ワンダーワールドを開く者 (ボルメテウスさん)
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イマジネーションの扉は開かれる

以前、キーブレードが仮面ライダーセイバーのSSを短編で書かせてもらいました。
イマジネーションベルトの情報が、まだ出ていない事もあり、本格的に出てから、今作を書く事にしました。
また、こちらで、様々な応募を行っています。
皆様の応募、お待ちしています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=304316&uid=45956


 ワンダーライドブック。

 

 かつて世界を創った「全知全能の書」がバラバラに分割されたもので、各々に対応する伝承を封じ込めている。

 

 そして、俺が所属するソード・オブ・ロゴスは、はるか昔から、聖剣に選ばれた剣士たちと共に世界を作った「大いなる本」を守り、世界の均衡を保ってきた組織である。

 

 未だに、ワンダーライドブックの多くは行方が分からない物が多く、危険性も高い為、俺のようにワンダーライドブック回収任務を担っている者は少なくない。

 

「それにしても、こうして、日本に来るのも久し振りだな」

 

 そう言いながら、俺は日本の街並みを見て回っていた。 俺が、この日本に来た目的としては一つ。最近になって、メギドの目撃が頻繁に起きている為だ。

 

 現在、ソード・オブ・ロゴスで保管された多くの本は、メギド達によって、強奪されている事が分かっている。

 

 だからこそ、俺のような剣士たちが、その奪われた本を奪還するべく動いているのだ。 

 

「.ん?」 そんな時だった。ふと、視界の端に何かが入り込んだ気がした。 

 

「あれは.!?」 

 

 視線を向けると、そこには怪しい影が一つ。建物の屋上からこちらの様子を伺っている。

 

 その、あまりにも人間離れをしている容姿からして、メギドに違いない。 

 

 俺はすぐさま駆け出し、メギドが居る建物に向かってジャンプする。

 

 それに対して、相手は、驚きを隠せない様子だが、すぐに後ろへと飛ぶ。

 

 そのまま、俺はそのままメギドを見る。

 

「岩の怪物、ガーゴイル・メギドと言った所だな」

 

「グルルッ!」

 

 ガーゴイル・メギドは、俺の方を見ると、そのまま警戒するように、うなり声を出す。

 

 だが、そんなガーゴイル・メギドに対して、俺は気にせず、そのまま懐からある物を取り出す。

 

 それは、正面には円と棒が組み合わさったハンドルの様な意匠が、側面には鍵穴が備えられており、全体的に金庫の様な外見のバックルとなっている。

 

「このまま、お前を放っておくのは危険だからな、倒させて貰うぜ」『ディズニーイマジネーションベルト!』

 

 そのまま、取り出したディズニーイマジーネションベルトを、そのまま腰に巻く。

 

 それと共に、手に持った鍵をそのままディズニーイマジネーションベルトに装填する。

 

 すると、ディズニーイマジネーションベルトから、光がゆっくりと点滅する。

 

 ガーゴイル・メギドは、それに対して、驚きながらも、構える。

 

「行くぜ、変身」『イマジネーション! ミッキーマウス!』

 

 鳴り響く音声。

 

 それと同時に、ディズニーイマジーネションベルトの金庫のドアは開かれ、そこから、飛びだしたのは、ディズニーイマジーネションベルトの中にいる俺に力を貸してくれる存在の1人であるミッキーマウス。

 

 ガーゴイル・メギドは、突然の事で、驚きを隠せない最中で、周りの景色は、徐々に変わりながら、俺もまた、変わっていく。

 

 同時に、俺の身体もまた変わる。

 

 その姿は、ミッキーマウスを思わせる赤と青の鎧を身に纏い、その手には鍵型の武器、キーブレードを手にする。

 

 そうして、変身が終われば、周囲は、新たな空間が出来上がる。

 

「さぁ、物語の開演だ」

 

 それに合わせるようにガーゴイル・メギドは、俺に向かって突撃してくる。 俺は、それを軽くかわすと、すれ違いざまに、一撃を加える。 そして、再び距離を取り、互いに睨み合う。 どうやら、向こうも本気で来るつもりらしい。 

 

「ならっと」

 

 すると、ガーゴイル・メギドがこちらに突っ込んで来る。だが、俺は、そのままキーブレードを上に掲げる。

 

 それに合わせるように、周囲から、手足が生えた箒が現れる。

 

「っ!?」

 

 ガーゴイル・メギドは、それに対して、驚きを隠せない最中、箒達は空中に浮かび上がり、掴み掛かってくる。

 

「!!」

 

 ガーゴイル・メギドは、すぐに箒達を振り払っていく。

 

 元々、身体が軽い箒という事で、簡単に振り払う事は出来たが、それでも十分だった。

 

 俺は、そのまま剣を振るう。 ガーゴイル・メギドの胴体部分から生えている腕のような物を切り落として、攻撃を防ぐ。

 

 そして、すぐに別の腕が伸びて来て、俺の腕を掴んだ。

 

「甘い甘いっと!」

 

 だが、その腕も斬り落とす。 しかし、さらに別な腕が生えてきて、俺の首元を狙って来た。

 

 どうやらこのメギドには再生能力があるらしい。 

 

「なら、一気に勝負を決める! 」

 

 俺はそのまま、滑るように、避けながら、そのまま、ディズニーイマジーネションベルトに装填されている鍵を回す。

 

『イマジネーション! フルマックス!』

 

 鳴り響く音声、同時に、俺はキーブレードの剣先を、真っ直ぐと、ガーゴイル・メギドに向ける。

 

 キーブレードの剣先に、そのまま多くの光が集まる。

 

 ガーゴイル・メギドも、それに気づいて、すぐに向かおうとするが。

 

「トリニティ!」

 

 その叫びと共に、放たれた光は、そのままガーゴイル・メギドを貫く。

 

 貫かれた一撃は、さすがにガーゴイル・メギドに大きなダメージを与え、悲鳴を上げさせる。 

 

 同時に、爆散し、ガーゴイル・メギドを確かに倒す事が出来た。

 

「よっと、こんなもんか」

 

 そのまま、俺はディズニーイマジーネションベルトの扉を閉じて、そのまま変身を解除する。

 

 それと共に、周りを見るが、アルターライドブックはない。

 

「さて、どうしたもんか」

 

 そう、考えていると、こちらに迫る気配。

 

「ここに確かに目撃証言があったけど、メギドは?」

 

「いませんね、一体どこに」

 

「んっ、その剣、もしかして、ソード・オブ・ロゴスか?」

 

 どうやら、メギドが出てきた事で、駆けつけたソード・オブ・ロゴスらしい。

 

「んっ、その腰にあるのは、もしかして、あなたは!」

 

「知っているのか、倫太郎?」

 

 そう、俺の事を知っている様子で、倫太郎と呼ばれた青年は、目を見開く。

 

「初めまして、俺は、空。ソード・オブ・ロゴス、アガスティアベース所属の剣士だ」




ディズニーイマジネーションベルト
ワンダーライドブックの中でも、一際特別なワンダーライドブックであり、一つのドライバー。様々な物語が一つに収まっており、物語の鍵となる『イマジネーションキー』を装填する事で、その物語の力を解放する事が出来る。

仮面ライダーディズニー
ディズニーイマジネーションベルトを使って、変身するライダー。他のライダーとは違い、聖剣を持たない。その代わりに、解放したフォームから出てくる鍵、キーブレードを武器に戦う。

ミッキー・イマジネーション
『ミッキーイマジネーションキー』を装填する事で、変身する事が出来る姿。数多くのイマジネーションの中でも、基本的な性能を引き出す事が出来、武器である『キーブレード』によって、様々な魔法を使用する事が出来る。
様々な状況に対応出来、戦いの基盤となる。
この際のキーブレードは『キングダムチェーン』


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日本での空

その日、俺は無事に日本へと辿り着くと共に、そのまま現地の剣士の1人である倫太郎さんの案内で、彼らの拠点であるノーザンベースへと歩いていた。

 

「アガスティアベース、聞いた事ない所だな」

「えっと、あなたは?」

 

そう、向かっている途中で、俺は全然知らない人物に目を向ける。

 

「あっ、俺は神山飛羽真、一応、炎の剣士であるセイバーで、本業は小説家だ」

「小説家?また、なんで、剣士になったんだ?」

「まぁ、色々あってな、それよりも、アガスティアベースって、一体」

 

そのまま、俺の疑問を応えた飛羽真さんは、そのまま、俺に再度質問してくる。

 

「まぁ、簡単に言うと禁書の保管を目的にしている場所だ」

「禁書?」

 

それに対して、飛羽真さんは首を傾げた。

 

「人々を脅かす力を秘めた危険な本の事です。多くはサウザンベースで厳重に保管されていますが、そのさらに危険な禁書を保管されている場所の事です」

「そんな所があったのか」

「まぁ、いるのは、実際には俺以外は、本を守る為に造られた存在であるアガスティアベースの衛兵ぐらいしかいないからな。

俺は、こうして、様々な地で、ワンダーライドブックを探すのが目的に活動している」

「僕達、ノーザンベースはメギドを人々から守り、サウザンベースは組織の管理、そしてアガスティアベースはワンダーライドブックを探す事を目的に活動しているんです」

「そうなのか」

 

そう言っている間にも、辿り着いたのは、ノーザンベース。

 

「よく来てくれました、ディズニー。歓迎します」

 

そう、俺を迎えてくれたのは、このノーザンベースの本の守護者であるソフィアさんだ。

 

「いえ、それよりも、今、大変な事が起きていると聞きましたが」

「えぇ」

 

そのまま、現在の状況を教えてくれた。

15年前に無くなったと思われる闇黒剣月闇と共に、カリバーがメギドと共に活動している。

それに対抗する為に活動しており、先日、キングオブアーサーというワンダーライドブックを手に入れた事を聞く。

 

「なるほど、結構、厄介な事になっているな」

「力を、貸してくれますか?」

 

そう、ソフィアさんは、俺に問いかけてくる。

 

「俺自身、ワンダーライドブックの回収が任務である事は承知ですね」

「えぇ」

 

それと共に、俺が既に断る雰囲気になっているのか、少し暗い雰囲気になっていた。

 

「ならばこそ、ジャアクドラゴンを始め、メギド達が使うアルターライドブックもまた、俺の任務の対象です。

ぜひ、協力させてください」

「おぉ、という事は、新しい仲間か!」

 

それと共に、この日本での新たな生活が始まる。



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不思議なワンダーライドブック

「そう言えば、気になっていたんだけど」

「どうしたんだ?」

 

俺が本格的にノーザンベースとの協力を行う事になると共に、飛羽真さんが俺に尋ねてきた。

 

「君が使っているそのワンダーライドブックって、一体どういうのかな?俺達が使っている奴とは、どこか違うような気がするけど」

「あぁ、ディズニーイマジーネションベルトの事か」

「ベルト?」

 

その言葉に対して、倫太郎さんもまた首を傾げる。

 

「俺の持つ、このディズニーイマジーネションベルトには、他のワンダーライドブックとは違い、膨大な物語が入っているんだ」

「たった一個のワンダーライドブックにですか」

「へぇ、そうなんだ。いわゆる短編集とかの物語が集まっている感じなのかな?」

「まぁ、そう言うと分かりやすいかも。

それで、これは聖剣では解放されずに、この鍵が必要になるんだ」

 

それと共に俺が取り出したのは、一本の鍵。

ディズニーイマジーネションベルトを使う時に必要な鍵。

 

「それは一体」

「ディズニーイマジーネションベルトを開く為の鍵。これを装填する事によって、それに対応する物語を発動する事が出来るんだ」

「へぇ、どんな物語があるんだ」

「色々とあるけど、俺がその中でもお気に入りなのは、これですね」

 

その言葉と共に、俺が取り出したのは、ミッキーマウスが描かれている鍵。

 

「これは?」

「ミッキーイマジネーションキー。ネズミのキャラクターであるミッキーマウスの力を宿す事が出来るんだ」

「ミッキーマウス?」

「あぁ、俺が変身するディズニーの中心人物と言えるんだ」

「これ以外にも、一体、どんな物語があるのか」

 

それに対して、興味深そうに、そのままディズニーイマジーネションベルトを見る。

 

「まぁ、それは後のお楽しみって「大変大変!異変が起こっているよ!」誰?」

「あっ、こっちは芽依ちゃん、俺の担当なんだ」

「・・・えっっと、状況は分からないけど、とりあえずメギドが現れたんだね」

「そうなの、だから、急いがないと!」

 

その言葉に賛同するように、俺達はすぐに向かった。

そこには、多くの人々が逃げ惑っており、その中心にはアヒルを思わせる容姿をしたメギドがいた。

 

「この前の、生き残りがいたのか」

「やぁやぁ、君達と新しい奴か?まぁ、俺の新しい姿を見せようじゃないか」

 

その言葉と共に、奴の身体に、様々なパーツが合わさり、その容姿は大きく変わる。

 

「兄弟達の力を全て手に入れた俺は、無敵」

「だったら、試してみようか」

 

同時に、俺はその手には、氷を思わせる鍵があり、そのままディズニーイマジーネションベルトに装填する。

 

「変身」『エルザ!イマジネーション!』

 

その音声と共に、ディズニーイマジーネションベルトが一瞬だけ凍る。

だが、それと共に鳴り響いた音と共に、俺の身体はそのまま薄い氷の鎧に覆われる。

 

「氷?」

「あぁ、あえて言えば『とある姉妹が氷の力に悩みながらも、ありのままの自分を見つける物語』かな」

 

そのまま、俺は手にした氷のキーブレードを構えながら、目の前にいるメギドに目を向ける。

 

「何よりも、どうやらお客さんは、他にもいるようだしね」

 

それと共に見つめた先にいたのは、今回の1件に、深く関わりがあると思われるカリバーだった。

 

「カリバーっ」

「メギドはこっちでなんとかしますよっと!」

 

そのまま、俺は眼前にいるメギドに向かって、滑りながら走る。



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氷の王様

「お前達程度に負けると思っているのかぁ」

 

それと共に、目の前にいるハクチョウメギドは、俺に向かって、その爪を振り下ろそうとした。

だが、それよりも早く、俺は、その場を移動していた。

 

「えっ?」「よっと」

 

それは、地面を凍らせた事によって、俺は後ろへと滑って、下がった。

それに対して、ハクチョウメギドは驚きを隠せない様子であったが、俺はそのまま手に持ったこの姿のみ、使う事が出来る氷の剣であるクリスタルスノウを、そのまま構える。

すると、俺を中心に氷の刃が現れ、そのままハクチョウメギドに向かって、襲う。

 

「冷たっ、冷たいっ!冷たいじゃないの!!」

「そうか、少しも寒くないけどなぁ」

「だったら、どうしたんだぁ!」

 

そう軽口を言っている間にも、ハクチョウメギドは、その背中にある翼を広げながら、こちらに迫っていく。

その見た目からして、空を飛ぶ事はある程度、考えていたが、俺はそのままクリスタルスノウを構えながら、受け止める。

 

「おっと」

「ほらほらぁ、どうするんだぁ!この攻撃に耐えられるかぁ!」

 

この姿の時には、俺の格闘能力は、他の姿に比べてもかなり低い。

ある意味、能力頼りの姿である事もあり、こういう近接戦闘は苦手だ。

 

「まぁ、それを補う方法はあるんだけどなぁっと」

 

俺はそのまま、ハクチョウメギドからの攻撃を弾く。

それによって、少しだけ距離が開く。

 

「無駄無駄、この無敵の俺に、お前1人でって」

 

そう、俺に対して挑発するように言っているが、その声は徐々に小さくなっていく。

それは、俺の足下に生成した存在を目にしての反応だろう。

 

「・・・つかぬ事を聞きますが、それは一体」

「マシュマロウ、氷の城の番人だよ」

「あぁ、そうなんだぁ」

 

そう、マシュマロウを見たハクチョウメギドは納得するように呟くと同時に、そのままマシュマロウは雄叫びをあげながら、真っ直ぐとハクチョウメギドに向かって行く。

 

「えぇ、嘘だろ嘘だろ!」

「無敵の力、見せて貰おうか」

 

そのままマシュマロウは、迫って来るのに対してハクチョウメギドは。

 

「だったら、空を飛んで逃げるまでって!?」「やらせると思うか」『イマジネーション!フルマックス!エルザ!』

 

その音声と共に、俺達を中心に巨大な氷の城を造り出す。

その氷の城によって、空を飛んで逃げようとしたハクチョウメギドは、閉じ込められてしまう。

 

「行くぜ、アヴァランチ・ブレイク!」

 

俺の叫びと共にマシュマロウは、身体から氷の刃を生やしながら、そのままハクチョウメギドに向かって突っ込む。

 

「少しも寒すぎるゥ!!」

 

その絶叫と共に、そのままハクチョウメギドを倒す事に成功した。

 

「さて、彼らの方はっと」

 

そのまま、俺はそのままマシュマロウに乗ったまま、飛羽真達の元へと向かう。

だが、そこでは、なぜか、雰囲気がかなり悪かった。

 

「これは、一体、何が起きたんだ?」



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裏切りの物語

カリバーの正体が判明した。

その正体は、仮面ライダーカリバーの正体とされる人物であり、かつて剣士としてソードオブロゴスに所属していた富加宮隼人ではなく、火炎剣烈火の前の所持者である上條大地であった。

その正体が判明した事もあり、父親だと思っていた賢人は冷静ではなかった。

 

「あぁ、もぅ、どうすれば」

「・・・空は、先程から何をしているんだ」

 

そう、俺が先程から、本を並べる作業をしているのに、気になった大秦寺さんは、そのまま見る。

 

「・・・いや、起と結しか見えなくて、どうしたら承転が見えるのかと思って」

「どういう意味なんだ?」

 

俺の会話を聞いていた賢人は、そのまま詰め寄ってくる。

 

「今回の1件で、カリバーの正体が富加宮隼人ではない事は分かった。

だけど、それと同時に、彼が行おうとした15年前の事件を止めたのは、多くの証言を聞いても、上條大地であるのは間違いない。

ならば、なぜ、彼はそれを再度、行おうとしているのか」

「なぜって、それは、なんでしょうか?」

 

それを聞いた倫太郎もまた、首を傾げてしまう。

 

「組織を裏切り、メギドと行動するのは、何か理由があるはず。その先にある目的も、未だに分からない。そもそも、裏切るきっかけとなった出来事は一体何だ?」

「それを言われると、確かに、この1件は、謎が多すぎる」

「だとしても、組織として、人々をメギドという脅威から守り、全知全能の書を復活させない使命を果たさなければなりません」

「だとしたら、あの2人は、それを離反するような人達なのか」

「そんな訳ないだろっ」

 

そう、俺が話していると、怒鳴り声が聞こえた。

 

「尾上さん」

「悪い、だけど、俺が組織に入る前から、俺はあの人達に世話になった。だから、そんな人達ではないと、今でも裏切った事が信じられなくて」

「・・・それは、俺も同じだ」

 

その言葉と共に、2人の言葉を聞いて、俺は頷く。

 

「・・・ならば、まずは仮にだが、裏切るきっかけはどこにあると思う」

「裏切るきっかけ?」

「あぁ、その要素が分かるだけでも、何かあるはずだ」

「まず、メギドからの勧誘と考えるが、あの2人が、それに誘われるとは思えない。賢人は、どうなんだ」

「・・・昔の父さんとの想い出の中では、そんな事に屈しないと思う」

「あぁ、組織で見た時にも、世界を守る事に命を賭けていた。その姿に、嘘はなかった」

「だったら」

 

そう話していた時だった。

 

「もしかしたら、あの時からかもしれません」

「ソフィアさん、何か、あったのか?」

 

そう話していたら、ソフィアさんが、話の中に入ってきた。

 

「実は、前任のカリバーが裏切る前に、世界を救えないと叫んでいました」

「世界を救えないって、一体」

「聞いた事がある。闇黒剣月闇には未来の災いの啓示する力があると」

「それって、つまり、あの人は、その未来を見て、それを変える為に行動したというのか」

 

それを聞くと共に、俺は少し納得した。

 

「これで承は、分かった」

「起は、つまりは全ての始まりである隼人さんの行動」

「承は、その行動のきっかけを作った闇黒剣月闇の能力」

「結は、15年前、父さんが起こした事件」

 

ここまでの間に、先代の闇の剣士である富加宮隼人が、なぜ事件を起こしたまでの手掛かりが分かった。

だけど。

 

「決定的な、メギドと手を組み、事件を起こした転が未だに分からない」

「ソフィア様が言っていた叫んだ後、どうしたんですか?」

「彼は、迷いなく向かいました。

それが、メギドの元なのか、どうかは」

 

未だに謎が多い。

けど、ここで、何か分かる。

もしも、ここで分からなければ、これと似た事件が起きる可能性がある。



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組織からの忠告

俺は、未だに解き明かされていない謎が気になり、行動を行っていた。

メギド達が何を企んでいるのか、分からない。

それでも、このまま放っておけば、危険な気がする。

だからこそ、俺は当時の事件の事が書かれた本を探っていた。

そんな時だった。

 

「それ以上、あまり探らないで貰いたいですね」

「・・・何の用だ」

 

俺が、その資料を探っている時に、後ろから声をかけられた。

振り返ると、そこには黒い服を身に纏った女性がおり、それが誰なのか一瞬、分からなかった。

 

「あなたは?」

「私はノーザンベースの剣士、神代玲花です。それよりもディズニー、あまりこの件は探らない方が良いですよ」

「それはなぜでしょうか?」

 

俺はそのまま、玲花さんに目を向けて、話す。

 

「いえ、この1件は、メギドにとっても大きな目的に関係している。もしも、調べたら、刺客に襲われ、命がない可能性もあるので」

「・・・そうなのか、では考えないとな」

 

その一言だけ聞いて、俺は納得すると共に、立ち去る。

メギドが、今、何を企んでいるのか。

それを探る事は、残念ながら、ここでは調べる事は出来ない。

 

「それと、どうやらカリバーが現れたそうです。今、ソフィアと会っているので、もしかしたら、彼女が危険かもしれません」

「ご忠告、感謝します」

 

その言葉と共に、俺はそのまま走り出す。

ノーザンベースの剣士が、ここでいきなり現れる。

それに対して、俺は疑問は大きかった。

普段、サウザンベースとノーザンベース、そしてアルカディアベースは互いに干渉する事は少ない。

そして、アルカディアベースの所属の剣士である俺は、他に比べて、独立している所もあり、権力は関係ない。

 

「だとすれば、おそらくは、10年前の1件、メギド側ではない、内部と関係している」

 

それが、誰なのか分からない。

だが、2人の剣士の裏切りの1件が繋がっているとしたら。

もしかしたら、世界の危機は、ソード・オブ・ロゴス内部での、誰かが関係していると、考えるのが妥当だろう。

 

「だとしたら、一体誰なのかというのが問題だ」

 

そんな疑問を余所に、俺は先程、教えられた橋の下へと向かう。

そこで見たカリバーの姿は以前のカリバーとは違い、さらに禍々しい姿へと変わっていた。

それと同時に、その手に持った暗黒剣を、振り下ろそうとしていた。

 

「させるかよ」

 

俺はそれよりも早く、手に持った一つの鍵を、ディズニーイマジーネションベルトに装填する。

 

「変身」『イマジネーション!ウッディ!』

 

鳴り響く音声と共に、俺はまさしくカウボーイを思わせる姿へと変化すると同時に、普段ならば剣の形ではあるが、この姿に合わせて、玩具の銃を思わせる姿へと変わったトイ・ロードを、カリバーへと向けて放つ。

 

「むっ」

 

それによって、マントを広げて、防ぎ、その隙に倫太郎さんが賢人を抱える。

 

「助かりました、空君」

「いいえ、それよりも、なんですか、あのワンダーライドブック」

 

俺はそのままカリバーが使っているワンダーライドブックを見る。

そのワンダーライドブックは、これまで見てきたワンダーライドブックの、どれにも属さない何か巨大な力を感じる。



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メギド達の罠

「この状況、どうしますか」

「撤退一択だろう」

 

その言葉と共に、俺は、2人に対して言う。

目の前にいるカリバーに対して、何も情報がないまま戦うのは危険過ぎる。

だからこそ、被害を最小限にしながら、戦う必要がある。

 

「お前達は逃げてくれ、ここはっ」

「お前が知りたい事も、仇を取る為にも、今は逃げるしかないだろう」

 

賢人は、そう、焦る気持ちを見ながらも、俺はすぐに前に出る。

 

「私が、それを聞いて、逃がすとでも」

「逃げさせて貰おうよ」

 

両手に持つトイ・ロードを構えながら、そのまま銃弾を放っていく。

それらの攻撃に対して、カリバーは、まるでダメージがない様子だった。

それだけでも、その力の強さが分かる。

 

「この程度か」

「なに、玩具で遊ぶんだから、良いだろ」『イマジネーション!フルマックス!』

 

その音声が鳴り響くと同時に、俺のディズニーイマジネーションベルトから飛びだしてくるのは、種類は様々な玩具の幻影。

それらに対して、カリバーが使っているワンダーライドブックから数多の邪龍が、それらの玩具達に襲い掛かる。

 

「ごめんな、皆」

 

俺はそう言いながらも玩具達が時間稼ぎをしている間に、その場にいた全員を連れて、その場を離れていった。

そのまま、俺達はサウザンベースへと戻る。

だが、そこで俺達はさらなる知らせを受ける事になった。

 

「それは、本当なんですか」

「あぁ、街で六カ所が、同時にワンダーワールドに取り込まれた。しかも、その内、二カ所のメギドを倒したが」

「未だに、街は戻らず。

しかも、どういう訳か、そこから光が出てきている」

 

それと共に、街の様子が映し出されている。

その様子は、俺達は疑問に思えた。

 

「これは、明らかに罠だよな」

「あぁ、それは間違いない、けど、これは一体」

「でっ!どうすんの?あれ完全に罠だよ」

 

その問いかけは、まさしく俺達のこれからの行動に関しての質問だろう。

 

「そうだな。ここは下手に動けない」

「いや、罠ごとぶち壊す。街と一緒に飛ばされた人たちを、早く助けなきゃなんねえだろっ!たとえ罠でも行くしかない。残る四つの街でもメギドがいるはずだ。手分けしてそれぞれの街へ向かう」

 

その言葉と共に、向かおうとした時。

 

「・・・もしかしたら、聖剣の力を集めている?」

「なんだって?」

 

俺はそのまま、先程の光景の色を思い出す。

 

「聞きたいけど、メギドを倒した時、何か変な事、起きませんでしたか?」

「んっ、あぁ、そう言えば、倒した時、聖剣が光っていたような」

「あぁ、それ、俺も同じだ!」

 

それと同時に、実際にメギドを倒した2人からの言葉を聞いた。

 

「だとしたら、もしかしたら、聖剣の力を集めている」

「だったら、メギドを倒したら、危険じゃ」

「いや、反対かも。確かに、別の聖剣の力だったら、危険かもしれないけど」

「反対に、既に倒した飛羽真と蓮ならば、問題無い可能性があるという訳か」

 

それに、対して、頷く。

 

「ほとんど、直感かもしれませんけど、このまま何もしないよりは」

「マシかもな、だったら、3人ずつ、行動するぞ」

 

その尾上さんの言葉と共に、俺達はすぐに現場へと向かう事にした。



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メギドの強襲

俺達は、すぐに事件を解決する為に向かった。

俺、飛羽真、倫太郎、賢人の4人で、次の目的地へと向かった。

 

「すぐにでも、ここを止めないといけないっ」

 

それと共に、すぐに飛羽真は目的の場所へと向かおうとした瞬間だった。

 

「炎の剣士、お前は行かなくて良い」

 

俺達の前に、立ちはだかった影。

そこにいたのは、緑と赤のメイクが施された道化師のような白い怪人と牛や山羊を思わせる黒い角と鋭い牙を持つ屈強な体格の怪人。

 

「こいつらはメギド」

 

俺はそのまま構える。

 

「あぁ、今まで何度も戦ってきた」

「かなり強敵で、しかも、人間の姿にも化けられる」

「なんだって」

 

その言葉に、俺は驚きを隠せなかった。

これまで、多くのメギドと戦ってきたが、人間の姿になれるメギドなど聞いた事も見た事もない。

 

「あなたは確か、そうですか、それが」

「あぁ、どうしたんだ、ストリウス」

 

そうしていると、向こうのメギドの内の一体であるストリウスと呼ばれる奴は、俺の方を見る。

 

「ズオス、少し変更しましょうか」

 

そのまま、その剣は、俺の方へと向けられていた。

 

「あそこにいる奴のワンダーライドブックを奪いましょう」

「あぁ、なんでまた」

 

するとズオスと呼ばれたメギドは、そのままストリウスに尋ねる。

 

「あのワンダーライドブックを奪えば、この世界とワンダーワールドを繋げるのが、より簡単になりますから」

「へぇ、そうなのか」

 

その言葉の意味が、どのような意味か分からない。

だが、俺の持つディズニーイマジネーションベルトを奪われる訳にはいかないようだ。

 

「飛羽真は、先に行ってくれ、ここは」

「あぁ、俺達に任せておいてくれ」

 

そのまま、俺達はすぐに構える。

 

「あぁ、分かった、頼んだ!」

 

俺達はすぐに構える。

同時に飛羽真は、ワンダーワールドへと向かうように走る。

それと同時に、俺も走り出す。

 

「変身」『イマジネーション!シュガーラッシュ!』

 

俺は、そのまま姿が変わる。

それは、これまでのようなファンタジーを思わせるディズニーから一変。

パーカーにはお菓子を思わせる絵柄があり、巨大な右腕、さらにはハンマー型のキーブレード、Re・リビルドハンマーを手に持つ。

そのまま、俺の身体が僅かにブレながら、そのまま2体に向かって、俺は右腕を振り下ろす。

 

「なっ」

 

その場所が、巨大な破片で、周囲に散らばる。

同時に、既に仮面ライダーに変身していた倫太郎と賢人の二人が、2体のメギドに攻撃を仕掛ける。

 

「今だ!」

「あぁ」

 

その言葉と共に、飛羽真はそのままワンダーワールドへと向かう。

後は、俺達は、この2体のメギドを足止めをする事に専念する。



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ディズニーイマジーネションベルトの扉

「おいっストリウスっ!炎の剣士が行ってしまったぞ!」

 

その言葉と共に、目の前にいる倫太郎からの攻撃を受け止めながら、ストリウスの方に怒鳴りつけるズオス。

そんなズオスの怒声に対して、ストリウスは、変わらない飄々とした態度で笑みを浮かべていた。

 

「問題はありませんよ、ズオス、彼がこの場にいるのだったら、計画も順調に進むのですから」

「そんな余裕の態度で、いられるか!」

 

その言葉と共に賢人もまた、ストリウスに向けて、斬り裂く。

 

「なぜ、あそこまで余裕なのか」

「それは、お前自身が分かっているはずだ」

「っ」

 

それと共に聞こえた声。

同時に、俺はすぐにバグによるワープを行う。

この姿は、いわばゲームの中にある物語を解放した姿。

それによって、バグによって起きる瞬間移動を行う事が出来、背後から迫った攻撃をすぐに避ける事が出来た。

そうして、すぐに避ける事が出来た俺が見えたのは、カリバーだった。

 

「カリバー、いや、上條さん。なんでソード・オブ・ロゴスを裏切ったんだ」

 

その問いかけの答えを知りたかったのは、俺だけではない。

倫太郎も賢人も同じだった。

それに対して、彼は変わらない様子だった。

 

「自分は裏切り者ではなく真理の探究者だ」

「何を言っているんですかっ!」

 

その答えに納得が出来なかったのは、倫太郎だった。

しかし、そんな倫太郎の言葉を聞きながらも、彼は続ける。

 

「ソードオブロゴスから離れメギドに協力しているのも、ひとえに真理を探求する為だ」

「真理だと」

 

その言葉に疑問に思う。

 

「だったら、その真理とは一体何なんだ!組織を裏切ってまで求める物なのか」

「話してわかるものではない!」

「だけどっ、話さなければ、わかり合う事も出来ないだろうが!」

 

俺はその答えに納得いかずに、そのままバグによる瞬間移動と共に、俺はすぐに攻撃を仕掛けようとした。

だが、その攻撃は、上條には見透かされており、簡単に受け止められた。

それと同時だった。

 

『ジャアクドラゴン』「ふんっ」「なっ」

 

彼は、もう片方の手に持っていたジャアクドラゴンのワンダーライドブックを起動させると共に、俺のディズニーイマジーネションベルトに押しつける。

すると、ディズニーイマジーネションベルトから溢れ出るのは、光ではなく闇。

それと共に上空に現れたのは、なんと巨大な本だった。

 

「なんだっあれは」

「目次録、まさか、ここまで簡単に現れるとはな」

「どういう事なんだっ」

 

困惑する最中、ストリウスは笑みを浮かべる。

 

「それは、巨大なワンダーライドブックであると同時に、ワンダーワールドへの入り口となるベルトでもある。

だからこそ、そこに過剰な力を加えれば、簡単に扉を開く事が出来る」

「なんだよ、こんな面倒な事をしなくても、そいつを手に入れたら、良かった話かよ」

「ぐっ」

 

ストリウスとズオスは、そのまま俺の方へと向かう。

それに合わせて、上條も近づく。

だが。

 

『ガアァァァ!』「むっ」

 

ディズニーイマジーネションベルトから、ジャアクドラゴンが、その姿を現した。

それに対して、3人は、そのまま吹き飛ばされてしまう。

同時に空に浮かび上がった本は、少しずつ透明になっていく。

 

「一体何が」

「ふむ、ワンダーライドブックを使った場合は、世界を守る力によって、止められる訳のようですね、ジャアクドラゴンも、元々はその一つだから」

「ちっ、どうするんだ」

「ここは引きましょう。何、既に入り口は出来ているのだから」

 

その言葉と共にストリウス達は、その姿を消した。

 

「はぁはぁ、ごめんっ、まさか、こんな結果になるなんて」

 

これは、俺にとっても予想外だった。

まさか、ディズニーイマジーネションベルトには、その力があるとは。

 

「謝る事はありません。まさか、あんな力があるとは」

「だけど、どうする、敵の計画は進んでしまった」

 

そのまま、俺達は上にある本を見つめる。



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意思を信じて

現実世界とワンダーワールドが繋がってしまった。

これは、かなりヤバい状況であるのは分かっている。

それと共に。

 

「空、悪いが、お前はしらばく待機してくれ」

 

尾上さんは、その一言を告げられた。

それに関しては、俺は否定する事は出来なかった。

 

「けど、この状況で、抜けるのは」

「あぁ、確かに強いのは分かっている。剣士としても実力は認めている。

だけど、同時に、もしも次に奴らにディズニーイマジーネションベルトが悪用されたら」

「今度こそ、復活は完全な物になってしまう」

 

それが意味をするのは、この現実世界の終わりを意味している。

前回の戦いで、カリバーが使ったのが、まだワンダーライドブックであった事が幸運だった。

ワンダーライドブックに宿っている意思は世界を守る為に行動している事もあり、僅かながら、世界を繋ぐ事を防ぐ事が出来た。

しかし、奴らは既に次の扉を開く準備は出来ている。

 

「これまでの計画で既に成功している部分を含めても、おそらくはあと一つに力が集まれば」

「あぁ、そう言っている間にもっ、もうっ」

 

その一言と共に、見れば、既に次のメギドが出現していた。

 

「とにかく、ここでなんとしてでも止めるぞ!」

 

それを聞いた飛羽真さん達は、そのまま現場へと向かっていた。

そうして、現場に向かうと共に、上條は飛羽真らの前でカリバージャオウドラゴンに変身する。

 

彼らまた変身し戦いを挑む。

戦力的には5対1での戦いとなるが、ジャオウドラゴンとなったカリバーの圧倒的な力になすすべもない。

 

そのまま、カリバーは倫太郎に必殺技を放つと、なんと賢人が身を挺して庇った。

それによって変身を解除され賢人の姿に。

しかも、その間にいたゴブリンメギドがいた事によって、カリバーの聖剣とブックが反応し、ついに現実とワンダーワールドが繋がってしまう。

 

「このままではっ」

 

それと共に、大秦寺さんは悩んでいた。

その最中、俺は、その目を、セットされているワンダーライドブックを見る。

 

「これは」

「それは、飛羽真がアヴァロンから持ち帰ってきたワンダーライドブックだ。

強い力があるが、それをどうしたら」

「・・・だったら」

 

それと共に、俺はディズニーイマジーネションベルトを構える。

 

「何をするつもりだ」

「・・・このままでは、世界が繋がってしまう。だけど、ジャアクドラゴンもまた世界を守る意思があるんだったら」

「それは、あまりにも無謀な賭けだ」

 

俺がやろうとした事に気づいた大秦寺さんは思わず叫んでしまう。

 

「それでも、ここでなんとかしなければ、世界は終わります。

ならば、俺は、ワンダーライドブックの意思を信じたい」

 

それに対して大秦寺さんは少し悩んだ。

それと共に、覚悟を決めたようにする。

 

「分かった、ならば」

「えぇ、命懸けで、なんとかします」

 

その言葉と共に、俺はディズニーイマジーネションベルトを翳す。

すると、そのワンダーライドブックから溢れ出たのは炎。

そして、その炎と共にワンダーライドブックには絵が出ており、そこにはドラゴンに乗った騎士。

そのワンダーライドブックは、そのまま真っ直ぐと、どこかへと飛ぶ立つ。

そこから感じる熱は、どこか信じられた。

 

「これで、なんとか出来ると良いが」

「あぁ、今は信じるしかないな」



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彼の原点となる物語

ドラゴニックナイト。

ディズニーイマジーネションベルトを通じて、誕生したそのワンダーライドブックの力は凄まじく、これまで苦戦していたカリバーに対して、善戦し、そして勝利した。

それと共に、宙に浮かんでいた本を炎の結界で閉じ込めた。

 

「これで、少しは保てる」

「ならば、もう一冊の本も」

「待て、さすがに、2度は」

 

そう、大秦寺さんの言葉よりも先に、なぜかもう一冊の本が光り始める。

それに疑問に思う俺達だが、その本は光輝くと共に、青いワンダーライドブック、キングライオン大戦記が生まれる。

だが、それと同時に、俺の身体もまた光り始める。

 

「これはっ、空っ」

 

大秦寺さんの言葉を聞きながら、俺はその場から一瞬で移動した。

 

「ここは、一体」

「ボンヌ・レチューヌ!」

「うわっと!?」

 

突然の声に、俺は思わず振り返ってしまう。

そこにいたのは、奇抜な衣装を身に纏っている男性であり、警戒する。

 

「初めましてだね。鍵を持つ勇者、空君」

「あなたは?」

「僕はタッセルこのワンダーワールドの守護者だ。今回は、ちょっとした偶然があって、君と話せるようになったんだ」

「偶然って、まさか」

 

それと共に、俺は先程試みた方法を思い出し、それを見たタッセルもまた、頷く。

 

「そう、君が行ったワンダーライドブックの力を解放する行為。

あれで、僕も少しだけど、君と話せるようになったんだ」

「そうなのか」

 

それと共に、俺は周囲を改めて見る。

それは、まるで物語の中に出てくるような家であり、窓の外に広がる光景は不可思議な光景。

 

「さっき、言ったワンダーワールドというのは、やっぱり」

「そうだね、君が思っている通りだと考えても良い」

「それで、俺と話をしたいって、一体何を」

 

そうしていると、タッセルは、何か本を取り出した。

少し疑問に思ったが、その本のタイトルは。

 

「キングダムハーツ」

 

そして、その下にはepisode I 旅立ちの章と書かれている。

そのまま、タッセルは本を開く。

それと共に描かれた物語の中には、俺と同じ名前のソラという登場人物がいた。

 

「っ」

 

同時に、その手に持つ武器は、キーブレード。

扉を開いた事によって、様々な世界が繋がり、冒険する。

 

「これって、まるで」

「これらの本は、いわば君が戦う時に力を貸してくれる中心になっている物語。

これらのおかげで、君はより多くの物語に触れる事が出来る」

 

ディズニーイマジーネションベルト自体が、扉のような形をしているのも、この物語の中にある世界を繋げる扉を象徴するようにしているからなのか。

 

「それで、それを俺に見せて、どうするつもりなんだ」

「言っただろ、僕はただ話したかっただけ。だけど、もしも、この物語を見たならば、忘れないで欲しい。繋がる心が、君にとっての力だという事を」

 

それを最後に、俺の意識は、再び消える。



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繋がり

タッセルさんから話を聞き、少しして意識を失った後、俺の意識が再び覚醒した。

 

「ここは」

 

目を覚ませば、そこはどこかの森の中。

何故、こんな森の中にいるのか疑問に思いながらも、俺はその手に持つ鍵が何かを導くように輝く。

 

「一体、どこにっ」

 

それと共に見つめた先。

そこには、セイバーに変身している飛羽真と、カリバーが戦っていた。

戦いの様子を見る限り、カリバーの方が圧倒的に有利な状態となっており、その手にある闇黒剣を構えていた。

 

「覚悟のない者は消えろ!」

 

その言葉と共に、カリバーの闇黒剣から闇のドラゴンが放たれ、飛羽真に向かって襲い掛かる。

 

「変身!」『イマジネーション! ミッキーマウス!』

 

俺は瞬時にディズニーに変身すると共に、その手にあるキーブレードで迫り来る攻撃を防ぐ。

 

「なにっ」「空っ」

 

この場にいる事が信じられないように見つめる2人を無視し、俺はその闇のドラゴンを跳ね返すと共に見つめる。

 

「ここがどこか聞きたい所だけど、今は、目の前にいるカリバーをなんとかする事が大切だな」

「あぁ、だけど」

 

それと共に、飛羽真は、何か迷っている様子だった。

 

「ここは、大いなる力の中。つまりはお前によって開かれた本の中だ」

「なに、という事は」

 

カリバーからの言葉に対して、俺は驚きを隠せなかった。

それと共に、あの瞬間に出会ったタッセルが、ワンダーワールドの守護者と言っていたことから、ここはもしかしたらワンダーワールドへと向かう途中かもしれない。

 

「確か、お前も知りたかったはずだな、真実を」

「なに?」

 

それと共に、カリバーは、そのまま語り始める。

 

15年前に先代の闇の剣士であった隼人さんとは仲間であり友だった上條。

だが、その隼人さんが「全ては世界を救う為」と、突如組織を裏切り、飛羽真の友人のルナを使って二つの世界を繋ごうとした。

隼人の言い分に納得できない上條は、幼い飛羽真を庇いながらもやむなく隼人さんを斬り捨てたが、巨大な本に吸い込まれるルナを助けることはできなかった。

この事件を契機に、隼人を変えてしまったのは「ソードオブロゴスではないか」と考えるようになり、自身が次の闇の剣士となって真実を探す為に組織を裏切った。

 

「それが、組織を裏切った理由か」

「そうだ」

 

その言葉と共に、構える。

 

「組織を離れ、全ての罪を背負い、メギドと手を組んででも、大切な友を悪魔に変えてしまって敵を、真実を明らかにすると。

私は富加宮が手に入れようとした普遍の真理を求めた!組織の中枢にいる真の敵を見つけ、その敵と戦うには力が必要だったからだ!!」

 

それと共に、カリバーは襲い掛かろうとした、

同時に、俺の中でもピースが確かに嵌まった。

だけど。

 

「あぁ、そうかよ。けどな、お前の言っている事は間違っている!」

「なに」

 

それに合わせるように、飛羽真もまた、すぐに立ち上がり、俺のキーブレードを重ねるように構える。

 

「15年前、あなたには仲間がいた!仲間のことを信じれば、一緒に力を合わせて戦えば、きっと違った未来もあったはずだ!」

「世界はそんなに単純ではない!!」

「あぁ、だけど、仲間を信じた力もっ、それを覆すだけの力がある!」

 

それと共に、俺達は同時に押し返す。

それと共に、あの時の言葉を思い出す。

 

「例え、この先の真理を辿り着いたとしても、その力が全てを解決できるかどうか分からない。何よりも、俺達にはもっと大きな力がある」

「大きな力だと」

「あぁ、そうだ俺達の武器は 聖剣でもワンダーライドブックじゃない。本当の武器は── 心なんだ」

「心? そんな脆いもの なんの役に立つ!」

「ああ 脆いかもな でも 俺の心は皆と繋がってる。大切な人と、大切な仲間と!」

 

そのまま、俺はキーブレードを押し返す。

 

「聖剣やワンダーライドブックは、そんな人の心に応えてくれた力なんだ!だからこそ、俺は、いや俺達は言える」

 

そして、俺達は同時にカリバーに向けて、ゆっくりと叫ぶ。

 

「「繋がる心が 俺達の力だ!」」



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王の剣と鎧

俺達は、その覚悟をカリバーに告げると同時に戦いは再開される。

カリバーは、その手に持つ闇黒剣月闇と共に、薙ぎ払うように斬る。

 

「はああぁぁ!!」

 

その斬撃に対して、俺は正面から、手に持つキーブレードで受け止める。

それと同時に、後ろにいた飛羽真もまた、火炎剣烈火で斬りに行く。

しかし、カリバーは、まるで流れるように身体を回転させながら、防御した俺を吹き飛ばしながら、同時に飛羽真を蹴る。

 

「ぐっ」

 

それによって、後ろへと飛ぶ飛羽真に目を追った隙に、カリバーは闇黒剣月闇の斬撃を、俺に向かって、放っていく。

 

「まだだ!」『イマジネーション!アイアンマン!』

 

鳴り響く音声と共に、俺は瞬時に、新たな姿へと変わる。

それは、これまでの姿に比べたら、明らかに近代的な姿であり、あえて言えばロボットを思わせる姿。

それこそが、天才頭脳を持つ発明家が造りだした鋼鉄のヒーロー、アイアンマンの力を纏った姿だ。

 

「はぁ!」

 

放たれた闇の斬撃に対して、俺は掌からエネルギー砲を放ち、相殺させる。

同時に、その手に、新たなキーブレードであるアイアンを手に持ち、そのまま構える。

 

「行こうっ、空!」『Don`t miss it!ドメタリックアーマー!ドハデニックブースター!ドハクリョックライダー!ドラゴニックナイト! すなわち、ド強い!』

 

同時に、飛羽真もまた、新たな姿であるドラゴニックナイトへと姿に変わると同時に、頷く。

カリバーもまた、瞬時に、闇のドラゴン達を召喚し、その背中に乗る。

 

「数は、あっちが圧倒的に多いか」

 

そう言いながらも、飛羽真もまた、諦める気はないように構える。

 

「・・・もしかしたら、飛羽真!」

「どうしたんだ」

 

これは一種の賭けかもしれない。

このまま戦っても、勝てるかどうか分からない。

ならば、この直感に、俺は信じたい。

 

「キングオブアーサーを貸してくれ!」

「分かった!」

 

真っ直ぐと、俺は飛羽真に向けて言う。

それに対して、飛羽真は、迷いなく、俺に向かって、キングオブアーサーを投げ渡す。

それと同時にキングオブアーサーを受け取ると共に。

 

「ワンダーワールドよ、俺達に力を貸してくれ」

 

その言葉と共に、俺はディズニーイマジーネションベルトにキングオブアーサーをスキャンする。

すると、ディズニーイマジーネションベルトから飛び出たのは、キングエクスカリバーだった。

 

「これはっ」

「それを、手に取れ!!」

「あぁ!!」

 

俺の叫びと共に飛羽真は、その手にキングエクスカリバーを手にする。

同時に、ドラゴニックナイトの身体はこれまでに見た事のない輝きを見せる。

 

「これはっ一体っ!」

 

驚きを隠せない最中、キングエクスカリバーの刀身は、一瞬で、銀河を思わせる輝きに変わる。

それが一体何なのか分からないが、それでも、今は。

 

「斬れっ、飛羽真ぁ!」

「はあぁぁぁ!!」

 

その力を一気に解放させるように、キングエクスカリバーを振り払う。

それによって、カリバーも、その周囲にいる闇のドラゴンも瞬く間に呑み込まれていく。

 

「はぁはぁ」

「この輝き、まさか」

 

それと共に変身が解除された上條さんは、驚きを隠せない様子だった。

 

「お前の言うようにもっと仲間を信じていれば、違う道があったという事か」

「上條さん…」

 

それと共に、ゆっくりとこちらを見る。

 

「神山飛羽真、空。お前達が私に代わって、真実を見つけてくれ!」

「俺達が」

「全ての元凶…組織の裏切り者は誰なのか?それが分かればおそらく、本に飲み込まれた少女にも繋がるはずだ!」

「ルナに…!」

 

まるで、これまで聞いた事のない名前であり、困惑を隠せなかった。

それと共に、上條さんは、そのまま倒れた。

 

「上條さん!」

「どうやら、ジャオウドラゴンの代償が、ここに来たようだ」

「そんなっ」

 

徐々に、その身体は闇の粒子へと変えられていく。

既に彼の身体は限界だったんだろう。

 

「・・・こんな物語は、認めない」

 

すると、ディズニーイマジーネションベルトの扉が上條さんを吸い込み始めた。

 

「これは一体」

「・・・私を呼んでいるのか」

「えっ?」

 

すると、上條さんの目はどこか虚ろだった。

しかし、それは、まるで何かに導かれるようだった。

 

「そうか、お前は、そこにいたんだな」

 

同時に、そのまま、彼の身体は闇から光に変わると共に、そのままディズニーイマジーネションベルトの中へと入っていく。

 

「一体何が」

「・・・分からない。ただ、これはワンダーワールドへと繋がっていると聞く。もしかしたら、そこで会いたかった人と」

 

そう、俺は言うしかなかった。

見れば、既にこの空間は限界だった。

闇黒剣月闇も、それに関するワンダーライドブックもなかった。

 

「・・・考えるのは後だ。とにかく、今はここから脱出しよう」

「そうだなぁ」

 

そう言い、俺達もまた、すぐにその場から脱出する事にした。




本編でのキングオブアーサーはかなり不遇だと今でも考えています。
個人的には、好きな部類でしたので、少しだけ活躍させて貰いました。


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裏切り者

「真の敵は、組織の中にいるって、何を馬鹿な事を言っているんですか」

 

戦いが終わった後、俺達はすぐに倫太郎達に合流した。

全員がボロボロの状態の最中、すぐに集まって話せるメンバーをそのまま呼んだ。

戦いの結果を報告すると共に、俺は、あの戦いで起きた上條さんから聞いた話を、この場にいる全員に言った。

 

「落ち着け、倫太郎」

「落ち着いていられませんよ、こんな事はっ」

「けど、それならば、少し納得出来る」

 

その言葉に対して、反論したのは、賢人だった。

 

「何を言っているんですか」

「父さんは、誰かに言われて、15年前の事件を起こした。もしも、父さんが誰かに、予知の事を話して、その結果が」

「・・・まだ、確信は持てないが、その行動には納得出来る」

「大秦寺さんまで、何をっ」

「倫太郎、俺は別にソード・オブ・ロゴスが悪だとは言っていない。これまで、世界を守る為に戦ってきたのは、俺達全員が確かに知っている」

「だったらっ」

「けど、同時に、15年前の事件を、メギド達と隼人さんだけで出来たと思うか」

「それはっ」

 

それに関して、倫太郎もまた、疑問に思っていた。

あの事件は、本当に世界の滅亡の危機であった。

それを防げたのは奇跡に等しい。

だけど、同時に当時のメギド達だけで、果たして実行出来たのか、疑問である。

 

「・・・それで、この事はどうするんだ?」

「俺としては、ノーザンベースの皆は信じています。むしろ、この中に裏切り者はいないと思っています」

「それは、僕だって」

「なら、怪しいのはサウザンベースと言う事か」

「確かに、俺達も、積極的にあそこに行く訳じゃないからな。知らない間に裏切り者が出る可能性はあるな」

 

その意見に対して、尾上さんも大秦寺さんも納得している。

 

「そういう事ならば、蓮が詳しいかもしれない」

「どういう事なんですか?」

 

それと共に尾上さんがふと、呟いた言葉に俺も飛羽真も気になった。

 

「そう言えば、お前達は知らなかったな、蓮は元々はサウザンベースに所属していたけど、風双剣の継承者として、選ばれたんだ」

「だけど、あいつが裏切り者という事は」

「・・・ならば、もしかしたら、このタイミングかもしれません」

「タイミングだと?」

 

それと共に、俺は頷く。

 

「裏切り者がどこにいるのか分からない。ならば、何か仕掛ける可能性があります。それも、15年前の出来事と似たような手口で」

「それは、確かに嫌な予感はするけど、どうするんだ?」

「裏切り者が本当に誰なのか、組織にどこまで力を持っているか分かりません。だけど、現状、裏切り者が狙うとしたら、俺と飛羽真の可能性が高い」

「確かに、飛羽真は実際にアヴァロンに行った。空も、そのディズニーイマジーネションベルトでワンダーワールドを繋げる事が出来る。これまでの事件で実行した事が実現出来る」

「だとしたら、その怪しい動きをした人物を捕らえれば「いや」えっ」

 

倫太郎はすぐに行動しようとしたが。

 

「その時は、その指示に従うのも良いかもしれない」

「何を言っているんですか、それじゃ、もしかしたら「なるほど、裏切り者のスパイという事か」えっ」

 

それに対して、尾上さんは笑みを浮かべる。

 

「あの事件を起こす程の力を管理しているんだ。かなり上の者の可能性がある。だが、このまま何も知らないで行えば、全滅する可能性がある」

「それじゃ、その為に、仲間に」

 

倫太郎は、それに対して、苦痛を覚えるように、手を握る。

 

「信じているからこそ、戦う事も出来る」

「まぁ、その時は、あれだ。模擬戦という事にしておこうぜ。お前達の新人の力を試すのにも丁度良いしな」

「・・・そう言えば、飛羽真に関しては剣士の修業を行っていなかったからな、これを機に鍛えるのも良いかもしれないな」

「えっえぇ、そんなの、ありですか!」

 

大秦寺さんの言葉に、飛羽真は思わずがくっと落ち込む。

 

「それで、この事は蓮には」

「あいつには、少しの間、黙っておこう。本当は疑いたくないが」

「念には念をだな」

「あぁ」



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敵の罠の裏側で

「飛羽真君、空君。君の持っている聖剣とワンダーライドブックを渡してくれないか?」

 

 その日、俺達は一緒に行動していた。

 

 これからの方針が決まると同時に、サウザンベースが、他の皆と連絡できるように、俺は飛羽真と一緒に行動していた。

 

 そして、その狙い通りと言うべきか、倫太郎達が待ち構えていた。

 

 倫太郎からの言葉に対して、驚きを隠せなかった。

 

「ちょっと……どうゆうこと?」

 

「ソフィア様がメギドに捕らえられました」

 

「えっ……?」

 

 その最中、倫太郎から発した言葉に対して、俺達は驚きを隠せなかった。

 

 これは、おそらく、事前に行っていただろう内部の敵が行った事への知らせだろう。

 

 堂々と、行う訳にはいかず、敵がどこから見ているか分からない。

 

 だからこそ、敵の指示に従いながらも、こちらに情報を渡す為に、言ってくる。

 

「それにより、私たちノーザンベースの剣士は今後、サウザンベースの指示に従うことになった」

 

「それがどうして聖剣とライドブックを渡すことに?」

 

「それがサウザンベースの指示なんだよ!」

 

 尾上さんからの言葉と同時に、それの意味もまた伝わる。

 

 それは、黙っている賢人へと目を向ける。

 

 同時に、俺の無言の言葉と共に頷き、この状況を作り出したのはサウザンベースである事は確定した。

 

 それによって、サウザンベースが黒い事は確定した。

 

「僕もそんなことはしたくはありません。だから飛羽真君も我々と共に戦ってください」

 

 それは倫太郎の心からの言葉だろう。

 

 だが、それが今は出来ない。

 

 それは百も承知だった。

 

「……それはできない」

 

「何故なんです?」

 

「上條さんから聞いたんだ。真の敵は組織の中にいると……」

 

「何言ってんだよ。そんなわけないだろっ!」

 

 それと同時に、事情を知らない蓮は、まさしき素の反応で、その言葉を言う。

 

 同時に尾上さんもまた、その言葉で確信したように頷く。

 

「上條さんは俺達を裏切ったんだぞ」

 

「でも最後の言葉は信じられる。15年前の真実を……力を求めたのは誰か……見つけると約束したんだ」

 

「力……やっぱりか……」

 

「裏切りの……連鎖……」

 

 そしれ、それらの言葉と共に、それを仕掛けた張本人は必ずいる。

 

 それを確信したように。

 

「あ──ーっ!! マジないわ!! あいつは賢人君を斬った! あんな奴の話を信じるならお前も裏切り者だ!! 俺が倒す! 変身!」

 

 そのまま、蓮は、すぐに変身し、飛羽真に襲い掛かる。

 

「ぐっ」

 

「ちっ、とにかく止めるぞ」「あぁ」

 

 それに合わせるように倫太郎達もまた、変身する。

 

「やるしかないかっ、変身!」『イマジネーション! アイアンマン!』

 

 鳴り響く音声と共に、俺はディズニーへと変身すると共に尾上と激突する。

 

 それと同時に、俺の相手となるのは、尾上さんと大秦寺さんの二人であった。

 

 戦いを行いながら、大秦寺さんからの攻撃はあまり来ない。

 

 それには、訳がある。

 

 そして、その最中で、何かに気付いた大秦寺さんは、こちらに攻撃を仕掛ける。

 

「ふんっ!」

 

 尾上さんとの戦いの最中、俺はそのまま大秦寺さんを殴る。

 

 同時に、俺はそのまま周囲の音を聞く。

 

 俺達三人の戦いを行うのには、訳がある。

 

 鋼鉄の鎧によって、身に纏った俺と、尾上さんがぶつかる事によって、その音は一種のソナーのような役割になる。

 

 そのソナーによって、大秦寺さんが、こちらを監視しているだろうサウザンベースの刺客を見つけ出す事。

 

 そして、それを見つけたら、合図に攻撃を行ってくる。

 

 その攻撃と共に、大秦寺に殴る事によって、そのまま、こちらを見張っている人物を撮影する。

 

「こいつはっ」

 

 そこに映っていたのは、以前、俺に忠告した女性。

 

「やはり、現れました」

 

 同時に女性が何かを呟いた。

 

「現れた?」「「?」」

 

 俺の呟いた言葉、それと共に疑問に思った二人。

 

 だが、それの意味が、すぐに理解できた。

 

 飛羽真達が戦っている最中、蓮の攻撃が芽衣さんに当たりそうになっていた。

 

 それを止めたと思われる謎のフードの男。

 

「聖剣は世界の平和を守るためにある。今の状況はよくないな」

 

「この人……誰?」

 

 その一言は、この場にいる全員が、確かに思った事だ。

 

「俺は世界を守る剣だ!」

 

 その言葉と共に取り出したのは、一冊のワンダーライドブック。

 

 そのワンダーライドブックを、そのまま腰にあるドライバーに装填すると共に。

 

『最光一章! 金銀の力を得た輝く剣! 最光!』

 

 それと共に、その男は消えた。

 

 いや、正確には、ワンダーライドブックに吸い込まれ、聖剣へと変わった。

 

「あれは、まさか」「光の聖剣、つまり」

 

 同時に、その狙いも理解した。



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最光な剣

「光の聖剣」

 

その登場に、俺達は驚きを隠せなかった。

このタイミングで現れた事もあり、もしかしたら、サウザンベースからの刺客なのか。

そう、俺は警戒していたが、光の聖剣は、明らかに飛羽真を守るように前に出ていた。

しかし、それ以上に驚きを隠せなかったのは、その光の聖剣自体だった。

光の属性を司る聖剣にして、仮面ライダー最光そのもの。

そして、その名前からカリバーの持つ闇の剣・闇黒剣月闇と対をなす剣である事も、すぐに理解出来た。

 

「だけど、聖剣自体になるのは、さすがに」

 

そう、俺は正直な感想を呟いていると、そのまま蓮に向かって、聖剣が攻撃を仕掛ける。

持ち手のいない光の聖剣だったが、宙を飛んでおり、その攻撃をすぐに避けた。

 

「宙に浮かんでいる」

 

まさしく、自分の意思で戦う聖剣。

その身体の大きさは、人間とは比べても小さく、その剣自体に攻撃を与える事は出来ない。

そして、まさしく名前の通り、光を思わせる速さで、次々と倫太郎達を吹き飛ばしていく。

致命傷ではない事もあり、彼が殺す気ではない事は分かる。

 

「光あれ」『最光発光!Good Luck!』

 

そして、最光の身体から放たれた光によって、全員が吹き飛ばされ、そのまま変身が解除された。

 

「ここは…」「ああ!引き際だな」

 

彼らもまた、すぐに退く事にした。

 

「まだ終わってなーいっ!」

 

そう叫んでいるが無理やり蓮を連れ退却する尾上さんと大秦寺さんが連れて行く。

それと共に、倫太郎と賢人はこちらを見て、そのまま後ろに下がる。

 

「本当に…残念です…」

 

同時に、この事が現実になった事もあり、倫太郎は落ち込みながら言う。

 

「神山飛羽真。またお前に会えた。今日は最高の日だ!」

「えっ」「知り合いなの?」

 

そう、光の聖剣は、飛羽真を知っている様子だった。

 

「俺はユーリ。世界を守る最高の剣だ」

 

そう、彼は言ってくれた。

未だに、怪しい所はあるが。

同時に、光の聖剣を見つめながら、サウザンベースの女性は、ゆっくりと下がっていった。

 

「・・・とりあえず、話はこっちで来てくれないか」

「んっ、お前は、ワンダーワールドの扉の持ち主か」

「うわっと、俺の事もやっぱり知っているのか」

「まぁな、それにしても、さっきの剣士達は「「ああぁぁぁああぁ」」んっ!?」

 

そのまま、その違和感を感じたユーリが話そうとしたが、俺達は大声で叫ぶ。

 

「ちょっと、こっちで話そうかぁ」「目立ち始めたからなぁ」「んんっんっ」

 

口を塞がられた事によって、ユーリは困惑しているが、そんな事を気にせず、俺達はすぐにファンタジック本屋へと向かっていく。



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光と闇

あれから、俺達はすぐにその場から離れた。

そして、彼、ユーリに対して、これまでの事情の事を説明した。

 

「なるほどな、確かにそれは最高に良いアイディアかもしれないな」

「えっと聞きたいけど、ユーリさんは結局、何者なんですか?」

「私か?私は剣だ」

「???剣って、どういう事ですか?」

 

俺は、思わず首を傾げてしまう。

 

「ふむ、知らないのか?」

「ほとんど、俺達には情報がないんで、少しでも良いので」

「ふむ、ならば、俺の事と、そしておそらくは、今後、メギドが行うだろう行動についてを教えておこう」

「えっ、そんな事まで、知っているんですか!?」

 

それには、その場にいた俺達は全員、驚きを隠せなかった。

 

「私は闇黒剣月闇と共に一番初めに作られた2本の聖剣の内の一本である光剛剣最光が悪しき者の手に渡ることを危惧し、自ら剣と同化したことで自分自身が光の剣そのものとなった」

「それって、もしかして」

「あぁ、カリバーだ。闇黒剣月闇は世界を守る力はあるが、それと同時に使い手が間違えれば、世界を滅ぼす力にもなる」

「・・・なんで、そんな危険な力が、聖剣に」

「剣を造り出した者は、平和への願いを込めて造ったらしいからな」

 

そう言ったユーリの言葉には嘘はないだろう。

 

「・・・どんなに、平和の為に造り出しても、それを使う者次第という訳か」

「あぁ、だからこそ、俺はこの聖剣を悪用させない為にした」

「それにしても、なんで、闇なんだろう。結構怖いよねぇ」

「人の心には、光も闇もある。だからこそ、心の力を具現化させたんじゃないのか」

 

おそらくは、その剣を造り出した人は、そんな心の力を信じていたんだろう。

 

「あぁ、そうかもしれない。

それと共に、以前の事件を通じて、間違いなく10本、全ての聖剣の力が必要になるだろう」

「10本?」

 

それと共に、飛羽真も首を傾げる。

 

「えっと、それってノーザンベースの剣士もですか」

「あぁ、勿論だ。剣士達の力を合わせなければ、世界が終わってしまう」

「「「えっ!?」」」

 

このままでは危ないと思っていたが、すぐそこまで迫っている様子だった。

 

「以前の事件って、もしかして、ワンダーワールドと繋がった」

「あぁ、あの事件によって、おそらくだが、メギドは禁断の方法を行うだろう」

「禁断の方法?」

「あぁ、人をメギドに変える」

「人をメギドに変えるって、そんな事をっ」

「これまでは出来なかったが、既にその条件を達したからな」

「・・・だとしたら、すぐにでも倫太郎達にも伝えないと」

「あぁ、最悪っ」

 

そう、これまでとは違う戦いが、まさに始まろうとしていた。



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新たなる脅威

俺達が、ユーリにこれまでの事情を話した後、ユーリからこれから起きるだろう出来事を聞いた翌日だった。

 

「これが、現代の街か」

 

そうしながら、ユーリに現代の風景を教える為に向かった。

小さな広場で、様々な露店がある店があり、様々な事を知ってもらうには丁度良い場所であった。、

 

「この時代は驚きに溢れている」

 

そんなユーリに対して人々は、笑っている

 

「どういう事だ、皆、俺の事を見ているようだが」

「そんなかっこうでいたら目立つよね…」

「まぁ、1000年前の格好と、現代の格好ではかなり違うからね。もしも、今の俺達の格好で1000年前にいたら、それはそれで目立つからな」

「なるほど、そういう事か、ならば」

 

そう、俺達の言葉に納得したユーリは、周囲を見る。

すると、机に座っている男性の格好を見て、頷く。

それと共にユーリの身体が光ると共に、なんと、その格好は男性と同じ格好へと変わっていた。

 

「「えぇぇぇ!?」」

「ちょっと違うな。あれか?」

 

そう言いながら、ユーリは次々と通っていく人達の衣服に変わっていく。

 

「本当に色々ととんでもない人だ」

 

そう、俺達が呆れていると、何やら悲鳴が聞こえる。

 

「これは」

「まさか」

 

それと共に、俺達が振り返ると、そこには一体のメギドが立っていた。

その容姿から、おそらくはイエティの物語を取り込んだメギドである事は分かる。

 

「メギド!……いや、何かおかしい…」

「何がだ?」

「メギドが現れたら、街がワンダーワールドに転送されるはずなんだ…。メギドじゃない!」

「いや、メギドだ」

 

イエティメギドは冷気を放ち周囲にいた人々を凍結させる。

 

「ユーリ、まさかとは思うが」

「あぁ、あれが禁断の技術なのか」

「そうだ」

 

同時に、ユーリが言っていた禁断の技術。

それが、まさしく目の前にいるメギドである事は間違いないだろう。

 

「だけど、なんで、いきなり」

「以前の目次録の影響でワンダーワールドが見えるようになった人間。それを狙って行ったのだろう」

 

その事実を聞いた瞬間、俺達はすぐに構える。

 

「助ける方法は、あるんですか」

「救いたかったら、斬るしかないな」

「斬るしかないって、それって、メギドを、一体化している人ごと斬るという事なのか」

 

そのユーリのあまりにも残酷過ぎるやり方。

だが、世界を救うという意味では、間違っていない。

そう、言った時だった。

 

「何を言っている、俺の力を使えば、人間とメギドを分離させる事が出来るぞ」

「「・・・そうなのか」」

 

ユーリは、そのまま何事もないように告げる。

少しだけ、困惑したが、それでもやる事は決まった。

 

「ならば」「あぁ、ユーリに、メギドを斬ってもらう為に戦う」

 

同時に、俺達はやる事を決定すると共に、走り出す。



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人とメギド

 町の広場に現れたイエティメギドは、周囲の熱を奪い取り局地的に寒冷化現象を引き起こした。

 

 それによって、広場に集まっていた人々は、そのまま氷の中に閉じ込められる。

 

『烈火抜刀! 語り継がれし神獣のその名は! クリムゾンドラゴン!』

 

「はぁ!」

 

 だが、すぐにクリムゾンドラゴンとなったセイバーによって、それらの氷は溶ける。

 

「早く、ここから逃げて」

 

 セイバーは、そう人々に言うと共に火炎剣烈火を構え、そのままイエティメギドに斬りかかる。

 

 そして、その攻撃をイエティメギドが防いだ時だった。

 

 セイバーの炎と、イエティメギドの雪が激しくぶつかる。

 

 しかし、そこで雪が消え去ったかと思うと、そこにはイエティメギドは、巨大な氷柱を周囲に作り出すと、それを一斉にセイバーへと放つ。

 

 だが、俺はそのままその間に入り込み、手に持っているキーブレードで、それらを受け止める。

 

「このメギド、これまでのメギドとは、明らかに強さが違いすぎる」

 

 俺は受け止めた事によって感じる手の痺れ。

 

 それがメギドが、これまでとは違い、強い事を教えてくれる。

 

「これが、禁断の術を使って、誕生したメギドなのか」

 

 それはセイバーも同じ事を思ったのか、驚いている様子を見せている。

 

「とにかく、早く分離させないと」

 

「あぁ、消滅してしまうっ」

 

 無理矢理メギドにされた人間が、どれぐらい時間が経っているのか分からない以上、一刻も早く助けないと犠牲者が出る。

 

 それと同時に俺達は互いに見つめ合うと共にすぐに走り出す。

 

 狙いはイエティメギドの動きを止める事。

 

 それが出来れば、ユーリがメギドと人間を分離できるかもしれないからだ。

 

「行こう!」

 

「あぁ!」

 

 セイバーと共に俺はイエティメギドへ攻撃を加えていく。

 

「これでもくらえ!」

 

 まず最初に仕掛けたのは、俺ではなくセイバーだ。

 

 セイバーは手に持った火炎剣烈火を振るうと同時に、そこから火炎を放ち、イエティメギドを吹き飛ばす。

 

「ユーリ!」「任せろ」

 

 それと共に、既に最光に変身していたユーリ。

 

 だが、その前に1人の男が現れる。

 

「お前は」「知っているのか?」

 

 それに対して、その正体を既に知っているのか、俺はそのままセイバーに問いかける。

 

「この前、戦った幹部の1人だ。

 

 まさか、ここで現れるなんて」

 

「幹部」

 

 それと共に、俺は人の姿に化けられるメギドという事で、思い出す。

 

 その姿は、どう見ても人間である事は間違いなく、同時に一つの疑問が思い浮かんでしまう。

 

「お前は、本当にメギドなのか」

 

「なに?」

 

 その問いかけに対して、その場にいた全員が驚きの声を出した。

 

「何を言うかと思えば」

 

「かつて、禁断の方法で人間をメギドに変えたと聞いた。それが、目の前にいるメギドだとして、お前もまた人間からメギドに変わったんじゃないのか」

 

「何を言うかと思えば、お前っ」

 

 それに対して、メギドは、怒りと共に構えようとした時だった。

 

「それは、明らかな隙だな」

 

「っ」

 

 それと共にイエティメギドを斬り裂いた最光。

 

 それによって、イエティメギドと一体化していた人は解放され、そのままアルターワンダーライドブックを破壊する。

 

「どうやら、乗せられたようだなっ、覚えていろ!」

 

 そう言いながら、幹部は、そのままいなくなる。

 

 同時に、俺達は変身を解除する。

 

「なぁ、空、さっきのは油断させる為に言ったのか?」

 

 それに対して、飛羽真は、聞いてくる。

 

「……いや、もしかしてと思ったけど」

 

 奴の反応から、まだ分からない。

 

 でも、もしも、事実ならば。

 

「未だに問題が多いのに、本当に」



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ストリウスの幻

現状、俺達はメギド側も、サウザンベース側の企みがどのような物なのか分からない。

それと同時に、互いに連絡する手段を持たない俺達が、どうすれば情報共有を行うべきか。

その方法は皮肉にもメギドとの戦いしかなかった。

 

「あそこにいるのは」

「あぁ、慎吾がなってしまったメギドだ」

 

その日、俺は飛羽真からの連絡を受けて、メギドとなってしまった少年である来島慎吾を助ける為に向かった。

そこには、王様を思わせるメギドが周辺にある車や建物などを積み上げることで所構わず城塞を築いている様子が見た。

 

「あいつは一体何を」

「とにかく、止めないと」

 

その言葉と共に、俺達はすぐに変身しようとする。

 

「余計なことはしないでもらいましょう」

 

そうして、俺達の前に現れたのは、なんとストリウスだった。

 

「ストリウス」

 

奴もまた、人間の姿に変わる事が出来るメギド。

だからこそ、疑問をぶつけたい。

だが。

 

「ふふ、さて、ディズニー、あなたの疑問は、果たして正解かどうか、確かめてみますか」

「・・・今は、その時じゃない!」

 

そう、俺達は真っ直ぐと、メギドの方へと向かう。

だが、ストリウスは、全身を赤い煙に覆う。

疑問に思いながらも、煙が払われると、そこに立っていたのは、なんと3人のストリウスだった。

 

「さて、どれが正解なのか、分かりますかね」

「ぐっ」

 

時間を駆けられない状況の最中、飛羽真は焦る。

しかし。

 

「そんなの簡単な話だ。どれか偽物か分からないんだったら、同時に倒せば良い」『カーズ』

 

それと共に、俺は取り出したイマジネーション・キーをそのままディズニーイマジーネションベルトに装填し、そのまま回転する。

 

『イマジネーション!カーズ!』

 

そのまま、頭部は黄色い仮面があり、小さな稲妻マークがある。

タイヤは小型のものが左右の腕部フェアリングアームガードに腕輪状に装備されている。

何よりも、その特徴なのは、俺の胴体にあるスポーツカーを思わせる鎧だ。

しかし、この姿には、別の事に特化している。

 

「よっと」

 

それと共に、飛び出てきたのはキーブレード。

だが、それは、通常よりも遙かに大きい。

 

「デカいっ、というよりも、これは剣というよりも」

「それじゃ、行くぜ」

 

キーブレードライド。

俺が普段、武器として使っているキーブレードを、乗り物のように乗る。

普段の移動ではバイク型だが。この姿では、車を思わせる姿だ。

 

「それじゃ、行くぜ!」

 

それと同時に、俺はそのままキーブレードに乗り込む。

同時に感じ取ったのは、雷を沸騰させる音。

そして、それが、スタートを合図でもあった。



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幻覚を振り切って

「飛羽真は、そのまま、あのメギドを! 俺はストリウスを足止めをする!」

 

 その言葉と同時にキーブレードと共に、俺は加速しながら、真っ直ぐとストリウスに向かって行く。

 

 それを阻もうとするのも当然、奴らは動く。

 

「ふふっ、これは面白くなりそうですねぇ」

 

 ストリウスは、呟きながら、そのままこちらに向かって行く。

 

 奴が、幻術を操る事は既に分かりきっている。

 

 同時に、今の俺のスピードに追いつく事が出来ない事も理解している。

 

 だからこそ、ストリウスは、まるで俺を翻弄するように動いている。

 

 幻術によって、造り出された分身達は、それぞれが独立して動き回り、俺の動きを攪乱してくる。

 

 それに対して、俺の方も、キーブレードでの攻撃ではなく、体当たりや蹴りなどを用いて、牽制するしかない。

 

 正直な話、こいつらの相手だけでも面倒くさいというのに、更に、あっちにも気を配らなければならないというのは厄介極まりない。

 

 だが、そんな状況の中でも、どうにか打開策を見つけ出す必要がある。俺は思考を巡らせていく。

 

「くくっ、これはこれは面白いですねぇ」

 

 そう言いながら、ストリウスは、光の触手を、周囲に張り巡らせていく。その光景を見て、俺は思わず息を飲む。

 

 まるで、蜘蛛の糸を思わせる光景だった。

 

 しかし、光の触手を持っているのは、ストリウスの手から伸びているのは、分かる。

 

「だったら!」

 

 同時に俺は、わざと光の触手に接触する。

 

「空っ」

 

「大丈夫だぁ!!」『イマジネーション! フルマックス!』

 

 鳴り響く音声と共に、キーブレードの加速はより強くなる。

 

「ほぅ」「はあぁぁぁぁ!!」

 

 俺を巻き付けている光の触手。

 

 それを、引き剥がすのではなく、むしろ俺が巻き付いたままの状態で引っ張り始める。

 

 ストリウスは、俺に引っ張られて、空中へと舞い上がる。

 

 そしてそのまま俺は、地面に落下する寸前に、ストリウスを引き摺り下ろす。

 

 アスファルトの上に着地した俺は、再びストリウスを引っ張る。

 

 今度はストリウスも抵抗して、逆に引き戻される形になる。

 

「ぐっ」

 

 しかし、俺もすぐに反撃する事が出来ない。

 

 そう考えていると。

 

『必殺読破! 黄雷抜刀! ケルベロス! ヘッジホッグ! アランジーナ! 三冊斬り! サ・サ・サ・サンダー!』

 

 鳴り響いた音。

 

 それと同時に、俺は、その場で止まる。

 

 それによって、ストリウスの動きも止まる。

 

「まさかっ」

 

 そうしていると、ストリウスに聖剣の刀身に凄まじい雷撃をまとわせて斬撃が襲う。

 

 それによって、幻覚は消え、奴の姿も消えていた。

 

「逃げられたか」「……」

 

 そのまま、目の前にはエスパーダがいる。

 

「悪いが、空、お前を連行させて貰うぞ」

 

 そう、言った賢人の言葉がこちらに目を向ける。

 

「そういう訳にはいかない」

 

 見ると、飛羽真の方でも、既に大秦寺さんが戦おうとしている。

 

 そして、俺もまた、その狙いをしっかりと見つめる。



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光の中での情報

それは、まさしく音速を超えるだろう戦いだろう。

俺が変身しているカーズは、そもそもレースを行う車達の物語である。

それ故に、そのスピードは、聖剣の仮面ライダーの中でもスピードに優れているエスパーダと互角の戦いをくり広げている。

 

「ふんっ!」

 

だが、エスパーダは、ジャンプを行いながら、俺の攻撃を躱したり、周囲にある建物を利用した動きが見える。

その最中、エスパーダは、その手にあるワンダーライドブックを取り出そうとした。

 

「おっと、それは少し借りるぜ」

「ぐっ」

 

取り出したワンダーライドブックであるニードルヘッジホッグを取り、そのままディズニーイマジーネションベルトに翳す。

すると、ディズニーイマジーネションベルトから飛び出てきたハリネズミは、そのままエスパーダに向かって行く。

だが。

 

『黄雷二冊!魔神と番犬が織りなす、地獄の電撃が狂い咲く!』

 

既に新たなワンダーライドブックを装填し、新たな姿へと変わっていた。

同時に、右肩にあるマントで、ハリネズミを受け止めながら、すぐに俺に接近する。

 

「はぁ!」「ぐっ」

 

そのまま、ショルダータックルで、俺の動きを止め、俺からニードルヘッジホッグを奪い返す。

 

「どうやら、ここで引き時のようだな」

 

見れば、既に飛羽真と大秦寺さんとの戦いが決着がつきそうだった。

俺はそのまま、そのまま、飛羽真を拾い、その場を立ち去った。

 

「ぐっ」

「大丈夫か?」

「あぁ、なんとか、けど、こうして戦ってみて、改めて、凄いと思ったよ」

 

それは、今は敵対している大秦寺さんの技量。

そして、戦いを通して、おそらくは剣士としての、進む道を教えられたらしい。

 

「そういう、そっちは」

「あぁ、問題ない」

 

それと共に、俺はあの戦いでの事を思い出す。

そして、俺達が立ち去った後、賢人と大秦寺さんはその場にいた。

 

「飛羽真達は、逃げたか」

「えぇ、そのようです」

 

そうしながら、険しい顔をしながらも、賢人は、ニードルヘッジホッグを開いていた。

そこには一枚の紙が挟み込まれており、同時に先程の戦いを思い出していた。

サウザンベースの監視が、どこで行われているのか分からない以上、情報の行き来を行う場合、一番安全な手段が、ワンダーライドブックである。

雷のような速さでの戦いの最中で、情報を掴んだ場合の合図を決めていた。

そして、一度、ワンダーライドブックを奪う事で、その中に僅かで、そして重要な情報。

この場合は『人間がメギドに変えられた。元に戻すには光の聖剣で倒すしかない。そして、幹部のメギドは元人間の可能性がある』。

そして、ディズニーイマジーネションベルトには、ワンダーライドブックに刻まれた存在を召喚する事が出来る事も把握していた。

 

「それにしても、本当に実体化させるとは」

 

そうしながらも、賢人に懐いている様子のハリネズミを見て、大秦寺さんは、驚きの声を出していた。

そのまま、賢人に抱きついたまま、持っていた紙を受け取ると、そのまま光となって、消えていった。

 

「また、力を貸してくれ」

 

そうして、元の世界へと帰っただろうハリネズミに笑みを浮かべながらも、賢人は再び大秦寺に目を向ける。

 

「大秦寺さん、おそらくは」

「あぁ、分かっている」

 

同時にこれから集める情報に関しても、決めていく。

ソード・オブ・ロゴスの中で、メギドに詳しい者。

そして、これまでの幹部達の情報から、それに該当する者達を見つける事。

それが、彼らの次の目的だった。

 

「その為にも、悪いが、俺は組織から離れる」

「それは」

「光の聖剣しか斬れない。ならば、それを調べれば、もしかしたら他にも救える可能性がある。だからこそ」

「・・・分かりました」

 

これから、裏切る為の芝居をする必要がある。

それに対して、賢人は納得するように頷く。



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5人の謎

俺達は、現在、ノーザンベースにある部屋にいる。

本来ならば、実質ソードオブロゴスと敵対している俺達が入る事は出来ない。

しかし、ソフィアさんの権限によって、俺達の存在は隠されている。

そして、その部屋の中に一人の人物が入ってくる。

 

「ここも、少し久しぶりだな」

「大秦寺さん!なんで!?」

 

その登場に、俺達は、驚きを隠せなかった。

 

「賢人からある程度の情報は貰ったからな、全ての効率を考えて、ここに来た」

「効率というと」

 

俺達に対して、大秦寺さんは頷きながら、その手にある聖剣を見せる。

 

「メギドと人間が一つになる現象、これまであり得なかった。しかし、起きてしまった以上は、その対処を行う必要がある。

ならば、鍛冶師として、俺は光の聖剣を見て、他の剣でも再現できないか、確かめる義務がある」

「なるほど」

 

確かに、ユーリだけを頼りにしていたら、救える人間は多くいない。

ならば、他の聖剣も同じよう出来れば、可能性が広がる。

 

「そして、俺がその可能性が今、最も高いと思ったのは、飛羽真、お前の持つ火炎剣烈火だ」

「俺の?」

 

それには、飛羽真は驚きを隠せずに呟く。

 

「人が鍛えし、始まりの聖剣に火を灯さんとするもの現れし時、星を結びて、力を束ね、物語を終焉へと導く聖剣が生まれる」

「始まりの聖剣?」

「あぁ、最初の光と闇の聖剣ではなく、組織が使う為に造られた最初の炎の剣。それが、火炎剣烈火だ。

俺の祖父から教えられた言葉であり、それを信じる根拠だ」

 

その言葉に納得すると共に、大信寺さんは懐から別の本を取り出す。

 

「そして、賢人が探し出してくれた、手がかりになると思う本だ」

「これは?」

 

そう、疑問に思いながら、本を開く。

 

「それは2000年前、一人の巫女と共に初めてワンダーワールドに降り立った五人の人間の事を書かれている。

その内の一人が、今のソード・オブ・ロゴスを創設した初代マスターロゴスだと言われている」

「初代という事は」

「あぁ、代々受け継がれてきた『マスターロゴス』の一人だ」

 

それに対して、俺は頷きながら、その本にある絵を見る。

その後ろ姿は、確かに神秘的だった。

同時に、俺はその絵の中にある登場人物の内、何人かに既視感があった。

 

「どうしたんだ?」

「いや、なんというか、この真ん中の人って、ソフィアさんに似ているような」

「ソフィア様は、このノーザンベースに古くからソードオブロゴスに所属する本の守護者で、ノーザンベースの剣士達を束ねる役割だ。彼女のおかげで、このノーザンベースの結界が保たれている」

「もしかしたら、何か知っているかもしれない。気になるのは、初代マスターロゴス以外の4人」

「彼らに関しては、あまり資料が残っていない。もしかしたら、何か大きな秘密がある可能性はある」

「それを探るにも、今は」

「あぁ、火炎剣烈火の覚醒が必要だ」



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火炎剣の試練

「火炎剣烈火の覚醒、だけど、どうすれば」

 

そうしながら、俺達はこれからの戦いに必要な覚醒。

それを行う為に悩んでいた。

 

「聖剣の鍛冶師として、今まで聖剣を確かに管理していたが、やはり覚醒となると難しい」

「むしろ、その方法があれば、何かあるはず。何か手掛かりはないのか」

 

俺達もまた、その火炎剣烈火を見つめながら、その方法を探っていた。

すると、飛羽真が何かに気づいたように火炎剣烈火と共にある物を見ていた。

 

「もしかしたら」

 

それと共に飛羽真が取り出したのは、ブレイブドラゴンだった。

 

「ブレイブドラゴン」

「聖剣の力はワンダーライドブックが引き出す。ならば、ワンダーライドブックにもしかしたら何か書かれているかもしれない」

「しかし、それは無理な話だ。お前達も、それが分かっているはずだ」

 

そう、ワンダーライドブックに描かれている文字は、どれも未解読である。

長年、ソード・オブ・ロゴスで管理しているが、それを読める者は、今はいない。

 

「だけど、もしかしたら、それは良い手かもしれない」

「どういう事なんだ」

「もしかしたら、その為のこのベルトかもしれない」

 

そのまま、俺は飛羽真の手からブレイブドラゴンを取り、そのままディズニーイマジーネションベルトに翳す。

すると、ディズニーイマジーネションベルトの扉が開かれる。

 

「これは、共鳴しているのかっ」

 

そうしていると共に、ディズニーイマジーネションベルトから飛び出たブレイブドラゴンは、そのままリベリオンの扉へと突っ込む。

その炎の輝きに驚いている間に、扉は変わっていた。

それは、まるで炎の竜を思わせる扉。

 

「これはっ」

「もしかしたら、ここに」

「あぁ」

 

その変化した扉に対して、俺達はゆっくりと入っていく。

扉の先で、何が待ち受けているのか分からないが、それでも確かめるように。

扉を開き、見えた景色。

それは、岩場であり、草木が生えている。

そして、俺達以外には、何もいない。

 

「これは、リベリオンではない、一体」

「ここは己の弱さと戦う場所だ」

 

聞こえた声、それと共に驚きを隠せない俺達はその声の主を見る。

そこにいたのは。

 

「上條さん!?」

 

そこにいたのは、あの戦いで死んだはずの上條さんだった。

 

「なんで、ここに」

「なぜ、俺がここにいるなど、今は関係ない。お前が力を求めるならば、ここの試練を乗り越える事が必要だ」

「試練って、一体」

 

そう疑問に思っていると、上條さんが取り出した剣に、俺達は驚きを隠せなかった。

 

「火炎剣烈火だとっ、だけど」

 

すぐに確認するように俺達は目を向けると、確かに火炎剣烈火は飛羽真の手にあった。

そして、上條さんの手には、なぜかドラゴニックナイトがあった。

 

「なっ」「変身」

 

そのまま、ドラゴニックナイトをそのまま上條さんは腰にあるドライバーに装填し、そのまま火炎剣烈火を構える。

 

『Don`t miss it!ドメタリックアーマー!ドハデニックブースター!ドハクリョックライダー!ドラゴニックナイト! すなわち、ド強い!』

 

「っ」

 

上條さんが、ドラゴニックナイトへと変身した。

飛羽真もまた、すぐにドラゴニックナイトを取りだそうとしたが、そこにはなかった様子だった。

 

「っ」

「さぁ、どうする、試験を受けるのか、それとも、このまま帰るか」

 

それに対して、飛羽真は。

 

「あぁ、乗り越えて見せる!」

 

同時に飛羽真もまた、ブレイブドラゴンを取り出す。

 

「ここで、あなたを越えなければ、俺は、誰も救う事が出来ない!!」『烈火一冊!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!』

 

飛羽真もまたセイバーへと変身する。

そのまま、互いの火炎剣烈火を構え、決闘する。



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胸に残る物語

 飛羽真と上條は、同じ仮面ライダーセイバーへと変身していた。

 

 その手に持っている武器も、また同じ火炎剣烈火。

 

 だが、その差は明らかに大きすぎる。

 

「ぐっ」

 

 それを現すように、飛羽真は、その手に持つ火炎剣烈火を構えながら、眼前からの、上條からの攻撃を受け止めるのが精一杯だった。

 

 元々、剣士としての力量では上條の方が上である。

 

 それに加えて、飛羽真が変身に使用しているブレイブドラゴンは、セイバーの基本的な姿である。

 

 だが、上條が変身しているドラゴニックナイトは、そんなブレイブドラゴンをより力強くした姿。

 

 それによって、上條は現状、剣士としての腕でも、変身に使うワンダーライドブックの質においても、飛羽真よりも上である。

 

 その上、今この場には、二人の戦いを見守る俺達は、それを見守る。

 

「勝てると思いますか」

 

「このままでは、無理だろうな」

 

 その言葉と共に、飛羽真と上條の戦いはさらに激化していく。

 

 だが、それでも、飛羽真の劣勢に変わりはない。

 

 飛羽真はまだ、火炎剣烈火の力を完全に引き出せていない。

 

「そして、この試練がそれが目的だろう」

 

 だが、それが出来ない理由がある。

 

 

 

 その理由とは──―。

 

 飛羽真が、上條から距離を取り、火炎剣烈火を構える。

 

 そして、上條もまた、それに合わせるように、構える。

 

「神山飛羽真、お前は、何を信じて戦う」

 

「っ」

 

 そう、上條は問いかける。

 

 その言葉に対して、飛羽真は一瞬だけ、目を見開く。

 

「お前の、物語の力を信じる心は素晴らしい。だからこそ、ワンダーライドブックもお前に多くの力を貸す。

 

 だが、それと共に、お前は火炎剣烈火の事を信じられているか」

 

「火炎剣烈火の事を」

 

 その言葉と共に、飛羽真はゆっくりと火炎剣烈火を見つめる。

 

 これまで、多くの戦いを共にした飛羽真の相棒。

 

 だが、飛羽真は、本当の意味で信じられるのか。

 

「剣士は、聖剣に選ばれる為にたゆまぬ努力を続ける。お前は偶然で、その聖剣を手にした。

 

 それは、お前が聖剣に選ばれるだけの素質があるが、それと共に今のお前にその聖剣をどこまで信じられるかだ」

 

「……俺は」

 

 その言葉と共に飛羽真は構える。

 

「覚悟を越えた先に希望はある。俺が、最も心に残るのは、上條さん、あなたがくれたあの言葉だ。そして、その言葉と共に燃え上がる火炎剣烈火の事は、今でも残っている」

 

 それと共に飛羽真の手にある火炎剣烈火の炎が燃え上がる。

 

 それはこれまで以上に純粋な赤い炎。

 

 それが刀身に宿っている。

 

「だからこそ、見ていて下さい! 俺の覚悟を! その先にある希望を!!」

 

 赤い炎を舞い上がりながら、飛羽真はそのまま火炎剣烈火を上段に振りかぶる。

 

 それに対し、上條もまた、火炎剣を振り上げる。

 

 互いの力がぶつかり合う。

 

 激しい爆発が起きると同時に、辺り一面に砂煙が上がる。

 

 だが、そんな中でも、飛羽真は立っていた。

 

 そして、そのまま倒れそうになる体を必死に抑え込む。

 

「はあぁぁぁ!!!」

 

 互いの火炎剣烈火がぶつかった事で、衝撃が生まれ、それによって発生した衝撃波によって吹き飛ばされたのだ。

 

 それでも、飛羽真はまだ戦える。

 

 そんな飛羽真に対し、上條もまだ倒れる訳にはいかない。

 

 この程度で倒れるようなら、上條にとって、この戦いの意味がないからだ。

 

 しかし、既に飛羽真も限界に近いはずだ。

 

 このままでは決着がつく前にどちらかが倒れる。

 

 だからと言って、どちらも引く気はない。

 

 だからこそ、上條はこの一撃にかける。

 

「うぉりゃああぁ!!!!」

 

「負けない!! 俺は絶対に諦めたりしないんだ!!!」

 

 二人の思いを乗せた必殺の一撃が放たれようとした瞬間だった。

 

 その空間を揺るがす程の衝撃音が響いたのだ。

 

 それと共に、その戦いの決着がついた。

 

 既に2人の変身は解除されていた。

 

「……どうやら、聖剣は覚醒したようだな」

 

 その言葉と共に、飛羽真が見つめた先には、火炎剣烈火は確かに赤く燃え上がっていた。

 

「上條さん、あなたは一体」

 

「俺は上條であって、上條ではない。この姿は、お前にとって、この剣の象徴になった人物の幻影に過ぎん」

 

 それと共に上條の姿はゆっくりと消えようとしている。

 

「忘れるな、その覚悟を、物語を信じる力を」

 

「……はいっ!」

 

 その言葉を最後に、上條はその姿を完全に消える



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侵入!サウザンベース

「これは、確かに火炎剣烈火が覚醒している」

 

その言葉と共にユーリは、そのまま火炎剣烈火を確認して、頷く。

 

「それでは、あれは火炎剣烈火の試練という訳か」

「ブレイブドラゴンは火炎剣烈火と最も繋がりが大きいからな」

「だが、これで助ける人は増えた。けど」

「根本的な問題はまだ解決していないから」

 

その言葉と共に、未だに俺達はメギドからの脅威を人々から救う手段はない。

何よりも。

 

「犠牲になった人々を救う方法も考えなければならない」

「そうだ、そのためにも真の敵を探し出して組織をただす。結果的にそれがメギドの殲滅、そして世界を守ることにもなる」

「だが簡単な話じゃない。神代玲花が来てからはマスターロゴスにも会えない状況が続いている」

 

それが、この状況を悪化させる要因でもある。

 

「じゃあさ、その一番偉いマスターなんとかって人に直接あって話せばいいじゃん」

 

そう、俺達が考えている間に、芽衣さんの唐突な一言。

 

「却下だ。そんな突拍子もない話ができるわけがない」

「いや、案外、良い案かもしれない」

「えっ!?」

 

飛羽真の一言に対して、大秦寺さんは、驚きを隠せずに言う。

 

「正面から入ってもダメだ。私たちは組織を裏切った身だからな」

「じゃあ、こっそり潜入するとか?」

「それには大きな問題がある。サウザンベースはノーザンベースと同じように結界で守られている。入るには剣士だけが持つ、ブックゲートが必要だ」

「それはサウザンベースもまた、同じなのか」

 

俺達は、それに対して、頷くが。

 

「大秦寺。お前のは使えないんだな?」

「結束をたたれてしまった」

「じゃあ、潜入する方法はないってこと…?」

「いや…ある」

 

その言葉と共に、その視線は、なぜか俺達の方へと目を向けていた。

 

「もしかして、俺か?」

「だけど、そんな事が出来るのか?」

「試しても良いだろう、だけど、それで本当になんとかなるのか?」

「分からない、だけど、情報をどこから集めて良いのか分からない状況だったら、これは好機かもしれない」

 

メギドを、ただ倒せば情報が手に入る訳ではない。

ならば、今、メギド以上に怪しいサウザンベースへと探るのが一番かもしれない。

 

「それじゃ、使ってみるぞ」

 

その一言と共に、ディズニーイマジーネションベルトに翳す。

すると、俺達の前に出てきたのは扉。

だが、そこには鍵と鎖で固まっていた。

 

「鍵が閉まっているようだが」

「鍵が閉まっているんだったら」

 

同時に、俺はその手にキーブレードを手に持ち、そのまま構える。

すると、その鍵は開いた。

 

「開いた!」

「それじゃ、行こう!」

 

それと共にドアは開かれ、俺達はそのまま潜入していく。

 

「いや、もっと慎重に進め!!」」

 

大秦寺さんは、思わず叫んでしまう。



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海の戦い

「ここが、サウザンベース」

 

扉が開くと同時に、俺達はすぐにでも侵入した。

内部の構造は見る限りだと、ノーザンベースと似ている部分は多いようだ。

 

「とにかく、情報を集めたい所だけど」

 

そう言いながら、俺達はそのままサウザンベースをゆっくりと進む。

中にいる職員に見つからないように注意する必要があり、進んでいくと。

 

「警報っ」「もぅ見つかった!?」

 

俺達が扉を開けると共に、警報が突然鳴り始めた。

すぐに俺達は近くの柱に隠れると共に様子を伺うと、そこには神代玲花が周りにいる職員に指示を出していた。

 

「どうやら、何か別のトラブルがあったらしい。今はとにかくここを離れるぞ」

 

そう、大秦寺さんの言葉に対して、俺達も頷き、歩く。

だが、その瞬間、何かを感じた。

嫌な気配である事だけが分かる。

 

「・・・ごめん、先に行ってくれ」

「えっ」

 

その正体が何かすぐに察した俺は、そのまま後ろを振り返る。

既に人影はいなかった。

だけど、それでもこちらに向ける殺気だけが分かる。

 

「既に、気づいていたのか」

「あぁ、そうだ。だが、ここを通す訳にはいかないからな」

 

同時に見れば、ゆっくりとこちらに来る人影が見える。

その手には青い聖剣があり、それがこのサウザンベースの剣士だと一目で分かる。

 

「なんでっここで」

「とにかく、今は俺がなんとかする。飛羽真達は早く」

 

それと共に、俺はディズニーイマジーネションベルトを腰に巻き、構える。

同時に目の前にいる相手もまた、ワンダーライドブックを開く。

 

『この群青に沈んだ命が今をも紡ぐ、刻まれた歴史…』

 

それと共に、俺達は同時に構える。

奴は刀身を分離して上下を差し替え、そのまま槍へと変わっていた。

 

『界時逆回!』

 

「「変身」」『時は、時は、時は時は時は時は!我なり! オーシャンヒストリー!』

 

それと同時に、俺達は同時に変身した。

俺は、その手に持ったキーブレードを構えていたが、目の前にいる仮面ライダーもまた、その手には先程までは剣だった槍を構えていた。

 

「俺は神代凌牙。またの名を…仮面ライダーデュランダル。俺を怒らせるな」

「自己紹介どうも、俺はソラ、仮面ライダーディズニーだ」

 

そのまま、俺もまたキーブレードを構える。

それと同時に、奴は、その手に持った槍を分離させる。

何をするつもりか疑問に思っていると、共に、スイッチを押した。

疑問に思ったのは、一瞬。

次の瞬間には、俺は全く別の場所へと飛ばされていた。

 

「なにっ?!」

 

何が起きたのか分からない。

気づけば、移動していた。

周囲は、壁が破壊されており、戦闘した事は分かる。

だけど、一体。

 

「ふんっ!」「がぁ!」

 

それと共に、背中に走る衝撃。

振り返ると、デュランダルは既にそこにいた。

 

「どうなっているんだ」「知る必要はない」

 

それと共にデュランダルは、再び、手にある槍を構えていた。

同時に、先程と同じ動作を行おうとした。

 

「させるか!!」

 

それよりも早く、俺はキーブレードにエネルギーを溜め、斬撃を放つ。

だが、次の瞬間には、すぐにデュランダルの姿は消えた。

 

「またっ」「無駄だ」

 

再度、背中から来る攻撃。

それによって、俺は吹き飛ばされてしまう。

 

「どうなっているっ」

 

先程から、変だ。

瞬間移動の能力なのか、疑問に思う。

だが、俺は吹き飛ばされた先の壁を見る。

そこには、斬撃の跡が残っていた。

 

「これは」

 

明らかに俺の放った斬撃だ。

しかし、これは。

 

「・・・まさか」

 

ある意味、恐ろしい可能性がある。

この場で、出来る事はあまりにも少ないし、もしも、俺が考えている通りの能力ならば。

 

「やるしかないか」

 

同時に、俺はそのまま構える。

 

「無駄な事を」

 

それと共にデュランダルが、再びスイッチを押す。

俺もまた、既に行動していた。

そして、次の瞬間であった。

 

「なにっ」「まさか、ここまで予想通りだとは」

 

そう驚きを隠せなかった。

なぜならば、俺の姿は、既に変わっていた。

その手にはオールと釣り針が合わさったような感じの形状のキーブレード。

そして、その姿も既にモアナ・イマジネーションへと変わっていた。

 

「というよりも、能力の正体も分かっても、厄介過ぎるだろ」

 

そうしながら、俺は、デュランダルからの攻撃を避けながら言う。

 

「どうやら、その能力、俺とは相性が悪いようだな」

「まぁ、そちらのワンダーライドブック、オーシャンヒストリーだからな。けど、こっちも海を操る能力である以上、ここからは反撃させて貰うぜ」

 

それと共に、俺もまた、構える。



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海同士の戦い

間違えて消してしまった為、再投稿させて貰いました。


「さて、行くか」

 

一言告げると共に、その手にあるシー・オブ・テ・フィティを構える。眼前にいるデュランダルの能力が、もしも俺の考えている通り、時間に関する能力ならば、厄介だ。

シー・オブ・テ・フィティの能力で、常に水の膜を造ると同時に俺はそのまま接近する。

 

「ふんっ」

 

デュランダルもまた、その手にある槍を構え、攻撃する。

まずは正面から、振り下ろす。

振り下ろされた一撃に対して、デュランダルは正面町から受け止める。

同時に、流れるように受け流し、そのまま俺の腹部を突く。

 

「ちっ」

 

だが、水の膜によって、攻撃は少しだけ遅れる。

俺は、そのままシー・オブ・テ・フィティで、再度吹き飛ばす。

その攻撃に対して、そのまま利用するように、デュランダルは後ろに飛ぶと、同時にその手にある槍を再度、外そうとした。

 

「よっと」「なに」

 

だが、俺はそのまま腕を上に上げる。

同時に、デュランダルの片腕が上がる。

それによってデュランダルは一瞬、止まるが、そのままスイッチを押した。

 

『界時抹消!再界時!』

 

それと共に、再び姿を現した時には、俺に向けて、槍を振り下ろしていた。

だが、シー・オブ・テ・フィティの先端にある糸が、俺に居場所を教えてくれたおかげですぐに反撃する事が出来た。

 

「なるほど、その能力、厄介だけど、弱点があれば十分に対策出来るな」

「ちっ」

 

どうやら、奴は能力を使うには、武器を分離しなければならない。

それが隙になって、攻撃出来る。

そして、能力に使えるのはあくまでも、移動のみで、攻撃する事はできない。

それは、糸が斬られていない事がその、証明だ。

 

「だから、どうした」

「まぁな」

 

デュランダルの能力の弱点が分かった所で、今の俺にはどうする事も出来ない。

純粋な戦闘能力でも高い。

 

「だから、こうするんだよ」

『イマジネーション!フルマックス!』

 

鳴り響く音声と共に、俺は周囲に水を操る。

それは、まるで津波を連想させており、デュランダルは、それによって、警戒する。

 

『必殺時刻!オーシャン三刻突き!』

 

矛先に水を纏わせ回転する斬撃を、俺に向かって放った。

だけど。

 

「消えた、否、逃げたか」

 

そうしながら、デュランダルは周囲を見る。

デュランダルの時間の能力に関しては、未だに分からない事が多い。

例え、弱点が分かったとしても、それが本当なのか分からない。

だからこそ、今は逃げるしかない。

幸い、あれは連続で使える物ではない。

 

「あとは、飛羽真が見つかればっ」

 

そう、考えていた時、俺は後ろから来る気配に気づき、構える。

 

「うぉっと、いきなり構えるなよ」

「尾上さんっ」

 

俺はそのまま、眼前にいる尾上さんに対して、構えていた。

目の前にいる尾上さんの事を警戒しているというよりも、周囲に、もしもソード・オブ・ロゴスのメンバーがいたら、危険だからだ。

 

「警戒するな、周囲には人がいない事も既に確認している」

「分かりました、それで、今、何が?」

「メギドが侵入した」

「えっ、それって、どういう事なんですか!」

「俺も分からない、それで小説家がそいつと戦って、ここから出て行った。

今は大秦寺も向かっている、お前も頼む」

「分かりました、とりあえずは」

 

そう言い、俺はブックゲートを取りだし、そのままディズニーイマジーネションベルトに構える。

すると、眼前に現れた扉に手を伸ばす。

 

「へぇ、それって、結構便利なんだな」

「まぁ、これも最近分かった事ですので、とりあえずは」

 

俺達は、そのまま周囲を見て、周りにいない事を確認し、すぐに扉の外へと出る。



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二人の試練

尾上さんと合流した俺達は、そのまま飛羽真達と合流する事が出来た。

だけど、その身体はかなり疲弊している様子だった。

 

「これは一体、何が!」

「とにかく、休める所へと運ぶぞ」

 

尾上さんの言葉と共に、俺達はすぐに飛羽真のファンタジック本屋かみやまへと向かった。

そのまま飛羽真は休んでいたが、今回の1件の原因になったワンダーライドブックを見つめる。

 

「なんなの、この本…。飛羽真は暴走しちゃうし…」

 

そうしながら、見つめた。

ワンダーライドブックは、骨のドラゴンの頭部と右手が表紙にある。

そして、そこから出ている力を見るだけでも、危険なのは分かる。

 

「本を読んだ瞬間に意識が無くなった」

「すべてこの本の力か。俺には反応しない。これ、俺も知らない力のようだ」

 

そう言いながら、次々と、そのワンダーライドブックを手に取っていく。

だが、飛羽真が言っていたような反応はない。

 

「この本、一体どこで…?」

「マスターロゴスを探していたら、男の人に会って、着いていったらゲートが開いて、そこに本を持ったストリウスが現れた」

「禁書庫から盗み出したということか!?」

「禁書庫…?」

「危険な本の力を封印している場所だ。あそこにはマスターロゴスしか入れないはず…。それをどうして…?」

 

その言葉を聞いただけでも。

 

「・・・これって、考える限り、最悪な可能性じゃないか」

「まだ、状況証拠ではあるがな」

 

それと共にユーリもまた頷いた。

 

「それって、まさかとは思うけど」

「マスターロゴスが、裏で手を引いている可能性がある」

「えぇ!嘘でしょ!!」

 

芽衣さんの言葉には、俺達もまた同意してしまう。

 

「けど、どうするんだ?マスターロゴスが黒幕である以上はこれまで以上の力が必要になるけど」

「この禁書を使うのはあまりにも危険だ。だけど」

 

それと共に大秦寺さんが俺の方へと目を向ける。

 

「・・・やるんですね」

「あぁ、覚悟は出来ている」

「んっ、どういう事だ?」

 

大秦寺さんがこれから行おうとしている事に対して、尾上さんは首を傾げる。

それと共に、俺は前に出る。

 

「俺のディズニーイマジーネションベルトは、ワンダーライドブックを翳せば、その力を使う事が出来る。

だけど、それだけではなく、聖剣と大きな関係を持つワンダーライドブックを翳せば」

「聖剣の力を解放する為の試練の扉を造り出す事が出来る」

「それって、つまり」

「俺達の聖剣の真の力を解放させるという事か」

 

それに対して、俺は頷く。

だけど、それは危険である事でもある。

 

「危険なのは承知している、けどな、俺も守りたい家族がいる。

だから、どんな試練でも乗り越えるつもりだ」

 

その尾上さんの言葉に対して、大秦寺さんもまた頷く。

 

「だからこそ、頼めるか、ソラ」

「勿論です」

 

それと共に、彼ら二人の試練が始まる。



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未だに、その背中を

「ここが、試練の場所か」

 

そうしながら、俺達は尾上さんと大秦寺さんが行う試練の場所へと入る。

周囲の光景は、前回の飛羽真の試験と似た雰囲気をしていた。

 

「飛羽真の時は、上條さんが相手だったが、まさか今回も」

 

そう考えていた時であった。

俺達の目の前に二人の人間が現れる。

その手には二人の持つ聖剣を各々を持っている事も分かる。

だが、その二人の姿を見ると、尾上さん達は驚きを隠せなかった。

 

「マジかよ」「まさか」

「知り合いなのか?」

 

それに対して、二人は頷く。

 

「亀セン、俺にこの剣を託してくれた師匠だ」「俺に、鍛冶を教えてくれたお爺様だ」

「という事は、二人の師匠という事」

「あぁ、そうなるな」

 

同時に二人は笑みを浮かべていた。

 

「久し振りと言って良いのかな」

「お久しぶりです。まさか、こうしてまた会えるとは嬉しく思います」

 

そのまま、亀センと呼ばれた人物に対して、尾上さんは頭を下げる。

それだけでも、彼らの間に確かな信頼関係がある事は分かる。

それは、無言でありながら、見合っている大秦寺さんも

 

「まさか、こうして、お前と戦う機会があるとはな」

「覚悟は出来ているんだな」

 

それと同時に、二人の姿は瞬く間に変わる。

それはまさしく、バスターとスラッシュである。

 

「戦えるんですか」

 

その戦いは、二人にとっては辛い戦いになるのではないか。

俺達は、心配になり、質問する。

 

「なに、覚悟は出来ているさ。それに、嬉しく思っているからな」

「嬉しいですか?」

「あぁ、出会った頃、既に剣士として限界を迎えていた。そんな師匠の全盛期と言える姿と正面と戦えるんだ」

「俺も、あの頃から鍛冶氏として、剣士としてお爺様を越えられるか、正直に言うと武者震いをしている」

 

同時に二人もまた、各々の聖剣を構える。

 

「「変身!」」

 

それによって、二人もまた、各々が変身を完了する。

 

「ソラ、合図を頼めるか」

「・・・分かりました」

 

それと共に、俺もまた向かう。

この戦いと、前回の飛羽真との戦い。

戦う相手も異なるが、この試練はおそらくは、自分自身の中にある何かを乗り越える為。

先程の会話から察するに、二人は、生前の彼らを本当の意味で越えたのか、まだ疑問に思っている。

だからこそ、ここで行うのは、彼らを乗り越えたのか。

それを確かめる為かもしれない。

互いに、その手に持つ聖剣と共に、流れる空気が冷たい。

 

「いざ、尋常に」

 

俺の言葉、一つ一つで、その場が歪むような緊張感が支配される。

そして。

 

「勝負、始め!」

 

始まりの合図と同時に、まさしく大地を揺るがすような戦いが始まる。



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師を越えて

「ふんっ」

 

 その叫びとと共にバスター同士の、その手にある土豪剣激土が激突する。

 

 威力は凄まじく、地面を大きく亀裂が出来る程であり、互いの剣が激突する度に周囲の地形が変わる程だった。

 

 純粋な力同士の衝突で、互いに吹き飛ばされる。

 

 だがしかし、お互いが地面に着地すると直ぐに駆け出し、再びバスターをぶつけあう。

 

 今度は先程の一撃よりも更に強い衝撃が周囲を襲う。

 

「さすがはバスターの力だな」

 

 ソード・オブ・ロゴスの中でも、純粋な力ならば右に出ない程のバスター。

 

 そのバスターが二人同時にいる。

 

 それによって行われている戦いを見ているだけで、ゾクッとするものがあった。

 

 そして、そんな二人のバスターの戦いを見ながらも、俺達はただ見守る事しか出来なかった。

 

 これが、試練であると。

 

「それと同時にこっちはこっちで凄まじいな」

 

 バスターと同時に行われているスラッシュの戦い。

 

 それは、まさしく音の戦いであった。

 

 剣と銃、どちらにもなれる音銃剣錫音同士の戦い。

 

 時には剣と剣、時には銃と銃、そして時には剣と銃。

 

 互いに二つの姿を切り替えながら戦っている。

 

 そして、それを行っているのがこの二人だからこそ出来る事だろう。

 

 お互いに違う武器を持ちながらも、それでいて同じ武器を持つ者のように戦う事が出来る。

 

 それはまるで、一心同体と言ってもいいような動き。

 

「なんだか、こうして見ると、改めて凄いと思う」

 

 そう、飛羽真の言葉に対して、俺も頷くしかなかった。

 

 ソード・オブ・ロゴスにおいて、長い間戦ってきたベテランの二人の剣士。

 

 その剣士が、まさしく自分の限界を超えようとする姿。

 

 それは、男として、戦士として、一人の人間としても、胸を打つものがある光景だ。

 

 そんな二人の剣士の戦いを見ていた時。

 

「尾上君、君は十分に強くなった。けどその後、どうするのか決まったのかい」

 

「あぁ、俺は最強の子育て王になるつもりだ。そして、その先にも行くつもりだ」

 

「ほぅ」

 

 同時に、バスターの戦いが終わりを迎えようとしていた。

 

「あなたと戦って、その目標に気づけた。俺はあなたのように誰かを導きたい。だからこそ、この戦いを乗り越えたら、俺は教師になる」『玄武神話! ドゴーン! 激土乱読撃! ドゴーン!』

 

 それに合わせて二人のバスターの土豪剣激土に周囲の岩石を集めて土豪剣激土の刀身を巨大化させる。

 

 そして、それをそのまま相手に叩きつけるように振り下ろす。

 

 対するバスターも同じように土豪剣激土を振り上げていた。

 

 そして、そこから繰り出される一撃がぶつかる。

 

 巨大な衝撃と共に爆発が巻き起こる。

 

 その威力によって吹き飛ばされた二人は、地面に倒れこむ。

 

 そして、スラッシュもまた同じだった。

 

「鍛冶としての目的は、どうやら見つけたようだな」

 

「えぇ、それを、ここで見せます」

 

「ならば」

 

『ヘンゼルナッツとグレーテル! イェーイ! 錫音音読撃! イェーイ!』

 

 同時に、片方のスラッシュが音の弾丸を連射する。

 

 その一撃に対して、スラッシュは、大秦寺はゆっくりと構える。

 

『ヘンゼルナッツとグレーテル! イェーイ! 錫音音読撃! イェーイ!』

 

「ふんっ」

 

 大秦寺は、こちらに放たれる音の弾丸を、その剣を受け流しながら、剣に無数のお菓子のエネルギー体を纏い、強烈な斬撃を繰り出す。

 

「っ」

 

 それによって、スラッシュは大秦寺の一撃に斬り裂かれる。

 

 そうして、決着はついた。

 

「強くなったね」「あぁ」

 

 その姿を、二人の師匠は笑みを浮かべていた。

 

「だからこそ、次世代へと」「私達の思いと共に受け継いで欲しい」

 

 同時に二人の聖剣は、これまでより強い光を放っていた。

 

 それが、確かに受け継ぎ、覚醒した証だと。



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本の少年

「尾上さん達は無事に聖剣を覚醒出来たのか」

「おうよ、これまで以上の力を確かに感じるぜ」

「あぁ、聖剣には、まだこれ程の可能性があるとはな」

 

そう、尾上さんと大秦寺さんは、各々の聖剣を見ながら呟く。

それは確かに力を感じる。

だけど、未だに問題は多くある。

 

「このワンダーライドブックをどうにかしなければ、小説家は戦えないか」

「はい」

 

その言葉に対して、飛羽真は力無く答える。

未だに制御する事が出来ないワンダーライドブック、プリミティブドラゴンワンダーライドブック。

ソード・オブ・ロゴスにあったとされる禁書である。

 

「こいつをどうにかしないと、俺達も危険だからな」

「そんなにヤバかったんですか」

「お前は見た事なかったが、これを使った時の飛羽真は」

 

それを言った時、大秦寺さんは腕を組んで、悩んでいた。

 

「・・・もしかしたら、何かあるかもしれない」

「えっ、ソラ?」

 

俺が、そう疑問に思っていると、プリミティブドラゴンワンダーライドブックがディズニーイマジーネションベルトに翳す。

 

「・・・あれ?」

「おい、何をやっているんだ!?」

 

なぜか、俺はそれを翳したのか分からない。

だが、同時にディズニーイマジーネションベルトから何かが出てくる。

全員が、思わず構える最中、出てきたのは男の子。

 

「えっ?」

 

それは、さすがに俺達は全員が驚きを隠せなかった。

だが、その男の子は俺達を見た後。

 

「みんなどこにいったの?」

 

その言葉は、さすがに俺達でも予想外だった。

同時に、どこか不安そうな表情に困惑を隠せなかった。

そのまま、少年は、そのままプリミティブドラゴンワンダーライドブックの中へと戻っていった。

 

「今のが、あの禁書なのか、俺の息子と同じぐらいの子に見えるが」

「禁書と言われていたが、本当にどうなって」

 

困惑を隠せない俺達の最中、飛羽真は見つめる。

 

「・・・分からない、けど、もしかしたらそれが、この本の本当の姿かもしれない」

 

どこか悲しそうに、見つめていた。

 

「だけど、どうするんだ?あれが、そのワンダーライドブックの本当の姿だとしても、俺達でどうにか出来るのかどうか」

「聖剣ならば、俺はどうにか出来るが」

「・・・ソラ、頼みがある」

「頼み?」

 

同時に飛羽真は覚悟のある目で俺を見る。

 

「俺と一緒に、この子の声を聞く為に協力して欲しい」

 

それはつまり、もう一度あの子に会って、答えを探すという事か。

 

「だが、もしも危険な場合は、それは封印する。元より、俺はそれを目的に戦っている」

「あぁ、だけど、絶対にそうさせない。悲しい物語の結末に、絶対にさせないから」

 

飛羽真の、その覚悟を見て、俺もまた頷く。

 

「やるんだったら、誰にも被害が出ない所でやろう」



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プリミティブ

プリミティブドラゴンとの直接の対話を行うために必要な事。

それは、飛羽真自身がプリミティブドラゴンになる事だ。

これまでの変身は、ほとんどが強制的な変身であった。

それでも、僅かな意識があった。

 

「だからこそ、頼めるか」

「あぁ、任せろ」

 

その言葉と共にその手にプリミティブドラゴンをドライバーにセットする。

何度も暴走していたからこそ、その恐怖がその身で知っている。

目を閉じ、ゆっくりと覚悟を決めた飛羽真は息を吸い。

 

「変身」『プリミティブドラゴン!』

 

飛羽真が変身すると共に現れた骨のドラゴン。

それは、飛羽真の身体を包み込み、変身する。

これまでは、暴走した姿を見たことはなかった。

そして、あの少年を見る前ならば、それは不気味に見えただろう。

だけど、今は。

 

「グゥゥゥ……グォオオオオ―――ッ! ウウ……ハァァ……ヴァァッ!!」

 

その骨のドラゴンが、大事な宝物を探しているように見えた。

その唸り声も、悲しく聞こえる。

だからこそ、俺が出来るのは、飛羽真が対話出来るまでの間、彼を止める事だ。

 

「行くぞ、変身!」『イマジネーション!ムーラン!』

 

その音声が鳴り響くと共に、俺の身体もまた中国の武人を思わせる姿、ムーラン・イマジネーションへと姿を変える。

こちらの存在を感じ取った飛羽真もまた、そのまま獣を思わせる走りで、こちらに向かう。

 

「ガアアアァァァ!!」

「っ」

 

正面から、その攻撃は危険だと、既に知っていた。

だからこそ、俺はその攻撃を受け流すように、手に持っていたムー・リキーで受け流し、蹴り上げる。

 

「グゥゥゥ!!」

「あんまり、ダメージはないようだ」

 

予想をしていたとはいえ、あまりダメージが入っていないのが、目に見えて分かる。

それと共に、飛羽真は火炎剣烈火をドライバーに戻し、プリミティブドラゴンワンダーライドブックの表紙を2回押し込んだ。

 

「ガアアァァァ!!」『グラップ必殺読破!クラッシュ必殺撃!』

 

叫び声と共に、その身体から骨のドラゴンの腕が飛びだし、俺に向かって来る。

すぐに俺はその場を走り、攻撃を避ける。

だが、その腕は、俺を決して逃さないように追ってくる。

このままでは、捕まってしまう。

 

「向こうが覚悟を決めた以上、こっちも覚悟を決めるか」

 

そのまま、俺もまたムーラン・イマジネーションキーを再度回す。

それと同時に、もう一個のイマジネーションキーを取り出す。

 

『ゾロ!イマジネーション!』

 

その音声が鳴り響くと共に、こちらに迫る手が、風によって防ぐ。

そして。

 

『Give me strength! Brave!』

 

鳴り響く音声と共に、俺は両手に二つのキーブレードを構える。

 

「こっちのとっておきだ、味わえよ」



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暴走の果てに

「ふぅ」

 

 このディズニーイマジーネションベルトは、他のワンダーライドブックとは異なる所が多くある。

 

 通常は、一つのワンダーライドブックの力を引き出す事を基本にしている。

 

 だが、それが基本であるという事で、他の力が使えない訳ではない。

 

 二つのワンダーライドブックの力を引き出す事で、3種類の姿がある。

 

「ふぅ、この二つだと、ブレイブか」

 

 そして、今の俺の姿はブレイヴ。

 

 その力の意味は、「力を最大限に生かした自分の姿」である。

 

「ガアァァァ!!」

 

 それと共に飛羽真の攻撃が迫る。

 

 しかし、その攻撃に対して、俺はその剣を受け止める。

 

「ふんっ」

 

 先程までの一撃を受け止める事は出来なかった。

 

 だけど、二つのキーブレードを使う事で、その一撃を受け流す事が出来た。

 

 同時に、こちらに迫る腕の攻撃に対して、俺は瞬時に蹴り上げる。

 

「やっぱり、力は上がっているけど、結構キツいな」

 

 そのまま二刀流で構えながら、言う。

 

 俺が、今使っているブレイブは、ディズニーイマジーネションベルトから出てくるキーブレードを2種類を使い、その力を最大限発揮出来る。

 

 それと共に、飛羽真は、そのままこちらに向かって、襲い掛かる。

 

 本来ならば、ここで牽制の為に炎を出したい所だけど

 

「やっぱり、炎を吐き出せないのは不便だな」

 

 そうしながら、その一撃を受け流す。

 

 このブレイブは、キーブレードを使った身体能力を最大限に発揮する。

 

 だからこそ、ワンダーライドブックにある特殊能力を使えない。

 

「だからと言って、他の二つは使えないからな」

 

 ブレイブの他にも、ウィズダム、マスターの二つがある。

 

 しかし、この二つは、この状況ではあまり適していない。

 

 だからこそ、キーブレードを二刀流で、プリミティブドラゴンの暴走に追いつく事が出来るブレイヴで戦うしかない。

 

 だが、やはりというべきか、今の飛羽真の攻撃力は凄まじく、このままでは押し切られる可能性がある。

 

 それに…… バキンッ!! そんな音と共に、片方のキーブレードに限界が来てしまう。

 

 それは、さっきまで使っていたからこそ分かる事であり、その音が聞こえたと同時に、もう片方のキーブレードも砕け散ってしまう。

 

 そして、それを待っていたかのように、飛羽真はその拳を振り下ろす。

 

 ──ガギィィン!! その瞬間、何かがぶつかる音が響く。

 

 それと同時に、俺は飛ばされそうになる。

 

 だが、なんとか踏ん張って耐えきった。

 

 だけど、それでもかなりのダメージを食らってしまった。……どうやら、ギリギリだったようだな。

 

 正直言って、あのタイミングで、間に合うとは思っていなかった。

 

「さて、飛羽真、まだか」

 

 そう言いながらも、目の前にいる飛羽真を見る。

 

 そこには、未だに俺の事を攻撃し続けている姿があった。

 

 ……そろそろ、限界かもしれないな。

 

 俺は心の中で呟いた。

 

「ぐうぅぅ」

 

 そうしていると、飛羽真がその場で倒れ、変身が解除される。

 

「飛羽真!」

 

 俺はすぐに駆け寄る。

 

 苦痛に顔を歪ませている。

 

 それは痛みからなのは分かる。

 

 それでも。

 

「なんとか、なるかもしれない」

 

「……本当か」

 

 それは、この状況を打開する方法を確かに思い浮かべた顔だった。

 

「とにかく、外へ、それを行う為にも」

 

「分かった」

 

 その言葉と共に俺達は外に出た。

 

 だが、この時、このノーザンベースにて、最大の危機が訪れていた。



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ノーザンベースの侵入者

「これは一体っ」

 

その現場の悲惨さを見て、俺達は思わず呟いてしまった。

ノーザンベースの施設の多くが破壊されている状況。

それは、つまり、既に敵が侵入している事を意味している。

 

「このままじゃっ」

「急ごう!!」

 

俺と飛羽真は、すぐにノーザンベースを走り始める。

周囲は嫌な程の静けさがあり、それは、悪寒を加速するには十分だった。

そうして、走り抜けた先で、聞こえた音。

それは、戦闘の音だとすぐに気づく。

 

「ぐっ」

「えっ、倫太郎!それに賢人!!」

 

そこにいたのは、なんと今はサウザンベースにいるはずの二人だった。

尾上さんも、大秦寺さん、そしてユーリも合わせての6人で戦っていた。

彼らがなぜ、そこにいるのか。

その疑問の答えはすぐに分かった。

 

「見つけたっ、炎の剣士!!」「ようやく見つけたぜぇ!!」

「ズオスにレジエルっ」

 

まさか、幹部クラスのメギドが、この場にいるとは。

さすがに予想外であったが、同時に倫太郎がこちらに気づく。

 

「飛羽真君っ、そいつらを通してはいけない!!」

「奴らはっ、ノーザンベースの本を奪う気だっ」

「そんなっ、どうやってっ」

 

そうしていると、その答えはすぐに察した。

 

「マスターロゴスはっ、俺達の動きを既に察していたっ」

「っ」

 

それは、黒幕の正体が判明したのと同じだった。

まさか、メギドと裏で繋がっていたのが、ソード・オブ・ロゴスの頂点に立つ、マスターロゴスだったとは。

 

「とにかく、今はこいつらを、なんとかしないとっ」

 

それと共に、飛羽真は立ち上がると同時に、その手に火炎剣烈火を構える。

すぐにでも、俺も参戦したかった。

だが、それと共に、飛羽真は、俺を止めた。

 

「飛羽真?」

「・・・ソラ、頼みたい事がある」

「頼みたい事?」

 

それに関して、首を傾げた。

 

「倫太郎と賢人、二人の聖剣を、今、覚醒させて欲しい」

「なんでっ、今ここでっ」

 

その言葉には、俺達は驚きを隠せなかった。

だが、飛羽真の目は真剣だった。

 

「もしも、あの子が求めているのが、俺の考え通りだったら、俺だけじゃ作り出せない。

だけど、倫太郎と賢人の二人がいれば、もしかしたら」

 

その言葉は真剣だった。

同時に、時間があまりない事を察した。

 

「はぁ、まったく、無茶な事を言うな」

「頼んだ」

 

それと共に、飛羽真は真っ直ぐと、幹部に向かって行く。

同時に俺は二人の元へと向かう。

 

「既に聞いたと思うけど」

「今、ここでっ、だけど、そんな事をしている場合じゃ」

 

そう倫太郎が戸惑いの声を出す。

だが、それに対して、賢人は見つめる。

 

「それが、飛羽真に必要な事なのか」

 

それに対して、頷く。

 

「倫太郎、行こう」

「だけど」

「あの時、誓っただろ、俺達は三人の誓いを」

 

それに対して、倫太郎は一瞬だけ、呆ける。

しかし、すぐに決意を決めた表情をする。

 

「分かりました、僕も、仲間達の為に」

 

それと同時に、俺のディズニーイマジーネションベルトにワンダーライドブックが翳される。

同時に現れた扉に対して、俺達はすぐに飛び込む。

既にプリミティブドラゴンとの戦いで身体がボロボロな状態の最中、二人の試練の相手に目を向ける。

 

「予想はしていた。覚悟もしていた」

「だからこそ、今はすぐにでも早く、越えてみせる」

 

そうして、賢人の目の前にいる雷鳴剣黄雷を持つ人物。

 

「その目、既に覚悟は出来ているようだな、賢人」

「あぁ、父さん」

 

それと共に、賢人は頷く。

その相手こそ、賢人にとってはまさしく因縁のある相手であり、彼の父親である富加宮隼人。

同時に倫太郎もまた、その相手を見つめる。

 

「倫太郎、これが、お前に課す最後の修業だ」

「・・・お願いします、師匠!」

 

それは、倫太郎の師匠とされ、先代のブレイズこと長嶺謙信。

同時に、二人の試練が、今、幕を開けた。



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桃園の誓い

「・・・」

 

試練となる戦い。

それは、幾度目になるだろうか。

だが、その戦いは、あっさりと終わったと言うべきだろうか。

ブレイズとエスパーダへと変身したが、その戦いはまるであっさりと終わった。

だが、それは過去の戦いを乗り越えるように。

いや、違うだろう。

 

「さすがは、俺の弟子だな」「あぁ、成長した」

 

そう、2人は呟いた。

それは、戦いとなる前から、既に分かっていた様子であった。

水と雷鳴の戦い。

それは、互いに既に知っており、そして越える事には既に達していた。

 

「僕は、あの時から誓っていた。この水勢剣流水に誓って。そして、僕は家族を、ソード・オブ・ロゴスの為に戦う」

「俺も、父さんの事を知りたくて戦った。あの戦いで、失った物を取り戻すように。そうして、戦っていく内に、父さんの背中を見ながらも、俺は確かに見た」

 

同時に2人は、その手に持った剣をゆっくりと構える。

それは、まるで、誓いを見せるように。

1人分の空白を見せるように。

 

「「一人はみんなのために、みんなは一人のために」」

 

それを見た、2人は満足そうだった。

飛羽真の時は、未だに剣士としての覚悟がまだ足りてなかった。

尾上さんと大秦寺さんは、未だに自分が越える為の目標を超えていないから。

だからこその試練だった。

そして、この2人の試練とは、おそらくは過去の憧れ以上に、今の大切な何かを理解する為の。

そんな試練だっただろう。

それと同時だった。

目の前にいる2人の身体が光輝く。

 

「俺達が出来るのはこれで最後だ」「だから、頼んだぞ。俺達の剣士の意思を」

 

それと共に、なんと2人はワンダーライドブックへと姿を変えて、そのまま手元へと来た。

 

「・・・倫太郎」「えぇ、行きましょう!」

 

同時に、俺達は、元の世界へと帰ってくる。

そこには、二体の幹部級メギドを相手に、戦う飛羽真達。

否、それを戦っていると言えるのか。

 

「ぐっ、飛羽真!」

 

プリミティブドラゴンによって、暴走し、周囲を破壊している。

だからこそ、止める事は出来なかった。

しかし。

 

「飛羽真君!」「飛羽真!」

 

同時に、2人はそのまま飛羽真に飛び込む。

2人の剣が、火炎剣烈火と重なる。

それと共に、彼らに変化が起きる。

 

「・・・聞こえるかい」

 

それは、おそらくはプリミティブドラゴンに語りかける飛羽真の声だろう。

 

「ドラゴンだけじゃない。この世界には沢山の仲間達が君の事を待っている」

「そんな仲間達との夜の想い出が、待っている」

 

その飛羽真に合わせるように倫太郎も、賢人も語る。

 

「友達は、この自然の中に沢山あるんだ。俺達もな」

 

そう呟いた瞬間だった。

 

「何を下らない事を言っているんだぁ!!」「消えろ、剣士共!」

 

それに対して、メギド達が襲い掛かる。

だが、それに対して、プリミティブドラゴンの骨が、その攻撃を吹き飛ばす。

同時に、3人は、各々のワンダーライドブックを起動させる。

 

「一緒に戦ってくれ……!」『エレメンタルドラゴン!ゲット!』

 

飛羽真は、その手に持った新たなワンダーライドブックを、プリミティブドラゴンと同時にセットする。

それは、まるで炎のように燃え上がり、周囲を照らす。

 

「水勢剣流水に誓う…!大切な人たちは、僕が守る!」『流水抜刀!タテガミ展開!』

 

倫太郎もまた、その手に、かつての師匠から受け継いだワンダーライドブックを腰に装填する。

同時に周囲は氷によって、覆われる。

ゆっくりと、それと共に構える。

 

「俺には魔法が使えなかった…でも、今度こそ、皆を救う!!」『とある千の夜に紡がれる罪と魔法の物語!』

そして、賢人もまた、その剣を構える。

剣には、闇が宿る。

だが、その闇は決して禍々しい物ではなく、むしろ、夜の闇のように包み込む優しさがある。

同時に雷鳴剣も、これまでにない変化があった。

 

「オオオオッ…!!変身!!ハァッ!」バキッ!ボキッ!ボーン!メラ!メラ!バーン!シェイクハンズ!エレメンタルドラゴン!エレメントマシマシ! キズナカタメ!

「変身!!」『全てを率いし、タテガミ!氷獣戦記!ガオーッ!』

「変身!」『月華が闇を照らし出す!千と一つの物語!アラビアーナナイト!SPARKLE NIGHT!』

 

3人の叫び。

それと共に、3人の剣士が、姿が変わった。

骨だけだったプリミティブドラゴンは、炎を纏った。

それは、それまではたった一匹だった彼の友である炎のドラゴンが寄り添うに。

それによって生まれた新たなセイバーの姿は、まさしく最強の姿だろう。

そして、師の意思を、歴代の剣士の意思を受け継いだ純白のブレイズ。

父の闇を纏い、親子の絆によって生まれたエスパーダ。

友情・師弟・親子。

人間にとっては、どれも大切な力を合わさった三銃士が、まさしく生まれた。



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3つの力が合わされば

新たな姿へと変わった3人。

それに対して、メギド達は驚きを隠せないが。

 

「そのような姿になった所で、勝てると思うのかぁ!!」

 

レジエルが叫ぶと共に、剣に雷を纏いながら振り下ろそうとした。

だが、その一撃を振り下ろす前に、賢人が既にレジエルの前に経ち、剣を振り上げていた。

 

「なっ!」「今の俺を捕らえる事は、出来ない!」

 

そのまま剣を振り上げる。

その姿は、剣技としての美しさがあり、見惚れる程だった。

そして、ただ美しいだけではない。

稲妻のような速く、そして剣の動きは闇のように見えない。

 

「お前か水の剣士!また、俺にやられに来たのか!」

「それはこちらの台詞です。これで最後にします、僕達の力で!」

 

レジエルと賢人の戦いの最中、倫太郎もまたズオスと戦っていた。

まさしく、巨悪な獣と言える動きで、倫太郎に攻撃を仕掛けるズオスに対して、倫太郎は剣技で対抗する。

いや、それは対抗していると言って良いだろうか。

ズオスの動きに、倫太郎は完全に対応している。

しかも、その動きは倫太郎とは思えない程だった。

 

「あれは、亀センの動きじゃねえか」

「それって、確か、尾上さんのという事は」

「歴代の剣士達の剣術を使っているのか」

 

剣士にとって、理想といえる動きで戦う事が出来る賢人。

歴代の剣士達の継承され続けた剣術の倫太郎。

そして。

 

「「飛羽真」」

 

聖剣とワンダーライドブック。

それら二つを最も使いこなす事が出来るだろう飛羽真が、既に構えていた。

 

「これが、思いの力だ!」『必殺読破マシマシ!烈火抜刀!エレメンタル合冊斬り!』

 

鳴り響く音声、それと共に、腰にあるワンダーライドブックが4属性の光球を生成する。

同時に、飛羽真の、倫太郎の、賢人の剣に宿る。

3人は、そのまま構え、走り出す。

 

「「っ」」

 

3人により、放たれた一太刀は重なる。

そして、その一撃は、これまで、決して倒す事が出来なかった幹部級のメギドを倒す事が出来た。

同時に、その身体が崩れるのが見える最中で、俺は見えた。

死に際に浮かび上がったレジエルとズオスの人間態の表情は、憑き物が落ちたような、安堵の微笑を浮かべていた。

同時に、砕け散ると共に、彼らの魂は、まるで導かれるように、俺のディズニーイマジネーションベルトへと吸い込まれた。

 

「今のは」

「…分からない、けど、もしかしたら、彼らもまた被害者だったかもしれない」

「被害者って、メギドがか?」

 

その言葉に、疑問に思ったように問いかける。

 

「今となっては分からない。けど、もしも始まりの5人がメギドとなっていたとしたら、何か大きな出来事があったかもしれない」

「正直に言えば、僕はズオスを許す事は決してありません」

「倫太郎」

「奴は、僕の師匠の仇です。それは、例え、皆に言われても変わりません。けど」

 

そうしながら、倫太郎は、そのまま構える。

 

「一人の剣士として、彼は確かに尊敬する強さを持っていたのは、確かです」

「…あぁ、そうだな」

 

倫太郎のその言葉を否定する事はないだろう。

そして、今の問題は。

 

「…だけど、メギドはどうやって」

「分からない、だが」

 

それと共に、俺達が急いで向かった先。

そこには、何かが置かれていたはずの本が、そこにはなかった。

 

「ここには」

「ノーザンベースの力の源になっている全知全能の書の一部だ。

奴らは、既にこれを奪った後だったのか」

 

既に事態はかなりやばい事になっていた。



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破滅の本

「・・・既にマスターロゴスは俺達の事を完全に敵として見ているだろう」

 

あれから、俺達はこれからの事についてを話していた。

未だに、マスターロゴスの手の上で転がっている以上は、何か対策を考える必要がある。

それと共に、俺はその最中で、ふと疑問に思った。

 

「そう言えば、蓮はどうしたんだ」

 

この場でいない一人である蓮。

倫太郎と賢人の二人がここにいるのに、蓮がいない訳が気になる。

すると、賢人は顔を俯く。

 

「ここに来る前、蓮に全て打ち明けた」

「だけど、来なかったという事は」

 

その回答に対して、倫太郎が代わりに答えた。

 

「彼は、僕達が信じてくれなかった事が嫌で、来てくれませんでした。彼からしたら、僕達も裏切り者である事は変わりないから」

 

事情があったのは理解出来る。

それでも、騙された。

それが、彼は辛かったんだろう。

 

「謝らないといけないな、本当に」

「例え許して貰えなくても、今は一緒に戦って欲しい。果たして、聞いて貰えるんでしょうか」

「分からない、けど何もしなければ、変わらない。俺達が、こうやって変われたように」

 

そう、飛羽真はエレメンタルドラゴンを握りながら、確かに言った。

 

「蓮の捜索と共に、マスターロゴスを止める方法を考えなければならない。

幸い、こちらの戦力は揃っているが」

 

同時にユーリは厳しい顔をする。

 

「どうしたんだ?」

「・・・もしも、俺の考えが正しければ、マスターロゴスは、禁書の封印を解くかもしれない」

「それって、プリミティブドラゴンのようなのか」

「例え、プリミティブドラゴンのような禁書が出てきても、使いこなす事は出来ないはず。

それこそ、飛羽真君のように心を通わせないと」

「その必要がない、なぜならば、そいつはマスターロゴスと最終的な目的は一致している可能性がある」

「そいつ?」

 

その言葉に、俺達は首を傾げる。

 

「現存する聖剣以外にも、もう一本の聖剣がある。

そして、その禁書は、世界を滅ぼす力を持っている」

「はぁ、そんなのを、解放させるのか、マスターロゴスはっ」

 

そのあまりの内容に、その場にいた全員は目を見開いた。

だが、ユーリが嘘をつくとは思えない。

何よりも、俺は、それを知っている。

 

「・・・無銘剣虚無、持ち主の名はバハト」

「・・・まさかとは思っていたが」

 

それと共に、ユーリは俺を見つめる。

 

「ユーリ、どういう事なんだ?」

「面影はあったが、まさか」

 

同時に、俺もまた、頷く。

 

「・・・それは」

 

それと共に、警報が鳴る。

それと共に、見れば、それはどこかの場所。

そこにいたのは、蓮とデザスト。

さらには、もう一人の影が。

 

「バハトが、動き出したのか、とにかく、急がないと」

 

その言葉と共に、俺もまた、動く。

覚悟を決める時が。



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創造の本

「ここに」

 

目撃情報があり、すぐに向かった。

すると、そこでは既に戦闘が行われていた。

蓮が変身している剣斬と、なぜかメギドであるデザストの2人が共闘しながら、その相手と戦っている。

 

「あいつは」

「バハトが変身しているファルシオンだ、まさか」

 

同時にファルシオンは、その圧倒的な力で、剣斬とデザストの2人を吹き飛ばした。

 

「蓮っ」

 

それを心配し、すぐに賢人は駆け寄る。

その気配を感じた蓮はすぐに賢人を見ると。

 

「来るなぁ、嘘つきがぁ!」

「っ」

 

蓮の言葉に、賢人は少なくともショックを受けていた。

 

「お前の強さを信じていたのに、裏切ったお前なんて、信じられるか」

「蓮、聞いてくれ、あの時は」

「知るか、俺は、俺の強さでお前達を倒すっ、その時までっ」

 

そのまま蓮は、すぐにその場を立ち去った。

 

「本当に、お前達は酷い奴らだな」

「デザスト、お前は何を吹き込んだ」

「何も吹き込んじゃいねぇよ、俺はただ単に気に入っているだけだ、それだけだよ」

 

そう言ったデザストは、俺達に興味はないように、そのまま去って行った。

 

「メギドは一体何を」

「・・・」

 

そう、尾上さんは呟く最中、デザストの気配に対して、俺は多少疑問があった。

以前会った時とは変わりない。

だが、そこから悪意は感じなかった。

もしかしたらという思いはあった。

だけど、今は。

 

「ほぅ、剣士がこんなに沢山か」

「バハト、お前はっ」

「ユーリ、まさかお前もいたとはなぁ、俺の目的は変わらんのを知っているだろ」

 

それと共に、俺達をゆっくりと見る。

この時代の剣士達の顔を見るように。

だが、俺の顔を見た瞬間。

 

「はっ」

 

俺の気配を感じると共にこちらを見る。

ゆっくりと、その目は俺を見つめている。

ファルシオンとしての姿は自然と解除されると共に。

 

「それは」

 

視線は俺の顔に、そして腰に巻かれているディズニーイマジーネションベルトへと向ける。

それと共に、その顔に手を当てると共に。

 

「アアァッァァァァァァ」

 

絶叫する。

それは、まるでこの世を全て呪うかのような叫び。

それに対して、俺は、何も言わない。

いや、言えないんだ。

 

「一体何が」

 

バハトの叫びに対して、飛羽真は戸惑いを隠せなかった。

それは、他の面々も同じであり、その中で俺とユーリだけが理解をしている。

 

「はぁはぁはぁ、本当に、世界は残酷だよなぁ、力を求める限り、それを阻止しようとする。

抑止力なのかなぁ」

「・・・これ以上は、もぅ止めてくれ」

「はははぁ、それは出来ないよ、あの日から既に俺はこの道を外れるつもりない。それにどうせ全ては無に帰す。

ならば、意味はないんだ」エターナルフェニックス

 

俺の言葉を聞きながら、その手にあるワンダーライドブックを起動させ、腰にあるドライバーに装填する。

既に戦いを避ける事は出来ない。

 

「だから、せめて俺が送るよ、今度は安らかに」

「・・・俺はまだやるべき事がある。何よりも、この世界はまだ生まれていない物が沢山あるから」ミッキーマウス

 

俺もまた、すぐにディズニーイマジーネションベルトに鍵を装填し、ゆっくりと構える。

互いに、既に目の前にいる相手しか見ていない。

同時ゆっくりと息を吸い、そのまま

 

「「変身!!」」

 

それと共に、互いに走り出す。

その手に獲物を構え、真っ直ぐとぶつかる。

キーブレードと無銘剣虚無は火花を散らしながら、互いに相手の顔を睨み付ける。

 

「ユーリ、空は、バハトの事を知っているようだけど、一体」

「俺も確信を持てた訳じゃない、むしろその可能性はないと思っていた。だが、空もまた自身の直感で分かったんだろう」

「分かったって、何が」

 

後ろで、ユーリもまた俺達の事情を話している。

 

「バハトの持つのは滅びの本は世界を破壊する。だけどそれと対になる新たな世界を創造する創造の本がある」

「そんな本、聞いた事ないぞ」

「それは、別の名の方が有名だからな。無数の物語を秘め、今も物語を作り続けている。そして、その本の所有者は今も、昔も変わらない」

「それって、まさか」

 

そのまま、俺は後ろに飛びながら、その手にあるキーブレードを構える。

 

「滅びを回避する為に、純粋無垢な魂が選ばれた。滅びに最も近くにいた彼を」

 

同時に悲しそうに、俺の方に声をかける。

 

「本当に、そっくりだな。、母さんの顔と、そうだよなぁ」

「俺は、それを知らない」

「そうだよなぁ。なんたって、お前はあの時死んだはずだったからな、ソラぁ」

「父さん」

 

そう、俺は、これまで顔も知る事なく、ただその存在だけを聞かされた。

俺の父、バハトの言葉に胸が苦しくなった。



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不死鳥の父

父さんは、その手に持った虚無をこちらに向けて、振り下ろす。

それは、例え息子である俺だろうと関係ないように、その一撃を籠めて。

 

「父さん、世界を滅ぼしたって、何も変わらないんだよ」

「変わらないか。確かに変わらないかもしれない。だが、滅ぼせば、せめて争いは全て無くなる」

 

そうして、虚無を俺の方へと振り下ろしながら、叫ぶ。

 

「このままじゃ、すぐに助けないと」

「駄目だ、バハトとまともに戦えるのは、おそらくはソラだけだ」

「どうして!」

 

俺の後ろで飛羽真を始めとした面々がすぐに助けに入ろうとした。

だが、それを止めたのは、ユーリだった。

 

「無銘剣虚無の力は、他の聖剣の力を無効化する。

それは、聖剣の力によって発動しているワンダーライドブックの力もまた同じだ。

だからこそ、俺達を含めて、聖剣を使って変身する剣士にとって、バハトは最大の天敵なんだ」

「でも、ソラ君は戦えていますよ、それだったら」

「ソラのあの剣も、ワンダーライドブックから造られた物だ。ワンダーライドブックの力のみで変身しているソラのディズニーだけが、バハトを止められる」

「本当に、あの聖剣を止める為の力なのか」

 

俺と父さんの戦いは激化する最中だった。

 

「くくっ、ははははぁぁぁ!!」

 

同時にバハトは、その身体を炎の鳥となって、こちらに向かって、突っ込む。

その勢いは凄まじく、軽く避けても、火傷しそうな程の威力だ。

 

「だったら」

 

俺はすぐに2本の鍵をディズニーイマジーネションベルトに装填する。

 

『エルザ!モアナ!Give me strength!Wisdom!』

 

鳴り響く音声と共に、俺の持っていたキーブレードの形は変わる。

その形は銃となっており、足に水を溢れ出し、そのまま凍らせながら、走る。

同時に、こちらに父さんが襲い掛かる。

俺はその銃口を真っ直ぐと向けながら、引き金を引く。

 

「ふんっ」「よっと」

 

炎による斬撃に対抗して、氷の弾丸で対抗していく。

 

「あの姿は一体」

「ブレイブは剣技と身体能力。いわば剣士による力を特化している。

そして、あれを見る限りでも、ワンダーライドブックの能力を特化しているようだ」

 

そうしている間にも、俺はそのままディズニーイマジーネションベルトにキーを回した。

 

『ウィズダム!フルマックス!』

『必殺黙読!抜刀…!不死鳥無双斬り!』

 

同時に無言だった。

俺はその手に持った銃を巨大な大砲へと変え、父さんは不死鳥を模した強力な斬撃を放つ。

互いの一撃は、そのまま爆発が起き、そのまま俺達は、そのまま互いに距離を保つ。

 

「なるほどな、さすがは息子と言った所だな」

「父さん」

 

それと共に、父さんは、宙を見つめた。

そこに何があるのか。

 

「ルナ」

「なんで」

 

それに対して、飛羽真も賢人も見覚えがある様子だった。

 

「良い物を見られた、また今度とするか」

 

それと共に、父さんは、その姿を消えた。

 

「・・・俺に、止められるのか」



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世界を救う為に

「聞かせてくれ、ソラ、お前は一体」

 

ノーザンベースへと戻ってきた後、飛羽真達が、俺に対して尋ねてきた。

先程までの父さんとの戦いもあって、気になっていたと思う。

それに対して、俺もまた、覚悟を決めたように頷く。

 

「アルカディアベースでの話は、以前したよな」

「あぁ、聞いた事はあるが」

「遠い昔、俺はとある事件で命を失った」

「それに関しては、俺も知っている」

「ユーリ」

 

それと共に、ユーリがこちらに来ていた。

 

「それにしても、最初は疑っていたが、本当にあの時の子供だったとは」

「俺は、ユーリさんの事は本当に知らなかったけど」

「ユーリ、それで、その事件って」

 

同時に頷く

 

「バハトと俺はかつて、同じ騎士団の仲間だった。俺達は必ず世界を守ろうと誓い合った」

 

ユーリさんから語られた父さんのかつての姿。

それは、本当に正しい事の為に生きようとしていたと思う。

 

「だが、戦いの最中、バハトの家族を奪ったのは、メギドではなく、共に戦った仲間だった」

「それじゃ、その時に、ソラは」

 

この時、本当だったら殺されたはず。

 

「やがて、バハトが手にした無銘剣と破滅の書の力だ、だから俺がこの手で奴を封印した」

「だけど、その時に同時に父さんの行動を止める為に、創造の書、つまりはディズニーイマジーネションベルトが俺を選んだ。

けど、本来ならば、戦うはずの父さんは封印され、俺も長い間、封印されていた」

「それじゃ、なんで今は活動出来ているんですか?」

「・・・俺の先代の剣士であるアスモデウスが役目を果たせなくなった事を判断され、解除された。

そこから、俺は活動し始めた」

「アスモデウスとは一体?」

「分からない、彼の事は、極秘扱いとなっている」

 

それと共に、俺もまた、ゆっくりと息を整える。

 

「お前も、つらかったんだな」

「別に、俺はつらくなんかないよ。けど、俺も今は戦う理由が確かにある」

 

同時に俺は、ディズニーイマジーネションベルトに強く握る。

 

「父さんを救う事、どうすれば良いのか、さっぱり分からないけど」

 

それに対して全員もまた笑みを浮かべる。

 

「あぁ、そうだな、救おう。世界も、バハトも」

「その鍵となるのは、やっぱり」

 

同時に父さんが最後に見つめた正体。

それを、飛羽真と賢人は知っている。

 

「ルナが、全ての鍵を握っている、だけど」

「どうすれば」

 

それと同時に、赤い光が飛羽真から溢れ出ていた。

疑問に思った俺達はそこを見ると、光輝いていたのは、ブレイブドラゴン、ドラゴニックナイト、プリミティブドラゴンにエレメンタルドラゴン。

 

「これは一体」

「分からない、だけど」

 

それは、あまりにも危険な賭かもしれない。

だけど。

 

「どちらにしても、やるつもりだろ」

「ならば、少し離れた場所を向かいましょう。

この地ならば、せめて他の人には迷惑はかけません」

 

その言葉に対して、俺達もまた頷き、向かう。



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マスターの闇

父さんを救うと決めた。

だけど、それをどうすれば出来るのか、未だに分からない。

 

「どうすれば、良いのか」

「分からないが、今は、蓮を連れ戻そう。話せば」

 

現在、俺達は蓮を仲間に戻って貰う為に探している。

何人かに別れており、俺、飛羽真、賢人の3人で今は行動しており、それ以外の皆は、ノーザンベースで待機している。

本来だったら、全員で行動するべきかもしれないが、何時、ノーザンベースが襲撃される分からない上に、聖剣の力を無効化するバハトの場合、俺しか戦えない。

 

「一体どこに」

 

その呟きと共に感じた気配。

疑問と共に、ゆっくりと見つめる。

 

「初めましてでは、ありませんね」

 

聞こえた声に対して、俺達はゆっくりと後ろを振り向く。

見つめた先には赤いフードを身に纏った人物がいた。

 

「あなたは」

「知っているのか?」

「あぁ、プリミティブドラゴンを手に入れた時に、案内してくれた人だけど」

 

飛羽真は既に知っている様子だが、まさかプリミティブドラゴンを手に入れた時に出会っていたとは。

だが、それと同時に、俺はある事に疑問に思う。

 

「まさか」

「えぇ、既に察しています通り、私がマスターロゴスです」

 

その言葉と共に、俺達はそのまま構える。

 

「あなたは、一体何をするつもりなんですか」

「皆が楽しく過ごせる世界を創る」

「何?」

 

ここまでの出来事を全て関わっているとは思えない一言。

だが、もしかしたら。

 

「その為に、多くの人が犠牲になっても良いというのか、あんたは」

「えぇ、勿論。争いの絶えない世界に創り変えるだけです。朝の鳥のさえずりが人々の悲鳴に変わる。楽しいと思いませんか?」

「っ狂っている」

 

それが、これまで世界の均衡を守る為の、ソード・オブ・ロゴスのトップから出たとは思えない一言。

それには賢人もまた苦虫を噛みながら、その視線はマスターロゴスの手にある剣だった。

 

「それは、闇黒剣月闇っ」

「あの時、無くなった剣が、なんでここに、まさか」

「えぇ、今は私の手元にあります。そしてこれを見ていると思い出しますねぇ」

「思い出すって、何を」

 

同時に、マスターロゴスは。

 

「富加宮隼人は従順で優秀な駒でしたね。私の言葉を信じ、世界のために…」

「お前がっ、父さんをっお前のせいで、俺とルナと飛羽真はバラバラになったんだ!」

「あんたのせいで…ルナが…」

 

ここまでの状況を作り出した黒幕が、まさしく目の前にいた。

 

「この世界の住人は私の思い通りに動く駒同然。さあ、聖剣を渡しなさい」ジャオウドラゴン

 

同時に、マスターロゴスはジャオウドラゴンを起動させた。

 

「・・・それを、返せ、それは父さんの聖剣だぁっ!」

 

同時に賢人と共に構える。



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マスターロゴスの計画

俺達はすぐに変身すると同時に、真っ直ぐとカリバーに変身したマスターロゴスに向かって行く。

実際にマスターロゴスがどれ程の実力があるのか分からず、油断は出来ない。

 

「はぁ!!」

 

まず、攻撃を仕掛けたのは、賢人だった。

エスパーダが得意としている高速による初撃は、本来ならば対応するのは難しい。

そう思っていた。

 

「ほぅ、早いですね」

 

だが、マスターロゴスは、まるでそれを関係ないと言わんばかりにジャオウドラゴンのマントで軽く受け流す。

けれど、それだけで攻撃は終わらない。

賢人の影に隠れていた俺と飛羽真は、そのまま左右に分かれて、攻撃を仕掛けようとした。

だが、それに対して、マスターロゴスは、剣を軽く振るう事で、俺を吹き飛ばした。

 

「ぐっ、強いっ」

「上條さんのカリバーよりも」

 

それは、直接戦ったからこそ分かる。

 

「これでもソード・オブ・ロゴスの長ですからねぇ、本当に私の一族は下らないですけど」

 

その呟きと共に、俺もゆっくりと構える。

 

「なるほど、アルカディア・ベースがあまり接触しないようにした訳だ。あんたのような奴が長になったんだから、警戒する訳だ」

「先代から継いだ後から、少ししてから、あまり関わらないようにされましたから。そこにある禁書を使えば、より面白くなれたのに」

 

それと共に、マスターロゴスは笑みを浮かべる。

 

「それに、私としては、この状況はとても好ましい。

なぜだか、分かりますか?」

 

その意味が分からない。

 

「一体、何を」

「何、この剣の能力は実に便利です。これまでの所有者達の様子から、使い方も十分に熟知する事が出来ました」

「まさかっ」

 

同時に俺は冷や汗を流すと共に、連絡が入る。

それは、ノーザンベースからの連絡であり。

 

「大変だっ、今っ、ノーザンベースで襲撃がっ」

「俺達の聖剣がっ奴らに奪われたっ」

「っ」

 

その一言に、俺達は思わず目を見開く。

 

「大いなる本の力をより引き出すには、聖剣を覚醒させなければならない。

その時期を見計らっていました」

「まさかっこれまでは」

「全ては私の手の平の上という事ですね」

「お前っ」

 

まさか、ここまで計画的だったとは。

だとしたら、なんでわざわざ俺達だけに。

すると、飛羽真と賢人の2人に近づいたマスターロゴスはそのまま衝撃波で、俺の元に吹き飛ばす。

 

「2人共っ!」

 

俺はすぐに受け止める。

だが、次の瞬間、ディズニーイマジーネションベルトが反応する。

 

「これは」

「あなた方、お二人は私にとっては特別です。なぜならば」

 

同時に頭上の空間がヒビが入る。

見れば、そこには一人の少女がいた。

彼女は。

 

「「ルナっ!!」」

「まさか」

 

奴の狙いは、彼女だったのかっ。



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反逆の剣士達

マスターロゴス、奴の企みによって、ディズニーイマジーネションベルトから解放されてしまった空間。

その先にいる少女はマスターロゴスによって攫われてしまった。

 

「くそっ、全部、あいつの思い通りだったのかよ!」

 

俺達はすぐにノーザンベースへと戻った。

そこは、多くの施設が壊されており、怪我をしている倫太郎達がいた。

 

「すいません。僕達の聖剣も奪われてしまい、ユーリさんも」

「バハトも合わせて、とんでもない能力を持つ三人だったんだ。

皆、生きていただけでも奇跡だったんだ」

 

聖剣の力を無効化するバハトを相手に、全員が生き残ったのはまさしく奇跡としか言えない状況だ。

それを悪く言う奴なんて、この場にはいない。

だけど、危機的状況なのは変わらない。

 

「マスターロゴスは、ルナを使って、全知全能の書を再び呼ぶつもりだ。

もしもそうなってしまったら」

「10年前の、あの事件よりも悲惨な事が起きてしまう」

 

マスターロゴスがあの場で嘘を言うとは思えない。

だとしても、今の俺達に勝ち目があるかどうか分からない。

 

「どうする、このままじゃ」

「逆転出来る手は、奪われた聖剣を取り返すしかない」

「だとしても、こっちは数では圧倒的に不利だぞ」

「それでもっ」

 

そうして、飛羽真は叫んだ。

 

「やらなきゃ、世界はあいつの言う通りになってしまう」

 

その言葉に対して、皆は否定する事は出来ない。

 

「あぁ、そうだな、やらなきゃいけない。

だからこそ、何を取り戻すべきかだ」

「最優先で取り返す聖剣か」

 

それに対して、俺達は頷く。

 

「まずはユーリ。あいつを取り返す事が出来れば、戦況はどうにかなる」

「そして、戦う相手だけど、ソラはバハトを頼めるか」

「あぁ」

 

聖剣の力を封じる事が出来る父さんの相手が出来るのは、俺だけだ。

 

「残りの剣士は、俺がなんとかする」

「それは、良いのか」

 

それに対して賢人は飛羽真に問いかける。

だが、それには理由がある。

 

「エレメンタルドラゴンならば、どんな攻撃でもある程度は無効化する事が出来る。

バハトを相手には難しいかもしれないけど、これで時間稼ぎが出来る」

「あとは、賢人、お前に全てがかかっている」

 

この場において、最もスピードに長けている賢人が全ての鍵だ。

その賢人の速さで、聖剣を取り戻す。

 

「幸運と言うべきか、不幸というべきか。

この作戦において、俺達が誰が欠けても出来なかった」

「これもマスターロゴスの企みだと思いたくないが」

 

ここまで、逆転の為に行ってきた全てがマスターロゴスの手の平の上だった。

だからこそ、これもまたマスターロゴスの作戦だとは思いたくない。

 

「だけど、これしか今は討てる手はない」

「あぁ、分かっている」



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相反する二人

目的の地へと辿り着いた俺達。

 

そこで待ち受けていたのは、マスターロゴス達だった。

 

奴らの近くにはルナがベットで寝ており、マスターロゴスは余裕の笑みを浮かべ、こちらを見ていた。

 

「よく来てくれましたね、さぁ、その聖剣を私に返してくれますか?」

 

「お前に返す聖剣などない」

 

「ここでルナを絶対に助けてみせる」

 

「そうですか、断りますか」

 

既にこちらの返答など分かっていたはずなのに、マスターロゴスはそのまま座る。

 

「それでは、やってください」

 

その一言にマスターロゴスの周囲にいる剣士達がこちらに向かって来る。

 

「行こう!」「「あぁ!」」

 

飛羽真の一言に合わせて、俺達もまた走り出す。

 

だが、マスターロゴスが手を振るうだけで周囲の空間が歪み、そして、一斉に襲い掛かって来た。

 

しかし、この程度なら問題はない。

 

俺達は、その攻撃にも耐え、そのまま真っ直ぐと向かう。

 

「マスターの元には行かせない!!」

 

同時にデュランダルとサーベラの二人が前に出る。

 

それに対して飛羽真が前に出る。

 

「行け!」

 

当初の作戦の通り、俺と賢人は、そのままマスターロゴスの所へ向かおうとするが

 

その時、上空から迫る存在。

 

俺もまた、キーブレードを構える。

 

「会いたかったぜぇ!」「父さんっ」

 

そこにいたのは、父さんだった。

 

父さんはそのまま無銘剣虚無を地面に突き刺す。

 

すると、そこから巨大な斬撃が現れ、こちらに迫って来た。

 

だけど、そんな事は想定済みだ。

 

俺はキーブレードを振りかざし、そのまま斬り裂く。

 

しかし、父さんの斬撃は止まらず、そのまま俺に直撃する。

 

吹き飛ばされた俺だったが、何とか立ち上がる。

 

そして、父さんもこちらを見て、仮面の下で笑っていた。

 

だが、その一撃を放った事により、父さんの動きが一瞬だけ止まる。

 

今しかない! その隙を突いて、一気に駆け抜ける。

 

しかし、父さんはその事に気が付き、すぐに対応してきた。

 

無銘剣虚無を構えながら、向かってくる。

 

それに合わせるように、俺もキーブレードを構えた。

 

互いの刃がぶつかり合い、激しい衝撃が起きる。

 

だが、それでも互いに一歩も引かない。

 

「どうしたどうした!そんなので、俺に勝てると思うのか!」

 

「ぐっ!」

 

以前にも戦ったが、やはりその実力は圧倒的だった。

 

今の自分では到底敵わない。それは分かっている。

 

だからこそ、今はただ力を合わせる事しか出来ない。

 

俺は、父さんの攻撃に耐えつつ、反撃の機会を伺う。

 

しかし、中々機会がない。

 

そうしていると。

 

「ご苦労様です」

 

「っ」

 

聞こえた声。

 

それと共に、俺は思わず、そちらに目を向ける。

 

そこにはマスターロゴスが放った一撃が、こちらに迫っている。

 

「ちっ」

 

すると、なぜか父さんが俺の前に出ていた。

 

「父さんっ」

 

それがなぜか分からなかった。

 

しかし、確かに父さんは、まるで我が身を盾にするようにした。

 

そして、マスターロゴスの一撃を、父さんは受け止める。

 

その威力は凄まじいものだったらしく、父さんは大きく吹き飛ばされた。

 

それと同時に、父さんの持っていた無銘剣虚無とエターナルフェニックスが、マスターロゴスの手元に。

 

「全知全能の書を完璧に復活させるには、11本の聖剣と、選ばれた19冊の本、そして世界を繋ぐ存在が必要

 

今、この場で不要なのは、あなただけですね」

 

同時に空を見上げれば、それらの聖剣とワンダーライドブックで陣が作り上がる。

 

「このままじゃっ」

 

「ルナァァァ!」

 

このままでは不味い。

 

そう思った時だった。

 

ディズニーイマジーネションベルトが反応する。

 

それはおそらくは、この現象での反応だろう。

 

「希望を諦める時ではありません」

 

「えっ」

 

聞こえた声、それと共にディズニーイマジーネションベルトから出てきたのは一つの人影。

 

だが、それは、俺達も、そしてマスターロゴス達も信じられない人物だった。

 

「どうなっているんだ?なんでディズニーイマジーネションベルトから」

 

「マスターロゴスが現れたんだ!?」



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初代が受け継いで欲しかった物

「一体、これはどうなっているんだ」

 

倫太郎を始めとしたその場にいたほとんどがディズニーイマジーネションベルトから現れたマスターロゴスに向けて疑問の声を出してしまう。

その最中、マスターロゴスだけがその正体が分かった。

 

「初代マスターロゴス」

「初代マスターロゴスっ」

 

その言葉に、俺達は驚きを隠せなかった。

見れば、両名のマスターロゴスの容姿は似ているが、これは一体。

 

「・・・まさか、本当にこのような事になっていたとは」

「今頃になって、なぜ現れたのですか」

「あなたが、それを使ったからです」

 

そう、初代が指を指したのは、マスターロゴスの手に持っている本だった。

 

「歴代のマスターロゴスが受け継いでいく本。そして、あなたがこの現象を起こした事によってワンダーワールドにいた私の魂を引き寄せたのです」

「だから、どうした!これから世界はもうすぐ生まれ変わる!その世界にはあなたのような亡霊は必要ない!」

「えぇ、残念ながら私の役目は既に終えていた。行える事もあまりにも少ない。だけど」

 

同時に初代が、上空にある陣へと手を伸ばした。

すると、そこに収まっている聖剣の一つである火炎剣烈火が炎を灯し、そのまま飛羽真の元へと飛ぶ。

 

「私の意思を受け継いでくれる彼らに道を作る事は出来る」

「貴様ぁぁぁ!!」

 

マスターロゴスが、こちらに向かって攻撃を放つ。

それに対して、初代はその手からバリアを貼り、攻撃を防ぐ。

同時に、飛羽真の前に光の道を造りだした。

 

「行って下さい、まだ、物語は終わっていないから」

「っはい!」

 

初代の言葉を聞くと共に飛羽真は火炎剣烈火を手に持ち、真っ直ぐとルナが囚われている所まで走り出す。

 

「させるかぁ!」

「それはこちらの台詞です」

 

既にマスターロゴスには余裕はなかった。

長年の計画を阻止させない為に、手を尽くす。

だが、初代が、それを防ぐ。

マスターロゴス同士の戦い。

初代は、こちらに迫る攻撃を防いでくれる。

 

「ぐっ!」

「マスターロゴス!」

 

それと共に苦しむ様子を見た倫太郎が、初代を支える。

 

「離れて下さいっ、このままでは」

「それはっできませんっ!」

「水の剣士」

「僕はソード・オブ・ロゴスに救われました。今は家族の、仲間の為に戦っています。

ですが、裏切った事は、今でも嫌で仕方ない」

「あぁ、確かにな、後悔と嫌な事は違う」

「だけど、あなたが造りだした組織のおかげで、多くの人々が救われた」

 

そう、倫太郎に続き、尾上さんも大秦寺さん達も次々と初代を支える。

 

「ありがとうございます。例え、血と力を受け継いでいても、思いは受け継がれなかった。

だけど、思いを受け継いでくれるあなた方がいる。

それだけでも、私は、この場に来た意味があった」

「ぐっ」

 

同時に初代の力がより強くなる。

それに対して、マスターロゴスの顔は歪ませる。

 

「貴様ぁぁ!!!」

「そして、私の思いを最も受け継いでくれた彼は今、物語を動かしてくれる」

 

それと共に初代の目線の先には、飛羽真がルナを救い出し、そして陣を破壊した光景だった。

それによって、倫太郎達の元に聖剣が戻っていく。

 

「聖剣が」

「戻ってきた」

 

それに対して、笑みを浮かべる一同。

同時に、マスターロゴスは憎しみを籠めた声と共に、その手には別の黄金の剣を手にして放った。

 

「虫けらどもが…!」

 

その言葉に対して、初代が再び防いでくれた。

 

「・・・」

 

無言で、初代はマスターロゴスを睨んでいる。

対して、マスターロゴスは、すぐにその場から離れていった。

同時に、戦いは終わりを迎えていた。

 

「マスターロゴス、今回は」

「いいえ、私は既に死んだ身、そしてもう貴方達を助ける事は出来ません」

 

それと同時に初代の身体は徐々に光へと変わっていく。

 

「既に、あの本は消えました。そうなった以上、私が再びこの世界に来る事は出来ないでしょう」

「・・・僕達は、結局」

 

それと共に、初代は、俺達をゆっくりと見回し、そして飛羽真とルナを見つめる。

それは、まるで懐かしむように。

 

「神山飛羽真、あなたが齎す結末に良き未来を願っています」

 

そして、初代は、その姿をこの世界から消した。



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過去の壁

 初代マスターロゴスからの意志を受け継いだ。

 

 そして、初代の登場は俺達に想像を越える味方が現れる。

 

「まさか、お前達の方からこちらに来るとはな、デュランダル、サーベラ」

 

 それは、サウザンベースの剣士であり、これまで俺達とは敵対していた二人だった。

 

 その事は、その場にいた全員が警戒しながら見つめる。

 

「てっきり、お前達はマスターロゴスの味方だと思っていたかな」

 

 その場で、尾上さんは尋ねると、デュランダルはつまらなそうな顔をしながら。

 

「そうだ、私達はマスターロゴスに代々遣える剣士だ。

 

 それは、今も変わらない」

 

「ならば、なんでここに来た? 俺達が戦う相手はそのマスターロゴスだよ」

 

「既に奴は自らマスターロゴスの名を捨てた」

 

 デュランダルのその一言は、あまりにも大きかった。

 

「あの時、初代のお言葉で怒り狂った奴は、そのまま自らの名前であるイザクと名乗った。

 

 それは、ソードオブロゴスへの完全な敵対だと、我々は感じた」

 

「それで、俺達と共闘する提案の為に来たのか?」

 

「いいや、ただ俺達の邪魔をするな。それを伝える為に来た」

 

 その言葉と共に、俺達は思わず叫んでしまう。

 

「何を言っている! 相手は仮にもマスターロゴスだった男だ! お前達だけで勝てる相手じゃないぞ!」

 

 俺の言葉に、デュランダルは何も言わず黙っていた。

 

 しかし、隣にいるサーベラは俺達に向かって剣を構える。

 

「あなた方の意見など聞いていない。

 

 私達がどうしようと勝手だ」

 

「あぁ、そうかよ、やっぱりお前達は頭が固いようだな」

 

 そう尾上さんは叫ぶと共に座る。

 

 そんな最中で、俺は。

 

「それじゃ、初代マスターロゴスの意志はどうなるんだ」

 

「なに?」

 

 俺の、その言葉に彼らは一瞬止まる。

 

「初代は、そんな事を望んでいない!! この世界を守る意思で、力を合わせる事を望んでいるはず! それは2人共、分かっているはずだろ」

 

 俺は、そう投げかける。すると、二人は少しだけ笑みを浮かべながら答える。

 

「確かに、奴の考えは分かる。だが、それでも……」

 

 デュランダルが何かを言おうとした瞬間だった。

 

「お前達との間に、未だに壁はある。敵対していた以上はな」

 

 それだけ言い、その場から去っていた。

 

「……まぁ、急に同じ敵だから一緒に戦おうってのは、難しいかもしれないな」

 

「時間が必要なんでしょう、彼らにも私達にも」

 

 どんなに騙されていたと言っても、敵対していた事実は変わらない。

 

 それが、彼らに対して、負い目なのかもしれない。

 

「これはっ」

 

 そうしていると、本が反応した。

 

 俺達はすぐにその本から出ている光景にすぐに目を向ける。

 

「これは」

 

 そこにはマスターロゴスことイザクが笑みを浮かべて、何かを行っている。

 

 同時に、すぐ近くには父さんが、そこにいた。

 

「……イザクは、俺達が止める。ソラは、バハトを頼む」

 

「あぁ、分かった」

 

 その言葉に、俺もまた頷き、向かう。



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人の可能性

飛羽真達に、イザクの事を任した。

だからこそ、今の俺がやるべきなのは。

 

「父さん」

 

父さんであるバハトを止める事だ。

 

「・・・本当に嫌になるよな、こんな戦いを引き起こすばかりの世界には」

「・・・父さんは、なんでそこまで世界を滅ぼしたいんだ」

 

ここまでの戦いにおいて、俺はその疑問を父さんにぶつける。

それに対して、既に父さんの答えは決まっていた。

 

「恐怖の余り、争い合うのが人間の本質だ。そして、人がいる限り、争いは起き続ける。

ならば、世界を滅ぼせば、争いもなくなる」

「そうか、けど、父さんは昔は平和だけを考えて戦っていたのか?」

「なに?」

 

俺の言葉に対して、父さんはこちらを見る。

 

「確かに、人は争う。

それは悲しい事に変わらない。けど、争う中でも、人は人と繋がり新たな可能性を見つける事が出来る」

「可能性だと?」

「あぁ」

 

それと共に、ゆっくりと俺もまた構える。

 

「そんな可能性などない」

「だからこそ、今、見せる」ミッキーマウス!ジャングルブック!

 

それに合わせて、俺もまた構える。

そのまま、2本のイマジネーションキーを装填する。

そして、それを合図に俺もまた変身する。

 

「それは」

「マスターフォーム、現状、俺が変身できる姿の中で最も最強の姿だ」

「ならば、その姿を、見せてみろ!」

 

それと共に父さんもまた変身する。

背中からは炎の翼を生やし、そのまま俺の方へと向かって行く。

対して俺は、こちらに迫る攻撃に対して、受け流す。

 

「ふんっ」「はぁ!」

 

ジャングルブックの力によって、野生の第六感で次々とその攻撃を受け流していく。

そのまま、俺達は宙へと舞いながら、両手にあるキーブレードで攻撃を行っていく。

 

「これは」

「はぁぁ!!」

 

マスターフォームは、ブレイブとウィンダム。

二つの能力が合わさっている。

それによって、剣術とワンダーライドブックの能力。

その両方を引き出す事が出来る。

 

「まずは一回!!」

「ぐっ」

 

それと共にまずは最初の一撃を決める。

父さんは、その一撃によって、地面に叩きつけられる。

だが、その身体をすぐに炎に変えて、俺の方へと近づく。

 

「だけど、それも分かっている!」「ほぅ」

 

何度も、その光景は見ている。

だからこそ、俺は再生した瞬間の父さんに向けて、攻撃する。

それによって、再び倒す事が出来た。

だけど、不死身である父さんからしたら、それは問題なかった。

 

「なるほど、確かにその力は最強かもしれない。

だが、その様子からして、体力はそれ程保てないようだな」

 

その父さんの言葉は正しい。

それでも。

 

「俺は見せる。

人の可能性を見せる為に!」

 

その、俺の言葉に対して、父さんは。

 

「・・そうか」



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託された思い

俺の叫び。

それを聞いた父さんの表情は分からなかった。

仮面ライダーとしての仮面を被っている為であるのは分からない。

だが、僅かに聞こえたその声は、どこか穏やかだった気がする。

その次の瞬間だった。

 

「なるほど、確かに強い力を持っているようですね、ですが」

「っ!」

 

聞こえた声。

その声と共に、見つめた先にはイザークがいた。

その姿は、間違いなく仮面ライダーだった。

イザークは、その手に持った黄金の剣をこちらに向けていた。

 

「まずっ」

 

すぐに防御をしようとした。

だけど、マスターフォームによって、体力の限界を迎えていた。

全身の力が抜け、その場で倒れる。

すぐに立ち上がろうとしたが、黄金の剣から放たれた斬撃。

それを避ける術は、今の俺にはなかった。

だからこそ、待ち受けるのは死。

だが。

 

「がはぁ」

「えっ」

 

それを防いだのは、なんと父さんだった。

その行動に対して、俺は勿論、イザークと戦っていた飛羽真達も、イザークも驚きを隠せなかった。

そんなイザークに対して、父さんは俺の方へと倒れた。

 

「父さん、なんで」

「・・・お前は、俺にとっては絶望の象徴だった」

 

それと共に父さんはゆっくりと話し始めた。

 

「俺はあの時、お前達を護る事が出来なかった。剣士として、世界を守る為に。

だけど、それが出来なかった俺は、世界に絶望した」

 

それと共に、無銘剣虚無を俺の手に渡した。

 

「だが、お前が生きて、そして人間の可能性を教えてくれた。

あの時、俺が信じれなくなった物を、絶望した事を、希望に変える可能性を」

 

同時に父さんの身体はゆっくりと光の粒子へと変わっていく。

 

「お前がこの先の未来に、何をもたらすのか…。俺が見届けてやる」

 

父さんはその言葉とともに消滅する。

 

「フフ…なかなか面白い見世物でした。ですが手遅れですよ。

見てみなさい。世界が滅びる光景を」(イザク)

 

その言葉通り、空は既に闇に閉ざされた。

 

「もうこの世界に剣士は必要ありません」

 

同時に、イザークの言葉と共に、こちらに向かって、巨大な剣が襲い掛かる。

それに対して、俺は、その手に持つキーブレードと父さんの無銘剣虚無で受け止める。

 

「お前の剣は軽い!」

「なにっ」

 

それと共に、俺は剣を振り上げる。

同時に飛羽真達も、その場に集っていた。

そこには、飛羽真達だけではない。

デュランダルにサーベラ、さらには練までいた。

 

「剣士はそれぞれの思いを剣に乗せて戦っている。お前にはそれがない!」

 

その言葉に合わせるように、俺のディズニーイマジーネションベルトの扉が開かれる。

その光からは、蝶が舞い、そして、賢人の隣に辿り着く。

すると、蝶は姿を変え、そこには。

 

「父さんっ」

「隼人さん」

 

そこには、かつて闇に墜ちた賢人の父がいた。

だけど、ここにいる彼からは、そんな闇を感じられない。

だからこそ、賢人は、預かっていた。

賢人は闇黒剣を隼人へ渡す

 

「思いなど、絶対的な力の前では無力!」

「俺たちの思いが…未来を創るんだ!」烈火!

 

それに合わせるように、飛羽真の火炎剣烈火が赤く輝いた。

そして、次々と、各々の剣が光輝く。

それは、虚無もまた、同じだった。

俺達は、そのまま剣を真っ直ぐと、天高く向ける。

 

「人が鍛えし始まりの聖剣に、火を灯さんとする者現れし時…」

「星を結びて力を束ね、物語を終焉へと導く聖剣が生まれる」

 

11の聖剣全ての力を集約することで全知の聖剣が誕生する。

そして、その聖剣は、飛羽真の元へと向かう。

そして、各々の聖剣も、また手元へと向かう。

俺の所にも、虚無が舞い降りる。

 

「・・・」

 

託された思い。

同時に見れば、飛羽真もまた、その姿を変えていた。

まさしく、銀河を思わせるその姿を見つめる。

 

「俺に、出来る事は」

 

そう、俺は無銘剣虚無を見つめる。

 



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無の聖剣

飛羽真が、伝説の聖剣である刃王剣十聖刃を手にした。

それによって、俺達のこれからの方針は決まった。

 

「行こう」

 

未だに戦いでの傷を負っている剣士がいる状態で、彼らを無理させない為に、俺と飛羽真と倫太郎の三人でノーザンベースへと向かった。

向かった先の玉座。

 

「ストリウス?」

「やはり、メギドと組んでいたなんて」

 

そう俺達は、イザークの近くにいたストリウスを見て、確信した。

彼らが手を組んでいる事は既に明らかだ。

 

「あれは全知全能の書の力を余すことなく引き継いだ伝説の聖剣です。だから私が持つのが相応しい」

「あれは確かに伝説の聖剣だが、お前が持つのに相応しいかは、別だ」

 

その一言と共に俺もまた、虚無を手に取り、構える。

 

「ほぅ、父親と同じく、世界を無に変えるのですか」

 

俺に向けて、イザークはそう呟く。

けど。

 

「確かにな、世界を無に帰すつもりだ」

「なに?」

 

それに対して、俺は答えを決めたように虚無をゆっくりとその刀身をイザークに向けた。

 

「ただし、お前のくだらない世界をな」

 

そうすると、虚無の変化が起きる。

これまではオレンジ色と黒い刀身。

それが、まるで俺の言葉に合わせるように変わる。

刀身の色は常に変わりながら、まるで虹を思わせるように幾度も変わる。

 

『無銘剣無限』

「聖剣が、変わった、これは」

「面白いですねぇ」

 

それに対して、ストリウスは笑みを浮かべる。

 

「虚無とは無。

聖剣の属性の「無」は、全てを無に帰す、そして無限という意味である」

「つまりは、その無限の方へと、俺に変わったという事か、ならば!」

 

そうして、ディズニーイマジーネションベルトが変わる。

それは、これまでのようなベルトだけではない。

飛羽真達のようなドライバーに、父さんと同じ覇剣ブレードライバーへと変わる。

そして、そこに、俺は無限を装填する。

 

「行こう」

「あぁ」

 

その言葉と共に飛羽真と倫太郎もまた同時に構える。

 

「「「変身!」」」

 

それと共に、俺達の姿は変わる。

そして、俺の変身は、これまでとはより違った。

 

『抜刀! エターナルパワー!虚無!無類の力で、全てが無に帰す!』

 

俺が振るった瞬間だった。

一瞬だけ、隣に父さんがいた気がする。

そこに立っていた父さんが変身していたファルシオンが炎となって、そのまま俺を身に纏う。

 

「ほぅ、ディズニーが聖剣を使いましたか」

「仮面ライダーディズニー・ワールド。

お前達に物語を見せてやるよ」

 

俺は真っ直ぐと無限を構えながら、もう片方の手にディズニーイマジーネションキーをそのままディズニーイマジーネションベルトに装填する。

その瞬間、世界は一変する。



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ワンダーワールドを

「これは」

 

 そう、飛羽真と倫太郎は周囲を見る。

 

 先程までは、確かにサウザンベースの中にいたはずだったが、俺がミッキーイマジネーションキーをセットした瞬間、周囲の景色は変わったからだ。

 

 その城の光景はまるで物語の中にあるような城。

 

「ソラ、ここは」

 

「ディズニーキャッスル、このミッキーが王様として君臨している国の城だ」

 

「ほぅ、ワンダーワールドに飛ばしてきましたが、ですが、その程度っ」

 

 そうしていると、イザーク達に向かっていく影。

 

 それは。

 

「ほっホウキ!?」

 

「ホウキが走っていますよっ!?」

 

 驚きを隠せない飛羽真達を余所にホウキ達は次々とイザーク達に飛びかかっていく。

 

「数は多くても、それは所存っ」

 

 そのイザークが呟くと共に、彼らの前に現れたのは、巨大な飛行機。

 

 まるで、オモチャのブロックで造られた飛行機は、そのままイザークに攻撃を仕掛ける。

 

「ちっ!」

 

 だが、その攻撃はイザークが造り出した光の壁で遮られた。

 

「次はっと」エルサ!イマジネーション! 

 

 俺は、そのままエルサ・イマジネーションキーを装填した。

 

 すると、周囲の景色はまた変わり、雪景色に。

 

「また、世界が変わった!」

 

「今度は雪山の中に」

 

「これが、新たな無限の力」

 

 そう言っていると、ストリウスに向かって、氷の巨人が迫る。

 

 その拳に対して、すぐにメギドの姿へと変わり、防御するも、簡単に吹き飛ばされる。

 

「この力はっ一体っ!」

 

 ストリウスは、そのまま違和感を感じたように見渡す。

 

「この空間、私達のワンダーワールドとは違う」

 

「あぁ、そうだろうな」

 

 それと共に、俺はそのまま構える。

 

「何を言っている」

 

「まぁ、俺もまたこれを直感としか言えない。

 

 けど、ワンダーワールドもまた、人々と一緒に生きたいと考えている」

 

 その言葉に合わせるように無限を構える。

 

 同時に、キーブレードが空中に浮かびながら、構える。

 

 そのキーブレードの、その意思が、まるでワンダーワールドの想いであるかのように。

 

 そして、俺は告げた。

 

「人がいるからこそ、物語がある。

 

 そんな人を消そうとしているお前達を、俺も、この世界も決して許さない!!」

 

「戯言をっ」

 

 それを合図にしたのか、互いにぶつかり合う。

 

 イザークは、その手にある剣をこちらに構えていた。

 

 俺もまた、それに合わせて、無限を構え、走り出す。

 

 まずは、互いの剣をぶつけ合い、火花が散りあう。

 

 そのまま押し込み、弾き飛ばすと同時に、俺は叫んだ。

 

「ここからが、物語の始まりだ!」

 

「何が始まりだ! これから私の物語だ」



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1人の世界、皆の世界

 互いの剣による鍔迫り合い。

 

 周囲は雪山の最中でも、俺とイザクによる剣から発する火花は決して消える事はなかった。互いに一歩も引かない。互角の勝負だった。

 

 だが、このままでは勝てない。そう思った俺は、無限に力を込める。

 

 俺の背後から、無数のキーブレードが現れ、それが一斉にイザクへと襲い掛かる。「ほぅ、まさかそのように操れるのですか、でしたら!」

 

 俺がキーブレードを召喚するのに合わせて、イザクもまた周囲にガルドボルグを召喚する。

 

 そのまま、カラドボルグをキーブレードに打ち付けてくる。

 

 キーブレードを一つだけでは、カラドボルグよりも小さなキーブレードでは対抗する事は出来なかった。

 

「ははぁ、所詮、このっ」

 

 イザクは、そう仮面の下でも分かる下劣な笑みを浮かべる。

 

 しかし、それもすぐに変わる。

 

「ソラ!」「飛羽真!」

 

 それと共に、ストリウスと戦っていた飛羽真の声が聞こえる。

 

 同時に刃王剣十聖刃の力によって召喚された聖剣。

 

 それらが、キーブレードと共にカラドボルグに対抗する。

 

「なっ」

 

 キーブレードだけでは対抗出来なかったカラドボルグを、他の聖剣と共に押し返す。

 

 そして、その隙を狙って、イザクの体に一撃を入れる。

 

 鎧に覆われていない腹を切り裂く。

 

 イザクは、一瞬だけ苦痛に身をよじらせる。

 

 しかし、次の瞬間には傷口が塞がり、元通りになる。

 

「無駄だっ、この程度では!!」

 

 それが、全知全能の書の力の一部だろう。

 

 それでも。

 

「負けるつもりはない!」

 

 それと同時だった。

 

 俺はそのまま無限を真っ直ぐと構える。

 

 それと共に、周囲を舞っていたキーブレードは俺の元に集っていく。

 

 そのまま無限を中心に新たな剣を形成していく。

 

「っ」

 

 それと共に、先程よりも巨大な剣になり、構える。イザクはそれを見ても、余裕のある態度を見せる。

 

「はっ、どうやら私の力の方が上だと理解したようですね。ですが、それは無意味です! 私は無敵!! 何人たりとも私を傷つける事などできないのです!」

 

「違うな」

 

 俺は、それを真っ向から否定する。

 

「例え、お前が無敵だろうと関係ない。この世界と繋がり、仲間達と繋がる無限の力は、お前の想像を超えられるんだ!」

 

「ふん……戯言を!!」

 

 そう言うと同時に、イザクは、その腰にあるワンダーライドブックを操作する。

 

「あなたの世界など、私の世界で壊してあげましょう!」OMNIBUS LOADING! SOLOMON ZONE! 

 

 鳴り響く音声と共に、カラドボルグを高く掲げて、上空にある「巨大なる終末の書」にエネルギーを流し込み、本の力を開放する。

 

 それと共に隕石が、巨大なカラドボルグが、俺達に襲い掛かる。

 

 しかし。

 

「壊させないさ! 俺達の世界を!」イマジネーション! フルマックス! 

 

 鳴り響く音声。それと共に世界が揺れる。

 

 同時に、周囲には形が違う様々なキーブレードが現れる。

 

 俺はそのままキーブレードと共に真っ直ぐとイザクに向かって行く。

 

 隕石が、カラドボルグが。

 

 それら全てはキーブレードによって打ち砕かれる。

 

 イザクもまた構えていたが、無限による一閃。それで全てが終わる。

 

「ぐあっ……」

 

 血飛沫を上げながら、地面に倒れ伏す。

 

 戦いは決着がついた。

 

 俺は、そのまま変身を解除すると共に、イザクを見つめる。

 

「諦めろ、世界は「黙れぇ!」っ」

 

「私は負けないっ、この力同様、不滅だ! 私の神話はここから始まる……」

 

 そう俺の言葉を遮るように、イザクは叫ぶ。

 

 まだ、終わらないのか、そう思った時だった。

 

「それは無理ですねぇ?」

 

 そう言いつつ、イザクの横にストリウスが現れる

 

 

 

「あなたの物語はここで終わりです」

 

 

 

「何を言ってる……神の御前だぞ! ひれ伏せぇーっ!」

 

 

 

 しかし、次の瞬間、イザクの身体は消えていた。

 

 それがストリウスの仕業だと分かる。

 

 ここまでの、全ての裏を操っていたイザク。

 

 その最後はあまりにも呆気なさすぎた。

 

「ストリウスっ、お前っ」

 

「あなたのおかげで楽に手に入りました。

 

 そして、その力も実に興味深い」

 

 それと共に俺と飛羽真を見つめる。

 

「全知の聖剣と世界を繋げる扉の本。

 

 それらも全て私が手に入れましょう」

 

「待てっ」

 

 そう、言うが、既にストリウスの姿は消えていた。

 

 ソード・オブ・ロゴスでの戦いは終わったはずだ。

 

 しかし、未だに戦いは終わりが見えない。



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異世海賊

イザクは死んだ。

それは、本来ならば、これからの悲劇を回避する事ができたかもしれないが、大きな問題が起きた。

それは、奴の持っていたマスターロゴスとしての力が、メギドの一人であるストリウスに奪われてしまう。

メギドの中でも特に行動を読むのが難しい奴がこれから何をやるのか、まるで予想はできない。

そして、これまで俺達から姿を消していた事もあり、その所在は、分からない。

 

「これまで謎だった奴がさらに力をつけた。しかも、こちらから打てる手はないか」

 

そんな考えをしていた時だった。

空を見つめてみると、何かが落ちている。

そんな俺の疑問を他所に、今度は奇妙な光景が見えた。

 

「えっ」

 

次に目をしたのは黄金の飛行船。

かなり派手だが、先程まではあんな物は空にはなかったはず。

そうしていると、飛行船から何か落ちてきた。

それはどうやらロープだが。

 

「ヨホホイ!」

「えっ」

 

聞こえた声。

それと共に降りてきたのは、派手な格好をした男性だ。

剣士として、これまで多くの戦いを潜り抜けた事もあって、多少現実離れした事があっても狼狽えない自身はあったが、さすがにこれは驚きを隠せない。

あまりのインパクトに呆けていると、こちらに男性が近づく。

 

「なぁ、ちょっと聞きたいけど、この辺りに何かおちなかったか」

「えっ、落ちたというと」

 

男の質問と共に、思い出したのは、先程の空から落ちてきた何か。

それは結局なんだったのか分からなかったが、もしも目の前にいる男の目的の物がそれだったら、可能性としては高いだろう。

その言葉と共に自然と指を指す。

 

「あっちに何か落ちてきたけど」

「それだ、サンキュー」

 

すると、その男は懐から何かを取り出す。

これまで見た事のない何かであり、そのまま構えた。

そう思っていると、その場で踊り出した。

そして。

 

「チェンジ痛快!」ヨーソロー!ツーーカイに、レボリューーション!

 

その姿が変わる。

そこに立っていたのは、俺達が変身している剣士でも、メギドでもない奇妙な存在。

全身が黄金に包まれており、まるで海賊を思わせる格好の存在に、俺は目を丸くする。

 

「さて、ツーカイに決めるか」

 

それだけ言うと、俺が指を指した方向に走り出した。

しばらくして、ようやく正気を取り戻した俺は。

 

「明らかにこの世界にはないと思われる技術、まさか」

 

そんな考えを過りながらもすぐに俺は黄金の海賊を追った。

その先では、既に変身しているセイバー達が倒れており、黄金の海賊は。

 

「おい、何してくれてんだ?お前らのせいで逃げられちゃったじゃねえか」

「…誰?」

 

謎のやり取りを行っている光景であった。

そう困惑を余所に、俺はそのまま空の向こう側にある物を見つめる。

 

「これもまた、世界の危機故の現象なのか、それとも」



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短冊に願いを

「界賊?」

 

「そっ、世界海賊、略して、界賊」

 

俺達はあの後、その場にいた謎の青年ことゾックスから詳しい話を聞いた。

 

どうやら、彼は別の平行世界から来た人間であり、どうやらここに来るまでオリヒメワルドという奴を追ってきたらしい。

 

「それにしても、平行世界か」

 

「ソラは、驚かないのか?」

 

「まぁ、俺自身は、ディズニーイマジーネションベルトがあるからな」

 

普段から、ワンダーワールドという別の世界に繋げる事が出来るアイテムを身に纏っている事もあり、その違和感は少ない方だ。

 

すると、質問をしていた賢人もまた納得したように頷く。

 

「そうだ!こういうのはどうかな?大事なお宝が、界賊に全部奪われてしまうお話。メモメモメモ!!芽依ちゃんメモ!!!」

 

それと共にゾックスから話を聞いた飛羽真はすぐにメモをする為に紙を探していた。

 

どうやら、ゾックスの話がきっかけで少しはスランプを脱したようだ。

 

「あった!!

 

そうしていると、芽依ちゃんが何か紙を取り出した。

 

「物語の始まりはこうだ…!大事なお宝がなくなってしまう」

 

その一言と同時だった。

 

突然、俺達に青い光が舞う。

 

そして。

 

「僕のワンダーライドブックが…?」

 

「え…?俺もない…!」

 

すると、倫太郎が、賢人がワンダーライドブックがない事に驚いた様子だった。

 

「あれあいつは…?」

 

「界賊がブックを…?」

 

ノーザンベースへ行くドアが開いている。

 

「すぐに追わないと!」

 

その飛羽真の一言と共に、すぐに向かった。

 

だけど、俺は腰にある違和感に疑問に思う。

 

「これは、本当に」

 

本当に無くなっているんだったら、俺の腰には違和感はなかった。

 

それは、未だにここにあるという意味。

 

俺達は、すぐにノーザンベースに向かう。

 

「大人しくしろ!」

 

ノーザンベースに辿り着くと、既に神代兄妹がゾックスを捕らえた

 

「よかった。捕まえてくれていたんですね」

 

「お前だろ!返せ!」

 

俺達が辿り着くと、2人は何が起きているのか分からず困惑している様子だった。

 

「どうした?」

 

「ワンダーライドブックが消えたんです」

 

「お前たちのブックはどうだ?」

 

飛羽真達の言葉を聞くと共に、そのまま2人もまた確認する。

 

すると。

 

「ない!貴様あっ!」

 

「ほら見ろ。返せ」

 

ゾックスはすぐにそのまま手に持った本を見せる。

 

その様子は嘘をついていない。

 

「ブック…?本なんかこれしか手、だしてねえし…!」

 

「嘘をつくな!」

 

「どうしたんですか?」

 

「えと、その…界賊の話を聞いてたら、飛羽真に小説のアイデアが浮かんで…」

 

「それで短冊に”大事なお宝がなくなってしまう”って書いていたら…」

 

そう、話し合っているけど。

 

「あれ、聞きたいけど、その短冊って、一体」

 

「分かった!そいつがオリヒメワルドの能力だ。あいつの短冊に書いた願い事は現実になる」

 

「なるほど…!じゃあ、ワンダーライドブックがなくなったのは…」

 

「…俺のせい?」

 

「うわあああーーっ!」

 

「貴様!」

 

「奴を倒さない限り、元には戻らない。俺が倒してやってもいいぜ」

 

そう、ゾックスはそのまま笑みを浮かべていた。

 

「とりあえず、芽依ちゃんも怪しい物を拾って、渡さない事」

 

「うっ、ごめんなさい」

 

それにしても、未だに謎が多すぎる。



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海賊との共闘

ワンダーライドブックを取り戻すにはオリヒメワルドを倒すしかない。

変身できなくなった飛羽真達は、ゾックスに頼ることにする。

 

「そうしているはずなのに、お前は余裕そうだな」

「うぅん、なんというか願いを叶えるというのとは違うのは、分かっているから」

「ほぅ、理由は」

 

そうして、ゾックスは俺に向けて言う。

それに対して、俺は腹部を叩く。

 

「無くなれば、それがないと分かるはず。なのに、その感覚がない。

つまりはあるって事だ」

「なるほどね、お宝は絶対に離さないという訳ね」

 

既に短冊が人の心理に影響するだけの効果しかないことを確認。自分たちにとっての“お宝”は目に見えないだけで、実は奪われてはいない事。

俺とゾックスはそのままオトヒメワルドがいると思われる場所へと向かう。

 

「なっ海賊に、見た事のない奴っ?」

 

「さてっと、せっかくだ、これを使ってみるか」パイレーツ・オブ・カリビアン

「さて、チェンジ痛快」

 

俺はそのまま直感で、おそらくはそこにあると思われるディズニーイマジーネションベルトに装填し、構える。

 

「変身!」イマジネーション!

 

鳴り響く音声。

同時に、俺の姿は、隣にいるツーカイザーと似たような格好をしていた。

それを見ると共にツーカイザーは、笑みを浮かべる。

 

「はっはぁ!?界賊が二人ってっ、どうなっているんだオトヒメ!」

 

「へぇ、俺に似た格好か、それはそれで面白いな」

「それじゃ、行こうか」

 

同時に俺はその手に持ったラダーオブフェイトを構えて、そのまま走り出す。

 

「ヨホホイ!」

 

ツーカイザーは、その手に持つ武器から銃弾が放たれる。

 

「うわっと!?これは」

 

俺が前にいる事もお構いなしに放っていく行動に対して、少し言いたいけど、俺はすぐにその場を跳び避ける。

 

「えっ、オトヒメェ!?」

 

それによって、オトヒメワルドに全弾が当たる。

 

「ぐぅ!」

「さて、派手に行きますか!」

 

それと共に、俺はその手に持っているラダーオブフェイトを巨大な旗へと変わる。

 

「海賊旗ねぇ!」

「おらよっと!」

 

俺はそのまま宙に飛んだまま、真っ直ぐとオトヒメワルドに向かって、突き刺す。

 

「ぐわぁ、突き刺すって、いきなりっ」

「とどめ、行きますか!」パイレーツ・オブ・カリビアン!イマジネーション!フルマックス!

「さっさと決めますか!」全速前進!回せ回せー!いっぱーい!!ツーカイに、弩ッキューン!!

 

俺は、その脚に、ツーカイザーは、その手を構えながら、真っ直ぐとオトヒメワルドに向かってその一撃を放った。

 

「おっオトヒメェ!?」

 

それによって、オトヒメワルドは、そのまま撃破する。

 

「よしっ」

 

それによって、無事にオトヒメワルドを倒す事が出来た。

同時に、俺の腰にあるディズニーイマジーネションベルトもようやく見えるようになった。

 

「なるほどね、それ、なかなかに面白いじゃん」

「あぁ、そうだろ」

 

そうして、笑みを浮かべるゾックス。

 

「にしても、この世界の本も結構面白そうだなぁ」

 

そう言いながら、ゾックスは、その懐から取り出した物に笑みを浮かべる。

 

「あぁ、それはぁ!」

「んっ、神代兄妹って、あぁ!?」

 

すると、茂みから出て来たのに驚いたけど。

 

「んっ、あぁ、もしかして、あの時!」

 

よく考えれば、俺達が来る前、ノーザンベースで騒動が起きていた。

そして、その後にオトヒメワルドの力でワンダーライドブックが見えなくなった。

それを考えれば、簡単に盗む事は出来たはず。

 

「それじゃあなぁ」

 

そのまま、ゾックスは、彼自身が乗っただろう海賊船に乗り込んだ。

 

「くそっ、おい、お前も追え!」

「えぇ?!」

「さっさとしなさい!」

「あぁ、もぅ分かった!」

 

俺はすぐにキーブレードを変形させ、そのまま乗る。

二人もまた、それに乗り込み、海賊船に真っ直ぐと乗り込む。

 

「んっ?」

 

すると、海賊船に何か違和感があった。

それはディズニーイマジーネションベルトの力を使った時と似ている。

もしかして。



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異世界ロボット

「なっここは一体!?」

 

その言葉と共に、黄金のワニを思わせる船は何時の間にか別の世界へと移動していた。

ディズニーイマジーネションベルトの力もあって、他の世界へと移動する事に対して違和感を感じる事が出来たが。

 

「奴め、ここに降りたか!」

「待て!」

「ちょっ!?」

 

すると、黄金の船から下りたゾックスはそのまま、神代兄妹達はその後を追った。

しかも、玲花の方の煙叡剣狼煙の力で、そのまま追っていった。

 

「あぁ、もぅあいつらはぁ!」

 

俺は、そのまま2人の後を追うように向かう。

煙によって、奴らの後を追う事は難しく、すぐに地上へと降りるが。

 

「一体、どこに、というよりも」

 

俺は周囲を見渡す。

そこには普通の人は勿論いるが、それと同じぐらいにまるでロボットを思わせる住人がいる。

彼らは、その事に関して、まるで気にしている様子はなく、むしろ空から降りてきた俺に対して驚きを隠せない様子だった。

 

「なんというか、この世界はこの世界で個性的だなぁ」

 

そう考えていると、何か大きな物音がした。

 

「なんだ?」

 

その音に、俺は疑問に思っていると。

 

「逃げろ!トジテントだ!」

「トジ?なんだ、よく分からないけど」

 

俺は、そのままイマジネーション・キーを取り出す。

 

「さすがに見逃せないよな、変身!」カーズ!イマジネーション!

 

鳴り響く音声と共に、俺はそのまま、まるで雷を思わせる走りと共に、音が発生している場所へと向かう。

そこには、前回倒したはずのオトヒメワルドがおり、凌牙だけが何か暴れている。

 

「今のうちに逃げるヒコボ「逃がすかぁ!」ぎゃぁぁ!?」

 

そのオトヒメワルドに向かって、俺は蹴り飛ばすと同時に、そのまま回転する。

 

「なんだ、また見た事のない奴が?」

「えっと、これは、もしかしてこの世界のヒーローか?」

 

見ると、そこにはまるで昭和を思わせるヒーローのスーツを身に纏っている人物と、赤い恐竜の要素が入ったロボットの2人がいた。

ただし、凌牙によって、そのロープによって、拘束されているが。

 

「えっと、これは一体」

「説明は後!あんちゃん、後ろのトジテンドを」

「んっ?」

 

すると、後ろを振り向くと、そこにはまるで流れ星のように空へと飛んでいった。

 

「ぐっ」

 

すぐに追うとしたが、既にいない。

とりあえずは、拘束されている彼らを助ける事にした。

 

「その、いきなりで申し訳ない。そのトジテンドだったか、逃がしてしまって」

「あぁ、あんちゃんは気にしないで良いよ、だいたいこいつのせいだから」

 

そう、赤いロボットの人が許してくれたが、未だに状況が分からない。

 

「とりあえず、落ち着いて話が出来る場所へと行こうぜ、あんちゃん達の事も気になるからな」

「そうですね」

 

そのまま、俺はそのロボットの言葉と共に、向かって行く。

そこは、どうやら駄菓子屋であり、店の名前はカラフル。

俺はそのまま、案内された席に、促され、座る。

 

らは凌牙をカラフルへ連れてくる

 

 

「妹さん攫われたんだって?心配だろうけど介人達が何とかするよ。こう見えてもこの子達ね、ゼンカイジャー!!だから!!」

「ゼンカイジャーですか?」

 

その言葉に俺達は思わず首を傾げる。

 

「その聞きたいけど、ここってもしかして人間とロボットが共存している世界なんですか?」

「いや、ロボットじゃなくて、俺達はキカイロイドな」

「それよりも、先程の言い方からすると、あなた方はもしかして、別の世界の?」

 

それと共に、彼らもまたこちらに質問をしてくる。

それと共に、俺達は、この世界の事についてを教えてくれた。

どうやら、この世界は元々は二つの世界だったらしいが、何かしらの原因で一つに融合したらしい。

ジュランを初めとした一般のキカイノイドは困惑しつつも人間と共存して仲良く暮らしている。それに対して、トジテンドの王・ボッコワウスは当初の目論見通りに地球を閉じ込められない事に業を煮やして、人間界を直接侵略する方針に切り替えた。

トジテンドの直接侵略に対し、五色田介人はキカイノイドの仲間達と共に機界戦隊ゼンカイジャーを結成。融合キカイトピアを守りつつ、閉じられた世界を解放するための戦いを繰り広げていくようになった。

 

「・・・なんというか、凄いな」

「でしょ!」

 

そう介人は笑みを浮かべながら言う。

ゼンカイジャーというのもそうだが、彼は本来だったら人間ではない別の存在と共に戦う。

同じ人間でも共闘が難しい事が多い最中、彼が行ったのは、本当に偉業だ。

だけど、そう呑気に考えている場合じゃない。

 

「しかしアイツ、レディーばっか攫って何が目的だ?」

「織姫を探すって言ってた。きっと乙姫に似た女性を捜して攫ってるんだと思う」

「乙姫?俺達の世界に現れたそのトジテンドの奴は、オトヒメワルドって言っていたけど、そいつの事か?」

「あぁ、あのトジルギアが出なかった奴な」

 

そう、ゾックスは何時の間にかおり、そう返した。

 

「・・・もしかして、七夕?七夕の世界なのか?だけどそんな世界は」

「えっ、あるんじゃないの」

 

そう俺が言っていると、ジュランさんが答えてくれた。

 

「そうなのか?」

「おうよ、これまで俺達はキノコやコオリに、あとは柏餅なんてのも戦ったな」

「その世界を次々と開放していきましたが、どれもが大変でしたよ」

「そっそうなのか」

 

まさか、柏餅とは。

俺が知らないだけで、そういう世界もあるかもしれないな。

 

「それはそれとして、介人、そのマジーヌと玲花っていう人間ちゅわん、似てるとこあった?」

「それですよ。2人の共通点を洗い出せば狙われてる人のタイプが分かります」

 

そう、介人に対して問いかけた。

確かに、この場である意味、2人の事を知っているのは、介人、ジュランだけだ。

そこから洗えば。

 

「あっ、2人とも女性!」

「いや、まぁ、それはそうだけど」

 

その答えは間違ってはいないけど、この場での答えでは。

 

「2人とも…髪を後ろで束ねてる」

「確かに!流石ゾックス!」

 

それに対して、介人はすぐに答えた。

まさか、神を後ろで束ねるって、なんでそんな条件なのか?

 

「とにかく、俺が探す!ワンダーライドブックを返して貰おうか」

 

そのまま凌牙が立ち上がり、迫る。

 

「やだね」

 

そうゾックスが言うと共に、凌牙はそのまま詰め寄る。

 

「まぁまぁまぁ!!」

 

そのままでは喧嘩になるという事でジュランさん達がすぐに止める。

それと共にゾックスに介人が向き合う。

 

「ゾックス!お前だって妹がいるんだし、あの人の気持ちも分かるだろ!?」

「でも捕まったのはフリントじゃない。コイツの間抜けな妹だ」

「何だとっ⁉」

 

だが、ゾックスは、そのまま去って行った。

 

「どうする?このままじゃ?」

「うぅん」

 

さすがに状況が不味い。

このままでは、玲花の命が。

 

「だったら、囮作戦だ!」

「囮って、まさか女性を?けど」

 

そう言っていると。

 

「あぁ、だから俺達でやるんだ!」

「・・・俺達?」

 

その言葉に、俺は思わず、疑問に思う。



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価値観を知る為の試練

どこかの屋上。

その屋上において、俺達はこれまでにない体験をしていた。

 

「もう…汗ばむわぁ~」

「トジデント、なかなか来ないね」

「ゾックスのお言葉通りなら、こうゆう姿の女性を狙ってくるはずですが…」

「焦っちゃダメ。じっくり待つの」

 

それは女装。

それもかなりクオリティが低い女装である。

本当にこれで来るのが疑問になる方法ではあるが、現状、俺達に残された方法がこれしかないのも事実だ。

 

「お前達!!何をのんびりしているんだ!仲間が誘拐されたんだぞ‼!」

 

しかし、それに対して、凌牙は怒り狂ったように叫ぶ。

 

「凌牙、そこまで怒らなくても」

「貴様も、なぜそんなに呑気にいられるんだ!」

 

それと共に俺に詰め寄っていると、ガオーンさんがその間に入る。

 

「妹ちゃんのこと、だ~い好きなんだね」

 

それに対して、当然と言わんばかりに答える。

 

「好きとかではない。俺達は幼い頃からずっと一緒だった。玲花を失うことなど、考えられない」

「だったら、考えなきゃいい」

 

それに対して、介人の出した言葉。

その事は、俺も驚きを隠せずにいた。

 

「マジーヌはもう、ただ守られてるだけの小さい子供じゃないんですわよ」

「大人しく見えて、意外性の人ですしね」

「ほんと、キレたら怖いんだから」

「俺ら、こう見えて、信じてるんだわ。マジーヌのこと」

「だから俺たちは全力全開でヒコボシワルドをおびき出す‼そんで倒す‼」

「「「おー!」」」

「それがみんなを助けることに繋がるんだ!」

 

そう、彼らは笑顔で言う。

話を聞けば、まだ出会って半年程度だと言う。

だが、彼らは、そうは見えない程の絆で結ばれているように見える。

そこには、これまでの俺達にはない考えではあった。

 

「んっ?」

 

すると、ディズニーイマジーネションベルトが反応していた。

これまでにない反応であり、どこか感じた事のある反応。

 

「もしかして」

 

見ると、凌牙の時国剣も反応していた。

同時に他にももう一つの反応があった。

 

「まさか、試練なのか、これも」

 

これまでにない試練。

強さの面では、2人は問題ないかもしれない。

だが、彼らはある意味、ソード・オブ・ロゴスという一つの組織の中しか価値観。

そんな彼らの価値観を広げ、世界を守る意味を問いかける。

それが、この試練の意味かもしれない。

そんな考えをしていた時だった。

 

「見つけたヒコボシ!」

「あぁ、来たよジュラン!」

「おぉ!」

 

それと共にジュランさんは、その手に持ったパラソルをまるでバットのように構える。

 

「かっ飛ばすわよ-!あ・た・し!!!」

 

それは見事にヒコボシワルドを吹き飛ばした。

 

「マジで引っかかった」

「なるほど、こういう手もあるんだな」

 

それと共に凌牙もまた時国剣を構える。

 

「玲花を返してもらおう」

 

それと共に、ヒコボシワルドは逃げだそうとした時だった。

ヒコボシワルドの行く先に、銃弾によって、道を塞がれる。

 

「なっ」

「俺を忘れていないか?」

 

そう、ゾックスは笑みを浮かべると共に、そのまま凌牙にワンダーライドブックを投げる。

 

「なに?」

「返してやるよ」

 

そのまま、あっさりと返した。

 

「どういうつもりだ」

 

凌牙はそのまま問いかけるが。

 

「妹って奴が、お宝だと思ってな」

 

その答えを聞いた凌牙は少し驚きながらも。

 

「なるほどな」

 

それに理解すると共に時国剣の刀身が青く輝く。

 

「これは」

「なるほど、試練はまずは凌牙はクリアした訳か」

「これが、試練だと」

「まぁまぁ、とにかく今は、あいつを倒すぞ!」

 

そう、介人の言葉に合わせるように、俺達も構える。

 

「「「「チェンジ全開!」」」」

「「変身!」」

 

俺と介人達は、すぐにそのまま構える。

同時に、俺と凌牙は仮面ライダーに。

介人達は、ゼンカイジャーへと変身した。

 

「秘密のパワー!ゼンカイザー!」

「恐竜パワー!ゼンカイジュラン!」

「百獣パワー!ゼンカイガオーン!」

「轟轟パワー!ゼンカイブルーン!」

 

そのまま4人は合わせるようにポーズを取り

 

「4人合わせて!」

「「「「機界戦隊…ゼンカイジャー‼」」」」

 

そう、宣言する。

それに対して、俺も凌牙は驚きを隠せなかった。

そして、4人はそのまま俺達の方へと目を向ける。

 

「なぜ、俺達を見る?」

「いやこういう時はバシっと名乗らねぇと!ちょっとでいいからやってみ」

 

そうジュランさんは、凌牙さんに言い寄る。

 

「えぇ、でも、こういうのやった事ないなぁ」

「いやぁ、以外とやってみると良いよ」

「でもでも、どんな感じが良いんだろうかなぁ」

「そうですね、そうですね、こんなのは」

「お前は、なんでノリノリなんだ!」

 

俺はそのまま介人さん達と話していると、後ろから声をかけられた。

 

「なんでって言われても、こういうのはノリに乗った方が良いじゃないか、よし!」

「おぉ」

 

それと共に、俺は構える。

 

「俺、参上!仮面ライダーディズニー!」

「シンプルだねぇ、でもなんで?」

「ノリで?」

 

そう、問いかけて、なんとなく出たワードなので、仕方ない。

そして、そのまま今度は、凌牙の方を見る。

 

「・・・俺は神代凌牙。またの名を仮面ライダーデュランダル!俺を…怒らせるな‼」

「おぉ!出来たじゃないの!」

「それじゃ、俺達も行くぜ!」

「全力全開だぁ!!」



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全力全開な異世界?!の正体

俺達は、そのままヒコボシワルドが呼び出したと思われる兵士、クダックと戦い始めた。

その数は多く、俺達よりも多くいる。

だが、実力自体は、それ程高くないのか、軽く薙ぎ払うだけでも、簡単に倒せた。

 

「うわっと!?」

「えっ、ちょ、大丈夫か!?」

 

そんな戦いの最中、介人が俺の方へとこけてしまう。

その際に、介人の手は、そのままディズニーイマジーネションベルトに触れた。

すると、ディズニーイマジーネションベルトの扉が閉められてしまう。

 

「えっ、これって、どうなっているの?」

「いや、それは俺に言われてもって!?」

 

そう考えている間にも、扉は勢い良く開かれる。

同時に、現れたのは、これまでに見た事のないイマジネーション・キーに介人達が変身に使っているアイテムだった。

 

「えっ、これは?」

「よく分からないけど、使ってみよう!」

 

困惑する俺を余所に介人のその言葉に促されるがままに、同時に使った。

 

「よっと!」47バーン!キングオージャー!

「こうか?」イマジネーション!パワーレンジャー!

 

すると、介人の眼前に現れたのは5人組の戦士。

各々が何かの昆虫を思わせるモチーフと共に、その手には剣を持つ。

同時に戦士達は、バラバラに、他に戦っているジュランさん達へと向かって突っ込み、そのまま吸い込まれる。

 

「えっえっ?」

 

困惑を隠せない俺を余所に、そこにいる全員に変化が起きる。

なんと、介人の腕には赤いクワガタの顎のエネルギーが放出される。

 

「えぇ、これって一体!?」

 

見ると、他のメンバーも同じだった。

状況が分からない最中に。

 

「こっこれはぁ!?一体?」

 

そう考えている時だった。

これまでだったら、姿がほとんど変わるはず。

だが、その代わりに、俺の身体には赤いアーマーを身に纏っていた。

 

「これって、一体?」

『こっこれはぁ!?』

 

困惑する俺の耳元に聞こえた声。

 

「あっセッちゃん!何か知っているの!?」

『介人達の今の姿は、まだ知られていないスーパー戦隊の力!そして、ソラはおそらくはパワーレンジャーの1人であるバトライザーだと思われるチュン!」

「よく分からないけど、これはこれで凄いなぁ!」

 

介人の、その言葉を合図に、再び戦いが始まる。

彼らは、その身体から出ている虫の要素。

それらを組み合わせた攻撃にて、次々とクダック達を倒していく。

 

「まさか、たった一枚のアイテムでここまでの効力があるとはな」

 

そう驚いている間だった。

 

「おっお前達!こちらには人質がいるのをっ」

 

そう、ヒコボシワルドが言った瞬間だった。

ヒコボシワルドに向けて、何者かが攻撃した。

 

「今のは?」

 

気づけば、銃撃した方向をみると玲花と見覚えのないロボット。

おそらくは攫われたもう1人のメンバーのマジーヌだろう。

 

「えぇ~~っ!? なんでお前らここにいるヒコボシ!?」

「貴方、私達をなめてたわね」

「捕まってた人たちもみんな逃がしたもんね~だ」

「お兄様、心配かけてすみませんでした!」

 

それと同時に、既に人質はいない事が聞く事が出来た。

つまりは、こちらが遠慮する必要はない。

 

「し…心配などした覚えはない」

「あれあれ~?でも凌牙の妹も凄いね!」

「・・・そうだな」

 

その言葉を聞いて、凌牙は照れながら答える。

同時に、2人の剣もまた覚醒した光が見える。

 

「さて、それじゃ、行こうか!」パワーレンジャー!イマジネーション!フルマックス!

「おぉ!全力全開だぁ!!」ヒーロー!スーパーゼンカイタイム!ゴッゴー!バンバン!ダイゼンカイ!

 

それを合図に、俺はそのまま空を飛びながら、介人もまた、その手にある剣を同時に構える。

 

「「はあぁぁぁぁ!!!」」

 

俺達は、そのままヒコボシワルドに向けて、十字に重ねるように斬り裂く。

 

「ヒコボシ!」

 

その絶叫を最後に、ヒコボシワルドは倒す事に成功した。

 

「ふぅ」

 

それにより、この世界での戦いが終わりを迎えた。

この世界、ゼンカイジャー達が守る世界に関しては、今も謎は多い。

だけど。

 

「こうして、2人の剣士が覚醒したのは、結果的に良かったかもしれないけど?」

「どうかしたの?」

 

そう、介人が俺に話しかけてくれた。

 

「まぁ、少しね」

 

それと共に、俺はここまで来て、ようやく思い出す事が出来た。

この世界を、俺は知っていた。

そして、それが意味をするのは。




「ふふっ、なるほど、これが別の世界の物語ですか、なかなかに興味深いですねぇ」

その場所にある本棚。
そこから一つの本を取り出し、見ていたストリウス。
彼がここに来たのは、とある目的の為だった。
だが、どこか興味本位で、その本を取り出していた。

「まさか、お前と手を組む事になるとはな」
「ふふっ、そう言わないでくださいよ。
何よりも、あなたもまた興味があるでしょう、今のこの基地所属の剣士に」
「ふんっ、まぁ良いだろう。何よりも、お前の話にも興味があるからな」

それと共に、ストリウスともう1人の人物はそのまま歩き始める。

「では、共に参りましょう、アスモデウス」


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強さこそが全て

ゼンカイジャーの世界から無事に戻ってくる事が出来た。

それと共にストリウスとの、最後の戦いも迫っている。

奴が、どのような手段で戦うのか、未だに不明だ。

だからこそ、こちらも戦力を揃える必要がある。

 

「だから、俺の所に来たんだ」

「あぁ、残りの剣士で、最後の一人だからな、蓮」

 

そう、俺は問いかけた。

既にノーザンベースもサウザンベースも関係なく、共通の敵を倒す為に一緒にいる。

だからこそ、蓮にも戻ってきて欲しい。

 

「おいおい、俺を無視してこいつを連れ戻そうとするんじゃねぇよ」

「デザストか」

 

同時に現れたのは、デザストだ。

メギドの中でも、長く戦ってきた存在であり、今はどういう訳か蓮と一緒に行動している。

 

「それに俺としてはお前とも戦ってみたいしな」

「そうか、なら、聞きたい事がある」

「なんだ?」

 

それと共に俺はデザストに聞きたい事がある。

 

「お前はストリウスの仲間か」

 

そう、俺は問いかけた。

同時に、俺は無限を取り出し、構えた。

すると、無限は火花を散らして、眼前に来たその一撃を防いだ。

 

「次にふざけた言葉を言えば斬るぞ」

 

それに対する答えは、理解できた。

デザストの、その声は本気だと理解できた。

ならば。

 

「だったら、手を組むのはどうだ」

「あぁ、本当に頭がイカれているのかです」

 

そうデザストは言うが、俺としてはかなり本気だ。

これまでのデザストの行動は、以外にも正々堂々と戦っている。

戦いを求める狂人の部類かもしれないが、それでも味方になれば、心強い。

 

「本気だ、何よりも、奴と戦うには少しでも戦力が必要だ」

 

何よりも、僅かに剣を交えて分かるが、こいつは蓮に何かを求めている。

そして、蓮もまた、こいつに何かある。

 

「退け」

「あぁ、邪魔するな」

「お前の方が邪魔だ、どっちにしても、お前には無理矢理でもやるつもりの事があったからな」

 

それと共に猿飛忍者伝を構えていた。

それも、理解できた。

 

「やるんだな」

「あぁ、俺の強さの為にもなぁ!」

 

それと共にディズニーイマジネーションベルトが輝く。

同時に扉が現れ、そのまま入っていく。

 

「ちっ」

 

その光景をデザストは舌打ちをしながら共に入る。

待ち受けていた光景。

それは変わらず荒野だった。

そして、この先にいたのは。

 

「師匠っ」

「あれが」

 

そこに立っていたのは屈強な男が一人いた。

その彼の手には、風双剣翠風があり、既に変身していた。

 

「あぁ、丁度良いな、あんたを倒して、俺はさらに強くなる!変身!」

 

その光景を見た蓮もまた、すぐに変身した。

俺はその光景を見ながらも、横にいるデザストを見つめる。

 

「あぁ、なんだよ」

「いや、なんでもないよ」

 

同時に俺はある意味、一つの可能性があると考えた。

これまで、多くの剣士か、それを行う事もしなかった方法。

それは、もしかしたら、蓮だけが出来る方法。

 

「果たして出来るか」

 

そう期待を込めて、その戦いを見守る。



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メギドの可能性

その戦いの、過程を見ることは出来ない。

互いに、仮面ライダーの中でも単純な速さでも上位に位置する剣斬同士の戦いだ。

しかし。

 

「この勝負、このままじゃ、蓮は負ける」

「だろうな」

 

この試練を乗り越える為の強さ。

それを、単純な肉体の強さでしか判断していない今の蓮では、試練を乗り越える為の心の強さが足りていない。

見れば、蓮の方の剣斬は動きが鈍っているのが見えている。

 

「ちっ」

「助けられなくて、苛立っているのか」

 

その様子を見ていた俺はデザストに問いかける。

 

「さぁな、俺には関係ないから、どうでも良いがな」

「そうか、けど、今の蓮を助けられるのは、本当にお前だけかもしれないぜ、デザスト」

「何を言っている、てめぇ」

 

俺の言葉に対して、デザストは俺に向けて言う。

 

「剣士である俺達では、この戦いには介入出来ない。けど、本の怪物であるお前ならば、それが出来る」

 

そう、俺の一言を聞くと、デザストは。

 

「まぁ、良いだろう、俺も暇だったからなぁ!」

 

デザストは、そのまま自分の身体に手をいれる。

人間ではない、本の怪物としてか、中身はまるでなかった。

しかし、そこから出てきた一冊のアルターライドブック。

 

「俺も混ぜやがれ!」

「なっ」

 

デザストは、そのまま正確に投げる。

投げた場所には、蓮が変身している剣斬がおり、風双剣翠風に収まっている猿飛忍者伝にぶつかる。

次の瞬間、猿飛忍者伝とデザストのアルターライドブックが光始める。

 

「これは」

「良いねぇ、こういうのは」

 

徐々に、デザストの身体は消えていく。

しかし、それは本体であるアルターライドブックが移動した事が影響で、デザストの身体は瞬く間に崩れ去った。

そして、猿飛忍者伝に大きな変化が起きる。

 

『骸骨忍者伝』

「っ」

 

それと共に、剣斬に大きく変化する。

先程までの緑色の剣斬から、大きく変わる。

基本的な緑色のボディ。

それは、元々身軽な剣斬の上に、鎧が重なる。

 

「これはっ」骸の咆哮!忍の残香!黒嵐渦巻く百鬼夜行!骸骨忍者伝!

 

それは、黒と赤。

二つを基本に、デザストを思わせる鎧。

 

「なっ、貴様!」

 

それに対して、蓮の師匠は彼に問いかける。

 

「デザストっ何のつもりだ!」「別に、ただこいつと戦うにはこうするしかなかっただけだよ」

 

そう、2人は互いに睨み合っている。

 

「長い歴史でも、この可能性はおそらくはこれまでなかったんだろうな」

 

メギドを利用した奴らはいた。

だけど、メギドは、本当の意味で繋がっている剣士は、蓮が初めてかもしれない。

造られた存在だと、デザスト自身から聞いた。

ならば。

 

「新たな可能性かもしれないな」

 

それを、俺は見守る。



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メギドの剣士

剣斬の新たな姿になった。

それによって、戦況は大きく変わる事になる。

 

「まさか、メギドと一つになった。そこまで墜ちたのか」

 

そう、蓮の師匠は呟きながらも、その手に持つ風双剣翠風を二刀流モードにして、蓮に迫る。

蓮もまた、すぐにそれに反応して、風双剣翠風で防ぐ。

だが、風双剣翠風は、今は一刀流モード。

剣としての威力は、蓮の方が優れているが、素早い動きが出来る蓮の師匠の一撃は、既に蓮の懐へと入っていた。

致命的な一撃に、なるはずだった。

 

「ふっ」「っ」

 

それを、蓮は防いだ。

正確には、蓮のもう片手に持っていた剣によって。

それは、デザストが使っている剣であった。

同時に、蓮は素早く、蹴り上げると共に。

 

「お前、俺の身体、勝手に使っただろ!」「別に良いだろ、今は俺の身体でもあるんだから」

 

どうやら蓮の身体を使って、デザストがそれを防いだようだ。

それに対して、蓮は不満を持った声で言うが、デザストは大して気にした様子もなく答える。

蓮はすぐにその場で地団駄を踏むが。

 

「あぁもぅ良い!お前、後でラーメン、奢れよ!」「へっ、俺よりも活躍したらなぁ!」

 

未だに納得していない様子の蓮だが、変わらないと思った蓮は、すぐに師匠の方へと向かって走り出す。

その速さは、これまでの剣斬では、不可能な程の速さだった。

すぐに蓮の師匠は、その攻撃を受け止める。

 

「ぐっ」

 

二刀流での風双剣翠風では、あまりにも威力が足りない。

そして、まるで疾風を思わせる怒濤の攻め。

それは、彼を追い詰めるには十分だった。

 

「だが、甘い!」

 

そう、蓮の師匠は、その身体を風で纏った。

それによって、彼の姿は一瞬で消す。

同時に、空から現れた彼は、既にその手にある風双剣翠風を手裏剣モードにして、蓮に向けて投げる。

それは、まさしく必殺の一撃になるだろう。

だが。

 

「ふんっ」「はぁ!」

 

蓮達は、それを切り払った。

同時に。

 

「決めるぞ!」「言われなくても!」翠風速読撃 二連

 

鳴り響いた音声と同時だった。

蓮の師匠の頭上から襲い掛かったのは、手裏剣モードの風双剣翠風だった。

 

「なっ!」

 

それと同時に周囲を囲むように大量の風双剣翠風。

それだけではなく、デザストが愛用している剣。

それらが周囲を囲むと共に、蓮は既に走り出していた。

 

「ぐっ!」

 

高速移動しながら手に取って蓮の師匠へと斬撃での連続攻撃を決める。

それらの動作は更に回転しながら斬撃を蓮の師匠へ繰り出す。

その際にはデザストの幻影が現れ、同時に行っていく。

そして、最後には。

 

「「カラミティストライク」」

 

2人は、重なるように呟くと同時に、蓮の師匠を真っ二つに斬り裂く。

 

「ぐっ、こんな事をっ」

「あんたは弱かった。そして、俺達は強かった。それだけだ」

「強さは正義、なんだろ」

 

それを最後に、蓮の師匠は、その姿を消した。

同時に、蓮の持つ風双剣翠風は緑色の光を放つ。

 

「ちっ、なんだか強くなった気がしないぜって」

 

すると、蓮は変化に気づく。

見ると、デザストが現れない。

疑問に思っていると。

 

「へぇ、まさか人間と一つになるのかぁ」

「なっ、てめぇ、俺の身体に勝手に入っているんじゃねぇよ!」

「これって、不味いのか」

 

それは、新型メギドと似たような現象であった。

しかし、蓮がまるで消滅する気配を感じない。

 

「そうか、デザスト自身は既に完成されたメギドだから、他のメギドとは違って、蓮を消滅させる心配はないのか」

「おい、ソラ!そんな事を言っていないで、さっさと離れさせろよ!」

「俺としても、こいつと決着をつけたいからな!」

 

そう、2人から言われるが。

 

「まぁ、とりあえずはストリウスの奴を倒した後で良いんじゃいのか・」

「お前なぁ」

「・・・まぁ、そうだな。その後でも良いか」

「お前、まさか乗っ取る気か!」

「そんな訳ないだろ、それとも、俺に乗っ取られるのが、怖いのか?」

「上等じゃないかよ!お前なんて、俺の方が上だって証明してやるよ!」

 

2人は互いに罵り合いながらも、どこか良い雰囲気であった。

 

「さて、どうなるかなぁ」



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最後の敵

俺が、蓮の聖剣を完全に覚醒させる事に成功させていた頃だった。

飛羽真達がはストリウスと対峙していた。

ストリウスによるワンダーワールドの崩壊が始まっていた。

 

「影響が、既に」

 

ディズニーイマジーネションベルトと直接接続している俺には、それが直接理解している。

それと共に、飛羽真達が言っていたそれが見えた。

ストリウスによって造り出された、かつてはイザークによって造り出された巨大な本。

それと似た現象が起きており、その本の下には、おそらくはストリウスによって造り出されたと思われる巨大な塔があった。

 

「それを止める為に、戦わなければならない」

 

そう考えていた時だった。

 

「だが、それは果たして止められるか」

「その声は」

 

聞き覚えのある声。

俺は、後ろを振り返り、驚きを隠せなかった。

いや、もしかしたら、ゼンカイジャーの世界に行った時から、どこか分かっていたかもしれない。

 

「やっぱり、あなたも復活していたんですね、師匠」

「ふっ、裏切り者である私をまだそう呼ぶか、相変わらず甘いなお前は」

 

そう、アスモデウスこと師匠は俺の方へと変わらない厳しい言葉を呟きながら、こちらを睨む。

 

「甘いかもしれません。

だけど、俺にとってはあなたは俺に戦い方を教えてくれた人だ。同時に、俺に戦う意味を教えてくれた事には変わりない」

 

長きに渡り、師匠は英雄の、ヒーローの物語を護り続けたアガスティアベースの剣士だ。

それと共に、禁じられた本ではあるが、俺にヒーローの事を教えてくれた。

だけど。

 

「なんで、裏切ったんですか」

 

俺は、その答えを聞く事が出来ずに、師匠は封印された。

アルカディアベースでも最強だと言われた師匠がなぜ。

それに対する答えは。

 

「貴様が、ディズニーイマジーネションベルトに選ばれたからだ」

「・・・」

 

それに対して、俺は目を見開く。

 

「まさか、それで」

「あぁ、だが、それはきっかけに過ぎん」

 

それと共に師匠を言葉を紡ぐ。

 

「どのように、私が望んだとしても、世界は私を物語の中心にはさせなかった」

「それで」

「あぁ、だからこそ、私はこの世界を終わらせるつもりだ。そして、次の世界でこそ」

 

それと共に師匠は、そのまま姿を消した。

 

「本当にここまでに来て懐かしい面々と戦う事になるとは」

 

そう呟きながら、俺はその手に持つ無限に目を向ける。

この地に訪れて、もうすぐ一年が経とうとしている。

それまでの間、まるで停滞していたはずの俺の時間を動かすような出来事が次々と起きていた。

 

「ならば、これが最終章になる」

 

俺の剣士としての戦いが終わりが近い。

もうすぐ、決戦が近い。



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終わりの戦い

最後の戦いの地。

俺達は、そこに向かった。

そこには滅びの塔の効力なのか、地面を埋め尽くすほど無数に出現したシミーがいた。

 

「一刻も早く、ストリウスにたどり着く」

「この世界も、ルナも救う」

 

飛羽真と賢人の2人はそう呟き、それに同意するように全員が頷く。

その時だった。

 

「私も戦います」

「ソフィアっ!」

 

すると、その場にはなんとソフィアさんもいた。

なぜこの場にいるのか疑問に思ったが、その手にはなんと闇黒剣月闇があった。

 

「剣士として」

 

その言葉と共に、既に戦う覚悟があり、俺達もまた頷く。

同時に、俺達もまた戦う準備を行い。

 

「変身!」

 

その叫びと同時に俺達は、すぐに変身する。

 

「私たちが道を作ります。あなたたちは先へ」

「あいつらは光と闇の剣でなぎ払う!」

 

その言葉を聞くと共に、俺達はすぐに向かった。

眼前で立ちはだかるシミー達。

しかし、それらのシミーを前に、ユーリとソフィアの2人が、薙ぎ払っていく。

そして、俺達もまた、真っ直ぐと滅びの塔へと向かう。

だが、その入り口で、やはりと言うべきか、待ち受けていた。

 

「誰だ、あいつは」

「まさかっ」

「知っているんですか?」

 

師匠の姿を見て、飛羽真や倫太郎などの面々は困惑を隠せなかった。

しかし、長い間、剣士として戦ってきた彼らは知っている。

だからこそ、俺は。

 

「ここは、俺がやります」

「それは、良いのか」

 

俺が前に出た事。

それと共に、師匠も、俺を見つめる。

 

「まずは、お前が相手か」

「それは違う」

「何?」

 

師匠は、そう俺の言葉に対して疑問に思ったように、問いかける。

 

「ここで、あなたを倒す。だから、俺が最後の相手だ」

 

そう、キーブレードを真っ直ぐと向ける。

それに対して、師匠もまた、怒りを隠せない様子だった。

 

「そのような事、起きない。

なぜならば、ここでお前を倒すからだ」

 

師匠は、その手にはワンダーライドブックがあった。

だが、これまで見た事のないワンダーライドブック。

 

「それは」

「アルカディアベースから去る際に貰った私の力だ」アルティメット・バハムート

 

鳴り響く音声と共に、師匠の姿が変わっていく。

青黒い炎に包まれながら、その姿は龍人を思わせる姿に。

 

「あれは、禁書っ」

「ソラ」

 

それに対して、俺に問いかける声。

俺は。

 

「ここは、任せてくれ、何よりも」抜刀! エターナルパワー!虚無!無類の力で、全てが無に帰す!

 

それと共に、俺は、キーブレードを構えながらも、無限もまた手に持つ。

それによって、俺は、

 

「ここが、俺の戦うべき場所だから」

 

それを合図に、俺と師匠の戦いが始まる。



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師弟対決

 俺は瞬時に、その両手にキーブレードと無限を持つと共に二刀流で構えながら、真っ直ぐと走る。

 

 それに対して、師匠であるアスモデウスはまるで変わらなかった。

 

 龍を思わせる異形の姿に変わり、世界を破壊しようとしている師匠は、俺と同じく切っ先がギザギザした意匠を持つ二振りの剣を構えていた。

 

「はぁぁぁぁ!」「ふんっ」

 

 油断出来ない相手である以上、俺はその手に持つキーブレードと無限を真っ直ぐと振り下ろす。師匠は、そんな俺の一撃に対してまるで興味がないように軽く受け止める。

 

 さすがに師匠を相手にするとなれば、俺も気合いを入れざるを得ず、力任せに押し込むように斬撃を加える。しかし、それでも師匠はその勢いを受け止めるかのようにただ立っていただけだった。

 

 だが、攻撃してこない理由にはならない。故に、追撃として俺は即座に左手にも握っているキーブレードを突き刺すように放つ。

 

 しかし、それも受け止められてしまい……そのまま鍔迫り合いとなる。当然、このままではまずいと判断した俺は右手のキーブレードと無限を下から斬り上げるように振るう。

 

 だが、それもまた簡単に止められてしまった。

 

 そして、次の瞬間には、俺は師匠の腕によって体を掴まれており、そのまま持ち上げられていた。

 

 すぐに地面に叩きつけるように向かってきたため、俺は咄嵯に地面にキーブレードを突き刺し、その反動を利用して体を宙へと浮かせる事で難を逃れる。

 

 無論、それを予期していたのか、空中に浮かんだ俺に向けて、師匠もまた空中へと飛び上がりつつ攻撃を仕掛けてきた。

 

 ———それはまさに蹂躙と呼ぶに相応しい戦いだった。

 

 一方的に攻められ、防戦一方となっている状態でありながら、俺はどうにか隙を見つけて反撃しようと試みるが……やはりと言うべきか、隙らしいものが全く見当たらない。

 

 それどころか、その実力差を思い知らされるように圧倒的なまでに、俺は追い詰められていった。

 

 もちろん、何もせずにやられている訳でもない。師匠の攻撃を回避し、あるいは受け流し、カウンターを仕掛ける事だってあった。

 

「ぐっ」「その程度かぁ!」

 

 しかし、それらは悉く遮られた。

 

 遠距離からの攻撃を行おうにも、師匠は、青黒い斬撃を放つ。

 

 それによって俺の体は切り裂かれてしまうために中々近づけずにいた。

 

 そうして距離を取ったまま攻防を行っていると、師匠は突然空高く飛ぶ。

 

 上空で静止している師匠に対して警戒しながら見上げていると、突如として頭上から青い炎が降り注いだ。

 

 それを見て反射的に回避行動を取るが、避けきれなかった。全身に切り傷を負う結果となり、地面へ落下する。

 

 そこへ師匠は容赦なく追い打ちを掛けてくる。

 

 俺は咄嵯にキーブレードを振るって迎撃するが、師匠はそれを避けようとせず真正面から受け止めた。

 

「なに!?」

 

 いくら何でも不自然すぎる動きだと思ったが、よく見ると師匠の手にはいつの間にか剣らしき物が握られており……それがキーブレードだと直感した時には遅かった。

 

 完全に不意を突かれた形で攻撃を受けたせいか、凄まじい衝撃と共に吹き飛ばされる。

 

 同時に、片方の手に持っていた無限を地面に落としてしまう。

 

 地面に倒れ伏すような形になった俺は即座に体勢を立て直そうと起き上がろうとするが、それよりも先に師匠が迫ってきていた。

 

「これで終わらせよう」

 

「っ」

 

 そして、師匠が真っ直ぐと俺の命を刈り取ろうとする。

 

「所詮、お前では、世界を守る事などできない!」

 

「っ」

 

 青い炎が、真っ直ぐと俺に襲い掛かる。

 

 その炎に対して、俺に避ける手段はなかった。

 

 だが、その熱は、俺に当たる事はなかった。

 

「えっ」

 

 眼前に迫ったのは、炎。

 

 しかし、それは青ではなく赤。

 

 その炎が出ているのは、無限からだった。

 

 戸惑いと共に、炎はゆっくりと人の形へと変わる。

 

「えっ」

 

 同時に無限の色彩は変わる。

 

 その色は、かつての剣の色。

 

 そして、同時に、その無限を持つ手が1人。

 

「全く、そんなに虐めてやるなよ。だけどまぁ、お前程度に終わらせる訳にはいかないな」

 

 そうして、無限を持つ人物は、青い炎を薙ぎ払い、俺の方に笑みを浮かべる。

 

「父さん」「久し振りだな、ソラ」

 

 そこには、俺の父さん、バハトが立っていた。



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親子の共闘

「一体、何が」

 

 そう、俺は思わず呟いてしまう。

 

 目の前には、確かに死んだはずの父さんがいた。

 

「決まっているだろ、息子であるお前がピンチなんだ。助けに来るのは当たり前だ」

 

 その言葉と共に見た父さんの表情は以前とは大きく違った。

 

 以前の破滅願望を抱いた表情ではない晴れやかな顔。

 

「まさか、破滅の剣士まで現れるとはな、だが、どちらにしても無駄な事だ」

 

「さぁ、どうだろうな」エターナルフェニックス

 

 それと共に父さんは自分の手にあるエターナルフェニックスを起動させると共に、そのまま腰に現れたドライバーに装填する。

 

 同時に。

 

「変身」抜刀! エターナルフェニックス! 

 

 その音声と共に、父さんの姿は変わる。

 

 それは、かつて戦ったファルシオン。

 

 だが、その色は大きく異なっていた。

 

 そのオレンジは変わらないが、以前は黒の部分は白くなっていた。

 

 それだけでも、大きく印象は変わっている。

 

「行くぞ、ソラ」

 

「あぁ、父さん!」

 

 俺は父さんの言葉に対して返答をすると共に、その手のキーブレードを握る力を強くすると共に真っ直ぐと師匠へと走る。

 

 師匠もまた、こちらに向けて両手に持つ2つの剣に青い炎を灯すと共にこちらに向けて、青い斬撃を放つ。

 

 放たれた斬撃に対して、俺はキーブレードで受け流し、父さんは無限から放たれるオレンジの炎でその攻撃事態を破壊した。

 

 だが、師匠もまた、それが分かっているのか、次々と斬撃をこちらに向けて、放ってくる。「どうした、ソラ。攻撃をしてこないのか?」

 

「……なら、お望み通りに」

 

 師匠の言葉に、俺はニヤリと笑みを浮かべると、キーブレードを強く握る。

 

 そして、師匠に向かって駆け出すと、その手に持つキーブレードを振りかざすが、俺の攻撃を師匠は左手に持つ剣で受け止めると、右手に持つ剣を振るう。

 

 俺はキーブレードでその一撃を防ぐが、師匠は即座にキーブレードを押し退けると、続けて振るわれる右の剣を避けながら、俺はキーブレードを突き出す。

 

 しかし、師匠はその一撃を剣で弾き返すと、同時に左手に持った剣を横薙ぎに振るってきた。

 

 俺は咄嵯にキーブレードで受け止めようとするが、それよりも早く振るわれた剣を目視した時、俺はゾッとする。

 

 その剣は今まで見てきたものとは違い、まるで氷のように冷たく、そして、炎のように熱い。

 

 そして、その剣に宿る力は今まで戦ってきたどの剣士よりも強く、そして、強大であった。

 

 そんな剣が今自分の命を奪おうとしている。そう考えただけで、俺の心臓は激しく脈打つ。

 

 だが、俺はその恐怖心を押し殺すと、キーブレードを強く握り締めて、師匠の攻撃を迎え撃つ。

 

 キーブレードと剣が交差する瞬間、凄まじい程の衝撃波と衝撃音が周囲に響き渡る。

 

 キーブレードを介して剣に宿る力が伝わってきており、そのあまりの力の強大さに思わず、俺は歯を食いしばる。

 

 しかし、ここで負けるわけにはいかない。俺はキーブレードを握る手に力を込めると、師匠の剣を押し返す。

 

 そして、俺はそのままキーブレードを振り下ろすと、師匠の身体を斬りつける。

 

「ぐあっ!」

 

 俺の攻撃を受けて、師匠は苦悶の声を上げる。

 

「父さん!」

 

「あぁ、分かっている」俺の言葉に父さんは答えると、無限からオレンジの斬撃を放ち、師匠を斬りつける。

 

「ぐあっ! おのれぇ!」

 

「行くぞ、ソラ!」

 

「あぁ、分かってるよ、父さん!」

 

 俺はそう言うと、キーブレードを強く握り、師匠に向かって走り出す。

 

 そして、師匠に向けてキーブレードを振りかざすが、師匠はその攻撃を剣で受け止めると、続けて振るわれる俺の攻撃を剣で防ぐ。

 

 しかし、俺はそのまま攻撃の手を緩めず、次々と攻撃を続ける。

 

 それは、注意が完全に俺の方に向けられており、師匠の既に背後に迫っていた父さんが、無限で師匠の身体を斬りつける。

 

 父さんの手によって振るわれる斬撃が師匠の身体を切り裂いていき、師匠は苦痛の声を上げる。

 

 しかし、それでも何とかして耐えしのごうと、師匠は剣を握る手に力を籠める。

 

 しかし、その隙を見逃さず、俺はさらに剣を振るい、師匠を追い込んでいく。

 

 そして、最後の一撃として俺が繰り出した攻撃が師匠の身体を斬りつけ、師匠は地面に倒れ伏した。

 

「終わりだ」

 

 そう、俺は告げる。

 

 だが。

 

「まだだっ俺はぁ!!」

 

 同時に師匠の身体は大きく変わる。

 

 それは巨大なドラゴンであり、圧倒的な威圧感と共に、こちらを見る。

 

「全く、往生際が悪いな、行くぞ、ソラ!」

 

「はい!」

 

 同時に父さんは、その身体を巨大な鳥に変わる。

 

 以前は炎だけの不死鳥ではあったが、その姿はどこか鳳凰を思わせる。

 

 俺はそんな父さんに乗り、真っ直ぐと師匠との戦いを始める。



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不死鳥とドラゴンの炎

 まさしく、悪魔を思わせるドラゴンへと姿を変わった師匠は、そのまま青い炎を俺達に向けて放った。

 

 その炎に対して、同じく不死鳥となった父さんが、その炎で対抗する。

 

「さぁ、行くぜ、父さん!」

 

 俺もまた、その手にキーブレードを構えながら、そのまま父さんと飛ぶ。

 

「ガァァァ!」」

 

 師匠の口から次々と放たれていく青い炎は、まさしく周囲を巻き込まれても、構わない程の勢いで放たれており、俺たちはそれをなんとか避けつつ、師匠に向かって攻撃を仕掛けていった。

 

 けれどそんな攻撃でも師匠に傷をつける事はできず、逆に師匠の攻撃を受けてしまえば、俺たちも無事ではすまなかったのだ。

 

 しかし、師匠の青い炎が俺達に当たる。

 

 だが、俺への攻撃に対して、なんと父さんはその翼で俺を攻撃から守ってくれる。

 

「父さんっ!」

 

「気にするな! お前は、目の前の戦いに集中しろ!」

 

 父さんのその叫びに対して、俺もまた頷く。

 

 父さんの不死の炎と、師匠の青い炎。

 

 互いにぶつかり合いながらも相殺し合う二つの力がぶつかる中、俺は再び空を飛び回りながら攻撃を続ける。

 

 すると、ついに俺達の攻撃が師匠に当たった。

 

 ──グオォッ!? 流石にこれは効いたのか、師匠の身体に焦げ跡がつく。

 

 けれどあまり、ダメージは通っていないようだった。

 

 そして反撃とばかりに放たれた青い炎によって吹き飛ばされる俺だった。

 

「ぐっ、父さんっ」

 

 見ると、父さんの身体が徐々に透けている。

 

 それが、ワンダーワールドに影響があるだろう。

 

「ソラ、お前は、守れるべき世界を守れ!」

 

 その言葉と共に、父さんは、そのまま天高く飛ぶ。

 

「今度は、お前を守る事が出来た。だからこそ!」

 

 徐々に消えていくワンダーワールドの力。

 

 それでも、父さんは、今度こそ、俺達の世界を守る為に力を貸してくれる。

 

 だからこそ。

 

「行こう、父さん!!」

 

 そして、俺達は、その身に父さんの炎の身体を纏う。

 

「っ」

 

「師匠、ここで、決める!」

 

 同時に、真っ直ぐと、俺と父さんは、真っ直ぐとそのキーブレードで師匠に向かって斬りかかる。

 

 ──グルアァァァァァ!! そして、師匠も雄たけびを上げて応戦してきた。

 

 互いの剣をぶつけ合い、そして互いを吹き飛ばす。

 

 そして体勢を整えてまたぶつかり合う。

 

 赤と青。

 

 二つの炎が、まるで太陽を想わせるように、煌々と燃え盛っていた。

 

「俺と! 父さんの! 繋がる心が! 力だぁ!!」

 

「っ!!」

 

 それと共に、師匠を貫き、倒す事が出来た。

 

 だが、それは同時にワンダーワールドの力が消滅した瞬間であった。

 

「けど、あとは頼んだ」

 

 そう、ディズニーイマジーネションベルトと一体化していた俺は、そのまま消えていく。



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物語は新たに造られていく

「はああぁぁ!!」「ふんっ!」

 

後ろに見える幻想的な風景。

その風景を背にしながら、俺は、眼前にいる相手達と剣を交えている。

それは、かつての俺では決して勝つ事が出来なかっただろう強敵達だった。

 

「はぁ!」「ぐっ!」

 

だが、この場所に降り立ち、何度も、何度も戦った事で、その強さを、俺は手にする事が出来た。

やがて、俺が手に持ったキーブレードで最後の一撃を与えた。

それは、この場で俺の勝利を意味した。

 

「はぁ、はぁ、なんとか勝てたのか」

「あぁ、そのようだな」

 

そうして、俺は戦った相手を見つめる。

 

「全く、たった一年でここまで強くなるとはな」

「いや、ほとんど奇跡的ですよ、というよりも」

 

俺はそうして、この一年間、俺と戦ってくれた人達を見る。

このワンダーワールドには、本来ならば伝説の中の人物達。

初代マスターロゴス、かつてはメギドではあったが、このワンダーワールドにおいては元の穏やかな性格へと戻ったストリウス達。

そして、父さん。

ワンダーワールドという、この曖昧なこの世界に。

 

「それにしても、ここまで元の世界に戻ったのか」

 

それを、一年前の戦いで、俺達は飛ばされた場所。

その場所は、俺が目覚めた時には、今立っている丘と、天高くまである刃王剣十聖刃しかなかった。

 

「本来ならば、ここが元に戻る事すらできなかったかもしれなかった。

けど、それはディズニーイマジーネションベルトによって」

「出来たという事か」

 

これまでと変わらない。

幾多の物語が一つになったディズニーイマジーネションベルト。

これは、確かにワンダーワールドと繋げる扉だった。

だが、それと同時に、これまでの物語を収める物でもあった。

 

「ここには、全知全能の書から生まれた物語があった」

「だからこそ、気づけなかった事もある。始まりのきっかけは確かに全知全能の書だったかもしれない」

「1人1人が全知全能の書で描かれた物語だとすれば」

「それが合わさり、新たな物語に変わる」

 

例えばそれは、人魚姫。

本来だったら、悲劇で終わるはずだった物語。

しかし、それを読み、新たな物語を考えた結果、生まれたリトルマーメイドという物語。

 

「お前は、それをこれからも紡ぎ続けるんだな、ソラ」

「師匠」

 

同時に、そこには、師匠も立っていた。

あの戦いが終わり、師匠もまた、ここに立っていた。

 

「俺には物語の主人公になれないと思っていた。だけど、違ったんだ。

捉え方で、物語は違う。勇者じゃなくても、ただの村人でも、魔王でも、生きていれば、主人公になれる。

それを、俺は気づけなかっただけだ」

「俺にとって、最初に憧れたのは、間違いなく師匠でした。覚えていますか」

 

そう、俺はあの時を思い出す。

アルカディア・ベースでの最初の記憶。

それは、師匠が、教えてくれた物語。

人と機械が力を合わせ、戦う物語。

それを通して、師匠は様々な事を教えてくれた。

 

「俺は俺の全力でこれからも頑張ります。だから」

「あぁ、行ってこい」

「お前達に、物語の続編を」

 

同時に、俺達の身体は消え始める。

それは、元の世界へ、帰還する時。

そして、振り返れば、そこには、皆が待っていてくれた。




これにて、ワンダーワールドを開く者は完結しました。
最初は、ディズニーイマジーネションベルトをきっかけに書き始めましたが、ある意味、セイバーとディズニー、そしてキングダムハーツを組み合わせて書いていて、楽しかったです。
ディズニー自体、多くの物語を新たな視点で造りだした物が多く、名作もありました。
そこから、セイバーの全知全能の書をある意味否定出来る要素もあり、書かせて貰いました。
ここまで応援してくれた皆様、本当にありがとうございます。
そして、また、別の仮面ライダーを原作にした物語を書いていく予定です。
だから、これからもよろしくお願いします、


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