ぼくらが塩昆布 (numatti)
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第1話 出会い
第1話 出会い Aパート


 11月真っ只中、それは学校の2学期、もうすぐ冬を迎えようとする時期。中学2年生の飯沼 雅尚(いいぬま まさひさ)ことヌマっちは今日も部活でペーパークラフトの秋を満喫していた。今居るこのコンピュータ部は校内のちょうど中心部に位置する。したがって放課後になると北から吹奏楽部の音色が、南から運動部の声援などが聞こえてくる。

 放課後に入るなり急いで部室にやってくると、既に2人の部員が居た。

「お疲れーヌマっち」

そう声を掛けてきたのは我が幼馴染の一人である永見 間穂(ながみ なほ)だ。習い事で少林寺に誘われて以来、よく一緒にゲームを遊んでいる。間穂の隣に居るのは瀬尾 孫左衛門(せお まござえもん)で、みんなからはタマちゃんと呼ばれている。タマちゃんは間穂の友人で、コンピュータ部に入部してから知り合った。よくのび太郎のバイオハ◯ードの実況を観ている。ホラーゲーム嫌いのヌマっちにとって少し近寄り難かった。

「お疲れ〜間穂とタマちゃん」

出勤の挨拶を済ませ、入り口に一番近い1番と書かれた席へ座り、パソコンを起動する。

 

 部室にはパソコンが1列に8台並んでおり、全部で5列ある。特に指定の位置はないが、既に1年半通ってるため、各々ある程度位置が決まりつつあった。間穂とタマちゃんは3列目の真ん中20と21によく座っている。そんな話をしていると他の部員がやってきた。

「お疲れ〜」

元気よく入ってきたのは篠宮 真衣(しのみや まい)という女の子で、幼馴染の1人だ。実は中学1年生の時はソフトボール部に在籍していたが、何かの理由でこのコンピュータ部に来たようだ。今月からは3年生が引退した関係で真衣が部長に、僕が副部長になっている。ちなみに2番に座っているため、僕の隣の席にやってきた。1年生の頃はよくアニメのMAD動画を見たり、小太鼓の達人を遊んだりしていた…部室で。

「こんにちは〜」

 その後に入ってきたのは不知火 優子(しらぬい ゆうこ)という女の子で、この子も幼馴染だ。というか地元の小学校から同じ人が大半なので、幼馴染が多いということは言うまでもないはずだ。さて優子はみんなからは優と呼ばれている。間穂と同じく少林寺で知り合い、それ以来の中だ。ゲームもよく遊んでいる。ちなみに席は5列目38に座っている。

 そして驚いたのがこの時の出来事だった。優の後ろには知らない2人がパーティを組んでやってきたのだ。

「敵か!?であえ!であえー!」

間穂は声高らかに上げて優の前に立ちはだかる。ペーパークラフトで作られた剣を構えて。後ろでタマちゃんは腹を抱えて笑っていた。

すると優はやれやれとため息混じりで間穂に説明した。

「この2人は今日から転校してきた笹田光と高瀬美歩よ。この部活に体験入部しにきたの。」

なるほどと間穂が頷いている横で僕は高瀬美歩に一目惚れをしていた。なんだこの美しい紫色のメガネは!僕がずっと見ていたからか、高瀬さんは恥ずかしそうに目線を逸らした。なおさら可愛く見えた。

「初めまして。2年の飯沼 雅尚です。みんなからヌマっちや副部長って呼ばれてます。よろしく!」

軽く自己紹介を交わす。

「うぃーす、同じく2年の篠宮 真衣です。部長だけど真衣って呼んでね」

真衣は僕と違って部長と呼ばれるのは好きではないらしい。というのも…

「いや、クソ部長って呼んだ方がぁぁぁぁ…」

光が言い切る前に逃げ出した。それに釣られるかのように真衣も追っかけ始める。体験入部なのに度胸があるなぁ。タマちゃんはのび太郎のバイオハ◯ードに夢中だ。

 光のことは置いておいて、高瀬さんに僕と真衣で部活動説明を行うのであった。



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第1話 出会い Bパート

 翌日の放課後、日直当番のために教室の後片付けや担任への報告を終えて部室へ向かっていた。今日は体験入部の2人も来ていた。

「高瀬さん、笹田くんお疲れ〜」

「お疲れ〜飯沼くん。そういえば今日から入部することになったのでよろしくね」

今日も高瀬さんは可愛い…今大事なことをサラッと言わなかったか?

「入部決めたんだ!これからよろしくね」

紳士のように振る舞い、握手を交わすが内心は大喜びしていた。なんせこれからは毎日顔を見ることが出来るのだから。そうしていつもの席へ荷物を置く。しかしここで真衣の荷物が隣の席にないことに気が付いた。真衣は高瀬さんの隣に座っている。

 

 

 

引っ越された。

 

今までありがとう。

 

 

 

引越し先は4列目の30,31だった。優の対面に座る形で。そして笹田くんは間穂の隣19に座っている。つまり現状だと1列目に僕とクラスメイトの勝又 星矢(かつまた せいや)しか座っていない。7番に座っている勝又くんも幼馴染で、真衣と同じ頃に知り合った。クラス替え、席替え、修学旅行のグループと全ての行事においてセットにされていたのである。さすがに遠いなと思った。

 

 

 

そして37番に引越した。

 

 

 

こうして1番席は呆気なく解放されたのであった。隣席となった優は特にお咎めなしで、音楽を聴いていた。まぁ真衣からは「げっ、ついてくるのかよ」と言わんばかりの顔をされた。しかしこちら側に人が集中していることもあり、1番席の時とは違い煩かった。特にタマちゃんののび太郎のバイオハ◯ードがスピーカーから鳴り響く。本当に入部から1年弱も観続けているようだ。

 引越劇を繰り返していた時に昨日は顔を出さなかったメンバーが部室に入ってきた。幼馴染で同じクラスで日直当番だった愛川 明莉(あいかわ あかり)、部内で唯一の常識人だ。勝又と同じくずっと同じグループでもあった。席は3番だったので、36番に来るよう誘導した。次に入ってきたのは勝又くんの友人、8番席の1年の春山 光(はるやま ひかり)だ。以上の10人が現在の部員である。ちなみに2列目には3年生の部長さん、副部長さんが座っていたがつい先日引退してしまったため、空席となっている。

 ひとまず引越しが完了したので改めてペーパークラフト作成に戻る。今は名古屋城の作成に取り掛かっている。前作の姫路城はお城系初挑戦だったこともあり数ヶ月を要したが、お城系のパターンも掴めており、1ヶ月以内には完成の見込みだ。向こうにいる間穂を見ると地球儀のペーパークラフトを作っている。先月10月の文化祭では鯨を作っていたが、当日までは間に合わず胴体が半分だけ展示された。そのためか今年は既に作成に取り掛かっていた。来年に向けてペーパークラフトを作っているのは2人だけのようだ。つまようじにボンドを付けながら、周りの状況を確認する。他のメンバーは基本的にワラワラ動画投稿サイトで動画を見ているか、フラッシュでゲームを遊んでいた。

 




キャラが一通り揃ったので、現在の席順を載せておきます。この後どう動くのか見ていただけると楽しいと思います。席配置は以下の表を参考ください。

南側--------北側
|08|16|24|32|40|
|07|15|23|33|39|
|06|14|22|30|38|
|05|13|21|29|37|
|04|12|20|28|36|
|03|11|19|27|35|
|02|10|18|26|34|
|01|09|17|25|33|
|入り口|

--------
1列目
7:勝又 星矢
8:春山 光
--------
3列目
19:笹田 光
20:永見 間穂
21:瀬尾 孫左衛門
--------
4列目
30:篠宮 真衣
31:高瀬 美歩
--------
5列目
36:愛川 明莉
37:飯沼 雅尚
38:不知火 優子


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