ハックアンドスラッシュ・イン・エロトラップダンジョン学園序章 (霜月 聖唯)
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ハックアンドスラッシュ・イン・エロトラップダンジョン学園序章

深夜テンションで書き上げて初投稿です。よろしくおねがいします。


こわいゆめを、みたの。

 

おとなになった、たぶんわたし。おなじくらいのとしの、おとこのひととおんなのひと。

おこっている。どなっている。

『やくたたず。』『あしでまとい。』『このパーティーからぬけてもらう。』

ひとりぼっちのわたし。

うごかないからだ。

モンスターがちかづいてきて。

 

いやっ!!

 

 

・・・やっぱり、ゆめだった・・・。

 

「そう、夢。でもただの夢じゃないわ。」

 

だれ?・・・あれ?わたしにそっくり・・・。

 

「私は貴女。未来の貴女、オニキス・カーボナイよ。ねぇ、今の私。さっきの夢は、このままじゃそうなるかもしれない未来よ?」

 

よくわかんない・・・。

 

「今のままじゃ貴女はみんなから見捨てられて、ひとりぼっちのまま死んでいくわ。」

 

わたしが、“さいのうのないこ”だから?

 

「“普通の魔法の才能がない子”よ。“特別な魔法の才能はある”のよ。わかりにくいけれど。」

 

とくべつ・・・?

 

「そう。特別。才能があるかもわかりにくいし、その育て方を知っている人間も少ない特別な魔法よ。」

 

わたし、は、そだてかた、を、しっている、の?

 

「その通りよ。だから、私の言う通り、ちゃんと訓練をしてほしいの。貴女と私の未来のために。」

 

うん・・・。わかり、ました。

 

「じゃあゆっくり寝なさい。続きは起きてからね?」

 

 

 

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はい、始まりました。不遇キャラ育成計画。

今回私が転生いたしましたのは、名高きSRPG系エロゲーでございます。

概要といたしましては、モンスターを生むモンスターであるダンジョンに人類が追い詰められていて、残る国はただ1つ。

そこから人類の復権をかけて戦っていこうというダンジョン探索ものですね。

まぁ追い詰められていますので、人材を無駄に消費するわけにはいかないわけで。

きちんとダンジョンで戦えるように(人脈づくりの側面もある)、15歳になった少年少女を中央の学園に集めて教育と訓練を行うことになっております。

 

というのもこのダンジョンが普通ではなく。人類を無力化することに特化した、いわゆるエロトラップダンジョンというものになってるんですね。

まぁモンスターはダンジョンで勝手に増えるので、無力化した人間を苗床にするのではなくサクッと殺しにかかるんですけれど。

 

まぁそんな世界に転生してしまった私、転生先は主人公・・・ではなくメインヒロイン・・・でもなくサブヒロイン。それも幼少期(5歳くらいかな)で人格が残っているところに意識だけの転生というなんとも言えない感じがすごいですよね。

 

で、この子、オニキス・カーボナイなんですが。見た目はスッゴク可愛い。黒髪ロングストレート。雪のような白い肌。気弱そうな表情。身長はやや低め。

ビジュアル的にはメインヒロインと並んで遜色がなく。

立場も『人類最後の砦のひとつ』カーボナイ辺境公爵令嬢という重要ポジ。領内に高難易度ダンジョンがあったりもします。

 

ただし。戦闘ユニットとしては『使えない』のひと言で終わってしまうくらい不遇。

『可愛い足枷』『縛りプレイ御用達』『アイテム役としても上位互換がいる』『強化イベントを経てベンチ』なんてユーザーにも大好評でしたね。

 

まぁでも、“適性のない魔法の訓練を無駄に頑張っていた設定”はちらほらと見えてはいたので。これはもう前世のインターネットでさんざん議論された、『オニキスはきちんと適性に沿って鍛えれば実は強いのではないか?』を試さないといけませんね。

でないと私も含めて死んでしまいますしね!

 

はい、そんなわけで。オニキスちゃんにはカーボナイ家に代々伝わる(初代は使えたけれど、そこから習得者は居なかったらしい)魔法の完全修得を目指してもらおうと思います。

ゲームでも半端には使えたのですが、半端すぎてどうしようもなかったので。

 

 

 

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「おはよう、私。良く眠れたかしら?」

 

おはようございます。・・・ゆめじゃなかった・・・。

 

「そう、夢じゃないわ。それで、覚えているかしら?ひとりぼっちで死なないために頑張るという言葉を。」

 

おぼえてる・・・。わたしは、どうしたらいいの?アロー(矢の形にして飛ばす)ウォール(近くに壁状にして出す)もできないのに・・・?

 

「その辺りの魔法のことは忘れなさい。まずはとにかく最大魔力量を上げるのよ。そうね。髪の毛。1本1本丁寧に、魔力を通してみて。」

 

まりょくを、とおす・・・。

 

「魔力が練れなくなったら休憩していいわ。あとはお父様に秘伝書を見せてもらいましょう。」

 

ひでんしょ・・・?

 

「貴女の特別な魔法が書いている本よ。」

 

わかった・・・。

 

 

 

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はい、そんなわけで。まずは基礎ステータス上げですね。優先するのは最大魔力量(MP)魔法技量(TEC)

ゲームでもMPがトップだったオニキスちゃんなので、物凄いことになるはずです(願望)。

 

で、秘伝書の方なのですが。

これは彼女の習得していた魔法である『武装解除』に関係してきます。

カーボナイ家秘伝の魔法で、ゲームでは、“一部のモンスターのステータスを確率で固定値分下げる”という効果でした。

 

はい。ぶっちゃけると産廃です。雑魚戦だとこれそのものに出番はないですし、ボスだと“対象になってるモンスターがほぼいない”“いてもまず成功しない”ので純粋火力もしくは味方への能力値上昇(バフ)スキルを使いたいところなんですね。

オニキスちゃんは両方使えませんけどね?

 

どうも“魔力を飛ばす”“魔力で離れたところに影響を及ぼす”ことができないみたいなんですよ彼女。

『武装解除』はオニキスちゃんから黒い触手がモンスターに向かって伸びるエフェクトでした。

 

で。成功率が低かったのは出力が足りないからなのでは?となりまして。

出力を上げて精密動作が出来るようになれば『武装解除』も産廃じゃなくなる!といいな、半端で使い物になってないんだったら完全修得すれば使い物になるのでは?との結論になった次第でございます。

 

あ。読むと魔法を習得できる秘伝書があるのは公式キャラ設定集に書いてありました。

 

キャラ自身が読まないと習得できないので、話が始まらないのですよ。

 

 

おっ無事秘伝書を見せてもらえたみたいですね。読めてないですけど。

あー。文字が読めないと習得できないんですかー。まずは字を覚えるところからですね。

 

 

 

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ねぇ、わたし。ちゃんとかみのけいっぽんいっぽんに、まりょくをとおせるようになったわ。

 

「よくできました。じゃあ次は髪の毛を魔力で動かしてみましょうか。目標は指と同じくらい細かく動かせるようになること、よ?」

 

・・・うん。

 

「読み書きも頑張っているのね、私。偉いわ。」

 

ありがとう・・・。かいてあったまほうね、なんとなくつかいかたはわかるの。

 

「予想よりも早いわね。凄いわ。なんとなくでもわかるのなら、すぐにちゃんと使えるようになるわね。」

 

うん、がんばる・・・。

 

 

 

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なんと三ヶ月ちょいでMPが予定より増え、『武装解除』も習得してしまったオニキスちゃんですね。

なんとなくでも使い方がわかるというのは、ゲームで言う熟練度が1になっていると言うことで、つまりは覚えたと判定してよいでしょう。

 

不安点といたしましては、ステータス画面のスキルリストに『武装解除』の文字がなかったことなんですよね。

『闇蝕手』とかいうヤバそうな魔法はありましたが。まさかこれが秘伝の魔法?いやいやそんな。エロゲーだからといってヒロインが使っていい字面じゃないでしょう?

 

 

 

 

で、あっという間に修業開始から二年くらいが経ち、これが7歳の誕生日を向かえたオニキスちゃんのステータスです。

 

NAME:オニキス・カーボナイ

  HP:60

  MP:300

  STR:20

  VIT:20

  TEC:120

  MND:300

  DEX:70

  AGI:20

スキル:魔法『闇蝕手』熟練度30/99

 

※成人男性の平均がHPMP250その他100程度

 

つよい(確信)。学園に行くまであと8年くらいあってこれですからね。どれだけ成長できるやら。

流石に危険なのでダンジョン探索には連れていってもらっていませんが、もう少し成長すればダンジョンデビューできることでしょう。

 

 

 

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あのね、私。わたし、宝箱をちゃんと開けられるようになりたいの。

 

「どうして?」

 

しょくしゅならね、離れたところから開けられると思うの。でも。

 

「やり方がわからないのね。大丈夫よ。貴女が頼めば、騎士団いちの腕利きの罠師だって協力してくれるわ。」

 

私は、そう思うの?

 

「そうよ。貴女の頑張りと能力は、みんな見てくれているわ。」

 

ありがとう。頼んでみる。

 

 

 

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10歳になってダンジョンデビューを果たしたオニキスちゃんですが、宝箱に興味津々な様子ですね。

この宝箱の中身というのはですね、端的に言うと遺品です。

ダンジョン内部で死んでしまった人間、その肉体はダンジョンが吸収するのですが、装備品は吸収せずにどこかしらに宝箱の中身として配置されます。その際に少しだけ強化されることもあり、それで他の人間を誘き寄せるわけですね。

“人間として開けざるを得ない”ので、ダンジョンもそれをわかってか100%の確率で罠を仕掛けています。

罠の種類も毒矢、催淫ガス、酩酊ガス、麻痺電流、腐食の霧、宝箱に潜むモンスター(ミミック)など多岐にわたり、中身を駄目にしないためにも、解除技能というのは必要なわけです。

 

『闇蝕手』は本人中心に20m程伸ばせるようになっていて、そこそこ精密に動かせるようになりました。

なので遠距離からの罠解除ができないかは試してもらいたかったんですよね。

どう言いく・・・説得して罠解除技能を取ってもらおうかを考えていましたが、彼女の方から言い出してくれるとはありがたいです。

 

そんなわけで、領内最高の罠師に必死に頼み込むオニキスちゃんを眺めて癒されます。

うんうん、無事に師事出来ましたね。

 

さて。余談なのですが、ダンジョンの奥地で予備武器を1~2本置いて帰り、次のダンジョンアタックで回収するなんてテクニックもあったりします。

装備は吸収されず強化されますから。

数が多いと強化の度合いが減るので注意ですね。

 

 

 

罠解除技能を習いはじめて三ヶ月。そこには蝕手でミミックを搾り上げるオニキスちゃんの姿が!『闇蝕手』えっぐい。

速度があるわけではないので徘徊するモンスターには避けられていますが、捕まえれば死なので動かないミミックには効果が高いですね。

これが産廃魔法だとは信じられませんね。

遠距離からの罠解除はほぼほぼ成功するようになり、公爵軍の武器も少数だけグレードアップ出来ましたね。

みんなオニキスちゃんを愛そうね?

 

 

そして運命の日、学園の入学式がやって参りました。

首席で入学して新入生代表の挨拶をしているのは・・・主人公君ですね。ご立派。

 

クラス分けはっと。やっぱり主人公やメインヒロインと同じクラスになりましたね。

さあ自己紹介、オニキスちゃんの番です。

ガツンとかましてやりましょう!

 

 

「皆様、初めまして。オニキス・カーボナイと申します。得意なことは索敵と罠の解除とミミックの処理。直接戦闘には自身がありませんが、どうぞよろしくお願いします。」

 

うんうん、淑女らしい振る舞いもバッチリで、掴みはオッケーですね。

 

さあ、公爵領を救い、国を救い、人類を救いましょう!

 



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