したネルの目と口角が好戦的に吊り上がり、先生は冷や汗を流し、ケイとトキは驚愕で言葉が出ない。

 

「報告にない戦力、強さ未知数、脅威度は最大……!!」

「ハハッ、俄然面白くなってきやがった!!」

 

既に二人はやる気のようだ。

頭の処理が完璧に終わらないまま、ケイは疑問が浮かぶ。

ワープ能力に物質変換機構も全て『アトラ・ハシースの箱舟』の機能だ。

特に後者は『鍵』本人の申請が必要だというのに、この男はその性能を際限無く使いこなしている。

 

「なぜその力を!?私は許可していないのに……」

「君からデータを抽出した際、少々細工を仕込ませてもらった。技術力も私にとっては既知の代物、最高権限者はAL-1Sだから扱うのにも時間はかからなかった。」

 

限度と言うものがある。

ワープも物質変換機構も全て現キヴォトスでは実現不可能な技術。

それを彼は一日も掛けずに解析し運用した。

1から高スペックのパソコンを組み立てるようなもので、はっきり言って異常だ。

 

「綱渡りだったのは間違いない。危うく机上の空論となるところだった。」

「だとしても、私の許可なしにこんな……」

「私は『鍵』の代行者だ。()の心の奥底からの願いを申請しただけでしかない。」

「ッ!?」

「そうだ、それ(使命)を完全に切り捨てなければコイツ(クリフォト)は止まらない。」

 

目下最大の障害であるクリフォトを簡単に無力化する方法。

それはケイが完全に使命を放棄する事だった。

口で言うは易し行うは難しとはこの事だ。

人間はそう簡単に野望を綺麗さっぱり切り捨てられない。

AL-1Sやホモによる精神攻撃でも『鍵』の意思はまだ残っていた。

やはり未練は残るのだ。

 

「因みにこの状況はカイザー上層部に配信中だ。私が逃しても追手は止まない。」

・「卑怯な……。」

 

忘れたい記憶を完全に思い出した。

そして理解した、この状況は自分の存在が招いたものだと。

とてつもない罪悪感がケイを襲う。

そして続くホモのセリフは遠回しに脅しをかけていた。

 

「お前が『鍵』である以上、身近な人物諸共に狙われ続けることになる。」

 

情の芽生え始めたばかりのケイにこの脅しは深く刺さる。

あまりの物言いに先生は我慢をやめ会話を止めに入るが、ホモは意にも介さない。

 

「君に言われるとはな、生徒2人に一体何人がかりだ?」

・「あれが生徒たちの大意だ。それに生徒一人の犠牲の上の平和なんて間違っている!!圧倒的に情報量が少ないのにそんな手段に賛成できる訳無いでしょ?」

「一部始終は見ていたが、それで取った手段がアレか?」

 

ホモは本心をぶちまけるようにスラスラと話し始める。

その声色からは若干の呆れが見えた。

 

「得体のしれないAIを無断入学させた後は碌に素性も調べず、大人のすべき責務を生徒一人に押し付けて、対策案に納得行かないと生徒二人相手に多数でリンチして糾弾。これが大人のやる事か?」

・「………。」

 

確かに先生の判断は人命を尊ぶ善きものだったのだろう。

しかしそれが100点かと言われれば、ホモは断然否と答える。

 

「善きことだけが正しい行いとは限らない。」

・「それでも、ケイを殺すなんて安易な答えは逃げてる事と一緒だ!!」

「現実を見ろ、綺麗事を抜かすな。生徒の味方を公言するなら、リオにも寄り添ってやるべきだった。」

 

万が一にも『鍵』が覚醒すればどうなるか。

鎮圧は可能かもしれないが、全てを元通りにはできない。

誰かの味方をするということは、誰かの敵になるということ。

先生はキヴォトス全域の危機よりも生徒一人の命を取った。

無論これは悪いことではない。

 

悪いのは友愛や信頼を思考放棄の免罪符にした事。

それによって本来真っ先に動くべき大人(先生)生徒(リオ)に責任を押し付ける形になった事。

自分がリオの背中を押す前に行動しておくべきだったのだとホモは考えている。

 

「はぁ、偉そうに講釈をたれたが大事なのは結果だ。教えてくれ先生、リオの計画を止めた後どうするつもりだったのか。答えによっては(クリフォト)を収めよう。」

・「それは……。」

 

答えられない、答えれる筈がない。

先生にも案自体はある。

 

ケイをシャーレで()()()()()()()()()を行う。

これは文字通り先生から離れられないということ。

 

この方法ならば何かあってもすぐに先生が対応できるし、被害も最小限に済むはずだ。

しかしそれは人権もクソもない、殺人よりはまし程度のレベルの案。

到底、先生が許容できる訳がなかった。

 

そして先生の表情で悟ったのか、溜息がこぼれるホモ。

登場時のテンションとは打って変わり、その声は冷めきっている。

 

「話は終わりだ、正直ここまでの考え無しとは思いもしなかった……。AL-1S!!」

「了解。」

「ぐあっ!?」

・「ケイッ!!」

 

AL-1Sはケイを掴み高速で場を離れていく。

追いかけたいが、クリフォトを無視はできない。

ホモの傍らにワープ穴が開く。

 

「もし本当に自分の正しさを信じるならば、この程度の障害押しのけてみせろ!!」

Urrrrrrrrrr!!」

 

ホモがワープ穴へ入ると同時に、悪魔は先生たちへと牙を剥く。

死闘が始まる。

 

「来るぞ!!」

 

大人のカードが光を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからは、先生達は死闘を繰り広げた。

 

クリフォトはオーナーがワープ穴に消えた瞬間に戦闘を始めた。

トキとネルがヘイトを稼ぐ間に生徒を召喚した先生。

 

 

先生の知る中でも高いタンク性能を持つ春日ツバキ。

 

ミドルレンジで攻撃力が高いスナイパー銀鏡イオリ。

 

火力の高い制圧射撃に特殊なペイント弾で装甲を削る小塗マキ。

 

爆弾による誘導・撹乱、特殊な徹甲弾で装甲を削る室笠アカネ。

 

音源傍受、電波攻撃によるサポートが光る音瀬コタマ。

 

ヒーラーとして先生が最大の信頼を寄せる鷲見セリナ

 

 

忖度もクソもないガチ構成。

生徒相手であれば非難されることは間違いない。

 

作戦はシンプル。

ツバキで相手の攻撃を捌き、ダメージを負った瞬時にセリナが回復。

その間にコタマが弱点をサーチ&電波攻撃で妨害。

マキとアカネで弱点部位の装甲を剥がし続ける。

こっちのメイン火力はイオリ、トキ、ネルだ。

 

通常の敵であればお釣りが来るレベルの編成。

それでも戦況は均衡を保っていた。

 

「クソッ、滅茶苦茶硬ぇ!!」

「外見より分析……ダメージなし。」

・「焦らないで、一瞬でも気を抜いたらそこで終わる!!」

 

均衡と言ってもネル達の圧倒的火力と先生の指揮でギリギリ互角を演じているだけに過ぎない。

先生の指揮能力を上回る瞬間に、この力関係は瓦解する。

劣勢寄りの互角だ。

 

クリフォトのレーザー攻撃は範囲と火力が高く、ツバキでもそう何発も受け続ける事は出来ない。

直撃すれば生徒でも一日で回復しないだろう。

レーザーの有効射程外の近距離にネルが潜り込んでも、電撃警棒で追い払われて満足に攻撃は通らない。

そして何よりダメージを与えている感覚が全くない。

まるでHPが∞のチートボスと戦っているかのような……。

撃てども撃てども全く効いてる気がしない。

 

・「ネル!!」

「────ッぶね!?」

『射線特定、ですが………。』

 

先生を追い詰めているのはクリフォトの力だけではない。

 

オーナーによるいつ、どこから来るか分からない隙を作ることに特化した狙撃。

それは生徒達と先生両者に的確なタイミングで放たれていた。

アロナが随時射撃ポイントを割り出してくれているが、ワープするため当てにはならない。

『シッテムの箱』に守られているとはいえ、弾が着弾すれば嫌でも気は逸れる。

そして浮いた生徒に向けて放たれる弾丸は何度も先生達を窮地へと誘った。

 

他にも常に動き続けないと別の場所へ飛ばされるワープ穴に、狙い澄ますかのように嫌なタイミングで入る閃光弾等の小道具etc……。

 

直接的な脅威ではないが、先生の処理能力の大半を奪っているのは紛れもなくホモであった。

 

・「(けど回数制限があるのか、あのワープ穴を使ってくる気配はない。)」

 

現状厄介なのはクリフォト、ワープ穴、狙撃。

しかしワープ穴は使ってくる素振りが見えない。

ならば多少賭けをしてでも短期決戦に切り替えた方が良いだろう。

 

大人のカードに手の力が加わる。

その効能は破格だが、先生の払う犠牲も無視できない。

それでも先生に躊躇はない。

自分が先生である以上、生徒を守るのが義務だ。

 

大人のカードが強く光り始める。

それを防ぐかのように、先生の周りに激しい衝突音が鳴り響いた。

 

「判明、意識外の攻撃もガードは可能。」

 

ケイを担ぎ先生に銃を突きつけたAL-1Sが存在した。

アロナのバリアが間に合っていなければ今頃自分はひき肉だっただろう。

 

「落胆、やる気が感じられませんでした。」

「う……ぐっ……。」

「さて。」

 

制服全体がボロボロになったケイが地面に放り出される。

同時にAL-1Sがこちらに目を向ける。

そこから感情を量ることは出来ない。

一体何をするのかと身構えていると、その行動は先生の予想を逸したものだった。

 

「オーナーの目的は『鍵』の破壊です。揺れ動いている彼女を問答無用で破壊する事を望まれていません。」

・「ッ!!」

「しかしその猶予もあと僅か。この戦闘が終了しても変わらなければ破壊は実行されるでしょう。」

 

地に伏すケイに目線が変わる。

未だダメージが回復しないケイは、蹲りながらも話を聞くことしか出来ない。

 

「質問、私は既に王女ではありません。ならば貴方は一体何者ですか?」

「私は……。」

「……答えは未だ出ませんか、それでは私はこの辺りで。」

 

それだけ言うとAL-1Sは死闘を繰り広げるあの場所へと向き直る。

そんな直ぐにも走り出しそうな彼女に先生は待ったをかけた。

彼女の事、オーナーの事、他の皆の事、聞きたいことは沢山ある。

その中でも先生は一番の疑問だけをAL-1Sに問うた。

 

・「何故彼に協力してるの?」

 

彼女のような生徒が、ゲマトリアに所属する彼に協力的なのが不思議だった為に出た疑問であった。

 

一瞬だけこちらに振り向くAL-1S。

その目には珍しく感情が宿っていた。

───それは怒り。

 

「回答。オーナーが悲しむ、理由はそれだけです。」

 

──────────────────────

 

未だどの陣営にも決定打が決まらないクリフォト戦。

 

ある程度ヘイトを集めつつ、火力を出しているネルとトキだがまだスタミナは十分にあった。

この世界線では両者ともにAL-1S(強者)との経験を得て十分に仕上がっている。

また2人だけでなく、先生が召喚した生徒達の存在もある。

故にこのまま長期戦闘へと突入するかに思われた。

 

その事態は大きく変動する事となる。

 

クリフォトが腕ふたつを前に突き出し、掌に光が充填される。

どう考えてもエネルギーをチャージしてるようにしか思えない。

その変化を2人は感じ取っていた。

 

「……なんか不味くねぇか、アレ。」

「エネルギーがどんどん上昇中。アレが放たれた際の被害予想は……都市1つが半壊。」

「何だそりゃ──っと!!」

 

その間でも空いた2つの腕で此方に攻撃を仕掛けてくるクリフォト。

出来るだけ離れた状態で火力を出す。

レーザーが来る前に射線上から逃げれば良い。

そんなネル達の思惑は覆されることになる。

 

・「ネル、後ろ!!」

「うぉッ!?」

「対象の拘束に成功。」

 

クリフォトという()()()()()()()()に、完全に油断していたネルを背後から羽交い締めしたAL-1S。

その怪力からネルがじたばたしても到底外れる事は無い。

 

「テメェッ、離せ!!」

「させません!!」

 

ここに来てまさかの道連れ戦法。

攻めの要の半分を担ったネルが脱落すればこちらの敗北は必須。

急いでネルへ向かうトキ。

 

────それを待っていた。

 

「なっ!?」

 

急発進したトキを待ち構えていたかのように眼前にワープ穴が急展開された。

当然ブレーキが間に合うはずもなくトキはワープ穴へと飛び込んで行った。

恐らく遠い場所へワープしたのだろう。

 

「うぉぉぉぉ!離せッ!!」

「拒否、仲良くレーザーに焼かれましょう。」

「巫ッッッッ山戯んな!!」

 

掌へ集められた光が収縮した。

その射線にはネル以外にツバキ達もいる。

先生は幸い射線上にはいない。

タンク(ツバキ)が射線上に入ると同時に光の奔流がネル達へと放たれた。

 

 

ドゴォォォォォォォンッ!!!!!

 

 

盛大な衝撃音と光が辺りに撒き散らされる。

その威力は絶大。

強化された極太レーザーはツバキのガードを容易く貫通し前方のビル群を纏めて破壊し尽くした。

 

先生はサポート以外の召喚した生徒達が全滅した事を把握する。

彼女たちは分身と言うこともあり、直接の本人達には全く影響はない。

しかし身動きの取れなかったネルとAL-1Sは違う。

最悪の状況が頭を過るが、それは杞憂だった。

レーザーの射線外に2人の人影を見たからだ。

 

・「ネルッ!!」

「あっぶねぇ………。」

「拘束失敗、顔面に放銃とは容赦がありませんね。」

「テメェが言うな!!」

 

レーザーの直撃寸前にサブマシンガンをAL-1Sの顔面に叩き込んだのだ。

如何に頑丈なAL-1Sでも痛いものは痛い。

一瞬拘束が緩んだ隙に、ネルはレーザーの射線外へ抜け出すことに成功した。

AL-1Sも元々直前で避ける予定だったのか無傷だ。

 

「合流完了、無事だったのですね。」

「危うくこんがり焼かれるところだったぜ。」

 

飛ばされたトキが帰ってきた。

しかし問題は解決していない。

先生の召喚した生徒は消え、AL-1Sと言う強敵が追加された今、状況は一気に先生達が不利となった。

 

死闘が再開される。

……が、おかしい。ケイが動かない。

 

「おいチビ、どうして動かねぇんだ!?」

「私には、もう無理です。」

 

AL-1Sとの戦闘の際、分かってしまったのだ。

何度かわざと隙を見せたAL-1Sに対して光の剣を発射する事が出来なかった。

つまり否定されても尚、自分は王女を否定しきることが出来ない事に気づいてしまった。

 

自分は何者なのか。

AL-1Sはそう問うてきたが、答えはない。

いっその事、あの場で王女に破壊された方がマシだとさえ感じていた。

 

 

ネルが叫ぶ。

AL-1Sの弾丸が肩を掠めた。

 

 

「お前、なんの為に体まで用意してこっちに来たんだ?やりたい事があったんじゃねぇのか!!」

「ですが私にはもう……。」

 

クリフォトの振り下ろす電撃警棒に吹き飛ばされる。

 

既に王女は役目を放棄していた。

自分が今まで持っていた野望は無に帰したのだと思っていた。

しかしオーナーの言が正しければ奥底ではまだ諦めていない。

 

「なりてぇモンちゃんと見やがれ!!」

「ッ!!」

「沢山ロボ引き連れようが、()()()()が止めてやる!!お前にはまだ残ってるモンがあるだろ!!」

「私が……今更戻れる訳ないじゃないですか……。」

 

なりたいもの。

思い浮かぶのはゲーム開発部の面々だ。

だがこんなにも迷惑をかけた自分が、いつまた皆を危機に晒すか分からない自分が一緒にいていい訳が無い。

 

『ケイちゃん!!』

「この声は……。」

 

いつの間にか近くに来たヴェリタスのドローンから声が聞こえた。

 

『あっははは!バイクって楽しーい!!』

『アカネ先輩、もっとスピード出せる?』

『了解、何分慣れないもので……。』

 

通信越しに聞こえるのはC&Cの面々とモモイの声だった。

 





1週間以内に投稿できるかもと言っておきながらこの体たらく、申し訳ありません。

単純にまだリアルの忙しさが残っていたのと、今回のお話の構成に四苦八苦した点があります。
先生と敵対する以上仕方ない事なのですが、とうとう先生の行動を非難するアンチ・ヘイトの面が出てきました。

どうやって先生の格を落とさずして、ホモ君の方針を押し通すか。
最終的には先生とホモ君の関係をアニポケのサ〇シとシ〇ジの様に持っていきたい。
そんな流れと結末(プロット)だけが決まっている中、良い案が浮かばないまま1週間が過ぎていきました。


そして出た結論が、段階を踏んで先生も成長させようという物。


カルバノグの兎とかでも割とツッコミどころあるし、生徒に対しての姿勢が変わった先生のエデン条約編と最終章が書けるし一石二鳥じゃないか!!

なので今後の展開の参考の為にも「私が先生ならこうする!!」等あれば是非感想をくださいね。

以上、今回もありがとうございました。

余談ですがこの世界線のC&Cはバニー服の代わりにライダースーツが存在します。


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勇者に非ず


お待たせ致しました。

ケイの心情描写と戦闘描写に苦戦してしまいました。
話の流れは作ってるのに、文字に起こすと筆が進まないのはあるあるですよね?
文才が欲しい(切実)



 

『こっちは皆と青ヘルメット団相手に交戦中だよ!!』

 

ドローン越しに聞こえる声を先生も聞いていた。

モモイ達の声だ、間違えるはずがない。

向こうが無事だった事に安堵すると同時に、先生は好機を見出した。

 

救助したケイが今の有様では、真に彼女を救ったとは言いきれない。

今ここで彼女の苦悩を解決する必要がある。

 

ケイを救うには自分よりも長い時間を過ごした彼女達(ゲーム開発部)の助けが必要だ。

故に先生は賭けることにした。

 

・「ケイ!!」

 

ケイがこちらを向くが、その目に光は無い。

あるのは自身の使命を否定された虚無だけ。

それでも先生は強く呼びかける。

 

・「今の君はただの冷徹なAIじゃない、紛れもない私の生徒だ!!」

 

先生の言葉も気休め程度にしか成らないだろう。

それでもいい、彼女達の言葉の支えに成れたのならば。

だから必要な言葉だけを残す事にした。

 

・「自分を見失わないで、使命は人に課せられるものだから。君自身の道を見つけて!!」

「私自身の?」

 

AIであるKeyの存在理由は使命によるものだった。

しかしゲーム開発部として、生徒として活動をしてきた依星ケイは他に見つけたはずだ。

自分の存在理由、彼女自身が見つけた道が。

 

・「私の道は生徒全員が大人になるまで成長を見守る事。だから何がなんでも君の事は守るよ。」

 

先生は模範的な良い大人では無い。

時には生徒の悪ノリに乗るし、選択を誤る事もある。

全て100点満点の答えを出すことは出来ない。

今回のリオのように、寄り添う事が出来なかったケースも生まれるだろう。

 

 

・認めるよオーナー、私は取る選択を間違えた。

 

 

そもそも不正入学なんてせずに、リオやヒマリに相談すれば良かったのだ。

オーナーに正論を説かれ、先生は素直に自分の間違いを認めた。

 

自分の考えが甘かった、これでは先生失格だ。

先生は彼に感謝すらしていた。

自身の至らない点に気づきを与えてくれた事、そしてリオの味方でいてくれたことに。

 

 

・でも全員助ける事は諦めない。

・私は先生だろ、生徒1人救えなくてどうする!!

 

 

自分の選択は間違いだった。

それでも自分の道は曲げない。

生徒1人救うためなら、この命を賭ける価値がある。

 

・「ネル!!AL-1Sは任せた!!」

「ハッ、誰に言ってやがる!!行くぞ後輩。」

「──了解!!」

 

クリフォトを無視して2人がAL-1Sへ肉薄する。

近づいてくる2人にAL-1Sは違和感を感じていた。

 

「(疑問、ネルはともかくトキも近づいて来るとは……。)」

 

ネルがAL-1Sの間合いに入るのも分かる。

銃の射程こそ短いが、持ち前のそのスピードを生かした近距離での戦闘が主だから。

 

だがトキは違う。

近接戦闘も弱くない万能型、絶対中距離で戦う方が連携だって上手くいくはずだ。

 

何を企んでいるのだろうか。

とりあえず一発だけ牽制程度にトキへ発砲する事にした。

 

しかしAL-1Sの予想とは裏腹にトキは避けなかった。

ギリギリでアビ・エシュフの肩部装甲で弾丸をはじいたのだ。

 

無論、アビ・エシュフの装甲は無事ではない。

被弾した箇所はひしゃげてしまっている。

それでも動作に支障はないのか、構わず突っ込むトキ。

てっきり距離を取って避けると思い込んでいたが故に隙が出来たAL-1Sを拘束した。

 

「ッ!!」

「来ると分かっていれば、1発程度なら耐えられます。」

「しゃあッ、あの場所に行くぞ!!」

 

アビ・エシュフの馬力も馬鹿には出来ない。

AL-1Sが拘束を解く前に全速力でトキ達は、管制塔へと向かって行った。

 

 

・「よし、向こうは大丈夫そうだね。」

 

 

大人のカード使用による負担は計り知れない。

1回使っただけでとてつもない疲労感が先生を襲っている。

常人なら疲れで気絶するだろう。

 

ケイを心配させまいというだけの、ただの痩せ我慢。

今にも地に伏せそうな体に鞭を打ち先生はクリフォトに立ち向かう。

その目には確かな覚悟が宿っている。

 

・「ケイが立ち直るまでは、とことん付き合って貰うよ。」

 

再びカードが強く輝き出す。

本日2度目となる大人のカードを使用した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身体中の痛みと精神的な重圧により未だ倒れ込んだままのケイ。

 

『ハレ先輩に頼んで録音して貰ったの。』

 

ケイの傍らに浮かぶのは、ハレの作成したアテナ試作号。

モモイの声の他にバイクの駆動音や、銃声が聞こえる。

少しばかり光が戻った目でアテナ試作号を見やる。

 

『ヒマリ先輩から連絡があって、「彼女を救えるのはあなた達だけです」って言われたんだけど……、もしかして自分が居なくなれば良いって本当に思ってる?そんなことしてもケイちゃんが辛いだけだよ!』

 

AL-1Sの使命放棄宣言でケイのストレスはキャパシティを超え、既に辛いと思う段階を通り過ぎている。

 

自分にはそちらに戻る資格などない。

王女に存在意義を否定された挙句、ゲーム開発部を脅威に晒した自分の居場所なんて無いと。

 

そんな考えを知ってか知らずか、続くモモイの言葉が一蹴した。

 

『そもそもケイちゃんが居なかったらゲーム開発部は存在しないし、ミレニアムプライスで賞もとれなかった。ケイちゃんが居てくれたから、ここまで来れたんだよ。

 

頼りないかもしれないけど()()()()()()だから、また暴走したら何度でも食い止めてみせる!!

 

もしケイちゃんが本当に世界を滅ぼしたいならそれでもいいよ、私達が全力で止めるから。だから世界を滅亡させるAIなんて肩書きは関係ない!!』

 

そこで気づいた。

ネルも先生もモモイも、自分を依星ケイとして見ている事に。

自分を意識不明にした張本人だと言うのに、そんな慈悲を受けるべき存在ではないと言うのに。

 

なのにどうして───()()()()()()()()()()()()

 

『使命に縛られないで、私達がついてるから!!』

「あぁ、そう言うことでしたか……。」

 

何故戻れないと思いつつも、ゲーム開発部を捨てられないのか。

依星ケイは既に彼女達に生きる意味を見出してしまったのだ、王女に替わる存在理由を。

 

『仲間だから』

 

モモイにかけられたその言葉だけで、再起不能だった心は一気に再構築を始めた。

 

結局、あの場から逃げたのは否定されるのが怖かったからだった。

自身の弱さに苦笑しつつ、依星ケイは瞳に光を宿す。

 

「まさか貴方に元気づけられなんて思いもしませんでしたよ。」

 

今にして思えば、ゲマトリアなるあの骨男に誘導されていたのだろう。

モモイがメッセージを送ってこなければ、Keyとしての生を放棄していたかもしれない。

しかしそれは自身の行いを省みない、甘い毒のような──

独善と身勝手で舗装された逃げの道だった。

 

舐めるなよゲマトリア、これは()()()()()だ。

余所者になんぞくれてやるものか。

 

いつかケイは罰を受けるだろう。

それ程までに自身の存在は業が深すぎる。

ならばせめてその引導を渡される相手は彼女達が良い。

 

「私が彼女達と一緒にいる為にも……。」

 

ケイの道、それは『Keyの罪の精算』。

私を裁くのはお前(クリフォト)じゃない。

これがKeyが依星ケイへと成った瞬間だった。

 

貴方(クリフォト)が邪魔です。」

 

仲間の為、そして自身の夢の為、依星ケイ(贖罪者)は立ち上がる。

光の剣をクリフォトへと突きつけ、こう叫んだ。

 

「───光よ!!」

 

──────────────────────

 

これは依星ケイが成る数分前の事。

場面はトキ達へと移り変わる。

 

トキ達がAL-1Sを連れ込んだのは、管制塔の近く。

そこで彼女達は接戦を繰り広げていた。

 

「質問、二対一なら当機に勝てるとでも?」

「お前こそ、後で二対一だから負けたなんて言い訳しても知らねぇからな?」

「勝ちますよ、ミレニアム最強の私が相手ですから。」

「糞生意気な後輩だな、最強はアタシだ!!」

 

お互いにまだ軽口を叩く余裕がある。

余力を残して戦っているからだ。

 

これまでの戦績はネルが若干勝っている。

たがそれはルールありきの話。

あの時は制限時間があり、弾丸もペイント弾、細かいルールにより五分五分の状況で行われた実戦型戦闘訓練だった。

 

ここはルール無用の戦場だ。

練習と本番は違う、一発が必殺威力のAL-1S相手なら尚更。

トキも実力者だがまだ連携は拙い。

だからこそ、二対一でも勝てると断言できない。

 

「宣言、ここからは本気です。」

 

空気が張り詰めるのを感じる。

先行はAL-1Sから、狙いはトキだ。

直線的な動きで向かってくる。

 

「(タックルですか。)」

 

トキの戦闘センスは本物だ。

特筆すべきはその分析能力にある。

 

相手の癖、何が得意で何が不得手なのか、弱点を見抜き徹底的にその穴を攻めるのがトキの戦法だ。

 

それでも超一流の使い手には勝てない。

全能力が高水準で纏まったゲヘナ最強のヒナに、常識外れの膂力とタフネスを持つミカなど。

アビ・エシュフ抜きならばこれらの実力者には1歩劣る。

何故劣るのか?理由は1つ。

 

強者との実戦経験の乏しさからくる経験不足。

あまりにも予想外の動きに弱すぎた。

 

その弱点をホモが理解するのに時間は掛からなかった。

リオに掛け合い訓練内容の殆どを実戦形式に変更させた。

トキが知る由もないがその結果、更に洞察力に磨きがかかった。

ある程度の初見殺しも直感で避ける程度には。

 

「(……このタイミング!!)」

 

故に右腕部の銃器をパージし、軽くなったその腕でAL-1Sを捕まえる事は容易かった。

後はそのまま目的地付近まで押し込むだけだ。

しかし────

 

「訂正、捕まったのは貴方の方です。」

「ッ!?」

 

アームによる拘束を無理やり押し広げるAL-1S。

馬力負けしたアームが悲鳴を上げるのを構わず、AL-1Sは更にトキへと近づいた。

その手に銃は握られていない。

 

「(不味いッ!!)」

 

殆ど直感から来る判断に従い、左腕部を間に挟むトキ。

その判断は正しかった。

 

「シィッ!!」

 

正拳突きが装甲に深々と突き刺さる。

人体が出せるとは思えない音が響き、トキは後方へ吹き飛ばされた。

 

幸いな事にトキ自身に怪我はない。

左のアームを犠牲にしなければあそこで倒されていただろう。

左腕部はもう使えない。

 

「生徒相手に使うなと言われましたが、相手がパワードスーツに美甘ネルなら問題ないですよね?」

 

無名の司祭が用意した至高の肉体。

AL-1Sの馬力はパワードスーツさえも凌ぐと証明された。

 

それはキヴォトス人であろうとも、当たりどころが悪ければ死に至らしめるレベル。

故にホモから徒手空拳の使用は封じられていたが、その枷を解禁した。

ホモが教えたCQCも相まって、徒手空拳でAL-1Sと真面に戦える者は片手で数える程度しか居ない。

 

「……今の攻撃でアビ・エシュフの左腕は使い物にならなくなりました。」

「見りゃ分かる、相変わらずの馬鹿力だぜ。」

「次は右腕部です。」

 

戦闘は続く。

まだ慣れないのか、2人の連携は荒さが目立つ。

 

AL-1Sはそこに付け込み、銃を放ちつつ縦横無尽に駆け回るネルを捉える事に成功した。

掴んだのはネルの右足首。

 

「やっべ!?」

「フンッ!!」

 

AL-1Sはそのまま近くのビルへと投げ飛ばした。

勢いよく放たれたネルはガラス窓を突き破り中へシュートされた。

 

……反応がない。

 

トキもいつの間にか姿を消していた。

まさかと思い、ビルの近くに駆け寄るが、ネルの姿はない。

 

「逃げた?否定、そんなはずありません。」

 

何度も戦ったからこそ分かる。

彼女たちは自分と同じレベルの負けず嫌い。

ここで尻尾巻いて帰るはずがない。

 

奥へ進んでみると壁がぶち抜かれていた。

まるで何かに蹴破られたような破壊痕だ。

 

無名の王女として相応しい身体能力を持つAL-1Sは五感も常人より優れている。

嗅覚、聴覚、視覚を覚醒させネルの痕跡を辿る事にした。

 

「把握、そう遠くへは行ってませんね。位置的に管制塔でしょうか?」

 

何か策があるのだろう、通常なら対策を取って慎重に行動するべきだ。

しかしAL-1Sのとった行動は正面突破。

 

どんな小細工もAL-1Sは踏み潰す自信があったからだ。

そうと決まれば、駆けるのみ。

AL-1Sの足ならば、ネル達に追いつくことなど余裕だった。

 

少しして視界にネルを捉える。

トキは周囲に居らず、AL-1Sを待ち構えていた。

管制塔の中、正確には窓もない小さな部屋に彼女は居た。

明らかに何かありそうだったが、躊躇せずAL-1Sはネルの元へと突っ込んだ。

 

「出口は私の後、逃げ場の無い状態でどうするつもりですか?」

「そりゃそうだろ、逃げるつもりも逃がすつもりもねぇからな!!」

 

密室──エレベーターの扉が閉まる。

同時にエレベーターは上昇し続ける。

 

「……疑問、飛鳥馬トキが居ないようですが?」

「アイツは下でこのエレベーターの命綱を断つ係だ。」

「まさか……。」

 

AL-1Sの脳裏に浮かんだ、これから起こるだろう惨状。

彼女はエレベーターを最上階まで上げて一気に落とすつもりだ。

AL-1Sの頑強さを持っても管制塔最上階からの落下は堪えるだろう。

 

「驚愕、自爆する気ですか!?」

「こんくらいやらねぇと、テメェは倒せねぇだろ?」

「……情報修正。貴方、イカれてます。」

「ハハッ、褒め言葉だ!!」

 

エレベーターの壁を破壊して逃走することも考えたが、それは逃げの思考だ。

もう決めてしまったのだ、小細工諸共に踏み潰すと。

オーナーからの依頼は既に達成している。

 

「(決定、猶予十数秒の間に貴方を倒して脱出してみせる!!)」

 

ここに来て初めてAL-1Sは我儘を通した。

上昇による負荷が収まり、そして降下による浮遊感が場を支配した。

 

落下まで残り15秒。

 

初手はAL-1S、全弾をネルへと撃ち込んでいく。

対してネルは冷静にAL-1Sの弾丸を避ける。

 

残り10秒

 

AL-1Sは銃による攻撃を止め、徒手空拳に移行。

寄せ付けまいとネルは両銃攻撃(フルアタック)を開始。

ものともせずにAL-1Sは接近開始。

 

残り5秒

 

脱出に向けてネルを壁側へと追い詰めるAL-1S。

ここへ来てネルは()()()()

互いの距離は2m。

 

0秒

 

辺り一帯に轟音が鳴り響き、管制塔が傾く。

支柱のうち1本が確実にイッた。

落下の威力は凄まじく砂煙が止まない。

 

塔の中から1人の人影が飛び出し、地面へと倒れ込むように転がった。

少しして立ち上がったその人物も無傷ではなかった。

 

「痛ッ、完全に余波は防げなかったか……。」

 

脱出に成功したのは美甘ネル。

その体はボロボロで血が滲み、既に限界が伺える。

 

着地の瞬間、あの一瞬だけネルはAL-1Sの上を行くスピードを出した。

外に出ようとするAL-1Sを足場に内部へと押し込み、自分だけ外へと脱出に成功したのだ。

 

「成功したようですね。」

「あぁ、だがもう動けねぇ。」

「……倒せたでしょうか?」

「アレでやられてなきゃ、バケモンだぜ。」

 

最悪死ぬレベルの威力だが、AL-1Sの心配よりも倒せたかの方が気がかりだった。

彼女との戦闘を経験した2人だからこその心配。

 

その期待はいい意味で答えられた。

管制塔の壁が中から吹き飛ばされたからだ。

 

「マジかよ。」

「………。」

 

未だ晴れない砂煙の中からゆっくり進んでくる人影。

ギギギッと体をこちらに向けるのはAL-1Sだ。

顔半分の肉は剥がれ、所々に血が滲んでいる。

それでも彼女は立っていた。

 

何かを確認するかのようにネル達を観察している。

最早ネルは苦笑するしか無かった。

次のセリフを聞くまでは。

 

「半身の感覚なし……損傷率50%超、スリープモードへ移行します。」

「は?」

「これが真の敗北……すみません、オーナー。」

 

その場にへたり込む形でAL-1Sはそれ以降動かなくなった。

念の為、トキが近づいてみるも無反応。

 

ここでようやくネル達は勝利を確信した。

緊張の糸が切れ、ネルは地面へと倒れ込んだ。

 

「……へへっ、前の借りは返してやったぜ。あー、もうダメだ。」

「ツンツン。」

「おいやめろ、頬を啄くな。」

 

既に満身創痍のネルに、アビ・エシュフが重故障したトキ。

今戻ってもクリフォト戦で力にはなれないだろう。

 

「後は彼女次第ですか。」

「大丈夫だろ、アイツには仲間がついてるからな。アタシは少し寝る。」

「……イタズラし放題ですね。」

「ぶっ飛ばすぞ?」

 

 

ネル&トキ 辛勝

 

 





コラボ先まさかの電磁砲でしたね。

ヘイローについて色々判明するのかと思えばそんなことも無く、割とあっさりとしたストーリーでした。
その分読みやすかったです。

強いて言うならば、キヴォトスに訪れた者は外の存在であろうとも、子供であればヘイローが付与される可能性が微レ存?

そもそも『施設』ってなんだ?
廃墟にそんな物が存在するなんて聞いてないが?

謎が新たな謎を呼んでるんですが……。
シナリオブレイクには至らなかったのでそこは良しとしましょう。
超電磁砲や禁書目録は設定が深いのでニワカの私では気づいてない事もあると思いますし読み返す必要もあるかも。

因みにガチャは御坂だけ引いて早々に撤退しました。

次回は再びケイ視点から。
後2話でVol.2.2は終わります。


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依星ケイ


今回でVol.2完結です。

百鬼夜行 勘解由小路ユカリの情報が出ましたね。
一人称が身共って初めて聞いた……。



 

防衛都市エリドゥ。

その中心部近くは市街とは思えない程に荒れ果てていた。

原因は王女の命令により顕現したクリフォトだけでなく先生が大人のカードで召喚した生徒達も含まれる。

 

大人のカードの生徒召喚効果は凄まじかった。

第一陣がやられた後も次々と召喚される腕利きの生徒。

榴弾を主として使う生徒達による破壊痕は特に爪痕を残していた。

それでもクリフォトは倒れない。

否ダメージを

 

・「ぜぇ……ぜぇ……まだ倒れないのか……。」

 

既に()()4()()()の大人のカード使用となる。

今まで召喚した生徒達は全てレーザーによって薙ぎ払われてしまった。

終わりの無い死闘に先生の身体と精神は限界近くまで来ていた。

 

泥沼で溺れるような感覚だ。

今すぐにでも眠ってしまいたい倦怠感が先生を襲っている。

それでも先生は決して諦める事は無い。

 

・「もう二度と道を違えてなるものか!!」

 

そして()()5()()()の大人のカードを使用した。

呼び出すのは各学園の筆頭戦力。

小鳥遊ホシノ、美甘ネル、剣崎ツルギ、空崎ヒナ、狐坂ワカモ、明星ヒマリの6名。

 

それぞれが一騎当千の力を持つ精鋭達。

当然代償も大きくより心身が酷い状態に陥る。

それでも闘志は衰えること無く、クリフォトを見据えている。

 

今回はその泥臭い粘りが幸運を呼び込んだ。

 

「光よ!!」

 

後ろから放たれた光がクリフォトを貫いた。

振り返ると光の剣を持った彼女が立っていた。

立ち姿を見て確信した、彼女は生まれ持った性を乗り越えたのだ。

 

賭けに勝った。

嬉しさのあまり、先生は大声でその名を呼ぶ。

 

・「ケイ!!」

「お待たせしました、先生。私はもう迷いません。」

 

依星ケイ、完全復活。

その目に迷いは無い。

 

「話したい事が沢山できたのです。私の事、感謝の言葉、謝罪の言葉、これからの生き方の全てを貴方達に話したい。

 

だから先ずはこの危機を乗り越えましょう、先生。」

 

言葉は要らない、答えは決まっていたから。

2人は並びたちクリフォトに向き合う。

 

「恐らくアレがクリフォトのコアです。」

 

光の剣を受けた事でクリフォトの上半身、装甲が剥がれたその中心部。

再生が始まっているが、球状のコアを確認できた。

 

「私が最大までチャージした光の剣を奴のコア部に叩き込みます。それまでの時間を稼いでください。」

・「分かった!!」

 

震える足に鞭をうち前を向く先生の表情は先ほどよりも明るい。

 

反撃が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

激戦地から2kmほど離れたビルの最上階。

そこではゲマトリアのホモがケイの姿をスコープ越しに確認していた。

 

()()()()()吹っ切れたか。」

 

あそこまでお膳立てしたのに結局上手く行きませんでした、なんて流石にホモでも頭が真っ白に成る。

それはそれとして、使命に生きる選択をしたらしっかり()()するつもりではあったが。

なるべく此方の戦力を削ぎたくないホモは安堵による溜息をつく。

 

「しかし恐ろしい火力だ、直撃すればAL-1Sでも……。ミレニアムは何を考えている?」

 

先刻、彼女の光の剣で抉られた体は本来すぐに再生が始まっていた。

しかし明らかに再生速度が低下していた。

『鍵』としての生を完全に破棄すればクリフォトは活動を維持出来ず自動消滅するはずだが……

 

「消滅しないという事は完全に『鍵』としての存在を捨てたわけでは無いのか?」

 

ホモの言う通り、ケイは『鍵』としての生を完全に捨てていない。

使命を破棄しつつ、『鍵』としての己の罪を精算する生き方を選んだのだ。

 

今回ホモはケイに対して明確な逃げの道を作った。

責任も何もかも忘れて、今まで通りに生きる道を。

人間はみな楽な方向へと流されやすい生き物だ。

しかしそれを彼女は跳ね除けた。

 

それは何と気高い選択だろうか。

 

「……やるじゃないか。」

 

となれば、そろそろ潮時だろうとAL-1Sへ連絡を飛ばす。

1コール、2コール……おかしい、いつもならすぐに返答が来るのだが。

程なくして、弱々しく申し訳なさそうな声が応答した。

 

『謝罪、あと数分は動けそうに無いです。』

「………何?」

『回答、彼女達との交戦で甚大なダメージを蒙りました。』

「───ッ!!」

 

報告を聞いたホモが受けたのは()()、そして()()

ネルもトキも、AL-1Sという環境に適応し強くなっている。

だがそれが全力のAL-1Sに届きうる程のモノとは思っていなかった。

彼女達の成長率の高さは嬉しい誤算だ。

 

「分かった、あと少し時間を稼ぐ。それを越えたら迎えに行く。」

『………了解。』

 

骸骨の表情は動かない。

それでも男は確かに嬉しそうだった。

 

──────────────────────

 

ガバがガバを呼び込み一周まわってチャート通りになるRTAはーじまーるよー!!

 

 

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!!

 

「おれはチャートを外れたと思ったらいつのまにかチャートを走り続けていた」

 

な… 何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をしたのかわからなかった……

 

頭がどうにかなりそうだった……

バグだとかチートだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

 

 

はい、お巫山戯はそこそこにしっかり組み立てていたチャートについて解説していきましょう。

先生を結構削った今、後は消化試合なので回していきますよー。

 

ホモ君がワープ穴をくぐった後、『鍵』依星ケイと先生達がいる所に鉢合わせした事で今回は爆発オチになる予定でした。

ところがどっこい、まだ再走していません。

それは何故か?

答えは簡単、チャートが息を吹き返したからです。

 

今回の主目標は「Keyの破壊」です。

 

走者として彼女の存在はガバの温床。

何としても物語から取り除きたい存在でした。

 

だから物理的に破壊するのが1番確実で楽な方法だったんですけどね……。

鉢合わせちゃったから無理ゲーになっちゃいました。

 

そもそも先生の到着時間を計算ミスった走者のミスだって?

お前……お前ェ!!正論パンチやめてください()

 

スゥーーー、ハァーーー……話を戻します。

そんなオワタな状態からネル先輩やゲーム開発部に励まされ、Keyは何と自分の使命を捨てたのです。

これには走者とリオもニッコリ。

 

でもこれだけなら戦闘で大分時間が取られちゃったので再走してます。

RTAで肝心なのは速さです、内容じゃないんです。

 

ですがその前提を覆す程のメリットを与えてくれた存在が現れました。

それが今ケイと先生達に滅多撃ちにされてる『クリフォト』です。

 

まずチャート予定では、『クリフォト』をいずれ顕現させる予定でした。

それもAL-1Sの権能を使った方法ではなく、また別の手口で。

 

想定していたチャートはこうです。

現在進行形でホモ君が運営してるブログ、アレをできるだけキヴォトス全域に知らしめる所が始まりでした。

 

ブログの管理人になると、たまに質問が来る時があります。

モブ生徒、ネームド生徒、その他住民達、様々な人からです。

逆にキヴォトス掲示板のような所に書き込む事で、ヘルプキャラから攻略のヒントを聞くことも出来ます。

ホモ君は前者で狙っていた質問は2つ。

 

ミレニアム生徒から来る『ミレニアム懸賞問題の回答』

ゲヘナ生徒から来る『トリカス共撲滅作戦代案』

 

規模がでかいこれらの質問は当然、必要知力が結構高いのですがホモ君の知力は大人上位クラス。

後者はともかく、前者は運が良ければ当たりを引けます。

これらに完璧に回答すると一気に注目度が跳ね上がるわけです。

 

そうして実在しない管理人クリフォト君を神格化する事で、生徒達の信仰心を糧にクリフォト(複製)を作成する予定だったのです。

本来ならギリギリ最終章に間に合う手筈でしたが───

 

・ホモ君が早いタイミングでクリフォトを顕現

・カイザー関係その他企業にクリフォトの動画を拡散

 

おかげでエデン条約編には顕現できそうな程の感情がたんまり集まりました。

戦闘能力は見ての通り。

完全体デカグラマトンより若干ステータスデバフ喰らってる癖に、アレだけ脅威だった先生の切り札を赤子扱い。

走者が欲しがる理由は分かりましたね?

他にも再走を見送った理由はあります。

 

・Keyが先生陣営と敵対していない。

・カイザーに首輪を着けることに成功した。

・『ワープ』の性能。

 

大前提として私の組んだチャートは先生の手助け有りきで組んでいます。

ホモ君1人で色彩が倒せるわけないので仕方ないネ。

ただでさえ人手が足りないのに、Keyの相手をする暇なんてありません。

ケイが先生側に付いたのも爆アドでした。

 

そしてクリフォトでゲマトリアの軍事力を見せつけ、カイザーに首輪を着けることに成功したのもでかいです。

端的に言えば「お前ら好き勝手したら分かるよなオラァン!?」状態です。

 

これによりカルバノグの兎編で、プレジデントにサンクトゥムタワーの権限を握られる等のガバをリカバリー出来ます。

 

後はワープの性能テストですが、杖を媒介にワープしてるようです。

人物でも物でもスキル効果には個人差があるため、今回は制限、射程、大きさ、発動までのラグを確認しました。

回数制限はありますが、それ以外は高水準のレア枠の当たりです。

レア枠のハズレを引く程に萎えるものはありません(断言)

 

これで多少のミスによるガバならリカバリー可能となりました。

これらの要素があって首の皮1枚繋がりました。

あとは流れに沿っていくだけです。

ケイが『鍵』の使命を放棄したからか、クリフォト君の調子が悪くなりました。

先生をここで倒す訳にもいかないので好都合です。

 

あっ、クリフォトが倒れた。

それでは退散準備しましょうか。

 

・先生達の前に姿を現す。

・二人とも全力を出し切ったのか倒れ込んでいる。先生も顔をこちらに向けるのが精一杯のようだ。

 

そりゃ(大人のカード連続使用したら)そうよ。

ケイちゃんも緊張の糸が切れたのか爽やかな顔で気絶してます。

早々ないと思いますが、追い詰めすぎると先生はカードの代償によりストーリー中にロスする可能性があるのでバランスよくいきましょう。(2敗)

 

退散理由は最大戦力のロストで。

これ以上損害を受けるのは嫌だとハッキリNoを言えるホモになりましょう。

これで後はチームⅤと兎を呼んでAL-1Sを回収するだけです。

 

・撤退する。

「ちょっと待って。」

 

あのさぁ……もう帰るところだって分からない?(溜息)

定時帰り直前に追加の仕事を任された気分です。

見たところ先生の好感度調整イベントっぽいのでやりますけど(手のひら返し)

 

「ありがとう、リオの味方でいてくれて。」

 

あら?

仮にもケイちゃんを破壊しようとしたってのに、意外と好感度はそこまで低くなさそうですね。

こりゃ案外余裕だったかも知れません。

 

・「ただ成り行きでそうなっただけだ。」

「ケイを破壊するなら他にもやりようがあったはずだ。」

 

まさか「本当は破壊するつもりだったけど、鉢合わせたから殺らなかった。」なんて言えません。

ホモ君に聖者ムーブを強要されるのも嫌なので釘を刺しておきましょう。

好感度上げすぎると面倒な事になります、特にベアおば関連で(2敗)

目の敵にされて妨害されやすくなります。

 

・「……何を期待しているのか分からんが、私はゲマトリアだぞ?」

「知ってる。でも職業柄見ればわかるよ、君が彼女達から信頼されてること位は。」

 

本当に良い奴なら最初っから破壊が選択肢に上がるわけないんだよなぁ。

……やっぱ先生の好感度高くない?

何で?別段何もしてないはずなんですけどねぇ。

ま、ええか!!(思考放棄)

 

「君ならはじめから全て救う選択が出来たんじゃないのか?」

・「……私は失敗例を知っている。だから手の届く範囲でしか守らない。」

 

ホモは冷血ってハッキリ分かんだね。

事実これから起こるであろうエデン条約編での悲劇にはほぼノータッチでしょうし。

聖人ムーブは先生だけでやってもろて、どうぞ。

 

・「今回こそたまたま上手くいったが、次は分からない。分の悪い賭けを続ける奴はただの愚か者だ。」

「切り捨てる選択をする事が賢者なら、私は愚か者のままで構わないよ。」

・「……なんと言うか、君は筋金入りの馬鹿だ。」

「悪いね、けどそこだけは譲れないよ。」

・「───馬鹿は馬鹿でも、全てを吹き飛ばすような大馬鹿者なら違ったかもしれないな。」

 

ま、眩しい……。

黒服が脳を焼かれるだけはありますよ。

ホモ君も絆されてない?大丈夫?

 

・突如ビルを突き破り何かがホモの横に停止する。

「お迎えにあがりました、オーナー。」

・デュカリオンの箱舟に乗ったチームⅤ達だ。

 

やっと来ましたね。

報告だとケイが覚醒したあたりから既に、勝敗が喫していました。

C&Cの面々がライダースーツでバイクを乗り回してると聞いた時は頭が宇宙猫となりましたが問題ありません。

何なら三度目の正直(爆散)でデュカリオンの箱舟も最悪切り捨てる予定だったので、未だ健在なのは嬉しい誤算です。

兎にアリスちゃんも連れてきてるようで何より───

……あのー、何で彼女が居るんですか?

 

「どうしてもと言うので連れてきました。」

・甲板から1人の少女が降りてくる。

「……何故、何も言わずに帰ろうとしたの?」

「リオ!?」

 

帰るって言ったら来ちゃうでしょ君。

そして何でリーダーちゃんはリオに甘くするの?

元いた場所に返してきなさい!!

 

「私も連れて行って。」

・「ダメだ。」

 

勝手に付いてきても困るので、ここで言ってやりましょう。

付いてくるとミレニアムの財政が回らなくなるのでユウカがブチ切れます。

原作ではどうもなかったですけど、こっちだとどんな影響があるのか未知数です。

依星ケイの件と言い、あまりランダム要素は増やしたくないので仕方ないね。

 

「こんな庇う真似なんかされても、私はアナタにまだ何もっ───」

・「何も返す必要など無い。強いて言えば、返すべき人物が居るなら1人だけだ。」

 

何か返されても要らないです(断言)

そういうのはトキにでもしてあげてもろて。

ホモ君の邪魔さえしなければどうしようと関係ないので。

 

「………。」

・「さらばだ先生。ゲマトリアはいつでも君の事を見ているぞ。」

 

ホモ君はクールに去るぜ。

ワープ穴を広げて、ホモ舟をGOシュート!!

 

・防衛都市エリドゥから廃墟までやってきた。

 

よし!!(現場猫)

勝った!!Vol.2~完~!!

後はVol.3のエデン条約までにやる事を済まして……ん?

 

「謝罪、美甘ネル達に敗北してしまいました。」

 

ふーむ、聞いた話によると実力では上だったけど慢心してやられた感じですね。

ぶっちゃけ『鍵』の破壊せずに済んだし、そこまで気にしなくて良いんですけどね。

 

・「任務に勝敗は関係なかった、結果的に目標は達成したのだから問題ない。」

「否定、私が勝利し合流すればオーナーが負ける事は無かったです。」

 

本当に気にしなくていいのに。

アリスちゃん真面目だから、何もしないとストレス値上がっちゃう……。

ここは軽めの罰を与えて納得してもらいましょう。

 

「……1週間の家事当番ですか?」

・「不満か?」

「否定、誠心誠意させてもらいます!!」

 

何か目が燃えてる様な気がするのは気の所為でしょう。

それよりこれからの予定です。

明日には廃墟を出発します。

目的地は山海経です。

 

何故って?

『疑神のカケラ』の製造元へ向かうからです。

製造者は案の定あの子でした。

放っておくと先生に誤解される恐れがあるので、先に潰しましょう。

 

今回はここまで。

次回は山海経にある()()のアジトにカチコミします。

 

ご清聴ありがとうございました!!

 

 

 

 

・「五塵の獼猴か……。」

 





リオ「私も外につれてって!!」
ホモ「断る。」
兎「許された……。」

次回は山海経ではなくおまけ話から入ります。
プロットが思ったより深まるなかったので5話連続で出します()

次回 幕間「セイアとホモが駄べるだけ」


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おまけ話
セイアとホモが駄べるだけ



お待たせ致しました。
おまけ話その1です。

おまけ話とVol.3のプロット組み立て直してたら時間掛かってしまいました。
先におまけ話全てを消化してからVol.3に入る予定です。

今回はセイアとホモが精神世界で駄べる回です。



 

エリドゥでの騒動を終え、1週間の時が過ぎた。

現在ホモ達はゲヘナ校区から数十キロ離れた場所に位置する火山地帯(アビス)に滞在している。

何故こんな場所に居るのかというと、燃料を必要としない『炉』のある場所が欲しかったからだ。

他にも本拠点を構える必要が無くなったホモは各地へと足を運び、仮拠点を着実に増やしていた。

 

ゲヘナを訪れる前は山海経に居たが、あの時は大変だった。

目的は達成出来たが、()()()()()まで着いてきてしまう始末。

問題なのは、彼女とチームⅤの仲だ。

特にリーダーとの関係は悪い。

 

余計な火種を消す為に彼女を処分する事も考えたが、本人があの調子ではホモも白けてしまう。

疲れを感じにくいホモも、この時ばかりは疲労が溜まっていく一方だった。

 

溜まった疲れは寝て癒すに限る。

そうして今日もホモは、いつものように夢を見た。

いつもと変わらないあの光景だ。

 

 

 

 

「お邪魔してるよ。」

「なぜ居る。」

 

目下の問題その2。

全体的に白く小さい彼女、百合園セイアは事ある毎にホモの夢へと現れていた。

 

「他人の夢を渡るのは止めろと忠告したはずだが?」

「冷たいね、以前は持て成してくれたじゃないか。」

「………。」

 

彼女はベアトリーチェが率いるアリウス分校の生徒に襲われ、現在意識不明の重体である。

事の発端が身内のやらかしという事もあり、負い目を感じたホモはこの空間でセイアを持て成した。

 

「こっちも暇で仕方なくてね、例の先生と接触しようにも君には止められてしまうし。」

「もう止めはしない、先生とはこの前会ったからな。」

「ふむ……あった時の印象を聞いても?」

「第一印象は普通の好青年だった、顔は美形の部類に入るかもしれんな。」

 

セイアもただホモの夢に入り浸っていた訳では無い。

予知夢を活用し、先生の活躍や生徒達との関わりを影から見守っていた。

ホモの回答は自分の感じたモノとあまり変わらないものだった。

 

「まだまだ青いのに折れずによくやる。」

「君からすれば誰だってそうだろう、確か100は超えてるんだってね?」

「恐らくだがな、80を超えてからは数えるのをやめた。」

 

セイアはさりげなくホモの情報を引き出そうとしている。

決して利害が絡むからだけではない、純粋な興味もあった。

 

ホモは聞かれれば大抵の事に答える。

かのゲマトリア関係の情報……特にアリウス分校に関わる者の情報は漏らす気配は無かったが。

 

「研究の方も上手くいってるようじゃないか。」

「……あぁ、クリフォトの事か。君のお陰で安心して取り組むことが出来た。」

 

ホモが不確定要素の大きな賭けに出た理由の一つが彼女の予知夢だった。

セイアが思い出すのは予知夢で見た光景。

先生とクリフォトが対面するあの場面だ。

全てを焼き払うあの様は今も脳裏に残っている。

 

「あんな代物をスナック感覚で出されると堪らないよ。」

「警戒するのも分かるが、アレは1度きりの現界だ。」

 

アレがトリニティに放たれればどれだけの被害が出るか……。

ホモの言葉に少し安堵するが、引っかかるのは1度きりという点。

 

「正確にはあの出力を出せる個体はもう現れない。あれは嘘のような奇跡の積み重なりから発生した神聖十文字の特異点だ。」

「なら性能が落ちた機体は顕現可能なわけだ。良いのかい?そんな事私に話して。」

「どうにかできる段階は過ぎてるからな。」

「まぁ、私も邪魔しようだなんて思ってはいないけれども。」

 

当初警戒度がMAXだったセイアとここまで打ち解けた理由、それは彼の言う目的と自分の見た予知夢が合致していたからだ。

遠くない未来にキヴォトス全域の空が赤く染まり、都市は大混乱に陥り

 

───滅亡する。

 

意識不明の重体の直後に見たこの光景はセイアの精神を揺さぶるのに十分であった。

 

そんな時に踏み入ってしまったのが、ホモの精神世界。

脆い時期の彼女は事態を諦観し、弱音を零した。

誰に相談したってキヴォトスが滅びる話を聞かせても荒唐無稽だと切り捨てられるだけ、そう思っていたが……

 

「そう遠くない未来か……分かった、取引の時間といこうか。」

 

疑うどころか直ぐに信じるとは思わなかった。

きっとセイアの顔はシマエナガが豆鉄砲を食らったような顔をしていただろう。

そこで初めてホモの目的を聞く事になる。

滅びの根源『色彩』についても。

 

ホモは色彩を倒し、自らが掲げる崇高を証明したい。

セイアはキヴォトスの滅亡を回避したい。

 

全学園生徒会員達の承諾を取ることは絶望的なため、ホモとセイアだけで回避するための策を用意するのは至難。

そもそもセイアの予知夢を信じる者が少なすぎる。

幸いにもまだ時間に余裕はあるが、迎え撃つしかないのだ。

ただこの2人が用意出来る戦力では到底太刀打ちできない。

 

そんな事で、本来相容れないはずの2人の利害は一致し協力関係を結ぶまでに至った。

親友とまでは行かないが、同盟者と言うに相応しい関係だ。

クリフォトは色彩から()()()()()()()()()()()()()()、エリドゥでの1幕はその為の布石だった。

 

「今はクリフォトを再度顕現させる段階に来ている。」

「次の布石が前に言ってたブログって訳かい?」

「そうだ、仕込みは済んでいる。」

 

ホモが空中に画面を出現させる。

画面はホモが運営しているブログの活動履歴が映っていた。

内容は訪ねた者の相談や質問を聞き、より良い回答へ導くこと。

ミレニアム懸賞を回答した事でその知名度は大きくなった。

盲信するあまり、クリフォトを神とした新興宗教が生まれる程度には。

 

「シスターフッド辺りが黙ってないかもしれないね。」

「どうやらその心配は必要なさそうだぞ。」

 

セイアの言う通りクリフォトを『神を名乗る不届き者』と評する宗教関係者もいる。

そこでホモはトリニティのサーバーから飛んできた1件の質問を表示した。

セイアは質問主に何故か既視感を覚えた。

 

 

P.N:わっぴ〜さん

Q.どうすれば怖がられずに済むのでしょうか。

・シスターをしている者です。

最近部下達とのコミュニケーションが上手くいっていません。

流行りらしい挨拶をしたりと改善しようとしてはいるのですが、中々上手くいかずアドバイスを受けに来た次第です。

どうかご教示ください。

 

A.態度の急変による戸惑い

・恐らくある程度上の立場かつ普段からお固い印象の強い相談者なのだろう。

変化が急すぎると人は戸惑うものだ。

崖から突き落とすのではなく、坂道を転がす様に緩やかに変化しろ。

具体的に助言するとしたら、笑顔の練習が1番効果的だ。

 

 

「これは………。」

「大きく騒いでる過激派は全体の1部分だけだ。」

 

複製(ミメシス)に1番必要なのは人々の感情。

クリフォトの複製(ミメシス)に必要なのは『畏怖』、『畏敬』、そして『信仰』。

人間全てが気持ちを同じにするコンテンツなど存在しない。

だから少量の不純物『憤怒』等が混ざるのは致し方ないと割り切っていた。

エリドゥの時よりも戦力は落ちるだろうが問題ないと踏んだ。

その後、軽く今後の動きを確認するとセイアが口を開いた。

 

「さて、小難しい話をしたら小腹が空いたと思わないかい?」

 

現実世界で思うように行動出来ないセイアの唯一のストレス発散方法、それが食事だった。

彼女が食に関心を示したのはつい最近の事だった。

 

百合園セイアは少食だ。

筋肉量と同様に消化器官の能力も低いため、彼女の食への関心は無頓着なものへと変わり果てていた。

食べる事ができれば良いのだと、何でもかんでもスムージーにして食す暴挙に出るほどだ。

 

しかしここは現実とは違う精神世界。

満腹感を覚えることは無いが味覚はあるし、プラセボ効果なのか少々腹が満たされる感覚もある。

何よりこの世界ではどれだけ食べても体重に影響しないのが良い。

少食ゆえに楽しみを見いだせなかったセイアにとって、精神世界での食事は精神的に良い方向へと誘っていた。

 

「前回は焼き鳥だったが、リクエストはあるか?」

「そうだね、パンケーキを頼もうかな?」

「……洋食、それも茶菓子なんぞ飽くほどに食べたんじゃないのか?」

「原点回帰と言うやつさ。」

 

ホモに頼めば何でも出てきた。

和でも中華でも、セイアが名前しか知らないような食べ物も。

食事はホモの記憶上の物しか出せないと言っていたがどれも1級品の味だった。

 

セイアは食に疎いが、味覚は確かだ。

ならば食べ慣れた洋食関係であれば、どれ程の差を感じるのかという好奇心が湧くのも仕方ない事だった。

 

「まぁ、構わないが。」

 

パチパチと焚き火が音を立てる中、霧が一層と濃くなる。

五里霧中となったのはほんの一瞬で、霧が引くと2人の膝の上に皿に乗った一品が現れた。

 

「では頂くとしようか。」

「待ちたまえ、……一応聞くがこれは一体何だい?」

「パンケーキに決まっているだろう。」

「どう見ても炭じゃないか……!!」

 

皿の上に乗っているのは、黒焦げのお世辞にも料理とは言えない代物だった。

フォークで突き刺す端からボロボロと崩れ落ちていく。

 

「そういえば最近、AL-1Sが作ったパンケーキを食べたな。」

 

ここはホモの精神世界なので印象に残っているものが反映される。

今まで食べた料理が絶品だったのもそのおかげだろう。

逆に明らかな失敗作として出てきた場合は、その限りではない。

 

「心配するな、味はイケるはずだ。」

「『はい、そうですか』と言えるわけないだろう。この親バカめ!!」

「そう言わずに食え、あと親バカではない。」

 

このままでは暗黒物質を口へ押し込まれてしまう。

──明らかな劇物を受け入れてたまるか。

普段からは想像出来ない身のこなしでホモから距離をとるセイア。

 

「こんな所に居られるかっ!私は自分の精神世界に帰らせてもらう!!」

「……『影の精霊(Umbra Genius)』」

「はーなーせー!!────アッ」

 

 

 

 

 

〜少々お待ちください〜

 

 

 

 

 

「三途の川が見えた。いや、そもそも片足を突っ込んだ状態ではあるのだが。」

「すまない、そんなに強烈とは思いもしなかった。」

「思い出させないでくれ、と言うより君はよく食べれるねソレ。」

「自分で出したものは食べる。」

 

ガリガリと音が立つ。

そんなホモをセイアはジト目で見つめる。

まさにチベットスナギツネのような目であった。

 

「他にも何かあるでしょ?お詫び早よ(意訳)」

 

無言の圧に耐えられなかったのか、ホモは渋々口に出した。

 

「お詫びと言っては何だが、なんでも一つだけ質問に答えよう。」

「ッ!!」

 

なんでもと言った。

大人であるホモがその言葉の重みを知らずに発言するはずがない。

途端にセイアは頭を高速回転させ始める。

 

今必要な情報は何だ?

質問は一つだけ、決して間違えることは出来ない。

 

アリウス分校について?

それを牛耳るベアトリーチェについて?

エデン条約で何を企んでいるのかについて?

それとも、ミカが何故裏切ったのかについて?

 

そしてセイアは質問を選んだ。

それは───

 

「君の事を教えてくれ。」

「……アリウス分校について聞かなくて良いのか?」

「今はいいさ、それに情報が無くたって自力で何とかしてみせるよ。」

 

もうエデン条約で起こる悲劇を完全解決することは不可能だ。

情報を手に入れたからと言って親友達の手助けになる訳でもない。

ホモの助力が見込めない以上、ナギサと先生に任せるしかない。

ならば今大事なのは、同盟者でもある目の前の男を理解する事だ。

 

「私は君の事をよく知らない。だから教えてくれ、何故君がその立場に居るのか。」

「………どういう事だ?」

「そのままの意味だよ、何故先生という立場ではないのか。君の言動から察するに、裏社会でやっていくには難儀だろう?」

 

セイアの発言は的を射ていた。

自らをゲマトリアだと称しながらも基本的に助けを求められれば所属関係なく助ける。

黒崎コユキや調月リオが良い例だ。

はっきり言って損得勘定をしない行動は裏社会に不向きだ。

 

セイアにはそんなホモが悪ぶっているだけの面倒見の良い大人に見えた。

キヴォトスの先生とは真逆のスタンス、しかしその根幹にあるものは同じだと感じた。

ゲマトリアでなければ先生とシャーレで活動してたかもしれないと思わせる程に。

 

「これは完全に私の憶測なのだが────君は先生だったんだろう?」

「………。」

 

沈黙。

否定しないということは、それが事実だと肯定していた。

やがて観念したかのようにホモは話し始める。

 

「君の言う通り私はここ(キヴォトス)とは違うところで先生をしていた。何十年も前からここの先生と同じようにな。」

「外の世界かい?」

「そうとも言える、キヴォトスと変わらない神秘の溢れる都市だったが。」

「ここ以外にもそんな場所があるなんて……。」

「聞いたことがないのも無理はない、その都市は()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「ッ!?」

 

クツクツと笑うかのような声色で話された衝撃の一言。

嘘を言っているようには思えない、だが真実だとも思えない。

誤魔化すかのような雰囲気の中に、確かに怒りを感じ取った。

それが自分に当てられたものなのか、他になのかはセイアには分からない。

確かなことはセイアにはどうしてもホモがそんな事をする人物には見えないという事だけだ。

 

「失敗したのだ私は。だからゲマトリアという裏の立場でこの世界に降り立った。違う立場だからこそ、見える物も取れる行動も違う。」

 

セイアは何も言えない。

もう彼は自分が救う事を諦めている。

恐らく手を伸ばした彼女たちもホモ自身に救った自覚は無いのだろう。

 

「そろそろ目覚めの時だ、君にもやるべき事があるはずだ。」

「……これだけは言わせてくれ。どれだけ自分を卑下しようとも、君に着いてる生徒達は救われたと思うよ。」

 

それだけを言い残し、セイアは霧の奥へと進んで行った。

自分が成すべきことをやり遂げるために。

ホモはセイアの言葉を反芻し、言葉をこぼす。

 

「救われた……か、そんなはず無いだろうに。」

 

真に救ったなどと宣う気は無い、結果的に成行きでそうなっただけだ。

自分は困っていた生徒に粉をかけ、自身の都合の良い風に動かしているだけの腐れ外道なのだから。

 

ホモはセイアに嘘をついた。

今の話は全て自分の憶測、自分がキヴォトスに来る前の事は朧気にしか覚えていない。

ホモが都市を滅ぼしたというのも憶測に過ぎない。

だが滅んだことは確定事項、それは自分が滅ぼしたのと何ら変わらない。

 

記憶にあるのは栄えた都市の変わり果てた景色と、色彩に対する憎悪、1度自分が死を経験した事。

そして自分の手で殺した生徒の顔だけであった。

他の思い出は全て黒く塗りつぶされたかの様に思い出せない。

自分が以前どんな人物だったのかさえも。

 

それでもホモは自分のやるべき事だけは忘れずにいた。

それは狂気なまでの執着心だった。

 

 

「もう二度と、貴様に滅びを成させるものか。」

 

 





ホモ君に関する新情報まとめ。

・山海経で1人が仲間入りした
・クリフォトはキヴォトスの防衛措置
・ユスティナ聖徒会のような特定場所を必要としない複製の作成を企画
・セイアと同盟関係を結んでいた
・ホモ、前職は先生だった(憶測)
・既に第2の故郷とも言える都市は滅んでいる
・↑恐らくホモが自身の手で滅ぼした(憶測)
・少なくとも生徒1人の殺害経験あり
・ゲマトリアにいるのは違う立場で行動できるから


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蒼獄の傭兵


待たせしました。
おまけ話その2です。

リーダー視点をメインにした他校生徒との交流回です。
時系列は適当です、頭空っぽにしてお読みください。



 

ミレニアムでの任務を終えたホモ達一行は、各地へ拠点を建てては移動するの繰り返しの日々を送っていた。

そんな中、珍しく全員が休日の午後10時。

メンバー1の部屋にチームⅤが勢ぞろいしていた。

 

メンバー1の部屋は映画鑑賞が趣味なだけあって、リラックスできるソファ等が揃っていた。

(リーダーの部屋は最低限の家具しかないので却下された。)

メンバー2が容赦なく茶菓子を貪る中、リーダーはいつも通り真面目な顔で話し始めた。

 

 

「では始めるぞ。

 

 

───オーナーへ感謝の気持ちを伝える会議を……!!」

 

 

ホモの元に来て早数ヶ月。

護衛から傭兵の真似事まで幅広い依頼をこなしてきた彼女たちは、強固な信頼関係を築いていた。

特にホモの事とあれば、それはより一層強くなる。

メンバー1がリーダーに質問する。

 

「私達がお金出し合えば大抵の事は出来そうっすけど?」

「オーナーから貰ったお金でやっては意味が無い。」

「あぁー、気持ちは分かりますね。」

 

今までの任務で、学生では考えられないレベルの所得を有するチームⅤ。

特に鍛錬しか趣味のないリーダーの貯蓄は相当なものだった。

趣味も傭兵稼業なので金は溜まる一方だ。

 

しかしホモから貰ったお金でお返しするのは忌避感があると、リーダーはこれを拒否。

もしホモがこの場にいれば「気にしなくて良いぞ」と言ったであろうが、これは気持ちの問題だった。

 

「そっ、そうなると資金を獲得する方法ですが……。」

「各自で内職なりバイトをする必要があるな……強制はしない。」

「イイっすよ別に。皆でやれば1ヶ月あれば余裕っす!!」

「そうですよ、それにオーナーに恩を返したい気持ちは皆同じですから。」

「飲食店バイト……美味しい賄い……うぇへへ。」

 

どうやら全員問題ないようだ。

会議の結果、プレゼントは1ヶ月間溜まった分から出すことが決まった。

理由は2つ。

 

チームⅤはホモの好物をよく知らない為、この期間中に調べる必要がある。

そして出来るだけサプライズ性を持たせる為に、ホモには内密に事に当たりたい。

 

完全に隠蔽するのは無理だろうからこそ、プレゼントは最後まで未定である必要がある。

途中でバレても、オーナーなら空気を読んでくれるはずだと信じて。

そんなこんなで、チームⅤの資金集めが開始した。

 

 

しかし────

 

 

「はぁ……。」

 

 

作戦開始後の3日目。

リーダーは未だバイトに受かれずにいた。

 

あの後、速攻でバイト先を探し面接を受けたのだが、中々上手くいかない。

接客業は持ち前の無表情さで落とされ、飲食系のバイトも研修中にトラブルを起こし脱落。

具体的にはボヤ騒ぎを起こした。

 

意外にもリーダーは、戦闘以外はドがつく程の素人と同時に不器用だった。

今まで碌に戦闘以外の経験を積んだことがないリーダーには残酷な現実。

唯一できそうな日雇い警備のバイトもあるが賃金は安い。

しかし、このまま時間が過ぎてしまうのもダメだ。

 

「もういっそ日雇いの警備を受けるか?………ん?」

 

悩んでいると、使い捨て端末に着信が一件入る。

バイトの新規求人のお知らせであった。

 

 

 

バイト先:黒亀組

仕事内容:事務所の警備

応募条件:腕利き

時給:10000クレジット

連絡先:〇〇〇-△△△-□□□

 

 

 

「(これだっ!!)」

 

 

若干の怪しさもある賃金の破格さだが、背に腹は変えられない。

そもそも、ブラックマーケット由来の依頼だという時点で察した。

 

求人票の全てに目を通すが、特に騙してやろうという魂胆の文章は見られなかった。

具体的には隅にちっさい文字で規約が書かれているとか。

 

余程の火急の案件なのか、時給以外は普通の内容だ。

こういう手合いはトラブルが起きた時に解決するに限る。

リーダーは意を決し、連絡先へと繋げた。

 

 

 

 

 

 

パッと見普通の事務所に見える建物の地下室。

そこでリーダーは面接という名の集団リンチにあった。

 

ここ以外に後がないリーダーは全力をもって答えた。

強すぎて相手側が若干引くくらいには。

面接官の何人かはその強さに萎縮していたが、中でも一人だけ雰囲気の違うロボはリーダーを歓迎した。

便宜上、彼を上司と呼ぶことにした。

 

まるで大物が釣れたかの様にご機嫌だ。

その理由は彼の口から直接語られ事となった。

 

「まさかあの『蒼獄の傭兵』が来るとはな。」

「……誰の事だ?」

「青のヘルメットを被った凄腕の傭兵だ。アンタの事だと思ったが……違うのか?」

 

ミレニアム関係のゴタゴタで忙しかったリーダーは預かり知らない事だった。

今、青いヘルメット団の噂は裏側で持ち切りらしい。

 

リーダーはごく普通に活動(傭兵活動)したつもりだったが、その活躍は依頼主を介して徐々に広がっていった。

水面に波紋が伝播する如く。

 

名前を変えて依頼をこなしてきた事で、名前を持たない青ヘルメットという情報だけが独り歩きした。

そこで付けられた名称が『蒼獄の傭兵(ブルーヘル)』だった。

 

「(知らなかった……。)」

「そのビッグネームを騙る偽物も居るが、アンタは強いし偽物だろうが大歓迎だ。」

 

今更どう呼ばれようが関係はない。

有効活用できるならそれまでだ。

気にせず依頼内容について聞くことにした。

 

「依頼の詳細は追って説明する。奥の個室で待機してくれ。」

「了解した。」

「……あぁ、そうだ。」

 

奥の部屋へと進もうとすると呼び止められた。

手には1枚のリストが握られている。

手渡されたそれには4人の名前と所属が書かれていた。

見覚えのある顔ぶれにリーダーの目は少し大きく見開いた。

 

 

「今回の任務、実は君以外にもう1組雇っている。待機の間に自己紹介を済ませてくれ。」

「これは───」

 

 

『便利屋68』

 

 

リーダーもよく知る人達であった。

 

 

──────────────────────

 

 

「貴様達と一緒に仕事する事があるとはな。」

「それはこっちのセリフ。まぁ、よろしく。」

「クッフフ〜、仲良くしようねリーダーちゃん♪」

「よ、よろしくお願いします……。」

「………。」

 

 

アビドスで一戦交えた彼女たちは相変わらず元気そうだった。

ゲヘナの生徒は無秩序な奴が多いと聞く。

その中で言えば便利屋は奇跡的な程に統率の取れたチームにあたる。

何せ金さえ払えば、しっかり言うことを聞いてくれるのだから。

 

仲間が比較的まともな事にリーダーは安堵の息を吐く。

せっかく見つけた高待遇のバイトを潰されては堪らない。

リーダーの意識は此方を見つめ続ける陸八魔アルへと向いていた。

 

「(まるで此方を見定めるかのような目、相変わらずだな。)」

 

他のメンバーは自分の姿を見るや、警戒、歓喜、恐怖、違いはあれど反応があった。

しかしアルの見せた反応は、まるで無反応。

いや、余裕からなのか薄らと笑みすら浮かべていた。

 

「(此度の任務でその本質見極めさせて貰おうか。)」

 

アビドスで見られた器の大きさは知っている。

ここで彼女の力の一端を見れば自分はリーダーとしてもっと大きくなれる筈。

 

そんなリーダーの思惑をよそに、当の本人はと言うと───

 

 

「(どっ、どどどうしよう!?)」

 

 

滅茶苦茶にパニクっていた。

それはもう盛大に。

 

「(ビックリしすぎて思わず黙っちゃったけど、私凄く睨まれてない!?)」

 

ヘルメット越しでも分かる威圧感。

一挙一動を見逃さずに学習する故の視線なのだが、当然そんなものアルに分かるはずがない。

だって勘違いなのだから。

 

どうにかこの空気から逃げ出したい。

しかしバカ正直に言うのは自分の理想像のアウトローとはかけ離れている。

どうすべきかと悩んでいると、助け舟が出された。

 

「リーダーちゃんはなんでこの依頼うけたの?」

「(ナイスよ、ムツキ!!)」

「……金が入用だった。あとちゃん付けは止めろ。」

 

居心地の悪い威圧感が抜けてホッとするアル。

そんなアルを置いて会話は進む。

続く言葉がアルを突き刺すとも知らずに。

 

「あんな胡散臭い高待遇、貴方は受けないと思ってたけど。」

「た、確かに時給10000クレジットは露骨すぎるというか……。」

「(えぇ!?)」

 

ただ時給の破格さに釣られただけだったアルは心の中で白目を向いた。

話しはまだまだ続く。

 

「(言えない、時給の高さに引かれただけだなんて……。)」

「求人票を見た限りでは騙すような意思は見られなかったが?」

「それがあるから私達も受けたんだけど、()()()があるでしょ?」

()()()()()()()()。恐らく貴様達のリーダーはそこまで考えた上で行動している。」

「(全然そんな事考えてなかったけど!?)」

 

手を噛まれたら相応の仕置をするだけ。

リーダーの言葉を受け全員がこちらを向く。

1人は心配そうに、1人は真っ直ぐな憧憬の視線を、1人は愉しそうに微笑みながら。

 

雇用主は黒亀組、それも相手は結構お偉い様そうだった。

できれば事を構えたくない。

 

しかし彼女はどうしようもなく見栄っ張りだった。

 

「ふふんっ、当たり前じゃない!!」

「流石です、アル様!!」

「まぁ、そう言うと思ったけど……。」

「くふふっ、楽しい仕事になりそうだねアルちゃん♪」

「(また言っちゃったーッ!私のバカーッ!!

 

時すでに遅し。

幸先が不安になってきたところ、ドアがノックされる。

先程の上司だ。

 

「自己紹介は済んだな、どうやら知り合いの様だが……?」

「彼女達とは1度戦っている。実力は申し分ないだろう。」

 

飾りっけのない賞賛に思わず頬を緩ませるアル。

上司も何やら期待をもった眼差しで見てくる。

 

「うふふっ、そうでしょうとも!!私達は凄いんだから!!」

「へぇ〜、そこまで買ってくれてるんだぁ?」

「お世辞ではない。感じた事をそのまま言っただけだ。」

「なるほど、理解した。」

 

手を叩き自分に注目を集める上司。

全員が静まったのを確認して語り始めた。

 

「私達はビジネスパートナーだ、依頼を達成すればしっかり報酬は支払うし、失敗すれば相応のペナルティが課せられる。」

「承知の上よ。」

「問題ない。」

「よし、では依頼内容の説明を始める。」

 

依頼内容は事務所の防衛兼時間稼ぎ。

時間稼ぎのためなら多少事務所を破壊しても良いと言われた。

上司は事情を話し始める。

 

「最近、事務所周辺をヴァルキューレが嗅ぎ回っていてな。奴らに事業のネタを押収される前に避難させる必要がある。」

「逃げたらダメなの?」

「事業を捨てて逃亡するのは可能だが、今してる事業は出来るだけ潰したくない。そこで君達の出番だ。」

 

ドンッ!!と中央机にクレジットの束を置く。

その額20000クレジット、それが5束。

 

「これは全員に渡す前金だ。」

「全ッ……!?」

「随分と気前がいいな。」

「この程度の出費、事業が潰れるのと比べれば屁でもない。」

「(こ、こんなに!?)」

 

明らかに学生が貰うには度が過ぎる額を与えられ、アルはまたもやパニック状態に。

本来受け取らない前金を手に持ちフリーズしている。

対照的にムツキとカヨコの表情は神妙だ。

だが、観念したかのように前金を受け取った。

上司は全員が受け取ったと認識して、最後にこう言い放った。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()。何としてもネタを持ち出すまでヴァルキューレの侵入を防いでくれ。」

 

 

──────────────────────

 

そしてその日は訪れた。

 

事務所ビルの周囲は見渡す限りヴァルキューレに取り囲まれており、組員が足止めしていた。

組員が用意した無人ドローンを除けば、その戦力差は5()()1()0()0()になる。

残されたネタはあと僅かだが、何れも情報を漏らすことは許されない。

 

作戦はこうだ。

 

リーダーとアルは外で防衛。

ハルカとムツキは中で待機。

カヨコはやばくなった時の保険として待機。

 

まずはリーダーとアルが出来るだけ公安部隊の頭数を減らす。

 

相手は有象無象だが、数だけは多く全員が盾持ち。

ムツキ特製の地雷も用意したが、多少の被弾は覚悟で突っ込んでくるため効果は薄い。

その為に何人かの侵入を許すだろう。

それも作戦の内だ。

 

侵入した公安部隊を待ち構えるのはハルカ。

狭所とショットガンの相性は最高だ、押し流すように敵を倒せる。

しかし全員が盾持ちなので、これだけでは倒しきれない。

だからダメ押しの挟撃を彼女(ムツキ)に任せた。

 

前門のハルカ、後門のムツキ。

相手は死ぬ。

AL-1Sレベルの規格外でなければ突破は不可能だろう。

 

しかし圧倒的な優勢に持ち込めるのもここまでで。

徐々に物量差から覆されていく。

具体的に言えば弾薬がなくなる。

 

Q.弾が無くなったらどうするか。

A.相手から奪えばいい。

 

武器なら公安部隊から奪えばいい。

ここまでして、ようやく20分が稼げる。

 

後は撤退するだけ。

自立ドローンを残して中の2人は撤退を開始する。

外の3人は用意した逃走用煙幕で撤退。

 

 

 

以上が今回の作戦となる。

結果的に作戦は成功した──したのだが、陸八魔アルは完全に白目を向いていた。

 

合流地点の廃墟ビル、その屋上にアル達と上司は集合していた。

そんな彼女の目には事務所ビルだった物が写っていた。

ハルカの爆弾で木っ端微塵となったビルの跡地が。

 

 

「(や、やりすぎたーッ!?)」

 

撤退までは上手くいったのだ。

ただハルカが陽動になればと、善意から設置した爆弾の威力が高すぎたというだけ。

 

あの威力では中へと侵入した公安部隊もタダでは済まないだろう。

だがアルが白目を向いている理由は別の所にあった。

 

「派手にやらかしたな。」

「(あぁ、さよなら夢の高収入……。)」

 

自分達が破壊したビルの損害請求。

常に金欠な便利屋にビルの損害を補填する程の資金などない。

高収入どころか借金持ちになってしまう。

 

「事務所の解体費が浮いたと考えるべきか……。」

「……へ?」

 

雲行きが怪しい。

それもいつもと違い、いい方向に進んでる気がする。

 

「元々あの場所は捨てる予定だった。それにネタの隠蔽も上手くいった。」

「それってつまり──」

 

 

 

「約束の報酬は指定の口座へ振り込んでおく。」

「ッ!!」

「やったねアルちゃん♪」

 

緊張の糸が切れたのか、アルの口から何か出てる気がする。

最後まで警戒していたカヨコも困惑の表情を浮かべている。

 

「……本当にくれるんだ。」

「契約書は読んだだろ?契約厳守は大人のルールだ。」

「依頼達成で間違いないな?ならば私は帰る。」

 

確認するや否や、この場を去ろうとするリーダー。

そこへ復活したアルが待ったをかける。

 

「ちょっと待ちなさい、貴方依頼はよく受けるのかしら?」

「暇があれば受けるが。」

「だったらまた今度も組みましょう!!私達が組めばどんな依頼も100%達成できるわ!!」

「……機会があれば、な?」

 

そう言い、今度こそ去ったリーダー。

便利屋も口座を指定し帰路へと着いた。

 

珍しく依頼金が入りウハウハな便利屋一同。

普段クールなカヨコも少し表情が柔らかい。

 

「うふふっ、これだけあれば豪華なディナーだって食べれるわ!!」

「アルちゃんったら太っ腹〜。」

「そんな、私なんかが……。」

「はぁ、でも今日くらいは良いかもね?」

 

そんな彼女が無駄遣いで金を溶かすまで後2ヶ月──

 

──────────────────────

 

リーダー達が解散し、自分達の組の事務所へと帰る上司達。

その内の1人の護衛が上司───否、黒亀組の()()へと歩み寄る。

 

「しかし若頭、あんなガキ相手にあんな大金を渡す必要は無かったのでは?」

「……『蒼獄の傭兵』の後ろにはゲマトリアが着いている。」

「!?」

 

思い出すは都市を焼く地獄のような光景。

あのシャーレの武力を跳ね除ける戦闘力。

 

ホモが行ったエリドゥでの戦闘の動画は黒亀組にも流されていた。

お陰で上層部は萎縮し、かつての黒亀組の勢いは無くなってしまった。

彼らは既にホモによって首輪を付けられた奴隷と変わらない。

 

そんな現状を変えようとする彼が改革派筆頭、黒亀組の若頭だ。

今は余計なトラブルを起こしてゲマトリアに目をつけられる事を避けたい。

さっさと帰して無害アピールする方がよっぽどマシだ。

 

「このままでは終わらん。」

 

そう言い、1つの連絡先へと着信を入れる。

 

「頂点に立つのは俺だ。その為なら何だって利用してやる!!」

 

そして繋がる。

 

『────ピッ、悪いが今はバカンス中だ、仕事は受け付けていない。』

「まぁ待て悪い話じゃない。お前も1枚噛んでみないか?

 

 

 

()()()()()P()M()C()()()よ。」

 





本当は他のメンバー視点も描写したかったけど、
文字数がエライ事なるので泣く泣く飛ばしました。
下記はそれぞれのバイト先になります。

メンバー1
バイト先:百鬼夜行喫茶店「百夜堂」
内容
仕事は超忙しいが、特にトラブルはなし。
映画仲間もいて大いに盛り上がった。
チームⅤの中なら一番マシな仕事先だったかもしれない。

メンバー2
バイト先:ゲヘナ高級ホテル
内容
ホテルのレストランで警備。
食い逃げや強盗が頻繁に現れるが、賄いでるし最高の労働環境だった。
しかし美食研究会参戦し、店内はグチャグチャに。
給料から損害分を引かれてしまった。

メンバー3
バイト先:トリニティ『MOMOフレショップ』
内容
モモフレンズグッズ売り場の接客業。
持ち前の礼儀正しさで問題なく接客した。
店内で顔見知りを発見して変な声が出そうになった。

黒亀組の若頭が渡したお金は『新春狂想曲第68番』でロンダリングされる系統のお金です。


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シャーレ潜入任務レポート


お待たせ致しました。
おまけ話その③です。

勘のいい読者様達なら気づいたかも知れませんが、このおまけ話は結構重要な事を仄めかす事があります。
厳密には次の章の伏線、ホモ君の秘密などです。
今回はVol.2.2の補完と振り返りになります。



蝉の鳴き声がけたたましく響く。

6月中旬、いよいよ夏に相応しい気温と日差しになった今日この頃。

いずれの学園の自治区にも属しないD.U区内の連邦生徒会拠点、そこから30km離れた外郭地区に佇むビル。

 

それが連邦捜査部シャーレのオフィス。

今は先生の仕事場兼忙しくて自宅に帰れない時の別宅と化していた。

夏の暑さ特有の湿気の高い中、先生もまた仕事に忙殺されるうちの一人だ。

 

先生の業務が始まるであろうAM10:00より前、シャーレオフィスへと小さな人影が忍び寄る。

腰のホルスターに2丁の拳銃を差し込んだ少女が影に隠れた。

 

 

「目標地点付近に到達、任務を開始します。」

 

 

彼女は【元】名も無き神々の王女───

現在はオーナーの護衛として活動しているAL-1Sだ。

他でもないオーナーの依頼により、この地を訪れた。

 

元々シャーレのセキュリティは優れたものではなかった。

不法侵入され放題、それが生徒なら先生も咎めないという穴だらけ。

この状況を重く見た有識者(各務チヒロ)はシャーレのセキュリティチェックを行い、徹底的に強化を施した。

特に先生の居る頻度の多い事務室に。

 

そんな易々と侵入できない城と化したシャーレに、AL-1Sはどう潜入するのか。

本来なら当番に渡されるカードキーがなければ侵入できない。

ならばどうするか、AL-1Sは懐からカード状の何かを取り出した。

 

その手に持つは『コユキ特製マスターキー(違法)』。

それをかざすだけで、堅牢なはずの扉は即落ち二コマより早く解錠された。

因みにAL-1Sはコレを便利な鍵程度にしか思っていない。

 

「確認、人の気配なし……侵入します。」

 

素早く無駄のない動きで事務室へと侵入した。

ひとまずダクトへ入り、部屋の様子を観察する。

 

程なくして1人の足音が聞こえる。

ドアの開く音の後に続いて現れたのは1人の大人と1人の少女だった。

酷くやつれている大人は少女におんぶされている。

その少女、依星ケイこそが彼女のターゲットである。

 

「何故、廊下のど真ん中で寝てたのですか?」

「仕事中に気を失っちゃって……。」

 

エリドゥで暗躍していた頃に、十分な無名の神々の技術力を抜き取ったホモ。

利益面で言えばケイに固執する理由はない。

それは利益面だけ見ればの話。

 

今頃になってシャーレへの侵入を依頼した理由。

それは依星ケイがキヴォトスの平穏を脅かす存在か否かをハッキリさせる為。

 

要塞都市エリドゥで行われたクリフォト戦で、ケイの危険性は著しく下がった。

だからこそ、それらしい理由をつけてあの場でホモ達は撤退した。

だがそれが永久的な物だと誰が判断できるだろうか。

 

ホモの気がかり、それはクリフォトが完全消滅しなかった一点。

それは即ち、ケイが完全に『鍵』の生き方を否定していないという事。

 

だから見極める必要がある。

本当ならばホモが直接確認できれば良かったが、彼の容姿は悪い意味で注目を集めるし、()()に依頼された仕事で手を空けることが困難だった。

 

そこで不確定要素をなるべく排除しておきたいホモはAL-1Sに命じた。

依頼内容の内一つは『依星ケイの経過観察』。

他にも幾つかあるが、これが最優先事項である。

 

 

「(依頼を完璧にこなせば褒められつつ、オーナーへのプレゼントも視察できて一石二鳥です。)」

 

 

オーナーへのプレゼント。

チームⅤは既に動いているが、外に単独で出動する機会が少ないAL-1Sにとって今回の依頼は天啓だった。

プレゼントは何にしようか……。

 

浮ついた思考を仕事へと切り替える。

部屋の様子を見るに、もう仕事を始めるようだ。

 

「今日の業務は『ミレニアムの活動記録の作成』、あとは各学園への訪問ですか。」

「うん、百鬼夜行の陰陽部とトリニティのティーパーティに呼ばれてね。」

 

各学園への訪問とは、シャーレの先生は多忙のようだ。

机の上に山積みされた書類がそれを物語っている。

 

「ミレニアムの活動記録ですが──」

「実は半分程度は手をつけててね、後はエリドゥでの活動を記録するだけだよ。

心配しなくても外部に提出するような物じゃないから安心してね。」

「……そうですか。」

 

外へ発信されるのは、シャーレのホームページに掲載される少々の情報と、クロノス報道部が大袈裟に記載したゴシップ記事程度だ。

内部に関しても閲覧者は連邦生徒会の上層部、その中でも先生か七神リンに限られる。

ケイの正体を外にばらすと大変なことになるのは想像にかたくない。

 

「さて、何から振り返ろうか……。」

「AL-1S、そしてクリフォトとの戦闘は私が完璧に記録しています。それ以外の場所での記録から進めましょう。」

 

1番規模が大きかったのは、あの青のヘルメット団と奇妙な装甲車との戦闘であった。

あの場に居なかったAL-1Sも興味が湧き耳を澄ました。

 

「私も詳しくは知りませんが、バイクに騎乗して戦闘したとか……。」

「元々C&Cは彼女達と戦闘した経験が有るらしくてね。」

 

C&C所属のアカネはこう語る。

 

 

「彼女達の戦闘力は脅威の一言でした。しかし1番の脅威はあの装甲車の機動力です。ひとたび逃げに徹されては場所によっては捉えることは不可能でしょう。

ネル先輩は普通に追いついてましたが……。

 

とにかく、足を用意した相手に対して有利に動く対策は必須でした。

その対策こそがバイクです!!

(発案者はアスナ先輩です。)

 

最初依頼した時はセミナーが予算を渋って実現しませんでしたが、ユウカがこっそり予算を握ってくれてたお陰で何とかエリドゥでの決戦には間に合ったという訳です。」

 

 

そんな事でぶっつけ本番でバイクに騎乗するC&Cが爆誕した。

しかし、予想より遥かに戦闘は苦戦を強いられた。

 

先生が不在というのもそうだが、『デュカリオンの箱舟』が想定よりもアップグレードされていたらしい。

装甲はより硬く、機動力はそのままに。

青ヘルメット団の戦闘力も健在で、バイクがなければ一方的にやられていただろう。

 

あの後、別の区画に幽閉されていたヒマリ達のサポートを受けたが軍配が上がったのは青ヘルメット団であった。

特にヒマリは悔しがっていた。

 

「私が居ながら満足に支援出来ずに敗北するなんて……ッ!」と。

 

ヒマリ曰く、ヴェリタスの手の内を知る者が相手側に居たとか。

こちらのとる手段全てに対抗策が用意されていたと。

あの時リオは管制塔に拘束されていたため、別の誰かとなる。

 

「ユウカは心当たりがあるようでしたが……」

「元ミレニアムの生徒なんだっけ?」

 

元セミナー生徒、『白兎』黒崎コユキ。

ミレニアムでもヴェリタスに次ぐ問題児の彼女は突如、退学届けを残して学園を去ったという。

長らく行方不明だったが、今回の件で彼のところ(ゲマトリア)へ所属していると予想される。

今の今まで、彼との取引によりその情報は秘匿されていたが。

 

「あまり心配はしてないようですね?」

「……彼なら心配要らないかなって。」

 

あの最終盤面で出揃ったAL-1S、青ヘルメット団、そしてリオの様子を見るに彼は他の大人とは違うと確信した。

少なくとも生徒を道具として使い潰す外道ではないと。

 

これでも先生は自分の人を見る目を信頼している。

不思議な信頼感がそこにはあった。

 

「後は事後報告です、先ずはリオから。」

 

今回の首謀者兼、被害者とされるセミナー会長の調月リオ。

そう、()()()だ。

 

本来ならば矯正局行きだって有り得たが、リオの保有する機密情報等の理由から軽々と送れなくなった。

よってセミナーと各関係者で集まり、先生が間を取り持つことで裁判擬きを行う事となった。

 

リオは納得いってなさそうだったが、セミナー会長としての責任感、そして大人(第三者)による殺人教唆が認められたため、引き続きセミナー会長としてミレニアムに在籍する事が決まった。

 

ただでさえコユキが抜けて手が足りないのに、会長まで辞めさせる訳ないじゃないですか!!

 

とはユウカの言だ。

リオがエリドゥの建築で席を開けていた期間に溜まった案件は少なくない。

 

「エリドゥでの一件が終わったあとですが、大きくは変わらなさそうです。」

「そうだね、変わったといえば───」

 

あの一件が収まった後、不思議とリオ達をどうこうしようという話は出なかった。

リオは変わらずセミナー会長へ復帰。

セミナーの溜まった仕事を片っ端から手をつけているらしい。

先生は今度、落ち着いた頃に話をしようと思っている。

改めて挨拶と叱咤と謝罪と感謝を。

 

エイミによると相変わらずヒマリとは馬が合わないようだが、以前よりも仲良くなったと言っていた。

先生には分からないが、エイミが言うならそうなのだろう。

 

逆にトキはC&Cへ正式加入する事となった。

今まで自分の専属として他者と関わりを持つ機会の少なかったトキに思うところがあったのか、それとも単純にもう自分には必要ないと思ったのか。

真相は分からないが楽しくやっていけそうだ。

特にネルとは仲良く(?)しているらしい。

 

ケイはゲーム開発部にそのまま所属する事となった。

縛られるものが無くなったケイは学園生活を満喫している。

気のせいか、以前よりも物腰が柔らかくなった気がする。

 

「後は被告への質疑応答だけど……。」

「あぁ、ユウカがシナシナになってましたね。」

 

質問内容は『何故ミレニアムの誰かに相談しなかったのか』。

当の本人はこう答えた。

 

「相談相手に必要な要素、『客観視』が欠けていたから。」

 

理由は忖度の発生しない第三者の視点だった。

ここで候補先を考えてみる。

 

先ずミレニアムの学園生

既に依星ケイとして過ごした期間がある為却下。

どうしたって私情が挟まるのは否めない。

唯一対策案の期待できそうなヒマリも既に依星ケイの味方となった為、問答無用で拘束した。

 

同じ理由でシャーレの先生も却下。

生徒全員の味方を謳ってはいるが、人間である以上ケイ側に着く。

事実先生達との交渉は決裂、リオが破壊を望んでいるのだから当たり前だ。

 

ならば他学園の者へ相談するのはどうか。

できるだけ他校に借りを作りたくない。

学園の政治活動のプロパガンダに利用される事は避けたいからだ。

特にゲヘナは論外

 

遠回しに相談相手になり得ないと言われたユウカはシナシナになった。

 

「色々と間違えてるところもあるけど、リオの杞憂は正しかった。あの時の私はリオのやり方に真っ向から反対してしまったからね。」

 

思い出すのはケイが強制連行される前の問答。

あそこで先生がリオとゲーム開発部の中を取り持ち、対話のテーブルにたどり着けばまだ過程は違ったかもしれない。

 

「彼の言う通り、私はリオにも寄り添うべきだった。」

 

今になって分かると、自分自身が情けなくなる。

自分のやったことはリオ1人に全ての責任を負わせたようなものだ。

 

確かに彼女にも非はある。

しかしその責任を負う事こそが自分の、大人としての責務だった筈なのに。

結果的に彼女を槍玉に挙げる形となってしまった。

 

「何が生徒全員の味方だ、生徒に重い責任を押し付けて。……私は先生失格だ。」

 

結果的に『鍵』はケイと成り、一難去った。

だが、その結末は奇跡が重なり掴み取った薄氷の上の幸せに過ぎない。

このままでは終われない。

 

ケイはどう声を掛けるべきか迷っていた。

そもそも声をかけて良いのだろうか、元凶である自分が。

悩んでいると突然、先生は自身の()()()()()()()()

 

「よし、ウジウジ悩むのもここまで。さっさと仕事を終わらせようか!!」

「……なんというか、切り替えが早いですね。」

「悩んでも仕方ない事だからね、それに今度こそ間違えはしないさ。」

 

いつまでもクヨクヨしていられない。

そしてホモに何を言われようとも、この生き方を変えることは出来ない。

 

『馬鹿は馬鹿でも、全てを吹き飛ばすような大馬鹿者なら違ったかもしれないな。』

 

彼は去り際にこう言い放った。

なればこそ全員を全力で。それが滑稽に映ろうとも構わない。

それでもし生徒を救えたなら、はじめて自分を許せる気がする。

先生は夢を諦めきれない。

 

『生徒全員の味方』

 

その在り方を二度と忘れない。

その心持ちの限り、先生は決して折れることは無い。

そう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

若干の危うさを感じ取ったケイは口を開く。

そこから出るセリフは全て本心だ。

 

「忘れないで下さい、貴方達に助けられた生徒がいる事実を。前にも言ったかもしれませんが、私は先生とゲーム開発部に恩があります。依星ケイとして認めてくれた大恩が。」

 

あの場の数分の猶予が無ければ、ケイは破壊されていた。

そこに至らなかったのは、先生達が自分を信じ助けようとしてくれたからだ。

立ち上がれたのも『依星ケイ』として歩む道のりが見えたから。

 

「だから決して自分を犠牲にしようだなんて考えないで下さい。恩人に先立たれるのは心が痛いですし、先生には私の道を見守って貰わなければ。」

「……勿論だよ、私には『生徒全員の卒業を見守る』夢もあるからね。」

 

 

 

 

 

「(………。)」

 

その様子を見守っていたAL-1Sはダクトを通りそのまま外へと脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

報告レポート 作成者:AL-1S

 

報告内容:『鍵』の経過観察結果

 

・○月✕日シャーレオフィスにて『鍵』依星ケイの観察を開始。

・心身ともに落ち着いた状態での生活を確認。特に異常は見られない。

・11:00頃に彼女の心境の変化を確認。

・『鍵』としての罪を忘れず、贖罪のためキヴォトスで暮らすと判明した。嘘ではないとハッキリ言える。

・上記からこのキヴォトスに害なす存在なり得ないと判断し撤退。

・結論、依星ケイはキヴォトス滅亡の引き金になり得ない。

 

追記

・シャーレの先生は引き摺ること無く前を向いた。

()()()()()()()()杞憂で終わったと断言できる。

 




中途半端な終わりで申し訳ない。
面白いかは置いておいて、先生の成長の布石を何処かに入れる必要があったので……。
次回は『【ボツ回】暁のホルス覚醒RTA』です。


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極悪ホモが逝く覚醒ホルス発掘RTA


お待たせしました。
おまけ話④です。

注意!!
今回のお話はショッキングかつ、胸糞が悪くなる描写を含みます。
(ホモ君がマジモンの極悪人なので。)
キツい描写が無理な方はブラウザバックを推奨します。



 

ホシおじを虐待したらキヴォトスの滅亡が確定したRTAはーじまーるよー!!

 

今回は『崇高』獲得RTAの開拓試走時の録画データを晒す回となっております。

ルート開拓時のデータになりますが、割といい線いってました。

ならば何故極悪チャートで走らなかったのか、気になると思いますが見てればわかります(遠い目)

レギュレーションは本編と同じくチート・バグなし、セーブなし、タイマーはストーリー開始から。

 

今回のキャラクリは厳選作業が必須となっております。

必須の項目は2つ。

 

・ホモ君のカルマ値を極悪に調整

・最低でも1つ、戦闘向きの最上位スキル取得

 

今回は試走時のデータから引っ張り出しただけなので、リセマラせずそのまま始めます。

ステータスは以下の通り。

 

名前:ホモ

性別:男

所属:ゲマトリア

スキル:『心眼』、『零■■』

カルマ値:極悪

 

はい、既にツッコミどころはあると思いますが、1個ずつ消化しましょう。

 

『心眼』は万能スキルのひとつ。

あらゆる探索技能にボーナスがつく他に、クロカゲ等の特殊ボス相手にダメージを与えることができます。

最上位スキルではありませんが、十分な有能スキルです。

 

問題の『零■■』ですが攻略Wik○に乗ってませんでした。

この文字化けのような■がついたスキルは、時たま出てくる超激レアスキルという事くらいしか判明してません。

アップデートされると開放される的なアレでしょうかね。

攻略Wik○で存在確認されてるのは『テ■■■』と『■泉■■■』の2つだけでした。

 

まぁ、大事なのは効果です。

全ステータスに大幅なバフ効果、加えてあらゆる耐性の上昇。

つおい(確信)

 

前述した2つのスキルも強いです。

なんなら『テ■■■』に関しては原作生徒が持ってますし。

トリニティピンクゴリラって言うんですけど(遺言)

 

ただ『零■■』のデメリットとして健忘症、偏執症、幻覚といったバッドステータスが付与されます。

走者がぶっ壊れと言っていた『直感』でさえデバフは健忘症1つだけなのに……。

これのせいでカルマ値を極善にしようが、最終的には極悪へと反転します。

何故かって?倫理観ZEROの選択肢が殆どになるからです。

 

カルマ値が極悪だと他キャラからの好感度が軒並み下がり続ける代わりに、取れる選択肢が大幅に広がります。

だったら最初から極悪で走った方がお得と言うものです。

代表的な極悪キャラはベアおばですね、あとフランシス。

あの女は色々ネタにはされてますが、今のところ1番『崇高』に近づいた大人と呼べます。

ゲマトリアの中でも嫌われてるからあの扱いも残当ですが。

 

今回はカルマ値極悪かつ、文字化けスキルが手に入りスタートラインに立ちました。

あとはOPムービーを消化してタイマースタートです。

 

 

〜OPムービーカット〜

 

 

はい、よーいスタート。

 

本編と同じく場面はゲマトリアの会議部屋のようです。

他のゲマトリアも4人勢揃いな様子。

 

『彼が新しくゲマトリアに入る男、名前は……ネメシスと呼んでやってくれ。』

「そういうこった。」

 

名前はネメシスとなりました。

ホモのホの字も見当たらないんですがそれは。

普通はこんなふうに本名設定しても呼び名は変えられちゃいます。

 

どうやら今回はフランシスに推薦されたみたいです。

はい、ゴルコンダではなくフランシスです。

ここは別にフランシス以外でも構いません。

フレーバーテキストを見るに、勧誘前からゲマトリア在住らしいですね。

 

さて、明らかになったホモ君のビジュアルは奇しくも同じ骸骨の異人ですね。

本編ホモ君との違いは杖はなしで、服装はナチ○を彷彿とさせる黒の軍服。

心做しかこっちの方が威厳というか、威圧感を感じますね。

 

・自身の登場により空気の張り詰めるのを感じた。

・■■はどこだ。

 

早速偏執症の症状を確認しつつ、今回の試走チャートについて解説を。

その間、特にリセットポイントは無かったのでゲマトリア会議は倍速します。

 

今回のチャートの鍵はデカグラマトンとホシおじの2人になります。

まずアビドス編開始前までにデカグラマトンに接触、その後に奴の権限を丸々奪い取ります。

 

奪う方法は2つ。

デカグラマトンの懐柔、もしくは電脳の奪取。

戦闘力がある今回は奪取を選択選択します。

本来勝てる段階ではないですが、厳選したこのホモ君なら可能です。

 

道を阻むロボット兵や預言者(ケテル)を破壊して奥まで進むと、デカグラマトン本人に出会えます。

場所は廃墟研究地区の最奥地。

デカグラマトン自体はただの自販機なので、ここまでたどり着ければ第一関門クリアです。

すぐ自販機から電脳部だけを取り出して帰還しましょう。

 

あっ、そうだ(唐突)

先生もしくは生徒でプレイしてるとヴェリタス等に預けたくなりますよね?

それすると、デカグラマトン独自で証明完了して滅亡√に入っちゃうので油断しないようにしましょう。(1敗)

少しでも計算機能(自我)が残ってると乗っ取られます。

なので一旦修復可能なレベルで電脳部を破壊してから預けるのが吉です。

 

そうこうしてる内にホモ君の研究所までやって来ました。

立地も廃墟に近くていいゾ〜これ。

早速フランシスから貰った資金と素材でホモ君自身を強化します。

大体このステータスだとLv50あれば楽勝です。

余った分は全て研究施設費にあてます。

それでは廃墟最奥地へLet's Go!!

 

 

〜道中4倍速中〜

 

 

はい、最奥地まで到達しました。

それにしても今回のホモ君強すぎませんかね。

狙撃銃でケテル三体を同時撃破ってお前……(ドン引き)

謎に最奥地までほぼ最速ルートを通れましたし。

初めてくるマップだとヒント集めないと行けない場所なんですがそれは……。

ま、ええか(適当)

・最奥地と思われる場所までやってきた。

・不思議と懐かしい気持ちになった。

・探索すると1つ不自然に電源のついた自販機を見つけた。

・■■はどこだ。

 

・近づく

・突如、自販機から声が発された。

 

『ついに私を見つけてくれたか、■■よ。』

 

はい、この自販機がデカグラマトンです。

こう見えて電脳関係で2、3を争う無敵の存在です。

その頂点のアロナはデカグラマトンをくしゃみ(?)で撃退してましたが。

走者からすれば神を自称する狂人としか思えません。

 

『何百年ぶり────』

『ここに来ることは───』

『神の存在証明───』

『我が父────』

『■■ならば道を────』

 

なんか講釈たれてますが無視です。

時間がも゛ったいだい!!

走者一人一人に……!!!

果たすべきチャートがあるのに!!!

 

・「貴様の電脳を回収する。」

・それ以降デカグラマトンから反応は無くなった。

・『デカグラマトンの電脳』を手に入れた!!

 

あれ、意外とあっさりいけた。

まあタイムが縮むならなんでもいいです(外道)

電脳部をある程度破壊して帰還します。

 

 

〜道中倍速〜

 

 

さて、戻ったらアビドス終盤までホモ君は研究です。

現在解放した施設はこちら。

本篇でも使用している『ISIS』と、新しく導入した『樹形図』の2つ。

 

『樹形図』は、言うなれば一種の予言機です。

やること自体はそんな大仰ではなく、環境データから1ヶ月間の天気を予言する程度のものです。

主な効果はマップの状況と大まかな他学園地区の様子がわかる程度。

 

単体だとしょぼいですが、デカグラマトンのスーパー電脳を組み合わせると『未来並列演算機(カンタンセイア)』が完成します。

その演算の的中率は99.9%で、他世界の演算までも可能となります。

まるで樹形図のように数千と枝分かれた先の未来を観測するかのように。

これによりガバのリカバリーが上手くいくようになります。

 

またこれを利用すればプレナパテスの『多次元解釈バリア』を真似ることが出来ます。

ただコストがバカほど高いので、万が一の切り札以上の扱いは無理です。

これが常時展開できる『ATRAHASISの箱舟』はおかしい(断言)

 

あとは『ISIS』で生成した神名のカケラとか、拾ったオーパーツを投入して『デカグラマトンの電脳』を修復。

研究レベルとホモ君自身のレベルを上げてあとは備えるだけです。

余裕あればビナー君の強化もオススメです。

動きがあるまで倍速です。

 

 

〜4倍速(踊るCalifornia girl ムツキを添えて)〜

 

 

現在ほとんどの育成が完了し、ビナー君の強化も最大限まで終了しました。

『多次元解釈バリア』も3回分の燃料(神秘)を獲得できたのでこれでやっとアビドスへカチコミできますよ。

研究以外のイベントもありました。

フランシスに飲みに誘われたり、ガバ要素の高いベアおばを暗殺したり。

あとデカグラマトンの敬愛者(メスガキ三人衆)が訪ねてきたり。

何でアイツらあんなに好感度高かったんだろ……。

『樹形図』によると今はアビドス編真っ只中です。

 

これからの動きですが、アビドス編終盤に黒服と交渉し、ホシおじの研究権利をもぎ取ります。

タイミングは先生と黒服が邂逅した後。

高確率で黒服達と戦闘になりますが必要経費です。

そら(ルール無視して勝手してる奴が居たら)そう(〆る)よ

んじゃそろそろ先生が黒服の所へ凸るのでスタンバイします。

 

・高層ビルの最上階までやってきた。

・部屋の中に2人の気配がする。恐らく黒服と先生だ。

・■■はどこだ。

 

ホモ君の偏執症の正体未だによく分かってないんですよね。

文字化けだしわりとレアな代物っぽい事しか分かんないです。

 

・部屋から足音が近づいてくる。

・物陰に身を潜めてやり過ごした!!

 

チラッと見えましたが今回は女先生っぽいですね。

まぁホモには関係ありませんがね。

んじゃ早速、黒服のお部屋にノックしてもしもーし!

 

「クックック……そろそろ来ると思っていましたよ。」

・「暁のホルスを手放したようだな。」

「えぇ、その通りです。」

・「なら此方が手を出しても構わないな?」

「構いませんとも。既に私の計画は破綻していたので。」

・小鳥遊ホシノの情報を手に入れた。

 

あ、あれ?

戦闘になる筈だったんですけど……。

う、嘘じゃねぇし!!ほんとに高確率で戦闘が始まるんですって(96%)!!

逆に考えるんです、タイムが縮まって良いじゃないかと。

 

後は明日に備えるだけです。

因みにこの時の走者のテンションはオールナイト初日のパリピ並に高いです。

ここまで結構な上振れを狙えたのでね。

下記はホモ君の追加保有スキルとなります。

 

・『瞬』

・『精神汚染』

・『狂人』

どれもこれも癖が強く、強力なスキルとなっています。

ボツ回にしてるのでどうなったか分かると思いますが()

では翌朝までカット。

 

〜翌朝〜

 

現在ビナー君を引き連れカイザーの基地内に侵入中です。

どうせ先生の行く先は判明してるので先回りしちゃいましょう。

 

「おい貴様、侵入sy……」

・カイザー兵士を倒した。

 

道を塞ぐカイザー兵士達にヘッショかまして、最短距離で旧アビドス校舎まで向かいます。

現在トリニティやゲヘナの協力によりカイザー側の指揮は混乱状態。

多少兵士を倒したところで、こちらの存在には気づきもしないでしょう。

 

・突如、砂嵐が巻き起こる。

・まるで貴方を拒むように視界は遮られた。

 

ホモ君のステータスなら強引に突破できます。

ただ15%の確率で別陣営と遭遇するので、リセポイントです。

だいもんじを外すレベルの確率……、当てにならねぇ!!

 

・砂嵐を抜けると大人と学生の集団と遭遇した。

・全員からとても強い警戒心を感じる。

・■■はどこだ。

 

今回は無事に先生達と遭遇出来ました。

無事ホシノの救出を完遂したようですね。

ハッピーエンドの雰囲気に、突如として放り込まれるホモと姿が!!

最終フェーズ開始です。

 

・私はネメシス、黒服の同類と言えば分かるだろう。

「黒服の!?」

 

そうだよ(適当)

ここからイベント入るので、その間に何故星おじが鍵となるのか解説します。

 

まず走者の目指す『崇高』は神秘と恐怖、この表裏一体の要素を両方備えた存在を指します。

ですが基本的に1人につき神秘か恐怖の片方の要素しか持つことが出来ません。

加えて持たざる者が神秘、恐怖に近づくことは困難。

より高い神秘、恐怖を扱おうとするとそれ相応の器が必要となります。

 

ならばどうするか。

強力な神秘に耐えられるホモ君()を選べば良いじゃない。

文字化けスキルのおかげて素のパラメータが強化されたホモ君であれば可能。

そこで繋がって来るのがデカグラマトンとホシおじの存在です。

 

このチャートではセフィロトの樹方式で預言者と経路(パス)を繋ぎ高純度の神秘を獲得。

そしてホシおじを人為的に反転(テラー化)させ、経路(パス)を繋げる事で恐怖を獲得します。

数々のホモ君で実験した結果、器の強度が足りないと神秘、恐怖の強さに耐えられず風船みたいに破裂しますので注意。(n敗)

 

神性証明によって得た神秘。

キヴォトス最上級の神秘を保有するホシノの恐怖。

これらの要素をもつ『崇高』が完成すれば最強です。

あの色彩すら退けることが可能となります。

 

どうやってホシおじを反転させるかって?

それを今から実演します。

ちょうどイベントムービーも終わった様なので。

 

どうやらホモ君の「お前、仲間になれよ!!」的な発言を断られた様子。

当たり前というか、何故断られないと思ったのか……。

ですがそんな極悪ホモ君の命令を無視するとどうなるかと言うと────

 

・では死ね。

・ビナーに経路を接続。

『アツィルトの光』発動

 

突如砂の中から現れたビナーに不意打ちの極太レーザーを照射されます。

たらふく生産した神名のカケラで神秘を強化ビナー君の必殺技です、これは効くぞ〜!!

 

「熱っ゛!!」

「ホシノ!?」

『瞬』発動

 

さすがホシおじ、ガードの硬さは随一ですね。

でもホモ君のこと忘れてない?

 

「ぐ……あ……ッ!?」

・「動くな。」

 

『瞬』は奇襲特化のスキルです。

場所移動しつつ相手に防御無視の強烈な一撃を与える事が可能です。

今回は経路を繋げるためにも、組み付きました。

生徒操作ならここから投げ飛ばすもよし、関節を極めて制圧するも良しです。

アリスちゃんにもいつか覚えて欲しいスキルのひとつになります。

 

カルマ値が極悪かつ小鳥遊ホシノを拘束状態にすると次のようなイベントシーンに移ります。

 

・小鳥遊ホシノに経路を繋げる

・「動けばこの子を殺す。」

「……要件は何?」

 

要件はたった一言です。

おじさんの曇らせは全てを解決する。

 

・「貴様らの死だ。」

『アツィルトの光』

 

ホモ君ごとビナー君の極太レーザーで焼き払います。

ホモ君とおじさんなら『多次元バリア』で無傷です。

先生達もアロナバリアで1発は防げますが、2発目以降は無理です。

カイザーPMC戦でシッテムの箱バッテリー消費が激しければ1発で落ちる可能性もあります。

今回は幸運な事に1発で抜けました。

そのせいか先生の姿だけ確認できますね。

 

・「体中に重度の火傷、ほっといても死ぬ。」

「な、んで……どうしてこんな……?」

・『精神汚染』

 

・「本当に幸せになれると思っていたのか?」

 

・「借金も膨大な額がまだ残っているというのに。」

 

・「返済したとて既に学校としての体をなしていないというのに。」

 

・「オシリスを殺した無名の神の件も片付いてないというのに。」

 

・「そして私のように物語の流れ(ジャンル)を無視する輩が存在するというのに。」

 

・「これから先に訪れる破滅を知らないというのに。」

 

・「もはや哀れみを通り越して愉快極まりない。」

 

・「ハハハハハハハハハ!!

 

うわぁ……(ドン引き)

これはゲロ以下ですわ。

操作してるの私なんですけどね?

『精神汚染』を使ってホシおじの精神力をゴリゴリ削ってます。

 

黒服の人為的反転実験の失敗原因として、ストレス値不足が考えられています。

実際に観測に時間使いすぎてホシノが諦めると反転ぜずに失敗します(1敗)

ストレス値がMAX100なら200は欲しいところ。

そうです、限界突破です。

なので一気に強烈な絶望のどん底へと突き落とす必要があるわけですね。

 

・ホシノのヘイローが音を立て割れていく。

・多大なストレスによる精神崩壊、だが繋がれた経路がそれを許さない。

・やがてヘイローは黒く変色しホシノの纏う雰囲気はガラリと変化した。

・■■よ、もうすぐだ。

 

というか全然色彩来ないですね……。

弱ってるホシノという絶好の撒き餌を用意してるというのに。

で、もうすぐ問題のシーンに入ります。

 

・ホシノに繋いだ経路から恐怖を取り込む。

・繧ィ繝ゥ繝シ逋コ逕

・ホシノを掴む腕に力が加わった。

 

 

パキン

 

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!」

・ホシノを掴んでいた腕が消し飛んだ。

 

はい、ご覧の通り恐怖どころか崇高に自力で到達しやがりました。

ホモ君も唖然です。

イベントスチルが挟まりました。

急成長したホシノが先生を抱き抱える図、ふつくしい……。

 

・小鳥遊ホシノがこちらを向いた。

 

はい、ここで電源ブッチ&タイマー停止。

『崇高』獲得時点で記録は3:14:15、多分私しか走った事がないのでこれが最速記録です。

 

因みに崇高おじさんですが、作中屈指のチートキャラです。

『テ■■■』を取得して触れるもの全て消失させるバケモンになります。

 

崇高に届かないホモ君ではどう足掻いても勝てません。

100やって100負けます。

見返した後に気づきましたがコレ、経路を繋いで得た神秘やら恐怖やらがホシノに逆流してますね。

はぁ〜、う○こですう○こ。

 

『崇高』は獲得できましたが色彩を倒せてないのでこのチャートはお蔵入りとなりました。

カルマ値極悪の悪い所で、振れ幅がエグいという事もありこのチャートは断念。

あの後何回もしましたが、黒服にしてやられたり、自爆したり録な結果になりませんでした。

 

そんな事で安定を取ってカルマ値を善に、縛りとしてキャラリセ縛りも導入する結果になりました。

悪人が最後まで上手く立ち回れるはずないって事ですね。

 

次回からは本編の続きからとなるでしょう。

ご清聴ありがとうございました!!

 

 

 

 

 

 

殺してやる

 

 

 

 

 





作者はハピエン厨(大真面目)


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Vol.3.1 エデン条約前編
山海経



あけましておめでとうございます。(周回遅れ)
おまけで掲示板回をやろうとしたけど断念しました()
もうちょい勉強したら出すかもしれないです。

何はともあれ、本年度も宜しく御願い致します。



先生にバレる前に工場をぶっ壊す証拠隠滅RTAはーじまーるよー!!

 

前回は無事エリドゥから脱出し最低限の目的を達成しました。

実際には期待以上の成果でこれには走者もニッコリ。

 

今回はホモ舟のメンテして山海経に向かいます。

目的は『偽神のカケラ』工場の制圧です。

幸いホモ舟はそこまでの破損が無かったのですぐ出発出来ますね。

護衛で付いてるメンバー1と2にもれなく移動すると伝えます。

 

・「もうすぐここを出発する。……何やら楽しそうだな。」

「は、はいっ!!向こうには美味しいものが沢山あるみたいで……うぇへへ。」

「映画も盛んみたいっすからねー、マニアとしては楽しみでしかないですよ。」

 

この2人は趣味で勝手にストレス値下げてくれるので管理が楽で助かります。

兎とAL-1Sは定期的にコミュニケーション取らないとストレス値上がっちゃうし、

リーダーとメンバー3に至っては任務量を完全管理しないとダメだったりするので。

特にこの2人には、これから訪れる先で趣味を見つけて欲しいものです。

 

さて、移動する間に今回で強化された生徒の確認を済ませましょう。

大きく成長したのは3人。

 

まず1人はAL-1S。

目論見通りに攻撃力と俊敏性の数値が大幅に上昇。

そして新しくスキル『偽身』を覚えてくれました。

効果は1度だけ相手の銃撃を回避するという物。

コレが今のアリスちゃんと相性がとてもマッチしてます。

 

というのも『偽身』の発動条件範囲が銃の射程よりも若干広く、カウンター合わせた相手の攻撃を避けてからの攻撃が可能となりました。

それでもヒナやホシノとは相性が悪いんですけどね。

あの子達は硬すぎるんですよ……。

銃撃限定なので榴弾等の攻撃はダメージくらいますし。

少なくとも何も出来ずにやられるリスクは低下したんですけどね。

 

続いて黒崎コユキ

彼女は直接戦闘を行ってないので、ステータス成長率は微々たるものでした。

しかし新しくスキルを覚えてくれました、なんと2つも!!

それが『開運』と『脱兎』

 

『開運』は自分以外の味方の会心率を上げるスキル。

兎はぶっちゃけ非戦闘要員なので腐らないスキルです。

 

『脱兎』は『仕切り直し』が進化したスキルになります。

効果は撤退成功率100%と回避率の上昇。

これにより兎の悪癖である『調子に乗ってアボン』が消えました。

なんの心境の変化かは分かりませんが、有利に働くなら兎に角ヨシッ!!(現場ネコ)

 

最後はリーダー。

ステータスはバランスよく上昇。

スキルは新しく『崇拝者』を獲得しました。

これはシスターフッドがよく所持してるスキルになります。

……どこから取ってきたの?

 

効果は特殊装甲相手に特攻が付くというシンプルなもの。

このシンプルさが使い勝手良くて助かるんですけどね。

後に戦うであろうスクワッド達にも有利が取れます。

 

他メンバー達もステータス上がったし、ホモ君も『ワープ』覚えたしで大分強化されました。

勝ったなガハハ!!(フラグ建設)

大部分の下拵えを終えたのでここからは流れに従うだけです。

 

尺が余ったので山海経の解説もしますか。

 

今回のホモ君達の目的地である山海経。

ミレニアムのモチーフが最先端なら、山海経は中華圏です。

三大学園ほどの規模はありませんが、料理、エンタメ等に力を入れており生徒が経営する料理店が当たり前に並ぶレベルで観光業が盛んです

 

その分、生徒会の玄龍門と商人達の玄武商会による利権争いは日常茶飯事ですがね。

まぁ、トリカス共と比べたら天国ですよ(嘲笑)

 

戦闘面ですが三大学園のような飛び抜けた才を持つ生徒は居ないものの、平均の兵力は高い方です。

トップのカリスマ性は高く非常に安定性のある組織なのは言わずもがな。

その護衛も抜けている所はあれど実力は確か。

横の繋がりがでかい玄武商会に梅花園と、影響力は三大学園にも劣らないものがあります。

その中でも高性能な生徒が今回の件に絡んでいるのですが……それはまた後程。

 

・山海経付近に到着した。

・「作戦開始は夜、これより自由行動とする。」

 

夜行動なのは単純に隠密行動に補正が入るのと、最速でもその時間になるからです。

自由時間取ってるのはこの子達に出番が無いからです。

 

「確か山海経にも大規模なカジノがあったんですよね〜♪」

・「コユキは私と留守番だ。」

「エッ?」

「要求、オーナーも一緒に行きましょう!!」

 

あら可愛い、天使かな?

でもダメなんですよね。

ホモ君を外で活動させるには少し、いや大分目立ちます。

『変装術』関係の探索スキルがあれば良かったんですけど、今回のチャートだと旨みが少ないのでナオキです……。

 

あとコユキの手を借りないと今日中には恐らく侵入出来ませんし。

お察しの通り、ホモ君と兎で侵入経路と逃走経路を確保します。

玄龍門に勘づかれても面倒ですので。

 

・「街の監視範囲を調べる必要がある。頼めるな?」

「もぉ……しょーがないですねー。」

 

コユキとの絆も順調に育めてていい感じです。

もしコユキが言うこと聞いてくれなかったらタイムに響いてましたからね。

カルマ値極悪ならこうはいきません。

 

「提案、お土産バトルをしましょう。」

「おぉ、いいっすよ!リーダーも参加するっすよね?」

「いや、私はオーナーの護e──」

「参 加 し ま す よ ね ?」

・メンバー1がアイコンタクトしてきた。

 

いい機会です、今回はチームⅤ全員観光して貰いましょう。

外出させる事で成長イベント

リーダーも参加するように言いくるめましょう。

 

「………了解。」

・渋々といった感じでリーダーは折れた。

「ところでお土産バトルって何ですか?」

 

ヨシッ!!(現場ネコ)

快く送り出したあとホモ君は兎と仕事です。

目的地の生産工場の場所は、いつの間にかホモ君が調べてくれてます。

侵入経路と逃走経路の監視が働かないようにしましょう。

 

・キーボードを叩く音だけが聞こえる。

「むぅー。」

・不服そうに頬を膨らませたコユキが此方を凝視している。

 

ストレス値はそこまで上がってませんが、コユキだと何が原因で爆発するか……。

ここは安牌を取って自由時間を作りましょう。

大丈夫、エデン条約までまだ時間あるから(慢心)

 

・「事が終わったら一緒に行くか?」

「……にははっ、言質取りましたからね!!」

・鼻唄が聞こえる。

 

流石に兎1人を出歩かせるのは無謀なのでついて行きます。

コイツは人の金をギャンブルで溶かす天災なので。

1回周回ホモ君の金を蒸発させた時は本気で殺意が湧きました(1敗)

可愛さで誤魔化してますけど、セキュリティ突破力が高すぎて金庫に入ってる財布を「落ちてる」と解釈する狂人ですからね。

ここからは動きがあるまで倍速をかけます。

 

 

〜2倍速〜 踊る無名の司祭を添えて

 

 

・作業が完了した。

「帰還、ただいま戻りました。」

「お土産いっぱい買ってきましたよ。」

「えへ、へへ、いい匂いで何度かつまみ食いしそうになっちゃいました……。」

 

ちゃんと時間通りに帰ってきましたね。

聞いた感じトラブルも起きてなさそうだしヨシッ!!

全員ストレス値下がってますねー。

リーダーだけ変化が乏しいですが誤差です誤差。

 

さてお土産ですが肉まん、フカヒレスープの素、香辛料、木刀……。

1人修学旅行の男子生徒みたいな子が居ますが、やっぱ食品系が多いですね。

 

適当に1番嬉しかったお土産を選んだあとは早速工場へ突入───はまだしません。

その前に彼女たちとご飯を食べつつ、今回の相手について説明します。

メインは工場の制圧ですが、恐らく彼女も居るでしょう。

別に彼女自体の戦闘力はそこまでですが念の為。

万全な準備を施した彼女の厄介度はリオと同じレベルです。

 

「『五塵の獼猴』、他の七囚人と比べるとあまり聞かない名ですが……。」

 

今回の標的は七囚人が1人、『五塵の獼猴』申谷カイです。

原作だと萬年参と呼ばれる麻薬擬きの密輸を裏で操ったりと中々悪そうな事をしてますが、被害規模が小さいため『七囚人』としてのネームバリューは最低だったりします。

元所属の山海経の生徒達ですら名前を思い出せないほどですから。

 

それでも危険視されたのは彼女の頭脳と悪辣さからでしょう。

全ての生き物を自分の実験材料としか見ていなかったり、アウトローすら手を出すのは恥だと言う『梅花園』の園児達を利用したり。

最初は友好的な態度で接してくるので新任先生の兄貴達は注意しましょう。

自身の快・不快が行動指針の1番上にあるので息をするように裏切ります(1敗)

 

『偽神のカケラ』の製造は容疑者の段階ですがほぼクロ確。

ココ最近は件の工場に屯しているとか。

兎に頼んで関係者から抜き取った情報なので間違いないです。

……誘ってますね完全に。

 

・「生徒相手に大人気ないが、誰に喧嘩を売ったかを分からせる必要がある。」

「了承、作戦の準備は万端です。」

「にははっ、夜に眠れなくなるトラウマを植え付けてやりますよ!!」

「……お前はなんで七囚人じゃないんだ?」

 

セミナーの手回しがなかったら恐らくコユキも七囚人入りでしたからね。

いや、この場合は八囚人か?

 

警備は一般的なロボ兵しかいなさそうですね。

強化された面々の強さお披露目にはちょうど良いです。

ロボ兵は犠牲になったのだ……。

それでは工場の制圧にイクイクゾー!!

 





次回は工場侵入から。
申谷カイの描写少なすぎて作者が泡吹いてるのは内緒()


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五塵の獼猴


前回のあらすじ

走者「先生にバレる前に工場を制圧するゾ!」

ホモ「兎は留守番な。」
兎「ヤダヤダヤダヤダヤダ!!」
ホモ「分かった、後で観光していいから。勿論着いてくけど。」
兎「シャアア、オラァッ!言質取りましたからね!?」



・目的地へと到達した。

・念入りに準備したからか、人目に付かず接近できた。

 

ヨシッ!!(適当)

このテキストが出たら玄龍門に気付かれずに侵入成功です。

クォクォワ…パッと見は広い敷地の廃工場に偽装した研究所兼製造工場ですね。

 

ここがブツの作成工場の大元になります。

工場からブローカーの元へ流れ、ブラックマーケットを通り、不良生徒に行き着くルートです。

随分潤ってるみたいですね……。

許さん、許さんぞ陸八魔アル!!

 

 

・「さて、どう見る?」

「外から見える限り警備人数は30を超えます。待機組も居ると仮定すると最低でも50以上かと。」

「回答、全員雑魚です!」

 

 

中には沢山の警備ロボ共が居ますね。

アリスちゃんの言う通り敵は有象無象、成長した彼女達の敵ではありません。

数だけは一丁前に多いので、RTA走者の腕の見せどころです。

 

相手は恐らくホモ君達を誘ってると思われます。

ので念には念を、作戦を練っていきましょう。

余裕ないのに慢心プレイするベアおばとは違うのだよ。

 

隠密作戦でも良かったのですがコレ、残念ながらRTAなのでね。

タイム的にも強行突破を仕掛けるしかないです。

強行突破と言っても唯のゴリ押しではありません。

騒ぎを大きくしすぎて玄龍門に気取られても不味いですからね。

 

ならばどうするか。

 

 

『ワープ』発動

・拠点へ戻る

・デュカリオンの箱舟に乗り込んだ。

 

 

前から思ってたんですよ

 

 

『ワープ』発動

・目的地:山海経

・デュカリオンの箱舟を発進させた。

 

 

何でみんな、最初に必殺技を使わないんだろうって。

 

 

ゴシャアァァァァァンッ!!!

 

・最加速した箱舟はロボ兵ごと工場のバリケードを容易く破壊した。

・突然の出来事に警備はごたついている。

 

 

あーさっぱりした。

脳筋によるスーパーゴリ押しこそが世界を救う事を証明してしまいましたね(暗黒微笑)

 

あっ、そうだ(唐突)

今回の目的は工場の破壊ではありません。

制圧すれば工場の設備をそのままパクって経費削減しつつ運営が可能になるので制圧します。

 

ゆくゆくはキヴォトス全域に広げる予定なのでコレはその第1歩です。

利点はもしガバって拠点潰されても即リカバリー出来る点。

逃走も『ワープ』が可能となりましたので完成すればほぼ無敵状態です。

正しく、1匹見つけたら10匹いるアイツら状態。

 

 

「戦闘開始、殲滅します。」

「オーナーの顔にドロを塗った報い、受けさせてやる。」

・戦闘開始だ。

「侵入者だ、全員出ろ!!」

 

 

戦闘ですが基本はメンバー2とアリスちゃんを敵に突っ込むだけで相手は壊滅します。

特にアリスちゃんは火力が高すぎる。

拳銃なのに1発撃つだけで3人持っていきます()

メンバー2ちゃんも火力と回避率高いので十分な働きが見込めます。

 

 

「嘲笑、置物ですか?」

『韋駄天』発動

「このチビ早っ───グアッ!?」

「チビを寄せ付けるな!!」

 

「ええっと、大人しくしてくださいぃ……」

『勇猛果敢』発動

「ショットガンの女も強いぞ!!」

「撃ちまくってるのに何で止まらないんだよ!?」

 

 

無敵じゃないかって?

(そんなこと)ないです。

 

ある程度強く賢い相手だと対策は取られます。

現状AL-1Sを止める為の安易な作戦は2つ。

 

・射程の長い高性能キャラを使う(SRとか)

・フロントが抑える間にミドルで袋叩きにする

 

完璧な対策ではありませんが蹂躙は止めれるでしょう。

だからホシおじやヒナは割と天敵になります。

ヒナに至っては対策とか関係ないですからねぇ……。

 

ま、その穴を埋める為のチームⅤなんですけどね。

 

 

「距離を取って戦え!特にチビは寄せ付けるな!!」

・ミドルが戦線を上げてきた。

 

対策打ってきましね。

しっかりアリスちゃんとメンバー2がヘイト稼いでくれてる証拠です。

それにしても、AIにしては対策とるのが早いような……。

 

でも良いのかな、そんなにミドルが距離を詰めて。

既にメンバー3達の射程内ですよ?

 

 

「発射します!!」

「ニハハハッ、そぉーれ!!」

『破壊王』発動

『変数爆弾』発動

・殆どの後衛を仕留めた。

 

ンギモヂィィィ!!

一撃で敵の後衛を蹴散らした時の快感たるや。

これだからMT使いは止められないんですよ。

 

MTに限らずRGのような単発大火力は仲間がいて初めて真価を発揮します。

初心者走者でMTで走る方が入れば是非参考までに。

 

戦闘時間は20秒を切りました、余裕ですね。

このままなら1分も掛からないでしょう。

やっぱ脳筋ビルドが1番なんやなって。

モブ生徒でもここまで出来ると思うと感慨深いですねぇ。

(最終章に目を背けつつ)

 

「強いぞコイツら!?」

「仕方ない……アレを出せ!!」

・ゴリアテ(特殊個体)が出現した。

 

 

おお、クォレハ……ちょっと面倒くさいですねぇ。

デカ〜い!説明不要!!なこの人型無人ロボ、

通称『ゴリアテ』は本来そこまで強い敵ではありません。

 

ただ稀に特殊個体が出現する可能性があり、そいつらは普通に中ボスを凌駕する力を持っています。

ゴリアテに限らずアンブロジウス等もコレに該当します。

特殊個体の特徴としてスキル、特性が変化します。

 

今回のゴリアテは身を包み隠す大盾がそれです、それも弾力装甲。

弾力装甲は今作だと弾丸攻撃に対して強い耐性を付与されています。

それだけに所持するキャラが少ないレア特性です。

 

兎に角全員で撃ちまくります。

いくら弾力装甲とはいえ、盾である以上は耐久値が存在します。

隙が出来たら頑張ってアリスちゃんに拳で抵抗してもらいま───ん?

 

 

『火力集中』発動

「オーナーに仇なす不届き者が。」

・ゴリアテをその場に釘付けにした。

 

ちょっと待ってリーダーちゃん?

スキル無駄使いしないで?

弾丸攻撃はあまり意味ないって────

 

 

『偽身』発動

「虚仮威し、隙だらけです。」

・脚部の関節を破壊した。

 

 

アイエエエッ!?

アリス=チャンも!?いつの間に?

膝の関節部が引きちぎれてガクガクしてるぅ……。

 

まま、良いです。

そのままデカブツを拳で粉砕して───

 

 

「その命を持って償え。」

『崇拝者』発動

・ゴリアテの頭部をネジ切った。

 

 

ファッ!?

ゴリアテがマミった!!?

 

 

・頭部だった物が地に転がる。

「貴様、オーナーに銃を向けたな?」

・凄まじい眼光、覇気に思わず関係なくとも身震いしてしまう。

 

「ヒュッ──」

「くそっ、やってられるか!!」

・残っていた警備は一目散に逃げ出した。

 

「オーナーの敵は残らず殲滅する。」

「お、おっかねぇっす……。」

 

 

え、怖……。

リーダーちゃん強くね?

ホモ君も若干引いてるんですがそれは(困惑)

 

アリスちゃんのアシスト有りとは言え、特殊ゴリアテを秒殺ですか。

おかしいな、『崇拝者』はそこまで倍率上がるようなスキルじゃ無かったはず……。

ま、良いかぁ!!(痴呆)

 

何はともあれ、これで本丸に直行できます。

経験値も不味いので雑魚の追撃はフヨウラ!!

 

今回のリセポイントですが、以下の二点です。

 

・カイに逃げられる

・工場を破壊される

 

カイに逃げられた場合、別の場所へ転々と移ろい『偽神のカケラ』をばら撒き始めるでしょう。

そうなるといつ終わるのか分からないイタチごっこ。

リセです(無慈悲)

 

工場を破壊された場合、雑魚敵と戦うだけ戦わされて終わりです。

それに運が悪いと、騒ぎを聞いて駆けつけた玄龍門に包囲されます(1敗)

1度カイを追い詰めた後、起爆装置を発動された時は憤死するところでした。

リセです(無慈悲)

 

時間は未だ1分弱、流石のカイも身一つで逃亡は無謀なのでこのタイムなら余裕です。

その証拠に───

 

・工場とは違った雰囲気の場所へと出た。

・どうやら研究所のようだ。

 

もう着きました。

この中に彼女が居るはずです。

開けろ!デトロイト市警だ!(クソデカ声)

 

 

「クククッ、待っていたよ。」

・白と黒に別れた髪を持つチャイナドレスの少女。

・間違いない、『五塵の獼猴』だ。

 

 

はい、彼女こそが申谷カイその人です。

相変わらず何考えてるか分かんない笑みを浮かべてますね。

 

 

「あぁ、近くで直接見るとこn──」

「動くな。」

・AL-1S、リーダーが伏させたが、余裕の表情を絶やさない。

 

 

あまり喋らすと主導権を握られかねないので、茶々と終わらせちゃいましょう。

まずは挨拶から、挨拶は大事って古事記にも書いてある。

 

 

・「私はホモ、君がばら蒔いた粗悪品の元を作った張本人だ。」

「知ってるとも。」

 

・「『偽神のカケラ』を作成したのは君か。」

「ああ、あの出来損ないの事かい。あんな物はもうどうだっていいさ。」

・捕まっている状態で何ともないように喋るカイ。

 

・「『偽神のカケラ』はどうでもいい、だと?」

「最初は腹いせのつもりだったのだがね……今は違う。」

「運命だよこれは。全ては君と出会う為のね。」

 

 

 

 

「今ならこの気持ちが理解出来る。馳せる心のままに今、伝えよう。」

 

 

 

 

 

「一目惚れと言うやつだ、私は君を愛している。」

 

 

 

 

 

・ほのかに紅く、恍惚に充ちた表情。

・向けられたその眼は酷く濁っていた。

 

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

 





次回はホモ君と遭遇する前のカイ視点からです。


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申谷カイ


前回のあらすじ

喧嘩売ってきた相手が急に告白してきてフリーズしたホモ君

AL-1S「??」
兎「は?」
チームⅤ「──○す。」

カイの過去から始まります。
※独自設定を多く含みますのでご注意ください。



私はいわゆる異端児と呼ばれるに相応しい人物だった。

髪の色は左右で異なり、会話は周りと合わない。

おまけに「何を考えてるか分からなくて怖い」と言われる始末。

当然、私は梅花園で浮いた。

 

周りの子供はおろか、教官達でさえそうだったよ。

それが別段悲しいとは思わなかったけどね。

強いて言えば、貴重な被検体を捕り逃して惜しいことをした。

この頃から私は()()()が欠落していたのだろう。

 

幼い頃から私はあらゆる物に大して興味津々だった。

全員が外で遊ぶ中、私は専ら部屋に篭もり紙に思いついた数式を羅列するそんな日々。

退屈だとは思わなかったね、あの頃はどんな些細な事も私にとって大発見だったからかな。

私にとっては机に置かれたマグカップだって立派な研究対象だったんだ。

 

そう言えば1人、しつこく遊びに誘ってくる子が居たが誰だったかな。

今は()()()()()()()()()()と風の噂で聞いたような気もする。

 

 

 

程なくして卒園した私は、山海経高級中学校へと進学した。

本当は進学なんてせずに研究に没頭できれば良かったのだけれど、金銭という問題は無視できなかった。

それと比べて小規模ではあるものの、学校には最低限の機材が揃っているため進学する事にした。

 

入学早々、私は真っ先に錬丹術研究会に入った。

化学、特に薬学はいい。

正しい計測、管理さえすれば万全に扱う事が出来る反面、新しい化学反応を見つけた時の心躍る感覚は素晴らしいものだよ。

リアリストは同時にロマンチストでもあるんだ。

 

とりわけここで研究する霊薬は普通の薬とは違う面白い効果を発揮する。

不老不死には興味ないが、その式を解き明かすのは楽しそうだ。

そうして入った研究会で私は情報収集を始めた。

 

霊薬に関して学の浅い私にとって、知識は値千金の宝だ。

私は梅花園での失敗を反省し、常人を演じるようにした。

梅花園での素行を知るものは不気味がっていたが、それも時間の問題だった。

研究が1番に頭にくる人達だった事もあり、馴染むのにそう時間はかからなかったよ。

 

そこまでしても、常人の皮を被ろうとも、研究の話になると私の理論を理解する奴は居なかった。

でも梅花園の時とは違い私を遠ざける者も居なかった。

 

率直に言うと居心地が良かったよ。

誰にも邪魔されず研究ができ、息抜きの話し相手にも困らない。

我ながら順調な学園生活を送っていたと思うよ……一年後までは。

 

 

 

入部して一年後、私は会長へと推薦された。

先輩の部員も私が会長を務めるのに異を唱えなかった。

 

会長の権限は想像よりも大きかった。

何せ研究会の運営権の殆どを掌握している。

霊薬、またはその素材の輸入、輸出、その資金管理を一任された。

 

どうなったと思う?

 

 

想像の通り私は暴走した。

 

 

やはり無理はいけないな。

研究ができればそれで満足だったのに、想像以上に抑えていた欲求は大きかったらしい。

新しい化学反応の探求心、それは学校の()()を破るまでに肥大していたようだ。

 

より未知の領域へ到達するため、私は秘薬の密輸(禁忌)に手を出した。

秘薬の化学反応を既にマスターしていた私は周りの目を盗み、ひっそりと増産し売り払った。

そうして手に入れた金で施設を増築、改修を行ったのだが……

 

尻尾を出すヘマはしなかったはずなのだがね、誰かに密告されたのかな?

門主率いる玄龍門にあっさり矯正局へ送られた。

後輩達には悪い事をしたと思ってるよ、結局増築した施設は没収されただろうし。

次はもっと上手くできるさ。

 

 

 

1年後、私は連邦生徒会長の失踪の混乱に乗じて矯正局から脱走した。

会長時代に築いた裏社会とのパイプは健在で、衣食住には困らなかったよ。

私は裏社会に溶け込み、引き続き新しい化学反応を探し始めた。

 

脱走してから数ヶ月後、研究が煮詰まって来た私に転機が訪れた。

出処不明の珍しいものがブラックマーケットに出回っていると聞き付けた私は、使いの物に買い出しを頼んだ。

使いが買い戻ってきたソレを見て私は衝撃を受けた。

 

『神名のカケラ』

 

生成方法が未だ不明で、シャーレのコンビニでしか取り扱ってない貴重な物質。

話を聞いた限り人工作成されたものだとか。

それを聞いた時、私は様々な感情に支配された。

 

1つは研究者として先をいかれたことに対する嫉妬。

 

1つはまだ見ぬ化学反応を発見出来るという歓喜。

 

そしてもう1つ。

これの製作者は私と同類の異端者(同じナニカが欠けた者)だと確信した、とても言い表せない感情。

不思議な高揚感、トキメキとでも言うのだろうか?

 

次第に私は「この製作者に会いたい」と思うようになった。

ただこの物質の出処が分からない。

まずは『神名のカケラ』の分析から始まった。

 

そこで私は初めて『神秘』という概念に触れた。

未だに謎の多い要素だが、1つ分かったことがある。

このカケラの器の大きさに対して容量が少ない。

 

これは未完成品だ。

『神名のカケラ』を寄せ集め、初めて実用的な運用が可能となる。

となると課題はこの未知エネルギーの総量を増やす事だが………。

 

式さえ手に入ったら改良は簡単だ。

ゴールドマグロの肝、萬年参などを調合し、私は『偽神のカケラ』を作成した。

その名の通りこれは偽物のカケラ、あえて作った()()()だ。

 

材料から抽出し圧縮した『神秘』、それを器の許容量ギリギリまで含ませた。

摂取する者の安全性を度外視したドーピング。

あえて安全性が保証される量に甘んじた製作者の顔に泥を塗る行為。

私が製作者ならすっ飛んでくる。

 

その間にやることは、いち早くこれが広まるように大量生産できる式を新しく作ることだ。

もはや『偽神のカケラ』による被害など()()()()()()()()()()

あぁ、君の顔を拝むのが待ち遠しいよ……。

 

 

 

ついに待ち望んでいた日が訪れた。

予想より長く待たされたがそんな事はどうでも良くなっていた。

彼ならきっと私の考えを理解してくれる!!

……いや、そう言えば私は彼に喧嘩を売ってるんだった。

まぁいいさ、策はキチンと練ってある。

ひとまず先に顔をカメラで拝見するとしよう。

 

 

どれどれ………

 

 

 

 

 

…………………。

 

 

 

 

 

 

装甲車から降りた彼とカメラ越しに目が合った。

不思議と目が離せない。

次の瞬間強制的に脳へと情報がなだれ込んできた。

 

 

それは『存在しない記憶』

 

 

間違いなく初対面、それも骨という異形。

なのにあの男との思い出が溢れて止まない。

 

 

 

初めは実験生物としての価値しか見出していなかった記憶。

仲間と共に苦難を乗り越えた記憶。

黒塗り顔の生徒と一緒に写真を撮った記憶。

実験と称してデートを楽しんだ記憶。

 

 

そして、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

どれも知らない妄想と唾棄するべき物なのに……。

なぜ本当に自分が体験したかのように、この記憶が愛おしくてたまらない!?

()()……いや、私は………。

 

顔が暑い、胸の動悸が収まらない。

何だこの感情(コレ)は、私は知らないぞ。

……頭がおかしくなりそうだ。

 

私はフラフラと誘蛾灯に吸い寄せられる虫のように研究室の奥へと向かっていた。

 

 

 

 

 

研究室にて、乗り込んできた彼の顔を直接見た。

 

 

やっと会えたね先生。

 

やはり初めて見る顔だ。

動く骨の男なんて忘れるはずが無いからね。

 

高揚感が収まるどころか激化した。

今すぐにでも彼に飛びつきたい。

 

 

「私はホモ、君の────」

 

何それ、変な名前にしたんだね。

 

ホモって言うんだ。

警戒して偽名を使ってるのか……、どっちかな?

 

 

一体何年待ち望んだ事か。

 

最初は私と同じ立場に立てる唯一の人物だと思っておびき寄せたのにね。

そのための交渉材料も沢山用意したというのに、まさかミイラ取りがミイラになるとは。

 

 

やっと理解できたこの気持ちは、間違いなく───

衝動のままにこの気持ちを表そう。

 

 

 

 

 

 

ずっと前から愛してた、僕は君をもう離さない。

 

一目惚れと言うやつだ、私は君のことを愛している。

 





コレで原作と乖離しても許されるな!!
カイ書くのムズすぎて短くなっちゃったけど許して()
次回は再びRTA視点です。


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いつから私が非力だと錯覚していた?


前回のあらすじ

存在しない記憶



「一目惚れと言うやつだ、私は君を愛している。」

 

・ほのかに紅く、恍惚に充ちた表情。

・向けられたその眼は酷く濁っていた。

 

 

(好感度が伸びるのが)早い!!

単なる容姿に一目惚れしたような感じじゃない!!

 

なら何だ!?

分からん!!

分からねば!!!

 

 

私は正常にもどった!!

 

はい、少し無量空処をくらいましたが屁でもありません(瀕死)

怖いよ、何でホモ君に一目惚れしてるの?そして何故それを全員揃ってる場面で言うの?

 

別に告白自体はいいんです。

もとから仲間に引き込むつもりでしたし、敵対関係から始めるよりはよっぽどやりやすいので。

何で一目惚れしたか分からないのが不気味ですがね。

 

ただねぇ……。

 

 

・謎の頭痛がする、酷い気分だ。

「オーナー指示をください。コイツはココで……」

 

 

ご覧の通りホモ君達のストレス値が爆増してます。

お前やっぱりホモじゃないか!!(歓喜)

 

他メンバーも、特にリーダーのストレス値が急上昇してます。

言葉の意味を理解してないのか、変化がないのはアリスちゃんだけですよ。

なんて事してくれたんだオメェ……。

 

でも許しちゃいます。

この先脳筋ブッパだけだと結構きつい場面があるので、搦手の使えるキャラは欲しかったんですよねぇ。

兎1人だと過労死しちゃうし(114514敗)

とりあえずヒートアップしてるリーダーちゃんは宥めましょう。

 

 

・「落ち着け、なんの為に拘束したと思っている。」

「お言葉ですが私は納得していません。貴方の顔に泥を塗ったこの女を、あろう事か仲間に引入れるなど。」

 

 

うーんこの忠犬っぷり。

やっぱリーダーを……最高やな!

 

リーダーちゃんと言わんとしてることは分かります。

「これ以上問題児増やしてどうするつもりだ」って事ね。

ただコレ、RTAなんですよ(血涙)

 

 

・「君の気持ちは有難いが、今はとにかく重宝できる戦力が欲しい。」

「随分と高く買ってくれてるね。」

 

 

そりゃ買いますよ。

数少ない化学関連の生徒、それも引き抜いても面倒事がない生徒なんて。

しかも『神秘』関連に見識のある生徒となれば彼女だけでしょう。

ばら蒔いたのが『偽神のカケラ』で無ければもっと良かったんですけどね(ため息)

 

 

・「話は分かっただろう………どうする?」

「いい、仲間になってあげよう………けど、」

「この期に及んで貴様───」

 

 

 

 

 

 

「他は必要ないかな。」

『薬効』発動

 

・麻痺状態が付与された。

「力が抜け──ッ!?」

 

 

あれま、拘束を外されましたね。

まぁ想定内です、何か仕込んでるのは想定してました。

 

スキル『薬効』は敵味方1人にバフ&デバフを付与できるスキルです。

何気に入手難度の高いスキルになります(走者殺し)

取得するには山海経の錬丹術研究会か、トリニティの救護騎士団、ゲヘナの救急医学部で一定期間経験を積む必要があります。

 

麻痺状態は数ある状態異常の内の1つで、キャラの攻撃力と敏捷を半分にします。

直接的なダメージにはなりませんが、決まると鬱陶しいことこの上ない。

短期決戦向きの麻痺をバラ撒けるキャラはこのゲームでは貴重です。

 

毒や延焼と違い効果は一定時間たつと治ります。

長くても持続時間は20秒程度でしょう。

リキャストタイムも計算に入れたら、そこまで驚異でもありません。

コ↑コ↓テストに出ます。

 

それに───

 

 

「解析完了、麻酔薬。」

「驚いた、1滴で動けなくなる薬のはずだがねぇ?」

 

 

AL-1Sのスペックならゴリ押しで盛り返せるんですねぇ!!

元々火力とスピードに極振りしてたので戦闘が専門じゃないカイ程度ならいとも容易く倒せます。

 

 

・カイはすんでのところで回避に成功している。

「早いな君、人間じゃないだろう?」

「……返答、そっくりそのままお返しします。」

 

 

……あれ、結構いい勝負してね?

おかしいですねぇ、もうとっくに倒しててもおかしくないんですけど。

 

何か重要な事を見落として───

 

 

 

 

 

スキル『薬効』

敵味方1人にバフ&デバフを付与

※状態異常は付与されない

 

 

 

 

 

アッ……。

 

 

 

 

 

おれ、何かやっちゃいました?

NPCの分際で調子乗りやがってぇ……!!

 

おおかた爪に麻痺薬を仕込んでましたね。

『薬効』の効果は恐らく身体強化系のバフを選択したはず。

そうでないとAL-1Sに近距離でここまで食らいつけるはずが無い。

 

どうする?ほかの3人は射程範囲が広すぎるし……。

メンバー3のモルタルでAL-1Sごと捕獲網で捕獲するか?

 

 

「君の事も興味深いけど──」

『瞬』発動

 

 

待て、ちょっと待て。

 

 

「今は引っ込んでてね?」

 

CHAIN

『発勁』発動

・AL-1Sが軽く吹っ飛ばされた。

 

 

アバババババッ!?(錯乱)

『瞬』と『発勁』ですって!!?

何でカイがバチバチの近距離戦闘スキルを持ってるんですか!!?

 

おかしいよ!!君もっと搦手使うキャラの筈だよね!?

で、でもたまだ護衛は残ってますいくらカイでも3人相手なら勝てる!!

 

 

『瞬』発動

「消え───オーナー!!」

・カイが一直線に此方へと飛び込んでくる。

 

 

アビャーッ!!?

バブッ、バブブブブーッ!!(幼児退行)

嫌じゃ嫌じゃ、再走は嫌じゃ!!

 

 

「君を連れ出したら、どこへ行こうかな?」

『瞬』発動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてね♪

初見殺し発動!!

 

 

・「その技は奇襲用だ、無闇に使う技じゃない。」

『ワープ』発動

・目的地:リーダー

「ッ!?」

 

 

タイミングを見計らって〜?

ボール(新谷カイ)相手のゴール(リーダー)にSHOOT!!

 

 

「くたばれ、変態が。」

『崇拝者』発動

・カイはガードしたが反対側の壁へと突っ込んだ。

「──ッ!!」

 

「今です!!」

『蒐集家』発動

・再びカイの拘束に成功した。

 

ナイスでーす。

予想外のことで少々取り乱しましたが、ついこの前に『瞬』の仕様は頭に入れてます。

戦闘経験の少ないカイにカウンター入れるくらい訳ないんだよなぁ(暗黒微笑)

 

 

「……君もとてつもない腕力だね、神秘強化の賜物なのかな?」

・ガードした腕が異常な方向へ曲がっている。

 

 

うわぁ、痛そう(小並)

腕がプラプラしてる、よくそれで済んでますね。

ま、死んでなかったらOKです。

 

 

・「ブラフで此方の動揺を誘うつもりだったのだろうが、私達には効かない。」

「いや、告白は本心なのだがね?」

・「…………。」

 

 

これマジィ?

まぁ好感度高い分には困りませんが。

でもなぁ、怪しいんですよねぇ。

ママエアロ。

 

ここからが本番です。

彼女を此方へと引き込みます。

『偽神のカケラ』をばら蒔いた一因がホモ君にもあると認めつつ、「でも大元の原因は君で、君には責任を取ってもらう」的な発言をします。

ま、元々好感触だったので心配はしてませんが。

 

 

「仕方ない、我慢するよ。」

・勧誘に成功した。

 

 

ヨシッ!!(適当)

『契約書』が残ってれば良かったんですがねぇ……。

最近は忙しくて黒服に会えなかったし仕方なかったね。

 

仲間に入ったのでステータス確認を。

 

 

名前:申谷カイ

性別:女

所属:ゲマトリア

スキル:『薬効』、『霊薬作製』、『発勁』、『化勁』、『瞬』

状態:『共鳴』

 

 

はい、状態欄に見た事ない症状が表示されてますね。

『共鳴』は細かいことがあまり解明されていない状態異常です。

『狂人』の様な何らかの条件を満たすことで恩恵が付与される状態異常です。

そして付与されたキャラはよく原作を無視した行動を起こすといった傾向があります。

 

というか『化勁』も使えるんですね。

他に持ってるのレイジョくらいしか見た事ないですよ。

これも『共鳴』の影響なんでしょうか。

 

 

・携帯端末に着信が入る。

・黒服からだ。

・またゲマトリアの集会が始まるらしい。

 

 

今回はここまでです。

次回は恐らくゲマトリア集会に呼び出されると思います。

 

 

ご清聴有難う御座いました!

 

 

──────────────────────

 

〜デュカリオンの箱舟〜

 

「いやぁ、思った以上に研究設備は充実してるねぇ。」

「………。」

 

新しく仲間を加えた現在、箱舟はゲヘナのアビスへと進んでいた。

ホモとコユキが最低限の旅行を済ませたあと、彼らは直ぐに山海経を出立した。

リーダーは新しく入ったカイに箱舟を案内していた。

他でもないホモの命令で。

 

リーダー達チームⅤは、現状ホモの期間付きの限定私兵である。

近々エデン条約での行動に向けてアリウスが色々と動いているのもあり、彼女達がホモの元に居られる日数もあと僅かだろう。

 

今生の別れでは無い、エデン条約での行動が成功するまでの間だけだ。

ただ自分たちが一時でもホモの元を離れると思うと、怒りのようなやるせない感情が湧いてくる。

断言しよう、リーダーはココ最近で1番機嫌が悪かった。

 

そういう事もあって、本来ホモのことを優先するリーダーはカイの勧誘に否定的だった。

そして噛み付いた本人はと言うとピンピンしていた。

少なくとも骨は折れていたはずだ。

 

「おい、何でもう普通に動けるんだ。」

「回復薬程度は準備してるさ。多少のダメージは残るがね?」体力使うから疲れるしね。

 

なるほど、オーナーが引き込むレベルには有用である様だ。

現在、仲間の内ではコユキ以外は全員戦闘特化。

オーナーの研究で役立てる事はないかとつくづく思っていたが、彼女であれば適任だろう。

割と楽しそうに施設を見て回るカイを端目に次の部屋へと歩を進めようとすると、カイが話しかけてきた。

 

「もっと噛み付いて来ると思っていたのだがね?」

「非常に腹立たしい事にオーナーは貴様を仲間だと認めた。なら私はその決定に従うだけだ。」

「だがもし、オーナーに仇なすことがあれば……。」

 

そう脅すような発言をして振り返ると───()()()

私はほぼ反射的に死角へと拳を叩き込んだ。

すると()()()()()()()()()()()軽い感触が伝わる。

 

後ろへ視線を移すと、イタズラが成功した悪ガキの様な顔をしたカイが拳を受け止めていた。

相手の死角へと隠れるコイツの歩法は心臓に悪い。

私が抗議の目を向けると、奴はニヤついた。

 

「怖いなぁ、ちょっと揶揄っただけだよ。」

「……。」

「私は本心から君とは仲良くしたいんだ、なんせオーナーに愛ほどに重い感情を抱いているのは君くらいだからねぇ。」

 

そう言えばコイツはオーナーに愛だの何だ言ってたな。

リーダーはバカバカしそうに鼻で笑い飛ばした。

 

「何を言うかと思えば………貴様のソレと同列に扱うな。」

 

リーダーのソレは決して愛のような低俗なものでは無い。

愛は相手に対価を求める物、リーダーはそんな物を望まない。

あるのは底なしの献身。

 

「あの人には十分与えられた、だから私は彼の言うことは何だって聞く。」

「……彼に求められたらなんでもするって?」

「そうだ、必要ならこの命さえもな。」

 

オーナーが白といえば黒であろうとも白。

言われるかはともかく、自殺を命じられれば喜んで差し出す。

他のメンバーの殺害を命じられても迷わず遂行してみせる。

 

「少し喋りすぎた、さっさと済ませるぞ。」

 

少なくともコイツの仕草から愛(笑)の重さは伝わった。

そこは認めてやってもいいか。

 

 

 

 

「もう焼かれちゃったかぁ。僕が言えた事じゃないけど、罪作りな男だよホント。いや、今は骨か。」

 





次回は小説→RTAパートになる予定です。


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交渉開始


前回のあらすじ

カイ「貴方に愛を教えるのは私!!」
ホモ「なんやコイツ」
カイ「発勁!!」
ホモ「ファッ!?お前も仲間になれ!!(錯乱)」

カイ「貴方は私と同じ!彼を愛している!!」
リーダー「一緒にするな。(私の方がもっと重い)」
カイ?「相変わらずだね、あの骨。」

大体こんな感じ。



紅い薄明かりが照らされる部屋。

黒い男、双頭の木人形、赤い女、顔のない男に額縁の男、そして骨の男。

ゲマトリアのメンバーは今回も勢揃いだ。

いつもの様に黒服が音頭を取る。

 

 

「急な招集にも関わらず、本日も全員お集まり頂き感謝します。」

 

 

今回の集会は急遽決まったものだった。

理由はホモが要塞都市エリドゥで起こした騒動。

 

『無名の司祭由来の謎技術』、『記号とテクスト』、『ATRAHASISの箱舟の権能』

 

これらをフル活用して大立ち回りを演じ、一時的ではあるものの『絶対的存在』の証明を成し遂げたと認識されている。

今回の報告会は名ばかりであり、半分以上はホモとの交渉する為の情報精査である。

 

 

「議題の主役は貴方です、我々の念願大成の為にもどうか────」

「分かっている、アレの事だろう?言うほど参考にはならないと思うが。」

「アレだけ目立ったのです、何の成果もなしでは納得はしませんよ?」

 

 

『神名のカケラ』をばら蒔いたお前が言うのか?

という言葉を飲み込み、マエストロ達はホモへ注目する。

 

 

「そもそもの話、アレは絶対的存在ではない。証明過程からしてデタラメ、屁理屈で塗り固めた『崇高』のなりそこないだ。」

「貴殿が繋げた映像は我々も拝見した。贔屓目なしでも破格の性能を誇っていたと思うが?」

「本物はあの程度ではない。本当に『崇高』ならあの程度、秒で片付く。」

 

 

声色からして本気で言っていることが伝わる。

先生の切り札『大人のカード』から出現した生徒による戦闘力の高さは相当なものだったが、『崇高』であれば抵抗すら許さない程の蹂躙が可能だとホモは語る。

 

 

「では何故退散を?貸し出しているチームⅤを使えば始末できたでしょう?『鍵』だって破壊してしまえば良いものを。」

「『鍵』の無力化に成功した時点で私の最低目標は達成した。それに私が無名の司祭なら、破壊された際のサブプランを用意する。」

 

 

『鍵』はパンドラの箱だ。

破壊する事で他のDivi:Sionが起動するかもしれない。

最悪の場合、かき集めた無名の司祭由来のオーパーツが全て使()()()()()()()()()()可能性すらある。

ホモが破壊を最終手段に添えたのは、そんな理由も()()()()()

精神世界でケイに入力したプログラムはその保険だった。

 

 

「今後の『鍵』は先生が何とかするだろう。」

『そこまでの人物だったのですか。貴方が信頼を置くほどの?』

「そうだ、今の先生であれば問題ない。」

 

 

先生に割とキツい言葉を投げ掛けたホモだが、対して評価は結構高かった。

(そもそも暴走の原因を引き込んだホモに先生を批判する資格はないのだが。)

 

実際ホモが先生の立場であれば100点満点の動きが出来たかと言われると否だ。

ホモも先生の立場であれば、完全にリオに味方する事は出来なかった。

先生が先生だったからこそ出来たことがあるのだ。

 

素直に褒められない事情もあった。

ゲマトリアという立場からそういう態度を取らざるを得なかったという理由もあるが、1番は先生に求める理想の高さがそうさせた。

 

ホモの考える先生は、生徒に資金管理なんてされないし、生徒の足を舐めたりもしない。

 

完璧な存在、それがホモの思い描く理想の先生像だ。

その点、エリドゥで垣間見た先生の印象はと言うと………

 

 

誰一人として犠牲にしないという強い意志○

絶望的な戦局でも挫けない心○

世界滅亡AIでさえ1人の生徒として扱う○

自身の代償を顧みない献身◎

 

 

非道になりきれない甘さも露呈したが、それが長所にもなり得ることをホモは知っている。

先生ならば外野から何と言われようとも、傲慢に生徒に救いの手を差し伸べなければならない。

 

決して誰かを犠牲にして平和を掴む様な奴に務まるはずがない。

 

これこそホモが先生を信頼する理由。

彼もまた、黒服とは別ベクトルでゲマトリア(先生大好きクラブ)の一員になったという訳だ。

 

話が逸れ始めたのを察知し、ベアトリーチェが口を挟む。

 

 

「彼の先生について気になるのも分かりますが、今はどうだって構いません。我々が欲しているのは()()の存在です。」

「だがしかし───」

『仰りたいことは分かりますよ、ホモ。しかし偽りながらも崇高付近のステージまで漕ぎ着けたことその物が偉業なのです。』

「そういうこった!!」

 

 

ホモの性格上、不完全の理論をそのまま外に出す事を嫌う傾向をベアトリーチェ以外のメンバーは理解していた。

研究者として立派な思想だ。

しかし彼らは今、とにかく情報が欲しかった。

崇高を観測、若しくは至る事が彼らの大願なのだから。

 

ホモは言葉に含まれた意図を汲み取り、

「本当になんの参考にもならないぞ」と念を押して話し始めた。

 

 

「クリフォトは神聖十文字(デカグラマトン)の存在証明過程をオマージュし、足りない要素をATRAHASISの権能で補った()()()()だ。」

 

 

クリフォトの正体、それはあらゆる要素に補強された神秘と恐怖の合成獣だった。

 

出来たのは太古の教義と似た『崇高』とは違うモノ。

原型が姿形しか違わない中身の変容したナニカ。

故にデタラメ、故に出来損ないだとホモは評した。

 

順にホモは説明を始めた。

 

 

「まずはケテル……第1の預言者のコア(炉心)を用意した。」

「いつの間にそのような物を?」

「廃墟を拠点に活動中の頃、よく遭遇したのでその時に拝借した。電脳部分はそのままだから黒服の研究には影響ないと思うが?」

 

「その辺の心配はしていませんよ、ただ何故ケテルだったのですか?」

「証明の成立にケテルが1番適していたからだ。」

 

 

神聖十文字は10体のAIを感化させ、自身を信奉する預言者を生み出し、自分が絶対的存在である証明を始めた。

ケテル(1番目)から始まりマルクト(10番目)にて完了する天路歴程を開始した。

これを大まかに紐解いてみる。

 

 

『証明開始』→『10体の預言者による存在証明』→『絶対的存在爆誕』

 

 

そしてホモがテキストを書き加えたものが下記のものになる。

 

 

『証明開始』→『マルクト(10番目)の証明が完了』→『絶対的存在爆誕』

 

 

つまりマルクトさえ証明が完了すれば、絶対的存在は降り立つと言う()()()()

こじつけはこれで終わらない。

 

自分の手元にあるリソースはケテル(1番目)の炉心のみ。

マルクト(10番目)のリソースも、行方も知らないホモは考えた。

 

ケテル(1番目)の証明で絶対的存在が降臨するように過程(テクスト)を改変してしまえばいいと。

 

デカグラマトンの預言者達による神の存在証明(セフィラ)ではない。

セフィロトの逆カバラ、邪悪の樹より生まれる10の悪徳による虚数悪魔の存在証明(クリファ)

逆位置(10番目)ケテル(1番目)を配置できる裏技だ。

 

 

1からすっ飛ばしてゴールに辿り着いたが故に、絶対的存在には届かない紛い物が顕現した。

恐らく本領の1割程度の完全体でないコレを、ホモは過程を表すクリフォトと名付けた。

 

 

「あとは足りない要素をATRAHASISプロトコル(王女の権能)を発動させて補えば完成だ。」

 

『なるほど、なるほど……』

どういうこった!?

「クックック……やはり死の樹のオマージュでしたか。」

「「………。」」

「どうだ?参考にならんだろう?」

 

 

マエストロとベアトリーチェの2人は考え込んだ。

恐らく理解出来たのは黒服とゴルコンダだけ。

デカルコマニーは思考を放棄してしまっている。

黒服もデカグラマトンの調査をしていなければ危うかったかもしれない。

 

しかし参考にならない理由は分かった。

どこまでもAL-1Sと『鍵』頼みのプランなのだ。

場所の割れているケテルは兎も角、彼女達の使命への心持ちによって軽く破綻する。

そして『鍵』としての機能はホモ自身が砕いてしまった。

 

黒服にはひとつの疑問が浮かんでいた。

ホモの話では『鍵』の代行権が使えない今、あの完全体のクリフォトを出すのは不可能だという。

 

嘘偽りを言っているようには感じない。

だが、その道は多くの綱渡り状態だった筈だ。

 

もし、初めから『鍵』が役割を放棄していたら?

もし、テクストの書き加えによるこじつけが上手くいかなければ?

果たしてあのホモがメリットの少ない賭け事に乗じるだろうか。

 

 

「(私には貴方がそんな無駄な事をするとはとても思えないのですよ。)」

 

 

ホモの話した理屈は分かる。

しかし黒服にはどうしても必要な要素が1つ欠けてるように思えた。

何か話していないカラクリがある。

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

だが、ここで追求することは黒服の美学に反する。

新人におんぶにだっこで『崇高』へと至る?

そんなものナンセンスだ。

足りない要素は自分で切り開いてこその大人だ。

 

黒服はほくそ笑む。

これからの予測不可能な展開に胸を踊らせて。

 

 

「(やはり彼を連れてきて正解だった。)」

 

 

─────────────────────

 

 

ゲマトリアたちと親睦を深めるRTA(Part2)はーじまーるよー!!(棒読み)

 

前回はカイを無事に仲間にしました。

 

コイツ本当に有能。

ホモ君の研究サポートは勿論、戦闘だってこなせちゃう(めちゃ強い)

神名のカケラの作成効率2倍です。

あと何気に好感度が高いのもいいゾ〜これ!!

 

これでやらかしが無ければなぁ……。

リーダーちゃんと仲良くして?皆のストレス値増やさないで?(切実)

 

 

・報告を終了した。

・手応えは抜群だ!

 

 

はい、さっきホモ君にはクリフォトについて報告して貰ったんですけど……。

何言ってるのか全然分かんなかったわ(痴呆)

車と同じで理屈が分からなくても使いこなせれば問題ないんですねぇ!!(開き直り)

 

定期的に開催されるこのゲマ集でベストコミュニケーションを取ると、ゲマトリアメンバーの好感度が上昇します。

要らねぇ!(迫真)

 

てのは冗談で、好感度で交渉の成功率が変わるので結構大事なんですよこの要素。

何で私は生徒じゃなくて異形の男女の攻略をしてるんだ?

透き通った学園生活RPG……どこ……ココ?

 

 

閑話休題

 

 

はい、とりあえず進めますか。

他ゲマトリアメンバーの報告は倍速です。

案の定ベアおばの準備が整ったとかくらいしか大きく事態は動きませんでした。

 

あと他に強いて言うなら、トリカス学園でシスターフッドが新興宗教の勢いに目をつけてる程度です。

 

はい、教祖がクリフォトのアレです。

宗教団体が出来上がるまでに成長しましたかぁ。

順調に仕込みが完成しそうでこれには走者もニッコリ。

 

 

「全員の報告は以上となります。」

・会議は終わりだ、どうする?

 

 

この表示が出たら交渉タイムです。

ここで注意したいのが交渉する順番。

必ず()()()()()()()()()()()()()ようにしてください。

理由は後で分かります。

 

まずは黒服からです。

お前の事が、好きだったんだよ!!

 

 

・黒服に取引を持ちかけた。

「おや、何か御用ですか?」

 

 

黒服は『デカグラマトン(神聖十文字)』関連の研究協力を申請しとけば何とかなります。

彼はデカグラマトンの解析にお熱なので。

 

 

・デカグラマトン及び預言者の解析協力を約束した。

・『契約書』の優先配布権を手に入れた。

 

 

あーソレいいよ(適当)

『契約書』の優先配布権は美味い。

何より強制作用でガバを抑止できるのが嬉しい。

 

クリフォト君顕現させた実績あるので足元見て交渉出来るのもでかいです(下衆)

ホモが発展(810)させて黒服も嬉しい。

そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!!

 

次はゴルコンダに会いに行きましょう。

彼は本命の1人です。その2はベアおば。

 

 

「少々時間を貰いたい。」

・マエストロが取引を持ちかけてきた。

 

 

おい、待てぃ(江戸っ子)

好感度が高いとこんな風に割り込まれる可能性があります。

何でこんなに好感度高いんですかね。

精々芸術作品に対するホモ君の持論を展開した程度なんですけど……。

 

ま、どうせ全部回るので構いませんけどね。

ホモは温厚ってソレ、ハッキリわかんだね。

ベアおば先に来ると面倒なので、さっさと終わらせましょう(無慈悲)

 

 

「恥ずかしながら、作品の出来に納得できないのだ。」

・太古の教義のヒエロニムス完成を手伝うことに。

・見返りは貸一つとした。

 

 

非エロ君の強化はちょっと悩みましたが承諾しました。

どうせ()()()()()()()()()

はい、次々いきますよー。

 

 

『兵器関係の取引ですか?問題ありませんよ。』

「まぁ、そういうこった!」

 

 

本命その1、ゴルコンダ&デカルコマニーさんです。

彼らの用意するオーパーツ&兵器はどれもこれも高性能です。

値は張りますが、ミサイルに始まりヘイロー破壊爆弾まで選り取りみどり。

 

別に誰かに使うつもりは無いです。

対色彩に使うにしても、ケツを拭く紙にも劣ります。

外向けのアピールアイテムだとでも覚えて貰えると。

 

あまり殺傷力の高い兵器を買いすぎると、それだけでカルマ値減るらしいので調整は必須です。

今回は無人戦車を幾つかと、小物類(C4やらスペツナズナイフやら)を沢山。

カルマ値が減るギリギリを攻めましょう。

 

 

・兵器の購入を行った。

・多少融通を効かせてくれた!

 

 

ありがとナス。

やっぱゴルコンダやな!

 

温厚な彼はそこそこの事をやらかさないと好感度は下がりません、逆に上げるのも難しいですがね。

それこそ彼の額縁をフリスビーみたいにして遊ぶ程度はしないと(1敗)

フランシス?リセです(無慈悲)

 

 

「……何の用ですか?」

・ベアトリーチェと交渉を始めた。

 

 

エデン条約テロの下拵えはまだ終わってないはず。

例え終わっていてもプランをしっかり2、3つ用意した走者に死角などない!!

 

こちらが望むのはチームⅤの永久指揮権です。

そろそろ彼女達の手網を握って置かないと。

ベアおばに切り捨てられたりするのは、まっぴら御免なので。

 

 

「私がなんのメリットもなく戦力を手放すと?」

・数多の目がホモの姿をとらえた。

 

 

フッフッフッ、この走者が見返りを用意せずにお願いをするとでも?

大丈夫だって安心しろよ〜、ヘーキヘーキ平気だから(フラグ建築)

戦力を手放すのが惜しいなら、増やしてやりますよ。

見返りはですね──────

 

 

 

 

 

ホモ君もエデン条約テロに全面的に協力しちゃいます!!

 

 





次回は小説パートになる予定です(ガバガバ構想)


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全面協力


お待たせして申し訳ない。

爆死したのでモチベ持ち直すのに時間かかりました。
許さんぞアロナ、そして陸八魔アル。

今回は全部小説パートです。



「チームⅤの永久指揮権、その見返りとして全面協力を約束しよう。」

 

 

目の前の骸骨男(ホモ)はそう自分に対して言い放った。

その言葉にベアトリーチェの思考は一瞬ホワイトアウトする。

 

チームⅤを欲する気持ちは分かる。

ホモが手塩をかけて育てた神秘強化済みの兵力だ。

骨にそんなものがあるかは定かでないが、愛着は湧くだろうし引き込みたいと思うのが普通だ。

だが何故、エデン条約調印式の間に入ってこようとするのか。

そこをベアトリーチェは理解できなかった。

 

 

「(貴方が()()()()()()()()()()()()()()を見返りに選ぶはずがありません。)」

 

 

基本的に他者を見下しているベアトリーチェも、ホモの事を少しづつ理解していた。

実際その通りで、エリドゥではリオに協力するという見返りをクリフォト顕現の実験として利用している。

 

 

「(それに彼が購入したゴルコンダ作の兵器の数々も……。)」

 

 

ゴルコンダの扱う技術を駆使した兵器は高性能かつ、それに見あった値を求められる。

それをポンポンと、何の抵抗もなく買い占める勢いで購入した()()()()()()()()M()A()X()()()()

 

戦争でも始めるのか?

まさかコッチに撃つつもりじゃないよな?

この男がどこに向かって走っているのか、ベアトリーチェには理解出来なかった。

 

 

「(彼が何を考えてるかなど、予想するだけ無駄でしょう。)」

 

 

ゲマトリア全員に言える事だが、彼は一段と何を考えているのか読めない。

謀においてホモや黒服と比べ、1歩劣るベアトリーチェには仕方の無い事だった。

だからこそ、ベアトリーチェの思考は渋滞を起こしていた。

大人にとって理解出来ない事は───()()は怖い。

 

 

「(だからここで引くと?舐めて貰っては困ります。)」

 

 

彼女の生来からくる反骨精神が弱音を押し潰す。

逆境でも高慢にかつ傲慢に、それがベアトリーチェという女だ。

 

 

「(計画が成功さえすれば、彼程度どうとでもなる。)」

 

 

ホモが何を考えているかなど、最早どうでもいい。

儀式が成功すれば、自分が崇高に至れば関係ないのだから。

それにこれはチャンスだ。

 

 

「(他3人と太いパイプを持つホモと組めば、計画がより盤石なものになるというもの。)」

 

 

黒服やゴルコンダ、デカルコマニーには言わずもがな、ヒエロニムス(太古の教義)の不完全顕現に文句を言いそうなマエストロを完全に引き込める点はデカい。

彼らのホモに対する友好度は高い、ならそこに付け入る隙がある。

 

 

「(思えば、貴方が加入してからそう期間は長くありませんでしたね。)」

 

 

自分がアリウスの統治を進めている短期間、ホモはそのアドバンテージを無視する功績を上げた。

 

『神秘強化方法の確立』そして『崇高の擬似顕現』

 

神秘に手の届かなかったゲマトリアが、観測の手がかりを得たのはホモの活躍が大きい。

恐ろしいのは、それを短期間で仕上げた手腕。

()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「(えぇ、だからこそ超える価値があると言うもの。)」

 

 

憤怒、羨望、嫉妬、それらの感情を後ろへ。

確実にベアトリーチェは領主としては成長を遂げている。

 

大人としてのプライドなのか、それとも覚悟の英断か。

ベアトリーチェの返答は決まった。

さっさと済ましてしまおう。

先程から黒服のニヤニヤとした視線が鬱陶しい。

 

 

「いいでしょう──と言いたいところですが貴方の戦力がどの程度のものか……後日、貴方の戦力を査定します。」

「了解した、また後ほど。」

 

 

全て見透かしたようなその態度が気に食わない。

最近話題のシャーレの先生と同じくらいには。

自分が足踏みしている領域を軽々と飛び越えていくその姿に──柄にもなく憧憬を抱いた。

その事実がベアトリーチェを苛立たせる。

 

「いつか必ず、度肝を抜いてやる。」

 

その意思を胸にベアトリーチェは集会所を後にした。

 

 

──────────────────────

 

 

この場から消えたベアトリーチェを尻目にホモはこれからの展開を思案する。

 

 

「(ここまでは漕ぎ着けた、アリウス関係は流れに任せるだけだ。)」

 

 

盤面は殆ど出揃った。

 

ベアトリーチェ率いるアリウス分校。

ソレの対象であるゲヘナとトリニティ。

そこに首を突っ込むであろうシャーレの先生。

 

そして裏から人知れずコントロールする立場にのし上がったホモ。

綱渡りの場面が何度もあった、それは今後もそうだろう。

その甲斐あって、ようやく中間地点が見えてきたと言っていい。

 

だが、まだ足りない。

 

 

「(キヴォトス全体のレベルを上げるには、後2、3校に接触する必要がある。)」

 

 

ホモが今まで関わったのは『ミレニアム』、『アリウス分校』の2校。

ばら蒔かれた『神秘のカケラ』や『偽神のカケラ』により、裏側の連中も軒並みパワーアップしただろう。

 

それでも足りない。

(色彩)を呼び込む前に『トリニティ』、『ゲヘナ』、コレに加えて最低2校と接触したい。

 

 

「(山海経はパスだ、彼処の領主はキレ者だと聞く。)」

 

 

ホモの目論見がスムーズに進む事はまず無い。

大抵何かのアクシデントに巻き込まれたり、何らかのポカをやらかす。

スマートにゴールした試しなど皆無だ。

 

ミレニアムでも『鍵』の様子を見に行くと先生と出くわすし、山海経では愛を囁くヤバい奴に出くわした。

そういうもの全てを、後のリカバリーで無理やり突破しているに過ぎない。

 

なのでホモは基本的に第1プランが失敗する前提で計画を練っている。

それでもダメな時はAL-1S(王女)の力で無理やり突破する。

最悪アレ()を使えばどうにでもなる。

賢ぶっているが、ホモは案外脳筋なのだ。

 

 

「(……と来れば、レッドウィンター辺りが狙い目か。)」

 

 

レッドウィンターはキヴォトスの北端に位置する極寒地帯。

その保有領土はキヴォトスの中でも随一だが、管理しきれていないのか人口は校舎周辺に密集している。

そのため、多少敷地内で怪しい動きをしてもバレない。

距離もデュカリオンの箱舟の速度であれば、キヴォトス中何処へだって辿り着ける。

 

 

「(キヴォトス中にラボを増設する予定なのだから、次の目的地に設定してもいい。)」

 

 

ホモが聞いた話ではクーデターが日常茶飯事なのだとか。

常に実践形式の訓練を行っているのと同義なので、全体的な戦力で言えば三大学園にも引けを取らないだろうと言うのがホモの予想だ。

それに手を加えて効率よく強化を促す……。

考えてみればみるほどにアリだ。

 

 

「(やる事が多いな、それでこそやり甲斐がある。)」

 

 

次の予定が埋まっていく充足感を覚えていると、自分に近づく人の気配を感じ取った。

気付けばこの場に留まって居るのはホモと、寄ってきた黒服だけだった。

不敵に笑いながら黒服は話しかけてくる。

 

 

「クックック、少々時間を頂いても宜しいですか?」

「……何の用だ?」

 

 

露骨に嫌そうな態度を取るホモ。

ホモが言えたことではないが、黒服も普段何を考えているのか分からない。

分かっている事は、近付いてくる時は大抵碌でもない仕事を掴ませられるという事実だけ。

これ以上頭を悩ます案件を増やしたくないホモは睨みを効かせるが、怪しげに笑う黒服は構わず話し始めた。

 

 

「答え合わせをしておこうと思いまして。」

「答えなら出ただろう、唯の成り損ないだという答えがな。」

「いえ、其方ではなく───顕現させた理由の方を。」

「……。」

 

 

相変わらず良い所を突いてくる。

一先ず厄ネタでない事に安堵しつつ、続きを促すホモ。

ホモとしても他ゲマトリアの目にどう行動が映ったのか気になる。

 

 

「まずクリフォトの顕現は表向きの者にはカイザー系列への圧力、と多くの者は捉えられるでしょう。」

「違う理由があると?」

「厳密にはそれも狙いなのでしょう、ですが力を示すならもっと良い方法があった。例えば抱えのAL-1Sを全面的に押す……などですかね?」

 

 

力を示すだけならリスキーな方法だ。

何せ本当に顕現出来るか分からないのだから。

しかしその点をホモはクリアしていた。

黒服は予言の力(有能ですまない)を知らないから仕方の無い事だが。

 

 

「結論を言いましょうか。貴方が不完全ながらもクリフォトを顕現させた真の目的、それは『信仰』の複製を作成することでしょう?」

「……。」

「当たり、という事でよろしいですね?」

 

 

クックックと嬉しそうに嗤う黒服。

子供のような純粋な喜びが絶妙にウザい。

しかしホモに驚愕は無かった。

この男であれば気付くだろうと予想していた。

とはいえこんなにも早くバレるとは思わなかったが。

 

 

「貴方が運営しているブログは既にキヴォトス中に広まっています。悩み相談も的確に処理しているお陰で感情の大きさは規定を満たしているでしょう。貴方の言葉を信じる信者もたくさん──。」

「大正解だ、私はクリフォトを頭に新興宗教を作る。」

「クククッ、合理主義者は信じてしまうでしょうね?」

 

 

既に宗教として成り立たせようとする勢力がいる為、そこに乗っかるつもりだ。

偶然にも発祥元はレッドウィンター。

宗教が盛んなトリニティで流行るとばかり思って居たが嬉しい誤算だ。

既にホモの脳内ではレッドウィンターでどう活動するか、シミュレーションが開始されている。

今回こそは計画通りに行くだろうとホモは淡い期待を持った。

 

 

「貴方の目論見が上手くいくように祈っていますよ。」

「期待はしない方がいい、私は無神論者だからな。」

 

 

教祖の中身が無神論者とはとんだ笑い話だ。

せいぜい罰が当たらないように全力を尽くすしかない。

話は終わりだと踵を返すホモに、黒服が声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度また飲みに行きましょう。この前良い所を見つけたんですよ。」

「………善処する。」

 





ホモ「ある程度戦力あって、そこまで統率が取れていない学校……せや!!」
赤冬「こっち来んな!」

次回は再びRTAパートへ。
先にアリウス方面の問題を解決する予定です。


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乱入


お待たせしました。

RTAパートでのお届けになります。
アビドス編を早々に切り上げた私にプロット崩壊の恐れなどない!
……嘘をつきました、地下生活者だけちょっと不安です()



ベアおばの無茶振りを無心でこなすRTAはーじまーるよー!(棒読み)

 

前回はエデン条約編に1枚噛む事が確定したホモ君。

走者の思い通りに動くベアおばは見ものでしたね!!

ゴルコンダから兵器を買い占めることで、ベアおばへ圧力をかける事が可能となります。

こうする事で「俺の頼み、聞かないと分かってるよな?」と言う脅しを遠回しに伝える事が可能です。

 

但し、あまりにも露骨すぎると他ゲマトリアからリンチからのボッシュート(最終編のベアおば)を喰らうので注意です(2敗)

ベアおばより早く退場するとは、走者の面汚しめ(ブーメラン)

 

さて、今回は黒服との飲み会(タイムロス)に怯えながら、アリウス方面の問題を解決していきます。

これまた案外やる事が多いです。

ちゃんとした解説は後にして、とりあえずゲームの方を進めましょう。

ゲマトリア集会が終わったのでホモ舟に帰還します。

ほな、イクゾー!デッデッデデデデ、カ↑ーン!!

 

 

・『ワープ』発動

・目的地:デュカリオンの箱舟

 

「オーナー!」

・AL-1Sが真っ先に出迎えに来た。

・後ろから全員が出迎えてくる。

 

 

かわいい

やっぱりAL-1Sを…最高やな!!(あたりまえ体操)

全員集まったのも丁度いいです、これからの目的地を伝えておきましょう。

目的地は勿論、アリウス分校の敷地内です。

 

 

・アリウス自治区へと向かう事を伝えた。

()()()は完了済みです、いつでもお供致します。」

・チームⅤは既に準備万端のようだ。

 

 

君達よく有能って言われない?

タイム短縮に繋がる行動はどんどんしていけ〜?

(前準備ってなんだ?)

何だか分からんがヨシッ!!

 

あ、そうだ(唐突)

兎とカイは今回お留守番です。

 

 

「うぇッ、またですか!?」

「……一応理由を聞いても良いかな?」

 

 

理由は単純で、君たち二人は切り札だからです。

勘違いしないで欲しいのが、AL-1SやチームⅤも大事な駒です。

違いは、この2人の力の怖さを知ってる人が居るか否か。

これはとても大事なことです。

 

先生とミレニアム以外は兎のチート能力を知りません。

そして誰もホモ君がカイを迎え入れた事を知りません。

 

戦闘を行う上で知られていない戦力は、あるだけアドです。

対策されてなければ、兎とカイは敵に()()()()()

実際またミレニアムと戦う機会があれば、間違いなく兎は役立てないでしょう。

これが巡り巡って、タイム短縮に繋がるんですねぇ。

 

今回は割とバランス良いパーティですが、誰かさんが『神名のカケラ』をばら蒔いたせいでモブが軒並み強化されてるので……。

許さんぞベアトリーチェ

カイ?彼女は生徒だから無罪です(暴論)

 

だから(兎とカイの情報はなるべく外に出したく)ないです。

ベアおばにバレたら、絶対にちょっかい出されるゾ!

2人の力が強欲BBA(ベアトリーチェ)の琴線に触れる事は想像にかたくありませんからね。

 

へへっ、ところでカイさん。

例のブツはどうですか……?

 

 

・例の薬の進捗について訪ねた。

「勿論順調だとも、もう1週間もあれば量も十分用意できる。」

・『麻酔弾(改)』を手に入れた。

・『解析』発動

・特に変な効果は付いてないようだ。

 

 

うん!おいしい!!

麻酔弾(改)は今回の章で使用するキーアイテムです。

これで相手の集中力を削ぐ程度しか仕事のなかったホモ君も、戦闘で活躍する事間違いなしです!

(仕事が増えるだけで勝てるとは言っていない。)

 

『解析』発動したのは、カイが注文と異なる作用の薬を作ってないか確認する為です。

隙を見せると直ぐに裏切ろうとするので気をつけてください。

強化薬だと思って飲んだ薬が若返りの妙薬だった時はぶちギレましたねぇ(1敗)

今回はしっかり注文通りの品を作ってくれたので良かったです。

 

 

・「てっきり何か混ぜるかと思っていたが……。」

「これでも私はプロフェッショナルで通ってるんだけどね?」

・「冗談はよしてくれ……。」

 

 

微笑ましいなぁ(節穴)

あんまり長く話すと他の子達のストレス値が上がっちゃう〜^

なのでそろそろ出発します(鋼の意思)

既にワープの印は()()()()()()()()()()

では───

 

 

ノックしてもしもーし!!!

 

 

・『ワープ』発動

・目的地:ベアトリーチェ

・アリウス分校のバシリカへと繋がった!!

 

「ッ!?いつの間にワープを……」

・どうやら演説中にお邪魔したらしい。

・目の前には大勢のアリウス生徒達が、スクワッドも居る。

 

 

あれま、タイミングが悪い。

しかしこれもRTAの定め、許してクレメンス。

ベアおばの入浴シーンに突撃しなかっただけマシです(1敗)

これはアレですね、これから起こすエデン条約のテロ行為の士気上げでもしてたんでしょうね。

知らんけど。

 

何やらガヤガヤとベアおばが煩いですが、無視です無視(無慈悲)

ちょっと長いイベントシーン(ホモ君の演説シーン)が入るので、今回の目的のおさらいをしておきましょう。

 

今回の最終目的である称号『崇高』は()()()()()()()()()()()()()()()()

代わりに称号『救世主』が手に入ります。

 

ならばどうやって手に入れるのか。

称号『崇高』は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に到達、または確認する事で入手が可能となります。

なので別にホモ君が崇高存在になる必要はないんです。

ホモ君だと単純に基礎スペック不足だから仕方ないネ。

 

なぜ色彩を倒す必要があるのかって?理由は2つ。

1つは縛りプレイです(走者の鏡)

ゲマトリア√走ってるだけでも結構アレですが、私ほどの腕前になると縛りの1つや2つないとね?

 

もう1つは彼を呼び込んだ方が早く崇高存在を作ることが出来るからですね。

今のところ色彩が介入せずに生きたまま崇高存在になったキャラが、極悪ホモ君のおじさん(小鳥遊ホシノ)1人しか確認できてないんですよ(隙あらば宣伝)

再現しようにも終わらないキャラ厳選で血を吐いたので、泣く泣くお蔵入りとなりましたがね()

 

 

・演説では貴方のこれからの方針を話した。

・アリウス生徒達の好感度が上がった気がする!!

・ベアトリーチェの好感度が下がった気がする!!

「……。」ギリッ

「素晴らしい演説でした、オーナー。」

 

 

ここで何を話すかはカルマ値で決められます。

ホモ君は善寄りの中立なのでそこまで尖った内容では無かったと思うのですが……。

モブたちの好感度上がりすぎじゃね?

 

というかベアおば滅茶苦茶切れてて草。

その顔が見たかったァ……!

自分の演説台無しにされた挙句、カルマ値が真逆の演説聞かされたらそうなるわ(納得)

 

 

「貴方という人はッ──!!」

・凄い形相のベアトリーチェが絡んでくる。

 

 

まともに相手してはダメです、ロスなので。

平時なら軽くドンパチしたかもしれませんが、余計な兵力を使いたくないベアトリーチェは手を出してきません。

あとさっきの様に強引に進めないと場のコントロールが難しくなるので(2敗)

 

 

「もう小一時間問い詰めたいところですが……、カタコンベを通ってトリニティ地下へ向かいなさい。待ち人がいます。」

 

 

待ち人とはみんな大好きマエストロのことです。

カタコンベを通って行くのには時間がかかるのでその間にアリウスでエデン条約迄にするべき事を解説していきます。

 

・アリスクとのコミュ

優先度はかなり低いです。

この頃の彼女達の心を解かすには、多大な時間と労力が必要となります。

ぶっちゃけエデン条約迄に間に合いません。

アリスク強火勢兄貴達には申し訳ないですが、今回彼女たちと絡む事は無いでしょう。

 

・ベアおばの無茶振りをこなす

優先度は普通です。

既に幾つかのクエストを受け取っていますが、全てする必要はありません。

難度の高い依頼しかない癖に報酬も不味いし。

リオの報酬の方がうまあじだったってマ!?(煽り)

後ろから撃たれるリスクを消す程度の信頼度を維持してればOKです。

 

・アリウスモブとのコミュ

優先度は割かし高いです。

コレはエデン条約とは全く関係ない仕込みなので、今回はカットします。

 

・マエストロとの合作

優先度は1番高いです。

直接戦闘出来ないホモ君は、今まで指揮と研究でチョロチョロと経験値を稼いでいましたが、マエストロとの合作非エロ君作成は多大な経験値を与えてくれます。

幸いマエストロの好感度は高いのでガバを産む可能性も低い。(起こさないとは言ってない)

 

そんな事でマエストロとのコミュは今回一番大事です。

なんで私は透き通る世界で、大人の異形頭としかコミュ取ってないんだ?(正気)

おっと、どうやらもう目的地に着いたようです。

 

 

「待ちわびたぞこの時を。」

・双頭の木偶人形、マエストロと遭遇した。

 

 

 

「始めようか、我々だけの崇高を完成させるために。」

 





次回も引き続きRTAパートになります。
(本家からの供給で)止まるんじゃねぇぞ……


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太古の教義


お待たせしました。

前回のあらすじ

ホモ「アリウス分校行くぞ、問題児2人はお留守番です」
2人「ちぇー」

ホモ「エデン条約テロ、裏から動かす為にも深く関わりたいな……せや!!」
ベアおば「何してくれとんじゃ!?」
リーダー「そこに痺れる憧れるゥ!!」

ホモ「お待たせ、待った?」
マエストロ「ううん、今来たところ♡」

だいたいこんな感じ



 

 

「始めようか、我々だけの崇高を完成させるために。」

 

 

この双頭の木偶人形こそが、ホモ君と同じゲマトリアのマエストロさんです。

因みに人形呼ばわりすると好感度が下がっちゃうので注意です(3敗)

 

こんな見た目ですが割と激情家でもあります。

作品に対する尊敬の念が高く、ホモ君の『神秘のカケラ』をばら蒔かれた時も、分かりやすく憤ってくれてました。

お前もやっぱりホモかよォ!!(盛大な勘違い)

 

何だかんだ一番仲間のこと考えてそうなのはマエストロなんですよね。

唯一の欠点は、台詞が回りくどくて話の内容が半分も理解できない程度です。

 

 

・マエストロに話しかける。

「ひとまずは、このトリニティ地下に封印されている『太古の教義』まで彼女たちに案内して貰う。詳しい事は道すがら話そう。」

・マエストロの近くで待機していたアリウスの小隊が道案内をしてくれるらしい。

 

 

新しい単語が出てきましたね。

『太古の教義』とは、古代キヴォトス人が信仰していた宗教の教えを体系化した物です。

ざっくり言い表すと、昔キヴォトスで流行った宗教のルールブックです。

 

 

・「なぜ、『太古の教義』に目を付けた?」

「その『太古の教義』に秘められた神秘、そして恐怖。我々の目指す崇高とは違うが、その根本的な概念は全く同じだと私は思っている。ならばこそ、最終的には崇高に辿り着くとは思わないか?」

 

 

コ↑コ↓ですが、肯定のセリフを選びます。

基本的に他者の理念にも敬意をもつマエストロですが、彼と方向性が真逆の行動をとると露骨に好感度が低下します(1敗)

原作では合理主義なベアおばとかなり反目していました。

 

 

・マエストロの意見に肯定する。

「っそうだろう、そうだろうとも!!やはりシミュラクラ現象*1の────」

 

 

嬉しそうなマエストロですが、まとめると以下の通りです。

 

彼は『太古の教義』の神秘に対し独自の解釈をする事で、新しい作品を生み出そうとしています。

恐らく既に解き放たれたであろうシロ&クロとは別ベクトルからのアプローチ。

 

もはや崇高に辿り着くための手段を目的にしているマエストロからすれば、アレ(太古の教義)は最高のインスピレーションを与えてくれる題材なのでしょう。

 

そんな彼はゲマトリア内で最も分かりやすい功績をあげたキャラとなります。

その最たる物が複製(ミメシス)と呼ばれる技術。

根源の感情のレプリカである恐怖の感情のそのまたレプリカ。

歓喜、悲哀、憎悪、etc……

これらの恐怖の模造品である感情を理解・解釈する事で恐怖の解釈を高めた功績があります。

 

成果にして微々たる進歩ですが、彼が居なければゲマトリアは一生足踏みしていた可能性がある程の技術です。

事実ゲマトリア√を走ってて1番お世話になったのは、この(複製)技術です。

 

崇高に近付くという点においては、走者的に彼が1番働いてると思います。

次点でゴルコンダ(テクスト)黒服(無名の司祭オーパーツ)ですかね、この2人にそこまで差はないです。

ベアトリーチェですか?彼女は儀式に失敗したので……(辛辣)

戦犯行為(色彩呼び出し)もあるので仕方ないね!!

 

 

「ベアトリーチェに作品を貸し出すという縛りを結んだが、それを差し引いても有意義な創作時間になるだろう。」

 

 

多分ホモ君に頼んでチームⅤに案内してもらう方が安上がりだと思うんですがそれは……。

これ以上ホモ君の仕事増やすとストレス値が溜まって爆散するので助かりますけどね。

あと新しい作業が追加される度にガバに恐れないといけないからやめてくれよ…(ガバ恐怖症)

 

 

本番(エデン条約)には間に合わないと思っていたが、貴殿のお陰で間に合いそうだ。」

・表情の変わらないマエストロだが、声色から歓喜の感情が読み取れる。

・その後も雑談をしていると一際広い広間へと足を踏み入れた。

 

 

はい、ここが例のブツ(太古の教義)が封印されている場所となります。

パッと見は普通の本にしか見えませんが、多くの神秘と恐怖を秘めたトンデモオーパーツです。

嘘みたいだろ?

コレひとつで都市が崩壊するような厄ネタ満載なんだぜ?

 

『太古の教義』は入手が困難なオーパーツなのを解決すれば、メインチャートに組み込めるんですがねぇ。

カタコンベと言うパターンが何通りもある巨大迷路攻略に、ベアおばの領地モロ被りというダブルパンチ。

うーん、却下!!

 

でも案外、抜け道は有りそうなんですよね。

マエストロも動きのパターンがわかりやすい分、ベアおばより安定した行動を取りやすいでしょうし。

誰かチャート思いついたらコメント下さい(コメント乞食)

 

 

・部屋中央の石造りの譜面台に置かれたソレを、マエストロが躊躇なく腕にとる。

・速読しているのか、ページが高速で捲られる音が木霊する。

「……私が求めていた物に相違ない。」

「読むといい、良き衝動が貴殿を突き動かすだろう。」

 

 

貰えるもんはガバと病気以外なら貰います。

ホモ君もコレ読む事で新しいスキル生えてくれると嬉しいんですけど……

 

 

・『太古の教義』を読んだ。

・自分には合わない内容だったのかあまり衝撃は受けなかった。

「……残念だが仕方ない、誰にも得手不得手はある。」

 

 

ダメみたいですね()

この程度でマエストロの好感度は下がったりしないでしょうが、すこし心配ですね。

じゃけん、しっかりケアしましょうね〜。

 

 

・教義の解釈による人工天使の顕現について言及した。

「ふむ、やはりそこに食いついたか。」

 

 

マエストロもこの時点で考えついてましたね。

原作では急ピッチの突貫工事だったため*2、完成体とはならなかったヒエロニムス(受肉せし教義)

それを今回は間に合わせるどころか、完成体よりも強化しちゃいます。

 

案として挙げられるのは以下の三つ。

 

・『神名のカケラ』による神秘の向上

複製(信仰)による恐怖の向上

・人工天使シリーズの案出し

 

まず1つ目、定番となりつつある神秘の強化は生徒以外にも適応可能です。

元々神秘を持たない黒服や、無生物の預言者までなんでも適応可能……の筈でした

はい、()()()()()()()()()()()()()()()(半ギレ)

 

まあ?

直接戦闘に参加する機会なんて皆無なので?

別に構いませんけど?

 

賭けますか!?

 

次、2つ目の複製による強化ですが、原作マエストロがどの感情の複製を用いて完成させたかが不明なため、此方で強化倍率の高い感情を指定させてもらいます。

純粋な恐怖の感情による強化がBESTですが、技術力不足なのでここはBETTERの信仰でいきます。

 

最後の人工天使シリーズの案出しです。

別にしなくてもいいんですが、この後の手間を考えるとここで一気にマエストロの好感度をあげた方が得なのでヤりましょう。

ちゃんと案は作ってあるからへーきへーき、安心しろよなぁ!!

非エロくんは防御クソゴミなので耐久面を上げる『聖徒の交わり』がいれば相性がいいです。

 

という訳で君に決めた、『イノケンティウス』!!*3

能力は聖油による回復です。

相手に『酩酊』のデバフをかけれるのも、あ^〜いいっすね^〜!!

 

 

「ほほう?」

・マエストロは貴方の案に食い付いた。

・……どうやらお気に召したようだ。

「成程、秘跡(サクラメント)をオマージュした……」

 

 

(何だか長考し始めたが)兎に角ヨシッ!!

後はマエストロに任せても大丈夫でしょう。

そもそも彼は創作に口を出されたくないタチでしょうし、ここが引き際です。

あ、あのーマエストロさん?

 

・完全に自分の世界に入っている。

・名前を読んでも反応がない。

 

あっ(察し)

これ以上は無意味なのでモブちゃん達を連れて引き返しましょう。

マエストロならどうせ此処に缶詰めでしょうし。

 

今回はここまで!!

次回はベアおばの難題をこなしつつ、赤冬へ突撃します!!

 

ご清聴ありがとうございました。

 

 


 

 

ホモ達が帰還した後もマエストロは独り言を唱えていた。

既に一刻が過ぎているがその勢いは増すばかり。

 

 

「それが神からの恩寵であるならっ、ホモよ!!……居ない。」

 

 

発案者に話しかけようとして初めて気がついた。

別段憤りは感じない、自分は熱中すると周りが見えなくなるタイプだと認識しているからだ。

 

それはそれとして、その背姿は哀愁が漂う。

だが間違いなくマエストロにとっては今が人生?の絶頂期であった。

 

 

「やはり彼は我が同胞に相応しい。」

 

 

自分の芸術性に理解を示すだけでなく、話についていける人物は稀だ。

ホモという理解者を得たマエストロは溢れ出る創作意欲で今にもどうにかなりそうな幸福感を感じていた。

 

 

「惜しむらくば芸術の方向性が違いそうな所だ、新たな視点を得たと思えばそれも良し。」

 

─あぁ、早くこの高揚感が尽きる前に創作せねば。

 

「先生よ。そなたであればこの作品を理解してくれるに違いない。」

 

*1
ハレのヘイロー

*2
だいたいベアトリーチェのせい

*3
魔女狩りの王に非ず





次回もRTAパートになる予定です。

アンケートの結果で戦々恐々とする日々を過ごしました()
実はオリジナル要素てんこ盛りであんまり乗り気じゃ無かったんですけど、ホモ君の過去編が思ったより需要ありそうなのでやります。
予定としてエデン条約編が終わる頃に、そして日記形式になるかと思われます(縛り)


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掴み取れない光


お待たせ致しました。

RTAパートと言ったな?
あれは嘘になった、すまぬ。
ホモ君が帰るまでの間の一幕をねじ込みました。



ホモがマエストロと共に『太古の教義』を求めてトリニティ地下へと赴いてる間のこと。

リーダーは()()()()()を済ませて指定位置へと戻るところだった。

何者かに呼び止められることがなければ。

 

 

「どういうつもりだ。」

 

 

声のした方を向くと、敵意剥き出しと言った様子で此方を睨むアリウススクワッドのリーダー──錠前サオリが立っていた。

それに対してリーダーは心当たりがあるが、とりあえずすっとぼける事にした。

 

 

「……なんの事だか?」

「とぼけるな、お前が此方(アリウス自治区)へ帰還する度に同胞を()()してるのは知っている。」

 

 

いつかはバレると思っていた。

サオリの言う通り、リーダーはアリウス生徒達に

「エデン条約テロ終わったらコッチ来ない?」的な誘いを出していた。

 

オーナーが戦力を節操無く蓄えてる(五塵の獼猴とか)理由をリーダー達は知らない。

何となくナニカとの大きい戦いに備えているということは分かる。

そしてそれがエデン条約のことでは無い事も。

ならばリーダーは出来ることをするだけだと、片っ端からアリウス生徒に声をかけた。

 

馬鹿にする者、無言で考えに耽ける者が居たが、ベアトリーチェに密告する者はいなかった。

事前に密告のリスクの高い者を避けたという事もあるが、既に大半の生徒へ勧誘を済ませた。

 

そう、()()()()()

ホモの演説の効果もあり、多くの生徒へ勧誘を進めることが出来た。

あれがなければ勧誘のペースはもっと遅くなっていただろう。

 

多くの生徒が心の奥底で望んでいる希望、それがベアトリーチェの支配からの脱却。

リーダー達の扱いを見れば、ホモとどちらがマシかは一目瞭然である。

 

自分たちには憎悪以外にも生きる術はあるのではないか?

その希望・幸福を振りまくリーダーの行動がサオリの目に余ったらしい。

 

 

「エデン条約間近に、同胞の憎悪を薄れさせるお前達を放置する訳にはいかない。」

 

 

銃口をこちらに向けられる。

辺りに人の気配はない。

初めからこの状況を作り出そうとしていたのだろう。

 

それでもリーダーは依然冷静であった。

敬愛するオーナーが突如告白された時と比べればなんて事ない。

……思い出したら無性に腹が立ってくる。

 

 

「私達はオーナーの専属になったが?」

「………契約を満了してからの筈だ。多分、恐らく

 

 

急にたどたどしくなるサオリ。

彼女のみならず、アリウスの生徒は戦闘関係の教育以外をろくに受けていない。

 

このまま言いくるめるのは簡単だ。

だがリーダーとしてはサオリの事も勧誘したい。

初期の頃は妬ましくも思っていたが、彼女の強さは本物だから。

スクワッド全員が勧誘できれば儲けものだ。

 

そして単純に───これ(サオリとの戦闘)程に自分がどれだけ成長したかが分かりやすい指標はない。

 

 

「いいだろう、付き合ってやる。」

「ッ!!」

 

 

言うが早いか、リーダーは駆け出した。

一拍遅れてサオリも追従する。

閑散としたスラム街の風景に銃声が混ざり込む。

 

 

「逃がさん!」

「チィッ!!」

 

 

状況的には五分五分……に見えてサオリが有利だ。

そもそも襲撃を予定していたサオリに地の利はある。

そして追跡側の方が攻めに専念しやすい。

 

2人の戦闘スタイルは同じAR使いのバランス型、本来の戦闘スタイルは弾幕による削り合いになる。

現在のような走り回っての戦闘は、本来AL-1Sの得意分野である。

単純な才能だけで言えばリーダーを軽く越すサオリならものの数分で制圧できただろう。

しかしそうはならなかった。

 

 

「(間違いない、強くなっている。それも飛躍的に!!)」

「正直凹む、アリウス自治区を去った後も鍛錬は怠らなかったんだがな!!」

 

 

チームⅤの中で1番腕が伸びたのはリーダーである。

休日にも鍛錬を続けているのだから当然の帰結ではあるが。

リーダーの強みは()()だ。

ホモへの揺るぎない信仰心に達した敬愛、それこそがリーダーをさらに上へと押し上げんとする。

 

 

「おい、貴様もこちら側へ来い。少なくとも悪い様にはならないぞ?」

「私に裏切りを諭すのか?」

「それは誰に対しての裏切りだ?」

「アリウスの憎悪(信仰)への裏切りに決まっている!!」

「嘘だな、そんな事欠片も思ってないだろう?」

 

 

その通り嘘である。

彼女(サオリ)をアリウスに縛り付けているのはアリウススクワッドの存在──その中の1人、秤アツコ。

彼女の身の安全がベアトリーチェに握られている限りテコでもサオリはこちら側につかない。

リーダーは()()()()()()無理だと感じていた。

 

 

「(貴様は優しい奴だよ。)」

 

 

本気でチームⅤを潰すなら、真っ先にマダムへ密告する筈だ。

無意識下だが、同じアリウスの同胞を守ろうとする意思がそこにはあった。

ニヒリズムは異常な環境下で仲間を守るために出来た偽の人格。

小さな希望(ホモ)、それを心の片隅で少しは信じているのだ。

 

 

「最後にもう一度言うぞ、憎しみも悲しみも捨ててコッチへ来い。」

……私達はお前達のようになれない。

「残念だよ……そして今度は形勢逆転だ。」

「リーダー、状況は……OK。大体了解したっす。」

「(仲間と合流する為に走り回っていたのか……。)」

 

 

いつの間にかチームⅤが出揃っている。

追い立てていたつもりが、誘導されていたらしい。

以前ならともかく現在成長したチームⅤを全員相手するのは無謀だ。

 

 

「流石にこの人数差は貴様でも厳しいだろう?」

「(嵌ってるなぁリーダー、オーナーの雰囲気が移ったんですかね?)」

「おっ、今の黒幕ムーブは凄くオーナーぽかったっすよ!」

「そ、そうか?」

「(あぁ、言わなかったのに……。)」

「……そうだな、ここ迄のようだ。」

 

 

サオリが片腕を上げようとする。

諦めたのではない、()()()()

後ろに控える仲間(アリウススクワッド)に合図を送るために。

 

マダムへは突き出さない、エデン条約テロまで大人しくして貰うだけだ。

そんなサオリの腕が完全に上がりきる前に────

 

 

 

「何をしている?」

「質問、当機も参加出来ますか?」

 

 


 

えっ、何これ修羅場?

アリスちゃんと合流して集合場所に着いたら、何やらチームⅤとサオリがお互いに銃を突き付けあってるんですが……

もしかして何かガバった?

 

そうはさせんぞぅ!!

 

 

「オーナー…これは、その、」

・「帰るぞ。」

 

 

あとの事なんかうるせ〜〜!!知らねぇ〜〜〜!!!FINAL FANTASY!!!!

なんかサオリが凄く睨んできますけど無視です無視。

あくしろよッ、どうなっても知らんぞー!!

一旦ワープで拠点へ戻り、そこからホモ舟で一直線に向かいます。

 

 

・『ワープ』発動

・目的地:アビス拠点

 

「あ、おかえりなさぁーい!」

「思ったより早かったんだねぇ?」

・机の上にはボードゲームが置かれている。

・どうやら留守中は仲良くしてたようだ。

 

 

ヨシッ!!(現場猫)

カイとの交流でストレス値の事だけが気がかりでしたが、特に問題なさそうですね。

じゃけん、さっさとレッドウィンターいきましょうね〜。

 

現在地はゲヘナのアビスと呼ばれる火山地帯の拠点に居ます。

なんでこんな暑苦しい所に居るかって?

 

ここの溶岩は天然の炉となっており、製作コストが普通の施設を使うより安上がりになります。

あとは単純に人が少ないです、たまーに温泉開発部が来たりしますが。

 

此処からレッドウィンターの自治区へ向かう間、ホモ舟でも割と時間がかかるので、その間に解説をしておきます。

 

レッドウィンター……長いので赤冬と略します。

その名の通り年中雪が降り積もる僻地で、学園領土だけで言えばキヴォトス最大と言えます。

人口は学園に集まってるので実際の活動範囲はもっと少ないですがね。

 

校風は───今はいいでしょう、どうせすぐ分かります。

この学園で重要なのは連邦生徒会の影響力が薄いという点。

僻地なので他の裏社会人ともブッキングしないという神環境。

じゃあなんで最初から拠点に選ばなかったのかだって?

凍死するからに決まってるじゃあないですか(1敗)

同様の理由でアビスも除外です。

溶岩にダイブしてアボンッ!!となる事が多い事……(3敗)

 

 

「雪が見えましたよオーナー!!」

・どうやら敷地内に侵入できたらしい。

 

 

っと、解説してる間に着きましたね。

流れとして此処から少し歩いて第1村人を発見したら、例の『クリフォト新興宗教』について聞き込みしましょう。

 

そして宣教師として活動してる人と接触できれば、一先ずは第1目標はクリアです。

宣教師は恐らくノドカとかシグレとか、特別クラス監修生徒でしょう。

 

という訳で今回はここまで。

次回は実際に赤冬へカチコミを仕掛けます。

 

ご清聴ありがとうございました!!

 





次回は流石にRTAパートから始めます。

赤冬編はあと5話くらい予定していて、それでエデン条約間近まで進む構想になっております。
オリジナル要素多めとなるので、楽しんで頂けると幸いです。


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宣教師


前回のあらすじ

リーダー「お前も仲間になれ!!」
サオリ「ばにたす(拒否)」
ホモ「はよ赤冬いくぞ」

筆がのったからほぼ連日投稿じゃ。
今回は多くのオリジナル要素を含む話となっております。



某連邦国の様な学園で宗教活動を始めるRTAはーじまーるよー(棒読み)

 

前回やっと赤冬へ到着しました。

ので、コ↑コ↓からは聞きこみ調査です。

地道な情報集めが一番大事だってそれ、1番言われてるから。

 

 

・今はもう夏だと言うのに、辺り一面は雪模様だ。

・仲間の様子を見る。

 

「興奮、見てくださいオーナー。特大雪だるまです!!」

「うぅッ寒い!私は舟で待機してるので……」

「ダメに決まってるだろうが。」

「……雪国と言えば熊鍋ですよね?」

「君はどこに行っても変わらないねぇ。アビス(火山地帯)じゃBBQにも手を出してたらしいじゃないか?」

 

 

元気だね君たち。

走者も外でブイブイ言わせてた頃が懐かしいですよ(唐突な自分語り)

 

探索の前にホモ君にはヘルメットで顔を隠して貰います。

ホモ君だけのことではなく、基本的にゲマトリア陣営で走る時は異形頭になります。

 

察した視聴者兄貴も多いと思いますがその通り、出会う人々皆の好感度が下がりまくります。

特にこの学園の生徒会長は精神が幼い部分があるので……。

 

他に注意点としては雪山に単独で探索に繰り出すと、クマに襲われてゲームオーバーになります(2敗)

逃げようにも雪原を走るのはスタミナを平時より大量に使用します。

どうしても山中を探索したい時は生徒を何人か連れていきましょう。

数の暴力で追い払えます。

 

それか熊よけ用のアイテムも、高値で数は少ないですが入手しておくのもいいでしょう。

今作ではアリスちゃん1人が居れば投げ飛ばしてくれます。

戦力になってガバも生み出さない、ええ子やでホンマ(しみじみ)

 

 

・ホモはヘルメットを装着した。

・「違和感はないか?」

「とってもお似合いっすよ!」

 

 

問題なさそうですね!

それでは人が見つかるまで、視聴者兄貴達のために〜?

赤冬に関して2つも解説をしちゃいます!!

 

探索は学園の中心へ向かいます。

というのにも理由がありまして、恐らく宣教師として活動しているであろう特別クラスの生徒。

彼女たちは生徒会長により停学処分をくらい、旧校舎へと隔離されています。

 

勝手に会いに行こうにも場所の手がかりは無いし、僻地の奥に(片道1時間)向かわなければなりません。

いくら人気が皆無だとは言え、ホモ舟で山を不毛の大地にする訳にも行きません。

なので一旦生徒会長と面識を取って宣教師の情報を貰う必要があったんですねぇ!!

 

あと宣教師が彼女達とは限りませんから。

変に焦って択を取るよりも、私は安定を取りに行きます。

それを私はエリドゥで学びました(手遅れ)

 

 

・学園中央に近づいたからか、人気が多くなってきた。

・何やら人が集まっている、噂に聞くデモだろうか?

「生徒会長は宗教弾圧を止めろーッ!!」

 

 

あら、思ったより早かったですね。

解説1回しか出来ませんでしたね……。

ま、ええか(開き直り)

 

生徒会長を探すまでもなく、宣教師の集団に遭遇しました。

しかしなんですかね?聞き覚えのある声が……

あんまり今は聞きたくないキャラクターの声に似てるんですけどまさかね?

 

チラッ

 

げぇっ!!?

 

 

・集団の先頭、デモ活動を率いてる彼女は安全ヘルメットを被り抗議を続けていた。

 

「学生全員に平等な信仰を!!生徒会長の職権乱用を許すな!」

「うわぁ……。」

「驚愕、凄い熱気です!!」

 

 

宣教師お前かよ!!

 

 

失礼、取り乱しました。

彼女の名はミノリ、工務部の部長です。

工事、監督の腕は確かで、部員からの信頼も暑い頼れる生徒です。

ここ迄は普通の生徒なのですが、ぶっ飛んでるのが彼女の趣味。

 

それが趣味「デモ&ストライキ」

 

なんだこれはたまげたなぁ……。

彼女の琴線は非常に敏感で、ちょっとでも労働者を軽んじる言動をするとストライキします()

そのやらかしは、取引先に依頼された完成間近の建築物を爆砕したり等など。

その思想が自分にも反映される辺り、非常に真面目な生徒とも言えますがね。

 

 

「むっ、見ない顔の奴らだな。」

・目をつけられた。

・何をしているのかを聞き出す。

 

 

ダメみたいですね(諦観)

どうせ彼女と接触する必要があるのでこれはコラテラルダメージです。

きっと、多分、メイビー。

 

 

「見ての通り、私達は平等を勝ち取るために抗議活動をしている。」

「見ればどうやら大人のようだが……君は彼女達の雇い主か?」

・矛先がこちらに向いた気がする。

 

 

はい、コ↑コ↓ですが選択を誤ると敵対関係になり、走者のチャートは爆発四散します。

許せねぇよなぁ!?

 

ですが余り心配はしてません。

なんたってホモ君はミノリの理想とする依頼主の体現者ですからね!!

それでも「休み?そんなものは無い」的な選択肢を取るとすぐ下がるから注意な!!(1敗)

 

 

・「私が話すよりこの子達に聞く方がいいだろう。」

・リーダーが1歩前に出た。その目は狂気的な光が宿っている。

 

・『崇拝者』発動

「オーナーは素晴らしい人物だ!!」

 

・リーダーの熱弁によりチームⅤの勤務形態が語られる。

・カイはニヤニヤしている。

 

「嘘偽りは無い……どうやら私達は同じ道を進む盟友のようだな!」

・握手を求められた。

 

 

ヨシッ!!

ホワイト運営で助かりましたねぇ、ブラック企業ならこうはならない。

彼女は根っからの社会主義の他に、工務部ですからね。

労働者を労る精神を持つキャラだと仲良くなりやすいです。

カルマ値善寄りだと簡単に聞き込みできていいですわ。

 

 

・握手に応じる。

「うむ……ってその杖は、その神秘はッ!」

・持っていた杖を見たミノリは狼狽え始めた。

 

 

ん?何だか雲行きが怪しく……(デジャブ)

 

 

「……そういう事か、これも巡り合わせだと?」

 

 

何?何なの?怖いよ!!?

 

おおおお、餅つけ!!(混乱)

こういう時は落ち着いて相手のステータスを確認するに限ります。

えーと、ミノリのステータス情報は……

 

 

名前:安守ミノリ

所属:レッドウィンター工務部 部長

スキル:「鼓舞」、「陣地製作」、「縦横無尽」、「聖書作成(仮)」

状態:共鳴

 

 

あっ(察し)

 

 

 

「皆──彼こそが機械神教の教祖だ!!

・!?

「「「!?」」」

 

 

 

……マジでどういう事?

 

 


 

 

これはホモとミノリが出会う直前の話。

レッドウィンター学園内部の事務局で生徒会──連河チェリノ達は『機械神教』の対処に頭を悩ませていた。

具体的に言うと活動が過激化してきた『機械神教』に対して。

保安委員長の池倉マリナが声を荒らげる。

 

 

「あの頭の固い工務部め!『機械神教』なんて変な宗教に傾倒するとは!!」

 

 

最近話題になっていた、なんでも答えてくれるAIブログ。

通称『クリフォト』が相談者の悩みを確実に解決するのだが、そのAIを神として奉る新興宗教が流行っている。

まどろっこしいルールなんてなく、ただ懺悔(相談)すれば良い。

その取っ付きやすさが信仰に拍車をかけた。

 

P.N.ワッピー☆さんも

「最近皆が話し掛けてくれる頻度が増えました!!」

と太鼓判を押している程に効果がある。

 

 

「落ち着け保安委員長、オイラに策がある!!」

 

 

珍しくチェリノは自慢満々だ。

こんな時は大抵本当に役に立つ案か、役に立たない案かの極端な2択。

仄かな望みをもって秘書室長の佐城トモエはチェリノに続きを促した。

 

 

「それでチェリノちゃん、策って言うのは?」

「それは───これだ!!」

 

 

取り出したるは古めかしい木製の箱。

何やら底知れぬ雰囲気を感じる、一目でガラクタではない事が伺い知れる。

 

 

「これは事務局会長に代々伝わる、守り神が封じられた箱だ!!」

「守り神……ですか?」

 

 

とてもそう見えない。

邪なる気配の漂うそれに皆は引いている。

そんなことを気にせずにチェリノは話し続ける。

まるで()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「ただこの箱、蓋がとてつもなく固い。開けるのを手伝ってくれないか?」

「そんな事ならおまかせを!!」

「(違う、何かおかしい……。)」

 

 

違和感

 

 

話が上手く運びすぎている。

この場でトモエだけが異様な雰囲気を感じ取っていた。

マリナは守り神と聞いて目を輝かせている。

コイツはダメだ。

 

やる事なす事が全てぶっ飛んでいる会長だが、こんな怪しげな方法を取るだろうか?

そもそもの話、宗教弾圧を始めたのは自分が1番に扱われないと言う駄々からが始まりだったのに。

この方法だとその守り神が新たな新興宗教として奉られるだけの気がする。

 

チェリノは無能ではない、そこに気づかないはずは無いが……。

 

 

「おおっ?そもそも外れそうですよ!!」

「よし、いくぞ。」

「ま、待って───」

 

 

トモエの制止の言葉も虚しく蓋は外れた。

 

 

瞬間とてつもない衝撃が全員を襲う。

とんでもない怖気と共に黒い衝撃が広がる。

 

 

「うぁぁぁあッ!?」

「グッ!?ウゥ……」

 

 

余りの衝撃に壁に体を強打して呻くトモエ。

マリナは窓ガラスを突き破り外へと放り出された。

まるで部屋に強力な榴弾を放たれたような威力を受けたトモエは、満足に体が動かせず床に体をうつ伏せる。

 

 

「一体何が入っ…て……!?」

「………。」

 

 

箱の中心部で倒れるチェリノを発見した。

完全に意識が飛んでるのかピクリとも動かない。

トモエが驚いたのはそこではない。

 

 

ナニカが、いる。

 

 

ナニカがチェリノの近くで佇んでいる。

それは只々()()()()

およそ生物とは思えないナニカはチェリノを凝視してるように思える。

 

 

「(アレは……絶対にダメ!!)」

 

 

トモエはナニカの本質を無意識ながら感じ取っていた。

アレは破壊や殺戮を好む、この世界(キヴォトス)に居ていい存在ではないと。

チェリノに呼びかけようとするも、余りのプレッシャーで声が出ない。

これもまた無意識にトモエが制限していた。

 

 

声を出せば、殺される。

 

 

暫く佇んだその黒の死は何処からか刃を取り出した。

その刃を掲げる姿は正しく断頭台のようで──

今にもその刃はチェリノへ降り注ごうとしていた。

 

 

「(や、め……)止めてぇぇぇえ!!

 

 

トモエの声に反応したのか刃はチェリノに触れる前に静止した。

そしてグリンッと顔?のようなものがトモエの方を向く。

 

 

ハッ…ハッ…ハッ…

 

 

トモエは恐怖により過呼吸へ陥っていた。

自分はここで死ぬのだと。

 

 

だがその黒はトモエの方角へと体を向けただけであった。

トモエのことなど眼中に無い。

 

ここよりそう遠くない場所で黒の神チェルノボグは確かに感じ取った。

この地に居る()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

黒き神はトモエの真横の壁を突き破り奔走した。

 

 

黒の神が去ったという事実を認識するのに数分、トモエは恐怖から抜け出せないでいた。

やっと生き伸びたという現実を受け入れた彼女を、とてつもない疲労感を襲う。

 

 

「(あぁ、良かったチェリノちゃんも無事で……マリナは大丈夫でしょう。)」

 

 

直ぐに2人を起こして対策をねらなければ……。

あのままでは被害が出る、連邦生徒会にも協力要請は出すが当てにはできない。

 

 

「(例え助けがあったとしても、アレを倒す事が出来るのでしょうか?)」

 

 

思い出すだけで身震いする。

あの()()の黒き神を思い出しては。

 

 

「(急がなけれ…ば……不味い、瞼が重──)」

 

 

トモエはのしかかる疲労感に抗えず瞼を閉じた。

 





ロシアの神話なんも分からん()

次回もRTAパートからになります。


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チェルノボグ


前回のあらすじ

ホモ「ガバの総本山にいざゆかん。」
AL-1S「雪すごい、楽しい!」
ホモ「(ニッコリ)」

ホモ「ホワイト企業です、通してください。」
リーダー「オーナーは素晴らしい人だ!!(熱弁)」
ミノリ「うむ、通──おおお、お前その杖!!」
ホモ「ん?」
ミノリ?「彼が教祖です。」
走者「は?」

爆死したので初投稿です。
今回は少し文量多めでお送りします。



 

「彼こそが機械神教の教祖だ!!」

 

 

えー、皆さんに大変残念なお知らせがあります。

 

 

ざけんなや

チャートこわれた

ドブカスが

 

by.走者

 

 

ムカつくぜテメェ(ガバ)ら!!俺のチャートをことごとく粉砕しやがって!

なんで俺に気持ちよくRTAさせねぇんだ!

俺はちゃんとチャート通りに走るホモ君が見たいんだよ!(激うまギャグ)

 

ゼェ……ハァ……

いえ、タイム的には上振れなんですけどね?

本来ならチェリノ(生徒会長)に合意を貰うという面倒極まりない手続きが必要だったのですが、それを省けると大幅なタイム短縮になります。

 

それはそれとしてチャート通りに走ってくれないとストレスがね?

 

…ふぅ、気を取り直して何だか知らないけどホモ君はたった今教祖にされた訳ですが──

 

 

・周りは懐疑的になるかと思いきや熱狂止まないといった様子。

・少し放心したあと気を持ち直した。

 

「質問、教祖ってなんですか?」

「あ〜…神様の次に偉い人っすよ。」

「そうなんですかオーナー!!」

 

 

嗚呼、ホモ君にそんな眼差ししないでアリスちゃん……。

キラキラお目目が眩しくて、走者が浄化されちゃうぅ。

 

ご覧の通り寝耳に水な発言であるにも関わらず、すっかり信者達は歓迎ムードです。

ミノリの人望有りきのものでしょう。

 

 

「……立ち話もなんだ、今日はもう引き上げるから着いてくるといい。」

・了承した。

・工務部の拠点へ向かった。

 

 

工務部拠点への移動中に元々の予定について解説を。

宣教師と接触して何がしたかったかと言うと、宣教師もしくは教祖まで上り詰めて信者を動かせる立場が欲しかったんですねぇ。

称号【教祖】若しくは称号【宣教師】が獲得できます。

 

そもそも称号とはなんぞや?という事ですが、単なる2つ名ではなく少々の補正を貰うことができます。

その恩恵は獲得難易度によって様々。

 

ホモ君は上から2番目の【教祖】を獲得したので神格に関する知識に大補正を獲得しました。

この補正の恩恵によりクリフォト(複製体)の性能を本来の力まで戻す事が出来るんですねぇ!

 

 

・工務部の拠点についた。

「ここに座ってくれ、直ぐにお茶を用意する。」

「要望、当機はココアを所望します!」

「AL-1Sちゃん!?」

「フフっ、任せてくれ。──白黒の君はこっちに来てくれ。」

「……。」

 

 

えぇ?何?(困惑)

カイ、お前また何かしちゃった?

ちょっと、返事くらいして()

 

ま、まぁいいでしょう。

最悪戦闘になっても全員揃ってる今なら勝てます。

ミノリのフラグを完全に失うのはちょっと惜しいですが、タイムの為です。

 

 

・2人は何か話し合っているようだ…しかし会話は壁に阻まれ聞き取れない。

 

その神秘で分かっちゃいたけど、やっぱりアンタだったかい。

僕もビックリだよ、まさか君がデモのリーダーなんて。

…やっぱり旦那は以前の記憶が?

どうだろう?ぼんやりと覚えてる感じなのかも。

 

 

うーん、聞こえない(難聴系主人公)

何やら仲良さげな雰囲気なのは伝わってきますが……。

ま、ええか(思考放棄)

悪いようにはならんやろ!!

 

 

・部屋に戻ってきたミノリは全員に飲み物を出す。

・しっかりAL-1Sの飲み物はココアだ。

「色々気になるだろう?何故私があなたを教祖だと言い張ったか……とかな?」

 

・理由を聞く。

 

「その前に───ヘルメットを外して顔を見せてくれないか?」

・怪しむような間の後、ミノリは食い下がった。

「頼む、私に出来る事ならなんでもする。」

 

 

今、なんでもするって言ったよね?

 

減るもんでもないし見せちゃいましょう。

ぶっちゃけ公の場を歩く時以外でヘルメットを付ける理由はあんまりないです。

先生に面はバレてますし。

 

ここの住人、犬やら猫やらロボやらが居るせいか、そこら辺の順応は早い。

まぁ人にもよりますがね。(ユズ等のロリ組)

ミノリならホモ君の顔みてもSAN値はそこまで下がらないでしょうしね。

 

 

・ヘルメットを外す。

ッ───あぁ、そうか、そうだったのか……。

・悲しそうでいて嬉しそうな、そんな表情をしている。

ホモは困惑した。

 

 

あれ、SAN値減ってね?(もしかしてガバ?)

なんでだ?試走中にちゃんと確認したぞ?

こんなの僕のデータにないぞ!!

あ、でもストレス値はめっちゃ減ってる。ラッキー♪

 

 

「──教祖に抜擢した理由は簡単だ、私が君のことを知っていたからさ。」

・全く身に覚えがないホモは首を傾げる。

・対話を続ける。

何か大切なものを思い出せる気がする。

「覚えてなくても無理はない、こっちg

 

 

はい、スキップスキップ。

時たま主人公(特に先生)に対して前世の記憶持ちだというヤバい奴が湧くことがありますが……。

また検証する必要がありそうです。

 

ミノリが色々話してくれてますが、正直ホモを教祖に仕立てあげた理由とかはどうでもいいです(無慈悲)

それより、なんでも(ry

 

グへへ……といきたい所ですが、R-18でないのが悔やま──ゲフンゲフン。

失礼、真面目にいきます。

ここは走者の運命力を信じて、安守ミノリを仲間にします!!

 

 

・「私達と共に来ないか?」

 

「…済まない、魅力的な誘いだがそれは出来ない。私一人なら着いて行っただろうが、工務部のメンバーがいる。彼女たちを置いて行けはしない。」

 

 

知 っ て た

 

これに関しては仕方ないです。

基本的にワカモやカイのような停学中のフリー生徒しか引き抜きは成功しません。

 

リオ?あの子はノーカンです(1敗)

なんで生徒会長が自ら見える地雷に飛び込もうとするの?

ミノリはタイム短縮に貢献してくれただけマシです。

 

 

同じ【共鳴】持ちのカイは見習ってください。

 

 

要はここで彼女を引き抜けないのは分かってました。

じゃけん、別のお願いを聞いてくださいね〜。

 

 

・「困ったら連絡する、その時は手を貸してくれ。」

・オーナーは連絡先を渡した。

・「それくらいお安い御用だとも!」

 

 

あえて先に無理難題を吹っかけて、マシな本命を通す社会でもよくある手法です。

ミノリは陣地作成持ちの中で珍しいフットワークの軽い生徒なので、金とコネに自信があれば彼女を正式にチャートに組み込むのもアリですよ。

ちゃんと報酬を決められた額+期日に収めないとストライキを起こされるので注意です。

 

簡単だって思います?

微妙なさじ加減の選択肢が飛んでくるんで、ちゃんと把握してないとガバりますよ(3敗)

 

さて用事も終わったのでホモ君達の拠点に戻りましょうか。

思えばミノリが宣教師だっただけで、今回は怖いぐらい上手く行きましたね。

これも走者の日頃の行いって奴ですかねぇ!

 

 

では今回はここまで、次回は──ん?なんでムービーが止まって……。

 

 

 

 

・解散しようと席を立ったその時である。

・トスリと、棚に本を差す程度の軽い衝撃を胸に受けホモの動きが止まる。

 

・自身の胸に視線をやると──黒い刀身が突き出ていた。

 

 

は?

 

 

 

 

 


 

 

「──オーナーッ!!」

 

 

一拍置いて誰かの悲鳴が聞こえる、若しくは全員かもしれない。

突然の事態に全体の動き、思考が一瞬止まった。

それでもホモは不意打ちで刺されたというのに、直ぐに高速で思考を回し始めた。

 

 

「(いつから居た?どうやって侵入した?どうして誰も気づかなかった?)」

 

 

自分が気取られただけなら分かる、だがAL-1Sの索敵範囲をすり抜ける隠形の巧みさ。

そんな生徒が居るとは考えていなかった。

一体誰だと視線を後ろに向けると──そこに立つのは自分と同じ異形の者であった。

 

 

「(何だコイツはッ!?)」

 

 

シャーレから拝借した生徒名簿の誰とも一致しない。

それどころか下手人は自身と同じく、骨の身で黒の靄を纏った異形。

骨の異形は、手に携えた黒い刀剣をホモの背後から突き刺している。

 

 

「(コレの正体を暴くのは後だ、今は……)」

 

 

冷静になったホモは突き出した刀身を掴み叫ぶ。

 

 

「AL-1Sッ!!」

「オーナーから離れなさい!!」

 

 

AL-1Sの蹴りをモロに受け、異形は刃物から手を離し()()()()

 

そう、少し後ろへよろめいただけ。

 

AL-1Sが本気で蹴り抜いたにも関わらずだ。

その隙にホモは仲間のいる方向へと体を転がす。

ホモに突き刺さった刃物は霞のように消え、異形の手に握られた。

 

続いて辺りが多数の銃声に覆われる。

空白の意識が正常に戻ったリーダー達が、容赦なく異形へと銃弾をぶちまけていく。

既にホモの立っていた場所は吹き抜けと化していた。

 

 

「応答願いますオーナー!?」

「大事無い、それより全員あの刀身には触れるな!!」

 

 

不思議なことにホモの体に外傷はなかった。

確かにホモは刺された筈なのに、まるでそれが正常だと言わんばかりに傷が付いてないのだ。

そしてさらに不気味なのは、胸を刺し貫かれたのに痛みを全く感じなかった事。

自分に効かなかっただけで、生徒に害がある恐れもある。

 

 

「何なんだ、コレは……!?」

 

 

対する異形──チェルノボグも銃弾の嵐の中で首をかしげていた。

確かにあの骸骨男から大量の神秘を感じたというのに、()()()()()()()()()()()

 

チェルノボグは権能として3種の斬撃を操る。

その内の1つが【神秘を刈り取る斬撃】。

 

ホモの予想は当たっており、生徒がこの斬撃をくらうと文字通り神秘を刈られる。

死にはしないが、『偽神のカケラ』の副作用と同じ末路を辿る事は違いない。

だが依然、その刃をもって貫いた骸骨男からは膨大な神秘を感じる。

 

 

──問題ない、斬ればわかる

 

 

チェルノボグは銃弾を気にする素振りを見せず、先ほどより腕を引き絞る。

 

 

──神秘がダメならコッチだ

 

「(何か不味──)」

「ッ!オーナー!!」

「ウォッ──!?」

 

有無を言わさずAL-1Sは服を引きちぎりそうな勢いでオーナーを抱えた。

何事かと思ってチェルノボグに視線を移すが──居ない。

チェルノボグは反対側まで移動していた。

 

 

──避けたか、良い目だ

 

「全く見えなかったっす……。」

「報告、私もギリギリでした。」

 

 

ネルとの戦闘で鍛えられていたからこそ、オーナーの救出に間に合った。

もしその経験が無ければ……

AL-1Sの()()が跳ね上がる、銃のグリップを握り潰す勢いだ。

 

──久々の感覚だ、この高揚感は、命のやり取りでしか味わえない

「殺害宣言、貴方は2度も殺意を持ってオーナーに刃を向けました。」

 

 

穏やかなAL-1Sにしては珍しい殺意。

並の生徒なら失神しそうな殺意を受けてもチェルノボグは平然としている。

 

 

現に、チェルノボグは眼前へと迫っており刃を振るうところだった。

 

 

「(更に速い!?)」

──その神秘、頂

「発勁!!」

 

 

チェルノボグに気取られず死角に入り込んでいたカイは、背後から強烈な発勁を見舞う。

技の性質からか、チェルノボグは壁を突き破り外へ突き飛ばされた。

 

 

「スゥ───シィッ!!」

 

──面白い技術だ

 

 

何処かのカンフー生徒が居れば見惚れるレベルの体技。

山海経に居た頃のカイの人なりを知る人物は「誰?」と頭宇宙猫になる事は必死だろう。

そのレベルの武術を持ってしてもチェルノボグにダメージは入らない。

 

焦りを感じたカイは【瞬】を使う。

……それが悪手だった。

 

 

──それはもう見た

 

「(もう読まれ───)」

 

「離れろ!!」

「ウグッ!?」

 

 

リーダーに蹴り飛ばされ、その場から離脱するカイ。

黒い刀身は両者の体に触れること無く通り過ぎた。

チェルノボグの興味はカイからリーダーへと移る。

 

 

──貴様も良い…!

 

「(不味いッ!?)」

 

 

つい勢いで助けたリーダーだったが、着地時に慣れない雪の足場、リーダーは足を取られ動きが遅れた。

対するチェルノボグはまるで動きを阻害されている様子がない。

上手い具合に回避しているが、いずれあの黒い刀身の餌食になってしまう。

 

いち早くそれを察したホモは、リーダーの元へ()()()()()()()

 

 

「(──待て、何故私は駆け出した?)」

 

 

自分はまだ死ぬ訳にはいかない。

奴を、色彩を殺すまでは、色彩の終わりを見届けるまでは。

その為にはどんなに悪事を働こうが、外道に落ちようが知った事ではないないと。

だから仕方ない事だ、ここでリーダーは切り捨てるべきだ。

少し──いや大分痛手だがここで全滅するよりはマシだ。

彼女を狙ってる間にワープしてしまえば必ず撒く事ができる。

 

 

「(そうだ、頭では分かっている……だが!!)」

 

 

とっくにホモの体は動き出している。

まるで()()()()()()()()()()()と言うように。

骨の身であるホモは軽く、容易に雪原を走り抜ける。

異常に気づいたAL-1Sが追おうとするが、雪原ではホモに追いつけない。

 

あの時(廃墟)と同じだ。

体は覚えていると勝手に動き出してしまう。

ついこの前、先生に自己犠牲の愚かさを教えたばかりだと言うのに。

ホモが庇った後にリーダー達が助かる保証など、何処にもない。それでも───

 

 

「(体が勝手に動くんだ、仕方ないだろう?)」

「なッ!!?待っ───」

──天晴れ

 

 

渾身の力を持ってリーダーを遠くへと投げ飛ばすホモ。

 

代償はその身1つだ。

 

 

黒き刀身が更に黒く塗りつぶされるように、力が結集するのを感じ取れる。

チェルノボグが選んだのは【(ヘイロー)を刈り取る斬撃】

文字通り相手の魂を刈り取るため、防御が意味をなさない最強攻撃。

 

 

チェルノボグが黒き刃を振るう姿。

 

それを最後にホモの意識は途絶えた。

 





さらばホモ君(黙祷)

やっと致命ガバなく進んだと思ったら、特大ガバが向こうからやってきた時の走者の気持ちを答えよ。
(文字数制限なし)

次回は小説パートになる予定です。


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在りし日の共闘


前回のあらすじ

ミノリ「やっぱり貴方は先生だった!!」
ホモ「(何だか思い出せそうな気がする)」
走者「はい、カットカット」

チェルノボグ「来ちゃった♡」ハートキャッチプリキュア
ホモ「胸貫かれたのに生きてるの怖い」
チェルノボグ「なんでお前生きてるの怖い」
AL-1S「お前を殺す」

ホモ「ぐえー」キボウノハナー
チェルノボグ「ホモは俺が殺した」
リーダー「」
走者「終わったわ」

今回は丸々小説パートです。
キャラ視点が飛びまくるんで、読みづらかったらすみません……。



 

──天晴れ

 

 

流麗な軌跡を描き黒き刃が静かに振り下ろされる。

チェルノボグの凶刃を受け膝から崩れるように倒れるオーナー。

間近でその光景を見たリーダーは現況の理解を拒んだ。

 

 

「(何故オーナーが倒れている?)」

 

 

オーナーは倒れたきり動かない。

チェルノボグも動かない。

周りの皆も衝撃で動きが完全に停止していた。

 

永遠に思える長い沈黙。

その時間がリーダーを現実に戻す。

 

 

「(オーナーが私を庇ったんだ、オーナーが私を、私のせいで──)」

「あ──アァァァァァッ!!

 

 

辛うじて感情を堰き止めていた理性が決壊し、元凶(チェルノボグ)に目もくれずオーナーへと駆け寄る。

雪を掻き分け、オーナーの体を抱き寄せ胸の辺りに耳を置く。

 

反応──なし。

心音──なし。

呼吸音──なし。

 

それは生物にとって死を表す。

実は生きていると言う微かな希望が打ち砕かれたのだ。

リーダーは絶望、怒り、悲しみといった負の感情の濁流、そして現状に相応しくない感情を抱き困惑した。

 

 

「なんだこの感情は……私は一体、何で──」

 

 

──それは歓喜

不覚にも庇われた事実を喜んでいた。

二律背反、それがリーダーを更に重い罪悪感へと蝕む。

 

 

「あぁ、私はもう………」

 

 

心の折れる音がした。

 

 

 

 

 

チェルノボグはまた首を傾げていた。

 

理由は先程の斬撃の感触、手応えこそあったが()()()()

生きてる者には皆、確固たる魂の輪郭が存在する。

たった今斬り伏せた骨男には、それが感じられなかった。

 

更に──刈り取った魂は穢れに満ちていた。

自分と同列の、もしくはそれ以上の穢れを。

 

チェルノボグは悪神だが、その劣悪さはバトルジャンキーの沿線上だ。

強い神秘を求めるのも強者だと信じて疑わないからこその純粋悪。

 

その点で言えばホモは実力こそなくとも、精神性の強かさから気に入ったのだが……。

どうしてもこの濁った魂は取り込む気になれない。

 

 

──この魂は保管するとしよう。では……

 

 

それはそれとして、次の標的をロックオンしたチェルノボグ。

標的は……今も近くで蹲っているリーダーだ。

空気を読まない黒き刀身が、再度彼女にに振るわれ──る事はなかった。

 

 

重い()()()()

 

 

次に懐かしい痛みの感覚がチェルノボグを襲う。

黒き神に手を下した機体は、全員に見覚えがあった。

 

 

その悪魔の機体の名は()()()()()

そしてその隣には───ミノリが居た。

 

 

「クリフォト!?何故ここに……。」

「済まない遅れた!状況は──ッ!!早く彼を安全地帯へ!!」

「だがもうオーナーは心臓が止まっ

「早くしろ、奴が来る!!」

 

──そのレベルの神格を再現するか、小娘

「迎え撃て、クリフォト!!」

 

 

黒い靄が刀身から溢れ出す。

チェルノボグの【無生物を刈り取る斬撃】だ。

 

【神秘】、【(ヘイロー)】を刈り取れない相手、つまりオートマタにおいて使用される斬撃。

それは生物を傷つける事はないが、それ以外ならなんでも斬れる。

 

対物理最強の斬撃、それにクリフォトは()()()()()()

少しずつ切れ込みが入っていくが、確かに防ぐのに成功したのだ。

 

おかげで余裕を持ってオーナーを後方へと移動させることが出来た。

しかし──

 

 

──中々斬りごたえがある

「簡単に傷つけてくれる、自信作だったんだがな!?」

 

 

クリフォト顕現の正体、それはミノリが持つアンティーク調な外装の本に由来する。

 

簡単に言えば()()()()()()()を作成し、その教義をクリフォトとして受肉させたのだ。

マエストロが長い年月をかけて辿り着いた境地(複製)

それにミノリは独学かつ短期間で追いつく偉業を成し遂げた。

 

()()()()()()()()()()()()()()、そして類まれなる言語化能力、そしてホモが整えた『感情』の環境。

この三つの要素が運良く合わさった奇跡の産物。

 

マエストロも脱帽する天才だ。

 

だがその天才が丹精と神秘を込めて作った逸品でも、黒き神相手では時間稼ぎにしかならない。

 

 

──神秘を刈り取れないのが残念だ

「やはり紛い物では太刀打ちできないか!!」

 

 

チェルノボグの斬撃によりゴリゴリと装甲を刈り取られていく。

だがミノリに焦りの表情はない。

まるでそれが予定通りだと言わんばかりに。

 

 

「数分間の肉盾にしかならないとは、少しばかり傷ついたぞ。」

──否、よき切り札であった

「切り札?勘違いしているようだから教えてやる───これ(クリフォト)は囮だ!!」

 

 

 

「破ッ!!」

──ゴフッ!!?

 

 

 

チェルノボグが気づかないレベルの完璧な隠密。

そしてどれだけ攻撃しても効果がない黒き神相手に、確実な決定打を与えたのは──カイだった。

自身にダメージを与えたカイに驚愕するチェルノボグ。

 

 

 

──武術娘の神秘が前より膨れ上がっている

 

 

 

 

 

「(私のせいだ)」

 

 

カイもまたリーダー同様に、自責の念にかられていた。

自分がしくじらなければ、リーダーが庇われる必要もなかった。

 

脳裏に焼き付ついたあの光景(トラウマ)と同じだ。

きっとリーダーと同じく再起不能となっていただろう。

直ぐに戦闘に復帰できたのは、微かな希望を感じ取ったから。

 

オーナーから微かにだが魂の波長を感じる。

死を体験した2人だから分かる、オーナーはまだ生きている。

なら諦める訳にはいかない。

 

 

この世に顕現して、()()()()()()()()()()()──否!!

 

 

「もう一度失うくらいなら、今ここで死ね。」

 

 

懐から取り出したるは『偽神のカケラ』。

それを3()()()、カイは躊躇なく飲み込んだ。

 

生徒の保有する神秘と(ヘイロー)の関係は密接している。

小鳥遊ホシノのソレは両方が1級品だ。

軽く見積もっても通常生徒の1()0()0()()()()()()とそれを所持して崩れない(ヘイロー)を持っている。

 

彼女はソレの正しい扱い方を知らないため、宝の持ち腐れとなっているが。

上手く使いこなせばとてつもない権能として彼女に恩恵を与えるだろう。

 

例えば()()()()()()()

 

それに比べてカイの神秘保有量は、せいぜい10〜20人分程度。

これでも多い方だがそこに神秘を扱う技術を用いて、無理やり上位(学園エース)クラスに食らいついている。

 

そこへ『神名のカケラ』を投入したとて、許容量ギリギリの30〜40人分に増えるだけ。

はっきり言ってとてもチェルノボグには勝てない、最悪瞬殺だ。

 

だが『偽神のカケラ』ならばどうか。

これを1カケラ投入すれば凡そ50人分は神秘が増える。

まさに弱者にとって逆転の武器となり得るJOKERとなる。

 

当然デメリットは存在する。

これは密閉されたガラス瓶に、点火した爆竹を入れるが如き所業。

 

万が一、器が壊れてしまえば一生廃人コースは確定だ。

廃人化を免れても、後に身体中を激痛が支配する事は間違いない。

 

 

「だからどうしたって言うんだ、私は…僕はもう失いたくないッ!!」

 

 

3欠片使用した今のカイの保有する神秘は、170人分はかたい。

これならチェルノボグに攻撃は通る。

 

 

予想通り、カイはチェルノボグに一矢報いることに成功した。

そこへミノリが近づく、彼女は呆れた表情をしていた。

 

 

「まだまだボコボコにしてやるから、覚悟するんだねぇ?」

「無茶するなアンタ。」

 

「説教コースは確定かな?」

「そうだな、後でみっちり絞ってもらえ。」

「…クックック、別にアレを倒してしまっても構わないだろう?」

「それ死亡フラグだからな?」

 

 

黒き神がこちらを向く。

カイは構えを取り、ミノリは追加のクリフォトを呼び出す。

 

 

「「此処から先は1歩たりとも通さない。」

 

 

かつての戦友は再度背中を預け、黒き神へと対峙した。

 

 


 

 

その光景を見ていたリーダー達は確信した。

 

次元(レベル)が違う。

辛うじてAL-1Sがボーダーラインだと分かる死闘を今も繰り広げている。

 

それでもAL-1Sが動かないのは予備戦力として残っている──だけではない。

あの二人の連携は見事なもので、長年組んでいたかのような鮮やかさだ。

そこへAL-1Sが割って入れば、かえって邪魔になる可能性が高い。

 

AL-1Sでさえこれなのだ。

チームⅤと兎の無力感は計り知れない。

 

 

「私もいく、迷惑をかけた。お前達はオーナーを頼む。」

「で、でもリーダー……ッ!!」

「大丈夫だ、私は、大丈夫──」

 

「当身!!」

「グアッ!?なぜ……。」

「AL-1Sちゃん!?」

 

 

見事にAL-1Sの攻撃が通り、リーダーは地に伏し悶絶した。

確かな手応えにAL-1Sは満足した、自分が弱くなった訳では無いと。

 

一応1人で突っ走りそうなリーダーを止めるという名目もあったが、それはそれ。

そして全員に問うた、当たり前の事実を。

 

 

「疑問、そもそもオーナーに呼吸や鼓動が必要でしょうか?」

「「「「───アッ!」」」」

 

 

考えてみれば、骨の体なのだから当たり前のこと。

普通に食事をして、睡眠も取っているからそんな当たり前のことも抜け落ちてしまっていた。

AL-1Sは続ける。

 

 

「あの二人を見てください、まるで諦めていません。まるでオーナーの生存を確信してるかのように。」

「ならオーナーは……。」

「肯定、まだ生きています!」

あぁ……

 

 

安堵からリーダーは膝から崩れ落ちた。

そんな光景を尻目に、AL-1Sは2人の死闘を見守る。

さっき言ったことは全て()()()()()()()()

 

確かに何か希望的観測がなければ、あそこまで食らいつかないだろうとは思った。

しかしそれが絶対的なものの保証なんて何処にもない。

 

自分の理論にはそんな穴がある事を知っていたが、人は誰しも希望にすがりつきたくなるもの。

リーダー達を落ち着かせるためにはこの手が最善手だと判断した。

 

AL-1Sもまた確実に成長していた。

それでも彼女は満足できない。

 

 

「……AL-1Sは、もっと強くなりたいです。」

 

 


 

 

チェルノボグとの死闘は未だ続いていた。

戦局はチェルノボグ有利で進んでいる。

理由は言わずもがな、圧倒的な性能差。

そして──

 

 

「……コプッ」

「(不味いな)」

 

 

カイの限界も近づいていた。

もう既に5分以上はぶっ通しで戦闘し続けている彼女は目、鼻、口から血を吹き出していた。

 

それでも止まらない 、止まれない。

 

 

「(切り札さえ当たれば……!!)」

 

 

ミノリも歯痒い思いをしていた。

チェルノボグを倒す秘策──クリフォト(原点)がエリドゥの一角を焼き払ったレーザー。

アレを当てることが出来たならあるいは、チェルノボグを倒せるかもしれない。

 

だが肝心の標的が速すぎる、そして()()を作る時間が全くない。

カイは既に限界間近、1人で戦わせる無理強いはできない。

 

まさに絶望。

最悪の手段である、カイを犠牲にする作戦。

それを実行に移すか──オーナーの命と天秤にかけて、ミノリは後者を選ぼうとした。

そこで、カイと目が合った。

 

 

 

「(やれ)」

 

 

 

「ッ──済まな

「全員撃てーッ!!」

 

──誰だ、至福の時を邪魔するものは

 

 

その者達をこの地で知らぬ者は居ない。

白ひげを生やしたチビ助が腕を組みチェルノボグを睨みつけている。

 

 

「ここ数日の記憶はないし、なんだか起きたらトモエとマリナは気絶してるし、校舎は滅茶苦茶……

 

全部お前のせいだな黒い骨!!

 

度々失脚されてきたが、貴様に権力を渡す気は毛ほどもないぞ!!」

 

──別に権力に執着はないが

 

「うるさーいッ!よくもオイラの事務局員をいじめてくれたなぁ!!」

「会長──!」

「皆の者、粛清の時だ!撃て、撃てーッ!!」

 

 

ワァァァァァアッ!!!

 

ワガグンニショウリヲ!!

トツゲキー!!

 

 

大勢の親衛隊がチェリノの鼓舞により突撃を開始した。

チェルノボグの力を身をもって体験してるミノリは叫ぶ。

あの数の被害が出ればレッドウィンターは終わりだ。

 

「やめろッ!揃って犬死するつもりか!!?」

 

──面倒だ、一掃して……ん?

 

 

突貫してくる親衛隊に向かって刃を振り下ろそうと手を上げたがそこで止まった。

チェルノボグ本人の預かり知らぬところだから仕方の無いことだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()チェルノボグでは、チェリノ達率いる生徒達に手を出すことはできない。

黒き神の神格を持ってしても、キヴォトスのルールには逆らえないのだ。

 

そして刃を振りおろそうとしないチェルノボグを見て、ミノリは光明を見出した。

理屈は分からない、だが今が好機だと!!

 

 

「占めたッ、なんだか分からんが奴は生徒会に権能を振るえない!!」

「……頼もしい増援って訳?」

「お前はもうじっとしてろ!!」

 

 

 

さて、力を満足に振るえなくなったチェルノボグはと言うと──

 

 

──素晴らしい、素晴らしいぞ

 

 

感涙に咽ぶ思いを抱いていた。

有り体に言えば感動していた、H×Hのヒソカ状態である。

前の記憶も含めて、こんなに不自由を強いられる戦いは初めてなのだから。

 

 

──貴様達を斃して、ようやくこの地に舞い降りる事ができる!!

 

 

権能は使えずとも神格は神格。

権能なしの状態でも黒き神は脅威足り得る。

 

もはや黒き神の興味は親衛隊に向いていた。

これ幸いとミノリは()()を始める。

 

「吠え面掻かせてみせるぞ、黒き神!!」

 

決着まであと少し───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

骨の指がピクリと動いた。

 





次回も小説パートになります。

おや、ホモ君の様子が……!?


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ホモ:オリジン


前回のあらすじ

リーダー「オーナーが、オーナーが!!」
AL-1S「正気に戻れい!!」全力ビンタ
リーダー「ぐふぁッ!?」

ミノリ?「独学で習得した複製技術でクリフォト召喚!」
カイ?「失うくらいなら此処で死ぬ!」

〜例の赤冬BGM〜
チェルノボグ「コイツら面白www」

大体こんな感じ。

お待たせ致しました、ホモくん視点です。

慣れない人称で書くもんじゃないや()
今回も小説パートでお送りします。



 

黒き神格に斬られた私は自分の死を確信した。

 

 

アレは普通の斬撃ではない。

刃が私の体と接触した瞬間、()()()()()()を刈り取る斬撃だと直感した。

斬撃を受けると何かが欠けた感覚と共に、私の意識は薄れつつあった。

 

だからこそ身を呈してリーダーを突き飛ばしたのだが……。

我ながら馬鹿な事をしたと思う。

 

自身の命を考えずに行動するその浅はかさ。

これでは先生の事を悪く言えないな。

結局は私も同じ穴のムジナだったと言うわけだ。

 

私の長年の計画は水泡となった。

あぁ、無念だ。悔しくない筈がない。

色彩打倒という目標には辿り着けなかったのだから。

 

だがあの終わり方で良かったと思う自分もいる。

 

道半ばで耐えるのではなく、私は全て出し尽くした。

研究も兵力も全てを使った上での完全敗北。

あそこで神格に目をつけられた時点で、私の負けは確定していた。

 

元々私の()()()()()()()()だった。

色彩に奪われたもの達への、私の身勝手な復讐心からはじまったもの。

当事者からすると傍迷惑かもしれないが、それでも私はこの怒りを抑えずに居られなかった。

 

後悔は──そうだ一つだけある。

 

チームⅤ達の安否だ。

敵があの強さでは、無事全員が逃げ延びることが出来るだろうか?

私の事なんぞすぐ見捨てて撤退していればいいが……。

恐らく助け出そうとするだろう、彼女たちは善良だから。

 

目的を聞かずに着いてきてくれた彼女たちには感謝しかない。

願わくば全員無事に生存してくれ。

祈る神は持ちえないが、今だけは彼女達の身の安全を祈ろう。

 

 

私の物語はこれで終わり。

最低限の仕事はした、後は先生や黒服に任せて私は眠るとしよう。

 

 

そう、思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「もうここへ来る事は無いと思っていたのだがな。」

 

 

何故か意識が回復したあと、私は()()()()()()()()()()()()()へと降り立っていた。

そう、似ているだけで以前とは異なる。

 

霧は晴れ、水平線まで景色が丸わかり。

()()()()()()()()()()()も無くなっており、とても良い景色だと言えるだろう。

辺り一面が人の気配のない廃墟だという事を除けばだがな。

 

それともう1つ。

私の世界では自由に物を出し入れ出来たのだが、この世界では使えない。

 

つまり私の精神世界では無いという事だ。

だが景色は酷似しているように思える、無関係という事はないだろう。

 

 

「私には天国も地獄もないと?分かってるじゃないか。」

 

 

てっきり死んだ後は地獄行きだと思っていたが、そうではないらしい。

可能性は低いが、もし現実世界なら人が居るかもしれんな。

 

私はアテもなく彷徨うことにした。

記憶にある精神世界と同じであれば良いのだが……。

 

 

 

閑散とした廃墟をひたすら歩く。

 

 

 

ただただ歩く、本能赴くままに。

 

 

 

足は止まらない、ただある一点にのみ向かっていく。

 

 

 

……おかしい。

私はこの土地に詳しかっただろうか?

 

この世界は恐らく()()()()()()だ。

記憶を殆ど失ってる私に土地勘なんて全くない。

だと言うのに私の体は確信でもあるかのように一定方向へと進んでいる。

まるで思い出したとでも言いたげに。

歩き続ける。

 

 

 

見覚えのある場所まで戻ってきた。

以前は霧が深く、ここまでしか進むことが出来なかった。

 

あの時に目印としてつけた木の枝は……()()()

やはり此処は精神世界なのだろうか?

 

景色だけではなく雰囲気すらも違う。

前の世界は不気味さがあったが、今は晴れ渡った空の元そんな雰囲気は感じ取れない。

あの神格の刃を受け入れた事と、何か関係があるのか?

私はまだまだ先へと進む。

 

 

 

歩いてると、時折何かを思い出せそうな感覚に陥る。

だがハッキリと思い出せない。

まるで記憶を上から蓋で閉じ込められてるような感覚だ。

この感覚はミノリと話した時の感覚と似ているような……?

ダメだ考えが纏まらない、歩き続けるしかない。

 

 

 

前の私の記憶には興味がある。

今までは色彩の件で気にする暇も無かった。

このまま探索すれば記憶が戻るという予感があるからかもしれない。

 

──戻ったら私はどうするんだ?

更に私は歩き続ける。

 

 

 

遂にあの場所へとやってきた。

眠ると必ずどこへ行ってもこの場へリスポーンしたが……。

この前にセイアと鍋パした時の焚き火は、既に燃え尽き炭が広がっている。

 

 

「……どうやって付けたんだったか。」

 

 

徐に手を焚き火だったモノにかざしてみる。

当たり前だが火はつかない。

魔法使いじゃないんだ、精神世界で出来たことが今は出来ないということは知っていたのに。

 

 

「何をしてるんだ私、は──?」

 

 

炭が再び燻り始めたのだ。

沈黙した炭は赫く焼け始め、段々と燃え移るように広がってゆく。

やがて火種は立派な炎へと変わり果てた、同じ炎だと言うのにこんなにも暖かく美しい。

 

 

あぁ、あぁ!!思い出した、思い出したぞ!!!

 

 

火が広がるにつれて記憶が次々と入ってくる。

遠い誰かの日記録が、私の記憶へと改正されてゆく。

 

 

紛れもない、これは前の私の記憶。そして──

 

 

「私の推測は、間違いではなかったのだな。」

 

 

思い出したソレは、全生徒を犠牲にしても世界ひとつ救えなかった弱き者の記憶であった。

 

 

未完のパズルを埋めるかのように少しずつ欠けた記憶が戻っていく。

 

 

かつて軍属でそこそこ有名だった私は先生を夢見ていた

 

 

ある日私宛に来た箱庭への招待、先生としての赴任依頼

 

 

しかしウキウキで赴任した先は、滅びが決定づけられた箱庭で

 

 

誰も彼もが心の底では滅びを受け入れていた

 

 

でも中には絶望的な状況でも、滅びに抗おうとする強き少女達が居て

 

 

箱庭の滅びを回避する重責を背負わされた彼女が居て

 

 

始めはギスギスしながらも順調に希望の種を撒いて

 

 

希望へ向かって進むにつれ、いつしか多くの生徒が協力してくれるようになって

 

 

そして──

 

 

誰よりも希望を待ち望んでいた筈の彼女が反転して

 

 

生徒を天秤にかけた私は彼女を、生徒に手にかけて

 

 

そこからドミノ倒しのように不運が重なって──

 

 

仲間を、生徒をどんどん失って

 

 

焦った私は色彩にしてやられ、行動不能となった己の不甲斐なさを呪った。

 

 

そこで終わってしまえたら、どれほど良かったかだろう

 

 

目を覚まして見たのは、生徒達が炉へ身を投げる光景だった。

 

 

「せめて先生だけでも」とドンドン生徒達は身を投げていく。

 

 

意識が復活したばかりの体は動かず、私はただ光景を見るだけの無能で

 

 

そんな生徒達の意向を無下にしてまで、色彩を滅することに決めた私は

 

 

色彩を()()()滅することは出来なかった

 

 

私は先生に成るべきではなかった

 

 

そこで記憶の奔流は止まった。

全てを思い出した、悲劇の数々を、私が犯した罪を。

なんとも愚かで、なんとも救えない記憶だろう。

 

それでも私は、この記憶を思い出せて満足していた。

 

 

──思い出せる事が、こんなにも良きことだったとは。

 

 

今までの色彩への怒りは、名も知らない前の私への手向けであった。

であれば、であるのならば。

 

 

「こんな所で終われるはずがない!!」

 

 

未練はないと言ったな?アレは嘘だ。

たった今ひとつできたぞ、死んでも死にきれないレベルの未練が。

 

 

この未練が許されない事を知っている。

自分に資格が無いことも分かっている。

先生だったモノの残香である私にはすぎたる願いだと言うことは。

 

 

失敗した私にそんなチャンスがあるとすれば──

キヴォトスに到来する厄災である色彩、奴を今度こそ滅する事だ。

それが私なりの罪滅ぼしであり、次に向けて歩く免罪符となる筈だ。

 

 

「私は今度こそ先生になってみせる。」

 

 

()()()

 

 

まずは目の前の生徒を救わなければな?

 

 


 

 

ホモが目を覚ますまでの間、チェリノ率いる親衛隊は割と善戦していた。

最初の方こそ黒き神の圧倒的なスペックに翻弄されていたが、部隊を複数に分けて挟撃と言うには過激な全方位攻撃を行った。

 

 

──これは、良い

「ワハハハハッ、いいぞー撃て撃てー!!思い知ったか!!」

 

 

権能が使えたのなら話は違っただろう。

だが親衛隊は強く、しぶとく、何より数がクソほど多かった。

(Gに在らず)

 

ダメージの通ってる感じはあんまりないが、それでも優位なのは変わらず赤冬側だった。

楽勝ムードのチェリノに1人の局員が近づいてきた。

 

 

「チェリノ局長、少々よろしいでしょうか!?」

「オイラの肩書きを省略するな!!」

「そんなことは置いといて。」

「おい!?」

 

「弾薬がそろそろ尽きそうです。このままではまた盛り返されます。」

「な、何ィーッ!!?」

 

 

部隊を散らして全方位から撃ってるのだ、弾薬の消費は通常のそれではない。

ものの数分で今の優位は覆されるだろう。

 

リーダー達もそれを感じ取っていた。

どうせ生徒会がやられたら次は自分たちの番だ。

イザとなれば、オーナーはAL-1Sに守らせて──

 

そんな思考を止める声が聞こえた。

待ち望んだ男の声が。

 

 

「その必要はない。」

「ッ!?オー「うぁぁぁんッ、死んじゃったのかと思いましたぁ!!!!」……。」

 

 

見たこと無いスピードでコユキがホモへとダイブする。

いつもニハニハ笑ってる顔は見る影もなく涙でグシャグシャである。

 

ホモから骨が軋むような音が聞こえるが、当人は引き離すことなくコユキの頭を宥めるように撫でている。

 

急にホモが起き上がったということもあり、フリーズしていたチームⅤだったがようやく回復し涙目ながらホモに言葉をかける。

 

 

「お帰りなさいませ、本当に……ッ!」

「うあぁ、うあぁあ……。」

「的中、当機の言った通りでしょう?オーナーは無事だって!」

「AL-1Sにも礼を言う、チームⅤを抑えてくれたんだろう?」

「ッ!?」

 

 

急に頭を撫でられた事で驚愕、そして困惑するAL-1S。

撫でてもらうのはこれが初めてではない、任務終わりなどお願いすればいつだってしてくれた。

 

問題は戦闘中、それも学園生がいる中でホモが自らの意思で撫でてきた事。

ホモ自身からAL-1Sを撫でたりする事は全くない。

求められない限り、そういう事は必ずしなかったのだ。

 

いつものオーナーじゃない、心做しか纏う雰囲気も違う。

どっちかと言うと柔らかくなったという印象を受けるが……。

 

心配になったAL-1Sはオーナーに声を掛けようとするがホモは少し離れたところに居るカイに目を向けて──。

 

二人とも無事であったが、万全とは言い難い。

特にカイは外見から分かるほどに体調が悪そうだ。

黒い光沢のあるチャイナドレスは朱が染み付いている。

此方に気づいたカイは血を口から垂らしながらも手を振ってきた。

 

 

「……後は任せてくれ。」

お、オーナー?

 

 

かつてない怒りの感情。

骨であるが故に感情の起伏を捕えづらいホモだが、喜怒哀楽をここまでハッキリと表すところをAL-1Sは初めて目撃した。

滅多に見せない感情に充てられ、AL-1Sはホモを見送るしか出来なかった。

 

 

 

そんな事を考えているとは露も知らず、ホモは杖──『バレル』を握りしめ何かを唱え始める。

 

 

我々は証明する楽園の在処を、我々は集う最終焉にて

 

 

──接続申請、承認

──申請者■■■■、改め申請者ホモと接続します

 

──並列動作確認、反応無し

──死■■軍■の情報取得に失敗しました。

──緊急プロトコル発動、バレルの非常運転を開始

 

──機能の正常動作を確認

──神秘の貯蔵残量問題なし

 

 

 

──オールクリア、神格の殲滅を開始してください

 

 





名称:バレル

銀色に輝く金属質のそれはホモが杖として利用すると丁度いい長さとなる為、専ら杖として愛用している。
キヴォトス中どこにも売っていないホモだけの杖である。

というのは嘘である。

最近までホモはこの杖の正体を知ることは無かったが、今回ハッキリと記憶を取り戻したおかげで『バレル』の真価に気がついた。

その正体は対神格殲滅兵装の一部品である。
単品での使用例は次話で明らかになるだろう。

次回も小説パートです。


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リスタート


前回のあらすじ

ホモ「全部思い出したよ。」

お待たせしました。
今回がクライマックスパートになります。



 

──接続開始

 

 

機械的なアナウンスが流れた後、『バレル』が変形した。

それはまるで多足類の生物のごとく、ホモの背後へと這い回る。

『バレル』はホモの丁度背骨のある位置まで到達すると、創り出した足を背骨──脊椎にガッチリとくい込んだ。

 

人間ならば激痛が走るであろうその接続方法は、既に骨であるホモに無償で力を分け与えてくれる。

ホモの身に文字通り、()()()()()()神秘が流れ始めた。

 

 

「懐かしい感覚だ。」

 

 

文字通り()()()()ぶりの使用。

あの頃とは違い万全装備ではないが、それでもホモは絶望的な力を持つチェルノボグに勝機を見出していた。

神秘が、身体中を巡る。

 

 

その頃、チェルノボグはというと

 

 

───やはり仕留めきれてなかった

 

 

「うおぉ、全員退避ーッ!!」

エーセーヘ!エーセーヘ!!

メディークッ!!

「(……大したものだ。)」

 

 

何人かの親衛隊員が雪の上に倒れていた。

権能の使用不可状態のお陰で死人は居ないようだが、半数以上が戦闘不能になっている。

被害は甚大だ、何人かが引き摺られて戦線を離脱していく。

 

チェリノは全員に退避をさせ体勢を立て直す間、この場はホモ達第3陣営に任せるつもりらしい。

中々に肝が据わっているとホモは感心していた。

 

 

──成程、成程…杖が本体であったとは

 

 

チェルノボグはホモを完全に見据えていた、正確にはその神秘溢れる体へ。

黒き神は歓喜に震える。

 

 

──その神秘の質、量、共に素晴らしい

 

チェルノボグはもとより破壊と死を好む悪神。

どこまでも黒き神は己の生き方に忠実であった。

 

勿論理由はコレ以外にも存在し、それは神格相手にホモ達がここまで生き残れた理由に直結する。

 

単純な話、黒き神は完全体ではない。

対の神格である白き神ベロボーグが同時に顕現している状態でこそその真価は発揮される。

この世界の仕様として()()()()()()()()()()()()倒す事前提だからだ。

 

光あるからこそ闇がある。

チェルノボグは本来の力の3割程度しか出せない状態でいた。

だが腐っても神格、制限ありとは言えホモ達は完膚なきまでにボコボコにされた。

ゲームでいうバグとは違う、言わば特定条件を満たした時に発生する特別シナリオ。

 

 

ミノリが聖書を元にした複製の作成が可能になったからなのか。

チェリノが焦り対抗策として守護神の噂を思い出したからなのか。

それとも、ホモがこの地へやってきたからなのか。

 

 

なんの因果か、先に黒き神の方が封印から解き放たれることとなった。*1

兎に角、黒き神は己を完全体に近づけるべく良質で大量の神秘を欲していた。*2

 

 

──その神秘、貰い受ける

 

 

チェルノボグは構え、雪原を駆ける。

一呼吸の間もなくホモの眼前へ迫り刃は掲げられ、神速の黒き剣閃が軌跡を描く────筈だった。

 

 

 

気づけば刃の、()()()()()()()()を両手で抑えられていた。

 

 

──捉えただと

「お前は後だ。」

──ッ!?

 

 

チェルノボグの視界が突如グルンと回転する。

投げられたと認識したのはその直後であった。

ホモはチェルノボグではなく、カイ達の元へと歩きだしている。

 

前とは全くの別人、チェルノボグから『遊び』という認識が消えた瞬間である。

警戒し動きを止めるチェルノボグにホモは呼びかける。

 

 

「お前はコッチを片付けてから直ぐに滅する。」

──いいだろう

 

「あはは、おめでとうオーナー。全て思い出したんだね?」

「……あぁ。」

「お、おい?なんか凄く怒ってないか?」

「そりゃ()が黙って『偽神のカケラ』を使ったからだろうねぇ。やった事は身を削るドーピングだし。」

「お前……まじでお前……ッ!!」

 

 

明らかに怒っているホモを見て、ミノリはオロオロしている。

反面、カイはニヤニヤと愉快そうに血で汚れたその顔を喜びに歪ませていた。

 

 

「君には言いたい事が山ほどあるが……あとが控えている、先ずはそれだ。」

 

 

ホモの指さす先にはカイの()()()ヘイローがあった。

歪みは『偽神のカケラ』により増幅させた神秘のキャパオーバーが原因だ。

明らかに具合が悪そうなカイだが、それでも微笑んでいる。

杖を、『バレル』を使いこなしているという事は即ちオーナー(先生)が全ての記憶を取り戻した証拠なのだから。

 

 

「ふぅん、どうするって言うのかな?」

「その歪んでしまったヘイロー()を治す、物理的にな。」

「いやいや、ヘイローには触れられないって……え?」

 

 

通常は視認は愚か接触すら出来ない、ただ存在する事だけ周知されているヘイロー。

前の付き合いを覚えているカイは、ホモがヘイローを視認できる事は知ってるし、触れない事は知っていた。

 

 

──なら何故、今彼は自分のヘイローを摘んでいる?

「酷い状態だな、一体何欠片取り込んだ?」

「3つ…だけどッ……何この、感覚ッ?」

 

 

カイのヘイローを確実に捉えた指は輪郭にそってなぞり始める。

不思議なことにそれだけでヘイローは整っていった。

歪み澱んだヘイローが、まるで陶芸品を扱うが如く繊細な手つきで修復されていく。

 

ヘイローはその者の魂の器だ。

それに直に触れられる衝撃(ショック)は凄まじい。

当たり前だ、魂に直接触れているようなものなのだから。

 

嫌悪、羞恥、快楽、苦痛etc……触られる対象によって個人差はある。

カイは現在どうなってるかと言うと──

 

 

「無茶をする、時間がなければ最悪衰弱死だったぞ?」

アッアッアッアッアッ

「うわぁー……」

「質疑!何も見えませんッ!!」

──…………

 

 

とんでもない顔(見せられないよ!!)で蕩けていた。

いつものアンニュイな雰囲気はどこへやら、らしくない惚けた顔で痙攣している。

どうやら快楽の反応が大きいらしく、だらしない顔になっていた。

 

やってる事は医療行為のようなもので、特段気にすることではない筈なのだが……。

声が完全にあれなせいで雰囲気がおかしい事になっていた。

何か冒涜的な景色を見せられてる気がしたメンバー1は、無言でAL-1Sの目と耳を覆っている。*3

 

おかしい、さっきまでホモの復活と強化であんなにも盛り上がっていたのに。

ホモは至って真剣だし、カイは喘ぐしで台無しだ。

 

戦いの前にこんなのを見せられるチェルノボグは怒っていい。

 

 

「……応急処置としてはこんなところか、説教は後だ。」

ふへぁ……。」

 

 

未だにビクンビクンと痙攣してるカイ。

だが彼女の顔色は普段の色を取り戻していた。

ヘイローもいつもの形に修復されている。

 

それを確認し、ホモはチェルノボグへと歩み寄る。

そこは既に死の間合いだ。

 

 

──気になるな、貴様がどうやってそんなに力をつけたのか、その神秘その魂を手に入れ

「講釈が長い。」

──ゴフッ!?

 

 

文字通り一蹴。

チェルノボグの腹部に今まで受けたことの無い痛みが迸る。

油断したつもりは無かった。

 

ホモが予想を上回る動きをしただけで──

『瞬き』を使用して攻撃を仕掛けてきたのだから。

未だに痛みの残る腹部を気にせずチェルノボグは立ち上がった。

 

 

「これで先の不意打ち分*4はチャラだ。」

──使えたのか、あの妙な歩法を

 

 

問いには答えずホモは地に爪先を突き、雪を蹴り払う。

強化されたその脚撃により、雪崩を思わせる勢いでチェルノボグに襲いかかる。

 

チェルノボグは刃を一振し雪崩をやり過ごすが、ホモの姿は再び視界から消えていた

 

 

──その技は何度見たと思っている

 

 

それはとある男が発明した歩法だ。

暗殺、侵入、人質の解放etc…

相手の()()()()と同調し、高速で死角に入り込むことで消えたと思わせる歩法。

 

その歩法の名は『瞬き』

 

だがある程度上の実力者相手だと、初見殺しとしてしか使用できない。

チェルノボグの読み通り死角に入り込む特性上、背後へと先んじて攻撃すればカウンターは可能だからだ。

チェルノボグの膂力をもってすれば迎撃は容易だった。

 

しかし、

 

 

──居ない!?

 

 

歩法の開発者である男、ホモは()()()()()()()()()

あらゆる失敗の経験が、今は彼の背中を押している。

 

 

()()()()()()()使()()

 

 

1度背後へと周り、相手がカウンターの為に方向転換した瞬間に再度『瞬き』を使用したのだ。

そのまま死角へと無事潜り込んだホモは拳を引き絞る。

 

 

「発勁」

──ッ~~~!!?

 

 

解き放たれた拳は確実にチェルノボグを捉え、誰もいない方向へと吹き飛ばした。

存在しない内臓が裏返るような激痛がチェルノボグを襲う。

雪の上を転がり距離を取りつつ起き上がると、ホモは既に眼前へと迫っていた。

 

チェルノボグが刃を振り、

ホモが太刀取りを行い、

謎技術でチェルノボグが投げられ、

ホモが殴る蹴る、

その繰り返し。

 

男が積み上げてきた武の極地が、神格に通用していた。

 

 

 

 

 

チームⅤ達はその光景に魅入っていた。

 

 

「凄いっすねオーナー!?」

「あぁ、そうだな……。」

「いけぇー!!そこですッ!!にはは、爽快ですね〜!!」

「記録中……。」

 

 

誰もが見とれる中で唯一AL-1Sは情報の記録に注力していた。

AL-1Sは確信した、フロントアタッカーとしての完成系はアレだと。

圧倒的フィジカルに頼った無作為な暴力ではない、武力による一方的な蹂躙。

この日を境にAL-1Sの近接戦闘スキルが急上昇する事になる。

 

 

怪物は眠る、今はまだ。

 

 

 

一方、事情を大体把握してるカイ達(前世組)は──

 

 

「おい!!あれは不味いんじゃないのか!?」

「うん?あぁ、君は『対神格殲滅兵装』の作製に立ち合ってなかったね。」

「という事は、私が()()の作製に躍起になってた頃の話か。アンタらはなんて物騒なもんを作って……。」

「流石工務部。見ただけで大体は分かるんだね。」

 

 

滅びに抗う為の切り札、出来れば使いたくない奥の手として作成された『対神格殲滅兵装』。

その一部である『バレル()』は、脊椎に直接接続される事で使用者に大量の神秘を注入する機構である。

 

 

「『バレル』は常人を神のステージに強制に立たせる為の機構だよ。あのレベルの神格をボコボコにしてる時点で300人分の神秘は固いんじゃないかな?」

「さんびゃッ……なら彼の魂は!?」

「そうだねぇ、前に彼が使ってる所を見た時は満身創痍だったけど。」

「だったら止め──!!」

「大丈夫だよ、前はともかく今の彼なら。」

 

 

宥めるような言葉とは裏腹にカイの表情は暗い。

その表情はカイに似合わず、悲哀の感情が漏れ出ていた。

 

 

 

 

 

──その神秘の量で何故まだ動ける、とっくに魂が体が崩壊してもおかしくない筈だ

「教えると思うのか?」

 

 

前にも説明した通り、神秘が燃料なら魂は器だ。

器に燃料を詰めて、初めて秘められた力を発揮できる。

 

ホモはどうか?

神秘は持ちえていない、何故なら彼は外から来た大人だから。

 

ならば魂はどうか?

神秘を持たないものでも生物なら魂は持っている。

黒服も先生も、当然ホモにもある。

 

ただその魂の容量はキヴォトスの生徒と比べればちっぽけなものだ。

()()()ホモの魂の容量はせいぜい2~3人程度。

対して今バレルから注入してる神秘の量は300程度。

ホモの体は直ぐに弾ける筈だった。

ならば何故無事に大量の神秘を扱えているのか?

答えは簡単だ。

 

 

ホモの魂は既に粉々に砕けている。

器が穴だらけでどれだけ注ぎ込んでも抜け出していく。

だから満杯にはならないし、体に負担もそうかからない。

 

穴の空いた容器に注ぎ込むと、当然神秘は抜けていく。

現在『バレル』に残存する神秘はおよそ3()0()0()0()()()の神秘。

 

それが前の世界で男が救えなかった生徒の結晶の数々だ。

使えば消えてなくなる生徒達の神秘、ホモはそれを必要最適量を計算して惜しみなく発揮していた。

 

 

「(許してくれなくてもいい、恨んでくれていい。烏滸がましいことは承知の上で、私に力を貸してくれ。)」

──グゥッ……クカカッ

 

 

圧倒的な武力で押さえつけられて尚、チェルノボグは歓喜の感情を抱いていた。

黒き神にとって命を屠る行為は息をするのと同レベルの行為だった。

自分が刃を振るえばそれだけで死ぬ。

 

初めての出来事だったのだ、自分がただの()()()こうも不自由を強いられるのが。

 

デバフの影響もあるだろうが、チェルノボグはホモに感謝すらしていた。

今まで自分の存在意義に従って屠ってきた迄だったが……。

こんなにも命のやり取りが愉しいものだとは思わなかったのだ。

 

 

──今なら試せるな

 

 

この期に及んで黒き神は成長を遂げようとしていた。

それは3種の斬撃全てを内包した真なる一撃必殺。

誰もが等しく死を迎える必死の剣技。

 

だが今のホモに剣を当てることは至難の業。

故に選んだ、攻撃を貰いつつさし貫くと。

 

神らしからぬ肉を切らせて骨を断つ戦法。

その作戦は幸をなし、

 

 

──貰った!!

 

 

突きは恐ろしい程に的確にホモの右目あたりを刺し貫いた。

べキリと軋み音をたててヘルメット全体に亀裂が広がっていく。

 

勝利を確信したチェルノボグ、その剣を持つ利き腕が()()()()()()()()

 

驚愕、そして気づいた───自身の敗北を。

今、自分の体に刺さっている物の正体を知覚した。

 

 

「生憎と、そっちは空っぽだ。」

 

 

完全に広がった罅によりヘルメットは粉々に地へと落ちていく。

現れたのは眼窩に灯る光が顕在の骸骨男。

そしてチェルノボグの刃は空間にできた穴へと吸い込まれていた。

 

発動したのは『ワープ』。

ホモが『バレル』へと追加したこの機能は、接続し一体化した事で本人が使える技能へと化していた。

ワープにはいくつかの制約があるが、その内のひとつは【必ず入口と出口を作り出すこと】である。

 

ならば今、出口はどこへ繋がっている?

丁度チェルノボグの胸のあたりを黒き刃が貫いていた。

 

 

 

──天晴なり

 

 

 

その剣は等しく万物を殺す、たとえ神格であったとしても。

己が刃により黒き神は塵と化し消え行った。

完全に黒き神が消失したのを見届けホモはポツリと呟いた。

 

 

 

「全てを思い出せたのは君のお陰だ、それだけは感謝する。」

 

 

 

勝者──ホモ

 

*1
本来であれば白き神が先に顕現する

*2
つまり『神秘のカケラ』による懐柔は不可能

*3
他の人?勿論ガン見だよ?

*4
68話参照





次回からはRTAパートに戻ります。


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称号【神域到来】


前回のあらすじ

ホモ君復活!復ッッッ活!!
チェルノボグはすみやかに爆発四散!!

大体こんな感じ。

今回はRTAパートになります。



 

我、大勝利!!

 

 

ホモ君が初めに挿された♂時、【神秘を刈り取る斬撃】だと知り安堵したのも束の間。

もはや恒例と化しつつある、ホモ君の自我が発芽した事が原因で【魂を刈り取る斬撃】を受けた時は死を確信しました。

 

もうどうにもならないので、そのまま放置してたらいつの間にか復活したんですけどね?

いえ、()()()()()()()()のである程度状況は把握出来てますが……。

 

 

・自らの攻撃により黒き神は塵と化した。

 

 

もうチャートは影も形も残ってませんが続行です(鋼の意思)

というのも、想定してたタイムより確実に早まるからです。

 

 

・塵の一部が風に乗っている。

・ホモはその一部を『バレル』へ取り込んだ。

 

 

神格の神秘、GETだぜ!!(マサラ人並感)

絞りカスもいいところですが、1()()()()()は取り込みました。

あんまり大量に吸収して黒き神にホモ君が乗っ取られるのも嫌ですからね(0敗)

 

 

「おーい、無事かーッ!?」

 

・準備を整えた親衛隊が引き返してきた。

 

 

チェリノ達が帰ってきましたか。

ちょーっとだけ面倒ですね、ホモ君はヘルメット割れてスッピンなので。

チェルノボグと同じ骸骨頭で警戒されるでしょうから言いくるめする必要があります。

 

あれ?トモエが見えませんね……。

好都合です言いくるめちゃいましょう。

 

 

その間に視聴者兄貴達が気になっているであろう()()について解説してイクゾー!!

 

 

今回のMVPであるホモ君が所有する『バレル』。

長らく『解析』を持ってしても用途が杖以外に不明だったこの棒キレですが、制限付きの強化アイテムだと予測がつきました。

 

まだ完全にフレーバーテキストは解読できませんが、あのホモ君の暴れっぷりを見るに間違いないでしょう。

死の淵で復活して強化もされるってサイヤ人かな?

 

冗談は置いて。

この『バレル』は中に残存する神秘を注入することで、使用者に半永久的なバフを付与します。

 

バフの倍率ですか?今のところ1().()1()()()()()()()()()

不思議なことに今回のホモ君、普通あるはずの()()()()()()()存在しないんですよね。

ナンデダロナー()

 

 

それ以外にも使用者に様々な戦闘スキルを追加してもくれます。

ホモ君が使用した『瞬き』や『発勁』がそうですね。

カイのヘイローに干渉できたのは『知覚』の上位スキルである『魂魄知覚』をしたからで、元々所持するスキルに関しては上位に変化するようですね。

 

 

はい、頭がおかしい程のぶっ壊れアイテムです。

 

 

神格相手は普通単独撃破できる相手じゃないんですけどね?

これからはこの状態のホモ君をガチホモ君と呼ぶ事にします。

 

 

当然ながら制限は存在していて、神秘の注入量でホモのストレス値が変化します。

入れすぎたらどうなるのか?

 

死にます(1919敗)

 

他の制限も大したものがなく、(戦闘終了後のデバフも行動力の低下だけで問題)ないです。

使用可能なのがホモ君限定なのも妥当。

それこそ生徒に使えたら「攻略しちまったなぁ!」状態です。

 

強いて言うなら、このアイテムは神格級ボス戦でしか使えないようですが……。

それでもぶっ壊れだよ(正気)

 

 

あと戦闘勝利後に称号を獲得しました、その名も【神域到来】。

称号を2つも貰っちゃいます!!

 

これはカテゴリが神に入る奴をコロコロすればGET出来ます。

ほんとに誰でもいいです、強さは関係ありません。

 

今回の黒き神は()()()だったのでこの称号を獲得しました。

ちゃんと条件を揃えて神格を殺せば黒き神でも称号【神殺し】をGETできますよ。

 

さて、そろそろチェリノを言いくるめ出来た頃だと思いますが──

 

 

「隠さなくていい、オイラには分かる!

 

お前がベロボーグなんだろ!!

 

・ホモは否定するが、容認してくれない。

・なにか盛大な勘違いを受けている。

 

 

うーんこの。

何がなんやら、白き神と勘違いされてますね。

折角ですし、黒き神と白き神の事についても解説しましょうか。

 

ホモ君達が戦った黒き神・チェルノボグは、とある条件を満たす事で特殊イベント『この悪神にしてこの善神あり』に現れます。

 

ストーリーの流れで守り神として奉られてる白き神(倉庫の奥で埃を被った)・ベロボーグと共闘して倒す事に。

この場面で戦うチェルノボグは完全体なので倒せば無事【神殺し】をGETできます。

 

白き神も援護してくれるので取得はかなり楽な部類に入ります。

赤冬で走ると楽に【神殺し】を取得できますよ。

 

問題はその後。

共闘した白き神と戦うことになります。

普通なら完全な神格相手に勝負は成立しません。

 

ですが守り神の()()()()を込められた白き神は赤冬生徒達相手に全力を出せずに──

と言った内容になっております。

 

チェルノボグ倒したからベロボーグ認定されてる疑惑がありますねぇ、こォれは……。

 

 

「オイラは恩知らずではないからな、なんでも頼んでいいぞ!!オススメは黄金の像だが。」

「流石です会長!!」

 

 

今、なんでもって言ったね?(天丼)

 

素直にここは機械神教を認めろ!!と行きたいところですが……。

何故かミノリが複製技術(ミメシス)を扱えるので、ここは別のお願いをしましょうかね。

ほんとになんで君そんなこと出来るの?聖書作成?あっ(察し)

 

なーのーで、今回は借しとして好感度を上げておくのが吉です。

トモエが居ないのが少し引っかかりますが……。

ま、ええやろ!!(いつもの)

 

 

「うむ、ならいつでも頼ってくるといいぞ!!」

・ホモは『レッドウィンター事務局直通電話番号』を手に入れた。

・親衛隊を引き連れ、チェリノは帰還した。

 

 

ヨシッ!!

あとはミノリだけですが───

 

 

「お別れの時間だな、私はついていけないが……。」

・ミノリは心底残念そうに俯いている。

 

 

ですよねー。

ここではホモ君の人たらしパワーは発揮されませんでしたか。

しゃーなしです、友好な関係が結べただけ良しとしましょう。

 

 

「君達の旅路に幸福があらんことを願っている。」

()()()()()?」

「……()()。」

・ミノリの送る姿を最後にホモ達はレッドウィンターをあとにした。

 

 

さぁて、次の目的地は百鬼夜行です。

 

目的は新たなサブ研究所を建設するのと、上振れれば彼女達に会えます。

お察しの通り花鳥風月部です。

 

極悪非道だの、魑魅魍魎など散々な言われようですが、彼女達の扱う怪書技術はとても貴重です。

 

仲間に出来たらウマ味ですが、そこはあまり期待してません。

そもそも彼女達の拠点は百鬼夜行の自治区外です。

もし運良く出会えたとしても、敵対するかも知れません。

クロカゲを出されても今ならガチホモ君で何とかなるので、試す価値はありますがね?

 

本命はラボの建設で進めていきます。

 

 

・今日一日で色んな事が起きたからだろうか、とても疲労感を感じる。

・これ以上の行動は出来そうにない。

「お休みなさい、オーナー。」

 

 

おや、ホモ君の行動力が尽きましたね。

後は仲間に任せて、ホモ君には休んでもらいましょう。

 

あっそうだ(唐突)

今のうちにエデン関連のスタンスを軽く説明しておきましょう。

 

本来のチャートは跡形もなく爆散しましたが、辿り着く答えは同じです。

キヴォトス全域の戦力を上げ、色彩を()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

色彩の強さは黒き神の比ではありません。

最悪の場合、色彩が\ハーイ/した直後に全滅します(810敗)

それだけデタラメなんですあの存在(終末)は。

 

なので所属無しの無法生徒を多く揃えたいんですけどね。

勿論、アリウスの全生徒も候補です。

できればスクワッドも欲しいけど、無理やろなぁ()

 

だからエデンでの時間の殆どをアリウスに費やす訳ですが。

ベアおばにこき使われることもほぼ確定ですが、それだけ物語をコントロールする機会に恵まれてるという事にもなります。

 

それが何を意味するかって?

ベアおばのチャートを粉砕します!!

クックック……、ベアおばめ覚悟しておけよ!!

 

 

では今回はここまで!

次回は百鬼夜行でしょう。

もし違ってたら、百鬼夜行の桜の木の下に埋めてもらって構わないですよ!!

 

 

ご視聴ありがとうございました!

 

 


 

 

ホモ達が去った数日後の事だった。

事務局室を含めた教室は、既に工務部の尽力により完璧に修理されていた。

勿論、報酬のプリンは支払っている。*1

 

全て元通りだ。

チェリノはいつも通り、椅子へふんぞり返りプリンを堪能していた。

そこへ、マリナが今思い出したかのように言葉を零す。

 

 

「ところで宗教弾圧はどうなったんだ?」

「放置で問題ないぞ、あれから奴らの活動はなりを潜めている。」

 

 

デモを起こしていた工務部だったが、あの一件以降宗教デモはパッと無くなっていた。

普通のストライキ活動は未だに週五のペースで維持されているが、赤冬ではいつもの事だった。

今も外では工務部がストライキを起こしている。

 

そんな平和(?)な時間を過ごしていると、親衛隊の1人が汗を流し入室してくる。

後ろからは2mを優に超える大きな荷物が運び込まれた。

随分な大人数で運んできたソレは巨大な布が覆いかぶさっている。

 

 

「会長、例の黄金像が出来上がったようです!!」

「おぉ、やっとか!!」

 

 

待ちわびたと、チェリノは椅子を立ち布を剥ぎ取る。

現れた()()を見てトモエはビクリと震えた。

その現実を受け入れたくないトモエは、チェリノへと問いかける。

 

 

「本当に()()をここに飾るのチェリノちゃん?」

「借りを返さずに終わる事もあるだろうからな!工務部の連中に依頼したら快諾してくれたぞ!!」

「うぅ、未だに()()を見ると震えが止まらないのですが……。」

 

 

黄金チェリノ像とは対称的に設置されたその黄金像は、見る者をくすみ上がらせる威圧感を放っていた。

いつも仕事には真摯な工務部だが、今回のモノは明らかに異彩の仕上がりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

骸骨男の巨大な黄金彫刻像は怪しく光る。

当然、ホモはこの事を知らない。

 

 

 

──イワン・クパーラで先生が訪ねるまであと3日。

 

 

 

*1
2つではない





【悲報】走者、桜の木に埋められる事が確定【朗報】

赤冬編はホモ君の過去に深く関わることもあり書きましたが、百鬼夜行は飛ばします(無慈悲)
あとその方が伏線も張りやすいって婆ちゃんが言ってた。

エデン編Vol.3へ入る前に3話ほどおまけ話を入れます。
内容は

・質問募集回答&裏設定開示
・ホモがストーリーに存在する世界線の掲示板回
・先生メインの補習授業部編

この3つの予定です。

という訳で今回もありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。


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【┌(┌^o^)┐】掲示板回【part810】
【新ゲマ】ブルアカ雑談①【┌(^o^┐)┐】



お待たせ致しました。

意外にも早く書ききる事が出来たので初投稿です。
時系列的には『勇者の光と魔王の撃鉄』までとなります。

では、よろしくお願いします。



 

1:名無しの司祭

コ↑コ↓は新ゲマトリアのホモを見た感想、もとい妄想の垂れ流しについて語るスレです。

 

 

荒らしには✝︎悔い改めて✝︎もらいます。

 

 

2:名無しの司祭

何なんだよお前ぇッッッ!!

【挿絵表示】

 

3:名無しの司祭

ホモ(ド直球)

 

4:名無しの司祭

神名のカケラおじさん 

 

5:名無しの司祭

放送コードの限界に挑戦したゲマトリア

 

6:名無しの司祭

ライダースーツ職人

 

7:名無しのの司祭

>>4

当然のようにログイン画面に居るのなんなん? 

 

8:名無しの司祭

よく運営はこんなのOK出したな。

 

9:名無しの司祭

毎回どんな気持ちで名乗ってるんだコイツ

 

10:名無しの司祭

真の黒幕が現れるアツいシーンが、たった2文字のせいで台無しになるの酷すぎて笑った

 

11:名無しの司祭

巫山戯た名前からお出しされる、巫山戯た性能の敵達

ホモレイドで辛酸舐めた先生はワイだけじゃないはず

 

12:名無しの司祭

ホモレイドの字面酷いな

改名しろ(戒め)

 

13:名無しの司祭

>>11

例のレイドがHardcoreで止まってる新人先生だけど、そんなに難しい?

今のところレベル55でも2凸ならExtremeいけそうな感じなんだけど 

 

14:名無しの司祭

ExtremeどころかInsaneまでは良いんだよ、そこまではホモ舟とヘルメット団だけしか出ないから

アコヒマが居ればフレンドのケイを借りるだけで2凸クリアは余裕

 

問題はTormentなんよ……

 

15:名無しの司祭

ワイもTorment挑戦したけど難易度高すぎて諦めたわ

第一陣を退けてTormentの方が弱くね?って思ったら唐突に現れた第二陣よ

 

16:名無しの司祭

Insaneまでは他のボスより簡単だっから余計にギャップがなぁ……

 

17:名無しの司祭

ワイ「ファーッ、あんだけストーリーでイキリ散らしてコレとかwww」

 

十数分後

 

ワイ「前が見えねぇ(4凸瀕死クリア)」

 

18:有能の司祭

ワイは頑張って2凸で終わらせたで 

 

19:名無しの司祭

>>18

Kwsk 

 

20:有能の司祭

言うて参考ならんぞ

 

まず第一陣のヘルメット団&ホモ舟

リーダー以外は爆発攻撃だからツバキで受けつつ、神秘の範囲攻撃持ってるライダーアカネ削る。

ケイ完凸してる奴はそっちを連れてくのもアリ。

 

ホモ船の突進攻撃は割と痛いから、しっかりセリナ等で範囲外まで移動させること。

()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

ここはInsaneと変わらない。 

 

21:名無しの司祭

やっぱりアイツ(セリナ)おかしいよ

 

22:名無しの司祭

流石は低レア詐欺筆頭戦力

この子に限らず、ある程度は低レアでも戦える子多いのが良いわこのゲーム

 

23:有能の司祭

 

で、問題の第二陣

 

20秒毎に5秒スタン付与してくるホモ

火力馬鹿高いのに回避率のバグってるAL-1S

そして体力だけ無駄に高いクリフォト(粗大ゴミ)

大抵初見の奴は此処で狩られる

 

粗大ゴミさえ倒せばクリアだが、火力がバグってるAL-1Sを放っていると死ねる

必中付与のノアは対AL-1Sで確定枠

そして防御無視の単体高火力を出せるライダーカリンも確定

空いたスペシャルの一枠を本当はアコにしたかったけど、ホモのスタンがウザすぎるからマリーも確定

 

あとは適当にバフ&回復要因を配置して完成

オススメはライダーアスナかな

 

動きとしてはノアの必中付与→ライダーカリンのコンボでAL-1Sを速攻で倒して、粗大ゴミをボッシュートする

ワイはこれを20回以上リトライした

 

ま、こんなところやね 

 

24:名無しの司祭

こんなところやね(キリッ)じゃないが?

そんなにリトライするなら凸って攻略するわ!!

 

25:敗北の司祭

先生!ノアもライダーC&Cも爆死した私はどうすれば!?

 

23:名無しの司祭

ライダーC&Cが1人も居ないってマ!?

(全員お迎え済み先生)

 

24:敗北の司祭

はぁ、はぁ、敗北者……?

 

25:名無しの司祭

もう止めましょうよ!!

レスが!勿体ないッ!!

 

26:名無しの司祭

シールド張れるキャラが少ねぇんだよな

 

27:名無しの司祭

軽いコストのEXで、移動しつつシールド付与できる体操服のキャラが居ればなぁ……

 

28:名無しの司祭

スタン攻撃は一応遮蔽物でも防げるぞ

ホモ自身の火力はカスやから余裕で耐える

 

29:名無しの司祭

マ?

 

30:名無しの司祭

それが本当なら遮蔽物の方が使われそうな気がするんやが?

シールドと違って破壊されるまで残るし利点しかなさそうやけど

 

31:名無しの司祭

ワイも確認したけどしっかり防げたぞ

そう、防げはしたんや……

 

32:名無しの司祭

ホモ舟「やぁ」

 

33:名無しの司祭

お前を殺す(デデン!)

 

34:名無しの司祭

シミコが頑張って積み上げた本の山がなぎ倒された時は涙を流しましたねぇ

 

35:名無しの司祭

廃車してやる

 

36:名無しの司祭

でも報酬は美味かったから許したるわ(手のひらドリル)

 

37:名無しの司祭

気づいたら神名のカケラがエグい量集まってたぜ

石もくれ(強欲な壺)

 

38:名無しの司祭

おい、レイドの話も良いけどストーリーの話もしろよ

 

39:名無しの司祭

ストーリーの話となると色々有りすぎてなぁ

 

40:名無しの司祭

純粋な敵役って感じだったよな

黒服と違って情報をペラペラ喋ったりしないし

 

41:名無しの司祭

徹頭徹尾、先生を潰す為のムーブしてたから

 

戦力分断してから先生には最大戦力をぶつける

ヴェリタス達の援護は当然のように妨害する

やり方がガチなんよ()

 

42:名無しの司祭

大人のカードを使う宣言、勝った!!

ホモには勝てなかったよ……

 

43:名無しの司祭

この世で最も汚い即落ち二コマやめろ

 

44:名無しの司祭

大人のカードで返り討ちに出来ると思ったら、先生が死にそうなくらい顔色悪くなってて絶望感パなかったわ

粗大ゴミ呼ばわりしてすみませんでした……

 

45:名無しの司祭

クリフォトのスチル出た時の、「本当にこいつに勝てるのか?」っていう緊張感よ

なお、レイド

 

45:名無しの司祭

おう、粗大ゴミの悪口はそこまでだ

ゲームの仕様上、トドメの一撃しかないのは仕方ない事なんだよ!!

 

46:名無しの司祭

ホモの目的って何やったん?

難しい話は全く分からん()

 

47:名無しの司祭

ストーリー見る限りだと粗大ゴミの顕現がメインっぽい

アリスちゃんと『鍵』としてのケイが居て初めて可能みたいな事を言ってた気がする。

 

48:名無しの司祭

なんやアリスちゃんって?

 

49:名無しの司祭

AL-1Sの事やで

コードネームは呼びにくいし、味気ないからケイみたいにもじってみた

 

50:名無しの司祭

ええなソレ、ワイも使うわ

 

51:名無しの司祭

お前らクリフォト馬鹿にしてるけど、ストーリーだとクソ強いからな?

 

52:名無しの司祭

おかしいな、アリスちゃんの方が強いイメージしかないぞ?

 

53:名無しの司祭

彼女もメインストーリーの負けイベボスだからね

※レイドの脅威度は彼女の方が上です

 

54:名無しの司祭

パヴァーヌだけで3回の負けイベだぞ

負けイベ多すぎィ!!

 

56:名無しの司祭

それだけギリギリの戦いだったって事やろ

コイツらと戦闘経験のあったC&Cが居なかったら詰んでた

 

57:名無しの司祭

戦闘経験?そんな話あったっけ?

 

58:名無しの司祭

言ってたぞ、ミレニアムを出ていった生徒を捕まえる為に鉢合わせたらしい

それが初めての任務失敗だったってアカネが言ってた

 

59:名無しの司祭

ネルの言ってた「私にかなう奴はただ一人を除いていねぇ!!」発言はアリスちゃんの事だったのか!

 

57:名無しの司祭

ホモ陣営の生徒達可愛いよな

アリスちゃんもそうだけど、黒崎コユキだっけ?

メスガキ感が半端ないやつ

 

58:名無しの司祭

にははXDXDXD

 

泣かしたい(曇りなき眼)

 

59:名無しの司祭

殴りたいその笑顔

ネムガキとは違ったタイプのメスガキっぽくて良いよね

 

60:名無しの司祭

ユウカに威圧されて白目むいてたの笑ったけど、

こいつ1人でヴェリタスの防御壁突破してると思うとヤバイよな。

 

61:名無しの司祭

最初は「退学ぐらいでC&C向けるとか」って思ったけど、

こんな力があるなら妥当な判断だったでござる

 

62:名無しの司祭

しかも倫理観がカスである事が示唆されてる

キヴォトスの一般倫理観よりもカスって相当だぞ!!

 

63:名無しの司祭

つまりコイツをコントロール出来てるホモはヤバイ奴なのでは?

 

64:名無しの司祭

ゲマトリアって時点でヤバイ奴なんですがそれは……

いや、黒服と比べたらマシなのかもしれないけど

 

65:名無しの司祭

そろそろ触れるか、アレ(選択)について

 

66:名無しの司祭

あぁ、あの賛否あるやつか

ワイはホモ派やけど(クソデカ主語)

 

67:名無しの司祭

ケイを助けるか、キヴォトスの安寧を取るかってやつ?

ワイなら断然前者やで

誰かの犠牲の上で成り立つ世界なんてゴメンやね!

 

68:名無しの司祭

主人公的な考えで行くと前者なんだろうけど、実際にどっち取る?って聞かれたら後者かな

 

69:名無しの司祭

初めはなんやコイツって思ったけど、言ってる事は割とまともなんよなホモ

 

70:名無しの司祭

ホモに先生を責める権利はないけど、それ言ったら先生もホモにどうこう言えねぇからな

やってる事は大義ある悪行だし

 

71:名無しの司祭

特定の誰かが完全に悪いって訳じゃないのがアレなんだよな。

 

ケイも最初は『鍵』の役割を果たそうとしてたし

先生は大人の役割を生徒に押し付ける形になったし

モモイ達はリオの話に全く耳を傾けないし

ホモはケイが暴れるように変な機械ばら蒔いてたし

リオはマシな大人に相談できなかった

 

全員の行動が積み重なってドミノが倒れた感じ

 

72:名無しの司祭

推察できるのはホモが無闇に生徒を犠牲にする奴ではないということ

ゲマトリアにとってキヴォトスは広大な実験所みたいなこと言ってたから、キヴォトスが滅ぼされるのは勘弁して欲しいっぽい

 

『鍵』の存在を消したかったのも、それが理由

だから『鍵』が役割を放棄した後は潔く手を引いてくれた

 

73:名無しの司祭

ホモに付いてった生徒達の反応を見るに慕われてるのが分かるよね

外道なら嗚呼はならない

 

74:名無しの司祭

無表情キャラだったアリスちゃんがニッコニコやったもんな

 

これはアレか?

ゲマトリア=失敗した先生説が現実味を帯びてきたか?

 

75:名無しの司祭

黒服がホシノ犠牲にしようとしたところが腑に落ちないけど、先生以外のやり方でキヴォトスの滅びを回避しようとするなら確かに辻褄は合うのか?

 

76:名無しの司祭

先生が何がなんでも生徒全員を救う

ホモが助けられる範囲だけを救う

コ↑コ↓が対照的だと感じた

 

でも生徒を大事に思う所は一緒なんだよね……

 

77:名無しの司祭

つまり先生はホモって事!?

 

78:名無しの司祭

違う、そうじゃない()

結局、『鍵』を覚醒させたホモが戦犯なのでは?

ボブは訝しんだ

 

79:名無しの司祭

よくホモが戦犯って言われてるけど違うからな

DBの魔人ブ○編での戦犯を聞かれてバビディって答えてるレベルだから

 

バビディとホモは戦犯じゃなくて元凶や

 

80:名無しの司祭

そう考えるとゲマトリア(敵役)のホモに先生を批判させたのは正解やったな

ちゃっかりリオのヘイトも吸引する辺り、流石やでホンマ

 

81:名無しの司祭

ホモとの死闘を経て先生はどうなるのか

エデン条約ではしっかりカッコイイ所を見せてくれるのを期待してるぞ!!

 

82:名無しの司祭

パヴァーヌであれなら、エデン条約で先生死んじゃうんじゃないか?

凄い勢いで敵がインフレしそう()

 

83:名無しの司祭

今公開されてるスチルだとそんな感じしないけどな

不穏なスチルもあったけど、大部分はのほほんとした青春物語っぽくて

いや、でもサムネ詐欺みたいな物かもしれんのか

 

83:名無しの司祭

見た感じアビドス組や便()()()も出番ありそうで嬉しいわ

なんかおじさんの様子もおかしかったけど

 

84:名無しの司祭

あの赤いセクシーな女異形が今回のゲマトリアなんやろか?

それとも新しい陣営なのか?

ヘイロー無いっぽいからゲマトリアやと思うけど

 

85:名無しの司祭

きっと黒服やホモみたいに大人としての魅力に溢れたキャラなんやろなぁ!!

 

86:名無しの司祭

アレが今章のゲマトリア兼ボスで間違いないやろな

テーマはなんやろ、先生とは別の学園生徒を指揮する存在とか?

 

87:名無しの司祭

青のヘルメット団もいたし、もしかしてホモも出演するのか?

もしそうだったら色々と熱いな!!

 

88:名無しの司祭

そもそもアイツらがどういう集まりなのか……

ゲマトリアの小間使いなのか、ホモの専属の兵士なのか

 

89:名無しの司祭

パヴァーヌではホモ舟があったとは言え、モモイ達相手に勝利してるからな

相当強いのは見て取れる

 

地味に回復技もあるのズルでは?

WSGの子の回復モーションは可愛かった(隙自語)

 

90:名無しの司祭

ボスが回復技使うな定期

 

C&Cバイクが無ければ勝負にもならなかったよ

というかホモの戦力って、明らかに異質だよな?

生徒一人一人がちゃんと強いし、どんな訓練させてるんだろ

 

91:名無しの司祭

よく見たら敵っぽいマスクの生徒達と同じ服装だな

学園のエンブレムなのか骸骨のマークがついてる……

 

あっ(察し)

 

92:名無しの司祭

憶測だけど確実に関わってくるんだろうね

ゲマトリア陣営の人物関係も気になってきたわ

黒服とホモは絶対仲良い

それか黒服の一方通行

 

93:名無しの司祭

ホモ×黒だって!?

地味に赤冬の工務部達が居るのが気になるよな

……本当に何しに来たんだコイツら?

 

94:名無しの司祭

ホモが敵の学園に関わってるとしたらなんだろうな

やっぱり理事?赤い女が校長とか

でもヘルメット団にはオーナー呼びされてたし違うのか?

 

95:名無しの司祭

自己犠牲はやめとけと身をもって体験させてくれる

鍵が役目放棄したら自分が有利でも退散してくれる

敵だとか言いながら神名のカケラをくれる

 

つまりホモはツンデレ

 

96:名無しの司祭

Q.E.D.と

 

97:名無しの司祭

黒服湧いてんじゃねぇか!!

 

98:名無しの司祭

ゲマトリアの連中が理解出来ぬ

せめて最終目的を開示して欲しいよぉ

 

99:名無しの司祭

今回で判明したら良いんだけどね

展開が楽しみでワクワクが止まらない!

 

100:名無しの司祭

あぁッ、エデン条約編が待ち遠しいぜ!!

 

 

 





掲示板形式が難しいよパトラッシュ……。
次やるならエデン条約編終了後になると思われます。

次回は先生視点でVol.3.2までをダイジェスト風味でお届けします。


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Vol.3.1~2幕間の物語4
re.プロローグ



お待たせ致しました。

ちょっとだけ様式を変えました。
掲示板回は掲示板回で、先生目線はおまけ回で分けて書きます。



時刻は18:00前

 

夏の日差しもすっかり大人しくなり、少しばかり過ごしやすい気温となった夕闇。

場所はトリニティの部室会館、そのテラス側に1人の少女が座っている。

 

傍らにはチェスの駒と盤があり、彼女はそれを1人で打っている。

以前まで自分の相手をしていた親友は居ない。

 

ただ意味もなくこんな場所で打っているのでは無く。

少女──桐藤ナギサは人と待ち合わせしていた。

こんなモノは時間つぶしの手遊びだ。

 

18:00ちょうど、足音が聞こえてくる。

奥から現れた人物は彼女の想像するとおりの人物であった。

 

 

「初めまして先生、ティーパーティーの代理ホスト桐藤ナギサと申します。」

【初めまして、知ってると思うけどシャーレの先生だよ】

 

 

ふと先生の目線が卓上のチェスへと向けられる。

黒と白で駒の違う配置のスタート。

あまり見ない配置に疑問を持ったのか、先生が尋ねてきた。

 

 

【1人でやってたの?】

「はい、()()1()()で。宜しければ打ちながらお話しますか?」

【ごめんね、ルールは全く知らなくて……】

「そうですか、では機会があればまた。」

 

 

すっかり日が落ち、当たりが夜へと切り替わる。

テラスの淡い光だけが2人を照らしている。

あまり世間話しをして時間を伸ばすのも悪い。

そう思ったナギサは早々に本題へと入ることにした。

 

 

「本日は日も暮れるというのに御足労頂き感謝します。こうして先生をお呼びしたのも、お願いしたいことがありまして。」

【お願い?】

「簡単なことです……補習授業部の顧問になっていただけませんか?」

 

 

ナギサの依頼、それは落第の危機にある生徒の救済措置であった。

本来ならばティーパーティーが直々に手を下すべき事案だが、エデン条約の事もあり手が離せない状態。

 

対策案を考えていると新聞で『シャーレ』の活躍を知った。

あまり良くない噂もあったが、あのゴシップ大好き達の事だから心配はしてない。

 

むしろ生徒と協力して問題を解決したという実績があるだけマシである。

最近だとレッドウィンターに向かい、『白き神』を名乗るモノを生徒と協力して倒したとか……。

 

また正規ではない特殊な部活動の為に、申請には少しばかり手間が掛かる。

出来ればエデン条約前には問題を解決したい、そんな折シャーレの持つ超法的権限に目をつけた。

 

シャーレであれば、面倒な手続きも横紙破りで補習授業部が創部可能となる。

手早く、親身になって生徒達を助けてくれる一石二鳥の手段。

 

 

()()()()()()()()()()()()

 

 

対象の生徒は5名、彼女達には合計3回の追試を受けてもらいます。どうか彼女達に救いの手を差し伸べてはくれませんか?」

【……。】

 

 

以前の先生なら二つ返事で受けていたであろう依頼。

他でもない生徒の頼み、それも生徒を救って欲しいという純粋なもの。

だが先生に1つの疑問点が浮かんだ。

 

それは勘であった。

表面上は澄ました顔をしているナギサ。

その微笑みは無理やり取り繕ってるような、何かしらのプレッシャーを抑圧しているような歪さがあった。

 

何か声を掛けねばと出た咄嗟の質問。

漠然とした心配であったが故に、先生は衝撃を受ける事になる。

 

 

【3回とも不合格になった生徒はどうなるの?】

「……全員退学になります。」

【!!】

「そもそも補習授業部は、生徒を退学させるために作られるのです。」

【……どうしてそんな事を?】

 

 

思っていた以上の返答に、一瞬頭が真っ白になる。

しかし、すぐ冷静さを取り戻した先生は話を促す。

ナギサの話ではこうだ。

 

・トリニティには裏切り者がいる。

・裏切り者はエデン条約締結の阻止を目論んでいる。

・エデン条約はトリニティとゲヘナの間で結ばれる不可侵条約。

・仲の悪い両校がようやく締結する所まで漕ぎ着けた。

・せっかく準備したのに台無しにされるのは我慢ならない。

・補習授業部に集ったのはその容疑者。

・シャーレを頼ったのも退学措置が取りやすくなるから。

 

 

「その為の補習授業部です、()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

【………。】

「私は先生(シャーレ)を利用しようとしました。罵って頂いて構いません。」

【(あぁ、この子も同じだ……。)】

 

 

観察してみてよくわかった。

彼女の顔色は薄らと青白く健康的とは言えない。

エデン条約か、または裏切り者によるストレスか。

定かではないが、彼女の重責となっているのは確実だ。

 

生徒という身の丈に合わない重責。

子供らしくない責任から、問題を1人で背負おうとしている。

大人にならざるを得ない子供。

例え自分がどんなに非難されても構わない、そんな姿が彼女(リオ)と被る。

 

 

【でも本当に私を利用する気だったら、今ここで話してくれないよね?】

「流石に理解が早いですね。すぐに信じて貰えるとは……

 

 

なら先生──補習授業部にいる裏切り者を、探していただけませんか?」

 

 

対する返答は早かった。

先生の出した答えは───

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()。】

「っ!!なら──」

 

 

まさか二つ返事。

直ぐに受け入れて貰えると思わなかったナギサは、歓喜のあまり矢次早に言葉を続けようとする。

が、先生が手を突き出しソレを静止する。

 

 

【でも一つだけ、その裏切り者とされる()()()()()は任せてくれない?】

「……何故です?恐らくですがトリニティを、ひいてはキヴォトス全体の混乱を招こうとする輩ですよ?」

【だって容疑者が出なかったら全員退学させる気でしょ?】

「犠牲を出したくないと?ですがそれはもう無理なんです。」

【それはどうして?】

「……エデン条約は間近です。もう精査する時間なんて──」

 

 

一瞬の躊躇うような間、先生はそれを見逃さない。

 

 

【違うでしょ。君はそんな()()()()()()()で生徒を犠牲にするような子じゃない。】

「……ッ!!」

 

 

此処(トリニティ)に来る前からナギサの事は調べていた。

基本的に気品があり穏やかな性格の彼女は結構なお人好しだと。

 

そんな彼女が、他の生徒を退学に追いやる程の理由。

少なくとも、自分が念入りに進めてきた計画が台無しになるから()()()()()()

 

 

「……そうやって他の子も落としてきたのですね?」

【ちょっ、違うからね!?】

「ふふっ、冗談です。ですが……ええ、先生であればお話しましょう。」

【(冗談……ホントに?)】

 

 

一呼吸置いてナギサは話し始める。

その表情は苦虫を噛み潰したような、苦々しい表情であった。

 

 

「今からそう遠くありません、生徒会長の1人である百合園セイアさんが裏切り者陣営の襲撃を受けて()()しました。」

【!!?】

 

 

今回2度目となる爆弾を投下された。

キヴォトスでの殺人は珍しい……というかほぼ起こらない。

その神秘……ヘイローによって生徒達の体は頑強なものになっているからだ。

 

現状明らかとなっている死亡事例は1つ。

()()()()()()()()()()()

 

 

「実際に確認した訳ではありませんが、確実性の高い情報です。現にセイアさんとは連絡が付きませんし。」

【それは……。】

「親友を奪った裏切り者を私は許せません。もう1人の親友も失う訳にもいきませんから。」

 

 

そんな事を言われたら、先生は何も反論出来ない。

復讐は何も生まないと言うがそれはウソだ。

少なくとも、第三者の先生がそれを止める権利はない。

 

かつての自分はソレ(憎悪)をあたかも間違いだと切り捨ててしまった。

それではダメだ、そんなもの皆の先生ではない。

愛好、嫌悪、無関心、全て引っ括めて生徒の要素なのだ。

 

 

【なら早い者勝ちだね?】

「……フフッ、そうなりますね?」

 

 

だから先生はナギサの復讐を否定しない。

その代わり先生も好きなように振る舞う、言外にそう示したのだ。

てっきり止められると思っていたナギサは面食らい、同時に微笑む。

 

 

「では補習授業部の事は、お願いしますね?先生のやり方がトリニティに利するものであることを願っています。」

【うん、また今度ね。】

 

 

そう言い、先生は退出する。

補習授業部丸ごとの廃棄から、裏切り者1人の処分に切り替わった。

今の自分の持ち札ではこれが限界だ。

 

ただ漠然と自分の欲求で動いていた頃とは違う。

どうすれば真に生徒達全員の味方になれるか?

完全な中立になるつもりはない、悪い生徒には変わらずお灸を据える。

 

ただ助けを求められたら必ず救ってみせる。

補習授業部もナギサも全員、勿論裏切り者だって。

 

 

【いつか君の疑心を溶かしてみせるよ。】

 

 





計5話での構想を予定しています。
はい、次話から文字数が倍増します()
コンパクトに濃い内容の話を書ければなと思います。

次回は補習授業部5名を先生が集めるところから。


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5人目


お待たせ致しました。

やっぱり多少原作をなぞると時間が掛かりますね。
今回は5人目の補習授業部員が明らかとなります。
ツッコミどころあるかも知れないけど、生暖かい目で見守ってやってください()



ナギサと話した翌日。

天気は晴れ、燦々と照らされる太陽の光は人体に酷だ。

そのため先生は早朝からトリニティ学園の教室を訪れていた。

 

目的は補習授業部 部長との待ち合わせだ。

補習授業部は特例的な部活だが、部活動であることに変わりないため部長が存在する。

基本的に先生は部長と連携して活動するので、他の4人を一緒に迎えに行く事にしたのだ。

指定された教室へ足を踏み入れると、彼女(部長)と目が合った。

 

背負うペロロリュックサックには何が入っているのか、とても重量感の溢れる揺れを起こして彼女は向かって来る。

そんな【普通の学生(自称)】である彼女は、居心地悪そうに目を泳がせていた。

 

 

トップバッター:阿慈谷ヒフミ

 

 

「テスト期間を間違えてペロロ様のゲリラライブに参加してました……。」

【……。】

「あぅぅ、そんな冷たい目で見ないで下さいぃ……。」

 

 

入部理由

・ブラックマーケットへ無断外出しているとの噂あり

・彼女と思わしき人物が犯罪組織のリーダー(ファウスト)を名乗っていたとの噂も

・以上の2点から不穏分子と判断

脅威度:高

 

 

ナギサから明確な敵判定貰ってない先生は、誰がどう言った理由で入部するのか裏の事情を既に知っている。

「競走だと言うのならば、フェアであるべきでしょう?」

とはナギサの言である。

 

ヒフミの場合は覆面水着団などが事実のせいで、弁明できると同時に擁護しづらい。

なんならブラックマーケット云々も事実だ。*1

 

先生は彼女が裏切り者ではないと断言できる。

ヒフミとはアビドスでの(あの)後も連絡を取っていたから。

彼女の性格なら逆にエデン条約を推奨する筈だ。

 

だが疑心暗鬼のナギサではそう割り切る事は難しいだろう。

なまじ親しい仲だからこそ、疑いが強くなってしまってるのかもしれない。

 

そんな事を考えてるとも露知らず、ヒフミは先生に声を掛ける。

 

 

「と、とにかく他の子達にも声をかけに行きましょう!」

 

 

部員はまだ4人も残っている。

1人は正義実現委員会の部室で、謹慎処分(監禁)を受けているらしい。

もう1人も正義実現委員のため、彼女と一緒に居るだろう。

 

先生達は正義実現委員会の部室前まで足を運んだ。

 

 

「あぅぅ、あんまり来たくはなかったのですが……。」

 

 

気持ちとしては、悪い事をしてないのに警察署へ入る謎の感覚に近いのかもしれない。

……キヴォトスにこの例えが理解出来る生徒がいくら存在するか。

フェイスマスクを被った水着集団が一瞬頭にチラつくが直ぐに追い払う。*2

 

ドアの前で躊躇ってるヒフミの代わりに先生は中へと入る。

すると先生達は1人の小さな正義実現委員と出会った。

彼女……下江コハルは小動物的威嚇をしながら先生達の目的を尋ねてきた。

 

 

「正義実現委員会に何の用?こっちも暇じゃないんだけど!!」

「人探しをしているんです。えっと、ここに閉じ込められてると聞いて……。」

「え、それってもしかして……?」

 

 

どうやら心当たりがあるらしい。

───そうやって先生達がコハルと話している途中だった。

 

ソイツ……2()()()は奥の部屋からヌルりと現れる。

ニヤニヤと何を考えてるのか分からない笑みを浮かべたソイツは、ターゲット(コハル)を定めて近づいてきた。

この場にそぐわない格好、【スクール水着】を着た彼女はごく自然に先生達へと声を掛けてくる。

 

 

「こんにちは、もしかして私の事をお探しでしたか?」

「「【!!?】」」

 

 

二番バッター:浦和ハナコ

 

 

「え、は、何で!?どうやって牢から出てきたの!?」

「鍵は開いてましたよ?……あら、大人という事は先生ですね。もしかして補習授業部の?」

【(すごい、直ぐに私達の正体を当てるなんて。)】

【(それよりも────なんで水着なんだ?)】

 

 

入部理由

・入学初期からティーパーティー候補と呼ばれる程の才女だったが、今では奇行三昧に勤しんでいる。

・上層部の機密情報を幾つか握っていて、その頭のキレから危険度が高い。

・それ以上に彼女が何を考えているのか全く理解できない。

・万が一彼女が裏切り者であれば被害は甚大だろう。

危険度:極高

 

 

察しの良さから彼女の頭の良さは伺い知れる。

以前の才覚が明るみになっていた頃を知る人物であれば、彼女を疑う気持ちも分かる。

 

「彼女の数々の奇行は全て演技で、狡猾にエデン条約を止めようと画策している。」

 

そうナギサは疑ったのだろうか。

だが少なくとも演技だと先生は思わない。

なぜなら──

 

 

「うふふ♡S○X!!!

「死刑〜〜〜ッ!!」

「あわわわ、どうしましょう……。」

 

 

これが彼女の、本心からの行動だとしか思えなかったから。

経験*3と勘だが──不思議とそう感じたのだ。

 

ハナコが大声で隠語を叫んだせいで場の雰囲気は混沌としている。

どうやって事態を抑えようか……。

 

そう思案していると、外からゾロゾロと足音が聞こえる。

正義実現委員の2人、ハスミとマシロが帰ってきたのだ。

 

 

「ただいま帰還しました。ッ脇腹が痛む。」

「私は早くお風呂で汚れを落としたいです……。」

「シュコーッ、シュコーッ……、ここが本拠地か。」

 

 

暴行事件の現行犯を連行してきたところらしい。

ガスマスクを付けた白い少女は、悪びれもせずに先生達の前へと現れた。

両手に付けられていた筈の手錠は、オモチャのチャクラムと化していた。

 

下手人──アズサもボロボロだが、ハスミ達も酷く傷ついている。

この二人相手にここまで損害を与えるとは、相当な手練だろう。

 

 

三番バッター:白洲アズサ

 

 

「惜しかった、あのダブルSGの生徒*4が来るまで弾をもっと温存しておくべきだった。」

【……。】

「シュコーッ、シュコーッ……。」

「えっと……。」

 

 

入部理由

・彼女は最近転校してきた。以前の学校についての情報は不明。

・背景の不明な彼女がこの時期に転校してきた事はとても無関係とは思えない。

・彼女に関しては更なる情報精査が必要だろう。

危険度:高

 

 

ここに彼女の戦闘力を加味すると、危険度は極高へと上昇するだろう。

正直ナギサから渡された資料の中では、1番怪しい生徒だ。

だが実際にその人となりを見なければ分からない事もある。

()()()()()1()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

ヒフミ達の状況も元に戻ったようだ。

ハスミに2人の補習授業部入部を承諾してほしい旨を伝えると、二つ返事で快く承諾してくれた。

こういう時、シャーレの権力の有用性を再実感する。

 

 

「あははっ、良いじゃない!!悪党と変態の組み合わせ!そこに『バカ』の称号なんて、私なら羞恥心で死んじゃいそう!!」

 

 

『ペロロ狂い』『変態』『暴行容疑者』

なるほど、字面だけ見ると関わりたくない。

だがそんなことを言われたヒフミは怒ることは無く、逆に気遣うような調子でコハルに話しかけた。

 

 

「えっと、その、大変申し上げにくいんですけど……4人目はコハルちゃんです。」

「…………え゛ッ!?」

 

 

四番バッター:下江コハル

 

 

入部理由

・彼女に限り不審点は存在しない。

・しかし参謀役でもあるハスミ副委員長は、ゲヘナに対し憎悪を抱いていると触れ込みが有り。

・彼女は正義実現委員会が暴走しない為の人質。

・彼女は飛び級の為に1つ上の学年テストを受けるも不合格。

危険度:低

 

 

彼女に関してはただの被害者だ。

容疑者でもないのに此処へ放り込む容赦のなさに、ナギサ心労を察する事ができる。

それだけ親友の死*5が重く、ナギサを変貌させてしまったのでしょう。

彼女に関しては純粋に補習の手伝いをすれば問題ないだろう。

 

 

『ムッツリスケベ』加入

 

 

そんな事で残す部員はあと一人。

ヒフミへ先に補習授業の教室へ戻るように言伝て、先生は1人で聖堂へと向かった。

 

 

 

 

 

大きく清掃の行き届いた大聖堂、中へ入ると1人の生徒が祈りを捧げている。

彼女こそシスターフッドを率いるリーダー。

先生が近づくと()()()()()を浮かべて歓迎してくれた。*6

 

 

「ようこそおいでくださいました先生。今日は如何様なご要件で?」

【実はね……】

 

 

シスターフッドから、補習授業部入りする生徒がいる旨を伝える。

……話している途中のことだ。

 

人伝に聞いた話では、サクラコは近寄り難い気難しい印象の生徒だと聞いていたが……。

こうやって先生が話している間も、親しみのある笑顔で会話を聞いてくれている。

 

 

【──そんな訳で補習授業部に入部して欲しいんだ。】

「分かりました。……しかし残念なことです、シスターフッド内から補習対象者が出るとは。」

 

 

本当に残念そうにため息混じりにそう零すサクラコ。

それを見て先生は【あぁ、やっぱり……】と意味深げに呟く。

そして重い口からその言葉は発せられた。

 

 

【……ごめん、君なんだ。】

「?……すみません、もう一度お聞きしても?」

【補習授業部のメンバーは、君なんだ。】

「嘘ですよね?」

 

 

まさか自分だとは思ってもいなかったと、クールな雰囲気は消え去り爆慌てのサクラコ。

あまりのテンパり具合に「そのリアクション、もうコハルで見たよ。」とは茶化せない。

時間を置き少し冷静になったのか、深呼吸をしだすサクラコ。

 

 

「いけません、こんな時は深呼吸です。()()()()()()()()()()()()()()()()()。」ヒッヒッフー!!

 

 

五番バッター:歌住サクラコ

 

 

「落ち着きました。それは何かの間違いですよ先生、もう一度確認する事を推奨します。」

【確かに答案は合ってたよ。けど名前記入欄が……。】

「………………あ゛っ!!

【その、元気だして?】

うふ、うふふふふ。どのような顔をしてあの子(シスター)達に会えばいいのですか……。」

 

 

入部理由

・シスターフッドへの牽制目的が1つ。

・これに関しては入部理由として弱く、彼女はリーダーでもある為、退学後の混乱などリスクの方が大きい。

・それでも推して進めたのは、彼女がとある新興宗教に傾倒しているとの噂が流れていたからである。

 

その名も「機械神教」。

・事実、以前まで気難しい印象だった彼女が急にニコニコと人当たりの良い表情をしだし、不気味がる生徒も多数。

・武力、発言力、指揮力、情報力、どれをとっても無視できる生徒ではない。

危険度:高

 

※彼女の成績は改竄してません。*7

 

 

講壇にしなだれ掛かる様に崩れ落ちるサクラコ。

ショックで白目を剥いてる彼女をよそに、先生は思案する。

 

「機械神教」

最近流行りだしたレッドウィンター発祥の新興宗教。

特に難しい戒律などはなく、ただ質問すればAIが答えてくれるという、宗教かどうかも分からない組織。

 

AIに思考を操作されるホラー映画の様な状況が出来そうだが、そんな恐れは無いと先生は断言出来る。

なぜなら教祖と思わしきAIが明確な線引きをしていると思われるからだ。

 

どんな質問でも真面目に回答はする、かと言って依存しないように直接的な回答は控える。

今日の晩御飯にオススメの献立は答えるが、生徒の進路に絡む事には一切明言しない、でも本当に困ってそうならさり気なく助言をする、そんなスタンス。

 

ぶっちゃけ、先生1人で解決できる案件が減るので有難い事この上ない。

先生が気にしているのは教祖の名前だ。

 

 

()()()()()

かつてエリドゥで死闘を繰り広げたあのロボットの名前。

 

 

【(どう考えても彼が絡んでいるよねコレ。)】

 

 

長考にふけりそうになり先生は頭を振る。

考えるのは後だ、今は目の前の生徒が優先だ。

完全に思考停止してるサクラコをおんぶして、先生は補習授業の教室へと向かった。

 

 

当然その姿は何人かの生徒に見られており、後日噂される事になる。

歌住サクラコが、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

『覚悟』加入完了

 

 


 

 

その後、紆余曲折ありながらも何とか全員がテストに集まってくれた。

数時間の復習を挟みテストを行う。

ここで全員合格すれば、晴れて補習授業部は解散だ。

 

復習風景を見ていたが、サクラコもハナコも教えるのが上手い。

困っているアズサに丁寧に教えてくれている。

ヒフミは元々テスト自体は普通に解ける為、心配はないだろう。

コハルにもしっかり同じ学年範囲のテストを用意した。

特にサクラコは、早く戻りたいと言う思いから燃えている気がする。

 

 

【(私、必要だったかな?)】

 

 

そう先生は思いつつ、第一次特別学力試験を開始する事にした。

チラリと問題用紙を見たが、特に細工などは無くそれどころか範囲も狭く基礎的なものばかり。

そして60点以上であれば合格、ハッキリ言って破格の救済措置だ。

 

 

カリカリとシャーペンの走る音がする。

ヒフミ、サクラコ、アズサはスラスラと解いている。

コハルは少し筆の進みが怪しいがそれでも何とか答案を埋めているようだ。

 

ハナコも──既にペンを置いている。もう答案が解けたのだろうか?

 

 

1時間後、長いようで短い試験時間が終わりを告げる。

全員の答案を集め直ぐに採点する。

専用の機械に通せばものの数分で採点が終わる。

 

 

「き、緊張しましたが、思ったよりも簡単な問題でしたね。」

「え!?そ、そうよね!!」

「うん、かなりの手応えだった。サクラコとハナコのお陰だ、ありがとう。」

「お役に立てたのなら嬉しいです。その調子だと皆さん大丈夫そうですね。」

「……うふふ♡」

 

 

サクラコがほっと胸をなで下ろしている。

補習授業部解散の条件はこの試験は全員合格する事。

自分だけが回答できても意味が無いのだ。

先生はこっそり答案を見て───そっと答案を元に戻す。

 

 

【じゃあ結果発表といこうか。】

「はい、お願いします!!」

 

 

ヒフミ:72点───合格

 

「何だか無難な点数ですが、良かったです!」

「えぇ、この調子ならきっと──。」

 

 

サクラコ:100点───合格

 

「100点ですか!?」

「うふふ、当然です。」

「流石ですサクラコ様!!」

「様……様ですか。」

「……?」

 

 

アズサ:44点───不合格

 

「「……はいぃっ!?」」

「ちっ、紙一重だったか。」

「いやいや、結構足りてないですよ!?」

「仕方ありません。まだ2回チャンスは──」

 

 

コハル:11点───不合格

 

「コハルちゃんんんん!?」

「やっ、その……!かなり難しかったし……。」

「凄く簡単でしたよ!?小テストレベルですよ!?」

 

 

ハナコ:2点───不合格

 

「「2点!!?」」

「逆に何が正解だったんですか!?というか待ってください、ハナコちゃん物凄く勉強ができる感じでしたよね!?」

「確かに私、そういう雰囲気があるみたいですね?」

「ハナコさん……。」

 

 

ヒフミとサクラコの奮闘も虚しく、

第一回の試験は不合格となってしまった。

 

 

第一次特別学力試験の結果

 

ハナコ───不合格

アズサ───不合格

コハル───不合格

サクラコ───合格

ヒフミ───合格

 

 

補習授業部の合宿が決定した!

 

 


 

 

時刻は既に夜、先生は重い足取りでシャーレへと戻った。

部屋に入り、いつものソファへと体をダイブさせる。

 

今までの補習授業部のやり取りで分かった。

彼女達は全員が善良だ、ヒフミ達は言わずもがな。

ハナコやアズサはよく暴走(露出&罠設置)するが、基本的に素直で聞き分けもある。

 

だからこそ分からない。

先生はこの中に裏切り者が居ると到底思えなかった。

 

 

【もう全て諦めて皆に本当の目的を言う?ダメだ、それじゃナギサにヘイトが向かっちゃう。】

 

【でも今のままじゃ時間が無駄になる。ハナコに至っては確実にわざとだろうし。】

 

【それに彼女達、なんだかんだ楽しそうだったからなぁ……。】

 

 

いずれ暴露するとはいえ、タイミングは今じゃない。

汚れ役は自分一人で充分だ、何とかいい案がないか重い頭で考える。

 

 

【(ダメだ、疲労で瞼が重い……。)】

 

 

トリニティで付きっきり仕事をしたからか、それともソファの魔力か。

先生は睡魔に抗えず瞼をゆっくりと閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、君が先生だね?」

【!?】

 

 

意識を覚醒させるとそこはトリニティのテラスだ。

寝ぼけてこんな所で寝てしまったのか?

ゆっくりと体を起こそうとするが──動けない。

思考も何だか上手くまとまらない。

 

 

「ここは夢の中、白昼夢のようなものだと思っていいよ。慣れないと思考は難しいだろうから、今から私が言う単語だけを覚えていてくれ。」

 

 

目の前の謎の少女は椅子に座り言葉を続ける。

少しくらい待って欲しい。

こっちは何が何だか理解できないのだから。

 

 

【君の名前は?】

「私の名はなんだっていい。余計な事を覚えられてはこっちが困る。」

【………。】

 

 

どうやら教える気はないらしい。

無言になると彼女は語り出す。

 

 

()から口酸っぱく簡潔にと言われたからね、本当に簡潔に話させてもらうよ。」

ミカを助けてやってくれ。」

「今はこれだけでいい、この一言だけは必ず覚えるんだ。」

 

 

ミカ?

誰だっけ……?あぁ、確かティーパーティーで──

ダメだ思考を回そうとすると途端に鈍くなる。

 

 

「もう時間か。いいや、彼のように長時間滞在できるのがおかしいんだった。」

「最低限の仕事はさせて貰ったよ、またいつか会う時は名乗らせてくれたまえ。」

 

 

【ミカを助ける……ミカを助ける……ミカを、ミカ───】

 

 

やがて先生の視界は段々と狭まってくる。

少女の正体は分からない、だが生徒の頼みであるのならば答えない訳にはいかない。

瞼を閉じると、段々と夢が遠ざかっていくように感じる。

 

目を覚ますとそこはシャーレの一室であった。

身につけたままのシャツはシワでヨレヨレだ。

 

 

【何か大事な夢を見ていた気がする。】

 

 

夢であったはずの生徒、彼女の姿は愚か声すら思い出せない。

しかしコレだけは覚えていた。

 

 

【ミカを助ける。】

 

 

明日から合宿が始まる。

ヒフミ達は合宿の為の服などを買いに出かけたらしい。

なら今日はティーパーティーに顔を出すことにしよう。

 

 

何かが変わる、そんな漠然とした予感があった。

 

 

*1
普通の生徒とは?

*2
ん、登場フラグ

*3
ん?

*4
キェエエエエッ!!

*5
※死んでません

*6
誰だよお前

*7
マジで名前書き忘れてます





次回はヒフミ達の買い物の風景から。
引き続き小説パートでお送りします。


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モモフレンズ


お待たせ致しました。

最近投稿頻度が落ちてスマナイ……。
ここ1ヶ月は恐らくこの調子です()

何とか週1以内投稿は継続したいと思う今日この頃。



 

第一次特別学力試験を落としてしまった補習授業部。

彼女達は合宿の着替え等を買うために、ショッピングに来ていた。

 

勿論ブラックマーケットではなく、ちゃんとしたショッピングモールだ。

トリニティだけあって物価は高いが、その分品質面は優良なものが出揃っている。

 

彼女達は補習授業部から交流を持ち出したが、先生やヒフミという潤滑油もあり何だかんだ親睦を深めていた。

補習という名目だが、友達とお泊まりする事が楽しみだという気持ちも少なからず湧く。

それは()()とて例外では無い。

 

 

「ではこの《ジャモカコーヒー》のフレーバーを1つで。」

 

 

なんなら彼女が1番エンジョイしていた。

 

成績的にも余裕があるので、致し方ない点もあるだろう。

しかし、それ以上に彼女をここまで開放的にさせる他の要因があった。

 

 

「どうぞ皆さんもお好きなものを1つ選んでください。」

 

「わぁッ、ありがとうございま──ってコレは限定の《ペロロ様アイス》!?」

「か……かわいい!私もコレで頼む!!」

 

「では私はバニラを。手搾り生乳ですってコハルちゃん♡人の手によって無理やり絞られたと考えるとこう、何か熱く込み上げるモノがありませんか?」

エッチなのはダメ!死刑!!……私はこの《いちご100%》で。

 

 

シスターフッドという色眼鏡をかけていない、分け隔たりなく接してくれる彼女達の存在は大きかった。

仕方の無い事だ、承知の上でこの役に就いたのだから。

 

すっかりアイスの美味しいこの季節(fuckin hot)、サクラコ達は木陰に入りアイスを食べる。

まだ人混みのマシな時間帯、皆仲良く並んでペロペロとしながら。

 

こんな風にサクラコは、そこそこの距離感で話せるようになった事に喜びを感じていた。

普通の事でも、彼女にとってソレはとても尊いものだから。

 

基本、サクラコが話しかけると相手は直ぐに去ってしまう。

何故か最大の微笑みを浮かべても*1()()()蜘蛛の子を散らすように逃げてしまうのだ。

改善しようと試行錯誤を繰り返したが上手くいかず、*2悩む日々を過ごした。

 

だから久しぶりだった、こんなにも楽しい思いをしたのは。

その点だけ前の自分(記名ミス)を褒めてやりたいと本気で思っていた。

それでいいのか聖職者。

 

程なくして全員アイスを食べ終わる。

既に着替えなど必要なものを買い揃え、後は自由時間だ。

まだ帰るには早いと、サクラコはさりげなく皆に質問した。

 

 

「必要なものは買いましたが、これからどうするのですか?」

「えっと、私はこれから試験合格のご褒美を買いに。皆さんも来ますか?」

「……ソレは私たちが着いて行っても良いんですか?」

「いいですよ?自分の欲しいものを選んで欲しいですし、()()()()()()()()()()()()()()()!!」

「は、はぁ……。」

 

 

ヒフミの謎のテンションの上がりように困惑するサクラコ。

真逆に彼女の瞳孔は開き目がガンギマリしている。

 

サクラコはコレに似た目を知っている。

生活が完全に宗教と根付いてしまい、離れられなくなってしまった信者の目。

 

サクラコでさえ身震いするような狂気的な信奉。

他の何を犠牲にしても*3進行するという強い意志を。

短い期間だが、彼女の善良さを知っているからこそ余計に不気味に思えた。

 

同時に彼女のギラギラとした目から、どのような物を信仰しているのか気になる。

──が、心の中で首を振る。

 

 

「(深入りする事ではありませんね。)」

 

 

表向きにはキリスト教擬きの信仰者であるサクラコ。

だが彼女は別に異教徒絶対殺すウーマンではない。*4

寧ろ、個人の信仰は自由なものだとさえ思っている。

 

 

宗教は人の心を救う。

 

 

例え信仰する主が違えども、心の糧になるのであればそれで良いのだ。

直接被害が及ばない限り、異教を信仰しようが無干渉を貫く。

彼女の主は寛大なのだ。

 

 

だから今は、ただ彼女の心の平穏を願う。

 

 

「貴方にも、主のご加護があらんことを。」

「………???」

 

 

当然そんなことはなく、ヒフミが単純にペロロ狂いなだけだ。

濁った目も布教のためのアイデアで少し素*5が出ただけ。

今ここに新たなすれ違い(アンジャッシュ)が発生した。

因みにヒフミの信仰対象がペロロ様だと気づくまでそう遠くない。

 

 

ハイライトが正常に戻ったヒフミは、改めて宣言した。

 

 

「では行きましょうか、()()()()()()()()()()へ!!

 

 


 

 

大通りを少し進むと端の方にファンシーな看板が立て掛けてある。

でっかいペロロ様の舌には《MOMOフレショップ》と書いてあるのが見えた。

 

中に入るとペロロ様、またペロロ様、またもやペロロ様、そして時々スカルマン。

普段あまり見ない品という事もあるが、その圧倒的な品揃えの数にサクラコ達は呆然とした。

 

 

「あはは…凄いでしょう?ここは隠れた名店なんです!!」

「モモフレンズ。話に聞いたことはありましたが、こんなにも大量に……。」

 

 

知る人は知ってるモモフレンズ。

アニメ展開もされているようで、案外影響力は凄まじいモノがあった。

ヒフミによると限定品のようなレア物以外はここで取り扱っている隠れた名店らしい。

 

 

「こうしてじっくり見るのは初めてですが、この長い舌なら何処までも舐めれそうですね♡」

「エ駄死!!!」

「仲良いですね2人とも。」

「良くない!!」

「あらあら♡」

 

 

コハルはペロロ様を卑猥だとか散々な言いようだが、サクラコはそれ程の忌避感を感じない。

逆にこれくらい不細工だと妙な愛着が湧き始める。

 

ペロロ様人形を他所に、ヒフミとアズサの2人は少し離れたところに。

モモフレンズに1番興味を示していたアズサはどうかと言うと──

 

 

「ヒフミ、この子はなんて言う名前なんだ!?」

「アズサちゃんはソレが気に入りましたか?その子はスカルマンちゃんです!!」

「(恐ろしく早い引き込み……私でないと見逃しますね。ヒフミさんは意外にソッチ(宗教勧誘)の素質があるのでしょうか?)」

 

 

滅茶苦茶ハマってた。

特にあの黒い悪魔的デザインの子がお気に入りらしい。

短時間で信者を増やしたその手腕に、シスターとしてのサクラコに戦慄が走る。

 

ヒフミに才能を見出していると後ろから足音が聞こえる。

振り向くと、騒がしかったのか奥から店員がやって来た。

()()()()()()()を被った店員はサクラコ達に挨拶する。

 

 

「いらっしゃいま───せ、お客さま。何か御用があれば何時でもお呼びください。」

「(あら……?)」

 

 

店員がチラリと、()()()()()()()()()()一瞬止まったような気がした。

アズサを見るが特に反応はない、というかスカルマンに夢中だ。

ハナコも違和感を覚えたのか店員を凝視している。

心做しか、店員が冷や汗ダラダラになってる気もする。

 

 

「(気のせいでしょうか?知り合いとバッタリ街で出くわした様な反応でしたが……。)」

「サクラコ様も、どうぞ御一つ選んでください!!」

「えっ、あぁはい……。」

「デハ、ゴユックリー。」

 

 

ヒフミにつられて思考を中断する。

店員はイソイソと奥へ戻ってしまった。

楽しい時間が経つにつれ、小さな違和感は買い物を通して薄れ、やがて消え行った。

 

 

結局この場で何かを購入することは無かった。

しかしそれで問題ない。

ヒフミがここへ来たのは全員の好みを知るためだったのだ。

 

最低限の目的(布教)は果たしたと出口へと向かった。

──が、外に出ようとすると店員に呼び止められる。

「くじ引き」のキャンペーンを行っているようで、1人1つのモモフレンズのグッズが当たるらしい。

 

 

「くじ引きですって皆さん、やりましょう!!」

「ええっと、私は遠───」

「やりましょう!!」

「アッハイ」

 

 

ヒフミとアズサはノリノリで、

他3人もヒフミに諭されて参加することとなった。

限定と言う事で、ヒフミの目には微かに炎が見えた。

 

 

そして結果

 

ヒフミはペロロ様を、

 

アズサはアングリーアデリーを、

 

コハルはスカルマンを、

 

ハナコはMr.ニコライを、

 

サクラコはウェーブキャットを貰った。

 

 

不思議なもので、購入してしまうと愛着が湧く。

サクラコは、何を考えてるのか分からない目をしたソイツ(ウェーブキャット)をカバンに入れた。

 

片手で抱える程度のソレを各々持って帰路へと着いく事にした。

時間は既に夕暮れ前、思いのほか楽しんでいたらしい。

 

 

「(本当にいい時間でした。)」

 

 

普通の学生のように青春を謳歌することは無い……。

そう思っていただけに、このささやかな日常をとてつもなく尊んでいた。

コレが期間限定の泡沫の夢であると知りながら。

 

 

「(試験に合格すればこの感覚を味わう事は少なくなるでしょうね。)」

 

 

いっそシスターフッドを辞めてしまえばいい。

そんな思考が頭を過ぎるが直ぐに消え去った。

自分が辞めるには色んなことを知りすぎたし、外野が黙って見逃すはずがない。

 

それにコレは自分の選んだ道だ。

ここで青春欲しさに甘えるほど、サクラコは弱くなかった。

 

 

「(名残惜しくはありますが、私もシスターフッドを率いる長として矜恃があります。)」

 

 

確かに寂しいと感じる事はあれど、他のシスター達への親愛が消えた訳では無い。

ヒナタは相変わらず物をよく壊すが、自分に対する接し方は誰とも変わらず。

マリーはあの歳で深い慈愛を持つシスターフッドの癒しだ。

 

そんな感じでシミジミと感傷に浸っていると、コハル達が騒がしい。

スカルマンがどうしても欲しいアズサが、コハルと交渉していた。

 

 

「後生だ!コハルの《スカルマン》と私の《アングリーアデリー》を交換してくれ!!」

「い、嫌よ!!」

 

 

あれだけ要らないと文句を言っていたコハルだが、どうやらタダでは渡したくない様子。

いや、どちらかと言うと思った以上に愛着が湧いてしまったのか……。

 

そんな場面にホッコリしつつ、サクラコは空気を読んで黙ることにした。

コハルに散々練習した微笑み*6を向けて見守ってみる。

 

 

「!?──うぅッ仕方ないわね……、じゃあその人形に掛けてある()()()()()と交換、それならいいでしょ!?」

「本当か!!?」

 

 

何やら一瞬こちらを見て震えた気もするが、解決しそうなので野暮な事は言わない。

決して打ち解けたと思いきやガッツリ警戒されていた事にショックを受けたとか、そんなことは無い。*7

無いったら無いのである。

 

 

「おかしいですね、アデリーペンギンさんにこんな装飾なかった筈です。くじ限定だからですかね?」

「私も見たことない鉱石です、不思議で綺麗な紫色……。」

「では交換だ!!」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

二藍、似紫、貝紫、江戸紫。

いずれの紫にも当てはまらない不思議なその鉱石はとても美しく見えた。

パワーストーンだと言われたら信じるくらい()()()なオーラを感じる。

 

交換したそのアクセサリーを早速首から掛けるコハル。

そのアクセサリーは奇しくも、コハルの桃色の髪とマッチした。

ハッキリ言うと超似合っていた。

 

 

「とってもお似合いですよ、コハルさん。」

「あ、ありがとう…ございます……。」

 

 

そこからも賑やかに時間は過ぎていく。

良き平穏、良き休息日であった。

だからサクラコは今日も願う、彼女達の幸福と平穏を。

 

 

 

 

第二次特別学力試験まで───残り1週間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店員──チームⅤのメンバー3が手渡したソレは、アズサではなくコハルへ手渡った。

あのネックレスは彼女の主が作った逸品で、ただの装飾品では無い。

 

何故渡さなければならなかったのか、どのような効果があるのかメンバー3は聞いていない。

それを知るのはオーナーと、依頼者の2人のみ。

そして本来は、アズサが持つことを想定して作られたものだという事。

 

 

運命の歯車は、また1つ狂う。

 

 

*1
笑顔とは本来攻撃的なもの

*2
寧ろ悪化した

*3
単位とか

*4
外野がどう思ってるかは勘定に入れない

*5
ファウスト

*6
笑顔とはry

*7
サクラコの心はガラス





あ〜^ガバの足音~^

本当は先生とナギサの邂逅(2回目)も描きたかったんだけど納期的にね……。
次回も引き続き補習授業部です。


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未知との遭遇


お待たせいたしました。

ちょっと文字数は少ないですが許して許し亭。
これでも巻いてるんです()
ダイジェスト風味でお送りします。



 

【早朝なのに暑い……。】

 

 

補習合宿から3日目。

 

多少のトラブルはありつつも、順調に全員の学力は上がっていた。

懸念点だったハナコの成績も何故か急激に上昇している。

理由は分からないがあえてテストを真面目に受けなかった節のある彼女。

何か転機があったのだろうか?良い傾向だ。

 

ともあれ、これでナギサの案件に集中出来る。

ハナコとサクラコは勘づいてるかもしれないが……。

場合によっては補習授業部の退学措置を無くすことが出来る。

それ関係の情報を仕入れる為に、先生は早朝からプールサイドへと足を運んでいた。

 

合宿初日の大掃除で磨かれたタイルの上を歩く。

思い返せば、初日から大盛り上がりだった。

 

 

 

 

【大変だったよなぁ、色んな意味で。】

 

 

 

カバンの隙間から牛柄のビキニが見えていたヒフミ。

 

『覚悟』の決まった水着で、ネタなのかマジなのか反応に困るサクラコ。

 

制服の下に水着を着るエロスを理解しているハナコ。

 

水着の下に隠れた線は何処まで続いてるのか?コハル。

 

そのガスマスクはゴーグル代わりかな?アズサ。

 

 

エ駄死!!

 

「誤解です、これはユスティナ聖徒会に伝わる伝統的な水着で──」

「そんな頭の悪そうな水着が伝統な訳ないでしょ!!?」

 

「頭の悪そうな!?」

「くぅッ、負けました……まさかサクラコさんがここまでの猛者だったとは♡」

「違いますが!!?」

 

「シュコー、コーホー、こっちのエリアは片付いたぞ。」

「あはは……」

 

 

皆が触れ合ってる様子はとても眼福──

ではなく、段々と親睦が深まっている事を実感出来た。

 

奴らが来るまでは。

 

プール掃除も終わりを告げる頃、突如として遠くの森の方角から連鎖的に爆発音が響き、驚きで手が止まる。

アズサだけが黙々と戦闘準備に移っていた。

 

 

「な、なんの音ですか一体!?」

「仕掛けたブービートラップが発動したんだ。」

「アズサちゃん!?」

「敵襲だ、数は──2、30?とにかく多い。」

「て、敵って一体誰が何のために?」

 

 

襲われる謂れなどないヒフミ達は困惑しながらも戦闘準備を行う。

着替える時間がなかったので全員水着姿だ。

愛銃だけを担いで爆発音の中心へと向かう、誰かが間違えて罠に入ったとなると大問題だ。

 

幸か不幸か、奴らは巻き込まれた生徒ではなかった。

森の茂みから現れたその姿を見た一同は驚愕した。

 

 

()()()()()()()()()()()が襲来してきたのだ。

 

 

いや、パンケーキと言うには名状しがたいナニカだ。

冒涜的で狂気的な見た目のソイツらはヒフミ達に気づいたのか一斉に襲いかかってきた。

 

数は劣勢だが、全員戦える上に先生の指揮が合わさることで序盤は優勢のヒフミ達であったが……。

 

 

「一体倒した!けど、凄くヌルヌルする!!」

【うわっ、足が取られ……ギュフッ!?】

「あらあら♡」

「ちょっ──どこ触ってるのよスケべ!!」

「ううッ……全身ベタベタです。」

「成程、こういう戦い方もあるのか。」

 

 

パンケーキからは常時粘液が分泌されており、撃破するとソレは辺りに撒き散らされた。

一度浴びようものなら銃は握れず、まともに立てない。

 

ローション相撲のようで、ギャグみたいな状況の割にそこそこ厄介な性質で戦闘は長引くことになった。

その被害は甚大なものに。

 

 

真っ先に立ち向かわんと進んだことで、粘液の餌食になったサクラコ。

彼女はまるで出荷されるマグロのように地面を滑り飛び、一時戦線離脱した。

 

他にも先生が足を滑らせコハルにダイブし、顔に大きな紅葉を作ったり。

 

アズサが粘液を利用した移動で尽くのパンケーキの残数を減らしたり。

 

ヒフミは大事なペロロストラップを汚され、ファウストの片鱗を見せつけたり。

 

 

結構無駄な犠牲を出したこの戦いは、最終的にハナコ*1がボディランゲージ(意味浅)を駆使して和解した。

 

和解後、彼らは親指(?)をグッと立てて森へ帰っていった。

友好の証として残された粘液は冷蔵庫に封印している。

 

結局、その日戦線はプールまで押し戻され掃除は長引き一日は終わった。

疲労感と気持ちの悪いネトネトで限界に達した先生たちは泥のように寝たのであった。

 

 

 

 

しみじみと思い出を振り返っていると、プールに人の気配を感じる。

 

中の様子を探ると、プールサイドに座り燦々と煌めく水面にバタ足する桃毛の待ち人が既に居た。

天真爛漫そうな彼女は、先生の存在を認識すると、笑顔を向けて話しかけてきた。

 

 

「あはっ、ここに水が入ってるのなんて久しぶりに見たなぁ。もしかしてこれから泳ぐの?それとも皆でプールパーティ?」

【そういうのはまだ無いかなぁ、試験に合格してからだね。】

 

 

トリニティを束ねるティーパーティー代表の内の1人、聖園ミカ。

()()()もあり、渡りに船であった。

 

 

「ミカを助けてくれ」

 

 

夢の話、それも朧気な記憶のそれを無駄なものだと捨てれなかった。

強迫概念じみたソレは、先生の心の奥深くまで浸透していた。*2

 

少しばかり世間話に興じた後、ミカはいきなり確信に迫る質問を投げかけてきた。

 

 

「先生、ナギちゃんから取引とか提案されなかった?」

【取引?】

「うん、例えばトリニティの裏切り者を探して欲しいとか。」

【……。】

「ふぅ、やっぱり。ナギちゃんったら予想通りなんだから。」

 

 

無言を肯定と解釈したミカは軽く溜息をつく。

先生の良心を利用してだなんて……と。

 

認識に齟齬があると感じた先生はナギサに嫌々付き合わされてる訳では無い、ここに居るのは全て自分の意思だと説明した。

 

 

【誘いになら乗ったよ、条件付きだけど。】

「……へぇ、意外かも。人畜無害そうに見えたけど、結構余所事に足を突っ込むタイプ?」

 

 

その目には感心と猜疑の感情が見えた。

そりゃそうだ、傍から見れば先生の行動は生徒への裏切りだろう。

 

 

【ナギサのやり方に思うところがない訳じゃないよ。】

【ただそれでも私は、ナギサの味方にだってなりたかった。】

「ふぅーん優しいんだね、それでいて凄く我儘。……それじゃあ先生は誰の味方?」

【私は生徒の味方だよ。】

 

 

予想外の返答に一瞬の空白が生まれる。

次第に意味を理解し、ミカは優しく微笑んだ。

まるで腑に落ちたと言わんばかりに。

 

 

「あぁー、そう来たかぁ。……それなら先生は私の味方でもあるって考えてもいいのかな?」

【もちろん、ミカの味方でもあるよ。】

「…わーお。」

 

 

その一言は彼女の心に会心の一撃を与えた(この女誑しめ!!)

恥ずかしげもなく真っ直ぐ言い放つものだから、流石のミカも気恥ずかしそうにしている。

あとは純粋な嬉しさだろうか。

 

 

「嬉しいけど、それを真に受けるのもちょーっと難しいなぁ。」

「だってそれは()()()()()()()()って事でしょ?」

 

 

それがエリドゥでの一件で露見した先生の唯一無二の弱点。

生徒同士の争いでは、その(先生としての)在り方が弱体化するというもの。

だが、今まで葛藤してきた先生は既に答えを持ち得ていた。

 

 

【確かに、一般論的な考えで立場を取ることもあると思う。】

【おイタする子にはお灸を据えるよ。……うん、これだけ聞くと軸はブレブレだ。】

 

「そこまで分かってるならどうして?」

【……それだけじゃダメだって気づいたんだよ。】

 

 

リオが今もミレニアムで生活を送れているのは、あの男のお陰だ。

もし先生一人なら罪の重さに耐えきれずに退学していたかもしれない。

 

それは先生の望む結末では無い。

最後には和解して笑顔で終われるような、そんな都合のいいHAPPY END。

辿り着くために成すべきことはもう学んだ。

 

 

【例え悪い子でも、最後まで寄り添ってあげたい。】

【ちゃんとダメなところは叱った上で、仲直りさせてあげたいって、それが私の目指す大人だから。】

 

 

その言葉で一瞬、ミカの瞳が揺れる。

表情から感情は読み取れきれない。

あるのは切望、諦観、憂惧などだろうか。

 

そして心の内から漏れ出すように、ポツリポツリと話し始めた。

 

 

「……例えば、だよ?拗れて捻れて仲直りしたくてもできない、そんな揉みくちゃにされたあやとりみたいな面倒な事になっても、助けてくれるって事?」

【うん、それが私の目指す()だから。】

「────は、あはははっ!」

 

【ど、どうしたの?】

「ううん、どうしてナギちゃんが先生を選んだのか分かっちゃって!」

 

 

ナギサはゲヘナとトリニティの間にある深い溝、先生ならそれを埋めてくれると本気で信じているのだ。

 

少しだけ、狡いと思ってしまった。

もっと早く先生が来てくれれば、知っていれば……そう願わずにはいられなかった。

 

 

「そっか、そうだよね……うん、先生になら話せるかな。」

 

 

嫌になる、そんな大人を騙そうとしている自分が。

でも仕方ない。

もう()()()は出来ないんだから。

 

 

「教えてあげる先生、裏切り者が誰なのか。」

 

 

 

*1
ローションまみれ

*2
有能ですまない





なぜ、大量のパンちゃんがあんな所に居たんですかね?


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その頃、空崎ヒナは


お待たせいたしました。

今回は少々分量多めです。
トリニティから代わり、ゲヘナの視点に移ります。



 

お日柄がよく銃声がけたたましい今日この頃。

キヴォトス内でも、最も治安が終わってると言われるゲヘナ自治区のとある一角、そこに建てられた一棟のビルが衝撃により倒壊した。

 

辺りは大量の砂埃が舞う。

されど死者は居らず、代わりにノびた不良達の山が積み上げられていた。

 

何人か意識が残っている者もおり、呻き声が聞こえる。

その声は隣に並び立つ小さな少女へ、恨みの感情が乗っていた。

肝心の少女は何処吹く風で涼し気な表情だ。

 

 

「戦闘終了、次の目的地へ移動する……その前にやる事があった。」

「ウウゥッ、痛い、もう動けない……。」

「おいどけッ、重い!!」

「身体中が痛くて動けないんだって!!」

 

 

山を築いた本人である少女、ゲヘナ風紀委員長の彼女は現在単独で仕事を行っていた。

少女、空崎ヒナ──現ゲヘナ最強と名高い彼女は戦闘直後にも関わらず、次の目的地へと駆け出そうとしていた。

 

いつも自分を補佐している頼もしい同僚達は別行動だ。

理由は単純に手が回らなくなってきたからである。

 

最近ゲヘナでは不良生徒の暴動が頻発している。

元より結構な頻度で問題を起こしていた彼女たちは、最近になって益々勢いをつけ始めていた。

本日の暴動鎮圧は既に7回目、既に一日の平均暴動鎮圧数を上回っている。

自分が居なくても、ただの不良生徒であれば同僚たちも問題なく片付けれる筈だ。

 

 

「そう思っていたのだけれど……。」

「うぅ、くそっ!」

 

 

倒れふす不良生徒に目をやる。

ソイツは恨めしそうにヒナの事を睨みつけてきた。

今にでも体が動けば襲いかかってきそうな雰囲気を纏って。

なんなら立ち上がろうとしている。

 

これが異常なのだ。

ヒナの攻撃をまともに食らって意識を保っている。

並の生徒なら気絶するレベルの弾幕を与えたにも関わらずだ。

勿論手加減したわけでは無い。

 

彼女達は確実に打たれ強くなっている、そう断言できた。

それも1人2人ではない、ゲヘナ全域の不良生徒のレベルが上がっている。

日を追う事にその数は増大してるようにさえ思えた。

 

別行動の部隊が負ける事は、流石にないだろうが心配だ。

この程度の不良相手なら遅れはとらないにしても、美食研究や温泉開発部レベルがパワーアップしてると不味い。

取り逃すだけなら良いが、場合によっては最悪返り討ちにあってる可能性さえある。

 

回復したのか、不良生徒は立ち上がっていた。

その目にはまだ闘志が燃えている。

体は今にも倒れそうな疲労感に包まれているだろうに、無謀にもまだ彼女はヒナに勝つつもりのようだ。

 

 

「だから、どこでそこまで強くなったか聞きたかったんだけど……。」

「うおぉぉぉッ!!」

「貴方達から聞き出すのは無理そうね。」

 

 

短く銃声が響き、不良生徒は再度倒れた。

もう起き上がってくる様子は流石にない。

 

現在ゲヘナ風紀委員を悩ませてる問題がコレだ。

鎮圧作業が嵩み、他の仕事に手がつかなくて困っている。

日に日に暴動件数は増える一方で、根本解決しなければキツい段階になってきた。

既に半数の風紀委員は目から光が無くなっていて、由々しき事態だ。

 

 

「嘆かわしい、こんなにも対応が遅れるなんて……。でもそれは今日で終わり。」

 

 

最近になって急激に暴動が増加した傾向があることから、何らかの原因がある筈だと睨んだ。

暴動を扇動している黒幕が居るのではないか?

もしくはまだ別の思惑が動いているのでは?

 

ここ数日はその調査と暴動鎮圧に掛かりきりになっていた。

万魔殿からの妨害行為もあったが、ヒナが積極的に現場へ向かうことで対処した。

因みに、遅れた理由の半分はコレだったりする。

 

 

おのれ許さんぞ羽沼マコト

 

 

妨害に屈したりなんかしない!!

そんな努力が報われて気になる噂をキャッチしたのは、つい最近の事だった。

ゲヘナの闇市でリスクなく簡単に強くなれる品が流れているという眉唾な噂。

 

その製品の名は《神名のカケラ》。

聞いたところによると、紫の宝石のようなソレを摂取すると力を湧き上がらせる不思議なアイテムなのだとか。

 

露骨に怪しい、簡単に強くなれるなんて胡散臭すぎる。

それでも現状から鑑みるに、与太話だと切り捨てることはできなかった。

 

 

「アコ達が必死で集めた情報だもの、必ず成果は出してみせる。」

 

 

アコ達の努力により、少ない噂話から販売所の所在地を特定するまでに至った。

販売所を叩いてこれ以上の治安悪化を防ぐ、本日がその決行日だ。

目的地へ向かう道すがらに、暴れてる不良生徒達を鎮圧しながらヒナはビルからビルへと移動し続けた。

 

 

 

 

 

ものの十数分で辿り着いたのは寂れた、と言うよりも廃退した地区。

その中でも如何にもな雰囲気のある廃工場地帯へと侵入した。

 

 

「……これは、当たりかな?」

 

 

今はもう動いていないはずの《食材廃棄場》。

その正門には謎のオートマタが警備を行っていた。

これなら例え不良暴徒化の黒幕でなくとも、施設の違法利用でしょっぴく事が出来る。

 

そうと決まれば話が早い。

ヒナはビルから正門の前へと降り立った。

弾丸のような速さで着陸した為、鈍い衝撃音が微かに響く。

 

 

「ッ誰だ!!」

「ゲヘナ学園・風紀委員会委員長、空崎ヒナよ。一体此処で勝手に何を作ってるのかしら?」

「まさかあの!?緊急連絡を!!」

「投降する意志はなしって事で良い?」

 

 

突然の自体にも関わらず、警備は優秀なようですぐに応援を呼ぼうとする。

ヒナがソレを許すはずがなく、通信機は破壊される。

 

 

「その格好、カイザー系列ね。めんどくさいけど……全員相手してあげる。」

「通信機がッ!?」

 

 

有無を言わさず放たれる弾丸の嵐。

無慈悲な破壊力により門番のオートマタは吹き飛んだ。

 

 

 


 

 

 

圧倒的な強さの前に蹴散らされるオートマタ達。

ヒナは重要人物が居るであろう事務所っぽい建物へと歩を進める。

途中の戦闘もヒナにとっては簡単な作業と変わらず、呼吸するかのような自然な動きで、あっという間に事務所の奥へとやって来た。

容赦なく足で扉を蹴破るとそこには3人の人影が存在した。

 

 

「流石ゲヘナの風紀委員長、想定よりずっと早かったな。」

「貴方が責任者であってるのね?」

「いかにも、私はカイザー・インダストリーの理事だ。」

「「……。」」

 

1人はロボット姿の高級そうなスーツを着た男。

もう2人は黒のフードローブを着ていて顔は不明だが、男を守るように両側に陣取っている。

その2人はヒナに感じ取れるほどの強者のオーラを放っていた。

 

 

「(なんだか面倒臭そうな相手、それも2人か……。)」

「クククッ、私が逃げなかった理由が分かるか?」

「その護衛の2人、随分とお金を入れ込んだみたいだけど?」

「必要資金だ。腐っても一流企業の端くれだからな。」

 

 

ヒナは黙って話を聞いている。

男は気分が良いのかペラペラと話し続ける。

 

 

「とある男との契約で《神名のカケラ》をばら撒くことになった私は、ゲヘナの土地へ目をつけた。」

 

「広大かつ良質な土地を持つにもかかわらず、それに見合わない少数の治安維持部隊。見回りの行き届かない場所なぞごまんとある。コレを逃す手などなかった。」

 

「ゲヘナを混乱に陥れるため、私は《契約》通り不良生徒へ《神名のカケラ》を販売した。予想通り彼女たちは力に溺れ欲の赴くままに破壊活動を始めた。」

 

「これも全て風紀委員……いや、空崎ヒナの力を削いでゲヘナを完全に手中に収めるための1歩。」

 

「それもこれも、全てはカイザーコーポレーションを貶めた()()()の喉笛を掻っ切るため!!」

「………。」

 

「ゲヘナの掌握はその前のワンステップ。空崎ヒナ、()()()()下せばその目的は────

「大体の話は理解した、残りの情報は留置所で聞く。」

 

 

話を途中で中断させ、ヒナは愛銃を3人へ向ける。

好き勝手に喋らせていたのも最低限の情報を引き出すため。

逃すつもりは無いが、2人の護衛者の実力がはっきりしてない以上保険は必要だ。

だが話半分で会話を中断した。

 

──ヒナはイラついていた。

しょうもない大人の思惑の上だった事もそうだが、何よりも風紀委員の全員を馬鹿にされたことによる怒り。

 

この男だけは二割増でギタギタにする。

そう決心したヒナに水を差すように、無言を貫いていたフードローブの片割れが口を開いた。

 

 

「いや、それより君はさっさと逃げた方がいいと思うよ?君を無傷で返す事は難しくなったから。」

「……なんだと?」

「空崎ヒナ、噂はよく聞いてるよ。実物を見るのは初めてだったけど……うん、最強の噂は本当みたいだ。」

「……だから何?」

だったら、こうするしかないよねぇ?」カチリッ

 

 

ドゴォォォォォンッ!!!

 

 

近くで何か爆発した音が鳴り響く。

それも1つ2つでは無い、周囲一帯から爆音が聞こえた。

あまりの衝撃波に事務室の窓ガラスが割れる。

 

状況が読み込めてないのはヒナも理事も同じようで、ローブフードの片割れはケラケラと愉快そうに笑っている。

心做しかもう1人の方はため息をついてるように見えた。

 

 

「生産工場と保管庫を()()爆発させたよ。多分残りカスもないんじゃないかなぁ?」

「「ッ!!?」」

「……。」

「そうそう、その反応が見たかったんだよ!私の仲間たちはリアクションが薄くてね、大きいリアクションに飢えてたんだよねぇ!!」

 

 

まさか躊躇無く爆散させると思っていなかった、ヒナもコレには目を見開く。

そして警戒度を更に引き上げる、手段の選ばないその姿勢に。

この手の相手(カスミとか)の厄介さは身をもって知っている。

 

 

「もうココは用済みだからさ、後で変に探られるのも癪だし証拠隠滅はこのタイミングがベストだよねぇ?」

「貴様、何を勝手なことを!!」

 

 

理事が詰め寄るがフードローブの片割れは意に返さない。

それどころか、先程とは一転して冷たい声で言い放つ。

 

 

「先に勝手を働いたのは君だろう?契約内容には生徒への加害行動及び依頼は禁止されてたはずだよねぇ。」

「ッ!?貴様まさかやつの──」

「はーい、ゴミはゴミ箱へってねぇー。」

「うぉおおおお!?」

 

 

スーツの首根っこを掴んまれ、理事は容赦なく割れた窓ガラスへと投げ出された。

ココは5階だ、落ち方によっては全然死ねる高さだが……。

 

どうやらゴミ袋の密集地帯へ落ちたようで無事そうだ。

一方ヒナはというと、目的の掴めない2人への行動を決め兼ねていた。

 

 

「貴方達はいったい……。」

「強いて言えば敵なのは変わらないねぇ。さて、少し遊ぼうゲヘナ最強。目当ての物はコレだろう?」

「………。」

「勝手な事をするなってぇ?良いじゃないか、せっかく最強と名高い生徒のデータが取れるんだからねぇ?」

 

 

何やら粒状のものが大量に入った袋を取り出したローブフードの片割れ。

もう1人の方は、喋れないのか手話でコミュニケーションを取っている。

彼女は袋をくるくると回しつつ、こう言い放った。

 

 

「これは君の探している《神名のカケラ》だよ。」

「ッ!!」

「生産工場はここだけじゃない、物証があればもっと多くの部隊を投入して捜索もできるだろうねぇ?」

「……そう。」

 

 

戦いの合図はなかった。

フードローブの2人を敵と再認識したヒナは、容赦なく弾丸を浴びせる。

 

空崎ヒナがゲヘナ最強と言われる所以は2つ。

1つは圧倒的な場の制圧力。

マシンガンで一掃するだけで、基本相手は死ぬ。

 

そしてもう1つ。

火力良し、耐久良し、敏捷性良し。

 

ヒナの銃の火力が十全に発揮されるのは中距離だが、当然近距離戦闘も強い。

遠距離攻撃も下手な狙撃はわざと当たって位置を割り出す鬼畜っぷり。

指揮能力も高く直接戦場へ赴かなくとも脅威となる。

 

ある程度の強さに至った者は何かしらに特化したものが多く、そこが長所にも短所にもなり得る。

 

ヒナにはソレ(弱点)が存在しない。

どの距離から、どの場所で、どんな状況でも、どんな策を弄しようとも彼女には届かない……最近はその限りではないらしいが。

それが彼女の一番の強みだ。

 

 

「エグい火力だねぇ、防弾仕様じゃなかったらすぐ蜂の巣だったよ。」

「………。」

「うん、宣戦布告する場所が悪かったねぇ、反省してるよ?」

 

 

2人はヒナの弾幕を避けるために、家具の陰へと身を潜めていた。

防弾仕様のソレも後数秒で粉々のスクラップになる。

スペースの限られた密室でヒナの相手をするのは不味い。

だから次の一手を打つことにした。

 

 

「ホッ!!」

「(書斎机を飛ばしてきたッ!)」

 

 

ダメージこそ無いが目くらまし程度にはなったのか、一瞬弾幕が止まる。

その隙にヒナの攻撃で脆くなった壁を蹴破り、2人は外へと脱出した。

 

 

「逃がさないッ!」

「鬼ごっこの時間だよ。」

「……。」

 

 

屋根を駆け上り、ゴミ箱や電柱を蹴り倒し、裏路地の角へ滑り込む。

ヒナの射線を切りつつ巧みに弾幕を回避していく。

 

そして角を曲がる瞬間、トラックがヒナの眼前に迫る。

トラップだ、しかし危なげなくソレを跳躍して回避する。

 

同時に体勢を仰向けに移行し、銃で頭上から強襲してきた1人の攻撃を防御した。

その手には()()()()()()()()()()黒い刃の短刀が握られていた。

 

その勢いは凄まじくトラックの天井へ叩きつけられる。

しかし、すぐに体勢を整えて強襲者を蹴り飛ばし、道路へと着地する。

そして気づいた。

 

 

「(……ッ袋が無くなってる!!)」

 

 

逃走経路のどこかで隠したのか、その片手に掴んでいたはずの《神名のカケラ》が入った袋が無くなっている。

視線に気づいたのかヒラヒラと手を振ってきた。

 

ヒナの目的はこの2人を倒すことでは無い。

一瞬引き返して探すことも考えたが、それでもヒナは2人を拘束することを優先した。

 

この2人が今回の件と強く結びついている、そう考えずにはいられない。

拘束したあとゆっくりブツは探せばいい。

 

 

 

再度2人に照準を合わせる。

 

 

───筈がヒナの体はよろめき、まともに立てなくなっていた。

 

 

「ッ!!?」

「やっと効いてきたねぇ、象とかの大型猛獣とかも一瞬で効果が出る筈なんだけど。化け物だねぇ〜。」

 

 

あくまでも冷静にヒナは自身の体の異常を分析する。

平衡感覚に異常、軽度な発熱、動悸も少々。

これはまさか………。

 

 

「ヘイローに守られているせいなのか、毒物系は効きが悪くてねぇ?有毒性のある物質はカットされるみたいなんだ。致死量以上を投入して突破するのも手なんだけど、オーナーからの依頼には見合わなくて困ってたんだよねぇ。

 

ソレで作ったのが()()さ。」

 

 

いつの間にか注射器を取り出していたソイツは、ピュルリと針先から桃色の薬液を垂らす。

隣に佇む奴の持つ刃からも同色の液体が滴り落ちている事に気づく。

 

 

「(刃がカスってたのね……。)」

「分かりやすく言うならお酒だよ。限りなく有害物質は取り除いた代物だがね?ありがとう、君で効果あるなら他の生徒にも効き目は保証され──ってまだ立てるのかい?」

 

 

一刺しで猛獣も動けなくなる薬を仕込まれてもなお、ヒナは立ち上がった。

流石にドン引くフードローブの2人。

だがちゃんと効いてるのか、その照準は明後日の方向を向いている。

 

 

「そんな乱雑に撃った弾なんて当たらないよ。」

「……。」

 

 

フードローブの女が1人、申谷カイは散歩するかのような緩やかさでヒナの元へ近づく。

弾幕はカイを掠めることなく無駄に辺りを傷つけていく。

そして──

 

 

「発勁!!」

「───ッ!!」

 

 

会心の一撃はヒナの額へと放たれた。

しっかり当たれば、怪力お化けのAL-1Sにさえ力負けしない強力無比な力。

コレにはヒナも頭を仰け反らせて後退した。

 

 

「更に、お薬の追加だよ。」

 

 

カイは爪にも薬を仕込んでいる。

勿論、例の酩酊薬だ。

爪の先端は髪の毛よりも細く短く靱性に優れているため、容易に注射器のように柔肌へ侵入する。

 

 

薬の追加でヒナはそのまま倒れ込む───ことは無く、その腕を掴まれる。

 

とても振り解けないその力でカイは悟る。

これ、無理なやつだ。

 

 

「は?ヤバッ───」

「お返しよ。」

 

 

急に吹き返したヒナはカイの腕を掴み、一本背負いの要領で地へと思い切り叩きつけた。

カイの痛烈な声が聞こえるも、もう1人のフードローブはヒナの背後へと迫り黒い短刀を振るう。

しかし後ろに目でもついてるのか、ノールックで銃底で殴られ退けられる。

 

 

痛みから回復したのか、カイもヒナから距離をとる。

挟み撃ちの状況だが、一気に場の優勢が切り替わった。

 

 

「痛っ、おかしいねぇ、なんで動けるのかな?」

「………!」

「いや、そもそも反応が早くなってないかいコレ?」

「(なんだろうこの気持ちは。)」

 

 

カイの推察通り、ヒナの反射速度はさっきの比ではない程に上昇していた。

そもそも、徹夜続きでヒナの戦闘能力は半減の状態だった。

自身のコンディションが最悪な事はヒナも理解しており、カイともう1人同時を相手にする事は無謀だと勘づいていた。

 

 

だから利用したのだ、()()()()()()()()()()()

 

 

ヒナの脳は長期間に及ぶロードワークにより、身体機能を制限していた。

同時に味覚、聴覚、嗅覚、触覚、視覚、それらの機能を大幅に規制。

脳の処理能力、事務作業の効率だけを万全の状態に維持するため勝手に能力が制限されていたのだ。

 

しかし故意的に発勁の衝撃を受け脳を揺らす事で、強制的に生存本能……火事場の馬鹿力を発動した。

ついでに薬の追加で幸福物資が増加した事で脳が回復したと錯覚。

 

 

「(面倒くさいはずなのに……今、とても楽しい。)」

「うわぁ、気づいてるかい君?最高にゲヘナみたいな顔してるよ?」

 

 

興奮作用も働き、面倒だと一蹴していた戦闘も楽しく感じてきた。

単純作業のように処理できる他の有象無象とは違い、確かな腕のある2人だからこそなのかもしれない。

 

当の2人は完全に形勢が逆転したことを悟っていた。

万全な状態になったヒナを倒す事も無理では無いが、リスクが大きすぎる。

最悪1人、もしくは2人ともがここで脱落する。

 

かと言ってこのまま逃げるのは、負けた気がしてなんだか嫌だ。

というか、逃げれる気がしないんだが。

 

 

「オーナーには止められてたけど、やるしかないよねぇ?」

 

 

奥歯に仕込んだ脳内麻薬を出すカプセルを噛み砕く。

コレで何発かは耐えられる。

拳法の構えをとり、ヒナへ相対する。

 

そして未だに喋らないフードローブはようやく口を開いた。

その両手の指は組まれている、まるで印を結んでるかのように。

身バレの可能性があるから、出来ればしたくなかったが仕方ない。

 

 

──忍法

バゴォォォンッ!!

 

 

再度爆発がここより遠くの方で聞こえる。

カイもフードローブもそちらへ意識を割いていた。

巨大な何かがビルをよじ登っているのが見える。

 

 

全体的に紫色で緑の液体を撒き散らし、円盤型にタコの触手を何本も持ち、粘液のようなものを辺りに塗りたくっている。

 

ソイツにヒナは見覚えがあった。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「なんで?………ってしまった!!」

 

 

パンちゃんに意識を逸らしすぎた。

フードローブの2人は既に忽然と姿を消していた。

程なくしてヒナの方にも連絡が入る。

 

 

『ヒナ委員長、ご無事ですか!?』

「大丈夫だけど……何あれ?」

『それが道路を突き破って現れたという情報しか得ておらず……。近くにいたので現在応戦中ですが銃弾の効きが悪くて。』

「わかった、すぐそっちの方に向かう。」

 

 

もう一度フードローブの2人がいた場所を見つめる。

取り逃してしまったが仕方ない、むしろ安堵さえしていた。

 

 

「(脳の錯覚が元に戻る前で良かった。それにあの二人、実力を隠してる素振りがあったし。)」

 

 

むしろ、色々情報が集まっただけ儲けものだ。

酔いが覚めて若干の頭痛のある頭を気にしながら、更なる混沌の地へとヒナは向かった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、巨大パンちゃん出現場所とは真反対の人気のない路地裏で。

 

 

「いやぁ、タイミングに助けられた。だからそんなに怒らないで欲しいねぇ?」

「お前、どこに《神名のカケラ》を隠したんだ?」

 

 

フードを外した2人組は逃走に成功していた。

カイともう1人、幼さの残る顔のその少女は、顔に似合わぬ凄みを出している。

そんな彼女に臆することなく、カイはヘラヘラと笑っている。

 

 

「マンホール開けて中へボッシュートしたんだけど、まさかあんな風になるとは。私の目を持ってしても見抜けなかったよ、()()()()()()()()()。」

「はぁ……。」

 

 

恐らくゴミ処理場から脱走したパンちゃんの一体が、下水道を流れてきた《神名のカケラ》を摂取したのだろう。

過剰な神秘を取り込みパワーアップした結果、あの巨大化に繋がったのだろう。

 

 

「あの委員長なら何とかしてくれるだろう、私は一足先に戻るけど君は?」

「私は引き続き百鬼夜行で監視しておく。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、ヒナが掃討したパンケーキの一部が分裂し、ティーパーティー内での目撃が入る事になるのは別の話。

 

 





ゲヘナでの動き、そしてパンちゃんの秘密が明らかになりましたね。
次回こそは補習授業部視点です。


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先生、FOX、それと骨


お待たせいたしました。

全5話で終わるとか宣いながらこの体たらく。
すまない、あと3話はかかる()



『………さい、起きてください先生!!』

【うぅん?】

 

 

小気味の良いノイズが耳に届き、男──先生は半醒半睡でユラユラと意味もなく彷徨く。

僅かな時間を置いてパチパチとゆっくり瞬きをしてから、ようやく自分が見知らぬ場所にいる事を認識した。

 

 

【頭がフワフワする……。】

『あっ、ちょっと!?危ないですよ!!』

 

 

辺りに人気は全くなく、山のように積まれた瓦礫、焼き焦げた壁、踏むと砂埃が立つ石畳。

()()()()

その言葉がしっくり来る程に、辺りの景観はどうしようもなく終わっていた。

 

 

【なんだか凄く悲しい場所だ。】

『先生?まさかわざとですか!?もぉ〜!!』

 

 

時間の経過とともに意識が次第に覚めていく。

五感が明確になるのが遅い、泥にでも浸かってるかのような感覚だ。

そしてようやく、先生は誰かがポコポコと背中を叩き続けている事に気がついた。

 

 

『むぅぅッ、先生の意地悪〜!』

【……アロナ!?】

『もぅ、気づくのが遅いですよ!!』

 

 

ノイズと思われていた声の主の正体。

小柄で幼さを感じさせる淡い空色の彼女は、ぷっくりと頬を膨らませていた。

 

先生の秘書、青色の悪魔、であいがしら(アロナパンチ)、すーぱーえーあい。

そして──《シッテムの箱》のメインOS、それが彼女だ。

 

尚も背中は、か弱い力で叩き続けられる感覚がある。

OSであるが故に本来外に出る事が不可能な彼女は、確かな実体を持ってココに存在していた。

 

 

『先生はここに来る前の事を覚えていますか?』

【覚えてない、アロナは?】

『補習授業部の皆さんと第二次特別学力試験の会場へ移動したところまで記録済です、それ以降はどうも……。』

 

 

アロナの言葉で少しばかり思い出す。

多少のハプニングはあったが、自分達はゲヘナの試験会場へと向かっていた筈。

それ以降を思い出そうとしても、頭に靄がかかった様に思い出せない。

 

以前も同様の経験をした事があるような、ないような。

思い出せないように強制されてるような不快な感覚を覚える。

釈然としないまま、先生は取り敢えずの行動方針を決める事にした。

 

 

【辺りを探索してみよう、手掛かりが掴めるかも。】

「その必要は無いよ、迎えに来たからね。」

 

 

気づいた時には傍に立っていた非常食、シマエナガを手に乗せている狐耳の生えた少女。

その気だるげそうな目は先生、そしてアロナに向けられ……もう一度アロナに向いた。

 

 

「本当に誰だ君は?いや、どこかで見た顔のような気もするが……。」

『ナンノコトデショー?』

「うーん、ダメだね思い出せない。この場所だと思考に弱化が入る。」

 

 

もう片方の手には唐揚げ棒が握られており、本来のミステリアスな雰囲気は台無しとなっていた。

モキュモキュと、口に含んでいたであろう唐揚げを飲み込んだタイミングを見計らい、先生は少女に語りかけた。

何となく、その姿を目にした時から感じていた感覚に従って。

 

 

【君、もしかして何処かで会ったことある?】

「……そうだね、初めましてと言うべきか迷っていたけど必要ないみたいだ。私は百合園セイア、今回は覚えてくれると嬉しい。」

 

 

百合園セイアと言えば、ティーパーティーの一角。

本来、今回のホストを務める筈だった彼女は、既に死亡したと聞いていたが……。

謎の場所といい疑問ばかりが尽きない、重い頭を何とか稼働させて質問を試みる。

 

 

【ここは何処なの?それに君は死んだ筈じゃ──】

「待ちたまえ、矢継ぎ早に質問されても私は聖徳太子じゃないから答えられない。まず何処まで覚えてるか教えてくれ。」

【それが全く思い出せなくて。】

「なるほど、何か強いショックを受けて直前の記憶が抜けてるとみた。色々と聞きたい事があるだろうから、順を追って説明するよ。」

 

 

そこから説明された言葉はどれも目を見開くものであった。

 

セイアは意識不明の重体を負ったが、救護騎士団長により保護されて未だ生きていること。

 

現在彼女は精神と肉体が不安定で植物人間に近いこと。

 

元々あった他人の夢に介入する体質で、あっちこっちをフラフラしていたら此処に辿り着いたこと。

 

この場所も同じく他人の夢、もしくは心の中であること。

 

そして今は、《エデン条約》で起こる悲劇を最小限に抑える為に奔走しているということ。

 

 

「具体的に何が起こるかは伝える事が出来ないんだ、すまない。」

【それはどうして?】

「私の協力者が余計な手を入れて事態を悪化させる事を極端に嫌っていてね、今回の件はできる限り先生自身の力で解決して欲しいそうだ。」

 

 

考えられている、そう素直に感心した。

ミカから聞いたセイアの予知能力は確かに強力だ。

だが、恐らくその分体にかかる負荷は大きく、元来から体の弱いセイアにとって連続酷使はご法度だろう。

 

 

ふと気になる。

セイアをサポートしているこの心象風景の主が。

キヴォトスでは稀に見る、先生と同じ価値観を共有できる人物の可能性がある。

 

先程は終末世界に例えたが、少し違うかもしれない。

空は晴れ渡っていて、空気も澄んでいる。

殺風景だがなんとも不思議な居心地の良さがあり、穏やかな印象も受けた。

 

 

『先生?』

【いや、なんでもないよ。】

 

 

本当に不思議な感覚だ、単純に先生自身も興味が湧いてきた。

一体どんな心持ちの人……いや、犬、猫、ロボ、etcなんだろうか。

 

進行方向の先に狼煙が上がっているのを確認する。

向こうから風に乗って来た食欲のそそられる匂いが先生たちを襲う。

 

これは、肉と野菜と油の焼ける匂いだ。

曲がり角を抜け、先生たちはこの場所の主と対面した。

その男はパタパタと、焚き火の加減を加減している最中だった。

 

 

「戻ったよ、肉の加減はどうかな?ほぅ、燻製とはまた乙なものに手を出したね。」

 

「遅かったな、肉は良い頃合だ。野菜はもう少し焼いた方が良い……ん?

え?

『ヒェッ』

 

 

答えは予想したどれでもない。

犬でも、猫でも、ロボでもなく、その姿は骨と明言する他になかった。

 

 

「……おい、どういうことだ?」

「ククッ、さぁてね?私は君の言う通り意識がはっきりした者を連れてきたまでさ。」

「嘘をつけ、声色から愉悦が漏れ出ているぞ。」

 

 

見間違いかと思い、腕で顔を拭いもう一度見やる。

そこには見覚えしかないスーツ姿の骨男が。

ソイツは廃墟に似合わない、熱々の鉄板の上で肉と野菜を焼いていた。

 

 

「来てしまったのは仕方ないか、いま椅子を出す。」

「早く準備してくれ、私の胃袋はソレを所望している。」

 

 

こんなの分かる筈が無かった。

エリドゥで自分を追い込んだ男が、廃墟でBBQしているだなんて。

しかも謎に歓迎しようとしてる。敵同士だよね君達?

 

さっきまで怯えた態度だったアロナはご飯の匂いにつられてちゃっかり着席していた。

AIが餌付けされるなよ。

 

 

『毒味はお任せ下さい!!……うわぁ、美味しそう。』

「待ちたまえ、この肉は私のモノ。新参者はまずボイルしたこの野菜を食べるべきだ。」

「君はいい加減に腕のシマエナガを仕舞え、彼の顔色が悪くなってる。あと野菜を人に押し付けるな。」

 

 

頭がおかしくなりそうだ。

ひとまず精神統一のため、心の第一声を声高々に叫ぶことにした。

 

 

【なんで居るの!?】

「こっちのセリフだ、まさか死んだのか?」

「お互い積もる話もあるだろう、とりあえず座りたまえ。」

 

 

見知らぬ土地に飛ばされた以上、他に取れる選択肢があるはずも無く。

最近激務でまともな料理が取れてなかった先生は、不本意ながらもご相伴にあずかることになった。

 

 

 

 

 

 

「ここに訪れる者は、意識のハッキリした奴ほど精神と肉体が乖離している。つまり死にかけが訪れる最後の箱庭だ。」

 

 

肉汁を跳ね飛ばして焼ける肉を管理しながら、ホモは語る。

 

最後の箱庭、それは死ぬ前に最後による場所と言うだけでは無い。

ホモは後戻りできる魂の安置所のような扱いをしていた。

現にセイアはここでメンタルケアを行い、まだ意識は浮上してないが生き延びた。

 

 

()()()()()()()()()中から覗いた感じ、建物の崩落によって気絶したと見れるな。幸いに箱のバリアが間に合った事、そして生徒が近くにいた事で息はあるようだ。」

 

 

ひとまず死んだ訳ではないようで、胸を撫で下ろす先生。

ただ1つ、小さな疑問が湧いた。

 

 

【なんでアロナも一緒にここへ?】

「……察しは付くが話せないし、したところで意味もない。」

 

 

どうやらこれ以上はやぶ蛇のようだ。

アロナも興味が無いのか肉に夢中でいた。

先生のコミュニケーション能力は天性のものだが、当然例外は存在する。

 

ホモの様に真逆の価値観の者とはとことん噛み合わない。

秘密主義(公開主義)かつ合理主義(非合理主義)

先生にも隠し事の一つや二つあるが、ホモの比では無い。

 

そもそも彼は自分の明確な目的を、仲間の生徒にすら話していない。

それでも彼に着いていく生徒が居る辺り、その求心力は相当なものだろう。

 

ホモとセイアのやり取りで完全に理解した。

向かう方角は先生と同じで、ルートが完全に真逆なのだと。

シンメトリーであり、アシンメトリー。

 

生徒にそんなタイプが居ないとは限らない。

全生徒の味方、それを達成するのにまだまだ自分は未熟だと勝手に落ち込んでしまう。

そんな様子に見かねたのか、ホモは咳払いしてから

 

 

「ゴホンッ、大事なのは話をする時間くらいはあるという事だ。」

「素直じゃないね、もっとストレートにアドバイスしてやるっt──モゴッ!?」

 

「よく喋るのはこの口か?」

「ングッ、待ちたまえ、両手に次弾を装填するのは待ちたまえ。」

【(なんだか、初対面の時と随分印象が変わったような気が?)】

 

 

以前の冷たさが最小限になったような、そんな感覚。

決して取り繕ってる訳でも無く、コッチが素だと言える程の……。

カカオ99%のチョコがビター並に甘くなったと言うべきか。

セイアの口に焼きトウモロコシをぶち込んだホモは話を戻す。

 

 

「で、どうなんだ?仮にも私はゲマトリアだが。」

【色々手詰まりだった所に既に手を貸してもらったんだ、もう貰えるものは借金以外貰うよ。】

 

 

理由もなく生徒を害する大人では無い、それこそキヴォトスが滅亡する規模のものでも無い限りは。

その一点だけ先生は完全にホモを信頼していた。

 

 

「セイアからの話で裏切り者──黒幕については察しが着いただろう。」

【うん、アリウス分校だね。】

 

 

そしてセイアに兵を仕向けたであろう裏切り者についても察しはついてる。

と言うよりも、セイア本人が言うのだから間違いない。

問題はどう対応するか。

 

 

「まず聖園ミカが裏切り者だと真意を伝えるのは控えた方が良いだろう、間違いなく積み上げた信頼が崩れ落ちる。逆に補習授業部には全て打ち明けた方がいい。」

 

 

幸いにもアリウスに通じている部員もいる。

協力さえ出来れば先生の指揮能力をもって撃退は可能だろう。

 

 

【うん、私もその方法しか無いと思ってた。……君がしてくれても良いんだけど。】

「抜かせ、私にその資格は無い。」

 

 

それは果たしてゲマトリアだからなのか。

()()()()()()()()()()今の自分にその資格は無いと感じているのか。

答えはホモにしか分からない。

 

 

「だが安心したぞ、もし日和って生徒を取捨選択しようものならここで──」

『せ、先生には指一本触れさせませんよ!!』

「ただのゲマトリアジョークだ。」

【ははは……(冗談に聞こえないッ!)】

 

 

だが迷いは無い。

元々諦めるつもりなんて毛頭なかったが、不安がないかと言われると違う。

生徒にそれが露見すれば大問題だ、生徒たちに不安が伝染してしまう。

 

ただ軽々と隠し立てせずに話せる相手がいるだけで、こうもやりやすくなるとは。

ずっと自分が与える側だったから、これ程までに効果があるとは思いもしなかった。

 

 

鉄板の上にはもう食材は乗っていなかった。

同時に妙な感覚が先生に訪れる。

 

──現実側に戻る時間が来たようだ。

もっと話したい事があったが、*1欲した答えを得たので諦めるしかない。

 

 

「帰りは向こうだ。」

【うん、色々ありがとうね。】

『お肉ご馳走様でした!!』

「向こうでナギサとミカによろしく言っといてくれ。」

 

 

手を振り先生とアロナは廃墟の外側へと歩いていった。

さっきの賑やかさとはうって変わり、少しばかりの静寂が場を支配する。

耐えきれずセイアが話しかける。

 

 

「君にしては随分と甘いじゃないか?」

「彼には頑張って貰わなければいけないからな。」

「どうせならアリウス分校の場所とかも話しとけば良かったのに。」

「以前にも説明したが、そこまでの助力はダメなんだ。それに私にも立場があるからな。」

 

 

ホモが本格的に加われば必ず素直にゴールできなくなる(ガバる)

それがベアトリーチェ側についてる理由でもあるが……。

 

だから何としても先生にはやり遂げてもらう必要がある。

誰しもが笑顔になれる、そんな甘ったれハッピーエンドを。

 

 

「君だけ途中下車なんてのは無しだよ?」

「当たり前だ、私が合理主義なのは知っているだろう?」

「既に1回、合理性を捨てて駆け出した事について何か言う事はあるかい?」

 

 

思い出されるのはレッドウィンターでの黒き神との戦い。

若干気まずさを感じながらも、なんでもないようにホモは話す。

 

 

「……だが今もこうして生きてる。」

「ダメだこの骸骨、全然懲りてないぞ。この唐変木で朴念仁の無愛想骸骨男め!!」

「言い過ぎでは?」

 

 

完全に悪手だった。

慣れない手つきであっかんべーをしながら、セイアも外へと駆け出してしまった。

完全に1人となった空間で、ホモは呟く。

 

 

「実は最近まで、色彩さえ倒せればそれでいいと思ってたのだがな。」

 

 

色彩を滅する、その為だけに始めは活動してきた。

だが今は違い無闇に自分の命をベットすることは無い。

自身の再発点を見つけたから。

 

 

「嘘でもあそこは否定しておくべきだったな。」

 

 

悪い事をしたと反省しつつも、考えを改める気はない。

いざ体が張れないようでは、ソイツは先生失格なのだから。

そしてホモの目指す先生像は正しくソレなのだから。

 

焚き火は今も音を立て揺らめいている。

 

 


 

 

【うう〜ん、ここは……?】

「先生が目を覚ましました!!」

「無傷で息もありましたが意識が戻らなくて、一時はどうなる事かと……。」

 

辺りを見れば少々埃で薄汚れた補習授業部の皆が。

サクラコに膝枕される形で、先生は横になっていた様だ。

 

各員差はあれど心配させてしまったようで、安堵の笑みの裏には疲労感が透けて見えた。

そんな全員の緊張がほぐれたと察したハナコは、場を和ます為にも先生にちょっかいを掛けることにした。

 

 

「それにしてもとても寝心地良さそうでしたよ?一体どんな気持ちの良い夢を見られてたんですかね?」

 

 

コハルは既に꒰ঌ(⸝⸝ↀᯅↀ⸝⸝)໒꒱の顔で待ち構えている。

対する先生は真面目な面持ちで呟いた。

 

 

【──怖い先達にちょっとアドバイスをね。】

「え、それってどういう……。」

 

 

そして先生は立ち上がり、決意を固めた目で全員を見渡し発言した。

 

 

 

 

【君達に、話しておくべき事があるんだ。】

 

 

 

 

 

*1
機械神教の事とか





次回はナギサ説得回です。


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疑心融解


お待たせしました。

すみません、やっぱ計10話行きそうです()
ダイジェストで進めるつったのに、うーんこの。
なるはやで投稿するので許して許し亭。



第三次特別試験まであと3日。

ティーパーティー現ホスト代行の桐藤ナギサは、いつも通り紅茶を喫していた。

彼女は今、待ち人を待つべくしてテラス席に座している。

 

 

「(少し、やり過ぎたかもしれませんね……。)」

 

 

思い起こされるのは、4日前の第二次特別試験。

先生とは裏切り者探しの競争といった体で、直接的な敵対関係までは至ってなかった。

裏切り者を探す、その1点でのみ先生とは協力関係であったが為に。

 

だから妨害行為なんて最初はするつもりなかった。

ならば何故ナギサは一転して行為に及んだのか。

 

 

「(サクラコさんは兎も角、ハナコさんまで乗り気になるなんて。一体何の心境変化が……。)」

 

 

トリニティきっての才女達の手により、落第寸前だった部員達はメキメキと力をつけた。

それはもう目を見張る勢いで、純粋に落第の危機にあったコハル達を成長させた。

気が付けば彼女たちは、既に合格するレベルにまで到達していたのだ。

 

裏切り者を炙り出す前に、補習授業部を解散してもらっては困る。

特にサクラコは反対する声を押し切り、無理して補習授業部に入部させたのだ。

部を再編成しても彼女を呼び戻すことは不可能に近い。

 

結果、焦ったナギサは急いで細工した。

試験時間と問題提出範囲と合格点数の大幅変更。

そして極めつけは温泉開発部による試験会場の発破を。

 

 

「(どうしてアソコ(ゲヘナ)の生徒たちは、こうも言う通りに動いてくれないのでしょうか。)」

 

 

約束と違う大量の爆薬を使用した報告を聞いた時は、思わず白目を剥いて気絶しそうになったが、先生が無傷であった為に息を吹き返した。

なんなら先生がサクラコに膝枕されてる写真を得た事で、揺さぶるネタが増えた分プラスに働くだろう。

 

 

「(裏切り者は必ずあの中に居る。いいえ、()()()()()()()()()()()()。)」

 

 

後戻り出来ないステージに踏み込んだが故の、強迫観念に近いレベルの決意。

そんな考え事をしていると、タイミング良くとある人物がナギサの目の前へと現れた。

待ち人の先生だ。

 

 

【ごめんね、待たせちゃったかな?】

「いえいえ、時間通りですよ。」

 

 

前回の試験の妨害を全く意に介してないのか、全く話題にも出さずに先生は席へと着席した。

これは自分が謝罪するまで言い出さないつもりか?もしそうなら意地悪な人だ。

などと、自分の事を棚に上げて考えていたが……。

 

いつにもなく本気の目をしている。

まるで何かを覚悟してきたかのような、そんな目。

異様な雰囲気に面食らってるナギサをよそに、先生は口火を切る。

 

 

【裏切り者について、大体の予想がついたよ。】

「それは本当ですか!?」

 

 

待ちに待った念願の吉報に、思わず身を乗り出すように聞き入るナギサ。

湧き出たのは驚愕、安堵、そして()()

ようやく裏切り者が判明するというのに、ナギサの心は全く穏やかではなかった。

 

 

【まず確認なんだけど、セイアの居場所を知ってるのは極一部なんだよね?】

「……そうですが、一体どんな意味が?」

 

 

先生が意図の掴めない質問をしてくる。

否、気づくなとナギサの脳が理解を拒んでいる。

ナギサが無意識に1番恐れていた事態から目をそらす為に。

 

 

【セーフハウスを知るのは学園の上層部だけ。それもほんのひと握り、それこそ各分派のリーダーでもないと知る由もない。】

「………何が言いたいんですか?」

 

 

気付きたくない、認めたくない、裏切られたくない。

本当は薄々気づいていた筈なのに、疑心と焦りで凝り固まった思考はその真実を中々受け入れようとしない。

 

先生も本当ならこんな事を言いたくなかった、しかし言わざるを得ない。

自分が裏切り者の処遇を決めるためには、この生徒の心を傷つけなければならない。

だから先生は心を鬼にして、その名を呼んだ。

 

 

【裏切り者の正体は───ミカだよ。】

「そんな筈ありません!!」

 

 

椅子から完全に立ち上がり、ヒステリックにそう叫ぶナギサ。

その様子はまるで必死に駄々をこねる子供のようで。

ナギサの頭脳は信じたいモノの為に、ぎこちなくフル回転する。

 

 

「そんな、はず、他にも候補は、そう、浦和ハナコさん、彼女ならセイアさんの居場所だって知ってる筈です!」

【うん、彼女なら知っていても不思議じゃないね。】

 

「だったら彼女も容疑者に──」

【目を逸らさないでナギサ、君なら知ってる筈だよ。】

 

 

諭されるようなその言葉に、ハリボテの虚像は破壊された。

そう、ナギサは知っている。エデン条約を締結させない為に動く動機を。

 

彼女がエデン条約を無下にしたい程にゲヘナが嫌いな事。

アリウス分校(ゲヘナに恨みを持つ同士)と和解したいと思っていた事。

そして何よりも、彼女と連絡がつかない時間帯が長くなった事。

 

彼女がアリウスと手を組んでるとしたら、全て辻褄が合う。

 

 

【ミカの中ではこうなる算段じゃなかったんだ、本気で和平を考えてた。コレは他ならないセイアから聞いたから間違いない。】

「…………今、なんと?」

【百合園セイア、彼女はまだ生きてるよ。】

 

 

くぐもった目に再び光が灯る。

聴き逃しはしなかった、先生は確かに彼女が生きていると発言した。

とっくに冷静さを失ったナギサは、感情のままに先生を問い詰める。

 

 

「セイアさんは一体どこに!?」

【彼女は今救護騎士団の元、療養に励んでいるらしいよ。意識は戻ってないらしいけど、夢で彼女とあって話を聞いたんだ。】

 

 

セイアの(予知)を知るのはティーパーティーの3人だけ。

いくら先生でも体験しなければ出てこない単語だ。

デタラメでは無く本当の話だと断言できる。

 

 

「良かった、本当に……。」

 

 

嘘偽りない安堵を吐露して、ナギサは床にへたり込む。

一瞬にして大量の情報で殴られたショックによるものだ。

セイアが生きていた事に対しての安心感も大きいがそれだけでは無い。

 

自分の守ろうとしいた親友が、裏切り者であるという喪心感。

関係の無い生徒を、自身の不安から退学させようとした罪悪感。

 

根がお人好しな気質も相まって、自身を攻める後悔の念は絶えない。

自分自身の不甲斐なさに意気消沈したナギサの感情は、ぐちゃぐちゃになっていた。

 

 

「ふ、うふふ……私は今まで何を見てきたんでしょうね?たとえ疑心暗鬼で視野が狭まっている事を加味してても、ずっと隣にいた彼女の事を疑えないなんて。」

【ナギサ……。】

 

 

決壊したダムのように自責の言葉が漏れ出していく。

ソレは彼女が溜め込んだ罪悪の塊(本心)であった。

 

 

「何がティーパーティーのホストですか、私の行いこそヒフミさん達への裏切りに他ならないというのに。

 

先生の言う通り見たいものだけを盲信し、ヒフミさんへの親愛を踏みにじり、各部へ牽制するためだけにコハルさんとサクラコさんを入部させ、()()()()()()その1点でハナコさんを疑い、同じく怪しい点だけで確証もないのにアズサさんを黒だと決めつけて。

 

ミカさんの気持ちを十分に汲み取らず、エデン条約を約束して。

セイアさんの生存も知らぬまま、復讐心は空回りして……。

 

私は一体何をしていたのですか?

何のためにエデン条約を結ぼうとしたのですか?

それは生徒を、親友たちを踏み台にしてまで取るべきものだったのですか?

これでは唯の道化ですよ。

 

嗚呼───

 

こんなはずではなかったのに……!!

 

 

ティーパーティーのホストという仮面はとっくに剥がれ、自分がどうするべきか分からない唯の生徒がそこに居た。

蹲ってしまった彼女に先生は優しく声をかける。

 

 

【疑う事は悪いことじゃない、全員が当たり前に持ってる感性だよ。私にだってある。】

「………。」

【大事なのは歩み寄ることだと思うよ、かく言う私もこの前失敗しちゃったんだけどね。】

「私がするべき事は排斥ではなく、歩み寄りだったということですか……?」

 

 

先生は無言で肯定する。

果たして悲しんでいるのか、悔しがっているのか、それとも怒っているのか。

判別のつかない感情でナギサは先生を見つめている。

それは藁にも縋るような表情にも見えた。

 

 

【彼女を、そして何よりも()()()を助ける為に手を貸して欲しい。】

「………どうやって、ですか?まず確実にミカさんの行いは表に流れます。」

 

 

トリニティの情報拡散速度は異常だ。

噂好きの生徒が多いからか、それとも派閥争いが盛んだからか。

 

どちらにせよ確実に学園中にミカの行いは拡散される。

今回のテロは最悪、退学だって有り得る大罪。

それでもなお、先生は首を横に振った。

 

 

【これは受け売りの言葉なんだけどさ、

 

例え虚しい結末だとしても()()()()()()()()()()()()()()()から。

 

それに言ったでしょ?

先に見つけたらその生徒の処遇は任せて欲しいって。無罪放免は無理だけど、最善の為に何とか頑張ってみるよ。だから一緒に頑張ってみない?】

「どうして貴方はそこまで──」

 

 

それが先生にできる精一杯の寄り添い。

最善ではない、しかし取るべき選択は違えなかった。

 

未だに完璧には程遠くても、それでも今の先生は紛れもない生徒全員の味方であった。

その優しさに、ナギサの疑心は完全に溶けきる。

 

 

「ッ──助けてください先生、私とミカさんを、どうか……!!」

【うん、それじゃ皆と一緒に考えよっか!】

「皆とは?」

 

 

擦れるようにドアの開く音がする。

入室してきたのは忘れるはずの無い5人組。

補習授業部が勢揃いしていた。

 

 

「あはは……、お話こっそり聞いちゃいました。」

【粗方の事情は先に話しておいたよ。】

 

 

既に補習授業部の作られた経緯、その理由は全員に説明済みだ。

つまりコレは()()()()()

ナギサは暫時、放心した後にその考えに至った。

 

そして段々顔が熱くなる。

自分が言った台詞を1字1句聞かれてたと思うと恥ずか死にそうだった。

ナギサに出来るせめてもの抵抗は、先生に対して恨めしい声を上げるくらいしかない。

 

 

「……先生。」

【騙すような真似をしてごめんね?】

 

 

コレも混じりっけの無いナギサの本心を聞くため。

決してハナコが考えついたとか、そういう事は断じてない。

 

ヒフミが語り出す。

 

 

「確かに色々大変でしたけど、私はナギサ様を憎んだりなんてしません。ある意味ナギサ様のお陰でこうして新たな繋がりが持てたんですから!」

 

 

次にコハルが

 

 

「わ、私はその、正義実現委員の一員として戦うだけだから!!……です。」

 

 

その次はアズサが

 

 

「ミカとは何度か話した事も、恩だってある。許されない事をしたとしても、私は全身全霊の力で手を貸す。

それにしても、自分の口癖を真似られるのは少し恥ずかしいな……。」

 

 

更に次はハナコが

 

 

「お痛する猫ちゃんをどう分からせてあげようかと思い悩んでいたのですが……。それよりも優先すべき事ができたようなので、まずは其方を片付けましょうか♡」

 

 

最後にはサクラコが

 

 

「私は何も聞いてません。……これは独り言です、近々シスターフッドが巡視するかもしれません。えぇ、勿論たまたまですが。」

 

「皆さん……。」

「謝罪の必要はありませんよナギサさん、私は何も聞いてないので。もしするとソレは後が宜しいかと。」

「ありがとう、ございます……。」

 

 

感涙のあまり、ポロポロとナギサの双眸から雫が垂れ落ちる。

サクラコのコレは純粋な優しさだ。

 

彼女は今も尚シスターフッドの頂点に立つ者、その彼女がナギサの為に動いたとなれば問題にもなる。

 

だから偶然にもナギサのセーフティハウス周辺で巡視が行われる。

流れによっては不審者を捕縛することも有るだろうが、それは偶然起きた事。

ナギサとサクラコの間には何の因果関係もない。

 

 

「あらあら、サクラコさんたらナギサさんを泣かせるなんて♡」

「えぇ!?いや、決してそういう意図はなくてですね!?」

「大丈夫です、──これは嬉し涙なので。」

 

 

涙をハンカチで拭ったその目には光が戻っている。

今ここに柵を越え、ナギサと補習授業部の合同作戦会議が開始された。

 

アズサから情報共有が始まった。

 

 

「まず私はアリウス分校からの転校生なんだが──」

え?

「あはは……。」

 





【祝】ナギサ様、脳破壊を神回避!!【フラグ建設】

次回も小説パート。
ラストスパートです。


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