二人の少年ハンターが異世界から来るそうですよ? (すてぃ~る)
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キルア編
プロローグ



どうも初めまして。

今回が初投稿であり初作品です。

全く文才がありませんが暖かい目でお願いします



 

蟻との戦いでゴンはカイト敵であるピトーを討つため『二度と念能力が使えなくなってもいい』という誓約を立てピトーを圧倒的に倒せるレベルま

 

でに成長し、敵を取ることができたが、その誓約の代償はあまりにも大きく、辛うじて命を保っているのが限界の状態だった。だが親友のキルアの

 

妹、アルカは『どんな願いでも叶えられるが、その後アルカから求められる3つの同等の願いを叶えなければならない(詳しい所は省略)』という

 

能力を持っていたため、その能力を使いゴンを助けることに成功した。

 

そしてゴンは自身の目的であった『ジンに会う』という目的を果たすことができた。

 

一方キルアはアルカをものと扱う家族から守るために二人きりの旅を始めていた。

 

 

 

━そして1か月と少しがたった頃、彼の頭上から一枚の封書が落ちてきた

 

 

「ん?アルカちょっと待って、何か落ちてきた」

 

「何お兄ちゃん?この封筒のこと?誰から??」

 

「さぁ?でもこの封筒俺宛みたいなんだよ、ここに名前書いてあるから」

 

「そうだねー、でもとりあえず開けて見ようよ。気になるし 」

 

「だな、とりあえず開けて見るか」

 

 

『悩み多異才を持つ少年少女に告げる。

 

その才能《ギフト》を試すことを望むのならば、

 

己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

 

我らの”箱庭”に来られたし』

 

 

 

 

「━ってなんだこれ」

 

 

すると手をつないでたキルアとアルカの視界が一瞬にして切り替わった。

 

 

「は?」

 

「わ」

 

「きゃ!」

 

「あ?」

 

「わぁ」

 

 

 

切り替わった視界にはキルア、アルカを含めた五人は上空四000㍍から投げ出されてた

 

 

 

「っておい!この高さから落ちたらただじゃ済まんだ━」

 

 

そしてキルアはアルカを抱えた瞬間、落下地点にあった薄い水膜のようなものを幾重にも通り緩衝材にとなったようで湖にぽちゃんと落ちる程度で済んだ

 

 

「し、信じられないわ!無理矢理引き摺り込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。これなら石の中に呼び出されたほうがまだ親切だ」

 

「いや動けねぇだろ」

 

「俺は問題ない」

 

「そう。身勝手ね」

 

 

そう言い合いしている金髪でいかにもヤンキーという感じの少年と、まさにお嬢様的な少女。

 

 

「此処......どこだろう?」

 

 

そう猫を抱えた無表情な少女が答えた

 

 

「さあな?まぁ世界の果てっぽいのも見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえの?」

 

 

ヤハハ、とふざけて笑う少年

 

 

「まず間違いないだろうが、お前らもあの変な手紙か?」

 

「そうだけど、まず”お前”って呼び方を訂正して。━私には久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱いてる貴女は?」

 

「...春日部耀。以下同文」

 

「そう。よろしく春日部さん。そしてそこの二人の子供たちは?」

 

「俺はキルア=ゾルディック、こっちは妹のアルカだ」

 

「よろしくねー」

 

「そう、よろしくねキルア君、アルカちゃん。最後に野蛮で凶暴そうなそこのあなたは?」

 

「高圧的な自己紹介ありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆巻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろったダメ人間なので、用途と容量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱説明書でもくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「はは、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけお嬢様」

 

 

 

(うわぁ.......なんだか問題児ばっかりみたいですねぇ......)

 

そう向こうで話し合っている中、それを見つめながらそう呟きながら草むらに隠れている黒ウサギであった。

 

 



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第一話 

「にしても案内役がいねぇとはどういうことだ?」

 

「確かに。このまま落ち着いて待つなんてことは無いんじゃないかしら」

 

「...この場合で落ちついていられるのもどうかと思うけど」

 

「それあんたがいうか? ほらアルカ寒くないか?お兄ちゃんの上着着るか?」

 

「ん、大丈夫だよお兄ちゃん♪」

 

 

アルカはキルアにそう返事をしていたがキルアの心中では別の疑問が存在していた。

 

 

(なぜだ?今のアルカには普通の女の子とした雰囲気しか感じられない?...!!)

 

 

「アルカ!今ナニカを出すことは出来るか!?」

 

「え?ちょっと待ってね...あれ?何で?ナニカ...が出て来れない...?」

 

(やはりそうか!だとしたらなぜナニカが出て来れないんだ...アルカに普通の女の子だか、ナニカはアルカとは別人格?としてアルカの中に存在している。アルカとただ入れ替わるだけでいいはずだがなぜ?...取り敢えずこのことについてはあそこで見てる案内役らしき奴に聞くとするか)

 

「取り敢えずそこから見てる奴にでも聞くか」

 

「!」

 

 

すると草むらに隠れていたウサ耳がピクンと反応した

 

 

「あら、あなたも気づいてたの?」

 

「当然だろ、かくれんぼじゃ負けなしだぜ。そっちの猫抱いてるお嬢さんと白髪のガキも気づいてたろ?」

 

「風上に立たれたら嫌でも分かる」

 

「ガキって言うな、俺はキルアだ。まぁもちろん気づいてだけど」

 

「へぇ、面白いなお前ら...」

 

 

そして降参のポーズを取りながら草むらから出てきた黒ウサギ

 

 

「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいに恐い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ? ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱ぜいじゃくな心臓に免じて、ここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいのでございますヨ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「んで、何の話だっけ?」

 

「ウサギは死ぬって話だよ♪」

 

「アッハ♪とりつく島ないですね、って違います!話を聞いてください!」

 

 

そういう黒ウサギであったがその目は5人を値踏みしていた

 

 

(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝ち気は買いです。まあ、扱いにくいのは難点ですけども。でも呼んだのは四人のはずですが何故でしょう?)

 

 

黒ウサギがそのようなことを考えているがキルアは黒ウサギが値踏みしていることを簡単に見抜いていた

 

 

(チッ、なに気にこっちのこと値踏みすんなよ、って後ろ後ろ気づいてねぇのか?)

 

「えい」

 

「フギャ!」

 

 

すると春日部耀が躊躇なく黒ウサギのウサ耳を力いっぱい引っ張っていた

 

 

「ちょっ、まさか初対面でいきなり黒ウサギの素敵な耳を引きに掛かるとは、どういう旅券ですか!?」

 

「好奇心の為せる技」

 

「自由過ぎます!」

 

 

自分のウサ耳を引っ張られながら叫ぶ黒ウサギの反応に対し問題児たちは-

 

 

「へぇ?このウサ耳は本物なのか?」

 

 

-一切のの遠慮なく耀とは反対側のウサ耳を引っ張るのであった

 

 

「...じゃあ私も」

 

「ちょ、ちょっと待-」

 

 

飛鳥も混ざり、最後の希望としてキルアとアルカにSOSの視線を送るが-

 

 

「お兄ちゃん!次は高い高ーいして♪」

 

「いいよー、それっ高い高ーい」

 

「あははは高ーい♪」

 

 

-すでに兄妹だけの世界に入っていた。



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第二話

 

暫くすると解放された黒ウサギ

 

「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうのに小1時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはまさにこの━」

 

「いいからさっさと進めろ」

 

「は、はいわかりました」

 

 

半ば本気で涙を浮かべる黒ウサギだったが、十六夜の『聞くだけなら聞いてやろう』という目線にやられ、咳払いして気を取り直し話を進め始めた。

 

 

「それではいいですか皆様。定型文で言いますよ?言いま『早く説明してよー』はい!わかりました!ようこそ箱庭の世界へ!」

 

 

今度はキルアの膝の上に乗ってるアルカに催促を掛けられた

 

 

「我々は皆様にギフトを与えられた者だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

「ギフトゲーム?」

 

「Yes!既にお気づきでしょうが皆さんは普通の人間ではありません。さまざまな修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵なのですよ。『ギフトゲーム』とはその恩恵を駆使して競い合う為のゲーム、この箱庭の世界は強大な力をもつギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!」

 

「ちょっといいかしら?その”我々”とは貴女を含めた誰かなの?」

 

「Yes!異世界から呼ばれたギフト保持者はこの箱庭で生活するために数多くある“コミュニティ”に必ず属していただきます 」

 

「嫌だね」

 

「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝者には主催者《ホスト》の指定した商品をゲット出来ると言うシンプルな構造になっています」

 

「…主催者って誰?」

 

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試す為の試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示する為の独自開催するグループもあります。前者の場合は自由参加が多いですが主催者が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なゲームが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、その代わり見返りは大きいものです」

 

「へぇ、んじゃどうやったらそのゲームを始められんだ?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOK!商店街でも商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加してみてくださいな」

 

 

飛鳥が黒ウサギの発言に片眉をピクリと上げる。

 

 

「……つまり『ギフトゲーム』はこの世界の法そのもの、と捉えてもいいのかしら?」

 

「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは八割正解二割間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか! そんな不逞の輩は悉く処罰します━ですが!先ほどそちらの方がおっしゃった様に、ギフトゲームの本質は勝者だけがすべて手にすることができます! 例えば店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればただで入手することも可能だと言うことですね」

 

「そう、中々野蛮ね」

 

「ごもっともしかし全て主催者の自己責任でゲームが開催されております。つまり奪われたくない腰抜けは始めからゲームに参加しなければいい話のです」

 

 

黒ウサギは一通り説明を終えたのか、一枚の封書を取り出した。

 

 

「さて説明は以上ですが黒ウサギは皆様の質問に全て答える義務がございますが…後は取り敢えずコミュニティに戻ってから話させていただきたいのですが……よろしいでか?」

 

「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」

 

 

今まで黙って聞いていた十六夜が威圧的な雰囲気を出しながら真面目な顔で聞いてきた

 

 

「……どういった質問です?ゲームについてわからなかった事でもおありでしょうか?」

 

「そんなのはどうでもいい・・・・・・。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでお前に向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねえんだ。世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねえ。俺が聞きたいのは、ただひとつ。あの手紙に書いてあったことだけだ━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━この世界は……面白いか?」

 

 

彼は何もかも見下すように発した

 

 

「……」

 

 

他の者たちも無言で返事を待つ。当然だろう手紙に従い全てを置いてきてまでこの箱庭にやってきたのだ。半端な返事は許されない。そして黒ウサギは答えた━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「YES。『ギフトゲーム』は人を超えたものたちだけが参加できる神魔の遊戯。

 箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします 」

 



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第三話

はい皆様こんにちは。前回言ったと思うのですが、検討した末十六夜戦はカットさせて頂きました。楽しみにしていた方には申し訳ございませんm(__)m

それでは本編へどうぞ


-黒ウサギ一行は箱庭二一〇五三八〇外門前の街道を歩いていた

 

 

「あ、お帰り黒ウサギ。そちらの女性3人と少年が?」

 

「はいな、こちらの五人が-」

 

 

クルリ、と振り返った瞬間固まった黒ウサギ。

 

 

「……え、あれ?もう一人いませんでしたか?ちょっと目つきが悪くて、″俺問題児!″ってオーラ放っている殿方が」

 

「ああ、十六夜のことか?あいつなら″ちょっと世界の果てを見てくるぜ!″とか言ってどっか行ったぜ。あっちの方だったかな?

 

 

キルアが指を指した先に上空4000mから見えた断崖絶壁だった。

 

 

「な、何で止めてくれな-」

 

「(静かにしろ!アルカが起きるだろ!)」

 

「(あ、すみません)」

 

 

そう、今アルカはキルアにおんぶされながら寝ていたのだ。何故ならここに来るまでに結構歩いたため、アルカは途中で疲れてしまったので、キルアがおんぶして運ぶことになったが、アルカはそのままキルアの背中で寝てしまったのだ

 

 

「…んん……zzz」

 

「(…ふう、危なかった)」

 

「(すみません、それで何で止めてくれなかったんですか!?)」

 

「(″黒ウサギには言うなよ″と言われたから)」

 

「(絶対嘘です! 実は止めるのが面倒だっただけでしょう!?)」

 

「「「(うん)」」」

 

 

ガクリと前のめりに倒れる黒ウサギとは対照的に、ジンは蒼白になりながら何か言おうとしていた。

 

 

「た、大変です!″世界の果て″にはギフトゲーム用に野放しにされている幻獣が」

 

「…ん、なんの騒ぎ?お兄ちゃん?」

 

 

眠そうに目を擦りながら起きたアルカが聞いてきた

 

 

「あ、ごめんなアルカ。起こしちゃったか?」

 

「ん、大丈夫だよお兄ちゃん♪」

 

 

完全に起きたアルカはそう返事を返して来たので全員心中では安堵していた

 

 

「…はぁ、取り敢えずジン坊っちゃんはこの四名の案内をお願い出来ますでしょうか? 黒ウサギはあの問題児を捕まえに参ります」

 

「わかった。」

 

「事のついでに″箱庭貴族″と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、この上無く後悔させてやります」

 

 

するといきなり長く黒い髪が緋色に染まっていく

 

 

「一刻程で戻ります! 皆様はゆっくりと箱庭の生活を御堪能下さいませ!」

 

 

その言葉置き去りにして全力で跳躍した黒ウサギは弾丸のように飛び去っていった

 

 

「……。箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」

 

(へぇ、意外と速く跳べるんだな)

 

 

飛鳥は心の底から感心しているが、キルアからしたら『まだ自分の方が速い』と思っていたので、感心こそしたが、それ程驚くことではなかった

 

 

「それでは黒ウサギも言っていたし、箱庭に入るとしましょうか、エスコートは貴方がしてくださるの?」

 

「あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一のかなりの若輩ですがよろしくお願いします。四人の名前は?」

 

「私は久遠飛鳥よ。」

 

「春日部耀」

 

「キルア=ゾルティックだこっちは妹のアルカ」

 

「よろしくねー♪」

 

「それじゃあ箱庭に入りましょう。軽い食事でも取りながら話をしましょうか」

 

 

----------------------

 

箱庭二一〇五八〇外門

 

ジンたち一行は噴水近くのカフェテラスで軽食を取ることにした

 

 

「あら?外から天幕に入った筈なのにお日様が見えるのだけれど?」

 

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。そもそもあの天幕は太陽の光を受けられない種族のためにあるものですから」

 

「あら、じゃあ箱庭には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」

 

「え、居ますけど」

 

「……。そう」

 

 

予想外の返しに困っていた飛鳥であったがちょうど店員が注文を取りに来た

 

 

「いらっしゃいませー。ご注文をどうぞ」

 

「えーと、紅茶を四つに緑茶を一つ。後軽食にこれとこれを」

 

「はいはーい。ティーセット五つにネコマンマですね」

 

 

……ん?と飛鳥とジンとキルアが首を傾げたが、耀はそれ以上に驚き店員に問いただす

 

 

「三毛猫の言葉、分かるの?」

 

「剃りゃ分かりますよー私も猫族何ですから。お歳のわりに随分と綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスさせていただきますー」

 

『にゃー、にゃにゃーにゃー』

 

「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」

 

 

キルアたちからしたら全く持って何を話してるか分からなかった

 

 

「ちょ、ちょっと待って。貴方猫と会話出来るの?

 

「うん。生きてる動物なら誰とでも話は出来る」

 

「マジかーいいな~その能力。いやギフトだっけ?」

 

「そう……春日部さんは素敵な力があるのね。羨ましいわ」

 

「久遠さんは」

 

「飛鳥でいいわ。キルア君もアルカちゃんもそうお願い」

 

「ん、わかった」

 

「はーい♪」

 

「う、うん。飛鳥はどんな力持ってるの?」

 

「私?私の力は…-」

 

「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ″名無しの権兵衛″のリーダー、ジン君じゃないですか。」

 

 

するといきなり品のない声でジンを呼んだ

 

 

「僕らのコミュニティは″ノーネーム″です。″フォレス・ガロ″のガルド=ガスパー」

 

「黙れ名無しが。聞けばまた新しい人材を呼び寄せたらしいな」

 

「失礼ですけど、同席を求めるのでしたら名乗って、一言添えるのが礼儀では?」

 

「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ″六百六十六の獣″の傘下である」

 

 

「烏合の衆の」

 

 

「コミュニティのリーダーをしている、って待てやゴラァ!!」

 

 

悪いがジンが入れた横槍でかなり吹いてしまった

 

 

「ハッ、自分のコミュニティすらまともに保つ事の出来ない名無し風情が俺に口答えするんじゃねえよ」

 

 

「はい、ちょっと落ち着け」

 

 

今まで黙っていたキルアが二人の制止に掛かる

 

 

「そっちの事情はまた今度ということで、取り敢えずジンに質問したいことが多々あるんだが-聞いてもいか?」

 

「そ、それは」

 

 

ジンはそのまま黙って俯いてしまった。するとキルアががため息をつき

 

 

「はぁ、じゃあ当ててやるよ。お前らのコミュニティは何らかの事情により壊滅、又は解散せざる負えない状況までに追い込まれ、今ではここら一帯の最弱コミュニティになるまでの崖っぷちに追い込まれた、そして戦力を補強しようにも誰も最弱コミュニティに何か入る訳がない、だから異世界から人材を呼び、事情を知らないうちに自分のコミュニティに入れて、人材を確保しようとした訳だ」

 

 

キルアが推測終えるとジンは更に俯き、ガルドはキルアに賞賛の拍手を送っていた

 

 

「いやぁ素晴らしい。ほぼ貴方の言う通りです。ではその詳しい捕捉は私からさせていただきましょう」

 

「じゃあ宜しく」

 

「ジン君のコミュニティは数年前までこの東区最大手のコミュニティでした。最もリーダーは違います。ジン君とは比べようもないぐらい優秀な男だったそうですよ。ギフトゲームの戦績も人類最高の記録を持っており、南北の主軸コミュニティとも親交が深かった。南区画の幻獣王格や北区画の悪鬼羅刹が認め、箱庭の上層に食い込むコミュニティは嫉妬を通り越して尊敬する程に凄いのです。まあ、先代は、ですが」

 

「名と旗印ってのは?」

 

「コミュニティは箱庭で活動する際に、“名”と“旗印”を申請しなくてはいけません。

特に旗印は、コミュニティの縄張りを示す重要なものです。この店にもあるでしょう。」

 

「話を戻しましょう。人間の立ち上げたコミュニティではまさに快挙と言える数々の栄華を築いてきたコミュニティはしかし!…彼らは敵に回してはいけないモノに目をつけられた。そして彼らはギフトゲームに参加させられ、たった一夜で滅びた。ギフトゲームが支配するこの箱庭の世界、最悪の天災によって」

 

「「「天災?」」」

 

 

俺たち3人は同時に聞き返した(尚アルカは”俺の目の届く範囲でなら自由に遊んでもいい”といってあるので、今ここにはいなかった)

 

 

「これは比喩にあらず、ですよ。彼らは箱庭で唯一最大にして最悪の天災……俗に"魔王"と呼ばれる者たちです-」

 

 

 

 

 

 

-そしてキルア達はガルドが今の”ノーネーム”の状況を教え終わると飛鳥がまとめるように言った

 

 

「なるほどね。大体理解したわ。つまり“魔王”というのはこの世界で特権階級を振り回す神様などを指し、ジン君達のコミュニティは彼らの玩具として潰された。そういうことかしら?」

 

「その通り。理解が早くて助かります。それに名も、旗印も、主力陣も失ったコミュニティに入る価値などありません」

 

「………」

 

「話は変わりますが、もし、ここを自分のコミュニティ下に置きたければ

 あの旗印のコミュニティに両者合意でギフトゲームをすればいいのです。

 実際に私のコミュニティはそうやって大きくしました。」

 

 

確かに町中に飾られている旗印とガルドの胸元にあるマークは一致している

 

 

「そして今私が所属しているコミュニティは、現在この地区を支配下に置き残ってるのはここの店みたいに本拠が他区にあるコミュニティや奪うに値しない名もなきコミュニティぐらいですよ」

 

「……!…」

 

 

ジンは言い返そうにもガルドの意見は筋が通っているので、何も言い返せずただ俯くことしかできなかった

 

 

「そう、事情は分かったわ。ではなぜ私たちにそんな話をそれほど丁寧に話してくれるのかしら?」

 

 

飛鳥は大体察しているので含みのある声で問う。ガルドもそれを察して笑う

 

 

「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」

 

「な、何を言い出すんですガルド=ガスパー!?」

 

 

ジンは怒りのあまりテーブルを叩く

 

 

「黙れ、ジン=ラッセル。そもそもテメェが名と旗印を新しく改めれば最低限の人材はコミュニティに残っていたはずだ。」

 

「何も知らない相手なら騙せるとでも思ったのか?その結果、この状況になったんだろうが」

 

「そ……それは」

 

 

ジンはガルドの発言に一切反論出来ず、また俯いてしまった

 

 

「……で、貴方達はどうしますか?返事はすぐにとは言いません。コミュニティに属さずとも貴方達には箱庭での三十日の自由が約束されています。一度、自分達を呼び出したコミュニティと私達″フォレス・ガロ″のコミュニティを視察し、十分に検討してから-」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合っているもの」

 

 

 

 

 

は?とジンとガルドは飛鳥の顔を窺う。

彼女は何事もなかったかのようにキルア達に話し掛けていた

 

 

「春日部さんは今の話をどう思う?」

 

「別に、どっちでも。私はこの世界に友達作りに来ただけだもの」

 

「あら意外。じゃあ私が友達一号に立候補していいかしら?」

 

 

飛鳥はこの様な発言に慣れていないのか、気恥ずかしそうに言った

 

 

「……うん。飛鳥は私の知る女の子と違うから大丈夫かも。…キルアとアルカはどう?」

 

「俺はどっちでも」

 

「じゃあ私は三番目だねー♪」

 

 

そう楽しそうに喋っていた四人だが、それを見て顔をひきつらせりが、なんとか平静を保っていた状態で飛鳥に問う

 

 

「失礼ですが、理由を教えてもらっても?」

 

「だから間に合ってるのよ。春日部さんは聞いての通り友達作りに来ただけだから、ジン君でもガルドさんでもどちらでも構わない。そうよね?」

 

「うん」

 

「ね?そしてキルア君とアルカちゃんはどうするの?」

 

「キルアでいいぜ。じゃあ俺達もジンと同じコミュニティでもいいか?」

 

「うん!楽しそうだし、勿論いいよー♪」

 

「そう、じゃあキルアって呼ばせてもらうわ。 そして私-久遠飛鳥は裕福だった家も、約束された将来も全て捨ててこの箱庭に来たのよ。それがこんな小さな一区画を支配しているだけの組織の末端に入るとでも思っているの?自分の身の丈を知った上で出直して欲しいものね、このエセ虎紳士」

 

 

(おーおーよく言うねぇ~)

 

 

とキルアは心の中で素直に感心していた

 

 

「お……お言葉ですがレデ[黙りなさい]……!?…」

 

 

ガチン!とガルドは不自然な形で勢いよく閉じて黙り込んだ

 

 

「私の話はまだ終わっていないわ。貴方からはまだまだ聞きださなければいくないことがあるのだのも。貴方は[そこに座って、私の質問に答え続けなさい]」

 

 

すると今度は椅子にヒビが入るほど勢いよく座り込む。ガルドは自分に何が起こってるのか全く分からず、パニック状態に陥っていた。その様子に驚いた先程の店員が急いで飛鳥達に駆け寄る

 

「お、お客様、店内での揉め事は控えて-」

 

「ちょうどいいわ。猫店員さんも第三者としてきいてって」

 

「貴方は両者合意でギフトゲームにい挑み勝利してこの地域を治めていると言ったのだけれど、…ねぇジン君コミュニティをチップに賭けゲームをすることはそうあることなの?」

 

「や、やむを得ない状況なら稀に」

 

「そうよね?その辺をどうやったのか、[教えて下さる?]」

 

 

ガルドは必死に抵抗するが口は意を反して言葉を紡ぐ。そしてその様子を見ていたキルアは大体どんな事のしたのか察しているので他のことを考えていた

 

 

(おそらく飛鳥の能力は『相手を強制的に従わせる』ってところか。だがこの能力のデメリットは十中八九かなり極端なデメリットで、このデメリットで合ってたらかなり扱いづらくなるな)

 

「-[黙りなさい!]」

 

 

そう考えていたキルアだが、隣にいる飛鳥がいきなり叫んでガルドの話を強制的に終わらせた。やはりガルドはキルアの推測通りのやり方だったらしい

 

 

「素晴らしいわ。ここまで絵に描いた外道は見たことがないわ、流石人外魔境の箱庭といったところかしら……ねぇジン君、今の証言でこの外道を法で裁けるかしら?」

 

 

飛鳥はその冷たい視線をジンに移すとジンは暗い表情で答えた

 

 

「厳しいです。確かにガルドのしたことは違法ですが…裁かれる前に箱庭の外に逃げられれば、それまでです。それに彼の様な悪党はそうそういません」

 

「そう。なら仕方ないわ」

 

 

飛鳥は指をパチンと鳴らし、ガルドの拘束を解いた

 

 

「こ……この小娘がァァァァァ!」

 

 

その雄叫びと共にガルドは人狼らしきものに激変させ飛鳥に襲いかかろうとした-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるせぇよ」

 

 

 

 

 

 

 

-とガルドが襲いかかろうとした瞬間、キルアが殺気を出し威嚇した

 

 

「-……ぁっ…ぅ…」

 

 

キルアの殺気にやられ、ガルドはまともに喋ることすら出来なくなってしまった。

 

そして暫く静寂に包まれていたが、再びキルアが話を続けた。

 

 

「なら手っ取り早くこいつを罰せられるぜ。なに、あんたにもメリットがある話だ、箱庭だからこそ出来る単純明快なやり方-」

 

 

そこで皆はキルアがどんなやり方でガルドを裁くのか理解した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「-俺達と『ギフトゲーム』で勝負しようぜ。あんたの″フォレス・ガロ″の存続と俺達″ノーネーム″の誇りを賭けてな」




はい、いかがでしたでしょうか?今回は作者がどこで切るか迷った末、ここまで長く書いてしまいました。

それと次回の更新は遅くなると思います。それではまた次回でお会いしましょ~。


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第四話

はいこんにちは。今回は投稿がちょっと遅れてしまいました(汗
正直、今は体調なんか全く考慮せず作っているので、いつ更新ペース落ちるか作者も怖いです、w

ちなみに十六夜のヒロインは暫定的には黒ウサギとなりましたが「他のヒロインがいい」という方はご希望のヒロインを投票してください。

それはそうと、お気に入り登録50件いきました!登録してくださった皆様ありがとうございます!!これからも頑張って皆様が満足できるような作品にできるよう頑張っていきたいと思います!

それでは本編へどうぞ!


「な、なんであの短時間に”フォレス・ガロ”のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」「準備している時間もお金もありません!!」「一体どういう心算があってのことです!」「!聞いているのですか三人とも!!」

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています。」」」

 

「黙らっしゃい!!!」

 

 

黒ウサギが十六夜を連れて噴水広場に戻って来たので”フォレス・ガロ”との騒動の一部始終を聞かせると突然嵐のような説教を受けてしまった

 

「ヤハハ、別にいいじゃねえか。見境なく喧嘩売った訳じゃねぇんだから許してやれよ」

 

 

十六夜がニヤニヤ笑いながら仲裁にはいってくれたが黒ウサギは気にも留めず説教を続けた

 

「それにこの″契約書類″《ギアスロール》を見てください!

 

 

黒ウサギが見せてきた″契約書類″を十六夜に見せつけた

 

 

「えっと、黒ウサギは『こっちが勝っても何も貰えないからただの自己満足だ』って言いたいのか?」

 

 

コクコクと激しく縦に頭を振る黒ウサギだが、次第に落ち着いて観念したようにため息をついた

 

 

「はぁ~…。ですがまぁ黒ウサギも腹立たしいのは同じですし。″フォレス・ガロ″程度なら十六夜さん一人いれば楽勝でしょう」

 

「何言ってんだよ。俺は参加しねぇぞ?」

 

 

「あら、それぐらいは分かってるのね」

 

 

当然のようにそう話している二人に黒ウサギが慌て二人に食ってかかる。

 

 

「だ、駄目ですよ!私達はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」

 

「そういうことじゃねえよ黒ウサギ」

 

 

十六夜が急に真剣な顔をして黒ウサギを右手で制する

 

 

「いいか?この喧嘩は、コイツらが売った。そしてヤツらが買った。なのに俺が手を出すのは無粋だって言ってるんだよ」

 

「だってさ、ドンマイ黒ウサギ。」

 

「うっ…ありがとうございますキルアさ―」

 

「まぁ喧嘩売ったのは俺だけどな」

 

「って貴方がこの喧嘩売っていたのですかこのお馬鹿様!!」

 

 

この問題児の中では比較的常識人だと思っていたキルアにもその期待を裏切られ、もうどうにでもなれと呟いた黒ウサギであった

 

 

 

=======================================

 

そして黒ウサギたちは一旦ジン達と別れ、黒ウサギは俺達に″サウザンドアイズ″というコミュニティに行きギフト鑑定というものをしてもらう必要があると言われ向かっている最中だった。(アルカはジン達と共に一足先にコミュニティに向かった)

すると街の川沿いに桃色の花をを咲かせている木を飛鳥は不思議そうに眺めて呟く

 

 

「桜の木……ではないわよね?花弁の形が違うし、真夏になっても咲き続けているはずがないもの」

 

「いや初夏になったばかりだぞ。気合いの入った桜が残っていてもおかしくないだろ」

 

「いやいや、春真っ盛りだっただろ。むしろ少ない方だぞ」

 

「…?今は秋だったと思うけど」

 

 

皆違う意見に疑問符を浮かべる俺達だったが黒ウサギが説明してくれるそうだ

 

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているので元いた時間軸以外にも歴史や文化、生態系などの所々違う箇所があるはずです」

 

「へぇ?パラレルワールドってやつか?」

 

「近しいですね。正しくは立体交差平行世界論といいますが、これを説明するにはとても一日二日では説明しきれないので、またの機会ということに」

 

 

そうこう話している内に目的地についたらしい。今ここから見えるあの青い旗印がおそらくそうなのだろう。

すると看板を下げる割烹着の女性店員に黒ウサギが滑り込みで待ったを―――

 

 

「まっ」

 

 

「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

 

―――かけることも出来ず、黒ウサギは悔しそうに店員を睨みつける

 

 

「なんて商売っ気のない店なのかしら」

 

「ま、全くです!閉店五分前に客を締め出すなんて!」

 

「文句あるなら他所へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です」

 

「出禁!?これだけで出禁とか御客様を舐めすぎですよ!?」

 

「なるほど、″箱庭の貴族″であるウサギの御客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますので、コミュニティのの名前をよろしいでしょうか?」

 

「……う」

 

 

一転して黙る黒ウサギ。だが十六夜が一切の躊躇無く名乗った

 

 

「俺達は″ノーネーム″ってコミュニティなんだが」

 

「ではどこの″ノーネーム″様でしょう。良かったら旗印を確認させていただいてもよろしいでしょうか?」

 

 

流石の十六夜も今度は黙るしかなかった

 

 

「その……あの………私達に、旗はありま―――」

 

「いぃぃぃやほおぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギィィィィ!」

 

 

黒ウサギはいきなり店内から和服の着物をきた白い髪の少女にフライングボディアタックをくらい、悲鳴を上げながら少女と共に空中を四回転半ひねりして街道の向こうにある水路まで飛ばされた

 

 

「…おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非」

 

「ありません」

 

「なんなら有料でも」

 

「やりません」

 

 

十六夜が真剣な表情で頼み込むがキッパリと拒否する店員。というか十六夜どんだけやってほしいんだよ

 

 

「し、白夜叉様!?どうしてこんな下層に!?というか離れてください!!」

 

 

黒ウサギは白夜叉を無理矢理引き剥がし十六夜に投げつけた

 

ところが十六夜に縦回転しながら向かっていき、十六夜はそれを足で受け止めた。

 

 

「てい」

 

 

「ゴハァ!お、おんし、飛んできた初対面の美少女を足で受け止めるとは何様だ!」

 

「十六夜様だぜ。以後よろしくな和装ロリ」

 

 

いい加減この一連の流れを断ち切ろうとキルアが白夜叉に質問した

 

 

「あんたここの店の人なの?」

 

「おお、そうだとも。この″サウザンドアイズ″の幹部様で白夜叉様だよ」

 

 

すると濡れた服やミニスカートを絞りながら水路から上がってきた黒ウサギが複雑そうに呟く

 

 

「うう………まさか私まで濡れることになるなんて」

 

「因果応報……かな?」

 

『お嬢の言う通りやな』

 

 

そして一段落ついたので当初の目的であるギフト鑑定なるものをしてもらうことにした

 

 

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の自室で勘弁してくれ」

 

 

四人は和風の中庭を進み、障子を開け案内された個室に入った

 

 

「もう一度自己紹介をしておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えてる″サウザンドアイズ″幹部の白夜叉だ。黒ウサギとは少々縁があって、コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっているのだ」

 

「はいはい、お世話になってますとも本当に」

 

 

投げやりな言葉で受け流す黒ウサギの隣では耀が小首を傾げて問う

 

 

「その外門、ってなに」

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つものたちが住んでいるのです」

 

 

黒ウサギの説明は分かりやすかったが、どうしても黒ウサギの描いた絵に目がいってしまう

 

 

「……超巨大タマネギ?」

 

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

 

「そうだな。どちらかといえばバームクーヘンだ」

 

「俺はタマネギに見えるな」

 

「ふふ、うまいこと例える。その例えなら、今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。更に説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側あたり、外門のすぐ外は″世界の果て″と向かい合う場所になる。あそこにはコミュニティに所属していないものの、強力なギフトを持ったもの達が棲んでおるぞ-その水樹の持ち主などな」

 

 

白夜叉は水樹を見ながら黒ウサギに問う

 

 

「して、いったい誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」

 

「いえいえ、この水樹は十六夜さんがここに来る前に、蛇神様を素手で叩きのめしたんですよ」

 

「なんと!クリアでなく直接倒したのか!?ならその童は神格持ちか?」

 

「いえ、それはないと思います。神格なら人目見れば分かるはずですし」

 

「うむそれもそうか…」

 

 

白夜叉は何か考え込んでいるようだが黒ウサギは今の話で少し気になったことがあったので聞いてみた

 

 

「それより白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

 

「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」

 

 

それを聞いた十六夜は物騒に目を輝かせながら問う

 

 

「へぇ?じゃあお前はあの蛇より強いのか?」

 

「ふふん、当然だ。私は東側の″階層支配者《フロアマスター》″だぞ。この東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者なのだからの」

 

 

″最強の主催者″という言葉に問題児達は一斉に目を輝かせた―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ただ一人の問題児を除いてだが

 

 

「そう……ふふ。ではつまり、貴女のゲームのクリアできれば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティということになるのかしら?」

 

「無論、そうなるのう」

 

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

 

三人の問題児たちは闘争心むき出しの視線を送り、白夜叉もそれに気づいたようで高らかに笑い声を上げた

 

 

「抜け目のない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

 

「え?ちょっと御三人様!?」

 

 

必死で止めようとする黒ウサギを白夜叉が右手で制す

 

 

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には飢えている」

 

「ノリがいいわね。そういうの好きよ」

 

「ふふ、そうか-ところでそこの白髪のおんしはどうする?」

 

「俺?俺はパスで。やったところで結果見えてるし」

 

「ほう……おんし見た目に合わず察しがいいのう」

 

 

白夜叉が感心しているとキルアが言った言葉に十六夜反応し挑発するように言ってきた

 

 

「ハッ、どうした?怖じ気づいちまったのか?」

 

「相手の実力も見極められないやつなんかに言われたくねぇよ」

 

「何?」

 

 

十六夜がキルアに反論しようとしたが白夜叉とのゲームがもうすぐ始まるので後回しにした

 

 

「それではゲームを始めようと思うが-その前に一つ確認しておく事がある」

 

「なんだ?」

 

「おんしらが望むのは″挑戦″か――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしくは、″決闘″か?」

 

 

そう白夜叉が三人に問うた瞬間、障子と畳の部屋の景色が一瞬にして、白い雪原と凍る湖畔―――

 

 

 

 

 

―――そして水平に太陽が廻る平行に世界だった

 

「…なっ……!?」

 

 

余りの異常さに十六夜たちは同時に息を呑んだ

 

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は″白き夜の魔王″―――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への″挑戦″か?それとも対等な″決闘″か?」

 

「″挑戦″であるならば、手慰み程度に遊んでやる。―――だかしかし″決闘″を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り闘おうではないか」




いかがでしたでしょうか?今回は意外とキルアは喋った方だと思うのですが・・・・・・(キルアが喋るところを作りづらい;)

それとアルカはガルドとのゲームに参加させません。どうしてかというと「ガルドにゲームを挑む(?)時にいなかった」ということでお願いします。

それではこの辺で。

感想、質問、評価待ってます


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第五話

前回、白夜叉が元・魔王と十六夜達に名乗り『挑戦か決闘のどちらをやるのか』と三人問い、十六夜たちは唖然と立ち竦むが、今一度、白夜叉が問いかける。

 

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は″白き夜の魔王″---太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への″挑戦″か? それとも対等な″決闘″か?」

 

 

魔王白夜叉。少女の笑みとは思えぬ凄みに、再度息を飲む三人。 そして暫く続いていた沈黙を破ったのは十六夜だった。

 

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

 

「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるという事かの」

 

「ああ。これだけのゲーム舞台を用意出来るんだからな。アンタには資格がある。---いいぜ。今回は黙って[試されてやるよ]魔王様」

 

「…私も、試されてあげてもいいわ」

 

「右に同じ」

 

 

冷や汗を拭いながら十六夜は吐き捨てるように言った。 そして一番プライドの高い十六夜が降りたのが大きかったのか、他の二人も辞退した

 

 

「も、もう! お互いにもう少し相手を選んでください! それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

 

「ん?じゃあ元・魔王様ってことか?」

 

「はてさて、どうだったかの?」

 

 

十六夜は白夜叉とそんなことを話していると、キルアが何故白夜叉の実力に気づいたか聞くのを思い出したので聞くことにした

 

 

「そういやキルアは何で白夜叉の実力が分かったんだ?」

 

「この程度は見極めれないと生き残れない仕事してたからな。まぁそれだけさ。で、白夜叉はどんな試練を出してくれるんだ?」

 

 

キルアはこれ以上は聞かれたくないので白夜叉に試練について聞いた

 

 

「む、もう少しおんしについて知りたい所ではあったが仕方ない。それでは試練の内容を教えよう」

 

 

 

『ギフトゲーム名 ″鷲獅子の手綱″

 

 ・プレイヤー一覧 

 逆廻 十六夜

 久遠 飛鳥

 春日部 耀

 

 ・クリア条件 グリフォンの背に跨がり、湖畔を舞う。

 ・クリア方法 ″力″″知恵″″勇気″の何れかでグリフォンに認められる。

 ・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

                              ″サウザンドアイズ″印』

 

 

 

 

「---あれ?俺の名前はいって無いけど?」

 

「おんしは私の実力を見破る程の実力を持っている。 この程度の試練では満足せんじゃろ?」

 

「まぁね」

 

 

確かにキルアにとってはあの程度の幻獣は簡単に殺せてしまう

 

 

「取り敢えずあの三人が終わったら教えてやる。楽しみに待っておれ」

 

「OK---だけどあんたと闘うのは御免だぜ」

 

「………ちっ」

 

「おい!今の舌打ちなんだよ!?マジでやる気だったのか!?」

 

「冗談に決まっておろう」

 

 

カッカッカッと笑いながら去っていった白夜叉だったが、キルアの心中は穏やかではなかった

 

 

 

 

----そして三人は無事試練をクリアした。そして耀は『生命の目録』という超貴重で超強力なギフト(らしい)の持ち主だったようだ、[能力は動物と話せるだけでなく、友達になった動物の特性を使えるようになるらしい]父親から譲り受けたようだ。

 

 

「---で、俺の試練は何? さっきも言ったけどあんたとはぜってーやらねーぞ」

 

「しつこいのぉ、冗談と言っただろうが」

 

 

白夜叉がため息をつきながらそう言うが、キルアは全く信じられずジト目を向けている

 

 

「……分かった、今出すから待っておれ」

 

 

すると白夜叉が白紙を出し、書き終えるとキルアの前に出して見せてきた。そこに書いていた内容は---

 

 

 

 

 

 

『ギフトゲーム名 ″魔王・イフリートとの決闘″

 

 ・プレイヤー一覧 キルア=ゾルティック

 

 ・クリア条件 イフリートを打倒

 

 ・敗北条件 殺傷、殺害した場合

       プレイヤーが降参、戦闘不能になった場合

       プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

                             ″サウザンドアイズ″印』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---魔王との決闘だった

 

 

「---って、ちょっと待てやゴラァーーー!!」

 

「ん?どうかしたかの? ちゃんとおんしの要望には答えたぞ。それに死なないように最低限のルールは設定してあるぞ」

 

 

ニヤニヤ笑いながらそう答える白夜叉はまさに『してやったり!』という顔をしていた。それに対し、キルアは『orz』の体勢をしていた

 



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第六話


~イフリートの容姿~

身長:175

体重:78


~イフリート君のギフト~

”煙の無い炎”[ノットスモークフレア]

”炎の魔術師”[フレアウィザード]


~イフリート君のギフトの使い方~

”煙の無い炎”だけでは「生み出す」「生み出した炎を飛ばす」しかできない

だが”炎の魔術師”を使えば、自由自在に操ることができる




いまいち状況が掴めていない問題児たち+αは落ち込んでいるキルアを見て気になったので取り敢えず白夜叉がキルアに与えた試練の内容が書かれているギアスロールを覗いた瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「………は?」」」」」

 

 

 

 

---あの十六夜を含めた全員が目を疑った

 

 

「………いやいや、流石にあの白夜叉様でもこんなギアスロールを書く筈がないです。だからこれは絶対黒ウサギの目がおかしいだけです、はい、だから目を擦ってもう一度確認すれば………あれ?まだ治りません。ちょっと黒ウサギは滝に行って目を洗って来るので失礼させて「間違っておらんぞ黒ウサギ」………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………(⌒‐⌒)」

 

 

---バタン!と音を立てて黒ウサギは笑顔?のまま倒れ気を失った

 

そして一緒に見ていた女性店員は-

 

 

 

 

「…(゜-゜)」

 

 

-明後日の方向を向き、無言で佇んでいた

 

そして問題児達は---

 

 

 

 

 

 

 

 

「……キルア、お前だけせこいぞ!」

 

「そうよ、何でキルア君だけなのよ?」

 

「……キルアだけずるい、私たちもやりたい」

 

 

 

 

 

 

---白夜叉に抗議していた

 

 

 

「おんしらにはまだ早い、というかそれ以前の問題だ」

 

「どういうことだ?」

 

「見たところおんしらのギフトは間接系が多いだろう?それでは常時炎を纏っているイフリートには相性が悪く勝つことは難しい。だが私の見立てではあやつはイフリートに相性が良い可能性が高い」

 

 

白夜叉がそう言い終わると飛鳥が不満気に白夜叉に反論した

 

 

「私のギフトはイフリートの炎など関係ないわ、だって[降参しろ]と言えばいいだけじゃない。」

 

 

それを聞いた白夜叉はため息をつきながら答えた

 

 

「おんし、自分のギフトの弱点も知らぬのか?おそらくおんしのギフトは霊格に反映し自分より下の者にしか通用せん。よって私やイフリートには全く意味が無いのだ」

 

 

白夜叉がそう言い終わると飛鳥は何も言い返せず、ただ黙るしかなかった。すると今度は十六夜が反論した

 

 

「じゃあ何でキルアが相性良いかもしれないって思うんだ?それに俺はまだギフトは見せてないんだぜ?俺の方が相性良いかもしれないだろ?」

 

 

十六夜の反論を聞いて、白夜叉はキルアを選んだもうひとつの理由を教えることにした。正直これは実際にキルアの闘いを観させてから教えた方が都合がよかったので余り教えたくなかったが断念した

 

 

「もうひとつの理由は単純にあの小僧とおんしらでは戦闘経験がまるで違う。見たところおんしらは殺し合いなんぞしたことないだろ?」

 

「当たり前よ。そんな危険なことするわけないじゃない」

 

「右に同じ」

 

「俺もない。じゃあキルアはあるとでも言いたいのか?」

 

「……それについてはキルア自身に聞いた方が良かろう。---とにかくこの試練を受けることが出来るのはあの小僧一人だけだ。これは決定事項だから変えられん」

 

 

白夜叉はそうまとめるとキルアのところへ行き、再度試練を受けるか問うた

 

 

「さて、今ならまだ試練を断ることが出来るが……どうする?」

 

 

白夜叉の問いに対しキルアは諦めたように答えた

 

 

 

 

 

 

「---やるよ。つかそれしか選択肢無いんだろ?」

 

「その通りだ」

 

 

キルアは苦笑し、白夜叉はにやけていた

 

 

 

 

 

「それでは、ギフトゲーム″魔王・イフリートとの決闘″を始める!」

 

 

 

「んじゃ---殺るか(・・・)

 

 

キルアがそう言うと同時に、イフリートの周りを右回りに歩いて回っていた

するとだんだんキルアの残像が現れ始めた

 

 

「…え?なにこれ、キルア君がいっぱいいる……」

 

「…おい白夜叉、これは一体どんなギフトなんだ?」

 

驚愕している一同の中で辛うじて冷静でいた十六夜が白夜叉に問いかけた

 

 

「………これはギフトではない、『肢曲』という純粋な技術だ。自身の歩くテンポをずらし残像を作る技術だ。……ただ、闇の社会で生きる者だけが使う技術だ」

 

 

そう説明するといつの間にかキルアはイフリートの残像で囲み終わっていた

 

 

(さて、残像で囲ったはいいがどう攻めていこうか---ッ!)

 

 

キルアは一瞬悪寒を感じ全力でバックステップした、瞬間イフリートがキルアの残像を全て消し去るため、広範囲に炎を流していた。そう本当に炎を流すように操り、キルアの残像を消し去ったいったのだ

 

 

 

 

(---危ねぇな、回避は簡単だが相手の隙がねぇ。跳んで炎を避けても空中じゃ回避の仕様がない。これじゃあこっちから仕掛けらんねぇな…さてどうすっかな)

 

 

そうキルアが策を練っていると、ふと気になったことがあった

 

 

(そういえばこの攻撃って休むことなく続けてられるよな。じゃあこの攻撃にはどんなデメリットがあるんだ?…普通に考えてゴンやゲンスルーと同じだろうな、じゃあ……賭けてみるか)

 

 

そうキルアは覚悟を決めて『神速(カンムル)』を発動した。そして---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神速(カンムル) 電光石火』

 

 

 

---そう呟くと同時にキルアが消えた…




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第七話

『神速(カンムル) 電光石火』キルアがそう呟いたのを聞き取ることができたのは十六夜と白夜叉だけだった。同時にキルアが何をしようとしてるのか分かったのもこの二人だけだった

 

 

(へぇ、体に電気を流して身体能力を大幅に上げたか。そして一気に飛び込み突きを当てる…すげぇな、実際にこんなこと出来るやつがいるなんて思わなかったぜ)

 

(良い技だ……が、あの歳で電気を身体中に流すことが出来るとは……おそらく幼少期、または赤ん坊の頃から強力な電気を毎日のように浴び続けるでもしない限り不可能のはず…あの歳でそれを可能にしているということは地獄と表現するには生ぬるい環境に置かれていたのだろう…)

 

 

十六夜は感心し、白夜叉は可哀想に思っていた

 

 

 

 

キルアが雄叫びを上げながらイフリートが操る炎に突っ込む体勢を作ったのに対し、イフリートはそれを焼き尽くさんと自身の前に炎を集中させ、今自分の作れる最高の炎の壁を作っていた。

 

そしてイフリートが炎の壁を作り終わった。実際にそれはキルアが真正面から突っ込むと確実にキルアは燃え尽きるほど高い質の炎だった。 イフリートは勝利を確信したように口元を緩めてキルアを見ると---

 

 

 

 

 

 

 

「---とでも思ったか?」

 

「?……ガッ!?」

 

 

キルアがイフリートに向かって言った直後、『何か』がイフリートの頭の上に当たり、イフリートの頭蓋を割った。イフリートに当たった『何か』の正体は---

 

 

 

 

 

 

 

 

---キルアの手から放たれたヨーヨーだった

 

 

「グッ…ガァ…!」

 

 

イフリートはキルアのヨーヨーの直撃でかなりのダメージを負い、立つのがやっとの状態だった。そしてキルアが近づき-

 

 

「まぁまぁ楽しかったよ」

 

 

-その言葉と共にキルアはイフリートを峰打ちし、見事勝利した

 

 

 

==========================

 

「ふぅ、皆ただいまー」

 

 

そんな気楽な声で皆の元に帰ってきたキルアを問題児達はまだポカーンとしている

 

 

「ん、どうした?」

 

「えっと、あの残像をだす謎のギフトもそうだけど、キルア君って一体何者なの?」

 

 

飛鳥が訳がわからないという顔でキルアに聞いた

 

 

「俺は特殊な職業してるから、そこで覚えた」

 

 

すると今度は十六夜が質問した

 

 

「じゃあお前が電気を纏ったり出来たのはどういうギフトだ?」

 

 

十六夜がそう質問するとキルアははぐらかすように答えた

 

 

「おいおい、俺だけに喋らせるのは少し不公平じゃねえか? ならコミュニティについて皆で話合おうぜ」

 

 

キルアがそう提案すると他の三人も同意した

 

そう話終わると黒ウサギがやっと目を覚ました

 

「う~ん…はっ、キルアさんさっき白夜叉様から出されたギフトゲームは絶対受けたらダメですよ!今のままでは隷属されているとはいえ勝ち目が全くn「ゲームに勝ったぞ」………はい??えと、れ、隷属されてるとはいえ、ま…魔王にギフトゲームで勝った……と?」

 

「ああ」

 

 

な?とキルアが他の皆に聞くと全員頷いた

 

 

「え………えーーーー!!?? 魔王に勝ったんですか!?一体どうやって!?というか不用意にそのようなゲームを受けn「今説明するから黙れ」…はい」

 

 

 

 

~少年説明中~

 

 

 

 

「-それで今ここ」

 

「あり得なさすぎて信じがたいのですがとりあえず理解したのですよ」

 

 

信じられないと思ってはいるがキルアが嘘はついていないと黒ウサギは分かったので少し落ち着いた。そしてここに来た本来の目的を思い出した

 

 

「それはそうと今日は白夜叉様にギフト鑑定を頼みに来たのですが、よろしいでしょうか?」

 

「ゲッ…よ、よりもよってギフト鑑定か。私にとっては専門外だぞ……だがまぁ″主催者″として、試練をクリアしたおんしらには″恩恵″を与えねばならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」

 

 

白夜叉が二回柏手を打つ。すると四人の眼前に光輝く四枚のカードが現れる。

 

 

 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム ″正体不明 (コード・アンノウン)″

 

 

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム ″威光 (いこう)″

 

 

パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム ″生命の目録 ゲノム・ツリー″ ″ノーフォーマー″

 

 

アッシュグレーのカードにキルア=ゾルティック・ギフトネーム ″念能力(ねんのうりょく)″ ″手鋭爪(しゅえいそう)″

 

 

 

「ギフトゲーム!

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「いらね返すわ」

 

「ち、違います! 何で皆さんそんなに息合ってるのです!? キルアさんに関しては失礼すぎます!」

 

「ちなみに返却は受け付けておらんぞ」

 

黒ウサギが驚き怒りとツッコミが混ざったように問題児たちへの説明を続けた

 

 

「そのギフトカードは顕現しているギフトを収納出来る超高価なカードですよ! それに耀さんの《長いからカット入りま~す》

 

 

 

「-つまりギフト限定の四次元ポケットでおけ?」

 

「だからちゃんと話聞いてましたか!?そして四次元ポケットって何ですか!?だからギフトカードとh「おけおけ分かった分かった」だからちゃんと聞いて欲しいのですよぉぉぉ!!」

 

 

「んで白夜叉、俺のギフトはどういうことだ?」

 

 

十六夜は黒ウサギの魂の懇願を見事にスルーして白夜叉に聞いた

 

 

「ん?………いやそんな馬鹿な」

 

 

白夜叉はすぐさま顔色を変えギフトカードを取り上げた

 

 

「(″正体不明(コード・アンノウン)″だと?………どういうことだ?全知である″ラプラスの紙片″が作ったギフトカードなのだぞ?エラーを起こすなどないはず…)」

 

「何にせよ、鑑定は出来なかったんだろ。俺的にはこの方がありがたいしな」

 

 

パシッとギフトカードを白夜叉から取り上げる。だが白夜叉は余り納得していなかった

 

 

(…まさかギフトを無効化した?……いや、それなら″ラプラスの紙片″がエラーを起こした確率の方が高いだろう…まぁ私がいくら考えてもわからんだろう)

 

 

白夜叉は考えるのを止めて無理矢理納得した

 

 

 

 

===========================

 

「今日はありがとう。また遊んでくれると嬉しい」

 

「あら、駄目よ春日部さん。次に挑戦するときは対等な条件で挑むのだもの」

 

「ああ。吐いた唾を飲み込むなんて、格好付かねぇからな。次は渾身の大舞台で挑むぜ」

 

「俺は絶対やらない。死んでも挑まねーわ。自殺行為だし」

 

「ふふ、よかろう。では『四人』とも楽しみにしておけ」

 

 

白夜叉はにやけながらわざと『四人』の部分を強調した。その様子を見てキルアは諦めたようにため息をついた

 

 

「今更だが聞かせてくれ。おんしらは自分達のコミュニティがどういう状況にあるか、よく理解しているか?」

 

 

白夜叉は真剣な顔をして十六夜たちに聞いた

 

 

「ああ、名とか旗とかの話か?それなら聞いたぜ。″魔王″ってやつを倒すんだろ?」

 

「……。では、おんしらは全て承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな?」

 

「そうよ。打倒魔王なんてカッコいいじゃない」

 

「″カッコいい″で済む話ではないのだがの……全く、若さゆえのものなのか。無謀というか、勇敢というか。…はぁ、まぁ元魔王として言うことがあれば…そこの娘二人。おんしらは確実に死ぬぞ」

 

 

予言するように断言した白夜叉に二人は言い返そうと言葉を探したが見つからなかった

 

 

「魔王の前に様々なギフトゲームに挑んで力を付けろ。小僧二人、特にキルアの方は殆ど問題無いがおんしらは二人の力では魔王のゲームに生き残れん」

 

「………ご忠告ありがと。肝に銘じておくわ。次は貴女の本気のゲームに挑みに行くから、覚悟しておきなさい」

 

「ふふ、望むところだ。私は三三四五外門に本拠を構えておる。いつでも遊びに来い。………ただし、黒ウサギをチップに賭けてもらうがの」

 

「嫌です!」

 

 

そうして″四人″は″サウザンドアイズ″を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

-そして白夜叉は黒ウサギたちが見えなくなったことを確認してから、すぐそこの物陰見ながら言った

 

「それで、そこの小僧はなんの用があるのだ?」

 

 

すると物陰から小僧--キルアが出てきた

 

 

「…いや~良くバレなかったな~はっはっは」

 

「…ハァ~、それで、本題を教えてくれんかの??」

 

 

白夜叉はため息をつきながらキルアに聞いた

 

 

「あぁ、まぁ俺の推測が外れてたらただの無駄話なんだけどさ…あの手紙って一枚でも複数人を運べるのか?」

 

 

白夜叉は『そんなこと?』と思ったが、キルアの真剣な顔を見てすぐに只事ではないとわかり詳しく答えた

 

 

「いいや、あの手紙は招待状みたいなものだ。それは不可能。何故なら″個人宛″に送られるのだからの。仮に″複数人宛″があったとしてもそれは滅多に無いだろう」

 

「…やっぱそうか」

 

「おんし、さっきからどうした?意味のわからん質問したと思ったらすぐ黙るし…私でよければ相談乗るぞ?」

 

「……いいのか?」

 

「勿論だとも!」

 

 

白夜叉がそう言うと再び白夜叉の和室に向かった

 

 

 

============================

 

 

「まず、俺とアルカは勿論手紙に召喚されてここに来たんだ。 …だけどよく思い出して見ると俺″は″手紙に召喚されて来た…だがアルカは偶然俺の手紙を一緒に見ただけであって″招待されてはいない″んだ、にも関わらず普通に箱庭で暮らすことが出来る…正直これは異常だと俺は判断してこのことを白夜叉に聞いたんだ……俺は何故あんただけに言ったと思う? 理由はあんたが一番賢い上、この箱庭をよく理解している…だからあんたの意見を聞きたいのさ。流石にフロアマスターならわかると思ってな」

 

 

キルアは恥ずかしいのか、挑発の混じった頼み方をしたのを白夜叉は分かり思わず苦笑した



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第八話

キルアの頼みを聞いた白夜叉は「ふむ…」と数秒考え込み、答えを出した

 

 

 

 

 

「……よかろう、とりあえず私の自室で話すとしよう」

 

「サンキュー白夜叉、恩に着るぜ」

 

「ふふ、別に大丈夫だ。 此方としても重要かもしれんからの」

 

「そ、ならいいや」

 

「…切り替えが早すぎるぞ小僧」

 

 

白夜叉はため息を吐きながらキルアと共に自室へと戻った

 

 

=========================

 

「…あれ? そういえばキルアさんが見当たら無いのですが?」

 

 

キルアと白夜叉が和室へ移動する頃、黒ウサギたちはやっとキルアがいないことに気づいた

 

 

「そういえばそうね、誰かキルア君から何か聞いて無いかしら?」

 

 

飛鳥がみんなに聞くと十六夜が答えた

 

 

「ああ、キルアなら″少し白夜叉と話があるから先行っといてくれ″って言ってたぞ」

 

「そう、ならいいわ」

 

 

飛鳥が素っ気ない返事をしたあとに黒ウサギが疑問を感じ十六夜に聞いた

 

 

「ですが何故十六夜さんに伝言を頼んだのでしょう? ちゃんと全員に言ってくれた方が安心するのですが…?」

 

「ああそれについては″黒ウサギや久遠がしつこく聞きそうでめんどくさそうだから″だそうだ」

 

「何?そんなに私のってそんなしつこく聞いてるかしら?」

 

「そうですよ! 黒ウサギもそんなしつこく聞いたりしません!」

 

飛鳥がムッっとしながら十六夜に言うと黒ウサギも反論したが-

 

 

 

 

 

 

「いやお前はそうだろ」

 

「うん」

 

「そうね」

 

「うわーーーん飛鳥さんまでーー」・゜・(つД`)・゜・

 

 

黒ウサギは一人で泣きながら走って行った

 

 

「………行っちゃった」

 

「まぁそこまで遠くには行かねぇからいいだろ、まだ俺らコミュニティに案内されてねーから」

 

「そうね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 --ところで私ってそんなにしつこいかしら?」

 

「………逃げるんだよぉぉぉぉ!!」

 

「あ、待ちなさい十六夜君!」

 

「……私空気だ」(´・ω・`) ショボーン

 

 

そう呟きながらとぼとぼと歩く春日部だった

 

 

\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/

 

 

そして春日部が追いつくと、『地面に″の″の字を書いている黒ウサギ』がいた…それはまだ想定内だった…だが--

 

 

 

 

 

 

『鳥などの動物たちを操って十六夜を捕まえようとしている飛鳥』

 

『その動物たちをかわし、石を投げて撃墜する十六夜』

 

 

 

というカオスが発生していた

 

 

=========================

 

問題児たちが楽しそうにカオスを作っている頃、サウザンドアイズ支店の白夜叉の和室では真剣で重い空気が漂っていた

 

 

「…とりあえずお茶をどうぞ」

 

「あんがと」

 

 

女性店員はお茶を出したのでそのまま立ち去ろうとしたが-

 

 

「……あ、ちょっと店員さんも一応聞いてってくれない? 一人より二人の方がいいし」

 

「…まぁいいでしょう、私も少し気になりますし」

 

「サンキュ、-じゃあまずアルカの能力について説明するからだなそれじゃあ---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『次回に続く!!(`・ω・´)』………はぁ?」

 

 

 

「……おい作者、何故に今言わせんのじゃ…それとメタいのう」

 

『いやだってさぁ、ただでさえ更新遅いのに長文書いたらもっと遅くなるをだよ—――(それに集中力無いから飽きてネタが出てこない)ボソッ』

 

「メメタァ」

 

「後半が本音ですよね」

 

『ナンノコトカサッパリダナー……え? 何で後書きで書かないって? ………なんとなく』

 

「おい」

 

『それでは作者権限で本編終了逃げるが勝ちー』

 

「あ、おい逃げるな」



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第九話

 

「--といった感じの能力だ」

 

 

キルアの説明を終わり、二人は(お、おう)と余りの能力とそのデメリットを解明しようとするやり方とその結果に驚いていた。 (え?説明してない?き、気のせいじゃないかなぁ(;'∀')?)

 

 

「……な、成程な。 大体はわかったぞ…」

 

「…私もなんとかついて行けました…」

 

「ふぅ、流石にもう一度説明するのは勘弁だから助かったよ」

 

「確かに、説明する方が大変そうだの……それとキルア、おんしにもう一つ聞きたいことがある」

 

「何だ?」

 

 

白夜叉は聞いてる途中からずっと気になっていたことを聞いた

 

 

「おんし……本当に何者だ? おんしが裏社会の人間ということはわかっておるが、そんな実験をして、しかもその結果を隠し通し、狙われないためにはかなりの地位に居ないと出来ないだろう…最低でも裏社会のTOPにはならないといけないくらいな」

 

 

白夜叉がそう言い終わるとキルアは「あぁ、言ってなかったか、悪い悪い」と白夜叉たちが自分の身分を分かってる上で説明してるつもりだったらしい

 

 

「俺の家族って裏社会でも表社会でも誰でも知ってる様な有名な殺し屋なんだよね。 それも家が観光名所にされるくらいの」

 

「「……はぁ??」」

 

 

白夜叉も女性店員すらも(ちょっと何言ってるか分からない)という顔をしていた

 

 

「……殺し屋の家が観光名所って…一体どんな家なんですか…?」

 

「ん? まぁとりあえず今は置いておこう」

 

「そ、そうだな」

 

「で、ですね。とりあえず本題に入りましょうか」

 

 

三人共終わりが見えなさそうと思ったので雑談はここで切り上げた

 

 

「それで、本題に入るけど…俺としてはアルカは無意識に自分の能力を使ったんだと思う」

 

「というと?」

 

「おそらくアルカは直感で俺がどっかに飛ばされると感じ取ったんだろうな、それで無意識で初めてナニカに願った。そして内容は多分『お兄ちゃんと離れたくない』だろう」

 

「……成程のう」

 

「…は、はぁ(おおまかにしか理解出来ませんでした…)」

 

 

白夜叉は納得したのに対し、女性店員はギリギリ理解した程度の自分に少し自信を無くしたが--

 

 

「--それにしても一回の説明で理解出来たなんて凄いな二人共。 正直さっきの連中の中では十六夜ってやつ以外は半日あって理解出来る程度だと思うからそいつ以外に話すのはかなり後になるけど…問題ねーよな?」

 

 

自信を無くしてた女性店員はその言葉を聞き(え?)と小さく呟くと、隣に座っている白夜叉がキルアの言葉に頷いた

 

 

「仕方ないだろう。この近くであの小僧以外に今の説明だけで理解出来る者は私らだけだろうの」

 

 

--女性店員はキルアと白夜叉の言葉を聞き(やった!)と心の中でガッツポーズを取るが全く表に出さない。 流石は上級者のツンデr-ポーカーフェイスの持ち主だ

 

 

「で、何でヤバいかって言うと…まぁ俺の推測が合ってればの話だけどな。 …恐らくさっき言った『ナニカへの願い事』のデメリットとはまるで違うと内容だと思う」

 

「そうだろうのぉ」

 

「は、はぁ…それでキルアさんの推測はどのような内容何ですか?」

 

「あぁ、実は今のアルカの中にはナニカがいないんだ」

 

「え? じゃあナニカさんは何処にいるんですか?」

 

「……多分意識だけの存在としてあっちにいると思う。ナニカまでこっちに来たら無理矢理こっちの世界に介入したアルカの元の世界での存在が不安定になると思うからな。 だからこそそれを安定させるためにナニカは元の世界に残っているんだろう」

 

「成程」

 

「-とっ、少し話の内容が逸れたな、…じゃあ改めて俺の推測を聞いてくれ」

 

 

キルアは二回程咳払いをし、話を戻した

 

 

「--まず、今までのナニカの願い事の返し方から推測すると『あっちの世界の人間をこっちに持ってくる』って感じだと思う。」

 

「「な…!?」」

 

 

二人は驚きを隠せずに叫んでしまうが気にせずキルアは説明を続ける

 

 

「…多分強いやつらしか持って来ないと思うけどな。 …最悪の場合は俺らの元の世界と箱庭が繋がってしまうことだ。そうなってしまったら---多分異世界全てに何らかの影響がでて、恐らく箱庭は無事だろうが、十中八九--

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--俺らの元の世界は崩壊するだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「っ…!!」」

 

「--まぁ俺の話はこれくらいだ、何か質問でもあるか?」

 

「…私からはない」

 

「私もです」

 

 

キルアの説明が終わり、しばらくの間無言が続いたが、それを破ったのは白夜叉だった

 

 

「…キルア、貴重な情報を提供してもらい感謝する。此方でも少し調査しておく。 …それと此方からも頼みがある……どうか、黒ウサギのコミュニティに入って黒ウサギたちを支えてやって欲しい」

 

 

白夜叉は頭を下げてキルアに頼んだ。 その様子にキルアは少し驚いたがすぐに白夜叉の頼みに返答した

 

 

「--勿論、引き受けた」

 

 

白夜叉はその言葉を聞き小さく「…感謝する」と呟いた

 

 

「-それじゃあ、もう用件済んだからコミュニティに帰るな。 話聴いてくれてありがとな、んじゃ」

 

「あ、少し待って下さい」

 

 

キルアが立ち上がり襖を開けそういうと女性店員がキルアを呼び止め一枚の紙を渡した

 

 

「どうぞ。ノーネームまでの地図です。これを持って下さい」

 

「お、ありがと。迷うとこだった。 それじゃあ今度こそ行くわ」

 

「あぁ、いつでも来い。そして今度こそ私とタイマンを「しねーよ?」…ちっ」

 

「はい、キルアさんならいつでも歓迎します」

 

「ありがと、それじゃあな」

 

 

キルアはそう言い、白夜叉たちに手を振って自身のコミュニティへと足を進めた

 




「女性店員さんはツンデレ」これ常識


質問、評価、感想待ってます。


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第十話

 

「ふぅ、後もう少しで着くかな?」

 

 

--現在キルアは白夜叉とアルカのことについて話を終え、ノーネームへ向かい歩いている途中であった

 

 

「しっかし敷地だけはホント広いのな。 マジで前はどんだけ凄かったんだろいな…」

 

 

予想以上に前のコミュニティが大きそうで少し呆れてるとノーネームの本拠地と思われる奥の屋敷が見えてきた

 

 

「へー、やっぱり屋敷もそうとうでかいのか--

 

″ズドガァン!″

 

--っ!?なんだ今のは!?」

 

 

キルアがそう叫び臨戦態勢を取り、発信源を探してみるとどうやら屋敷の方から爆音が鳴ったようだ

 

 

「……とにかく屋敷まで急がねーと!」

 

 

キルアは″ 電光石火(でんこうせっか)″を使い、屋敷まで全速力で向かった

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

問題児side

 

 

「な、何事ですか!?

 

 

--コミュニティ本拠地で鳴った轟音に気づき、駆けつけたジンはその場に立っている十六夜に問う

 

 

「侵入者っぽいぞ。例の″フォレス・ガロ″の連中じゃねえか?」

 

「えっ?ガルドの!?」

 

 

ジンが驚いていると瓦礫の中からガルドの手下たちが出てきた

 

 

「なんというデタラメな力………! 蛇神を倒したというのは本当の話だったのか」

 

「ああ………これならガルドの奴とのゲームに勝てるかもしれない……!」

 

 

十六夜は侵入者たちに敵意がないのに気づいたのか、見てて気になったことを侵入者に話しかけた

 

 

「おお?なんだお前ら、人間じゃねぇのか?」

 

 

そう。侵入者たちの姿は犬の耳や長い体毛と爪、爬虫類の様な様々な姿をしていたのだ

 

 

「我々は人をベースに様々な″獣″のギフトを持つ者。しかしギフトの格が低いため、このような半端な変幻しか出来ないのだ」

 

「へー、で襲わなかったのにはなんか理由あんだろ?」

 

「恥を忍んで頼む! 我々の……いえ、魔王の傘下であるコミュニティ″フォレス・ガロ″を、完封なきまでに叩き潰してはいただk--

 

 

 

 

 

『…ガハッ!』

 

 

 

 

 

--っ!?…ど、どうした!?いきなり吐血するなんt--」

 

 

 

--1人の男が吐血し、傷跡を確認した次の瞬間、言葉を失った。その理由は--

 

 

 

 

 

 

 

--男の心臓のみが綺麗にくり貫かれていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、十六夜じゃん。 さっき振りだな」

 

 

するといつの間にか十六夜の隣から声がした。 そしておそらくそこの男のであろう心臓を指で摘まんでみながら現れた。

 

十六夜は表面上でこそ冷静に今の一連の主犯を見つめているが、内心は全く穏やかではなかった。

 

 

「……おい、何であいつを殺した? それにさっきは話し合いをしていた、少し痛めつけるくらいなら分かるが殺す必要は無かったんじゃないか?」

 

 

十六夜がさっきの主犯にそういうと意外そうな顔で返事を返した。

 

 

「マジか、確かに話し合いを中断させたのは悪かったが…あいつらは犯罪者で殺されて当然なほど罪を重ねてたから…別によくね? まだ話し合いするぐらいなら充分な数はいるし」

 

 

その言葉を聞き我に返ったジンがその主犯に叫んだ。

 

 

「だとしても!殺すのはやり過ぎです

 

 

 

 

 

 

 

 

キルアさん(・・・・・)!!」



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第十一話





「え、いやそんなこと言われてもさ、アルカを含めたうちのコミュニティの子供たちが拐われて殺されるかも知れないって思って急いで来たからこいつらのことは『ガルドの手先で子供拐いに来た』ってことしかわかってなかったし殺したのは悪いと思ってるけど仕方なくね?余裕無かったし」

 

 

俺がジンに″どうどう″とジェスチャーを送りながら言う(なんかガルドの手下たちがザワつき始めているが俺は知らん)がジンはさっきより大きい声でキルアに怒鳴る

 

 

「ですがいくら彼等が子供たちを拐って来たから簡単に殺していい理由にはなりません!!」

 

「でも今まで死んでいった子供たちを拐ってガルドに差し出していたのは紛れもないこいつらなんだろ? それに殺しちゃったことについては悪いとは思ってるって言ったじゃん」

 

 

キルアの言い分にジンは「ぐっ…」と押し黙る。

するとガルドの手下のリーダーらしき者がジンたちに訊ねた

 

 

「…1つ質問してもいいか?」

 

「何でしょうか?」

 

「その……さっき人質が、もう死んでるって………本当なのか?」

 

 

ジンたちに訊ねた人物は言葉を紡ぐごとに俯きながら訊いた

 

 

「それは…本t「あぁとっくガルドに食われたぞ」……なっ、十六夜さん!!」

 

「…やはり…そうでしたか……」

 

 

十六夜がぶっきらぼうに答えたことにジンは十六夜に向かって怒鳴ったが、何か考え込んでいた十六夜の耳には入らなかった

 

 

(……これは使えるか?)

 

 

そして十六夜は悪いイタズラを思い付いたような笑みを浮かべ、一瞬だけキルアに目線を送りすぐにガルドの手下たち(長いので以降″ガル手下″で)の方へ戻しこう言った

 

 

「なぁお前たち、″フォレス・ガロ″とガルドが憎いか?叩き潰されてほしいか?」

 

「あ、当たり前だ! 俺達がアイツのせいでどんな目にあってきたか……!」

 

「そうかそうか。でもお前たちにはそれを出来るだけの力がないと?」

 

(なんだ?十六夜のやつ何考えてんだ?)

 

ガル手下らが唇を噛みしめている中キルアは十六夜の行動に疑問を抱いていた

 

 

「だ、だがアイツはあれでも魔王の配下。ギフトの格も段違いだ。万が一勝てたとしても魔王に目を付けられたら…」

 

「その″魔王″を倒すコミュニティがあるとしたら?」

 

 

『え?』と全員顔を上げる。そしてジンの肩を抱き寄せ続けた

 

 

「このジン坊っちゃんが、魔王を倒すコミュニティを作ると言っているんだ」

 

 

「なっ!?」

 

 

ガル手下らを含め、ジンすら驚愕している中キルアは「……ん?」と何か感づいたように呟いた。

 

だがまだ十六夜の話は終わらない

 

 

「魔王を倒すコミュニティ、その傘下も含め全てのコミュニティを魔王の脅威から守る」

 

「ぼ、僕はそんなk---」

 

 

十六夜の言った言葉を否定しようと声をあげたが途中でジンの口をキルアが塞いだ。ついでにギフトを発動した鋭利な指をジンの首に当てる(勿論ガル手下らには見えない様に)

 

 

「人質のことは残念だった。だが安心してくれ!明日ジン=ラッセル率いるメンバーが必ずお前たちの仇を取ってくれる!」

 

「さぁ、コミュニティに帰るんだ! そして仲間に言いふらせ! 俺達のジン=ラッセルが″魔王″を倒してくれると!」

 

「……あぁ、成程そういう算段か」

 

 

キルアが納得した後に余りの衝撃で少しの間我を忘れていたガル手下らがハッ!と我に帰り早速行動に移した

 

 

「……あ、あぁわかった!明日は頑張ってくれジン坊っちゃん!」

 

「……え…」

 

 

ガル手下らが去った後キルアはジンを解放したが暫く棒立ちのままだった

 

 



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第十二話

お久しぶりです、すてぃ~るです。

20日に投稿した後「よし、それじゃあ更新ペースキープするために書き溜め挑戦してみるか」となって、いざ書き溜めを始めて見たら流れに乗っちゃって5日で3話ほど書けちゃいました(;'∀')

流れのちからってすげー(ただし自分の場合では1週間と続かない、もう切れちゃいましたし)


「どういうつもりですか!?」

 

 

ガルドの手下らを見送った後、本拠の最上階・大広間に十六夜、キルア、キルアに連れてこられたジンが集まり、少しして我を忘れていたジンが我に帰り、帰った瞬間、たまらず叫びながら十六夜に問いた。

だが十六夜はヘラヘラとした口調で答えた

 

 

「″打倒魔王″が″打倒全ての魔王とその関係者″になっただけだろ。″魔王にお困りの方、ジン=ラッセルまでご連絡ください″---キャッチフレーズはこんなところか?」

 

 

「全く笑い事じゃありませんよ! 魔王の力はコミュニティの入口を見て理解出来たでしょう!?」

 

「勿論。あんな面白そうな力を持ったやつと戦えるなんて最高じゃねぇか」

 

「お……″面白そう″? では十六夜さんは自分の道楽の為にコミュニティを滅亡に追いやるつもりですか…?」

 

 

「それは違うぞ」

 

 

ジンがわなわなとしながら厳しい口調で十六夜と話していたが、今まで一言も喋っていなかったキルアが「はぁ…」とため息をつきながら続けた

 

 

「さっきの十六夜の行動は今の″ノーネーム″にとって必要不可欠な作戦であり、この作戦が無ければ旗を奪還するなんて夢のまた夢だ。 後十六夜は少し言い過ぎ」

 

「へいへい」

 

「え…作戦、なんですか?」

 

「そう。 まず一つ訊きたいんだが、お前は俺達を呼び出してからどうやって魔王と戦うつもりだ? 少なくとも旗を奪っていったやつは白夜叉よりも強いんだろ?」

 

「ッ……ま、まず水源を確保するつもりでした。新しい人材と作戦を的確に組めば、水神クラスは無理でも水を確保する方法はありましたから。ですがそれに関しては十六夜さんが想像以上の成果を上げてくれたので素直に感謝しています」

 

「おう、感謝しつくせ」

 

「ギフトゲームを堅実にクリアしていけばコミュニティは必ず強くなります。例え力のない同士が呼び出されたとしても、力を合わせれb「馬鹿かお前は?いや馬鹿か」--ッ!……じゃあ十六夜さんとキルアさんの作戦はどういったもの何ですか!?

 

 

自分の幼い頭で考えた作戦をキルアに即座に否定されやけくそと懇願が入り交じった大声でキルアと十六夜に聞いた

 

 

「はぁ…すぐ感情的になるなよ。 じゃあまずどうやって力を付けるんだ?」

 

「だからそれはさっき言った通りギフトゲームに参加さt「それは箱庭では常識だ、作戦じゃない」--ッ!…ならどうやって魔王に勝つつもりですか?」

 

「簡単に答えだけ教えてもつまらないから順を追って説明しよう」

 

「まず俺達が″ノーネーム″である以上大したことないゲームにしか参加できない。それは何故かはわかるな?」

 

「″旗印″がないから」

 

「そう。コミュニティを主張する″旗印″がない今のままじゃ物を売買するときに無記名でサインするのと変わらねぇ」

 

「名も旗もない。--となると残る選択肢は一つに限られる」

 

 

キルアがジンを指で指しながらニヤリと笑いながら言ったのを見て「ハッ」として理解した

 

 

「だから僕の、リーダーの名前を売り込んだ…」

 

 

やっとジンが理解したので今まで空気だった十六夜にキルアは説明をバトンタッチ

 

 

「だがまだ足りない、ただ宣言するだけなら何処でも出来る、だが魔王一味に一度でも勝利した事実が噂はさらに広い範囲まで伝わるはずだ」

 

「…だから『明日は絶対負けられない』…十六夜さんはそう言いたいのですね」

 

「そうだ、だから明日のギフトゲームは絶対勝て、でないとこの作戦は始まらないしやり直しも効かないからな」

 

「はい!」

 

「よし、じゃあもう解散するか。 キルア、もう解s---ってもういねぇし、というか最後まで話聞いてたのかアイツ……まぁアイツは作戦のことは完全に理解してるようだし大丈夫か」

 

 

十六夜たちはジンに全ての説明を伝え終わったので解散した。 ……十六夜がある言葉を残して

 

 

「あ、そうそう。一ついい忘れてたが万が一明日負けたら俺たちコミュニティ抜けるから」

 

「…え?」

 

「それじゃあまた明日な」

 

「ちょ、十六夜s---行ってしまった…」

 

 

″えぇ…″となんとも言えない顔をしてジンはまた棒立ちしていた

 




最後まで読んでいただきありがとうございます!


えっと前書きに書いてあった書き溜めの件なのですが、一つだけ大きい問題がありまして……



……全然ストーリーが進まないのです(-_-;)

原因は投稿スピードだけじゃなく小説でも動画でもよくある「キ○グ・クリ○ゾン」が苦手なんです。 簡単に言うと「一旦切るところ見極められずダラダラ続いてしまってオリジナルが出来てしまう」ということなんです(;´・ω・)

それにより次回が予定なんて全くしていない、しかも成り行きで書いてしまったオリジナル回になってしまいました。 まさに上記に書いてある通りになってしまいましたね(;^ω^)

そして決定的なのが現在執筆中である第十五話で対ガルド戦のギアスロールが出てきます。

自分自身でもこんな更新速度ではなくストーリーが亀更新の小説なんて見たことありません(-_-;)


長々と書いてしまってすみません、それではまた今度、次話は明日上げます。


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第十三話

-ゲーム当日-

 

 

現在の時刻は朝五時

 

現在キルアは

一番コミュニティの中で早く起きたのは意外にもキルアだった。

最近キルアは毎日体が鈍らないように基礎系鍛練を朝五時から六時までの一時間ほど行っている(やれと言ったのはビスケ)

 

メニューはまず座禅を組みながら″練″を全力の八割ほどに固定し、それを30分行う、その後に20分″絶″状態でフリーランニング、10分は″燃″を磨く(メニューを考えたのもビスケ)

 

そして全てのメニューが終わる頃には十六夜が既に起きて来ていた(十六夜はコミュニティの図書館で夜通し本を読んでいた)

 

「おーす十六夜」

 

「おう、朝飯まで後一時間ちょいくらいあるからシャワー浴びてきたらどうだ?」

 

「ん、そうするわ」

 

 

十六夜に軽く挨拶して風呂へ向かった

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「…ふぅ…やっぱ朝風呂は気持ちいいな。しかも鍛練の後だから尚更か……ってあれなんか忘れて---あ!」

 

 

キルアが風呂から上がり、体を拭いている今、物凄く重大なことに気が付いた---

 

 

「…ヤヴァイ、着替え持ってくるの忘れた…」

 

 

---そう、着替えを忘れたのだ。 昨日風呂に入った時は黒ウサギが下着と寝巻きの場所を教えてもくれたが、その時は黒ウサギが持ってきてくれたのでそのまま風呂へ行けたのだが、今回は鍛練が終わり、十六夜と軽く挨拶した後に風呂へ直行したので完璧に忘れていたのだ(ちなみにタオルは風呂の脱衣場に個別で使う籠があるのでその中に入っている。 そしてキルア達は主戦力なので間違わないように目立つ場所に置いてある)しかも普段着や下着の場所を教えてくれたのだが忘れてしまった

 

 

「うっわぁ~、マジでどうしよう…十六夜に頼むって手もあるが……うん、これは何が起こっても絶対取りたく無いな」

 

 

十六夜に頼んでもまずからかわれるのが目に見えてるのでこの案は即却下

 

 

「″絶″を使って自分で取りに行くってことも出来なくはないが…春日部がいるせいでリスクが高過ぎるしなぁ…」

 

 

そう、″絶″はあくまでオーラを断ち、気配を消すだけなので匂いまでは消せないのだ

 

 

「八方塞がりじゃないですかやだー」orz

 

 

キルアがもう諦めて潔く自分で取りに行こうとした---

 

 

 

 

 

「あのーキルアさん、リリですが、朝食出来ましたので着替えたら食堂まで来てください」

 

 

 

 

 

---天使が舞い降りた

キルアは純粋にこう思った。 そして天使はそのままこの場を離れそうになったので急いで引き留めた

 

 

「あ、ちょっと待ってリリ!!」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「えっとさ…俺のサイズに合った男子下着と服を、持ってきて貰えないでしょうか…」

 

「はい、わかりました。10分程お待ちして下さい」

 

「ありがとうリリ!この恩は一生忘れない!!」

 

 

キルアがそう言うとリリはすぐに取りに行ってくれた、しかもリリはキルアが元の世界で着てたやつに似てる服を選んで持ってきてくれたのだ

 

 

「ホントありがとうリリ!これでもう何も怖くない…」

 

 

キルアはリリに丁寧に腰を90゜曲げてお礼をした。 

 

 

「いやぁ~ホントに助かった。 そうだ!このお礼として俺に出来る範囲で良ければリリのお願い一つ聞くよ、何がいい?」

 

「えぇ!?…じゃ、じゃあ今度買い物に付き合って貰えますか…?」

 

「おっけ、じゃあ朝飯食ってくるね」

 

 

神が与えた試練をクリアした喜びでキルアは僅かに頬を紅くしたリリに気づくことが出来なかった




こんな茶番にお付き合い頂いた方、そうでない方も最後まで読んで頂きありがとうございます! 次話は書き溜めが1話完成すれば上げます! 少なくとも今週中には上げます!

それではまた


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第十四話

「お、皆おはよー」

 

「おはようキルア君」

 

「おはよう」

 

 

現在の時刻は七時前

キルアが着替え終わり、食堂に着くとすでに耀と飛鳥が座っていた

そして朝食も既に出ていた

 

 

「先に食うか皆待つかどうする?」

 

「「春日部(さん)の顔が怖いから先に食べよう」」

 

 

さっきから春日部が一言も喋ってないのだがその目には朝食しか映っておらず今にも爆発しそうな食欲を我慢している顔がもの凄く怖いのだ

 

「そうだな、それじゃあ…」

 

「「「「いただきまーす」

 

(うん、普通に旨いな)

 

 

キルアが心の中でそんな感想を抱いていると、あることを思い出した

 

 

「そういやゲーム開始時刻は何時だっけ?」

 

「今日の11時くらいよ」

 

「サンキュ」

 

「ところでキルア君、気になってたのだけれど一つ聞いてもいいかしら?」

 

「ん?別にいいけど?」

 

「じゃあ聞くわね……結局貴方は何者なの?」

 

 

ピクッとキルアが反応し、少し間を空けてから答えた

 

 

「……それはゲームに勝って一段落したら教えてやるよ、今言っても混乱するし、何より面倒だ。 だから今日やるギフトゲームの方に集中しろ」

 

「今言ってくれないかしら?でないと気になってゲームに集中出来ないわ」

 

「言って混乱させて集中出来なくさせるよりはマシさ、高飛車お嬢様なら尚更な」

 

「私はそんなヤワな人間じゃないから大丈夫よ」

 

「大丈夫じゃないから言ってる、今のお前の精神力じゃあ到底耐えられねぇよ。 それにこの中じゃあお前がダントツにヤワだぞ、少しはそういうことに自覚したらどうだ?」

 

「……″そういうこと″ってどういうことよ?」

 

「さぁ?自分で考えな、まぁ多分お前が思った通りの意味だと思うぜ」

 

 

飛鳥はさらにしつこき聞いてくるがキルアは馬鹿にするように答えた

 

 

「っ!…『いいから教えなs「断る」っ…!?」

 

 

飛鳥がギフトを使いキルアに喋らせようとしたが言い終わる前に飛鳥の後ろに回り込み右手で飛鳥の口を塞ぎ、左腕で飛鳥の目を覆った

キルアはほんの少し殺気を出しながら飛鳥に言った

 

 

「しつこい、いい加減にしろ。 それとそっちが最初にギフト使おうとしたんだからこれは正当防衛だ」

 

 

飛鳥はその一言でやっと観念したようだ

 

 

「…わかったわ、そのかわり今日のギフトゲームに勝ったら絶対教えてもらうわよ」

 

「一段落したらな」

 

 

ニヤリと笑いながら返事するキルアにムスッとする飛鳥であった

 

 

「ごちそう様でした。 じゃあ時間までアルカと遊んで来るわ、時間になったら呼んでくれ」

 

「おけ」

 

 

$¥$¥$¥$¥$¥$¥$¥$¥$¥$¥$¥

 

 

「おーい、キルア坊っちゃん時間ですぞー」

 

「はいよー、サンキュー」

 

 

十六夜のふざけた呼び声がかかったので今日のギフトゲームに向けての支度をする

 

 

「お兄ちゃん、もう行っちゃうの?」

 

「ごめんな、でもすぐ帰って来るから我慢してくれ」

 

「うん、わかった」

 

「よし、いい子だ」

 

 

キルアは最後にアルカの頭を撫でてから家を出た

 

 

「ほいこれ地図、お嬢様たちはもう先行ってるぜ」

 

「マジか、まぁ別にいいけどな」

 

「じゃ、行こうぜ。荷物はそれだけでいいのか?」

 

「あぁ、これだけで十分だ」

 

「そ、ならいいや。 後分かってると思うが、今日のギフトゲームに勝たなきゃ作戦は使えない。 だから頼むぜ」

 

「言われなくとも。 ……と言いたいんだけど、今回俺はガルドの強さだけ測って後は様子見しようと思う」

 

「なんでだ?」

 

「あいつらを試すのさ。 恐らく、というか絶対ガルドは俺らに対して面倒な対策をしてくる」

 

「だからいきなり状況が変わったらあいつらは確実に混乱する。 春日部は強さは大体分かったが問題は飛鳥だ。 あいつのギフトは非戦闘向きだ、それを戦闘ではどの様に活用するのか知る必要がある」

 

「そして戦闘で生き残るためにはあらゆる状況にも対応出来るようにならなければならない。 俺がやってもいいがそれはあいつらのためにならない、だから俺は今回は様子見だけする」

 

「成程な、ならOKだ」

 

 

十六夜がキルアの言い分に納得してキルアはホっとしたようだ

 

 

「それじゃ行ってくるわ」

 

「あぁ、一応言っとくが俺も観戦するぜ」

 

「ハハハ、じゃあ頑張って様子見しなきゃだな」

 

 

キルアと十六夜はそんなふざけた話をしながら今回のギフトゲーム会場、″フォレス・ガロ″の本拠地へと向かった



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第十五話

「よし到着っと……ってあれ?まだ誰も居ないのか?」

 

 

キルアと十六夜がゲーム会場に着くがまだ誰も居なかった

 

 

「みたいだな、俺らが速すぎたんだろ」

 

 

「あぁ、どっかで追い越しちまったんだろうな」

 

「それにしてもやっぱお前面白いな、本気ではないとは言え俺と同じ速度で走れるなんてよ」

 

「まぁな、前の世界でも速さには自信があった、それに……」

 

「ん?それになんだ?」

 

「…いや、何でもない」

 

「ふーんならいいや」

 

(だがこれはもう気のせいとは言えないな、俺の力の限界値と成長スピードが明らかに異常なスピードで伸びてる……この箱庭の世界に来たからか? ……まぁ、少なくともマイナスになることは無いだろうからまた後ででもいいか、俺程度がいくら考えても分からないだろうし)

 

 

そう、キルアは此処に来るまでには念能力を使用して移動したのだが、いつもなら念を使って此処まで移動したら念を五割ほど消費するのだが今回は二割程しか消費して無いのだ

 

 

「あ、十六夜に内密の相談あるんだけどいいか?」

 

「おういいぞ、それにお前はもっと年上に頼れ。主に俺や俺や俺にな」

 

「お前しかいないですがそれは」

 

 

十六夜が「ヤハハ」と安定の笑い声でOKしてくれた

 

 

「ま、サンキュ、じゃあ話すけどアルカの事なんだ」

 

「お前の妹の?」

 

「あぁ、実は---

 

 

                                ~少年説明中~

 

 

 ---ってことなんだ」

 

「へぇ…成程、面白そうだな……」

 

「はぁ? どこが面白そう何だよ?」

 

「全部だよ、能力もそうだし何よりお前の元居た世界のやつらが来るかも知れねぇんだろ? 面白そう以外になんかあんのか?」

 

「だから箱庭の危機g-「そんなもん上層の連中に任せとけ」……はぁ…ま、それが無難だな」

 

「だろ? だから今はギフトゲームを楽しんどきゃあいいのさ」

 

「…そうだな」

 

 

十六夜が笑いながらふざけた様に言っているが十六夜はかなり頭が回る、だからちゃんと話を理解してこの結論に至ったのだろう。

 

十六夜に一通り話終えた後は暇潰しも兼ねて″燃″の修業をしていた、十分程続けていると遠くから話し声が聞こえた、おそらく久遠たちだろう

 

 

「おーす」

 

「あ、キルア君じゃない、いつの間に来てたのね」

 

「ホントだ、早いね」

 

「キルアさん、今日はよろしくお願いします」

 

「ん、よろしく」

 

「ところでキルア君はもうギアスロールを見たの?」

 

「いやまだだ」

 

「では全員で見てみましょう」

 

 

やっと来た久遠たちと軽く話した後、ギアスロールを全員で覗いたのだがその内容にキルアと十六夜を除く全員が絶句した

 

 

『ギフトゲーム名:”ハンティング”

 

プレイヤー一覧:久遠 飛鳥

        春日部 耀

        キルア=ゾルディック

        ジン=ラッセル

 

 

・クリア条件 ホストの本拠地に潜むガルド=ガスパーの討伐。

 

・クリア方法 ホスト側が用意した特定の武具でのみ討伐可能。

       指定武具以外は“契約”によってガルド=ガスパーを傷つけることは不可能

 

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

・指定武具 ゲームデリトリーにて配置。

 

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

 

                            “フォレス・ガロ”印』

 



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第十六話





「…これはまずいです!」

 

「何がまずいのかしら?」

 

(え、何? こいつギアスロールに書いてあることの意味全然分かってねぇの?)

 

 

飛鳥がギアスロールに書いてあるルールの意味を全然理解してないことにキルアは信じられないと思いながら驚きと苦笑いとドン引きが入り交じった、なんとも言えない病状をしていた

 

 

「わかりやすく言うと今回のゲームでは飛鳥さんのギフトでガルドを命令することも、耀さんの風などのガルド自身に作用するギフトは効かないということなのですよ!!」

 

「まぁ、何とかなるだろ」

 

「だな」

 

「そうね」

 

「うん」

 

 

能天気に問題児一同はそう言った

 

 

「とりまギフトゲームやろうぜ。 おいジン、もう行くぞー」

 

「やっぱり鬼化してる?……あ、はい、わかりました今いきます」

 

 

ジンが何か呟いたがキルアたちは無視してゲーム会場に入った

 

 

 

←↓→↑←↓→↑←↓→↑←↓→↑←↓→↑←↓→↑←↓→↑

 

 

「じゃあまず二手に別れよう」

 

「そうね」

 

「うん」

 

「ですね」

 

 

キルアの提案に三人とも頷いた

 

 

「んじゃ、戦力的に考えて……俺一人とそっち三人でいいか?」

 

「っ!?……一つ聞いていいかしら? 『何故戦力的に考えて』私たちは三人でキルア君は一人なのかしら?」

 

 

ピクッと目に見えて不機嫌になった飛鳥がキルアに反論したが、キルアはため息を交えて心底メンドくさそうな顔をして答えた

 

 

「俺は一人の方がやりやすいし、一々そっちのこと構ってやれないから。 何なら試して見るか?」

 

「っ!上等じゃないの!!」

 

「流石に温厚な私も今は手加減出来なさそうだよ…」

 

「はっ、 してもしなくても一緒だから安心しろよ」

 

「ちょっと、皆さん仲間割れh「「「ジン(君)は黙ってろ(て)!!」」」………すみません」

 

 

仲間割れした問題児たちをジンが止めようとするが当然止められなかった

 

 

「最近あんまり暴れてなかったからちょい楽しみだな、白夜叉の出したおっさんも楽しかったけど肉弾戦とか皆無だったし。 そんで?何賭けてやる?」

 

「…じゃあこっちが勝ったらキルアを一日飯使いにする。 飛鳥もそれでいい?」

 

「…え、え。 問題ないわよ(中々えげつないわね…私より怒ってるんじゃないかしら……?)」

 

「ん、おっけー。 じゃ、俺が勝ったら……そうだな、今度お前らが手に入れた権利を二回ずつ譲って貰うことにしよう」

 

「いいよ」

 

「私もいいわ、絶対ぎゃふんと言わせてやるんだから!」

 

「はいはいぎゃふんぎゃふん。 じゃ始めるか、先手はやるよ」

 

「ッ~~!! では行きましょう春日部さん!!」

 

「うん!」

 

 

軽くあしらわれてしまった怒りが存分に入った飛鳥の怒号が開戦合図となって始まった

 

 

 

 

 

 

「…はぁ……取りあえずあの人たちのいざこざが終わるまで僕はその辺を調べてみますかぁ……あ、この木鬼化してる……まぁいいや、疲れちゃったし…」

 

 

すっかり空気だったジンは問題児たちに呆れて半ば放心状態になってしまったせいで木に含まれた重要なヒント軽く流してしまった



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第十七話

色々とわかりづらいと思いますがこれが限界です


「ふぅ、もう終わりか。 んー、まぁ充分か、 お前らの実力は大体わかったし。 …片方はいいとこまで行ったけど、まだ全然いいとこ見せてないもう片方はどうする? まだやるか?」

 

「くっ……」

 

「………」

 

 

キルアのその言葉に答えることも否定出来ない飛鳥と、既に意識を失い倒れている耀

 

そして戦闘が始まったのは今から10分程前---

 

 

∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴

 

 

「そこを動k――――――」

 

 

 

戦闘が始まった直後、飛鳥は先手必勝と言わんばかりに″威光″を使い、キルアを拘束しようとしたが″ゾクッ″っと飛鳥の背中に悪寒が走りギフトを中断してしまった

だが飛鳥の謎の悪寒の正体にいち早く気づいた耀は悔しそうに唇を噛み締めながらも意識を切り替えて飛鳥の代わりにキルアに奇襲した

 

 

 

 

 

(くそ、こんな簡単な飛鳥封じがあったのか…もうこの戦闘では飛鳥は全く戦力にならない。 

…だから、私一人でキルアを倒すしかない!)

 

 

耀はそう悔やみながらグリフォンの力を借り、その圧倒的な脚力でキルアに突撃し、キルアに向けて拳を振ったが――――――

 

 

 

 

 

 

「―――!?」

 

「いやいや、目線とモーションでバレバレだったから、そこまで驚くなよ……よいっしょ!」

 

 

「―――かはっ!?

 

 

拳は空を切った、耀は体が前に流れて行くの止めようとを必死に踏ん張ろうとするが、実行する前ににキルアが横に避けると同時に足先だけ元々立ってた場所に置いておいた。 そしてその場所とは丁度耀の腹に当たりそのまま足を思いっきり振り抜き、耀を蹴り飛ばした

 

 

 

 

「痛ぁ……でも、まだ行ける!」

 

 

 

耀はもう一度突進するが、今度は突進のスピードを上げたり下げたりと細かく調節し、キルアの呼吸を乱そうとする

 

 

「へぇ……」

 

「(――――――ここだ!)えいっ!」

 

 

そして今度こそキルアに当てようと左手拳をキルアに振るう――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――っと、まだ甘い。 そんな付け焼き刃にやられる訳ないだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

―――が、キルアはその左拳を自身の右手で軽く流した。 だが―――

 

 

「―――まだ、だ!」

 

 

(耀が放った左拳は囮で、そこから右拳が本命ってことだろ。 そんなの読めて――――――)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ドスッ!”

 

 

 

 

 

 

 

「――!?」

 

 

 

 

 

 

「――『右拳が本命』って思ったしょ」

 

 

 

 

 

耀がキルアにそう言いながら”右足”でキルアの脇腹を蹴り飛ばした

 

 

(成程、わざとバレバレの右拳を見せて意識をそっちに向けたのか。 やっぱいい才能持ってるな)

 

 

(よし、もう一発入れ――!?)

 

 

耀が勝利を確信し、キルアの顔を見ると微かにニヤリと笑っていたのが見えた

 

 

(何を――!?)

 

 

耀は危険を感じ取り、バックステップして回避を取ろうとしたが、もう遅かった

 

 

 

”ゴスッ!”

 

 

 

「うっ!?」

 

 

 

するといきなり耀の後頭部に激痛が走り、後頭部を押さえながら倒れた。 薄れ行く意識の中で辛うじて確認出来た攻撃の正体は--

 

 

 

 

 

(―――あれは…キルアのヨーヨー?………いつ飛ばしたんだろ…全然気づかなかった……単純に、すごい、な…ぁ………)

 

 

そこまで考えてから耀は意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

「春日部さん!……くっ、『降参しなs″ゾクッ″っ!?」

 

 

飛鳥が再びキルアに対してギフトを使おうしたがまたも謎の悪寒で止められてしまった

 

 

「さっきから…なんなのよ、この悪寒は…」

 

 

飛鳥が震え声で言うとキルアが「はぁ…」とため息を吐きながら答えた

 

 

 

 

 

 

 

「ただの殺気(・・)だよ」

 

 

 

 

 

 

「…え?」

 

 

「だから殺気だって、お前がギフトを使う瞬間に俺がお前に向かって殺気放ったんだよ。 ただそれだけ」

 

 

「……じゃあ、私はただ威嚇されただけでギフトを中断されたってこと?」

 

 

「そういうこと。 まぁ死という概念からほど遠いお嬢様育ちにはキツかったか」

 

 

「っ!……」

 

 

飛鳥はキルアの言葉を否定出来ず、ただ思いっきり拳を握ることしか出来なかった

 



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第十八話

キルアVS飛鳥・耀の戦闘が終わり、五分ほど経つと耀が気がついた。

 

「…ぅ、んぅ…」

 

「あ、気がついたのね春日部さん。 体は大丈夫?」

 

「う、うん。 なんとかね…」

 

「…う~ん、耀を気絶させれた時間は五分程度か…やっぱこのままじゃ駄目か…」

 

「…ちょ、ちょっとキルア君、何でそれ以上ヨーヨーを強化しようとするのよ、もう充分凶器じゃない」

 

 

飛鳥がキルアにそう言うと隣にいる耀もコクコクと頭を縦に振っていた。 キルアはそれを見て「はぁ…」と小さくため息をつきながらも理由を話した。

 

 

「あのなぁ、普通の人間相手ならこれで十分だ。 だが、此処は″箱庭″だぞ? 常人が相手なら″武器″として認識されるが白夜叉みたいなチート共からしたらこんなヨーヨーは″普通のより少し硬い玩具″としか認識されねーよ。

しかもそんなやつらがまだまだいるんだぜ? そいつら相手にこの″玩具″が役に立つかよ。

それに十六夜みたいな人外どころじゃないやつまでいるんだ、正直白夜叉よりも伸びしろのある十六夜の方が俺的には厄介だな。 マジあいつが味方で良かったぜ」

 

「…う~ん、それだったら仕方ない………のかなぁ?」

 

「まぁ、元が玩具だからな、仕方ないっちゃ仕方ないだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁそんなことは置いといて、さっきの賭けは俺の勝ちでいいよな??」

 

「「うぐっ…!!」」

 

 

キルアがヨーヨーをしまいながら飛鳥たちに言った。

そしてこれが事情を知らないものが見れば誰もが和むただの無邪気な子供の笑顔にしか見えないのがなんとも…

 

 

「…そうよ、私たちの負けよ。好きにめいれいすればいいわ。」

 

「…うん、私たちの負けだよ。 ただ、エッチな命令は無しで…」

 

「オーケー、心配すんな。俺は十六夜じゃねぇからな」

 

「あら、流石の十六夜君でもそこまで酷い命令はしないと思うけど?」

 

「なんだ?一晩経って随分と十六夜の印象が変わってるじゃねぇか。 あれか?もしかしt「それは無いわね」…まだ何も言ってねぇんだけど。 つか少しはキョドれよ、つまんねぇ」

 

「ふふ、でも十六夜君だから別に良いじゃない」

 

「それとそうだな」

 

「二人とも、いくら十六夜だからってそこまで言うのは可哀想…だよ? 多分、恐らく、うん。」

 

「何気に耀の言い方の方が一番ダメージ受けると思うぞ」

 

「そうね……所で、結局私たちに何を命令するのか教えてくれるかしら?」

 

 

雑談が一段落ついたのか、飛鳥が遂にキルアに命令について尋ねた。

 

 

「特にないから取り敢えず保留でいいか?」

 

「保留? まぁ私は思います別にいいけど、春日部さんは?」

 

「わたしもいいよ」

 

「それじゃあ、ゲームも終わったところで帰りましょうか。」

 

「そうだね」

 

「だな」

 

 

そして三人とも帰路にーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待ったーーー!!!」

 

 

ーーー立とうとしたがジンに遮られた

 

 

「あらジン君。どうしたの?」

 

「『どうしたの?』じゃありませんよ!! なんでガルドを討伐せずに帰ろうとしてるんですか皆さん!!」

 

「「「………あ」」」

 

「『あ』じゃありませんよ!『あ』じゃ!! なんでチーム決めだけするだけして帰っちゃうんですか!?」

 

「…そういやチーム決めだった……よな?」

 

「何故戦いを提案したあなたが疑問系なんですか!?まさか忘れてたわけじゃあありませんよねぇ!?」

 

「……ソンナコトネェヨ」

 

「棒読み!?今度は棒読みですか!? 大体このギフトゲーム自体もガルドに吹っ掛けたのもあなたですよね!?なのに戦う以前に探すことすらせずに帰ろうとするとはどういうことでs「よしじゃあ俺武器探して来るわ」って逃がすかぁ!!待ちやがれえぇぇぇ!!!」

 

 

キルアが電光石火を使い飛鳥たちでも目にも捉えられない速さで逃げて行ったが、ジンは自らの直感に従い、正確にキルアが逃げた方向へと走った。

 

 

 

 

 

 

「…これなんてカオス?」

 

「…さぁ?」



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ガルド「楽しそう(´・ω・`)」

お久しぶりです。
覚えてない方がほとんどでしょうが生きてます。
詳細はユーザーページから活動報告を見てもらえればわかると思います。

そして安定のこの進まなさである。


ジンが逃げたキルアを追いかけて森の中へ消えていき、無事?2チームに別れて女性陣は館を目指し森のなかを進んでいき、遂にガルドが居ると思われる屋敷にたどり着いた。

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

【ガルドの館】

 

 

 

「ここにガルドがいるのね…」

 

「…うん。」

 

飛鳥は屋敷の前に立ち、耀に確認を取り耀は頷きながら答えた。

 

「…そう、ありがとう。……それにしても、キルア君はともかくジン君は大丈夫かしら?見たところそこまで強そうなギフトを持っているようには見えないのだけれど…。」

 

「う~ん…でも、大丈夫じゃないかな?」

 

飛鳥は途中ではぐれた?ジンをかなり心配そうに耀に問いかけたが、耀は何処かに呆れたように返した。

 

「え?何故そう思うのかしら?」

 

「いや、まぁ…もう少ししたら飛鳥もわかると思うよ?」

 

「?? それってどういうーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー………テェ

 

 

 

 

 

 

 

 

……? 今何か声が聴こえなかったかしら?」

 

「…あー、うん、まぁ…ね」

 

飛鳥が耀に問いかけると耀は苦笑いして返した。

 

「? では今の今の声は何かしrーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マテェ!ニゲルナァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー…あぁ、まさかこれが…」

 

飛鳥はやっとここで耀の呆れと苦笑いの理由なんとなく察した。

 

「うん、そのまさか。 しかもあまりのキレ具合で他の獣は襲う所か縮こまってるし」

 

飛鳥はジンの去り際の横顔を思い出して「あー…」と冷や汗を流しながら納得していた。

 

「…でも、もしかしたらこれが狙いでキルアは逃げたんじゃーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マテヤコラァ!! ハッハー!ダレガマッテタマルカヨヴァーカw ヤロォブッコロシテヤラアアアアア!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………じゃあ、扉開けるわね。」

 

「…………………うん。」

 

林の向こうで叫び声を聞き飛鳥の絶対零度の視線を向けてくるが敢えて触れずに無かったことしてくれたことに耀は友達の素晴らしさを実感した。

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

以下オマケ↓

【森の猛獣()さんたちの思い。】

 

ジ「はぁ…はぁ……ま、待て…や……。」

 

キ「アレー?ジン君もうバテちゃったのか~wそんなんじゃ~一生捕まらねぇぜ??www」

 

ジ「………誰がバテたって!?まだまだこれからじゃあ!!」

 

キ「へー、まだ走れるんか、中々やるじゃんか。」

 

ジ「そんな誉められ方されても嬉しくないしさっさと捕まりやがれぇ!」

 

キ「まだ諦めねぇのか、素晴らしいな。

だが教えてやろう、世の中には死ぬよりも辛いことなどいくらでもあるということをなぁ!!」

 

ジ「上等だ!いくらでもかかってこいやぁ!」

 

 

 

 

 

猛獣()たち『もうやめて!私たちの住みかのライフは0よ!!』

 

 

~おしまい~




最後のジンとキルアのやり取りは何書こうか悩んでた時に『そうだ、オマケにしてギャグ全快のカオスにすればいいんだ』とお告げの様な物が降りてきたので書いた。………こんなことしてるから進まないってのは自分で分かってますから言わないで下さい…(´・ω・`)


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"扉"

「…そろそろいいかな」

 

「あ"あ"?!何のことッ…?!」

 

 

飛鳥と耀が館に入る直前に、キルアはそう呟き、後ろから自身を捕まえにきたジンの首に手刀を打ち込み、気絶させた。

 

 

「悪いな、鬼ごっこはこれで終了だ。」

 

 

そして意識を失ったジンを軽々と脇に抱え、傍にあった木に掛けさせ、その場から去った。

 

 

「さて…もう出て来ていいぞー、俺以外は誰も居ないからー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…ふふふ、既にバレていたか。』

 

 

 

キルアは虚空に向かってそう叫ぶとどこからか女性の声が聞こえた。

 

 

「おいおい、こっちはわざわざお前が出てきても大丈夫なように仲間を気絶させてまで(・・・・・・・・・・)舞台を整えてやったのに、姿は見せないとかどういうことだよ。元お仲間さんよ。」

 

『?! …黒ウサギから聞いたのか?』

 

「いや?単純に自分で推理しただけさ。」

 

『そうか…何故わかったか、聞いてもいいか?』

 

「いいぜ」

 

 

キルアの挑発的な物言いと言動に、謎の声の主は驚きながら聞いた。

 

 

「まぁお前もずっと会話聞いてただろうから結構端折るけど、最初に疑問に思ったのは、この場所に来たときに黒ウサギが『まさか…彼女が…』とか言ってただろ?そのときに既にお前ら(元お仲間さん)じゃないかって思ったんだけど、それだと何故ガルド程度に手を貸すのがわからなかった。黒ウサギや白夜叉の話だと全員が全員魔王クラスのやつだと聞いていたからな。其ほどのやつがガルド程度に、しかも自分の元仲間たちを危険に晒すなんて考えられなかった。」

 

『だろうな』

 

「それでも此処までの話だと"敵に操られて俺らを潰そうとしている"としか考えつかないし、それ以外思い付かなかった。でも、やっぱりどうしても納得出来なかったんだ。特に"何故こんな簡単なギフトゲームで俺らを潰せると思ったのか"が一番の疑問に思ってた。」

 

 

キルアは未だに姿を見せない虚空から聞こえる女性の声に向かって不敵な顔をして続ける。

 

 

「そしてジンを除いた俺らがゲームしている時にお前が俺らをどういう風に見ている"目"が何なのかわかった。そしてその目の意味を理解すると同時に全ての疑問点が解消され、お前の目的がわかった。理由は、その目と目的は全く同じだったからだ。」

 

『…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして、その視線の正体は、ーーーーーーーーーーー"値踏み"だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、お前は俺らを"潰しにきた"んじゃない。逆に俺らにあのコミュニティを託していいか"試しに来た"んだ。それがその"目"の正体であり、お前の目的だ。違うか?」

 

キルアは不敵な顔をしたまま自信満々に自分の推理を締めくくった。そして、謎の声の主はーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…ふふ。目は口程に物を言うというが…まさにその通りだったな。』

 

 

ーーー嬉しそうに、そして儚く、見えない笑みを浮かべながら笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

"ギィ…"という言葉と共に入り口の扉が耀の手によって開かれ、ついに二人はガルドの居る屋敷に踏み込んだ。

 

 

「……暗いわね。」

 

「うん。でもやっぱりこの屋敷にはガルド以外誰もいないみたい。」

 

「そう…。」

 

 

耀はもう一度その優れた五感で探るが、やはりガルド以外は見つからなかった。

 

 

「ガルドはそこの階段を登ったところの大きい扉の中みたい…飛鳥、どうする?」

 

「…そうね。悔しいけれど、一先ず剣を回収して、脱出しましょう。春日部さん、剣の回収をお願い出来るかしら」

 

「わかった。」

 

 

作戦が練り終わるとほぼ同時に階段を登り切り、ガルドのいる部屋の前にたどり着いた。

 

 

「……じゃあ、開けるよ」

 

「…ええ。行きましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー"ギィ…"

 

 

 

 

 

 

 

ーーーこれは、誰もが酷く聞き慣れた音

 

 

ーーー金具が軋み、鈍い音を辺りに散らす

 

 

ーーーこれは当たり前の、何の特徴も無い無色な音色。

 

 

ーーーだがそれは、気分や体調、そして周囲一つで色が着き、全てが変わる

 

 

ーーー周りが賑やかであれば簡単に掻き消され、静かであればよく響く

 

 

ーーーそれ故に、色濃く目立つ時がある

 

 

ーーー"これ"は誰もが使い、誰もが鳴らす

 

 

ーーーそして、"これ"は今回のーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…GYAAAAAAAAAAA!!!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー開戦の合図と言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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十六夜「俺のギフトで扉壊して乱入出来ねぇかな?」黒ウサギ「辞めてください!」

ほぼ閑話。
前回のシリアス回で色々溜まってたせいか、何時もより勢い任せで書いたから色々酷い。


「なああああにやってるんですかあのお三方はあああああああああ!?!?!?」

 

「うるせぇ」

 

「イタイ!」

 

 

黒ウサギが発狂し、余りの煩さに十六夜は黒ウサギの頭部にチョップを入れた。

 

因みに話はキルアVS飛鳥・耀の対決までの遡っている。

 

 

「つーかどうした。何かあったのか苦労詐欺。」

 

「それがですね…っていうか今イントネーションおかしくありませんでした?凄く不愉快な意味で言われた気がするのデスが?」

 

「で、何があった?」

 

「いやですから…まぁ、今それについては置いときマスが…。実は、飛鳥さんと耀さんとキルアさんが味方同士で争う、というか戦ってるらしいんデスよ!」

 

「最高に面白そうだな。」

 

「全くもって面白くありません!!」

 

 

黒ウサギが必死で十六夜に伝えるが十六夜は"ヤハハ"と面白そうに笑うだけだった。

 

 

「なんで仲間割れなんてしてるんデスか、そもそも仲間で目的が一緒なのですから一緒に倒せばいいだけじゃないですかー!」

 

「つーかお前の審判権限とやらで中に入って直接見れねーの?」

 

「流石に私に審判権限があるといっても全てを管理する訳では無いので今回は入れません」

 

「うわ使えな」

 

 

黒ウサギの回答に十六夜は眉間に皺を寄せながら白けるような目で無慈悲な一言を放った。

 

 

「使えないとか言わないでください!状況が少しわかるだけでもかなり難しいのですから有り難いと思ってください!」

 

「中途半端にわかるのって、分からないよりも…なぁ。」

 

 

「なんで黒ウサギがそんな理不尽な言われなくてならないのですか!!」

 

「いやだって実際そうだろ。例えるならめっちゃノイズが酷くて所々辛うじて聴こえるラジオのスポーツ実況みたいなもんだぞ?」

 

「ら、ラジオ?ま、まぁ言いたいことはありますが!今回はこれで我慢してください!」

 

「チッ、まぁ箱庭の貴族()である苦労詐欺さんからのお達しなら仕方ねぇか。」

 

「…今箱庭の貴族の後に不自然な間や、先程のように明らかに違うイントネーションで名前を呼ばれたのは気のせいデスか?」

 

 

十六夜が不満そうに引き下がりながら放った言葉に酷く不愉快な違和感を感じた黒ウサギは十六夜に間う。

 

 

「………………んなことねぇよ」

 

「だからその不自然な間は何ですか!!明らかに悪意のある言い方しておりますよね!?」

 

「落ち着けよ。貴族の名が泣くぞ箱庭の貴族(笑)殿。」

 

「誰が箱庭の貴族(笑)デスか!?そんな不名誉な呼ばれ方してません!」

 

「すまんすまん箱庭の貴族(怒)殿。」

 

「それも違います!状況が違うからって変えろって意味じゃありません!!」

 

「じゃあどう言えばいいんだよ箱庭の貴族(おこ)殿。」

 

「言い方可愛くしたって変わりません!取り合えずその箱庭の騎士で弄るのを辞めてください!!」

 

「なにそれ、振り?」

 

「振りでもありません!とにかく辞めてください!!」

 

「仕方ねぇな、わかったよ苦労詐欺。」

 

「それも違う気がするのデスが…もう、いいです。それで。」

 

「おいおいそこまで落ち込むなよ、そんなに俺の嗜虐心を煽りたいのか?」

 

「もうこの人嫌ぁぁあああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

黒ウサギは遂に涙を流し、全力で叫んだ。



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激突

六年間熟成された浅い投稿


「GAOOOOOOOOO!!」

「来るわよ春日部さん!」

「うん…!」

 

二人が部屋に入った瞬間、ガルドと思われる虎の猛獣が飛びかかってきたが既に二人は左右に跳び、ガルドの不意打ちを見事回避した。

ガルドは吸血鬼のギフトを手に入れ、更に力を得たことによって慢心し、避けられるとは思ってなかったことで動揺しそのまま廊下の手すりに頭から強打し怯んだ。

その隙を見逃す程甘くない飛鳥は耀に指示を出す。

 

「春日部さん、今のうちに剣を!」

「わかった!」

 

耀はその細い足から放たれたとは思えない瞬発力で一瞬の内に剣まで到達し、野生の力が宿った右腕で思い切り引き抜いた。

 

「やった!後はこれでーーー」

「っ!春日部さん危ない!」

「GAAッッ!!」

 

しかし堕ちたとは言えガルドとて元は百獣の王、いつの間にか体勢を立て直していたガルドは壁を蹴りつけ耀に向かって頭突きを食らわせて壁に叩きつけた。

飛鳥が叫ぶがあまりの衝撃に受け身すら取れずに落下した。

当然その隙を逃すはずもなくガルドはすぐさま体勢を整え、剣奪った耀を串刺しにせんと鋭い爪を立て、常人では認識出来ないスピードで追撃を加える。

 

(っやばい!)

 

しかし耀は寸でのところで辛うじて回避し、その勢いで入口近くまで距離を取る事に成功した。

 

「春日部さん!大丈夫!?」

「少し当たっちゃったけど大丈夫。それにほら、剣はちゃんと取ってきたし」

「やったわね!取り敢えずこのまま一旦引いてーーー」

「っ!飛鳥危ない!」

 

耀は目の端で剣を持った飛鳥にガルドが飛び込んで来るのを視認し、飛鳥を引き寄せ回避した。

 

「Gruru…」

「やっぱそう簡単に逃がしてくれないよね」

「春日部さん…」

 

下手に動けば必ず襲いかかってくる状況。まともにやりあっても勝ち目が薄い相手。かといってこのまま何もしないわけにはいかない。とすれば

 

 

 

「飛鳥、剣を渡したら全力で城の外まで走って。大丈夫、そっちには絶対に行かせない」

 

 

 

誰かが囮になるしかない

 

「っ!春日部さんを置いてなんて行けないわ!」

「これが最善だよ。それにさっきは不意討ちでやられちゃったけど、あれくらいの虎なら楽勝だよ。理性がないなら余計ね」

「でも…」

「大丈夫必ず戻るから」

 

飛鳥はわかっている。自分が居るせいで満足に戦えないことを。

しかし仲間を置いていくことなど飛鳥が許容できるはずもない。なら

 

 

 

「なら、私も戦うわ。そしてここでガルドを倒すわ」

「そんなの無茶だよ!とにかくここは引いて一度体勢を!」

「大丈夫、ちゃんと作戦はがあるわ。簡単なものだけれどね」

「でも…」

 

強情な飛鳥に押され気味な耀だが、ここで引くわけにもいかない。かといってこのまま口論してる暇もない。

 

「…わかった。じゃあその作戦が失敗したら即離脱。それでいい?」

「充分よ。じゃあその作戦だけれどーーー」



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初陣の決着

ガルドは仮にも百獣の王だ。

この間は遅れを取ったが、相手のギフトが自分に通用しなくなった今、自分が負けることなどあり得ない。

 

確かにもう一人の女も確かに優れた身体能力を持っている。だが、それだけだ。

見ただけでわかるほどに、剣を扱ったことがないのが伝わってくる。これでは自身に対して唯一の脅威である剣もあってないようなものだ。

 

故に、ガルドが負ける要素など皆無に等しい。

 

だがここで逃げられては面倒だと思っていたところ、何を思ったのかこのまま応戦するようだ。

 

なにやら作戦を立てているようだが関係ない。今の自分は吸血鬼の力も手に入れ、全盛期を遥かに越えた強さを持っているのだから。

 

今仕掛ければ確実に勝てる。だからこそガルドは仕掛けない。

百獣の王たるものはそのような無粋なことはしない。

 

知恵を絞り

策を講じ

全霊を持って

強者を打倒する。

 

ならばこそ、その知恵を、その策を、その全霊を、真っ向からねじ伏せる。

 

それこそが本物の強者。王の姿である。

故に、百獣の王たる自分はその体現者であらねばならない。

 

だからこそガルドは、弱者の挑戦を受け真っ向から打倒することを決めていた。

 

 

 

 

自信の裏に慢心が入っていることも知らずに

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「頼んだわよ!春日部さん!」

「任せて」

 

その声と共に耀は無手でガルドへ接近する。

 

「GAAAAAAA!!!!!」

 

耀は雄叫びをあげるガルドに対しヒットアンドアウェイを仕掛ける。

攻撃よりも回避を優先する立ち周り。だがガルドは耀の動きが陽動だとわかりきっていた。だが非力な飛鳥よりも、自分に迫る力を持つ耀に剣を持たれる方がガルドにとって厄介なのは間違いない。

何よりこのまま好きにウロチョロされるのもガルドにとって不愉快だ。

故にガルドはヒットアンドアウェイを繰り返す耀に狙い定め先に殺すことを決めた。

 

「っ!」

 

ガルドは耀の拳を敢えてまともに受け、思い切り両腕の爪で耀の右腕を掴んだ。

そのまま腕を噛みちぎろうとするが、それよりも早く耀が無理矢理右腕を引き抜き、そのまま窓際へ退避する。

 

だが無理矢理右腕を引いたことで右腕の肘から先が深く抉れてしまっており、余りの激痛に動きが止まってしまった。

しかし無情にもガルドは耀に向かって追撃を加えんと耀へと飛び掛かりーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"木々よ、ガルドを拘束なさい"!」

 

 

 

 

 

 

唐突に、窓の外から何本もの木がガルドに向かって伸びていた。

 

「GA?!」

 

何が起こったのかわからないままガルドは自身に向かって伸びてきた木々に数秒と掛からず拘束されてしまった。

 

「春日部さん、無理をさせてしまってごめんなさい。今終わらせて、すぐに治療して貰うわ」

「うん…。大、丈夫…。やっちゃえ、飛鳥」

「ええ」

 

飛鳥は剣を持って五体の全てを拘束されてるガルドに向かう。

 

「GA、GAaa…!」

「あり得ないって顔ね。でも残念、これが現実よ。そしてさようなら」

 

 

 

飛鳥は剣を構えて思い切りガルドの体を、貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム終了 勝者"ノーネーム"




ガルド編は終わらせなきゃなと思って書き切りました。


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