スターフォックス 〜孤独の一匹狐〜 (unknown)
しおりを挟む

プロローグ

スターフォックスの2次小説ってほとんど無いなー。って思い、フロム脳が活性化された結果誕生した小説です。

どうぞ、お楽しみ下さい。

P.S.
初代スターフォックス、スターフォックス64、スマブラの設定を一部混合させております。


恒星ライラット系。

 

ライラット系内で唯一の知的生命体の発祥地である惑星「コーネリア」で、幾千年も掛けて科学技術が発達させ、複数の惑星へと進出。

 

豊かな文化、資源、技術を手にした彼等は、平和な日々を送り続けていた。

 

 

 

しかし、その平和は突然崩れる事となる。

 

 

 

元コーネリア防衛軍科学研究所所属、天才科学者Dr.アンドルフ。

 

彼は危険思想に加え、危険な実験を度々繰り返した事により、ライラット系外縁惑星「ベノム」へと追放された。

 

しかし彼はあろう事か、ベノムを軍事基地に「惑星ごと」改造し、自ら開発した兵器をも用いて反乱軍を編成。

 

 

そして、軍事力を整えた後に恒星ライラット系に点在する全惑星に侵略を開始した。

 

 

反乱軍の軍事力は正に圧倒的。電撃的なスピードで次々と惑星を支配下に置き、遂には惑星コーネリアまで侵略の魔の手が届く。

 

この危機に、コーネリア防衛軍司令官「ジェネラル・ペパー」は、超高性能全領域戦闘機《アーウィン》を主戦力として活躍する雇われ遊撃隊「スターフォックス」にコーネリア防衛、反乱軍に軍事占領された惑星の奪還、そして反乱軍の撃破を依頼。

 

スターフォックスのリーダーである「フォックス・マクラウド」はこれを了承。「ファルコ・ランバルディ」、「ペッピー・ヘア」、「スリッピー・トード」、そしてスターフォックスの活動拠点である超弩級強襲巡洋母艦《グレートフォックス》と共に惑星コーネリアに急行。防衛戦に介入する。

 

 

そしてたった1時間で反乱軍の空中母艦を撃破、たった3日で惑星コーネリアの反乱軍を完全撃破するという、たった4機でここまでの実力を示すスターフォックス。

 

 

その後、彼等は次々と支配下に置かれた惑星を奪還。たった4人のエースパイロットが、戦況を大きく変える事となる。

 

 

そして彼等は惑星マクベスを目指す為、道中に存在するアステロイドベルトへと突入した。

 

 

 

しかし、この行動がフォックス・マクラウドの運命を変えた。

 

 

 

 

いや、「変えてしまった」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処の宙域か、何処の空間か。いや、果たしてライラット系と同じ次元なのかも疑問に思える広大な宇宙の中。

 

 

そこに、一機のアーウィンが飛行していた。

 

 

「こちら、スターフォックスリーダー、フォックス・マクラウド。こちら、スターフォックスリーダー、フォックス・マクラウド。

 

 

この無線は全回線で発信している。誰か、この無線が聞こえないか?応答を頼む」

 

 

パイロットの名は、「フォックス・マクラウド」。スターフォックスのリーダーであり、超一流のエースパイロット。彼は本来、恒星ライラット系にいる筈の人物。

 

何故彼が、宙域不明の場所を飛んでいるのか。

 

 

 

 

それはアステロイドベルトで遭遇した、正体不明の青い鳥と遭遇した時の事────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アステロイドベルト内。小惑星群を利用した奇襲に備え、周囲を警戒していた時。

 

『11時方向、何か居るぞ!!』

 

ファルコが無線で警告を飛ばし、注意を向ける。

 

そこにいたのは全長10mはあろうかという、巨大な青い鳥。

 

 

『なんじゃあれは…鳥?』

 

『なんで宇宙に鳥が…?いや、そもそも…』

 

「警告しろ、なにをしてくるか──」

 

 

その時。

 

 

「───────ッ!!!!!!!」

 

 

言葉に出来ない鳴き声を挙げ、突然猛スピードでフォックス達へと迫る。

 

 

『『『「ッ!!!!」』』』

 

 

突然の青い鳥の突撃に、フォックス達は回避機動を取り、ギリギリの所で回避に成功する。しかし回避機動により、フォックス達は散開してしまった。

 

「全機、気を付けろ!!スリッピー、解析は!?」

 

『やってるけど…全然わからない!!』

 

『分からねぇだと!?どういう事だ!!』

 

「…ッ!!横か!!」

 

フォックスは第六感が示した警報に従い、咄嗟にブレーキを掛ける。

 

その直後、目の前を超音速で青い鳥が通過する。

 

(っ…!!どうやら、俺が狙いらしいな)

 

フォックスはそれを兼ねて、判断を下す。

 

「全機!!青い鳥は俺が引き付ける!!その間にアステロイドベルトを離脱しろ!!」

 

『なっ…!?無茶だ、フォックス!!』

 

「だが、このままアステロイドベルトにいれば、レーダーは小惑星群で遠距離捕捉は出来ない…だが下手に固まれば、全滅の可能性が跳ね上がる!」

 

『だけど、何もたった1人で囮は──』

 

「もう遅い、奴の狙いは最初から俺らしい!!俺が引き付ける間に早く離脱しろ!!指揮は一時的にファルコに譲渡する、いいな!!」

 

『だが!!』

 

「早く行くんだ!!」

 

『ッ…』

 

その時、フォックスの後方から青い鳥が突進。フォックスは小惑星群を使い、青い鳥の突進を緩めて回避。

 

『…こちらファルコ。了解した』

 

『ファルコ!?』

 

『だが…お前が言った通り一時的だけだ!!必ず生きて俺達と合流しろ!!

 

ペッピー、スリッピー!!全速離脱だ!!』

 

『…分かった』

 

『…うん』

 

ファルコ、スリッピー、ペッピーのアーウィンが全速力の5400km/hで離脱を開始。

 

「…さあ、ついて来い!!」

 

フォックスのアーウィンもブーストが起動。青い鳥を引き離す勢いでもなく、追いつかれる勢いでもない、絶妙な速度領域で小惑星群の中を突き進む。

 

「─────ッ!!!!」

 

後方から、青い鳥の鳴き声と羽音が聞こえる。金切り声にも聞こえるその鳴き声に、フォックスは恐怖をも感じ取る。

 

 

 

しかし、数十秒も経つと鳴き声も羽音も聞こえなくなった。

 

 

 

(しまった…飛ばし過ぎたか?)

 

だとするとマズイ。下手したら仲間の元へと向かってしまっている可能性もある。

 

 

『フォックス!!アステロイドベルトを離脱した!!これから惑星マクベスに先行する!!』

 

 

しかし、ファルコかりの通信がその懸念を振り切った。

 

「了解!!俺も奴を振り切った!!今から──!?」

 

その言葉は、途中で遮られる事となった。

 

 

何故なら、小惑星に隠れていた青い鳥がフォックスの目の前に現れたのだから。

 

 

(ッ!!)

 

フォックスは咄嗟にブレーキを掛け、静止。青い鳥もフォックスを睨み付けて、膠着状態に入った。

 

 

「…どうやら、合流は遅れそうだ」

 

『何があった?』

 

「奴が目の前にいる。どうやら俺を逃がす気は無いらしい」

 

『…気を付けろ、フォックス』

 

「ああ。通信終了」

 

ファルコとの通信を終え、青い鳥を見つめる。距離600m。

 

 

 

そして。

 

 

 

「──────ッ!!!!」

 

「ッ!!!」

 

 

青い鳥が突進を開始すると同時に、フォックスのアーウィンがブーストを開始。双方が急速に速度を上げてゆく。

 

 

(まだだ…!!)

 

 

距離430m。

 

 

(まだ…!!)

 

 

距離350m。

 

 

「食らえ!!!」

 

アーウィンの両主翼の付け根から、2本のレーザーが速射。機体速度も上乗せされ、超音速で青い鳥に一直線に向かい────

 

 

 

 

 

 

青い鳥の身体を、「すり抜けた」。

 

 

 

 

 

 

(なっ…!!!?)

 

青い鳥とアーウィンはそのまま超音速の直進を維持。最早回避もままならない。

 

 

(あ────)

 

 

そして青い鳥がアーウィンに衝突し、視界が光と包まれるのを最後に、フォックスへ意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次にフォックスが意識を取り戻した時には、この宙域を漂っていた。

 

 

「こちら、フォックス・マクラウド。こちらフォックス・マクラウド!!誰でもいい、応答してくれ!!」

 

 

仲間との通信は途絶。レーダーは小惑星しか捉えず、惑星も存在こそするものの、空気が無い。今のフォックスにとって、アーウィンのコックピットだけがフォックスの生存可能領域だった。

 

 

「応答してくれ…クソッ!!」

 

 

フォックスは、アーウィンの計器を叩く。しかし、無線は無情にもノイズの音だけが響く。

 

 

そして右手を座席の右下に伸ばし、携帯食料が入った袋を掴む。

 

 

(これが最後、か…)

 

 

袋を開け、ブロックタイプの携帯食料を食べ、パサパサになった口と渇いた喉を潤す為、僅かに残っていた水を飲み干す。

 

そして、座席に背中を預けて身体の力を抜く。

 

 

これで、アーウィンにあった食料と水は尽きた。

 

 

後は、フォックスが生存可能な惑星を見つけるか、餓死するかの2択に絞られた。

 

(…もう、駄目かもな)

 

しかし、フォックスの心は限界だった。

 

フォックスがこの宙域に迷い込んでから、既に120時間以上が経過している。

 

ずっと宇宙を1人飛び続け、アーウィンに積んであった僅かな食料を少しづつ食べて行く地獄の5日間。

 

腹はずっと空腹を訴え、無線に応答を呼びかける事により、喉は渇きを訴える。

 

そして、ずっと1人しか居ない事が何よりもフォックスの精神を削る。

 

 

(…俺は、このまま1人で死ぬのか?)

 

 

フォックスの頭によぎる、最悪の結末。しかし、それを振る払える状況でもないし、何より気力も無い。

 

 

(…)

 

 

フォックスは、腰のホルスターにある黒色の拳銃の形をした光線銃「ブラスター」に触れた。

 

 

(このまま…苦しんで死ぬくらいなら…)

 

 

ブラスターで頭を撃ち抜く。そう決断し、ブラスターを取ろうとして────

 

 

「…?」

 

 

不意に、フォックスの視界に1つの惑星が目に入る。

 

 

その惑星は青く輝いており…そして。

 

 

「…空気だ。空気がある惑星だ!!」

 

 

その惑星には、空気が存在していた。

 

 

(やっと見つけた…!!!)

 

 

フォックスのボロボロだった心に希望が芽生える。

 

すぐさまアーウィンの操縦桿を握り、その惑星へと進路を変更。

 

そして、アーウィンのシステムチェックを同時に行う。

 

(…マズイな、G-ディフューザーシステムの出力とエネルギーシールド出力が安定していない…出力低下が起こってる。おまけに右翼に原因不明の異常…)

 

 

アーウィンは反重力発生装置「G-ディフューザーシステム」と、コックピットと機首の間に搭載されたシールド発生装置により発生した「エネルギーシールド」を装甲表面に展開することで優れた防護力を持ち、単機でも大気圏に突入、離脱を可能にした機体である。

 

 

しかし、現在の機体状態は芳しくない。

 

 

エンジンの役割も担うG-ディフューザーシステム、及び大気圏突入時に発生するエネルギーシールドの出力が不安定化、出力低下を起こしている。それに加え、右翼に原因不明の何からの異常が発生している。

 

 

この状態で大気圏突入はリスクがある。

 

 

もし大気圏突入中にG-ディフューザーシステムが停止すれば飛行が事実上不可能となり、機体を立て直せずに墜落。

 

シールド発生装置が停止すれば、エネルギーシールドの展開が不可能となり、アーウィンは断熱圧縮という現象によって起こる空力加熱とプラズマ化した空気の熱でコックピット内の気温が急激上昇し、フォックスの身体を焼き尽くす。

 

そして右翼の異常が分かっていない為、何が起こるか分からない。

 

 

だが。

 

 

(やるしかない…!!)

 

 

今、大気圏突入を断念すれば、アーウィンは更に何からの異常を発生させる可能性もある。

 

そして何より、フォックスの体力も既に限界が近い。

 

ここで諦めることは、フォックスの死を意味する。選択の余地は無かった。

 

 

既に惑星は目と鼻の先。覚悟を決めたフォックスは大気圏突入に向けて準備を始める。

 

 

「大気圏突入準備開始。G-ディフューザーシステム、大気圏突入モード。エネルギーシールド出力…68%。主翼、アスペクト比調整」

 

 

手順を間違えないように、声を出しながら計器を操作。アーウィンはそれに従い、大気圏突入の準備を完了させる。

 

やはり、エネルギーシールドの出力が足りていない。しかし、アーウィン自体の耐熱性はかなりのもので、この出力ならば大気圏突入は耐えられるだろう。

 

 

そして、惑星の大気圏が目の前に迫る。

 

 

(行くぞ…!!)

 

 

そして、アーウィンは大気圏に突入した。それと同時に、揺れが起こり始める。

 

 

(っ…何だ!?重い!!)

 

 

フォックスは揺れを軽減させようと操縦桿を動かすが、大気圏突入前と比べると圧倒的に重くなっており、精密な操縦が出来なくなっていた。

 

 

そして、機体の周囲が赤熱化を開始。それに比例するかのように、徐々に揺れが激しくなる。

 

 

(どうなってるんだ…!?)

 

 

その時、アーウィンのシステムが警報を鳴らす。計器に表示された警告は、大気圏突入時の今にとっては最悪とも言える警告だった。

 

 

《右翼 過負荷発生 大破の可能性大》

 

 

右翼が、大気圏突入の負荷に耐えられていない事を示す警告。

 

(っ…!!エネルギーシールドを…!!)

 

フォックスは咄嗟にエネルギーシールドの出力を操作。右翼の出力を優先し左翼、コックピットの出力を弱める。

 

「くっ…」

 

エネルギーシールドの出力を低下させた為、僅かにコックピット内の気温が上昇し始める。

 

その中でもフォックスは操縦桿を離さず、機体の制御に集中している。

 

 

(このコースを保てれば…!!)

 

 

フォックスは揺れる機体の中、大気圏突入に最適であるコースを保っていた。

 

このままコースを維持出来れば、無事に大気圏突入を完了出来るだろう。

 

 

 

しかし機体からバキバキ、という音が響き渡る。

 

 

「っ…何だ!?」

 

 

フォックスは計器を見るが、何も計器はそれ以上の警告は発してしない。

 

 

 

 

 

次の瞬間、機体に大きい揺れが襲う。

 

 

 

 

「うわぁ!!」

 

フォックスは突然の事に対応出来ず、頭をぶつける。その衝撃で一瞬意識が飛びかけるが、なんとか持ち直す。

 

《右翼 大破》

 

計器に新たに表示された警告は、正に最悪の事態を示した。

 

右翼を失った事と衝撃により、機体は大きくバランスを崩してしまい、錐揉み状態でコースから外れ始める。

 

 

「クソッ!!」

 

 

すぐさまエネルギーシールド出力を操作。大破した右翼のエネルギーシールド出力を全てコックピットと左翼に回す。

 

そして、機体の立て直しを図る。

 

しかし操縦桿の重みは更に増し、まともな操縦さえ困難になっていた。

 

「ぐっ…!!!」

 

フォックスは掛けれる全体重、全力を持って操縦桿を左に倒す。

 

ゆっくりと回転の勢いが弱まって行くが、その間もコースから外れ、凄まじい高熱がアーウィンを襲う。

 

そして回転は止まり、制御をなんとか取り戻す事に成功する。

 

 

しかし、既にコースへと戻る事は不可能。このまま外れて行くしかない。

 

 

(頼む…持ってくれ!!)

 

 

機体はまだ激しく揺れている。コックピットも気温60℃まで上昇し、高温がフォックスの身体を襲う。

 

 

しかし、フォックスは諦めない。

 

 

希望を捨てず、全神経を操縦桿を握る両手に集中させる。

 

 

 

 

 

 

 

「行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、未開の惑星に、1つの流れ星が落ちた。

 

 

 

その流れ星は燃え尽きる事無く、纏う炎を消し去った。

 

 

 

そして、その流れ星は惑星へと辿り着いた。

 

 

 

その中に、孤独な一匹狐を乗せて。

 

 

 

 

 

 

これは、孤独な一匹狐の物語。




プロローグが想定以上に長くなってしまいました。5754字って…

流石にこのレベルの文量は維持できませんので、悪しからず。

感想お待ちしてします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。