Fate/Grand Rider (けーやん)
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episode 0

前々からお話ししていた事を本格的に連載して行こうと思います。


「やあ、初めましてだね」

 

 一面花で覆われた地面の上に浮かぶ逆さまの塔で、2人の人影が対峙していた。

 

 1人は白い衣を纏い、細く小さな手には杖が握られており、顔はローブで隠れていた。だが160cmにも満たない小柄な体と、愛らしい声音で女性である事は識別出来る。

 

 対峙するもう1人は、彼女とは対照的に黒いレザージャケットに革の手袋、デニムジーンズと言った現代的な服装を身に纏い、東洋人の様な黒髪と整った顔立ちが特徴の青年であった。

 

 少女はそんな彼を見ながら楽しそうに微笑む。

 

「キミとは前々から話しがしたかったんだ。キミみたいな面白い人間はそう居なくてね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。今日は私の呼び掛けに応じてくれて感謝するよ。おっと、いけない。この楽園に人が来たのは初めてでね。私自身、つい浮かれてしまったよ」

 

 少女は反省するかの様に謝罪する。青年は首を横に振って話の本題を訊く。

 

「それで、君が俺を此処に呼んだ理由を教えてくれないかな?」

 

「そうだった。申し訳ないんだけどね、キミにはキミ自身が居た世界とは別の世界に行って来て欲しいんだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「召喚?」

 

「そう。君には英霊(サーヴァント)として、人類救済に協力して欲しい。幾度も世界を守り続けているキミにだ」

 

 突然の事に青年は少し戸惑いながらも、()()()()()()()()()()をして再び訊く。

 

「俺が行かなきゃ行けない程、その世界に危機が迫っているって事?」

 

「そうさ。と言うより、()()()()()()()()()()()()。なにせその世界の未来は既に()()()()()()()()()()()()

 

「それは穏やかじゃないね」

 

「正に人類の存続の危機ってやつさ。行って来てくれるかい?」

 

 彼女の話を聞いた青年は少し考え、覚悟を決めた様に頷く。

 

「分かった、行くよ。俺の力を必要とする人が居るなら、俺はその手を掴みたい」

 

「ありがとう。そう言ってくれると信じていたよ」

 

 青年の承諾に、少女は嬉しそうに感謝を述べた。

 

「ちなみにだけど、その召喚ってまだなのかな?」

 

「ちょっと待って……よし来た!さあ、()()に飛び込んで!」

 

 少女が指差す方向を見ると、空中に孔の様なものが出現した。

 

「それじゃあ、行ってくるよ」

 

 そう言って青年はバイクのハンドルレバーの様なパーツが施されたメタリックレッドのアイテムを手に取り、ハンドルレバーを模したパーツを捻る。

 

 

『BOOSTRIKER』

 

 

 アイテムのパーツが展開され、青年の前に赤いバイクが出現した。

 

「へえ、それがキミの力なんだね!やっぱり間近で観ると面白いな」

 

「君は残るの?」

 

「ああ。私はいつも通り、此処で観ているとも。頑張って、()()()()()()()

 

「何でお兄ちゃん?えっと……行って来ます」

 

 唐突な『お兄ちゃん呼び』に戸惑いながらも、青年はヘルメットを被るとバイクに跨る。そしてクラッチレバーを握り、チェンジペダルを押し下げてギアを1速に入れてアクセルを捻りクラッチレバーを離す。バイクは勢い良く動き出し、孔のある方向へと疾る。そして、彼の乗ったバイクは孔の中へと飛び込み、彼の姿が消えなくなった。

 

 孔の中へ消えた彼を見て、少女はクスリと笑う。

 

「まさか即答でオーケーしてくれるなんてね。本当にお人好しだな、彼は。()()()()とは違った面白さがあるし、向こうで彼がカルデアと共にどんな冒険をしていくのか、その冒険が終わらないものである事を祈ろう。()()が楽しむ為にもね」

 

 彼女は()()()()()()()()()()()

 

 だからこそ、自分が楽しいと感じる物語が永遠と続いてくれる事を常に望み、求めている。




彼と対峙した白い少女、一体何者なんだろうか(白目)

次回、「異世界の英霊」
そして変身する仮面ライダーのヒントは「現在放送中」です。


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【特異点F / X 炎上汚染都市 冬木「序章」編】
episode 1


【特異点F / X 炎上汚染都市 冬木「序章」編】開始です。

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今回変身する仮面ライダーのヒントは

「現在放送中」
「狐」
「スター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズ」


 西暦2015年、魔術がまだ成立していた最後の時代。

 

 人類の営みを永遠に存在させるべく秘密裏に設立された人理継続保障機関フィニス・カルデアの研究結果に『2016年を最後に、人類は絶滅する』が“証明”された。

 

 原因を調査するうち、カルデアの魔術サイドによって作り上げられた【近未来観測レンズ・シバ】は、突如として過去・西暦2004年の日本のある地方都市に観測不能領域の出現を検知する。ありえない事象にカルデア機関員たちは、これこそ人類史が狂い絶滅に至る理由と仮定、テスト段階ではあったが理論上は可能レベルになった霊子転移(レイシフト)による時間遡行を実行する。その目的は2004年に行われた【聖杯戦争】に介入し、狂った歴史を正す事であった。

 

 カルデアは、【守護英霊召喚システム・フェイト】の力を借りてサーヴァントを召喚し、聖杯探索(グランドオーダー)を行うマスター候補たちを過去へと送り込もうとする。だがレイシフト直前、カルデアは何者かの破壊工作による爆発を受け、数合わせとしてカルデアの機関員に迎えられた一般人の少女藤丸立香を除く、マスター候補が全滅すると言う最悪の事態に直面する。

 

 カルデアの職員の1人である少女マシュ・キリエライトは、最初のレイシフト実験に立ち会う為中央管制室に居たところ、この爆発に巻き込まれて致命傷を負う。それでも、マシュは自分を助けに来た立香だけでも何とか救おうと、サーヴァント・シールダーと取り引きを交わして人間とサーヴァントの融合体デミ・サーヴァントとなり、藤丸のサーヴァントとなる契約を結んだ。

 

 そして、立香とマシュ、そしてカルデア所長オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアは、2004年に行われた聖杯戦争の舞台・【冬木市】へとレイシフトするのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

 大火災で燃え盛る冬木市にある橋の下のでは、金属同士が衝突する音が響き、衝撃波が周りを襲う。

 

「さあ、どうしました?此方の攻撃を防ぐので精一杯ですか?」

 

「ぐ、うぅっ」

 

 金属音と衝撃波が発生する中心では、黒いローブを纏った長髪の女が身の丈程の大鎌を振り回し、もう1人は10代半ばの少女が巨大な盾を持って必死に大鎌を防いでいた。

 

「マシュ!」

 

 盾の少女マシュ・キリエライトを後ろで心配するのは、オレンジ色のサイドテールをした少女藤丸立香と、白い長髪の女性オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアである。

 

『不味い、マシュはまだデミ・サーヴァントの力を使いこなしていない!このままじゃ!!』

 

 カルデアの医療顧問ロマニ・アーキマンが立香たちの傍で表示される立体映像越しで苦戦するマシュを見て焦った様子で叫んだ。

 

「ロマニ!なんとかならないの!?敵サーヴァントの正体とか、あの鎌が宝具なのかぐらい解らないの!?」

 

『こっちも必死に解析してますよ!!けど、カルデアの爆発で機材もスタッフもギリギリなんです!』

 

「フォウ、フォーウ!!」

 

 オルガマリーが解析を急がせるもロマニからの答えは残酷だった。そんな様子に、立香の肩に乗った謎の白い動物、通称フォウが鳴く。

 

「隙だらけですよ!」

 

「あぁっ!!」

 

 大鎌で盾を弾き飛ばされたマシュの胴体に、敵サーヴァントの蹴りが容赦無く突き刺さる。マシュは後ろに転がり、上体をなんとか起き上がらせようとする。

 

「醜い。本当にサーヴァントなのか疑ってしまう程に弱い。その盾も力も、貴女には過ぎたものの様ですね」

 

 敵サーヴァントはトドメを刺そうとジリジリとマシュに近づく。

 

「マシュ!!」

 

 立香が急いでマシュの元へ駆け寄ろうとしたその時、オルガマリーが立香の腕を掴んで静止させる。

 

「駄目よ藤丸!貴女が行っても死にに行く様なものだわ!」

 

「だけど!」

 

「マスターの貴女が死ねば、この特異点の原因を誰が突き止めるのよ!?貴女にはやるべき事があるの!」

 

『……所長の言う通りだ、藤丸さん。今動けるマスターが君だけである以上、君を喪ったら僕たちカルデアはもとい、人類の敗北が決まる。急いでそこから離脱するんだ』

 

 ロマニもオルガマリーと同じ意見で立香に撤退を命じる。立香は2人の言葉に顔を下に向ける。そんな立香をフォウは黙って見つめる。

 

「……嫌だ」

 

「え?」

 

『藤丸さん?』

 

 呟く立香にオルガマリーとロマニが困惑する。次の瞬間、立香は自身を掴むオルガマリーの手を振り払い、敵サーヴァントに今にも殺されそうなマシュの元へ走る。

 

「ちょっと!?藤丸!!」

 

『駄目だ、止まるんだ!!』

 

オルガマリーとロマニの声に耳を傾けず、立香は震える身体に鞭打って走る。

 

(サーヴァントとか、マスターとか、特異点とか、まだ解らない事ばっかり。2人の言う通り、今私が行っても殺されるだけだ……)

 

 

(だけど!!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 会ってまだ間もない関係だが、マシュは立香の事を"先輩"と呼び、慕ってくれた優しい女の子である。冬木市にレイシフトした以降も、自分を守ってくれた。そんな彼女を見捨てる選択肢は、藤丸立香には最初から存在しなかった。

 

「マシュ!!」

 

立香はマシュの元へ駆け付けると、彼女の手を強く握る。

 

「先…輩?どうして来たんですか?」

 

「そんなの、決まってるでしょ?マシュを1人にしたくなかったから。絶対、貴女の手を離さないから」

 

「フォウ、フォーウ!」

 

「先輩、フォウさん……」

 

 立香の言葉と彼女に賛同するかの様に鳴くフォウに、マシュはさっきまで戦いの恐怖で支配された心が軽くなった様な気がした。

 

 そんな彼女たちを見て、敵サーヴァントは呆れながらも嫌悪な表情をする。

 

「つくづく貴女たちは初々しいですね。マスターとサーヴァントの関係はあくまで契約によるものなのに……。良いでしょう、そんなに2人が良いなら、その獣と一緒に仲良く殺して差し上げしょう」

 

 敵サーヴァントは2人の首を斬り落とす為に、大鎌を大きく振り翳す。

 

「藤丸!!」

 

『マシュ!!』

 

 オルガマリーとロマニの断末魔も虚しく、敵サーヴァントの大鎌は立香とマシュへと迫り、2人は死を覚悟した。

 

 その時、立香の右手の甲に刻まれたマスターの証である令呪が赤く輝き、身体の芯が震える様なエンジン音が鳴り響く。

 

「何!?」

 

敵サーヴァントが驚愕するのも束の間、次の瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ガハッ………!?」

 

敵サーヴァントは突然の衝撃で大きく吹き飛び、地面を転がって行く。

 

「一体何が?」

 

『強力な魔力反応を感知!!嘘だろ、まさか……英霊召喚!?そんな馬鹿な!()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 理解が追いつかないオルガマリーを他所に、ロマニは驚愕する。立香とマシュは下ろしていた顔を上げて前を見る。

 

「……バイク?」

 

 2人の目の前には左右に大きなマフラーが搭載された赤いバイクと、黒のジャケットを身に纏い、ヘルメットで顔を覆われた何者かがバイクに跨っていた。すると、その何者かは被っていたヘルメットを外し、その素顔を露わにする。

 

 バイクに乗っていたのは、少し癖毛の混じった黒髪のツーブロックヘアーと東洋系の整った顔をした青年だった。青年はバイクから降りると、地面に座り込む立香とマシュに近付く。

 

「大丈夫?」

 

「あ、は、はい!」

 

「大丈夫です!」

 

「フォウ!………フォウ?」

 

 青年は2人の安否を確認する。立香とマシュは慌てて応えると、フォウは何かに気付いたのか少し間を空けて彼を見て首を傾げる。そんな2人と1匹を見て、青年はホッとした表情をする。

 

「そっか、良かった」

 

 青年は少し笑みを浮かべると、直ぐに真剣な表情をして2人に手を差し伸ばす。

 

「ごめん、急いで立って。向こうはまだやられていない」

 

「え?」

 

 立香は青年の後ろを見てみると、敵サーヴァントが起きあがろうとしていた。2人は急いで目の前の手を掴むと青年は2人を起した。

 

「こんなタイミングで聞くのもアレだけど、2人とも名前は?それと白い君も」

 

「ふ、藤丸立香です」

 

「先輩の後輩、マシュ・キリエライトです」

 

「フォウ!」

 

 立香たちから名前を訊くと、青年は大きく頷く。

 

「藤丸さんとキリエライトさん、それにフォウだね?皆そこを絶対に動かないでね。キリエライトさん、藤丸さんとフォウをお願いね」

 

 そう言って青年は立香たちに背を向けて、彼女たちを守る様に敵サーヴァントと対峙する。

 

「まさか、こんな土壇場でサーヴァントを召喚するとは……悪運が強い様ですね。しかし、彼も殺せば良いだけのこと」

 

「悪いけど、後ろに居る彼女たちは殺させない。俺が貴女を倒して、皆を守る」

 

 すると、突如青年の右手には狐のマークが施された小さな白いパーツが埋め込まれたベルトのバックル型アイテム【デザイアドライバー】が出現し、青年はそれを自身の腰に当たる。

 

 

『DESIRE DRIVER』

 

 

 【デザイアドライバー】から電子音声が鳴ると、バックルの左右からベルトが伸びて青年に装着される。次に青年は拳銃のリボルバーを模したパーツが施されたアイテム【マグナムレイズバックル】を懐から取り出すと、バックルの右側に装填する。

 

 

『SET』

 

 

 【デザイアドライバー】からはアイテムを認証した音声が鳴ると、青年の傍には『MAGNUM』のロゴが出現し、【デザイアドライバー】から何かの待機音声が鳴り響く。

 

 青年は敵サーヴァントに向けて指でキツネの影絵を作り、中指と親指をフィンガースナップで鳴らす。そして、覚悟の籠った言葉を放つ。

 

 

「変身!」

 

 

 青年はバックルに装填した【マグナムレイズバックル】のリボルバーパーツを回し、トリガーを弾く。するとバックルから数発の弾丸が発射され、『MAGNUM』のロゴに命中する。砕けたロゴは朱い差し色の入った白いアーマーに姿が変化する。

 

 今度は丸い装置が青年の身体を通過すると、からの身体に黒いアーマーが覆われ、その上に白いアーマーが装着させる。

 

 

『MAGNUM』

 

 

『READY FIGHT』

 

 

白いアーマーを装着した青年の頭部には、朱い差し色の入った白い狐の仮面が覆われ、複眼が朱色になり、首には紅白のマフラーが風で靡いた。

 

「き、キツネ!?」

 

「アレは一体?」

 

「フォウ、フォーーウ!!」

 

「何なのよあの英霊!?」

 

『す、凄いぞ!?前に休憩時間に観た日本の特撮ヒーローみたいだ!!』

 

目の前で起きた現象に、立香たちは驚愕する。

 

 アーマーを纏った青年は右手に握られた白い銃の銃口を敵サーヴァントに向ける。

 

 

「さあ、此処からがハイライトだ」

 




仮面ライダー紹介

仮面ライダーギーツ

レア度【SR】

出典:『仮面ライダーギーツ』


次回、『ギーツvs敵サーヴァント』


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episode 2


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仮面ライダーギーツvs敵サーヴァント(ランサー)


『MAGNUM SHOOTER 40(フォーゼロ)X!』

 

 

「ハア!」

 

 白い狐の鎧を纏った青年は銃型の武器【マグナムシューター40(フォーゼロ)X】の引き鉄を弾く。銃口から放たれた数発の弾丸が敵サーヴァントを襲う。

 

「チィッ」

 

 敵サーヴァントは大鎌を振り回して弾丸を弾き飛ばす。しかし、その隙に青年は敵サーヴァントに接近していた。

 

「ハッ!」

 

「グゥッ!?」

 

 青年の放った蹴りが敵サーヴァントの腹部に突き刺さり、敵サーヴァントは後退する。青年は畳み掛ける様に【マグナムシューター40(フォーゼロ)X】を構えると同時に左腕を敵サーヴァントに向ける。すると、左腕の装甲が展開し、固定式短銃【アームドガン】が姿を現す。

 

「ハアァァッ!!」

 

 青年は【マグナムシューター40(フォーゼロ)X】と【アームドガン】を連射する。先程よりも圧倒的な数の弾丸が敵サーヴァントに着弾し確実にダメージを与えていく。

 

「凄い……」

 

「はい。私では手も足も出せなかったサーヴァントを圧倒しています。彼はかなりの実力を持ったサーヴァントの様です」

 

「フォウ、フォウ!フォーーウ!!」

 

 自分たちが苦戦したサーヴァントを相手に優勢を取る青年に立香たちは呆然となり、フォウは興奮しながら叫んだ。

 

「藤丸!マシュ!」

 

「オルガマリー所長!」

 

「ちょっと何なのよあのサーヴァント!貴女が召喚したの!?」

 

「え?それってどう言う……?」

 

 2人に駆け寄るオルガマリーは鬼気迫る表情で立香を問い詰めるが、当の立香本人は何が何なのか理解出来ていない様子だ。そこに追い討ちを掛ける様にロマニの通信が入る。

 

『これは一体どう言う事なんだ!?』

 

「どうかしましたか、ドクター?」

 

 立体映像越しに驚愕するロマニにマシュが訊く。

 

『あそこで戦っている彼、最初は霊基パターンがライダークラスだったんだ!』

 

「それじゃあ、彼はライダーのサーヴァントと言う事ですか?」

 

『そう思ったんだけど、あの姿に変わった途端、霊基も変化したんだ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「どう言う事よ!?何でライダーのサーヴァントがアーチャーになってる訳!?」

 

『僕にも解りませんよ!!もしかしたら彼が持つスキルか宝具によるものかと』

 

「あーーもう!!メチャクチャよあのサーヴァント!!」

 

 ヒステリックに叫ぶオルガマリーと得体の知れない青年に困惑するロマニの隣で、立香は言う。

 

「あの人は味方だよ」

 

「先輩?」

 

「え?」

 

『藤丸さん?』

 

「だって、私たちを守る為に戦ってくれてるから」

 

首を傾げるマシュたちを他所に、立香は今も敵サーヴァントと戦っている青年の後ろ姿を真っ直ぐ見つめながら言った。

 

「舐めるなぁ!」

 

 身体から血を流した事に激昂した敵サーヴァントの髪の毛先が凶暴な蛇へと変貌すると、蛇たちは青年に襲い掛かる。

 

「おっと」

 

 青年は襲い来る蛇たちを巧みに回避して距離を取った。

 

「その蛇はちょっと厄介かな。それなら」

 

 青年はそう言うと、右側に装填した【マグナムレイズバックル】を取り外すと、今度はメタリックレッドのパーツ【ブーストレイズバックル】を取り出して【デザイアドライバー】の右側に装填する。

 

 

『SET』

 

 

 【デザイアドライバー】から認証音声が鳴り、青年の隣に『BOOST』のロゴが出現する。

 

 そして、青年は【ブーストレイズバックル】のレバーを2回捻ると、【ブーストレイズバックル】から炎が噴射する。炎でロゴが砕かれると、ロゴは赤いアーマーに姿を変え、白いアーマーと入れ替わる様に青年の上半身に装着された。複眼も朱色から黄色へと変化し、下アゴ部分が赤くなっている。

 

 

『BOOST』

 

 

『READY FIGHT』

 

 

「鎧が変わった!?

 

「はい!先程の白色とは違い、今度は真っ赤です!」

 

「フォウ!?」

 

『まただ!霊基が変化してアーチャークラスからライダークラスに戻ってる!?』

 

「だから何なのよ!!」

 

 アーマーが変化した事に見守っていた立香たちが驚愕する。

 

「ハッ」

 

 青年は両腕部に装備されたバイクのマフラーを模したパーツから炎を噴射させて敵サーヴァントに接近する。

 

「猪口才な!!」

 

 敵サーヴァントは蛇たちで一斉に襲い掛かるも、青年は炎の噴射による高速移動で蛇たちを難なく回避する。

 

「ハッ!ハッ!ハアッ!」

 

 青年は炎の噴射を活かした高速パンチを敵サーヴァントに叩き込む。

 

「ハアッ!」

 

「ガハッ!!」

 

 強烈な右ストレートを叩き込まれ、敵サーヴァントは再び後ろへ吹き飛ぶ。

 

「今度はコレだ」

 

 青年は【マグナムレイズバックル】と再度取り出すと、今度は【デザイアドライバー】の左側に装填する。

 

 

『SET』

 

 

 【デザイアドライバー】から認証音声が鳴り、青年は右側の【ブーストレイズバックル】のレバーを2回捻り、続けて左側の【マグナムレイズバックル】のリボルバーパーツを回しトリガーを弾いた。

 

 

『DUAL ON』

 

 

これまでとは異なる認証音声が鳴ると、白い下半身アーマーが出現し、青年の黒い装甲に装着される。

 

 

『GET READY FOR 』

 

 

『BOOST & MAGNUM 』

 

 

『READY FIGHT』

 

 

「今度は白いのも付いた!?」

 

「はい!上下に赤と白の鎧を纏ってます!」

 

「フォ、フォウ!?」

 

『ちょっと待ってくれ!また彼の霊基が変化して……嘘だろ!?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あり得ないわよ!?サーヴァントは1騎に付き1つのクラスの筈なのに!!」

 

 立香たちが驚愕しているのを他所に、上半身は紅のアーマー、下半身は白のアーマーを装着した青年は、【デザイアドライバー】に搭載されたスイッチを押して【デザイアドライバー】を180°回転させる。

 

 

『REVOLVE ON』

 

 

 特殊な認証音声が鳴るとバックルの機能が逆転し、丸い装置が出現して青年は空中で180°回転する。すると、上半身と下半身が入れ替わり、装着された装甲も逆転するかの様に入れ替わった。

 

 

「ええぇぇぇ!!?」

 

「先輩!今、あの人の身体が上下に入れ替わりました!?」

 

「フォーーーウ!?」

 

「もう意味分からないわよ!」

 

『医学的にもあり得ない!!こんな事可能なのか!?』

 

 

 目の前で起きた奇妙な現象に立香たちはこれまで以上に驚愕する。

 

「さあ、決めようか」

 

 青年は【マグナムレイズバックル】のリボルバーパーツを回しトリガーを弾いて、【ブーストレイズバックル】のレバーを1回捻る。

 

「ハッ!」

 

 青年は脚部のマフラーパーツから噴射される炎を利用して天高く跳躍し、空中で後転して飛び蹴りの構えを取る。

 

 

『MAGNUM BOOST VICTORY』

 

 

「ハアァァァァ!!」

 

 

 炎の推進力で急降下し、青年の強烈な飛び蹴りが敵サーヴァントに命中する。

 

「そんな……こんな所で……私が……」

 

 そう呟くと敵サーヴァントは身体が光の粒子へ徐々に変わり、遂にその場から消滅した。

 

「倒したの?」

 

「はい。敵サーヴァントの消滅を確認。ドクター、そちらでも確認出来ましたか?」

 

『ああ、こっちでもサーヴァントの消滅を確認した。彼の勝利だ!』

 

「フォウ、フォウ!!」

 

「はぁ、もう何が何だか解らなくて疲れたわよ……」

 

 敵サーヴァントが倒れた事に安堵する立香たちの元へ、青年は変身を解除して駆け寄る。

 

「そっちは大丈夫だった?誰も怪我してないかな?」

 

「あ、はい。皆大丈夫です!あの、助けてくれてありがとうございます!」

 

「はい。お陰で無事でした!」

 

「フォウ!」

 

『何処の英霊かは存じませんが、危ない所を助けて頂き感謝します』

 

「いえ。皆さんが無事で良かったです」

 

 感謝の言葉を贈る立香たちに、青年は笑みを返す。好青年な彼の親切な優しさに、立香たちも安心した表情をする。

 

「待ちなさい」

 

 しかし、そんな空気を壊すかの様にオルガマリーは青年を警戒するかの様に睨む。

 

「助けてくれた事には感謝します。けど、貴方は一体何処の英霊なの?あんな力を持った英雄なんて聞いた事も無いし、カルデアのデータにも無いわ。まず、貴方の真名を教えなさい」

 

「ちょっと、所長!?何もそんな言い方しなくても!」

 

「そうです!彼は我々に力を貸してくれました!」

 

「フォ、フォウ!」

 

『確かに彼が特殊なサーヴァントなのは分かりますが、だとしても協力してくれた彼に失礼ですよ』

 

「いいえ。彼が藤丸が召喚したサーヴァントなら、彼の素性を知る義務があります。それに、得体の知らないサーヴァントと共に行動する余裕は私たちには無いわ」

 

 反論する立香たちをオルガマリーは黙らせる。そんな立香たちを見て、青年は申し訳ない様に苦笑する。

 

「貴女の言う通り、正体が解らない相手を信用しろと言うのは難しいですよね。すみませんでした」

 

 青年はそう言って立香たちに頭を下げて謝罪する。そんな彼を見て、立香たちは勿論、彼を警戒していたオルガマリーも黙ってしまった。

 

「……いえ。非があるのは私です。だけど、貴方が本当に私たちの味方なのか、それだけは教えて」

 

「分かりました。それじゃあ、先ずは自己紹介からですね」

 

 青年は頭を上げて、自己紹介を始める。

 

「俺の名は佳面来太(かつららいた)。藤丸さんに召喚されたライダークラスのサーヴァントです」

 

「佳面来太?日本人?」

 

「ですが、その様な名前の英雄や偉人、私は知りません」

 

『カルデアのデータベースにも記録が無い。これは一体?』

 

 真名を聞いた立香たちが困惑する中、青年佳面来太は説明を続ける。

 

「知らなくて当然です。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「え?」

 

「それって」

 

「別の世界、つまり平行世界から召喚されたって事!?」

 

『しかも死んでいないだって!?そうか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「平行世界と言うより、どちらかと言うとマルチバース……多元宇宙論になりますかね。とにかく、俺は貴女たちの味方として協力します。信じるかどうかは、俺の行動で判断して下さい」

 

 来太が立香たちにそう言うと、オルガマリーはハァっと溜め息を吐く。

 

「……一先ず、貴方に敵対心が無い事は判りました。この特異点の原因を突き止めるまでは貴方を我々カルデアの協力者として認めます。それで良いかしら、()()()()

 

「ありがとうございます。えっと、所長さん」

 

「オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアです」

 

「よろしくお願いします。アニムスフィアさん」

 

「……オルガマリーで構わないわ」

 

「はい、オルガマリーさん」

 

 一先ず協力関係を築く事が出来た事に、立香たちは安堵する。そして各々来太に挨拶をする。

 

「それじゃあ、これからよろしくね!来太!」

 

「お、呼び捨て」

 

「え?駄目だった?」

 

「ううん、ちょっとビックリしただけ。よろしく、藤丸さん」

 

「うん!」

 

「よろしくお願いします、来太さん」

 

「うん、よろしく。キリエライトさん」

 

『カルデアの医療顧問、ロマニ・アーキマンです。協力感謝します。Mr.来太。僕の事はDr.ロマンと呼んで下さい」

 

「此方こそ、よろしくお願いします。ロマニさん」

 

「フォウ!」

 

「フォウくんも"よろしく"だって」

 

「うん、よろしくね。フォウくん」

 

「フォウ!」

 

 一通り挨拶を交わすと、来太は()()()()()()()()()()()()()()

 

「貴方も此方に来たらどうです?危害を加えないのは判ってますから」

 

「え?」

 

「来太さん、一体誰に?」

 

 

んだよ、バレてたか。やるじゃねえか、ライダーのサーヴァント。

 

 

 すると、突然男の声が聴こえた。立香たちは一斉に来太が見ている方向に振り向くと、青いローブを纏い、身の丈以上はある木製の杖を持った青髪赤目の男が立っていた。男は来太を見てニヤリと笑う。

 

「いつから気付いてた?気配がバレる様なヘマはしてねえと思うが」

 

()()()()()()。気配を消す敵と戦った事があるので、視線は感じてました」

 

「へえ。腕っぷしは勿論、戦士としての器量も一流と見た。こりゃあ当たりを引いたかね」

 

 そう言って男は姿を消す。そして一瞬で来太たちの目の前に姿を現した。

 

「見ての通り、オレはキャスターのサーヴァントだ。突然で申し訳ねえが、オレと組まないか?」

 

 青髪赤目の男キャスターは笑いながら来太たちに提案して来たのである。




【仮面ライダーギーツ マグナムフォーム】

クラス:アーチャー

固有スキル
対魔力:C
単独行動:A

保有スキル(追加付与)
射撃:A++
クイックドロウ:A+


【仮面ライダーギーツ ブーストフォーム】

クラス:ライダー

固有スキル
対魔力:C
騎乗:A+

保有スキル(追加付与)
魔力放出(炎):A+


【仮面ライダーギーツ ブーストマグナムフォーム/マグナムブーストフォーム】

クラス:アーチャー/ライダー

固有スキル
対魔力:C
騎乗:A+
単独行動:A

保有スキル(追加付与)
射撃:A++
クイックドロウ:A+
魔力放出(炎):A+


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episode 3


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マシュの特訓回【前編】です。


『それじゃあ、貴方はこの冬木市で起きた聖杯戦争の生存者なのですね?』

 

()()()()()()()()()()()()。オレたちの聖杯戦争は、いつの間にか別のモノにすり替わっていた。街は一夜で炎に覆われ、サーヴァントだけを残して人間は消え去った。生き残っているのはオレとセイバーだけだ」

 

 来太たちは移動しながら、キャスターから冬木市で起きた異常について聞かされていた。カルデアの記録によると、来太たちが居る2004年の冬木市では聖杯戦争が行われていた事が確認されている。

 

 だがキャスターの言う通り、()()()によって聖杯戦争は変わり果て、今生存しているのはキャスターとセイバーのみとなっている。

 

「けど、マスターが居ないとサーヴァントって消えるんじゃないの?」

 

「そうなんだが……今の俺とセイバーは別の何かに繋ぎ止められているって感じだな」

 

 疑問を抱く立香にキャスターが答える。

 

「そんな中、真っ先に聖杯戦争を再開したのはセイバーだ。奴さん、水を得た魚みてえに暴れ出してよ。次々とサーヴァントを倒して行きやがった。しかも、セイバーに倒されたサーヴァントは皆、真っ黒い泥に汚染されて奴の手駒になった。さっきライダーが倒したランサーもその1人。泥で形をなんとか保ってるだけの骸だな」

 

「キャスターさん、他にセイバーの手駒になっているサーヴァントは居ますか?」

 

「ライダーとアサシンはオレが倒した。残ってるのはアーチャーとバーサーカーだが……アーチャーはセイバーの傍を離れねえ。バーサーカーはこっちから仕掛けない限り襲って来ねえよ」

 

「それじゃあ、セイバーを倒せば……」

 

「この聖杯戦争は終わる。その為に動いてんだが、戦力が足りなくてな。そこでお前さん方がランサーと戦ってんのを観てな。是非協力して欲しい訳だ。そっちとしても利害は一致するんじゃあねえか?気の強そうな姉ちゃんよ」

 

 キャスターに問われたオルガマリーは不本意ながらも納得した様子だった。

 

「良いわ。此方としてもこの特異点を止めない限り元の時代に戻る事も出来ない。貴方も聖杯戦争を終わらせたい。確かに利害は一致します。一時的ですが、同盟を許可するわ」

 

「良いね、話が早いのは好きだぜ。よろしく頼む」

 

 不敵に笑うキャスターはコンッと杖で地面を小突く。

 

「お前さんたちには期待してるぜ、盾のお嬢ちゃんにライダー。しかし、お前さんの宝具は変わってんな。ライダー」

 

「まあ、神秘の時代を生きたキャスターさんから見たら、俺の宝具は変に思いますよね」

 

 ランサー戦で見せた変身の事で、来太は苦笑する。すると、キャスターは来太の肩を叩きながら笑う。

 

「だが戦力としてはかなりのもんだ。お前さんが居たらセイバー相手でも真正面でやり合える」

 

「此方こそ。魔術に関しては素人ですが、貴方がかなりの実力をお持ちなのは何となく分かります。よろしくお願いします、キャスターさん」

 

「応よ!ま、大船に乗ったつもりで居てくれや。オレはサーヴァント1.5騎分の腕前はあるからよ!」

 

 来太たちが互いを鼓舞している光景を、後ろでマシュが少し落ち込んだ表情で見つめていた。そんなマシュの様子を見て、立香が訊く。

 

「マシュ?どうかした?」

 

「ッ!い、いえ、特に変化はありません、私は平常運転です、マスター!」

 

 そう答えるも、マシュは直ぐに暗い表情をする。

 

「ですが……変化がない、と言うのが問題で……。私は先輩の指示の元、試運転には十分な経験を積みました……」

 

 マシュは盾を不安そうに見る。

 

「しかし……私はまだ宝具が使えません。使い方すら解らない、欠陥サーヴァントの様なものです」

 

「マシュ……」

 

「フォウ……」

 

 そんなマシュを立香とフォウが心配そうに見つめる。するとロマニがマシュに言う。

 

『ああ。そこを気にしてたのか、マシュは責任感が強いからなあ。でもそこは一朝一夕で出来る様なものじゃないと思うよ?だって宝具だし。英霊の奥の手を1日2日で使える様になったら、それこそサーヴァントの面子が立たないと言うか』

 

 ロマニの言葉に来太が首を傾げる。

 

「え?けどキリエライトさんは基本的なサーヴァントの力は使えるんですよね?なら宝具も使えるんじゃないですか?」

 

「ライダーの言う通りだな。英霊と宝具は同じ様なもんだ。サーヴァントの力を使えてる時点で宝具も使える状態なんだよ。それでも使えないのは、嬢ちゃんの魔力が詰まってんだろ。なんつうか、やる気?いや弾け具合か?大声を出す練習をしてねえだけって事だろ」

 

「そうなんですか?あ、そーなーんーでーすーかー!?

 

「わ!?」

 

「ファーーーーー!?」

 

 突然のマシュの大声に立香とフォウが驚いた。

 

「ちょっと、いきなり大声出さないで!鼓膜が破れかけたわよ、本気で!」

 

 オルガマリーは耳を塞ぎながらマシュに注意すると、マシュは落ち込む。

 

「あ………申し訳ありません、所長。ですが大声を挙げれば良いとキャスターさんが……」

 

「いや、モノの例えだったんだが……まあ、ともあれやる気があるのは結構だ」

 

 するとキャスターは立香に視線を移す。

 

「藤丸、お嬢ちゃんがこう言ってるんだ。少しばかり寄り道しても構わねえな?」

 

「寄り道って、どんな?」

 

 不思議そうに首を傾げる立香に、キャスターは笑って答える。

 

「なに、唯の特訓だ。直ぐに終わる。今のオレはキャスターだぜ?治療なら任せな」

 

 キャスターはそう言ってオルガマリーの後ろに回り込むのを見て、来太はマシュに話し掛ける。

 

「キリエライトさん、少し良い?」

 

「はい、何でしょう来太さん」

 

 来太はマシュに幾つか質問をする。

 

「キリエライトさんは、盾が何の為に造られたか知ってる?」

 

「え?あ、はい。盾は古代ギリシャ時代の頃から使用された記録が残っていて、主に敵からの攻撃を防ぐ為に造られました」

 

「そうだね、正解。盾は敵を攻撃する為の道具じゃなく、敵の攻撃を防ぐ為の道具だ。それじゃあ、キリエライトさんの盾も()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それは分かるね?」

 

「はい……あの、それが何か?」

 

「それじゃあ、キリエライトさん。君はその盾で()()()()()()()()()()()()

 

「それは……」

 

 来太の問い掛けに、マシュはどう答えれば良いのか言葉を詰まられる。来太はそんなマシュに()()()()()()()()()()()

 

「それが解れば、キリエライトさんは()()()()()()()()()()()()()Plus Ultra!(更に 向こうへ!)だよ、キリエライトさん」

 

「え?プルス……?」

 

 マシュは来太が何を言っているのか理解出来ないのを他所に、キャスターは準備を終える。

 

「ちょい、ちょいっと。()()()()()()()()()()()()()……よし出来た。おい、ライダー。お前さんはこっちに来い」

 

「分かりました。それじゃあ、特訓頑張ってね」

 

「あの、来太さん?」

 

 そう言って来太はキャスターの方へ移動する。

 

「え?何してるの貴方?何で私のコートにルーンを刻んでいるの?」

 

 理解が追いつかないオルガマリーにキャスターはケラケラ笑いながら答える。

 

「アンタなら狙われても自分で何とか出来るだろ?ほら、来たぜ」

 

 キャスターがそう言った途端、周りから骸骨兵(スケルトン)の群れが突如集まり出す。

 

「Grrrrrr……Zuaaaaaaaaa……!

 

「意味が分からないんですけどーーー!?」

 

 襲い掛かる骸骨兵(スケルトン)に悲鳴を挙げるオルガマリーを守る為にマシュは前に出る。

 

「しょ、所長、私の後ろに!先輩も、戦闘準備お願いします!」

 

「わ、分かった!」

 

「フォフォーーウ!?」

 

 立香とフォウもマシュの後ろに回って後方支援に移る。その様子を見て、キャスターはニヤリと笑う。

 

「よしよし、こんなだけ集まれば十分だ。つまるところ、宝具ってのは英霊の本能だ。なまじ理性があると出にくいんだよ。なーんで、お嬢ちゃんにはまず精も根も使い果たして貰うって寸法さ!冴えてるな、オレ!」

 

 

「もしかしてバカなんですかーーー!?」

 

 

 まさかのキャスターによるトンデモ特訓に立香が思わず叫んだ。こうして、立香たちを巻き込んだマシュの特訓が始まった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「おい、ライダー。お前さんさっきお嬢ちゃんに助言してたろ。あんまヒントあげ過ぎるなよ」

 

 襲い掛かる骸骨兵(スケルトン)の群れを迎撃する立香たちを他所に、キャスターは来太を嗜める。

 

「そうですね。けど……彼女はまだ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。つい最近まで歩き方も解らない状態でいきなりゴールまで辿り着けと言うのは、今の彼女には少し難しいと思います」

 

「だから助言したと?」

 

「俺はあくまで()()しか教えてません。ゴールまで辿り着けるかはキリエライトさん次第です……と言っても、ゴールまではまだまだ遠いですが。まあ、彼女には頼もしい相棒と仲間がいるので大丈夫だと思います」

 

 そんな来太を見て、キャスターは苦笑する。

 

「お前さん、厳しいのか過保護なのかよく分からねえな」

 

「そうですね、自分でもそう思います」

 

 来太も苦笑しながら奮闘する立香たちを見守るのであった。




次回、「マシュの特訓回【後編】」です。


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episode 4


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今回はマシュの特訓回【後編】です。


「何とか骸骨兵(スケルトン)の群れを撃退しましたね」

 

「だな。まあ、サーヴァントと比べて格下で知能もねえ相手だからな。やって貰わなきゃこっちが困るが」

 

 キャスターの提案で始まったマシュの特訓は、厄寄せのルーンで群がって来る骸骨兵(スケルトン)たちをマシュがひたすらに撃退続けた。後ろで立香が近付く骸骨兵(スケルトン)の位置を伝えていた事もあり、心身ともに疲弊するも対処した。

 

「さて、それじゃあ()()と行きますか。ライダー、お前さんは何があってもお嬢ちゃんに手を貸すなよ。本来なら助言しただけでも釣りが来るくらいだからな」

 

「分かりました。彼女たちを頼みます」

 

「応。先輩サーヴァントとして、みっちり(しご)いてやるさね」

 

 キャスターは手をヒラヒラ振りながら立香たちの方へ歩き出す。来太はそんなキャスターの後ろ姿を見ながら立香たちを見守る事に徹する。

 

「限界、です──これ以上の連続戦闘、は──すみません、キャスター、さん──こう言った根性論ではなく、きちんと理屈に沿った教授、を──」

 

「────分かってねえなあ。コイツは見込み違いかねぇ」

 

 息を切らしながら訴えるマシュを見て、キャスターは()()()()()()()()()()()

 

「まあ良いか、そん時はそん時だ。んじゃあ次の相手はオレだ」

 

 そう言ってキャスターは杖を構える。

 

「味方だからって遠慮しなくて良いぞ。オレも遠慮無しで藤丸を殺すからよ」

 

「「「!?」」」

 

 キャスターの突然な発言にマシュは勿論、後ろに居た立香たちも驚愕する。

 

「何言ってんの貴方、正気!?この特訓に藤丸は関係ないでしょう!?」

 

「サーヴァントの問題はマスターの問題だ。マスターとサーヴァントは運命共同体なんだよ。お前もそうだろ、藤丸?お嬢ちゃんが立たなくなった時は手前(テメェ)の死だ」

 

「それは……!?」

 

 叫ぶオルガマリーを一蹴し、自分を睨むキャスターに藤丸は言葉を詰まらせた。

 

「ちょっとライダー!?貴方も見てないでキャスターを止めなさいよ!!」

 

『そうだ!藤丸さんに何かあったらこの特異点を解決出来ない!急いでキャスターを止めてくれ!!』

 

 オルガマリーとロマニが来太に助けを求めるも、来太は頭を下げる。

 

「すみません、俺はこの特訓に関して一切手を貸す事は出来ません。キャスターさんとそう決めました」

 

「貴方それでも藤丸のサーヴァントなの!?」

 

 拒否する来太にオルガマリーは罵倒する。その間にもキャスターは戦闘体勢に入る。

 

「そう言うこった。ライダーじゃなくオレを恨むんだな」

 

「……!マスター……下がって、ください……!私は───先輩の足手纏いには、なりませんから……!」

 

「マシュ……!」

 

「フォウ!」

 

 マシュは疲弊した身体で何とか盾を構えながら立香たちを守ろうとする。そんなマシュを見て、キャスターはニヤリと笑う。

 

「そう来なくっちゃな。んじゃまあ、マトモなサーヴァント戦と行こうじゃねえか!!」

 

 キャスターは空中を指でなぞると文字が浮かび上がり、文字は火球となってマシュたちに放たれる。

 

「グッ!」

 

 マシュは飛んで来る火球を盾で防ぐ。すると、その隙にキャスターが距離を詰める。

 

「そおぉぉら!!」

 

 キャスターは何と杖でマシュを攻撃した。マシュも咄嗟に盾で防御すると想像以上の衝撃に身動きが取れなくなる。

 

「この力は……!?」

 

「生憎様、ルーンを使えば相手がセイバーだろうとバーサーカーだろうと殴り合いは出来んだよ!!」

 

「出鱈目よ!?」

 

『そんなのキャスターの戦い方じゃないじゃないか!?』

 

 オルガマリーとロマニのツッコミの叫びは戦闘の衝撃音で虚しく掻き消される。キャスターは叩き掛ける様に杖で攻撃し続ける。対するマシュは終始防戦一方になっていた。

 

「そらそらぁ!防いでばかりじゃ戦いにならねえぞ!」

 

「ううっ!」

 

 キャスターが攻撃する度にマシュは少しずつ後ろへ後退していき、立香たちとの距離が近づいていた。するとキャスターは攻撃の手を止めて距離を置く。マシュはキャスターの攻撃を受け続けた事により、今にも意識を失いそうになっていた。

 

「ハァ──ハァ──ハッ───!」

 

「おう、そろそろ仕上げだ!主諸共燃え尽きな!!」

 

 キャスターが杖を構えると彼の魔力が跳ね上がる。

 

「我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄を清める社───」

 

「倒壊するは『灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!オラ、善悪問わず土に還りな───!」

 

 キャスターは宝具を発動させ、無数の細木の枝で構成された巨人を召喚する。巨人は赤々と燃え盛る炎を纏いながらマシュに襲い掛かる。

 

「ぁ───あ、」

 

 マシュは迫り来る巨人に戦意を失い掛ける。その時、マシュは来太の言っていた言葉を思い出す。

 

『君はその盾で()()()()()()()()()()()()

 

『それが解れば、キリエライトさんは()()()()()()()()()()()()()Plus Ultra!(更に 向こうへ!)だよ、キリエライトさん』

 

 マシュは失い掛けた戦意を取り戻し、盾を力強く握り締める。

 

(守らないと……宝具を使わないと、皆消える。所長も、フォウさんも、先輩も───)

 

(偽物でも良い、今この一瞬だけでも良い)

 

()()()()()()()()()()()()()()()皆を、マスターを守る為に!)

 

 

「ああ、ああぁあああ───!!!」

 

 

 その時、マシュの持つ盾から光の守護防壁が展開され、巨人の一撃を防いだ。そして巨人が消えると同時に守護防壁も消滅する。

 

「あ……私……宝具を、展開出来た……んですか?」

 

 呆然と呟くマシュにキャスターは想像以上の結果に口笛を吹く。

 

「何とか一命だけは取り留めると思ったが、まさかマスター共々無傷とはね」

 

 キャスターは立香を見て笑いながら言う。

 

「喜べ……いや、違うか。褒めてやれよ藤丸。アンタのサーヴァントになったお嬢ちゃんは、間違いなく一線級の英霊だ」

 

「うん!凄かったよマシュ!」

 

「フォウ、フォーーーーウ!」

 

「先輩……フォウさん……!」

 

立香はマシュに抱き付き彼女の頑張りを讃え、フォウもマシュに飛び付いた。マシュは嬉しさと達成感で思わず目尻に涙を浮かべる。

 

「キリエライトさん」

 

「来太さん……」

 

 来太は立香たちの元へ駆け寄り、マシュに声を掛ける。するとマシュは来太に頭を下げる。

 

「ありがとうございます。あの時来太さんが言って頂いた言葉のお陰で、私が守るべきモノに気づく事が出来ました」

 

「俺はあくまでヒントをあげただけ。答えを見つけ出したのはキリエライトさんだよ」

 

 感謝するマシュに来太は右手を彼女の頭に乗せ、優しく撫でる。

 

「今の君はついさっきの自分よりも更に先へ進んだ。大変よく出来ました、キリエ……()()()

 

「っ!?来太さん、今私の事名前で───」

 

「うん。本当によく頑張ったよ、マシュ」

 

「っ!はい!ありがとうございます!」

 

 何度も感謝するマシュに、来太は頭を撫で続ける。すると、立香が2人の間に割り込んで来た。

 

「えーー?マシュにだけ頭撫でるの狡くないかなーー?私も結構頑張ったと思うけどなあ」

 

「そうだね、藤丸さんもよく頑張りました」

 

 来太は立香の頭を撫でる。立香は頭を撫でられて満更でもない表情をする。

 

「フフフ、苦しゅうない。褒めて遣わす」

 

「勿体なきお言葉です……姫様?」

 

「おい、何故に疑問系にした?私はお姫様っぽく無いって事かな?」

 

「何でだろうねえ?」

 

「否定するな!あと私の事も名前で呼んでよ!」

 

「うーん、それはもう少し親睦を深めてからかな」

 

「育成ゲームか!絆レベル的なモノを上げろと!?そんな事より今すぐ私の名を言ってみろーー!!」

 

「お、落ち着いて下さい先輩!」

 

「フォ、フォウ?フォウ!」

 

「フォウさんも撫でて貰いたいのですか?」

 

「フォウ!」

 

「うん、良いよ。フォウくんも頑張ったね」

 

「フォウ♪」

 

「無視するなーー!」

 

 いつの間にか蚊帳の外にされた事に激昂する立香をマシュが宥め、来太はフォウの頭を撫でる。そんな光景を大人組が眺める。

 

「全く、気が緩むのが早いんじゃないの?これからセイバーとの戦いがあるってのに」

 

『まあまあ、所長。息抜きは大事ですよ』

 

「ま、セイバーと対峙したら直ぐにドンパチになるからな。その前の心構えって事で良いんじゃねえか?」

 

 その後、マシュが発動された宝具は真名に至っていない事もあり、仮名としてオルガマリーが仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)と命名したのであった。

 

 そして、キャスターからセイバーの真名を聞かされた来太たちはより一層覚悟を決める。

 

 セイバーの真名は、かのブリテンの王にして騎士王。聖剣エクスカリバーの担い手であるアーサー・ペンドラゴンである事を。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「そうか、ランサーも倒されたか……どうやらキャスターに加担する者がいる様だな」

 

 冬木市のある洞窟の奥で怪しく輝く巨大な魔力の塊、大聖杯の前に立つ黒の甲冑を身に纏う小柄な騎士セイバーは地面に突き刺した黒い聖剣の柄に手を置きながら呟く。

 

「この聖杯戦争を終わらせる為に手数で勝負を決めるか……なら、此方も()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 セイバーはそう言って、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




次回「総力戦【前編】」


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episode 5

ククルカンのピックアップガチャ引くか迷ってます。
トラロックは3人来ましたがまだテスカトリポカも引けてないので……泣


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 マシュの特訓を終えた来太たちはキャスターに道案内されながらセイバーが居るであろう大聖杯がある洞窟の前に来ていた。

 

「着いたぜ、大聖杯はこの奥だ。ちぃとばかり入り組んでるんで、(はぐ)れない様にな」

 

「天然の洞窟……の様に見えますが、これも元から冬木の街にあったものですか?」

 

「でしょうね。これは半分天然、半分人工よ。魔術師が長い年月を懸けて拡げた地下工房ね」

 

 不思議そうに洞窟を見るマシュにオルガマリーが答える。その隣では立香が緊張した表情をしていた。

 

「この奥にセイバー、アーサー王が居るんだ……」

 

「フォウ」

 

「気い付けろよ。見た目は華奢な小娘だが、魔力を一点に放出させる事で馬鹿みてえな力で聖剣を振り回してくる。一撃受けただけでも致命傷になり兼ねないからな。しかも大聖杯の恩恵を受けているせいで魔力を使いまくる」

 

『あ、改めて聞くとトンデモないサーヴァントを相手にしなきゃいけないのか。皆、気を付けてね』

 

「はい、ドクター」

 

「ッ!待って」

 

 マシュが洞窟に入ろうとした瞬間、来太は背後から気配を感じ取りマシュを静止する。後ろを振り返ると、10数m離れた茂みから白髪褐色の男が姿を現した。するとキャスターが現れた男を見てガラついた笑みをしながら話し掛ける。

 

「よお、言ってるそばから信奉者の登場だ。相変わらず聖剣使いを護ってんのか、テメエは」

 

「……ふん。信奉者になった覚えは無いがね。つまらん来訪者を追い返す程度の仕事はするさ」

 

「要は門番じゃねえか。何からセイバーを守っているのか知らねえが、此処いらで決着つけようや。良い加減テメエの顔は見飽きてんだよ、アーチャー

 

「此方も良い加減、君の相手をするのは面倒だね、キャスター。それに見たところサーヴァントを2騎味方につけた様だが、彼らが加わった所でセイバーに勝てると思っているのなら随分と算段が甘いんじゃないのかね?」

 

 アーチャーのサーヴァントはそう言って左手には黒い弓、右手には一振りの剣を持つ。するとアーチャーは矢の形に変化した剣を構えた。

 

 そしてアーチャーは矢となった剣を放つ。放たれた矢が向かう先は、()()()()()()()()()()()()

 

 

「変身!」

 

 

『MAGNUM』

 

 

『READY FIGHT』

 

 

矢が立香へ向かう最中、来太は瞬時に変身して【マグナムシューター40(フォーゼロ)X】で矢を撃ち落とす。

 

「やらせないよ」

 

「来太!?」

 

「此処は俺が引き受ける。皆はセイバーの所へ行って」

 

「そんな!?」

 

 殿を買って出る来太に立香たちが驚く中、キャスターは不機嫌そうに来太を睨む。

 

「待てよライダー、アーチャーはオレの獲物だ。勝手に横取りすんじゃねえよ」

 

「キャスターさん、この中でセイバーの実力を知っているのは貴方だけです。貴方は最後まで藤丸さんたちの力になってあげて下さい。今やるべき事はアーチャーに時間を稼がれる事じゃないのは解っている筈でしょ?」

 

 来太の反論にキャスターは少し考えると、ハァっと溜め息を吐いて後頭部を掻く。

 

「……わーったよ、アーチャーはお前さんに任せる。だが、任せるからには負けんじゃねえぞ」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「応よ。行くぜ藤丸、お嬢ちゃんたち」

 

「でもキャスター!?」

 

「此処は全員で戦闘した方が!」

 

 立香とマシュがキャスターに反論する。来太はそんな2人に言う。

 

「大丈夫だよ、2人とも。俺も直ぐに駆け付けるから」

 

「でも来太!」

 

「来太さん……!」

 

 まだ食い下がる2人を見て、来太は()()()()()()()()()

 

「あ、言っておくけど……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「!?」」

 

 挑発にも似た発言に、立香とマシュは驚愕する。そして覚悟を決めたのか、立香が不適に笑う。

 

「そう言う来太こそ、()()()()()()()()()()()()

 

「分かってる。なるべく早く駆け付けるから」

 

「お願いね。行こう、マシュ、皆!」

 

「っ……!了解です、マスター。来太さん、ご武運を!」

 

「フォウ!」

 

「そんじゃあ頼むぜ、ライダー!」

 

「ちょっと!?待ちなさいよ!」

 

 先へ進む立香の後をマシュたちが追い掛けるのを確認して、来太はアーチャーと対峙する。

 

「待たせてしまったかな?」

 

「別に。彼女たちを先に行かせたところで結果は変わらない。それを分かっていながら自ら殿を務めるとは、随分な変わり者だな。それとも、自己犠牲の上で仲間に後を託したとでも言うのかね?」

 

「俺は自分を犠牲にしたつもりは無い。仲間が居るから互いにやるべき事を成そうと協力し合っているだけだよ」

 

 来太の言葉を聞いて、アーチャーは目付きを鋭くする。

 

「……貴様とは初めて会うが、私の1番苦手なタイプの様だ。とても相容れない様に感じるよ」

 

「そうかな?話したら案外、馬が合うかもよ?」

 

「それは無いな!」

 

 アーチャーが再び弓を構え、来太は【マグナムシューター40(フォーゼロ)X】の銃口をアーチャーに向ける。




次回「総力戦【中編】」です。
そしてギーツのフォームチェンジ祭り!?


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episode 6

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総力戦【中編】です。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=285887&uid=202117
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 来太が殿となってアーチャーの足止めをしている中、立香たちは洞窟を進み続け、遂に大聖杯の前に辿り着いた。そして大聖杯の膨大な魔力量に、サーヴァントのマシュとキャスター、魔術師のオルガマリーは勿論、立香でさえかつて無い程の圧迫感を感じていた。

 

「これが大聖杯……超抜級の魔力炉心じゃない……なんで極東の島国にこんなものがあるのよ……」

 

『資料によると、制作はアインツベルンと言う錬金術の大家だそうです。魔術協会に属さない、人造人間(ホムンクルス)だけで構成された一族の様ですが』

 

「悪いな、お喋りはそこまでだ。奴さんのお出ましだぜ」

 

 キャスターはオルガマリーとロマニにそう言って上を見上げれると、大聖杯の直ぐ傍には黒い甲冑を身に纏った騎士が立香たちを見下ろしていた。

 

「────」

 

「……なんて魔力放出……あれが、本当にアーサー王なのですか……?」

 

 彼女の華奢な身体から途轍もない魔力によるプレッシャーにマシュが全身を強張らせながら訊く。

 

『間違いない。何か変質している様だけど、彼女はブリテンの王、聖剣の担い手アーサーだ。伝説とは性別が違うけど、何か事情があってキャメロットでは男装をしていたんだろう。ほら、男子じゃないと王座にはつけないだろ?お家事情で男のフリをさせられたんだよ、きっと。宮廷魔術師の悪知恵だろうね。伝承にもあるけど、マーリンはホント趣味が悪い』

 

「ドクター……何かいつも以上に喋るね」

 

「フォ、フォウ!」

 

 急に饒舌になったロマニに立香が驚く。フォウはロマニの言葉に賛同するかの様に何回も首を縦に振った。

 

「そんじゃあ、手筈通りに行くぞ。奴を倒せばこの街の異変は消える。いいか、()()()()()()()()()()()()()()。その後はお前さんたちの仕事だ。何が起こるか解らんが、出来る範囲でしっかりやんな」

 

「────ほう、面白いサーヴァントが居るな」

 

 するとセイバーが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そんなセイバーにキャスターが驚愕する。

 

「なぬ!?テメエ、喋れたのか!?今までだんまり決め込んでやがったのか!?」

 

「ああ。何を語っても見られている。故に案山子(カカシ)に徹していた」

 

 セイバーは表情一つ変えずにキャスターに向かって言った。そんなセイバーにキャスターは鼻で笑う。

 

「ハッ、そうかよ。なら今度こそオレとも楽しく行こうじゃねえか、セイバー。悪いがこっちは2人で行くけどよ、これも戦いだからな。恨むなよ」

 

「なに、気にするなキャスター。手数で勝敗を決めるのも戦いでは良くある事だ……だがキャスター」

 

 セイバーは冷笑しながらキャスターに言う。

 

 

()()()()()()()()()()()()1()()()()()()()()()()()

 

 

「何?」

 

『ッ!?皆!気を付けて!()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!』

 

 ロマニが警告すると同時に立香たちの前に()()()()()()()()()。途轍もない質量に地面に亀裂が入り、土煙が舞った。

 

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️───!!」

 

 

 そして、洞窟全体が振動する程の咆哮と共に、ソレの正体が判明する。

 

 ソレは巨人と見紛う程の巨躯で、全身がまるでギリシャ彫刻の様な肉体、そしてセイバーにも劣らないプレッシャーを放つ男性だった。彼はアーチャー以外に残ったセイバーの手駒であるサーヴァントバーサーカーであった。

 

「嘘でしょ───何でバーサーカーが居るの!?」

 

『キャスターの話では此方から何もしなければ襲って来ない筈だ!なのにどうして!?どう言う事なんだキャスター!?』

 

 突如のバーサーカーの登場に驚愕するオルガマリーとロマニに、キャスターは苦虫を噛み潰した様な表情をしながらバーサーカーを警戒する。

 

「おそらくセイバーが力尽くで手懐けやがったんだろ……悪い、オレの完全な読み違いだ……どう言う事だセイバー、何故バーサーカーを手懐けた?」

 

「なに、特に理由は無い。館で石像の様に立ち尽かせるには惜しいと思って手駒にしただけだ……と言っても、躾の為に()()()()()()()()()()()()。これで数は互いに同じとなった……卑怯とは言わせないぞ、キャスター?」

 

 セイバーに意趣返しされて、キャスターはチッと舌打ちをする。そして直ぐに立香の方へ視線を送る。

 

「悪い藤丸、作戦変更だ!俺がバーサーカーの相手をするからお前とお嬢ちゃんはセイバーを頼む!」

 

「ッ!?……分かった。バーサーカーはお願いね、キャスター!」

 

 覚悟を決めた立香の言葉に、キャスターはニヤリと笑う。

 

「応よ!任せときな、()()()()!。そら、ついて来いバーサーカー!」

 

 キャスターはルーン魔術による火球でバーサーカーを牽制して立香たちから離れる。バーサーカーもキャスターを追い掛ける。そして、立香たちはセイバーと対峙する。

 

「やはり───面白い。()()()()()()()()

 

 そう言ってセイバーは地面に突き刺した黒い聖剣を持ち上げ、剣先を立香たちに向ける。

 

「構えるが良い、名も知らぬ娘。その守りが真実かどうか、この剣で確かめてやろう!」

 

「来ます──マスター!」

 

「うん、一緒に戦おう!」

 

「はい!マシュ・キリエライト、出撃します!」

 

 そして立香とマシュのふたりはセイバーとの戦闘を開始する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「ハッ!」

 

 立香たちが戦闘を開始する一方、来太もアーチャーと戦闘を続けていた。アーチャーが放つ矢や、突如アーチャーの背後から出現する大量の剣を【マグナムシューター40(フォーゼロ)X】を連射して撃ち落とし、互いに激しい攻防を繰り広げていた。

 

 場所も洞窟入口ではなく冬木市にある寺へと移動していた。

 

「ガラ空きだ!」

 

 アーチャーは上空へ跳躍すると、右手から黒い剣が現れ弓を構える。すると黒い剣の形状が捩れた矢に変化する。そしてアーチャーは矢を来太へ放つ。

 

 

『RIFLE』

 

 

 来太は【マグナムシューター40(フォーゼロ)X】の砲身【40(フォーゼロ)Xマズル】を展開させ【ライフルモード】へと移行する。そして【デザイアドライバー】に装填された【マグナムレイズバックル】を取り外し、【マグナムシューター40(フォーゼロ)X】に装填する。

 

 

『MAGNUM』

 

 

 【マグナムシューター40(フォーゼロ)X】から認証音声が鳴り、来太は【マグナムレイズバックル】のリボルバーパーツを回しトリガーを弾く。

 

「ハッ!」

 

 

『MAGNUM TACTICAL BLAST』

 

 

 銃口からアプルーバルリボルバー型のエネルギーを込めた強力な弾丸を発射され、矢とエネルギー弾が交差した事で空中で大爆発が起こる。そしてアーチャーは着地すると来太を睨み付ける。

 

「その銃、ライフルにもなるのか……貴様、本当にライダーか?アーチャーに転職した方が良いんじゃないのか?」

 

「これでもライダーだよ。まあ、この姿の間だけアーチャーだけど。そんな事より、良い加減遠距離で撃ち合っても決着つかないからやり方を変えようか」

 

 来太はそう言うと鍵盤とスクラッチを模したパーツが備わったアイテム【ビートレイズバックル】を取り出し、【デザイアドライバー】の右側に装填する。

 

 

『SET』

 

 

 【デザイアドライバー】からはアイテムの認証音声が鳴ると、来太の傍には『BEAT』のロゴが出現し、【デザイアドライバー】から待機音声が鳴り響く。来太は【ビートレイズバックル】の3つの鍵盤型音楽再生装置【セレクトケンバーン】を押すと3つの音声が鳴り、今度はディスク型操作盤【Dスクラッチャー】をスクラッチする。

 

 すると【ビートレイズバックル】からカラフルな音符が大量に出現し『BEAT』のロゴを包み込むと、『BEAT』のロゴはイコライザーの意匠がある胸部装甲やスピーカーが配置された肩アーマー、腕部にエフェクターとしての機能を持つ装甲に姿を変え、【マグナムフォーム】のアーマーと入れ替わる様に来太に装着される。

 

 

『BEAT』

 

 

『READY FIGHT』

 

 

 白を基調とした【マグナムフォーム】からシアンとマゼンタを基調とした形態【ビートフォーム】に変化した来太にアーチャーは警戒を強める。

 

「姿が変わっただと……?」

 

「驚くのはまだ早いよ」

 

 

『BEAT AXE』

 

 

『FUNK BLIZZARD』

 

 

 来太は【ビートアックス】に搭載されたドラム型調律装置【エレメンタドラム】を3回叩き、ギター型武器【ビートアックス】を構えるとピック部分【ストラムレバー】を掻き鳴らし、ファンキーで軽快なサウンドが特徴の音楽が鳴り響いた。

 

「ハアッ!」

 

 そして来太は【ビートアックス】を持ち替えてマゼンタカラーの刃【Vエッジ】を地面に叩き付け、弦に備わっている入力装置【インプットリガー】を押す。

 

 

『TACTICAL BLIZZARD』

 

 

 冷気に変化した音が来太とアーチャーを包み込み氷のドームが展開される。

 

「……成る程、周囲を取り囲む事で空間を制限した訳か」

 

「そう言う事。言っておくけど、この氷のドームは生半可な攻撃じゃ壊れない。此処から出るには───」

 

「私か貴様、どちらかが倒れない限り脱出不可能と言う事か。簡単な話、貴様を倒せば良いだけの事だろう?」

 

 状況を理解したアーチャーの左手に握られた弓が消えると黒と白の二振りの短剣が出現し、アーチャーはそれらをそれぞれ持って構える。その姿に来太は思わず口にした。

 

「二刀流って……貴方アーチャーだよね?人の事言えないじゃないか」

 

「なに、アーチャーも時には剣で戦う事もあるだろうさ。唯弓を撃つだけしか出来ないと思ったのは貴様の先入観だ」

 

「まあ、それもそうか」

 

 来太は皮肉を言うアーチャーに同意しながら【ビートレイズバックル】を取り外し、今度は肋骨型の扉を模したカバーパーツが覆い被さったアイテム【ゾンビレイズバックル】を【デザイアドライバー】に装填する。

 

 

『SET』

 

 

【デザイアドライバー】からはアイテムの認証音声が鳴ると、来太の傍には『ZOMBIE』のロゴが出現し、【デザイアドライバー】から待機音声が鳴り響く。来太は【ゾンビレイズバックル】に搭載された鍵【ウェイキングキー】を捻ると扉パーツが開き、オレンジ色の爪をしたゾンビアームが出現する。

 

 すると【ゾンビレイズバックル】から毒々しい液体が溢れ出し、『ZOMBIE』のロゴが溶解すると、肋骨状の模様が浮かぶ装甲とトゲの生えた肩部、左腕部には巨大で鋭利なオレンジ色の爪【バーサークロー】が特徴のアーマーに変化する。そして【ビートフォーム】のアーマーと入れ替わる様に来太に装着される。

 

 

(GRAB! CLASHOUT!)

 

 

『ZOMBIE』

 

 

(Wooooo……)

 

 

『READY FIGHT』

 

 

「今度は随分と禍々しい姿に変わったな。宛らバーサーカーの様だな」

 

「まあ、強ち正解かな!」

 

 

『ZOMBIE BREAKER』

 

 

毒々しい紫色を基調した形態【ゾンビフォーム】に変化した来太は右手にチェーンソー型武器【ゾンビブレイカー】を構えてアーチャーへ突進する。

 

「ハアッ!」

 

「フッ」

 

 高速回転する鎖鋸と二振りの短剣が衝突し、両者の刃の中心から火花が飛び散る。すると、アーチャーの短剣がドロドロに溶解されていく。

 

「何!?」

 

「ハアッ!」

 

 来太は【ゾンビブレイカー】で溶ける短剣を両断し、アーチャーの胴体を斬り付ける。アーチャーは咄嗟に後ろに後退して致命傷は免れたと思ったその時、アーチャーの身体に異変が起きる。アーチャーは全身の力が抜ける様に足元がおぼつかない状態へ陥る。

 

「これは……毒か!?」

 

 思考が上手く纏まらない状態になりながらもアーチャーは自身に起きた現象を理解した。その隙に来太は【デザイアドライバー】を180°回転させる。

 

 

『REVOLVE ON』

 

 

 認証音声が鳴るとバックルの機能が逆転し、丸い装置が出現して来太は空中で180°回転する。すると上半身と下半身が入れ替わり、上半身に装着された【ゾンビフォーム】のアーマーは下半身用の形状へと変貌する。

 

「これで決める」

 

 来太は【ゾンビレイズバックル】の【ウェイキングキー】を回して必殺技を発動する。

 

 

『ZOMBIE STRIKE』

 

 

 すると『ARCHER』『EMIYA』と刻まれた大量の墓石のエフェクトがアーチャーを囲み逃げ場を塞いだ。

 

 

「ハアァァ!!」

 

 

 そして来太は疾走し、アーチャーに向かって回し蹴りを叩き込む。蹴りを直撃したアーチャーは地面に転がりながら氷のドームを突き破る。

 

「此処まで……か……すま……ない……セイバー」

 

 アーチャーはその場に居ないセイバーに詫びの一言を言うと身体が光の粒子となって消滅する。来太はアーチャーの居た場所を暫く見つめ、踵を返す。

 

「急がないと」

 

 

『REVOLVE ON』

 

 

 来太が【ゾンビフォーム】から【ブーストフォーム】に変える。すると空中から赤いゲートが出現し、中から赤い狐【ブーストライカー ギーツモード】が飛び出して来た。

 

 

『BOOSTRIKER』

 

 

「お願いね、コンちゃん」

 

 来太がそう言うと、【ブーストライカー ギーツモード】は一声鳴いて【バイクモード】へ変形する。来太は【ブーストライカー】に跨り、大聖杯の場所でセイバーと戦っているで立香たちの元へ向かうのであった。

 




【仮面ライダーギーツ ビートフォーム】

クラス:キャスター

固有スキル
陣地作成:B
道具作成:C

保有スキル(追加付与)
円舞絶奏:B
音楽神の加護(偽):A
勇気のメロディー:A(味方全体の攻撃力強化&弱体化解除&状態異常解除)


【仮面ライダーギーツ ゾンビフォーム】

クラス:バーサーカー

固有スキル
狂化:E

保有スキル(追加付与)
戦闘続行:A
怪力:B
バーサークロー:A(攻撃に毒状態を付与&"中"確率で敵単体にスタン状態付与)


次回「総力戦【後編】」です。
ジャックポットでフィーバーします。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=285887&uid=202117
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episode 7

今日の仮面ライダーギーツでライダーオタクで有名な鈴木福さんが待望の仮面ライダーに変身しましたね!
その名も【仮面ライダージーン】!!
変身ポーズにフィンガースナップを取り入れるなど英寿リスペクト要素もあって私も一瞬で虜になりました!


総力戦【後編】です。


 洞窟内では激戦が繰り広げていた。強靭な肉体のバーサーカーにダメージは無いがキャスターは距離を置きながらルーン魔術で攻撃を続ける。理由は直ぐ近くでセイバーの無慈悲な攻撃を必死に盾で防ぐマシュに狙いを変えさせない様にバーサーカーを自分に意識させる為である。

 

(しかし、このままじゃジリ貧だな……バーサーカーには奴の宝具によるものなのか『灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』が通じねえ。決定打に欠ける以上、勝負が長引けばこっちの分が悪い。それにこっちの()()1()()()()()も使えねえ。()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()。お嬢ちゃんはセイバーに手一杯で余裕なんて微塵もねえ……どうするか)

 

 キャスターが勝ち筋を模索していると、セイバーの魔力が飛躍的に向上するのを感じ視線を移すと、セイバーの聖剣が漆黒の光で輝き出す。宝具を使用する気だ。

 

「チッ、手助けしたいのは山々だがコッチも手が離せねえ……気張れよ、お嬢ちゃん!」

 

 マシュにエールを贈りながら、キャスターは自身に迫って来るバーサーカーに再び攻撃を仕掛ける。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「此処まで良く耐える……ならコレはどうだ?」

 

 聖剣による怒涛の攻撃を防ぎ続けるマシュを見てセイバーは少し笑うと、聖剣を上段に構える。すると聖剣から膨大な魔力が放出され、漆黒の光が溢れる。

 

『膨大な魔力反応!宝具を使う気だ!!』

 

 ロマニの警告を聞いたマシュは盾を構え直し、自分も宝具解放の準備を開始する。

 

(まだ戦うのは怖い……今にも逃げ出したい程に……だけど、守るんだ。先輩たちを!!)

 

「真名、偽装登録───行けます」

 

 

「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め! 『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!!」

 

 

 セイバーが振り下ろした聖剣の刀身から漆黒の極光が放出し、マシュへと迫る。

 

 

「宝具、展開します……!」

 

 

 『仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』が発動し、盾の前方に強力な守護防壁が展開させる。そして聖剣の光と盾の守護防壁が衝突する。

 

「ぐ、うううぅ───」

 

 マシュは持てる力を全て盾に集中し『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』を必死に耐える。すると、盾を握るマシュの手に温もりが包む。

 

「え?」

 

 マシュは思わず振り向くと、立香が自分の隣に立って共に盾を支えていた。

 

「大丈夫、マシュ?」

 

「先輩?どうして?」

 

「一緒に戦うって言ったでしょ……私はマシュの先輩で、マスターだから」

 

「先輩……」

 

 マシュは立香をじっと見つめる。隣に立ってくれるだけで、身体から力が込み上がって来ると錯覚する程に彼女の存在がマシュに勇気を与えてくれた。

 

「頑張ろう、マシュ!」

 

「はい!」

 

 その時、立香の右手に刻まれた令呪が光り輝くと一画が消える。それと同時にマシュに強力なブーストが付与された。

 

(これなら!)

 

 

「ハアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 マシュの感情に反応するかの様に盾の守護防壁が聖剣の極光を正面から受け止め、完全に防ぎ切る。

 

「ハア、ハア、ハア……」

 

「やったね……マシュ」

 

「ハア……ハア……はい、先輩」

 

「フォウ!」

 

「やった……!これなら!」

 

『凄い!セイバーの聖剣を防いだ!?藤丸さんも無意識とは言え令呪による強化をやってのけるなんて!?凄過ぎるよ2人共!!』

 

 疲弊しながらも途轍もない快挙に立香たちは喜ぶ。

 

しかし───

 

 

「気ィ抜くんじゃねえ!まだだ!!」

 

 

 キャスターの叫びに一同がセイバーの方を見ると、あれ程の魔力を消費したにも関わらず顔色一つも変えずに立っていた。

 

「流石だな。我が宝具を防ぎ切るとは……なら、2撃目はどうだ?

 

 セイバーは再び聖剣を構えて魔力を放出する。その光景に立香たちは戦慄する。

 

『宝具の連続使用!?幾ら大聖杯によるバックアップがあるからって!………って、藤丸さん!?』

 

 驚愕するロマニの叫びにマシュは隣に立っている筈の立香を見ると、彼女は全身から冷や汗を吹き出しながらか細い呼吸をして地面に座り込んでいた。

 

「先輩!?」

 

「フォウ!?」

 

「ごめん……ね……マシュ……私……」

 

『無理に令呪を使用した事で魔術回路に負荷が掛かったんだ!バイタルも安定していない!』

 

「キャスター!早く藤丸たちを助けなさい!」

 

「そうしてえが、こっちも手一杯だ!」

 

 オルガマリーがキャスターに応援を要請するもキャスター当人はバーサーカーの相手でそれどころじゃなかった。

 

「良く粘った方だが、此処までの様だな……最後は無様に斃れろ。盾のサーヴァントとそのマスター」

 

 セイバーが聖剣を振り下ろそうした次の瞬間、バイクのエンジン音が洞窟に鳴り響く。

 

そして───

 

「出来ればこの台詞、言いたく無いんだよね。今は"デク(出久)"が受け継いでいるし」

 

「けど、敢えて言わせて貰おうかな」

 

「もう大丈夫だよ。藤丸さん、皆」

 

「何故って?」

 

 

『BOOST STRIKE』

 

 

 突如現れた()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「グッ!?」

 

 セイバーは防御が遅れてしまいバイクに直撃する。そして、セイバーを吹き飛ばしたバイクには赤いアーマーを纏った狐の仮面をした戦士が跨っていた。

 

 

「俺が来た!!」

 

 

 その正体は藤丸のサーヴァントであり、別の世界から召喚された戦士【仮面ライダー】こと佳面来太であった。

 

「来太さん!?」

 

「フォフォウ!?」

 

「貴方来るのが遅過ぎるわよ!?」

 

『けどギリギリで助かった!ナイスだよ!!』

 

「すみません、遅くなりました」

 

 来太は【ブーストライカー】から降りて立香たちの前に立つ。立香は朦朧する意識の中、来太を見上げる。

 

「来て……くれたんだね……来太」

 

「当たり前でしょ?俺は君のサーヴァントだからね……後は任せて」

 

「うん……お願い」

 

 立香の言葉を聞いた来太は頷くとセイバーと対峙する。すると、キャスターが来太の隣に駆け寄る。

 

「よお、色男。良いタイミングで来てくれたじゃねえか。それでアーチャーは?」

 

「約束通り、倒して来ましたよ」

 

「ハッ、なら遅れた件は許してやるよ。それと次いでで悪りいが、少し時間を稼いでくれねえか?」

 

「何か策があるんですね?」

 

「ああ、()()()()()()()()()使()()。だが使えるまで時間が少しばかり掛かる。その間、セイバーとバーサーカーの2人を相手する事になるが……イケるか、()()()

 

「ッ……分かりました。任せて下さい、キャスターさん」

 

クー・フーリンだ」

 

「え?」

 

 突然真名を明かしたキャスターことクー・フーリンに来太は思わず声を出した。

 

「オレの真名だ。命を預ける仲間に教えんのは変か?」

 

 ニヤリと笑うクー・フーリンに、来太は仮面越しに笑みを浮かべながら答える。

 

「いえ……それじゃあ頼みます、クーさん!

 

「応よ!」

 

 

 そう言ってキャスターは切札を発動する準備に入る。

 

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️───!!」

 

 

 そこへバーサーカーが咆哮を上げながら接近して来る。来太はバーサーカーを迎え撃つ。

 

「ハアッ!」

 

 来太は腕部に搭載された【ブーストパンチャー】のマフラーパーツから炎を噴射させたバーサーカーに叩き込む。しかしバーサーカーは一瞬静止するも直ぐ再び襲い掛かる。来太は瞬時に【デザイアドライバー】を180°回転する。

 

 

『REVOLVE ON』

 

 

「フッ、ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」

 

 上半身に纏っていた【ブーストフォーム】のアーマーが形状を変えて下半身へと移動する。来太はバーサーカーの攻撃を躱しながら脚部のマフラーパーツから炎を噴射させた強力なキックを連続で繰り出す。

 

「ハアァァッ!!」

 

 来太は炎の噴射を活かした空中回し蹴りでバーサーカーを大きく後退させる。

 

「さっきはやってくれたな」

 

 するとセイバーが聖剣から魔力をジェット噴射する様に放出して接近し、聖剣が来太の胴体を横薙ぎしようと迫る。

 

「フッ」

 

 来太は空中で身体を捻ってそれを躱し回転の勢いで膝蹴りを放つ。しかし、セイバーは籠手で防御する。来太は炎の噴射で更に威力を上げる。

 

「オオオォォォ!」

 

「舐めるな!」

 

 セイバーも負けじと魔力を放出して来太の攻撃を相殺する。その時バーサーカーが斧剣を振り下ろす。バーサーカーに気付いた来太は再び炎を噴射させてセイバーの背後に回る。バランスを崩したセイバーにバーサーカーの斧剣が迫り、セイバーは咄嗟に聖剣で防いだ。そしてセイバーは背後に回った来太を見る。

 

「チッ……随分と戦い慣れているな、貴様」

 

「これでも場数は踏んでいるんでね」

 

 そう言いながら来太はスロットマシンを模した黄金のアイテム【フィーバースロットレイズバックル】を取り出して【デザイアドライバー】の右側に装填する。

 

 

『SET FEVER

 

 

 【デザイアドライバー】から認証音声が鳴ると来太の傍に黄金のスロットマシンが出現する。来太は【フィーバースロットレイズバックル】に搭載されたレバー【ゴールデンレバー】を操作する。するとバックルのスロット【レイズジャックポット】が回転を始め『???』の絵柄になる。

 

 

『GOLDEN FEVER』

 

 

 【フィーバースロットレイズバックル】に連動して黄金のスロットマシンの絵柄も『???』になる。するとスロットマシンから大量の星が溢れ出し、スロットマシンは【ブーストフォーム】の上半身アーマーへと変貌する。そして【ブーストフォーム】のアーマーが来太に装着されると、来太の首に黄金のマフラー【フィーバークロステール】が追加される。

 

 

『JACK POT HIT GOLDEN FEVER』

 

 

 上下半身に同じ【ブーストフォーム】の装備を展開し、本来の数倍のスペックへ強化した形態【フィーバーブーストフォーム】に強化変身を果たす。

 

 

「さあ、ハイライトだ」

 

 

 来太は決め台詞を言い放ち、その場に残像を残す程のスピードでセイバーに接近する。

 

「何ッ!」

 

「ハアッ!」

 

 【ブーストフォーム】の2倍のパンチ力46.8tの破壊力に、腕部から炎を噴射させる事で更に威力を上げた拳がセイバーに叩き込まれる。吹き飛ぶセイバーの直後、瞬時にバーサーカーへ接近した来太が繰り出す中段回し蹴りがバーサーカーの左脇腹に突き刺さり、バーサーカーは横へ大きく吹き飛ぶ。

 

 来太の凄まじい戦闘に満身創痍の立香たちは唖然となる。

 

「来太……」

 

「凄いです、セイバーとバーサーカーを相手に圧倒しています」

 

『凄いなんてレベルじゃないよ!泥人形と化したバーサーカーはともかく、大聖杯のバックアップを受けてるセイバーと渡り合えるなんて普通あり得ないよ!!』

 

「アーサー王と互角に戦うなんて、ホント何なのよ彼……」

 

「フォウ!」

 

 立香たちの傍ではクー・フーリンが何処か悔しそうに笑う。

 

「あー、クソッ。アイツあんなに強かったとはなあ……今度ランサーで召喚されたら絶対(ぜってえ)勝負してやる」

 

 そう言いながらクー・フーリンは準備を終えると来太に向かって叫ぶ。

 

 

「来太ァ!離れてろ!!」

 

 

 クー・フーリンの声に来太は瞬時にセイバーとバーサーカーから距離を取る。そしてクー・フーリンは杖を構え今持てる全魔力を解放する。

 

「さあ、その目にしかと焼き付けな!コレこそが、我が師スカサハより授かれし、ルーン魔術の奥義!」

 

 

「『大神刻印(オホド・デウグ・オーディン)』!!」

 

 

 クー・フーリンが杖を地面に突き刺すと、セイバーとバーサーカーの頭上に18の巨大なルーン文字が出現する。そして全てのルーンから強力な魔力の光が放たれ、セイバーとバーサーカーを呑み込んだ。

 

「あれは!?」

 

「ルーン魔術!だけどなんて規模なの!?」

 

『クー・フーリンが師匠であるスカサハから受け継いだ原初の18のルーンを同時に発動したのか!?だけどなんて魔力だ!?下手すると対城宝具並の威力だぞ!!』

 

 目の前で起きた大魔術にマシュたちが驚愕していると、ルーンの光が徐々に弱まり、消える。すると、宝具を直撃したバーサーカーがダメージを受けた身体で膝を地面に着いており、対魔力の高いセイバーでさえも足元がフラついていた。

 

「やってくれたな……アイルランドの光の御子!」

 

「来太、畳み掛けろ!今ならバーサーカーは宝具が使えねえし、セイバーも大聖杯のバックアップを受けてねえ!!」

 

「はい!」

 

 来太は【フィーバースロットレイズバックル】の【ゴールデンレバー】を倒す。

 

 

『BOOSTRIKER』

 

 

「ハッ」

 

 

 来太は自動走行する【ブーストライカー】に飛び乗り、アクセルを全開にする。

 

 

『GOLDEN FEVER VICTORY』

 

 

 上下の【ブーストフォーム】のアーマーから炎を噴射させて超加速し、セイバーとバーサーカーに突進する。セイバーたちは上空へ吹き飛ばされ、来太は【ブーストライカー】から降りると片手でハンドルを掴んで【ブーストライカー】を振り回して跳躍する。

 

 

「ハアァァァァ!!」

 

 

 空中での回転と炎の噴射によって途轍もない加速を付けて、来太は【ブーストライカー】をセイバーたち目掛けて振り下ろす。バーサーカーは胴体が切断され、セイバーは甲冑越しに胴体へ叩き込まれた事で勢い良く落下し地面に激突した。




【仮面ライダーギーツ フィーバーブーストフォーム】

クラス:ライダー

固有スキル
対魔力:B
騎乗:A++

保有スキル(追加付与)
魔力放出(炎):A++


次回「黒幕登場」


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episode 8

2/14の日間ランキングで9位にランクインしたと思ったら、どんどん評価が下がってランキング圏外になって二重に驚きました。

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「フゥ……あ、ヤバッ!?」

 

 来太は【デザイアドライバー】に装填された【ブーストレイズバックル】から煙が出ている事に気付くと慌てて取り外して上空へ放り投げる。すると【ブーストレイズバックル】は煙を噴射して空中を不規則に飛び回り、爆発して粉々になった。

 

「え、壊れた?」

 

「ブーストバックルは強力なアイテムだけど消耗品でね。大技を発動したらああなるんだよ」

 

「あの、よろしかったのですか?あのアイテムも来太さんの宝具の筈では?」

 

「大丈夫。暫く経てばまた使えるから」

 

『それって自動的に宝具が修復されるって事かい!?普通そんな事出来ないと思うけど!』

 

「まあ、俺は別の世界から来たサーヴァントなので」

 

「簡単に片付けるんじゃないわよ……」

 

「フォウ」

 

 来太たちが話していると、地面にうつ伏せで倒れていたセイバーが呟く。

 

「私の敗北か……まさか、私の聖剣が敗れるとはな……」

 

 来太の強力な攻撃を受けたセイバーは自身の身体が光の粒子へと変わる様を見て言った。共に敗れたバーサーカーは既に消滅していた。

 

「ま、今回はオレたちの方が強かったって話だ。それだけだろ?」

 

「フッ、そうだな。しかし、貴方も随分と無理をした様だな、キャスター」

 

「言ってろ、テメエのその人形みたいな顔を少しは変えてやりたかったんだよ」

 

 クー・フーリンも『大神刻印(オホド・デウグ・オーディン)』を発動した途端、セイバー同様身体から光の粒子が漏れ出していた。だが当人はしてやったりと笑っているのを見て、セイバーも少し笑みを零す。

 

「そうか……聖杯を守り通す気でいたが、己の執着に傾いた挙句敗北してしまった。結局、どう運命が変わろうと、私1人では同じ末路を迎えると言う事か」

 

「あ?どう言う意味だそりゃあ、テメエ、何を知ってやがる?」

 

「いずれ貴方にも知る事になる、アイルランドの光の御子」

 

 睨むクー・フーリンにそう言うと、セイバーは立香たちを見つめる。

 

"グランドオーダー"───聖杯を巡る戦いは、まだ始まったばかりだと言う事をな」

 

 そう言い残してセイバーは消滅すると、黄金に輝く水晶体だけがその場に残った。

 

「セイバーの野郎、言いたい事言うだけで言って消えやがった。チッ、しょうがねえ。藤丸、後の事は任せるぜ」

 

「キャスター!」

 

「お前さんはマスターとしてはまだまだ新米だが、航海者に1番必要なモノが備わっている」

 

 クー・フーリンは消滅する手を立香の頭に乗せて、笑いながら言う。

 

「運命を掴む天運と、それを前にした時の決断力だ。お嬢ちゃんと一緒にセイバーの聖剣を相手に正面から立ち向かった。その向こう見ずさを忘れるな?そう言う奴にこそ、星の加護ってヤツが与えられるからよ。次があるなら、そん時はランサーとして喚んでくれ」

 

「……うん、分かった。絶対喚ぶね」

 

「応!……それとお嬢ちゃんも。セイバー相手に良く戦った。お前さんはもう1人前のサーヴァントだ。胸を張りな」

 

「は、はい!ご指導ありがとうございました!」

 

「ああ……それとだ」

 

 クー・フーリンは最後に来太の方を見る。

 

「またな来太。次に会ったらお前さんに1対1(タイマン)を申し込むからそのつもりでいてくれや」

 

「……分かりました。誰にも迷惑を掛けないと約束してくれるなら受けて立ちます」

 

「ああ、良いぜ。ケルトの戦士は誓い(ゲッシュ)を必ず守るからよ!……またな」

 

「はい……また会いましょう。クーさん」

 

 クー・フーリンは最後に笑ってその場から消滅する。

 

「……えっと、私たちは次にどうすれば良いのかな?」

 

 立香は少し困惑しながら次にどうすれば良いのかをマシュに訊く。

 

「セイバーが所持していた聖杯を回収すれば元の時代に戻れると思います。ですよね、ドクター?」

 

『ああ。大聖杯とは別でセイバーが所持していた聖杯が今回の異変の原因だからね。早く回収して戻ってくれ』

 

「それじゃあ早く聖杯を回収しましょうか、所長……所長?」

 

 立香が声を掛けるもオルガマリーは何か考えている様子だった。

 

「……"冠位指定(グランドオーダー)"……何故セイバーがその呼称を?」

 

「オルガマリー所長〜」

 

「え?そ、そうね。良くやったわ、藤丸、マシュ、ライダー」

 

 立香がもう一度声を掛けるとオルガマリーは漸く反応し、来太たちの方を見る。

 

「不明な点は多いですが、此処でミッションを終了とします。速やかに聖杯を回収して元の時代に戻りましょう」

 

「はい、至急回収───」

 

 

「いや、まさか君たちが此処までやるとはね。計画の想定外にして、私の寛大さの許容外だ」

 

 

 マシュが聖杯に動こうとしたその時、大聖杯の前に人影が現れる。その正体は、癖のある長髪にシルクハットが特徴の男だった。そして男の左手にはセイバーが所持していた聖杯が収まっていた。

 

「あの人は確か……」

 

「レフ教授!?」

 

『レフ───!?レフ教授だって!?彼がそこに居るのか!?』

 

「その声はロマニくんかな?君も生き残ってしまったのか」

 

 レフと呼ばれる男の登場にマシュとロマニが驚愕し、レフもロマニの声に反応した。そしてレフは溜め息を吐く。

 

「直ぐに管制室に来て欲しいと言ったのに、私の指示を聞かなかったんだね、まったく───」

 

「どいつもこいつも統率のとれないクズばかりで吐き気が止まらないな。人間と言うのはどうしてこう、定められた運命からズレたがるんだい?」

 

 突如レフの表情が一変し、明確な敵意を向けられた事に立香たちは硬直する。そんな中で来太はレフに話し掛ける。

 

「貴方は()()()()カルデアの関係者じゃないのか?」

 

「私も君に聞きたい事がある、異界から来たライダーのサーヴァント。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「彼らが必死に生きようと足掻いているからだ。俺にとって、助ける理由はそれだけで充分だ」

 

「話にならないな。君も彼らと同じ愚かな存在だよ」

 

 レフは失望した表情で来太に言った。するとオルガマリーがレフの元へ走る。

 

「レフ……ああ、レフ、レフ、生きていたのね!良かった、貴方が居なくなったら私、この先どうやってカルデアを守れば良いのか分からなかった!」

 

「所長……!いけません、その男は……!」

 

『止まるんだ所長!』

 

 マシュとロマニが呼び止めるもオルガマリーの耳には2人の声が聴こえていなかった。そんな彼女にレフは友人の態度で話す。

 

「やあマリー。元気そうで何よりだ。君も大変だった様だね」

 

「ええ、ええ、そうなのレフ!管制室は爆発するし、この街は廃墟そのものだし、カルデアには帰れないし!予想外の事ばかりで頭がどうにかなりそうだった!でも良いの、貴方が居れば何とかなるわよね?」

 

 オルガマリーは泣きながらレフに懇願する。レフは笑みを浮かべながらオルガマリーを見下ろす。

 

「だって今までそうだったもの。今回だって私を助けてくれるんでしょう?」

 

「ああ。勿論だとも。本当に予想外の事ばかりで頭にくる。その中でも予想外なのが君だよ、マリー」

 

 レフは目を細めながらオルガマリーを睨む。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 レフの突然の告白に来太たちは勿論、オルガマリーの表情は凍った。

 

「───、え?……レ、レフ?あの、その、どう言う、意味?」

 

「いや、生きている、と言うのは違うな。君はもう死んでいる。()()()()()()()()

 

 何を言っているのか理解出来ないオルガマリーを無視してレフは言葉を続ける。

 

「トリスメギストスはご丁寧にも、残留思念になった君をこの土地に転移させてしまっんだ。ほら。君は生前、レイシフトの適性が無かっただろう?肉体があったままでは転移出来ない」

 

 レフはオルガマリーを嘲笑う。

 

「解るかな?君は死んで初めて、あれ程切望した適性を手に入れたんだ。だからカルデアには戻れない。だってカルデアに戻った時点で、君はその意識は消滅するんだから」

 

「え……え?消滅って、私が……?ちょっと待ってよ……カルデアに、戻れない?」

 

「そうだとも。だがそれではあまりにも哀れだ。生涯をカルデアに捧げた君の為に、せめて今のカルデアがどうなっているか見せてあげよう」

 

 レフはがそう言い、彼が持つ聖杯が輝き出すと、レフの背後の空間が開き、地球儀の様な装着が真っ赤になっていた。その光景にオルガマリーは唖然となる。

 

「な……なによあれ。カルデアスが真っ赤になってる……?嘘、よね?あれ、ただの虚像でしょう、レフ?」

 

「本物だよ。君の為に時空を繋げてあげたんだ。聖杯があればこんな事も出来るからね。さあ、よく見たまえアニムスフィアの末裔。あれがお前たちの愚行の末路だ。人類の生存を示す青色は一片も無い。あるのは燃え盛る赤色(せきしょく)だけ。あれが今回のミッションが引き起こした結果だよ」

 

 レフはニチャリと怪しく嗤う。

 

「良かったねぇマリー?今回もまた君の至らなさが悲劇を起こしたワケだ!」

 

「ふざ───ふざけないで!

 

 オルガマリーは涙を流しながら激情してレフに殴り掛かろうとする。

 

「私の責任じゃない、私は失敗していない、私は死んでなんかいない……!アンタ、何処の誰なのよ!?私のカルデアスに何をしたって言うのよぉ……!」

 

「アレは君の、ではない。まったく───最期まで耳障りな小娘だったなぁ、君は」

 

 すると、オルガマリーの身体が突然宙に浮く。そして真っ赤になったカルデアスの方へ引き寄せられていく。

 

「このまま殺すのは簡単だが、それでは芸が無い。最後に君の願いを叶えてあげよう。"()()()()"とやらに触れると良い。なに、私からの慈悲だと思ってくれたまえ」

 

 レフが言っている事を理解したのか、オルガマリーの顔から血の気が一気に引いた。

 

「ちょ───何言ってるの?レフ?私の宝物って……カルデアス、の事?や、止めて。お願い。だってカルデアスよ?高密度の情報体よ?次元が異なる領域、なのよ?」

 

「ああ。ブラックホールと何ら変わらない。それとも太陽かな。まあ、どちらにせよ人間が触れれば分子レベルで分解される地獄の具現だ。遠慮なく、生きたまま無限の死を味わいたまえ」

 

「いや───いや、いや、助けて、誰か助けて!わた、私、こんな所で死にたくない!」

 

 オルガマリーは泣き叫びながら助けを乞う。

 

「だってまだ褒められてない……!誰も、私を認めてくれてないじゃない……!どうして!?どうしてこんな事ばっかりなの!?」

 

「誰も私を評価してくれなかった!皆私を嫌ってた!」

 

「やだ、やめて、いやいやいやいやいやいやいやいや……!だってまだ何もしていない!生まれてからずっと、ただ一度も、誰にも認めて貰って無かったのに───!」

 

 子どもの様に泣き叫ぶオルガマリーを見て、立香たちは必死に手を伸ばし、レフは愉悦に満ちた表情でそれすらも嘲笑う。

 

「悪いけど───彼女は俺たちの大事な仲間で、その聖杯は俺たちの戦利品だ。返して貰うぞ」

 

 ───しかし、助けを求める人間が目の前に居て、()()()が黙っている訳が無かった。

 

 

『TACTICAL SLASH』

 

 

「何!?」

 

 次の瞬間、聖杯を持っていたレフの左腕が切断された。そして切断された左腕から溢れ落ちる聖杯を掴み取った男──来太の意思に反応して聖杯が光り輝くと、カルデアスに呑まれる寸前だったオルガマリーが今度は来太の方へ引き寄せられ、来太は彼女をしっかりと抱き寄せる。

 

「ら、ライダー……!?」

 

「もう大丈夫ですよ、オルガマリーさん」

 

 

『NINJA』

 

 

『READY FIGHT』

 

 

 涙を流したまま呆然とするオルガマリーに、忍者の様なグリーンカラーのアーマーを上半身に纏った来太がそう答え、2人は立香たちの傍に着地する。

 

「来太!?」

 

「所長!ご無事ですか!?」

 

『ちょっと待って!?その鎧……まさかライダー、今の君は()()()()なのか!?気配遮断でレフに気付かれずに接近していたのかい!?』

 

「説明は後です、ロマニさん。藤丸さんたちも警戒を解かないで」

 

 来太はオルガマリーを降ろして、弧を描く両刃刀【ニンジャデュアラー シングルブレード】を構えた状態でレフを睨む。

 

「お……おのれ───」

 

 レフは切断された左腕の斬り口を右手で押さえながら来太を憎悪の表情で睨み返す。

 

 

「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれぇ!ライダーァ、貴様!余計な真似を!!」

 

 

「生憎だけど、敵を目の前にして余裕な態度をしていた貴方が悪いよ。そう言うのは敵を全滅してからじゃないか?」

 

「黙れぇ!……どちらにしても、所詮そんな抵抗も無意味だ。カルデアは用済みとなった。貴様たち人類はこの時点で滅んでいるのだからな」

 

 レフはそう言い残すと姿を消した。それと同時に洞窟が激しく揺れ崩壊が始まる。

 

『不味い!セイバーが消滅した事で特異点の崩壊が始まったんだ!』

 

「ドクター、至急レイシフトを実行して下さい!」

 

『分かってる、もうやってるよ!でもゴメン、そっちの崩壊が少し早いかも!』

 

「待ってドクター!所長はどうなるの!?」

 

 レイシフトの実行準備に取り掛かるロマニに立香が訊く。

 

『それは……』

 

「……良いわよ………私なんて」

 

 ロマニが言葉を詰まらせているとオルガマリーが呟いた。

 

「オルガマリーさん?」

 

「助けてくれてありがとう、ライダー……いえ、佳面来太。だけど、もう良いの。レフの言う通り、既に死んでいる私はこの特異点と一緒に消滅するわ」

 

「そんな!?ドクター、何とかならないの!?」

 

『……残念だけど。残留思念の状態になっている所長をカルデアに戻したとしても消滅は免れない』

 

「そんな……!?」

 

「先輩……」

 

 納得出来ない立香にマシュはどうすれば良いのか分からない表情で見つめる。

 

「───本当にそれで良いんですか?」

 

「え?」

 

 来太はオルガマリーに問い掛ける。

 

「さっき貴女は"死にたくない"、"まだ誰にも認めて貰っていない"って言ってたじゃないですか。なのに、本当に此処で消える事を望むんですか?」

 

「佳面来太……」

 

「死を覚悟するな。必ず勝ち抜けると信じろ!そうすれば、運は巡って来る」

 

「オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィア。貴女はどうしたい?」

 

「───たい」

 

 来太の言葉を聞いたオルガマリーは震えながら呟くと、顔を上げて叫ぶ。

 

 

「生きたい!死にたくないに決まってるじゃない!まだ私は何も成し遂げていない!何も残していない!」

 

 

「お願い……助けて」

 

「……それだけ聞ければ充分です」

 

 助けを求めるオルガマリーの言葉を聞いた来太は握っている聖杯を見る。

 

「聞いたか聖杯。本当にどんな願いも叶える願望機だと言うのなら、今すぐ彼女の願いを叶えてみせろ!!」

 

 来太がそう言うと、聖杯が眩い程の光を放った。




聖杯くん「いきなり狐野郎に煽られた。ムカついたから本気出したろ」(・Д・#)


【仮面ライダーギーツ ニンジャフォーム】

クラス:アサシン

固有スキル
気配遮断:A+

保有スキル(追加付与)
破壊工作:B
忍術:A+



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episode 9

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どうでも良いですが、私に絵心無いので誰か主人公のイラスト描いてくれませんかね〜。



「此処は……」

 

「フォウ!」

 

「フォウくん……?」

 

「あ、良かった。目が覚めたみたいだね」

 

 来太が目覚めると医務室らしき部屋のベッドに寝かされており、顔の傍で前脚で頬を叩くフォウに気付くと、ロマニが声を掛ける。

 

「ロマニさん…‥と言う事は、此処はカルデアですか?」

 

「そうだよ。カルデアにある医療室だ。気分はどうだい?」

 

「はい、大丈夫です。藤丸さんたちは?」

 

「2人は自室で眠っているよ。一通り検査はしたけど何処も異常は診られなかった」

 

「そうですか、良かった」

 

 立香とマシュの安否を聞いた来太は安堵し、()()1()()の事も確認する。

 

「あの、オルガマリーさんは?彼女もカルデアに居ますよね?」

 

「所長は───」

 

 

「それについては私から説明しよう!」

 

 

「ん?」

 

「フォ!?」

 

 医務室のドアが開き中へ入って来たのは、モナ・リザそっくりの容姿をした長い黒髪の絶世の美女だった。

 

「モナ・リザ?」

 

「お、別の世界から来た君もこの姿の事は知っているみたいだね!うんうん、それだけ私が有名と言う事かな。それじゃあ自己紹介だ。私はレオナルド・ダ・ヴィンチ !万能の天才にしてカルデアに召喚された英霊第3号さ。よろしくライダー……いや、佳面来太くん」

 

「佳面来太です。よろしくお願いします、レオナルドさん」

 

 来太は医務室のベッドから起き上がってダ・ヴィンチに挨拶する。

 

「う〜ん、硬い!これから共に頑張って行くんだ、もっとフランクにいこうぜ。と言う事で、私の事は"ダ・ヴィンチちゃん"と呼びたまえ」

 

「あー……善処します」

 

 グイグイ来るダ・ヴィンチに戸惑う来太を見てロマニが助け舟を出す。

 

「そこまでにしてくれレオナルド。彼が困ってるじゃないか」

 

「そうかい?それじゃあ、本題に行こうか」

 

 そう言ってダ・ヴィンチは説明を始める。

 

「オルガマリー所長の事だが、彼女は無事だよ。君がレフから取り返してくれた聖杯の力で残留思念だった彼女を物質化された事で一命を取り留めた。カルデアを代表して感謝するよ」

 

「僕からも言わせてくれ。所長は勿論、藤丸さんとマシュを助けてくれて本当にありがとう」

 

「いえ。つまり、今のオルガマリーさんは俺たちサーヴァントに近い存在になったと言う事ですか?」

 

「大雑把に言えばそうだね。だが魔術回路は生前のモノと同じ人間レベルで戦闘能力が向上した訳じゃない。他にも色々調べなくちゃいけないから今は研究室で検査中だけどね」

 

「そうですか……良かった」

 

 オルガマリーが無事にカルデアに戻れた事に来太は心の底から安堵する。ダ・ヴィンチはそんな来太を興味深そうな目で見る。

 

「君の事はモニター越しで観て分かっていたが、物凄くお人好しだね。マスターである藤丸立香ちゃんはともかく、マシュやオルガマリーの事も心配するなんて。だが、私としては好印象だ」

 

「これでも元の世界ではヒーローとして人命救助もやっていましたから。彼女たちが無事だと聞いて安心しない訳がありませんよ」

 

「え!?君って本物のヒーローなのかい!?宝具を見てそれっぽいとは思ったけど」

 

「まあ、普通は驚きますよね」

 

「フォウ、フォウ」

 

「ンンッ、話を続けても良いかな?」

 

 来太は驚愕するロマニに苦笑しているとダ・ヴィンチがわざとらしく咳払いする。

 

「特異点Fでの調査結果としては我々の勝利だ……だが」

 

()()()()()()()()()()()……ですよね?」

 

 来太の言葉にダ・ヴィンチは頷く。

 

「その通り。今回の黒幕であるレフの行方はまだ掴めていない。それに特異点は今回の冬木市以外にも7()()()の発現を観測した。人理修復を目的とする我々カルデアとしては直ちに動かなくてはならない状況だ」

 

「藤丸さんにも後で説明するけど、先ずは君の意見を聞いておきたい。現状カルデアの最大戦力であるサーヴァントとして」

 

 2人から真剣な表情で見つめられながら、来太は答える。

 

「俺はあくまで藤丸さんのサーヴァントなので、最終的な結論は彼女次第になりますが……俺個人としては皆さんに協力します。その為に召喚に応じましたので」

 

「ありがとう。これからもよろしく頼むよ」

 

「此方こそ、よろしくお願いします」

 

 来太の返答を聞いたロマニは右手を来太の方へ差し出す。来太も右手に嵌めていた皮手袋を外しロマニの手を握る。そして来太はロマニたちに訊く。

 

「早速で申し訳ないんですけど、何か手伝える事ありますか?藤丸さんたちが目覚めるまで待つのもなんですので」

 

「良いのかい?それじゃあ、管制室に行ってくれるかな?今スタッフ一同で瓦礫の撤去をしてるから」

 

「分かりました」

 

「助かるよー。此処のスタッフはインドア派のモヤシッ子ばかりでね。肉体労働とは縁が遠くてなかなか作業が進まなくてさ」

 

「大丈夫です。それでは行ってきます。フォウくん、君はどうする?藤丸さんかマシュの所に行く?」

 

「フォウ!」

 

 フォウは来太の肩に飛び乗った。どうやら"途中まで送ってくれ"と言っている様だ。太々しいフォウに苦笑し、来太は医務室のドアへ移動する。

 

「それではロマニさん、ダ・ヴィンチ……さん。また後で」

 

「うん。悪いけどお願いね」

 

「だから私の事は"ダ・ヴィンチちゃん"だって言ってるだろー」

 

 2人にそう言って来太は途中までフォウを乗せながら管制室へ向かう。




次回「藤丸立香、決意する」

それとその次で幕間に入ります。内容としてはアンケートにあったサーヴァント召喚回です。


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episode 10

募集していたアンケートの結果、次回の召喚回でカルデアに召喚するサーヴァントは元祖セイバーことアルトリア・ペンドラゴンと赤い弓兵(オカン)ことエミヤに決定しました!

ご協力ありがとうございました!!


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「あーーー、やっと作業終わったなあ」

 

「だな」

 

「なんとかなったね」

 

 カルデアの管制室では瓦礫の撤去作業を終えたスタッフたちが疲労した様子で会話をしていた。

 

「まあ、ライダーの彼のお陰で思っていたよりも早く終わる事が出来たんだけどな」

 

「ああ。僕たちの3倍以上の速さで瓦礫をどかしてたからな。流石は英霊だよ」

 

「彼、嫌な顔一つもしないで手伝ってくれたよね。それどころか私たちにも気を配ってくれてたし。なんと言うか……想像してた英霊とはイメージが違ったと言うか……雰囲気が私たちに近い感じだったよね」

 

「何でも彼は此方の時代と似た別の世界から召喚されたらしい。価値観とか考え方が現代の僕たちに近いんじゃないか?」

 

「そう言えば、そのライダーは?」

 

「呼びましたか?」

 

「「「うわっ!?」」」

 

 突然背後から声がした事でスタッフたちは思わず驚いた。振り返ると来太がカップを乗せたカートと共に立っていた。

 

「あ、すみません。驚かせるつもりは無かったんですが」

 

「い、いや。大丈夫だよ……えーと」

 

「俺の事は名前、真名で呼んで下さい。佳面でも来太でも、呼び易い方で大丈夫です」

 

「そ、それでは……来太。どうかしたのか?さっきまで姿が見えなかったが」

 

「作業も終わりましたので少し休憩しませんか?コーヒー淹れて来ましたので」

 

「コーヒー?貴方が淹れたの?」

 

 カートの上にはコーヒーが淹れられたカップが乗せられていた。コーヒーからはとても良い香りが漂っていた。

 

「はい。実家がコーヒーショップを経営してたので味は保証しますよ。まあ、まだまだオーナーのオヤッさんには構いませんが」

 

(((実家がコーヒーショップの英霊って……)))

 

「そ、それじゃあ……」

 

 スタッフの1人ジングル・アンベル・ムニエルが戸惑いながらもカップを1つ手に取ってみる。香りを嗅ぐとコーヒーの上品な香りが嗅覚を刺激される。そしてコーヒーを一口啜る。

 

次の瞬間

 

 

「ウッッッッッッッマ!!?」

 

 

 ムニエルは両目を"クワッ!!"と見開きながら驚愕の叫びを挙げる。

 

「え!?これコーヒーだよな!?本当にコーヒーか!?こんな美味いコーヒー飲んだの初めてだぞ!?」

 

「そ、そんなにか?」

 

「それじゃあ私たちも」

 

 あまりの極上の味に軽いキャラ崩壊をするムニエルに続いて技師のソリア・ナイワー、オペレーターの芽昴昴(マオ・マオマオ)の2人もカップ手に取ってコーヒーを啜る。

 

 

「「ウッッッッッッッマ!!?」」

 

 

 コーヒーを飲んだ途端、2人も同じ様に目を見開きながら叫んだ。

 

「こ、これ程の味とは……!?」

 

「私たちが今まで飲んだコーヒーとはまるで別次元!?と言うか、今まで飲んだコーヒーは泥水同然だった!?」

 

「気に入ってくれて良かったです。また機会があれば淹れますね。あ、おかわりもありますけど」

 

 

「「「是非お願いします!!!」」」

 

 

 来太は苦笑しておかわりの確認をすると3人は瞬時に頭を下げて頼んだ。そして、他のスタッフたちも来太が淹れたコーヒーの美味さに驚愕したのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

 一時の休息が終わり、カルデア職員は管制室に集まっていた。

 

「皆集まったね。これよりブリーフィングを始めるよ」

 

 ロマニはそう言ってコンソールを操作すると、空中に立体映像が表示させる。

 

「藤丸さんたちのお陰で冬木の特異点は無事に消失した……けれど、未来は引き続き観測出来ず、カルデアスも紅く燃えたままだ。つまり、他にも原因があると僕たちは仮定した。そして見つけ出したのがこの狂った世界地図。冬木とは比較にもならない程の時空の乱れを起こす7つの特異点だ」

 

 映像には世界地図が表示され、7箇所にポイントが点滅していた。つまり、この7つのポイント全てが特異点と言う事だ。

 

「現在カルデアは職員の7割が死亡……マスター候補も藤丸さんを除く47名が瀕死。コールドスリープで仮死状態になっている。つまり───」

 

「7つの特異点を全て消滅させ、人類を救えるのは……藤丸立香。()()()()()()

 

 ロマニの言葉に割り込んだのは、聖杯の力でカルデアに生還したオルガマリーだった。その後ろからダ・ヴィンチが付いて来る。

 

「所長!もう起きて大丈夫なんですか!?」

 

「ええ、レオナルド……ダ・ヴィンチのチェックは済ませたわ。それに、ゆっくり寝ている暇なんて無いもの」

 

「私も安静にする様に言ったんだけど、どうしてもブリーフィングに参加するって聞かなかってさ〜」

 

 心配するロマニにそう言い、オルガマリーは立香の方を見る。

 

「一般枠として無理矢理カルデアに連れて来られた貴女にこんな事を言うのは酷な事は分かっているわ……それでも貴女には言わなきゃいけない」

 

「藤丸立香、貴女には冬木市と同様に7つの特異点にレイシフトし、聖杯を奪還して歴史を正しい形に修正する戦いに参加して貰います」

 

「貴女に、人類を救う覚悟はありますか?」

 

「私は───」

 

 オルガマリーの言葉に、立香は顔を伏せる。そして彼女の手が震えているのが見て分かった。一同が不安と申し訳無い表情で立香を見つめる。

 

「すみません、俺から1つ良いですか?」

 

 そんな中、来太は前に出る。そして、来太は立香の前に立つ。

 

「来太…‥?」

 

「サーヴァントの俺がこんな事言うのは間違ってると思うけど……藤丸さん、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「え?」

 

「ちょっと佳面来太!?貴方何を言って───」

 

 来太の突然の発言に立香は顔を上げる。そしてオルガマリーは勿論、ロマニやマシュ、カルデア職員たちが動揺する。唯一ダ・ヴィンチだけは落ち着いた様子で来太を見つめる。周りの皆の視線を来太は気にせず続ける。

 

「君は()()()()()()()()。いきなり"人類を救え"って言われても何の事か解らなくて当たり前だよ……だから」

 

「君は帰りたい場所に戻る為に、今会いたいと思う人たちにまた会う為に……そして、君自身が生きる為に頑張れば良い」

 

「生きる……為に?」

 

「うん。君がそれを望むなら、俺は持てる全ての力で君を守る。そしてカルデアの皆……君たちが生きるこの世界を守る為に、俺は戦うよ」

 

 来太はそう言って立香に向かって笑う。

 

「元の場所に戻る為に、会いたい人たちに会う為に、生きる為に頑張っていけば、それが人類を救う事に繋がると思う。藤丸立香さん、君はどうしたい?」

 

 来太の問い掛けに立香は考え、そして答える。

 

「───私は、人類を救うなんて覚悟は無い。今だって話を全部理解出来た訳じゃ無い。それに、どうしようもないくらい怖いよ」

 

「うん」

 

「でも!」

 

 立香は真っ直ぐ来太を見る。

 

「家に戻れなくて、家族や友だちと会えなくて、このまま死んじゃうのは嫌だ!それにマシュや所長、ドクターや此処の皆に死んで欲しく無い!」

 

 

「私に出来る事があるなら、私は頑張りたい!!」

 

 

「……分かった。君がそれを望むなら、俺は君の力になる。サーヴァントとして───そして、ヒーローとして」

 

 立香の答えを聞いた来太は頷き、オルガマリーとロマニを見る。

 

「よろしいですね?オルガマリーさん、ロマニさん」

 

「……ええ。彼女の言葉で私たちの運命は決まったわ」

 

「僕たちも彼女の望みの為に出来るだけの事を全部やるつもりだよ」

 

 2人も覚悟を決まった表情で答える。そしてオルガマリーは管制室に居る全員に向けて発言する。

 

「生き残った全てのカルデア職員に告げる!これよりカルデアは予定通り、人理継続の尊命を全うします!たとえどんな結末が待っていようとも!」

 

「そして───作戦名を"ファースト・オーダー"から改名。カルデア最後にして原初の使命、人理守護指定"G.O(グランド・オーダー)"

 

 

「魔術世界に於ける最高位の使命を以て、私たちは必ず未来を取り戻します!!」

 

 

「「「はいっ!!」」」

 

 

 オルガマリーの宣言を以て、来太たちカルデアは人類史を取り戻す戦いに身を投じる事を決意する。

 

 




次回「召喚回&模擬戦【前編】」です。

次回登場する仮面ライダーのヒントは「カード」です。


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幕間①
episode 10.5-①



ギーツ23話で遂に鈴木福さんが演じるジーンが変身する仮面ライダージーンの初戦闘が観る事が出来ましたね。
レイザーレイズライザーによる銃撃戦は勿論、物質やエネルギーのベクトルを操作すると言う何処ぞの学園都市第1位の最強さんみたいな事もやってたりと並々ならぬ強さを披露して驚きました!
しかも英寿とのW変身+共闘と熱い展開が繰り広げる中でデザグラの運営とサポーターたちが遥か未来から来た人間である事が発覚してますます面白くなって来ました!!


今回のお話はサーヴァント召喚&模擬戦【前編】です。

今回変身する仮面ライダーのヒントは「カード」「記憶」「星座」です。


「ふあぁ……もう朝か」

 

 オルガマリーが人理修復を宣言した翌朝、立香はベッドに置かれたデジタル時計のアラームによって目を覚ました。半分意識が眠っている中、立香は上体を起き上がらせる。

 

「不思議なくらい良く眠れた気がする」

 

 立香は昨日の事を思い出す。冬木市から帰還後、オルガマリーとロマニから現状を知らされ、そして人類の未来を守るべく7つの特異点を攻略を命じられた。あの時、何も解らない自分に人類の救う覚悟があるか問われ、どうすれば良いのか分からなかった。そんな自分に寄り添ってくれた来太の言葉により、生きる為に戦う事を決意したのである。

 

 あの時の来太の言葉がどれだけ自分にのし掛かった重荷が軽くなった事を、彼の言葉が自分の背中を押してくれた事を、立香は実感していた。

 

「そう言えば、ちゃんとお礼言えてなかったな」

 

 あの後来太にお礼を言えなかった事に気が付いた立香はベッドから起き上がりながら思い出し、立香は来太に会ったら直ぐに言おうと決意してカルデアの制服に着替え始める。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「お早うございます、先輩」

 

「フォウ!」

 

「お早う!マシュ、フォウくん」

 

 着替え終えた立香は朝食を食べる為に食堂へ向かう途中マシュとフォウと合流する。

 

「良く眠れましたか、先輩?」

 

「うん、バッチリ。マシュは?」

 

「はい。マシュ・キリエライト、普段通りの睡眠でした」

 

「フォフォウ!」

 

「フォウさんも良く眠れた様です」

 

「そっか、良かった」

 

 他愛無い会話を交わしながら食堂に到着すると、朝食の良い匂いが漂っていた。

 

「うわ、凄く美味しそうな匂いがするね」

 

「はい。素晴らしい朝食の匂いです」

 

「フォーウ!」

 

「お早う、皆」

 

 カウンターにはエプロンを身に付けた来太が立っていた。

 

「お早う、来太!」

 

「お早うございます、来太さん」

 

「フォウフォーウ!」

 

「うん、お早う。朝食用意したからしっかり食べてね。和食と洋食の2種類作ってあるから」

 

「来太が作ったの!?」

 

「凄いです。この間のコーヒーも美味しかったですが、来太さんは料理も達人級なんですね」

 

「フォウ!」

 

 厨房からは炊き立ての白米と味噌汁と焼き鮭の和食の匂い、焼き立てのパンと香ばしいウィンナーにバターを使ったオムレツと野菜スープの洋食の匂いに立香たちは気が付いた。そんな彼女たちに来太は苦笑しながら答える。

 

「まあ、()()()()()()()()()()()()()()()()。俺は洋食の方が得意だから」

 

「え?そうなの?」

 

「そうだよ。それで、藤丸さんたちは何にする?」

 

「あ、私は和食で!」

 

「私は洋食をお願いします」

 

「フォウ!フォフォウ、フォウ?」

 

「大丈夫だよ。フォウくんの分も作ってあるから。フォウくん専用のご機嫌プレートだよ」

 

「フォウ!」

 

 立香たちはそれぞれ朝食を選び、その味を堪能したのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「遅い!早く来なさいよ!」

 

 厨房の仕事を終えた来太と朝食を済ませた立香たちはカルデアに存在するある部屋に行くと、オルガマリーがご機嫌斜めな様子で睨む。

 

「お早うございます、所長。けど集合時間より5分早いですけど」

 

「集合時間の10分前には来なさいって言ってるのよ!司令官の私を待たせるなんてどう言う事!?」

 

「まーまー所長、朝からそう怒らないで下さいよ」

 

「貴方も所長補佐なのにギリギリで来てたじゃない!自覚を持ちなさいロマニ!」

 

「うえぇ!?僕までとばっちり!?」

 

 朝からイライラするオルガマリーに立香たちは怯む。そんな彼女に来太が話し掛ける。

 

「遅くなってすみません、オルガマリーさん。あ、これ朝食で作ったので後で召し上がって下さい」

 

「貴方も貴方でマイペース過ぎるわよ、佳面来太!だいだい、サーヴァントならマスターのスケジュール管理ぐらいしておきなさいよ!」

 

「そうですね、次から気を付けます。それと、今日の朝食は忙しいオルガマリーさんの為にサンドイッチを用意しました」

 

「ッ!……コーヒーは?」

 

「はい、ちゃんと用意してますよ」

 

「そ、そう。なら後で戴くとするわ」

 

「はい」

 

(((あれ?餌付けされてる……?)))

 

 さっきまで怒っていたとは打って変わり、少し機嫌を直したオルガマリーに立香たちは首を傾げる。

 

「何?」

 

「「「いえ、なんでもありません」」」

 

「はーい、そこまで。楽しい話も良いが本題に入ろうか」

 

 オルガマリーが睨むと立香たちは誤魔化した。そこへダ・ヴィンチが割って入る。

 

「今回集まって貰ったのは他でもない、立香ちゃんには戦力強化の為に新しいサーヴァントを召喚して貰うよ」

 

「新しいサーヴァント?」

 

「そう。現状カルデアに滞在しているサーヴァントは私とマシュ、そして来太の3騎のみ。これから特異点を攻略するには戦力が不足している」

 

「そこでカルデアの召喚システム、守護英霊召喚システム・フェイトを使ってサーヴァントを召喚する事になったんだ。けどカルデアは先日の被害でシステムに負担をあまり掛けられない為、召喚出来る回数が限られている。現状、2回までしか召喚が出来ないんだ」

 

 ダ・ヴィンチと共にロマニも説明に入る。

 

「2回まで……」

 

「あの、召喚に必要な触媒はどうされるのですか?」

 

「残念だけど触媒は無い。だから特定のサーヴァントを召喚する事が不可能で、召喚されるサーヴァントはランダムになると思う」

 

「無いものねだりしても仕方ないわ。早速準備を始めます。ダ・ヴィンチ」

 

「はいはーい」

 

 オルガマリーの指示の元ダ・ヴィンチが召喚の術式の準備に取り掛かる。そんな中、立香はマシュに話し掛ける。

 

「どんな人が来てくれるのかな?マシュや来太やダ・ヴィンチちゃんみたいに優しい人が良いな」

 

「あ、ありがとうございます。けど心配しないで下さい、先輩。先輩なら素晴らしい方をお呼びする事が出来ると思います」

 

「そうかなぁ……ねえ、来太はどんなサーヴァントに来て欲しい?」

 

 立香は来太にどんなサーヴァントが来て欲しいか訊いた。

 

「俺?そうだな……出来ればクーさんに来て欲しいかな。勝負の約束もあるし。それとは別だとキャスタークラスの人に来て欲しいかな」

 

「クー・フーリンかあ、確かに冬木市の時は助けてくれたよね。それとキャスター?」

 

「どうしてキャスタークラスなんですか?」

 

「あの時はキャスターがクーさんだったし俺たちに味方してくれたから助かったけど、もし敵側にキャスターが居たら厄介だったと思うんだよね。例えば、もし敵側のキャスターが藤丸さんに魔術を使って操られたりしたら面倒になるだろうし」

 

「それは……確かにそうですね。キャスタークラスのサーヴァントは皆魔術の腕前は現代の魔術師よりも遥かに優れています。先輩の安全を考慮すると味方側にキャスターが居てくれると心強いですね」

 

「それ以外のサーヴァントならどんな相手でも戦えるけど、魔術に関しては知識不足だしまだ対策も立てられないから。俺としては1人でもキャスタークラスが居てくれると助かるかな」

 

「成る程〜」

 

「フォウ、フォウ」

 

「よし、システムクリア!いつでも良いよ♪」

 

 来太たちが話していると、召喚術式の準備が完了する。

 

「所長」

 

「ええ……召喚システム、起動!」

 

オルガマリーの掛け声と共にシステムが起動し、術式が発動する。部屋の中心に置かれていたマシュの盾から魔方陣が展開され、召喚サークルの光帯が回転し眩い光を放つ。そして、光り輝くサークルから人影が現れる。

 

 

「問おう、貴女が私のマスターか?」

 

 

 召喚されたサーヴァントの正体は、凛とした空気を纏った、金髪の髪を後ろで結い上げ、青と銀の甲冑を着た見目麗しい少女剣士だった。

 

「彼女は……」

 

「セイバー!?」

 

「はい!冬木市で戦ったアーサー王です!」

 

「凄い!?いきなりアーサー王を召喚するなんて!?」

 

「良いわ!即戦力よ!」

 

「フォウ!」

 

 セイバー、アーサー王が召喚された事に来太たちは各々反応する。そんな中、アーサー王は少し困惑した表情をする。

 

「あの、以前に会った事がありましたか?」

 

「え?覚えてないの?この間会ったばっかりだけど」

 

「そうなのですね……すみません、私は貴女たちと会った記憶がありません」

 

「そうなんですか?」

 

 疑問を抱く立香とマシュにロマニが召喚の仕組みについて説明する。

 

「まあ、仕方ないよ。英霊の座には過去や未来の概念は無く、時間も空間も確定しないからね。再召喚されても前に召喚された記憶を受け継ぐとは限らないし。それに冬木市でのアーサー王は普通じゃなかったみたいだし、こっちが本家みたいなものだよ」

 

「そうなんだ。それじゃあ自己紹介するね。私は藤丸立香!こっちが後輩のマシュで、こっちの頼りになるお兄さんが来太だよ」

 

「ま、マシュ・キリエライトです!よろしくお願いします、セイバーさん!」

 

「ライダーのサーヴァント、佳面来太です。よろしくお願いします、ペンドラゴン陛下」

 

「リツカとマシュ、それにライタですね。私はアルトリア・ペンドラゴン。ブリテンの王にして、セイバーとして召喚に応じました。これからよろしくお願いします。それと、私の事はアルトリアと呼んで下さい」

 

「うん!よろしくね、アルトリア!」

 

「貴女ねえ……少しは敬いなさいよ。相手はブリテンの騎士王よ?」

 

「まあ、本人が良いなら良いんじゃない?ほらほら、召喚は後1回残ってるんだから挨拶はその辺で」

 

 セイバー、アルトリアに笑顔で挨拶する立香にオルガマリーが頭を抑えているとダ・ヴィンチが次の召喚を急かす。

 

 再び魔方陣が展開され、召喚サークルの光帯が回転し眩い光を放たれる。

 

 

「サーヴァント、アーチャー。召喚に応じ現界した」

 

 

 サークルから現れたのは浅黒い肌に赤い外套を纏った白髪の男。冬木市で来太が戦ったアーチャーのサーヴァントだった。

 

「アーチャーだ!?」

 

「はい、あの方も冬木市でお会いしました!」

 

「立て続けで冬木市の特異点に所縁のあるサーヴァントが召喚されるなんて!?」

 

「まさか、回収した聖杯に導かれたの?」

 

「フォーウ?」

 

(まさかこうなるとは、驚いたな……と言うか、結局クーさん来なかったな)

 

「どうやら、あまり歓迎されていない様だな。期待に応えられなくてすまないが、生憎とクーリングオフは出来ないのでな。悪く思わないでくれ」

 

 一同のリアクションを観てアーチャーは皮肉を言い放つ。そんなアーチャーにアルトリアが話し掛ける。

 

「まさか、貴方も召喚されるとは思いませんでした……アーチャー」

 

「まさか、セイバーか……?私も君と再び顔を合わせるとは思わなかったよ」

 

「あれ?アルトリアはアーチャーの事は覚えているの?」

 

「はい。実はリツカたちと会ったと言われるモノとは別の聖杯戦争で彼とは面識がありまして」

 

「成る程、今回の召喚は本来のモノとは異なるらしいな。改めて、アーチャーだ。見たところ君がマスターで良いのかな?」

 

「うん!藤丸立香です!よろしくね、アーチャー!」

 

 挨拶する立香を見て、アーチャーは目を細める。

 

「これは随分と人懐っこいマスターだな。それに真っ当な魔術師では無い様だが……まあ良い。よろしく頼むよ、マスター」

 

「うん、よろしくね!それで貴方の名前は何て言うの?」

 

「私はそこに居るセイバーの様に名の知れた英霊では無くてね。聞いてもマスターがガッカリするだけだと思うが?」

 

「それでも私は貴方の名前を教えて欲しい。これから一緒に頑張って行く仲間の事を知っておきたいから」

 

 立香の言葉にアーチャーはじっと彼女を見つめ、呟く。

 

エミヤだ」

 

「エミヤ……うん。改めてよろしくね、エミヤ!」

 

「ああ」

 

 一通り挨拶を終えると、ダ・ヴィンチから提案が挙がる。

 

「よし、挨拶も済んだしちょっとした交流会をやってみようか」

 

「交流会?何をするつもりだい、レオナルド」

 

「なに、特異点攻略前の能力テストってやつさ。それじゃあ早速だが皆、シュミレーションルームへ移動しようか」

 

「「「シュミレーションルーム?」」」

 

「フォウ?」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

 ダ・ヴィンチの指示に従いシュミレーションルームへ移動した来太たちは平野を模した仮想空間に居た。

 

「能力テストって、2vs2の模擬戦の事だったみたいですね」

 

「その様ですね。しかし仮初とは言え、これ程まで風景を再現する事が出来るとは……現代の力もなかなかのモノですね」

 

 来太の隣に立つアルトリアが仮想空間を見回しながらそう言った。今回の模擬戦はダ・ヴィンチ特製のくじ引きによって2人組でペアを組む事となった。来太のペアはアルトリア、マシュのペアはエミヤとなっている。ちなみに立香はマシュ&エミヤペアの指揮官役である。

 

『まだ立香ちゃんはサーヴァント同士の戦闘での細かい指揮は出来ないけど、戦闘に少しでも慣れて貰う事と"自分が指揮するならどうすれば良いのか"を考える癖を身に付けて貰いたくてね。突然で申し訳ないが協力頼むよ』

 

『あくまで模擬戦だから、お互い無茶はしない様にね』

 

『まったく、事前に許可くらい取りなさいよね……』

 

 通信越しでカルデアの管制室に待機するオルガマリーたちが模擬戦の観戦をする。

 

「よろしくね!マシュ、エミヤ!」

 

「はい!マシュ・キリエライト、未熟ながら頑張ります!」

 

「やれやれ、召喚されて早々手荒な歓迎を受けるとはな」

 

 気合を入れるマシュに対して、エミヤは溜め息を吐きながら愚痴を零した。彼らを前に来太はアルトリアに作戦について話し掛ける。

 

「取り敢えず、お互いに1vs1に持ち込む形で良いですかね?アルトリアさんはエミヤさんの戦い方はご存じですか?」

 

「はい。彼はアーチャーとしての実力もさる事ながら、短剣による白兵戦も熟します。彼の剣に関しては守りに長けている印象がありますね」

 

「それじゃあ俺がマシュの相手をしますので、アルトリアさんはエミヤさんをお願いします。余裕があれば俺も出来るだけフォローに回れる様にします」

 

「お願いします。それでライタ、貴方はライダーですが宝具は戦車を使うのですか?」

 

「正確に言うと戦車では無いんですけど、今回は場所が限定されてますので白兵戦に徹します。これでも徒手空拳や剣とか色々出来ますので」

 

「ほう、それは心強い。それではその手腕、期待してますよ」

 

「分かりました」

 

 来太とアルトリアがある程度作戦の方針を決めていると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

来太、ちゃんと協力して戦わないと駄目だぞ

 

()()()()()()()()()()

 

「?何か言いましたか?」

 

「いえ、何でも無いですよ」

 

「?」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()にアルトリアは首を傾げる中、マシュとエミヤも作戦について話し合っていた。

 

「ところでマスター、マシュ。君たちはライダーの彼の能力について知っているだろう?彼がどの様な戦いをするのか教えてくれないか」

 

「来太さんですか?えっと、来太さんは宝具であるベルトとアイテムを使用して変身するサーヴァントです」

 

「なに、変身だと?」

 

「そうだよ。子どもの頃テレビで見たヒーローみたいに白い狐みたいな仮面をして色んな姿に変身してたんだ」

 

「フォウ!」

 

 立香とマシュから来太の能力を聞いたエミヤは僅かながら眉を吊り上げる。

 

「ほう……随分と変わった宝具を使用するのだな。ちなみにだが、武器は使うのか?」

 

「私たちが知っている分ですと、拳銃型の武器で戦闘をしていました。それと緑色の鎧を纏った時は特殊な形状の剣を使用していたと思います」

 

「それと、来太は変身した時に纏った鎧でクラスを変えたりしてたよ。アーチャーとかアサシンとか」

 

「フォウ、フォウ!」

 

「待ってくれ、それはサーヴァントのシステム的に許されるのか?」

 

『まあ、その辺は深く考えない方が良いと思うよ。正直僕たちも理解出来ていない部分だし』

 

『私としては彼の宝具について色々調べてみたいけどさ〜。彼には丁重に断られたんだよね〜』

 

『あの時は貴方が暴走したからじゃない。あんなの誰だって断るわよ』

 

『ええ〜?私としては優しく聞いただけだけどな〜』

 

『何処がよ!』

 

『その辺にしようか2人共。いつまで経っても始められないだろう?』

 

 茶化しながら誤魔化すダ・ヴィンチとヒステリックになりつつあるオルガマリーをロマニが静止させる。そんな光景を見ながら来太は準備を始める。

 

「それじゃあ、行きますか」

 

 そう言うと来太の左手には【デザイアドライバー】とは全く異なる緑と黄色のラインが入ったベルトが握られ、来太は自身の腰に巻き付ける。

 

「あれ?あのベルト……」

 

「はい。私たちが見たベルトとは形状が異なります」

 

「フォウ?」

 

「何?」

 

『待って!?あの時のベルトじゃない!?』

 

『どう言う事どう言う事!?まさか全く異なる宝具と言う事かい!?気になる〜!』

 

『ちょっと!?どう言う事よ、佳面来太!?』

 

 来太が装着したベルトを見て、彼の変身を見た事がある立香たちや情報を知るダ・ヴィンチが困惑する。

 

「ライタ、何やらリツカたちが驚いている様ですが……」

 

「まあ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 立香たちと同様に困惑するアルトリアにそう言いながら、来太は装着したベルト【ゼロノスベルト】の左側に備わっているホルダーから表面が緑色、裏面が黄色のカードの【ゼロノスカード】を1枚取り出し、バックルパーツの上部にあるレバーを右側にスライドさせると、ベルトから和風の待機音声が鳴り響く。

 

 

「変身!」

 

 

 来太は【ゼロノスカード】をベルトの右側にある挿入口からバックルパーツの【クロスディクス】にアップセットする。緑色の【ゼロノスカード】を装填すると【クロスディクス】の丸いパーツが可動され、緑色の『A』の文字が浮かび上がる。

 

 

『Altair Form』

 

 

 ベルトから認証音声が鳴ると、来太が宿るチャクラと呼ばれるエネルギーからフリーエネルギーを吸収して緑色のオーラに変化する。すると来太の体に黒いアーマー【オーラスキン】が覆われ、その上から緑色の鎧【オーラアーマー】が装着させる。そして銀色だったレール状のモールド【ゼロレール】が金色へと変化し、頭部のレールの上を緑色の牛を模したマスク【電仮面】が移動し、大きな複眼【ブルズスキャンアイ】と角の【ホーントレーダー】に変化する。

 

 そして、変身を完了した来太は立香たちに向けて指を差しながら宣言する。

 

 

「最初に言っておく、俺はかーなーり強い!」




仮面ライダー紹介

仮面ライダーゼロノス アルタイルフォーム

レア度【SR】

出典:『仮面ライダー電王』

クラス:ライダー

固有スキル
対魔力:C
騎乗:A+

保有スキル(追加付与)
天狗の兵法(偽):A
燕の早業(偽):B


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episode 10.5-②


来太がゼロノスに変身した事に読んでいただいた方々から驚きの声が挙がって"してやったり"と内心でガッツポーズをとりました。

それと多くの方から質問を受けまして「ゼロノスに変身した時のデメリットの件」ですが、ザックリ説明しますと電王系ライダーに変身している間来太は電王の変身者である野上良太郎やNEW電王の野上幸太郎と同様【特異点】になりますのでゼロノスカードのデメリットは解消される形となっております。電王の世界では「時間」=「記憶」なので。
ですが【特異点】の状態だと「幸運:E−」にまで低下します。

今回は模擬戦【中編】です。

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「別の姿に変身した!?」

 

「一応聞くがマスター、アレの何処が狐なんだ?」

 

「私も知らないよ!」

 

「はい!今の来太さんは狐ではなくて牛です!」

 

「フォーーウ!?」

 

『ライダークラスは多彩な宝具を所持するとは知ってはいたけど、アレは流石に予想外過ぎるよ!?』

 

『佳面来太、どう言う事か説明しなさい!』

 

『ベルトで変身するプロセスは同じみたいだけど今回のはカード型のアイテムを使用した感じか!?面白いなー!やっぱりどんな仕組みか後で調べさせて欲しいなーー!』

 

 ゼロノスに変身した来太を見て立香たちは驚愕の反応をする。そんな彼女たちを他所に、来太は【ゼロノスベルト】の右側に装備された【ゼロガッシャー ガンパーツ】を取り外し、左側に装着された【ゼロガッシャー サーベルパーツ】に連結させる。そして引き抜くとサーベルパーツが肥大化し【ゼロガッシャー サーベルモード】となった。

 

「それじゃあ、アルトリアさん。そっちはお願いします」

 

「え、ええ。分かりました」

 

 そう言って来太はマシュへ疾走し、アルトリアも聖剣を構えてエミヤへ疾る。

 

「来るぞ。悪いがライダーの相手は任せるぞ、マシュ」

 

「は、はい!」

 

 エミヤは両手に短剣を握りながらマシュに指示する。マシュも戸惑いながらも武器である盾を構えて戦闘体勢に入る。

 

「ハア!」

 

「クッ!?」

 

 来太が振り下ろした【ゼロガッシャー】とマシュの盾が激突し、両者の間で火花が散る。来太はそのまま【ゼロガッシャー】による連続攻撃で攻め立てる。

 

「フッ!セアッ!」

 

「クゥッ!」

 

 マシュは何とか【ゼロガッシャー】の斬撃を盾で防ぎ続けるが、反撃の隙を与えてくれないせいで防戦一方となる。

 

「行きますよ、アーチャー!」

 

「来い」

 

 そして、アルトリアとエミヤの2人も始めから激しい攻防を繰り広げる。アルトリアの聖剣による怒涛の攻撃をエミヤは二振りの短剣で巧みに捌く。単純な力勝負ならアルトリアに軍配が上がるが、エミヤは技術でそれに喰らい付いていた。

 

 アルトリアはそんなエミヤを見て不敵に笑う。

 

「相変わらず、守りが巧いですね!」

 

「褒め言葉として受け取っておこう!」

 

『いやいや!なんでアーチャーなのにセイバー相手に白兵戦が成立出来てるのさ!?本当にアーチャーなのかい!?』

 

『佳面来太と言い、貴方たちクラス詐欺にも程があるわよ!?』

 

「生憎、そこのライダーと違って私は正真正銘のアーチャーだ」

 

「いや、俺も本職ライダーですからね!?」

 

『え〜〜本当かなあ?実はどんなクラスにもなれるエクストラクラスとかじゃないのかい?』

 

「本当ですって!」

 

 周りが信じてくれない現状に来太は攻撃を続けながら嘆いた。

 

「マシュ、一旦距離を取って!」

 

「ッ!?了解、マスター!」

 

 立香の指示に従いマシュは後退する。

 

「逃がさないよ!」

 

 しかし、来太は跳躍し空中を錐揉み回転しながらマシュの背後に回る。そして来太はマシュの背中に蹴りを放つ。

 

「ハアッ!」

 

「あっ!?」

 

 蹴りが直撃したマシュは地面に転がる。

 

「悪いけど休む暇は与えない!」

 

 来太は攻撃の手を緩まず【ゼロガッシャー】を構えて攻撃しようとマシュへ接近しようと動く。

 

その時───

 

 

「来太、駄目だ!!」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「ぐえっ!?」

 

 

 両足首を掴まれた来太はそのまま顔面から地面に倒れる。

 

「イッタぁ……()()()()()()()()()

 

「ごめん、来太」

 

 来太は自分の足元に視線を向けると、そこにはカラスの様な顔に黒いフード付きのマントを纏った様な姿をした人型の何かが来太に頭を下げて謝っていた。

 

「え?誰!?」

 

「あの方は一体……?」

 

「フォッ!?」

 

「アレは?」

 

「黒子……か?」

 

『ちょっ!?何だアレは!?と言うか、いつの間に仮想空間に!?』

 

『何なのよアイツ!?』

 

『おやおや?彼から微弱ながら来太と同じ魔力反応がある……と言う事は、彼に関係してるのかな?』

 

 突然出現した黒い怪人デネブに立香たちは勿論、戦闘中だったアルトリアとエミヤでさえも動きを止めて困惑する。そんな中、来太はデネブに訊く。

 

「いきなりどうしたの、デネブ?」

 

「来太、()()()()()()()()()()()。攻撃のペースが速いし、このまま体力を消耗して持久戦になったら不利だ。もっと落ち着いて戦わないと」

 

 デネブは心配そうな様子で来太に答える。そんな生真面目なデネブの返答を聞いた来太は仮面越しに苦笑する。

 

「ああ〜……確かにそうかもしれないね……分かった。それじゃあ、()()()()()()()()

 

「うん!了解!」

 

 一先ず納得すると来太は起き上がり、デネブは来太の背後に立つ。そして来太は【ゼロノスベルト】から【ゼロノスカード】を抜き取って再びバックルのレバーを右側にスライドすると、再度【ゼロノスベルト】から和風の待機音声が鳴り響く。

 

 来太は【ゼロノスカード】を裏返し、黄色の面を表にしてベルトの右側にある挿入口からバックルパーツの【クロスディクス】にアップセットする。黄色の【ゼロノスカード】を装填すると【クロスディクス】の丸いパーツが可動され、黄色の『V』の文字が浮かび上がる。

 

 

『Vega Form』

 

 

 ベルトから認証音声が鳴ると、アルタイルフォームの電化面が消滅し、黒い装甲が新たに出現してアルタイルフォームの胸部装甲を覆う。

 

「ハァ!」

 

 そして、デネブは指先が銃口になっている両手を交差させ来太の両肩に重ねる。するとデネブの両手と来太の両肩が一体化し、胸の装甲が展開してデネブの顔を模したパーツが露わになる。更にデネブは来太の身体に入り込み、来太の背中から黒いマントが靡きながら現れる。

 

 最後に頭部のレールの上をドリルが移動すると、ドリルが展開されて赤い複眼【スタースキャンアイ】と金色と緑色の角【スティングトレーダー】が特徴の星型の【電仮面】が姿を現す。

 

 これがデネブの力を使用したゼロノスのもう1つ姿【仮面ライダーゼロノス ベガフォーム】である。

 

「フンッ」

 

 ベガフォームが【ゼロガッシャー】を振り払うと、衝撃波と共に地面に亀裂が入る。ただ佇んでいるだけの筈なのに、彼から放たれる途轍もない威圧感を全員が感じ取った。

 

 

「最初に言っておく」

 

 

「あ、はい」

 

 

 すると突然、ベガフォームからデネブの声が聞こえる。そしてデネブに指を差されたマシュは戸惑いながら返事をする。

 

 

 そしてデネブは自身の胸部装甲に手を当てて宣言する。

 

 

「胸の顔は………飾りだ!」

 

 

「「「「『『……………はい?』』」」」」

 

 

「フォウ?」

 

『……プッ!アハハハハハハハハハハハ!!

 

 

 突然のカミングアウトに立香たちとフォウは唖然とし、ダ・ヴィンチだけが腹を抱えて大笑いする。

 

『あー、やっぱりソレ言うんだ』

 

「いやぁ、騙したら悪いから」

 

 デネブの生真面目な理由に来太は再度苦笑する。

 

『それじゃあ、お願いね。デネブ!』

 

「了解!」

 

 まるで選手交代かの様に肉体の主導権が代わり、来太に代わってデネブが戦闘に加わるのであった。




仮面ライダーゼロノス ベガフォーム

クラス:ライダー

固有スキル
対魔力:B
騎乗:A+

保有スキル(追加付与)
仁王立ち(偽):A
くろがねの傅(偽):C+


次回は模擬戦【後編】となります。


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episode 10.5-③

仮面ライダーギーツ24話で仮面ライダーケケラ&キューンが初登場しましたが……仮面ライダーと言うよりライダーの相棒モンスター感が強い見た目にビックリしました。

そして25話で道長の新衣装と【バッファ レイジングフォーム&コマンドフォーム ジェットモード】が初披露されましたが、ベロバコーデによってよりロックさが増した道長がカッコよかったです!

リバイス外伝作品の『ライブ&エビル&デモンズ』を動画コンテンツで視聴しました。一言で言うと、これぞリバイスって感じで良かったと思います。
令和ライダーのVシネって後味が悪いイメージがありましたが、今作のは安心して観れました(大体がゼロワンのVシネが原因)

今回は模擬戦【後編】です。


「フンッ!」

 

「クッ!?」

 

 デネブは【ゼロガッシャー】を大振りしながらマシュに攻撃をする。スピードを活かした来太(ゼロノス アルタイルフォーム)とは対照的なパワーを活かした一撃の衝撃にマシュは必死に耐える。

 

投影、開始(トレース・オン)

 

 そんな中でエミヤが何か呪文を唱えると、空中から数本の剣が出現する。

 

「ライタ、避けて下さい!」

 

「遅い」

 

 アルトリアの警告を無視するかの様にエミヤが言い、空中の剣がゼロノスへ目掛けて射出される。

 

『デネブ!』

 

「了解!フンッ!」

 

 デネブを振り向くと両肩部のキャノン砲から光弾【ゼロノスノヴァ】を発射させ迫り来る剣を撃ち落とされ、剣は地面に突き刺さる。

 

『冬木市でも見せた剣の召喚……やっぱり、アレがエミヤさんの能力か』

 

「だけど短剣と言い、何でアーチャーなのに剣が出せるんだ?」

 

「ほお?どうやら前の特異点とやらで既に私と戦った事がある様だな」

 

 地面に突き刺さった剣を見る来太とデネブにエミヤが訊いた。そして、モニター越しでエミヤの剣を観ていたダ・ヴィンチが気づく。

 

『なるほどね。二振りの短剣と言い、アーチャーにしては変わった戦い方をしていると思ってはいたが、先程の複数の剣を出現させる時に言った呪文……エミヤ、君のその能力は投影魔術だね?』

 

『投影魔術だって!?』

 

『あり得ないわ!?セイバーの聖剣と打ち合える上に長時間持続させれるなんて!?』

 

 ダ・ヴィンチの推測に魔術知識のあるロマニとオルガマリーが信じられない表情で驚愕する。そんな中、魔術知識が無い立香は首を傾げる。

 

「投影魔術?」

 

「はい。グラデーション・エア……オリジナルの鏡像を魔力で物質化させる魔術の事です。ですが、本来は失われたオリジナルを数分間だけ自分の時間軸に映し出して代用する魔術であり、外見だけのレンタルですので本来のオリジナルとよりも脆く、長く実体化させる事は出来ない筈です」

 

 マシュが立香に投影魔術を説明すると、エミヤは一息吐いて頷く。

 

「その通り、流石は万能の天才と言った所か。確かに私が使っているのは投影魔術だ。魔術の知識がある君たちなら知っているだろうが、本来の投影魔術は儀式で道具が足りない際に間に合わせで用意する等の目的くらいにしか活用出来ない効率の悪いモノだが、私の投影は少し異質でね。刀剣に限定すれば宝具だろうと模倣も出来るし、長時間の実体化が可能だ」

 

『つまり君は生前弓兵ではなく、魔術師だったって事かい?宝具級の武具を投影出来る英雄なんて私でも知らないけど』

 

「生憎、私はセイバーの様な名の知れた英霊では無い……そもそも、真っ当な英霊ですら無いのだからな。まあ、その点に関してはそこのライダーにも当て嵌まる事だろうが」

 

 何処か棘のある言葉を言うエミヤに、来太は疑問を抱く。

 

『さっきからエミヤさんに皮肉言われてるけど、俺嫌われてるのかな?』

 

「エミヤ、来太が何かしたのなら俺も謝る!すまなかった!来太もそう思っている!」

 

『いや、何かした覚えが無いから俺はそう思っていないよ。デネブ』

 

 頭を深々と下げて謝罪するデネブに来太はツッコミを入れる。その光景に立香たちは何とも言えない表情になる。

 

『まあ、切りが良いしここ迄にしようか。それに、来太には説明して貰わないといけない事もあるしね』

 

『あー……分かりました。デネブ、変身解いて良いよ』

 

「うん、分かった」

 

 来太の言葉に頷きデネブは【ゼロノスベルト】から【ゼロノスカード】を抜き取る。するとカードは蒸発する様に消滅し、ゼロノスの変身が解除され来太とデネブが姿を現す。

 

 こうして、来太たちの模擬戦は終了した。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「改めて紹介します。彼はデネブ。俺の相棒で家族です」

 

「デネブです。どうぞよろしく」

 

 模擬戦を終えてシュミレーションルームから出た来太は立香たちにデネブを紹介すると、デネブも挨拶をして1人1人に飴を配り始める。

 

「デネブキャンディだ。これから仲良くしてくれると嬉しい」

 

「わあ、飴だ!しかも懐かしい感じのヤツでイラスト付きだ!?ありがとう!よろしくね、デネブ!」

 

「これが飴……実物を見るのは初めてです。ありがとうございます」

 

「フォウ!」

 

「甘いモノは大歓迎だよ、ありがとう」

 

「これはこれはご丁寧に」

 

「それより何処から出したのよ、その飴」

 

「ありがとうございます。戴きましょう」

 

「すまないが、私は結構だ」

 

 エミヤ以外デネブから飴を受け取る面々に、来太は説明を続ける。

 

「デネブは俺の力の一部みたいなものでして、必要な時に実体化します。それと、今朝の朝食で和食を作ったのもデネブです」

 

「え!?そうだったの!?」

 

「うん。口に合ったか?」

 

「凄く美味しかった!」

 

「そうか、気に入ってくれて良かった。それならこれからも作ろう。中華も作れるぞ」

 

「本当!?う〜ん、けど来太の作る洋食を食べてみたいしなあ」

 

「藤丸さんが食べたい方で良いよ」

 

 どちらにするか迷う立香にオルガマリーは眉を吊り上げる。

 

「話が脱線してるわよ。それより、佳面来太。彼みたいな存在が他に居るの?」

 

「はい。他にも色々居ます。デネブみたいに一緒に戦ってくれたりしますね」

 

「使い魔の様なモノなのかな?改めて不思議だなあ、君は」

 

「やっぱり調べさせて欲しいなあ!良いよね?!」

 

 目を輝かせながら訊くダ・ヴィンチに、来太は苦笑しながら答える。

 

「モラルに反するモノで無いなら」

 

「OK!優しく調べるよ!ダ・ヴィンチお姉さんとの約束さ!」

 

「お姉さんって……君は中身()だろうに」

 

 

「「「え!?」」」

 

 

 ロマニの爆弾発言に来太・立香・マシュが驚愕する。しかし、当のダ・ヴィンチ本人はキョトンとした表情をする。

 

「あれ?言って無かったかな?」

 

「言ってませんね……」

 

「まあ、驚くよね。レオナルドは自分の描いた作品であるモナ・リザがお気に入りでね。理想の美である"女性"になるのは当然の帰結なんて考える程の変人さ」

 

「当然だろう?私の作品は全て美しいモノばかりだ。なら外見も美しい姿にするのも当たり前じゃないか」

 

「その思考がおかしいんだって」

 

「何だと〜〜〜?ロマニのくせに生意気だぞ!」

 

「ぐえ!?首を絞めないでくれ!幾らキャスターだからってサーヴァントの腕力で絞められたらインドア派の僕の首はポッキリ折れるんだけど!」

 

(仲が良いなあ、この2人)

 

 取っ組み合いを始める2人を見て来太はそう思うのであった。




次回から【第一特異点 邪竜百年戦争オルレアン編】が開始します。

次回変身する仮面ライダーのヒントは「悪魔」です。


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【第一特異点/邪竜百年戦争オルレアン編】
episode 11


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仮面ライダーギーツ第26話でギーツの強化フォーム【ブーストフォーム マークII】が登場し、圧倒的な攻撃力と加速力でかみなりジャマト祭りを阻止した英寿でしたが、27話でまさかの転生者である事が発覚!?
次週では新たな新形態が登場するみたいなので凄く楽しみです。


新しく放送した王様戦隊キングオージャーですが、超変則作品だった前作のドンブラザーズとは打って変わった超王道ストーリーに絶賛どハマり中
です。話数を重ねる毎に推しキャラが増えていますが、パピヨンオージャー/リタ・カニスカ役の女優さんが私の地元である熊本出身!?これはリタ様を最優先に推して行くしかないですね(突然の使命感www)。

そして、庵野秀明監督作品の【シン・仮面ライダー】が遂に上映開始!
私は今日の午前中に観に行きます!


そして、今回から【第一特異点 邪竜百年戦争オルレアン編】です。

今回変身する仮面ライダーのヒントは「悪魔」「蝙蝠」「光属性」です。

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1:英霊になった仮面ライダー

皆さん、お元気ですか?

久し振りにスレを立ち上げてみました。

  

2:空座町の無下限呪術師

お?

もしかしてライダーくん?

  

3:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

マジで!?

  

4:太刀川隊の狙撃手

お久し振りです。

  

5:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

元気にしてた!?

  

6:サクラギ研究所のリサーチフェロー

久し振りじゃん!

  

7:鬼滅ごっこをやってる忍者

こうやって集まるのはいつ振りですかね。

  

8:杜王町の幽波紋使い

ライダーくんたちヒーローが(ヴィラン)連合を倒してから以来じゃあないか?

しかし本当に久し振りだな。

  

9:虚刀流のグラップラー

ライダーくんも元気そうだな。

  

10:海賊系美食屋

ライダーくんもそうだが他の皆も元気そうだな!

  

11:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ん?

あれ、ライダーくん。

ユーザー名変えた?

『英霊になった仮面ライダー』って……え?

  

12:太刀川隊の狙撃手

もしかしてライダーくん……。

  

13:サクラギ研究所のリサーチフェロー

サーヴァントになったって事か!?

  

14:鬼滅ごっこをやってる忍者

マジですか……。

 

15:英霊になった仮面ライダー

実はそうなんです。

円卓ニキや他のニキも知っているとは思いますが、カルデアと呼ばれる機関の藤丸立香さんにライダークラスのサーヴァントとして召喚されました。

 

16:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>15

FGOだとォォォ!?

 

17:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>15

本当に!?

てか、ライダーくん呼ばれたなら俺もワンチャンカルデアに召喚される可能性があるって事!?

 

18:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>17

確かに、円卓ニキは呼ばれる可能性高いかもですね。

 

19:空座町の無下限呪術師

まあ、円卓ニキの事は後で良いとして。

ライダーくん、現状どんな感じなのかな?

 

20:英霊になった仮面ライダー

オルガマリー所長の指示の元、藤丸さんたちとこれからフランスのオルレアンで発生した特異点の攻略に向かいます。

 

21:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>20

第一特異点!?

いや、それより!

オルガマリー所長生存ルート!?

 

22:鬼滅ごっこをやってる忍者

ライダーくん、カルデアの戦力ってどんな感じですか?

 

23:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

マシュが居るのは当然として、他にもサーヴァントが召喚されているか気になる。

 

24:英霊になった仮面ライダー

俺とマシュの他にはセイバーのアルトリアさんとアーチャーのエミヤさんが居ます。

 

25:太刀川隊の狙撃手

>>24

えっと、ライダーくん。

 

26:虚刀流のグラップラー

>>24

ごめん、2人ともどっちの方なんだ?

 

 

27:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>24

2人ともオルタの姿があるからさ。

 

28:英霊になった仮面ライダー

ああ、すみません。

カルデアに召喚されたのは、青いアルトリアさんと赤いエミヤさんです。

 

29:杜王町の幽波紋使い

>>28

つまり?

 

30:空座町の無下限呪術師

>>28

2人とも『stay night』組って事か。

 

31:海賊系美食屋

その2人なら戦力的に問題ねえな。

元祖セイバーとアーチャーだし。

 

32:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

それにヒロアカ世界でプロヒーローになってるライダーくんも居るしね。

 

33:英霊になった仮面ライダー

あー……実は俺個人の事になるんですけど、ダ・ヴィンチさんに調べて貰って分かった事がありまして。

サーヴァントになったせいなのか、俺の力に制限が掛かっているみたいなんです。

 

34:虚刀流のグラップラー

>>33

は?

制限?

 

35:鬼滅ごっこをやってる忍者

どう言う事だってばよ?

 

36:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ライダーくん、詳しく教えて。

 

37:英霊になった仮面ライダー

俺の力は元々ガチャで引いた仮面ライダーに1日3種類まで変身する能力だったんですけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

この間【SR】のゼロノスに変身した後、最高ランクである【LR】のライダーに変身しようとしたんですけど出来なかったんです。

同じ【SR】のNEW電王には変身出来ましたけど上限が一杯になったのか、もう1種類に変身が出来ませんでした。

 

38:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>37

うわっ、マジか。

 

39:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

それはちょっとキツイな。

 

40:太刀川隊の狙撃手

それだと最初に【LR】のライダーに変身したら逆にコスト上限一杯になって他のライダーに変身出来なくなるかもって事になるのか。

 

41:鬼滅ごっこをやってる忍者

ライダーくん、それ以外にも制限ってある?

 

42:英霊になった仮面ライダー

他ですと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

翌日試しに【オーマジオウドライバー】を実体化しようとしたんですけど出来なかったです。

 

43:空座町の無下限呪術師

まあ、それは良いんじゃない?

オーマジオウになったら人理修復までRTAになりそうだし。

 

44:杜王町の幽波紋使い

けど、ライダーくんが戦い辛くなった事には変わりないんじゃあないか?

 

45:英霊になった仮面ライダー

まあ、別に戦えなくなった訳でも無いですので今使える力で頑張ります。

それにダ・ヴィンチさん曰く、"【霊基再臨】をすれば全盛期の力に戻れるかもしれないよ"らしいです。

 

46:虚刀流のグラップラー

まあ、嘆いても仕方ないしか。

 

47:英霊になった仮面ライダー

>>46

そうですね。

それじゃあ、今からレイシフトで特異点に行ってきます。

 

48:太刀川隊の狙撃手

頑張ってね!

 

49:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

気をつけてね!

 

50:英霊になった仮面ライダー

はい!

あ、それと()()()()()()()()()()()()()()

 

51:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>50

え?

 

52:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>50

ちょっと待って。

 

53:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>50

最後に爆弾発言したんだけど!?

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

『レイシフト完了を確認。全員無事かい、皆?』

 

 カルデア管制室のコフィンを通じてレイシフトした来太たちはフランスのオルレアンに発生した特異点に到着した。周囲は草木が生い茂っており、燃え盛っていた冬木市とは雰囲気が全く異なっている。

 

「こっちは大丈夫よ、ロマニ」

 

『了解。今の所敵の反応も感知してないからベースキャンプの為、霊脈のある場所まで移動して下さい』

 

「うん、分かった」

 

「了解です、ドクター」

 

「フォウ!」

 

「あれ?君も来てたのかい、フォウくん」

 

 カルデアからロマニの指示を受けた一同が返事をすると、マシュの肩にフォウが乗っており、来太は頭を撫でながら訊く。

 

「コフィンの中に紛れ込んでいたのでしょうか?」

 

「そう言えばフォウくんって何科の動物なの?」

 

「知らないわよ。大方、誰かが実験用に作ったんでしょ」

 

「談笑するのは構わないが、先ずは此処から移動すべきではないのか?」

 

「そうですね。此処が特異点である以上、いつ敵襲を受けてもおかしくありません」

 

 アルトリアとエミヤの指摘を受け、一同は霊脈のある場所を目指して移動を開始する。

 

『座標を確認したけど、今皆が居るのは1431年のフランスにあるロレーヌ地方のドン・レミ村。その時代は歴史的にも有名な百年戦争が起きている。注意してくれ』

 

『まあ、その時代では両国間で休戦条約を結んでいるし、普通の兵士や当時の兵器程度ならサーヴァントたちが居るから特に問題は無いと思うけどね。警戒するに越した事は無いさ』

 

 通信越しに指示を送るロマニとダ・ヴィンチの言葉に立香は学校で学んだ知識を思い出す。

 

「百年戦争って、確かフランスとイギリスの間で起きた戦争の事だよね?」

 

「はい。イギリス国王エドワード3世がフランス王位の継承権を主張してヴァロワ朝のフィリップ6世に挑戦状を発し、両国は戦争状態となりました。その期間は1339年から1453年の約100年間にも及んだと記録されています」

 

「そもそも百年戦争の原因は、イギリス産の羊毛を原料として毛織物産業が盛んであったフランドル地方の支配権を巡る争いが最も中心的な対立点であったらしいけど、他にもイギリス領となっていて葡萄酒の産地として重要なギエンヌ地方をフランス王が奪回しようとした事による領地問題。フランス王国のカペー家の王位が断絶した際にヴァロワ家のフィリップが立ったのに対し、カペー家出身の母を持つイギリス王エドワード3世が王位継承を主張による王位継承問題の2つが挙げられるね」

 

「要は両王家間で起きた争いだったって事よ」

 

 来太とマシュ、オルガマリーが各々補足しながら百年戦争の詳細を語る中、イギリスの原型であるブリテンの王だったアルトリアが複雑な表情をする。

 

「名は変われど、私が生きた時代よりも未来のブリテンだった国が他国と争いをしていた事には残念に思います」

 

()()()()()()()。君が落ち込んでも仕方の無い事だろう、セイバー」

 

 皮肉混じりの言葉を口にすると、エミヤは森を抜け出した事で姿を現した空を見上げる。

 

「あれは───」

 

 目を見開く彼の様子を見て、来太たちも空を見上げる。すると、青々と広がる空に巨大な光の輪が浮かんでいた。

 

「何、アレ───?」

 

「解りません……ですが、空にあの様な現象が存在している記録はありません」

 

「フォウ、フォウ!?」

 

「何なのよアレは!?」

 

「アレも人理焼却と関係が……?」

 

「何かしらの術式によるものだろうが、直ぐに何かが起こる訳でも無い様だな」

 

「ロマニさん、ダ・ヴィンチさん。お二人としてはアレが何なのか解りますか?」

 

『エミヤの言う通り、魔術的な現象で間違い無いと思うけど……あれ程の大規模は【魔法】と呼ばれるレベルだ』

 

『こっちでも解析をやってみるよ。現場に居る君たちはそのまま行動してくれ給え』

 

「了解です……アレは」

 

 来太は数km先にある集落から煙が立ち昇っている事に気付く。おそらくドン・レミ村である。

 

『嘘だろ?1431年にドン・レミ村が燃やされた記録は無い。既に特異点による影響が起きているのか?』

 

『先ずは情報収集だね。すまないが頼むよ』

 

「分かってるわ。行くわよ、藤丸」

 

「はい!」

 

 来太たちは情報を集める為にドン・レミ村へ向かう。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

 廃墟と化したドン・レミ村に辿り着いた来太たちだったが人の気配が無く、次にドン・レミ村から1番近い場所にあるヴォークルールと呼ばれる砦へ移動し情報を集めていた。

 

「何とか砦の人たちから情報を聞く事が出来たね」

 

「はい。最初は兵士の人たちに警戒されましたが、来太さんのお陰で誤解されずに済みました」

 

「ええ。見事な話術でした」

 

「こう見えて色んな国に行って人助けをしてましたので、現地の人たちとコミュニケーションを取るのに慣れてるだけですよ。まあ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 褒める立香たちの隣で、来太は学生時代からの知り合いである()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そんな来太たちを他所にエミヤが考え込んでいた。

 

「しかし、火刑によって死んだ筈の聖女ジャンヌ・ダルクが甦り、オルレアンを拠点にして各都市を襲撃しているとはな……それと」

 

「そのジャンヌ・ダルクは(ドラゴン)を使役していた。これらの情報を踏まえて、この特異点の原因は彼女である事はほぼ間違い無いわね」

 

『おそらく、聖杯の力でドラゴンを召喚したかと推測されます』

 

『だね。15世紀のフランスに幻獣種の頂点である(ドラゴン)が存在したなんて記録は無いし』

 

 来太たちは砦に避難した人たちから得た情報を元に、今回の特異点の原因を考察する。そしてジャンヌ・ダルクの拠点地が割れた以上、彼女に会う為にオルレアンを目指そうと決意したその時、来太とエミヤが空を見上げ目を鋭くする。

 

「アレはッ」

 

「来るぞ、マスター」

 

「え?」

 

 険しい表情をする来太とエミヤの突然の警告に立香が困惑すると、警告を知らせる警鐘がヴォークルール中に鳴り響く。

 

 

飛竜(ワイバーン)だあ!!飛竜(ワイバーン)が来たぞ!!」

 

 

 警鐘を鳴らす兵士の声を聞き立香たちは空を見上げると、(ドラゴン)の頭、蝙蝠の翼、一対の鷲の脚、蛇の尾に、尾の先端には矢尻の様な棘を具えた怪物飛竜(ワイバーン)の大群が咆哮を挙げなごらヴォークルールへ目掛けて降下してくる姿が捕捉した。

 

「ッ!?皆、飛竜(ワイバーン)を倒すよ!砦の人たちを守らないと!」

 

「はい、先輩!」

 

「了解です、マスター」

 

 立香の言葉を聞いてマシュとアルトリアがそれぞれ盾と聖剣を構える。

 

 

しかし───

 

 

「駄目よ。()()()()()()()()()()()()()()退()()()()

 

 戦闘を開始しようとする立香たちをオルガマリーが静止させる。

 

「……所長?何を言ってるの?」

 

 立香は何を言っているのか理解出来ないと言う表情でオルガマリーに訊く。マシュとアルトリアも納得出来ない様子だった。

 

『所長の言う通りだ。今直ぐそこから離れるんだ』

 

「ドクターも何で!?」

 

『立香ちゃん、特異点と言うのは他の時代から切り離された本来存在しない隔離された時代だ。修復すればそこで起きた全ての事が()()()()()()()()。つまり、その時代でどれだけ人が死んでも問題にならないと言う事だ……敢えて言うよ、その時代で死んではいけないのは所長とマシュ、そして人類最後のマスターである君だけだ』

 

「そんな……」

 

 ロマニとダ・ヴィンチから残酷な言葉を聞いた立香は顔を俯かせる。すると、エミヤが呆れた表情をしながら全員に話し掛ける。

 

「取り込み中で悪いが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「「「『『え?』』」」」」

 

「フォウ?」

 

 立香たちは声を重ねると、一同から離れた場所で来太が1人で砦の人たちを避難させていた。

 

「慌てないで!建物の中に避難して下さい!すみません、この人をお願いします!」

 

「すまない!」

 

「女性と子ども、足が不自由な人たちを優先に避難させて下さい!」

 

 近くに居た兵士に指示を出すと、来太は武器型ユニットと一体となったバックル【ツーサイドライバー】を取り出して腰に装着する。

 

 

『ツーサイドライバー!』

 

 

 そして来太はスタンプ型アイテム【バットバイスタンプ】を取り出す。

 

「白黒つけようか」

 

 

『バット!』

 

 

『Confirmed!』

 

 

 来太は【バットバイスタンプ】を起動させ、【ツーサイドライバー】のスタンプ台【オーインジェクター】に押印すると足元の影から無数の蝙蝠が出現する。

 

 

「変身!」

 

 

 次に来太は【バットバイスタンプ】を【ツーサイドライバー】のスロットに装填。そして【ツーサイドライバー】に備わった武器型ユニット【ツーサイドウェポン】のパーツを反転させ銃型武器【ライブガン】にすると無数の蝙蝠が集約され、巨大な白い蝙蝠に姿が変わる。

 

 

『Eeny, meeny, miny, moe♪』

 

 

『Eeny, meeny, miny, moe♪』

 

 

 待機音声が鳴り響く中で来太は【ライブガン】を【ツーサイドライバー】から取り外し、【ツーサイドトリガー】を弾く。

 

 

『バーサスアップ!』

 

 

 すると白い蝙蝠がスタンプへと変貌し来太を包み込む様に地面に落下。そしてスタンプの中がライトグリーンの液体に満たされると、中に居る来太の全身に白を基調とした蝙蝠モチーフのアーマーが形成される。

 

 

『Precious!Trust us!Justis!』

 

 

『バット!』

 

 

『仮面ライダーライブ!』

 

 

 スタンプが砕け散ると、変身者のプラスエネルギーを力の源として戦う戦士【仮面ライダーライブ バットゲノム】が姿を現し、逃げ惑う人々を守る為に【ライブガン】を構えて飛竜(ワイバーン)に立ち向かう。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーライブ バットゲノム

レア度:【SR】

出典:『仮面ライダーリバイス』

クラス:アーチャー

固有スキル
対魔力:B
単独行動:A

保有スキル(追加付与)
射撃:A++
クイックドロウ:A+
ライブシステム:A(邪悪な存在【混沌・悪・反英霊・人類悪・エレミー系】との戦闘に対して筋力&耐久のステータス倍化+デバフ耐性付与)


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episode 12

本当に、本当に投稿が遅くなりました!!

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「ハッ!」

 

 仮面ライダーライブに変身した来太は空中を飛行する飛竜(ワイバーン)を【ライブガン】の銃口から放たれる光弾が飛竜(ワイバーン)を次々に撃ち落とていく。

 

「フッ」

 

 来太は跳躍し、【ツーサイドライバー】から供給されるエネルギーを前掛けとなっている白い装甲【ライブバットローブ】に薄膜化させ翼として展開する。飛行能力を得た来太は飛竜(ワイバーン)を【ライブガン】で攻撃しながら接近し、トドメに48.6tを誇る強力な回し蹴りを放つ。

 

「ハアッ!」

 

 来太の一撃を喰らった飛竜(ワイバーン)は断末魔に似た悲鳴を上げて地面へと落下する。しかし空から飛竜(ワイバーン)が次々と砦に目掛けて降下する。

 

「少し数が多いな」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 降下する飛竜(ワイバーン)を見て来太が呟くと、突如その場に居ない何者かが来太に話し掛ける。()()()()()()()()()()()()()()()来太は首を振りながら応える。

 

「大丈夫、まだいけるよ。それに接近戦重視の()よりも飛び道具が使える俺の方が上手く立ち回れると思う」

 

『ンだよ、つまらねえな』

 

「ごめんね。ヤバくなったら()()()()()

 

『ハッ。だったら、こんな雑魚に手間取らせてんじゃねえよ!』

 

「ああ!」

 

 檄を飛ばされた来太は応えながら【ライブガン】の銃身で飛竜(ワイバーン)を殴打する。すると、別個体の飛竜(ワイバーン)に何本もの弓矢が飛んで来る。

 

「あれは……」

 

 来太が弓が放たれた方向を見ると、砦に居た騎士と自警団たちが弓を構えていた。

 

「攻撃の手を緩めるな!あの鎧の戦士に続け!」

 

「何者かは知らないが、我々も戦うぞ!」

 

「この砦を絶対に護るんだ!!」

 

「ッ……助かります!」

 

 味方する彼らにそう言い、来太も戦闘を続ける。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「来太……」

 

「アイツ勝手に戦闘するとか何やってんのよ!?」

 

『しかもまた新しい姿に変身してる!?クラスはアーチャーだ!』

 

『今回はスタンプ型のアイテムだって!?どんな構造と仕組みなのか興味あるねえ!ゾクゾクするよ!!』

 

「言ってる場合!?」

 

 白を基調とした鎧を身に纏い銃型の武器と格闘術を駆使して飛竜(ワイバーン)と空中戦を繰り広げる来太を立香たちは見上げていた。

 

(どうすれば良いの?所長やドクターたちの言う通りに撤退するのが正しいの?だけど……)

 

 自分たちが撤退するか迷っている間に瞬時に避難誘導を行い、砦の人たちを守る為に戦闘を始めた来太の姿を見て立香はどうすれば良いか悩む。

 

「マスター、どうするかは君が決めろ」

 

 そんな立香にエミヤが言った。

 

「エミヤ?」

 

「我々は君のサーヴァントだ。カルデアの指示通りにこの場から撤退するにしても、ライダーに加勢して飛竜(ワイバーン)と戦闘するにしても、君次第だ」

 

「私たちは貴女の指示に従います」

 

「私は……」

 

 エミヤとアルトリアの言葉を聞いて、立香は周囲を見渡す。必死に逃げる人、親と逸れて泣いている子ども、飛竜(ワイバーン)に果敢に戦う騎士たち、そしてそんな彼らを守る為に戦う来太。

 

 彼らを他所にウジウジ考える自分に腹が立ち、立香は力一杯両手で自身の頬を叩く。

 

「先輩!?」

 

「フォウ!?」

 

 突然の事にマシュとフォウは驚愕する。

 

「……ごめん。所長、ドクター、ダ・ヴィンチちゃん。私は此処の人たちを見捨てたくない」

 

「ちょっと、藤丸!?」

 

『君にもしもの事があったらいけないんだ!聖杯を回収すれば全て無かった事になる!此処で戦闘しなくても───』

 

 

「それでも!!」

 

 

 立香は皆を見て叫ぶ。

 

 

「此処の人たちを死なせて良い事にはならない!!」

 

 

 立香の言葉にロマニは黙り込む。そして、そんな立香にオルガマリーは腹を括る。

 

「あ〜〜〜もう、分かったわよ!戦闘を許可します!速やかに飛竜(ワイバーン)を撃退してこの場から離脱するわよ!ロマニはスタッフと協力して周囲の魔力反応に注視!ダ・ヴィンチは撤退の最短ルートを見つけて!!」

 

『りょ、了解!』

 

『まっかせて〜。天才ダ・ヴィンチちゃんが安全安心ルートをナビゲートするよ!』

 

 オルガマリーの指示にロマニとダ・ヴィンチは直ちに作業に移る。

 

「所長、ありがとうございます」

 

「言っておくけど後で説教だから!勝手に単独行動した佳面来太もよ!」

 

「はい!行こう、皆!!」

 

「了解です、先輩!」

 

「はい、マスター!」

 

「やれやれ、結局こうなるか。仕方ない」

 

「フォウ!」

 

 立香の号令にマシュたちサーヴァントは戦闘準備に入る。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「来太!」

 

 来太が見下ろすと、立香たちが駆け寄って来る。

 

「藤丸さん」

 

「私たちも戦うよ!」

 

 覚悟を決めた彼女の顔を見て、来太は頷き指示を送る。

 

「分かった。藤丸さんとオルガマリーさん、フォウくんは避難誘導をお願い。マシュは藤丸さんたちの護衛、アルトリアさんとエミヤさんは俺と一緒に騎士の人たちと自警団をフォローしつつ飛竜(ワイバーン)を撃退して下さい!」

 

「分かった!」

 

「何で貴方が指示するのよ!」

 

「フォウ!」

 

「了解です!」

 

「分かりました!」

 

「君に言われなくともそのつもりだ」

 

 各自行動に移り、避難誘導と飛竜(ワイバーン)の撃退を始める。

 

「これならいけるな」

 

『おい、来太。あれ見てみろ』

 

「え?」

 

 内なる声に反応し、振り向くと自分たちや騎士たち以外の何者かが飛竜(ワイバーン)と戦闘をしている。見た目は10代の少女で、長い金髪の三つ編みが特徴で、右手に持った大きな旗を槍の様に扱っていた。

 

 

「水を被りなさい!気休めですが飛竜(ワイバーン)の火に耐えられます!!」

 

 

「おい、あれって!?」

 

「あの人は、あの女はまさか───」

 

「魔女だ!」

 

「ジャンヌ・ダルクが現れたぞ!皆逃げろ!!」

 

 彼女──ジャンヌ・ダルクが突如現れた事に周囲の人たちが驚愕し始める。中には敵意や殺意を抱いている人も居る程であった。

 

「ッ!待って下さい、私は───」

 

 ジャンヌは周囲の人たちに弁解してようしたその時、1匹の飛竜(ワイバーン)が彼女の背後から迫る。

 

「危ない!」

 

 来太は【ライブガン】をドライバーに戻して装填された【バットバイスタンプ】のスイッチを押す。

 

 

『必殺承認!』

 

 

 来太は飛竜(ワイバーン)目掛けて飛翔しながら続けて【ライブガン】のトリガーを押す。

 

 

『バット!ジャスティスフィニッシュ!』

 

 

「ハアァァ!!」

 

 

 来太は白い蝙蝠型のエネルギーを右足に纏った飛び蹴りを飛竜(ワイバーン)に放つ。必殺の一撃を直撃した飛竜(ワイバーン)は途轍もないスピードで吹き飛び消滅する。

 

「貴方は……」

 

 ジャンヌは飛竜(ワイバーン)を撃退した来太を見る。来太も仮面越しにジャンヌを見ながら応える。

 

「俺は……俺()()は敵じゃない。君と同じ、この人たちを守る者だよ」




次回、()()()()が戦闘に参加する!(ヒントは厨二病)


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episode 13

私のFGO事情になりますが、アーケードコラボガチャで諭吉様2人犠牲にした結果、ドラコーは未だ引けず、ティアマトを1体、ロクスタは宝具MAX、プーリンことレディ・アヴァロンは何故か10連で来ました


Vシネマでまさかの仮面ライダー555の正統続編制作が決定!?
しかもファイズファンがスマホにアップグレード!?
追加情報を今か今かと待ち望んでいる今日この頃です!!


まだ先の事になりますが【深海電脳楽土SE.RA.PH編】をやるならAI繋がりでゼロワン系ライダーによる縛り攻略も良いかなと考えてます。
その場合だと()()()()()()()()に来太が変身する可能性が濃厚になったり、メルトリリスがゼロワンで言うところの"イズ"ポジションになりそうですが、皆さんとしては有りですか?無しですか?


今回登場するキャラヒントは「悪魔」「黒」「厨二病」です。


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54:英霊になった仮面ライダー

飛竜(ワイバーン)との戦闘中にジャンヌ・ダルクと遭遇して一緒にヴォークルールを後にしたらオルガマリーさんから説教を受けました。

  

55:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

情報量多っ。

  

56:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

無事ジャンヌと出会う事が出来たのか。

  

57:サクラギ研究所のリサーチフェロー

それより、なんで所長から説教されたの?

  

58:英霊になった仮面ライダー

撤退の指示を受けてましたけど俺が単独で市民の人たちの避難誘導したり、勝手に飛竜(ワイバーン)との戦闘を始めたからです。

ですが、あそこで動かなかったら被害が出てたでしょうし。

後悔してません。

  

59:杜王町の幽波紋使い

>>58

いや、それでこそヒーローだよ。

  

60:鬼滅ごっこをやってる忍者

組織に所属している以上ルールや命令は絶対ですけど、仲間や助けられる人たちを見捨てる様な奴はクズですからね。

  

61:虚刀流のグラップラー

>>60

おお!

忍者ニキ、それって"カカシ先生"の名台詞をアレンジしたヤツ?

  

9:海賊系美食屋

>>60

まあ、正確に言うと"うちはオビト"の台詞なんだけどな。

  

63:太刀川隊の狙撃手

それで、ライダーくん。

今はジャンヌと合流した後はどうしたの?

  

64:英霊になった仮面ライダー

合流した後はお互いに素性を明かして、特異点に存在する聖杯を回収するまで共闘しようって事になりました。

ロマニさんが自己紹介した時にジャンヌ・ダルクに「夢みがちな人なんですね!」って言われて落ち込んでました。

  

65:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>64

安定のDr.ロマンで草。

  

66:空座町の無下限呪術師

それで、ライダーくんたちはこれからどうするの?

  

67:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ゲーム通りなら情報収集の為にラ・シェリテに向かう事になるだろうけど。

 

68:英霊になった仮面ライダー

>>67

はい。

最終的な目的地はオルレアンですので、乗り込むまでに情報を集める予定です。

 

69:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

そうだ、今更だけどなんでオルガマリー所長も特異点に来てるの?

ライダーくんたちサーヴァントと契約しているのは藤丸立香なのに。

 

70:サクラギ研究所のリサーチフェロー

確かに。

所長さん自らレイシフトする必要ってあるの?

その人ヘタレでチキンハートだったと思うけど。

 

71:杜王町の幽波紋使い

何か理由があるのか?

 

72:英霊になった仮面ライダー

それには理由がありまして、俺たちサーヴァントはカルデアにあるバッテリーから発電した電力を魔力に変換して藤丸さんを経由して供給している状態なんですけど、元々が一般人で魔術師としても未熟な藤丸さんには負担が大きいみたいです。

なので、藤丸さんとオルガマリーさんにはダ・ヴィンチさんが発明した腕輪型の端末を身に付けさせて、擬似的に2人の魔術回路を繋げた状態にする事で藤丸さんへの負担を軽減させつつ、充分な魔力供給を成立させているみたいです。

オルガマリーさんにはマスターとしての資格はありませんが魔術師としての腕前は一流らしいので。

 

73:虚刀流のグラップラー

>>72

マジかよ。

ダ・ヴィンチちゃんすげー。

 

74:空座町の無下限呪術師

流石は万物の天才だね。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 辺りはすっかり夜になり、来太たちカルデアとジャンヌは森で野営をする事にした。マシュの盾を通じてカルデアから物資を転送して貰った食糧とテント用具のお陰で苦労は無かった。

 

 食事を済ませた後、立香たちは就寝し、来太は周囲の見張りをしているエミヤと交代するまで焚き火の前で待機していた。すると、テントからジャンヌが出て来る。

 

「お疲れ様です」

 

「うん、お疲れ様。どうしたの?眠れない?」

 

「はい、少し考え事をしていたらなかなか眠れなくなりまして」

 

 気恥ずかしく笑いながらジャンヌは焚き火の前に座る。そんな彼女を見て、来太は苦笑する。

 

「今は少しでも休んでおかないといけないんだけど……ちょっと待ってて」

 

「はい?」

 

 首を傾げるジャンヌを他所に来太は鍋に牛乳を注ぎ、焚き火の上に予め設置しておいたキャンプスタッグに置いて加熱させ、その間に耐熱性のコップに蜂蜜を入れておく。すると鍋の中の牛乳が沸々と泡が立ち少しかき混ぜて、鍋を取り出してコップに加熱した牛乳を注ぐ。

 

「はい、ホットミルク。良かったらどうぞ」

 

「あ、ありがとうございます。いただきます」

 

 ジャンヌは差し出されたコップを受け取り、フーフーと冷ましながら一口飲む。温かく蜂蜜の甘さが加わったホットミルクの味に、ジャンヌは思わず笑みを零す。

 

「甘くて美味しい……」

 

「眠れない夜にはホットミルクみたいな温かい飲み物を飲むと質の良い睡眠へ誘う効果があるんだ。それに牛乳に含まれるカルシウムと言う成分には交感神経を抑制する効果があるから、飲む事で気分が落ち着いてリラックスした状態にしてくれるんだよ」

 

「そうなんですね。来太さんは物知りですね」

 

「まあ、全部知人の受け売りだけどね」

 

 そう言いながら来太はコーヒーを飲み、少しずつホットミルクを飲むジャンヌの様子を見ながら訊いた。

 

「少しは落ち着いたかな?」

 

「はい、ありがとうございます。すみません、気を遣っていただいて」

 

「気にしないで、唯のお節介だから」

 

「フフ、そうですか」

 

「そうだよ」

 

 話しをしている内にジャンヌの表情が少し良くなった事に来太は安堵する。すると、今度はジャンヌから話し掛ける。

 

「あの、来太さんは別の世界から召喚されたんですよね?」

 

「うん、そうだよ」

 

「来太さんが居た世界はどんな所なんですか?」

 

「俺が居た世界?そうだな……」

 

 来太は何処から話せば良いか少し考える。

 

「俺が居た世界は総人口の約8割の人たちが"個性"と呼ばれる超常能力を宿した世界で、物を浮かす能力を持つ人も居れば空を自由に飛べる能力を持つ人が居るんだ」

 

「変わった世界ですね」

 

「そう?だけど、その力を使って悪い事をする人たちが居てね。その人たちを止め、人々の平和を守る為に"ヒーロー"として力を使う人たちも居るのが俺の居た世界だよ」

 

「それじゃあ、来太さんはそのヒーローなんですね」

 

「うん。ヒーローは特命が無い限り自分たちの国の治安だけを守らないといけないんだけど、()()()()が起きてからは異国でも自由にヒーロー活動が出来る資格が設けられてね。俺もそのヒーローの1人として世界中を飛び回っていたんだ。例えるなら"国境なき医師団"のヒーロー版かな」

 

「へぇ」

 

 ジャンヌは来太の話に聞き、暫く談笑していると見張りの交代時間になった事に気づいた来太は立ち上がる。

 

「それじゃあ、俺はエミヤさんと見張りの交代して来るよ」

 

「そうですか。もう少しお話を聞きたかったのですが……」

 

 残念そうな表情をするジャンヌに来太は苦笑する。

 

「続きはまた今度話すよ。約束する」

 

「分かりました。楽しみにしてますね」

 

「うん。それじゃあ、お休み」

 

「はい、お休みなさい」

 

 そう言って来太はジャンヌと別れ、エミヤの居る場所へ向かう。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

 来太が魔力を探知しながら森の中を進んでいると、木の上で見張りをするエミヤと合流する。

 

「お疲れ様です、エミヤさん。何か変わった事はありましたか?」

 

「今のところ問題は無い。敵の気配も感じられないな」

 

 来太が声を掛けるとエミヤは地面に着地して現状報告をする。アーチャークラスのエミヤがそう言っている以上、今のところ周囲に敵は見当たらない様だ。

 

「分かりました。俺が見張りを引き継ぎますので、エミヤさんは少し休んで下さい」

 

「了解した」

 

 淡白な応答をして、エミヤはその場から去り始める。すると、エミヤが足を止める。

 

「……1つ聞くが、ライダー。君は何故今回の様な行動を取った?」

 

「え?」

 

 突然質問された来太は振り向き、エミヤを見る。

 

「何故って、あのままにしたら砦の人たちが飛竜(ワイバーン)に襲われると思ったので」

 

「言い方を変えよう。何故()()()()()()()()()()

 

「……人を助けるのが無駄ですか?」

 

 棘のある言葉に来太は内心引っ掛かりを感じながらも表に出さずに訊く。

 

「実際そうだろう?幾ら無関係な人間が何人死んだとしても、特異点が消滅すればそれも無かった事になる。律儀に目の前の惨劇に首を突っ込まずに元凶を叩く方を優先にすべきではないのかね?」

 

 エミヤの現実主義な正論に対し、来太は反論せずにジッと聞き続ける。

 

「今回はマスターの指示で私とセイバーも戦闘に参加したが、カルデアとしてはリスクを最低限に抑えなくてはならない。それは君も理解は出来る筈だ」

 

「そうですね、組織として動くならエミヤさんの言う通りだと思います」

 

「なら、次に同じ様な事が起きても勝手に動かないで貰う。マスターが死ねば此方の敗北だ。君のエゴに我々を巻き込むな。君のやっていた事は、唯の偽善に過ぎない」

 

『おいおい、随分と釘刺して来るじゃねえか。俺が言い返してやろうか?』

 

(……大丈夫。ありがとう)

 

 内なる声にそう言って、来太は口を開く。

 

「確かに、俺がやった事は無駄な事かもしれません。此処は過去の時代で、特異点が消滅すれば全て解決するでしょう」

 

「なら───」

 

「ですが……此処が過去でも、この時代の人たちはこの時代の『今』を生きています」

 

 来太の言葉にエミヤが言葉を詰まらせる。しかし来太はそのまま続ける。

 

「特異点を消滅して全てが無かった事になるからって、本来起こる筈の無い理不尽で目の前の助けられる人たちを見捨てる様な人間が、人類を救う事なんて出来ませんよ」

 

「それを偽善だと言っているんだ。君は自分を正義の味方だと思っているのか?」

 

 エミヤは怒り混じりの表情で来太を睨み付ける。

 

「俺は正義の味方ではありません、ヒーローです」

 

「同じだろう?」

 

「違いますよ。少なくとも、俺は正義の為に戦ってません」

 

「何?」

 

 来太の思いがけない反論に、エミヤの表情が歪んだ。そして、来太はエミヤに向かって言い放つ。

 

「俺は正義の為ではなく、人類の自由と平和の為に戦っています。これまでも……そして、これからも」

 

 そう言うと、来太は少し笑みを零す。

 

「それに……人に言われて変えられる程、俺の覚悟は安くも無ければ軽くもありませんから」

 

 頑なに意思を曲げない来太に、エミヤは何も言わなかった。そして暫くして、エミヤは諦めの表情をしながら深く溜め息を吐く。

 

「………どうやら、言っても無駄だと言う事か」

 

「アハハ、すみません」

 

「謝るくらいなら考えを変えて欲しいのだがな」

 

 そう言うと、エミヤは踵を返す。

 

「なら精々、その信念を貫いてみせろ……()()()()

 

「そのつもりです」

 

 今度こそエミヤはその場から去り、来太は周囲の見張りを始めた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「これは……」

 

「どうやら、遅かった様ね」

 

 翌日、来太たちカルデア一行とジャンヌは次の目的地であるラ・シャリテに到着するも、目の前には既に惨劇が終わった後だけが残されていた。建物は全て飛竜(ワイバーン)による襲撃によって崩壊しており、周囲には焼け焦げた匂いと残骸のみだった。

 

「酷い……」

 

「ドクター、生体反応は?」

 

『残念だけど、君たち以外の反応は無い……生存者は望めない』

 

「そんな……」

 

「フォウ……」

 

 残酷な現状に立香たちの表情に影が差した。するとジャンヌが辛そうな表情で呟く。

 

「これをやったのは()()1()()()()でしょうね……一体、どれだけ人を憎めばこれだけの所業が出来るのでしょう。私には……それだけが分からない」

 

 もう1人の自分が引き起こした惨劇の理由を、ジャンヌ自身は理解出来なかった。もし自分の中に人を憎む感情があったのかと思うと、彼女は自分自身を許せないのかもしれないのだから。

 

 それを他所に、来太はカルデアに確認する。

 

「ロマニさん、ダ・ヴィンチさん。すみませんが、もう1度周囲を調べてくれませんか?」

 

『……気持ちは分かるけど、そこにはもう生存者の反応は───』

 

「違います、()()()()()。数㎞圏内に敵の反応はありませんか?」

 

『え?』

 

『ッ!?拙い、ロマニ!』

 

「どうやら君の勘が当たった様だな、ライダー」

 

 唖然とするロマニに対してダ・ヴィンチ勘付き、優れた視力を持つエミヤが視線を移したところで漸くロマニも気が付く。

 

『しまった、其方に接近する反応を感知!敵が君たちに気付いた!それに敵サーヴァントの反応が……嘘だろッ、6()()!?皆急いでそこから逃げるんだ!』

 

「急いで此処から離脱するわよ!」

 

「ッ!?はい!」

 

「了解しました!ジャンヌさん、行きましょう!」

 

 急いでオルガマリーは指示を送り、全員がその場から撤退しようと動き出そうとする。しかし、ジャンヌだけは動かなかった。

 

「出来ません。せめて、敵の真意を問わなければ」

 

「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!」

 

『駄目だ、間に合わない!何とかして撤退してくれ!サーヴァントの数的にも此方が不利だ!!』

 

 逃げる素振りもせずその場から離れようとしないジャンヌにオルガマリーが叫び、ロマニが警告した瞬間、複数の影が地面に着地する。

 

 その正体は6騎の敵サーヴァント。

 

 ───羽帽子を被った可憐な男装の剣士。

 

 ───闇に溶け込みそうな程に黒い貴族服を着た長髪の男。

 

 ───露出度の高い修道服と、籠手が目を引く女性。

 

 ───茨を思わせるドレスを纏い、仮面を付けた淑女。

 

 ───黄金の柄に多数の聖遺物が埋め込まれた剣、ゆったりした服を着込んだ知性を感じる眉目麗しい騎士。

 

 ───そして、全てが黒で染まり服と鎧を身に纏い、冷酷な笑みを浮かべる()()1()()()()()()()()()()()

 

 敵サーヴァントの登場に来太たちが警戒していると、黒いジャンヌがジャンヌの方を見る。

 

「……ッ!」

 

「───なんて、こと。まさか、こんな事が起こるなんて」

 

 身構えるジャンヌに対し、黒いジャンヌはそんなジャンヌを見て信じられない様な表情をする。

 

「ねえ、お願い。誰か私の頭に水を掛けて頂戴。拙いの、ヤバいの。本当に可笑しくなりそうなの」

 

 

「だってそれぐらいしないと、あんまりにも滑稽で笑い死んでしまいそう!」

 

 

 すると黒いジャンヌが次第にジャンヌを見下す様に嘲笑い始めた。

 

「ほら、見てよジル!あの哀れな小娘を!何、羽虫?ネズミ?ミミズ?どうあれ同じ事ね!ちっぽけ過ぎて同情すら浮かばない!」

 

「ああ、本当………こんな小娘に縋るしか無かった国とか、ネズミの国にも劣っていたのね!」

 

 黒いジャンヌのゲラゲラと嗤う様子を見て、来太たちは自分たちの知るジャンヌとは全く異なる存在である事を改めて認識する。

 

「ねえ、ジル。貴方もそう………って、そっか。ジルは連れて来て無かったわ」

 

「貴女は……貴方は、誰ですか!?」

 

「それは此方の質問ですが……そうですね。上に立つ者として答えて上げましょう」

 

 一頻り嗤い終えた黒いジャンヌにジャンヌが問いただすと、黒いジャンヌは呆れた表情をしながら答える。

 

「私はジャンヌ・ダルク。蘇った救国の聖女ですよ、もう1人の"私"」

 

「……馬鹿げた事を、貴女は聖女なのでは無い。私がそうで無い様に。いえ、それはもう過ぎた事、語る事では無い。それより……この街を襲ったのは何故ですか?」

 

「……何故、かって?同じジャンヌ・ダルクなら理解していると思いますが。属性が変転していると、此処まで鈍いのでしょうか?」

 

 質問を変えたジャンヌに、黒いジャンヌは今更何を言っているのかと言う表情をする。

 

「この街を襲った理由?馬鹿馬鹿しい問い掛けですね。そんなもの、明白じゃないですか。単にフランスを滅ぼす為です。私、サーヴァントですもの」

 

 黒いジャンヌは恰も当たり前の様に答える。

 

「政治的にとか経済的にとか回りくどいわ。物理的に全部潰した方が確実で簡潔でしょう?」

 

「……バカな事を!」

 

 そんな黒いジャンヌに、ジャンヌは怒りの表情をする。すると、黒いジャンヌはピクリと眉を動かす。

 

()()()()?愚かなのは私たちでしょう、ジャンヌ・ダルク。何故、こんな国を救おうと思ったのです?何故、こんな愚者たちを救おうと思ったのです?裏切り、唾を吐いた人間たちだと知りながら!」

 

『……おい、来太。代われ』

 

(急にどうしたの?)

 

 叫ぶ黒いジャンヌを他所に、内なる存在が来太に話し掛ける。

 

『あの女の長ったらしい演説にはウンザリだ。それに、良い加減シャバの空気も吸いたくなったしなァ』

 

(また唐突に……分かった。頼むよ、()()()()

 

 苛立ち始めた相棒に呆れながら、来太は()()()()()()()

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「それは───!」

 

「私はもう騙されない。もう裏切りを許さない。そもそも、主の声も聞こえない。主の声が聞こえないと言う事は、主もこの国に愛想を尽くしたと言う事です」

 

 反論しようとするジャンヌの声に被る様に黒いジャンヌは言う。

 

「だから滅ぼします。主の嘆きを私が代行します。全ての悪しき種を根本から刈り取ります。人類種が存続する限り、この憎悪は収まらない。このフランスを沈黙する死者の国に作り替える。それが私。それが死を迎えて成長し、新しい私になったジャンヌ・ダルクの救国方法です」

 

 出鱈目な救国方法にジャンヌは唖然とする。

 

「まあ、貴女には理解出来ないでしょうね。いつまでも聖女気取り。憎しみも喜びも見ないフリをして、人間的成長を全くしなかったお綺麗な聖女様には───」

 

 次の瞬間、1発の光弾が放たれた。光弾は黒いジャンヌの頬を掠めると、その病的にも白い肌から一筋の血が流れ、頬を伝う。

 

「…………は?」

 

 黒いジャンヌは何が起こったのか分からない表情し、自分の頬を触れ、その手が血が汚れた事で漸く自分が攻撃された事に気が付き、光弾の放たれた方向に顔を向ける。黒いジャンヌだけでなく、その場にいる全員が攻撃された方へ視線を移すと、そこには来太が何食わぬ顔で黒いジャンヌにライブガンの銃口を向けていた。

 

「来太……?」

 

 立香は呆然としながら問い掛けるも、来太は顔を向けなかった。

 

 

()()()()()()()()()()()

 

 

「え?」

 

「来太、さん?」

 

「フォウ!?」

 

 すると、普段の優しい来太から聞いた事の無い様な苛立ちの籠った声に立香を始め、彼を知る全員が唖然とする。

 

 しかし、そんな彼女たちを無視し、来太は自身の腰にツーサイドライバーを装着すると体から黒いモヤが発生し、彼の全身を包み込む。そして、黒いモヤが晴れると、来太の姿が変わっていた。

 

 レザージャケットとジーンズは黒のモッズコートとカーゴパンツに変貌し、首と両耳、両手にはそれぞれネックレスと多数のピアスとリング等のシルバーアクセサリーが施され、爪は黒のネイルによって染まられ、そして髪全体にウェーブが掛かり、前髪は中央から分けられていた様にヘアースタイルも変化した。

 

『嘘だろ、彼の霊基パターンがライダーからアサシンに変わってる!?まだ変身していないのに!』

 

『皆、そこに居るのは()()()()()()!!』

 

 来太の変化にロマニとダ・ヴィンチが気が付き、立香たちに警告する。

 

「どのみち()り合うのは決まってんだ。なら───」

 

 そんな彼女たちを未だに気にする素振りも無く、来太は……否。来太の内に宿した悪魔カゲロウは黒いジャンヌを挑発する様に嘲笑いながらバットバイスタンプを構える。

 

「サッサと始めようぜ」




原作とは異なり、()()()()()()()()()()()()()()()()()1()()()()()()、お待たせしました。リバイスの名物キャラことカゲロウの登場です!
それと申し訳ございませんが、変身は次回に持ち越します。


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