まほ「泥まみれの虎」 (カーチスの野郎)
しおりを挟む

カッコイイとは、こういうことさ

この物語は、戦車道再盛時代の日本

 

を舞台に、誇りと意地と友情をかけ

 

て強豪達と戦い、泥まみれの虎とよ

 

ばれた一人の虎の物語である

 

 

 

                 泥

                 ま

                 み

                 れ

                 の

                 虎

 

 

 

 ~♪

 

 

まほ「・・・・・・Zzz・・・」

 

 

 ラジオ<~♪

 

まほ「・・・・・・Zzz・・・」

 

 ラジオ<~♪

 

 黒電話<Zrrrrr

 

 黒電話<Zrrrrr

 

 

まほ「・・・っ・・・」

 

 ラジオ<~♪

 

 黒電話<Zrrrrr

 

 黒電話<ガチャ

 

 

まほ「・・・私だ」

 

ダージリン【まほさん?すぐに戦車を出してくださるかしら?アンツィオ高校が現れたの】

 

 ラジオ<~♪

 

まほ「アンツィオ?・・・料理対決ならやらないぞ」

 

 ラジオ<プチッ

 

ダージリン【我が校の食糧が狙われてますの。寄港中なのだけど、全車整備中で手が出ない状況なのよ】

 

まほ「それだけか?」

 

ダージリン【え・・・あ、いや・・・その・・・】

 

 

ダージリン【先日仕入れたばかりの高級茶葉をたくさん積んでるのよ】

 

 

 バサッ

 

まほ「そいつは少し高くつくぞ」

 

 

ダージリン【契約十四条の第三項を該当させるわ】

 

まほ「第四項もだな」

 

 

 ――・・・・・・

 

 

 \ドドドドッドドドドッドッドドドドド!/

 

 \ドーーーン!/ \ドドーン!/

 

アンチョビ「勝負だーーー!我々と勝負しろーーー!勝負だーーー!」ドーン!

 

 \ワー!/ \イヤッホォォーウ!/ \ヒャッハァー!/

 

 

ローズヒップ「さらわれますの~!賊が出ましたですの~!」

 

アッサム「ローズヒップ、淑女たるもの賊などという言葉は使わないの」

 

 ~~~

 

まほ「・・・エンジン点火」カチッ

 

 ティーガーⅠ<ボッ・・・ボッボッボッボッボ・・・

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドド!・・・ボフン!

 

まほ「ッ・・・ゴホ、ゴホ・・・そろそろオーバーホールしないとな・・・」

 

 ガッ

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドド・・・

 

 ~~~

 

 ―聖グロリアーナ―

 

アンチョビ「我こそはアンツィオ高校が統帥(ドゥーチェ)アンチョビ!」

 

 \ドゥーチェ!/\ドゥーチェ!/\ドゥーチェ!/\ドゥーチェ!/\ドゥーチェ!/

 

アンチョビ「遠路はるばる聖グロリアーナに試合を申し込みにきた!」

 

 \ドゥーチェ!/\ドゥーチェ!/\ドゥーチェ!/\ドゥーチェ!/\ドゥーチェ!/

 

アンチョビ「拒むというのなら代わりに食糧をいただいてゆくぞー!」

 

 \イヤッハァーーーーーー!/

 

 

ペパロニ「運べ運べー!バケツリレーのように運ぶんだー!」

 

 アンツィオ生徒「わっせ」ワッセ

 

  アンツィオ生徒「わっせ」ワッセ

 

    アンツィオ生徒「わっせ」ワッセ

 

ローズヒップ「あなたたちアンツィオさん?」ヒョコ

 

ペパロニ「そうさ」ワッセ

 

ローズヒップ「私達のゴハンを持ってくんですわね?」ヒョコ

 

ペパロニ「そうッスよ」ワッセ

 

ローズヒップ「りゃくだつというのですわよね?」ヒョコ

 

ペパロニ「よく知ってるッスねェ」ワッセ

 

ローズヒップ「ア、ピザのマークが戦車に描かれてますわ。おいしそうですわね~」

 

アンチョビ「早く運べ~!・・・忙しいんだからもう」

 

カルパッチョ「イギリス料理は味がひどいと言いますけどみんな持ってくんですか~?」

 

アンチョビ「好き嫌いをしちゃ大きくなれないだろうがー」

 

 

 ~~~・・・

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドド・・・

 

まほ「遅かったか」ツウシンキ ガチャ

 

 

ペコ【こちら聖グロのオレンジペコです。我が校の二か月分の食糧とローズヒップさんがついて行っちゃいました。取り戻してください】ザザッ

 

 アッサム<あちらの方角へ逃げましたー

 

 聖グロ生徒<あっちー! ⇒

 

 

まほ「・・・」

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドド!

 

 

アッサム<あーっ!そちらではありませんよー!

 

 聖グロ生徒<ソッチジャナイヨー!

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドド!

 

まほ「間違えてはいない。奴らの手口はわかってる。見えなくなるまで走ってすぐ進路を変えるに違いない。奴ら三度の飯より飯が好きだから、我慢できずにこの辺りで食事を・・・」

 

 ティーガーⅠ<ボンッ!・・・

 

まほ「まずいっ」

 

 ティーガーⅠ<ドッドドドドドッド・・・・・・

 

まほ「このっ、動け!」ガン

 

 ティーガーⅠ<ドドッドドドドド

 

 

まほ「これはあまり時間がないな・・・」ドドドドド

 

 まほ「む」

 

 チラッ

 

まほ「いた」ガコン

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドド!

 

 

 ティーガーⅠ<グオォン!

 

 チハ<ギャギャギャ!

 

玉田「わー!おどろきもものきリンゴのきー!」

 

福田「ビックリフジツボ!戦車どらいぶの途中に敵襲でありますー!」

 

 まほ「なんだ・・・遊楽中の観光戦車じゃないか」ドドド

 

細見「ヤヤッ!あれは黒森峰の虎ではありませぬか!」

 

寺本「本当であります!虎さ~ん!」キャイキャイ

 

 まほ「こんな所で遊んでいると、団体で身ぐるみはがされてしまうぞ」

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドド!

 

細見「かっこいいでありますー」

 

福田「しかしなぜゆえ黒森峰の隊長殿がこのようなところに」

 

玉田「知らんのか福田。黒森峰の西住殿は故あって学校を一人飛びだし、たいがぁ戦車を駆って武者修行をされているのだ」

 

福田「なんと」

 

 ・

 ・

 ・

 

 ~森林地帯~

 

 <ワーイ!

         キャッキャッ!>

  <ゴメンアソバセー!

           ヤイノヤイノ!>

<リミッターハズシマスノー

 

 

アンチョビ「うるさいナア・・・」グツグツ

 

ローズヒップ「わぁ、おいしそうですの!」

 

 ローズヒップ「味見させてくださいまし味見させてくださいまし」グイグイ

 

アンチョビ「コラだめだぞ!」

 

 ローズヒップ<ワーイ タタター

 

アンチョビ「静かに!静かにしなさ~い!おい!なんとかしろよぉ!」

 

カルパッチョ「だからみんな持って行くんですかって聞いたんですよ」

 

アンチョビ「食べ物のことだと思ったんだ!」

 

カルパッチョ「『面白そうだからついていきたい』って言ってたんですよ。それにしても一人なのに何人もいるみたいな騒がしさですね」

 

 ローズヒップ<キャイキャイ タタター

 

ローズヒップ「味見させてくださいましー」

 

ペパロニ「ちょっとだけッスよ。ホントはいけないんスから」ス

 

ローズヒップ「ペロッ、これはイタリア料理!おいしいですわ~」

 

 <ドドド・・・・・・

 

ローズヒップ「あ、ご覧くださいまし。泥だらけの戦車ですわ」

 

アンチョビ「!?どこ?・・・どこ!?」

 

ローズヒップ「いましたわよねー」

 

ペパロニ「ねー」

 

 

 ドドドドド―― まほ「もう逃がさないぞ」 ――ドドドドド

 

 

ローズヒップ「ほらきましたわ」

 

アンチョビ「!?」

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドドドドドドドドドド!

 

 

アンチョビ「西住だー!」

 

ペパロニ「さあ料理が出来たッスよー」ジャーン

 

カルパッチョ「わーい」

 

ローズヒップ「おいしそー」

 

アンチョビ「食っとる場合かーッ!すぐに戦車に乗りこめー!」

 

 

 ティーガーⅠ<ドッ!

 

 セモヴェンテ<ドーーーン! ポシュ

 

アンチョビ「アアッ!いけねェ!」

 

ローズヒップ「護衛がやられちゃいましたの。降伏しますわ~」

 

アンチョビ「降伏しない!まだCV33とP-40がある!」

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドド!

 

アンチョビ「くっそ~!なんてことするんだ!撃て撃てー!撃ちまくれー!」

 

 CV33<ドパラタタタタタタ!

 

 ティーガーⅠ<カカカカカカカン

 

ローズヒップ「硬いですわねーあの戦車ー」

 

 P-40<ドン!

 

 ドーン!

 

ローズヒップ「当たりませんわね~」

 

アンチョビ「邪魔だナア・・・!」

 

 

アンツィオ通信手「ティーガーから通信!【オマエノ負ケダ 話ヲキケ】」

 

アンチョビ「うるさぁい!」

 

 P-40<ドン! ドーン

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドド!

 

ペパロニ「来る・・・来る!こっち来る!姐さん下がって!」

 

 CV33<ドパパパパパパ!

 

 ティーガーⅠ<カカカカカン グウーン!

 

ペパロニ「どこ!?どこ行ったッスか!?」キョロキョロ

 

ローズヒップ「あー隠れてますわー」

 

 ティーガーⅠ<スッ ドワ!

 

ペパロニ「ぅゎぃた!」ドーン!

 

 グオンッ ガァーン!

 

アンチョビ「げっ!吹っ飛んだCV33がひっくり返ってP-40の上に乗っかっちゃった!」

 

 

ローズヒップ「きゃー!降伏しますのー!降伏しますのー!」ワーイ

 

アンチョビ「降伏しない!重戦車だぞ!」

 

 P-40<バキバキッ バキン!

 

操縦手「ドゥーチェ!履帯がやられて動けません!」

 

アンチョビ「おろろぉ~ん!」

 

 

ローズヒップ「ワー!降伏ですわー!降伏ですわー!」ガパッ タタター

 

アンチョビ「ああっ、やめなさい!戦闘中に外に出たらあぶない!降伏しないってば!止めろ!大事なお客だぞ!」

 

ローズヒップ「ご心配なさらずに。わたくし聖グロ一の俊足ですから!」ワーイ タタター

 

アンチョビ「そういうことじゃない!違う、違うったら!」

 

通信士「ティーガーから再び通信!【食糧ハ半分クレテヤル 残リト人質ヲ置イテ失セロ】」

 

 ――まほ「さもないとご自慢の重戦車を鉄屑にする」――

 

通信手「――と言ってますが」

 

ペパロニ「食糧半分!?」ガタッ

 

アンチョビ「うるさぁい!」ジャコン

 

 アンチョビ「来るがいい西住流!最後の勝負だ!」

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドドドドド!

 

 P-40<キリキリキリ・・・・・・

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドドドドド!

 

 P-40<キリキリキリ・・・・・・

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドドドドド!

 

 

アンチョビ「くらぇい!」

 

 P-40<カチンッ

 

アンチョビ「アレッ?」

 

 P-40<カチンカチンッ・・・

 

アンチョビ「砲塔が壊れたァ!」

 

ペパロニ「ゲッ!降参だー!降参だー!降参だ!」

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドド!・・・・・・ドドド・・・

 

 

 ~~~・・・

 

 ローズヒップ<ごきげんよ~。また遊んでくださいですの~

 

カルパッチョ「アリ~ヴェデルチ~」

 

ペパロニ「良かったッスねェ食糧半分と履帯だけでも直って」

 

アンチョビ「アホ!志をもっと大きくもて!」

 

 P-40<キュラキュラキュラ・・・

 

 

まほ「・・・」

 

ローズヒップ「今度はティーガーに乗れるなんて面白いですのー」

 

 <ワーイ ヤイヤヤイヤ

         カッコイイデスワ~>

<ブアツイソウコウデスノ~

          ドロダラケデスワー>

   <スゴイデスノー

 

まほ「静かに・・・静かにしなさい」

 

ローズヒップ「あらあこのヘンテコな機械はなんですのー?」

 

まほ「砲弾を自動で装填する装置だ。このティーガーは私一人で乗っているからな。操縦席にいながら砲弾を撃てるように発射装置も拡長してある」

 

ローズヒップ「まあなんともブっ飛んだことしてますのね。これが自動装置ですのねー」キャイキャイ

 

まほ「ああっ、そこを触ってはダメだ。壊れる」

 

ローズヒップ「ワーイ」タタタ

 

まほ「動き回るな。危ないから大人しくしていなさい」

 

ローズヒップ「お紅茶がほしいですのー」

 

まほ「なに紅茶?その辺で買ってやる」

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 ――ボコミュージアム――

 

 

戦車道新聞<【虎、屠る】

 

 〈突如襲撃してきたアンツィオ高校に食糧と生徒一人を奪われた聖グロリアーナは野に下った黒森峰の虎、西住まほに救援を求めた〉

 

 〈西住まほはティーガーⅠを駆り、攫われた生徒と食糧を奪い返し、英雄譚に新たな一ページを刻んだのだった〉

 

 

カチューシャ「・・・~~~っ」プルプル

 

ノンナ「アンツィオの皆さん、今日は来れないとのことです」

 

カチューシャ「も~っ!無法者の野良猫が英雄気取っちゃって!」クシャクシャ

 

ケイ「HEY、隊長たるものそんなにカッカしないの。大きくなれないわよ」

 

西「あの~すみません、一つお聞きしたいのですがよろしいでしょうか?この集まりに私達知波単学園にもお声をかけていただいたのは大変ありがたいのですが、一体全体どういうお集まりなのですか?」

 

カチューシャ「決まってるじゃない!マホーシャをコテンパンにしてやるために高校連合を組むのよ!マホーシャはね、『自分を討ち取った者には多額の賞金を与える』なんて大口叩いてるのよ!」

 

西「なるほど!徒党を組んで虎を追いこむという算段なのですね!」

 

カチューシャ「マホーシャが自分に賞金をかけるってことは、つまり自分一人で戦っても負けないって言ってるようなもんじゃない!ナメられたまま黙ってられないわよ!」

 

ケイ「面白そうだからウチもプラウダもマホと勝負したんだけど、見事にひっかきまわされちゃってさ」

 

ミカ「一本の矢が折られてしまったから、矢を束ねて再挑戦しようという訳だね」ポロロン♪

 

カチューシャ「くやしいけどマホーシャの実力は本物だからね。だけど、そっちの小さいのは大学生じゃないの?」

 

西「大学生に助っ人を頼むのは高校生として恥ではありませんか」

 

 

 愛里寿「・・・」

 

ミカ「いや、彼女は飛び級の13才だよ。とにかく、あの虎をなんとかしないと皆はお困りなんだから」ポロン♪

 

ケイ「しかし13才は法外ね。幼児連れ回しでポリスメンにホールドアップされない?」

 

 

 ~♪

 

愛里寿「!」ガタッ

 

 <や~ってやる や~ってやる やぁ~ってやるぜ♪

 

ボコ「おう!よく来たなおめーら!今日もこれからオイラのケンカショーを始めるぜ!」

 

愛里寿「・・・・・・かっこいい・・・」ボソリ

 

 

 ~~~

 

 ―ボコミュージアム駐車場

 

 ティーガーⅠ<キャラキャラキャラキャラ・・・

 

 ティーガーⅠ<・・・パカッ

 

まほ「・・・」ザッ

 

 まほ「・・・」チラ

 

 センチュリオン<・・・・・・

 

まほ「・・・」

 

 

 ~~~

 

西「あのー、一つ質問したいのですが。なぜ我々はこのような場で会合を開いているのですか?」

 

ミカ「改装されたこのボコミュージアムはいつの間にか戦車女子の溜まり場になってしまっているんだよ。世の中わからないものだね」ポロン♪

 

ケイ「食堂でディナーしながら着ぐるみショーが見れるなんて粋よね。バーカウンターまでついてるし」

 

 ボコ「おい!今ぶつかったぞ!気をつけろぃ!」ヤイノヤイノ

 

愛里寿<ポ~・・・

 

カチューシャ「その子、ショーに夢中だけど本当に大丈夫なんでしょうね」

 

 

 扉<ガチャ・・・

 

ケイ「来たわ」

 

 

 まほ「・・・」ザッ

 

カチューシャ「もうッ、堂々とした面ね・・・!」ムキー

 

愛里寿「シーッ」シズカニ

 

 

まほ「・・・アイスミルク、ダブルで」

 

バーテンボコ「ウィ」

 

まほ「・・・」

 

ノンナ「我々がいるのに眉ひとつ動かしませんね」

 

カチューシャ「ムッカつくわね、ったく・・・!」

 

 

 ドタバタドタバタ

 

大河「西住まほさん!大洗の放送部の者です!今回もお手柄でしたねェ~!アンツィオは当分再起不能でしょう!」ガヤガヤ カメラカシャーンカシャーン

 

 愛里寿「ッ・・・」ム

 

大河「ところで文科省の件についてですが、来る戦車道世界大会で『日本代表は戦車道連盟が定める公式戦術で挑む』という方針を推し進めていますよね」

 

 大河「しかしそれに西住まほさんは反発。連盟への反抗の意志を示すために黒森峰を飛びだして野に降ったという噂は本当でしょうか?」

 

まほ「・・・」

 

大河「世界大会では西住流の戦い方を禁じられ、連盟・・・引いては文科省が定めた戦法しか認められないということですよね」

 

 大河「そこでスター選手で発言力もあるあなたが反対の意思表示をすれば連盟も方針を変えるやもしれないと――」

 

 グイグイ

 

大河「ん?」

 

愛里寿「・・・ボコショーは応援の時以外は静かに見るものよ」キッ

 

大河「ウッ・・・あ、すみません」ショボン

 

 大河「で、ではまほさん、また後日に取材を・・・」スゴスゴ・・・

 

 

 ボコ<みんなー!応援してくれー!

 

愛里寿「ボコー!がんばれボコー!」

 

 ボコ<キタキタキタキタァー!皆の応援がオイラの力になったぜ!

 

まほ「・・・」

 

 <ボコボコ! ウワー!

 

 

愛里寿「素晴らしいボコられっぷり・・・ここのボコられショーは大学生の間でも有名だもの。そこではクセの強い戦車女子達も大人しくしてるってね」

 

まほ「オモテのセンチュリオンはお前のか」

 

愛里寿「ええ。栄光と勝利を運んでくる、鋼鉄の百人隊長よ」

 

まほ「歩兵戦車と巡行戦車の特徴を合わせ持った戦車だな」

 

愛里寿「脚回りだけじゃない。火力もすごいよ。・・・高校界隈では西住の長女が名を売ってるそうね」

 

まほ「プラウダと組むのなら気をつけることだ。カチューシャは小さいがプライドは高い。年下なのに大学生だなんて嫉妬するだろうさ」

 

愛里寿「ふふふ・・・確かに」

 

 カチューシャ「なにを野良猫やる気!?」ガタッ

 

 

ボコ「おう!お前らよく来たな!戦車女子が集まってなにかデカイケンカでもあんのかぃ?」ズイ

 

カチューシャ「っ・・・」

 

西「ご明察でございます!ぼこ殿、舞台が終わったのに客間に来てくださるとは、光栄至極にございます!」

 

ボコ「来てくれてありがとな!だが戦争ごっこはダメだぜ!」

 

ケイ「THAT'S RIGHTボコ!戦争と戦車道は違うものね」

 

ミカ「試合が終われば皆仲良くするものさ。そうだろう?」ボロン♪

 

カチューシャ「えっ、あ、ええ」ウンウン

 

ボコ「ヘヘッ、皆良い子だな!」

 

まほ「・・・」

 

 

愛里寿「また会いましょう」クルッ・・・

 

 <ボコー♡ ダキッ

 

 <ウワ! イキナリダキツクンジャネー!

 

まほ「・・・」クルリ スタスタ

 

 福田「あ、虎殿!ぜひ英雄譚をお聞かせください!」

 

 細見「是非是非!」

 

まほ「今度戦車に乗って相見えたら、身をもって教えてやろう」

 

 福田「うひょー!カッコよいでありますなぁ!」

 

 

 ~~~・・・

 

 ――食堂(個室)

 

まほ「・・・・・・カレーおいしい」モグモグ

 

 スッ・・・

 

ボコ「あのガキんちょおかしいんだぜ。いきなりオイラに抱きついて『島田家に来てくれないか』だってよ」チャクセキ

 

まほ「・・・」

 

ボコ「だから言ってやったぜ」ヌギッ・・・

 

 

しほ「オイラにも家族がいるんだぜ、ってね」フーッ・・・

 

 

まほ「・・・お母様、みほとは・・・」

 

しほ「まだ連絡はないわ。いつかあの子の方から会いに来てくれると思ってるんだけど」

 

まほ「・・・」

 

 

しほ「何カ月も待ったわ。もう怒りも消えてしまった」

 

まほ「・・・みほは良い子です。大洗では黒森峰よりも楽しくやっているそうですし」

 

しほ「まほ、ありがとう。あの子を気にかけていてくれて・・・もうあなただけになってしまったわね。私とみほを繋ぐ懸け橋は」

 

まほ「・・・・・・お母様のなさることで一つだけ解せないのが・・・その着ぐるみです」

 

しほ「ダメよバラしちゃ。みほの気持ちを理解するためにこうやってボコになりきってるんだから」

 

まほ「・・・」アタマヲカカエル

 

しほ「どうすればあの子との亀裂を治せるのかしらね・・・」

 

 

 ~~~

 

 センチュリオン<ドッ・・・ドドド・・・ドドドドドドド

 

愛里寿「・・・」

 

 センチュリオン<ドドドドドドドドドドド・・・

 

 

まほ「・・・あの島田流、いい腕しているな」

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 ―黒森峰女学園―

 

まほ「・・・わざわざ通知表を受け取るだけに来るのも面倒だな」ザッ

 

 

 ――職員室

 

まほ「・・・」

 

 ペラ・・・ペラ・・・

 

教師「うらやましい・・・私も学生時代こんな成績が取りたかったわね」

 

まほ「先日提出しろと言われていた進路調査書です」ス・・・

 

教師「はい、確かに受け取りました。・・・どうかしら?あなたの成績ならもっと上品で厳格な大学に進むという道もあると思うけれど」

 

まほ「そういうことは学校を飛び出したりしない生徒に勧めてあげてください。では」ガララ

 

 

まほ「・・・!」

 

 戦車部隊<~♪ ギャラギャラギャラ・・・

 

 <キャー! 副隊長ー!

 

 <カッコイイー!

 

まほ「・・・戦車道チームのパレードか。ふっ・・・皆達者でやってるようだな」

 

 

 ――戦車倉庫

 

ツェスカ「おかえりなさい隊長!補給の準備できてますよ」

 

まほ「弾も30発ほどくれ」

 

ツェスカ「はーい」タタタ

 

 

まほ「外はずいぶん騒がしいな」

 

小梅「そうですね。また逸見さんが連勝記録を更新したのでパレードをしてるんですよ。本人は嫌がってましたが。隊長の持つ記録もじき抜かれるかもしれませんね」

 

まほ「野に下った虎に記録も勲章もないさ」

 

小梅「ははは、違いありません。狂犬も一緒ですよ」

 

 

ツェスカ「補給分、いつものだけでいいんですか?新しい通信機とか徹甲弾とかも支給されてますよ?」

 

まほ「お嬢さん、私は戦争やっているんじゃないんだ。またな」クル

 

ツェスカ「お、お気をつけて。・・・えへへお嬢さんだって~。・・・赤星さん、戦争と戦車道とどう違うんです?」

 

小梅「それはね、戦争で仲間を助ける人は英雄で、戦車道で仲間を助ける人はおばかさんなんですよ」

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 CV33<キャラキャラキャラ・・・

 

アンチョビ「宴会できないアンツィオなんて、画にもならんッ!」クワ

 

ペパロニ「仕方ないッスよ。修理代がかさみましたからね」トホホ

 

カルパッチョ「3時の方角に連合の部隊です」

 

 

 T-34、KV-2(プラウダ)<キャラキャラキャラ・・・

 

 M4シャーマン、ファイアフライ(サンダース)<キャラキャラキャラ・・・

 

 九七式(知波単)<キュラキュラキュラ・・・

 

 BT-42(継続)<ボボボボボ・・・

 

 

アンチョビ「ったく、なんでウチがあんな連中とつるまにゃいかんのだ」

 

ペパロニ「文科省のせいですよ文科省の」

 

 アリサ「なによアンツィオの奴ら、豆戦車しか出せなかったの?たよりないわねぇ・・・」

 

カチューシャ「やっと皆揃ったわね。ニーナ、後ろの方はどう?お子ちゃまは着いてきてる?」

 

ニーナ「後衛で陣どっでますー。セオリーどおりやっでますだー」

 

 センチュリオン<ドドドドド・・・

 

 

ケイ「目標発見!12時の方角に戦車道連盟の大連隊よ!」

 

 

 戦車連隊<ドドドドドドドドドド・・・

 

 

ペパロニ「あんな数とやるんスか!?」

 

アンチョビ「だから団体を組んだんじゃないか。戦車道連盟は文科省の言いなりで、高校生の我々にも連盟が規範とする戦術を強要してきている。つまり我々の自由を奪おうとしてるんだ」

 

カルパッチョ「それに反抗するために、私達高校連合と文科省直下の戦車道連盟とでお互いの主義主張を賭けて試合をするのよ」

 

ペパロニ「ふーん、ところで大洗は?聖グロと黒森峰もいないけど」

 

アンチョビ「聖グロは車輛の整備が長引いてな。我々がひっかきまわしたからかもしれんが・・・大洗は先の廃校騒動が解決してまだ落ちついていないからな。黒森峰は西住流お膝下で、連盟と小競り合いもしづらいのだろう。だから西住姉は黒森峰を飛び出したのかもな」

 

カルパッチョ「西住まほさんほどの方が、強襲戦車競技(タンカスロン)じみた野戦をしているとなれば、文科省が掲げる日本戦車道のイメージを損ねますからね」

 

ペパロニ「じゃあ西住姉とウチらが戦う必要ないんじゃないスか?どっちも連盟のやり方が気にくわないんだから」

 

アンチョビ「それとこれとは話が別だ。決して賞金に目がくらんだんじゃないぞ。そしてこの試合には我らの自由と個性がかかっているんだ!ビビるな!」

 

 

ミカ【どうやら私達の車輛はエンジンの調子が芳しくないみたいだ。援護するから先にかかって行ってくれないかな】

 

カチューシャ【ちょっとズルいわよ!決めた通りにしなさーい!】

 

西【あの~一つ聞きたいのですが、万が一撃破されてしまった時の修繕費用は全員で腹を割るということでよろしいんでしょうかー?】

 

ケイ【女々しいこと言わないの。私達が全部出してあげるわよ】

 

 

  <継続、エンジン不調、エンジン不調

 

             おおッ!太っ腹でありますね!なれば心おきなく突撃できるというもの!>

 

<言いわけしてないで作戦通りにやりなさいよ!

 

                ちょっと隊長!なぜ我々が他校の修理費まで賄うんですか!?>

 

   <計画とは狂うためにあるんだよ

 

      全隊突撃準備ー!我ら知波単学園の意地と伝統を見せてやろうぞー!>

 

 

アンチョビ「うるさぁーい!勝ったらおいしいご飯作ってやるからだまれ!」

 

 ・・・

 

戦車道連盟通信手【各車輛に通達、各車輛に通達。12時の方角に敵連合を捕捉。相手は高校生とはいえ、かなりの手だれです】

 

 戦車道連盟通信手【けれどもご安心ください。こちらには優秀な指揮官が二人もいます。勇敢な二人のリーダーをご紹介しましょう】

 

 

戦車道連盟通信手【ヤークトパンター一号車、陸上自衛隊一等陸尉!蝶野亜美教官ー!】

 

 蝶野「イェーイ♪ピースピース!」

 

戦車道連盟通信手【ヤークトパンター二号車、黒のカリスマ!蝶野マサヒロ教官ー!】

 

 蝶野「 ガ ァ ッ デ ム !!! 」

 

 パンター一号<ドドドドドドドド! パンター二号<ドドドドドドドド!

 

 

ナオミ「用心棒を連れてやがった!」

 

アリサ「そんな話聞いてないわよー!」

 

カチューシャ「自衛隊や応援大使を参加させるなんてヒキョーよ!横暴よ!職権乱用よー!」

 

クラーラ「Да!Да!(クラーラもそうだそうだ、と言っています)」

 

 <ドドドドドド! <ワー! <ビンタサレルー! <ヒエー! <ガッデム!

 

 

愛里寿「・・・」

 

センチュリオン操縦手「あーあー、取り乱しちゃってまあ・・・」

 

センチュリオン装填手「どうします隊長。援護に行きますか?」

 

 

 パンター<ドドドドドドドド!

 

アキ「こっちに来るなー!」ヒー

 

ミッコ「くそったれ!パワーがそっちならスピードはこっちだ!一生かかっても追いつけないぞ!」ブオォォォン!

 

ミカ「センチュリオン、私達の後ろにいるパンターをなんとかできるかい?」ポロン♪

 

アキ「素直に助けてって言ってよ~!」

 

 

愛里寿「よし、待ってろ」

 

 センチュリオン<ドドドドド・・・ドドドドドドド!

 

 

蝶野「!」

 

 ボカァァァン!

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 ボカァァァン!

 

まほ「・・・これはいよいよいかんな。装填装置とエンジンがギリギリ稼働している状態か」

 

 まほ「やはり大洗に行くしかないか・・・」フー

 

 

 ラジオ<――にて、戦車道連盟と高校連合の試合は高校生側が勝利しました。各高校の隊長は次のようにコメントしております。

 

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

カチューシャ「次はあなたよ」

 

 カチューシャ&アンチョビ&ケイ&西&愛里寿『虎出てこぉーーーい!!!』

 

ミカ「虎を狩るなんて、なかなか面白い試みだね」ポロン♪

 

 △ △ △ △ △

 

 

まほ「!」ビクッ

 

 ラジオ<繰り返します。次はあなたよ、虎出てこい。この試合結果を受けて文科省は、迫る戦車道世界大会での方針を再度議論することとなります

 

 ラジオ<なお、連盟側の指揮を任された蝶野教官は『いやー10式戦車の操縦に慣れちゃってマトモに戦えませんでしたー』とコメントしております

 

 ラジオ<蝶野大使は『ガッデム!』と――

 

 プチッ

 

 

まほ「やるじゃないか皆・・・・・・ふふふ、ははははは・・・」

 

 

 まほ「悪いが私は休暇だ」

 

 

まほ「美味しいあんこう鍋」ヨイショ

 

 ティーガーⅠ<ドドッ・・・ドドドドドドド・・・

 

まほ「美しいあんこう踊り」コラショ

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドドド・・・

 

 

まほ「大洗の港まで持ってくれよ、エンジンさん」ドッコイショ

 

 

 ティーガーⅠ<キャラキャラキャラ・・・

 

 ポツ・・・ ポツポツポツ・・・

 

まほ「嫌な天気になってきたな・・・公道は込むから、裏道を突っ切るか」

 

 

 ティーガーⅠ<キャラキャラキャラ・・・キャラ・・・

 

まほ「いい子だ。がんばれ、ホレホレ」

 

 ティーガーⅠ<キャラキャラキャラ・・・・・・

 

まほ「そうそう、いい子だぞエンジンさん」

 

 

 ・

  ・

   ・

 

 センチュリオン<ドドドドドドドドドドドド!

 

 

愛里寿「にぃしずみぃ~~~~~!」

 

 

まほ「!」

 

 < ガッ!

 

 ティーガーⅠ<ドルルン!ドドドドドドド!

 

 

 センチュリオン<ギャギャギャギャギャ!

 

 ティーダーⅠ<ギャギャギャギャギャ!

 

 

愛里寿「一対一よ!お互いの家名を賭けて勝負しなさい!」

 

まほ「今それどころじゃない!」

 

 

 センチュリオン<ドッ!

 

 ティーガーⅠ<ギャリギャリギャリ! ドーン!

 

愛里寿「ッ・・・当たらない」

 

まほ「エンジン不調、装填装置不調では退くしかない。煙幕筒がまだ残してあったはず・・・」ゴソゴソ

 

 プシュッ モクモクモクモク・・・・・・

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドドド

 

センチュリオン操縦手「ティーガーが煙を!見失います!」

 

愛里寿「逃げるな!みんなに言いふらしちゃうぞー!」

 

まほ「また会おう島田流ー。ふはははははー」ワザトラシイワライ

 

 

 プスッ・・・

 

まほ「いけね、切れちゃった」

 

 ティーガーⅠ<ボカァン!

 

 

まほ「いかん!」

 

 センチュリオン装填手「当たった!」

 

まほ「そっちの弾なんぞ当たっていない!故障だ!」

 

 

 センチュリオン<ドドドドドドドドドドド!

 

 ティーガーⅠ<ドドド・・・ドドドドド・・・

 

 センチュリオン<ドドドドドドドドドドド!

 

 

愛里寿「撃て!」

 

 センチュリオン<グ ワ ッ !

 

 

まほ「!」

 

 ド ォ ン !

 

 ドガン! ガラガラガラ・・・

 

 

愛里寿「やったぁ!これで島田流は安泰よ。やってやった♪やってやった♪やぁ~ってやったぜ♪」フンス

 

 

 ―――・・・

 

 ティーガーⅠ<・・・

 

センチュリオン操縦手「ハデにひっくり返ってますよ」

 

愛里寿「手ぶらで帰っても誰も信用しないから証拠に写真をとろう。皆、横転してるティーガーの前に並んで。写メとるから」

 

センチュリオン装填手「あ、ちょっと待ってください。メイク直さなきゃ」スチャスチャ

 

センチュリオン操縦手「前髪ヘンじゃない?前髪ヘンじゃない?」シャキシャキ

 

 ハイ、チ~ズ カシャ トッタノカヨ!

 

愛里寿「大破したティーガーと並んだ笑顔の写真。間違いなしの証拠。・・・おウチのお母さまにいい土産ができたわ。やってやった♪やってやった♪やぁ~ってやったぜ♪」

 

 センチュリオン<ドドドドドドド・・・

 

 

 ティーガーⅠ<・・・・・・

 

 ティーガーⅠ<パカッ

 

まほ「・・・」ソ~・・・

 

 

 センチュリオン<ドドドドドドド・・・

 

 

まほ「・・・」

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 ――西住邸――

 

 

 西住流戦車<ドルンドドドルンドルルンドドドルルルンドドド・・・

 

西住流師範代「家元、本当に島田流にカチ込みかけるんですか・・・?」

 

しほ「・・・愚問」

 

西住流師範代「っ・・・も、申し訳ありません。では出発します」ガコン

 

しほ「急ぎなさい」

 

 

 菊代「奥様ー!」タタタタ!

 

しほ「!・・・」

 

菊代「お電話です!ご無事です!元気でおられました!」

 

しほ「っ!なんですって!?」ガパッ

 

菊代「玄関の黒電話でお話ください!」

 

 

しほ「まほ!あなたなの!?ケガは!?今、島田に報復に行こうとしていたところなのよ!」

 

 しほ「・・・・・・ああ、よかった・・・」ホッ

 

まほ【程よく鍛えられました。横転したティーガーを抱き起こす“西住流戦車起こし”を体得しておいたおかげです。牽引車が来れる場所まで“西住流戦車引き”で引っ張って行きました】

 

しほ「それでこそ西住の女よ」

 

まほ「これから戦車を直しに大洗に行ってきます。マトモに戦える状態でなかったとはいえ、西住の名を汚してしまい、申し訳ありません」

 

しほ【っ・・・】

 

まほ「島田の子がボコミュージアムに来たら伝えておいてください。また今度、正々堂々と互いの家名を賭けて戦おうと」

 

しほ【なによ!私が家名のことしか心配してないと思ってるの!?】

 

まほ「!・・・」

 

 

しほ「いくらあなた達のことを心配しても、親の心を子は知らないんだから・・・」

 

まほ【・・・】

 

しほ「・・・私は家元として西住流を守らなければならない。連盟や文科省と揉めたくはないけど、あなた達も守りたいの」

 

しほ「まほ・・・学校に戻りなさい・・・今に文科省があなたを無理矢理にでも大人しくさせるように言ってくるわ。私嫌よ、あなたと戦うなんて・・・」

 

 

まほ「・・・吠えない虎はただの剥製です」

 

しほ【うつけ者!】ガチャリ

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 機関車<ポッポッポッポッポッポ・・・

 

まほ「・・・」

 

 戦車道新聞<【島田大躍進】

 

 〈西住流の西住まほが駆るティーガーを島田流の島田愛里寿が駆るセンチュリオンが撃破した。文科省を悩ませていた泥まみれの虎はとうとう討たれたのだ〉

 

まほ「・・・」フテネ

 

 機関車<ポッポッポッポッポ・・・

 

西「今日はなんだか列車が重い気がするなぁ。気のせいだろうか」

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 ―大洗学園艦―

 

優花里「今夜あたり来ると思って待っておりました。ようこそおいでくださいました西住姉上殿!」ビシッ

 

まほ「また世話になるな」

 

華「こちらのトラックの荷台に乗っているのが件の戦車ですね」

 

 ティーガーⅠ<・・・・・・

 

麻子「これはまたずいぶんハデにやられたな。乗り換えた方が早いんじゃないのか?」

 

まほ「こいつに乗りたいんだ。今まで長い間一緒に戦ってきたからな」

 

麻子「まあ気持ちはわかるが・・・」

 

桃「手早く倉庫に入れるぞ。お前達、下がっておけ。危ないから。冷泉、トラックをバックで入れろ。ライトは点けるな。ご近所に迷惑だからな」

 

麻子「ほーい」バタン

 

まほ「誰だ?あの有能な指揮官は」

 

優花里「ヘッツァーに乗ってた砲手ですよ。たまに装填手」

 

柚子「オーライオーライ、オーライ」ピッピー

 

 

 バサァ

 

沙織「わ・・・泥だらけだねこの戦車。女の子が乗るものとは思えないよ」

 

桃「触らない方がいい。破損箇所が尖っているからケガするぞ。それに泥に雑菌がついているかもしれん。まずは洗車してから修理にとりかかった方がいい」

 

沙織「戦車を洗車かぁ」

 

まほ「・・・信じられんな」

 

沙織「え?」

 

まほ「本当に試合後に泣きじゃくっていたあの子か?失礼だがこれほどしっかり者だったとは」

 

沙織「生徒会の仕事は敏腕なんだけど・・・」

 

 

杏「んじゃカモさんチームとアヒルさんチームとで洗車しといてね~」

 

 そど子「わかりました」 典子「やっときます!」

 

まほ「すまんな角谷、面倒だろうに」

 

杏「いいのいいの。ウチは島田より西住派だからね~」

 

まほ「相手はセンチュリオンだ。予想の出来ない戦い方をしたい」

 

杏「センチュリオンか。手ごわいね」

 

 

 ―視聴覚室

 

 ペパロニ【sparare!】グルン パラタタタ・・・

 

 アヒルさんチーム【いたたたたたいたいたいたい!】

 

優花里「どうですか?これ」

 

まほ「これは大洗とアンツィオの試合映像じゃないか」

 

杏「どうやって撮ったかは聞かないでね」

 

優花里「ティーガーでこんな動きをするなどとは予想もできないはず。きっと意表を突けますよ。カバさんチームの方々も現在猛練習中であります」

 

杏「全国大会二回戦でこの戦法をとったアンツィオは機動力と予想外の攻撃で私達を苦戦させたけど、結局負けたんだよね~」

 

 杏「でもこの技のせいじゃない。火力がヘボだったからだ」キリッ

 

 ~~~

 

アンチョビ「ハァーーーッチョイ!」ブアヒャー

 

アンチョビ「うう・・・ぢぐじょ~、また誰かが私達をバカにしてるな・・・」ズズッ

 

ペパロニ「風邪ッスか姐さん!今日のパスタにイソジンかけとくッス!」

 

 ~~~

 

優花里「重装甲高火力のティーガーで急速旋回からの後速後進しつつ砲撃・・・ふっふっふ!血が騒ぎますなぁ!」

 

杏「他にも色んなトコのワザを記録してあるから使えそうなのをこっちで厳選するよ。西住ちゃんのおねーちゃんならなんでもできるでしょ」

 

まほ「・・・あんまり無茶な戦い方ばかりするなよ。大洗女子の試合は見ていてハラハラする・・・アクロバットではないんだからな」

 

優花里「そういうのはですね、大洗では『カバさんチームに歴史の勉強を教える』と言うんですよ」

 

 

 ―生徒会室

 

 パチンパチンッ・・・パチパチパチン・・・

 

まほ「有り金全部持っていく気か・・・月500円のおこづかいで貯めた貯金を・・・」

 

柚子「大洗はね、廃艦を免れたけどまだまだ資金難なの。ポケットの財布も出して。履帯代と塗装費と・・・」イチエンガキュウエンナーリー

 

まほ「これはポケットマネーだぞ。本代とかお茶代とかの・・・」

 

桃「小遣いを上げてもらえばいいだろう。高校生なんだから1000円くらいでも問題はない。それとも、妹の財布も回収しようか?」

 

まほ「・・・くっ」チャリーン

 

 まほ「自動車部の面々が見えないな。達者でやってるのか?」

 

杏「4人とも東京にモーターショーへ行ってるよ~ん」イモイモ

 

まほ「!?・・・じゃあ自動砲弾装填装置の修理は誰がするんだ?」

 

杏「カバさんチームがやるよ~」イモイモ

 

まほ「カバ!?あの歴史好き達か!?」

 

杏「車体の整備はみんなでやるから。自動車部ほどの技術力は無いけど、私達には知識と応用力があるからね」

 

まほ「・・・」スック

 

杏「おろ?」

 

まほ「・・・角谷、ティーガーを一人で乗れるように改造してくれたのは大洗自動車部の者達だがな、今回は他を当たらせてもらう」スッ

 

 

 ガチャ

 

みほ「待ってお姉ちゃん」

 

まほ「!」

 

 

みほ「自動車部の皆さんがいないから不安なの?それとも私達がちゃんとした整備の経験もないから?」

 

まほ「両方だよ、みほ」

 

みほ「そうだね。当然だよね。・・・お姉ちゃん、いい戦車女子の第一条件を教えて?」

 

まほ「む・・・」

 

みほ「経験?」

 

まほ「いや、努力と根性だな」

 

みほ「よかったぁ経験だって言われなくて。ねぇ、左衛門佐さんの作るカラクリは重いものを運んだり、とってもすごいんだよ。夏休みの自由研究全国大会で優勝したんだって。だからきっと自動装填装置もきっと作れるよ」

 

まほ「・・・」

 

みほ「お姉ちゃんがはじめてティーガーを整備したのっていつ?」

 

まほ「6つの時だ」

 

みほ「6歳!私達はその頃のお姉ちゃんより10歳も年上なんだよ。やらせてくれない?整備マニュアル本も揃ってるし。うまくいかなかったらお金はいらないよ。ねえ、会長?」

 

桃「西住ィ!勝手に決めるな!3割返還だ!3割!」

 

杏「半額でいいよ~。私達だって自動車部が手一杯の時は自分達で整備やってたからね」

 

まほ「・・・」

 

みほ「今日は私の部屋で寝て。これ合鍵だよ。シャワーはお湯張ってもいいから。寝る時は電気消しておいて。チェーンはかけないで」テキパキ

 

 みほ「それじゃ、私は準備してくるね。おやすみお姉ちゃん」バタン

 

まほ「・・・」

 

柚子「会長、これを」ペラ

 

杏「お金がちょっと足りないけど私達の仲だ。後はローンにしておくよ~」

 

 

 ・

 ・

 ・

 

まほ「・・・」パチリ

 

 まほ<フワァ~・・・

 

まほ「・・・」キョロ

 

みほ「・・・」カリカリカリ・・・

 

 

まほ「みほ」

 

みほ「あ、お姉ちゃんおはよう。眠れた?」

 

まほ「みほ、徹夜したのか」

 

みほ「装填カラクリ装置の設計案なんだけどどうかな?特殊なカーボンを加工した部品を組み立てて、強力な天然ゴムで稼働させるんだよ」

 

まほ「・・・」

 

みほ「前の装置、見て驚いちゃった。操縦席にいながらレバーで装填して、砲弾を撃てるようにしてあったんだもん」

 

 みほ「こんな装置を作るなんて自動車部の皆さんって本当にすごいなぁ・・・感動しちゃった」

 

まほ「西住流にはな、車長であっても砲手や操縦手の見る世界も知らねばならんという教えがある。仲間達の立場を身を持って学ぶために、今の私は一人で戦車に乗っているんだよ」

 

みほ「やっぱり。西住流に古来から伝わる修行法だね。こんな過激なセッティングでよく試合ができるね」

 

まほ「難しいのは混戦の時だけさ。視界が悪いから囲まれると困難だが、こちらからの襲撃に関しては問題ない」

 

 まほ「装置の設置位置を、図面より10センチほど後ろへ下げてくれ。後はこのまま、進めていい」

 

みほ「!・・・やらせてくれるんだね!ありがとう!一所懸命やるね!」

 

まほ「っ・・・だがなみほ、一つだけ条件がある」

 

みほ「・・・?」

 

まほ「徹夜はするな。睡眠不足はいい仕事の敵だ。それに、美容にもよくない」

 

みほ「・・・フフッ、そうするね」

 

 みほ「私ね、夕べウキウキしてとても寝ていられなかったの。ホントのこと言うとね、お姉ちゃんもう大洗に来てくれないんじゃないかって心配してたの。だからうれしい!コーヒー買ってくるね!」ガチャ

 

まほ「・・・街に観光へ行こうなんて言うんじゃないだろうな」

 

 

 ~~~・・・

 

 \ガヤガヤ ワイワイ テンヤガ ワンヤノ ドヤドヤ ザワザワ/

 

杏「次はアヒルさんの操縦手、忍ちゃん。製造をやってくれるよ」

 

 忍「がんばります!」

 

まほ「うむ」アクシュ

 

杏「ウサギさん車長の澤ちゃん、仕上げをやる」

 

 澤「ふつつかものですがよろしくお願いします!」

 

まほ「感謝する」アクシュ

 

杏「一年のウサギさん達だ。宇津木、丸山、大野、山郷ちゃん」

 

まほ「・・・あ、ああ」エシャク

 

杏「アヒルの射手、近藤ちゃん」

 まほ「・・・う、うむ」エシャク

 

杏「あけびちゃんも来てくれたんだね。蝶野大使のお気に入りだ」

 まほ「・・・えと」エシャク

 

杏「坂口ちゃん走りまわらないでね」

 まほ「・・・あの」エシャク

 

杏「大洗の風紀委員達だ。そど子、ゴモ代、パゾ美、そこのもたれかかってるのが麻子ちゃん」

 まほ「・・・多いな」

 

 

ねこにゃー「まぽりん殿~~~!」タタタ

 

まほ「ハンドルネームねこにゃー、ハンドルネームももがー、ハンドルネームぴよたん」ダキッ

 

ももがー「ネームプレートが役に立ったなり~」ハグ

 

ぴよたん「直に話すのは初めてでだっちゃ~」ハグ

 

まほ「またネットゲームで寝てないのか?」

 

ねこにゃー「ぶwwwwwはwwwww」

 

ももがー「それなwwwww」

 

ぴよたん「戦車道では負けてもネトゲでは我々の方が上ずらwwwwww」

 

まほ「ははは」

 

沙織「ちょ、ちょっと待って。アリクイさんチームとまほさん知り合いなの?」

 

まほ「ああ。エリカがインターネットのパソコンゲームをやっていた時に暇だったので少し触らせてもらった。その時にな」

 

ねこにゃー「まぽりん殿はマウスの動かし方すらwwwww」

 

ぴよたん「カメラ通話で見てましたがなかなかのポンコツ具合でwwwww」

 

まほ「ハンドルネームねこにゃー、ハンドルネームももがー、ハンドルネームぴよたん達も修理に参加するのか?」

 

ももがー「ネットの知恵袋でやり方覚えてきたもも」

 

 ねこにゃー&ももがー&ぴよたん『wwwwwwwwwwwwwwwwwww』

 

 

 ~~~

 

 \ワイワイ ガヤガヤ キャイキャイ/

 

桃「みんないいかー。そっちのテーブルとこのテーブルをそっちに運ぶぞ」ガヤガヤ

 

 妙子「キャプテンそっち持ってますー?」 典子「まかせろー!」ガヤガヤ

 

柚子「一年のみんなはイス運んでねー」ガヤガヤ

 

 桂利奈「あーい!」 あや「はい!」 あゆみ「はーい」ガヤガヤ

 

 

まほ「・・・メカニックが一人もいないな」

 

みほ「うん」ニコニコ

 

まほ「皆戦車の整備はできるんだよな?」

 

優花里「もちろんであります!常に自動車部の皆さんはフル稼働でしたから今は休暇なんです。だから東京へ」

 

沙織「ボロボロの戦車を動かせるようにしてくれただけじゃなくて試合でも活躍してくれてたもんね」

 

 桃「みんないいかー。席につけー。弁当はちゃんと行きわたってるなー?」

 

華「戦車を一人乗りできるように改造したというのも驚きです。なんでも機械で動かす時代なんですね」

 

まほ「産業革命というやつだな」

 

みほ「心配しないでお姉ちゃん。左衛門佐さんのカラクリ技術は日本一だよ。頑丈だし、力強いんだからね」

 

まほ「キテレツ大百科じゃあるまいし、不安だがな・・・」

 

 

まほ「・・・ん?」

 

みほ「・・・」

 

 沙織「・・・」

 

 麻子「・・・」

 

まほ(・・・食べないのか?)

 

桃「みんないいかー。食べる前に会長へ感謝の言葉を述べるぞ」

 

 まほ「えっ」

 

桃「私らーみたいなー者にー」

 

 みほ「・・・」

 

 華「・・・」

 

 優花里「・・・」

 

桃「皆、一緒に」

 

 まほ「・・・」

 

桃「私らーみたいなー者にー」

 

 みほ「・・・わたしらー・・・みたいなー・・・者にー・・・」ボソボソ

 

桃「えー、ごはんをー食べさせていただいてー」

 

 澤「・・・ごはんをー・・・たべさせていただいてー・・・」ボソボソ

 

桃「角谷会長っ」

 

 典子「・・・かどたに会長・・・」ボソボソ

 

桃「ほんとうに」

 

 そど子「・・・・・・ほんとうに・・・」ボソボソ

 

桃「ありがとうございますっ」

 

 沙織「・・・・・・ありがとうございます・・・」ボソボソ

 

杏「ほいほ~い。どーもね~」

 

桃「まったく、会長の優しさは天井知らずだなっ。ハッハッハッハッハ!」

 

柚子「さあボリボリ食べてビシバシ働こー」

 

みほ「・・・さ、お姉ちゃん、食べよ」カチャカチャ

 

まほ「いつもやってるのか?これ」

 

 

 ~~~

 

 キリキリキリ・・・ ビィーン ガコン!

 

 キリキリキリ・・・ ビィーン ガコン!

 

左衛門佐「いい張り具合だ!この天然ゴムは当たりだな!」

 

まほ「・・・本当にカラクリ仕掛けで砲弾を装填している・・・」

 

カエサル「左衛門佐の技術と特殊なカーボンが合わされば大洗の文明開化さ」

 

エルヴィン「どうだい?よく動くだろう。動力のゴムが強力な分、装填スピードも早いぞ」

 

おりょう「これほどの上質な天然ゴムを仕入れてくるとは会長はやはりタダモノではないぜよ」

 

杏「出所は聞かないでね~」

 

 キリキリキリ・・・ ビィーン ガコン!

 

左衛門佐「これさえあれば天下統一もたやすい・・・」メラメラ

 

まほ「すごいのはわかったが、いい加減にしないとゴムが切れてしまうぞ」

 

左衛門佐「島田流など屁でもないやなー!」ハッハッハッハッハ!

 

 キリキリキリ・・・ ブチィン!

 

まほ「あ」

 

カエサル「・・・切れた」

 

左衛門佐「し、心配無用だぞ西住姉上殿。次は3枚重ねにするから。なんと装填スピードも3倍アップ!」

 

まほ「・・・不安になってきた」

 

 

 ~~~

 

 \ワイワイガヤガヤ ヤイノヤイノ/

 

典子「確認完了。溶接しまーす」ジジジジジ・・・

 

華「エンジン取り付け終わりました。火を入れてみてください」

 

麻子「ほーい」ガン ボボボボボ・・・

 

 あや「履帯の取り付け終わりましたー」

                   パゾ美「砲塔確認できました。旋回も問題ありません」

 

ぴよたん「しかし視界が悪いのはどうにもならんぴよ」

 

澤「操縦席のスリットから見るしかないですもんね。本当は車長が頭を出して周囲を見るのが普通らしいですし」

 

そど子「昔はティーガーからあんまり顔を出してるもんだから狙撃されることが多かったそうよ。戦車道じゃその心配はないけど」

 

沙織「というかこんな重くて視界悪くて整備に気をつかう戦車に一人で乗ってたまほさんって本当にとんでもないね・・・」

 

 

 まほ「・・・」マチボウケー

 

 ~~~

 

みほ「どうでしょうか?息抜きにはちょうどいいかなと思うんですけど・・・」

 

柚子「う~ん・・・たしかにいいアイデアね」ペラ・・・

 

みほ「最近お姉ちゃん、ずっと気を張ってただろうから修理が終わるまではゆっくりしてもらいたいんです」

 

まほ「みほ・・・私には気を抜いている暇など・・・」

 

みほ「ほらこれ、あんこう踊りを地元のプロの人達にやってもらおうと思うの。素人じゃなくて本場のだよ。それから歓迎あんこう鍋パーティーとか・・・」ウキウキ

 

柚子「でもねぇ・・・これは高くつくわよ。戦車の修理だけでも予算オーバーの請求書がこんなになっちゃったのよ。スポンサーがねぇ・・・」チラ

 

まほ「・・・」

 

みほ「これを使ってください。私が月350円のお小遣いを貯めてきた貯金通帳です」ス・・・

 

沙織「ちょ~っと待ったァ~!みぽりんだけにいいカッコウはさせないよ!私達のおこづかいを使って!」ザ

 

エルヴィン「歴史雑誌の定期購読を解除してきた!さらに大洗戦車道履修メンバー全員がこころづけを出してくれるとのことです!」ザ

 

杏「でも遊んでるヒマはない~ってキムズカシイ西住おねーちゃんが西住ちゃんの提案を受け入れてくれるかな?」

 

みほ「・・・お姉ちゃん」ウルウル

 

まほ「・・・わかったそんな目で人を見るな・・・行けばいいんだろう行けば」

 

みほ「やったぁ!それじゃ私達は戦車の修理に戻るね!お姉ちゃんだいすき~!」ガチャ バタン

 

まほ「・・・・・・角谷、あの子達が出すという額をローンで私に当ててくれ」

 

杏「んじゃ後でお金は皆に返しておくね」

 

まほ「お母様にお小遣いアップをねだるしかないか・・・」

 

杏「妹さん、いい子だね」

 

まほ「・・・ああ」

 

杏「手ェ出していい?」

 

まほ「ッ」ギ

 

杏「冗談だから虎の眼光で睨まないで」

 

 

 ~~~

 

 \ワイワイガヤガヤ ヤイノヤイノ/

 

 あけび「塗装ってちょっと楽しいかもー」プシュー 宇津木「私もぉ~。ハマっちゃうかもぉ~」プシュー

 

  ゴモ代「動作確認のチェックリストありますー?」 忍「この項目まではチェック済みです。ここからここまでの項目見てもらえます?」 パゾ美「了解ですー」

 

   あや「いくぞー!かくごしろー!」タタタ あゆみ「ついてこれるもんならこーい!」タタタ 桂利奈「あいー!」タタタ

 

桃「コラー!余った素材で遊ぶな貴様らー!」

 

 

 まほ「・・・」マチボウケー

 

 丸山「・・・となりいいですか?」

 

 まほ「・・・ああ」

 

 丸山「・・・」ス・・・

 

 まほ「・・・」

 

 丸山「とらはお魚食べる?」

 

 まほ「・・・・・・どうだろうな」

 

 

 ~~~

 

まほ「大洗に来て何度目の夜だろう。夜風がきもちいいな・・・」

 

 まほ「みほはもう部屋に戻っているだろうか・・・」ガチャ

 

 

 みほ「――よし、後は明日の最終チェックで修理は完了かな。昼間の内にお姉ちゃんにあんこう踊りを見に行ってもらって、その間にチェックを済ませて――」

 

まほ「・・・」

 

 みほ「――帰ってくるまでにお姉ちゃん歓迎おつかれさまいつもありがとうがんばってねパーティーの準備も終わらせて・・・あ、それまでに走行テストもしないと・・・」

 

 

まほ(・・・寮に帰ってきても私のために色々とがんばってくれて・・・・・・)

 

 まほ(・・・)

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 ―あんこう踊り会場―

 

 <アアアン アン♪ アアアン アン♪

 

 

まほ「・・・」

 

 <アアアン アアアン アンアンアン♪

 

 

 ツカツカツカ・・・

 

エリカ「・・・」スッ・・・

 

 <アアアン アン♪ アアアン アン♪

 

 

まほ「勲章5つか。腕を上げたなエリカ」

 

エリカ「なにをしているのですか隊長・・・なんで大洗に」

 

 <モヤシテコガシテ ユーラユラ♪

 

まほ「みほに会えるならどこにでも行くさ」

 

 <モヤシテコガシテ ユーラユラ♪

 

エリカ「今度は連盟も逃しませんよ。先の廃校問題の後始末に文科省と連盟が大洗に来ています。尾行されませんでしたか?」

 

まほ「撒いてやったよ」

 

 <ナミニユラレテ アンアンアン♪

 

まほ「エリカも大洗に来ていたとはな。みほに呼ばれたのか?」

 

エリカ「か、勘違いしないでください!別にみほ・・・元副隊長に会いにきたのではありません。あなたがここにいると連絡が来たので・・・」

 

まほ「そうか」

 

 <アシタ アイマショ アノハマ チカク♪

 

エリカ「あなたには戦車改造規定違反、連盟非公認の野良試合敢行、文科省の勧告無視、連盟公式練習の無断欠席、戦車道イメージを著しく低下させている等の理由で、こっぴどく怒られます」

 

まほ「ふふふ・・・」

 

エリカ「なんでカラカラ笑うんですか!笑ってる時ではありませんよ・・・!」

 

 <ナカサナイデ アンアン♪

 

エリカ「・・・連盟はあなたの戦車も没収すると言っていますよ。隊長は日本を代表する方であることを自覚してください」

 

 <イヤヨ イイワヨ アンアンアン♪

 

まほ「いい踊りじゃないか・・・」

 

エリカ「隊長・・・黒森峰に戻ってください。今なら学校と家元の口ききでなんとかなります」

 

 <アアアン アン♪ アアアン アン♪

 

まほ「檻に入るより泥にまみれた方がマシさ」

 

エリカ「戦車道がマイナーな武芸と呼ばれていた時代は終わったんです!気品とか品格とか、くだらないもので着飾って戦車に乗るしかないんですよ・・・!」

 

 <アアアン アン♪ アアアン アン♪

 

まほ「私は私の戦車道を征くよ」

 

 <アアアン アアアン アンアンアン♪

 

エリカ「・・・何が相手でもあなたはあなたなのですね・・・」

 

 <アアアン アン♪ アアアン アン♪

 

まほ「ありがとうエリカ・・・みんなによろしく伝えておいてくれ」

 

 <アアアン アアアン アンアンアン♪

 

エリカ「ひどい踊りね・・・気をつけてください。奴らは虎を鎖で繋ぐつもりですよ」スッ・・・

 

まほ「ああ・・・」

 

エリカ「・・・失礼しますまぽりん」ザッ

 

まほ「ちょっと待て」

 

 

 ~~~

 

まほ「エリカめ・・・待てと言ったのにそそくさと」

 

 まほ「・・・さて、大洗に戻るか」

 

 Ⅳ号<キキィーッ

 

まほ「ム」

 

沙織「ヘイ、か~のじょっ。乗ってかない?」

 

優花里「姉住殿~」ノシ

 

華「ちょうど学校へ戻る所ですので、ご一緒した方が早いですよ」

 

まほ「すまん、助かる」サッ

 

まほ「運転を代わってくれないか?ここ数日戦車を動かしていないのでなまりそうでな」

 

麻子「わかった」スッ

 

 

 Ⅳ号<キャラキャラキャラ・・・

 

沙織「今晩まほさんのようこそ大洗へ歓迎しますお疲れ様いつもありがとうこれからもがんばってねまたいつでも遊びに来てよパーティーの買い出しに行ってたんだ~」

 

華「名物のあんこう鍋の具材もこの通りたくさん買ってきました。いよいよ鍋パーティーですよ」ニコニコ

 

まほ「パーティーには出ない。今夜の内に出発しないとならないからな」

 

沙織「!?・・・ばかなこと言わないで。あんこう鍋も食べてないのに大洗から帰すわけにはいかないよ。それに戦車の最終チェックだってギリギリまでかかるし」

 

まほ「時間がないんだ。6時の方向を見てみろ。そっとだ」

 

沙織「・・・?」

 

 

 Ⅲ号戦車<キャラキャラキャラ・・・

 

まほ「戦車道連盟の秘密エージェントだ。Ⅳ号を着けていたのさ」

 

沙織「私達を!?なぜ?」

 

まほ「私が尾行を撒いてしまったからだ。それに大洗女子は私を匿い、ティーガーをいじっているからな」

 

麻子「なんでエージェントなんかいるんだ。なんで秘密なんだ」

 

まほ「本当はみほや友人達を巻き込みたくなかったんだが・・・すまない」

 

沙織「・・・初めて見た会った時はちょっと怖そうって思ったけど、まほさんって本当はみぽりんのこと大好きな優しいお姉ちゃんだね」

 

まほ「っ・・・・・・ふふははは・・・ハハハ」

 

沙織「ギョッ」

 

華「ま、まほさん?・・・」

 

まほ「私が優しいお姉ちゃんか。ハハハ」

 

麻子「どうしたどうした」

 

まほ「優しい姉というのはな、失敗して落ち込んだ妹に『元気だせ。気にしないでいい』と言ってやれる奴のことさ」

 

優花里「・・・」

 

沙織「でもみぽりんがまほさんの話する時いつもうれしそうだよ?」

 

麻子「お姉ちゃんはかっこいい、お姉ちゃんはすごい、とな」

 

沙織「いいお姉ちゃんじゃないとそんなこと言わないもん」

 

まほ「そうだとうれしい・・・な!」アクセルー!

 

 Ⅳ号<ドドドドッドドドドドドッドドド!

 

優花里「わー!急にフかすなんてー!」

 

まほ「砲手、構えろ」

 

華「え!?・・・は、はい!」サッ

 

 Ⅳ号<ドドドドドドドドドド! Ⅲ号<ドドドドドドドドドド!

 

まほ「揺れるぞ」

 

 Ⅳ号<ギュルン!

 

まほ「撃て!」

 

華「うつー」

 

 Ⅳ号<ドオ! Ⅲ号<ドーーーン! ポシュ

 

 

優花里「今のはアンツィオの急旋回・・・もうモノにしているとは・・・さすが西住殿の姉上殿・・・」

 

沙織「テレ隠しにしてはハデだね・・・」

 

まほ「さあ、忙しくなるぞ」

 

 

 ~~~・・・夜

 

 ――大洗女子学園

 

 

 <コソコソコソッ・・・ <サササッ・・・ <ソォ~・・・

 

 ティーガー<・・・

 

杏「いつでも出れるよ~」

 

桂利奈「ねーねー、ウラにも人影が2人だよ」

 

あゆみ「でねでね、オモテには3人いましたー」

 

あや「なんだかスパイみたいでワクワクするねー!」

 

宇津木「あぁ~イケメン映画のやつ~」

 

丸山「・・・」

 

あや「くっ・・・俺は絶対に吐かないぞ!何をやっても喋るもんか!」

 

あゆみ「フッフッフ、それでは電気ショックから試してやろう・・・いつまでもつかな~?」

 

桂利奈「ボス!ドライヤー使ってるんで電気ショックやるとブレーカーが落ちちゃいます!」

 

宇津木「家庭的ぃ~」

 

桃「コラーお前ら!こんな時に遊ぶな!」

 

 桂利奈&あや&あゆみ<ワーイ タタタ

 

桃「一年ー!あんまりウロチョロするんじゃないー!」

 

まほ「・・・」

 

 まほ「・・・!?」

 

優花里「西住殿、どうかお気をつけて」ケイレイ

 

沙織「知らない男の人に声かけられてもついてっちゃダメだよ」

 

華「いつでも連絡をください」

 

みほ「ありがとうみんな」

 

麻子「言われていたペンキだ」サ

 

みほ「うん。じゃ、行ってくるね」

 

まほ「・・・?」

 

みほ「うんしょ、うんしょ」ヨッコイセ ガタン

 

 みほ「うーん、まずは大まかにやって微調整するか」

 

まほ「・・・みほ、なんのマネだ」

 

みほ「私も行くの。ティーガーにパーソナルマーク書くから5分待って」

 

まほ「!?・・・冗談じゃない!みほ、何を言っているのかわかっているのか!?」

 

みほ「シーっ、大きな声だしちゃダメだよ」

 

まほ「み、みほ!あのな・・・!」

 

 まほ「お前は大洗の生徒なんだぞ!それもやっと落ち着いたところだ!それを――」

 

みほ「そっちのペンキ缶かしてくれる?」

 

まほ「う・・・」サッ

 

みほ「ありがとう。大急ぎでデザイン考えたんだ。ほら」ガオー

 

まほ「・・・」

 

みほ「ティーガーにピッタリのトラさんのマークだよ。すぐに仕上げるからね」ヌリヌリ

 

まほ「・・・隊長殿、私は無法者のお尋ね者なんだぞ。戦車でドライブに出かけるんじゃないんだ!」

 

みほ「・・・ごめんなさい。でもお姉ちゃんが一人で戦ってるって聞いてジっとしてなんかいられないよ。私も何かしたくって・・・」

 

まほ「だがな、連盟に追われながら夜間走行するんだぞ。上手く逃げ切れるかもわからないんだ!」

 

みほ「だから尚のことだよ。それに大洗の街を抜けるなら、ちゃんと道に詳しい人がいないとね」ヌリヌリ

 

まほ「あのな、私は宿になど泊まらん。二人っきりで車内泊することになるかもしれんのだぞ」

 

みほ「平気だよ。私お姉ちゃん好きだもん」

 

まほ「そういうことじゃなくて・・・っ~・・・」

 

 

杏「連れてきなよ。夜間の市街地を走るのは危ないからね。うちから出発した戦車が事故ったら大問題だからさ」

 

まほ「貴様それでも生徒を守る生徒会長かっ・・・」

 

杏「出張費用はまけとくよ。それにほら、姉妹でおそろいの咽喉マイクもつけるよ」

 

桃「さすが角谷会長の優しさは五臓六腑に沁み渡るな」

 

まほ「よっぽどみほをお尋ね者にしたいんだな・・・」

 

みほ「ううん、私はお姉ちゃんの人質になるの。そうすれば大洗の皆も仕方なく手伝ったってことで連盟に言いわけがたつでしょ」

 

まほ「ぬ・・・」

 

みほ「だからお姉ちゃん・・・連れてって。きっと役に立つから・・・」

 

まほ「・・・・・・」

 

 

まほ「・・・・・・口に牙を加えろ」

 

みほ「え?・・・」

 

まほ「いくらなんでもそのトラの画はかわいすぎだ!牙を描き加えるんだ!」

 

みほ「よかったぁ!力強さが出ないな~って心配だったの!二本描くね」ヌリヌリ

 

まほ「すぐ出発だ。まごまごしてると他の生徒もついてきそうだ」

 

 エルヴィン&カエサル&左衛門佐&おりょう『それだ!!!』

 

  ねこにゃー「その手がありましたな」

 

   そど子「西住さんが校外で風紀を乱さないか監視しないと」

 

    典子「文科省に直接文句を言ってバレー部復活を!」

 

杏「西住姉妹の仲むつまじいホームビデオを撮ればいい値がつくかもね~」

 

まほ「・・・」ギン

 

杏「皆冗談で言ってるだけだから。虎の眼光やめて」

 

 

 ~~~

 

 ―大洗女子周辺

 

戦車道連盟理事長「どうだ?蝶野くん、大洗女子の様子は」

 

蝶野「中で物音が聞こえますが・・・踏みこむわけにもいきませんからね」

 

理事長「やれやれ・・・戦車道を日本の武芸として世界にアピールしたい文科省の言い分もわかるが・・・連盟のやり方を強制すれば子供達が反発するのも無理はない・・・」

 

 理事長「しかし我々連盟も文科省の顔を立てんとならん・・・お行儀よい戦車道にまとめたい文科省と、泥だらけになってでも自分のやり方を突き進む高校生達の衝突か・・・」

 

 理事長「気はすすまんが我々は文科省に従わねば・・・西住の長女が大洗にいる今、彼女の無法を止めるぞ」

 

蝶野「理事長!大洗女子学園の・・・」

 

理事長「なんだ」

 

蝶野「第7倉庫が開いています!」

 

理事長「なぁにぃ!?」

 

 ~~~

 

沙織「ゆかりん早く早く!」

 

優花里「西住殿、土産話はたくさん聞かせてくださいね!」タタタ

 

 

まほ「エンジン点火」

 

 ティーガーⅠ<ボッ・・・ボッボッボッ・・・

 

 ティーガーⅠ<ドッドドドッドドドッドド・・・

 

まほ「・・・」

 

 ティーガーⅠ<キリキリキリ・・・

 

 

蝶野「わー!砲塔がごっぢみでるぞぉぉぉおおお!」

 

理事長「あぶなーい!退却ー!」

 

 

桃「コンディショングリーン!」

 

そど子「校門開門ー」ガラガラガラー

 

まほ「行ってくる」

 

みほ「パンツァーフォー!」

 

 ティーガーⅠ<キャラキャラキャラキャラキャラ!

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドドド!

 

 

優花里「行ってらっしゃいませー!」ノシ

 

 華「わーひとさらいー」ボウヨミ

 

  麻子「ひとじちをつれていかれたー」ボウヨミ

 

   沙織「がんばって~!」ノシ

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドド

 

 

みほ「足回りはどう?お姉ちゃん」ドドドドドド

 

まほ「昔のお前そっくりのやんちゃっぷりだ。一段と荒っぽくなったぞ」ドドドドドド

 

みほ「!?・・・待って・・・・・・学園艦が動きだしてる!?」ドドドドドド

 

まほ「!・・・連盟の奴らめ、無理に出航させたな」ドドドドドド

 

みほ「一度戦車を止めて!連絡して出航を止めてもらうから!」ドドドドドド

 

まほ「そんな暇はない。なんとか陸に上がってみせる」ドドドドドド

 

みほ「!・・・前に敵影!」ドドドドドド

 

まほ「!」ドドドドドド

 

 

 超重戦車オイ車<キリキリキリ・・・

 

篠川(連盟所属審判の眼鏡の人)「ティーガー!かつて学生時代に西住流門下生を倒した私と、超重戦車のオイ車が相手だ!」

 

 まほ「その時の雪辱は晴らさせてもらうぞ」

 

篠川「ふふふ・・・我々を甘くみないことだ。各員に通達!敵は西住流だ!全力を振り絞れ!オイ車の力を見せてやれ!」

 

 まほ「邪魔だ!」

 

 篠川「ここは通さんっ!」

 

みほ「夜間に市街地で砲撃戦はまずい・・・お姉ちゃん!クリスティー作戦を使って!」ドドドドド!

 

まほ「クリスティー?」ドドドドド!

 

みほ「色んな試合の映像視たんでしょ。継続高校のやつだよ!」ドドドドド!

 

まほ「ああ、あれか」ドドドドド!

 

 篠川「砲弾を撃たずともこの巨体なら押し勝てるぞ!」キャラキャラキャラ・・・

 

みほ「早く!」ドドドドド!

 

まほ「跳ぶぞぉ!」ドドドドド!

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドド! ガン!

 

篠川「なにぃ!?歩道にわざと乗り上げて車体を斜めに持ち上げた!?」

 

 ティーガーⅠ<ガガガガガガガ!

 

篠川「片側の履帯だけで走行を!ぬ、抜かれたぁ!」

 

 

 ティーガーⅠ<ガグン!ドドドドド!

 

まほ「いいぞ。上手くさばけた」ドドドドドド

 

みほ「で、でもお姉ちゃん・・・学園艦は動きだしてるから降口は閉じてるはずだし、どうやって陸に・・・!?・・・まさかお姉ちゃん!」ドドドドドド

 

まほ「・・・」ドドドドドド

 

みほ「この先には何もないよお姉ちゃん!学園艦の端っこだよ!真っ直ぐ進んでも道はないよ!」ドドドドドド

 

まほ「いいや、私達には常に道がある」ドドドドドド

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドド―――√ ̄ ̄ッ!

 

 < ド ッ !

 

 

まほ「西住流は前進あるのみ」

 

みほ「お姉ちゃあ~~~ん!!!」

 

 ・

 ・

 ・

 !

 |

 |

 |

 ヒュ

 

 

みほ「うわー!戦車が飛んでるー!」ヒュー

 

まほ「飛んでるんじゃない。落ちてるんだ。かっこつけてな」ヒュー

 

みほ「それどころじゃないよ!ど、どうするのお姉ちゃん!」ヒュー

 

まほ「砲塔正面に。自動装填装置稼働」キリキリキリ・・・

 

 まほ「砲撃!」ドン!

 

 まほ「再装填」キリキリキリ・・・

 

 まほ「砲撃!」ドォン!

 

みほ「落下スピードを抑えられたけどまだ――」

 

まほ「パラシュート展開!急げみほ!そこの取っ手を引け!」

 

みほ「!う、うん!」グイ

 

 バサバサバサ・・・ バッ!

 

まほ「衝撃に備えろみほ!」

 

 

 ゴ ゴ ゴ オ オ オ オ オ ン ! ! !

 

 

 ティーガーⅠ<・・・・・・

 

まほ「・・・・・・う・・・大丈夫かみほ」

 

みほ「・・・・・・うぅ~ん・・・・・・な、なんとか・・・」サムズアップ

 

まほ「・・・そうか」サムズアップ

 

 

みほ「・・・・・・ぷっ・・・ははは・・・あははははは」

 

まほ「・・・・・・フ・・・ハハハハハ・・・ハハハハハハ」

 

みほ「お姉ちゃん・・・無茶しすぎだよ。学園艦から戦車で飛び降りるなんて」

 

まほ「もう少し遅れていれば間に合わなかったな」

 

みほ「そうだね・・・見て、学園艦が港から離れていくよ」

 

まほ「ああ」

 

みほ「・・・綺麗・・・学園艦って本当に綺麗・・・」

 

 みほ「!・・・2時の方向に敵影。追手かな」

 

まほ「連盟にしては様子が違う・・・」

 

 まほ「・・・これはとんだ黒森峰副隊長のお出ましだ」

 

 

 ティーガーⅡ<・・・・・・

 

まほ「エリカの戦車だな」

 

みほ「エリカさん!・・・夕方には帰ったはずなのに」

 

 エリカ<サッサッサッ

 

みほ「ハンドサインだ」

 

まほ「この先で連盟が網を張ってる。抜け道を教えてくれるとさ」

 

 

 ティーガーⅡ<キャラキャラキャラ・・・

 

 ティーガーⅠ<キャラキャラキャラ・・・

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 

 

 エリカ<サッサッサッ

 

まほ「このまま道なりで国道に出ろと言っている。ありがとう、戦友」サッサッ

 

みほ「ありがとうございますー」ノシ

 

 エリカ<サッサッ・・・ サッサッ

 

 ティーガーⅡ<キャラキャラキャラ・・・

 

まほ「エリカの奴、みほを見て『隊長をよろしくね』と言ったな」

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 ―ボコミュージアム―

 

 

 コソコソ・・・ ササッ・・・

 

愛里寿「・・・・・・」ソロ~

 

 ボコ(しほ)「・・・」シャドーボクシング シュッシュッ

 

愛里寿「!・・・」ニマ

 

 ボコ(しほ)「ショーまで10分・・・今日も頑張るわよっ」フンス

 

 

愛里寿「かっこいい・・・」

 

ボコ(しほ)「!」

 

愛里寿「まさにケンカっ早いのに弱くてボコボコにされる一頭のクマ・・・」

 

ボコ(しほ)「いけないガキだな。ここはステージの舞台裏だぜ」

 

愛里寿「どうしてもこれを見せたくて・・・」ス・・・

 

ボコ(しほ)「?・・・手紙・・・文科省からか。『戦車道世界大会のマスコットキャラクターにボコられ熊を採用する件について』・・・」

 

愛里寿「『前向きに検討中につき、至急話し合いの場を設けたいと思います』」ニマ

 

 愛里寿「島田流が戦車道連盟側に着いたらボコをマスコットにしてくれるってお手紙だよ」

 

ボコ(しほ)「おもしろいじゃねえか」

 

愛里寿「ほんと?じゃあ決まりだね♪」

 

 愛里寿「ボコ・・・一緒に世界に行こう」

 

ボコ(しほ)「・・・」

 

愛里寿「ボコミュージアムの改修なんて、人気再燃のほんのワンステップだよ。次は国民的人気キャラクターだよ」

 

ボコ(しほ)「その次は?」

 

愛里寿「世界進出!」ドーン

 

ボコ(しほ)「!・・・・・・はーーーっはっはっはっ!はっはっはっはっはっは!」

 

愛里寿「っ・・・私は本気よ!ボコを必ず世界一にしてみせる!・・・~っボコ・・・」

 

ボコ(しほ)「オイラおめーのそういう子供っぽいところ好きだぜ」

 

愛里寿「ほんとぉ♡」

 

ボコ(しほ)「・・・でもダメだ。オイラ今、賭けをしているから」

 

愛里寿「・・・?」

 

ボコ(しほ)「オイラの“大切な人達”が揃って会いにきたら、今度こそ大切にしようって決めてるんだ。素直にな」

 

 ボコ(しほ)「一緒に食事をしたり、買い物に行ったり、おしゃべりをしたり、笑いあったり・・・そういうことをしようと思う」

 

 ボコ(しほ)「でもその子達、オイラに会いに来ないんだ。二人の内、一人が怖がってちっとも来てくれない・・・」

 

 

 <・・・・・・ドドドドド・・・

 

 

ボコ(しほ)「・・・!」

 

愛里寿「・・・?」

 

 <ドドドドド・・・

 

ボコ(しほ)「っ・・・あの音は!」タタタ

 

愛里寿「ボコ・・・?」

 

 

ボコ(しほ)「!」バッ

 

 

 ティーガーⅠ<ドッドッドッドッドッド・・・・

 

まほ「・・・」ドッドッドッドッド・・・

 

みほ「降りないの?お姉ちゃん。外から眺めてるだけなんて・・・」ドッドッドッドッド・・・

 

 

ボコ(しほ)「っ・・・」

 

愛里寿「西住流・・・戻ってきたんだ・・・」

 

 

ボコ(しほ)「・・・・・・・・・・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・   」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

・・

 

 

みほ(幼)「おねえちゃん!おねえちゃん!すごいよ!せんしゃがはしってるー!」キャイキャイ

 

まほ(幼)「かおをだしてとびはねるとあぶないよみほ」

 

 キャラキャラキャラ・・・

 

みほ「せんしゃのうんてんができるなんておねえちゃんはすごいや」

 

まほ「みほもできるようになるよ。おおきくなったらいっしょにせんしゃにのろうね」

 

みほ「うん!」

 

 キャラキャラキャラ・・・

 

 

 キキィーッ・・・

 

みほ「ただいまー!おかあさん!」ノシ

 

しほ「おかえりなさい、二人とも。戦車の運転はどうだった?」

 

まほ「たのしかったよおかあさん。みほはずっとはしゃいでいたよ」

 

みほ「おねえちゃんはせんしゃのうんてんがじょうずなんだ!わたしおおきくなったらおねえちゃんといっしょにせんしゃにのるんだ!」

 

まほ「みほといっしょならこわいものなしだね」

 

みほ「うん!」

 

しほ「そうね・・・あなた達二人が一緒なら、どんな相手でもきっと負けないわ。さ、せっかくピクニックに来たのだから、お弁当を食べましょう・・・まほ、みほ」

 

 

・・

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ボコ(しほ)「・・・・・・あの子達・・・」

 

 

まほ「・・・」

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドドド・・・

 

 

ボコ(しほ)「降りないで行っちまった。また賭けに負けちまったぜ」

 

愛里寿「!?・・・・・・まさか、賭けってあの西住姉妹のことなの!?」

 

ボコ(しほ)「いけねぇか?」

 

 ボコ(しほ)「西住はあんたのオウチよりも、家族関係がもうちょっとだけ複雑なんだ。戦車道だったらいつでも勝つけれど」

 

 ボコ(しほ)「文科省の犬になり下がるなら、島田流だけで尻尾を振るんだな」スタスタスタ・・・

 

愛里寿「・・・い、犬・・・」ガーン

 

 

愛里寿「・・・ん?・・・どうしてボコの大切な人が西住流の姉妹なんだろう・・・」

 

 愛里寿「ハッ!・・・西住みほさんもボコがだいすき・・・私のボコへの気持ちよりも西住みほさんのボコへの気持ちの方が強いということ!?・・・・・・さすがみほさん・・・」

 

 

 ~~~

 

みほ「せっかくボコミュージアムの前まで来たのに降りずに行くんだもん、ずっこけちゃった」キャラキャラキャラ・・・

 

まほ「古い馴染みに挨拶したんだ」キャラキャラキャラ・・・

 

みほ「ボコショーで中の人やってるっていうお母さん?」キャラキャラキャラ・・・

 

まほ「!?」ギク

 

みほ「菊代さんがLINEで言ってたんだ。お母さんはなにを考えてかボコミュージアムでボコの着ぐるみを着てショーに出てるって」キャラキャラキャラ・・・

 

まほ「菊代さん余計なことを・・・」

 

みほ「ねっ、お母さんのボコショー見たことあるの?お母さんボコボコにされるの?」ウキウキ

 

まほ「給油に行くぞ。おしゃべりをやめないとお菓子買ってあげないからな」キャラキャラキャラ・・・

 

みほ「え!やった!お菓子買ってくれるんだ!」ワーイ

 

まほ(・・・しまった財布の中がもう・・・)

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 ―聖グロリアーナ

 

みほ「・・・」ポケ~

 

 みほ「・・・待ってる間ヒマだな~・・・」

 

 みほ「あっ、そうだ」スッ

 

 みほ「えへへ、手作りボコぬいぐるみ。もう少しで完成だし今のうちに仕上げちゃおっと」ヌイヌイ

 

 みほ「・・・」ヌイヌイ

 

 

ペコ「ヒューッ。戦車に乗ってお裁縫ですか」

 

みほ「!・・・オレンジペコさん。お姉ちゃんは?」

 

ペコ「ダージリン様と難しい話をされてますよ」

 

 ~~~

 

ダージリン「文科省だけではなく、経済産業省までもが高校連合を抱き込もうとしているという話よ。戦車道世界大会で見込める経済効果はかなりのものだからね」

 

まほ「・・・」

 

ダージリン「文科省と連盟が推しているように、日本戦車道がワビサビあるものというイメージを固定化すれば諸外国の方々にはウケるもの。やっきになるのも無理ないわ」

 

アッサム「出来ましたわ。ローストビーフサンドイッチ。オニオンと卵も入ってますわ」ドサッ

 

まほ「すまんな」

 

アッサム「いやですわね、大人達はお金儲けばかり考えて」

 

ダージリン「噂では島田流は連盟側に鞍替えしたとか。変幻自在なのは本当ね」

 

 ダージリン「高校連合との試合で負けた連盟は方針を変えると約束していたはずなのに、島田流が味方についたことで強気になって、当初の方針を貫く姿勢よ」

 

アッサム「連合の試合は無駄になってしまったのですね。西住流も黒森峰も静観を保っていますし・・・どうなるのでしょう」

 

ローズヒップ「なぁんだ。まほ様が西住も黒森峰もまとめあげてしまえばいいんですわよ。あなたの腕なら簡単でございますの」グビ

 

 ローズヒップ「お紅茶おかわりいただけますの?」ゴメンアソバセ

 

  ローズヒップ「島田流だってブチのめして手下にしてしまえばいいんですのよ」グビ

 

アッサム「そう簡単な話ではありませんのよローズヒップ」

 

まほ「さらば日本戦車道の自由と誇りの日々というわけだな」

 

ダージリン「チャーチルの言葉ね」キリッ

 

まほ「いや私だよ。またな」

 

アッサム「ごきげんよう」

 

ダージリン「・・・///」カア~ッ・・・

 

ローズヒップ「知ったかするダージリン様もステキですわ!」

 

 ~~~

 

みほ「あ、お姉ちゃん。聞いてよ。戦車の給油代も食糧代もいらないってオレンジペコさんが・・・」

 

まほ「ほら、お菓子と飲み物のヤクルトジョワだ」ス

 

みほ「わっ、ありがとう。・・・なんだか、たかってるみたいで悪いですよ」

 

ペコ「うちはまほさんに助けていただきましたから、その見返りです。まほさんが黒森峰から出た際、聖グロと個人で契約を結んでたんです。何かあったら救援に来てもらって報酬を出すと」

 

みほ「でもやっぱりもらいすぎじゃ・・・」

 

ペコ「それではこちらの気がすみませんから。まほさんからも言ってください」

 

まほ「ありがたく受け取ろうみほ。給油が済んだらすぐに出発だ。キャンプ地へ向かうぞ」

 

みほ「ちゃんと領収書だけは受けとらせてくださいね」

 

ペコ(みほさんもなんだかんだでガンコなところあるなあ)

 

 

 ~~~・・・

 

 ティーガーⅠ<キャラキャラキャラキャラキャラ・・・

 

まほ「・・・たかっているのではない。持ちつ持たれつなのさ」

 

みほ「・・・」

 

まほ「お互いに助けあい、支え合っているんだ。戦車道はそういうものだ」

 

みほ「・・・」

 

まほ「一人で戦車に乗って改めて実感する。操縦手、装填手、砲撃手、通信手・・・機械で自動でできるとしても、人同士が支えあうことに意味があるんだ」

 

 まほ「私のドイツにいる友人・・・いや、ライバルと言うべきかな。彼女が言っていた言葉だが・・・こう言っていたな」

 

 まほ「『戦車は一人じゃできない。一緒にやる仲間がいて、一緒に力を合わせて考えて・・・やっとひとつの戦車が動きだす』・・・彼女の妹からの受け売りらしいが」

 

みほ「!・・・」

 

まほ「一人で戦車に乗るなど戦車道ではない。戦車道は、仲間と一緒にやるからこそ戦車道なのだ」

 

みほ「・・・お姉ちゃん」

 

まほ「見えた。あの野営地だ」

 

 ティーガーⅠ<キャラキャラキャラキャラキャラ・・・

 

 

みほ「やっと着いた」

 

 ティーガーⅠ<キャラキャラキャラ・・・ キキーッ

 

みほ「わー・・・素敵なキャンプ場だね」カパ

 

まほ「野営地に素敵もなにもないと思うが」

 

みほ「う~、ずっと戦車の中で座ってたからお尻がカチカチになっちゃった」セノビー

 

 テント<・・・

 

まほ「荷物を下ろすぞみほ。・・・む」

 

みほ「・・・?」

 

 

 テント<モゾ・・・ モゾモゾ・・・

 

 テント<西住流ーーーー!!! ドタバタドタバタ!!!

 

          ズザザーーー!

 

       \ うごくなぁ! /

 

         (ミッコ)

       (アキ) (ミカ)

      (西)    (クラーラ)

    (ケイ) (まほ) (カチューシャ)

     (アリサ)   (ノンナ)

(みほ)  (ナオミ) (ペパロニ)

        (カルパッチョ)      (アンチョビ) 《テント》

 

       / うごくなぁ! \

 

 

まほ「また騒がしいのがたくさん出てきたな」

 

ペパロニ「ドゥーチェ!捕まえましたよ!ドゥーチェ!」

 

アンチョビ「くそぉ・・・人を踏みつぶしおって・・・」ボロ・・・

 

 アンチョビ「どけぇ~い!」カキワケー

 

 アンチョビ「ノリと勢いとパスタの国からドゥーチェ参上!待っていたぞ虎野郎!」

 

カチューシャ「あなたがここに来ることなんてこのカチューシャにはお見通しだったんだから!」グイ

 

アンチョビ「お前にはたっぷり仕返ししてやるぞ!まずは黒森峰のドイツ料理レシピと食糧をたっぷり頂いて――」

 

 ケイ<FOOOO~♪

 

ケイ「ミホじゃない!マホったら戦車に妹乗っけてるのね」

 

みほ「高校連合のみなさんですね。どうもお疲れさまです」ペコ

 

ナオミ「かわいい」

 

アンチョビ「ウルサァーイッ。妹がなんだ!私だって弟がいる!」

 

まほ「おい、みほには手を出すな。大洗女子の皆とティーガーを直してくれただけで、私達の戦いに関係ない」

 

西「へェーッ!大洗の皆さんで修繕を!さすがでありますナア!」

 

アリサ「初心者集団でしょ、本当かしら」

 

まほ「私の戦車を前よりずっといい戦車にしたんだ。荒いがいい腕をしている」

 

 「「「オオ~~~・・・」」」ドヨドヨ

 

みほ「ほ、ほんと?お姉ちゃん」

 

まほ「戦車について嘘は言わない。皆、みほを丁重に扱え。姉が心配でついてきてしまっただけだからな」

 

カチューシャ「あっはははは!あなたが妹に心配されるなんて世も末ね!やい同志達!ミホーシャの心配事を消してあげるために泥まみれのティーガーをぶッ壊しちゃいなさい!」

 

 クラーラ「っ・・・」タジッ・・・ ニーナ「う・・・」タジッ・・・

 

みほ「・・・壊すって・・・私達が直した戦車を壊すんですか?・・・大洗の皆ががんばって修理した戦車を寄ってたかって壊すっていうんですか!?」

 

ノンナ「みほさん・・・これには深い訳があるのです」

 

みほ「壊すんですね」

 

ノンナ「うっ・・・だからその・・・」

 

みほ「みなさんそれでも戦車女子なんですか。・・・どいてください。私が直接話します」グイグイ

 

 ケイ「ヘイ・・・ミホったらちょっと怒ってる?」ヒソヒソ

 

 アリサ「あの子が怒るなんて珍しいですね」ヒソヒソ

 

みほ「・・・」ザッ

 

カチューシャ「うっ・・・な、なに怒ってるのよミホーシャ・・・」

 

アンチョビ(ちょっと怖い)

 

 

みほ「私、小さい時から戦車道の話を聞いて育ってきたんです。戦車道を嗜む女性ほど輝かしい者はいないってお母さんはいつも言ってました」

 

 ケイ「・・・」 ノンナ「・・・」

 

みほ「それは戦車の油と鉄錆と汗が彼女達の化粧になるからだって・・・」

 

 ミカ「・・・」 西「・・・」

 

みほ「だから戦車女子達は、芸に秀でた女よりも美しく、武に長けた男よりも力強いんだって」

 

 \オオー!/ \ヒューヒュー!/ \ヤヤァ!/

 

カチューシャ「言われるまでもない・・・それが戦車女子ってものよ」

 

みほ「彼女達の一番の武器は、戦車の馬力でも火力でもない。友情だって」

 

 \オオオオオー!/

 

 ペパロニ「そうだ!その通りッスよ!」

 

 クラーラ「Даー!Даー!(クラーラもそうだそうだと言っています)」

 

 ミッコ「戦車乗りばんざーい!」

 

 西「突撃バンザーイ!」

 

まほ「・・・とんでもない子だな」

 

 

アンチョビ「話はわかった。大洗の皆が友情の証として修理したティーガーを壊すのはやめた」

 

カチューシャ「チョビーシャ!」

 

アンチョビ「しかしここで引き下がっては戦車女子の名誉が守れないッ!」クワ!

 

 アンチョビ「虎に土下座してもらおうかーっ!私達をバカにしてくれたワビだー!そしてドイツ食材とレシピを献上してもらうぞー!」

 

 アンツィオ生徒「そうだそうだー!」 アンツィオ生徒「自分に賞金かけてケンカ売ってきたのはそっちだからなー!」

 

まほ「・・・」

 

みほ「なにをトンカチなことを言ってるんですか!!!」カッ

 

アンチョビ「ヒッ」ビク

 

みほ「ちっともわかってないじゃないですか!みなさん恥ずかしくないんですかって言ってるんです!」

 

 みほ「大学選抜の隊長に助けてもらってよく平気ですね!OGの方々が聞いたらきっと嘆きます!なんですか食べ物食べ物って・・・!」

 

アンチョビ(ずごぐごわ"い")

 

みほ「お姉ちゃんは、連盟と対立したくない西住流や黒森峰に迷惑をかけないために一人で飛び出したんです。お尋ね者、無法者と泥をかぶってでも自分の信念を貫くために」

 

 みほ「それに、一人で皆さんに戦いを挑んだのは武者修行のためでもあります。煽ったのは一人乗りの自分に対して手心を加えないためにあえてです」

 

 みほ「それなのにみなさんはお姉ちゃんの気持ちを考えずに寄ってたかってとにかく勝つことしか考えずに・・・」

 

 みほ「お姉ちゃんは、西住のプライドと誇りのために、島田流の愛里寿ちゃんと一体一の対決をするためにここに戻ってきたんです」

 

 みほ「誇りも思いやりも無い女なんて最低です!戦うなら堂々と戦ってください!」

 

 

 \・・・・・・/ \・・・・・・/ \・・・・・・/

 

 ケイ「・・・」 カチューシャ「・・・」 ノンナ「・・・」

 

ミカ「だから私は島田流を雇うのを反対したんだよ」

 

ケイ「女々しい子ね。自分で話をつけたくせに」

 

ペパロニ「ドゥーチェ、どうします?」

 

カルパッチョ「説得力はありますね・・・」

 

西「ここは一つ、両者の面目を立てるのはどうでしょう。島田の方に頭を下げてみては・・・?」

 

ノンナ「また西住の虎と戦ってくれと言うのですか・・・?」

 

西「・・・共闘の契りは期限切れでしたっけ・・・」

 

アンチョビ「・・・ドゥーチェはずかしい」ガックリ

 

 

                  やってやる やってやる やぁ~ってやるぜ♪ い~やなあ~いつをボ~コボコに~♪>

 

 

 カチューシャ「!?」 アキ「な、何この歌・・・」

 

ペパロニ「島田のセンチュリオンだーっ!」

 

 

 センチュリオン<キャラキャラキャラキャラキャラ・・・

 

愛里寿「話はきいたー。私達は逃げも隠れもしないわー」

 

 

まほ「・・・みんなしてキャンプ場に履帯痕をたくさんつけて・・・」

 

 センチュリオン<キャラキャラキャラ・・・ キキーッ

 

 愛里寿<スック

 

アリサ「戦車の上に立ったわ。いったいなにを・・・」

 

愛里寿「とぉーっ」バッ

 

アキ「あっ!ジャンプした!」

 

 バババッ! ガッシィ

 

 ルミ「隊長を」 メグミ「支えるのは」 アズミ「我々の役目」キリ

 

愛里寿「ありがと」

 

ミッコ「どこから現れたあの三人」

 

愛里寿「っしょっと」ザッ

 

まほ「・・・」

 

 

愛里寿「要するにリターンマッチがしたいのね。でも、一度はついた勝負よ。それに私達はもう高校生達の用心棒じゃない」

 

みほ「ただではやらないって訳だね。条件は?」

 

愛里寿「フ・・・・・・――ッ!!?」ピククッ

 

 

みほ「・・・?」

 

愛里寿「・・・みほさん・・・・・・ボコから“大切な人”と呼ばれるほどのファンで・・・強くて優しい人・・・」グッ・・・

 

 

愛里寿「私が勝ったら私のお姉ちゃんになって!」

 

みほ「!」

 

 まほ「!?」

 

 カチューシャ「!」

 

 アンチョビ「んう?」

 

愛里寿「島田流の養女になって、島田みほとして、一緒に世界大会で戦おう」

 

みほ「っ・・・」

 

愛里寿「私は本気よ」

 

みほ「・・・~~~っ・・・わかりました。その代わり、お姉ちゃんが勝ったら島田流は西住流と一緒に、戦車道連盟の方針に反対して」

 

 みほ「それからティーガーの修理代も島田流に払ってもらいます」修理見積書バン

 

 

まほ「待てみほ!」

 

アンチョビ「おっと、あんたはスっこんでな。ブリザードの!抑えてくれ!」

 

ノンナ「はい」ガッシィ

 

アンチョビ「みほ、引き返すなら今の内だぞ?」

 

みほ「訊くなら愛里寿ちゃんに訊いてください」

 

愛里寿「ちょっと高くない?この見積書」

 

みほ「格安だよ」

 

アンチョビ「やるのかやらないのか!」

 

愛里寿「・・・敬愛するみほさんのためよ。喜んで引き受ける」

 

アンチョビ「ぃよォ~し!」

 

 

アンチョビ「みんなきけー!私はみほの心意気にホレたー!この決闘は我がアンツィオ高校が取り仕切るぞぉ~!」

 

 \オオオオオ~~~!/

 

カチューシャ「高校連合にも噛ませなさ~い!」

 

 \オオオオオオオ~~~!/

 

まほ「・・・」ムッスゥ~~~

 

 

 ペパロニ<アリ~ヴェデ~ルチ~!

 

 西<西住さ~ん!また会う日まで~!

 

 ケイ<グッバ~~~イ!

 

まほ「・・・迷惑な連中だ」

 

 高校連合<西住まほ~~~!いいお姉ちゃんしろよ~~~!

 

まほ「五 月 蝿 い ッ ! さっさと失せろ!」

 

 カチューシャ<ピロシキッ

 

まほ「・・・まったく妙なことになってしまった・・・大体みほは――」

 

みほ「怒らないで・・・!自分でも無茶なことしたと思う・・・」

 

まほ「・・・」

 

 まほ「・・・みほ、どうやら礼を言わなきゃならないようだな。お前がチャンスをくれたんだ」

 

まほ「ありがとう。私達は一蓮托生だ」ス・・・

 

みほ「・・・相棒ってわけだね」ス・・・ ガシッ

 

まほ「勝負は五分五分だぞ」

 

みほ「大丈夫、私お姉ちゃんを信じてる」

 

まほ「信じるか・・・聞き飽きた言葉だと思ってたが、みほに言われると心強いよ」

 

 

みほ「っ~っ! ~~~っ!」ピョンピョン

 

まほ「!?・・・どうしたみほ。なにをはねてるんだ?みほ・・・!」

 

みほ「ううん。今になって急に胸がドキドキしてきちゃった・・・お姉ちゃんに相棒だなんて言ってもらえて・・・!」

 

まほ「・・・そうか・・・」

 

みほ「お姉ちゃん!今日のご飯は私が作る!お姉ちゃんのためにカレー作るね!」

 

まほ「カレー」

 

みほ「沙織さんに教えてもらった絶品カレーを作る!」

 

まほ「絶品」

 

みほ「楽しみにまっててねお姉ちゃん!」

 

 

 ~~~・・・

 

みほ「お姉ちゃん、だいしっぱ~い」

 

まほ「・・・」

 

みほ「ちょっと目を離したすきにコゲちゃった~うっかりしちゃった~」テヘ

 

まほ「・・・」

 

みほ「・・・こ、こうやってコビれば笑ってゆるしてもらえるって沙織さんが・・・」

 

まほ「・・・」

 

みほ「・・・・・・ごめんなさい」

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 ――・・・

 

 ・・・夜

 

まほ「・・・」スッ・・・

 

 砲弾<ゴトン・・・

 

みほ「・・・Zzz・・・Zzz・・・・・・――ん・・・?」

 

まほ「・・・」ヨッコイショ

 

 砲弾<ゴトン・・・

 

 

まほ(幼少期)「・・・ふふ」ニコッ

 

 

みほ「!?・・・・・・お姉ちゃん・・・?」

 

 

まほ「ん?・・・みほ、眠れないのか?」

 

みほ「!?・・・・・い、今ね!お姉ちゃんが子供の頃みたいに笑って――」

 

まほ「・・・?」

 

みほ「・・・夢だったのかなぁ・・・」

 

まほ「起こしてすまない。弾薬の点検をしてるところだ。みほは安心して眠るといい。明日は早いぞ」ゴト

 

みほ「・・・お姉ちゃん」

 

まほ「ん?」ゴトン

 

みほ「お姉ちゃんはどうしてそんなに強くいられるの?黒森峰を出て・・・学校に戻るのは成績の受け渡しとか大事な用がある時だけでしょ?一人で戦車に乗っててさみしくないの?」

 

まほ「・・・さあてな」ガタ

 

みほ「・・・私、小さい頃からお姉ちゃんが自慢だったんだ。小学生の時、お姉ちゃんが国際大会で優勝した話を聞いて、クラスの皆が話しかけてきてくれて、すごくうれしかった・・・」

 

まほ「・・・」

 

 

みほ「・・・・・・お姉ちゃん!私、黒森峰に戻ろうか!」ガバ

 

まほ「   なに?」

 

 

みほ「ほら、黒森峰に戻って私も西住流らしい戦車道をちゃんとやればお母さんも許してくれるかもしれないでしょ?そしたらお姉ちゃんだけに西住流の責任を任せなくてすむし、少しでもお姉ちゃんの力になれたら・・・」

 

まほ「冗談を言うな!!!せっかく見つけた自分の戦車道を捨てるようなことをするんじゃない!」

 

みほ「・・・・・・やっぱり私じゃ役に立たないかぁ・・・」コテン

 

まほ「・・・・・・ふふ、お前はいい子だみほ。今のお前を見ているとな、去年プラウダに決勝で敗北して良かったのかもしれないと思うよ」

 

みほ「・・・お姉ちゃん」

 

まほ「それに私は西住流をいやいや継いでいる訳ではない。私にとって西住流が自分の戦車道なのだ。さ、いい子だからもう寝なさい」

 

みほ「なにかお話して。そしたら寝るから」モゾ・・・

 

まほ「・・・お話?」

 

 まほ「・・・そうだな・・・」ゴトン

 

 

まほ「・・・あれは私が中学校に上がって初めての試合だった。場所は東富士。私は新入生だったが公式戦に初参加することになった・・・」

 

・・・・・・・・・・

・・・・・

・・・

・・

 

 

 まほ「戦車道の聖地での初めての公式戦で車長を任され、正直緊張していたものだ・・・」

 

 まほ「試合が始まると周り中、敵も味方も連続花火のように撃破されていった・・・私達の車輛は手だれの三輌に追いかけまわされてな、仲間に気を配るヒマもなかった」

 

 まほ「その内に、味方は私達だけになってしまった。それでも奴らはやめないんだ・・・死にものぐるいで走り回ったよ。手も足も痺れてきて、目まで眩んできて、もうだめだと思った・・・」

 

 まほ「その時だ・・・突然目の前が真っ白になった」

 

 みほ「真っ白?」

 

 まほ「ああ・・・光の中、と言った方がいい・・・」

 

 

まほ(過去)「・・・」

 

 

 まほ「妙に明るくて、霧の中だと気づくまでにずいぶん時間がかかった。私は疲れきっていて、乗員に指示を出す気力も無かった。操縦手も砲手も、皆眠ったように気を失っていた・・・」

 

 まほ「それなのに・・・戦車は勝手に進んで行くんだ」

 

 

 ―――・・・・・・―――・・・・・・・・・ ・ ・ ・

 

 

まほ(過去)「・・・っ・・・!」

 

 

 みほ「・・・霧の平原」

 

 まほ「ああ・・・やけに静かでな・・・地平線まで見えるような気がした・・・ずーっと遠くの方で、壁のようなものが見えた・・・」

 

 

まほ(過去)「あれは・・・戦車?・・・・・・いくつも並んで壁のように・・・」

 

 

 ドォーン!>

 

まほ(過去)「!」

 

 

 ドォーン!>   ドドドドドドド!> ドォーン!>

 

しほ「砲撃!」

 

 ドォーン!

 

千代「放て!」

 

 ドォーン!

 

 

まほ(過去)「!?・・・お母様!?・・・どうしてここに・・・」

 

 

しほ「装填急げ!第二撃が来るぞ!相手の砲身と垂直になるな!」ドドドドドド

 

千代「必ず仕留めるわよ!西住流に遅れをとるな!」ドドドドドド

 

 

まほ(過去)「あれは島田流の・・・一体どういう・・・」

 

 

しほ「島田千代・・・ッ!」ドドドドドド

 

千代「西住しほ!あなたには負けない!」ドドドドドド

 

しほ「千代助ェ!子供のころから私の周りをチョロチョロしてっ!男の尻でも追いかけていろというのだ!」ドドドドドド

 

千代「なにぃ!?」ドドドドドド

 

しほ「中学の時の戦車レースだって私が勝っていたのに、あなたがイチャモンつけたから!」ドドドドドド ドォーン!

 

千代「スタートでフライングしたのはそっちよ!昔のことまでねつ造する気!?」ドドドドドド ドォーン!

 

しほ「くっ・・・!・・・合同強化合宿の時、ジュース2本おごったわよ!」ドドドドドド ズガァン!

 

千代「私は13本おごらされたわ!」ドドドドドド ゴガァン!

 

しほ「きっちり数えてるんじゃないわよ!」ドドドドドド

 

 

まほ(過去)「これは・・・戦場の記憶・・・」

 

 

千代「高校一年の時の戦車パレードの時、ウチの戦車を壊したのはあなたのはずよ!」ドドドドドド

 

しほ「っ・・・!・・・し、知らん!」ドドドドドド

 

千代「とぼけるなぁー!まったくあなたと言う人は・・・!」ドドドドドド

 

 ドォ! ドーン! ガァーン! ギャリギャリギャリ! ガギンッ! ドワ! ドゴォーン!

 

 

まほ(過去)「なんという壮絶な戦い・・・これがお母様の・・・西住流の戦い・・・」

 

 

 しほ「うおおおおおおおおおおおおおお!」ドドドドドドドドドド!

 

 

まほ(過去)「お母様・・・っ!!!」

 

 

・・

・・・

・・・・・

・・・・・・・・・・

 

 

まほ「――・・・気が付いたら、霧の晴れた戦場を私達の戦車が一輌だけゆっくりと走っていた。一緒に乗っていた乗員達は何も覚えていなかった・・・」

 

みほ「・・・お母さんが西住流の道を見せてくれたんだね」

 

まほ「フッ・・・私には『お前にこの戦いについてこれるものか』と言われたように思えたよ」

 

みほ「そんなことないよ!お姉ちゃんはすごい人だもん!」

 

まほ「すごいのはお母様だよ。それに、あれはただの夢だったのかもしれん。遠くに見えた戦車の壁は、戦車道史を彩ってきた人達が見守っていたのか、あるいは戦車の墓場か・・・」

 

 まほ「さ、お話は終わりだ。寝なさい」

 

みほ「・・・」

 

まほ「・・・角谷め、中古の弾薬をよこしたな・・・」ゴトン

 

みほ「お姉ちゃん・・・」ソ・・・

 

まほ「うん?」

 

みほ「私、お姉ちゃんがお姉ちゃんで良かった・・・だってお姉ちゃんは強くてかっこよくてすごい人だもん・・・」

 

 みほ「これ、私が作ったボコのぬいぐるみ・・・こっちが私で、こっちがお姉ちゃんだよ」

 

まほ「・・・!」

 

みほ「頑張って作ったの。お姉ちゃんのボコ、もらってほしいんだ。だって私、お姉ちゃんのこと好きだもん」

 

まほ「・・・ああ、私もだよ。ありがとう、みほ」ス・・・

 

みほ「・・・おやすみ」

 

 

まほ「・・・」

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 ―西住まほ対島田愛里寿 戦車道試合会場―

 

 

 \ワイワイガヤガヤ/ \ワイワイガヤガヤ/ \ワイワイガヤガヤ/

 

ペパロニ「さーさーアンツィオ名物の鉄板ナポリタンだよ~!美味しいパスタだよ~!」ガヤガヤ

 

  カルパッチョ「熱々のピッツァはいかがですか~!」ガヤガヤ

 

アキ「新鮮なジャガイモを使ったマッシュポテトでーす!お一ついかがですか~!」ガヤガヤ

 

 ミッコ「サルミアッキもあるぞー。騙されたと思って食べてみなー!」ガヤガヤ

 

柚子「大洗の名産の干し芋はいかがー!とってもおいしいでーす!」ガヤガヤ

 

 桃「女なら体重なんか気にせずドーンと食えー!」ガヤガヤ

 

 \ワイワイガヤガヤ/ \ワイワイガヤガヤ/ \ワイワイガヤガヤ/

 

 

まほ「あいつら・・・お祭り騒ぎにしおって」

 

みほ「ここに集まった人達、みんなお姉ちゃん達の試合を見に来たんだ・・・すごい」

 

まほ「日本中の戦車女子達だ。高校連合、大洗の連中、聖グロ、黒森峰も他の高校のもいる。大学生も見に来ているぞ」

 

 愛里寿「フフ・・・これで島田流の名声もますます上がるというもの」

 

 

 アリサ【スタート10分前ー!スタート10分前よー!】

 

アンチョビ「これよりぃー!西住まほ対島田愛里寿の決闘をはじめるーっ!」

 

 \ワアアアアーーーーーー!!!/

 

ケイ「ルールは公式戦と特に変わりないわ。一体一の殲滅戦よ!」

 

西「しかし、卑劣な手段に走った者は永久に軽蔑されることは想像に難くありません!」

 

 麻子「無線傍受とかな」

 

 アリサ「ちょっと!」

 

カチューシャ「この対決は西住流と島田流だけの問題じゃないわ。日本の戦車道を左右する決闘よ。連盟は島田流が味方した途端に私達の主張を無視して、やっぱりやり方を変えないなんて言いだした・・・しかしこの決闘で――」

 

 ヤイカ「能書きはいいー!早く始めなさーい!」

 

 アスパラガス「引っ込むざます!演説を聞きに来たんじゃないざますー!」

 

 アウンさん「そうだそうだー!」

 

 \ブーブー!/ \Booooooo!/ \ヒッコメー!/

 

カチューシャ「~~~っ・・・」プルプル・・・

 

 

カチューシャ「にぇーーーっと!!!ぐずぐず言うヤツは粛清してやるわよー!」

 

ノンナ「・・・」 カラシニコフ<ババババババ!

 

 \わーーー!/ \あぶなーい!/

 

 KV-2<ドワ!  \ボガアアァァァーーーン!/

 

まほ「シュトゥルムティーガーでも引っ張ってくればいいんだ」

 

みほ「あわわ・・・」

 

 

カチューシャ「私達の戦車道の誇りがかかった試合よ!ウジャウジャ言わせないわ!わかったか!わかったら拍手しなさい!はーくしゅ!」

 

 \お、おおー・・・/ \パチパチパチパチパチ・・・/

 

アンチョビ「よぉーし!そのままみんなでドゥーチェコールだ!あそーれっドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!」

 

 \ドゥ、ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!/

 

みほ「みんな楽しくなっちゃってる・・・」

 

 

まほ「さっさと始めよう」

 

アンチョビ「わかってるわかってる、ケジメだよケジメ。それじゃ、双方賭け金を出せ!」

 

みほ「・・・」ザッ

 

ノンナ「どうぞ、みほさん。お座りください」スッ

 

みほ「ありがとうございます」

 

愛里寿「・・・お母様直筆の誓約書よ。この試合であなたが勝てば島田流は連盟に反対することを約束する。それとティーガーの修理代」

 

アンチョビ「私が預かろう」ズッシリ

 

 アンチョビ「す、すごい大金・・・」ゴクリ

 

カチューシャ「さっさと懸賞台に置きなさいよ」

 

アンチョビ「っ・・・う・・・」ドサ

 

 アンチョビ「ウウッ・・・!」タタタ

 

ペパロニ「ドゥーチェ、泣いてんスか?」

 

 

アンチョビ「そ、双方文句はないな!・・・それじゃあ始める前に握手だ!戦車道は礼に始まり礼に終わる。今日は正々堂々と勝負だ!」

 

まほ「・・・」ス

 

愛里寿「・・・」ス

 

 ガシッ

 

まほ「・・・」

 

愛里寿「・・・」

 

カチューシャ「チェッ・・・愛想の無い連中ね」

 

 

愛里寿「みほさん、終わったらすぐ養子縁組を役場に届けようね」

 

みほ「・・・」

 

愛里寿「心配しないで。お母様の話では、家族というのは血の繋がりなんか関係ないって」

 

みほ「ごめんね愛里寿ちゃん。私はあなたのお姉ちゃんにはなれない。だって私は、西住まほの妹だから。それに、勝つのはお姉ちゃんだもん」

 

愛里寿「・・・」

 

 

ダージリン「まほさん、みほさん。せっかくの機会だから私達と写真を撮ってくださらない?」

 

カチューシャ「ちょっと!なにぬけがけしてるのよ!ノンナ!私達もよ!」

 

ケイ「私達も一緒に撮りましょ!」

 

西「西住さん、不束者ながら我々知波単学園一同もご一緒してもよろしいでしょうか?」

 

エリカ「あなた達、黒森峰を差し置いて勝手はさせないわ」

 

赤星「みほさんとまほさんと一緒に写真なんて、滅多にありませんからね」

 

みほ「え、えーと・・・こんな大勢・・・」

 

アンチョビ「よーし!みんな集まれー!全員で集合写真だー!」

 

 

アキ「はーいみなさーん。ニッコリしてくださーい。タイマーセットしまーす」

 

 ピピッ

 

アンチョビ「ほら笑って!ピースして!」

 

アキ「はーい、いきまーす」

 

  ミカ「トゥルタ(撃て)!」

 

 BT-42<ドーン!

 

沙織「わあっ!?ビックリしたぁ!」

 

アキ「もーミカ!なんでこんな時に砲撃するの!」

 

ミカ「驚いた顔を写真に撮った方が面白いからさ」ポロロン♪

 

 

 ~~~

 

 ティーガーⅠ<ドッドッドッドッドッド・・・

 

 センチュリオン<ドッドッドッドッドッド・・・

 

まほ「・・・」

 

愛里寿「・・・」

 

 

左衛門佐「さあさあ張った張った!15分以内で決着がつけば半有利だー!丁か半か!半か丁か!」ヤイヤイ

 

 玉田「丁!」 細身「半!」 福田「丁であります!」

 

ペパロニ「試合が始まる前にアンツィオ料理はいかが~!始まってからじゃ買うヒマないよ~!」

 

 あゆみ「くださいな~」 あや「ください!」 宇津木「くださ~い」 桂利奈「食べます!」

 

  ローズヒップ「お紅茶にはやっぱりイタ飯ですわー!」 ニーナ「ジャンケンで負けだんでプラウダ生徒全員分買いにきますた」

 

カルパッチョ「ドゥーチェ!すごい売上です!」

 

アンチョビ「すごいゾ!毎月これやってくれないかナア!」

 

 

アリサ【スタート15秒前ー!スタート15秒前よー!】

 

 ティーガーⅠ<ドッドッドッドッドッド・・・

 

 センチュリオン<ドッドッドッドッドッド・・・

 

カルパッチョ「あ、もう始まりますよ」

 

ペパロニ「かっこいいッスね~」

 

アンチョビ「ウーム」

 

 

アリサ【5秒前ー!】

 

杏「・・・」

 

 

アリサ【4!】

 

 カチューシャ「・・・」 ケイ「・・・」

 

 

アリサ【3!】

 

 ダージリン「・・・」 西「勉強させていただきます・・・!」ドキドキ

 

 

アリサ【2!】

 

 華「・・・」 沙織「がんばってぇ~・・・」 麻子「・・・」 優花里「・・・」

 

 

アリサ【1!】

 

みほ「・・・」

 

 

アリサ【0!】

 

ナオミ「ゴングだ」

 

 ファイアフライ<ドーーーン!

 

 

 ティーガーⅠ<ガガガガガガガガガガ! センチュリオン<ガガガガガガガガガガ!

 

 

 センチュリオン<ガガガガガガガガ!

 

ケイ「センチュリオンが後ろを取ったわ」

 

 センチュリオン<ドワ!      <ドーン!

 

  ティーガーⅠ<ガガガガガ!

 

 センチュリオン<ガガガガガガ! <ドワ! <ドーン!

 

 

西「これは一方的な試合になってきましたね!虎の後方にセンチュリオンがピタリとついてます!」

 

ダージリン「これほど車輛が近い距離から開始するなんて、まるで飛行艇同士の空中戦のようね」

 

みほ「・・・お姉ちゃん」

 

アンチョビ「ほら、これを貸してやる。この距離ではよく見えんだろう」ス

 

みほ「双眼鏡・・・いいんですか?」

 

アンチョビ「私はペパロニのオペラグラスを使うから遠慮するな」

 

ペパロニ「そりゃないッスよ姐さん~」

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドド!   センチュリオン<ドドドドドドド!

 

みほ「お姉ちゃん、砲塔を後ろに回さないと攻撃される一方だよ!」

 

ダージリン「無闇に旋回させないほうがいいわ。まほさんの一人乗りティーガーは砲塔を自動旋回できるように改良されたけど、速度は遅いの。練度の高い乗組員じゃないデメリットね」

 

カチューシャ「砲塔を後ろに回してる間に反対側に周りこまれたら反撃が遅れるわ。だからマホーシャは固定砲塔みたいに運用してるのよ」

 

みほ「そうだったんだ・・・」

 

 

 センチュリオン<ドドドドドド! <ドワ!  ティーガーⅠ<ドドドドドド!

 

愛里寿「無駄弾撃たせようとしてもその手には乗らない」ドドドドド

 

まほ「・・・」ドドドドド

 

 ティーガーⅠ<ガガガガガガガ!グルン!ギャリギャリギャリ!

 

  カエサル「ティーガーがCV33ターンした!別名ナポリターン!」

 

  ペパロニ「パ、パクリだ!ありゃーウチの盗作ッスよ!」

 

センチュリオン操縦手「うあ!?」ビク

 

 センチュリオン<ギャギャギャギャギャ!

 

 ティーガーⅠ<ギャギャギャギャギャ!

 

 

ノンナ「焦ったセンチュリオンが右に急転換し、ティーガーも急転換して後ろをとろうとしてますね」

 

 センチュリオン<ガガガガガガ! ティーガーⅠ<ガガガガガガ!

 

エリカ「捻り込みだわ!隊長がセンチュリオンの後ろをとった!」

 

沙織「ひねりこみ?」

 

優花里「相手の車輛よりも急角度で旋回して背後にねじこむ高度なテクニックです!ドッグファイトのマニューバで、戦車戦ではそうそう見られません!」

 

エリカ「隊長はあの技で日本戦車道のエースになったのよ!」

 

優花里「逸見殿」

 

エリカ「秋山」

 

 ガシッ

 

沙織「なに意気投合してんの」

 

 

 センチュリオン<ガガガガガガガ! ティーガーⅠ<ガガガガガガガ!

 

愛里寿「くっ・・・!」

 

 センチュリオン<ガガガガガガガ! ティーガーⅠ<ガガガガガガガ!

 

 

安藤「撃つぞ」

 

 センチュリオン<ガガガガガガガ! ティーガーⅠ<ガガガガガガガ!

 

押田「撃たないじゃないか!なにが撃つぞ、だ!」

 

安藤「後ろを取ったんだから撃つに決まってるだろ!」

 

マリー「砲身の故障かしらねぇ」ケーキモグモグ

 

 瞳「大砲が壊れたのかなぁ?」

 

 千紘「弾薬を忘れたとか?みほちゃんのお姉さんだからうっかりしてたのかも」

 

 エミ「・・・否定できないわね」

 

ダージリン「読めたわ。まほさんは最後まで撃たないつもりよ」

 

みほ「えっ・・・?」

 

ダージリン「まほさんが手を抜くなんてことはありえないわ。今はセンチュリオンもピンピンしてるでしょう?そこよ!撃ちなさい!・・・あ、やっぱり撃たない。ね?私の言った通りよ」

 

 ダージリン「今撃ってもあの角度では装甲を抜くことはできない。相手がよれて大人しくなったところでエンジン部に1、2発入れて確実にケリをつける気よ」

 

カチューシャ「少ない手数で撃破して西住流の力を誇示したいのね。誇りを守るのが大事とか戦車道は戦争じゃないとか、キザで無愛想でカッコつけなマホーシャね!」

 

みほ「・・・お姉ちゃん」

 

 

 まほ(まずい)

 

 まほ(非常にまずい)

 

 まほ(昨夜点検した砲弾を戦車に載せるのを忘れていた)

 

 まほ(今、積んであるのは非常時の予備弾2発だけ)

 

 まほ(まずい)

 

 まほ(非常にまずい)

 

 

愛里寿「私達をおちょくる気なの!?撃ってきなさい!」パカ ドドドドド

 

センチュリオン砲手「さては砲塔が壊れてるのね!隊長、向こうは攻撃できませんよ!」ドドドドド

 

 まほ(まずい)ドドドドド

 

 まほ(非常にまずい)ドドドドド

 

 まほ(砲弾が無いことを気づかれてしまう。ここはもったいないが一発撃つしかない)ドドドドド

 

 ティーガーⅠ<パウッ   <ドーン!

 

センチュリオン砲手「っ・・・!」ドドドドド

 

 センチュリオン<グイン!ガガガガガガガ!

 

 ティーガーⅠ<グイン!ガガガガガガガ!

 

 

 センチュリオン<ドドドドドド! ティーガーⅠ<ドドドドドド!

 

エクレール「!?・・・こっちへ来ますわ!」

 

ガレット「ギャラリーがいるのに・・・!?」

 

 

愛里寿「舐めてくれちゃって・・・しっかり着いて来なさい西住流!」ドドドドドド!

 

 センチュリオン<ガガガガガガ! ティーガーⅠ<ガガガガガガ!

 

 

アリサ「こっちに来るなー!」

 

おりょう「ワー!危ないぜよー!」

 

 センチュリオン<ガガガガガガ! ティーガーⅠ<ガガガガガガ・・・! センチュリオン<ガガガガガガ!

 

西「虎をひっぺがした・・・!」

 

 センチュリオン<ガガガガガガ! <ドワ! <ドーン!

 

 ティーガーⅠ<ガガガガガガ!

 

フォンデュ「みなさん伏せてくださーい!」

 

レイラ「ギエピー!」

 

 ティーガーⅠ<ガガガガガガ! センチュリオン<ガガガガガガ! <ドワ! <ドーン!

 

そど子「こらー!風紀を守りなさーい!」

 

桃「向こうでやれー!!!」

 

 

 ティーガーⅠ<ガガガガガガ! センチュリオン<ガガガガガガ!

 

沙織「離れていくけど、あっちは丘になってるよ!追いつめられちゃう!」

 

 センチュリオン<ガガガガガガ!

 

 ティーガーⅠ<ガガガガガガ! ガン――ッ!

 

 ティーガーⅠ<ドガンッ! ガガガガガガ!

 

アンチョビ「すげぇー!虎が空を飛んだァ!」

 

 

 まほ「・・・」ドドドドドド!

 

 愛里寿「くっ・・・!」ドドドドドド!

 

 

あや「戦車が飛ぶなんて映画じゃあるまいし!」

 

宇津木「すごぉ~い!」

 

あゆみ「桂利奈もできる?」

 

桂利奈「む、無理・・・」

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドド!

 

 センチュリオン<ドドドドドドドド!

 

 

しずか「このような戦車戦・・・向こう百年は見れぬやもしれんな・・・」

 

鈴「わ、私感動しちゃった・・・」

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 ――西住邸

 

 ヘリ<・・・

 

常夫「せっかくヘリを用意したのに、早くしないと終わっちゃうよ」

 

菊代「それが・・・お部屋に入ったっきりなんです」

 

常夫「行くのかな?行かないのかな?まほの活躍見たいのに~・・・」

 

 

 ―しほの部屋

 

 モールス信号機<ツーツツーツツー・・・

 

しほ「・・・」トントントン・・・

 

 S・チヨ【NノSヘ シポリンヘ 連絡請ウ 連盟ガ嗅ギツケタ 愛里寿ヲ面倒ニ巻キ込マナイタメニ 騒ギヲ止メニ向カッテ下サイ】

 

 S・チヨ【追伸 バーカバーカ西住流ノバーカ 脳筋時代遅レ流派ダッサー 島田流コソ戦車道ニテ最強 西住流ッテバカバッカ 西住シホハ頭デッカチデ自分勝手デ独リヨガリノ頑固ババア】

 

 

しほ「S・チヨ・・・千代助ね・・・」トントントン・・・

 

 N・シポ【SノCヘ チヨスケヘ 了解 コレヨリ試合会場ヘ向カウ 情報感謝スル】

 

 N・シポ【追伸 アホアホ島田流ハマジデアホデース 弱虫腰ヌケ雑魚集団デスネー 西住流ノ方ガ強イデース 島田流ッテホントバカ 島田チヨハ気ドリ屋デカッコ悪イ厚化粧ヌリヌリ島田ババア】

 

しほ「急がなきゃ」ス・・・ タタタ

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 ――試合会場への道中

 

 連盟所属戦車大連隊<ドドドドドドドドドドドドドドドド・・・

 

役員「ふふふ、これだけの大連隊を引き連れていけば、さしもの西住の虎だろうと多勢に無勢。ついでに反抗的な女子高生達も、連盟の物量を前にすれば大人しく現実を受け入れるでしょう」

 

理事長「おとなげねぇ~」

 

 ・

 ・

 ・

 

 

              <ドドドドドド・・・・・・

                                ドドドドドド・・・・・・>

 

                        <ドドドドド・・・・・・

 

ダージリン「・・・」

 

ケイ「・・・」

 

カチューシャ「・・・」

 

ペパロニ「それにしても両車ともタフッスねェ~」

 

アンチョビ「まだまだこれからだ」

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドド!   センチュリオン<ドドドドドド!

 

ペパロニ「わー!またこっちにー!」

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドド! センチュリオン<ドドドドドド!

 

みほ「お姉ちゃーん!がんばってー!」

 

 

まほ「ぐっ・・・!くく・・・!」ドドドドドド!

 

愛里寿「ぐぐ・・・!くっ・・・!泥まみれの虎がっ・・・!」ドドドドドド!

 

 ティーガーⅠ<ドド

          ドド

            ドド

 センチュリオン<ドド   ドド

           ドド   ドド

             ドド   !

               ドド

                 ドド

                   !

 

 

まほ「・・・もうみほを泣かせるものかっ・・・!」

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドド! センチュリオン<ドドドドドド!

 

 

アンチョビ「ぃよーし!虎が後ろを取ったぞ!フィナーレだ!」

 

 

まほ「・・・装填」カチ

 

 まほ「・・・・・・砲弾装填」カチ

 

 まほ「あれ?」カチ カチ

 

 まほ「装填装置の歯車に小石でも噛んだか・・・!」カチカチ

 

 

愛里寿「砲塔旋回!」

 

 センチュリオン<ドドドドドド! ウィーン

 

愛里寿「フィニッシュよ・・・!」

 

 カチッ・・・ カチカチ

 

センチュリオン砲手「あれ?アレッ?」

 

愛里寿「どうした?」

 

センチュリオン砲手「ほ、砲塔が根詰まりしちゃったみたいで・・・」

 

愛里寿「えー」

 

 

まほ「何を言ってる。そっちのは弾切れだ」

 

 ブチィン!

 

まほ「あっ・・・いけね装置のゴムが切れちゃった。やっぱりゴムで砲弾を装填するには強度が足りなかったか・・・」

 

 

 センチュリオン<ガン!

 

まほ「・・・!?」

 

 

愛里寿「引き分けなんかに!・・・<ガン!>・・・しないからね!」

 

まほ「ハハハ・・・戦車で体当たりか。相撲じゃないんだ、そんなもので白旗判定が出るものか」

 

 センチュリオン<ガン!

 

 ゴチン

 

まほ「痛」

 

 まほ「・・・・・・」

 

 まほ「貴様ッ・・・!」グイン!

 

 ガン!

 

愛里寿「ハハハ、そんなものでこのセンチュリオンが揺らぐものか。やってやる・・・やってやるぞ」

 

 ティーガーⅠ<ガン!

 

愛里寿「だ」ゴキ

 

 愛里寿「」

 

センチュリオン砲手「た、隊長ォ!」

 

愛里寿「・・・ぅぅ・・・いたい」グスン

 

センチュリオン砲手「だ、大丈夫ですか!?」

 

まほ「ハハハハハ」

 

 

愛里寿「・・・ぐすっ・・・この冷血女!もう一度体当たりよ!」グオン! ガン!

 

まほ「ハハハ、そんなものが効くものか。アイテ」ゴチン

 

愛里寿「ハーハハハハ」

 

まほ「このお子ちゃまめ」ゴガン!

 

愛里寿「あたっ、やったなー」ズガン!

 

まほ「なにが私からの勲章よ、だ」ドガン!

 

愛里寿「うるさい野良猫」ガガン!

 

 

アンチョビ「・・・?なんだか様子が変だぞ」

 

みほ「あ、こっちに戻ってきた。停車するみたい!」タタタ

 

アンチョビ「アッ、待ちなってー!とらわれのプリンセスが自分から出てっちゃダメだよ!」

 

ダージリン「面白そうね。近くまで行きましょう」

 

 カチューシャ「私達も行くわよノンナ!」 ノンナ「はい」 ケイ「ワーオ!今度は何おっぱじめる気かしら!」

 

アンチョビ「ああ、皆して・・・しょうがないな待てよお前ら~!」タタタ

 

 

 センチュリオン<ドドドドド・・・キィーッ・・・ パカ

 

愛里寿「機械仕掛けの虎め」バッ

 

 ティーガーⅠ<ドドドドド・・・キィーッ・・・ パカ

 

まほ「ワガママなお子様が・・・」バッ

 

 \ワーワー/ \ザワザワ・・・/ \ガヤガヤ/

 

 沙織「わ・・・二人とも戦車から降りてきて何する気かな」

 

 麻子「袖をまくっているぞ」

 

 

愛里寿「ゲンコツで来なさい」フンス

 

まほ「忍者の里へ帰れ」

 

愛里寿「やってやるぞー!」グオ!

 

 

杏「ま(↑)ったー!!!」

 

 まほ「!」ピタ 愛里寿「!」ピタ

 

 

杏「二人とも熱くなりすぎだよ。ソデまくって拳握り締めてなにする気だったのかな?まさか女の子がゲンコツの撃ちあいなんてーことはしないよね?ちょっと頭ひやそっか」

 

まほ「っ・・・」

 

杏「西住ちゃんのお姉ちゃん、らしくないねぇ」

 

まほ「・・・す、すまん」シュン

 

杏「島田ちゃん、おともだちをブったりしたらママがなんて言うかなぁ」

 

愛里寿「ごめんなさい・・・お母様には言わないで」ショボン

 

ミカ「どうやらティーガーもセンチュリオンも砲弾が撃てなくなったみたいだね」

 

カチューシャ「じゃあ決闘はどうするのよ。ここまでやっておいて無効試合なんてオチにはできないわよ」

 

西「刀は鞘から抜かれたのです。クルリとまわして鞘に戻すような格好のつかないマネはできません」

 

杏「そうだね~・・・ボクシングなんてできないし、戦車でレースってのはどうかな。この試合場をぐるりと回る、三本勝負でケリをつけようじゃないの」

 

沙織「戦車道の試合をレースで決着するの~!?」

 

桃「さすが角谷会長の優しさは五大陸を駆け巡るな」

 

アンチョビ「ぃよぉーしそうと決まればすぐに戦車レースの準備だ!パスタをゆでろピザを焼けー!」

 

 

 ~~~

 

ナカジマ「ティーガーとセンチュリオンの整備できたよー」

 

ホシノ「重量と速度にスペック差があるけど、極力近づけたから」

 

センチュリオン操縦手「隊長、一人でセンチュリオンに乗る気ですか!?」

 

スズキ「愛里寿ちゃんが『私も一人で運転できるようにして』って言われたんで、ちょっといじったよ」

 

ツチヤ「と言っても足が届くようにしただけだけど」

 

 優花里「自動車部のみなさん、休暇から戻ってきたばかりでもう駆りだされるなんて大変ですね~」

 

 麻子「本人達は楽しそうだがな」

 

センチュリオン砲手「た、隊長!どうして一人で!?私達じゃ不足ですか!」

 

愛里寿「これは私と西住まほの勝負だから。大丈夫、島田流の後継者たるもの戦車の操縦技術は身についてる」

 

センチュリオン砲手「隊長・・・!」ウル

 

センチュリオン操縦手「がんばってください!」

 

 ティーガーⅠ<ドッドッドッドッド・・・ センチュリオン<ドッドッドッドッド・・・

 

 

西「お待たせしましたぁ!乙女の勝負に延期は無用!僭越ながら私、知波単学園戦車道部隊隊長の西絹代がこの戦車競走の仕切り屋を承らせていただきます!」

 

 西「鋼鉄の猛虎、たいがぁ戦車に搭乗されますのは西住まほ殿!鋼鉄の百人隊長、せんつりおんに搭乗されますのは島田愛里寿殿!これより直ぐに戦車競走が始まりますので会場のみなみなさまはご準備を!」

 

アンチョビ「いいぞ!賭けだ!賭けができる!胴元はアンツィオがやるぞ!」ヤイノヤイノ

 

ケイ「あれないのアレ!レースで使うシマシマの旗!」ヤイノヤイノ

 

カチューシャ「カチューシャが持つ!カチューシャが振るからかして!」ヤイノヤイノ

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 西住ヘリ<バババババババ・・・

 

しほ「・・・もっと速度は出ないものかしら」

 

常夫「無茶を言わないでくれ。エンジンが燃えてしまうよ」

 

菊代「連盟が到着するまでに着かないと会場にいる子達みんなただではすみませんよ」

 

しほ「ほんとに女子高生ってみんなバカなんだから・・・」

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドド! センチュリオン<ドドドドドドドド!

 

西「戦車競走三本勝負、一本目はすでに白熱しております!この勝負では『戦車による体当たり』が許可されており、両戦車ともに見事な突撃っぷりを披露しておられます!」

 

 

沙織「いけー!そこだー!一気に引き離しちゃえー!」

 

華「させさせー!」

 

 ティーガーⅠ<ガァン! センチュリオン<ガガガガガ!

 

西「おーっとここでたいがぁ戦車の体当たり!吶喊!大突撃ー!せんつりおんがゆらいだー!」

 

 西「そのまま決着地点へ!決着地点へ!たいがぁが!たいがぁが!一直線に!一直線に!駆け抜けて駆け抜けて駆けぬけたぁーーー!」

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドォーーー! センチュリオン<ドドドドドォーーー!

 

 \ワァァァーーー!/ \ヤヤァー!/ \ウオオオーーー!/

 

西「お聞きくださいこの大歓声!三本勝負一本目は一、五砲身差でたいがぁ戦車が白星となりましたー!」

 

 西「なお、一本勝負の毎に試合を仕切り直しますので、観覧の皆さまは試合の合間に飲食の準備、お手洗いなどをお済ませくださいませ。二本目の試合は三分後に開始します」

 

ナカジマ「はいはーい。整備が入るよー」キュイーン スズキ「ピットインねー」キリキリキリ

 

 

 ティーガーⅠ<パカ

 

まほ「みほ・・・今の私の走りみたか?・・・」フウ・・・

 

みほ(お姉ちゃん・・・だいぶ疲れてるみたい・・・愛里寿ちゃんもお姉ちゃんもかなり体力を消耗してる。あんな戦車戦をした後だから・・・)

 

愛里寿「次のレースで必ず勝って三本目でケリをつけてみせる・・・」フウ・・・

 

 

ケイ「セコンドアウト!セコンドアウト!第2レースはじまるわよー!」

 

 ホシノ「撤収ー」 ツチヤ「アラホラサッサ~」

 

まほ「今度こそ勝負を決めてみせるからな・・・」フー・・・

 

みほ「無理しないで、がんばってお姉ちゃん」

 

愛里寿「毛皮を剥いでやるわ・・・」フー・・・

 

西「それでは戦車競走三本勝負二本目!開始!」ピー

 

 

 ティーガーⅠ<ドォ!ドドドドドドド! センチュリオン<ドォ!ドドドドドド!

 

愛里寿「来い、格好つけの二枚舌・・・!」ドドドドド

 

まほ「二枚舌はそっちだ・・・!」ドドドドド!ガン!

 

 西「おーっと!強烈な体当たり攻撃であります!」

 

まほ「高校連合に手を貸したり、連盟についたり・・・!」ドドドドド!

 

愛里寿「そっちこそ!ボコか妹か、どっちかにして!」ドドドドド!ガァン!

 

まほ「っ・・・!なにを・・・!」ドドドドド!

 

 西「せんつりおんも負けじと体当たり!両戦車の凄まじいぶつかり合いが繰り広げられています!」

 

愛里寿「一人占めなんてずるい・・・!」ガァン!

 

まほ「ぐうっ・・・!」

 

愛里寿「ボコはねぇ・・・!」ゴガァン!

 

まほ「っ!・・・ボコはボコはと、関係無い話をするな・・・!」ガガァン!

 

愛里寿「っく・・・!・・・ボコはあなた達姉妹が・・・大好きなのよ!」ガゴン!

 

まほ「・・・!?」

 

 

愛里寿「ボコは・・・あなた達と本当の家族みたいになりたいって・・・あなたとみほさんが・・・二人で一緒に会いにきてくれるのを・・・」

 

 >ガァン!<

 

 

愛里寿「ずうーっと一人で・・・!」

 

 >ゴォン!<

 

 

愛里寿「まってるのよーーー!」

 

 

まほ「 ! 」

 

 

 \ゴガンッッッ!/

 

 >ゴギャゴゴガガガガガガァン!<

 

 

西「あーーーっと!たいがぁ戦車が横転ー!」

 

みほ「おねえちゃーん!」

 

アンチョビ「クラッシュだ!」

 

西「その隙にせんつりおんが二本目を勝利で飾りましたー!なんという幕引き!強烈な玉砕アタックでたいがぁ戦車をひっくり返してしまいましたー!」

 

アズミ「隊長の勝利よ!ティーガーは再起不能よ!」ヤイノヤイノ

 

ケイ「ノーノー。勝負は三本勝負よ。すぐにティーガーを起こして三本目の準備に取り掛かるわ」

 

ルミ「そんな必要ないわ!勝負はついてるじゃない!」ヤイノヤイノ

 

メグミ「だってホラ、見なさい!」ヤイノヤイノ

 

ケイ「ダメダメ。二本先取した方の勝ちなんだからね」

 

 ・

 ・

 ・

 

 西住ヘリ<バババババ・・・・・・

 

しほ「見えた!・・・戦車道連盟はまだ来ていないみたいね」

 

 ・

 ・

 ・

 

ダージリン「まほさん、島田さん、大丈夫?どちらもかなり体力を消耗しているようだけど」

 

まほ「・・・問題ない・・・平気・・・だ・・・」ゼイゼイ

 

愛里寿「まだやれる・・・ボコは・・・諦めたりしないから・・・」ゼイゼイ

 

 ナカジマ「整備終わったよ~」 ホシノ「こっちもOKでーす」

 

西「泣いても笑っても最後の勝負であります!戦車競走三本目開始です!」

 

カチューシャ「さあ!スタートよ!」ピー

 

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドド! センチュリオン<ドドドドドド!

 

まほ「汚いデマで・・・ハア・・・ハア・・・惑わすとは・・・」ドドドドド

 

愛里寿「わからずの・・・ハア・・・ハア・・・頑固者・・・デマじゃないのに・・・ハア」ドドドドド

 

 >カギギンッ!< >ガギギギギギギギ・・・!<

 

 

華「ぶつかってくっついたまま走行してますね」アラアラ

 

麻子「もはや体当たりする体力すら残っていないほどフラフラなようだ」

 

 

 >ギギギギャギャギャギギギギギ!<

 

愛里寿「ううっ・・・」ギギギギギギ!

 

まほ「・・・誇りはやらない・・・!」ギギギギギギ!

 

 

 >ギギギギャギャギャギギギ!<

 

優花里「ああっ・・・くっついたまま小高い丘の方へ走っていますよ。あのままじゃ危な――」

 

 

 西住ヘリ<バババババババババ・・・!

 

優花里「!・・・あれは・・・西住流のヘリです!」

 

みほ「!」

 

 西住ヘリ<バババババ・・・

 

 <パン! パン! パン!

 

桃「ヘリからなんか撃ちあげてるぞ」

 

ケイ「救難信号ね」

 

 

 >ゴガガァァァン!!!<

 

みほ「!?」バッ

 

 

 ティーガーⅠ<ッッッ・・・

 

 センチュリオン<ッッッ・・・

 

 

西「あ、あぁっと!上空のへりこに目を奪われていた隙に両車が丘から墜落してしまいました!決着まであとは直線のみだったのですが、続行は可能なのでしょうか!」

 

 

まほ「・・・っ・・・う・・・」

 

愛里寿「・・・く・・・ぅ」

 

 

ダージリン「横転はしていないけれど、動きがないわ」

 

みほ「・・・お姉ちゃん」

 

アンチョビ「こりゃあ先に動きだした方が勝ちだぞ!」

 

 

 西住ヘリ<ババババババ・・・

 

しほ「皆、場所を空けてちょうだい」バババババ・・・

 

 

ノンナ「人がいるのにここへ着陸する気のようですね」

 

エリカ「家元!ダメですよ!風が・・・!危ないからみんな下がりなさい!」

 

 西住ヘリ<ババババババ・・・

 

 

 西住ヘリ<バババ・・・・・・ガラッ

 

菊代「拡声器です」スッ

 

しほ「ありがとう」

 

 ティーガーⅠ<・・・・・・ センチュリオン<・・・・・・

 

 

しほ【まほ。まほ、聞いてる?】

 

まほ「・・・・・・ぅ・・・っ・・・」

 

愛里寿「・・・っ・・・・・・」

 

 

しほ【あなた、またみほを悲しませるつもりなの?】

 

 

まほ「・・・・・・っ!・・・・・・」

 

 グ・・・ ググ・・・

 

まほ「・・・ぐ・・・う」

 

 グググ・・・

 

 ガッ

 

 

まほ「Panzier Vier」

 

 ティーガーⅠ<ドッ! ドドドドドド!

 

 

みほ「!」

 

 ティーガーⅠ<ドドドドドドドーーーーーォォォーーー・・・ッ!

 

 

 

西「――!・・・西住まほ選手の勝利!!!」

 

 \ワアアアアアーーー!!!/ \オオオオオーーーー!!!/ \ワアアアアアアア!!!/

 

 

みほ「お姉ちゃーーーん!」タタタタタ

 

 ティーガーⅠ<・・・ パカッ・・・

 

まほ「・・・」フラ・・・

 

 タタタ ガバッ

 

みほ「お姉ちゃんありがとう!」ダキィー

 

まほ「なぁに・・・軽いものだ・・・」 ゼエゼエ

 

 

ダージリン「お見事ですわ」パチパチ

 

ケイ「イエーイ!CONGRATULATIONS!」パチパチ

 

カチューシャ「ハラショー!ピロシキー!」パチパチ

 

 愛里寿「・・・・・・うぅ・・・」ウーン・・・

 

 

しほ「・・・」ニコッ

 

しほ「さあ、お祭りはおしまい。戦車道連盟がここに向かってるわ。みんな早く逃げなさい」

 

 \エエー!?/ \ドヨドヨ・・・/ \ザワザワ・・・/

 

しほ「連盟はピリピリしてるから、こんな非公認の野良試合に集まった者も全員厳重に注意するでしょう。怒られるのがいやならすぐここから離れるのよ」

 

 しほ「そのかわり、落ちついたらボコミュージアムに来なさい。うんと楽しいショーを見られるから」

 

 \\\オオーーー!///

 

 

アンチョビ「ぃよぉーし!全員ひきあげだー!」

 

 \ワアーーー!/ \タイキャクーーー!/ \ニゲローーー!/

 

 

  <キャラキャラキャラ・・・

            イソゲイソゲー>

<テッタイダー

         ドドドドド・・・>

 

   <ガヤガヤガヤ・・・

 

 

 センチュリオン<・・・キャラキャラキャラ

 

 センチュリオン<パカ

 

愛里寿「・・・・・・やってやるやってやるやぁ~ってやるぞ」フラ・・・

 

しほ「終わったのよ」

 

愛里寿「!・・・」

 

しほ「よくがんばったわね。お母さんも誇らしく思うはずよ」

 

愛里寿「・・・・・・はい」

 

 

アンチョビ「さあ、勝者の権利だ。賞金を受け取れ」ズイ

 

まほ「・・・ああ」

 

アンチョビ「それと島田流家元の証明書もな。いやぁ~見事な戦いだったぞ。我々はあんたと敵対はしていたけど、別に嫌っているわけじゃないからな。勘違いするなよ。それから――」

 

 ペパロニ「ドゥーチェー!早く早くー!」

 

アンチョビ「うるさーい!ケジメだケジメー!」

 

みほ「あはは・・・」

 

アンチョビ「・・・私達はライバル同士だが、みんなあんたら姉妹が好きだ。いつまでも姉妹仲良くやりな。じゃあな!」タタタ

 

みほ「ありがとうございますー!ときどき大洗に遊びに来てくださいねー!」

 

愛里寿「・・・」ザッ・・・

 

みほ「あなたもありがとう、愛里寿ちゃん」

 

愛里寿「・・・次は賭けじゃなくて、友達としてボコグッズを買いに行こう」

 

みほ「フフッ、いいよ♪でも私その前にお姉ちゃんと――」

 

 ガバッ

 

みほ「わ!?」

 

まほ「お前はお母様のヘリに乗るんだ」ダキカカエー

 

みほ「わ!わっ!待って!そんないきなりなんて・・・まだ心の準備が・・・!」

 

 ドサ

 

みほ「わぁ!」

 

まほ「お母様 >ゲシ< 今度こそみほとちゃんと話をしてください」

 

しほ「・・・不器用な子。無理矢理に仲をとろうとしてるのね」

 

まほ「・・・・・・すみません。行ってください」

 

しほ「・・・」ニコ

 

しほ「出してください」

 

 西住ヘリ<・・・ババババババババ

 

 

みほ「・・・!・・・お姉ちゃん!」バッ

 

 みほ「!・・・」ゴソゴソ

 

 みほ「~!」サッ

 

 <ボコぬいぐるみ(みほ)>

 

 

まほ「・・・!」

 

 まほ「・・・」ゴソゴソ

 

 まほ「・・・」サッ

 

 <ボコぬいぐるみ(まほ)>

 

 

 西住ヘリ<ババババババ・・・

 

 

まほ「・・・」ギュ

 

 

 <・・・・・・ドドド・・・ドドドドドド・・・

 

 

 連盟所属戦車大連隊<ドドドドドドドドドドド・・・

 

 

愛里寿「・・・戦車道連盟のお出ましね」

 

まほ「手伝うか?奴らを余所まで引っ張っていくぞ」

 

愛里寿「ふ・・・」チラ

 

 愛里寿「アッ!あなたそのぬいぐるみ・・・!」

 

まほ「・・・」フイ

 

愛里寿「待って!ねえ!そのボコ見たことないやつ!なにそれ!見せてってば!」

 

まほ「お前の戦車はそっちだろう!」グイグイ

 

愛里寿「ちょっとだけ!」グイグイ

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

・・

 

 

 

 みほ(戦車道連盟の出撃が空振りに終わって、島田流が正式に連盟に反対の姿勢を示した後も、お姉ちゃんは黒森峰に戻らなかった)

 

 みほ(でもその代わりに、私はお母さんと仲直りすることができた)

 

 みほ(大洗に戻って、他校と何度も試合をしたけど、お母さんは私の戦車道についてはもう何も言わない)

 

 

 みほ(戦車道連盟が私達の意見を受け入れて和解した後も、友達とボコミュージアムを訪れるのは私の大切なお楽しみ)

 

 みほ(ボコショーはますます派手になっていくし、他校のみなさんも遊びにきてくれる)

 

 みほ(そうそう、まだ一緒にボコグッズを買いに行ってないけど、愛里寿ちゃんも時々連絡をくれる。早く私と一緒にお出かけしたいって)

 

 

 

 みほ(お母さんの賭けがどうなったかは、私とお姉ちゃんだけのひみつ・・・)

 

 

 

                         ・

                      ・

                   ・

                ・

             ・

          ・

 

 

 

 時には昔の話をしようか 通い慣れた馴染みのあの店

 

 マロニエの並木が窓辺に見えてた コーヒーを一杯で一日

 

 見えない明日を無闇に探して 誰もが希望を託した

 

 揺れていた時代の熱い風に吹かれて 身体中で時を感じた

 

 そうだね・・・

 

 

 道端で眠ったこともあったね どこにも行けないみんなで

 

 お金は無くてもなんとか生きてた 貧しさが明日を運んだ

 

 小さな下宿屋に幾人も押しかけ 朝まで騒いで眠った

 

 嵐のように毎日が燃えていた 息が切れるまで走った

 

 そうだね・・・

 

 

 一枚残った写真をご覧よ ヒゲ面の男は君だね

 

 どこにいるのか今ではわからない 友達も幾人かいるけど

 

 あの日の全てがむなしいものだと それは誰にも言えない

 

 今でも同じように見果てぬ夢を描いて 走り続けているよね

 

 どこかで・・・

 

 

 

          ・

             ・

                ・

                   ・

                      ・

                         ・

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

          お わ り



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。