彼女はその時そこにいた。ただそれだけ━━ (ジョー・ジャック)
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彼女はその時そこにいた。ただそれだけ━━

壁の上から外を見る。

それが私の趣味だった。

 

遠くを見ると見慣れた山が見える。

少し視線を逸らすと巨大樹の森も見える。

見慣れた日常がそこにはあったから。

子供の頃、父に肩車をせがんで街の端から見渡した光景によく似ている。

仕事が一段落着いたら日帰りで森に行こうと話していた。

 

眼下には廃墟が広がっている。

それが私の街だった。

 

入ったことも無い教会がよく見える。

建物に隠れているが噴水広場の端っこが少し見える。

よく通った日常がそこにはあったから。

教会前の道は大通りに続いてるので幼馴染と走りあった。

噴水広場は虫が多くてあまり好きじゃなかった。

 

よく目をこらすと崩れたレンガの塊がある。

それが私の家だった。

 

最初はザワザワとしたものだった。

噂では兵士が早馬で何かを告げて去っていったらしい。

何を告げたのかも私には伝わらないまま、不安感だけが伝染して行った。

数時間するかしないかのうちに船を使って人が流れ込んできた。

そこで初めて街全体に巨人が攻めてきたことが伝わった。

ありったけの荷物を持たされてふと2回の窓から外を見ると、遠くに変な肌色が見えた気がした。

それを伝えると父に腕を引っ張られて外に出た。

父も母も顔が青ざめていて、弟が母の腕の中で泣いていたのを覚えている。

あれが巨人だったと理解するのは配給所の中でのことだった。

 

それでもそこは私の街だった。

大好きな私の家だった。

だから私は壁の上から外を見る。

それが私の趣味だった。

 

エレンという同期が昨日熱く語っていた。

人類がどうとか色々語っていた。

私にはどうでも良かった。

 

ただ、もう戻らない故郷を眺めさせて欲しい。

目の前にあるのに届かない。

もう戻らない光景にしがみつきたい。

そんな思いで駐屯兵団を希望した。

 

 


 

固定法整備は好きだ。

合法的に壁の上に行けるから。

その日も私は固定法の整備に勤しんでいた。

よそ見をしながら手を抜きつつ、外の景色を眺めるのだ。

 

サシャが肉を盗んできたらしい。

街を奪還すれば牛も羊も増えるから問題ないと言っていた。

調査兵団にはならない以上、食べる資格は無いのだが知った以上は共犯だと肉一切れと交換で約束させられた。

これだからサシャを見ると元気になる。

私は笑って視線を街に戻す。

もちろん手は止めていない。

サボらずにでも街は眺められるのだ。

 

 

そんな時。

 

 

ふと視界の端に違和感を感じた。

私の街だから分かったこと。

私が毎日のように見ていたから分かったこと。

 

 

私がその時そこにいたから分かったこと。

 

 

緑色。いやフード?

小さい。いや遠いだけ?

でもあの木の手前だと。いや空中にいるだけだ。

 

 

ひと?

兵士?

 

 

 

なぜ?

 

 

 

 

 

閃光。爆音。

影。肉壁。いや筋肉。

 

腕?死ぬ?いや逃げろ!!

 

落ちる!アンカー!

刺さった!

 

危なかった…一体何が?

 

サシャの叫ぶ声。

何かが蹴飛ばされるような音

エレンの叫ぶ声。

立体機動装置の音。

 

分からない。考えがまとまらない。

待って欲しい。

だって、え?

 

落ち着こう。

 

エレンに続くべきだ。

私は立体機動装置で壁上に降り立つ。

その時には超大型巨人は消えていた。

エレン達が何かを話している。

 

そんなことより私は私の街を見る。

いや、あの兵士のいた場所を見る。

そこには大きな足跡が2つ残されていた。

兵士の姿はない。

 

血の跡も……無い?

踏み潰されたわけじゃないの?

あれ?

 

そこに上官が到着する。

思考停止して敬礼をする。

 

私にはやることがある…。

でも考えてしまう。

上の空ながら立体機動装置で移動する。

 

どうゆうこと?紋章は見えなかったが緑のフードで立体機動装置。つまりは兵士のはずだ。あの兵士を見た瞬間超大型巨人は出現した?

 

いや違う。落ち着け。

思考がまとまらない。「そんなはずはない」と心が言っている。

ありえないようなことを考えようとしている。

吐き気がする。

違う。けど「否定する意見がまとまらない」。

 

緊急時の集合場所付近まで近づいた。

立体機動装置を付けた新兵が集まり始めている。

緑色。あのフードを小脇に抱えている人もいる。

サシャ…いやナニカの声がする。肩を揺さぶられる。

ああ、ああああ

 

 

「ああああああああああ」

 

 

理解したくない。理解できない。

私は抜刀した。

手が震える。

誰かの怒声が聞こえる。

腰が抜ける。

ここにいる全員が敵に見えた。

ああそんな!ありえない。

超大型巨人が人になれるなんて!

いや、こいつらが皆超大型巨人なのか?そんなの勝てるわけがない。

小さいナニカがやってくる。

クリスタだ。巨人は大きいクリスタは小さい。

大丈夫。クリスタ大丈夫なはずだ。

もう1人きた。アニだアニも小さい。大丈夫。

だけど━━━━グエッ

 

背中が痛い。

視界に空が映る。

首が痛い。

締められてる?

いたい苦しい。誰?

アニ?

 


~筆者からの中書き~

ここから先は2ルートお話を考えました。

しかし、進撃世界は俺の手には余るほど世界が広大なのでいくら考えても風呂敷を畳めませんでした。

 

ここから先のお話はあなたがたの想像にお任せします。

続編を書いてもらって構いません。

オリジナルの二次創作だと言ってもらって構いません。私はただ、ここにネタを置くだけですから。

 

 


~If1 絞め落とされた場合~

 

ドンという音がして彼女の目が覚める。

大砲の音だろう。

何が起きたのか分からないようだ。

 

「気がついた?」

 

私の声を聞いて驚く彼女。

パニックになった時でも私には剣を向けなかった。そんな理由で監視役を任せられている。

 

少しは落ち着いた様子なので、戦闘が可能そうなら再配置。不可能ならけが人として後方に行く。

上官に指示された事を伝える。

クリスタとしては優しく、「パニックは収まってないようだと伝えておこうか?」と聞いてみる。

彼女は少し考えた素振りを見せると首を横に降ってみせた。

ただ、「少し待って」そう言うと手帳から紙を2枚切りとって何かを書き始めた。

内容は見せては貰えなかったが、その表情からは必死さが垣間見えた。

1枚を半分にもう1枚はさらに小さく折りたたむと更に別の紙を取り出して器用に封筒を作り出した。

壁にかけてある蝋燭から蝋を拝借しその上に垂らして封をして簡易的な手紙が完成した。

 

この手紙をクリスタ。あなたに託します。

私は死ぬかもしれないので伝え残した事を手紙に綴りました。

私の想いが書いてあるのでエルヴィン団長に渡してください。

私が生きてたら自分で伝えるから開けずに燃やしてね?

 

そんなことを言う彼女。

想い…え?想い!?

想いってえ、あのっえ?

 

思わず聞き返すとそっぽを向かれる。

顔が赤くなる。きっとそうゆうことだろう。

暇さえあれば外を眺めていて、何を考えているか分からない子ではあった。

けどそんな熱い想いがあったとは…

エルヴィン団長。その…へぇ~

 

そんな事を知ってか知らずか、彼女は手紙を私に押し付けると自分の足で扉を開けて出ていった。

 

手紙を急いで懐にしまうと、彼女の後を追う。

 

 

 

 

これが彼女との最後の会話になった。

 

~~~~~

 

その彼女は?

私はクリスタと名乗った新兵に問う。

トロスト区防衛戦で行方不明、その後死亡判定となったらしい。

死体は確認できなかったとの事。

 

その話を聴きながら手元にある封の開けられた封筒から手紙を取り出す。

封に関しては近くにいた同期が取り上げて開けたらしい。

「あいつがこんな情熱的な文章書くとは!」と笑っていたので強引に奪い返したと新兵は憤慨しながらそう答える。

 

軽く目を通すと、ざっと見ただけでも熱意が伝わってくるような少し気恥しくなる文章が書かれていた。

それをパニックから目覚めて数分で書き上げたのだから少し狂気的だ。

 

身震いを軽く感じつつ、残りは必ず読むと新兵に伝えその場は去ることにした。

この手紙を読むにはこの廊下は人通りが多すぎる。

 

さて、自室に戻り鍵をかける。

そう大層なものでは無いが、亡くなった人間の恥部を見るような気分だ。

仕事前に見てしまおうと封筒から出してあった手紙を再度読む。

まるで劇でやるような語り口調のその手紙は慌てていたのか少し荒い文字であった。

しかし…容姿が良いだの勇ましいだのとこう堂々と言われると気恥しい物がある。

しかも最後の1行で「書ききれなかったので次の紙へ」と書かれていた。

呆れてしまう。1枚でもうお腹いっぱいなのにまだあるのかと少し疲れる。

うんざりしながら封筒を開くと小さく折られた紙が覗いていた。

仕事前だ。早く済ませてしまおうと手紙を開いた。

 

 

 

 

超大型巨人の正体は立体機動装置を付けた兵士である。

 

 

 

 

理解ができなかった。前の手紙と文脈が合わなさすぎる。

何かおかしな点は無いかと先程の恋文を何度も裏返す。特に何も書かれてない。

今度は震える手で続きを読み始める。

恋文を装ったことへの謝罪以外に以下の文章が書かれていた。

 

①超大型巨人の正体が立体機動装置を付けた兵士と思われること

②超大型巨人消失後に件の兵士は見失ったこと

③この話は誰にもしていないこと。

④生存確率が高い成績上位10名のクリスタに預けたこと。

⑤超大型巨人の仲間がいるかもしれないが命を掛けて外に出ている調査兵団団長なら可能性は低いと考えたこと。

 

このようなことが書かれていた。

残念ながらフードを被っていたため、顔や身体的特徴、どこの兵団所属かは不明だったそうだが、大きな手掛かりだった。

エレンが巨人から出てきたのはトロスト区奪還作戦の直前。防衛戦前に書いた手紙なので、「人類が巨人になりうる」情報が出回る前の話だ。

それでこれだけ断言しているとなると信憑性の高さが疑える。

もちろん当時壁の上にいた兵士から事実確認をとる必要はあるが…

作戦を大きく変更する必要があるかもしれない……

 

 

~IF1 何が変わった?~

 

調査兵団が「立体機動装置を持って巨人化している」という情報が手に入ったので、アニ捕獲が容易になる。

旧リヴァイ班生存ルート、ウォールシーナでの戦いが無くなるルート、壁の巨人やウォール教の繋がりが無くなるルートが考えられます。

 

が、進撃の巨人が巨人を操ってなかったことにしそう

 


~If12 正気に戻った場合~

アニ?アニだ!

 

「待って!」

 

心臓は弾むが訓練を思い出し冷静さを取り戻してきた…

大丈夫、私は冷静だ。

アニは大きくない。大丈夫。

アニが周りの人を宥めている。

ごめん大丈夫。

大丈夫なんだけど怖い。

 

列に並ぼうとアニも歩き出す。

歩き出してしまう。

 

待ってという言葉は出ずに思わず手が伸びる。

 

手を握る。

 

 

 

 

「……何?」

 

 

 

イライラしげな声が聞こえる。

周りの人間は行ってしまった…

何か言わないと…

アニも行ってしまう…

 

 

 

 

「アニは…巨人にならないよね?」

 

 

 

その時のアニの表情は、

あと数時間という私の生涯で忘れる事は無いでしょう。

 

 

~IF2何が変わった?~

アニたちは凄いドギマギするし殺害がマルコだけじゃ無くなる。

もしくはアニが上手いこと誤魔化して手紙を書かせない。

その後ベルトルさんに本気蹴り数発食らわせて怒鳴る。

そこにマルコが登場してマルコの立体機動装置を使ってソニー&ビーン殺すのがベルトルさんになるかも?

そうなったらアルミンが気がつけないからシーナでツムツム?

 

誤魔化しきれなかった時に手紙を書く暇があるか、クリスタに預けるかどうかは想像に任せる。

クリスタに手紙を預けた場合、アニには話していること、すごい表情だった事が追加で伝わります。

後は知らね( ´ー`)シラネーヨ




投げっぱなしジャーマンで正直すまんかった。

主人公ちゃんはベルベルさんを見たあとは基本パニック状態なので、「巨人=でかい=自分より背が低い人は巨人じゃない」という考えに囚われています。
なんで104期生の背が低いクリスタとアニは巨人にはならないと信頼してます。君たちの想像する主人公ちゃんに合わせてセーフラインは変えてください。
もしベルレルさんみたいな体格がいい人が近づいたら発狂して攻撃に移るかもしれませんがその場合小鹿に銃殺されそうなんで考えてません。
ってか作戦前に味方に抜刀したのに後方送りになるかもとか本文からしておかしいな?でも変えるのめんどいや。

If2の方は時間も空いてないんし疑心暗鬼なんであんな行動になりました。

以上。この設定良ければ自由に使ってくださいな


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