夜天の書~蒼月~ (夜天蒼月)
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僕とヤンデレの狂愛劇
前編
前編と後編に分けて投稿します。
まずはじめに、皆さんはヤンデレという言葉をご存知だろうか?
ヤンデレというのは「病み」と「デレ」の合成語であり、誰かに対して好意を抱いているが、その好意が重く、狂ったような愛情表現を表すことである。
一般的に普通の子が、人間関係での修羅場や裏切りなどといった惨劇によって自分の想いと目の前の現実との狭間で葛藤し・・・その結果として想いだけが歪んで強くなり、徐々に精神を病んでいき、行動が狂い始め、そして・・・という形式が多い。わかりやすくいうと狂愛である。
さて、私こと水無月 翔《ミナズキ ショウ》は現在、幼馴染である天音 夢楽《アマネ クララ》に監禁されている。
自慢じゃないが顔はイケメンの部類に入ると思う
そもそもなぜこのようになったのかというと、始まりはおそらく小学生あたりの頃だと思う。
そもそもクララははじめから俺の母校である藤林小にいなかったのである。小3あたりに来たので、まだ友達もいなく、クラスに慣れていなかった所為か、いじめの対象になってしまった。
ある日俺は彼女がいじめられているところを助けたのだ。それからよく遊ぶようになり、小5になったある日、俺と彼女はある約束をたてたらしい。
彼女が言うには、僕はどうやら結婚の約束をしたらしい。らしいというのは俺はその時のことをよく覚えていないのだ。だが俺は結婚の約束をした覚えはない。
そして中学に進学し、彼女の行動がだんだんおかしくなってきた。作ってきてくれた弁当の中に髪の毛が混ざっており、はじめは間違えて入ったのかと疑問に思ったが、それが毎日続くようになり、完全に意図的に入れたものだとわかった。そして高校に進学すると、彼女の行動がエスカレートしてきた。弁当にはほのかに血の味が混じっており、夜になるとメールが1時間に100件来たり着信が10分おきに来たりと。もはや彼女の俺に対する好意は異常である。そして大学も同じ所に通って今大学2年生である。だが俺は大学は親にも最低限のことしか教えず、誰にも教えなかったはずだし、有名でもないところに入ったはずなのになぜ彼女は同じところに来たのか、いまだに謎である。
ある日俺は彼女が怖くなり逃げたのだ。高校時代、サッカー部に所属していたので足にはかなりの自信があったので逃げ切れると思ったのだ。
そこが甘かったのだ。彼女は恐ろしいスピードで追いかけてきたのだ。その速さは陸上選手に引けをとらないほどの速さだった。だが最も恐ろしいのは彼女の身体能力だ。人間とは思えない動きだった。壁を走り家1軒飛び越えるくらいの跳躍力、そしてあっという間に捕まったのだ。
そして今に至る。おそらく彼女の作った弁当に睡眠薬が入っていたのだろう。だがなぜ監禁されたのかわからない。
まずは状況の確認をしよう。おそらくここはクララの家で俺は手錠に繋がれている。そして現在彼女は料理をしている。彼女の部屋だが、あたり一面俺の写真で埋め尽くされている。
抜け出すことを考えないといけないが、どうやら監視カメラはついてないようだ。ここはアパートの二階、抜け出すならドアを開けるか窓を割る。それしか方法はない。
考えている途中、彼女が話しかけてきた
「ご飯できたよ~」
そう言ってカレーを出してきた。
「一つ聞きたいんだが、クララ…」
「なあに?」
「なぜ俺はここに監禁されているんだ?」
「なぜって、
それは翔から悪い虫を守るためよ?」
本当にこの女は狂っていた。
「はい、あーん」
そう言って俺にカレーを食わせた。
カレーを食い終わり、眠れぬまま一夜を過ごす……
彼女は大学へ行くといい、出て行った…
どうやら俺の分のノートを取り、テストの時だけ大学に行き、単位を取るという考えらしい。
だが今がチャンスだ。
ここで抜け出すことも可能だがリスクが高く、生きて帰れる自信がない。なので安全に逃げるための準備をする。
まず手首の関節を外し、彼女のパソコンを開く。パスワードだが、おそらく俺の名前か誕生日のどちらかだろう……
パスワードは誕生日だった。そしてメールを開き、高校時代の友人であった不二 真也《フジ シンヤ》にあるメールを送った。
内容は「俺は今監禁されている。安全に逃げるためにも助けてほしい。やり方は以下のとおりだ、なお返信はしないでくれ。」
①シンヤがクララいない時間の家に宅配便を装い睡眠薬を届けてもらう。
②クララに紅茶を入れると言い手錠を外してもらい、紅茶を入れ、その中に睡眠薬を入れる。
③クララが眠ったら、家を抜け出し、近くの公園でシンヤの車に乗せてもらう。
あとは送信履歴を消し、手錠を自分の手に付けた。これでバレることはない。
そして、バレることなく一週間経った。どうやら大学では俺が来ないことをみんな心配しているらしい。
ちなみにクララが大学に行ってる間、足腰を鍛えていた。一回彼女に
「なんか汗臭い」
と言われたが
「ずっとこの体制だと疲れるから少し体を動かしているだけだよ」
と言い、その場はうまく誤魔化せた。
そしてクララが出て行った後2時間後くらいにシンヤが来た。シンヤはやせ細った俺の姿に驚いていたが、睡眠薬を渡し
「絶対助けるからな!!」
と言って去っていった。
そして夜になり彼女が帰ってきた。いよいよ作戦の決行である!!
俺は今日この日をずっと待っていた。そして俺は胸に誓った。生きて帰ってやると。
ヤンデレって書くの難しいですね笑
刃物を持たせればいいとか流血沙汰にすればいいとか、それはヤンデレとは言えないし、過程がとても大切だと思います。
猟奇的かつ攻撃的な描写が多い所為か誤解を受けやすい属性だと思います。
さて、そんな彼女の病んでいく過程とかは後編で書こうかと思います。
それでは後編もお楽しみに!
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後編
時刻は午後21時、食事も終わり、いよいよ作戦を結構する
「なあ、紅茶を淹れたいんだがいいか?」
「どうしたの急に……紅茶なら私が淹れるけど?」
「そうだけど、最近レポートとか忙しくて疲れているだろ?俺が淹れてやるから手錠外してくれない?逃げたりしないんだしさ…」
「わかった、今外すね……」
そう言って彼女は手錠を外した……。この時を待っていた長袖シャツの袖の裏に仕込ませておいた睡眠薬を取り出し、砂糖と一緒に睡眠薬を混ぜる。
そして彼女に渡した
「クララはミルクティが好きなんだろ?ほら…」
そう言ってミルクティーを渡す
「そうなんだけどたまにはそっちのレモンティーがいいな」
かかった・・・!!
これは賭けに近いが、ここ最近の彼女はレポートの作業に没頭し、徹夜などかなりしているほどだ・・・
そこで好物のミルクティなぞ飲めば眠くなってレポートに集中できなくなる。
だからレモンティーの方に睡眠薬を入れた。一歩間違えば計画は失敗する、内心かなり不安だった。
「りょうかい、はいよ」
「ありがとう」
そう言って彼女はレモンティーを飲んだ
彼女がレモンティーを飲んで10分後、
「なんか眠くなって・・・・・き・・た・・・・・」
そう言って彼女は深い眠りについた。
俺は急いで家を抜け出し必死に走って公園に向かった。だが監禁されたからか、体が鈍く重い。
息を切らしながらも、俺は公園についた。
俺はすぐさまシンヤの車に乗り、この場から離れた。
だがおそらく彼女はシンヤの車を把握している可能性が高い。なぜなら逃げる5時間くらい前、
「そういや、帰るとき、青い車が走ってたの見たけど……ほら、この通りってめったに車走らないし、それに青い車ってなかなか見ないじゃない?」
だからナンバーも記憶しているはず、そこで俺はシンヤにある提案をした。
それは途中で車を入れ替えることだ。だがただ入れ替えるとバレてしまう。なので俺はあるやつに連絡を入れた。高校時代の友人江原 大智《エバラ タイチ》、佐々木 智明《ササキ トモアキ》、窪田 ヤストキ《クボタ ヤストキ》だ。
まず、デパートの地下の駐車場で、彼と待ち合わせをした。10分後、タイチがグレーの車に、トモアキとヤストキがブルーの車に乗ってきた。
ヤストキは実家が車を生産している会社の経営をしており、トモアキの分の車を揃えるのは造作もなかった。
さて、こっからどうするのかというと、方法は簡単だ。俺はタイチの車に移り、そのまま逃走。
一方シンヤとトモアキ、ヤストキは、近辺を適当に走ってもらいそれで撹乱。
そして俺は服を着替え、逃走を開始した。
途中、クララらしき人物を見かけたという報告があったが、もしそれが本当なら一刻も早く遠くに逃げなければ行けない。
そしてバレることなく街からかなり遠く離れたところまで逃げた。
どうやら成功のようだ。俺は降ろしてもらい、船に乗り、船長に無理を言って、無人島に向かわせてもらった。
そして俺は無人島に着いた。
俺は生きるためにもここで生活し、強くならなければ行けない。おそらくここもいつかはバレてしまうそうなった時のために………
こうして俺の1年に及ぶ無人島生活が始まった。
最初は筋肉を鍛え、食料も狩りをし、自給自足の生活をしていた。寝床を洞窟の中にし、少しでもバレないようにと徹底した。
体がある程度しっかりしてきたある日、俺は猛獣と死闘を繰り広げた。そう巨大なイノシシだ。俺はなんとか倒し、それから、狩りの対象を小動物から大型の猛獣に変えた。
周囲の動物を狩り尽くしたある日、俺はまた睡眠薬を盛られた時のことを考慮し、毒キノコや虫を食べ始めた。最初は毒に耐えられず、何度も死にかけたが、今はそこらの毒じゃ死ななくなった。
それからも俺は鍛錬を続けた。クマと戦い、傷を負ったものの倒すことができたりと、徐々に強くなっていった。
こうして俺は1年間修行をしたのだ。今ではクマなど瞬殺できるほどだ。
そして俺はクララのいるあの街に帰ってきたのだ。
懐かしい街並みに心を躍らせ歩いていたら俺は奴にあってしまった…
「久しぶりねえ……翔…私を置きざりにして、どこに行ってたのかしら?」
そう言ってどこから包丁を取り出した
「危ないからしまっとけ、怪我するぞ?」
「そう…やっぱ私のことなんかどうでもいいのね、ならあなたを殺して私だけのものにするわ…」
ここで暴れるのはマズイ!!そう思い全速力で逃げた。そう、追いかけてくるのを信じて……
その選択が甘かったのだ……
結論を言うと俺はクララの投げた包丁に刺さり死んだ。彼女はどこまでも俺の予想を上回ることをしてくれた。なぜなら投げた包丁のスピードがあまりにも速すぎて一瞬で俺の首を刺したのだ。
距離は充分離れていた、なのに恐ろしい速さでしかも正確に狙ったのだ。
こうして俺の人生は幕を閉じたのだ………
-随分と面白い人生だったね-
誰だ?俺は死んだはずじゃ……
-そう…君は死んだんだ-
ならお前は誰だ…それにどこにいる?
-ここは神の国の【輪廻】の間。そして俺は・・・-
「神だ」
「そうか、その神が俺になんのようだ?」
「随分物分かりが良いじゃないか。僕はね……君に興味を持ったんだ」
なんだこいつ・・・
「早速だけどさ、君がなぜ殺されたかわかるかい?」
「それは、あいつが俺を自分だけのものにしようとしたからだろ?」
「んー、それはそうなんだけどさ、言い方を変えるね・・
なぜあんなにも鍛えたのにあっさりと殺されたかわかるかい?
「っ……!?どういうことだ!!」
「まあまあ、落ち着きなよ。彼女……天音 夢楽はね・・・転生者なんだよ。」
「転生?なぜそれが関係するんだ?」
「彼女は俺たち神から一つ特典をもらったんだ。ちなみに特典は身体能力の強化。彼女は転生する前ね、体が弱かったんだ。それでも生きようとしていた彼女は生命力の塊のようなもんでね、俺は転生させたんだ。その時、彼女は「次の人生では素敵な恋をしたい!」て言ってたよ。まさかこんな悲劇を生むとは思わなかったけどね……」
「それで俺はあの時いじめられているところを助けたら惚れたってことか」
「そ、おそらく彼女にとっては白馬の王子様のように見えたんじゃないかな?あと約束は覚えているかい?」
「それが覚えていないんだ・・・」
「君はあの時「またお前をいじめるようなやつが出たら俺がぶちのめしてやる。俺がずっと守ってやる!」これさ、君がプロポーズしてないっと言っても世間的に見ればプロポーズに聞こえるぜ?」
確かにな・・・
「それに君がなぜ監禁されたかというとさ、同じ大学の女の子にほっぺにキスされたでしょ?あれ実はクララさんは見ていたんだよね。まあ他にもいろいろ理由はあるけど、君はイケメンの部類に入る。中学入ってからより一層モテたでしょ?彼女は見捨てられるかもしれないとかいろいろ負の感情がうずまいて結果エスカレートしちゃっのさ」
なるほど……これですべて繋がったな
「ま、死んじゃったのはしょうがないし知りたいことは聞けたから思い残すことはないかな……」
「そっか・・・じゃあ、早速だけどさ、
君、転生しない?」
は?転生?どうなるんだ俺・・・!?
短編第一弾 僕と彼女狂愛劇 完?
以上で終わらせていただきます
どうでしたでしょうか?
これからも思いついたやつをじゃんじゃん載せていくので、これからもよろしくお願いします!
なお、この話の主人公である水無月 翔が転生する話はいつか書こうかと思います。
ではまた別の話で会いましょう!
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