古代王三人衆に転生した男3人の日常 (金属粘性生命体)
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お馬鹿三人衆
「はい」
「はいじゃないが?」
「おいごらどうしてくれんねん、オジマンディアスくぅん???」
ある安アパートの一室、なんか無駄に煌びやかな装飾をまとった男3人が座っていた。右からギルガメッシュ、オジマンディアス、始皇帝──に転生した元一般人の男たちである。
「なぁーんで寄りにもよって古代王なんですかねぇ?答えてくれますぅ?」
「もっとマシなやつあっただろ、いや確かに見た目とか能力的に言えば最高峰だけどさ。知識でわかってるがその分めんどくさいだろこの体」
「てかなんでお前しか選択肢渡されてねぇんだよ、おかしいだろおい。確かに俺ら2人はfateなんてほとんど知らないけどさ」
「逆に聞くけど他の選択肢が【キアラ・愛歌・オーロラ】と【静謐・源頼光・清姫】だぞ」
「「???」」
「説明すると前者3人が三大fate悪女で、後者が溶岩遊泳部」
「「溶岩遊泳部」」
「要はヤンデレだ、しかもくっそ面倒臭い。だったらまだこの古代王トリオの方がマシなんだよ……!」
3人して頭を抱えている様子。要は彼らが死んだ時に現れた神様から与えられた選択肢がカスしかなく、面倒事を抱えるとわかっていても古代王トリオを選択するしか無かったのだ。
「え、でももうひとつ選択肢無かったか?お前あの時4枚紙あっただろ?」
「…………黙秘で」
「なんでだよ」
「…………」
「理由すら言わない気か?ならこっちにも手はあるんだぞ」
「……なんだよ」
「自白させる薬(副作用で思考のみ幼児化する)」
「なんでそんなもんが
「あったんだからしょうがない、ほれほれ、早く吐いた方が楽だぞ〜」
黄金の波紋から取りだした薬を片手にオジマンディアスへとにじりよっていくギルガメッシュ、その後ろでは手をワキワキさせた始皇帝が待ち構えている。その表情はニヤニヤしており楽しんでいる様子だった。
「わかった!わかったから!どけ、おいゴラ始皇帝お前もどけや、おら、おら」
「うぉ、足蹴にすんな。いてぇって、いて──うごっ」
「あ」
「ウッワ綺麗に鳩尾入ってら、ウケる」
「まぁいいか……いや、ぶっちゃけさ。さっきの選択肢より酷かったから言いたくなかったんだよね」
喋るとなってもやっぱりちょっと躊躇いのあるオジマンディアス。だがやっぱり言う気になったのであろう、始皇帝を部屋の隅に蹴って押しやり、目の前に座る金ピカ鎧に映る自身の顔を見ながら口を開いた。
「そんなに酷いの?」
「【ORT・セファール・スルト】」
「うん?」
「【ORT・セファール・スルト】、このメンツがいかにやばいか分かるか?」
「スルトはあれだろ?北欧神話関係のやつだろ?」
「全員地球環境変えるバケモンだよ、ORTは全部水晶にして来るし地球壊すし、セファールは捕食してくるし地球壊すし、スルトはあらゆる神話焼くしついでに地球も焼くし」
「地球やられすぎでは????」
「そういう奴らなんだよ、世界に生まれた段階でウルトラマン呼ばなきゃ終わりだよ」
「あいてててて……たしかにそれなら古代王トリオ?とか言うのが一番マシなのか」
地球環境をまるっと変える化け物か、古代王とか言う超人に生まれ変わるか。どちらを選ぶとしたら古代王を選ぶしか無かった、ただ内心含め役得しか思ってないオジマンディアスである。
「はー……いやうん、わかった。これに関しては最良だったわ。溶岩遊泳部とfate三大悪女はよくわからんからあれだが、とりあえず最低限良しとしよう」
「なんでお前が仕切ってんだよギルガメッシュ」
「仕切るしかねぇダルルォン!?君たちの過去の所業思い出してくれませんかねぇ?????」
オジマンディアスの中の人は思い出そうと──深夜2時にギルガメッシュの中の人の家に行き
総勢15人でタコパを開催したことを──記憶から消した。
始皇帝の中の人は思い出そうと──初めて3人で東京に赴いた時、ギルガメッシュの中の人を嵌めて超高級詐欺系ガールズバーにひとりで行かせたことを──記憶から消した。
「「見に覚えがありませぬな」」
「んだとゴラァ!!!!」
「お?やんのか?戦争か??」
「テンティる?テンティっちゃう?」
「上等だテメェらァ……!ギルガメッシュのフルスペック使って教えこんでやるよォ……!上下関係をなァ!!!」
徐に立ち上がり外へと歩き出す三人衆。なお内訳はギルガメッシュVSオジマンディアス・始皇帝のためギルガメッシュが不利である。
完全に外へ出て、車通りの少ない車道のど真ん中に三人が立ち、各々が所有する宝具を使うべく魔力を全身へとフルで回し始めた。
「全門解錠だ、
「フハハハハハハハハハ!!!!傲岸不遜たる英雄を捻り潰すぞ、
「
この日、東京上空に超巨大積乱雲が突如として出現し、終始空から爆発音等が鳴り響いていたとか。あと高笑い。
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お馬鹿共は反省──するわけねぇだろ
安アパートの一室。その中で大の男3人が体育座りして落ち込んでいた。
「勢いに任せたとはいえまさか宝具を使って喧嘩するって……」
「馬鹿とはいえここまで馬鹿だっけ俺ら」
「しかも見ろよこれ」
無駄にギンギラギンに光っているテレビを黄金の波紋から取り出したギルガメッシュは、これまた無駄にギンギンに光ってるリモコンを使ってあるチャンネルを表示した。
『ご覧下さい!この大雨を!記録的大豪雨です!東京が──東京が雨によって浸水させられています!!!』
大粒どころの話じゃなく、ほぼ石サイズ程の大きさの雨粒が東京を穿っていた。尚且つ量が量なので排水できておらず、そこかしこの排水溝、マンホールからは大量の水が溢れ出てきておりリポーターの足首まで水が溜まっていた。しかもこれが東京全土で発生しているのだ。
「「「……」」」
「や、やっちまったな〜」
「これギルガメッシュのせいでいいだろ、な?始皇帝」
「は?」
「だよな、途中こいつが姿隠すためとか言って雨乞い+雨雲生成宝具を大量に使わなければこうならなかっただろ」
「うぐ」
「いや、これに関してはマジでそうだろ」
「え、あ、いや!でもオジマンディアス、お前が持ち出したスフィンクスもやらかしてただろうが!」
「んだと?」
「体が宇宙だかなんだか知らんがそこから水の惑星取り出して水追加してたじゃねぇか!」
「たしかに!お前もじゃねぇか!!」
「黙れ始皇帝!お前もだろ!」
「はぁああ???俺がなんかしましたかぁ????」
「しただろ、思いっきり雲の中心で有り得ん速度で回転して積乱雲にしたのおめぇだろうが。あれがなきゃまだ大きいだけの雨雲だったんだぞ」
「ギルガメッシュの宝具を弾くための不可抗力ですぅ!」
「お前爆笑しながらホワイトハリケーンとか言ってたじゃねぇか!!!超次元サッカーじゃねぇんだよ!!!」
醜い。罪を擦り付け合いながら先程までの落ち込んでいた姿はどこへ行ったのか。もはや取っ組み合いへと移行してドッタンバッタン大騒ぎ、更にはまた宝具を使おうとしている。
「ちょ、お前ら落ち着け!」
「始皇帝!!お前に貸したSwitch返ってきてねぇんだよ!!返せよ!!」
「死んだからノーカンだ!!それ言うならお前に貸した呪術廻戦返せよ!!!」
「落ち着けや!!!まずこの雨どうにかすることから考えろや馬鹿ども!」
「お前がエヌって来れば終わりだろ」
「東京消し飛ばす気か?」
「これで万事OKだわ」
「やかましいわ!」
ひとまずエルキドゥを使い2人を拘束したギルガメッシュ、なお始皇帝にはただの鎖のためすぐ抜け出せるが事態が事態のため大人しくしている。
「んで、だ。どうするよ」
「どうするって言われてもなぁ……高火力で消し飛ばすか、このまま自然に消えるのを待つしかなくね?」
「ん、いやその前に気になってる事項がひとつあるんだわ」
「それはどういうことだいオジマンディアス」
「魔術協会とか聖堂教会ないのかこの世界?院の方はどうでもいいとして」
「あー……なんだそれは?」
「魔術協会は一応知ってるが、聖堂教会?もしかしてあれか、聖四文字関係か?」
「いんや、キリスト教の暗部。主に裏に関係する事柄をやるタイプ。死徒とか吸血鬼を殺すのが目的のひとつの集団」
キョロキョロと、いきなり挙動不審になったオジマンディアス。その眼光は先程より鋭くなっており全文警戒するように周囲を睨み続けている。
「そいつらがどうしたんだ?」
「いや、よく考えたらわかるだろ?多分こいつが言いたいのは裏って概念があることだろ?てことは裏を表に知らせない為の組織がある、それが魔術協会とか聖堂教会ってことになるわけだ」
「そういうことだ。基本的に奴らは神秘の漏洩を許さないからな……」
「ふむ?だが……この世界多分神秘ないぞ?」
「は???」
赤い目をさらに光らせながら虚空を睨むギルガメッシュ、始皇帝はもはや会話がめんどくさいのか寝転がりながら子猫サイズのスフィンクスと遊んでいた。
「え、それマジなの?」
「
「てことはもしかして魔術協会も聖堂教会もないのか……?」
気づいてしまった。この世界の真実に気づいてしまった。つまりどういうことかと言うとぉ?
「ヒャッハー!!!!遠慮なんかする必要ねぇぜぇ!!!」
「お、おい?」
発狂、からのダッシュ。船を呼び出し上空へ向かい全身の魔力を奮起させたオジマンディアス。こいつの中身は馬鹿だ、つまり遠慮なんて言葉は無い。自身を束縛するであろう存在がいなかった場合──止まることを知らない。
「
超巨大積乱雲にピラミッドがぶつかった。
その日、精神病院へ向かう人達の姿が東京中で見受けられた。
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お馬鹿共は現状を把握する
「まあいいさ……あぁ、今回の件は一応目を瞑ってやるよ。おん?」
「スンマセンッシタ」
「声が小さくて聞こえねぇなぁ?」
「すんません」
「よろしい」
正座。腰にある謎の円が床に突き刺さっているところ以外は見事な正座を披露しているオジマンディアス。目を細めながら下を見ているその姿はまるで雨に打たれている子犬のようで──内心はどうでもいいことを考えている。
(やっぱギルガメッシュってあれだよな……陽光のせいで眩しすぎて直視出来ねぇわ。なんだよあの金ピカ鎧、石化無効くらいしか効果ないがもしかしてあれか?鏡なら石化光線反射できるからピッカピカなのか?そうなのか?)
とまぁ反省の色は一切見えないが、そこもまたオジマンディアス(中の人)クオリティ。外見だけは反省しているように見せかけることは容易く──尚且つ付き合いが長いためギルガメッシュにはバレている。始皇帝はスフィンクスを弄るのにハマったのか猫吸いならぬスフィンクス吸いをして満面の笑みを浮かべている。無駄にいい笑顔だ。
「まぁ貴様が反省してないのは分かってたことだ」
「(ビクゥ──流石にもう騙しきれんか〜)」
「とりあえず雨は止んだ、止めたとも言うがひとまずそれはいい。そんなもん後にしときゃなんとかなる、仮にも俺たちは英霊の体を持ってるんだ、しかも能力ごとな?」
「あー……カリスマとかか。確かに厄介事すぎるな」
「朕考えたんだけど、下手しなくても国家に喧嘩売れるよね?」
「ぶっちゃけ言うとギルガメッシュ単騎で行ける」
「え?そこまでこの体スペック高いの?」
「忘れちゃいけねぇ、この世界は神秘がねぇんだ。つまり制限となりうる抑止力共も存在しないわけだ」
オマケに俺たちの魔力は全ての宝具をフルスペックで使用している状態で数時間全力戦闘ができ、その状態ですら全体の数%程の魔力しか使用されていなかったのだ。つまりどういうことかと言うと聖杯数個分の魔力を常に作り続けていることになる。
普通そんな存在が生まれていて、枷が無い状態の英霊がいた場合抑止力が必ず介入するはずなのだ。だがこの世界は神秘が存在しない、完全物理世界。
「ギルガメッシュが多数保有する宝具、その中で一番やばいのが乖離剣エアだ」
「はぁ……」
「はぁ、じゃねぇよ把握しとけや」
「いやちょっとあんまり現実味がないというか……他人に言われた方がまだ信じられるんだわ。話し続けてくれ」
「お、おう……んん、で何が問題かと言うと、乖離剣エアには2段階の出力が存在する」
「地の理とか天の理とか言うやつか?」
徐に黄金の波紋から赤黒い3つの円筒で出来た剣、らしきものを取りだした。それは脈打つかの如く緩やかに回転していた、どうやら無意識で魔力を込めているようで慌てて手を離し乖離剣エアを地面へと置いた。なお始皇帝はスフィンクスを2匹捕まえてスフィンクス吸いダブルバージョンをしている。
「地の理は〜、まぁ……山ひとつ消し飛ぶくらいだと思っとけ、うん」
「いや雑!てか威力よ」
「は、天の理はそんな次元じゃねぇぞ。乖離剣エアの本領だ、原典のギルガメッシュ曰く「生命の記憶の原初であり、この星の最古の姿、地獄の再現」ということ。
「は???」
「要は地球をぶっ壊す兵器」
「(宇宙猫)」
宇宙猫になってしまっつギルガメッシュを放置し、スフィンクス吸いしている始皇帝の首根っこを掴み、寝っ転がっている体勢から座ってる体勢へと強制的に変えて目の前に座るオジマンディアス。
「なんだよスフィンクス吸ってたのに、1匹くれね?」
「次にお前、お前も宝具の使い方間違えたらやばいから言っとく。1匹くらいやるから話聞け」
「やった……でなんだよ?」
「お前の宝具である、
「ほん……?でもそれ王じゃなきゃ無理じゃない?強いけどさ」
「いやぶっちゃけ言うとこれ多分、政府と取引しちゃえば簡単に条件揃うんだわ」
「あー、なるほどな……いやでもそんなめんどくさいこと──」
「お前さん過去の所業忘れましたかぁ?大学の校長相手に学科から諸々全部変えさせたことあるよなぁ???」
「馬鹿だがらわかんね☆」
ため息ひとつ、こいつら自分たちの脅威を理解していない。ギルガメッシュはやると決めたら止まらず、恐らくブチギレた時が一番ヤバイ。始皇帝は自由気ままであるが故に自身の行いを捻じ曲げられることを嫌う、故にこそ最悪ここ日本がこいつの領土になっている可能性すらある。
「そういうオジマンディアスもやばいぞ?」
「おん?」
「声に出てたよ、俺たちがやばいって……でもお前が一番ヤバイよ?」
少し立ち直ったギルガメッシュが、そういいオジマンディアスを見ながらニコニコと笑っている始皇帝のその姿を見ていると不思議に思う。
(そういえばこいつ、いつから己の自由を押さえつけるようになったんだ?)
「まぁまぁ、それは一旦あとにしろ……オジマンディアス、お前が言いたいことはわかった。最悪俺たちだけで国家を相手取り、なおかつ勝利することができるんだろ?」
「ん、まぁそうだな。だから身の振り方を考えなきゃ、俺たちはストッパーが居ないんだ。止まれねぇぞ?」
「そう、だな〜。確かにそうだわ。あれ??やばくね?」
「今更気づいても遅いぞ」
だからこそ自身の能力の把握と裏付けが必要だったのだ。そういう意味では先程までの大喧嘩は自身の能力を把握するということでは最上であっただろう。ただ被害を考えなければだが。
「だから、どうする?」
「どうするって言われてもなぁ……そりゃもう普通に各々が好きなことをして過ごす?能力的にも単独で完結してるじゃん俺ら」
「あー、そうだな。特に俺が一番ヤバイか」
「黄金律Aだな。直感Aが擬似的な未来視が可能になるってことは──まぁやばいわな」
「うーわ、じゃあこの安アパートにいる必要性ないってことじゃん……ギル、養って☆」
「お前なぁ。まぁいいけどよ……」
「わーい、オジマンディアスはどうすんの?」
「俺は──そうだなぁ……すること……ないなぁ……」
「じゃあとりあえずだが、街歩いてみるか?」
手を合わせてそう提案するギルガメッシュ。その言葉にぱちくりと瞬かせたオジマンディアスは、ニンマリと笑い。
「それいいな、カリスマ系の効果も知りたいし」
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お馬鹿共は街を散策する
街へと乗り出した3人組、服装はギルガメッシュの宝物庫から引っ張り出してきた無駄ーにゴージャスな金ピカスーツである。普通の人が来たら痛々しいが──彼らは古代王、その容姿は黄金比を持っておりむしろ服の方があっていないと言えるくらいには整っている。
「やっぱり目立つよなあ」
「仕方が無いだろう、こんだけ金ピカしてたり整った容姿してたら嫌でも見られる。とりあえず金塊を換金してお金を手に入れるぞ」
「即金で手に入らないの?黄金律って」
「うーん、そこら辺は特に描写はなかったからなぁ……よく分からないってのが現実だ」
実際スキル解説欄においては一生お金が尽きない、くらいしか説明がないのが黄金律Aである。ゲーム的に言えばNP獲得量upなので、本当にお金が手に入りやすいくらいしか分からないのである。
「で、換金できんの?」
「スマホあるだろ」
「いや身分証は?換金するのに必要だろ」
ビタリと一切の動きが止まったギルガメッシュを見てため息が漏れた。
「確かに俺たちはこの世界に転生したし、戸籍はあるが……免許証とかないぞ?健康保険証とかあるか分からんし」
「…………そ、そうだ。カリスマだ、カリスマ使えば何とかなるだろ」
「いやならんじゃろ」
「そこら辺のやつに頼めば何とかなるだろ、おう……」
行き当たりばったり、止まることを知らないギルガメッシュは一度決めたらそれを貫き通す。故に何がなんでも換金するだろうということがわかった。
ひとまず周囲の一般人に見られながら、なおかつスマホで撮られている中何とか買取専門店の前へ辿り着いた三人。周囲を見渡し始めたギルガメッシュは何かを見つけたのかそちらの方へ歩み始めた。始皇帝はもはや飽きているのかヤンキー座りを始めボーッとその姿を眺めている。
「そこのお嬢さん」
「は、はひっ……!?わた、わたし!私ですか!?」
周囲からこちらを伺っていた女性。恐らくOLであろう人物にギルガメッシュは声をかけていた。その顔はまるで全てを溶かすかのような笑顔である。思わず吐き気がしたオジマンディアスは悪くないだろう、原作では一切しない、むしろしたらエルキドゥに顔をぶん殴られるほどのあまーいフェイスを披露していた。
「少し頼み事があるんだが……いいかな?」
「え、あ……はぃ……わかりましたぁ……」
「いや、おい待て待て待て」
「なんだよ」
「もしかして今カリスマしてるか???」
「してるが?」
「だよな!国家運営クラスのカリスマを個人に向けるなお前!」
女性の目がからハイライトが消えている。これはひどい。1種の狂信者へとなりかけているその姿に、オジマンディアスもカリスマを発動し、Bランク分ギルガメッシュのカリスマを相殺した。こんな使い方するものでは無いが1人の女性の人生を考えれば仕方が無い。
「とりあえずやりたいことはわかった、だがやりすぎるな」
「うぃ……じゃあとりあえず──」
とりあえず女性に頼み換金が済んだあと、速攻で安物の服を買いに行き、格好を一般的な物にした3人はようやく先程までの注目地獄から逃れることが出来たのであった。
「……カリスマやべぇなぁ」
「黄金律もやばいぞ」
「おん?」
「そういやさっきギルガメッシュひとりでどっかいってたよね?どこいってたん?」
始皇帝がそう言った疑問をあげるとギルガメッシュがポッケからある紙を取りだした。それはよく見るとスクラッチくじであることが分かる。
「えっとそれは……もしかして?」
「一等だったわ、300万くらいかな?とりあえず銀行行って換金しなきゃならんな……」
「うっそだお前。スクラッチくじでそれかよ……」
「ドリジャンの方も買ってきてるから……当たりならまぁ一枚あたり3億かな?」
3枚ほど買ってきた──そういうギルガメッシュのその姿は、残り二人からは後光が差す程輝いて見えたという。
「とりあえずこれで資金的には問題ないだろう」
「え、すること全部消えたやん。これで不労所得で無限にお金手に入るじゃん」
「とりあえずだけどやることやらんとな」
「おん?どうした?なんかしたいことあるのか?」
「いや、安アパート出ようって話をしたいんだけど」
「あーたしかに……これだけお金あるなら高層マンションに住めるな」
それにこいつのスキルであるバビロンの蔵を使えばより良い住処を得ることが出来るかもしれないと──こいつらはお金関連の全てをギルガメッシュに放り投げるつもりである。
「わかった、とりあえず戸籍関連から身分証明書を作ろう。全員な」
「「えー」」
「オジマンディアス、お前ライダーだろうが!!!」
「それ言うなら始皇帝もライダー適正ありますぅ〜」
「え、そうなん!??」
「それにギルギルマシンを使いたい」
「あぁ、あの金に言わせた無駄にいいバイクか……蔵にあんの?」
「もちろんある」
とりあえず今後の指針を決めた3人、ひとまず身分証明書を作り、良いところに住む。という単純なものである。
恐らくこのままだとネタ切れになるので魔法が存在しない(だけ)の作品とクロスオーバーさせたいと思います。今の所決めてるのはないんで、なんかいいのあったら活動報告の方に募集枠置いときますのでそちらにお願いします。
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お馬鹿共は免許を取得する
思い切りのいいハンドリングで車がコースを疾走する。その姿はさながら熟練のレーサーである。時速にしておよそ70km程だが二台の車はお互い並びながら次のコーナーへと突っ込んで行った。
「やるじゃないか始皇帝!!!」
「いや──」
「そちらこそ!前居た場所で培った技術に追いついてくるとはな!!!」
「待って──」
見事なコーナリング──そう思えたかのように見えた一台の車が、ハンドリングを間違えたのか急激に外側へと膨らんでいき──並行していた一台の車が抜かして行った。
「な、なにぃ!?」
「はっ!そろそろお前のタイヤはすり減ってきてるんじゃないか!!始皇帝!!」
「なんで助手席のブレーキ効かないんだよ……」
「くっ!?無茶なハンドリングで無理をさせてしまったか」
「おかしいよね君達、いつからここレース場になったの?」
綺麗に前へ立ち上がったオジマンディアスが乗っている車はラストスパートになり、エンジンを全力で吹かした。80、90、100と速度が乗っていき、後方の始皇帝が苦虫を潰したような顔してハンドルを殴っていた。
そして勝者の笑みを浮かべてゴールへ辿り着こうとした時、そこには人影が──
「ハハハハハハ!!俺の勝ちだ────」
「止まらんか、戯けが。
鎖が網状となり、車を受け止め。助手席に座っていた教官には保護宝具を用いてあらゆる衝撃から守り、前窓を壊しながら前方は吹っ飛んで行ったオジマンディアスは
──そのまま運転席のアホ面へ振り抜いた。車の側面を削り取りながら拳とともに車の後ろへと吹き飛んでいく始皇帝。
「ブベラバァ!?」
「アホ共が……!」
先程同様助けられた教官はそんな姿のギルガメッシュを見て戦慄していた。だってなんか鬼武者見えるんだもん、それに車壊してたし。
「……チッ、おい教官」
「は、はい!?なんですか!?」
「忘れろ」
「え、いや、でも」
「忘 れ ろ」
そういいなんとなしに2人の教官は手元を見ると100万円の束が置かれていた。そして鋭い眼光でこちらを睨むその姿に全力で顔を縦に振った。そのまま壊れた車から脱出した2人は腰が抜けたのかへたりこんでしまい、超常の現象を目撃した。
「ふんっ、これだけ魔力があれば魔法の真似事はできるか」
まるで逆再生するかの如く壊れていたはずの車が戻っていったのだ。その様子を見て教官の2人は頭がイカれたのかと、今週2度目の精神病院へ向かうことを決意したのであった。
「はぁ……ひとまず交渉は着いた」
「あいてててて、ん?どういうこと?」
「むぐもご!!」
「あぁ、金に物を言わせた」
犬神家状態のオジマンディアスを抜きながらそう言ったギルガメッシュに始皇帝はびっくり顔を晒した。正直そんなことをこいつがするとは思っていなかった。
「え、よくお前そんなことしたな?普段だとやらんだろ」
「めんどくさかった」
「えぇ……?」
「こいつこういうことするからなぁ」
やる時はやる、つまり手段を選ぶことをしないという意味でもある。なお内心としてはこの2人がまともにやることないだろうと確信していたからだ。実際問題こいつらはやらかした、まさかの教習所でレースをやっていたのだ。
「とりあえず、だ。一応免許は発行されるがAT普通免許だ、それ以上のは乗るなよ」
「へーい」
「うーす」
「乗 る な よ」
「「は、はい」」
迫真の威圧にオジマンディアスと始皇帝を囲む様に展開された対人型宝具が2人を狙っていたので大人しく言うことを聞くことにしていた。
「とりあえずこれでやることはやった。じゃあ次住む場所だ」
「そうだなぁ……やっぱ高層マンションだよなぁ!?」
「お、そうだなぁ……」
先程の出来事もあり周囲の人物から見られていたが、彼ら3人が教習所から出た瞬間彼らは何事も無かった如く各々の作業へと戻って言った。その教習所の中には何故か知らないが普段そこでは見られない蝶が飛んでいたとか──
「こいつらほんと……後始末まで全部俺任せかよ……」
「いやだって俺らそういったこと出来んぞ。魔術なんざ使えないし」
「そしたらお前の宝具使うしかないじゃーん?」
「うぐっ、まぁ……そうだよなぁ……」
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お馬鹿ズは裏バイトをする
一応募集はかけてますがチョイ役だったらガッツリ関わってきたりとかコロコロ変わりますんでご容赦を
あとタイトルの法則として
【お馬鹿共】が3人揃った時
【お馬鹿ズ】が3人のうち2人のみ登場
【お馬鹿】が3人のうち1人のみ登場
となります
初クロス作品は先に前書きで報告することにします。
初クロス作品
・裏バイト:逃亡禁止
あれから彼ら3人は高層マンションの最上階を借りることができ、各々が好きなことをし始めていた頃。唐突にネットサーフィンをしていた始皇帝が、これまたスマブラをしていたオジマンディアスへと声をかけた。
「なぁオジマン」
「んぉ?なんだぁ?」
「ちょっと今いいー?」
「あー少し待て」
ドリャドリャと、何故か聞いていると不快になる声が画面から聞こえてきて始皇帝は顔を顰めた。さんざっぱらあのキャラに即死をされた記憶を思い出したようだ。数十秒してコントローラーを置いたオジマンディアスはなんじゃらほいと軽い気持ちで始皇帝の方に歩み寄る。
「おう、でどうしたよ?」
「今ね、ネット掲示板見てたんだけど面白いの見つけんだよ。これこれ」
そうパソコンを指さすので覗いてみるとそこには【危険】裏バイトとかいう話聞きたい奴集まれ【高額】というスレッドが表示されていた。
「裏バイト?なんだそりゃ、ヤのつく奴らの仕事か?」
「似てるけど違うらしい」
「ほん?」
始皇帝曰く
・危険度が非常に高い仕事を凱旋される
・その分報酬が高く1回で100万を超えるバイト代が払われることも
・裏バイトに参加した人物には検索してはいけない
「いやどう考えてもヤクザ系だろ」
「ただここでひとつ文言を加えるだけで変わると思う」
「それで?」
「非現実的な現象が起こるらしい」
「……つまり心霊的な?」
「そう、そう意味での【裏】だと思うんだよねぇ。怪奇現象的なやつで」
「なるほどねぇ……あぁ、あれかなぁ?」
オカルト的なバイトのことを裏バイトと言うらしい。確かにこのスレッドで出てる話を読むと、怪物がでてきたとか、意味がわからない作業を延々とさせられていたとか、歩いているだけで隣に立っていた人が死んだとか話が上がっていた。その話はあんまり信じられていないようで嘘松等々の罵倒が流れていた。
「でどう思うよオジマン。お前さん的には本当っぽいか?朕朕としては嘘っぽいけどね〜」
「ん、まぁ事実だろ」
「え」
「いやだってこれ知ってるし俺」
「は?え、何もしかして前世関係?」
そう詰め寄ると言いにくそうにオジマンディアスは頬を指で掻いていた。
「いやこれどう考えても【裏バイト】だし……」
「だから裏バイトだって」
「そういう意味じゃなくて作品としての裏バイトだよこれ、正しくは【裏バイト:逃亡禁止】って漫画。ホラー漫画だよこれ」
「ホラーかよ……まじかよ」
始皇帝の中の人はホラーが苦手であり、下手したら発狂してうるさいことになるかもしれない。だがそこはオジマンクオリティ。面白そうな世界観を見つけて、最近何をするにも暇になってきたのでここに首を突っ込まない選択肢は無かった。
「てことで始皇帝くん」
「ん?いや、おいまさか」
「裏バイト、やろっか」
「い、いやだァ!!!ホラーは絶対に無理!!!いや!!いやぁあ!!」
ソファに思いっきり抱きつき、無駄にいい笑顔を浮かべたオジマンディアスの引っ張りに抵抗する始皇帝。だがソファは床に固定とかしていないので無惨にもソファごと連れて行かれた。
「ふふふ、上手くやれば主人公ズに出会って安全に裏バイトが終わる可能性があるんだ。行くぞ」
「別にいいだろ!!朕達はお金に関してほぼ無限にあるもんじゃん!無駄に働く必要性なくね!?」
「却下」
「おのれぇ!!!おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれぇえええ!!」
まるでいつかの日のギルガメッシュの如くオノレオノレと連呼する始皇帝の意思は無視され、部屋から出ていく。
「んふ、見つけた。これだな?」
おどろおどろしい文字に、超適当な背景に超適当な文言のサイトを見つけそこに書かれていた電話番号へ電話をかけていく。
「あー、もしもし?」
『はい、こちら赤川事務所ですけど〜』
「あ、今裏バイトってありますぅ?」
「ちょ、どこに電話してんの???あの?電話の向こうの人、裏バイトなんかやりたくウベラァ」
『あー……裏バイトやりたいってことでいいんすかねぇ??』
「そうそう、そうなんすよ。ちょっと今金に困ってましてね〜。で、なんか調べたらいい所があったんでぇ、応募したくて、ね?」
『あ、はいはいそういうことっすねぇ……はいはい。じゃあ○○県の○○───に来て下さぁい。いつ来れますぅ?』
「あぁ、もう数分で着く」
『は?』
高層マンションから出た瞬間、上空からギルガメッシュから借り受けた隠蔽宝具によって姿を消した
「ではまた後で会おう!!!!」
『うるさっ!!!』
基本的にオジマンディアスの知識量は作者と同等になります。なので原作を知っていたら知ってますし、知らなかったら知らない。ギルガメッシュと始皇帝はサブカルチャー部分は苦手な部類に入るので有名所しか知りません。
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お馬鹿ズは裏バイトをする:2
「たーのもー!」
「うっるさ……さっきのやつか?本当に数分で来るとか早いな」
「嫌じゃ嫌じゃ!朕はこんなことしとうな──アッチョンブリケ」
「じゃかやしいヒキニートが、働けカス」
ある事務所前、非常にやかましいやり取りをする奴らが扉を開け事務所内へと入っていった。
(うっわ超イケメンじゃん、うっざ)
「さっき連絡したものだ、名前はオジマンディアス。こいつは始皇帝だ。よろしく」
「オジマンディアスに始皇帝ぃ??おふざけしてるんでございましょうか???」
その中には異常に砂糖を摂取する不健康そうな顔立ちをした女性が椅子に座りこちらを見ていた。まぁこの2人の名前は確かに傍から見るとふざけているように思えるが本名なので仕方が無い。
「まぁ疑問に思うのも仕方があるまいが、事実故なぁ……まぁ呼び辛いならラムセスと呼んでもいい」
「あ、なら朕のことは
「……えぇ、あぁはい。別にいいですよえぇ。ここは裏バイトの仲介をする場なので名前なんざ……えぇほんとにぃ!」
青筋を浮かべながら先程の倍の速度で砂糖を摂取していく、さすがの二人も止めた方がいいだろうと思っているが妙な威圧感を纏っているので口に出すことが出来ないでいた。
そんなこんなでソファに座った2人は向かいに座った女性と向かいになり、ようやく本題へと入っていく。
「えぇ〜、遅れましたが私がここ赤川事務所の所長の赤川ですぅ」
「うむ」
「おん」
「で、お二方は裏バイトをしたいと、そういうお話でしたよねぇ?」
「そうだな」「違いま──オルレアン」
何か余計なことを言おうとした始皇帝が速攻で沈められたその姿に赤川は眉がぴくりと動くが、何事もなく話し始めたオジマンディアスによってスルーされた。
「んで、だ。なんかいい裏バイトないのか?」
「えー、あー……はー……ちょっと待ってねぇ」
一センチほどの厚みの紙束をペラペラと捲り、 あるところで止まった。その1枚を紙束から取り出しこちらはと差し出してくる。
「じゃあこの夜間警備のやつどうっすかぁ。腕っぷしはある方でしょ?」
「あぁこれか……なるほどね」
原作第2話の夜間警備らしき裏バイトを出された。時給1万円でかなり稼ぎになるが中身を知ってる側からするとやっぱり安いと思ってしまうところがある。
(なぁ、オジマン。これ原作の話なのか?)
(そうそう、原作第2話の話。てことでやるぞ?)
「いやじゃ!!!」
「うるせぇ!!!!やるぞ!!」
「うるさいっち!!!黙れっち!!!!」
カオス。
「とりあえずこれやるってことで。他に参加するヤツいてもいいのかね?」
「あー、定員数書いてないっしだいじょぶっす。うん(いくら数いても死ぬ時は死ぬし)」
内心怖いことを考えるが、裏バイトは良くも悪くも弱肉強食なので仕方が無い部分もある。裏バイトに参加して3分の2くらいはだいたい死んでいるからだ。
「じゃあそういうことで」
後日、警備員の裏バイトをするために現地集合だったのでそっちへ向かうとそこには既に3人の人物の姿があった。
「あ、来た来た。残りの2人って君たちだよね?」
「そうだな」
「君たちは警備員の経験はあるかい?」
「俺ら2人はないな」「無いね」
「あ、私は昔少し」
「そうか!じゃあ後は大体わかるだろ!後は任せた!」
そういわれた年配の男は立ち上がって部屋を出ていこうとしたが少し止まって。
「そっちの2人には言ったけど七階は念入りに見てくれよ」
そう言うだけ言って速攻で部屋から出ていく年配男。残された4人はその姿に呆然とし、オジマンだけは何故か憐れみの目線を向けていた。
「いくら人手が足りないからってふつー新人に初日から任すかねぇ……そこのお2人さんもどう思います?あー……きゃんゆーすぴーくじゃぱにーず??」
「まぁ非常識だけど、裏バイトだからねぇ〜。自己紹介しとくか?俺はラムセス、エジプト人だが日本語は喋れる」
「朕は趙政、おふたりは?」
「私は白浜和美ってんだ、よろしく」
「黒嶺ユメです、よろしくお願いします……おふたりは何故裏バイトを?」
その言葉は2人にとって言いづらい質問だった。ほぼお遊び感覚で来たオジマンと連れられた始皇帝からすると無理して裏バイトをする必要性は皆無なのだ。金なら無限にあるが故に。
「あー……まぁ色々としくってなぁ。ちょいと、ね?」
「ホントだよ。こいつは──」
「あぁ、こいつは引きこもりだから引っ張り出しただけ。人に金を無心する阿呆だからなぁ」
「は、はぁ」
「えー、色々ってどういうことっすかぁ?」
「まぁそれは警備しながら話すから、とりあえず俺ら着替えるから。また後で」
「りょーかいっす!」
「分かりました!」
そのまま更衣室へ向かい、会うサイズを探すも──なかったのでパッツパツのまま警備服へと着替える2人。さすがは恵体のオジマンと真人の始皇帝である。
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お馬鹿ズは裏バイトをする:3
更衣室から出た2人は、黒嶺ユメと白浜和美。原作主人公二人の元へと歩いていくと、白浜和美は男二人の格好を見て吹き出しかけていた。いやまぁ筋肉のせいでパッツンパッツンでもう弾け飛びそうになってるシャツに、鼠径部部分が飛び出しちゃってる無駄にセクシーなズボンの履き方になっているのだ。そりゃもう吹き出しかけるだろう。
「……サイズがないんだ、笑ってくれるな」
「ぷふっ……なんか無駄に色気ありますけど……んふっ、んふふふふふwww」
男としての魅力を醸し出すオジマンディアスと、中性的であるが故の禁断的なモラル感が溢れるその姿。こいつら自分の容姿に対して無頓着な部分もあるからこその無防備な色気が2人を襲った。
(ねぇ、ちょっとこの2人……色気ありすぎないかしら)
(正直裏バイトしなくてもいいと思うんだよなぁ。モデルとかで稼いでいけそうだけど。やっぱりなんか事情あるのかなぁ)
疑問に思いつつも裏バイトは詮索無用。お互いの事情を語るには余りにも仲が浅すぎる。
「とりあえず、巡回行こうか。どうする?4人で回るか、2・2で回るか?」
「あーそっスねぇ……初日ですし、4人で回りますか?ユメちゃんもそれでいいか?」
「うん、私はそれで構わないわ」
「おk、俺らは警備員初心者だから頼りにしてるぞ〜」
「うっす、泥船に乗ったつもりでいてください!」
「いや泥舟かーい」
「「……ふふ」」
ノリが似ているのか始皇帝と白浜和美は意気投合してネタを言いあっている。その様子に残り2人はため息を漏らしお互いの相方を引き摺り始めた。
「ほれほれ、そういうのは警備しながらでいいだろ。行くぞ〜」
「うぃー」
「りょーかいっす」
巡回を始めてからしばらくして、お互いが雑談で盛り上がってきた頃。
「え、マジなんすかそれ」
「マジマジ、俺らの友人に億万長者居るんだわ。で、今回趙政がそいつに金の無心をしすぎて怒られて連れ出してるんだよな」
「えーでもそしたらわざわざ裏バイトじゃなくても良かったんじゃないっすか?」
「んー、まぁそれでも良かったんだが。俺たち的に言えば一発で稼げた方がいいんだわ。能力的にも」
突如として黒嶺ユメが止まり、白浜和美の服の裾を掴んで呟いた。
「クサい、天井」
「え?あー……」
「クサい?なんか臭うか?」
「俺らが汗臭いのかね、でも天井って言ってるしな」
その言葉に黒嶺ユメは言ってもいいのか、悩んだような顔をして──そこでオジマンディアス達が違和感を感じとった。
「ん……?おい趙政」
「あぁ、おかしいな」
黒嶺ユメと白浜和美の前後にオジマンディアスと始皇帝が陣取り周囲を警戒し始めた。その面持ちは真剣な表情をしており両者ともに拳を握りこんでいた。
『聞くけどよ、オジマン。俺らの攻撃って裏バイトの作品に登場する奴らに通用するのか?』
『知らん、この作品に登場する怪異は文字通り怪異だ。宇宙人らしきものもいたり別次元のやつもいたりする』
『いやじゃあどう済んだよ、ワンチャン俺らも負けるんじゃねぇか?』
『まぁ今回は多分幽霊枠だ、英霊たる俺らにゃ勝てねぇよ……っと気配が収まった?』
念話が可能な宝具を耳に着けているので両者は念話をしながら会話していたが、4人を囲んでいた悪意が霧散していったのを感じ取り警戒を一段下げて、先程からクサいクサいと呟いていた黒嶺の方へと向く。
「黒嶺くん、もしかして今の感じ取ってたか?」
「クサいクサいクサ……え?」
「これあれか、あるとり直感か?」
「んー、直感か……直感(嗅覚)になるのかなぁ」
「えっと、どう言う──」
「ひとまずあんたらはなんか起きてるのを感じ取っていたのか?」
2人から庇うように黒嶺の一歩前へ出て立つ白浜へ、オジマン達は顔を見合せ言葉を選びながら考えていることを話すことにしたようだ。
「ん、まぁこの業界に居るから知ってるかもしれんが……俺らは言ってしまえば化け物専門みたいなもんなんだ。今回ここに来たのは偶然だが……」
「何を感じとったのかと言われれば、悪意なんかを感じとったな。明らかに人じゃない気配を漏らしてた。でそっちはどうなんだ?」
(ユメちゃん?)
(この人達からは白い匂いがするから問題ない、と思うの)
(白い匂いか……あの時の消火栓みたいな感じなのか?)
(それより強い匂いよ。多分あの時の消火栓なんかもはや嗅ぎ取れないくらいの)
小声で2人は会話し、その信用出来る感覚を頼りに、今回もまた生き残るための選択をしていた。
「分かった。私達の方も話す。ユメちゃんがあんたらのことは信用できるって感じたみたいだし」
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お馬鹿ズは裏バイトをする:4
場合によっては初クロス作品先にバレるとあれなんであとがきに書きますわ……
「匂いで危険かどうかわかる、ね」
(実際どうなんだ?有り得るのかね)
(全然有り得る。しかも作中から描写からすると確度はほぼ100って感じだな。ただ何が理由でそんなことが出来るのか、未だ不明だけどな)
「ところでさっき言ってた直感ってなんなんすか、ユメちゃんのこれ、何か知ってるんですか?」
「いやぁ……?正直皆目もつかんが、生まれつきの異能じゃないかね」
「異能、ですか」
一旦警備をやめて、お互いその場で停止して事情を説明する4人。前後から有り得ざる気配がしているせいで進むも戻るも危険であるとしか判断ができず、その場に留まるという選択肢しかなかったようだ。
「俺らも一応異能……異能(?)は持ってるから、うん」
「いや、俺らのやつ異能じゃねぇだろ。魔術だろ?神秘とも言うけど」
「阿呆、魔術なんて存在しねぇんだよボケカスアホマヌケ始皇帝」
(仲が悪いのかしら?)
(いやぁ、あれ多分男子高校生のノリだよ。つまりバカやってる)
「で、魔術ってなんすか?」
「うーむ……うーむ……正直教える気は微塵もないからなぁ」
「え?なんでっすか、要はあれっすよね?火とか出せるんすよね?そんなこと出来たら裏バイトが楽になるんすけど」
「ぶっちゃけで言えばお前らにゃ適性はねぇ。一切使えねぇ、俺らのこの力だって元は別次元の理だ。信じられなくてもいいぜ、ただこの裏バイトを続けるなら理解できるようになると思うがな」
実際原作における裏バイトでは別次元や、別の世界線なんかもありそれらと遭遇しているのが原作主人公の2人なのだ。しかもそれら全てが命の危険に溢れる怪物や現象だらけ、それを生き残っていくことになる。
「……ひとまずこのバイトはやめとけや。俺らはここで終わりにする」
「え?」
「な、なんで?」
「ちょっと俺そんな話聞いてないんだけど?ここの怪異共は倒さないのか?」
「足りめぇだろ。ここは崩せない」
「どういうことですか!ここまで来て私たちを見捨てるんですか!?」
その言葉に無言で歩き始めるオジマンディアス。その姿は何かを黙っているようで、何かを探しているようだった。
オジマンディアスの思考は先程の現象について染まっている。
(原作と違う。悪意が、殺意が、そんなもんが襲ってくるなんて言う描写は原作にはなかった。つまり、だ……ここはまた別のモノが居るってことだ)
たどり着いた場所は原作においては白浜和美が幻覚を見た場所、7階である。オジマンディアスが窓越しにその階の中を見て、後ろの3人は訝しげにその様子を見ていた。そしてオジマンディアスはある場所から視線を固定して動かなくなり、始皇帝はその様子から中に何かがいると察して残りの2人をこの場に残しオジマンディアスの隣へと移動した。そして視線をオジマンディアスがみている先へと移すとそこには──
──異形が居た。
「……そんなこったろうと思った」
まずおかしいのだ。この世界は神から聞いていた。
【この世界は複数の世界が混ざりあった異常な世界だ】
【そこで君たちが生きていくにはあまりにも脆い】
【そう、只人だと呆気なく、餌のごとく死んでいく】
【悪意がある、異常がある、異形が居る、破壊があり死もある】
【だから君達に力を与える】
【生き残るために】
【この狂った世界で死なない為に】
「……おい、これって」
「はぁ……確かにこの世界はイカれてるよ、神様よ」
「そういうことなのか?痕跡を残さないために、ここから離れるのか?」
「あぁ、これ以上ここに居たら俺らの身柄がアブねぇ。正直後ろの2人だけならまだ何とかなった」
その異形の名は2人はよく知っていた。知っていたし、なんなら視界の隅にいた。ただ認識しようとしなかっただけで。
「呪霊、か」
「本当にあの2人大丈夫なのか?こいつに殺されるんじゃ」
呪霊。2022年前後で有名になった作品である呪術廻戦に登場する敵の種類の名前である。その詳細は語れないが、人の負の感情を元に生まれる化け物の総称である。
「チッ、この分だと五条悟も居るな……死滅回遊は起きんのかこの世界?メロンパンがいるなら確実に起きるだろうが──」
「……なんで見つかったらダメなのかと思ったらあれか、腐ったミカンか」
「それ。とりあえず後ろの2人には説明して仕事を辞めさせよう。ダメだこれ、多分領域持ちだ」
裏バイトと呪術廻戦の相の子が目の前の存在だ、ならば一時とはいえ幻覚をみせ、ビル周辺に死者を出せたアレは並ではないということは確実。
「とりあえずこのことはギルガメッシュにも伝えないとな」
「あぁ」
事態は急速に終わりへと向かっていく。
一方その頃ギルガメッシュは何をしているかと言うと──
「何だこの、気色の悪い生き物は。エビか?カタツムリか?なんだこれは」
「Kyurrsnjrprrrsnsrjn?.r???」
あるコンビニの中で、ある界隈ではゴ=ミと呼ばれる宇宙生物と会合していた。
初クロス作品
・呪術廻戦
・クトゥルフ神話TRPG
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お馬鹿は神話と相対する
世界観説明的な回
「あー、あっちぃ……」
ある日下がり、阿呆共が裏バイトに赴く日の日中である。
そんな日は雲ひとつなく照りに照っているえげつない太陽光のせいでギルガメッシュは溶けかけていた。今は見つけてしまったある存在を追うために軽く外を歩いていた。
「ったく……面倒事なんて見なきゃ良かった」
良くみんなが想像する、陳腐な紳士。見つけたのはそんな存在だった。黒いシルクハットに黒いスーツ杖を携えた人外。見るからに顔がまともではなく、纏っているその雰囲気さえも超常のものだった。
ただそんな存在が至って普通に、まるで一般的なように周りの民衆は無視していた。いや、無視せざるを得なかった。
(ここはクロスオーバー作品の世界だ。オジマンが言っていたから間違いないし、既に俺も見つけている、俺が知ってる存在を)
四宮財閥。かぐや様は告らせたいに登場する財閥だ。ということはこの世界には秀知院学園が存在するのだろう。オマケに星野アイが活動中であると言った感じである、しかしまだ知名度が高くなく全国的アイドルではまだないようだ。
(てことは少なからず十数年後に原作開始って訳だ、かぐや様も推しの子も)
見た目的には16を超えてるところを見るとおそらくゴローとさりなは死んでいるのだろう。残念ではあるが、転生する前の出来事だ、何もすることが出来ない。
(しかしどこに行きやがったあの化け物。ここら辺一帯どころか東京都周辺ですら怪奇的な情報だらけだ、識別できやしねぇ)
人が肉片になっていた、箱になった、食べられた、CCG支部がなんかした。なんか中国には光る赤子がいるらしいし、もうハチャメチャである。オマケにここへ超常的な情報が混ざるので余計訳が分からないのだ。
しかもである、こいつらが起こした大豪雨。地球史上最も威力が高い雨として話題なっており、数多くの建造物には穴ができて窓ガラスは吹き飛び、一部建物は全壊まで行ったほどである。一説によると原始の海が出来た時の雨ぐらいには威力があったのではないかと噂になっていた。もちろん道路も穴ぼこだらけ、インフラは軒並み停止中でかつて起きた大地震並みの被害を東京は被ったのである。(なおこいつらが住んでいる建物は金に物を言わせて即座に修理を開始されたものである)
千里眼や全知だかなんだかよく分からん頭が良くなる(当社比)宝具を使用しても分からないほどに怪奇現象が起きている。
(地獄か???)
例えば前世である日本の行方不明者数が年間平均8万人だとすれば、この世界のネットニュースでは年間平均15万人だと言うのだから末恐ろしいところがある。内未発見人数が6万人に及び、発見数のうち5万人ほどが死者である。なおこの数字は場合によりけりだが、この世界において最も治安が悪い国として日本は頻繁に挙げられる。
(その代わりだが自殺者数とかは少ないっぽいし、出生率も高いらしいな)
その原因に挙げられるものとしては老人の少なさであろう。要は嫌われている一部の老人たちはいつの間にやら消えており、年金の負担率等も前世日本より断然軽いものになっていて、金銭的な面だけで見れば世界的にも安定しているらしい。常にドルより円の方が高いということもそれを証明しているようである。
(キャプテンアメリカもいるとかやばすぎだろこの世界。必然的にMARVELもクロスしてるんだろこの世界)
そんなこんなアリある程度の世界的な情勢を調べた結果としては、
・日本、死者数が多いが出生者数の方が上回っている為安定
・治安だけで言えばそこそこだが、裏の部分を含めるとイギリス、日本、アメリカが強い
・アメリカ、日本共に爆弾を抱えている(MARVEL・東京喰種等)
・中国も最近えげつないほどの爆弾を抱え込む(僕のヒーローアカデミア)
と言ったところだろうか。恐らくほかにも情報はあるだろうが言えるところとしては日本には怪異が多すぎるというところだろうか。
(原因はあれかねぇ……プレートの集合地点か)
いわゆる龍脈と呼ばれる概念である。この世界にも存在するようでシンプルなエネルギーを千里眼で観測できているのである。所謂生命力といったものだろうか。イギリスとアメリカはシンプルに技術力で上という所があるが、日本はその龍脈を利用した裏技術が多様にあるために世界的にも優秀な存在が多く、トラブルも多い。その理論で行くと恐らくだがインドとかもやばい事になるだろう。
(どうにもできんなぁ……これは)
上空へ視線を移しても何某かが視線を横切るのだ。もうどうしようもないだろう。
(……呪霊じゃねあれ)
ため息ひとつ、天に向かって吐き出す。喰種らしき存在もビルとビルの間を飛んでいる。視線を下に移すとCCGの職員らしき人物が走っている。何か知らんが黒服の外国人も見かける、オマケに黒い学生服もいる。
金髪どころがピンクの髪とかがいるし青髪もいる。後昔読んだことある漫画の主人公らしき高身長の料理人はいるし、藤原とうふ店とかいうラベルが書かれた車もある。幽霊でも呪霊でもなんでもない生命力を食らう化け物たちがいる、その生命力が溢れすぎてる子と化け物と視線を合わせようとしない子もいる。世界の隙間から裏にいける扉も佇んでいる。
(もう終わりだよこの世界、要素多すぎだ馬鹿野郎)
クロス作品
・推しの子&かぐや様は告らせたい
・東京喰種
・僕のヒーローアカデミア(原作開始まで140年以上かかる)
・MARVEL
・頭文字D
・見える子ちゃん
・裏世界ピクニック
・信長のシェフ
時代設定としては
推しの子は2022~23年を原作開始(ルビーアクア高校生)として設定してます。なので16歳前後のアイということは少なからず18年前辺りなので、2005年頃の設定になってます。
なので呪術廻戦は虎杖誕生して2年くらいの時期になるのかな。一応天内理子死亡一年前にしてます
裏バイトはうん……あれ設定アレすぎて時代違くてもなんとかなるやろ。
あと、こんだけクロスしてますけど、多分チョイ役とかが多いかなぁって思います。ちなみに異世界転生して現代に帰ってくる系漫画なら多分出せるかなって思います。
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お馬鹿は神話と相対する:2
|ω・`)
ヨシ(現場猫)
誰も見てないだろうから初投稿です
髪を片手で乱雑に掻き乱す。今眼前に余計なものがぶっ刺さっているせいである。
赤黒く脈動するそれが明確に脳天を狙ってきていた事が避けなければ頭部に直撃していただろうことから分かる。視線を横にずらしその発生源を見やる。そこには多少なりとも整った顔をしているフードを被った不審者がいる。
(……怪異らしき存在を追ってきただけなんだがな)
最初からずっとなんかよくわからんシルクハットの男を追って路地裏に入ったらこれである。治安どうなってやがる。
そういえば、と彼らのような存在は一応縄張りという概念があることを思い出す。都会に生きているというのにそのような野生動物のような決まり事があると思うと、彼らはかなり苦労して生きていることが伺える。
原作に比べれば一段と危険なこの世界、例えそれが
「一先ず、だ」
「あ?なんで死んでねぇんだよお前」
「この目の前にある薄気味悪い触手をどけろ」
「なんで餌如きの──」
「どけ」
この身に宿る神威をぶつける。肉体の元の持ち主からしたら余計なものであろうそれをぶつけられた喰種は一瞬にして過呼吸となり、維持が途切れたのか目の前から赫子が霧散していく。
「カッハ──!?」
「やはり便利なものだな。神威とやらは」
「な、か、むい……神威!?なんでてめぇみたいなやつが!」
「ほう、知ってるのか……もしや貴様、神、あるいは神に連なる何かに遭遇した事があるな?」
意外なものだ。この世界に存在する神格はある程度把握しているが故に生き残っている事を不思議に思う。それと神秘がないのになぜ神がいる、と思われるかもしれないがその神秘という概念は型月世界由来のものだ。確かにこの世界は型月世界とクロスオーバーしている訳では無いので神秘がないが、この世界には神秘に頼らない神々がいる、ただそれだけ なのだ。まぁそれが信仰心なのか、生物としてそうなのかは分からないが……少なくとも分かることはほぼ全ての神は邪神の類であるということだろうか。
「ふむ、ではこうしよう。貴様を見逃す代わりに貴様が遭遇したことのある神威を放った存在の話をせよ」
「は?」
「嫌か?ならば仕方あるまい、少なくとも人類社会に身を置いているのだ。平和を脅かす存在は……殺すしかないな」
黄金の波紋を背後に浮かばせて、そこから対人型宝具や対生命宝具を、そこにあるだけで人型や生命あるものは恐怖するそれを三十門ほど向けてやる。
「ひぃっ……!?わ、分かりました!話します!話しますのでどうか……!命をぉ……!」
分かりやすく命乞いをする。無駄に抵抗されるよかありがたいが……まぁプライドがないやつは生き残りやすいんだろうな、その代わりウザイが。
「ほら、疾く話せ」
「っぁ、3年ほどま、前に千葉県で……神にあった事がある、あります……」
「会ったのは神そのものか、でどのような奴だ?神といえど見た目だけで良い、それでおよそが分かる」
「鱗と皺──ぁああぁ──粘液が!目が、6つの手が!ぬめりぃとぉ!!!!!」
「──ッチぃ!発狂か!」
話していると思ったら急激に体が跳ね、尾赫がめちゃくちゃに周囲へ当たり散らかし始めた。恐らく無意識に忘れ去っていた神を思い出し、狂気が噴出したのだろう。結界系宝具を展開し拒絶する。
思い出すだけ、知覚するだけで発狂する。割と溢れてはいるがその中でも特に狂気に関した神、そんな存在がいる特徴的な神話。
「クトゥルフ由来の神か、面倒な……鱗、皺、粘液、目、6つの手、なんだ……?有名な神では無いのは分かるが」
だが無貌の神では無いのは確かだ。あ奴ならばもっとこの男は愉快なことになっていたはずだ……しかし情報という点で見るとノイズだな、無貌の神は。
(……先程のシルクハットはまずクトゥルフ神話由来では無いな、我の知らない原作由来か。後でオジマンディアスに確認せねばな)
とりあえず、と。眼前で暴れる喰種を見やる。
「……約束を違えるつもりはなかったが、もはや貴様はただの害だ。死ね」
未だ閉まっていなかった宝具を全て射出する。半分ほどは赫子により弾かれたが残りの半分は刺さる、が止まらない。心臓にさえ突き刺さっているはずなのに、手足さえ今や稼働すら難しくなっているはずなのに。
その狂気の目だけはギルガメッシュを捉えて離さなかった。そしてその血が溢れる口から無数の粘液が溢れ出し、泡を形成し、ごぽり……ごぽりと音を立て始めた。
(……これは)
「珍しく他所の神威を感じたと思えば……完璧の王か、死んだのではなかったのか?」
「なに……?」
「いや……そうか、化外の神の仕業か。忌々しい、全の王すら触れることすら叶わぬ神が居ようとはな」
「貴様ッ!我の正体を知っているつもりか!」
「いや、気にすることでもない……化外の神は我らに触れることすら能わぬからなぁ」
……お互い不干渉の存在、という事か?ならば我らはいったいなんのためにこの世界に送られた?ただこの世界で生きるだけならここまで過剰な力は要らない──いや、今は不要な考えか。必要なのは今眼前にいる神の干渉を受けているこの男への対処だ。
「そういきり立つな、何もするつもりは無い」
砲門をさらに70門追加し、100門全てに対神性宝具で路地裏どころかビル街ごと消し飛ばすつもりで向けると宥めるように穏やかな声が響く。
「神の言葉は信用ならんな」
「完璧の王、その名は我々神々の間でも有名でな。神話と人類の決別をした王。如何に力をつけようと其方は我々の首を取れる存在だ、故に敵対するつもりは無い」
「……知らんな。貴様が居るだけで今この場所は歪み始めている──やはり神は要らぬ」
「ほぉ?それは其方の意思か?」
「
「……まぁ良い、如何に其方に敵対されようと我々はこの星から去ればなんの問題もないからな。ただ此度はこちらの落ち度、甘んじてその罰を頂戴しよう」
「では死ね」
仕方が無いので無抵抗になった男を1本だけ射出して消し飛ばす。大人しく死んでくれるならば被害を最小に収める必要がある。
頭部をはじき飛ばしながら背後のビルの壁を何枚もぶち抜きながら飛んでいく宝具を軽く眺めながら思案する。その穴から大量にこちらを見据える人々が見えるが無視して路地裏から出ていく。煙で見えないことは把握済みだ。
「……厄介な」
厄介だ。オジマンディアスから聞いた話だとギルガメッシュは確かに神が嫌いだ、ただそれでも敬意を持つ神も居ると聞く。なのに今脳内に神々を思い浮かべるだけで異常に殺意を持ってしまう。
「……化外の神、我らをこの世界に送り込んだ神。何が目的だ?」
収穫は新たに疑問が浮かんだだけであった。
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お馬鹿は神話と相対する:3
はてさて、どうしたものか。先程からもそうだがやはり東京だからなのか凄い勢いでイベントが起きまくる。喰種が暴れているので通行止め、あとなんか知らんけど黒い服を着た男が路地裏への道を塞いでいる。
あと時折空中によくわからん存在が浮かんでいたりするし、よくよく見れば中間領域?とかいうよくわからん空間が人を飲み込んでいたりする。
シンプルに言えば命の危機が週間所か日間で起きるのがこの世界らしい。そのせいかこの世界の人達はどこか生き急いでいるのがわかる、旅行や暴飲暴食、性行為への忌避感の低さや趣味への超高額投資。明日死ぬのは我が身、だから悔いなき選択をして死んでいこうという事なのだろう。外国人観光客達も無意識にだが切羽詰っているし。海外も似たようなものなのだろう──
(──もしや海外も何かあるのか?)
いやそれもそうか。龍脈とかいうくっそ厄介な概念があるんだ、海外でも似たような事が起きていても不思議では無い。
「はぁ、何をするにも全てが面倒だな」
あの馬鹿2人は分からない事だ、千里眼とかいうだるい能力に無駄に冴える頭、
今はその全てをほぼ封印状態にすることで何とかなっているが、フルスペックで能力を使うだけでギルガメッシュであるがギルガメッシュでは無い自身は即死だろう。
この世界の情報量は桁が違うのだ、恐らく前世や型月世界(?)とかいう場所なら問題ないのだろう、ただこの世界は要素が多すぎるし目に見えない情報が多すぎる──その全てが見えてしまい、尚且つ未来過去現在の全ての情報すら叩き込まれるのだ。
例えるならば1つのPCに全インターネットの情報が強制的にダウンロードされるような状態だろうか、例え100TBの容量があったとしてもゼタバイトの情報量に耐えられるわけが無いのだ。
故に迂闊に能力を解放する事は出来ず、手心を加える必要がある。
「……多少近辺の治安を良くしようとしたらこの始末。流石に手緩かったか」
如何に人外になろうとその心は人だ。そして騒乱の存在を知ったからこそ普遍的な生活に価値を見出した……ただ我だけだが。あの二人は楽しければなんでもいいと言うスタイルだ、ただそれが普遍的が非普遍的かの違いを気にしないだけでな。
「夜まで見回り続けるか。あの大雨を起こしたせいで治安にも影響が出ているしな。いや、先に手を打つ方がいいか」
足を空中へ放り出す。その先には地面は普通はない、が空中歩行宝具・ロキの空飛ぶ靴(の原典)を履く事で空中へ浮くことが可能とし、そのままビルの高さを飛び越え、高層マンションや高層ビルさえも眼下へ収める。
「──安穏を崩す者共よ。我の我儘だが……遠慮なく死に絶えよ」
千里眼の一部封印を解除、及び解析宝具を用いて人に仇なす人外を見咎める。ただの犯罪行為は人の世で裁くことができるが、それすらできぬ人外共を尽く鏖殺する。
「ハッ、彼奴が人を見ているとは思ってなかったが──理解者がいると言うのは楽だな!」
それを踏まえて自身から離れることなく付き合いがあるあの馬鹿二人、付き合いは高校からだが──存外心地好いものだな。ならば我らの平穏を守る為には遠慮をする必要はなく。
「
擬似的だが知識のみであった後のギルガメッシュの宝具を再現。
「
────第三者視点────
夕暮れ、数多くの社会人達が帰路に着く時間。生気が感じられぬほどの疲労を残した人々が歩く最中、ふと頭上を気にする者が現れる。釣られて周りにいた者も頭上に意識を向け始める。
頭上には何も無く、多少の雲があり太陽を一部隠しているがそれはいつもの事。だが東京に居る大多数の者たちが思った。
(
数週間前、東京を壊滅させた超巨大積乱雲。その
そしてそれは起こった。雲の間を縫うように多重に光が放出している。地上に居る者達は知る由もないが隠蔽を施してなお隠しきれないほどの光が、宝具の輝きが漏れているのだ。
あらゆる人に仇なす害を駆逐する為にその光は地上へ溢れ出す。人々はその光景に思わず各々が知る最上の礼を示す、最敬礼、五体投地、頂礼。キリスト教、仏教、神道、イスラム、ユダヤ教、宗教に関わりのある人々もない人すらも天上へ祈る。
数分続いた雲から漏れる光はついに役目を終えたのか収まったが。それでも人々はそこから更に10分以上は動く事が出来なかったという。
そして時は移り、夕暮れが終わり夜の時間になる。安穏とした時間を好まぬ者共が蔓延るこの時間帯、だが夕暮れに起きた大粛清により東京にいた人々を唆し、喰らい、犯し、壊し、辱め、平穏を崩す人外共は99%以上が殲滅されていた。残った1%未満は小物すぎて見逃されたりしていたのだが……それを知るのは本人のみである。
だが小物でもないのに見逃された存在がいる。ただそこに粛清の時にそこに居なかっただけであり尚且つ手を出す必要がなかった、かの宇宙由来の存在。
ユゴスよりのもの、もしくはユゴスよりの菌類と呼ばれる者達だ。
……ただギルガメッシュはその存在を概要でしか知らず、敵対しなければ問題ないという情報しか持ちえていなかったが故に。
「何だこの、気色の悪い生き物は。エビか?カタツムリか?なんだこれは」
「Kyurrsnjrprrrsnsrjn?.r???」
その存在を一応確認しに来たコンビニで、文字の知識でしか知らず画像や映像で記憶になかったギルガメッシュは軽めのSAN値チェックを喰らうこととなった。
最近オリジナル小説を書きたくてしょうがない。書いていい?
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お馬鹿は神話と相対する:4
クトゥルフ神話、小説家のラヴ・クラフトが手掛けた有名なクトゥルフ神話TRPGの大本であり数多くの作家が手を加え続けてきた現代の神話。未だその人気は翳りを知らず、ネットの一部では常に投稿され続ける人気コンテンツ。海外だとキチンとしたホラー系TRPGなのだが、日本人の手にかかるとギャグオチしてしまうシナリオもあり、多種多様な姿を見せる神話。
だがその大本たるクトゥルフ神話がこの世界に存在する以上、クトゥルフ神話TRPGは存在せず、尚且つ遥か昔から存在する神話としてこの世界には現れている。
どういう事かというと、最も古いクトゥルフ神話の記述は東南極に存在する巨大な山脈──の麓にある小規模な洞窟の中央に存在していた石碑に記載されていた古のものについてである。
内容は至って単純で、地球が出来てからおよそ36億年経過した頃に天より古のものが降り地上を支配していた、というシンプルな記述。
1911年に南極へ向かった南極探検隊3つの内1つが発見したが言語が不明なので存在のみ報告。その後再度部隊編成、地質学者に語学学者等多くの学者を引き連れ調査が行われた。
結果としては上記の記述および、地質、物質的に10億年以上前の物であり、尚且つ現行人類が扱う6900以上の言語全てに共通するものが無いと判明し、遥か昔に人類とは全く違う種族が地球を支配していた事を科学的に証明するだけであった。
その事実を国連は暴動や一部宗教の暴走を懸念して隠蔽、各国の国家主席及びその関係者のみが知るようになった。しかし人々はその存在を知覚し始めている──インターネットという巨大な情報共有が可能な場のせいで。時折人とは違う存在がまことしやか囁かれるようになった……まぁ元より喰種とかいう人外が居たり、不思議な都市伝説由来の存在等は知覚されていたので今更宇宙人がでてきたとしても「やっぱいるじゃねぇか」となっただけだが。昔から神秘に触れてきたが故に人類はその許容量が上がっているのだ。
とまぁ長々と語ったが、要は「宇宙由来の化け物」が人々を恐怖のどん底に叩き落とすのがクトゥルフ神話というお話だ。
それを踏まえて、である。今目の前に浮かぶこのカタツムリのようなエビのような不思議な存在であるユゴスよりのものとも呼ばれるミ=ゴと呼ばれる存在。知識のみで言うならばクトゥルフ神話TRPGにおいて定番の存在であり、高度な科学力を持つゴ=ミと呼ばれている生き物(だいたい日本人のせい)。
「……」
「Jtomdwpjw.@tsustststmw......」
そんな存在だが、言語が分からない。如何に情報に関して強くあろうとも、全能に匹敵するであろう宝具の数々ですらも敵わない。
超然的な知能であろうとヒントの一欠片もなく、宝具を使用しようにも、人類が開発した過去未来現在全ての莫大な宝具が収められてようとも中身全てを知らぬが故に使えず。
あとそれはそれとしてちょっと殺意を覚える程度にはギルガメッシュの肉体がキレ気味である。
「……貴様らなら日本語くらいわかるだろう、何故我が合わせねばならぬ」
「──確かに、こちらが合わせるのが道理か」
「戯け、ここは日ノ本だ。郷に入っては郷に従え、という言葉があろう」
「む、諺は知らないぞ。例えられても知識になくば合わせられん」
「これだから研究にしか能がない阿呆は困る」
「ふむ?随分と敵対的だな?確かに人という種は好戦的ではあるが我々がそちらに手を出したことは無いぞ?」
ビキリ、額から血管が浮かび上がるような音が漏れる。過去未来現在、地球全てを己の庭と称するギルガメッシュの肉体が勝手に反応する。
オジマンディアス曰く、魂だけでサーヴァント3騎分の出力を持ち、ある少女に力だけ使われても乗っ取ることすら可能であると聞く。ならばその肉体そのものも自我が強すぎるのだろう、
ミ=ゴにその意思がなくとも害虫とも呼ぶべき存在が無作為に地球へ訪れては荒らしていく。そんな存在がいるならばキレるのも仕方がないと思うが、俺自身もこいつらの生態……いや性質を知っているが故にイラつきがある。
「ふん、それを理解できぬから貴様らは獣畜生にすら劣る」
「──さすがにそれは流せないぞ、神気取りの人風情が」
「……我を神に例えた事を撤回せよ、一度ならば見逃してやろう」
「いいや、貴様が神の如く天より罰を下していたのは見ていた。撤回する理由もなかろう、人とは時に神すらも凌駕しようと──」
「一度のみ見逃す、と言ったはずだが?」
「っ──」
「だが我は寛大でな、今一度チャンスをくれてやろう。撤回せよ、蟲」
ミ=ゴの直上より結界宝具を降らせ、ミ=ゴを囲う。今ミ=ゴは空間干渉系の道具を持っているが、次元ごと封鎖する事で空間干渉を封じている。他にも何やら鎧を纏っていたり、銃を所有しているようだがそれら全ては物理法則の物。権能≧神秘>魔術≧物理法則の順で世界に与える優先度が高い、それがこの世界そのもののルールだ。
神秘の塊である宝具に物理法則が勝つには圧倒的な出力か、圧倒的な技量で用いられた『技術という神秘』を含まなければならない。だがミ=ゴはその鎧や銃に使う圧倒的な出力を維持する発電機等がなく、画一的であり量産されているであろうただの装備ではこの結界を超えることは不可能であり、今尚全身で抵抗を続けても微動だにすることすらできていない。
(これが神秘──科学や魔術と違った概念か)
「そういえば貴様らも魔術を扱えるのだったな、魔力を使わず精神を代償として使う魔術。あまりにも歪だが神秘に勝つ事が可能性だけで言うなら微レ存、と言うやつだ」
「無理だろう、私らに魔術を扱う技能は無い」
「……あぁ、亜種とやらか。知識にのみあるな、宇宙で飛ぶことは出来るのか?貴様は」
「出来ぬ、我らの種族は同胞の中でもかなり退化した種だ。その代わり──科学力に特化しているがな」
「……ッ!貴様ら──!」
空間が──否、三次元よりその上、四次元よりの干渉を察知し咄嗟に新たな宝具を使用しようにもその前に目の前にいたミ=ゴが消え去った。
それと同時に背後に新たな気配を感知し、10匹程のミ=ゴがこちらに電気銃を向けていて既に発砲している。
「ガッ──」
「同胞の確保を完了、次いで対象の捕獲に移る」
「電気銃の直撃を確認、対象にダメージはなし。しかし動作の停止を確認」
「続いて空間隔離を行う、次元歪曲ロットを設置開──」
「蟲共がッ!」
咄嗟に宝具を全方位に向けて放つ。今次元の割れ目とも言うべき場所から降ってきた棒を優先的に破壊する、よく観る必要すらなく危険なものだと感じた。
次いで何かしらの行動をするために近寄ってきたミ=ゴの頭部*1を掴み潰す。一応ギルガメッシュは史実においては斧やらなんやらを持ちエルキドゥと共にフンババ討伐に向かうことが出来るほど白兵戦に長けている。だからこそ今、この手で、誅を下さねばこの怒りは収まりそうになかった。
「対象の抵抗を確認、対処すr──」
「貴様らのような蛆虫共にこの身が傷つけられるとは思いもしなかった……故に手向けだ、得と味わい死ぬがよい」
「──総員退避!」
次元の裂け目に逃げていくミ=ゴ共。その先を千里眼により観測する事が出来た……科学力と繁殖力に長けたミ=ゴの亜種らしく、その中には数千から数万程のミ=ゴ共が見えた。それと同時に何やら巨大な研究施設みたいなものが玉虫色の空間の中に浮かんでいる、あれがおそらく本拠地なのだろうな。気味が悪い場所によく住める。
「逃がさん、貴様らはここで死ね」
ヴィマーナを取り出し、次元干渉宝具で奴らが閉じていく次元の扉をこじ開け中に入り込む。その様子に泡を食ったように慌てて反撃に繰り出してきた、が無意味。全て破壊しくすつもりで様々なAランク宝具をぶっぱなす。呪詛・祝福・破壊・爆破・ルーン・符・銃・毒・空間・次元、ありとあらゆる方法で殺し尽くす。
「生き残りたくば、疾く首を出せ」
あれから数時間ほどかけて中にいたミ=ゴを鏖殺し尽くした後。深夜24時を過ぎた頃にミ=ゴが居たコンビニ内で改めて飲み物*2を購入し飲み干しながらコンビニから出ていった。
「……本当に何故このようなことになった」
ただシルクハットの謎の存在を追っていた、それだけだったはずなのにいつの間にか神と相対し、治安改善のために人外を鏖殺し、話が通じるだろうと思った宇宙生物共はこちらを研究材料と認識していたので虐殺する事になった。
「……疲れた」
肉体的に疲れていた訳でも無く、精神的に疲れが出てしまい、大きくため息をつきながら自宅である高層マンションへ肩を落としながら帰っていた。
しかしそんな風に油断していたのが悪かったのだろう。このド深夜でありながらサングラスをしている白髪の男が立っていることに気づけなかった。
「あんただろ」
「……なんだ貴様」
恐らく前世においてはかなりの人気を誇る、最強の呪術師が目の前にいる。
「昼間のアレ、残穢っていうか呪力っぽい何か使って東京中になんか振り撒いていたの。俺の目でも詳細見れなかったの初めてなんだけど」
「……五条悟か」
「お?知ってんの?やっぱ俺って有名人か〜……で返答は?」
「そうだ、と言ったら?」
「いやーちょっとね。
「はっ、ちなみにの方が本題ではないか。だが貴様はそんな風にしようとは思っておらんようだが?」
「そりゃね、面白そうなヤツだしどうせ俺より弱いじゃん?ちょっくら調子乗ってるやつぶちのめしてやろうって感じ」
そんな風に余裕をぶっこいてる五条悟。それを無視しながら携帯を取りだしなんか来ていた通知を見ると。
【クソバカその1:この世界呪霊いるから、呪術総監部とかゴジョセンとか気をつけてちょ】
【ギルガメッシュ:もう手遅れだ、目の前に五条悟がいる】
【クソバカその2:マ?クソワロタ、これどうすんの?】
【ギルガメッシュ:一応話は通じそうだが】
【クソバカその1:え、くっそだるいじゃん。全部任した】
【ギルガメッシュ:後で殺す】
思いっきりガラケーの蓋を閉める。先程までの怒りとは別種の怒りが脳内を埋めつくした。
「とりあえずここでやるのはマズイし、ついてきてよ 」
「……はぁ……もういい……すきにせよ」
「え、どしたん?疲れた?話聞こか?」
「何故ナンパ師みたいなことを言う……?」
「?」
「素、だと……!?」
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