表の顔は探偵で、裏の顔は忍び (カオスカラミティ)
しおりを挟む

プロローグ
★月閃女学館、唯一の男子生徒


ーとある場所にて

 

?「ハッ!セヤッ!」

―バシッ!ズンッ!

 

?2「うむ。なかなか良いぞ。だが……」

―ドンッ!

 

?「うおっ!?」

 

?が素早い動きで?2を圧倒するが、?2は一瞬の隙をついて?に掌底(しょうてい)をくらわせて吹き飛ばした。

 

?2「フム。“(ツルギ)”よ。だいぶ腕を上げたな。」

 

ここは善忍養成のエリート校『死塾月閃女学館』。その学校にただ1人だけ、『剣』という忍名の特待生男子生徒がいる。

 

彼は今、月閃女学館にある模擬戦用の広場にて黒影という伝説の忍びである『半蔵』の友にしてライバルの老人の手ほどきを受けていたのだ。

 

 

?→剣「まぁな。黒影じいさんにずっとしごかれてきたんだ。嫌でも、強くなるさ。」

 

?2→黒影「ハハッ、そうだな。しかし、お前の卒業試験が1ヶ月後か。感慨深いな。」

 

剣「10歳の時に孤児になり、その数ヶ月後にじいさんに拾われてから8年間、ずっと1人前になる為に鍛練してきたもんな。」

 

黒影「ああ。さて、今日の鍛練はここまでにして晩飯にするか。」

 

剣「おうよ。」

 

 

 

―それから1ヶ月後、剣の卒業試験当日

 

遂に剣の卒業試験当日になると、黒影の孫娘である雪泉(ゆみ)、そして養子の(むらくも)夜空(よぞら)四季(しき)美野里(みのり)の5人と女学館の忍び生徒全員が見に来ていた。

 

剣「おいおい。卒業試験とはいえ、こんなに集まるか普通?(汗)」

 

黒影「フフッ。皆、お前の事を認めているからな。それに、この月閃のトップ生徒の卒業試験だ。見に来ないわけがあるまい。」

 

剣「やれやれ。それじゃ、無様な所は見せられないな。」

 

そう言って、剣は深呼吸して気持ちを落ち着かせると、キッと黒影を鋭い眼差しで睨んで一言。

 

剣「それでは黒影“様”、お願いします。」

 

黒影「うむ。ではこれより、死塾月閃女学館の特待生である剣の卒業試験を行う!!」

 

黒影の言葉で卒業試験開始が言い渡されると、剣は一瞬で黒影の(ふところ)に移動し、右拳を握り込む。

 

剣「先手必勝!!セイヤッ!!」

―ブンッ!!

 

黒影「甘い!!」

―ガシッ!!

 

剣「なっ!?」

 

黒影「デェェヤッ!!」

 

剣「グハッ!!」

 

黒影「セイッ!!」

―ブンッ!

 

剣「ハッ!!」

―バシッ!バシッ!

 

剣は、握り込んだ右拳を黒影の腹に向けて突き出したが、黒影はいとも簡単にその拳を片手で受け止め、さらにそのまま剣の腕をひねって地面に転ばした後、正拳突きを繰り出した。

 

しかし、剣はその正拳突きを左足の蹴りで弾き、すかさず今度は右足で自分の腕を拘束している黒影の腕を蹴って、拘束から逃れた。

 

剣「やっぱり、伝説の忍びの友にしてライバルには先手必勝は通じないか。ならば、次はこれだ!!」

 

―ボゥンッ!

 

黒影「煙幕(えんまく)か。だが……」

 

黒影に、真正面からの攻撃は通じないと分かった剣は自分と黒影の周囲に煙幕を張り、姿を見えなくする。

 

―バッ!!

 

黒影「気配察知が出来ないほど、耄碌(もうろく)したつもりはないぞ!!」

―ブンッ!!

 

剣「グゥッ!?」

 

煙幕を張った後、黒影の背後から剣が模造刀を構えて現れるが、黒影はすぐさま振り返って拳を振り抜いて、剣をふっ飛ばした。

 

と思われたが……。

 

黒影「むっ!?これは、実体のある分け身の術か!!」

 

剣「シャッ!」

 

黒影「っ!!フンッ!!」

―ズドンッ!!

 

剣「はずれだ。」

 

黒影「くっ……またか。」

 

剣は実体のある分身の術で回避し、今度は黒影の目の前から現れて模造刀を振るうがまたしても黒影に吹き飛ばされた。しかし、それも実体のある分身だった。

 

分身で攻撃し、黒影がそれを吹き飛ばす。それを3回ほど繰り返した時、黒影は違和感を覚えた。

 

黒影(おかしいな。いつもの剣なら、分身に攻撃を任せっきりにはしない。分身の中に紛れて攻撃してくるはずだ。なのに、攻撃してくるのは分身だけ……。いったい何を考えて……っ!?)

 

その時、黒影は正面から物凄い気の流れを感じて目を凝らすと、そこには腕をクロスして気を練り上げている剣がいた。

 

黒影「なるほどな。初めから、お前のその得意技の一撃で私を倒そうとしていたわけか。だが、その技をそのまま撃っても私に止められる。だから、気を練り上げて威力を上げているのだろう?」

 

剣「さすがだな、大正解だ。」

 

黒影「だが、お前の目論見は崩れ去った。」

 

剣「それはどうかな?」

 

そう言う剣の目には諦めの色は一切無かった。それを見た黒影もギュッと右の拳を握り込み、気を練り上げて攻撃の体制に入る。

 

黒影「どうやら、まだ何かしらの策があるようだな。ならば、見せてもらうぞ剣よ!!」

 

剣「来い!!」

 

黒影「ムウゥゥ……ハアァァァァッ!!」

―ズドォォォン!!

 

黒影が突き出した右の拳から気で練り上げられた弾―『気弾』が剣に向かって飛んでいく。通常ならその気弾を回避するか、もしくは真っ向勝負をするものだが、剣はそのどちらも行動に移さなかった。

 

黒影「先程の威勢の良さはどうした、剣!!やはり諦めたのか!?」

 

剣「フッ、まさか。俺はこの時を待ってたのさ!!術式発動!!」

 

黒影「なっ!?その方陣は!?」

 

―ズドォォォンッ!!

 

剣「オォォォ……ハアァァァァッ!!」

 

剣が何のアクションも起こさない事に、黒影は諦めたと思ったが剣はニヤリと笑い、とある術式を発動させる。そして、その術式を発動した瞬間、巨大な陣が現れると黒影の気弾は命中したが剣は吹き飛ばされる事はなく、逆にその気弾を徐々に吸収していった。

 

―ドオォォォンッ!!

 

黒影「グッ!?」

 

剣「くらえ、じいさん!!これが……俺の成長の証だぁぁぁぁっ!!」

 

―キィィィィンッ!!

 

剣「閃光烈破弾(せんこうれっぱだん)!!!」

 

―バシュウゥゥゥッ!!!

 

黒影「フッ……。」

 

―ズドォォォォォンッ!!!

 

黒影の気弾を吸収しきると爆発が起き、黒影は一瞬の隙を見せてしまった。剣はそれを見逃さずに得意技を放つ為、クロスした両手を真横に広げた後に、練り上げた気を両手で丸く集めて放った。

 

それを見た黒影が軽く笑い、自身の敗北を悟ると爆発に包みこまれた。

 

 

剣の技が黒影に命中し、爆煙が周囲を覆うがしばらくすると晴れていき、そこから少しだけボロボロの黒影が出てきた。

 

黒影「見事だったぞ、剣。」

 

剣「ありがとうございます。」

 

黒影「しかし、まさかワシの気弾を吸収する陣を構築していたとはな。あんな巨大な陣をいったい、いつの間に?」

 

剣「煙幕を張った後、分身体達があちこちから攻撃してきただろ?あの時に、攻撃に参加させていない分身体達に作らせたんだ。」

 

黒影「ハハッ、なるほどな。あの煙幕は分身体達に攻撃させ、お前の得意技の威力を上げる時間稼ぎであると同時に、ワシの力を利用する陣を構築する為の物であったか。」

 

剣「かなり疲れたんだぜ。分身の術が得意とはいえ、一気に10人出して半分は攻撃に参加させ、半分は陣を構築する。出来れば、もう二度とやりたくない方法だ。」

 

黒影「そうだな。体への負担も大きかろう。だが、そのおかげでお前は見事、卒業試験を突破した!おめでとう剣!」

 

―ワアァァァァッ!!

 

黒影が剣の卒業試験合格を言い渡すと、広場にいた忍び生徒達が大歓声を上げた。すると、雪泉達が剣に駆け寄る。

 

夜桜「おめでとうございます剣さん!!」

 

美野里「剣お兄ちゃん、おめでとう!!剣お兄ちゃんも黒影おじいちゃんも、凄かったよ!!」

 

四季「黒影おじいちゃんとあそこまでやり合うなんて、やばすぎっしょ〜。さすが月閃のトップだね〜。」

 

叢「これで晴れて、政府公認の善忍になれたというわけか。」

 

雪泉「おめでとうございます、剣お兄様。私達もお兄様の後を追って、必ず政府公認の善忍になってみせます。」

 

剣「ああ。その時を楽しみにしているぞ。」

 

 

―卒業試験後

その後、剣と雪泉たち5人は黒影の部屋へと移動すると、黒影がなにかの箱を持って、剣の前に立つ。

 

黒影「これの事は前に話したな?」

 

剣「この世界を守る守護獣から託されたと言い伝えられている、この月閃に代々伝わる巻物だよな。」

 

黒影「うむ、その通りだ。」

 

そう言って、黒影は巻物が入った箱を剣の目の前で開けると、6本の巻物が入っていた。

 

黒影「これに手をかざせ。そうすれば、お前と契約したい守護獣の巻物が光る。」

 

剣「ああ。」

 

―スッ。

 

黒影に言われた通り、巻物に手をかざすと3本の巻物が光った。これにはさすがの黒影も驚いていた。

 

黒影「ほう?まさか3体もいるとはな。どうする剣?」

 

剣「俺みたいな、まだ政府公認の善忍になったばかりの奴を選んでくれた奴が3体もいるんだ。ありがたく、こいつらと契約するぜ。」

 

黒影「うむ。では意識を集中しろ。」

 

剣「………。」

 

―剣の精神世界

 

剣『ここは俺の精神世界か?』

 

すると何かの気配を感じて振り返ると、そこには先程の巻物に描かれていた守護獣達の紋章が浮かんでいた

 

剣『火炎赤龍拳のコスモドラゴン、電撃白虎拳のコスモタイガー、高速凍豹拳のコスモレオパルドだな。俺の忍名は剣だ。これからよろしくな。』

 

剣の言葉に呼応するかのように3体の守護獣達は光り輝いた。

 

―現実世界

剣「フウ〜。」

 

黒影「無事に契約出来たようだな。」

 

剣「ああ。3体ともとても頼りになりそうだ。」

 

黒影「うむ。剣よ、今これよりお前の善忍としての人生が始まる。辛く苦難にまみれる事もだろうが、お前は1人ではない事を忘れるな。」

 

剣「『1人で出来る事はたかが知れている。どうにもいかなくなった時は、仲間を頼れ』だよな?」

 

黒影「そうだ。では行くがよい、剣よ!!」

 

剣「はい!!」

 

 

 

―1ヶ月後

剣「さてと、ここが『東都』か。犯罪発生率がダントツらしいがこういう所でこそ、善忍である俺や守護獣達の力が活きるってもんだ。」




とりあえず、プロローグは完成しました。

ここから主人公がどう動くかはすでに決まっています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定

主人公と雪泉の年齢は4歳差です。


味方side

 

 

オリキャラ

◇名前・(ツルギ)(忍名)、天宮闇影(あまみやみかげ)(探偵の時の名前)

 

◇年齢・18歳(卒業時)、25歳(原作開始時)

 

◇髪色・薄い青色

 

◇性格・冷静沈着

 

◇使用武器・黒い剣と三つ叉(みつまた)の黒い槍(忍務時)

 

◇使用できるコスモ幻獣拳

火炎赤龍拳(かえんせきりゅうけん)

コスモビースト名・トゥバーン

 

電撃白虎拳(でんげきびゃっこけん)

コスモビースト名・フォロス

 

高速凍豹拳(こうそくとうひょうけん)

コスモビースト名・スピカ

 

※コスモビースト達は契約した者か、月閃関係者しか見えない

 

◇死塾月閃女学館に在学していた理由

10歳の時に両親が忍務で亡くなり、孤児になった。それから数ヶ月後に黒影に出会い、養子となった後に特待生として死塾月閃女学館に入学した。

 

◇剣の関係者

 

黒影・孤児になった剣を養子にして月閃に迎え入れた人物。剣はとても恩義を感じている。

 

雪泉・黒影の孫娘で剣の後輩。剣の事を尊敬しており、模擬戦の時は本気で挑む。最初は引き分けに持ち込まれる事が多かったが、最終的には剣に幾度となく負けている

 

叢・黒影の養子で剣の後輩。剣の事を尊敬しており、模擬戦を挑む時もあれば、時々マンガを書くのを手伝ってもらっていた。

 

夜桜・黒影の養子で剣の後輩。時々、料理を手伝ってもらっていたり、美野里の世話を頼んでいたりしていた。

 

四季・黒影の養子で剣の後輩。よく、剣を引っ張り出して買い物の荷物持ちにしていた。(荷物持ちにされた本人は嫌がっていなかったが……。)

 

美野里・黒影の養子で剣の後輩。よく、黒影と剣と一緒にあそんでもらっていた。

 

 

 

◇名前・???

 

◇年齢・13歳(卒業時)20歳(原作開始時)

 

◇髪色・黒色

 

◇性格・冷静沈着だが、感情が昂ると口調が荒くなる

 

月閃の関係者で闇影同様、複数のコスモ幻獣拳の使い手

 

 

 

 

原作キャラ

 

◇江戸川コナン(工藤新一)

言わずと知れた有名な高校生探偵。ベストセラー推理小説作家の工藤優作と伝説の大女優の工藤有希子を親に持つ。

 

幼馴染の毛利蘭が空手の都大会で優勝したご褒美に、彼女と共にトロピカルランドへ行ったが、そこで起きた殺人事件を解決。しかし、事件現場にいた黒ずくめの男(ウォッカ)を目撃し、追跡すると怪しい取引が行われていた。

 

それを見た工藤新一は、こっそりとカメラで撮るが背後から来たもう1人の男(ジン)に気づかずに殴り倒された。その後、毒薬―〈APTX4869〉を飲まされたが死ぬ事はなく、体が幼児化した。その後は、毛利蘭の父である毛利小五郎がやっている探偵事務所に居候しながら、奴ら(ジンとウォッカ)の事を調べる事にした。

 

サッカーが好きで、サッカーの試合を見ている時やサッカー関連の時は年相応の反応をする。

 

 

◇灰原哀(宮野志保)

工藤新一を小さくしたジンとウォッカが所属する組織の科学者。若くしてコードネーム持ちになり、組織の研究所で工藤新一を小さくした薬―〈APTX4869〉を作り上げた。(本人は毒薬を作っているつもりはなかった。)

 

しかし、姉の宮野明美を殺した(実際は重傷を負っただけ。)組織に反旗を翻した為、処分が決定するまでの間、研究所の一室に閉じ込められた。だが、どうせ死ぬならとこっそり持ち出していた〈APTX4869〉を飲むと、体が幼児化して部屋にあったダストシュートから脱出した。

 

その後、脱出した宮野志保は自分と同じ立場になっている工藤新一への元へ向かい、隣人の阿笠博士に拾われた後、〈灰原哀〉と名乗って小学1年生として生活を始めた。

 

工藤新一とは最初は衝突したが、今では頼れる相棒ポジションで色々な事を調べたりして、力を貸している。

 

フサエブランドのアイテムが好きで、時々コナンの調べ物の対価にフサエブランドを要求する事もある。

 

 

 

 

敵side

◇名前・ジン

 

◇使用武器・ベレッタ

 

◇愛用車・ポルシェ356A

 

工藤新一の幼児化の原因。組織内ではかなり上の立場にいて、部下のウォッカと共に行動する。『疑わしきは罰せよ』の言葉をよく用いるが、その言葉通りに少しでも疑わしい事をした者は組織の施設に連れて行って、裏切り者か判断する。

 

また完全に裏切り者と分かった者には容赦なく、粛清する。

 

 

◇名前・ウォッカ

 

いつも、ジンと行動を共にしている。ジンの代わりにポルシェの運転するだけでなく戦闘ヘリの操縦をしたり、オスプレイを操縦したりできる。兵器の事になかなか詳しい人物。




設定する事が増え次第、追加していきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始前
原作開始7年前・自宅の前に爆弾が?


コスモ幻獣拳のコスモビースト達の名前を決めました。

火炎赤龍拳のコスモドラゴン→トゥバーン
電撃白虎拳のコスモタイガー→フォロス
高速凍豹拳のコスモレオパルド→スピカ

この名前はそれぞれの拳法の使い手者達の名前です。
コスモビーストは意志があるという事で、闇影と話したりする事があると思い、名前は必要と感じて使い手達の名前を使用しました。


東都に到着してから数日後、剣もとい闇影は黒影からの餞別(0が8つ着いている通帳を与えられた。)で都内の高層マンションを借りた。

 

闇影「さて、住む所は確保出来た。後はどうやって情報収集するかだな。」

 

?「だったら、探偵なんて良いんじゃねぇか?」

 

?2「バカか、お前は?探偵業というのは信頼が第一だ。駆け出しの新人に情報など、回ってくるはず無かろう。」

 

?「んだと?」

 

?3「はいはい、2人ともストップ。」

 

闇影「スピカの言う通りだ。トゥバーンもフォロスも落ち着け。」

 

?→トゥバーン「ワリィな、闇影…。」

?2→フォロス「申し訳ない、マスター。」

 

?3→スピカ「でも、私も探偵をするっていうのは賛成かな。闇影の頭脳ならあっという間に有名になるよ!!」

 

闇影が情報収集の為には何をするべきか考えていると、火炎赤龍拳のコスモビースト・トゥバーンが探偵はどうだと話しかけてきた。

 

それに対して電撃白虎拳のコスモビースト・フォロスが反論した。だが、その言葉にトゥバーンは怒り、フォロスに詰め寄る。

 

すると、高速凍豹拳のコスモビースト・スピカが2人の間に入って喧嘩を仲裁した。しかし、スピカはトゥバーンの案は良いんじゃないかと思っていたようだ。

 

闇影「まぁ、トゥバーンとスピカの言う通り、探偵をやってみても良いかもしれないな。大半はしょうもない依頼ばかりだろうが、中には裏に通じる情報が入るかもしれない。」

 

フォロス「まぁ、マスターがそう言うのなら私は反論しませんが……。しかし、この高層マンションで探偵業を?」

 

闇影「そのつもりだが、住人の迷惑にならないようにしばらくは紹介制という形を取る。そうすれば、多少有名になっても一気に人は来ないし、上手くいけば重要案件しか来ないだろう。」

 

スピカ「なるほど!さすが、マスター!」

 

トゥバーン「んじゃ早速、掲示板に新しい探偵事務所の立ち上げのチラシでも貼るか?」

 

闇影「その前に探偵事務所をやる為の資格が必要らしい。しかも俺は善忍なりたてだから、政府に探偵をする事を報告しておかなきゃな。」

 

 

 

―1ヶ月後

フォロス「無事に政府からは探偵業を許可され、資格も手に入れましたね、マスター。」

 

闇影「ああ。後はトゥバーンが言った通り、掲示板などに新しく立ち上げた探偵事務所のチラシを貼りに行くか。」

 

探偵をやる為の資格を手に入れた闇影は、次の段階として駅や公園の掲示板に探偵事務所のチラシを貼りに向かった。

 

 

 

―2時間後

闇影「とりあえず、こんなもんかな?」

 

フォロス(すいませんマスター。我々も手伝えれば良かったんですが……。)

 

闇影(気にするな。お前達の姿を見られたら、ヤバいんだから仕方ない。)

 

「キャアァァァッ!!」

 

闇影「っ!?」

 

「誰か、あの男を捕まえて!!ひったくりよーー!!」

 

自分で用意したチラシをあらかた掲示板に貼り終えた闇影は一息つこうとしたが、通りの向こうから女性の悲鳴が聞こえてそちらを振り向くと、1人の男が女性もののバッグを持ってこちらに走ってきていた。

 

トゥバーン(早速、仕事だな。)

 

闇影(探偵の仕事じゃないがな。いや、荒事が起きる場合もあるから、仕事の範疇(はんちゅう)か?まぁ、良いか。)

 

ひったくり男「どけぇぇっ!!」

 

闇影「フッ!ハアッ!」

―ズドンッッ!!

 

ひったくり男「グハッ!?」

 

闇影「いっちょう上がりだな。」

 

走ってきたひったくり男は、目の前にいた闇影に向かって拳を突き出すが闇影は軽々と避けた後、その拳を掴んで一本背負いでひったくり男を地面に叩きつけた。

 

「すいません!!ありがとうございます!!」

 

闇影「どういたしまして。それよりこいつは俺が押さえておくんで、警察に連絡お願いします。」

 

「はっ、はい!」

 

その後、ひったくり男は女性が呼んだ警察に連行されていき、女性はひったくりされた時の状況を聞かれていた。

 

そして俺は……

 

目暮「いや〜、ありがとう!あいつはこの辺りを中心にひったくりを何十件もしていた男なんだが、なかなか尻尾を掴ませてくれなくてな。」

 

闇影「そうなんですか。」

 

目暮「君のおかげで逮捕する事が出来た。本当にありがとう。感謝状を送りたいんだが……。」

 

闇影「いや、遠慮しときますよ。たまたまその場に、居ただけですので。」

 

目暮「あっ、ちょっと!!行ってしまったか……」

 

 

―闇影の自宅にて

スピカ「マスター、何で感謝状受け取らなかったんですか?」

 

闇影「あの目暮って刑事が言ってたろ?逮捕されたあの男はあの周辺で何十件もひったくりを行っていたって。」

 

自宅に帰ってきた闇影は夜食の作りながら、スピカの問いに答える。

 

フォロス「なるほど。そんな(やから)を捕らえ、なおかつ感謝状を受け取ってしまったら、翌日の新聞に掲載されてしまう可能性があるというわけですね?」

 

闇影「その通りだ。言っただろう?このマンションの住人達に迷惑にならないように紹介制にすると。」

 

トゥバーン「でもよ、探偵としては多少有名になった方が良かったんじゃねぇか?人が来なかったら、事務所を開いても意味ねぇし。」

 

闇影「安心しろ。ひったくり被害を受けた女性にこの探偵事務所のチラシを渡しておいた。」

 

スピカ「さすがマスター!!」

 

闇影「さっ、夜食を食べたらさっさと寝るぞ。」

 

ひったくり男を捕まえた事に対する感謝状を受け取らなかった理由を3人に話した闇影は、夜食を食べ終えた後、シャワーを浴びて就寝した。

 

 

 

―翌日

 

―ザワザワ!

 

闇影「ふぁ~。何か外が騒がしいな?」

 

スピカ「私が見てきます!」

 

そう言って止める間もなく、スピカは玄関の外の状況を見に行った。するとそこには、防護服を着た隊員が数名とその防護服を脱いで、“タイマーがついている物体”の側で一服している青年がいた。

 

スピカ「マスター、見てきました。何か、分厚い服を着た人間が数名とその分厚い服を脱いだ男が一服していました。」

 

闇影「それだけか?」

 

スピカ「その一服している男の側に、時計がついた大きな物が置いてありましたね。」

 

闇影「っ!?」

 

フォロス「マスター、もしかしてスピカが見た物は爆発物では!?」

 

スピカが見てきた事を聞いていると、爆弾だと思える単語が出できた。しかし、闇影はその事に驚いているのではなく……

 

闇影「その一服している青年はアホなのか?爆弾の前で防護服を脱ぐなんて……(汗)」

 

トゥバーン「っていうかよ。俺達も避難しなきゃいけねぇんじゃねぇのか?」

 

闇影「ああ、そうだな。こうなったら気配を消してこっそりと……」

 

「爆弾のタイマーが復活したぞ!!逃げろ!!」

 

闇影「っ!?」

 

扉の向こうから1人の隊員が『タイマーが復活した』という言葉が聞こえると、闇影は迷わずに外に出て廊下の突き当たりに置いてあった爆弾めがけてコスモ幻獣拳の構えを取る。

 

しかし、火炎赤龍拳や電撃白虎拳では爆弾を爆発させてしまう。つまり、彼がこれから使うコスモ幻獣拳は……

 

闇影「高速凍豹拳!!ハアッ!!」

 

―パキィィィンッ!!

 

氷の技を出せる高速凍豹拳で爆弾を氷漬けにし、タイマーが作動しなくした。そしてタイマーを見てみると、残り時間は1秒だった。

 

スピカ(間一髪でしたね……(汗))

 

闇影(全くだ……(汗))

 

?「あの〜……」

 

スピカ(あっ、彼ですよ。爆弾の前で一服していたのは。)

 

?「俺は爆発物処理班の萩原(はぎわら)っていう者だけど……。」

 

闇影「お疲れ様です。」

 

萩原「えっと、何で避難してないのとか、色々聞きたい事はあるけど、まずは最初に聞きたいのは……“さっき”の爆弾を氷漬けにしたのはなに……?(汗)」

 

闇影(しまった……。爆弾をどうにかする事に必死になり過ぎていたな(汗))

 

フォロス(マスター、“あれ”を使って下さい。)

 

闇影(了解だ。)

 

萩原「もしも〜し、聞こえてる?」

 

闇影「ああ、聞こえている。だが今回見た事は忘れてくれ。」

 

萩原「いや〜それはさすがに……(汗)」

 

闇影「ハッ!!」

―キィィィィンッ!

 

高速凍豹拳を目撃した萩原とその他の隊員は冷や汗を流し、闇影はフォロスの助言でこういう時の為の術を使う事にした。

 

萩原が再び話しかけてきた時、闇影は印を結んで右手をかざすと萩原達は光に包まれた。そして……

 

萩原「あれ?俺は確か、爆弾の前で一服してて…そしてタイマーが復活して……。っ!!そうだ、爆弾は……って止まってる?」

 

(爆弾のタイマーは止まったので、氷漬けをコスモ幻獣拳の気で溶かしました。by闇影)

 

光に包まれた萩原とその他の隊員達は気絶し、目を覚ますとタイマーが復活した所までは覚えてるが、闇影が高速凍豹拳で爆弾を止めた事は、キレイサッパリ忘れていた。

 

闇影(フゥ〜、どうやら上手くいったみたいだな。)

 

トゥバーン(月閃で記憶消去の術を覚えといて良かったな。)

 

闇影(今度からは、周りに気をつけてコスモ幻獣拳を使うようにするよ(汗))

 

スピカ(あれ?あの人、携帯取り出したよ?)

 

フォロス(フム?上司への連絡か?)

 

萩原「あっ、陣平ちゃん?」

 

陣平『おい、ハギ!!てめぇ、途中で電話切りやがって!!』

 

萩原「ごめんって。それに復活したタイマーはまた止まったからさ。」

 

陣平『そうなのか?とりあえず、降りてこい。お前の無事な顔を見ないと、落ち着かねぇ。』

 

萩原「はいは〜い。」

 

萩原の話を盗み聞いていた闇影は良い事を思いつき、気配を消してコッソリと萩原の後をついて行った。それを見た3人は苦笑していたが……。

 

 

―地上

萩原「おう、陣平ちゃん!」

 

陣平「『おう』じゃねぇよ!!途中で電話切りやがって!!俺がどんだけ心配したと思ってやがる!!」

 

萩原「だから、ごめんって。」

 

陣平「んで?また防護服脱いでたのか?」

 

萩原「まっ、まさか〜。ちゃんと着てたって……(汗)」

 

陣平の質問を、しどろもどろになりながらかわそうとする萩原だが、そうは問屋が卸さなかった。

 

陣平「ん?ハギ、背中に何か紙がひっついてんぞ?」

 

萩原「えっ?」

 

陣平が萩原の背中に貼ってあった紙を取ると、それはA4サイズの紙で『この警察の人、防護服を着ないで爆弾の前で一服してました。』と書いてあった。

 

陣平「ハ〜ギ〜、これはどういう事かな〜?(怒)」

 

萩原「あっ、いやこれは……その〜……(汗)」

 

陣平「歯ぁ、食いしばれや!!」

―ズドンッ!!

 

萩原「ゴフゥッ!?」

 

陣平におもいっきり腹を殴られ、その場にうずくまる萩原を離れた場所で見ていた闇影は微笑んでいた。

 

闇影「爆発物の前で危機管理が無い事をしていたんだ。当然の報いだな。」

 

スピカ「私は、マスターを敵に回すと恐ろしいという事を思い知らされました……(汗)」

 

トゥバーン「ああ。こいつだけは絶対に敵に回しちゃいけねぇ奴だ。何をするか、分かんねぇ……(汗)」

 

フォロス「下手すれば、相手の弱点を全て調べ上げて脅すような事もしかねんな……(汗)」

 

小声でコスモビースト達がそんな事を言っていたなどと闇影は思う事もなく、その後は爆弾は回収されて他の階にも爆弾無いという事もあり、マンションの住人はその日の内に自宅に帰れた。




設定にコスモビーストの名前を追加しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始3年前・2つの爆弾part1

本来なら、プラーミャと松田殉職(しないけど。)は1つの話にする予定でしたが、このまま書くと物凄い字数になりそうなので分ける事にしました。


11月6日・闇影の自宅マンションにて(闇影・22歳)

 

自宅前に爆弾が置かれてから、4年の月日が経った。その間に我が探偵事務所はまぁまぁ盛況だ。

 

というのも、4年前のひったくりにあった女性が大企業のご令嬢だったらしくてその後、彼女や彼女の父親が他の企業の方にうちの事務所を紹介したらしい。

 

フォロス「世の中、何がどう転ぶか分かりませんねマスター。」

 

闇影「そうだな。だが、おかげで結構な数のツテが出来た。」

 

スピカ「大企業の社長が十数名に、有名な私立探偵が数人、鈴木財閥に大岡財閥、警視庁の小田切さんと白馬さんでしたか。確かに、物凄いツテですね。」

 

トゥバーン「そんじょそこらの探偵事務所じゃ、絶対に持てないツテだな。」

 

闇影「そうだな。そういえば、その小田切さんから何かの書類が届いていたな。」

 

そう言って、闇影は自宅のリビングに置いてあった〈重要書類在中〉と書かれた封筒を開封し、中を見るとロシアを中心に活動している爆弾魔の事が書かれていた。

 

闇影「フムフム。」

 

トゥバーン「何が書いてあるんだ?」

 

闇影「ロシアを中心に活動している爆弾魔が、日本に来ている可能性があるらしい。名はプラーミャ。性別、年齢は共に不明。特徴として顔を見られないようにマスクをしているらしい。」

 

フォロス「しかし、なぜロシアの爆弾魔が日本に?」

 

闇影「さぁな?だが用心するに越した事はない。」

 

フォロス「そうですね。」

 

スピカ「それよりマスター。そろそろ買い物に行きましょう。」

 

警視庁の小田切から送られてきた重要書類を見た一同は、とりあえず用心しようという事にした。そしてスピカの言葉に、闇影は今日の買い出しを思い出す。

 

闇影「たしか、日用品と今日明日の食材だったな。よし、行くか。」

 

 

 

その後、闇影は買い出しの為に街中へと繰り出した。そして馴染みの店に行こうとした時、ふと目を向けた路地にパトカーが止まっているのが目に入った。どうやらすぐ側にある廃ビルの立ち入りを禁止しているようだ。

 

スピカ(何かあったんですかね?)

 

トゥバーン(まっ、犯罪率が他のどこよりも群を抜いて多い地域だ。大なり小なり、何か起こるだろうさ。)

 

闇影(そうだな。)

 

そして、闇影はその路地を通り過ぎようとした時……

 

―パンッ!パンッ!

 

闇影(銃声!?)

 

フォロス(銃声となると、穏やかではありませんね。一応何が起こっているのか、確認しておきますか?)

 

闇影(そうだな。人気(ひとけ)の無い所で忍び装束に着替えて、様子を見よう。)

 

 

 

その頃、廃ビル内では4年前に闇影の自宅前にいた萩原の同期の松田陣平が2種類混合型の液体爆弾の解体中だった。しかし…

 

松田「テメェ、楽しい楽しい爆弾解体中に邪魔してんじゃねぇよ!!」

 

「……。」

―パンッ!

 

廃ビルに爆弾を仕掛けた犯人――プラーミャが松田に向かって銃を発砲した。

 

―ギンッ!

 

松田「班長!?」

 

伊達「丸腰で銃持ってる奴に凄んでるんじゃねぇ!!オラァッ!!」

―ズドンッ!

 

だが、間一髪で伊達が壊れた車のドアを盾にして松田の現れ、銃弾を防いだ。そしてそのドアを構えたまま、プラーミャに突っ込んでいくが相手は軽やかに飛んで避け、再び銃を構える。

 

―ドガッ!

 

松田「景!!」

 

諸伏「零は無事?」

 

降谷「2人とも、すまない!」

 

伊達「奴が壊した車のドアを持ってきて、正解だったな。」

 

再び銃を構えたプラーミャだが、松田の同期で公安の諸伏景光の回し蹴りで吹き飛び、銃を手放してしまった。そして手放した銃は諸伏がキャッチし、プラーミャに向かって構える。

 

その後、プラーミャを追っていた降谷が合流し、同じように銃をプラーミャに向ける。

 

プラーミャ「……。」

―ダッ!

 

諸伏「待て!!」

 

―バシュン!!

 

諸伏・伊達「っ!?」

 

諸伏「クソッ!!」

伊達「危ねえ!!」

 

降谷「2人とも、離れろ!!……逃さないよ。」

―パンッ!パシュンッ!

 

しかし、銃を向けられているプラーミャは逃走し、そして腕に仕込んであったアンカーを隣のビルへと撃ち出す。それを見た諸伏はスピードを上げて迫るが、あと一歩のところでプラーミャはそのまま飛び降りた。

 

諸伏はバランスを崩して落ちかけるが、伊達が掴んで事なきを得たがその直後、背後から降谷がその場から離れるように言う。

 

すると降谷は躊躇なく発砲し、プラーミャのアンカーのロープを切る。ロープが切れた事でプラーミャは落ちていくが、本人は慌てる事無く隣のビルの非常階段へと飛び移った。

 

降谷「班長、頼む!!」

 

伊達「マジかよ!!」

―ブンッ!!

 

プラーミャが隣のビルへと飛び移ったのを見た降谷は、上着を脱ぎ捨てて伊達に向かって走り、降谷の意図を理解した伊達は驚きながらも手を組み合わせる。

 

そして、降谷がそれを踏み台にして飛び上がるのと同時に伊達は腕をおもいっきり上げて、降谷を高く飛ばした。

 

降谷「班長、景!!こいつの仲間がまだいるかもしれない!!松田を頼む!!」

 

伊達「ああ、お前も気をつけろよ!!」

 

降谷「ああ!」

 

諸伏「班長、俺は零の援護に向かうよ。あいつの相手は零だけじゃ危険だ。」

 

伊達「分かった。」

 

プラーミャより1階下の非常階段に着地した降谷は、そのままプラーミャを追いかけ始め、残った仲間達には松田の護衛を頼む。

 

しかし、諸伏は降谷1人でプラーミャの相手はキツイと判断し、援護に向かう事にして伊達と別れた。

 

 

―隣ビルの屋上

降谷「……。」

 

プラーミャを屋上に追いつめた降谷は、少しでも奇襲を避ける為に体の右側を壁に付けて、正面と背後、左側に意識を集中する。

 

「……。」

―ブンッ!

 

降谷「っ!!……手榴弾!?くっ!!」

 

―ズドォォォンッ!!

 

降谷「……。」

 

「……。」

―チャキッ。

 

降谷の背後から現れたプラーミャは、手榴弾を投げてきて、それを見た降谷はワンバウンドした手榴弾をキャッチし、少しでも遠くへと放り投げる。

 

しかし、爆風を間近で浴びてしまった降谷は屋上の出入口の壁に叩きつけられてしまい、意識を失ってしまった。

 

そして、それを見たプラーミャは降谷の拳銃を手に取り、トドメを刺す為に引き金を

 

 

 

―ガシッ!

 

闇影「お前だな?プラーミャって奴は?」

 

「っ!?」

 

引けなかった。間一髪で忍び装束に身を包み、顔には白地に黒い龍が描かれている仮面を付けた闇影がプラーミャの腕を掴んだのだ。

 

「っ!!」

―ブンッ!パンッ!パンッ!

 

闇影「フッ!」

 

「っ!?」

 

銃を持っている腕を掴まれたプラーミャは、反対の手で闇影を殴り飛ばそうとするが、その前に闇影は離れる。そして、それを好機と見たプラーミャは2発発砲するが、闇影は顔をずらすだけでそれを回避した。

 

闇影「遅い。フンッ!」

―バシッ!ズンッ!

 

「っ!!!……〜〜〜!!」

ブンッ!ブンッ!ブンッ!

 

闇影「フッ!ハッ!ハアッ!」

―ガッ!ガッ!バシンッ!

 

闇影「ゼアッ!!」

―ズドンッ!!

 

「〜〜〜っ!!?」

 

銃弾を回避した闇影は、一瞬で相手の目の前に移動してプラーミャが持っている拳銃を右手でかち上げ、そのまま右手で肘打ちをくらわせた。

 

何者か分からない輩に重い一発を受けたプラーミャは怒り、右フック、左ストレート、キックと連続で繰り出すが、闇影はその全てを左手だけで防いだ。

 

そしてお返しと言わんばなりに、キックを防いだ時に出来た相手の隙を狙って、右手に力を込めて突き出すと、闇影の掌底をまともに受けたプラーミャは吹き飛んだ。

 

諸伏「動くな!!」

 

闇影「おっと、あそこで気絶している警察の仲間が来たようだな。どうする?お前の勝機は限りなく0に等しいが?」

 

「……。」

―スッ。

 

闇影・諸伏「っ!!」

 

―カアァァァァッ!!

 

プラーミャが吹き飛んだ時と同時に、零の援護に駆けつけた諸伏が現れた。闇影がプラーミャに勝機が無くなった事を告げると、アンカーを発射した方とは反対側の袖から何かを落とした。

 

それが地面に落ちると、周囲が目を開けていられない程の光に包まれる。そして光が収まると、先程までそこにいたはずのプラーミャの姿は影も形もなくなっていた。

 

闇影「チッ!閃光弾を持っていたのか。用意周到な奴だ。」

 

諸伏「えっと、君は……。」

 

闇影「あんた、そこで伸びてる奴の仲間だろ?早く介抱してやったらどうだ?」

 

諸伏「あっ、ああ。そうだね。零、大丈夫か?」

 

プラーミャを逃がしてしまった事に少しイラつく闇影だが、とりあえず落ち着き、話しかけてきた諸伏に降谷の介抱を指示する。

 

そして、諸伏が降谷の元に向かうと闇影はその場から去ろうとする。しかし……。

 

降谷「まっ、待ってくれ……。」

 

闇影「ん?」

 

諸伏「零、爆風を至近距離で受けたんだ。念のためにあまり、喋らない方が……。」

 

降谷「これだけは、言わせて…くれ。」

 

闇影「何だ?」

 

降谷「ありがとう。助かったよ。」

 

降谷の感謝の言葉に一瞬、呆気にとられる闇影だがすぐにフッと笑って一言。

 

闇影「どういたしまして。『あまり無茶はするな。1人で出来る事なんて、たかが知れている。』」

 

諸伏「俺からも1つ。君はいったい、何者なんだ?」

 

闇影「それは言えないな。まぁ、ヒントを出すなら『悪忍』で無い事は確かだな。」

 

諸伏「ん?(何か今……。)」

 

闇影「じゃあな。」

 

諸伏「あっ、ちょっ!」

 

闇影が黒影から何度も聞いた言葉を、降谷に贈った。すると、今度は諸伏が闇影に何者かと問いかけてきたが、闇影はそれに答える事はせず、代わりにヒントとして『悪忍』という言葉を残してその場を去った。

 

 

 

―戦闘後

廃ビルから離れた場所の路地裏では、闇影がコスモビースト達の報告を聞いていた。

 

実は闇影は万が一の事があった時の為に、コスモビースト達を例の廃ビルに向かわせていたのだ。

 

闇影(爆弾は無事に解除されたんだな?)

 

フォロス(はい。4年前に萩原という男の側に居た、松田という男が解除しました。)

 

スピカ(でも、焦りましたよ!!残り2秒というギリギリで爆弾を解除したんですが、なんと遠隔操作されて爆弾が起動し、2種類の液体爆薬が危うく交わりかけたんですから!!)

 

トゥバーン(まぁ、その時に松田って男は何かを思い出してよ。口に入れてた班長って奴からもらったガムを、液体爆薬が交じる箇所に入れて、爆発を防いだがな。)

 

闇影(ずいぶんと機転が利く奴だな。それじゃ報告は以上のようだし。ずいぶん遅くなったが買い出しに行こう。今日はもう晩飯を食べたら、さっさと寝たい。)

 

その後、闇影は馴染みのスーパーで買い出しを済ませて帰宅した。




おまけ

事件後のゼロとヒロ
諸伏「う~ん……。」

降谷「どうしたんだヒロ?」

諸伏「あっ、零。実は、助けてくれた彼が言ってた言葉なんだけど……。」

降谷「ヒロの『君は何者なんだ?』に対する答えか?」

諸伏「うん。彼は『悪人じゃない。』って言ってたでしょ?」

降谷「そうだな。」

諸伏「でも、その『悪人』のイントネーションっていうか、言い方っていうの?何か違ってたんだよね〜。」

降谷「地方出身とかなんじゃないか?ほら、よく地方出身の人はその土地の言い方が抜けないから。」

諸伏「なるほど、そうかもしれないな。」

2人が闇影の正体を知るのは、もう少し先の話。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始3年前・2つの爆弾part2

11月7日・朝9時頃

 

プラーミャとの戦闘の翌日、闇影は自宅マンションでゆっくりしていた。

 

フォロス「今日は珍しく依頼がありませんね、マスター」

 

闇影「たまには、こういう日があっても良いだろう。」

 

スピカ「そうですね。毎日事件事件じゃ、気が滅入りますからね。」

 

闇影「だが、依頼が無いからといって部屋でだらける気は無いがな。」

 

トゥバーン「おっ、鍛練か?」

 

闇影「いや、今日は鍛練も無しの完全な休養日にする。だから、近場を散歩しようと思ってな。」

 

フォロス「良いですね、休むのも鍛練の内ですし。」

 

今日を完全な休養日にする事にした闇影は、散歩に出かける為に着替えてマンションを出た。そして、ブラブラとあてもなく色んな所を歩き回る。

 

 

―3時間後

闇影「もう昼か。どこかで昼食を……ん?」

 

3時間歩いて、かなり遠出した闇影はどこかで昼食を取ろうと思い、周囲を見渡すと少し遠くに見える観覧車に人が集まっていた。

 

闇影「何だ?」

 

フォロス(マスター、観覧車に集まっている人達の感情が恐怖で支配されています。)

 

闇影(何だと?)

 

トゥバーン(しかも、観覧車の下から煙が上がってるぜ。)

 

闇影(また事件か?仕方ない、また忍び装束に着替えて、様子を見よう。)

 

 

―その後、闇影は忍び装束に着替えて観覧車近くの建物の屋上から、他の人に悟られないように気配を消して様子を見ていた。

 

闇影「なるほどな。煙が出ていたのは観覧車の制御盤か。そして、ちょうど頂上のゴンドラには人が1人乗ってるな。」

 

すると、様子を見ていた闇影の側にゴンドラの中の様子を見てきたコスモビースト達が戻ってきた。

 

フォロス(マスター、大変です!!あのゴンドラには爆弾が仕掛けられています!!)

 

闇影(爆弾だと!?まさかプラーミャの仕業か!?)

 

トゥバーン(いや、あの野郎の爆弾とは形が違っていた。別人が仕掛けたんだろうぜ。)

 

闇影(そうか。という事は、中にいる奴は逃げ遅れか処理班かだな。)

 

フォロスの報告に昨日、やり合ったプラーミャがまた爆弾を仕掛けたのかと思った闇影だが、それはトゥバーンの言葉で否定された。

 

スピカ(マスター!!たっ、たたた大変です〜〜〜!!)

 

闇影(お前がそんなに慌てるという事は、余程の事があったんだな?)

 

スピカ(そっ、そうなんです!!私はしばらく残って様子を見るように、フォロスさんとトゥバーンさんに言われて残ってたんです!!そしたら、爆弾の液晶画面に『勇敢なる警察官よ。君の勇気を称え、2つ目の爆弾の在り処を教えよう。ただし教えるのは、爆発3秒前。』っていうメッセージが!!)

 

闇影(なんだと!?)

 

フォロス(最初から、警察官の誰かを爆発に巻き込むつもりだったのか!!)

 

トゥバーン(なんて野郎だ!!)

 

闇影(とにかく、善忍としていや、人としてその警察官を見殺しには出来ない!!救出に行く!!)

 

慌てて戻ってきたスピカの話を聞いた闇影は驚き、フォロスとトゥバーンは爆弾を仕掛けた犯人に怒りを覚える。そして、闇影は爆弾処理を行っている警察官を救う為に、手で印を結び始めた。

 

闇影「ハッ!!」

 

印を結び終えた闇影の足下に陣が出現し、その陣が光ると闇影の姿は消えていた。

 

 

―ゴンドラ内

陣平「そろそろだな。」

 

携帯を手にした陣平は、犯人からのメッセージを待っていた。すると、液晶画面に次の爆弾の場所―〈米花中央病院〉の文字が……。

 

それを見た陣平は高速で携帯に打ち込み、自身の教育係である佐藤美和子に送信した。

 

そして……、目の前の爆弾は爆発した。

 

 

 

 

陣平「あれ?あの世ってのは、ずいぶんと近代的なビルが多いんだな?」

 

闇影「何を言っている。お前はまだ死んでいない。」

 

陣平「っ!?」

 

爆弾に巻き込まれて、死んだと思った陣平はアホな事を呟くが、それに対して反論の言葉が返ってきたので慌てて振り返ると、仮面を付けた1人の男が立っていた。

 

陣平「なっ、何だお前!?」

 

闇影「間一髪だったな。俺が間に合ってなかったら、お前は木っ端微塵だぞ?」

 

そう言って仮面の男が指さす先を見ると、先程まで自分がいたはずのゴンドラが爆発していた。

 

陣平「えっ?じゃあ、ここはあの世じゃねぇのか?」

 

闇影「そうだ。」

 

陣平「話から察するにお前が俺を助けた事は分かるんだが……。」

 

闇影「まぁ、気にするな。それよりも、もう1つの爆弾の在り処が分かったんなら、さっさと爆発物処理班に連絡した方が良いぞ。じゃあな。」

 

陣平の問いには一切答えず、闇影は次にやるべき事を伝えると建物から建物へと跳躍し、この場から去って行った。

 

陣平「……何だったんだ?」

 

 

その後、陣平は下で待機していた目暮や佐藤に合流する。当然、何で無事なのかを問われたので陣平は正直に黒服で仮面の男に助けられたと話した。しかし……

 

佐藤「松田くん、頭大丈夫?どこか打ったりしてない……(汗)」

 

陣平「至って正常だわ!!」

 

まあ、こうなるのも無理はない。ちなみに米花中央病院にあった爆弾は同期の萩原がちゃちゃっと解体した。(もちろん、防護服はちゃんと着て。)

 

 

―その頃、闇影は

闇影「まさか、2日連続で爆弾事件に遭遇するとはな……。」

 

フォロス「ですが、何とか救出出来て良かったですね。」

 

スピカ「でも、爆弾を仕掛けた奴は捕まらずじまいですね。」

 

トゥバーン「だが、いつまでも逃げ切れねぇよ。悪人にはそれ相応の罰が絶対に下る。」

 

闇影「トゥバーンの言う通りだ。だが、もし甘い罰が下されるなら代わりに俺が、生まれてきた事を後悔させる程の罰を下してやろうかな?」

 

3人(さらっと恐ろしい事を……(汗))

 

フォロス「それはさすがに容認出来ませんマスター。」

 

闇影「冗談に決まってるだろ。それより今日はこれ以上、何も起きないだろうし帰るか。」

 

スピカ「そうですね。」

 

トゥバーン「さっさと帰って俺は寝てぇ。」

 

そして、闇影は遠くに見える警察官達が移動していくのを見届けると、自宅マンションへと帰還した。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

★幕間・月閃の闇(原作開始3年前)

今回はコナンの話ではなく、オリジナル内容の閃乱カグラの話になります。

松田の爆弾事件後の話になります。

今回は忍務ではないので、名前は闇影のままです。


ある日の探偵事務所にて

 

闇影「今日は何して過ごそうか?」

 

スピカ「そうですね〜。こんなに気持ち良く晴れ渡っている日は、事務所でのんびりしませんか?」

 

トゥバーン「俺は賛成だ。」

 

フォロス「私も良いと思います。」

 

闇影がコスモビースト達にどう過ごすか聞くと、スピカがどこにも出かけずに、事務所でのんびりしようと提案するとそれにフォロスとトゥバーンも賛同した。

 

闇影「それじゃ、今日は……」

 

〜♪〜♪〜♪

 

ゆっくりするか。と言おうとした時、闇影の携帯電話から着信音が鳴り、闇影は携帯電話を取り出す。

 

闇影「雪泉からか。もしもし、久しぶりだな雪泉。どうした?」

 

雪泉『お久しぶりですお兄様。実は、おじい様の容体が良くなくて……』

 

闇影「そうか。じいさんも、もう結構な年だしな。よし、それじゃ一度そっちに戻るよ。」

 

雪泉『よろしいのですか?』

 

雪泉からの連絡で、黒影の容体が思わしくないないらしく、それを聞いた闇影は一度戻る事にした。

 

闇影「構わない。依頼はしばらく無いしな。」

 

雪泉『ありがとうございます。』

 

 

 

 

同日の夜・とある埠頭にて

 

男「ハアッ…ハアッ…ハアッ…。」

 

三十代くらいの男は息を切らして時折後ろを振り返りながら、走っていた。何かから逃げるように……。

 

男「こ…ここまで逃げれば……何とか…。」

 

???「何とかの後は、何かしら?」

 

男「ひっ!?」

 

男が一安心していると、その背後から若い女性の声が聞こえた。その声を聞いた男は驚き、慌てて離れて振り返る。

 

そこにいたのは忍び装束に身を包んだ、黒髪のロングヘアーの女性だった。

 

???「逃げ切れると思ってたの?甘いわね〜。」

 

男「たっ、頼む!!見逃してくれ!!何でもするから!!」

 

???「へぇ〜、何でもね〜?本当に?」

 

男「あっ、ああ。本当だ!!」

 

目の前にいる女性に恐怖しながら、男は『何でもするから、見逃してほしい』と頼む。それを聞いた女性はニヤリと笑う。

 

???「貴方さ、見た感じかなり腕っぷしが強そうだよね?」

 

男「ああ、学生の頃は…空手の都大会で第3位までいったからな……。鍛練も欠かして…ない。」

 

女性が男の体格を見てそう言うと、男は空手の有段者だったようでそれを聞いた女性はまたしてもニヤリと笑うと、とんでもない事を言い出した。

 

???「じゃあさ、ご自慢の拳で私を一発殴ってくれない?」

 

男「は?」

 

???「貴方の拳で私が満足すれば、貴方を殺した事にして逃がしてあげるわよ。どう?」

 

男「ほっ、本当にそれで逃がしてくれるのか?」

 

???「私が満足すればね。」

 

男「分かった。じゃあ、行くぞ!!デイアァァッ!!」

―ズドンッ!

 

なんと、自分を殴れと言ってきたのだ。しかも自分を殴って満足すれば、逃がしてやるという破格の条件を付けて……。

 

それを聞いた男はギュッと拳を握り込み、女性の腹をめがけて正拳突きを繰り出した。

 

男「どうだ!!」

 

???「ハァ〜。都大会第3位っていうから、ちょっと期待したけどやっぱりダメか〜。」

 

男「バカな!?かなりの力を込めたんだぞ!?」

 

???「それじゃ、私が言った通りにさせてもらうわね。」

 

男の正拳突きをまともに受けたはずなのに、女性は全くダメージを受けていなかった。そして逃がす条件を満たせなかったので、女性は男に近づいてくる。

 

男「ひっ!?待っ、待ってくれ!!もう一度……もう一度チャンスを!!」

 

???「ダ〜メ❤」

―トンッ。

 

男「グッ!?アッ…アアァァァッ!!」

 

―ドサッ!

 

???「はい、終了〜。さてと、後は『あそこ』に行かないとね。」

 

女性が近づいてくると男は恐怖し、「もう一度、チャンスを」と言うが女性はそれを却下し、男の胸元に軽く手を当てる。

 

すると、男は突如苦しみだしたかと思うと、バタッと倒れてその後は動かなくなり、それを見届けた女性は次の目的地へ向かう為にその場を去って行った

 

 

 

 

―数日後、月閃女学館

黒影「ゴホッ!ゴホッ!」

 

雪泉「おじい様、大丈夫ですか?」

 

黒影「大丈夫だ。それより、闇影はもうすぐ来るんだったな?」

 

雪泉「はい。後、30分ほどですね。」

 

黒影「しかし、あの闇影が探偵か…。意外だな。」

 

雪泉「そうですか?私はお兄様にピッタリだと思いますよ。」

 

月閃女学館の黒影専用の部屋で、部屋の主である黒影と孫娘の雪泉は闇影が来るのを、今か今かと待っていた。

 

しかし、ただ待っているのも暇なので、2人は闇影がやっている表の顔の事を題材にしてお喋りしていた。

 

しかし……

 

―ズドォォォンッ!!

 

黒影「むっ!?」

 

雪泉「何事ですか!?」

 

叢「大変です、黒影様!!雪泉!!この月閃に何者かが攻めてきました!!」

 

雪泉「何ですって!?」

 

黒影「賊は何人だ?」

 

叢「応戦している者達の話によると、賊は1人のようです。」

 

遠くの方で爆発音が響き、黒影と雪泉は何事かと驚く。すると爆発音が響いてすぐに、叢が部屋に入ってきて月閃が襲撃されていると報告する。

 

黒影「賊の姿は?」

 

叢「黒髪のロングヘアーの女性だとしか……。」

 

黒影「っ!?」

 

雪泉「おじい様、どうしました?」

 

黒影「まさか、あやつが……(小声)。雪泉、叢。他の3人と共に賊を迎え討つのだ。」

 

雪泉・叢「えっ?」

 

黒影「考えてる暇はない。早く行くのだ。」

 

雪泉・叢「はっ、はい!!」

 

叢から賊の姿を聞いた黒影は驚き、一切の質問を受け付けずに、雪泉と叢に他の3人の選抜メンバーと共に迎え討つように命令する。

 

 

 

―30分後

 

黒影「………。」

 

まだ遠くで戦闘音が聞こえる中、黒影は寝巻からいつもの黒い着物に着替えて部屋前の庭にある岩に座っていた。するとそこへ……

 

雪泉「おじい様!?お体の調子が良くないのに、外に出るなんて何を考えてるんですか!?」

 

黒影「すまん、外の様子が気になってな。しかし、辺りは未だに殺気に満ちている。賊はまだ捕らえられていないようだな?」

 

雪泉「はい。襲撃者は予想以上に強く、忍学生は壊滅状態で私達選抜メンバーでも苦戦を強いられています。もしかしたら、襲撃者の狙いはおじい様ではないかと思い、叢さん達に断りを入れて私は戻ってきました。」

 

黒影「そうか。」

 

襲撃者の迎撃に向かったはずの雪泉が戻ってきて、外に出ている黒影を叱責する。それに対して黒影は謝罪するが、辺りが殺気に満ちている事にまだ襲撃者は捕らえられていない事を悟る。

 

その事に雪泉は事細かく黒影に説明し、もし狙いが黒影ならば護衛が必要と思い、戻ってきた事を伝える。

 

雪泉「しかし、賊はなぜ月閃を?おじい様を狙うのも目的の1つかもしれませんが、やはり、真の狙いはコスモ幻獣拳の巻物でしょうか?」

 

黒影「…かもしれんな。」

 

雪泉「でしたら、なんとしても死守しなければなりませんね。」

―キィィィンッ。

 

雪泉は黒影に襲撃者がなぜ月閃に攻撃を仕掛けたのかを問う。彼女は自分なりの考えとして、コスモ幻獣拳の巻物が狙いでは?と進言すると、黒影も肯定した。

 

それを聞いた雪泉は、右手のひらに氷の結晶を出して絶対に死守すると意気込む。すると……

 

 

 

 

 

 

 

雪泉「フッ!!」

 

黒影「フンッ!!」

―ズドンッ!!

 

雪泉「グハッ!?」

 

氷の結晶を出した雪泉は、それをゆっくり握り込んでいき、自分の右手に氷の気を纏う。

 

そして、その状態の右手を後ろを向いて座っている黒影の背中に向かって突き出したが、黒影は体を半回転させて攻撃を回避すると同時に、素早く自分も右手に気を纏わせ、そのまま雪泉の腹部に命中させた。

 

黒影「気づいておらぬとでも思ったか?お前はいったい何者だ?」

 

雪泉?「グッ……フッ…ハハハハハ!!!この時を待っていたのよ!!!」

―ガシッ!!

 

黒影「ぬっ!?」

 

雪泉?「オォォォォッ!!」

―キィィィンッ!

 

黒影「むっ!?やはり、貴様だったか!!」

 

雪泉が偽者だと気づいていた黒影は、相手に何者かと問いただす。すると、偽者の雪泉は本物とは似ても似つかない邪悪な笑みを浮かべながら、腹部に命中している黒影の右腕をしっかりと掴む。

 

その後、彼女は忍術を解くと雪泉の姿から数日前に夜の埠頭で男を殺害した黒髪の女性に変わる。それを見た黒影は驚愕するが……

 

???「コスモビースト達の気を纏って、威力を軽減させたはずのにこの威力……。さすがは、伝説の忍の友にしてライバルね。だからこそ、私に相応しい!!いただくわよ、あんたの力の全て!!アァァァァッ!!」

 

―ギュオォォォッ!!

 

黒影「グッ!?グオォォォォッ!!」

 

???「ハアッ!!」

 

黒影「グハッ!!」

―ドサッ!!

 

―ヒュウゥゥゥン。

 

???「遂に手に入れたわよ!!最強のコスモ幻獣拳――『剛力破牛拳』を!!」

 

女性はそんな事は意に介さず、すでに構築していた陣を展開して黒影に宿るコスモ幻獣拳――『剛力破牛拳』を奪った。そこに雪泉達、選抜メンバーと闇影が駆けつけた。

 

雪泉「おじい様!!」

闇影「じいさん!!」

 

黒影「雪泉…闇影…。」

 

闇影「じいさんから剛力破牛拳の力を感じない?まさか……。」

 

雪泉「っ!!よくもおじい様を!!絶対に許しません!!」

 

???「フン。私の分身体に手こずっていた負け犬の遠吠えなんて、耳に入らないわね。」

 

闇影「テメェ……(怒)」

 

黒影「待て闇影。あいつが使った陣は……お前が卒業試験の時に使った物に…似ていた。」

 

闇影「あの時の?どういう事だ?」

 

???「実はあの時、私もいたのよ。観客が多かったし、あんた達は試験に集中していたから気づかなったでしょうけど。」

 

黒影「くっ…。」

 

???「その時に相手の技を吸収して、自分の物にする陣を見てね。『これは使える!』と思ったわ。それから数年、あんたの力を奪う為に色々と改良を加えて遂に今日、見事に剛力破牛拳を私の物にしたってわけ!!アハハハハ!!」

 

???が剛力破牛拳を得た方法はなんと、闇影の卒業試験時に使った陣を改良した物だった。

 

 

叢「外道が……。」

 

美野里「お兄ちゃんの技を使っておじいちゃんの力を奪うなんて!!」

 

夜桜「絶対に許せない!!」

 

四季「覚悟は出来てる?」

 

???「覚悟も何も、私の目的は『剛力破牛拳』。その目的が達せられた今、この場にいつまでもいる理由は無いわ。」

 

雪泉以外の選抜メンバーが???に向けて殺気を放つが、彼女は涼しい顔でそれを受け流す。すると、何かを思い出したかのようにポンッと手を叩く。

 

???「あっ、そうそう。書物庫の奥の隠し部屋にあった、この禁断のコスモ幻獣拳の巻物もらうわね。」

 

全員「なっ!?」

 

???「にしても、この禁断のコスモ幻獣拳の巻物はなかなか良い闇の気を放ってるわね〜。どんな子か、楽しみだわ。」

 

黒影「か…返すのだ。いくらお前でも、その禁断のコスモ幻獣拳を扱えるわけがない。」

 

???「は?私を、あの頃と同じだと思われるのは心外ね〜。私はあんたが拾った時よりも、強くなってるのよ。」

 

闇影「じいさんが拾った?お前もじいさんの養子だったのか?」

 

???「おっと、余計な事を言っちゃったわね。それじゃ、ジジイがうるさいし、さっさとこの禁断のコスモ幻獣拳のコスモビーストと契約しますか。」

 

黒影の言葉を聞いた???は彼の方を向き、顔をしかめながら、聞き逃がせない単語を口にした。それを聞いた闇影はどういう事か、聞き出そうとするが???はすぐに話を中断し、なんと今この場で禁断のコスモ幻獣拳のコスモビーストと契約すると言い出したのだ。

 

黒影「よっ、よせ!!」

 

???「禁断のコスモ幻獣拳よ!!私に力を!!」

 

黒影の言葉を無視して、???は禁断のコスモ幻獣拳の巻物を放り投げ、手をかざす。すると、巻物から赤黒いオーラが吹き出して???を包み込む。

 

そして、赤黒いオーラが収まると……

 

???「ア〜ハッハッハ!!」

 

???の背後に禁断のコスモ幻獣拳――『土遁魔蠍拳(どとんまかつけん)』の紋章が浮かび上がった。

 

黒影「ま、まさか禁断のコスモ幻獣拳を……。」

 

闇影「自分の物にしやがったのか……。」

 

???「土遁魔蠍拳(どとんまかつけん)か。どういう拳法か、頭に浮かんでくるわ。さて、私の全ての目的は達成したし、帰らせてもらうわ。」

 

『土遁魔蠍拳』を会得した???に、黒影と闇影は驚き、全ての目的を達した???の足下に転位陣が構築される。

 

???「あっ、そうそう。私以外の人間が『剛力破牛拳』が使えないように、巻物はもらっていくから。」

 

闇影「そうはさせるか!!火炎赤龍弾!!」

―バシュン!!

 

この場から去る直前に、???は『剛力破牛拳』の巻物を持っている事を告げ、月閃から去ろうとしたが、闇影が火炎赤龍拳の技の1つ――火炎赤龍弾を撃ってきた。

 

???「おっと。へぇ~、貴方もコスモ幻獣拳の使い手なんだ?良いね。貴方なら、私の冷めきった心を昂ぶらせてくれるかもね。」

 

闇影「何をゴチャゴチャと!!」

 

???「フッ!コスモ幻獣拳奥義、剛力破牛拳!!」

―ズドォォォンッ!!

 

闇影「グワッ!!」

 

攻撃を避けた???は闇影が放った技を見て、嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

それを見た闇影は激昂し、???に向かっていくが、???は黒影から奪ったばかりのコスモ幻獣拳を放って闇影をふっ飛ばした。

 

???「慌てないで。貴方とはまた会えそうな気がするから、その時に戦ってあげる。それじゃあね〜。」

 

―ビュンッ!

 

そう言って???は転位陣を展開し、その場から去って行った。

 

闇影「クソッ!!」




という事で、設定の中にあるオリキャラの???は月閃の関係者でした。(追記しておきます。)

闇影が本気のコスモ幻獣拳を使えるようにする為に???に作りました。

名前はもうしばらくお待ち下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始約2年前・ウィスキートリオ

スコッチこと諸伏が死んだのは原作開始の2、3年前との事なので、タイトルは「約2年前」としました。


回想シーン

 

???の襲撃後

 

月閃はもう1つの善忍養成学校である『半蔵学院』の忍学生5人や教師達の手を借りて復興作業を行う事となった。

 

当然、闇影もその復興作業に参加しようとしたが……

 

黒影『闇影、お主はあやつの行方を追え。』

 

闇影『いや、しかし……。』

 

黒影『あやつは、我が月閃女学館の闇。しかも複数のコスモ幻獣拳を使う。対抗出来るのは、同じく複数のコスモ幻獣拳を使うお前だけだ。頼む、奴を探しだして倒してくれ。』

 

雪泉『お兄様、私からもお願いします。』

 

闇影『……分かった。どこまでやれるかは分からないがその頼み、受けよう。それに個人的にもあいつは気に入らないしな。』

 

黒影の言葉に闇影は頷き、???を探し出して倒す事を承知した。

 

回想終了

 

 

―それから約1年後(闇影23歳)

 

夕方5時、マンションの闇影の部屋にて

闇影「ふぅ~。あれから数ヶ月後にじいさんは亡くなり、生きてる間に依頼完遂の報告が出来なかったな。」

 

フォロス「仕方ありませんよ、マスター。」

 

スピカ「そうですよ。黒影様はもうかなり、お年を召しておりましたし。」

 

トゥバーン「それに依頼完遂の報告なら、あのじいさんの墓前でやりゃいいじゃねぇか。なに、あのじいさんの事だ。闇影から依頼完遂の報告を受けるまでは、意地でも現世にしがみつくだろうよ。」

 

闇影「ハハハ。確かにじいさんならそれ位、やりそうだな。」

 

マンションの自室でそんな話をしている闇影とコスモビースト達。そして、闇影が時計を見て立ち上がると一言。

 

闇影「そろそろ、忍務の時間だな。」

 

 

 

 

 

―5時間後、夜10時の街中にて

 

剣「あれが今回の仕事の場所だな?」

 

スピカ「はい。あの◯✕商事の機密データを入手する事が、今回の忍務です。」

 

トゥバーン「簡単だな。サクッと終わらせちまおうぜ。」

 

フォロス「全くお前は……。」

 

トゥバーン「分かってるって。油断大敵って言いたいんだろ?」

 

剣「それじゃ、今回も気を引き締めて行くぞ!」

 

そう言って、剣は目的地のビルから数十キロ離れたビルの屋上から飛び降り、黒い大凧に乗った。

 

剣「到着っと。後は情報にあった、機密データがあるサーバー室へと向かうか。……っ!!」

 

フォロス「マスター。(小声)」

 

剣「ああ、分かってる。この先には悪忍がかなりの数、いやがるな。(小声)」

 

スピカ「ええっ!?」

 

目的地のビルの屋上に降り立ち、後は機密データがあるサーバー室へと向かうだけかと思われたが、なんと屋上の扉の向こうには大勢の悪忍がいるとの事。

 

それを聞いたスピカは驚くが……

 

剣「だが、丁度いいな。久々に俺の武器が使える。」

 

トゥバーン「お前の武器っつうと、あの黒い剣と槍だったか?」

 

剣「その通り。じいさんが俺の為に作ってくれた特注品なんだ。」

 

剣の方は月閃の在学していた頃に、黒影から与えられた武器を装備して屋上の扉の前に立つ。

 

トゥバーン「というか、何で一般企業の◯✕商事に悪忍が?」

 

剣「恐らく、この◯✕商事の社長は悪忍養成学校の『秘立蛇女子学園(ひりつへびじょしがくえん)』の出資者なんだろう。さて、お喋りはここまでだ。行くぞ。」

 

 

―その頃、屋上の扉の前では

悪忍1「おかしいな。センサーが反応したから来てみたが、別に異常は無いぞ?」

 

悪忍2「まだ気を抜くな。まだ扉の向こうは調べてないのだろう?」

 

悪忍2がそう言った時、屋上の扉は吹き飛んだ。そして扉の向こうから、剣と槍を装備した剣が現れ、悪忍達は驚く。

 

悪忍3「貴様は月閃の!!」

 

剣「さぁて、さっさとお前らを倒して、機密データはいただくぜ。」

 

悪忍1「ほざけ!!」

 

悪忍達は苦無や刀を手に取り、剣に向かっていくが……

 

剣「フッ!」

―ザシュッ!

 

悪忍1「グワッ!」

 

剣「ハッ!」

―ズドッ!

 

悪忍2「ガッ!」

 

剣「セイヤッ!」

―ズバァッ!

 

悪忍3「グハァッ!」

 

並の悪忍では剣の相手にならず、ものの5分弱で屋上の扉前に集まっていた50人近い悪忍を倒した。

 

剣「よし、他の階を警備している悪忍が来る前に、サーバー室へ向かうぞ。」

 

フォロス「サーバー室は社長室の隣ですね。」

 

その後、剣達はサーバー室に到着したが、そこも当然のごとく悪忍がいた。しかし、数人だけだったので1分もかからずに全員倒してサーバー室へと入り、目的の機密データを入手した。

 

 

 

 

―忍務後

闇影「ただの機密データ確保の忍務かと思ったら、悪忍と戦う事になるとはな。」

 

フォロス「まさか、◯✕商事が悪忍養成学校に出資していたとは、驚きですよね。」

 

スピカ「でも、マスターの敵では無かったですけどね!」

 

トゥバーン「だが、油断は禁物だぞ。」

 

フォロス「ほうー?そんな事を言うとは。お前も成長するんだな?」

 

トゥバーン「あぁ?んだと、この野郎。(怒)」

 

先程の忍務の内容を思い出して、談笑しながら自宅へと帰還している闇影だが、トゥバーンが真っ当な事を言った事に反応したフォロスが軽く小馬鹿にした。

 

そのせいで一触即発の事態になりかけたが……

 

スピカ「マスター、あの廃ビルの屋上にいる2人の男性が、何か言い合ってますよ?」

 

闇影「何だと?」

 

スピカの報告に闇影だけでなく、フォロスとトゥバーンもそちらを振り返る。するとスピカの言う通り、2人の男性が何かを言い合っていた。

 

闇影「気配を消して様子を見てみるか。」

 

 

 

 

一方で闇影達が見つけた男2人は…

 

ライ「俺に投げ飛ばされるフリをして、拳銃を奪うとはな。やるじゃないかスコッチ。」

 

スコッチ「ハァ…ハァ…。拳銃を奪ったのは、お前を撃つ為じゃない。こうする為だ!!」

 

そう言って、スコッチと呼ばれた男(諸伏景光)はライという男から奪った拳銃を自分の心臓に向け、引き金を引こうとする。

 

ーガシッ!

 

スコッチ→諸伏「っ!?」

 

しかし、ライに拳銃のシリンダーを掴まれた為、引き金を引く事は出来なくなったが、それでも諸伏は引き金を引こうとする。

 

ライ「無駄だ。シリンダーを掴まれたら、人の力で引き金を引く事は出来ない。」

 

諸伏「くっ!!」

 

ライ「安心しろ。俺の名は赤井秀一。FBIからこの組織に潜入していて、お前と同じように奴らに噛みつこうとしている者だ。」

 

諸伏「え、FBI……!?」

 

ライ→赤井秀一「お前1人を逃がす位、簡単だ。とりあえず、話を聞いてくれないか?」

 

赤井の言葉に諸伏は絶望的になるが、次の自分がFBIだという言葉に驚いた。そして、彼の話を聞こうとした時……

 

―カン!カン!カン!

 

2人「っ!?」

 

諸伏「クソッ!!」

 

赤井「っ!!待っ……」

 

―キィンッ!

 

諸伏「ウワッ!?」

 

赤井「何だ!?」

 

階段から誰かが駆け上がってくる音が聞こえ、潜入している組織の追手だと思った諸伏は、赤井を押し退けて再び拳銃の引き金を引こうとするが、どこからか飛んできた苦無によって拳銃が弾き落とされてしまった。

 

バーボン「(ヒロ)!!」

 

諸伏「ゼ、零?」

 

バーボン「良かった、生きていたか……。って、あっ……。」

 

赤井「……。」

 

階段を駆け上がってきたのは組織の幹部であり、諸伏の幼馴染の降谷零だった。

 

彼は、諸伏から『全てバレた。もう逃げ場はあの世しかない。』というメールをもらって、急いでこの場に駆けつけたのだった。

 

しかし、目の前に赤井秀一がいて『しまった!』と思ったが……。

 

諸伏「あっ、零。ライは実はFBIの捜査官で、俺達と同じように組織に潜入しているNOCなんだ。」

 

バーボン→降谷「えっ!?そっ、そうだったのか?」

 

赤井「ああ。俺の本当の名は赤井秀一で彼の言った通り、奴らに噛みつこうとしているFBIだ。しかし、まさか君までもNOCだったとはな。ちなみにどこの捜査官なんだ?」

 

降谷「僕は警察庁公安部の人間なんだ。」

諸伏「俺は警視庁公安部だよ。」

 

ライこと赤井がまさか自分達と同じく立場の人間とは思わず、驚く降谷だったがとりあえず、赤井に聞かれた所属を明かす。

 

その後、降谷は諸伏が言った『警視庁公安部』という言葉を聞いて、何かを思い出した。

 

降谷「そうだ、景!!お前がNOCだとバレた原因だが、警視庁公安部に奴らと繫がっている奴がいるんだ!!」

 

諸伏「なっ!?」

 

赤井「なら、偽装用の遺体はこちらで用意しよう。」

 

諸伏が潜入捜査官だとバレたのはなんと、諸伏が所属している警視庁公安部の人間のリークだったのだ。

 

何とかして諸伏を逃がそうと考える降谷だが、公安が何かしら動けばすぐにバレてしまう。すると、赤井が手を貸してくれるとの事。

 

降谷「良いのか?」

 

赤井「もちろんだ。それにこちらが用意すれば、公安にはバレないだろう。」

 

降谷「すまない、感謝する!」

諸伏「ありがとう赤井!後、残る問題はあの……ってあれ?」

 

降谷「どうした景?」

 

諸伏「あっ、いや…。零やその他の仲間に迷惑かけないように、携帯電話ごと拳銃で自分を撃とうと思ったら、苦無が飛んできて拳銃を弾いたんだ。」

 

降谷「苦無が?」

 

諸伏「ああ。それで、その苦無を証拠物として回収しようとしたんだけれど……。」

 

諸伏の偽装は何とかなりそうなので、残っていた問題――飛んできた苦無を回収しようとする諸伏だったが、拳銃を弾いてビルの屋上に刺さったはずの苦無はどこにも無かった。

 

降谷「無いじゃないか。極度の緊張状態で見間違えたんじゃないのか?」

 

諸伏「そんな事ないよ!!赤井も見たよな!?」

 

赤井「ああ、確かに見た。だが恐らく、俺達が話し込んでいる間に回収されたんだろう。」

 

降谷「いったい何者が?」

 

 

 

 

一方、苦無を投げて諸伏を助けた闇影は

 

闇影「間一髪だったな。」

 

スピカ「本当ですね〜。スコッチと呼ばれた男の方が、自分の心臓に拳銃を当てた時はビックリしましたよ。」

 

フォロス「だが、マスターが奴の拳銃を弾き落としたおかげで、全て解決しそうだな。」

 

トゥバーン「でもよ、あの3人が言ってる“組織”って言葉、気になるよな?」

 

闇影「その“組織”関係の仕事が回ってきたら、手伝ってやるさ。それまでは干渉する気はないがな。さっ、帰るぞスピカ、フォロス、トゥバーン。」

 

赤井、降谷、諸伏がいるビルより離れたビルに立って彼らの話をきいていたが、その中で出てきた“組織”という言葉に闇影以外は気になっていた。

 

しかし、闇影は仕事以外で関わる気は無いとコスモビースト達に伝え、回収した苦無をしまうと赤井達に見つかる前にコスモビースト達と共に、その場から去って行った。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始1年前①・警察手帳と妖魔

警察学校組で伊達救済が、一番難しかった……。

もう1人救済したい人物がいるんですが、それを書こうとすると、とんでもない文字数になるので区切る事にしました。


諸伏という男を救ってから1年が経ったある日の事。

 

闇影「待ちやがれ!!」

 

男「クソッ、しつこいぞ!!」

 

米花町の街中で闇影は1人の男を追いかけていた。

 

実はこの男はコンビニ強盗常習犯で、闇影がよく行くコンビニにも現れた。そこに偶然闇影が来店し、逃走した強盗犯を追いかけている、という事だ。

 

闇影「フッ!」

―ドゴッ!

 

男「グワッ!!」

 

闇影「もう逃げられねぇぞ!!」

 

闇影は逃げる犯人に飛び蹴りをくらわせ、犯人が倒れた瞬間に背中に乗り、腕をひねり上げた。

 

するとパトカーのサイレンが鳴り響き、闇影の側にパトカーが停車した。さらに、男性が2人がこちらに走ってくる。

 

伊達「お前さんが、強盗犯を捕まえてくれたっていう兄ちゃんか!?」

 

闇影「ええ。」

 

伊達「よし高木、ワッパかけろ。」

 

高木「はい、伊達さん!」

 

その後、逮捕された強盗犯はパトカーから降りてきた警官によって最寄りの警察署へと連行された。

 

伊達「いやぁ、助かったぜ。あの野郎、前々から捕まえなきゃいけなかったんだが、この辺に土地勘があんのか、逃げ足が速くてな。」

 

闇影「いえ、お役に立てて良かったです。」

 

高木「伊達さん、それより早く署に戻らないと……。」

 

伊達「おっと、そうだったな。ついでに兄ちゃんの聴取もやっちまおう。というわけなんだが、時間は大丈夫か?」

 

伊達と高木という刑事が署に戻ろうとすると、伊達が先程の強盗犯を捕まえた状況を聴取する為に、闇影にも聞いてほしいと頼んできた。

 

もちろん闇影は快諾し、3人で最寄りの警察署へと歩いていく。その途中、3人はお互いに自己紹介をし、色々な事を話す事にした。

 

闇影「へぇ〜、伊達刑事は高木刑事の教育係なんですか。」

 

伊達「おう。まだまだひよっこだが、見どころがある奴なんだぜ。」

 

高木「いやいや、伊達さんどころか、佐藤さんと比べたら僕なんて……。」

 

闇影「まぁ、これからですよ。色んな事を経験し、それを活かしていけば1人前になりますよ。」

 

伊達「おっ、兄ちゃん。良い事言うねぇ〜!」

 

闇影が高木を勇気づける為に言った言葉に、伊達は闇影の首に手を回して褒める。

 

伊達「良い事言って、高木を勇気づけてくれた礼に良いもん見せてやるぜ。」

 

闇影「何ですか?」

 

伊達「こいつはまだ、高木にも見せてない物だから丁度良いんだけどよ。」

 

そう言って伊達は上着の内ポケットを探り、警察手帳を取り出そうとするが……

 

伊達「おっと。」

 

高木「大丈夫ですか、伊達さん?徹夜明けなんですから、無理に見せなくても……。」

 

伊達「ハハッ、大丈夫大丈夫。」

 

徹夜明けのせいで警察手帳を落としてしまい、それを拾おうとする伊達。その時……

 

―キキィィィッ!!

 

伊達「っ!?」

 

高木「危ない、伊達さん!!」

 

闇影「フッ!!」

 

―ズガァァァァンッ!!

 

居眠り運転で道をそれたトラックが、伊達に向かって突っ込んでくる。それを見た高木は『危ない!』と叫ぶが、トラックはもう伊達に接触しそうになっていた。

 

そしてトラックは、物凄い音を立てて激突した

 

 

 

 

 

 

 

誰もいない空きビルの1階に。

 

伊達「痛てて。」

 

高木「だっ、伊達さん!!大丈夫ですか!?」

 

伊達「おう、高木。大丈夫だぜ。この兄ちゃんが俺を引っ張ってくれなきゃ、お陀仏だったぜ。」

 

闇影「間一髪でしたね。これ、どうぞ。」

 

伊達「おっ、サンキュー。」

 

トラックが激突した後、高木は急いでトラックの向こう側へと走ると、そこには軽く擦りむいた手をさすっている伊達と伊達にバンソーコーを渡している闇影がいた。

 

高木「ハァァ〜、寿命が縮みましたよ〜……。でも闇影君、ありがとう。伊達さんを助けてくれて。」

 

伊達「俺からも礼を言うぜ。もし、兄ちゃんが助けてくれなかったら、あの世行きだぜ。」

 

闇影「当然の事をしたまでですよ。」

 

その後、事故処理をした後、3人は予定通りに最寄りの警察署に到着し、闇影は強盗犯確保の聴取を受けた。

 

 

―夕方

伊達「こんなに遅くなっちまってすまねぇな。良かったら、送ろうか?」

 

闇影「大丈夫ですよ。それよりも伊達さん、もう二度警察手帳を落とさないように工夫した方が良いですよ。」

 

伊達「おう、そうするわ。それじゃ、気をつけて帰れよ。」

 

闇影「はい。それでは失礼します。」

 

聴取が終わった闇影は警察署の入り口まで伊達に送ってもらい、帰る間際に『二度と警察手帳を落とさないように』と注意した。

 

そして、闇影は伊達に一礼して自宅マンションへと帰っていった。

 

伊達「……。」

 

高木「あれ、伊達さん?どうしました?」

 

伊達「いや、何でもねぇ。」

 

高木にはそう言った伊達だが、実は気になっている事があった。それはトラックが自分に衝突しそうになった時の事だ。

 

伊達(あの時、トラックが俺に衝突するまで残り1m位しか無かった。普通なら、絶対に間に合わねぇのにあの兄ちゃんは間に合った。何でだ?)

 

伊達は闇影が違法な薬でもやっているのか、と思ったが命の恩人がそんな事をするわけないと思い、考えるのをやめた。

 

伊達(まっ、世の中にはそんな事が出来るスゲェ奴がいるかもしれねぇしな。あのバカみたいにな。)

 

 

 

 

 

―伊達刑事、救済から1ヶ月後

 

闇影の自宅にて

 

闇影「何?四国の妖魔が?」

 

雪泉『はい。東京の妖魔異変は収まったのですが、今回の異変が原因で、他の地域の妖魔の活動が活発化してしまったようでして……。』

 

朝早くから雪泉から電話が来たので、何事かと思って出ると、闇影も参加した東京の妖魔異変関係の事だった。

 

闇影「厄介だな。その地域ごとに公認の善忍はいるだろうが、妖魔が活発化しているなら……。」

 

雪泉『はい。強力な妖魔が出てきてもおかしくはありません。ですので大変申し訳ないんですが、お兄様には四国に向かってほしいんです。』

 

闇影「それはもちろん構わないが、他の地域は大丈夫なのか?」

 

雪泉『あっ、それは大丈夫です。飛鳥さん達、〈半蔵学院〉や焔さん達、〈焔紅蓮隊〉などが手分けしてくださるので。』

 

闇影「分かった。なら四国は任せろ。」

 

雪泉『よろしくお願いしますお兄様。それでは失礼します。』

 

電話が終わると、闇影はフゥ〜と息を吐く。すると、そのタイミングでコスモビースト達が話しかけてきた。

 

フォロス「大変な事になりましたねマスター。」

 

トゥバーン「あれだけの規模の異変だから、周辺に何かしら影響が出るかと思ってたが……」

 

闇影「ああ。まさか、あの東京妖魔異変の影響が他の地域にまで及んでいたなんてな……。」

 

スピカ「とにかく、誰かが被害を受ける前にちゃっちゃと倒しちゃいましょう!!」

 

闇影「ああ。明日は事務所は臨時休業にして、すぐに四国に向かおう。」

 

 

 

―翌日

 

事務所を臨時休業にした闇影は新幹線に乗り、数時間かけて四国に来ていた。

 

闇影「さて、到着したな。雪泉の話だと、案内役がいるはずだが……」

 

?「月閃女学館卒業生の闇影様ですか?」

 

闇影「そうだが、貴女は?」

 

駅で案内役の人を待っていると、三十代後半の女性が現れて闇影かと聞いてきた。

 

?「貴方様と同じく、月閃女学館卒業生の真姫(まき)と申します。」

 

闇影「真姫さんか。それで?」

 

?→真姫「状況は道すがら。こちらに乗って下さい。」

 

真姫と名乗った闇影と同じ月閃女学館卒業生は、手で指し示した車に乗るように言う。闇影はそれに従い、助手席に乗り込む。

 

真姫「東京妖魔異変で、この辺りにいる妖魔も活発化しているのは聞いていると思われますが、まだ被害は出ていません。」

 

闇影「それは良かった。なら、被害が出る前に速攻で妖魔を潰そう。戦力はどの位だ?」

 

真姫「ざっと、忍び100に対して妖魔200でしょうか?」

 

闇影「なら、俺が動き回ってカバーするか。」

 

真姫「申し訳ありません。黒影様の養子であり、直弟子である闇影様にご苦労を強いてしまって。」

 

闇影「気にするな。力ある物が上手く立ち回るのは当然の事だ。」

 

車の中で、この後の事を話し合っている闇影と真姫。それから30分ほどして目的地に到着した。闇影は今の状況を真姫に確認する。

 

真姫「この先の山奥に妖魔が集結しています。」

 

闇影「こちらの戦力もすでに集結してるんだな?」

 

真姫「はい。」

 

闇影「よし。ならば、妖魔掃討作戦は明日決行だ。」

 

真姫「はっ!!」




オマケ(伊達救済後)

後日、伊達が非番の日に偶然出会ったので2人で喫茶店に入って、以前伊達が言っていた良い物を見せてもらった。

闇影「指輪ですか?」

伊達「ああ。彼女に渡そうと思って警察手帳に入れて、肌見離さず、持ってんだ。」

闇影「という事は、サプライズで渡すんですね?」

伊達「その通りだ。」

闇影「おめでとうございます。」

闇影がそう言うと、伊達は照れながら指輪をしまって一言。

伊達「ありがとよ。結婚式の日取りが決まったら、お前も呼ぶからな。」

闇影「自分は関係者じゃないですよ。」

伊達「ばっか野郎。お前が助けてくれたから、今こうしていられんだ。誰が何と言おうと、呼ぶからな。」

闇影「ハァ〜……。分かりました。楽しみにしていますよ。」

それだけ言うと、闇影は自分の分の代金を置いて喫茶店を出ていった。


ー喫茶店の外
闇影「彼女か……。ずっと戦いや鍛練ばかりだったし、作ってみても良いかもな。まぁ、かなり先の話だろうが……。」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

★原作開始1年前②妖魔討伐、開始

―翌日、とある森の入口にて

 

剣「全員、揃ったな?」

 

真姫「はい。100人全員、集合済みです。」

 

その後、2人が森の中に入るとそこには真姫が集合をかけた100人の善忍達がおり、真姫が現れると善忍達は片膝をついて頭を下げる。

 

そして、その中の1人が話しかける。

 

善忍「真姫様、お待ちしておりました。善忍100人、集結しました。」

 

真姫「ご苦労さまです。それと、こちらは助っ人として来てくださった黒影様の養子の剣様です。」

 

善忍2「剣様って!!あのコスモ幻獣拳を3つも会得した……あの剣様ですか!?」

 

善忍3「あの伝説の忍び、半蔵様のライバルであり友である黒影様の養子である剣様が助っ人に!?」

 

真姫が剣を紹介すると善忍達はどよめくが、剣は軽く咳払いすると、どよめいていた場が静かになる。

 

剣「皆も知っていると思うが、東京妖魔異変が原因でこの土地の妖魔が活性化している。人々を守る為にも、今から妖魔討伐を行う。」

 

善忍達「はいっ!!」

 

その後、善忍達は何組かのチームに分かれて200いる妖魔の大群の討伐に向かった。

 

 

 

剣「火炎赤龍弾!!」

―ズドォォォンッ!!

 

剣「フッ!ハアッ!」

―ザシュッ!!

 

「「ギャアァァァッ!!」」

 

剣は火炎赤龍弾の放った後、すかさず振り返って背後から奇襲を仕掛けてきた妖魔を一刀両断した。

 

 

それから2時間後。剣や真姫、善忍達の活躍であらかたの妖魔は討伐されていった。

 

真姫「出現していた妖魔は、あらかた討伐しました。……がまだ妖気が収まっていませんね。」

 

剣「まだ大本(おおもと)を叩いていないからだろうな。だが、その大本はこちらに向かってきている。お前達、最大限の警戒を!!」

 

善忍達「はいっ!!」

 

 

それから数十分後、森の奥から二足歩行の妖魔の親玉が現れた。

 

顔は恐竜っぽく、額のトサカのような箇所にも顔があり、右手はハサミで左手は巨大な目玉になっており、下半身の腹部にも顔があり、さらには背中には翼がある異形の妖魔だ。

 

剣「なかなかヤバそうな奴だな。」

 

真姫「どうしますか?」

 

剣「俺とお前で行こう。集めたメンバーは下がらせろ。」

 

真姫「承知しました。」

 

そう言った剣は黒い剣と槍を持ち、真姫は忍刀を持って妖魔の親玉の前に立つ。

 

剣「くらえ、火炎赤龍弾!!」

―ズドォォォンッ!!

 

「ギュアァァァッ!!」

―キュウゥゥンッ!!

 

剣「どうやら、あの巨大な目玉にはエネルギー系の攻撃を吸収する能力があるようだな。」

 

真姫「ならば、お任せを!!」

 

剣が槍先から放った火炎赤龍弾が吸収されたのを見て真姫は驚くが、すぐに忍刀を構え直して妖魔に斬りかかる。

 

「ギャシャアァァッ!!」

―ガギンッ!!

 

妖魔は今度はハサミになっている手で真姫の忍刀を受け止め、そのまま投げ飛ばすが真姫は体制を整えて着地する。

 

そして、すぐに真姫の側に剣が来て一言。

 

剣「どうやら、体のパーツ1つ1つが強力な武器なようだな。」

 

真姫「という事は、あの腹部の顔やトサカの顔も?」

 

剣「何かしらの武器だろうな。」

 

真姫「どうしますか?」

 

左右の手、腹の顔、そして恐らく恐竜のような顔の上部にあるトサカも武器であろう最悪の妖魔。いったいどう対処すれば良いのか分からず、絶望しかける真姫だが……。

 

剣「簡単だ。1つずつ潰していけばいい。上忍であるお前となら、出来ると思うんだが。どうだ?」

 

真姫「っ!!フフッ、良いでしょう。」

 

剣の言葉に一瞬、驚く真姫だがすぐに微笑んで剣の案に頷く。そして2人はすぐに行動に移し、妖魔の周囲を走り回り始めた。

 

剣「火炎赤龍弾!」

 

「ギュアァッ!」

 

真姫「ハッ!」

―バシッ!

 

―ズガァァァァンッ!!

 

「ギュアァァァンッ!?」

 

剣は火炎赤龍弾を放つが、妖魔はまたしても吸収しようと目玉の手を突き出す。しかし、その瞬間に真姫が忍刀で目玉の手を上に弾いた事で攻撃は吸収されず、命中して目玉の手を破壊した。

 

剣「やはり、あの目玉の手は突き出した状態じゃないと、攻撃を吸収出来ないようだな。」

 

真姫「剣様の予想通りでしたね。このまま他のパーツも破壊しましょう!!」

 

剣「ああ!!」

 

厄介な目玉の手を破壊した2人は再び妖魔の周囲を走り回る。そして…

 

剣「くらえ!!」

 

「ガアァッ!!」

―ガギンッ!!

 

剣は黒い剣でハサミの手に攻撃を仕掛けるが、やはり受け止められたが、剣はそんな状態なのにニヤリと笑っていた。

 

真姫「爆炎斬(ばくえんざん)!!」

―ザシュウゥッ!!ズドォォォンッ!!

 

「ガアァァァッ!?」

 

そう、剣は囮で本命は真姫の炎を纏った斬撃だったのだ。そして斬撃を受けたハサミの手は爆発し、ボロボロになる。

 

「オォォォォォッ!!」

―バシュシュシュ!!

 

剣「おっと。」

真姫「はっ。」

 

真姫「やはり、あの腹の顔からも攻撃が放たれるんですね。」

 

剣「だが、焦る必要は無い。」

 

真姫「はい。」

 

2人は妖魔の腹部から放たれる光弾を見切り、全て避けていく。すると…

 

剣「高速凍豹拳!!」

―バシュシュシュ!!

 

―ガギンッ!ガギンッ!ガギンッ!

 

真姫「剣様の武器、お借りします!!ハアッ!!」

―ズドッ!!

 

「ガフウゥゥゥッ!?」

 

剣は腹部からの光弾を避けるのやめて、高速凍豹拳によって繰り出される氷の飛礫(つぶて)で光弾を撃ち落としていく。

 

その間に真姫は剣から槍を借り、その槍を伸ばして妖魔の腹部に突き刺して、光弾を撃てなくした。

 

剣「後は頭だけ。もう一踏ん張りだ!!」

 

真姫「はい!!」

 

「ゴガアァァァッ!!」

―ギィィィンッ!!バシュウゥゥゥッ!!

 

2人「っ!?」

 

―ズガァァァァンッ!!

 

「ギシャアァァァッ!!」

 

残る攻撃手段は頭部のトサカのみとなった為、気合を入れ直す2人。すると、妖魔はその頭部に2種類の異なるエネルギーをチャージし、2人に向かって撃ってきた。

 

先程までの攻撃とは違い、強力なエネルギーを感じた2人は一瞬、動きが止まってしまい、その攻撃を受けてしまった。

 

そして、2人が爆発に包まれるのを見届けた妖魔は、勝利の雄叫びを上げる。

 

 

 

 

剣「おい、なに勝った気でいやがる?」

 

真姫「まだ、私達は生きてますよ。」

 

「グアッ!?」

 

爆発の中から剣の声が聞こえ、さらには真姫の声まで聞こえた為に妖魔は驚く。そして、徐々に爆発が収まっていくと、そこには黒い剣を中心に結界が張られていた。

 

剣「危ない危ない。間一髪だったぜ。」

 

真姫「まさか、これほどの威力とは……。剣様が結界を張って下さらなかったら、どうなっていた事か。」

 

「グッ……ゴガアァァァッ!!」

 

剣「させるか!!白虎電撃波!!」

―バリィィィッ!!ズガァァァァンッ!!

 

「ギギャシャアァァッ!?グガ……グッ…アッ……。」

 

自身の1番強力な攻撃を防がれた事で妖魔は怒り、再び頭部のトサカにエネルギーをチャージしようとするが、剣がそれを黙って見ているはずもなく、電撃白虎拳の技で頭部のトサカを破壊した。

 

遂に全ての攻撃手段を失った妖魔は、ようやく自分がとんでもない奴と戦っていた事を悟り、背中の翼を広げて逃げようとする。

 

剣「逃がすか!!閃光烈破弾!!」

真姫「火炎旋風!!」

 

―ズガガガァァァンッ!!!

 

「グギャギシャアァァァッ!!?」

 

真姫「剣様、トドメを!!」

 

剣「ああ!!」

 

しかし、逃げようとした妖魔の翼めがけて剣と真姫はそれぞれの得意技を放ち、翼を破壊した後、真姫はトドメを剣に任せた。

 

剣「完成したばかりの新技を見せてやる!!フッ!ハッ!ハアァァァァ〜………白虎赤龍弾(びゃっこせきりゅうだん)!!!」

 

―バシュウゥゥゥゥッ!!!

 

「グッ…ギャッ……ガアァァァァァァッ!!!!」

 

―ズドォォォォォォンッ!!!!

 

剣「フゥ〜…」

 

真姫「やりましたね、剣様!!」

 

剣「ああ。真姫もお疲れ様。」

 

剣は、最近完成したばかりの電撃白虎拳と火炎赤龍拳の力を1つにして放つ新技―〈白虎赤龍弾〉を妖魔に放つ。

 

そして、攻撃をくらった妖魔の体の中心には穴が空き、体のあちこちから炎や雷がほとばしり、とうとう体を維持する事が出来ずに爆発四散した。

 

これで、四国の妖魔異変は決着した。




本来なら、この妖魔退治の後にもう1人の救済したい人物の話を入れる予定でしたが、それをするとめちゃくちゃ長くなりそうなので、その話は次回にします。


ちなみに、今回出した妖魔の元はウルトラマンギンガSに初登場した〈超合体怪獣ファイブキング〉です。

戦い方はファイブキングとの再戦まんまです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始1年前③・ラベンダーの真実

この話で、ようやく1番救済したかった人を書けます。

闇影は忍務以外の時は年上にはさん付けし、自分の事は呼び捨てにするように言ってあります。


妖魔討伐の翌日、闇影は真姫に頼んで四国の観光名所を巡っていた。

 

闇影「すまないな、真姫さん。観光名所を巡るって言ったら、運転手を買って出てくれて。」

 

真姫「構いませんよ。闇影様に四国の事を知ってもらういい機会ですから。あっ、そろそろ有名なスポットですよ。」

 

 

 

真姫が運転した車が到着し、車から降りた2人は崖へと向かっていく。

 

真姫「ここは夕日と朝日がとてもキレイに見える、絶景ポイントなんですよ。」

 

闇影「へぇ〜、それは凄いな。ん?」

 

真姫「どうしました?あれは……。」

 

真姫オススメの絶景ポイントへ向かっていると、2人の目の前に思い詰めた顔をしたメイドが立っていた。そして……

 

?「七槻、ごめんね。」

 

闇影「ずいぶん思い詰めた顔をしているな。」

 

真姫「何かあったの?」

 

?「っ!?貴方達は?」

 

闇影「俺は米花町で私立探偵をしている天宮闇影だ。」

 

真姫「私は探偵ではないわ。闇影の学校の先輩よ。」

 

闇影「何があったかは知らないが、話してみないか?話すだけでも、気が楽になるぞ。」

 

闇影と真姫はメイドの両側に立ち、彼女に何があったのかと、訊ねる。するとメイドはオドオドしながらも、闇影達に話し始める。

 

?「あ、あの私…水口香奈と申します。この近くの“ラベンダー屋敷”で働いているんです。」

 

真姫「あのラベンダー屋敷で、ですか?」

 

闇影「真姫さん、ラベンダー屋敷とは?」

 

真姫「あっ、闇影が知らないのも当然ですよね。ラベンダー屋敷とはこの近くで、ラベンダーがたくさん植えられている屋敷なんです。なんでも、その屋敷のお嬢様がラベンダーが大好きらしくて。」

 

闇影「なるほどな。それで、そこで働いてる君は何でこんな所に?」

 

?→香奈「実は、そのお嬢様が亡くなられたんです。最初は自殺だと警察は言っていたのに、フラリと屋敷に立ち寄った高校生探偵がこれは殺人だと。それで私……事件当時はお嬢様と2人っきりだったので疑われて……連日厳しい取り調べを受けて……私、やってないのに。うっ、うう…(泣)」

 

真姫「そう、辛かったわね。」

 

事件の内容を話し始めた香奈は、その時の事を思い出して、涙を流し始める。それを見た真姫は彼女を抱きしめて背中をさすり、落ち着かせる。

 

闇影「ちなみに、その高校生探偵の名前は?」

 

香奈「いえ、名乗らずに立ち去ったので……。」

 

闇影「なるほどな。……。」

 

真姫「闇影?」

 

闇影「よし、決めた。そのラベンダー屋敷の事件、俺も調査しよう。」

 

香奈「えっ!?でっ、でも……。」

 

香奈の話を聞いた闇影はしばらく考え込むと、自分も事件の調査をすると言い出した。

 

闇影「最初は自殺だったのに、その後、殺人に変わった。いくら高校生探偵の言葉とは言え、高校生は高校生。恐らく、警察は今回の事件を本当にお嬢様の自殺かと疑っていたんだろう。」

 

真姫「その時に、その件の高校生探偵が現れて殺人だと警察に進言したと。」

 

闇影「それが1番危険なんだ。『本当にそうなのだろうか?』と疑っている時に見知らぬ人間とはいえ、それなりの証拠を提示されて『これは殺人だ。』と言われれば、『やっぱりか!!』と思い込んでしまう。」

 

真姫「ならば、第三者であり私立探偵の闇影がもう一度調査して、自殺か殺人かを明らかにしようという事ね?」

 

闇影「そういう事だ。ただ、香奈さんをこのまま放っておくのは問題だな。また警察に連れて行かれて、厳しい取り調べを受けかねない。」

 

真姫「ならば、彼女は私が保護するわ。これでもこの一帯の名士だから、しばらくは警察も寄ってこないわ。」

 

ラベンダー屋敷の事件の再調査をすると言い出す闇影だが、香奈をこのままにしておけないのでどうするか悩む。すると真姫が彼女を保護すると言い出した。

 

闇影「それはありがたいですね。よろしくお願いします。」

 

真姫「任せて。それじゃ、行きましょうか香奈さん。」

 

香奈「あっ。」

 

闇影「ん?どうした?」

 

香奈「実は私、警察の取り調べがキツくて自殺しようとここに来たんです。その事を昨日親友に話したので、もしかしたらここに……。」

 

そう言った瞬間、香奈の名前を呼びながら駆け寄って来る女性が見え、彼女に抱きついた。

 

?「香奈ーーー!!」

 

香奈「七槻!!」

 

?→七槻「良かった間に合って!!」

 

闇影「彼女が、君がさっき話していた親友か?」

 

七槻「えっと、貴方達は?」

 

闇影「天宮闇影。米花町で私立探偵をしている。」

真姫「私は真姫。闇影の学校の先輩よ。」

 

七槻「初めまして。私は越水七槻と言います。駆け出しの探偵です。」

 

香奈「七槻、実はこの人達は私の話を聞いてくれて、それでラベンダー屋敷の事件を再調査してくれるって言ってくれたの。」

 

七槻「そうなの!?それじゃ、闇影さんでしたよね?私も一緒に連れて行ってくれませんか?」

 

闇影「もちろんだ。調査するには多くの視点が必要だからな。」

 

七槻「ありがとうございます!!」

 

こうして、香奈は真姫に保護され、闇影は七槻を連れてラベンダー屋敷の事件を再調査する事になった。

 

 

 

絶景スポットの駐車場にて

 

真姫「それじゃ、香奈さんを私の自宅に連れて行くわね。」

 

闇影「お願いします。」

 

香奈を乗せた真姫の車はあっという間に見えなくなり、残された2人はこれからどうするか、話し合う事にした。

 

七槻「これからどうしますか?」

 

闇影「その前に、もう少し仲間を増やしておきたい。一本電話をかけても良いか?」

 

七槻「あっ、どうぞ。」

 

闇影「もしもし、久しぶり。今、どこにいるんだ?へぇー、なら丁度いいな。実は……。」

 

 

―数分後

 

闇影「電話で呼び出した奴がすぐにここに来てくれるから、もう少し待っててくれ。」

 

七槻「あの〜、いったい誰を呼んだんですか?」

 

闇影「それは来てからのお楽しみという事で。」

 

 

それから数十分後、2人の側にアルファ・ロメオが停車し、中からダンディーな男性が出てきた。

 

?「よお、闇影久しぶりだな!」

 

闇影「茂木こそ、久しぶりだな。」

 

七槻「ええっ!?呼んだ人って……あの名探偵と名高い茂木遥史さんだったんですか!?っていうか、闇影さんって茂木探偵より年下ですよね?何でタメ口なんですか?」

 

闇影「休暇で外国に行ってた時に、彼がマフィアに囲まれてるのを見つけてな。彼を救出する為に、マフィア達を足腰立たなくしたんだ。」

 

茂木「それ以降、闇影とはダチでな。ダチならタメ口で話すのは当然だろ?」

 

七槻「な、なるほど……(汗)」

 

七槻(っていうか、マフィア相手に足腰立たなくなるほど攻撃した闇影さんって何者なのーー!?)

 

茂木「さて、ここで立ち話もなんだし。話は車に乗ってからにしようや。」

 

そう言われて、闇影と七槻は茂木のアルファ・ロメオに乗り込み、茂木は運転席に乗ってエンジンをかけ、走り始める。

 

 

茂木「ざっくりと闇影から電話で話は聞いたが、自殺だった事件が殺人に切り替わったんだってな?」

 

七槻「はい。それで当時、屋敷にお嬢様と2人っきりだった私の親友の香奈が疑われて……。でも、そのお嬢様が自殺した後、私は香奈に頼まれて屋敷に向かって調べたんです。でも、何か細工された跡は無くてこれはお嬢様の自殺に間違いないと……。」

 

茂木「変な話だよな。何で急に自殺が殺人に……。ん?闇影、何やってんだ?」

 

闇影「はいはい。そういう事なので、お願いします。あぁ、悪い。小田切刑事部長に連絡していたんだ。『もしかしたら、ラベンダー屋敷の事件を担当している四国の警察は間違った証拠で民間人を追い詰めているかもしれない。第三者目線から事件を調査する為にも力を貸してくれませんか?』ってな。そしたら、快く力を貸してくれたよ。」

 

茂木「へぇ〜、警視庁にもツテがあんのかよ。スゲェな。」

 

七槻「一探偵が持つツテにしては大き過ぎるような……(汗)」

 

闇影「『1人で出来る事なんてたかが知れている。仲間やその周りの人間を頼れ。』が死んだじいさんの口癖だからな。それより、茂木……」

 

茂木「おうよ!ラベンダー屋敷を担当している警察署に直行だな!」

 

闇影のツテのおかげでラベンダー屋敷事件の証拠品を見れる事になったので、一行は事件を担当している警察署に向かう事にした。

 

 

 

―警察署・会議室

 

署員から提出されたラベンダー屋敷事件の証拠品を会議室を借りて見ていく3人。すると、茂木がおかしな物を発見した。

 

茂木「何だこりゃ?頭が切れたネジ?」

 

七槻「えっ!?」

 

闇影「警察が書いた部屋の図面や書類によると、自殺したお嬢様の部屋の窓の1つが、窓枠は接着剤で軽く止めておき、その上にプライヤーで切られた寸足らずなネジの頭をはめ込んだだけになってたみたいだな。」

 

七槻「そんな!?私が調べた時は絶対にそんな風にはなってませんでした!!窓枠も押して確かめたから、間違いありません!!」

 

闇影「そもそもこのネジも変だ。自殺から殺人に切り替わったのは、ここ半年程の間だと書類に書かれていたが、半年でここまで錆びるか?」

 

茂木「という事は、嬢ちゃんが調査に来た後に、この細工をした奴がいるってわけか。んじゃ、次はやる事は決まったな。」

 

闇影「ああ。」

 

そう言った後、3人は警察署から出ていき、再びアルファ・ロメオに乗ってラベンダー屋敷がある町の隣町へと向かっていた。

 

七槻「あの、何で隣町に?」

 

茂木「あの窓枠の細工はやり慣れた奴の仕業だ。なら、他のとこでもやってんじゃねぇかと思ってな。」

 

その後、隣町に到着した3人は聞き込みを開始すると予想通り、ラベンダー屋敷と同じ細工で空き巣に入られた家がある事が分かったので、次に狙われそうな家を見張る事にした。

 

するとまたしても予想通り、空き巣犯の槌尾という男が現れたのですかさず茂木と闇影が取り押さえ、警察署へと連れて行き、ラベンダー屋敷の細工も槌尾の仕業だと証明した。

 

これにより、七槻の親友の香奈の疑いは晴れた。

 

署長「御三方のおかげでラベンダー屋敷の事件は解決しました。ありがとうございました。」

 

闇影「別に大した事はしてねぇよ。それより、分かってんだろうな?」

 

署長「はい。無実の人を連日厳しく取り調べして、精神的に追い詰めた事をキチンと謝罪する為の会見を開きます。」

 

 

―その後

七槻「あの茂木さん、闇影さんありがとうございました!!」

 

闇影「気にするな。無実の人間を助けるのは当然の事だ。」

 

茂木「それに、まだ全部終わっちゃいねぇからな。」

 

七槻「終わってないって?」

 

闇影「自己顕示欲の為に間違った推理をペラペラと警察に話して、君の親友を追い詰めた高校生探偵がまだ誰か判明してないだろ?」

 

七槻「でも、その高校生探偵はどこの誰か分からないって香奈が……。」

 

茂木「安心しな。空き巣犯の事を聞き回るのと同時に、その高校生探偵の事も聞き回って似顔絵を作った。」

 

闇影「どうもそいつは探偵っていうのを甘く考えてるみたいだからな。キツーいお灸を据えてやるさ。」

 

そう言った後、茂木と闇影は件の高校生探偵を探る為に四国を後にした。

 

その数週間後、新聞には『ラベンダー屋敷の事件を解決に導いた高校生探偵T.Jは、自己顕示の為に無実の人に罪を着せた。』という見出しと『ラベンダー屋敷を担当した警察署の杜撰な捜査発覚』という見出しが載った。

 

そして、例の高校生探偵は2度姿を見せなくなったという。

 

 

 

―数ヶ月後・米花町にて

七槻「遂に到着したね米花町!!」

 

香奈「でも、大丈夫かな?この町って犯罪が物凄く多いらしいけど?」

 

七槻「大丈夫、私がついてるから。さっ、闇影さんの事務所に行くよ。あの時のお礼を言いにね!」

 

―闇影の事務所にて

闇影「おや、越水七槻さんに水口香奈さんか。遠路はるばるようこそ。それで今日はどうしたんだ?」

 

七槻「あの時のお礼を言いに来ました!香奈を助けてくれて、本当にありがとうございました!!」

 

香奈「ありがとうございました!!」

 

闇影「あの時も言ったと思うが、当然の事をしたまでだ。気にする必要は無い。だが、七槻さんはお礼を言いに来ただけじゃ無さそうだな?」

 

七槻「さすがは闇影さんですね。」

 

そう言うと、七槻はいきなり頭を下げて一言。

 

七槻「お願いします、私を闇影さんの事務所で雇って下さい!」

 

闇影「別に俺の所じゃなくても、他に有名な事務所はあるだろう?」

 

七槻「いえ、闇影さんの人の事を想いながら捜査する姿に感動したんです。闇影さんこそ、私の目指す探偵そのものだって。だから、お願いします!!」

 

七槻の懸命な言葉に、しばらくどうしようか悩む闇影だったが……

 

闇影「分かった、雇おう。正直、少し手が足りなくなってきたからな。」

 

七槻「ありがとうございます!!」

 

闇影(いつまでもマンションの部屋を事務所代わりにするんじゃなくて、本格的に事務所を構える必要がありそうだな。)

 

こうして、闇影の探偵事務所に新たに1人、所員が増えたのだった。




本当に越水七槻が犯人と分かった時は、「この人が犯人!?そんな!?」と愕然となりましたね。

ですが、この話では自己顕示欲野郎はもう人前に出てこないので、七槻が探偵甲子園を開く事もありません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。