鬼殺と失った右腕 (1052667)
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始まり

 

少女は人間だった。

山の上にある小さな村に住む少女はある日、夜遅に出歩いていた。

少女が住む村は都会と遠く、大きい街に行くには夜遅くから出かけなければならなかったのだ。

 

「今日もお使いの帰りにお団子食べよ。」

 

脳天気な事を考えながら少女は暗い夜道を歩いていた。その時、少女はなにかにつまずいて、転んでしまう。

 

「痛っ。って、へ?」

 

少女は足元をに転がってるものを見て驚く。

そこには背中に[滅]と書かれた黒い服を来ている死体があった。

 

「なに....これ...」

 

少女が驚いてると、後ろから気配を感じた。少女が振り向くと、そこには目付きの悪い男性がいた。男性は血のついた爪を伸ばし、少女の右腕に突き刺してこの場を去る。

 

「ぐぁぁぁぁ!!??」

 

少女はあまりの痛さに叫ぶ。そして何を思ったか、死体の近くに落ちていた刀を拾い、腕を切った。

切られた腕は魚のように跳ね回った後、何処かへ行ってしまった。

少女の腕の血は止まっており、少女はその場から立ち去った。

行く宛もなく...

夜が明け、少女は近くの水溜りを見た。少女は水溜りに反射している自分の姿を見る。

 

「え..?  これが...私?」

 

少女は変わった自分の姿を見て驚いた。髪色は桃色に変色しており、小さい角も生えていた。

 

 

===数十年後===

 

 

少女は成長し、大人になっていた。

少女は鬼にはならなかったが、血鬼術が使え、日光に当たっても無事な身体となっており、人間を食べる必要もなかった。右腕があった所にはガスを右腕の形にして、包帯でごまかしている。角は白い布で隠している。

その名も、茨木華扇。本名は覚えていないらしい。

彼女は各地を旅している。自身を鬼に変えようとしたあの男とその配下の鬼を探して。

今日は街の甘味処にいた。そこで買った団子を食べていると、奇妙な噂話をしている2人組の声が聞こえた。

 

「なあ聞いたか?近くの町で若い女が行方不明になる事件が多発してるってよ。」

 

「聞いた聞いた。物騒な町だこと。」

 

華扇はその2人組に近寄る。

 

「少し話を聞かせてもらえませんか?」

 

「え?ああ、いいぞ。ここから東南の町の話だ。毎夜毎夜十六歳程の少女が消えてるんだってな。あまりの多さに避難する子もいるそうだ。」

 

「十六歳...」

 

「まあ、どうせ人さらいだろう。世も物騒だな。」

 

「ありがとうございます。」

 

一通り話を聞いた後、華扇は問題の町に向かって行くのであった。

今は昼間なので、その町に着くのは翌日の夜だろう。

 




次回から視点が入ります。


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少年との出会い

 

【華扇サイド】

 

噂の町に来てみたけど...

やっぱり鬼の気配がする。それも2人ね。人間もいる。

私は鬼を見つけて観察する。

鬼同士が戦ってる?人間()の奪い合いかしら?にしても妙ね。あの女の子の鬼は竹を咥えているようだけど何かしら?

まあ、関係ないけど。

とりあえず異形の方を狙う。

 

[血鬼術 ドラゴンズグロウル]

 

「ぐぁぁぁぁ!!??」

 

異形の鬼は身体は吹っ飛んだようね。

 

(な、なんだこの女!?鬼?人?いや、それよりも再生出来ない!?身体が崩れてく!うわぁぁぁぁ!?)

 

異形の方はもうおしまいね。それより竹を咥えた方ね。戦意喪失しているようだけど所詮は鬼だし...

 

「待ってくれ!」

 

ん?地下から人が?どうやら鬼狩りのようね。数十年生きてきたけど鬼狩りにあったのは初めてね。まあ、ずっと山にこもっていたから仕方ないでしょうけど。

 

「何故待つ必要があるの?貴方鬼狩りでしょう?」

 

「禰豆子は!俺の妹なんだ!鬼だけど人を喰わない!」

 

人を食べない?そんな個体もいるのかしら。

 

「人を食べないって、どれくらいの間食べてないの?」

 

「2年間食べてない!だから、君が誰だか知らないけど、禰豆子を殺すのはやめてくれ!」

 

2年間ね。意外。

 

「わかったわ。今は殺さない。ただし、その子が人を食べた瞬間、私がその子を殺すわ。」

 

「あ、ありがとうございます!(この人、鬼と人の両方の匂いがする!?)」

 

鬼狩りの少年は妹の鬼を背中の木箱に収納した。鬼って小さくもなれるのね。

少年は近くで呆然としている男性の所に行った。おそらく今回の被害者ね。

なんか言い合いしてる。

 

「すまない!!酷いことを言った!!どうか許してくれ、すまなかった...っ」

 

大丈夫そうね。

 

「それで貴方の名前は?」

 

「俺は竈門炭治郎。箱に入っているのは妹の禰豆子。」

 

「炭治郎と禰豆子ね。私は茨木華扇。」

 

「あのっ!華扇さんは鬼なんですか?人なんですか?」

 

まさかそこまでバレているとは... さすが鬼狩りね。(←炭治郎が特殊なだけ)

 

「私は... どちらでもないわ。強いて言えば"仙人"かしらね。」

 

(人間でも鬼でもない?一体何者なんだ!?)

 

「まあ話すわ。私は昔鬼にされそうになったのよ。右腕に鬼の血を入れられて、自身が鬼になる前に落ちていた刀で腕を切ったのよ。それでも身体に変化が出て人間じゃなくなったけどね。」

 

そう言って私は頭の布[シニヨンキャップ]を片方取って角を見せる。

 

「じゃあ華扇さんは半分鬼なんですね。」

 

「ええ。血鬼術とかも使えるけど人間を食べる必要がない。鬼と人間の中間地点だと思って貰えれば大丈夫よ。それより貴方についていっても良いかしら?」

 

「え?どうして!?」

 

「禰豆子は鬼なんでしょう?事情を知らない鬼狩りに切られるかもしれないわ。その時は仲間が多いほうが良いと思うの。」

 

まあ、本音は禰豆子の監視だけど嘘は言ってない。嘘は言ってないわ。

 

(嘘の匂いはしないけど... 仲間ができるのはありがたいっ。)

 

「わかりました、華扇さんよろしくお願いします!!」

 

「よろしく、炭治郎。」

 

長年1人でいたし、こういうのも悪くないわ。

 




口調あってるか?


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ラスボス現る

 

夜。

華扇と炭治郎と禰豆子は大都会[浅草]に来ていた。

前回の出会いから2日立っており、浅草に着くまでお互いのことを話した。

 

【華扇サイド】

 

ここが浅草...

大阪には来たことあったけど、こっちの方がにぎわってるわね。

って、炭治郎!?なんかゲッソリしてる!?

 

「だ、大丈夫?顔色悪いけど。」

 

「と、都会の発展さに驚いて...」

 

「最初は誰でもそうよ。少し休みましょう。」

 

そういえば私と同じ山育ちって言ってたわね。

炭治郎を気遣いながら人通りが少ない所にある屋台の前に着く

 

「山かけうどんください...」

 

「あいよ」

 

「華扇さんは...?」

 

「私はいいわ。」

 

うどんもいいけどやっぱり団子よ、団子。

禰豆子も寝てるし、ここは休憩ね。ここは大都会だし甘味処もあるでしょう。

そんなことを考えていると、炭治郎が顔色を変えた

 

「どうしたの?」

 

「はあはあ、はあ、はあ。」

 

って、変な息をしたと思ったら急に走り出した!?

 

「ちょっと待って!!」

 

ああ、もう。何処に行くのよ。

 

「うどん屋さん、少しの間席を外します。この子は食べられないので待ってもらえませんか?」

 

「あいよ!」

 

さてと、炭治郎を追いかけますか。

人混みをかき分けて炭治郎を探す。お、いたいた。

 

「ちょっと炭治郎?急にどうしたn――」

 

私はそこで言葉を止める。炭治郎の目の前にいる家族の父親。彼には見覚えがあった。

姿形は違うけど... この目つき、まさか...?

いや、それより、

 

「すみません、彼の人違いだったようで。」

 

「私も知らない子でしたので。」

 

よし、なんとか丸く収まりそう。

って、え?

この男、通りすがりの人間を鬼にした!?

 

「キャアアアッ!」

 

鬼になった人の奥さんが悲鳴をあげてる。炭治郎は鬼化した人間を押さえるのに精一杯ね。

 

「奥さん!!こちらよりも自分のことを!!傷口に布をあてて強く押さえてください!」

 

「炭治郎、その人を押さえてて。私は奴を追う。」

 

人を鬼にした。間違いない、こいつは鬼舞辻無惨だ!!(名前は炭治郎に聞いた)

 

「鬼舞辻無惨!!俺はお前を逃さない、どこへ行こうと、地獄の果まで追いかけて、必ずお前の頸に刃を振るう!絶対にお前を許さない!!」

 

「逃がすと思うかっ!![血鬼術 微速の務光]!」

 

私が血鬼術で弾幕を奴に放った。どうやら命中したようね。

 

「ぐっ!?」

 

「月彦さん!?」

 

あ、逃げたわ。けど深追いは危険ね。罠かもしれないし。

 

「華扇さん!この人を押さえるのを手伝ってくれ!」

 

「わかったわ。」

 

私は右腕の形をした包帯を使って鬼化した人を拘束する。

 

「早いとこ撤退しましょう。警察が来るわ。この人をどこか安全な場所に移動させないと。」

 

「でも、どこに!?」

 

く、まずい。警察が来た。私はなんとか言い訳できるけど炭治郎は刀を持ってる。

 

「貴様ら! 何をしている!?」

 

「酔っ払いか!? 離れろ!!」

 

「やめてください、華扇さん以外はこの人を押さえられない!」

 

「待ってください!この人は正気を失ってるんです。今離れたら無差別に暴れます!」

 

って、言っても聞かなさそうね。警察は私の包帯を解こうとする。

 

「包帯と少年を引き剥がせ!」

 

「わかった。」

 

「やめてくれ!!この人に誰も殺させたくないんだ!!邪魔をしないでくれ、お願いだから!!」

 

やばい、このままだと事態が悪化する。なんとかしないと。弾幕で視界を奪えばなんとかなるかも。って――

 

「「!?」」

 

何この香り。急に周りが変な模様で覆われた!?

 

「わぁぁ、何だこの紋様は!?」

 

「周りが見えない!」

 

2体の鬼がいる。

まさか無惨の刺客!?

 

「あなた方は、鬼となった者にも[人]という言葉を使ってくださるのですね。そして助けようとしている。ならば私もあなた方を手助けしましょう。」

 

「そう言うけど、あなた達の気配は...」

 

「そう、私は――― 鬼ですが医者でもあり、あの男[鬼舞辻]を抹殺したいと思っている。」

 

話を聞く必要がありそうね。

 




華扇の脳内
山かけうどん<お団子


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逃れ者

 

【華扇サイド】

 

あのあと私は鬼の珠世さんに案内されて目に見えない病院にたどりついた。

炭治郎はもう一人の鬼と禰豆子を回収しにいってる。

私は鬼になった人を地下牢に入れるのを手伝っていた。

 

「戻りました。」

 

「この口枷のせいかもしれない!これを外した禰豆子を一度見てもらいたい!!」

 

炭治郎達が来たようね。なんの言い合いをしてるのかしら?

 

「おかえりなさい。」

 

何の同様もしてない。尊敬すべきね。

 

「あ、大丈夫でしたか?お任せしてしまいすみません。」

 

「この方は大丈夫ですよ。ご主人は... 気の毒ですが拘束して地下牢に。」

 

「人の怪我を手当してつらくないですか?」

 

それは言っては駄目な言葉では?案の定男の鬼(男の子)から肘打ちされた。

 

「まだ名乗っていませんでしたね。私は珠世と申します。その子は愈史郎。仲良くしてやってくださいね。」

 

「こちらも名乗ってませんでした。私は華扇。」

 

「俺は竈門炭治郎。妹の禰豆子。」

 

お互いの挨拶を終えると、珠世さんは本題を始めた。

珠世さんの話では自身の身体を弄って鬼舞辻の呪いを外したらしい。人を食べない代わりに血を飲むらしい。

話を聞きながら別室に移動する。

呪いね。私にはどれくらいかかってるのかしら?

 

「愈史郎は私が鬼にしました。」

 

ゑ?鬼を増やせるのは鬼舞辻だけじゃないの?

炭治郎も不思議に思ったのか動揺してる。

 

「二百年以上かかって、鬼にできたのは愈史郎ただ1人ですから。」

 

二百年以上ね。まさか第三勢力でも作るのかしら?

 

「珠世さんは何歳なんですか!?」

 

「女性に歳を聞くな無礼者!!」

 

殴られても文句は言えないわね。

 

「炭治郎?私はいくつに見える?」

 

「え?18歳じゃないんですか?」

 

私って幼く見えるのね。80年以上は生きてるのだけど...

 

「鬼は見かけによらないわ。下手に年齢を聞いては駄目よ。特に女性には。」

 

「は、はい。」

 

「それで珠世さんは何故愈史郎を鬼にしたのですか?」

 

「・・・不治の病や怪我などを負って余命幾拍もない、そんな人にしか処置はしません。その時には必ず本人に鬼となっても生き永らえたいか訪ねてからします。」

 

なるほどね。

 

「珠世さん、鬼になってしまった人を人に戻す方法はありますか?」

 

本題ね。

 

「あります。どんな怪我にも病にも、必ず治療法があります。今は鬼を人に戻す薬はありませんが、作ることはできます。ただ今の時点では鬼を人に戻すことはできない。」

 

今のところは無理ね。もし治療薬が出来たら私も人間に戻れるのかしら?

 

「治療薬を作るためにはたくさんの鬼の血を調べる必要がある。あなた(炭治郎)にお願いしたいことは2つ。1つ、妹さんの血を調べてさせて欲しい。2つ、できる限り鬼舞辻の血が濃い鬼からも血液を採取して来て欲しい。」

 

要は鬼舞辻の血が1番ね。禰豆子の血を調べるのは彼女の身体に変化があるのね。

 

「それから華扇さん、貴方は鬼ですか?人ですか?」

 

やっぱり聞かれたわね。

 

「どちらでもないわ。右腕に鬼の血を入れられて、自身が鬼になる前に落ちていた刀で腕を切った。だけど身体の変化は止められなかったわ。」

 

私は頭のシニヨンキャップを取った。ついでに包帯も取る。

 

「数十年山にこもっていたから仙人とも呼ばれたわ。血鬼術とかは使えるけど太陽に当たっても大丈夫だし、人を食べる必要もない。」

 

私が説明すると珠世さんは驚いた表情になった。

まあ、私のような変異体(イレギュラー)は珍しいしわ。驚くのも無理はないと思う。

 

「・・・華扇さん、あなたの血を少し分けてもらえないでしょうか。」

 

「ええ、いいですよ。私も人間に戻りたいので。それに私にも呪いがかかってるのかどうか知りたいし。」

 

私はシニヨンキャップを頭に戻し、包帯も右腕の形にして元に戻す。

 

「それに私の血鬼術もなぜ鬼を倒せるのかがわk―――」

 

「ふせろ!!」

 

え?

ちょっ、きゃぁ!

鞠がすごい速さで壁を突き破って来たんだけど!?

 

「キャハハ、見つけた見つけた。」

 

女の子の鬼が鞠をついてる。鬼舞辻の手下かしら?

ん?鞠が愈史郎の方に向かってる?危ない!!

 

「[血鬼術 微速の務光]!」

 

私は血鬼術を鞠に当てて相殺する。

 

「耳に飾りの鬼狩りはお前じゃのう。それに包帯の女もいるのう。」

 

鬼の気配が2つ。まさか後をつけられたの?

 

「禰豆子!!奥で眠っている女の人と男の人を外の安全な所へ運んでくれ!!」

 

「珠世さん達は私の後ろにいて。」

 

「私達の事は気にせず戦ってください。大丈夫です、鬼ですから。」

 

「ならお言葉に甘えて。炭治郎、木の上にもう1人鬼がいるわ。貴方はそっちをお願い。」

 

「っ!わかった!」

 

鞠の鬼は腕を増やした。六本の腕には全て鞠を持ってる。

 

「十二鬼月である私に殺されることを光栄に思うがいい!」

 

「十二鬼月?」

 

「鬼舞辻直属の配下です!」

 

なるほどね。なら――

 

「―――望むところよっ!」

 

迫ってくる鞠に血鬼術の弾幕で相殺する。

いや、この程度の速さなら血鬼術を使わなくてもいい気がするのだけど。

 

「キャハハハハ!楽しいのぉ!楽しいのぉ!矢琶羽、首を5つ持ち帰ればよいかのぅ?」

 

「違う、2つだ。包帯の女は生け捕りにし、残りは要らぬ。」

 

私を生け捕りにする気なの?鬼舞辻は何を考えているのかしら?

まあ、関係ないわ。私は飛んできた鞠を1つ蹴り返す。

右足から変な音が聞こえないけど、死んでないし大丈夫でしょう。

鬼の体には穴が空いたのでその空きに近づいて右腕の包帯を使って鬼を拘束する。

 

「くっ、放すのじゃ!」

 

この包帯は特別製なのよ。そう簡単に解けないし千切れない。

 

「十二鬼月のお嬢さん、あなたは鬼舞辻の正体をご存知なのですか?」

 

あら?珠世さん、一体何を?それより何か変な気分... 頭が...

 

「何を言う貴様!!逃亡者めが!!」

 

「あの男は、ただの臆病者です。鬼たちが束になって自分を襲ってくるのを防ぐためです。そのように操作されているのです貴女方は。」

 

「違う!()()()()は!        ―――あああああ!お許しください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――少しボーっとしてた。気がつくと鞠の鬼の身体と口から手が出てきて頭を潰してる。これが呪いね。

私は拘束をやめて鬼から離れる。

よく見たら炭治郎も戻ってきてる。

 

「炭治郎さん、華扇さん。この方は十二鬼月ではありません。」

 

「!?」

 

「十二鬼月は眼球に数字が刻まれています。この方には無い... 弱すぎる。」

 

たしかに弱かったわ。てことは十二鬼月はもっと強いってことね。

 

「私は禰豆子さんと華扇さんを診ます。2人に術を吸わせてしまったので、ごめんなさいね。」

 

だから途中で意識が曖昧になったのね。

 

「・・・ついでに足も見てもらえませんか?」

 

「わかりました。」

 

右足の感覚がないけど、折れてるのかしら?

地下室にて珠世さんの診察を受けます。

 

「治りました。人間よりも再生が早いのもありますが。」

 

そういえば私人間じゃなかった。

再生力もあるのね。

 

「それで貴方の血を分けてほしいのですが...」

 

「あ、どうぞ取ってください。」

 

珠世さんは私の左腕から血をとりだす。

それが終わった後、珠世さんは禰豆子の方を診察する。

って、え?禰豆子が抱きついてきた!?

しかも頭を撫でようとジャンプしてる?かわいい。

 

「え〜と..」

 

あ、炭治郎が来た。

禰豆子は私から離れて炭治郎に抱きつく。

すると今度は珠世さんにも抱きついた。愈史郎の目が怖い。

 

「先程から禰豆子さんがこのような状態なのですが... 大丈夫でしょうか?」

 

「大丈夫です。家族の誰かだと思っているんです。」

 

私も?

 

「しかし禰豆子さんにかかっているのは人間が家族に見える暗示では?」

 

「2人のことを禰豆子が人間だと判断したんだと思います。」

 

「・・・・・ありがとう禰豆子さん、ありがとう...」

 

珠世さんが泣いてる。自分が人間だと思われて嬉しかったのね。

 

「私たちはこの土地を去ります。早く身を隠さなければ危険な状況です。炭治郎さん、禰豆子さんは私たちがお預かりしましょうか?」

 

「・・・・・・・・・・・ありがとうございます。でも、俺たちは一緒に行きます。離れ離れにはなりません。もう二度と。」

 

「・・・・・わかりした。武運長久を祈ります。」

 

「炭治郎、箱を取ってくるわ。外は日が差してるから。」

 

私は外に出て禰豆子の箱を拾う。改めて辺りを見るけど酷い有様ね。

私は地下室に戻ると、炭治郎に箱を渡す。

 

「それでは、お世話になりました!」

 

「また何処かで。」

 

私たちは珠世さんの元から去る。

私は炭治郎についていく。これから珠世さんのように新たな出会いが沢山ありそうね。

 




次回からは華扇が説教臭くなります。


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雀と金髪

 

華扇と炭治郎(+禰豆子+烏)は田舎道を歩いていた。

 

「じゃあ華扇さんも動物の言葉がわかるんですか?」

 

「ええ。だから喋れる烏を見た時は驚いたわ。」

 

『南南東、南南東、南南東!!次ノオ場所ハァ南南東!!』

 

「わっかた!!わかったからもう少し黙ってくれ、頼むよ。」

 

ちなみに炭治郎は寝不足である。理由は野宿のときに烏と華扇がお喋りに夢中だったのだ。

 

「頼むよ!!」

 

突然でかい声が前から響く。

 

「いつ死ぬかわからないんだ俺は!!だから結婚してほしいというわけで!!頼むよーーーッ!!」

 

そこには炭治郎と同じくらいの金髪の男が女の子に迫っていた。女の子は困っている。

 

「何だ?」

 

すると雀が飛んできて、華扇と炭治郎に囀りかける。話(?)を聞いた炭治郎と華扇。

 

「何してるんだ、道の真ん中で!その子は嫌がっているだろう!!そして雀を困らせるな!!」

 

炭治郎は金髪男子の首根っこを掴む。

 

「あ、隊服。お前は最終選別の...」

 

「知り合い?」

 

「お前みたいな奴は知人に存在しない、知らん!!」

 

炭治郎と金髪が言い合いをしているうちに華扇は女の子を逃がす。

 

「さ、今のうちに。」

 

「ありがとうございます。」

 

華扇は2人の言い合いを聞く。

金髪の男子[我妻善逸]は女に騙されて借金し、肩代わりした人が育てだったらしい。最終選別(鬼殺隊の試験)で死ねると思ったが、運良く生き残る。

そして次の任務で死ぬから道であった女の子に求婚したと言うわけだ。

 

「なるほど.... 貴方は自分が情けないと思わないんですか?」

 

華扇が言う。それまで炭治郎しか見てなかった善逸は華扇の声に驚く。

 

「え、誰!?か、かわいい。俺と結婚してくれ!!」

 

「無理。」

 

「即答!?なんで!!」

 

「見ず知らずの人にいきなり結婚を迫られると普通は断られますよ。」

 

「そんなぁ。」

 

「普段から仕事に行きたがらないと、例え結婚してもすぐに相手に逃げられるでしょう。」

 

「ゔっ。」

 

「貴方はさっきの女の子に結婚を迫ってましたが、私と会ったときにまた結婚を迫るようでは男として情けないですよ。」

 

「も゛う゛や゛め゛て゛!!」

 

「いいえやめません。まず貴方は女に言い寄られるように(以下略)」

 

 

===1時間後===

 

 

「すみませんでしたぁ!!」

 

華扇の説教が響いたようだ。

 

「すみません、つい時間を使ってしまいました。早く次の場所に向かいましょう。」

 

『駆ケ足!!駆ケ足!!共ニ向カエ、次ノ場所マデ!!』

 

「ギャーーーッ烏が喋ったぁ!!」

 

新たな仲間が加わったのであった。

 




短めでした。


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山の王

 

【華扇サイド】

 

ハァ... 少しやりすぎた。

でもこれくらいの説教でへこたれるような子ではこの先が心配ね。

今は炭治郎が私の説明をしてくれてるみたいだし、どんな反応をするのかしら。

 

「華扇さんは半人半鬼ってことだよね。それって鬼殺隊の上はどう思ってるの!?」

 

「さあ...」

 

そういえば私って鬼の部類に入るのかしら?だとしたら上の存在に斬られるか実験材料にされるのかもしれないわね。

 

『カァーーッ、華扇ノコト報告済ミィ!ソノママ共闘シロトノコト!』

 

あら良いの?意外ね。

てっきり本部とかに連れて行かれるのかと思ってた。

そんな事を話してると目的地についたみたい。鬼の気配がする家が目の前にある。

 

「血の匂いがするな。」

 

「それよりも何か音しないか?」

 

炭治郎は嗅覚、善逸は聴覚が優れてるようね。

ん?彼処に居るのは?

 

「炭治郎、善逸、向こうに誰か居るわ。」

 

そこには2人の子供がいる。男の子と女の子ね。

 

「子供だ...」

 

「どうしたんだろう。」

 

かなり怯えてるわ。

 

「じゃじゃーーん。手乗り雀だ!!可愛いだろう」

 

炭治郎がチュン太郎(善逸の雀)を手のひらの上で踊らせてる。子どもたちは大丈夫そうね。

 

「兄ちゃんが連れてかれた。夜道を歩いてたら、俺たちには目もくれないで兄ちゃんだけ...」

 

「あの家の中に入ったんだな。大丈夫だ、俺たちが悪い奴を倒して、兄ちゃんを助ける。」

 

「ほんと?ほんとに...?」

 

炭治郎は優しいわね。それにしても善逸はずっと家の方見てる。どうしたのかしら?

 

「炭治郎、華扇さん。なぁ、この音何なんだ?気持ち悪い音...。ずっと聞こえる。鼓つづみか?これ...」

 

「「音?」」

 

その時、不思議なことが起こったわ。突然、二階から血まみれの人影が飛び出した!

血まみれの人は地面に落ちた。私は子どもたちに見せないようにした。

炭治郎が血まみれの人に駆け寄ったけど遅かったみたいね。

 

「に、兄ちゃんじゃない....兄ちゃんは柿色の着物きてる...」

 

どうやら違う人みたいね。

 

「彼を埋葬するわ。炭治郎、善逸、あなた達は?」

 

「俺は行く!善逸!!行こう!」

 

善逸は怖がってるようね。

 

「そうか、わかった。無理強いするつもりはない。」

 

「待って、行くから。そんな般若みたいな顔しないでぇ!!」

 

勇敢なのか臆病なのか...

炭治郎が禰豆子の入った箱を子どもたちの前に置いた。

 

「もしもの時のためにこの箱を置いていく。何かあっても二人を守ってくれるから。」

 

今昼間よ。どうやって守るのかしら?

炭治郎と善逸は家の中に入っていったようね。私は穴を掘る。

 

「もっと長く生きたかったでしょうに。」

 

私は掘った穴に先程の死体を入れて埋葬する。もしかしたら他にも死んだひとが居るかもしれないし、いくつか掘っておきますか。

って、え?子どもたちがいない!?禰豆子の箱しか置いてない。

あ!二階の窓から善逸と男の子が!!

私は走って二人を受け止める。善逸の方は気絶しているようね。

 

「大丈夫?」

 

「あ、はい。」

 

二人を地面に降ろす。

 

「炭治郎たちは?」

 

「途中ではぐれて...」

 

「大丈夫。炭治郎を信じなさい。」

 

「ゔ..」

 

「善逸さん!」

 

「どうやら目が覚めたようね。」

 

「部屋が変わった時に外に飛ばされたんです。」

 

「そうだっけ?」

 

大丈夫そうね。

 

「猪突猛進、猪突猛進!!」

 

誰かが家の戸を突き破って出てきた?猪の被り物をしてる?

 

「鬼の気配がするぜ!!」

 

誰かしら?

 

「声を聞いて思い出した!最終選別の時に早く入山して早く下山したせっかち野郎だ!!」

 

鬼殺隊員?これが?

 

「見つけたぞオオオ!!」

 

あ!

まずい、禰豆子が入った箱が狙われてる!

 

「やめろーーーー!!」

 

善逸が飛び出した。意外と勇敢。

 

「その中には鬼がいるぞ、わからねえのか?」

 

「そんなことは最初からわかってる!!」

 

え?知ってたの?

 

「俺が炭治郎に話を聞く。だからお前は引っ込んでろ!!!」

 

かっこいい子ね。彼処まで泣き叫んでいたのに。

 

「善逸、ここは私が。私は隊員じゃないから。」

 

ここは私が前に出る。

 

「私が相手します。猪さん。」

 

「てめぇ、鬼でも人でもねぇ!なにもんだ!!」

 

「私は茨木華扇、片腕有角の仙人よ。」

 

「そうか、俺は嘴平伊之助だ!いざ勝負ぅ!」

 

戦いを好む性格ね。嫌いじゃないわ。

伊之助は刃先が変わった刀を二本振っている。

彼が呼吸をしている空きを狙ったけど避けられた。まるで獣のような動きね。

ここは一つ、頭を使いましょう。

彼が刀を振るった、今ね。

私は()()()右腕に見える包帯を斬らせる。

 

「腕もらった!」

 

けど残念。包帯は斬れてないわ。油断したところに一発蹴りを入れる。

 

「ぐっ!」

 

そこで包帯を使って彼を拘束。これで彼も動けないでしょう。

 

「は、はなしやがれ!気仙!」

 

「華扇よ。」

 

覚えられてないのかしら。

 

「華扇さん!」

 

「あら、炭治郎。」

 

「彼は?」

 

「嘴平伊之助よ。彼も鬼殺隊員。それよりどうしたの?」

 

「鬼を倒したんだけど家中に死体が沢山あるんだ。埋葬するのを手伝ってくれ!」

 

「わかったわ。」

 

「てめぇら俺を無視すんじゃねぇ!!」

 

「俺は竈門炭治郎。伊之助も手伝ってくれ。」

 

「生き物の死骸埋めて何の意味がある!!」

 

「そうか... 何処か怪我してるのか?」

 

「私が蹴りを入れたから怪我してるはずよ。」

 

「なるほど、傷が痛むからできないんだな?」

 

「はあ゛ーーーーん!?舐めるんじゃねぇぞ。百人でも二百人でも埋めてやるよ!!」

 

ずれてる...

伊之助を開放させて私達は遺体をを埋葬する。

埋葬を終えると私達は下山する。

 

『サァ、ツイテ来イコノ私ニ!!カァア!』

 

烏の松衛門についていった先には藤の花の家紋の家についた。

 

『休息!!休息!!負傷ニツキ感知スルマデ休息セヨ!!』

 

私怪我してないんだけど。

 

『華扇!!オ前モダッ!!』

 

私も良いんだ。確かに最近は鬼と戦ってばっかりだったし、休憩ね。

 




前回ノーサイドだったな。


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