キユリの朝までラジオ (短編連投カクナム)
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ゲスト《コッコ・ルピア》

「こんにちゆりゆり~!

 ということで、今週も始まりました、キユリの朝までラジオ~! 今日のゲストは、《コッコ・ルピア》さんです!!」

「オイラ、コッコ・ルピアだッピ。よろしくッピ」

「よろしくお願いしますね、大先輩!」

「あ、圧が強いッピ・・・・・・」

「そりゃそうですよ~私たちコスト軽減クリーチャーの元祖みたいな方ですから!」

「厳密には違うッピけどね」

 コスト軽減クリーチャーの元祖は二弾の《念仏(ねんぶつ)エルフィン》と《ラブ・エルフィン》の二体だ。

「まぁまぁ、そんなマイナー先輩のことは置いておきましょうよ」

「炎上するッピよ・・・・・・」

「ファイアー・バードだけに?」

「マジで燃えるッピよ?」

「そしたら《レッツ!鳥鍋(とりなべ)パーティー》ですね!」

「ちょっとドラゴン呼んで来て良いッピ?」

「すみません調子に乗りすぎました」

 キユリは驚くべき早さで謝罪した。相手は大先輩な上に20年以上ドラゴン達の友であり続けているのだ、怒らせてはならない。

「茶番はこのくらいしましょうか。そのドラゴンで思い出したんですけど」

「オイラ、半分は本気だったッピよ?」

「ドラゴンで思い出したんですけど!」

「ゴリ押しッピ・・・・・・」

 コホン、とキユリはわざとらしく咳払いした。

「ドラゴンで思い出したんですけど、最近のドラゴンって結構ファイアー・バードと組まないでドラゴンだけで纏まってることもあるじゃないですか。アレについてどう思います?」

「どうって、何がッピ?」

「もうドラゴンはドラゴンだけでも居られるのに、ドラゴンのお友達って名乗れるものなのかなーと思いまして」

 ドラゴンだけでも戦えるなら、態々(わざわざ)ファイアー・バードと共に居る意味は薄い。そんなようなことを、キユリはぼかしながらも言っているのだ。

「オイラに関しては、《ボルシャック・栄光・ルピア》ってドラゴンになれるし、未だに一緒に戦ってるッピよ?」

「あ、コレ()く相手間違えたヤツですね」

「なんなら、この前オイラ達もドラゴンの進化に追いつくためにアーマード・ファイアー・バードになったッピよ?」

「あ、コレ訊くタイミングも間違えてますね」

「まぁ強いて言うなら、オイラ達がドラゴンに必要とされなくなっても、オイラ達がドラゴンの友達であることは変わらないッピ。

 それに、今はドラゴン達だけで戦えても、またオイラ達の力が必要になることがきっとあるッピ。そうしたらまた協力して戦うのが、オイラ達ッピ」

 誇らしそうにそう告げるコッコ・ルピアに、キユリは感銘を受けた。思わず零れた涙をコッコ・ルピアの翼で拭う。

「しれっと何してるッピ?」

「いえ、温かそうだなって思ったので」

 

 

「ところで、過去のコッコ・ルピアさんの発言に、こんなものがあったのですが」

 キユリはメモに書かれた台詞(フレーバーテキスト)を読み上げる。

『もう、僕たちもずいぶん長いことドラゴンと一緒に戦ってきたっぴ。そして、一個わかったことがあるっぴ。それはあいつらは僕たちがいないと何もできないってことだっぴ。だから、あいつらはもっと僕たちに感謝するべきなんだっぴ!!! ――コッコ・ルピア』

「なっ、それはオイラが一番調子に乗ってた時期の!? や、やめるッピ! 今はそんな偉そうな考えしてないッピ!」

「へ~コッコ・ルピア先輩って昔こんな感じだったんですね~!」

「偏向報道はやめるッピ!? ごく僅かな時期だけだッピ!!」

「あ、《チャラ・ルピア》ちゃんからメッセージだ。

 なになに、『ちーっす! 見損なったッスよ、コッコパイセン! ポンポンッ!』だそうです」

「なんでチャラと連絡先交換してるッピ!?」

「まぁ、登録者100億人なので?」

 ここぞとばかりにドヤ顔するキユリ。

「そんなんだからマニフェストさんに呆れられるんだッピよ・・・・・・」

「なっ!? マニフェストさんはキユリとズッ友ですよね!!! ね!!?」

 キユリがカメラに向けて迫る中、放送事故気味に配信は終わった。




一発ネタ
「こんにちゆりゆり~!
 本日のゲストは、《終末の時計(ラグナロク)ザ・クロック》さんです!!」
「時間よ止まれ! お前の配信はここまでだ」


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ゲスト《(かす)妖精(ようせい)ジャスミン》

キユリのサプライ&プロモ《サイバー・ブレイン》記念


「こんにちゆりゆり〜!

 今週も始まりました。キユリの朝まで~ラジオ! 今日のゲストは、《霞み妖精ジャスミン》ちゃんです!」

「こんにちは。ジャスミンです」

「はいどうもこんにちは。いや〜こうして一対一でお話しするのって初めてですかね?」

「あ、そうかも。ガーベラちゃんのお茶会とか、《エンドレス・フローズン・カーニバル》とか、会う機会は多かったんだけど」

「あとお花見もしたりしましまよね!」

「あったね〜」

 同じ種族ということもあってか何かと関わりの多い二人は、ほぼ初めての会話ながら共通の話題が多かった。

「あの時、何でか私だけ集合時間が早かったんだよね」

「え、ジャスミンちゃんが場所取りを!?

 もしかして春バージョンの《フェアリー・ライフ》ってそういうことだったんですか!?」

「うふふ。冗談だよ」

「で、ですよね〜」

「私、お呼ばれしてないから。春夏秋冬ずっと一人・・・・・・」

「まさかのボッチ!? 季節の《フェアリー・ライフ》にジャスミンちゃんしか映ってないのにそんな事情が・・・・・・!?」

「うふふ。冗談だよ」

「で、ですよね〜!」

 苦い笑いでそう頷くキユリ。微笑むジャスミンの感情は、長い前髪に隠れて読み取りづらい。

「お、お茶会で思い出しましたけど! 私たちの仲間(スノーフェアリー)も随分と増えましたよね。私も結構新参者ですけど」

「そうだね。最近だとウェッジちゃんとか、《氷駆の妖精(カーリング・フェアリー)》ちゃんとかかな?」

「ですね! いや〜みんな可愛くて誰をゲストに呼ぼうか迷っちゃいますね!」

「あと、アカネちゃんとか」

「可愛いですよね〜あの子も。まぁゲストには呼べないんですが・・・・・・」

「あれ、そうなの? 何かアカネちゃんを困らせるようなことしちゃったとか? マニフェストさんにしたみたいに」

「マニフェストさんはキユリとズッ友ですが!??」

 まずキユリ側が何かしでかした、という前提なことに、彼女は憤慨する。

「こほん。

 そうじゃなくて、このスタジオの大きさの問題ですね。ここ、サイズ的にコスト3までしか入れないので」

「あ、そういう感じだったんだ」

 知られざる裏事情にちょっと驚く。《チアスカーレット アカネ》はコスト5のため入れないらしい。

「えっと、お部屋のサイズを大きくしたりは出来ないの?」

「うーん、やり過ぎると放送終了(プレミアム殿堂入り)しちゃいますからね〜。まぁそうなったらドヤ顔で温泉に浸かってやりますが!」

 目標はプレミアム殿堂の前例(パーフェクト・ネイチャー)を超えることだ。

「えっと・・・・・・頑張ってね?」

「えぇ! そのためにも、ジャスミンちゃんに協力して欲しいことがあるんですが・・・・・・」

「? 協力して欲しいこと?」

「はい。ご存知の通り、私のチャンネル登録者って100億人じゃないですか」

「う、うん。そうだね」

 ジャスミンは苦笑した。

「私としては、これからもどんどんバズレンダしてもらって、チャンネル登録者を増やしていきたいんですけど、最近なんでか伸び悩んでいまして」

「うん」

「なのでジャスミンちゃんにメイドコスプレでもして貰おうかと思いまして」

「うん、そういうところじゃないかな・・・・・・」

 ゲストを使って登録者を増やそうとする辺りに性格が出ている。

「でも、なんで私がメイド? メイドならハキリちゃんとか居るよね」

「ふっふっふ。

 私、知っているんですよ。デュエデミー賞の授賞式の時、ジャスミンちゃん達がメイドの格好してたの!」

「あー、そんなこともあったね・・・・・・」

 思い出すように遠くを見るジャスミンに、キユリは「ぐっへっへ」と変な笑いをする。変な笑い。

「ジャスミンちゃんがメイド服着て『マナはいかがですか、ご主人様?』なんて囁やけば、登録者が増えるのは間違いなし・・・・・・ついでにちょーっとお着替えがあったり放送事故があったりするかもですけど〜?」

「もしもしコンプライーグルさん?」

「なっ!? ちょ、ちょっと待ってください、今のはあくまで冗談と言いますか案であって実際に配信するかどうかはこれから建設的かつ健全な話し合いで、ってもう来てる!?!? ギャーーー!?!?!?」

 ──配信は終了しました。




一発ネタ
「本日のゲストは、コンプライーグルさんです! なんで!?」
「・・・・・・(無言の垢BUN)」


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ゲスト《プラチナ・ワルスラS(エス)

登場するキャラクターの性格や口調は、背景ストーリーやフレテキ、イラストを参考に、妄想成分多めで設定しています。


「こんにちゆりゆり~!

 今週も始まりました。キユリの朝までラ~ジオ! 今日のゲストは、私とも縁の深い、この方です!!」

「ふむ、ここで名乗るのであったな。()こそ、《プラチナ・ワルスラS》である」

「はい、ありがとうございます。

 なんとこのワルスラさん、以前の鬼の歴史との戦いで、私に力を貸してくださった方なんです!」

「うむ、そういうことらしいな。その時のことはあまり覚えていないが」

「え~そんな!? 私との絆と友情とその他諸々の感動ストーリーを忘れてしまったんですかワルスラさん!」

「ふむ。それがもし本当だったなら謝罪しなければなるまいが、仮に偽りだった時は余のワルスラ軍団を其方(そなた)に向けて出陣させることになる」

「すみません冗談が過ぎました」

 流れるようにキユリが土下座する。スライム(ワルスラ)軍団に攻められるとか、絵面も外聞も完全にアウトだ。また《コンプライーグル》が飛んで来かねない。

「まぁ、今回は初犯ということで見逃してやろう」

「さっすがワルスラさん話がわかるぅ! よっ、元殿堂カード!」

「調子に乗るのが早すぎるな其方は・・・・・・」

 思わず呆れるプラチナ・ワルスラS。

「感動ストーリーとやらはさて置き、余の力を得た其方は一体どんな活躍をしたのだ? この余の力を持ったのだ、さぞ名を挙げたのだろう?」

「・・・・・・えーっと、それはですね、」

 思わずキユリは顔を背けた。活躍した記憶(フレーバーテキスト)が、サッパリ無かったからだ。

「はぁ・・・・・・この余が力を貸したというのに、碌な戦果も無いとはな」

「わ、ワルスラさんだって『禁断の星とドルマゲドンXが近づくにしたがって、倒したはずのマスター達が蘇る!』以来、なんの活躍もしてないじゃないですか!」

「何を言うか。蘇ってからの余は《蒼き団長ドギラゴン(バスター)殿(どの)をはじめ、多くの盟友と共に戦ったぞ」

「あ、そっち(環境)の話ですか・・・・・・」

 背景ストーリーでの活躍は描かれていないだけで、多分きっと色々あったのだ。多分きっと。

「そもそも、なぜ余はこのようなじゃじゃ馬娘に力を貸したのか。皇帝たる余の力を預けるに相応しいとは思えぬが」

「じゃ、じゃじゃ馬ですか」

「何だ、自覚すら無かったのか。全く、最近の水文明というのは、やれ動画投稿だの、やれハイクだのと訳の分からないことばかり・・・・・・」

「はい・・・・・・すみません・・・・・・」

 くどくど・・・・・・。

 

「そもそも其方は敬意というのがなっていないな。特に《キング・マニフェスト》殿は其方らの長であるのだから、もっと友達感覚ではなく敬う気持ちを持って接するべきである」

「そんな!? 私とマニフェストさんはズッ友ですが!??」

「それは其方が勝手に言っているだけであろう。余の知る限りで、それにマニフェスト殿が応えたことは無いはずだが?」

「こ、コラボ配信しましたもん!」

「では、あちらから『ズッ友』であると言われたのか?」

「はい・・・・・・すみません・・・・・・」

 くどくど・・・・・・。

 

「え、ブロッカー? 余そんなの持ってないんだけど」

「私にもわかりません・・・・・・なんか付いてました・・・・・・」

「「え、こわ・・・・・・」」

 くど? くどくど・・・・・・。

 

「やー、大変だったんですよ。空からデカい顔面、もとい《メテヲシャワァ・ヲヲロラシアタァ》って言うのが降ってきて! しかも二回も!」

「なんと、そんなことが。それが墜ちてきたら大惨事ではないか」

「一回目はマニフェストさんが何とかしてくれたっぽいですね! 二回目は、大地をスクリーンにして、私の動画含む面白コンテンツ100時間耐久動画を流して釘付けにしました! 私が考えた訳じゃ無いんですけどね!」

「ほう、中々やるではないか」

 くど、くど・・・・・・?

 

「つまりだな、マニフェスト殿にとってのズッ友はアアルカイト殿である可能性が高い」

「そ、そんな!? 私はどうすれば・・・・・・このままだと私の登録者数がー!」

「どこまでもブレないな其方・・・・・・。

 まずはそういうところを直すところではないのか?」

「はい・・・・・・すみません・・・・・・」

「というか、何故自分から進化して能力を使えないのだ、其方?」

「私に言われましても・・・・・・」

 

 配信は、終始(?)キユリが説教されてしおれた状態で終わった。




一発ネタ
「本日のゲストは、メイ様ちゃんです!」
「・・・・・・すかぴー」
「って寝てる~!?」


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ゲスト《爆鏡(ばっきょう)チッタ》

登場するゲストは、好みやネタの書きやすさを優先して選んでいます。


「こんにちゆりゆり~!

 今週も始まりました。キユリの~朝までラジオっ! 今回のゲストはこの方です!!」

「配信の相手は私よ、リスナー! 爆鏡チッタよ」

「ありがとうございます。という訳で、チッタさんにお越し頂いてます~!」

 ビシィッと親指で自分を指すチッタ。

「ところで、その挨拶のことなんですが、結局ジャオウガとは戦ったんですか?」

「えぇ、ボコボコにされたわね! 時間稼ぎにもならなかったわ!」

「まぁパワーがまるで足りてませんもんね。どのジャオウガが相手でも」

「えぇ、次やれば勝てるわね」

「どっから来てるんでしょうねその自信」

 いい笑顔でサムズアップするチッタだが、隣のキユリはやや苦笑気味だ。

「そういえば、チッタさんってどこの出身なんですか? 噂ではとある龍覇のお二人に関係があるのではないかと言われていますが」

「秘密よ! 私はミステリアスな女なの」

「でも新章(私たちの)世界では珍しいヒューマノイド爆ですよね」

「秘密よ!」

「でもその割にはドラグナー持ってませんよね」

「うるさいわねまだ修行中なのよ! ドラグハートももう無いし!」

「最近新規ドラグハートが出たらしいですが」

「あの親子ばっかりズルいと思わない!? でも私は優しいから許してあげるわ。グラッサもタレットも良い子だし」

「あ、お知り合いではあるんですね~」

「秘密よ」

「あハイ」

 (かたく)ななチッタに、キユリは思わず真顔で頷いた。話題を変えることにする。

「チッタさんと言えば、《我我我(ガガガ)ガイアール・ブランド》さん達と一緒に戦ってるイメージですが、メンバーの中ではどんな立ち位置ですか?」

「ま、紅一点ってところかしらね。ヒロインと言って差し支えないわ」

「皆さん火文明なので全員(あか)いですけどね~」

「言葉の綾よ」

「火文明の中でガードマンの能力って珍しいですけど、どうやって守ってるんです?」

「『爆流(ばくりゅう)剣術(けんじゅつ) (かがみ)(まい)』の応用ね。相手の攻撃を屈折させて私に向けているの」

「あれ、確かその爆流剣術って《爆鏡ヒビキ》さんの・・・・・・」

「偶然よ」

「ところで、ご両親のお名前を伺っても?」

「秘密よ」

「あハイ」

 頑ななチッタに、キユリは再び真顔で頷いた。こればかりは公式が明言しないのが悪い。

「では、仲間が攻撃してからじゃないと攻撃しないっていうのは・・・・・・」

「様子見って大事よね。無謀な突撃とか品が無いわ」

「でもジャオウガには突撃したんですよね」

「様子見した上で行けると思ったのよ」

「そして惨敗、と」

「次は勝つからいいのよ!」

「本当、どっから来てるんでしょうねその自信」

 威勢(いせい)だけは良いチッタに、キユリは曖昧な顔で頷いた。

「えー、そのジャオウガですが、再戦の目処(めど)は立ってるんですか?」

「良く聞いてくれたわね。危うく私も忘れるところだったわ!」

「えぇ・・・・・・」

 ガサゴソと懐をまさぐるチッタ。取り出したのは、『果たし状』とやや乱雑に書かれた紙だ。

「お前の相手は私よ、ジャオウガ! 決闘を申し込むわ!」

「なんと、公開決闘申し込みですか! 面白くなってきましたね!

 あ、その決闘ウチのチャンネルで配信させて頂いても?」

「構わないわよ。見てなさい、華麗に勝利してやるわ!」

 

 後日、キユリチャンネルで行われた決闘配信は、ジャオウガを待っていたチッタが決闘開始時間の瞬間にどこかから降ってきた槍に一瞬で蹴散らされて終了した。




一発ネタ
「本日のゲストはこの方、《絶望神(ぜつぼうしん)サガ》さんです!」
「サガです。オリジンの起源です。特技は創造と破壊を繰り返すことです」
「ほうほう、どんな感じなんです?」
「こんな感じです。サガサガサガサガサガサガサガサガサガサガイワシンサガサガサガサガサガサガサガイザナミオレノナスコトハサガサガサガサガサガ・・・・・・」
「ちょっ、待っ、スタジオが、スタジオが壊れるっ!? なんか人増えてるし!?」


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ゲスト《綺羅(キラメキ)王女(プリンセス)プリン》

《キユリのASM(あさまで)ラジオ》で場に出せない《首領竜(キャプテン)ゴルファンタジスタ》「ファーーーーーーー!!」


「こんにちゆりゆり~!

 ということで、今週も始まりました。キユリの! あ~さ~ま~で~ラジオ!! 今日のゲストは、《綺羅王女プリン》さんです!!」

「リュウセイにまたがって~アナタに急降下~なのじゃ!

 (わらわ)がパンドラの姫、プリンじゃ」

「ありがとうございます~」

 ピースを目の横辺りに持って行ってポーズを取るプリン。アイドルっぽいオーラに、ぱちぱちとキユリが拍手する。

「いやー、アカペラなのに綺麗なお歌ですね! 流石王女様!」

「ふっふっふ。それほどでもあるのじゃ!」

「でも歌は色々と規制が厳しいんで、控えてもらえます?」

「なんでじゃ!?」

 がーんとショックを受ける。

「こうなれば・・・・・・姫たる妾が改革をするしか!」

「でもパンドラスペース滅びてますよね?」

「お、《王家の秘宝》残せてるし!? 妾たちだって復活させようとしてるワケじゃし!?」

「復活できると良いですね~」

「ま、妾とリュウセイにかかれば無問題(もーまんたい)じゃろうな!」

 得意気に胸を張るプリン。

「で、その一環でアイドルっぽくなったと」

「どうしてこうなったのかは妾にもわからん」

 本人もよくわかっていないようだ。こればっかりは公式が悪い。

「復興のためのアイドル活動、とかになるんですかね」

「あと、ハンターとエイリアンが仲良くなるように、とかじゃろな」

「なるほど、そしてグレて髪の毛を染めた、と」

「いやグレとらんのじゃが。

 パンドラの王女ともなれば、髪色ぐらいは簡単に変えられるのじゃ」

「それでたまに失敗して髪がプリンになる、と」

「もしかして妾、馬鹿にされておる?」

「いえいえ、ジョークですよジョーク」

「さっきから思っておったが、お(ぬし)だいぶ不敬じゃな」

 真顔になったプリンに、キユリは笑顔で返す。冷や汗スマイル。

「やーほら、折角のラジオですし色んなことを話したいじゃないですか」

「《悠久(ゆうきゅう)を総べる者》と《姫様宣言(プリンセス・ラッシュ)》、どちらが好みじゃ?」

「ドラゴンが来てスタジオ壊れるヤツ(オチ)じゃないですかヤダー!?」

「いやいや、ジョークじゃよジョーク」

「で、ですよね!」

「今のところはの」

 真顔になったキユリに、プリンは笑顔で返す。姫様スマイル。

「すみませんでした・・・・・・」

「今の妾ブロッカーじゃからの。ブロックするくらいで勘弁してやるわ」

「そんな!? せめて高評価とチャンネル登録で!!」

「なんでお主に得なことせにゃならんのじゃ」

 商魂(たくま)しい(?)キユリに、呆れた目をする。

「で、そろそろリュウセイかカイザー「勝」か、選べたかの?」

「すみません本当に勘弁してください!?」

 

 最終的に、キユリがリアルタイムで許可を取った後にプリンが一曲歌って配信は終わった。




一発ネタ切れ


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ゲスト《春眠(しゅんみん)妖精(ようせい)プラム》

メジャーどころを書いた後は、マイナー気味のクリーチャーを書きたくなりますよね。


「こんにちらむらむ~!

 今週も、始まりました、プラムのおやすみラジオ☆ 今回のゲストは──」

「わー、わー!? なに急に始めてるんですかプラムちゃん! これ私の番組ですよ!?」

 打ち合わせに全く無いことを始めたゲストに、キユリは開幕から声を上げた。

「ゴメンゴメン、ちょっと悪戯心が出ちゃって☆」

「出ちゃって、じゃないですよ!? 思わず叫んじゃったじゃないですか!」

 (なお)、まだ叫んでいる。

「あはは、ホントにゴメンね?」

「全くもう・・・・・・リスナーさんも多分驚いてますよ。

 ドッキリ番組じゃないんですからね、コレ」

 激おこな様子のキユリだ。ゲキオコ・マロン。

「そもそもこの配信(ラジオ)ってリスナーを快眠に導く番組じゃなかった?」

「当初はその予定だったんですけどねー、どこで間違えたんでしょう?」

 ハキリちゃんをゲストにするまでは良かったはず、とキユリは首を傾げる。

「でも、プラムちゃんならリスナーの皆さんを快眠しせられますよね! なんてったって『春眠』妖精ですし!」

「うーん、それはちょっとプラムには期待が重いかなー☆ なんて・・・・・・」

 冒頭のお返しとばかりにプレッシャーを与えるキユリ。

「いやー、楽しみですねー! 私もウッカリ寝ちゃうかもしれません!」

「か、勘弁してくれないかなー☆」

 そうしたら本当にプラムのラジオだ。放送事故である。

「ふふふ、配信の主は私ですよ? 開始できるのも、終了ボタンを押せるのも・・・・・・」

「ぷ、プラム困っちゃうな~☆」

「ついでにそのキャラ剥がしてやりますよー!」

「さ、流石に勘弁して欲しいなっ☆ というかキャラじゃないし!?」

 まだ笑顔は保てているが、冷や汗が浮かんでいる。

「そ、そういえば、キユリちゃんは歌とかやらないの?」

「露骨に話を逸らしましたね」

「そ、ソンナコトナイヨ? 気になっただけだから!」

「苦しすぎる言い訳ですね・・・・・・」

 声もうわずっていた。

「確かに、《アクア・ウタッテミタ》さんとか、歌を中心に『Instant(インスタント) Wave(ウェーブ)』で活動をしている人もいますけど・・・・・・」

 最近は歌だけでなくハイクも流行っているらしい。

「今までこんな感じで配信してきてるのに、わざわざ歌とか別のことを始めるのも、なんだかなーって気がしません?」

「そ、そういうものなのかな?」

「そういうものです」

 若干ものぐさっぽくも聞こえるが、そういうことらしい。

「なので、歌とか踊りとか、そういうのは別の人に任せます。プラムちゃんとか」

「プラム、チームには所属してないから、『Instant Wave』には投稿できないんだけどね」

「ではその分、リスナーの皆さんに宣伝しておきましょう! どうぞ!」

「プラムの1st シングル《フェアリー・ソング》好評発売中っ☆ みんな、聞いてねっ☆」

 シームレスに宣伝を挟む。その後、特に問題なく配信は終了した。




一発ネタ
「こんにちゆりゆり~!
 本日のゲストは、《困惑の影トラブル・アルケミスト》さんです!」
「また、やってもうた。
 具体的には、配信機器の破壊を、やってもうた」
「えっちょっ!? なんかマイクとか色々煙吹き出してるんですけど!?
 ぎゃーーーーー!?」


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ゲスト《赤い稲妻(サバイバル・スター)テスタ・ロッサ》

登場するキャラクターがどの時間軸に居るのかは、話の都合によって前後する可能性が高いです。


「こんにちゆりゆり~!

 ということで、今週も始めていきましょう。キ~ユ~リ~の~、朝までラジオッ!!

 今週のゲストは、《赤い稲妻(サバイバル・スター)テスタ・ロッサ》さんです!」

「オレはテスタ・ロッサ。アウトレイジのテスタ・ロッサだ」

「はい、ありがとうございます~」

 ぱちぱちぱち、とキユリが拍手で出迎える。

「テスタ・ロッサさん・・・・・・長いのでテスタさんで良いですよね?

 テスタさんは以前に戦いで命を落とした後、ディスペクターを巡る戦い、『王来大戦』の際に復活されたとのことですが・・・・・・」

「あぁ、その通りだ」

「しかも、テスタさんを復活させたジェットさんはあのアウトレイジでも『不死』と名高いブルースさんの息子さんらしいです!

 ・・・・・・アレ、ブルースさんって新章(こちら)の世界の方でしたっけ?」

「アウトレイジだから、そういうこともあるんだと思う。世界のルールとか、破るものだと思ってる節があるし」

「えぇ・・・・・・こわ・・・・・・」

 実際、エピソード世界以外にも結構出没している。無法が過ぎる。

「で、ではそのブルースさんってどなたと結婚したんでしょうね?」

「さぁ・・・・・・俺が倒れたあとの(はなし)だろうから」

「もしかして、アリスさんだったり!? ほら、アリスさんを復活させたのもブルースさんですし! ジェットさんも結構小柄ですし、あり得ない話でも無いですよね! ね!?」

「・・・・・・・・・・・・」

 一人で盛り上がるキユリはテスタへ振り向く。無言のテスタ・ロッサはラスト・バーニングの構えをとる。

「わー、わー!? 止めてください、冗談ですって!」

「ブルースさん・・・・・・あなたのことは尊敬しているし、恩義も感じている。でも──」

「聞いてないし!? ぎゃーごめんなさいスタジオ壊れちゃう!!?」

 キユリのかなり必死な言葉に、冷静になった。

「──すまない。熱くなってしまって・・・・・・」

「いえ、こちらこそ・・・・・・それにしても、本当に熱さを感じました。メッチャ」

 額の汗を拭うキユリ。テスタは気まずくなって顔を逸らす。

「それにしても、凄いですねブルースさんもジェットさんも。テスタさんやお仲間を簡単に復活させちゃうなんて」

「アウトレイジだから、そういうこともあるんだと思う。ルールとか秩序とか、壊すものだと思ってる節があるし」

「何でもそれで押し通そうとしてません?」

 鋭い指摘をするキユリ。テスタは再び気まずくなって顔を逸らす。

「でも、流石は無法者の皆さんです。

 私も見習っていきたいですね、そのルールに縛られない姿勢! 打倒、コンプライアンス!」

「いや、配信者がそれは駄目だと思うが・・・・・・」

 キユリの脳裏に、あの(にっく)き《コンプライーグル》が思い出される。

「・・・・・・そうですね、まずは小さなルールとかから壊していきましょう!」

「そういう話じゃ無い気がする」

「という訳で、次回のゲストは《無法(むほう)アリス-1》さんにお願いしましょうかね! ね!?」

「・・・・・・・・・・・・」

 調子に乗ったキユリはテスタへ振り向く。無言のテスタ・ロッサはラスト・バーニングの構えをとる。

「わー、わー!? ごめんなさいごめんなさい、調子に乗りすぎましたぁ!!?」

 スタジオが爆炎にのみ込まれる中、しめやかに配信は終了した。




一発ネタ
「本日のゲストはこの方、《ゾンビポンの助》さんです!」
「ゾンビよのぅ~」(爆発)
「なんで!?」


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ゲスト《異端(いたん)(なが)しオニカマス》

メタクリが続いてしまいましたが、偶然です。


「こんにちゆりゆり~!

 今週も始まりました、キユリの、あ・さ・ま・で・ラジオ!

 本日のゲストは、《異端流しオニカマス》さんです!」

「我が異端流しの魔術は、不正を審問する魔術・・・・・・オニカマスである」

「よろしくお願いします~」

「よろしく頼む」

 意外に仰々しいオニカマス。キユリはちょっと驚く。

「結構硬い話し方なんですね。もっと『ヒャッハー!』な(かた)かと思ってたんですけど」

「随分と失礼な物言いだな。魚人への偏見か?」

「いえ、何ででしょうね? 自分でもよくわからないんですが、なんかそういうイメージがあって・・・・・・」

 首を傾げるキユリ。同じように首を傾けるオニカマス。シュール。

「まぁ、どうでもいいですね!」

「おい」

「実は私、結構オニカマスさんにシンパシー感じてたんです! ほら、共通するところ(アンタッチャブル能力)がある気がしません?」

「貴様、それでよくオレに『ヒャッハー!な(かた)』とか言えたな」

 キユリは『ヒャッハー!』サイドなので問題は無い。

「では早速質問なんですが」

「流すな」

「異端流しだけに?」

「・・・・・・・・・・・・」

 オニカマスは諦めて質問を聞く姿勢になる。

「オニカマスさんって、あのドギラゴン(バスター)さんの剣を持ってる時期あったじゃないですか」

「あ~、《(りゅう)(けん) (せい)(おう)(こう)()(しょう)》か?」

「アレって、なんでなんです?」

「借りた」

「借りた!?」

 驚愕のあまり、キユリが身を乗り出した。

「一度くらい持ってみたいだろう? なので、頼んだら貸してもらえた。やはり団長は器の大きさが違うな」

「サイズ感とか色々違った気がしますが……」

「あの剣すごいぞ。持った途端オレに合うサイズに変わったんだ」

「え~、便利ぃ~」

 便利な伸縮機能だ。《(ばく)剣士(けんし)グレンモルト(バスター)》が装備できていたのもそういう理由かもしれない。

「あくまで持てるだけだがな。剣を使いこなせるかは、また別の問題である。

 オレのような未熟者では、到底無理だった」

「なるほど~、なら私はイケますかね!?」

「ハッ」

「鼻で笑われた!?? 魚の切り身に!!?」

「おいコラ」

 しれっとディスるキユリに、オニカマスは呆れた目を向ける。

「そろそろ異端審問にかけるぞ」

「すみません調子に乗りすぎましたっ!」

 スピーディーの土下座するキユリ。相手は長期間環境で戦ってきた猛者(もさ)だ、怒らせてはいけない。

「謝れば良いという問題では無いのだがな」

「そ、そんな!? どうか私とチャンネルだけは!!?」

「ブレないな貴様」

 そのままひたすら謝罪し、時々問題発言をしつつなんとか異端審問は回避した辺りで、配信は終了した。




一発ネタ
「本日のゲストは、《爆熱血ナレ太郎》さんです!」
「キユリの朝までラジオとは! キユリの、朝まで、ラジオとタイトルがそこそこ長ったらしいだけでなく! ブラックジョーク的な予測不可能な驚きと笑いが満載(?)のASMRのパクリ疑惑のある新企画ぅううう!」
「誰がパクリですか失礼ですね!? インスピレーションを受けただけですが!?」


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ゲスト《勇気と知識(ブレイブ・ブレイン)テスタ・ロッサ&アリス》

二人以上で一体のクリーチャーは全員をゲストとして呼び出せるものとしています。

デュエプレにテスタとアリスが実装!? タイムリー!!?


「こんにちゆりゆり~!

 というわけで。今週も始まりました、キユリの、あっさまで! ラジオ! 今回のゲストはこの二人です!!」

「えっと、アウトレイジのテスタ・ロッサです」

「アリスよ。・・・・・・なにキョロキョロしてるの、テスタ。しっかりしなさい」

 不慣れな様子で周囲を見回すテスタをアリスが咎める。

「え!? もしかしてコレってボクらの姿も映ってるの!?」

「はい、バッチリと!」

「さっき説明されたでしょ。もう忘れたの?」

「で、でもボク、ラジオってどんなのか知らなくて・・・・・・」

「はぁ・・・・・・。

 ま、オラクルの教義で娯楽は禁止されてたものね。テスタが知らないのも仕方ないわ」

「普通のラジオは声だけですけどね。この配信タイトルがラジオで内容もそれっぽいってだけで。

 あ、早速質問ですが、お二人はカップルですか?」

「違いますよ!?」

 目の前でイチャイチャされたキユリの質問に、テスタが叫ぶ。

「誰かしらそんなお便り送ってきたの。今すぐハッキングしてやりたいのだけど」

「今のは私の個人的な質問ですね!」

「そう。ならアナタの端末をハッキングして個人情報抜き取ればいいのね」

「やめてください! エッチ! 不埒(ふらち)! 不埒な再侵入(プラチナ・ハッキング)!」

「馬鹿にしていることはよーくわかったわ」

「あ、アリス、落ち着いて・・・・・・」

 空間にカーソルを展開して操作しようとするアリスを、テスタ・ロッサが必死に宥める。

「大丈夫よテスタ、私はとても落ち着いてるわ。じゃなきゃ今頃《電脳決壊の魔女(カオス・ウィッチ)》になっているもの」

「寿命を削ろうとしないで!?」

「きゃー、野蛮ですね!」

「キユリさんも煽らないでください!?」

 一触即発といった雰囲気(に見える)の二人に、テスタ・ロッサは慌てた。キユリは気にせず続ける。

「いやー、でもお二人とも本当に仲が良いですね」

「まだ言うのかしら」

「いえ、今度は変な意味はなくてですね、」

「あら、さっきは変な意味があったのね」

「変な意味はなくてですね!」

 ゴリ押しするキユリに、アリスは冷たい視線を向ける。

「アウトレイジの皆さんって、こう、『無法者ー!』って感じじゃないですか」

「言葉を選びましたね・・・・・・」

「だからもうちょっとギスギスするかと思ったんですけど、思ったよりお二人共仲良しで安心です!」

「そ、そんな印象なのにゲストに呼んだんですか・・・・・・」

 あけすけに物を言い過ぎなキユリに、テスタ・ロッサは苦笑する。

「別に、アウトレイジだからってずっと喧嘩ばかりしている訳じゃないわよ。そんなことしているのは取り分け脳ミソの足りない連中だけね」

「みんな、何だかんだ仲良いよね」

「確かに、私の先輩とも言える《一撃奪取(スタート・ダッシュ)》の皆さんも仲間思いだって有名ですよね。勿論、私もですが!」

「その冗談、面白くも無いわよ」

「酷い!?」

 別に冗談のつもりもなかったため、深くショックを受けるキユリ。

「アリスさんも、《一撃奪取(スタート・ダッシュ)》の皆さんみたいに優しくなりましょうよ~」

「? アリスは優しいですよ?」

「ほう?」

「テスタ?」

 冗談をそのまま真に受けたテスタ。キユリは興味津々(きょうみしんしん)だ。

「何だかんだ面倒見いいですし、ボクがわからないことあったりすると調べて教えてくれますし」

「ほーう?」

「ちょ、テスタ!?」

「さっきもラジオ(この配信)をよく知らないボクのフォローしてくれましたし。クロスやパルサーもそうなんですけど、みんなツンケンしてるけど根は優しいんですよ」

「ほうほうほーう?」

 雪精ホウホウ。

「テスタ、わかったから・・・・・・もうそこまでにして・・・・・・」

「え、アリス!? 顔赤いけど大丈夫!?」

「誰のせいだと思ってるのよ・・・・・・」

 無論、テスタのせいである。

「なるほど、お二人はとっても仲良しなんですね!」

「ち、違うわよ! 全然仲良くなんかない!」

「え、そうなの・・・・・・?」

(ちが)、くもないかもしれないけどッ!!」

 腕で赤面を隠しつつ叫ぶアリス。テスタはやや不安げに困惑していた。

「テスタさん、アリスさんを大切にしてくださいね!」

「? それは勿論ですけど・・・・・・大切な仲間(ヒト)ですし」

「キャー!」

「~~~~~ッ!!」

 その後、終始甘ったるい空気のまま配信は終了した。




一発ネタ
「本日のゲストは、《電脳の女王(ハックイーン)アリス》さんです!!」
前回(さっき)はよくもやってくれたわね。《不埒な再侵入(プラチナ・ハッキング)》!!」
「ぎゃー!?!? 前回の配信のデータが!!!?」


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ゲスト《コオニ童子(どうじ)

定期的に見直して、たまにちょっと書き直したりしています。


「こんにちゆりゆり~!

 今週も始まりました、キユリの! 朝まで~ラジオっ! 今回のゲストは、この方です!!」

「世界はジャオウガ様のモノ! アタシこそがジャオウガ様の配下筆頭、コオニよ!」

「挨拶から気合い入ってますね、よろしくお願いします~」

 目の横辺りでピースをするコオニを、キユリは拍手で迎える。

「コオニさんは自称、ジャオウガの配下筆頭とのことですが」

「一言余計よ」

「自己認識では、ジャオウガの配下筆頭とのことですが」

「だから、一言余計よ」

 キユリはスルーすることにした。

「そのジャオウガは今、新たな世界を繋ぐ柱になってる訳ですが、配下を名乗れるものなんですかね?」

「問題ないわ! ジャオウガ様のことだもん、しれっと復活するわよ」

「本当にそうなりそうなのが怖いところですね」

 自信満々なコオニに、キユリは冷や汗を浮かべる。それぐらい、ジャオウガは強大なのだ。

「というか、私たち敵同士だったのに、よくゲストに来てくれましたね」

「そんな細かいこと気にしてちゃデモニオ()は務まらないわよ?」

「私、デモニオでも鬼レクスターズでも無いんですが」

 キユリもゲストに呼んでるので大概ではあるが。

「デモニオで思い出しましたけど、コオニ『童子』ってことは、コオニさんって男の子だったりします?」

 名前の法則が同じなら、女子の場合は童女になるはずだ。

「そもそもの認識が違うわ。童子っていうのは、鬼を示す言葉であって、男子のことだけを指してないの。だって、そしたら《ハクメイ童子(どうじ)》も男になっちゃうじゃない?」

「それもそうですね」

 どことなくアイラ(モルトの嫁)似のデモニオ()を思い浮かべつつ、キユリは頷いた。

「まぁ、コオニさんに関しては《コオニ弁天(べんてん)》とか《コオニ小町(こまち)》って姿(カード)もありますし、女性だとは思ってましたけど」

「わかってるならわざわざ聞かないで欲しいわね」

 弁天も小町も、女性を指す言葉だ。

「いや~でも、確認って大事じゃありません?」

「ならアナタ、マニフェストとか言うヤツに自分がズッ友かどうか、ちゃんと確認したの?」

「ちょっとくらい確認を(おこた)ってもいい気がしてきましたね!」

 躊躇(ちゅうちょ)無く手の平を返すキユリ。

「確認するまでは確定しない、そう、言ったもん勝ちです!」

「そう、つまりワタシもジャオウガ様の配下筆頭なのよ!」

「なるほど、そういうことでしたか!」

「そういうことなのよ!」

 妙なところで意気投合する二人。どうやら似た者同士だったらしい。

 

 その後、配信は終始女子会のような雰囲気で終わった。そして、危険な発言が多かったため《コンプライーグル》によってキユリチャンネルはアカウントを凍結されることとなった。

「凍結オチなんてサイテーです!!」




一発ネタ
「本日のゲストは、《Law(ロー)(ニン)-(カイ)Hawk(ホーク)》さんです!」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・? あっ、まだタマシードだから喋れない!?」


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ゲスト《ミロクの弟子(でし)ニョライ》

CSプロモ《キユリのASM(あさまで)ラジオ》記念


「こんにちゆりゆり~!

 ということで、今週も始まりました、キユリの朝までラジオ。今回のゲストは、諸々の原因として有名なミロクさんの弟子、ニョライさんです!」

「どうも。師匠に『なんで私は出演できないの? ちょっと調べてきて』と言われて来ました、ニョライです。お見知り置きを」

「それ、言っちゃっていいんですか?」

「では聞かなかったことに」

 ニッコリ微笑むニョライ。キユリは笑顔を返す。

「仮にですけど、嫌だと言ったらどうなります?」

「そうですね、魔導具(クロスギア)のテスターにでもなってもらいましょうか。《次元のハングリー・ガントレット》とか」

「それ確か自分も巻き込んで爆発するヤツですよね!?」

 ニッコリ微笑むニョライ。キユリは冷や汗を流す。

「さ、さて! ニョライさんの師匠であるミロクさんですが! 色々とやってますよね。クロスギア作ったり、魔弾を作ったり、ドラグハートもそうなんでしたっけ」

「えぇ。師匠は節操がない、もとい様々な分野に精通しておりますので」

「で、武闘会を開いて使わせる、と」

「えぇ。師匠はちょっとその・・・・・・色々偏ってるので。倫理観とか」

「えぇ・・・・・・こわ」

 濁しながらの発言の内容にドン引きするキユリ。

「その武闘会の際にクロスギアを流したのはニョライさんとのことですが」

「えぇ、まぁ。師匠の指示でしたので、仕方なく」

「本音のところは?」

「戦いっていいですよね。血湧き肉躍る、私も好きな言葉です」

「この師弟、実は中身そんなに変わらなかったりしません?」

 ニョライの大概な発言に、キユリはやや引いた。

「失礼ですね、私は師匠とは違いますよ」

「と言いますと?」

「師匠は自分で発明したがります。私は武器の製法を教えて、どう発展するか見守ります。その方が面白いですし」

「理由が最悪ですね~。というかソレ、争いも発展しそうですし、もしかして師匠より(タチ)悪かったりしません?」

「褒めても何も出ませんよ」

「褒めてないんですけど・・・・・・」

「そうなんですか。残念ですね」

 なんとも言えない顔になるキユリ。

「ところで、ちょっと相談なんですけど」

「はい、何でしょう?」

「こう、私専用のクロスギアとかって作って貰えませんか? 具体的には、チャンネル登録者がもっと増えるような──」

「出来るか出来ないかで言えば、できますが」

「出来るんですか!?」

「まぁ、仙界一の天才の弟子ですので」

 ここぞとばかりにドヤ顔するニョライ。それを気にせず、キユリは前のめりになる。

「なら作ってくださいお願いします!」

「構いませんが、少々お時間頂くことになると思いますよ? 具体的には数千年ほど」

「数千年!?」

「えぇ、まぁ。今まで作ってきた魔導具(クロスギア)は戦闘用ばかりだったので、洗脳用、それも画面越しで効果を発揮するものとなると、かなりの制作期間が必要になりそうですので。

 師匠ならともかく、私が作るとなると、それくらいはかかるかと」

「そ、そうなんですか・・・・・・。

 というか、何で洗脳とかそんな物騒なお話に?」

「? 視聴者全員を洗脳してチャンネル登録をさせる、というお話だったのではないのですか?」

「やっぱりこの人も倫理観欠けてません!?」

 意図せずとんでもない兵器を製作依頼をしそうだったキユリは青くなる。

「ところで、貴方の背後に居るその鳥型超獣(クリーチャー)は一体?」

「ゲッ《コンプライーグル》さん!? いや違うんですキユリは決して視聴者を洗脳しようとか考えている訳では、待って待って私はそんなつもりじゃ、ってホントに話聞いてくれませんね!? ギャーーー!?!?!?」

 ──配信は終了しました。




一発ネタ
「本日のゲストはこの方、《魅力医(みろくい)ミョウオウ》さんです!」
「初めまして。お前も魔導具にならないか?」
「キャー、ヘンタイ!!?」


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ゲスト《天災(ディザスター)デドダム》

さあさあ皆様、ご唱和ください! これからデドダムに立ち向かいますのは、我らが無敵の死神! その名も~? ・・・・・・せーのっ! ヘ・ッ・ク・ス・ペ・イ・ン~~~!!


「こんにちゆりゆり~!

 ということで。今週も始まりました、キユリの朝までラジオ、改め『【デドダム】ヘックスペインを救いたい【聞け】』!! 今日の被告人(ゲスト)は勿論この方、《天災(ディザスター)デドダム》さんです!」

「ドーモ、天才が生みし天災、デドダムデス。

 というか何デスか被告人って」

 ゲストの言葉を聞き流し、キユリは続ける。

「デドダム・・・・・・デドダム・・・・・・デドダム。天災の侵略者のデドダム、お前どうしちまったんだよ。お前、マナと手札と墓地を増やしてばっからしいな。そんなことより、キユリとこんにちゆりゆりしよう・・・・・・」

「もうしてマスが」

「ていうか何なんですかマナも手札も墓地も増やすって。欲張りすぎません?」

「ワタクシに言われましても。開発者が詰め込んだ機能デスので」

「つまりギュウジン丸が悪いと?」

「デスデス。ワタクシ被害者(ひがいしゃ)被造物(ひぞうぶつ)

「なんかはぐらかされてる気がしますが、一理ありますね・・・・・・」

「デショウ?」

 デドダムの言葉に唸るキユリ。

「つまり、全てギュウジン丸ってヤツの仕業なのデスよ」

「マジですかギュウジン丸最低ですね」

 ちなみに、どちらも水のクリーチャーのため《伝説の正体ギュウジン丸》とは相性が良かったりする。

「あの男は最悪なのデス。侵略ウイルスをばら撒いて侵略者を作り出したり、《伝説の禁断ドキンダムX(エックス)》の封印を解こうとしたり」

「うわぁ・・・・・・」

「《SSS(トルプルエス)(きゅう)天災(ディザスター)デッド・ダムド》を作る天才計画というのを計画したり。こちらは完成しなかったんですが」

「あれ、上手くいかなかったんですか?」

「完成より早く、自分で復活させたドキンダムXの槍に貫かれて死亡したので」

「自業自得じゃないですか」

 本人は「もう少し革命軍が来るのが遅ければ」などと述べているとかいないとか。

「あれ? でも計画って頓挫したんですよね? なんでデドダムさんはこちらに?」

「最近流行りのパラレルということにしておきまショウ」

 便利な言葉だ。パラレル・マスターズ。

「つまり、デドダムさんはヘックスペインさんのパラレル存在、と」

「イエそれは違いマスね」

「そこは否定するんですね」

「ヘックスペインはバロム・クエイクの影響で生まれてマスので、そうなるとバロムはギュウジン丸のパラレル、ということになりマスが」

「・・・・・・止めましょっか、この話」

 続けると角が立つため、話を切り上げるキユリ。

「ということで、ワタクシは無罪放免でよろしいデスか?」

「そういえばそんな話でしたね」

「エェ・・・・・・」

 てへぺろ☆するキユリにデドダムは困惑の目を向ける。

「でも、流石に無罪とはいきませんよ! あなたのせいで一体どれだけのヘックスペインさんが涙したことか!」

「ヘックスペインは一人デハ」

「細かいことはいいんです! まだまだデドダムさんの余罪はあるんですから、朝までは付き合ってもらいますよ~!」

「サッキ自分で忘れていマシタよね? まだ余罪あるんデスか?」

「なくても掘り起こします!!」

 配信は、終始こんなノリで終わった。

 

 

「あ、そういえば最近美少女になったらしいですね、デドダムさん」

「そういえばそうデスね。最近より一層可愛くなりマシタ」

「え、より一層?」

「元から可愛い系でショウ? ワタクシ」

「・・・・・・そうですね」

 キユリは色んな言葉を飲み込んだ。




一発ネタ
「今週のゲストは、出戸(でど)(たまき)さんです!」
「予想通りの紹介の仕方だな・・・・・・実に面白味のない」
「初対面(?)でいきなりディスられたんですけど!?」


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ゲスト《龍覇(りゅうは)グレンアイラ》

今回、特に妄想成分多めです。


「こんにちゆりゆり~!

 今週も始まりました、キユリちゃんの朝までラジオ! 本日のゲストは、この方です!」

「は、初めまして。アイラです・・・・・・」

「おや? アイラさん、何か足りてなくないですか?」

「た、足りてないって? 何のことかな?」

「とぼけないでくださいよ~、名前の上にあるモノと言いますか、ヒューマノイド(人間)的に言えば名字に当たるものが無いんじゃないですか?」

「うぅ・・・・・・」

「ということで、改めて、どうぞ!」

「ぐ、グレンアイラです。よろしくお願いします」

「はい、こちらあのグレンモルトさんのお嫁さん、グレンアイラさんです! ひゅーひゅー!」

「からかわないでください・・・・・・」

 顔を手で覆うアイラに、キユリは嬉々としてはやしたてる。

「いやーおめでたいですね! これからお子さんとかも生まれてくるんでしょうね、具体的にはグラッサちゃんとかタレットくんとか!」

「そうなる、のかな?」

 このアイラにとっては未来の出来事のため、曖昧に頷く。

「というか、まだプロポーズもしてないのにグレンモルトさんの名字を名乗るって、スゴいですよね」

「なんていうか、その、舞い上がっちゃって・・・・・・」

 最終決戦だったのだ、仕方ない部分もあるだろう。

「名字で思い出しましたけど、アイラさんって前はグレンモルトさんのこと『グレン』呼びだったんですよね? なんで途中から変えたんです?」

「なんでそんなことまで知ってるの・・・・・・?」

 記録されて(フレテキになって)いるものは仕方ない。

「えっとね、モルトがガイギンガ──ドラゴンの力に飲み込まれちゃったことがあって」

「《暴龍事変ガイグレン》ですね」

「うん。師匠のフィディックさんの協力もあって、なんとかドラゴンの力を抑え込んだんだけど、流石のモルトも気落ちしちゃって。お父さんのリベットさんも、同じようにドラゴンの力に飲まれたことがあったから──」

「なるほど、グレン家の特性、みたいなものなんですかね」

「そうみたい。だから、『グレン』って呼びづらくって・・・・・・思い切って下の名前で呼んでみたの。

 『モルト!さっさとパワーアップして、二本とも使いこなしなさいよ!あなた、『デュエル・マスターズ』で優勝するんでしょ!』って」

「当時のアイラさん、結構苛烈ですね」

「うん、お恥ずかしながら・・・・・・」

 少し顔を赤くし顔を逸らすアイラ。

「そして無事結ばれました、と」

「ざ、雑だ!? それにまだ結ばれてないから!」

「・・・・・・『まだ』?」

「あっ、えっと、違うくて!」

 あたふたするアイラを面白がるキユリ。

「私が言うまでもなくそうなるでしょうけど、お幸せに~」

「あ、ありがとう?!」

 配信は終始甘ったるい空気のまま進んでいった。

 

 

「ところでアイラさん。『ブラックアイラ』さんってご存じですか?」

「えっと、知ってはいるというか、別世界の私から生まれた存在? みたいな感じだよね」

「ですです。つまり、今のアイラさんに侵略ウイルスを取り込んでもらったら、ブラックアイラさん生まれたりしませんかね?」

「えっ」

 マッドな発言をするキユリに、アイラは驚きのあまりフリーズする。

「大丈夫です、デドダムさんに無害な侵略ウイルスを貰いますから! だからちょっと動画撮影に、もとい高尚な実験に協力してください!」

「いま動画撮影って言ったよね!?」

「そろそろネタが切れるんです! 伸び悩んでるんです! 人助けだと思って!!」

 タイトルは『【神回】侵略ウイルスでアイラさんが大変なことに?!【驚愕】』辺りだろう。

「《助けて、モル──」

「わー待って待って待ってください!!?」

 思わず叫ぼうとするアイラに、キユリは慌てて止めに入る。

「それドラグナー出てくるヤツじゃないですか! モルトさんとかリンクウッドさんとかデッドマンとかボルベルグさんとか!」

「最後の人、知らないんだけど・・・・・・」

「すみませんでしたごめんなさい! 勘弁してください!?」

 その後、キユリが謝り倒し、配信は終わった。




一発ネタ
「こんにちゆりゆり~!
 本日のゲストは、ジュランネルさん! なんですが、あの~? 聞こえてます~?」
「(身じろぎ)」
「あっちょっ待っ!? す、スタジオが! スタジオが崩れる!!?」


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ゲスト《漆黒(しっこく)深淵(しんえん)ジャシン(てい)

新弾、楽しみですね。


「こんにちゆりゆり~!

 今週も始まりました、キユリの朝までレィディオ! 本日のゲストは、ジャシン帝さんです!」

「フハハハハ! ワレこそが、《アビスベル=ジャシン帝》である!」

 高笑いするジャシン。愛想笑いするキユリ。

「という訳で、ジャシン帝さんに《邪侵入(ジャスト・イン・ユー)》して頂きました」

「こんな貧相なスタジオではなく、我が深淵に《邪招待(ザ・ショータイム)》しても良かったのだがな」

無事じゃ済まされないヤツ(山札の下送り)じゃないですかヤダー!?」

 キユリの悲鳴に、高笑いするジャシン。

「まぁいいだろう。今のワレは気分がいい。貧相な机は《テブル=ザザーム》に()えたがな」

「あれ、いつの間に!?」

 マイクスタンドの置かれた《テブル=ザザーム》に気づき、驚愕するキユリ。体勢が辛そうだ。

「い、一体どこから・・・・・・」

「深淵だ。ワレは深淵への入口をどこでも作り出せるのでな」

「な、なるほど-」

 実演して見せるジャシンに、冷や汗がダラダラのキユリ。

「じゃ、ジャシン帝さんと言えば多くの配下を従えていますが、配下の皆さんは普段はその深淵に?」

「そうだ。コイツらは我がしもべだ、いつでも呼び出せるようにしてある」

 軽くテーブル(テブル=ザザーム)を叩くジャシン。ピクピク震えている。

「へぇー、便利ですね~。

 ちなみに拒否権とかは?」

「拒否権? ある訳が無いだろう」

「ブラックですね~。流石(さすが)闇文明・・・・・・」

 キユリはちょっと同情した。それはそれとして、テーブル(テブル=ザザーム)に肘を突いて話す。

「ところで、ジャシン帝さんの配下ってどれくらいいるんですか? 何か、ドンドン増えてますし新しく生み出されたりもしてますけど・・・・・・」

「知らぬ。一々覚えておらん」

「えぇー・・・・・・」

「なら貴様、自分の登録者とやらの数を覚えているのか? 一人一人の名前もだ」

「流石に全員とはいきませんけど、八割方は覚えてますよ? 登録者数も毎日確認してますし」

「・・・・・・なんだと?」

 予想外の答えに、ジャシンが腕組みを解いた。

「まぁいい。ワレは一々しもべの数など数えん、顔も覚えぬ。必要になれば思い出し、呼び出すだけだ」

「あ、思い出せはするんですね・・・・・・」

 キユリの言葉に、ジャシンの眼が妖しく光る。

「ほう。このワレを侮辱するか。このスタジオに《冥逝邪夢(メイク・ジャム)》してやってもいいのだぞ?」

「すみませんごめんなさいごめんなさい!!」

 本気度合いを感じ取ったのか、平謝りするキユリ。冗談だったのか、ジャシンは開いていた深淵の入口を消滅させる。

「今回は初犯ということで許してやろう」

「た、助かりました~」

「とは言え、ワレはもう飽きた。帰るとするか」

「え、ちょ!? まだ配信時間けっこう残ってるんですけど!?? あの!!?」

 その後、配信は一人取り残されたキユリがなんとか頑張って最後までやり遂げた。そして、《テブル=ザザーム》のことは最後まで忘れていた。




一発ネタ
「こんにちゆりゆり~!
 本日のゲストは、《終止の時計(ドゥームズデイ)ザ・ミュート》さんです!!」
「音よ止まれ! ここから先はミュートだ!」
「──!? ────!!?」(消音)


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ゲスト《(ばく)龍覇(りゅうは)リンクウッド》

ビクトリーBEST、アウトレイジ推しとして四箱は買いたいですね・・・・・・


「こんにちゆりゆり~!

 とゆーワケで! 今週も始まりました、キユリの朝までラジオ! 本日のゲストは、この方です!!」

「リスナー、キユリだけじゃなく、オレも見ろよ! 爆龍覇リンクウッドだ」

「ありがとうございます。という訳で、リンクウッドさんにお越し頂いてます~!」

 ビシィッと親指で自分を指すリンクウッド。

「ところで、その挨拶のことなんですが、結局アイラさんとはどうなったんですか?」

「あぁ、派手にフられたな! 迷う素振りすら無かったぜ!」

「まぁアイラさんの矢印ってモルトさんに向いてますもんね、どう考えても」

「あぁ、次こそはOK貰えるだろうな」

「どっから来てるんでしょうねその自信」

 いい笑顔でサムズアップするリンクウッドだが、隣のキユリはやや苦笑気味だ。

「ところで、《爆鏡(ばっきょう)チッタ》さんって知ってます? というか認知してます?」

「知らないな。まだ俺は結婚もしてねぇし」

「でも新章(私たちの)世界では珍しいヒューマノイド爆なんですよね」

「知らないぜ!」

「でもその割にはドラグナー持ってませんよね」

「うるさいな仕方ないだろ遺伝するものじゃないし! ドラグハートももう無いしよ!」

「少し前に新しいドラグハートが出たらしいですが」

「あの親子ばっかりズルくないか!? 親子三代ドラグナーって中々だぜ!?」

「まるで自分の子供が違うみたいな言い方ですが」

「知らないぜ!」

「あハイ」

 (かたく)ななリンクウッドに、キユリは思わず真顔で頷いた。既視感を覚えつつ話題を変えることにする。

「リンクウッドさんと言えば、ヒビキさんと仲が良いと噂されていますが」

「別に仲良くないけどな?」

「あくまで噂なので・・・・・・」

「別に仲良くないけどな!?」

「では逆に、ヒビキさんとはどんな関係なんです?」

「まぁ、腐れ縁というか、アイツが俺に突っかかってくるんだよな。不注意だとか何とか」

「ほうほう」

「すぐ近くのことに気付かないだとか、別にそんなこと無いよな?」

「そうですね、リンクウッドさんは色んな事に気付けると思います。

 ところで、チッタさんって知ってます?」

「知らないぜ!」

「あハイ」

 頑ななリンクウッドに、キユリは再び真顔で頷いた。こればかりは公式が明言しないのが悪い。

「では、ドラグナーになったリンクウッドさんに質問です。リンクウッドさんのドラグハートはどちらに?」

「・・・・・・何のことだろうな?」

「ドラグハートと心を通わせた存在がドラグナーなんですよね? もしかしてリンクウッドさんってなんちゃってドラグナーなんですか!?」

「なんちゃってとか言うな!? いーんだよ俺は自分でドラゴンに変化(へんげ)するし! 実質ドラグナーだろ!?」

「そんなだから『リンクウッド兄ちゃんももっと頑張れ!』って《爆小僧トリス》さんに言われるんですよ!」

「オイ俺の心を(えぐ)るな! というか、何でそんなこと知ってんだ!?」

 配信は、終止二人の叫び声が響いていた。




一発ネタ
「こんにちゆりゆり~!
 本日のゲストは、《夜露死苦(ゴキゲン・シャウト)キャロル》さんです!」
「まずは一曲ゥ! オレの! オレの! オレの叫びを聞けぇぇ!! 《演奏と真剣のLIVE(ヴァーミリオン・プレッシャー・ライブ)》!!」
「ぎゃー!!? み、耳がー!!??」


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ゲスト《無法(むほう)アリス-1》

やっぱりディスタスを書くの難しい・・・・・・可能な限りディスペクトしましたが、上手くできてるのか・・・・・・


「こんにちゆりゆり~!

 今週もやっていきましょう、キユリの朝までラジオ!! 今回のゲストは、《無法(むほう)アリス-1》さんです!!」

「こんにちは。ワタシはアリスよ」

「よろしくお願いしますね、アリス-1さん!」

 表情の無いアリス-1を気にせず盛り上がるキユリ。

「折角なので、本人に訊いても教えてくれなそうなことを聞いてみましょうかね! 具体的には、テスタさんとの馴れ初めとか!」

「知らないわ」

「知らないんですか!?」

 あまりの驚愕に叫び気味のキユリ。

「ワタシの脳ミソ、足りていないんだもの。知らないわ」

「えぇ・・・・・・」

 予想外の事に、キユリは若干困り顔だ。

「で、ではテスタ・ロッサさんのことはどう思ってますか?」

「テスタ? 誰かしら、ソレ」

「え゛」

「悪いけど、『アリス』の記憶はワタシには無いわ。ワタシはアリスだけど、『アリス』じゃないもの」

 再びの予想外の事に、キユリがフリーズする。アンタップ不可だ。

「・・・・・・そ、そういえば! 私たち敵同士だったのに、よくゲストに来てくれましたね」

「ワタシはしてたつもりは無いわよ」

「そ、そうなんですか」

「ワタシ達はただ、ディスペクターの指示に従っていただけ。指示に従って戦い、指示に従ってその身をササゲル。それがワタシ達(ディスタス)だもの」

「え、えぇー・・・・・・反応に困りますね・・・・・・」

 ディスタスとしての在り方に、キユリは困惑したきりだ。

「えーと、じゃあ好きな物とか・・・・・・」

「よくわからないけど、この身をササゲルことね。そのためにワタシは生み出されたのだし」

「それは好きって感じじゃなさそうですね~」

 ウンウン唸るキユリはアリス-1は続けて言う。

「でもテスタ? の名前を聞いて、胸のあたりが暖かくなったわ」

「え、これは──そういうことと受け取っていいんですか!?」

 胸元に手を当てながら言うアリス-1に、キユリのテンションは爆上がりだ。

「そういうことって、どういうことかしら」

「えー、そんな、誤魔化さないでくださいよ~」

「ワタシ、頭が空っぽなのよ。難しいことはわからないわ」

「アリス-1さん、ひいてはアリスさんがテスタさんのこと好きってことですよ!」

 キユリの言葉に、小首を傾げるアリス-1。

「そうなのかしら」

「そうなんですよきっと!」

 テンションが上がったキユリは、鼻息荒く頷く。

「でもワタシ、テスタのこと知らないわよ」

「そこはほら、肉体が覚えていた、みたいな! そういう感じかと!」

 キユリの言葉に、再び小首を傾げるアリス-1。

「そうなのかしら」

「そうなんですよきっと!」

 テンションの上がっているキユリは、鼻息荒く頷く。

 

 配信は、終始謎のノリで進行した。




一発ネタ
「今日のゲストは、《飢えと乾き(アップ・サイダー)ケローラ》さんです!
 ってあれ!? 何か(しな)びてませんか!?」
「ゲロゲロゲーロ(ゲストに呼ぶならタンサンくらい用意しとけっつーの)」
「ちょ、ケローラさん!? ケローラさん!!??」


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ゲスト《灼熱の闘志(バーン・ザ・ハート)テスタ・ロッサ》

今回のテスタ・ロッサはE3当時の時間軸から来ています。

コイツいっつもアウトレイジばっか書いてんな・・・・・・


「こんにちゆりゆり~!

 今週も始めちゃいますよ、キユリの朝までラージオ! 今日のゲストは、テスタ・ロッサさんです!」

「俺はテスタ・ロッサ、アウトレイジのテスタ・ロッサだ! よろしく頼むぜ」

 ニッと笑顔を浮かべるテスタ・ロッサ。

「では早速ですが、アリスさんとのご関係は!」

「そうだな、仲間、友、だぜ!

 一度拳を交えた相手も、共に戦った相手も、友になれる。それがアウトレイジだからな!」

「なるほど、つまりはズッ友、ということですね!」

「あぁ!」

「ちなみに私もマニフェストさんとズッ友なんですよ!」

「そうなのか! 信じられる友が居るのはいいことだと思うぜ」

 素直なテスタ・ロッサの言葉に、キユリは感激する。

「は、初めて私とマニフェストさんがズッ友なことを肯定された気がします・・・・・・」

「そうなのか?」

「はい、何故か毎回否定されるので」

「友であることを否定されるのは、悲しいよな。

 色んな戦いを一緒に乗り越えて、固い絆で結ばれるのが友だっていうのに・・・・・・」

「そ、ソウデスネ」

 全然一緒に戦った記憶の無かったキユリは目を逸らした。動画のネタにした記憶しかない。

「俺も、ゾロスターに友情を否定された時は怒りを抑えられなかったぜ。

 あの野郎、何回ぶっ飛ばしてもしぶとく生き残ってまた来るんだよな・・・・・・」

「し、しぶといで思い出しましたけど! アウトレイジの皆さんって、色んな時代とか世界に出てきますよね」

「おう。どんな時代だろうと、仲間のために戦うのがオレたち(アウトレイジ)だからな。時代とか世界とか関係ねぇよ」

「どんな理屈ですか・・・・・・」

 アウトレイジに理屈を求めてはいけない。

「じゃあ《Re:奪取(リスタート・ダッシュ)》の皆さんや《寅年の演上者(シアタースター)プージョ》さんとかも、世界の危機だから駆けつけてくれたんですかね?」

「よくわかんねぇけど、アウトレイジなら多分そうじゃないか? 《一撃奪取(スタート・ダッシュ)》の奴らは、特に仲間思いで先陣を切りたがるからな」

「あそっか時間軸的にまだなんでしたっけ・・・・・・」

 キユリは小さく呟いた。まだ彼はレクスターズとディスペクターの戦いを知らないのだ。

「もし、もしですよ? テスタさんの仲間が肉体だけ操られてテスタさんの前に現れたら、どうしますか?」

「答えるまでもねぇ。ぶっ飛ばして目を覚まさせる!」

「で、ですよね~。

 その、意識は最初から無いんです。肉体だけ使われているというか、歴史の一部を利用されているといいますか・・・・・・」

「なんにせよやることは変わらねぇよ。俺達はアウトレイジ、何者にも縛られない自由な存在だ。それが誰かに操られてるってんなら、ぶっ飛ばしてやるのが友ってもんだろ?」

「そういうものなんですかね~」

「そういうもんだろ」

 その後、配信は最後までテスタが友情トークをして終了した。キユリは終始冷や汗が止まらなかった。




一発ネタ
「本日のゲストは、《侵略者(しんりゃくしゃ)タンサンマン》さんです!」
「ムムム! まずはお近づきの印に! さぁ、我が口からほとばしるヒーローソーダをお飲み!」
「普通に嫌ですが!!?」


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ゲスト《絶望神(ぜつぼうしん)サガ》

お久しぶりです。二週間ほど空けてしまいました。申し訳ありません。ちなみに、サガが殿堂しなかったらこの話はお蔵入りなのでもう一週間空いてました。ありがとうサガ。

今回、特に独自解釈が酷いです。ご注意ください。


「えー、それでは。(ただ)(いま)より、《絶望神サガ》さんの告別式、及び殿堂入り祝賀会を始めたいと思います。ゲストはこの方、《絶望神サガ》さんです!」

「いや、まだ死んでないが・・・・・・更に言えば、告別式と祝賀会って普通(なら)ばない単語だが?」

「正論は聞きません。効きません。こんな視聴率稼げそ、ゲフンゲフン重大なイベントを、逃すわけ無いじゃないですか!」

「我が言うのもなんだが、《キユリのASMラジオ(そちら)》も大概だからな?」

「大概って何ですか大概って!? 私はただこうしてラジオを放送しているだけなのに!?」

 尚、《キユリのASM(あさまで)ラジオ》を採用した【絶望神サガ】も存在した。

「それと、何故我が封じられねばならん。我はただ破壊と創造を繰り返(同名カード二枚でループ)しただけだが」

「それが大問題だったんですけど!?」

「我は勝手にゴッドにされてそうなっただけだ。我は被害者と言ってもいい」

「え、そんな事情があったんですね・・・・・・」

「まぁ、知っての通り非常に強いのでむしろ感謝しているが」

「最悪じゃないですか!? 私の同情返してください!?」

 叫んだキユリは、気を取り直して手元のメモを見る。

「ほ、本題に戻ってですね。

 告別式ということで、今回は色んな方からお手紙が届いています」

「ほう」

「まずは《一なる部隊イワシン》さんから。『「俺達も」お前を信じていたぞ。遠からずこっちに来るって』だそうです」

「どんな信頼だ。温泉に行ったら茹でて食らってやるからな」

「続いて《爆龍覇ヒビキ》さんから。『中々の戦いっぷりだったよキミ。ま、全盛期のボクら(ドラグナー)ほどじゃないけどね!』とのことです」

「貴様はバトライ刃が本体だっただろうが。我は単体で完結した神だぞ」

「続いて《ラトリエ・ロブション》さんから」

「待て、誰だそれは」

「『何回も料理(ショッキング・ダンタル)するの疲れてたから助かった。これで休める』だそうで」

「貴様かぁ! まさか、《蝕王の晩餐(ショッキング・ダンタル)》を使う度にあ奴が調理していたのか!?」

「・・・・・・? はい、そうに決まってるじゃないですか」

「何故そんな不思議そうな目を向けられねばならん・・・・・・?」

 愕然としているサガをスルーし、キユリは続ける。

「《蒼狼の大王イザナギテラス》さんから。『あ、じゃあ自分【鬼羅.Star】のところに帰るんで』」

「イザナギ貴様!? 貴様らが勝手に我をゴッドにしたと言うのに、なんだその態度は!?」

「あ、すみません間違えました。『今は遠き我らが祖よ。我らは汝を忘れぬ。故に、我らは戦おう。汝の思いを胸に、(うつつ)の友と共に』らしいです」

「どこをどう間違えたらそうなる!? というか内容ほぼ変わって無いだろう!?」

 誤って訳のメモを先に読んだキユリは、思い切り目を逸らした。

「最後に、《邪神M(マッド)・ロマノフ》さんですね。『復活せし我を一番上手く使いこなしたのは貴様らだ。誇ると良い』」

「M・ロマノフ・・・・・・!」

「『じゃ、我R(ロック)・ロマノフとC(チェスター)・ロマノフとゴッド・リンクしてくるから』だとか」

「M・ロマノフぅ!? 貴様もかぁ!!」

 碌でも無い内容の手紙ばかりであることに、サガが思わず叫ぶ。

「そんなに我が憎いか、貴様ら!?」

「いえ、結構マトモなお手紙もあったんですよ? 《禁断竜王Vol(ボル)-Val(バル)-8(エイト)》さんとか、『一時であったが、共に戦えたことを嬉しく思う』って書いてますし」

「ならば何故それを出さん!?」

「それよりこっちの方が面白そうだったので」

「貴様ぁ!」

 悪びれる様子もないキユリに、サガは再び叫んだ。

「あ、そろそろ時間ですね。それでは、次の環境でお会いしましょう! ま、《キユリのASMラジオ(このラジオ)》は変わらず環境に居続けるでしょうし、安泰ですね!」

「待て、まだ話は終わっていない! もう少しマトモな見送り方をしろ!」

 締めのムードになったスタジオに、サガの言葉が木霊する。

「貴様ら! 殿堂ゼロで覚えておけよ!!」

 ──配信は終了しました。




一発ネタ
「今日のゲストは、殿堂入り繋がりで《アクア・メルゲ》さんです!」
「サガ規制の代わりに俺が殿堂解除と聞いて」
「残念ながら、そんなことは無いです!」


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ゲスト《世露詞駆(ロンギヌス・シャウト)キャロル》

ビクトリーベスト発売記念(大遅刻)


「こんにちゆりゆり~!

 今週もやっちまいましょう! キユリの朝までシャウト! 本日のゲストは、こちらァ!!」

「イケてる紹介だぜ、ベイベー!

 新しくなったオレは、《世露詞駆(ロンギヌス・シャウト)キャロル》! 今日は、ラジオからヨロシクゥ!」

 ハイテンションなキユリに、キャロルもノリノリで名乗る。

「その新しい姿のことですが、どうして皆さんマジック種族になったんです?」

「そりゃお前、バンド始めたからに決まってんだろ?

 バンドと()やぁ音楽、音楽と言えばマジック。なんもおかしくねぇぜ?」

「メチャクチャな論法ですね・・・・・・」

 彼らはアウトレイジなのだ、種族くらいノリで変わる。

「それで、何故突然バンドを?」

「それがよぉ、せっかくサバイバーとの戦いも終わって平和になったってぇのにゾロスターのヤローがよ・・・・・・」

「ゾロスターさんですか。あのエモーショナル・ハードコアさんに罰せられたでお馴染みの」

「そこだけ知ってるの中々特殊だぜ?」

 《神聖龍(しんせいりゅう)エモーショナル・ハードコア》は教祖に成り代わろうとしたゾロスターへ罰を与えるために降臨したが、オラクルの信徒たちは自分たちの祈りが通じたと勘違いしていたりする。

「その卑怯者で知られるゾロスターさんが、今度は一体何を?」

「なんでも、他の存在を取り込む機械の神? を復活させちまったらしくってな。イズモとかオラクルの信者たちが取り込まれちまったんだよ」

「大惨事じゃないですか」

 かなりの大惨事である。

「それで、どうなったんです?」

「で、アリスが調べたところによると、神に思いを届けるには歌が有効ってことがわかってな」

「ほうほう」

「だからオレらはロックバンドを組んだ」

「そうはならなくないですか?」

 なっているのだから仕方が無い。

「オレたちアウトレイジが、普通に音楽だのハイクだのすると思ってんのか?」

「それは確かにそうですが」

「だろ? で、そのメインボーカルがオレとメーテルってワケよ。他にも、ギターの5000GTの改め5000VTとクロック改めミュート、ベースのクロスファイアにドラムのジャッキー、キーボードのアリス、DJのキューブリックってアウトレイジ大集合なメンバーだぜ?」

「おー、豪華ですねー!」

 そうそうたるメンバーに、感嘆するキユリ。

「そのメンバーならオラクルの皆さんの心も取り戻せそうですね!」

「おうよ! やってやるぜ!」

「ところで、うちのチャンネルで皆さんに演奏してもらったりとかって・・・・・・」

「悪ぃな、半分くらいボイコットするだろうから多分ムリだぜ!」

「そんな!?」

 彼らはアウトレイジ、纏まりの無さは折り紙付きだ。

「そこを! そこを何とか!」

「説得するならオレだけじゃなくて全員にしないと、まず不可能だろうな!」

「どうにかなりませんか!? 私のチャンネルのために! どうか!」

 キユリの叫び(シャウト)が響く中、配信は終了した。




一発ネタ
「本日のゲストは、《聖霊(せいれい)左機(さき)コットン》さんです!」
「・・・・・・・・・・・・」
「あの、コットンさん? あの? ちょっと~!?」


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ゲスト《歌舞(うたまい)音愛(おとめ)ヒメカット》

「こんにちゆりゆり~!

 今週も 始まりました キユリの朝までラジオ(字余り) ということで、今回のゲストは!」

「《♪蛙の子 会えるのは何処? 好きと謂ひて》

 ヒメカットですわ」

「はい、《歌舞(うたまい)音愛(おとめ)ヒメカット》ちゃんです~! よろしくおねがいします!」

「よろしくお願いしますわ、キユリ様。

 ケローラ様、見ていますかー! ヒメ出演!」

 カメラに向けて手を振るヒメカット。キユリは苦笑した。

「ヒメカットさんは、帰ってこないケローラさんを待っているとのことですが」

「そうなんですの。嗚呼(ああ)、愛しのケローラ様・・・・・・ヒメ切望」

「もうかなりの(あいだ)会えていない様子ですね」

「ええ。正しく《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》ですわ」

「それって他の方のハイクじゃありません?」

「細かいことは良いんですの」

 ヒメカットの言い様に、キユリは話題を変えることにする。

「それで思い出しましたが、ハイクでカップルと言えば、『壱百年with(ウィズ)』のお二人ですよね~」

「ですわね。お二人のお陰で、恋愛営業がしやすくて助かりますわ」

 頷くヒメカットに、キユリは前髪の奥から驚きの目を向ける。

「え、それ言っちゃって大丈夫なんですか?」

「・・・・・・ここ、カットでお願いしますわ」

「ということで、生放送でお送りしています、キユリの朝までラジオ」

「い、今のナシ! ですわ!」

 キユリは慌てるヒメカットを気にせず続ける。

「まぁ確かに、ケローラさんって蛙ですし、アウトレイジですしね~」

「そ、そうなんですの」

「最近やたら見かける気がします(マジック・ソングのイラスト)が、何でかなって感じですよね」

「で、でもケローラ様は素敵なお方ですし、アウトレイジもマジックとは関わりが深いんですのよ? ヒメ擁護」

「でも蛙ですよ~?」

「そこが良いんじゃありませんの!」

「・・・・・・ヒメカットさん、もしかして」

「い、いえ何でもありませんわ。何かあったとしてもこれは作戦ですわ」

「もしかして普通に好きって伝えるの恥ずかしいから策略ってことにして──」

「これは! 作戦! ですわ!!!」

 叫ぶヒメカットに、キユリは満面の笑みだ。

「ケローラさ~ん! 配信見てますか~!? 可愛いマーメイドがアナタを待ってますよ~!」

「や、止めて欲しいですわ! それに、何か言い方いかがわしいですわ!? ヒメ羞恥!」

「そんな~、良いじゃないですか私もマーメイドみたいなものですし」

「でもキユリ様スノーフェアリーですわよね」

「細かいことは良いんですよ!」

 配信は、終始女子会みたいな雰囲気で終わった。




一発ネタ
「今回のゲストは、人気魚(アイドル・フィッシュ)さんです!
 ・・・・・・アレ、でもイルカって魚じゃないですよね?」
「気付いてはいけないことに気付いたな!? ムーンサルトを食らいやがれ!」
「なんで!? ギャーーーー!?」


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ゲスト《倍返し(ヘビー・ベイビー)アザミ》

お久しぶりです。約二ヶ月、更新できずにすみませんでした。
今後、更新頻度はかなり下がると思います。


「こんにちゆりゆり~!

 今週もやり返していきましょう、キユリの仕返しラジオ! 今回のゲストは、この方です!」

「やられたら、やりかえす! アザミよ」

「アザミちゃん、よろしくお願いします~」

 キユリが上機嫌に迎える。息ぴったりだ。

「前々から、アザミちゃんとはなんとなく話が合う気がしていたんですよね!」

「なんでかしらね。見た目が近いからかしら?」

「かもしれませんね~。

 ところで、何でスノーフェアリーと近い姿をしているんですか?」

「そうね、コレは詳しいことはわかっていないのだけれど」

「はい」

 その前置きに、キユリは神妙な顔で頷く。

「アウトレイジって、身体の一部を武器にできるっていうこと以外、共通点はほぼ無いのよ。逆に言えば、それがアウトレイジの証ってこと。

 つまり、元になった種族があって、そこからアウトレイジに目覚めてるのよ。きっと」

「なるほど~。つまりアザミさんは元スノーフェアリー、と」

「秘密よ」

「あれぇ!?」

 流れをぶった切るアザミ。

「今のはスノーフェアリーの流れですよね!?」

「秘密なものは秘密なのよ」

 こればっかりは公式が明言しないのが悪い。

「そう言えば、アウトレイジの皆さんって既存のクリーチャーと似た姿の方も多いですよね」

「えぇ、だから元は別の種族なんじゃないかって説が有力よ」

「自分たちの話なのに他人事みたいな・・・・・・。

 アザミちゃんも《(かす)妖精(ようせい)ジャスミン》ちゃんに似てますよね」

「気のせいよ。

 別に今まで散々(さんざん)自爆させられたから、それを倍返しに、とか考えてないわ」

「え? もしかしなくてもジャスミンちゃ──」

「気のせいよ」

 あくまで主張を変えないアザミに、キユリは閉口した。

「キユリちゃんも気をつけてね。いつかマニフェストさんに倍返しされるかもしれないから」

「マニフェストさんはキユリとズッ友ですが!??

 ってあれ、こんなやり取り前にもしたような──」

「気のせいよ」

 既視感のあるやり取りだ。キユリは首を傾げる。

「ともあれ、割と謎だったアウトレイジの皆さんの出自がわかったのは大きいですね! 私も頑張ればアウトレイジになれたりするかもしれませんし!」

「いえ、今のはあくまで仮説の一つよ? 一説によれば、太古の昔の種族で、アウトレイジの書に封印された、って話もあるわ」

「だから何で自分たちの話なのに他人事みたいなんですか・・・・・・」

 こればっかりは公式が明言しないのが悪い。

「つまり、ジャスミンちゃんからアザミちゃんになったのではなく、アザミちゃんが優しさを得てジャスミンちゃんになる可能性もあるってことなんですね!」

「・・・・・・まぁ、大体はそうね」

 面倒になったのか、アザミは投げやりに頷く。

「ということは、やっぱり私のアウトレイジ時代が出てくる可能性もありますよね!」

「なんでそんなにアウトレイジになりたがってるの、キユリちゃん・・・・・・」

 配信中、終始キユリはハイテンションだった。割といつもの事だが。




一発ネタ
「本日のゲストは、同期の妖精(シンクロ・フェアリー)ちゃんです!」
「「「私たちが居るから、ゲストには私しか選べないわ!」」」
「そ、それは困ります~!?」


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ゲスト《応援(おうえん)妖精(ようせい)エール》

お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。


「こんにち~? ゆりゆり~!

 なんだか久しぶりな気もしますが! 今週()始まりました~、キユリの朝までラジオ! 本日のゲストは、エールちゃんです!

「みんな一緒にキユリちゃんを応援してね! エールだよ!」

 エールは笑顔でポンポンを振る。

「お久しぶりです、エールちゃん!」

「久しぶりだね、キユリちゃん! ビーチバレーしたとき以来かな?」

「そうなりますね~!」

 ポンポンを持ったままのエールとハイタッチするキユリ。かなり仲良さげだ。

「いや~、みんな水着可愛かったですよね~!」

「メンバーは少なかったけど、楽しかったよね!」

「ですね~。まぁ私はいつも通りの格好でしたが!」

 スノーフェアリーが集まると、大人数になりがちなのだ。

「ジャスミンちゃんとも久しぶりに遊べましたし、アジサイちゃんとヒガンナちゃんも、ガーベラちゃんとのお茶会ぶりでしたね~」

 実は、《大雪原だョ! 全員集合!》ではジャスミン以外全員集まっていたりする。

「いや~、アジサイちゃんにもオファーしようと思ったんですけど、ヒガンナちゃんのガードが堅くって~」

「あれ? でも、このラジオってコスト3以下じゃないと出られないんじゃないっけ」

「そこはほら、あれですよ。ディスタスとかバージョン違いとかあるじゃないですか!」

「その話、絶対ヒガンナちゃんの前でしちゃ駄目だよ・・・・・・」

 『アジサイを救うべくヒガンナが戦い続けていたことは、まだ語られていない』──そのため、キユリは知らなかったらしい。尚、アジサイはディスタスになってもコスト4である。

「せっかく一緒に遊んだ仲ですし、呼びたかったんですけどね~」

「その調子じゃ、難しいんじゃないかな・・・・・・」

「そうだ、お二人のお母さまである、《慈愛妖精カーネ》さんなら!」

「もっと難しいんじゃないかな・・・・・・」

 前途は多難である。

「そういえば、スノーフェアリーのみんなは結構ゲストに呼んでるよね! この前はガーベラちゃんも呼んでたし」

「そうですね! 呼びやすくて配信ウケする・・・・・・もとい、仲が良いので呼ばせてもらってますね!」

「あれ? でも、ガーベラちゃんって5コストな(ゲストに呼べない)んじゃなかったっけ?」

「あのときは特別回として、ガーベラちゃんに深海まで来て貰ったので!

 コスト制限があるのは、あくまでこのスタジオですからね!」

 そういうことらしい。細かいことは気にしてはいけない。

「そうだったんだ! でも私たちスノーフェアリーって自然文明だけど、海の中とか大丈夫だったの?」

「ガーベラちゃんが水文明を持ってなかったら危なかったですね!」

「危なかったんだ!? よくガーベラちゃんにオッケーもらえたね!?」

「いやー、直前まで深海だってこと伝え忘れてて、焦りましたね!」

「よくガーベラちゃんに来てもらえたね・・・・・・」

 一歩間違えたら特別回が()()()()である。

「まぁ、何とかなったので! 過去のことを振り返るより、前を向きましょう!

 さしあたっては、エールちゃん! 《フェアリーの火の子祭り》とか、メイドのジャスミンちゃんと一緒の《フェアリー・ライフ》に映ってる時とは衣装が違いますけど、何かあったんですか?」

「イメチェンしただけだよ!」

「思ったよりも普通な理由ですね!?」

 これ以上掘り下げられない理由に、ガビーンとショックなキユリだった。




一発ネタ
「今回のゲストは、《DARK MATERIAL(クラヤミノコンゲン) COMPLEX(コンプレックス)》さんです!」
「・・・・・・・・・・・・」
「あ、まだカード足りてないから寝てるー!?」


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ゲスト《師団(しだん)先導者(せんどうしゃ)ツラトゥストラ》

アビス・レボリューション外伝「邪神と水晶の華」 明日発売!
オラクルの下っ端にされたアウトレイジたちに会えるぞ! 嬉しいけどスッゲェ悲しい!!


「こんにちゆりゆり~!

 さて、それでは今週もやっていってしまいましょう! キユリの朝までラジオ!

 本日のゲストは、この方ぁ!」

「跪くがいい! 私こそ、水晶の力に選ばれし者、ツラトゥスラトラだ!」

「ようこそ~!」

 パチパチパチ、とキユリが拍手で迎える。

「ってアレ? この前までゾロスターさんって名乗ってませんでしたっけ?」

「私は生まれ変わったのだ。タブラ=ラーサ様の(しもべ)として!」

「な、なるほど・・・・・・? それで水晶の力を得た、と」

「そう、即ち神にも等しい力、信徒を水晶の華へと変える力!

 お前も水晶にしてやろうか?」

「ノーセンキューですが!?」

 怪しい誘いに、きっぱり否を返すキユリ。《ノー千休》。

「そうか、ならば水晶の華を育てる役割か? それとも私の元へ水晶の華を運んでくる役割か?

 好きなモノを選ばせてやろう」

「こっちが信徒である前提で話が進んでる!? え、あの、そういうのは私ちょっと遠慮したいと言いますか・・・・・・」

 キユリの反応に、ツラトゥストラは首を傾げる。

「この私の偉大さを広報したいのだから、私をゲストに呼んだのだろう? そして水晶の華となり、チャンネルをそのまま私に捧げようとは、素晴らしき献身だ」

「どうしてゲストに呼んだだけでそこまで思い込みを!?」

「しかし、オラクルの信徒として、ここまでの個性を持っているのは問題だな・・・・・・やはり水晶の華にするしか無いようだ」

「本当に話を聞きませんね!? だから神でも人でもないものに何回もなるんですよ!」

「さて、何のことだ? コードのアンノウンを従える私は、正しく神そのものと言っても過言ではないだろう?」

「アハハ、ソウデスネ・・・・・・」

 キユリは(かす)れた笑いしか出ない。

「ところで、気になってたんですが。そちらの世界ではテスタ・ロッサさんとか、アリスさんってどうなってるんです?」

「? 誰だ、そいつらは。知らない名前だな」

「あー、そういう・・・・・・今頃キレイなお華になってるんですかね」

 勝手にそう解釈し、静かに合掌するキユリ。尚、目の前にあるのはマイクだけである。

「というか、勝手にアンノウンとか作ってもいいんですか? 水晶の華の力とか、勝手に使っちゃってるんですよね」

「良いに決まっているだろう。この私だぞ? 神にも等しい力を持つ、このツラトゥストラがアンノウンを作らないで、一体誰が作るのだ」

「上司の《クリス=タブラ=ラーサ》さんじゃないですかね」

「つまり、そのタブラ=ラーサ様に選ばれた私、ということだな。

 ほら、何も問題ないだろう?」

「アハハ、ソウデスネ・・・・・・」

 またもキユリは(かす)れた笑いしか出ない。

「さて、ではそろそろ本格的に始めようではないか! ツラトゥストラの朝まで裏教義を!」

「勝手に番組を乗っ取らないでください!?」

 

 配信は、終始こんな感じで終わった。そして後日、ツラトゥストラは水晶の華にされたらしい。




一発ネタ
「今日のゲストは、《応援のシダン エール》ちゃんです! ちょっとぶりですね、エールちゃ──」
「みんな一緒に、水晶の華になってね!」
「え、エールちゃんが、オラクルになってる~!?」


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ゲスト《爆暗黒(ばくあんこく)ブラックアイラ》

《キユリのASM(あさまで)ラジオ》再録記念(激遅刻)


「こんにちゆりゆり~、キユリのASMラジオの時間だよ~!

 さて、前回は大人気だったハキリちゃんに再びゲストとして来て頂きましたが!(存在しない記憶)

 今日のゲストは、この方!」

「モルト・・・・・・絶対に逃さないわよ!

 私はブラックアイラ、よろしくね」

「ということで、本日は《爆闇黒ブラックアイラ》さんに来ていただきました~!」

「いぇ~い! モルト、見てる~?」

 カメラに向かって両手を振るブラックアイラ。ノリがとても軽い。

「全世界に向けて配信してますから、モルトさんも見てるかもしれませんね! どの世界かはさて置き!」

 最近Instant Waveの枠を超えた活躍をするようになったキユリの発言に、ブラックアイラは感激する。

「え、じゃあモルト以外の目を抉り出せば、色んな世界のモルトのためだけのラジオになるってこと!?」

「なんてこと言い出してるんですか⁉」

「そうよね。耳も削がないと、私たちの声が聞かれちゃうわね」

「聞いてないし!? この(クリーチャー)、思った以上に制御不能ですね!?」

 自身の想定の枠を超えたブラックアイラの愛の重さに、キユリは驚愕する。

「そうね、まずはこのラジオを乗っ取って、『ブラックアイラのモルト♡ラジオ』とかにしましょうか」

「《コンプライーグル》さんが飛んで来そうな発言は()めてください!?

 しかも一方的にモルトさんに聞かせるんですね!?」

「確かに。《モルトとブラックアイラの永遠ラジオ》とか、良いわよね」

「もしかして今、賛同を求められました? このチャンネルを乗っ取ろうとしてる(ヒューマノイド爆)に?」

 どこかのフォーエバー・プリンセスにいちゃもん付けられそうな名前である。

「そ、そう言えば!

 元のアイラさんはドラグナーなのに、ブラックアイラさんはサムライなんですね。ドラグハートが無いからですかね?」

「さぁ? 知らないわ」

 《コンプライーグル》の気配を感じて話題を転換したキユリだが、ブラックアイラは取り合わない。

「一説に寄ると、ドラグナーの源流がサムライだからではという噂もありますが・・・・・・」

「種族なんてどうでもいい。モルト以外のことに、興味なんてないもの」

「よく今回のゲストを引き受けてくれましたね!?」

「え? これってモルトへのアピールタイムでしょ?

 モルト、私、アイラに負けないから! 待ってて!」

「もう本家は結婚して、子供も居るんですが・・・・・・」

「そんなの関係ないわ。それに、世界っていくつもあるんでしょう? なら、私とモルトが結ばれる世界だってあるはずよ」

「並行世界って、そんな便利なものじゃないと思いますが・・・・・・」

 便利な言葉だ。パラレル・マスターズ。

「でも、私が好きなのは、あくまであの世界のモルトだし・・・・・・。

 別に他の世界の私とモルトがくっついても、意味ないよね。はぁーあ」

「急にテンション下がりましたね・・・・・・」

「それに、あの世界だと私ってもう消滅してるし・・・・・・今の私って、どういう存在なのかしら」

「て、哲学的ですね」

「こんなことしてられないわ! モルトに会えるのは今だけかも知れないし、行かなくっちゃ!」

「え、え!?」

 急に一念発起しスタジオから飛び出すブラックアイラ。突然のことに、キユリは絵面的にも精神的にも置いてけぼりだ。

「・・・・・・え? あ、えっと!

 今日の配信はここまでにします! また来週~!」

 冷や汗をかいたキユリは、笑顔と共に配信を終わった。流石のプロ根性である。




おまけ
「本日のゲストは、(きょ)(むげん)(りゅう)ゲンムエンペラーさんです!」
「      」
「あ、このヒト喋らないんでした! どうしよう!?」


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