戦姫絶唱シンフォギアGinga (ベンジャー)
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1Eve ガングニール、ウルトライブ

という訳でここで初投稿です。
よろしくお願いいたします。

ちなみに、この作品のギンガは原作のギンガとは違う設定がありますのでその辺りをご注意ください。


とあるドームにてそこでは今日、世界的トップアーティストの2人の少女、「風鳴(かざなり)翼(つばさ)」と「天羽(あもう)奏(かなで)」、「ツヴァイウイング」のコンサートが今日ここで開かれることになっていたのだ。

 

だが……今ここで起こっているのはライブではなく……「悪夢」のような出来事だった。

 

突如、会場を触れるだけで人間を自分諸共炭素分解し、そして殺す存在、大量の「ノイズ」と呼ばれる怪物が現れ、観客達を襲い始めたのだ。

 

まさに「地獄絵図」という言葉が似合う光景だろう。

 

しかし……鎧のようなものを纏ったそのツヴァイウイングの2人、翼と奏が本来は触れられる筈のないノイズ達と平気で戦っていたのだ。

 

その光景を観客席から1人唖然と、一体なにが起こっているのか分からず、困惑したままで固まる少女「立花響(たちばなひびき)」が1人、その場に立ちつくしていた。

 

その時、彼女の足場が崩れてしまいそこから落ちてしまったが幸いどこも怪我は無かった。

 

だがノイズが自分に向かってきていることに彼女は気付き、奏は彼女を守ろうとして響の元に駆け寄り、ノイズの攻撃を槍状の武器で防ぎ、奏は響に向かって「走れ!!」と声をあげる。

 

それに響は急いでその場から逃げようとしたが、その時、ノイズ一体のある攻撃が奏の纏う鎧の一部を破壊し……その破片が響の胸へと突き刺さったのだ。

 

胸から血を流し、倒れこむ響、それを見た奏は目を見開いて彼女の元へと走り寄る。

 

「おい死ぬな!! 目を開けてくれ!! 生きるのを……諦めるな!!」

 

その奏の言葉を聞き、響は閉じていた瞳を弱々しくはあるがゆっくりと開き、彼女にまだ意識があったことに奏は安堵し、彼女を寝かしつけると奏は大量のノイズ達に向かって歩き出す。

 

(何時か、心と身体……全部空っぽにして思いっきり歌ってみたかったんだよな。 今日はこんな大勢の連中が聞いてくれるんだ。 だからあたしも出し惜しみなしで行く。 とっておきのをくれてやる。 『絶唱』)

 

すると、彼女は静かに「歌」を歌った……、最後の、「歌」を。

 

「~♪」

「いけない奏!! 歌ってはダメええええええ!!!!」

 

それを見た翼は青ざめ、悲痛な叫び声をあげるが・・・・・・、それでも奏は歌を歌い続け、歌い終わると……、彼女は口から血を流した。

 

また、朦朧とする意識の中、響は奏の歌を聞いていた。

 

「歌が、聞こえる」

『そうさ、命を燃やす、最後の歌……』

 

すると赤い衝撃波が広範囲に渡って放たれ、ノイズが全て消滅していき、同時にそれは……奏の命が「削れている」ということを意味していた。

 

そこで響の意識は途切れ、奏はその場に倒れこんだ。

 

「か、奏えええええええ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから・・・・・・。

 

響はあのあと手術を受けて一命を取り留め、しばらくの間入院することとなり、自分の親や祖母に心配かけまいと彼女は必死にリハビリに励んでいた。

 

だが、様々な理由によりあの場所の生還者というだけで響や……あの場でノイズの襲撃から助かった人々は批判の対象となっていた。

 

それはノイズの犠牲になった親族だけではなく、自分が通っていた中学校でも他の生徒達などから響は白い目で見られることになったのだ。

 

さらには周りの人間はノイズの犠牲になったのは「響のせい」「響がみんなを殺した」などとバカなことを言い始め、その上、響の家には家中に「お前が殺したんだ」「人殺し」という張り紙が貼りつけられられており、家には時折石を投げ込んで来る輩までいた。

 

それでも、今までと変わらず、自分と接してくれた人が彼女にはいてくれた……。

 

自分の親友「小日向未来(こひなたみく)」ともう1人……同級生の「来元(らいもと)コウマ」であり、この2人が変わらずいてくれたから、自分を支えてくれたから、響は、彼女は心が壊れることは決してなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、時代は2年後へと進み……。

 

響は未来と共に「私立リディアン音楽院」に入学し、コウマは両親の都合により春休みに入ると同時に海外に引っ越し、そして2年後となった響は今はどうしているかというと現在……。

 

「CD、特典! CD、特典!!」

 

まるであの時の重傷が嘘のように、元気いっぱいに今はソロで活動をしているトップアーティストの「風鳴翼」のCDを買おうとCDショップ一直線に走っており、そしてようやくCDショップに辿り着いたのだが……。

 

そこにあったのは……炭素分解された人間だった。

 

「えっ……? まさか、ノイズ!!」

 

響は瞬時にそれがノイズの仕業であることに気づくが、その時、どこからか少女の悲鳴が聞こえ彼女は急いで少女の悲鳴が聞こえた場所まで駆けだした。

 

そして響はノイズに襲われていた少女を発見し、少女の手を引いて一緒にノイズから逃げだした。

 

しかし、響と少女は道をノイズに防がれてしまい、ノイズから逃れるには自分達の後ろの川を渡り、ノイズのいない向かい側に逃げることだった。

 

響は決心して少女と一緒に川に飛び込み、泳いで反対側まで辿り着くと再び逃げだし、ノイズ達も別ルートで再び響を追いかけることにした。

 

ただ、その時響やノイズ達は気付いていなかったが、その様子を遠くから目撃していた1人の青年がいた。

 

『コウマ、あの少女は……?』

「あぁ、間違いねえ、響だ!!」

 

その青年は海外に行っていた筈の「コウマ」であり、コウマのシャツの胸ポケットから赤いヒーローのようなソフビ人形が顔を出し、コウマは荷物のバックを投げ捨てて急いで響達が渡った川をコウマも飛びこみ、彼女達を追い掛けた。

 

『ゴボボボ!!? こ、コウマ!? なにも泳いでいばばばぐとも!?』

「わりぃ、『タロウ』!! でもこうしないとあいつ等に追いつけねえ!!」

 

その頃、響はというと少女と一緒にある工場の建物の屋上に登って寝そべり、荒く呼吸をしていた。

 

少女は響の方に顔を向け、「死んじゃうの?」と不安そうな声を出したが、響は首を横に振り、「大丈夫だよ」っと少女を安心させるように笑顔で言うのだが……。

 

視線を響が移した直後、目の前に大量のノイズが現れていたのだ。

 

「っ!?」

「お姉ちゃん!!」

 

少女は泣きそうな顔で響に抱きつき、響は強く少女を抱きしめ返す。

 

(私に出来ること……きっとある筈だ!)

 

響は奏から教えられた言葉を叫ぶ。

 

「生きるのを諦めないで!!」

 

その言葉と共に、響の身体から光が放たれ、そして響は「歌」を口ずさんだ。

 

「~♪」

 

さらにこことは別のとある場所の、ある施設にてその光を探知した「特異災害対策機動部二課」の司令官「風鳴(かざなり)弦十郎(げんじゅうろう)」はその探知した光の反応を見て驚きの声をあげていた。

 

「ガングニールだとッ!!?」

 

場所は戻り、響はオレンジ色のアーマーを纏った姿となり、一体自分になにが起こったのか分からず彼女は困惑するしかなかった。

 

「ガング……ニール?」

「お姉ちゃん、カッコイイ!!」

 

少女は目を輝かせて響を見上げ、響は少女を見下ろすとなにかを決意しかのような表情を見せ、少女の手を握りしめる。

 

またそれと時を同じくして、響達の登った建物の下にはコウマが来ており、コウマは上を見上げて彼の目にガングニールを纏った響が映った。

 

『なんだあれは? 不思議な力を感じるぞ、それにあの姿は一体?』

「あぁ、けど響達があぶねえのは変わんねえんだ!!」

 

コウマは短剣のようなアイテム「ギンガスパーク」を取り出し、「タロウ」と呼ばれたソフビ人形以外の人形「スパークドールズ」を1つ、ポケットから取り出し、ギンガスパークの先端をコウマはスパークドールズの足部に押し当てた。

 

『ウルトライブ!! ケムール人!!』

 

1つ目で頭に触角があり、黒い姿をした等身大の宇宙人、「誘拐宇宙人ケムール人」へとコウマは変身し、ケムール人は高速で駆けだしていき、響達を助けるために建物を登って行くのだが……。

 

「~♪」

 

ケムール人の耳に響の歌声が聞こえてきてケムール人は「呑気に歌なんて歌ってる場合かよ!!」とツッコミを入れるが、響は歌いながら少女を抱えてケムール人の真上から落下してきてケムール人を踏みつけた。

 

「ふごおおお!!!?」

 

響はそんなことには気付かず、「歌」を口ずさみながらジャンプし、響はその到底人間とは思えぬジャンプ力に驚いた。

 

「ふえええ!? なに、なに!? っていうか今なにか踏んだ!!?」

 

どうにか着地した響だったが、上からはノイズが落下して来ており、それを響は少女を抱えたまま後ろに飛び退く……、しかし響は近くにあったタンクに背中をぶつけてしまい、落ちそうになるが慌ててタンクに手を掴んだ為、なんとか落ちずに済むのだった。

 

だがそこにタンクとほぼ同じ位の巨大なノイズが出現し、腕を振りかざして響に攻撃して来たが、響はどうにかそれを跳んで躱し、地面に着地するがその時響の肩に誰かが手を乗せてきた。

 

『よお、響、久しぶりだな!!』

「えっ? その声、コウマく……ッ!!」

 

響が振り返るとそこには超ドアップに顔を近づけたケムール人の顔があり、響と少女は顔が真っ青にとなり、2人は悲鳴をあげる。

 

「「きゃああああああああ!!!!?」」

『ぐぼおおおおお!!!?』

 

悲鳴をあげる響はそのままケムール人を思いっきりぶん殴り、殴り飛ばされたケムール人は響に飛びかかろうとしていたノイズを巻きこんで吹き飛ばされた。

 

「えっ? なに? 今の、私がやったの!?」

『ぐうう……、お前だよ、お前が犯人だよ』

 

ケムール人は腹部を抑えながら苦しみながら響を睨みつけるが、響はそこでようやくケムール人の声がコウマだということに気づき、ケムール人の正体がコウマだということに気付いた。

 

「コウマくんなんでそんな気持ち悪い姿に!?」

『気持ち悪いって言うなぁ!! 謝れぇ!! ケムールさんに!!』

 

その時、響に3体、ケムール人に8体のノイズが飛びかかり、2人に襲い掛かってきた。

 

それと今さらだが、ケムール人がノイズに触れられるのはギンガスパークによる影響のためである。

 

『なんか俺の方数多くないっすか!!?』

 

兎に角ケムール人は触角から相手を時空の狭間に飛ばす液体をノイズ達に浴びせてノイズ達を消し去るが、響は3体でも攻撃を躱すのが精一杯であり、どうにか3体のノイズの攻撃は防げたが今度は数を2倍にしてノイズ達は響に再度襲い掛かったが……。

 

『ウルトラ!! 念力!!』

 

突然、ノイズ達が空中停止し、吹き飛ばされてそのノイズは仲間のノイズを巻きこんで倒される。

 

『大丈夫か!?』

「うわ、なに!? 今度は人形!?」

『心配するな、私の名は『ウルトラマンタロウ』 君達の味方だ』

 

しかし、そこにもう2体の巨大なノイズが出現し、その巨大な腕を響達に振り下ろし、ケムール人はみんなを助けに行こうとするがノイズ達がケムール人を阻む。

 

『テメー等!! 邪魔……すんじゃねええええええええ!!!!』

 

その時、ライブしたケムール人の中にいたコウマの持つギンガスパークが変形し、側面にあるスパークブレードが展開され「変身モード」となり、ギンガスパークから青いクリスタルのようなものが身体についた人型のスパークドールズが現れる。

 

『行くぞ、ギンガ!!』

 

コウマは「ギンガ」と呼んだスパークドールズを手に持ち、ギンガの足部をスパークドールズの先端に当てる。

 

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

ケムール人から青い光が現れ、ケムール人はスパークドールズに戻るがその場にコウマはおらず、その光から1人の巨人が現れる。

 

そして振りかざしたノイズの腕をその巨人……「ウルトラマンギンガ」が片手で受け止め、その巨大ノイズを蹴り飛ばした。

 

『シェア!!』

 

今度は巨大ノイズBと巨大ノイズCがギンガに攻撃を仕掛けてくるがギンガはジャンプして2体の巨大ノイズの背後に回り込み、後ろから巨大ノイズBに掴みかかって巨大ノイズAの方へと投げ飛ばし、巨大ノイズ2体はぶつかり合って倒れこむ。

 

そこに小型のノイズ達が槍状に変形してギンガに攻撃してくるが、ギンガは手をかざして障壁「ギンガハイパーバリヤー」を張り、ノイズの攻撃をいとも簡単に防いだ。

 

『デアアアッ!!!』

 

ギンガは巨大ノイズCに駆けだして行き、拳を巨大ノイズCの顔面に叩きこんだ後、巨大ノイズAとBに向き直る。

 

そしてギンガは全身のクリスタルを黄色く輝かせ、頭上に発生させた雷の渦を敵に向かって投げつける電撃光線「ギンガサンダーボルト」を2体の巨大ノイズに繰り出した。

 

『ギンガサンダーボルト!!!』

 

ギンガサンダーボルトを喰らった2体の巨大ノイズは空中まで吹き飛ばされ、空中で爆散し、炭素と化した。

 

ギンガの戦いを見ていた響はギンガの背中を見つめ、そして少女と声をあわせ……「カッコイイ」と目を輝かせていたのだった。



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2Eve ダークスパークウォーズ

殴りかかるノイズの攻撃をギンガは難なくかわし、最後の巨大ノイズに向かって逆にギンガは拳を叩きこんだ。

 

するとギンガは少し響達の方に視線を移すと彼女と少女、そして響と一緒にいたタロウは大量のノイズに囲まれており、タロウもウルトラ念力でどうにか応戦するもののウルトラ念力は体力などの消耗が激しいためにタロウは頭から僅かながらに湯気が出ていた。

 

『タロウ! 無理すんな!!』

『ぐっ、しかし、この子達がどうにか逃げるきれるまでは……ッ!!』

 

その時である。

 

誰かがバイクに乗ってノイズを弾きながらこちらに近づいていることにタロウと響は気付き、そのバイクに乗っているのは2年前、ノイズと戦っていた……今やソロで活動しているトップアーティストの「風鳴翼」だったのだ。

 

翼はそのまま真っ直ぐ巨大ノイズの足元まで突っ込み、その直前、自分はバイクから上空に向かって飛び下り、バイクはそのまま巨大ノイズの足にぶつかって爆発した。

 

そして翼は空中で「歌」を口ずさんだ後、彼女は響の目の前に降り立つ。

 

「呆けてない! 死ぬわよ、あなたはその場でその子を守ってなさい!!」

「へっ?」

 

彼女はノイズ達に向かって駆けだして行き、彼女は青いアーマーのようなものを纏うと同時にその手に剣を出現させ、その剣を巨大化させた後、大剣に変形させ、巨大な青いエネルギー刃「蒼ノ一閃」をノイズ達に放ち、ノイズ達を切裂く。

 

さらに翼は上空へと飛び立ち、空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させ広範囲を攻撃する「千ノ落涙」をノイズ達に撃ちこんで行き、それを喰らったノイズ達は次々と消滅して行く。

 

地面に着地すると翼は剣を元の大きさに戻し、ノイズ達に向かって突っ込み、剣を振るってノイズ達を次々と切裂き、切り裂かれたノイズは炭素分解されてどんどん消滅。

 

響や少女も翼の戦いに唖然と見つめており、響は「凄い、やっぱり翼さんは……」と呟くが、その時自分達の背後から巨大ノイズが襲いかかろうとしていることに響と少女は気付いた。

 

『まだもう1体いたのか!?』

 

タロウもウルトラ念力でどうにかしようとするが、流石にもう限界なのか、タロウは響の頭の上に落っこちた。

 

『ぐっ、うぅ、早く大きくなりた~い!』

「いたッ!? ちょッ、大丈夫ですかタロウさん!?」

 

頭に落ちたタロウを抱きかかえる響、因みに抱きかかえられたタロウは響の胸に当たっている形となっていたりしてタロウは顔を真っ赤にしていた。

 

『心配してくれるのは有り難いのだが……、あ、当たってるぞ君・・・・・・』

「人形だから別に気にしません!! ってそんなことよりこっちいいいいい!!!?」

『響!! タロウ!!』

 

ギンガが響達を救出に向かおうとするもそれよりも早く、翼が響達に襲いかかろうとしていたノイズを空中で投擲した剣を巨大化させてそれを敵に向かって蹴り、貫く「天ノ逆鱗」を繰り出し、剣はそのノイズの首辺りに突き刺さり、巨大ノイズは炭素分解して消滅した。

 

(何時かあんなラ〇ダーキック使う仮〇ライダー出そうだなぁ、っと、んなことより先ずは……こっちだ!!)

 

ギンガは自分が相手をしていたノイズの腹部を蹴りつけ、さらに今度はすかさずノイズの背中を蹴りつけ、さらにまたノイズの腹部を蹴りつけ、背中を蹴りつけ、ギンガは巨大ノイズを圧倒。

 

それに巨大ノイズはどうにかギンガの蹴りの嵐から抜け出すが、ギンガは巨大ノイズに掴みかかり、空中へと投げ飛ばした。

 

『飛んで星になりやがれえええええええええ!!!!』

 

全身のクリスタルが赤く輝き、ギンガの周りに火球が現れて浮かび、ギンガは右拳を前に突き出すとその火球は隕石と化し、無数に生み出したその隕石状の火炎弾を敵に放つ「ギンガファイヤーボール」を空中に飛ばした巨大ノイズへと繰り出し、巨大ノイズはそれを喰らい空中で爆発した。

 

『ギンガファイヤーボール!!』

 

全てのノイズを打ち倒した翼とギンガ、翼はギンガを睨みつけるような目で見つめた後、今度は響を見つめ、ギンガはコウマの姿に戻って地上へと降り立つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は事後処理などが行われており、コウマと響はまだほんの数カ月ほどしか経っていないが久しぶりに会った響とコウマは2人で仲良く話し合っていた。

 

「どうしたのコウマくん? 確か海外の学校に行ってたんじゃ……」

「あぁ、まあ、ちょっと色々あってまたしばらく日本で暮らすことになったんだよ。 それにしてもなんだ響その格好? コスプレか?」

「ちょっ、あんまりジロジロ見ないでよ!?」

 

顔を赤くする響だが、そこでタロウが響に話しかけてきた……「早く離してくれないか」と、実は先程からタロウはずっと響に抱きかかえられたままでずっと響の胸がタロウの身体全体に当たっており、「流石にこれ以上では精神が持たない」と言ったので響は慌ててタロウを離し、タロウはコウマの右肩に降り立つが、直後にコウマに右手で掴まれる。

 

『うおっ!? なにをするコウマ!?』

「タロウ、このラッキースケベめ! 男だったら一度はなってみたいシチュエーションだよこの野郎!!」

 

そこにスーツに身を包んだ1人の女性「友里(ともさと)あおい」がコーヒーを持って響の元に現れ、彼女にコーヒーを渡してきた。

 

「温かいもの、どうぞ」

「あっ、温かいもの、どうも」

 

響は戸惑いながらもコーヒーを飲み、一旦落ちつくと響の纏うアーマー、「ガングニール」が光を放ち、そして消え去り、響はコーヒーを落として倒れそうになり、コウマが支えようとするがそれよりも先に翼が響を支えた。

 

「あぁ、また先越された、風鳴翼に」

「あぁ~、有難うございます! あっ、あの、実は翼さんに助けられたのこれで2回目なんです!」

「2回目?」

 

「フヒヒ」と元気に笑みを浮かべる響、翼は「2回目」という言葉に疑問に感じ、響とコウマは少女が母親と無事に再会出来たことを確認すると「自分達もそろそろ……」と響とコウマは帰ろうとするが、何時の間にか翼の中央に黒服のスーツを着てサングラスをかけた男性達が何人も立ち並んでいた。

 

「あなた達をこのまま帰す訳にはいきません」

「なんでだよ!? 俺、今日早く帰って録画したアニメみてーんだけど!?」

「知りません、録画したなら何時でも見られるでしょ、兎に角、特異災害対策機動部二課まで同行して頂きます」

 

翼はそう言うと黒いスーツの男性の1人、唯一サングラスをかけていない「緒川 慎次(おがわ しんじ)」が響とコウマの2人に手錠をかけ、さらにはタロウもまるでタロウ専用の小型の手錠用に作られたとして考えられない手錠をかけられ、3人は車に無理やり乗せられて連行された。

 

『なぜ私までー!!?』

「手錠は必要あるのかあああああ!!!? 逮捕されたみたいな感じで嫌なんですけどォ!!?」

「逮捕ォ!!? なにそれ冗談じゃないよー!! 誰かー!! 誰か弁護士を呼んでえええええ!!! 黒を白に変えられるスーパー弁護士を呼んでええええええ!!!」

「この際どこぞの世界の破壊者でも良いからあああああああ!!!」

 

騒いでうるさい3人に翼は「うるさい!!」とチョップを叩きこんで黙らせ、そのまま車は響が通っているリディアン音楽院の校内へと入り、3人が連れて来られたのは教師たちがいる中央塔だった。

 

響もコウマもなぜこんな所に連れてこられたのか疑問で首を傾げ、やがて3人と緒川と翼はエレベーターに乗り、緒川から「危ないから手すりに捕まってください」と言われ、翼と緒川は手すりに捕まり、タロウはコウマの服にしっかりと捕まり、響とコウマも手すりにしっかり捕まった。

 

そして……ものすんごい勢いでエレベーターは下に進んで行き、響とコウマは「わああああああ!!!?」と悲鳴をあげた。

 

だがエレベーターの速さにすぐに響とコウマは慣れ、響は「アハハハ」と苦笑。

 

「愛想は無用よ。 これから向かう所に、微笑みなんて必要ないから」

 

と翼がそう2人に言うのだが・・・・・・。

 

「なーにお堅いこと言ってんだよ!! とかなんとか言って、実際はみんな結構笑顔の人多いんじゃねえか?」

 

そんなコウマの言葉に翼は呆れたようにため息を吐き、コウマは「なにため息吐いてんだよ!? なんで呆れられてんの!?」と翼に言うが、翼はコウマのそんな言葉は取りあえず今はスルーすることに、目的の場所に到着してエレベーターの扉が開くと……。

 

同時にクラッカーの音が大量に聞こえ、まるで誕生日を祝うかの如くここの指令の「風鳴弦十郎(かざなりげんじゅうろう)」を含めた二課のみんなが笑顔で響とコウマ、タロウを迎えた。

 

「ようこそ! 人類最後の砦、特異災害対策機動部二課へ!」

 

そこに1人の白衣を着た女性「櫻井了子(さくらいりょうこ)」が響の元に駆け寄り、携帯のカメラで一緒に響と写真を撮ろうとしてくるが響はどうにかそこから逃げ・・・・・・。

 

「手錠したまま写真なんて嫌ですよ! きっと悲しい思い出になります!!」

 

と言ってすぐさま断り、了子は「釣れないわね~」という感じで少々残念そうな顔を浮かべる。

 

そして響は「熱烈歓迎 立花響さま☆ 来元コウマさま☆」と自分達の名前が書かれている旗を見てどうして初めて会う人達が自分の名前を知っているのか分からず、響は了子に尋ねた。

 

それは弦十郎が答え、弦十郎は調査などは二課にしてみればお手のものと言うが……、実は響の鞄の中を見ただけだったりする。

 

そして鞄を見て思い出したのか、コウマは大事なことを思い出した。

 

「あーっ!! 俺のバック投げ捨てたままだぁ!? あの時必死だったから忘れてた!!?」

『なにぃ!? どうするんだコウマ!!? あのバックの中には……!!』

「それならば心配ない、君のバックもちゃんと回収済みだ、少々バックの中身を見させて貰ったがな」

「なんにも弄ってないならOKです!! 有難うございます!!」

 

コウマは弦十郎からバックを受け取り、手錠をタロウと響と共に外して貰い、中身が無事かどうか確認するためにバックに入れていたアタッシュケースを取り出し、アタッシュケースを開く。

 

そこには怪獣のスパークドールズやタロウと同じウルトラマンのスパークドールズが入っており、コウマはスパークドールズに異常や無くなっていたりしないことを確認すると安堵のため息をついた。

 

その後、弦十郎と了子は響達に自己紹介をした後、響はシンフォギアについてのことを聞き、了子はそれについて2つ約束して欲しいことがあると言い、1つは「今日のことは他の誰にも言わないこと」もう1つは……「取りあえず、脱いで貰える?」ということだった。

 

「えっ? いや、だからぁ……!! なんでえええええええええ!!!?」

「なんで脱ぐ必要があんだよ?」

「まあ、冗談よ冗談♪ 取りあえず説明するからついて来てくれる? コウマくん、響ちゃん、後動くお人形さん?」

「「あっ、はい」」

『後、一応言っておくが私の名前は『ウルトラマンタロウ』だ」

 

と言っても大した説明は特になく、響が身体検査を受けたくらいで響についてのことは今日は済み、コウマに関しても明日の夕方、あの巨人の姿や怪獣に変身したこと、タロウのことなどを説明することになり、取りあえずは今日は一旦解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、昨日言った通り、響とコウマ、タロウは二課へとやってきて先ずは了子はシンフォギアについての説明を響達にし、「シンフォギアシステム」とは「聖遺物」と呼ばれるものから作られた鎧で、そのシンフォギアシステムは「歌」によって力を発動し、現時点で唯一ノイズに対抗出来る兵器だという。

 

ただ、本来シンフォギアとは普段は赤いペンダントの形をしており、翼もそれのペンダントを持っているのだが、響にはそんなものを持っている覚えがないと言い、その答えは了子が昨夜撮った響のレントゲンにあった。

 

それは2年前のツヴァイウイングのライブ会場で響が胸に受けたガングニールの破片が原因だというのだ。

 

その破片は心臓付近に深く突き刺さっているため手術でも完全に摘出することが出来ず、そのまま残ってしまっているとうのだ。

 

「奏ちゃんの、置き土産ね」

 

またそれを聞いた翼は目を見開きフラついて倒れそうになるがテーブルに手を置いてどうにか身体を支えた。

 

「お、おい? 大丈夫か?」

 

コウマが翼を心配して声をかけるが、彼女は「なんでもない」と言って部屋から出て行き、響は翼が出て行った後、このことを他の誰かにどうしても話してはダメなのかと尋ねた。

 

「響、もしかして未……嫁のことか?」

「嫁ってなに!? なんでコウマくん今言い直したの!? でもまあ、そうだよ、未来のことだよ」

 

弦十郎はその問いに対して「君の友人や家族の命に関わるかもしれないから」という理由でどうしても秘密を守って欲しいと頼んだ。

 

「命に、関わる?」

「俺達が守りたいのは機密じゃない、人の命だ。 その為にもこのことを隠し通して貰えないだろうか?」

「あなたに秘められた力はそれだけ大きな力だと言うことを分かって欲しいの」

 

それから弦十郎は改めて響に協力の要請を依頼。

 

「特異対策機動部二課として改めて君に協力を要請したい、立花響くん、君が宿した力を対ノイズ戦に役立ててくれないだろうか」

 

と弦十郎は真剣な顔で響に頼み、響は自分の力で誰かを助けることが出来るのならということで響は「分かりました!!」と2つ返事で承知したのだった。

 

「では、続いて君の、いや、正確には君達のことを教えて貰おうか?」

 

弦十郎はコウマとタロウの方へと顔を向け、タロウは「では、私が教えよう」とギンガや自分達についてのことを説明し出した。

 

『私は、いや、正確には我々はこことは違う、別の世界からやってきた』

「別の世界だと?」

『そうだ、そこで起こった全ての怪獣と宇宙人が集結し、その怪獣軍団に全てのウルトラマン達が立ち向かった戦い、『ダークスパークウォーズ』が全ての始まりだった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年前、全ての怪獣や宇宙人とウルトラマンが集結した今、彼等が戦えば様々な星に被害が及ぶと考えた銀色の巨人「ウルトラマンノア」は「ノア・ザ・ファイナル」を使用し、全てのウルトラマン、怪獣、宇宙人を誰もいない無人の世界へと被害を最小限に抑えるために自分諸共そこへ飛ばし、そこでウルトラマンや怪獣、宇宙人の戦いが勃発した。

 

また、ノアはノア・ザ・ファイナルを使用した代償として殆どエネルギーを使ってしまったため、ノアは不完全形態の「ウルトラマン・ザ・ネクスト・ジュネッス」となってしまった。

 

それでもネクストとなったノアは例え不完全な姿でもその戦いに参加し、他のウルトラマン達と共に力の限り戦うことを決意した。

 

そして全てのウルトラマンが並び立ち、自分達と同じく並び立つ怪獣や宇宙人に立ち向かう。

 

「シュア!!」

 

初代ウルトラマンが振りかざしたゼットンの拳をかわしてゼットンの胸部にチョップを叩きこみ、ウルトラセブンがキングパンドンの放つ火球をかわしてセブンがキングパンドンに飛びかかる。

 

超コッヴと超パズズ、ボガールといった怪獣達が攻撃を繰り出し、ゼアスやグレートを吹き飛ばすがそこにガイアV2とアグルV2が現れて超コッヴと超パズズにガイアの右掌とアグルの左掌を合わせることで2人の精神を統一し、2人が空いている方の手から同時に放つ光線「タッチアンドショット」が繰り出され、超パズズと超コッヴは吹き飛ばされる。

 

メビウスとヒカリもボガールに立ち向かい、メビウスとヒカリが∞を描くように空中を飛び回り、交互に攻撃する連携技「ツインストリームランサー」を炸裂する。

 

グレートとパワードはパワードバルタン星人に掴みかかってグレートとパワードは2人同時にパワードバルタンに蹴りを叩きこむ。

 

「シェア!!」

 

コスモス・コロナモードとウルトラマンジャスティス・スタンダードモードの2人の首をグローカービショップが両腕で締めつけるが、そこにウルトラマンに味方する宇宙人であり、その昔コスモスの同化していた青年「春野ムサシ」と親しくなった宇宙人「チャイルドバルタン」が成長した「ネオバルタン」が光線をグローカービショップの腕に撃ちこんで腕を破壊する。

 

ティガ・マルチタイプ、イーヴルティガ、ガーディーはゴルザ、メルバ、ガルラといった怪獣達に向かって行き、ダイナ・フラッシュタイプなどはサンダーダランビアと戦い合う。

 

「ショワッ!!」

「チェア!!」

「「グアアアア!!!」」

 

超獣、バキシム、バラバ、サボテンダーと戦うのはタロウとエース。

 

エースはウルトラギロチンでバラバに攻撃するがバラバは腕の鎌でそれを弾き、バキシムは口から炎をタロウに放つがタロウはその場から離れて攻撃をかわす。

 

レオとアストラは兄弟怪獣のガロンとリットルと戦い、さらにレオの弟子であるゼロはナースと戦いあい、レオとアストラは合体技である「ウルトラダブルフラッシャー」を放ち、ゼロもナースを蹴り飛ばす。

 

「イヤッ!!」

「シュア!!」

 

さらにはメカザムやザムシャーがそれぞれの剣でバルキー星人に斬りかかるが、バルキー星人はバルキーリングという武器でどうにか防ぐが、メカザムとザムシャーはバルキー星人の腹部を殴りつけて普通に2人にバルキー星人はボコられた。

 

『ぬおおおお!!? デンジャラース!?』

 

ミステラー星人(善)とミステラー星人(悪)の2体も戦い合い、また見た目がそっくりなウルトラマンと闇の巨人、光の剣「ソウルセイバー」を出す「ウルトラマンソウル」と爪型の武器「メフィストクロー」を出す「ダークメフィスト・ツヴァイ」も、互いに武器を振るってぶつかりあっていた。

 

EXレッドキングはゾフィーに殴りかかるが、ゾフィーはそれをかわしてEXレッドキングの顔面を蹴りつけ、今度はゾフィーの背後からエースキラーとメビウスキラーが襲い掛かってくるが、ゾフィーは素早くエースキラーとメビウスキラーに両拳を叩きつけ、殴り飛ばす。

 

『『ダブルジャンナックル!!』』

『ファイヤーフラッシュ!!』

『シルバークロス!!』

『ガルネイドォ!! バスター!!』

 

ウルティメイトフォースゼロの5メンバーもそれぞれの必殺技を放ち、敵を倒していくが……突如、戦う彼等の前に巨大な影が現れた。

 

『なんだ、あれは!?』

 

ザ・ワンと戦っていたネクストがその巨大な影に気付き、戦っていたザ・ワンもその影に気付いて動きを止める。

 

するとその巨大な影は短剣のようなものを取り出し、それをウルトラマン、怪獣、宇宙人に向けるとそれから黒い煙のようなものが現れて全てのウルトラマンや怪獣、宇宙人が次々人形、「スパークドールズ」と化し、意思を封じ込められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『だが、私だけは唯一意思を保つことが出来た。 そして私は気付いた時にはこの世界にいたのだ』

 

また、自分達が人形になった原因は、自分の故郷「光の国」に伝わる言い伝えにある「ダークスパーク」と呼ばれるもののせいだとタロウは言う。

 

ダークスパークは命あるものの時間を止める、つまりウルトラマンや怪獣、宇宙人をスパークドールズに変えることが出来るとタロウは説明し、タロウはそのダークスパークと対を成し、闇の呪いを解くアイテム「ギンガスパーク」を探していたのだという。

 

『それでつい最近、そのギンガスパークをコウマの祖父の神社で見つけたのだ』

「そうそう、タロウが言うには、俺がそのギンガスパークに選ばれた者だって言うんだ」

 

それとタロウが言うにはこの街の近くの山に大量のスパークドールズが落ちている可能性があるということでスパークドールズの回収をコウマに手伝って貰い、あのアタッシュケースにあったスパークドールズはその山で集めたものなのだ。

 

『どうにか山にあったスパークドールズは回収したが、ギンガスパークはこの街に強く反応していた、そのことからスパークドールズはまだ幾つかこの街に散らばってる可能性があるのだ』

「成程な、君達の事情は大体分かった、異世界の存在か……、確かにそれならノイズに触れられるのも当然かもしれんな……」

 

タロウはもう1つ、重要なことを弦十郎に言おうとしたがその時、ノイズの出現の警報が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノイズ出現を聞いて響と翼は早速出撃し、リディアンの付近にノイズは出現し、出撃した翼はノイズ達の前に立ちはだかり、「歌」を口ずさんでシンフォギアをその身に纏う。

 

「~♪」

 

翼は歌を歌い、剣を構えて駆けだして行き、カエルのようなノイズの攻撃を防いでノイズの背後に回り込むが……その直後、ガングニールを纏った響が現れてノイズを蹴りつける。

 

「翼さん!!」

 

響は翼を援護出来たと喜ぶが、翼は怪訝そうな表情を浮かべ、翼は空中に飛び立ち大剣にした剣を振るって放つエネルギー刃「蒼ノ一閃」を繰り出す。

 

それを喰らったノイズは真っ二つに切裂かれ、爆発し炭素分解と化した。

 

「翼さーん!! 私、今は足手纏いかもしれないけど一生懸命頑張ります!! だから、私と一緒に戦ってください!!」

「……そうね」

 

その翼の返事に響は表情を明るくするが、背を向けていた翼は響に振り返る。

 

「あなたと私、戦いましょうか?」

「……えっ?」

 

翼は……剣を響に突きつけた。

 

それをモニターで見ていたコウマと弦十郎は声を重ねて「なっ……!? 何をやっているんだ、アイツらは!?」と驚きの声をあげていた。

 

「んーっ、青春真っ盛りって感じね」

「呑気なこと言ってる場合かよ了子さん!?」

 

弦十郎はどこかへ行こうと出入り口に向かい、オペレーターのあおいが「どちらへ?」と弦十郎に問いかけると弦十郎は……。

 

「誰かが、あのバカ者共を止めなきゃいかんだろうよ……!」

 

と言ってそこから出て行き、コウマとタロウも「自分達も止めに行く」と言って二課から出て行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り……。

 

「私はあなたを受け入れられない、力を合わせ、あなたと共に戦うことなど風鳴翼が許せる筈がない」

 

とキツく言い放ち、「あなたの胸の覚悟を見せてみなさい」と響に言うが・・・・・・。

 

「覚悟とか、そんなの全然分かりません!!」

 

翼の言葉に対し、響は戸惑いながらもそう応えるしか無かった。

 

「覚悟を持たず、ノコノコと戦場に立つあなたが、奏のなにを受け継いでいると言うの!?」

 

それを受けて内心、苛立った翼は上空へと飛び立ち、天ノ逆鱗を響に繰り出すが……。

 

『危ない!! ウルトラ……!!』

「その必要はない、やめろ!! お前等!!」

 

タロウがウルトラ念力を使うよりも早く、そこに弦十郎が現れ、翼の天ノ逆鱗の刃を拳を突き出した衝撃波だけで弦十郎はなんと受け止め、弾き返し、その上気迫だけで地面が抉れて翼が吹き飛ばされた。

 

「『え、ええええええええ!!!!?』」

 

コウマとタロウが驚きの声をあげるが弦十郎は大して気にした様子も無く、「この靴、高かったんだぞ?」と呆れた声で言う弦十郎。

 

「ご、ごめんなさい」

「一体何本の映画を借りられると思ってんだよ。 ったく、らしくないな、翼、ロクに狙いもつけずぶっ放したのか、それとも……っ! お前、泣いて……」

「泣いてなんかいません!! 私は、剣と鍛えた戦士です、泣く筈が……」

 

肩を震わせながら、必死に泣き顔を誰かに見られまいとする翼だが・・・・・・。

 

そこに、突然タロウにとっては聞き覚えのある声が聞こえた。

 

『その通りだぜぇ~!!』

『むっ!? 貴様、バルキー星人!?』

「なんだお前は!?」

 

そこに現れたのは「宇宙海人バルキー星人(SD)」であり、弦十郎はバルキー星人相手に構えるがバルキー星人は「ストップ!!」とタンマをかけ、翼に駆け寄って彼女の耳元で言葉を囁く。

 

『なあ? 俺が昨日言った通りだろ~? あいつはお前の相棒のなんも受け継いでなんかいない、あいつにはガングニールってのを持ってる資格なんか無いんだよ。 お前の相棒は例えこの世からいなくなってもただ1人、そしてガングニールを持って良いのもこの世にはただ1人、お前の相棒だけだ』

 

バルキー星人の言葉から察するに、どうやら昨夜彼女とバルキー星人は会っており、なにかを吹き込んでいたようだった。

 

「……そう、私の、パートナーは奏だけ……、あなたが……あなたが奏のなにを受け継いでるのよ!! なにを!! あなたに、それを使う資格なんて……ない!!」

『まさか、バルキー星人貴様!?』

 

すると、翼の目の前にギンガスパークを紫色に染めたようなものが現れる。

 

さらにバルキー星人は剣士のようなスパークドールズを翼に授けようとするが……弦十郎はそれを許すまいとバルキー星人に殴りかかるが、翼はそれよりも早く紫色のギンガスパーク、「ダークダミースパーク」とスパークドールズをその手に持ち、スパークドールズの足部をダミースパークの先端に押し当てる。

 

『ダークライブ! ザムシャー!』

 

ダミースパークから黒い煙が翼を包みこみ、翼は「宇宙剣豪 ザムシャー(SD)」へとダークライブして巨大化した。

 

「翼!?」

『うわああああああ!!!!』

 

ザムシャーは「星斬丸(ほしきりまる)」と呼ばれる刀を抜き取り、それを響達に向かって振りかざしてくる。

 

『コウマ!!』

「分かってるって!!」

 

コウマも慌ててギンガスパークを取り出し、さらにスパークドールズを取り出し、そのスパークドールズの足部をギンガスパークの先端に押し当てる。

 

『ウルトライブ!! フリップ星人!!』

 

コウマはスパークドールズを使用し「分身宇宙人 フリップ星人(SD)」にウルトライブして巨大化し、肩に乗っていたタロウは地面に落ちた。

 

『うおおっ!?』

 

フリップ星人はザムシャーと対峙するが、ザムシャーはフリップ星人などには目もくれず、ザムシャーは剣を響に狙って振りかざしてくる。

 

『おい、やめろ!!』

 

フリップ星人はザムシャーを後ろから掴みかかって彼女を抑えるが、ザムシャーはすぐにフリップ星人を突き離してフリップ星人を蹴り飛ばし、再びザムシャーは刀を響に振り下ろすがそれを弦十郎は真剣白刃取りで受け止め、押し返した後、拳を前へと突き出して衝撃波を放ち、衝撃波はザムシャーの腹部に直撃したが、ザムシャーはほんの少し怯んだ程度だった。

 

そしてザムシャーは刀を今度は響だけでなく、弦十郎にも振り下ろしてきたのだ。

 

(チッ、ノイズでなければ全力で戦えるが、あれが翼なら……!!)

 

兎に角、今は響を連れてここから逃げることを優先し、弦十郎は響を抱えてここから離れ、ザムシャーが振るった刀は空振りに終わった。

 

それでもザムシャーは弦十郎を追い掛けるが、そこに2体に分身したフリップ星人が現れた。

 

『っ!?』

『おい!! 翼さん、やめろ!!』

 

フリップ星人はさらに4人に分身し、ザムシャーを翻弄するが……。

 

『分身か、気配さえ辿ればどうということは無い!! 本体は1つ、貴様だ!!』

 

ザムシャーは見事本物のフリップ星人を発見し、刀でフリップ星人を斬りつけ、フリップ星人は地面を転がって倒れこむ。

 

『……、アンタさ、よっぽどその奏って人のこと、好きだったんだな』

『んっ?』

『確かにアンタの言う通り、響は戦う覚悟なんかないかもしれない、戦うってのがどういうものなのか知らないかもしれない、だから……!! だからこそアンタが教えないといけないんだろ、あんな方法じゃなく、ちゃんとした方法で!! 同じガングニールを受け継いでるからってあいつを奏さんと重ねず、ちゃんと『立花響』として見て、アンタが教えないといけない、それをきっと、ガングニールを託した奏さんが望んでる筈だ!!』

 

その時、ギンガスパークのブレード部分が展開し、ウルトラマンギンガのスパークドールズが現れ、コウマはギンガのスパークドールズの足部を変身モードになったギンガスパークの先端に押し当てる。

 

『待ってたぜ、ギンガ!!』

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

フリップ星人が青い光に包まれるとフリップ星人はスパークドールズに戻り、コウマは「ウルトラマンギンガ」へと変身した。

 

『勝手なことを、あなただって、奏のことなんてなにも知らないでしょ!!?』

『あぁ、確かに知らねえ、でも……それでも俺は奏さんがそう望んでるって思ってる!!』

 

ザムシャーは刀を構えてギンガに斬りかかってくるが、ギンガはそれをかわし、ザムシャーはすかさず何度も刀をギンガに振るうが、ギンガも何度もザムシャーの剣撃をかわし、一瞬の隙を狙ってザムシャーの刀を持つ右腕をギンガは掴み、背負い投げをザムシャーに繰り出した。

 

『デイヤアアアア!!』

『ぐあっ!!?』

 

だが倒れこんだザムシャーはすぐさま立ち上がり、刀でギンガに斬りかかるがギンガはザムシャーの刀を持つ腕を掴んで受け止める。

 

だがザムシャーは無防備となったギンガの横腹に蹴りを叩きこみ、その攻撃に怯んだ所にザムシャーがすかさずギンガの身体を斬りつける。

 

『ぐああっ!? くっ、アンタの想いを、アンタの気持ちを響は知らない、アンタにとって奏って人がどんな存在なのかを響は知らない、だから……翼さん、アンタにとって奏って人がどれだけ大切な存在なのかを、響に伝えろ!!』

『まだ、そんなことを・・・・・・!!』

 

その時、コウマが一緒に持ってきていたスパークドールズのアタッシュケース、通称「SDケース」から2体のウルトラマンのスパークドールズが現れ、そのスパークドールズはギンガの胸のクリスタル「カラータイマー」の中へと入って行った。

 

『あれは、まさか!』

『んっ? なんだ……?』

 

2体のスパークドールズはなんと融合して1体のスパークドールズとなり、コウマはそのスパークドールズを手にとる。

 

『使えってことか、よし、行くぞ!!』

 

コウマはスパークドールズ足部をギンガスパークの先端に押し当てる。

 

『ウルトライブ!! ウルトラマンメビウス・ブレイブ!!』

 

ギンガの姿が変わり、ギンガは別の巨人……金色のラインがある無限の名を持つ戦士「ウルトラマンメビウス・ブレイブ」となったのだ。

 

メビウスは左腕の「ナイトメビウスブレス」から光の剣「メビュームナイトブレード」を出現させ、ザムシャーが振るってきた剣を受け止め、そのままザムシャーとメビウスを睨みあいとなるが、メビウスは力を振り絞ってザムシャーを押し返す。

 

『セアッ!!』

 

メビウスはジャンプして跳び蹴りをザムシャーに繰り出し、ザムシャーは蹴り飛ばされて大地を転がるがすぐさま起き上がり、ザムシャーはメビウスに飛びかかって刀を振り下ろす。

 

だが、メビウスはメビュームナイトブレードで刀を受け流し、ザムシャーの腹部を蹴りつける。

 

『くううっ!!?』

『アンタの言葉を、アンタが奏って人に対する想いを、響に、あいつに伝えろ!!』

 

メビウスは敵に向かって突進し、すれ違いざまにすばやく∞の形に切り裂く必殺技「アクティブレードアタック」をザムシャーに繰り出した。

 

『セアアアアアアッ!!!!!』

『ぬああっ!? うわあああああああッ!!!!?』

 

ザムシャーは爆発し、スパークドールズに戻って翼共々地面に倒れこんだ。

 

『な、なぜメビウスがありで私はライブ出来ないんだ~!? ああもう、早く大きくなりたーい!!』



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3Eve ジャンキラー、来襲

ギンガはメビウスの姿から元の姿に戻るとそのままギンガはコウマの姿へと戻り、地上に降り立って倒れこんだ翼の元へと駆け寄る。

 

「翼さん、立てますか?」

「……」

 

コウマにそう話しかけられるが翼は下を向いて顔を俯かせたままで返事をせず、そこに弦十郎と響も翼の元へと駆け寄り、2人とも翼が無事かどうかを確認するが、翼は弦十郎に「平気です、それと私の暴走を止めてくれた来元にも感謝する」と言った後、彼女は立ち上がり、弦十郎達に自分はどこにも異常が無いということを知らせる。

 

「翼さん、私が全然ダメなのは分かっています、だから、これからはちゃんと一生懸命頑張って……奏さんの『代わり』になってみせます!!」

 

そうやって意気込んだ様子で響は翼に言うのだが、それを聞いたコウマは「バカ響」と呟き、それを聞いた翼は響に駆けだして行き、彼女の方に平手打ちをかまし「パン!」と心地良い音が鳴り響いた。

 

その時、響は唖然としながらも、髪で目は隠れていたが……翼が、彼女が泣いているのを確認することが出来た。

 

「あなたは、あなたは誰? あなたが、奏の代わりになんてなれる筈がないでしょ!?」

 

ただそれだけを響に言い放つと彼女は響に背を見せてそこから立ち去ろうとするが、コウマの横を擦れ違った際、コウマは「やれば出来るじゃないか」と呟き、翼も「だが、まだ彼女を認めた訳では無い」とコウマに呟き返した。

 

「今、翼さん、泣いてた……。 翼、さん……? 翼さん!!」

 

響は翼の元へと行こうとするがコウマに遮られ、彼女の元に行くことは叶わず、響は「どうして止めるの!?」と疑問をコウマに投げかけるが……コウマは「今は翼さんをそっとしておいた方が良いのは、見て分かるだろ響?」と言われ、響はコウマになにも言い返せず、黙りこんだ。

 

「だが、翼をあんな姿にしたあの怪物は一体なんだったんだ?」

『それは私が説明しよう』

 

弦十郎の疑問に答えるように、タロウが弦十郎の前へと現れ、彼はあのバルキー星人と翼が怪獣、正確には宇宙人に変身した理由を話し始めた。

 

先ず、タロウはバルキー星人は心に闇を持つ人間を探し、そしてその人物に闇のスパーク、ダークダミースパークとスパークドールズを授けるのが役目だという説明をした後、そのスパークを授けられた人間はスパークとスパークドールズを使い、怪獣にライブすることが出来るのだという。

 

タロウ曰く、基本的には放火魔や追跡魔といった悪人が利用されるパターンが多いのだが、翼のようにバルキー星人に心の闇を付けこまれ、怪獣にライブしてしまうというパターンもあるらしく、そうなってしまうとその心の闇が暴走し、ライブした人間は暴れるのだタロウは語る。

 

「そう言えば、バルキー星人は『昨日俺が言った通り』とか言ってたな」

『恐らく昨日、翼と接触し、彼女の心の闇に浸けこんだのだろう』

 

すると響が「それって……」となにか言いたそうにタロウとコウマを交互に見つめ、タロウとコウマは響がなにを言いたいのか分からず首を傾げる。

 

「それって……、翼さんがあの姿になったのは、私のせい、なんでしょうか?」

「……まあ、言っちゃ悪いが、原因の1つはお前だろう。 でも、お前が気にすることなんかねえ!! 幸い、誰も怪我せずに済んだんだ。 誰も悪くなんかねえんだ、強いて言うなら悪いのは人の心の闇を利用したバルキー星人だ!!」

『コウマの言う通りだ、君が気に病むことはないし、翼もコウマの言ったこと分かってくれていた』

 

響は、そうやって自分を励ましてくれるコウマとタロウに彼女は笑顔で「そんな風に言ってくれて有難う、2人とも!」とお礼を言い、弦十郎と共に一同は二課本部へと戻って行った。

 

それから1カ月後……、響は二課に協力することになって翼と共にノイズと戦い、時折ダークライブして怪獣になる人間が現れればコウマが出撃して迎え討つという形で響、翼、コウマは今日も3人で戦っていたのだが。

 

響に関しては完全に殆ど「逃げる」だけで精一杯で殆どコウマと翼しか戦っていないというのが今現在の現状だった。

 

『響いいいいいい!!! お前いい加減ちゃんと戦えよおおおおお!!!?』

「そんなこと言ったってえええええええ!!!?」

 

巨大ノイズと戦うギンガにライブしたコウマが叫ぶが、相変わらず響には逃げるしか手段が無かった。

 

だがそんなある日ある時のことだった、ノイズの殲滅が終わって二課に響とコウマの2人が一緒に戻るとコウマの持って行ったSDケースからタロウの1つ後輩の「ウルトラマンレオ」がいきなり飛び出してコウマの元に現れ、ウルトラマンギンガのスパークドールズもなぜか現れ、ギンガスパークも勝手に変身モードに変形し、コウマはなぜそんなことになったのか困惑したが……これも意味があるのだろうと考えてギンガにライブした後、レオにライブして見た結果……。

 

『ウルトライブ!! ウルトラマンレオ!!』

『デイヤアアアアア!!!』

「ちょ、コウマくん待ってえええええ!!!?」

 

二課の訓練場でレオにライブしたコウマにしごかれる響の姿があったとか……。

 

『逃げるだけではこの俺には勝てん、本気で来い、響!!』

「私だって、私だってやられてばかりじゃ嫌だ!!」

 

そうやって響はレオを睨みつけて真っ直ぐレオに向かって突っ込んで行き、「ええええええい!!!!」とレオに殴りかかるが、レオは響の拳を受け止めてそのまま背負い投げを繰り出し、響を床に叩きつけた。

 

『どうした響? そんな小手先だけの力では本当の意味で強くなれんぞ!!』

「ってちょっとぉ!!? コウマくんなんかその姿になってから性格別人になってないかなぁ!? というか完全に別人ですよねええええ!!!?」

『御託は良い!! まだまだいくぞ!!!』

「えええええええええ!!!?」

 

等身大なため、エネルギーをセーブしているレオは長時間に渡り響をしごきまくり、明日になると響は全身筋肉痛で「もうあのレオっていうウルトラマンになったコウマくんにだけはしごかれたくない」と言っていたが、タロウが「レオ本人が受けた特訓に比べれば全然優しい方」と響に教えたら響は「嘘ぉ!?」と物凄い驚いていた。

 

因みに響がレオがどんな特訓を受けたのかと興味本位で聞き、タロウがレオが受けた特訓の話を彼女に聞かせた。

 

例えば真冬の滝が流れる川でその滝を切裂く特訓をしたり、ジープで追いかけまわされて何度も跳ねられたり、金属ブーメランを投げつけられたりとどれもこれも過酷なものばかりであり、響もこれには「え、ええええ……」といった感じでどういう反応すれば良いのか分からず困惑していた。

 

「まあ、でも、確かに私のはまだマシかも……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リディアン音楽院の寮に戻った響は同室で親友の未来と一緒に学校で出された課題をやっていたのだが、響はウトウトと今にも寝てしまいそうで未来に「響、寝たら課題間に合わないよ~?」と注意を受け響は目を覚ます。

 

「そのレポートさえ提出すれば追伸免除なんだから」

「そうだぞ響~、いや、俺のせいでスゲー疲れてるのは分かるけどさ、でも後このレポートだけなんだろ? 俺にも一応責任あるし、俺も手伝うから頑張ろうぜ響?」

「寝て無いよ、起きてるよ~、ちょっと目を瞑ってるだけ」

 

コウマの言葉に響はそう返し、未来はなんだか疲れ気味の響を心配するが、響は「平気~、へっちゃら」と自分の歌の歌詞からとった台詞で答え、未来は「へっちゃらじゃないよぉ」と最もな意見を言う。

 

「あっ、おい、未来、こいつ寝やがった、気持ちよさそうに寝息立ててやがる」

「えぇ!? ちょっと響!?」

「おいコラ起きろ、バカ響!」

 

コウマは響の頭を軽くひっぱ叩くと「いたッ!?」と叩かれた個所を抑えながら彼女は起きあがり、コウマと未来から「寝たらダメだぞ?」と注意を受け、響は「は~い」としぶしぶといった感じで返事をする。

 

響は先程眠った時、翼に頬を叩かれた時のことを思い出した。

 

(翼さん、やっぱりあの時泣いてた……よね?)

 

その時のことだった、響の携帯に二課からメールで連絡が入り、メールには「二課で今からミーティング」と書かれており、未来は「なに? 間違えて朝と昼にアラームセットしたとか?」とどこか呆れたような様子で言うが響は誤魔化すように笑う。

 

「この時間に用事?」

「アハハハ」

「夜間外出とか門限とかは私でどうにかするけど、こっちの方は、なんとかしてよね?」

 

すると未来はノートパソコンを響の方へと向け、彼女に流れ星の動画を見せ「一緒に流れ星を見ようって約束したの、覚えてる?」と未来は響にそう問いかける。

 

「流れ星を2人で見るってなにその恋人みたいな展開?」

「山みたいにレポート抱えてちゃ、見れないでしょ?」

「うん、なんとかするから!! だからごめん……!」

「いやいや、大丈夫だよ、見てみろよ、もう3人でやったからもう殆どレポート終わってるぜ?」

「あっ、ホントだ、ありがとー、コウマくん!」

 

響は着替えようと服を脱ごうと立ち上がったため、男のコウマは響と未来の部屋から出ることとなり、響は服を脱ぐのを未来に手伝って貰うが、響はぼそっと「私、今のままじゃダメだよね、しっかりしないといけないよね、ずっときっともっと」と呟き、未来にとっては彼女がなにを言っているのか分からず、首を傾げた。

 

取りあえず、響の着替えが終わるとコウマが戻ってきたのだが、その時になった今さら1つ、響と未来は気付いたことがあった。

 

「「……アレ!? コウマくんいたの!!?」」

「気付くのおせええええええ!!!? 俺ずっとさっきからいたんだけど、ツッコミ『まだかなまだかな』ってずっと待ってたんだけど今さら!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2年前、奏が「絶唱」と呼ばれる力を解放した時のことを、翼は今思い出していた。

 

絶唱を歌った奏が口から血を流し、全身もボロボロで目も虚ろで生気が殆ど感じられなかった、それでもまだ奏にはほんの少しまだ息があった。

 

翼はそんな奏の元に必死になって駆け寄り、彼女の身体を抱き起こす。

 

『どこだ? 翼? 真っ暗で、お前の顔も見れやしない』

『奏!!』

『悪いなぁ、もう一緒に歌えないみたいだ』

 

翼はその眼から涙を溢れさせ、「どうしてそんなこと言うの? 奏は意地悪だよ」と必死に奏にすがりついた、そんな彼女に奏は「だったら、翼は泣き虫で弱虫だ」と言い返した。

 

『構わない!! だから、ずっと一緒に歌って欲しい!!』

『知ってるか翼? 思いっきり歌うとな、スッゲー腹減るみたい……だ……ぞ』

 

それだけを翼に言うと、奏は……彼女はゆっくりと瞳を閉じ、涙を流し、そして……息絶えその身体は炭素分解して消滅し、『死んだ』のだった……。

 

『ッ、奏ええええええええ!!!!』

 

そして時は現在に戻り、翼は自分の家で2年前の奏との最後の会話を思い出していた。

 

(全ては、私の弱さが引き起こしたことだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

準備を整えた響とコウマは二課へと少々遅くなりながらも到着し、指令室に謝りながら入り、弦十郎はモニターを映しだし、そのモニターには赤い個所が幾つもあった。

 

「響くん、コウマくん、君達はこれを見てどう思う?」

「えーっと、いっぱいですね!」

「なんかのバーゲンセールですか?」

 

それを聞いた弦十郎は「ハッハッハ!!」と笑いだし、弦十郎は今モニターに映っているのは「ノイズの発生源」だというのだ、その次に弦十郎は響にノイズのことをどこまで知っているかという質問を投げかけた。

 

「テレビのニュースや学校で教えて貰った程度ですが……、先ず無感情で機械的に人間だけを襲う、そして襲われた人間が炭化してしまう、突然現れて周囲に被害を及ぼす、特異災害として認定されているということですね」

「改めて聞くと迷惑この上ないな、ノイズっていうのは」

『あぁ、全く、ある意味どの怪獣や宇宙人よりもタチが悪いかもしれないな』

 

響の説明を聞いたコウマとタロウは改めてノイズがどんなものを確認し、弦十郎は「意外と詳しいな」と感心し、響は「今丁度レポートでまとめていたので~」と照れくさそうに言う。

 

つまり、なにが言いたいかというと……了子曰く「ノイズの発生率は決して高くない、しかしこの発生係数は誰の目から見ても明らかに異常、だとすればそこになんらかの作為が働いている」という可能性が出てくるというのだ。

 

「作為? ってことは誰かが操ってるってことですか!?」

「でも、ノイズって感情とか無いし、機械的な奴等なんだろ? そんな奴等をどう操るんだ」

 

響とコウマの2人が疑問を口にするが、タロウは「いや、もしかすれば本当に誰かが操っている可能性がある」と言うのだ、一体それはどういう意味なのかとコウマ達はタロウに尋ねるとタロウは「スペースビースト」と呼ばれる怪物のことを話し始めた。

 

「スペースビースト?」

『そうだ、話を聞く限り、ノイズはもしかすればスペースビーストに近い存在なのかもしれん。 奴等も恐らくノイズと同じで『感情』というものが無い。 また突然現れては人を襲い、そしてなにより……『ビーストを操れる存在』がいたということだ。 まあ、実際の所その辺りしか共通点は無いのだが』

 

すると今度は今まで黙ってコーヒーを飲んでいた翼が口を開き、「中心点はここ、我々の真上です。 恐らく『デュランダル』を狙ってなんらかの意思がこの地に向けられている証左となります」と彼女は語るが響とコウマ、タロウは「デュランダル」と呼ばれるもののことは知らないため彼女がなにを言っているかはチンプンカンプンだった。

 

そこであおいとあおいと同じくオペレーターの「藤尭 朔也(ふじたか さくや)」がデュランダルについての説明をコウマ達にしてくれた。

 

「ここよりも更に下層、『アビス』と呼ばれる場所に保管されていて日本政府の管理下で二課が研究しているほぼ完全聖遺物、それが『デュランダル』よ」

「翼さんの『天羽々斬』や響ちゃんの胸のガングニールのような欠片は奏者が歌ってシンフォギアとして再構築させないとその力を発揮出来ないけど完全状態の聖遺物は一度起動した後は100%の力を常時発揮し奏者以外の人間も使用できるだろうと研究結果が出ているんだ」

「それが私の出した櫻井理論……だけど完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲインが必要なのはよねぇ」

 

オペレーター2人、あおいと朔也の説明が終えた後、さらに了子の説明が加えられるが響は訳が分からず「うぬぬぬ!?」と頭に疑問符を浮かべ、コウマに関しても全く意味が分からず困惑している。

 

「おーい!! みんなついて来てるかー!? 色んな奴等ついてきてるかー!!? ついてこれねえ奴は1つだけ言っておく、ついて来れる奴だけついて来いッ!!」

 

あれから2年、今の翼の歌ならばあるいは……と険しい表情になって話しだす弦十郎、するとそれに伴って翼の表情も険しくなるが。

 

あおいがそもそも起動実験に必要な日本政府からの許可が降りるのかという疑問を口にし、それに関して朔也は「それ以前の話だよ」とあおいに答え、アメリカが安保を盾に再三のデュランダル引き渡しを要求してきているそうで起動所か扱いには慎重にならないといけない、下手を打てば国際問題になりかねないと朔也は語る。

 

さらに米国政府が糸を引いていたりするのではないかという話もあがり、弦十郎によると調査部からの報告でここ数カ月の間に数万回に及ぶ軍部コンピューターへのハッキングを試みた痕跡が認められるそうだ。 

 

「流石にアクセスの出所は不明、それらを短絡的に米国政府の仕業とは断定出来ないが……」

「風鳴指令、これからアルバムの打ち合わせが」

 

そこに緒川が弦十郎に話しかけ、弦十郎は「おっとそろそろか」と言い、響は「?」といった感じで首を傾げるが緒川はメガネを取り出してそれをかけ、自分が表向きは風鳴翼のマネージャーをやっていると彼は響に話し、彼女に名刺を渡した。

 

「うわー、名刺貰うの初めて! これは結構なものをどうも」

 

そして翼が緒川と一緒に部屋から出て行った後、響はどこかの誰かがここを狙ってると思うと不安になるという響、設計した本人である了子が自信を持ってそれは無いから大丈夫、安心してとキッパリ言い切る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の夕方、響は今日未来と流れ星を一緒に見ることになっていたのだが、二課からの連絡によりノイズが出現したため、彼女はノイズを討伐するためそこへ行かなくてはならなくなり、彼女はノイズの出現した地下鉄の駅の入り口前までやってくると未来に電話し、今日流れ星を見られなくなったことを伝えた後、響は振り返ってノイズ達を睨みつけた。

 

「そんな残念そうなツラ、すんじゃねえよ響。 早く終わらせば、流れ星見られるかもしれねーじゃねーか!!」

「……うんッ!!」

 

一緒にいたコウマにそう言われ、そして、響は「歌」を口ずさみ、コウマはスパークドールズとギンガスパークを取り出し、ギンガスパークの先端にスパークドールズの足部を押しあてた。

 

「~♪」

『ウルトライブ!! ザムシャー!!』

 

翼との戦いで手に入れたスパークドールズを使用し、コウマは等身大の「宇宙剣豪 ザムシャー(SD)」に変身し、刀を構え、響はガングニールを纏った。

 

「~♪」

 

歌いながら、響はノイズ達に向かって行き、殴り飛ばし蹴り飛ばし、背後から襲いかかってきたノイズも背負い投げで叩き伏せ、さらに向かってきた人型ノイズを響は殴り飛ばす。

 

『おっ、一応は修行の成果は出てるみたいだな! 俺も……、行くぜ!!』

 

ザムシャーは刀を構え、ノイズ達の群れに一気に突っ込んで行き、刀を振りかざして大量のノイズ達を吹き飛ばし、背後から襲いかかってきた2体のノイズもザムシャーは振り返りざまに刀で切裂く。

 

するとその時、弦十郎から響に「駅の中に一際大きな反応がある、まもなく翼も到着するからくれぐれも無茶はするな」と連絡し、響とザムシャーは階段を降りてノイズ達の前に2人は立ちはだかる。

 

「分かっています、私は……私に出来ることをやるだけです!!」

『んで、一際大きな反応があるっていうのが……あのブドウ野郎か!!』

 

ザムシャーの言う通り、ノイズ達の中央にブドウのような形をしたノイズがおり、ブドウのノイズは球体を響とザムシャー達に飛ばしてくるがザムシャーはそれを難なく刀で切裂くが切裂いた直後にその球体が爆発し、ザムシャーの身体を吹き飛ばす。

 

『ぬおおおおっ!!?』

「うわあああ!!?」

 

ブドウノイズはそのまま逃亡し、響は瓦礫の下敷きとなり、ザムシャーは「響!!」と彼女の名を呼んで瓦礫をどかそうとするが……そこに突然聞き覚えのある音声がザムシャーの耳に入った。

 

『ダークライブ!! グロテス星人!!』

『なに!? ぐあッ!!?』

 

ザムシャーの身体に突如火花が走り、彼は膝をついてしまい、すかさずいきなり現れた宇宙人、「発砲怪人 グロテス星人」にダークライブした人物がザムシャーを蹴り飛ばしてきたのだ。

 

『テメー、何者だ!!?』

 

ザムシャーは刀を構えてグロテス星人に向かって刀を振り下ろすが、その刀はグロテス星人を庇うように現れた鎧人形のような等身大「魔神怪獣 コダイゴン」によって受け止められ、その硬い装甲にザムシャーはコダイゴンに殴り飛ばされ、さらに後ろから隠れながら指先から放つ速射砲でグロテス星人はザムシャーを攻撃してくる。

 

ザムシャーはグロテス星人の攻撃は刀でどうにか弾き、ザムシャーはコダイゴンを先ずは倒そうと切りかかるがコダイゴンも剣を右手に持ち、ザムシャーの攻撃を受けとめ、コダイゴンは空いている方の左腕でザムシャーを殴りつける。

 

『ぐあッ!? チィ、かってーな。 おい、お前!! そんな奴の後ろに隠れるなんて卑怯だぞ!!』

『ふん、卑怯もラッキョウもあるものか!!』

『おい待て、それお前の台詞じゃないだろ!?』

『問答無用!!』

 

そのままグロテス星人とコダイゴンはザムシャーを駅の外まで追い込むと、コダイゴンとグロテス星人は巨大化し、ザムシャーもそれに伴い巨大化する。

 

(くっそ、あの前の最初に倒すのはやっぱり無理か。 なら後ろの奴を先に倒すべきだな)

 

ザムシャーはコダイゴンの背後にいるグロテス星人を狙い、コダイゴンの後ろに回り込もうとするが、コダイゴンはそれを許さず剣をザムシャーに投げつけ、ザムシャーはそれを刀で弾く、だがその時、一瞬だけザムシャーの動きが止まった所を狙い、コダイゴンがザムシャーに体当たりを繰り出した。

 

『うわああ!!? この、畜生……!! まだ、あいつ等が間に合うかもしれねえんだ!! こんな所で……やられるか!!』

 

その時、ギンガスパークが変身モードに変形し、ギンガスパークからギンガのスパークドールズが現れ、ギンガの足部をスパークの先端に押し当てる。

 

『いくぜ、ギンガ!!』

『ウルトラーイブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

ザムシャーはスパークドールズへと戻り、その姿を巨人「ウルトラマンギンガ」へと姿を変え、ギンガは大地に降り立った。

 

『お前等、一体なにもんなんだ!?』

『あ゛ァ゛!? 別に、なんかテメーを倒せば幾らでも金を払うとか言う奴いたからよぉ、ただそれだけさ!!』

『なんだそりゃ、ふざけんな!! 金だけのために、ほんとに、ふざけんじゃねえ!!』

 

グロテス星人はコダイゴンを操ってコダイゴンをギンガに殴りかかるが、ギンガは一瞬の内にコダイゴンの背後に回り込み、グロテス星人の目の前に現れた。

 

『なにぃ!?』

『シェアアア!!』

 

ギンガはそのままグロテス星人を蹴り飛ばし、グロテス星人はその攻撃に怯むが、ギンガの背後からコダイゴンが掴みかかる、だがギンガはコダイゴンを力任せに突き離してコダイゴンから離れ、グロテス星人だけを集中的に狙い、ギンガは何度も拳をグロテス星人に叩きこむ。

 

『うわあああああ!!!?』

『これでも、喰らいやがれ!!』

 

そのままギンガは足を振り上げてグロテス星人を蹴り飛ばしたが、横からギンガに向かってコダイゴンが剣を振ってくる、だがギンガはすぐさまそれをかわし、コダイゴンを殴りつけるが流石のギンガのパワーでもコダイゴンはビクともしなかった。

 

『チッ、やっぱかてぇ、ならこいつはどうだ!?』

 

ギンガはすぐさまコダイゴンから離れると、ギンガは地面に膝を突かせ、右腕から光の剣を生成し、ギンガはその光の剣を地面に突き刺し、マグマを発生させる「ギンガセイバー」をコダイゴンとグロテス星人に繰り出した。

 

『ギンガセイバー!!』

 

その攻撃により、コダイゴンとグロテス星人の地面からマグマが溢れだし、コダイゴンとグロテス星人そのマグマによってコダイゴンとグロテス星人は爆発した。

 

『うわああああああああ!!!!?』

 

爆発したグロテス星人はスパークドールズに戻り、変身していた人間諸共地面に倒れこんだが、その時丁度ギンガの胸のカラータイマーが赤く点滅を始めた。

 

『んっ? なんだ? まあ、いっか。 今は響の所に……』

 

そこになにかが「ドンドンドン」とまるで走ってくるかのような音をギンガは聞き、一体なんだと思い、音の聞こえる方向を向くとそこには赤い目をした巨大なロボット……「ジャンキラー」がこちらに向かって走ってきており、ジャンキラーはギンガに体当たりを繰り出した。

 

『ヌアアア!!?』

 

ジャンキラーのコックピット内では……、モニター越しにギンガを見つめる銀髪の少女……「雪音クリス」が椅子に座っており、拳銃型の「ガンパット・ガンモード」を構え、それの引き金を引く。

 

「喰らいな、ジャンキャノン!!」

 

右腕のシールドポケットから出現するキャノン砲から実弾を放つ「ジャンキャノン」をジャンキラーはギンガへと放ち、ギンガは両腕を交差してジャンキラーの攻撃を耐える。

 

さらにジャンキラーは実弾と一緒にビーム砲もキャノン砲からギンガに放ち、流石に実弾とビーム砲の同時攻撃はキツく、ギンガはその攻撃を喰らって吹き飛ばされ、倒れこむが、ジャンキラーはすかさずギンガの元まで駆け寄り、起きあがろうとするギンガの両肩を掴んでギンガを殴り飛ばす。

 

『ウアアアアア!!!?』

「ジャンレザー!!」

 

両目から発射される高熱ビーム「ジャンレザー」がジャンキラーから放たれるが、ギンガもただこのままやれる訳にはいかない、ギンガも全身のクリスタルを紫に輝かせて技を発動する。

 

『ギンガスラッシュ!!』

 

頭部のクリスタルから放つ光刃「ギンガスラッシュ」をギンガは繰り出し、ジャンレザーとぶつかり合うとジャンキラーとギンガの間で爆発が起こり、そのままジャンキラーとギンガはお互いに向かって駆けだし、お互い拳を放ち、2人の拳はそれぞれ2人の顔面に直撃し、どちらも軽く吹き飛ばされた。

 

(それにしてもおかしい、ライブしている時ならお互いに誰が変身しているのか分かる筈、でもあいつは一体誰がライブしてんのかがまるで分からねえ。 つーかさっきからピコピコうるさいんだけど、さっきよりうるさいんだけど、なにこれ?)

 

それからも、ギンガとジャンキラーの互角の戦いが続き、ジャンキラーは拳をギンガに振るうがギンガはその拳を受け止めてジャンキラーの腹部を蹴りつける、しかしジャンキラーは特に気にした様子はなく、ギンガに自分の腕を掴ませたまま腕を大きく振るってギンガを投げ飛ばす。

 

『デアアアアア!!』

 

だがギンガは逆にそれを利用して空中で飛行能力を使って反転し、ジャンキラーに真っ直ぐ向かって跳び蹴りを繰り出し、ジャンキラーはすぐに振り返って両腕で攻撃を防いだ。

 

「チィッ!! こいつ、まだ時間がこねえのかよ!?」

 

ジャンキラーのコックピットにいるクリスが愚痴るが、ガンパットのタイマーを見ると後残り15秒だった。

 

『やるな、お前!! でも俺だって負けちゃいられねえ!!』

「はん、アンタだって中々やるじゃねえか、でも負けられない、それはあたしも一緒さ、タイムオーバーだ、ウルトラマンギンガ」

『なに!?』

 

ギンガは気付いた、自分のカラータイマーのランプが消えていることに、そしてギンガは光の粒子と化し、ギンガはコウマの姿へと戻ってしまったのだった。

 

因みに、ギンガの声はコックピットのクリスに聞こえるが、クリスの声はギンガには聞こえていない。

 

「丁度3分、これでしばらくギンガは出て来れねえ、つまり、ギンガの邪魔はねえってことだな。 後は……」

 

クリスはダークダミースパークを取り出し、1つのスパークドールズ、「ウルトラマンソウル」のスパークドールズを取り出し、ソウルの足部をダミースパークの先端に押し当てた。

 

『ダークライブ!! ダークメフィスト!!』

 

ダミースパークの先端に足を押し当てられたソウルのスパークドールズは黒く染まり、「闇の巨人 ダークメフィスト」ととなり、クリスの隣に等身大でダークメフィストが実体化して現れた。

 

「奴は他のウルトラマンにライブするにはギンガになる必要がある、だが奴には怪獣にライブ出来る力が残っている、そこでお前にはあの来元コウマとかいう奴の相手を頼むぜ?」

 

クリスにそう言われてメフィストは無言で頷き、クリスはジャンキラーを消し去るとメフィストと共に地上に降り立った。

 

一方、コウマが外で戦っていたのと同じ頃、響は瓦礫から「見たかった」という言葉と共に瓦礫から抜け出し脱出、そのまま響はノイズの1体を殴りつける。

 

「流れ星!! 見たかったぁ!! 未来と一緒に、流れ星見たかったぁ!!」

 

響は次々とノイズを殲滅して行き、先程のブドウノイズを追い掛けながら立ちはだかるノイズ達をまるで獣のように潰して行き、ブドウノイズは球体を使って天井に穴を開け、外に脱出するが……直後に現れた翼によって瞬殺され、響は急いで外に出て翼の元に駆け寄った。

 

「……私だって、守りたいものがあるんです!! だから!!」

 

響が翼にそう言うが、翼は表情1つ変えずにいたのだが……。

 

「『だから』、んでどうすんだよ?」

 

そこにあのジャンキラーに乗っていた少女が現れた、ただ……その少女……、雪音クリスは銀色の鎧を纏っており、翼はその鎧を見て目を見開いた。

 

「ネフシュタンの……鎧!?」

 




クリスの持つダミースパークは特別制ということで召喚も可能になります。


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4Eve それぞれが守りたいもの

5年前、ノイズに襲われて唯一生還し、二課に保護された少女「天羽奏」は……当時、聖遺物発掘チームの家族を奪ったノイズに対する憎しみが激しく、荒れていた。

 

なにしろ身体全体を拘束され、それでいて暴れ、目は怒りに囚われていたからだ、そんな状態の彼女を解放すればなにをするか分かったものではない、その場にいた翼もその時の彼女は「まるで手負いの獣のよう」だと思い、怯えた様子で弦十郎の後ろに隠れていた。

 

『アンタ等ノイズと戦ってんだろ!? だったらあたしに武器をくれ!! 奴等をぶっ殺す武器をくれ!!』

 

ただ、家族を奪ったノイズが憎くて憎くて奏は仕方が無かった、自分から全てを奪ったノイズにただ復讐したかった。

 

『辛いかもしれないだろうが、ノイズに襲われた時のことを詳しく教えてくれ』

 

だが弦十郎は奏に対し、冷静に対応し、弦十郎は「我々が君の家族の仇を取ってやる」と彼女に言ったのだが……。

 

『眠てえこと言ってんじゃねえぞおっさん!! あたしの家族の仇はあたししか取れねえんだ!! あたしにノイズをブチ殺させろぉ!!』

『それは、君が地獄に落ちることになってでもか?』

 

その時の弦十郎の眼差しはとても真剣なものだったが、奏はそんなことは気にせずにノイズを殺すためなら自分は望んで地獄に落ちると強く言い放った、その直後に弦十郎は奏の頭を撫で、優しく彼女を抱きしめた。

 

すると先程まで騒いでいた奏が黙りこんで大人しくなり、弦十郎の行動に驚きながら彼女の頬は僅かに赤くなっていた。

 

そして奏は厳しい訓練と薬物の投与を繰り返すことで聖遺物第3号である「ガングニール」への適合を試みることになったのだが……奏は、それに普通では考えられないほどの苦しみを味わい、その実験に居合わせた了子は「ここまでやっても適合することが出来ないんじゃダメね」と半ば諦めかけていた。

 

また、同じようにその場に居合わせた弦十郎は表情こそ硬く、変化はしないもののその握られた拳からは血が滲み出ていた……、まるでなにかに悔しがるように。

 

『ここまでだなんて連れねえこと言うなよ、パーティー再会と行こうや!』

 

奏はそう言って自分に薬物をさらに打ち込み、その表情はとても気分が悪そうに見えたのだが……それでも奏は諦めなかった、だが奏は突然その薬物を打ち込んだ直後に苦しみだし口から血を大量に吐き出させた。

 

同時に、奏のガングニールへの適合率が上昇し、一度彼女は倒れこんでしまうのだが……次の瞬間、衝撃波が彼女の身体から放たれ、周りにいた研究員達を吹き飛ばし、そして奏は血で塗れた手で窓ガラスに手を突きながら立ち上がり、「歌」を口ずさんだ。

 

『これが、奴等と戦える力!! シンフォギアだッ!!』

 

奏はシンフォギア、「ガングニール」をその身に纏うことに成功し、これから彼女は翼と共にノイズと戦うことになったのだった。

 

そして奏と翼がノイズを倒したある時のことだった、奏と翼が瓦礫の下から助け出した自衛隊の兵士がいきなり嬉しそうな表情で自分達にお礼を言ってきて奏は「んっ?」と首を傾げた。

 

『瓦礫に埋まってもずっと、歌が聞こえていた、だから諦めなかった』

『あ、う、うん……』

 

奏は戸惑いながらも頷き、それを切っ掛けに……自分の歌を誰かに聞いて貰うことに喜びを見出した彼女は以前よりも憎しみの心が無くなり、徐々に心も以前よりも柔らかくなり、そして……翼と「ツヴァイウイング」を結成したのだった。

 

そして2年前のあの日、ツヴァイウイング最後のライブがあったあの日、「ネフシュタンの鎧」は奪われた、2年前のあのライブはネフシュタンの鎧を起動させ、力を引き上げ、翼と奏の戦力強化の実験だったのだ。

 

しかし、ネフシュタンの鎧は一度は起動に成功した、だが……すぐにネフシュタンは暴走を始めどこかへと飛んで行き、消失してしまっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、翼は目の前の少女……「雪音クリス」がネフシュタンの鎧を纏って現れたことに目を見開いて驚き、クリスはネフシュタンの鎧のことを知っているのかと感心していた。

 

「2年前、私の不始末で奪われたものを、忘れるものか!! なにより、私の不手際で奪われた命を忘れるものか!!」

 

翼はクリスを睨みつけながら、大剣を構えるが……そこに丁度、コウマがやってきて一体どういう状況なのか分からず困惑しながら翼とクリスを交互に見る。

 

(奏を失った事件の原因と奏が残したガングニールのシンフォギア、時を経て再び揃って現れるという巡りあわせ。 だがこの残酷は……私にとって心地いい!!)

 

「おい、まさかあいつ等戦い合う気か!?」

 

コウマはギンガスパークを取り出すのだが……、ザムシャーは先程ギンガに変身した時にどこかへ落としてしまったままなのに気付き、しかも自分が持っているスパークドールズは今1体もないことにもコウマは気付いた。

 

「しまったああああああああ!!!? 今日俺、ザムシャーしかスパークドールズ持ってきてねえ!!? ギンガもさっき戦ったばっかだし出てくれねえよ!!?」

「なにしてんのさコウマくん!!? 兎に角、2人を止めないと……!!」

『コウマのこのバカめ、世話が焼ける、だから何時もあんなにスパークドールズは幾つか持ち歩いておけと言っていただろう?』

 

コウマと響が慌てまくっているその時、2人の頭上から声が聞こえて上を見上げるとそこにはタロウが空中にSDケースと共に浮いており、タロウはSDケースをコウマに渡し、コウマはタロウにお礼を言った後、ケースからスパークドールズを取り出す。

 

そしてタロウは遠くからサポートしようとSDケースごとテレポートしてここから少し離れた所まで移動する。

 

「よし、こいつで行くぜ!!」

『ウルトライブ!! バルタン星人!!』

 

コウマは等身大のセミのような両手がハサミの宇宙人「宇宙忍者バルタン星人(SD)」にウルトライブし、響は翼に抱きつくように、バルタン星人は翼とクリスの間に立って2人が戦わないように仲裁に入る。

 

『おい、やめろ!! なにやってんだお前等!!? それにそこのお前、お前……もしかしてさっきのロボットの奴か? だとしたらなんでこんなことする?』

「あぁ、確かにあたしの相棒、ジャンキラーを動かしていたのはこのあたしさ。 けどな、お前にはもう用はねえんだよ、引っ込んでろ!!」

 

そのクリスの言葉と共に、突如等身大の「闇の巨人ダークメフィスト」がいきなり現れ、メフィストは右腕に爪型の武器「メフィストクロー」を装備してバルタン星人を擦れ違いざまに斬りつけた。

 

『ぐああああッ!!?』

 

バルタン星人はその攻撃に膝を突くが、すかさずメフィストの蹴りがバルタン星人の顔面に直撃するが、バルタン星人も負けじと両手のハサミから破壊光弾を発射して反撃し、円形状のバリアを作り出す「ダークディフェンサー」でバルタンの攻撃を完全に防ぎ、バルタン星人の攻撃が一時止むとメフィストはメフィストクローから緑色の光弾を放つ「メフィストショット」を発射し、それらがバルタン星人に直撃してバルタン星人は地面に倒れこむ。

 

「コウマくん!!?」

 

響がコウマを心配し、彼の名を呼ぶが……、バルタン星人は脱皮し、ノーダメージで復活したが……復活した直後にバルタン星人に詰め寄ってきたメフィストのメフィストクローの爪が自分に向かって振り下ろされてきたが……バルタン星人はテレポート能力を使ってメフィストの背後に回り込み、両手のハサミでメフィストを後ろから殴りつける。

 

『ウオッ!?』

「フォフォフォフォ!!」

 

バルタン星人はハサミから破壊光弾をメフィストに喰らわせた後、再び響と一緒に翼とクリスを説得しようと言葉をかける。

 

「相手は人です!! 同じ人間です!!」

『そうだよ、確かに相手がライブすりゃ戦うしかないかもしれねえけど……』

「でも、今はちゃんと話し合おうと思えば話し合える筈です!!」

 

響とバルタン星人にライブしているコウマが必死に翼とクリスの2人に訴えかけるが翼もクリスも「戦場でなにをバカなことを!!」と見事に2人がハモり、翼とクリスもそれに驚いて互いを見つめる。

 

「むしろ、あなたと気が合いそうね」

「だったら仲良くじゃれあうかい!?」

 

翼とクリスは不敵に笑い、先制攻撃を仕掛けたのはクリスだった、クリスはネフシュタンの鎧の鞭のようなものを使い、翼にそれを振るうが、翼は響を押し退かして上空へと飛び立ち、バルタン星人はテレポート能力を使って攻撃を回避。

 

そのままバルタン星人はテレポートでクリスの背後に回り込んで後ろから彼女に掴みかかり、必死に攻撃をやめさせようとする。

 

『頼むからやめてくれ!! 一体なにが目的なんだ? お前がこんなことするのはなにか事情があったりするのか!!?』

「お前に話すことなんざなんもねえよ、ただ1つ……お前の相手はあいつだ」

 

すると突然、バルタン星人の背後に立つメフィストがバルタン星人の左肩を掴み、後ろの方へとメフィストは投げ飛ばし、投げ飛ばされたバルタン星人は倒れこみ、倒れこんだその隙を狙ってメフィストがジャンプし、空中から急降下してメフィストクローをバルタン星人に突き刺そうとしてくる。

 

だが、バルタン星人はハサミの破壊光弾をメフィストに撃ちこみ、メフィストは破壊光弾を喰らってバランスを崩し、検討違いな方向に落下した。

 

すかさずバルタン星人はメフィストに攻撃の隙を与えまいと破壊光弾をメフィストに撃ちまくり、砂煙が起こるが……晴れた時、そこにはメフィストの姿はなく、一瞬バルタン星人はメフィストがスパークドールズに戻ったのかと思ったが……、スパークドールズの影も形もそこには無かった。

 

『クソ、どこ行きやがった!?』

『コウマ!! 後ろだ!!』

 

タロウからの助言のおかげでバルタン星人は振り返りざまに腕のハサミを振るい、そのハサミはメフィストのメフィストクローとぶつかりあった。

 

『チィ、厄介なことこの上ねえぜ!!』

『ならコウマ、これを使ってみろ!!』

 

タロウはSDケースから新たなスパークドールズを取り出し、バルタン星人はテレポート能力を使用してその場からいなくなり、タロウとSDケースの元まで瞬間移動して行き、一度変身を解いてすぐさまタロウが選んだスパークドールズの足部をギンガスパークの先端に押し当てる。

 

『ウルトライブ!! アルギュロス!!』

 

スパークドールズを使用し、コウマは等身大の全身が銀色の金属の「金属生命体アルギュロス(SD)」へとウルトライブし、アルギュロスは右腕を長剣へと変化させ、メフィストに斬りかかるがメフィストはそれをメフィストクローで受け流し、メフィストは蹴りをアルギュロスに繰り出すが、アルギュロスはメフィストの足を左手で掴み、今度は銃に変形させた右腕をアルギュロスはメフィストに突きつける。

 

『デアアア!!』

『喰らえ!!』

 

メフィストはメフィストクローから緑色の光弾を放つ「メフィストショット」を、アルギュロスは変形させた右腕の銃から放つ銃弾をお互いに向けて同時に撃ち、2人はどちらも大きく吹き飛ばされた。

 

『ぐあああっ!!?』

『ヌウウウウ!!?』

 

コウマとメフィストが戦っているのと同じ頃、翼とクリスは戦いを続けており、翼は空中から大剣を振るってエネルギー刃を放つ「蒼ノ一閃」をクリスに繰り出したが……クリスはネフシュタンの鞭で蒼ノ一閃をかき消す。

 

そのまま翼は大剣でクリスに斬りかかるが、クリスは翼の攻撃を全てかわし、彼女の剣を一度鞭で受け止めると嫌らしく笑みを見せ、翼を蹴り飛ばした。

 

(がはっ……!? これが、完全聖遺物のポテンシャル!?)

「ネフシュタンの力だなんて思わないでくれよなー? まだまだこんなもんじゃねえぞ!!?」

 

クリスは鞭を振るって何度も翼に攻撃を仕掛けるが、翼はそれをどうにかかわし続け、響は翼の名を呼び彼女を助けに行こうとするが……。

 

「お呼びじゃないんだよ、こいつ等の相手でもしていな」

 

クリスはどこからか杖のようなものを取り出し、そこからノイズを何体も召喚し、クリスはノイズを操り、ノイズは響に襲い掛かる。

 

「ノイズが、操られている!?」

『なに!? じゃあ、あいつが今まで!?』

 

それを見たアルギュロスは驚きの声をあげるが、その隙を疲れてメフィストの蹴りが腹部にめり込んで蹴り飛ばされてしまう。

 

一方、響は叫び声をあげながらクリスが呼びだした4体のノイズから逃げだしたのだが、そのノイズが出した液によって響は拘束されてしまうのだが……なんというか、その光景がどうもアレな感じに。

 

『なんか、エロいんだけど……///』

『『……///』』

 

アルギュロスはコウマが変身しているのでともかく、心なしかメフィストとタロウも顔が赤いような気がするのはきのせいだろうか?

 

兎に角、戦いの場は翼とクリスに戻し、翼は余所見をしているクリスの隙を見逃さずに剣で斬りかかるが、クリスは瞬時に翼の剣を鞭で受け止める。

 

「その子にかまけて私を忘れたか!!」

 

クリスはそんな翼に僅かに苛立ち、彼女を押し返して彼女の足を掴みあげて地面へと放り投げ、瞬時にクリスは倒れこんだ翼の元へと廻り込み、彼女の顔を踏みつける。

 

「のぼせあがるな人気物!! 誰もかれも構ってくれると思うんじゃねえ!!」

『コラ』

 

そこに偶然、クリスと翼の近くで戦っていたアルギュロスは元に戻した腕でクリスの額にデコピンを繰り出し、クリスは足を翼から退けて額を「いった~!!?」と目尻に涙を溜めてアルギュロスを睨みつけながらその場にしゃがみ込んだ。

 

『人の顔は踏むもんじゃねえ!! 笑ったり、泣いたり、怒ったりするためのもんだ!!』

「知ったことか、あたしには、あたしには……どうせもう、なにもないんだから」

(……んっ?)

 

最後の方はボソッとしていたよくは聞こえなかったが、それでもコウマは彼女はやはりなにか事情があるのだということを確信した。

 

だがそこにまるで「俺を無視するな!!」とでも言うかのようにメフィストが左手でアルギュロスの顔面を殴りつけ、アルギュロスは殴られた頬を擦りながら、コウマはアルギュロスの最後の手段を使うことにした。

 

アルギュロスは液体のようになると姿を徐々に変えて行き、メフィストの姿をコピーした「ニセダークメフィスト」へと擬態し、メフィストは自分の姿をコピーされたことに驚いた様子を見せ、アルギュロスの中にいるコウマは「どうだ、驚いたか!!」と口元を「ニヤリ」とさせた。

 

それに同調するかのようにニセメフィストも「ニヤリ」と口元に笑みを浮かべ、それを見た翼、クリス、響は3人揃って「うわあ、不気味」とかなり引いており、メフィストも若干引いていた。

 

『なにその反応!? 結構傷付くんだけど!?』

 

取りあえず、ニセメフィストもメフィストクローを出現させ、メフィストとニセメフィストはお互いに向かって駆けだして行き、ほぼ同時にお互いにメフィストクローを振るって互いを斬りつけた。

 

『『ぐううう!!?』』

 

そしてメフィストとニセメフィストはアームドメフィストを組みあわせて発射する強力な破壊光線「ダークレイ・シュトローム」をお互いに同時に発射するのだが……、メフィストの方が威力は圧倒的であり、すぐにニセメフィストの光線を打ち消してニセメフィストはメフィストの光線を喰らい、変身も強制解除された。

 

「ぐあああああああっ!!? くっそぉ、どうにか直撃は避けられたか、タロウ!!」

『あまり無茶はするなよ!』

 

タロウはスパークドールズの1体をコウマの元までテレポートさせ、コウマはすぐにそのスパークドールズをライブさせようとギンガスパークの先端に足を押し当てる。

 

『ウルトライブ!! アラクネア!!』

 

身長13メートルで両腕に鋏のある「インセクティボラタイプビース アラクネア(SD)」に今度はコウマはウルトライブし、メフィストはまたもやなにか驚いたような様子を見せるが、先程のように姿をコピーした訳では無いのでなぜ驚いているのかコウマには分からなかった。

 

アラクネアは両腕を同時に突き出してメフィストを殴りつけようとするが、メフィストはアラクネアの両腕を受け止め、ここから2人の力の押し合いとなるのだが……、アラクネアは等身大のメフィストよりも大柄な体格をしている、そのためパワーではアラクネアの方が部があり、すぐにメフィストを押し返した。

 

メフィストは巨大な闇の球を造り射出し、闇の玉は小さな小弾に分裂し、敵目がけて降り注ぐ「ダークレイクラスター」をアラクネアに繰り出し、流石にこれを喰らっては一溜まりも無いだろうと思いながらメフィストはアラクネアの姿を確認しようとするが……その姿はどこにもなく、先程の自分と同じように背後に回り込んだのかと思ったが、アラクネアのスピードではそんなこと出来る筈もない。

 

そこでメフィストは気付いた、アラクネアがいた所が妙に地面が抉れていることに、ダークレイクラスターが降り注いだからといってここまで大きく地面が抉れることなどない、ということはこの地面が抉れた原因は……。

 

その瞬間、メフィストの立っていた地面からアラクネアが飛び出し、メフィストの足を両手のハサミで掴んで地面に叩きつけ、放り投げる。

 

『ウアアア!!?』

『待ってろ響! すぐに助けるからな!!』

 

再び翼とクリスに戦いの場は戻り、クリスは不敵に笑みを浮かべながら親指で響を差す。

 

「この場の主役と勘違いしてんなら教えてやる、狙いははなっからこいつを掻っ攫うことだ」

 

クリスの言葉を聞いた響は当然「えっ?」となり、クリスは翼に「鎧も仲間も、アンタには過ぎてんじゃねえのか?」とバカにしたように言うクリス。

 

「……繰り返すものかと私は誓った!!」

 

翼はクリスを睨みつけながら剣を上空へと掲げ、空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させ広範囲を攻撃する「千ノ落涙」をクリスに放つが、クリスはそれを余裕で回避し、尚も翼とクリスは戦いを続ける。

 

また、捕まった響はというと、なにかを閃いたのか腕を何度もなにかを出そうとしているかのように降っていた。

 

「……そうだ、アームドギア!! 私が奏さんの代わりになるには私にも、アームドギアが必要なんだ!!」

 

アームドギアとはシンフォギアの可変・可動式主武装であり、聖遺物のエネルギーが武器の形に固定されることで発生し、元となる聖遺物の形態と装者の心象によって出現させる異なる武器であり、翼の使っている剣もそのアームドギアである。

 

しかし、響はそのアームドギアを何度も出そうとするが、どうしても彼女にはアームドギアを出すことが出来なかった。

 

そして未だに翼はクリスと戦いを続けており、翼は小太刀3本クリスに投げつけるが、クリスは「ちょろくせえ!!」と一蹴し、小太刀を打ち落として空中へとジャンプ、そして肩部の鞭状突起からエネルギー弾を生成し、標的に投げつけて攻撃する「NIRVANA GEDON」を翼へと放った。

 

翼はどうにかそれを大剣で受け止めるが、エネルギー弾はそのまま爆発し、翼はその爆発に巻き込まれた。

 

『「翼さん!!?」』

 

翼は吹き飛ばされ、彼女はもう殆どボロボロだった……。

 

「ふん、まるで出来損ない」

 

見下すように言うクリス、すると翼は……「確かに、私は出来損ないだ」と言いつつ、どうにか立ち上がろうとする。

 

「剣(つるぎ)と鍛えてきた筈なのに、あの日、無様に生き残ってしまった。 出来損ないの剣として……恥を晒してきた……。 だが、それも今日までのこと、奪われたネフシュタンの鎧を取り戻すことで、この身の汚名をそそがして貰う!!」

「そうかい? 脱がせるものなら脱がしてみ……なに!?」

 

なぜか、クリスはその場から一歩も動けなかった、一体どういうことなのか、後ろを振り向いてみると自分の影に先程叩き落とした小太刀が刺さっていたのだ。

 

これは影ができる光の下でなければ使えない「影縫い」という翼の技である。

 

因みに元は緒川が得意とする銃を用いての忍法で、その利便性に惚れ込み3年がかりで小太刀での影縫いを習得したとか。

 

「こんなもんで、あたしの動きを……!? っ、まさか、お前……」

「月が覗いている内に、決着をつけましょう?」

 

その時の翼はまるで……死ぬ覚悟を決めたかのような表情をしていた。

 

「歌うのか? 『絶唱』を……?」

「防人の生きざま!! 覚悟を見せてあげる!! あなたの胸に、焼きつけなさい!!」

 

翼は拘束されている響の方へと振り返り、響に真剣な眼差しで言い放ち、彼女は剣を掲げ、奏が最後に歌った「絶唱」を歌いながら、クリスへと近寄っていく。

 

クリスはやられまいとノイズを召喚して自分の盾にしようとしたが、何時の間にか翼は自分の目の前まで迫っており、翼は……口から血を流した。

 

「絶唱」、それは装者の負荷を省みずにシンフォギアの力を限界以上に解放する「歌」、増幅したエネルギーを、アームドギアを介して一気に放出する最後の切り札……。

 

そして放出されたエネルギーはクリスが呼びだしていたノイズ達を一気に消し飛ばし、響は拘束から解放され、また1番近くにいたクリスがその放出されたエネルギーを直に喰らった。

 

「ううわあああああああああああああ!!!!!?」

 

そのエネルギーを喰らったクリスが纏っていたネフシュタンの鎧は破損し、破損されたネフシュタンは再生しようとしたのだが、その際クリスが突然苦しみ出し、苦痛の声をあげた。

 

「うあああっ!!? くっ!?」

 

クリスはダミースパークとジャンキラーのスパークドールズを取り出し、ジャンキラーの足部にダミースパークの先端を押し当てる。

 

『ダークライブ! ジャンキラー!』

 

ジャンキラーはスパークドールズだけが実体化し、クリスの目の前に現れ、クリスをコックピットに入れた後、ジャンキラーは変形して飛行線「ジャンスター」となり、その場を飛行して去って行った。

 

メフィストもクリスが撤退したのを見てメフィストショットをアラクネアにライブしたコウマに喰らわせ怯ませた隙に、メフィストも飛行して撤退した。

 

アラクネアはコウマの姿に戻り、響、タロウと一緒に立ち付くす翼の元に駆け寄り、丁度そこに車に乗って弦十郎と了子もやってきた。

 

「無事か、翼!?」

「私とて、人類守護の勤めを果たす防人……、こんな所で、折れる剣じゃありません!」

 

翼は、コウマ達の方に振り返るが……その表情は無表情で、目と口から血を流し、身体全身から血を彼女は流し、そして……力なくその場に崩れた。

 

「……っ、つ、翼さああああああああん!!!!」

 

コウマとタロウは翼のその姿に唖然とし、そして、夜に響の叫び声が鳴り響いたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、翼は病院へ急いで運ばれ、医者の懸命の治療によりどうにか一命は取り留めることが出来た。

 

そして響はというとコウマと一緒に病院の椅子で座っており、コウマもコウマの肩に乗っているタロウも彼女になんと話しかければ良いのか分からず、困り果てていたその時……。

 

「あなが気に病む必要はありませんよ。 翼さんが自ら望み歌ったのですから」

 

緒川がやってきて自動販売機で飲み物を買う。

 

「ご存じとは思いますが、以前の翼さんはアーティストユニットを組んでいました」

「ツヴァイウイング……ですよね?」

 

響の言葉に緒川は無言で頷き、買ったコーヒーを響に彼は渡し、その時のパートナーが天羽奏、今は響の胸に残るガングニールのシンフォギア奏者だったことと、絶唱についてのことを響に話す。

 

2年前、ライブの被害を最小限に抑える為に解き放つ絶唱を奏は歌い、そして奏はそれを使った為に、彼女は死んでしまったと緒川は語る。

 

「それは、私を救うためですか?」

 

響は悲しげに緒川に問いかけるが、彼は答えず自分の分のコーヒーを飲む。

 

「1人になった翼さんは奏さんの穴を埋めるためにがむしゃらに戦ってきました。 同じ世代の女の子が知ってしかるべき遊びや恋愛も覚えず」

 

今まで翼は自分を殺し、一振りの剣として生きてきた、そして今日、剣としての使命を果たす為死ぬことすら覚悟して絶唱を歌った。

 

「不器用ですよね、ですけどそれが風鳴翼の生き方なんです」

 

緒川の話を聞いた響は……、その瞳から涙を溢れさせた。

 

「うう……ぅ、そんなの、酷すぎます。 そして私は……翼さんのことを何にも知らずに一緒に戦いたいだなんて奏さんの代わりになるだなんて……うう、ひっく」

「だから、言っただろ、このバカ響が」

 

コウマは響の頭に軽くチョップし、彼女に優しく微笑んだ。

 

「お前が誰かになれんのはこの世でたった1人、『立花響』っていう人間だけだ、お前はそいつ、自分自身にしかなれねえんだよ」

「うぅ、ううぅ、うん、有難う、コウマ……くん……」

 

緒川も彼女に自分も響に奏の代わりになって欲しいだなんて思っていない、そんなこと、誰も望んでいないと伝え、緒川は1つ、響にお願いをすることになった。

 

「えっ?」

「翼さんのこと、嫌いにならないでください。 翼さんを、世界に1人ぼっちなんかにさせないでください」

 

緒川は優しく、微笑みながら響にそう頼むと響は喜んで「はい」と返事を返したのだった。

 

「ねえ、コウマくんの守りたいものって……なに?」

「んっ? 俺の守りたいもの?」

「だから、コウマくんは戦ってるんでしょ?」

 

響に聞かれてコウマを腕を組んだ後、「夢かな……」と小さく呟いたが、その答えは響の耳にしっかりと届いていた。

 

そしてそれを聞いた響は「夢?」と首を傾げ、再び彼にどうして夢を守る為に戦うのかと尋ねた。

 

「この街に戻ってくる前、山でスパークドールズを集めたことがあるって言ったよな?」

 

その時にも闇の心を利用され、ダークライブし、コウマの前に立ちはだかった人物が何人もいた、特にその人物の殆どが「夢を否定する者」「夢をバカにする者」「人の夢を壊す者」が多かった、夢を大切に想い、夢のあるコウマにとって……それは、許せないことだった。

 

「だから、俺はそんな奴等に焼きを入れてやるために、夢を守るために戦うんだ、その為にタロウに滅茶苦茶しごかれたけどな」

 

因みにそのタロウがコウマをしごいていた時、レオとセブンのスパークドールズから変なオーラがタロウに向かって放たれていたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、リディアンの屋上にて、響はベンチに座り、考え事をしていた。

 

「私が、奏さんの代わりだなんて」

 

響は、今回のことと、2年前のことで責任を感じていた、自分が全然未熟だからこんなことになったのだと。

 

翼は、泣いていた、彼女は強いから戦い続けたのでは無い、ずっと泣きながらもそれを押し隠して戦ってきた。

 

悔しい涙も覚悟の涙も誰よりも多く流しながら強い剣であり続けるためにずっとずっと……、響はきっと翼はそうなんだと思い、ずっと悩んでいた。

 

その時、「響」と自分の名前呼んでくれる親友がそこにいた。

 

「未来?」

「最近1人でいることが多くなったんじゃない?」

「そ、そうかなぁ? そうでもないよ!!」

 

響は誤魔化すように笑い、何気ない話で誤魔化そうとするが、未来は響の隣に座り、響の手をとる。

 

「あっ……。 やっぱり、未来に隠しごとは出来ないね」

「だって響、無理してるんだもの!」

 

未来は響に微笑みながら、彼女がなにか最近無理をしていることを見破っていた。

 

「うん、でもごめん、もう少し1人で考えさせて。 これは私が考えなきゃいけないことなんだ」

 

申し訳なさそうに謝る響だが、未来は「分かった」と頷き、そこから未来は立ち上がる。

 

「あのね響、どんなに悩んで考えて出した答えで一歩前進したとしても響は響のままでいてね?」

「私の、まま?」

「そっ、変わってしまうんじゃ無く、響は響のまま成長してくれるんだったら、私も応援する、だって響の代わりはどこにもいなんだもの、いなくなって欲しくない!」

 

未来は微笑みながら響にそう言い、響は同時に「お前が誰かになれんのはこの世でたった1人、『立花響』っていう人間だけだ」というコウマの言葉を思い出し、響はこのままいてもいいのかなと未来に問いかけるが……。

 

「響は響のままじゃなきゃ嫌だよ?」

 

笑みを向けながら、未来は響にそう答え、響もそこから立ちあがり、自分の拳を握りしめ、未来に「有難う」とお礼を言った。

 

「私、私のまま歩いていけそうだよ!」

 

未来は「良かった」と安心した後、なにかを思い出したかのような表情を浮かべ、携帯を取り出してみせた。

 

「流星群、録画してきたんだけど、動画で見る?」

「えっ!?」

 

しかし、動画は光量不足でなにも見えなかったのだった。

 

「ダメじゃん!?」

 

そんなコントのようなことをして響と未来は……お腹の底から笑い、そして次こそは一緒に流星群を見ようと2人で約束したのだった。

 

その時の響の表情は……殆どの迷いを振り切ったスッキリとした顔だった。

 

(私にだって、守りたいものがある!! 私に守れるものなんて、小さな約束だったり、なんでもない日常なのかもしれないけど、それでも守りたいものを守れるように、私は、私のまま強くなりたい!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、響は弦十郎の元へと向かい、彼に戦い方を教えて貰うように頼みに行ったのだ。

 

あの人外以上の人外ならばきっと武術(?)など知っていそうという理由で彼女は彼の元に尋ねたのだ。

 

少し考えた後、弦十郎は「俺のやり方は厳しいぞ?」と一応許可は貰ったのだが……。

 

「時に響くん、君はアクション映画とかたしなむかな?」

「はい?」

 

そこから弦十郎の猛特訓が開始され、それにはコウマも主にレオにライブして響の特訓を手伝い、ある日、響がどこまで成長したか確認するために響とコウマが模擬戦を行うことになった。

 

「準備は良いか、響!?」

「うん、何時でもOKだよ!!」

 

コウマはギンガスパークを構えると、今回はいきなりギンガのスパークドールズが出現し、コウマは「何時も空気呼んでくれてありがとな!」とお礼を言いながら等身大の「ウルトラマンギンガ」にライブした。

 

『ウルトラーイブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

さらにギンガの中にいるコウマにギンガスパークからレオのスパークドールズが転送され、コウマはレオの足部にギンガスパークの先端を押し当てる。

 

『ウルトラーイブ!! ウルトラマンレオ!!』

 

ギンガは等身大の「ウルトラマンレオ(SD)」となり、レオと響は互いに相手を見つめる。

 

『行くぞ、響!!』

「はい!!」

 

響はガングニールを纏い、レオに突っ込んできて拳を放つがレオはその拳を受け流す……、しかし、響の蹴りがすかさずレオに炸裂し、レオはその攻撃に怯む。

 

レオが今の攻撃で怯んだ所を響は拳を放つが、レオはそれを右手だけで受け止め、左拳で響の腹部に手を添え、気力だけで彼女を吹き飛ばす。

 

「うわああっ!!?」

『イヤッ!!』

 

レオは跳びあがって跳び蹴りを響に繰り出すが、響はそこからジャンプし、レオの蹴りをかわし、空中からのかかと落としをレオに炸裂する、しかし、レオはそれもいとも簡単に両腕を交差して防ぎ、レオは両腕を力強く広げて響を吹き飛ばす。

 

『ヤーッ!!』

 

レオは響に駆けだして行き、チョップの連続を攻撃を炸裂、響はそれをどうにか防ぐが……反撃する隙が無く、防ぐことしか出来なかった。

 

『どうした!? 反撃して来い!! 響!!』

「くうう、そんなこと言ったって……!!」

 

だがそこで響は思いついた、前に踏み出せないのなら、後ろに下がれば良いということに、響はレオの猛攻撃から逃れるため、後ろへと跳び退き、彼女は後ろにあった木に真っ直ぐ走って向かって行き、跳びあがり、木を思いっきり蹴りつけ、その反動でレオに突っ込む。

 

「いっけええええええええ!!!!」

 

そして響は拳を突き出し、レオは両腕を交差して響の拳を受け止めるが、勢いをつけた響の拳は強力でレオはガードを崩され、殴り飛ばされる。

 

『ヌウ!!?』

「はあああああ!!!」

 

響はそのまま連続で拳を振るい、今度はレオが防ぐだけとなって形勢が逆転、しかし、レオは響と同じように後ろに一度跳び退き、そして再び響にレオは突っ込んで来る。

 

響は構えるが、レオは響の頭上を飛び越え、後ろにあった木を蹴りつけ、そのまま反転し、レオの跳び蹴りが響に炸裂……せず、レオはワザと外した。

 

「えっ?」

「そこまでだ!! 模擬戦の勝者はレオ、コウマだ!」

 

そこで弦十郎が試合終了の合図を出し、響とコウマは変身を解き、響は照れ臭そうに頭をかく。

 

「いやぁ~、手加減してあんなに強いなんて凄いんだねコウマくん?」

「いや、あれは俺の力だけじゃない、殆どレオの力さ」

 

コウマはレオのスパークドールズを取り出し、それを響に見せるが……その際、響の耳に、弦十郎でも、コウマでも、タロウでもない他の誰かの声が聞こえてきた。

 

『君の守りたいものを、しっかりと守り抜け、俺が味わった苦しみを決して君は味わないでくれ』

「……えっ? もしかして、レオ?」

 

今の言葉は響以外の誰にも聞こえていなかった、それでも響は先程の言葉が決して幻聴などではなく、きっとレオの声なのだと確信し、そしてレオの言葉に彼女は答えた。

 

「はい、勿論です!! 例えどんなに小さなものだろうと、それは私にとって大切なもの、だから守る為に、私、頑張ります!!」

 

 

その頃タロウはというと……。

 

『後輩2人に出し抜かれた……、なぜ私はダメなんだ、あぁ、早く大きくなりたーい!』

 

と嘆いていたとか。



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5Eve 暗躍のバルキー星人

早朝より、響は弦十郎の元で戦い方を学び、今現在、サンドバックを殴りつけて身体を鍛えていた。

 

「そうじゃない!! 雷を握りつぶすように打つべし!」

 

それに同伴して来ていたコウマとコウマの肩に乗ったタロウは、響が特訓している様子を見守っていた。

 

「そうじゃない!! 稲津を喰らい、雷を握りつぶすように打つべし!」

 

弦十郎にそう注意される響、それに対して響は「言ってること、全然分かりません!!」と真顔で答え、コウマとタロウは2人声を合わせて「分からないのか/よ!?」と彼女にツッコミを入れるが……弦十郎の言っていることはタロウもコウマも理解出来なかったりする。

 

「分からないけど、でも、やってみます!!」

 

響は目を見開き、拳を構え、目を見開き、そして右の拳を突き出してサンドバックを殴りつけると衝撃でサンドバックが破裂し、中に詰まっていた砂が零れ出した。

 

『中々成長が早いな、響は。 山籠りして身体を鍛えていたコウマよりも、成長が早い』

「えっ? 嘘、そんなに!?」

『ハハハ、コウマも響に遅れないように今から鍛え直すか?』

 

タロウが笑いながらコウマに言うが、コウマは頭を抱えてなにか「ジープ怖い、ジープ怖い!!」とかなにかおかしなことを呟いていた。

 

それから響、コウマ、タロウ、弦十郎は二課へと一度戻り、今日は響とコウマは学校は休むこととなって指令室で弦十郎と響は休憩することに。

 

「プハ~! 朝からキツ過ぎますよぉ!」

 

と言いながらソファに一気に響は寝そべり、ため息を吐き、あおいから飲み物を受け取るが……コウマから見たら響はそんなに疲れていないように見えていた。

 

(もしかして響ってそういう素質があるんだろうか?)

「頼んだぞ、明日のチャンピオン!」

 

弦十郎もソファに座りながら飲み物を飲み、そんな時、響は不意に気になったこと「こんな私みたいな女子高生に頼みこまなくてもノイズと戦える武器はないのか」という疑問を弦十郎に問いかけてみた。

 

その質問に対し、弦十郎は少なくとも公式には存在しないと言い切る。

 

「日本だって、シンフォギアは完全非公開だ」

「えっ~?」

 

それって色々と大丈夫なのかと不安になる響だが、取りあえず今はそれは置いておくことにしてもう1つ響には気になることを弦十郎に尋ねた。

 

それはノイズとの戦闘を結構気にしないで派手に自分はやっているが大丈夫なのだろうか、コウマのウルトラマンギンガに関することなども色々と大丈夫なのだろうかと気になっていた。

 

「大丈夫よ、情報封鎖も二課の仕事だから」

 

あおいが響を安心させるように言う、しかし、朔也は「だが時々無理を通すから今や自分達をよく思っていない閣僚や省庁だらけ」だと説明し、つまり纏めると纏めるとシンフォギアはアメリカが尚更欲しいということだ。

 

『オイ、作者、途中で説明投げ出したろ』

 

タロウがなにかツッコんできたが気にしない方向で、それよりも今の話を聞いていた響とコウマは今にも頭から湯気が出そうなくらい顔を真っ赤にしていて話についていけてなかった。

 

「ワタシ、ムズカシイ、ハナシ、ワカラナイ」

「ワタシモ、ワカラナイ」

「片言になってるぞ、響くんにコウマくん?」

 

苦笑しながら響とコウマにツッコミを入れる弦十郎、そこで響は今、了子がこの場にいないことに気付き、弦十郎にどこに行ったのか尋ねると弦十郎は了子は今、「政府のお偉いさん」に呼び出されて長田町まで行っているらしい。

 

「本部の安全性、及び防衛システムについて関係閣僚に対し、説明義務を果たしに行っている。 仕方のないことさ」

「ホント、なにもかもがややこしいんですね」

「全くだな」

 

弦十郎の説明を受けて響とコウマは苦笑しながらまた頭から湯気を出していた。

 

「ルールをややこしく何時も、責任も取らずに経ち回りたい連中なんだが……。 了子くんの戻りが遅れているようだな?」

 

弦十郎は腕時計を確認して了子の帰りが遅いことに気がつき、今、車を運転していた当の本人の了子は車の中で盛大にくしゃみをしていたとか。

 

「誰かが私の噂してるのかなー? なんだか今日は良い天気ねー、なんだかラッキーなことが起こりそうな予感!」

 

了子はとても元気な様子で車を走らせ、二課へと向けて車を猛スピードで飛ばしていた。

 

だが、その日の夕方……、了子を呼び出したその「お偉いさん」が何者かによって殺害されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンフォギアを纏った状態でボロボロの状態の翼がなにも無い所で浮いていた。

 

彼女は薄らと閉じていた瞳を開き、自分が生きていることに……否、死に損なってしまったことに気付いた。

 

そこで彼女はフッと思った、奏は何のために生き、何のために死んだのだろうと……、その時、翼の背後から奏が現れて彼女を後ろから抱き締めた。

 

『真面目が過ぎるぞ、翼?』

「っ!?」

『あんまりガチガチだと、その内ポッキリいっちゃいそうだ?』

 

それは奏が翼に対してよく言った言葉だ、若干懐かしさを感じながらも、例えここが幻想の世界だったとしても、翼は奏にもう1度会えたことを嬉しく思い、奏に対して嬉しそうに笑顔を見せた。

 

「私は1人になって一層の研鑽を重ねてきた、数え切れないほどのノイズを倒し、死線を超えそこに意味など求めずただひたすら戦い続けてきた。 そして気付いたんだ、私の命には意味や価値は無いってことに」

 

何時の間にか、そこにはあの時の、ツヴァイウイング最後のライブを行ったあのボロボロのライブ会場に、奏が翼を抱える形で2人はそこにいた。

 

『戦いの裏側とかその向こうにはまた違ったものがあるんじゃないかな。 私はそれを考えてきたし、そいつを見てきた』

 

奏は翼の言葉に対し、そう答え、翼は奏にそれはなんなのかを必死で尋ねるが……、奏はそれには答えてはくれなかった。

 

『自分で見つけるものじゃないかな?』

「っ、奏は私に意地悪だ」

 

翼は頬を膨らませて奏に文句を言うが……、彼女は「だけど、もう私に意地悪な奏はいないんだよね」と悲しそうに語り、奏はクスリと笑いながら「そいつは結構じゃないか」と言い返す。

 

「私は嫌だ!! 奏に傍にいて欲しいんだよ!!」

『フフッ、あたしが傍にいるか遠くにいるかは、アンタ次第だよ、翼が決めることさ』

「私がッ!? ……だったら、私は」

 

そこで彼女は……「夢」から目を覚まし、自分はポッドのようなものの中に入っており、周りには医者と思われる人達がいた。

 

そんな彼女の耳にリディアン音楽院の校歌が聞こえてきた。

 

(不思議な感覚……まるで世界から切り抜かれて私だけゆっくり時間が流れているような……。 そっか、私仕事でも任務でも無いのに学校休むの初めてなんだ。 心配しないで奏、私、あなたが言うほど真面目じゃないから、ポッキリ折れたりしない。 だから今日も無様に、生き恥を晒している)

 

すると彼女の瞳から一粒の涙が零れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は二課へと戻り、了子を呼び出した人物、「広木大臣」が殺害された件は既に二課でも知られることとなり、響達は連絡が取れない了子を心配していたのだが、丁度彼女が帰ってきてくれたので響達は彼女の無事を安心するのだった。

 

「あっ、壊れてるみたいね」

 

了子はすぐさま携帯電話を取り出して確認し、その携帯が壊れていることに対して苦笑し、響やコウマも苦笑しながらも彼女の無事を素直に喜んだ。

 

「でも心配してくれて有難う。 それと政府から受領した秘密資料も無事よ?」

 

了子はアタッシュケースから1つのチップを取り出し、了子は「任務遂行こそ、広木大臣の弔いだわ」とチップを弦十郎達に見せながら言うが、その時、誰も気付いていなかった。

 

了子が持って来たアタッシュケースの角に、赤いなにかが付着していることに。

 

それから、二課では会議が開かれることとなり、会議の話し合いにより、何者かがこの場に保管されているデュランダルを狙っている可能性があったため、デュランダルをここと並ぶ防衛システムのある「記憶の遺跡」と呼ばれる場所まで移送することとなった。

 

そして話し合いの結果、移送する日は翌日の朝となり、今日は響やコウマは一旦家に帰ることになった。

 

「ちょっと! 朝からどこに行ってたのよ!?」

 

寮に戻った響だったが、戻るとご立腹の様子の未来が待っており、「いきなり修行とか言われても!」と怒鳴るように言う未来だが、響は「えーとその、つまりですね~」とどうにか誤魔化そうとする。

 

「ちゃんと説明して!!」

「いやいや、俺が悪いんだよ! 今日はちょっと色々と俺に付き合わせたからさ響!」

 

コウマが響のフォローに入るが、未来と響からは……。

 

「「アレ? いたのコウマくん?」」

 

とまた完全に空気扱いされていたコウマだった、主人公なのに空気扱いってなんなのだろうか?

 

「お前等なぁ! 2人だけの空間に入るのも良いが俺を空気にするのだけはやめてくれない!?」

「アハハ、っと、もうこんな時間だ!! 私達行かないと~!」

 

響は慌てて部屋を飛び出し、未来は少し、寂しそうに「心配もさせてくれないの?」と響が出て行った扉を見つめた。

 

そんな未来の頭をコウマは後ろから撫でる。

 

「色々、あるんだよ、色々とな。 そこだけ分かってくれ」

「コウマくんは、響についてなにか知っているの?」

「さあな」

 

コウマは意地悪そうな自分の顔を未来に見せた後、彼もまた響に続いて部屋から出て行き、再び二課へと向かうことになった。

 

その際、緒川から入院生活はしばらく続くが、翼が無事に目を覚ましたということを響とコウマは聞き、響は安堵のため息を吐いたのだった。

 

また、コウマは弦十郎の元にやってきてデュランダルを狙ってあの時の少女が現れる可能性があるかどうかを尋ね、弦十郎はその質問に対し「現れる可能性は高い」と答えた。

 

『気になるのかコウマ? あの少女が?』

「あぁ、なんでか分かんねーけど、なんか気になるんだよなー。 なんつーか、色々と放っておけないって感じがしたし、なにより今までダークライブしてきた連中に比べると、大分心の制御が出来てる気がするんだよなー」

 

確かに、今までダークライブして変身した人間、例えばグロテス星人にライブした人間は金のために汚い心で、翼の場合は心がバルキーの言葉によって心が荒れたが、あの少女、クリスだけはそういったものを感じなかった。

 

心を制御したまま、ダークライブしたというのだろうか? それともジャンキラーのスパークドールズ自体がなにか特殊なものなだけなのか、はたまた両方なのか、兎に角あの少女は絶対になにかあることだけは間違いが無かった。

 

「心を制御しているなら、話し合いで解決できると思ったんだがな」

『確かにな、出来る限り、そうなるように努力しよう』

 

コウマはタロウの言葉に頷き、そして数時間後、遂にデュランダルの移送作戦、了子曰く「天下のオーライ1人占め作戦」が決行された。

 

デュランダルを了子の乗る車に響とコウマと一緒に乗せ、護衛の車と共に記憶の遺跡まで向かうことになり、弦十郎はヘリに乗って空中から状況を伝える役割となり、目的地に向かって出発するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出発してから数時間後、車が橋を渡っている最中、突如として橋が崩れ落ち、車の何台かは落下してしまう。

 

「お出ましって訳かよ!!」

 

コウマは念のためにスパークドールズとギンガスパークを取り出そうとするが、了子に「今取りだしたら落とすわよ? 2人ともしっかり捕まってね」と注意され、響とコウマの2人は「へっ?」と首を傾げた。

 

「私のドラテクは凶暴よ~?」

((あっ、これ乗る車間違えたな))

 

なにかを察したかのような顔を浮かべる響とコウマ、また、弦十郎から了子に通信が入り、確認できていないがこれはノイズの仕業だろうと弦十郎は判断した。

 

「この展開!! 想定していたよりかは早いかも!!?」

 

するとマンホールの蓋が突然吹き飛ばされ、2台の車が吹き飛ばされてしまい、弦十郎は下水道をノイズが通っているのだと判断し、了子はどうにかノイズによる襲撃をどうにかかわす。

 

さらに弦十郎は人の手によってノイズは操られていると見て間違いないと思い、弦十郎は相手がデュランダルの確保が目的ならば、敢えて危険な場所に滑り込み攻め手を封じるという寸法を取るように了子に指示し、この先の薬品工場に向かうように彼女を弦十郎は指示を出した。

 

「勝算は?」

「思いつきを数字で語るまでだよ!!」

「了解!」

 

了子は指示された通り、この先の薬品工場まで向かうが、その際残りの護衛者をノイズにやられてしまい、さらに了子の乗っていた車もなにかに引っかかって車は逆さまになって滑るが、了子と響、コウマはどうにか無事で、逆さになった車が止まると3人は外に出てコウマはデュランダルの入ったケースを取り出す。

 

「畜生、おもてーなぁ、これ!!」

「だったら、それだけ置いて私達だけで逃げましょ?」

 

この状況で冗談で言ったのかどうかは分からないが、響とコウマはその了子の提案を即却下したが、その時コウマは気付いた、この薬品工場の煙突の上にあの時の少女、ネフシュタンの鎧を纏ったクリスが立っていることに。

 

「ギンガに邪魔されると面倒なんでなぁ、先ずはお前から始末させて貰う!!」

 

クリスはダミースパークとジャンキラーのスパークドールズを取り出し、ジャンキラーの足部をダミースパークの先端に押し当てる。

 

『ダークライブ! ジャンキラー!!』

 

するとジャンキラーのスパークドールズは実体化して巨大化し、クリスをコックピットの中へと入れ、ジャンキラーは右腕のシールドポケットから出現するキャノン砲をコウマ達に向けるが、コウマもすぐさまスパークドールズをギンガスパークを取り出してウルトライブする。

 

『ウルトライブ! ファイヤーゴルザ!!』

 

コウマは炎のパワーでパワーアップした怪獣、「超古代怪獣ファイヤーゴルザ」へとウルトライブし、ジャンキラーの前に立ちはだかり、ジャンキラーはジャンキャノンから二連ビームをゴルザに放とうとするが、それよりも素早くファイヤーゴルザは尻尾を振るってジャンキラーの足を叩きつけ、ジャンキラーはバランスを崩してビームは上空へと放たれ不発に終わる。

 

「チッ、小賢しい真似を!!」

 

ジャンキラーはファイヤーゴルザに駆けだして行き、右拳をファイヤーゴルザに突き出して殴りかかり、同じくファイヤーゴルザも右拳を突き出し、お互いの拳がぶつかり合が、どちらもパワーが凄まじいため、どちらも腕を弾かれてしまう。

 

それでもジャンキラーとファイヤーゴルザはそのまま掴みあいとなり、お互いにその状態から睨みあう形となった。

 

『また会ったな!! なあ、なんでこんなことするんだ? なにが目的なんだ?』

「はん!! またその話かよ、いい加減しつこいんだよ!!」

 

ジャンキラーは両目から発射される高熱ビーム「ジャンレザー」を、ゴルザは頭部から放つ光線「強化超音波光線」をお互いに至近距離から発射し、2体の間で爆発が生じ、どちらも怯んでお互いから離れる。

 

ファイヤーゴルザは響達に振り返り、早く逃げるように言い、響はそれに頷いて急いでそこから逃げだそうとするが、ノイズ達の攻撃により車が爆発し、その衝撃でデュランダルを持った響は吹き飛ばされてしまう。

 

さらにその吹き飛ばされたノイズ達が響に攻撃を繰り出してくるが……、そこに了子が彼女を庇うように立ち、右手をかざしてバリアのようなものを張り巡らせ、ノイズの攻撃を了子は防いだ。

 

「了子、さん?」

「しょうがないわね、あなたのやりたいことを、やりたいようにやりなさい」

「……、私、歌います!!」

 

了子の張ったバリアについては色々と疑問があったが、そんなことより今はこの状況を抜け出すことだと響は、歌を口ずさみ、ノイズを殲滅することにした。

 

「~♪」

 

響は歌を口ずさみながら、ノイズの攻撃をどうにかかわした、だが……響は足をつまずいてしまい、転んでしまうが、すぐに立ちあがる。

 

(……ヒールが邪魔だ!!)

 

響は足のヒールを破壊し、弦十郎から習った戦い方を思い出しながら、向かってきたノイズを殴りつけ、ノイズはまるで内側から弾けるように破裂して消滅し、さらに一斉に向かってきたノイズの攻撃も響は以前とは比べ物にならないくらいに圧倒し、次々とノイズは消滅して行く。

 

それを見たファイヤーゴルザと、ジャンキラーの中にいるクリスは響の成長っぷりに驚いていた。

 

『スッゲーな響!! お前ホントにすげえ!! こんな短期間でそこまで戦えるようになるなんて!!』

「確かに、あいつが戦えるようになったのは驚きだ、けどな!! 余所見してんじゃねえよ!!」

 

ジャンキラーは余所見をしていたファイヤーゴルザの隙を突き、ファイヤーゴルザの顔面を殴りつけ、ファイヤーゴルザは悲鳴をあげながら倒れこむが、すぐに起きあがり、膝を突く。

 

『ってぇ、油断した。 けど、俺だって、響には負けてらんねえんだ!!』

 

コウマがギンガスパークを掲げるとギンガスパークが変形し、変身モードとなり、ギンガスパークからギンガのスパークドールズが現れ、足部をスパークの先端に押し当てる。

 

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

ファイヤーゴルザは青い光に包まれて消えてスパークドールズに戻り、その光からコウマが変身した「ウルトラマンギンガ」が現れ、ジャンキラーの前に立ち塞がる。

 

『デアッ!!』

 

ギンガはジャンキラーに向かって駆けだして行き、蹴りを放つがジャンキラーはそれを受け流してギンガの腹部に拳を叩きこみ、ギンガはその攻撃を喰らって怯む。

 

さらにジャンキラーはギンガの顔にジャンキャノンを突きつけるが、ギンガはそれにすぐさま反応してジャンキラーの腕を掴んで背負い投げを繰り出し、ジャンキラーを地面に叩きつけるが、ジャンキラーは背中のキャタピラを動かし、ギンガから離れて再び立ち上がり、胸の6つの発光部から発射される誘導光弾「ジャンバスター」をジャンキラーはギンガに放つ。

 

『俺にはどうしても、お前が悪い奴だとは思えねえんだ!! 頼むよ、話を聞かせてくれ!! ギンガセイバー!!』

 

ギンガは右腕から光の剣「ギンガセイバー」を形成し、空中へと飛び立って自分に向かってくる誘導弾を全てを切裂いた。

 

その頃、了子の傍にあったデュランダルの入った特殊ケースが、勝手に警告音のようなものを鳴らしながら開いたのだ。

 

「この反応は、まさか!」

 

それを見た了子はなにか気付いたような素振りを見せる。

 

そして、響はというと……、ノイズの触手による攻撃を全てかわしてノイズに一気に詰め寄り、ノイズを殴りつけて、後ろにいたノイズも後ろ廻し蹴りで消滅させる。

 

「……んっ? あっ、コウマくん危ない!!」

『えっ? うわああ!!?』

 

ギンガの背後から突然、黒い巨人、「闇の巨人 ダークメフィスト」が現れ、メフィストクローでギンガの背中を斬りつけてきた。

 

『くっ、新手……メフィストか!!』

「ギンガの相手は取りあえずお前に任せるぞ!!」

 

メフィストはクリスの言葉に頷き、クリスはジャンキラーから降りてジャンキラーをスパークドールズに戻し、ネフシュタンの鎧の鞭を使い、ノイズと戦う響に攻撃してきた。

 

「今日こそはものにしてやる!!」

 

響はクリスの攻撃をかわしたが、空中でジャンプした所を狙い、クリスは響の顔面に蹴りを入れ、響は地面に叩きつけられる。

 

(まだシンフォギアを使いこなせていない! どうすればアームドギアを!!)

 

すると、次の瞬間、ケースを突き破ってデュランダルが飛び出してきたのだ、まるで自分の意思で出てきたかのように。

 

「覚醒!? 起動!?」

「こいつがデュランダル」

 

クリスは不敵に笑い、空中に浮かんでいるデュランダルを奪い取ろうと跳びあがり、手を飛ばすが……響はクリスを後ろから押し退かし、今度は響がデュランダルに手を伸ばして彼女はそれを、掴み取った。

 

「渡すものかああああああああ!!!!」

 

するとデュランダルの形状が変化し、黄金となったのだが……なにやら響の様子がおかしかった、デュランダルから細長い赤のエネルギーが空へと放出され、クリスは一体、響がなにをしたのか分からず困惑し、彼女は了子の方へと振り返る。

 

そして了子はどこか、凶気にも似た雰囲気をさらけ出す笑みを浮かべており、クリスはどこか悔しそうな表情を見せる。

 

「そんな力を!! 見せびらかすなああああああああ!!!!」

 

クリスはソロモンの杖を使ってノイズを召喚し、響に差し向けたが……、様子の変わった響はクリスを睨みつけるように振り返る。

 

「っ!?」

「ううううううああああああああああああああ!!!!!!!」

 

剣先の伸びたデュランダルを、響はクリスと、クリスの召喚したノイズ達に向かって振り下ろし、クリスはそれをどうにかかわしたが、響の放ったその一撃に、クリスの出したノイズは全滅し、また建物1つを破壊した。

 

(くっ……!! お前を連れて帰らないと、あたしは……!!)

 

そのデュランダルによる攻撃に吹き飛ばされるクリスだが、突然、背中が柔らかいなにかにぶつかり、クリスは一体なにが背中にぶつかったのか分からず振り返るとそこには自分を手の平で受け止めるギンガの姿があった。

 

『大丈夫か?』

「なっ、テメー!!」

『そう睨むなよ、それより、響の奴、様子がおかしかったけどいきなりどうしたんだ?』

「そんなこと、あたしが知るかよ! 第一、なんでそんなにあたしに構うんだよ!?」

 

それに対してコウマは「なんか気になるから、放っておけないんだよ」とクリスに答えると彼女は「はぁ!?」と驚きの声をあげ、「あたしのことなんか放っておけよバーカ!!」とクリスはそう悪態付いてギンガの手から離れ、ジャンスターを召喚してそのままどこかへと去って行き、ギンガは彼女を追いかけようとするがメフィストが立ち塞がった。

 

『テメー、退け!!』

 

すると、メフィストは言われた通り、そこから退き、空へと飛び立って姿を消し、そこにはもうメフィストの姿もジャンスターの姿もどこにもなかった。

 

因みに、了子が使用したあの力を目撃したのは響のみで、車が爆発した時に発生した煙のせいで上空にいた弦十郎にはその時なにが起こっていたのかは分からず、またコウマに至ってはクリスとの戦闘を行っていた為、その力を目撃していなかった。

 

そして響はというと……。

 

(なっ、なに? 今の力? 全部吹き飛べって、身体が勝手に……?)

 

響が目を覚ますと辺りは残骸だらけ、幸い、死傷者も出ておらず、響は起きあがった直後目の前にいた了子に先程力はなんなのか聞こうとしたが「いいじゃない、別に。 みんな助かったんだしぃ」と流されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の久しぶりの登場のバルキー星人はというと……、心に闇の心、バルキー的に言えば心にダークな心を持った人間を探すため、街中を探しまわっていたら。

 

「5.5以上の剣なんかは許可なく持ち歩いたらいけないんだよ、お兄さん分かる?」

「あっ、はい」

「先ちょっと、尖ってるしさ、ちょっとそこの交番で計ってみようか」

「えっ、えぇ~?」

 

お巡りさんに捕まって見た目のことをツッコまれ、慌てて「仮想パーティー用の衣装です」と答えたら案の定、怪しまれてリュックにしまってた武器のバルキーリングを取られ、こんなことになってしまい、結果、バルキーリングの先が5.5以上あったため、お巡りさんに没収されてしまったのだった。

 

「おのれぇ~!! これも全てウルトラマンギンガのせいだ!!」

 

ギンガは絶対関係ない、むしろ自業自得である。

 

そんな時、バルキーは自分の目の前を歩く1人の少女に目をつけた。

 

「響、結局昨日は帰って来なかったなぁ」

 

それは気分転換にと外を散歩している未来の姿であり、バルキーは指パッチンして次の狙いをその少女に定めた。

 

「こいつはビンゴかもしれないぜぇ!」

 



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6Eve つけ込まれる心

あれから目を覚ました翼はリハビリとして廊下を歩き回っており、歩きながら、翼は考えていた……、「自分も奏と同じものをみたい」と。

 

見なければ奏と同じ所に立てない、戦いの裏側、向こう側になにがあるのか確かめたいと……、そんな時、看護婦の1人が翼をこれ以上はと心配して彼女の元に駆け寄った。

 

すると翼は窓際に持たれるように倒れこみそうになるが、窓で身体を支えてどうにか倒れずに済み、そんな時、彼女は窓際を見るとそこにはグランドで走っている響と未来の姿があった。

 

翼の入院している場所は二課による特別な病院なため、リディアンと隣同士になっているのだ、そのため、学校から病院、病院から学校の様子を伺うことが出来たりする。

 

そして響は走りながら、自分が振るったデュランダルの力のことを思い出していた。

 

(暴走するデュランダルの力、怖いのは制御出来ないことじゃない、躊躇いも無くあの子に向かって振りむいたこと……。 私が、何時までも弱いばっかりに!)

 

デュランダルを制御できず、なんの戸惑いもなくデュランダルの力に飲まれ、クリスに力を放った自分の弱さが悔しく、彼女は唇を噛み締めた。

 

そして響よりも早く走っていた未来は手を膝に当てて息をあげながらその場に止まって一時休憩するが……響は尚、真っ直ぐに走り続けた。

 

私は……ゴールで終わっちゃダメだ! もっと遠くを目指さないといけないんだ! もっと遠くえ!!)

 

そんな響の背中を未来は見つめ、未来は最近、響のことが気になって仕方が無かった、夜遅くに出かけてそのまま帰って来なかったり、帰ってきてもかなり疲れた様子だったり、一体響がなにをしているのかと自分が問い詰めても、何時もはぐらかされて結局なにも答えてはくれない。

 

コウマにも聞こうかとは思ったが、その考えはすぐに却下された、響本人の口から聞きたいからだ。

 

一体なにをしているのか、もしかして危ないことをしているんじゃないのか、そして……なによりも1番気になるのは……どうして「親友の自分にそれを隠すのか」と、未来は正直に言って響がそれを話してくれないことが悲しかった。

 

それでも、きっと何時か響が話してくれる時を信じて、待っていた……。

 

その様子を影から見守る黒い影が……というか普通に「宇宙海人バルキー星人(SD)」が未来を睨みつけるように見つめており、その手には怪獣のスパークドールズが握られていた。

 

「良いぜ良いぜ、徐々に心がダークにエキサイティングに染まりつつある!」

 

そのままバルキー星人は一時姿を眩ませることにし、心が完全に闇に染まった時を待つことにしたのだった。

 

それから緒川から響に連絡が入り、緒川から「ちょっと手が離せないから代わりに翼のお見舞いに行って欲しい」と彼に頼まれたのだ。

 

学校の階段下で響は携帯を切り、その時、気配を感じて上を見上げると未来が階段から降りてきていることに気付き、響は自分に用事がなにかあるのかと問いかけ、未来は頷く。

 

「うん、これから買い物に行くんだけど、響も一緒に行かない? その後に、お好み焼き屋のふらわーに寄ってね? 奢って貰うんだから」

 

未来は微笑みながら響に言うが、響は今さっき緒川からの頼みで用事が入ってしまったため、響は未来と一緒に買い物出来ないことを残念そうに謝罪をして謝る。

 

「折角の未来の誘いなのに、私呪われてるかも……」

 

暗い表情で言う響だが、未来は「ううん」と首を横に振り、「じゃあ、また今度」と響に笑顔を向けたまま今日は諦めることにし、響はとても申し訳なさそうにする。

 

「気にしないで! 私も図書室で借りたい本があるから今日はそっちにする」

「ごめんね!」

 

響は手を揃えて謝った後、翼のお見舞いへと向かい、未来も響に背中を見せてそこから歩き去るが……、ここで1つ、気付いたことがった。

 

最近、こんなことが多いなと……、流れ星が見れなかった辺りからか……、響は最近自分と一緒にどこかに出かけたりすることが少なくなったと。

 

「響、一体最近……どうしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレ? 響?」

「あっ、コウマくん!」

 

翼の病室の前に、りんごやバナナなどのフルーツを入れた籠を持ったコウマが立っており、お見舞いの花を買って手に持った響はコウマの元へと駆け寄る。

 

「コウマくんもお見舞いなの?」

「あぁ、俺も翼さんには早く元気になって欲しいし、アーティスト活動も再会して欲しいからな!」

 

コウマはにっこりと笑顔を見せ、響もコウマの言葉に同意して頷き、2人で翼の部屋に入るが……その部屋の光景を見た瞬間、響は手に持っていた花束を落とし、コウマもその部屋の光景を見て唖然と口を開いた。

 

「まさか……そんな!?」

『むっ? なんだこれは!? 部屋が荒らされている!?』

「タロウ、まさかこれ敵が翼さんが不調な所を狙って……!?」

 

響、コウマの胸ポケットから顔を出すタロウ、コウマの順に喋り、その部屋を見てまさか翼が不調な所を狙って誰かが彼女を誘拐したのではないかと慌てる3人だったが、何時の間にか翼が彼等の背後に立っており、「なにをしているの?」と後ろから問われた時には3人揃って肩を「ビクゥ!!」と震わせた。

 

「翼さん! 大丈夫ですか!!? ほんとに、無事なんですか!?」

「入院患者に無事を聞くって、どういうこと?」

「だって、これは!!」

 

響が指差した方向には翼の部屋……だが、床には雑誌が散らばっており、飲んだコーヒーのコップは倒れて中に少し残っていたコーヒーも少し零れており、服や下着はベッドや椅子、棚にかかっている……、つまり、「部屋が散らかってる」のである。

 

『私達は君が誘拐されてしまったのではないかと心配したんだ、そんな体調だしな』

「でも誘拐されてないってことは……、泥棒か!!」

 

タロウとコウマの言葉を聞いて、なにか翼は気まずそうな表情を浮かべており、響も二課の一同も「どこかの国が陰謀を張り巡らせているのではないか」という話を聞いたため、てっきり翼は誘拐されたのではないかと心配したが……、翼は頬を赤くし、気まずそうに黙ったままだった。

 

「へっ? え……? えっ? あー」

『もしや……』

「ただ単に……」

『「「散らかってるだけ?」」』

 

タロウ、コウマ、響の3人が同時に言うと、翼は顔全体を真っ赤にして響達までなにやら気まずい雰囲気になったのだった。

 

それから不調の翼に無茶をさせる訳にもいかないので響、コウマは部屋を片付け、タロウも小さいので出来ることには限りがあるが、部屋の片づけを手伝った。

 

「もう、そんなの良いのに///」

 

先程よりもマシだが、顔が赤いまま翼は響に言うも、響は「緒川さんにお見舞いを頼まれたので、だからお片づけさせてくださいね」と笑顔で返す。

 

「私は、こういう所には気が廻らないから……」

「あっ、そうだ、翼さんはいこれ」

 

するとそこでコウマが翼にある物を手渡した。

 

「テレビのリモコン、探してたでしょ?」

「……いや、別に探しては無いが……、まあ、でもその、有難う……」

 

戸惑いながらも翼はコウマからテレビのリモコンを受け取り、響は服を片付けながら「でも、意外でした」と翼に言いながら、服を戸棚にしまう。

 

「翼さん、なんでも出来るイメージがありましたから」

「まあ、それは俺も思ったよ。 でも、こういう人に限って意外なものが苦手なんだよなー」

「えへへ、そうだね」

 

コウマと響は笑い合いながら翼みたいな人は意外なものが苦手だという話をし、翼は微笑を浮かべ「真実は逆ね、私は戦うことしか知らないから」と呟いた。

 

「はい、おしまいです!」

「す、すまないわね、何時もは緒川さんにやって貰ってるんだけど……」

 

それを聞いて響とコウマは驚きの声をあげた、女の子の部屋を男が片付けるのかと……。

 

(それって色々ちょっとヤバい気が……)

 

コウマがそんなことを考えていたが、翼は「確かに色々問題があるかもしれないけど、散らかしっぱなしはよくないから……つい」と顔を赤くしながら言い、初めて見る翼の様子にコウマは自然と笑みを浮かべた。

 

((なんか、今日の翼さん可愛いな))

 

コウマと響は2人同時にそんなことを思ったとか。

 

「今はこんな状態だけど報告書は読ませて貰っているわ」

「へっ?」

「私が抜けた穴を、あなたがよく埋めているということをね」

(アレ? 急にシリアスに入った?)

 

翼が話題を変えようとしたのかは分からないが、取りあえず、シンフォギアやノイズの関連の話になったことだけは分かった、あっ、やっぱり話して変えてるなこれは。

 

そして響はというと、翼にそう言われたが彼女自身は「そんなこと、全然ありません!!」と否定し、二課のみんなに助けられっぱなしだと翼に話す。

 

そんな響の様子がおかしかったのか、翼は僅かに微笑んだ。

 

その頃、そんな響達の様子を……病院と向かい合っている形で建っている図書館の窓から未来が偶然にも確認していた。

 

その直後、誰かに肩を叩かれて未来は振り返ると目の前にバルキー星人の姿があり、未来は叫ぼうとしたが口をバルキー星人に手で防がれた。

 

「お~っとシット!! 図書館で大声出したらナッシング!! 静かにしろ、お前のその闇に包まれそうな心、使わせて貰うぜぇ~?」

「……えっ?」

 

未来の胸部辺りにダークダミースパークが生成されて行き、バルキー星人は怪獣のスパークドールズを未来に渡すのだった。

 

「お前のあの友達は、お前よりもトップアーティストというビッグな奴と会うことを優先した、お前の誘いよりもだ。 悔しくないか? 腹正しくないか!? だからその力を使うんだイエイ!!」

 

変な踊りを披露しながらバルキー星人は未来に囁きかけ、未来はじっくりとダミースパークを見つめた。

 

「私、よりも……」

 

場所は戻り、翼の病室……、響は翼に褒められたことが嬉しく、苦笑していた。

 

「翼さんに、褒めて頂けるなんて……」

「でも、だからこそ聞かせてほしいの」

 

翼は険しい表情になり、戦う理由を聞かせて欲しいと響に問いかけ、翼はノイズとの戦いは遊びでは無い、それは今日まで死線を越えてきた響なら分かる筈と語り、再度響に戦う理由を問いかけた。

 

響はその問いに戸惑いながらも、「よく、分かりません」と答え、それ以外の答えは「自分は……人助けが趣味だから」というものだった。

 

「それで、それだけで?」

「だって勉強やスポーツは誰かと競い合わないといけないから」

 

だけど人助けは誰かと競わなくていい、自分には特技とか誇れるものが無いからせめて自分に出来ることでみんなの役に立てればいいかなと響は思ったそうだ。

 

そして響は、切っ掛けはあのきっかけは2年前のあの日の出来事だと響は語る。

 

「私を救う為に、奏さんが命を燃やした2年前のライブの日、奏さんだけじゃありません。 あの日、沢山の人が死にました……。 でも、私は生き残って今日も笑ってご飯食べたりしています。 だからせめて、誰かの役に立ちたいんです。 明日もまた笑ったり、ご飯食べたりしたいから、人助けしたいんです!」

 

翼、コウマ、タロウは黙ったまま静かに響の話を聞き、翼はそれを聞いて目を瞑り、静かに響に「それは、前向きな自殺衝動なのかもしれないわね」と彼女は響に言い放った。

 

それは誰かの為に自分を犠牲にすることで古傷の痛みから救われたいという自己断罪の現れなのかもしれないと翼は予想し、響はなにか変なことをもしかすれば言ってしまったかもしれないと不安になる。

 

「でも、仮にそれが本当だとしても……、俺と未来が、絶対死なせねえよ」

「それなら、安心ね」

 

それから響、翼、コウマ、タロウは一度病院の屋上へと行き、話の続きをすることに。

 

「それと変かどうかは私が決めることじゃないわ。 自分が決めることね」

 

先程の響の問いに翼はそう答えるが、響は「考えても、考えても分かんないことだらけなんです」と言い、彼女は前回のデュランダルのことについて翼に相談してみた。

 

「私が、アームドギアを上手く使えていたら……、あんなことにはならずに」

「……、力の使い方を知るということは即ち戦士になるということ。 それだけ、人としての生き方に遠ざかるということ、あなたに、その覚悟があるのかしら?」

 

響は、翼の問いに対して強くこう言い放った……「守りたいものがあるんです」っと……。

 

「それはなんでも無いただの日常、そんな日常を大切にしたいと強く思っているんです。 だけど、思うばっかりでカラ廻りして……」

「でも、カラ廻りでも……、少しだけど前に進んでる」

「……えっ?」

 

コウマが言ってきた言葉に、響は傾げ、翼はそれに同意するように「そうね」と呟き、頷いて見せ、翼は今度は「あなたが戦いの中で思っていることは?」と響に問いかけ、それに対し、響はハッキリと真っ直ぐに言い放った。

 

「ノイズとかに襲われている人がいるなら、私は1秒でも早く助けに行きたいです! 最速で! 最短で! 真っ直ぐに!! 一直線に駆けつけたい!! そして相手がもしもノイズでは無く誰かなら、どうしても戦わなちゃいけないのかっていう胸の疑問を……私の想いを届けたいと考えています!!」

 

その言葉を聞いたコウマは、「それは本当だな?」と響に問いかけ、響は「うん!!」と強く言い放つ。

 

「気持ちだけで終わらせない、最後まで諦めずに実行しようとする、それが出来る?」

 

翼が響にそう問いかけ、響は先程と同じように強く「はい!!」と返事を返し、翼はどこか納得したかのような表情を浮かべる。

 

「今あなたの胸にあるものを出来るだけ強くハッキリと想い描きなさい、それがあなたの戦う力! 立花響のアームドギアに他ならないわ!」

 

その後、アームドギアをどうやったら出せるかみんなで考えることとなったのだが……。

 

「汝のあるべき姿に戻れ封印解除(レリーズ)!! とか叫べば出てくるんじゃない?」

『スタンバイレディ・セットアップ!! とかでないのか?』

 

コウマとタロウからまともな案が出無いのでこの2人には期待せずにいたが、その時いきなり響が立ち上がる。

 

「ねえ知ってますか翼さん!! お腹空いてると良い答えが出せないって!!」

「なによそれ?」

 

響は「昔お好み焼き屋のおばちゃんにそう言われたんです!!」と言い放ち、響はお好み焼きを買ってくると言ってそのままどこかへと走り去り、翼の制止を聞かずにそのまま走り去ったのだったが……、その時、二課からコウマに連絡が入り、ジャンスターに乗ったクリスが二課に向かって接近してきているという報告を受けた。

 

「敵襲か!?」

「えぇ、でも翼さんはここにいてください!!」

 

コウマはギンガスパークとスパークドールズを1つ取り出し、スパークドールズの足部にスパークの先端を押し当てる。

 

『ウルトラーイブ!! ホタルンガ!!』

 

ホタルを模した生物兵器でもある「大螢超獣 ホタルンガ」にコウマはウルトライブし、ホタルンガは翼を広げて飛行し、ジャンスターに乗るクリスを迎え討つために出撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがてホタルンガはジャンスターの姿を確認し、ホタルンガは先ずはジャンスターの動きを封じようと頭部から溶解液をジャンスターに放つがジャンスターはそれを避け、二連ビームをジャンスターはホタルンガに向けて放ち、ホタルンガは直撃を受けるが少し怯んだ程度で撃墜するまでには至らなかった。

 

『タロウから聞いてた通り、本当に超獣ってのは強力らしいな、防御力高いし。 取りあえず!!』

 

ホタルンガはジャンスターにそのまま突っ込み、ジャンスターに掴みかかるが、ジャンスターは引き離そうとしてジャンキャノンから二連ビームを近距離でホタルンガに放ち、ホタルンガは流石に近距離からの攻撃ではダメージを受けたがそれでも耐えきり、ホタルンガはジャンスターをそのまま地面に叩き落とした。

 

「こんの……、いい加減離しやがれぇ!!」

 

ジャンスターはブースターの出力をあげてホタルンガを弾き飛ばし、ジャンスターは変形してジャンキラーとなり、大地に降り立つと同時に両手から放たれる電磁シャワー「ジャンサンダー」をホタルンガに喰らわせる。

 

しかし、ホタルンガは両腕を交差してジャンサンダーを受け止め、どうにかジャンサンダーによる攻撃を耐えきり、ホタルンガはジャンキラーにすぐさま駆けだして行き、ジャンキラーを殴りつけてジャンキラーはその攻撃に怯むが、すぐさまジャンキラーはホタルンガを殴り返した。

 

「こんの!! 邪魔すんじゃねえよ!!」

『お前が、色々と話してくれたらな!!』

 

ジャンキラーとホタルンガお互いの胸部をほぼ同時に殴りつけ、ホタルンガは溶解液をジャンキラーに放つが、ジャンキラーは後ろに下がってかわし、胸の6つの発光部から発射される誘導光弾「ジャンフラッシャー」をホタルンガに放ち、ホタルンガは両腕を交差して攻撃を耐えるが、続けざまにジャンキャノンによる砲弾の連続を攻撃を喰らい、ホタルンガは地面に倒れこむ。

 

『ぐあああああっ!!?』

「ったく、いい加減にしろよテメー!! お前に用はねえんだよ!!」

『お前になくても、こっちにはあるんだよ!!』

 

ホタルンガはよろよろと立ち上がりながらも、真っ直ぐ……ジャンキラーに向かって駆けだすが……それと同時に、ホタルンガの中にいたコウマが持っていたギンガスパークから、ウルトラマンギンガのスパークドールズが現れた。

 

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

そしてホタルンガがジャンキラーに拳を振るうと同時にホタルンガの姿が変わり、「ウルトラマンギンガ」へと変わる!

 

『シュウア!!』

 

ジャンキラーも拳を振るい、ギンガの拳とぶつかり合い、ギンガはジャンキラーの右の横腹を右足で蹴りつけ、ジャンキラーにタックルを喰らわせる。

 

「っ! 一体、どうすりゃテメーを黙らせられるんだよ!! いい加減にしろよテメー!!」

『俺はテメーなんて名前じゃねえ!! 来元コウマだ!!』

「はあ!? 名前を聞いてんじゃねえんだよ!!」

 

ジャンキラーはギンガに殴りかかるが、ギンガはそれをかわしてチョップをジャンキラーの胸部に叩きこむが、対して効いた様子はなく、腹部のバックル状の部分が展開して発射されるビーム「ジャンバスター」をギンガに放とうとするが、ギンガはそれを上空へと飛行してギリギリかわす。

 

ギンガは上空から全身のクリスタルが紫に輝かせ、頭部のクリスタルから放つ光刃「ギンガスラッシュ」をジャンキラーへと放つが、ジャンキラーはジャンサンダーで相殺する。

 

そこに丁度、響がクリスが現れたとの連絡を受けて現場に現れ、クリスは響に気付き、ギンガとの戦いを放棄して捕えようとジャンキャノンから2連ビームを響の目の前に放つ。

 

「うわっ!!?」

 

今のはただの脅しのつもりで放ったものだったのだが、クリスは気付かなかった、未来が今の衝撃で吹き飛ばされたことに。

 

「しまった!? 他にも人が!?」

『……なに?』

 

クリスは未来の存在に気付いたが、同時に、先程の攻撃で未来と同じく吹き飛ばされた車が、未来に真っ直ぐ向かってきていることにも気付いた。

 

『「あぶねえ!!」』

「~♪」

 

クリスとコウマの2人が叫び、そして、響は「歌」を口ずさんだ、未来を助けるために……。

 

響はガングニールを纏い、すぐさま未来の元へと駆け寄ると拳で落ちてくる車を受け止め、未来は目を見開いた。

 

「……響?」

「……ごめん」

 

響はそのままジャンキラーの方へと向かって行き、クリスはジャンキラーから降りてジャンキラースパークドールズに戻し、クリスは響と共に森の奥深くに入って行く。

 

「どんくせえのがいっちょ前に挑発かよ!?」

 

クリスはそのまま響を追い掛けるが……。

 

『あれ? これ俺、どうしたら良いの?』

 

戦う相手を無くしたギンガは完全に1人になった……かと思えば、どこからともなくメフィストが現れてメフィストクローでギンガに斬りかかってきた。

 

『メフィスト……! やっぱお前か!!』

 

こうしてギンガVSメフィスト、響VSクリスの戦いが始まり、響とクリスの戦いはというと……。

 

「どんくせえのがやってくれる!!」

「どんくさいなんて名前じゃ無い!! 私は立花響、15歳!! 誕生日は9月の13日で血液型はO型!! 身長はこの間の測定では157センチ!! 体重はもう少し仲良くなったら教えてあげる!! 趣味は人助けで好きな食べ物はご飯&ご飯!! あと、彼氏いない歴は年齢と同じ!!」

 

そりゃ、彼氏はいないでしょう、嫁がいるんだから。

 

といった感じで響は独特な自己紹介をクリスに済ませ、それを聞いたクリスは唖然とし「なにをとち狂ってやがるんだお前?」と驚いていた。

 

「私達はノイズと違って言葉が通じるんだからちゃんと話し合いたい!」

「なんてゆーちょう!」

 

クリスはそう言ってネフシュタンの鞭で響を攻撃するが、響はそれをかわし、それからも響は自分の攻撃をことごとく避け、クリスは目を見開いた。

 

(こいつ、なにか変わった? 覚悟か!?)

「話しあおうよ!! 私達は戦っちゃいけないんだ言葉が通じていれば人間は……」

 

響は尚もクリスに話し合おうと言うが……、クリスは「うるせえ!!」とそれを拒否した。

 

「分かり合えるものか、人間が!! そんな風に出来ているものか!! 気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ!! 分かってもねえことをペラぺラと知った風なお前等があああああ!!!!」

 

同じ頃、ギンガはメフィストと戦っており、ギンガは回し蹴りをメフィストに繰り出し、メフィストはその攻撃に怯むが、上空へと飛びあがり、メフィストはメフィストクローから放つより強力なメフィストショット「ハイパーメフィストショット」を7連射ギンガに放つが、ギンガは右腕にギンガセイバーを生成してハイパーメフィストショットの7連射を全てギンガセイバーで受け止め、ギンガセイバーに溜まったハイパーメフィストショットのエネルギーをそのままメフィストへと投げ返した。

 

『シェアア!!』

 

しかし、メフィストはそれをメフィストクローで全て切裂くが、撃ち返された攻撃を防ぐ隙を疲れ、何時の間にかギンガがこちらに向かって急接近しており、メフィストは防御は間に合わず、ギンガの蹴りを腹部に喰らった。

 

その頃、響はというと、どうにかアームドギアを生成しようとするが……、中々それが上手く行かなかった。

 

だから響は考えた、形成出来ないのならそのエネルギーをぶつければ良いと、響はアームドギアのエネルギーを拳にアーマーに入れ、クリスは響がなにをする気かは分からないが、兎に角鞭で攻撃した。

 

しかし、全ての鞭で攻撃したのは間違いだった、響に全て片手で止められたからだ。

 

『お前、分かってもねえことをペラペラと語る俺達が気に入らないって言ったよな?』

 

メフィストと戦いながら、ギンガがいきなりクリスに向かってそんなことを言ってきた。

 

『「だったら……!! だからこそ!! 話しあうことだって必要に決まってる……!!」』

 

響とギンガが同時に言い放ち、響は鞭を引っ張り、クリスを引きよせ、ギンガはギンガセイバーを構えてメフィストに突っ込む。

 

そして響は背中にあるブースターを噴射させて高速で勢いをつけてクリスに突っ込み、ギンガはギンガセイバーをさらに青く輝かせ、それをメフィストに向かって振るう。

 

(最短で最速で真っ直ぐに!! 一直線に!! 胸の響をこの想いを、伝えるためにいいいいいいい!!!!)

『喰らえ!! ギンガセイバースラッシュ!!』

 

響はクリスの腹部に拳を叩きこみ、ギンガはギンガセイバーを擦れ違いざまにメフィストに振るって斬りつけ、クリスはネフシュタンの鎧が、メフィストは先程の攻撃でメフィストクローにヒビが入り、クリスは吹き飛ばされ、メフィストは身体中から火花を散らした。

 

「うああああああ!!!?」

「……響?」

 

響が入って行った森を見つめる未来、そんな時、バルキー星人が彼女の背後から現れる。

 

「そう、ずっとお前の友達はお前にこのことを隠していたんだぜ? 酷いよな~? お前に隠しごとなんか無いって言ってたのに? お前は友達になにも隠しごとはしてないのに、あいつはお前にこんなことを隠してた。 酷いよな~? 酷いよな~?」

 

未来は唇を噛み締め、その瞳から涙を流し……、そしてダミースパークとスパークドールズを取り出し、スパークドールズの足部にダミースパークの先端を押し当てた。

 

「……響」

『ダークライブ! ホー!』

 

一方、ギンガはメフィストにトドメを刺そうと、ギンガサンダーボルトを放つ体制へと入る。

 

『これで終わりだ!! ギンガサンダ……ぐあああっ!!?』

 

突然、後ろから1体の怪獣がギンガに体当たりを繰り出し、ギンガが振り返るとそこにはマイナスエネルギーによって誕生した怪獣、「硫酸怪獣ホー」へとダークライブした未来がそこにいた。

 

『怪獣!?』

 

ホーはまるでダダをこねる子供のように腕をぶんぶん振りまわしてギンガを殴りつけ、さらにそこにメフィストがギンガの腹部を蹴りつけた後、ギンガの背後へと廻り込み、彼を抑えつける。

 

「クオオオオオオン!!」

 

まるで泣き声のような声をあげながらホーはギンガを何度も何度も殴りつけ、ホーは目から硫酸の涙を流し、ギンガの身体へとその涙は振りかかり、「ジュウウウ」という音をあげる。

 

『ウアアアッ!!?』

 

メフィストはギンガに膝蹴りを叩きこみ、ホーと同時にギンガの胸部を殴りつける。

 

『クソッ、こんな時に怪獣が出るなんて……!』

 

メフィストは砕かれたメフィストクローを再生させ、両腕のアームドメフィストを組みあわせて発射する強力な破壊光線「ダークレイ・シュトローム」をギンガへと放ち、ギンガはそれを喰らって爆発し、ギンガのいた場所は白い煙に包まれた。

 

『うああああああああ!!!!?』

 

 




たまにオリジナル技使ったりとかします、このギンガ……。


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7Eve 想いを、気持ちを、全力を

ダークメフィストの攻撃を受け、白い煙の中へと消えるギンガ、メフィストとホーはギンガの姿を確認しようと白い煙の中を確認しようとするが……その時、煙の中から赤い色のブーメランのようなものが飛び出し、メフィストはそれをメフィストクローで弾いた。

 

『ウルトライブ!! ウルトラマン80!!』

 

そして煙の中からウルトラ兄弟の9番目……、マイナスエネルギーの怪獣と戦った戦士「ウルトラマン80」がそこに立っており、80はホーとメフィストに向かって駆けだして行き、メフィストは近づいてきて80にメフィストクローを突きたてるが80はメフィストの頭上へと飛び越え、同時にメフィストの肩に蹴りを繰り出す。

 

『ショッワ!!』

 

そのまま80はホーへと掴みかかり、ホーへとチョップを繰り出すが、ホーはその程度の攻撃に怯まず、80を殴り飛ばし、そして倒れこんだ80へとホーは圧し掛かって硫酸の涙を流し、80へとそれを浴びせる。

 

『うおッ!!?』

『なんで……どうして……?』

『えっ……?』

 

その時、コウマの耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた、それは……響の親友でもある「小日向未来」の声であった。

 

コウマを目を見開き、ホーを、彼女を唖然と見上げ、80は兎に角先ずはホーを押し退かしてホーから離れるが、そこにハイパーメフィストショットをメフィストが80に撃ちこんで来た。

 

だが80は両手を交差させて敵の攻撃を防ぐ「ウルトラVバリヤー」でメフィストの攻撃を防ぎ、左腕を上に、右腕を横に伸ばした後、L字型に組んで放つ光線「サクシウム光線」をメフィストへと放ったが、メフィストはバク転でサクシウム光線を回避する。

 

そこにホーが背後から80に掴みかかり、80の胸部を殴りつけ、そのまま攻撃を連続で繰り出すが、やがて80に両腕を掴まれて動きを封じられた。

 

『やめろ未来!! お前、なんで怪獣になんかに……!!』

『どうしてなの? 私は響に隠しごとなんかしていなかったのに、響も私に隠しごとなんかないって言ったのに……、響は、私に……嘘をついた!! なんでなの? なんでなの響!!?』

 

どうやら未来にはコウマの言葉が全く聞こえていなかったようで、コウマはこの未来の言葉からどことなくヤンデレオーラを感じて一刻も早く元に戻さないと色々と響がヤバいと感じ、80はホーを投げ飛ばした。

 

『うあっ!?』

『ちょっと我慢してくれよ、未来!!』

 

しかしそこに80を邪魔するが如くメフィストが割って入り、80の背中を叩きつけ、その攻撃に彼は膝を突き、そこを狙ってメフィストが80を蹴り飛ばした。

 

『ショワッ!?』

 

そのままメフィストは80の腕を掴みあげて背負い投げを繰り出すが、80は見事地面に着地し、メフィストの腕を振り解いてメフィストから離れた後、大きくジャンプしメフィストを蹴りつけ、メフィストは両腕で攻撃をガードしたがその攻撃に怯んで後ろへと後退する。

 

だが80は連続で空中へと跳びあがり、空中で1回転しながら急降下し、足先を発光させてキックを決める「ムーンサルトキック」を今度こそメフィストに決め、倒れこんだメフィストの足を掴んで80はメフィストを振りまわす「ウルトラスウィング」でメフィストを投げ飛ばした。

 

『ウアアアッ!!?』

 

そこに後ろからホーが80に体当たりし、80はそれを喰らってフラつくがすぐに体制を整え、80は必殺の「サクシウム光線」をホーへと放つが、ホーはサクシウム光線を喰らっても平然とその場に立っていた。

 

『効かねえ!! だったらこいつで!! すまねえ、未来、響!!』

 

バックル部から無数の光の矢を一点に収縮させて敵を貫く光線「浄化版バックルビーム」をホーへと放ち、ホーはそれを喰らって一度大人しくなるが……、すぐにホーはまた暴れ出した。

 

それを遠くから見ていたタロウはバックルビームを喰らっても尚、倒れないホーに驚きを隠せなかった。

 

ホーは地球にまだ80が現役だった頃に戦った怪獣であり、バックルビームで倒した怪獣で、80が地球を去って16年後……、「メビウス」が地球で活躍していた時にもホーは再び現れたが……、その時も80がバックルビームで倒した。

 

そのことから、ホーは確実にバックルビームで倒せる相手の筈なのだが、あの未来のライブしたホーは一向に倒れる様子が無く、尚もホーは80へと戦いを挑んでいた。

 

『闇の力が働いているのか? いや、それとも……、ライブした人間の心の闇が深いのか……』

『裏切った、響は私を!! なんでなんでなんで!! 私が、私がどんなに寂しい想いで1人でいたと思ってるの? 響の帰りを待っていたと思っているの!!?』

『……あれが噂に聞く、ヤンデレというものなのだろうか……?』

 

いや、あれは心の闇につけ込まれたせいでああなってしまった、そうなんだとタロウは自分に言い聞かせた、コウマや響の聞いていた話とは少し違ったからだ。

 

しかし、その時ホーに異常が起きた、流石にサクシウム光線と、二度もホーを倒した技であるバックルビームを喰らったダメージが今になって来たのだ、そのためホーの動きが鈍くなり、ホーは膝をついてやがて姿を消した。

 

ホーが姿を消したのを見てメフィストは一度撤退し、80はホーにライブしていた未来を探しまわるがそこに未来の姿は一切なかった。

 

『……どうやら、彼女の心の闇はそう簡単には晴れてくれないようだ』

 

その時、コウマでも、タロウでもない、コウマにとっては聞いたことのない声がコウマの耳元へと聞こえてきた。

 

その声の主は変身しているコウマなら分かる、それは「ウルトラマン80」の声である。

 

『彼女の心の闇を晴らさない限り、彼女を本当に救えはしないだろう。 だけど、君にならそれが出来ると私は信じている。 ギンガに選ばれた、君と……彼女の親友ならば』

 

80はそれだけを言い残すと姿を消し、80の立っていた場所にはコウマが立っており、彼の元へとタロウが駆け寄る。

 

(人形になっていても流石だな、80。 メフィストとホーの2体を相手に互角以上に戦うとは。 なによりマイナスエネルギーの怪獣の専門でもあるからな。 そしてまた私は後輩に出し抜かれた……。 あぁ、早く大きくなりたい)

 

そんなことよりも今は響とクリスの方だ、コウマはタロウを胸ポケットに入れて響とクリスの戦う場所まで急いで駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時の、アームドギア生成のエネルギーを腕に込めて放った響の一撃はクリスを大きく殴り飛ばし、しかもその威力はクリス曰く「翼の絶唱に匹敵しかねなない」というほどの威力だった。

 

するとクリスの纏っていたネフシュタンが再生を始めるが……、このネフシュタンの再生機能は装着者の肉体に食い込んで再生しようとするため、この完全聖遺物の再生能力は非常に危険な再生能力であった。

 

そのため、クリスは鎧に飲み込まれる前に響と決着をつけようと響を睨みつけるが、彼女は腕を下げ、腕を下げたまま歌を口ずさんでおり、クリスは余裕の態度を示しているかのような響の態度に苛立った。

 

「お前、バカにしてるのか!! あたしを、雪音クリスを!!」

 

ここで初めて、彼女は響へと名乗り、それを聞いた響はどこか安心したかのような表情を浮かべ、嬉しそうに「そっか、クリスちゃんって言うんだ」と名前が聞けたことを喜んだ。

 

「ねえ、クリスちゃん。 こんな戦い、もうやめようよ。 ノイズと違って私達は言葉を交わすことが出来る、ちゃんと話し合えばきっと分かり合える筈! だって私達、同じ人間だよ!?」

「……嘘くせえ……、青くせえええええ!!!」

 

クリスは響の言葉に激怒したかのように響へと突っ込み、彼女を蹴り飛ばし、クリスはすかさず先程倒れた身体を起こそうとする響を蹴りつけるが、フラつきながらも尚も響はクリスへと手を伸ばし、「クリスちゃん」と彼女の名を呟いた。

 

「くっ……ぶっ飛べよ!! アーマーパージだ!!」

 

するとクリスの纏っていた鎧が全て吹き飛び、そして響はクリスの口ずさんだ「歌」が聞こえてきた。

 

その歌は「シンフォギア」を起動させるための歌。

 

「見せてやる、イチイバルの力だ!!」

 

クリスは赤のアーマーを纏った聖遺物第2号シンフォギア、「イチイバル」を身に纏い、静かに響に対し「歌わせたな……」と憎悪を込めた口調で響に言い放った。

 

「へっ?」

「あたしに歌を歌わせたな!! 教えてやる、あたしは歌が……大嫌いだ!!」

「歌が嫌い?」

 

そのままクリスは歌を口ずさみながらボウガン型のアームドギアを構え、赤い矢を響へと放ち、響はそれをどうにか回避するが、響の攻撃を回避する方向を先読みしていたクリスは響の前方へと廻り込み、彼女を蹴りつけ、アームドギアをガトリング砲へと変形させる。

 

アームドギアが変形した4門の3連ガトリング砲からの一斉掃射「BILLION MAIDEN」を響へと放ち、さらに同時に腰部アーマーから小型ミサイルを一斉に発射する「MEGA DETH PARTY」を響へと繰り出し、響は爆風で起こった砂煙の中へと姿を消した。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

肩で息をして響がどうなったか確認しようとするクリス、だがそこには巨大な壁があった。

 

「盾!?」

 

しかし、それは盾でも、壁でも無く……。

 

「剣(つるぎ)だ!!」

 

それは大剣となったアームドギアを地面に突き刺し、響を守った翼の剣だった……。

 

その大剣の尻柄にシンフォギアを纏った翼が立っており、クリスは翼の登場に驚かされるも「フン」とすぐに余裕の態度を鼻で笑って見せた。

 

「ふん、死にかけで病院でおねんねと聞いていたが、足手纏いを庇いに来たか……」

「もうなにも、失うものかと決めたのだ!」

 

その様子をモニターから見ていた弦十郎から翼に連絡が入り、「翼、無茶だけはするなよ」とだけ忠告され、翼は静かに「はい」と答え、倒れこんでいた響も立ち上がって翼の存在に気付いた。

 

「翼さん……」

「気付いたか、立花! だが私も従前では無い! 力を貸して欲しい」

「あっ、はい!」

 

クリスはガトリング砲で翼を撃つが、翼はそれを素早く避けてアームドギアの剣を元のサイズに戻して構え、真っ直ぐクリスに向かって行き、クリスはガトリング砲の弾丸を放つが、翼はそれら全てをかわし、彼女の頭上を飛び越えると同時に剣を振るうが、クリスは寸前の所で頭をしゃがめてかわした。

 

さらに翼はクリスがガトリング砲を構える前に剣の尻柄でガトリング砲を叩きつけて彼女のバランスを崩れさせ、一瞬の内に翼はクリスの背後へと廻り込んで後ろから剣をクリスへと突きつける。

 

因みに翼が現れた時からコウマとタロウもここへと来ていたのだが、「本調子じゃない」と言いつつ1人でクリスをほぼ圧倒している翼を見てタロウもコウマも「むしろ本調子以上じゃないか」とツッコミを入れていた。

 

(この女、以前とは動きがまるで……!)

 

その翼の戦闘力の向上に驚かされたのはクリスも同様だった。

 

「翼さん! その子は……!」

「出来れば、傷つけないでください!!」

 

響とコウマが翼にそう頼み、翼もそれに関しては同意見だった。

 

そこでクリスがガトリング砲を持ち上げて翼へと振りかざし、翼はそこから離れて2人は見つめ合う形で対峙する。

 

(刃を交える敵じゃないと信じたい。 それに、10年前に奪われた第2号聖遺物のことも正さなければ!)

 

クリスはガトリング砲を構えるが、その時、上空から3体のノイズが現れ、その内2体がクリスのガトリング砲を破壊し、さらに3体目のノイズが真っ直ぐクリスに突っ込んできたが……、コウマが駆けだしてクリスを抱えてその場から離れ、コウマとクリスの2人は地面に倒れこんだ。

 

「よお、大丈夫か?」

「お、お前なんで……!!? ッ、っていうか退けよ!!////」

 

今の形はコウマがクリスを押し倒している形となっており、クリスは顔を真っ赤にし、コウマもそのことに気付いて顔を赤くし、急いでクリスから離れる。

 

「コウマくん! クリスちゃん大丈夫!?」

「あぁ、響、俺はなんともねえ。 それより、お前クリスっていうのか。 お前は怪我なかったか?」

「なんであたしを、助けたんだよ?」

 

そのクリスの質問に対し、コウマは「危なかったからに決まってるだろ!! なに言ってんだ、当たり前のことだろうが!!」とにっこりと笑いながらクリスにサムズアップし、クリスは「バカじゃねえのかお前!? 後お前もさ(響)!! バカにして、余計なお節介だ!!」と怒鳴りつける。

 

「命じたことも出来ないなんてあなたはどこまで私を失望させるのかしら?」

 

突然、女性の声がコウマ達に聞こえ、そこにタロウがコウマの目の前にテレポートで現れる。

 

『コウマ!!』

 

タロウと翼が見るその先に、上空にノイズが円を描いて跳び回る真下に、その声の主、ソロモンの杖を持った女性は立っていた。

 

「っ、フィーネ!」

『フィーネ?』

 

クリスは女性のことを「フィーネ」と呼び、翼は「終わりの名を持つ者?」と心の中で首を傾げた。

 

「なんだよフィーネ!! こんな奴いなくたって戦争の火種くらいあたし1人で消してやる!! そうすれば人はアンタの言う様に人は呪いから解放されてバラバラになった世界は元に戻るんだろ!?」

 

するとフィーネはため息を吐き出し、「もうあなたに用は無いわ」とクリスに言い放ち、彼女は目を見開く。

 

「へっ、なんだよそれ!!」

 

フィーネは右手を青く発光させると脱ぎ捨てられたネフシュタンの鎧が粒子となって1つになり、やがて消え去った。

 

フィーネはソロモンからノイズを召喚して翼と響の方へと向かって行くが翼はノイズを全て剣で切裂き、クリスは「待てよフィーネぇ!!」と彼女の名を呼んで空中を飛行し、消え去ったフィーネを追い掛けた。

 

「クリス!!」

「クリスちゃん!!」

 

コウマと響がクリスの名を呼ぶが、クリスは立ち止まることは決してなかった。

 

二課でも追跡は負荷だったが、クリスの身分を明かすことは出来た。

 

彼女は世界的ヴァイオリニストの父と声楽家母を持つサラブレッドであり、その為シンフォギアのイチイバルの奏者に選ばれ二課から注目されていたが2年前にNGO活動に参加する両親と一緒に南米バルベルデの戦争に巻き込まれ、両親が死亡し、自身も捕虜生活を送ることとなってしまった。

 

その後国連軍の介入で彼女は救出されたが、間もなくして行方不明になってしまった少女だった。

 

彼女の詳細を知り、弦十郎は「あの少女だったのか……」とどこか悲しげに呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、浄化版バックルビームの効力か、今は闇の力が抑えられている未来に緒川が彼女にシンフォギアについてのことなど諸々を説明しており、二課のミーティングルームでは敵の正体と目的などを考えていたが、そこに丁度身体検査を無事に受けた響と翼が了子と一緒に部屋に入ってきた。

 

「深刻になるのは分かるけど、シンフォギアの奏者は2人とも健在! 頭を抱えるにはまだ早すぎるわよ♪」

「呑気でいいっすねぇ、了子さん」

 

何時も通りな了子に苦笑を浮かべながら言うコウマ、それに対し了子は「褒めてもなにも出無いわよ~?」となどと言うが、コウマは苦笑したまま「褒めてませんよ!」と返した。

 

「翼、全く無茶しやがって……」

 

弦十郎は翼を心配し、翼は心配をかけてしまったことに謝るが……。

 

「ですが、”仲間”の危機に伏せっているなど出来ませんでした!」

「「えっ?」」

 

その翼の言葉に、響とコウマは驚きの声をあげた。

 

「立花は未熟な戦士です。 半人前ではありますが戦士に相違ないと確信しています! 完璧には遠いが立花の援護くらいなら戦場に立てるかもな!」

 

翼は響に微笑みを向け、響は気持ちを引き締めて「私、頑張ります!!」と頭を下げるが……、コウマは先程から響になにか言いたそうにそわそわしていた。

 

「響、あの……」

「んっ? どうしたの、コウマくん?」

 

コウマはここで話し辛いと思ったのか、響と一緒に廊下を出て先ず彼は響に対して頭を下げて「すまねえ!!」と謝った。

 

突然のことに響はなんのことかわからず困惑するが、コウマは未来がダークライブし、怪獣となってしまったことを彼女に告げ、響はそれを聞いた瞬間、さらに戸惑ってしまったのだった。

 

「そんな、嘘……、嘘だよ未来が!!」

「あいつ、『私は響に隠しごとなんかしていなかったのに、響も私に隠しごとなんかないって言ったのに……、響は、私に……嘘をついた』って言ってた」

「……」

 

響は顔を下に向き、一体どうしていいかわからないといった顔をしていた。

 

コウマも、響になんと言えば良いのか分からなかったが、兎に角、ストレートに、自分の思ったことを響に言い放った。

 

「しっかりしろ響!! きっとどうにかなる!! 80が言ってたんだ、お前ならどうにか出来るかもしれないって!!」

「でも、どうやってどうにかするの?」

「分からねえ、けど……、どうにかやってどうにかするしかねえだろ!! お前の一番の、親友なんだからさ!」

「言ってること、全然わからない。 でも、やってみる」

 

コウマは頷き、その後響に頼まれて一緒に寮まで戻り、響と未来の部屋へと入り、響は戸惑いがちに物影からそーっと未来の様子を伺った。

 

「ねえ、未来? なんていうか、つまり、その……」

「お帰り」

「あっ、うん、ただいま」

 

どうにもぎこちない雰囲気が続き、未来は持っている雑誌を読み続けて響を見ようともしなかった。

 

「あの、入っても良いかな?」

「どうぞ、あなたの部屋でもあるんだから」

 

コウマはこの様子を見てやはりギクシャクしていると感じ、コウマも「俺もおじゃまします」と一言入れて部屋へと入ると未来は「いらっしゃい」と冷めた態度で挨拶するが、流石に今回は仕方がないのでコウマは文句は言わなかった。

 

(流石に今回はスルーされないか)

「未来、あのね……?」

 

響はなにを話したらいいかわからなかった、だがそれでもなにか話さないといけないと思った、しかし、未来は「大体のことならあの人達に聞いたけど?」と睨みつけるように彼女は響に冷たく言い放つ。

 

「嘘つき、隠しごとはしないって言った癖に!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、クリスは私服姿である公園の中を彼女は歩いていた。

 

「なんでだよ……! フィーネ」

 

拳を握りしめ、唇を噛み締めるクリス、その時、クリスは響の「話し合おうよ、だって同じ人間なんだから」という言葉を思い出し、舌打ちする。

 

(あいつ……! クソッ、あたしの目的は戦いの意思と力を持つ人間を叩きつぶし戦争の火種を無くすことなんだ! だけど……!)

 

その時、公園のベンチで女の子が1人座り、もう1人、女の子の兄と思われる男の子が泣きじゃくる女の子に「泣くなよ! 泣いたってどうしようもないんだぞ」と怒鳴っていて、クリスから見れば男の子はそれは妹を苛めてる兄に見えた。

 

「おいコラ、弱い者を虐めるな!!」

「苛めてなんかないよ!! 妹が……」

 

そこに丁度、未来の所から家に帰る途中だったコウマが、その場面に丁度出くわした。

 

そしてさらになく妹を見てクリスは「だから苛めんな!!」と拳を振り上げるが、妹が兄を庇うように立ち、「お兄ちゃんを苛めるな!!」とクリスに怒鳴った。

 

クリスは腕を降ろし、てっきり苛められてるのかと思ったが、本当はただこの2人、迷子になってしまい、父親とはぐれてしまったのだそうだ。

 

「一緒に探してたんだけど、妹がもう歩けないって言ってたから、それで……」

「ったく、迷子かよ。 だったら端からそう言えよな」

 

遠くから様子を見ていたコウマは「事情をちゃんと聞いてないクリスが悪いと思うけどなぁ」などと思ったとか。

 

「だって、だってぇ!!」

 

再び泣きだそうとする妹にクリスが「だから泣くな!!」と怒鳴ると今度は兄が妹を庇うように立つ。

 

「妹を泣かせたな!!」

「あー、もう、めんどくせえ!! 一緒に探してやるから大人しくしやがれ!!」

「良かったなぁ、このおねーちゃんが一緒に探してくれるって、俺も手伝うよ?」

 

それを聞いた瞬間、兄妹の顔がパアっと明るくなり、コウマはどくさに紛れて兄妹とクリスの間に入り、クリスはコウマを睨みつける。

 

「テメーは!!」

「そんなに、睨みつけるなよ、俺はお前と戦う気はないし、二課にこのことを報告するつもりもねえ」

「誰がそんなこと信じるか!!」

 

クリスの言葉にコウマは「だよな」と苦笑し、どうすれば信じて貰えるか考えた結果……。

 

「例え信じなくても、信じても、俺はお前とは戦わないし、二課にもこのことは絶対に報告しねえ。 だからこの兄妹の親を俺も探す!!」

「言ってること訳分かんねえぞ、お前! ったく、ホントにめんどくせーな!!」

 

コウマと出くわしたからといってこの兄妹を放って逃げる訳にもいかないし、かといってこの兄妹の目の前で戦うことも出来ない、結果……、コウマと一緒に探すことにした。

 

クリスは兄妹の2人と手を繋いでコウマと一緒に兄妹の父親を探すために歩き出した。

 

「~♪」

 

道を歩くクリスは鼻歌を歌っており、コウマは少し、目を見開いた、先程「歌が嫌い」だと言っていた彼女が、どことなく楽しそうに鼻歌とはいえ、歌を歌っているからだ。

 

「おねーちゃん、歌、好きなの?」

 

妹がクリスへと問いかけるが、クリスは「そんな訳ねえだろ、歌なんて大嫌いだ」とぶっきらぼうに返し、さりげなくクリスは「特に、壊すことしか出来ないあたしの歌はな」と呟いたが、その呟きは本人以外には聞こえなかった。

 

「取りあえず、交番に行ってみよう」

 

コウマの提案で一同は交番へと向かい、見事この兄妹の父親を発見することが出来た。

 

「お前達、どこ行ってたんだ!?」

「おねーちゃんが一緒に迷子になってくれたぁ!」

「違うだろ、一緒に父ちゃんを探してくれたんだ」

 

そんな親子のやり取りを見守るクリスとコウマ、父親は2人に頭下げてお礼を言い、コウマは普通に「いいんですよ、別に」と笑いながら対応したが、クリスはこういうことに慣れていないのか、どこかぎこちなかった。

 

「もう、迷子になるんじゃねえぞ」

 

コウマがそう言いながら兄妹2人の頭を撫で、そこでクリスは「そうだ!」となにかを思い出したかのように兄妹にあることを尋ねた。

 

「そんな風に仲良くするにはどうすればいいのか教えてくれないか?」

 

だが、兄は「そんなの分からないよ」と答えるが、妹は「喧嘩しちゃうけど、何時も仲直りして仲良し~!」と兄の腕に抱きついて笑顔を見せた。

 

その後は兄妹と別れ、コウマとクリスは先程の公園まで戻って来た。

 

「クリスって、意外とスゲー優しいんだな」

「はっ、なに言ってんだよお前///」

 

「優しい」と言われて照れたのか、クリスは赤くした顔をコウマから背ける。

 

「そう言えば、ちゃんとした自己紹介まだしてなかったな」

「あん? なんだよ、急に。 んなことより、あたしだって忙し……」

 

クリスが言い終わる前に、勝手にコウマは自己紹介を始めた。

 

「って聞けよオイ!?」

「俺、来元コウマ!! ウルトラマンギンガで、年齢は15歳!! 誕生日は7月10日!! 趣味は冒険物の読書!!  そして俺の夢は……!! 貧しい国や、戦争している国、そんな所に行って辛い生活をしているだろう人達と仲良くなること!! そんな人達を、笑顔にして、日本の遊びなんか教えて、みんなを笑顔にすること!!」

 

響の自己紹介を参考に、コウマはそうやってクリスに自己紹介をするのだが、クリスはコウマの「夢」という部分に一瞬だが、反応した。

 

そして……、「夢なんて、くだらねえ」と切り捨てた。

 

「なんだと? なんでそんなこと言うんだよ?」

「そんな夢なんざ、叶いっこねえよ。 叶える前に、そんな所行って死んじまうのが目に見えてらぁ」

 

クリスは怪訝な表情でそう語り、コウマはクリスを睨みつける。

 

「人の夢をバカにするんじゃねえ!!」

「お前こそ!! 叶いもしないバカな夢なんざ語ってんじゃねえよ!!」

「確かに夢ってのは叶わないこともあるさ、だけど……、それでもお前が人の夢をバカにして良い権利なんかねえ!!」

「はん、あたしにその権利があるとしてもか!!?」

「っ!」

 

それを聞いてコウマは一瞬固まった、夢をバカにして良い権利がある……? 

 

そんな訳が無いとコウマは思った、夢をバカにして良い権利など、どこの誰にもありはしないと、だが、クリスにはその権利があると言った、一体どういうことなのか……。

 

「一体、どういう、ことだよ? 夢をバカにしても良い権利なんて……?」

「はん、だったら教えてやるよ。 あたしの両親は……、あたしの両親は夢のせいで、死んだんだ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、未来は一向に響と口を聞かず、目すらも合わせてくれなかった、そして未来は昼休み、逃げだすように屋上へと行き、響は急いで未来の後を追いかけ、響は屋上に立つ未来に「ごめんなさい」と謝った。

 

「どうして響が謝ったりするの?」

「未来は、私に対して隠しごとしないって言ってくれたのに、私はずっと未来に隠しごとをしてた!!」

 

だが未来は響の言葉を拒むように「言わないで!!」と言い、響へと振り返り、響の傍に寄る。

 

「これ以上、私は……響の友達でいられない、ごめん……!」

 

すると彼女の瞳から一粒の涙が流れ、その場から走り去った。

 

「どうして……こんな、嫌だ。 嫌だよぉ……」

 

拳を握りしめ、響の今のその表情は悲しみに満ちていた。

 

『なぜ、未来が君の友達でいられないと言ったのか、それが分かるか響?』

「……タロウ、さん」

 

響は涙を拭い、何時の間にか自分の後ろに浮かんでいたタロウに目を向ける。

 

『私にはどうも、彼女の本当の心の闇は別の所にあるのではないかと思っている』

「それって、どういうことですか?」

『彼女は君に嘘をつかれたということが、本当の心の闇ではないと思っているんだ。 二課の人達が言っていたな? 周りの人を傷つけるかもしれないからシンフォギアのことは周りの人には伏せておくべきだと』

 

つまり、タロウはなにが言いたいのか……それは、未来がきっと自分が響の傍にいればきっと邪魔になるから、だから響から離れなければならない、離れないといけない、未来はきっとそんな風に考えているのだろうとタロウは推測した。

 

『確かにホーになった直後は嘘をつかれたことがショックだったのだろう。 だが彼女は気づいたのだ。 自分が響、君の傍にいればきっと君の邪魔になってしまうと』

 

緒川から事情を聞かされた時、彼女の心情は変化したのかもしれない、「自分は響の傍にいてはいけない」と……、バックルビームの効力もあるだろうが、それ以上に響に対する「迷惑をかけたくない」という想いが、「嘘をつかれたショック」を上回り、今の落ちついた状態になったのだろうとタロウは響に語った。

 

「そんな、迷惑なんて、何時も私がかけてるのに……」

『……少し、似ているな。 あの時の出来事と……』

「……えっ?」

『私の教え子、『ウルトラマンメビウス』も、命令で一時地球の任務から外そうとしたことがあった』

 

その時のメビウスではこれから来る邪悪な存在を相手に地球を守り切ることが出来ないかもしれない、だから一度光の国へと戻ってさらなる力を身につけるよう彼はメビウスに指示した。

 

そしてメビウスが地球不在の間、タロウが代わりに地球に滞在することとなった。

 

しかし、メビウスの帰還命令を出した日に、「インぺライザー」という倒しても倒しても何度も再生するロボットが現れ、メビウスとその仲間である「GUYS」と共に立ち向かった。

 

だが、インぺライザーの再生能力に苦戦を強いられ、メビウスは敗北してしまい、そこからタロウがインぺライザーと戦うこととなってインぺライザーを一度は退けることに成功した。

 

その後、再び再生したインぺライザーと重傷で動けないメビウスに代わり、タロウとGUYSの共同作戦が開始された。

 

だがやはりそれでもインぺライザーを倒し切ることが出来ず、タロウは苦戦を強いられたが……、そこに重傷でボロボロのメビウスが助太刀に現れたのだ。

 

メビウスとタロウは共にインぺライザーと戦ったが、それでも勝てず、インぺライザーの攻撃がGUYSメンバーに当たりそうになった時、メビウスは身を呈して彼等を庇い、そして遂に倒れてしまった。

 

それでも、彼は立ち上がった、自分の勝利を信じてくれる仲間達の声があったから、仲間達がいてくれたから、メビウスは立ち上がり、そして新たな姿「バーニングブレイブ」へと覚醒したのだ。

 

バーニングブレイブとなったメビウスはインぺライザーを完全に倒し、そして仲間達はきっと地球は自分達とメビウスが守り抜く、メビウスは仲間だと言ってタロウにメビウスを光の国に返さないでくれと頼んだ。

 

そしてタロウは彼等の言葉を信じ、地球をメビウスとGUYSに託したのだった。

 

『当初メビウスは正体を伏せていた。 だがメビウスはその時、仲間達に自分の正体を明かした。 それでも、彼等は仲間で、友でもあるメビウスを信じたのだ。 君達が本当に信じ合える友ならばきっと分かり合える。 想いを、気持ちを、全力を、彼女へと伝えろ、響!!』

「……ッ、有難う、ございますタロウさん。 参考になりました!! 私、伝えて来ます、未来に……、想いを、気持ちを、全力を!!」

 

そう言って響は駆けだし、未来を追い掛けるのだった。

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8Eve 夢と友達の絆

響がタロウと話しているよりも数時間前の出来事、とある公園でクリスはコウマが語る「夢」を否定し、さらに「私には夢を否定する権利がある」と彼女が言った直後のこと、コウマはどうしてクリスにそんな権利があるのか問いかけていた。

 

「あたしの両親は、夢のせいで……死んだんだッ!!」

「どういう、ことだよ夢のせいで死んだって……?」

「言葉の通りさ! あたしのパパとママは歌による戦地での活動をしていた、お前と同じように貧しい人達に歌で人々を笑顔にするために!! だけど……!!」

 

その両親はその戦地の争いに巻き込まれて死亡してしまい、自分も捕虜生活を送るハメになってしまった、だから自分は両親も歌も、夢も嫌いなのだとコウマに怒りを込めた口調で強く彼に言い放った。

 

「お前の夢は、あたしの両親のソレに似ている。 だからお前の夢は下らねえんだ、貧しい国は兎も角、戦争なんかしてる所なんかに行って死んじまったら元も子もねえ、そんなんだったら最初から夢なんて持たない方が良いんだ」

 

クリスは顔を下に向けて今はどんな表情をしているかはコウマには伺えなかった、だがそれでも、クリスの、彼女の拳は血が出るくらいに強く握りしめられており、どんな表情をしているかはコウマには想像が出来た。

 

そしてクリスの話を聞いたコウマは彼女に対し「でも……」と話しかけた。

 

「それでも俺は夢を叶えたい。 確かに俺の夢は危険かもしれないし、死ぬかもしれない。 だけど俺は絶対に死なねえ!!」

「そんな保証どこにある!? 現にあたしの両親は夢のせいで、争いに巻き込まれて死んだんだぞ!!? だから、だからあたしが……戦争の火種を全部消すんだ!!」

 

今まで怒りを込めていたクリスの口調が不意に悲しげなものとなり、コウマはクリスの「戦争の火種を全部消す」という言葉を聞いてコウマは彼女の頭に手を置いて「それがお前の夢か」と優しく微笑みながらクリスに言い、クリスは「はぁ!?」と驚きの声をあげた。

 

「そうか、成程な、お前の今の言葉を聞いて分かったよ。 お前は……別に夢を否定している訳じゃねえんだな」

「な、なんでだ!? なんで今の会話でそんな風になるんだよ!?」

 

コウマはそのクリスの言葉に「そりゃこうなるに決まってるだろ!! お前の言ってること、少し考えれば嘘だってことが分かる」とクリスの頭を撫でながら笑顔を向け、一体どういう意味なのかをクリスに説明した。

 

それは先程の「戦争の火種を全部消す」という彼女の言葉、これは「両親を失った悲しみ」から来ているものだとコウマには推測出来るし、本当に両親が嫌いならばそんなことを言ったりしない筈だ、つまり、先程のクリスの言葉は遠まわしに「自分と同じような想いをする人を無くしたい」という風にも受け取れるのだ。

 

さらにコウマの夢を否定するのも、クリスがコウマに遠まわしに「危ないからそんなことをするな」と言っているようなもので、これは夢を否定しているのではなく心配してくれているということだ。

 

その上あの兄妹の親を探している時に彼女は鼻歌を歌っていた、そしてこれらのことから考えて出る答えは……殆どが嘘であることが分かった。

 

「お前は本当は歌も、両親も大好きなんだよな? 好きなら好きって素直に言えば良いじゃねえか、夢だって……本当はバカにしてる訳じゃねえんだろ?」

「う……るせえ!! あたしは本当に歌も、親も、夢も、大嫌いなんだよ!! お前になにが分かるんだよ!? あたしのなにが……!!」

 

クリスから見れば腹が立った、まるで気に入らない奴に心が見透かされてるようで、無性に腹が立った、クリスだって自分の気持ちに偽りがあることくらい分かっていた、だけどそれでも、こんな風に誰かに面と向かって言われれば無性に頭にきた。

 

クリスはコウマを睨みつけてジャンキラーとダミースパークを取り出し、ジャンキラーの足部にダミースパークの先端を押し当てる。

 

『ダークライブ! ジャンキラー!!』

 

ジャンキラーのスパークドールズは実体化して大地に降り立ち、クリスはコウマを睨みつけながら彼を指差す。

 

「お前にあたしのなにが分かるんだ!! ムカつくムカつくムカつく!! ムカつくんだよぉ!! 後頭撫でるんじゃねえ!! ここでお前とケリをつけてくれる!!」

「お、おいちょっと待っ……」

 

コウマが言い終わる前にクリスはジャンキラーのコックピットへと乗り込み、コウマは止むなくギンガスパークを取り出す。

 

「ったく、やるしかねえか。 けどな、クリス!! 確かに俺はお前のことはあんまり知らない、だから……話し合いたいんだ、お前と。 お前のことを知るために!」

『だったら、あたしを倒してみろよ!!』

 

コウマはギンガスパークを取り出したは良いものの、このまま本当に戦っても良いのかどうかわからなかった、一体どうすればいいのか、彼女の言うように、彼女を倒して話をするしかないのか。

 

出来ることならば彼女とは戦いたくは無い、だがそんな時、ギンガスパークが変形し、ギンガのスパークドールズが現れてコウマの手に握られる。

 

「……ギンガ、そうか。 お前がそう言うなら……!!」

 

コウマはギンガの足部をギンガスパークの先端に押し当て、コウマは青い光に包まれて「ウルトラマンギンガ」へと変身し、大地に降り立つ。

 

『『行くぞぉ!!』』

 

クリスとコウマの2人の声が同時に重なり、それを合図にギンガとジャンキラーがお互いに向かって駆けだして行き、ギンガとジャンキラーは同時に拳を放ち、お互いの顔面を殴りつける。

 

ジャンキラーはギンガから少し離れるとジャンキャノンのキャノン砲から実弾を発射し、ギンガを自分に近寄らせず、一方的にギンガを攻撃し、実弾によって起こった白い煙の中にギンガの姿が消えるが……。

 

何時の間にかギンガがジャンキラーの背後に回り込んでおり、ギンガはジャンキラーを背中から蹴りつけてジャンキラーはその攻撃に怯み、そのままギンガはジャンキラーに攻撃しようと接近するが、ジャンキラーは振り返りざまに腕を振るってギンガを殴り飛ばした。

 

『ウオオッ!?』

『お前の夢なんか下らねえ、下らなすぎる!! 必ず叶うとは限らねえ、これはお前を心配してなんかじゃない、これがあたしの本心だああああああ!!!!』

 

クリスはその叫びながらジャンキラーを操り、ジャンキラーは拳をギンガに放つがギンガはその拳を片手で受け止める。

 

『なに!?』

『確かに夢は必ず叶うとも限らねえし、俺の夢なんかもお前の言うように危なっかしい、けれども……夢をどうしても諦めることが出来ねえ、どうしても叶えたい、例え苦しんでも絶対に!! それが……夢ってもんなんだよぉ!!』

 

ギンガは掴んでいるジャンキラーの腕を突き離し、右拳でジャンキラーの顔面を殴りつけ……その拳はジャンキラーのコックピット内まで擦り抜け、クリスの目の前に浮かんでいたダミースパークをギンガは握りつぶした。

 

「なっ、ダミースパークが!?」

 

ダミースパークを失った影響か、クリスはコックピット内から弾きだされ、ジャンキラーもスパークドールズへと戻り、クリスの元へと落ち、ギンガもコウマの姿に戻って彼は彼女の元へと駆け寄り、彼女に手を差し伸べる。

 

「大丈夫か?」

「あたしが……負けた? くっ!!」

 

クリスはジャンキラーのスパークドールズを持ち、コウマの差しのべられた手を弾いてどこかへと走り去り、コウマは「ちょっと待てよ!!」と言いながら彼女を追い掛けたが……、クリスの足は速く、見失ってしまうのだった。

 

そしてクリスは……自分とフィーネのアジトでもある屋敷へと戻り、自分が用済みとは一体どういうことなのかを説明して貰うため、ここへと戻って来た。

 

「もういらないってことかよ!? アンタもあたしを物のように扱うのかよ!? 頭ん中グチャグチャだ!! なにが正しくてなにが正しいのか分かんねえんだよ!!?」

 

椅子に座っていたフィーネは椅子から立ち上がり、ソロモンの杖をクリスに向け、彼女にノイズを放った。

 

それはつまり、自分をフィーネが完全に見捨てた、見捨てられたということを露わしていた。

 

「どうして誰も、あたしの想い通りに動いてくれないのかしら? そろそろ塩時かしら? そうね、あなたのやり方じゃ争いを無くすことなんて出来はしないわ。 せいぜい1つ潰して新たな火種をばらまくことくらいかしら? そろそろ終わりにしましょう?」

 

そう言うとフィーネは色は金色になっているが、クリスが纏っていた「ネフシュタンの鎧」を彼女はその身に纏い、「カ・ディンギルは既に出来ているわ、だからあなたにはもう用は無い」とクリスを完全に突き離す発言をする。

 

「あなたは知り過ぎてしまったわ……」

 

フィーネの背後からさらにダークメフィストが現れ、ノイズと共にクリスへとメフィストは襲いかかり、メフィストがメフィストクローを出してクリスに斬りかかるが、クリスはどうにかそれをかわして彼女は屋敷から出ようと逃げだす。

 

「くそ、なんでだ、なんでだよ!? なんでこんなことに……!? メフィストだってあたしが召喚したのになんで……!?」

「そんなの、ダミースパークをあなたが失ったからに決まってるでしょ? 所有権は今は私にあるのよ」

 

そして屋敷の扉を飛び出すクリスだが、ノイズが襲い掛かってきたために身を縮めてノイズの攻撃を避け、扉の方を振り返るとそこには不敵な笑みを浮かべているフィーネが立っていた。

 

「畜生……!! ちっくしょおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は進み、響はタロウと話した後、未来を追い掛けたのだが担任にレポートがまだ出来ていないの怒られて足止めを喰らったりなどもあったり、未来が自分を避けるように行動していたため、その日は話をすることが出来ずにいた。

 

寮に帰っても未来は「お好み焼き屋のふらわーのおばちゃんの所で今日は泊ります」という置き手紙だけを残しており、結局寮に帰っても未来と話をすることは叶わなかった。

 

「未来……」

 

携帯にかけても電話に出無い、兎に角明日も学校もあるし、未来も風邪も引いて無いのに休む訳もないだろうということで明日こそ未来と話そうと思い、その日は寝ることにした。

 

そしてその翌日、シンフォギアを纏い、ノイズと自分を始末するために追ってくるメフィストと戦いながらもクリスは必死に逃げており、建物と建物の間に彼女は逃げるが……、前方にメフィストが現れ、後ろにはノイズが迫り、クリスを挟み撃ちにして追いこんだ。

 

「くッ、このぉ!!」

 

クリスはアームドギアのボウガンから矢をノイズに放ち、倒すがすぐにまた別のノイズが現れてキリがなく、メフィストがメフィストクローを構えてクリスに駆けだしたその直後……!

 

『ウルトラーイブ!! キリエロイドⅡ!!』

 

見た目は異形だが、人型の姿をした等身大の怪人「炎魔戦士キリエロイドⅡ」が現れ、メフィストクローを出している右腕を掴んで背負い投げをキリエロイドⅡは繰り出し、メフィストを地面に叩きつけた。

 

『ウアッ!?』

『キリッ!!』

 

キリエロイドⅡはそのままパワーに優れた全身が硬質化し、両腕にカッターのついた「怪力戦タイプ」へとタイプチェンジし、パワーに優れた拳を倒れこんでいるメフィストに叩きこもうとするがメフィストはメフィストクローでキリエロイドⅡの拳を受け止め、足を振り上げてキリエロイドⅡを蹴りつけ、自分から引き離す。

 

『キリッ!?』

『ハアッ!!』

 

立ち上がったメフィストだが、背後からアームドギアが変形した4門の3連ガトリング砲から一斉掃射されるクリスの「BILLION MAIDEN」を背中に喰らい、メフィストは膝を突き、さらにキリエロイドⅡが腕のカッターでメフィストに斬りかかり、メフィストはクローで防ぐがキリエロイドⅡはメフィストの腹部を蹴りつけて腕のカッターでメフィストの胴体を斬りつける。

 

『ウオオッ、グウウ』

 

メフィストは部が悪いと感じたのか、空へと飛び立ち、その姿を消し、さらにキリエロイドⅡはノイズと戦っているクリスに加勢し、2人でノイズを全て打ち倒したのだった……。

 

「お前、確かギンガの……」

『あぁ、大丈夫だったかクリス?』

 

キリエロイドⅡは変身を解いてコウマの姿へと戻り、彼女に問いかけるがクリスは不機嫌な様子で「余計なことを」と呟き、コウマは苦笑した。

 

「借りはいずれ返させてもら……う……」

「お、おい!? 大丈夫か!?」

 

そこでクリスは今まで逃げてきた疲労のせいで気を失ってしまい、倒れそうになったクリスをコウマが支える。

 

その際、彼女の胸がコウマの腕に当たってしまっているのだが……。

 

(うわ、歳の割には大きいんだなって違う違う!! そんなこと考えてる場合じゃねえ!!////)

 

どこか彼女を休めさせられる場所を探しに行こうとコウマは彼女を抱きかかえ、この建物と建物の間から抜け出そうとしたその時、丁度ふらわーから学校に行こうとしていた未来が通りかかり、コウマと目が合ったのだ。

 

「こ、コウマくん!? どうしたの!?」

「お、おぉ、未来! 丁度良い所に! ちょっと手伝ってくれ!!」

 

そうコウマに頼まれた未来は、流石にこの状況を放っておく訳にもいかず、未来とコウマは近くにあるふらわーのおばちゃんの店まで行き、おばちゃんに事情を説明してしばらくクリスをそこで休ませることになったのだった。

 

そのまま未来とコウマは今日は学校を休むことになり、布団に寝かせたクリスを2人で看病することとなった。

 

しばらくするとクリスは目を覚まして起きあがり、見たこともない部屋だったので彼女はしばらく辺りを見回す。

 

「あっ、テメー!!」

「よッ、クリス」

「良かった、目が覚めたのね。 びしょ濡れだったから着替えさせて貰ったわ」

 

未来はクリスに自分の体操着を着せており、クリスはそれに気付いて「勝手なことを!!」と立ち上がるが……実は今のクリスを下を履いていなかった。

 

「な、なんでだ!?」

「えっと、流石に下着の変えまではなかったから///」

(あぶねっ! 危うく見る所だった……!)

 

クリスは顔を赤らめてしゃがみ込み、そのまま布団を身体全体に包んで顔だけを出す、そこにふらわーのおばちゃんがやってきてクリスの具合はどうかと未来とコウマに尋ねてきた。

 

「丁度今、目が覚めた所です」

「ありがとなおばちゃん、助けてくれて」

「なに言ってんの、困った時はお互い様でしょ? あっ、お洋服洗濯しておいたから?」

 

それから未来はクリスの身体を拭くことになったために扉を閉めてコウマは終わるまで扉の前で待つことになった。

 

「……傷のこと、聞かないんだな?」

「……うん」

 

クリスの背中には痣が沢山ついており、クリスはその痣について未来がなにも聞かないことに少しだけ驚いていた。

 

「私は、そういうの苦手みたい。 今までの関係を壊したく無くて、なのに1番大切なものを壊してしまった」

 

それは恐らく、今の響と未来自身のことなんだろうなとコウマは感じ、これには自分にも責任があるため、彼の表情は暗くなった。

 

「それって、誰かと喧嘩したってことなのか?」

 

クリスが不思議そうに尋ね、その予想は見事に的中し、未来は「うん」と頷いて見せた。

 

身体を拭いて貰ったクリスは洗濯して貰い、乾いた自分の服を着て「喧嘩か、あたしにはよく分からないことだな」と語り、未来は「友達と喧嘩したことないの?」とクリスに問いかけた。

 

「友達……いないんだ地球の裏側でパパとママを殺されたあたしはずっと1人で生きてきたからな。 友達どころじゃなかった、たった1人理解してくれると思った人も私を道具のように扱うばかりだった!」

 

誰もまともに相手してくれなかった、大人はどいつもこいつも屑揃い、痛いと言ってもやめてと言っても自分の話などこれっぽっちも聞いてくれなかったとクリスは語り、着替えが終わったのでコウマが再び部屋に入る。

 

「でも、ここには話を聞いてくれる人達がいる沢山いるぞ? 俺もその1人だし、未来もそうだ」

「……けどあたしは、お前なんかに話を聞いて貰おうとは思わねえよ」

 

そんな風に返されてコウマは「もしかして俺って結構嫌われてる?」と苦笑し、次にコウマは未来に話しかけた。

 

「所でよ、未来?」

「んっ?」

「その、悪かったな。 俺、知ってたんだ、響がなにをしているか……」

「ううん、私が言ったんだもの、出来れば響の口から聞きたいからって。 それに嘘をつかれたことはもう良いの……。 ただ、私は……響の秘密を知った、そんな私はあの子の傍にいちゃいけないってこと」

 

それを聞いたコウマは目を見開き、一体どうしてなのだと未来に問いかけた。

 

その理由は前回タロウが言ったものと同じ内容で、「きっと自分は響の傍にいては迷惑をかけてしまうかもしれない」というものであった。

 

しかし、当然ながらコウマはそれを否定した。

 

「迷惑をかける? 友達に? そんなの……当り前だろうが!!」

 

コウマの強く言い放った言葉に未来は驚き、コウマはそんな未来にお構いなしにそのまま話を勝手に進める。

 

「友達ってのはただ仲が良いから友達なのかよ!? 違うだろうが!! 友達ってのは、喧嘩もするし、お互いに迷惑だってかけるものなんだよ!! それが友達ってもんだろ!! 響はよくお前に迷惑をかけては謝るよな? だから、お前もたまには響に迷惑をかけて良いんだ。 んで、最後は響と同じように『迷惑をかけてごめんね』ってただ、それだけ言えれば良いんだよ、そうだろ?」

「……ッ、そう、なの……かもしれないね。 でも、今さらどうやって仲直りすれば良いのか」

 

それを聞いていたクリスは未来に話しかけ、「なあ、所でお前さ……、その喧嘩の相手、ぶっ飛ばしちまいな?」と言ってきたのだ。

 

いきなりそんなことをクリスに言われて未来はきょとんとした様子で「えっ?」と目を見開いた。

 

なにせ響をぶっ飛ばすなんてこと、未来には出来ないからだ。

 

「どっちが強いのかはっきりさせたらそこで終了、とっとと仲直り、そうだろ?」

「そういうのは女同士より男同士の方が良いだろ?」

 

苦笑しながらコウマはクリスにツッコミを入れるが、クリスは「仲直りすんならなんでも良いだろ」と返すが、未来の返答もやはり「出来ない」であった。

 

「でも、有難う」

「はあ? あたしはなにもしてないぞ?」

 

いきなりお礼を言われて困惑するクリス。

 

「ううん、本当にありがとう。 気遣ってくれて。 えっとぉ~」

「クリス、雪音クリスだ」

「優しいんだね、クリスは?」

 

クリスはそう言われて顔を赤くし、背中を向け、今度は未来が自己紹介をクリスに済ませ、未来はクリスの左手を握った。

 

「もしもクリスが良いのなら、私は……クリスの友達になりたいな」

 

それに続くように、コウマもクリスの右手を握って笑顔を見せ、「俺もお前の友達になりてえ! だから!!」と言うが、クリスは2人の手を離し、2人に再び背中を向ける。

 

「あたしは、お前達に沢山酷いことをしたんだぞ……?」

 

今の彼女の表情は、悔しさや後悔といった想いの詰まった表情をしており、コウマは「クリス……」と心配そうな表情をしながら彼は静かに彼女の名を呼んでクリスに近寄ろうとしたその時、突然ノイズ発生の警報が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスと未来、コウマが話をしている時、リディアン音楽院屋上では……。

 

「未来……、今まで無断欠席したこと無い筈なのに……」

 

そこに丁度、松葉杖を使いながら響と同じく屋上に翼がやってきた、彼女の肩にはタロウも乗っている。

 

「翼さん」

 

それから響と翼の2人は屋上のベンチに座り、2人で少しだけ、話をすることになり、響は翼に未来と喧嘩してしまったことを話し、タロウには未だに未来に想いを伝えられていないことを話した。

 

「私、自分なりに覚悟を決めたつもりでした。 守りたいものを守る為、シンフォギアの戦士になるんだって。 でもダメですね、小さなことに気が乱されてなにも手に付きません。 私、もっと強くならなきゃいけないのに、変わりたいのに……」

『焦りは禁物だぞ、響? 焦り過ぎては、守るべきものも、しっかりと守ることは出来ない』

「それに、その小さなものが立花の本当に守りたいものだとしたら、今のままでいいんじゃないかな?」

 

上から響、タロウ、翼が語り、タロウは翼の言葉に同意するように頷き、翼は「立花は、きっと立花のまま強くなれる」と言い、翼は下を向いて「奏のように人を元気づけるのは難しいな」と呟くが、響は「そんなことありません!!」と強く否定した。

 

「前にも一度、親友にも同じことを言われて励まされたんです。 それでも私は、また落ち込んじゃいました、ダメですよねー!」

 

そんな響を見て翼は笑みを浮かべ、響は「まだ傷は痛みますか?」と彼女に問いかけた。

 

「大事をとっているだけ、気にするほどでは無い」

 

翼は絶唱による肉体への負荷は極大、まさに他者も自分も全てを滅ぼす滅びの歌、その代償と思えばこれくらい安いものと語る翼。

 

「絶唱、滅びの歌……。 でも、でもですね翼さん!! 2年前……私が辛いリハビリを乗り越えられたのは翼さんの歌に励まされたからです! 翼さんの歌が滅びの歌だけじゃないってこと、聞く人に元気を与えられる曲だってことを、あたしは知っています!! だから元気になってください、私、翼さんの歌が大好きです!」

 

そう言って響は翼に笑顔を向け、タロウも「私も是非、一度聞いてみたい、君がライブで歌う歌を」と言い、翼は2人にそう言われてうっすらと笑みを浮かべた。

 

「私が励まされてるみたいだな」

 

その言葉を聞いて響は「ふえッ!? アハハハ……!」と苦笑した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノイズの警戒警報が鳴り響き、人々は逃げ惑い、未来とおばちゃんも避難しようとしたがクリスはノイズが出現したことを知り、彼女はみんなが逃げる場所とは反対の方向へと走り出した。

 

「クリス!」

「俺が追いかける、未来はおばちゃんと一緒に!!」

 

コウマはクリスを追い掛けて走りだした。

 

(ったく、なにやらかしてんだよあたしは!?)

 

そしてクリスは人気のいない場所まで行き、そこで立ち止まり、自分のせいで関係ない人々まで巻き込んでしまい、そのことで彼女は悔しさのあまり叫んだ。

 

「うわあああああああ!!!! うっ、うぅ……! あたしがしたかったのはこんなことじゃない。 でも何時もあたしのやる事は……いつもいつもいつもぉ!!」

 

その瞳からは涙があふれ出させ、彼女はその場に膝を突き、そこに丁度コウマが駆け寄ってきた。

 

しかし、コウマは今のこの状態のクリスになんと話しかければ良いのか分からず、困惑していたが、何時の間にか周りにノイズが自分達を取り囲んでいることにコウマは気付いた。

 

クリスもそれに気付き、立ち上がってノイズ達の方へと振り返る。

 

「私はここだ、だから!! 関係ない奴等の所になんか、行くんじゃねえ!!」

「お前の所にだって、行かせはしねえよ!!」

 

コウマはギンガスパークと龍のようなスパークドールズを取り出し、ギンガスパークの先端を龍のスパークドールズの尻尾部に押し当てる。

 

『ウルトラーイブ!! ナース!』

 

コウマは金色の身体をした龍のような怪獣「宇宙竜ナース」にウルトライブし、ナースは尻尾を振るって周りにいるノイズを叩き潰し、クリスもイチイバルを纏おうと歌を口ずさもうとするが、走って息を切らしていたために咳き込んでしまう。

 

その隙を突き、空中から飛行するノイズがクリスへと襲いかかって来た。

 

『クリス!!』

 

ナースが助けに入ろうとするも空中と地上から槍状に変形したノイズの攻撃がナースに直撃し、ナースはバランスを崩して倒れこむが、すぐに起き上がって彼女の元へと向かう。

 

『クソ、これじゃ間に合わねえ!!』

 

だが、そこに弦十郎が駆けつけ、地面を蹴りつけて抉り、抉った地面を壁にして空中から襲いかかったノイズの攻撃を防ぎ、クリスを守ったのだ。

 

そのまま弦十郎は壁にしたコンクリートの地面を破壊し、その破片を弦十郎はノイズにぶつける。

 

流石にこれにはクリスも唖然として口を開けていた。

 

今度は右からノイズが襲い掛かるが、弦十郎は先程と同じ方法でノイズの攻撃を防ぎ、クリスを抱えて目の前のビルの屋上まで跳び上がる。

 

『ほんとに何者だよ、あのおっさん……』

 

コウマは苦笑しながら言うが、先ずはノイズを殲滅することを優先し、ナースは円盤形態となって下部からエネルギー弾をノイズに発射し、攻撃する。

 

「大丈夫か?」

 

弦十郎が尋ね、クリスは黙ったままであり、飛行する飛行ノイズが現れるが今度はちゃんとクリスは歌を口ずさみ、シンフォギアを纏う。

 

「~♪」

 

クリスはアームドギアのボウガンの矢を放ち、空中のノイズを撃破し、クリスは弦十郎の方へと振り返る。

 

「ご覧の通りさ! あたしのことはいいから他の奴等の救助に向かいな!」

「しかし……」

「こいつ等はあたしが纏めて相手にしてやるって言ってんだよ!! ついてこい屑共!!」

 

戦う彼女を見て弦十郎は「俺は、またあの子を救えないのか……」と呟いた。

 

4門の3連の形状が変化したガトリング砲のアームドギアでノイズ達に一斉掃射する「BILLION MAIDEN」を放ち、ノイズをクリスは次々と消滅させる。

 

さらに迫って来たノイズもガトリング砲で持ち上げて地面に叩きつけ、ゼロ距離からの銃弾をノイズに喰らわせる。

 

その時、巨大化したメフィストが空中から現れ、クリスに向かって攻撃を仕掛けるがナースがメフィストに体当たりしてメフィストを吹き飛ばし、そのままナースとメフィストは戦闘に入る。

 

『あいつに手を出すんじゃねぇ!!』

 

その時、ギンガスパークの先端から2体のスパークドールズが現れた。

 

1つはギンガであり、もう1体は銀色の身体をしたウルトラマンのスパークドールズだった。

 

『行くぜ、ギンガ! ネクサス!!』

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

ナースはウルトラマンギンガへと変わり、さらにコウマはもう1体のスパークドールズをギンガスパークの先端へと押し当てた。

 

『ウルトライブ!! ウルトラマンネクサス!!』

 

ギンガは今度は銀色の身体に胸にY字のマークのクリスタルがある巨人……「ウルトラマンネクサス・アンファンス」へと変身した。

 

『シェア!!』

 

ネクサスとメフィストは空中でお互いに向かって拳を振るい、お互いの胸部を殴りつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、響は未来の悲鳴を聞き、ある壊れた建物の中に入り、未来がいないかを探しまわる。

 

「誰か!? 誰か今!」

 

響は誰かいないかを確認しようとしたが、その時、響の背後からタコ型のノイズが現れ、ノイズは触手を使って響に襲い掛かるが、ギリギリ響はそれをかわして見事地面に着地した。

 

「あ……ッ、むぐ」

 

声を出そうとした直後、未来が現れていきなり口を響は手で防がれた。

 

未来は携帯で文字を打ち、『静かに、アレは大きな音に反応するみたい』という文字を響に見せ、あれに追いかけられて未来はフラワーのおばちゃんとここに逃げ込んだらしく、今、フラワーのおばちゃんは気を失っていることを響に未来は説明する。

 

音に反応するということは響が歌えば2人が危険に晒される、そのため響は歌を歌うことが出来なかった。

 

するとまた未来は響に打った文字を見せ、響はそれを見るとなにか驚いた表情を見せ、響も同じく携帯を取り出して文字を打ち、それを未来に見せ、しばらくそんなやり取りが続くが、不意に未来が響の手を掴んで文字を打つ響の手を止める。

 

「あ、あぁ……」

 

そこでおばちゃんが目を覚ましそうになったため、ノイズが反応し、響と未来は慌てる。

 

「私、響に酷いことをした。 今さら許して貰おうだなんて思って無い、それでも一緒にいたい、私だって戦いたいんだ」

 

未来は小さな声で響にそう伝え、その言葉を聞いた響は小声で「ダメだよ、未来」と呟く。

 

「どう思われようと関係ない、響1人に背負わせたくないんだ。 だから私……もう迷わない!!!!」

 

響のその声にノイズが反応し、未来は走りだし、ノイズは未来に襲い掛かり、逃げる未来をノイズは追い掛け、そのまま建物から未来とノイズは飛び出し、響はおばちゃんの元へと駆け寄る。

 

「~♪」

 

そして響は歌を口ずさみ、ガングニールを纏っておばちゃんを背負い、外に飛び出してそこに丁度やってきた緒川に響はおばちゃんを任せ、響は未来とノイズを追い掛けた。

 

先程のやり取り、それは未来が携帯で響に伝えた内容、それは「私が囮になるから」という文字。

 

それを読んだ響はそんな危険なこと、未来にはさせられないと返したが……。

 

『元陸上部の足だからなんとかなる』

 

と返され、響は『なんともならない!』と言い返したが……。

 

『じゃあなんとかして?』

「っ」

『危険なのは分かってる、私の全部を預けられるの……響だけなんだから』

 

響は先程までのやり取りを思い出しながら、未来を探しまわる。

 

(戦ってるのは私1人じゃない!! シンフォギアで誰かの助けになれると思っていたけど、それは思いあがりだ、助ける誰かが一生懸命じゃない。 助けられる誰かも、一生懸命なんだ! 本当の人助けは……自分1人の力じゃ無理なんだ。 だからあの日あの時奏さんは私に生きるのを諦めるなと叫んでいたんだ!! 今なら分かる気がする!)

 

その時、未来の悲鳴が聞こえ、響は背中のブースターでさらに加速し、再び高くジャンプする。

 

(そうだ、私が誰かを助けたいと思う気持ちは……惨劇を生き残った負い目なんかじゃない!!)

 

響の足のユニットのレバーが伸び、地面に立つと同時にそれが戻るとさらに響の動きが加速し、跳び上がる。

 

(2年前……奏さんから託されて私が受け取った……気持ちなんだあああああ!!!!)

 

一方、山の中にある高速道路を走って逃げていた未来は体力の限界が近づいており、諦めかけていた……、だがその時……。

 

『諦めるなぁ!! 未来!!』

 

コウマの声が聞こえ、「まだ響と流れ星を見ていない!!」ということを思い出し、未来は再び走りだし、跳びかかってきたノイズの攻撃を避けはしたが、その場の地面が崩れ、未来はノイズ諸共そこから落下してしまう。

 

だが、そこに腕のユニットのレバーを引き、拳をノイズに向けて放つ響が現れ、ノイズを殴りつけるとレバーが戻り、衝撃をノイズに与えてノイズは破裂して消滅し、響は背中のブースターを使い、未来を抱きしめる。

 

「シンガウィサああああああああああああ!!!!!」

 

地面に着地する響だが、逆だったためにバランスを崩してしまい、響はシンフォギアを解除する。

 

そして響と未来は顔を見合わせると……お互いに笑いだした。

 

「ありがとう、響なら絶対に助けに来てくれると信じてた」

「ありがとう、未来なら絶対諦めないって信じてた、だって、私の友達だもん」

 

響が笑みを浮かべると、未来は目尻に涙を溜め、響に抱きつき、そのまま2人とも地面へと倒れた。

 

「怖かった! 怖かったよぉ!」

「私も……凄い怖かった」

 

響も少し涙を目尻に溜め、未来は最近は辛いこと苦しいこと全部背負いこもうとしていた響が本当は嫌だったのだと響に話す。

 

また大きな怪我をするんじゃないかと心配して、だけどそれは響を失いたくない自分のワガママ、そんな気持ちに気付いたのに今までと同じようになんて出来なかった。

 

「それに、響に迷惑をかけたくなかったから、あんなことを言って、ごめんなさい!」

「いいんだよ、未来、友達なんだから、迷惑なんてお互いさまじゃん?」

 

未来は響がコウマと同じことを言っていることに少し驚いたが、未来は涙を拭い、「そうだね」と笑顔で返した。

 

「それでも私の……ププッ」

 

急に響が笑いだし、未来は首を傾げる。

 

「だってさ、髪の毛ぼさぼさ涙でぐちゃぐちゃ! シリアスなこと言ってるし!」

「もう、響だって似たようなものじゃない!」

「えぇ!? 嘘ぉ!?」

 

響は鏡を貸してと言うが、鏡を今持っていないので携帯のカメラで撮影することに。

 

「これは呪われたレベルだ!」

「私も想像以上だった……」

 

そんな時だった、空中から爆発音のようなものが聞こえたのは。

 

響と未来が空を見上げるとそこにはネクサスとメフィストが戦い合っており、メフィストは巨大な闇の球を造り射出し、闇の球は小さな小弾に分裂し、敵目がけて降り注ぐ「ダークレイクラスター」を響と未来を狙って放つが、ネクサスが両腕を交差させて高速移動する「マッハムーブ」を使い、響と未来の元まで行き、水面に生まれる波紋のような、青色に輝く円形状のバリア「サークルシールド」を張ってネクサスはメフィストの技を防ぐ。

 

ネクサスは右の拳を胸の前に構え、それを振り降ろすと赤い形態である「ジュネッス」へとスタイルチェンジする。

 

メフィストも地上へと降り立ち、ネクサスへと向かって行き、メフィストクローでネクサスに斬りかかるが、ネクサスはそれをかわしてメフィストの腹部に蹴りを入れる。

 

『グウ、デアアア!!!』

 

負けじとメフィストは足を振り上げてネクサスを蹴りつけ、その攻撃にネクサスは怯み、メフィストは三日月型の光線「ダークレイフェザー」を放つがネクサスは腕のアームドネクサスの刃を光らせてそれを弾く。

 

「……未来」

「あんな相手と戦うつもりなの?」

 

不安そうな表情になる未来だが……。

 

「あれはコウマくんなんだ、今私は手が空いてるし、1人で戦わせたくは無い、コウマくんだって友達だもん」

「……分かった、でも、無茶はダメだからね?」

「分かった!!」

 

響は歌を口ずさみ、ガングニールを纏い、足のレバーと背中のブースターを使って大きく飛び上がり、腕のユニットの部分を開き、メフィストに向かって真っすぐその拳を振るい、メフィストの胸部を殴りつけるとユニット部が元に戻り、それと同時に強烈な衝撃がメフィストに放たれる。

 

しかし、メフィストはほんの少し後ろに下がった程度で大したダメージはなく、メフィストは響をはたき落とした。

 

「『響!!』」

 

ネクサスと未来が叫ぶが、見た様子では響は無事であまり大したことはなさそうだった。

 

『2人で行くぞ、響!!』

「よっし!!」

 

ネクサスは響を自分の手の平に乗せ、ネクサスは響を乗せた手から光の粒子を放ち、その粒子を響に纏わせる。

 

そして響はネクサスの手の平から跳びあがり、もう1度同じ方法でメフィストへと殴りかかり、同時にネクサスもメフィストに向かって殴りかかり、ネクサスと響の拳がガードする間もなくメフィストに炸裂する。

 

『ウオオオッ!!?』

 

さらにネクサスは青い形態「ジュネッスブルー」へとスタイルチェンジし、メフィストへと駆けだして拳を振るうがメフィストはそれをかわして左手でネクサスの腹部に拳を叩きこむ。

 

『ぐう、負けるかああああああ!!!』

 

負けじとネクサスは両腕の肘から放つ「ジュネッスブルーエルボー」を繰り出し、ネクサスはメフィストを持ち上げ、持ち上げた敵を空中に投げ飛ばす「ジュネッスブルーホイップ」を繰り出す。

 

『ウアアアアッ!!?』

『響!!』

「うん、行くよ!!」

 

ネクサスの手の平の上に再び光の粒子を纏った響が乗り、そこから響が跳び上がってメフィストに蹴りを繰り出し、メフィストは両腕を交差して防いだが、ネクサスの不思議な力で強化された響の蹴りは強烈でメフィストは蹴り飛ばされる。

 

ネクサスは空中へと飛行し、エナジーコアの光を右腕のアローアームドネクサスに投影してアローモードを形成、光の弓を引き絞り、そのまま超高速の光の弓を放つ「アローレイ・シュトローム」をメフィストに、同時にメフィストはアームドメフィストを組みあわせて発射する強力な破壊光線「ダークレイ・シュトローム」を発射し、2人の技が激突し、メフィストとネクサスの間に爆発が起きる。

 

『ウアアアアアアア!!!?』

『シュア!!』

 

ネクサスはそのまま真っ直ぐ爆発の炎の中を潜ってメフィストに接近し、強烈なパンチをメフィストの顔面に叩きこみ、それを喰らったメフィストは大きく吹き飛ばされて爆発した。

 

『ヌアアアアアアアア!!!!?』

 

メフィストが爆発した個所にはメフィストからウルトラマンソウルに戻ったスパークドールズが落ちていた。

 

ネクサスも大地に降り立ち、未来の元へと戻る響をネクサスは見下ろした。

 

『2人とも、その絆を、大事にしてくれ。 そして……最後まで、『諦めるな』!』

 

それはコウマではない別の誰かの声、だがコウマにはこの言葉の主が誰であるかはすぐに分かった。

 

響と未来も戸惑いつつも、ネクサスの言葉に強く「はい!」と元気いっぱいに答えるのだった……。

 

「……あれ?」

 

未来はなにか違和感を感じ、ダミースパークを取り出すと、そのダミースパークは一瞬黒く輝いた後、跡形もなく消滅してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ある薄暗い部屋では……、異形な姿をした腕が黒いギンガスパーク、「ダークスパーク」を握りしめており、その「異形の手のモノ」は……ある1つのスパークドールズを取り出し、足部にダークスパークの先端を押し当てた。

 

『ダークライブ! ティガダーク!』




ちなみに、ソウルは別サイトで書いている作品に登場したオリトラマンです。


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9Eve コウマとクリス、翼の夢

数年前、倉庫のような場所でバイクの整備を翼が鼻歌を歌いながらしていた時、彼女の背後から奏がそっと翼の鼻歌と同調するように現れ、翼は驚いて慌てて彼女に振り返った。

 

「ご機嫌ですな~」

「今日は非番だからバイクで少し遠出に」

 

バイクの免許を特別にとった翼は今日、休みということもあり、バイクに乗って少し走って見ようと思っていたのだ。

 

「特別に免許貰ったばかりだものな! それにしても、任務以外で翼が歌を歌ってるの見るの初めてだ」

 

翼は奏にそう言われて頬を赤く染め、奏はそんな翼に力の弱いデコピンをそっとし、奏は「また鼻歌聞かせてくれよな~?」と悪戯っ子のような笑みを浮かべながらそこを去って行き、翼は顔を真っ赤にしたまま「鼻歌は誰かに聞かせるものじゃないから!」と奏に怒鳴るが奏は悪びれた様子もなく「分かってるって」とだけ答えた。

 

「じゃ、行ってきな」

 

それだけを言って奏は翼の前から去って行った。

 

そして翼はそこで目を覚まし、メディカルチェックが丁度終了し、翼は検査に使われていたベッドから起き上がる。

 

「……ただいま、奏」

 

それから翼が緒川を連れて二課の廊下を歩いていると前回の出来事から協力者となった未来を連れた響がやってきて初対面となる未来を翼は見つめる。

 

「立花、そちらは確か協力者の……」

「こんにちわ、小日向未来です」

 

頭を下げて自己紹介をする未来、響は胸を張って「私の1番の友達です!」と得意げに彼女を紹介する。

 

まあ、要するに嫁自慢したい訳であ(ry

 

そして翼と未来がまともに顔を合わせるのはこれが初めてであり、翼は未来に笑みを向けて「立花はこういう性格故、色々面倒をかけると思うが支えてやって欲しい」と彼女は未来に頼み、対して未来は「いえ、響は残念な子ですのでご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」と翼に微笑み返してそう言い、響は未来の「残念な子」という部分を聞き「どういうこと!?」と未来と翼の2人を彼女は交互に見る。

 

「響さんを返してお2人が意気投合しているということです」

 

そんな響に緒川は笑顔でそう言うが、響は腕を組んで「なんだかハブらかされてる気がする!」と納得しない様子ではあるが……、取りあえずそこからは未来が協力者になったということもあり、それからは響達で色々な会話をすることになった。

 

そんな時、「あら? ガールズトーク?」と興味深そうに了子が現れるが緒川と藤暁は「僕達もいるのだから忘れないでほしい」と苦笑しながらツッコんだが了子はガン無視。

 

「了子さんもそういうの興味あるんですか!?」

 

響が興味深そうに了子に問いかけ、了子は「もちのろん! 私の恋話100物語聞いたら夜眠れなくなるわよぉ~?」と怪しげな笑みで語る彼女を見て未来は苦笑しながら「まるで怪談みたいですね」とツッコミを入れた。

 

それを聞いた響は目を輝かせて了子の話を聞く気満々であり、彼女はその物語を語り始めた。

 

「そうね、遠い昔の話になるわね、私はこう見えて呆れちゃうくらい一途なんだから」

 

顔を赤く染めてどこか遠い所を見るような目で彼女は語りだし、先程まで微妙な顔をしていた未来も流石に恋の話となったためか響同様興味深そうに聞いていた。

 

「意外でした! 櫻井女史は恋よりも研究一筋だと」

「命短し恋せよ乙女と言うじゃ無い? それに女の子の恋するパワーって凄いんだから! 翼ちゃんなら分かるんじゃないの?」

 

翼の言葉に了子がそう返し、緒川が「女の子ですか……」とどこか疑問になるような言葉を発したがその直後に緒川は了子に殴られた。

 

「私が聖遺物の研究を始めたのだってそもそも……あっ」

 

その途中で了子は顔を赤くし、響と未来は声を揃えて「うんうん、それで!?」と元気よく了子に尋ねる。

 

ここまで息ピッタリならもう結婚すれば良いのにこの2人。

 

「ま、まあ! 私も忙しいからこんな所で油売ってられないわ」

 

了子は会話を途中で切り、「自分から割り込んで来た癖に……」と呟いた緒川の顔面を了子は蹴りつける。

 

結局響達は了子の話の続きを聞きだす事が出来ず、そそくさと逃げて行き、響は「必ず何時か聞きだして見せる!!」と意気込んでいた。

 

それから響は緒川からは既にスケジュールが入っているが、翼曰く「ならし運転のつもりだから少しずつよ」ということを聞き、それを聞いた響はなにかを思いついたような顔を見せた。

 

「じゃあ以前の様な大量のスケジュールじゃないんですよね!? だったら翼さん! デートしましょう!」

「えっ……デート?」

 

そんな響の言葉に翼は戸惑うが、用は「一緒に遊びに行こう」ということなのだろう、恐らく響にとって「遊ぶ=デート」とかそういった感じなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、クリスを探して雨の中、傘を差して外出していた弦十郎とコウマ、そしてタロウは……ツ〇ヤに寄ってDVDの返却をしている所だった。

 

『っておい待て!? 雪音クリスを探すのではなかったのか!? というよりコウマはまだしも弦十郎さん、あなたは仮にも指令でしょう!? なに勤務中にレンタル屋に寄っているんですか!!?』

「レンタル屋ではなくツ〇ヤだ」

『なんだそのこだわり!?』

 

タロウが弦十郎とコウマの行動にツッコミを入れつつ、クリスの捜索を2人は開始、弦十郎はコウマに「俺だけでも良かったんだぞ」と言うが、コウマは首を横に振った。

 

「俺さ、二課には報告しなかったけど、実はクリスと戦い以外で会ってたんだ。 その時に俺はあいつの事情を聞いた。 あいつを俺は放っておけねえ、だから俺にも手伝わせてくれ、弦十郎さん」

「……、そうか、知っていたのか。 分かった、お前にも手伝って貰うよ」

 

弦十郎はその大きな手でコウマの頭を撫で、やがて弦十郎とコウマ、コウマの肩に乗るタロウはとある廃墟になったマンションの前へと来ていた。

 

そして弦十郎とコウマ、タロウは階段を上がり、クリスがいると思われる部屋に辿り着き、部屋に入ると弦十郎はコンビニで買ったものの入った袋を「ほらよ!」と壁に隠れているクリスに差しだした。

 

「よお、クリス?」

「なっ! お、お前……!?」

「安心しろ、応援は連れて来ていない。 俺達2人だけだ」

 

しかし、クリスはコウマも弦十郎も睨みつけたまま警戒を解かなかったが、弦十郎は「君の保護を命じられたのはもう俺1人になってしまったからな」と言いながら彼はその場に座り込んだ。

 

クリスはどうしてここがバレたのか分からなかったが、弦十郎曰く「元公安でね、馴れた仕事さ」と答え、弦十郎は「差し入れだ」と言ってアンパンと牛乳の入った袋を差しだした。

 

それに少し驚き、クリスのお腹が鳴るがそれでもクリスは警戒を解かず、弦十郎を睨みつけている。

 

「そう警戒するなよ、俺、少しはお前と仲良くなれたと思ったんだけど、上手くいかねえもんだなぁ」

 

苦笑しながら頭をかくコウマ、そしてコウマは弦十郎の袋からアンパンと牛乳を出してそれをクリスの前で食べて飲んで毒などを塗っていないことをアピールする。

 

「なっ? 普通に食えるだろ? ほら!」

「……っ」

 

渋々クリスはアンパンと牛乳を受け取り、アンパンを食べて牛乳を飲むクリスだが……ここで1つあることにコウマは気付いた。

 

「あれ、これって間接キスじゃね?」

「ぶふっ!!?////」

 

顔を真っ赤にしたクリスがそれを聞いた瞬間に飲んでいた牛乳を拭き、その牛乳は全てのコウマの顔面に直撃した。

 

「お、お前はいきなりなに言ってやがるんだ!!?///」

「その前に牛乳ぶっかけたこと誤ってくんないかな!?」

 

そこで弦十郎はクリスの過去の記録を口にし、それを聞いたクリスは不敵な笑みを浮かべて「よく調べてるじゃねえか」と弦十郎を睨みつけながらそう返す。

 

「フン、よく調べてるじゃねえか。 そういう詮索ヘドが出る! なにがしたいオッサン?」

「俺がやりたいのは君を救いだすことだ。 引き受けた仕事をやり遂げるのは……大人の務めだからな」

 

それを聞いたクリスは鼻で笑い飛ばし、「大人の務めと来たか! 余計なこと以外は何時もなにもしてくれない大人が偉そうに!!」と怒りを込めた口調で言い放つが、今度はコウマはクリスを睨みつけ、クリスはまさかコウマが自分を睨んで来るとは思わず、少しだけ驚いた顔をしていた。

 

「確かに、今までの大人はお前に酷いことをしてきたかもしれない。 けどな、この人は絶対に違う!! この人は信じるに値する人だ、幾らお前でも弦十郎さんをそんな風に言われたくは無い」

「……っ、んだよ、偉そうに!! どいつもこいつも気に入らねえ!!」

 

そうクリスが叫ぶと彼女は窓ガラスを突き破り、「歌」と口ずさんでイチイバルをその身に纏った。

 

イチイバルを纏ったクリスは建物の屋根を次から次へと渡り、その場から離れて行き、コウマはギンガスパークとスパークドールズを取り出す。

 

「ちょっと待ってくれクリス!!」

『ウルトラーイブ!! ギランボ!』

 

コウマはスパークドールズを使用して魔女の怪獣、等身大の「異次元人 ギランボ」にウルトライブし、時空を歪めてギランボはその時空の狭間の中からクリスを追い掛けた。

 

一方、弦十郎達から逃げるように去って行ったクリスはある電柱の柱の上に立ち、彼女は肩で息をしながら顔を下に向けて俯かせていたのだが……、そんな時、彼女の目の前から時空が歪んでギランボが上半身だけ出現した。

 

『ハロー☆』

 

どこぞの緑色の絶望してファントム生んだ怪人のような言いながら登場するギランボを見てクリスは驚き、電柱から滑り落ちてしまうがギランボはすぐにクリスの背後に時空の歪みを作って時空の狭間なの中へと入れ、ギランボは倒れそうになった彼女を支えた。

 

そのままギランボとクリスは時空の狭間から地面へと移動し、時空の狭間から出てクリスとコウマは同時に変身を解除した。

 

「まさか電柱の上にいるとは思わなかった、ごめんなクリス?」

「……なんでお前はイチイチあたしに構うんだよ?」

 

クリスは怪訝そうな表情でコウマに言うが、コウマは笑顔で対応する。

 

「俺はお前ともっと話がしたいんだよ!! それに、未来がお前のことを心配していたし、なによりクリス、お前……今、帰る所ないんだろ?」

「……っ、それがなんだよ」

「じゃあさ……、ウチ、来るか?」

 

それを聞いた瞬間クリスは「はあ!?」と驚きの声をあげる、「こいつは一体なにを言っているのか分かるんだろうか?」と考えながらもコウマを見つめるが、コウマの性格を考えると「なにも考えてないんだな」という結論にすぐにクリスは至った。

 

その上コウマに下心といったものなども見受けられない、しかし、やはりその提案に乗る訳にはいかなかった。

 

「悪いけど……」

「お風呂だって入ってないんだろ? 服もこの前洗濯したばっかりとはいえ、何時までも同じ服を着るのも嫌だろうし、なによりずぶ濡れだし、お前のことが心配だし、このままだと風邪引くし……やっぱり放っておけない。 なにより俺、お前と出来れば……友達になりたいんだよ?」

 

コウマはにっこりと笑みをクリスに浮かべ、クリスはコウマの申し出にどうするか否か悩んだ、まさか自分のためにここまで想ってくれているとは思っていなかったからだ。

 

「けど、あたしが行ったらまたノイズに……」

「あぁ、だったらその心配はあんまりないと思うぞ?」

 

その言葉にクリスは「えっ」と首を傾げそれからコウマの家がどこにあるかクリスは聞き、その場所を聞いた彼女は「そこなら大丈夫そうだな」と思ったがやはり敵対していた相手の家に上がり込むのはどうも気が引けた。

 

といっても実際にコウマは嘘をつくような人物でもないし、以前も本当に自分と遭遇したことを二課には連絡しなかったし、彼は「信じられる人間」であることは間違いなかった。

 

それらのこともあり、ずぶ濡れになった彼女自身シャワーを浴びたいこともあり、渋々しばらくの間だけ彼女はコウマの家に行くことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてコウマの家はというと実は山の中にあるため、コンビニで買った傘を使い、少々歩くことになったがコウマとクリスの2人は無事に家に辿り着くことが出来、コウマは自分の家にクリスを上がらせる。

 

「それじゃ、俺、着替えとか用意するからクリスはその間にシャワーとか浴びててくれ」

「……あぁ、それじゃ、有り難く使わせて貰う」

 

未だに戸惑いがちではあったがクリスは洗面所と風呂場が一緒になっている場所までクリスはコウマに案内して貰い、クリスはシャワーを浴び、コウマは自室に戻ってクリスの着替えをとってくることになったのだが……ここでコウマは1つ思い出した。

 

身体を拭くためのバスタオルを洗面所に置いていないということに、コウマは急いでバスタオルを取ってきて洗面所まで戻って行き、コウマは念のために扉をノックしたが返事がないので恐らくシャワーを浴びている途中なんだなと思い、洗面所に入ったのだが……。

 

「あっ」

「あっ」

 

確かにクリスは風呂場の方で扉もしっかりと締めてシャワーを浴びていた、しかし、クリスはコウマが洗面所の扉を開けるのとほぼ同じタイミングで風呂の扉を開けてしまったのだった。

 

(まさかこういうイベントは嬉しいが相手にとっては不快にさせてしまうと思って気をつけてたのに、ほぼ同じタイミングと来たか……!! って……////)

 

コウマはクリスの一糸纏わぬ姿を見て顔をみるみる赤くしていき、それと同時にクリスも顔を真っ赤にし、そしてクリスは……コウマの顔面に跳び蹴りを叩きこもうとした。

 

「み、み、見るなアアアアアアアア!!!!/////」

「おっとあぶねえ!!?」

 

だがコウマはそれを紙一重でかわし、クリスはコウマを睨みつけて「避けんな!?」と怒鳴るがその時、クリスは身体がシャワーで浴びたお湯で濡れているため彼女は足を滑らせてしまい、そのまま彼女はコウマと激突し、2人は倒れこんでしまった。

 

「あっ、おいクリス……?///」

「えっ? なっ!?////」

 

今の状態はクリスが一糸纏わぬ姿でコウマの身体の上に寝そべっているような状態であり、またコウマとクリスの顔がかなり近く、2人は顔を真っ赤にしてお互いから離れた。

 

「わ、悪いクリス!! 洗面所にバスタオル置いてなかったからさ、取りあえずタオルと着替えをここに置いとくから! ほんとに悪かった!////」

 

コウマはクリスから顔を反らし、顔を真っ赤にしながらクリスに謝罪した後、そこから逃げるように出て行き、リビングの方へと走って行った。

 

『私は遠くからしか見ていないから正確なことは分からないが、コウマ、君も十分ラッキースケベだな?』

 

コウマの目の前にタロウがテレポートして現れ、からかうようにタロウはコウマに言い、コウマは顔を赤くしながら「うるさいなぁ!////」とタロウに返した。

 

「……っ/////」

 

それから洗面所に取り残されたクリスは身体を拭いた後、コウマが用意してくれた服に着替え、クリスはコウマとタロウのいるリビングに戻って来たが、相変わらずコウマもクリスも顔が赤く、2人とも黙ったままだった。

 

そんな時だ、クリスのお腹がまた「ぐう~」と可愛らしい音が鳴り、クリスは恥ずかしそうにお腹を抑える。

 

「腹、減ったよな? でもなんも買ってないし、服も着替えたし、バスに乗ってどっか食いに行くか!」

「えっ? い、いや、もう良いよあたしのためにそこまでしなく……」

 

だがコウマはクリスが言葉を終わらせる前に彼女の手を握りしめて引っ張り、半ば強制的にコウマはクリスを外に連れ出した。

 

『コウマ、クリスとゆっくり楽しんで来い。 私は留守番をしておくよ』

「おう! 頼んだぜタロウ!!」

「だ、だからちょっと待……あーもう!!」

 

それからクリスとコウマはバスに乗って街の方に行くこととなり、その時に乗ったバスはかなり空いていたのでクリスとコウマは同じ席に座ることになったのだが……。

 

(ってなんであたしはこんな奴と一緒に仲良く隣同士で座ってんだ!?////)

 

異性がこんな近くに座っているということもあり、クリスは無駄に緊張してしまうという事態になっていたとか。

 

その後、バスは30分くらいで少し人通りの多い街の方に到着し、コウマとクリスはバスから降り、コウマはクリスの手を引いて目的の場所まで進む。

 

「なんで手を繋ぐ必要があんだよ?」

「ここ人が多いだろ? クリスはあんまりこの辺のこととか分からないだろうし、そのために、なっ?」

 

コウマは優しくクリスに笑顔を向け、やがてコウマとクリスはとあるレストランに辿り着き、店の中に入ると店の中の従業員と思わしき男性が「おぉ、コウマくん、いらっしゃい、来てくれたのか!」と笑顔で出迎えてくれた。

 

「お久しぶりです、森次弾(もりじだん)さん!」

 

コウマ達を出迎えてくれた男性は実は従業員ではなくこの店のオーナーであり、ウルトラ兄弟三男の人間体に顔がそっくりだが、全くの別人である。

 

因みにレストランの店の名前は「ジ〇リー〇ポー」だったりする、余談だが最近ではタロウの人間体とそっくりな人物とレオの人間体そっくりの人物が尋ねてきたとか……。

 

「おっ、しばらく見ない内に随分と可愛らしい彼女を連れてるじゃないかコウマくん?」

「そんなんじゃないですよ森次さん、ちゃかさないでくださいよ~」

 

弾とコウマは笑い合いながら仲良く会話し、弾に案内された席にクリスとコウマが座ると弾は2人にメニュー表を渡す。

 

「俺は弾さんのハヤシライスをお願いします!!」

「ハヤシライス?」

「そっ、この森次さんが作ってくれるハヤシライスってスゲー上手いんだぜクリス!! お前も頼んでみろよ!!」

 

クリスは少し考える素振りを見せ、メニュー表の料理をざっと見てみるが、メニュー表だけだとなにが1番美味いのか分からない為、クリスも取りあえずはそのハヤシライスを注文することとなり、弾は頷いて早速ハヤシライスを厨房に入って料理し出す。

 

そして弾の作ったハヤシライスを食べたクリスの感想は……。

 

「う、うめー!! うめーぞこれ!! 美味さが爆発し過ぎてる!!」

「そこまで言われると作ったこちらとしても嬉しいな~」

 

弾は本当に嬉しそうな笑みを浮かべ、クリスとコウマはハヤシライスを残さず完食するが……クリスの食べ方は、正直言って汚なかった。

 

あっちやこっちに米粒が散らばってるし、ハヤシライスのルーもほんの少しとはいえこぼれており、さらにクリスは口の周りにはご飯粒だらけだった。

 

「もう少し綺麗に食べような?」

「んっ?」

 

コウマは苦笑しながらポケットティッシュでテーブルの上を拭き、次にハンカチでクリスの口の周りの米粒を拭きとる。

 

「ハハハ、仲が良いな2人とも、本当は恋人同士なんじゃないのか?」

「は、はあ!!? あたしがこいつと恋人同士!? 冗談はやめてくれよ……」

「まあ、確かに恋人じゃないけど……、でも、友達だよ? なっ?」

 

コウマがそうクリスに笑いかけながら尋ねるが……。

 

「……っ、ふん////」

 

顔を赤くしてそっぽを向いてしまうのだった。

 

食事をした後、コウマとクリスは少しだけ買い物をして帰りのバスに乗る為にバス停に行き、バスを待つことになったのだがバスが来るのは30分後でしばらく時間があった。

 

そのためコウマとクリスはバス停のベンチに座ってバスを待つことにし、しばらくの間、コウマはクリスに自分の友達である響や未来、翼のことを少しでも知って貰い、彼女達にも友達になって貰おうと思って彼女達の色々なことをクリスに説明していたが、クリスは疲れてしまったのか何時の間にかクリスはコウマの肩に頭を預けた状態で眠っていた。

 

「寝たのか……、疲れたんだな、クリス」

 

コウマはクリスの頭を優しく撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、結局昨日はコウマの家に泊ることになったクリス、だがクリスは朝早く目を覚まし、洗濯して乾いた服に着替えてこっそりとコウマの家から出て行こうとする。

 

『出て行くのか?』

 

そこにタロウがクリスの背後に現れてそう問いかけ、クリスは無言で頷く。

 

「止めないんだな」

『君の相手は、コウマが適任だろうからな』

「……」

 

クリスは一度リビングのソファで眠っているコウマの元まで引き返し、眠っているコウマに対し、彼女は静かに呟いた。

 

「ほんの少しだったけど、あたしに……温かい場所をくれて……ありがとうな、『コウマ』……」

 

それだけを言い残すとクリスは今度こそコウマの家を出てどこかへと去って行くのだった。

 

そして……。

 

「このUFOキャッチャー絶対壊れてますよね!!? どうせ壊れてるんだったらこれ以上壊しても問題ない筈……!! これを機にアームドギアだってぇ!!」

 

あれからのこの温度差である。

 

場所は変わって響、未来、翼は一緒になって遊び(響曰くデート)に行っており、クレーンゲームでなぜか響のテンションがメガマックスになっており、そんな響に未来は「そんなに大声出したいならいい所連れて行ってあげる!」と言って3人はカラオケに行くことになったのだった。

 

「それにしてもコウマくんも来れば良かったのにねー」

「そうだね、男1人、女3人でもコウマくんなら特に気にしそうにないのに」

 

響と未来はコウマのことについて話し合っており、2人の会話を聞いた翼はコウマとは2人にとって一体どんな人物なのか興味本位で尋ねてみた。

 

「うーん、なんと言いますか……」

「真っ直ぐ! 一直線に!! って感じの人なんですよね~」

 

未来は「それは響もでしょ?」と苦笑しながらツッコミを入れ、翼は「よく分からないが、分かった」と微妙な顔をしながら答え、カラオケの曲が始まり、翼は演歌を熱唱する。

 

まあ、つまり……「中の人の本気」である。

 

それから3人はとある丘まで行くために高い階段を上ることになったのだが、未来と響は普通に元気いっぱいで翼は逆に息を切らしていた。

 

「はぁ、はぁ、なんで2人ともそんな元気なんだ?」

 

翼のその問いかけに響が「翼さんがヘバリ過ぎなんですよ!」と言い、未来は「今日は慣れないことばかりでしたから」と翼に答えた。

 

「防人であるこの身は、常に戦場にあったからな。 本当に今日は知らない世界ばかりを見てきた気分だ」

 

だが、その言葉を響は「そんなことありません!!」と強く否定した。

 

「翼さんが戦ってくれたから、みんなが暮らせる世界です! だから、知らないなんて言わないでください」

 

響はそこから見える夕日に照らされる街を見ながら翼に言い、翼も響と同じく、夕日に照らされる街の方を見つめる。

 

そんな時、翼は奏の「戦いの先にあるもの」という言葉を思い出した。

 

「そうか、これが奏が見てきた世界なんだな……」

 

翼は戦いの先にあるもの、それを見れたことを嬉しく思い、彼女は笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、響と未来はリディアンの屋上で翼から復帰ライブのチケットをプレゼントされた。

 

しかし、そのライブ会場はツヴァイウイングが最後にライブコンサートを行った場所であり、響はそのライブ会場を見て驚いた表情を見せた。

 

「立花に取っても、辛い場所だな……」

 

翼は響にとってもこの場所は辛いかもしれない、だから無理にくる必要はないと言おうとしたが、響は「有難うございます、翼さん!」と逆にお礼を言われた。

 

「幾ら過去が辛くても、絶対に乗り越えていけます! そうですよね! 翼さん!!」

 

その響の表情は翼のライブを楽しみにしている凄くウキウキしたものであり、翼もほんの少し笑った。

 

「そうありたいと、私も願っている。 所で、来元にも出来ればこれを渡したいのだが?」

「うーん、でもコウマくん、最近なんだか元気ないんですよね、翼さんのライブ来てくれるかなぁ?」

 

翼はそれを聞いて驚いた、あのコウマが元気が無いことなんてあるのかということに。

 

「何気に酷いですね、翼さん」

 

苦笑しながら未来が翼に言うが、兎に角翼は響にコウマの分のチケットを彼に渡すように頼んでおくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブ当日、以前翼を海外進出展開を持ちかけた人物「トニー・グレイザー」が翼の元にやってきて一度は断ったのだが今日再びその話を持ちかけてきたのだ。

 

緒川はそれを断ろうとしたが……、翼はそれを止めた。

 

「もう少し時間を頂けませんか?」

「つまり、考えが変わりつつあると? そうですね、今の君が出す答えなら是非聞いてみたい、今夜のライブ、楽しみにしていますよ?」

 

それだけを言うとトニーはそこを去り、翼は少しだけ1人になりたいと緒川に頼み、緒川は頷いて一時翼をその場に1人にすることにした。

 

そして1人になった翼は携帯を取り出し、コウマへと電話した。

 

『あれ? 翼さん? 珍しいね、そっちから電話なんて』

「あぁ、少し、来元に聞きたいことがあってな……。 来元、お前は自分の夢を誇りに思っていると聞いた。 だから、教えて欲しい、私は……自分の夢を叶えていいのかどうか」

『……』

 

しばらくの沈黙の後、コウマは口を開いた。

 

『なにバカなこと言ってんですか、翼さん』

「……そうか、そうだな、私は……ワガママを言ってはダメ……」

『なに言ってんですか、アンタは夢を持って良いに決まってる。 アーティストだろうと誰だろうと夢を持つ権利は誰にだってあるんですよ? むしろ許さない奴がいたら俺がそいつを許しません、だから……素直に胸を張って自分の夢を堂々と言えば良いんですよ、翼さん?』

 

それを聞いた翼は口元に笑みを浮かべ、「そうか」と呟やいた。

 

「私は、夢を持っても……良いのか?」

『当たり前でしょ、あなたが夢を持っているなら。 どうしても不安なら、聞けば良い』

「誰にだ?」

『今日あなたのために集まってくれた、会場のみんなにです! あなたの歌を聞いて喜んでくれる人達に、聞けばいいんです! その人達は、あなたの歌のことを、よく分かっている、知っている筈ですから』

 

コウマは電話越しに笑顔をで翼にそう語り、翼は口元に笑みをほんの少しだけ浮かべると彼女はコウマに「そうか、ありがとう」とお礼だけを言って電話を切ろうとしたが、その前にコウマが「俺からも良いですか?」と問いかけられて翼は電話を切るのを待った。

 

『翼さんの夢って……なんですか?』

「……さあな、まだ実はハッキリしてないんだ」

 

それを聞いたコウマは「なんですかそれ」と苦笑し、翼も同じく苦笑した。

 

「でも、本当は分かってるのかもしれない、2年前の時からそういったものを色々と捨ててしまったせいで忘れていただけ、私には確かに『夢』がある。 今日、それを思い出せそうなの」

 

コウマは「そうですか、じゃあ、頑張ってください、ライブ」と返事をした後、翼とコウマは電話を切り、翼はライブへと行く準備を始める。 

 

また、ライブの開催が迫る直後、二課からノイズの出現の連絡が響とコウマに入り、弦十郎は翼にも連絡しようとしたが、それを響が止めた。

 

「師匠! 現場には、私とコウマくんのみでお願いします、今日の翼さんは、自分の戦いに臨んでほしいんです! あの会場で最後まで歌いきって欲しいんです」

 

それを聞いた弦十郎は目を見開いて驚き、響の「お願いします」という言葉を聞いて弦十郎は笑みを浮かべる。

 

『やれるのか?』

「……はいッ!!」

 

同じ頃、ライブ会場では翼のライブが開始され、彼女は「FLIGHT FEATHERS」を熱唱する。

 

そして、ノイズの出現した場所ではクリスがイチイバルを纏ってノイズと戦っており、クリスは数で押すノイズ達に苦戦を強いられていた。

 

クリスは巨大なノイズの攻撃を喰らって倒れこみ、巨大なノイズが大砲のようなものを出してそこから砲弾にしたノイズをクリスに向けて発射してきたが……それを駆けつけた響が蹴り飛ばした。

 

『ウルトラーイブ!! サンダーダランビア!』

 

さらにそこに、「超合成獣ネオダランビア」が強化した怪獣「サンダーダランビア」にウルトライブしたコウマが現れ、ノイズの放った砲弾を背中から電撃を放って相殺した。

 

『クリス!! お前、今までどこにいたんだよ!? 心配したんだぞ!?』

「……っ、お前等……!」

 

響は腕のユニットにアームドギアのエネルギーを装填し、超高速で駆けだし、一瞬の内にノイズを消滅させる。

 

その時、巨大ノイズが油断した響の隙を突き、攻撃を仕掛けるがそこにクリスのガトリング銃による銃弾をノイズは喰らい、クリスは響のピンチを救った。

 

「貸し借りは無しだぁ!」

 

サンダーダランビアはそのまま腕を伸ばして巨大ノイズに拳を叩きこんだが、そこにサンダーダランビアに向かって巨大な戦車がサンダーダランビアに体当たりし、サンダーダランビアは吹き飛んで地面に倒れこむ。

 

『うおおっ!? なんだ!?』

 

現れたのは戦車の上に恐竜が乗っている怪獣「戦車怪獣 恐竜戦車」であり、コウマは恐竜戦車がすぐに誰かがダークライブしたものであることに気付き、透視能力で恐竜戦車の正体を探る。

 

『フフフッ、良いな、良いなぁ! パワーがみなぎってくる!! これで俺は最強だ、この力で世界を支配出来る……!! 誰も俺には逆らえない……と言いたい所だが、お前を倒さないと俺は真の最強にはなれない。 覚悟しろ、ギンガアアアアアア!!!!』

 

恐竜戦車の変身者は「力に溺れた者」といった所だろう、コウマはそんな恐竜戦車に呆れつつ「ふざけんな!!」と怒鳴り、サンダーダランビアは恐竜戦車に電撃を放つが恐竜戦車は後ろに下がりながら3門の砲身から発射する砲弾でサンダーダランビアを攻撃する。

 

『あーれーるーぜー!! 止めてみな!!』

『人の台詞パクってんじゃねえよ!!』

 

サンダーダランビアは左腕を伸ばして恐竜戦車を拘束し、電流を流しこむが両眼からの破壊光線を恐竜戦車はサンダーダランビアに喰らわせてそれを喰らったサンダーダランビアは拘束を解いてしまう。

 

そのまま恐竜戦車はサンダーダランビアに突っ込んで来るが、クリスの放ったミサイルが恐竜戦車の足元に撃ちこまれて爆発し、突然のことに恐竜戦車は驚き立ち止まる。

 

「うおおおおおお!!!」

 

さらに響がエネルギーを腕部ユニットに装填して拳を恐竜戦車へと放ち、恐竜戦車の顔面を殴りつけパイルバンカーの要領で叩きこむパンチを響は繰り出した。

 

『グアアアアアア!!!?』

 

そこから響は身体を回転させてかかと落としを恐竜戦車に決め、恐竜戦車はその攻撃に怯むがすぐに体制を立て直して目から破壊光弾を響に放とうとするが、それよりも先にサンダーダランビアが腕を伸ばして恐竜戦車を殴り飛ばした。

 

『響!! 翼さんのライブ、守るぞ!!』

「当たり前だよ!!」

 

響は拳を地面に叩きこんで地面を抉り、巨大ノイズの足場を崩し、響は腕のユニットを通常よりもさらに伸ばし、それが一気に戻ると響は超高速で動き、拳を巨大ノイズへと叩きこんだ。

 

響の拳を受けた巨大ノイズは破裂するように木端微塵に吹き飛び、消滅した。

 

『行くぜ、ギンガ!!』

 

同じ頃、ギンガスパークからギンガのスパークドールズが現れ、コウマはギンガの足部にギンガスパークの先端を押し当てる。

 

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

サンダーダランビアは「ウルトラマンギンガ」へと変わり、ギンガは大地に降り立ち、恐竜戦車へと駆けだして行く。

 

3門の砲身から砲弾を恐竜戦車は発射するがギンガは砲弾を両手で弾き、そのまま飛び上がって恐竜戦車に跳び蹴りを繰り出すが恐竜戦車は後ろに下がってギンガの攻撃をかわし、両目から破壊光弾を放ってギンガに喰らわせ、倒れこむギンガ。

 

恐竜戦車は倒れこんだギンガに突進してギンガを突き飛ばし、ギンガは地を転がる。

 

『これでも喰らえ!!』

 

今度は恐竜戦車はその強靭な尻尾でギンガを叩きつけ、ギンガは苦戦を強いられていた。

 

そこにクリスの放ったミサイルや銃弾が恐竜戦車に直撃し、恐竜戦車は大したダメージは負わなかったものの、ギンガが尻尾攻撃から抜け出すには十分の隙が生じ、ギンガはそこから抜け出す。

 

『シェア!!』

 

その時だ、ギンガスパークから1体のウルトラマンのスパークドールズが飛び出し、コウマはそのスパークドールズを手に取る。

 

『そうか、お前は悪用されたんだもんな、戦いたいに決まってるよな!!』

 

コウマはそのスパークドールズの足部にギンガスパークの先端を押し当てる。

 

『ウルトライブ!! ウルトラマンソウル!!』

 

ギンガは目が白くなり、黒かった所が青に変わったダークメフィスト、「ウルトラマンソウル」へとウルトライブした……、しかし、ソウルは一向にその場から動こうとはしなかった。

 

『なんだ? 舐めてるのか? ならこれはどうだ!』

 

恐竜戦車は砲弾と破壊光弾を同時にソウルへと発射するが、ソウルは片手でバリア、「ソウルリフレクター」を発動して攻撃を受け止め、その受け止めた攻撃をソウルはそのままそっくり恐竜戦車へと撃ち返した。

 

『グオオオオオ!!!?』

『シュア!!』

 

ソウルは恐竜戦車へと駆けだし、恐竜戦車の顎を蹴りあげて、ソウルは空中へと飛び立つと右腕を伸ばして放つ光弾「ソウルショット」を恐竜戦車に撃ちこんだ。

 

『ぐおおっ!? くっ、くそぉ、俺は最強なんだ、こんな奴なんかに……!!』

『残念だけど、自分のことを最強って言ってる奴に限って結構弱い奴なんだぜ? これで終わりだ!!』

 

ソウルは両腕を十字に組んで放つ光線……「ソウルレイ・シュトローム」を恐竜戦車へと放ち、恐竜戦車は逃げようとするが、空中から撃っているため逃げ切れる筈も無く、恐竜戦車はソウルの必殺光線を喰らって爆発した。

 

『グギャアアアアアアアア!!!!?』

 

ソウルはギンガの姿に戻って地面へと降り立ち、響の方を見て彼女にサムズアップを向け、響も同様にサムズアップで返す。

 

『あれ? クリスは?』

「えっ? あっ、クリスちゃんが何時の間にかいない!?」

『あいつ一体どこに……!? ぐはああ!!?』

 

そんな時のことだった、突如ギンガの背中に火花が走り、ギンガが急いで後ろを振り返るとそこには黒い1人の巨人が立っていた。

 

その巨人の名は……「ティガダーク」、最強の闇の戦士と言われた、超古代の巨人である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歌を歌い終わった翼は、今の想いを会場のみんなに伝えた。

 

「こんな想いは久しぶり! 忘れていた、でも思い出した! こんなにも歌が好きだったんだ!」

 

その時の彼女の表情は本当に、とても楽しそうだった。

 

「聞いてくれるみんなの前で歌うのが大好きなんだ! もう知ってるかもしれないけど、海の向こうで歌ってみないかってオファーが来ている、自分がなんのために歌うのか、ずっと迷ってたんだけど今の私はもっと沢山の人に歌を聞いて貰いたいと想っている。 言葉は通じなくても歌で伝えられることがあるならば世界中の人達に私の歌を聞いて貰いたい!」

 

その翼の言葉を聞いた会場にいる人々は歓声をあげ、会場にいた未来も拍手して彼女を応援した。

 

「私の歌を、誰かの助けになると信じて……みんなに向けて歌い続けてきた。 だけどこれからは……みんなの中に自分も加えて歌っていきたい! だって私は、こんなにも歌が好きなのだから!

たった1つのワガママだから、聞いて欲しい。 許して欲しい……」

 

翼はコウマに言われたことを観客達に言い放ち、不安な表情でいたが……、そんな時、翼の耳に奏の声が聞こえてきた。

 

『許すさ、当たり前だろ?』

「っ!」

 

奏の声が聞こえたことに翼は目を見開き、そして同時に観客達から「頑張れ!」「応援してます!」という声援が聞こえ、彼女は……「自分を含めてみんなに向けて世界を舞台にして歌う」という夢をみんなが許してくれたことに涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『チェッ!!』

 

ティガダークは跳びあがってギンガに跳び蹴りを繰り出し、ギンガはその攻撃をどうにかかわし、ギンガはティガダークに殴り掛かるがティガダークはそれをしゃがんで避け、ギンガの腹部を殴りつける。

 

『こいつ、強い……!』

 

ティガダークはさらに空中へと跳び上がってギンガに跳び蹴りを繰り出したがギンガはティガダークの足を掴み上げてスイングし、ティガダークを放り投げる。

 

『ジュア!!』

 

地面に倒れずに見事に着地したティガダークは手裏剣状の光弾「ハンドスラッシュ」をギンガへと放ち、ギンガはそれを素手で弾いてティガダークに駆け出して行くが……既にギンガの活動エネルギーは限界まで来ていた。

 

ギンガは足を振り上げてティガダークを攻撃するがティガダークはそれを避けてギンガの背後へと回り込み、ギンガの背中にチョップを叩き込む。

 

ギンガとティガダークはお互いに距離をとって離れ、全身のクリスタルを青く輝かせ、頭上に発生させた雷の渦を敵に向かって投げつける電撃光線「ギンガサンダーボルト」をティガダークに向けて放ち、ティガダークは両腕を前方で交差させた後、左右に大きく広げてエネルギーを集約し、L字型に腕を組んで放つ必殺光線「ダークゼペリオン光線」を同時にギンガへと放った。

 

『ギンガサンダーボルト!!』

『チェア!!』

 

ギンガとティガダークの光線が激突し、2人の間に爆発が起こった。

 



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10Eve 覚醒! ジャンナイン!!

ティガダークのダークゼぺリオン光線、ギンガのギンガサンダーボルトが激突し合い、2人の間に少し大きめの爆発が起こった。

 

「コウマくん!!?」

 

それを見ていた響がコウマの身を案じるが、響の目の前に時間制限が来て変身が解除されたコウマが降り立ち、響は急いでコウマの元に駆け寄る。

 

「大丈夫コウマくん!?」

「あ、あぁ、けど……、この状況、色々とヤベぇぞ?」

 

コウマの言う通り、2人の目の前にはこちらを見下ろすティガダークの姿があり、ティガダークは手手裏剣状の光線「ハンドスラッシュ」を響とコウマに戸惑いなく放って来た、そんな時のことである。

 

『ウルトラ~念力!!』

 

そこに「ウルトラマンタロウ(SD)」がテレポートして現れ、ウルトラ念力によってティガダークのハンドスラッシュをどうにか軌道を反らすことが出来、ハンドスラッシュは検討違いな方向に飛んで行った。

 

『ジュア!!』

 

だが今度はティガダークは拳をコウマ達の方へと放ち、タロウはウルトラ念力でティガダークの攻撃をどうにか防ごうとしたが、ティガダークはすぐにタロウのウルトラ念力を打ち破り、ティガダークの拳は真っ直ぐコウマと響に向かって行く。

 

「そうは、させるかぁ!!」

 

だがそこへ、弦十郎がコウマ達の元へと駆けつけ、ティガダークの拳を自身の拳で受け止め、ほぼ互角のパワーで相打ちとなった。

 

「ぐっ、流石に相手がウルトラマンとなるとキツイか」

 

再びティガダークはハンドスラッシュを今度は弦十郎へと放つが、弦十郎は地面を抉って抉った地面を壁にし、ハンドスラッシュを受け止める。

 

そして彼は空中へと高く飛び上がって強烈な跳び蹴りをティガダークに繰り出し、ティガダークも右の拳を握りしめて弦十郎の跳び蹴りに対抗し、やはりどちらの攻撃力もほぼ同等だったために相打ちとなって弦十郎は地面に着地する。

 

「ここは俺がなんとかする!! 今の内にお前等は逃げろ!!」

「そんな! 幾ら師匠だからってあれを相手にするのは……!」

 

確かに響の言う通り、幾ら人間離れした戦闘力を有している弦十郎だからと言って最強の闇の巨人と言われたティガダークをたった1人で相手にするのは危険すぎる。

 

『ぐっ、少しキツイが、どうにかここにいる全員をテレポートさせよう!』

 

タロウは自身の能力を使ってこの場にいる響、コウマ、弦十郎を自身と一緒にテレポートさせ、一同は急いでこの場から離れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でフィーネの屋敷では、なぜかフィーネやクリスが以前まで住んでいた屋敷に了子がそこでコンピューターを弄っており、そんな時、銃を持ち、武装した外人の男性達が突如として屋敷に侵入してきたのだ。

 

了子はそれに驚き、逃げだそうとするも銃で彼女は脇腹を撃たれ、そこから血が滲み出ていた。

 

『手前勝手が過ぎたな、聖遺物に関する研究データは我々が乱用させもらおう』

 

武装した男性達のリーダーと思わしき人物が一応日本語で表記しているが、英語でそう了子に言いながら近づき、彼女を蹴り飛ばす。

 

恐らくは以前了子や弦十郎が話していた聖遺物を狙う米国政府かなにかだろう。

 

だが了子は右手を撃たれた脇腹に添えると、みるみるとその傷が回復していき、外人達はそれに驚いて目を見開き、銃をそれぞれ構える。

 

『それにしても、わざと痕跡を残して立ち回るあたりが品性下劣な米国政府らしい』

 

了子は英語でそう喋りながら、外人達を睨みつけて不気味に起きあがる。

 

『ブラックアートの深淵を、覗いてすらもいない青二才のアンクルサムが……!』

 

外人のリーダーは「撃て!!」という指示を部下たちに出し、外人たちは一斉に引き金を引いて銃弾を了子へと放ち、そして……血が水のように噴き出した……。

 

『ダークライブ……!』

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!』

 

ただし、血を流したのは……外人たちの方……、獣のような雄たけびをあげる黒いウルトラマンによって、彼等は……殺されたのだった。

 

それから数時間後、もう1度フィーネの元に訪れようと考え、フィーネの屋敷に戻ってきたクリスはこの惨状に目を見開き、唖然と口を開けているしか出来なかった。

 

クリスはフィーネを姿を探すが、既にもうそこにはこの死体の男達以外、誰もおらず、クリスは一体なにがあったのかと周りを見つめていた。

 

そんな時、背後から物音が聞こえ、振り返るとそこには弦十郎と、隣にコウマが立っており、クリスは周りの死体を見て2人に「自分が殺した」と勘違いされると恐れ、必死に自分ではないと2人に訴えた。

 

「ち、違う!! あたしじゃない!! コウマ、信じてくれ!! あたしはこんなことしていない! やったのは……!!」

 

すると弦十郎の部下と思われるスーツを着こみ、サングラスをかけた複数の男性達が拳銃を持って現れ、クリスは「捕まえられる」もしくは「殺される」と一瞬考えてしまったが、彼女の予想とは逆に、男性達がクリスを捕まえようとも殺そうともせず、ただ周りの死体を調べるだけに終わった。

 

弦十郎とコウマはゆっくりとクリスに近づく、弦十郎はクリスの頭に手を置き、コウマはクリスに微笑みを向ける。

 

「お前が人なんて殺す訳ないだろ! 最初っから信じてるさ、友達だろ? 俺達?」

「その通りだ、誰もお前が殺しただなんて疑ってはいない、全ては君や俺達の傍にいた、『彼女』の仕業だ」

 

その言葉を聞いてクリスとコウマは「えっ?」と弦十郎の言葉が一体どういう意味なのか分からず、首を傾げたが、その時弦十郎の部下の1人が「ILOVE Y・U SYONARA」と死体の1人に張りつけられ、書かれた紙を発見し、それを引き剥がすと、屋敷に仕掛けてあった爆弾が起動し、爆発を起こす。

 

「なっ、罠!?」

 

コウマは急いでギンガスパークを取り出すが、弦十郎の部下達は自分の身は自分で守り、弦十郎もクリスとコウマを守る為に落ちて来た屋根の瓦礫を片手で受け止めた。

 

「あの爆発で全員無傷かよ、二課の大人達って一体……」

 

苦笑しながらそんなことを言うコウマだが、クリスは弦十郎を睨みつけて彼から離れる。

 

「なんでギアも纏えない奴が、あたしを守ってんだよ! コウマもそうだ!! もうあたしに構うな、前回のことは感謝してる、でももう構わないでくれ!! お前といたらあたしは、ただでさえ頭の中グチャグチャなのに余計にグチャグチャになっちまう!」

「俺がお前を守るのはギアのある無しじゃなくてお前よか少しばかり、大人だからだ」

 

クリスの言葉に弦十郎はそう返し、コウマはどうクリスの言葉に返そうか悩んだが、兎に角響風に言えば「真っ直ぐ、一直線に相手に自分の考えを伝えよう」と思い、彼女を見つめて言葉を返した。

 

「言っただろ、お前が放っておけない、友達を放っておけないからだって」

「大人? 友達? あたしは大人が大嫌いだ!! それにあたしには友達なんていらない!! 死んだパパとママも大嫌いだ!! あたしはあいつ等とは違う!! 戦地で難民救済? 歌で世界を救う? 良い大人が夢なんて見てんじゃねえよ!!」

 

弦十郎は静かに「大人が夢を、ねっ」と呟き、クリスは本当に戦争を無くしたいのなら戦う意志と力を持つ奴等を片っ端からぶっ潰していけばいい、それが1番現実的で合理的だと彼女は語るが、コウマは首を横に振る。

 

そんなことをしたって、「争いは世界から無くならない、むしろ、増える一方」だと、コウマはクリスに言い、クリスは同じことをフィーネにも言われたことから、それに苛立ち、コウマを睨みつける。

 

さらには弦十郎からも「そのやり方でお前は戦いを無くせたのか?」と問いかけられ、彼女は黙り込んでしまう。

 

「いい大人は、夢は見ないと言ったな、そうじゃない。 大人だからこそ、夢を見るんだ」

「それにな、クリス、俺は、弦十郎さん達みたいな大人になりたいから、夢を見れる。 夢を目指すことが出来る。 お前は『争いを無くしたい』っていう夢がある。 でも、争いを無くすために争いを起こしたら、その夢はきっと叶えられない、そうだろ?」

 

クリスは顔を下に向け、弦十郎とコウマの言葉になにも言い返せずにいた。

 

弦十郎は大人になったなら背も伸びるし力も強くなる、財布の中の小遣いだって少しは増える、子供の頃はただ見るだけだった夢も大人になったら叶えるチャンスが大きくなる、彼はクリスにそう語った。

 

「夢は大きくなる、お前の親は歌で世界を平和にするという願いを叶える為に、自ら望んでこの世の地獄に踏み込んだんじゃにのか?」

 

クリスは「なんでそんなことを?」と疑問を口にするか、弦十郎はこう答えた。

 

「お前に見せたかったんじゃないのか? 夢は叶えられるという揺るがない現実をな」

 

それを聞いた瞬間、クリスは目を見開き、ハッとした表情をしていた。

 

「お前は嫌いと吐き捨てたが、お前の両親は……きっとお前のことを想ってたんだろうな」

「クリス、きっとお前の両親は、自分達の夢を叶えている所を見させて、お前にもちゃんとした夢を持って欲しかったんだよ、絶対に」

 

コウマはクリスの方へと駆け寄り、彼は優しくクリスを抱きしめ、抱きしめられたクリスは僅かに頬を赤くするが、今は恥ずかしさよりも……悲しさの方が大きく上回り、彼女は……コウマの胸で思いっきり泣いた。

 

「うっく、うわああああああああん!!! うわあああああああん!!!」

 

それからしばらくしてクリスは泣きやみ、弦十郎達は一時撤退することになったのだが、クリスは一緒について行くのはどうも気が引けたために弦十郎達について行くことを遠慮した。

 

だが、その時彼女は気付いていなかった、彼女の流したその『涙』に応えるかのように、ジャンキラーのスパークドールズの目が赤から黄色に変わっていたことに。

 

「お前は……お前が想ってるほど独りじゃない、お前が独り道を往くとしても必ず俺達の道と交わる」

 

弦十郎がクリスに言い、クリスは「今まで戦ってきた者同士、一緒になれるというのか? よなれた大人がそんな綺麗ごと言えるのかよ?」と返すが、弦十郎は「ほんと、捻くれてるなお前」と苦笑しながら返し、コウマはそんなクリスの頭を軽くチョップする。

 

「まだそんなこと言うのかお前は? 全く」

 

コウマも苦笑しながらもう1発軽めにクリスの頭にチョップを入れ、クリスは「何時までやってんだお前は!?////」となぜか顔を赤くしながらコウマに怒鳴る。

 

それから弦十郎は通信機をクリスへと投げ渡し、コウマはクリスが心配だからという理由でこの場に残ることとなり、弦十郎は車を動かして去ろうとしたが、その際クリスは弦十郎に「カ・ディンギル」というキーワードを教えた。

 

「フィーネが言ってたんだ、それがなんなのか分かんねえけど、そいつはもう完成しているみたいなことを」

「カ・ディンギル……? そうか、こうなればこちらから打って出てやる!!」

 

それから弦十郎は部下達と共に車で去り、ここにはコウマとクリスだけが残されることとなった。

 

「そう言えば、クリス、お前……、俺のことやっと名前で呼んでくれたんだなぁ」

 

コウマは笑顔をクリスに向けながらそう言い、クリスも無意識に彼の名前を呼んでたのか顔を真っ赤にして「あ、あれはその!////」とどうにか言い訳をしようとするがコウマは笑顔のまま「やっと友達になれたみたいで嬉しいよ」と言い、クリスはさらに顔を赤くした。

 

「お前、このバカ!!////」

「えぇ!? なんで!?」

「うるせえバーカバーカ!! 夢バカ!!////」

「夢バカ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二課へと戻った弦十郎は響と翼に司令部から通信して彼女達とクリスから得た情報を元にこれからのことについて話し合っており、途中、了子が「寝坊して電波が悪くて通信するの遅れちゃった~」と陽気な声で連絡が入り、弦十郎は了子にカ・ディンギルについてのことを尋ねた。

 

了子から聞いた話によると、カ・ディンギルとは了子曰く「天を仰ぐほどの塔」を意味しているらしい。

 

「何者かがそんな塔を建造しているとして、なぜ俺達は見過ごしてきたんだ?」

『確かに、そう言われちゃうと……』

「だが、ようやく掴んだ敵の尻尾、このまま情報を集めれば勝利も同然、相手の隙にこちらの全力を叩きこむんだ!」

 

弦十郎が響と翼に言い、2人は「了解です/了解」と答えると通信を終え、了子も少し野暮用を済ませてから指令室に行くことを伝えた後、通信を終えた。

 

だが、その直後に超大型の飛行ノイズが4体出現し、さらにはティガダークが出現し、響、翼、コウマに連絡が入る。

 

「今は人を襲うと言うよりもただ移動しているだけ、そしてあの黒い巨人は誰かを待っているかのように動かない……ですか、分かりました、すぐ行きます!」

 

響は二課からの連絡を受けて通信を切り、未来は心配そうに響の名を呼ぶ。

 

「平気、私と翼さんでなんとかするから、だから未来は学校に戻って」

「リディアンに?」

「いざとなったら地下のシェルターを解放してこの辺の人達を非難させないといけない、未来にはそれを手伝って貰いたいんだ!」

 

真剣な表情で響は未来にそう頼み、響は申し訳なさそうに「ごめん、未来を巻き込んじゃって」と彼女に謝ったが、未来は「ううん、巻き込まれたなんて思っていないよ」と首を横に振る。

 

「私がリディアンに戻るのは、響がどんなに遠くに行ったとしてもちゃんと戻って来られるように、響の居場所、帰る場所を守ってあげることでもあるんだから」

 

未来は響にそう微笑みながら彼女に言い、響は「私の、帰る場所?」と未来に問いかける。

 

「そう、だから行って、私も響のように大切なものを守れるくらいに強くなるから」

 

響はにっこりと陽だまりのように笑顔を自分に見せてくれる未来の手を取る。

 

「小日向未来は、私にとっての陽だまりなの。 未来の傍が1番温かい所で、私が絶対に帰ってくる所、これまでもそうだし、これからもそう! だから私は絶対に帰ってくる! 一緒に流れ星みる約束、まだだしね!」

「響……、うん!!」

 

響は「じゃあ行ってくるよ!」と未来に言った後、彼女は駈け出し、ノイズとの戦いに挑みに行った。

 

また、二課の司令部ではオペレーター達が調べた結果、ノイズ達が東京スカイタワーを目指していることからそこが塔、「カ・ディンギル」なのではないかと推測し、またティガダークも東京スカイタワー付近に出現しているため、「カ・ディンギル」を守っているのではないかという推測もあり、響達は東京スカイタワーへと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、東京スカイタワーに現れた巨大ノイズ達は体内から大量の小型ノイズを出現させるが、丁度そこに響と翼が駆けつけ、響と翼はシンフォギアを纏ってノイズ達と戦い始める。

 

響は乗ってきたヘリから降りて変身し、巨大飛行ノイズを殴りつけ、風穴を開けると巨大飛行ノイズは爆発して消滅する。

 

翼も剣のアームドギアを構えて青いエネルギー刃「蒼ノ一閃」を小型の飛行ノイズ達に放つが、蒼ノ一閃は巨大飛行ノイズまでには届かなかった。

 

「くっ、相手に頭上を取られることが、こうも立ち回りにくいとは!」

「ヘリを使って、私達も空から!」

 

しかし、その肝心のヘリがノイズに襲われて爆発し、翼は仲間をやられたことから怒り、ノイズ達を切裂く。

 

そこに飛行ノイズ達が一斉に響と翼に襲い掛かり、ティガダークもハンドスラッシュを響と翼に放った。

 

だが、そんな時だ、飛行ノイズは突然爆発し、響と翼が振り返るとそこにはイチイバルを纏ったクリスが立っており、響は嬉しそうに顔に笑みを浮かべた。

 

「チッ、こいつがピーチクパーチクやかましいから……ちょっと出張ってみただけ。 それに勘違いするなよ? お前等の助っ人になったつもりはねえ!!」

「はいはいツンデレツンデレ」

 

今度はクリスの背後からコウマが現れ、彼女の頭をポンポンと軽く叩き、さらにクリスが持っていた通信機から「助っ人だ」と弦十郎の声が聞こえ、クリスは頬を赤くした。

 

「クリスちゃーん!! ありがとー、絶対に分かり合えるって信じてたぁ!」

「このバカ! あたしの話を聞いてねえのかよ!」

 

クリスはどうにか自分に抱きついてくる響を突き離し、翼は「兎に角今は連携を」と提案するが、クリスは「1人でやる」と言い出し、彼女はスタンドプレーに走る。

 

挿入歌「魔弓・イチイバル」

 

クリスは空中のノイズを、響と翼は地上のノイズを相手に戦う。

 

「全く、クリスの奴、兎に角俺はティガの方を相手にする!」

 

コウマはギンガスパークを構えるが、相手がティガダークということもあるためか、今回はギンガスパークからいきなりギンガのスパークドールズが現れ、コウマはギンガスパークの先端をギンガの足のマークに押しつける。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

 

コウマは「ウルトラマンギンガ」へと変身し、ティガダークはギンガが現れるとすぐさまギンガの元へと駆けだして行き、跳び蹴りを繰り出す。

 

だがギンガはそれをかわしてティガダークの背後に廻り込み、チョップを繰り出すがティガダークはそれを振りかえりざまに右腕で受け止め、そのまま膝蹴りをギンガの腹部に叩きこむ。

 

一方、ノイズと戦っていたクリスと翼はというと、お互いに背中をぶつけてしまい、クリスはそんな翼に「なにしやがる! 引っ込んでな」と怒鳴りつける。

 

「あなたこそいい加減にして、1人で戦っているつもり!?」

「あたしは何時だって1人だ! こちとら仲間と慣れ合ったつもりはこれっぽちもねえよ! 確かにあたし達が争う理由なんてないのかもな、だからって、争わない理由もあるものかよ! このあいだまでやりあってたんだぞ? そんなに簡単に、人と人が……!」

 

その時、拳を握るクリスの手を、響が優しく握りしめ、クリスはそれに驚いた表情を見せる。

 

「出来るよ! 誰とだって仲良くなれる。 だって人は……分かり合えるから」

 

響の言葉に同意する様に、ティガダークと戦っていたギンガ=コウマもまた、クリスに言い放つ。

 

『そうだぜクリス、だって俺とお前は分かり合えただろ!? ほんの少しかもしれないけど、俺とお前は分かり合えた筈だ!』

「うん、そうだよ、誰とだって仲良くなれる」

 

響は今度は翼の手を取り、「どうして私にはアームドギアが無いんだろってずっと考えてた」と彼女は語る。

 

「何時までも半人前はヤダなぁって、でも……今は思わない。 だって、なにもこの手に握っていないから2人とこうして手を握りあえる。 仲良くなれるからね」

 

響は笑顔を翼とクリスに見せ、翼は「立花……」と彼女の名を呟いた後、右手に持っていた剣を置き、クリスに手を差し伸べ、クリスは戸惑いがちに手を差しだそうとしたが、翼は待たずにクリスの手を一気に握りしめた。

 

「なっ!!?///」

 

クリスはそれに驚いてすぐに手を離してしまい、「このバカにあてられたのか!?」と言い、翼はそれに対して「そうだと思う」と答えた。

 

「そして、あなたもきっと」

「あっ……冗談だろ///」

 

兎に角、巨大ノイズ……親玉を叩かないとキリが無い、そこでクリスはイチイバルの力のエネルギーを限界まで引き上げてその力を一気に放って巨大ノイズを倒す作戦を提案する。

 

だがエネルギーをチャージ中は隙だらけ、だから響と翼は自分達がクリスを守ると言ってノイズ達を攻撃する。

 

(あいつ等……頼んでも無いのに……私も引き下がれねえじゃねえか!)

 

そして、クリスは「歌」を歌った。

 

『おっと、そうはさせるかああああああ!!!!』

 

そこに現れたのは「宇宙海人バルキー星人(SD)」、バルキー星人はクリスの邪魔をしようと巨大化し、クリスに襲い掛かるが、ギンガがバルキー星人を蹴り飛ばしてクリスから引き離す。

 

『誰も……繋ぎ繋がる手を持っている! 私の戦いは……誰かが手を繋ぐこと!』

『砕いて壊すも束ねて繋ぐも力! 立花らしいアームドギアだ!』

 

響と翼は心の中でそう言い放ちながら、ノイズを殴り、切裂き、クリスを、仲間を守る為に戦う。

 

バルキー星人はギンガに殴りかかるが、ギンガはそれを受け流して逆にバルキー星人の顔面を殴りつけるが、今度はティガダークの攻撃を背中に受けてギンガはその攻撃に怯み、今度はバルキー星人がギンガの後ろから掴みかかって動きを封じ、そこにすかさずティガダークの強烈なチョップがギンガの胸部に入り、さらにもう1発チョップを放とうとするティガダーク。

 

だがギンガどうにかバルキー星人の拘束から逃れ、チョップは代わりにバルキー星人が受けた。

 

『おわあ!?』

 

ティガダークはバルキー星人から逃れたギンガにハンドスラッシュを放ったが、ギンガはそれを弾き、弾かれたハンドスラッシュはバルキー星人に直撃する。

 

『うぎゃああ!!? さっきからこんなのばっかり!?』

『チェア!!』

 

ティガダークは跳びあがって連続蹴りをギンガの胸部に繰り出し、ギンガは地面に倒れこみ、バルキー星人はそのままギンガに跳びかかるがギンガはすぐさまそこから離れたためにバルキー星人は地面に激突しただけに終わった。

 

『ダアア!!』

 

立ち上がったギンガにすかさずティガダークの蹴りが入り、さらに今度は背後からバルキー星人が背中を殴りつけ、ティガダークはギンガの首を絞めつける。

 

『シェア!?』

 

一方でクリスはチャージを完了させ、ギア全体を固定砲台形式、ガトリング砲と小型ミサイルに加え、大型ミサイル4基を搭載へと変形させて放つ広域砲撃「MEGA DETH QUARTET」を巨大飛行ノイズを含めた複数のノイズ達に放ち、ノイズは達は一斉に消滅させた。

 

『ウアアアアッ!!?』

「っ!? コウマ!?」

 

クリスはギンガの苦戦する様子を見て叫ぶ、彼女はジャンキラーのスパークドールズを取り出す。

 

「頼む、ジャンキラー! もう1度あたしに、力を……貸してくれ! あたしの、本当の夢を気付かせてくれた……あいつを助けるために! 頼む……!」

『……違うな』

「……えっ?」

 

その時、彼女の耳に、誰かの声が聞こえてきた。

 

『僕の名前は……ジャンナインッ!! 共に戦おう、雪音クリス、僕の……相棒!』

「ジャン……ナイン、有難うな……!」

 

クリスは共に戦ってくれると言ってくれたジャンナインに、彼女は……1粒の涙を流した。

 

その涙がジャンキラー、否、ジャンナインへと落ちるとジャンナインから光が放たれ、その光はやがて……タブレット端末型のアイテム「ガンパット」が現れ、ジャンナインも光に包まれて実体化し、大地に降り立つ。

 

そしてクリスがガンパットのコマンドを操作すると彼女はジャンナインのコックピットへと瞬間移動し、ガンパットはクリスは「ガンモード」へと変形させ、コマンドを操作。

 

『ジャンキャノン!』

 

右腕のシールドポケットから出現するキャノン砲から二連ビームをジャンナインはギンガの首を絞めているティガダークに放ち、ティガダークを吹き飛ばす。

 

『ジュアッ!?』

『ぬお!? なんだぁ!?』

 

バルキー星人はいきなりのことに驚くが、ジャンナインはそんなことお構いなしに次の攻撃に映る。

 

『ジャンバスター!』

 

腹部のバックル状の部分が展開して発射される超強力ビーム「ジャンバスター」をジャンナインはバルキー星人に放ち、バルキー星人もそれを喰らって吹き飛ばされ、ジャンナインはギンガに手を差し伸べる。

 

「一緒に行くぞ、コウマ!」

『フッ、おう!!』

 

ギンガはジャンナインの手を掴んで立ち上がり、2人は肩を並べてバルキー星人とティガダークに挑む。

 

『チャッ!!』

 

ティガダークもギンガへと駆けだして行き、ギンガとティガダークは同時に蹴りを繰り出し、2人の蹴りは激突し合う。

 

そのまま2人は足を降ろし、お互いの顔面を殴りつけるが、ティガダークはジャンプしてそのまま勢いをつけたパンチをギンガに放ったが、ギンガはそのティガダークの腕を掴んで腹部に蹴りを入れてティガダークを蹴り飛ばす。

 

『ウアアッ!!?』

 

また、バルキー星人はジャンナインの胸部を殴りつけるが、ジャンナインはビクともせず、逆に殴ったバルキー星人があまりの痛さに絶叫した。

 

『うがあああ!!? いてええ!!?』

「そんなもんが、効くかってんだよ!!」

 

ジャンナインはバルキー星人を殴り飛ばし、バルキー星人は殴り飛ばされて地面に倒れこむがすぐさま起き上がってジャンナインに向かって行く、しかし、ジャンナインにあっさりと殴られて返り討ちにあうバルキー星人。

 

そして、ギンガはティガダークを、ジャンナインはバルキー星人の両肩を掴み、お互いに投げ飛ばし、投げ飛ばされた両者は空中で激突してバルキー星人は地面に倒れ、ティガダークは膝を突く。

 

『ぐああっ!?』

『ジュア!?』

 

ティガダークとバルキー星人はどうにか立ち上がるが、すかさずギンガとジャンナインの拳が2人に激突し、ティガダークとバルキー星人は吹き飛ばされる。

 

『今、元に戻してやるぜ、ティガ!! 行くぜクリス!』

「あぁ、同時にやるぜ、コウマ!」

 

クリスはジャンナインに巨大な実体化させたガンパット・ガンモードを持たせ、ガンパットから放つ赤い光弾を連射する「ジャンスターダスト」を放つ。

 

 「ジャンスターダスト!!」

『ジャンスターダスト!!』

 

ギンガは全身のクリスタルを青く輝かせ、両手を交差させた後、大きく両腕を広げた後、左腕に右肘の拳を当てる構えをとって放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」をジャンスターダストと共に放つ。

 

『ギンガクロスシュート!!』

 

ギンガクロスシュートがティガダークに、ジャンスターダストがバルキー星人に直撃し、ティガダークとバルキー星人は吹き飛ばされて爆発を起こし、ティガダークとバルキー星人はスパークドールズへと戻ったのだった。

 

『ジュアアアアアアアア!!!!?』

『おわああああああああ!!!?』

 

ティガダークとバルキー星人を倒し、ギンガはギンガクロスシュートの構えを解くとゆっくりとジャンナインの方を見つめる。

 

『……ジャンキラーは、ジャンナインになれたのか。 それはきっと、コウマと、君の仲間達が彼女の心を救い、彼女が起こした奇跡なんだろう』

『えっ? アンタ、誰だよ、もしかして……ギンガ?』

 

自分に突然語りかけて来た謎の声、それはギンガなのではないかとコウマは予測したが、それ以上ギンガは喋ることはなかった。

 

それから変身を解いたコウマとジャンナインをスパークドールズに戻してコックピットから降りたクリスは響達の元へと駆け寄る。

 

戦いが終わり、響は「やったやったー!」と嬉しそうにクリスに抱きつくがクリスは当然響を「やめろバカ!」と突き離し、シンフォギアを3人は解除する。

 

「勝てたのはクリスちゃんのおかげだよー!」

「そうそう、俺も危ない所助けて貰ったし、有難うなクリス?」

 

響は再びクリスに抱きつくがクリスは「だからやめろと言ってるだろうが!」と怒鳴りながら響を突き離した。

 

「良いか? お前達の仲間になった覚えはない! あたしはただ、フィーネと決着をつけてやっと見つけた本当の夢を果たしたいだけだ!」

「本当の夢? そっか、見つけられたんだな、お前の、本当の夢!」

 

コウマは嬉しそうにクリスに言い、「えー? どんな夢!? 聞かせてよ!」と本日何度目か分からぬ響のハグを受けるクリスは照れながらも響をまた突き離す。

 

「あーもう、お前本当のバカ!」

 

そんな時、響の携帯に未来から電話が入り、彼女が電話に出ると……。

 

『響!? ノイズに学校が襲われ……『プツン』』

「……えっ?」



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11Eve 見つけた夢

コウマ達がノイズやティガダーク達と戦っている頃、リディアン音楽院では大量のノイズによる襲撃を受けており、生徒達が逃げ惑っていた。

 

出撃した軍隊も、ノイズが相手であるために通常兵器も効かず、ただ一方的にノイズに軍隊がやられ、淡と化すだけだった。

 

一方で未来は響に言われた通り、軍の男性達と一緒に避難用のシェルターまで他の生徒達を誘導していたが、そこに響や未来の友人である「安藤 創世」と「寺島 詩織」、「板場 弓美」が未来の元まで駆け寄り、弓美は「どうなってるの? 学校が襲われるのなんてアニメじゃないんだからさぁ」と不安な表情をしながら言う。

 

「みんなも早く非難を!!」

「小日向さんは?」

 

詩織の問いに対して未来は「他に人がいないか見てくる!」と3人に言った後、未来は急いでその場から駆けだし、3人は未来を心配したが……、そこに未来と入れ替わるように軍人の男性が駆けつけ、3人に避難する様に彼女達に近づいたが……。

 

「うああ!!?」

 

1体のノイズが男性の身体を貫き、男性は身体が淡と化して消滅した。

 

目の前で人が死んだ……、そのことに3人は目を見開き、弓美は頭を抱えて悲痛な声をあげ叫んだ……。

 

「いやあああああああ!!!!」

 

さらに、彼女達の背後に複数のノイズが現れて創世達に襲いかかろうと近寄るが……、その瞬間、彼女達の横を高速で動く謎の黒い影が横切り、その影がノイズの1体を殴り飛ばした後、影はノイズ達に黒い液体を吹きかけた。

 

液体をかけられたノイズ達は次々に異次元の狭間へと送り込まれて行き、そしてその黒い影が創世達に振り返る。

 

『よお、大丈夫……』

「「「いやああああああああ!!!!!! なんか変なのおおおおおおお!!!!」」」

『ぐへふうううう!!!?』

 

その瞬間、その黒い影の正体であるコウマがウルトライブした「ケムール人」を造世、弓美、詩織は蹴り飛ばし、慌ててその場から走り去った。

 

『あいつ等、助けたのになんだよこの扱い……』

『それはケムール人をチョイスするコウマが悪いだろ、どう見ても怪しいしな、その見た目は』

 

何時の間にかタロウ(SD)が自分の横に立っており、ケムール人は「仕方ねえだろ、早くここに辿り着くにはこいつが1番良かったんだから」と言ってケムール人は立ちあがり、せめてもう少しモラルのある範囲の怪獣をコウマはチョイスすることにした。

 

『ウルトライブ! ザムシャー!!』

 

コウマは今度は「宇宙剣豪ザムシャー」へとウルトライブし、そのまま先程の3人を避難させるためにノイズと戦いながら先を進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来は他に人がいないか学校中を走りまわる、だが……、その時地響きが鳴り、未来は倒れそうになるがなんとか踏みとどまり、倒れずに済んだが外の様子を見ると巨大なノイズや、小型のノイズが暴れて学校を破壊しており、未来はそれを唖然と見つめていた。

 

「あ、あぁ……、学校が……響の帰って来る所が」

 

その時、窓を突き破ってノイズが校内に侵入し、未来は顔を恐怖で歪め、3体のノイズが未来へと襲いかかる。

 

だがその瞬間、緒川が飛び出して未来を庇い、どうにか緒川と未来はノイズの攻撃を避けることが出来たのだった。

 

「緒川さん!!」

「ギリギリでした、次、上手くやれる自信はないですよ……」

 

緒川は苦笑しながら未来に言うが、なんだろうか、彼ならもうしばらくは上手くやれそうな気がするのは……、忍者だし。

 

「逃げますよ!!」

 

緒川はそう言って未来の手を引っ張り、2人は必死になって二課本部まで行くエレベーターへと向かって走りだすが、当然ノイズ達も追い掛けてくる……、そんな時である。

 

『デリャアアアアア!!!!』

 

そこに、コウマが変身した「ザムシャー」が刀、「星斬丸」でノイズを切裂いて現れたのだ。

 

未来と緒川はシンフォギアと同じくノイズに対抗出来る「ギンガスパーク」の力を持つコウマが来てくれたことに安心し、緒川は二課本部まで辿り着くための護衛をザムシャーに頼む。

 

『よっし、心得たぜ、さっきの3人も無事に見つけて避難させたしな!』

 

ザムシャーは緒川の頼みを聞くと2人を守りながら二課へ行くためのエレベーターまで進み、3人がエレベーターに乗り込んだ後、エレベーターは地下、二課本部へと降りる。

 

取りあえず、一時危機が去ったことに未来は安堵のため息を吐き、緒川は状況の報告を弦十郎へと電話で伝え、また緒川が弦十郎に「カ・ディンギルの正体が判明しました」と報告し、弦十郎をそれを聞いて目を見開き「なんだと!?」と驚いた。

 

だがその時、大きな音が弦十郎の携帯越しに鳴りひびき、さらには未来の悲鳴が聞こえ、弦十郎は慌てて「どうした!? 緒川!?」と叫ぶ、しかし、緒川からの返事は無い。

 

「ぐっ、うぅ……!?」

 

そしてエレベーターでなにが起こっているのか、それは「ネフシュタンの鎧」を纏った女性……白色の髪となった「櫻井了子」が……否、「フィーネ」が緒川の首を締めあげていたのだ。

 

『了……子さん? 嘘だろ、おい……!』

 

コウマは信じられないといった表情で彼は突っ立っていたが、すぐに緒川が危ないことに気付き、ザムシャーは星斬丸でフィーネに斬りかかるが、フィーネはネフシュタンの鞭でザムシャーの首を締めあげ、床へと叩きつけた。

 

『ぐああっ!?』

「大人しくしていろ。 それより、まさかこんなにも早く悟られるとはな、なにが切っ掛けだ?」

 

フィーネは緒川にそう問いかけ、緒川はなぜカ・ディンギルの正体がバレたのか、彼はフィーネに説明する。

 

「塔なんて目立つもの、誰にも知られず建造するには地下へと伸ばすしかありません……。 そんなことが行えるとすれば……」

 

そう、ここ、二課の、今現在緒川達が乗っている地下深くまで続くエレベーターしかない、そしてそれを建造できるのは「櫻井了子」ただ1人のみ……。

 

それらのことから緒川はカ・ディンギルの場所と黒幕を推理し、この結論に至ったのである。

 

エレベーターが目的の階に止まると、扉が開いた直後に緒川は外へと飛び出し、拳銃を取り出して銃弾を撃ち込み、同時にザムシャーも星斬丸でフィーネを斬りつけるが、弾は弾かれ、剣では一切フィーネはダメージを負わなかった。

 

「無駄だし、邪魔だ」

 

フィーネはそう言ってザムシャーの星斬丸を素手で掴みあげ、そのままザムシャー諸共、エレベーターの外へと投げ飛ばす。

 

さらにフィーネは鞭を操って緒川を締めあげ、ザムシャーは緒川を助けようと星斬丸で鞭を切裂こうとするも、それよりも早く、ザムシャーに針のような無数の光線が降り注ぎ、ザムシャーは素早くかわして光線を避けた。

 

『誰だ今度は!?』

『イカカカ、お前の相手は吾輩がしてやろうじゃなイカ~!』

 

そこに突然現れたのは巨大な耳が特徴的な宇宙人、「異次元宇宙人 イカルス星人(SD)」であり、イカルス星人は両腕から針のような光線「アロー光線」をザムシャーに放つが、ザムシャーはそれを素早くかわし、一気にイカルス星人に詰め寄るとイカルス星人の顔面を武器を持っていない左手で殴りつけた。

 

『イガアアア!!? いでえええええイカアアアアア!!!?』

「ぐうう、ああああああ!!!?」

『緒川さん!?』

 

その時、緒川の叫び声を聞いたコウマは「こんなネズミ野郎放っておいて緒川さんを助け無いと」と思い、急いで彼を助けに行こうとするが、それより先に早く、未来がフィーネを後ろから体当たりを喰らわした。

 

「……」

 

フィーネは未来の方を睨みつけるように振り返り、未来はそれに少したじろくが、そのおかげでフィーネは緒川を解放することが出来た。

 

「麗しいな、お前達を利用してきた者を守ろうと言うのか?」

「利用!?」

「なぜ二課本部がリディアンの地下深くにあるのか、聖遺物に関する歌やデータをお前達被験者から集めていたのだ。 その点、風鳴翼という具像は生徒を集めるのによく役立ったよ」

 

フィーネは「フハハハ、フハハハハ!」と笑いながらその場を去ろうとするが、未来はフィーネを睨みつけて言い返すように、彼女は言い放った。

 

「嘘をついても、本当のことを言えなくても!! 誰かの命を守るために自分の命を危険に晒している人がいます!! 私はそんな人達を信じてる!!」

 

するとフィーネはキッと未来を睨みつけ、彼女の頬を叩き、さらに胸倉を掴みあげ、それを見たザムシャーは未来の元に行こうとするが、イカルス星人が当然邪魔をする。

 

『おっと、行かせ……『邪魔』イガバあああああ!!!?』

 

ザムシャーはイカルス星人を足を振り上げてイカルス星人の顎を蹴りつけて蹴飛ばし、星斬丸でフィーネを何度も斬りつけるが、やはりネフシュタンを纏う彼女をそう簡単に傷つけることは出来なかった。

 

そしてフィーネはそんなザムシャーを無視してもう1度未来の頬を叩くと未来から手を離し、彼女は床へと倒れこむ。

 

『未来!!』

 

ザムシャーは未来の元に駆け寄り、フィーネは奥にあるデュランダルのある部屋に入ろうと端末機をかざそうとするも端末機を緒川の撃った銃で破壊される。

 

「ディランダルの元へは、行かせません!! この命に変えてもです!!」

 

フィーネはそんな緒川に呆れたような表情を見せつつ、ネフシュタンの鞭を操り、彼を攻撃しようとするが、その直後、「待ちな、了子」という声が聞こえると天井が突き破られ、そこから弦十郎が現れた。

 

「私をまだ、その名で呼ぶか」

『つーかどういう現れ方してんだよアンタは!? おっと』

 

ザムシャーは弦十郎の登場の仕方にツッコミを入れつつ、殴りかかるイカルス星人の攻撃を受け流し、イカルス星人の尻を蹴りあげる。

 

『イガア!!?』

「……女に手をあげるのは気が引けるが、2人に手を出すなら……お前をブッ倒す!! 調査部だって無能じゃない、お前の行動にはとっくに気付いていた」

 

だから弦十郎は、後はあぶり出すため、敢えて相手の策に乗り、シンフォギア奏者やコウマを全員動かせて見せたのだとフィーネに弦十郎は説明する。

 

「食えない男だ、だが、この私を止められるとでも!!?」

「おうとも!! 一汗かいた後に、話を聞かせて貰おうか!!」

 

弦十郎はそう言い放つとフィーネへと駆けだして行き、フィーネは鞭を振るって弦十郎を攻撃してくるが、弦十郎は一撃目をかわし、続く2撃目の鞭による攻撃も上へと飛んでかわし、そのまま身体の姿勢を変えて屋根を蹴りつけて一気にフィーネの元まで接近し拳を放つ。

 

フィーネはギリギリ、弦十郎の攻撃をかわしたが、その際弦十郎の起こした風圧がネフシュタンにヒビを入れたのだ。

 

『『嘘ぉ!!? 風圧だけで/イカ!!?』』

 

それを見たイカルス星人もザムシャーも一度戦いの手をお互い止めて驚きの声をあげ、フィーネもそのことには驚きの表情を浮かべていた。

 

「肉を研いでくれる!!」

 

フィーネは2本の鞭を背中を見せる弦十郎に振るうが弦十郎は振り返りざまにその2つの鞭を掴みあげ、さらに弦十郎は鞭を引っ張ってフィーネを自分の方へと引き寄せ、強烈なパンチをフィーネの腹部へと叩きこみ、フィーネは空中へと殴り飛ばされて弦十郎の後ろの床へと倒れこんだ。

 

「ぐは……!? 完全聖遺物を退ける、どういうことだ!?」

「知りたいのか? 飯食って映画見て寝る!! 男の鍛錬は、そいつで十分よ!!」

 

フィーネの問いに弦十郎はそう回答し、イカルス星人もザムシャーも空いた口が塞がらないといった感じだった。

 

コウマに関しては「今度映画借りて来よう」などと考えていたとか。

 

「なれど人の身である限り!!」

 

フィーネはソロモンの杖を取り出し、ノイズを召喚して弦十郎にぶつけようと考えた。

 

確かにノイズならば幾ら彼が原作のラスボスを圧倒する実力であってもかすっただけで淡と化してしまう、そう考えて彼女はソロモンを取りだしたのだが……、だがそれは……「ノイズの召喚」が出来ればの話だ。

 

弦十郎は床を蹴りつけ、床の一部を抉り、その抉った一部をサッカーボールのように蹴ってそれをフィーネのソロモンの持つ右手にぶつけ、彼女はソロモンを弾かれ、ソロモンは屋根へと突き刺さる。

 

(もう全部あの人1人で良いんじゃないかな?)

 

おい主人公……と言いたくなるが、この場合はコウマがそう思っても仕方がないのかもしれない。

 

「ノイズが出て来ないのあればぁ!!」

 

そして弦十郎はフィーネに殴りかかろうとするが、フィーネの表情は何時もの「櫻井了子」としての顔に戻り、彼女は何時もの口調で弦十郎の名前を呼んだ。

 

「弦十郎くん!!」

「っ!?」

 

それが弦十郎の一瞬の隙を突き、フィーネは弦十郎の腹部辺りを貫いた、だが幸いにもフィーネは弦十郎の急所を外しており、フィーネは弦十郎からこの先に進むための端末機を奪い取り、ソロモンを回収する。

 

「殺しはしない、お前達にそのような救済施すものか」

 

フィーネはそれだけを言うと端末機を使ってディランダルのある部屋の扉を開き、その先に進んで行った。

 

『待て!!』

『そうはさせなイカ!!』

 

フィーネを追いかけようとするザムシャーを後ろから掴みかかって引きとめるイカルス星人。

 

『くそ、邪魔すんなネズミ野郎!! 緒川さん! 未来! 俺はこいつの相手をするから、早く弦十郎さんに手当てを!』

「分かりました!」

 

緒川と未来は弦十郎を二課の指令室へと運び、ザムシャーは星斬丸を構え、早くイカルス星人を倒してフィーネを止めに行こうと考えたが……、イカルス星人はその手に「ダークダミースパーク」を出現させる。

 

『イカカカカ、俺には最強の切り札がある、お前じゃ絶対に勝てない切り札があるんだなこれが!』

『御託は良いからさっさと決着をつけようぜ?』

『そう焦るんじゃなイカ、お前に良い物を見せてやろうじゃなイカ!』

 

すると、イカルス星人の周りに空中に浮く複数の怪獣のスパークドールズが現れ、イカルス星人はダミースパークに怪獣たちのドールズを次々に連続でライブさせていき、最後にダミースパークを自分に押し当てる。

 

『ダークライブ! 合体! タイラント!』

 

そのスパークドールズはダミースパークを取り込むと光の球体となって屋根を突き破り、地上へと行き、地上に出ると「シーゴラス」「レッドキング」「ハンザギラン」「バラバ」「べムスター」「キングクラブ」「イカルス星人」が融合し、誕生した怪獣「暴君タイラント」となって大地に降り立った。

 

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

 

タイラントは雄たけびをあげて生徒達や街の一般市民達が避難したシェルターを破壊しようと近寄り、コウマもイカルス星人の狙いを悟ったのか、急いで地上へ出ようとする。

 

その時、ギンガスパークからギンガのスパークドールズが現れ、コウマがスパークドールズを掴み取って足部にギンガスパークの先端を押し当てる。

 

『みんなを守るぞ、ギンガ!!』

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!!』

 

ザムシャーは光に包まれて球体となり、屋根を突き破って地上へと出るとその球体は「ウルトラマンギンガ」へと変わり、ギンガはタイラントの前に立ち塞がる。

 

タイラントは口から火炎放射をギンガへと放つが、ギンガは高速で動いてタイラントの背後へと廻り込み、タイラントの背中にチョップを叩きこむが、タイラントは素早くギンガへと振り返り、腕の鉄球でギンガを殴りつける。

 

『グウウ、シュア!!』

 

ギンガは全身のクリスタルを赤く輝かせ、無数に生み出した隕石状の火炎弾を放つ「ギンガファイヤーボール」をタイラントに放つが、タイラントはべムスターの腹部を開いて火炎弾を全て吸収し、仕返しとばかりに火炎放射をギンガに放つ。

 

『ウアアッ!!?』

 

ギンガは両腕を交差して防ぐが、タイラントは途中で炎を止めてギンガに接近し、両腕の鉄球と鎌でギンガを攻撃するもギンガはそれを避けてタイラントの胸部に何発もの拳を叩きこむ。

 

『デアアアア!!!』

 

さらにギンガは回し蹴りをタイラントに喰らわせ、さらに何度もギンガはタイラントを蹴りつけてタイラントはギンガの猛攻撃にたじろくが、タイラントは一度ギンガから離れて距離を取り、フック付きロープをギンガに伸ばして飛ばし、ギンガの腕に巻きつける。

 

『デヤアアアア!!』

 

しかし、ギンガは逆にそれを利用してタイラントを引っ張り、タイラントを地面に倒れこませた。

 

そしてギンガはロープを解いてタイラントに飛びかかるが、タイラントはすぐさま起き上がって飛びかかってくるギンガの攻撃を避けた。

 

そこに、東京からジャンスターに乗って響、翼、クリスがリディアンに駆けつけ、響と翼は学校のこの有様に目を見開いた。

 

「そんな……未来ー!! みんなぁー!! そんな……」

 

響はその場に膝を突くが……、響達に気付いたギンガは響に「大丈夫だ!!」と声をかける。

 

『あいつ等は無事だ、だから安心しろ、響!』

「……無事?」

『そうだ、未来も、みんなも無事だから、絶望なんかすんな!!』

 

ギンガの言葉を聞いた響は安堵のため息を吐き、彼女は立ちあがる。

 

そんな時だ、翼が建物の上にフィーネが何時もの了子の姿で立っていることに、翼は「櫻井女史?」となぜそんな所に了子が立っているのか分からず首を傾げるが……。

 

「フィーネ!!」

 

クリスがそう彼女の名を呼び、翼は驚きの表情を浮かべ、了子は「アハハハ、アハハハハ!!」と高笑いをあげた。

 

「そうなのか? その笑いが答えなのか櫻井女史!?」

「あいつこそ、あたしが決着をつけないといけないクソッタレ!! フィーネだ!!」

 

すると了子は結んでいた髪を解き、メガネを外すと再びネフシュタンの鎧を纏った「フィーネ」の姿へと変わり、響は信じられないといった表情で「嘘……」と呟くのだった。

 

「あっ……、嘘ですよね、そんなの嘘ですよね! だって了子さん、私を守ってくれました!」

「あれはデュランダルを守っただけのこと、希少な完全状態の聖遺物だからね」

 

響の言葉にフィーネはそう返すが、それでも響は「嘘ですよ」と彼女を信じて言葉を続ける。

 

「了子さんがフィーネと言うのなら、じゃあ、本当の了子さんは?」

 

不安そうな表情のままフィーネに問いかける響に、フィーネは響の問いかけに答えるために彼女に説明する。

 

櫻井了子は、超先史文明期の巫女、フィーネの血を引いており、12年前に翼が発動した天羽々斬の起動に立ち会った際にフィーネとしての記憶と能力が覚醒し、その際櫻井了子としての人格はフィーネの人格に完全に塗り替えられたのだとフィーネは言うのだ。

 

それを聞いた翼はフィーネのことを「まるで過去から甦る亡霊」と称し、フィーネは微かに笑い声をあげる。

 

「フフフ、フィーネとして覚醒したのは私1人ではない。 歴史に記された偉人、英雄、世界中に散った私達はパラダイムシフトと呼ばれる技術の大きな変化球に何時も立ちあってきた」

「っ、シンフォギアシステム!」

 

そして今、そのフィーネはシンフォギアシステムという技術に立ちあっていたために今回はそれなのかと翼は思ったが、フィーネは「「そのようなガング、為政者からコストを捻出するための副次品に過ぎぬ」と答え、翼は奏の死の根本的な原因が目の前にいる彼女の仕業なのかもしれないと翼は考え、フィーネを睨みつけて問いかける。

 

「お前の戯れに、奏は命を散らせたのか!!?」

「あたしを拾ったり、アメリカの連中と吊るんでいたのも、そいつが理由かよ!!?」

「そう、全てはカ・ディンギルのため!!」

 

翼とクリスの言葉にフィーネはそう答え、その回答と同時に突如、地響きが鳴り、二課の本部が崩壊……否、二課の本部が「変形」を始め、変形した二課本部が地上へと巨大な塔「カ・ディンギル」となって出現したのだ。

 

「カ・ディンギル、これで……バラバラになった世界が1つになるとでも!?」

「あぁ、今宵の月を撃つことによってな!!」

 

響は「月を!?」と驚きの声をあげ、クリスもなぜ月を破壊する必要があるのかと疑問に思い、フィーネは静かにその理由を語り出した。

 

自分はただ、「あの方」と並びたかった、だからその為に「あのお方」へと届く塔を建てようとした。

 

だが「あの方」は人の身が同じ高みに至る事を許しはしなかった、そして自分は「あの方」の怒りを買い、人類は交わす言葉も砕かれ、バラルの呪詛をかけられてしまったのだとフィーネは言う。

 

そのバラルの呪詛は月こそがそうだと言い、月を砕くことで世界を再び1つに戻すのだとフィーネは言い放った。

 

「人類の相互理解を妨げるこの呪いを!! 月を破壊することで解いてくれる!! そして再び、世界を1つに束ねる!!」

「……呪いを解く? それは、お前が世界を支配するってことなのか!!? 安い、安さが爆発し過ぎてる!!」

「ふん、永遠を生きる私が余人に歩みを止められることなど有り得ない」

 

クリスの言葉にフィーネはそう返し、カ・ディンギルに巨大なエネルギーがチャージされ始め、響と翼、クリスは歌を口ずさんで「シンフォギア」を纏い、響、翼、クリスの3人はフィーネに一斉に攻撃を仕掛けようとするが……。

 

タイラントにギンガが投げ飛ばされ、ギンガは地面に倒れこみ、タイラントは外にある地下シェルターの入り口に向かって火炎放射を放つ。

 

だがそれをギンガがギリギリで地下シェルターの入り口を庇い、タイラントの炎をその身に受けて守った。

 

『グウウウウ!!?』

「コウマ!」

「私と戦うよりも、あちらをどうにかした方がいいのではないか?」

 

フィーネの言葉に舌打ちしつつ、クリスはジャンナインのスパークドールズを取り出し、兎に角今は響と翼にフィーネの相手を任せ、自分はギンガの援護に行くとクリスは言い、ジャンナインを実体化させる。

 

「ここは任せた!」

「分かった!」

 

クリスの言葉に翼は頷き、クリスはガンパットを使い、ジャンナインのコックピットへと乗り込み、ガンパットも変形させ、クリスはガンパット・ガンモードを操作し、ジャンナインの技を発動する。

 

『ジャンナックル!!』

 

ジャンナインは右腕を飛ばす「ジャンナックル」をタイラントに繰り出し、タイラントはジャンナインの飛ばした腕に顔面を殴りつけられて大きく吹き飛ぶ。

 

『コウマ、大丈夫か!?』

『あぁ、なんとかな……、助かったぜクリス』

 

ギンガはジャンナインの手を借りてどうにか立ちあがり、また、その際にコウマの持つギンガスパークから1つのスパークドールズが出現した。

 

『そうか、お前も戦いたいんだな! 行くぜ、『ティガ』!!』

 

コウマはティガの足部にギンガスパークの先端を押し当て、ギンガの姿が変わり、赤と紫の身体に金色のプロテクター、「ウルトラマンティガ・マルチタイプ」へとギンガはウルトライブしたのだ!

 

『ウルトライブ! ウルトラマンティガ!!』

『チェア!!』

 

ティガはタイラントに向かって駆けだして行き、ティガはタイラントの振るってきた両腕を両手で受け止め、腹部に膝蹴りを叩きこむ。

 

そしてティガは一度タイラントから離れると駆けつけたジャンナインと同時に拳をタイラントにティガは叩きこむ。

 

タイラントは腹部から冷凍ガスをティガとジャンナインに発射し、ジャンナインとティガは急いでその場か離れ、ジャンナインは右腕のシールドポケットから出現するキャノン砲「ジャンキャノン」から実弾を発射し、タイラントは実弾を浴びてその攻撃に怯み、その隙にティガが額に両腕を交差させ、赤い姿「パワータイプ」にタイプチェンジした。

 

『ンー、ハア!!』

 

ティガはタイラントに向かって行き、エネルギーを溜めてから放つストレートパンチ「ティガ 電撃パンチ」をタイラントに炸裂させ、エネルギーがスパークして爆発が起きてタイラントは少しだけ吹き飛ばされるが、タイラントも負けじとティガに掴みかかってジャンナインの方へと投げ飛ばし、ジャンナインはティガの身体を受け止める。

 

『今度はあたしが相手だ!!』

 

次にジャンナインがタイラントに向かって行き、タイラントはフック付きロープをジャンナインに飛ばしたがジャンナインはそれを腕にワザと巻きつけさせ、そのままタイラントとジャンナインのパワーが勝負となるが……。

 

『チェア!!』

 

そこにティガがタイラントに跳び蹴りを繰り出し、タイラントはジャンナインの拘束を解き、さらにティガはタイラントの頭上を飛び越えてタイラントに背後に廻り込み、後ろから掴みかかって持ち上げて、地面に叩きつける。

 

『グアアアアア!!!?』

 

さらにその後、ティガはタイラントを逆さまに持ち上げ、敵を逆さまにして持ち上げ、頭から地面に叩きつける「ウルトラヘッドクラッシャー」を炸裂したが、タイラントはそれを喰らっても尚立ちあがり、口から火炎放射、腹部から冷凍ガスを同時に発射し、ティガの身体に火花が散る。

 

『ジュア!!?』

『コウマ! タイラントを倒すには、タイラントの武器を使って倒すんだ!!』

 

そこにタロウがテレポートして現れ、コウマにタイラントの攻略法を教えるとティガは頷き、マルチタイプに戻る。

 

するとタイラントはフック付きロープをティガへと飛ばしてくるが、ティガはそれと同時に右拳から放つ光弾「ハンドスラッシュ」を放った。

 

『なにしてんだ!? そいつに光線は効かねえだろ!?』

 

クリスの言う通り、確かにそうだ、だが、ティガが狙ったのはタイラントではなく……、タイラントの飛ばしたロープをティガは狙い、光弾でロープを切り裂いたのだ。

 

当然、フックもティガに届く前に地面に落ち、ティガはそれを素早く拾い上げてそれをティガはそれを「ウルトラランス」という武器に変化させ、擦れ違いざまにタイラントを斬りつけた。

 

『ジュア!!』

『グアアアアア!!!?』

 

タイラントは素早くティガに振り返るが、ティガはウルトラランスをタイラントの胸部へと投げつけ、タイラントは身体を貫かれて火花を散らし、倒れ爆発を起こし、同時に融合も解除されてタイラントの素材となった怪獣達は全てスパークドールズに戻ったのだった。

 

そしてクリスはジャンナインでカ・ディンギルを破壊しても良かったが、地下シェルターが近くにあるため下手に壊すことが出来ないため、彼女はジャンナインから降り、そろそろ制限時間が来てしまうコウマも変身を解いて地上へと降る。

 

「ぐっ、はあ、はあ」

 

タイラントとの戦いでかなりの体力を消耗してしまったコウマはその場に膝を突き、肩で息をしていた。

 

「後はあたしに任せて、お前はゆっくり休んでくれ」

 

クリスは優しくそうコウマに語りかけ、コウマは「頼む」とクリスにそう返すと、なぜかいきなりクリスが自分が抱きつき、コウマは突然のクリスの行動に驚き、目を白黒させながら顔を赤くした。

 

「はあ!? お、おいクリスお前こんな時になにして……////」

「れ、礼だよ、今までの……、素直に受け取れ///」

 

すると今度はクリスはコウマの胸倉を掴みあげ、そしてそのまま……彼の頬に、キスをした。

 

「!!!!?/////」

「っ/////じゃ、じゃあな!////」

 

クリスはコウマにそれだけ言うと、響達の元へと駆けだし、クリスがその場を去った後、遅れてタロウがコウマの元に現れた。

 

『やるな、コウマも』

「うるせえよ、にしてもなんでクリスの奴、あんな……////」

(まさか、彼女は……)

 

そこでタロウはなにか嫌な予感を感じた、なぜクリスがこの状況であんな行動に出たのか……、もしタロウの予想が正しければ彼女は……。

 

そしてフィーネと戦うクリスは腰部アーマーを展開し、追尾式小型ミサイルを発射する「CUT IN CUT OUT」をフィーネに放つが、フィーネはネフシュタンの鞭を振るってミサイルを破壊するが、その際に黒い煙が大量に溢れだし、煙の中から響と翼が素早く飛び出してフィーネに攻撃を繰り出し、フィーネは響の攻撃を受け流すが、続いて繰り出された翼の剣による攻撃をどうにか鞭で受け止める。

 

「っ!?」

 

フィーネはそのまま鞭で翼の剣を弾き飛ばし、翼は素早く逆立ちし、逆立ちと同時に横回転し、展開した脚部のブレードで敵を切裂く「逆羅刹」をフィーネに繰り出すが、フィーネも鞭を高速回転させて翼の技に対抗する。

 

「ハアアアア!!!」

 

その隙に横から響が殴りかかるが、フィーネは腕でガードし、翼と響、フィーネはお互いに離れて距離を取るが……。

 

「本命はこっちだ!!」

 

そこに巨大な2つのミサイルを出現させていたクリスはそのミサイルをフィーネに向けて発射したが、フィーネは鞭でミサイルを破壊する。

 

だが、クリスは既にもう1発のミサイルを……カ・ディンギルの真上に向かっており、クリスはそのミサイルの上に乗っていた。

 

「今さらなにをするかと思えば、カ・ディンギルの発射を止めることなど!!」

「~♪」

 

するとクリスは「歌」を口ずさんだ……、「絶唱」を……。

 

『やはり、彼女は!』

「なっ、まさか……。 やめろ、クリスウウウウウウウウウウ!!」

 

だが、コウマの叫びも空しく、カ・ディンギルの真上に辿り着いた彼女は既に絶唱を歌い終えており、クリスはそっとジャンナインのスパークドールズを取り出すと、ジャンナインのスパークドールズを投げて離した。

 

(お前を、巻き込む訳にはいかねえからな、相棒……)

 

そして絶唱の効力により、クリスの持つ銃は巨大なライフルへと変形し、さらに多数のエネルギーリフレクターを展開し、これにより広域に放つべきエネルギーを反射・増幅した一点集中砲撃を、クリスはカ・ディンギルの放ったエネルギー光線にぶつけた。

 

「バカな、押しとどめているだと!?」

 

だが、クリスの持つライフルは徐々に砕かれて行き、徐々にカ・ディンギルのエネルギー光線に押されて行っているが……今の彼女の顔は、どことなく、優しい表情だった。

 

(ずっとあたしは……パパとママのことが大好きだった、だから、2人の夢を引き継ぐんだ! だから、パパとママの代わりに……歌で平和を掴んで見せる! あいつと……同じように誰かを笑顔にするために……) 

 

そしてクリスは……、カ・ディンギルのエネルギー光線に飲み込まれた。

 

(私の歌は……そのために! ありがとう、コウマ、あたしに本当の夢を気付かせてくれて……)

 

そしてカ・ディンギルのエネルギー光線は月に直撃……したのだが、月のほんの一部が破壊されただけで、月の破壊は失敗したのだ。

 

「し損ねた!!? 僅かに反らされただと!?」

 

それから、クリスは地上へと口から血を流しながら……地上へと落下し、森の中に消えたのだった。

 

「クリ……ス、そんな、嘘だ……。 クリスウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!」

 

その時、偶然にコウマの元に先程クリスが手放したジャンナインのスパークドールズが偶然にも目の前に落ちてきてそのジャンナインの目を見ると……ジャンナインの瞳からは、緑色の粒子のようなものが涙のように溢れ出ていた。



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12Eve ギャラクシー・オブ・ギンガ

ネット紳士、無双回。


緒川達は弦十郎の応急処置をした後、すぐに弦十郎は目を覚まし、一同はもう司令部も安全ではないということで自分達も未来たちのいる地下シェルターへと非難し、緒川達が外の様子を見れるようにモニターを繋げ、そしてそのモニターにはフィーネと戦う響達とタイラントと戦うギンガの姿が映っていた。

 

その際、創世達にも響達がシンフォギア奏者であることなどがバレてしまい、創世達はそのことに唖然とし、さらにクリスが命を賭けてカ・ディンギルの発射の阻止をし、地上へと落下する様子を見て未来は両手で口元を抑え、目を見開いた。

 

(さよならも言わずに別れて……それっきりだったのよ、なのにどうして……!?)

 

また、弦十郎も、クリスの考えを悟ったのか……、彼は未来と同じように目を見開き、拳を強く握りしめ、唇を噛み締める。

 

(お前の夢はそこにあったのか!? そうまでしてまだお前の夢が途中だというのならば……俺達はどこまで無力なんだ!?)

 

そして場所は響達の元へと戻り、響は膝を突いて泣き崩れ、コウマもその瞳から大量の涙を溢れださせ、地面を殴りつけていた。

 

「……そんな……、折角仲良くなれたのに、こんなの、嫌だよ。 嘘だよ……! うっ……くぅ、もっと沢山話したかった。 もう喧嘩することも今よりもっと仲良くなれることも出来ないんだよ!! 私、クリスちゃんの夢聞けて無いままだよ……」

「クリスの、バッカ、野郎……!! 俺だってまだお前の夢は聞いてない、それにまだ、まだお前の夢は叶えてねえだろ……!! なのに!!」

 

また、フィーネは自分を犠牲にして散ったクリスのことを「自分を殺して月への直撃を阻止したか。 ハッ、無駄なことを。 見た夢も叶えられないとはとんだグズだな」と彼女をバカにしたように鼻で笑い、それを聞いた翼とコウマはフィーネを睨みつける。

 

「笑ったか? 命を燃やして大切なものを守り抜くことを! お前は無駄だと笑ったか!!?」

「テメえぇだけはぁ!!!!! ゆるさねええええええええええ!!!!!!」

 

翼はアームドギアを構え、コウマはギンガスパークを構えてスパークドールズを取り出し、ギンガスパークの先端にスパークドールズの足部を押し当て……、コウマは等身大の「超科学星人ダークバルタン」へとウルトライブし、ダークバルタンは両手のハサミから放つ光線「ビートブラスター」をフィーネへと放つが、フィーネはそれを素早くかわし、鞭でダークバルタンを弾き飛ばそうとするがダークバルタンはそれにすぐさま反応してハサミで鞭をはたき落とす。

 

翼もアームドギアを構えてダークバルタンと共にフィーネに挑もうとしたが、2人は背後から殺気を感じ取り、振り返るとそこには膝を突いたままの響がいたが……響の姿が黒く、漆黒の姿へと包まれ、目は赤く光輝き、彼女はまるで獣のように雄たけびをあげた……。

 

「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

『「立花/響!!?」』

 

翼とコウマは一体どうしたのかと思い、2人は響の名前を呼び続けるが彼女は……まるで理性を失ったかのように唸り声をあげ、フィーネはそれを見て不気味にニヤリと口元に笑みを浮かべた。

 

「融合したガングニールの欠片が暴走しているのだ、制御できない力に、やがて意思が塗り固められていく……」

「っ、まさか……立花を使って実験を?」

 

翼はフィーネにそう問いかけるが、フィーネは「実験を行っていたのは立花響だけではない、見てみたいとは思わぬか? ガングニールに翻弄されて人としての機能が損なわれるさまを」と答え、翼はこのために奏が犠牲となり、響に悲劇が振りかかったことに怒り、彼女はフィーネをさらに強く睨みつける。

 

『テメー、そんな興味本位みたいなもんで響と奏さんを……!!』

「ウグオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

 

響はフィーネへと跳びかかり、拳を放つがフィーネは鞭を使ってそれを防ぐ、だがその際、フィーネの周りの地面が風圧で吹き飛ぶが……フィーネは無傷である。

 

そのままフィーネは響を鞭で押し返して別の鞭で今度は彼女を叩きつけ、フィーネは見下すように響を見つめる。

 

「もはや、人にあらず……。 今や人の形をした破壊衝動」

 

響は再びフィーネへと拳による攻撃を繰り出すが、フィーネは鞭を使ったバリアを張り巡らせて攻撃を防ぐ……、だが、バリアはすぐに砕かれ衝撃で砂煙が巻き起こり、フィーネの身体の半分までが縦に切裂かれたが……、傷口からは血も出ていない所か彼女は不気味に笑っていた。

 

『化け物かよ、アンタ……』

「もう止せ立花!! これ以上は、聖遺物との融合を促進させるばかりだ!!」

 

翼は響に言葉をかけるが、響は翼の方へと振り返り、あろうことか今度は彼女に殴りかかってきたのだ。

 

反射的に翼は襲いかかってきた響をアームドギアの尻柄で押し返したが、再び翼へと襲い掛かり、フィーネの身体も完全に再生し、「どうだ? 立花響と刃を交える感想は?」と翼に問いかけた。

 

「お前の望みであったなぁ?」

『アンタ、人であることを捨てたのか?』

「私と1つになったネフシュタンの再生能力だ、面白かろう?」

 

するとダークバルタンはテレポート能力を使ってフィーネの背後へと廻り込み、右腕のハサミでフィーネへと殴りかかったがフィーネは鞭を操ってダークバルタンの腕を絡ませて持ち上げ、そのまま地面に叩きつけた。

 

『ぐううう!!? おい、お前、響を止める方法知ってるんだろ? 言えよ!!』

「貴様はイチイチ面倒だな、仕方が無い。 お前にとても素敵な贈り物をくれてやろう?」

 

そう言ってフィーネが取りだしたのは「ダークダミースパーク」なのだが、何時もとはそのダミースパークの形状が今回は違っていた。

 

そのダミースパークはギンガスパークがギンガになると時と同じようにブレードを展開しており、コウマはそのことを疑問に思って首を傾げた。

 

「あぁ、これか? こいつも雪音クリスが持っていたダミースパークと同じ特別制でな、最もこっちの方が有能だが、なにせ……ギンガスパークと対になるダークスパークに1番近いダミースパークだからな!」

『なに!?』

 

フィーネはダミースパークへと1体の黒いウルトラマンのスパークドールズを取り出し、足部にダミースパークの先端を押し当てる。

 

『ダークライブ! ダークザギ!!』

 

スパークドールズが黒い煙のようなものに包まれるとそれが巨大化して行き、その煙の中から黒いボディ、胸にはY字の赤いクリスタル、そして血のような赤い目とラインを持った「ウルトラマンノア」と呼ばれる巨人と酷似した巨人……「邪悪なる暗黒破壊神・ダークザギ」が現れたのだ。

 

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!』

『うわああ!!?』

 

ダークザギは雄たけびをあげてダークバルタンを踏みつぶし、それを見て翼は「来元!!」と叫ぶが……、ダークバルタンも巨大化してザギを押し退ける。

 

『お前みたいな奴の相手してる暇無いんだよ!!』

 

ダークバルタンは6体へと分身し、2体のダークバルタンは最初に前方からザギへと飛びかかり、背後からは1体のダークバルタンがハサミからビートブラスターを放つが、ザギは光線を片手で受け止め、握り拳から強力な光弾を発射する「ザギ・シュート」をダークバルタン2体に放つ。

 

『『ぐああああ!!?』』

 

ザギ・シュートを喰らった2体の分身ダークバルタンはあっさりと消え失せ、さらにザギはビートブラスターのエネルギーを吸収してそれをビートブラスターを放ってきたダークバルタンへと投げつけ、それを喰らった分身ダークバルタンもあっさりと消え失せた。

 

『ならこいつはどうだ!!?』

 

残った3体のダークバルタンが一斉にザギへと襲い掛かり、1体の分身ダークバルタンがザギにハサミで掴みかかろうとするもザギはハサミを両手で掴んでそのハサミを粉砕し、暗黒重力波動の必殺パンチである「ザギ・パンチ」をそのダークバルタンへと繰り出し、分身ダークバルタンは消滅。

 

今度は本体のダークバルタンの残った最後のダークバルタンが2人でビートブラスターをザギに放つが、ザギは円形のバリアを張る「ザギ・リフレクション」で攻撃を防ぎ切る。

 

『ヴオオオオオオオオ!!!!』

 

ザギはそのままバリアごとビートブラスターをかき消し、ザギ・シュートを分身ダークバルタンと本体のダークバルタンに放ち、最後の分身は消え去り、本体はギリギリでザギ・シュートをかわすことが出来た。

 

『ダークバルタンの技が全然通じねぇ!? なら……!!』

 

ダークバルタンは空中へと飛び立ち、何百体もの分身を作り出すダークバルタン、流石にこれにはザギも驚いた様子を見せるが……、それはほんの一瞬のことでザギはすぐに余裕の態度を示す。

 

両拳から超重力光線を放つ「グラビティ・ザギ」を分身したダークバルタン達に放ち、1体のダークバルタンに光線が直撃すると隣にいたダークバルタンが巻き込まれて爆発し、そして巻き込まれたダークバルタンの爆発でさらにまた近くのダークバルタン達が爆発し、ダークバルタンの分身達はあっという間に全滅し、本体のダークバルタンもグラビディ・ザギを喰らって地面へと叩きつけられた。

 

『ぐううう!!? 本当になんて奴だよ、分身とはいえあの軍団を一撃で……!』

 

ザギは地面に倒れこんだダークバルタンの首を掴みあげて投げ飛ばし、コウマは恐らくまだギンガが戦えないだろうということを考えて別の怪獣にライブしようと考え、コウマは一度変身を解除する。

 

「今度はこいつで相手をしてやるぜ!!」

『ウルトライブ!! ゼットン!!』

 

コウマは今度は「宇宙恐竜ゼットン」へとウルトライブし、ザギは余裕の態度を崩さず、人差し指でクイクイっと挑発する。

 

『舐めてんじゃねえぞ!!』

 

ゼットンはザギへと向かって歩き、強烈なパンチをザギに喰らわせるが……、ザギは平然と立っており、ザギは首を傾げてゼットンの頭を鷲掴みにし、ゼットンの顔面を殴りつけてゼットンを殴り飛ばした。

 

『ゼットオオオオン!!!?』

 

因みに、ゼットンのパンチは普通ならばウルトラマンが怯むほどの威力を誇るのだが……、ザギは全くビクともしていなかった。

 

ザギは再びザギ・グラビディをゼットンに放つが、ゼットンは自分の周りに張るバリア、「ゼットンシャッター」を展開し、グラビディ・ザギを防ぐが、ゼットンシャッターはいとも簡単に破壊され、ゼットンはグラビディ・ザギの直撃を受けるがゼットンはどうにか光線を吸収し、そのまま跳ね返そうと踏ん張る。

 

しかし、グラビディ・ザギの威力が高すぎるために吸収し切ることが出来ず、ゼットンは胸部が爆発し、倒れこんだ。

 

『ぐあああああああああああああああああああああ!!!!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、カ・ディンギルが再びエネルギーをチャージし始め、それを見た翼は「まさか!」と目を見開き驚きの表情を浮かべた。

 

「まさか1発しか撃てないとでも思ったか? これは必要とされる限り何発でも撃てれる。 その為にエネルギーを費やさないデュランダルを取りつけてある、それはエネルギーが尽きること無い無限の心臓なのだ」

「だが、お前を倒せばカ・ディンギルを動かす者がいなくなる!」

 

翼の言い放った言葉にフィーネは「はっ?」と首を傾げ、翼は自分の目の前に立ちはだかる響を見て静かに「立花……」と彼女の名を呟いた。

 

「立花、私はカ・ディンギルを止める……、だから……!」

 

翼はそう言って……、アームドギアを地面に突き刺し、無防備な状態となった。

 

フィーネはそのことに首を傾げ、そして響は翼の方へと真っ直ぐ向かって行き……、その拳が……翼へと突き刺さろうとしたその瞬間だった。

 

『ウルトラ念力!!』

 

タロウ(SD)がすかさず現れて響の動きを止め、タロウは翼が一体なにをしているんだと怒鳴るように問いかけた。

 

『君は死ぬ気か!? 君が死んだら、誰が彼女を止めるんだ!!? 翼!』

「タロウ、念力を解いてくれ……」

『なにを……』

「そう、私が死ねば、立花を止める者は少なくなる。 だから、今、私が止める……!! 今日まで一緒に戦ってきた、仲間だから!!」

 

タロウは「翼……」と静かに彼女の名を呼び、そしてタロウの念力も限界が近づき、翼は危ないからとタロウを掴んで遠くの方へと投げ飛ばす。

 

同時にタロウの念力も解け、そして響の右拳は……翼へと突き刺さったのだった。

 

『ッ、翼さああああああん!!!!!』

『翼ぁ!!』

 

コウマとタロウが声を重ねて翼の名を叫ぶが……、翼はそのまま優しく響を抱きしめ、彼女の右手を掴む。

 

「これは、束ねて繋げる力の筈だろ?」

 

翼はカ・ディンギルの光で出来ている響の影に小刀を突き刺し、「影縫い」を発動させて響の動きを封じ、翼は剣を引き抜いて響から離れる。

 

「立花、奏から継いだ力を、そんな風に使わないでくれ」

 

その時、響の瞳からは……涙が溢れ出ていた。

 

挿入歌「絶刀・天羽々斬」

 

そして胸部と口から血を流す彼女はフィーネに「待たせたな」と不敵な笑みを浮かべてアームドギアを握りしめる。

 

「今日に折れて死んでも、明日に人として歌う為に風鳴翼が歌うのは戦場ばかりでは無いと知れ!!」

「人の世界が剣を受け入れることなど、ありはしない!!」

 

フィーネは翼に鞭を振るうが、翼は空へと飛びあがって攻撃を避け、アームドギアを大剣に変形させて放つエネルギー刃「蒼ノ一閃」をフィーへと放ち、フィーネももう1本の鞭を振るって蒼ノ一閃にぶつけさせ、蒼ノ一閃のエネルギーをそのまま粉砕する。

 

そのまま翼は地面へと着地し、フィーネは2本の鞭を翼に放つが、翼はそれをかわして一気にフィーネへと真っ直ぐ突っ込んで行き、大剣を振るってフィーネを吹き飛ばす。

 

「うあああ、ああ!!?」

 

吹き飛ばされたフィーネはカ・ディンギルの壁へと激突し、翼は空中へと飛びあがり、空中で投擲したアームドギアを巨大化させ、それを敵に向かって蹴り貫く「天ノ逆鱗」をフィーネに繰り出し、フィーネは翼を睨みつけながら何重にも張ったバリアを展開する。

 

だが、翼の狙いはフィーネではない、彼女はアームドギアの尻柄を踏み台に高く空中へと飛びあがり、両手に構えたアームドギアから火炎を放出し、さらに彼女はそこから空へと飛び上がる。

 

「狙いは初めからカ・ディンギルかッ!!」

 

フィーネは飛び上がった翼に鞭を使って追いかけ……、そして鞭は……、翼の身体を貫いた。

 

(がはっ……!? やはり、私では……)

 

ダメなのか、なにも出来ないのかという考えが翼の脳裏に過った……、だが、そんな時奏の声が聞こえてきた気がした、「なに弱気なこと言ってんだ」という奏の声が聞こえてきた気がした。

 

そして翼は見たのだ、フィーネの一撃を喰らい、朦朧とする意識の中で奏の姿を、彼女は見たのだ。

 

『翼、私とアンタ、両翼揃ったツヴァイウイングならどこまでも遠くへ飛んで行ける!』

 

奏は翼の手を引き、そして……。

 

(そう、両翼揃ったツヴァイウイングなら……!)

 

朦朧とした意識をハッキリとさせ、カ・ディンギルの一部を蹴りつけて再び空高くアームドギアに火炎を纏わせて舞い上がる。

 

(どんなものでも、越えて見せる!!)

 

フィーネは鞭を使って翼を追いかけるが、どうしても翼に追いつくことが出来ず、翼はその身に青い鳥の形をした炎を纏わせ、カ・ディンギルへと突っ込んだ。

 

「立花あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

そして……、カ・ディンギルは翼の決死の攻撃により破壊され、同時に翼の使っていた小刀も消え去ったのだ。

 

それから響の暴走は完全に止まり、彼女はガングニールを解除してリディアン音楽院の制服を着た格好へと変わり、響は目を見開き、目尻に涙を溜めて唖然としていた。

 

「あっ……、翼さん……!」

 

それを見たコウマも、その目から涙を溢れさせ、彼は悲痛な叫び声をあげながら倒れこんだ身体を起こし、ザギに向かって行く。

 

『うわああああああああああああああああああああ!!!!!!』

 

コウマの変身したゼットンはザギへと強烈なパンチを叩きこもうとするもザギはゼットンの腕を掴みあげて背負い投げを繰り出し、ゼットンは背中から地面に叩きつけられ、さらにはザギに顔面を殴りつけられる。

 

『がはあっ!!?』

 

ゼットンの中にいるコウマはザギに顔を殴られて口から血を吐き出し、ザギはさらにゼットンを蹴りあげてゼットンは地を転がる。

 

それでもゼットンは何度もザギへと向かって行くがザギはあっさりとゼットンを返り討ちにし、ゼットンの腹部に膝蹴りを喰らわせてコウマはまた口から血を吐き出した。

 

『クリスも、翼さんも! まだ夢叶えてねえじゃねえか……!! 夢も叶えずに、勝手にどっかいったりするなよな……!』

 

コウマは拳を握りしめ、涙を溢れださせながら……なにも出来なかった自分に、ただ苛立った。

 

そんな自分の気持ち、何もできない自分の気持ちに気付いてか、まだエネルギーも完全に回復していないのにギンガのスパークドールズがコウマの持つギンガスパークから現れたのだ。

 

『ギンガ、最後まで……、俺と付き合ってくれるか? ギンガ!!』

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

コウマは「ウルトラマンギンガ」へと変身し、ザギの元へと駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下シェルターでは咲哉が悔しそうに「天羽々斬、反応、他絶……!」と唇を噛み締めながら弦十郎に報告した。

 

「心理を通してカ・ディンギルを破壊したか翼、お前の歌、世界に届いたぞ……! 世界を守りきったぞ……!!」

 

弦十郎は悔しそうに拳を握りしめ、その時弓美が「分かんないよ……! なんでみんな戦うの!? 痛い思いして!! 辛い思いして……!!」と涙を流しながら叫び、彼女達は「死ぬために戦ってるの!?」と頭を抱えて叫んだ。

 

「分からないの!?」

 

そんな弓美に対し、未来がそう言い、すると彼女は弓美の両腕を掴み、「分からないの?」と再度、彼女に問いかけた。

 

「あっ……、うぅ、うわあああああああああああああ!!!!」

 

そしてまた、タロウもこの光景を見てコウマと同じように彼はなにも出来ない自分に苛立った。

 

『私は、なにも出来なかった……!』

 

人形の姿になってしまったせいで自分の使う能力は殆ど封じられてしまったせいで自分は何時も大した役に立っていない、今回は……特にそうだった。

 

いや、人形の姿のせいというのはただの言い訳だ、結局、自分はなにも出来はしなかったのだ。

 

なんて無力なんだろう、彼はそう思った、タロウはこんな自分が悔しくて悔しくて仕方が無かった、

 

『私は、何時もコウマ達の役に立てていない……!! ギンガスパークでコウマを私の姿にすることも出来ない、私は、ウルトラマンとして失格……』

『ふざけたこと言ってんじゃねえぞタロウ!!』

 

タロウの言葉が聞こえたコウマは、そうタロウに怒鳴るように言い放ち、タロウはコウマの方を見上げる。

 

『役に立ってないだって!? そんなことはない!! お前がいなかったら勝てなかった戦いもある!! タロウが俺たちをサポートしてくれたから! 何時も肝心な時に俺や響達を助けに来てくれただろ!! 能力を封じられようが、それでも必死に戦おうとしてくれるタロウは、立派なウルトラマンじゃないかよ!!』

『……コウマ……!!』

 

その時のことである、突然、タロウの周りが真っ白な空間へと包まれ、タロウが突然のことに戸惑ったが……。

 

『んっ? なっ、元の姿に戻っている!?』

 

なぜか、タロウはその空間で元の姿へと戻っており、そんな彼の背後に、5人のウルトラマン達が並び立った。

 

『んっ? あ、あなた達は……!』

 

気配に気付いて後ろを振り返ったタロウはその5人のウルトラマンを見て目を見開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、月の破壊を阻止されたフィーネは苛立ち、鞭を地面に叩きつけていた。

 

「ええい!! どこまでも忌々しい!! 月の破壊は! バラルの呪詛を解くと同時に重力崩壊を引き起こす! 惑星規模の天変地異に人類は恐怖し、うろたえ! そして聖遺物の力を振るう私の元に規準する筈だった!! 人の心を繋ぐ絆、たった1つの真実なのに!! それを、それをお前達は!!」

 

フィーネはそう怒鳴り散らしながら両膝と両手を突く響を蹴り飛ばし、またタイラント戦で傷の癒えていないギンガも、響と同じようにザギに蹴り飛ばされた。

 

響とギンガは地面へと倒れこみ、フィーネは響の、ザギはギンガの頭を鷲掴みにし、持ち上げる。

 

『ぐああっ!?』

「うぐッ!?」

「まあ、それでもお前は役に立ったよ、生体と聖遺物の初の融合症例、お前という生命がいたからこそ、私は己が身をネフシュタンの鎧に同化させることが出来たのだからな」

 

フィーネとザギはほぼ同時の動きで響を、ギンガを投げ飛ばし、響とギンガは再び地面へと倒れこむ。

 

「翼さんも、クリスちゃんももういない、私は……なんのために、なんのために、戦って……いるの?」

 

それからフィーネは月を見上げ、ずっと遠い昔のことを彼女は語り出す。

 

「あの『お方』に仕える巫女であった私は何時しかあの『お方』を、創造主を愛するようになっていた。 だが、この胸の内を告げることは出来なかった、その前に、私から……人類から言葉が奪われた。 バラルの呪詛によって唯一、創造主と語り合える統一言語が奪われたのだ!」

 

そしてフィーネは数千年に渡り、たった1人、バラルの呪詛を解き放つためあらがってきた、何時の日か統一言語にて胸の内の想いを届けるためにと語り……、響は「胸の、想い?」と静かに呟いた。

 

そんな時のことだ、地面に倒れこんでいるギンガは響に対して話しかけた。

 

『なあ、響、さっき聞こえたんだけどさぁ? お前が戦うのって……、なんでもない……、日常を守るためだろうが……!!』

 

ギンガは……、コウマは響にそう言い放ちながらフラつきながらも立ち上がり、殴りかかってきたザギの拳をギンガは両手で受け止め、ザギの腹部に蹴りを繰り出し、ザギはその攻撃を喰らって後ろに少しだけ吹き飛ぶ。

 

『響、俺は決めた。 クリスも、翼さんもハッキリと死んだとか見た訳じゃない。 だから……、あの2人はまだ生きてるって信じることにした!! それに、まだ未来達がいる!! まだ守るべきものはある!! だから……!! なんでもないただの平凡な日常を、その手で守り抜け!! 立花響!!!!!』

 

その言葉を聞いた響は、少しだけ『ピクリ』と手が動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、タロウが来た白い空間で、タロウの目の前に現れたのは5人のウルトラマン……、『ゾフィー』『初代ウルトラマン』『ウルトラセブン』『ウルトラマンジャック』『ウルトラマンエース』、タロウの先輩達である。

 

『兄さん達!』

『タロウ、彼、コウマの言う通りだ』

 

最初にゾフィーがタロウへと語り、それに同意する様にウルトラマンが頷く。

 

『そうだ、こんな所で諦めてどうする?』

『お前はお前に出来る精一杯のことをしている、決してお前は無力などではない』

 

ウルトラマンとセブンが言い、次にジャックがタロウへと語りかける。

 

『タロウ、お前が諦めかけてどうする? 我々は何時もコウマと、タロウ達の勝利を信じているんだ』

『あぁ、だから……、ここで立ち止まるな、進め!! ウルトラマンタロウ!!』

 

ゾフィー、ウルトラマン、セブン、ジャック、エースに言われてタロウは「はい!!」と力強く頷き、そして5人のウルトラマンは右手をタロウに差し伸ばす。

 

『今から私達の力で、タロウ、お前を一時的に元の姿に戻す。 だから、コウマと、ギンガ、そして……彼女達と一緒に戦うんだ!!』

『はい!! 兄さん!!』

 

ゾフィーの言葉にタロウは頷き、タロウは5兄弟の力を受けて元の空間へと戻り、タロウは……、地球人としての姿……「東光太郎(ひがしこうたろう)」としてその場に立っていた。

 

「コウマ、今助ける! よし、行くぞぉー!!」

 

光太郎は腕の「タロウバッジ」を取り、それを掲げる。

 

「タロウーーーーーーーーー!!!!!」

 

光太郎はタロウバッジを使い、本来の姿になった「ウルトラマンタロウ」へと変身し、ギンガに殴りかかろうとしたザギを横から蹴り飛ばし、ギンガを救った。

 

『タロウ!! お前なんで……!』

『話は後だ! 共に行くぞ!』

『なんかよく分かんねえけど、おう!!』

 

タロウとギンガは2人でザギへと向かって行き、ギンガはザギの左腕、タロウは右腕を掴み、2人同時にザギの腹部を蹴りつけるがザギはすぐさまギンガとタロウを振り払い、ザギ・シュートをギンガとタロウに放つ。

 

が、ギンガもタロウもそれをどうにかかわし、タロウは跳びあがって空中回転して放つキック、「スワローキック」をザギへと叩きこむ。

 

『デヤアアアア!!!』

 

さらにそこに敵めがけて素早く繰り出す強力キック「ギンガハイパーキック」をギンガはザギに繰り出し、ザギは僅かながらに2人のその猛攻撃に怯み、タロウとギンガは何度も何度もザギに向けて拳を放ち、ザギは両腕を交差して防ぐだけだった。

 

『このまま行くぞ、コウマ!』

『おう!!』

 

タロウとギンガは一度ザギから離れると開いた右手を高く上げると同時に左手を腰にあて、そこから左手を上げて右手に重ねスパークを起こし、両手を腰に添え大気中の宇宙エネルギーを貯めてから、両腕をT字型にして発射する「ストリウム光線」をザギに放つ。

 

また、それと同時にギンガも両腕をクロスさせ、両腕を開いた後に左腕に右肘の拳を当てる構えをとって放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」をザギへと放ち、ギンガクロスシュートとストリウム光線は途中で交わって合体光線となり、ザギに向かって行く。

 

『ストリウム光線!!』

『ギンガクロスシュート!!』

 

それに伴い、ザギもザギ・グラビディを放ち、タロウとギンガの合体光線とぶつかり合う。

 

『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』』

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

 

だが、ザギ・グラビディがギンガとタロウの合体光線を徐々に押し返して行き、やがて2人の合体光線は完全にかき消されてギンガとタロウは急所は外れたがザギ・グラビディを喰らって大きく吹き飛ばされた。

 

『『ウアアアアアアア!!!?』』

 

タロウとギンガはそのまま地面に激突し、しばらくタロウもギンガも動けそうには無いくらいのダメージを喰らったが……、タロウとギンガはそれでもどうにか立ち上がり、ギンガはザギに向かって行こうとするがそれをタロウは阻む。

 

『まだ若い君を死なせる訳にはいかない、ましてや、地球人である君には! だから……、奴は私の命に変えてでも!』

『タロウ、なにをするつもりだよ!?』

 

タロウはギンガの問いに答えず、その身に炎を纏い、突進する。

 

『ウルトラダイナマイト!!』

 

ウルトラダイナマイト、それは自分の体にエネルギーを充満させ、自らを爆弾にして相手に突っ込んでいく自爆技で相手もろとも大爆発したあと、タロウは自身の再生能力で復活するという非常に危険な技であり、しかも使うと20年ほど寿命が縮まるというタロウの最大の大技である。

 

『ヴオオ!!?』

 

タロウはザギに掴みかかり、ザギはどうにかタロウを引き離そうと膝蹴りなどを叩きこむが、それでもタロウは離さない。

 

『離す、ものか!!』

『グアアアアアアアアアアアアアア!!!!!?』

 

そしてタロウは大爆発を起こし、ザギはその爆発に巻き込まれて吹き飛び、タロウはウルトラダイナマイトの影響でスパークドールズに戻ってしまい、そのままどこかへと吹き飛んで行ってしまった。

 

『タロウウウウウウウウ!! ぐっ!! タロウが命がけで出した大技……、どうだ!!?」

 

ギンガはたちこむ白い煙の中にザギの姿が無いかどうかを確認しようと目を凝らすが……、煙の中からは……、ただ、膝を突いただけのザギが存在した。

 

『そん……なっ、タロウが、あんな技を出してまで倒そうとしたのに……!』

『ヴアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』

 

ザギは唖然としているギンガにザギ・グラビディを放ち、ギンガはザギ・グラビディを喰らって大きく吹き飛ばされ……そして……、姿を消し、変身が解除されたコウマは地面へと叩き落とされたのだった。

 

「がはああっ!!? あっ……、ぐふッ」

 

コウマは大量の血を口から吐き出し、腹部も赤いものが滲み出ていてかなりの重症を負っていた。

 

「くっそ……、もう、ダメ……なのか? もう……、終わり、なのか……全部……?」

 

コウマは肉体的なダメージで、響は精神的なダメージでもうどちらも戦える状態などではなく、響も、コウマも、諦めかけたその時……『歌』が聞こえた。

 

未来達が、響達を応援するために……、『歌』を学校のスピーカーを通じて『歌』で響達を応援しているのだ。

 

(響、私は響が帰ってくるのを待っている。 だから、負けないで!!)

 

未来が、心の中で強くそう言い放ち、フィーネはその歌を聞いて鬱陶しそうにしていた。

 

「どこから聞こえてくる? この不快な、歌……? 歌!? だと……?」

 

さらに、未来達の歌に答えるかのように、どこかからか、そこら中から『光』が溢れだしていたのだ。

 

「歌が、聞こえる……。 そうだ、私を支えてくれるみんなは何時だって傍にいてくれる。 みんなが歌ってるんだ。 だから、まだ歌える、頑張れる、戦える!!」

「みんなが諦めて無いんだ、あいつ等がこうやって俺達に『頑張れ』って言ってくれるんだ……なら、だったら! 俺も、諦めて……たまるかよおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

コウマはボロボロの身体を無理やり叩き起こし、ギンガスパークを掲げると周りの光がギンガスパークへと集まる。

 

また、響の身体からも光が放たれてフィーネを吹き飛ばし、彼女もまた立ち上がる。

 

「まだ戦えるだと? なにを支えに立ち上がる? なにを握って力と変える? 鳴り渡る不快な歌の仕業か? 心は確かに折り砕いた筈、お前が纏っているものはなんだ? それは私が作ったものか!? お前の纏っているものは一体なんだ!? なんなのだ!?」

 

すると響の立つ場所から、カ・ディンギルから、森から、計3つの光の柱が空へと放たれ、森はクリス、カ・ディンギルからは翼が立ちあがる。

 

そして光が収まるとそこから3つの光が飛び上がり、白を基調とするカラーリングへと変化し、「エクスドライブモード」となったシンフォギアを翼、クリス、そして響が纏い、響は先程のフィーネの問いかけに答えるように言い放つ。

 

「シン!! フォギアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」

 

さらに、コウマは光の力によって怪我が全て治り、金色に輝くギンガスパークの先端に、同じく金色に輝くギンガのスパークドールズの足部を押し当てる。

 

『ウルトライブ!!』

「ウルトラマン!! ギンガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

そして……、コウマは光へと包まれ、ザギの前に……背後に宇宙を映すオーロラを纏った戦士、「ギャラクシー・オブ・ギンガ」が姿を現した!

 

 



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13Eve 銀河、夢のために明日のために、そして

「みんなの歌声がくれたギアが私に負けない力を与えてくれる、クリスちゃんや翼さんに、コウマくんに、もう1度立ちあがれる力を与えてくれる! 歌は戦う力だけじゃない、命なんだ!!」

「高レベルのフォニックゲイン、こいつは2年前の機種返し」

 

フィーネはそんなことを呟きながら翼で空を飛ぶ響達を見上げ、クリスは口を動かさずに「んなことはどうでも良いんだよ!!」と言い放った。

 

「念話までも……、限定解除されたギアを纏ってそれでどうなる!?」

 

フィーネはソロモンの杖を使い、複数のノイズを召喚し、それを見た翼は「世界に尽きぬノイズの出現は全てお前の仕業なのか?」と念話でフィーネに問いかけ、同じくフィーネも念話でノイズとは一体なんなのかを響達に話し始めた。

 

『ノイズとはバラルの呪詛にて総合理解を失った人類が同じ人類を殺戮する為のみに作られた自立兵器』

『人が、人を殺すために……?』

 

響はそれを聞いて驚きの表情を浮かべ、フィーネは「バビロニアの宝物庫は扉が開け放たれたままでなら、そこから間伸びいずる偶然を必然と変え、純粋に力と使役しているだけのこと」と言い、それを聞いたクリスとギンガは2人声を揃えてフィーネに言い放った。

 

『『また、訳の分かんねえことを、なに言ってんだお前?』』

『見事にハモったね、クリスちゃん、コウマくん、何時の間にそこまで仲良くなったの2人ともー?』

 

響が茶化すようにクリスとコウマに言い、クリスは顔を真っ赤にして「別に仲良くなったとかそんなんじゃ……!?////」と響の言葉を否定しようとするとコウマは「えーッ? 仲良くなってなかったの俺達?」と残念そうに言ってきたためにクリスはコウマに申し訳ない気持ちになり、そのまま彼女はなにも言うことが出来なかった。

 

『そんな会話をしている余裕があるのか?』

 

フィーネは呼び出したノイズ達で響達を攻撃するが、響達はあっさりとノイズ達の攻撃をかわす。

 

「堕ちろおおおおおお!!!!」

 

フィーネはソロモンの杖を上空へと掲げるとそこから花火のように光が放たれ、街中に大量の飛行ノイズ、小型ノイズ、大型ノイズが出現した。

 

「あちこちから!?」

「おっしゃー!! どいつもこいつも纏めてぶちのめしてくれる!!」

 

クリスはそう言うと響や翼よりも先にノイズ達に向かって行き、翼はそんなクリスを見て口元に笑みを浮かべていた。

 

そんな時、響が「翼さん」と自分の名を呼び、彼女は響の方へと振り返る。

 

「私、翼さんに……」

 

響は謝りたかったのだ、自分が翼を、彼女を殺しかけてしまったことに、謝って済む問題でないのは分かっている、それでも響は翼に謝りたかった。

 

だが、翼は「そんなこと気にしていない」とまるで言ってるかのように彼女は響の笑みを浮かべ、微笑み「どうでも良いことだ」と、響にハッキリと言ったのだ。

 

それを聞いた響は「へっ?」と間の抜けた声を出した。

 

「立花は私の呼びかけに答えてくれた、自分から戻ってくれた。 自分の強さに、胸を張れ!」

「翼さん……」

「一緒に戦うぞ、立花! 雪音や、来元も一緒だ!」

「……はい!!」

 

翼の言葉に強く頷いた響は、翼やクリスと共にノイズ達に向かって行き、3人同時に「歌」を歌いだす。

 

響は一列に並ぶ巨大ノイズに向かって行き、先頭にいる巨大ノイズに拳を叩きこむと拳から衝撃波が放たれ、先頭にいた巨大ノイズの身体には穴が空き、そのまま後ろの方にいる巨大ノイズも貫通して穴が空き、消滅する。

 

続いてクリスが飛行ユニットからレーザーを一斉射撃する「MEGA DETH PARTY」を飛行ノイズ達へと撃ちこみ、次々と飛行ノイズ達は消滅し、響は「凄い! 乱れ撃ち!!」と念話でクリスに言うがそれを言われたクリスは苦い顔をする。

 

『全部狙い撃ってんだ!』

 

クリスにそう言い返されて響は苦笑し、彼女はその後両腕にエネルギーをチャージして腕部ユニットからエネルギー弾を地上にいる小型ノイズ達に撃ちまくる。

 

『だったら私が、乱れ撃ちだあああああああ!!!!!』

 

翼も空中にいる巨大飛行ノイズよりも空高く上空へと飛びあがり、巨大化させたアームドギアを振るってエネルギー刃を放つ「蒼ノ一閃」を巨大飛行ノイズへと放ち、一気に2体巨大飛行ノイズを切裂いた。

 

そして響は敵を殴り、クリスは撃ち、翼は切裂き、ノイズ達は次々と消滅し……やがて、殆どが全滅した。

 

「どんだけ出ようが、今さらノイズが!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響達がノイズ達と戦っている頃と同じ頃、コウマが変身した宇宙のオーロラを纏った最強形態のギンガ、「ギャラクシー・オブ・ギンガ」はザギへと駆けだして行く。

 

ギンガは右拳をザギへと放ち、ザギはそれをかわして逆にギンガの胸部目掛けて右拳をギンガに叩きこんだが……。

 

『ッ!?』

 

ギンガはそれを左手で受け止めており、ギンガは膝蹴りをザギの腹部に叩きこむとザギはそのまま大きく吹き飛ばされ、宇宙まで吹き飛ばされる。

 

『シェア!!』

 

ギンガはそこから目にも止まらぬ速さで宇宙まで吹き飛ばされたザギを追いかけ、ギンガに超高速の連続パンチをザギに何度も何度も繰り出し、ザギもギンガと同じように超高速の連続パンチをギンガに繰り出してお互いのパンチは何度もぶつかりあう。

 

そしてギンガとザギの拳が互いの顔面へと直撃し、2人は何千メートル言うほど大きく吹き飛ぶが、ザギとギンガはテレポート能力を使用し、ギンガとザギはどこかも分からない砂だけが広がる砂漠へと降り立つ。

 

『ギンガギャラクシーサンダーボルト!!』

 

ギンガは全身のクリスタルを輝かせ、頭上に発生させた雷の渦を敵に向かって投げつける電撃光線、「ギンガサンダーボルト」をさらに強化させた「ギンガギャラクシーサンダーボルト」をザギへと放つが、ザギは両拳から超重力光線「グラビディ・ザギ」を放ち、ギンガとザギの技はぶつかり合ってお互いの光線は相殺される。

 

『ギンガテレポーテーション!!』

 

ギンガはテレポート能力でザギの背後へと廻り込むがザギも同じくテレポートを使用し、ギンガの背後へと廻り込み、チョップを繰り出したがギンガは振り返りざまにザギの腕を掴み、今度は2人同時にテレポートを使い、2人は今度はマグマが溢れる火山の中へと移動した。

 

『あっつ!? って、あんまり熱く感じねえな。 なら!! このマグマを利用してぇ!!』

 

今度は全身のクリスタルをギンガは赤くさせて右手を掲げ、右手の先にマグマが集まり、巨大なマグマの塊を生成する。

 

『ギンガギャラクシーファイヤーボール!!』

 

「ギンガファイヤーボール」の強化版「ギンガギャラクシーファイヤーボール」をザギへと放つが、ザギはそれを受け止めて空へと投げ飛ばし、ザギは超高速でギンガに接近して強烈なパンチを繰り出し、ギンガは顔面を殴りつけられる。

 

『やりやがったな!!』

 

だがギンガも負けじと超高速でザギへと接近し、ザギの顔面を殴りつけ、ザギは吹き飛ぶ。

 

ギンガはそのまま吹き飛ぶザギへと接近し、ザギに掴みかかってザギと一緒に宇宙空間まで出るとザギを蹴り飛ばし、ギンガはザギから離れる。

 

ザギは腕に暗黒の炎を纏って相手に叩きつける「ザギ・インフェルノ」をギンガへと放つが、ギンガはそれを両腕を交差させてザギの攻撃を受け止め、ギンガは自身の身体を金色に一瞬輝かせて強烈な衝撃波を放ち、ザギを自分から離れさせる。

 

『ギンガライトフラッシュ!!』

『グウウウウ!!?』

 

さらにギンガは全身のクリスタルを青く輝かせて両腕のクリスタルから巨大になった「ギンガギャラクシーセイバー」を出現させる。

 

『ギンガギャラクシーセイバー!! 焼きを入れてやるぜ!!』

 

その巨大となったギンガギャラクシーセイバーをザギへと振るうが、ザギは2本のギンガギャラクシーセイバーの刃を両手で掴み、そのままギンガギャラクシーセイバーを腕力のみでヘシ折る。

 

『ギンガギャラクシー……!! ブラストォ!!』

 

両腕にエネルギーを集め、両腕を前に突き出して放つ光線「ギンガギャラクシーブラスト」をギンガはザギに放ち、ザギは「グラビディ・ザギ」を放ち、2人の光線はぶつかり合い、そのぶつかり合った瞬間、2人の間で大爆発が起きてその衝撃でギンガとザギは響達のいる学院の近くへと落下した。

 

『ぐおおおおおお!!? クソッ、ダメだ、これじゃ決着がつかねえ!! どの技も決定打にならない』

『そこで弱気になるな、コウマ!!』

 

その時、そんな声が聞こえてギンガは声の聞こえてきた方向を見るとそこにはスパークドールズに戻ったタロウが空中に浮いており、コウマはタロウが無事だったことに喜んだ。

 

『タロウ! 無事だったんだな!!』

『あぁ、それよりも、コウマ!! そこで弱気になるな、君ならば、必ずダークザギに勝てる!!』

 

タロウの言葉にギンガは力強く頷き、再びザギへと向かって行く。

 

(だけど、まだこのギンガにはなにかある気がする。 もっと別の、違う力を使える気が……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でフィーネはというと、なんと……ソロモンの杖を自身へと突き刺し、フィーネは不敵な笑みを浮かべていた。

 

すると生き残っていたノイズ達が一斉にフィーネへと集まり、ノイズを取り込み始めたのだ。

 

フィーネはピンク色の泥のようなものに包まれ、その泥を使って響達に攻撃を仕掛けるが、彼女達にはアッサリかわされた。

 

『来たれ! デュランダル!!』

 

泥はカ・ディンギルに設置してあったデュランダルをさらに取り込み、ソロモン、ネフシュタン、デュランダルの3つの完全聖遺物を取り込み、フィーネを包んでいた泥は蛇のような形へと変化し、フィーネは異形の姿「黙示録の赤き竜」へと変貌したのだ。

 

赤き竜は街の方へとレーザーを放つと街は大爆発を起こし、破壊され、脅威的なパワーを発揮したのだ。

 

『逆さ鱗に触れたのだ、相応の覚悟は出来ておろうな? だが、これで終わりでは無いぞ? 来たれ! ダークザギよ!! 今こそ、割れと1つに!!』

 

ギンガと戦っていたザギはフィーネの言葉に答えるかのように一度スパークドールズへと戻るとフィーネの手に戻り、彼女は再びダークザギをライブさせる。

 

『ダークライブ! ダークザギ! パーフェクション!!』

 

するとスパークから黒い煙のようなもの現れて黙示録の赤き竜とフィーネを包みこみ、やがて煙が止むとそこには身体が全体的に血のように赤くなり、腹部には赤き竜を思わせる模様、背中には翼のような「ザギイージス」が加わった姿……「邪悪なる暗黒破壊神・ダークザギ・パーフェクション」が立っていた。

 

『『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!』』

 

ザギはザギとフィーネの声を合わせたような雄たけびを上げ、ザギは威力が強化された握り拳から強力な光弾を発射する「ザギ・シュート」を響達に放ち、響達3人はそれをかわしたが、その際に放たれた衝撃波だけで響達は吹き飛ばされてしまう。

 

「「「うあああああああああ!!!!?」」」

 

クリスはレーザーをザギへと放つも、ザギは強化された円形のバリア「ザギ・リフレクションパーフェクト」で防ぎ、そのままレーザーはクリスの方へと跳ねかえる。

 

「えっ!?」

『クリス!!』

 

ギンガは跳ね返されたクリスのレーザーを片手で受け止めるが、ザギは背中のザギイージスを赤く発光させ、そこから無数のレーザーを放つ「ザギ・パーフェクトショット」をクリスとギンガへと放ち、ギンガは直撃を喰らい、クリスはギンガのおかげで直撃は間逃れたが風圧だけで軽く吹き飛ばされてしまう。

 

『ぐあああっ!?』

「うあああ!!?」

 

ギンガは拳に青いエネルギーを溜めこみ、ザギへと駆けだして行き、同時に翼がアームドギアから放つエネルギー刃「蒼ノ一閃」をザギの胸部のエナジーコア目掛けて放ち、ギンガもそこを目掛けて拳を放つ。

 

『グオオオオオ!!!?』

 

結果、蒼ノ一閃がザギのエナジーコアに直撃した後に続けざまにギンガの拳が叩きこまれ、ザギのエナジーコアが僅かながらにヒビが入った。

 

『よし!!』

 

だがザギのエナジーコアはネフシュタンの力によって再生し、ザギは足を振り上げてギンガを宇宙まで蹴り飛ばす。

 

『ぐあああああああッ!!?』

 

宇宙まで吹き飛ばされたギンガだったが、すぐにテレポートして地上へと戻り、ギンガは自身を光の粒子へと変えてその粒子を響へと纏わせる。

 

『ギンガミラクルパワー!! 響、このままあいつをぶん殴れ!!』

「OK!! コウマくん!! うおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

響はコウマに言われた通り、ザギへと右拳を放ち、ザギもまた、右拳にエネルギーを溜めてその拳を響へと放ち、2人の拳は激突し合うが……、響は弾かれるようにザギに殴り飛ばされてしまい、響に纏っていた粒子となっていたギンガも元の姿に戻って地面へと倒れこむ。

 

『ぐう、大丈夫か響?』

「う、うん、ギンガの粒子を纏ってたおかげで」

『しかし、あいつに攻撃が全然通用しねえ、また振り出しかよ、クソ。 どうすればあいつを倒せる? どうすれば……』

 

そんな時のことだった……、コウマの前の前が真っ白になったのは。

 

突然のことに、コウマは困惑し、一体なにが起こったのか訳が分からなかったが、背後に気配を彼は感じ、振り返るとそこには1人の、ダークブルーの制服を着た男性がコウマの前に立っていた。

 

「諦めるな!! 僕等は、1人じゃないから……。 君は、1人じゃないから。 だから、諦めるな!!」

 

男性……「ウルトラマンネクサス/弧門一輝」はコウマにそれだけを言うと姿を消し、次に金髪で弧門とは違うが、似たような服を着た男性が現れる。

 

「知ってるか? 限界を超えた時、初めて見えるものがある、掴み取れる……力が。 本当の戦いは、これからだぜ?」

 

そうれだけをコウマに伝えると「ウルトラマンダイナ/アスカ・シン」は姿を消し、また別の人物がコウマの目の前へと現れる。

 

「大丈夫、この世界は……決して滅んだりなんかしない」

「みんなで、この地球を守るんだ」

 

「ウルトラマンガイア/高山我夢」と「ウルトラマンアグル/藤宮博也」はそうコウマに伝えた後、姿を消し、そしてまた別の人物、今度は男女2人が入れ替わるようにして現れる。

 

「夢を叶えるために、夢を追いかけるために、君達だけに出来るなにかがきっとある! だから、頑張れ!」

「儚い命を守るためにも、なっ。 お前達の勝利を、私達は信じている」

 

「ウルトラマンコスモス/春野ムサシ」と「ウルトラマンジャスティス/ジュリ」がコウマにそう言うと2人は再びそこから消え、次にまた別の男性が2人現れた。

 

続いてまた別の人物が現れる。

 

「地球の未来は君たち自身で掴んでくれ! 君達の、夢と未来を目指して!」

 

「ウルトラマンマックス/トウマ・カイト」がコウマに伝えるとまた別の人物が入れ替わるように現れる。

 

「コウマくん、最後まで諦めず、不可能を可能にする……。 それが、ウルトラマンなんです!」

「そう、それに君には仲間がいる、仲間と一緒なら、必ず勝てる!!」

 

「ウルトラマンメビウス/ヒビノ・ミライ」と「ウルトラマンヒカリ/セリザワ・カズヤ」がそう言ってコウマに伝えると彼等も消え去り、次に現れたのはウルトラマンだった。

 

『よう、初めましてだな? 来元コウマ! 俺はウルトラマンゼロ。 コウマ、お前にはまだ守るべきものがある、お前まだ、飛べる!! だから、こんな所でつまずいてんじゃねえよ』

 

それだけを言うとゼロも消え去り、そして最後は……「彼」が現れた。

 

「ウルトラマンティガ/マドカ・ダイゴ」が……。

 

「君達に出来ること、人としてできることを精一杯やるんだ、人間はみんな……自分自身の力で光になれるから」

「アンタ達、もしかして……」

 

次の瞬間、ダイゴがコウマに笑みを浮かべると同時にコウマの目の前が再び白い空間へと包まれ、コウマは元の空間へと戻って来たのだった。

 

『本当の力……、響!! 翼さん!! クリス!! 俺に、力を!! いや、俺達の力を……1つにするんだ!!』

「はあ!? なに言ってんだよお前は!」

「1つにするとは、一体どういうことだ来元?」

『みんなの力を、光を、ギンガに……!!』

 

そこにザギが「グラビディ・ザギ」の強化版「グラビディ・ザギ・パーフェクト」をギンガと響達に放ち、ギンガは響達を守るように立ち、その光線を両手で受け止める。

 

「なんだか、よく分からないけど……やってみよう!! クリスちゃん、翼さん!!」

「「……、あぁ!!」」

 

響の言葉に翼とクリスは頷き、3人は自分達を守ってくれているギンガの背中にそっと手で触れる。

 

『私も、微力ながら力を貸すぞ!』

 

さらにそこへタロウも加わり、響達同様ギンガの背中へと触れる。

 

すると、彼女達3人とタロウ、ギンガの身体は光へと包まれ、ザギはギンガ達がなにかをすると考えてグラビディ・ザギ・パーフェクトの威力を高める。

 

そして……、やがてザギの光線はギンガ、響、翼、クリスを飲み込み……、その場には跡形も無く、ギンガ達は消え去った……。

 

『フフフ、フハハハハハ!! なにをするかと思えばあっさりと!! ただのこけおどしか!!?』

 

フィーネはそう言いながら笑い声をあげるが……。

 

『そいつはどうかな?』

『ッ!!?』

 

挿入歌「LIGHT IN YOUR HEART」

 

『ウルトライブ! ウルトラマンダイナ! グリッターバージョン!!』

 

ザギは上空を見上げるとそこには金色に輝く光の戦士……「ウルトラマンダイナ・グリッターバージョン」がこちらに向かって拳を放ってきており、ザギはダイナの攻撃をどうにかその場から離れて攻撃をかわした。

 

ザギはザギ・シュートをダイナに放つがダイナはそれを片手で受け止める。

 

『喰らえ!!』

 

翼がそう叫ぶと同時にダイナは両腕を振るって放つエネルギー刃「蒼ノ一閃」をザギへと放ち、ザギも腕を振るって放つ光刃「ザギブレード」を放ち、蒼ノ一閃を打ち消す。

 

『なら今度はこいつだ!!』

『ウルトライブ!! ウルトラマンコスモス! フューチャーモード!!』

 

クリスがそう言うとダイナ・グリッターバージョンは「ウルトラマンコスモス」の最強形態「ウルトラマンコスモス・フィーチャーモード」へと変わり、コスモスは高速でザギに接近するとザギの腹部を殴りつけてザギを吹き飛ばした。

 

『ぐううう!!? 小賢しい!!』

『未来を!! お前なんかに奪わせはしねえ!!』

 

コスモスは空へと殴り飛ばしたザギに向かって右腕を前に突き出し、放つ青い最強光線「コスモストライク」をザギに放ち、ザギはコスモストライクを喰らってさらに吹き飛ばされるがザギはあっさりとコスモストライクを打ち消す。

 

そしてザギは空中からザギ・シュートをコスモスに向かって連射し、コスモスは大ダメージを受ける。

 

『ウアアアア!!?』

『ウルトライブ! ウルトラマンマックス!』

 

コスモスは姿を変えて最強最速のウルトラマン、「ウルトラマンマックス」に変身し、右腕に装備した「マックスギャラクシー」から放つ光線「ギャラクシーカノン」をザギに撃ちこみ、ザギは光線を受け止めて打ち消すが、マックスがザギに高速で接近し、マックスギャラクシーから出す光の剣「ギャラクシーソード」で擦れ違いざまにザギを斬りつける。

 

ザギはマックスを追いかけて腕を掴み、マックスを地上へと叩き落とす。

 

『グウウウウ!!?』

『今度は私が!!』

『ウルトライブ!! ウルティメイトゼロ!!』

 

響がそう言い放つとマックスは姿を変え、銀色の鎧を纏った赤と青の戦士「ウルティメイトゼロ」となり、ゼロはザギのいる場所まで飛び立ち、左腕の剣「ウルティメイトソード」を超高速でザギに振るい、ザギも同じ位のスピードでゼロの攻撃をかわし、ザギはゼロの首を掴みあげて地面へと投げ飛ばし、ゼロは地面に叩きつけられる。

 

『くあああ!!? くっ、まだまだああああああああ!!!!』

 

響は叫び、ゼロは再び立ちあがって空中からザギ・シュートを放つザギの技をソードで弾きながら再びザギに接近し、右足に炎を纏わせて繰り出す跳び蹴り「ウルトラゼロキック」をザギに叩きこんだ。

 

『がはっ!!? なぜだ!? なぜここまでの力をいきなり!?』

『みんながいてくれるから!! みんなの力が、光が!! 俺達に力をくれるから!! 俺達は、どこまでも強くなれるからなんだよおおおおおおお!!!!』

 

コウマがそう叫ぶとゼロはソードを振るってザギを斬りつけた後、すぐさまザギから離れる。

 

『凄い、凄いよ!! 私がウルトラマンになってる!! 私がウルトラマンだ!!』

『私も、ウルトラマンに……』

『あたしが、ウルトラマンになってる……!』

『ウルトラーイブ! ウルトラマンメビウス! フェニックスブレイブ!!』

 

ゼロの姿が変わり、今度は赤と青の身体をした「仲間達との絆で生まれた戦士」「ウルトラマンメビウス・フェニックスブレイブ」となり、メビウスは左腕の「メビウスブレス」と右腕の「ナイトブレス」から2本の剣「メビュームブレード」と「ナイトビームブレード」を出現させ、ザギに何度も斬りかかる。

 

『光だと!? 下らない!! そんなものが一体なんの役に立つ!!?』

 

ザギはメビウスの腕を掴んで再びメビウスを地上へと投げつけるが、メビウスはどうにか途中で踏みとどまる。

 

『そんなこと言うお前の言葉が、1番下らねえんだよ!!』

『ウルトライブ! ウルトラマンメビウス!! インフィニティー!!』

 

するとメビウスの姿が変化し、メビウスはウルトラ6兄弟と融合した時に誕生する戦士「メビウス・インフィニティー」となり、ザギは暗黒波動の雪嵐で相手を芯まで凍らせる「ザギ・ブリザード」をメビウスに放つが、メビウスはそれを避けてザギへと接近し、ザギは接近して来るメビウスにザギ・シュートを何発も発射。

 

だがそれはメビウスにごとごとくかわされ、全身を膨大なエネルギーで包み、敵目掛けて突っ込んでいく「コスモミラクルアタック」をザギに繰り出した。

 

『ぐはあああああああ!!!!?』

『私達は決して負けはしない、みんなが応援してくれているのだ、だから……、必ず勝つ!!』

 

タロウがそう叫ぶと今度はメビウスは赤いオーロラを纏った「スーパーウルトラマンタロウ」へと変わり、スーパータロウは宇宙最強の光線「コスモミラクル光線」をザギへと放ち、ザギは「グラビディ・ザギ」を放ってコスモミラクル光線に対抗するが、徐々にコスモミラクル光線がグラビディ・ザギを押して行き、ザギにコスモミラクル光線が直撃する。

 

『お次はこいつだぁ!!』

 

クリスの言葉に答えるかのようにスーパータロウは姿が変わり、「ウルトラマンジャスティス・クラッシャーモード」となり、ジャスティスは空高くザギよりも上空に飛び上がると急降下しながら放つ破壊力抜群のキック「クラッシャーハイキック」を喰らわせ、ザギは両腕を交差して攻撃を防ぐがザギは地上へと落下し、ジャスティスは落下するザギに向かって驚異的威力を誇る必殺光線「ダグリューム光線」をザギに放ち、ザギは地上に落下しながらザギ・ブリザードで対抗する。

 

『『『『『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』』』』』

 

だが、コウマ、響、翼、クリス、タロウの叫びに答えるかのようにジャスティスの光線の威力が上がり、ザギは光線を押し返され、ジャスティスの光線を喰らって地上へとそのまま落下し倒れこんだ。

 

『ガアアアアアアアアアアアアア!!!!?』

『クリス、行くぜ!!』

『おう!!』

『ウルトライブ!! ウルトラマンレジェンド!!』

 

次にジャスティスの姿が変化し、今度はコスモス、ジャスティスが融合して誕生する伝説の戦士「ウルトラマンレジェンド」となり、体を回転させ、全身のエネルギーを一気に放つ宇宙最強の究極技「スパークレジェンド」を空中から地上にいるザギへと撃ちこみ、ザギは「ザギ・リフレクションパーフェクト」で防ぐが、あっさりとバリアは砕かれてスパークレジェンドはザギを飲み込んだ。

 

『うわああああああああああああああ!!!!?』

 

そして、ザギの身体には大きな丸い穴が空き、ザギは膝を突くが……、瞬時にその傷は再生し、元通りになる。

 

『フン、幾らギンガが限定解除したお前達と融合したと言えど、所詮は欠片に過ぎないガング、こちらは完全聖遺物を3つ取り込んでいる、それに対抗出来ると思うな!!』

 

だが、フィーネのその言葉はそれがこの状況を完全に逆転するためのヒントになったのだった。

 

『聞いたか!?』

『あぁ、だが念話は使うなよ?』

『よし、もっぺんやるぞ!』

『しかし、そのためには……!』

 

そう、そのためには過去に一度、「デュランダル」を起動させた響の協力がいる。

 

『あっ、えっと、やってみます!!』

『よし、行くぜ!!』

『ウルトライブ!! ウルトラマンガイア! スプリームヴァージョン!!』

 

レジェンドは海と大地の力を持つ戦士「ウルトラマンガイア・スプリームヴァージョン」へと姿を変え、ガイアはザギへと駆けだし、こちらに向かって接近して来るガイアに腕から牽制用の光の刃を放つ「ザギ・スパーク」をガイアに繰り出そうとするが、それよりも早く、ガイアの周りに赤い球体が幾つも浮かび、その球体からレーザーを放つ「MEGA DETH PARTY」がザギの身体に直撃し、ザギの攻撃の阻止をした。

 

『ジュア!!』

 

ガイアはザギの腕に掴みあげると背負い投げを繰り出し、ザギを地面に叩きつけ、さらにもう1度ガイアはザギを持ち上げて背負い投げを繰り出し、再びザギを地面に叩きつける。

 

『ウアアア!!』

 

ザギは足を振り上げてガイアを蹴りつけ、自分から引き離し、ザギはすぐさま立ち上がるが何時の間にかガイアが自身の背後に立っており、ガイアは後ろからザギに掴みかかるとザギの身体を持ち上げて投げ飛ばす。

 

『デアアアアア!!!』

『グウウウウ!!?』

 

さらに地面に倒れこんだザギの足を掴みあげてガイアは持ち上げ、スウィングし、ザギはまた投げ飛ばす。

 

『ダアアアアアア!!!!』

『ウアアアア!!?』

『ウルトライブ! ウルトラマンアグル! V2!!』

 

ガイアは姿をさらに変えて青き巨人「ウルトラマンアグル」に変身し、ザギに連続蹴りを喰らわせ、さらに廻し蹴りを喰らわせた後、スクリュー状の波動弾「フォトンスクリュー」を3連発ザギに喰らわせる。

 

『グオオオオオ!!?』

『ウルトライブ!! ウルトラマンノア!!』

 

アグルは姿を変え、ザギと殆ど同じ姿をした銀色の巨人「ウルトラマンノア」へと変身し、ザギは雄たけびをあげてノアへと駆けだして行き、蹴りを放つがノアはそれを防ぎ、超高速で決める肘打ち「ノア・エルボー」をザギの腹部に叩きこむ。

 

『ハアアアアア、ダアアアア!!!!』

 

ノアはザギの肩を左手で掴みあげて右拳に1兆度の炎を纏い、拳と共に敵に叩きつける「ノア・インフェルノ」をザギの胸部に炸裂させる。

 

『ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!?』

 

するとザギのエナジーコアは砕け散り、胸部に風穴が空き、その中からフィーネが姿を現した。

 

ノア・インフェルノを喰らって生きているのはギリギリかわすことが出来たからである。

 

「くっ、おのれ……!!」

『今だ!! クリス、翼さん、響!!』

 

ノアは一度同化していた響、翼、クリスと分離させる。

 

ザギはエナジーコアを破壊されたにも関わらず、再生を始め、クリスがザギが再生する前にザギの体内へと侵入し、レーザーを放ちまくる。

 

「くっ、出て行け!!」

 

フィーネはクリスをザギの体内から追い出そうとするが、それよりも早くクリスは外へと出て行き、フィーネは頭に疑問符を浮かべたが……、クリスはただの囮だった。

 

翼がさらに巨大化させたアームドギアを振るって放つエネルギー刃、「蒼ノ一閃 滅破」をザギの体内にいるフィーネへと放ち、フィーネはバリアを張って攻撃を防いだがバリアは砕かれてしまい、その時の衝撃でフィーネは自身が持っていた「デュランダル」を手放し、デュランダルは外に放り出されてしまったのだった。

 

「そいつが切り札だ!! 正気を零すな!! 掴み取れ!!」

 

翼が響に向かってそう叫び、響はデュランダルを恐れずに手を伸ばし……、そして、掴み取った。

 

挿入歌「Synchrogazer」

 

すると響は再びあの時、以前にデュランダルを握りしめた時と同じ衝動に飲み込まれそうになるが、なんとか響は耐える。

 

そして再生を完了させたザギはデュランダルを奪い返そうと響に襲い掛かるが……。

 

『ウルトライブ!! グリッターティガ!!』

『チャッ!!』

 

黄金に輝く光の戦士「グリッターティガ」は両腕を外回りに回転させながらカラータイマーに光のエネルギーを集めてパンチを繰り出すことで金色の螺旋状の衝撃波を生み出し、敵を一撃で吹き飛ばす威力の衝撃波を伴う技「グリッター・ボンバー」をザギへとグリッターティガは炸裂させる。

 

『グウウウ!!?』

 

ザギはグリッターティガを睨みつけて体から放つ闇で相手を吸収する「ダークネス・ザギ」をグリッターティガに放つが、全身を守る黄金色に輝く光「グリタリングシールド」に防がれてグリッターティガには全くの無効だった。

 

『ハアアアア、ジュア!!』

 

カラータイマーに光のエネルギーを集め、同様の金色の螺旋状の衝撃波をキックと共に放つ技「グリッターバニッシュ」でザギを吹き飛ばす。

 

『ウアアアアア!!?』

『邪魔は、絶対にさせない!!』

 

そこに、弦十郎がシェルターの扉を破壊して未来や響の他の友人達、オペレーターの人々が現れて黒い衝動に飲まれそうになっている響に声援を送った。

 

「正念場だ!! 踏ん張り所だろうが!!」

「強く自分を意識してください!!」

「昨日までの自分を!!」

「これからの自分を!!」

 

弦十郎、緒川、朔也、あおいの声援を受ける響。

 

「ううう……ううぅ!! みんな……!!」

 

そこに翼とクリスが響の元へと行き、2人は彼女の手を握りしめる。

 

「臆するな立花!! お前が抱えた胸の覚悟、私に見せてくれ!!」

「お前を信じ、お前に全部賭けてんだ!! お前が自分を信じなくてどうすんだよ!!」

 

響にそう声をかける翼とクリス、次に響に彼女の友人達が声をかけた。

 

「あなたのお節介を!!」

「アンタの人助けを!!」

「今日は私達が!!」

 

詩織、弓美、創世が響にそう言い放ち、フィーネは「黙らせてやる!!」と背中から触手のようなものを出して響達を攻撃するが、触手は全てグリッターティガの放つ手刀によって切裂かれる。

 

『お前が、最後の希望だ!! 負けるな、響!!』

 

コウマも響にそう言い放ち、そして響は……、みんなの声援空しく、デュランダルに飲み込まれて彼女は黒く包まれた……、だが……。

 

「響イイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!」

 

未来の叫びを、親友の叫びが響に聞こえた。

 

『そうだ、今の私は……私だけの力じゃ無い!! そうだ、この衝動に……塗りつぶされてなるものかああああ!!!!』

 

すると響を包んでいた黒い物は無くなり、デュランダルを完全に制御することに成功し、響のシンフォギアの翼がさらに大きく広がり、光輝く。

 

『ウルトラーイブ!! ギャラクシー・オブ・ギンガ!!』

 

ティガは「ギャラクシー・オブ・ギンガ」の姿へと変わり、ギンガは響、翼、クリスを再び同化させる。

 

そしてタロウとコウマも、自分の手を響達と一緒に重ね、ギンガはその手に巨大となったデュランダルを実体化させ、さらには響達のシンフォギアの翼と同じものがギンガの背中にも出現する。

 

『シュア!!』

 

ギンガは空中へと飛び立ち、デュランダルを両手で握りしめる。

 

『その力、なにを束ねた!!? なんだその力は!? なんなのだ!!?』

 

フィーネは上空へと飛んだギンガを見上げながらそう叫び、それに応えるように響は言い放つ。

 

『響あうみんなの歌声がくれた……! シンフォギアだああああああああああああああああ!!!!!』

『そしてこれが!! みんなの光を1つにした、俺達のォ!! 光だああああああああああああああああ!!!!!』

 

そしてギンガはデュランダルの光輝く刀身を伸ばし、それを振り下ろして相手を切裂く必殺技……「SynchrogazerGinga」をザギへと放ち、ザギは左手を水平垂直に立て、右拳を左手首に当てて放つ必殺光線「ライトニング・ザギ」で対抗し、デュランダルを受け止める。

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』

『『『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』』』』』

 

やがて……ライトニング・ザギは真っ二つに切裂かれ、そのままギンガはデュランダルでザギの身体も切裂き、ザギは身体中から火花を散らして倒れこむ。

 

『グウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!?』

『完全聖遺物同士の遂消滅……、どうしたネフシュタン!!? 再生だ!! この身、砕けてなるものかああああああああああ!!!!!』

 

そしてザギは……、そのまま大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから戦いを終え、響、クリス、翼、タロウはギンガと分離し、ギンガもコウマの姿へと戻った。

 

だが、響は敵であった筈のフィーネに肩を貸して歩いており、フィーネはなにをバカなことをと力無く言う。

 

因みにそれを見たクリスは苦笑しながらそんな響を「あのスクリューボール」が評し、響はフィーネを座り場になれそうな岩を見つけ、そこに座らせる。

 

「みんなに言われます、親友からも変わった子だって。 もう終わりにしましょう? 了子さん?」

「私はフィーネだ」

 

響の言葉にフィーネはそう不機嫌そうに返すが、響は……。

 

「でも、了子さんは了子さんですから! きっと私達、分かり合えます」

 

フィーネは立ち上がり、ノイズを作り出したのは人間、統一言語を無くした自分達は手を繋ぐよりも相手を殺すことを求めたと話し始める。

 

「そんな人間が分かり合えるものか?」

「分かり合えるよ、きっと」

 

そこで口を開いたのはコウマだった、彼はクリスの頭にポンっと手を置く。

 

「だって、俺とクリスが分かり合えた、響と翼さんも分かり合えた、そして響と翼さんとクリスが分かり合えたんだからな」

「私はそう思わない、だから私はこの道しか選べなかったのだ!!」

 

フィーネはネフシュタンの鞭を握りしめ、クリスは「おい!!」と怒鳴るように言うが、彼女は翼に止められる。

 

「人が言葉よりも強く繋がれること、分からない私達じゃありません」

 

響は笑みを浮かべてフィーネにそう言うが、フィーネは振り返りざまに鞭を響に放ったが響はかわしてフィーネの腹部に拳を突きつける。

 

「私の勝ちだ!!」

「っ!?」

 

フィーネが狙ったのは響ではなく、月であり、彼女は鞭を月の欠片まで伸ばして突き刺すとそれを引っ張り、月の欠片を地球目掛けて落とす。

 

「月の欠片を落とす!! 私の悲願を邪魔をする者共を纏めてここで潰す!! 私はここで果てようと魂までは耐えやしないのだからな!! 私は私の悲願を邪魔をする者共を纏めてここで潰す!! 何処かの場所、何時かの時代、何度でも甦る! 私は永遠を生き続ける巫女、フィーネなのだからなぁ!!」

 

すると、響は止めていた拳をそっとフィーネの胸へとぶつける。

 

「うん、そうですよね。 何処かの場所、何時かの時代、甦る度に何度でも私の代わりにみんなに伝えてください、世界を1つにするのに力なんて必要ないってこと、言葉を超えて……私達は1つになれるってこと。 私達はきっと未来に手を繋げられるということを! 私には伝えられないから、了子さんにしか、出来ないから」

「……お前……!」

「了子さんに未来を託す為にも私が今を……守ってみせますね!」

 

不敵な笑みを浮かべる響に、フィーネは目を見開き、彼女の表情が変わった。

 

「本当にもう、放っておけない子なんだから。 胸の歌を……信じなさい」

 

それはフィーネではなく、「櫻井了子」としての言葉……、彼女は響の胸を指差し、それとフィーネはコウマの方へと振り返る。

 

「気をつけなさい、まだ戦いは終わった訳では無い、私はただ、『奴』に利用されていただけに過ぎないのだから」

『あなたは、闇の力を持つ者についてなにか知ってるのか!?』

「さあ? 私はスパークとザギのスパークドールズを貰っただけだから分からないわ。 まあ、せいぜい、頑張りなさい……」

 

タロウの言葉にフィーネはそう返し、彼女はその言葉を伝えた後……彼女の身体は砂となり、消滅した。

 

例え裏切り者だったとしても、一緒の時間を過ごしてきた、だから弦十郎や、他の二課のメンバー、クリスは涙を流したのだ。

 

また、二課のオペレーター達の調べた結果によると月の落下の直撃は間逃れられないらしく、響は月を見上げた後、未来達の方へと振り返る。

 

「なんとかする! ちょっと行って来るから? 生きるの、諦めないで!」

「待て、響、それは俺の仕事だろ?」

 

月へと向かおうとする響をコウマは止め、彼は「自分が行く」と言い出した。

 

「けど……!」

「俺だったらそこまで危険なことじゃないからな。 だから、ちょっと行ってくる。 クリス!」

 

コウマはクリスを呼ぶと彼は彼女にジャンナインのスパークドールズを渡し、コウマはクリスに笑みを浮かべながら「じゃあ、行ってくる!」と言い、クリスも笑みを浮かべて「あぁ、行って来い!!」とコウマに返した。

 

「帰ってきたら、もう1度、お前の夢を聞かせてくれ」

「あぁ、じゃあ代わりにお前の夢も俺は聞かせて貰うぞ?」

「はっ、上等だよ」

 

コウマはギンガスパークを構えるとギンガスパークのブレードが展開し、そこからギンガのスパークドールズが現れる。

 

「ギンガ? そうか、最後まで力を貸してくれるか、行くぜギンガ!!」

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!』

 

コウマは「ウルトラマンギンガ」へと変身し、月の欠片へと向かって飛行する。

 

しかし、その時……遅れてザギの倒された場所から……黒い腕が飛び出していた。

 

そして月の欠片の近くまで来た時、ギンガは光線技で月の欠片を破壊しようとするのだが……。

 

『ヴアアアアアアアアアアアア!!!!!』

 

聞き覚えのある唸り声をギンガは聞き、後ろを振り返るとこちらに向かって高速で通常形態に戻ったザギが向かってきており、ザギはギンガの胸部を殴りつけてギンガは吹き飛ばされ、月の欠片に激突する。

 

『ウアアアッ!!?』

 

ザギはグラビディ・ザギをギンガに放とうとするが……、突如、ザギの背中にレーザーが直撃し、ザギは光線を中断する。

 

「やっぱり来たぜ、コウマ!!」

『クリス! お前なんで……!』

 

そこに現れたのは「ジャンスター」に乗ったクリス、ジャンスターはジャンナインへと変形し、ジャンキャノンからレーザーを発射する。

 

『ジャンキャノン!』

 

しかし、ザギは「ザギ・リフレクション」で攻撃を防ぎ、一度ジャンナインは攻撃の手を止めるとギンガの元へと行き、ギンガに手を差し伸ばす。

 

「一緒に、やろうぜ?」

『……あぁ!!』

 

ギンガはその手を掴むとジャンナインはギンガを引っ張り、ギンガとジャンナインは肩を並べる。

 

『グオオオオオオオオオオオ!!!!』

 

ザギはギンガとジャンナインに襲い掛かってくるが2人はザギの攻撃をかわし、ザギの背後に回り込むが、ザギはすぐさま振り返ってザギ・シュートを2人に放つ。

 

どうにかギンガもジャンナインもザギの攻撃の直撃を避け、そして……、クリスはガンパット・ガンモードを構え、ジャンナインに巨大な実体化させたガンパット・ガンモードをクリスは持たせ、ガンパットから放つ赤い光弾を連射する「ジャンスターダスト」をザギに放つ。

 

『ジャンスターダスト!』

「ジャンスターダスト!!」

 

同時にギンガは全身のクリスタルを青く輝かせ、両手を交差させた後、大きく両腕を広げた後、左腕に右肘の拳を当てる構えをとって放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」をザギに向かって放つ。

 

『ギンガクロスシュート!!』

 

対するザギも必殺光線である「ライトニング・ザギ」を放ち、ジャンスターダストとギンガクロスシュートの合体光線がライトニング・ザギとぶつかり合う。

 

「『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』」

『ヴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』

『俺も、クリスも!! みんなも!! 明日に向かうための夢がある!! だから、こんな所で立ち止まれる訳には……いかねえんだよおおおおおおおお!!!!!』

 

するとギンガは再び宇宙のオーロラをその身に纏った「ギャラクシー・オブ・ギンガ」となり、ギンガクロスシュートの威力がさらに高まる。

 

『ギンガギャラクシークロスシュート!!!!!』

 

そしてギンガとジャンナインの合体光線はザギの光線を押し戻して行き、やがて完全に押し戻されるとザギはギンガとジャンナインの合体光線に貫かれ、エナジーコアを破壊されて空中で大爆発を起こした。

 

『ヴアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!?』

 

そのままギンガとジャンナインの光線は月の欠片に直撃し、月の欠片を破壊したのだが……、ザギの爆発の炎ににギンガとジャンナインは巻き込まれそうになる。

 

『クソ、もうテレポーテーション出来る力も殆ど残ってねえ! エネルギーが足りない!』

「このままだと巻き込まれるぞ!」

 

するとあろうことか、ギンガは隣にいるジャンナインの腕を掴み、力一杯にジャンナインをスウィングし、地球へと投げ飛ばした。

 

「うあああああああ!!!? コウマ、お前なにしてんだ!!?」

『クリス、お前の夢、叶えろよ』

 

それだけ言うとギンガは爆発の炎に巻き込まれ、ジャンナインはそのまま地上へと叩き落とされるとクリスは空を見上げてコウマの名を、その瞳から涙を溢れださせながら叫んだ。

 

「コウマアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

 




ゼロは敢えてシャイニングにしませんでした。


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14Eve 夢、想い

あれから3週間が経った、しかし、コウマは一向に帰っては来なかった。

 

タロウや二課のメンバーが幾ら探そうと、コウマの姿は決して見つかることはなかった。

 

そして……、彼や、彼の仲間達と関わり、本当の夢を見つけた少女……「雪音クリス」はタロウと一緒にコウマの家に訪れていた。

 

クリスはタロウのテレポート能力で悪いとは思ったが彼の家に勝手に上がり込み、クリスは1日半ほどしか一緒に過ごしていないが、彼のこの家の風景を見て……、コウマと過ごした時間を思い出し、自然と彼女の瞳から涙が溢れ出ていた。

 

「バカ……! なに、自分を犠牲にしてんだよ、夢を叶えるんじゃなかったのかよ、コウマ……! あたしは、あたしは出来ることならお前と一緒に夢を……!」

 

彼の夢と、自分の夢はやり方は違えどほぼ同じだと言って良かった、世界中のみんなを「笑顔」にするという同じ夢を持つから……。

 

なにより、彼女はこの胸の想いを……、まだコウマに伝えていないから。

 

そんな時だった、街にノイズとダークライブし、怪獣に変身した人間が現れて暴れているという通信を弦十郎から受けたクリスは急いで現場に急行し、途中で響と翼と合流する。

 

「クリスちゃん、もしかして……泣いてた?」

 

道を走って現場に向かっている途中に合流した響にそう問いかけられ、クリスは自分の目が赤くなっていることに気付き、「泣いてなんか……!」と否定しようとしたが、そんな彼女の頭に、翼は手を置く。

 

「心配するな、来元は必ず帰ってくる。 そういう男だ、あいつは」

「……当たり前だ、でなきゃあいつのドタマに風穴開けてやる」

 

翼の言葉にクリスはそう返し、現場に着くと巨大な金色のロボット「宇宙ロボット・キングジョー」と巨大ノイズが3体、小型ノイズが複数おり、クリスはジャンナインを実体化させてコックピットに乗りこむ。

 

「行くぞ、ジャンナイン!!」

「「~♪」」

 

また、翼と響もシンフォギアを纏ってノイズ達に向かって行き、ジャンナインも同時にキングジョーへと駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃……。

 

『イカカカ~、まだ我輩は負けてないんだイカ~! この隙に奴の持っている全てのスパークドールズを集めてやるんだイカ~!』

 

実はタイラントが倒された際、彼だけはなぜかスパークドールズに戻らず、実体化したままコウマの所持していたスパークドールズを奪うチャンスをずっと伺っていたのだ。

 

イカルス星人は窓を突き破ってコウマの家に侵入し、スパークドールズの入ったSDケースを探すが、そこにタロウが現れる。

 

『イカルス星人! 倒されていなかったのか!』

『タロウ! 邪魔をするなイカ!』

『そうはいかん! ウルトラ~念力!!』

 

タロウはウルトラ念力を使ってイカルス星人を家の外まで吹き飛ばすが、その時、刃物のようなものがタロウへと放たれ、タロウは慌ててその飛んできた刃物をかわす。

 

『今だイカ!!』

 

イカルス星人はその隙を突いてタロウを掴みあげ、床へと強く投げ捨てるとタロウはぶつかり所が悪かったのか、そのまま気を失ってしまった。

 

『うわあああ!!?』

『イカカカ、助かったイカ~!』

 

イカルス星人は後ろを振り返ると響達と同じ「シンフォギア」を纏った2人の少女が立っており、その内の1人は「別に」っと素っ気なく返した。

 

「そうデス、これは『彼』にも力を与えるために止むなく……」

「だから、あなたなんかにお礼を言われる筋合いはない」

『まあ、なんでも良イカ』

 

イカルス星人はコウマの家中をあさり、SDケースをやがて発見し、中身を確認するとそこには確かにスパークドールズ達が入っており、イカルス星人は「ウルトラマンゼロ」のスパークドールズを手に取る。

 

『イカカ、これが目的の物イカね、ほれ!』

 

イカルス星人は2人の少女にゼロのスパークドールズを渡すと2人の少女はお互いに頷き合い、「先に行ってる」とイカルス星人に伝えた後、その場を去って行った。

 

『さて、それでは他のスパークドールズも……』

『そうは、させるか!』

 

そこに、目を覚ましたタロウが現れ、ウルトラ念力でイカルス星人を吹き飛ばし、タロウはSDケースの上に立ってそのままケースと一緒にテレポートしてその場を離れた。

 

『あぁ!? ぐう、おのれ~! タロウ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、キングジョーとジャンナインはお互いの両手を掴みあい、パワー勝負を繰り広げていた。

 

「結構なパワーだな、だが、パワーならこっちが上なんだよ!!」

 

クリスがそう叫ぶとジャンナインはキングジョーを押し返して行き、膝蹴りをキングジョーの腹部に叩きつけた。

 

キングジョーは蹴られた腹部から火花を散らしてその攻撃に怯み、続けざまにジャンナインの拳がキングジョーの顔面に叩きこまれる。

 

「このままジャンスターダストで……!」

 

クリスは必殺技を発動させようとしたがその時、背後からジャンナインは何者かの光線のような攻撃を受けて倒れそうになるがどうにか踏みとどまった。

 

「新手だと!?」

 

ジャンナインが振り返るとこちらに向かって青い球体が迫っており、青い球体はジャンナインを弾き飛ばすように激突し、その攻撃に怯んだが、そこまで酷いダメージは無かった。

 

やがて、青い球体は実態を表し、「宇宙怪獣ベムラー」の姿へと変わり、キングジョーと肩を並べてジャンナインに向かって行った。

 

ジャンナインは右腕をロケットのように飛ばす「ジャンナックル」をキングジョーに放つが、キングジョーは身体を4つのパーツに分離させて攻撃を回避し、4つのパーツからそれぞれレーザーがジャンナインに放たれる。

 

さらにベムラーは口から吐く青色熱光線をキングジョーのレーザーと同時に発射し、ジャンナインは地面へと倒れこむ。

 

「くあっ!?」

「クリスちゃん!」

 

響が足部ユニットを使って空高く飛び上がると響は腕部ユニットにエネルギーを装填し、それを相手に撃ちこむパンチをベムラーの胸部へと繰り出し、ベムラーはほんの少しだけ後ろに下がるが、響の攻撃には殆どダメージが無かった。

 

「ならば!」

 

今度は翼がアームドギアを振るって蒼ノ一閃をキングジョーのパーツの1部に放つが、キングジョーの頑丈なボディには傷1つつかない。

 

「どうすれば……!」

「そんな弱音、吐いてたらダメですよ翼さん! コウマくんなら、そう言う筈です!」

「……そうだな」

 

苦い表情をする翼に響がそう笑顔で語りかけ、自分達の周りを囲み、襲いかかってくるノイズを、2人は迎え討った。

 

翼の背後から襲いかかってきたノイズを響が拳で殴りつけて消滅させ、響の背後から迫って来たノイズを翼がアームドギアで切裂き、2人はお互いの背中を守りながらノイズと戦い合う。

 

「ぐああああああああ!!!!?」

 

そこに、キングジョーの様々な方向から来る攻撃を受けてジャンナインはスパークドールズへと戻り、コックピットに乗っていたクリスもコックピットから落ちてしまう。

 

しかも、一応ジャンナインに乗る際にシンフォギアを纏っていたとはいえ彼女の周りには既にノイズが取り囲んでおり、さらにクリス目掛けて巨大ノイズとベムラーの吐く光線が彼女へと襲いかかった。

 

「クリスちゃん!」

「雪音!!」

 

響と翼がクリスに叫ぶが……、クリスの目は、まだ諦めてはいなかった。

 

「まだだ、あたしは絶対に夢を叶える……! だから、こんな所でやられる訳に行くかアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

クリスがそう叫んだ直後、目の前が真っ暗になった……、否、正確には目の前に「なにか」が現れたと言った方が正しいだろう。

 

そしてクリスが上の方を見上げると、そこには赤く、巨大な背中があった。

 

「おっせえんだよ、バカ……! 夢バカ……!」

 

クリスは目尻に涙を溜め、目の前にいる巨大な巨人……「ウルトラマンギンガ/来元コウマ」に向かって呟いた。

 

『シュア!!』

 

ギンガは高速で動くとキングジョーのそれぞれのパーツを一気にかき集めてベムラーに投げつけ、ベムラーはキングジョーの全パーツをぶつけられて倒れこみ、キングジョーのパーツは急いでベムラーから離れ、ベムラーもすぐさま立ち上がるが、ギンガに頭を鷲掴みにされて空中へと投げ飛ばされ、空中で合体したキングジョーに激突して2体は地面に真っ逆さまに落っこちる。

 

そこに翼が飛び上がり、空中で投擲したアームドギアを巨大化させ、それを敵に向かって蹴り貫く「天ノ逆鱗」をキングジョーに繰り出し、ギンガは全身のクリスタルを青く輝かせて身体を粒子へと変えるとその粒子は翼に纏わり、翼と翼の蹴るアームドギアは回転してキングジョーのボディを貫く。

 

元の姿に戻ったギンガは今度は全身のクリスタルをオレンジに輝かせ、再び粒子化して粒子化したギンガは響に纏わり、響も飛び上がってベムラーを殴りつけ、殴られたベムラーは大きく吹き飛ぶ。

 

「「行けぇ!! 2人とも!!」」

 

翼と響がクリスとギンガ、コウマにそう叫ぶと元の姿に戻ったギンガは全身のクリスタルを赤く輝かせて身体を粒子化させ、クリスに纏わるとクリスは巨大は大砲を出現させる。

 

さらに、クリスの右肩を響、左肩を翼がそっと手を置き、3人は大砲にエネルギーをチャージさせ、そしてクリスは……引き金を引く。

 

『「「「シンフォギア!! ギンガ!!」」」』

 

そしてエネルギーと化したギンガが発射され、ギンガはベムラーの身体を貫き、逃げようとするキングジョーも追いかけ、そのままキングジョーの身体をギンガは貫き、ベムラーとキングジョーは爆発を起こして倒されたのだった。

 

『グアアアアアア!!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギンガはコウマの姿に戻り、響達もシンフォギアを解除してコウマとクリスが早速顔を合わせると……、コウマは戸惑った様子で「た、ただいま」とぎこちない様子でクリスに言うが……。

 

「っ! こんの……!!」

 

クリスはコウマに近寄ると彼の頬を思いっきりぶん殴り、コウマは予想していたとはいえあまりの痛さに涙が出ていた。

 

だが、その直後にクリスはコウマを抱きしめたのだ。

 

「わッ、クリス!?////」

「もう、もうあたしを置いてどこにも行くなよな! あたしは……あた、しは……///お前が、お前が……!////好き……、なんだから////」

 

正直、クリスは頭が爆発してしまうのではないかというくらいに恥ずかしく、顔を真っ赤にしていた。

 

同時に、不安でもあった、普段は素直になれない自分が勇気を持って告白はしたが、コウマが果たして自分と同じ感情を自分に向けてくれているのかどうかということに。

 

「よし、出来た!」

「んっ? はっ、えぇ!?」

 

何時の間にか、コウマは自分のつけていたリボンを解いており、変わりにピンク色の可愛らしいリボンを彼女につけていたのだ。

 

「心配かけたからな、これは俺からのプレゼントだ。 うん、よく似合う」

「えっ、あっ……、そ、そうか? ってそんなのは今は良いんだよ! それよりもあたしの話聞いてたか!?」

「当たり前だろ、好きな娘が……、告白してくれたんだから///」

 

顔を赤くしながら言うコウマのその言葉を聞いたクリスは「えっ」と戸惑い、コウマの今の言葉の意味を理解すると徐々に顔を赤くして行った。

 

「なっ、なっ////ってことはお前……!///」

「俺は、雪音クリスが……大好きです!」

 

コウマはそう言ってクリスを抱きしめ返すと、ほんの少しの時間、一瞬の出来事だが……、彼女の唇に自身のを重ね合わせた。

 

それを見た響は「ニヤニヤ」とした表情でクリスとコウマを見つめ、翼は「ほう」となにやら感心の声をあげていた。

 

「やるね~、クリスちゃん!」

「おめでとう、雪音、来元」

 

しばらくその状況が飲み込めないクリスであったが、今、自分がなにをされたのか段々と分かって行くと頭から「ボンッ!」と煙を出し、顔全体を真っ赤にさせて「なにすんだ!!」と彼に殴りかかろうとする。

 

だがコウマはその腕を掴んでクリスを抱きしめ、コウマは悪戯っ子のような笑みをクリスに浮かべて見せた。

 

「もう1回言うけど、俺はクリスが大好きだよ?」

「っ////んなもん……、あたしだってお前が大好きだよ! この夢バカ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~戦姫絶唱シンフォギアGinga 完~

 

 




なお、コウマは今までどこにいたかというと裏設定では過去作品のウルトラマン達の世界を回っていた……ということで。


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設定集

来元(らいもと)コウマ/ウルトラマンギンガ

年齢15歳

性別男

一人称「俺」

誕生日は7月10日。

夢は冒険家になって貧しい国で暮らす人達と仲良くなり、その人達を笑顔にすること。

戦姫絶唱シンフォギアGingaの主人公。

中学時代は響と未来と同じ中学であり、未来と同じく響を支えていた人物の1人だが、基本的には未来の方が支えていた。

そのせいか、作中では響に対して「お前には嫁の未来がいるだろ」という冗談と思われる台詞をよく吐くが、実はこれは本気で言っていたりする。

中学卒業後、海外へと両親と共に旅立ったが、すぐにギンガスパークに呼び寄せられて一時帰国し、実家の神社でギンガスパークを見つけてそこでタロウと出会い、タロウの頼みを聞いてスパークドールズ探し手伝うこととなる。

その際にもダークライブした人間と戦ったこと、タロウに鍛えられたことからそれなりに戦えるようになっている。

それと中学時代の付き合いと「真っ直ぐに一直線!!」な性格だからかやたらと響と絡むが、別に響がヒロインという訳では無く、どちらかと言えば彼女は主人公の相棒ポジションで、当の本人も響に対する恋愛感情は未来のこともあって持っていない。

また、絡みは話の都合上、少ないが未来とも仲は良い様子。

それと女子高である筈のリディアンに何回か当たり前な顔して普通に侵入しているが、響も未来も気にしていないようなので特に問題ないだろう。

因みに、響と未来が話し合っている時などに自分も会話に参加しているのにも関わらず、2人からは存在を気付かれていないというパターンが多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンギンガ

来元コウマの変身するウルトラマンギンガ。

シンフォギアGingaのウルトラマンギンガは原作同様怪獣に変身してから変身するパターンが多い。

なぜそのようなことが出来るかは不明。

まあ、つまり……カメンライドはディケイドから変身しないと出来ないのと一緒ということである。

劇中ではメビウス・ブレイブ、レオ、80、ネクサス、ソウル、ティガにライブし、ティガとソウル、メビウス以外は全員ほんの少しだけ声を発している。

またギンガセイバーを通常の剣としても使用しており、「ギンガセイバースラッシュ」というオリジナル技もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャラクシー・オブ・ギンガ

未来達の応援により誕生した背中に宇宙のオーロラを纏ったギンガの最強形態。

コウマの体力が消耗していたとはいえゼットン、ダークバルタン、ギンガを圧倒したダークザギとも互角に渡り合えるほどの戦闘力を有しており、自身の身体を金色に一瞬輝かせて強烈な衝撃波を放つ「ギンガライトフラッシュ」両腕にエネルギーを集め、両腕を前に突き出して放つ光線「ギンガギャラクシーブラスト」といったオリジナルの技やギンガファイヤーボールやギンガセイバーなどの強化技なども使用出来る。

序盤ではザギと激戦を繰り広げたがザギがフィーネと完全聖遺物と融合したザギ・パーフェクションの前では響、翼、クリス諸共苦戦を強いられるが……、歴代の平成ウルトラマン達に応援され、シンフォギア奏者達と同化して真の力を発動した。

真の力はグリッターティガ、ノア、メビウス・フェニックスブレイブといった強化ウルトラマン達の変身が可能になるというもので、その力でザギ・パーフェクションと互角以上に戦い合った。

ちなみにアグルV2やマックスといった強化形態のないウルトラマンでもザギと戦い合えたのはネクサス最終話のノアの状態にかなり近いため、本来以上の力を爆発的に発揮したため。

また、響達とも同化しているためにシンフォギアの技が一部使用可能となっている。

劇中ではスーパータロウ、グリッターティガ、ダイナ・グリッターバージョン、ガイア・スプリームヴァージョン、アグルV2、コスモス・フューチャーモード、ジャスティス・クラッシャーモード、レジェンド、ノア、マックス、メビウス・フェニックスブレイブ、メビウス・インフィニティー、ウルティメイトゼロへの変身を行っている。

ちなみに奏者とは一時的な分離も可能である。

 

 

 

 

 

 

 

 

邪悪なる暗黒破壊神・ダークザギ・パーフェクション

ザギが3つの完全聖遺物、デュランダル、ネフシュタン、ソロモンでフィーネが生み出した黙示録の赤き竜と融合した強化形態で身体が全体的に血のように赤くなり、腹部には赤き竜の顔を思わせる模様、背中には翼のような「ザギイージス」が加わった姿をしている。

戦闘力も通常のザギよりも極めて高い上に高い再生能力も持つ。

しかもエナジーコアを破壊してもネフシュタンの再生能力によって再生するなど、まさに不死身と言える存在でギャラクシー・オブ・ギンガと響達を苦戦させた。

だが、エナジーコアの中にフィーネが隠れていたためにそこを突かれてクリスと翼の連帯でデュランダルを奪われ、完全聖遺物同士の衝突ならば再生しないという弱点を突かれ、デュランダルの力による攻撃を受けたために再生能力が起動せず倒されたが……ザギ自体は健在だった。

その後、ザギは宇宙空間でギンガとジャンナインの手で遂に倒された。

 

 

 

 

 

 

 

邪悪なる暗黒破壊神ダークザギ

一応、本編での彼の活躍などについても説明。

異形の手のモノがフィーネに渡したスパークドールズの1体。

フィーネが変身するのではなく、フィーネが召喚する形で登場した第1部のフィーネとラスボス的な存在。

タイラント戦で消耗しているとはいえ、初代やマックスを圧倒して倒したゼットンとダークバルタンにライブしたコウマを圧倒し、ゼットンの技もダークバルタンの技も一切通用しなかったほどでその上ギンガさえも圧倒的な強さで大苦戦させた。

マジでネット紳士無双である。

だが、一時的に本来の姿に戻ったタロウが加わったことでほんの少しだけ形成逆転されるが……、タロウとギンガの合体光線すら打ち破り、タロウが出したウルトラダイナマイトを喰らっても平然と立ち上がってそのままギンガを倒してしまうなど、普通ならばタロウが駆けつけた時点で勝利フラグなのにそれすらもザギはヘシ折った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

諸星零無/ゼロダークネス/ウルトラマンゼロ

年齢15歳。

一人称は「俺」

家族構成などは不明であり、なぜかナスターシャの元でマリア達と一緒にいる。

F.I.S側の主人公であり、その昔はマリアの実妹であるセレナに好意を持っており、彼女に告白することが自分自身の「夢」となっていたがセレナが死んでしまったために「夢を持たなければこんなにも辛い想いをすることはなかった」と思うようになってしまい、その上彼女を守れなかった後悔もあって夢を否定するようになってしまった。

しかし、それでも尚セレナのことは引きずっており、彼女の映っている写真を持ち続けている。

ダミースパークを使ってゼロダークネスへと変身するが……原作と同様の能力や戦い方などは行えるものの戦闘力がかなり落ちてしまっている。

それでもギンガとほぼ互角に戦えるくらいの戦闘力は持っており、コウマとは何度も激突している。

またマリア達同様に根っからの悪人ではなく、ウェルが殺そうとした子供たちを庇ったり、暴走する響を止めようとしたり、マリア達仲間を本当に大切に想っていたりと悪人としては不向きの性格をしている。

尚、切歌に不意にキスされたのを切っ掛けに段々と彼女をなによりも大切に想うようになり、コウマ達との関わりあいなどもあり過去のことを完全に吹っ切れさせ、「新しい夢」を見つけ出すことができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンゼロ・アーリースタイル

ゼロダークネスとは逆に光の力でゼロとべリアルが融合したウルトラマン。

身体の黒かった部分は青色に変わっており、さらにはプロテクターがなくなったという姿をしている。

べリアルとゼロの技が使用可能であり、2人の技を合体させた技も使用することができる。



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15Eve 黒いガングニール、黒いウルトラマン

フィーネという1人の女性がカ・ディンギルという兵器を用いて月の破壊を試みた事件「ルナアタック」を歌によって力を増す「シンフォギア」を纏いし3人の少女と、1人の巨人に選ばれた少年が阻止してから3カ月が経った時のこと……。

 

フィーネがこの世界の脅威である「ノイズ」を呼び出し、自在に操ることが可能となるシンフォギアと同じく「聖遺物」と呼ばれる「ソロモンの杖」を解析するため、1つの列車がそれ専門の研究所に向かっていた。

 

だがその途中、空中を飛ぶノイズが出現し、ソロモンの杖をまるで狙うかのように追いかけてきていたのだ。

 

ノイズはシンフォギアを纏った者、または光の巨人の力を持つ者でなければ触れることは出来ず、もしもそれ以外の人間がノイズと接触した場合、その人間はノイズ諸共灰になって消滅する。

 

既に列車にいた何名かは列車に進入したノイズの餌食となり、ノイズに対抗するための組織「特異災害対策機動部二課」のオペレーターの1人の女性「友里(ともさと)あおい」が列車にノイズが飛び込んできた衝撃で倒れこむ。

 

それを「大丈夫ですか!?」と白衣を着た男性「ウェル博士」が彼女を心配し、あおいは平気だと頷いて見せた。

 

「それよりウェル博士は前方の車両に避難してください!」

「え、えぇ!」

 

その時、後ろの車両の扉が開きそこから2人の少女「立花響(たちばなひびき)」と「雪音クリス」、そして胸ポケットに3本の角がある「ウルトラマンタロウ」の人形を入れた少年「来元コウマ」が駆けつけた。

 

「大変です! 凄い数のノイズが追って来ます!」

「連中、明らかにこっちを獲物と定めていやがる! まるで、何者かに操られてるみたいだ」

 

クリスは険しい表情をしつつ、「誰かが操っているかのような動きをする」ノイズに疑問を抱いたが、ノイズを操るためのアイテムは今ウェルが持っている「ソロモンの杖」のみの筈、コウマは今度は自分の抱いた疑問をクリスへと投げかけてみるが……彼女は首を横に振って「分からない」とコウマに応えた。

 

(もしや、闇の支配者が……? いや、闇の支配者ならノイズなど使わずに、怪獣を使ってくる方の可能性が高い……?)

 

タロウも今自分達を追ってきているノイズが一体なんなのか、頭の中で考えるがやはり誰がどのようにして操っているのかは分からなかった。

 

「兎に角、先ずは前の車両に進もうぜ?」

 

コウマの言葉に一同は頷き、一同はノイズから逃れるために前の車両へと移動して行く。

 

その頃、モニターから列車の様子を伺っていた二課本部では司令官の「風鳴弦十郎(かざなりげんじゅうろう)」もクリスと同じ疑問を抱き、またノイズ達の様子からしてもやはり誰かがノイズを操っているのだと弦十郎はほぼ確信し、ノイズやはソロモンの杖を狙っているのだと考えた。

 

そして場所は戻り、響達はウェルを引き連れて前の車両に移動し、あおいは本部に状況を携帯で伝え、ウェルは三カ月前に起こった「ルナアタック」のこと、またそれを引き起こした張本人である「櫻井了子(さくらいりょうこ)」こと「フィーネ」について語り出した。

 

「三か月前、日本中に衝撃を与えた『ルナアタック』を契機に日本政府より開示された『櫻井理論』の殆どが未だ謎に包まれていますが、回収されたこのアープセプター『ソロモンの杖』を解析しノイズに対抗しうる新たな可能性を模索することが出来れば!!」

 

するとその時、クリスが立ち止まると彼女は自分の拳を握りしめ、ウェルが持っているソロモンの入ったケースを見つめた。

 

「そいつは、ソロモンの杖は簡単に扱っていいもんじゃねえよ。 最も、私にとやかく言う資格はねえんだけどな……」

「クリス……、そんな暗い顔すんなって!」

 

暗い表情を浮かべるクリスとは逆に、コウマは笑顔を浮かべて彼女の頭をワシャクシャと撫で廻し、クリスはそんなコウマの手を鬱陶しそうに頬を赤くしつつ払い除けた。

 

「な、なにしてんだよお前!?////」

「そんな風に、辛そうな顔見せられたらこっちまで辛くなっちまうよ。 好きな子なら尚更な」

 

コウマはサムズアップして笑みをクリスへと浮かべ、クリスはさらに顔を真っ赤にしてそのまま俯いてしまうが……。

 

「すいません、2人だけの世界に入ろうとしないで貰えますか?」

 

ウェルからツッコミが入るが……別にこんな時に2人の世界に入ろうだなんてコウマもクリスは考えてはいない。

 

コウマはウェルにそのことを謝罪し、コウマは響とアイコンタクトを取ると響はコウマがなにを伝えようとしているのか理解し、響は彼女の手を握りしめた。

 

「わッ、こ、今度はなんだよお前!?」

「大丈夫だよ、クリスちゃん!」

 

コウマと同じように、辛そうな表情をしていたクリスとは正反対に真剣な表情でそう言い放つ響、手を握られたクリスはそれが恥ずかしかったのか「お前、ホントのバカ!」と響に怒鳴りつけて彼女の手を離した。

 

そこにノイズ達が列車の屋根からノイズの身体の一部が侵入し、響が「行きます!」と叫ぶとクリスもそれに頷き、2人は……「歌」を口ずさんだ。

 

「「~♪」」

 

シンフォギアを纏った響とクリスは車両の屋根を突き破って車両の上に飛び移り、クリスと響は並び立って飛行するノイズ達の前に立ちはだかった。

 

「全くウジャウジャと出やがって!」

「どんな敵がどれだけ来ようと! 訓練してきたあのコンビネーションさえあれば!」

 

気合いを入れる響だが、クリスからは「『アレ』はまだ未完成だろうが! 実戦で踏み込むなんておかしなこと考えてんじゃねえぞ」と指摘されるも響はクリスに振り返って笑顔を向ける。

 

「うん! とっておきたい、とっておきだからね!」

「フンッ、でもまあ、分かってんなら言わせんな」

 

聖遺物のエネルギーが武器の形に固定されることで発生し、元となる聖遺物の形態と装者の心象によって異なる武器に変化する「アームドギア」をクリスは生成し、ボウガン型のアームドギアをクリスは構える。

 

「背中は預けたからな!」

「任せて!!」

 

響は拳を握りしめて歌を歌い出す、なぜ歌う必要があるのか、それは歌によってシンフォギアを纏う者「装者」は歌うことで力を増すからだ。

 

挿入歌「正義を信じて、握りしめて」

 

クリスはボウガンから放たれる赤い矢をノイズ達に連射し、飛行するノイズ達を次々とその矢で貫く。

 

自分に向かってきたノイズの一体をパンチで粉砕し、背後から迫ってきたノイズも後ろ廻し蹴りで砕き、さらに自分の前を横切ろうとしたノイズもパンチ1つで砕く。

 

さらにクリスの背後に迫って来たノイズを響が瞬時に殴りつけ、響は足を振り上げてノイズの一体を倒した。

 

両手のクロスボウ「アームドギア」からクリスタル状の巨大な矢を複数空中に放ち、その矢が遥か上空で空を覆い尽くす程の無数の小さな矢に分裂後、それら全てがエネルギー状の矢に変化して一斉に降り注ぎ敵を殲滅させる「GIGA ZEPPELIN」をクリスは繰り出してノイズを倒す。

 

さらに空中の……3ヶ月前、装者3人が力を合わせることでやっと倒せた巨大な飛行ノイズ諸共、大量のノイズを彼女は殲滅した。

 

そこでクリスはこのノイズ達を仕切っていると思われる飛行ノイズを発見しアームドギア全体を固定砲台形式に変形させ、ガトリング砲と小型ミサイル、大型ミサイルをクリスはノイズ軍団を仕切っているノイズに向かって放つが、そのノイズは高速で動いて殆どの彼女の攻撃をかわしてしまう。

 

変形したアームドギア4門の3連ガトリング砲からの一斉掃射して攻撃する「BILLION MAIDEN」をクリスはそのノイズに放つが、ノイズは変形し、防御力を強化してノイズにしては珍しく、硬いボディを持った形態となった。

 

「クリスちゃん!!」

 

腕の槍状のバンパーを展開し、響はそのノイズに向かって跳びあがり、そしてバンカーが戻る反動を利用することで強化されたパンチをそのノイズに叩きこんだが、結局は弾き返されてしまった。

 

その弾き返された時に、響は偶然気付いたのだが……黒い身体を持った巨大な怪獣……「用心棒怪獣ブラックキング」が列車を追い掛けて来ていた。

 

「なっ……はえ!? かかかかか、怪獣!?」

 

まだ列車とは少し距離があるが、ブラックキングは走って来ているため追いつかれるのも時間の問題だった。

 

響は車両の上に戻るとブラックキングのことをクリスに話し、クリスはそのことを聞いて舌打ちする。

 

「チッ、こっちはただでさえ立てこんでるってのに、怪獣まで来やがったのか。 コウマ! 聞こえるか!?」

 

クリスは通信機を使ってコウマに連絡をとり、連絡を受けたコウマはすぐにクリスの応答に出た。

 

そしてクリスはコウマに怪獣が迫って来ていることを話し、コウマはそのことに頷くと彼はコートの内ポケットから白い短剣のようなアイテム「ギンガスパーク」を取り出し、さらにどこからともなくその手に一体の怪獣の人形を取り出して怪獣の足の裏にギンガスパークの先端を押し当てる。

 

『ウルトライブ! レッドキング!』

 

コウマは光に包まれ、光に包まれたコウマは列車から飛び出ると光は変化し、どことなくブラックキングにも似た怪獣「どくろ怪獣レッドキング」へとコウマは変身した。

 

『ギャアアアアオオオオオオオ!!!!!』

 

レッドキングは雄たけびをあげながらブラックキングへと駆けだして行き、ブラックキングはレッドキングと掴みあいとなる。

 

『この!!』

 

レッドキングは自前のパワーでブラックキングを押し返して行き、そのままブラックキングを突き離してブラックキングの右腕を掴み、背負い投げを繰り出した。

 

『グアアアアアアッ!?』

 

レッドキングはすかさず攻撃を繰り出そうと蹴りを放つもブラックキングは膝を突きながらも起きあがり、両腕を交差して蹴りを防いで耐え抜いて立ち上がると頭突きをレッドキングに繰り出した。

 

『いでっ!? やったなこの野郎!!』

 

負けじとレッドキングもブラックキングに頭突きを繰り出し、ブラックキングはふら付き、今がチャンスだと考えレッドキングは偶然落ちていた巨大な岩を持ち上げてそれをブラックキングに投げつけようとするが……。

 

ブラックキングは口から煙幕を吐きだし、レッドキングの視界を奪った。

 

『なッ!?』

 

目の前が真っ白に染まったレッドキングはブラックキングの攻撃を警戒するが……、ブラックキングは背後から頭の角でレッドキングの背中を差し、さらにはレッドキングは持っていた岩を落とし、それが足に直撃してしまう。

 

『いってええええええええ!!!!? 二重でいてえええええええ!!!!? くそ、散々やってくれるじゃねえか……、倍にして返してやるぜ!!』

 

コウマがギンガスパークを掲げるとギンガスパークの左右のブレードが展開し、そこから1体のウルトラマンの人形、「スパークドールズ」が出現する。

 

『待ってたぜ、ギンガ!』

 

コウマが「ギンガ」と呼ばれた人形を手に取り、足の裏をギンガスパークの先端に押し当てるとブラックキングの光の空間の中にいるコウマは眩い光へと包まれ、そして地上に青いクリスタルのある光の巨人……「ウルトラマンギンガ」が降り立った。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

 

ファイティングポーズをとるギンガ、ブラックキングは雄たけびをあげてギンガに駆けだして行き、ギンガへと右拳で殴りかかるがギンガは左手でそれを受け止め、ブラックキングの腹部に5発連続の蹴りを叩きこんだ。

 

『デイヤッ!!』

『グウウウウウウ!!!?』

 

ブラックキングは腹部を抑えてギンガから距離をとり、ギンガを睨みつけて煙幕を放ちギンガの視界を奪おうとするがギンガは腕を一振り大きく振るって煙幕を払い除けた。

 

『ギンガを、舐めんなよ!!』

 

ギンガは高く跳びあがるとそのまま跳び蹴りをブラックキングへと繰り出し、ブラックキングは地面へと倒れこむ。

 

ブラックキングはなんとか立ちあがり、ギンガに攻撃を仕掛けるがギンガは自身の身体のクリスタルの色を黄色に輝かせる。

 

頭上に発生させた雷の渦を敵に向かって投げつける電撃光線「ギンガサンダーボルト」をブラックキングにギンガは炸裂させる。

 

『ギンガサンダーボルト!!』

『グウウウウウウウウウ!!!!? ガアアアアア!!!!!?』

 

ギンガサンダーボルトを喰らったブラックキングは威力に耐えきれずに爆発し、スパークドールズの姿へと戻った。

 

だが……ブラックキングにダークライブしていたと思わしき人物が……見当たらなかったのだった。

 

『どういうことだ……?』

 

その頃、列車の方では……。

 

「あん時みたいに飛べる『エクスドライブモード』ならこんなノイズに手こずることねえのに!」

「ってクリスちゃん!?」

 

クリスは響に呼ばれて振り返るとそこには……トンネルがあった、このままでは2人ともトンネルにぶつかって死にはしないだろうが「バーン」である、響はクリスを抱えて車両の屋根に穴を開けて列車内に再び入る。

 

「わ、わりぃ、助かった!」

『随分と性格も丸くなったよなぁ、クリス?』

 

そこに、何の前触れも無くいきなり「等身大」になったウルトラマンギンガが現れ、響もクリスも突然のことに驚きの声をあげた。

 

「おわああ!!? こ、コウマお前なにしてんだ!?」

『いや、まだ制限時間はきてないからこっちを手伝おうかと思ってな』

 

その時、響が「そうだ!」と声をあげた、なにかを閃いたようだ。

 

「こういうの師匠の戦術マニュアルで見たことがある!! こういう時は、列車の連結部を壊してぶつければ良いって!」

「はあ、おっさんのマニュアルは面白映画だろ? そんなの役に立つものかよ? 大体、ノイズに車両ぶつけたってあいつ等擦り抜けるだろ?」

「ふっふーん、ぶつけるのはそれだけじゃないよ!」

 

響のその言葉にクリスとギンガは顔を見合せながら首を傾げる。

 

それから響とクリス、ギンガは一度車両の外に出てクリスがアームドギアで列車の連結部を破壊し、響はそれを蹴りつけて完全に後ろの車両を前の車両と切り離す。

 

「サンキュークリスちゃん! これで!!」

 

クリスはこれで良いのかはだはだ疑問だったが、響はそのまま列車から飛び下り、右腕のバンカーを展開させて「歌」を再び歌い出す。

 

だが、響の背後を狙うかのように闇の光弾のようなものが響へと放たれ、等身大のギンガはそれを手で弾いた。

 

『お前、なにもんだ!』

 

いきなり背後から響を奇襲したのは……「ダークダミースパーク」と呼ばれるアイテムを持った1体の宇宙人……「暗殺宇宙人ナックル星人グレイ」である。

 

『お初にお目にかかるわねぇ、ウルトラマンギンガ?』

((オカマなの、こいつ……))

 

ギンガと響はグレイが男声なためそう判断し、「オカマの宇宙人って……」とどこかどうでもいいことに思いつめる2人だった。

 

『と・に・か・く! 邪魔はさせないわよぉ~』

『それはこっちの台詞だし、邪魔してんのはどっちだってんだ! 響! そっちは任せる!』

「うん! 任せて!!」

 

ギンガはグレイへと向かって駆けだして行き、拳を放つがグレイは瞬間移動能力を使ってギンガの攻撃を避ける。

 

『レディに向かって殴るなんてあなた男として最低だと思わないの!?』

『少なくともお前みたいな奴には思わない』

 

ギンガは身体の色を紫に光らせ、頭部のクリスタルから放つ光刃「ギンガスラッシュ」を放ち、同じく列車から降りたクリスもギンガと同時にアームドギアから矢をグレイへと発射する。

 

グレイはダミースパークを使って障壁を張るが、2人の同時攻撃に障壁は打ち砕かれて2人の攻撃を受けてグレイは吹き飛ぶ。

 

『ありゃ~!? もう、なによ!』

 

グレイはそれだけを言い残してあっさりと消え去り、グレイの予想以上の弱さにクリスもギンガと唖然としてしまう。

 

そして響は……拳を力の限り前へと突き出し、背中のブースターが火を吹き、真っ直ぐ切り離した車両の中に侵入してきたノイズに向かって飛んだ。

 

「とっべえええええええええ!!!!」

 

切り離した車両から出てこようとしたノイズを響は殴りつけ、車両はノイズ諸共爆発、シンフォギアの攻撃によって起こされたその爆発はトンネルを潜り抜けようとしてきた他のノイズ達をも巻き込み、次々と炎の中に消えやがて……全滅した。

 

響は登る朝日をバックに、再び大地に降り立つ。

 

(閉鎖空間で相手の機動力を封じた上、遮蔽物の向こうから重い一撃、あいつ……どこまで!)

「すっげ、ジャンク・〇ォーリアーだよ今の! なあ、クリス!」

「分かった分かった……」

 

なにかはしゃいでいるコウマに呆れるクリスだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ウェル達が避難した列車の中ではあおいが「本部と連絡を取るので」とウェルに伝えた後、あおいは別の車両へと移動し二課と連絡を取ることになり、今ここにはウェルのみが残された。

 

「数秒」の間だけ……。

 

ウェルの前に、先程撤退したグレイが出現したのだ。

 

「っ!? なんだ、お前は!?」

 

ウェルはグレイの登場に驚き、目を見開くが……。

 

『フフッ、そう怖い顔をしないで? それよりも、あなたに1つ、言っておきたいことがあるの……』

「言っておきたいこと?」

『あなたは闇の支配者様の力に大いに役立つ、た・だ・し、くれぐれもあの方の怒りに触れないようにね……』

 

グレイはそれだけを言うと瞬間移動で姿を消すのだった。

 

「まさか……」

 

ウェルが白衣の内ポケットからギンガスパークに似た黒い短剣のようなものを1つ、取り出すのだった。

 

「これは、奴が……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、日本では今夜限りのトップアーティストの少女「風鳴翼」と今話題の人物である少女「マリア・カデンツァヴナ・イヴ」のデュエットによるライブが開催されていた。

 

そして響の同級生で友人の「安藤(あんどう) 創世(くりよ)」「寺島(てらしま) 詩織(しおり)」「板場(いたば) 弓美(ゆみ)」そして親友の「小日向(こひなた) 未来(みく)」も響の友人達ということで彼女達は特別に今回のライブに招待され、特等席に座っていた。

 

しかし、実を言えば響もくることになっていたのだが、あの通り今はまだ少し手が離せない状態である。

 

創世はそのことを心配していたが……弓美は対照的にそんな響のことを「期待を裏切らないわね、あの娘」などとほくそ笑んだ。

 

しばらくしてライブが始まり、翼とマリアが歌うのは「不死鳥のフランメ」、彼女達の歌は会場を驚くほどに盛り上げた。

 

そんな様子を遠くから眺めていた1人の少年は「クスリ」と怪しい笑みを浮かべるのだった。

 

「まさか、今注目を集めている『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』が、テロじみたことを起こすなんて誰が予測しただろうな……?」

『有難うみんな! 私は何時もみんなから沢山の勇気を分けて貰っている、だから今日は私の歌を聞いてくれたみんなに少しでも勇気を分け与えられたらと思っている!』

 

マイクを使い、観客達にそう言い放つ翼、マリアも「私の歌を全部、世界中に乗せてくれてあげる!」と言い放つ。

 

マリアも「私の歌を全部、世界中に乗せてくれてあげる!」と言い放つ。

 

翼とマリアの2人は握手をかわした後、マリアはマイクに口元を近づけ呟くように「そして、もう1つ」と言い、右腕をかざすと……会場に複数のノイズが同時に出現した。

 

当然会場はうろたえ、大騒ぎを起こしがマリアは会場の人々に向けて「うろたえるな!!」と言い放つ。

 

それを見た未来は静かに「響……」と親友の名を呟いた。

 

翼は首にかけていたペンダントを取り出し、自身のシンフォギアを起動させようとするがそれを見たマリアが口を挟んだ。

 

「あら、良いの? 確か政府はシンフォギアのことについては公言したけど、その装者が誰かは発表されてないんじゃなかった?」

「甘く見ないで貰いたい、私がさやばしることをためらうとでも思ったか!」

 

しかし、マリアの言う通り、この舞台は今、世界中に生放送で中継されている、だから翼はああは言ったもののやはりシンフォギアを起動させるのは戸惑った。

 

「フッ、あなたのそういう所、嫌いじゃないわ。 あなたのように誰かが誰かを守るために戦えたら……世界はもう少しまともだったかもしれないわね……」

「なん……だと……? 貴様は一体……?」

「そうね、そろそろ頃合いかしら。 聞こえてる!? 『あなた』もいるんでしょ!? 私達の存在を知らしめるにはあなたもいた方がインパクトは大きいわ!」

 

先程のマリア達を遠くから見つめる少年は紫色のギンガスパークにた似たアイテム「ダークダミースパーク」を取り出し、2体のウルトラマンを順番ずつ、ダミースパークでリードしていく。

 

『ダークライブ! ウルトラマンべリアル!』

『ダークライブ! ゼロダーク!』

 

すると2体のスパークドールズのウルトラマンは闇の渦に飲まれて1つのスパークドールズへと変化した。

 

『私達はノイズを操る力を持ってしてこの星の全ての国家に要求する! そして……』

 

マリアは持っていた剣型のマイクを放り投げると「歌」を口ずさみ……、さらにあの少年がダミースパークの先端に融合させたスパークドールズを押し当てる。

 

『ダークライブ! ゼロダークネス!』

 

そして……マリアは色は黒いが、響と同じ「ガングニール」をその身に纏い、同時にライブ会場に1人の黒い等身大の戦士が降り立った。

 

「来たわね、『諸星(もろぼし)零無(れいむ)』、いえ、ゼロダークネス! そして……『私は……私たちは『フィーネ』!! 終わりの名を持つ者だッ!!!!』

 

一方ヘリの中でライブ会場に向かっていたコウマ達もモニターを通してこの状況を見て驚いていた。

 

「黒い……ガングニール?」

「それに黒い、ウルトラマン……?」



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16Eve 少女

現れたのは……黒いウルトラマン、「ゼロダークネス」と黒いガングニールを纏った少女、マリア、2人はライブ会場にて自分達のこの姿の存在を世界中へと知らしめた。

 

その頃、二課では外務省事務次官の「斯波田(しばた) 賢仁(まさひと)」がこちらの騒ぎを聞きつけたかのように指令である弦十郎に連絡が入った。

 

ソバを食いながら。

 

「斯波田務省事務次官!」

 

彼の話によれば、響達が行っていたソロモン杖の輸送先で起きたソロモン強奪&ウェル博士失踪事件、さらに米国の生物研究機関でもトラブルがあったらしく、なんでも今日まで集めていたデータが全て無くなった上に、保管していた聖遺物までもが盗まれたらしい。

 

それらのことから弦十郎は「これらのことが、連動している」と確信を持ち、そんな大変な事態にも関わらず斯波田はソバを食べていた。

 

『なんで今ソバを食べてるんだ!?』

 

同じ頃、コウマの胸ポケットに入っていたタロウがツッコミを入れるが……コウマ達から一体誰にツッコミを入れているのか分からず、一同は首を傾げていた。

 

「どうしたタロウ?」

『いや、なにか……私がなにかをツッコまなければならない気がして……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所はライブ会場に戻り、マリアはマイクを使って観客達に自分達フィーネのことを彼女は話しだした。

 

「我が武装組織フィーネは各国政府に対し要求する! そうだな、差し当たっては……国土の割譲を求めようか!」

「っ! バカな……!」

 

翼はマリアの言い放ったその言葉に驚きの表情を浮かべ、マリアは「もし24時間以内にこちらの要求を果たせなかった場合は、か国の使途機能がノイズによって不全となるだろう……」と脅し、翼は一体マリアはどこまでが本気なのかと静かに呟いた。

 

(フッ、随分とデカ過ぎる冗談だな)

 

そんなマリアの言葉を聞いていたゼロダークネスは心の中で笑みを浮かべるが、そこにマリアに呼びかけられ、「あなたの力もどうせなら見せてあげたら?」と言われてゼロダークネスは頷く。

 

するとマリアはノイズの何体かをゼロダークネスへと差し向け、人型のノイズ達は一斉にゼロダークネスに襲い掛かり、ゼロダークネスの身体をノイズ達は一斉に攻撃し、その後ノイズ達は一度ゼロダークネスから離れるが……。

 

次の瞬間、ノイズ達の身体に亀裂が入り、ノイズ達は炭と化して消滅した。

 

その光景は翼の目から見てもなにが起こったのか全く分からず、他の誰が見てもゼロダークネスは無防備な状態のままノイズ達の攻撃を受けていた……筈だった。

 

だが今のゼロダークネスをよく見てみると彼の両手には頭部に装着されてあったブーメラン「ゼロスラッガー」2本を両手に持っており、何時の間にか先程自分に襲い掛かって来たノイズ達を一瞬で切裂いたのだ。

 

「なんて……奴だ……!」

『分かったかしら? 私達はノイズを操るだけではない、ノイズも倒し、さらにこれほどまでの戦闘力を持った戦士がこちらにはいる! そうね、彼なら……1人で国1つは滅ぼせそうね?』

 

しかし、ゼロダークネスは「少しやりすぎたか?」と考え、マリアを見るとマリアもどこか呆れたかのような表情を浮かべており、ゼロダークネスはマリアも自分と同じことを考えているのだろうと察した。

 

「私が王道を敷き、私達が住まうための楽土だ! 素晴らしいと思わないか!?」

「それはつまり、この世の侵略ということか?」

「なに?」

 

翼は剣型のマイクをゼロダークネスへと突きつけ、彼がタロウが呼ぶ「闇の支配者」の力を受けた者でマリアに加担すると言うのならば、それはある意味「闇の支配者」の侵略とも言えた。

 

「どうかな?」

 

マリアは不敵な笑みを浮かべ、翼の問いをはぐらかした。

 

そしてマリアの言うその要求は全く持って現実的では無かった、当然だろう、項目上は「なんでもいい」のだから。

 

「何を意図しての語りか知らぬが」

 

翼は手に持っていたマイクを強く握りしめ、マリアは翼の方へと顔を向け「私が語りだと?」と彼女に問いかけた。

 

「そうだ!! ガングニールのシンフォギアは貴様のような輩に纏えるものでないと覚えろ!!」

 

翼はマリアを睨みつけながら指差し、歌を口ずさもうとするが……、耳につけていた通信機から彼女のマネージャーでもあり、二課のエージェントである「緒川 慎次」から「待って下さい翼さん!」と連絡が入る。

 

今ここで歌を歌えば全世界に翼が「シンフォギア奏者」であることが知られてしまう、それはなんとしても避けたかったが、この状況では止むを得ないと翼は緒川に訴える。

 

『風鳴翼の歌は! 戦いの歌ばかりではありません、傷ついた人を癒し勇気づけるための歌でもあるのです!』

「……」

 

翼は緒川にそう言われて黙りこみ、マリアは翼を挑発するように「確かめてみたら? 私が語りかどうか?」と言うが、翼はなにも応えず、マリアはほんの少しだけ笑みを浮かべると口元にマイクを近づける。

 

『会場のオーディエンス諸君!! 君達を今から解放する!! ノイズに手出しはさせない、速やかにお引き取り願おうか!!』

(マリア! お前……、いや、その方がお前らしくて良いか。 変に悪役気取られてもな)

 

そんな時、マリアの耳につけられた通信機から1人の女性の厳しい口調の声が聞こえた。

 

『なにが狙いですか? こちらの猶予を放棄するなど、筋書きには無かった筈です。 説明して貰えますか?』

「……このステージの主役は私、人質なんて私の趣味じゃないわ!」

『血に汚れることを恐れないで!』

 

しかし、その女性のその言葉にマリアは応えず、黙ったまま、それを見かねたその女性はため息を吐き、仲間を向かわせたことを伝えると「作戦目的を履き違えない範囲でおやりなさい」と許しを貰い、マリアは「了解マム、ありがと」とだけ応える。

 

そして観客達は順調に避難していき、一方緒川は今翼達は全世界で中継されているため、彼はそれを中継を中断させるために中継室に向かって走っていた。

 

そんな時、手を繋いで歩く2人の少女を緒川は見つけ、緒川は急いで2人の少女達に向かって「ここは危ないから早く逃げてください」と伝えるために2人の少女……、金髪の少女「暁切歌(あかつききりか)」とツインテールで小柄な少女「月読調(つくよみしらべ)」を追いかける。

 

「やっべ! あいつこっちに来るデスよ!?」

「大丈夫だよキリちゃん、いざとなったら……」

 

調はそう言いながら首に下げた赤いクリスタルを切歌に見せ、切歌は慌ててクリスタルを隠す。

 

「はわわわ! 調ったら穏やかに考えないタイプデスかー!?」

 

そこに丁度緒川が「どうかしましたか!? 早く非難を!」と切歌と調の元に駆け寄り、切歌は苦笑しながら慌ててどうにか誤魔化そうとする。

 

「あっ、えーっとデスね!「じー」この子が急にトイレに行きたいなんて!「じー」アハハハ!!「じー」参ったデスよー!」

「えっ……? あっ、じゃあそれが終わったら非常口までお連れしましょう」

 

緒川は戸惑いがちにそう言うが、切歌は「心配ないデスよ! ここらでちゃちゃっと済ませるので!」と応え、緒川は「あっ、そうですか。 でも、気をつけてくださいね」と言い残すとすぐさま中継室へと向かった。

 

「はあ、なんとかやり過ごしたデス」

「キリちゃん、私、こんな所で済ませたりしない……」

「……際デスか。 全く、調を守るのは私の役目とはいえ毎度こんなんじゃ身体が持たないデスよ?」

 

調はそんな切歌に「いつもありがと、キリちゃん」と返し2人はマリアを助けるためにライブ会場へと向かい走りだす。

 

そしてライブ会場では……、ノイズ以外、誰もいなくなった観客席を眺めながらマリアは1人、ボソっと呟いた。

 

「帰る所があるというのは、羨ましいものだな」

「マリア、貴様は一体……?」

 

マリアは持っていたマイクを翼に突きつける。

 

「観客は皆退去した! もう被害者が出ることはない! それでも私と戦えないというならそれはあなたの保身のため!」

 

マリアは不敵な笑みを浮かべ、「あなたは、その程度の覚悟しか出来てないのかしら!?」と翼に彼女は問いかける。

 

この様子をテレビのモニターで見ていたコウマ達はマリアの言動に少なからず怒りを覚えていた。

 

「ふざけやがって!! 保身だと!? これは翼さんの夢なんだ!! ここでシンフォギアなんて起動させちまったら、もう彼女の『夢』は叶わないかもしれねえんだぞ!!」

 

こうなれば「ギンガスパーク」と飛行することが出来る怪獣にウルトライブしようかと考えるが……、その時、ギンガスパークが突然光を発した。

 

「な……んだ……?」

 

するとコウマに突然強い眠気が襲いかかり、コウマは椅子に座りこんでそのまま眠りに入ってしまった。

 

「コウマくん!?」

「おい、コウマ!! どうしたんだ!? オイ!!」

『くっ、一体なにが起こっているというのだ?』

 

響もクリスも、タロウが一体なにが起こっているのか分からなかった……。

 

そしてコウマの意識はというと……、どこかの街の風景が沢山映っており、その風景が高速で動いている不思議な空間を彼は漂っていた。

 

『どこだ、ここ?』

 

コウマは辺りを見渡すがやはり高速で動く風景以外にはなにも見当たらず、コウマは頭に疑問符を浮かべるばかり。

 

そんな時だった、コウマの目の前に巨大な赤い「Y字」のクリスタルが形成されていくのは……。

 

そしてそこから形成されたクリスタルは徐々に巨大な巨人の姿へとなっていき、以前コウマが変身したウルトラマン、「ウルトラマンネクサス」に似た巨人が目の前へと現れた。

 

だが、ネクサスとの相違点は筋肉質な身体であることや背中に翼のようなものがあり、コウマの目の前に立つ巨人の名は……ネクサスの真の姿である「ウルトラマンノア」だった。

 

『アンタは確か……ウルトラマンノア!』

『こうして会うのは、初めてだったな。 選ばれし者、あれ以来未来と響はどうだ?』

『あぁ、何時も通り、というよりも前より仲良くなってるぜ? それより、こっちは翼さんが危なくて急いでるんだ!! 早く元の世界に返してくれ!』

『すまない、私も今だけしかこうやって君と話すことは出来ないんだ。 時間は取らせないから安心してくれ』

 

ノアにそう言われてコウマは頷き、彼の話に耳を傾けることになった。

 

ノアの話によると彼は闇の支配者にスパークドールズに変えられる直前に、この事態をどうにか出来そうな人物をある世界から呼び寄せたというのだ。

 

その人物は一度存在を消された存在だったが、彼は一時的にその人物を甦らせ、闇の支配者に関する情報をその人物は集めていたというのだ。

 

『奴は、人がダークライブする度に力を取り戻して行く。 奴が目覚めるのも時間の問題だ。 さらに闇の支配者は人間の身体の中に潜んでいる可能性がある、それが誰かはまだ分からないが』

『一体奴って誰なんだ? それに、ギンガは一体何者なんだ?』

『それは私にでさえ分からない。 だが、私達を救うことが出来るのは……君達だけだ。 そして1番伝えたかったことは……奴の情報を集めていた『彼女』に会ったらその時はどうか不審がらないで欲しい』

 

コウマはノアの言葉に「分かった」と頷くとどうやら時間が来てしまったらしく、ノアはコウマ達さを信じて彼の意識を元の世界へと戻すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所はライブ会場に戻り……、翼は唇を噛み締めてマリアを睨みつけ、マリアは剣型のマイクを構えて翼の方へと駆けだし、剣型のマイクで翼に斬りかかる。

 

翼も同じマイクでどうにかマリアの攻撃を受け流すが、マリアはマントの形を自在に操り、マントを伸ばして翼に攻撃して来るが翼は間一髪その攻撃をかわした、だが翼が持っていた剣型のマイクは先程の攻撃に切裂かれ、翼は苦い表情を浮かべてマイクを投げ捨てた。

 

「中継されている限り、ギアを纏えない!!」

「おい、もっとスピード上がらないのかよ!」

 

ヘリで状況を見ていた響とクリスが叫ぶが、これが全速力であるためこれ以上スピードはあがらなかった。

 

そんな時、ヘリに「火山怪鳥バードン」という巨大な鳥の怪獣がヘリへと向かって襲いかかり、ヘリはどにかバードンの攻撃を避ける。

 

「こんな時に!」

「コウマ、お前は先に行け! あの怪獣の相手はあたしがやる!」

 

クリスはガンパットを取り出してジャンバードを呼び出し、クリスは転送されてジャンバードのコックピットに乗り込み、ジャンバードとバードンは空中戦を繰り広げる。

 

また、コウマはギンガスパークとスパークドールズを取り出し、ウルトライブする。

 

『ウルトライブ! ウルトラセブン!』

 

また、会場では翼は上手くマリアの攻撃をかわしていき、カメラの外に出れる範囲までワザと追い詰められ、そこに逃げ込もうとするがマリアはそれを許すまいと剣型のマイクを翼に投げるが、翼はそれを飛び越えて床に着地した。

 

『マリア、あんまりやり過ぎるなよ?』

「分かってるわ!」

 

その時、翼の履いていた靴のヒールが折れてしまい、次の瞬間マリアの強烈な蹴りが翼の腹部に炸裂した。

 

「あなたはまだ、ステージを降りることを許されない!」

「がっ!? あぁ!!?」

 

翼はそのままノイズ達の群れへと飛ばされて行き響は「翼さん!!」と彼女の名を叫んだ。

 

(決別だ、歌女であった私に……)

 

その瞬間、響は悟った、、「翼は歌を捨てるつもりなのだ」ということに。

 

『こんなことでぇ!! 夢を捨てるんじゃねええええええええええええ!!!!!!』

『「「っ!!?」」』

 

頭上から声が聞こえてマリア、ゼロダークネス、翼が空を見上げるとそこには赤く、銀色のプロテクターを装着した戦士、等身大の「ウルトラセブン」が空中から現れて飛行し、ノイズ達の群れの中に突っ込もうとする彼女を抱きかかえた。

 

『デュアッ!!』

「なっ、来元!」

『こんなことで、夢を、捨てようだなんて考えないでください!!』

 

セブンは翼を怒鳴った後、ライブ会場に翼を降ろし、ゼロダークネスはセブンを睨みつけて拳を握りしめた。

 

「すまないな、ありがとう。 私の夢を守ってくれて」

 

翼は申し訳なそうに誤った後、彼女はセブンに笑みを浮かべてお礼を述べ、セブンと翼はマリアとゼロダークネスを睨みつける。

 

ちなみに、以前、ギンガ以外のウルトラマンに変身する時には一度ギンガになる必要があったが……今ではギンガスパークの力が以前よりも強化されたのか、今では一度ギンガになる必要が無くなったのだ。

 

ただし、ギンガ以外のウルトラマンに一度ライブすると5時間は別のウルトラマンにライブすることは出来なくなってしまうのだが。

 

『夢……だと? くだらねえな……』

『なんだと?』

『そんなもの、ただの幻想でしか無い!!』

 

ゼロダークネスは一瞬でセブンに詰め寄り、右掌から放つカッター状の必殺光線「デスシウムショット」を近距離から放とうとするがセブンはゼロダークネスを腕を掴んで背負い投げを繰り出し、デスシウムショットはセブンから外れてしまった。

 

『デュアッ!!』

 

ゼロダークネスは足を振り上げて自分の腕を掴んでいるセブンの肩を蹴り付け、セブンはゼロダークネスから離れる。

 

両手を額に当てて発射する反磁力線「エメリウム光線」をセブンはゼロダークネスに放ち、ゼロダークネスも額のビームランプから光線「エメリウムスラッシュ」を放ち、2人の光線が激突し合い、2人の光線は相殺される。

 

『ダアアアアア!!!!』

 

セブンはゼロダークネスに向かって駆けだし、ゼロダークネスはそれを巴投げで投げ飛ばすもセブンは見事に地面に着地して振り返り、再びゼロダークネスに向かって行き、ゼロダークネスに殴りかかるがゼロダークネスはセブンの拳を受け流し逆にセブンの腹部に拳を叩きこんだ。

 

『オラアア!!』

『デュッ!?』

 

一方翼は、丁度TV中継が緒川のおかげで中断されたため、これで心おきなく翼は全力で戦えることとなり、翼はシンフォギア……「天羽々斬」を纏った。

 

翼は飛び上がった「アームドギア」と呼ばれる剣を取り出し、ノイズを何体も切裂いた後、空中へと飛び上がってアームドギアを巨大化させて放つエネルギー刃「蒼ノ一閃」を炸裂する。

 

さらに逆立ちと同時に横回転し、展開した脚部のブレードで周囲を切り裂く「逆羅刹」で周囲のノイズを切裂く。

 

「中継が中断された!?」

「シンフォギア奏者だと世界中に知られてアーティスト活動が出来なくなってしまうなんて風鳴翼のマネージャーとして許せる筈がありません!」

 

緒川は肩で息をしながら中継室でそう言い、これで翼は心おきなく全力で戦うことができるようになったのだ。

 

翼はマリアの立つ舞台へと飛び上がり、着地するとアームドギアを構えてマリアに向かって行く。

 

「いざ、押して参る!!」

 

翼はマリアに斬りかかるが、マリアはマントを操って攻撃を防ぎ、そのまま翼を押し返す。

 

「このガングニールは、本物!?」

「要約、お墨をつけて貰った。 そう、これが私のガングニール! 何者をも貫き通す、無双の槍!!」

 

マリアはそう言い放ち、マントで身を包みこみ、高速回転しながら翼に攻撃を仕掛けるが翼はアームドギアでそれを防ぐ。

 

「だからとて! 私が引きさがる道理など、ありはしない!!」

 

その時、マリアの通信機から再びあの女性の声から連絡が入る、それは「フォニックゲインが現在22%付近をマークしています」というものだった。

 

それを聞いたマリアは驚きの表情を浮かべ、翼に対して「隙」を作ってしまい、翼は一度マリアから離れて双剣へと変形させたアームドギアの柄を繋ぎ合わせ、炎を纏わせながら振り回し斬りかかる「風輪火斬」をマリアに繰り出す。

 

「私を相手に気を取られるとは! 話はベッドで聞かせて貰う!!」

 

そんな時、翼に向かって幾つかのノコギリのようなものが飛ばされ、翼はそれに気付いて風輪火斬を発動させたままそれを防ぐが……。

 

さらに黒いスーツにピンクのラインが入ったシンフォギア「シュルシャガナ」を纏った調が現れ、ツインテール部分に装着されている円形の鋸型のアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」が翼へと放たれる。

 

すると今度は調の背後から今度は黒いスーツと緑色のラインの入ったシンフォギア「イガリマ」を纏った切歌が現れ、鎌型のアームドギアの刃を3枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばして左右から挟撃する「切・呪リeッTぉ」が翼へと放たれ翼は前から来る調の攻撃に精一杯だったため切歌の攻撃に対応しきれず、翼はその攻撃に吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐうう!!?」

『翼さん!』

『どこにいくつもりだ夢語り!!』

 

セブンは翼を助けに行こうとするがゼロダークネスに蹴飛ばされて壁に激突し、セブンは膝を突く。

 

(ゼロダークネス、聞いていたほどの力を発揮出来ないな。 これはただ単に俺がまだ使いこなしていないだけか……)

 

そして切歌、調、ゼロダークネスはマリアの元へと集まり、倒れこむ翼を見下ろすマリア達。

 

「調と切歌に救われなくても、あなた程度に遅れる私ではないんだけどね」

「貴様はそうやって見下ろしてばかりだから勝機を見逃す!!」

『あと、忠告。 その台詞はやられてる方の奴が言う台詞だぜ?』

 

翼の言葉でマリア達はハッとなって上を見上げるとそこにはシンフォギアを纏った響とクリスがヘリから飛び下り、クリスがガトリング砲でマリア達を撃ちまくり、マリアはマントで防いで他の3人はその場を急いで離れた。

 

すかさず響の放たれた拳がマリアに放たれ、マリアは反撃するが響の狙いはあくまで「翼の救出」だったため、響はその攻撃を避けて翼を抱えて離れ、クリスとセブンも2人の元へと駆け寄る。

 

「やめようよ! こんな戦い! 今日出会った私達が争う理由なんてないよ!」

 

響はそう言ってマリア達に訴えかけるが、調は響のその言葉を聞いて彼女を睨みつける。

 

「そんな綺麗事を……!」

「綺麗事で戦う奴の言うことなんか、信じられるものかデス!!」

「そんな! 話し合えばどうにかなるよ! だから『偽善者!』えっ?」

 

響は調に「偽善者」と呼ばれ、響は目を見開く。

 

「この世界には、あなたのような偽善者が多すぎる……!」

『そしてお前のような叶いもしない夢を語る奴もなぁ!』

『んだと? つーか、どっかで聞いた台詞だなオイ』

 

セブンはクリスを見つめるとクリスは頭を抱えて「いや、ほんとすまねえ」と謝るが……マリア達は次の瞬間容赦なくセブン達に襲い掛かった。

 

その時のことだった、コウマの耳に女性らしき人物の声が聞こえたのは……。

 

『……ダークライブした怪獣や宇宙人は、ギンガでないと倒すことはできない』

『えっ? 誰だ?』

『なにをボーっとしている!!』

 

ゼロダークネスは謎の声を聞いて戸惑っているセブンに容赦なくゼロスラッガーで斬り付け、セブンは地面へと倒れこむ。

 

『ぐあああっ!!? ぐう、ギンガでないと倒せないないって前は倒せただろ!』

『それは一度ギンガに変身していたから。 でも、今はギンガになる前に他のウルトラマンにライブしてる。 だから……』

『成程な、分かったぜ!!』

 

倒れこんだセブンはどうにか立ち上がり、セブンの中にいるコウマは叫びながらギンガスパークを掲げるとギンガスパークのブレードが開き、ギンガのスパークドールズが現れる。

 

『行くぜギンガ!』

 

コウマはギンガを掴むとギンガの足にギンガスパークの先端を押し当てる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

 

セブンの姿が変わり、コウマは「ウルトラマンギンガ」の姿へと変わるとギンガはゼロダークネスに向かって駆けだし、ゼロダークネスもギンガに向かって駆けだすとお互いの拳が互いの顔面に直撃する。

 

『デイヤッ!!』

 

ギンガは一度ゼロダークネスから少し離れるとすかさず左足の蹴りを放つ、だがゼロダークネスはそれを右腕で受け流して左の肘で肘打ちをギンガの胸部に繰り出した。

 

『こんの!!』

 

ギンガは強烈な手刀をすぐさまゼロダークネスに炸裂し、ゼロダークネスは「デスシウムショット」を連続で放つがギンガは全身のクリスタルを赤く発光させ、無数に生み出した隕石状の火炎弾を放つ「ギンガファイヤーボール」をゼロダークネスに放つ。

 

そしてデスシウムショットとギンガファイヤーボールが激突し、どちらの技も最終的にはかき消された。

 

その頃、響達はというと……再び調が歌を口ずさみ、α式 百輪廻を響へと放つ調、翼がそれを防いで響を守り、切歌はクリス、調は響、マリアは翼と戦う形となった。

 

「わ、私は困ってる人を助けたいだけで! だから……!」

「それこそが偽善! 痛みを知らないあなたに、誰かのために言って欲しくない!!」

『なんだと!?』

 

調の先程の声が聞こえたギンガ、調の方へと振り返って彼女を睨みつけた。

 

『テメー、さっきから聞いてれば響のことを偽善だとか痛みを知らないだとか! 勝手なことを言うな!! なんでお前にそんなことが……!』

『どこを見ている夢語り!!』

 

ギンガが調に気を取られている隙にゼロダークネスが跳び蹴りをギンガに叩きこみ、調はツインテール部分を伸縮可能なアームとして扱い、2枚の巨大鋸を投擲する「γ式 卍火車」を響に放つが、クリスと翼がアームドギアでそれを弾いた。

 

「どんくさいことしてんじゃねえ!!」

「気持ちを乱すな!!」

「あっ、はい!!」

 

2人に言われて響は気をしっかりと持ち、頷く。

 

そこに、先程マリアが「マム」と呼んだ女性「ナスターシャ教授」が「ある人物」へと通信を入れ、その人物は「任せろ」とだけ応えて通信を終えた。

 

『あら、あの教授から連絡があったのね? では行ってきて頂戴?』

 

ライブ会場の裏では、「ダークダミースパーク」を持った1人の男性と「ナックル星人グレイ」が立っており、男性は頷くとダークダミースパークと1体のスパークドールズをダミースパークの先端に押し当てた。

 

『ダークライブ! サタンラブモス!』

 

するとギンガ達のいる場所に身体の所々に「フロンティアスペース」の防衛軍が所持する全ての兵器が合体した怪獣、人間がダークライブした「モンスターマシン サタンラブモス」が姿を現した。

 

「うわああああ!!!? なにあのロボット!」

「こんなの使うなんて聞いてないですよ!?」

 

マリアは通信でナスターシャと連絡を取るとナスターシャから返ってきた言葉は「4人とも引きなさい」という撤退命令だった。

 

サタンラブモスは響達を見下ろすと身体の様々な個所からレーザーを発射し、響達はどうにかその攻撃をかわした。

 

『ハッハッハッハ!!』

 

不気味な笑い声を発するサタンラブモス、ギンガもこれ以上サタンラブモスの好き勝手にはさせないために巨大化し、ギンガはサタンラブモスを殴りつけようとするが……動きを突然止めた。

 

「どうしたのコウマくん!?」

「っ、そうか! 外には避難した奴等がいるから、下手に動けねえのか!」

 

サタンラブモスは左右のアームを伸ばして先の手錠形ハサミでギンガを殴り付け、ギンガは地面へと倒れこみ、そのままそのアームでギンガの両腕を拘束し、ギンガにレーザーを何発も炸裂させる。

 

そしてマリア達はギンガ達がサタンラブモスに気を取られている内にその場を去って行き、この場を彼女達はサタンラブモスに任せるのだった。

 

『うわあああああ!!!? クソ、ここじゃ上手く闘えねえ!』

「ここなら……? だったら翼さん! クリスちゃん!」

「「んっ?」」

 

翼とクリスの方へと振り返った響は2人に「絶唱……」と小さく呟き、翼とクリスは顔を見合わせて「信じられない」といった表情を浮かべた。

 

「あのコンビネーションはまだ未完成なんだぞ!?」

「立花らしいが、理には叶っている」

 

翼は僅かに笑みを浮かべ、響の意見に同意し、クリスは「おいおい、本気かよ!?」と意義を唱えようとするがこの狭い空間ではギンガも上手く戦えない上に未来達も危険に晒してしまう。

 

それを聞いたクリスは、遂には響の意見に同意することとなり、響は左右に立つクリスと翼と手を繋いだ。

 

一方、ギンガはサタンラブモスの頭上を飛び越えて背後に回り込むがサタンラブモスはギンガが背後に廻る事は既に予測しており、ギンガがサタンラブモスに振り返るのとサタンラブモスがギンガの方に振り返るタイミングはほぼ同じだった。

 

『なっ!?』

 

そしてサタンラブモスから放たれるレーザーがギンガに直撃し、ギンガはどうにかライブ会場を壊さないように踏ん張る。

 

『このてんこ盛り野郎!!』

 

ギンガは飛び上がって跳び蹴りを放つが腕のアームをサタンラブモスを伸ばして足を掴みあげて地面に叩き落とし、レーザーを撃ってギンガを蜂の巣にした。

 

『ぐあああああああ!!!!?』

「行きます! S2CAトライバースト!!」

『えっ? 響!?』

 

響が今使用しようとしている技、それは絶大な威力を発揮する3人分の「絶唱」を響が中心となって調和し、同時に翼とクリスにかかる絶唱へのダメージを全て響1人に背負わせる大技であり、響は今その技をサタンラブモスに繰り出そうとしているのだ。

 

「コウマ、退け!!」

「こいつを空中へと吹き飛ばす!!」

『分かった!』

 

翼とクリスに頷いたギンガは言われた通りその場から離れ、響は全てのエネルギーをチャージした全力全開のパンチをサタンラブモスの下から胸部のドリルに炸裂し、サタンラブモスは空中へと大きく吹き飛ばされた。

 

「これが私達の!! 絶唱だああああああああああ!!!!!!」

『なんだとおおおおおお!!!!?』

 

空中へと吹き飛ばされたサタンラブモスはそのままギンガの蹴りを胸部に繰り出され、さらにギンガの連続蹴りがサタンラブモスに炸裂する。

 

『礼をたっぷりしてやるぜ!』

 

ギンガはサタンラブモスを掴みあげてさらに空中高く投げるとギンガは素早くサタンラブモスの背後に廻り込み、両腕を前方で交差させた後、S字を描くように左右に大きく広げてからL字型に組み放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」をサタンラブモスに発射した。

 

『ギンガクロスシュート!!』

『くっ、間に合わん!』

 

サタンラブモスは反撃しようとするも間に合わず、ギンガクロスシュートの直撃を受けて爆発し、サタンラブモスのスパークドールズと変身していた男性は地面へと落っこち、男性は気を失うのだった。

 

そして男性の元にコウマも降り立ち、サタンラブモスのスパークドールズを回収して響達の元へと戻ろうとするが……。

 

「待って」

「えっ……? な、なんだ?」

 

コウマの目の前に現れたのは1人のまだ小学生くらいの少女だった。

 

「君は……?」

「さっき、君に話しかけた人……なんだけど」

「えっ、ってことはもしかして君がさっき俺に話しかけた……。 あれ? じゃあもしかして君がノアが言っていた……」

 

コウマの言葉に少女は頷き、自身の名前を名乗った。

 

「私の名前は、『七瀬(ななせ) リサ』って言うの、よろしくね」

 



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17Eve 最強の完全怪獣

「1つ疑問に思ったことがあるんだけど……えっと、七瀬さん?」

「なに?」

「ダークライブした怪獣はギンガでないと倒せない、もしくはギンガを通してライブしたウルトラマンでしか倒せないって言ってたけど……ジャンナインは?」

 

コウマは1つ、疑問に思ったことがあった、それは先程コウマが言ったようにダークライブした怪獣はギンガ、もしくはギンガを通してライブしたウルトラマンでないと倒せないと言うが……ならばジャンナインはどうなのだろうという疑問。

 

ジャンナインはギンガの力を使わずにガンパットで実体化することが出来るし、ジャンナインは怪獣を倒したことだってある、それはなぜなのかという疑問を、コウマはリサに問いかけた。

 

「ジャンナイン事態、そもそも特殊なスパークドールズなの。 いいえ、ジャンナインだけじゃないわ。 彼の兄であるジャンボット、この2人はかなり特殊な例ね」

「特殊? 特殊ってそいつ等のなにが特殊なんだ?」

 

リサが言うには、ジャンナインとジャンボット、この2人はどこの怪獣、超獣、スペースビースト、ロボット怪獣、ウルトラマン、宇宙人のどれにも当てはまらない戦士であるため、ジャン兄弟はスパークドールズ達の中でも特に特殊な存在であるというのだ。

 

実際、ジャンナインがまだダミースパークでライブされジャンキラーだった頃、そのジャンキラーの所持者であるクリスは他の人物とは違い心の闇に完全に支配されていなかった。

 

そのことに関してリサは予想ではあるが、心の闇にクリスが支配されなかったのはジャンナインがなんらかの形で彼女を守っていたからと彼女は推測する。

 

「でも、多分ジャンナインだけじゃなくてあなたの力もあったんでしょうね……」

「えっ? いや、そんな……」

 

頭をかいて照れ臭そうにするコウマだが、あの後ライブ会場がどうなったのか少し気になったため、彼はリサに別れを告げて急いでライブ会場へと駆けだして行った。

 

「取りあえず、自己紹介も済ませたし、私も闇の支配者のことをもっと調べないとね。 早くしないと……」

 

コウマがリサと話をしていたのと同じ頃、ライブ会場ではシンフォギアを解除した響が膝を突いており、同じくシンフォギアを解除した翼とクリスが響の元へと駆け寄ってきた。

 

「無事か立花!」

 

翼が響の身を案じて声をかけ、響は翼とクリスの方に振り返ると彼女の瞳からは涙が溢れていたのだが……響は「平気、へっちゃらですよ!」と泣きながらも明るく振る舞おうとする。

 

「へっちゃらなもんか! まさか、絶唱の負荷を調和しきれなくて……」

(こんなにも響のことを心配するとは、クリスも大分変わったな……)

 

遠くからクリスが響を気づかう様子を見ていたタロウはそんなことを思っており、自分も響が心配なため彼女の元へとテレポートで駆け寄った。

 

「違うよ、クリスちゃん……。 ただ、私のしてることって……偽善なのかな? 胸が痛くなることだって……知ってるのに。 うっく、ひっく……うぅ……」

『泣くことなど、ないだろう響?』

 

響の前にタロウが現れ、彼は響に励ましの言葉を送った。

 

『君は自分のやりたいことをしているのだろ? なぜそれが偽善になるのだ。 誰かのためにと本気で想っているのだろ? ならばそれは偽善と言えるのか……? もっと自分に自身を持つんだ響』

「うぅ……ありがとう、タロウさん……」

 

響はタロウを抱えて抱きしめ、その際タロウに響の柔らかいものが身体全体に押し当てられ、タロウは顔を真っ赤にした。

 

(お、オイ響離せ!? 当たって……ぐっ、押し当てられてるせいで声がでない……!?////)

((折角良い感じのこと言ったのになタロウ……))

 

そんなタロウを見て呆れ顔の翼とクリス、タロウもそんな翼とクリスに気付いたのか、「良いから助けてくれ」と心の中で懇願するのだった……。

 

だが、そんな時……タロウはなにかの気配を感じたのか、テレポートで響の腕から抜け出しその気配を感じた方向を見るとそこには「誰か」がいた……、だがその「誰か」はタロウに気付いてすぐさま姿をくらました為、タロウは姿をハッキリと確認することが出来なかった。

 

(今の気配、まさか……闇の支配者……?)

 

そんな時のことだった、タロウの頭に頭痛が走り、彼は地面へと倒れこんでしまう。

 

『ぐおおおおおおっ!!?』

「タロウ!? どうした!?」

 

翼が慌てて地面に落ちたタロウを拾い上げ、クリスや響も心配そうにうめき声をあげるタロウを見つめるがしばらくしてタロウは落ち着きを取り戻し、一体どうしたのかと響達はタロウに問いかけた。

 

『すまない、心配をかけた。 今の気配に触れたためか。 思い出したのだ、なぜ私にだけ意思があるのかということに……。 そうだ、私はあの時、守って貰ったのだ。 兄弟達と、父と母に……』

 

タロウが語るには「ダークスパークウォーズ」で闇の支配者がダークスパークから発生させる闇の波動で怪獣やウルトラマン達が人形に変えられて行く中、タロウの前にゾフィーやウルトラマン、セブン、ウルトラの母やウルトラの父に庇って貰い、タロウだけ闇の波動の直撃を避けることが出来たのだという。

 

そのため、タロウには自分だけ意思が残ったらしいのだ。

 

『だが、なぜ父や母、兄弟たちは私にだけ意思を残したのだろうか……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一週間後、この一週間、特にマリア達は一向になんの行動も起こさず、「なにもない日常」が流れていた。

 

二課でもあおいの調べでは「その後フィーネと名乗るテロ組織による各国の交渉などなにもされていない」というのだ。

 

つまり、マリア達「フィーネ」の狙いがまるで見えてこないということ、せいぜいやったことと言えばあの時のライブ会場で自分達の存在を知らしめたくらいだ。

 

弦十郎はそのことに関して「ことを企む輩には似つかわしくないやり方だ」と称した。

 

その時、丁度緒川から連絡が二課へと入る。

 

『ライブ会場の近くで乗り捨てられていた怪しいトレーラーの入試経路から遡って調べているのですが調べた所、架空の企業から大型医療危機や医薬品、計測機などが多量に発注された痕跡を発見しまして……』

『こ、こいつ忍法使うぞ!?』

(忍法!?)

 

偶然この場に居合わせたタロウが緒川の通信からほんの少し聞こえて来た「忍法」という言葉に反応したが……以前翼が「影縫い」という技は緒川に教えて貰ったとかいう話を聞いたことがあるし、弦十郎のような人間がいるのでタロウは気にするだけ無駄かと思い敢えてそれ以上のことはなにも考えたりツッコんだりしなかった。

 

「医療器量?」

『日付は、2ヶ月前ですね。 この記事、気になりませんか?』

「ふむ、追いかけてみる価値はありそうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある建物で……零無が自分が使っているベッドの上で一枚の写真を見つめており、零無の瞳には僅かながら……涙が出ていた。

 

「セレナ……」

 

彼は頭を抱えるが、そんな時つい零無はコウマが夢がどうと言っている時のことを思い出し、彼は苛立って近くに置いてあった椅子を蹴り飛ばした。

 

「失うくらいなら、夢なんて最初から持たなければ良い。 なんでアイツはそれが、分からない」

 

零無はそう呟いて立ちあがると彼は自分の部屋から出て行った。

 

その頃……。

 

「でね! 信じられないのはそれをご飯にザパーっとかけちゃったわけですよ! 絶対におかしいじゃないデスか! そしたらデスよ!」

 

一体なんの話してるんだかわからないが切歌が調と一緒にシャワー室でシャワーを浴びながらそんな話を調にしており、切歌が調の方を向くと調はどこか暗い表情をしながら下を向いていた。

 

「まだ、アイツのことを……デスか?」

 

調は響の『話せばわかるよ! 戦う必要なんか……』という言葉を思い出し、調は「なんにも背負って無いアイツが人類を救った英雄だなんて……私は認めたくない」と呟いた。

 

「うん。 本当にやらなきゃならないことがあるなら例え悪いと分かっていても背負わなきゃいけないものだって……」

 

すると調は苛立ちのまま壁を殴り付けた。

 

「……困っている人達を助けたいと言うのならどうして……!」

 

切歌はそっとそんな彼女の手を握りしめると、調も切歌の手を握りしめた。

 

そこにマリアが現れ、彼女もシャワーを浴び始める。

 

「それでも私達は私達の正義とよろしくやっていくしかない、迷って振り返ったりする時間なんて……もう、残されていないのだから……」

 

と言っても今そんなことを言っている本人が後に迷いまくるとこの時誰が思っただろうか……。

 

そんな時のことだ、マリア達がまだシャワーを浴びているにも関わらず零無が無断で入ってきたのは……。

 

「「「はっ?」」」

 

調以外のマリア、切歌、零無の3人が同時に声を発した。

 

「な、なんでお前等! もう上がったんじゃないのか!?/////」

「はあ!? 誰から聞いたのよそんなこと!?/////」

「……スケベ」

「と、とっとと、出て行くデエエエエエエス!!!!!/////」

 

マリアと切歌は顔を真っ赤にし、切歌はどこからともなくイガリマを取り出して装着し、鎌型のアームドギアを零無へと投げ飛ばした。

 

「おわああああああ!!!? おま、死ぬだろうが!!」

「良いから早く出て行くデス!!////」

 

再び鎌を構える切歌を見て零無は「本当にこのままだと殺される」と危機感を覚えて急いでその場を去って行った。

 

「うぅ、見られたデス……////」

「元気だしてキリちゃん、見たのはお互い様」

「なんで調はそんな平気なんデスか? あと調なに言ってるデスか!?////」

 

だが、その時のことだった、突然警報が鳴り響き、ある部屋ではナスターシャが「ネフィリム」と呼ばれる怪物のようなものをモニターで監視しており、そこに行方不明だったウェルがナスターシャの元へと現れた。

 

「例え、人の身に過ぎていたとしても英雄たるものの身の丈にあっていればそれで良いじゃないですか?」

 

ウェルは柔らかい笑みを浮かべ、ナスターシャにそう語り、そこに丁度マリア、切歌、調、零無が駆けつける。

 

「マム! さっきの警報は!」

「……次の花は未だ蕾ゆえ、大切に扱いたいものです……」

(なに言ってんだこの奇天烈博士……)

 

ウェルの言葉に心の中でツッコム零無だが、今はその奇天烈博士よりも先に先程の警報の方が気になったため、零無もナスターシャに一体なにがあったのかを問いかけた。

 

「心配してきてくれたのね4人とも、でも大丈夫、ネフィリムが少し暴れただけ。 隔壁を降ろして食事を与えただけ、じきに収まる筈……」

 

ナスターシャはそう言うが、建物から巨大な音が鳴り響き、やはり心配なものは心配だった。

 

しかしナスターシャは「対応処置は済んでいるので大丈夫」だと言い、ウェルは「それよりもそろそろ視察の時間では?」とナスターシャに語りかける。

 

「『フロンティア』は計画遂行のためのもう1つの要……起動に先立ってその視察を怠る訳にはいきませんが……」

 

つまり、出かけてしまうため、この隠れ家がほぼ無防備状態となってしまうため、少し不安がナスターシャにはあったのだ。

 

だがウェルは「心配ご無用」と自信満々に言い、ナスターシャは切歌と調をウェルの護衛につけようと考えたがウェルは「こちらに荒事の予定はありません、むしろそちらに戦力を集中させるべきでは?」と提案し、ナスターシャはウェルの意見に同意した。

 

「それに、護衛ならこいつがいますからね……」

 

そう言ってウェルは親指を置くの部屋の方へと向けるとそこから「ナックル星人グレイ」が姿を現した。

 

『そうよぉ~、私に任せて頂戴♪』

「分かりました、では任せましょう……」

 

その後、ナスターシャ達は部屋を去り、「ある場所」へと行くための準備に取り掛かるが……マリアと零無はグレイとウェルの姿を思い返し……「本当に大丈夫かなあいつ等」と少し不安になったとか。

 

確かに不安にならない方がおかしい気もするが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、リディアン音楽院では……翼に呼ばれて学校側から許可して貰い、なぜかコウマがリディアンの学際の手伝いをしていた。

 

「なんで俺がリディアンの学際の手伝いを? 確かによく響達の部屋に遊びに行くけど」

「いや、来元が来れば雪音も素直に学際の手伝いをするかと思ってな……」

 

ある部屋で翼、クリス、コウマが学際の飾り付けに使う道具を3人で一緒に作っており、コウマは翼のその言葉を聞いてコウマは「クリスは学校で上手くいってないのか」と不安になった。

 

「クリス、クラスに上手く溶け込めてないのか?」

「うっ、べ、別にそんなこと……」

「そんなことあるだろう? 同じクラスの生徒達から逃げていたのに……」

 

翼にそう言われてクリスは黙りこみ、コウマは呆れたような表情を浮かべた。

 

「フィーネとかいう謎の武装集団が現れたんだぞ? こんなことしてる暇……」

「あるよ」

「はあ?」

 

クリスの言葉をコウマはばっさりと切り捨て、クリスはそのことに首を傾げた。

 

「こういうのは1年に1回しかないことなんだ! だからこういうことはしっかりと楽しまなくちゃいけねえ! 確かにフィーネって奴等が現れて色々大変なのも分かるけど、でもこれだって同じくらい大切なことな筈だぜ! なあ、翼さん!」

「あぁ、来元の言う通りだぞ雪音? 学際というのは楽しめる時にしっかりと楽しむべきなんだ」

 

コウマと翼はクリスに微笑みかけながらそう語り、クリスは反論の言葉を思い浮かべようとしたが……言ってもこの2人相手ではなにを言っても無駄だと感じ、反論するのを諦めた。

 

そこに、翼のクラスメイトと思われる生徒3人が現れた。

 

「あっ、翼さんここにいた!」

「全然帰って来ないからみんなで探しに来たんだよ?」

「でも心配して損した、何時の間にか可愛い下級生連れ込んでるし……、ってそっちの男子は……? 部外者じゃ……」

 

コウマは少し「あっ、ちょっとヤバい?」と焦りを感じたが翼がコウマのことを説明し、あとついでにコウマはクリスの彼氏であることも説明しておいた。

 

「余計なこと言うなよオイ!?////」

「えっ~? 良いなぁ~」

 

兎に角、コウマ達の説明を終えた所で翼は3人に「みんな、もう帰ったと……」と呟くがクラスメイトの3人は「だって、学際の準備が遅れてるの自分のせいだと翼さん思ってるみたいだし」と返され、だから3人は翼を手伝おうと思ったのだという。

 

「案外人気物じゃねーか」

「まあ、トップアーティストだしな、翼さん」

「でも、昔はちょっと近寄りがたかったってのいうのが事実かな……」

 

コウマとクリスの言葉を聞き、そんなことを呟く翼のクラスメイトの1人、それには他のクラスメイトの2人も同意し、本人達曰く「初めはなんだか私達の知らない世界の住人みたい」らしかったのだが……いざ話しかけてみると翼も「自分達と同じなんだ」ということに気がついたというのだ。

 

「みんな……」

「特に最近はそう思うよ!」

 

クリスはそんな今の翼の環境を見て「チッ、上手くやってるー」と言い、翼は「面目ない、気に障ったか?」と必要なら謝ろうと思ったが……クリスは「別に」と返した。

 

「だけどあたしも、もうちょっとだけ頑張ってみようと思う……」

「おう、頑張れ頑張れ! お前なら出来る! 俺が保証する!」

 

コウマはクリスの頭をワシャワシャと楽しそうに撫で、クリスは「やめろ!」と怒鳴りながら顔を赤くしつつコウマから離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜のこと、二課がマリア達フィーネの隠れ家と思われるとある廃病院を発見し、コウマ、響、翼、クリスの4人は廃病院の外で待機していた。

 

『明日も学校があるのに、夜半の出動、申し訳ありません……』

「気にしないでください、これが私達、防人の務めです!」

 

謝罪する緒川に翼はそう返したのだが……。

 

(えっ? 俺やクリスに響も防人なの……?)

 

とかコウマが思っていたが敢えて口には出さずにいた。

 

「街のすぐ外れにあの子達が潜んでいたなんて……」

「まっ、尻尾が出て無いのならこちらから引きずりだしてやるまでだ!!」

 

コウマ、響、翼、クリスの4人は廃病院の中へと侵入し、ある部屋では監視カメラからコウマ達の様子をウェルとグレイがその様子を伺っていた。

 

「お持て成しといきましょう」

 

そう呟いてウェルがあるボタンを押すとなにかのガスが噴出、だが……そのガスにはコウマ達が視認することは出来なかった。

 

「やっぱり、元病院っていうのが雰囲気出してますよね……」

 

響は廃病院の中の不気味さに冷や汗をかき、クリスはそんな響に「なんだ? ビビってるのか?」と悪戯っぽく言う。

 

「そうじゃないけど、なんだか空気が重い気がして……」

「おい、おいでなすったぜ?」

 

コウマの言葉で響達は前方を見ると大量のノイズ達が現れてこちらに向かって接近してきており、響達は「歌」を口ずさんでそれぞれのシンフォギアを纏った。

 

「ばーん☆」

 

その際クリスが変身の際にそんなことを言っており、コウマはそれを見た瞬間顔を赤くした。

 

(うわあ、なんだ今の、可愛い……////)

 

兎に角コウマもギンガスパークとスパークドールズを取り出し、スパークドールズの足部にギンガスパークの先端を押し当てる。

 

『ウルトライブ! プレッシャー!』

 

コウマは能面のように常に笑った顔をしている宇宙人「怪獣人プレッシャー」へとウルトライブし、杖を取り出して杖から破壊光線をノイズ達に放ち、早速ノイズ達を消滅させた。

 

『さあ、ショータイムだ!』

「魔法使いだからってその台詞は……」

 

響は苦笑しつつプレッシャーにツッコミを入れ、クリスは歌を口ずさみながら響、翼と共に戦闘を開始した。

 

アームドギアが変形した4門の3連ガトリング砲からの一斉掃射「BILLION MAIDEN」をクリスはノイズ達へと放ち、ノイズ達は打ち抜かれて炭と化して行く。

 

同時にプレッシャーもクリスの攻撃と同時に破壊光線を放ち、ノイズ達を消し去って行くが倒しても倒してもノイズは何度も甦って来る。

 

そのことからこのノイズ達は間違いなく制御されていることが伺え、翼は響にクリスのカバーに廻るように指示する。

 

そして翼は剣でノイズを切裂き、響は拳でノイズを殴り付け、クリスはボーガンでノイズ達を撃ち抜き、プレッシャーは瞬間移動を駆使してノイズ達を翻弄しながら破壊光線で倒して行く。

 

しかし、驚くことに、一度倒した筈のノイズがすぐさま再生し再びこちらに襲い掛かってきたのだ。

 

「えぇ!?」

 

翼もアームドギアを振るって放つエネルギー刃「蒼ノ一閃」で大量のノイズを一度に倒すが、やはり再生してしまう。

 

『俺は普通に倒せるのに、なんで響達が倒す奴等だけ……って響? クリス? 翼さん!?』

 

不思議なことに、まだそこまで動いている訳でもないのに響もクリスも翼も息を切らしており、なぜか彼女達のギアの出力が落ちていたのだ。

 

そんな時のことだった、突然、廊下の奥から1体の四足歩行の怪物が現れ、響達へと襲いかかって来たのだ。

 

寸前の所で響は怪物……「ネフィリム」に反応し殴り飛ばしたがネフィリムはすぐさま響達の方へと襲いかかって来た、だが翼がすぐさま反応し、アームドギアでネフィリムを斬り付けてネフィリムを吹き飛ばした。

 

「アームドギアで迎撃したんだぞ!?」

「なのになぜ炭素と砕けない!?」

「まさか、ノイズじゃ……ない?」

 

それぞれの疑問を口にする響達、コウマもネフィリムがノイズでないのなら怪獣かなにかなのかと思い、誰かがライブしているのかとネフィリムをじっと見つめてみるが……。

 

『違う、アイツは怪獣でも無い!』

「じゃああの化け物なんだっていうんだ……?」

 

そこに、誰かが拍手をする音が聞こえ、廊下の奥を一同がじっと見つめるとそこには行方不明だったウェルが立っていた。

 

「ウェル博士!?」

 

するとネフィリムは大人しくウェルが持っていたケースの中へと入る。

 

「意外に敏いじゃありませんか」

「成程、ノイズの襲撃は全部……!」

 

クリスはウェルを睨みつけ、ウェルはクリスの言葉に「その通りだ」と応えて種明しを説明する。

 

実は既にソロモンの杖はあの時既にアタッシュケースにはなく、コートの内側に隠しており、ソロモンの杖でノイズを制御し自分を襲わせたのだという。

 

「ノイズを制御するなど、この杖を置いて他にありませんからねぇ。 そしてこの杖の所有者は……今や自分こそが相応しい、そう思いませんか!?」

「思うかよ!」

 

クリスはミサイルを放とうとするが、その際になにか違和感を感じた、だがクリスは構わずノイズ達にミサイルを撃つがその際、彼女は悲痛な声をあげた。

 

「うわああ!!?」

『クリス!?』

 

ミサイルを撃った為、辺りが吹き飛んでしまい、クリスも訳が分からず彼女は膝を突いて翼はそんな彼女を支える。

 

また、ウェルもノイズに守って貰ったため無事だった。

 

クリスはどうしてこっちがボロボロなのか疑問に思い、翼は理由はどうあれ、出力の大きい技を使えばこっちの身が持たないと考えた。

 

そんな時、巨大な空を飛ぶノイズが先程のネフィリムの入ったケースを持って海の方へと向かっていることに気付き、翼はウェルの確保を響とコウマに任せ、自分はノイズを追い掛けた。

 

『おーっと、そうはいかないわよぉ?』

 

グレイがそう言うと空から黒い球体が振ってきてその球体はネフィリムを追い掛ける翼の前へと降り立ち、その球体は姿を変えて白い球体への姿となった。

 

「なっ!? 退けえ!!」

 

翼はアームドギアを振るって「蒼ノ一閃」をその球体に放ち、蒼ノ一閃は球体に直撃するがその直後、球体からなぜか「蒼ノ一閃」が翼に向かって放たれ、翼はどうにかそれを受け流した。

 

翼はこの場合はコウマに任せるしかないと考え、翼は通信でコウマに相手を任せるように頼み、翼は球体を駆け上って急いでネフィリムとノイズを追い掛けた。

 

そして翼に球体の相手を任されたプレッシャーは巨大化して球体の前に現れ、球体はプレッシャーに向かって蒼ノ一閃を放って来た。

 

『うおっ!? へっ! やってやろうじゃねーかよ!!』

 

プレッシャーも杖から破壊光線を放ち、球体に直撃するが球体はプレッシャーと同じ破壊光線をプレッシャーに放ち、プレッシャーに直撃して吹き飛ばした。

 

『ぐああああああっ!!? この、やってくれるじゃんか! けど、こっちも負けてないぜ!!』

 

コウマがギンガスパークを掲げるとスパークからギンガのスパークドールズが現れ、コウマはギンガへとウルトライブする。

 

『待ってたぜ、ギンガ!』

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

 

そしてまたクリスも、ガンパットを取り出してジャンスターを呼びよせる。

 

「あたしが乗りこんだ方が本当は良いんだけど、こんなざまじゃな……。 今回はあたし抜きで頑張ってくれ、ジャンナイン」

『カモン! ジャンスター!』

 

クリスはジャンスターを呼びよせ、ガンパットで自動操縦にしてジャンスターをジャンナインに変形させる。

 

「ジャンファイト・ツーダッシュ!」

 

変形したジャンナインは大地に降り立ち、ギンガと共に立ち並んで球体に戦いを挑んだ。

 

ジャンナインは右腕のシールドポケットの「ジャンキャノン」から放つ二連ビームを球体に何発も喰らわせ、一度は爆発して倒したかのように見えたが……。

 

球体……人間の誰かがダークライブしたと思われる「完全生命体イフ」は大砲を幾つも装備し、凶悪な顔が現れた「第2形態」へと変化した。

 

そしてイフはジャンナインと同じ二連ビームをジャンナインとギンガに喰らわせ、2人を吹き飛ばした。

 

『ぐああああっ!? こいつ、技をコピーするのか!? だったら、コピーされる前にブッ倒してやるぜ!!』

 

ギンガはイフへと駆けだして行き、イフは蒼ノ一閃、二連ビーム、破壊光線を一斉にギンガに放つがギンガはバリアを発生させて攻撃を防ぎ、ギンガの後ろからジャンナインがギンガの頭上を飛び越え、イフに強烈なパンチを叩きこんだ。

 

『シュア!!』

 

さらにギンガはジャンナインの肩を踏み台にしてイフに強烈な跳び蹴り「ギンガハイパーキック」を炸裂し、イフは蹴り飛ばされる。

 

『ギシャアアアア!!?』

 

ジャンナインはすかさず右腕を飛ばして攻撃する「ジャンナックル」でイフを殴り付け、ギンガはイフを持ち上げて投げ飛ばす。

 

『行くぜ、ジャンナイン!』

 

ジャンナインはギンガの言葉に頷き、空中へと飛び立ち、ギンガは両腕を前方で交差させた後、S字を描くように左右に大きく広げてからL字型に組み放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」を、ジャンナインは腹部のバックル状の部分が展開して発射される「ジャンバスター」を放ち、直撃を受けたイフは爆発を起こし倒された……かのように見えた……。

 

『なに!?』

 

しかし、イフは二足歩行で腕に剣などを装備した「完全生命体イフ・第3形態」へと変化したのだ。

 

『グアアアアアアアアア!!!!!』

 

イフは右腕の剣から「ジャンバスター」をジャンナインに放ち、ジャンナインもジャンバスターを撃って相殺するが、続けざまにイフは剣を振るって「蒼ノ一閃」を放ち、ジャンナインは直撃を受けて吹き飛ばされる。

 

『ジャンナイン! こいつ!』

 

ギンガはイフに駆けだしていくがイフは両腕を前方で交差させた後、S字を描くように左右に大きく広げてからL字型に組み放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」をギンガに放ち、ギンガにギンガクロスシュートが直撃、そのままギンガを吹き飛ばしてしまった。

 

『ぐあああああああああああああ!!!!!?』

 

地面に倒れこむギンガ、その時、ギンガの3分の時間制限が近づいてきてしまったため、カラータイマーも点滅を始める。

 

(くっそ、なら、直接切裂くのならどうだ!)

 

ギンガは身体のクリスタルを白色に発光させ、右腕のクリスタルからギンガセイバーを形成してギンガは立ちあがってイフに駆けだして行き、イフの放つ破壊光線を避けながら接近、擦れ違いざまにギンガセイバーでイフを切裂いた。

 

だが、イフの身体はすぐに傷口を治し、左腕に光の剣「ギンガセイバー」を形成し、ギンガセイバーと右腕の剣でギンガに襲い掛かってくる。

 

ギンガはイフの剣をどうにかギンガセイバーで応戦するが、次第に追い込まれて行き、右腕の剣とギンガセイバーでギンガは斬りつけられてしまった。

 

『があああっ!!?』

 

そこに背後からジャンナインがイフを抑えつけようとしてくるが、イフはジャンナインを突き離し、振り返りざまにギンガセイバーでジャンナインを斬り付けた。

 

その頃、翼の方では……。

 

(天羽々斬の機動性なら!)

『そのまま飛べ! 翼!!』

(飛ぶ?)

 

弦十郎から通信でそういった指示を聞き、緒川からも「飛んでください、翼さん!」という言葉が贈られた。

 

『何時だってあなたは!』

 

翼は言われた通り、この先は道が無く、海だけが広がる場所だったが彼女はそれでも前に進み、そして飛び上がった。

 

だが、やはり距離が足りないのか、彼女は海に落っこちてしまうがその時、海から巨大な戦艦が出現し、彼女はその最初に飛び出した戦艦の先端を踏み台にさらに高く飛び上がり、アームドギアでノイズを切裂いた。

 

そしてネフィリムの入ったケースはそのまま海に落ちて行くが、翼はそれをどうにか拾い上げようと手を伸ばす。

 

しかし、その時翼は「なにか」に弾かれネフィリムはシンフォギアを纏ったマリアが受け止めた。

 

「翼さん!!」

 

それを見ていた響は翼の名を叫び、そしてマリアは巨大化させ、空中に浮くアームドギアの尻柄の上に降り立つ。

 

「時間通りですよ、フィーネ」

 

響に捕まっていたウェルがそう呟き、当然響もクリスもその名前に反応した。

 

「フィーネ……だと!?」

「終わりを意味する名は、我々組織の象徴であり彼女の二つ名でもある。 彼女こそが……新たに目覚めし、再誕したフィーネです!!」

 

一方、ギンガとジャンナインの方ではイフに苦戦しており、さらにそこに……。

 

『ダークライブ! ゼロダークネス!』

 

ジャンナインとギンガを頭上から高速で蹴り飛ばし、大地に「ゼロダークネス」が降り立った。

 

『テメーは……!』

『ゼロ……ダークネス』



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18Eve 優しい歌を

「嘘……ですよ、だってあの時了子さんは……」

 

響は「信じられない」といった表情でマリアを見つめており、かつてのフィーネである「櫻井了子」がフィーネではなく「櫻井了子」として響に託した言葉を彼女を思い返した。

 

『胸の歌を、信じなさい』

 

あの時の彼女は、確かにフィーネではなく「了子」として響にその言葉を託した。

 

「じゃあ、アーティストだったマリアさんの魂は……」

「さて、それは自分も知りたい所ですね……」

 

ウェルは目を怪しく光らせてマリアを見つめ、マリアは檻の中に入っているネフィリムへと目を映す。

 

(ネフィリムを死守出来たのは行幸……。 だけどこの場合は次の一手を決めあがねられるわね)

 

そこで翼が海から飛びあがり、海を走ってマリアの方へと一直線へと向かいアームドギアをマリアに振りかざしたがマリアはそれを避け、上へと跳びあがった翼はアームドギアを巨大化させて放つエネルギー刃「蒼ノ一閃」をマリアへと繰り出した。

 

「甘く見ないで貰おうか!!」

 

しかし、マリアはマントを操って翼の攻撃を遮り、マリアはそんな翼を睨みつけて「甘くなど見ていない!!」と返した。

 

翼は巨大化させたアームドギアをそのままマリアに振るうがマリアはそれを避けてマントで翼を弾き飛ばし、彼女は現在の二課の本部である戦艦に激突したがどうにかその上に着地することが出来た。

 

マリアはネフィリムの入ったケースを空中へと投げ飛ばすとなぜかそのケースがなにかに吸い込まれるように消え去り、マリアも戦艦の上へと降り立ち、槍型の「アームドギア」を構える。

 

「だから私は、こうして全力で戦っている!!」

 

マリアは「歌」を口ずさみながら翼へと跳びかかり、アームドギアを振るい、翼もアームドギアを振るって互いの武器を何度もぶつけ合わせた。

 

一度翼はマリアから離れ、アームドギアを構えて再び向かって行き、マリアはマントを操って翼を攻撃するが翼はそれを避けながら接近し、アームドギアを振るったがマリアのアームドギアとマントにより弾き返される。

 

さらにマントを渦状に高速回転させて翼に向かって行き、翼はアームドギアを振るうも弾き返され、真上ならば無防備だと考えた彼女は跳びあがって頭上からマリアを狙う。

 

しかし、その閉じていた中央が開きマリアはアームドギアを突き出して翼はどうにか防いだが弾き飛ばされた。

 

それからも翼はマリアの攻撃を回避、そこで二課から連絡が入り、マリアの攻撃によりこの戦艦にダメージが入り、このままでは故障して沈んでしまうと伝えられ、マリアを戦艦から振り払うように指示が送られた。

 

苦い表情をしながらも彼女はアームドギアを捨てて足部のブレードを展開し、逆立ちして回転し繰り出す「逆羅刹」を繰り出し、マリアはアームドギアで弾く。

 

「勝機……!」

「ふざけるな!!」

 

マリアはそう言ってアームドギアで翼を弾き飛ばし、翼はどうにか足場に着地するがその際に足を痛めてしまい、その隙を狙ってマリアが襲い掛かるが翼はアームドギアを取り出し、尻柄をマリアに突きつけようとするもマリアもアームドギアで翼を弾き飛ばした。

 

「ぐああああっ!?」

「あいつ、なにを!?」

「最初に貰ったのが効いてるんだ!」

 

クリスと響がマリアと翼の戦いを見守り、クリスは翼になに苦戦しているのだと思ったが、響の言葉で最初に喰らった一撃が苦戦の原因になっていることに気付いた。

 

一方でギンガとジャンナイン、イフとゼロダークネスの戦いもギンガとジャンナインが苦戦していた。

 

ギンガと拳とゼロダークネスの拳が激しくぶつかり合い、ゼロダークネスはギンガの腹部に素早く蹴りを叩きこみ、くの字に曲がったギンガにすかさずアッパーカットを決める。

 

『ウアアアッ!!?』

 

殴り飛ばされて倒れこむギンガにゼロダークネスは腕をL字に組んで放つ光線「ダークネスゼロショット」を放つ……、しかし、ギンガは青い光を身に纏い、ギンガは超高速で動きゼロダークネスの光線を避け、ゼロダークネスの背後に廻り込んだ。

 

『なっ!?』

 

ゼロダークネスはそのことに驚いて後ろに振り返るとギンガの容赦ないアッパーカットが顎に炸裂し、殴り飛ばされるがゼロダークネスはその反動を利用して空中へと飛び立つ。

 

『逃がさねえぞ!!』

 

ギンガは再び青いオーラを身に纏って超高速でゼロダークネスの目の前に現れ、ゼロダークネスに目に止まらぬ速さで繰り出す高速キックを繰り出し、それに対しゼロダークネスも目に止まらぬ速さで繰り出す高速パンチを炸裂し、ギンガとゼロダークネスの高速キックと高速パンチが激しく激突し合った。

 

ジャンナインもイフに掴みかかるがイフはジャンナインを投げ飛ばし、ギンガクロスシュートを連続発射し、ジャンナインは腕でガードして攻撃を耐える。

 

しかし、イフは腹部からジャンバスターを今度は放つとジャンナインに直撃し、ジャンナインは地面へと倒れこむ。

 

「くっそ、ジャンナイン!! せめてあの黒いウルトラマンだけでも攻撃して援護を……!!」

 

そう言ってクリスはボーガンのアームドギアを2つ取り出し、マリアとゼロダークネスに向けて狙いを定めるが……。

 

(では……こちらもそろそろ……)

 

ウェルが心の中でそう思ったその時、どこからともなく小型鋸が響とクリスの方へと飛んできて響とクリスはそれらをどうにか避ける。

 

さらにこれまたどこからともなくシンフォギアを纏った切歌が「歌」を口ずさみながら鎌型のアームドギアを構えて現れ、アームドギアをクリスへと振りかざしてくる。

 

それをクリスは高く跳びあがって回避し、何度もアームドギアをクリスに振るうがクリスはそれらの攻撃を全て避ける。

 

続いて同じくシンフォギアを纏った調が現れ、アームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」を放つが響はそれらを全て叩き壊して防ぐ。

 

だが、調はアームドギアから巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で突進する「非常Σ式 禁月輪」を響に向けて炸裂させようとするが響は間一髪その攻撃を避ける。

 

一方で切歌はアームドギアでクリスを叩きつけ、地面へと倒れこみ、そこに響が急いで駆けつける。

 

「クリスちゃん! 大丈夫!? クリスちゃん!!?」

 

調はその隙にソロモンを回収し、ウェルは助けてくれたことに感謝の言葉を送るが……。

 

「助けたのは、あなたの為じゃない」

「やあ、これは手厳しい!」

 

響はクリスに肩を借りて立ち上がり、クリスは「適合係数の低下で身体がまともに動かねえ」と呟いた。

 

それよりも、切歌と調は一体どこから現れたのか、響は辺りを見渡した。

 

その頃、翼とマリアの方では……、見た所では翼の方が疲労しているように見えるが実は先程翼がギリギリに入れた一撃、それがマリアにそれなりのダメージを与えており、彼女自身も苦しそうな表情を浮かべていた。

 

(こちらの一撃にあわせてくるなんて……。 この剣、可愛くない)

(……、少しずつだが、ギアの出力が戻っている。 いけるか?)

 

少しすると既に立ち場が逆転しており、翼は力が回復し、マリアは逆に体力が落ちていた。

 

するとそこにナスターシャからマリア達に連絡が入り、「ギアの出力が落ちています」という報告を受け、戻るように指示を送られた。

 

「ぐっ、時限式ではここまでなの!?」

 

それを聞いた翼はかつての相棒である……「天羽奏」のことを思い出した。

 

時限式……それは奏と同じ状態のものである意味奏が死んでしまった原因ともいえるもの。

 

「まさか、奏と同じリンカーを……」

 

その時、空中から突然巨大なヘリが出現し、マリアはそれから出ているロープに掴まって撤退の準備へと入る。

 

同じ頃、響は調と切歌に一体なにが目的なのかと問いかけていた。

 

「正義では守れないものを、守るために……」

「えっ……?」

『おーい、答えになってねーぞ~』

 

ゼロダークネスと戦っていたギンガが調にそうツッコムが断然無視であり、ゼロダークネスからは「ツッコム暇あんのか!!」と言われながら顔面を殴りつけられていた。

 

『だって答えになってねーじゃねーか!! ちゃんと答えろっての!!』

 

ギンガはゼロダークネスを殴りかかるがゼロダークネスはギンガの拳を掴みあげる。

 

『答える必要はねえ!! 答えたって、お前には関係ない!! 『夢』という空想ばかり見ているお前にはなぁ!!』

 

ゼロダークネスはそう叫びながらギンガの腹部を蹴りつけようとするが……ギンガはそれを片腕で防いだ。

 

『いいや関係あるね!! 俺とお前等は……友達じゃねえが……もう知り合いだからな!! なにより俺は夢をそうやって勝手に誰かの夢を否定してるような奴が許せねえ!! だから俺は……! なんでお前がそうなったのか知りたい!! 以前にも、お前と似たようなこと言ってやがる奴がいたからな!!』

 

ギンガは一度ゼロダークネスから離れると腹部に拳を叩きこみ、ギンガの言葉を聞いていたクリスは照れ臭そうにしていた。

 

そしてヘリのロープを切歌はウェル博士を掴んだ状態で手に取り、調もロープに手を取って飛行戦の中へと戻って行き、クリスは響から離れて駆けだし、アームドギアをスナイパーライフルに変形させる。

 

「ソロモンの杖を返しやがれ……!」

 

スコープで狙いを定めるが……ヘリはステルス機能を使い、肉眼からもレーダーからもヘリは透明になり、消え去ってしまうのだった。

 

『今日はここまでらしいな。 それと、俺は俺が夢を否定している理由なんて、さらさらねえからな。 あばよ』

 

ゼロダークネスは高速で空へと飛び立つと、ギンガは追いかけようとするがジャンナインがイフに苦戦しているのを見て追いかけるのを辞め、ギンガはイフへと跳び蹴りを繰り出す。

 

しかし、イフは腹部からジャンバスターをギンガに放って撃ち落とし、後ろからジャンナインがイフに掴みかかるがイフはジャンナインを振り払う。

 

「はあ、はあ、くそったれ、まだあっちがありやがる……。 待ってろよ、コウマ、ジャンナイン!!」

 

クリスはガンパットを操作してジャンナインのコックピットに乗り込むと倒れこんだジャンナインを置きあがらせ、ジャンナインはイフに掴みかかり、ギンガも同じようにイフに掴みかかって抑えつけようとするがイフはあっという間にギンガとジャンナインを振り払った。

 

既にギンガのカラータイマーも激しく点滅し、時間が残り少ないことを知らせていた。

 

『クッソ!! どうすればいい!!? どうすればこんな奴に勝てる!?』

 

倒してもすぐに再生する上にその倒した技をコピーする能力、この能力がある限りイフを完全に倒すことなどほぼ不可能に近かった……。

 

だがそこで思った、ならば「倒す以外の方法で大人しくさせるのはどうだろうか?」ということに。

 

そう思ったギンガは全身のクリスタルを緑色に輝かせ、相手の頭上から浴びせる鎮静光線「ギンガコンフォート」を発動させる。

 

『ギンガコンフォート!』

『グルルルルル!! グアアアアアアアアアアアア!!!!!』

 

しかし、イフはギンガコンフォートを打ち砕き、右腕の剣を振るって蒼ノ一閃をジャンナインとギンガに炸裂し、ギンガとジャンナインは地面に倒れこむ。

 

「来元! 雪音!!」

「このままじゃ2人が……、でも、攻撃すれば相手は強くなるしどうすれば……。 あっ、タロウさんならなにか知ってるかも!!? タロウさーん!!」

 

響がタロウを呼ぶとその呼びかけに応えてタロウが彼女達の目の前に現れ、響は早速タロウになにかあの怪獣に弱点がないかを問いかけた。

 

『ふむ、しかし、あの怪獣……どこかでも見たような……! はて、どこだったか……?』

「えぇ!? ちょっとこんな時に忘れないでくださいよ!!?」

『いや、待て、確か……』

 

そうこうしているウチにギンガの身体が半透明になり、時間制限がかなり近いことを知らせていた。

 

そんな時だ、コウマの持つギンガスパークから青いウルトラマンのスパークドールズが出現し、コウマの手に握られた。

 

『このウルトラマンは……。 そうか、タロウから聞いたアンタならどうにか出来るかもな!!』

 

コウマはそのスパークドールズをギンガスパークの先端に押し当て、立ち上がったギンガの身体が光輝くとギンガの姿が変わり、ギンガは青い巨人……、慈愛の戦士「ウルトラマンコスモス・ルナモード」となった。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンコスモス!』

「青い……ウルトラマン?」

『シェア!!』

 

コスモスはファイティングポーズをとり、イフがコスモスに向かって剣を振りかざすがコスモスはそれを左手で受け流し、右の平手をイフに叩きこむ。

 

イフはギンガクロスシュートをコスモスに3連射で放つがコスモスは高速で動いて光線をかわし、コスモスは高速移動でイフを翻弄する。

 

そしてコスモスはイフの背後に立ち、イフに掴みかかって振り返らせてると両手でイフの腹部を何度も叩きつけ、イフは右腕の剣を振るうがコスモスは右腕を掴んで背負い投げを繰り出し、イフを地面に叩きつける。

 

『グアアアアア!!!』

 

立ちあがったイフは何度もコスモスに接近戦で攻撃を仕掛けるがコスモスは全ての攻撃を受け流し、しばらくするとイフは若干疲れを見せ始め、動きが鈍くなり始める。

 

そしてコスモスはイフから一度離れると倒れこんでいたジャンナインに手を差し伸ばし、コックピットのクリスがコスモスの顔を見上げるとコスモスは頷き、ジャンナインはコスモスの手を取って立ちあがらせる。

 

『……クリス、あとは君がやるんだ』

「はあ!? ってかお前誰だよ!?」

 

コスモスから、ギンガでも、コウマでもない声がクリスの耳に届き、彼女は戸惑いを隠せなかった。

 

『君の夢なんだろう? 歌で世界を救う。 これがその、第一歩だ』

「なんで歌なんて……、歌であいつを倒せんのかよ?」

『倒すんじゃない。 救うんだ、闇の心につけ込まれている誰かを。 夢を……追いかけて?』

 

コスモスがそう語ると、クリスは戸惑いつつではあったが……彼女は息を吸い、「歌」を「ウルトラマンコスモス~君にできるなにか~」を歌い出した。

 

「……~♪」

 

さらにコスモスは相手の感情を静めて大人しくさせる興奮抑制光線である右掌を前に突き出して放つ「フルムーンレクト」をイフへと放ち、こちらに接近して来るイフが動きを止め、大人しくなっていく。

 

『ハアアアアア……!!』

(怪獣が大人しく……? いや、それだけじゃない、あの怪獣が変化してく……)

 

イフは光線技やミサイルなどで攻撃すればするほどそれをコピーし、強化されていく。

 

しかし、光線などを喰らっている間はその光線が終わるまで完全にコピーすることはできない。

 

そこでコスモスはコピーされるかもしれないとあえて分かってフルムーンレクトを放ち、一度イフの動きを止めたのだ。

 

その隙にクリスの歌声をイフへと聞かせ、段々とイフは大人しくなっただけではなく、身体から縦笛やピアノといった楽器のようなものが生え、姿も金色に輝いて行き……、凶悪な姿から輝かしく美しい姿へと変わって行く。

 

(これが、あのウルトラマンの力?)

『これは、コスモスの力じゃない。 君の力だ、僕はただ、怪獣を大人しくさせてるだけ……』

 

クリスがなにを考えてるのか悟ったのか、コスモスはクリスにそう言い、コスモスは彼女に向かって頷いた。

 

やがて、イフは完全に大人しくなり、イフの中にあったダミースパークが粉々に砕け、ライブしていた人間は元の姿に戻った。

 

その時の人間の表情はとても幸せそうな顔をしていた。

 

「あたしが……歌で……?」

 

クリスは自分の歌でダミースパークを砕いたことが信じられず、目を疑っていたがコスモスは頷き、そしてコスモスは消え去ってコウマの姿へと戻り、クリスもジャンナインから降りてジャンナインをジャンスターにして宇宙へと返したのだった。

 

「クリス……うぐッ」

 

コウマは苦しそうな表情を見せて倒れそうになるがそれをクリスが支える。

 

「やったな、クリス……」

 

コウマはそう言ってクリスに微笑み、彼女は顔を赤くしつつ、コウマに微笑み返して「あぁ」と応えるのだった。

 

「でも、まだソロモンの杖を取り返してない。 だからまだ素直に喜べねえよ……」

「そうか、でも……必ず取り返そうな」

 

クリスの頭を撫でるコウマ、クリスは「やめろ」とコウマの手を払いのけ、彼もクリスの言う通り頭を撫でるのはやめたが今度は代わりに彼女を抱えて(お姫様抱っこして)歩き出した。

 

「わあ!!? なにしやがんだテメー!!?////」

「ふふーん♪ いっぺんクリスをこうやってお姫様抱っこしてみたかったんだよねー♪」

 

その後、クリスは翼と響にこの場面を見られて顔全体を真っ赤にしたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マリア達のヘリの中では切歌がウェルを殴り飛ばしており、彼女はウェルに掴みかかった。

 

「下手打ちやがって! 連中にアジトを抑えられたら計画実行までにどこで身を潜めればいいんデスか!?」

「おやめなさい、こんなことをしたってなにも変わらないのだから」

 

マリアはそう言って切歌を落ちつかせ、そこにモニターからナスターシャが顔を出す。

 

『虎の子を守りきれたのが勿怪の幸い、とはいえ、アジトを抑えられた今ネフィリムに与える餌がないのが、我々にとっては大きな痛手です』

「今は大人しくても、何時またお腹を空かせて暴れ出すか分からない」

 

調は大人しく眠っているネフィリムを見つめ、これからどうするべきかを考えた。

 

そんな時、零無が腰を降ろし、ネフィリムを見つめていると……。

 

「こうして大人しくしてればなんか可愛く見えるな、ネフィリム」

「「「!!!?」」」

 

そう発言した零無にマリア、調、切歌は驚きの表情を見せ3人とも「えぇ~!?」と心の中で若干引いていた。

 

「持ち出した餌こそ失えど、全ての策を失った訳ではありません……」

 

そのウェルの言葉に一同は首を傾げるのだった……。

 

「アジトを抑えられ、ネフィリムを正常させるのに必要な餌、聖遺物の欠片もまた敵の手に落ちてしまったのも事実です。 本国の研究機関より持ち出した聖遺物も残りわずか。 遠からず補給しなければなりませんでした」

 

ウェルはそう自慢げに話すが、零無はちゃんとその対策は出来ているのかとウェルに問いかけた。

 

「……そういう風に余裕ぶっこいてるけどよぉ、対策はしっかりと考えてんのかよ杉田博士?」

「ウェルです、なんですか杉田博士って。 まあ、対策などという大げさなことは考えていませんよ、今時聖遺物の欠片なんてその辺にゴロゴロ転がっていますからね」

 

ウェルは僅かに笑みを浮かべながら切歌と調の持つシンフォギアのペンダントを見つめ、調はまさか自分達の聖遺物をネフィリムに食べさせるのかと思ったが……流石のウェルもそこまでバカじゃない。

 

「だったら私が、奴等の持っているシンフォギアを……」

 

マリアがそう言った直後、切歌が「それはダメです!!」と否定した。

 

「絶対にダメ、マリアが力を使う度にフィーネの魂がより強く目覚めてしまう。 それは、マリアの魂を塗りつぶしてしまうということ、そんなのは絶対ダメ……」

「っ、2人とも……」

 

マリアは申し訳なさそうな表情を浮かべ、零無はそんなマリアになにか声をかけようとしたが……、なにも言葉が思い浮かばず、黙りこんでしまう。

 

(クソッ、肝心な時に俺はなにもしてやれないのかよ、こいつ等に……!)

 

その後、ウェルが「なら、どうします?」と切歌と調に問いかけると切歌はハッキリと言い放った。

 

「私達がやるデス!! マリアを守るのは、私達の戦いデス!! それまで零無はマリアやマムを守ってあげてくださいデス!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で戦艦の方ではコウマ達が戦艦の上に座り込んでおり、そこに弦十郎が出てくる。

 

「無事か!? お前達……!」

「師匠……! 了子さんと、例え全部分かり合えなくともせめて少しでも通じあえたと思ってました。 なのに……」

 

響は暗い顔をして顔を俯かせるが……。

 

「通じないなら通じあうまでぶつけてみろ! 言葉より強いもの、知らぬお前達ではあるまい!」

「……言ってること、全然分かりません。 でも、やってみます!!」

 

響はそう言って暗い気持ちを入れ替え、するとコウマが「あっ!」と声をあげた。

 

一体どうしたのかと響達が問いかけるとコウマは響に笑いかける。

 

「そうだよ、マリアさんが本当にフィーネかどうかなんて分からないんだからな!」

「……うん、そうだね、確かにそうだよね!! まだ確実とは言えないんだもん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、指令室へと戻った弦十郎は斯波田からマリア達について分かったことを弦十郎に報告していた。

 

「では、自らフィーネと名乗ったテロ組織は、米国政府によって所属していた科学者たちによって構成されていると?」

『正しくは米国連邦聖遺物研究機関、『F.I.S』の一部職員が考察を離れ暴走した集団ということらしい』

 

それと、これはあくまで噂であるのだがF.I.Sというのは日本政府の情報開示以前より存在しているとのこと。

 

「つまり、米国と通謀していた彼女がフィーネが由来となる研究機関という訳ですか」

 

緒川は斯波田の言葉をそう解釈した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今日この日は、リディアン音楽院の学際の日。

 

この日は生徒では無い一般人もリディアンに入ることが普通に許されているため、切歌と調は余裕で潜入することが出来た。

 

なのだが……切歌と調はタコ焼きを買って切歌はニコニコと楽しそうにそれを頬張っていた。

 

「楽しいデスな~! なにを食べても美味しいですよ!」

「じー」

「あっ、なんですか調?」

 

調がこちらをじーっと見つめていることに気付いた切歌は調と一緒に人気のない場所に行き、調は切歌に本来の目的を忘れたのかと問いかけた。

 

「う、分かってるデス! これもまた、捜査の一環なのデス!」

「捜査?」

「人間誰しも、美味しいものに引き寄せられるものデス! 学院内の美味いものマップを完成させることが捜査対象の絞り込みには有効なのデス!」

 

そう言って切歌は学園内のマップを取り出すが調は頬を膨らませて切歌を睨みつけた。

 

「……心配しなくても大丈夫デス、この身に課せられた使命は一秒だって忘れていないデス」

 

そんな時、切歌の後ろを翼が通りかかり、調は「キリちゃんカモネギ!」と翼を指差して彼女を追いかけて行こうとするがそれを切歌が慌てて引きとめる。

 

「作戦の心の準備も出来てないのに、カモもネギもないデスよ!」

 

その後、切歌と調はこっそりと翼の後を付けて行き、翼は2人の気配に気付いたのか立ち止まって振り返るが……そこに誰もいない。

 

切歌と調が慌てて学校の柱に隠れたのだ。

 

確かに気配を感じたのに、誰もいないことに翼は「んっ?」と首を傾げた。

 

翼は背後に気を配りつつ、その場を歩き去ろうとするがその時コウマの腕を掴んだクリスがいきなり飛び出してきて翼とぶつかり、3人は尻もちをついた。

 

「クリス~! なんでそんな早く逃げるんだよ? ほら、おかげで誰かと……って翼さん」

「またしても雪音か! それに、来元も一緒か。 なにをそんなに慌てて……!」

 

翼がそう問いかけるとクリスは「追われてるんだ! さっきから連中の包囲網が少しずつ狭められて……!」と応えた。

 

「雪音も気付いていたか、先刻より先程からこちらを監視しているような視線を私も感じていた所だ」

「あー、翼さん? 多分クリスが言ってるのは前回と似たようなことだと思うんですけど……」

 

コウマの言葉を聞いた翼は「えっ?」と首を傾げ、するとそこにクリスのクラスメイトの女子3人がクリスの元へと駆け寄って来た。

 

「お願い! もう時間がないの!!」

「……えっ?」

 

その後、クリスはその3人に連れられて歌合戦の会場に連れて行かれ、クリスはコウマに助けを求めたが……。

 

「頑張って行って来い! 俺も後で行くから!」

 

と満面の笑みで後押しされるのだった。

 

それからコウマと翼は歌合戦の会場に足を運ぼうとしたのだが……その時、タロウがコウマの目の前にいきなり現れた。

 

「おぉ!? タロウ、いきなりビックリするだろ」

『すまんコウマ! しかし、怪獣が現れたのだ! 怪獣がこのまま真っ直ぐ来れば……リディアンに被害が及ぶ可能性がある!』

「なに!?」

 

それを聞いたコウマは頷き、ギンガスパークとスパークドールズを取り出し、ギンガスパークの先端にスパークドールズを押し当てる。

 

『ウルトライブ! メルバ!』

 

両腕が鎌になっている鳥のような怪獣「超古代竜 メルバ」にライブし、空へと飛び立つと怪獣のいる場所へと一直線に向かって行った。

 

そしてしばらくするとタロウの言っていた怪獣……というよりも悲しみ、怒り、喜びの顔が3つあるロボット、「三面ロボ頭獣 ガラオン」が真っ直ぐリディアンに向かってきていた。

 

『オイ!! 止まれ!!』

 

メルバが目から放つ光線「メルバニックレイ」をガラオンの足元に撃ちこみ、一度ガラオンは動きを止める。

 

『なんだ貴様! 俺の邪魔をするな!』

『邪魔してんのはどっちだ!!』

 

メルバはそう言うと空中からガラオンに向かって接近し、鎌をガラオンに振りかざそうとするがガラオンは怒りの顔から放つ赤い光線をメルバに撃ち、メルバを撃墜する。

 

撃墜されたメルバはどうにか起きあがるがガラオンが続けて赤い光線をメルバに放つ、だがメルバは跳びあがって光線をかわし、そのまま一気にガラオンに接近すると両腕の鎌でガラオンを斬り付けた。

 

『ぐおおっ!? くっそぉ! 絶対にあの学院の学際なんてぶっ壊してやるからな!』

『はあ!? お前それが狙いなのか? なんで……!?』

『それは……それは俺が学際とかそういうの嫌いだからだよ!!』

 

ガラオンは身体を横回転に高速で動かし、メルバに向かって突撃してメルバに激突し、メルバは地面へと倒れこむ。

 

『だって学際ってなんかアレじゃん? 作業とかする時とかさ、女子と一緒とかの場合あるじゃん? それでなんか優しくされてさ思うじゃん? 『アレ? ひょっとしてこいつ俺のこと好きなんじゃ?』って。 んで、いざ告白したとなるとフラれて……。 じゃあなんで優しくしてくれたんだよ!? その気になんじゃん!! だから俺は学際とかが嫌いなんだ、だからぶっ潰してやるんだああああああああ!!!!』

『うわっ、台詞長い上に下らねえ』

 

ガラオンはメルバのその言葉にプチンとキレてメルバに向かって突撃して来るが……その時、ギンガスパークのブレードが展開し、ギンガのスパークドールズが現れ、ギンガスパークの先端をギンガのスパークドールズに押し当てる。

 

『クリスの初めての学際、壊させる訳にはいかねえ! だから頼むぜ、ギンガ!!』

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

メルバは「ウルトラマンギンガ」の姿へと変わり、ギンガは突進して来たガラオンを蹴り飛ばした。

 

『シュアッ!!』

 

蹴り飛ばされたガラオンは倒れこんだがすぐに置きあがり、身体を横に高速回転させ、青、赤、黄の光線を何発もギンガに放ってくる。

 

しかし、ギンガは光線を右手をかざして作り出すバリアで防ぎ、そのまま光線を押し返す。

 

『ぐああああああッ!!?』

『シュア!!』

 

さらに飛び上がってギンガはガラオンの目の前にまで迫るとガラオンの顔面に拳を何発も叩きこみ、ガラオンの腕を掴んで投げ飛ばす。

 

ガラオンはどうにか起きあがり、ギンガに向かって突進して来るがギンガには余裕でかわされ、その上足をつまずいてすっ転んでしまう。

 

『これでトドメだ!!』

 

ギンガは全身のクリスタルを青く輝かせ、ギンガクロスシュートを放つ体制へと入る……しかし……。

 

起きあがったガラオンは喜びの顔から黄色いガスをギンガに向けて発射し、ギンガはそれを喰らって地面に倒れこみ、腹を抱えて笑い転げてしまった。

 

『アハハハハ!! アハハハハ!!』

 

ギンガが動きを止めた所にさらにガスを放ち、ギンガはさらに笑い転げてしまう。

 

『アハハハハ!! やば、ヤバいイイイイ!! アハハハハ!! このままじゃ、笑い死ぬ……!!』

『ま、まずい、このままでは……!』

 

その様子を遠くから見ていたタロウは一度リディアンにテレポートで戻り、翼の元へと現れる。

 

「あっ、タロウ? 来元はどうだった?」

『まずいぞ、翼! このままでは……! ギンガが笑い死ぬ!!』

「……はっ?」

 

翼はタロウからガラオンの笑気ガスのせいで笑いが止まらず、このままではギンガが笑い死ぬ可能性があると説明し、翼はどうすればいいのか考えた。

 

援護に行くにもクリスは初めての学際ということで呼ぶ訳にはいかないし、響にも今はこういった安らぎの時間が必要だと考えた。

 

「仕方がない、私が行こう」

『しかし、君1人では……!』

「立花には今はこういった時間が必要だろう? それに雪音には初めての学際を楽しんで貰いたい。 2人のためにも、ここは私が行くべきだろう?」

 

翼はそう言ってタロウに微笑み、タロウにテレポートでギンガの元に連れて行くように頼み、タロウは「すまない」と謝って彼女と一緒にギンガの元までテレポートし、ギンガの元へと辿り着くと彼女はシンフォギアを纏おうとするが……。

 

「ちょっと待って!」

 

そんな彼女の前に、七瀬リサが呼びとめた。

 

「君は……?」

「幾らシンフォギアを纏っても、あの笑気ガスを喰らうのは困難よ」

 

それを聞いた翼は「ではどうすれば……!」と悩んだ……、だがリサは「大丈夫」と翼に優しく声をかける。

 

「あなたの後輩たちを守る戦い、その心の強さに、『彼等』は応えてくれる」

「彼等……?」

 

その時、リサの手にコウマと同じ選ばれし者の紋章が浮かび上がり、それから青いクリスタル状のギンガスパークが現れ、翼の手に渡った。

 

そしてリサは赤と青の身体を持つ胸に金色のプロテクターがあるウルトラマンのスパークドールズを翼に投げ渡し、彼女は翼に向かって頷いた。

 

「ギンガと、彼……。 戦って!」

「あぁ、言われずとも……!」

 

翼は青いギンガスパーク、「ギンガライトスパーク」を構えるとその先端にリサに渡されたスパークドールズを押し当てる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンダイナ!』

 

そして、ガラオンが笑気ガスをギンガに放ちながら接近し、トドメを刺そうとしたその時……!

 

『ショワッ!!』

 

赤と青、金色のプロテクターがついた巨人「ウルトラマンダイナ・フラッシュタイプ」がガラオンを現れると同時に蹴り飛ばした。

 

ダイナはガラオンの腕を掴んで投げ飛ばし、地面に倒れこむガラオンの上に馬乗りとなり、チョップやパンチを叩きこむがそこは悲しみの顔のある場所でガラオンは青い光線をダイナに喰らわせ、吹き飛ばされる。

 

『ウアアッ!?』

 

そこに回復したギンガも立ちあがり、ギンガはジャンプして勢いのつけたパンチをガラオンに叩きこみ、さらに廻し蹴りをガラオンに喰らわせた。

 

『無事か、来元!?』

『えっ、その声……まさか翼さん!?』

『あぁ、それよりも、あいつを倒すぞ!!』

 

ギンガはダイナの言葉に「はい!」と頷き、ギンガとダイナは駆けだして2人でガラオンの腕を掴みあげ、2人同時に蹴りをガラオンの顔に叩きこむ。

 

フラつくガラオンだが、ガラオンは喜びの顔を向けて笑気ガスをダイナとギンガに放つ。

 

だがギンガもダイナも笑気ガスを避け、ダイナは両腕を胸の前で交差させた後、腕を広げる。

 

『ンー、ジュア!!』

 

ダイナは姿を変え、青い姿の「ミラクルタイプ」へとタイプチェンジした。

 

ガラオンは黄色い光線をダイナに放つがダイナは「ダイナテレポーテーション」という瞬間移動能力で攻撃をかわし、ガラオンの怒りの顔個所に廻り込み、強烈な蹴りを叩きこんだ。

 

さらにダイナは3人に分身する「ウルトラマジック」を使い、3人に分身し、怒りに拳、悲しみに蹴り、喜びに膝蹴りを一斉に叩きこんだ。

 

そこにギンガがガラオンを持ち上げ、空中へと投げ飛ばし、ダイナはフラッシュタイプに戻り、ダイナは腕を十字に組んで放つ必殺光線「ソルジェント光線」を放ち、同時にギンガも腕をL字に組んで放つ「ギンガクロスシュート」をガラオンに放った。

 

『ジュア!!』

『ギンガクロスシュート!!』

 

ガラオンはギンガとダイナの光線を喰らい、空中で爆発してライブしていた男性は地面に倒れこみ、ダミースパークも砕かれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラオンを倒したコウマと翼はどうにかクリスの出番が来るまでに間に合い、2人は響と未来のいる席に座る。

 

「響! あれって……!」

「うっそぉ!!」

 

そしてクリスが出て来たことに響と未来は驚きの表情を浮かべた。

 

「雪音だ、私立リディアン音楽院、雪音クリスだ!」

 

クリスはマイクを持っているが彼女は頬を赤くし、歌う事を戸惑っているようだった。

 

そんなクリスに響と未来は心配そうにするがクリスは自分を応援してくれるクラスメイトの3人を見てマイクを口元に近づけ、「教室モノクローム」を歌い始めた。

 

「~♪」

 

彼女は歌を歌いながら、転校してきてあのクラスメイトの3人に出会った時のこと、今までのクラスメイトの3人と過ごしてきた時のことを思い返していた。

 

数分前、ここに来る途中。

 

『勝ち抜きステージで、雪音さんに歌って欲しいんです!』

『だからなんであたしが……!』

 

クリスはクラスメイトの1人にそう言われて反論しようとしたが……そのクラスメイトからは……。

 

『だって雪音さん凄く楽しそうに歌ってたから!』

『えっ、あっ……///』

 

そう言われてクリスは黙り込んでしまう。

 

『雪音は歌、嫌いなのか?』

 

翼がクリスに笑みを浮かべながらそう問いかけ、クリスは顔を真っ赤にして翼から顔を背ける。

 

『あ、あたしは……////』

『嫌いなわけないよな。 お前は歌が凄く大好きだもの! 好きなものは、好きだって胸を張って言えばいいんだ!』

 

コウマはそう言って笑顔をクリスに向けて彼女の頭を撫でた。

 

『……コウマ……/////』

 

そして現在、彼女は本当に、本当に楽しそうに歌を歌っていた。

 

「~♪」

 

歌を歌い終え、クリスは思ったことは……。

 

(楽しいな、私、こんなに楽しく歌を歌えるんだ。 そっか、ここはきっと、あたしが……いても良い所なんだ……)

 

クリスは笑みを浮かべ、顔をあげるとこちらに向かって笑顔で手を振ってるコウマを見つけた。

 

それに気付いてクリスも小さく手を振った。

 

「「……/////」」

(仲いいですな~、コウマくんにクリスちゃん)

 

そして審査の結果……クリスが優勝し、飛び入り参加もありなのでチャレンジする者いないかと司会者の女子が問いかけると客席の方から2人、手があがった。

 

「やるデス!」

「なっ……あいつ等!」

 

切歌と調は変装に使っていたメガネを外して立ちあがり、それに驚くクリス。

 

「チャンピオンに……」

「挑戦デス!」



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19Eve 零無の「夢」だったもの

「あいつ等なにしにきてんだ?」

 

コウマはいきなり歌合戦の大会に飛び入り参加をしてきた切歌と調に対して静かにツッコミ、翼と響も顔を見合わせ、「なにが目的なのか分からない」といった表情を浮かべていた。

 

「響、あの娘たちを知ってるの?」

 

響の隣にいた未来が彼女に切歌と調のことを問いかけ、響は少し戸惑いがちにこのことをどう説明するべきか悩んだが突然翼が立ち上がった。

 

「彼女たちは、世界に向けて宣戦布告して私たちに敵対するシンフォギア奏者だ」

 

上手く説明を響ができそうになかったため、助け舟の意味も込めて翼がそう未来に説明し、未来は「ということはマリアさんの仲間なの?」という疑問が出てきた。

 

その未来の表情には不安といったものが含まれていた。

 

当然だろう、ノイズを操って見せたマリアの仲間なのだ、もしかすれば彼女たちもノイズを操れるだけの力を持っているかもしれない。

 

そう思うと未来は少しだけ怖かった……、だが、翼とコウマはお互いに頷き合い、未来の不安を打ち消すように「大丈夫だ」と声をかけた。

 

「この日はお前等にも、クリスにとっても大事な日なんだ。 俺達が絶対にそんなことはさせない」

「あぁ、それに、私の場合シンフォギアを使わずともいざとなれば……」

 

そう言って翼はポケットにしまっているギンガライトスパークを握りしめ、もしもあの2人がノイズを出してきてもこれがあれば正体を隠し、ノイズや切歌達とも戦えると思う翼。

 

しかし、今のところ切歌と調にも今彼女たちと争う気は一切なかった。

 

なぜなら切歌は「この勝ち抜きステージで優勝すればなんでも願いを1つ叶えられる」というものがあったからだ。

 

ここで優勝することができれば、響たちの聖遺物の欠片を正当に奪うことができる。

 

これならば無駄に争う必要もないし、ワザワザ隙を伺って奪うという姑息な手も必要ない。

 

切歌も少し不満げだった調にそのことを説明すると彼女はしぶしぶ切歌の提案に承知した。

 

「このチャンス、逃す訳には……」

「おもしれぇ! やろうってんならこちとらやる準備は整ってる!」

 

クリスは切歌と調に対して喧嘩腰であったが、そんな彼女の頭に後ろからコウマが軽くチョップする。

 

「ハイハイ、そんな喧嘩腰になるなって!」

「コウマ!? だけど、あいつ等……!?」

「あいつ等だってバカじゃない、こんな所で争おうなんてこと考えない筈だ。 それに、多分あいつ等、楽しそうに歌ってるお前を見て自分たちも歌いたくなったんだよ、きっと」

 

クリスの頭を撫でながらコウマがそう言うと、クリスは「えっ?」といった表情を浮かべ、切歌と調を見つめた。

 

コウマは「だから、歌わせてやろうぜ?」とクリスに声をかけるがイマイチ、クリスは納得してくれない様子。

 

そんな彼女にため息を吐いたコウマはクリスの耳にボソッとあることを呟いた。

 

「分かった、じゃあ今夜一緒に弾さんの料理食べに行こう」

「……っ////」

 

コウマがそんなことをクリスの耳元で呟くと彼女は顔を赤く染め、その隙にコウマはクリスの手を引っ張ってステージから出て行き、切歌と調がステージへと上がり、2人はマイクを握り締める。

 

「ここからは私たちのステージデス!!」

「切ちゃん、それ、別の人の決め台詞……」

 

そして、切歌と調が歌うのは……「ORBITAL BEAT」、かつて翼の相棒だった天羽奏がまだ生きていた時に翼とデュエットで一緒に歌った曲……。

 

もちろん、翼は「挑発のつもりなのか」と怪訝そうな表情を浮かべている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じころ、マリア達がいるとある倉庫の中に隠していたヘリの中ではマリアとナスターシャ、零無が同じ部屋で切歌と調の帰りを待っている頃のことだった。

 

マリアは切歌と調が「マリアを守ることが、自分たちの戦いだ」と言っていた言葉を思い出しながら、申し訳なさそうな表情をしていた。

 

「後悔しているのですか?」

 

ナスターシャがマリアにそう問いかけると、マリアは首を横に振って「大丈夫よマム」と言い、零無はマリアの傍に行き、しゃがみ込んだ。

 

「お前のことだ、あの2人に申し訳ないと思ってるんじゃないのか?」

「確かに、少し……。 でも、私に与えられた使命は真っ当してみせる」

 

マリアは零無にそう強く言い放つが、そんな時のことだった。

 

ヘリの周辺を武装した特殊部隊と思わしき者たちが囲んでおり、ナスターシャは監視カメラで確認するとその特殊部隊はナスターシャ曰く「今度は本国からの追手」らしい。

 

もうここが嗅ぎつけられてしまったことにマリアと零無は驚くが、ナスターシャは慌て気味の2人とは違い至って冷静だった。

 

「異端技術を手にしたと言っても、私たちは素人の集団。 訓練されたプロを相手に立ちまわれるなどと思い上がるのは虫が良すぎます」

 

ナスターシャは冷静にそう2人に語り、マリアはナスターシャに「どうするの!?」と問いかけるとナスターシャは「踏み込まれる前に、攻めの枕を抑えにかかりましょう」と提案し、マリアに排撃するように頼む。

 

それを聞いたマリアと零無は、ガングニールの威力では幾らこの手のプロといえど一撃を喰らってしまっては一溜まりもないと主張し、それならば威力の調整ができるゼロダークネスの方が適していると零無はナスターシャに意見するが……。

 

「言っていることが分かりませんか? マリアにそうしなさいと言っているんです。 あなたではない」

「マム……なんで……」

「零無、あなたも見た筈です、マリアはライブ会場の時、観客を逃がした。 それは彼女がまだその手を血に染めることを恐れている……。 覚悟を決めなさい、マリア」

 

すると、兵士達の攻撃が開始され、ナスターシャはマリアに出撃するよう指示するが、やはりマリアは戸惑いの様子を見せる。

 

そして兵士たちが一斉にヘリへと突入した時のことだった、突然兵士の何名かが炭と化し、消滅したのだ。

 

一瞬、マリアはなにが起こったのかわからなかったが、すぐに分かった。

 

こんなことができるのはノイズだけ、しかも自分たちを守るような動きを見せるということは恐らく、ウェルがソロモンの杖で呼び出したノイズだろう。

 

ノイズは兵士たちに一斉に襲い掛かり、零無とマリアは目を見開く。

 

その光景を見て、零無はかつての大切な人物を亡くしてしまった時の光景が頭の中に蘇った。

 

「や……めろ……」

『フッ、出しゃばり過ぎとは思いますが、この程度の相手に、新生フィーネのガングニールを使わせるまでもいきません。 僕がやらせて貰いますよ?』

『ふふ、あたしもお忘れなく』

 

どこから現れたのは「ナックル星人グレイ」も参戦し、右腕からエネルギーでできた鞭を出現させて複数の兵士たちを拘束し、ノイズにぶつけて炭素分解させ、消滅させる。

 

その光景に、遂に耐えられなくなったのか、零無はヘリから出ようとするが当然ナスターシャに止められる。

 

「止めるな!! 幾らあんたでも、俺は黙って人が死ぬのを、もう見たくない!!」

 

零無はダミースパークとゼロダークネスのスパークドールズを取り出すと、ゼロダークネスの足部にダミースパークの先端を押し当て、等身大の「ゼロダークネス」へと変身し、ヘリの外へと出た。

 

『あら? あなたも手伝ってくれるの? 助かるわ~』

 

グレイがゼロダークネスの肩に手を置くが、ゼロダークネスはグレイの腕を掴み上げ、グレイの顔面に力いっぱいの拳を叩きこんで殴り飛ばした。

 

『いやああああああん!!?』

『汚い手で俺に触れるな!!』

 

ゼロダークネスは兵士たちを救おうと兵士たちの元へと駆け出して行き、兵士に襲いかかろうとした複数のノイズを右足に炎を宿らせて跳び蹴りを繰り出す「ダークネスゼロキック」を炸裂し、複数のノイズの身体に大きな穴が空いてノイズ達は消滅する。

 

「あなた! 一体なんのつもりですかぁ!?」

『それはこっちの台詞だ! 殺すことはないだろ!! こうやって俺がこいつ等を追い払えば良いだけの話だ!!』

「あまっちょろいんですよ、あなたは!! 追い払う? そのせいでなにか策を練られたら? そのせいで聖遺物を奪いに行っている2人が帰ってくるところを狙われたらどうしますぅ!?」

 

ウェルの言葉に、ゼロダークネスはなにも言い返せなかった。

 

確かにその通りだ、ここでこの特殊部隊の連中を潰さなければ切歌と調が危ないかもしれない。

 

そう考えると、ゼロダークネスは動きを止めた。

 

ウェルはゼロダークネスが動きを止めた隙に、ノイズに兵士たちを襲わせ、一気に特殊部隊の兵士たちを殲滅していく。

 

『くそ、くそくそくそ!! こいつ等に比べたら、確かに切歌と調の方が大事だ、でも、だからって……納得できるかぁ!』

 

ゼロダークネスはそれでもウェルを止めようとソロモンを狙うが、複数のノイズ達が道を遮り、ゼロダークネスがノイズ達の相手をしている間に、それとは別のノイズ達が兵士たちを襲い、結局……ゼロダークネスは誰1人として救うことができなかった……。

 

『ぐっ、ああ……。 うあああああああああああああ!!!!!』

 

その事実に、ゼロダークネスは悲痛な叫び声をあげ、ゼロダークネスの状態のまま、全力のパンチでもウェルに喰らわせてやろうかと考えたが……そんなことをすれば彼は死んでしまう。

 

彼がこの後の計画に必要な人物である限り、彼をこの姿で全力で殴ることはできなかった。

 

丁度、その頃、倉庫の外にこの騒ぎを聞きつけた野球少年の3人が自転車に乗って現れ、「どうせ工事かなにかだろう」と考えた3人は急いで試合の練習に行こうとしたのだが……。

 

そこにウェルが現れ、彼は「おや~?」と3人の少年の元にゆっくりと近づいていく。

 

マリアは通信機でウェルにやめるように呼びかけるも彼は無反応……。

 

そしてウェルがソロモンからノイズを呼び出し、3人の少年へと襲いかからせ……、3人は炭素と……化さなかった。

 

「はっ……?」

『いい加減にしろよ、テメー……』

 

そこには、いつの間にか3人の少年たちを庇うようにゼロダークネスが2体のノイズを受け止めており、ゼロダークネスは2体のノイズを力任せに持ち上げると空中へと投げ飛ばした。

 

『あ~、酷い目にあったわぁ……。 ってんっ?』

 

しかも運が悪いことに、倉庫から外に出てきたグレイの頭上に先ほど投げ飛ばされたノイズが激突し、グレイはノイズの下敷きとなってしまった。

 

『ギャアアアアアアアア!!!!!?』

 

そんなグレイは無視され、ゼロダークネスは3人の少年の方へと振り返ると3人の少年たちに早く逃げるよう言い、3人の少年たちは「ありがとう!」とお礼を言ってその場を急いで去って行った。

 

「どういうつもりですかあなた?」

『それはこっちの台詞だ。 あいつ等は全くの無関係だろうが! それなのにお前は……、テメーはなにをしようとした!!?』

「はあ、ちょっとグレイ。 彼、ちゃんと心の闇あるんですか?」

 

ウェルが少し疑いの目を向けながらノイズの下敷きになっているグレイに問いかけるとグレイは「そのはずだけど……」とどこか自信がなさ気。

 

『あるさ、心の闇。 だからダミースパークがある。 だけど、俺に心の闇があるからって……人を殺したいとは思わない!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、リディアンでは丁度、切歌と調が歌い終わったところであり、2人の歌が歌い終わった頃には翼はどこか……悲しそうな表情を浮かべていた。

 

「なぜ、歌を歌う者同士、戦わなければならないのか……」

 

これで現時点のチャンピオンであるクリスの点数を切歌と調が超えることができれば彼女たちの勝ち……。

 

クリスはそんな2人に「2人がかりとはやってくれる!」と睨みつけるがまたもやコウマからの軽いチョップがクリスの頭に入る。

 

「イチイチお前はなにすんだよ!?」

「だから、そういうこと言うなって。 楽しめたのなら、勝ち負けなんて関係ないだろ♪」

 

コウマは笑顔でクリスに言い、彼女は頭を抱えて「これだからこいつは……」とどこか呆れた様子を見せる。

 

だが、切歌と調の耳についていた通信機からナスターシャからの連絡が入り、場所を知られた以上は長居はできないと判断したナスターシャが切歌と調の2人に撤退するように指示した。

 

当然、あともう少しでシンフォギアのペンダントが入るというところまで来ているのにここで撤退するのは気が引けた。

 

しかし、ナスターシャの「命令です、退きなさい」という言葉を残して通信を切ったことで2人はしぶしぶ会場から出て行き、響、翼、クリス、コウマも彼女たちのあとを追いかけた。

 

その後、切歌と調を4人が見つけて取り囲み、切歌は苦い表情を浮かべるが……。

 

「4対2、しかもその内の1人はウルトラマンであなた達の味方。 このことから考えて不利なのは私たちだけど……ここで戦ってあなた達が失うもののことも考えて」

「お前! そんな汚いこと言うのかよ! さっき楽しそうに歌ったばかりで……!」

 

クリスが調の言葉に必死な様子でそう言葉を返し、切歌と調はハッとしたかのような表情となり、困惑する。

 

「今はここで戦いたくないだけ……。 そうです決闘デス!! しかるべき決闘を申し込むのデス!!」

「どうして!? 会えば戦わなくちゃいけないって訳でもない……わけでしょ!?」

「「「どっちなんだよ/デス!!!?」」」

 

コウマ、クリス、切歌の3人にツッコミを入れられる響、見事にハモった切歌とクリスは頬を赤く染め、調は「決闘の時はこちらが告げる」と言い残し、切歌の腕を引いてリディアンから出て行った。

 

その後、弦十郎から連絡が入り、4人は先ほどのマリア達のいた場所での被害を調査した後、二課へと戻るとマリアの纏うガングニールが響のガングニールと同じものであることが確認されていた。

 

考えられる例とすれば、米国政府と通じていた了子によってガングニールの一部が持ち出され、造られたものではないかと予想されたが……クリスはそのことに疑問に思うところがあった。

 

「妙だな、米国政府の連中はフィーネの研究を狙っていた。 FISなんて機関を持って、シンフォギアまで作っているのならその必要はない筈……」

「政府の管理から離れ、暴走しているという現状から察するにFISは聖遺物に関する技術や情報を独占し、独自判断で動いていると見て間違いないと思う」

 

クリスの言葉から、翼は予そう測し、弦十郎は自国の政府まで敵に廻してまで彼女たちは一体なにをしようとしているのか分からず、困り果てていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ナスターシャはヘリを自動操縦で動かし、モニターでマリアと零無のいる部屋を映し出し、2人の様子を伺っていた。

 

(セレナの意思を継ぐために、マリア、あなたはすべてを受け入れた筈ですよ……。 もう迷っている暇などないのです)

 

一方、零無は一度マリアのいる部屋から出るとポケットからマリアの妹であるセレナの写った写真を取り出し、零無はそれを悲しそうに見つめた。

 

(セレナ……、お前に会いたいよ……。 会って、言いたい。 『ずっと好きだった』って……)

 

それは、数年前の出来事、まだナスターシャやマリアがある研究施設で聖遺物の研究を行っていた時のことだ。

 

零無は幼馴染でもあるセレナのことが好きだった、しかし、それを言える勇気が零無にはなかった。

 

そんなある日、「今日こそは彼女に告白しよう」と零無は覚悟を決め、セレナに告白するタイミングを見計らった。

 

だが、現実は零無にそれを許してはくれなかった。

 

その時、研究施設で研究していた「ネフィリム」が暴走し、暴れだしたのだ。

 

これは「歌を介さず、強制的にネフィリムを起動させてしまったせい」だとナスターシャは言っていた。

 

それを聞いたセレナは、「私、歌うよ」と突然言い出したのだ。

 

セレナの言う歌、それは人体にかなりの負担をかける「絶唱」、セレナはそれを使おうというのだ。

 

「やめろ、セレナ! 下手をすれば絶唱は命にも関わるかもしれないんだぞ!」

 

当然、零無やマリアも彼女を止めようとした……、しかし、セレナは……。

 

「私の絶唱でネフィリムを起動する前の状態にリセットできるかもしれないの!」

「そんな賭けみたいな! もしそれでネフィリムを抑えられなかったら……!」

「……その時は、マリア姉さんと零無がなんとかしてくれる。 FISの人たちがなんとかしてくれる。 私だけじゃない、だから、なんとかなる! ギアを纏う力は、私が望んだ力じゃないけど、この力でみんなを守りたいと望んだのは、私なんだから……」

 

セレナは零無とマリアに向けて微笑み、それでも零無はセレナの腕を掴んで引きとめた。

 

「零無、心配してくれて有難う。 でも、ここにいる人たちを、救うためだから。 みんなが死ぬのは、嫌だから……。 だから、大丈夫だよ?」

「……っ」

 

セレナは今にも泣き出しそうな零無の頬を撫で、零無は「必ず、生きて帰ってきてくれ」とセレナと約束し、セレナはそれに笑顔で頷くと彼女は「白銀のシンフォギア」を纏ってネフィリムのもとへと向かった。

 

そしてセレナは歌った、ネフィリムを止めるために「絶唱」を……。

 

結果、絶唱の力でネフィリムは起動する前に狙い通りリセットされた、だが、絶唱の威力で周辺が破壊され、セレナの周りには炎が巻き起こっていた。

 

「「セレナ……!!」」

 

マリアと零無がセレナのもとへと駆け寄ろうとするが、炎で中々近づくことができなかった。

 

マリアは助けを求めたが、研究者たちは「貴重な実験サンプルが自滅したか!」「実験はただじゃないんだぞ!」「無能共め!!」と心無い言葉しか吐かず、零無は研究者たちを睨みつけた。

 

「どうしてそんなこと言うの!! あなた達を守るために血を流したのは私の妹なのよ!!」

 

セレナは目や、口から血を流しながらマリアの方へと振り返り、マリアと零無は彼女の元へと行こうとするが、瓦礫が2人の元に降り注ぎ、それをナスターシャが身を呈して庇った。

 

同時に、セレナは崩れる瓦礫の中へと消えていった。

 

「「セレナ!! セレナあああああああああああああああ!!!!!」」

 

マリアと零無はセレナの名前を叫び、零無は拳を地面に叩きつけた。

 

「帰ってくるって言ったじゃねえかよ……!! なのに、なのに!! なんで、セレナ……。 うあ……うああああああああ!!!!! うわあああああああああ!!!!」

 

それから零無は、その場で悲しい叫び声をあげ続けた……。

 

時は戻り、現在……。

 

零無はセレナの写真をポケットにしまい、両手で顔を覆った。

 

「セレナ、知ってるか……? お前に『好きだ』って言うこと。 それが俺の……『夢』だったんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、決闘のことを知ったウェルはそれを利用して響たちをカ・ディンギルの跡地にノイズを出現させておびき寄せ、彼女たちのシンフォギアを奪う作戦に出るのだった。

 

「決着をつけるには、お誂えむきの場所ということか」

 

響たちは決闘の場所であるカ・ディンギルの跡地へと足を運ぶと、そこにはウェルが待ち構えており、ウェルはソロモンからノイズを召喚する。

 

「テメー!」

 

クリスはウェルを睨みつけ、響、翼、クリスは「歌」を口ずさんでシンフォギアを纏う。

 

「これ、前々からザムシャーくらいか、それ以上にカッコいいと思ってたんだよなー。 バルタンだよなこれ?」

 

コウマはそんなことをボソボソと呟いているため、クリスと翼は「いいからさっさと変身しろ!!」とツッコまれ、コウマは苦笑しつつ頷き、スパークドールズの足部にギンガスパークの先端を押し当てる。

 

『ウルトライブ! バルタンバトラー・バレル!』

 

コウマは通常のバルタン星人よりかなり機械的で、右手のハサミには剣が内蔵されているほか、左手は鉤爪状の5本指になっている「バルタンバトラー・バレル」へと変身し、響たちと共にノイズと戦い始める。

 

挿入歌「正義を信じて、握りしめて」

 

響はノイズを纏めて殴り飛ばし、翼とバレルはアームドギアと右手のハサミでノイズ達を切り裂き、クリスはガトリング銃に変形したアームドギアでノイズ達を撃ちまくる。

 

「調ちゃんと切歌ちゃんはどうしたの!?」

「あの娘達は謹慎中です。 だからこうして私が出張ってきているのですよ。 お友達感覚で計画に支障が出ては困りますので」

 

響の問いにウェルはそう応え、翼は一体なにを企てているのか問いかけたがウェルは「企てるとは人聞きが悪い」と返し、人差し指を月へと向ける。

 

「我々が目指しているのは、人類の救済!! 月の落下にて損なわれる、婿の命を可能な限り救い出すことだ!?」

『オイ、そりゃ一体どーいうことだ!?』

 

バレルがマフラーを操ってノイズを拘束し、空中に投げ飛ばして右手のハサミで切り裂きながらウェルに質問する。

 

「月の公転軌道は各国機関が3か月前から計測中、落下などという結果が出たならば黙っている筈が……」

「黙ってまいるに決まってるじゃないですか!? 対処方法の見つからない極大最悪など、さらなる混乱を招くだけです。 不都合な真実を隠蔽する理由など、幾らでもあるのですよ!!」

 

それを聞いたクリスは、「まさかこの事実を知る連中は自分たちだけが助かる算段を立てているのでは……」と思い、それを口にするとウェルは「さあ、どうでしょう?」と惚ける。

 

「だとしたらどうします? あなた達なら、対する私達の答えが……?」

 

するとそこに巨大な人型ノイズが3体現れ、それぞれ響、翼、クリスに腕を振り下げて襲いかかってくるが……。

 

『あいつ等は俺に任せろ!!』

「任せた! 来元!!」

 

バレルは腰の装甲を分離し手裏剣として組み合わせ敵に飛ばす「サイクロンソーサー」を4体の巨大ノイズに繰り出して切り裂く。

 

『サイクロンソーサー!!』

 

さらにバレルは分身を作り出せる分身能力「ディフェンスブランチ」を発動し、巨大ノイズ4体を囲み、巨大ノイズは無数に分身するバレルに困惑する。

 

バレルはノイズ達の隙を伺い、隙を突いてバレルは破壊光線のエネルギーを右手の剣に集めて敵を切り裂く「白色破壊斬」を繰り出し、何度も巨大ノイズを切り裂く。

 

『これでとどめだ!!』

 

最後にバレルはもう1度サイクロンソーサーを繰り出し、4体のノイズを一気に切り裂いて4体のノイズは消滅し、バレルは地上へと降りたった。

 

だが、そんな時のことだ、横から黒い光弾のようなものがバレルに直撃し、吹き飛ばされたバレルはそのまま何発もの光弾を喰らって地面に倒れ、変身が強制解除された。

 

「ぐあああああああああ!!!!? って、お前は……!?」

 

コウマは光弾が放たれた方向を見るとそこには等身大のゼロダークネスが立っており、ゼロダークネスはコウマにゆっくりと近づいてくる。

 

(なにが夢だ、俺はもう、夢を叶えることができない!! 俺のことを知らない癖に、こいつは夢がなんだのと……。 ムカつく奴だ……!! んっ?)

 

その時、ゼロダークネスは自分の足もとになにかがあることに気づき、それを拾い上げる。

 

「なっ、しまった!!?」

 

ゼロダークネスが拾い上げたもの……、それは、「初代ウルトラマン」と「ウルトラセブン」のスパークドールズだった。

 

恐らく、先ほどの攻撃の際にコウマが落してしまったのだろう。

 

『面白い……!』

 

ゼロダークネスは右手にダミースパークを出現させ、初代ウルトラマンのスパークドールズの足部にダミースパークの先端を押し当てようとしたが……。

 

『やめろ!! 兄さんたちを悪用するな!! ゼロも返すのだ!!』

 

突然現れたタロウがスパークドールズを取り返そうとするがゼロダークネスは腕でタロウを弾いて一蹴し、タロウをコウマが受け止める。

 

「大丈夫かタロウ!? 悪い、俺のせいで……」

『気にするな、それにしてもやっぱり早く大きくなりたい……』

 

そして、ゼロダークネスはダミースパークにスパークドールズを押し当て、黒い初代ウルトラマン、「ウルトラマンダーク」へと変身したのだ。

 

『ダークライブ! ウルトラマンダーク!』

「この野郎、絶対取り返してやるからな!!」

 

コウマがギンガスパークを掲げるとギンガのスパークドールズが現れ、ギンガスパークに押し当てる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!!』

 

コウマは等身大の「ウルトラマンギンガ」へと変身し、ギンガは飛び上がって右拳をウルトラマンダークへと繰り出すがウルトラマンダークはそれをかわしてギンガの腹部に蹴りを叩きこみ、怯んだ所を狙ってさらにギンガの胸部に殴りかかろうとするがギンガはそれを受け止めて膝蹴りをウルトラマンダークに繰り出した。

 

『へアアア!!?』

『ショウアア!!』

 

さらにギンガは自分から離れたウルトラマンダークに跳び蹴りを繰り出すが、腕を十字に組んで放つ必殺光線「スぺシウム光線」をギンガに放ち、ギンガは撃墜されて地面に倒れこむ。

 

一方で、クリス達は……、地面から飛び出してきたネフィリムに吹き飛ばされて地面に激突したクリスは気を失い、翼は彼女の元に駆け寄るが……。

 

以前響が拘束されたものと同じ液体を出すノイズが2人を拘束する。

 

ちなみに、なぜか以前と違って白いせいで薄いh(ry

 

ネフィリムは2人に襲いかかろうとするが、響がネフィリムを蹴りつけ、ネフィリムと戦闘を開始する。

 

「ルナアタックの英雄よ!! その拳でなにを守る!! そうやって君は、誰かを守るための拳でもっと多くの誰かを、ぶっ放して見せる訳だああああああ!!!!」

 

そのウェルの言葉に、以前響は調に「偽善者」と言われた時の言葉を思い出し、一瞬動きが鈍ってしまう。

 

その隙をネフィリムは見逃さず、響が繰り出した左手を……パクリと……噛みついた。

 

「……えっ?」

 

そのままネフィリムは響の左腕を……食い千切り、ムシャムシャと食べて飲み込んだ。

 

「立花ぁ!!」

『響いいいいいいいいいいいいい!!』

 

翼とコウマが響の名前を叫ぶように呼ぶ。

 

『ッ、ウェル……! お前……!!』

 

ウルトラマンダークはウェルを睨みつけ、響は……。

 

「え……あっ……、うあああああああああああああああああああ!!!!!!?」

 

恐怖のあまり、絶叫した……。



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20Eve 夢と願いと平和と

「いったああああああああああ!!!!!! パクついたぁ!! シンフォギアをぉ!! これでぇ!!」

 

ウェルがそんな風に叫び声をあげ、響は恐怖と痛みに顔を歪めてその場に膝を突き、その光景にはギンガもウルトラマンダークですら驚きの表情を浮かべていた。

 

『あんのゲス野郎……!!』

『響!!』

 

ギンガはネフィリムの方へと駆け出していくとギンガは素早くネフィリムを蹴りあげ、それに続いてウルトラマンダークもネフィリムに向かっていき、ネフィリムを殴りつけてネフィリムを響から引き離す。

 

『お前……!』

『集中しろ、ネフィリムをあの娘から引き離すぞ!!』

 

ウルトラマンダークの言葉にギンガは頷き、ギンガとウルトラマンダークは2人同時にネフィリムの腹部を殴りつけるとネフィリムは吹き飛び、地面に叩きつけられる。

 

しかし、ネフィリムはすぐさま起き上がり、ギンガとウルトラマンダークに向かっていくが、ウルトラマンダークの中にいる零無はダミースパークの先端にセブンのスパークドールズの足部を押し当てて黒い姿のウルトラセブン……「セブンダーク」へと変身した。

 

『ダークライブ! セブンダーク!』

 

セブンダークは腕をL時に組んで放つ必殺光線「ワイドショット」をネフィリムに向かって発射し、それを喰らったネフィリムは大きく吹き飛ばされて地面に倒れこんでしまった。

 

「なななな! いーったいなにしてるんですかねぇ!? お前はぁ!! ネフィリムを傷つけて我々の計画が進まなくなるでしょうがぁ!!」

『心配せずとも破壊しない程度に手加減はしている!! それに『なにをしている』というのは俺の台詞だ! 彼女の腕を食わせるなんてなにを考えてる!? 幾らなんでもやり過ぎだ!!』

 

その頃、セブンダークと同じようにヘリの中からモニターで見ていた切歌や調もこの光景を見て唖然としており、同時に怒りも見せていた。

 

そしてそれを見た切歌は壁を殴りつけ、「あの奇天烈!!」とモニター越しにウェルを睨みつけていた。

 

「どこまで道を踏み外してやがるですか!!?」

「ネフィリムに聖遺物の欠片を餌と与えるって……そういう……?」

 

さらにそれを見たマリアはどこかに行こうとするがそれをナスターシャに止められ、ナスターシャは「あなた達に命じているのはこの場での待機です」と言い、マリアはナスターシャに向かって振り返る。

 

「あいつは!! ただ人の命をただ弄んでるだけ!! そんなことが私達の為すべきことなのですか!!?」

 

マリアはそうナスターシャに問いかけるがナスターシャは黙ったままでなにも答えず、代わりに切歌と調が口を開いた。

 

「私たち、ただしいことをするんですよね?」

「間違ってないとしたら……どうして……こんな気持ちになるの?」

 

切歌にも調にもマリアにも今ここにいない零無にもこんなことになってしまったことへの罪悪感が胸にたまって仕方がなかった。

 

だが、そんな彼女たちに非情にもナスターシャは「その優しさは、今日限りで捨ててしまいなさい。 私たちには微笑みなど必要ないのです」とバッサリ切り捨てたのだ。

 

その言葉を聞いたマリア達はなにも言い返さず、マリアはそのままここから出て行き、すぐさまその場に座り込んでしまうのだった。

 

そして場所は戻り、ギンガとセブンダークはなるべく響や、響の腕を食ったことから翼やクリスにも同じような被害が及ばないようにと考え、2人は出来るだけネフィリムをシンフォギア奏者の3人から遠ざけた。

 

最も、なるべく倒さないようにセブンダークは加減しており、ギンガがネフィリムを倒しそうになれば即止めるつもりでいた。

 

(しかし、妙にネフィリムの奴反撃してこないな……?)

 

あんなに凶暴な性格をしているネフィリムが自分たちのなかなか反撃してこないことにセブンダークは疑問を感じたが、その疑問に応えるかのようにウェルが叫んだ。

 

「完全聖遺物ネフィリムは、いわば自律可動する増力路!! 他のエネルギー体を暴食し取り込むことでさらなる稼働を可能とする!! さあ始まるぞ、聞こえるか!? 覚せいの鼓動、この力がフロンティアを浮上させるのだぁ!!」

 

ウェルはそう大笑いしながら叫び、一度ネフィリムはギンガとセブンダークから距離を取って動きを一度止め、どんどんその姿を変えていき、身体の色が白身のかかった色から黒く染まっていき、さらに巨大な姿へと変化していく。

 

だが、変化が起こったのはネフィリムだけではなかった。

 

「ううううう、うあああああああ!!」

 

突然、響が先ほどにも増して呻き声のような声を発し始め、彼女の身体が黒く染まっていき、彼女は立ち上がるとネフィリムを睨みつけて響は獣のように雄たけびをあげた。

 

それと同時に彼女の腕が再生して元に戻り、ギンガや翼はそんな響の姿に見覚えがあった。

 

それはかつてルナアタック事件の戦いの時にフィーネによって目覚めさせられた姿であり、それは響が「暴走」した時の姿である。

 

「ギアのエネルギーを腕の形に固定!? まるで、アームドギアを形成するかのように……!!」

『つーか、また暴走かよ響の奴……! 世話が焼ける……!』

 

ギンガは響を止めようと彼女に向かっていこうとするが、彼女はギンガの頭上を飛び越えてネフィリムの元まで行き、ネフィリムの懐に入ってアッパーカットを炸裂した。

 

そしてそれを見たウェルはこのままではネフィリムがやられる可能性があると思い、ウェルは「や、やめろー!!」とここで初めて余裕のない表情と焦りを見せ始めた。

 

セブンダークも流石にネフィリムがやられるのはまずいと思ったのか、ネフィリムと響の間に割って入り、セブンダークは響に向かって拳を振るい、響もセブンダークとほぼ同じタイミングで拳を振るってぶつけあわせた。

 

しかし、幾らシンフォギアを纏っているといえどやはりウルトラマンとの力の差は歴然としており、あっさりと響は吹き飛ばされて地面に叩きつけられてしまう。

 

だがそれでも響は立ち上がって雄たけびをあげながらセブンダークに突っ込んでいくが、セブンダークは姿をウルトラマンダークに変化させる。

 

『ダークライブ! ウルトラマンダーク!』

『おい!! やめろ、響に手を出すんじゃねえ!!』

 

そこでギンガがウルトラマンダークを止めに来るがウルトラマンダークはそんなギンガに「心配するな、黙って見てろ!!」と怒鳴り、ギンガは黙りこむ。

 

ウルトラマンダークへは響の方に向き直ると高速スピンを行いながら発射したリング状の光の鎖で敵を締めつける「キャッチリング」を響へと放ち、響を拘束させるが……響は足が拘束されていなかったためその状態のまま突撃し、回転するウルトラマンダークに跳び蹴りを叩き込んだ。

 

『ぐあああ!!?』

「ウアアアアアアアア!!!!!」

 

響はそこからネフィリムに狙いを戻し、ネフィリムへとまっすぐ突き進むと響はすかさずネフィリムを殴り飛ばす。

 

「ああああ、成長したネフィリムはこれからの新世界に必要不可欠なものだ……それを!! それをおおおおお!!!!?」

 

響は当然ウェルの言葉など聞くはずもなく、ネフィリムに攻撃を加えるがネフィリムを反撃して響を殴り飛ばすがすぐに響はネフィリムへと突っ込んでネフィリムの腹部に体当たりを叩き込む。

 

「うあああああああ!!!! やめろおおおおお!!!!」

 

そこでウェルがソロモンを使ってカエル型の巨大ノイズが出現したが、その巨大ノイズはギンガが腕をL時に組んで放つ「ギンガクロスシュート」で粉砕された。

 

『ギンガクロスシュート!!』

「貴様ぁ!! なにを!!?」

『響にあんな酷いことしたんだ、これくらい軽い方だろうが!!』

 

一方、ネフィリムは勝てないと察したのかその場から逃げだそうとするが響がネフィリムの背中に向かって跳び蹴りを叩き込み、ネフィリムの背中に腕を突っ込んでネフィリムの心臓部を引っ張りだす。

 

それを響は放り捨てるとそこから響は跳びあがり、右腕が槍状に変化して背中にその槍を突き刺しネフィリムは爆発して消滅し、その際の衝撃で翼とクリスを捕えていたノイズも消滅した。

 

この様子を見ていたナスターシャは響のこの状態は「生命力の低下が胸の聖遺物の制御不全を引き起こした」のだという。

 

「ひいいい!! ひい、ひいいいいいい!!!!?」

 

完全に暴走状態の響に恐怖感を抱いたウェルはソロモンを持って急いでその場から去ろうとするが、響はそれを逃がすまいとウェルを追いかけようとする。

 

そこに翼とクリスが響の両腕を掴んで彼女を引き止め、翼とクリスの2人は響に言葉をかける。

 

「止せ立花!! もういいんだ!!」

「お前、黒いの似合わないんだよ!!」

『翼さん、クリス!! そのまま抑えといてくれ!!』

 

ギンガは全身のクリスタルを緑色に発光させ、相手の頭上から浴びせる鎮静光線「ギンガコンフォート」を発動させる。

 

『戻れ響!! お前の仲間や、未来のことを考えろ!! ギンガコンフォート!!』

「うあああああああ!!!! うああああああああ!!!!?」

 

ギンガコンフォートを喰らった響は身体から黒い煙のようなものが抜けていき、やがて響は大人しくなってシンフォギア共々強制解除されて元の格好に戻り、響は気を失った。

 

「立花しっかりしろ!! 立花!!?」

『んっ? 響の……腕が戻ってる……?』

 

ギンガと翼は響の左腕が元に戻っていることに気づき、ギンガは腕が元に戻ったならそれでいいと思ったが翼はそうは思わなかった。

 

『大丈夫だよ翼さん、響は気を失ってるだけだ。 でも、すぐに医療班は呼ぶべきだ』

「あぁ、分かった!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐさま医療班によって医療室に響は運ばれた。

 

そして響は今、昔の夢を見ていた……、2年ほど前のツヴァイウイングの会場でノイズに襲われた時のことだ。

 

その会場には、観客、関係者あわせて10万を超える人間が居合わせており、死者、行方不明者の総数が、12874人にのぼる大惨事だった。

 

被害者の総数12874人のうち、ノイズによる被災で亡くなったのは全体の1/3程度であり、残りは逃走中の将棋倒しによる圧死や避難路の確保を争った末の暴行による傷害致死であることが週刊誌に掲載されると一部の世論に変化が生じ始めた。

 

死者の大半が人の手によるものであることから、生存者に向けられたバッシングがはじまり、被災者や遺族に国庫からの補償金が支払われたことから苛烈な自己責任論が展開されていくことになった。

 

週刊誌の記事内容は取材に基づいた正確なものであったが気持ちを煽る華美な修飾語の数々に踊らされた人々は正しさを振りかざして主にインターネット上に持論を繰り広げ、それはやがてこの事件に関係もなければ興味もない人間までも巻き込みある種の憂さ晴らしとして狂熱的に扱われることとなった。

 

心ない中傷もマジョリティという後ろ盾に支えられることで正論と化し自分の意見でなく「他のみんなも言ってるから」という正体を失った主張がまかり通るともはや中世の魔女狩りやナチスの蛮行にも等しく、正義の暴力として吹き荒れるのであった。

 

善良な民衆が懐く市民感情は、どこまでもねじれ、肥大化し、ただ「生き残ったから」という理由だけで惨劇の生存者たちを追い詰めていく。

 

もちろん、一連のムーブメントに対する反対派も存在していたが付和雷同という大多数の民衆が持つ本質によって封殺され、しばらくは大きなうねりの中に埋没することを余儀なくされていた。

 

そして響の環境も今までとは打って変わることとなった。

 

ライブ会場の被害者のひとりに、響の通っていた中学校の1人の男子生徒がいた。

 

彼はサッカー部のキャプテンであり、将来を嘱望されていた生徒であったがなぜ彼が死んで取り立てて取り得のない響が生き残ったのかと責め立てられる。

 

少年のファンを標榜する一人の女子生徒のヒステリックな叫びから始まった攻撃は、やがて全校生徒にまで広がっていったのだ。

 

しかもそれだけではなく、父親の会社の取引先の社長令嬢もまた、この一件にて命を落としていたのだ。

 

響の父も当初は娘の命が助かったことを喜び、周囲に喧伝していた父親であったが、取引先社長の耳に入ることで契約は白紙となり響の父親はプロジェクトから外されることとなってしまった。

 

以降、社内の持て余すような扱いにかつてのプライドは引き裂かれて酒量が増え、家庭内でも大きな声や手を父親はあげるようになった。

 

元々、立花家への入り婿だったためか、ある日、会社に行くといったまま行方をくらませ、何もかもを放り出したまま二度と家に戻ることはなくなってしまった。

 

学校でも家庭でも、少女が抱え込むには大きすぎる理不尽に苛まれる響。

 

誰かのためにと奔走する少女は、その誰かから踏みにじられた過去を持つ少女でもあった。

 

相互の不理解が浮き彫りにする人の心の暗部、嫌というほど見せつけられ、それでも響が誰かを信じることができるのは、人と人の間には、たしかに「陽だまり」があることを知っているからである。

 

そしてなによりも、自分を見捨てず、尚且つ自分を守ろうとしてくれた親友の少女と友人の少年がいたから。

 

例えどんなに自分を他の誰かが責めようとそれだけでも響にとっては心の支えだった。

 

しばらくして、響が目を覚ました時……自分の隣に1つの紙を持ったタロウがその場にいた。

 

「タロウさん……?」

『響、君の親友からだ』

 

タロウがそう言うと響はタロウからその紙を受け取り、響は紙を開くとそこには「早く元気になってね。 未来」と書かれていた。

 

(……私のやってることって、調ちゃんの言うとおり偽善なのかな? 私が頑張っても誰かを傷つけて悲しませることしかできないのかな?)

 

そこでタロウは響の様子に気づいたのか、「どうかしたのか?」と彼女に問いかけた。

 

「ねえ、タロウさん……? 私のやってることって、偽善……なのかな?」

『あの調という少女に言われたことか』

 

響は黙り込んだままタロウの言葉に頷き、タロウはしばらく考え込む素振りを見せた後、タロウは響に応えた。

 

『偽善というのは善人らしく見せかけるという意味だ。 君はそれを見せかけているのか? 君はなんのために人助けをしたいと思った、正義のためか?』

「それは……タロウさんは、どうなんですか? ウルトラマンは、正義の味方なんでしょ?」

『違うな』

 

そんなタロウの返答に響は「えっ?」と首を傾げ、響は今のタロウの言葉は一体どういう意味なのかを問いかけた。

 

するとタロウから返ってきた言葉はこうだった。

 

『私たちウルトラマンは正義のためではない。 すべての宇宙の平和のために平和を願い、今まで戦ってきたのだ。 それが我々ウルトラマンの願いだからだ』

 

正義と平和、一見同じような意味にも見えるが……、先ほどタロウはその「平和」を「願い」と言った。

 

それはコウマが「夢」を追いかけるようにタロウ達ウルトラマンもまた、宇宙を平和にするという「夢」に向かって日々戦ってきた。

 

そんなウルトラマン達の行いは「正義」とも言えるかもしれない、だがこれはウルトラマン達の「願い」であり、「夢」でもある。

 

『響、君の夢はなんだ?』

「私の……夢?」

『誰かの命を救うことか?』

 

タロウにそう問われる響だが、彼女は調に言われた言葉もあってうまくタロウの問いかけに応えることができず、言葉を詰まらせていたがタロウは響に背を見せる。

 

『答えは今すぐでなくてもいい、だが響、もしも君の夢が見つかった時は……その時は、私に教えてくれ』

「……はい、ありがとうございます、タロウさん。 相談に乗ってくれて」

 

タロウは一度自分に向けて笑みを浮かべる響に対して頷いた後、テレポートしてタロウはその場から消え、響は上半身を起こして胸のガングニールの傷を見つめようとした時、彼女の胸から瘡蓋のようなものが落ちた。

 

「瘡蓋……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、翼とコウマは弦十郎に二課のある場所へと呼ばれ、弦十郎はあるものが入ったケースを翼に手渡した。

 

それは弦十郎曰く、メディカルチェックの際に採取された響の体組織の一部らしく、そのケースには黄色のクリスタルのようなものが生えた石ころのようなものが入っていた。

 

「これが、響の身体に?」

「身に纏うシンフォギアとしてエネルギー化と再構成を繰り返してきた結果、体内の侵食進道が進んだのだ」

 

弦十郎は真剣な表情で響のレントゲン写真を見つめており、その写真には心臓から身体に至ってかなり太い血管のようなものが映っており、それがガングニールが響の身体に侵食していることを示していた。

 

「えっと、つまり響とガングニールが融合を始めたってことか?」

「そうだ、そしてこれが響くんの爆発的力の源だ」

 

翼は弦十朗にこの融合が響に与える影響はなんなのかを問いかけると、弦十朗は言いづらそうに口を開く。

 

「遠からず、死に至るだろう」

 

それを聞いたコウマと翼は、驚きの表情を浮かべて唖然とした。

 

「立花が、死ぬ!? バカな!!」

「嘘……だろ? おい!!」

 

弦十朗曰く、例え死ぬことがなかったとしてもこれ以上の進行は響自身が異形の存在となる可能性が高く、どちらにせよ響に対して救いがないことに翼もコウマもなにも言えなかった。

 

「……なんで、なんで俺にも教えたんですか?」

「……君なら、響くんをなにか救う方法があるかもしれないと思ったこと、響くんが昨夜暴走状態になった場面を見たこと、この2つが理由だ」

 

それを聞いたコウマは頷き、「分かりました、響を助けられそうなウルトラマンや怪獣がいないかを調べてきます」と応え、弦十朗はコウマに対して頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、翼とクリス、響の3人は人気のない場所で3人で会っており、少しばかり様子のおかしい翼にクリスは気づき、もしかして弦十朗になにか言われたのではないだろうかと思い、それを翼に問いかけてみた。

 

「手強い相手を前にしてイチイチ暴走しているような半人前をまともな戦力として数えるなと言われたのだ!!」

「……えっ!?」

 

突然、翼にそんなことを言われて目を見開く響。

 

「戦場に立つなと言っている。 足手纏いが二度とギアを身に纏うな!!」

 

そんな態度を翼は響に取り、彼女は響の肩を力強く押し、それを見たクリスは翼に突っかかる。

 

「お前!! それ本気なのか!? おい!! なんとか言ったらどうだ!!?」

 

クリスは翼に詰め寄るが翼はクリスとは顔も口も合わせず、沈黙を貫き通し、そこに響がクリスの名を呼んだ。

 

「いいよ、私が暴走したのも……半人前なのも、ほんとのことだから……」

「FISには私と雪音、来元で対応すればいい。 行方を眩ませたウェル博士についても二課の情報部が中心となって捜査を続けている。 たかが知れている立花の助力など、無用だ」

 

響はそんな翼の言葉に「えっ……?」と目を見開いてショックを受け、翼はそのまま去っていくことになったがそんな彼女を「待ちやがれ!!」とクリスが追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マリア達の乗るヘリではナスターシャが突然血を吐いて倒れてしまい、ナスターシャを診れるのはウェルだけだということで切歌と調の2人は零無と合流し、そのまま3人で行方不明となったウェルを探すことになり、今現在ヘリの中にはマリアとナスターシャだけがいた。

 

マリアは眠っているナスターシャの隣で「歌」を口ずさんでおり、気がついたナスターシャはそんなマリアの歌声を優しい表情を浮かべながら聴いていた。

 

(ふふ、優しい声……。 マリアだけではない、私は……優しい娘達に十字架を背負わせようとしている。 私が、間違っているのかもしれない)

 

ナスターシャはそう思いながら身体を起こし、そこに丁度零無達から連絡が入り、それにナスターシャが通信に出る。

 

「私です」

『も、もしかして! もしかしなくてもマムデスか!?』

『具合はもういいの?』

『よくても俺達がドクター見つけるまで寝てろよ、マム?』

 

通信機を通して切歌、調、零無の3人のナスターシャを心配する声が聞こえ、切歌は言い辛そうに待機している筈の自分達が出歩いている理由を言おうとしたが……ナスターシャは怒らず、優しい口調で「分かっています」と伝えたのだ。

 

『マムの容態を診れるのはドクターだけ、でも、連絡が取れなくて』

「2人ともありがとう。 では、ドクターと合流次第連絡を、ランデブーポイントで通達します」

『了解デス!!』

 

切歌が応えた後、通信を終え、場所は変わって零無達のいる場所では……。

 

そこは昔、響達がフィーネとの最終決戦で戦った場所であり、あちこちにその傷跡が周りに残っている場所に、零無達は来ていた。

 

「まさか、マムが出るとは思っていなかったデスよ!」

「怒られると思ってビクビクしてたもんな?」

 

零無は切歌に悪戯っ子のような笑みを浮かべて意地悪なことを言うと切歌は顔を真っ赤にして零無のスネを蹴りつけ、零無は蹴られた足を抱えてピョンピョン飛び跳ねた。

 

「うるさい……デス!!////」

「がっ……!!? す、スネを蹴るんじゃねえ!!?」

「それにしても、マムが無事で本当に良かった」

 

調達はナスターシャが元気になってくれたことに安心し、すると切歌は安心したためかお腹を空かせてしまうのだった。

 

「どっか食いに行くか?」

「今日は、朝からなにも食べてないから」

 

切歌と零無はどこかで食べて行こうかと考えたが、調は「ドクターを早く探すべき」だと判断し、確かにここは彼女の言うとおり、ウェルを優先した方がいいだろうと考え、切歌と調は手を繋いで走り、零無はそんな2人の後を追いかけた。

 

(こいつ等のこういうところ見てると、少しだけ……癒されるな)

 

零無は自分の前を仲良く走る2人を見てほんの少し、くすりと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ダークライブ! ロックイーター!』

 

一方、ナックル星人グレイは手頃な心に闇を持つ人間を見つめ、その人間に怪獣に変身させるとグレイは恐竜のような凶悪な姿をした「凶暴竜 ロックイーター」を出現させ、ロックイーターの頭に乗ってウェルを探す。

 

『ああ~んもう!! あの男がいないと支配者様が困るのよぉ! もう勝手にどこかに行っちゃって……!』

 

だが、こんなバカデカイ怪獣を街に放てば誰も目撃していない訳もなく……、その1人としてちゃっかりコウマに目撃されていた。

 

「人探すんだったらもうちょいまともな奴いただろ」

 

そうツッコミを入れながらコウマはギンガスパークと1体のウルトラマンのスパークドールズを取り出し、スパークドールズの足部にスパークの先端を押しあえてる。

 

「行くぜ!!」

『ウルトライブ! ウルトラマンガイア!!』

 

コウマの身体が赤く光るとコウマは胸部が黒いプロテクターとなっている赤い巨人「ウルトラマンガイアV2」へと変身し、ガイアは大地へと着地した。

 

『ジュアアア!!』

 

ガイアはファイティングポーズをとり、少しだけロックイーターの出方を伺ったが、向こうからは仕掛けてきそうになかったため、ガイアはロックイーターへと向かって駆け出す。

 

当然グレイはロックイーターの頭から離れて離脱したが。

 

『ダアアア!!』

 

ガイアは跳びあがって跳び蹴りをロックイーターに繰り出すがロックイーターは空高く跳びあがり、空中からのカンガルーキックをガイアに喰らわせる。

 

その攻撃に怯むガイア、その怯んだ隙を狙いロックイーターは頭突きをガイアに喰らわせようとするがガイアはロックイーターの頭を掴み、膝蹴りをロックイーターの顔面に叩きこむ。

 

さらにガイアは左右の足からハイキックやミドルキックを連続でロックイーターに叩きこむ「ガイアキック」を次々と炸裂させ、最後に廻し蹴りを喰らわせるとロックイーターは地面に倒れる。

 

『一気に決めてやるぜ!!』

 

ガイアは腕をT字型に組んでエネルギーを溜め、右腕をL字型に構え直して左手を右腕の関節に乗せて発射する光線「クァンタムストリーム」を放つ体制に入るが……。

 

背後からガイアはいきなり何者かによる攻撃を受け、ガイアはその場に膝を突き、光線の発射を中断する。

 

振り返るとそこには2体の新たな怪獣がおり、「昆虫怪獣 シルドバン」と「マグマ怪地底獣 ギール」がおり、ガイアは新たな敵の登場に驚く。

 

『おほほほほ! 3対1! この数にあなたも勝てるかしらねぇ?』

『……、なんでだろう、こいつ等見ててもあんまり危機感感じないのは……』

 

一方で、偶然にもコウマ達が闘っている場所から少しだけ遠い場所でウェルが起こした騒ぎを聞きつけて響、未来、2人の友人の 創世と詩織の3人がウェルの元に駆け付けた。

 

そこにはウェルが召喚したノイズ達がおり、ウェルの周りは炭化した人間や彼の周りがあちこち燃えており、それに響達は言葉を失った。

 

そのウェルの手には筒で包まれたなにかを大事そうに抱えていたのだが、響を見るや否やウェルは恐怖に歪んだ顔となり、怯えてソロモンからノイズを大量に召喚した。

 

「な、なんでお前がここに!? ひ、ひああああああああ!!!!?」

 

ウェルはノイズで未来達を襲わせようとしたが、響が彼女たちを庇うように前に出てノイズに向かって駆け出し、「歌」を口ずさんだ。

 

「うおおおおおおお!!!!」

 

そして彼女は、歌を歌い終えると同時にノイズを殴りつけた。

 

「人の身で……ノイズに触れて……!?」

 

同じころ、地面に膝を突いてガイアはよろよろと立ちあがりながらも、ある一定のポーズを取り、ガイアの身体は赤く発行する。

 

『が、ガイアが変わる……!?』

 

それを見たグレイはそんなことを呟き、恐らく分かる人は今のグレイにこうツッコムだろう。

 

「それお前が言うんかい!!」っと……。

 

そしてガイアは赤と青の筋肉質な姿の「スプリームヴァージョン」へとヴァージョンアップし、同時に響も腕からシンフォギアを纏っていき、ノイズを粉砕した。

 

「この拳も!! この命も!! シンフォギアだ!!」

『お前等のような奴等の好きにはさせねえ!! この世界は、決して滅ぼさせはない!!』



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21Eve なりきれない悪

コウマのライブしたウルトラマンガイアV2は最強形態である「ウルトラマンガイア・スプリームヴァージョン」へと変わり、ガイアはギール、シルドバン、ロックイーターの3体に一気に向かっていく。

 

『『『俺達終わった気がするのはなんでだろう』』』

『こ、コラあんた達!! 弱気にならないの!!』

 

弱気な発言をするギール、シルドバン、ロックイーターの変身者と思われる3人が一斉に声を揃えてそんなことを言い、グレイはそんな発言をする3人に呆れてしまう。

 

最初にロックイーターがその巨大な口を開けてガイアに噛みつこうとするがガイアは両腕でロックイーターの口を掴み、口を掴んだまま背負い投げを繰り出し、ロックイーターは背中から地面に激突する。

 

続いてギールとシルドバンが突進してくるが、ガイアはジャンプして2体の突進を避け、ギールの尻尾を掴むと持ち上げて振り回し、シルドバンに向かって投げ飛ばしてギールはシルドバンに激突して2体は倒れこむ。

 

『デアアアアア!!!!』

 

今度はガイアの方からシルドバンに突進し、シルドバンは両腕の鎌で突進してきたガイアに斬りかかろうとするがガイアはそれをしゃがみ込んで避け、強烈な拳による打撃をシルドバンの腹部に叩き込んだ。

 

『ぐあああああああああ!!!!!?』

 

柔らかい腹部が弱点であるシルドバンは腹部を殴られたことで強烈なダメージを受け、それを見たギールとロックイーターはお互いに頷き合い、ギールは腹部から火球をガイアに向けて発射する。

 

しかし、ガイアは跳びあがって一気にギールの元まで行くとギールに掴みかかって持ち上げ、ロックイーターの方へと放り投げ、2体を激突させる。

 

倒れこんだロックイーターとギールの尻尾をガイアは両手で掴み、それを勢いよく力強く振りまわして最後は地面に思いっきり叩きつけた。

 

『『な、投げの鬼だ……。 全身打撲する……!?』』

『ありゃ? やりすぎたか? ならこれで終わりにするぜ!!』

 

フラフラになったギール、ロックイーター、シルドバンが一か所に集まったところを狙い、ガイア最強の光線である合掌した右手を下にずらして発射する「フォトンストリーム」を発射し、3体を吹き飛ばした。

 

『『『ぎゃああああああああああああ!!!!!?』』』

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

 

怪獣達はギンガ、もしくはギンガから変身した他のウルトラ戦士などでなくては倒せない。

 

そのため、ガイアはギンガへとライブし、最後は腕をL時に組んで「ギンガクロスシュート」を発射し、3体まとめてギンガは怪獣達を撃破した。

 

『ギンガクロスシュート!!』

『『『ぐあああああああ!!!!?』』』

『も~! 役に立たないんだから!! でも、支配者様が復活するための足しにはなったわね』

 

グレイはそれだけを言い残すと姿を消し、戦いが終わったガイアも一度ライブを解除した後、二課からの連絡を受けて響がシンフォギアを纏って今戦っているという報告を受け、コウマは急いで響の元へと向かった。

 

「響の奴……、ガングニールを!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この拳も!! この命も!! シンフォギアだ!!」

 

シンフォギアを纏った響は早速ノイズの一体を変身と同時に撃破したのだが……心なしか響の身体が少しだけ明るく光っているように見える。

 

(力が、漲る!!)

 

そんな時、1枚の葉っぱが響の肩に触れるとその葉っぱは響の肩に触れた瞬間炎に包まれ、ウェルはそのことに驚愕した。

 

「な、なんだと!? いつもいつも!! 都合のいいところでこっちの都合をひっちゃかめっちゃかしてくれる!! お前はあああああああ!!!!!」

 

ウェルがそう叫ぶと同時に彼はソロモンの杖を使ってノイズを複数召喚し、響は拳を握り締めてノイズへと向かっていき、先ずは目の前にいるノイズ1体を拳で殴り、貫く。

 

「ヒーローになんてなりたくな~い♪」

 

さらに次々と自分に向かってくるノイズも響は素早い動きで撃破していくが……その度にウェルは新たなノイズを何体も召喚している。

 

ただ……そんな響の様子を見て未来はどこか不安そうな表情を浮かべていた。

 

「いつもいつも!! いつもいつもいつもいつもお!! お!! お!! おおおおおおお!!!!!」

 

ウェルがそんな風に叫びながらノイズを次々と出し、響に差し向けるが響は少しずつではあるがノイズを退けつつも確実にウェルの方へと近づいて行っていた。

 

「いっけええええええええ!!!!!」

 

響の腕部ユニットが変形し、ブースターで加速してウェルの盾になっているノイズ達を一気に自身の拳で貫き、ウェルは慌てて急いで新たなノイズを召喚するのだが……、上空から一筋の光が降り注ぎ、ウェルの周囲にいたノイズは消滅した。

 

「な、なんだぁ!!?」

 

ウェルが上空を見上げるとそこには1人の宇宙人……等身大の「悪質宇宙人レギュラン星人」にライブしたコウマがおり、レギュラン星人は両腕を突き出してから放つ破壊光線を上空から撃ち込み、ウェルのノイズを次々と撃破していく。

 

『待たせたな響!!』

 

レギュラン星人は響の隣へと降り立ち、響は味方が駆けつけてくれたことに喜ぶが……コウマ自身は焦っていた。

 

これ以上、響に戦わすことはできない、だから響にはなるべく戦わせないようにしなければならないと思っていたのに……彼女は今こうして戦ってしまっている。

 

それは即ち、響の胸のガングニールの侵食をさらに進めることになる、そのためコウマは急いでこの戦いを終わらせるため、彼は一度、響になにもせず、後ろにさがっておくようにと伝える。

 

「えっ、でも!」

『大丈夫だ、俺一人でもなんとかやる!! お前は未来達を守れ!!』

 

レギュラン星人は両手から光弾をノイズ達に向けて発射し、ノイズを撃ち抜いていくが……それでもやはりウェルはソロモンを使ってノイズを召喚する。

 

『くそ、これじゃキリがねえ!! せめてあの変顔変態ドクターんところに行くまでの道ができれば……!! これ以上、響を戦わせる訳には……!!』

 

そんな時、コウマの握っていたギンガスパークのブレード部が展開し、ウルトラマンギンガのスパークドールズが出現、コウマはギンガの足部にスパークのを押し当てる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!!』

 

コウマは等身大の「ウルトラマンギンガ」へと変身し、大地に降り立ったギンガはウェルをジッと見つめる。

 

「っ、なにを見てるんだぁ!!? 行けノイズううううううう!!!!」

 

ウェルの指示で複数のノイズ達が一斉にギンガへと飛びかかり、真っ先に人型のノイズがギンガに殴りかかるがギンガはノイズの拳を右手で受け止め、左手でノイズの腹部へと拳を突き刺す。

 

『ショウラ!!』

 

さらにギンガは眼にも止まらぬ超高速移動を繰り出し、一気にウェルの目の前まで辿り着く。

 

しかも、先ほどまでギンガを狙っていたノイズ達は一瞬にして炭素化し、ウェルはギンガが目の前にまできたことに驚き、尻餅をつく。

 

「ひい!!?」

『ここまでだ。 変態野郎……!!』

 

ギンガはウェルの腕を掴もうとするがその時、ギンガは背後からいきなり黒い光線を受け、ギンガはその場に膝を突いてしまい、その隙にウェルはどこへと逃げ去る。

 

『ぐあああああ!!? 今の攻撃……お前か!!』

 

ギンガが後ろの方へと振り返り、上空を見上げるとそこには腕を十字に組んでいる黒いウルトラマン、「ウルトラマンダーク」の姿があり、ウルトラマンダークは今度はセブンダークに姿を変える。

 

『ダークライブ! セブンダーク!』

 

セブンダークが地面に降り立つとセブンダークは一直線にギンガへと向かっていき、セブンダークの強烈なパンチがギンガの胸部に叩き込まれる。

 

『がはあ!!? また、お前か……』

『それはこっちの台詞だ。 夢語りが……ッ! そこの変態はなぁ、例え変態でも俺達にとっては必要な変態なんだよ。 変態だけどいるんだよそいつの力が……! 変態だけどな!!』

「なんですかあなた? ぶっ殺されたいんですか? じゃあ言いますけどねぇ!! あなた!! 彼のことを夢語りとか言う癖に自分も叶えられなくなった夢を何時まで気にしてウダウダしているあなたも、対して人のこと言えないでしょうがァ!!」

 

「変態変態」と何度も連呼するセブンダークに苛立ったのか、ウェルも零無にそんなことを言い返し、それを聞いたギンガは……、否、コウマは「えっ?」とウェルと零無の顔を交互に見つめた。

 

『やっぱり、お前にもあったんだろ、夢が……。 けど、叶えられなくなったってなんで……?』

『お前には関係ない……』

 

ギンガの問いにそっぽを向くセブンダーク、そんなやり取りをセブンダークとギンガがしている間にウェルはソロモンをしっかりと握ってどこかへと逃げだそうとし、それを響は見逃さず、腕部のユニットを変形させてブースターを噴出し、一気にウェルの元まで突っ込む。

 

「2人とも退いて!! 逃がすかあああああああああ!!!!!」

 

セブンダークとギンガはそんな響の行動に「はぁ!!? なにしてんの!!?」と2人声を揃えて叫ぶが、2人は咄嗟にその場を離れ、響は真っ直ぐとノイズを貫きながらウェルへと一直線に向かっていく。

 

「う、うああああああああ!!!!?」

 

しかし、響の拳のところで突如現れた「なにか」によって防がれた。

 

「盾!!?」

「なんとノコギリ」

 

それはシンフォギアを纏った調のツインテールに装着されている回転するノコギリであり、調の後ろには彼女同様にシンフォギアを纏った切歌が調の肩を抑えて響の攻撃に耐えていた。

 

「おせーぞ、2人とも」

「零無が急ぎすぎなんデス!! 変身すれば飛べるからって……」

 

文句を言うセブンダークにそう怒鳴るように言い返す切歌、そして響は切歌と調の登場に驚きの表情を浮かべるが……実を言うと調と切歌はそこまで余裕がある訳ではない。

 

調のシンフォギアの性能ならばそれなりに響の攻撃を耐えることはできるが、所詮は「それなり」である。

 

つまり、何時までも響の攻撃に耐えられる訳ではなく、切歌のサポートでようやく持ちこたえている状態なのだ、そのためそう長くは持たないだろう。

 

「ごめんね切ちゃん、私のヒールじゃ踏ん張りが効かないから……」

「良いってことデス!!」

 

だが、どうにか切歌と調は響が飛び退くまで持ちこたえることができ、2人はウェルを掴んで響から距離を取るために飛びのき、2人の元にセブンダークも駆けつける。

 

切歌と調、零無の目的はあくまでウェルの回収、響を相手にしている暇などないが……正直に言って響を相手に上手く逃げ切れる自信はあまりなかった。

 

するとその時、響は息遣いが荒々しくなり、彼女は苦しそうにその場に膝を突いてしまい、それに気づいたギンガが響の元へと駆け寄る。

 

「響!!? どうした? 苦しいのか!?」

「はっは、っは……!」

 

それを見たセブンダークはあまりしたくはないが、その隙を狙って響の方へと突っ込んでいき、頭部にあるブーメラン「アイスラッガー」を手に取ってそれを響に振りかざすが、ギンガがそれを右腕から出現させた白い剣「ギンガセイバー」で防ぐ。

 

『ギンガセイバー!!』

 

ギンガはそのままセブンダークを押し返してセブンダークの身体を斬りつけ、セブンダークは斬りつけられた箇所を抑える。

 

『響、少し休んでろ……。 後は俺に、任せろ!!』

「こう……ま……くん……」

 

ギンガはセブンダークに向かって駆け出していく。

 

セブンダークの中にいた零無はべリアルとゼロのスパークドールズを取り出してダミースパークに2体のドールズの紋章を読み込ませる。

 

『ダークライブ! ゼロ! べリアル! 合体!! ゼロダークネス!!』

 

セブンダークは漆黒のウルトラマンゼロ、「ゼロダークネス」へと変身し、ゼロダークネスもギンガに向かって駆け出していく。

 

『『うおおおおおおお!!!!!』』

 

そしてゼロダークネスとギンガは一瞬でお互いの元にまで辿り着くと2人の拳がいきなりお互いの顔面に叩き込まれた。

 

ゼロダークネスは吹き飛ばされそうになる身体をどうにか足に力を入れて踏ん張り、ギンガの肩を掴んで膝蹴りを叩き込む。

 

『ぐあああ!! まだだ!!』

 

しかし、すかさずギンガも素早く廻し蹴りをゼロダークネスの顔面に叩き込み、ゼロダークネスはギンガから急いで離れて距離を置き、掌から放つカッター状の必殺光線「デスシウムショット」をギンガに放つが対するギンガも頭上に発生させた雷の渦を敵に向かって投げつける電撃光線「ギンガサンダーボルト」を放つ。

 

『ギンガサンダーボルト!!』

『デスシウムショット!!』

 

お互いの光線がぶつかりあって爆発し、白い煙が巻き起こるがゼロダークネスとギンガは白い煙を腕を振るって払いのけて吹き飛ばし、ギンガとゼロダークネスはお互いに向かって突っ込む。

 

『『うおりゃあああああああああ!!!!!』』

 

ギンガとゼロダークネスは2人同時に足を振り上げ、互いの蹴りが激突し合い、一度体制を戻すとそのままギンガとゼロダークネスは拳を相手に向かって振るいまくり、何度も何度もギンガとゼロダークネスの拳はぶつかり合いまくる。

 

『お前の夢って一体なんだったんだ? なにがあった? なんでそこまで夢を嫌う!?』

『お前には関係ない!! そう言った筈だ!!』

『関係あるに決まってるだろ!! 俺は、昔の……夢を持っていた頃のお前と同じように俺は自分の夢を持ってるんだからな!! なあ、話してくれ……。 どうして夢をそこまで嫌うんだ……!?』

 

ゼロダークネスは一度ギンガから離れると、肩で息をしつつゼロダークネスは「いいだろ、教えてやる」とギンガに答えた。

 

それに切歌と調は零無に話すことをやめさせようとするが、それをゼロダークネスは手で制す。

 

『良いんだよ。 いい加減、うるさいんだよこいつ。 それに、よく考えれば最初からこうすれば良かった。 夢なんて最初から持たない方が良いってことを……。 あぁ、そう言えばまだ名乗ってなかったな。 俺の名前は諸星零無だ』

『零無か……』

『あぁ、それじゃ教えてやるよ。 俺の、叶えられなくなった夢を……』

 

そうして零無はコウマに語りだした、自分のかつての夢……、「好きな女の子に自分の想いを伝えたい」というただそれだけの……たったそれだけの純粋な願いを……。

 

『くだらないだろ。 俺の夢はそんなものなんだ。 ちっぽけなものなんだ、それでも……それでも俺にとってはデカくて、大切で、とても大事な夢だったんだ!! でももうアイツはいない、俺はもう、アイツに俺の想いを伝えることができない、夢は叶えられなくなっちまったんだ……。 ははは、笑いたければ笑えよ』

『そう……だったのか……けど、笑えねえよ……。 笑える訳ねえだろッ。 だけどな……!!』

 

ギンガは力強く拳を握り締めるとギンガは真っ直ぐとゼロダークネスに向かっていき……彼の顔面を、思いっきり殴りつけた。

 

『ぐううううう!!!!?』

「「零無!!」」

 

調と切歌がゼロダークネスを庇うように立ち、2人はギンガを睨みつけるが……ギンガから攻撃をすることはなく、ただただギンガはゼロダークネスを見下ろした。

 

『だからって、他の誰かの夢を否定していい理由にならねえだろ!! 確かに、お前の夢はもう叶えることはできないかもしれない。 だけど、だからこそ!! その娘のために、新しい夢を見つけるべきなんじゃないのか!!?』

「な、なにを勝手なことを……!! 零無の、大好きだった人が死んでしまった零無の悲しみをあなたなんかが分かるんデスか!!?」

「新しい夢なんて……零無には、辛いだけ……」

 

切歌と調はゼロダークネスの方へと振り返り、彼を切歌と調は心配そうに見つめるが、ギンガは、コウマは「それでも」と呟く。

 

『辛いかもしれない。 だけど、零無の好きだった娘は零無とは親しかったんだろ? なら、その娘はきっと零無に何時までも悲しんでいて欲しくないに決まってる。 それに、俺だって夢と大切な人を同時に失う辛さは、少しは分かると思う。 俺も、大切な人と一緒に叶えたい夢がある。 だけど、もしも大切な人を失ったとしたら……そう考えると、俺だって怖くて怖くてたまらない。 だから……』

『うるさい!! うるさい!! うるさいうるさいうるさいうるさい!! 黙れえええええええええええ!!!!!』

 

いい加減、ギンガの言葉に怒りが頂点に達し、ゼロダークネスは倒れこんでいた身体を起こしてギンガへと掴みかかり、そのままゼロダークネスはギンガを連れて上空へと消えて行った。

 

そこに……ウェルがなにか怪しい道具を取り出し、不気味な笑みを浮かべて切歌と調の首になにかを打ち込んだ。

 

「頑張る2人にご褒美です……」

「っ! なにしやがるデスか!!?」

「リンカー?」

 

「リンカー」とはシンフォギアの装者たりえない常人であっても、ある程度の資質(適合係数)さえあれば、その「ある程度」を無理矢理引き上げることで後天的適合者へと即席させる効果がある薬のことであり、初代ガングニール奏者である「天羽奏」もこのリンカーを使ってガングニールを制御していた。

 

また、マリア、切歌、調も奏同様にこのリンカーを使ってシンフォギアを纏っていた。

 

しかし、まだリンカーの効き目が切れた訳ではないのになぜかウェルは切歌と調に「リンカー」を打ち込み、切歌は一体ウェルがなにをしたのか訳が分からないといった表情を浮かべていた。

 

「効果時間にはまだ時間があるデス!!」

「だからこそですよ。 あの化け物に対抗するには今以上の出力で捩じ伏せるしかありません。 そのためにはまず、無理やりにでも適合係数を引き上げる必要があります!」

 

しかし、それにはかなりの負荷を追うことになる……、こんな男のためになんで自分達がそんなことをしなければならないのか、切歌は反論しようとしたが……。

 

「ふざけるな!! なんで私達がアンタを助けるためにそんなことを……!!」

「するデスよ!! いいえ、せざる終えないのでしょう!?」

 

ウェルは切歌と調を睨みつけ、彼は切歌や調が仲間意識や連帯感などで2人が自分を助けに来る筈がないと言い、ウェルは自分の予想通りならば切歌と調がここにきたのか大方ナスターシャ(ウェル曰く「おばはん」)の症状が悪化したために自分を助けにきたのだと推測した。

 

そしてその予想は見事に的中しており、調は少しだけ迷ったが、すぐに結論は出た。

 

答えは「やる」だ、つまり、ウェルを助けるために最大限の力……、シンフォギアの切り札ともいえる「絶唱」を使用することを決めた。

 

また同時に響も苦しみながらも立ちあがり、そんな様子に上空で戦っていたギンガとゼロダークネスは地上の彼女たちの様子に気づいたのか、2人は急いで地上へと戻ってきた。

 

『お前等まさか……!! やめろ、絶唱だけは!! お前等の分まで俺が闘う!!』

『だから、無茶をするな!! 響!!』

 

ギンガとゼロダークネスは響、切歌、調のそれぞれやめるように説得しようとするが、響は切歌と調と戦えるのは自分だけだと言って聞かず、切歌や調も「マムのためにも早くドクターを連れて帰らないといけない」と言って両者とも全く言うことを聞かなかった。

 

「そう、YOU達歌っちゃえYO! 適合係数が天辺に届くほどギアからのバックファイアを系列できることは過去の輪唱データが実証済み!! だったらリンカーぶっ込んだばかりの今なら! 絶唱歌いたい放題のやりたい放題あいいいいいいいい!!!!!」

 

なんというかもう、ウェルの博士が物凄いことになっており、ウェルの顔を唯一まともに直視できるギンガとゼロダークネスはそんなウェルの顔を見て「うわー」と引き気味だった。

 

そして彼女たちは歌い始める……「絶唱」を……。

 

「「~♪」」

 

それを聞いた響は思い出していた……彼女たち同様に、リンカーを使っていた奏が絶唱を歌い、死んでしまうところを……、それを思い出した響はすぐに彼女たちにやめるように訴える。

 

「ダメだよ!! リンカー頼りの絶唱は奏者の命をボロボロにしてしまうんだ!!」

『そうだ、切歌、調、それだけはやめろ!!』

 

響と同じようにゼロダークネスも切歌と調を止めようとするが、切歌と調は首を横に振った。

 

『どうして……』

(ごめんなさい、零無、あなたを信じていない訳じゃないんデス。 これはマムだけのためじゃない、零無は……好きな娘を失ってそれだけでもマリアと同じくらいか、もしかしたらそれ以上に心がボロボロでまだその傷が癒えていないのに……)

(それでも、零無は私達に協力する必要なんてないのに、自分のことなんて後回しにして私達のことを心配してくれて……)

((だからせめて……!! これで零無を助けられるなら……!!))

 

ゼロダークネスやギンガ、響の静止も聞かず、2人は絶唱を歌い終えると切歌のアームドギアは巨大な鎌のアームドギアとなって彼女はそれを握りしめ、切歌は手足の部分が変形して伸び……、2人は響とギンガに攻撃を仕掛ける。

 

((だけど、命を捨てたりしない!! 零無にこれ以上失わせないためにも!!))

 

しかし、響も同様に「絶唱」を歌い始め、その場にいた一同が一斉に絶唱を歌い始めた響に目を見開いた。

 

なぜなら……切歌や調の装備がなぜかいきなり元の形状に戻ってしまったからだ。

 

『響、まさか……!!』

「セット!! ハーモニクス!!」

 

それは響が切歌と調の絶唱によるエネルギーを自身の絶唱の力で奪い取ったためであり、これは以前響が翼やクリスと一緒に放った「S2CAトライバースト」に非常に酷似していた。

 

「2人に……絶唱を使わせない……!! うおおおおおお!!!!」

 

そして吸収したエネルギーを上空へと放出し、響はその場に膝を抱えて立ちつくしていた。

 

そんな時、ナスターシャからの連絡が入り、クリスと翼がすぐそこまで来ていることを聞き、響を狙うチャンスではあるが、切歌と調はウェルを連れて迎えにきたヘリの降ろしたロープに掴まり、3人はそのまま撤退していくことに。

 

当然、ゼロダークネスも彼女たちに続いて飛び去ろうとするが……。

 

『立花、響だったな……。 これだけは言いたい、2人を守ってくれて、ありがとう……』

『零無、お前……』

 

それだけを言い残すとゼロダークネスも飛び去り、ギンガは追いかけようとしたがその直後に制限時間が来てしまい、コウマのライブが強制的に解除されてしまった。

 

「くそ、時間切れか……。 いや、それよりも……」

「響!!」

 

そこに丁度創世達と非難している途中だった未来が先ほどのトライバーストの光を見て急いで駆け付け、響に近寄ろうとするが彼女の身体からは高温の熱が出ており、響の胸にはガングニールによってできた石のようなものが胸から溢れ出ていた。

 

「い、嫌!! 響!!」

「未来、待て!!」

 

そこにクリスが駆けつけて未来を引き止めた。

 

「おいやめろ!! 火傷じゃすまねえぞ!!」

「クリス!!」

 

そこに丁度カ○トエクステンダー……じゃない、青いバイクに乗った翼が「歌」を口ずさんでシンフォギアを纏い、バイクに搭乗した状態で前方に脚部のブレードを巨大な刃状に展開・結合し、突進して対象を切断する「騎士ノ一閃」で大量の水の入ったタンクを切り裂き、タンクから溢れ出た水は響に降り注ぐ。

 

「……私は、立花を守れなかったのか……」

 

そこに翼が地上へと降り立ち、その言葉を聞いたクリスは翼に掴みかかった。

 

「守れなかった? なんだよそれ!! お前! あいつがこうなるとでも知ってたのか!? オイ!!」

「……」

 

翼は気まずそうに黙り込んだままで、クリスの言葉にはなにも返そうとはしなかった。

 

それから響は急いで手術が行われ、取りあえずは一命を取り留めたが……その後、未来は弦十朗に呼ばれ、彼女は司令室へと向かった。

 

するとそこにはコウマと、現在の響の身体のことを教えられたクリスがおり、クリスは「くそったれ!!」と怒鳴るように言いながらその場にあった椅子を蹴りあげた。

 

「コウマ、お前も知ってたんだな……。 なんで言わなかった?」

「それは……ごめん……」

「チッ、たく、どいつもこいつも……!」

 

弦十朗は未来を呼んだ本当の理由を話し始めた……、それは、「響を戦わせないようにする」ためとのこと。

 

これ以上、響がガングニールを纏って戦わなければこれ以上の進行は進まない、だから弦十朗は未来に頼んだのだ。

 

「響くんのなんでもない日常、君の傍で穏やかな時間を過ごすことだけがガングニールの侵食を食い止めることができると考えている」

「私が、響を?」

 

未来の言葉に弦十朗は頷き、弦十郎は未来の方へと顔を向ける。

 

「響くんを、守ってほしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、タロウ? 響を助けられそうなドールズってないのか?」

『あぁ、何人か心当たりはあるが……そのスパークドールズはないし、恐らくそう簡単に出てきてくれるような存在でもないから難しいかもしれないな』

「どういうことだよ? タロウの言う心当たりのあるドールズってどんな奴なんだ?」

 

家に帰ったコウマから響のことについてタロウにコウマは相談し、一応は響を救えそうなスパークドールズ自体は存在するというのだ。

 

『その名は……『ウルトラマンノア』『ウルトラマンレジェンド』『ウルトラマンキング』、最強無敵と言われるほどの3人の究極のウルトラマン達だ。 彼等ならばあるいは響を救うことができるかもしれんが……』

 

ノアの中間形態である「ウルトラマンネクサス」はそんな簡単にノアになったりはしないし、キングのドールズはまだどこにあるか分かっていない、それにレジェンドの片割れであるコスモスのドールズはあるがもう1人の「ウルトラマンジャスティス」のドールズは所持していない。

 

そのため、現時点では響を救えそうなドールズはタロウはないと言うのだ。

 

『しかし、もしかすれば能力同士を組み合わせることで響を救う方法が見つけ出せるかもしれない。 その辺りを私は考えておこう』

「あぁ、頼んだよタロウ」

 

コウマは立ち上がるとクリスのいる部屋へと行き、彼女の部屋のドアにノックした後、クリスから返事が返ってきたためコウマは彼女の部屋へと入るとそこには制服を着たままベッドの上に座っているクリスの姿があった。

 

コウマはクリスの隣に座り込み、クリスの表情を伺う。

 

「まだ黙ったこと怒ってる?」

「もう別にいいよ、変に心配かけたくなかっただけなんだろ? そんくらいあたしだって分かるさ」

「……ごめんな」

「だから謝らなくていいって……」

 

そこからしばらく2人は黙り込んでしまい、しばらくの間は周りが静かになる。

 

(なんでコウマの奴、なにも言わねえんだ? 何時もだったら冗談の1つくらい言ってくるのに……。 やっぱりあのバカのこと気にしてんだな……。 ったく、こいつがいつもの調子じゃねえと調子が狂う……)

 

そして遂に沈黙に耐えられなかったのか、クリスは口を開いてコウマに話しかけた。

 

「あのバカ、大丈夫だよな?」

「あぁ、タロウや二課の人たちが頑張ってくれてる、未来も響を守るために頑張ってくれる。 そして俺達や翼さんも……。 きっと、大丈夫だよ」

 

そう言ってコウマとクリスはお互いの手を握り締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、マリア達はというと……ウェルのおかげでナスターシャの体調は取りあえずは良好なものとなり、ナスターシャは自分の体調がよくなったことを喜んでくれるマリア、切歌、調、零無の方に顔を向けた。

 

(私は、この優しい娘達になにをやらせようとしているのか……。 所詮テロリストの真似ごと、迫りくる最悪に対してなにも抗えないことにもっと早く気づくべきでした……)

 

それから翌日、切歌と調は買い出しに出かけ、車椅子に乗ったナスターシャとマリア、零無は近くにあった湖に行き、マリアはこれまでのことでよく分かったことをナスターシャに話していた。

 

「これまでのことで、よく分かった。 私の覚悟の甘さ、決意の軽さ。 その結末がもたらすものが、なんなのか。 だからねマム! 私は……」

「その必要はありません」

 

ナスターシャはマリアの言葉を遮り、マリアと、マリアのその先の言葉を予想していた零無は「えっ?」とナスターシャの言葉に首を傾げた。

 

場所は移り、どこかの壊れたビルの近くで切歌と調は買い出しの荷物を置いて休憩をしていた。

 

「嫌なことも沢山あるけど、こんなに自由があるなんて……。 施設にいた頃は想像できなかったデスよ」

「そうだね……」

 

切歌や調の言う「施設」とは……、フィーネの魂が宿る可能性のある人間を集める場所であり、切歌達はもともとはそこで暮らしていたのだ……、半ば実験材料のような扱いではあったが。

 

「私達の代わりに、フィーネの魂を背負うことになったマリア、自分が自分で無くなるなんて怖いことを結果的にマリア1人に押しつけてしまった私たち」

 

マリアにだけそんな想いをさせてしまった切歌は責任を感じ、どこか暗い表情を見せていた。

 

そんな時、切歌は調が苦しそうにしていることに気づき、切歌は調を心配するが調は「大丈夫」と切歌に返し、調は立ち上がろうとするがその場に倒れこんでしまう。

 

その時、ビルの上の方に置かれてあった鉄パイプがバランスを崩して切歌と調の方へと降り注いだ。

 

「っ!?」

 

そして、再び場所は零無達の方へと戻り……。

 

「あなたにこれ以上、新生フィーネを演じて貰う必要はありません」

「マム! なにを言うの!?」

「癪だけどあの顔芸ドクターを協力させるには新生フィーネの存在が必要なんじゃなかったのか!?」

 

ナスターシャの言葉に驚きを隠せない零無とマリア、一体どういうことなのか訳が分からず2人は困惑した。

 

「あなたはマリア・カデンツァヴナ・イヴ、ただの優しいマリアなのですから。 フィーネの魂はどの器にも宿らなかった、ただそれだけのこと……」

 

それを、聞こえていたかどうかは分からないが、木の影にウェルが隠れており、どこか怪しい笑みを浮かべていた。

 

その頃、切歌と調は……。

 

2人の頭上から降り注いだ鉄パイプは……切歌と調を押し潰してはいなかった……。

 

なぜなら、切歌が調を守ろうとして咄嗟に突き出した左手から、かつて櫻井了子が使っていたのと同じバリアを張っていたからだ。

 

「……あれ? なにが、どうなっているデスか!?」



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22Eve 傍にいるのは……

あれから目を覚ました調と一緒に、切歌はなにがあったかを調に悟られないよう2人はマリア達のいるヘリへと戻り、現在いる場所からステルス機能を使って飛行し飛び立った。

 

そして今はマリアがヘリの操縦を行っており、その隣の席では零無が座って雑誌を読んでいた。

 

「……」

 

一方、マリアはヘリを操縦しながら昼にナスターシャに言われた言葉を思い出していた。

 

「自分はもうフィーネを演じる必要はない」という言葉、それは一体どういうことなのか……。

 

彼女は少しだけ数か月前の出来事を思い出していた。

 

それはシンフォギアを纏い、訓練をしている時のこと……、マリアはガングニール、切歌はイガリマ、調はシュルシャガナを装着し、零無はダミースパークでゼロダークネスに変身しホログラムで出来た夜の街でウェルの出したノイズと戦っていた。

 

挿入歌「鏖鋸・シュルシャガナ」

 

調はツインテールのアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」を放ってノイズ達を切り裂き、マリアと切歌もガングニールでノイズを切り裂くが……マリアは背後に気配を感じて振り返りざまにアームドギアを振るうとそれがノイズから逃げ惑っている男性に当たってしまい、男性は苦痛の表情を見せた。

 

「っ!?」

 

マリアはその出来事に一瞬戸惑いを見せてしまう。

 

また、ゼロダークネスの周囲に複数のノイズが一斉に飛び掛かってくるが……構えを取って額から放つ光線「ダークネスエメリウムスラッシュ」を放ち、一瞬でノイズ達を炭化させる。

 

『これが、ゼロダークネスの力か……。 気に行った!!』

 

その時、ナスターシャからマリアと零無の耳についた発信機から連絡が入り、マリアは先ほど攻撃してしまった男性を庇うために襲いかかってきたノイズをアームドギアで貫く。

 

『マリア、零無、この通信はあなた達だけに繋いでいます。 調と切歌の2人には声は届いていません』

「またあの話? 私にフィーネを演じろと……」

 

どこか呆れたような声を出すマリアだが、ナスターシャ曰く「私たちの計画遂行にはウェルの助力が不可欠、彼をこちらに引き入れるにはマリアの中にフィーネの魂が再誕したことにし、自分達こそが異端技術の先端を所有していることを示さなければならない」のだという。

 

「おいおいマム、マリアは演技が得意だとはおもわねーぞ?」

『それでもドクターを引き入れるにはこれしか方法がありません。 そしてこのことを零無に話したのはあなたにはその辺りのフォローなどに廻って欲しいからです』

「けど、零無の言うとおり無理よ! 私達はセレプターチルドレン、フィーネの魂が宿る器として集められた孤児だけど、現実は魂を受け止められなかった! 今さら無理よ!!」

 

マリアがそう叫ぶと同時に彼女はアームドギアを振るって襲いかかるノイズを切り裂き、咄嗟にアームドギアの砲身部から高出力のエネルギー砲撃を放つ「HORIZON † SPEAR」をノイズに向けて放った。

 

ノイズに放ったつもりだった……、だが、マリアの狙いが外れ、砲撃は一般男性に直撃しその男性が消滅してしまい、それにマリアは見開いた。

 

そこで訓練が終了し、ホログラムも解除されて周りは元の空間に戻り、零無は変身を解除すると彼はすぐさまマリアの元に駆け寄る。

 

「マリア、幾ら話しかけられてるからってもう少し周りを見ろ」

「っ、ごめんなさい……」

 

暗い表情を浮かべるマリアに零無はどう声をかけようかと考えている時、そこに拍手をしながらウェルが踏みより、彼が切歌と調の2人が立つ後ろに回り込むと切歌の肩に彼は手を乗せ、切歌と調は不満そうな顔でウェルを見る。

 

「シンフォギアシステム、素晴らしい力だ。 そして適性の薄い君達に力を授ける僕の改良したリンカーも、この力を持ってすれば英雄として世界を……くふふふふ!」

 

切歌の肩と調のツインテールを撫でながら不気味な笑顔を浮かべるウェル……、そんなウェルにマリアも切歌と調同様に怪訝そうな表情を浮かべ、零無に至っては……。

 

「汚ねえ手で嫌らしく切歌と調に触ってんじゃねえぞ、テメー」

 

激しい憎悪に満ちた目で零無はウェルを睨みつけ、ウェルは僅かながらそんな零無に「ビクッ」と肩を震わせたが、零無になにかをされない内にウェルはさっと切歌と調から手を離し離れた。

 

そして時は戻り、現在……マリアはあの時ナスターシャはああ言ったのに、なのになぜ今になってフィーネを演じる必要がないと言ったのか疑問で仕方がなかった。

 

(『シェンショウジン』と『ネフィリムの心臓』、『フロンティア』起動の鍵が揃った今、どうしてマムはこれ以上嘘をつく必要がないと言ったのか……?)

「……マムの言ったことか?」

 

不意に零無がマリアにそう尋ね、自分の心を読まれたことにマリアは驚きつつも零無のその言葉に頷いた。

 

「まっ、マムにもなにか考えがあるんだろ。 あんまり深く考えなくってもいいんじゃねーか?」

「でも……!」

「それより、確かあの野郎、切歌と調にリンカー使った2人に異常がないか検査してたよな? あの野郎がなにかやらかさないようにちょっと見張ってくる」

 

それだけを言い残して零無は読んでいた雑誌をパタンっと閉じると彼は立ち上がってこの場をマリアに任せ、マリアの呼びとめも聞かず彼はそそくさとその場を立ち去って行った。

 

「もう少し話を聞いてくれてもいいじゃない……」

 

頬を膨らませてほんのちょっとだけぶーたれるマリアだったがすぐに彼女は気持ちを切り替えてヘリを操縦することに専念した。

 

ちなみにウェル達の元に向かっている途中、零無は……。

 

(あれ? そーいやあの検査って切歌や調のスリーサイズとか丸分かりじゃ……あの野郎やっぱり一回ぶん殴っとくべきか!?)

 

その頃、丁度検査の終えた切歌は……、あの時自分の発動したバリアについてのことで思い悩んでいた。

 

(あれは、私のしたことデスか? あんなこと、どうして……!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、二課の治療室では目を覚ました響に、弦十郎は彼女の身体が今どのようになっているのか、これ以上彼女を戦わせないためにもクリスを含めて響の身体の中の現状を教えることにしたのだった。

 

そして今この場には弦十郎を含め、響、クリス、翼、コウマ、タロウが集められ、弦十郎から響のガングニールの話を聞くことに。

 

「これが、響くんの身体のスキャナー画像だ。 体内にあるガングニールがさらなる侵食と増殖を果たした結果、新たな臓器を形成している……」

「前に見た画像よりも、ちょっと酷くなってるな……」

 

コウマがぼそりと呟き、それに対して弦十郎も「その通りだ」と頷いた。

 

「これが響くんの爆発力の源であり、命を蝕んでいる……」

「っ……」

 

それを聞いたクリスはどこか悔しそうな表情を見せながら顔を俯かせるが、その時響は少しだけ笑った。

 

「なははは……、つまり、胸のガングニールを活性化させるために融合してしまうから今後はなるべくギアを纏わないようにしろと……あははは……」

「立花……!!」

 

無邪気に笑っている響に翼は怒鳴るように彼女の腕を掴むが……翼よりも先にタロウが口を開いた。

 

『響!! 自分の命をもっと大切にしろ!! ギアをなるべく纏わないように……? 違う、少なくともこの現状をどうにかしない以上ギアを纏うなと言っているんだ!! お前にもしものことがあって悲しむ人のことを考えろ!!』

「タロウの言うとおりだ!! なるべくだと? 寝言を口にするな!! 今後一切の戦闘を禁止すると言っているのだ!!」

 

タロウと翼が響を怒鳴りつけ、翼に至っては尻眼に涙を浮かべて必死に響に訴えた。

 

「このままでは死ぬんだぞ!? 立花!!」

 

そこでクリスとコウマが響と翼の間に入って仲裁に入った。

 

「そんくらいにしときな!! 2人とも落ち着け!!」

「響、タロウと翼さんもお前を心配して言ってるんだ。 2人の言ってること、分かるよな?」

 

コウマが心配そうに響に言い、響は眉を寄せて顔を俯かせながらもコウマの言葉に無言で頷き、クリスは翼に「このバカだって分かってやってるんだ!」と翼に言い、翼は顔を響とクリスから背けて部屋の外へと出て行った。

 

「医療班だって無能ではない。 了子くんが残したデータを元に対策を進めている最中だ」

「師匠……」

 

弦十郎は響に笑みを向けながら彼女の頭に手を置く。

 

「治療法なんてすぐに見つかる。 その僅かな時間ゆっくりしてても罰は当たるものか! だから、今は休め!」

「分かり……ました……」

 

戸惑いつつも響は玄十郎にそう返事を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じころ、マリア達の乗っているヘリは目的地の座標ポイントに到達し、操縦席には操縦を行っているマリアは勿論、ウェル、ナスターシャ、切歌、調、零無の全員が集められていた。

 

そこでナスターシャが「マリア、お願いします」とマリアに伝えるとマリアは頷き、ヘリからプロペラのついた物体「シャトルマーカー」が幾つか射出されてまるでなにかを囲むように並んでいく。

 

「ステルスカット、シェンショウジンのエネルギーを収束」

 

ナスターシャがそう言うとヘリはステルス機能を解除する。

 

「長野県皆神山より出土したシェンショウジンとは鏡の聖遺物、その特性は光を屈折させて周囲の景色に溶け込む鏡面明細と古来より魔を払う力……」

(シェンショウジンを初めて見た時、昔読んだツクヨの兵士が魔物を封印するために使ったっていう青銅鏡を思い出したんだよなぁ……)

 

ナスターシャの説明を聞きながらそんなどうでもいいことを思い出している零無。

 

「聖遺物由来のエネルギーを中和するシェンショウジンの力を持ってしてフロンティアに施された封印を解除します」

 

つまり、この海の底に沈んでいる「フロンティア」と呼ばれるものを呼び出すために、「シェンショウジン」と呼ばれる聖遺物のエネルギーをあのシャトルマーカーに向けて放ち、そのフロンティアを起動させるためのエネルギーを増幅させ、フロンティアを呼び起こそうというのだ。

 

そしてナスターシャがそのエネルギーを発射するためのスイッチに手をかけた時、ウェルがナスターシャの腕を掴んだ。

 

「フロンティアの封印が解けるということはその存在を露わにするということ。 すべての準備が整ってからでも遅くないのでは?」

「心配は無用です」

 

零無はウェルの首根っこを掴んで引っ張り、彼をナスターシャから引き離す。

 

「ほら、邪魔だ退け」

「あなたはいつも……!!」

 

マリア達と違っていつも自分をぞんざいに扱う零無をウェルは睨みつけるが零無は知らん顔でウェルと顔を合わせようとせず、一発くらい殴ってやろうかと思ったがマリア達の力が自分にも必要なことは事実なため、ウェルは我慢して気を静めた。

 

そしてナスターシャはエネルギーを発射し、フロンティアを起動させようとする。

 

「ふふっ、これで……フロンティアに施された封印が解けるぅ……。 と・け・るぅ~♪」

 

しかし、実際はフロンティアはほんの少し動いた程度で後は泡立てただけで止まってしまい、フロンティアの封印が解けることはなかった。

 

「解け……ない……?」

 

これはナスターシャが今の自分たちにはフロンティアを起動させることができないことをウェルに知らしめるためであり、ナスターシャ曰く「機械的にエネルギーを増幅しただけでは封印は解けない」とのこと。

 

それを聞いたウェルは歯をギリギリで噛みしめてかなりの不機嫌そうな表情を見せていた。

 

「いいいいいい!! ぐいいいいいい~!!?」

((ぷっ、変な顔))

 

そんなウェルの顔を見て密かに心の中で笑う零無と調だった。

 

一方、二課ではオペレーター達の調べによりウェル達の言っていたそう遠くない未来に月が落下してくることがほぼ確実に近いということが判明していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、東京スカイタワーにてマリアとナスターシャは米国政府のエージェント達とある取引をするためにそこへと向かい、マリアはナスターシャの車椅子を押しながらマリアはナスターシャに「フィーネを演じる必要がない」とは一体どういうことなのかを尋ねていた。

 

「言葉通りの意味です。 私達がしてきたことはテロリストの真似ごとにすぎません。 真に成すべきことは月がもたらす最悪の被害をいかに抑えるか……違いますか?」

「つまり、今の私たちでは世界は救えないと?」

 

そしてナスターシャとマリアが取引先の部屋に入るとそこには黒服でサングラスをかけた数人の男性達が立っており、このことをマリアは知らされていなかったのか少しだけ戸惑ってしまう。

 

ナスターシャは「講話を彼等に持ちかけるために召集した」とマリアに説明した。

 

「ドクターウェルには既に話しています。 さあ、これからの大切な話をしましょう」

 

その頃、同じくスカイツリーを訪れていた響は……未来と一緒に今は水族館を一緒に見て回っていた。

 

だが今は未来は飲み物を買いに行き、響は水槽の前で1人考え事をしていた。

 

そんな響の様子を影から見つめる2人の人物……コウマとクリスがいた。

 

「おい、コウマ! なんであたし達がこんなコソコソとしなくちゃいけねえんだよ? あのバカを見張るんだったらもっと堂々と……!」

「いや、俺達も行ったらどちらかと言ったら邪魔になるだけさ。 響は未来と2人っきりにした方がきっと良いと思う。 そっちの方が響だって落ち着ける筈さ」

 

今にも響のところへと飛び出して行こうとするクリスをそう言ってコウマが抑え、クリスは不満そうにコウマを見つめる。そんな不機嫌な顔をするクリスにコウマはほんのちょっとだけ戸惑った。

 

「ど、どーしたよクリス? そんな不機嫌そうな顔して……」

「別に、なんでもねーよ! ただ、あいつ等のこと……よく知ってるなと思って……」

 

クリスはそう言いながらそっぽを向き、コウマはそんなクリスに失礼だと思いながらもついつい笑ってしまった。

 

「な、なに笑ってんだよ!?」

「いや、お前……もしかして俺にヤキモチ妬いてくれてるのかなぁって……」

「なあ!!?////」

 

コウマに図星を突かれてしまい、顔を真っ赤にしてしまうクリス、当然そんなことを言えばクリスが怒るかもしれないとコウマは思うが……それでもそんなクリスが可愛く思えてついつい彼女が顔を真っ赤にしそうなことばかりを言ってしまう。

 

「まあ、でも、あいつ等のことをよく知ってるのは中学1年からの付き合いだからな。 だけど誤解するな、俺はクリスが世界で1番好きだからな! それにこういうデートもありだろ?」

「っ~!!////だ、だからなんでお前はそういう恥ずかしいこと平気で言えるんだよ!!?////」

 

そんなやり取りをコウマとクリスがしているとはつゆ知らず、響は翼に言われた「このままでは死んでしまう」という言葉を思い出していた。

 

(死ぬ、戦えば死ぬ……。 考えて見れば、当り前のこと……。 でも、何時か麻痺してしまってそれはとても遠いことだと錯覚していた……。 戦えない私って誰からも必要とされない私なのかな……)

 

そんなことを考えていた響の頬に突然ひんやりとした感触が伝わり、「うひゃああああああ!!!?」とついつい大きな声を出してしまい、そのことに未来からも注意された。

 

「だだだだ、だってこんなことされたら誰だって声出ちゃうって!?」

「響が悪いんだからね」

「えっ? 私?」

「だって、折角2人で遊びにきたのにつまらなさそうにしてるから」

 

不満な顔をして未来は響にそう言い、そのことに響は「ごめん」と申し訳なさそうにして謝る。

 

「心配しないでぇ! 今日は久しぶりのデートだもの! 楽しくない筈がないよ!」

((あっ、やっぱりそーいう仲なんだなあの2人……))

 

それを遠くから見ていたコウマとクリスは2人同時に同じことを思ったが……、その後すぐにコウマは「いや、でも翼さんの時もデートとか言ってたな」と呟いていた。

 

「デートの続きだよ! せっかくのスカイタワー! 丸ごと楽しまなきゃ!」

 

そう言って響は笑顔を未来に向け、彼女の手を取って2人は歩き始めた。

 

「さて、俺達も響がギアを纏わないように見張らないとな。 俺達も行こうぜクリス!」

「あ、あぁ……」

 

クリスはコウマに手を差しのべられて彼女は戸惑いつつもその手を取って響と未来の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でとある森の中にヘリを止め、調は出来たカップ麺を味見する。

 

「うん、思った通りの味が出た」

 

カップ麺で思った通りの味ってなんだ……と思うかきっとなにか工夫かなにかしたんだろう。

 

また、ヘリの外では切歌が膝を抱えて座っており、彼女は自分の中にいるかもしれないフィーネの魂について思い悩んでいた。

 

(もしも私に、フィーネの魂が宿っているのだとしたら……私の魂は、消えてしまうのデスか? あっ、ちょっと待つデス! 私がフィーネの魂の器だとするとマリアがフィーネというのは……)

「おーい、切歌、そろそろ飯……あっ……////」

 

そろそろ昼ごはんの時間なのを教えにきた零無は不意に顔を反らし、いきなり顔を反らしたりして一体どうしたのかと首を傾げる切歌。

 

「零無? なんで顔を背けるデスか?」

「いや、だってお前……膝を抱えたらスカートの中が……なっ?///」

「っ!!?////」

 

切歌は零無に言われて慌ててスカートを抑え、彼女は顔を真っ赤にして「み、見たのデスか?////」と問いかけると零無は全力で首を横に振った。

 

「いやいやいや! 見たと言っても一瞬っていうか……」

「結局見たんじゃないデスか!! まあ、でも今回は許してあげるデス……」

「……あぁ、すまな……ってどうした? 切歌、なんか元気なさそーだけど?」

 

そんな時、零無は切歌の様子がなにかおかしいことに気づき、切歌はそれにドキッとして慌てて「な、なんでもないデス!!」と誤魔化すが……正直言って零無から見てなんでもないようには見えなかった。

 

すると零無は切歌の隣に座って彼女の頭に手を乗せた。

 

「なにか悩みがあるんなら、遠慮せずに言えよ。 俺だけじゃない、調やマリア、マムだってお前の悩みならきっと真面目に聞いて力になってくれる筈だ」

「……ありがとうデス、零無。 けどこれは……」

 

顔を俯かせ、口ごもってしまう切歌、そんな切歌を見て零無はそんなに言い辛いことなのかと思った。

 

「まあ、慌てることじゃないんならお前の決心がつくまで言わなくていい」

「心配してくれてありがとうデス、零無。 少し気が楽になったデスよ」

「そっか」

 

零無と切歌はお互いに微笑み合い、そこに調が昼ごはんの準備が出来たことを2人に知らせにきた。

 

「ありがとデス! なにを作ってくれたデスか?」

「298円……!」

「御馳走デス!!」

 

それを聞いた瞬間、零無は口元を押さえて尻眼に涙を浮かべた。

 

(こいつ等にいつかちゃんとしたもの食わせてやりたい……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、スカイタワーのマリア達のいる部屋では……。

 

異端技術の入ったチップをエージェント達にマリアが渡し、ナスターシャが次の話題に移ろうとしたその時、エージェント達は突然拳銃を取り出してマリア達に銃口を向けた。

 

「マム!!」

「あなたの歌よりも、銃弾は遥かに早く、躊躇なく命を奪う」

「初めから、取引に応じるつもりはなかったのですか?」

 

ナスターシャの言うとおり、米国政府のエージェント達は最初から取引に応じるつもりはなかった。

 

「必要なものは手に入った。 後は不必要なものを片付けるだけ……」

 

そんな時、窓に飛行型のノイズが何体も飛んでいることにエージェント達は気づき、窓をすり抜けて部屋に侵入したノイズがエージェント達へと襲いかかる。

 

「う、うわああああああ!!!?」

 

このノイズ達はスカイタワーから離れた場所でウェルがソロモンを使い、呼び出して操っているものだ。マリアはすぐさまガングニールを纏うと「歌」を口ずさみながら槍型のアームドギアで邪魔なノイズ達を一気に一掃し、ナスターシャを抱えてすぐにここから脱出した。

 

その際、エージェントに渡したチップを破壊して。

 

挿入歌「烈槍・ガングニール」

 

またスカイタワーの展望台に来ていた響、未来、コウマ、クリスもノイズが目の前で飛行しているところを目撃し、人々は逃げ惑う。

 

未来は走りだそうとする響の腕を掴み、彼女を行かせないように引き止める。

 

「待って!! 行かないで響!!」

「未来……だけど行かなきゃ!!」

「この手を離さない!! 響を戦わせたくない! 遠くに行って欲しくない!!」

 

そう必死に響に訴える未来、そこに泣きながら歩く子供の姿が響と未来の目に入り、響は未来と向き合う。

 

「胸のガングニールさえ使わなければ大丈夫なんだ! このままじゃ!」

 

そう言って響と未来はあの子供を追いかけて走り出した。

 

「クリス! 俺達も……!」

「あぁ!!」

 

だがその時、飛行ノイズ達が一斉にあの子供と子供の元に行こうとする響と未来に向かって真っすぐと襲いかかっていき、それを見たコウマは急いでスパークドールズとギンガスパークを取り出した。

 

「やらせるかよぉ!!」

『ウルトライブ! デキサドル!!』

 

ギンガスパークから光が放たれ、その光を浴びた響達に襲いかかろうとしたノイズは消滅……そしてスカイタワーの前には鳥のような巨大な怪獣……「高速怪獣デキサドル」が現れた。

 

「コウマくん!!」

 

デキサドルは響と未来の2人に振り返ると「ここは任せろ」と言ってるかのように頷き、デキサドルはノイズをスカイタワーになるべく近づけないようにする。

 

『グアアアアアア!!』

 

しかし、そんな時デキサドルの右横から巨大な怪獣……誰かがダークライブした「宇宙大怪獣改造べムスター」が出現し、デキサドルを突き飛ばした。

 

『ぐあああああっ!? 怪獣!!?』

「コウマ! くそ、邪魔すんじゃねえ!!」

 

クリスはガンパットを取り出してジャンスターを呼び出し、すぐにコックピットへと乗り込んでジャンスターをジャンナインに変形させる。

 

『カモン! ジャンスター!!』

「ジャンファイト! ツーダッシュ!!」

 

変形を完了したジャンナインは右腕のシールドポケットから出現するキャノン砲「ジャンキャノン」からビームをデキサドルと取っ組み合いになっていて背中を見せるべムスターに向けて放つが、べムスターはどうにか今の体制を変え、デキサドルを盾にし、ビームはデキサドルの背中に直撃した。

 

『ぐあああああ!!?』

「コウマ!! あの野郎、コウマを盾に……!?」

 

そして響と未来は先ほどの子供の少年を連れて少年を励ましながら親を探し回る。

 

「ほらほら、男の子が泣いてちゃ、みっともないよ?」

「みんなと一緒に避難すればきっと会えるからきっと大丈夫だよ?」

 

そこに係員と思われる人物が少年を抱きかかえ、響と未来も避難するように言って係員と少年はすぐにその場から離れ、少しだけ遅れて響と未来も避難しようとするがその時ノイズがビルを突き破って天井が崩壊し、未来は慌てて響を突き飛ばした。

 

「響!!」

 

その頃、マリアは上の階に逃げている途中、軍隊の人間と思われる者達からの攻撃を受け、マントで銃撃をナスターシャを庇って防いでいたが……それに一般人も巻き込まれ、それにマリアを目を見開きながらマントを伸縮自在に操って軍人を叩き飛ばす。

 

マリアは銃で撃たれて死んだ一般人達を見つめていた。

 

「……私のせいだ、全ては、フィーネを背負い切れなかった……私のせいだああああああああ!!!!」

 

そう叫びながらマリアはマントで軍人を吹き飛ばし、アームドギアで軍人を叩きつけた。

 

それを見ていた生き残っていた一般人達は……恐怖のあまり「助けてえええええええ!!!!」と叫んでしまう。

 

「うろたえるな!! うろたえるな、行け!!」

「は、はいいいいい!!」

 

あの時、ライブ会場でも言ったその言葉は……自分に向かって叫んだ言葉だった。

 

マリアはナスターシャを抱えてアームドギアを天井に向けて掲げる。

 

「もう迷わない!! 一気に行って見せる!!」

 

アームドギアを回転させてマリアは跳びあがり、一気に最上階まで彼女は進んでいく。

 

また、響と未来はどうにか助かることが出来、響は助けてくれた未来にお礼を言う。

 

「ありがとう、未来、助かったよ」

「うん、あのね! 響……」

 

未来がなにかを言おうとしたその時、突然彼女たちの足場が強く揺れてそこでバランスを崩した響が崩壊した壁から落ちてしまう……だが寸前のところで未来が響の腕を掴んだ。

 

「未来!! ここはもう持たない!! はやく手を離して!!」

「ダメ!! 私が響を守らなきゃ!」

「未来……。 いつか、本当に私が困った時、未来に助けて貰うから……今日はもう少しだけ、私に頑張らせて」

 

必死に腕を掴む未来に響は微笑んでそう伝えるが、未来は涙を流しながらも必死に腕に力を入れて響を掴む。

 

「私だって……守りたいのに……! 響いいいいいいい!!!!」

 

そして……響の「左腕」はするりと未来の右手から抜け落ち、響は地面へと落下していくが……彼女は「歌」を口ずさみ、ガングニールを纏って地面に着地した。

 

「未来!! 今行く!!」

 

その時、未来のいた場所が煙をあげて大きな爆発を起こし、それを見た響は眼を見開いて未来の名を叫んだ。

 

「未来うううううううううううう!!!!!!」

 

また、スカイタワーが爆発するよりも少し前のデキサドルとジャンナイン、べムスターの戦いでは……。

 

べムスターの誘導により、デキサドルとジャンナインはスカイタワーから離されてしまっていた。

 

「コウマ!! お前はスカイタワーの方を守れ!! こいつはあたしが……!!」

『分かった、任せる!!』

 

ジャンナインにべムスターの相手を任せ、デキサドルは急いでスカイタワーの守りに戻ろうとするが、その時頭上から何者かの光線を喰らい、デキサドルは地面に激突する。

 

『ぐああっ!? 誰だよ、今度は!?』

 

デキサドルが真上を見上げるとそこにはイカに似た外見を持った円盤のようなものが浮遊しており、その円盤は変形して前後両方に顔と腹部にそれぞれ青と赤の噴射口を持った人型の怪獣へと変わった。その怪獣……「円盤生物ブリザード」は大地に降り立ち、青い噴射口から凍結ガスをデキサドルに放つがデキサドルは咄嗟にそれを避ける。

 

『テメーみたいなイカ野郎に構ってる暇なねえんだよ!! どっか行け!!』

 

そう言ってコウマはギンガスパークを掲げるとギンガのスパークドールズが出現し、すぐさまギンガへとライブする。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!!』

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

ギンガは大地に降り立ち、それと同時にブリザードは後ろの赤い身体の方をギンガに向けて火炎放射をギンガに放つがギンガは一瞬でブリザードの背後に回り込むが……そこにもブリザードの青い顔があるため、ブリザードは冷凍ガスをギンガに放つ。

 

だがギンガは手を前方に出して変身時の銀河状のエフェクトに似たバリアを展開し、攻撃を無効化させる「ギンガハイパーバリアー」でブリザードの攻撃をかき消す。

 

『ショウラ!!』

 

そして一気にブリザードに近づいたギンガは廻し蹴りを叩き込み、ブリザードは地面に倒れこむがすぐさま立ち上がって今度は赤い方の顔を向けて火炎放射を発射する。

 

だがギンガは飛びあがってそれを避け、敵めがけて素早く繰り出す強力キック「ギンガハイパーキック」をブリザードに叩き込んだ。

 

また、ジャンナインはビーム系の技はべムスターの腹部に全て吸収されることが分かったため、ジャンナインは肉弾戦に持ち込み、ジャンナインはべムスターに殴りかかるがべムスターはジャンナインの拳を受け流して逆にジャンナインを殴りつける。

 

さらにべムスターはジャンナインに掴みかかり、角から放つ光線を近距離からジャンナインの顔に浴びせた。

 

「ぐああ!!? やってくれ……やがったな!!」

 

ジャンナインも負けじとべムスターの顔面を殴りつけ、べムスターの右腕を掴むとジャンナインはべムスターを引っ張ってスイングし、空中へと投げ飛ばす。

 

『これで終わりだ!!』

 

ギンガは両腕を前方で交差させた後、S字を描くように左右に大きく広げてからL字型に組み放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」を放ち、直撃したブリザードは倒れて爆発した。

 

『ギンガクロスシュート!!』

「ジャンナックル!!」

 

またジャンナインも左腕で攻撃するロケットパンチ「ジャンナックル」をべムスターへと放ち、ジャンナックルはべムスターを貫いてべムスターも空中で爆発し、2体とも倒された。

 

『『ギシャアアアアアア!!!!?』』

 

2体の怪獣を倒し、ギンガとジャンナインがスカイタワーに戻ろうとした時、スカイタワーの一部が爆発。

 

『あの辺りは響と未来がいた……!』

「おい、急ぐぞコウマ!!」

『あぁ!!』

 

そう言ってギンガとジャンナインは急いでスカイタワーの方へと戻って行った。

 

 

 



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23Eve うたかたの魂

「未来……」

 

スカイタワーの未来のいた場所が爆発し、それを唖然と見つめている響……。

 

そんな彼女は、未来の名前を静かに呟きながら彼女との思い出……喧嘩してしまった時のことや、ルナアタック事件が終わった後に、一緒にようやく流れ星を見た時のことを思い返していた。

 

響はその場に膝を突いてしまい、ガングニールの装着を解除し、その場で彼女は泣き崩れてしまった……。

 

「なんで……こんなことに……うぅ、ひっく……」

 

そんな時、飛行ノイズの何体かが響目掛けて襲いかかり、間一髪のところでシンフォギアを纏った駆け付けた翼とクリスがノイズを撃ち抜いて切り裂いた。

 

「立花!!」

「そいつは任せた!!」

 

響のことを翼に任せたクリスは等身大になったギンガと共に並び立ち、ノイズ達へと戦いを挑む。

 

『空の奴は任せろクリス!!』

 

両腕を前方で交差させた後、S字を描くように左右に大きく広げてからL字型に組み放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」をギンガは飛行ノイズ達へと放ち、腰部アーマーを展開し、追尾式小型ミサイルを発射する「CUT IN CUT OUT」をクリスは地上にいるノイズ達へと撃ちまくる。

 

(少しずつなにかが壊れて狂っていきやがる……! あたしの居場所を蝕んでいきやがる!! やってくれるのは……どこのどいつだ!!)

「全く、いい加減私も怒ったわよ!!」

 

そこに、怪獣がギンガとジャンナインにやられたことに怒ったナックル星人グレイが現れ、グレイはクリス目掛けて両腕から紫色の電気鞭のようなものを放つが、そこにギンガが割り込み、グレイの鞭を自分の腕に巻きつかせる。

 

『クリスに手は出させ……』

「お前かああああああああああ!!!!!?」

 

さらにそこへクリスがガトリングに変形したアームドギアから発射される銃弾でギンガを拘束している鞭を攻撃して破壊するとそのままクリスはグレイに接近し、グレイは反撃する暇もなく、クリスにガトリングを腹部に押しつけられ、銃弾を直に喰らって吹き飛ばされる。

 

「ぎゃああああああああああ!!!!!?」

『おぉ、吹っ飛んだなかなり……』

 

吹き飛ばされたグレイはフラフラになりながらも立ちあがり、グレイはダークダミースパークとスパークドールズを取り出して新たな怪獣へと変身する。

 

『ダークライブ! メタモルガ!』

 

グレイは巨大な猿の怪獣「異形進化怪獣 メタモルガ」へと変貌し、メタモルガは等身大のギンガとクリスを踏みつぶそうと足を振り上げるがギンガは咄嗟に巨大化してメタモルガの顎を殴りつけ、殴られたメタモルガは地面に倒れこんだ。

 

そしてクリスはメタモルガの相手をギンガに任せ、自分はノイズの殲滅に集中し、ガトリングでノイズ達を次々と撃ち抜く。

 

(どうして……あたしがソロモンの杖を起動させちまったばっかりに……!! なんだ、悪いのはいつもあたしのせいじゃねーか。 あたしは……!!)

 

そう、クリスはずっと感じていた……、ソロモンで呼び出されたノイズの被害はずっと自分のせいだと。

 

自分ではなく、他人が使い、ノイズによる被害を出したからと言ってもソロモンの起動させしなければ被害は起こることはなかった。

 

全部……自分のせいであるとクリスは感じていた……、ずっとずっと自分のせいであると……。

 

「っ……!!」

 

クリスはギアから大型ミサイル2基を生成し、砲撃を行う「MEGA DETH FUGA」を2体の巨大飛行ノイズへと放ち、直撃を受けたノイズは撃墜し、それで全てのノイズをクリスは全滅させた。

 

「はぁ、はぁ……」

 

一方、ギンガはそんなクリスの様子に気づいたのか……、彼女を心配してしまい戦いに集中することができず、メタモルガの思うようにやられていた。

 

『クリス……どうしたんだ? なにか様子が……』

『余所見とは良い度胸ね!!』

 

余所見をしていたギンガの隙を突いて背後からメタモルガが迫り、メタモルガはギンガの背中を爪で引っ掻くとギンガは苦痛の声をあげてその場に膝を突いてしまう。

 

さらにメタモルガは追い打ちとしてギンガの首を掴み上げて無理やり立たせ、首を掴んだままギンガを投げ飛ばした。

 

『ぐあああああ!!?』

 

投げ飛ばされたギンガは倒れ込み、メタモルガはギンガの上に馬乗りとなって何度もギンガの顔を殴りつけるがギンガはどうにか足を振り上げてメタモルガの背中を蹴りつけ、メタモルガを押し退かした。

 

「……コウマ? おい、コウマ!! 戦いに集中しろよ!!」

 

そこでクリスはギンガが戦いに集中していないことに気が付き、クリスはギンガに戦いに集中するように言い放ち、立ちあがったギンガは少しだけクリスを見つめた後、頷いてメタモルガの方へと向かっていった。

 

『ショウラ!!』

 

メタモルガに接近したギンガは廻し蹴りをメタモルガに繰り出すがメタモルガはそれを受け流してギンガの両肩を掴み上げ、メタモルガはギンガの肩に噛みついた。

 

『ぐあああああああ!!!?』

 

その後メタモルガはすぐに噛みつくのをやめ、ギンガの腹部に拳を叩き込んでギンガはうずくまるがすぐにメタモルガからギンガは離れる。

 

メタモルガから離れたギンガは全身のクリスタルを黄色く発行させ、頭上に発生させた雷の渦を敵に向かって投げつける電撃光線「ギンガサンダーボルト」をメタモルガに放つ……が、メタモルガは光線の直撃こそ受けたものの、その光線エネルギーを吸収し自分の力にしてしまった。

 

『光線を吸収しやがった!?』

『それだけじゃないわ! おかげでパワーアップもしたの! それにしても、確かあなたってあの銀髪の娘の恋人だったわねぇ?』

『それがなんだよ? 今聞くことか?』

『まあ、確かにそうかもしれないけど……。 あなた分かってるのかしら? このノイズは間違いなくソロモンで呼び出されたもの、つまりこの被害の原因……、それは一体誰だとあなたは思う?」

 

グレイにそう尋ねられ、コウマグレイの言っている言葉の意味を理解するのにそう時間はかからなかった。

 

『そう、あなたはその原因と恋仲なのよ。  それってどうなのかしらね~? ノイズの被害にあった人達に失礼だと思わないのかしら?』

『だから……あいつは、あいつはその償いをしようと必死に……!!』

『他人の幸せを奪っておいて自分は恋人と幸せにしようっていうのは勝手過ぎるんじゃないの?』

 

グレイにそう言われてコウマは「違う!!」と反論したが、グレイは「なにが違うの?」と逆に返され、コウマはどう言えばいいか分からず、グレイの言葉にそれ以上反論することはできなかった……。

 

しかし、特に頭が良いという訳でもないし、何時も前向きなコウマは……グレイとの言い争いにそこで終わることはなかく、次の瞬間グレイの予想を裏切ることをコウマは言い放ってきた。

 

『けど、やっぱりなんか違う気がする!!』

『あら、なにが違うって言うの? 言ってみなさいよ!』

『だって、ソロモンって『物』だろ? 『物』っていうのは使い手によってどうなるかが悪いようにも良いようにも左右される! 最初はクリスが使っていたものだけど、あいつが使っていた時は襲われた人こそいるもののあいつは誰かを殺すことだけは絶対にしてなかった!』

 

そう、まだクリスがイチイバルではなくネフシュタンの鎧を纏って響達と対立していた時も、実はクリスはノイズを操りながらも被害者は全く出ていなかったのだ。

 

『なにを言い出すのかと思えば……』

『あなた私が言ってる意味分かってるの!? だからそうじゃなくて結果的にこの被害はあの娘のせいだって……』

 

そんな時、ギンガの中にいたコウマの持つギンガスパークから光が放たれ、コウマは光るギンガスパークを見てなにかを悟ったかのように頷き、それを掲げるとギンガスパークから1人のウルトラマンのスパークドールズが現れた。

 

コウマはそのスパークドールズを手に取るとギンガスパークの先端に紋章を押し当てると、ギンガの身体が青く光り輝く。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンヒカリ!』

 

そしてギンガの姿が変わり、青い戦士のウルトラマン……「ウルトラマンヒカリ」が現れた。

 

『なっ、ひ、ヒカリですって!?』

 

ヒカリはメタモルガに向かって真っすぐ駆け出し、メタモルガは向かってきたヒカリを殴りつけようとしたがヒカリは跳びあがってメタモルガの攻撃を回避し、メタモルガの頭上を飛び越える。

 

『デイ!!』

 

メタモルガはすぐさま後ろに立つヒカリの方へと振り返り、振り返りざまに腕を横に振るうがヒカリはその腕を掴み上げて背負い投げを繰り出し、メタモルガは地面に叩きつけられる。

 

メタモルガはすぐに立ちあがってヒカリから離れた後、メタモルガは高くジャンプしてヒカリに襲いかかるがヒカリもメタモルガと同時に跳びあがり、跳び蹴りをメタモルガの胸部に叩き込んだ。

 

『このぉ~!! もう怒ったわ!!』

 

立ちあがったメタモルガはヒカリに掴みかかり、ギンガの肩に噛みついたように今度はヒカリの肩に噛みつき、ヒカリは苦痛の声を出すが、ヒカリは膝蹴りをメタモルガの腹部に叩き込んでメタモルガを引き離す。

 

『グウ……セヤ!!』

 

ヒカリが右手をかざすとヒカリの周りに輝きが渦を巻いて集まり、その輝きは鎧となってヒカリの身体に装着され、ヒカリは「ハンターナイト・ツルギ」という姿へと変わる。

 

メタモルガはヒカリが姿を変えたことに驚くが、メタモルガは臆せずにツルギに立ち向かい、もう1度肩に噛みつくが……鎧が固すぎたためメタモルガの歯の殆どが折れてしまった。

 

『ぎ、ぎゃああああああ!!!!? 歯がああああああああ!!!!?』

 

メタモルガはツルギを睨みつけて拳を放つがツルギは片手で拳を受け止めて逆にメタモルガの顔を殴りつけ、さらにそこから顔、腹部、胸部といった3か所を集中的にツルギは何度もメタモルガを殴りつける。

 

『ぐううう!!? もうムカつく~!!』

 

最後はメタモルガの身体をツルギは持ち上げ、メタモルガは逃げようともがくはしっかりと掴まれているため逃げることができなかった。

 

『……誰でも罪を犯すことはある。 大きな罪を、だがそれで自分が幸せになってはいけないということは……ないのではないか?』

『じゃ、じゃあ犠牲になった人達にそれは失礼じゃないの!?』

『確かにそうかもしれない。 だがだからと言ってその分自分が不幸になるべきなのか? 罪の意識を感じ、それを一生背負っていくのなら、一生償っていくのなら……、幸せになっても構わないと俺は思う』

 

それはコウマの声ではなかった、その声は……かつて自分も同じように罪を犯し、償い、他の者達と同じように「ウルトラマン」となった者の声……。

 

ツルギはメタモルガを持ち上げたまま空中へと飛び立ち、宇宙空間まで運ぶとメタモルガを投げ飛ばし、両手を上下に広げて放つ必殺光線「ホットロードショット」をメタモルガに喰らわせ、メタモルガは光線を吸収しようとするが……。

 

『うおおおおおおおおおお!!!!』

 

光線の威力が上がり、メタモルガは遂にエネルギーを吸収しきることができず、メタモルガは爆発して消え去り、メタモルガのスパークドールズはツルギの手に渡った。

 

『きゃあああああ!!!!? 覚えてなさ~い!!?』

 

メタモルガを倒し、地上へと帰ったツルギは鎧を解いてヒカリの姿へと戻り、クリスの前までやってくると膝を突いて彼女を見下ろした。

 

『私も、過去に過ちを犯した。 だが、過ちは償うことができる。 頑張ってくれ……』

「アンタは……コウマじゃ、ないよな?」

 

クリスは戸惑いつつ、ヒカリに問いかけるがそれ以上ヒカリはなにも答えず、ヒカリはギンガの姿へと戻り、クリスは先ほどヒカリに言われた言葉を考えていた。

 

(過ちは……償える……)

 

その後、二課の弦十郎や緒川といった二課のメンバー達が現場での調査を行い、響は二課の車の中で顔を俯かせながら座っていた。

 

(絶対に離しちゃいけなかったんだ……。 未来と繋いだこの手だけは……!)

 

響は未来と握っていた左手を見つめながら、あの時未来の手を離してしまったことをずっと後悔していた。

 

「温かいもの、どうぞ」

 

そこに二課のオペレーターのあおいがコーヒーを持って響に差し出し、あおいは響に優しく微笑みながら彼女にコーヒーを渡し、響はそのコーヒーを受け取った。

 

そしてコーヒーを受け取った響は遂に我慢ができなくなったのか、彼女は涙を流し、泣きだしてしまった。

 

「でも、私にとって1番温かいものは……もう……ひっく、ふう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、F.I.Sのメンバーの乗るヘリの中では……あの時、スカイタワーで何人かの兵を手にかけてしまったマリアは、そんな自分に怒りを覚えて拳を窓に強くぶつけた。

 

「この手は血に汚れて……セレナ、私はもう……! うわああああああ!!!!」

 

そのことに、マリアは悔しさと悲しさの気持ちでいっぱいとなり、彼女は大声で泣き出してしまう。

 

そんな彼女を心配し、零無が声をかけようとしたがナスターシャが零無の腕を掴み、首を横に振った。

 

「なにがあったんだ? マリアに……」

「それは僕からお話しましょう!」

 

そこにウェルが現れて零無、切歌、調に一体なにがあったのかをウェルはなにも知らない3人に話し始めた。

 

「ナスターシャは10年を待たずに訪れる月の落下より1つでも多くの命を救いたいという私達の遂行なる理念を……米国政府に売ろうとしたのですよ!」

「マム?」

「本当なのデスか!?」

 

ウェルの話を聞いた調と切歌はナスターシャに確かめようと尋ねるが、ウェルの話は続き、彼は「それだけではありません」と今度は切歌と調にマリアの器にフィーネの魂が宿ったというのもデタラメであることを切歌と調に話し、マリアは切歌と調に振り返らないまま窓を向いたまま2人に謝罪した。

 

「ごめん……2人とも……ごめん」

 

マリアの表情は零無達からは伺えなかったが、恐らくはきっと泣いている……3人はそう感じた。

 

「マリアがフィーネじゃないとしたら、じゃあ!!」

「僕を計画に加担させるためとはいえ、あなた達まで巻き込んだこの裏切りは……あんまりだと思いませんかぁ? 折角手に入れたネフィリムの心臓も……無駄になるところでした!」

 

ウェルは笑みを浮かべながらそんな風にマリアとナスターシャを責めるように言うが……零無は「だからなに?」といった感じで表情1つ変えなかった。

 

「まあ、俺は別に気にしないでけどな。 結果的にこっちの情報は渡らなかったみたいだし、マムもなにか考えがあったんだろ?」

「はああ? あなたは人の話を聞いてたんですかぁ? これは立派な裏切りだと言ってるんですよぉ!!」

「はいはい、でも失敗したんだから結果オーライだろ。 勝手に言ってろボケ。 それでマリア、このメガネの言ってることは……本当……なんだな? 一応は」

 

零無の問いかけに窓の方を向いていたマリアは振り返り、彼の問いかけにマリアは「本当よ」と頷き、切歌と調には自分がフィーネではないことを話し、人類救済の話も一時棚上げしようというのもすべて本当であると話す。

 

「マムは、米国政府にフロンティアに関するデータを渡して協力を仰ごうとしたの」

「だけど、米国政府とその協力者は自分たちだけが助かろうとしているって……」

「それに、切り捨てられる人達を少しでも守るため世界に敵対してきた筈デス!!?」

 

マリアの言葉を聞いて切歌と調はナスターシャに訳を聞こうとしたが、ナスターシャはそれには答えず、代わりにウェルの言葉に対する言葉を返すことに。

 

「あのまま講話が結ばれてしまえば私達の優位性は失われてしまう。 だからあなたはあの場でノイズを召喚し、会議を踏みにじってみせた」

 

そんなナスターシャの言葉にウェルは不気味に口元だけ笑みを浮かべさせる。

 

「やだな~、悪だつな米国の連中からあなたを守ってみせたというのに……このソロモンの杖で!」

 

ウェルはソロモンの杖をナスターシャに向け、切歌と調は身構え、零無もポケットにしまっているダミースパークを握り締めるが……そこにマリアが両手を広げて零無達がウェルに手出ししないよう、彼女はウェルを庇ったのだ。

 

「マリア……どうしてデスか!?」

「ふ、ふははははは! そうでなくなっちゃ!」

「偽りの気持ちでは世界を守れない! セレナの想いなんて告げやしない! 全ては力……力を持って貫かなければ正義を成すことなどできやしない!! 世界を変えていけるのはドクターのやり方だけ!! ならば私はドクターに賛同する!!」

 

このマリアの行為は、零無達にとっては意外なものであり、真っ先に調がマリアの言うその「ウェルの考え」に否定的な自分の意見を述べてきた。

 

「そんなの嫌だよ……。 だってそれじゃ力で弱い人達を抑え込むってことだよ?」

 

またナスターシャはマリアの言葉に「分かりました」と言い、それがフィーネではなくマリアとしての選択ならばと言い、それ以上はナスターシャは咳きこんでしまってなにも言うことができなかった。

 

「あとのことは僕に任せて、ナスターシャはゆっくり静養してください。 さて、計画の軌道修正に忙しくなりそうだ、来客の対応もありますからねー」

 

ウェルはそれだけを言い残すと零無達のいる部屋から出て行き、自分の仕事を行うことに。

 

一方、ヘリの中のとある場所では……檻の中に閉じ込められている未来の姿があった……。

 

「……響……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方頃、クリスは翼とコウマを誘い、以前コウマと一緒に行き、その後もデートなどではよく来る森次弾の店でクリスはスパゲッティを頼んで食事をしていた。

 

「なんか頼めよ、奢るぞ?」

 

クリスは口の周りをスパゲッティで汚しており、コウマはそんなクリスの顔を見てついつい笑ってしまう。

 

「お前、いい加減食べ方もう少し治せよ……。 萌えて可愛いけどさ」

「はあ!? お、おま……コウマはだからそういうことを……////」

 

そして翼はというと顔を窓の方に向けて横を向き、先ほどのクリスの申し出を断った。

 

「生憎、夜9時以降は食事を控えている」

「そんなんだから……そんなんなんだよ」

「あー、なるほど。 そう言えばクリスって俺が太るって注意してるのも聞かないで夜遅くになんか食べたりしてるよな。 でも太らないのは全部そっちに行っちゃってるからなのか……」

 

夜遅くにものを食べても太らないクリス、その原因は全部今コウマの見ているクリスの胸が原因であると考え、それに気づいたクリスは「どこ見てんだコラぁ!!///」と顔を真っ赤にしてコウマの顔面を殴ろうとしたがコウマはひょいっとクリスの拳を避けた。

 

「っというか雪音、貴様はなにが言いたい!? 用がないなら帰るぞ!!」

 

怒って翼は立ち上がり、帰ろうとするが……クリスは翼を眼で見上げながら「怒ってるのか?」と問いかける。

 

「愉快でいられる道理がない! F.I.Sや、立花……そして……仲間を守れない私の不甲斐なさを想えば……」

 

翼は両手をテーブルに「バン!!」と強く叩きつけ、顔を俯かせ……そんな翼を見てクリスはそこでようやく翼を呼んだ要件を言うことに。

 

「呼びだしたのは、一度一緒に飯を食ってみたかっただけさ。 ここの料理、スゲー美味いからさ。 腹を割って色々と話し合うのも悪くないと思ってな。 あたし等何時からこうなんだ? 目的は同じ筈なのにてんでバラバラになっちまってる……もっと連携をとって」

 

そこまでクリスが言いかけたところで翼が「雪音」と彼女の名を呼んでクリスの言葉を遮った。

 

「腹を割って話すならいい加減名前くらい呼んで貰いたいものだ……」

「はあ!? そ、それはお前……////」

「そーいやぁ、俺もクリスには中々名前で呼んで貰えなかった気がするなー。 もしかしてクリスって人の名前を呼ぶのって苦手なのか?」

 

実際に、クリスは人のことを響の場合は「バカ」と呼んだり、それ以外の人も「お前」や「アンタ」と呼ぶことが多く、コウマも知っている限りではクリスが人のことを名前で呼んだのは自分とフィーネくらいしか知らなかった。

 

そして翼はそのまま立ちあがってバイクのヘルメットを手に持ち、クリスの制止の声も聞かずにそこから立ち去って行ってしまった。

 

「結局話せずじまいか……。 でもそれで良かったのかもな……」

 

そう呟いたクリスは置いてあったコーヒーを飲み、「苦いな……」と呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、二課の司令室に呼び出された響、翼、クリス、コウマ、タロウ、響は弦十郎から1つのトランシーバーを手渡され、弦十郎はそれが調べたところ、間違いなく未来のものであることを話した。

 

しかもその発見場所はスカイタワーから離れた場所……つまり、あの爆発には未来は巻き込まれていないという証拠であり、未来が生きている証拠だった。

 

「だが、何者かによって連れ出され、拉致されていると見るのが妥当なところだな」

「師匠!! それってつまり!!」

「こんなところで呆けている場合じゃないってことだ!!」

 

弦十郎は響達の方へと振り返って笑顔を見せ、未来が無事なことが分かった響は嬉しそうに笑顔を見せ、そんな響の笑顔を見てタロウは彼女に「よかったな、響」と声をかけた。

 

「はい!! 良かった……未来……」

『だが、まだ安心はできないぞ、響。 彼女を助け出さなければ……』

「えぇ、絶対に未来を助け出します!!」

 

それから弦十郎の提案で気分転換に身体でも動かそうということになり、コウマ、クリス、翼、響、弦十郎は先ずは走ることにした。

 

ただその中で1人、クリスだけは既に物凄く疲れた顔をして1番走るのも遅く、若干コウマがクリスを心配したりしていたが。

 

「おい、大丈夫かクリス?」

「あ、あぁ……」

 

このままではクリスが自分たちから離れてしまうと思い、コウマはクリスが離れないようにしっかりと彼女の手を握り締める。

 

「な、なにをしてんだよコウマ!?////」

「だってこのままだとお前、置いて行かれそうだからさ……」

 

ちなみに弦十郎は走りながら「英雄故事」という曲を歌っており、それにすかさずクリスがツッコミを入れる。

 

「なんでおっさんが歌ってんだよ!? っていうかこれなんの歌だ?」

 

クリスがそう言うのも仕方がないのかもしれない、なにせ歌詞が全部中国語なのだから……。

 

(そう言えばタロウの声ってジャ〇キーの吹き替えを担当する人と似てる気がする……)

 

コウマはそんなことを思いながら、タロウの声を思い出していたがすぐにそんなどうでもいいことの考えはやめてどうやって未来を助けるかを考えることにした。

 

(そうだ! 俯いてきゃダメだ! 私が未来を助けるんだ!!)

 

そこから笑顔の戻った響も弦十郎に合わせて同じ歌を歌い出し、色々な運動をすることになったのだが……やはりクリスだけが1番疲れた顔をしていた……他のメンバーは殆ど顔色1つ変わってないにも関わらず。

 

(どいつもこいつもご陽気で……あたしみたいな奴の居場所にしては、ここは……暖か過ぎんだよ)

 

全ての運動が終えたクリスは、そんなことを考え、感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(マリアがフィーネでないのなら、きっと私の中に……怖いデスよ……)

 

その頃、切歌と調、零無の3人は干していた毛布などを籠に入れており、切歌は洗濯物を入れながら自分の中にいるかもしれないフィーネの魂に怯え、不安な表情を見せていた。

 

零無はそんな切歌の様子に気づき、「どうかしたのか?」と切歌に問いかけた。

 

「えっ?」

「なんか……元気ないみたいだけど……」

 

零無にそう問いかけられて切歌はどうにか誤魔化そうとするが、そんな時調が静かに「マリア、どうしちゃったのかな」と呟き、切歌と零無は調の方へと振り返った。

 

「私は、マリアだからお手伝いがしたかった。 フィーネだからじゃないよ」

「あっ、うん、そうデスとも!」

「身寄りがなくて泣いているばかりいる私達に優しくしてくれたマリア、弱い人達の味方だったマリア……なのに……」

 

それなのにマリアがあんなことを言ったのか、調には全く分からず、彼女はマリアの言葉に今でもまだ困惑したままだった。

 

しかし、切歌はそれとは別にもう1つだけ気になることがあった……、それは……フィーネの魂のことについて……。

 

「調は怖くないんデスか? マリアがフィーネでないのならその魂の器として集められた私達がフィーネになってしまうのかもしれないのデスよ!?」

「……よく、分からないよ……」

 

切歌の問いかけに調はそれだけしか答えることができず、切歌は「それだけ!?」と驚きにも似た声をあげ、そんな切歌に調は一体どうしたのかと目を見開いて問いかけるが……。

 

「っ……」

 

切歌は持った毛布を抱えたまま、逃げるようにそこから離れて行き、調と零無は顔を見合せて2人は首を傾げた。

 

(んっ? ちょっと待て……フィーネの魂が切歌達に……? まさか、あいつ……!!)

 

零無は自分の持っていた毛布を調に渡し、「ちょっと切歌のところに行ってくる」と伝えた後、彼はすぐに切歌の後を追いかけ、ヘリの中に戻った切歌は自分の部屋へと一直線に向かい自分の部屋の中に閉じこもろうとしたが……部屋に入る直前に零無が切歌の腕を掴んで引きとめた。

 

「まあ、待てよ切歌……」

「零無……?」

「お前の部屋、入っても大丈夫かな?」

 

零無は切歌に優しく微笑みかけ、切歌は戸惑い、少し考え込んだ後静かに頷いて零無を部屋に招きいれて2人はベッドの上に腰をかけた。

 

「なあ、切歌……お前が悩んでるのってその……、フィーネの魂……に、ついてなのか?」

 

そう尋ねてくる零無に切歌は驚きの顔を浮かべ、切歌はその零無の言葉を聞いて先ほどの自分の言葉で大体のことを零無は悟ってしまったのだと思い、切歌は言うべきかどうか悩んだが……。

 

「言いたくないのなら、良いよ……って言いたいところだけど、もしもお前にフィーネの魂が宿っているのだとしたらなにか解決策を見つめるためにも……」

「そんな方法を見つける時間なんてないデスよ……」

「おい、そんな最初から諦めてどうするんだよ!?」

 

零無は立ち上がって切歌の前に立ち、彼女の両肩を掴んで「お前がお前でいられるための方法を考えよう」と切歌に伝えるが……切歌は暗い表情を見せたまま首を縦には振ってくれなかった。

 

「ありがとう、零無……。 零無は優しいデス。 でも、魂なんて……本当にどうすることも……」

「切歌、魂が塗り替えられるんだぞ? それは、死ぬってことなんだぞ? お前は……死ぬのが怖くないのか?」

「っ、そ、それは……」

「切歌には、好きな人たちがいるよな?」

 

切歌は答える前に零無がそうやってすぐに話を切り替え、切歌は「話を纏めて欲しいデス」と文句を言うが、零無自体は話を切り替えたつもりはなかった。

 

「死んじゃうとな、好きな人といられなくなるんだぞ……?」

「……」

「俺は、もう嫌だよ、好きな人達といられなくなるのは……。 お前とも、いられなくなるなんて嫌だ。俺は……お前にいなくなって欲しくないんだよ。 だから……」

 

切歌は零無の顔を伺うとその目は今にも泣き出しそうな目をしており、切歌は零無がどれだけ自分の心配をしているかが伝わり、切歌は立ち上がると彼女は零無に抱きつき、その切歌の行動に驚きながらも零無は優しく切歌を抱きしめた。

 

「怖いに、怖いに決まってるじゃないデスか!! 自分でいられなくなるなんて……死ぬなんて、怖いに決まってるじゃないデスか!! うえええええええ!!」

 

切歌は遂には零無の胸の中で泣き出し、零無はさらに強く切歌を抱きしめた。

 

「大丈夫だ、必ず、必ず助けるお前を……!」

 

しかし、切歌は首を横に振り、「きっともうそんな時間はないデス」と言い、零無から離れた。

 

「だって、つい最近フィーネの力の一部が発動したんデスよ? もう、時間はないデス。 だから、だからなにか……せめて私が、大好きなみんなに覚えていられるようにしないと……」

「切歌、そんなこと……言うな。 絶対になにか……」

「ありがとうデス……、零無……。 でも、零無にこんな風に、優しく励まして貰って、私はもう十分デス。 零無、大好きデス……! 調の方が大好きデスけど」

 

切歌は眼尻に涙を溜めたままだったが、彼女はにっこりと零無に向かって優しく微笑み、切歌は両腕を零無の首に廻して抱きつくと自分よりも少し背の高い零無の顔と自分の顔を近づけるために彼女は背伸びをし、自分の唇と零無の唇を重ね合わせた。

 

「っ/////お、おまえ……!?////」

「……いなくなる前に、女の子としては今のうちにこれくらいはしたいデス////」

 

零無は呆れたようにため息を吐き、そんな態度の零無を見て切歌はやっぱりセレナのことが今でも好きな零無は自分にキスをされて嫌だっただろうかと不安になり、恐る恐る「やっぱりセレナが良かったデスか?」と尋ねるが……零無は首を横に振った。

 

「そんなこと、ないさ。 ある訳ないだろ、こんな可愛い娘とキスできたんだから」

「えっ、あ、か、可愛いって……////」

「まあ、最もやっぱりセレナが1番良かったのは事実だけどさ……」

 

そんな風に悪戯っ子のように笑う零無に切歌は顔を真っ赤にし、「零無のバカ!!」と彼女はそっぽを向いてしまう。

 

案外、零無はこういう相手を顔を真っ赤にしたりするところではコウマと似たもの同士なのかもしれない。

 

だが、切歌の「なにかを残すためになにかをしたい」という考えは変わってはいなかった。

 

例えそれが間違っているとしても、時間がない今、切歌は大切な人に自分を覚えておいて貰えるために、間違っていたとしても……自分はなにかを残しておきたい、そう思っていた。

 

零無が自分を助ける方法を考えると言ってくれた、だが切歌はもしもそれが間に合わなかった時のことを考え、切歌は心の中で零無に「ごめんなさい」と謝りつつ、彼女は覚悟を決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからヘリは目的地であるフロンティアに行くことになり、操縦席ではナスターシャ以外のメンバーが終結し、ナスターシャは今はベッドで寝込んでいた。

 

「マムの様子はどうなのデスか?」

 

切歌はマリアにナスターシャの容態がどうなっているのかを聞き、マリアが言うにはナスターシャは疲労に加えて病状も進行しているのだと話した。

 

「そんな……」

「つまり! のんびり構えていられないということですよ! 月が落下する前に、人類は新天地にて結集しなければならない! その旗振りこそが僕達に課せられた使命なのですから!!」

 

妙にハイテンションな声で言うウェルだが、零無達はただウェルの話を聞くだけでなにも答えなかった。

 

そんな時、ヘリの警告音が鳴り響き、モニターを映すとそこには米国政府の艦艇が映り、切歌はそのことに驚きの声をあげるがウェルは冷静に「こうなることは予想済み」と余裕の態度を崩さなかった。

 

「せいぜい連中を派手に葬って世間の目をこちらに向けさせるのはどうでしょう?」

「……そんなのは弱者を生み出す強者のやり方……」

 

ウェルの意見に調は反対しようとしたがマリアはウェルの意見に賛同し、調は不満そうにマリアの名を呼ぶが……。

 

「私は、私達はフィーネ。 弱者を支配する強者の支配構造を終わらせる者。 この道を行くことを恐れはしない」

「でも、マリアこれは……!」

 

零無も調と同じ意見だったのか、彼もまたマリアのこの行動には納得いかないところがあった。

 

その頃、この近くにいる二課の本部でもある戦艦はというと……、司令室にてノイズがマリア達の乗ったヘリの近くにあった艦隊をノイズが襲っているという報告を受け、真っ先に翼が出撃準備をするために司令室から走り出した。

 

「翼さん! 私も!」

 

だがクリスは響の肩を掴んで引きとめ、響の制服のネクタイを掴み上げた。

 

「死ぬ気かお前! ここにいろって! なっ? お前はここから、いなくなっちゃいけないんだからよ」

「……うん」

「頼んだからな?」

 

クリスは優しく響に微笑みかえ、響は戸惑いつつも頷いて大人しくここにいることになり、コウマも響に「俺も行くから大丈夫だ!」とサムズアップして言い、彼もまたクリスと一緒に出撃準備に入った。

 

場所を戻し、ソロモンの杖によって呼び出されたノイズは艦隊の軍人たちを次々に襲い、そのことにマリアは黙ったままだったが……彼女は唇を血が出るくらいに噛みしめていた。

 

「こんなことが、マリアが望んでいることなの? 弱い人達を守るために、本当に必要なことなの?」

「っ……」

 

調の問いかけに、マリアは答えなかったが……次の瞬間、調はヘリの扉を開き、そのことに切歌は驚いて「なにやってるんデスか!?」と調を引きとめようとしたが……。

 

「マリアが苦しんでいるのなら、私が助けてあげるんだ」

「調!!」

 

切歌の制止も聞かず、調はヘリから飛び降りると「歌」を口ずさみ、シンフォギアを纏って艦艇の上に降り立つ。

 

「調……!」

 

調を心配する切歌だが、そこにウェルが切歌の肩を掴み、「連れ戻したいのなら、良い方法がありますよ?」と彼女に提案するが、零無がすぐさま切歌を掴むウェルの手を弾いた。

 

「切歌に触るな」

「おやおや、怖い怖い……」

「……なあ、マリア、調の言うとおりだ。 これがマリアの本当にやりたいことなのか? こんな……こんなことって……」

 

しかし、マリアはなにも答えてはくれず、一方で調は自分の「歌」を口ずさみながらノイズと戦い合う。

 

調はツインテールのアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」を空中から放ち、ノイズを次々と切り裂き、今度は靴に装備されている車輪を動かして高速で動き、大量のノイズのいる場所まで行くとアームドギアを巨大な回転ノコギリに変形させて調は回転しながらノコギリでノイズを切り裂く。

 

そんな時、調の隙をついて背後からノイズの一体が襲いかかるが、そこに駆け付けたシンフォギアを纏った切歌が鎌のアームドギアを投げつけてアームドギアは調を襲おうとしていたノイズに突き刺さり消滅した。

 

「切ちゃん! ありが……」

 

そこまで言いかけた時、ウェルが以前、切歌と調の首に打ち込んだリンカーと似たようなものを、切歌は調の首に打ち込み、調はその場に倒れそうになってしまう。

 

『調!!』

 

しかし、そこに零無の変身した等身大のゼロダークネスが現れ、ゼロダークネスは調の身体を支える。

 

『切歌、お前……なんでこんな……』

 

切歌が調に打ち込んだものは「アンチリンカー」と呼ばれるものであり、これは適合係数を引き下げる効力があり、調のシンフォギアは強制的に解除されてしまった。

 

「私、私じゃなくなっちゃうかもしれないデス! そうなる前に、なにか残さなきゃきっと忘れられちゃうデス!!」

 

切歌はそう言って調に手を差し伸べ、調は切歌がなにを言っているのかがよく分からなかった。

 

「例え私が消えたとしても世界が残れば、私と調の思い出は残るデス! だから私はドクターのやり方で世界を守るデス、もう……そうするしか……!」

『お前が、お前が残したいのはこんなことなのか?』

 

零無としては切歌の残したいもの……それがこんなことなのならば自分は納得することはできなかった。

 

だが、切歌の言うように本当に時間がないのだとすればなにかを残すためにはこんな方法しかないのは事実……、零無は切歌のために例え納得のできないものだとしても彼女に協力もしたい、しかし切歌もこんなことは間違ってると説得したいという2つ想いが零無の中でぶつかり、零無は自分は一体どうすればいいのか、もうなにをすればいいのかが彼は分からなかった。

 

そんな時、海から翼とクリスが飛び出して現れ、さらにはゼロダークネスの前に青き光が降り立ち、そこから等身大の青き海の戦士「ウルトラマンアグルV2」が現れ、翼は切歌にアームドギアを振るい、クリスは調を捕まえる。

 

『来元コウマ……、こんな時に……!』

『こんな時だからこそ俺達が来たんだがな』

 

翼と切歌は剣と鎌のアームドギアをぶつけ合わせ、切歌は「邪魔するなデス!!」と文句を言うが翼は聞く耳を持たず、アームドギアを振るう。

 

「おい、ウェルの野郎はここにいないのか!? ソロモンの杖を使うあいつはどこにいやがる!?」

 

やがて翼は切歌の首筋にアームドギアを突きつけ、アグルは両手の間に作り出した光弾を放つ「リキデイダー」を連続で放ち、ゼロダークネスは両腕を交差して攻撃を耐える。

 

『クソがぁ……!!』

 

状況はアグル達の方が有利であり、それを見かねたウェルが……用意していた「助っ人」を呼び出すことに。

 

「ならば傾いた天秤を元に戻すとしましょうよ? できるだけドラマティックに、できるだけドラマティックにぃ!」

「まさか、あれを……!」

 

するとマリア達の乗るヘリから「誰」かが飛び降り、聞き覚えのある声が「歌」を口ずさみ、翼達の前に降り立った。

 

そこに立つのは……。

 

『ま、まさか……!』

『ウェルの野郎、あの娘を……!?』

 

シンフォギア……「シェンショウジン」を身に纏った小日向未来だった……。

 

「……そんな……、未来……?」

 

当然、モニターからそれを見ていた響も驚きの声をあげるしかなかった。

 

 

 

 




ちょっと切歌と零無のは唐突かなと思ったんですが……「あっ、なんかこの2人はいいかもしれないな」と思った頃には既にここまで……。


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24Eve 裏切りと2分40秒

「シェンショウジンをギアとして、人の身に纏わせたのですね」

 

F.I.Sのヘリの操縦席に外の騒ぎに気づいたナスターシャがそこに現れ、ナスターシャは睨みつようにウェルを見つめる。

 

だがマリアはナスターシャはまだ寝ていないとダメだと彼女を心配したがナスターシャはマリアに言葉は返さず、シェンショウジンを纏っている未来の方に目を向ける。

 

「アレは封印解除に不可欠なれど、人の心を惑わす力。 あなたの差し金ですねドクター……!」

「使い時に使ったまでの事ですよ」

 

ナスターシャはウェルを睨みつけたがウェルは鼻で笑ったとぼけたような口調ではぐらかし、ウェルは未来をどのようにシェンショウジンを纏わせた時のことを話し始めた。

 

それはウェルが檻の中に閉じ込められている未来の前に現れた時、彼は未来に優しい口調で「そんなに警戒しないでください。 少しお話でもしませんか? きっとあなたの力になってあげられますよ」と伝え、未来は首を傾げながらウェルを見上げた。

 

『私の、力……?』

『そう、力です……』

 

そう言ってウェルは未来にシェンショウジンのシンフォギアを渡し、ウェルは未来がリディアンに通う生徒達はシンフォギアに適応が見込められた奏者候補達の1人ということで彼女の身体をシンフォギアを装着できるように処置したのだという。

 

「つまりあの娘はあなたのリンカーによってなにも知らずに無理やりに……」

「んっんっんー。 ちょっと違うかなー。 リンカー使ってホイホイシンフォギアに適応できれば誰も苦労しませんよ。 装者量産し放題です」

 

ならばどうやって未来にシンフォギアを纏わせることができたのか疑問に思ったナスターシャは「ならばなぜあの娘は?」とウェルに問いかけるとウェルは物凄い剣幕で高らかに叫んだ。

 

「『愛』!! ですよ……!!」

「なぜそこで『愛』!?」

「リンカーがこれ以上旧友を戦わせたくないと思いをシェンショウジンに繋げてくれたのですよ!! やばいくらいに麗しいじゃありませんか!!」

 

そう言ってまた顔芸を披露しながら叫ぶウェルだが……、むしろヤバいのは今のお前の顔だと言いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

そして戦艦の上で翼、クリス、アグルV2にライブしたコウマの前で雄たけびのように叫ぶシェンショウジンを纏った未来。

 

今の未来を見てここにいる全員が驚きの表情を浮かべ、ゼロダークネスは自分達の乗っていたヘリを見上げ、「あのクソメガネ……!!」と悪態付き、ゼロダークネスは未来を見つめる。

 

『あのメガネ、関係ない奴を巻き込んでやがったのか!?』

『零無、お前……』

 

そしてアグルはそんなゼロダークネスを見てやはり彼は根っからの悪い人間ではないということを実感し、クリスもなぜ未来がシンフォギアを纏えるのか分からず困惑していると不意に彼女に腕で拘束されている調が口を開き、「あの奏者はリンカーで無理やり仕立て上げられた消耗品。 私たち以上に急ごしらえな分壊れやすい……」と説明しクリスはそれを聞いて怒りを露わにする。

 

「ふざけんな……!!」

『クリスの言うとおりだ。 未来!! 今すぐそのシンフォギアを解除しろ!!』

 

この中で最も彼女と付き合いの長いのはコウマだ、だからアグルはもしかすれば自分が呼びかければ未来は大人しくなるかもしれないと思い、彼女に声をかけたが未来はまるで聞く気がない。

 

(やっぱり響じゃないとダメか、当然かもしれないけど……)

 

また翼は未来の姿を確認し、二課に未来のことを「行方不明となっていた小日向未来の無事を確認……ですが……」と報告するがそれにクリスは「無事だと!? あれを見てあのバカになんて説明すればいいんだよ!!」と叫ぶが……既にこのことを二課の戦艦からモニターで見ていた響に伝わっており、やはり彼女も唖然とそこに立ち尽くしていた。

 

『どう説明する? 無事じゃない……? 確かに『今』はそうかもな……。 けどな、クリス、だったら無理やりにでもあのシンフォギア引っぺがして……連れて帰って響の前に出せば良いだけだろうがぁ!!』

 

そう言い放つと同時にアグルは未来へと突っ込んでいき、未来はシンフォギアに装備されているバイザーを装着してアグルを迎え撃とうと飛行する。

 

同時にクリスも調の拘束を解いてボーガン型のアームドギアを手に持ち、アグルと共に未来の追撃に向かう。

 

「こういうのはあたしの仕事だ!! コウマ、お前は下がってろ!!」

『悪いなクリス、それはできねえ!! なにせあいつは俺の友達の親友だ!! 俺にも未来の相手をする権利はあるぜ!!』

 

クリスの言葉にそう返すアグルに彼女は思わず笑みを零し、小さくため息を吐くと戦艦の上でアグルと立ち並ぶ。

 

「……へっ、全くお前って奴は……だったら……」

『あぁ、だったら……』

『「一緒にやればいいってだけの話だ!!」』

 

未来は手に持つ折り畳んでいる扇形のアームドギアから紫の光弾を発射するがそれをアグルは両手の間に作り出した光弾を放つ「リキデイダー」で相殺し、その後アグルは両腕を広げるとアグルの肩を踏み台にクリスが高くジャンプ。

 

そこからアームドギアから複数のエネルギー矢を高速連射する「QUEEN's INFERND」を未来に放つが未来は俊敏な動きでクリスの攻撃を避ける……。

 

だが、アグルは「高速移動能力」を使用して素早く未来の背後に回り込むと彼女の腕を掴むが未来はどうにかアグルの手を振り払い、廻し蹴りを喰らわせる。

 

しかしアグルもその蹴りを右腕で受け流し、もう1度未来を捕まえようとするが彼女は上空に跳びあがって避けられてしまった。

 

また、切歌が翼の一瞬の隙を突いてそこから逃げだそうとしたがそれよりも早く翼がアームドギアを切歌に突きつけ、再び彼女の動きを封じた。

 

「隙あ……り……じゃ、ないデスね……」

『切歌!!』

 

アグルとクリスが未来を止めに行ってしまったため、ゼロダークネスは切歌を助けに行くことが可能となり、ゼロダークネスは一瞬で翼の目の前にまで迫ると両手に持ったゼロスラッガーを振り上げ、彼女を斬りつけようとするがそれよりも素早く翼はそこから離れた。

 

「助かったデス、零無……!」

『うるさい黙ってろ』

「……えっ……」

 

突然の零無の予想外の厳しい言葉に切歌は驚いた。

 

なぜなら彼はいつも自分やマリア達に優しく接してくれて気にかけてくれており、自分たちを守るためならどんなことだってする零無……、だが今の零無からは全くそういったものが感じられず、切歌はオズオズとした様子でゼロダークネスに声をかけようとしたが……。

 

『……んでだ……』

「零……無?」

『なんでこんなことに手を貸そうとする切歌ァ!!』

 

いきなりのゼロダークネスの怒鳴り声に切歌は「ビクッ」と肩を震わし、彼女はゼロダークネスに対して若干の怖ささえ感じ、眼尻に涙を溜めこんでしまう。

 

「そ、それは……零無は、私のことを励ましてくれたけど……それでもやっぱり不安で不安で仕方ないんデス!! 零無にはきっと分からないデス!! 自分を失いそうになる恐怖が、不安が、悲しさが!! 零無の言葉を全く信じていない訳じゃないんデス。 それでも、もしもって思うと……だから、この世界で私が生きた証をせめて残したいんデス……」

『だからって……、だからって間違ったやり方で良いと思ってんのか!!?』

「思ってなんていないデスよ、でも、でも……!!」

 

遂には切歌は泣き出してしまい、泣きだしてしまった切歌は溢れだす自分の涙を手で拭いまくり、それを見たゼロダークネスはオロオロとし始める。

 

状況が状況なのでまさか泣いてしまうとは思わなかったのかもしれないが、こちらの空気を呼んで今まで黙っていてくれた翼から「女の子を泣かせるなんてサイテー」とでも言いたげな視線がゼロダークネスに突き刺さっていた。

 

『くっ、なんだその目は!!?』

「話はよく分からんが女子を泣かせる男子というのは関心せんな」

 

翼から冷ややかな目で見られて困惑するゼロダークネス、一方、未来は飛行して海の上を走り、クリスは戦艦の上を走りながらアームドギアが変形した4門の3連ガトリング砲からの一斉掃射する「BILLION MAIDEN」を放ち、未来に幾つか弾丸が直撃したが未来はまるで痛みを感じていないかのようにアームドギアから光弾をクリスに向けて放つ。

 

だがその光弾はアグルの手刀によって弾かれ、アグルは未来に真っ直ぐ突っ込んで行こうとするがその時、アグルに突然砲弾らしきものが直撃し、アグルは海に落下する。

 

「コウマ!?」

 

一体なにが起こったのか、クリスが砲弾の飛んできた方向を見るとそこには巨大な軍艦「軍艦ロボット アイアンロックス」が現れ、アイアンロックスは砲台をクリスに向けるが……海の中から青い光が放たれ、そこから巨大化したアグルがアイアンロックスの前に立ち塞がる。

 

『クリス!! お前は未来の相手をしていろ!! 俺はこいつの相手をする!!』

 

アグルの言葉にクリスは頷き、アグルはアイアンロックスと向き直るとアグルは手から発射する光弾「アグルスラッシュ」をアイアンロックスに喰らわせ、アイアンロックスは火花を散らす。

 

『きゃあああああ!!!!? やってくれたわねこのガキ!!』

 

どうやらアイアンロックスにダークライブしていたのはナックル星人グレイであるらしく、アグルに攻撃を受けてキレたグレイ、するとアイアンロックスは枷を放ってアグルの両手両足を拘束しようとするがアグルは光の剣「アグルセイバー」を出現させ、アグルセイバーで枷で弾き飛ばす。

 

そしてアグルは空中へと飛行し、ここではクリス達の方に被害が出てしまうと考えたアグルはここから離れようと別の場所に空中から移動する。

 

アイアンロックスもアグルの後を追いかけ、アイアンロックスは砲弾でアグルを撃つが砲弾はアグルに一切当たらず、アグルは空中から両手から作り出すエネルギー弾を敵に放つ「リキデイダー」を7連発で放ち、アイアンロックスは火花を散らす。

 

『舐めんじゃないわよ!!』

 

アイアンロックスはアグルの攻撃に耐えながらも自分も攻撃を続け、アグルが一瞬の隙を見せたところで枷を放ち、アグルの右足を拘束して海の上に叩き落とした。

 

『ぐあああああ!!!?』

『これでも喰らいなさい小僧!!』

 

グレイは自分の両手から電撃を放ち、その電撃はアイアンロックスの枷を通してアグルの身体に流れ、アグルは身体中から火花を散らしてその場に膝を突く。

 

『うああああああああ!!!!?』

 

またクリスと未来の戦いを見ていたウェルは……。

 

「脳へのダイレクトフィードバック によって己の意思に関係なくプログラムされたバトルパターンを実行!! 流石はシェンショウジンのシンフォギア!! それを纏わせる僕のリンカーも最高だ!!」

「それでも偽りの意思ではあの奏者たちには届かない」

 

ウェルの言葉にナスターシャがそう返したがウェルは特に気にした様子はなく悪な笑みを浮かべており、マリアはこの惨状からつい目を反らしてしまう。

 

確かにナスターシャの言うとおり、未来は次第にクリスに押されていき、それをモニターから見ていた響は「ごめん、ごめんね」と未来に誤って顔を俯かせる。

 

そんな時、弦十郎が響の頭に手を乗せ、響は弦十郎の顔を見る。

 

「師匠……」

『くっ、私は……なにもできはしないのか……。 響のガングニールの侵食を食い止める方法も未だに見つけられない、未来を助けることもできない。 私は……』

 

また響から少し離れた場所ではタロウがモニターに映る響達の戦いの様子を見ており、彼は人形であるが故になにもできない自分を悔しく思っていた。

 

(くっ、やり辛れぇ!! 幾ら助けるためとはいえあの娘はあたしの恩人だ!!)

 

そして翼や切歌、ゼロダークネスのいる戦艦の上にクリスは未来を撃ち落とし、クリスは急いで未来の元に駆け寄って未来に触れようとするが……。

 

その時、ウェルの声が未来の纏うシンフォギアから流れ、ウェルは「女の子は優しく扱ってくださいね? 乱暴にギアを引き離せば接続された端末が脳を傷つけかねないので」とクリスに知られ、クリスはそれを聞いて驚き立ち止まってしまう。

 

そんな時だ、未来は急に立ち上がり、立ち上がると同時に未来はクリスにアームドギアの扇を鏡のように展開し、複数のビームを同時に放つ「閃光」を放つ。

 

「避けろ雪音!!」

「くっ!」

 

クリスは翼に言われた通り未来の攻撃を避け、すぐさまそこから飛び退いて翼の元にまで戻ってくる。

 

「まだそんなちょせーのを!!」

 

そして遂に未来は「歌」を口ずさみ始め、脚部装甲から円形のミラーパネルのような物を形成し、腕から伸びるケーブルと接続することで極太の破壊ビームを放射する「流星」を放とうとする。

 

クリスは自分の後ろにギアを纏っていない無防備な状態の調がいることに気づき、下手に動くことができなかった。

 

『調!!』

 

同時にゼロダークネスも調がいるためクリスが未来の攻撃を避けることができないということに気づき、調を助け出そうとするがそれよりも先に未来の破壊ビームが発射され、クリスはシールドピット「リフレクター」を展開する。

 

「だったらぁ!! リフクレクターで!!」

「零無!! 調をそこからすぐに離れさせるデス!! 切り捨てられる前に!!」

 

切歌がゼロダークネスに向かって叫び、ゼロダークネスは頷くと彼女を抱え、翼は先ほどの切歌の言葉を聞いて「いったいどういうことだ?」と疑問を口にする。

 

一方で未来の攻撃を防いでいるクリスはというと……。

 

「イチイバルのリフレクターは月をも穿つ一撃おも変更できる。 そいつがどんなシンフォギアか知らねえが今更どんなのぶっこまれた所で……! なのに、なんでこっちが押されてんだ!?」

「無垢にして苛烈、魔を退ける輝く力の本流。 これがシェンショウジンのシンフォギア……」

 

クリスの後ろにいる調がなぜクリスのリフレクターが押されているのか理由を語るが、ハッキリ言って意味が分からない。

 

『呑気に説明してる場合か!!』

 

そうゼロダークネスにツッコまれて調は彼に抱えられてその場から離れ、ゼロダークネスはもうクリスに逃げても構わないと伝えるが……流石にもう逃げられないところまで彼女は押されており、そこから脱出することができなかった。

 

(くそ、逃げたいのは山々だが……!!)

 

その時翼が巨大化させた大剣のアームドギアを戦艦に突き刺して盾にして防ぎ、クリスの首根っこを掴んで素早くそこから離れる。

 

しかし盾にして攻撃を防ぎ、クリスを救ったのは良かったもののアームドギアはすぐに破壊され、翼は空から何重にも大剣のアームドギアを突き刺して盾にしながら未来の光線から真っ直ぐ走って逃れようとする。

 

ちなみになぜ横に逃げないのかというとそれは減速してしまい、攻撃に巻き込まれる危険性があるためである。

 

すると翼は前方に大剣のアームドギアを出現させ、それにクリスは「とんずまり!?」と驚きの声をあげるが翼は「喋っていると舌を噛む!!」と言い放ってクリスを黙らせ、翼はアームドギアの上を靴のブースターでなぞるように上り、上空へと飛びあがって未来の攻撃を完全に避けた。

 

「やめるデス!! 調は仲間!! 私達の大切な……!!」

『仲間と言いきれますか?』

 

切歌は調を巻き込むような攻撃をやめるように未来に訴えるが、未来の代わりにウェルが返答して切歌にそう問いかけた。

 

『私たちを裏切り、敵に利する彼女を、月読調を仲間と言い切れるのですか?』

「っ、違う……! 私がちゃんと調に打ち明けられなかったんデス! 私が、調を裏切ってしまったんデス!!」

 

肩を震わせて今にも泣き出しそうな切歌の背中を見つめるゼロダークネス、彼は静かに「切歌……」と彼女を心配し、切歌の名前を呼んでゼロダークネスは彼女の元に駆け寄ろうとするが……。

 

「切ちゃん!! ドクターのやり方では、弱い人達は救えない!!」

 

それよりも先に調はそう切歌に訴えかけ……、ゼロダークネスも調の意見に同意する。

 

『顔芸一人祭り野郎が好き勝手してもいいのかよ!? 俺達の目的は、こんなことじゃなかった筈だろ!!』

『全くあなたは何時も言ってくれますね。 ですが私のやり方では……というのは確かにそうかもしれませんね。 何せ我々は降りかかる災厄に対してあまりにも無力ですから。 シンフォギアと聖遺物に関する研究データはこちらだけの占有物ではありませんから、アドバンテージがあるとすれば、せいぜいこのソロモンの杖!』

 

するとウェルはソロモンの杖を使って全ての戦艦の上に大量のノイズを召喚し、戦艦の上にいた軍人たちはどうにかノイズに攻撃するが普通に攻撃してノイズが倒せる筈もなく次々と軍人たちはノイズによって炭化されていき、そのさまはまさに「地獄絵図」と呼ぶに相応しい光景だった。

 

「ノイズを放ったか!!」

「くそったれが!!」

 

クリスは駆けだしてノイズの殲滅へと向かう。

 

(ソロモンの杖があるかぎり、バビロニアの宝物庫は開けっ放してことか!?)

 

また彼女の隣をゼロダークネスも走り、クリスはゼロダークネスがこちらに来たことに驚きを隠せないでいた。

 

「お前……!」

『こうなったのは俺達の責任だ!! 俺にも手伝わせろ!!』

「へっ、勝手にやってろよ!!」

 

クリスは空中へと飛びあがり、腰部のアーマーとガトリング砲に変形させたアームドギアで回転しながら放ち、空中ノイズを撃破していく。

 

『シュア!!』

 

またゼロダークネスは空中へと飛びあがって右足に炎を宿して敵に繰り出す跳び蹴り「ダークネスゼロキック」をノイズ達に炸裂し、掌から放つカッター状の必殺光線「デスシウムショット」でノイズ達を撃ち抜く。

 

さらにゼロダークネスは高速で動きながら一体ずつノイズ達に両手から伸びた赤い爪「カイザーダークネスクロー」を突き刺して「べリアルウィルス」を注入してノイズ達を逆に洗脳し、ゼロダークネスはノイズ達を操ってノイズ同士で同士討ちを始めさせる。

 

『雑魚同士で争いあえ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でアイアンロックスと戦っているアグルはというと……アグルは両手両足を枷で拘束しており、アイアンロックスは動きを封じられたアグルに砲弾を浴びせまくっていた。

 

BGM「アグルの戦い」

 

『ぐっ、あっ……!!?』

 

倒れこむアグルだが、彼はすぐに立ちあがり、アグルはクリス達の方でノイズが大量に出現しパニック状態になっているということに気づくとアグルは両手に力を入れる。

 

『お前なんかに……!! 構ってる暇はねえんだよおおおおおおおおお!!!!!』

 

そしてアグルは力づくで両手の枷を無理やり破壊し、さらにそのまま両足の枷も鎖を無理やり引き千切って破壊し、アグルはジャンプしてアイアンロックスに跳び蹴りを喰らわせ、アイアンロックスの背後に立つとスクリュー状の波動弾「フォトンスクリュー」をアイアンロックスに放ち、アイアンロックスは身体を貫かれ、火花を散らして大爆発を起こした。

 

『はあああああ、ディアアア!!!!!』

『ギャアアアアア!!!!!?』

 

しかしまだアイアンロックスはまだ倒されておらず、ギンガからアグルにライブしている訳ではないため、完全に倒すにはギンガになる必要がある。

 

そしてアグルの中にいるコウマの持つギンガスパークからギンガのスパークドールズが出現し、コウマはそれを素早く手に取ると「ウルトラマンギンガ」へとライブする。

 

『行くぜギンガ!!』

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

コウマは「ウルトラマンギンガ」へと変身し、ギンガは全身を赤く発光させて無数に生み出した隕石状の火炎弾を放つ「ギンガファイヤーボール」をアイアンロックスに喰らわせ、アイアンロックスは火花を散らして今度こそ爆発し完全に倒された。

 

『ギンガファイヤーボール!!』

『覚えてなさあああああああい!!!! へぼっ!?』

 

そしてアイアンロックスはスパークドールズに戻ってギンガの手に収まり、グレイは海の中にポチャンっと沈むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、切歌はというと……彼女は鎌のアームドギアを振るって翼を攻撃し、翼はアームドギアで攻撃を防ぐ。

 

「こうするしか……!! なにも残せないんデス!!」

『そうそう、そのまま抑えておいてください』

 

ウェルがそう言うと未来はどこかへと飛んで行き、そこに丁度ノイズに襲われている軍人たちを非難させるために二課の戦艦も現れ、同時になぜか海の中から緒川も飛び出してきた。

 

「緒川さん!?」

「人命救助は僕達に任せてください!! それよりも翼さんは未来さんの捕捉を!!」

 

それだけ伝えると翼は緒川に「頼みます!!」とだけ返し、彼は調を抱えてその場を去って行った。

 

海の上を普通に走って……。

 

そのまま切歌は調を気にしつつも「やるべきことがある」と言って翼と戦いを繰り広げ、翼と切歌は対峙し、翼は一体切歌はなにがしたいのかと問いかける。

 

「私がいなくなっても調には忘れて欲しくないんデス!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二課では未来の纏うシンフォギアの解析を完了し、彼女の纏うギアより発せられたエネルギー波は聖遺物由来の力を分解する特性が見られるとの報告があり、つまりシンフォギアでは未来の攻撃を防ぐことができないということである。

 

それが先ほどクリスの防御を突破した理由であり、弦十朗はこれを「シンフォギア殺し」と称し、これをどうすれば止められるのか弦十郎は悩んだ。

 

(私に……できること……。 私は、未来を助けたい……!! でも、今の私じゃどうすることも……!! 未来……!)

 

響は悔しそうに唇を噛みしめ、拳を強く握りしめ、彼女はその瞳から一粒の涙を流した。

 

しかしそんな時、響の耳にだけ1人の男の声が聞こえた。

 

『そこで諦めるのか?』

「えっ……?」

 

気づくと響は1人、いつの間にか真っ白な空間に立っており、突然の出来事に響は戸惑ったが……そんな時、響は後ろに誰かいることに気づいて振り返ると、そこには1人の僧の格好をした男性が立っていた。

 

「その顔はなんだ? その眼は!! その涙はなんだ!! その涙であの娘を助けられるのか!!?」

「あなたは……」

「お前にとってあの娘は陽だまりで本当に大切な人なんだろう? ならばそこで立ち止まるな!! 前にも言っただろう? お前の大切なものを守り抜けと……!」

 

男性……「おおとりゲン」にそう言われて響は涙をぬぐい、彼女はゲンが誰なのか気づくとかつて響はゲン……ウルトラマンレオと戦った時のことを思い出した。

 

(そうだ、私はこの人と約束したんだ。 必ず大切なものを守り抜くと!!)

 

ゲンに言われて響はその時、ゲンとした約束を思い出すと彼女は申し訳なさそうに「すいません」と謝った。

 

「そうでした、すっかり忘れてました。 私は……必ず大切なものを守り抜かないといけないんだ!!」

「そうだ。 だが、その守るもののためにも、お前は死んではならん。 お前にとっての陽だまりを守るため、俺が力を貸そう」

「はい!!」

 

響のその返事に強い意志を感じたゲンは笑顔を響に向けて消え去ると、今度は彼女の前にいきなりリサが現れた。

 

「おわっ!? ビックリした!? えーっと、あなたは?」

「それよりも、あなたにこれを託したいの」

 

そう言ってリサはギンガライトスパークを取り出して響にそれを差し出し、響は「ギンガスパーク?」と首を傾げる。

 

「似てるけど違う。 あなたはこれを持つに相応しい人物、だからあの娘を助けるためにはこれらの力が必要なの」

「なんだかよく分かんないけど、分かった!!」

 

響は笑顔でそう答えると次の瞬間、響は元の空間に戻ると彼女は弦十郎を呼び、あることを提案した。

 

「師匠!!」

「どうした!?」

 

その頃、ヘリの中ではウェルが未来をモニターで見つめていた。

 

「人のフォニックゲインによって出力を増したシェンショウジンの輝き、これを利用しフロンティアへと照射すれば……!」

「今度こそフロンティアへと施された封印が解除される」

 

マリアがそう呟くとナスターシャが咳き込んで血を吐きだし、マリアは急いでウェルにナスターシャの治療をするように頼み、ウェルは「仕方ありませんね」と呆れたような表情を浮かべながら2人はここから去っていく。

 

「私がやらねば、私が……!!」

 

また、とある戦艦の上でノイズを全滅させたクリス、丁度そこに等身大になったギンガがクリスの元に駆け寄ったが……どうもクリスの様子がおかしかった。

 

『クリス……?』

 

ギンガは周りをよく見てみると周りには炭化した人間とノイズで溢れており、その中には腕の形だけが残っているものがあり、その手には娘と一緒に映っている写真の入ったペンダントがあった。

 

それを見てギンガはクリスがなぜ様子がおかしいのかということに気づき、クリスは顔を俯かせる。

 

『クリス、お前のせいじゃない、お前のせいじゃ……!』

 

ギンガはクリスを優しく抱きしめるが……。

 

「そう言ってくれてありがとな、コウマ。 だけど、それでも、これはあたしが背負わないといけない十字架だ……」

 

そんな時、クリスとギンガの前に3つの黒い球体が現れ、それらの球体は人型となり、巨大な2人の黒いウルトラマンが空中に現れた。

 

『こいつ等は……!?』

 

「俊敏戦士 ヒュドラ」と「剛力戦士 ダーラム」素早さとパワーをそれぞれ兼ね備えた闇の戦士達である。

 

「あいつ等敵か!? ノイズはまだいるってのに……!?」

『あいつ等の相手は俺に任せろ、クリスはノイズを!!』

 

ギンガの言葉にクリスは頷き、ギンガはヒュドラとダーラムに向かって行こうとするがその前にクリスはギンガの腕を引き止め、彼女はギンガへとキスした。

 

『えっ、おま……クリスなにして!?////こんな時に!?////』

 

珍しくコウマが動揺し、クリスは顔を真っ赤にしながら「うるせえ!!」とそっぽを向いてしまう。

 

「い、いいだろう別に……、中々してやれねえんだからさ////」

 

そう言うとクリスは顔を真っ赤にしたままノイズ達へと向かって行き、ギンガは少しばかしポカーンとしていたがヒュドラとダーラムの攻撃を喰らって目を覚まし、ギンガはヒュドラとダーラムの方へと向かっていく。

 

ちなみに……、コウマではなくギンガ本人の意思では……。

 

(感触はそのままコウマに伝わるから彼とキスしているも同然と言えど……、コウマにすごい罪悪感を感じてしまう……)

 

なんてことをギンガ本人が思っていたりしていた。

 

そして二課の戦艦は未来の立っている戦艦の付近にギリギリで接近し、二課の戦艦の上には響が立っていた。

 

「一緒に帰ろう、未来」

 

BGM「陽だまりのメモリア」

 

響は未来にそう呼びかけるが未来はバイザーを解除し、「帰れないよ、私にはやらないといけないことがあるんだもの」と答えて拒否した。

 

「やらなきゃならないこと?」

「このギアが放つ輝きはね、新しい世界を照らし出すんだって。 そこには争いも無く誰もが穏やかに笑って暮らせる世界なんだよ」

「争いのない世界?」

 

響は未来の言葉に首を傾げ、未来は響に「私は響に戦って欲しくない。 だから私は響が戦わなくていい世界を作るの」と説明したが響は周りの惨事を見つめ、未来の考えを否定した。

 

「だけど未来、こんなやり方で作った世界は暖かいのかな? 私が一番好きな世界は未来がそばにいてくれる暖かい陽だまりなんだ」

「でも、響が戦わなくていい世界だよ?」

 

未来がそう問いかけるが響は首を横に振る。

 

「例え未来と戦ってでも……そんなことさせない!!」

「私は響を戦わせたくないの……!!」

「ありがとう、だけど私……戦うよ……!!」

 

そう言って響が取り出したのは「ギンガライトスパーク」であり、響はすぐさまライトスパークの先端に「ウルトラマンレオ」のライブサインを押し当てる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンレオ!!』

 

響は等身大の「ウルトラマンレオ」にライブし、ファイティングポーズを構えるとレオは跳びあがり、いきなりの跳び蹴りを未来に喰らわせようとするが未来はどうにかアームドギアでレオの攻撃を受け流す。

 

『エイヤァー!!』

 

だがそれは未来の背後に立つことを意味し、レオは素早く廻し蹴りを未来に放ち、未来はアームドギアでギリギリ防いだがそれでも彼女は吹き飛ばされる。

 

『ダアアアアアアア!!!!』

 

吹き飛んだ未来に向かってレオは素早く詰め寄ると強力な手刀「ハンドスライサー」を繰り出したが未来はアームドギアで攻撃を防ぐが……ハンドスライサーによって未来のアームドギアは粉々に砕かれた。

 

(良し!! これで未来の武器はなくなった!! これなら未来の体力を消耗させるのも……!)

 

だが未来は新たなアームドギアを作り出して出現させ、未来はアームドギアをバットのように振るってレオを叩きつける。

 

『うあっ!? そっか、翼さんとかもアームドギアは幾らでも作れたよね! だけど……!!』

 

未来は大量のミラーデバイスを生成し、オールレンジ攻撃を行う「混沌」をレオに繰り出すがレオはバク転して次々とその攻撃を避け、一度空高くジャンプするとレオは空中から急降下キックを未来に叩き込み、未来は軽く蹴り飛ばされる。

 

また同時にレオのカラータイマーも点滅が始まる。

 

『エヤーッ!!』

 

レオは未来に迫ってチョップを繰り出すが未来はしゃがみ込んでそれを避けてアームドギアの先端をレオに突きつけ、光弾を放ち、レオは腹部を抑えて膝を突く。

 

その隙を突いて未来はレオに迫り、アームドギアによる攻撃を受け流し、レオは未来の腕を掴んで背負い投げを繰り出し、未来は戦艦の壁に激突する。

 

そこから未来は再び混沌でビームを様々な方向から放つがレオはそれらを全て両腕、蹴り、肘でビームを弾き、レオは一度二課の戦艦の方へと戻る。

 

どうやらレオの2分40秒のタイムリミットが来たらしく、響のライブが強制解除されると今度は彼女は「歌」を口ずさんだ。

 

(今ので2分40秒がどのくらいの長さなのかが分かった!!)

 

そして響は「ガングニール」を纏い、「歌」を歌いながら未来と再び戦闘を開始する。

 

空中で響と未来の激闘が開始され、一度戦艦の上に2人は降り立つ。

 

(熱い……! 身体中の血が沸騰しそうだ……!)

 

なぜ響はガングニールの危険を冒してまでギアを纏ったのか、それは数分前の出来事……。

 

響はシェンショウジンのエネルギー波を利用し、未来のシンフォギアを解除しようと提案したのだ。

 

そのことに弦十郎は驚き、「だが、君の身体は……!」と響を引き留めようとしたが響は……。

 

「翼さんもクリスちゃんも、コウマくんも戦っている今、動けるのは私だけです。 死んでも未来を連れて帰ります!!」

「死ぬのは許さん!!」

「じゃあ、死んでも生きて帰ってきます!! それは絶対に絶対です!!」

 

そこに朔也とあおいが響のガングニールを解析した結果が報告される。

 

「過去のデータと現在の融合深度から計算すると、響さんの活動限界は2分40秒になります!!」

 

朔也からの報告を聞いて唖然となる弦十郎、するとそこであおいが響の前に駆け寄り……。

 

「例え微力でも、私達が響ちゃんを支えることが出来れば、きっと」

 

あおいからそう伝えられ、響は頷いて見せる。

 

「オーバーヒートまでの時間はごく限られている。勝算はあるのか?」

「思いつきを数字で語れるものかよ!!」

「なっ……!」

 

まさか昔自分が言ったことを響に言われるとは思ってもいなかった弦十郎、響は「へへ」と不敵な笑みを浮かべ、そして弦十郎は響に出撃の許可を出し、今に至る訳である。

 

またレオにライブしたのは2分40秒はレオが地球で活動するのに限界と同じでそれがどのくらいの長さなのかの感覚を知るためであり、さらに未来の体力を消耗させることもできるため響はレオにライブする必要があったのだ。

 

『胸に抱える時限爆弾は本物だ。 作戦時間超過、その代償は確実な死であることを忘れるな!!』

 

通信機を通して弦十郎の声が響に伝わる。

 

(死ぬ、私が……死ぬ? 死ねるかあああああああ!!!!!)

 

響は未来の攻撃を押し返して膝蹴りを彼女に叩き込み、2人は空中へと飛び立つ。

 

未来は響に「混沌」を繰り出すが響はガングニールのブーツの効果を使ってビームを蹴って未来に接近していき、同時にタイミングを見計らったマリアはヘリからシャトルマーカーを射出する。

 

「戦うなんて間違っている。 戦わないことだけが本当に温かい世界を約束してくれる。 戦いから開放してあげないと」

 

その時、響の身体のガングニールの侵食が急激に進み、彼女の身体からガングニールの結晶が生えてきて響は苦痛に表情を歪める。

 

「うぐっ、うう……!?」

 

それを見た未来は……。

 

「違う!! 私がしたいのはこんなことじゃない! こんなことじゃ、ないのにいいいいいいい!!!!」

 

そこでようやく未来は完全に正気に戻ったのだが、彼女の意思とは関係なく、シェンショウジンは響に攻撃を続ける。

 

(誰が未来の身体を好き勝手にしているんだ!!)

 

そして響は未来に掴みかかって彼女に抱きつき、未来は自分を離すように必死に訴える。

 

「嫌だ!! もう離さない!! もう二度と離さない!! 絶対に、絶対にいいいいいいいいい!!!!!」

「響、響いいいいいいい!!!!」

 

響は腰のブースターを使い、シャトルマーカーが作っている光の輪の中へと向かっていく。

 

「そいつが聖遺物を消しちゃうって言うなら、こんなの脱いじゃえ!! 未来ーーーーーーーー!!!!」

 

そして最後は2人にシャトルマーカーから放たれた光線が未来と響に直撃し、光線はそのまま海の中にあるフロンティアへと届く。

 

これによって海中から巨大な古代都市のようなものが出現し、戦艦の上で切歌と戦っていた翼と切歌はこのことに驚き戦いを思わず中断してしまった。

 

「いったいなにが……?」

 

そんな時、翼の背中を誰かが銃弾で撃ち、翼はその場に倒れこんだ。

 

「っ!?」

 

翼は自分を撃った人物を確かめようと倒れながらも顔を後ろに向かせるとそこに立っていたのは……敵である切歌でさえ驚く人物だった。

 

「雪……音……?」

『クリス!? お前なにして……!?』

 

空中でヒュドラとダーラムと戦っていたギンガもクリスの行動に気づき、一体彼女はなにをしているのかと驚いたがその隙にヒュドラの蹴りを喰らってしまう。

 

『ぐっ、クリス!!』

 

しかしクリスはコウマの言葉にさえ耳を貸さず、彼女は無言で銃を翼に突きつけた。

 

「……さよならだ」

 

 

 

 

 



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25Eve 対決再び

『クリス……なんで……』

 

クリスが翼を攻撃したことに驚きを隠せないウルトラマンギンガ=来元コウマ、しかしそんな彼にお構いなしに「俊敏戦士ヒュドラ」と「剛力戦士ダーラム」は2人同時にギンガの胸部を殴りつけ、ギンガはその攻撃に怯む。

 

『イカカカカ! やあ、読者みんな! どうも、イカルス星人です! 前作からしばらく出番のなかった我輩ですが、実はダーラムにライブしている『マグマ星人』と共にこの闇の巨人の力を使いこなすための特訓をしていたんだな~これが』

『誰に説明してんだ? お前?』

 

そう、実はヒュドラには「異次元宇宙人 イカルス星人」が、ダーラムには「サーベル暴君マグマ星人」がダークライブしており、この2人が全く出番がなかったのはヒュドラとダーラムを使いこなすための特訓をしていたからである。

 

『細かいことは気にしちゃイカんよ、マグマくん』

『まあ、なんでもいいけどよ。 さーて、ウルトラマンギンガ! お前を倒して闇の支配者様の前に差し出してやるぜ!!』

 

ダーラムはギンガへと詰め寄り、ギンガの首を絞めつけ、必死にギンガはダーラムの腕を引き離そうとするがダーラムのパワーが強すぎて離すことができなかった。

 

さらにダーラムはギンガの腹部に膝蹴りを叩き込み、蹴り飛ばされたギンガをヒュドラは右手首の武器である「ドラフォーク」ですれ違いざまにギンガを斬りつける。

 

『グウゥ、アア……!?』

 

ギンガの活動時間まで後わずか……、それよりも早くコウマは決着をつけなければならないと考えるが……何分アイアンロックスとの戦いでの消耗もあるためそう上手くはいかず、ギンガはダーラムとヒュドラに押されっぱなしだった。

 

しかしそんな時、ヒュドラが右腕から放つ強力な突風「ヒューガスト」を放とうとした時、どこからか飛んできた「ゼロスラッガー」がヒュドラを斬りつける。

 

ダーラムはそれがゼロダークネスに変身している零無で仕業であることにすぐに気づき、背後から気配を感じ、振り返ったがそこには右足に炎を宿して相手を蹴り飛ばす「ダークゼロキック」を繰り出しているゼロダークネスの姿があり、ダーラムはゼロダークネスに強く蹴り飛ばされた。

 

『グアアア!!!!?』

『零無!!』

『こんな奴等に構ってられるか! 手を貸せ、こいつ等を速攻で片付ける!!』

 

ギンガの前に立ち、首を少しだけ振り返らせてそう言い放つゼロダークネス、それに対してギンガの中のコウマは笑みを浮かべた。

 

『へっ、上等!!』

 

ダーラムは拳を構えてゼロダークネスに突っ込んでいき、ダーラムはゼロダークネスに何度も重い拳を叩きこんでいき、一度ダーラムはゼロダークネスから離れるが……。

 

『この程度か?』

『なに……ぐあああああ!!!!?』

 

なぜか攻撃を喰らっていないのに身体中から火花を散らすダーラム、実はダーラムの放った拳は全てゼロダークネスは受け流しており、逆にゼロダークネスはダーラムをゼロスラッガーで本人も気づかないくらいに連続で斬りつけていたのだ。

 

『死ね~!!』

 

ヒュドラはドラフォークを突き立てて何度もギンガを突き刺そうとしてくるがギンガはヒュドラの攻撃をことごとく避け、ヒュドラの右腕を掴み上げて強烈な蹴りをヒュドラの腹部に叩き込む。

 

『ぐおぉ……!?』

『ギンガセイバー!!』

 

ギンガは身体のクリスタルを白く発行させ、右腕に光の剣「ギンガセイバー」を作り出し、ギンガは一瞬でヒュドラに詰め寄るとギンガは横一閃にギンガセイバーを振るい、ヒュドラを斬りつける「ギンガセイバースラッシュ」を繰り出す。

 

『ギンガセイバースラッシュ!!』

『イカアアアアン!!!!!?』

 

そしてギンガとゼロダークネス、ヒュドラとダーラムは並び立って対峙するが……ダーラムもヒュドラも肩で息をしていた。

 

ギンガはゼロダークネスと共にヒュドラとダーラムに突っ込み、2人が防御する暇すら与えないくらいのスピードでギンガは拳を、ゼロダークネスは蹴りをヒュドラとダーラムの顔面に叩き込み、2体は下の海へと落下するのだった。

 

『イカ~!?』

『ちくしょおおおおおおおお!!!!! 覚えてろよテメー等!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二課の基地でもある潜水艦にて、ある部屋で調は緒川と一緒におり、緒川は調のシンフォギアのペンダントを預かることになった。

 

「申し訳ありませんが、これは預からせて頂きますね」

「……お願い、みんなを止めて……」

 

調のその言葉に緒川は「えっ?」と首を傾げると……彼女はどこか悲しそうな表情をしながら「お願い、助けて……」と呟くのだった。

 

また、司令室ではF.I.Sが目覚めさせた巨大な島のようなもの……「フロンティア」について調べており、弦十郎も「これがF.I.Sが求めていた……フロンティア!?」と驚きの声をあげていた。

 

さらに新たな米国政府の艦隊がフロンティアに向かっていることがあおいから伝えられ、弦十郎は「乗り込むつもりか?」と小さく呟いた。

 

一方……二課のとある医療室では……シェンショウジンの力を完全に消失した未来がベッドの上で座っており、そこに元気いっぱいの響が未来の元へと訪れ、彼女は未来に抱きついた。

 

「未来~!!」

 

そこには頭に包帯を巻いた翼とあおいも訪れており、翼はあおいに未来の容態は大丈夫かどうかを尋ねたがあおいによればどこも異常ところはないらしい。

 

「よかった~! ほんとによかった~!」

 

響は完全に未来が無事であると分かり、とても嬉しそうに笑顔を見せるが……未来は響の頬が怪我していることに気づき、それが自分のせいであると分かると未来は今にも泣き出しそうな表情を浮かべる。

 

「私の……私のせいだよね……!」

「うん、未来のおかげだよ♪ ありがとう、未来♪」

「えっ? 響?」

 

しかし、響はそんな未来の言葉を笑い飛ばし、未来は少し唖然とした様子で響を見つめる。

 

『君は守ることができたのだ、大切な親友を守ることが』

「そうそう! 私が未来を助けたんじゃない。 未来が私を助けたんだよ!」

 

すると響の肩に「ウルトラマンタロウ(SD)」がテレポートして現れ、あおいの口から未来に説明した。

 

先ずあおいの説明によるとあの未来の纏っていたシンフォギアの力には聖遺物由来の力を分解し無力化する効果があったらしく、響と未来のシンフォギアのみならず響の身体を蝕んでいたガングニールの欠片も除去されたというのだ。

 

『つまりは、君の響を守りたいという強い想いが響を死から救ってくれたのだ』

「私が困っている時、やっぱり未来は助けてくれた! ありがとう!!」

 

響は笑顔で未来の両手を握りしめ、それを知った未来は眼尻に涙を溜めつつも「自分が響を救うことができた」という喜びに笑みを浮かべるが……、未来はそれがつまり「響のガングニールは完全に消滅した」ということを意味していた。

 

「だけど、F.I.Sは遂にフロンティアを浮上させたわ。 本当の戦いはこれからよ」

「F.I.Sの企みなど私と来元2人で払って見せる。 心配は無用だ」

 

しかし、未来は翼の言った「2人」というキーワードを耳にし、なぜ「雪音クリス」の名前が入っていないのか首を傾げ、その疑問を未来が問いかけると翼と響はどこか言い辛そうな顔を浮かべていた。

 

(……クリス、彼女はもしや……。 もしも私の考えが正しければ……下手をすればクリスは死んでしまう! そんなこと、させる訳には……! だが、今の私では……)

 

恐らく、再びウルトラ5兄弟の力を借りたとしてももう元に戻ることはできないだろう……、しかしそれでもなにかみんなを守るために自分になにかできないのかをタロウは必死に考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、フロンティアの地に降り立ったマリア、ナスターシャ、切歌、クリス、ウェル……、クリスは「こんなのが海中に眠っていたとはな」と呟き、それに対してウェルは「あなたが望んだ新天地ですよ?」と言葉を返した。

 

「……」

 

クリスはフロンティアを見つめながら翼を裏切り、マリア達の仲間になった時のことを思い出していた。

 

『仲間を裏切り、あたしたちに付くと言うのデスか!?』

『こいつが証明書代わりだ』

 

クリスの足もとには倒れこんだ翼がおり、それが証拠だと切歌に言うクリスだが……そう簡単に受け入れられる筈がなかった。

 

『力を叩きつぶせるのはさらに大きな力だけ。 あたしの望みはこれ以上戦火を広げないこと。 無駄に散る命を1つでも少なくしたい』

『……』

 

クリスのその言葉を聞き、それには切歌自身も同じ想いだったため、クリスが嘘をついているようにも見えなかったので切歌は頷いて彼女を受け入れたのだ。

 

そしてクリスはマリア達と共にフロンティアの奥へと進み、マリアはクリスに「本当に私達と共に戦うことが戦火の拡大を防げると信じているの?」と問いかけ、クリスはマリアを後ろから少し見つめて微笑した。

 

「ふん、信用されてねえんだな。 気に入らなければ鉄火場の最前線で戦うあたしを後ろから撃てばいい。 なんならガンパットとジャンナインもお前等に預けようか?」

「勿論、そのつもりですよ。 ですがジャンナインとガンパットは遠慮しておきます。 なにせそれを動かせるのはあなただけですから私達が持っていても宝の持ち腐れです」

 

クリスの言葉にウェルがそう返し、やがて一同は「ジェネレータールーム」と呼ばれる巨大な球体のようなものがある場所に辿り着き、ウェルはその球体に近づいて「ネフィリムの心臓」を貼り付けた。

 

すると球体がオレンジ色に輝き出し、それと同時にフロンティアには草木が生え始める。

 

「心臓だけとなっても聖遺物を喰らい取り込む性質はそのままだなんて、いやらしいですねぇ。 ふひひひ……」

「エネルギーが、フロンティアに行き渡ったようですね」

 

それからウェルは「フロンティアのブリッジ」に向かうと言い、ウェルはナスターシャには「制御室でフロンティアの面倒をお願いしますね」とだけ伝え、彼はその場を去っていくのだった。

 

また、切歌は球体の光を見つめながら調と零無の「ドクターでのやり方じゃ弱い人達は救えない」「間違ったやりかたでいいと思ってんのか」という言葉を思い出していた。

 

「そうじゃないんデス、フロンティアの力でないと誰も助けられないんデス。 調だって助けられないんデス!!」

 

クリスはそんな切歌を見つめながら、「あいつも色々と背負いこんじまってるんだな……」と心の中で呟き、彼女はコウマの顔を思い浮かべた。

 

(わりぃ、コウマ。 多分、お前とした夢の約束……果たせそうにねえや……)

 

ウェルはマリアと共にフロンティアのブリッジに辿り着くとブリッジの中央にある巨大な紫の球体のようなものがある場所まで歩き、ウェルはリンカーを取り出してそれを自分の腕に打ち込もうとする。

 

「それは?」

「リンカーですよ。 聖遺物を取り込むネフィリムの細胞サンプルから生成したリンカーですぅ♪」

 

ウェルは不気味に笑いながらそのリンカーを自分の左腕に撃ち込むとウェルの左腕は異形な形へと変化し

、その左腕で球体へと触れると球体が輝きだしはじめ、その球体に複数の艦隊がフロンティアに接近してきている映像が映った。

 

「早く動かしたいなー。 ちょっとくらい動かしても構いませんよねマリア?」

「っ……!」

 

マリアはウェルがなにをしようとしているのか気づき、同じころ制御室でナスターシャは落下する月を阻止するための装置を探していたが……、その時ウェルの声が音声としてナスターシャのいる制御室で響き、さらに彼女の前にはこちらに接近してきている艦隊の映像も映りだした。

 

「これは……!?」

『1つに繋がることでフロンティアのエネルギー状況は伝わってくる……! これだけあれば十分にいきり立つ……!』

「早すぎます!! ドクター!!」

 

しかし、ウェルはナスターシャの制止を聞かずフロンティアの力を起動させ、フロンティアの鉄片から金色の光が放たれ月へと向かっていき、やがてその光が左手の形となり、その左手は月を掴むと一気に地球まで引きずり降ろそうとする。

 

「どっこいしょおおおおおおおおおおお!!!!!」

「加速するドクターの欲望! 手遅れになる前に私が信じた異端技術で阻止して見せる!!」

 

そしてフロンティアは空中に浮こうと空を飛び立ち、艦隊はそんなフロンティアの姿を見て危険と思ったのか攻撃を開始したが、フロンティアには艦隊の攻撃など一切通用しなかった。

 

「楽しすぎて眼鏡がずり落ちそうだぁ!」

 

するとフロンティアの下部が輝き出し、周りにあった艦隊は空中に浮かばせて全て押しつぶされ、破壊される。

 

その光景にウェルは心底楽しそうに不気味な笑い声をあげ、マリアは冷や汗をかいて「本当にこれが人類を救済する力なのか?」と疑問に思えて仕方がなかった。

 

「手に入れたぞ!! 蹂躙する力を!! これで僕も英雄になれる!! この星のラストアクションヒーローだぁ!!!!! ひひひひひ!!! やったあああああああ!!!!!」

 

さらにウェルは「月の落下を早めちゃいましたよ」とワザとらしく言い、マリアはウェルを押し退かしてフロンティアを制御しようとする。

 

「月の落下を早めたのか!? 救済の準備はなにもできていない!! これでは本当に人類が絶滅してしまう!!」

 

だが、フロンティアはマリアの操作を全く受け付けず、ウェルが言うにはリンカーが作用している限りは制御件は自分にあるのだというのだ。

 

しかもウェルは「人類なんか絶滅しませんよ、僕が生きている限りはね」と嫌らしい笑みを浮かべ、ここでマリアはようやく分かった、お互いの人類救済の違いに……。

 

「こいつは自分さえ生き残ればいい人間」ことを目的としたウェル、自分達は「多少の犠牲を払ってでも多くの人達を救う」ことを目的とした者達、それがマリア達とウェルの違いだった。

 

「これが僕の考えた1番確実な人類救済の方法です!!」

「っ、そんなことのために私は悪を背負ってきた訳ではない!!」

 

マリアはウェルに掴みかかろうとしたがウェルはマリアの頬を左手で弾き、マリアは床に倒れこむ。

 

「今ここで僕を手にかけても月の落下は変わらない事実だろう!? ダメな女だなぁ! フィーネを気取っていた頃でも思いだしてそこで恥ずかしさに悶えてなぁ♪」

 

ウェルはマリアを指差して見下したような眼で見つめ、マリアは涙を流して「セレナ……」と実の妹の名を何度もつぶやくことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前、コウマと零無はというと……。

 

「すいませーん!! カツ丼お代わり!!」

「俺はラーメンをお代わりで!!」

 

食堂で零無と一緒にご飯食べてしました。

 

『って君たち一体なにをしているんだ!!?』

 

そこには丁度タロウもおり、こんな状況で飯を食べているコウマと零無を怒鳴るがコウマも零無もタロウに落ち着くように促す。

 

『落ち着いていられるか!! こんな時に……!』

「なに言ってんだタロウ? こんな時だからだよ」

 

そうコウマに返されたタロウは彼に「なに?」と問いかけるとコウマは笑顔でなぜ今ご飯なんて食べているのかを説明した。

 

「腹が減ったは戦はできない! 腹ごしらえして次の出撃までに今の内に元気つけとかねえとな!!」

『しかし、コウマ……。 クリスが向こうに付いたのだぞ? それは気がかりではないのか?』

「まあ、確かになんで向こうに行ったのかは分かんねえけど……でもクリスは俺たちを裏切ったりなんかしない!! だってクリスだし♪」

 

コウマはにっこりとした笑顔でタロウに言い、タロウはどこか呆れた様子でコウマを見つめたが……、それでもタロウはこの前向きさはコウマらしいと思い、少し安心した。

 

『そう言えばなぜ零無は調のような扱いはされないのだ?』

「その辺は大丈夫。 ちゃんと弦十郎さんに『怪獣と戦うには零無の力が必要だって』説明しておいたからさ」

 

そしてフロンティアが起動し、戦艦は飛行してどうにかフロンティアの真上に侵入することができた。

 

いよいよ本番が近付いていると分かったコウマは零無と一緒に司令室へと入り、そこには響と未来、既に出撃体制に入っている翼がいた。

 

「翼、行けるか?」

「無論です」

 

弦十郎の言葉に翼はそう答え、彼女はバイクの置いてある場所へと向かおうとするが響が心配そうに翼の名を呼んだ。

 

「案ずるな、1人で立つステージには馴れた身だ。 そこに来元と諸星が加わるならそれで十分だ」

 

翼は笑みを浮かべて響にそう言い残して立ち去って行き、コウマは零無の肩に手を置いて「俺達も行こうぜ!!」と声をかけるが零無は怪訝そうにコウマの手を押し退かした。

 

「勘違いするな!! 今回は単純にあいつ等と止めるという目的が一緒なだけだ。 それに、俺はまだ夢を否定し続ける、だからお前と慣れ合うつもりはない!!」

 

零無の突き放すような言動にコウマは苛立ったのか、眉を寄せて零無を睨みつける。

 

「お前、まだそんなこと言ってんのか!! お前の夢は確かにもう叶えられないかもしれない。 でもその死んでしまった娘は……自分のせいで今のお前があるのかもしれないって思っちまうかもしれないだろ!! お前はその娘が好きだったんだろ!? その娘のためにも、もう1度新しい夢を持つべきじゃないのか!?」

「所詮お前は他人だ、他人だからそんなことが言え……「じゃあこうしよう!!」はっ?」

 

零無の言葉を遮り、コウマはなにかを閃いたかのような顔を浮かべ、コウマはビシッと零無を指差す。

 

「マリアさん達を止める。 それが今のお前の夢だ!!」

「っ、なにを勝手なことを!!」

「だってよ、そうだろ? お前はあの人たちを大切に想ってる。 それを止めることは……スゲー立派な夢だ!! いや、夢ってのはどんなに大きくても、小さくても立派な夢なんだ……。 だから一緒に止めようぜあいつ等を!!」

「……言っている意味が滅茶苦茶じゃないのかお前!? はあ、まあいい」

 

零無はそんなコウマにため息を吐き出し、そんな2人のやり取りを見ていた響と未来は2人のやり取りがおかしかったのか「クス」と少しだけ笑った。

 

「2人って結構仲いいんだね」

「はあ!? 寄せ、こんな奴と……」

「ほら、取りあえず行くぞ!」

 

コウマは響に文句を言おうとしている零無の首根っこを掴み上げて外に出るとこちらに向かってノイズが迫ってきていた。

 

「行くぞ、零無!!」

「あぁ」

 

コウマはギンガスパーク、零無はダークダミースパークとスパークドールズを取り出し、それらを使ってコウマは「智謀に長けた戦略家」の異名を持つ宇宙人「ガッツガンナー・ガルム」にライブし、零無は等身大の「ゼロダークネス」へとライブした。

 

『ウルトライブ! ガッツガンナー・ガルム!!』

『ダークライブ! ゼロダークネス!!』

 

ガルムは十字型のハンドガン「クロスガン」で高く空中へと飛び立ち、光弾をノイズ達に向かって放ち、ノイズ達を撃ち抜く。

 

ゼロダークネスもゼロスラッガーを持って素早い動きで次々ノイズ達を切り裂き、先に目的地に向かった翼の後を2人は迫りくるノイズを払いのけながら追いかけた。

 

『ホークアイ・ショット!!』

 

十字架型の大型狙撃銃・クロスランチャーから放つビーム「ホークアイ・ショット」で一気にノイズ達を貫き、ゼロダークネスも右手から黒い光弾「デスシウムショット」を放ってノイズを消滅させる。

 

『雑魚共が、邪魔くさいんだよ!!』

 

一方、二課の司令室ではこの3人でも十分今のところ上手くやれているが……、やはり怪獣が出現する可能性も多く、そうなった場合はコウマと零無が闘うため翼は1人でどう立ちまわればいいのか、緒川は疑問に思ったが……。

 

「いいえ、シンフォギア奏者は1人じゃありません」

「ギアのない響くんを戦わせるつもりはないぞ。 ライトスパークがあっても前回のダメージがまだ残っている筈だ」

 

確かに、あの力があればノイズと戦うこともできる……。

 

しかしまだ響には身体のダメージが残っている筈……流石に病み上がりの状態で戦わせる訳にはいかないと弦十郎は響に言う。

 

「戦うのは、私じゃありません」

 

その響の言葉の意味はつまり……「調に協力してほしい」ということだった。

 

そして司令室に呼ばれた調は手錠が外され、彼女は「捕虜に出撃要請ってどこまで本気なの?」と響に問いかけた。

 

「勿論全部!!」

 

だが響は笑顔でそう言ってのけた。

 

「あなたのそういうところ好きじゃない。 正しさを振りかざす偽善者のあなたは……」

「私、自分のやっていることが正しいだなんて、思ってないよ……。 以前、大きな怪我をしちゃった時家族が喜んでくれると思ってリハビリを頑張ったんだけど私が家に帰ってからお母さんもおばあちゃんもずっと暗い顔ばかりしてた。 それでも私は、自分の気持ちだけは偽りたくない。 偽ってしまったら、誰とも手を繋げなくなる」

 

響は自分の両手を見つめ、真剣な眼差しで調を見つめながらそう言い放ち、調は「手を繋ぐ? そんなこと本気で思っているのか」と思ったが、響は調の両手を握りしめる。

 

「調ちゃんにもやりたいことをやり遂げて欲しい! もしもそれが私達と同じ目的なら力を貸してほしいんだ……!」

「私の……やりたいこと?」

 

そこへ響と調の間に緒川が立ち、彼は調に「あなたのやりたいことは、暴走する仲間たちを止めること、でしたよね?」と確認し、タロウも調に話しかける。

 

『そう、マリア達を止めること。 それが今の君の『夢』だ。 そして私からも頼む、君の力を貸してくれ。 私は見ての通り、無力だ……。 だから……』

「っ、みんなを助けるためなら、手伝ってもいい」

 

その調の言葉に響と未来は笑顔を見せるが、調は「だけど信じるの? 敵だったのよ?」と不安そうに尋ねるが、タロウは調にこんなことを言ってみた。

 

『昨日の敵は今日の友だ』

「だったらまだ一日も経ってない」

『おっと、ふふ、それもそうか』

 

するとそこに弦十郎も立ちあがって調の元まで歩み寄る。

 

「敵とか味方とか言う前に子供のやりたいことを支えてやれない大人なんてカッコ悪くて敵わないんだよ!」

「師匠!!」

 

弦十郎はそう言いながら調に彼女のシンフォギアのペンダントを返し、弦十郎は「こいつは、可能性だ」とだけ調に伝えると調は眼尻に出ていた涙を拭い、弦十郎の顔を見上げる。

 

「『相変わらず』なのね……」

「甘いのは分かっている……んっ?」

(弦十郎さんも気づいたか、今、調が気になるようなことを……)

 

弦十郎とタロウは調が今言った『相変わらず』という言葉の部分……、タロウは弦十郎と調は以前会ったことがあるのだろうかと思ったが、お互いに今までそんな様子はなかった。

 

ならばなぜ調は弦十郎に対して「相変わらず」などという言葉を使ったのか、タロウにはよく分からなかった。

 

「ハッチまで案内してあげる! っと、その前に……タロウさん」

『んっ?』

 

響は調をハッチまで案内しようとしたがその前に響はタロウの名を呼び、タロウは自分を呼んだ響に「どうした?」と尋ねる。

 

「タロウさんは、無力なんかじゃないです。 私が未来と喧嘩しちゃった時、タロウさんは私のことを励ましてくれました! 私が最初にガングニールを纏った時も、タロウさんは私を助けてくれた! ガングニールの侵食を食い止める方法を探そうとタロウさんは必死に頑張ってくれました!! だから、全然無力なんかじゃないです!! むしろ、凄く頼もしいし頼りになります!! 想いを、気持ちを、全力をいつもタロウさんは出してくれてます!! だから……いつも、ありがとうございます!!」

『響……、いや、お礼を言うのは私の方だ。 ありがとう、そう言ってくれて……』

 

響はにっこりとした笑顔でタロウにお礼を述べ、タロウは響の言葉を受けてとても嬉しい気持ちになった。

 

それから響は調をハッチまで案内し、調はシンフォギアを纏い、アームドギアから巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で走らせる「非常Σ式 禁月輪」でハッチから発信するが……調の後ろには、響が立っていた。

 

それを見た未来、弦十郎、タロウは驚きの声をあげ、弦十郎は「なにをやっている!!? 響くんに戦わせるつもりないと言った筈だぞ!!」と通信で響を怒鳴るが響は笑みを浮かべたまま……。

 

「戦いじゃありません!! 『人助け』です!!」

 

笑顔で答える響だが、弦十郎は必死に響を呼び戻そうとする……だが……。

 

『弦十郎さん、行かせてやってはくれないか?』

「そうですね、人助けは……1番響らしいことですから!」

 

笑顔で未来とタロウは弦十郎に頼み、それを見た弦十郎は「はあ」とため息を吐き出し、「こういう無茶無謀な役割は俺の役目なんだがな」と呟き笑みを零した。

 

「弦十郎さんも!?」

「子供ばかりに、良いカッコさせてたまるか!!」

 

同じころ、響と調も出撃したことを弦十郎達は通信で翼に伝え、翼は最初こそそれに驚いたが……翼は自然と笑みを浮かべていた。

 

(ふっ……想像の斜め上すぎる……)

 

するとその時、空から赤い矢が大量に降り注ぎ、翼はバイクから飛び退いてすぐさまその攻撃を回避し、翼は矢が降ってきた方向を見つめるとそこには崖の上に立つシンフォギアを纏ったクリスの姿があった。

 

「どうやら誘い出されてきたみたいだな! そろそろだと思っていたぞ、雪音!!」

 

一方、調と響は翼の後を追いかけていたガルムとゼロダークネスと合流し、4人は先に進んだがその途中で調は響を降ろしてゼロダークネスと共に立ち止まった。

 

響が一体どうしたのかとゼロダークネスと調に問いかけるが、2人が答える前にある崖の上に切歌とイカルス星人、マグマ星人が立っていることに気づき、2人が止まった理由が分かった。

 

『イカカカ! これ以上先には進ませなイカ!』

『お前等ここで俺達が始末してやる!』

『ネズミ野郎共か!』

 

イカルス星人とマグマ星人はダークダミースパークとヒュドラとダーラムのスパークドールズを使い、イカルス星人は「俊敏戦士ヒュドラ」に、マグマ星人は「剛力戦士ダーラム」にライブし、地上へと降り立つ。

 

『ダークライブ! ヒュドラ!』

『ダークライブ! ダーラム!』

 

そして切歌も「歌」を口ずさんでシンフォギアを纏い、鎌型のアームドギアを手に持って構え、切歌は調にどうしても自分達の邪魔をするのかと問いかけた。

 

「ドクターのやり方ではなにも残らない!!」

「ドクターのやり方でないとなにも残せないデス!! 間に合わないデス!!」

『切歌……このバカタレが!!』

 

言い争う切歌と零無と調、そんな3人に響は「みんな落ち着いて話し合おうよ!!」と訴えかけるがゼロダークネスも切歌も調も3人は声をあわせて「戦場でなにをバカなことを!!」と怒鳴り、ガルムはその光景を見てなにかデジャヴを感じたとか。

 

「あなたは先に行って。 あなたならきっとマリアを止められる、手を繋いでくれる!」

「調ちゃん……」

「私とギアを繋ぐリンカーにだって限りがある。 だから行って……。 『胸の歌を、信じなさい』」

 

調が微笑みを響に向けてその言葉を伝えると、響はかつてフィーネが最後に「櫻井了子」として響に伝えた言葉を思い出し、響は強く頷き、彼女は先へと進んでいく。

 

『あのネズミ野郎共の相手は俺に任せろ。 お前も先に行け』

『けど、1人で大丈夫かよ?』

『大丈夫だから言ってんだ。 さっさと行け』

『……分かった、ここは任せる』

 

ゼロダークネスにガルムは頷いて響と共に先へと進み、響とガルムを先に進ませないようにと2人に襲いかかろうとするヒュドラ、ダーラム、切歌だったが調は切歌にアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」を放ち、ゼロダークネスは巨大化して黒い光弾「デスシウムショット」をヒュドラとダーラムに放つ。

 

切歌はアームドギアを回転させて調の攻撃を防ぎ、ヒュドラとダーラムも左右に飛んで攻撃を回避した。

 

「調!! 零無!! なんであいつ等を……!? あいつ等は2人が嫌った偽善者と夢語りじゃないデスか!!」

「でもあいつは、自分を偽って動いてるんじゃない、動きたいから動くあいつが眩しくて羨ましくて……少しだけ信じてみたい」

『俺は今でもあいつは嫌いだよ、今でも俺は夢を否定する。 俺はあくまでお前等を止めるために戦う、それだけだ!!』

「……際デスか。 でも、私だって引き下がれないんデス!! 私が私でいられる内になにかを残したいんデス!! 調やマリア、マムが暮らす世界と私がここにいたって証を残したいんデス!!」

 

調は切歌に「それが理由?」と問いかけると切歌は「これが理由デス!」と言い放ち、切歌は跳びあがるとアームドギアの刃を3枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばして左右から挟撃する「切・呪リeッTぉ」を放ち、調はツインテール部分のアームドギアを伸縮可能なアームとして扱い、2枚の巨大鋸を投擲する「γ式 卍火車」を2人同時に自分の持ち歌を歌いながらお互いに放ってぶつけ合わせる。

 

そしてゼロダークネスとヒュドラ&ダーラムとの戦闘も開始され、3人は切歌と調から少し離れた場所で戦い合い、ヒュドラは右手首の武器である「ドラフォーク」から発射される光弾「バルテスター」をゼロダークネスに放ち、ゼロダークネスはゼロスラッガーを2本持ってそれを弾く。

 

だがその直後に背後からダーラムの強烈な跳び蹴りが背中に直撃し、ゼロダークネスは膝を突く。

 

膝を突いたところでヒュドラは足を振り上げてゼロダークネスを蹴り飛ばし、ゼロダークネスが怯んだところでダーラムがゼロダークネスの腕を掴んで腹部に膝蹴りを叩き込む。

 

『どうしたどうした!? そんなもんかよぉ!!』

『我輩達の相手はお前1人で十分……全然そんなことないじゃなイカ~! 現に我輩達に苦戦してるし』

(ぐう、こいつ等さっきよりなんか強くなってないか!?)

 

ゼロダークネスは一度ヒュドラとダーラムから離れてゼロスラッガーをヒュドラとダーラムに投げつけるがダーラムは拳、ヒュドラはドラフォークでゼロスラッガーを弾き飛ばす。

 

『ふふふ、もうすぐだ……人間達の持つ心の闇は十分闇の支配者様に注がれ……!』

『そう、もうじき支配者様が復活する。 だからその闇の力が我輩達に与えてられているイカよ!』

『だがお前は裏切り者……! 俺たちと違ってお前はパワーアップしないんだよな~、これが!』

 

「なんだと!?」と叫んでゼロダークネスはヒュドラとダーラムを睨みつけ、少しだけ切歌と調の様子を見ると切歌と調は互いのアームドギアを振るいながら互角に戦い合っていた。

 

「この胸に!!」

「ぶつかる理由が!!」

「「あるのならああああああ!!!!!」」

 

また翼とクリスも激しい戦闘を開始しており、翼は剣のアームドギアを振るいながらクリスに斬りかかるがクリスは翼の攻撃を避けながらハンドガンのアームドギアで翼を何度も撃つ。

 

だが翼はそれを避けて何度もクリスに斬りかかり、クリスは翼から一度離れてハンドガンの弾を素早く装填し、ジャンプしながら銃弾を翼に放つが翼はそれを難なく避ける。

 

(そろそろ、コウマの奴辺りが来るかもな……。 念のために自動操縦にしたジャンナインは用意しておいたが……)

 

またその様子を少し離れた場所で双眼鏡でウェルが不気味な笑みを浮かべながら笑っており、フロンティアのブリッジでは零無達の戦いの様子がモニターに映されていた。

 

「どうして……仲のよかった調と切歌まで……。 私のせいだわ……! こんなものを見たいが為ではなかったのに!!」

 

マリアは膝を突いてその場で泣き出してしまうが……そんな時、ナスターシャからの通信が入り、ナスターシャはマリアの名を呼ぶ。

 

『マリア、今、あなた1人ですね? フロンティアの情報を解析して月の落下を止められる手だてを見つけました。 最後に残された希望……それには、あなたの歌が必要です』

「私の……歌?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから響は息を切らしながらも全力でガルムと一緒に走っていたのだが、その時、上空から響とガルムの前にジャンナインが降り立った。

 

『なっ!? ジャンナイン!!? クリス……は乗ってなさそうだな……。 ってことは自動操縦か……』

 

右腕のシールドポケットから出現するキャノン砲「ジャンキャノン」をジャンナインはガルムと響に向け、ガルムと響は後ずさるが……そんな時、ガルムの中にいるコウマの持つギンガスパークからウルトラマンギンガのスパークドールズが出現する。

 

『来たな、ギンガ!!』

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

スパークドールズをギンガスパークに押し当ててガルムは光に包まれて消え去り、その代わりに光の中から「ウルトラマンギンガ」が飛び出て大地へと降り立った。

 

『響、お前は先に行け!! 俺はジャンナインと戦う!!』

「……分かった、気を付けて!!」

 

響の言葉にギンガは頷き、響は先へと進んでいき、ジャンナインは右腕のジャンキャノンを響に向けるが右腕をギンガが蹴りあげて響への攻撃を阻止し、ギンガはさらにジャンナインの腹部に強烈な蹴りを叩き込む。

 

『まさかまたお前と戦うことになるとはな! 行くぜ、ジャンナイン!!』

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

ギンガはジャンナインへと駆け出し、拳をジャンナインに向かって放つがジャンナインも拳をギンガへと放ち、クロスカウンターとなって2人のパンチがお互いの顔面に激突する。

 

そこからギンガはジャンナインから少し離れて跳び蹴りを放つがジャンナインはギンガの足を掴み上げて地面に叩きつけ、ジャンキャノンからビームを放つが手を前方に出して変身時の銀河状のエフェクトに似たバリアを展開する「ギンガハイパーバリヤー」でジャンナインのビームを防ぎ、そのまま押し返してジャンナインに逆にダメージを与える。

 

ジャンナインはそれに怯み、ギンガは素早く立ちあがって強烈なチョップを何度もジャンナインに叩き込み、ジャンナインは押されるがジャンナインはどうにかギンガの腕を右手で掴み、左拳でギンガを殴り飛ばす。

 

『ぐああああ!!?』

 

ギンガは全身のクリスタルを黄色く発行させ、頭上に発生させた雷の渦を敵に向かって投げつける電撃光線「ギンガサンダーボルト」をジャンナインに放つがジャンナインは腹部から放つ光線「ジャンバスター」を放ち、ギンガサンダーボルトを相殺する。

 

『ギンガサンダーボルト!!』

 

ジャンナインはもう1度ジャンバスターをギンガへと放つがギンガは空中へと飛びあがり、ジャンナインも「ジャンスター」に変形して空中へと飛び立ち、ビームを飛行したギンガに向けて放つがギンガはそれらを全て避ける。

 

ビームによる攻撃をジャンスターは一度中断し、真っ直ぐギンガへと突っ込み、ギンガもジャンスターに向かって真っ直ぐ突っ込み、ギンガとジャンスターは空中で激しく激突し合い、両者は共に地面に叩きつけられた。

 

『ぐああああああ!!!!?』

 

倒れこむギンガだが、フラつきながらもどうにかギンガは立ち上がり、ジャンスターもジャンナインの姿へと戻り、ジャンナインとギンガはお互いの拳をぶつけ合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふひひひ……もうすぐだぁ。 フロンティアだけじゃない、僕は支配者になるんだぁ♪ 闇の、支配者にぃ! ふはははは!!」

 

同じころ、ウェルは自分の左腕と……あの「異形の手のモノ」と同じ腕になった右腕を彼は見つめていた。

 



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26Eve 夢よ

フロンティアの上ではそれぞれの場所で翼とクリス、ギンガとジャンナイン、切歌と調、ゼロダークネスとダーラムとヒュドラの戦いが繰り広げられており、翼はクリスに向かって大剣のアームドギアを振るって青い斬撃「蒼ノ一閃」をクリスへと放つがクリスはそれを上へと飛びあがって避ける。

 

クリスは空中からハンドガンで翼に銃弾を放つが翼はアームドギアでそれらを全て弾く。

 

「なぜ弓を引く雪音!?」

 

翼がそうクリスに問いかけるがクリスはなにも答えようとはせず、翼は「その沈黙を答えと受け取らねばならないのか!?」とクリスに言うがやはり彼女はなにも答えてはくれなかった。

 

翼はアームドギアをクリスの放つ銃弾を避けながら接近し、アームドギアでクリスに斬りかかるがクリスは右手に持っているハンドガンでそれを防ぎ、左手に持っているハンドガンで翼を撃つが翼は素早くそれを避ける。

 

「なにを求めて手を伸ばしている!?」

「あたしの十字架を……他の誰かに背負わせる訳にはいかねーだろ!!」

「っ……」

 

その時、翼はクリスの首になにか装置のようなものを付けられていることに気づき、そのせいで反応が鈍ってしまいクリスの放った銃弾が当たりそうになったが翼はアームドギアでどうにか防いだ……、しかし上手く防ぎきることができなかったため吹き飛ばされてしまう。

 

「切ちゃんが切ちゃんでいられる内にって……どういうこと?」

「あたしの中にフィーネの魂が……覚醒しそうなんデス」

 

場所は変わり、調と切歌のいる場所では切歌がとうとう調に自分の中にフィーネがいるということを打ち明け、切歌曰くそもそも自分達はフィーネの魂が宿る可能性のある者達が集められた、だからこうなる可能性はあったと調に話す。

 

「だったら……私は尚のこと切ちゃんを止めてみせる」

「……えっ?」

「これ以上、塗りつぶされないように大好きな切ちゃんを守るために」

「っ、大好きとか言うな!! あたしの方がずっと調の方が大好きデス!!」

 

調と切歌がそんなやり取りをしている中、ダーラムとヒュドラと戦い合いながらもゼロダークネスは調と切歌の方を気にしており、ゼロダークネスはなぜあんなことをお互いに言えるほど仲のいい2人が戦わなければならないのか……ゼロダークネスはそう考えどこかやるせない気持ちになった。

 

『戦いに集中できてないようだなお前は!!』

 

そこにダーラムがゼロダークネスの腕を掴み上げて背負い投げを繰り出し、地面に倒れこむゼロダークネス、ダーラムは倒れこんだゼロダークネスに向かって拳を叩き込もうとしたが足を振り上げてダーラムの肩を蹴りつけて立ち上がる。

 

『うぜぇ……!!』

 

ゼロダークネスは今すぐにでも切歌の元へと行きたかった、行って切歌を自分も止めたかった……、声をかけて……どうにかして安心させてやりたいと思った……、だから自分の前に立ちはだかるダーラムとヒュドラをかなり鬱陶しく感じていたのだ。

 

『うぜぇ……!! さっさと大人しくぶっ倒れろ!!』

 

ゼロダークネスはダーラムに向かって拳を放とうとするがその時背後からヒュドラが腕の爪「ドラフォーク」でゼロダークネスの背中を斬りつけ、背中から火花を散らしたゼロダークネスは膝を突き、ヒュドラは後ろからゼロダークネスを掴み上げて動きを封じる。

 

『イカカカ! 油断大敵じゃなイカ?』

『このねずみ野郎!! 離しやがれ!!』

 

ゼロダークネスは必死にヒュドラを引き離そうとするが中々離すことができず、そこにダーラムが身動きの取れないゼロダークネスの腹部に強烈な蹴りを叩き込み、さらにゼロダークネスの顔も何度も殴りまくる。

 

そこでヒュドラは一度ゼロダークネスを離すとドラフォークでゼロダークネスの胸部を斬りつけ、ドラフォークから発射される光弾「バルテスター」をゼロダークネスに撃ち込み、ゼロダークネスは身体中から火花をあげて膝を突いてしまう。

 

『フン、見たか、これが闇の支配者様の力の一片よ!!』

 

そして切歌と調の方では……2人はお互いにアームドギアを構えて対峙しており、どちらも今にも互いに跳びかかりそうな勢いだった。

 

「だから、大好きな人たちがいる世界を守るんデス!!」

「切ちゃん……」

 

ギアの鋸をヘリコプターのローターのように上下に展開し、空中を飛行する「緊急Φ式 双月カルマ」という技を調は発動し、肩部プロテクターを展開し、それぞれの先端に鎌を装備させて自在に操る「封伐・PィNo奇ぉ」を切歌は発動する。

 

「調……」

 

切歌と調がお互いの名前を呼んだ後、2人は空中へと跳びあがってそれぞれの武装で攻撃を激しくぶつけ合わせる。

 

「「大好きだって……言ってるでしょおおおおおおお!!!!!!」」

 

また……ギンガとジャンナインの方も激闘が続いており、ジャンナインは拳をギンガへと放ち、ギンガはジャンナインへと拳を放って拳同士がぶつかり合う。

 

『ショウラ!!』

 

そこからギンガは拳を離すと強烈な蹴りが何度も何度もジャンナインの左右の脇腹へと叩き込まれてジャンナインはあまりの猛攻にフラついてしまうが、ジャンナインはギンガの足を掴み上げて持ち上げ、放り投げるがギンガはどうにか空中でバランスを取って地面に綺麗に着地する。

 

着地したギンガはすぐさまジャンナインの方へと振り返ったがそこには既にジャンナインが拳を振り上げて立っており、今度はジャンナインの強烈なパンチがギンガへと何発も何発も叩き込まれてギンガは後ろの方へとどんどん押されて行き、岩だけでできた山に背中をぶつけてしまう。

 

そして最後の一撃とばかりにジャンナインが拳をギンガに向けて放つがギンガはその拳を左手で掴み、右手をジャンナインにかざすとそこから衝撃波のようなものを放ってジャンナインを吹き飛ばす。

 

『へっ、クリスがいなくてもやるじゃねーかジャンナイン! けど、俺もモタモタしてる訳にはいかねえ! ジャンナイン!! お前はいいのか? もしかしたらクリスが危ないかもしれないんだぞ!!』

 

ギンガはジャンナインに人差し指を向け、それに対してジャンナインもどこか戸惑ったような様子を見せる。

 

実はすでにコウマはクリスがなにを考えて自分たちを裏切ったのか大体の予想はついていた、コウマの予想が正しければクリスはF.I.Sのメンバーの仲間となり、自分が起動させてしまったソロモンの杖の奪還のチャンスを狙っているのだろう。

 

そう考えるとクリスが自分たちを裏切った理由も頷けるし、ジャンナインまでもがクリスを止めようとはしない理由もなんとなく分かった。

 

同じころ……マリアはフロンティアの中から生放送でTV中継を行っており、マリアは先ず最初にテレビを見ている人々に対して月落下の真実を語っていた。

 

一体なぜそんなことをする理由があったのか……それはナスターシャがマリアの歌が月の落下を止めてくれるかもしれないと言われたからだった。

 

もしも成功することができれば月を公転軌道上に戻すことが可能であり、しかしそれはマリア1人では不可能であるため多くの人々の中のある「歌」が必要だというのだ。

 

「すべてを偽ってきた私の言葉、どれほど届くか自信はない。 だが、歌が力になるというのならこの事実だけは……信じてほしい!!」

 

そしてマリアは自分の「歌」を口ずさみ、黒い「ガングニール」を纏って今テレビを見ている人々に対してマリアは強く呼びかける。

 

「私1人の力では落下する月を受け止め切れない!! だから貸してほしい!! 皆の歌を、貸してほしい!!」

 

マリアは「歌」を歌い始めるとマリアのガングニールの赤いクリスタル部分が発行し始め、マリアは「セレナが助けてくれた私の命、誰かの命を救って見せる。 それだけがセレナの死を報いられる」という想いで彼女は力の限り歌を歌う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、響はフロンティアのマリアがいるブリッジへと向かって必死にかなりの高さを誇る階段を走って登っていた。

 

(誰かが頑張っている!! 私も負けられない!! 進むこと以外、答えなんてある訳がない!!)

 

しかし……そんな響の前に立ちふさがる人物がいた……それはあの「ナックル星人グレイ」であり、グレイは響を通させまいと扇子を響へと向ける。

 

『うふふふ、ここから先へは通さないわよ? お穣ちゃん。 シンフォギアもない癖にこんなところに来るなんてバカねぇ……』

 

しかもグレイの周りには複数のノイズが現れおり、響は完全にノイズ達に囲まれてしまい、グレイの指示でノイズ達は一斉に響へと襲いかかる。

 

「くっ! けど、それでも私は……立ち止まらない!!」

 

響は「ギンガライトスパーク」と1つの「スパークドールズ」を取り出し、ライトスパークの先端にSDの足部を押しつける。

 

『ウルトライブ! マグママスター・マグナ!』

 

赤いマントを羽織った鎧の宇宙人……「マグママスター・マグナ」へと響はウルトライブし、マグナは自分に飛び掛かってくるノイズ達を腕に装着したサーベル……「スティンガーサーベル」でノイズ達を一気に切り裂き、グレイへと跳びかかる。

 

『スティンガー!! サーベル!!!!』

 

マグナはスティンガーサーベルに赤い光を纏わせ、威力を強化させたスティンガーサーベルをグレイに振りかざすがグレイは不明をあげてその場から飛び退いたが……グレイのいた場所の階段は破壊され、グレイの周りにいたノイズ達も消滅。

 

『危ないじゃないの! 調子に乗るんじゃないわよ!!』

 

グレイは扇子から紫色の光線をマグナに向けて放つがマグナはスティンガーサーベルでそれを受け止め、スティンガーサーベルを振るって光線をかき消し、グレイに接近するとすれ違いざまにスティンガーサーベルでグレイを斬りつけ、グレイは身体中から火花を散らす。

 

『きゃあああああああ!!!!?』

『うーん、なんというかこの宇宙人なんとなーく私にあいそうな気がしたんだけど、やっぱり武器を持つのは慣れてないせいか少し使い辛いかも』

 

マグナは自分の武器を見てそんなことをボヤくがグレイは「ふざけんじゃないわよ!!」と怒鳴り散らし、「ダークダミースパーク」と1つのスパークドールズを取り出し、それを使ってダークライブして変身する。

 

『言っておくけど、これは今までの怪獣とは桁違いよ?』

『ダークライブ! スーパーグランドキング!』

 

そしてグレイは黒い光へと包まれるとその光は巨大な機械のようでかなりの重量感のありそうな怪獣「超怪獣 スーパーグランドキング」へとライブして大地に降り立ち、グランドキングはマグナを見下ろすとその巨大な手をマグナに振りかざそうとしてくる。

 

『う、うわああああああ!!!!?』

 

そんな時、グランドキングの出現に気づいたギンガとジャンナインはお互いに戦う手を止め、響がライブしたマグナがピンチであることに気づくとジャンナインは腹部から放つ光線「ジャンバスター」とギンガは無数に生み出した隕石状の火炎弾を放つ「ギンガファイヤーボール」をグランドキングへと撃ち込む。

 

『ギンガファイヤーボール!!』

 

それにグランドキングは直撃してグランドキングはフラつき、ギンガとジャンナインはすぐさまマグナ……響の元へと駆けつける。

 

『なっ、ジャンナイン!! なぜ? 雪音クリスが指示したような様子はないのに……まさかこいつ、自分の意思で!?』

 

ジャンナインはマグナの方へと振り返るとジャンナインはまるで「早く行け」とでも言いたそうな仕草でマグナに先に行くように促し、マグナはそれに頷くとその先へと進んでいき、グランドキングはどうにか響を止めようとするがギンガとジャンナインがそれを阻む。

 

『邪魔はさせねえぞ、オカマ野郎!!』

 

ギンガとジャンナインは2人でグランドキングに掴みかかり、グランドキングを後ろの方へと押していくがグランドキングはギンガとジャンナインを振り払ってジャンナインに殴りかかるがジャンナインはそれをしゃがみ込んで避けて拳をグランドキングの腹部に叩き込む。

 

『セア!!』

 

さらにギンガの拳がグランドキングの顔面に直撃し、次にギンガとジャンナインは2人同時にグランドキングの胸部を蹴りつける。

 

『ムカつくわこいつ等ァ!! 闇の支配者様によってパワーアップしたグランドキングの力、思い知らせてあげる!!』

 

口と胸部から強力な破壊光線をギンガとジャンナインに発射し、手を前方に出して変身時の銀河状のエフェクトに似たバリアを展開し、攻撃を無効化させる「ギンガハイパーバリアー」を発動したが……無効化しきることができずにバリアを砕かれてジャンナインとギンガはグランドキングの光線を喰らってしまう。

 

『うわああああ!!!?』

 

光線を喰らったジャンナインは地面に膝を突き、ギンガは空中に吹き飛ばされたが空中に吹き飛んだところをグランドキングは破壊光線を放って直撃させ、ギンガにさらなるダメージを与えた。

 

『ぐああああああ!!!!?』

 

そこでジャンナインがグランドキングに掴みかかったがグランドキングはジャンナインを振り払って左手でジャンナインを殴りつけ、さらにジャンナインの右肩に噛みついて持ち上げるとギンガに向かって放り投げ、ギンガとジャンナインは激突して地面に倒れこむ。

 

『ギシャアアアアアア!!!!!!』

『うわああ!!? くそぉ、俺だって早くクリスのところに行きたいっつーのに……!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、翼とクリスの戦いでは……翼はクリスの撃つ銃弾をことごとくアームドギアで弾いて防いでおり、中々決着をつけることができなかった。

 

そんな時、クリスが耳につけている通信機からウェルの声が聞こえ、「ちゃっちゃと片付けないと、約束の玩具はお預けですよ?」と言われてクリスはそれに対してなにも答えなかったが明らかに怪訝そうな表情を浮かべていた。

 

(ソロモンの杖の力なんて……人がもってきゃ、いけないんだ!!)

 

さらに翼はクリスの首についてある装置……その装置がクリスを何者かが従わせているのではと予測しており、それを前提に翼はクリスに話しかける。

 

「犬の首輪をされてまでなにをなそうとしているのか!?」

「汚れ仕事は居場所のない奴がこなすってのが相場だろ? 違うか?」

 

クリスの言葉に対して翼は口元で笑みを浮かべる。

 

「首根っこひこずってでも連れて帰ってやる! お前の居場所、帰る場所に! 来元のところに!」

「へっ……? っ……///」

 

翼にそう言われてクリスは翼から顔を反らし、またクリスはもう二度と会わないと思って今まで忘れていた……というよりも忘れようとしていたコウマのことを言われて彼の顔を思い出し、彼女は顔を赤くし、胸が締め付けられるような感覚を覚えた。

 

「お前がどんなに拒絶しようと、私はお前のやりたいことに手を貸してやる。 片翼では飛べぬ私に……先輩と風を吹かせるものの使命だ!!」

 

翼はそう言い放ちながらかつての自分の相棒……「天羽奏」の姿を思い浮かべる。

 

(そうだったよね、奏……)

『そうさ、だから翼のやりたいことはあたしが、周りのみんなが助けてやる!』

 

昔奏に言われた言葉を翼は思い出し、クリスは翼に対し「その仕上がりでえらそーなことを!!」と怒鳴るが……眼尻には涙が見え隠れしていた。

 

そんな時、ウェルからの通信が入り、「何をしているんですか。そっくびのギアが爆ぜるまでもうまもなくですよ」という報告が入り、クリスはそれを聞いてなにかを決意したかのような表情を浮かべる。

 

「……風鳴……先輩」

 

ぎこちない様子ではあったが初めて自分の名前を呼んでくれたことに翼は一瞬驚いたような顔を浮かべる。

 

「次で決める! 昨日まで組み立ててきたあたしのコンビネーションだ!!」

「ふっ、ならばこちらも真打ちをくれてやる!!」

 

翼とクリスはお互いに不敵な笑みを浮かべており、銃弾をクリスはハンドガンを構えて翼に撃つが翼はそれを避けて空中へと飛びあがり、蒼ノ一閃を放つがクリスもそれを寸前のところで避け、ハンドガンをクロスボウに変形させて矢を翼に向かって放つ。

 

その矢は幾つもの矢に分裂して翼に降り注ぐが翼は大剣のアームドギアを盾にして使い攻撃を防ぎ、腰部アーマーから小型ミサイルを一斉に発射する「MEGA DETH PARTY」をクリスが、空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させ広範囲を攻撃する「千ノ落涙」を翼が放ち、空中で激しくぶつかり合い、大きな爆発が起きた。

 

「うわあああ!!!?」

「くわあああ!!!?」

 

その爆発に翼とクリスは巻き込まれてお互いの姿は爆発の中に消えてしまう、それを見たウェルは立ち上がってテンションの高い声で叫びをあげる。

 

「いやっほー! 願ったり叶ったりぃー!!!! してやったりぃ~!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切歌と調は互いに歌を口ずさみながら戦闘を行っており、切歌は肩部のアーマーの鎌で何度も調に斬りかかっているが調は鋸のアームドギアでそれらを全て弾く。

 

調は一度切歌から距離を取るとアームドギアから巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で突進する「非常Σ式 禁月輪」を切歌に繰り出し、対する切歌は2本に分裂させたアームドギアをハサミのように合体させ、対象を挟み切る「双斬・死nデRぇラ」を発動する。

 

そして切歌と調のアームドギア同士がぶつかり合い、調は切歌から飛び退くように離れて空中に跳びあがるとアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」を切歌に向かって放つ。

 

しかし切歌は2本のアームドギアでそれら全てを弾き飛ばし、切歌も空中へと飛びあがって空中で激しく激突した後、2人は地上へと同時に降り立つ。

 

「切ちゃん……どうしても引けないの?」

「どうしても引かせたいというのなら、力づくでやってみると良いデスよ」

 

切歌はそう言ってリンカーを取り出して調に投げ渡し、切歌は自分の首筋にリンカーを押し当てて中の液体を注入する。

 

「ままならない思いは力づくで押し通すしかないじゃないデスか」

『切歌!! やめろ!! 絶唱は身体に相当の負荷が! 特にリンカーを使ってる奴は……!!』

 

ゼロダークネスは切歌が絶唱を使おうとしていることに気づき、ゼロダークネスは切歌を止めるために彼女の元に行こうとするが当然ヒュドラとダーラムが許す筈もなく、背後からダーラムとヒュドラに両腕を掴まれて動きを止められる。

 

『離せぇ!! このヘンテコ宇宙人共!!』

『ありゃ? 口が悪いなこいつ』

『どうやらもっと痛めつけないと分からないみたいだなァ!! オラァ!!』

 

ダーラムとヒュドラは2人同時にゼロダークネスの腹部を蹴りつけ、ヒュドラはゼロダークネスの首を掴み上げるとドラフォークを腹部に突きつけてそこからバルテスターを何発も撃ち込んでゼロダークネスを大きく吹き飛ばす。

 

『ぐあああああああ!!!!?』

『一度授けたダミースパークはライブした人間が倒されない限り消滅することはない』

『けどお前は裏切り者だから支配者様の力を得られないんだなぁ~コレが』

 

「だからそいつを返させて貰うぞ!!」と言い放つと同時に膝を突くゼロダークネスにダーラムが容赦のない蹴りを叩き込む。

 

『ぐあっ!?』

 

そしてゼロダークネスの想いも空しく切歌は「絶唱」を歌い、同じく調もリンカーを自分に注入して「絶唱」を歌い、絶唱を歌い終えると切歌のアームドギアが超巨大化する。

 

「絶唱にて繰り出されるイガリマは、相手の魂を刈り取る刃! 分からず屋の調からほんの少し負けん気を削れば!!」

 

また調はシンフォギアの両手両足が変形して長くなり、調は「分からず屋はどっち!!?」と切歌に怒鳴りあげる。

 

「私の望む世界は切ちゃんがいなくちゃ駄目。 寂しさを押し付ける世界なんて欲しくないよ!」

 

切歌は巨大化したアームドギアに跨って空中を飛行して調に接近するが調は右手の鋸で切歌の攻撃を弾き、切歌は涙を流しながら必死に調に訴えかける。

 

「私が調を守るんです!! 例え、フィーネの魂に私が塗りつぶされることになっても!!」

 

彼女はそう叫びながら切歌は高速回転して調に向かって行くが、調はその攻撃を今度は左手の鋸を回転させて弾いて防ぐ。

 

「ドクターのやり方で助かる人達も、私と同じように大切な人を失ってしまうのよ! そんな世界に生き残ったって私は二度と歌えない!!」

 

調もまた涙を流し、切歌に必死に訴えかけるが切歌は「でも、そうするしかいデス!! 例えわたしが調に嫌われてもおおおおおお!!」と叫ぶと同時に切歌はアームドギアを振るい、調は防ごうと両手の鋸を構えたがそれを切歌は遂に破壊してしまい、切歌はそのまま調に一直線に向かって行くが……。

 

「切ちゃん、もう戦わないで!! 私から大好きな切ちゃんを奪わないでえええええ!!!!」

 

調は咄嗟に両手を前にかざすとフィーネが使っていたバリアと同じものを調は張り巡らせ、バリアは切歌のアームドギアを弾き飛ばし、調は唖然とした表情で自分の両手を見つめた。

 

「なに……これ?」

「へっ……?」

 

切歌は調から離れ、切歌は「信じられない」といった顔を浮かべて唖然としていた。

 

「まさか……調デスか? フィーネの器になったのは……調なのに、あたしは調を……?」

「切ちゃん?」

「調に悲しい想いをして欲しくなかったのに、できたのは調を泣かすことだけデス」

 

切歌は調を結局はただ悲しませてしまっただけという事実に、彼女はショックを受け、切歌は涙を流しながら右手を横に伸ばすと弾き飛ばされていたアームドギアが輝き、それが輝き、地面から刃が抜けるとアームドギアは高速回転しながら切歌の背中目指して向かって行く。

 

「あたし、本当に嫌な子だね……。 消えてなくなりたいデス……」

「ダメ、切ちゃん!!」

 

顔がと目が真っ赤になるくらい切歌の瞳から大量の涙が流れ落ちており、それに気づいたゼロダークネスは必死に切歌に呼びかけた。

 

『やめろおおおおおおお!!!!! 切歌ああああああああああ!!!!!』

 

ゼロダークネスは切歌の元へと駆け出そうにもやはりヒュドラとダーラムが阻み、ダーラムはゼロダークネスの膝を蹴ってバランスを崩させ、倒れそうになったところをヒュドラがゼロダークネスの顔面を殴りつけ、ゼロダークネスは地面に倒れこむ。

 

地面に倒れこんだゼロダークネスをヒュドラとダーラムは踏みつけ、ゼロダークネスの動きを封じる。

 

『切歌!! 切歌ああああああああああ!!!!!』

 

ゼロダークネスはその状態のまま必死に彼女に手を伸ばすが……その手が届くことはない……、そしてアームドギアは切歌を……切歌を庇った調の背中に突き刺さった。

 

「調……? 調ええええええええええ!!!!!?」

『調……! 調ええええええええ!!!!!』

 

切歌とゼロダークネスが調の名を叫ぶように呼ぶがヒュドラとダーラムは既に心身共にボロボロとなったゼロダークネスは無理やり立ちあがらせ右腕を地面に突き立てて放つ地を這う炎の衝撃波「ファイアマグナム」を繰り出し、衝撃波によってゼロダークネスは空高く吹き飛ばされて、その後地面に激突。

 

『ぐあああああ!!!? くっ……調……、切歌……』

 

しかし、それでもゼロダークネスは立ち上がり、2人の元へと行こうと歩くが、そこにヒュドラが立ちふさがり、ドラフォークをゼロダークネスの腹部に突き刺した。

 

『ぐああああ!!!?』

『これで終わりじゃなイカ!』

 

ゼロダークネスの腹部にドラフォークを突き刺したまま右腕から放つ強力な突風光線「ヒューガスト」を繰り出し、ゼロダークネスは声にもならない悲鳴をあげ、ゼロダークネスの中にいる零無は口から血を大量に吐き出した。

 

『切……歌……』

 

ヒュドラはドラフォークをゼロダークネスを引き抜くとゼロダークネスはその場に倒れ込み、全く動かなくなってしまった。

 

「えっ……? 零……無? そんな……零無まで……いや、いやああああああああああああ!!!!!!?」

 

大好きな2人を同時に失ってしまったことで切歌はもはやもうなにがなんだか分からなくなり、ただ彼女は悲鳴をあげることしかできなかった。

 

同じころ……マリアは丁度歌い終えていたのだが……月を軌道上に戻すにはまだまだエネルギーが足りず、彼女は眼尻に涙を溜めてその場に跪く。

 

「私の歌は……誰の命も救えないの……!! セレナ! う、うぅ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、とある洞窟の中を通っていたウェルはというと……。

 

「シンフォギア装者は、僕の統治する世界には不要。 そのためにぶつけ合わせたのですが、こうもそうこうするとは実にチョロすぎるぅ♪」

 

相変わらずいやらしい笑みを浮かべるウェルだが、ウェルは自分の前にクリスとシンフォギアが解除されている翼の姿が目に映り、ウェルはそのことに驚きを隠せず「はぁ!?」と素っ頓狂な声をあげた。

 

クリスのシンフォギアは所々が破損しており、彼女はウェルの方へと振り返ってウェルに約束通り二課のシンフォギア奏者を倒したため、その代わりとしてソロモンの杖を渡すように言う。

 

「こんなまま事みたいな取引にどこまで応じる理由があるんですかねぇ」

 

しかし勿論ウェルはその要求を飲むつもりなどさらさらなく、ウェルはあるスイッチ……クリスの首につけてある「爆発」の装置を起動させようとスイッチを押すが……爆発する気配はなく、クリスは首の「壊れた」装置を取り外した。

 

「な、なんで爆発しない!?」

「壊れてんだよ。 約束の反故たぁ悪役のやりそうな事だ」

 

クリスはウェルに迫ろうと歩き、ウェルは完全にビビってその場に座り込んでしまうが彼はソロモンの杖からノイズを呼び出してクリスに差し向け、クリスは舌打ちしつつもアームドギアを展開しようとするが……アームドギアはなぜか展開することができなかった。

 

「っ!?」

「アンチリンカーは、忘れた頃にやってくるぅ!」

 

実はこの辺り周辺にはウェルがいつの間にか病院の時と同じシンフォギアの出力を下げるガスをまき散らしており、この状態ではクリスはアームドギアを出すばかりかまともに動くことすらできなかった。

 

「チッ、ぶっ飛べ!! アーマーパージだ!!」

 

するとクリスは自身のシンフォギアのアーマーを全て吹き飛ばして取り外し、取り外して吹き飛んだアーマーは何体かのノイズを撃破し、ウェルは悲鳴をあげて咄嗟に岩陰に隠れる。

 

ウェルは砂煙があがる中恐る恐る辺りの様子を確認するが、煙の中からクリスが飛び出して杖を奪い取ろうとするがミスしてしまい杖はどこかに飛んで行き、そのせいでウェルのコントロールを受け付けなくなったノイズ達は一斉にクリスとウェルに迫ろうとしてきていた。

 

「杖が!?」

「ひ、ひいいいいい!!!!?」

 

そしてクリスは咄嗟にある人物の名を呼んだ……自分の先輩と、自分が本当は大好きな青年の名前……。

 

「先輩……! コウマ……!!」

 

そんな時、空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させ広範囲を攻撃する「千ノ落涙」がノイズ達に降り注ぎ、クリスとウェルの周りにいたノイズ達はそれを喰らって一斉に消えさる。

 

だが、その中を一体だけ切り抜けたノイズがクリスへと跳びかかってきたが……それはクリスの前に現れた赤き戦士が青白い光を放つ剣で切り裂いた。

 

そしてクリスの危機を救ったのは……ギアの出力を抑えたエクスドライブモードになる以前と同じ形をした「天羽々斬」を纏った翼と、ギンガセイバーを構えた等身大のウルトラマンギンガ、「来元コウマ」だった。

 

「アンチリンカーの負荷を抑えるためにあえてフォニックゲインを高めず出力の低いギアを纏うだとぉ!? そんなことが出来るのか!?」

「できんだよ、そういう先輩だ」

 

翼は剣のアームドギアで次々とノイズ達を切り裂き、次に逆立ちと同時に横回転し、展開した脚部のブレードで周囲を切り裂く「逆羅刹」を繰り出してノイズ達を消し去る。

 

「一緒に積み上げてきたコンビネーションだからこそ、目を瞑っていても分かる。 だからかわせる、かわしてくれる。 ただの一言で通じ合えるから。 あたしのバカにも、付き合って貰える!」

 

実はクリスの首に付けられていた装置は翼が既にアームドギアで傷をつけて破壊していたりするのだ。

 

翼は巨大化させたアームドギアから放つエネルギー刃「蒼ノ一閃」を放ってノイズ達を切り裂き、ウェルは翼がノイズと戦っている隙にそそくさをソロモンを置いて逃げて行ってしまった。

 

すると翼はまたノイズ達がクリスを囲もうとしているのに気付いたが……。

 

『クリスに手ぇ出そうとしてんじゃねえぞ!!』

 

ギンガは跳びかかってくるノイズ達を右手のクリスタルから出した青白い剣「ギンガセイバー」をたったの一振りでノイズ達を一瞬で切り裂く。

 

すると今度は複数のノイズが合体して巨大化し、巨大ノイズは口から液体のようなものを吐き出すがギンガはギンガハイパーバリアーで攻撃を防ぎ、液体をそのまま押し返してノイズにダメージを与える。

 

翼と並び立ち、2人同時に頷きあい、ギンガセイバーとアームドギアを構え、2人は同時に跳びあがり、2人同時にアームドギアとギンガセイバーを振りかざしてノイズを縦に切り裂く。

 

全てのノイズを倒し終え、翼はシンフォギアを解除し、ギンガはライブを解除してコウマの姿へと戻り、コウマはクリスの方へと振り返るが……。

 

「ってこっちみんなバカァ!!/////」

 

今のクリスはシンフォギアのアーマーを飛ばしたため一糸纏わぬ姿となっており、彼女は自分の裸を隠すようにうずくまり、それを見たコウマは顔を真っ赤にして顔を反らした。

 

「わ、悪い!! んっ? あれ、ちょっと待てよ……」

 

そこでコウマはあることに気がついた、それは先ほどまでウェルがいたということは……つまり、ウェルもクリスの裸を見たことになる訳で……。

 

「あのくそ野郎クリスの裸見やがったのかあああああああ!!!!!!」

 

今度会ったら絶対ぶん殴ってやろうと思うコウマだった。

 

それからクリスは学校の制服の姿へと戻り、翼はソロモンの杖をクリスに渡した。

 

「回収完了、これで一安心だな」

「っ、1人で飛び出して……ごめんなさい//」

(こんなしおらしいクリスは初めてだ)

 

少し照れくさそうに謝るクリス、そんなクリスに翼は「気に病むな」と声をかける。

 

「私も、1人ではなにもできないことを思い出させた。 なにより、こんな特殊な雪音を知ることができたのは僥倖だ」

「////そ、それにしたってよ、なんであたしの言葉を信じてくれたんだ」

「雪音が先輩と呼んでくれたのだ。 続く言葉を斜めに聞き流す訳にははいかんだろ」

 

クリスは「それだけか?」と問いかけると翼は「それだけだ」と返し、クリスはそれを聞いて「全くどうかしてやがる」と思った。

 

(だからこいつらの傍は、どうしようもなく、あたしの帰る居場所なんだな……)

 

クリスはどことなく満足したかのよな笑みを浮かべており、クリスはコウマの方へと振り返る。

 

「そう言えば、ジャンナインはどうしたんだ?」

「ジャンナインは今、あのオカマ野郎の相手をしてくれてる。 あいつが俺を先にクリスの元まで送らせてくれたんだ。 でもあいつがライブしている怪獣が凄く強い。 すぐに戻らないと」

 

コウマはジャンナインの加勢に行こうとするがクリスはコウマの腕を掴み、引きとめた。

 

「待て! だったらあたしも行く!」

「けど、クリス……」

「あいつはあたしの相棒だ!! 放っておけるか!!」

 

クリスがそう言い放つとコウマは「はは」と少し笑ってしまい、クリスは眉を寄せて「なにがおかしいんだよ?」と少しコウマを睨みながら言うが、コウマは「いや、別に」と返して彼女の頭を優しく撫でた。

 

「お前ならそう言うと思ったよ。 ったく、それにしても……クリス、お前が無事でよかった」

 

コウマはいきなりクリスを抱きしめ、クリスはいきなりのことに顔を真っ赤にして「な、なな! なにしてんだ!?////」と怒鳴って彼から離れようとするがコウマはクリスを逃がすまいと必死に抱きしめている。

 

「俺、冷静さを失っちゃいけないって落ち着いてるフリしてたけどさ、本当はお前が凄く心配で……もしかしたらお前を失っちまうんじゃないかって怖くて……」

 

コウマは悲しそうな表情を浮かべてクリスを見つめており、そのことに気づいたクリスは「ごめん」と謝罪する。

 

「これからは、俺のずっと傍にいてくれ。 俺も、お前とずっと手を繋いでいたい。 固く繋ぎあわせた手を、離したくないんだ」

「……あたしも、だ……コウマ」

 

するとクリスは自分もコウマを抱きしめ返し、コウマはクリスの唇にそっと自身の唇を重ね合わせ、互いに離れると2人とも顔が真っ赤だった。

 

「「……////」」

「おい、ジャンナインを助けに行くのではなかったのか?」

 

そこに今までの一部始終を見ていた翼に言われてコウマとクリスはハッとなり、2人はお互いに離れた。

 

「先に行って待っているぞ、2人とも」

「「あぁ!」」

 

翼はそう言って響の元に行くために先へと進み、コウマとクリスはお互いに手を絡め合わせ、コウマはギンガスパークを取り出すとギンガスパークからギンガのスパークドールズが現れ、スパークドールズの足部にギンガスパークの先端を押し当てる。

 

「行くぜ、クリス!!」

「あぁ、行くぜ、コウマ!!」

『ウルトライブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

コウマとクリスの2人は眩い光へと包まれ……2人はその場から消え去った。

 

そして……グランドキングとの戦いですでにボロボロのジャンナインの前に、眩い光が降り立ち、その光の中から「コウマとクリス」が変身した「ウルトラマンギンガ」が現れた。

 

『待たせたな、ジャンナイン!!』

『ここからは、俺たちに任せろ!!』

 

ギンガはファイティングポーズをとってグランドキングと対峙し、グランドキングは胸部と口から破壊光線を放つが手を前方に出して変身時の銀河状のエフェクトに似たバリアを展開し、攻撃を無効化させる「ギンガハイパーバリアー」を張り巡らせる。

 

『バカね! その技は既に破られてるのよ!』

 

しかし、今度は完全にグランドキングの攻撃を受け止めることができ、ギンガはグランドキングの光線をそのまま押し返し、グランドキングにダメージを与える。

 

『シャオラァ!!』

 

一気にグランドキングに近寄るとグランドキングの顎に強烈なアッパーカットを決め込み、さらにグランドキングの頭を掴んで腹部を何度も殴りつけ、少しだけグランドキングから離れるとギンガは廻し蹴りを喰らわせる。

 

グランドキングも反撃しようと殴りかかるがギンガに両手を掴まれ、ギンガは膝蹴りをグランドキングに炸裂する。

 

さらにグランドキングの背後に回り込んで尻尾を掴み上げるとそのまま力の限り回転し、ギンガはグランドキングを大きく放り投げる。

 

『な、なんなのこのパワー!? さっきまでと大違いだわ!』

 

グランドキングの中のグレイはギンガの突然のパワーアップに驚き、訳が分からなかった。

 

『今のギンガは最強!! いや……』

『『超最強!!』』

 

ギンガはグランドキングに掴みかかって持ち上げるとギンガはそのまま空中へと投げ飛ばし、全身のクリスタルが桃色に輝かせ、両腕を前に突き出して放つ破壊光線「ギンガサンシャイン」を投げ飛ばしたグランドキングに向かって放ち、グランドキングは悲鳴をあげる。

 

『ギンガサンシャイン!!!!!』

『きゃああああああ!!!!? な、なにこれ!? 闇の力が、支配者様から頂いた闇が消えていく……! きゃあああああああ!!!!!?』

 

グランドキングは空中で爆発し、グレイとグランドキングはスパークドールズと戻り、同時にフロンティアのブリッジに向かっているウェルは自分の中にある「闇」が消え去りそうな感覚に襲われた。

 

「ひいい!!? な、なんだ? 今のは……僕の中の力が、力が消える!?」

 

これはギンガサンシャインが「闇を消し去る」力を持っているため、その余波で彼の中にある「闇」が消え去ろうとしていたのだ。

 

「ふ、ふざけるなぁ!! これは必要な力なんだ!! これはぁ!!」

「もう諦めたらどう?」

 

その時、ウェルは後ろから誰かに話しかけられて振り返るとそこにはリサが立っており、ウェルは「なんだ貴様は!?」と彼女を睨みつける。

 

「あなたは所詮、その『闇の力』にいいように利用されてるだけ。 これが私の役目……『闇の支配者』を器となった人間から追い出す。 それが私の、役目よ……」

 

リサの手にコウマと同じ「選ばれし者の紋章」が浮かび上がるとその手をかざし、右手から眩い光が放たれてウェルの身体の中にいるというその「闇の支配者」を追い出そうとする。

 

「う、うわああああああ!!!!? やめろぉ!! やめるんだあああああああああ!!!!!」

 

ウェルの身体から闇のオーロラが溢れ出し、リサは大量の汗を流すが必死にウェルから闇の支配者を追い出そうとする。

 

「その男から出て行きなさい!!!!」

 

そして……ウェルの身体から闇のオーロラが大量に溢れだし、それがやがてなくなるとウェルは唖然とした顔を浮かべ、彼は膝を突いた。

 

「そん……な。 貴様、貴様ぁ!! よくも僕の力をおおおおおおおお!!!!!」

 

ウェルはリサに掴みかかろうとしたがリサは煙のようにその場から消え、「あなたの力ではないわ」という言葉だけを残して消え去った。

 

「くそくそくそくそおおおおおおお!!!!! ソロモンのみならずあの力までぇ!! こうなったらマリアをぶつけてやるぅ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調……目を開けて、調! 零無も、零無も起きてください!!」

 

切歌は涙を溢れださせながら目を開けようとはしない調と零無に必死に呼びかけるが、どちらもなんの反応もなかった。

 

しかし、調には「意識」は事態はまだ生き残っていた。

 

調の意識は深い闇の中に沈もうとしていたが……調は自分の隣に誰かが立っていることに気づき、「あなたは?」と問いかけたがその人物は「どうだっていいじゃない、そんなこと」と返されてしまう。

 

そこにいたのは、かつて響達と激闘を繰り広げた「櫻井了子」……「フィーネ」だった。

 

「どうでもよくないよ。 私の友達が泣いている」

「そうね、誰の魂も塗りつぶすこともなくこのまま大人しくしているつもりだったけど、そうはいかないものね。 魂を両断する一撃を受けてあまり長くはもちそうにないか」

 

その言葉は魂を消し去る切歌のアームドギアの刃を調の代わりにフィーネが受けたということを意味しており、調はどうして自分の代わりにそんなことをしたのかとフィーネに問いかけた。

 

「あの子に伝えて欲しいのよ」

「あの子?」

「だって数千年も悪者やってきたのよ。 いつかの時代、どこかの場所で今更正義の味方を気取ることなんて出来ないって。 今日を生きるあなた達でなんとかなさい」

 

フィーネはそれだけを伝えると彼女はすでに身体の殆どが粒子となって消滅し、調は誰にそれを伝えればいいのかが分かった。

 

「立花……響」

「いつか未来に人が繋がれるなんて事は亡霊が語れるものではないわ」

 

それだけを言うとフィーネが完全に消えさり、現実の世界では調の傷が完全に塞がっており、泣きじゃくる切歌は「目を開けてよ、調……」と小さく呟くと……。

 

「開いてるよ、切ちゃん」

「へっ? えっ、身体の、怪我が!」

「じー」

「調!!」

 

切歌は調が起き上がってくれたことが嬉しくてつい彼女に抱きつくが、だがどうして調が生き返ったのかが切歌は分からなかった。

 

「たぶん、フィーネに助けられた」

「フィーネが、デスか?」

 

すると調も切歌に抱きつき……。

 

「みんなが私を助けてくれている。 だから切ちゃんの力も貸して欲しい。 一緒にマリアを救おう」

「うん。 今度こそ調と一緒にみんなを助けるデスよ! でも、零無が……」

 

切歌と調は倒れているゼロダークネスを見つめ、2人は彼の名前を呼んで必死に彼に呼びかけるが……ゼロダークネスは一向になんの反応もなかった。

 

「起きて!! 立ってデス! 零無!!」

「零無!! お願い、立って!!」

『無駄だ、そいつは死んだ。 もう助からねえよ』

 

切歌と調に対してそんなことを言うダーラム、しかし、それでも切歌と調は必死に彼の名前を何度も呼んで呼びかけた。

 

「……俺、死んだのか……?」

 

零無は今、なにもない、雨が降っているだけでただ真っ暗な場所で膝をついていた。

 

彼は自分が本当に死んだのか、最後になにがあったのか思いだし、最後のあんな一撃を喰らったのだとすれば、自分は間違いなく死んだのだろうと零無は考えた。

 

そう思うと結局自分は切歌や調、マリア……みんなを助けることができなかった、結局自分はなにもできはしなかったのだと思った。

 

そんな時だ、誰かが自分の頭をハリセンで思いっきり叩き、零無は「いてぇ!?」と頭を押さえて後ろの方へと振り返るとそこには……マリアの妹でもあり、零無にとっては想い人でもあるセレナがハリセンを持ってそこに立っていた。

 

心なしか彼女は「むう」という感じで頬は膨れていた。

 

「せ、セレナ!? そ、そうか、遂にお迎えが……」

 

しかしその直後にまたセレナからのハリセン攻撃が炸裂し、零無はセレナからハリセンを取り上げて「なにすんだよ!?」と怒鳴る。

 

「零無……あなた、このままで本当に良いの?」

「……えっ?」

「このままで、いいの?」

 

セレナが首を傾げて零無にそう問いかけるが、零無は顔を俯かせて「いいわけねえだろ」と彼女に言葉を返した。

 

「けど、俺はもう……」

「まだ、死んでなんていないよ。 零無、お願い……諦めないで。 夢も、生きることも。 零無、私に縛られないで。 あなたはどんなことでもいい、新しい夢を見つけて?」

 

セレナにそう言われて零無はどう言えばいいのか分からずに口ごもるが……そんな時、零無の前に2人のウルトラマンが現れた。

 

1人頭部に2本のブーメランを装着し、赤と青の身体に銀色のプロテクターの「ウルトラマンゼロ」、もう1人は黒い身体に赤い模様の入った「ウルトラマンべリアル」だった。

 

『俺様の力を使ってる癖に、グダグダ悩んでんじゃねえ!! テメーにもあんだろうが!! 『守るべきもの』ってやつがよぉ! 俺様が直々に力を貸してやる!! 死のうが殺されようが構わずに立ちやがれ!! そのくらいの根性がねえ奴に俺様の力を使う資格はねえ』

『お前と意見があうのは少々アレだが、俺もそう思う。 零無……彼女の言うとおり、お前は新しい夢を持ってもいいんだ。 夢に向かって歩いていいんだ。 お前がもう1度夢を持ってくれること、それが彼女の願い……いや、今の夢なんだ』

 

ゼロとべリアルにそう言われ、零無は「セレナの夢?」と問いかけるとセレナは零無に対して頷いた。

 

「あなたにもう1度夢を持ってほしい、それが私の今の夢……。 お願い、零無……もう1度、夢を目指して……! 立ちあがって! それにあなたを待ってる人もいる、あなたを『好き』と言ってくれる人がいる、その人の気持ちにちゃんと答えるべきだよ」

「……セレナ……」

 

零無はべリアルとゼロを交互に見た後、もう1度セレナを見つめ、セレナはただ静かに零無に向かって頷く。

 

「俺の……新しい、夢……。 俺の、新しい夢は……マリア達を止めること。 そして……あいつに、切歌に今の俺の気持ちを伝えることだ」

 

それを聞いてセレナは笑みを浮かべ、ゼロとべリアルもその答えに満足したかのように頷いた。

 

「零無、進んで!」

「あぁ、ありがと……セレナ」

 

零無は笑みを浮かべてセレナにお礼を言った後、彼女は笑顔を向けて零無に対して頷き、零無はゼロとべリアルの方へと振り返る。

 

『聞こえるか、零無? お前を呼ぶ声』

「声……?」

 

零無は耳を澄ませると……「零無!! 零無!!」と誰かが自分を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「切歌、調……。 ゼロ、べリアル、力を……俺に貸してくれ! 夢を叶えるための、力を!!」

『最初からそう言ってんだろうが』

『当たり前だぜ、零無。 見せてやろうぜ、俺たちの力を!!』

 

零無はダークダミースパークを取り出すが、ダミースパークはヒビが入って粉々に砕け散り、代わりに零無の手に新たに「ギンガライトスパーク」が現れて零無がそれを掴み、ゼロとべリアルはスパークドールズとなるとライトスパークの先端をゼロとべリアルそれぞれに押し当てる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンゼロ! ウルトラマンべリアル! アーリースタイル! 合体!! ウルトラマンゼロ・アーリースタイル!!』

「さよなら、セレナ……」

 

零無は最後にセレナに対して笑みを浮かべた後、彼は光に包まれた。

 

そして現実の世界では……切歌と調が未だに倒れているゼロダークネスに必死に呼びかけており、いい加減にそれにうんざりしたダーラムとヒュドラは2人を潰そうとその巨大な足を振り上げた。

 

『いい加減うるさいんじゃなイカ!?』

『全くだああああああ!!!!!』

「っ……零無ーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

最後に、切歌が力の限りの声を出して零無の名を叫んだ瞬間……倒れていたゼロダークネスから眩い光が溢れ出し……ゼロダークネスがその場から消え去る。

 

『な、なんだぁ? まあいい、先ずは!!』

 

ゼロダークネスが消えてしまったことを疑問に思うダーラムとヒュドラだったが、それよりも切歌と調を踏みつぶそうと足を振り上げたが……次の瞬間、光の球体がすれ違いざまにダーラムとヒュドラにぶつかり、2体を吹き飛ばした。

 

そして光の球体は一度眩い光を放ち、その光が消えるとそこには1人の巨人が立っていた。

 

「ゼロ……ダークネス?」

 

調は身体の模様はゼロダークネスのままだったのでそれがゼロダークネスかと思ったが、身体の黒かった部分は青色に変わっており、さらにはゼロダークネスの時にあったプロテクターがなくなった新たな姿となった「ウルトラマンゼロ」が立っていた。

 

その名は……「ウルトラマンゼロ・アーリースタイル」である。

 

『悪い、寝坊しちまった。 さあ、おっぱじめようぜ!!』

 

ゼロはファイティングポーズをとってヒュドラとダーラムと対峙し、ヒュドラとダーラムがゼロが復活したことに驚きを隠せなかった。

 

『バカな!? 復活するなんて嘘だろおい!?』

『だったらもう1度倒してやればいいんじゃなイカ?』

『お、おう、そうだな!』

 

ダーラムとヒュドラはゼロに向かって行くがゼロは頭部のゼロスラッガーを手に持つと一瞬でヒュドラとダーラムの背後に回り込み、ゼロはゼロスラッガーを頭部に戻すとダーラムとヒュドラは身体中から火花を散らす。

 

『『ぐわああああああ!!!!?』』

 

ヒュドラはドラフォークを構えてゼロに飛び掛かるがゼロはヒュドラのドラフォークを掴み上げてヘシ折って破壊し、ヒュドラの横腹を蹴りつけて吹き飛ばす。

 

連続パンチ「ダーラメッタ」をダーラムはゼロに向かって繰り出すがゼロはダーラムの両腕を掴み上げて回転し、ダーラムを投げ飛ばすと立ち上がろうとしていたヒュドラに激突し、2体とも倒れこんでしまう。

 

「零無……いいデスよ!! 一気に倒すデス!!」

「頑張って、零無!!」

 

ゼロは切歌と調の声に頷き、ダーラムとヒュドラは2人同時にゼロに飛び掛かってくるがゼロは両手の爪を鋭く伸ばした「べリアルクロー」を発動し、べリアルクローから放つ光の刃「べリアルスラッシュ」をダーラムとヒュドラに叩き込んで2体は倒れこむ。

 

『『このおおお!!!!』』

 

しかしすぐさま立ち上がったヒュドラとダーラムはそれでも負けじとゼロに攻撃を仕掛け、ダーラムはゼロに蹴りを繰り出すがゼロはそれを受け流して蹴りを何度もダーラムの腹部に叩き込み、背後から襲いかかってきたヒュドラは廻し蹴りで蹴り飛ばす。

 

『シェア!!』

 

そしてゼロは素早くダーラムとヒュドラの腕を両手で掴むと空高く跳びあがり、一気に急降下してダーラムとヒュドラを地面へと叩きつけた。

 

フラフラになったヒュドラとダーラム、ゼロは左腕を伸ばし、大量のエネルギーをチャージし……腕をL時に組んで放つ巨大な超強力な光線「アーリーワイドゼロショット」を発射し、ダーラムとヒュドラはその光線に飲み込まれて悲鳴をあげて爆発し……ダーラム、ヒュドラ、マグマ星人、イカルス星人はギンガサンシャインの効力もあったのかスパークドールズに戻って地面に落ちた。

 

「「零無!!」」

『……サンキュ、2人とも、お前等の声……聞こえたぜ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、ブリッジで泣き崩れるマリアに対し、ナスターシャは月遺跡の再起動を促していたのだが……。

 

「無理よ、私の歌で世界を救うなんて!!」

『マリア、月の落下を食い止める最後のチャンスなんですよ!』

 

そこにウェルが現れ、マリアもそのことに気づいて立ち上がるが……ウェルはマリアを殴って押し退かす。

 

「きゃあ!?」

「月が落ちなきゃ、好き勝手できないだろーが!!」

『マリア!』

 

そこで通信でナスターシャの声が聞こえてウェルはナスターシャに「やっぱり余計なことをしていたのはあのおばはんか」と思い、呆れたような顔を浮かべる。

 

『聞きなさいドクターウェル。 フロンティアの機動を使って収束したフォニックゲインを月へと照射し、バラルの呪詛を司る遺跡を再起動できれば月を元の軌道に戻せるのです!!』

「そんなに遺跡を動かせたいのなら! あんたが月に行ってくればいいだろ!!」

 

ウェルはそう叫びながらフロンティアのあるスイッチを押すとナスターシャのいる場所の遺跡が空へと飛びあがり、マリアは「マム!!」と彼女の名を呼ぶが彼女からの返事はなかった。

 

「有史以来、人類が数多の英雄が人類支配を成しえなかったのは人の数がその手に余るからだ!! だったら支配可能なまで減らせばいい、僕だからこそ気づいた必勝法!! 英雄に憧れる僕が英雄を越えてみせる!! うはははははは!!」

「っ、よくもマムを!!」

 

そこで遂にウェルに対する怒りを爆発させて槍のアームドギアを出現させるが……。

 

「手に掛けるのか!? この僕を殺すことは全人類を殺すことだぞ!!」

「殺す!!!!!」

 

結局ウェルの言葉はマリアに聞き入られず、マリアはウェルに向かって駆け出してウェルは悲鳴をあげるが……ウェルを庇うように響が現れて彼を庇う。

 

「そこをどけ、融合症例第一号!!」

「違う!! 私は立花響16歳!! 融合症例なんかじゃない!! ただの立花響がマリアさんとお話したくてここにきている!!」

 

響はそう言い放つがマリアは「お前と話すことなどない!!」と言って彼女と話す気などさらさらなかった。

 

「マムがこの男に殺されたのだ!! ならば私もこいつを殺す!! 世界を守れないのなら私も生きる意味は無い!!」

 

そう言い放ってマリアはアームドギアをウェルに向かって放つがそれを響は片手で掴み上げて受け止め、その手からは血が溢れているが……響は笑みを崩さなかった。

 

「意味なんて、あとから考えればいいじゃないですか! だから、生きるのを諦めないで!」

 

すると響はガングニールを纏う時の「歌」を口ずさむと……マリアのガングニールが強制解除され、辺りが光へと包まれる。

 

「何がおきているの? こんなことってありえない!! 融合者は適合者ではありえないはず。 これはあなたの歌? 胸の歌がしてみせたこと!? あなたの歌ってなに? なんなの!?」

 

同じころ、二課の戦艦の中のモニターでこの様子を伺っていたタロウと未来は……。

 

「行っちゃえ響!! ハートの、全部でぇ!!」

『君の力を、君の想いを、君の全力をぶつけてやれ!! 響!!』

 

そして響は……マリアの問いに答えるかのように叫ぶ。

 

「撃槍・ガングニールだあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」




べリアルは微妙に性格違うような気も……でも、ゼロがいるのにべリアルがいないのはあれなんで。


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27Eve 歌と光

「ガングニールの……適合だと!?」

 

マリアのガングニールは響のものへと変わったことにマリアは驚きを隠せず、目を見開いていた。

 

それを見たウェルは「このままでは自分の計画が台無しになってしまう」と危機感を抱き、ウェルは情けない悲鳴をあげながら急いで階段を下って響とマリアから離れようとするがその途中に足を滑らせてしまい、階段を転がって下の床へと倒れこむ。

 

「こんなところで……こんな、ところで! 終われるものかあああああああ!!!!!」

 

ウェルはその場の床に左手を叩きつけるようにして手を置くと床に穴が空き、丁度そこに緒川と弦十郎が駆けつけたがウェルはその穴を通ってどこかへと行ってしまった。

 

「ウェル博士!! くっ、間に合わなかったか」

「響さん! そのシンフォギアは?」

 

緒川が失った筈の響がガングニールを纏っていることを疑問に思い、そう問いかけると響は「マリアさんのガングニールが、私の歌に応えてくれたんです!!」と返し、その直後に響は倒れそうになったマリアを支える。

 

そんな時、フロンティアが突然上昇を始めて宙へと舞い上がり、マリアは「今のウェルは左腕をフロンティアと繋げることで意のままに制御できる」と響に説明し、一方そのウェルはフロンティアの壁を触りながらとある場所に向かって歩いていた。

 

「ソロモンの杖やあの闇の力がもうなくとも、僕にはまだフロンティアがある……」

 

しかし、そんな時ウェルの耳元にある声が聞こえてきた……。

 

『本当に闇の力がないと思っているのか?』

「っ、その声は……!!」

 

ウェルは自分の右腕を見ると彼の右腕は左腕とは別の異形な形に変化しており、右手には黒いギンガスパーク……「ダークスパーク」がいつの間にか握りしめられており、ウェルは狂気に満ちたような笑みを浮かべた。

 

『我があんな小娘如きにやられると思うのか! 最も、もっと早い段階で見つけられるか、あの小娘の持っていたノアの力がもう少し強ければ危なかったかも知れんがな。 まあ、そんなことより、ウェルよ。 我がお前を英雄にするための力を貸してくれよう。 お前にとっての障害を全て取り払ってやるぞ』

「それは有り難い♪ では、その時が来たら言いますんで、もうしばらく待っていてくださいね。 ひひひひ……!」

 

場所は戻り、響達のいる場所ではマリアがフロンティアを止める方法を響達に教えており、その方法とはマリア曰く「フロンティアの動力はネフィリムの心臓。 それを停止させればウェルの暴挙もフロンティアの動きも止められる」とのことだった。

 

「……お願い、戦う資格のない私に変わって……お願い……!」

 

膝を突きながら頭を下げてそう響に頼むマリア、すると響は「調ちゃんにも頼まれてるんだ」とマリアに声をかけ、マリアは少し「えっ?」とでも言いたそうな表情を浮かべる。

 

「マリアさんを助けてって! だから、心配しないで!」

 

マリアは顔をあげるとそこには自信に満ちた笑顔を浮かべている響がおり、その時弦十郎が床を殴って床に巨大な穴を開ける音が聞こえた。

 

「師匠!」

「ウェル博士の追跡は、俺たちに任せろ!! だから響くんは……」

「ネフィリムの心臓を止めます!!」

 

笑顔でガッツポーズを決める響、そんな時、響の肩にテレポートで「ウルトラマンタロウ(SD)」が現れ、タロウは「響! 私も連れて行ってくれ!!」と彼女に頼みこんだのだ。

 

「タロウさん!?」

『人形の私ではなにもできはしないかもしれない。 しかし、私には黙ってただじっと見ていることなどできはしない!! 響、私も行かせてくれ、いや……『一緒』に戦わせてくれ!』

「なにもできないことなんて……ありませんよ。 心強いです、タロウさん!!」

 

響は肩に乗っているタロウに笑顔を見せてウィンクした後にサムズアップし、タロウは静かに「ありがとう」と彼女にお礼を述べ、弦十郎と緒川は床の穴の中へ、響とタロウはネフィリムの心臓があるという場所へと向かって行くことになった。

 

「待ってて! ちょーっと行ってくるから!」

 

それだけを言い残してブリッジから外へと出るとシンフォギアを纏っている翼とクリス、変身を解いているコウマと合流し、3人の元へと駆けつける。

 

「翼さん!! クリスちゃん!! コウマくん!!」

「立花!」

「もう遅れはとりません!! だから……!」

 

そこで翼は響が言いきる前に彼女は頷き、「あぁ、一緒に戦うぞ!!」と響に声をかけ、響は「はい!!」と勢いのある返事を翼に返した。

 

その時、響はクリスがソロモンの杖を持っていることに気づき、響はクリスの両手を握りしめる。

 

「やったねクリスちゃん!! きっと取り戻して帰ってくると信じてたよ!!」

「お、おう、ったりめーだ!!」

「流石は俺の彼女だよなぁ? 響? タロウ?」

 

クリスの頭に手を置いてワシャワシャと彼女の頭を撫でるコウマ、そんなコウマにタロウは呆れつつどこか嬉しそうな声で「全く君は……」とコウマに言うがコウマの耳には聞こえていなかったようで未だにクリスの頭を撫でていた。

 

「ええい、何時まで撫でてんだよ!?////」

「えー?」

 

心底残念そうな顔をするコウマだが、「今こんなことやってる場合じゃねえだろ!!」という正論でコウマは黙り込むことになった。

 

そこに丁度弦十郎からの通信が入り、オペレーター達がネフィリムの心臓部分がどこにあるか突きとめたことをコウマ達に報告し、コウマ達はネフィリムの心臓があるという場所へと急いで行くことに。

 

「行くぞ!! この場に槍と弓、そして……剣を携えているのは私たちだけだ!!」

「んっ? あれ、俺は?」

『私は?』

 

クリスが弓、響が槍、翼が剣で例えられるのなら自分達はなんなのだろうかと思うタロウとコウマ、しかしそんな2人の疑問は翼は華麗にスルー、無論こんな状況なのでコウマとタロウも特に追及することはなかった。

 

 

『ウルトライブ! バルタンバトラー・バレル!』

 

コウマはバレルのスパークドールズとギンガスパークを使ってウルトライブし、響達とともに俊敏な動きで大きくジャンプしながらネフィリムの心臓部のある場所を目指すが……その様子はネフィリムの心臓部のある場所に来ていたウェルにモニターから見られていた。

 

「人ん家の庭を走り廻す野良猫めぇ! フロンティアを喰らって同化したネフィリムの力を、思い知るが良い!!!!!」

 

するとバレル、響、翼、クリス、タロウの前にあった地面が突然膨らみ始め、やがてそれは巨大な怪獣のような姿でどことなくネフィリムに似た……というよりもフロンティアが生み出した新たなネフィリムが現れた。

 

『どことなくゼットンに似てるような気が……』

 

タロウがそんなことを呟いていたが、ネフィリムは気にせず背中からミサイルのようなものを放ち、バレル達は一斉に飛び退いてミサイル攻撃を避けた。

 

「あの敵!! 自律的完全聖遺物なのか!?」

「にしては張り切りすぎだ!!」

 

そこにネフィリムの放った火球がクリスに当たりそうになるが、バレルが巨大な手裏剣「サイクロンソーサー」を横に高速回転させてクリスに向かって行った火球をかき消し、バレルはクリスの前へと着地する。

 

『大丈夫か?』

「えっ……////あ、あぁ……」

 

「なんか何時もに増してカッコいい気がするな、コウマ」とか思っていたクリスだが、それってぶっちゃけバレルさんがイケメンだからそう見えるだけなのでは……と思えて仕方がない。

 

『こっちは急いでんだよ、さっさと片付けさせて貰うぜ!!』

 

バレルの中にいるコウマがギンガスパークを掲げるとギンガのスパークドールズが現れ、それを掴み取ってギンガの足部とスパークの先端を押し当てる。

 

『行くぜ、ギンガ!!』

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

 

バレルは光に包まれてその光の中から「ウルトラマンギンガ」が飛び出した……しかし、現れたギンガは突如黒い巨大な「足」によって蹴り飛ばされ、その辺りにあった岩の山に激突してしまった。

 

「「「えっ!?」」」

『あれは!』

 

実はコウマがギンガになろうとしていることを感じたウェルはコウマとほぼ同じタイミングでダークスパークを掲げ、そのブレード部分が展開し、黒いスパークドールズが現れてダークスパークの先端にドールズの足部を押し当てていたのだ。

 

『ダークルギエル!』

 

そして現れたのは……ギンガよりも何倍の高さもある超巨大な鎧を着込んだ黒い巨人……「闇の支配者」と呼ばれていた存在「ダークルギエル」が姿を現し、ほぼ同時に現れたギンガをルギエルは蹴り飛ばした。

 

『ふふふ……!! ふははははは!! 遂に、遂に完全復活を果たしたぞぉ!!』

『奴だ、奴こそが我々を人形に変えた元凶……ダークルギエル!』

 

タロウは完全復活したダークルギエルを睨みつけるが、ルギエルはそんなことに気づきもせず、ルギエルは岩の山にもたれかかるように倒れこんでいるギンガを踏みつける。

 

『ぐああああああああ!!!!?』

『この時を待っていたぞギンガァ!! 貴様に復讐するこの時をな!!』

「コウマ!!」

 

クリスはありったけのミサイルやレーザーをルギエルに向けて放つがそこにネフィリムが立ちはだかり、ルギエルの代わりにネフィリムの全ての攻撃を受け止め、ネフィリムは巨大な火球をクリスへと放つ。

 

「避けろ雪音!!」

「くっ!」

 

クリスは翼に言われた通りその場から離れ、ルギエルはギンガの身体を右手で鷲掴みにしてルギエルはギンガをじっと睨みつける。

 

『中々ウェルの奴の心の中は居心地が良かったぞ? なにしろ奴の心の中には邪悪なものしかなかったのだからなぁ? おかげでこうして復活できた訳だ。 結局貴様は我を止めることなどできはせんのだ!!』

 

ルギエルはギンガを掴んだままの右手を勢いよく地面に向かって振りかざし、ギンガの上半身をルギエルは地面に埋めてしまった。

 

『ぐううう!!? これじゃ、動けねえ!!』

 

ちなみに、本来ルギエルを呼び出したウェルの中にある「邪悪な心」を通して闇が溢れ出てルギエルに力を苦しみながら与えるのだが、それとは間逆に苦しみどころか笑っており、「いけえええええ!!!!! ぶっ潰せええええええええ!!!!」とテンションがさらに高くなっていた。

 

また、ルギエルを復活を見ていたリサはというと……あの時倒し切れていなかったのかと心底悔しそうな表情を浮かべていた。

 

「そんな……ルギエルの復活を許してしまうなんて……」

 

しかもだ……、最悪なことにギンガのカラータイマーはまだ1分もしていないにも関わらず点滅が始まっており、ルギエルは身動きの取れないギンガに向けて胸部から放つ火球をギンガに何発も喰らわせる。

 

『うわああああああああああ!!!!!?』

「コウマぁ!!」

 

クリスがコウマの名を叫ぶが、ネフィリムが邪魔をして彼の元に駆け付けることができない。

 

ルギエルは地面からギンガを引き抜き、まるでゴミでも捨てるかのように地面へと投げ捨て、ギンガは背中を強く打ちつけてその場に倒れこんでしまう。

 

そしてやがて……ギンガのカラータイマーの点滅が止まり、カラータイマーと全身のクリスタル、目から光が消え……ギンガはぴくりとも動かなくなってしまったのだ……。

 

「コウマ……コウマあああああああああああ!!!!!!!」

「来元……!」

「コウマくん!!」

 

クリスの悲痛な叫び声があがり、ルギエルはダークスパークを掲げる。

 

『さて、このまま放っておいてもウェルの落とした月でこの星の全ての命は失われる訳だが……我を復活させたのも人間のおかげ。 せめてもの情けだ。 眠るがいい!!』

 

ルギエルがダークスパークを掲げるとそこから大量の闇が溢れ出し、ネフィリムと戦っていた響は突然の睡魔に襲われ……、彼女は眠ってしまい力なく倒れこんでしまった。

 

「っ、なに……これ……!?」

「おい、立花!!?」

『響!!』

 

倒れそうになった響を翼が支え、タロウはルギエルを睨みつけて「ウルトラ念力」で対抗しようとするがルギエルがビクともせず、ルギエルは鼻で笑うだけだった。

 

『フン、たかが人形がなにができる。 貴様は無力なのだよ、ウルトラマンタロウ。 そこで人間共が永遠に眠って行く様を見ているが良い!!』

『くっ……』

 

するとネフィリムがその巨大な拳を響を抱えている翼に振り降ろして来るがクリスの放ったミサイルやレーザーがネフィリムの腕に直撃し、翼は急いで響を抱えてその場から離れたが……今度は翼が「うっ」と声をあげて倒れ込み、眠りについてしまった。

 

『翼! おい、翼!! 起きるんだ!!』

「クソが、ジャンナインさえ使えれば……!!」

 

しかし、ジャンナインは前回のグランドキングとの戦いですでにボロボロ、あんな状態で戦えば間違いなくルギエルに破壊されてしまう。

 

『貴様は知っているぞ、雪音クリス。 ギンガに選ばれたあの小僧の恋人だったな。 ならば……』

「っ! お、おい! なにする気だよ!?」

『なに、どうせならば貴様が絶望する顔を見てみたいと思ってな……』

 

ルギエルはもう動かないギンガの方を見るとルギエルは胸部から火球を大量に発射し、倒れているギンガに次々と火球が降り注ぎ、完全なオーバーキルをルギエルは行う。

 

「おい、やめろ!! やめろって言ってんだろうがぁ!! コウマ!! コウマぁ!! お前もさっさと起きろよ!! なにボサっと寝てんだよ……、このままじゃ……この……まま……じゃ……」

 

やがて、クリスもルギエルの力によって倒れ込み、眠りについてしまい、タロウが必死にクリスに声をかけるが……なんの反応もありはしなかった。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンゼロ! アーリースタイル!!』

『シュア!!』

 

そこに「ウルトラマンゼロ・アーリースタイル」が現れてルギエルに向かって右足に炎を宿して繰り出す跳び蹴り「ウルトラゼロキック」が繰り出されたがルギエルはそれを避けてゼロの身体を掴み、ゼロは必死にルギエルの腕から逃れようとするが……。

 

『フン、貴様か。 貴様にはもう用はない!! 消え失せろ!!』

 

ルギエルは勢いよくゼロを地面へ投げつけ、地面に激しく激突したゼロに向かってルギエルは胸部の火球を何発もゼロに直撃させていく。

 

『うわああああああああああ!!!!!?』

「零無うううううう!!!! こんのまっくろ黒助!!」

 

そこにシンフォギアを纏った切歌と調が現れ、切歌と調はルギエルに向かって行くが左の横からルギエルの火球が2人に向かって放たれ、2人はギリギリどうにかそれを避けたが……。

 

『全く、うるさいハエどもだ』

 

ルギエルは地面に倒れこむゼロを何度も何度も踏みつけ倒し、攻撃の手を緩め、ゼロが立ち上がろうとしたところで火球が空から降り注ぎ、それらが全てゼロに直撃し、カラータイマーも点滅し……数秒した後、カラータイマーと目から光が消え去り……ゼロは力なく倒れこんでライブが強制解除された。

 

「零無うううううううう!!!! うぅっ!?」

「零無……っ!?」

 

そしてゼロが倒れた後に切歌と調も倒れこんで眠りについてしまい、同じくライブが解除された零無もルギエルの力によって眠らされてしまったのだ。

 

『ふはははは!! 喜ぶがいいウェル!! これで貴様の邪魔をする者はいなくなった!! うはははははは!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし……まだルギエルの力によって眠っていない人物がいた、弦十郎や緒川はまだルギエルの影響は受けておらず、そしてマリアもまた……ルギエルの影響をまだ受けてはいなかった。

 

「私では……なにもできやしない。 セレナの歌を、セレナの死を……無駄なものにしてしまう……」

 

そう呟き、涙ぐむマリア……だがそんな時、「マリア姉さん」と彼女を呼ぶ声が聞こえ、マリアは顔をあげると……そこには死んだ筈のセレナがいた。

 

『マリア姉さんが、やりたいことはなに?』

「っ……歌で、世界を救いたい。 月の落下がもたらす最悪からみんなを助けたい」

 

するとセレナはマリアへと寄り添い、静かに彼女の手をとって握り締める。

 

『生まれたままの感情を、隠さないで?』

「セレナ……」

 

セレナはマリアにその言葉を伝えた後、静かに「Apple」という「歌」を口ずさみ、続いてマリアも歌を口ずさむと2人の周りに光が渦巻き、また彼女達の「歌」を聞いた人々の身体からも光が溢れだす。

 

同じころ、ウェルによって月へと飛ばされたナスターシャはというと……彼女は変形した車椅子を身体に纏い、自分に降り注いでいた瓦礫を払いのけて脱出し、マリアとセレナの歌によって世界中の人々のフォニックゲインが集まっていることに気づく。

 

「フロンティアを経由してここに収束している。 これだけのフォニックゲインを照射すれば月の遺跡を再起動させ、月の公転軌道修正も可能……」

 

そしてナスターシャはフロンティアのブリッジにいるマリアに通信で話しかけ、マリアはナスターシャの声を聞いて驚く。

 

「マム!!」

『あなたの歌に世界が共鳴しています。 これだけフォニックゲインが高まれば月の遺跡を可動させるには十分です。 月は私が責任を持って止めます。 もう何もあなたを縛るものはありません。 行きなさいマリア、行って私にあなたの歌を聴かせなさい』

「マム……」

 

それは、ナスターシャとはもう二度と会えないことを意味しており、それが分かったマリアは自分の口元を押さえて涙を流した……だが、マリアはすぐに決意に満ちた表情を浮かべて見せた。

 

「OK、マム!」

 

そしてマリアは涙を拭いさり、宣言する……。

 

「世界最高のステージの幕を開けましょう!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り……ルギエルは「ここにいる奴等以外の命も時間も全て止めてくれるわ!!」と言ってどこかへと立ち去ろうとするが……そうはさせまいとタロウがウルトラ念力でルギエルを引き止めようとする。

 

『タロウ、貴様の貧弱な念力など我には効かん。 そんなできることの限られた身体では尚更な……』

『それでも、それでも私は!! ウルトラ……念力!!』

 

タロウはそれでも必死にウルトラ念力を使ってルギエルの動きを封じようとするがやはりどうやってもルギエルはビクともせず、タロウ自身の体力ももう殆ど奪われて行ってしまっていた。

 

『はあ、はあ……私は……私は……! なにもできないのか……! これでは時間稼ぎにもなりはしない!! 私は……なんて無力なんだ……!』

 

この時タロウは思った、なぜ「ダークスパークウォーズ」の時、こんななにもできない自分を他の兄弟たちやウルトラの父、ウルトラの母が自分を庇ったのか。

 

それならばゾフィーやウルトラマンやセブン、それこそウルトラの父などの方がよっぽど自分なんかよりも頼りになるに違いないとタロウはそう思ったのだ。

 

『どうしてこんな……肝心な時に、私は……私は……!』

「ウルトラマンであるあなたが諦めてどうするの!!?」

 

そんな時、どこからともなくマリアの声が聞こえ、タロウはハッとなって声のした方へと振り返るとそこにはマリアが立っており、マリアはタロウを手に乗せる。

 

「ウルトラマンは決して諦めない、それがウルトラマンじゃないの?」

『しかし、今の私にはどうすることも……、こんな姿では……』

「確かに、今のあなたは非力かもしれない。 でも、みんながいる!! 私達の仲間はあの黒い奴のせいで眠らされてるけど、それでも……きっと立ち上がるわ!! ウルトラマンタロウ、1人1人は弱いわ、だけど……力を合わせるから人は強くなれるの!! それはウルトラマンも、変わらないはずでしょ?」

『っ……』

 

それを聞いた瞬間、タロウは思い出した……確かにそうだと、自分はそれをよく知っているではないかと思いだしたのだ。

 

「再生エレキング」に立ち向かった子供たち、「改造べムスター」に挑んで行った青年など……いずれも協力して戦った人間達である。

 

『そうだ、みんなで力を合わせることができれば……どんな敵にも勝つことができる!! どんな状況でも、不可能を可能にする……それが、ウルトラマンなのだから!!』

「そう! そして世界中の人々が……私達に力を貸してくれる!! 世界中の人々の『歌』と……『光』が!!」

 

すると……ルギエルにとっては信じられない光景が目に映った……、ルギエルによって眠らされていた筈の響が、翼が、クリスが、切歌が、調が、零無がなんと立ち上がったのだ。

 

『バカな!? なぜ、なぜ目覚めることができる!? 確かに貴様等の命、時間を止めた筈なのに!?』

「はん、分かんねえのかデカブツ!! 人間を舐めんなっつーことだよバーカ!!」

 

クリスはルギエルを指差してそう言い放つが、響達は全員は完全にルギエルの力から抜け切った訳ではなく、全員フラフラとしている状態だった……しかし、それでも響達と切歌に抱えられた零無はマリアとタロウの元へと駆けつけた。

 

「はは、少し辛いデスね」

「うん、流石にこの状態であいつ等を相手にするのは辛いかも……」

 

響達にも言えることだが、切歌や調は明らかに顔色が悪く、ルギエルとネフィリムを交互に見るが……。

 

「だけど、歌がある!! そして光がある!!」

 

その言葉に切歌と調、響達は頷き、マリアは月の方を見上げる。

 

「もう迷わない。 マムが月の落下を阻止してくれている」

 

するとそこにウェルの指示を受けたネフィリムが巨大な火球を響達に向けて発射し、響達は爆発に巻き込まれたが……煙の中からマリアの「歌」が聞こえ、煙が振り払われるとそこには英語の文字が書かれている光の球体の中にいる響、マリア、翼、クリス、切歌、調がいた。

 

「もう1度、俺に力を貸してくれ!!」

『ウルトライブ! ウルトラマンゼロ!! アーリースタイル!!』

 

零無は再びライトスパークを使って「ウルトラマンゼロ・アーリースタイル」へと変身し、そして響達は「歌」……「始まりの歌(バベル)」を歌い始める。

 

(調がいる、切歌がいる、零無がいる、マムも、セレナもついてる。 みんながいるから、これくらいの奇跡!! 安いもの!!!!)

『なにをする気か知らんが、させるかぁ!!』

 

ルギエルが響達に手を出そうとした右手を伸ばした瞬間、右手に持つ「ゼロツインソード」と左手に赤い爪が伸びた「べリアルクロー」でゼロがルギエルの右手を斬りつけ、ルギエルは手を引っ込める。

 

『行くぞ!!』

『ウルトライブ! ウルトラマン!』

 

零無は「初代ウルトラマン」のスパークドールズを使ってウルトラマンへとライブし、ウルトラマンは両腕を十字に組んで放つ「スぺシウム光線」をルギエルに向けて放ち、ルギエルの腹部に直撃させるが大したダメージはなく、ルギエルは足を振り上げてウルトラマンを蹴り飛ばす。

 

『ヘア!?』

『ウルトライブ! ウルトラセブン!』

 

今度は「ウルトラセブン」へと変身し、セブンは頭部のブーメラン「アイスラッガー」を手に持ってそれをルギエルに向かって投げつけるがルギエルは向かってきたアイスラッガーをはたき落とし、空中に飛んでいるセブンを鷲掴みにしようとするが……。

 

『デュア!!』

 

セブンは両腕をL時に組んで放つ「ワイドショット」でルギエルの手を撃ち、ルギエルの手を弾く。

 

『くっ、たかがその程度でえええええええ!!!!』

 

一方でネフィリムは火球を響達に向かって放つが……響が前に出て腕のユニットを1つに合体させる。

 

「セット!! ハーモニクス!! S2CA!! フォニックゲインを力に変えて!!!!」

 

そして響はその拳でネフィリムの火球を殴って消し去る。

 

「惹かれあう音色に、理由なんていらない」

 

翼はそう言いながら調に手を差し伸べ、調は少し戸惑いつつも彼女の「手」を握り締める。

 

「あたしも、つける薬がないな」

「それはお互いさまデスよ!!」

 

クリスは苦笑しながらそんなことを言い、クリスの言葉に対して切歌はそう返してこの2人もまた「手」を握り締める。

 

「調ちゃん! 切歌ちゃん!」

 

最後に真ん中にいる響が調と切歌の手を「両手」で握りしめる。

 

「あなたの言ってること、偽善でないと信じたい。 だから私に見せて、あなたの言う『人助け』、私達に」

「……うん」

 

調の言葉に力強く、けれども静かに頷く響、互いに笑みを見た後、再び歌を2人は歌い始める。

 

(……繋いだ手だけが紡ぐもの……)

「絶唱六人分、たかだか六人ポッチでしっかり背くきか!!!?」

 

ウェルはそう叫びながらネフィリムを操り、ネフィリムは火球を6人のシンフォギア奏者達に撃ち込み、球体によって一応受け止められたが……徐々に耐えきれなくなり、そのためか響、翼、クリス、切歌、調のシンフォギアが破壊されて行く。

 

(コウマ……聞こえるか? いつまで寝てんだテメーは!! こっちはみんな、必死なんだよ。 あたし達の『歌』が、お前に聞こえてんなら……しっかりと起きてその耳かっぽじってちゃんとよく聞きやがれ!! あたし達の『歌』という名の『光』を!!!!)

 

クリスが未だに倒れて全く動かないギンガを、コウマを見つめてそんな考えをしていると……そのクリスの言葉が届いたのか、ギンガの中にいる気を失っていたコウマが目を覚ました。

 

『歌が、聞こえる……。 クリス……みんな……。 みんな、戦ってるのか……』

 

だが、響達は負けはしない、世界中の人々……未来や、創世、詩織、弓美を始めとした「歌」と「光」が彼女達に力を与え続けている……そしてその人々の「光」は……新たなる「奇跡」を呼んだのだ。

 

「6人じゃない……私が束ねるこの歌は!! 70億の!! 絶唱だああああああああああああああ!!!!!!!」

『そしてこれが『俺たち』の……!! 光だあああああああああああ!!!!!!』

 

響とゼロがそう叫びと……響達の身体から光が溢れだしてそれが柱となり、マリアはセレナが纏っていた白銀のシンフォギアを纏い、一同は新たな「エクスドライブモード」へとパワーアップしたシンフォギアを纏ったのだ。

 

「響き合うみんなの歌声がくれた!! シンフォギアだあああああああああああ!!!!!!」

 

響がそう叫び、6人が光の柱となってネフィリムへと真っ直ぐ突っ込むとネフィリムは身体を貫かれて爆発を起こした。

 

だが、それだけでは終わらない……響達の戦いを見ていた人々達の手には「ギンガライトスパーク」が現れ、コウマが持っているスパークドールズが収納されているSDケースと、零無の持っているセブンとウルトラマン、そして今まで行方不明だった「ウルトラマン」達のスパークドールズが光となって上空へと1つに集まった。

 

『ルギエル!! 見たか!! これが人間が自ら起こした力、人間が自ら起こした『ウルトラの奇跡』なのだ!! お前がなにをしようが、人間は何度でも立ち上がる!! 何度でも!! ウルトラマンが人間を救うのではない!! 人間と力を合わせ、戦ってきたのだ!!』

 

ルギエルに向かって力強くそう言い放つタロウ。

 

『バカな、ありえはしない、こんなこと絶対にあってはならんのだぁ!!』

『掛け替えのない友たちよ!! 戦おう!! 『私たち』と共に!!』

 

そして……タロウを含めるスパークドールズの足もとにギンガライトスパークが幾つも現れ、何度も何度もその先端がSDの足部に押し当てられて行く。

 

『ウルトライブ!!!!!』

 

辺り一帯が光へと包まれ、その光が晴れるとそこには……。

 

『シュア!!!!!!!』

 

ゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、ジャック、エース、タロウ、レオ、アストラ、80、ユリアン、ウルトラの父、ウルトラの母、スコット、ベス、チャック、ジョーニアス、パワード、グレート、ゼアス、ナイス、ティガ・マルチタイプ、ダイナ・フラッシュタイプ、ガイアV2、アグルV2、コスモス・エクリプスモード、ジャスティス・スタンダードモード、ネオス、セブン21、マックス、ゼノン、メビウス、ヒカリ、ソウル、セラフィム、全てのウルトラマンがそこに揃った。

 

『な、なんだとぉ!!?』

 

ルギエルが驚きを隠せないでいるが、それでもまだルギエルには余裕があった、全ウルトラマンが揃ったと言っても肝心のギンガは未だに倒れたまま、さらにどのウルトラマンも30メートルほどしかないため高さ的な余裕があった。

 

しかし、ウルトラマン達にはそんなこと知ったことではなかった。

 

『皆、行くぞ!! ルギエル!!』

 

父の掛け声にウルトラマン達は頷き、それぞれのウルトラマン達が構えを取る。

 

『小賢しい!! ならば我も!』

 

ルギエルが左手をかざすと2つのスパークドールズが現れ、ルギエルはダークスパークを掲げてその2体のSDをライブさせる。

 

『ダークライブ! カミーラ! ガタノゾーア! 合体!! デモンゾーア!!』

 

すると空中に大量の闇が一か所へと集まり、それが超巨大な怪物……「闇黒魔超獣 デモンゾーア」が出現し、デモンゾーアの額の上には女性型の闇の巨人「愛憎戦士 カミーラ」の上半身が現れていた。

 

デモンゾーアは氷の槍を放つ「デモンジャバー」をウルトラマン達へと放つが父が腕をL字に組んで放つ「ファザーショット」で対抗し、2つの技が激突し合うがデモンゾーアの攻撃の威力の方が僅かに上であり、父の光線を打ち消し、デモンジャバーは真っ直ぐ父に向かって行く。

 

だが、それをティガ、ダイナ、ガイア、メビウス、ウルトラマン、セブン、ジャック、エースが力を合わせて作り出す超強力バリヤー「ウルトラグランドウォール」で防ぎ、それらを全てデモンゾーアに跳ね返すがデモンゾーアは無数の触手でそれをはたき落とす。

 

『踏みつぶしてくれるわぁ!!』

 

ルギエルは足を振り上げてスコット、チャック、ベスを踏みつぶそうとするが……3人はルギエルの足を両手で受け止め、そこにジョーニアスが二本指を突き出した両手を扇状に左右広げたアクションの後、両腕をL字型に組んで放つ必殺光線「プラニウム光線」をルギエルの足に撃ち込み、ルギエルの頭上に向かってゼアスが回転しながら急降下し、エネルギーを集中させて発光させた足でかかと落としを決める「ウルトラかかと落とし」をルギエルの頭上へと叩き込む。

 

『ゼアッ!!』

 

ゼアスの攻撃に怯んだところでジョーニアスから受けたダメージもあり、ルギエルの足に込めていた力が弱くなった瞬間にスコット、チャック、ベスは大きく持ち上げてルギエルを押し返す。

 

そのまま3人は両手を十字に組んで放つ必殺光線「グラニウム光線」を同時に放つ「ウルトラクロスビーム」をルギエルの胸部へと撃ち込み、ルギエルは火花を散らして後ずさる。

 

『ジャック兄さん!! メビウス!! ゼロ!! 行くぞ!!』

『うむ!!』

『はい、レオ兄さん!!』

『お、おう!!』

 

続いてレオ、ジャック、メビウス・バーニングブレイブ、ゼロ・アーリースタイルが一斉に跳びあがり、デモンゾーアに向かって「レオキック」「流星キック」「バーニングメビウスピンキック」「ウルトラゼロキック」がデモンゾーアへと放たれ、デモンゾーアは触手を伸ばして4人の攻撃を防ごうとするが触手は4人のキックに全て弾かれてしまい、デモンゾーアの額にいるカミーラに直撃し、カミーラは悲鳴をあげる。

 

デモンゾーアはデモンジャバーを凝縮して撃つ「ジャブラッシュ」をウルトラマン達に放つが、ウルトラマン達は飛行してそれらを避ける……しかし、ゼアスとナイスが僅かに攻撃が当たり、それでも2人はかなりのダメージを受けてしまって2人はその場に倒れこんでしまう。

 

そこにウルトラの母が駆けつけてマザーブルーのエネルギーを右腕に移して発射する瞬間治療光線「マザー光線」でナイスとゼアスの傷を治す。

 

『よくもやってくれたな!! 今度はこっちの番だ!!』

 

ナイスは大きくジャンプして、急降下しながら放つキック「ミレニアムキック」をデモンゾーアに炸裂しようとするがナイスは触手に拘束されてしまい、ガイアとアグルがアグルブレードとアグルセイバーを出して触手を切り裂いてナイスを助け出そうとするが隙を突かれてガイアとアグルもデモンゾーアの触手に捕まってしまう。

 

『しまった!?』

 

そこにウルトラの父が飛行して現れ、腰のウルトラバックルに隠された鉄アレイ形の道具「ウルトラアレイ」を取り出し、特殊な閃光を出してデモンゾーアを怯ませ、その隙にメビウスとヒカリがメビュームブレードとナイトビームブレードで触手を切り裂かれ、ナイス、ガイア、アグルは解放される。

 

『行くぞ、ガイア!!』

『おう、アグル!!』

 

ガイアの右掌とアグルの左掌を合わせることで2人の精神を統一し、2人が空いている方の手から同時に放つ光線「タッチアンドショット」をデモンゾーアに喰らわせ、ナイスもまた両腕をクロスさせ、首を傾げると発射される必殺光線「ベリーナイス光線」を放ち、直撃させる。

 

そこにデモンゾーアはまたジャブラッシュをガイア、アグル、ナイス、メビウス、ヒカリ、ウルトラの父に放ってくるが右手を前方に伸ばして発射する「M87光線」を放ち、ジャブラッシュを相殺する。

 

アストラが膝を突き、両腕を上に伸ばし、その両手に背後に立ったレオが両手を添えることで放つ「ウルトラダブルフラッシャー」を放ってそれをデモンゾーアへと喰らわせる。

 

『グアアアアアアアアアアアアア!!!!!!』

 

怒りの咆哮をあげるデモンゾーアは触手を伸ばしてウルトラマン達に攻撃を仕掛けるが……飛んできたセブンのアイスラッガー、セブン21のヴェルザード、マックスのマクシウムソードがデモンゾーアの触手を切り裂き、ジャックのウルトラランスがデモンゾーアに向かって投げられるがデモンゾーアはウルトラランスを触手ではたき落とす。

 

一方でルギエルは胸部から火球を放つがミラクルタイプになったダイナが右手の手先から放つ念力光線「ウルトラサイキック」でルギエルの火球を受け止め、ダイナは火球をルギエルへと跳ね返し、ルギエルは自身の火球を受ける。

 

『ぐおおお!!? ええい、まずは貴様から人形に戻してくれるわ!!』

 

ルギエルがダークスパークから相手を人形にする光線を放とうとするがダークスパークを持つ右手にウルトラマンの放った「八つ裂き光輪」と頭部と両手先、エースの放った4つのナイフ「マルチ・ギロチン」がルギエルの右手を斬りつけ、ルギエルの攻撃を妨害する。

 

『ぐっ、貴様等ぁ!!』

 

ルギエルがウルトラマンとエースに拳を振り降ろそうとするが80とユリアンが空中でボディを重ね合わせ、回転して体当たりする技「ダブルパワー」とコスモスがジャスティスの両手を掴んで振り回し、敵目掛けて投げつ、投げられたジャスティスはそのまま回転しながら敵の周囲を飛び回って連続で体当たりする「コンビネイト・アタック」を繰り出し、それがルギエルの胸部にすれ違いざまに攻撃が当たり、ルギエルは胸部を抑える。

 

『ぐうう!!?』

 

パワードは掌から放つ白色破壊光弾「エナジーナックル」を、グレートは空間の一点にエネルギーを集中させてエネルギーを生み出し、高熱火球ウルトラストゥリングを発生させて敵にぶつける「バーニングプラズマ」をルギエルへと放ち、それがルギエルの顔に直撃。

 

ルギエルは鬱陶しそうにダークスパークから相手を人形にする光線を放とうとするが……。

 

『シュア!!』

 

右腕に爪型の武器「ソウルクロー」を出現させたソウルがルギエルの右手を斬りつけ、さらにコスモスの大型の三日月型破壊光刃を放ち、邪悪なエネルギーを破壊する「エクリプスブレード」が放たれ、ルギエルの動きが一瞬鈍る。

 

『ぐっ……こんなものぉ!!』

 

しかしコスモスのエクリプスブレードの影響をすぐに打ち破るがその直後にゼノンのゼノニウムカノン、セラフィムのイーヴィルショット、ネオスのネオ・マグニウム光線、ネクサスのクロスレイ・シュトロームといった必殺光線がルギエルへと直撃し、ルギエルはそれに後ずさってしまうが……すぐにルギエルは右手を振るって光線をかき消す。

 

ティガ、ダイナは必殺光線である「ゼぺリオン光線」と「ソルジェント光線」を合体させて放つ「TDスペシャル」を放ち、それがデモンゾーアに直撃したが、デモンゾーアは触手を振るって2人の光線をかき消す。

 

『ルギエル!! 私と勝負だ!!』

 

開いた右手を高く上げると同時に左手を腰にあて、そこから左手を上げて右手に重ねスパークを起こし、両手を腰に添え大気中の宇宙エネルギーを貯めてから、両腕をT字型にして発射する「ストリウム光線」をルギエルに向かって放つ。

 

『ストリウム光線!!』

『良いだろう!! また人形にしてくれる!!』

 

ルギエルの光線、タロウのストリウム光線が激突したが……すぐにタロウの光線がルギエルの光線に押し返されて行く。

 

だが、それでもタロウは粘り、どうにか途中でタロウの光線は踏みとどまる。

 

しかし、ルギエルはさらに自分の光線を威力を高め、ダークスパークから大量の闇が溢れ出し、その闇がウルトラマン達へと襲いかかるとウルトラマン達のカラータイマーは一気に激しく点滅し出す。

 

『ぐうう!!? これではまた人形に変えられてしまう……!』

『だが、例えまた私達が人形に変えられても、まだ希望はある!!』

 

ゾフィーの言葉にウルトラマンがそう答え、ゾフィーとウルトラマンは響達とギンガ、ゼロを見つめる。

 

『負けぬ!! 私は今、やっと理解した!! ギンガ、君は未来からきた……ウルトラマンなのだな!? だからコウマを選んだ!! 君はどんな時でも決して諦めようとはせず、ただ真っ直ぐ前に向かい、心を閉ざしている者の心を開く力を持っている!! 絶望も希望に変える力を持っている!!』

 

すると……ギンガの周りにゼロ以外の全てのウルトラマン達が集まり、ウルトラマン達はタロウの言葉に同意するように頷いた。

 

『これを……受け取れええええええええええ!!!!!!』

 

タロウはバリアを張ってルギエルの攻撃を防ぎつつ、他のウルトラマン達と共に右手をギンガへとかざし、そこから眩い光が放たれる。

 

『ゼロ……いや、零無と言うべきか』

『アンタは……』

 

そしてゼロの前にセブンが現れ、セブンは「君にも、私達の力を……」そう言ってセブンと他のウルトラマン達はゼロにも自分達の光を分け与える。

 

『零無、夢のためにも、負けるな……』

『コウマ!! 未来を、掴め!!』

 

セブンとタロウがそれだけを言い残し、ルギエルの光線はタロウのバリアを砕き、光線がタロウに直撃し……さらに大量の闇が溢れ出してゼロとギンガ以外の他のウルトラマン達も人形へと戻されてしまった。

 

『っ、タロウううううううううう!!!!!! みんなああああああああああ!!!!!』

「タロウさん……」

 

空中からウルトラマン達の戦いを見つめていた響達、あれだけのウルトラマンがいたというのに……やられてしまった、その光景に、響達は信じられないといった表情を浮かべていた。

 

また、少し前の時間では炉心部でウェルはネフィリムがやられた事実が信じられず、「なん……だと?」と愕然とし、膝を突いていた。

 

「だが僕にはまだルギエルが……!!」

「ウェル博士!! お前の手に世界は大き過ぎたようだな!!」

 

そんな時、まだルギエルの影響を受けていなかった緒川と弦十郎が駆けつけ、それを見たウェルはコントロールパネルに手を触れようとしたが緒川が銃から銃弾をウェルの左腕の影に撃ち込み、動きを封じる「影縫い」を繰り出し、ウェルは左腕の動きを完全に止められた。

 

「なあ!?」

「あなたの好きにはさせません!!」

「ぐう、奇跡が一生懸命の報酬なら僕にこそ!!!!!」

 

ウェルはそう叫んで腕から血を噴き出させながら左腕を無理やり動かし、コントロールパネルに手を置くとネフィリムの心臓が突然眩い光を放つ。

 

「っ、なにをした!?」

「ただ一言、ネフィリムの心臓を切り離せと命じただけ!! こちらの制御を離れたネフィリムの心臓はフロンティアの船体を食らい、糧として暴走を開始する、そこから放たれるエネルギーは1兆度だぁ!!!! うふははははは!!!! 僕が英雄に成れない世界なんて蒸発してしまえば……」

 

だがそこに弦十郎が拳一振りでコントロールパネルを破壊した、だが……破壊したからと言ってどうにかなる状況でもなかった。

 

それでも少なくとも先ほどの衝撃でウェルが持っていたダークスパークはウェルの手から離れてしまい、ダウェルから溢れ出ていた闇は消えさり、ルギエルに力を与えることはなくなった。

 

弦十郎と緒川はウェルを拘束した後、フロンティアが暴走を始めることを翼達に伝え、ジープで弦十郎達は急いで戦艦へと戻った。

 

「確保だなんて悠長なことを。 僕を殺せば簡単なこと……」

 

そんな時、3人の乗るジープに向かって巨大な岩が降り注いできたがそれを弦十郎は拳1つで粉々に粉砕する。

 

「殺しはしない。 お前を世界を滅ぼした悪魔にも、理想に殉じた英雄にもさせやしない。 何処にでもいるただの人間として裁いてやる!!」

「……畜生ううううう!!!! 殺してくれぇ!! 僕を英雄にしてくれ!! 英雄にしてくれよおおおおおお!!!!!」 

 

嘆くように叫ぶウェルだが……その願いは決して叶えられることはなかった。

 

 

そしてウェルが捕まったことを感じ取ったのか、ルギエルは「んっ?」と首を傾げて闇が溢れ出なくなった自分のダークスパークを見つめる。

 

『しくじりおったか。 まあいい、我は完全に復活した!! もう奴には用はない!! ふははははは!!!! 我は勝った!! 勝ったのだ!! このまま全ての命、全ての時間を止めてくれる!!』

 

ルギエルはダークスパークを掲げるとそこに「Uキラーザウウルス・ネオ」「クイーンモネラ」「キングオブモンス」「ザ・ワン」「ハイパーゼットン」「ギガキマイラ」のスパークドールズを召喚し、デモンゾーア諸共それらの怪獣のSDを全て自分の身体の中へと取り込む。

 

『もう誰も我の邪魔はさせぬ!! うはははははは!!!!!』

『ダークライブ! ギャラクシー・オブ・ルギエル!!』

 

ルギエルはその身に宇宙のオーロラを宿した最強の姿……「ギャラクシー・オブ・ルギエル」へと変わり、ルギエルはすぐさま蒸発するフロンティアから空中を飛んで離れる。

 

また、二課の戦艦も弦十郎達を乗せて無事にフロンティアから脱出していた。

 

そして……フロンティアはネフィリムの心臓を中心に変形し、先ほどよりも超巨大な……赤いネフィリムへと変化し、ネフィリムはルギエルの姿を見るとネフィリムはルギエルへと襲いかかる。

 

『我に襲いかかるか? 身の程を弁えるがいい!!』

 

しかし、ルギエルはダークスパークから闇の光線を放ち、ネフィリムに直撃させるとネフィリムはルギエルに洗脳され、ルギエルは「そこの小娘共の相手をしていろ」と命令し、ネフィリムは標的を響達に変更する。

 

『んっ? そう言えば……ギンガとゼロの姿もないな……。 フロンティアの蒸発で溶けて完全に死んだか? ふははははは!!!!』

 

ルギエルがそんなことを言いながら笑っていたその時、ルギエルの顔面に2つの拳が直撃し、ルギエルは大きく吹き飛ばされる。

 

『ぐお!!? なに!? 貴様等……!』

 

そこには……ルギエルと同じくらいの大きさへと超巨大化した「ウルトラマンギンガ」と「ウルトラマンゼロ」がおり、ギンガとゼロはそれぞれ構えを取る。

 

『笑ってんじゃねえよ……』

『お前なんかに俺たちの未来……!!』

『『奪わせてたまるかああああああああああああああ!!!!!!』

 

するとギンガとゼロの身体から眩い光が溢れ出し……ギンガは宇宙のオーロラを纏った「ギャラクシー・オブ・ギンガ」に、ゼロは金色の輝く姿となった「シャイニングウルトラマンゼロ」へと変わり、ギンガはギンガスパークを取り出してそれを槍へと変えた「ギンガスパークランス」を手に持ち、ルギエルもまたダークスパークを槍に変化させる。

 

ギンガとルギエルが最初に互いの槍を激突させ、そこにゼロが右足に炎を宿した跳び蹴り「シャイニングゼロキック」をルギエルへと繰り出すがルギエルは左手を槍から離してゼロの足を掴み、月へと向かって放り投げる。

 

『ぐわああああ!!!?』

 

ルギエルはギンガから離れてテレポート能力を使い、ギンガの周りを次々移動しながら胸部の火球をギンガへと放つがギンガもテレポート能力を使いってそれらを避け、念力光線「ウルトラサイキック」でルギエルをどうにか捕らえるがルギエルは無理やりそれを打ち破り、高速で接近してギンガに向かって振りかざすがギンガはスパークランスで攻撃を受け止め、2人は槍をぶつけ合わせながら月へと降り立つ。

 

『シュア!!』

 

そこにゼロが現れてルギエルに殴りかかるがルギエルは槍でゼロの拳による攻撃を全て受け流し、ルギエルは空中へと飛びあがると背中から「Uキラーザウウルス・ネオ」と「クイーンモネラ」の触手を伸ばしてゼロとギンガに攻撃を仕掛けるがゼロはゼロスラッガー、ギンガはスパークランスで触手を全て弾く。

 

『ならばこれならばどうだ!!?』

 

ルギエルは触手を地面へと埋め込ませ、触手から光線を放ち、光線は地面から飛び出してギンガとゼロに襲いかかるが2人はそれらの攻撃を全て避け、ゼロは額から放つ巨大な光線「シャイニングエメリウムスラッシュ」をルギエルへと放ち、ルギエルはバリアを張り巡らせ攻撃を防ぐ。

 

しかし、その直後に目の前にゼロとギンガがおり、2人の連続蹴りをルギエルは叩き込まれる。

 

『『はああああああ!!!!! たああああああああ!!!!!!』』

 

ゼロとギンガは拳に炎を纏い、その拳を相手に放つ「シャイニングギャラクシーダブルナックル」をルギエルの顔面に叩き込み、ルギエルは地面に叩きつけられる。

 

『ぐおおお!!?』

 

また、ネフィリムと戦う響達は……。

 

調は武装の一部を分離して巨大なオートマタに再構成し、その頭部に騎乗し操作する「終Ω式 ディストピア」を発動し、3枚の刃が付いているアームドギアを振り回し斬りかかる「終虐・Ne破aァ乱怒」を発動してネフィリムに攻撃を繰り出したが……。

 

「きゃあああああ!!!!?」

「うあああああ!!!!?」

 

切歌と調から翠とピンクの光が溢れ出し、その光をネフィリムは吸収し、2人は悲鳴をあげる。

 

「聖遺物どころか、そのエネルギーまでも食らっているのか!?」

「臨界に達したら地上は!?」

「蒸発しちゃう!?」

 

マリア、翼、響がそう言いながらなにか対抗策はないかと考えているとそこにクリスがソロモンを構えてバビロニアの宝物庫をネフィリムの背後にこじ開ける。

 

「バビロニア!! フルオープンだ!!」

「XDの出力でソロモンの杖を機能拡張したのか!?」

 

つまり、クリスはバビロニアの宝物庫を開き、その中にネフィリムを閉じ込めてしまおうと考えていたのだ。

 

「人を殺すだけじゃないって!! やってみろよ、ソロモオオオオオオオオオン!!!!!!」

 

そしてバビロニアの宝物庫を完全に開くことに成功したが、まだその穴は小さく、クリスはさらに穴を巨大化させようとしたが……その時、ネフィリムが腕を振るってクリスを弾き飛ばし、ソロモンのどこかへと飛んで行くがそれをマリアが掴み取る。

 

「明日をおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

マリアはそう叫びながらソロモンを使ってバビロニアの宝物庫の入り口をさらに巨大化させることに成功したが、その時ネフィリムの出した触手に拘束されてしまい、マリアは動きを封じられてしまう。

 

「「マリア!!」」

 

そのままネフィリムはマリアと共にバビロニアの宝物庫へと落ちて行き、マリアは「格納は私が内部よりゲートを閉じる!! ネフィリムは私が!!」と言ってネフィリムと共にバビロニアの宝物庫へと入る覚悟をする。

 

「自分を犠牲にするつもりデスか!?」

「マリアーーーーー!!!!」

「こんな事で私の罪が償えるはずが無い。 だけど、全ての命は私が守ってみせる」

 

マリアはそう覚悟を決めるが……そんな時、マリアの隣に響が駆けつける。

 

「それじゃ、マリアさんの命は私達が守ってみせますね」

 

そして響と同様にマリアの元に切歌、調、翼、クリスが駆けつけ、マリアは「あなた達……」と驚きの声をあげる。

 

「英雄でない私に世界なんて守れやしない。 でも、私達、私達は……一人じゃないんだ」

 

その響の言葉に、マリアは笑みを浮かべる。

 

『そうだ、だから……!!』

『1人じゃないから……!!』

『『俺達も連れていけ!! そしてテメーも入ってろぉ!!!!』

『ぐおおおおおおお!!!!?』

 

そこにギンガとゼロがルギエルを蹴り飛ばし、ルギエルはそのままバビロニアの宝物庫へと入り、ギンガとゼロもそれを追いかけるようにその中へと侵入した。

 

また、一方でその頃、ナスターシャはというと……。

 

「フォニックゲイン照射計測、月遺跡、バラルの呪詛、管制装置の再起動を確認。 月軌道アジャスト開始……」

 

ナスターシャは口から血を吐き出しながら月の落下を食い止めるための装置を起動させ、彼女はそこから映る地球を見つめる。

 

「星が……音楽となって……」

 

ナスターシャはそのままその場へと倒れこんでしまった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バビロニアの宝物庫の中では……その中にいたノイズ達と響達が戦いを繰り広げており、響達と離れた場所ではルギエルとギンガ、ゼロが戦いを繰り広げていた。

 

「いっけえええええええええ!!!!!」

 

響は右腕に槍の装備を装着してノイズ達を一気に貫き、翼はアームドギアでノイズ達を切り裂き、クリスはビームやミサイルでノイズ達を撃破、切歌もアームドギアで襲いかかるノイズ達を切り裂きながらマリアを守っていた。

 

「調!! まだデスか!?」

「もう少し……でぇ!!」

 

調はディストピアの両腕の鋸でマリアを拘束しているネフィリムの触手を切り裂き、その際にディストピアは破壊される。

 

「マリア!」

「くっ、一振りの杖ではこれだけのノイズは制御は追いつかない!」

 

そこで響が「マリアさんは、その杖で宝物庫をもう一度開く事に集中してください!!」と叫び、それに対してマリアは「なに?」と首を傾げる。

 

「外から開くなら中から開ける事だって出来るはずだ!!」

「鍵なんだよ、そいつは!!」

 

翼とクリスにそう言われ、マリアは強く頷くとソロモンを構えてもう1度バビロニアの宝物庫の扉をこじ開ける。

 

「セレナああああああああああああ!!!!!!」

 

バビロニアの宝物庫をこじ開けることに成功したマリア、一同は急いでその出口に向かっていくが……ネフィリムとルギエルがそれを遮る。

 

『させるかああああああああああ!!!!!! よくもこの我をコケにしてくれたな貴様等ぁ!!!!!!』

「チッ、迂回路はなさそうだ」

「ならば、行く道はひとつ!!」

「手を繋ごう!!!!」

 

6人はそれぞれの手をつなぎ合わせ、響達の後ろにギンガとゼロが立ち、響達はギンガとゼロの方へと振り返る。

 

『力を……1つに合わせるぞ、みんな!!』

『おう!!!!!』

 

全員がギンガの言葉にそう返事を返し、ゼロが巨大な光の球体へと変わるとその光は響達を包み込み、響達を包み込んだ光はギンガのカラータイマーの中へと入って行く。

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

『ルギエル!! 見せてやる!! これが、俺の……俺たちの……!!』

『『『『『『『『光だああああああああああああ!!!!!!』』』』』』』』

 

コウマ、零無、響、翼、クリス、マリア、切歌、調がそう叫ぶとギンガの身体から眩い光が放たれ……ギンガは光のオーロラを纏った「シャイニング・オブ・ギンガ」へと変わった。

 

『喰らえええええええええ!!!!!』

 

ギンガの両腕にガングニールに酷似した腕部ユニットが装着されると腕部ユニットのブースターでギンガは加速してでルギエルに接近し、ルギエルはネフィリムにギンガを出さないようにしっかりと出口を塞いでいろと命令し、ルギエルはギンガへと向かって行く。

 

『シャオラァー!!!!!!』

 

ギンガとルギエルの拳が激突し合おうが……ルギエルの拳は弾かれ、ギンガの両手に翼と切歌の剣と鎌のアームドギアが現れる。

 

『切り裂くデス!』

『防人の生きざま、見せてあげるわ!!』

 

剣のアームドギアを超巨大化させ、巨大な青いエネルギー刃を放つ「蒼ノ一閃 滅破」をルギエルへと喰らわせ、ルギエルはその攻撃に怯むがダークスパークを再び槍に変えてギンガへと斬りかかるがギンガは鎌と剣のアームドギアを交差させてルギエルの槍を受け止める。

 

『タアアアア!!!!!』

 

ギンガはルギエルの腹部を蹴りつけ、3枚の刃が付いているアームドギアを振り回し斬りかかる「終虐・Ne破aァ乱怒」を使い、何度もルギエルに斬りかかるがルギエルはどうにか槍でそれらの攻撃を受け流す。

 

『小賢しい!!』

 

ルギエルは背中からUキラーザウルス・ネオの触手を出して光線を放つがギンガはアームドギアを消して両腕に鋸のアームドギアを装着し、それをフル回転させてルギエルの光線をかき消す。

 

『なんだとぉ!?』

『V……』

 

ギンガの中にいる調はどことなく嬉しそうにVサインし、ギンガはアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」をルギエルへと放つがルギエルは槍を横回転に廻して鋸を全て弾く。

 

『ならばこれなら!!』

 

ルギエルはテレポート能力を使ってギンガの周りをあちこち移動するがギンガは全身のクリスタルから赤いレーザーを放ち、ルギエルと周りにいたノイズ達諸共レーザーを直撃させる。

 

『せこいんだよ、やることが!!』

 

ギンガはスナイパーライフル型のアームドギアを構え、スコープで標的を捕捉し狙撃を行う「RED HOT BLAZE」で銃弾を放ち、銃弾はルギエルの持つ槍へと直撃し、槍はルギエルの手から離れて吹き飛んでしまう。

 

『しまった!?』

『ショウラ!!』

 

さらにギンガがルギエルに向かって右足に炎を宿して繰り出す跳び蹴り「ウルトラゼロキック」を叩き込み、ギンガはテレポートでルギエルの背後に回り込むと「ゼロツインソード」を手に持ってルギエルを斬りつける。

 

『ぐう!!? 我が、この我がああああああああ!!!!』

 

ルギエルは胸部から火球を放つが、ギンガは両腕のクリスタルから極太の破壊ビームを放射する「流星」と高出力のエネルギー砲撃を放つ「HORIZON † SPEAR」を放って相殺し、さらにギンガの周りに槍のアームドギアが複数現れ、それらを全て相手に放つ「STARDUST∞FOTON」を放ち、ルギエルにダメージを与える。

 

『ぐわあああああああ!!!!!?』

 

そしてギンガは一気にルギエルへと接近してルギエルの胸部に拳を何度も叩き込み、さらに連続蹴りをルギエルの横腹にギンガは何度も喰らわせる。

 

『ぐっ!! 負けぬ!! すべての命、すべての時間を止めるまで!! すべて、すべて止めてやるううううううう!!!!!』

『止まるのは、お前のその歪んだ野望だ!! これで決めてやる!!』

『ふん、いいだろう!!』

 

ギンガは全身から虹色の光線を放つ究極技「ギンガエスぺシャリー」をルギエルへと向かって放ち、ルギエルもそれに酷似した光線をギンガと同時に放つ。

 

『ギンガエスぺシャリー!!!!!!』

 

ギンガとルギエルの光線がぶつかり合うなか、ギンガの中でマリアは胸部から1つの剣を取り出し、再び響達と手を握りしめる。

 

『この手、簡単には離さない!!』

 

また、切歌は隣に立っていた零無を、クリスは隣に立っていたコウマの手を握り締める。

 

『ほら、零無も手を握るデスよ!』

『っ……。 はは、そうだな、切歌……』

 

切歌にそう言われて思わず笑みを浮かべる零無は切歌の手を強く握りしめる。

 

『絶対に離さないからな、この手』

『俺もだ、クリス……!』

 

クリスの言葉にコウマはそう返し、彼もまたクリスの手を強く握りしめた。

 

『『最速で! 最短で!! 真っ直ぐに!!!!!!』』

 

響とマリアのシンフォギアの装備が外れてそれらが合体し、右手と左手を握り締めた巨大な「手」が完成する。

 

そしてギンガの放つギンガエスぺシャリーとルギエルの放つ光線はどちらも相殺されて爆発を起こすが……ギンガの右手に響達の作り出した「手」が装着され、ギンガは爆発で起きた煙の中から飛び出してその拳を真っ直ぐルギエルへと放つ「Vitalization Ginga」を繰り出す。

 

『『一直線にいいいいいいいいいいいいい!!!!!!』』

『なに!!?』

 

ルギエルはギンガと……コウマ達が放ったVitalization Gingaを喰らい、それをどうにか受け止めるが……やがてルギエルは身体中から火花を散らし……その身体を貫かれた。

 

『『『『『『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!』』』』』』』

『ば、バカな……なぜだああああああああああああああ!!!!!!!?』

 

身体中から大量の火花を出しながらルギエルは大爆発を起こし、ギンガはそのまま出口を塞いでいるネフィリムの身体を貫き、ギンガは外の世界へと戻ってくるが……その勢いは止まらず地面に強く激突してしまう。

 

そのままギンガの活動時間の限界が来たのか、ライブが強制的に解除されてしまい、響達、コウマ達はその場にボロボロの状態で膝を突いていた。

 

しかもソロモンの杖は遠く離れた場所に突き刺さり、マリアはどうにか杖を取ろうとするが中々身体が上手く動かなかった。

 

「杖が……すぐにソロモンの杖でゲートを閉じなくては、まもなくネフィリムの爆発が……」

 

だがやはりマリアを含め、全員動ける状態ではなかった。

 

「まだだ……」

「心強い仲間は、他にも……!!」

「仲間?」

 

そこで響は立ち上がり、こちらに向かって走ってくる自分の「親友」を見つめる。

 

「私の……親友だよ」

 

それは勿論、響の親友である「小日向 未来」だった。

 

(ギアだけが戦う力じゃないって響が教えてくれた……!)

 

そして未来はソロモンの杖を掴み取る。

 

「私だって、戦うんだ!! お願い!! 閉じてえええええええええ!!!!!!」

 

未来はソロモンの杖をバビロニアの宝物庫へと強く放り投げる。

 

「もう響が、誰もが闘わなくてもいいような……世界にいいいいいいいいいい!!!!」

 

その未来の想いが届いたのか、ソロモンの杖はバビロニアの中へと入り、バビロニアの扉は完全に閉じ、ネフィリムはその中で爆発を起こした。

 




ルギエルは原作とは少し違う能力がある感じです。
ちなみにコウマと零無にも手をつながせるため、クリスちゃんは端っこにしました。
それにしても未来はムラマツキャップ並みの強肩でしたよねw
ちなみにセラフィムはイーヴィルティガがもしもウルトラマンとして蘇ったらという感じのウルトラマンです。


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Final Eve また会おう

その後、月は正常な位置へと戻っていくことが確認された、だが、ナスターシャとの連絡は完全に途絶えたままであり、マリア、切歌、調、零無の4人は月を見上げていた。

 

「マムが未来を繋いでくれた。 ありがとう、お母さん……」

 

マリアは静かに笑みを浮かべてそうお礼を述べ、そんな時、響が「マリアさん」と彼女の名を呼び、マリアが振り返るとそこには待機状態のガングニールをマリアに返そうとする響がいた。

 

「……ガングニールは君にこそ相応しい」

 

だが、マリアはそう言ってガングニールを響に譲ったのだ。

 

「だが、月の遺跡を再起動させてしまった」

 

マリアはそう呟きながら月を見上げる。

 

「バラルの呪詛か」

「人類の相互理解はまた遠のいたって訳か」

 

しかし、響は笑みを浮かべて「平気、へっちゃらです!!」と言って退け、それにマリア達は響の方へと振り返る。

 

「だってこの世界には『歌』があるんだよ!」

 

それを聞いて周りにいたみんなも自然と笑みを浮かべる。

 

「そうだな、取りあえず難しい話は後回しってことで!!」

「単純に話があんまり理解できてないだけだろ、お前」

 

クリスは呆れたような目でコウマを見つめ、コウマはそれに対して苦笑する。

 

「歌、デスか」

「いつか人は繋がれる。 だけどそれはどこかの場所でも、いつかの未来でもない。 確かに、伝えたから」

 

調の言葉に、響は静かに頷く。

 

「立花 響、君に出会えてよかった」

 

マリアは笑みを浮かべて響にそう伝え、それに対して響は再び静かに頷く。

 

それからマリア達は日本政府に預けられることになり、弦十郎曰く「今後の事態収拾に協力してほしい」とのこと。

 

「きっとまた、会えますよね? そしたらいっぱいお話しましょうよ! 私たちきっと、ずっと、もっと仲良くなれるはず……」

「なれるの……かな?」

 

マリアはどことなく自信なさそうに言うが、響は「なれますよ!」と笑顔でなぜかクリスの方を見つめる。

 

「だってクリスちゃんだって最初はとんでもなかったんですよ?」

「あー、そう言えばそうだな。 思えば今じゃ恋人だけど、俺たち最初は喧嘩ばっかりしてるような感じで……」

「なっ、おおおおお、お前等こんな時になにを!!?」

 

今じゃ少し恥ずかしい思い出なのか、昔のことを暴露しようとしている響とコウマをクリスは必死に引き止める。

 

「いやー、見せてあげたいねぇ。 知らない人たちにはネフシュタンの鎧を……」

「だあああああああ!!!! ゴートゥヘル!!」

 

クリスはそう怒鳴って響とコウマを殴り飛ばした。

 

「「がふ!?」」

 

それから緒川に呼ばれてマリア、切歌、調は一度二課の戦艦に連れて行かれることになったのだが「マリアさん」と彼女の名を響が呼ぶ。

 

「とまあ、こんな風にですよ、だから!」

「……ありがとう、また、いつか……」

 

また、コウマも零無を呼び止めていた。

 

「零無、お前……自分の夢、見つけられたのか? どこか、なんか吹っ切れたよう感じがしたからさ」

 

そう尋ねられた零無は口ともで笑みを浮かべ、「あぁ」と答えた。

 

「そのきっかけの1つはお前だ。 他の奴にとったら小さな夢かもしれない、だけど、俺にとっては大き

な夢を……また見つけることができた。 ありがとう」

 

切歌を見つめながら、そう伝える零無。

 

「おう、頑張れよ、零無」

 

そして零無達はその場から去ろうとしたが……そんな時、コウマの持つギンガスパークがいきなり飛び出し、ブレード部分が開いてギンガのスパークドールズが現れ、ギンガはコウマのライブなしで実体化する。

 

「えっ、ギンガ……!?」

 

するとギンガの周りに光の球体へと包まれたスパークドールズが浮かぶ。

 

『コウマ、響、どうやら別れの時がきたようだ』

 

そこにコウマと響の前にタロウが現れ、彼はみんなに別れの挨拶をしにきたのだ。

 

「……どうやら、そうらしいな、タロウ」

「私が悩んでるとき、色々とアドバイスしてくれてありがとうございました!』

『あぁ、君達はよくやった。 君達に出会えて、よかった。 さらばだ、みんな』

 

タロウはそれだけを言い残し、空へと飛び立った。

 

また、ジャンスターもクリスに向かって別れの言葉を送っていた。

 

『グッバイ、フレンド』

 

それを聞いたクリスは笑みを浮かべ、ジャンスターを見つめる。

 

「おう、元気でな」

 

さらに、零無の持っていたゼロとべリアルのスパークドールズも、彼に別れの言葉をかけていた。

 

『あばよ。 零無、夢に向かって突き進め』

『フン、二度と俺様を呼ぶんじゃねえぞ。 じゃあな』

「あぁ、さよなら、2人とも……」

 

そしてギンガはコウマを見下ろし、ギンガはコウマへと人差し指を差した。

 

『コウマ、私は宇宙に旅立つが……君はこの星をもっと冒険しろ。 彼女と共に。 それが終わったら、また会おう』

 

コウマは一度クリスを見た後、ギンガに対して「おう!!」と返事を返した。

 

『未来は、変えることができる。 いいようにも、悪いようにも、それを成すのは君たちだ』

 

そのギンガの言葉に一同は頷き、ギンガは「さらばだ」と別れを告げ、他のスパークドールズ達と共に飛び立つ。

 

『ありがとう』

 

ギンガとスパークドールズが宇宙へと旅立つのをコウマ達は見送り、コウマは静かにクリスの手を握り締める。

 

ED「Starlight」

 

「ありがとう、ギンガ」

「グッバイ、フレンド……」

 

また、零無は少し顔を赤くし、戸惑いつつも隣に立っている切歌の手を握りしめ、そのことに切歌は顔を真っ赤にして驚くが、すぐに彼女は手を握り返した。

 

そして他のみんな……響、未来、翼、調も手を繋ぎ、既に手を繋いでいるクリスとコウマ、零無と切歌ととも手を繋ぎ合わせて去っていくギンガを見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、リディアン音楽院にて……。

 

「翼さーん!! クリスちゃーん!!」

 

未来と共に響は翼とクリスに駆け寄ると翼はどこか不満そうな表情を浮かべて「聞いてくれ立花」となにか話しだす。

 

「あれ以来雪音が私のことを先輩と言ってくれないのだ」

「っ……////」

 

翼にそう言われてクリスは顔を赤くし、すると響はにやにやした表情を浮かべる。

 

「なになに~? クリスちゃんってば翼さんのこと『先輩』って呼んでるの?」

「ちょ、ちょっと響ったら!」

 

未来が止めようとするがすでに遅く、クリスは眉をピクピクと動かし、「いい機会だから教えてやる」と言って響の頬を鷲掴みにする。

 

「あたしはお前より年上で、先輩だってことをぉ!!!!」

 

そんな響とクリスに翼と未来は呆れ、2人で響とクリスを止める。

 

「ねえ、響? 身体、なんともない? おかしくない?」

 

未来が心配して響に声をかけるが、響は「心配症だなぁ、未来は」と言いながら未来を抱きしめる。

 

「私を蝕む聖遺物はあの時全部綺麗さっぱり消えたんだって」

「響……」

「でもね、胸のガングニールはなくなったけど、奏さんから託された歌は……絶対に無くしたりしないよ」

 

それを聞いた翼とクリスは笑みを浮かべ、響は空を見上げる。

 

「それに、それは私だけじゃない。 きっとそれは……誰の胸にもある、歌なんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに数日後、もう怪獣が現れたりすることもなくなったため、コウマは海外にいる両親の元に帰らなければいけなくなった。

 

コウマはそのことをクリスに話すとクリスはどうすればいいのか分からないといった顔を浮かべたが……。

 

「クリス、別に来なくてもいいんだぜ? お前には、学校の生活をもっと味わってほしいんだ」

 

コウマは笑みを浮かべてクリスの頭を撫でる。

 

「けど、あたしは……! お前と、一緒に……////」

 

クリスは顔を赤くしつつ、コウマに抱きつくが……コウマはクリスを離し、今度はコウマがクリスを抱きしめて彼女と唇を重ね合わせる。

 

「っ……/////」

「んっ……////」

 

唇を離し、お互いに顔が赤いコウマとクリス。

 

「クリス、お前は残れ。 勿論、お前と約束した『夢』だって絶対に叶えるつもりだ。 けど、お前が今ここに残って学校生活を楽しんでほしい、それが俺の今の『夢』なんだ。 だから、クリスはここに残ってくれ」

「っ……」

 

少し、泣きだしそうな悲しそうな顔を浮かべるクリスだが、コウマは笑みを浮かべてもう1度クリスと口付を交わし、クリスを強く抱きしめる。

 

「ずっと会えなくなる訳じゃない。 いつかまた会える、だから」

「……そう、だな……。 いつかまた……会えるよな……」

 

コウマはクリスの言葉に頷き、コウマはクリスの手を、クリスはコウマの手を強く握りしめた。

 

 




よく考えると一期のギンガの最終回でもヒカル達が「手」を繋いでいるんですよね。

一応これで本編は完結。
ちなみにリサは他のスパークドールズが宇宙へと帰っていく際に自分も役目を終えたということで消え去っています。


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