うつけが斬るっ! (例のサーモン)
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プロローグ

はじめまして、例のサーモンと申します。
アカメが斬るを見ていてどうしても書きたくなったので初投稿です。
原作改変は一部のみで、原作は出来るかぎり違和感のないようにしていきたいです。
一部の改変・・・?サヨとイエヤスが生きててもいいじゃないか!という思いから
この作品となりました。。。。


 

 

丹波亀山城においていよいよ出立という時。

決意を胸に秘め、将は声を震わせた。

  「・・・時は今。

      雨が下しる

      五月かな

  皆の者。これより出立いたす!

  我等の目的地は・・・

  本能寺である。

  これより天下は・・・この明智光秀が獲るっ!」

 

男が眠りについたその後。

外の物音にて男は目を覚ました。

音の正体は、男には軍兵の進軍の音と思えた。

「・・・お蘭!お蘭はおるか!」

「・・・上様・・・これは・・・」

「・・・お蘭。ただちに物見をしてまいれ」

「・・・ははっ」

「・・・何事でございますか?」

「・・・濃か、そちにも聞こえておろう」

「・・・?これは・・・まさか。」

濃と呼ばれた女性は音の正体を想像し凍りついた。

それは戦の際に聞こえてくる音とまったく同じだったからだ。

そこに物見から帰ったお蘭と呼ばれた将が戻ってきた

 

「・・・上様!軍兵が!軍兵が寺内に侵入しておりまする!」

「・・・うむ、して旗の紋所は?」

「・・・き、桔梗にてございまする」

「じ、十兵衛殿が・・・何ゆえに・・・」

 

「・・・うわっはっはっは!

    やはり光秀めにしてやられたか。

    天下布武を邪魔する輩は家中では光秀と思うていたが」

 

男はもう既に自らの死に場所がここであると感じていた。

であればこそ逃げる事など男の中には存在しなかった。

 

「・・・かくなる上は是非もなし。

    来る者すべて地獄へ道連れへしてくれる!

    濃!そちは侍女らと共に落ちよ!」

男のその言葉は聞くと濃は頭を振り、声を荒げた。

「・・・いやでございまする!

 父方の家は既になく、母方の家の者が謀反とあらば。

 わらわにもう帰るところなどございませぬ」

「殿のお供をさせてくださいませ!

 わらわは・・・わらわは殿にどこまでも

 ついて参りとうございまする!」

 

男は己と共に死ぬと答えた濃を見た。

 

「・・・ふっ・・勝手にするがよいわ

 わしもあとから参るでの

 六道の辻に道を踏み迷うな!

 そして髪を乱さず笑って待っておれ!」

 

「行くぞ、お蘭!!

 光秀が手の者を斬って斬って斬りまくってくれようぞ!!」

 

そう言葉を発した男の顔は死に直面してなお輝きを増していた。

 

「この森蘭丸、地獄まで上様について参りまする!!」

 

「・・・殿、お逃げくだされ。もう、ここまで敵が・・・」

「・・・・・お蘭。これより奥の間に入る。何者であろうと通すな」

「・・・・・」

「そして、頃合いを見て、火をかけい」

「・・・はっ・・」

 

男は火の手の上がる奥の間にて、自らの最後とする事を決めた。

男が舞う。

---人間五十年。

  下天のうちを

  くらぶれば

  夢幻のごとくなり---

男が舞う。揺らめく炎と共に。

 

 

後世において戦国の覇者、魔王と呼ばれる男の最後。

男はその生涯を炎の中で終えた。

・・・だが、最後の瞬間。

大きな光が男を包んだ事はどこにも記載されていない。

 

―――その男の名は「織田信長」

―――これは魔王が見る華蝶の夢。

 




短いですが投稿。
次回ではチョウリさんや、ゴドー大将軍の出番あり?
つたない文章で申し訳ないです・・・
少しでも楽しんでもらえたらうれしいです。


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第一話「帝国と出会い」

初めての投稿でお気に入りにして頂いてびっくりです・・・
感想からミスを指摘頂いたので訂正。ゴドーではなく、ブドーでした。
書きミスすいません・・
ちなみにこの信長はベースは某野望シリーズの信長様ベースです。
帝具に関してはまだ本決まりではないので、なんとも・・・
第六天魔王とか帝具にするとあまりにも俺TUEEEEな気がするんですよね・・・
帝具に関しては感想でご意見、こんなのどうかな?などあればお願いします。


――冷たい土の感触と、瞼を刺す陽の光に信長は眼を覚ました。

 

「・・・・・?」

少し軋む身体を労わるようにゆっくりと起き上がる。

身体を観察すると、多少半覚醒ゆえの軋みは感じたが、それ以上に。

(・・・身体が活力で漲っておる、か・・・)

 

「・・・どうなっておる?地獄とは、こうも生々しいものであったか・・・?」

言葉にし、信長はこの状況から自らがまだ生きている事をある程度自覚していた。

武を嗜む者として自らの生の実感が間違いであるとは思えなかったのだ。

 

「・・・殿!?お目覚めに・・・」

信長が目覚めると横から声が上がった。

「・・・濃、無事であったか・・・。」

振り向くと確かに己と最後まで共に行く、と誓った愛しき妻の姿がある。

どうやら、言葉を最後まで発せなかったのは、泣いているからなのであろう、と

信長は悟った。

 

「濃、泣くでないわ。・・・笑って待っておれ、と申したであろう・・?」

「・・・お待ちを、今しばらくお待ちを・・涙が止まりませぬ・・・」

信長はそれ以上何も言わず、ただ濃姫を抱きすくめた。

「・・・なに、こうしてまた逢えた、それだけで今は十分であろう」

「・・・はい、わらわも嬉しゅう思います、殿・・・」

信長は濃姫を抱きすくめながら、何者かの気配を感じていた。

敵意はない・・・観察するような、出て行きたいけど、出てこれずにいるような

その様な気配である。

「・・・そろそろ、出てきてはどうだ。お蘭?」

様子を伺っていた気配のある場所・・・近くの茂みから声が上がった。

「・・・ひゃっ!!」

「う、上様・・・この森 蘭丸、お目覚めをお待ちしており申した・・・!」

 

茂みから現れたのは、濃姫と同じく己と最後まで共にあった若き将である。

己の目覚めが余程嬉しかったのか、後ろに束ねた黒髪が何度も跳ねていた。

「・・・お蘭、そんな所に居らずとも、こちらに来ればよいであろう」

「・・・・・そうよ、蘭丸。」

(・・・・・・上様、濃姫様、申し訳のうございまする・・・)

このとき、森 蘭丸 18歳。次はもっと上手くやろうと決心するのであった。

 

 

「・・・して、お蘭。状況は如何じゃ?」

信長は濃姫、蘭丸と集まったところで状況を整理する事とした。

(・・・まず、地獄ではあるまい・・・だが、見たこともない草木や動植物。ここはまず、日ノ本はあるまい。)

 

「・・・はっ、どうやら森の中にいるようでございまする。少し行ったところに森の出口があります故、そこから街道に出るのかと、・・・それから上様、濃姫様、これを・・」

そう言ってお蘭が取り出したのは、一冊の書物である。

信長はそれは受け取り、中を開いた。

どうやら、国の中の地図や、街の中にある商店の名や知らせが乗った書物である。

それを読み、中身を理解しながら、信長は先ほどからの違和感に気付いた。

 

「・・・お蘭。それにお濃。この書物の内容、そなたたちもこれを理解できるのか・・・?」

 

「・・・殿。わらわも理解できるでございまする」

「・・・上様。蘭丸も理解できておりまする・・・」

どうやら二人とも少しの不可思議さを感じておるようだ、と信長は感じた。

すでに信長の中にはある程度の仮説が出来上がっていた。

 

「どうやら、我らは理由は分からぬが日ノ本以外の土地へ何者かによって

 連れてこられたようであるな・・・。」

 

「・・・!殿、そのような事が・・・?」

「信じられぬであろうが、見たこともない草木に動植物、なによりも見たこともない文字を理解できるこの不可思議な状況。

 そもそも本来であればここは地獄でなければならぬ筈。

 だが、生きておるであろう。なれば、この状況は人の身に在らぬ何者かの手によって連れてこられたと考えるのが道理であろう?」

信長がそう言うと蘭丸、濃姫は少し考える素振りを見せた。

先に声を発したのは蘭丸であった。

 

「・・・上様の仰られる通りであると思いまする」

 

「この森 蘭丸。上様の仰られた通り、不可思議な事に心当たりがあるのです。

 見たこともない、聞いたこともない知識が分かるようになっているのでございまする。

また、蘭丸は今、感じたこともない程に、身体に力が漲っているのでございます」

 

信長は一度、首を縦に振った。

蘭丸の言には自らが感じていた身体から沸いてくる力と同じに思えたからであった。

 

「・・・上様、わらわも上様と同じく思いまする。

 何か頭の中から色々と知らない知識が出てくるのでございまする。

 蘭丸の言にも、心当たりが有りますれば」

 

己の意見に蘭丸、濃姫の意見が一致したところで信長は頷いて見せた。

状況の把握に意見が一致したことで今後のことに関しても組みやすいと感じたからであった。

 

 

「まずはこの森を抜けるとしよう。・・・お蘭、確かこの森の出口の先には“街道”とやらがあるのであったな?」

先ほどの書物で読んだ知識を脳裏に浮かべ、信長は蘭丸に言を求めた。

 

「そうでございまする、少し歩いた先に出口が。道の先には“帝国”と呼ばれる国があるとのことでございまする」

 

蘭丸は先ほどの偵察の際、街道の先にある存在を見つけていた。

異常なほどの視力であるが、蘭丸も最初は見間違いかと思ったが、何度も確認した為、報告したのである。

 

「・・・殿、森を抜け、“帝国”を目指すのでございますか?」

信長は濃姫を見た。

濃姫の姿は揺ぎなく凛々しい程であったが信長には分かった。

無理をして強がっているのだ、と。不安を隠しているだけであることに

信長はその不安でおびえる濃の姿を見てとれた。

 

 

「・・・濃、共にきてくれるか?」

だからこそ、信長は濃の眼を見て、問うことだけに留めた。

ここでただ甘えるだけの女はこの信長の妻に非ず、共に歩んできた妻を信じての問いであった。

 

「・・・わらわにはもう帰るところはございませぬ、ただ殿の傍で、殿と共にあれば濃はそれだけで充分でございまする・・・!」

 

濃もまた、信長の問いを聞き、心を振るわせた。

信長の問いが、信長の心が、自身を心配してのものであることに気付いたからであった。

 

この間、蘭丸はかなりの勢いで気配を消し、音を立てずにいた。

(・・・・・この森 蘭丸、二度は失敗はおかさぬ・・・!!)

森 蘭丸 この時、18歳。力の使いどころを間違っている、とは思わずに全力で様子を見守るのであった。

 

「・・・ふむ、お蘭。森の出口とやらはあそこであるな?」

蘭丸が頷くのを見て、森の出口に視線を戻す。

(・・・どうやら、罠である気配はない、か・・・)

罠であれば、視界の狭い森で奇襲をかけるが道理。平野に出てからの奇襲では効果は薄い、ここらで仕掛けるのが頃合であろう、と信長は踏んでいた。

 

「・・・お蘭。他に気配は何か感じるか?」

「・・・いえ、何も感じませぬ」

 

(どうやら、我等をここに連れてきた者は少なくてもここで我等を討つうもりはないと見える、か・・・)

 

信長は自らの考えを改めた。

(・・・であれば、我等に何かを求めているのであるか・・・?)

 

「・・・ふむ、油断はならぬが、ここでの奇襲はどうやらないと見える。お蘭、濃、森を抜け、道の先。“帝国”とやらを目指す。よいな!」

 

 

そう言って蘭丸、濃を見る。

二人を見る信長の顔は笑っていた。

二人のよく知る、民と共に笑い、天下統一を目指した二人が愛する主がそこにいた。

 

――-――-――

 

「・・・上様、我等を狙う気配などは感じられません」

「・・・ふむ、物見ご苦労であった」

 

(蘭丸の言っておった“帝国”とやらはあそこか・・・)

不可思議な程漲る力のせいか、異様に良くなった視力で“帝国”を見つめる。

(このまま、“帝国”に行くべきであろうか・・・?)

 

信長が考えを纏めようと思案したとき、小さく馬の嘶きが耳朶を触った。

 

「・・・!?殿、今のは・・・?」

「・・・濃も聞こえたか。お蘭!」

信長は蘭丸の名を呼んだ。

「・・・はっ。直ちに行って参りまする!」

信長の意を汲み。蘭丸が音の元へ、駆けていく。

 

数瞬の後、蘭丸が駆け戻ってきた。

「戻ったか、して。何事であったか?」

「上様、馬車と思われるものが賊に襲われているようです。まっすぐこちらに向かっております」

 

信長の耳からも蹄の音が近くなってきているのが聞こえている。

「・・・して、馬車とやらに人は乗って居るのか?」

「はい、馬車は未だ健在でございまする」

 

(このまま見捨てるよりは助けに入るのが“帝国”とやらに入る際によいであろうな・・・)

信長は考えを纏めると腰に携えた刀の鍔に手をやった。

「では、一つ賊狩りをいたすぞ。いくぞ、お蘭。ついて参れ!!」

「・・・はっ、上様はこの森 蘭丸がお守りいたしまする!」

 

――-――-――

「帝国の政治は堕ちていく一方だな・・・」

 

男は内政官として地方の様子を見て回ってきた。

地方の貧困は進んでいく一方である。

貴族が私腹を肥やし、その一方で守るべき民は弱者とみなされ、蔑まれ、貧困に喘いでいる。

今や、帝国では貴族がお遊びと称して地方の民を虐殺し、それが問題にすら上がらない。

地方を回ってきた男は内政官として自分があまりに無力であることが悔しくてしょうがなかった。

 

「少しでもこの狂った帝国を立て直さなければ・・・・」

男・・・チョウリは決意を口にし、妻の待つ帝都へと急ぐことにした。

帝国の闇を地方を回ることで見続けることになり、精神的に疲れていたのである。

妻と会うことで、心に安らぎを得ようと考えたのであった。

 

 

そうしてもうすぐ、帝国という所でチョウリの乗った馬車は賊の襲撃を受けた。

急ぐがあまり、安全な道から、少し外れてしまったのか・・・?

チョウリの乗った馬車は本来、賊の通らない道を選んで通っていたはずである。

チョウリの疑問は解決する間もなく、賊の襲撃は激しさを増してきていた。

 

「・・・!チョウリ様!お逃げくだ・・・」

馬車を運転していた従者の首が賊の剣により、宙に舞った。

「・・・くっ、私はまだ死ぬ訳には・・・」

「・・・あんたがチョウリとやらかぁ・・・?恨んでくれて結構、さっさと死んでくれよなぁ」

賊の剣がチョウリの首へと奔る。

「・・・くそっ、だあぁ!」

チョウリは馬車から飛び降りることで死を回避した。

首へと奔る筈の剣はチョウリの左腕を掠めるにとどまった。

「・・・へぇ、かわしたか・・・?少しは楽しめそうだなぁ、おい」

賊が血の付いた剣を舐める。

チョウリは自分が狙われていることに気付いた。

 

「・・・い、いったい誰の差し金だ・・・・?」

賊が笑う。

「教える訳ねーだろ、でもまぁ、あんたちょっと出すぎたってコ・ト。

 お偉いさんに目付けられて可哀想ったらないわな」

チョウリは逃げようとし、身体が動かない事に気付いた。

「あぁ~、きづいちゃったか、なぁ、おい。神経毒だからな、しばらくは動けないぜぇ・・・俺は人間の肉が大好物でね。何より生きたまま、活きのいいうちにすこしづつ食べるのが一番旨いんだよ。んな訳でさ、わ・・・」

 

賊が話しているその最中、賊の仲間の身体が真っ二つに割れた。

(・・・一体、何が・・・・助けが来たのか・・・?)

「あんだぁ・・・何者だぁ!おい、てめぇら!」

「頭ぁ・・・!敵だぁ、グエンの奴、真っ二つにされちまったぁ!!」

 

賊の首はまた一つ、舞う。

二人の夜叉がチョウリの視界へと現れた。

 

「あんだぁ・・・なんだ、お前ら。俺を誰だと思ってやがる!てめぇら、囲んでやっちまえ!!」

賊の頭の言葉に、周りの賊が一気呵成に二人の夜叉へ向かう。

 

「上様・・・ここはこの森 蘭丸めにお任せを・・・!」

「・・・ほう、お蘭。では、任せるぞ。」

「・・・はっ。賊どもよ、織田家家臣、森 蘭丸が推して参る!!」

チョウリの視界から若き夜叉が消え、その瞬間には周りの賊の首が全て宙に舞っていた。

(い、いったい、これは・・・?助けにきてもらったようだが・・・)

帝国の軍ではない、見たこともない姿の青年が剣を振るったのであろう。

周りにいた賊の首が今、チョウリの前で美しさすら覚える程にその全てが宙に舞っていた。

 

「なっ・・・・!おい、てめぇら、一体なにしやがった・・・!」

“頭”と呼ばれていた先ほどの賊が驚愕の声を上げる。

チョウリの前で、もう一人の夜叉が初めてその声を上げた。

 

「・・・何、歩いておったら貴様らが馬車を襲っているのを見たのでな。

 この身体の力も試してみたいと思っていたところだ、貴様ら賊なら討伐しても文句はでまい?」

「なっ・・・てめぇら、ふざけやがって・・・・!」

賊が怒りを表しいると、先ほどの若き夜叉がもう一人の夜叉に配下の礼を示し(少なくともチョウリにはそう見えた)、声を出していた。

 

「上様・・・!なにやら、この力、まだまだ先があるようにおもいまする・・・」

 

「・・・ふむ、よい。お蘭、この者の相手はわしがする。そこの御仁を、保護しておけ」

「・・・はっ」

もう一人の夜叉が剣を抜く。

その瞬間、チョウリは襲い来るプレッシャーに、戦慄すら覚えた。

自身も多少は武を嗜む身であるからこそ、分かる圧倒的なまでの差。

 

「・・・これほどまでのプレッシャーなど、ブドー大将軍のようではないか・・・・」

チョウリが声を上げた後、若き夜叉がチョウリの元へと来ていた。

「お怪我はよろしいですか?私は森 蘭丸。上様の命により、貴方を保護いたしまする」

チョウリには先ほどの剣さばきが夜叉のように見えていたが、間近で見る蘭丸という青年はその顔立ちの良さよりもその覇気、帝国の将軍級とも思える事にチョウリは驚いた。

(あながち、夜叉という表現も間違いではなかったのか・・・)

 

「・・・私はチョウリ、蘭丸殿でよろしいか?かの御仁は一体・・・?」

チョウリは今、賊と対峙している信長の事を蘭丸に尋ねた。

「チョウリ殿、あの方は私がこの生涯を賭してお仕えする方でございまする」

蘭丸が信長の名を出そうとするその時、信長と対峙していた賊はプレッシャーに耐えかねたのか、剣を振り上げ、信長へと飛び掛った。

「・・・・!だあぁぁ、邪魔すんじゃねぇよぉ!死にやがれぇぇ!」

「・・・・・・是非もなし。我等に会ったのが貴様の不幸であった」

 

 

チョウリには信長が何をしたのかすら見えなかった。

気付いたときには賊が4分割になっていた、というだろう。

 

――まるで夢幻のようで

――その強さが帝国を切り拓くように見えた

 

 

横から蘭丸殿の声が響く。

「あの方が我等が主君。織田信長様です」

 

 

――その声はチョウリの耳朶に波打つように響いていた。

 

 

 

 

 

 




という訳で勢い任せに第一話です。
お気づきの方もいらっしゃるかと思われますがまだ、原作の数年前からスタートです。
あまり、原作では過去について語っていない?(いや、実は作者はアカメが斬る!0をまだ読んでいない)ので、手探りスタートですが原作のイメージを壊さないよう、頑張っていきたいなぁ・・・とか思ってます。
というか、すいません。まだ、帝国の闇すら信長達は触れていないです。どうしてこうなった・・・
ブドー大将軍も今回は出番出せず、いや、次回は・・・怪しいので第3話くらいまでには・・・・
一応、ある程度のプロットは練ってあるのですが、まだまだ初めてばかりで作者自身手探りなのでお目汚しは本当すいません。
少しでもかっこいい信長様ご一行がこの世界で頑張れるように書いていきますれば!
感想にお気に入りしてくれている方、本当に感謝、感謝です!!



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第二話「帝国の闇」

ようやく第二話です。
言葉使いなど、設定を形作るのに手間取っております・・・
一応、感想も頂いております!有難うございます。
感想の返事や、今後の展開、信長達の帝具などアンケートも募集しておりますので、
活動報告もよろしくお願いいたします。
お気に入りしていただいた方、感想をくれている田中田中様。
いつも有難うございます!


「改めて礼をさせてくだされ。私はチョウリ。

 帝都で内政官の末席を担う者です。」

そう言って、顔を上げる。

若き将は自らの主君の横で臣下の礼を崩さずに取っている。

 

「なかなかどうして気持ちのいい御仁であるか」

そう言ってチョウリの前に歩いてきたのは先程、若き将に主君と呼ばれていた男だ。

男はチョウリの前に手を差し出した。

 

「わしは織田信長。チョウリ殿と申されたな。貴殿を助けられた事、嬉しく思うぞ」

その手を取って、立ち上がる。

「・・・信長殿でよろしいか?私も信長殿に出会えた事を嬉しく思いますぞ」

固く、握手を交わす。チョウリにはこの出会いに何故か運命に近いものすら感じていた。

 

――――--―――

三人は馬車が動かない事を確認すると移動することにした。

その際、信長は蘭丸と共に賊達の死体を集め、穴を掘り、そこに死体を埋めていた。

チョウリを手伝いを申し出たが、信長は腕の怪我を指摘し、

「養生なされ。」と残し、手伝いを断った。

余談ではあるが、チョウリの親密度もまた、この事で上昇した。

 

賊の死体も済んだところでチョウリは声を上げた。

「信長殿に蘭丸殿。よければ、帝都まで一緒に来ませぬか?

 是非ともこのお礼をしたいのですが・・・」

チョウリの言葉を聞き、また信長も自身の予想通りに事が進んでいる事に

喜びを感じていた。

「嬉しい言葉である、チョウリ殿。ただ、連れがもう一人いる為、暫し遠回りに

 なるが、付き合ってもらえるだろうか?」

チョウリは肯定の意を示した。

「えぇ、もちろん構いませぬ。そうとあれば、急ぎましょう。最近は夜も近いので」

 

―――--―――

 

信長達が駆けてきた道を戻ると、不安そうに佇んでいる濃姫がそこにいた。

「・・・待たせたな。濃。変わりはないか?」

信長の姿を見た濃は満面の笑みを浮かべ、信長の胸の元へその身を投げた。

「・・・お待ちしておりました。何も変わりはありませぬ・・・」

 

「・・・・・・」

息を殺す蘭丸である。その表情は先の戦闘よりも全力のようだ。

「・・・・・・!?」

(・・・蘭丸殿が、何やら鬼気迫っているような・・・・)

このチョウリ、蘭丸の姿を見て、声を出さず空気を呼んだ。出来る男である。

 

―――-――――

 

「信長殿、ここをくぐると帝都です」

道中、美しい女性が信長の妻、濃姫と紹介されるなど。

チョウリの理想とする艶やかかつ一歩引いて主人を支えるその姿に少しの嫉妬すら

覚えたが、チョウリは信長に敬意すら感じていた為、悪感情はすぐに消えた。

 

そうして、門をくぐると覚えある風景が広がる。

(なんとか無事帰ってこれたか・・・)とチョウリは胸を撫で下ろした。

 

「・・・あの、チョウリ殿。ここが"都”なのですか・・・?」

濃は道行く人々の活気のなさに驚いた。

濃が知る都とはあまりに活気や、雰囲気が違ったためであった。

(・・・誰もが下を向いている・・・?嫌な気配のする人間のみが活気であふれているなんて・・・)

「・・・やはり、分かりますか・・・」

チョウリは三人の表情を見、悟った。

「チョウリ殿、ここではなんであろう。場所を変えて話されぬか?」

「・・・信長殿・・・少し行けば迎えが来ているのです。後は私の家にてお話しましょう・・・」

 

信長がチョウリを促すと、もう一度、周囲を一瞥した。

「・・・民を知らぬ国であるか・・・」

「・・・・・・」

チョウリは信長の言葉に胸を打たれた。

その一言は短くとも、チョウリには国を知る者の”重さ”を感じる一言であった為である。

 

(・・・信長殿はやはり・・・人の上に立っておられた方のようだな・・・)

チョウリは自身の家で帝国の今の現状を伝えようと、深く誓ったのである。

 

―――--―――

「・・・では、信長殿達は遠くから気付けばあの森へいたと・・・?」

チョウリの家に着き、信長達を部屋へ案内したチョウリは信長達の話を聞くことにした。

家に着き、部屋に案内するまでの一悶着があった為である。

(信長達が家に着き、靴を脱ぐべきか悩んでいる事に気付いたチョウリがさりげなく、

フォローしながら部屋に誘導していた。文化の違いから一度、信長達の話を聞いてみようと思ったのである)

「うむ、チョウリ殿の思われている通り、わしや蘭丸、濃はここには初めて参ったのだ」

 

「では、あそこで会えたことは何か運命的なものを感じますな」

そうチョウリがいうと、部屋の中が少し明るくなった。

「なるほど、チョウリ殿で巡り合えたのは天命であるかもしれませぬな」

そう蘭丸がいうと、信長もまた、笑い声を上げた。

「うわっはっはっは!よういった、お蘭。確かに言うとおりじゃ。天命とは実に面白い言い回しじゃ!」

場の空気が暫し和んだ後、チョウリは言った。

「信長殿。今日のお礼に何か私にできる事はないだろうか?何でも遠慮せずに言ってほしい」

「心使い痛み入る、チョウリ殿。わしらはまだ、この国の事、常識もまるで知らぬ。

 なればそこをチョウリ殿に教えてほしいのだが、頼めるであろうか?」

信長の言った事は半分、嘘だ。

あの森での目覚めの時、三人には膨大なこの世界の知識が流れてきていた。

しかし、まだその知識を咀嚼しきれていない為、信長はチョウリから情報を聞こうと思ったのである。

信長がチョウリを信じるに値すると思ったからこその言であった。

 

「その程度の事ではお礼の内にも入りませぬぞ。信長殿。

 お礼はまた、次の機会に持ち越しておきましょう。信長殿を驚かせてみたいですからな!」

 

そうチョウリがいうと、信長達もまた、笑みを見せた。

チョウリのその心の気持ちのよさに感じ入るものがあった為であった。

 

 

「・・・皆様はこの国をご覧になっていかが思われましたか?」

信長達にこの国の常識などを教えはじめてから、数刻の後。

チョウリは自らの憤りを隠さぬまま、信長達に問うた。

 

「・・・チョウリ殿は“国”とはなんであると思われるか?」

信長はあえて問いに問いで返した。

チョウリの心が今の帝国に憤りを感じていることが見て取れたからであった。

 

「・・・信長殿・・・・」

「・・・わしは国は民あってこそのものであると思う。国を栄える為、発展を促す。

 国を発展させる為、戦を起こす。だが、民がいなければ国は成り立たぬ。

 民を知らぬ国はいずれ滅ぶ、わしはそう思う」

チョウリは思わず、顔を上げた。

望んでいた“王”の言葉がそこにはあったのだ。

「・・・信長殿。あなたは・・・」

チョウリがその先を紡ごうとしたその時、

――――音が消えた。

「・・・上様・・・」

「・・・うむ、お蘭。・・・敵か。」

「チョウリ殿。この屋敷には奥方は在宅か?」

チョウリもまた、嫌な気配を周囲に感じはじめていた。

「いえ、妻は実家で療養をしております、信長殿。これは・・・」

大きな音が外から響いた。

鉄が無理やり裂かれたような音・・・門が破壊されたのだ。

そのイメージは容易にチョウリにも想像できた。

 

「チョウリ殿、どうやら先程の続きのようだ」

そう言って信長は立ち上がった。

 

「・・・うむ、これもまた天命というのであろうな。濃よ。

 チョウリ殿をお守りしろ!」

濃姫は一度、信長を見ると背に持った薙刀を構えた。

 

「・・・行くぞ、お蘭。天命とやらだ、斬って斬って斬りまくろうぞ!」




ちょいと短めですがここで一旦区切らせてもらいます。


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