仮面ライダー鎧武~アナザー・エンド~ (榛野 春音)
しおりを挟む

もう一つの始まり

どうもSAOの二次でご存知の方もいらっしゃると思いますが、榛野春音です!
先日、仮面ライダー鎧武が最終回だったのでこの話を書いてみることにしました!!

それでは、もう一つの鎧武をお楽しみください!!


 

 

紘汰が世界を救い、仮面ライダー鎧武という一つの物語が終わる。

 

蛇ことサガラは、異空間の中でその最後を見届けた。

貴虎、光実、凰蓮、ザック、城乃内、の五人が笑顔でコウガネを打ち負かした余韻に浸るのを目を細めて眺める。

 

そして、ふとその世界の裏側を覗きこんだ。

「おいおい・・・・」

その世界は、言わばパラレルワールド。もう一つの鎧武の世界だ。

しかし、そこは運命を決める戦いはおろか、まだライダーすらいない世界だった。

「やれやれ・・・・仕方ない」

そう呟くと、サガラはそのもう一つの世界に飛び込んだのだった。

 

 

 

 

 

 

沢芽市に春の風が吹く。

今日から自分も三年生だと思うと、少し胸が躍る。

沢芽高校三年生の剣山 恵(つるぎやま めぐみ)は、スウッと息を吸って新しい教室に踏み込んだ。

 

 

 

三年生の教室は、四階建ての校舎の最上階で一番見晴らしの良い場所だ。

学校自体が丘の上にあることもあって、窓からは沢芽市が一望できる。

 

新しい自分の席に荷物を置くと、突然声を掛けられた。

「おはよっメグ!」

振り返ると、そこには笑顔の少女がいた。

親友のマイだ。

「おはよマイ。マイも三組?」

「そうだよ。また一緒だね!」

すると、マイの背後から二人の男子が現れた。

「おっ?メグも三組か」

「やったじゃん!俺達四人また、一緒だ!」

ザックとペコだ。

メグミ、マイ、ザック、ペコは幼稚園からの幼なじみなのだ。

休み明けでひさびさということもあり、メグミ達は他愛もないトークに花を咲かせた。

 

暫く話していると、チャイムが鳴った。

それと同時に一人の長身の男性が教室に入ってくる。

「皆さん。ボンジュール!」

去年担任だった凰蓮先生だ。

オネェっ気のあるフランス語の挨拶にクラスメイト達は、苦笑い気味に挨拶を返す。

「去年一緒だった皆さんに取っては、残念かも知れないけれど。今年このクラスの担当になりました保健体育科の凰蓮です!一年間よろしく」

 

マジか・・・・また凰蓮のオッサンか。

近くでザックがそんな呟きを漏らす。

ペコもどこかドンよりとした様子である。

「それでは、皆さん!これから全校集会がありますから、体育館に移動してください!それでは、皆さん後程!」

そう言って、凰蓮先生は教室を後にした。

先生が去ると、クラスメイト達がノロノロと移動を始めた。

メグミもマイ達共に体育館へと移動した。

 

 

 

×××

 

 

凰蓮が職員室に戻ると、丁度五分間の職員朝礼が始まるところだった。

慌てて、凰蓮が自分の席に戻ると隣から声がした。

「遅いですよ凰蓮先生」

さっぱりとした口調にちょっぴり笑みを浮かべた教師がこちらを向いている。

国語科のシドだ。

すると、更にその隣から声がする。

「まぁ。そう言わないで。凰蓮先生はアナタと違って、今年も担任で忙しいのよ?」

笑いつつも少しトゲのある物言いをするのは、英語科のミナトだ。

シドは、ミナトの言葉に首をすくめる。

ミナトがフフっと笑いを漏らすと、その背後から咳払いが聞こえた。

「ミナト先生、シド先生。始まりますよ」

そう言って、半分垂らした前髪を払うのは、化学科のリョーマだ。戦極先生とかリョーマ先生とか呼ばれている。

 

その時、前方の席から校長の声がした。

「皆さんおはようこざいます。新学期が始まるにあたり、新しい教員の方をご紹介します。・・・・呉島先生どうぞ」

校長の合図で、一人の男性が職員室に入ってくる。年齢は、三十代前半ぐらいだろうか?かなりのイケメンだ。

男性教員は、教職員達の前に立つと一礼し一言。

「天ノ川学園より参りました呉島貴虎と申します。社会科担当です。よろしくお願いします」

 

挨拶の後、呉島は指定された席に移動した。

それを確認し、校長は次の話をするべく、二つのアタッシュケースを机に並べた。

「皆さんご存知と思われますが、最近沢芽市とその近辺でインベスと呼ばれる凶暴な生物が確認されています。そこでこの度、政府より対インベス戦闘用スーツ、アーマードライダーシステム[戦国ドライバー]がこの本校に二人分導入されることとなりました」

そう言って、校長は二つのアタッシュケースを開いた。

そこには、黒いベルトのバックルのようなものとフルーツのオブジェクトが付いた錠前がそれぞれ一つずつ入っていた。

 

ほぉ

 

と教員達が声を上げる。

校長は続けた。

「そして、理事会との選考の結果、これを使用していただくのは、凰蓮先生と新任の呉島先生ということになりました。お二人にはそれぞれ格闘技の経験がおありということですので、適任かと?・・・・お二人とも前へ」

そう言われて、凰蓮はおっかなびっくり前に出た。

呉島と凰蓮が前に出ると、校長は二人の前にアタッシュケースを並べる。

「お二人には、生徒の安全を第一に戦って頂きたいのですが、・・・・よろしいですかな?」

少しの間を取って、凰蓮は言った。

「おまかせ下さい!大事な生徒はわたくしがキチンとお守りいたします!それがわたくし体育教員のもう一つの責務と存じますわ!」

それにあわせて、呉島も頷いた。

「私も引き受けましょう」

二人の返答を聞いて、校長は満足そうに頷くと二人に戦国ドライバーと付属のロックシードを手渡した。

 

凰蓮は、ドリアン。呉島は、メロンのロックシードを受け取った。

 

 

 

 

 

 

 

ようやく新学期最初の学校が終わり、メグミ達は帰路についていた。

「リョーマの授業相変わらず、難しいよな~」

ペコが愚痴を零すと、ザックが笑って頷く。

部活に入っていない四人は、いつものようにそれぞれが分かれるポイントに着く。

「それじゃ、また明日な」

ザックのセリフで四人がそれぞれに手を降ってわかれた。

別れ際にマイが思い出したように言った。

「そういえば、最近インベスが出るみたいだし、みんな気をつけてね?」

その言葉にメグミも返す。

「そういうマイも気をつけてね?」

「うん。ありがと」

 

 

 

それから、ゆったりと自宅へと帰路を歩く。

今日の晩御飯は何だろうなぁ~。

そんなことを考えていると、不意に頭痛が起こる。

 

っ!

 

すると、脳裏に白銀の鎧にフルーツの描かれた胸当てをした侍風の戦士がよぎる。

「何?・・・・今の・・・・」

そして、再び頭痛。

 

今度は、その戦士と戦う赤と黄色の騎士風の戦士が見えた。

「これ・・・・は?・・・・っ!痛い」

三度目の頭痛では、さまざまな戦士達が次々に見えた。

 

頭痛が止み、メグミは思わずその場にへたり込んだ。

「なんなのよ・・・・」

そう呟いた時、

「それは、もう一つの世界の記憶」

突然に声を掛けられ、メグミは顔を上げた。

そこには、黒い衿付きのジャケットを着た若い男性がいた。

「え?」

メグミは、意味深長な男性の言葉に首を傾げた。

すると、青年は一つのアタッシュケースをメグミに投げてよこした。

そして、

「君にこの世界の運命をねじ曲げる覚悟があるのなら、そいつは必ず君に力をくれる。・・・・使い方は、君次第だ」

そう言うと、青年は空気に溶けるようにして消えていった。

「え?え?ええ!?」

夢でも見ているような不思議な現象にメグミは、慌てる。

どうしてよいか分からず、ひとまずアタッシュケースをあけてみる。

そこには、黒いベルトのバックルのようなものとオレンジフルーツのオブジェクトが付いた錠前が入っていた。

「・・・・これって、さっきの戦士達が持ってたやつ・・・・」

 

すると、急に背後から低いうなり声が聞こえた。

反射的に振り返ったメグミは思わずのけぞった。

「いっインベス!」

そこにいたのは、全身が青みがかった角のあるインベスだった。

確か、ニュースではかなり危険な部類だと言っていた。

 

逃げなきゃ!

 

そう思ったが、突然の出来事に足が竦んで動けない。

 

その時、

「お待ちなさい!相手はわたくしよ!!」

そう叫び、メグミとインベスの間に一人の男が飛び込んで来た。

「凰蓮先生!」

メグミの叫びに凰蓮は、ニコリと微笑む。

「任せて頂戴!」

言うなり、凰蓮は戦国ドライバーを取り出した。

メグミは、気づく。それが自分が手にしているバックルと同一のものということに・・・・

凰蓮は、戦国ドライバーを腰に装着すると、ドリアンロックシードを取り出して構えた。

「変身!」

《ドリアーン!!》

凰蓮が開錠したロックシードから電子音声が響く。

それと同時に凰蓮の頭上に固有クラックが展開され、ドリアンのアーマーパーツが姿を現す。

凰蓮は、ドリアンロックシードを戦国ドライバーのくぼみに装着した。

《LOCKON!》

電子音声の後、ロック調の曲が流れだす。

凰蓮は、ポーズを取ると、戦国ドライバーのカッティングブレードでロックシードをスラッシュした。

《COMEON! ドリアンアームズ!ミスターデンジャー!!》

音声と共にアーマーパーツが凰蓮にかぶさり、バトルスーツが凰蓮を包む。そして、直ぐにアーマーパーツが展開し装甲と化した。

「え!?」

メグミが驚く前で、凰蓮は両手に握られているドリノコを構える。

「さぁ!インベス!かかってきなさい!」

 

インベスが直ぐに向かってくる。凰蓮がそれを迎え撃つ。

二刀流のドリノコがインベスに次々にダメージを与える。

 

グフェェ!

 

インベスが呻き声を上げる。

「喰らいなさい!教師の一撃!!」

そう言って、凰蓮が飛び上がりドリノコを構えた。

が、スーツの力をコントロールしきれなかったのか無駄に大きく飛び上がってしまう。

「あららららら!!」

インベスを飛び越えた凰蓮は、着地に失敗し地面に叩きつけられた。

そこにチャンスとばかりにインベスが反撃を開始した。

インベスの爪がドリアンの装甲を斬りつけ、火花が散る。

「NOooo!!!」

凰蓮は、攻撃のタイミングを失いやられるがままになっている。

「先生!」

メグミがつい声をあげた時、脳裏に作業の男の声がよぎる。

 

使い方は、君次第だ。

 

ふと、手にしている戦国ドライバーとオレンジロックシードを見る。

凰蓮は、この戦国ドライバーで変身した。なら、自分にもできるのではないか?そんな疑問がよぎる。しかし、その一方でインベスに対する恐怖の感情が芽生える。

見れば、凰蓮はもうボロボロだった。

時間が無い。

逃げるか・・・・戦うか・・・・。

 

すると、再び頭痛。

脳裏に白銀の侍戦士がよぎる。その戦士が言った。

『戦える力があるのに、何もしないなんて俺には出来ない!!いくぞ! ここからは、俺のステージだ!!!!!』

 

その言葉にメグミは、決心した。

「私も戦う!戦える力があるのに何もしないなんてイヤ!!」

そう叫び、戦国ドライバーを腰に装着した。

そして、オレンジロックシードを開錠。

《オレンジ!》

固有クラックが頭上に展開され、オレンジのアーマーパーツがゆっくりと降りてくる。

 

顔は見えなかったが、ビジョンで見えた青年を思い出しながらオリジナルのポーズを取り、ロックシードをドライバーにセットする。

《LOCKON!》

そして、メグミは素早くカッティングブレードでロックシードをスラッシュした。

《ソイヤッ! オレンジアームズ! 花道オンステージ!!!!》

アーマーパーツが展開し変身が完了する。

 

それを見た凰蓮が声を上げる。

「メグミちゃん・・・・あなた・・・・」

メグミは、右手に握られたダイダイマルを構える。

そして、こちらを振り返ったインベスに向かって叫ぶ。

 

「ここからは!私のステージだ!!!!!」

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アーマードライダー

最近、変身の音声が違うとのご指摘をよく頂きます(笑)
ですが、タグに オリ設定 と書きましたので、少々のことは片目閉じていただけたら幸いです!

それでは最新話をお楽しみください!!


 

 

オレンジアームズを纏ったメグミは、向かってくるインベスをダイダイマルで一閃。

火花が散り、インベスがのけぞった。メグミは、素早く腰にある無双セイバーを抜き放つ。そして、のけぞったインベスにもう一撃。

今度は、インベスが吹き飛んだ。

メグミは、無双セイバーのレバーを引いて銃撃を放つ。

数発がインベスにヒットし、更なるダメージとなる。

メグミは、先ほどのビジョンを思い出しながら、次々にインベスを攻撃する。

そして、

無双セイバーを腰に差しなおし、ダイダイマルを構え直すと、ドライバーのカッティングブレードを一度だけスラッシュした。

《ソイヤッ! オレンジスカッシュ!!!》

電子音声の後、ダイダイマルにエネルギーが充填されるのが分かる。

エネルギーが十分にたまったところで、メグミはダイダイマルをインベス目掛けて大きく横降りした。

 

すると、横降りに合わせてオレンジの斬撃エネルギーがインベスに飛翔し直撃する。

 

グエエエェェ・・・・

 

弱々しい呻き声を上げたインベスが倒れる。

刹那。

爆音とともにインベスが爆発し、跡形もなく消滅した。

 

 

勝った。

 

 

そう思ったら、不意に力が抜けてへたり込んでしまった。

メグミは、ゆっくりとロックシードのフルーツパーツを閉じると、変身が解除された。

そこへ足を軽く引きずりながら、変身を解除した鳳蓮が歩みよって来た。

「先生・・・・」

メグミが呟くと、鳳蓮はそっとメグミの頭を撫でた。

「いいのよ。事情は、明日にでも聞くわ。だから、今日はお帰りなさい。家まで送るわ」

そして、メグミに肩を貸してくれた。

 

 

 

×××

 

 

 

翌日の昼休み。

相談室に呼ばれたメグミは、鳳蓮と新任の呉島を前に固くなっていた。

「メグミちゃん。肩の力を抜いてちょうだい」

鳳蓮は、そう言うと組んでいた筋肉隆々の腕をといた。

「昨日何があったの?」

メグミは、思い切って全てを話した。

 

頭痛によるビジョンのこと。ドライバーをよこした男のこと。

 

全て聞き終えた後、呉島が言った。

「そうか・・・・しかし、かと言って君を積極的にインベスとの戦闘に巻き込みたくはないな」

鳳蓮も唸る。

「そうね。でも、そのドライバーを預かればせっかくの危険回避の術を失う事になるわ」

「ならば、ひとまずは自分の身を守る為の護身用として持たせておきましょう。・・・・剣山さん。極力そのドライバーを使わないように生活してくれ。流石にそのドライバーは生徒が扱うにしては危険すぎる」

すると、メグミは言った。

「はい。・・・・でも、それなら誰か別の大人に使って貰うと言うのは?」

すると、鳳蓮と呉島は首を振った。

「戦国ドライバーは二種類あるんだが、君の持ってるタイプは最初に付けた者以外使えない仕様になっているんだ」

「まぁ。とにかくそのドライバーで無理に人助けして、危険に飛び込まないでってことよ?OK?」

「はい」

鳳蓮の言葉に頷くと、メグミは相談室から解放された。

 

 

 

×××

 

 

 

教室に戻ると、マイが真っ先に近寄って来た。

「ねぇねぇ。メグミ!これ見て」

そう言ってスマホの画面を見せてくる。

それは、人気DJサガラのネットニュースだった。

そこには、オレンジの装甲を纏った戦士がインベスと戦う姿が映っていた。その隅には変身したまま倒れている鳳蓮先生。

 

私・・・・だ。

 

幸いにして顔は映らなかったが、変身解除した際に制服が映ってしまっていた。

サガラが興奮した様子で喋る。

『この少女はいったい誰なのか!?俺は、このオレンジヒーローの事をアーマードライダー鎧武と呼ぶことにしたぜ!そして、その横にいる緑のライダーはブラーボにしたぜ!次彼女らに出会えるのは、いつなのか?楽しみだぜ!』

 

アーマードライダー鎧武。か・・・・

なんかかわいくないけど、いっか。そもそも装甲はかわいいというよりカッコイイだし、鎧武が似合ってるかな?

 

そんなことを考えてぼんやりしていると、マイが言った。

「ねぇねぇ!これウチの制服だよね?絶対そうだよ!すごいなぁウチの生徒にアーマードライダー鎧武がいるなんて!ヒーローがいるんだよ?ねぇ!すごくない?」

「う・・・・うん!すごいよね。鎧武か・・・・なんかカッコイイね!!」

マイに鎧武であることを隠すのは、少し心苦しいがこの際仕方ない。

マイと鎧武とブラーボについて話していると、午後の始業チャイムが鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

「これを俺達に?」

「こいつって、例の鎧武ってヤツとブラーボってのが変身するベルトだろ?」

そう言って、男から戦国ドライバーを受け取るのは、沢芽高校三年の城乃内と初瀬だった。

二人は、すぐさまドライバーを装着するとそれぞれに与えられたロックシードを開錠した。

 

「「変身!!」」

 

変身を完了した二人は、直ぐに変身を解除するとニヤリと笑った。

「こいつで鎧武とブラーボを倒しちまえば、俺達がヒーローだ!」

「それいいな!」

二人は、そう言って手を取り合った。

それを見て、男は冷たい笑みを浮かべてその場を去った。

 

「どう使うかは、君達次第・・・・さ」

 

 

 

×××

 

 

 

先生に言われた故、危険とは分かっている。しかし、それでもメグミは、この力を自分の為だけに使いたくはなかった。

 

そう考えながら、ポケットにあるロックシードを握りしめた。

 

教卓では、呉島先生が社会科の授業を行っていた。

その時だ。

 

ジリリリリリリ!!!!!!!!!!!

 

警報機の音が校内に鳴り響いた。

するとすぐさま、校内放送が流れた。

『緊急連絡!インベスが校内に侵入しました。生徒諸君は教室からでないように!鳳蓮先生!呉島先生!至急対応に当たって下さい!現在インベスは、三階から四階に移動中!』

そこまで聞いた時、廊下の向こうでインベスの砲口が聞こえた。

呉島が言った。

「皆、教室からでないように」

そして、戦国ドライバーを取り出すと腰に装着する。

クラスメイト達が驚きの声を漏らす。

呉島が廊下に出ると、鳳蓮も丁度現れた。もちろん腰には戦国ドライバーが装着されてある。

廊下側の窓にインベスが映った。

今回は、緑色で長い詰めを持ったインベスだ。

二人の教員がロックシードを開錠した。

《メロン》

《ドリアーン》

固有クラックからアーマーパーツが出現する。

「「変身!!」」

《LOCKON!》

《LOCKON!》

二人は、素早くカッティングブレードでロックシードをスラッシュした。

《ソイヤッ! メロンアームズ! 天下御免!》

《COMEON! ドリアンアームズ! ミスターデンジャー!!》

 

二人の変身が完了すると、クラスメイト達が驚きと興奮の歓声をあげた。

アーマードライダーとなった二人は、すぐさまインベスに飛び交った。

 

インベスが爪で攻撃するが、呉島の持つメロンシールドに完全にブロックされる。そして、すかさず隙をついてブラーボがドリノコ二刀流で攻撃を加える。

 

「いけ!!やっちまえ!」

ザックとペコが声を張り上げる。

メグミは、少しホッとして二人の戦いを見ていた。

 

かなりインベスが弱って来た。

「呉島先生!決めますわよ」

「了解!」

そう言って、二人がカッティングブレードに手をかけた時、突然に突風が巻き起こり、校内の窓ガラスが次々に割れた。

メグミは慌てて、マイと一緒に伏せた。

 

直ぐに顔を上げて驚いた。インベスがもう一匹増えている。今度のは、羽が生えていて、コウモリに似ている。

新たなインベスに呉島が吹き飛ばされた。

「ぐはぁっ!」

「呉島先生!」

呉島を助けようと鳳蓮が立ち上がる。

しかし、爪のインベスに攻撃されて投げ飛ばされた。

「NOooo!!」

呉島と鳳蓮が折り重なるようにして倒れる。

すると、インベス達は、今度は生徒達の方に目を向けた。

呉島が呻く。

「生徒に手を・・・・出すな」

しかし、インベスは聞く耳など持つはずなどない。

ジリジリと生徒達に近寄って来る。

 

誰かが泣き叫ぶ。

と、体が勝手に飛び出していた。

 

メグミは、みんなの前に立つとインベスを睨んで言った。

「今度は、この鎧武が相手よ!」

そう言って、戦国ドライバーを取り出し装着した。

「変身!」

《オレンジ》

《LOCKON!》

《ソイヤッ! オレンジアームズ! 花道オンステージ!!!》

流れるような動作でメグミは、素早く変身した。

 

みんなが絶句する中、メグミは叫んだ。

「ここからは!私のステージだ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

メグミは、ダイダイマルと無双セイバーを構えて飛び出した。

二匹のインベスの攻撃を上手く交わしながら、少しずつ攻撃を与える。

「はぁああ!やぁ!」

 

ギュウゥゥ

グェエエ

 

インベス達が呻く。

その隙を逃さず、メグミはカッティングブレードをスラッシュする。

《ソイヤッ! オレンジスカッシュ!》

無双セイバーに接続することで薙刀モードになったダイダイマルにエネルギーが充填される。

 

しかし、ふと大事なことを思い出す。

 

ここで倒したら、みんなにも被害が及ぶ。

 

すると、立ち上がった呉島と鳳蓮がインベス達をそれぞれ掴んで、叫んだ。

「俺達がコイツらと飛び降りる!」

「そこを狙うのよ!」

「でも!それじゃ先生達が!」

メグミの迷っている仕草に呉島が怒鳴る。

「迷うな!私達は大丈夫だ!!!!!」

「そうよ!大丈夫!おやりなさい!」

言うが早いか、二人はインベスと四階から飛び降りた。

メグミは、意を決して自分も四階から飛び出して、カッティングブレードを更に三回スラッシュした。

《ソイヤッ! オレンジスパーキング!!!!!》

高濃度のエネルギーが一気に充填される。

メグミは二人のライダーが手を離したところで、インベス目掛けて全力の斬撃を放った。

 

そして、

 

物凄い轟音と共に二体のインベスは、跡形もなく消し飛んだ。

 

 

メグミは、驚いた。

四階から飛び降りたのになんともなく着地できたのだから。

そして、それは呉島と鳳蓮にもいえたことだった。

「アーマードライダーシステムは思った以上に優秀なんだな」

変身を解除した呉島がニヤリと笑った。

「そうね。初め死んじゃうかと思った」

鳳蓮もドライバーを外しながら、微笑んだ。

「先生達無事で良かった~」

メグミは、変身を解除しながらへたり込んだ。

すると、呉島が手を差し出しくる。

「まさか、生徒に助けられるとはな。ありがとう剣山さん」

「私もよ。ありがとうメグミちゃん」

メグミは、呉島の手を素直に取ると、照れ笑いを浮かべた。

そして、二人に軽くお辞儀した。

 

「さぁて。教室に戻りましょう?」

鳳蓮の言葉にメグミは、クラスのことを思い出す。

 

みんな自分が鎧武だったから、驚いちゃってたよ・・・・どっどうしよう。

 

メグミがオドオドしていると、呉島がやれやれと言った様子で静かに言った。

「上を見てみろ」

そう言われて大人しく、上を見る。

 

あ!

 

そこには、クラスから手をふるクラスメイト達の姿が見える。

みんなが鎧武達の勝利を喜んでいるようだった。

よく見ると、自分のクラスに限らず、他のクラスの人達もこちらに顔を覗かせて歓声を上げていた。

 

それを見て、メグミは安心してフーッと息を深く吐いたのだった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

フルーツ合戦

 

インベスが学校を襲撃した翌日。

 

メグミが臨時用の教室に入ると、マイ達が走りよってきた。

「メグ!大変!」

マイはそう言ってメグミの手を取り、黒板の方へと連れて行く。

クラスメイト達もそれに合わせて黒板の方に体を向ける。

 

黒板には、一枚の紙が貼り付けてある。

そこには、こう書かれていた。

「果たし状! ガイムこと剣山恵嬢。我々ナッツライダー同盟と勝負されたし!場所は、街のストリートダンス場。時間は今日中!来ない場合、ペコくんがどうなっても知らないぞ?」

と、マイが紙を読み上げる。

聞き終わった恵は、思わず聞き返す。

「マジ?」

すると、ザックがスマホの画面を見せてきた。

それは予想通り、サガラのネットニュースだった。

『Hello!沢芽city!大変なことになっちまったぜ!新たに登場した二人のアーマードライダーがガイムに決闘を挑むようだ!噂によると誰か人質がいるとかなんとか!!!!先程、ブラーボが挑戦したが二人のコンビネーションにメッタ撃ちにされちまったあ!』

興奮して喋るサガラの横でブラーボ対二人のアーマードライダーのハイライトが流れている。

「え?凰蓮先生行ったの?」

すると、マイが苦笑い気味に頷いた。

「ペコのボウヤ!待っておいで!とか、言って出て行ったんだけどね・・・・」

恵は、腕組みして少し考える。

「呉島先生は?」

「今日は、市内の講演会に呼ばれてるらしい」

ザックが困ったような顔をする。

恵は更に聞いた。

「ペコはいつからいないの?」

マイが答える。

「さっきまでいたんだけど、校内に入ったあたりで居なくなったの・・・・」

すると、クラスメートの茨戸リョウジが静かな声で言った。

「なら、犯人のライダー二人はうちの生徒だね。それか、うちの生徒に共犯者がいたか・・・・」

冷静な物言いに皆が頷いた。

ザックが声を呟く。

「どうする?」

その言葉にクラス全体が静まり返る。

皆の視線が自分に集まるのが分かる。

メグミは、深く息を吐くと言った。

「わかったわ。私行くよ!ちゃんとペコを連れて帰ってくる!」

 

 

 

×××

 

 

 

マイと一部の友達には危険だと言って止められたが、かと言ってペコを見捨てる訳にも行かない。

メグミは、マイとザックと共に街のストリートダンス場に向かった。

学校を抜け出してきたことが少し後ろめたいが、今更どうとでもなるという思いがそれを押し殺す。

 

 

ダンス場についたメグミ達は、そこにいた二人の男子と対峙した。

「来たかガイム!」

そう言うのは、隣の二組の初瀬だった。

「待ちくたびれたよ」

初瀬の隣でクールにメガネを押し上げる茶髪も同じく二組の城乃内だ。

メグミは、一歩前に出た。

「ちゃんと来たわ。ペコを返して!!」

すると、二人はニヤリと笑った。

「返して欲しかったら力ずくで居場所を聞くんだな!」

初瀬は、そう言って背のあたりから戦国ドライバーを取り出した。

城乃内もその手に戦国ドライバーを握っている。

二人は、それを腰に装置し叫んだ。

「「変身!」」

二人の取り出したロックシードが開錠される。

《ドングリ》

《マツボックリ》

初瀬の頭上にマツボックリ、城乃内の頭上にドングリのアーマーパーツが出現した。

《《LOCKON!》》

二人はニヤリと笑うとカッティングブレードをスラッシュした。

《ソイヤッ!》

《COMEON!》

アーマーパーツが降下し、展開する。

《マツボックリアームズ! 一撃!IN THE SHADOW!》

《ドングリアームズ! NEVER GIVE UP!!》

変身完了した二人が武器を構える。

メグミ達が後退ると、二人のアーマードライダーはいきなり襲いかかってきた。

 

ザックが素早く、メグミとマイをかばって前に出る。

「ザック!!」

マイが悲鳴を上げる。

初瀬の持つ槍がザックに振り下ろされる。

 

その時、

 

どこからか銃撃が飛来し初瀬の槍を弾いた。

「なっ!?」

初瀬が驚いて後退り辺りを見回す。

城乃内もキョロキョロとする。

 

すると、

《メロンアームズ! 天下御免!》

ダンス場の上にある通りから電子音声が響く。

そして、

「はぁ!!!」

通りから、呉島ことアーマードライダー斬月が飛び降りて来た。

斬月は、メグミ達の前に立つと二人のライダーに無双セイバーを向ける。

「生徒を傷つけることは許さん!!!」

それを聞いて城乃内が笑う。

「来たな!呉島の先公め!!凰蓮みたく返り討ちにしてやる!」

そして、初瀬と城乃内が飛び出した。

それに合わせて斬月も無双セイバーを振り上げて駆け出した。

両者が接触する。

先制したのは、斬月だ。

初瀬に斬りかかるフリをして飛び上がるがそのまま二人に無双セイバーのショットを浴びせる。

「ぐあっ!」

「うわっ!」

二人が転がる。しかし、直ぐに立ち上がると斬りかかってきた斬月の無双セイバーを城乃内がハンマーで弾く。そして、のけぞった斬月に初瀬が槍で突きを入れる。

「うおっ!!」

斬月がよろめいた。

そこに今度は城乃内がハンマー攻撃を加える。

一撃目は直撃したが、二発目はメロンシールドで受け止めた。

城乃内を押し返した斬月は、二人と距離を置いた。

 

 

 

 

 

 

 

暫く打ち合いが続くが、人数的に斬月が微かに不利に見える。

「二人共!下がってて!」

メグミは、そう言って戦国ドライバーを装着しロックシードを開錠した。

《オレンジ》

ロックシードをドライバーにセットする。

《LOCKON!》

ポーズを取って叫ぶ。

「変身!」

カッティングブレードをスラッシュするなり、メグミはアーマードライダー達に向かって駆け出した。

《ソイヤッ! オレンジアームズ! 花道オンステージ!!!》

走るメグミにオレンジのアーマーパーツが降下し展開する。

ガイムに変身したメグミはダイダイマル片手に叫んだ。

「ここからは!私のステージだ!!!」

メグミは、初瀬に一撃を加え、反転した勢いを利用して城乃内を横斬りする。

「うおっ!!」

「うがっ!!」

二人が吹き飛ぶ。

メグミはダイダイマルを構え直して二人と距離を取る。

その横に斬月が並ぶ。

「先生。どうして?講演会じゃ?」

「いや。そうなんだが、先ほどサガラの番組をたまたま目にしてな」

すると、

前方にいる初瀬と城乃内が立ち上がる。

「やっと闘う気になったか!!」

「よくもやったな!」

メグミは、手を振る。

「悪いのそっちだし」

斬月が言った。

「そろそろペコの居場所を吐け!こんなことして只で済むと思うなよ!」

「へっ!ただの喧嘩に大人が混じるんじゃねぇよ!!」

初瀬が怒鳴り、再び飛び出そうとした。

 

が、

突然に新しい声がした。

 

「面白そうなことしてるじゃん・・・・俺も混ぜてよ・・・・」

 

ゾッとするような声に全員が声のした方を見る。

 

そこには、一人の少年がいた。

それを見てザックが呟いた。

「海堂・・・・」

メグミも少し驚いた。

 

海堂ヨシキ。

メグミ達と同じ中学校で超のつく危険人物だ。

不登校で、時々しか学校に来ないヤツ。

喧嘩が強い。というよりも殺しにかかってくるレベルだ。今まで、襲われた人で一番の軽傷が左腕右足間接部の完全骨粉砕。何度も警察に補導されている。そして、その警官すらも病院送りにしたとか・・・・

 

城乃内と初瀬すら、恐怖し絶句する。

斬月がメグミに言った。

「誰だ?」

「殺人者級の危険児というのが、・・・・適切かと」

 

その時、海堂が再び言った。

「ねぇ。混ぜてよ・・・・」

そして、上着を脱ぎ捨てた。

「え!?」

メグミが思わず声を漏らした。

 

上着を脱いだ海堂の腰には、戦国ドライバーが装着されていたのだ。

海堂が目を見開き、不気味な笑みを浮かべた。

 

「変身」

《バナーナ》

ポケットから取り出されたロックシードが開錠され、海堂の頭上にバナナのアーマーパーツが出現した。

海堂は、おもむろにロックシードをドライバーにセットし直ぐにカッティングブレードをスラッシュした。

《LOCKON!》

《COMEON! バナーナアームズ! NIGHT OF SPEAR!!!》

 

変身した海堂が呟いた。

 

「さぁ・・・・遊ぼうよ・・・・・・」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

脅威のライダー

 

 

海堂は、バナスピアーを振り上げると物凄い勢いで誰かまわず襲いかかって来た。

「遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ!イひゃはははははは!!!!!!!」

 

斬月が前に出て、海堂の突きをメロンシールドで受け流す。

そして、無双セイバーで一撃。

怯んだところに二撃三撃と斬月は攻撃を加えた。

だが、

「イひゃああ!!!!!」

発狂した海堂は、四撃目の攻撃を素手で受け止めた。

アーマードライダーになっているとはいえ、渾身の無双セイバーを素手で受け止めるなど人間技ではない。

「何っ!?」

斬月が驚いた隙に海堂はバナスピアーで胸部への連続攻撃を行った。

「がはっ!!!」

十連続近い突きを受けて、斬月が吹き飛ぶ。

地を転がった斬月の変身が解け、呉島が気を失う。

「先生!」

ザック達が呉島に駆け寄る。

海堂は、今度はメグミの方を見た。

「ガイム~。見たぜガイム~。この間の戦いぃい?俺にも分けろよぉ~あの痛みいい!」

言うなり、突っ込んで来た。

「きゃっ!」

バナスピアー攻撃に思わず、メグミはよろけてしまう。

しかし、なんとか踏みとどまって、第二撃目を交わす。

そして、バナスピアーを突き出したことで生まれた隙にダイダイマルで一撃。

斜めに斬り上げたことで、海堂が反転しながら少し飛ぶ。

踏みとどまった海堂が笑い声を漏らす。

「いいねいいねいいねぇええええ!!!!!!」

海堂は、素早くカッティングブレードを二回スラッシュした。

《COMEON! バナナオーレ!!!》

電子音声の後、バナスピアーにエネルギーが充填される。

メグミもカッティングブレードを切る。

《ソイヤッ! オレンジスカッシュ!!!》

海堂がバナスピアーを突き出すタイミングを計り、メグミはダイダイマルでバナスピアーを叩いた。

バナスピアーのエネルギーエフェクトの軌道が反れ、逃げようとしていた初瀬と城乃内に直撃した。

「うおあっ!!」

「なあああ!!」

二人は吹き飛び、地を転がる。

二人とも変身が解けて、痛みにもがく。

 

メグミに攻撃の軌道を反らされたことに海堂は、興奮したように笑う。

「いいねいいねぇ。流石ガイムだぁ」

その声は、まるで愛しい何かを愛でるような響きを持っている。メグミは思わず身震いする。

すると、海堂はとあるロックシードを取り出すと開錠した。

《マンゴー》

海堂の頭上に新しいアーマーパーツが出現し、バナナのアーマーは消滅する。

「こいつで痛めつけたら、もっと痛みをくれるかな?」

まるで、新しい発見をした子供のような口調で海堂は言う。

《LOCKON!COMEON! マンゴーアームズ!! FIGHT OF HAMMER!!!!》赤と黄色のアーマーを纏った海堂がマンゴーパニッシャーを構える。

「そらっ!いくよぉおお!!!」

パニッシャーの重い一撃がメグミにヒットする。

「ああっ!!」

メグミが宙に浮く、そこに海堂は回転横降りをかました。

物凄い衝撃波と共にメグミは吹き飛んだ。

地面に勢いよく叩きつけられたが、なんとか耐えられた。

顔を上げると、海堂が笑いながらゆっくりと近づいてくる。

「どうすれば・・・・」

メグミが呟いた時、

 

コツン。

 

突然、何かが頭に当たり、地面を転がる。

それは、ロックシードだった。

 

いったいどこから?

 

辺りを見回すと少し放れた物陰にあの謎の青年がいた。

青年は、薄く微笑むと去って行く。

 

メグミは、海堂に向き直りそのロックシードを開錠した。

《パイン》

オレンジアームズが消滅し、その頭上にパイナップルのアーマーパーツが出現する。

「何っ!?」

海堂が動揺する。

メグミは、オレンジとパインを取り替える。

《LOCKON!》

《ソイヤッ! パインアームズ!粉砕!デストロイ!!!!》

アーマーパーツが降下、展開する。

アームズチェンジしたメグミは、その手に握られているパインアイアンを見る。

イガイガとしたパインの重りに鎖が付いている。

メグミは、鎖を握り重りをグルグルと宙に振り回してみる。

 

かなり重い・・・・けれど、これならマンゴーにも勝てそう!

 

メグミが構えたのを見て、海堂がマンゴーパニッシャーを構え直す。

「いいねぇ。もっともっと遊ぼう」

 

 

 

 

 

 

 

 

青年は、メグミと海堂が闘うのを鋭い瞳で見つめていた。

 

「どういうつもりだぁ?」

 

突然、声をかけられる。

青年は、振り返らずに言った。

「サガラか・・・・」

すると、サガラはゆったりとした足取りで青年の背後に立つ。

「何でまた、あんな連中にドライバーを渡したんだ?」

「運命をねじ曲げる為さ。彼ら彼女らは、運命をねじ曲げる素質があるからね」

すると、サガラは首を振る。

「だからって危険児や女に渡すことはなかっただろ?」

それを聞いて青年は、フッと笑う。

「お前とて、仮面ライダーをたんなる正義の産物で終わらしたくはないだろ?・・・・まぁ、だとしても最後は正義に終わる。ならば、その中に少しくらい歪んだヤツや女がいても悪くない」

サガラは、それを聞いて押し黙る。

青年は続けた。

「まぁそれに、以前と同じ終わりを見ない為にもな」

サガラは、そこまで聞いて顔を上げた。

「お前!まさか!」

「あぁ・・・・そうだ」

青年の返事を聞くなり、サガラはポケットから幾つものヒマワリロックシードを取り出し開錠した。

クラックが開き10匹近いインベスが出現した。

サガラは声を荒げた。

「そこまで干渉するとなると、・・・・俺も黙っていられねぇ!」

インベス達が迫る中、青年は笑った。

「なめるなよサガラ。・・・・俺は一度死んで強くなった。本当の強さにこそ届かぬが、インベスを数匹葬り去るくらい造作もない!」

そう言って、青年は腰に戦国ドライバーを装置した。

そして、異形のロックシードを取り出して開錠した。

《ショッカー》

固有クラックが展開し、ショッカーのエンブレムが大きく刻まれたアーマーパーツが降下して来る。

《LOCKON!》

それを見て、サガラが後ずさる。

青年はカッティングブレードをスラッシュした。

《COMEON! ショッカーアームズ! 地獄の集団オンパレード!!!!》

アーマーパーツが展開し、ショッカーの掛け声が響くと同時に変身した青年の周りに五人のショッカーが現れる。

変身した青年は、ショッカー達に命じる。

「やれ!」

「「「「「イー!!!!」」」」」

ショッカー達がインベスに襲いかかった。

ショッカー達は、完璧なフォーメーションで直ぐにインベスを殲滅した。

インベス達があっという間に倒され、サガラは更に後ずさる。

青年は言った。

「去れ。・・・・運命はねじ曲がる。邪魔するならば、貴様と言えど排除する」

「・・・・世界の仕組みを変えるのか?」

「あんなもの無くとも、世界は回るし人間は生きていける。蛇如きが人間を侮るなよ?」

青年が語尾を強めると、サガラは無言で空気に解けて消えて行った。

 

残された青年は、変身を解くと再び視線を戻す。

激しく闘う二人の戦士をやや冷めた目で見つめ、一言。

 

「・・・・さぁ。誰が運命をねじ曲げるのかな?」

 

 

 

×××

 

 

 

パインアイアンによる攻撃は、なかなかにトリッキーかつ応用の利く便利なものだった。

「やぁ!!!!はぁ!!!!!」

メグミは、グルグルとパインアイアンを振り回して、海堂を攻撃した。

海堂もマンゴーパニッシャーで攻撃を弾き返しながら、攻撃チャンスを狙っている。

「いいよ!いいよいいよいいよいいよ!!!ガイム!いや、剣山メグミ!お前最高だよ!!!」

狂ったような声で叫び、海堂が迫ってくる。

メグミは、カッティングブレードをスラッシュする。

《ソイヤッ! パインスカッシュ!!!》

メグミは、その場でグルグルと回転し、砲丸投げのようにパインアイアンを海堂に投げつけた。

パインアイアンは、そのまま空中で変化し海堂を包み込んだ。メグミは、そのまま空中に飛び上がる。エネルギーが足に集中する。

「やあああ!!!!」

メグミは、そのまま海堂に必殺キックをお見舞いした。

 

オレンジのフルーツエフェクトと共に爆音。

 

海堂が盛大に吹き飛んだ。

 

「えへへへ・・・・効くねぇ~。いいよお前ぇ・・・・」

立ち上がった海堂は、変身を自ら解除した。

そして、メグミにズビシッと指を指すと薄く笑う。

「いつか俺のものにする」

「は?」

メグミは、いきなりの海堂のセリフに素っ頓狂な声を上げる。

しかし、海堂はそれ以上何も言わず走り去った。

 

 




だんだん話が壮大になっていくwww


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。