ツインスターレイル (ゲルゲルググ)
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プロローグ

スターレイルにハマっているので初投稿です。


 何かを閉じ込める為に作られた飾り気の無い空間で、二人の女性がいた。

 一人は背が高く、しっかりした服の上にコートを羽織り、おでこ辺りにサングラスを乗せ、赤紫の長髪を後ろで結った美しい女性。もう一人は、青と赤紫のゴールをおでこ辺りに乗せ、銀髪を後ろで結った上にロールにした、女性にしては派手な格好をしている少女だ。

 

 女性の掌には煌々と輝く球体が握られていて、少女は空中に投影された画面を操作している。二人とも、何やら良からぬ事をしていた。

 

「媒体の準備が出来た。でも……」

「どうしたの?」

「エリオは、あなたが此処で多くの変化をもたらす選択をすると言っていた」

「えぇ、そうね」

「それを踏まえた上で、これを見て欲しい」

 

 指をヒュッと振るって、少女はホログラムの画面に映っている一人の人物を女性へ見せる。

 

「………一人だけね。どうしたの銀狼?エリオの脚本に逆らいたくなったのかしら?」

「カフカ、私をからかわないで」

「じゃあコレはどう説明するつもり?」

 

 銀狼と呼ばれた少女は、ガム風船を膨らませながら少しの間思考し……風船を口の中へ戻してから、カフカと呼んだ女性の問いに答える。

 

「…おそらくエリオは、私が星核(万界の癌)を入れる媒体を二人用意すると知った筈」

「でも何故か、貴女は一人だけしか用意しなかった」

「何故かね。完全に無意識だった。私は真面目に言われた仕事をしただけ。問題なのは私じゃなくて、最初から一人だけとでも言いたげにしている媒体の方」

「ふぅん……」

「はぁ……いいでしょ別に。用意した媒体は、エリオの脚本通りなんだし」

「そうね……まぁいいわ、切り替えましょう。それで、どれくらい記憶が残っているの?彼女」

「少なくともあなたの事は覚えてる」

 

 光と共に何処からともなく生成された少女の背中に手を回し、カフカはもう片方の手に持っていた光る球体…星核を、少女の胸に無理矢理押し込んだ。

 

「お覚醒めの時間よ」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 みんな、輪廻転生って知ってるね?そうだね、小説とかによくあるジャンルの1つだ。だいたいトラックとかに引かれて、異世界とか……そういや、二次創作にもよく使われてるよね。

 というわけで、俺はその転生者だ。前世の事は断片的にしか知らない。名前も死因も忘れた。だからと言って今の名前を言えるって訳でもないのだが。

 

 そう、即ち記憶喪失という奴である。あるあるだね。覚えている事は中途半端なアニメ知識やその他と、自分が転生者と呼ぶ存在だって事だけ。だからまぁ、早く自分の事を思い出す為に劇的な変化が欲しいのだけどさ………

 

「―――」

 

 俺今、宇宙を漂ってるんだよね。

 

 

 

 なんで?(当然の疑問)

 

 いや本当になんでだよ!おかしいだろ?!なんで目が覚めたら宇宙なんだよ?!それに俺の体は何なの?!サイヤ人かなにかなの?!どうして俺は宇宙空間で思考出来てんの?!

 マジでなんなんだコレ。かれこれ体感20年くらい(実際には2ヶ月程経ってます)このまま漂ってるけどさ、マジで漂ってるだけ。息が苦しくなったりする事も無いし、景色が変わることもない。眠たくなる事もないからこの方ずっと眠ってない。つか、宇宙空間に生身は普通凍りつくんじゃなかったか?ポケモンBWの映画で見たから知ってるよ。

 

 とまあそんな訳で、声も出せないこの広大な宇宙をただ只管漂う、それが俺の転生者ライフです。虚しいな。

 

 あ〜そろそろ虚しさ極まって死にたくなって来たぞ。お、流れ星みっけ。お祈りしておこう。次転生するなら地上の生き物に………ん?なんかあの流れ星こっち来てね?来てるね?あこれ来てるわ。今回の死因は流れ星にぶつかるって言う割りと珍しい死に方するのか俺。まぁこの虚しいのが終わるならそれでも……あでも流石にちょっと怖―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「………知らない天井だ」

 

 あ、喋れた。すっげー虎杖悠仁みたいな声してる。初めて聞いたよ俺の声。

 つかここ何処だ?もしかして死ねたか?まぁあんな光り輝く流れ星とごっつんこしたんだ。死んでなきゃ可笑しいだろ、笑うぞ。後本当に死んだなら宇宙空間に居た時の声はどの道聞いてない事になるよな………ママエアロ。

 

「あ、気がついた?」

 

 ………知らない美少女だ。え?美少女?人間?ヒューマン?マジ?

 

 ………(´;ω;`)ブワッ

 

「えぇ?!急に泣き出してどうしたの?!量すごっ?!あ〜えっと…姫子ー!ヨウおじちゃーん!」

 

 チクショウ…男な上に年甲斐も無く泣いてしまった。余りに恥ずかしい。でも仕方ねぇじゃん。かれこれ20年くらい(だいたい2ヶ月程です)一人ぼっちだったんだもん。そりゃ泣くわ。

 まぁ一旦落ち着こう落ち着いた。先ずはそれとな〜く、新しく転生した場所について聞かなければ。あと鏡とか無いかな?自分の姿を確認しておきたい。

 

 ってな事を考えてたら、赤い長髪のないすばでぃな女性と、眼鏡を掛けた整った顔の青年が扉を開けて入って来た。早いな?!

 

「大丈夫?気分はどうかしら?」

「ゆっくりでいい。何か違和感があれば教えてくれ」

 

 違和感……いや、そういうのは特に無い。強いて言えば、俺は自分の事を何一つ知らないという事だろうか。

 待てよ、この記憶喪失じみた事を使えば、俺が転生した世界についてとかわかるんじゃないか?そうと決まればだ。頭の中でセリフを練習して……ヨシ!

 

「お二人は付き合ってるんですか?」

「どうやらまだ混乱してるみたいね」

「その様だな」

 

 待って、待って違う待って。セリフ選択ミスったからちょっと待って。

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、取り敢えず体が普通に動かせたので、姫子さんとヨウおじちゃん…もといヴェルトさんと列車のラウンジに移動。話をしてわかった事は、先ず俺は死んでなんかいなかった事。今俺がいる場所と、あの流れ星の正体は星穹列車と呼ばれる乗り物だったという事だ。

 

 というわけで、二人が話をしてくると奥の車両に向かったので、此処で適当に暇を潰している。つかラウンジとかあるのスゲェなこの列車。

 

「全く!オレがオマエに気づいて列車を止めてなければ、今頃タダではすまんかったんじゃぞ!」

 

 可愛いなこの黒米団子

 

「ごめんな、えっと……ハムさん」

「パムじゃ!」

「所で可愛いな。ぎゅってしていい?」

「な、なんじゃオマエェ?!えぇい止めろ!オレに近づくでない!」

 

 あぁ、逃げられてしまった。

 

「早速仲良くなってるね!元気そうでなにより!」

「あぁ、君は確か……」

「自己紹介がまだだったね。ウチは三月なのか!よろしくね!」

「よろしく。俺は……」

 

 ………そういや誰やねん俺。転生してから自分の名前なんて知らなかったし知ることも出来なかったな。どうしよ。

 

「…もしかしてアンタ、自分の名前が分からないの?」

 

 お、おぉ……なんか理解早いなこの娘。

 

「まぁ…そんな感じだ」

「うんうん…わかるよ〜。この列車に初めて乗った時のウチも同じ感じだったもん」

「へ〜……え?」

「実はウチもね、宇宙を漂ってたんだ。まぁアンタと違って、ウチは六相氷っていうおっきな氷の中にいたらしいんだけど」

 

 この娘も割と頭の可笑しい過去をお持ちであった。でも氷漬けにされてるだけまだ現実的だな。いや現実的か?氷漬けにされた人間は普通死んでね?つか六相氷って何。いやまぁ別に知らなくてもいいんだけど。

 

 あっそうだ(唐突)知らないといえば……

 

「えっと、三月さん……?」

「ウチの事はなのかでいいよ」

「お、おう……」

「それで、どうしたの?」

 

 なんか距離近くね?あーいけませんいけません、勘違いしてしまいます!

 

「いやぁ、ちょっと鏡とかどっかに無いかな…なんて」

「鏡?う〜ん、ラウンジには……あ、そうだ!」

 

 おもむろに懐をゴソゴソして……カメラ?可愛らしいデザインだな。

 

「ハイ!チーズ!」

「え?」

 

 なんか困惑している内に撮られたぞ。

 

「はい、コレがアンタだよ」

「あ、そういう……」

 

 まぁそういう使い方もあるっちゃあるよね。俺は無いけど。

 それはさておき、俺のご尊顔を拝見するとしよう。お〜、中々にイケメンだ。流石転生者と言ったところ。男にしてはちょっと長めな銀髪に、キリッとした黄色い瞳……パーフェクトだ、ウォルター。

 

 ……にしても、なんか顔可笑しいな?撮られる時の俺、ちょっと間抜けな面だったと思ったんだが。なんでこんな証明写真取るときの様な真顔の笑顔を――

 

『よぉ、乗れたみたいだな』

「ッ?!」

「うぇっ?!ちょっとなに?いきなりどうしたの?」

 

 背筋に悪寒が走り、俺は思わず三月の手を弾きながら勢いよく後退って、ソファに着地してしまう。

 それより今のは……画像が笑った…?宇宙に漂うとか六相氷だとか、そういうのを聞いた時点で、そういうファンタジーな世界だとは思っていた。だから写真が動くのは驚きはしたが……この恐怖心は別だ。さっきの悪寒はいったいなんだ?!

 

「どうした、三月」

「丹恒!あのね、彼の顔を写真で撮って見せたんだけど、そこから様子が可笑しくなって……」

 

 丹恒……三月、なのか…?そうだ、俺はどっかでこの人達の事を――

 

 ズキン

 

「ッッア゛ッ?!!!?」

「えぇ?!ちょっとちょっと?!」

「ッ!」

 

 頭がッ、痛ぇ!!なんだ、コレッ…!視界も……駄目だコレッは――死ぬ!!!!

 

『まぁゆっくりしていけ。渡すべき物は渡すべき時に渡してやる』

「三月!姫子さん達を!」

「わかった!」

 

 だ、れだ……?二人じゃ…無い………変な奴が…一人いる!

 

『変な奴とは酷いな。私はただの現象、流れの過程。人類の今にして、人類が意識し、はたまた無意識に乗り越えようとする変化そのもの。それが私、永■のバルダムだ』

 

 なにを……言って………

 

『まぁ語らいは後にしよう。今は記憶に体を慣らして、開拓の物語を楽しむがいい。じゃあの』

 

 待て――

 

 ズキン

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!」

「どうなっている?!」

「丹恒!」

「姫子さん!ヴェルトさん!」

「なのかから話は聞いたが、コレは……」

 

 頭ッ…割れるッ!記憶がッ、流れ込む(・・・・)ッ!

 

 

 星神星核星穹列車開拓ナナシビト宇宙ステーションレギオン終末獣星核ハンターナヌーク■■■■■■■■■■■■■■そしてそしてそしてそして―――

 

 

 

「……星」

 

 息が荒い、汗も凄い。いや本当に汗凄いな、服がベタついて気持ちが悪いぞ。誰かクーラーつけてくれ。クラーラでも良いぞ(カウンター)

 つかなんで俺はまたベッドの上で知ってる天井を見てるんだ。よっこいしょっと。早急に姫子さん辺りに伝えなければ。俺も、宇宙ステーションに行かせてくれと。

 

 にしてもあのバルダムとかいう謎のイキリ野郎、俺の前世の記憶を、この崩壊スターレイルの記憶を持っていやがる。その上、それを一部だけ返して、なんのつもりなんだいったい。

 

 いや落ち着け俺。あいつの事は一旦ポイしよう。色々思い出したらやる事は1つ。そう、この世界の、輝くほどに美しい物語を全力で――

 

 

 

 

 ……あ、もう宇宙ステーションいるじゃん。よし、じゃあ出よう。ヨウおじちゃんは口説き落として強行突破だ。




星神の設定、余りにもオリジナル星神製造機過ぎて欲望を抑えられなかった。続くかはわかりません。駄文ですが、いつか更新されるので楽しみな人は楽しみにしておいて下さい。一応モチベが上がります。

それでは、サラダバー。 



ps 愉悦景元愉しい


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ダブル主人公

羅刹が欲しいので初投稿です


 前回のあらすじィ!崩壊スターレイルの世界に来たと思ったら俺が主人公だったし変な奴もいた!

 以上!じゃ、俺ヴェルトさんとの説得に戻るから!

 

「行かせて下さい!」

「駄目だ」

「行かせて下さい!」

「駄目だ」

「行かせて下さい!」

「何度言ったらわかるんだ…」

「プリン上げます!」

「物で釣るな…今どこから出したんだそのプリン?」

 

 ホントだ、どっから出したんだろこのプリン。

 

「やっぱプリンじゃ駄目か?」

「プリンじゃなくても駄目だな」

「そうか、じゃあ……行ってきまァァす!」

「待て」

「どォあッ?!」

 

 なんだこの黒い帯?!あぁ、戦闘スキルか!(超速理解)

 

 隙を見て乗り場へと続く扉へダッシュするが、一瞬にして重力の黒い帯に胴体を捕らえられ、続けて右手、左手、両足とその場に変なポーズで拘束される。

 

 此処になのかが居なくてよかった!多分今凄く間抜けなポーズしてる俺!

 

「はぁ……すまないな、パム」

「大丈夫じゃ。列車を傷つけ無ければなにも問題はないわ」

「パムッ頼む……助けてくれェ……」

「そんな顔されてもオレは助けんぞ」

 

 チクショウこの黒米団子め!

 

(さてどうしたものか。いっそ彼の中にある物を教えて見るべきか……言動から推察するに、彼の性格はそれ程難儀なものではないと思うが――)

「ぬおぉぉぉぉぉ!!!!!」

「っ!」

 

 こんな重力の帯如きにィィ!!!俺の転生者魂とォォォ!!!!ベクター穹の開拓者魂がァァァァ!!!!!止められる訳ねぇだろうがァァァァ!!!!!

 

「よせ!それ以上無理をすれば体が――」

 

 

 

 

「引き千切れるのは、お前の方だァァァッ!!!!」

 

 

 

 

 よォし!帯は引き千切った!筋肉でなんとかなるもんだな!(筋肉だけじゃどうにもならねぇです)

 

 絶対にどうにもならない筈だとか言われた気がするがどうでもいい。俺は絶句するパムとなんだか怖い顔になって眼鏡チャキするヴェルトさんに背を向けて、一目散に走り出す。

 

「逃がさん!」

 

 また帯だ!まぁた虚空断界だ!だがよ、一度喰らった技は……

 

「喰らいたくないんでねッ!」

「なんじゃあの動き?!」

「…………」

 

 体を狙って来た帯をスライディングで避け、足を狙った帯をスライディングの態勢からの無理矢理ジャンプで躱し、片腕を狙って来た帯を体を丸めるコトで回避して、もう片方を狙う帯が来る前に、体を全力で伸ばして掌を地につけ、そのまま手の力で跳躍することで回避する。

 

「悪いなヴェルトさん!でも安心してくれ!絶対に帰って来っから!」

 

 では宇宙ステーションに…レディ、ゴー!

 

 

 

 

 

 

「姫子…もしかしたら、俺達は想像する以上に大きなモノを拾ったのかもしれないぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 近未来的構造の廊下!逃げ惑う人々!人々を襲う反物質レギオン!タイプはヴォイドレンジャー・略奪とお見受けする!そして人々を掻き分けて勇敢にもレギオンへ挑もうとする俺!

 

 今俺、最高に主人公をしているぞ!

 

「へっ!序盤に出てくるせいで設定負けしてる奴に負ける気はねぇなァ!」

『■■■■■◼◼◼◼!!!』

 

 腕から生えた刃を振るう反物質レギオン。だが俺はその刃をすかさず回避し、廊下の壁を蹴ってレギオンの背後を取る。

 

 つかさっきからすっげぇな!俺ってこんな動き出来たんだ!

 

「喰らい、やがれェ!!!」

 

 少し拳を溜め、反物質レギオンが振り返る瞬間にその顔面へ拳を打ち付ける。

 打撃との誤差0.000001秒以内に反物質と虚数エネルギーが衝突した瞬間、空間は歪み!エネルギーは黒く光る!

 

「黒、閃!」

 

 …………尚、ベクター穹に虚数エネルギーなんてあるわけ無い。それに放出の仕方とか知らねぇだろお前いい加減にしろ。

 

『■■■■!!!』

「ウワッハッハッハァ?!!?」

 

 反物質レギオンの横薙ぎをバク転で回避し、俺は一目散に逃げ出した。

 

 チクショー!こんなの主人公っぽくねぇ!…ん?あれは逃げ遅れた研究者✕3か?!なんでこんな所でウロウロしてんだ!

 

「ぎゃー!あのバカ、レギオンを連れてくるぞ!?」

「巫山戯るな!巫山戯るな!バカヤロー!」

『こっちに来るんじゃあねぇ!』

「うるせー!相手を殺れねぇんだから仕方ねぇだろ!文句あるならバットよこせバット!」

 

 崩壊シリーズのメイン武器!アレがありゃ鬼に金棒!ルールだってブッ壊せる!

 

「反物質レギオンに近接戦とか死にたいのかお前?!」

「しかもバットってなんだよ頭イカれてんのか?!」

「すっごいマジレス返ってきてビックリなんだけど?!」

 

 あぁクソ!このまま逃げ続けてもジリ貧だ。いつか追いつかれるだろ絶対。行き止まりにブチ当たるとか、他の反物質レギオンにカチ合うとか、そういう展開が必ず来る。クッソ!何かいい方法はねぇかな?!

 

『私秘蔵の拳銃ならあるぞ』

「いやバットがいい」

「なんでそんなバットにこだわんの?!野球少年なの?!」

「球技は嫌いだッ!!」

「お前本当になんなんだよ?!」

 

 チクショウ、折角の開拓者なのに序盤でバット以外を持つなんて……

 

『因みに2丁拳銃だゾ☆』

「仕方ねぇ!今回だけだ!」

 

 カッコよさには勝てなかった。それでいいのか。

 

「良いに決まってる!……つか、この拳銃の装飾凄いな?」

『うん、見た目だけは天火聖裁だからな』

「あぁ!天火聖裁か!……てんかせいさい?」

 

 待てよ?それって崩壊3rdの……ん?

 

「おい待てお前まさ――って3人とも逃げるの速っ?!」

 

 あの拳銃を渡した黒い服の科学者……顔をよく見ておくんだったよ永なんとかのバルダム!つかお前星神だろうが!なんでこんな所にいんの?!

 

『■■■!!!』

「ッ今はこっちだ!」

 

 2丁の見た目だけ天火聖裁を反物質レギオンへ向けて、先ずは動きを止める為の牽制攻撃を放つ!

 

 

 

 

 

 

 

 え、あ、倒しちゃった。見た目だけ天火聖裁つっよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、見た目だけ天火聖裁でレギオンをバッタバッタと薙ぎ倒せる様になった俺は、まだ見ぬバットを求めて宇宙ステーション内を……って違うわ!俺が此処に来たのはそんなバット探しの為じゃねぇ!

 此処に来たかった理由は1つ。俺と言う主人公が既に列車にいるのなら、宇宙ステーションに星核ハンターは現れるのか否か。だってアイツらの目的は、主人公の体に星核とかいう厄ネタをブチ込む事だ。だが主人公たる俺は列車にいた。なら本来、この宇宙ステーションはどう考えても襲撃されない筈だ。

 だが現に、此処は襲撃された。ならば考えうる事は1つ!

 

 そう、もう一人主人公がいるって事だな!そしてそいつは恐らく女主人公だと相場が決まっている!なら会わなきゃなァ!

 というわけで女主人公の元へ向かっている訳だが……収容部分って何処だったっけな。

 

「あー!」

「い?」

 

 何やら驚いた声に振り返って見れば……あら、なーのかちゃん。あと丹恒じゃあないか。

 

「あんたなんで此処にいるの?!」

「ふっふっふ……!」

「いや笑ってないでなんとか言ってよ…」

「逃げる!」

「なんでぇ?!」

「追うぞ三月」

「ちょ、ちょっと待ってよー!」

 

 

「そっちは通路が出て無いから先に進めない筈……」

「ドリャア!」

「壁を走って凄い距離飛んでるー?!」

「俺達も行くぞ」

「無茶だよ丹恒?!」

 

 

「今度こそ行き止まりに……」

「ウリャア!」

「壁をよじ登ってるー?!」

「登るぞ三月」

「えぇ?!私達も登るの?!」

「悠長に回り道をすれば、簡単に撒かれてしまいそうだからな」

「そんなー!」

 

 

「ハァー、ハァー、こ…今度こそ……この先の扉は開かな―」

「扉は破る為にある!!!」

「な、なんで〜……!」

「だがどの道行き止まりだ。取り押さえるぞ」

「ま…待っ、て……休ませてよ〜…」

 

 

 

「確保!」

「いだだだだだだだ打打打打打打打打打打ッ!!!!」

「扱いが逃げ出した動物みたいなんだけど……」

 

 くっ、遂に捕まってしまった!煮るなり焼くなり好きにしろ!だけど今星穹列車に連れて帰るのは勘弁な!

 

「質問に答えてもらおう。ヴェルトさんはどうしたんだ?」

「あの人なら、今頃列車の中で新聞でも読みながらお前達の帰いだだだだだだだ打打打打打打打打打打ッ!!!!!ホントだって!俺誰も傷つけて無いから!?」

 

 なんでそんな信じてなさそうな顔をするんだろうねぇ?!まぁされても仕方ないブームしたんですけどね初見さん!

 

「丹恒、ヨウおじちゃんは本当に無事みたい。まぁ…凄く怒ってそうだったけど」

 

 少し引き攣った様な笑顔でヒラヒラとスマホの画面を見せるなのかちゃん。

 

 やっべーどうしよう。必ず列車に戻るって言っちゃったよ言わなきゃよかった……いや、今なら変な奴の捨て台詞的な捉え方してくれてる可能性が微レ存……

 

「なら次の質問だ。お前が列車の外に出た理由は?」

「…決まってる。会いたい人がいるんだ」

 

 丹恒の質問に答えながら、俺はこの部屋…丹恒に捕まった時に気づいた、いつの間にか辿り着いていた収容部分。その奥の部屋に視線を向ける。

 

「会いたい人…?こんな所に?」

「あぁ。兎も角、ちょっと自由にさせてくれない?もう逃げないからさ」

「…………」

「…離してあげていいんじゃない?」

「三月…はぁ、下手な真似は無意味だぞ」

「しないって」

 

 自由になった体を起こし、肩や首を軽く回す。凄く、キツかったです。やっぱり丹恒先生には敵わなかったよ。

 

 俺はリラックスを終えると、ゆっくりと奥の部屋へと歩き始める。二人も俺の後ろをゆっくりとついてきている。丹恒は俺が逃げ出そうとするのに備えてるんだろうな。いや逃げないけども。

 そして、大きな入口を潜って右に向けば………予想通りの彼女がいた。

 

「本当に人居た?!」

 

 俺と同じ様な服を着て、俺と同じ銀色の長髪が特徴の可愛らしい女の子。その瞼は閉じられているが、きっと俺と同じ金色の瞳をしているのだろう。

 

 あぁ、漸く――

 

「会えたな」

 

 二人の主人公だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今の見た?」

「えぇ、見えたわ。それにコレも…通りでアドリブが多い訳ね」

「ホントそれ……エリオは今、どんな顔してると思う?」

「さぁ?ただ、きっと私達が見たことない顔をしてるかもしれないわね」

「どうせ私達の前じゃしないだろうけど」

 

 星核ハンターの二人は、愉快な三人組が走っていった廊下が見える場所に佇み、床に撒き散らされた灰を踏みつける。

 

「エリオのアンチは一体、何処で私達の行動を知っているのかな?」

「さぁ?コレに聞いてみたかったけれど、死んじゃったもの」

 

 カフカは目線で床に撒き散らされた灰と、灰の中心に投げ出された…見た目だけな上に炎属性ではないパチモン天火聖裁を彼にあげた科学者の服を指す。

 

「エリオの脚本に度々現れて、アドリブで過程だけを滅茶苦茶にしていく。コレは昔からずっとそういう性質を持っている。必然的にアドリブも多くなる。最近は介入がなかったから少し慌てちゃったわ」

「ホント、勘弁して欲しい。というか、何処にでも出てくるね

 

 

 

 

 

 

永久の使令は」




この主人公は、お花畑みたいな転生者の頭と、争いに鈍く、痛みに恐怖する日本人精神をベクター穹の体で帳消しにしたスーパーナナシビトでお送り致します。






ベクター穹だがベクター穹ではない主人公君

運命:虚無
属性:物理

通常攻撃:見た目だけ天火聖裁 Lv.1
指定した敵単体に攻撃力の50%分の物理ダメージを与える

スキル:衰退 Lv.1
75%の基礎確率で指定した敵単体の物理属性耐性−20%、2ターン継続。その敵に攻撃力105%分の物理ダメージを与える

必殺技:いでよ!天火…じゃねぇ!? Lv.1 消費EP120
敵全体に攻撃力90%の物理ダメージを与え、敵単体それぞれに「撃滅」状態を付与する。
「撃滅」状態の敵は受けるスキルダメージ、必殺技ダメージ+15%、3ターン継続。

天賦:残傷 Lv.1
弱点撃破状態の敵を攻撃した時、60%の基礎確率で裂創状態を付与する。既に裂創状態の場合は、追加で裂創状態のターン+1

秘技:やられる方が悪い! Lv.1
敵を攻撃。ランダムな敵単体に攻撃力の80%の物理ダメージを与え、物理属性耐性−20%、2ターン継続

追加能力

闇討ち
秘技を発動した時、発見状態でなければ、相手の防御力−20%、2ターン継続

傷口に岩塩
裂創状態の敵を攻撃した時、与えるダメージ+25%

隙を見せたのが悪い
自分、または味方が弱点撃破した時、自身のEPを5回復する。

星魂

星魂1:天命
自身、または味方が敵を倒した時、隣接している敵に裂創状態を付与する

星魂2:輪廻
敵が物理持続ダメージを受けた時、ダメージの5%分HPを回復する

星魂3:転生
戦闘スキルのLv.+2、最大Lv.15まで。天賦のLv.+2、最大Lv.15まで。

星魂4:永遠
弱点撃破状態の敵に攻撃が命中した時、100%の基礎確率で敵の物理属性耐性−12%、2ターン継続

星魂5:永久
必殺技のLv.+2、最大Lv.15まで。通常攻撃のLv.+1、最大Lv.10まで。

星魂6:永劫
自身以外の味方が裂創状態の敵を攻撃する時、その味方の通常攻撃ダメージ、スキルダメージ、必殺技ダメージのどれかを1つを+15%、ランダムで付与する
攻撃するキャラが開拓者だった場合、全てが発動する。


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