転生者のボーダー生活 (マスター)
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プロローグ
「ここは?」
気がつくと下が白く上が青い雲の上のような場所にいた。
とりあえず昨日のことを思い出してみることにしたが、昨日はここ最近はまっている人気のフルダイブ型VRゲームの『ワールドトリガー 〜○○○○〜』をしていたということをしっかりと覚えている。
寝落ちした記憶もないのでゲーム内のはずではないので場所の心当たりがない。
「ごめんなさい。」
空を眺めていると謝る声が聞こえたので前を向くとどちらの性別か分からない中性的な人が頭を下げていた。
「え〜、何かしたんですか?」
「ええ、間違えて雷を落としてしまいました。」
詳しく話を聞いてみるとどうやら世界の気候はプログラムで行っており、月に1回世界の状況をスキャンして状況を読み取りそこから乱数を使って気候を変えているらしい。
スキャンが終わった時にプログラムを修正したのだがその時にいらないプログラムがあり、雷が俺や他数人に落ちてしまったようだ。
「他の人もですか?」
「うん。他の人は他の神が対応してるよ。で、これからなんだけど君には最近ゲームしていたやつの元の世界になるワールドトリガーの世界に転生してもらうことになる。」
「他の選択肢はなしですか?」
「ないね。転生する世界は死ぬ前に1番触れていた世界に決まっているからね。もし何も触れていなかったらランダムに他の異世界への転生だね。」
「分かりました。転生する際に決める事ってあるんですか?」
「転生する際のスペックは君が遊んでいたゲームのデータを使う予定だよ。サイドエフェクトはランクSレベルの強化視覚。トリオン量はどうしようか。君の最終トリオン量が27になってるけど。」
俺のゲームでのサイドエフェクトである強化視覚『トリコ』に登場するココのような視覚のことで電磁波を見える視力や動体視力などいくつかのサイドエフェクトが合わさったようなサイドエフェクトだ。
トリオン量は最初、17で最後は27になっていた。
これはイベントなどのランキング報酬やログインボーナス1年記念などでトリオンを貰ったからだ。
「よし、22にしようか。最初と最後の平均ね。」
「分かりました。」
「で、本来はないんだけど今回のお詫びで3つ希望を聞くよ。ちなみに希望が転生する世界に合わないと3つ分消費することになるよ。」
例えば、ワールドトリガーの世界なのに魔法が使えるみたいなのは3つ分使うようだ。
それに魔法だった場合、とても世界に合わないので強力なものは使えないようだ。
「なら俺がやっているFate/GrandOrderから宮本武蔵と沖田総司を幼馴染みたいな感じでさらに記憶ありでお願いします。」
「なるほどサーヴァントとしてではなく1人の人間としてか....それなら非現実的ではないからそれぞれ1つずつの希望になるね。記憶は2人が君のサーヴァントだった頃の記憶でいいよね?ある意味3人での転生だね。」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
2人の記憶ありにできるのは凄く嬉しい。
転生したことが2人も分かるため事情が分かる人がいるのはとても助かる。
「最後は?」
「特にないですね。」
「なら最後はこちらで決めておくよ。絶対楽しめるから楽しみにしておいて。」
「ありがとうございます。」
何になるのか分からないが特に気にせず、分かる時を楽しみにしておくことにした。
「なら転生させるよ。離乳した時から1週間ほどかけて少しずつ記憶が戻っていくよ。」
「分かりました。」
目を閉じると感覚が無くなっていき意識を落とした。
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『ワールドトリガー 〜○○○○〜』
ジャンプスクエアで連載されているワールドトリガーという漫画のゲームでジャンプ作品初のVRゲーム。
なお最初に作られた理由は、1番作りやすかったという理由。
ゲームの内容は、一応原作シナリオに沿う形で経験出来るが人気の理由になっているのがオンラインやオフラインでの個人戦、チーム戦ができること。
オンライン
チーム戦 毎年2回開催
半年かけてチーム戦を行っており、まずは各サーバー内で行い、その後は各サーバーのA級1位、2位でのチーム戦が行われている。
個人戦
チーム戦用サーバーとは別の個人戦用サーバーで行い自由に行える。
オフライン
原作体験
原作キャラのNPC達とのランク戦
キャラ設定
サイドエフェクト ガチャで決定
トリオン量 ガチャで決定(後に増やすこと可能)
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再会?
意識が少しずつ浮かび上がっていき、目が覚めた俺はベッドから降りて真っ暗な部屋の中を迷わず扉の方へ歩き、朝ごはんのためにリビングへ向かった。
転生してから3年がたち、サイドエフェクトの視界にはだいぶ慣れてきたが、この視界を上手く扱うのはまだまだ時間がかかりそうだ。
転生してからまだ武蔵ちゃんと沖田さんにはまだ出会っていない。
しかし、俺の予想では今日会うことになるはずだ。
今日の予定は、両親の友達の家へ集まり、子供たちを会わせることになっている。
両親はもう会ったことがあるそうだが、友達の名字が宮本と沖田なので武蔵ちゃん達のはずだ。
「茂、おはよ。」
「お母さんおはよ〜。お父さんは?」
「まだ寝てる。それより手洗いうがいしてきなさい。」
「はーい。」
手洗いうがいをしてきた後、席に座り朝ご飯を待っているとお父さんが起きてきた。
「おはよ〜。おお!しげは早いな。」
「そう?今日は早く起きるようにお母さんが言ってたからお父さんが遅いだけだよ。」
「お父さんはいつも早いから特に言われなかったな。まあ早く起きれるのは偉いな!」
起きてきたお父さんと話していると朝ご飯が出来たのか、お母さんがパンとサラダなどをそれぞれの前に置き、真ん中に昨晩の残りのビーフシチューを置いた。
「じゃあ食べようか。いただきます。」
「「いただきます。」」
お父さんの合掌に続いていただきますをして食べ始める。
「今日は、宮本さん達と会うんだよね。」
「ええ、そうよ。会う場所は宮本さんの家で会う予定よ。」
「確か道場だっけ?」
確か宮本家はここ蓮乃辺市で道場をしており、広い家のためそこに集まることが決まったらしい。
「ええ、道場の他にも四塚市に山とか持ってたはずよ。ちなみに沖田さんは、社長の護衛をしているわよ。」
「お父さんと職場が一緒なんだよね?それぞれどんな繋がりなの?」
「私たち母親は元から友達同士なの。」
「俺たち父親は、俺と沖田さんが同じ職場、沖田さんと宮本さんは沖田さんが護衛のために宮本さんのところの道場に通っていて、俺と宮本さんは会社と道場が繋げる際に俺が担当になったんだ。」
ちなみに俺のお父さんの仕事は護衛ではなく、会社で部長をしている。
どうやら次期社長の御曹司とお父さんは同級生で仲が良く、お父さんが優秀なので次期取締役として部長になれたらしい。
朝ご飯を食べ終わり、出かける準備が出来たら蓮乃辺市に向けて車で向かっていく。
「着いたぞ。」
「うわ、広いねー。」
「さぁ行きましょ。私たちが最後らしいから。」
道場で働いている人もいるらしくその人の案内に従って家の中を進んでいく。
弓道場などもあり、いくつかの道場が併設されているらしい。
ここの道場では剣術や槍術、格闘術などの武術、合気道、弓道などの武道、後は礼儀作法や茶道、華道なども教えているそうだ。
「神楽家の方たちが到着しました。」
「来たぞー。」
「ちょっと遅かったかしら?」
「お邪魔してます。」
集まる部屋に着いたようでお父さん達に続いて部屋に入っていく。
部屋に入ると何やら話し込んでいる幼女2人と男性、女性2人ずつテーブルを囲いながら話していた。
入ってきた俺たちに気づき、そこからはそれぞれの家族へ向けて自己紹介をして子供で集まることになった。
「マスター!沖田さんは待ってましたよ!」
「マスター君、ひっさしぶりぃー!!」
「ちょっ!?マスターはなしで!」
顔を見た時すぐに武蔵ちゃんと沖田さんだとわかったがマスターと呼ばれてしまい、すぐに訂正するために慌ててしまった。
「何でですか?」
「この世界にはサーヴァントは存在しないからマスターなんて普通に呼ばないんだよ。」
3歳児がマスターなんて呼んでいたらおかしく思われてしまうので、これからどうやって行くか考える必要がある。
「へぇ〜そうなの。分かったわ。そういえば何で私たちを選んだの?君のサーヴァントで仲が良かったの私たち以外でもいたでしょ?」
「それはこの世界の舞台が日本だからな。それにこの世界で戦う際に頼れるのが剣士でお前たちは俺の最高の剣士だ。」
「えーそうですか〜えへへ〜。頼れる剣士の沖田さんに任せてください!」
「ええ!このお姉さんに任せなさい!」
選んだ理由を答えると2人とも恥ずかしそうにしながらも胸を張って言ってきたのでしっかり頼っていこうと思う。
その後は宮本家の探検をした後、道場で2人が模擬戦をしたそうにしていたので俺も混ぜてもらいながら模擬戦をした。
3歳の体なのでまだ勝負になるかと思って混ざったのだがさすが宮本武蔵と沖田総司だ。
2人は経験を持っていて体が追いついていないだけで今の体でもある程度技術の再現ができるようで、VRゲームでアタッカーでマスタークラスかつサイドエフェクトによる動体視力があっても全く歯が立たなかった。
ちなみに今の俺の視力は15ほどで電磁波も見えるがまだ電磁波の微妙の違いなどは分からない。
さらに動体視力を測るのは難しいので詳しいことは分からないが、まだココぐらい見えている訳でないだろう。
年齢を重ねる事に見えるようになっているので恐らく脳の発達と共に視力が良くなっていくのだろう。
なお、俺たちの模擬戦を見ていた大人たちはこの道場で交流させることを決めたようで小学校に入る前から道場へ入ることが決まった。
3家とも蓮乃辺市在住で、位置関係的に神楽家、沖田家、宮本家の順に三門市が近いです。
視力1.0 5m先の1.45mmの切れ目を認識できる。
視力15.0 75m先の1.45mmの切れ目を認識できる。
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クロスオーバー
なお、卒業研究で忙しくなったらどうなるか分かりませんが。
今回はあとがきに世界観についての説明を入れてあります。
宮本家での集まりから3年が経ち、俺たちは小学生になった。
あれから視力は2年々上昇しており今は20程で、電磁波の違いが少しずつ分かるようになってきた。
ちなみに小学校は蓮乃辺市の小学校で全員同じ学校に通うことになっている。
毎日一緒に道場へ帰っては戦うという日常を繰り返している。
原作がいつ始まるのか全く分からないので今はとにかく鍛えることにしている。
なお、近界民は遠目に見かけたことがあるが流石に今は何も出来ないので逃げている。
近界民を見た際に武蔵ちゃんや沖田さんにもここがどういう世界なのか説明していくが、俺はゲームを主にしていたため原作のストーリーなどあんまり知らない。
知っていることは、トリオン兵・トリガー・サイドエフェクトについて、近界とはどんなところなのか(イベントでオリジナル近界国家が出た)、原作が始まった時のキャラの年齢などゲームをしていて知ることができることぐらいだ。
2人ともあまり理解出来てきいないようだがとりあえずトリオン兵に注意してもらえば大丈夫だ。
そうしてまた1年が経ち、道場に新しい人が入ってきた。
父さんの会社の次期社長の娘で俺たちと歳が近いので(1つ歳下)会うみたいだ。
ちなみにお嬢様らしく主に礼儀作法作法などを習い、たまに護身術などを習うそうだ。
「や、八百万 百とも、申します!よろしくお願いします....わ!!」
「っ!?」
会った時の驚きは今までで1番だった。
なぜワールドトリガーの世界に僕のヒーローアカデミアのキャラがいるのかわからない。
いや今に思えば、前から他の世界のキャラもいた気がする。
宮本家の近くには七草(魔法科高校の劣等生?)という名のお屋敷があったり、父親の会社が八百万の会社であったり、電話で雪ノ下建設なんか話していたこともあったのだ。
今まではただの偶然だと思っていたのだが、まさか何も聞かされていないのに他の作品キャラがいるとは思わなかった。
魔法や個性といったものは恐らく無くなっているはずだ。
なぜこんな世界になっているのかわから......いや、一つだけ心当たりがあった。
転生する際に希望しなかった分をこのことに使ったのだと思う。
確か楽しめるようにしておくと言っていたはずなので、このような改変なら俺が会いたかったキャラにも会うことが出来るため楽しめるようになっている。
この改変は最高だが三門市周辺でキャラが八百万や七草(多分)以外にもいるのか探す必要がでた。
存在次第でこれからの展開が全く読めなくなる。
その後は動揺を隠しながらこちらの自己紹介をしていった。
どうやら八百モモは同年代で気兼ねなく付き合える友達がまだいないので、俺達と会わせたらしい。
「俺たちはほとんど毎日この道場にいるから気にせず来てくれ。」
「そうですね!ぜひ一緒に遊びましょう!」
「かわいい.....あ、うん。一緒に遊びましょうね。百ちゃん。」
少し武蔵ちゃんが危ないような気がしたが気にせず話していった。
百と出会って1年が経ち、何のキャラがいるのか調べたことで少しわかってきたことがある。
まず三門市周辺には八百万と七草(確定)以外、他の作品キャラはいないと予想でき、この2家が特別な気がする。
理由としては、他の作品を全国で見ると総武高校(俺ガイル)、北宇治高校(響けユーフォニアム)、海幕高校(青のオーケストラ)など普通の学園ものなどの特殊能力などがない作品舞台ばかりで、学園都市や魔法科高校などのようなものはなかったからだ。
八百万と七草の2家は原作で、個性、魔法といった非現実的なものがあり、この世界にいるであろう他のキャラにはない。
この違いが三門市周辺にいるかいないかの違いだど今のところ予想できる。
これからも調べながら考察を続けるとして今は鍛錬を続けることにする。
「やっぱり目のおかげか避けるのは上手いですね〜。でも反撃に体が追いついていないですね。」
「だよな。少しずつ動かせるようになってはいるんだがまだまだ難しい。」
沖田さんとの模擬戦が終わり反省をしているがやはりまだ目の良さに体が追いついていないことが指摘された。
見えていても避けれないというのが良く起こってしまっているのだ。
「見えてるならもっと早く避ける判断できるようにすればいいんじゃないかしら?」
「と言うと?」
「極端に言うと今は慣れてないから当たる直前まで見て避けるから避けれてないの。だから直すためには、慣れて相手の動きからどう動くのか予想して避けられるようになれば良いのよ。」
「それ難しくないか?」
「難しいでしょうけど君なら出来るんじゃないかな?良い目もある事だし。」
改善点を武蔵ちゃんが指摘してくれたことでこれから何をすればいいのかわかったのでここからはひたすら模擬戦を繰り返していくことにした。
「って、武蔵ちゃんも入ってくるの!?」
「死角からの攻撃が弱点なんだからついでに克服してみよっか!」
「良いですね!ついでに乱戦にも慣れていきましょうか!!」
避けるための模擬戦がさらに死角からの攻撃への避け方と乱戦での戦い方も追加されてしまった。
その後は沖田さんと武蔵ちゃんにボコボコにされながらも模擬戦を行っていった。
世界観
世界のベースがワールドトリガーのため魔力などの要素はトリオン以外なしです。クロスオーバーしている他の原作は能力がないものが中心になっています。本作の内容にほとんど関わることはないのであまり気にしなくて大丈夫です。
なお、主人公が部隊を作る時にワールドトリガーの原作キャラを使わないために他の作品からキャラを持って来た際、日本人としてあまり違和感がない他の作品のキャラを考えたついでに浮かんだ作品を入れとくかぐらいの軽い気持ちでクロスオーバーしているので特に伏線とかはないです。
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大規模侵攻対策会議
模擬戦をして鍛錬をしていく日々が過ぎ、中学生になったが少しずつある問題が表面化してきていた。
「そういえば沖田さん達、宿題した?」
「いやーそれはですね...あ、模擬戦しますか?」
「あはは〜。そうね!模擬戦しましょう!!」
模擬戦が終わり休憩中に宿題について思い出して聞いてみたが2人ともほとんどしていない感じだ。
そう、表面化してきた問題とは沖田さんと武蔵ちゃんの勉強のことだ。
2人は転生前の記憶もあるので、2人が転生前に生きていた時代と違うので常識を1から学び、勉強も生きていた時代と比べとても高度なことをしているので2人ともとても苦労しているのだ。
そのため、まだ中学生になったばかりでまだ余裕のある俺や中学の範囲まで勉強している百の2人で沖田さん達の勉強を見ている。
「そういえばそろそろなんですよね?」
「ああ、ある程度電磁波の違いを読み取れるようになってからここ最近三門市で死相がある人が増えてきている。」
「どのくらいのタイミングか分かるの?」
「正確には分からないが2週間〜1ヶ月以内にあるはずだ。近づけばさらに正確に分かる。」
恐らくだが日曜日に大規模侵攻があるはずだ。
これは前世で大規模侵攻イベント時に友達が原作再現と喜んでいたのでわかったことだ。
「私たちはどうすればいいんですの?あの怪物が襲ってきますのよね?」
「それとなく知り合いを三門市から遠ざけるぐらいだな。百は平日は無理だろうから土日は家でクラスメイトやその知り合いを呼んでパーティーをしていればだいぶ助かるはずだ。」
「そうですの.....分かりましたわ。正確な時間が分かればその日にパーティーを開きますわ。」
「俺たちもそれとなく知り合いをそれとなく遠ざけていこうか。」
「分かりました!」
「分かったわ。」
その日は解散し、2週間経ちついに大規模侵攻のタイミングが分かったのでそれぞれの家族に集まってもらった。
俺たち神楽家が宮本家に着くとリムジンがあったので八百万家は着いて、その護衛の沖田家も着いているだろう。
宮本家の広間に到着し、それぞれが席に着き会議を開始した。
「それでは来週の日曜日に来ると予想される大規模侵攻についての対策会議を行う。まず茂、現在わかっていることを報告しろ。」
「はい。」
会議の進行を務めている父さんに指名されたのでわかっていることを報告していく。
「怪物については全員見せたからわかっていると思うけどそれが、来週の日曜日に大規模に侵攻していくと予想される。まずこの理由について説明します。」
なぜ近界民の大規模侵攻なのか、それは三門市のみが被害を受けるため地震などの災害ではありえないため残りの候補が近界民しかいないためだ。
「次に日曜日と断定した理由を説明します。」
日曜日に断定したのは、第一に前世のことからなのだがこれは説明できない。
しかし、他にも有力な根拠があった。
それは同じ中学である三輪秀次が来週の日曜に三門市のショッピングモールにお姉さんと買い物に行くらしいと聞き、そのお姉さんを見ると死相がはっきり出ていたからだ。
他のクラスメイトで土曜日にショッピングモールに行く人は死相が出ていないにも関わらずお姉さんにはっきりと出ていたため、来週の日曜日に来ると分かったのだ。
ちなみに三輪の方もお姉さんほどでは無いが死相は出ていたが、昨日見てみると俺たちがまだ何も動いていないのに死相が消えそうになっていた。
確か第1次大規模侵攻は旧ボーダーによって片付けられたので大規模侵攻について今も少しずつ準備をしており、助けられる人が増えていっているのだろう。
「以上が現在わかっていることです。」
「で、これから俺たちはどう動いていくのか決めていく。」
「そうだな。我が社の社員たちに被害が出ないようこちらで取り図ろう。」
「道場に通っている奴らも被害が行かないようここに集めたりすれば大丈夫だろう。」
まず1年前に社長となった百のお父さんが八百万系列の社員に被害がいかないようにして、宮本道場総師範の武蔵ちゃんのお父さんも道場に通っている人達に被害がいかないようにしてくれるようだ。
「他はどうする?俺たちの他の知り合いもいるしね。」
「私は、前に話して下さったクラスメイトや知り合いを呼んでパーティーすることで遠ざけようと思っているのですがお父様よろしいですか?」
「ふむ。いいだろう。それならそのクラスメイトの御家族を呼んだらさらに助けられるだろう。会社の方は蓮に頼むとしよう。」
百が通っている小学校はお嬢様学校のため、親が社長などが多いためその相手をするために会社の方は父さんに任せるようだ。
「俺たちはある程度クラスメイトを誘導してから三門市に行こうと思ってる。」
「なっ!?わかってるのか?」
「大丈夫。俺たちに死相は出てないし、しっかり帰って来れる確信があるから行くんだよ。」
「その確信はなんだ?今まで攫われた人もいたのだろう?死相が出てないからって油断していいわけではないぞ。」
「俺たちが帰ってくる確信はあるよ。理由は、俺たちが無事に帰ってくる確率が90%越えでさらにある場所に行けばこれが100%になる。そして皆に不幸が訪れる可能性が0%だからだ」
「それはなんかおかしくないか?」
「いや、何もおかしくないよ。俺たちがショッピングモールに行かなければ90%越えだけど俺たちがショッピングモールに行けば100%。つまり当日俺たちが動く場合は安全のためにショッピングモールに行くことが決まっているんだよ。」
俺たちが動くには、ショッピングモールに行ってからが父さんたちから条件として恐らくこのあと出され、俺たちはショッピングモールに行くことが決まるのだろう。
そして確率が100%になるので不幸は0%になり無事に帰って来れるということだ。
その後俺たちの説得により許可が貰えたが百は拗ねてしまい、しばらく俺たちは百のご機嫌取りをすることになった。
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大規模侵攻①
対策会議から時間が経ち、ついに侵攻が起こると予想している日曜日になった。
「2人とも準備できた?」
「動きやすい服装にしたので大丈夫ですよ!今日は沖田さんがちゃちゃっと解決します。」
「こっちも大丈夫よ。あと、今日のお昼はショッピングモールでおうどん食べましょ?」
「武蔵ちゃん、緊張してないねぇ。」
「当たり前じゃない。今更戦場に出ることに緊張なんてしないわよ。茂は、私たちを頼ればいいのよ。」
「沖田さんもしませんよ!マ....シゲさんのことは私たちが守るので任せてください!」
実際に戦場のような場所に行ったことがない俺はこれからの事を思うとだいぶキツい。
しかし、2人の言うことを聞くと2人がいれば大丈夫だろうという安心感が湧いてきた。
「よし!まずはショッピングモールに行くか!着いたら10時くらいだろうから少し回ってからうどん食べようか。」
「「ええ!/はい!」」
気合いを入れ直し、ショッピングモールに向けて2人と出発した。
それから少ししてショッピングモールに到着した。
「日曜日だから10時でも結構いますね。」
「ああ.....ふぅ〜。」
「はいはい、肩の力抜いて。ひとまず入るよー。」
ショッピングモールに訪れている人の数を見て改めてこの中から犠牲をどれだけ減らせるのか考えてしまい、立ち止まってしまったが俺に考えさせないように武蔵ちゃんが背中を押してきて、ショッピングモールに入った。
「ん?神楽じゃないか。」
「お、三輪だ。やっぱり来たんだな。」
ベンチに座ってジュースを飲んでいるとお姉さんと来ていたクラスメイトの三輪と出会った。
「ああ、今日は姉さんと出かける予定だったからな。それに神楽の言う通り時間を早めて来たぞ。」
「それならいいさ。 これでどうなるか半々になったがお前のお姉さんが助かるかはお前次第だな((ボソッ…」
他のクラスメイトはほとんどは誘導することが出来たが三輪は三輪姉弟がショッピングモールに行くは止められなかった。
なのでショッピングモールに行く途中に大規模侵攻に合わないように時間を早めて来てもらったのだ。
俺たちが出来るのはここまでだったが、三輪のお姉さんの死亡率は50%ほどになったおかげで後は三輪の頑張り次第で三輪のお姉さんは生存出来るだろう。
「ん?なんか言ったか?」
「あ、ああ、なんかあったら隠れながら見つからないように動けよ。今日は何か嫌なことが起きる感じがあるからな。」
「ああ、いつもの占いか?それなら注意しておく。」
一応トリオン兵のレーダーは簡単に生身の人間を見つけることは出来ないので逃げる際のアドバイスをして、俺が普段学校でやっている占いの的中率を知っているおかげかこのアドバイスを聞き入れてくれた。
お姉さんと買い物をする三輪と別れ、俺たちはある程度三門市を見渡すことが出来る屋上に行くことにした。
「そういえば100%になる要因は見つけたんですか?」
「ん?ああ、ここに来る途中で見かけた。起こったら合流しようと思うんだがあまり話したことない人なんだがどうしよ。」
「誰なの?」
「武蔵ちゃん家の近くにある七草さんのとこの人だな。多分必要になるのはお姉さんの方だな。多分あの人は俺と似たように目が良くてその目が必要になるんだと思う。」
そう、あの七草家(魔法科高校の劣等生)の七草真由美が必要になる。
ちなみにサイドエフェクトがあるのがわかったのは目の電磁波が普通の人と違ったのでサイドエフェクトだと思ったのだ。
「よく分かりましたね?武蔵さんは話したことあります?」
「よく会うからたまに話すけど仲良しっていうほどではないわね。」
「ちなみに俺たちと行動しないとあの人は死ぬか拐われるかのどっちかだな。多分一緒に来ていた妹を庇うんだろうな。」
「それなら尚更一緒に行動した方がいいですね。」
「そうね。あ、そういえばどこら辺が危ないとか分かるの?」
「北が危ない、多分北にゲートが発生するんだろう。」
「なら私たちは南に逃げれば良いんですかね?」
「いや、ゲートは発生時に衝撃がある。今回のゲートの数や大きさ次第でゲート発生だけで被害がすごいはずだ。その被害次第でどう逃げるか決まるな。」
「あ〜ここら辺、大きい建物多いわよね。建物が崩れたら南への道が塞がるかもしれないわね。」
ショッピングモールの周辺は周りの建物は大きいため周りの建物が崩れたら道が塞がれる可能性がある。
そのためゲートが発生したらすぐに周りの状況を確認しないといけない。
「もし大通りの南の道が塞がれていたら一旦北に行ってから西か東に行った方がいいな。そういえば細道で東西に行ける道ってある?」
「確か駐車場から西へ行く道があったと思います。」
「ならそこだな。取り敢えず逃げる時はその道から南に逃げるよう誘導しよう。」
「分かりました。」
「分かったわ。」
逃げる際に俺たちが話しながら先導すれば続く人が現れてあとは集団心理である程度誘導出来るだろう。
「ん?2人ともそろそろ来るぞ。北側の電磁波が少しずつ揺れ始めた。七草さんのとこに行くぞ。」
「「っ!? 了解。」」
今までゲートの発生を見てきた経験的にあと数分程でゲートが発生するはずなので俺たちは七草さんの所へ向かうことにする。
「武蔵ちゃん、話しかけは頼む。俺が話しかけても警戒されるから。」
「分かったわ。」
話したことが無い俺が話しかけると余計な時間がかかるはずなので武蔵ちゃんに頼み、七草さんの電磁波が見える所へ俺たちは向かって行った。
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大規模侵攻②
「お、いた。武蔵ちゃん頼む。」
「任せて。」
椅子に座っていた七草姉妹を見つけすぐに武蔵ちゃんを送り出し、俺たちも少し離れて近づいていく。
「ちょっといい?」
「ん?宮本さんじゃない。どうしたの?」
「ええ、ちょっとお姉さんの方に用事があってね。」
「私?それでどうしたの?」
武蔵ちゃんが話し掛けた時はだいぶ警戒していたが俺たちを見ると知っている顔だったので普通に話し始めた。
「ちょっとあなたの力を貸してほしいのよ。あなた目いいのよね?」
「っ!?どこでそれを!」
「ん〜私が知ったというより教えて貰ったのよ。そこにいる茂に。」
「どうも、こうしてしっかり話すのは初めまして。神楽茂です。」
武蔵ちゃんに紹介されて名前を名乗るが目のことを言ったのでやはり警戒している。
警戒を解くために分かった理由を話し、これからの協力を得ることにする。
「なんで分かったのかって言うと俺も目が良いからだ。多分七草さんとは違う感じだけどね。」
「そうなの?」
「ああ、俺の場合は人の体から発生している電磁波とかも見えてるんだ。それで七草さんの目が普通の人と違ったから気づいた。」
「なるほどね....完全に信用は出来ないけどわかったわ。それで私の力を貸して欲しい理由は?」
「まず白い怪物とか見たことない?」
「あれをあんたも知ってるの!!」
「ちょっと香澄。落ち着いて、今お姉ちゃんが話してる。」
トリオン兵のことを聞くとどうやら妹の双子達もトリオン兵のことを知っていたようで七草香澄が大きい声で反応するがすぐに七草泉美が宥める。
「ん?妹さんも知ってるのか?それなら話が早い。これからその怪物がたくさん三門市に来そうなんだ。あと数分で。」
「「「っ!?」」」
「だからたくさんの人を助けるためにちょっと力を貸してくれないか?俺の目もあるから七草さん達もより安全に避難できるはずだ。」
「それ、証明出来るの?出来ないんなら「出来ない。」っなら!」
「だが来ないという証明も出来ない。それにこのままだと君のお姉さんも危ない。」
「私っ!?そ「それってどういうことですか?」ちょっと泉美ちゃん。」
姉が危険であることを教えると冗談では許さないという意思を感じるほど睨まれた。
俺の目のことをもう少し詳しく話せば七草真由美の目のことがわかったことから多少は納得してくれるだろう。
それにこれを話すことでより俺たちが冗談を言っている訳では無いとわかってくれるはずだ。
「俺は電磁波を見ることができるってのは話したよな。」
「ええ、電磁波で何が分かるの?」
「電磁波を見ることでその人の死相など色々なことが分かる。それで今回は死相が見えた。」
「その死相が見えたら確実に死ぬのかしら?」
「いや、死相が見えていても絶対に死ぬって訳では無い。しっかりと対策したら覆すことは可能だ。しかし、何もしなかったら確実に死ぬだろう。」
「協力したらお姉ちゃんを助けられるの?」
「俺の目とお姉さんの目を使うことで多少怪我はするかもしれないがしっかり避難できる。」
俺が話した内容を聞いたことでそれぞれが判断するより姉妹で考えた方がいいと考えたのか、少しだけ話し合うと言い俺たちから離れ3人で話し始めた。
「シゲさん、間に合いますか?」
「いや、間に合い......そうにないな。どんどん乱れ始めている。これはあと10秒ぐらいで来るぞ!」
沖田さんに聞かれたことで外を確認するがあと10秒程でゲートが開きそうだ。
見える範囲で開かれるであろうゲートの数は約10だがまだ出るだろう。
ジジ....ジジ
「決めたわ。手伝うわ。私たちは何をすればいいの?」
「すぐに窓から離れて体勢を低くして衝撃に備えろ!!」
どうやら協力してくれるようだ。
しかし、もうゲートが開いてしまうので説明する間もなく指示を出す。
ジジっ バチッ バチ バチバチ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォォォ
バリンバリン
特大のゲートが開き衝撃がショッピングモールを襲い、衝撃で窓が割れて店内にも衝撃が入ってきた。
遠くからはビルや建物が崩れたであろう音も聞こえてきた。
やはり予想よりも被害がすごい。
「 よし、収まったな。とりあえず七草さんはどんなことが見えるか教えて貰っていいか?」
「え...ええ。私は物質を様々な方向から多角的に見ることが出来るわ。例えばこの壁の向こう側を上から下からも見えるわ。」
「壁を無視して見れるということか。ならエレベーターに残っている人がいないか探してくれ。」
「わかったわ。 いたわ!北側の真ん中エレベーターが2階と3階の間に止まっているわ。他のエレベーターはまだ動いてるから大丈夫そうよ。」
「北側か....衝撃を正面から受け止めた側だからか。武蔵ちゃん頼む!」
「任せて!」
衝撃が治まったらすぐに現状把握のために七草真由美のサイドエフェクトについて聞き出し、避難を始めるために武蔵ちゃんに救助をお願いする。
「すぐにショッピングモールから出るぞ!怪物がこっちに向かって来てる!ここもいつ崩れるか分からない! 沖田さんと七草姉妹もついてきてくれ。」
「はい!」
「非常階段から降りるぞ!エレベーターが動いているかわからんからな!」
武蔵ちゃんが走っていったのを見たら今度は大声で近くにいる人に聞こえるよう避難することを知らせる。
エレベーターは北側以外動くようだが大勢乗れるわけが無いのであえて乗れないという情報を与えて非常階段から避難することを誘導する。
「ちょ、ちょっと速いわ!」
「あ、悪い。沖田さん、速度合わせるよ。」
「分かりました。足元気をつけてくださいね。」
七草姉妹に速度を合わせながら走り、後ろに沢山の人が続きながら非常階段を駆け下りていった。
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大規模侵攻③
ショッピングモールから出てきた俺たちは広いところで止まることにしたが、何人かは自分で決断して避難していった。
「警察とか以外で怪物達と戦っている人がいないか探してくれないか?」
「探してみるわ。・・・自衛隊がこっちに向かって来てるぐらいね。」
「まだ出てきてないか。まあ時間がそんなに経ってないし仕方ないか....あ、武蔵ちゃん!」
「待たせたわね。とりあえず避難しましょ。」
「ああ「自衛隊が来ているだろう!ならここで待っていた方が安全だ!!」....誰?」
まだボーダーは出てきていないようで空に飛んでいる軍用ヘリなどを見ると警察や自衛隊がトリオン兵の相手をしているようだ。
七草真由美からの情報だとさらに戦車が来ているようだがトリオン兵には効かないので意味が無い。
そのため避難しようとすると知らない中年男性が会話に割り込んできた。
「はぁ〜、エレベーターにいた人よ。」
連れてきた武蔵ちゃんを見てみると首を横に振りながら面倒くさそうに話しており、ここに来る途中もめんどくさかったであろうことがわかる。
「なるほどね。避難しないなら勝手にどうぞ。俺たちは避難します。みんな、行くよ。」
「そこの女は置いていけ!私を助けたんだから責任を持って助けろ!」
とりあえずまともに相手をする時間が無いので放っておこうとするが訳が分からないことを言い始めた。
「中学生相手に縋り付く中年ってダサいからどっかいって!」
「ちょっと香澄、確かに中年が中学生に縋り付くのはどうかと思うけど直接言うのは止めましょう......あ。」
しかし、話を聞いていた七草の双子姉妹が中年の心にクリティカルヒットすることを言ってしまい、中年はプルプル震えて怒っている。
「とりあえず放っていくぞ。ひとまず南西側に避難するぞ!南西側の橋を渡って川の向こう側に行くぞ!」
中年を放っておき俺たちは行動を開始した。
自衛隊が来ているのを見て何人かの男性や女性が止まっているようだが大体が1人でいるので1人で来た人だろう。
家族連れの人などは男性が老人を女性が子供を担ぎながら着いてきてくれている。
「置いていっていいの?」
「ああ、今優先するべきなのは救える人数を増やすことだ。戦う力がない俺たちに全てを救うなんて無理だ。」
「わかったわ。」
「そうですね。ただの地震とかなら全員で助け合えればいいんですが今回は正体不明の怪物の侵攻です。自衛隊が役に立つか分かりませんので私たちは助かるために行動し続けなければなりません。」
「そうね。橋に向かって避難して!! 私たちは今こうやって少しでも助けられている。その事実で我慢しましょう。」
なるべく多くの人を救うために橋に向かって逃げるよう誘導しながら逃げ遅れた人も助けながら行動しているため俺たちは少しずつ遅れ始めている。
だが橋のことは三門市に住んでいる人なら誰でも分かるから誘導はそれほど要らないだろう。
俺は避難を誘導しながら三輪を探しているが見当たらない。
この集団の中にはいないようで助かっていることを祈るしかない。
「そろそろ近づいて来たわ!」
「ちっ!玉狛方面に向かいながら逃げるぞ。七草さん、玉狛側からすごい速さで走ってきている人がいないか探してくれ。刀みたいなのを持ってるはずだ。」
トリオン兵はトリオンを捕獲するために人が多くいる俺たちのグループを追ってきており、だいぶ近寄られたようだ。
俺や七草真由美のサイドエフェクト持ちがいる俺たちで少しは誘導できるはずなので、ボーダーがいるはずの玉狛方面の方へ逃げることでボーダーに相手してもらうことにする。
「いたわ!!」
「よし、なるべくその人たちの近づきながら逃げていくぞ。あいつらを倒してくれるはずだ。」
七草真由美がボーダーを見つけたのでそちら側に逃げていく。
逃げる途中に七草真由美を見ると既に死相はなくほとんど逃げ切れるのは決まったようだ。
「よし、これからは南に切り替えるぞ。もう助かることが決まったようだが念の為川を超えておこう。」
「「了解!」」
「「わかったわ/わかりました」」
「やったー!行こお姉ちゃん!」
「まだ危険だから油断はするなよ。」
俺たちに着いてきてくれた人はトリオン兵に拐われた人がいないので、恐らく原作よりできる限り多くの人を助けることが出来たはずだ。
だが実際にどれだけの被害が出たのかは現在では分からない。
「実際にどれだけ助けられたことやら。」
「私たちに着いてきた人達はみんな助かったはずよ。だから今はそれを喜びましょう、茂。」
「そうですよシゲさん!私たちができることはしました。助けた命を喜びましょう。赤ちゃんもいましたしね。」
「そうだな。七草さん達もありがとう。」
「私達も怪我なしで生き残れたのだからこちらこそありがとう。」
お互いに礼を言い合い、最後まで油断しないよう俺たちは橋を渡り、そこから七草家も近い宮本家へと全員で帰った。
こうして俺たちは無事に大規模侵攻を怪我なしで乗り切ることができた。
なお、ボーダーの面々と直接顔を合わせることはなかったがサイドエフェクトのおかげか何人か顔を見ることが出来た。
見ることができたのは林道、小南がはっきりと見ることができ、あとから後ろ姿だけだが恐らく忍田であろう人を見た。
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大規模侵攻④
無事に帰ったその日は宮本家で待っていた母親たちと喜び合い、どんなことがあったのか話したり、茶会が終わった百が宮本家に突撃してきてその日の夜は全員宮本家で泊まった。
なお宮本家の父を除いた他の父たちは、東三門が壊滅したので対応に忙しく帰ってきていない。
神楽父、八百万百父は東三門に住んでいた社員への対応、沖田父は八百万父の護衛とお手伝いだった。
ちなみに宮本父も門下生たちの対応が忙しくほとんど話すこともなかった。
2ヶ月後、現在も壊滅した東三門では行方不明者の捜索を自衛隊と警察が行っている。
そして、ボーダーによる会見が今日行われるので、会見を見るために俺たちは宮本家に集まっていた。
「やっぱり死者や行方不明者が結構出たな。」
被害
東三門壊滅 死者 800人以上 行方不明者 250人以上
ちなみに原作での被害
東三門壊滅 死者 1200人以上 行方不明者 400人以上
「こればっかりは仕方ないですね。私たちだけでは全ての場所を助けられませんから。」
「私たちがいない所で結構被害が出たようね。ニュースになってたわ。」
「私も見ましたわ。茂さん達のこともあってとても誇らしく思いましたわ。」
そう、全体で見ると南側の被害は少なく、南側での避難についてニュースで何回も話し合っていた。
実際に避難していた人にもインタビューをしており、俺たちの名前自体は出ていなかったが避難を誘導した学生という情報があげられていた。
「そろそろ始まりますよ。」
沖田さんに教えられ集まっていた全員がテレビに集中する。
ボーダーの幹部陣、城戸・忍田・林道・根付・唐沢・鬼怒田の幹部たちがカメラの前に写った。
「司令の顔、傷のせいで怖いですね。」
「あのぐらいは大丈夫でしょ。模擬戦中の沖田さん達の殺気の方が怖いよ。」
「そうですわね。あれに比べたら顔が怖いだけですわ。」
「そう?それにしても忍田っていう人だいぶ腕がいいわね。」
(あ〜、気にしないでおこ。)
各自が自己紹介していき俺たちが城戸司令の顔の怖さについて話していたが武蔵ちゃんは忍田さんの腕前に気が付き、戦ってみたいのか笑っている。
俺は腰に手を置いている武蔵ちゃんをスルーすることに決めてそれぞれの質問に答えるボーダー幹部たちに注目した。
───────────────────────
質問ではいつから活動していたのか、なぜ表に出ず活動していたのか、最近建てられ始めた建物は何かなど誰でも疑問に思っていることを中心に質問され、広報担当の根付が中心に答えることで進められていた。
「これからもあの怪物たちは来るのでしょうか?」
「この前のような大規模に来ることは早々にないと思いますが怪物、我々は近界民<ネイバー>と呼んでいますが近界民自体はこの先も今まで以上の頻度でこちらに来ると考えています。対処方法については城戸司令から発表致します。これが今回の会見で発表したいことですので。」
「我々ボーダーは基地の完成をもって、基地職員募集の後にこれからの防衛のために必要な隊員を募集することに決定したことを発表させていただく。」
「募集する条件はなんでしょうか!?」
「基地職員については食堂や基地運営などのための職員の事だ。そのため大人であることが条件だ。戦闘隊員については条件はない。しかし、主に大学生や高校生などの成人していない人たちを我々は求めている。」
募集することに驚いた記者がすぐ条件についての質問し、その答えに記者たちはさらに驚き、危険性、なぜ若い人が中心なのかなど口々に質問し始めて質問が聞こえない状態になっていた。
「お静かに!! 」
「なぜ成人していない子供たちを求めるのかなど説明致します。」
そこで忍田が一喝することで記者たちを静かにして根付が説明を疑問点に1つずつ答える形で進められた。
Q. なぜ子供たちを中心に募集するのか?
A. 近界民を倒すために我々が使うトリガーという物を使うためには子供たちがいいから。
Q. なぜ子供たちの方がいいのか?
A. 子供たちのほうが成長しやすく大人たちではほとんど成長せず、緩やかに衰えていくだけだから。
Q. 大人でも応募していいのか?
A. 大丈夫。しかし、今までトリガーを使っていなかったのでほとんどの人は戦闘隊員は難しい。
Q. あなたたちが使えているのは何故か?
A. 我々は今まで使ってきており維持することが比較的可能だから。
Q. 戦闘隊員に危険性はないのか?
A. トリガーを使うと腕が切り離されたりしても生身の体に影響がないため危険性はない。また、防衛する隊員には緊急的に脱出する機能をつけ、後日デモンストレーションを行う。
危険性についてはまだ不安があるようだがデモンストレーションごあることでひとまず納得することでボーダー幹部たちの会見が終わった。
───────────────────────
「どうするの?」
「これから百をある程度鍛えてから募集しようか。」
「1回目の方でなくていいんですの?」
「百も俺たちと一緒に応募するんだろ?なら百も多少鍛えた方がいいと思ってな。」
「確かに百さんは運動はできますが戦いとなると難しいかもしれないですからね!私たちが教えますよ!」
「茂を鍛えている私たちに任せなさい!」
「お願いしますわ!」
ちなみに2回目にした理由は他にもある。
原作の内容を知らないので実際にどんな組織か分からないのでひとまず様子を見ることにしたのだ。
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ボーダー入隊①
あのボーダーの会見から2ヶ月程後にボーダー基地が完成し、その3ヶ月後に年が明けて支援を呼びかける嵐山さんと柿崎さんによる広報イベントが行われた。
広報イベントで知らされていた春に行われる募集に応募しようとしたが百の父親がまだ百が小学生の内はだめという理由で許可を出さなかったため応募出来なかった。
あれから数ヶ月経ち、夏休みに入ると百は既に中学生、さらに鍛えているということで百が応募できるようになった。
ちなみに八百万グループにもスポンサーの話が来てボーダーがどんな組織か知ることが出来たらしくそのことが許可を後押ししたようだ。
俺達もボーダーについて聞いてみたがどんな組織か詳しくは分からなかったが三輪に聞いた事である程度知ることが出来た。
ちなみに三輪は、後遺症が残り歩くのが辛そうな姉のためにボーダー発足直後に入っていたらしく、三輪の話をもっと早く聞いておけば良かった。
そしてついに俺たちのボーダー入隊式が行われる日になった。
「全く歯が立たないので強くなってるか疑問ですわ。」
百は自信なさそうに言うが薙刀などの武術をすることで体捌きがだいぶ良くなっている。
「数ヶ月しかやってないのに俺と戦えたらそいつは天才だよ。ちなみに沖田さん達と戦えたら化け物だな。それに入隊試験ではだいぶ成績良かっただろ。」
「そうですが....」
「ねえ化け物って、それ私たちのことも言ってない?」
「いや、そんな意図はないな。この短時間で沖田さん達と戦える奴が化け物ってだけだ。沖田さん達はずっとしているから化け物ではないぞ。」
「そういえば七草先輩達は入らないの?」
「真由美ちゃんは私たちが入ったあとに様子を聞いてから入るって。それに親が賛同してくれないそうよ。」
「そうなんですの。親と言えば私はお父様から支援のメインを決めたいから何に使えるか見てこいと言われましたわ。」
「スポンサーになるんですか?」
「ええ、まだ仮決定のようですが。」
「そろそろ始まるぞ。」
話していると忍田本部長と沢村さん、嵐山さん、柿崎さんが出てきたので話を止め入隊式が始まった。
入隊式は短くあっさりとしたものですぐに嵐山さんと柿崎さん、沢村さんによる入隊指導ーオリエンテーションーが行われることになった。
「まずはどうすれば正隊員になるか説明するわ。各自自分の左手の甲を見てちょうだい。その甲の数字が通常4000になれば正隊員よ。」
沢村さんの言葉通り見てみると俺の甲には2000、ほかの3人は1500ほどとなっていた。
俺たちは仮入隊期間に特に動いていないがこの数字になっているのは恐らく道場のことを知っており、1500にしているのだろう。
俺の場合はそれに足してトリオン量が多いからだと思う。
「しかし、ボーダーはまだ設立したばかりで人手が足りないわ。そこで今回の入隊者までは3000で正隊員になることが決まっているの。また、通常よりも訓練でポイントが多く手に入るようになっているわ。」
「では、これから対近界民戦闘訓練を行うので着いてきて欲しい!」
沢村さんの説明が一通り終わり、嵐山さんの先導で俺たちは仮想戦闘空間がある部屋に行くことになった。
「相手は大型近界民を訓練用に少し小型化したものを使う。まずは柿崎がデモンストレーションを行うので見て欲しい。近界民がどう動くのかわかるだろう。」
柿崎さんは最初緊張していたようだが戦い始めると緊張を感じさせない姿を見せ、2分ほどかけて俺たちに近界民の動きを見せるようにしながら倒した。
「柿崎、ありがとう。1人制限時間は5分で行う。説明は以上、各自始めてくれ!」
─────────────────────
「この体、慣れてないので動きすぎて難しいですわ。」
「そう?このぐらいなら大丈夫よ。」
「そうですね。もっと動いてもいいくらいです。」
「武蔵ちゃん達はそうだろうね。」
元英霊の武蔵ちゃんと沖田さんはトリオン体の時より速く動けていたようなのでトリオン体になってもすぐに身体制御が出来ていた。
俺は一応VRで慣れているので動けるが10数年ぶりで少し難しい。
「ねぇ、僕達からしていい?」
「ん、良いけど誰だ?」
「おれは時枝充、こっちは佐鳥賢です。」
「俺は神楽茂。でこっちから宮本武蔵、沖田総司、八百万百だ。百以外は中2で百が中1になる。」
「じゃあ僕達は八百万さんと同級生だ。神楽先輩たちこれからよろしくお願いします。」
「よろしくお願いしまっす!」
「よろしく。どっちからする?」
「はいはーい!オレからやりたいです!」
「じゃあ賢、入って。」
佐鳥が仮想戦闘空間に入り戦い始めたがひぇーと叫びながら逃げている。
「時枝がガンナーで佐鳥はシューターか?」
「はい。神楽先輩達は孤月ですか?」
「ああ、俺たちは全員孤月だな。他の用トリガーもやってみたかったけどひとまず慣れている物で始めることにしたんだよ。」
「慣れてる?」
「ああ、宮本家は武術や礼儀作法なんかを教えてる道場なんだよ。そこで俺たちは習ってるんだよ。」
「うわっ。うひゃーー!」
時枝と話している佐鳥の叫び声が聞こえてきたのでそちらを見ると逃げながら少しずつ大型近界民を削っている姿があったが、ダメージは食らっていないようだった。
「お、倒した。44.4秒か、縁起悪いな。」
「ですね。」
「充!ゾロ目だったよ〜。」
「おつかれ、次は僕だね。」
縁起が悪い数字だったが佐鳥は逆にゾロ目で嬉しそうにしている。
佐鳥のことを流しながら時枝は仮想戦闘空間に入って戦い始めた。
「これ絶対俺より速くないですか?」
「速いね。武蔵ちゃん達は何秒だと思う?」
「ん〜20秒くらいじゃないかしら。」
「確かにそのくらいですね。」
「少し分かりませんが30秒はかからないと思いますわ。」
結果は武蔵ちゃんと沖田さんの予想通りで21秒となり、ついに俺たちの番が来た。
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ボーダー入隊②
「俺からいっていいか?武蔵ちゃんと沖田さんの後でするより先にしたい。」
「それならその次は私がしたいですわ。」
「いいですよ。それなら私が最後にしますね。スピードには自信がありますので。」
「いいんじゃない。茂、タイム楽しみにしてるよー。3秒以上だったら稽古もっと厳しくするからね〜。」
「まじか...まあこれくらいならいけるでしょ。」
武蔵ちゃんの言葉を聞いて自身の最速で攻撃することが強制的に決まってしまった。
だが今までの戦闘を見る限り前世でやったゲームとほとんど変わっていないようなので大丈夫だろう。
<始め!>
開始と同時に踏み込んで大型近界民に近づき、孤月を鞘から居合抜きをして振り切る。
<に...2.5秒!?>
「よし、こんなもんでしょ。これ以上速めるにはもう少しこの体に慣れる必要があるかな。」
「次は私ですわね。こんなに速く出来る自信はありませんが....できるだけ頑張ってみますわ。」
「10秒切ることを目標に頑張れ。」
<8.8秒...>
「上手くいきましたわ。」
「よーし。次は私だ。」
<・・・・・1.0秒>
「もっと速く出来るわね。」
「全力でいきますよ〜!」
<・・・・・・0.5秒>
「まあまあですね!」
俺たちの番が終わると周り静かになっており、佐鳥は口を大きくあけて驚いている。
「すっご....いや凄すぎでしょ。」
「宮本先輩たちの方が速いんですね。」
「ああ、生身でも俺の方が弱いよ。道場でもあの2人に勝てる人、いないからな。」
「凄いですね...それって大人も含めてですよね?」
「ああ。」
時枝が俺より速かったのが気になったようだが武蔵ちゃんたちの方が強く、生身でも大人より強いと知って驚いている。
「よし、場所移すついでに飯行こう。そこで話そう。」
「分かりました。」
とりあえず注目されているので場所を移すことにした。
ついでに一緒にご飯を食べ、お互いのことを話して解散になった。
数日後、地形踏破訓練、隠密行動訓練、探知追跡訓練の合同訓練が行われ、それぞれの結果はこのような結果だった。
神楽茂
地形踏破訓練 3位
隠密行動訓練 3位
探知追跡訓練 1位
宮本武蔵
地形踏破訓練 2位
隠密行動訓練 2位
探知追跡訓練 2位
沖田総司
地形踏破訓練 1位
隠密行動訓練 1位
探知追跡訓練 3位
八百万百
地形踏破訓練 4位
隠密行動訓練 4位
探知追跡訓練 4位
地形踏破訓練と隠密行動訓練は流石アサシンクラスに適性がある沖田さんの独壇場で、探知追跡訓練は俺のサイドエフェクトによる独壇場だった。
「いや無理でしょ!」
「ええ、流石に忍者のような沖田さんには勝てませんわ。」
「ああ、圧倒的に1位だったな。」
「いや、茂も探知追跡訓練は圧倒的じゃない!」
「まあ俺は目が良いからな。」
「探知追跡訓練も1位、いえせめて2位は取りたかったです。」
「意地で2位取ったわ!」
探知追跡訓練は武蔵ちゃんと沖田さんの成績が競っており最後までどちらが2位になるか分からなかったが、武蔵ちゃんが意地で取ったらしい。
これで俺たちのポイントは、俺が2304、武蔵ちゃんが1808、沖田さんが1812、百が1784となった。
「そういえばスナイパー用のトリガーが出来たらしいな。」
ランク戦をするためにランク戦のロビーに向かう途中、気になっていたスナイパー用トリガーの開発について話を振った。
「ええ、訓練生からも募集されて佐鳥さんがスナイパーに変えたそうですわ。」
「へぇー、茂はしないの?その目活かせるんじゃない?」
「正隊員になってからするよ。正隊員だと興味あるトリガーをいろいろ使えるからね。」
俺は知らなかったが佐鳥がスナイパーに転向したらしい。
武蔵ちゃんはスナイパーなら俺のサイドエフェクトを活かせると聞いてきたが俺はまだスナイパーになる気はない。
「確かにスコーピオンとか旋空も使ってみたいですね!」
「私も正隊員でいろいろ試したいと思ってますわ。」
「お、着いた。早速しようか。最初だけ全員で総当たりやってから個人にしよ。」
「あ、私はポイント移動なしでお願いしますわ。流石に勝てませんので。」
正隊員になったら使いたいトリガーについて話していたら、ランク戦のロビー着いたので総当たり戦をやることにした。
なお、結果として当然のように俺と百は武蔵ちゃん達に負けた。
「楽しそうにしてるな〜」
「えぇ、私ではほとんど耐えれませんでしたわ。でも茂さんはだいぶ戦えてましたわ。」
「生身よりかは戦えたな。多分動きの差が縮まったからだな。」
「「「おお!」」」
ランク戦ロビーの画面では武蔵ちゃんと沖田さんが互角の戦いをしており、ロビーにいる全員が注目している。
武蔵ちゃんと沖田さんが室内へ場所を移動し、沖田さんが室内を駆け回っている姿を見て驚きの声が上がっている。
「武蔵ちゃん2本持ってないから流石にきついかね?カウンター狙いのようだけど。」
「そうですわね。沖田さんの方がいつもの戦いをできている感じですわね。」
武蔵ちゃんは沖田さんの猛攻を孤月1本でどうにか防ぎながらカウンターを入れようと気を伺っている。
そしてついに武蔵ちゃんが動いた。
「お、そろそろ決まるな。」
わざと攻撃を受けることで吹っ飛ばされ屋外に出て、沖田さんに向けて孤月の鞘をぶん投げた。
沖田さんはそれを打ち払いすぐに斬りかかろうと踏み込んだが孤月自体も投げられ、慌てて躱す。
武蔵ちゃんはすぐに孤月を再生成した後、首を狙って孤月を振り抜き、投擲を躱した沖田さんもすぐに心臓目掛けて突きを放った。
『戦闘体活動限界 緊急脱出』
「これ、結果は引き分けだけど沖田さん絶対悔しがってるな〜。」
「ええ、武蔵さんの方が後に緊急脱出してますわ。」
『トリオン漏出過多 戦闘体活動限界 緊急脱出』
沖田さんが先に首を斬られたことで緊急脱出した。
武蔵ちゃんは沖田さんの突きをほんの少しだけ急所からずらしたおかげで、トリオン供給器官が破損することなく沖田さんより遅れてトリオンの漏出過多で緊急脱出した。
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ボーダー入隊③
〜ボーダー本部会議室〜
「すげぇなこの2人。それにあとの2人もなかなかやるな。」
「ああ、素晴らしい人材が入ってくれた。」
「何だこの2人は!!一般人がなぜ入ったばかりでこんなに戦える!」
「これは.....近界民ですかねぇ。普通はありえないでしょう。」
「これは凄いな。」
「.......。」
ボーダー本部会議室では上層部が宮本武蔵と沖田総司のランク戦を見ていた。
林道、忍田、唐沢は感心し、鬼怒田、根付はあまりの強さに近界民を疑い、城戸は静かに顔の傷を撫でる。
「迅、あの4人は何者だ?近界民か?」
黙っていた城戸が会議に幹部以外で出席している迅悠一に聞いた。
「いや、違いますね。」
「ま、そりゃそーだろ。近界民なら入ってすぐに目立たんだろ。」
「それは確かに.....しかし、強すぎるような...一体何者なんですか?」
迅はすぐに否定し、林道は迅の答えを聞いても初めから近界民とは思っていなかったようで、すぐに迅の答えを肯定した。
「私があの4人のことを詳しく知っていますよ。」
「おお!誰なんですか?」
根付が何者か気になって聞くと4人について知っている唐沢が手を挙げる。
「まず、戦っていない女性隊員が八百万隊員ですね。」
「というとやはり?」
「ええ、今度スポンサーになってくださる八百万グループの御令嬢です。特にこちらに連絡はなかったのですが聞いてみると合っていましたね。次は宮本隊員ですが蓮乃辺市にある宮本道場の子ですね。」
「あの宮本道場の子供か!」
「知っているのか?」
「ああ、剣術や武術の中で最も大きく歴史がある道場だ。あそこのお子さんなら戦える理由に納得がいく。」
「あとの2人は、宮本道場に通っているらしいです。八百万社長によるとどうやらこの4人は幼い頃からの知り合いですね。それに宮本隊員と沖田隊員に関しては、大人でも勝てる人がいないとか。」
「そうだろうな。見る限り私でも孤月1本だとあの2人に勝てるか分からない。」
「「なっ!?」」
「あ〜ちょっといいですか?」
4人の素性を知り、宮本隊員と沖田隊員については忍田の驚きの発言に一同絶句した。
すると幹部達が絶句している所へ迅が話に割り込んでくる。
「多分だけど八百万隊員を除いた3人は、大規模侵攻の時手助けしてくれた人達だよ。」
「そうなのか?」
「あの日、林道さんは見かけたって言ってたよね?」
「ああ、ちらっと見ただけだがな。でもまだ3人いたぞ?」
「その3人はまだボーダーに入ってないね。もう少ししたら入ってくるかも。」
「それなら感謝することはしても疑うことをする必要は無いな。あの日、あの子たちのおかげで我々だけでは助けられなかった人たちを救うことが出来たのだから。」
「この件は終わりだ。次の議題に移ろう。」
素性と大規模侵攻の日に手助けしていたことにより、疑いは晴れ会議は次の議題へ移っていった。
───────────────────────
「東さん、風間さん今回入ってきた子でとても強い人が入ってきたみたいよ。」
食堂で昼食を食べていると加古が最近流れている気になった話を東、風間の2人に振る。
「ああ、その話か。俺も佐鳥から聞いたぞ。4人ほど対近界民戦闘訓練で凄い記録を出した奴が入ってきたらしいな。」
「なに?どのくらいなんだ?」
「確か速い順から0.5秒、1.0秒、2.5秒、8.8秒だったはずだ。」
「それは知らなかったわ。」
どうやら東は佐鳥から聞き、少し知っていたらしく最初の対近界民戦闘訓練の記録について話す。
「それでその4人がランク戦したらしいからこれからログがあれば見ようと思ってるわ。東さん達もどうかしら?」
「俺も見る。」
「じゃあ俺も見させて貰おうかな。」
「ええ、食べ終わったら行きましょ。」
食事はほとんど終わっていたため残りを直ぐに食べ終わり、ログの確認をするためのタブレットを借りに行く。
「合った。個人戦は6本してるわ。おそらく総当たり戦ね。」
「1本目は神楽と宮本か。」
まずは神楽と武蔵のログを確認していく。
内容は終始武蔵が押しており、時折神楽がカウンターを入れるが防がれており、そのまま武蔵が勝っていた。
「避けが上手いな。おそらく目が良いんだろう。」
「宮本は太刀川より技術があるな。」
「ええ、孤月だけだと私たちでも勝てないわね。」
次に沖田と八百万のログを確認していく。
こちらも沖田が終始圧倒しており、八百万は防ぐので精一杯のようだ。最後は八百万から攻めさせていたが沖田に通じず沖田が勝っていた。
「この子、普通の子より孤月は使えるんでしょうけど他の3人に比べて技術がまだまだね。」
「沖田に関しては速すぎるな。技術も宮本に並んでいる。」
「八百万はよく周りを活かして防いでいるな。ガンナーやシューターも合いそうだ。」
「これで一応4人全員は見れたわね。どう思ったかしら?」
一旦4人全員を見ることが出来たので加古が2人に意見を聞いてみる。
「確か佐鳥が言っていたがこの4人は剣術を習っているから全員孤月を使っているらしい。」
「だろうな。4人とも孤月をしっかり扱えている。他の3人に比べて八百万はまだまだだが。」
「神楽くんは目が良さそうね。避ける時しっかり孤月を見ていたわ。」
「実際に聞いてみて目が良いならスナイパー誘ってみるか。」
「後の4本が気になるから見ましょ。」
加古が後の4本を我慢出来なくなったようで意見の出し合いを切り上げて残りを見ることにした。
最後は武蔵と沖田の戦いがあるので楽しみなのだろう。
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ボーダー入隊④
加古達が次に見るのは、神楽と沖田のログだ。
やはり沖田のスピードは速い、壁を蹴って立体的な動きをしながら神楽に迫っている。神楽は沖田の立体機動にもしっかりと対応し、防御はできているが攻撃に移れていない。
たまにカウンターを放つが沖田が速すぎて当たっておらず、カウンターにカウンターを返されて沖田が勝った。
「忍者みたいだわ。」
「神楽は反射神経がいいのか?」
「どうだろうな。目が良いついでに反射神経もいいのか、ただ反射神経がいいのか。」
次は武蔵と八百万のログだ。
こちらも八百万がどうにか防いでいる。しかし、途中武蔵が試すように動いていたので少し長引いていた。
「この2人は実際に教えたりする関係でしょうね。」
「俺も少しわかるが、八百万が防いだのを見て宮本は嬉しそうだったな。」
「このログで八百万の実力がしっかりと分かる。」
次は神楽と八百万だ。八百万が攻め、神楽が防ぐ形になっている。
しかし、神楽にはまだ余裕があり、たまに鋭いカウンターするだけで八百万に好きに攻撃させている。
「この3人、宮本を中心に八百万にいろいろ教えているな。全員が八百万を試している。」
「ああ、今回のログも沖田が防御面を見て、宮本が色々試し、神楽が攻撃面を見ている。」
「まだ実力差があるから全力で戦えないようね。」
そしてついに最後の武蔵と沖田のログだ。
「ようやくね。今までのログも面白かったけどこれほど気になるものはないわ。」
「ああ、これだけ他のログよりも何倍も長い。」
「どんな決着が見れるのか楽しみだな。」
ログが始まると3人とも呼吸を忘れたかのように静かになり、画面に集中していた。
この戦いの始まりは、両者の睨み合いから同時の踏み込みから始まった激しい剣戟からだった。
剣戟は、体術を混じえた互角の戦いになっている。
沖田が家の壁を使い横の移動をしながら斬りかかり、武蔵がそれを受け止める。
鍔迫り合いになると蹴りや投げ、受け流しでお互いが離れる。
その後も屋根や屋内などと舞台を変えながら戦い続けていく。
しかし、時間が経つと武蔵の方はトリオンの漏出が少しずつ始まり、沖田はほとんど無傷だ。
この3人は武蔵が本来二刀流だと知らないので沖田が強いのかと考えていた。
なぜなら速さが沖田に分があり、特に屋内になると武蔵は沖田の猛攻を防ぐので一杯になっている。
「グラスホッパーを使っているような動きね。」
「この機動力はボーダー1だな。」
「速すぎるな。ん?」
「ほう。」
「あら。」
3人が沖田の機動力について話していると、武蔵が鞘を使い二刀流になり、沖田の猛攻を防ぎ始めた。
その証拠にトリオン漏出が止まり、新しい傷を負わなくなり互角の戦いとなった。
「二刀流が本来の戦い方なのか。」
「太刀川くんと同じなのね。」
「だが鞘ではトリオン体を破壊できない。」
風間の言う通り鞘の攻撃力は0となっており、よく創作である鞘で一刀両断というのは出来ない。
できるのは相手に衝撃を与えることのみだ。
さらに鞘では孤月の刀身部分は受けきれないため、それに気づいた武蔵は腕や足などを狙って沖田の体勢を崩そうとしている。
「上手く体勢崩すのに使ってるわね。」
「上手いな。」
「だが沖田に有効打は与えれてない。」
その後は互角の勝負が続き、最後に武蔵が仕掛け孤月を投げつけるという方法で沖田を止め、相打ちとなった。
「最後は斬ったおかげで宮本が後に緊急脱出したな。」
「沖田ちゃんの突きがトリオン供給器官に当たたったら多分同時だったわね。」
「まぁ傷口が大きい方がトリオンの漏出が多いからな。決め手は得意技がトリオン体にどれだけ合っていたかだな。」
「面白かったわ。この子達、すぐ正隊員になるはずだから楽しみだわ。」
「そうだな。正隊員になったら戦うか。」
「俺は佐鳥から話をしてもらおうかな。その方が早い。」
「あら東さん、それはずるいわ。なら私は女性隊員が少ないから先輩として話しかけようかしら。」
ログを見た後はそれぞれが感想を言いながら、誰が最初にこの4人と繋がりを持つか競走するように席を立ち4人を探しに行った。
風間は特に話題はないが特に気にしないため、加古と東と違い普通に話しかけるつもりだ。
なお、既に4人は帰っておりボーダーにいないため空振りするのだった。
──────────────────────
ボーダーに入り1ヶ月が経ち、ついに全員正隊員になることが出来た。
俺が最初のポイントが多かったことから1週間前に、武蔵ちゃんと沖田さんはほぼ同時にその2日後、そして百が昨日正隊員になった。
百が正隊員になるまでに俺はサイドエフェクトの検査があったり、東さんや風間さんに会ったりしていた。
武蔵ちゃん達も加古さんと話したりしており、俺を含めた風間、加古、武蔵、沖田の5人でランク戦をしていた。
ちなみにこのランク戦に太刀川さんは入っていないし、会ったことがない。
どうやら夏休みの宿題が終わっておらず個人戦禁止令と接近禁止令が出ているそうだ。
「よし、じゃあこれからどうするか防衛任務のことを話しながら考えていこうか。」
百も正隊員になったので防衛任務や今後どうしていくか話し合うことに決め、ラウンジで一旦集まることになったのだ。
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トリガーと防衛任務①
全員が正隊員になったのでトリガーと防衛任務について話すため俺たちはラウンジで集まって話すことにした。
「防衛任務は百だけがまだだよな。」
「はい。私たちは一昨日、防衛任務体験でしたね。」
「明後日に加古先輩の付き添いで防衛任務が入ってますわ。」
「お、頑張れよ。」
現在の防衛任務は、正隊員になったら2回ほど先輩の正隊員に付き添ってもらい防衛任務について学ぶ。
その後、次の月からのシフトを提出し、付き添いなしの本格的な防衛任務が始まる。
その際、ある程度グルーブで出すことが可能となっているので今回話し合うことにした。
まぁまだ正隊員の人数が少ないのでシフトを選べるほど選択肢がないが。
「じゃあ来月、シフトをどの時間帯にするか話し合うか。」
「確か、1回の防衛任務は5つのグループで別れるのよね?」
「ああ、まだ人数が少ないから毎日1回ぐらいの頻度だな。やっぱり入るなら昼がいいか?」
「そうですわね。まだ中学生なので夜は出来ませんので昼中心でいいと思いますわ。」
「沖田さんはどこでも大丈夫です。」
「私もー。」
「じゃあ昼を中心に出してダメだったら朝ということで。警戒場所はローテーションでいいだろ。」
毎日シフトがあり、あまり話すようなことは無いのでさっさとシフトの話を終え、次のトリガーについて話すことにする。
「まず俺から話すけど今は攻撃手用トリガーのスコーピオンとオプショントリガーの旋空に慣れながら狙撃手用トリガーを練習してる。」
「私も同じ感じですねー。そういえば移動用トリガーってなんかあります?欲しいんですけど。」
「それなら確かグラスホッパーがあるはずだ。少し前にオプショントリガーとして完成したから使えるようになったはずだ。」
「ならそれをこれから慣れていくって感じですね。」
俺は孤月とスコーピオンを使った際の練習とイーグレットの練習をしている。
ちなみにまだアイビスとライトニングはないため、普通の狙撃訓練と遠距離狙撃を練習している。
沖田さんも孤月を中心にスコーピオンを暗器のように投げたりして使ってトリガーに慣れていっている。
だが今の移動ではまだ不満があるらしく移動用トリガーが欲しかったらしいのでグラスホッパーを紹介しておいた。
「私は孤月2本使ってるけどこれって片方短くできるかな?」
「開発部で言ったらしてくれると思うぞ。」
「本当?なら言ってみるかな。じゃあ私は今のところ旋空に慣れるだけかな。もうだいぶ慣れたけど。」
武蔵ちゃんに関してはトリガー構成が特徴的なものはなくすぐに使いこなしていたが二天一流のために片方短くしたかったようで開発部に話したら調整してくれるはずなので教えた。
「私はこれから色々なトリガーを試していこうと思っていますわ。」
百は昨日正隊員になったばかりなのでまだトリガーは使っていないのでこれからいろいろ試すようだ。
「サポート出来るやつが良いんじゃないか?」
「そうね。百はサポートの方が向いてるから孤月にこだわるよりそっちの方が良いわね。」
「サポートと言ったらガンナーやシューターですかね?」
「ならまずはガンナーから触ってみようと思いますわ。」
百の性格上アタッカーで近距離戦をするより周りを見てサポートする方が向いているので、銃手用トリガーの方が合っているかもしれないためガンナーやシューターを勧める。
「じゃあこれから別行動で防衛任務2日前に1回集まるか。」
「2日前に集まって何かするんですか?」
「ああ、一応トリオン兵に対しての連携をどうするか練習したい。」
防衛任務を体験していた際、個人で動いている人がおり、協力して動いている人の邪魔をしていたことが何回かあったのを俺は見ていたので各トリオン兵にどう倒すか確認しておきたいのだ。
「確かに個人で動いている人たまにいたわね。それに連携はしたことないから練習はするべきだわ。」
「わかりましたわ。」
「それに東さんから聞いたんだが部隊組むらしいからな。俺たちも組めるようになったら組むだろ?」
「あー私も聞いたわそれ。でもオペレーターが必要よね?」
「沖田さんはオペレーターなんか無理ですよ。」
「一応俺がオペレーターを最低限できるようにしとく予定だな。まあ部隊組む時に戦闘員と兼任できるか聞いてからな。」
「それなら私もオペレーターをできるようにしておきますわ。茂さんは私よりお強いので戦闘員の方がいいですわ。」
「じゃあ百も練習することにして本格的に決めるのは組めるようになってからにするか。じゃあ解散。」
部隊についてはまだ正式な話が出てないのでオペレーターはひとまず置いておくことにして、それぞれ別れて行動することにした。
────
武蔵ちゃん達と別れた俺はイーグレットの練習をするために狙撃手用訓練施設に向かっていた。
「あ、佐鳥。」
「ん?神楽先輩じゃないですか!これから訓練ですか?」
「ああ、もう少し精密狙撃を練習してあとは遠距離狙撃だな。佐鳥は例のやつか?」
「はい!例の練習です!もう少しでできる気がするんですよ!」
「先に一つだけを完璧にしなくていいのか?」
「それは完璧です!」
「本当に?」
「.....まあ任せてください!この佐鳥にかかればすぐに両方とも身につけてやりますとも!」
「ははっ楽しみにしてる。」
佐鳥が完璧だと言ったので聞き返したのだが目を逸らしながらスルーしたので笑ってしまったが、佐鳥は感覚派なのでいずれどちらもできるようになるだろうと思い、俺もスルーすることにして佐鳥と狙撃手用訓練施設に向かった。
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トリガーと防衛任務②
「あ、東さんと木崎さんがいますね。」
先に入った佐鳥が東さん達を見つけ、近寄っていくので俺も後に続く。
「お、佐鳥に神楽じゃないか。」
「佐鳥、神楽、練習か?」
「「はい。」」
東さんが俺たちに気づき、木崎が聞いてきたので答える。
その後佐鳥は東さんに話しかけていったので俺は木崎さんに話しかける。
木崎さんとはスナイパーになったのがほとんど同時期だったのでよく話している。ちなみにスナイパーになったのは東さん、佐鳥、俺と木崎さんの順番になっている。
「木崎さん、今日は東さんに教えて貰ってるんですか?」
「ああ、前から約束してもらっていた。」
木崎さんは理論派のため佐鳥のような感覚派では参考にならないので東さんに師事している。
まあそれを抜きにしても東さんが1番上手いというのもあるが。
ちなみに俺の場合はサイドエフェクトを使って狙撃しているので他の人と感覚が違うので師事していない。
「どうです?だいぶ慣れました?」
「命中率自体はほとんど当たっている。だがまだ狙いからずれるな。」
「精密狙撃ですか、俺も今日は精密狙撃を練習しようと思ってるんでゲームしませんか?」
「どんなゲームだ?」
「ルールとしては簡単です。的に当ててどれだけ多く点を取れるか、です。」
「的は何を使う?トリオン兵か?」
「いや、普通の的でいいと思います。的の種類として今回は精密狙撃の練習なので大きさを3種類用意します。これを30個出現させ、点数を競います。撃つ距離は100〜300にします。」
ちなみに的の大きさは大きい順から直径30cm、20cm、10cmとする予定で、点数はそれぞれ10、20、30点として真ん中を撃ち抜くと満点、それ以外を撃ち抜くと半分の点数を得る。
本当は的を動かして難易度を調整したいが難易度をごとの点数調整が面倒なので今回はやめておく。
「いいぞ、やってみるか。あと東さん達も誘おう。」
「良いですね。東さん、佐鳥!」
話していた東さんと佐鳥も誘いゲームへの参加を取り付け、ルールを説明していく。
説明が終わったら早速準備に取り掛かり、出てくる的の数をそれぞれ15、10、5個と設定し、満点だと500点になるようにした。
「的が見つけられなかったらあれなんで的は見つけられるようレーダーに載せときますね。」
「よし、じゃあまず俺からやっていいか?」
東さんが最初に立候補したのであとは年齢順に決まり、木崎さん、俺、佐鳥の順番になった。
東さんが狙撃体勢になり、始まるのを待つ。
「じゃあ始めます。開始。」
俺が合図を出し、システムを起動させる。
システムの起動後、即座に的が30個出現し、東さんが目につく的から順番に狙撃していく。
「これ、大きい順に撃った方が良いですかね?」
「んー別にタイムアタック要素ないから自分が好きなように撃っていいと思うぞ。まあ大きいのから小さいのにした方が合わせやすいか?」
「人それぞれだな。俺は一応大きい方から撃っていく予定だ。」
「俺は左からにしますかね。」
「じゃあオレは左からで。」
東さんが撃っていくのを見ながら俺たちは各自がどう撃っていくか話す。東さんは見つけたのを即座に撃っているので早いスピードで的がなくなっている。
もし、タイムアタック要素があれば東さんが1位確実だろう。
まあ技術も1番あるので今回も1位かもしれないが。
「終わりましたね。結果は大中全て真ん中、小は2つ真ん中、あとは全部ヒットで合計455点です。」
「これが基準になるのか?東さんより先にやっておいた方が良かったな。」
「そうですね。オレは最後なんで余計にそう思います。」
次々と撃っていき、結果はこうなった。
結果
東 455点 大15中10小2 =410 +45
木崎 395点 大12中7小1 = 290 +15+30+60
神楽 395点 大10中8小1 = 290 +25+20+60
佐鳥 415点 大14中8小1 = 330 +5+20+60
順位は1位東さん、2位佐鳥、同率3位木崎、俺となった。
各自全ての的に当てはしているためどれだけ精密に狙撃できているかで順位が決まった。
「流石東さんですね!大中は全弾真ん中、小さい的も真ん中に近いです!」
「ああ、それに比べて俺たちはまだまだだ。」
「神楽の言う通りだ。大きい的を完全に真ん中で撃てるようになるまで練習だな。」
「じゃあこれから各自で練習するか。」
東さんの言葉を受け、それぞれがゲーム中に見つけた課題に取り組むため練習に向かう。
俺の練習は、まだ姿勢に気をつけながら的の真ん中を完全に撃てるようになるまで撃つ基礎練習をしている。
これをすることによりイーグレットをどう構えて、どう撃ったら弾がどう飛んでいくのか覚えられるのだ。
完全に覚えたらどの体勢でも撃てるように練習、最後にスコープなしで撃つ練習をし、スコープありと同じ精度にする。
最終的にスコープなしで狙撃することで他のスナイパーより早く狙撃ができるようになるのが目標だ。
あとイーグレットはトリオンがあるほど射程が伸びるので俺のトリオンだと超遠距離狙撃が可能なのでそれもできるように基礎をまず培っていく練習をした。
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