DRACU-RIOT アフター+ (暇人)
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第一話

何と無く、友人に勧めたのをキッカケに再びやり出したドラクリオット。当時の事を思い起こし少し書いてみたくなりました。


「ひょー、ここがアクアエデンか!!いいところだなー!なんか久々に生きてるって感じがするぞ!」

 

本土から直通モノレール、『エデンズライナー』に乗ってやっと辿り着いたのは吸血鬼の聖地であり楽園、アクアエデン。

 

俺は今日からここの住人となり、人間達と共に新生活を送っていくことになる。

 

「ちょっとばかし俺には場違いな気もするけどな」

 

色鮮やかなライトで彩られたビル、大勢の人で賑わっている駅前を見て自分には似つかわしくない光景だと自嘲気味にそうつぶやく。

 

「っと、ネガティブは良くないな。それじゃあさっさとその『寮』とやらに行くとしますか」

 

そうして俺は来週から通うことになる月長学院の第二寮へと向かった。

 

ーーーーー

 

「布良先輩、お料理出来たので運ぶの手伝ってもらってもいいですか?」

 

「おっけー。じゃあ六連くんはテーブル拭いちゃってくれる?」

 

「任された。おいエリナ。そんなところでコスプレ並べるな!早く片付けなさい」

 

テーブルを拭こうとテーブルを見ると一部がコスプレで埋まっていた。どこからこんなに・・・

 

「えー!ユートだってきて欲しいでしょ?やっぱりパーリィーといったらコスプレだよ!」

 

「なんだその激しく歪んだ固定概念はっ!早くしないと新しく入ってくる人の入寮に間に合わないし何より歓迎パーティーでそんな過激なコスプレされたら困るだろ・・・」

 

全く・・・油断も隙もあったもんじゃない。え、俺?俺は・・・べ、別に見たくないし!

 

「そんなこと言って顔が真っ赤だよ?ユート。あ、わかっちゃった!私がこれ着るところ想像して興奮しちゃったんだ!」

 

んな!?これはマズイ。一転して俺が悪い流れに。

 

「ば、バカ言うな!それに」

 

「はぁーいつまでやってるのよアナタ達は」

 

「俺は別になにもしちゃいない!それよりエリナをどうにかしてくれ」

 

「あ、ミュー!でもミューだって大人ならパーリィーでコスプレくらい普通だと思うよね!」

 

「そ、そうね。大人ならコスプレの一つや二つくらい普通だわ。今時コスプレを恥ずかしがるなんておこちゃまじゃあるまいし」

 

「大人」の二文字にあっさりと騙される美羽。

 

「顔真っ赤だぞ、美羽」

 

「う・る・さ・い・!」

 

それにコスプレが普通の大人はただの変態なんじゃないか。そんな大人はイヤだ。

 

「もー、いつまでやってるの3人ともー!ちゃっちゃと準備進めてよ!!」

 

3人って俺もかよ!?

 

「魔女の夜会(サバト)の準備は着々と進んでいるみたいだね。ボクにも何か手伝わせてよ」

 

ーピンポーン

 

「あ、アレキサンドの料理かな。じゃあ大房さんだと思うから出てきてくれる?」

 

「了解した!」

 

準備の段階で既に騒がしい月長学院第二寮であった。

 

ーーーーー

 

「おお、寮って聞いてたけど結構いい建物なんじゃないか?スゴいなアクアエデン」

 

駅から寮に直行した俺は目の前の光景にやや圧倒されていた。学院の寮という響きからもっと質素で無個性な建物を想像していたのだがいい意味で裏切られた。お金がかかっていそうで見るからに「いい建物」だ。

 

「ん?なんだか中が静かだな。寮生は吸血鬼ばかりだという話だから皆起きているはずだし一応今日到着するという連絡はいってるはずなんだが・・・」

 

寝てしまっていたり出かけていたらどうしよう、少々そんなことを心配しながらも俺はチャイムを押した。

 

「はーい!」

 

中から元気な女の子の声がする。む、女子がいるのか!女子と寮暮らし・・・

 

「お待たせ!今日から寮にはいる人だよね。待ってたよ!」

 

「!!?」

 

「ど、どうしたの?そんなにびっくりしちゃって」

 

っと危ない危ない。なにやらイケナイ妄想をしてしまった。

 

改めて目の前の光景に集中するとそこには小柄ながらとても可愛らしい女の子が立っていた。

 

「あ、いやなんでもないんだ。ちょっと君が可愛いから見惚れてしまって」

 

「みみみ!?な、なんだか六連くんとキャラが似てるっぽい・・・」

 

「ん?なんか言った?」

 

「な、なんでもないよ。さ!中に入った入った!」

 

なにやらボソボソ言っていたが本人がなんでもないって言ってるんんだからなんでもないのだろう。そうして寮の中に足を踏み入れた俺を待っていたのは

 

「「「入寮おめでとー!」」」

 

とても華やかな歓迎のあいさつだった。

 

ーーーーーー

「というわけで今日からこの寮でえ一緒に生活することになった桐野千晶です。よろしくお願いします」

 

「「「よろしくー!」」」

 

気持ちのいいあいさつとともに自己紹介と歓迎会が始まる。なんかこういうのも新鮮だ。

 

「俺が入ってきた時は確かいきなりエリナの湯上り姿を見せられたな・・・懐かしい」

 

「むぅ、見せられたってのはヒドイよユート!それに私の綺麗なカラダを見て勃起しないってのはやっぱりヒドかったと思うんだよ」

 

「ぶっ!?」

 

普通に手渡された飲み物を飲んでいた俺はいきなりの(いろんな意味で)衝撃的な発言に思わず吹き出してしまいそうになった。

 

「すまない、桐野。エリナはこういうヤツなんだ・・・」

 

「あ、ああ。なんかそうみたいだな。あ、俺の事は千晶でいいぞ」

 

「そうか。じゃあ俺も祐人と呼んでくれ」

 

「あ、じゃあ私もエリナね!」

 

「分かったよ、エリナ。それはそうとエリナ。入ってすぐの俺が言うのもなんだがもう少し慎みを持った方がいいと思うんだ。せっかく可愛いんだし」

 

やっぱり下ネタが好きな女子は何というか・・・あれ?別に嫌じゃない・・・だと?

 

これが男だったら多分社会的にもアウトなのに女子だと許せてしまうのはなぜだろう。俺が変態だからか。

 

「んーそういうものなのかな?」

 

「ほれみろ、言ったとおりだろ?」

 

「ま、まあ人それぞれ個性ってのは大事だからな。あんまり急に変える必要もないと思うけどな」

 

最後の最後でヘタれる俺。いや、だってアレコレと言いすぎるのも良くないじゃん?決してエロい女子もイイナーとかそんなことを考えていたわけではないぞ!

 

「そういやこの街だと吸血鬼には労働義務があるんだったっけか。皆はどこで働いてるんだ?」

 

「俺と美羽、あと布良さんは特区管理事務局。『風紀班』だな」

 

「布良さんは人間なのにその年で働いてるのか。スゴイな」

 

「そ、そんなことないよ!でもありがとう、桐野くん」

 

「私とニコラはカジノ、莉音はバー、『アレキサンド』だよ」

 

「カジノか。一度寄ってみたいかな」

 

「千晶だったら大歓迎だよ!私が手取り足取り教えてア・ゲ・ル♪」

 

「!?」

 

スッゲェドキドキした。くぅ、初心な純情少年をからかうんじゃない!

 

「アレキサンドにも是非きてくださいね!」

 

「おう。そのうちお世話になるよ」

 

「で、千晶はどこで働くんだ?お前はもう決めたのか?」

 

「一応急な引っ越しで猶予をもらってるんだが多分風紀班かな」

 

「いいのか?割と危ないぞ?」

 

「こう見えて荒事はお任せ、ってね。まあ接客業に向いてないってのもあるんだが。特に吸血鬼が多いこの街だと少し厳しいかね」

 

「そうなのか。なんだかよくわからんが同じ職場で働くことになったらよろしく頼む。つっても俺もまだ半人前だけど」

 

「ああ。よろしくな、先輩」

 

そこでエリナ布良さんが少し不思議そうにしてこちらを見てきた。

 

「そういえば桐野君って何年生に転入するの?」

 

「俺は布良さんや祐人と同じ学年だな。急にどうした?」

 

「いやー桐野君って少し・・・いや、とっても童顔だからちょっと気になっちゃって」

 

童顔ってそれを布良さんが言うのはどうなんだ。むしろ身長体型も加味して考えると布良さんの方がよっぽど・・・などというのは心にとどめておく。デリカシーは大切だな、うん。

 

「そうか?俺そんなに子どもっぽく見える?」

 

「うーん。なんていうのかなぁ。なんだか顔だけじゃなくて雰囲気も子供っぽ・・・あ!べ、別に嫌な意味じゃなくて!ね!」

 

そこまで言われて俺は無意識にうなだれていたことに気づいた。な、中々な一撃だった・・・ぜ・・・

 

「桐野くーん!!!」

 

ーーーーー

 

そんな感じで休みの日をめいっぱい使った歓迎会は明け方遅くまで続けられた。




※背景設定的には何事もなく半年ほど過ぎた超妄想のパラレルワールド。題名ではアフター+とかなってますが六連くんは誰ともくっついていません。実は美羽のアフターを想定して書き始めたんですがそれでは致命的にオリ主の介入に壁になる出来事があることをすっかり忘れていてうやむやにすることに。


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