死屍累々の戦場で~A Happy New Worlds~ (Zanna di Liquirizia)
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プロローグ:Voidより来る者
序章Ⅰ:新たな大戦[new war]
まぁ、主人公等が艦これ世界に転移するまでの話。
ここは両女帝率いるグリニア帝国の統べる太陽系。その中央域。今まさに戦いの火蓋が切って落とされようとしている、一触即発の状況だ。
そして、夥しい数のセンティエントに対する、テンノ、グリニア、コーパスの、状況が状況の為、否応無く、仕方なしに集まった為に結果的に出来た連合艦隊となった。
だが、センティエントの力は強大であるが為、戦闘の最中、一度でも、ほんの少しの、小さなミスでも起きてしまうならば、形勢が逆転しかねない程に強く、そして数が多い。
「……っち、数が多すぎるな」
……大事なことだから繰り返すが、センティエントの数が多すぎる。
潰し続けても次から次へと、至る所から現れては俺達の凌ぎを削っていく。
お陰で瓦礫が増えてきて戦える空間が狭くなってきた上、明らかに数的不利の立場に在りながら、良くもまぁ此処まで耐え抜いているとは思うが……何せ、セティエントの数が多過ぎる故に明らかなジリ貧だな。こりゃァ……
「ったく、次から次へと……厄介なァ!」
全く、ウンザリして来たな。
死ねば諸共…自らの命と引き換えに此処ら一帯の
「となると、どうするべきか……」
ヴィクトリアというのは
――が、コイツはその中でも特にバルパファイラに酷似しているのだが…先程言った通り喋る――というより見ての通りの人型…になることも出来る。
「流石に……キツイな。然らば……どうするべきか?」
誤解を孕むやもしれん故、先に言っておくが……事案では有るまいぞ。
言い方は悪いが……コイツは幾年もの年月を共にして来た戦友…というと顔を顰めるのでペットとでも言っておくべきか――と、まぁ俺に対する呼称がだな……
「――えっ、ぁ……ご主人。どう……と言われましても、その…」
何だ。このヴィクトリアの慌て様は……ん?コイツ……俺でなく俺の後方を見ている……何故だ。目を見て話さんかワレェ!――Calm Down Calm Downだ。落ち着け、このような状況の場合では本人に聞くのが一番だ。
「どうした。ヴィクトリア…何か不満でも?」
「あっあの……その、ご主人の後ろに…えぇと」
後ろォ?というより途端にセンティエントが見えなくなったような…まぁいい、取り敢えず言われたとおりに後ろを――
「何だ?貴様ァ……」
振り向いたとき、俺の後ろ――いや、眼前に居たモノは――
「――っ!ご主人っ!避けぇっ!」
通常のセンティエントとは違う、淡い空色のオーラを吹き出しているセンティエントが其処に居た。
……ヴィクトリア?どうした、声が途切れているが…この程度の攻撃なら何ら問題無く避けることが出来るのだし――
「ヴィクトリア?……戦いが長引いて神経質になってるんじゃ――」
ヴィクトリアの声が途中で途切れ、途切れた言葉に対し応答しようとし……ヴィクトリアの方向に振り向くと――そこにヴィクトリアは居なかった。いや、正確に言えば……
この状況に置いてはその言葉がより似通っているだろう。
そしてヴィクトリアを吹き飛ばした張本人であるソレは俺の後ろに居たセンティエントと同じ個体か、または同型のセンティエントであろう。
「いつの間に……」
そして――――
「貴様らァ…どこから湧いて来やがった」
いつの間にか、ソレらと同型のセンティエントが俺達を取り囲んでいた。
いつもなら離れで出現するはず何だが……何の予兆もなく、この
何をどうしたらこのだだっ
瓦礫が殆ど無くなっている…それに淡い空色のオーラってことは、
瓦礫に化けたMimic共が大量に
「
――悪態を吐いているヒマはねェ。
取り敢えずヴィクトリアの応急処置をしねぇと――それにしてもセンティエント共が妙に統率が取れてやがる。
だがまぁんなモン知ったことァねェぜ……まとめて薙ぎ払えばなんとでも――いや待て、この場には負傷したヴィクトリアもいる。そんな状況で
ならばどうするべきだ……。
「――――何故」
何故だ。何故コイツ等は動かない……?何か指示を待っているのか?いや…それにしてもこの圧倒的に自らが優位に当たる状況で仕掛けてこないのは異様だ。
いつもならば我々を発見した瞬間に襲いかかってくるんだが、各個撃破と行くか……?いや、ソレじゃ俺が力尽きるほうが先になる。
どうするのが最善だ?こういう時、
「――――うおァっ、危ねぇな…」
コイツ等っ!気が緩む一瞬の隙を探ってきてやがったのか。
クソッ、ヴィクトリアが危ないな……さっさとヴィクトリアの元に――って
「邪魔だっ……クソがァ!」
コイツ等、一体一体は然程強くないが……なんせ数が多いからな…邪魔になるったらありゃしない。クソッ、ヴィクトリアの元にたどり着くことが……出来ないっ!
「退けっ!」
センティエント共がァ、道を開けてもまた次のセンティエントが道を塞いできて進むことが出来ない。畜生が……
そろそろセンティエントの群れに風穴を開けることが出来そうだぁが…それにしてもミミックか……噂に聞いたが、本当に物に化けることが出来るんだな………こりゃ厄介なこった。
「――――っとァ………貴様ァ」
右腕がやられた……というか俺に手足の分別がつくのか……?ってそんなことを考えている暇はない…筈なんだが、どうにも思考が乱されるな。
ヤツ等の仕業か……?だとしたら厄介なモンだ。
……だが、そろそろケリを付けようじゃァないか。
「ヴィクトリアっ!……っ」
ヴィクトリアが見えた……が、そのことで気が緩んだのか――ソレで生まれた隙を突くような形で、センティエントの槍のように尖った部位が俺に幾つも刺さった。
――――そして
ヴィクトリアは息も絶え絶えな様子で、俺のヴィクトリアを呼ぶ声に反応し俺に助けを求めるような眼差しを向けてきていたが、俺が串刺しになったのを見ると、絶望したような表情を浮かべた。
「ヴィクトリア、限界が来た…ようだな。っは……来いセンティエント共、このくだらない戦いに……終止符を、打とうじゃ…ない、かァっ!」
その言葉には様々な意味が込められている。
ヴィクトリアは理解したようだが、1つ目には敗北が濃厚だと言うこと、2つ目は二人共瀕死の状態にあり、助けることが出来ないということ、3つ目はそのままにもう戦えないということ、そして最後に…………
「
ヴィクトリアを生かすためにはかなり抑えなければならないが、それはとどのつまりセンティエント共も大半が残ってしまうことになる。
そうなれば今のヴィクトリアが生き永らえる可能性な無いということでもある。
もし、ヴィクトリアが無傷か、または負傷しているがなお活動可能というならばヴィクトリアを
今の俺に転移の位置を調整することなど出来ない。
それにヴィクトリアはもう殆ど動けないだろう。
――ならば、ならばどうすれば良い。
もう駄目だな………
「ご主人、私も…ご一緒しますから、どうか……抑えずに」
その言葉の安心したのか――俺の意識は深い海の底へと沈んでいった。
辺り一帯は光に包まれ、そして光が消え去ったあとには何一つとしてそこには存在していなかった。
『何故、俺を見捨てた』
――――……違う、そんなつもりじゃ――
『何故、お前だけが生き残っている』
――――……私は、貴方を見殺しにするつもりなんて――
『オマエは……俺を殺した』
――――――違うっ!私は…わたし、は……
『許せない……ユルセナイ、決してッ!」
ごめん……ごめん、なさい……
『この…ヒトゴロシッ!!」
淀瀬っ……ごめんなさい…ごめんっ…なさい……
・・・
「っ……どこだ…此処は」
ヴィクトリアと共にセンティエントと戦って――あぁ…気を失ったのか…畜生。
ヴィクトリアはどうなった…?無事なのか、それとも…いや、ネガティブなことを考えるのは辞めよう。希望的観測になるかもしれんが…もしや此処は地球か?
いや、それにしては不自然だな…どうにも既視感があるが――いや、気の所為か?まぁいい、だが…地球でないとなればここは何だ。――というか…クレーターが出来てるな、俺を中心に…随分と広いクレーターだが…何だこれは、センティエントの槍か?
「く…んっ」
畜生、槍が抜けん…どうしたものか。しかも下方から心臓部に突き刺さっているせいで身動きが出来ん…センティエントの物言わぬ残骸がほぼそのまま残っているせいで――よもやマズイ状況では有るまいか…?さて、木々に覆われ此処が何処だか判らん――というより、まさかvoidが使えない…?いぃやいや、それじゃァ夢も希望もへったくれも無いぞ。
「しかし…どうするか」
どうしたものか…voidの力が殆ど使えんな…転移――いや、voidダッシュくらいなら使えるが…透明化やらアビリティが使えないのはキツイな…だがしかし、転移出来る物が此処ら一帯に無いからな…
いや…?一つだけ有るか。
エネルギーも殆ど無い故に、範囲も狭いが…唯一、俺を貫いているセンティエントの残骸ならば転移が出来るな。
「センティエントに転移するのは初めてだが…やるしかないか」
こんなところで悩んでいるだけ時間の無駄だ。
やると決めたら迷うことはないだろうし、それに
「出来るかどうかはやってみなければ判らん。一か八か――っ!?」
こりゃ銃声か!?……マズイな、五体満足でなければ、voidの力が殆ど使えない。
こんなときにグリニア兵にでも遭遇したら抵抗のしようもなく、すぐに殺されるだろう――
足音が真っ直ぐこちらに向かって来ている。
何故だ?恨みを買うようなことは何も――いや…そういえばグリニアの奴を虐殺して回ってたな……って、懺悔してる場合じゃない。
「さっさとセンティエントに転移して――」
いや、待て……ここは銃声の主に転移したほうが有意義なんじゃないか。
銃声のや足音の数からして計四人、銃火器を所持しているのが三人で、それらから逃げるように急ぎ足になっているのが一人、無論銃火器を所持している三人は逃げている一人を追うようにして走っているが――進行方向がズレやがった。
――クソッ…素直に真っ直ぐこっちに逃げてくれば良かったものを……だが誘き寄せることは出来るからな、焦ることはない。
だが、転移する対象は選んだほうが良さそうだな…器――というより、ヒトには相性があるから、相性が悪いと転移してもまともに身体を動かせない。
……相性に関しては実際に対面せねば判らんが、たかがグリニア三匹程度、何ら問題なく仕留めることができる――本来なら。
だが今のこの状況ならば抵抗も出来ん故――あの脆弱なクローンのカラダでは到底保たないだろうし、ならば此処が地球だと仮定したうえで、グリニア共から逃げているのがオストロンの民だとするならば…勝算は十分にある。近くの生物の思考や考えに干渉しこちらに誘導することなら…
TechnoSiteVirusを操ればの話だが…今の状況であればまともにこのTechnoSiteVirusを制御できるとは到底思えん……たらればの話でしか無いが…やってみるか。
これで逃走方向がこちらに変わればいいのだが――Okey…狙い通りだな――そういや足が使えるかは試してなかったな。
「駄目だな…足が拉げてやがる」
そりゃそうか、センティエント共に串刺しにされたからな…それはそうと、まだ奴らは来ねぇのか?…そろそろ意識が、沈みそうになってくるんだが…?
っと、落ちた枯れ木の折れる音と…速射式の小銃か……だが、聞き慣れない銃声だな…グリニア銃に似通っているが、なにか違う。
オロキン製ではないだろうし、古の大戦以前の代物か?…いや、ソレはないだろうな…もう数世紀は経ってるしな……有り得んな。
「……遅い」
何だ?…木の根にでも躓いたのかねぇ……いや、違うか…来たようだな…――女…か?
少なくとも敵対関係にある奴らとは違うが…――強いて言うなら、古の大戦よりも前――オロキン王朝以前の…DarkSector――TechnoSiteVirusが地球に蔓延した頃の人間のような……って、なんでその時代の事を知ってるんだ…?――まぁ、そんなことはどうでもいい。
見たことの無い服装だが…アレは制服か、学生服か?――それか海軍服のようなモンか?…後ろの人間はDarkSector時代の憲兵の格好のようだが、
失敗した場合、時間がないからな……何処で知ったか……
「…取引と、行こうじゃァないか……なァ?」
なんとですね…
Rookstar gamesでGrand Theft Auto VI(GTA6)のトレーラー映像がyoutubeに投稿されてますよォ!
ヒャッハー!新しい戦争だァ!
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序章Ⅱ:運命の出会い
『何故、俺を見捨てた』
――――……違う、そんなつもりじゃ――
『何故、お前だけが生き残っている』
――――……私は、貴方を見殺しにするつもりなんて――
『オマエは……俺を殺した』
――――――違うっ!私は…わたし、は……
『許せない……ユルセナイ、決してッ!」
ごめん……ごめん、なさい……
『この…ヒトゴロシッ!!」
淀瀬っ……ごめんなさい…ごめんっ…なさい……
・・・
「っ……どこだ…此処は」
ヴィクトリアと共にセンティエントと戦って――あぁ…気を失ったのか…畜生。
ヴィクトリアはどうなった…?無事なのか、それとも…いや、ネガティブなことを考えるのは辞めよう。希望的観測になるかもしれんが…もしや此処は地球か?
いや、それにしては不自然だな…どうにも既視感があるが――いや、気の所為か?まぁいい、だが…地球でないとなればここは何だ。――というか…クレーターが出来てるな、俺を中心に…随分と広いクレーターだが…何だこれは、センティエントの槍か?
「く…んっ」
畜生、槍が抜けん…どうしたものか。しかも下方から心臓部に突き刺さっているせいで身動きが出来ん…センティエントの物言わぬ残骸がほぼそのまま残っているせいで――よもやマズイ状況では有るまいか…?さて、木々に覆われ此処が何処だか判らん――というより、まさかvoidが使えない…?いぃやいや、それじゃァ夢も希望もへったくれも無いぞ。
「しかし…どうするか」
どうしたものか…voidの力が殆ど使えんな…転移――いや、voidダッシュくらいなら使えるが…透明化やらアビリティが使えないのはキツイな…だがしかし、転移出来る物が此処ら一帯に無いからな…
いや…?一つだけ有るか。
エネルギーも殆ど無い故に、範囲も狭いが…唯一、俺を貫いているセンティエントの残骸ならば転移が出来るな。
「センティエントに転移するのは初めてだが…やるしかないか」
こんなところで悩んでいるだけ時間の無駄だ。
やると決めたら迷うことはないだろうし、それに
「出来るかどうかはやってみなければ判らん。一か八か――っ!?」
こりゃ銃声か!?……マズイな、五体満足でなければ、voidの力が殆ど使えない。
こんなときにグリニア兵にでも遭遇したら抵抗のしようもなく、すぐに殺されるだろう――
足音が真っ直ぐこちらに向かって来ている。
何故だ?恨みを買うようなことは何も――いや…そういえばグリニアの奴を虐殺して回ってたな……って、懺悔してる場合じゃない。
「さっさとセンティエントに転移して――」
いや、待て……ここは銃声の主に転移したほうが有意義なんじゃないか。
銃声のや足音の数からして計四人、銃火器を所持しているのが三人で、それらから逃げるように急ぎ足になっているのが一人、無論銃火器を所持している三人は逃げている一人を追うようにして走っているが――進行方向がズレやがった。
――クソッ…素直に真っ直ぐこっちに逃げてくれば良かったものを……だが誘き寄せることは出来るからな、焦ることはない。
だが、転移する対象は選んだほうが良さそうだな…器――というより、ヒトには相性があるから、相性が悪いと転移してもまともに身体を動かせない。
……相性に関しては実際に対面せねば判らんが、たかがグリニア三匹程度、何ら問題なく仕留めることができる――本来なら。
だが今のこの状況ならば抵抗も出来ん故――あの脆弱なクローンのカラダでは到底保たないだろうし、ならば此処が地球だと仮定したうえで、グリニア共から逃げているのがオストロンの民だとするならば…勝算は十分にある。近くの生物の思考や考えに干渉しこちらに誘導することなら…
TechnoSiteVirusを操ればの話だが…今の状況であればまともにこのTechnoSiteVirusを制御できるとは到底思えん……たらればの話でしか無いが…やってみるか。
これで逃走方向がこちらに変わればいいのだが――Okey…狙い通りだな――そういや足が使えるかは試してなかったな。
「駄目だな…足が拉げてやがる」
そりゃそうか、センティエント共に串刺しにされたからな…それはそうと、まだ奴らは来ねぇのか?…そろそろ意識が、沈みそうになってくるんだが…?
っと、落ちた枯れ木の折れる音と…速射式の小銃か……だが、聞き慣れない銃声だな…グリニア銃に似通っているが、なにか違う。
オロキン製ではないだろうし、古の大戦以前の代物か?…いや、ソレはないだろうな…もう数世紀は経ってるしな……有り得んな。
「……遅い」
何だ?…木の根にでも躓いたのかねぇ……いや、違うか…来たようだな…――女…か?
少なくとも敵対関係にある奴らとは違うが…――強いて言うなら、古の大戦よりも前――オロキン王朝以前の…DarkSector――TechnoSiteVirusが地球に蔓延した頃の人間のような……って、なんでその時代の事を知ってるんだ…?――まぁ、そんなことはどうでもいい。
見たことの無い服装だが…アレは制服か、学生服か?――それか海軍服のようなモンか?…後ろの人間はDarkSector時代の憲兵の格好のようだが、
失敗した場合、時間がないからな……何処で知ったか……
「…取引と、行こうじゃァないか……なァ?」
「ハァッ…ハァ…」
足が痛い…もうどれだけ走っているか分からない…息も粗くなってきて、今どこにいるのか分からない。
先ほど、爆音が聞こえたけど…そんなの気にしてるヒマなんて無いけど…僕と、夕立だけで鎮守府から抜け出して良かったのかな……逸れちゃったけど。
「憲兵は――まだ撒けてない……ようだね」
…この先には何が…開けてるけど――クレーター……っていうのかな?土も木も焼き焦げていて――何かの残骸だけど…金属のような…深海棲艦の残骸?……いや、こんな森の中に深海棲艦がいるわけ…あ――でも、最近になって陸上型の深海棲艦が現れたとか……そんな事を考えてる暇はない。
今は憲兵を撒くことを考えなければ……
「最悪は…隠れてでも……」
………………何かがおかしい……
うーん……またもや同じ景色…憲兵達も困惑してるようだけど……
何か、誘い込まれているような…意識が少しでも逸れると、その寸前に見た景色と全く違う…
それでいて、もう見慣れたような景色が繰り返される。
――――まただ。
草木をくぐり抜けて先を見るとまたも先程見た小規模のクレーターがあるが……その先へ進むのは嫌な予感がして
でも……行かなければという衝動に駆られて、葛藤しながら逃げ回っている間に……またクレーターが眼前に広がっている。
そして…
遂に、その不穏な空気漂う、そのクレーターへと足を踏み入れた。
そこには、先ほど見たような金属のようなモノの残骸の、その本来の姿の持つ槍の形をした一部位の心臓部を貫かれた、一人の――いや、ここは一体の、と表現したほうが良いだろうか――の周りに転がる、幾多もの切り刻まれたような跡のある残骸があった。
そして、串刺しにされたソレは、息をしておらず、既にこと切れているようにも見えるが……その頭と、そしてその瞳は、瞬きもせず、こちらをその引き込まれるような、ゾッとするような、品定めするような視線をこちらに向けてきている。
ゆらりと、目を動かして僕、後ろの憲兵達を順に見ていき……最終的に、再び僕に終点を合わせてきた。
――――……怖い。
恐怖心が身体を支配しているように感じて、身体が動かない――ヒィッ……なんだろう、こういう悲鳴のことを声にならない声って言うのかな――そんなことしか考えられないような、今のこの状況から逃れたい一心で……ってことなのかな。
これは……人、って言って良いのかな……なんて言えば良いんだろう、こう――形容し難いような肉塊?……って言えば良いのかな……でも、所々人っぽさの残っている部分があったりして、肉塊のようなんだけど…全体的に金属質になっているような……それに、どれだけ否定しようとも…根本的な何かか、それとも本能か能動的なものが、この生ける肉塊を人型に見てしまう。
――っ!?
胸が動いた……声を出すための予備動作のような――やっぱりぃ……口が開いた。
なにを言い出すんだろう……もしかして――殺すとか、言ってこないといいな。
胸を貫いていたり、辺りに転がっている金属の残骸やらが火に塗れていって……!?
……金属の残骸が……融けていって――え、いや……金属が融けるってどんな恒温だったらそうなるんだ……いや、まぁ……金属とは限らないんだけどさ……ってそんなことより――っ。
この形容し難く、不安と恐怖を孕んだ、この生ける肉塊は忌々しい不気味なその聲を……
「取引と、行こうじゃァないか……なァ?」
この話や前回の話など、改行が多いとは思いませんか?
……私はそう思います。
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序章:自らの存在意義《艦娘in時雨Side》
やはり時雨は可愛いと思うんだ。
まぁ、そんなことはどうでもいいので、私のこの独りよがりの妄想に長らく付き合ってくださいな。
それでは……
どうぞ!
――――また、
――――名も顔も知らぬ
――――あぁ、
――――もう……嫌だ。
――――僕らは何のために戦っている?
――――私利私欲に塗れた
――――違う。
――僕らはあんな奴らのために戦ってるんじゃない。
――軍艦としての誇りを――
――艦娘としての誇りを持って、
――――我が国を、国民を守るために
――その為に、生れて来たはずだ。
――――確かに、昔は物言わぬ金属の塊だったし、戦争のための道具――人殺しの道具として造られた。
――――だけど、幾ら僕たち駆逐艦が、低コストで建造できるからといって、僕たちにだって人の心がある。
――――現に、それを無碍にするような人間がいるから、
――――人でないモノの感情なんて、どうでもいいと思っている人間がいるから、
――――だから、僕たちは道具であり、
――――いつまでも、兵器であるんだろう。
――――ごめんなさい。
全員を助け出すのは、無理だった。
遠征に出ていた娘や、出撃していた娘たちは、どうにも出来ない――というか、ずっと部屋に閉じこもってたから、今いる娘たちの顔がわからないから、もし海で会ったとしても、判別がつかない。
だから、今いる僕たちだけでもと思って、この鎮守府から逃げ出すことができた。
脱柵計画を一緒に立てた娘は、そんなに多くないけど、その程度のほうが逃げ出すときに有利だと思うし――実際そうだったけど――寝ていた娘とか、脱走を拒否した娘とか――洗脳でもされていたのか――みたいに、鎮守府内にはいたけど、連れて行くことができなかった娘たちは、仕方ないけど、置いてきた。
白露や夕立は、置いていくことに反対していたけど、いくら僕たちが艦娘だからといって、そんな超人みたいな力は持ってないから、背負っていくにしても引っ張っていくにしても限界があるし――洗脳されたような娘たちは……目に見えて拒絶されちゃったことに、ふたりともショックを受けたみたいで、最終的には、置いていくことに賛同――ほぼ一方的に――してもらった。
でなければ、
――――というか、別に軍部の人間じゃなくても良いんじゃないかな。
普通の――一般人のお家に住まわせてもらうのもいいと思う――けど、もし匿っているのが軍部、それも
ということは、やっぱり軍部の人間の、それも人権派に人間に匿ってもらったほうが良いのか。
でもそんな都合の良いことがあるのかな……佐官とか将官クラスの人って、だいたい護衛をつけているし、安々と近づくことは難しいし、森とかで暮らそうかな……。
――さいあくだ
こんなに早く感づかれるとは思わなかった。
憲兵が住宅街に出張ってきたときは「……いやいや、ただの巡回だろう」と思っていたが、それと同時に「まさか……もう感づかれたのか」とも思っていた。
1561文字とは……少ない、少なくない?
私はそう思う。
――二番煎じだなこれ
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