ソード・アート・オンライン―ノットゲーマーズ― (厚別チルノ)
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第1層攻略編
無何有(むかう)の世界~


ー無何有ー
「むがう」とも。何か有るか、何もない、の意
作為がなく自然なこと。また、そのような境地。
大辞林 第三版より引用


--起--

 

2011年11月

MMORPGソードアートオンラインが日本で配信開始され、

国内ではゲームの中に入り込んで遊べると熱狂的になっていた。

その度合いを例えるなら・・・

 

 

80年代登場したドラクエ

 

 

90年代に登場したポケモン

 

 

00年代登場したモンハン

 

 

に比例するのではないのか?と言わんばかりの大騒動で、

メディア、新聞、ラジオ、インターネット等の情報機関は、

まるで不倫騒動で騒がせた芸能人を連日連夜取り上げて放送している状況に近いと言ったそんな状況下であった。

 

そんな熱狂的になっているのなら、みんな買えば良いじゃないの話になるのだが、

そうは問屋は卸してくれないのが現実で、

販売本数が限定1万本、

その内にテストプレイで2千本なので一般ユーザーが買えるのは8千本、

単純に計算すればそんなところか?難しい事は省いての話だが・・・

 

そんな状況なのでゲームをやりたい人間にとってはもう戦争である。

 

そんな中、この物語の語り手になるであろう『私』はそんな戦争とは無縁の場所である自宅の一室で目の前の機械式ヘルメット《ナーヴギア》を眺めていた。

 

それは先程説明したゲームをプレイするために必要な機械である。

 

なぜそれを持っているか軽く説明するなら、

気分で応募したテストプレイヤーの抽選に当選して手に入れたからである。

 

ゲームした感想は一言で言うならば、

 

あー・・・テレビゲームに戻れないよこれは・・・って言うのが正直な答えである。

 

話を戻して、

現在の時刻は13時05分で配信開始の時刻が過ぎていた。

現実のやる事(主に洗濯、昼食の後片付け、掃除)を終わらしたしゲームの世界に行きますかと思い、

私はナーブギアを

 

頭に被せ

 

仰向けなり

 

目を瞑り

 

『リンクスタート』

 

と呟いてゲームの世界へと意識を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲームの世界にたどり着いた私は語りかけてくるアナウンスと目の前に出てくる

 

[プレイヤーネームを決めてください]

 

 

それに対し、私はタッチパネルのような操作キーで

 

 

『sei《セイ》』

 

 

と入力し、その後はアバターを引き継ぎますか?と言うアナウンスに対して

 

 

「はい」

 

 

と答え、完全にゲームの世界へと足を踏み入れたのだった。

 

 

--承--

 

足を踏み入れたゲームの世界、

私の目の前に広がる光景は中世ヨーロッパの町並みを再現したような風景だった。

言い方悪くするならRPGの王道たるどこかの国の城下町の広場とでも言っておこうか・・・

 

「久々に来たなあ~」

 

そう呟きながら体を伸ばしたり屈伸したりして体の感覚を確かめていると、

後ろから少女?少年?性別がわからない人からクスリと笑いながら

 

「君、こんな広いところで準備体操していると目立つよ」

 

と声を掛けられた。

 

私は「ん?おお」と戸惑いながら返事を返すと、

 

「ねえ、君がセイ君でしょ?」

 

と両手を後ろに組みながら上目遣いで私に聞いてきたので、

 

「ああ・・・そだよ?」

 

となぜか疑問系で答えながら目を逸らして答えた。すると

 

「わあ!!やっぱり!!ここで話すのあれだし、ちょっと場所を変えない?」と聞かれたので、

 

「そうだねぇ~そのほうが良いな~」と私は返すと、

 

「よかった!!」と笑顔で答え私を誘導した。

 

道中に私は誘導してくれている人物に

 

「なあ、なんて呼べばいい?」と聞くと、

 

「ん?忘れたの?シブンだよ!!」と答えてくれたので、

 

私はシブンに「ああ、すまない初めてだ」と言うと、

 

シブンは「まあ~今はそう言う事にしとくね」とニコリとしながら私に答えてくれた。

 

 

 

『shibun《シブン》』

 

テストプレイヤーの時に出会った少女アバターで周囲が攻略に勤しんでいる最中、

私は攻略などせず町やらフィールドを探索して時間を忘れていた時に出会った。

私が最初にそっけない態度したのが気に食わなかったのか、プンスカと怒られたのがきっかけでその後は押しかけ女房みたいにテストプレイの最後まで私と共に過ごしていた。

性格は控えめなのだが引かない所は引かない芯の強さがあるって所か?

声は女性声優が少年役やっているような感じだし。

 

 

 

上の空の状態で軽くシブンの事を思い出していると、

シブンが「ついたよ」と私に言うので、

 

「宿屋か・・・金はあるのか?」とシブンに聞くと

 

「一応ね」とまたニコリとしながら答え、私は「そうか」と軽く返事をした。

 

二人で宿の一室に入ると、

私は部屋にある椅子にどっかりと腰掛けてシブンは簡易ベッドにちょこんと座った。

数分なのか、数秒なのかわからないが、

外はお祭り騒ぎの状態の中、部屋はしんと静まり返った空気に包まれていて、

何処かもどかしい気分になった私は口を開いた

 

「んで・・話はなんだ?」とシブンに聞くと、

 

シブンは「その前に謝って・・・」とぼそぼそとした口調で言うので、

 

私は「何を?」と聞くと、

 

「僕を忘れていたこと!!謝ってよ!!」と涙目で訴えるように言うので、

 

ああ、めんどくさいな~と思いつつも「忘れててすまない」とシブンに申し訳なさそうに謝ると、

 

その言葉を聞いたシブンは満足とした表情で「周りがビギナーだったしね、ここでベータだったら何言われるかわからなかったもんね」と私に言ってきた。

 

それに対し私は「そうだな」と軽く返事を返した。

 

シブンの機嫌が治ったのは良いとして、本題に触れていないのでは?と思った私は

 

「シブン・・・それで話はなんだ?」

 

と聞くと、シブンは忘れていたという表情で、私に

 

「セイはこれからどうするの?」

 

と聞いてきたので、

 

「ん~取り合えず『あの人』を探すかな?んで、その先はまだ決めていない。」

 

と答えると、

 

「じゃあ、僕はセイと一緒に行動するよ!!一人で探すより、二人で探したほうが早いかもよ?」

 

と一緒に行動したいと言う顔と声で私に意見と提案を述べたので、

 

「わかった、またよろしくな」

 

何か知らないけど好かれているで良いんだよな?と疑問に感じつつも、私は二つ返事で返した。

 

その後私はシブンと探索と情報収集をするため街を歩き回っていた。

NPC《ノンプレイヤーキャラ》から得た情報では、

「ここは第一層『はじまりの街』だよ」や

「フィールドで倒れたら復活ポイントのある『黒鉄宮《こくてつきゅう》』に送られる」に

「お店は複数存在しますので買い物はじっくり考えてからした方がよいですよ」と言われた後に

「路地裏に珍しい武器のお店がありますよ」と説明をされたり、美男美女のプレイヤーキャラ達に話を聞いたりして時間が過ぎて行った。

 

そして私達はスタート地点であるはじまりの街の中央広場にいた。

 

「そこそこ歩き回ったが『あの人』に関する情報は一切無しか・・・」と私は呟くと、

「もしかしたら、まだインされていないんじゃないのかな?一回出て確認してみたら?現実《リアル》なら連絡取れるしさ」

とシブンから提案され私は

「んだな、ちょうど煙草が吸いたかったし一旦ログアウトしてみるわ」とメニュー画面を開いて『ログアウト』を探し始めたのだが、その項目が見つからず困惑をした表情を見せているとシブンが

「どうしたの?顔色悪いよ?」

と聞いてきたので、私は

「ログアウトの項目が無いんだ・・・」

と青ざめた顔で答えると、シブンは「ええ~まさか~」と声を出しながら半信半疑な表情でメニュー画面を開くと、シブンも青ざめた顔になりながら

「ログアウトが・・・無い・・・」と私に呟いた。

二人して青ざめた顔でいたその時に街にある鐘の音が「ゴーン、ゴーン」と鳴り響く中で私のいる中央広場では青白い光が次々と出始め、光の中から美男美女のプレイヤー達が次々と姿を見せるその光景に、

私は「なぁ・・・なんか変じゃないか?」とシブンに聞くと、

「そうだね、驚かせるにも少しやり過ぎだと思うよ。なんかログアウトが出来ない上に強制的に集められているからね。」

と心配そうな表情で答えるシブン。

更に黄昏色に染まっていた空が周囲の不安と焦りを彩るように赤黒く染まっていきどこかに隙間があるのだろうか?赤黒い液体が宙に流れ溜まってはそこから赤いローブに包まれた何かが登場した。

 

 

--転――

 

 

「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ」

「私の名前は茅場昌彦《かやばあきひこ》。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ」

「これはゲームではなく現実だ。」

 

茅場は広場にいるプレイヤー達に向けそう伝えると、プレイヤー達は茅場に対して怒号を発していたが、茅場はお構い無しに説明を続けていた。

 

「ーーログアウトが出来ないのは仕様ーー」

 

「ーー213人かが強制ログアウトをしたが、死亡したーー」

 

「ーーこの世界から出るには100層をクリアしなくてはいけないーー」

 

「ーー一度死ねば、現実でも死ぬーー」

 

「ーーこれにより《ソードアートオンライン》の正式サービスのチュートリアルを終了する。」

 

と言い終えると、最後に茅場からの贈り物としてアイテム欄に『手鏡』が追加され、そこで本当にチュートリアルが終わったのであろう空が黄昏色に戻っていた。

 

「ふぅ~、気分が悪くなるもの見ちまったなシブン」

 

とシブンに一声かけると、

「ひゃっ!!」

と驚く声が聞こえたので振り向くと、そこには驚いた顔した人が立っていた。

姿形を見回す限り、髪は茶髪混じりのショートカットに顔は幼さが残るも大人びた顔に肌白く、体つきはもやし?のように腕や足が細く、胸の膨らみも確認取れる事から、間違い無く女の子だ。

そう見ているとその女の子から

「え?もしかして、セイ?」

と私に恐る恐る聞いてきたので、私は

「ああ、そうだが、誰だ?」

と答えた。

すると女の子は

「僕?何言っているの?シブンだよ!!さっきまで一緒にここにいたじゃない!!」

とあわてて答えたので、私は

「シブン!?いや、その、姿形が変わりすぎて誰かと思ったぞ!!」

と彼女の両肩を両手で掴みながら答えると、彼女は

「セイこそなんか恐いよ・・・厳ついし・・・それに肩が痛い・・・」

と涙目で私に言うので、私ははっとした顔をして彼女に「すまない」

と謝った。

次に私の取った行動は周囲を見回して見る事にした。

さっきまで美男美女で溢れかえっていた広場だったのだが、今では現実世界とは何の変わりもない状態になっていた。いや、少し変わっているのは女装している男性が多々いるって所か?

そんな状況下で私の腕を掴みながら

「ねぇ・・・さっき渡された手鏡でも見ない?」

とシブンはウインドウのアイテム欄に表示されている『手鏡』に指差しながら提案をしたので、私は

「わぁーた、とりあえず見てみよう」

と手鏡を取り出し見てみるとそこには写し出された私の顔は、髪がパーマかかったオールバックで、顔つきは渋く目付きが鋭い状態になっていて、まるで取り立て屋みたいな顔をしていたのでびっくりした。

 

「あー、シブン?すまなんだがこれは俺の現実の顔だわ」

とシブンに言うと、彼女は

「僕も現実の顔になっている・・・」

と答えると私は一つの核心を得た。

周囲のプレイヤーの姿は『アバター』のものでは無く、『現実』のものであると言うことでゲームではなく現実であることを視差させたのであろう。

そして、そうなってしまったと言うことは現実で見慣れている『あの人』をより見つけ易くなったと言うである。

ただそれは、相手がログインされている上にまだ『生きている』事が絶対条件なのだが・・・。

そんな事を考えていると、シブンから

「これからどうする?」

と声をかけられたので、私は

「『あの人』を見つけるために確かめたい事がある。」

と答えると、シブンは

「そっか・・・『あの人』この世界にいると良いね・・・」

と物悲しそうに言うので、

「まぁな、いなければいないでなんとかするしかないが、とりあえずは出来る限りの事をさせてもらうさ。」

と言い、更に

「そういえば、シブンはどうするんだ?こんな状況下だ、何か確かめたい事があるなら優先した方が良いぞ?」

と提案を促すと、シブンは決意を秘めた表情で

「僕はテストプレイヤーだからね、とりあえずこの状況で何をして良いかわからないビギナーがいるはず・・・だから・・・その・・・」

と言葉がつまるシブンに対し、私は

「わかったよ水先案内人をやるんだな、するととりあえずは別行動になるって決まった事だし生きていたらまた会おうぜ」

と私は歩き出そうとした時、後ろからシブンが

「待って」

と声を出して私に

 

「この街から出るときに次に向かう場所は『トールバーナー』を目指して。後途中にある『ホルンカ』の集落によって行くと良いよ。」

 

とアドバイスをくれたので、私は

「サンキュー、行けそうなら行ってみるよ。」

とシブンに礼を言い、更に一言

 

 

「シブン・・・お前なら水先案内人やれるよ」 

 

 

と添えて私は黒鉄宮に向かって歩いて行った。 

 

 

 

--結--

 

 

 

「さて、黒鉄宮についたし探索探索っと」

 

黒鉄宮に到着した私はまずテストプレイの時に使われていた復活ポイントに向かって歩いていた。

黒鉄宮とは私なりの解釈になってしまうが、復活ポイントやPK《プレイヤーキラー》やら犯罪プレイヤーを入れる牢獄がある場所で主にそれ以外で足を運ぶ事はない場所である。

そこに足を運んだ私は一つの確認を取るためにある場所へと向かっている。それは

「見つけた・・・」

そう、復活ポイントである。

 

 

復活ポイントを見ているとそこにはテストプレイの時にはなかった黒い石碑があり、よく霊園とか災害現場にある慰霊碑をイメージするような大きさで、そこに刻まれている文字はプレイヤーの名前が彫られている。

更によく見てみるとプレイヤーの名前の上に横線が引かれている箇所が所々あり、これは本当に『ゲームオーバー』になったプレイヤーにつけられるのであろう。

そう調べている内に次々と横線が刻まれて行くのが確認できる。

 

「なるほど本当に現実になっているわけか・・・」

 

と一人呟きながら石碑を眺めていると、後ろから

 

「セイ?」

 

と声をかけられたので、後ろを振り向くとそこには一人の男が立っていた。私は

 

「あなたでしたか」

 

と一言発すると、男は

 

「ああ、ようやく会えたか兄弟」

 

と一言言っては私の前に姿を現した。

その姿は髪はパーマかかっており、顔は渋く目は穏やかなもので、体つきは中肉で背丈は私より10㎝程高い男性である。悟りを開いたような口調で渋い声をしている。

 

「ようやく会えましたね、それでここでは何と呼べば良いですか?」

と私は聞くと、男は

 

「そうだな・・・ここでは・・・

 

 

 

『Shin《シン》』

 

 

 

と呼んでくれ」

と答えたので、私は

「シン、これから何をしますか?」

と聞くと、彼は

「俺は街を出て冒険に出るよ」

と答えたので、

「では、装備を整えてからで良いですか?」

と私は確認を取ると、シンは

「ああ、かまわない。」

と答えたので、私達は装備を整えるために黒鉄宮を後にした。

 

 

『Shin《シン》』

現実世界《リアル》で一緒に仕事をしている相方で応募型の懸賞が趣味

ソードアートオンラインのテストプレイヤーになりたいから、私を誘い一緒に応募したところ見事二人とも当選した事で今回の騒動に巻き込まれる要因になってしまった。

テストプレイヤーの時には仕事が忙しく前線行っていたプレイヤーとは程遠いプレイをしていて、主にサブクエストばかりやっていた。クリア出来ない時は私やシブンを呼び出してクリアしたりと自由気ままに遊んでいた。

性格は穏やかだが怒らせると恐い。遊び心を忘れない一面もある。

 

 

街で装備を整えながら、私はシンの事を思い出していると、シンが

「さて、どこを目指せば良いんだ?」

と私に聞いてきたので、私は先ほどシブンに言われた事をシンに伝えると、シンは

「お前は本当に出来た弟分だなぁ~」

と言うので、私はデレデレしつも

「テレるぜ」

と答え、街を出た二人はトールバーナーへ続く途中の村ホルンカへ向かうのであった。

 

ホルンカへの道中、狼のようなモンスターが私達の目の前に姿を現し、私は『片手斧』をシンは『片手剣』を出し、狼と対峙した。

 

私もシンも狼と間合いを取りいつ攻撃するか様子を伺うと

、狼の方から攻撃を仕掛けたので、シンが剣で狼の攻撃をカウンターして、相手が怯んだ隙に私が斧で連続攻撃を畳み掛けると、狼がポリゴン状に散り私に経験値と金が入って戦闘終了した。

 

こうして戦闘を繰り返しながら、私達はホルンカを経てトールバーナーへと目指していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一ヶ月、噂では犠牲者が増える中まだ第1層はクリアされていないと言う。

 

 

続く

 

 

 




第1話考察

テーマ1-シブンの立ち位置-
冒頭からチュートリアル終了にまで登場したシブンですが、彼女の役割はセイにこのアインクラッドの案内人としてオリジナルキャラクターとして登場させました。原作ではキリトがクラインに対して案内をしたように、セイにしてはクラインの立ち位置で案内されています。
これは、SAOの世界観を知らない読者に向けての説明をセイを通じて受けるように取り上げています。

テーマ2-セイの行動原理―
セイははじまりの街で人を探しをしています。これはこの話の終盤に登場するシンの事を指しているのですが、これはセイ自身がプレイを望んだものではく、誰かに誘われてプレイをしたゲームであることを指しています。
私たち社会生活を送るにも、まず自身が望んだ場所に対してなら次に何かのアクションを起こしますが、誘われた、もしくは指示をされた場所なら何をして良いかわからない状態に陥る事が多々あります。
それと同じようにセイもシンに誘われていたことから、まずはシンを探し出さないと、次に何をするべきか見通せなかったのだと思います。

テーマ3―渡されたバトン―
茅場のチュートリアル終了後にとった行動ですが、シブンはセイにこの街から目指すべき場所を伝えています。
セイもテストプレイヤーならわかるのでは?と思う読者はいるはずですが、彼は作中に次のような事を言っています「周囲が攻略に勤しんでいる最中、私は攻略などせず町やらフィールドを探索して時間を忘れていた時」
と言っていたことからはじまりの街の周辺の事しか知らない状態を差しているのです。(その時にシブンと出会ったのでシブンは攻略していたりしていた)
その後、シンを探したしたセイはシブンに言われた通りのルートで先に進める事を彼に伝えることで、それに同意してようやく街でやるべき事を終えて先へ進めれる事となるのです。



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死なせたくない奴ら

所々間違っている箇所やら省いているところがあります。

今回からセイの心の声をいれてみました。



--起--

 

あれから1ヶ月、死者2000人に達したこのゲームにおいて私とシンはまだ死んでおらず、ここ第1層『トールバーナ』の街を拠点に周辺の探索及び鍛練を積んでいた。

進展がないおかげか特別に焦ることも無く、『死なない』程度に鍛練を積んだお陰で私のレベルは14になっていて第1層の迷宮区の敵を相手するのに苦戦する事はまず無く、シンと共に暇をもて余していた。

そんな状態の中で私はシンと街の中をぶらついていたのであった。

 

「あー、そういえば第1層のボスって強いのかー?」

私は他人事のようにシンにそう聞いてみると、

 

「俺は知らないなー、結局攻略されてから次の層に行っていたりしたからなー」

とシンは適当に答えた。

 

そんな会話も話も続かない時間が流れ、私達は街の大通りで一人の人物に声をかけられた。

「セイ?」

「ん?お、シブンじゃん、久しぶりー生きていて何よりだぜ」

「セイこそ、生きていていたんだね!!良かったぁ~!!」

と私に対して笑顔を見せて、会話を続けているとシンから

「シブンか?現実でも女の子なんだな~」

とシブンに確認していたので、シブンは

「うん、そうだよ!!えーと・・・シン?だよね?」

としどろもどろに聞き返すと、シンは

「ああそうだよ、なんだ?なんか変だったか?」

と聞くと、シブンは

「ううん、そう言う訳でなくて、シンもパーマかけていたんだ~って思ってね」

と恐る恐るシンに返すと

「ああ、まぁなー、怖かったか?」

と聞くと

「うん、周りのプレイヤーがそんな髪型の人達じゃなかったからちょっとね」

と困惑そうな表情で答えた。(そんなにこの髪型変かなー?)

 

「んでシブンさ、何でここにいるんだ?」

と私は彼女に尋ねると

「あ!そうそう、実はこの街で攻略会議が開かれる事になってね、取り敢えず会議に出て見ようかと思うんだー。」

と思い出した様な表情で答えて、更に

「けど、ここまで来るのに結構時間かかったから、攻略に参加するかはまだ決めてはいないよ」

と答えた。

それを聞いたシンは

「シブンの実力じゃ一人でもここに来るのが困難だったのか?」

と聞くと、シブンは

「あっ、それにはちょっと理由があってね・・・」

と言いかけた所、後ろから

「シブン・・・その者達は誰だ?」

と別の女性の声が聞こえた。

「あっ・・・この人達はセイとシン。僕の知り合いだよ。」

と女性に返すと、私はその女性に向かって

「セイだ、よろしく。」

と軽く自己紹介をして、更に

「えーと・・・あなたの名前は?」

と聞くと、その女性は

「よろしく、私の名前は

 

 

『moco《モコ》』

 

 

だ。シブンにはこの世界の事や戦闘について色々教わっている。」

と真剣な表情でシブンとの関係を簡素にして私に述べてくれた。それに対し私は

「モコか・・・これからもよろしくな。(色々と義理固そーな性格しているな)」

と改めて挨拶をして、シブンに

「これから、モコと一緒に攻略会議にでるのか?」

と聞くと、シブンは

「そうだよ、えーと・・・セイ達も参加してみる?」

と上目遣いで聞いてきたので、私は

「俺は話を聞く分にいいぜ?シンは?」

と返した後に流すと、

「セイに同じくだ」

と答えたので、それを聞いたモコは

「どうやら決まりだな。」

と締めくくり、私達一向はシブンの案内で攻略会議の会場へと向かった。

 

 

 

moco《モコ》

シブンにこのゲームの事について色々教わっている人物。

見た感じ女性で髪は銀色に近い白色で、何かを達観している様な目をしている。髪は長いのか?ポニーテールにしている。服装はマントに半袖長ズボンで腰に曲刀を携えて、背中に盾を背負っている。

攻撃重視にしている私達よりも生存率を上げている事が考えられるだろう。

 

 

まぁ私がわかるのはこんな感じかな?

とモコを観察していたら、モコから

「さっきから何をジロジロ見ているんだ?」

と聞かれたので、

「あー、その腰に差しているのは曲刀だろ?」

と私が答えたので、

「まぁそうだな、あんたは片手斧か・・・随分重そうだな」

と表情を変えずに私に聞いてきたので、

「パーティー組んでいるからな、基本は留め役って所だよ」

と答えた。そんな事をモコと話している内にシブンから

「着いたよ」

と声をかけられ私はその会場を一通り見回した。

 

--承--

 

会場はよく大きい公園にある野外コンサート状なもので、観客席と呼ばれる場所は石階段のようになっており、そこには屈強の戦士達と呼ばれるであろうプレイヤー達が座っていた。

「こうして見ると多いのかね?」

シンが独り言を言うと

「うーん、テストプレイの時よりは少ない方かも」

シンの質問に答えるシブン、

「この人数なら私達も何かされるのではないのか?」

疑問に感じるモコ、

「取り敢えず座るべ」

さっさと石段に座るセイ

4人がそれぞれ石段に座った所で目の前の壇上に一人の男が登場した。

 

「時間が来たので始めまーす」

 

と壇上の男から言い放たれ、攻略会議が始まった。

「僕の名前はディアベル。ナイトをやっております。」と言えば周囲は笑い、

「遂に第1層のボス部屋を見つけた」と言えばおおーっと驚き、

「そこで明日はボス討伐に行こうと思う!!」と言うと会場全体がやるぞと言う雰囲気に包まれた。

 

私は何かの宗教勧誘なのかねー?それともあれか?ネズミ講の集会なのか?と疑問に思いやると、会場に「待ったぁー」と大声が響き渡り、ディアベルの前に姿を現した。

「ワイはキバオウや」と強気な姿勢で自己紹介した男は頭がツンツンしているおっさん顔で、その男は次に「この中に詫びをいれなきゃあかん奴がおる」と訳のわからないいちゃもんをつけ始め、それに対しディアベルが「キバオウさんの言っている事はベータテスターの事かい?」と尋ねるて、キバオウは「そうや」と言いそれからあれこれクレームを言う始末であった。

 

ここからは《話の聞かない》私なりの解釈になってしまうが、キバオウが言うにはゲームが始まったと同時に経験者が初心者を置いてきぼりにしていき、攻略をした事に腹をたてている。そんな経験者がいる中で自分たち初心者が安心して一緒に攻略できない。との事だった。(クレーマーは存在したのね!!きゃー!!)

 

そんな話を聞いた私はシブンにちらりと目をやると、シブンは震えた表情をしていて、体をぶるぶると震わせていた。そんなシブンの状態に気づいたモコはシブンの手を握り何かを呟いていた。(モコたんオカンやな。)

 

そんなキバオウの演説に待ったをかける声がかかった。

待ったをかけた声の主は筋肉モリモリマッチョの黒人男性で『エギル』と名乗りを上げた。(よっしゃ良いとこ見せましょと声かけたくなるわ、あの存在感)

 

エギルの存在感にキバオウが圧倒されたのか、エギルはキバオウに『ルールブック』の存在を説明し、いかに経験者が初心者を守ったかを諭していた。(ルールブックそんなのあったのね!?初めてシリマシタワー)

 

そんな一悶着があった後に攻略会議が進み、ボスがゴブリンの親分で取り巻きが三匹出現する事を説明された私達はレイドを組むことになった。(話が長かったわー帰ろ帰ろ)

 

石段から立ち上がった私はシンから

「レイドに参加するのか?」

と声をかけられたので、

「いや、どうだろうな?シブンの様子が変なんだよなー」

とシブンに目をやりながらそう答えると、そこにはシブンが気分悪そうな顔で座っており、それに付き添うモコが「大丈夫か?シブンはできる事をやったんだから気に病む必要はないんだからな」

とシブンを励ましていた。(マジオカンだぜモコたん。)

 

そんな時後ろから

「ちょっと良いかな?」

と声をかけられたので、私は

「あー?どしたー?話だけなら聞くぞー?」

とめんどくさそうに振り向くと、そこには黒髪の中性的な顔立ちの少年と少し離れた場所にフードを被り顔は見えないが、スカート履いていたので恐らく少女(?)の二人組がいて、私は

「あー、そのー、なんだ、男同士で話さないか?」

と少年に提案し、

「わかった。時間が無いから端的に話すよ」

と答えたので、私はシンを呼び出して少年と話をすることにした。

 

 

男三人になった私逹はまず

「俺の名前はセイ」

「俺の名前はシン」

と少年に自己紹介をしてから私は「名前は?」と聞くと少年は「俺の名は

 

『キリト』

 

 

だ、よろしく」

と言い、私達に握手を求めて来たので、私逹はそれぞれ握手を返した。

 

「所で話なんだが・・・」

とキリトが私達に口を開いた

 

ここからは端的な説明になるのだが、キリトの話は自分達のパーティーの人数が余り、人数不足を起こしているので、加入もしくは私達のパーティーに入れて欲しいとのことだった。(なんと無くそんなんかなー?って感じはしたよ?)

私は先ほどのシブンの様子を思いだしキリトにまず私がテストプレイヤーであった事を伝えると、キリトは安心した表情で自身もテストプレイヤーであった事を私達に教えてくれた。

それからシンとシブンもテストプレイヤーである事を教え、先ほどのキバオウの事でシブンが体調悪くした事を説明すると、キリトは悲しそうな顔をして

「無理をさせてすまない」

と謝ると私は

「いや、構わない、だからまずは彼女の事を優先させるならキリトのパーティーに入って構わねーよ。」

と言うと、

「助かる。じゃあそろそろ戻ろう」

と言われたので、私達はシブン達の所へ戻った。

 

 

シブン達の所へ戻った私達はモコから

「遅かったな、攻略会議は終わってしまったぞ」

と呆れた様に言われ、私は

「あー、すまない。んで、なんかあったのか?」

とモコに聞くと、次にシブンが

「僕達はボスの取り巻き退治の補助だって」

と先程とは違っていつもの明るい声で私に答えた。

「そっか・・・それとシブン・・・明日辛かったら休んでいいからな」

とシンはシブンに声をかけ、更に

「モコ・・・もしシブンが無理していると思ったら一緒に居てやってくれ。」

と言うと、モコは

「言われなくてもそうするよ」

と無表情でシンに返した。

 

周囲が一段落した所で私は

「じゃあ~終わったしアジトに帰って風呂入って寝るか」とあくびをしながらそう言うとフードを被った少女が 「待って」

と凛とした声で私を呼び止めたので、私は

「うお!何!?何!?」

とあわててその少女に聞くと、少女は

「あなたの泊まっている場所にお風呂があるの?」

と鬼気迫るいきおいで聞かれたので、

「あー、湯船は無いがシャワーあるぞ。あと、おゆ、でる」

と最後は片言で答えると、少女は

「貸してくれないかしら?」

と聞いて来たので、私は

「あ・・・いいぞ・・・」

と答えると、シブン、モコも

「あー、セイ!!僕もシャワー貸してよ!!」

「私もシャワー貸してくれないか?」

と二人同時に聞いて来たので、私は

「はいはい、いいですよ、案内するから好きなだけ使ってくれ」

と半分飽きれ気味で答えた。

(女の子だもんな、こんな世界でも清潔にしたいよね。)

 

 

--転--

 

 

トールバーナの街から少し歩いた所に牧場があり、その離れにある2階建ての小屋に私とシンは間借りをしていて、なぜそこをアジトにしているかと言うと、部屋の布団は街場のよりふかふかで、共用シャワーがありその上使いたい放題、そして朝に牧場の手伝いをすると朝食が出てくると言う。しかも一泊の金額は街よりも格安と来たものだから誰にも教えるものか・・・と思っていた時期が私にもありました。

フードを被った少女『アスナ』さんに鬼気迫る勢いで貸してと言われたのが最後だよ。(ちなみに名前は牧場に行く途中に教えてもらった。)

それはさておき・・・この状態をどうするか・・・

 

「随分と快適な場所だな」

と感心するモコ

「僕、テストプレイヤーなのにこんな所あるなんて初めて知ったよ~」

と驚くシブン

「俺もしばらくはここを拠点にしようかな?」

とアジトにする気満々のキリト

そして、現在進行中で鼻歌混じりでシャワーを浴びているアスナに、ダムが決壊するとか言ってトイレに引きこもったシン・・・この状況に落ち着けない私が一つ屋根の下でげんなりしていたのであった。(ホンノー、チイサナー、デキゴトニ-)

 

とりあえずこの状況を抜け出す為に

「とりあえず外に出よ・・・」

と独り言を言いながら外に出てアイテム欄からタバコを取り出し、タバコを吸いながら遠くを眺めていた。

(このままじゃアイツら帰りそうも無いし、まずは交渉でもしてみるか)

タバコの煙をフゥーと吐きながら私は牧場主の所へ歩いて行った。

私は私で絶望仕切ったこの世界で細やかな事だが楽しんでいる顔を見るとついつい嬉しくなってしまう気質がある。

 

テストプレイヤーで苦しい立場なのに必死に人を導くシブン。

 

初心者プレイヤーなのに人として弱ったシブンに献身的になるモコ。

 

テストプレイヤーで独り先走った事を後悔しても前に進もうと必死になるキリト。

 

どうでも良いと自棄になりつつも、シャワー一つで鼻唄歌って明るくなるアスナ。

 

結局どんな状況においても変わらず、私を支えているシン。

 

本当にアイツらに出会えて良かったよ。そして死なせたくないな・・・そう思いながら私は牧場主と話をつけて、4人分の金を支払ってあの小屋に戻ったのであった。

 

「ただいま~」

咥えタバコしながら部屋に戻って辺りを見回すとそこにいたのはシブンで他は誰もいなかった。

「おう、みんなどこ行った?」

とシブンが聞くと、シブンは 

「お帰り~、モコはシャワーに入って、キリトとアスナは訓練、シンはトイレだよ」

と言うと、私は

「そうか・・・そうだ、お前らの部屋を取っといたぞ、今日はここに泊まっていけ」

とシブンに言うと

「えっ・・・それは・・・」

と言葉が詰まって話せない状態の中で私は

「ここはメンタルだけでも回復するのにうってつけだ、それに今の俺達はチームだ、誰かが死なれたらそれだけで困るし、それだけで全滅する恐れもある。だから無理だと思ったら無理と言え。」

とシブンに言って、私は部屋のベッドに寝転んだ。

「セイ・・・僕、明日出るよ。出たいから出るんだ。じゃあ、お休み。」

と言ってシブンは部屋から出た。

シブンが部屋から出た後、私は眠りに入った・・・

 

 

 

そして朝が来た・・・

 

 

 

 

そして第1層ボス部屋の前へと私達6人は立っていた。

 

「昨日参加した人達全員出ているようだな」

と冷静に辺りを見回すモコ

「そうだね、ここで今後の攻略が左右されるからね、全力で行かないといけないね。」

とモコの発言に捕捉を入れるシブン

「っても俺達は取り巻き退治の補助だから気楽に行けば良いんだがな。」

と肩の力をふんだんに抜いているシン

「今日も1日ガンバるぞい」

と両腕でガッツポーズをする私に

「ぞいってなんだよ。」

と私の発言にツッコミを入れるキリトに終始無言で周囲を観察するアスナ。

 

そんな状況でがやがやしていると一人の男が

「そこのあんた、ちょっといいかい?」

私に声をかけてきた。

 

私は「ん?なんですか?」と返事すると、男は

 

「俺の名は

 

『エギル』

 

あんた見た所、斧を使うようだな。」 

と自己紹介ついでに私の使用武器について聞かれたので、

「ああ、そうだよ、エギルさんと比べると小柄だから変だったかな?ちなみに俺の名はセイだ。よろしくな」

と答えると、エギルはフッと笑いながら

「いや、変では無いさ、ただ扱い難い武器をわざわざ選ぶとは物好きだなと思っただけさ。後、俺の事は呼び捨てで構わない。」

と答えると、

「ん?あー、別に基本的に持ち方は剣とは変わらんよ?左手を中心に右手は添えるだけ。ただリーチが短いから間合いは取りにくいな。」

と言いながら私は斧を構えた。するとそれを見ていたキリトが、驚きを隠せない表情で私に

「それ・・・剣道の『中段の構え』じゃないか!!セイは剣道をやっているのか!?」

と聞かれたので、私は構えを崩して

「まぁ~嗜みでやっていた・・・だな。まぁ~勝てなくてイヤになって辞めたけどな。構えは体に染み付いちまった位かな?」

とキリトに答えると、

「体に染み付くってよっぽどじゃないか?」

と呆れながらキリトにツッコまれて、私は「いやぁ~」と軽く流し、エギルに

「エギルも斧だよな?俺のよりでかいな~」

と聞くと、

「ああ・・・まあな、俺のは両手斧だからな威力は高いがいかんせん命中悪くてな、まぁ囲まれた時に凪ぎ払うのは爽快だな。」

と高笑いしながら私に答えた。

(その体格の上に厳つい顔つきで振り回されりゃこっちが怖いわ・・・)

 

そうこうしている内に時間が来たのか、

「皆!!今日はボス討伐に来てくれてありがとう!!」

と声が聞こえたので、声がした方を向くとそこにはディアベルが扉の前で演説を始めた。

 

今回のボス討伐で私達6人は取り巻き退治の補助で、主にメインの退治するグループの取り残しを退治すると言った初心者大歓迎の簡単なお仕事だった。(んで、周囲から窓際族って言われるんですね。)

それでも何があるかわからないから、前衛はキリト、私、シンで後衛はアスナ、モコ、シブンに割り振られ、指令塔としてメインは戦闘経験豊富なキリト、サブは初心者としては冷静かつ攻防バランスの取れたモコが取ることとなった。(まぁ、シブンは昨日の事あったしな)

 

隊列の事を考えていると、

「セイ、始まるぞ」

と後ろからシンに言われ

「おう」

と私は軽く返事して私達パーティーはボス部屋に突入した。

 

ボス部屋は全体がステンドグラスに包まれた色鮮やかな広い部屋で、目の前にボスなのであろうデカイ体に鎧を纏った魔物に我々の身長とは変わらない取り巻きが三体いた。

 

ディアベルが号令をかけると同時に全員が隊列を組みだし、私達はいつでも雑魚狩りの取りこぼしにかかれるように準備を始めた。

 

だが、私達の出番は来ることもなく、私は懐からタバコを取り出しボス討伐をただ観戦していた。(別にサボっていないからね!)

 

「やることないからって呑気に煙草とはな、一本もらっていいかしら。」

と私に話しかけるモコ。

「ん」

それに対して私はモコにタバコを差し出した。

「サンキュー。ん?ハッカ?あんたメンソール吸うんだな。」

とモコは私にそう聞いてきたので、

「基本はな、他にも色々吸うぞ」

とフゥーと一息吐きながらそう答えた。

 

「んもう!!未成年の前でタバコはやめてよ!!」

と注意するシブン。それに対し私は

「何時死んでもおかしくねぇんだ、タバコ位自由に吸わしてくれや」

と煙を吐きながら答えると

「やれやれ、そう言うと思ったよ。」

と呆れ気味にツッコミながらもタバコを吸い始めるシン。

 

そんなやり取りをしていると、キリトが

「おい!ボスの体力が残り1段になったぞ!!」

と私達に言い放つと、ディアベルが

「皆!!下がれ!!トドメは俺がやる!!」

と言って前に出た。

 

その時、ボスは武器を持ち変えて『刀』の様な武器を取り出した瞬間、体に似合わないスピードでディアベルを攻撃し、無防備だったディアベルは攻撃を直に受け死亡寸前になっていた。

キリトはディアベルの所に駆けつけて行き、回復させようとしたが間に合わずディアベルはポリゴン状に砕け散ってしまった。

私はボスの方を見ると、ボスはキリトに目掛けて刀を振りかざしていたので、私はキリトの所へ走って行こうとするとボスは刀を振り落とし、私は

 

「キリト!!」

 

と叫んだ。

だが刀はキリトに当たってはおらず、エギルが抑えつけていた。

「エギル!!」

 

と声かけた私はその後に

「助かった・・・ありがとう・・・」 

と言うと、エギルは

「礼は後にしてくれ・・・今はこいつを何とかするのが先だ。俺が支えれるのも限界だ」

と答えると、私は斧を構え

「だな、エギル抑え変わるぜ」

と言い、

「助かる」

と言って刀を弾き、後ろに下がった。

それと同時にボスも後ろに下がり、こちらの様子を伺っている。

 

その時後ろから

「セイ!!キリト!!大丈夫か!!」

とシンが心配そうに声を掛け。

「ああ、敵さんはまた仕掛けて来るぞ」

と私はタバコに火を付けながらそう答えると、

 

「みたい・・・だね。僕達以外のパーティーは混乱しているし、どうする?」

 

とボスに向かってナイフを構えながらシブンはシンに聞いていたので、

 

「司令塔《キリト》次第だな・・・だが、この状態なら俺達は先陣か殿(しんがり)だな」

 

と片手剣を構えて答えると、

 

「なら、引き口を作ってあげないとな」

 

と曲刀と盾を構えるモコ

 

「私も手伝うわ・・・パーティーだもの」

 

とモコに続いて細剣を構えるアスナ

 

「だ、そうだ、どうする?」

 

と私は鉢巻きを頭に巻きながらキリトに聞いた。

 

「わかった・・・ボスを倒そう!!」

 

と立ち上がり剣を構えるキリト。

 

 

--結--

 

隊列を整えた所で、まず最初に私がボスに向かって

「大将首!!一番手に私が相手だぁぁぁ!」

と前口上を叫びながら走り出す。

ボスは刀を私に振り落としてきたが、私は斧で刀を受け流しボス手首に攻撃した。

ボスは怯み後退りをしたが私は即座に「シン!」と声を出し、シンが「任せろ!!」と答えて私と入れ替わった。

 

シンはボスに対して「フハハハハ」と高笑いしながら、「退かぬ!!媚びぬ!!省みぬぅぅぅ!!」と言いながら三回斬りつけ、次にシブンが「僕達に逃走はないのだぁぁぁぁ!!」と叫びながらボスに向かってナイフを投げてボスにあたり、ボスはシブンにターゲットを定め刀を振り落とす、シブンは「ディフェンスに定評のあるモコ!!」と声を出し、モコが「下がってな!!」と答えてシブンと入れ替わってボスの攻撃を盾で受け止めた。

 

盾で受け止めたモコはボスに向かって「ディフェンスに定評があるからって、止め続けるのは無理だ!!」と叫びながら盾で刀を弾くと「・・・後は右手を添えるだけ」と呟きながら曲刀でボスを斬りつけながら後退をして、キリトとアスナに「特訓の成果を見せな」と一言言うと、キリトは「ああ」と言い、アスナは「わかったわ」と答えて二人はボスに向かって走って行った。

それに対しボスは刀を振り落として来るが、アスナが刀を弾いてキリトの援護をして、キリトはボスに向かってソードスキルで攻撃するとボスの体力が無くなったのか、ボスはポリゴン状に砕け散った・・・

 

私達の目の前にボス攻略おめでとう!!的な文字が現れ、恐慌状態に陥っていた一同が歓喜に浸って居たところ、一人の男が「なんでや!!」と声を荒げて周囲は静まり返った。(めんどくさいから一服吸っているか)

 

一人の男がディアベルが死んだことについて色々と文句を言っている時、後ろから小声で

「セイ、めんどくさい事が起こりそうだから先進むか?」

とシンから言われたので、私は

「うい」

と軽く返事をしながら先に進もうとすると、目の前にシブンとモコがいて、二人にはめんどくさいから先に進む事を言うと、二人とも私達について行くとのことだったので4人で先に第2層へと進んだ。

 

 

第2層の街にある転送門を解放した所で、今後私達はどのように行動するか話し合っていた。(ちなみにキリトから連絡来て、パーティーは解散したとの事だった)

「とりあえず、これからどうする?」

と私はみんなに聞くと、

「とりあえず4人で旅するか?」

と一つの提案をするシン

「まずははじまりの街に帰ろうかな?休みたいし」 

と休むシブン

「私はある人を連れて一緒に冒険したい。」

と答えるモコ。

 

綺麗に分かれたな~と思いながら、私はそれぞれの意見の内容を聞くと、

 

シンはまたボス攻略での連携が楽だったからとの事(さりげなく聖帝になっていたからね)

 

シブンはボス攻略に疲れたので1日休んでから再度どうするかの事(変ないちゃもんあった後ならなおさらだな)

 

モコははじまりの街に残した相方が同じくデスゲームに巻き込まれた子供達を保護していて、その保護している子供達に戦闘を教えつつも相方と一緒にパーティーを組みたいとの事(モコたんの相方も面倒見ええんやな~)

 

だったので私はすぐに決めず3日間はじまりの街で休息をとってどうするか決めると言うことにすればいいのでは?と意見を出すと、全員が満場一致で決まり、私達ははじまりの街へ戻った。

 

 




第二話考察と裏話

テーマ1-モコの立ち位置-
今回から新しく登場したモコですが、彼女の役割は経験者と初心者の間で起こる摩擦を理解して和らげる為に初心者で前線を冒険するキャラクターとして描いています。
これには前回の考察で「シブンはキリトの立ち位置でセイに説明を促している」と同様にモコは原作のヒロインであるアスナの立ち位置でシブンからパーティの戦い方を教わったりする反面、シブンを励ましたりしてボス戦ではサブリーダーに任命されるなど後々アスナに通ずる役割を果たしています。


テーマ2-キリト、アスナとの相違点-
シブンは男女問わずコミュニケーション能力があったり(キリトは初期の頃コミュ症であった)、初心者にゲームでの生き方を教えたり、モコはそっけない態度はとるも、組んだパーティーの心配(初登場した時のアスナはキリトに対して終始無言だった)をしたり、絶望的な状況下の中で自暴自棄にならずゲームをプレイしていたりと彼らとは真逆の行動と性格をしています。
ちなみにセイは前回解説したようにクラインの立ち位置であると紹介しましたが、彼と違う所は異性に対して下心が無い事とゲーマーでは無い事、リーダー気質では無い(クラインはSAO編中盤からギルドマスターやっている)でそれ以外はほぼ一緒だと思います(面倒見が良くて仲間思いな点とムードメーカーな点)


テーマ3-喫煙と年齢層―
話の所々で喫煙シーンが登場しますが、セイ、シン、モコは成人していて(正確な年齢はいつか本編で語られます)、モコは1日10本程度で、シンは1日20本程度なのですが、セイは絶え間なく煙草を吸っていて、リアルでは煙草が切れたら禁煙パイポを加えている程ですが、灰皿はいつも綺麗にしてるそうです。



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