仮面ライダービルド&賢者の孫 (仮面大佐)
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プロローグ

 仮面ライダービルド。

 それは、ある世界の仮面ライダーだ。

 地球外生命体のエボルトの野望に立ち向かった仮面ライダー達の中の1人。

 これは、仮面ライダービルドの力を受け継ぎ、魔法の世界で生きていく物語。

 ある場所では。

 

???「ううん…………ここは?」

 

 彼は、久保田綾人(くぼたあやと)

 日本人である。

 そんな彼が居る空間は、何もなく、ただ椅子が二つあり、片方に綾人が座っているだけだった。

 すると、綾人に話しかける人が出る。

 

???「久保田綾人さん。」

綾人「っ!?」

 

 綾人に話しかけた人物は、女性であり、かなりの美しさだった。

 

綾人「えっと………………貴女は?」

ウルド「私はウルド。女神といえば、分かるかな?」

綾人「えっと……………そのウルドさんが、俺に何の用で?」

ウルド「単刀直入に言います。綾人さん。あなたは死んだんです。」

綾人「え?………………あ。」

 

 綾人は、ウルドの言葉に呆気に取られるが、すぐに思い出した。

 それは、自分が地震による建物の倒壊に巻き込まれ、死亡した事を。

 

綾人「死んだ……………んですね。」

ウルド「意外と冷静ですね。」

綾人「まあ、死んだもんはしょうがないですよ。地震だし。」

ウルド「そうですか。」

綾人「それで、俺はどうなるんですか?」

ウルド「………………久保田綾人さん。貴方は、異世界には、興味がありませんか?」

 

 ウルドはそう言う。

 ウルド曰く、これからの人生を謳歌する筈だった綾人が哀れと思い、転生するかどうかを決めて欲しいそうだ。

 

ウルド「ただ、転生する先の世界は、危険があります。ただの日本人である貴方が生き残るかどうかは、分かりません。」

綾人「そうですか。」

ウルド「なので、一つだけ、何か一つだけ、力を授けます。」

綾人「………………………。」

 

 ウルドはそう言った。

 それを聞いた綾人は、少し悩んだ。

 そして、答えを出す。

 

綾人「なら、仮面ライダービルドの力でお願いします。」

ウルド「ビルドですか………………。」

 

 綾人の言葉に、ウルドは少し戸惑う。

 ウルドは少し戸惑ったが、すぐに顔を上げる。

 

ウルド「分かりました。上層部とも相談します。少しお待ち下さい。」

 

 ウルドはそう言って、退席する。

 しばらくすると、戻って来る。

 

ウルド「お待たせしました。」

綾人「どうですか?」

ウルド「はい。上層部は、条件付きで許可するとの事です。」

綾人「本当ですか。断られる事を覚悟していたんですがね。それで、条件というのは?」

ウルド「条件は………………ビルドのライダーシステムを、絶対に兵器として扱わない事です。」

綾人「分かりました。それくらいは、お安いご用です。」

 

 綾人は、ウルドの条件を呑んだ。

 綾人は、仮面ライダービルドが好きで、絶対に兵器として扱わせないと思っていたのだ。

 それを聞いたウルドは、頷いた。

 

ウルド「分かりました。では、貴方にビルドの力を授けます。」

 

 そう言って、綾人にビルド関連のアイテムが渡された。

 ビルドドライバー、フルボトルが60本とラビットタンクスパークリング、ハザードトリガー、フルフルラビットタンクボトル、ジーニアスボトルを受け取った。

 

綾人「全部ですか?」

ウルド「はい。ただ、強化形態のボトルやアイテムに関しては、ハザードレベルが一定値に達しないと使えません。」

綾人「まあ、確かに。」

ウルド「勿論、貴方が開発するのもありですよ。スクラッシュドライバーなどは。」

綾人「考えておきます。」

 

 ウルドの言葉に、綾人はそう答える。

 そして、綾人が転生する準備が整った。

 

ウルド「というわけで、転生するわけですが、転生先では、アヤト=アーレントを名乗ってください。市民証というのがありますが、既に作成済みです。」

綾人「分かりました。」

ウルド「あと、言語に関しては、転生した時点で、問題なく対応できるようにしておきました。それでは、頑張って下さいね。」

綾人「はい。」

 

 そうして、久保田綾人は、アヤト=アーレントとして、転生した。

 ここから、アヤトの新たな生活が始まる。

 ちなみに、アヤトの服装は、その世界に合わせた物に、ウルドが変えた。

 服装としては、ロングコートの下にパーカーを着ている感じだ。

 奇しくも、桐生戦兎と似たような格好になっていた。

 

アヤト「さて、頑張りますか。」

 

 アヤトは、魔物ハンターとして、仮面ライダービルドとして、あちこちを旅した。

 なぜ、あちこちを旅したのかというと、どういう世界なのかを知る為だ。

 これまで巡ったのは、イース神聖国、エルス自由商業連合国、スイード王国、カーナン王国、クルト王国、ダーム王国などだ。

 そんな中、アヤトは窮地に至っていた。

 

アヤト(どうしてこうなった……………。)

 

 アヤトはそう思っていた。

 現在、ブルースフィア帝国の帝城に居て、周囲を取り囲まれていた。

 

???「貴様がアヤトとやらだな。」

アヤト「そうですけど、何か?」

ヘラルド「余はヘラルド=フォン=ブルースフィア。ブルースフィア帝国の皇帝ぞ。」

 

 アヤトの前に居るのは、ブルースフィア帝国の皇帝である、ヘラルド=フォン=ブルースフィアだ。

 アヤトは、嫌な予感をしていた。

 

アヤト「それで、何の用ですか?」

配下「ぶ、無礼だぞ!本来であれば、貴様は会う事のない御方だぞ!」

ヘラルド「まあ良い。貴様に話がある。」

アヤト「ん?」

ヘラルド「我が帝国の力になる気はないか?」

アヤト「は?」

 

 ヘラルドはそう言った。

 その言葉に、アヤトは耳を疑う。

 

アヤト「どういう意味だ?」

ヘラルド「貴様がビルドとやらなのは分かっておる。我が帝国が世界の覇権を握る為に、我らの僕となれ。さすれば、それ相応の立場をやろうぞ。どうだ?悪くないだろう?」

アヤト「……………………。」

 

 アヤトは、それを聞いて察した。

 ヘラルドは、ビルドの力を兵器として扱おうとしているのだ。

 それを聞いたアヤトは、即答する。

 

アヤト「断る。」

ヘラルド「………………何だと?」

アヤト「そんな世界を支配しようとする奴に、力を貸す義理はない。ライダーシステムは、兵器じゃない。」

ヘラルド「き、貴様!このわしに、刃向かうというのか!?」

アヤト「刃向かうさ。そんな奴らに力を貸すなんてごめんだね!」

ヘラルド「や、やれ!!こやつを殺せ!!」

 

 ヘラルドがそう叫ぶと、周囲の兵士達がアヤトに向かう。

 だが、アヤトは慌てていなかった。

 

アヤト「変身!」

 

 アヤトがそう叫ぶと、周囲の兵士達が吹っ飛ぶ。

 

ヘラルド「な、何………………!?」

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!

イェーイ!

 

 そこに居たのは、仮面ライダービルド・ラビットタンクフォームだ。

 

ヘラルド「貴様は………………!?」

アヤト「仮面ライダービルド。創る、形成するって意味のビルドだ。以後、お見知り置きを。」

 

 アヤトは、葛城巧と同じような挨拶をする。

 ヘラルドは呆気に取られるが、すぐに叫ぶ。

 

ヘラルド「や、殺れぇぇぇっ!!こやつを殺すのだァァァァァ!!」

 

 ヘラルドの叫びに、再び兵士達がアヤトの方へと向かっていく。

 だが、アヤトは最小限の動きで躱して、兵士たちを無力化していく。

 アヤトは、人は殺さないというのを信条としており、気絶させていく。

 ちなみに、前世で護身術や合気道などを習っていて、格闘戦は出来る。

 あっという間に、兵士達は倒れ伏す。

 

ヘラルド「貴様ァァァァァ!!」

アヤト「そういう訳だ。じゃあな!」

 

 アヤトは、天井にドリルクラッシャーのガンモードで穴を開け、そこから脱出する。

 アヤトはビルドフォンを取り出して、ライオンフルボトルを装填して、放り投げる。

 

ビルドチェンジ!

 

 ビルドフォンは、マシンビルダーに変形した。

 アヤトは、マシンビルダーに乗る。

 

アヤト「さてと。こんな国からはさっさとおさらばするか。次は……………アールスハイド王国ってとこに行くか。」

 

 アヤトはそう言って、マシンビルダーでアールスハイド王国へと向かっていく。

 一方、アールスハイド王国には。

 

シン「へぇぇ!ここが王都か!」

 

 のちに、英雄と呼ばれる男、シン=ウォルフォードが居た。

 この2人の邂逅は、近い。




今回はここまでです。
以前の、賢者の孫とビルドの小説のリベンジです。
以前は、シンの弟として出しましたが、今回は、シンとはカート戦で遭遇するパターンに変えます。
その方が、良いかなと思ったので。
クローズ、グリス、ローグなどは、誰が変身するのかは、未定です。
オリジナルの仮面ライダーにフルボトル、アヤトのヒロインに関して、リクエストがあれば、目次からその活動報告に行けます。


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第1話 魔人の出現

 ブルースフィアから脱出して、数日が経過して、アヤトは、アールスハイド王国に到着していた。

 ちなみに、マシンビルダーは、アールスハイドが近くなった時点で降りて、ビルドフォンに戻している。

 そして、市民証を見せて、門を通ると、街並みが広がっていた。

 

アヤト「ここがアールスハイドか。」

 

 アヤトはそう呟く。

 ブルースフィアとは違い、かなり賑わっていた。

 ブルースフィアは、平民はかなり貧しい感じだったのだ。

 アールスハイドは、そういう貧富の差が激しい感じはしないと感じた。

 アヤトは、屋台で焼き串を買って、食べ歩く。

 すると、行列が目に入り、アヤトは声をかける。

 

アヤト「あの、すいません。これ、なんの行列なんですか?」

市民「舞台さ!賢者マーリンと導師メリダの物語!」

アヤト「へぇ………………。(アールスハイドでもあるんだな。賢者マーリンと導師メリダの物語。)」

 

 アヤトはそう聞いて、そう思った。

 各地を旅する中、賢者マーリンと導師メリダの物語に関しては、色々と見たからだ。

 すると。

 

アヤト「ん?」

 

 ビルドフォンから音が鳴り、路地へと向かい、ビルドフォンを見る。

 すると、スマッシュの出現情報が出ていた。

 

アヤト「スマッシュ!?ここにも現れたのか!」

 

 実は、ウルドから連絡が来て、スマッシュが現れた場合、ビルドフォンに連絡が行くように設定してもらったのだ。

 ビルドフォンを見ると、学校の敷地内に光点が光っていた。

 

アヤト「ここから近いな。行くか!」

 

 アヤトは、ラビットフルボトルを振り、高速移動をしつつ、その学校へと向かう。

 遡る事、少し前、魔法学院では、シン=ウォルフォードを始めとするSクラスの生徒が食堂で話していた。

 

マリア「そう言えばシンって、移動中も索敵魔法使ってるよね。あれ何で?」

シン「何でって、こっちに害意向けられたら分かるだろ?」

トール「ん?シン殿、害意が分かるんですか?」

シン「あぁそうか、えーと………トールは魔物狩った事ある?」

トール「ある訳ないじゃないですか。この前まで中等学院生ですよ?」

シン「魔物の魔力って、禍々しいって言うか、気持ち悪いって言うか、普通じゃないんだよ。敵意とか害意をモロにこっちに向けてくるからね。そう言うのって、人間にも少なからずあって、それを察知してる訳。」

リン「ウォルフォード君って魔物を狩った事あるの?」

シン「あるよ。」

 

 その言葉に、全員が驚いた表情になる。

 

トニー「因みに……初めて魔物を狩ったのって何歳?」

シン「確か………10歳の時。」

全員「10歳!?」

シン「確か、熊だったかな?」

全員「熊ああ!?」

 

 その逸話に、Sクラス全員が驚いた。

 

シン「3メートルくらいあったけど、首落として倒したよ。」

全員「…………。」

シン「(また俺何かやっちゃいました?)え?何皆、何処に驚いてんの?」

全員「全部にだよ………。」

 

 その後、講堂へ。

 

マリア「午後から研究会の説明かあ……。」

アリス「私達、もう究極魔法研究会を立ち上げるって決めたのに……。」

ユーリ「入る気もない研究会の説明、聞かされるなんて無駄な時間よねぇ。」

ユリウス「そう仰るな。拙者達だけ参加しないと反感を買うで御座るよ。」

 

 マリア、アリス、ユーリ、ユリウスの4人はそう話す。

 すると、シンが何かを感知した。

 

シン(害意を向けられてる?何処だ!?)

 

 すると、茂みの奥からして、そこには自宅謹慎中のカートが。

 

シン「カート!?」

全員「!?」

 

 すると、カートが炎の魔法を放つ。

 シンが咄嗟に魔力障壁で防ぐ。

 

シン「グッ………!シシリー、オーグ!制服に魔力を通せ!!」

 

 シシリーとオーグはすぐに制服に魔力を通す。

 カートが2発目を放つ。

 

トニー「魔力障壁……!!」

シシリー「シン君!手が!!」

 

 イメージが間に合わなかったのか、シンの手が火傷していた。

 

シン「大丈夫……。自動治癒が発動するから……!」

オーグ「何で奴がここに!?」

マリア「謹慎中じゃなかったの!?」

シン「オーグ……。これはもう、ダメだろ!?完全に殺す気だったよな!?」

オーグ「ああ!これは完全に殺人未遂だ!到底見過ごす事は出来ん!!」

カート「貴様………きさま………キサマ………キサマキサマギザマーーーー!!!!!」

 

 すると、カートの魔力が更に増幅した。

 

シン「なあオーグ……。」

オーグ「何だ……?」

シン「アレ、魔力の制御出来てると思うか?」

オーグ「思わんな………。」

シン「マズくね……!?」

オーグ「マズイな………!」

 

 2人の懸念が当たり、何と、カートは魔人と化した。

 

オーグ「まさか………!?」

シン「魔人化しやがった………!!」

 

 シンは、野次馬の生徒達を見て。

 

シン「おい皆逃げろ!!奴は魔人化した!!ここに居ると巻き添え喰らうぞ!!」

 

生徒達「………ま………魔人………!?」

生徒「うわあああああああ!!!!」

生徒「きゃあああああああ!!!!」

生徒「助けてええええええ!!!!」

 

 生徒達がパニックになって逃げる。

 

シン「オーグ、お前達も逃げろ。」

オーグ「シン!?………お前まさか………!?バカな!お前も逃げろ!!」

シン「此奴を王都に放つ訳にはいかないからな!!俺が食い止める!!」

オーグ「ならば私達も!!」

シン「魔物や魔人を狩った事ない奴が何言ってんだ!!」

オーグ「シン………私たちは邪魔か?」

シン「………ああ、邪魔だな。」

 

 それを聞いたオーグは、苦渋の表情を浮かべるが、すぐに叫ぶ。

 

オーグ「そうか………分かった!全員直ちにこの場を離れろ!!私達が居てもシンの足手纏いになるだけだ!!」

シシリー「そんな………!シン君だけ残してなんて!!」

マリア「…………!!」

オーグ「メッシーナ!!引き摺ってでもクロードを連れて行け!!」

マリア「は………はい!!シシリー!!」

 

 マリアは、強引にシシリーを連れて行く。

 

オーグ「皆も早く!トール!!ユリウス!!教師に連絡して対処を急げ!!」

トール・ユリウス「はっ!!」

 

 全員がすぐに避難する。

 魔人化したカートの目の前に、シンが立つ。

 

シン「そろそろ行くぞ、カート!!」

カート「ゴアァアアアア!!!!」

 

 カートはすぐに走り出して、最大火力の炎を投げた。

 それを見たシンは、魔法の発動を中断して、横に飛ぶ。

 シンは、すぐにファイヤーボールを連射する。

 そのファイヤーボールは、カートにダメージを与えた。

 

シン(今のでダメージあるの!?足止め程度のつもりだったのに………!?)

 

カート「ウォルフォードォォ!!キサマァァァァ!!」

シン「魔人が………言葉を発した!?」

カート「コロス!!コロシテヤルゾ!!ウォルフォード!!」

 

 カートは、衝撃波を放つ。

 シンはすぐに魔力障壁で防ぎ、ジャンプして雷撃を放つ。

 

カート「ゴアアアアアアアア!!!!」

シン(やはり効いている………!完全に魔人になっていない………!だったら、元に戻す方法が!)

 

 カートは、炎属性の魔法を放ち、シンは高速移動で躱す。

 

シン(どうにかして、カートを暴走させている魔力を抑えられれば………!)

カート「ウォルフォォドォォオオ!!!!!」

 

 すると、カートは自分に魔力を集め出す。

 

シン「まさか………自分に魔力を集めて爆発させる気か!?させるか!!」

 

 シンは、カートの目論みに気付き、光輪を放つが、魔力の干渉により、打ち消される。

 

シン「くそっ!あんな量の魔力………学院ごと吹き飛んでしまう!!」

カート「オワリダ!!!」

シン(どうする………どうすれば良い!?)

 

 シンは考えるが、討伐するしか思いつかなかった。

 

シン(時間はもうない………!!やるしかない!!)

 

 シンは、異空間収納から、バイブレーションソードを取り出した。

 ジェットブーツを使い、カートに急接近する。

 

シン「許せ………カート!!」

 

 シンは、バイブレーションソードで擦れ違いざまでカートを斬った。

 カートは、首を斬られ、その場に倒れる。

 カートは倒れたが、シンは悔やんでいた。

 

シン「くそっ………何だよ………何なんだよ!!(本当にこんな形でしか………他に方法はなかったのか………!?俺………初めて…………人を………!)」

 

 シンの心境が穏やかじゃない中、シシリー達がやって来る。

 

シシリー「シン君!怪我は!?怪我はしてませんか!?」

シン「ああ………大丈夫だよ………。」

 

 シンは、倒れ伏すカートを見る。

 

シン「カート………彼奴………シシリーの事付け狙ってたし………魔人にまでなっちまったけど………それでも俺………討伐するしかなかったのか………!?」

シシリー「シン君………。」

 

 オーグが声をかけようとする中、謎の声が聞こえてくる。

 

???「がぁぁぁぁぁ!!」

シン「っ!?」

オーグ「何だ!?」

 

 そんな声がしてきて、シン達が視線を向けると、そこには、青と黄色がかったオレンジで上半身がゴツい怪人がいた。

 ストロングスマッシュだ。

 

シン「何だよ、あれ!?」

シシリー「魔物……………何でしょうか!?」

マリア「どう見ても違うでしょ!?」

オーグ「アレは一体……………!?」

 

 シン達は、スマッシュというのを見た事がないので、戸惑っていた。

 スマッシュは、腕を地面に叩きつけて、衝撃波を放つ。

 

シン「皆逃げろォォッ!」

 

 シンはそう叫んで、皆を避難させる。

 謎の怪物に、シンは驚いていた。

 シンがシシリー達に意識を向ける中、ストロングスマッシュが攻撃しようとする。

 

シン「不味い………!障壁が間に合わない………!」

シシリー「シン君!!」

アヤト「ハァァァ!!!」

 

 ストロングスマッシュのパンチは、シンには届かなかった。

 なぜなら、アヤトがカートを思いっきり横から蹴って、軌道を逸らしたのだ。

 

アヤト「大丈夫か!?」

シン「お前誰だよ!?」

アヤト「まさか、ストロングスマッシュか………!」

オーグ「お前は一体誰だ!?」

アヤト「その話は、後でちゃんとします、殿下!!」

シン「誰か知らないけど、逃げろ!!」

アヤト「大丈夫だ。それにしても、生身でスマッシュに立ち向かうなんて、根性あるな。あとは任せろ。」

 

 ユウトはそう言って、ビルドドライバーを腰に装着する。

 

ユーリ「あれは………?」

トニー「魔道具………?」

アヤト「さあ、実験を始めようか。」

 

 ユーリとトニーが戸惑う中、アヤトはラビットフルボトルとタンクフルボトルを取り出し、振る。

 すると、周囲に数式が現れる。

 

アリス「何あれ!?」

リン「さあ?」

 

 急に大量の数式が現れた事に、周囲の人が戸惑う中、ボトルのキャップを閉めて、ビルドドライバーに装填する。

 

ラビット!タンク!

ベストマッチ!

 

マリア「え!?何!?」

シシリー「ベストマッチ……………?」

 

 マリアとシシリーは、首を傾げる。

 そんな中、アヤトはボルテックレバーを回す。

 すると、エネルギーが生成されていき、アヤトの周辺にスナップライドビルダーが展開され、それぞれのハーフボディが形成される。

 そして、あの音声が流れる。

 

Are you ready?

 

アヤト「変身!」

シン「え!?」

 

 アヤトはその言葉と共に、ファイティングポーズを取る。

 すると、ハーフボディがアヤトに挟まり、合体して、仮面ライダーとしての姿を形成する。

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!

イェーイ!

 

 アヤトは、仮面ライダービルド・ラビットタンクフォームへと変身する。

 

シン「え!?」

オーグ「あれは………………。」

シン「アンタ、何者なんだよ!?」

アヤト「仮面ライダービルド。創る、形成するって意味のビルドだ。以後、お見知り置きを。」

 

 アヤトはシンに対して、そう言う。

 そう言った後、アヤトはあのセリフを言う。

 

アヤト「勝利の法則は、決まった!」

 

 仮面ライダービルドの決め台詞を言い、アヤトは、ラビットハーフボディの足のバネで、瞬間的に加速して、スマッシュに攻撃していく。

 ラビットハーフボディなら、ヒット&アウェイの戦法が取れる。

 ストロングスマッシュに対して、ヒット&アウェイで翻弄する。

 途中、パワーで攻撃してくるが、アヤトは難なくそれを躱す。

 ドリルクラッシャーを出して、攻撃していく。

 

アヤト「ハアッ!ハッ!」

 

 アヤトは難なくスマッシュと戦っていく。

 

マリア「何……………あれ。」

シシリー「強いです………………。」

オーグ「やはり……………あいつは……………。」

シン「あれって………!(まさか、仮面ライダーか!?)」

 

 マリアとシシリーが呆然としながらそう言う中、オーグは何か合点がいった様な表情を浮かべ、シンは前世の産物である仮面ライダーに驚いていた。

 そんな中、アヤトはハリネズミフルボトルを取り出し、振る。

 

ハリネズミ!

 

 ラビットフルボトルを抜き、ハリネズミフルボトルを装填する。

 ボルテックレバーを回して、エネルギーを高めていく。

 

Are you ready?

 

アヤト「ビルドアップ!」

 

 ラビットハーフボディが、ハリネズミの物へと変化して、ハリネズミタンクになる。

 それを見ていたシン達は。

 

シン「今度はハリネズミ……………!?」

ユリウス「姿が変わったでござる!」

 

 そう驚いていた。

 アヤトは、BLDスパインナックルを使い、ストロングスマッシュの装甲の薄い部分にダメージを与える。

 ストロングスマッシュは怯み、アヤトは攻撃していく。

 アヤトは、ゴリラとダイヤモンドのフルボトルを取り出して、振って、装填する。

 

ゴリラ!ダイヤモンド!

ベストマッチ!

 

アヤト「よし!」

アリス「また、ベストマッチって…………。」

 

 アヤトは、再びボルテックレバーを回し、スナップライドビルダーが展開される。

 

Are you ready?

 

アヤト「ビルドアップ!」

 

輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!

イェイ……!

 

 アヤトは、ゴリラのパワーとダイヤモンドの硬さを併せ持つ形態、ゴリラモンドへと変化する。

 

マリア「また姿が変わった!」

ユーリ「綺麗………………。」

リン「確かに。」

 

 女性陣は、ダイヤモンドハーフボディの綺麗さに見惚れていた。

 そんな中、アヤトはパワーでストロングスマッシュを攻撃していく。

 ストロングスマッシュは、反撃をするが、ダイヤモンドハーフボディの硬さには、攻撃が効かなかった。

 そして、ボルテックレバーを回し、必殺技の体勢に入る。

 

Ready Go!

ボルテックフィニッシュ!

イェーイ!

 

 ダイヤモンドハーフボディの力で、ストロングスマッシュをダイヤに閉じ込め、ゴリラハーフボディのサドンデストロイヤーで、一気にパンチする。

 ストロングスマッシュは、吹っ飛んだが、まだ倒れていなかった。

 

アヤト「まだ倒れないか。なら!」

 

 アヤトはそう言って、再び、ラビットとタンクのフルボトルを取り出して、変身する。

 

ラビットタンク!

 

 ラビットタンクに戻ったら、ボルテックレバーを回して、必殺技に入る。

 

アヤト「ちょ〜っと、待ってて!」

シン「おい、どこ行くんだよ!?」

 

 アヤトは、ストロングスマッシュにそう言って、後ろに駆け出す。

 タンクハーフボディの脚で、地面を強く踏むと、地面にめり込み、グラフ型標的固定装置を展開し、x軸でスマッシュを拘束する。

 

トール「あの魔物を拘束しましたよ!?」

トニー「あれは油断を誘う為の動きだったのか?」

 

 トールとトニーはそう言う。

 そして、地面から上がって、ラビットハーフボディの脚でジャンプする。

 

Ready Go!

ボルテックフィニッシュ!

イェーイ!

 

 グラフに沿って、ストロングスマッシュに対して、ライダーキックを放つ。

 その際に、タンクローラーシューズに組み込まれた無限軌道装置を使い、スマッシュの装甲を削って、倒す。

 ストロングスマッシュは爆発して、緑の炎が身に纏いつつ、倒れる。

 

シシリー「倒した………………んですか?」

オーグ「いや、まだ遺体が残ってる!」

シン「仕留め損ねたのか!?」

アヤト「大丈夫。こうすれば……………。」

 

 アヤトはそう言って、エンプティボトルをストロングスマッシュに向ける。

 すると、ストロングスマッシュの成分が回収され、そこには人が居た。

 

ユリウス「人が出てきたでござる!」

トール「どういう事ですか!?」

アヤト「ふぅ。」

 

 ユリウスとトールが驚く中、アヤトは変身解除する。

 

シン「あの怪物は一体なんなんだ…………?」

オーグ「それより、お前は誰だ?」

アヤト「俺?俺はアヤト=アーレントですよ。」

 

 シン達は、アヤトから、事情を聞く事にした。




今回はここまでです。
アヤトが、シン達の前で変身しました。
ストロングスマッシュは、そこら辺の一般人です。
次回は、シュトロームとの邂逅と戦いです。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
クローズなどの他の仮面ライダーは、誰が変身するのかは、考え中です。
現在、アンケートを実施中です。
アヤトのヒロインがいるという場合は、もし、原作キャラかオリキャラのどちらとくっつけて欲しいというのがあれば、活動報告にて受け付けます。
オリジナルの仮面ライダーや、オリジナルのフルボトルも受け付けております。


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第2話 黒幕の登場

 Sクラスでは、生徒とアヤトが集まっていた。

 

シン「…………。」

オーグ「どうした、シン?」

アヤト「魔人になったとはいえ、人を殺した事を気にしてるのか?」

シン「それもあるけど、気になる事があるんだよ。」

アヤト「気になる事って、何だ?」

シン「あんな簡単に、魔人になるものかなぁって、思って。」

オーグ「確かに………。」

アリス「え?どういう事?」

 

 アリスの疑問に、トールが答える。

 

トール「かつて、この国に出現した魔人は、高位の魔法使いで、高度な魔法の制御に失敗して魔人化したと言われています。」

オーグ「その通りだ。しかし、リッツバーグは高等魔法学院に入学したてだ。魔法の制御に失敗しても、暴走するだけだ。魔人になるなんてあり得ない。」

リン「うん。私もよく暴走させる。」

 

 リンの発言に、全員が引く。

 マリアが発言する。

 

マリア「でも、実際に魔人になってたし……。」

シン「人為的……………って事は考えられないかな?」

リン「まさか!?誰かが魔人を作った!?」

 

 マリアがそう言う中、シンはそう言って、リンは驚く。

 それに、シンは頷いて、語る。

 

シン「俺は爺ちゃんから、『魔人は完全に理性を無くし、吠える事しか出来なかった。』って聞いてる。それに比べてカートは、魔人化したにも関わらず、言葉を発していた。」

アヤト「…………………。」

シン「それも、実際戦ってみたら案外弱くて……………。」

全員(魔人が弱いって……………。)

 

 シンの言葉に、アヤトは無言で居て、その次の言葉に、全員が呆れる。

 だが、その呆れの表情は、次のシンの言葉に、驚愕に変わる。

 

シン「それらを踏まえて考えると…………カートは人体実験に利用されたんじゃないかと思っている。」

全員「っ!?」

アヤト「そうかもな。」

 

 シンがそう言うと、全員が驚き、アヤトは同意する。

 すると、オーグがアヤトに話しかける。

 

オーグ「お前がビルドだったんだな。」

アヤト「知ってたんですね、殿下。」

オーグ「ああ。父上から聞いた事があってな。ビルドの事を。」

マリア「ていうか、魔人も気になるけど、あの魔物は何なの!?人間に戻ったけど…………。」

アヤト「それについても、話しておくよ。スマッシュについても、ビルドについても。」

 

 オーグは、ビルドの存在を知っていた。

 マリアの言葉と共に、アヤトはビルドやスマッシュについて説明した。

 スマッシュとは、ネビュラガスを注入された人が変異する存在である事。

 スマッシュにされると、基本的に一切の意思疎通が不可能になり、無差別に人間を襲い、辺りを破壊し尽くす。

 そのスマッシュを倒すのが、仮面ライダービルドである事。

 ビルドは、スマッシュから手に入れたフルボトルを使って変身する事。

 それらを話した。

 その際、机にフルボトルやビルドドライバーを置く。

 

ユーリ「それがビルドなのね。」

アヤト「まあな。」

シン「…………まあ、話が逸れたけど、カートは人為的に魔人にされたって感じか?」

オーグ「…………だとしたら、由々しき事態だな。」

 

 そうして、一旦解散となる。

 その後、オーグに連れられ、ウォルフォード邸に向かう。

 そこには、ディセウム、マーリン、メリダの三人がいた。

 

シン「あれ?ディスおじさん。」

ディセウム「おお、シン君。それに、君がアヤト君だね。」

ユウト「ああ、はい。私は、アヤト=アーレントです。陛下。」

ディセウム「良い良い、君もまた、シン君と同様に、この国を救ってくれたのだからな。」

アヤト「は、はぁ…………。」

 

 アヤトは、すぐに敬語を使うが、ディセウムはそれを止める。

 シンは、ディセウムに用事を聞く。

 

シン「それで、どうしたの?」

ディセウム「私が訪れたのには、理由があるんだ。事が事だけに、私自らが、シン君、マーリン殿とメリダ師に話をしておきたくてな。おい。」

官僚「はっ!シン=ウォルフォード殿!アヤト=アーレント殿!貴殿らは、魔人及び怪人の出現という国難に際し、自らの危険を顧みずこれを討伐するに至りました!!就きましては、アールスハイド王国よりその行為に対し、感謝の意を表し、勲一頭の勲章を授与する事になりました!!」

シン「く………勲章!?」

アヤト「俺も!?」

 

 すると、マーリンとメリダが話に割って入ってくる。

 

マーリン「ディセウム、アヤト君に勲章を授与するのは結構だが、以前にお主は言ったな?シンを政治利用するつもりはないと。なのにこの扱いは何じゃ?」

メリダ「私も聞きたいねえ。これはどう言う事だい?」

 

 その二人がそう言った事により、一触即発の空気になってしまった。

 

ディセウム「そう言われると思ったからこそ、私が来たのです。今回数十年振りに魔人が出現しました。過去に1度魔人が現れた時、王国は滅亡の危機に瀕しました。その脅威をこの国の人間は決して忘れません。その脅威がまた現れた。この事は既に多くの国民の耳に入っております。そしてそれが直ぐ様討伐された事も。この国にとって、魔人の出現と討伐は隠しておけない事柄なのです。」

マーリン「そんな事は分かっておる!!勲章の授与とはどう言う事かと聞いておるんじゃ!!!」

 

 ディセウムの弁解に、マーリンが怒鳴る。

 

ディセウム「マーリン殿とメリダ師、お2人の魔人討伐の際に授与した勲章を、同じ功績を残したシン君とアヤト君に授与しない訳にはいかないのです。」

メリダ「それはそうだけども……。」

ディセウム「勿論それを利用しようと言う輩が居るでしょうが、それは私が全力を持って阻止します。何なら授与式で宣言しても良い。ですから何卒お許し願えませんか?私の為ではなく、国民の為に。お願い致します!!」

 

 ディセウムは、マーリンとメリダに向かって頭を下げる。

 マーリンが、ため息を吐きながら声を出す。

 

マーリン「分かった。お主の言葉を信じよう。もし、その言葉を違えたら、我々はこの国を出る。それで良いな?」

ディセウム「分かりました。肝に銘じます。」

マーリン「それと、一国の王が簡単に頭を下げるでない。」

 

 その場は、解決した。

 すると、メリダがため息を吐きながら言う。

 

メリダ「まあ、それはそれとして、アンタは次から次へと、よくもまあトラブルを起こすもんだよ。」

シン「俺のせいじゃないし!」

メリダ「良ければ詳しく話を聞かせてくれるかい?そして、アヤト。アンタも、それについても説明をしてくれ。」

アヤト「はい。」

 

 シンは、先程の件を話した。

 アヤトは、スマッシュ、ビルドについてを説明した。

 

ディセウム「何!?人為的に魔人化された!?それは確かなのかい!?」

シン「あくまで推測なんですが……。」

メリダ「それに、そのスマッシュとやらは、何者かがスマッシュにしてるのかい!?」

アヤト「恐らく、その可能性が高いかと。」

ディセウム「ふむ………………。」

 

 その間、ディセウムは考えていた。

 以前、ドミニクから、魔物の出現が増加していて、それが人為的に行われている事を報告された。

 

ディセウム「シン君、アヤト君、アウグスト、トール、ユリウス、シシリー、マリア。君たちに命じる。この件に関して、箝口令を敷く!決して口外無用だ!分かったね?」

シン「Sクラスのクラスメイトと担任の先生には話したよ?」

ディセウム「それはこちらで対処しよう。至急、各人に使者を派遣、通達を。」

官僚「はっ!!」

ディセウム「では私は、これで失礼させてもらうよ。」

 

 ディセウムはそう言って、ウォルフォード邸を後にする。

 

アヤト「さてと。じゃあ、俺も帰るとするかな。」

オーグ「待て。お前、家はあるのか?」

アヤト「家は無いですよ。ここまでずっと旅をしていたので。」

シン「え!?お前、そんな感じに生活してたのか!?」

アヤト「うん。どっか適当な宿に泊まるか、最悪は野宿だな。」

 

 アヤトは、ずっと旅をしていたので、家を持っていない。

 その為、どこか適当な宿に泊まるか、野宿をする事を考えていた。

 すると。

 

メリダ「待ちな。」

アヤト「ん?」

メリダ「アンタも、ここに住みな。」

シン「婆ちゃん?」

アヤト「いや、迷惑をかける訳には行かないので。」

メリダ「アンタも、シンと同じ英雄だ。それなのに、宿屋の人に迷惑をかけるのかい?」

アヤト「それは………………。」

 

 メリダがそう言う中、アヤトは断ろうとするが、メリダの言葉に、アヤトは言葉を詰まらせる。

 すると、シンが声をかける。

 

シン「別に良いぜ、お前が住むのも。」

アヤト「シン………………。」

オーグ「そうだな。それに、宿屋に迷惑をかけるよりかは、マシだろ。」

アヤト「…………………じゃあ、お言葉に甘えますよ。」

 

 そうして、アヤトもウォルフォード邸に住む事になった。

 その夜、アヤトとシンは、話をする事に。

 

アヤト「どうしたんだよ、シン。」

シン「………単刀直入に言うと、アヤト。お前、転生者だろ?」

アヤト「…………やっぱりかあ。」

シン「…………って事は、俺が転生者だって、気付いてたのか?」

アヤト「ああ。ビルドの事を見た時や、話を聞いた時の反応から察した。」

 

 そう、シン=ウォルフォードもまた、アヤトと同様に転生者なのだ。

 

シン「マジで転生者だったのかよ…………。」

アヤト「まあな。」

 

 そこから、2人は話を少しして、寝た。

 翌日、アヤトはウォルフォード邸に残っていた。

 アヤトは、魔法学院に入学してないからだ。

 その間、ストロングスマッシュから採取されたボトルを浄化していた。

 浄化装置に関しては、ウルドから受け取っていた。

 魔力を用いて浄化を行う。

 その為、アヤトは多少、魔法は使える。

 ただし、使い道は異空間収納と浄化装置に限定しているが。

 その間、アヤトは考えていた。

 

アヤト(スマッシュが現れたという事は、誰かがネビュラガスを投与しているという事になる。だけど、一体誰が?)

 

 そう。

 スマッシュは、ネビュラガスを投与しなければ、そもそも生まれない存在だ。

 アヤトは、誰かがそうしている可能性が高いと推測している。

 すると、浄化装置が開いた。

 

アヤト「お?何だ?」

 

 アヤトはフルボトルを取り出す。

 そこには、ハンマーフルボトルだった。

 

アヤト(ハンマーロストフルボトル?何で?)

 

 そう。

 ハンマーフルボトルは、ロストボトルというボトルなのだ。

 それが生成された事に、首を傾げる。

 その後、ゲートで迎えに来たシンと共に、魔法学院へと向かう。

 究極魔法研究会の見学として。

 そこで、マーク=ビーンとオリビア=ストーンと出会った。

 一方、リッツバーグ邸では、警備局捜査官のオルト=リッカーマンが、カートの父親ラッセル=フォン=リッツバーグ伯爵に尋ねる。

 

オルト「息子さんの事、心中お察しします。リッツバーグ伯爵。奥様は?」

ラッセル「心労から寝込んでいる。私も寝込めるものなら寝込みたいが、そうもいくまい。事情徴収だろう?始めてくれ。」

オルト「失礼を承知しでお尋ねしますが、息子さんは昔から横柄な性格だったのですか?」

ラッセル「バカを言うな!多少気位は高かったが、『民は守るもの』と言う意識は持っていたはずだ!あの様な態度、先日が初めてだった。」

オルト「(中等学院時代の評判とは一致する………が、そこまで唐突に考えが一変するものか?まるで別人………。高等魔法学院に入ってからの言動はまるで………っ!)帝国貴族。」

 

 オルトは、そう考えた直後、思い当たる節があるのか、呟く。

 

ラッセル「何?」

オルト「いえ、失礼。最近の息子さんに対し私が受けた印象です。」

ラッセル「確かに帝国貴族にとって国民は搾取の対象………。貴族でない者は人間ではないと言い張る様な輩だからな………。」

オルト「(そう………まるでカートの変化は帝国貴族の洗脳を受けたかの様な………。)息子さんが、帝国の者と接触した事は?」

ラッセル「カートが通っていた中等学院の教師が元帝国の人間だったな。カートはその教師の研究会に参加していたはずだ。受験の為、一時家庭教師に来て貰った事がもあった。」

オルト「……………。」

ラッセル「そう言えば、妻に聞いたが………カートが死んだ日にも、その教師がカートを尋ねて来ていたらしいが………。」

オルト「っ!伯爵、その教師の名は?」

ラッセル「オリバー=シュトロームだ。」

 

 それを聞いたオルトとカルロスは、中等学院へと向かって行った。

 二人は、シュトロームの部屋へと入る。

 

オルト「警備局捜査官のオルト=リッカーマンです。」

カルロス「同じく、カルロス=ベイルです。」

シュトローム「初めまして。オリバー=シュトロームです。」

オルト「お忙しい所、すみません。」

シュトローム「いえ良いですよ。紅茶でも?」

オルト「いや、お構いなく。」

 

 シュトロームは、カップに紅茶を入れる。

 それを見たオルトは、呟く。

 

オルト「感知系の魔法ですか?」

シュトローム「ん?」

オルト「いえ、両目を眼帯で覆っているのに、動きに迷いがないので、視覚の代わりとなる魔法を使われているのかと。」

シュトローム「まぁ、そんな所です。」

オルト「不躾な質問ですが、その目は?」

シュトローム「恥ずかしい話ですよ。私は帝国貴族の家に生まれたのですが…………。」

オルト「っ!?」

シュトローム「ですが、実家の跡目争いに敗れましてね。私を亡き者にしようとする親族から命辛辛逃げ出したのですよ。この目もその時の襲撃によって。」

オルト「そうでしたか。失礼な事を聞いてしまってすみません。」

シュトローム「いえ、よく聞かれる事ですから。所で、今日はどう言った御用件で?まさか私の目の事を聞きに来られた訳ではないでしょう?」

 

 シュトロームの質問に対して、オルトは答える。

 

オルト「えぇ、シュトローム先生はこの学院の研究会で優秀な魔法使いを育成されているようですね。」

シュトローム「それが、何か?」

オルト「多くの生徒を研究会に誘い、随分熱を入れておられると聞きましたが。」

シュトローム「私は元帝国貴族ですからね。この国では風当たりは結構強いんですよ。私を学院内で認めさせるには目に見える功績が必要だったんです。」

オルト「成る程、それで。」

 

 オルトは納得する。

 帝国の者に対する風当たりが強いのは、よく聞く話なのだ。

 

シュトローム「私の生徒の中には高等魔法学院に合格した子も居たんです。」

オルト「そうなると、先生達にとっても……。今回の事は残念でしたね。」

シュトローム「そうですね。カートがまさか………こんな事になるとは………。」

 

 その言葉を聞いたオルトは、疑問に感じた。

 

オルト「シュトローム先生。」

シュトローム「何でしょう?」

オルト「実は今魔人化した彼の遺体を、各所の専門家が検分している最中なんです。出来れば先生方にも是非意見を聞かせて頂きたい。」

シュトローム「教え子の遺体を検分するのは気が進みませんね………。」

オルト「どうかそこをお願いします。」

シュトローム「分かりました。伺いましょう。有益な話が聞ける事を期待していますよ。」

 

 こうして、シュトロームは、検分に参加する事になった。

 一方、その頃の魔法学院では。

 

シン「…………………。」

シシリー「シン君、考え事ですか?」

 

 シンが黙り込んでいて、シシリーが話しかける。

 

シン「え?あ、あぁごめん。改良する剣の事を考えててさ。なあマーク、今から君の家行っても良いか?」

マーク「え?ウチッスか?」

シン「さっき言った武器の新調の事で色々聞きたいんだけど………………。」

マーク「ああ、良いッスよ!」

トニー「僕も行って良いかい?」

 

 シンが、ビーン工房に行く事を言うと、マークは了承して、トニーはそう言う。

 

シン「トニー。騎士になるのは嫌でも、やっぱりビーン工房は気になるのか?」

トニー「騎士養成士官学院が嫌なのであって、騎士や剣士が嫌いな訳じゃないよ。やっぱり剣を見るとワクワクするからねぇ。でも、Sクラスから落ちると騎士養成士官学院に強制連行だからね僕は。あまりそう言ってられないけどね。」

シン「意外と苦労してんだな………………。」

 

 トニーは、苦労人だった。

 シンが同情していると、マークがシンに聞く。

 

マーク「それでウォルフォード君は、どう言う剣を考えてるんスか?」

シン「薄い刃ってのが大前提だけど、それじゃ折れ易くてさか、替えを沢山用意するのもお金掛かるし………………。」

トニー「賢者様の孫でもお金に困るのかい?」

シン「そうはいかないんだよ。小遣いしか貰ってないからね。」

トール「え!?そうなのですか!?」

シン「婆ちゃんが、常識的な金銭感覚を身に付けさせる為にそうしろって爺ちゃんに…………。」

ユリウス「流石は導師様!節制と鎧は身に付けておいて損はないで御座る!」

シン「それはそうだけど………………。」

 

 シンは、メリダからあまりお小遣いを貰えていない。

 それを聞いたユリウスは賛同する。

 アヤトは、少し驚いていた。

 

マーク「持ち手まで一体型の剣を大量に鋳型で作るのはどうッスか?柄の加工も幅けるし、コストも抑えられるッスよ。」

シン「それは俺も考えたけど、柄まで一体型だと振動がね………………。」

アヤト「それだと………………使用者まで震えるからな。…………………ブッ!」

トニー・マーク「ブッ!」

 

 アヤト、トニー、マークは、振動するシンを想像して吹いた。

 

シン「想像して笑うなよ!!」

アヤト「シンがシン動……………!」

シン「上手い事言うな!!」

 

 アヤトは、そう言って、笑う。

 シンが突っ込む中、トニーが言う。

 

トニー「じゃあ、刃だけ簡単に交換出来るようにすれば良いんじゃないのかい?」

アヤト・シン・マーク「それだ!!!」

 

 トニーのアイデアに、3人は叫ぶ。

 

シン「出来ればワンタッチで交換したいんだけど………………。」

マーク「それはそれで開発にコスト掛かるッスね……………。」

トニー「普通刃の柄はブレない様しっかり付いてるけど……………振動する事が前提だからねぇ。外れなければ装着も簡単で良いんじゃないのかい?」

アヤト・シン・マーク「それだ!!!」

 

 シンとマークが考える中、トニーがそう言うと、3人は再び叫ぶ。

 

シン「いやぁ、トニーが居てくれて助かったな!!」

アヤト「トニー、冴えてるじゃねえか!」

マーク「早く工房行きましょう!!試してみたいアイデアが止まんないッス!!」

 

 シン、アヤト、マークの3人は、トニーを称賛する。

 そんな中、マリアが話しかける。

 

マリア「ねぇねぇシン。」

シン「ん?」

マリア「シン達が工房行ってる間、私達はオリビアの店に居ても良い?」

シン「ん?」

マリア「もっと色々聞きたいんだよね!新しいメニューの事とか、新しいメニューの事とか!」

アヤト「メニュー目当てかよ!」

オリビア「お手柔らかにお願いします…………。」

シン「良いよ。工房に居ても女の子はつまらないだろうし。」

アヤト「まあ、工房は五月蝿いだろうしね。」

 

 そうして、ビーン工房に向かう事に。

 一方、シュトローム達はしばらくして、練兵場に到着する。

 シュトロームが口を開く。

 

シュトローム「しかし、なぜ警備隊の練兵場で検分を?」

オルト「こちらにも色々と事情がありまして。」

 

 そんな風に話していると、広場に到着する。

 

シュトローム「それで?カートの遺体は………。」

 

 シュトロームは聞こうとするが、周囲を騎士と魔法使いが取り囲む。

 

シュトローム「…………遺体の検分をすると言う雰囲気ではないようですね。」

オルト「しますよ。あなたの検分をね。」

シュトローム「私の?」

オルト「シュトローム先生、あなたの証言は見事でしたが、1つだけミスを犯しました。」

シュトローム「…………?」

オルト「陛下は、直ぐ様箝口令を敷かれました。魔人化した人間の名を口外してはならぬと。」

シュトローム「…………ッ!?」

オルト「カートの家族が不当な扱いを受けない様にね。国民で話題になっているのは、『高等魔法学院に魔人が出現し、偶々居合わせた英雄の孫シン=ウォルフォードと、仮面ライダービルド、アヤト=アーレントが倒した。』それだけです。なのに、どうして貴方は、魔人化したのがカートだと知っているんですか?」

 

 オルトの確信を得た言葉に、シュトロームは黙っていたが、突如笑い出す。

 

シュトローム「クク………ハハ………アハハハハハハ!!」

オルト「…………?」

シュトローム「まさか、カートの名が伏せられてるとは思いませんでしたよ。そうですか。話題になってるのは、ウォルフォード君とアーレント君だけですか。」

オルト「今回の件は、貴様の仕業か!?何の目的だ!?」

シュトローム「…………実験ですよ。」

オルト「何…………!?人間を実験台にしたと言うのか!?」

シュトローム「さて、ここでの実験は全て終わりました。そろそろ失礼させて頂くとしますね。」

オルト「奴を捕まえろ!決して逃すな!!」

 

 オルトの指示で、騎士と魔法使いが動き出す。

 しばらくして、ビーン工房という所に向かう事になった。

 向かっている途中。

 

マリア「え!?マークと付き合ってるの!?」

オリビア「マークとは幼馴染みで、その自然と…………。」

シシリー「そこ、詳しくお願いします!」

オリビア「詳しくですか!?」

 

 女性陣が恋バナで盛り上がっていた。

 すると、背後で爆発が起こる。

 

オーグ「何だ!?」

 

 アヤト、シン、オーグが中を覗くと、シュトロームがオルトを魔法で吹き飛ばしていた。

 

アヤト「誰だ?」

シン「両目に眼帯。まさか…………!」

オーグ「ああ。オリバー=シュトロームだ。」

 

 アヤトが首を傾げる中、シンとオーグは、そう話す。

 すると、シュトロームが、3人に気付いたのか、口を開く。

 

シュトローム「おや、アウグスト殿下に英雄シン=ウォルフォード君にアヤト=アーレント君ではないですか。」

 

 すると、倒れていたオルトがオーグに警告する。

 

ドミニク「お逃げ下さい殿下!!奴は魔人騒動の首謀者です!!」

オーグ「なっ………!?」

シン「お前がカートを魔人化させたのか……!?」

シュトローム「ええ。いやぁ面白い程思い通りに踊ってくれましたねぇ。とは言え、魔人化したにも拘らず、彼処まで弱かったのは計算外でしたけどねぇ。」

 

 その発言に、シンがキレた。

 

シン「そうかよ!コイツが全ての元凶か!」

シュトローム「おっと。」

 

 シンの放った魔法が、シュトロームの魔力障壁に阻まれる。

 すると、弾丸が飛んでくる。

 シュトロームの魔力障壁が壊れ、シュトロームは驚く。

 アヤトはガンモードのドリルクラッシャーを持っていた。

 

シュトローム「!?」

アヤト「お前は放ってはおけないな。」

 

 そう言って、アヤトはビルドドライバーを装着する。

 

アヤト「さあ、実験を始めようか。」

 

 アヤトはそう言って、ラビットとタンクのフルボトルを取り出して、振る。

 振った後、キャップを閉めて、ビルドドライバーに装填する。

 

ラビット!タンク!

ベストマッチ!

 

 装填すると、待機音が流れてくるので、アヤトはボルテックレバーを回す。

 すると、エネルギーが生成されていき、アヤトの周辺にスナップライドビルダーが展開され、それぞれのハーフボディが形成される。

 

Are you ready?

 

アヤト「変身!」

 

 アヤトはその言葉と共に、ファイティングポーズを取る。

 すると、ハーフボディがアヤトに挟まり、合体して、仮面ライダーとしての姿を形成する。

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!

イェーイ!

 

 アヤトは、仮面ライダービルド・ラビットタンクフォームへと変身する。

 

シュトローム「それが、ビルドですか。」

アヤト「シン、行くぞ!」

シン「ああ!」

 

 シンとユウトは、シュトロームへと向かっていく。

 シンが魔法を放つが、障壁で防がれる。

 

シュトローム「もう少し魔力が薄かったら抜けてましたね…………っ!?奴らが消え!?」

 

 すると、背後にシンが居た。

 

シュトローム「っ!!」

 

 剣を振ったシンだが、シュトロームが間一髪で避けた。

 

シン「アヤト!」

アヤト「ああ!」

 

 アヤトは、ブレードモードにしたドリルクラッシャーに、ラビットフルボトルを装填する。

 

Ready Go!

ボルテックブレイク!

 

アヤト「ハアッ!」

シュトローム「っ!」

 

 アヤトは、ボルテックブレイクを発動するが、躱される。

 

シュトローム「その2本の剣、魔道具ですね。」

シン「さあね!」

アヤト「どうかな!」

シュトローム「やはり君達は、危険ですね!」

 

 そう言って、雷撃を放ってくる。

 アヤトはそれを躱す。

 

シン「これならどうだ!!」

シュトローム「っ!!」

 

 シンはそう叫んで、地面を強く踏む。

 すると、地面から棘が生成され、シュトロームに迫る。

 

シン「ハアッ!」

アヤト「フッ!」

 

 シンとアヤトの攻撃が、シュトロームに向かう。

 だが、シュトロームは無傷で、しかも、宙に浮いていた。

 

アヤト「飛んだ…………!?」

シン「宙に浮かぶとか反則だと思うんですけど?(浮遊魔法…………?そんなの流石に俺でも使えねーぞ………!)」

シュトローム「今のは焦りましたよ。流石は英雄の孫とビルド。魔人を討伐するだけの事はある。」

アヤト「そっちが飛ぶなら、こっちもだ!」

 

 アヤトはそう叫んで、タカとガトリングのフルボトルを取り出して振り、キャップを閉めて、ビルドドライバーに装填する。

 

タカ!ガトリング!

ベストマッチ!

 

 アヤトは、ボルテックレバーを回す。

 すると、エネルギーが生成されていき、俺の周辺にスナップライドビルダーが展開され、それぞれのハーフボディが形成される。

 

Are you ready?

 

アヤト「ビルドアップ!」

 

 アヤトがそう言うと、それぞれのハーフボディが、アヤトに合わさる。

 

天空の暴れん坊!ホークガトリング!

イエァ!

 

 アヤトは、ビルド・ホークガトリングフォームへと変身する。

 変身と同時に、ホークガトリンガーが手元に生成される。

 

ホークガトリンガー!

 

アヤト「勝利の法則は、決まった!」

 

 アヤトは、ホークガトリンガーを持ちながら、そう言う。

 そして、アヤトは背中からソレスタルウィングを展開して飛び、シンはジェットブーツで大きくジャンプする。

 

シュトローム「何!?」

アヤト「悪いな!この形態になれば、空を飛べるんだよ!」

シン「一瞬なら、俺でも飛べるんだよ!!」

 

 シンはバイブレーションソードと魔法で、アヤトはホークガトリンガーで攻撃する。

 すると、シュトロームの眼帯にヒビが入る。

 

シュトローム「調子に…………乗るなああああああ!!」

アヤト「グッ………!」

シン「ううっ………!」

 

 すると、全員が驚愕する。

 なんと、シュトロームの両目が、赤かったのだ。

 

シン「嘘だろ………!?」

アヤト「完全に理性を保った、魔人……!?」

シュトローム「やってくれましたねぇ。出来れば、正体を知られずにこの国から出たかったのですがね。」

オーグ「まさか、そんな事が………。」

 

 完全に理性を保ったまま、魔人となっているシュトロームに驚く中、シュトロームはアヤトに話しかける。

 

シュトローム「アヤト君。君の言う理性が、人間である証拠なら、私のそれは、ちょっと違いますね。」

アヤト「どういう意味だ?」

シュトローム「この身体になってから、私にとって人間なんて心底どうでもいい存在に成り下がったのですよ。利用しようが!騙そうが!殺そうが!!この身体になってから何とも思わくなったんですよ!!」

シン(狂ってる!カートと違ってアイツは真に魔人だ………!人類の敵になる存在だ………!!アイツはここで仕留めなければいけない!!)

アヤト「これ以上の犠牲を出す訳には行かない!」

 

 シンは光弾を撃って、その光弾は、天井に穴を開け、吸い込まれていく。

 アヤトは、ホークガトリンガーのリボルマガジンを手動で回転させる。

 

10!20!30!40!50!

 

アヤト「ハアッ!」

シュトローム「っ!?」

 

 アヤトは、再びソレスタルウィングを展開して飛ぶ。

 すると、アヤトの周辺に球状の特殊エネルギーフィールドが展開して、シュトロームを閉じ込める。

 

60!70!80!90!ワンハンドレッド!フルバレット!

 

 10回回して、ホークガトリンガーが必殺技待機状態になった。

 

シュトローム「グッ………!(結界!?一体何の為に………。何!?)」

 

 シュトロームは訝しんでいたが、目的を察して、上空を見る。

 そう、シンが放った魔法が発動しようとしていたのだ。

 

シン「そこでじっとしてろ!!俺の魔法は既に完成してるんだよ!!」

アヤト「行っけー!」

 

 アヤトは、ホークガトリンガーのトリガーを押す。

 シンの熱光線魔法とアヤトのホークガトリンガーから放たれた鷹型の弾丸がシュトロームに襲い掛かる。

 

シュトローム「グゥ………アァ…………アアッ!!!」

 

 二つの必殺技を受けたシュトロームは爆発する。

 爆発に怯んでいると。

 

オーグ「やったか!?」

シン「それ言っちゃダメ!!」

オーグ「ん?」

アヤト(典型的な生存フラグだしね………。)

 

 アヤトはオーグの発言に苦笑して、そのまま変身解除する。

 

アヤト「あの光線を浴びた地面がガラス化してるな………。凄まじい魔法というのは、確かだな。(だと思いたいんだけど、手応えがそこまで無かった。という事は、シュトロームが生存してる事も視野に入れるべきか。)」

 

 アヤトは、ガラス化した地面を見ながら、そう思っていた。

 すると、魔法師団団長のルーパー=オルグランが、シンとユウトに話しかける。

 

ルーパー「どうした?浮かない顔をして?魔人とは言え、人を手に掛けるのは気が滅入るか?」

シン「そういう訳じゃないんですけど……。」

ルーパー「だったら、胸を張りな。生き延びる事が出来のは、君たちのおかげだ。ありがとうよ、ウォルフォード君、アーレント君。」

アヤト「はぁ…………。(ていうか、誰?)」

ドミニク「しかし、また魔人が現れたと聞いて飛んできてみたら、既に討伐されていた後とはな。」

 

 シンとアヤトが首を傾げると、ドミニクは自己紹介をする。

 

ドミニク「私はドミニク=ガストール。ミッシェル様の後任の騎士団総長でね。」

ルーパー「おっと、自己紹介が遅れたな。俺はルーパー=オルグラン。魔法師団の団長だ。」

アヤト「どうも。」

 

 アヤトは、後の説明をシンに任せた。

 その間に考えていたのは。

 

アヤト(だが、シュトロームがスマッシュを生み出したとは考えにくい。別の誰かが、スマッシュを生み出しているのか?だとしても、どうして?……………分かんない事だらけだな。)

 

 アヤトはそう考えていた。

 一方、当のシュトロームは、重症を負うも、生存していた。

 

シュトローム「ハァ………。ハァ……。やってくれましたね、ウォルフォード君。アーレント君。」

 

 そう、咄嗟の判断で自ら爆発魔法を発動させて、爆風で逃げたのだった。

 

シュトローム(しかし、アレを浴び続けるのは危険ですね。それに、あの光線によって、結界が壊れたから、脱出出来た。)

 

 そう。

 ホークガトリングの必殺技を撃つ際、シンの光線によって、バリアに穴が開いてしまったのだ。

 

シュトローム「やはり、あの二人は危険ですね。万全の体勢を整えなければ………。」

???「こっ酷くやられたもんだな。」

 

 シュトロームがそう呟く中、1人の男性が話しかける。

 

シュトローム「君ですか。」

???「言っただろ。アヤト……………仮面ライダービルドには気をつけろってな。」

シュトローム「ええ。少し、彼を甘く見ていた様です。」

???「しっかし、面白くなったもんだな。アヤト。どこかで会おうぜ。チャオ。」

 

 そう言って、シュトロームと謎の男性は去っていく。

 その男性は、何を企んでいるのか。




今回はここまです。
遂に、黒幕であるシュトロームが動き出しました。
アヤトは、ホークガトリングフォームで、シュトロームに重傷を負わせる事に成功しました。
そして、シュトロームに接触する、謎の男性。
その正体は何なのか。
まあ、口癖などから、察する人が多そうですが。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
現状、オーグがローグに変身する事を考えています。
アヤトにヒロインをつけるかどうかですが、かなり差が開いているので、つけようかなと思います。
アヤトのヒロインが、クローズになる予定です。
シンやシシリーなどの原作キャラを変身させたいというのがあれば、活動報告にリクエストをお願いします。


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第3話 破天荒な新英雄たち

 シュトロームの襲撃があってから暫くして、アヤトもまた、ビーン工房に来ないかと誘われた。

 アヤトは、それを承諾した。

 

シシリー「ビーン工房はここから近いの?」

ユリウス「もうすぐそこで御座る。」

トール「けど、トニー殿は残念でしたね。来られないなんて…………。」

 

 そんな風に話している中、アヤトとシンは考え込んでいた。

 気づいたオーグが話しかける。

 

オーグ「さっきからどうしたんだ、二人とも?」

アヤト「オーグ、シュトロームは多分生きてる。」

オーグ「何!?」

シン「お前も見ただろ?俺の熱光線の跡を。」

オーグ「ああ…………。」

シン「普通はああやって凹みが出来るだけで、爆発なんて起きないはずなんだ。」

オーグ「っ!!つまり、あの時爆発を起こしたのは…………!」

アヤト「十中八九、シュトロームだろうな。」

シン「警戒は…………しておくべきだと思う。」

 

 そう。

 アヤトとシンは、シュトロームが逃げたと察したのだ。

 そんな中、オーグが言う。

 

オーグ「…………シン、作りたい物を発注しろ。資金は王家が出す。」

シン「え?」

オーグ「今の話を聞いてしまうとなぁ………。シュトロームと対等に戦えるのはお前とアヤトだけだ。装備は充実させておこう。」

 

 そんな風に話していた。

 ただ、アヤトは懸念していた。

 

アヤト(シュトロームの他にも、スマッシュを生み出している存在がいる筈だ。それにも警戒しないとな。)

 

 アヤトはそう思う。

 そんな風に話し、アヤトが考えていると、ビーン工房に着く。

 

マーク「ビーン工房にようこそ!!歓迎するっス!!」

オリビア「お、おはようございます皆さん。」

 

 マークは、皆を歓迎する。

 すると、マークの後ろからオリビアが顔を出した。

 

シン「おはようマーク、オリビア。」

アヤト「あれ、休日でも2人一緒なのか?」

 

 オリビアを見て、シシリーとマリアがきゅぴーんと来た。

 

マリア「おはようオリビア。では早速♡」

シシリー「ええ、これはお話を伺わせて頂かなければ♪」

オリビア「うう…………お手柔らかにお願いしますぅ………。」

 

 そう言って、オリビアはシシリーとマリアに連れていかれる。

 アヤトは、苦笑しながら、その3人を見ていた。

 アヤト達は、工房の中に入る。

 

マーク「父ちゃん!とーちゃーん!」

ハロルド「何だバカ野郎!!デケェ声で呼びやがって!!工房ん中じゃ親方って呼べって言ってんだろうが!!!」

 

 彼はハロルド=ビーン。

 マークの父親にして、ビーン工房の工房主だ。

 ハロルドが怒鳴った事に、オーグを除く全員が驚く。

 オーグは、ハロルドに話しかける。

 

オーグ「忙しい所をスマンな。私はアウグスト=フォン=アールスハイドだ。」

ハロルド「ア…………ア…………アウグスト殿下ぁぁぁ!?」

 

 オーグの姿を確認したハロルドを始めとする職人達は、一斉に跪く。

 

アヤト「凄い勢いだな………。」

オーグ「ああ、手を止めさせてすまない。工房主に話があるだけだ。作業を続けてくれ。」

ハロルド「は…………話って言うのは?」

オーグ「実は、ここに居るシンの武器開発を手伝って欲しいのだ。」

ハロルド「このボウズ…………いや、坊ちゃんの武器ですか?」

オーグ「紹介しておこうか。彼はシン=ウォルフォード。賢者マーリン様の孫だ。」

ハロルド「っ!!!!って事は彼が魔人を討伐したって言う…………!?」

オーグ「頼めるか?」

ハロルド「そりゃ願ってもねえ!!新英雄様の武器を作れるとなりゃこれ以上の誉れはねえ!!それで、どんな武器を作るんですか?」

オーグ「シン。」

シン「あぁ。」

アヤト「どんな武器が出来んのかな?」

 

 アヤトはそう呟く。

 一方、アールスハイドから離れた国、ブルースフィア帝国の帝城では。

 

ヘラルド「ゼスト、貴様の持っていたアールスハイドの情報を何処から仕入れて来たのだ?」

 

 彼は、ブルースフィア皇帝のヘラルド=フォン=ブルースフィア。

 その皇帝に話しかけているのは、ゼスト。

 帝国の諜報部隊のリーダーだ。

 

ゼスト「王国内に協力者が居りましてね。魔物の増加で国中が混乱していると報告があったのです。」

ヘラルド「対して我が国の魔物は急激に減っている。王国が魔物の手を焼いている今………確かに攻め入る好機か。フン、お前如き平民の意見。本来ならば聞く耳を持たぬが、まあ今回は我々帝国貴族が有意義に使ってやる。光栄に思え。」

ゼスト「はい。ありがたき幸せ。」

 

 ブルースフィア帝国は、アールスハイド王国に攻め込もうとしていた。

 一方、ブルースフィア帝国の魔の手が迫っている事に気付いていないアヤト達は。

 

シン「じゃあ親父さん、後はお願いします。」

ハロルド「おう任しとけ!試作が出来る頃にまた来てくれ!」

 

 シンの武器のアイデアを伝え、試作を作ってもらう事に。

 アヤト達は、外で待っているシシリー達と合流した。

 

マリア「あ、あっちも終わったみたい!」

シシリー「お話済みましたか?」

シン「あぁ。そっちは?」

マリア「まぁ一応。」

 

 そう言うマリアとシシリーは満足気な笑みを浮かべている。

 だが、オリビアはボロボロだった。

 

アヤト「オリビア、大丈夫か?」

オリビア「何とか…………。」

アヤト(恋バナをする女子って、怖いな。ていうか、こうなるまでやるのは、やめてあげなさいよ。)

 

 アヤトがそう思っている中、シンはマークに話しかける。

 

シン「所でマークの店って、他に何を売ってるんだ?」

マーク「2階は生活用品で、3階はアクセサリーとかッスね。」

シン(アクセサリーか………。防御魔法を付与して制服と併用すれば更に防御効果を高められるな………。)

 

 シンが考え込んでいると、シシリーが話しかける。

 

シシリー「どうかしましたか?」

シン「いやぁ。ねえシシリー、何か欲しいアクセサリーない?」

シシリー「え!?ア………ア………ア…………アクセサリー…………ですか!?えと、あの………ゆ…………指輪とか…………?でもいきなりそんな!と…………取り敢えずネックレスとかブレスレットも捨て難いし…………あ、ピアスも嬉しい…………。」

 

 シンからそう言われたシシリーは、慌てだす。

 それを見ていたアヤトは。

 

アヤト(あ、シシリーの奴、絶対に勘違いしてんだろ。)

シン「そ、そんなに沢山欲しいの?」

シシリー「あ…………いえ!そう言う訳じゃなくて!シ、シン君に貰うなら何が良いかなって…………。」

シン「いや、実はアクセサリーの魔法付与について考えてて…………付与して皆に渡すなら何が良いかと思ってさ…………。」

シシリー「あ、そうですよね…………。」

シン「あれ!?」

 

 シンの言葉にシシリーが涙を流しながら落ち込み、シンは驚く。

 アヤト達は、シンに非難の視線を向ける。

 

オーグ「お前、それはないだろう………!」

トール「上げて落とす………鬼ですか!?」

マリア「シシリー可哀想…………!」

アヤト「うわぁ、シン君最低。」

 

 その後、シンがシシリーを連れて、工房の3階へと向かう。

 その間、マリアはアヤトに質問をする。

 

マリア「ねぇ。」

アヤト「ん?」

マリア「アヤトは、彼女欲しいとか思った事ないの?」

アヤト「無い。」

オリビア「即答ですか………。」

オーグ「だが、これからは、お前一人で行動するんじゃないぞ。」

アヤト「何でですか?」

オーグ「お前も、これから表彰される。一人で居ると女に囲まれるぞ。」

アヤト「あぁ…………。」

ユリウス「しかし、アヤト殿は、魔法を使えぬで御座るよ。」

オーグ「そうだな。シンのゲートの魔法を使えないしな。」

 

 そんな風に話していた。

 そう、アヤトは魔法を使えない。

 だから、ゲートを使っての逃走が不可能だ。

 

アヤト(まあ、どうにかするか。)

 

 アヤトはそう考えていた。

 すると。

 

???「おい、アヤト!」

アヤト「ん?あ。」

 

 アヤトに、1人の女性が話しかける。

 その女性は、アヤトを見つけると、アヤトの方に向かっていく。

 

アヤト「お前!どうしてここに!?」

???「どうしてじゃねえよ!変な所に降ろしやがって!アールスハイドに向かったと思ったから、ここまで来れたんだぞ!」

オーグ「………………おい、アヤト。その者は何者だ?」

アヤト「ああ………………彼女はリュー=コレニスタ。訳あって、俺が助けた奴だよ。」

マリア「訳?」

トール「一体、何があったんですか?」

アヤト「それは………………。」

リュー「いや、私が話す。」

 

 アヤトが訳を説明しようとするが、リューが止めて、説明しだす。

 

リュー「私は、ブルースフィア帝国の平民だ。」

オーグ「帝国か。」

マリア「そんな帝国の平民が、何でアールスハイドに来たのよ?」

リュー「私は、殺人事件の容疑者に仕立て上げられたんだよ。」

ユリウス「何と!?」

 

 リューの言葉に、ユリウスは驚く。

 そう、リューは、帝国の貴族によって、殺人事件の容疑者に仕立て上げられた。

 

アヤト「それで、スマッシュに追われてた所を、俺が助けた訳だ。まあ、その後、面倒な事になったけどな。」

マリア「面倒な事?」

アヤト「ブルースフィア皇帝の前に連れて行かれて、ライダーシステムを寄越せって言われたんだよ。まあ、拒否ったんだけど。」

トール「帝国の皇帝を相手にしてですか!?」

アヤト「俺のライダーシステムを、兵器として使おうとしたからな。」

 

 トールは、帝国の皇帝を相手に、拒否した事を驚いていた。

 オーグは、呆然としていた。

 

オーグ「………………帝国の皇帝に喧嘩を売るなんてな。」

アヤト「売ってないですよ。まあ、その後、コイツを連れて、アールスハイドにまで逃げて、途中でコイツを降ろした感じですよ。」

リュー「何で途中で降ろしたんだよ!」

アヤト「別に良いだろ!帝国の追手が来てなかったんだから。」

 

 そう言って、アヤトとリューは口喧嘩を始める。

 それを見ていたオーグ達は。

 

オーグ「……………ふむ。この2人は、案外相性が良いのかもしれないな。」

トール「そうですね。」

ユリウス「これなら、大丈夫そうでござるな。」

マリア「何よ、このリア充どもが…………!」

 

 オーグ達は、そんな風に話していた。

 すると。

 

???「がぁぁぁぁぁ!!」

アヤト「まさか!?」

 

 そんな叫び声が聞こえてきて、アヤト達は、その方を向く。

 すると、四角い立方体の様な頭部の怪人がいた。

 

アヤト「スマッシュか!」

リュー「マジかよ!」

オーグ「学院で現れたのとは、形状が違うな。」

???「その通り。」

 

 オーグがそう言う中、違う声が聞こえてきて、その声の方を向く。

 そこに居たのは、コブラの様な物を胸につけた男だった。

 

オーグ「何者だ!?」

アヤト「スターク……………!」

スターク「ビンゴ!俺はブラッドスタークだ。」

 

 そう。

 ブラッドスタークだった。

 アヤトは、すぐにビルドドライバーを装備して、ラビットとタンクのフルボトルを振って、装填する。

 

ラビット!タンク!

ベストマッチ!

 

 アヤトは、ボルテックレバーを回す。

 すると、エネルギーが生成されていき、アヤトの周辺にスナップライドビルダーが展開され、それぞれのハーフボディが形成される。

 

Are you ready?

 

アヤト「変身!」

 

 アヤトはそう叫び、変身する。

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!

イェーイ!

 

 ビルド・ラビットタンクフォームへと変身して、ブラッドスタークに挑む。

 アヤトはドリルクラッシャーを持って、スタークに攻撃するが、受け流される。

 

スターク「ほう。やるじゃないか。」

アヤト「うるせぇ!お前、何を企んでいるんだ!」

スターク「おいおい。俺ばっかりじゃなくて、他の連中も気にしたらどうだ?」

アヤト「っ!」

 

 スタークがそう言う中、スクエアスマッシュは、オーグ達の方に向かっていて、リューが抑えていた。

 

リュー「おい!早くスマッシュを倒せよ!」

アヤト「あ、ああ!」

 

 アヤトは、ラビットとタンクのフルボトルを抜いて、忍者とコミックのフルボトルを出して、振り、装填する。

 

忍者!コミック!

ベストマッチ!

 

 アヤトは、ビルドドライバーのボルテックレバーを回す。

 すると、エネルギーが生成されていき、アヤトの周辺にスナップライドビルダーが展開され、それぞれのハーフボディが形成される。

 

Are you ready?

 

アヤト「ビルドアップ!」

 

 それぞれのハーフボディがアヤトに合わさり、フォームチェンジを行う。

 

忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!

イエイィ!

 

 アヤトは、ビルド・ニンニンコミックフォームになり、4コマ忍法刀を構える。

 このニンニンコミックフォームは、変幻自在の忍法に空想を具現化する漫画の力を使える。

 身軽に動いて、忍者の力で手裏剣を放ったり、4コマ忍法刀で斬りつける。

 

オーグ「凄いな………………。」

マリア「もはや、あんまり驚かなくなってきたわね……………。」

トール「ですね。」

ユリウス「そうでござるな。」

オリビア「凄い……………。」

マーク「そうっすね……………。」

 

 オーグ達は、呆然としながら見ていた。

 アヤトは、4コマ忍法刀のボルテックトリガーを一回引く。

 

分身の術!

 

 すると、アヤトが2人に分身して、片方はスマッシュに、もう片方はスタークに向かっていく。

 

オーグ「2人になった!?」

マリア「もうどうなってんのよ…………!?」

マーク「魔法……………何すかね?」

オリビア「分かんない……………。」

トール「もう、逆に落ち着きますね。」

ユリウス「あはははは………………。」

 

 オーグ達は、呆然としたり、苦笑したりしていた。

 アヤトは、4コマ忍法刀のボルテックトリガーを2回引く。

 

火遁の術!

火炎斬り!

 

 アヤトは分身と共に、スマッシュの周囲を高速回転して、スマッシュを戸惑わせ、火炎斬りでスマッシュを斬って、爆発する。

 スマッシュは、緑の炎を出しながら、その場に倒れる。

 アヤトはエンプティボトルを向けて、スマッシュの成分を採取する。

 そんな中、分身のアヤトを倒したスタークは。

 

スターク「倒されたか。ふむ……………ハザードレベル2.5か。まずまずだな。今後の成長に期待して、お前にはこれを渡しておこう。」

 

 スタークはそう言って、ボトルを2本渡す。

 

アヤト「おい、何だこれ。」

スターク「ドクターフルボトルとエナジードリンクのフルボトルだよ。また会おうぜ。チャオ♪」

 

 スタークはそう言って、姿を消す。

 

オーグ「何だったのだ、あいつは…………。」

マリア「それにしても、あいつは何でフルボトルを渡してきたのよ?」

アヤト「そんなの、俺が知りたいさ。」

リュー「まあ、どうにかなったし、大丈夫じゃねぇの?」

 

 そんなこんなで、スタークの騒動が終わった。

 それから数日後、遂に叙勲式が始まる。

 王城の控え室にて、アヤトとシンは待っていた。

 

アヤト「いよいよか………。」

シン「緊張するな…………。」

アヤト「シン。」

シン「何だよ?」

アヤト「もう、なる様になれだよ。ヘマをしなければ大丈夫だ。」

シン「お前、何でそんなに緊張してないんだよ………。」

 

 シンは、アヤトに恨みがましい視線を向ける。

 アヤトは、シンの視線を気にしていない。

 すると、係員が入ってくる。

 

係員「ウォルフォード殿、イーウェル殿。お待たせしました。」

アヤト「分かりました。」

シン「いよいよだな………。」

 

 二人は、扉の前に案内される。

 扉が開かれると、声がする。

 

儀仗官「救国の勇者!新たなる英雄!!シン=ウォルフォード様とアヤト=アーレント様!ご到着!!」

 

 その声と共に、周囲の人が拍手をする。

 その数は沢山だった。

 

シン(マ、マジかよ………!?)

アヤト(すっげぇな。人が一杯だ……。)

 

 シンとアヤトは前に進む。

 一番奥には、ディセウムが居て、二人は跪く。

 

ディセウム「シン=ウォルフォード、アヤト=アーレント。此度の働き、誠に見事であった。その働きに敬意を表し勲一等に叙する。」

シン「つ………謹んでお受け致します。」

アヤト「謹んでお受け致します。」

 

 シンが緊張気味に言う中、アヤトは比較的冷静に言う。

 二人は、勲一等を叙勲される。

 

ディセウム「見事であった。」

シン「あ、ありがたき幸せ………。」

アヤト「恐悦至極にございます。」

シン(や…………やりづれーよディスおじさん……….!!)

 

 二人の叙勲が終わると、ディセウムは大声で宣言する。

 

ディセウム「皆の者よく聞け!このシン=ウォルフォードは我が友、賢者マーリン=ウォルフォードの孫であり、我にとっても甥の様な存在だ!彼がこの国に居るのは彼の教育の為であり、決して我が国に利を齎す為ではない!!彼を我が国に招く際、賢者殿と約束した事がある!彼を政治利用も軍事利用もしない事だ!!勿論これはアヤト=アーレントも同じ事だ!!その約束が破られた際、英雄の一族はこの地を去る!その事努々忘れるな!!」

シン(約束してくれた事…………本当に言ってくれたんだ………。こう言う所はカッケーな、ディスおじさん。)

アヤト(陛下………ありがとうございます。ライダーシステムは、決して兵器なんかじゃないんです。)

 

 シンとアヤトは、そう思う。

 アヤトは、ディセウムを相手に交渉をしていたのだ。

 ディセウムは、シンとアヤトに向かって笑顔を向ける。

 こうして、叙勲式を終えた。

 だが、パーティーが始まり、アヤトとシンは辟易する。

 アヤトとシンは、色々話を聞かさせたり、女性達からキャッキャされたりもした。

 その後、バルコニーで、2人は疲れた表情を浮かべる。

 

シン「ふぅ………………。」

アヤト「疲れた……………。」

メリダ「お疲れのようだねシン、アヤト。」

アヤト「マーリン様、メリダ様。」

 

 疲れた表情を浮かべる2人に、マーリンとメリダが近寄る。

 

メリダ「私らが傍に居なきゃ、今頃囲んでた女にお持ち帰りされてたんじゃないのかい?」

シン「流石にそれはないよ………………。」

アヤト「想像するだけで怖いわ。」

メリダ「どうだかねぇ、婚期を逃し掛けてる貴族の女相手に逃げ切れるかね?マーリンだって昔……………。」

マーリン「その話は止めんか?シン。明日も学院あるし、そろそろ自宅へ戻った方が良いと思うぞ!」

シン「そうだね、帰って早目に休むよ。」

マーリン「うんうん!それが良いじゃろ!」

アヤト「じゃあメリダ様、さっきの話はまた今度お願いします。」

メリダ「いいよ。」

マーリン「それはよくないじゃろ!?」

 

 アヤトがそう言うと、メリダは了承して、マーリンはそう言う。

 その夜、アヤトはスクエアスマッシュから採取したボトルを、浄化装置に入れる。

 浄化装置が動く中、アヤトは考えていた。

 

アヤト(………………帝国の人間をスマッシュにしているのは、スタークなのは間違いない。ただ、何の目的で?)

 

 アヤトは、スタークの目的を考えていた。

 そして、スタークが渡してきたフルボトル2本を見つめる。

 片方はドクターフルボトルで、もう片方は、エナジードリンクのフルボトルだと判明している。

 

アヤト(それに、ストロングスマッシュからハンマーロストフルボトルが出来たり、エナジードリンクというボトルがあったり、どうなってんだ。)

 

 そう考える中、浄化装置が止まる。

 浄化が完了したのだ。

 

アヤト「浄化が完了したか。」

 

 アヤトは、浄化装置の中から、ボトルを取り出す。

 そのボトルは、ゲームフルボトルだった。

 

アヤト「ゲームフルボトル……………。エグゼイドのベストマッチが、何で?」

 

 そう。

 ドクターとゲームは、ベストマッチで仮面ライダーエグゼイドの姿になる。

 アヤトは考えるが、何も思いつかず、気晴らしとして、何かを開発し始める。

 それからしばらくして、リューが部屋に入ってくる。

 

リュー「おい、アヤト。聞いてんのか?」

 

 リューがアヤトに声をかけるが、アヤトは開発に熱中していて、反応しなかった。

 

リュー「おい!とっとと……………!」

アヤト「出来た!」

 

 リューが殴ろうとするが、アヤトはそう叫んで立ち上がる。

 すると、一体のメカのドラゴンが、リューの周囲を飛び回る。

 

リュー「何だよコイツ!?」

アヤト「お前にやるよ。何をするか分からないから、見張り役のペットだ。」

リュー「何が見張り役だよ!それより、シン達が呼んでんぞ。」

アヤト「マジか。じゃあ、お前も行くぞ。」

 

 アヤトはまたビーン工房に来ないかと誘われる。

 その際に、リューも同行する。

 

ハロルド「お!来たな?試作品出来てるぜ!」

 

 ハロルドは、出来上がった剣を見せた。

 

シン「流石本職!仕事が早い!」

ハロルド「当たり前ぇよ!そこの柄のトリガーを押してみな?」

シン「こう?」

 

 シンは、柄に付いてるトリガーを押す。

 すると、刀身が簡単に射出される。

 

アヤト「おお。なるほど。これなら、シン様の付与を刀身だけに出来るな。」

トニー「これは凄いね!僕はビーン工房の新製品開発の現場に立ち会ったんだね!」

シン「何言ってんだよトニー。元はお前のアイデアだろ?」

トニー「あ、あはは。」

 

 トニーは、試作の剣に感動していて、オーグはその剣を見つめていた。

 その後3階のアクセサリーショップでアクセサリーを購入して、女性陣と合流する。

 

マリア「用事終わった?」

アヤト「あぁ。」

シン「これお土産。待たせたお土産。」

アリス「え!何何!?」

シン「皆の分のアクセサリーだ。」

シシリー「っ!」

シン「後で防御魔法の付与して渡すから。」

リン「あぁ、前に言ってた。」

オリビア「けど、皆の分って事は………。」

 

 オリビアが、何か気になるのかそう言う。

 トニー、ユリウス、トール、マークはポーズを取っていた。

 

シン「いや男子は指輪じゃないから………。」

「「「「うっ。」」」」

シン「アヤトとリューにも渡すよ。魔法が使えなくても、魔道具くらいなら使えるだろうし。」

アヤト「助かるよ。」

リュー「サンキュー。」

 

 すると、オーグがシンに話しかける。

 

オーグ「シン、先程の剣だが、軍に採用を進言しようと思うんだが。構わないか?」

シン「え?婆ちゃんが『うん』って言わないんじゃないかな?」

 

メリダ『何だって!?』

 

アヤト「(何か、普通にそう言うのが想像つくな。)シンのバイブレーションソードを?そんな事をしたら、軍事利用になるだろ。」

オーグ「いや、シンのバイブレーションソードではなく、一般兵用として採用したいんだ。改良は必要だが、大量生産すれば、経費を抑えつつ、武装を強化出来る。」

 

 アヤトの質問に対して、オーグはそう答える。

 シンが口を開く。

 

シン「あの剣のアイデアはトニーだから、トニーが良いんなら俺は良いけど。」

アヤト「何でその話になるんだ?」

オーグ「実は、戦争が近いかも知れないんだ。」

シン「え?」

アヤト「戦争?」

オリビア「やっぱり………うちのお客さん達もよくそんな噂をしてます。」

シン「戦争って、何処と?」

オーグ「ブルースフィア帝国だ。」

アヤト「ブルースフィア帝国ねぇ…………。」

 

 それを聞いたアヤトは、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 以前、ブルースフィア皇帝に喧嘩を売ったことを思い出したからだ。

 

アヤト「それにしても、何でブルースフィア帝国は、アールスハイドを攻めるんだ?」

オーグ「そんな事は向こうに聞いてくれ。帝国では、大規模な出征の準備がされているらしい。」

トニー「もしかしたら、帝国がライダーシステムを狙ってたりね。」

ユーリ「確かに、帝国がアヤト君のライダーシステムを狙っても、おかしくなさそうだしねぇ。」

トール「まあ、帝国の目的は置いておいて、もし戦争が始まって長引けば、自分達学生にも動員が掛かるかも知れませんね………。」

 

 そう、戦争が長引けば、人員不足になり、戦争経験がない学生にも動員がかかる。

 トールの言葉に、周囲の空気が重くなる。

 オーグは、そんな空気を変えようと口を開く。

 

オーグ「ま、まぁ、まだ始まってもいないんだ。気にしても仕方あるまい。特にシンにアヤト。魔人の襲来なら兎も角、戦争にお前達を駆り出す事は絶対にしない。軍事利用になるからな。」

 

 すると、それを聞いたシンとアヤトが口を開く。

 

シン「確かに徴兵されないかも知れないけど、皆に危機が迫ったら俺は戦場に出るよ。」

アヤト「右に同じく。」

「「え?」」

 

 シンとアヤトの宣言に、シシリーとマリアが驚く。

 リューは、やはりという表情を浮かべていた。

 

シン「ここで出会った皆は、掛け替えのない友達だからな。」

シシリー「シン君………。」

アヤト「俺のライダーシステムは、愛と平和の為に使う。ブルースフィアが脅かそうとするのなら、俺は戦う。」

マリア「アヤト…………。」

 

 そうして、シンは皆にアクセサリーを渡す。

 アヤトは、ペンダントを選ぶ。

 一方、ディセウムは、ドミニク、ルーパーを始めとする人たちと集まっていた。

 

ディセウム「そうか、帝国軍が我が国に向けて進軍を始めたか。降り掛かる火の粉は払わなければな。ドミニク。」

ドミニク「はっ!」

ディセウム「全軍に出撃命令を出せ!」

 

 ブルースフィア帝国が動き出し、アールスハイド王国も動きだす。




今回はここまでです。
アヤトのヒロインであるリューが登場しました。
彼女がクローズに変身します。
その為、アンケートは終わります。
別のアンケートを始めようと思います。
それは、賢者の孫の原作キャラは、変身させるかどうかです。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
グリス、ローグに関しては、どうしようかなと思っています。
もし、意見がある場合は、リクエストをお願いします。
リクエストは、活動報告で受け付けます。
オリジナルのフルボトルやオリジナルの仮面ライダーについても、考えています。


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第4話 合同訓練

 アールスハイド王国軍とブルースフィア帝国軍がぶつかった、その日の夕方のブルースフィアの兵舎では。

 

ヘラルド「どう言う事だ!!」

 

 ヘラルド皇帝は激昂して、ワイングラスを投げる。

 

ヘラルド「ゼストの情報では、王国が大量発生した魔物の討伐に追われ………軍を出せた頃ではなかったのか!?何故王国軍は………我らを国境で待ち構えていた!?」

重臣「待ち伏せを受けた我が軍の被害は甚大………ここは一旦引いて、体制を立て直すべきかと………。」

ヘラルド「それより!ゼストはどうした!?奴は何処に居る!?」

重臣「それが………昨夜から奴の率いていた斥候部隊諸共、居所が掴めてません………。」

ヘラルド「っ!?………そうか!そう言う事か!!」

 

 そう、ゼスト率いる斥候部隊は、消息を絶ったのだ。

 ブルースフィア帝国軍は、アールスハイド王国軍が何もしていないと思っていたが、実際にはアールスハイド王国軍が待ち構えており、帝国軍は被害が甚大だった。

 しかも、帝国軍は知らないが、アールスハイド王国軍は、シンとトニーが考案した剣を使っていた為、武器を破壊されたとしても、すぐに使えるようになっていた。

 ヘラルド皇帝は、全てを察して、玉座から立ち上がる。

 

ヘラルド「ゼストめ、薄汚い平民の分際でよう謀りおったな!今度会ったら………必ず八つ裂きにしてやる!!!」

 

 ヘラルドは、そう叫ぶ。

 すると、兵舎の中に、兵士が入ってくる。

 

兵士「申し上げます!!」

ヘラルド「あぁ!?何だ!!」

兵士「は、はい!魔物が………帝都に魔物が大量に出現したと!!」

ヘラルド「バカな!!帝国領の魔物は少なくなっていたのではないのか!?」

 

 魔物が現れた事に、動揺するヘラルド。

 幕僚は、すぐに皇帝に進言する。

 

幕僚「へ………陛下!これは戦争所ではありません!!一刻も早く帝都に戻らなければ!!」

ヘラルド「くっ………!!全軍に告げよ!!急ぎ帝都に引き返し、魔物共を駆逐しろと!!」

「「「はっ!!」」」

 

 こうして、帝国軍は撤退をする事になる。

 一方、アールスハイドの兵舎では、ドミニクとルーパーが話していた。

 

ルーパー「帝国軍は引き始めたか。」

ドミニク「愚直に突撃を繰り返し、兵を擦り減らした挙句に撤退とはぁ。」

ルーパー「どうする?一層帝都まで追い掛けて行くか?」

ドミニク「この際、徹底的に叩いておくのも悪くないな。」

 

 その様に話していた。

 すると、1人の兵士が入ってくる。

 

兵士「ご報告します!」

ドミニク、ルーパー「ん?」

兵士「帝国軍と戦闘中、我が軍の先鋒が魔物に襲われました!!」

ドミニク「何だと!?」

兵士「魔物に行く手を阻まれて………これ以上の追撃は不可能かと………!!」

ルーパー「どうなってんだ!?魔物が帝国軍の退却を助けたのか!?」

 

 魔物が帝国軍の退却を助けた様に見え、動揺するドミニク達。

 一方、帝都は、地獄絵図と化していた。

 ある男はライオンの魔物に襲われ、ある女性は猿の魔物に食われた。

 そんな中を、平然と歩くシュトロームとミリア。

 

シュトローム「どうですか?ミリアさん。魔人になった感想は。」

ミリア「はい。これまで感じた事が無い程、力が溢れて来ます。」

シュトローム「それは良かった。さて、出兵した帝国軍が戻って来るまで2〜3日程ですが、その間に、ゼスト君達も戻るでしょうし、帝国軍を迎え撃つ準備でもしましょうか。」

ミリア「はい、シュトローム様。」

 

 そう、ゼスト率いる斥候部隊は、シュトロームの元に降っていた。

 数日後、ブルースフィア帝国は、壊滅寸前まで追い詰められた。

 帝城では、ヘラルドが憤慨していた。

 

ヘラルド「おのれぇ………!魔物如きが余の帝都を踏み躙りおって!!」

幕僚「先行して帰還した部隊が、既に魔物の討伐を始めております。この騒ぎも、何れその内………。」

ヘラルド「今日中だ!!陽が落ちるまでに片を付けろ!!」

幕僚「た、直ちに!!」

 

 ヘラルドは、幕僚に対してそう叫ぶ。

 その間に、考えていた事は。

 

ヘラルド(何としても、奴らを片づけ………あの男のライダーシステムを、我が手中に……!!)

 

 そう、ヘラルドは、未だにビルドのライダーシステムを狙っていたのだ。

 それが、アールスハイドに攻め込む理由。

 ヘラルドは、自室に戻る。

 すると。

 

シュトローム「お待ちしておりましたよ。皇帝陛下。」

 

 シュトロームは、玉座に座っていて、ヘラルドを待ち構えていた。

 ヘラルドは、シュトロームを見ると、驚愕の表情を浮かべる。

 

ヘラルド「き…………貴様は…………!?オリベイラ!?」

 

 シュトロームは、指を鳴らす。

 すると、ヘラルドの背後の扉が閉まり、ヘラルドは驚く。

 

ヘラルド「っ!?」

シュトローム「あなただけは、どうしても私自身で始末しておきたくて。」

 

 シュトロームは、両目を赤く光らせる。

 すると、ヘラルドの足元に魔法陣が出現して、ヘラルドは動けなくなる。

 

ヘラルド「ぐぅぅ…………!?」

 

 ヘラルドがパニック状態になってる中、シュトロームが左手に魔力を集めていた。

 そして集めた魔力で魔法弾を生成し、ヘラルドに向けて放とうとすると。

 

???「ちょっと待った。」

 

 スタークが現れて、シュトロームに攻撃をやめさせる。

 

シュトローム「……………何のつもりですか?」

スターク「このまま殺しちまったら、実験の材料が無くなっちまうだろ。こいつは表向きは殺した事にして、実験台として扱うのはどうだ?」

シュトローム「……………どうぞ、ご自由に。」

 

 スタークの言い分を聞いたシュトロームは、素っ気なくそう言う。

 呪縛が解かれたヘラルドは、逃げ出そうとするが、スタークが止める。

 

ヘラルド「ヒィィィィィィ!!」

スターク「お前達には、実験台になってもらうから、覚悟しろよ。」

 

 スタークは、ヘラルドにそう言う。

 それから三日後、アールスハイド王国軍がブルースフィア帝都に到着した。

 

ルーパー「一体何がどうなっているんだ…………!?」

ドミニク「斥候部隊からの情報では、大量の魔物に襲われたとの情報だが、その報を受けて慌てて引き返した帝国軍もこのザマって事か………。」

 

 ルーパーが周囲の惨状に唖然として、ドミニクは斥候部隊から聞いた情報から推測する。

 すると。

 

シュトローム『ようこそ、お待ちしていましたよ?王国軍の皆さん。』

 

 シュトロームの声が響き渡る。

 その声を聞いたルーパーは、魔法を発動待機状態にして、ドミニクは抜刀する。

 

ルーパー「此奴は…………!」

ドミニク「何者なんだ!名を名乗れ!」

シュトローム『オリバー=シュトローム。』

ドミニク「貴様が王都を騒がせた魔人!」

シュトローム『随分到着に時間が掛かった様ですね。』

ルーパー「そうか、あれはテメェの差し金か!!」

 

 シュトロームの言葉に察したルーパーが叫ぶ。

 シュトロームは、ルーパーの言葉を肯定する訳でもなく、紡いでいく。

 

シュトローム『あなた達が帝国軍の数を減らしてくれたお陰で、楽に奴らを全滅させられましたよ。』

ドミニク「まさか………この戦争自体…………貴様が仕組んだとでも言うのか!?」

 

 その言葉を聞いたドミニクは、驚愕の表情を浮かべる。

 シュトロームは、ドミニクの言葉に対して、笑いながら答える。

 

シュトローム『流石、騎士団総長にして軍務局長のドミニク殿。察しが良いですねぇ。』

 

 すると、ドミニク達の目の前に、大量の人影が現れる。

 

「「っ!?」」

ルーパー「な………何だ彼奴ら…………!?」

ドミニク「全員が…………魔人!?」

 

 魔人が大量に現れた事で、ドミニク達は撤退していった。

 数日後のアールスハイド王城では、緊急会議が行われる。

 

ディセウム「まさか………シュトロームが生きていたとは………。」

ドミニク「我らだけでは勝ち目が無いと………止む無く撤退致しましたが………。」

ディセウム「いや、それは懸命な判断だ。責めはせん。」

 

 ドミニクは、悔しそうに俯くが、ディセウムは労いの言葉をかける。

 

高官「しかし………魔人が十数人とは………。」

高官「陛下、如何致しましょう………?」

ディセウム「…………。」

 

 しばらくして、高等魔法学院だけでなく、アヤトの元にも通達が入る。

 

アヤト「え?合同訓練?」

メリダ「そうさね。シンと殿下が、戦力の増強と究極魔法研究会との連携を深めるように頼んできたのさね。」

アヤト「なるほど。やっぱり、シュトロームは生きてたか。」

マーリン「その様じゃ。今回は、リューも行ってくるが良い。」

リュー「おう。ずっとこの家に居るんじゃ、退屈だからな。」

 

 そうして、アヤトとリューも、参加する事になった。

 アヤトとリューは、シン、オーグ、シシリー、マリアと同じ組になった。

 

シン「両学院から4名ずつ、計8人に組んで森の魔物退治かぁ。」

アヤト「俺達は、シン達と一緒の組になったわけだな。」

オーグ「増えた魔物の討伐も兼ねた実践訓練だな。」

シシリー「魔物と戦うなんてドキドキしますけど、シン君と一緒なら安心ですね。」

シン「いや、訓練だからシシリーも頑張らないと。」

アヤト「そうそう。この先何があるか分からないからね。」

シシリー「あっ!そ、そうでした。」

 

 アヤト、シン、オーグ、シシリーはそう話している。

 それを見ていた騎士学院のとある生徒達は。

 

クライス「あれが英雄の孫とビルドか。」

ノイン「所詮は魔法使いとただの戦士だろ?」

ミランダ「どうせもやしよ。もやし。」

ケント「足手纏いにならないと良いがな。」

 

 4人は、シンとアヤトに向かってそう吐き捨てる。

 それを見たマリアは、シンとアヤトに向かって言う。

 

マリア「ね?やな奴らでしょ?」

アヤト「小物感あるな。」

シン「あはは………。」

 

 そう、アヤトはオーグから忠告されていたのだ。

 騎士学院の生徒が見下してくるかもしれないと。

 しばらくして、馬車には、緊迫した空気が満ちていた。

 

アヤト「ところで、アンタらの名前は一体なんだ?」

クライス「騎士学院1年主席のクライス=ロイドだ。」

ミランダ「次席のミランダ=ウォーレスよ。」

ノイン「ノイン=カーティス。」

ケント「ケント=マクレガーだ。」

シン「(よりによってさっきの奴らかよ……。)シン=ウォルフォードです。」

アヤト「アヤト=アーレントです。」

リュー「リュー=コレニスタだ。」

オーグ「アウグスト=フォン=アールスハイドだ。」

マリア「マリア=フォン=メッシーナよ。」

シシリー「シシリー=フォン=クロードです。宜しくお願いします。」

 

 両学院とアヤトは自己紹介をする。

 シンは、騎士学院組に質問をする。

 

 

シン「なぁ、訓練が始まる前に聞いて良いか?」

クライス「何だ?」

シン「君ら魔物と戦った事はある?」

ミランダ「何!?ちょっと自分が魔人を倒したからって自慢してんの!?」

シン「そうじゃなくて、これから俺達は実際に魔物を討伐しに行くんだ。騎士がどうとか魔法使いがどうとか、そんな下らない事言ってると………。」

ミランダ「言ってたら何よ!?」

シン「死ぬぞ?」

 

 シンの真面目な顔に、騎士学院組は怯む。

 ミランダは、見下されてるかと思ったのか、声を荒げる。

 

ミランダ「五月蝿いわね!本当なら騎士学院生だけで魔物の討伐くらい出来るのよ!!」

クライス「ミランダの言う通りだ!精々足手纏いにならない様にするんだな!」

アヤト「…………そんな事を言ってると、足元掬われるぞ。」

ミランダ「五月蝿いわよ!そんな偉そうな口を叩くんじゃないわよ!!」

アヤト「………俺は忠告したからな。」

 

 アヤトの忠告に、ミランダは口調を荒げる。

 すると、オーグが口を開く。

 

オーグ「お前達、そんな認識でこの訓練に参加していたのか?」

クライス「あぁいえ!別に殿下が邪魔とか、そう言う事を言った訳ではなく………。」

オーグ「そんな事を言っているのではない!この訓練は、騎士学院生と魔法学院生の連携を強める為の訓練だ。先程アヤトが言った様に、そんな余裕な言葉を言ってると痛い目見るぞ。」

クライス「そ、それは………。」

 

 オーグの言葉に、クライスは何も言えなくなる。

 オーグは、騎士学院生の言動を見て、判断を下す。

 

オーグ「分かってはいるが、納得は出来ん、か。なら仕方ない。シン、アヤト、リュー。お前達はこの訓練で魔物を討伐する必要は無い。」

シン「え?」

アヤト「そうなのか?」

リュー「私もかよ。」

オーグ「そうだ。一度、魔法使いの援護無しで魔物を討伐してみろ。この訓練の意義が分かる。」

クライス「っ!…………殿下がそう仰るなら………。」

 

 騎士学院生は、気まずい雰囲気になり、マリアはそっぽを向く。

 それを見たアヤトは。

 

アヤト(多分、マリアも納得してないんだろうな。魔法の方が強いとか言ってそうだし。)

 

 そう思っていた。

 しばらくすると、目的地に到着した。

 

シン「随分森の奥まで来たなぁ………。」

オーグ「実力に応じて、危険度の高い場所で訓練する事になっているからな。」

アヤト「ていうか、実力に応じてって、俺達はここで良いのかよ。」

マリア「強い魔物が出る確率が高い場所でって訳ね。」

アヤト「まあ良いか。」

リュー「良くねぇだろ。」

シシリー「各組ごとに指導教官の方が来られると言う事でしたけど………。」

???「ようシン!」

シン「あーーー!!」

 

 シンに声をかけたのは、ジークフリード=マルケスとクリスティーナ=ヘイデンだった。

 

クリスティーナ「今日は宜しくお願いしますね。」

シン「ジークにーちゃんとクリスねーちゃん!?」

アヤト「…………誰?」

ジークフリード「君がアヤト君とリューだね。陛下から話は聞いてるよ。俺は、ジークフリード=マルケス。よろしくな。」

クリスティーナ「私は、クリスティーナ=ヘイデンです。」

アヤト「どうも、アヤト=アーレントです。」

リュー「リュー=コレニスタだ。」

 

 アヤトとリューは、2人に挨拶する。

 シンは、2人に声をかける。

 

シン「2人が指導教官なんだ………。頼むから喧嘩しないでよ?」

ジークフリード「此奴が絡んで来なかったらな。………あぁ!?」

クリスティーナ「此奴が絡んで来なかったらね。………あぁ!?」

シン「だから、それを止めろって言ってんだよ!!」

アヤト(…………何か、騎士学院生と魔法学院生の仲が悪い事の象徴みたいな気がするな。)

 

 ユウトは、そう思っていた。

 すると、マリアはジークフリードに話しかけていた。

 

マリア「私!シンの同級生のマリアです!ジークフリード様!あ………握手をして貰えませんか!?」

ミランダ「ズ………ズルいぞお前!ア………私も良いですか…………?」

 

 一方、騎士学院生の男性達は、クリスティーナに話しかけていた。

 

クライス「俺…………いえ!私はクライス・ロイドと言います!」

ノイン「俺はノインです!今日は俺の勇姿を見ていて下さい!」

ケント「ケ………ケントです!」

シン「何これ?」

シシリー「お2人は、どちらの学院の生徒にも人気者なんですよ。」

オーグ「何しろ、父上の護衛を任される程の魔法使いと騎士だからな。」

シン「ジークにーちゃんはチャラ男だからモテても違和感ないけど………。クリスねーちゃんは意外だったな………。」

クリスティーナ「む?意外とは何ですか!失礼な!」

 

 そんな会話をして、森の最深部へと進んでいく。

 ジークフリードは、オーグの言葉に驚く。

 

ジークフリード「はぁ?最初は騎士学院生だけで魔物を討伐する?」

オーグ「あぁ、彼らの希望でな。言葉だけでは、この訓練の意義が分からないらしい。」

クリスティーナ「軍に入ったばかりの騎士や魔法使いには、よくある事です。」

ジークフリード「自分達だけで戦える。支援は無用って奴か。」

アヤト「愚かにも程があるだろ。連携は欠かせないってのに。」

 

 アヤトの言葉に、クリスティーナが頷く。

 

クリスティーナ「アヤト君の言う通りですね。実践を経験すれば、すぐにそれが間違いだと気付くもの。今回の訓練で、彼らがそれを学んでくれれば良いのですが。」

ジークフリード「学生時代に鼻っ柱をへし折られといた方が、後で面倒は無いか。君達はそう言う事言わないんだな?」

アヤト「約1名、納得してない人が居るけど。」

マリア「な、何よ………?」

オーグ「アヤトの言う通りだ。メッシーナはこの訓練の意義を理解しているのかと思ってな。」

 

 オーグの言葉に、マリアは反論する。

 

マリア「理解してますよ!シンとアヤトが魔人と戦ったのを2回も見せられたら………。とてもじゃないけど、あんな風には出来ない……。私の力じゃ、騎士や剣士の支援がないと強い敵とは戦えないって………。」

 

 マリアは、そう独白する。

 すると、ジークフリードが顔を近づける。

 

ジークフリード「マリアちゃんだったかな?」

マリア「は………はい!!」

ジークフリード「そうやって、今の自分の実力を認識出来ているのは良い事だ。君は強くなれるよ。」

マリア「…………!!!」

シン(珍しいな、こう言うマリア………。)

 

 シンは、そう思っていた。

 一方、それを見ていたミランダは。

 

ミランダ(ジークフリード様にあんな事言われるなんて悔しい…………!)

 

 嫉妬心を見せていた。

 しばらく進むと、騎士学院生が構えながら進み始めた。

 

シン「アイツら、何警戒してんだ?索敵魔法には何も引っ掛かってないのに。」

ジークフリード「警戒っつーより、あれは緊張だな。」

クリスティーナ「無理もないですね。初めて魔物と戦うのですから。」

アヤト「っ!?」

 

 アヤトは、気配を察知した。

 シンも気付いたようで、ジークフリードに声をかける。

 

シン「ジークにーちゃん!」

ジークフリード「分かってる。よし、騎士学院の諸君!もうすぐ魔物が現れる!戦闘態勢を取れ!」

 

 ジークフリードの声に、騎士学院生は、剣を抜刀する。

 すると、猪の魔物が現れる。

 

マリア「イノシシ!?」

シン「くそ!魔物化してなきゃ美味そうなのに!!」

リュー「本当だな!」

オーグ「お前ら………。」

アヤト「逞しすぎないか………?」

 

 シンとリューの発言に、アヤトとオーグの2人は呆れる。

 猪の魔物が吠え、ミランダが声を上げる。

 

ミランダ「ビビるんじゃないわよ!!私達騎士学院のトップの実力を見せ付けてやるのよ!!」

「「「おう!!」」」

 

 ミランダは、猪の魔物に攻撃するが、躱される。

 

ミランダ「っ!!は………速い…………!!」

 

 猪は、後ろに居たミランダに蹴りを入れる。

 

ミランダ「うわあっ!!!」

 

 残りの面子も、猪の突進に薙ぎ払われる。

 

クライス「こ、これが………魔物………!?」

 

 猪の魔物は、騎士学院生に向かっていく。

 

アヤト(見てられないな。)

 

 シンとアヤトは、バイブレーションソードとドリルクラッシャーを取り出して前に出て、一閃して、猪の魔物を倒す。

 

アヤト「こんなもんだな。」

ケント「い…………一撃………!?」

クライス「ウォルフォード………アーレント……何時の間に………!?」

 

 それを見ていたクリスティーナは、騎士学院生に苦言を呈する。

 

クリスティーナ「不様ですね。この魔物は、中型でも弱めの部類ですよ?大言壮語を吐きながらあの程度の魔物にこの有り様。騎士学院のトップと驕っていた様ですが、所詮戦場を知らない学生の中の話。自分達の無力さをその身に刻みながら、残りの訓練に挑みなさい。」

ミランダ「は、はい…………。」

シシリー「あ………あの、回復魔法を掛けるのでじっとしていて下さいね?」

 

 シシリーは、騎士学院生に回復魔法をかける。

 クライスは、申し訳なさそうに口を開く。

 

クライス「す、すまん………。俺達はお前達を見下していたのに…………。」

シシリー「そんなに気にしてないですよ。今は同じパーティなんだから、これくらい当たり前です。」

 

 その言葉に、騎士学院生は一目惚れした。

 それを見ていたシンは苛ついていた。

 

シン「ぐぬぬぬぬ…………!!」

オーグ「どうどう。」

アヤト(これは、今度はシンを抑えないといけなさそうだな………。)

 

 訓練は続く。

 だが、騎士学院生の男達は、シシリーにべったりだった。

 シンは、苛ついていた。

 

オーグ「そうイライラするな。」

シン「別にイライラなんか…………!!」

オーグ「してるだろ?」

アヤト「そんなにイライラするなら、いっその事さ、『シシリーは俺の女だから手を出すな。』って言ったら?」

シン「ばっ…………!!何言ってんだよ!!」

マリア「あの手の男はね、自分に優しくしてくれる女に簡単に惚れるのよ。か弱い魔法学院の女ならここにも居るのにね………!!」

ミランダ「私なんか彼奴らにあんな事されたの一度も無かったのにね…………!!」

「「私らの何が悪いってのよーーー!!!」」

アヤト「俺に八つ当たりするなよ………。」

 

 マリアとミランダは、アヤトに向かって叫ぶ。

 ユウトは、そうつぶやく。

 それを見ていたジークフリードが声をかける。

 

ジークフリード「おーいお前らー!また魔物が来るぞー!じゃれてないで準備しろー!」

シン「っ!」

アヤト「どうした?」

シン「ジークにーちゃん………これちょっと数が多くない?」

ジークフリード「ああ………。かなりの数だな。」

 

 すると、ジークフリードの下に、教官が駆け込んでくる。

 

女性教官「ああ!ジークセンパイ!!クリスお姉様!!逃げて下さい!!」

男性教官「大量の魔物が此方に向かってます!!」

ジークフリード「規模は?」

男性教官「少なくとも100は居ます!!」

クライス「100…………!?」

ノイン「そんな!?」

 

 ジークフリードが聞く中、シンはジークフリードに声をかける。

 

シン「ジークにーちゃん。」

ジークフリード「ん?」

シン「それ、俺がやるよ。」

アヤト「俺もやって良いか?」

ジークフリード「そうだな。」

シシリー「そんな!シン君にそんな数………!」

アヤト「おーい、俺を忘れてね?」

ジークフリード「シンは兎も角、アヤトは大丈夫だろ。」

クリスティーナ「皆!後ろに下がって!」

リュー「やってやれ、アヤト!」

 

 クリスティーナの声で、全員が後ろに下がる。

 ユウトは、ビルドドライバーを装着して、ライオンと掃除機のフルボトルを取り出して振る。

 そして、ビルドドライバーに装填する。

 

ライオン!掃除機!

ベストマッチ!

 

 ボルテックレバーを回して、ライオンと掃除機のハーフボディを形成する。

 

Are you ready?

 

アヤト「変身!」

 

 ライオンと掃除機のハーフボディがアヤトに合わさり、変身する。

 

たてがみサイクロン!ライオンクリーナー!

イエェア!

 

 アヤトは、仮面ライダービルド・ライオンクリーナーフォームに変身する。

 

シン「久々に爆発系行くか。」

アヤト「さーて、行くか!勝利の法則は、決まった!」

 

 シンは、両手に魔力を集める。

 アヤトは、ビルドドライバーのボルテックレバーを回す。

 

シン(まずは、生成した水素を高濃度で圧縮!そんで酸素も!わりーけど、ちょっとイラついてるんで憂さ晴らしするぞ?)

 

 シンは、そう思っていた。

 アヤトは、掃除機の吸引力で更に引きつける。

 すると、大量の魔物の背後から、虎の魔物も現れる。

 

クライス「と、虎…………!?」

ミランダ「あれって、災害級だよね……!?」

ノイン「まさか、アイツから逃げてたのか!?」

 

 騎士学院生は動揺するが、シンとアヤトは動揺していない。

 アヤトは、構える。

 

Ready Go!

ボルテックフィニッシュ!

イェーイ!

 

シン「滅びろおおおおおおお!!!!!」

アヤト「ハァァァァ!!!」

 

 2人から魔法とライオン型のエネルギー波が放たれ、魔物達は消し飛んでいく。

 それを見た騎士学院生達は、呆然とする。

 なぜなら、2人の攻撃の後には、魔物は一匹も居らず、地形が抉れていたのだ。

 

シン「ふー、スッキリしたー!」

クライス「これが………シン=ウォルフォード………アヤト=アーレント………!?」

ノイン「賢者の孫にして………新たなる英雄の力と…………ビルド…………。」

シシリー「シン君!大丈夫ですか!?」

シン「ああ。」

アヤト(やっぱり、消し炭にするんじゃなくて、戦闘すれば良かったな。多分、戦闘データがあまり取れてない。)

 

 アヤトは、戦闘データが余り取れなかった事を気にしていた。

 アヤトがそう思っていると、リューが話しかける。

 

リュー「やるじゃねぇか。」

アヤト「まあな。」

 

 アヤトとリューは、そんなふうに話す。

 その後。

 

クリスティーナ「改めてここに居る皆に言っておきますが、本来災害級の魔物は我々軍が決死の覚悟で挑んで漸く倒せる存在…………。シンが異常なのであって『虎の魔物は弱い』などと勘違いだけはしないように。」

騎士学院生、女性教官「はい!!」

ジークフリード「何でお前まで指導されてんだよ。」

シン(異常……………。)

 

 クリスティーナがそう言うと、騎士学院生と教官は返事をする。

 シンが少し落ち込む中、ジークフリードが呟く。

 

ジークフリード「はぁ〜〜〜……………。しかしシンがここまでのモンになってるとは…………プライド捨てて俺もシンに教わろっかな…………。」

オーグ「軍事利用になるからダメだぞジークフリード。お前は軍人だろう。」

 

 ジークフリードがそう言う中、オーグはそう突っ込む。

 そんな中、ミランダがシンに話しかける。

 

ミランダ「あ…………あの…………ウォルフォード君………そ………その…………散々失礼な事言って…………ごめんなさい。」

シン「え?」

ミランダ「ウォルフォード君って…………凄く恵まれた環境に居るから…………羨ましくて………絶対負けたくないって……………。」

シン(羨ましいって……………。)

ミランダ「勝手に思っちゃって…………。でも、実際に見てみて、これは次元が違うなって…………やっと分かったわ。」

シン「ミランダさん………………。」

 

 ミランダは、そう言ってシンに謝る。

 次にシシリーの方を向くと、とんでもない発言をする。

 

ミランダ「えっと…………シシリー…………さんも…………その…………彼氏に突っ掛かってしまって申し訳無かったわ。」

シシリー「ふぇっ!?か……………彼氏!?」

アヤト「盛大に言ったね。」

 

 ミランダの言葉を聞いて、シシリーはそう叫び、アヤトはニヤニヤしながら言う。

 

ミランダ「お2人はそう言う関係ではないのか?」

シン「ええええ…………!?いいいやその……………!」

シシリー「わわわわ私達はまだ…………そそそその……………!」

ミランダ「まだ?」

 

 ミランダがそう言うと、シンとシシリーは、お互いに顔を赤くして、違う方を向く。

 それを見ていた騎士学院生は。

 

クライス「あ……………あのリアクションは……………!」

ケント「どう見ても………………!?」

ジークフリード「鼻っ柱を折ってやるつもりだったが……………。」

クリスティーナ「他の所が折れてしまったようですね。」

 

 こうして和解したパーティであった。

 だが、クライスを始めとする男性陣は、別の所が折れてしまうのだった。




今回はここまでです。
原作だと死亡したブルースフィアの皇帝は、スタークの実験台になりますが、生存します。
まあ、碌な事にはならないと思いますが。
合同訓練が始まりました。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
シン達が変身させようかなと思っていますが、何のアイテムを使うかどうかは、考え中です。
少なくとも、クローズドラゴンのリデコアイテムを使って変身する予定です。
そこら辺のリクエストがあれば、受け付けますよ。


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第5話 魔法合宿

 魔法学院と騎士学院の合同訓練で和解したアヤト達のパーティ。

 しばらく進むと、熊の魔物が姿を現した。

 

ミランダ「熊の魔物………。」

クライス「くっ………怯むな!」

オーグ「クロード!メッシーナ!」

「「はい!」」

 

 3人が同時にファイヤーボールを飛ばし、熊の魔物に命中した。

 熊の魔物は炎で焼かれ苦しみ始めた。

 

クライス「ウオオオオオオオ!!!」

 

 走り出したクライスだが、熊の魔物が爪でクライスを引き裂こうとしたが、シンの魔力障壁のお陰で無傷で済んだ。

 

ミランダ「ウォルフォード君!」

オーグ「止めを刺せ!!」

「「ハアアアアアア!!!」」

 

 同時に走り出し、熊の魔物の左足を剣で突き刺した。

 クライスもそれに続いて熊の魔物の右足を突き刺した。

 

ミランダ「ハアアアアアアアア!!!!」

 

 そして最後にミランダがジャンプして、熊の魔物に向かって剣を振り下ろして討伐成功する。

 騎士学院の生徒が安堵の息を漏らす中、シシリーが近寄る。

 

シシリー「皆さん!お怪我はありませんか?」

ケント「擦り傷です…………。」

ノイン「問題無い………。」

シシリー「回復魔法で治療します!」

 

 シシリーは、回復魔法で騎士学生を回復させる。

 

クリスティーナ「様になってきましたね。」

ジークフリード「ようやく、剣と魔法の連携の何たるかが分かってきたって所か。それにしてもシン。お前は兎も角、殿下達の上達振りは何だ?現役の魔法師団の上位者と変わらない、と言うか、上回ってないか?」

 

 ジークフリードは、シンに話しかけていた。

 ちなみに、アヤトとリューは、特に何もしていない。

 

アヤト(ああ…………。どうにかして、戦闘データを集めたかったけど、仕方ないか。)

クリスティーナ「アヤト?」

アヤト「はい?」

クリスティーナ「何か考え事ですか?」

アヤト「大した事ないですよ。」

クリスティーナ「そうですか。」

 

 クリスティーナとアヤトがそう話してる中、オーグがシンに近寄る。

 

オーグ「ジークフリード。お前は軍の人間だ。それはシンの魔法の軍事利用になる。それはアヤトのビルドと同じだ。下手をすれば、外交問題に発展するぞ?」

ジークフリード「そ、それは………。」

オーグ「今ですらギリギリだ。この力が周辺国に拡散すれば、魔人ではなく、人の手で世界が滅びるぞ。」

シン「そこまでの事かよ………?」

「「はぁ…………。」」

 

 シンの言葉に、オーグと、シンのそばによったアヤトがため息を吐く。

 

オーグ「まだ自覚してなかったのか?」

シン「俺がやってる事は問題なのか?」

アヤト「当たり前だろ?」

オーグ「まぁ、一概にそうとは思えん。今は緊急事態だからな。魔人の大量出現と言う。」

シン「…………。」

オーグ「研究会の皆も、この力を世に拡散させないよう言ってある。力の独占と言われようが構わん。だからシン、これ以上自分の魔法を拡散させるな。」

シン「分かったよ。」

 

 シンは、オーグの言葉に頷く。

 だが、ジークフリードは食い下がる。

 

ジークフリード「ではせめて、マーリン様の練習法だけでも!」

アヤト「懲りないね………。」

リュー「こいつ、懲りねぇな。」

オーグ「恐ろしく地味だぞジークフリード………。お前に出来るか?」

ジークフリード「勿論やってみせますよ!それで、その方法とは?」

 

 ジークフリードは、そう言う。

 オーグは、その方法を伝える。

 

オーグ「魔力制御の練習だ。毎日毎日、少しずつ制御出来る魔力の量を増やしていく。それだけだ。」

ジークフリード「たったそれだけですか…………?」

オーグ「なんだ?疑ってるのか?クロード!メッシーナ!来てくれ!」

アヤト(まあ、この世界の魔法は、基本的には詠唱が必要だからな。)

 

 アヤトは、シシリーとマリアが魔力障壁を展開するのを黙って見ていた。

 アヤトは、魔法を使う事ができないので、魔力障壁を作る事も不可能だ。

 それを見ていたジークフリードは叫ぶ。

 

ジークフリード「俺も、魔力障壁の練習をしよう!訓練は終了だ!集合場所に戻るぞ!」

全員「はい!」

ミランダ「ありがとう。あなたのお陰で、熊の魔物は倒せた。剣と魔法の連携の意味が分かったわ。」

シン「それは良かった。」

アヤト「後の面子は、上手くやってると良いんだけどな…………。」

 

 ユウトは、そうつぶやく。

 同じ頃、トニー・ユリウス・マーク・オリビアの班では、1人の騎士学院生がトニーを強く睨んでいた。

 

ユリウス「何やらトニーを睨んでいるで御座るな。」

トニー「あはは………。」

マーク「トニーさん、彼に何かしたんスか?」

トニー「いやぁ〜、中等学院からの知り合いなんだけど………。」

 

 マークの問いに、トニーは答える。

 すると、フリオという名前の騎士学院生が恨み節を吐き捨てる。

 

フリオ「トニー=フレイド………!魔法学院に逃げた軟弱者め!!」

トニー「って事みたい…………。」

ユリウス「拙者も騎士の家系で御座るが、特にその様な事は………。」

 

 ユリウスがそう話す中、狼の魔物が現れる。

 

オリビア「魔物です!!」

ユリウス「まずは拙者達が魔法で………!」

フリオ「必要無い!!」

マーク「待つッス!!」

 

 フリオは、マークの静止を聞かず、勝手に剣を抜刀して飛び出す。

 

フリオ「実戦では、剣こそが物を言う!!」

教官「馬鹿者!!連携の訓練だぞ!!」

騎士学院生「俺達も行くぞ!!」

「「おう!」」

 

 フリオに触発されたのか、フリオに続いて他の騎士学院生が走り出す。

 

教官「お前ら!!」

 

 だが、他の魔物が現れ、怯んでしまう。

 狼の魔物がフリオの右腕に噛み付いた。

 

フリオ「がぁっ!!こ、この………!!」

 

 するとトニーが氷柱の魔法を飛ばし、狼の魔物の頭部を串刺しにした。

 それに続いてユリウス達がファイヤーボールとで狼の魔物達を討伐した。

 トニーは、フリオに近寄る。

 

フリオ「くっ…………!」

トニー「大丈夫かい?」

フリオ「余計な事を…………!!」

マーク「助けて貰ってそれは無いッス!」

フリオ「フンッ!」

 

 マークがフリオを非難するが、フリオは顔を背ける。

 

ユリウス「余程、トニー殿に負けたくないみたいで御座るなぁ。」

トニー「ずっと仲が良かったんだけど、最近は事ある毎に突っ掛かって来るんだよねぇ。」

マーク「何かしたんでしょ?」

トニー「う〜ん………。やっぱり、あれかなぁ。昔彼が好きだった子が僕に告白して来てさ、お付き合いする事になったんだよ。」

(((絶対それだ………。)))

トニー「でも、もう別れたんだよ。キスまでだったし。」

 

 それを聞いたフリオは、ますますトニーを強く睨む。

 

マーク「この恨みは深そうっスね………。」

 

 マークはそう呟く。

 思春期男子の縺れだっま。

 その頃、アリス・トール・リン・ユーリのグループでは、全員が顔を顰めていた。

 

騎士学院生「怖いんなら、俺の後ろに居ても良いぜ?」

 

 アリスはそう言われた。

 しかも、騎士学院生は、視線をアリスに合わせながら。

 

騎士学院生「君達は毎日机に向かってりゃ良いんだよなぁ〜?」

 

 リンはそう言われた。

 嫌味がたっぷりだった。

 

騎士学院生「君みたいな可愛い子、こんな訓練よりも花嫁修行でもした方が良いんじゃねえの?」

 

 ユーリはそう言われた。

 しかも、騎士学院生は、ユーリの胸に釘付けだった。

 

騎士学院生「女子の前だからって、良い所見せようなんて思うなよ?もやし君?」

 

 トールはそう言われた。

 それを見ていた教官は、苦言を呈する。

 

教官「訓練中ですよ!私語は慎みなさい!」

 

 すると、狼の遠吠えが聞こえてくる。

 

教官「来るぞ!」

騎士学院生「出やがったぜ!」

騎士学院生「大人しく見てな。」

 

 そう言って、ニヤッと笑う。

 それを見ていた女性陣は。

 

アリス「うわぁ。良い所見せようとしてる………。」

ユーリ「うん、気持ち悪いわねぇ。」

リン「イライラが………!」

 

 騎士学院生は、小さい魔物に苦戦中だった。

 

騎士学院生「いだだだだ!!」

騎士学院生「おのれこの………!!」

騎士学院生「魔物風情が!俺を誰だと………!!」

 

 それを見ていたアリスは、痺れを切らしたのか、両手に火炎魔法を出す。

 

アリス「もういい!アンタ達邪魔!!」

ユーリ「固く凍らせてあげるわ!!」

 

 アリスが火炎魔法で魔物を焼き、ユーリが凍らせる。

 だが、リンはというと。

 

リン「あ………。制御…………し切れないかも………。」

トール「皆さん後ろに!!」

 

 だが、間に合わず、その場にいる全員が爆発に巻き込まれる。

 その後、全員が王都の正門に戻る。

 

アヤト「どうやら、他の班は上手く行ったみたいだな。」

シン「ああ………。それに比べて、何でお前らの班は…………。」

 

 シンの視線の先には、アフロになったアリス達が。

 

アリス「いやぁ…………思いの外威力が上がってたから、バンバン使ってたら………。」

ユーリ「騎士学院生さん達が落ち込んじゃって………。」

リン「ちょっと調子に乗った………。」

アヤト「…………で、あれは一体どうしたんだよ?」

リュー「なんかすっげぇ睨んでんな。」

 

 アヤトは、未だにトニーを睨んでいるフリオを指差す。

 

マーク「思春期男子の亀裂ッス。」

アヤト「は?」

ユリウス「結局、拙者達が魔物の討伐を進めたので御座る。」

オリビア「ウォルフォード君達の方はどうでした?」

シン「どうって………。」

マリア「シンとシシリーがイチャイチャしてたわねぇ。」

アヤト「確かに。あれはイチャイチャだ。」

 

 マリアとアヤトが、揶揄う様に言う。

 

シン「はぁ!?」

シシリー「あわわわ………イチャイチャなんて…………!!」

オーグ「あれがイチャイチャでないのなら、お前等のイチャイチャがどの様なものか見てみたいものだぁ〜。」

アヤト「ヒューヒュー!」

シン「お前等なぁ!!」

 

 オーグとユウトは、揶揄ったり冷やかしたりする。

 マリアが口を開く。

 

マリア「冗談抜きにすれば、シンとアヤトとリューがフォローに回ってくれたお陰で、ちゃんと連携の訓練が出来たわ。」

オーグ「珍しく、シンがブレーキになってたな。」

シン「珍しくって………。(やっぱりそうなのか………。)」

 

 シンは、落ち込んでいた。

 オーグ曰く、卒業後、究極魔法研究会のシンを除いた面子は、国の管理下に置かれ、恐らくオーグ直轄の特殊部隊になる。

 シンは、皆の人生を歪めてしまった事を気にしていたが、皆は気にしていなかった。

 すると。

 

???「よお、お前ら。」

アヤト「っ!?」

 

 そう言って、背後に人が現れる。

 その人物は、コブラの様な物を胸につけた男だった。

 

アヤト「スターク!」

スターク「お前ら、面白い事をしてんな。」

シン「こいつが……………!」

オーグ「貴様、一体何者だ。」

スターク「俺はブラッドスタークだ。まあ、お前らには、これを浴びてもらうぜ!」

アヤト「まずい!逃げろ!」

 

 スタークはそう言って、スチームブレードを取り出して、バルブを3回回す。

 

デビルスチーム!

 

 その音声が鳴ると同時に、スタークはスチームブレードを振るう。

 すると、スチームブレードから煙が出てきて、シン、シシリー、オーグ、マリアを包み込み、吸い込まれる。

 

アヤト「シン!オーグ!シシリー!マリア!」

リュー「マジかよ!?」

 

 アヤトとリューが驚く中、4人は苦しむが、何も起こらなかった。

 

アヤト「耐えたのか……………。」

シン「シシリー!大丈夫か!?」

シシリー「は、はい…………。」

マリア「何だったのかしら……………。」

オーグ「貴様、私たちに何をした!?」

スターク「ほう。耐えるとはな。しかも、シンがハザードレベル3.4、そこのお二人さんがハザードレベル3.0、殿下がハザードレベル3.1か。中々の数値だな。なら、こいつを相手にしてやるよ!」

 

 スタークはそう言って、プレススマッシュを出す。

 

オーグ「あいつを逃すな!必ず捕えろ!」

騎士「はっ!」

 

 スタークが逃げようとした為、騎士達がオーグに従って、スタークの方に向かう。

 スマッシュが、他の人たちに襲おうとしていた。

 

リュー「俺に任せろ!」

アヤト「俺の事を忘れるんじゃないよ。」

 

 リューがドラゴンフルボトルを手に、スマッシュへと向かっていき、アヤトはハリネズミと消防車のボトルを取り出して、振る。

 ちなみに、アヤトは、ドラゴンフルボトルをリューに渡していた。

 アヤトは、ビルドドライバーに、ハリネズミと消防車のフルボトルを装填する。

 

ハリネズミ!消防車!

ベストマッチ!

 

 アヤトはすぐにボルテックレバーを回す。

 エネルギーが生成され、アヤトの周辺にスナップライドビルダーが展開され、それぞれのハーフボディが形成される。

 

Are you ready?

 

アヤト「変身!」

 

 アヤトは、そう叫び、変身する。

 それぞれのハーフボディが、アヤトと合わさる。

 

レスキュー剣山!ファイヤーヘッジホッグ!

イエェイ!

 

 アヤトは、ビルド・ファイヤーヘッジホッグへと変身する。

 

シシリー「消防車……………?」

マリア「本当、なんでもありね…………。」

シン「だよなぁ…………。」

 

 アヤトは、消防車ハーフボディに付いている放水銃、マルチデリュージガンから、高圧放水を行う。

 

アヤト「避けろっ!」

リュー「冷て!」

 

 リューは、高圧放水を躱す。

 プレススマッシュが高圧放水に怯む中、アヤトは右腕のBLDスパインナックルを使い、プレススマッシュの装甲の薄い部分にダメージを与える。

 プレススマッシュは怯み、アヤトは攻撃していく。

 途中、マルチデリュージガンから、炎を出して、プレススマッシュを炎上させる。

 

アヤト「ハァァァァ……………ハアッ!」

 

 そして、BLDスパインナックルの棘を尖らせて、攻撃する。

 吹っ飛ぶ中、アヤトはビルドドライバーのボルテックレバーを回す。

 

Ready Go!

 

 その音声が鳴る中、アヤトはマルチデリュージガンを伸ばして、プレススマッシュに水を注入し、動きを封じる。

 そして、アヤトはプレススマッシュの頭上に行く。

 

アヤト「ハァァァァ…………!ハァァァ!!」

 

ボルテックフィニッシュ!

イェーイ!

 

 その音声と共に、BLDスパインナックルでパンチをして、スマッシュを倒す。

 

リュー「よっしゃ!」

アヤト「リュー!スマッシュの成分を取っとけ!」

リュー「お、おう!」

 

 アヤトは、エンプティボトルをリューに渡して、リューは成分を採取する。

 アヤトは、シンとオーグと共に、スタークの方へと向かう。

 スタークは、騎士達を倒していた。

 

アヤト「スターク!」

スターク「お?もう倒されちまったのか。」

オーグ「お前には、聞きたい事が山ほどある。大人しく投降しろ。」

スターク「そう言われて、降参すると思ってんのか?また会おうぜ。チャオ♪」

 

 スタークはそう言って、トランスチームガンから煙を出して、撤退する。

 そうして、訓練は終わった。

 数日後のとある荒野では、究極魔法研究会のメンバーが魔法演習を行う。

 アヤトとリューも来ていて、アヤトはリューのハザードレベルを上げるのを手伝っていた。

 

アヤト「結構派手だな。」

オーグ「研究会での魔法演習の場を変えたのは正解だったな。まるで一国の魔法師団の火力演習だ。学院の練習場でこんな光景見せられん。」

リュー「こんな事をしていたら、見てられんねぇだろうが。」

シン「ここならどれだけ魔法をブッ放しても平気だからな。俺が昔から使ってた場所だし。」

 

 そう話す。

 演習が終わった後、オーグは全員を集める。

 

オーグ「魔人達の動向について情報に新たな進展があった。一般には公表されていない話だがな。」

シン「それって…………国家機密って事?」

ユウト「ホイホイ言ってくるなぁ。」

マリア「あの………殿下?シンとアヤト、リューだけじゃなく……私達も居るんですけど………。」

オーグ「そうだ、皆に聞かせると言っている。この研究会の面子は、今や相当な実力者集団になりつつある。今後、魔人との戦闘が起こった際に重要な対抗戦力となる可能性が高い。それならば、魔人の動向は知っておくべきだ。」

 

 オーグがそう言うと、皆は真剣な顔になる。

 

マーク「…………。」

オリビア「魔人…………。」

アリス「こう言う話を聞くと、自分達が特別な存在だって自覚するね………。」

マリア「本当に特殊部隊になっちゃうのね………。」

リン「やっぱり、ウォルフォード君にもっと魔法を教わらないと………。」

 

 究極魔法研究会が表情を引き締める中、アヤトがオーグに質問をする。

 

アヤト「それで、新しい進展というのは何だ?」

オーグ「話を戻すぞ。旧帝国領から戻った諜報部隊からの報告だ。現在、魔人達は帝国領内にある町や村を襲い回っている。襲われている町や村の様子は悲惨の一言らしい。町を治めている貴族は例外なく皆殺し、平民達も殆どが殺されている。相手が相手だけに迂闊に手を出せない。数ヶ国の連合を組まないと、とても太刀打ちなど出来ない状況だ。」

シン「惨状を知りつつも、指を咥えて見ている事しか出来ないと言う事か。」

オーグ「そうだ。加えて魔人の数も更に増えていると言う情報も入っている。」

 

 その言葉に、全員が驚く。

 

オーグ「何らかの手段で、魔人に変えているのだろう………。」

シン「カートの様にか………。」

オーグ「恐らくな…………。」

アヤト「被害は拡大していく一方って事になるな。…………まあ、あり得ない話ではないな。」

マリア「どういう事?」

アヤト「カートは、シンに対して悪意を持ってた。恐らく、魔人にされたのは、帝国貴族に搾取されてた平民って事になる。」

 

 それを聞いたシンは。

 

シン(マジかよ………!1体の魔人ですら国を揺るがす程の脅威なのに………一体何を考えているんだシュトローム………!!よし、こうなったらここは!)

 

 シンは、これまで考えた事を発表する。

 

全員「合宿!?」

アリス「良いね!やろう!賛成!!」

シン「もうすぐ夏季休暇に入るだろ?」

オーグ「成る程、強化合宿か。」

マリア「そうね、魔人を相手にするとなると、もっと力を付けたいわ!」

リン「朝から晩まで魔法漬け!楽しみ!」

ユーリ「えぇ!何処でやるのぉ?」

 

 ユーリの問いに対して、シンは考える。

 

シン「実際の魔法演習は、この荒野でやるとして………。何処か皆で泊まれる所があれば良いんだけど………。」

オーグ「ここに居る誰かの領地で良いんじゃないか?」

シン「領地?」

オーグ「貴族は基本、領地を持っているからな。」

 

 そう、究極魔法研究会の何人かは、貴族出身なのだ。

 

トール「自分の所は職人街ですね。」

マリア「うちは港街ね。あんまりゆっくり出来る様な所じゃないわよ?」

ユリウス「拙者の実家はリゾート地で御座る。」

シン「(リゾート出身の武士って………。)じゃあ、ユリウスの所で決めるか。」

アヤト「あまり、おすすめ出来ないぞ。」

シン「何で?」

オーグ「アヤトの言う通りだ。魔人騒動の渦中でリゾート地へ行くなど、何を言われるか分からん。」

ユリウス「殿下の言う通りで御座る。」

アヤト「なぁ、騒動が終わったら、泊まって良いか?」

ユリウス「良いで御座るよ。」

 

 アヤトとユリウスがそう話していると、マリアが何かを思いついたのか、シシリーに近寄る。

 

マリア「あ!だったらシシリーの所が良いんじゃない?」

アヤト「シシリー?何故?」

マリア「シシリーの実家は温泉地よ!」

シン「え?本当に?」

シシリー「はい!皆さんさえ良ければ!」

シン「じゃあ、是非頼むよ!」

シシリー「はい!!」

 

 そうして、クロード家の領地で泊まることに決定した。

 シン、アヤト、リューはその事をマーリンとメリダに言う。

 

メリダ「ほう、合宿ねぇ。」

マーリン「ほっほっ、良いじゃないかの。こんな事態じゃ。皆の実力を上げておいて損はないじゃろう。」

 

 マーリンとメリダはそう言う。

 そんな中、メリダはシンにある事を聞く。

 

メリダ「所で、保護者はどうするんだい?」

シン「保護者?」

メリダ「当たり前さね。年頃の男女が同じ屋根の下で一緒に寝泊まりするんだよ!!成人しているとは言え、学生達だけで行かせる訳ないね!!」

シン「あ、あぁそっか…………特にオーグは王族だしね…………。」

 

 メリダはそう叫んで、シンは冷や汗を流しながらそう言う。

 

メリダ「やれやれ…………研究会の子達の親御さんは皆忙しいだろう?今回は特別に、私が行ってあげるよ!」

アヤト「良いのか?」

リュー「お、おう…………。」

マーリン「なら、ワシも行くぞい!」

シン「え!?良いの!?」

メリダ「私らは正直暇だからねぇ。」

マーリン「このままだとボケてしまいそうじゃ。」

シン「助かるよ!」

 

 マーリンとメリダが同行することになった。

 それを聞いたシンは喜ぶが、メリダはシンを睨む。

 

メリダ「それに、アンタは目を離すとロクな事をしないからねぇ。」

シン「さ、最近は自重してる…………よ?」

メリダ「本当かねえ?」

マーリン「スマンのうシン、流石にワシにはフォロー出来んわい…………。」

メリダ「アンタは自重しない元祖だからね!!」

マーリン「フォッ!?」

 

 マーリンがそう言う中、メリダはそう吐き捨てる。

 その夜、アヤトは、浄化装置でスマッシュから採取したボトルを浄化していた。

 浄化されたボトルを見る。

 

アヤト「なんだこれ?力士か?」

 

 アヤトはそう呟いて、ボトルをビルドドライバーに装填する。

 

力士!

 

 ビルドドライバーからそんな音声が流れる。

 

アヤト「本当に力士だ。」

 

 アヤトはそう呟く。

 翌日、シン達と合流して、アヤトはマシンビルダーを使ってシシリーの領地に向かう事になった。

 ちなみに、マシンビルダーを見たシンの反応は………。

 

シン「バイク作っちゃったのかよ………。まあ、仮面ライダーって言ったら、バイクだしな。」

 

 そう語っていた。

 馬車とバイクが動き始めて、夕方になった頃、馬車が止まり、バイクも止まる。

 その理由は…………。

 

アヤト「中型の魔物か。」

リュー「どうすんだよ。先に進めねぇぞ。」

 

 ちなみに、究極魔法研究会の面々も降りていた。

 

アヤト「じゃあ、行きますか!!」

 

 アヤトは、ドリルクラッシャーを持ちながら駆け出そうとするが。

 

アリス「待ってアヤト君!」

アヤト「ブベラ!」

 

 後ろからアリスに体当たりされて止められた。

 

アヤト「何すんだよ!?」

アリス「アヤト君ズルい!!私!私やりたい!」

ユーリ「私もやりたいわぁ!」

トニー「僕もやりたいね!」

アヤト「やりたいのかよ…………。」

 

 すると、シンは異空間収納から、クジを取り出す。

 

シン「じゃあクジ引きだな。」

リュー「…………なんで異空間収納から、クジを取り出すんだよ。」

シン「用意が良いだろ?」

アヤト「そういう問題か?」

 

 究極魔法研究会とアヤト、リューはクジを引く。

 その結果。

 

リン「やった。当たり。」

ユーリ「ああん、ハズレちゃったぁ………。」

マリア「じゃあリン、お願いね。」

 

 こうして、リンと魔物の戦いが始まる。

 

アリス「ブェクション!!」

 

 アリスがくしゃみをした瞬間、魔物が動き出す。

 

リン「うりゃああああああ!!!」

「「キャアアアアア!!」」

 

 リンが風の魔法を発動する。

 アリスとオリビアは、必死にスカートを抑える。

 狼の魔物は、遥か上空に飛ばされ、リンの目の前にサンドイッチ状に積み重なる。

 

リン「楽勝。」

シン「大分魔法の起動が早くなったね。」

アヤト「レベルアップした証拠だな。」

リュー「すっげぇな!」

シン「でももう少し魔力が少なくても倒せたかな?そうすればもっと起動が早くなるよ。」

リン「そっか、次からは気を付ける。」

 

 その後、再びクジを引く事になった。

 それを見ていたマーリンとメリダは。

 

マーリン「皆、実力が上がっとるのう。」

メリダ「合宿前でこれかい………。他所様の子をこんなにしちまって………。」

 

 メリダは、嘆いていた。

 それから二日後、無事、クロードの街に到着した。

 クロードの街の領主館へと向かう。

 

シシリー「皆さん、着きました!ここです!」

使用人達「お帰りなさいませ、シシリーお嬢様。」

シシリー「お久し振りです!」

カミーユ「アウグスト殿下、賢者様、導師様、お目にかかれて光栄です。」

 

 彼は、執事長のカミーユ=ブランド。

 

カミーユ「ご学友の皆様も、ようこそいらっしゃいました。」

 

 カミーユは、シンを見る。

 

カミーユ「新たな英雄、シン様。使用人一同貴方様のお越しを心よりお待ちしておりました。シシリーお嬢様の事末長く、宜しくお願い致します。」

シシリー「な、な、な………何言ってんですか!!」

シン「何だよ!?」

 

 シンは、ニヤニヤしながら見ている皆に向かって叫ぶ。

 

オーグ「いや、皆。旅で疲れただろう?」

 

 そうして、風呂に入る事に。

 男子風呂では。

 

シン「うは〜………。やっぱ温泉サイコ〜………。」

アヤト「あぁ〜〜〜良いお湯〜〜〜………。」

マーリン「あぁ〜〜〜〜生き返るのう〜〜…………。皆、シンに付き合ってくれてありがとう。」

シン「爺ちゃん?」

 

 マーリンの言葉に、首を傾げるシン。

 マーリンの独白が続く。

 

マーリン「成人するまで山奥の暮らしでこの子には同世代の友人がおらなんだ………。ワシはそれが申し訳なくてのぅ………。シンにとって、こんなにも心許せる友人が出来た事は、ワシにとっても嬉しいんじゃ………。本当にありがとう。」

 

 マーリンがそう言うと、オーグが口を開く。

 

オーグ「いいえ、マーリン殿。お礼を言うのは寧ろ私の方です。第一王子である私には対等な友人など1人も居なかった。それも立場上仕方無い事だと諦めていました。しかし、シンは従兄弟みたいだと、立場など関係なく対等に話してくれた。それは私にとって予想外の嬉しい事だったのです。」

シン(へぇ………初めて聞いたな、オーグの本音………。)

マーク「ウォルフォード君には自分の父ちゃんもお世話になりっぱなしッス!此方こそずっと友人で居て欲しいッス!」

トール「シン殿と一緒に居るのは呆れる事も多いですが、楽しいですから。」

ユリウス「拙者は他の貴族から異端の目で見られる事の多いで御座るが、普通に接して下さるし。」

トニー「シンは人を色眼鏡で見ないからねぇ。女の子も好きだけど、男の友人が出来るのも嬉しいよねぇ。」

アヤト「まあ、シンと一緒に居るのは、飽きないからな。」

 

 オーグに続いて、マーク、トール、ユリウス、トニー、アヤトがそう語る。

 シンは、マーリンに向き合う。

 

シン「俺は感謝してるよ爺ちゃん。爺ちゃんが鍛えてくれなかったら、きっと今の俺は居なかった。そのお陰でこんなに一杯友達も出来たんだからさ!!ありがとう爺ちゃん!!」

マーリン「…………シン………!うぅ………!!」

 

 マーリンは、シンの言葉に感激したのか、大泣きした。

 一方、女湯では。

 

オリビア「凄ーい!広いですー!」

マリア「さぁ行こー!」

アリス「ふわぁぁ!気持ち良い〜〜〜〜!!」

メリダ「骨身に沁み渡るねぇ………。」

ユーリ「疲れも飛んでいきますねぇ〜。」

シシリー「フフ、喜んで貰えて嬉しいです。」

リン「さいこー。」

リュー「良いお湯だぜ。」

 

 マリアは、メリダを見つめていた。

 それに気づいたメリダは、マリアに声をかける。

 

マリア「じー。」

メリダ「何だい?」

マリア「ああ、いや。メリダ様はお歳を召しても良いスタイルだなぁと思って。」

アリス「普段から何かされてるんですか?」

メリダ「そうさねぇ………。シンが作った運動用の魔道具を毎日使ってる位かねぇ。」

 

 以前にシンが作ったランニングマシンを使って運動していると言う。

 それを聞いたアリスとリンは、食いつく。

 

アリス「その器具、使わせて頂けませんか!?」

リン「私も使いたい!」

メリダ「別に構わないけど、身体を鍛えたって、胸は大きくならないよ。」

「「ガーーーーン!!」」

 

 そう、アリスとリンは、それを使えば胸が大きくなるのではと思っていたのだ。

 だが、現実は無慈悲だった。

 

メリダ「大きくなりたいのなら、そこに居る、三人に聞いた方が良いんじゃないかい?」

 

 メリダがそう言うと、アリスとリンは、シシリーとユーリとリューを見る。

 そして、アリスとリンは、シシリーの胸を揉み始める。

 

アリス「おお!!これは凄い!!こんな美乳………アタシも欲しい!!」

シシリー「あっ!!やっ!!アリスさ…………ん!!そ………そこは………!!」

リン「シシリーは感度も良好!」

シシリー「マリアー!!助けて!!」

 

 ユーリとリューは、何とか逃げようとするが、マリアに目をつけられる。

 

マリア「逃がすかーーーー!!」

ユーリ「ひゃあん!!」

リュー「やめろって!!」

 

 しばらくして、シシリーとユーリとリューはダウンする。

 アリス、リン、マリアの標的は、オリビアへと移っていた。

 しばらくすると、メリダの話を聞いていた。

 

メリダ「胸も脂肪で出来てるからねぇ。運動し過ぎても逆に胸が小さくなっちまうんだよ。ってシンが言ってたねぇ。」

マリア「何でシンはそんな事知ってるんですかね?」

メリダ「昔から何にでも疑問と興味を持つ子でねぇ。幼い頃から森の中で色々実験してたみたいだよ。シンの異常は魔法の数々は殆どがその経験によって生まれたもんじゃないのかねぇ。自由であったけど、友達と呼べる相手は作ってやれなかった。だからこそ、今こうして皆がシンの友達で居てくれる事が嬉しくてねぇ………。」

 

 メリダがそう言うと、シシリー達は口を開く。

 

シシリー「メリダ様、私の方こそシン君に出会えて本当に良かったと思ってるんです!」

マリア「友達になれて良かったのは、寧ろ私達です!」

アリス「魔法もいっぱい教えてくれるし!」

ユーリ「得をしているのは私達です!」

リン「超ラッキー!」

オリビア「ですね!」

リュー「だな。」

 

 それを聞いたメリダは、タオルを体に巻きながら立ち上がる。

 

メリダ「アンタ達…………!よしっ!!本当は保護者に徹して口を出さないつもりだったけど、今回の合宿は、私達もアンタ達を鍛えてあげる事にするよ!」

女性陣「ええ!?メリダ様とマーリン様が!?」

メリダ「その代わり、ビシバシ行くから覚悟しなよ!!」

女性陣「はい!!」

 

 こうして、その日は寝る事になった。




今回はここまでです。
魔法合宿へと向かいます。
そして、シン、シシリー、マリア、オーグの面子が、仮面ライダーに変身が可能になりました。
オーグは、ローグに変身する予定です。
それ以外の三人は、オリジナルの仮面ライダーになります。
次回は、シンとシシリーの想いが通じ合う話です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
賢者の孫の新しい小説をやろうかなと検討中です。
仮面ライダーギーツか、別の仮面ライダーとクロスした感じです。
ギーツは、デザイアグランプリが色んな時代で行われていた事などで、問題ないかなと思いまして。
意見があれば、お願いします。
本当にやるかどうかは、未定ですが。


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第6話 決意のプロポーズ

 翌日、マーリンによる魔力制御の訓練が始まる。

 アヤトとリューは、お互いに格闘戦をしていた。

 ハザードレベルを上げる為だ。

 

アヤト「やるじゃねぇの。」

リュー「そうしないと、帝国じゃ生きていけないからな。」

 

 アヤトとリューは、そう話す。

 ひとまず、戦闘訓練を終え、シン達と合流する。

 すると、究極魔法研究会の面々が、魔力障壁を展開していた。

 

アヤト「…………どういう状況………?」

オーグ「おお、アヤト!ちょうど良かった!シンの向こう側に行ってくれ。」

アヤト「は?ていうか、何をするんですか?」

オーグ「お前には、これからシンが発動する魔法の実験台になってもらう。」

アヤト「は!?」

ユーリ「何か、アヤト君なら大丈夫な気がするしねぇ。」

アヤト「おい、待て!」

リュー「頑張れよ!」

 

 アヤトは、仕方なく協力する事に。

 その際、アヤトは、ファイヤーヘッジホッグに変身した。

 

シン(少し前から思い付いてたアイデアがある。まずはよく燃える可燃性のガスをイメージ。)

 

 そんな中、シンは可燃性のガスをイメージして炎の魔法を出す。

 

シン(よし、いける!言ってみれば、これは『ガス爆発』を利用した魔法だ。次に空気による玉を作り、さっきイメージしたガスを閉じ込める。密閉空間に充満したガスに引火させると、ガスが一気に膨張………ガスの逃げ場がなくなり、密閉空間が破綻すると………。)

 

 すると、巨大な火の玉が完成する。

 

トニー「そ、それが新魔法かい!?」

シン「いや、重要なのはここからだ!」

マリア「皆!衝撃に備えて!」

アヤト「何か嫌な予感………。」

 

 アヤトはそう呟いて、アヤトはビルドドライバーのボルテックレバーに手を触れようとする。

 アヤトが必殺技をいつでも撃てる様にしてると、シンも、魔法を放とうとしていた。

 

シン(イメージするのは『指向性』!これまで使ってきたのもそうだったが、爆発系魔法はどうしたって、衝撃波が広範囲に広がり、威力が削がれてしまっていた。その衝撃波を今度は前方にのみ向かう様にイメージする!!)「発射!!」

 

 超巨大なファイヤーボールが、アヤトに向かって放たれる。

 究極魔法研究会の面々は、衝撃に備えたが、来ないことに首を傾げる。

 

アヤト「やばい!やばい!やばい!」

 

 アヤトは、ボルテックレバーを回す。

 

Ready Go!

ボルテックフィニッシュ!

イェーイ!

 

 アヤトは、マルチデリュージガンから高圧防水を行う。

 巨大ファイヤーボールは、軌道が逸れて、二つの方向に向かう。

 

アヤト「……………………。」

 

 アヤトは無事だったが、呆然としていた。

 それを見ていた一同もまた、呆然となっていた。

 

マリア「またやらかしたわね………!」

シン「やった成功だ!!」

メリダ「このお馬鹿!!!!何だいこの威力!!!」

アリス「あはは………。私夢見てるのかな………?」

リン「現実………。」

 

 シンが喜んでいると、メリダが即座にハリセンでシンをぶっ叩く。

 アリスとリンがそう話す中、シンは苦笑しながら答える。

 

シン「いやぁ………。ここまで予想してなかったっと言うか………。」

メリダ「っ!!!」

シン「ごめん!」

 

 シンのその言葉に、メリダはハリセンを構えて、シンが謝る。

 

トール「しかし、これ程の威力なのに、全く衝撃が来ませんでしたね………。」

オーグ「爆風を一方向に向けて、威力を高めた………?」

マーリン「恐らくのう………。」

マーク「もしこれがこっちに来てたら………ゾッとするッス!」

シン「だから大丈夫だって………。」

アヤト「何が大丈夫だよ………!?」

リュー「アヤト!大丈夫か!?」

アヤト「何とか………。」

 

 トールの呟きに、オーグが分析して、マーク達がゾッとしている中、シンの元に変身解除したアヤトがやって来る。

 

アヤト「シン、1発殴らせろ。」

シン「何で!?」

アヤト「下手したら俺が死んでたんだぞ!殴らないと気が済まん!」

シン「理不尽!!」

『理不尽じゃないんだけどな………。』

 

 アヤトの言葉にシンが理不尽と言うが、全員がアヤトに同情していた。

 

メリダ「今日の魔法演習はここまで!館に戻るよ!アヤトも、それくらいにしておきな!」

全員「はーーい!」

アヤト「気が済んだ。」

シン「ひっでぇ………。」

オーグ「シン、アヤト。ちょっと良いか?」

アヤト「ん?どうしたん?」

オーグ「シン、悪いがこの後1度ゲートで王城まで送って欲しい。」

シン「王城?」

オーグ「合宿中は王都を離れる為、魔人達の情報が入り辛い。1日に1度王城に戻り、定期報告を受ける事になっているんだ。」

シン「成る程、分かった。」

アヤト「俺は着いてきてくれって事か?」

オーグ「そういう事だ。」

アヤト「分かった。リュー、先に戻っててくれ。」

リュー「おう。」

 

 シンがゲートを開き、王城へと戻る。

 すると、挙動不審気味の兵士達が居た。

 

兵士「で、殿下………。」

オーグ「何だ?何かあったのか?」

???「何だではありませんわ!アウグスト様!」

 

 挙動不審気味の兵士にオーグが尋ねると、女性の声がしてくる。

 すると、兵士の後ろから、1人の女性が。

 

オーグ「エ………エリー………!?」

シン「ん?誰?」

オーグ「私の婚約者だ………。」

シン「えっ、えっ、えぇぇぇぇ!?」

アヤト「初耳だぞ。」

オーグ「そりゃあ話してないからな………。」

アヤト「それもそうだな。」

エリザベート「何を仲良くコソコソお話していますの?」

 

 エリザベートが近寄ってきて、シンとアヤトに挨拶をする。

 

 

エリザベート「初めまして、英雄の御孫様にして新しい英雄、シン=ウォルフォードさん。そしてアヤト=アーレントさん。私、コーラル公爵家が次女でアウグスト殿下の婚約者でもある、エリザベート=フォン=コーラルと申します。以後、お見知り置きを。」

アヤト「どうも。」

シン「ご、ご丁寧にどうも………。」

 

 エリザベートが挨拶する中、兵士達はこっそりと去っていく。

 オーグがエリザベートに尋ねる。

 

オーグ「それよりエリー、何故こんな所に?」

エリザベート「どうもこうもありませんわ!私やメイを放ったらかしにして、合宿だがに早々に向かわれてしまって!!」

シン「メイ?」

アヤト「誰?」

オーグ「妹だ。」

???「そうです!」

 

 すると、エリザベートの後ろから1人の少女が現れる。

 彼女は、メイ=フォン=アールスハイド。

 オーグの妹だ。

 

オーグ「何だメイ、居たのか。」

メイ「居たのか?じゃないです!!酷いですお兄様!!合宿にはメリダ様もご一緒だと聞いたです!!私がどれだけメリダ様に憧れてるか知ってるのに………置いて行くなんて…………!!」

オーグ「いや何、そうやって悔しがるお前が面白くてな。」

((ひでぇ…………。))

メイ「意地悪です!ズルいです!私もメリダ様にお会いしたいです!!」

 

 メイは、オーグを叩くが、オーグはどこ吹く風とばかりに気にしていなかった。

 シンとアヤトは、メイに質問をする。

 

シン「婆ちゃんに?」

ユウト「メリダ様に?」

メイ「はっ!あわわわわ!ごめんなさいです………!シン様………ユウト様…………メイ=フォン=アールスハイドです………。アウグストお兄様の妹です…………!え、えと……….メリダ様の大ファンです!」

シン「そっかぁ………宜しくねメイちゃん。」

アヤト「宜しくね。」

シン「オーグとは従兄弟みたいな感じだから、メイちゃんもそうしてくれると嬉しいな。」

メイ「じゃ…………じゃあ、シンお兄様?」

シン「あはは、様なんていらないかな?俺は王族じゃないんだから。」

メイ「シンお兄ちゃん………?」

シン「うん!」

メイ「エヘヘ、意地悪じゃないお兄ちゃんが出来たです!」

 

 メイは、嬉しそうに言う。

 オーグは、苦笑を浮かべていたが、ここに2人が居る理由を聞く。

 

オーグ「で?何故こんな場所に?」

エリザベート「私達も、合宿先に同行させて頂きますわ。」

メイ「です!」

オーグ「馬鹿を言うな!!合宿と言っても遊びじゃないんだぞ!!同行許可など降りる訳無いだろ!!」

 

 オーグはそう怒鳴り、ディセウムの元へと向かうが。

 

ディセウム「連れて行ってやれば良いではないか?」

オーグ「父上!?」

アヤト「随分とあっさりだな。」

メイ「流石お父様です!」

ディセウム「マーリン殿とメリダ師もいらっしゃるし、移動はシン君の魔法だ。何の問題も無い。温泉街に滞在させておけば、良い息抜きにもなるだろう。」

エリザベート「私も、お父様に快諾させて頂いておりますわ。」

オーグ「……………。」

 

 オーグが呆然とする中、シンとユウトは笑っていた。

 その後、シンのゲートで、エリザベートとメイも一緒に来る。

 

シン「エリーさん!メイちゃん!こっち来て大丈夫だよー!」

メイ「わぁっ!!さっきまで城に居たのに、もう着いたです!」

アヤト「本当、凄いよな、こいつの魔法。」

オーグ「メイ、はしゃぎ回って逸れても知らないぞ。」

メイ「はわ!うぅ………。」

シン「ホラ、メイちゃん、逸れたら大変だからね。」

メイ「あっ………!ハイです!」

 

 シンは、メイの手を繋いで、ユウトはそれを微笑ましく見ていた。

 

オーグ「メイ、逸れないようにシンの言う事を聞くんだぞ?」

 

 オーグの言葉に、メイは頷く。

 オーグは、エリザベートの方を向く。

 

オーグ「エリー、この合宿は魔法の実戦訓練だ。お前達に構ってる時間は無いぞ。」

エリザベート「邪魔は致しませんわ。ただ、アウグスト様に悪い虫が付かないようにしないと!」

シン「あぁ成る程、合宿には女子が参加してるからな。」

アヤト「究極魔法研究会って、半数が女性だからな。」

エリザベート「いえ、そうではありませんわ。私が1番関係を疑っているのは………。」

「「「いるのは?」」」

 

 エリザベートの言葉に、シン、アヤト、オーグが聞くと、エリザベートはシンを思い切り睨む。

 

エリザベート「あなたですわ!!シンさん!!」

シン「えええええええええ!?」

メイ「はわわ!」

 

 エリザベートは、そこら辺で買った肉まんと串焼き肉を食べながら口を開く。

 

エリザベート「だってアウグスト様ったら、口を開けばシンシンシンシン………!疑うのも無理はありませんわ!!」

シン「いやいやいやいや!無理があるでしょ!?俺とオーグなんて考えたくもない!!」

メイ「はわわ…………大人の話です!!」

アヤト(この世界にも居たんだ、腐女子。)

オーグ「まあ………確かにシンと言う気兼ねしない友人が出来て、浮かれてしまったのは事実だな………。」

 

 そんな風に話していると、エリザベートは、球当てゲームをしながら文句を垂れる。

 

エリザベート「アウグスト様は私と居ると気を遣われますの!?」

オーグ「そんな事はないぞエリー。お前と居るのは心が安らぐ。」

エリザベート「っ………!!」

オーグ「男同士だとバカな事も出来る。私にとって初めての体験だったから、ついはしゃいでしまったのだ。分かってくれエリー。」

エリザベート「そ………そうでしたの………。」

アヤト(チョロい………。)

 

 アヤトは、そんな風に思っていた。

 再び場所が変わり、レストランで、パスタを食べている。

 

オーグ「それに、シンにはもう彼女が居るからな。」

エリザベート「そうなんですの!?」

シン「オーグ!お前何言って………!?」

オーグ「事実だろ?」

シン「…………。」

 

 オーグの言葉に、シンは黙り込む。

 オーグは、ため息を吐きながら口を開く。

 

オーグ「シン、良い機会だ。お前そろそろハッキリしろ。」

シン「ハッキリって…………?」

オーグ「その態度をだ。お前達が互いに好意を持っているのは確かだろう。」

シン「(お互いって………シシリーは俺に優しいけど、それはシシリーが優しいからであって………。)向こうが好意持ってるだなんて何で分かるんだよ!?」

オーグ「見ていれば分かる。」

シン「何で言い切るんだよ!」

アヤト「オーグの言う通りだろ。」

シン「アヤト!?」

アヤト「お前とシシリーの言動を見てれば、嫌でも分かる。」

 

 アヤトはそう語る。

 シンが口を開く。

 

シン「でももし間違えたら………これからどうするんだよ………?」

オーグ「では、このままで良いのか?相手の気持ちが分からないなんて当たり前だ。」

アヤト「それともシン、シシリーから言わせるつもりか?自分にはその勇気が無いのを言い訳にして。」

シン「それは…………。」

オーグ「幼い頃からずっと一緒に居て、婚約者になったと言うのに、未だにこんな誤解を受ける事もあるのだからな。」

エリザベート「そこで私を引き合いに出さないで頂けます…………!?」

アヤト「まあ、どうするかはお前が決めろ。」

シン「……………。」

 

 その後、領主館へと戻る。

 シシリー達と合流して、事情を話す。

 

シシリー「お2人も合宿に!?」

オーグ「成り行きでな。すまないがクロード、合宿中この2人も世話してやってくれないか?」

シシリー「勿論構いませんけど………。」

エリザベート「訓練のお邪魔はしませんわ。」

 

 シンはシシリーを見ていたが、シシリーがシンの視線に気付いたのか、見てくる。

 

シシリー「どうかしたんですか?」

シン「え!?ど、どうって………べ、別に普通だよ!」

シシリー「そうですか?」

アヤト(ヘタレめ。)

エリザベート「ああ、さっきの話はシシリーさんの事でしたのね。」

メイ「シンお兄ちゃんとシシリーさんお似合いです!」

シシリー「…………?」

シン「うわあああああ!!何でも無あああああい!!」

 

 シンは、慌てる。

 その後、マーリンとメリダにエリザベートとメイが挨拶をする。

 

エリザベート「エリザベート=フォン=コーラルと申します。」

メイ「ア………アウグストお兄様の妹の…………メイです………!あの………あの………!」

シン「メイちゃん、婆ちゃんのファンなんだってさ。」

メリダ「おやおや。こんなお婆ちゃんでがっかりしたろ?」

メイ「そ、そ、そんな事ないです!私のお婆様より全然若いし………綺麗だし…………後…………後………とっても綺麗です!!」

 

 メイは噛みながらも、そう答え、メリダは笑う。

 

メイ「あの………宜しければ握手を………!」

メリダ「ウフフ、良いよ。やっぱり女の子は何とも可愛らしくて良いわねぇ。シンとは大違いだよ。」

マーリン「ホッホッホ。」

シン「悪かったな………。それでも小さい頃はよく手を繋いでただろ?」

メリダ「アンタは目を離すと何をしでかすか分からなかったからねぇ。小さい頃手を繋いでたのは、アンタを拘束する為だったからね。」

シン「ええ…………!?」

 

 衝撃のカミングアウトに、シンは驚く。

 すると、周囲から。

 

アヤト「確かに妥当だよな。」

シン「え!?」

アヤト「こんな奴を放っておいたら、碌な事にならなそうだからな。」

マリア「メリダ様とアヤトの気持ち分かるわ〜〜。」

アリス「シン君みたいな子供じゃ拘束しとかないと、心配でしょうがないよね!!」

リン「確かに、その方が効率的。」

ユーリ「ゴメンねぇウォルフォード君、それは仕方無いかもぉ。育てる方は大変よねぇ。」

オリビア「私の子供は普通である事を祈ります………。」

アヤト(まあ、シンが転生者で、周囲に興味を持ってたのが原因だからな。)

 

 アヤトと女性陣の言葉に、シンは傷ついていく。

 シシリーは、慌てていた。

 

シシリー「あ…………あの…………えと…………私は………。」

シン「いいんだシシリー………。気を遣わなくても…………。」

シシリー「そ、そんなんじゃないです!!シン君との子供なら可愛いでしょうし、私は喜んで手を繋ぎますよ!!」

 

 シシリーの爆弾発言に、周囲が固まる。

 シシリーも、自分が何を言ったのか気付いたのか、顔を赤く染める。

 

シシリー「あ…………あれ…………?私………今何て…………?」

マリア「シシリー………アンタ………。」

アリス「ヒューヒュー!」

ユーリ「わぁ大胆!」

リン「盛大な自爆。」

アヤト「爆弾発言だねぇ。」

リュー「言うじゃねぇの。」

シシリー「あ…………あく………あぅ………やあああああああ!!」

 

 シシリーは、羞恥心が振り切ったのか、逃げ出す。

 シンはそれを見ていたが、オーグが肩に手を乗せる。

 

オーグ「シン、分かってるな?」

シン「あぁ………。彼処まで言われて、分からない程鈍感じゃないよ………。」

オーグ「彼処まで言われないと分からない鈍感なんだよ。」

アヤト「それな。」

シン「うぐっ………。」

オーグ「まあ、頑張れ。」

シン「おう………。」

 

 そう言って、シンはシシリーの元へと向かう。

 それを見ていたオーグとアヤトは。

 

オーグ「アヤト。言いたい事は分かるな?」

アヤト「はい。覗きましょうか。」

 

 こうして、全員で覗く事になった。

 隠れていると、告白が始まった頃の様だった。

 

シン「俺さ、あの時シシリーを見て、頭に雷が落ちたんだ。」

シシリー「え…………?」

シン「なんて可愛い娘なんだろうって………。」

シシリー「え!?あ…………あ!そ………その………私も思いました………。なんて格好良い人なんだろうって………。」

シン「え、本当に!?」

シシリー「はい………。」

シン「………シシリー。」

シシリー「ハ………ハイ!!」

シン「好きだよ。」

シシリー「っ………!」

アヤト(やっと告白したか。)

 

 アヤトは、そう思っていた。

 2人がキスをしようとすると。

 

ユウト「ちょっ………押すな!!」

リュー「見えねぇんだよ!」

「「っ!?」」

 

 アヤト達が倒れて、全員出てしまった。

 全員が誤魔化し笑いを浮かべる。

 

アヤト「アハハハハ………。グェッ!」

 

 アヤトが笑う中、シンに首根っこを掴まれて、締められた鶏みたいな声を出す。

 

シシリー「なななななななな………!?」

シン「皆さん揃って覗き見ですか!?」

「「だって、こんなビッグイベント見過ごせる訳ないじゃない!!」」

アヤト「見たって良いだろ!!」

シン「逆ギレすな!!」

 

 マリアとアリス、アヤトの逆ギレ気味の開き直りに、シンが怒鳴る。

 

オーグ「私はシンを焚き付けた張本人だからな。責任を持って見守る必要がある。」

エリザベート「私はアウグスト様の婚約者ですから、同じく責任が。」

メイ「はわわ………大人の情事ですぅ!!」

メリダ「シン!よく言った!!よくやったよ!!」

マーリン「ホッホッホ!!」

 

 メリダとマーリンも出てきて、シンはため息を吐く。

 

シン「はぁ…………まあ………そんな訳で、シシリーと恋人同士になりました。」

アヤト「おめでとう。」

 

 皆が、拍手喝采する。

 すると、シンとシシリーの背後から、カミーユも出てくる。

 

カミーユ「これは早速明日お祝いしなければいけませんね!!」

シン(アンタまで居たのかよ………。)

 

 すると、オーグがシンに話しかける。

 

オーグ「シン、取り敢えずおめでとうと言っておく。だが、今は非常事態の最中だ。付き合いに感けて訓練を疎かにしないようにな。」

シン「だったら何でこのタイミングで焚き付けたりしたんだよ………。」

オーグ「だってお前、物語なんかじゃ『この戦いが終わったら告白するんだ』って言った奴は大抵死ぬだろ?その前にと思ったんだ。」

シン(フラグ回避かよ………。)

アヤト(ていうか、この世界にも死亡フラグの概念あるんだ。)

 

 そんな風に思ったアヤトだった。

 翌日、シン達が海に向かった中、アヤトとリューは、魔法練習用の荒野に向かっていた。

 

リュー「何で俺たちは海に行かないんだ?」

アヤト「お前のハザードレベルを上げる為だ。」

リュー「そ、そっか。」

 

 アヤトとリューはそんなふうに話して、格闘戦を繰り広げていく。

 この日も、リューのハザードレベルが上がって、3.0になった。

 その後、シンがやって来て、回収してもらった。

 その夜、皆の部屋にアヤトとリューも来た。

 

シン「そう言えば、シシリー達は何時オーグとエリーと知り合ったんだ?」

シシリー「5歳の時です。」

マリア「王族や貴族は、5歳になるとお披露目会があるのよ。」

アヤト「じゃあ、貴族・王族組は、幼馴染みたいな関係って事か?」

オーグ「そんな所だ。」

ユリウス「あの頃のトールは、よく女の子に間違えられていたで御座る。」

トール「黒歴史を抉らないで下さい!」

 

 そう、トールの見た目は中性的なので、よく間違われたそうだ。

 

アヤト「まあ、トールが女風呂に入っても違和感ないよな。」

トール「やめて下さいよ!」

シン「良いなぁ〜、俺が5歳の頃は森で鹿狩りしてたなぁ。」

トール「それはそれで凄い気が………。」

アヤト「俺は、5歳の頃は、父さんと母さんが稽古つけてた。」

トニー「君の両親って何者なの………?」

マリア「お披露目会かぁ〜、懐かしい〜!アウグスト殿下の周りは女の子達でいっぱいだったな〜。」

オーグ「うぅ………あれは最悪だった………。初めて会う令嬢達に様々なアピールをされ続けて………。」

シン「王族だもんなぁ。」

アヤト「まあ、そんなもんだろ。」

リュー「そうなのか?」

エリザベート「私はアウグスト様に近付けませんでしたの…………。」

アヤト「そうなんだ。」

 

 オーグ曰く、自らエリザベートに声をかけたが、面倒そうという理由で断られたとの事。

 

アヤト「そんな理由!?」

オーグ「あの中でエリーだけが、媚に売りに来なかったからなぁ。それで興味を持ったんだ。」

エリザベート「っ!」

アヤト「と言うと?」

オーグ「他の騒がしい令嬢を、冷めた目で見ていたのが印象的だった。」

エリザベート「ア、アウグスト様………。皆さんの前ですわ………。」

アヤト「なるほどね。」

 

 アヤトが納得している中、マリアが嘆く。

 

マリア「はぁ…………。何で私は選ばれないのかなぁ………?殿下と言い、英雄の孫と言い、目の前のチャンスを悉く………。」

アリス「私なんかチャンスすら無かったよ………?」

リン「私は魔法が恋人!」

マリア「うっ………。ユ、ユーリはどうなの?彼氏の1人や2人は居そうじゃない!」

ユーリ「う〜ん、それはぁ………ヒ・ミ・ツ♪」

マリア「ユーリズル〜い………。」

アヤト(まあ、俺はフリーを貫くか。スタークの脅威があるし。呑気にそんな事をしてる余裕はない。)

シン「っ!シッ!」

 

 シンが静かにするように言う。

 すると、廊下から足音がして、メリダが部屋に入ってくる。

 

メリダ「あんた達!いい加減におし!明日もまた………おや?声がすると思ってたけど…………気のせいだったかね………?」

 

 メリダは、首を傾げる。

 実際には、布団の中やベッドの裏などに隠れていた。

 

アヤト(何とか誤魔化せたか………?)

 

 アヤトは、トニーと同じ位置で隠れていた。

 ちなみに、リューは別の場所に隠れていた。

 だが。

 

シシリー「きゃああああ!!」

シン「えぇ!?うわああああ!!ごごご、ごめん!!!そんなつもりは…………!!」

アヤト(何盛ってんだアイツ!!)

メリダ「シン!あんた!何やってんだい!!付き合いだして早速一線越える気かい!?」

アヤト(シン、終わったな。)

シン「いや、これはそのぉ………。」

メリダ「言い訳するんじゃないよ!!」

シン「えぇぇぇ…………!?」

 

 シンがメリダに見つかっていた。

 そんな中。

 

リン「ウォルフォード君のエッチ〜。」

マリア「あぁ………シシリーが………!シシリーがどんどん先に行っちゃう………!」

アヤト(おい、声を出すなよ!!)

メリダ「あんた達!!全員起きてここにお座り!!」

全員「ごめんなさーーーい!!!」

アヤト(俺はただ、巻き込まれただけなのに………!)

 

 アヤトは、全員の説教に巻き込まれ、シンに恨みがましい視線を向ける。

 結果、全員が寝不足になったとさ。




今回はここまでです。
シンが結ばれました。
次回は、婚約発表までです。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
新たに、賢者の孫とセイバーをやろうかなと思っています。
セイバーなら、賢者の孫の世界線とも合いそうですし。
もし、意見がある場合は、下記からお願いします。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=298432&uid=373253
こちらの方も、よろしくお願いします。


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第7話 誓いの婚約披露パーティー

 翌朝のクロード領主館では、アヤトがシンに恨みがましい視線を向ける。

 

アヤト「お前な………。付き合って早々に盛ってんじゃねぇぞ。」

シン「いや、盛ってないから!」

アヤト「おかげで寝不足だよ。」

シン「いや、それは全員同じだろ。」

シシリー「あ………。」

シン「お………。」

 

 アヤトがシンに文句を言っていると、シシリーと合流して、シンとシシリーが顔を赤らめる。

 

シシリー「お、おはようございます………!」

シン「お、おはよう………あの………えっと………食堂行こうか………?でないと、朝食冷めちゃうし…………。」

シシリー「そ、そうですね………あ、あのシン君!」

シン「え?」

シシリー「今、ちょっと良いですか?一つ、お願いがあるんですけど………。」

アヤト「ああ。ご両親へのご挨拶か。」

シシリー「そ、そうです………。」

アヤト「分かった。皆には、シンとシシリーはご両親へのご挨拶に向かうから、朝食が遅れるって伝えておくわ。」

シン「助かるよ。」

アヤト「ああ。」

 

 シンとシシリーは、両親の元へと向かい、ユウトは朝食を食べに行く。

 その間に思った事は。

 

アヤト(彼女ね…………。まあ、スタークだったり、魔人の脅威がある以上、そんな惚気た話はとても出来ないな。)

 

 アヤト自身、前世でモテた事が無い為、恋愛に関しては興味を失せている。

 それに、スタークと魔人の脅威が迫っている以上、そんな事をしてる余裕はないとも思っている。

 アヤト達が朝食を食べ終え、シンとシシリーも戻って来て、訓練をする事に。

 

トニー「やるねトール!」

トール「トニー殿こそ!」

リュー「アヤトもやるじゃねぇか!」

アヤト「俺もやるんだよ。」

 

 それを見ていたエリザベートは。

 

エリザベート「な、何ですの!?皆様のこの魔法!」

シン「準備運動は、こんなもんで良いかな?」

エリザベート「ええ!?」

 

 シンの呟きを聞いたエリザベートは、驚愕する。

 すると、マーリンがエリザベートとメイに話しかける。

 

マーリン「ホッホッホッ。どうじゃな?折角見学に来とるんじゃ。お嬢様方も少しやってみんかね?」

メイ「え?」

エリザベート「わ、私は遠慮させて頂きますわ………。魔法の素質が無いのは分かっておりますから…………。」

メイ「私やりたいです!!」

マーリン「では、基本の魔力制御からやってみようかのう。」

 

 そうして、メイは魔力制御をやる事になった。

 すると、かなりの量の魔力が集まる。

 

メイ「わっ!わっ!凄いです!!こんなに魔力が!!」

マーリン「おぉ!これは凄いのう!」

メリダ「その歳でやるじゃないかぁ!メイちゃんには魔法使いの素質があるようだねぇ!」

メイ「えへへ………。」

アリス「もしかしてメイ姫様、凄い魔法使いになっちゃうかも………。」

リン「負けてられない!頑張る!」

マーリン「ホッホッホッ、メイちゃんが良い刺激になっとるのう。」

 

 メイに対抗心を燃やしたリンが、魔力を集め始める。

 マーリンは笑って見ていたが、リンが集めた魔力に、青ざめる。

 

マーリン「リンさん!それは頑張り過ぎじゃ!」

リン「え?」

 

 マーリンがそう言葉をかけるが、時既に遅く、爆発してしまう。

 煙が晴れると、アフロヘアーになったリンが現れる。

 

リン「ゲホッ…………。」

メリダ「あっはっはっ!」

マーリン「言わんこっちゃない………。」

メリダ「アンタ達は、将来メイちゃんに色んな所を追い抜かされない様に頑張るんだね!」

アリス・リン「色んな所………。」

 

 メリダにそう言われ、アリスとリンは想像した。

 背が高く、胸が大きいメイを。

 すると、アリスとリンはメイを睨む。

 

アリス・メイ「ギロッ!!」

メイ「はわわっ!!」

アヤト「幼女を相手に睨むなよ。」

 

 アヤトはアリスとリンを嗜めて、メイはシンの後ろに隠れる。

 

オーグ「む?そこで兄ではなく、何故シンの後ろに隠れる?」

シン「え?」

オーグ「これはお仕置きが必要だな。」

メイ「はわわわわ!シンお兄ちゃん助けて下さいです!!」

シン「揃いも揃ってお前等は………。」

オーグ「冗談だ。」

シン「本当かよ?」

 

 一方、ブルースフィア帝国の帝都に居るシュトローム、ミリアは。

 

シュトローム「ミリアさん、進捗はどうですか?」

ミリア「街道を通る商隊を襲う事で、帝国各地の都市は食料不足に陥り、日々不満が高まっています。」

シュトローム「では、そろそろ頃合いかも知れませんね。」

 

 相変わらず暗躍していた。

 それを見ていたスタークは。

 

スターク「やれやれ。まあ、こっちもそろそろ回収するか。」

 

 そう呟く。

 一方、魔人とスタークの暗躍に気づいていないユウト達の方は、シンとアヤトを除いた全員が魔力障壁を展開している。

 

シン「何でまたそんなに警戒してんの……?」

アヤト「何で俺がここで待機なんだ………?」

ユーリ「だってウォルフォード君…………新しい魔法の実験するんでしょ………?そこにアーレント君が居れば何とかなりそうだし………。」

マリア「巻き込まれて………吹っ飛ばされたら敵わないし………。」

トニー「当然の措置だね。」

リュー「頑張れよ!」

オーグ「メイ、今度は私の後ろにちゃんと隠れてろ?」

メイ「はいです!」

アヤト「俺は実験台かよ。」

 

 皆の言葉にアヤトはそう呟く。

 アヤトは、ため息を吐きながら答える。

 

アヤト「シン、早くやれ。」

シン「分かった。今回はそんなに危なくないから。」

 

 シンはそう言いながら足元の石ころを持つ。

 

オーグ「本当か?」

 

 シンの言葉に疑いを持ったのか、魔力障壁の数を更に増やす。

 

シン「攻撃魔法じゃないから、大丈夫だって!」

アヤト「お前………魔法に関してはどんだけ信用されてないんだよ。」

オーグ「そうか。なら。」

 

 オーグ達は、訝しみつつも、魔力障壁を解除する。

 そんな中、シンが魔力を集め始める。

 

トール「集まってる魔力の量が、尋常じゃないですね…………。」

エリザベート「ほ、本当に危なくないものでしょうね!?」

アヤト「本当に大丈夫かよ?」

 

 色んな人たちが不安そうな声を出す中、シンの魔法が発動して、石が宙に浮く。

 

シン「おっ!やった!!成功したー!!」

 

 全員が目を疑い、目をゴシゴシするが、幻ではなかった。

 

エリザベート「これって…………一体何の魔法ですの…………?」

シン「浮遊魔法だよ。石に反重力の…………あぁえっと、物が落ちるのと反対のイメージを込めてみたんだ。」

マリア「あ、相変わらず何なのかよく分かんないけど………また凄いのやってのけたって事はよく分かるわ………。」

アヤト「本当にだよ。」

リュー「なんでもありかよ。」

シン「凄いのはこれからかもね。」

 

 シンがそう言って魔力を再び集めると、今度はシン自身が浮遊した。

 

全員「え…………?」

 

 これには、究極魔法研究会のみならず、アヤト、リューも驚いた。

 

シン(上下移動の浮遊魔法を自分にかけて、左右には風の魔法を応用すれば!!)

 

 すると、シンは自在に空を飛ぶ。

 

シン「お!!おっほっほっほ!!こりゃ楽しいわ!!ヒャッホー!!」

 

 シンは、鳥と共に空を自由に飛び回ってる。

 

アヤト「楽しそうだな。」

 

 しばらくすると、シンが降り立つ。

 それには、アヤトを除く全員が引いていた。

 

オーグ「お前…………。またとんでもない事を…………。」

アヤト「飛ぶだけにか?」

マリア「アヤト…………。今、それを言う?」

 

 オーグの呟きに対して、アヤトはニヤニヤしながらそう答える。

 すると、寒い雰囲気になってしまう。

 

アヤト「………ゴホン。まあ、ギャグは置いておいて。浮遊魔法自体は、シュトロームも使用していたからな。使えておいて損はないだろうしな。」

リュー「そうだな。こっちで飛べるのは現状、シンを除くとアヤトだけだからな。」

トール「ああ、ホークガトリングの事ですね。」

シシリー「シン君、凄い!」

 

 すると、興奮したメイがシンに話しかける。

 

メイ「シンお兄ちゃん!私も空を飛びたいです!教えて下さいです!」

マリア「だ、駄目ですよメイ姫様!!」

メイ「何でですか?」

マリア「だって、今飛んだら………。」

メイ「飛んだら?」

マリア「パンツ丸見えになっちゃうじゃないですか!!」

メイ「あう!」

 

 そんな風に話していた。

 その後、シンとシシリーは、マーリンとメリダを連れて、再びクロード邸へと向かい、シンとマーリンとメリダが血のつながっていない事を明かしたが、シシリーの両親は、それを知っても尚、シシリーを思って婚約を認めた事を明かす。

 シン達が帰ってくると、アヤトは、マーリンとメリダの2人に呼び出される。

 

アヤト「あの…………俺、何かしました?」

マーリン「いや、別にアヤト君を責めようという訳ではないんじゃ。」

メリダ「……………アンタは、結婚を考えてはいるかい?」

アヤト「…………何ですか、藪から棒に。まあ、考えていませんが。」

マーリン「実はのぉ。わしらの家が現在、お主に求婚してくる貴族の娘が押し寄せておるんじゃ。」

アヤト「……………え?」

メリダ「アンタはシンと違って、英雄でありながらも、女性と仲が良いという噂を聞かない上に、シンと比べて比較的会いやすい。チャンスと感じた連中が、私らの家に押し寄せて、困ってるんだと。」

アヤト「えぇ…………。」

 

 そう、アヤトは、シンと比べると比較的会いやすい事から、未婚の娘が押し寄せてくるとの事。

 それを聞いたアヤトは困惑する。

 

アヤト「………まあ、ここ最近は、単独で街を出歩かない様にしてるけど………。」

マーリン「まあ、気持ちは分かるぞい。」

メリダ「マーリンなんて、婚期を逃し掛けてる貴族の女に………。」

マーリン「その話は止めんか?」

アヤト「…………つまり、さっさと婚約者を決めろって事ですか?」

メリダ「口を悪くしながら言うと、そうなるさね。」

マーリン「そもそも、どうして恋愛事に興味を持たないのじゃ?」

アヤト「…………。」

 

 マーリンの質問に、アヤトは黙り込む。

 暫くの沈黙の末、アヤトは口を開く。

 

アヤト「…………俺って、そもそも山育ちだったんです。両親が山で育てたから。」

マーリン「儂らとシンと同じじゃのう。」

アヤト「まあ、ちゃんと常識も教えて貰いましたけど。」

メリダ「それが当然さね。なのにこのジジイは………!」

マーリン「……………。」

 

 メリダの視線に、目を逸らすマーリン。

 その2人を無視して、アヤトは独白を続ける。

 

アヤト「山で育ったもんだから、あんまり女性と会う機会が無かったんです。独り立ちしてからは、女性と会う事も増えましたが、特に何かあるわけではなかったので。」

メリダ「なるほどねぇ………。」

アヤト「それなのに、突然モテても、どうしたら良いのか全く分からないんです。」

マーリン「…………なるほど。」

 

 アヤトは、恋愛経験は全くの皆無だ。

 この世界でも、前世でも。

 その為、恋愛事には一切の興味を示さない。

 それを聞いたマーリンとメリダは。

 

メリダ「これは………思いの外重症だね。」

マーリン「じゃが、儂らには何も出来んぞ。」

メリダ「困ったね…………。」

 

 困り果てていた。

 アヤトもまた、困り果てていた。

 この日は、解散となった。

 アヤトは、自室にて考えていた。

 

アヤト(スタークや魔人云々で誤魔化してたけど、迷惑をかけてるんじゃな……。でも、どうしたら良いんだ?)

 

 アヤトは考えていたが、答えが一切出なかった。

 そんな事を考えながら、アヤトは寝た。

 翌日、シンはオーグ達に戦闘服を渡していた。

 

シン「うん、皆似合ってるじゃん!」

ユーリ「これって、ウォルフォード君の付与した防御魔法があるのよねぇ?」

シン「それだけじゃない。姿を消す光学迷彩に、体感温度を一定に保つ快適温度も施してある。」

アリス「えっと、国宝級に更にプラスしてあるって事?」

シン「あぁ。」

マリア「はぁ………。遂に国家機密満載の服を着る事になるのかぁ………。」

 

 ちなみに、アヤト、リューはその服を着用していない。

 

シン「あ、因みにブーツは何もしてないよ?俺のと同じジェットブーツにする事は出来るけど、あれは扱うのにコツがいるからね。」

オーグ「この服と、以前貰ったアクセサリーで、防御は完璧と言う訳か。と言う事は今日の訓練は、相当危険な物になりそうだな。」

シン「へへ、当たり〜。」

 

 シンの言葉に、オーグ、アヤト、リューを除く全員が驚く。

 

シン「皆に実戦訓練をして貰おうかなって。」

アリス「実戦?」

アヤト「という事は、アレか?」

シン「ああ。災害級の討伐!!」

 

 シンの言葉に、全員が再び驚く。

 マークとオリビアが口を開く。

 

マーク「ささ………災害級!?」

オリビア「無理ですそんなの!!」

シン「大丈夫だって!皆そのくらい出来るようになってるから!」

アヤト「それに、どうせ俺たちはいずれ、魔人と戦う事になる。災害級如きで怯むなよ。」

トール「災害級如きって………。」

リュー「そうだぞ。下手したら、死ぬかもしれないんだぜ。」

 

 そんな風に話していると。

 

メイ「置いて行くなんて酷いです!!どうして一緒に行っちゃ駄目なんです!?」

 

 そう言って、メイとエリザベートが現れる。

 オーグは、呆れながら理由を言う。

 

オーグ「今日は実戦訓練だ。僅かでも危険がある所に連れては行けん。」

メイ「ム〜〜〜!!」

マリア「メイ姫様は、お部屋でお待ち下さい。」

メイ「で〜〜〜も〜〜〜〜〜!!!!」

エリザベート「お止しなさいメイ。」

アヤト「メイちゃん。俺たちは、災害級を討伐しに行くんだ。逸れて、災害級と遭遇したら危ないよ。」

 

 その後も駄々を捏ねるメイだったが、シンが糸電話型の魔道具をメイに渡す。

 だが、それがメリダに見つかり、怒られそうになるが、銅像にそれを持たせて出発する。

 それを見ていたアヤトは。

 

アヤト(………メリダ様には、ビルドフォンの事は黙っておこう。)

 

 そう誓ったのだった。

 ちなみに、ビルドフォンは現状、シンぐらいしか知らない。

 究極魔法研究会一同+αは、森林の中を歩いている。

 索敵魔法を使いながら。

 アヤト曰く、旧帝国から魔物が流れて来てるから、以前のようにずっと各地で増えているとの事。

 すると、シシリーの感知魔法に引っかかる。

 

シシリー「あ、これ………この先………。」

シン「気付いた?シシリー。」

シシリー「はい………。」

 

 目の前には、魔物化したライオンが。

 

アヤト「ライオンの魔物か。随分とデカいなぁ。」

シン「獅子は虎と違って動きは鈍いけど力は強い。なので近付く事はなるべく避けた方が良い。」

シシリー「じゃあ、遠くから魔法攻撃ですね?」

シン「うん、正解!」

シシリー「はう…………!」

 

 シンは、シシリーの頭を撫でる。

 だが、女性陣の嫉妬の視線が2人に向き、すぐに止める。

 

アヤト「おーい!イチャついてんじゃねぇぞ!」

シン「イチャついてないから!………よし、まずは………ユリウス、シシリー、ユーリ、マーク、オリビア。この5人で行こう。」

アヤト「この5人は、支援系がメインだな。特に、ユリウスは放出系の魔法が苦手だったはずだ。」

オーグ「大丈夫なのか?」

シン「これでも十分過ぎると思うよ?」

 

 オーグの疑問に、シンが笑いながら答える。

 オリビアは不安になるが、マークが肩に手を置く。

 

オリビア「……………。」

マーク「大丈夫。ウォルフォード君を信じよう!」

オリビア「………うん!」

 

 すると、ライオンの魔物がシシリー達に気付いたのか、振り返って吠える。

 

シン「来たぞ!皆用意して!」

 

 その声と共に、5人は魔法を発動する。

 手元に魔力を貯める。

 ライオンの魔物が5人に近寄ってくるが。

 

シン「撃て!!!」

 

 5人は魔法を一斉発射する。

 すると、大爆発が起こり、獅子の魔物が跡形も無く消えた。

 

シン「あはは………やっぱりやり過ぎたか………。」

アヤト「どう見てもオーバーキルだろ。」

シシリー「え?あの…………えと…………獅子の魔物は………?」

リュー「消し炭になったみたいだな。」

ユリウス「せ……拙者達が災害級を………!?」

シン「支援系のメンバーでこれだからねぇ。攻撃魔法の得意なそっちの6人は、単独で討伐出来るんじゃない?あと、アヤト達は自由に動いちゃって良いよ。」

アヤト「じゃあ、遠慮なく。」

リュー「行くか!」

 

 アヤトはそう言って、パンダとロケットのフルボトルを取り出して、ビルドドライバーに装填する。

 



『パンダ!ロケット!


『ベストマッチ!』

 

 

 ボルテックレバーを回して、ハーフボディを形成する。



 

Are you ready?』
 


 

アヤト「変身!」

 

 

 パンダとロケットのハーフボディが合わさって、変身する。



 

ぶっ飛びモノトーン!ロケットパンダ!』


イエェイィ!』



 

 アヤトは、ビルド・ロケットパンダフォームへと変身して、オーグ達と共に災害級の魔物を倒していく。

 

アリス「フッ!!」

マリア「ハァッ!!」

トール「ヤァッ!!」

リン「ハァッ!!」

オーグ「フッ。」

 

 5人は、それぞれが得意とする魔法で魔物を倒していく。

 

アヤト「ハアッ!!」

 

 アヤトは、左肩のBLDロケットショルダーから火を出して、強力な推進力で魔物を翻弄し、ジャイアントスクラッシャーでスマッシュに攻撃する。

 方向転換の際には、スペースライドアームとスペースライドレッグに搭載されている姿勢制御用ロケットスラスタを使っている。

 

リュー「ハアッ!おらっ!」

 

 リューは、ドラゴンボトルを振って、格闘戦をする。

 

トニー「フッ!!」

 

 バイブレーションソードを握ったトニーが、最後の1匹に挑む。

 

トニー「ハアアアアアアア!!!」

 

 トニーのジャンプからの振り下ろしで討伐完了した。

 

シン「な?出来ただろ?」

マリア「あぁ、うん………。出来たと言うか、出来ちゃったと言うか………。」

アリス「特にトニーは凄かったね!!バイブレーションソードでパサーって!!」

ユーリ「けど、何時の間にバイブレーションソードを?」

トニー「シンがね、剣が使えるならって、一振り譲ってくれてね。」

ユリウス「ズルいで御座る!!拙者も!!」

トニー「シ、シンに頼んで?」

ユリウス「シン殿ォォッ!!」

シン「よし、皆次の段階に進んだ様だな。」

オーグ「次はお前の番だな。」

シン「え?あ、あぁ…………。」

オーグ「婚約披露パーティでの晴れ姿、楽しみにしているぞ。」

アヤト「それはそうと、スマッシュが居るぞ。」

シン「えっ!?」

 

 トニー達がそう話す中、アヤトはそう言う。

 そこには、スマッシュが居た。

 

オーグ「スマッシュ!?」

アヤト「こいつは、俺に任せてくれ。これらを使ってみるか。」

 

 オーグ達が身構える中、アヤトは海賊と電車のフルボトルを取り出して振る。

 そして、ビルドドライバーに装填する。

 

海賊!電車!


『ベストマッチ!』

 

 

 アヤトはボルテックレバーを回して、それぞれのハーフボディを生成する。



 

Are you ready?』
 

 


アヤト「ビルドアップ!」

 

 

 ハーフボディが合わさり、海賊レッシャーフォームへと変化する。



 

定刻の反逆者!海賊レッシャー!』


イエアァ!

カイゾクハッシャー!』

 

 

 変身完了すると共に、カイゾクハッシャーが生成される。

 アヤトはカイゾクハッシャーで、斬撃攻撃を行う。

 スマッシュは、アヤトの攻撃に怯みつつも、攻撃していく。

 だが、アヤトの攻撃にスマッシュは吹っ飛ぶ。

 その隙に、アヤトはカイゾクハッシャーに付いている電車型攻撃ユニット、ビルドアロー号を、海賊船型攻撃ユニット、ビルドオーシャン号から引っ張ってエネルギーをチャージする。

 

各駅電車!急行電車!快速電車!海賊電車!

 

アヤト「勝利の法則は、決まった!」

 

発射!

 

 アヤトはそう言って、カイゾクハッシャーから、ビルドアロー号を模したエネルギー弾を発射し、スマッシュに攻撃する。

 スマッシュは攻撃を喰らって、そのまま爆発する。

 そして、アヤトはエンプティボトルをスマッシュに向けて、成分を採取する。

 

アヤト「一丁上がり。」

シン「なんでもありだよな……………。」

リュー「やるじゃねぇの。」

 

 アヤト達はそう話す。

 一方、スタークは。

 

スターク「スマッシュが倒されたか。なら、さっさと探すか。」

 

 そう言って、とある遺跡を探す。

 

スターク「確か、ここに……………ビンゴ!」

 

 そう言って、箱状の何かを取り出す。

 

スターク「やっと回収出来たな。パンドラボックスを。」

 

 スタークはそうほくそ笑む。

  着々と準備が進み、結婚披露パーティーの日が訪れた。

 王都にあるクロード邸では、多くの貴族達や人々が集まっていた。

 

アヤト「いやぁ〜、大勢居て賑やかだね〜。」

リュー「すげぇな……………。」

 

 アヤトとリューは、そんな風に話す。

 するとそこに、シシリーの兄のロイス=フォン=クロードと2人の姉のセシリア=フォン=クロードとシルビア=フォン=クロードが来た。

 

ロイス「あっ!やあシシリ……………ぶっ!?」

セシリア・シルビア「あーんシシリー!久し振りー!」

アヤト「あ、踏み潰された。」

 

 しかし後ろからセシリアとシルビアに押されて踏み台にされた。

 

セシリア「また可愛くなったわねえ!」

シルビア「急に婚約だなんて…………お姉ちゃん達寂しいわよ!!」

シシリー「セシリアお姉様…………シルビアお姉様……………。」

シン(そう言やシシリーは三女だって…………あれが上のお姉さん達か…………。)

アヤト(めっちゃシシリーを愛でてるな。)

セシリア・シルビア「アナタがシン君ね?」

 

 その光景を見ながら、シンとアヤトはそう思う。

 すると、セシリアとシルビアが、じろじろとシンを見る。

 

シン(うわぁ…………凄い値踏みされてる………これ『アンタなんかうちの妹に相応しくない!!』ってパターン?)

 

 シンはそう思っていた。

 しかしそうではなかった。

 

セシリア「えーと…………賢者様と導師様の御孫さんで…………?」

シルビア「そこに居るアヤト=アーレント君と共に叙勲を受けた英雄で?将来性も十分期待出来て……………。」

セシリア「イケメン。文句の付け所は?」

シルビア「ふぅ…………無いわね、残念ながら。」

セシリア・シルビア「最高の相手を見付けたわねシシリー!!」

 

 セシリアとシルビアは、シシリーを祝福した。

 

シシリー「お姉様達ったら……………。」

アヤト「大変言いにくいんだが……………その押しつぶされてる人は?」

セシリア・シルビア「あ。」

 

 倒れてるロイスにやっと気付き、シシリーが起こす。

 

シシリー「ロイスお兄様です。」

ロイス「や…………やっと気付いてくれた…………。頼れる義弟が出来て嬉しいよ。君なら安心してシシリーを任せられそうだ。」

シン(シシリー…………家族皆に愛されてるんだな…………。それは兎も角…………何かクロード家の上下関係が見えてきたような…………シ…………シシリーも何時かそっち側へ行ってしまうんだろうか……………。)

 

 クロード家の上下関係を見て、シンはそう思う。

 遂に婚約披露の時間が来た。

 新郎控え室では。

 

シン「こ、こんな感じで良いのか…………?」

アヤト「まあ、良いんじゃないか?」

 

 シンとアヤトはそう話す。

 すると、ドアがノックされる。

 

シン「あ、はい!」

 

 ドアが開くと、ウエディングドレス姿のシシリーが立っていた。

 

シン「っ…………!!」

アヤト「へぇ。」

シン「……………。」

シシリー「ん?あの、シン君?」

シン「あっ、ああゴメン!か、可愛過ぎて見惚れてた……………。」

シシリー「あ、ありがとうございます!シン君こそ、格好良いですよ!」

シン「本当に…………?」

シシリー「本当です!私の方こそ本当ですか?」

シン「あぁ、可愛過ぎてドキドキするよ。」

シシリー「シン君…………。」

シン「シシリー……………。」

 

 2人は、そんな感じに見つめ合う。

 それを見ていたアヤトは。

 

アヤト(お邪魔虫は退散するか。)

 

 そう思い、さっさと離室した。

 しばらくすると、シンとシシリーが婚約式会場に入場し、全員が盛大な拍手で迎えた。

 

ディセウム「皆、グラスは行き渡っているな?シン=ウォルフォード、シシリー=フォン=クロード。2人の婚約を、ディセウム=フォン=アールスハイドが見届け人となり、これを承認するものとする。」

セシリア(なな何で陛下がわざわざ…………!?)

 

 セシリア達は、ディセウムがわざわざ来た事に驚いていた。

 

ディセウム「これはアールスハイド王国国王としての宣言である。善とある若者の素晴らしい門出に乾杯!!」

全員「乾杯!!」

 

 こうしてシン=ウォルフォードとシシリー=フォン=クロードはめでたく婚約した。

 その後、パーティーが始まった。

 

アヤト「2人とも。お似合いだな。」

シン「ありがとうアヤト。」

シシリー「何だか、恥ずかしいです。」

 

 アヤト、シン、シシリーはそう話す。

 すると、ジークフリードとクリスティーナがやって来る。

 

ジークフリード「よう!やっぱり付き合ってたかお前達。」

クリスティーナ「おめでとうシン、シシリーさん。」

シン「ジークにーちゃんにクリスねーちゃん!来てくれてありがとう!」

???「久し振りだなシン。」

シン「あ!ミッシェルおじさん!トムさんも!!」

アヤト「……………マジかよ。」

 

 嘗て剣聖と呼ばれた元騎士団長のミッシェル=コーリングと、ハーグ商会代表のトム=ハーグも招待された。

 アヤトは、2人のことを知っていた。

 

ミッシェル「あの小さかったシンが婚約とは、私も歳を取る訳だ。はっはっ。」

トム「本当早いものですよ。ついこの間まで買い物の仕方を知らなかったのに。」

シン「あ、それ言う?…………何か、懐かしい面子が集合したね。」

ジークフリード「お前が王都に来て、集まる機会が減っちまったからな。」

 

 シン達は、そんな風に話す。

 すると、シン達の担任であるアルフレッドがシンに話しかける。

 

アルフレッド「ウォ〜〜ル〜〜フォ〜〜ド〜〜!!」

シン「わ!ビックリした、どうしたのアルフレッド先生?」

アルフレッド「どうしたも何もあるか!…………何で俺がウォルフォード家の招待客なんだ!?お前、この面子と一緒に並べられる俺の気持ちにもなれよ……………。」

 

 アルフレッドはそう言う。

 国王、ハーグ商会代表、剣聖、騎士団&魔法師団のアイドルと言うエグい面子が揃ってる。

 

アルフレッド「さっきから周りの視線が痛いんだよ……………!せめてクロード家の招待客として呼んでくれ…………!」

シン「あははゴメンなさい、俺知り合い少なくて…………。」

アヤト「アハハハ……………。」

 

 アルフレッドがそう言うのを見て、シンとアヤトは苦笑する。

 すると、ジークフリードがわざとらしく大声を出しながら話しかける。

 

ジークフリード「あっれぇ!?これはこれは!ウォルフォード家招待のアルフレッド先輩!流石先輩程になると当然のように呼ばれるんですね!」

アルフレッド「おまっ!デカい声で言うなジークフリード!……………ワザとだな?あ?喧嘩売ってんだな?」

ジークフリード「やだなぁ先輩!堂々としてりゃ良いじゃないですか!」

シン「もー、折角ジークにーちゃんが何時もの相手と喧嘩してないのに……………。」

クリスティーナ「何か言いました?」

シン「何でもないです……………。」

 

 ジークフリードの事をアルフレッドが睨んでいると、シンはそう言って、クリスティーナに睨まれる。

 

ユーリ「ドンマイ先生。」

マリア「これからこれから。」

アヤト「すぐに慣れるんじゃないですか?」

アルフレッド「止めてくれ…………余計虚しい…………。」

 

 それを見て、アヤト達が励ますと、余計に落ち込む。

 パーティ真っ只中のバルコニーでは。

 

シン「ふぅ〜…………終わったぁ…………。」

シシリー「お疲れ様ですシン君。」

アヤト「よ。」

シン「アヤト。」

シシリー「アヤト君。」

 

 シンは息を吐き、シシリーはそう話しかける。

 すると、バルコニーにアヤトが来た。

 

アヤト「シン、シシリー、おめでとう。」

シン「ありがとう、アヤト。」

シシリー「ありがとうございます。」

アヤト「しっかし、シンが結婚するとはな。」

 

 アヤトはそう言う。

 シシリーが、シンに話しかける。

 

シシリー「シン君、これで一段落着きましたね。」

シン「いや、まだ大事な事が残ってる。」

シシリー「え?」

シン「シシリー。」

シシリー「はい。何ですか?」

 

 シシリーがそう言うと、シンはそう言う。

 シンは、ポケットからある物を出した。

 

シン「順番が逆になっちゃったけど…………。」

 

 小箱を開けると、指輪が入ってた。

 

シシリー「シン…………君………これ…………。」

シン「もう婚約披露パーティは終わっちゃったけど…………シシリー………俺の………お嫁さんになって下さい!」

シシリー「はい…………私を………シン君のお嫁さんにして下さい!」

 

 シンは、指輪をシシリーの左手の薬指に嵌める。

 

シシリー「シン君…………私…………幸せです!」

シン「シシリー…………。」

 

 2人は唇と唇を重ねた。

 それを見ていたアヤトは。

 

アヤト(良いねぇ。こういうの。ま、俺はフリーを貫くか。)

 

 そう思っていた。




今回はここまでです。
今回は、婚約披露パーティーまでです。
そして、オリジナルのスマッシュを出しました。
そのスマッシュから、なんのフルボトルが採取されるのか。
近いうちに明かします。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
こんなオリジナルの仮面ライダーを出して欲しいというのがあれば、活動報告にて、受け付けます。


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第8話 滅亡する帝国

 シンとシシリーが婚約パーティーからしばらくして。

 

アリス「ウッヒョー!気持ち良い〜!」

ユーリ「まさか空を飛ぶ日が来るなんてねぇ〜!」

マリア「まっ、こうやって空を浮いて居られるのは、シンがかけてくれた浮遊魔法のお陰なんだけどね〜!」

トール「自分達は、風の魔法を操って移動してるだけですからね。」

 

 アリス、ユーリ、マリア、トール、オーグの五人は、戦闘服に付与された浮遊魔法で空を飛んでいる。

 

アヤト「もう慣れたのか。」

シン(うん、大分様になってきたな。)

 

 アヤトとシンが見ていると、メイが話しかける。

 

メイ「シンお兄ちゃん、私も早く飛びたいです!ちゃんとこれを穿いて来たです!」

 

 メイはそう言うと、スカートを捲り上げる。

 その中のドロワーズを見せる。

 

男性陣「…………ハッ!!」

エリザベート「ハッ!!メイ!はしたない!!」

メイ「え?でも、これは見せても良いんじゃないのです?」

エリザベート「い、良いと言えば良いですけど………いけません!!」

アヤト「恥が無いのかよ………。」

リュー「大胆すぎね?」

 

 アヤトとリューが呆れる中、シンは魔道具を使う。

 

シン「おーい!そろそろ降りて来ーい!」

アリス「えぇ〜?折角調子出て来たのに〜。」

シン「交代の時間だぞー!飛びたいなら他の時間で飛べよなー!」

 

 アリスが文句を言う中、オーグは、シンが作ったスピーカーの魔道具を見ていた。

 

オーグ「あの魔道具、色々使えそうだな。」

トール「殿下の立太子の儀式で、使ってみても良いかも知れませんね。」

マリア「そう言えばもうすぐでしたっけ?」

オーグ「あぁ。」

 

 オーグ、トール、マリアがそう話していると、メイがマイクに向かって叫ぶ。

 

メイ「皆さーん!早く代わって下さいです〜!」

 

 メイはそう言う。

 そんな中、アヤトは一本のフルボトルを取り出す。

 それは、緑色の恐竜のフルボトルだった。

 すると、恐竜フルボトルが光る。

 周囲に向けると、シンに対して、光が強くなっていた。

 

アヤト「まさか……………。」

 

 アヤトはそう呟く。

 一方、旧帝国の帝城では。

 

シュトローム「そうですか、最後の街が滅びましたか。」

ゼスト「はい。これで帝国の版図にある街や村は全て消え去りました。」

 

 魔人達は、戦力を着実に増やしていた。

 そして、帝国に存在していた街や村が壊滅して、本当の意味で帝国は滅んだ。

 それを見ていたミリアは。

 

ミリア(ゼスト率いる魔人部隊が、街道を通る対象を襲い、食糧の供給をストップさせる。そんな中で贅沢を続ける貴族達に、餓えた平民達が恨みを募らせた所に誘いをかけ、彼らを魔人化。魔人となった平民達は、積年の恨みを晴らすべく、領主を血祭りに上げ、更に街や村を蹂躙。シュトローム様は帝国貴族を憎んでおられる。だがこのやり方で、多くの平民までもが犠牲になった。シュトローム様、あなたは何故そこまで…………?)

 

 そう考えていた。

 シュトローム達魔人勢は、謁見の間に集まっていた。

 

シュトローム「皆さんの働きで、帝国を滅亡に追い込む事が出来ました。大変に喜ばしい事です。」

魔人達「ウオオオオオオオオーーーーーー!!!!」

 

 盛大な歓声を上げる魔人達。

 しかしシュトロームから、驚きの言葉が。

 

シュトローム「さて、この後どうしましょうか?」

魔人達「?」

 

 その一言に、他の魔人達が首を傾げる。

 シュトロームの独白は続く。

 

シュトローム「帝国を滅亡させる事が、私の目標でしたからね。もうする事が無いんですよ。」

魔人「何を仰っているのですか!!」

魔人「そうです!この勢いで次は隣国を攻め取り、そのまま世界を統一し………!」

シュトローム「世界統一?何の話です?何故そんな面倒な事をしなければいけないのです?」

魔人「め、面倒………?一体何を………!?」

魔人「これだけの魔人が居れば、魔人の国を創る事も………まさか、何もしないおつもりで…………!?」

魔人「だったら何故!?何故私達を魔人にしたのですか!?」

 

 魔人達に驚愕の色が走る。

 1人の魔人が問いかけると、シュトロームからさも当然かの様な答えが返ってくる。

 

シュトローム「何故?帝国を滅する為の手駒を増やしたかったからですよ。」

魔人「駒………だと………!?」

シュトローム「私は”貴族打倒の力を与える”と言っただけですよね?一体何処からそんな話に?」

 

 彼の目的は、ブルースフィア帝国の貴族達の滅亡。

 それ以外の目的には興味を持たない。

 そして”手駒が欲しい”。魔人達はこの言葉に激怒した。

 

魔人「き………貴様!!」

 

 何人かの魔人は、シュトロームを殺そうとするが、斥候部隊に返り討ちに遭う。

 

シュトローム「あなた方がどう言う野望を抱こうとも自由ですけど、そこを私に押し付けないで頂けますか?迷惑ですから。」

魔人「そうですか………。分かりました!ならば俺は俺の好きにやらせて貰う!」

シュトローム「どうぞ。と言うか最初からそうして下さい。彼の考えに賛同する方はどうぞ。一緒に行って頂いて結構ですよ。」

 

 斥候隊と一部の魔人達がここに残り、他の魔人達はここを出て行った。

 それを見ていたスタークは。

 

スターク「へぇ……………面白くなってきたな。)

 

 そう思っていた。

 シュトロームは、ため息を吐く。

 

シュトローム「一体何を考えているのやら。」

ゼスト「宜しいのですか?彼らをあのまま放置しておいて。」

シュトローム「構いませんよ。既に帝国を滅ぼすと言う目的は達したのです。好きにやらせておけば良いでしょう。」

ミリア「あの、どうしてそこまで帝国を憎まれておるのですか?元は帝位継承権を持つ帝国の公爵だったとお伺えしましたが…………。」

シュトローム「そう言えば、話した事が無かったですね。それでは、お聞かせしましょうか。私がまだ、オリベイラと呼ばれていた時の事を。」

 

 そうして語ったのは、シュトロームがまだオリベイラと言われた時だった。

 オリベイラは領主で、平民とも寄り添っていたのだ。

 しかし、オリベイラを邪魔と感じたヘラルド皇帝は、オリベイラの領民を騙し、妻と妻の中に宿っていた子供を殺したのだ。

 そうして、オリベイラは貴族と平民を含む帝国を憎み、魔人となった。

 その話を聞いたゼストは、部下の1人のローレンスに話していた。

 

ゼスト「ローレンス、シュトローム様の話を聞いてどう思う?」

ローレンス「どうって………。あれだけの事をされれば、貴族も平民も、纏めて帝国を滅ぼしたくなる気持ちも分かるな、と。」

ゼスト「だがシュトローム様は目的を果たされてしまわれた。今のシュトローム様には新しい目的が必要だ。そう思わんか?」

ローレンス「それは、まぁ…………無いよりはあった方が…………。」

 

 それを聞いたゼストは、ローレンスに向かって語った。

 

ゼスト「そこでだ。お前は出て行った魔人達に紛れて、スイード王国に攻め込む様に仕掛けろ。」

ローレンス「ん?」

ゼスト「スイード王国は、アールスハイド王国と国境を接する小国だ。そこに魔人の集団が現れたとなれば、必ず奴らが飛んで来る。」

ローレンス「奴らとは…………?」

ゼスト「シン=ウォルフォードとアヤト=アーレントだ。」

ローレンス「ええっ!?シュトローム様を追い詰めたと言う、あの………!?」

ゼスト「そうだ。だからこそシュトローム様の次の標的に相応しい。」

ローレンス「分かりました!来る日に備え、奴らの力を確かめようと言う事ですね!」

ゼスト「フッ、分かりが良いな。ローレンス、お前なら出来ると信じている。期待しているぞ。」

 

 そうして、魔人側が動き出そうとしていた。

 一方、離脱した魔人達は、世界征服に向けて話し合っていた。

 

魔人「全くよぉ!シュトロームの腰抜けにはガッカリしたぜ!」

魔人「魔人の力を存分に使わずどうしろってんだ!?まぁ代わりに俺達が世界を支配してやるから良いけどな!」

 

 離反したシュトロームの手駒の魔人達が喚いてる。

 そんな中、魔人のローレンスは。

 

ローレンス(あーやだやだ、こんな低俗な連中にしばらく付き合わなきゃならんとは………。こりゃ早めに…………。)

魔人「んで、次は何処を攻める?」

魔人「そりゃあ、帝国の次はアールスハイド王国だろう!!」

ローレンス「なぬ!?いやー、こんなのはどうです?まずは周辺の小国を落とし、我々が大国並みの規模となってからアールスハイドに挑むと言うのは?」

魔人「あ?」

 

 首を傾げる魔人に、ローレンスがどうしてそう言ったのかを説明する。

 

ローレンス「大国同士、対決する方がロマンがあって良いかなーって。ね?(くそ………ロマンって何だ?アホか俺は…………。いや、それより、帝国を滅ぼせたのはシュトローム様の力があったからこそだって分かってんのか?此奴ら…………。)」

魔人「フム、周辺国を制圧して、我々の戦力を増強するのも悪くないか。魔人を増やす事は出来ないが、捕虜や俺達に従う者は出て来るだろうしな。」

 

 考え込む魔人を他所に、ローレンスが地図を開いた。

 

ローレンス「(近隣諸国が魔人とに襲撃されたとなれば、恐らく国がウォルフォードと仮面ライダーを動かそうとするはず………。とは言え、あまり距離があったり、小国過ぎると、ウォルフォードやアーレント共が現れる前に此奴らが国を制圧し兼ねない。)アールスハイドに脅威を与える意味でも、次の狙いは………帝国と王国の国境を接するスイード王国でどうです?」

魔人「良いんじゃないか?スイードならここからそんなに距離も無い。」

ローレンス(ウォルフォードや仮面ライダー共がもし現れなければ、此奴らにまた別の国を襲わせれば良い。)

魔人「次の標的はスイード王国で決まりだ!!」

魔人達「オオオーーーー!!!!」

 

 魔人達は、スイード王国へと進軍しようとしていた。

 そんな中、アヤトはラボで作業をしていた。

 

アヤト「こんなもんかな……………。」

 

 そこには、クローズドラゴンと似たようなシステムの恐竜が居た。

 そして、2台のビルドドライバーが置いてあった。

 

アヤト「シンには渡すか。」

 

 アヤトはそう呟く。

 その翌日、アールスハイドでは、立太子の儀式の日が訪れた。

 その為、国内では、大分盛り上がっていた。

 一方、当のオーグは。

 

エリザベート「お似合いですわ、アウグスト様。」

シン「おお………!オーグが王子様っぽい!」

マリア「いや王子様だし。」

アヤト「どうだオーグ?今の心境は。」

オーグ「うーむ…………心境か………皆の前でこう言う格好をするのが恥ずかしくなってきたぞ…………。」

エリザベート「シンさんの影響を受け過ぎですわ。…………やっぱり怪しい。」

シン(しつけぇ………!)

アリス「今日は私達もステージに上がるんですか?」

オーグ「ああ、研究会の面々や仮面ライダーもこの場を借りて紹介しようと思ってな。」

マリア「うぅ………キンチョー………!」

 

 そうして、立太子の儀式が始まる。

 究極魔法研究会、アヤト、リューは、ステージに立つ。

 そこには、ディセウムが既に居た。

 

民衆「お!いらっしゃったぞ!」

民衆「アウグスト殿下ーーー!!」

民衆「陛下ーーー!!」

 

 民衆の歓声が上がり、儀式が始まる。

 

ディセウム「我が息子アウグスト=フォン=アールスハイドよ、汝は王太子となり、国の為、国民の為に身を粉にして邁進する事を誓うか?」

オーグ「私は、この国の為、国民の為に、命を捧げる事を誓います。」

ディセウム「うむ、よく言った。アウグスト、汝を王太子として認めよう。国民の為一層務める事を期待する。」

オーグ「畏まりました。」

 

 周囲が拍手喝采する。

 すると、1人の兵士が駆け込む。

 

兵士「ご………御報告申し上げます!!スイード王国に魔人が多数出現!!現在、スイード王都に向かって進行中との事です!!」

アヤト「!?」

兵士「馬鹿者!大切な儀式の最中に、そのような報告をするとは何事だ!!」

オーグ「よい!その者を咎めるな!」

兵士2人「殿下………?」

オーグ「よく知らせてくれた。魔人出現の情報は、何より最優先される。」

リュー「動き出したか………!」

アヤト「みたいだな。」

国民「ま………魔人が出現って言わなかったか………!?」

国民「や………やだ、ちょっと…………大丈夫なの………!?」

 

 その言葉に、周囲に動揺が走る。

 そんな中、オーグが宣言する。

 

オーグ「皆、落ち着いて聞いて欲しい。たった今隣国スイード王国に魔人が現れたとの報告が入った。」

シン(おいおい、そんな不安を煽るような事をわざわざ………!?)

オーグ「だが心配するな!魔人に対抗する手段を我々は既に持っている!!シン!アヤト!」

アヤト(なるほど、国民に希望を持たせるためか。)

 

 オーグに言われ、シンとアヤトの2人が前に出る。

 

オーグ「彼は、シン=ウォルフォード!周知だと思うが、新たな魔人と魔物討伐の英雄だ!そして、アヤト=アーレント!彼もまた、魔人と戦う、仮面ライダーだ!我々は彼らと共に研鑽を続け、遂に魔人に対抗するだけの力を得た!これよりスイード王国に、魔人の討伐に向かう!!」

国民「おおおお!!」

 

 オーグはそう言って、マントを脱ぎ捨てる。

 

オーグ「我々はすぐにスイード王国へ向かう!!安心するが良い!!」

 

 周囲の面子も、マントを脱ぎ捨てていた。

 

リュー「用意が良いじゃねぇか。」

アヤト「だな。」

オーグ「シン、アヤト。お前らも何か言え。」

アヤト「俺もですか?」

オーグ「これは国民の不安を払拭する為のパフォーマンスだ。決めてみせろ。」

アヤト「分かったよ。」

 

 そう言って、アヤトが前に出る。

 

アヤト「仮面ライダービルドにして、アヤト=アーレントです!俺たちは、スイード王国を守ります!だから、待ってて下さい!」

 

 国民達が、アヤト達の宣言に、歓声を上げる。

 

アヤト「はい次、シンの番だ。」

シン「マジかよ!」

 

 動揺する中、シンが宣言する。

 

シン「えーーーーー………俺を始め、ここに居る仲間達は魔人に対抗出来る力を十分に持っています。だから安心して下さい………(チーム名!?えーと………えーと………究極魔法………研究会…………究極………あぁぁダメだ!!これしか浮かばねえ!)俺達は、必ず討伐して来ます!!」

 

 そして決まったチーム名がこれだ。

 

シン「アルティメット・マジシャンズが!!」

全員(アルティメット・マジシャンズって!?)

 

 シンが後悔するかのように涙を流す中、アヤトは変身する。

 アヤトは、タカとガトリングのフルボトルを取り出して振り、キャップを閉めて、ビルドドライバーに装填する。

 

タカ!ガトリング!

ベストマッチ!

 

 アヤトは、ボルテックレバーを回す。

 すると、エネルギーが生成されていき、俺の周辺にスナップライドビルダーが展開され、それぞれのハーフボディが形成される。

 

Are you ready?

 

アヤト「変身!」

 

 アヤトがそう言うと、それぞれのハーフボディが、アヤトに合わさる。

 

天空の暴れん坊!ホークガトリング!

イエァ!

 

 アヤトは、ビルド・ホークガトリングフォームへと変身する。

 アヤトは、ソレスタルウイングを展開して、リューがアヤトの手を掴む。

 アルティメット・マジシャンズも、浮遊魔法を使って、飛んでいる。

 

シン「アルティメット・マジシャンズ、出動!!」

UMメンバー「おう!」

アヤト「行くぜ!リューも掴まってろよ!」

リュー「おう!」

 

 そして、アルティメット・マジシャンズと仮面ライダーは、魔人を迎撃するべく、スイード王国へと向かう。




今回はここまでです。
今回は少し短めです。
そして、新たな仮面ライダーに変身する為のアイテムが登場しました。
そのアイテムを使って変身するのは、シンです。
その為、アンケートは終了します。
リューも、あと少しでクローズに変身します。
次回は、スイード王国での戦いに入っていきます。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
賢者の孫とセイバーをやる予定ですが、どういう感じにやるのかは、検討中です。
あとは、賢者の孫とギーツだったり、何か別の仮面ライダーで新しくやろうかなと考えています。


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