ペルソナ4 the K.C. (黒城優輝)
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設定資料集
キャラ紹介その1


第一話から、第八・五話までに登場したキャラの紹介です。
筆者が頭の中を整理する為に書いた物だが、勿体無いので投稿。
第八・五話までのネタバレが含まれますので、未読の方は注意。
※編集の際に、イゴールさんの欄をコピーし損ねていたので追記しました。(2015.7/6)


鳴上ハイカラ艦隊

 

No.1

鳴上 悠 (なるかみ ゆう)

 

言わずと知れた鋼のシスコン番長にして、この小説の主人公。

しょうもないドジで艦これの世界に迷い込んでしまった。

両親の仕事の都合で、友達のいない幼少期を過ごした反動からか、八十稲羽にいた頃は恋愛よりも、友達と遊ぶ方にベクトルが向いていた為彼女はいない。(彼に想いを寄せる女性がいないとは言ってない。)

つまり、最近流行りの鈍感系というわけでは無い。

人知れず世界を救ったその戦闘力は、超弩級戦艦すら凌駕する。怒らせてはいけない。

 

 

No.2

鳴上 島風 (なるかみ しまかぜ)

 

艦これ世界に迷い込んだ番長の隣にいた天真爛漫な美少女。その正体は番長が作ったプラモデルが艦娘化したもの。

何故かペルソナが使える。使用ペルソナはツクヨミ。大人になった島風に巫女服を着せた様な風貌で、月を写す鏡を抱いている。

ジオ系、ガル系、ハマ系、スピードに関わる魔法を扱う。

人にあだ名をつける癖がある。が、そのセンスは番長ゆずり。お察し。

 

 

No.3

武蔵 (むさし)

 

海軍が誇る最強の戦艦。

番長の提督就任に反対し、一戦交える事になるが敗北。

それから、番長のことを認め、名前で呼ぶようになる。

普段はキリッとした大人の女性だが、キレやすい。というより、煽り耐性が低い。

番長の事は弟の様に思っているようだ。

姉がいるらしいが、詳細は不明。

 

 

No.4

天龍 (てんりゅう)

 

番長と武蔵の演習を見て、番長の指揮下に入る事を決めた、天龍型の可愛い方。(ンだとコラァッ!)

本人は不良ぶってカッコつけているが、実は面倒見が良い姉御肌でお人好し。

但し、勉強は苦手。

過去に別の鎮守府に所属していた事があるが、その鎮守府は、提督の不祥事により、今は解体されている。

 

 

No.5

龍田 (たつた)

 

天龍と共に番長の指揮下に入った軽巡洋艦。

天龍型の怖…、美しい方。

ほんわかした口調だが、しっかり者で賢い。

その為、よく姉と勘違いされる。

事ある毎に天龍をからかうが、信用しているからこそであり、自分以外の誰かが、天龍を傷つけようものなら、悪鬼羅刹の修羅となる。ぶっちゃけ怖い。

過去に天龍と同じ鎮守府に所属していた。

その際に心に傷を負っているらしいが…

 

 

No.6

吹雪 (ふぶき)

 

番長の初期艦として配属された駆逐艦。

真面目で勤勉だが、常識にとらわれ過ぎている。

島風に、フブキチというあだ名を付けられており、部隊に完全に定着してしまった。

これについては、もう本人は諦めている。

 

 

No.7

金剛 (こんごう)

 

番長に一目惚れして、指揮下に入る事を決めた帰国子女の戦艦。

英語と日本語が混じった話し方で、英語の発音が良い。その為、天龍は金剛が言ったことを理解出来ていない事がある。

他の金剛と違い、この金剛は若干賢いようで、ストレートに想いをぶつけるのではなく、女郎蜘蛛の如く策略を張り巡らせる。(結果がついて来るとは言ってない。)

悩みは妹が変態シスコンレズになってしまった事。なんとかしてほしいデース!

 

 

 

佐世保鎮守府第一艦隊

 

No.1

大山 泰山 (おおやま たいざん)

 

気は優しくて、力持ちなお兄さん。32歳。

階級は大佐で、中々のやり手。

趣味はお菓子作り。というより、料理全般が得意。某クッキングパパ並みらしい。

迷子の番長に色々と世話を焼いてくれた。THE・良い人。Best of 良い人。

 

 

No.2

霧島 (きりしま)

海の上で迷子だった番長達を見つけ、海軍本部へ連れてきた戦艦のお姉さん。

番長曰く、眼鏡の似合うハイカラ美人。

面倒見が良く、優しい。

何故か、島風は彼女にはあだ名をつけていない。不思議。(インテリヤクザ…あっ、何でも無いです汗)

 

 

No.3

五十鈴 (いすず)

 

佐世保鎮守府に所属する軽巡洋艦。

対潜攻撃が得意。

常識人だがプライドが高く、傲慢な一面もある。

 

 

No.4

木曾 (きそ)

 

佐世保鎮守府に所属する軽巡洋艦。

おっぱいのついた眼帯のイケメン。但し本人はあまり良く思っていない様子。

 

 

No.5

日向 (ひゅうが)

 

佐世保鎮守府に所属する航空戦艦。

別に目が白くなったりはしない。

最近の悩みは、瑞雲教の風評被害で、布教されるんじゃないかと他の鎮守府の子に避けられること。本人は、確かに瑞雲を大事にしているが、別に瑞雲教というわけではない。

 

 

No.6

高雄 (たかお)

 

佐世保鎮守府に所属する重巡洋艦。

後述の隼鷹の飲み仲間…というわけではないはずだが、いつの間にか付き合わされて、二日酔いになるまで飲んでしまう。

仲が良いのか悪いのか…この事でしょっちゅう喧嘩している。

 

 

No.7

隼鷹 (じゅんよう)

 

佐世保鎮守府に所属する軽空母。

普段はテキトーで、お酒が大好きなだらしないお姉さん。

だが、実はかなりの切れ者で、番長と武蔵の

演習前の作戦会議では、メギドラオンの弱点を指摘したりと、やれば出来る人。

本人曰く、メリハリが大事らしい。

 

 

No.8

漣 (さざなみ)

 

佐世保鎮守府に所属する駆逐艦。

大山大佐の初期艦で、大佐のことをご主人様と呼んだり、会話の端々にネットスラングや、アニメの台詞が出て来たりと、ある意味では馴染み深い口調の艦娘。

 

 

No.9

曙 (あけぼの)

 

佐世保鎮守府に所属する駆逐艦。

大山大佐を糞提督と呼ぶなど、結構な毒舌。

ただ、これらは全てただの照れ隠しであり、本当に嫌いな相手には、感情の抑揚が一切無い、冷たい事務的な口調で話す。

要するにツンデレ。

 

 

 

鎮守府本部の皆さん

 

No.1

三嶋 源蔵 (みしま げんぞう)

 

深海棲艦討伐軍、通称『海軍』の元帥。つまり一番偉い。御歳70歳。超元気。

元々は、海軍の前身でもある、海上保安隊の総隊長を務めていた。

だが、深海棲艦の出現により、海上保安隊は海軍へと変わり、三嶋さんも、総隊長から元帥へ変わった。

趣味は温泉巡り。平和だった時代は、休みも比較的簡単に取れたらしく、若い頃からしょっちゅう色んな温泉に行っていた。

 

 

No.2

愛宕 (あたご)

No.3

比叡 (ひえい)

No.4

加賀 (かが)

No.5

望月 (もちづき)

No.6

川内 (せんだい)

No.7

北上 (きたがみ)

 

 

彼女達は、第八話後編で、悠がお世話になった艦隊。

名前こそ出ているが、今回限りのモブ。彼女達にはすまないと思っている。

今後、同じ名前の艦娘が出て来たとしても、この彼女達は一切関係無い。

もちろん、ここの比叡はハイカラ艦隊の金剛とは面識の無い他艦の空似。

 

 

No.9

陸奥 (むつ)

No.10

翔鶴 (しょうかく)

No.11

瑞鶴 (ずいかく)

No.12

摩耶 (まや)

No.13

名取 (なとり)

No.14

酒匂 (さかわ)

 

 

この彼女達は、第七話で戦い、沈んでいった艦娘。

彼女達もある種のモブであり、作者がやられ役として用意した。本当にすまない。本当はみんな大好きだよ!

作中では、現時点(8.5話投稿時)には描写は無いが、通常の護衛任務に、特務師団が紛れ込ませた特殊護衛任務を、不幸にも引き受けてしまった艦隊。

練度自体は十分すぎるほどだったが、相手が悪かった。

実は、作戦次第では勝てたのでは?という裏設定があったりする。

 

 

No.15

Mr.バミューダ (みすたーばみゅーだ)

 

艦娘の建造技術を生み出した天才科学者の妖精。

彼が本来研究していたのは、普遍的無意識による記憶の共有と、それによる平行世界の存在証明。

要するに、人が、何故見たことも無い架空の生物や国などを、さも見てきたかの様に、物語に仕上げたり、絵画やイラストとして描けるのか?

それは、普遍的無意識から、平行世界の記憶や知識が流れ込んでいるからではないか?

という仮説の証明である。

(よく分からないという方は、ユング心理学を学んでみると、作者の言いたいことが分かるかもしれない。P4Gのテレビで見れる、江戸川先生のユング心理学講座がおすすめ。というより、作者もこれを見て、発想と妄想を膨らませた。)

科学やオカルトなど、多方面から研究を重ねた結果と、時代のニーズによって、艦娘の建造技術が彼によって生み出された。

現在は行方不明になっており、唯一の手掛かりである彼が残した日記も、難解な暗号で書かれており、捜索は難航している。

 

 

 

特務師団員名簿(極秘)

 

No.1

青葉 (あおば)

 

普段は、自称・ジャーナリストで、海軍広報部所属と名乗っている。

しかし、その実態は三嶋元帥の秘書艦にして、特務師団団長。

取材と称して各地の鎮守府の粗探しをしたり、敵泊地の調査を単艦で行ったりと、かなり多忙な日々を送っている。

ちなみに海軍広報部は、全員青葉の息のかかった諜報員。全国の鎮守府の些細な噂話も見逃さない。青葉の優秀な手足として、表の仕事も裏の仕事もこなしている。本当にお疲れ様です。

戦闘においては、ペルソナを使い戦うが、現時点では詳細は不明。

 

 

No.2

伊168 (いひゃくろくじゅうはち)

 

特務師団に所属する潜水艦、愛称はイムヤ。

作中では何故か『伊』の字が省略されている。決して面倒くさかったとかではない。

主な仕事は、敵泊地の単艦偵察が殆ど。だが、たまに艦娘の暗殺も行う。

酒癖が悪く、作中でも青葉に滅茶苦茶言った挙句、無理矢理キスを迫ったりと、やりたい放題。でも、仕事はちゃんとする。こんなのでもエリートなのだ。

 

 

No.3

伊401 (いよんひゃくいち)

 

特務師団に所属する潜水艦。愛称はシオイ。

この子も『伊』の字が省略されている。気にするな!気にしたら負けだ!ここでネタにしたかったとかじゃないぞ!

主な仕事は、轟沈させた敵艦のサルベージ。

サルベージされた敵艦は、極秘の研究所で色々される。そう、色々。残念ながらエロい事は無い。グロい事なら沢山ある。

その仕事から、密かに『死追い』と呼ばれている。

 

 

No.4

雪風 (ゆきかぜ)

 

特務師団に所属する駆逐艦。

団長の青葉と、お菓子が大好きな女の子。

しかし、その仕事はとてつもなくブラック。

彼女の仕事は、グレーな提督の暗殺。

つまり、法の目や規則を掻い潜って悪事を働いているゴミの掃除。

彼女はとても幸運なうえに、ペルソナまで使えるので、現在の暗殺成功率は100%。

使用ペルソナはサマエル。使用スキルについては詳細不明。

作中で、ペルソナの名前こそ出ているものの、覚醒した理由は、青葉と同じく現時点では詳細不明。

 

 

 

深海棲艦軍名簿

 

No.1

足立 透 (あだち とおる)

 

今作の裏主人公。元刑事で、ファンからはキャベツと呼ばれている。

深海棲艦の境遇にシンパシーを感じ、彼女らの仲間として、番長達の前に立ちはだかる事になる。

P4本編終了後なので、一応改心はしている。

他人の為に怒ることが出来るようになったりと、成長が見られるが、戦争だからと割り切って簡単に人を殺せる。黒い所は相変わらずかもしれない。

使用ペルソナは伊邪那岐禍津神(イザナギノマガツカミ)

足立の怒りに呼応して、マガツイザナギが進化したペルソナ。見た目は黒い伊邪那岐大神(イザナギノオオカミ)。なんのひねりも無い。

作中で使用したスキルは、真女神転生4から引用した物も含まれており、かなりの強さを誇る。

アンティクトンの解釈については、アンティクトンは反地球という意味らしく、そこから反物質に繋げた。無理矢理とか言っちゃダメ。

 

 

No.2

レ級flagship (れきゅうふらぐしっぷ)

 

艦これ世界に来た足立を拾った深海棲艦。愛称はレフ。

人類を敵視している筈の深海棲艦だが、レフは、足立を仲間にしようと手を尽くす。

性格は、表向きは人懐っこいヤンキーのような感じだが、本性は邪悪そのもの。外伝の八・五話で明らかとなった。愉悦部艦これ世界支部部長といっても過言ではない。

ちなみにゲームでは、レ級はélite艦までしか実装されていないので、実質オリキャラである。

 

 

No.3

戦艦水鬼 (せんかんすいき)

 

深海棲艦軍・総司令官を務める文武両道の美人。

『使える物は何でも使う』がポリシー。

当初は、足立の事を警戒していたが、足立の実力を知ると態度が180°変わった。

性格は厳しくも優しい人格者。我の強い姫級や鬼級も、彼女のことはなんだかんだ言って信頼しているそうだ。

 

 

No.4

港湾棲姫 (こうわんせいき)

 

北方海域に、妹の様子を見に行った際に、運悪く艦娘の攻撃に遭い、妹を逃がす為に囮になる。

そして、海軍に鹵獲されてしまうが、足立によって救出される。

この為、足立に対して淡い恋心を抱いているようだ。作中でも、手料理を振る舞うなど、積極的に行動している。

余談だが、第七話では、名前が『湾港』と、逆になっている。ツッコミ待ちだったのだが、とうとう誰にもツッコまれなかった。気づけよ!

 

 

No.5

飛行場姫 (ひこうじょうき)

 

姉の港湾棲姫と共に妹の様子を見に来ていた姫級の深海棲艦。

姉の命を救ってくれた足立がお気に入りらしく、兄の様に慕っている。

愛称はリコリス、もしくはリコ。

理由は、彼女がゲームでの初登場時、艦隊名が『敵リコリス航空基地』だったことから。

 

 

No.6

北方棲姫 (ほっぽうせいき)

 

深海三姉妹の末っ子。愛称はホッポちゃん。

姉を助けた足立に懐いている。

まだまだ子供だが、戦闘力はバッチリ姫級な為、舐めてかかると痛い目に遭う。

ちなみに愛称だが、一般的には『ほっぽちゃん』と、平仮名なのだが、作中では、深海棲艦の片仮名口調に合わせて、片仮名表記となっている。

 

 

No.7

司会のヲ姉さん (しかいのおねえさん)

 

イ級ショーにおいて、空母ヲ級のイメージをぶち壊しにするような、素敵な司会を披露してくれた。

足立のデスクの隣であり、泣きぼくろが特徴。普段は他のヲ級よりも、更にクールな為、足立が受けたショックは計り知れない。

 

 

No.8

飼育員のヲ姉さん

 

イ級ショーで素晴らしいイ級捌きを見せてくれたヲ姉さん。一流のブリーダーを目指して、毎日頑張っている。

深海棲艦軍において、出撃しないからといって、罰が与えられるような事はない。

過去のトラウマなどから、出撃が出来ない子も沢山いる為だ。このヲ姉さんもそんな一人である。

 

 

No.9

重巡ネ級 (じゅうじゅんねきゅう)

 

孤島の研究所の警備を担当している。

どうやら新人らしく、色々不慣れな点が目立つ。

 

No.10

工作棲姫 (こうさくせいき)

 

孤島の研究所で、新型艦の研究をしている姫級の深海棲艦。

身だしなみに一切気を配らず、髪もぼさぼさ。

研究熱心だが、非人道的な実験も平気で行うマッドサイエンティスト。

座右の銘は、『他人の不幸は蜜の味』。要するにゲスな女。愉悦部艦これ世界支部副部長といっても過言ではない。

ゲームに居そうだが、本作オリジナルの深海棲艦。勘違いしないように。

 

 

 

その他の方々

 

No.1

花村 陽介 (はなむら ようすけ)

No.2

クマ (くま)

 

第一話にて、番長の家に遊びに来ていた、自称特別捜査隊の二人。

番長がテレビの中に落っこちていくのを目の前で見ていた。

きっと今頃大慌てだろう。

 

 

No.3

イゴール (いごーる)

 

第八話にて、悠の夢に現れた、長い鼻がチャームポイントのお爺さん。

その正体は、人間のポジティブマインド(前向きな精神)が、一つの人格を成した存在、通称フィレモンの従者であり、力の管理者という存在である。

ペルソナ作品において、彼はペルソナの召喚、合体を行い、主人公達を手助けしてくれたり、時には、曖昧ながらも助言を授けてくれたりと、(あくまで筆者の主観であるが)主人であるフィレモンよりも遥かに良心的な存在である。

P4本編では、占いに凝り始めたようであり、本作でも番長の事を占っている。

ただ、その占いは最早占いと呼べるようなものではなく、予言、もしくは預言というレベルに達している。

 

 

 



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キャラ紹介その2

第九話から第十三・五話までに登場したキャラの紹介です。
第十三・五話までのネタバレを含みますので、未読の方は注意。


鳴上ハイカラ艦隊

 

No.8

花村 陽介 (はなむらようすけ)

 

特捜隊のメンバーで番長の親友。

テレビに落ちた番長を追って艦これ世界に来た。だがその際に、『最適化』という艦娘建造の工程に巻き込まれてしまい、姿が軽巡洋艦の阿武隈になってしまう。

彼がトイレに入ったときのショックは、なった者にしか分からないだろう…。

使用ペルソナはタケハヤスサノオ。風属性の魔法や物理スキル、スピード関連の補助、混乱の状態異常付与、おまけに回復魔法と、多種多様なスキルを習得しており、ステータスも高水準でまとまっている。

さらに、火属性無効の耐性も持っているため、防御面も非常に優秀。

ただし、運がべらぼうに低い。下手をすれば、あの不幸型戦艦よりも酷いかもしれない。

要注意。

 

 

No.9

クマ (くま)

 

陽介と同じく特捜隊のメンバー。普段は花村家でお世話になっている。

陽介と共に艦これ世界にやってきた。

その際に、クマも『最適化』に巻き込まれてしまい、軽巡洋艦の球磨の姿になってしまう。

陽介と違い、最適化をすんなりと受け入れている。

何故か艤装がクマ皮。原理は不明だが、航行能力は備わっている模様。

使用ペルソナはカムイモシリ。氷属性の魔法に、各種回復魔法、味方へのステータス強化、物理スキルも覚える万能型。

ステータスは、魔力は高いものの防御力が低く打たれ弱い。後方支援に回すのが吉。

 

 

No.10

龍驤 (りゅうじょう)

 

独特なシルエットが特徴の軽空母。

ロリな見た目に騙されてはいけない。

彼女は元祖軽空母であり、初代一航戦でもある歴戦の空母。凄まじい数の作戦に参加しており、その戦果もすごい。詳しくはwikiへ。

正に殊勲艦と呼ぶに相応しく、赤城や加賀も頭が上がらない。

だが、そのロリ体型にコンプレックスを持っており、下手に刺激するとキレる。注意。

 

 

No.11

夕立 (ゆうだち)

 

ポイポイ系駆逐艦。クマより犬が好きらしい。

可愛い。

 

 

No.12

睦月 (むつき)

 

にゃしぃ系駆逐艦。クマより猫が好きらしい。

可愛い。

 

 

No.13

暁 (あかつき)

 

レディ系駆逐艦。クマさんが好きらしい。

レディ可愛い。

 

 

No.14

卯月 (うづき)

 

ぴょんぴょん系駆逐艦。クマより兎が好きらしい。

可愛い。

どうやら生意気盛りで、人を小馬鹿にした言動が目立つ。注意。

 

 

No.15

 

足柄 (あしがら)

 

妙高型重巡洋艦の3番艦。

同じ鎮守府の他の姉妹には、良い人がいるのだが、足柄にはそういった男性がおらず、どこか疎外感を感じていた。

そんな時に番長の話を聞き、鎮守府を無断で抜け出し、転属を試みる。

道中、1番艦の妙高に見つかってしまい、着任が遅れに遅れた。

だが、怪我の功名とでも言おうか?そのおかげで、ピンチの番長とばったり遭遇し、共に戦う事になる。

足柄さんの彼氏ゲット作戦はまだ始まったばかりだ!

 

 

 

 

 

佐伯湾鎮守府スタッフ

 

 

No.1

マーガレット (まーがれっと)

 

佐伯湾鎮守府の任務娘。

番長を追って艦これ世界にやってきた。

ペルソナ4では、イゴールの助手として、ペルソナ合体の補助を行ったり、ペルソナ全書の管理をしていた。

力の管理者の1人であり、めちゃくちゃ強い。

 

 

No.2

テオドア (ておどあ)

 

佐伯湾鎮守府の艤装開発を一手に引き受ける。

マーガレットの弟で、姉の言いなりである。

若干天然らしい…。

当然彼も力の管理者なので、戦闘力は番長の遥か格上。

 

 

No.3

イザナミ (いざなみ)

 

ペルソナ4の真の黒幕。彼女自身に悪気があった訳ではないが、色々やらかしてくれた女神様。本作では反省している模様。

現世の観光旅行を終え、黄泉に帰ろうとしたところをマーガレットさんにスカウトされる。

佐伯湾鎮守府では、補給と修理をやってくれる。

自身の能力を活かして、艤装を一瞬で修理してくれる。高速修復材要らず!

 

 

No.4

トリッシュ (とりっしゅ)

 

佐伯湾鎮守府寮の酒保を切り盛りする、元の世界出身の妖精。そのためサイズが人間サイズ。

お金にがめつい守銭奴。

ペルソナ使い用のアイテムで、番長相手に一儲けしようと企む。

 

 

No.5

イゴール (イゴール)

 

彼自身の説明は前回したので省かせていただく。

佐伯湾鎮守府において、艦娘の召喚を行ってくれるが、慣れない事だからだろうか失敗が目立つ。

 

 

No.6

荒垣 真次郎 (あらがき しんじろう)

 

佐伯湾鎮守府寮のコックさん。

色々あって一度死んでおり、三途の川の順番待ちをしていたところをマーガレットに捕まってしまう。どんな経緯で死んでしまったか知りたい人はペルソナ3をやろう!(ステマ)

料理の腕はプロ級。番長よりすごい。

掃除・洗濯・お裁縫もプロ級。まさにオカン。

戦闘力も圧倒的。物理耐性関連を縛れば、番長とタイマンでも勝てるかも?だが戦う気は無いそう。勿体無い。

 

 

No.7

早霜 (はやしも)

 

建造工廠…もといベルベットルームの裏にある『BAR・Velvet』のバーテンダー。

小柄な体型にミステリアスな雰囲気を醸し出す。というか、どう見ても、夕雲型の駆逐艦・早霜なのだが、実際のところは不明。

本人いわく、24歳とのこと。

ちなみにお酒はイゴールさんが仕入れてくるらしい。そのためか、珍しいお酒も普通に置いてある。

 

 

 

 

 

 

佐伯市民の皆様

 

 

No.1

高橋 義昭 (たかはし よしあき)

 

別府県(元の世界にあたる大分県)の知事。

ジェントルマンなナイスミドル。

 

 

No.2

木下 聡 (きのした さとし)

 

佐伯市市長のおじさん。

ハゲ頭が特徴。性格は大らかで豪快、そしておっちょこちょい。

 

 

No.3

海鳴 渚 (うみなり なぎさ)

 

佐伯市の職員。市政と鎮守府を繋ぐパイプ役。

基本真面目だが、たまに辛辣。

 

 

No.4

海鳴 武 (うみなり たけし)

 

渚の弟で、佐伯第一高校の三年生。爽やかイケメン。将来の夢は立派な漁師になること。

 

No.5

海鳴 豪旗 (うみなり ごうき)

 

渚の祖父で、漁業組合の組長さん。

鎮守府が出来て、立派な提督が来るかと思っていたら、孫と同じくらいの少年が来た事に憤慨し、観艦式の際に一言申そうとするが、渚に止められる。

その後、自棄になり漁に出た際に深海棲艦に襲われるが、番長に助けられる。

その際にペルソナを見ており、番長のことを仏様の遣いと勘違いしている。大体アタバクのせい。

 

 

 

 

???

 

 

No.1

明石 (あかし)

 

番長が夜中に見ていた通販番組の司会をしていた艦娘。

あなたの〜鎮守府に〜、艦ネット明石〜!

 

 

No.2

夕張 (ゆうばり)

 

番長が夜中に見ていた通販番組のアシスタントをしていた艦娘。

て・い・と・く・さんの、欲の友!

 

 

No.3

不ー知カンス火 (しーらかんすぬい)

 

一周年記念として現れた佐伯湾のぬし。

ひたすらボケ倒し、番長をイラつかせる。

本編には出ないのでご安心を。

…出ないよね?



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ヌイラジ!♯1

スランプって素人でもなるんだね…
タイトルから全てを察して覚悟完了した方のみこの先をどうぞ…




















覚悟はいいな!私は出来てる!


不ー知カンス火(しーらカンスぬい)「チャッラッラ♪チャッラッラ♪チャララララ〜ラ♪チャッラッラ♪チャッラッラ♪チャララララ〜ラ♪チャ〜ラッラッラッ♪チャ〜ラッラ♪ヌイラジ!」

 

秋津洲「開幕からうるさいかも!ラの字がゲシュタルト崩壊かも!」

 

ヌイ「というわけで始まりましたヌイラジ。メインパーソナリティは、この私。不ー知カンス火と…」

 

アキ「無視しないでほしいかも!アシスタントの秋津洲です!よろしくかも!」

 

ヌイ「この作品は、ペルソナ4 the K.C.の作者がスランプに陥ってあーなってこーなって生まれたラジオ風カオスSSです。ご注意下さい。」

 

アキ「注意喚起は前書きでやるべきかも…」

 

ヌイ「では最初のコーナー。」

 

アキ「だから無視するなっ!」

 

つ【カンペ】

 

ヌイ「理事長が抹殺…もといお役御免になったから、前からやってた後書きの作品解説的なやつをラジオっぽくやろう!…です。」

 

アキ「えっと、これは事前に黒城提督の部下の艦娘から質問を作って貰ってるから、それに答える形で進めるみたいかも。」

 

ヌイ「なるほど。では最初のお便り。秋津洲さん、よろしくお願いします。」

 

アキ「了解かも!えっと、ラジオネーム正妻さんからの質問かも!

『鳴上提督の防御を、武蔵さんの砲撃は貫通していましたが、何故でしょうか?それらしい記述はあるにはあったのですが、いまいち答えになってなかったので…よろしければお教え下さい。』

これはどういうことかな?不知火ちゃん!」

 

ヌイ「……」

 

アキ「不知火ちゃん?」

 

ヌイ「……」

 

アキ「………不ー知カンス火ちゃん?」

 

ヌイ「はい、それはですね…」

 

アキ(面倒クセェかも!)

 

ヌイ「すばり徹甲弾。これですね。ゲーム内でも大型艦に特攻をもつこの装備。これが番長の耐性装甲をブチ抜いたわけです。」

 

アキ「つまり…徹甲弾を装備した深海棲艦は番長さんの天敵ってこと?」

 

ヌイ「そうなりますね。ゲーム内では、徹甲弾持ちの深海棲艦は少ないですが、PKCではどうなるかですね。」

 

アキ「番長さんのこの弱点がバレたらみんな載せ始めるかも…」

 

ヌイ「では次のお便り…」

 

アキ「これかも!ラジオネームツキノワさんからかも!

『あのクマはいったい何クマ!球磨型軽巡一番艦への風評被害が心配クマ!』

だそうです!」

 

ヌイ「ドン・マイケル♪」

 

アキ「軽っ!そんなんでいいの?」

 

ヌイ「正直こんなマイナー小説で風評被害なんて起きませんから。」

 

アキ「…言ってて悲しくならない?」

 

ヌイ「…作者はもしかしたら悲しいかも知れませんね。私はどうでもいいですけど。」

 

アキ「あっそう…」

 

ヌイ「では、次のお便り…ん?とりあえず今回はこれで最後?分かりました。では秋津洲さん

、よろしくお願いします。」

 

アキ「最後のお便り!ラジオネームは純情メガネさん!…誰?」

 

ヌイ「ラジオネームなんですから分からなくても問題はありません。早く読んで下さい。」

 

アキ「ごめんかも。えっと…

『こんにちは。いつも楽しく読ませてもらってます。でも、最近は投稿ペースがガックリと落ちてしまっていて心配です。早く続きを読みたいのですが、無理のないスピードで頑張ってください。』

あ〜…これは…」

 

ヌイ「申し訳ありませんが絶賛スランプ中です。感想欄に励ましのコメントを残して頂けるとモチベーションが上がって早く上がるかもしれません。」

 

アキ「スランプって言うけど、実際はどうなってるの?」

 

ヌイ「書いているシーンの映像は妄想で浮かぶそうですが、それを字に起こすのに苦労しているようです。それどころかその妄想が脇道に逸れまくって、青葉さんの過去編を書いていた。

何を言っているのかわからねぇが、(ry」

 

アキ「それはひどいかも。」

 

ヌイ「…今回はこんなものですね。ヌイラジでは、読者の皆様からのお便りもお待ちしています。」

 

アキ「ヌイラジで使ってほしいお便りは宛先をちゃんと書いてね!」

 

ヌイ「ヌイラジで使えそうなネタや、本編に登場してほしい艦娘のリクエストも歓迎です。」

 

ヌイ「では、次のコーナーは…」

 

つ【カンペ】

 

ヌイ「みんなが共感出来るかは分からない艦これあるある。だそうです。」

 

アキ「ふーん、じゃあ私からいくかも!」

 

ヌイ「ではどうぞ!」

 

アキ「秋津洲は有能!かも!」

 

ヌイ「…最近大発が載るようになったので、一人一隻教の方には有能かもしれませんね。これは上手いです。座布団1枚。」

 

アキ「次は不ー知カンス火ちゃんの番かも!」

 

ヌイ「パス。」

 

アキ「ふぇっ⁉︎」

 

ヌイ「冗談です。」

 

アキ「びっくりしたかも…」

 

ヌイ「では…こんなのはどうですかね?」

 

ヌイ「暁ちゃんは違法、響は合法。」

 

アキ「」

 

ヌイ「ふふっ、あまりの素晴らしさに声を上げることも忘れてしまっているようですね。」

 

アキ「」

 

ヌイ「まあ、一部の方は暁はレディだから合法というでしょうが、今回のテーマは、みんなが共感出来るか分からない艦これあるあるですからね。絶妙なバランスでしょう。」

 

アキ「…ごめん。ちょっと何言ってるか分からないかも。」

 

ヌイ「つまりこういうことです。ヴェールヌイはモーマンタイ。」

 

アキ「もーやだかも〜!私お家帰りたいかも〜!」

 

ヌイ「どうやらアッキーはまだ練度が低いようですね。…おっと、どうやらお時間のようです。」

 

ヌイ「では、ヌイラジ!お送りさせていただきましたのは私、不ー知カンス火と」

 

アキ「アシスタントの秋津洲でした〜…」

 

ヌイ「評判が良ければまた次回。アデュー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モウツカレタカモ〜…

オットコンナトコロニスーパーセントウノクーポンガ。

イッショニイクカモ〜!

 

 

 



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ヌイラジ!#2

1時間半の突貫工事で仕上げました。やっぱりキャラ崩壊が激しいので注意!


ヌイ「チャッラッラ♪チャッラッラ♪チャララララ〜ラ♪チャッラッラ♪チャッラッラ♪チャララララ〜ラ♪チャ〜ラッラッラッ♪チャ〜ラッラ♪ヌイラジ!」

 

アキ「またそれから始めるんだ…。ていうか、あのキモい着ぐるみ着てないかも。どしたの?」

 

ヌイ「最近暑くなってきたので…。あの着ぐるみ蒸れるんですよ。」

 

アキ「なんかスゴい現実的な理由でアイデンティティー捨ててるかも!」

 

ヌイ「まあそんな訳で、着ぐるみを脱いだ不知火が、ヌイラジ!始めます。」

 

 

 

 

ヌイ「では、改めましておはこんばんちは。メインパーソナリティの不知火です。」

 

アキ「アシスタントの秋津洲かも!」

 

ヌイ「では、早速ですがお便り紹介の方を始めましょう。秋津洲さん?」

 

アキ「じゃあ1通目!ラジオネーム御召艦さんからかも!

『どうも!御召艦です!#1を見て思ったのですが、あんまりカオスじゃないですよね?とりあえず最後に下ネタ放り込んでおけばいいや。ってのが見え見えです。

カオスっていうのはですね…最近だと、はる…じゃなくて妹に借りた黒執事って漫画。あれの…何巻かは忘れましたが、人気投票の上位陣と6の付く順位のキャラが出る特別編。あれこそカオスって感じですね!

カオスって自分たちで言っているんですから、あれくらいのクオリティーとは言いませんが、もう少し何とかなると思います!』」

 

ヌイ「おい。」

 

アキ「わ、私に言われてもどうしようもないかも!このメールを選んだDさんが悪いかも!」

 

つ【カンペ】

 

ヌイ「ファッ!じゃないですよ。カンペに書くことじゃないです。あれですか?カンペ越しにでもこのラジオに参加したいと?とりあえずこんなテンション下がるメール採用してんじゃねーですよ。不知火を怒らせたいんですかぁ!」

 

アキ「お、落ち着くかも!とりあえずお返事返すかも!」

 

ヌイ「黒執事を読んでる榛名さんはメンヘラです。気をつけましょう。」

 

アキ「雑ゥッ!てか、お返事になってないかも!関係ない榛名さんがdisられただけかも!

榛名さんはあざといとこはあるかもだけど、メンヘラじゃないかも!」

 

つ【カンペ】

 

アキ「ほ、ほら!榛名さんは黒城提督の嫁艦だから早く謝っとくかも!」

 

ヌイ「ハーイ、トゥイマ・テーン!」(^_−)−☆

 

アキ「謝る気ねぇだろ!」

 

 

 

 

 

 

しばらくお待ち下さい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヌイ「失礼、取り乱しました。気を取り直して次のお便りを。」

 

アキ「次のお便りは、ラジオネーム甲板ニーソさんから!

『チィーッス!今時JK航巡だよ!このラジオってさ、ずっと2人だけでやるの?ゲストとか呼んだりしないんですかー?もし呼ぶんならさ、鈴谷とか熊野とか鈴谷とかがいいんじゃないかな〜?』

だそうです!ゲストかぁ、呼ぶ予定ってあるの?」

 

ヌイ「とりあえず鈴谷さんは無しで。」

 

アキ「ヒドイかも。」

 

ヌイ「まあ、ゲストは一応考えていますよ?」

 

アキ「ほぉー、誰かヒントとかあるかも?」

 

ヌイ「5代目シンデレラガールとかどうでしょう?」

 

アキ「シンデレラガール⁉︎やめるかも!別作品で扱い方が分からない上に多分ギャラボラれるかも!」

 

ヌイ「では、5代目シンデレラガールの島村卯月さん!どうぞ!」

 

アキ「なに⁉︎もう呼んであるの⁉︎サプライズってレベルじゃねぇかも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卯月「ぷっぷくぷぅ〜!卯月でっす!うーちゃんって呼んでほしいピョン!」

 

アキ「あ〜…こういうオチ?」

 

ヌイ「はい!卯月さん出オチありがとうございました!もう帰っていいですよ?」

 

卯月「えぇ〜!ヒドイピョン!あんまりだピョン!ほらほら〜、なんか質問とか無いの〜?

うーちゃん何でも答えちゃうピョン!」

 

ヌイ「ん?今何でもって言いましたね?」

 

卯月「言ったけど、それがどうかしたピョン?」

 

ヌイ「シャア!オラァ!」

 

アキ「何聞く気か知らないけど自重してね?」

 

ヌイ「では…オ○ニーはどんな感じでしますか?」

 

アキ「おい変態。」

 

卯月「…オ○ニーってなにピョン?」

 

ヌイ「ほぅ…知りませんか。では…私が手取り足取りナニ取りしっぽり教えてあげましょう!」

 

卯月「な、なんか目が怖いピョン。え、遠慮しときます〜。」

 

ヌイ「そう言わずに、ほら、私の部屋に行きましょう。…行くんだよ。…来いヤァ!」

 

アキ「やめんかぁ!かも!」大艇ちゃんドゴォ!

 

ヌイ「ガフッ!」

 

 

 

 

 

しばらくお待ちください…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヌイ「申し訳ありません。取り乱しました。」

 

アキ「卯月ちゃんには帰ってもらいました…」

 

ヌイ「では…最後のお便り。お願いします。」

 

アキ「次こそは自重してほしいかも…。ラジオネーム吹雪ダークネスさん。」

 

ヌイ「厨二乙。」

 

アキ「そういうこと言わないの!えっと…

『不ー知カンス火さん、秋津洲さん、こんにちは!』」

 

ヌイ「はい、こんにちは。」

 

アキ「『今、私の所属する鎮守府では、遊戯王タッグフォースSPというゲームが流行っています!このゲームは遊戯王っていうカードゲームのシュミレーターみたいなものなんですが…』

ここからしばらくゲームの紹介みたいかも。」

 

ヌイ「詳しくはwikiか公式サイトをチェックということで飛ばしましょう。」

 

アキ「分かったかも。じゃあ少し飛ばして…

『このゲームはみんなの個性が出て、対戦がとても楽しいです!不ー知カンス火さんと秋津洲さんもやってみてはいかがでしょう?』

…勧誘かよ!」

 

ヌイ「え?やるんですか?このラジオで遊戯王?」

 

アキ「一応私はこのゲーム持ってるよ?」

 

ヌイ「私は昔やってたカードがあるだけですね。」

 

アキ「え?やってたの?」

 

ヌイ「ええ、小学5年くらいの時に、陽炎が姉妹全員巻き込んで。」←ちなみに今27歳

 

アキ「へぇ〜、じゃあちょっとは分かるんだ。」

 

つ【カンペ】

 

ヌイ「何々?レシピが分かれば当時のデッキを再現出来ると…」

 

アキ「どうする?」

 

ヌイ「そうですね。では今回は一旦ここで切りましょう。それで時間を置いて、否定的な意見が出なければやりましょう。」

 

アキ「いつも振り回されてる鬱憤を晴らすチャンスかも!ボッコボコにしてやるかも!」

 

ヌイ「では、今回はこの辺で。

次回!遊戯王デュエルモンスターズ5S’s!

秋津洲死す!デュエルスタンバイ!」

 

アキ「勝手に殺すな〜!」

 



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ヌイラジ!#3

重大発表もあるから見てくれると嬉しいです。


ヌイ「チャッラッラ♪チャッラッラ♪チャララララ〜ラ♪チャッラッラ♪チャッラッラ♪チャララララ〜ラ♪チャ〜ラッラッラッ♪チャ〜ラッラ♪ヌイラジ!」

 

アキ「早いもので、もう3回目かも!」

 

ヌイ「『更新来たと思ったらヌイラジかよ…』と思っている画面の向こうのあなた。

今回は重大発表もあるので、是非、最後まで見ていって下さい。」

 

ヌイ「では、いつも通り、メインパーソナリティの不知火と、」

 

アキ「アシスタントの秋津洲でお送りするかも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヌイ「重大発表に早く移りたいところではありますが、まずはお便りコーナーから。」

 

アキ「じゃあ最初のお便りいくかも!ラジオネーム朝潮さん!

『お手紙で失礼します!不知火さん、秋津洲さん。ヌイラジを見て思ったのですが、作中でアンケートなどを取るのは、ハーメルンの規約違反だと思います!

なぜこのような事になったのかの釈明と、謝罪、再発防止の策、該当箇所の修正を…』

またこんなのからかも!」

 

ヌイ「お便りありがとうございます朝潮さん。

質問などを募った理由については、俗に言う様式美です。」

 

アキ「どういうこと?」

 

ヌイ「ヌイラジの雰囲気を出す為、ですね。本物のラジオ番組でも、お便りのメールフォームを出したりしますよね?それです。」

 

アキ「つまり、規約違反のつもりは毛頭無いと?」

 

ヌイ「はい、この度は誤解を招くような発言、大変失礼いたしました。真面目なアンケートは活動報告の方でやらせて頂きますので、そちらの確認の方もよろしくお願いします。」

 

 

 

アキ「じゃあ次のお便りいくかも!」

 

ヌイ「はい、お願いします。」

 

アキ「ラジオネーム、豚骨ラーメンこそ至高さん。」

 

ヌイ「胃もたれしそうな名前ですね。女子力もまるで感じられません。」

 

アキ「ラジオネームにいちゃもんつけるのは止めるかも。え〜…

『不ー知カンス火さん、秋津洲さん、おはこんばんちは!前から気になっていたのですが、鎮守府の間取りはどうなっているのでしょうか?

一般の人も入れるみたいに書いてあったので、警備とかはどのようにするのでしょう?』」

 

ヌイ「久しぶりに真っ当な質問ですね。

佐伯湾鎮守府の地図は大体この様になっています。」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

ヌイ「まあ、こんな感じですね。ネタバレになりますが、空き地のところは弓道場などが出来る予定です。」

 

アキ「鎮守府の敷地内に入るには、陸からの搬入ゲートか、本棟裏手にある職員玄関からの2択かも。」

 

ヌイ「ちなみに荒垣さんの家は平屋の一戸建てです。3LDKで、中々いい家に住んでますね…」

 

アキ「あくまでAAで無理矢理作った地図だから、縮尺とかはまるであってないかも。大体こんなもんなんだな〜、って思う位に留めておいてほしいかも。」

 

ヌイ「ふぅ、AA作るのでスペース連打で疲れました…」

 

アキ「お便りコーナーは今日の分はこれで終わりかも!次に行くかも!」

 

ヌイ「…えらく張り切ってますね。」

 

アキ「フッフーン!今日という日をずっと待ってたかも!普段振り回してくれる不知火をボコるチャンスかも!さぁ、デュエルの準備をするかも!」

 

ヌイ「あ〜…。やりませんよ?」

 

アキ「ファッ⁉︎」

 

ヌイ「えぇ…ヌイラジではね…!」

 

アキ「どういうことだってかも!」

 

ヌイ「それは…これです!」

 

アキ「オホォォォ〜!」

 

【新連載!遊戯王5S’s!近日公開予定!】

 

ヌイ「まあ、やると言っても、まだ第1話のプロットと、メインキャラの一部にゾーンポジと長官ポジのキャラが確定してるだけですけど。」

 

アキ「ズコ〜!殆ど見切り発車かも!」

 

ヌイ「この作品は、遊戯王5D’sの設定をお借りして進むパロディとなる予定です。

 

舞台はPKCエンド後から数年後の佐伯市…その間に街も様変わりし、ナルカミシティとして、世界有数の大都市となっています。

 

その街で、艦娘年金だけで暮らすニートの陽炎、そんな姉に毎日のように苦言を呈すルームメイトの不知火、お好み焼き屋を経営する黒潮、ジャンクショップを切り盛りする秋津洲。

 

平和になった世界で、平凡な毎日を過ごす艦娘たち。

 

だがある日、陽炎が、世界で最も有名なカードゲーム、デュエルモンスターズ、その大会の様子をテレビで観て、そのプロの年収に釣られるところから、物語は動き出す…。」

 

 

ヌイ「あらすじはこんなところですかね?」

 

アキ「ちゃっかり私達もキャストに入ってるかも!」

 

ヌイ「まだ、一部のシグナー枠もダークシグナー枠もイリアステルの3人も決まっていない状態ですが、最初のデュエルの噛ませは三沢です。これだけは決定事項です。」

 

アキ「今から楽しみかも!私のデッキは何になるのかな?」

 

ヌイ「それもまだ未定です。あと、最後に1つ2つ。」

 

アキ「ん?なーに?」

 

ヌイ「デュエルパートにおいて、演出重視の効果処理を行ったり、(例、罠カードを発動していた。など)オリジナルのカードを使用したりします。また、基本のカードプールとルールはTFSP準拠で進めていきます。」

 

アキ「了解かも!」

 

ヌイ「では、今回のヌイラジは、これにて終了です。新作は、デュエルパートで詰まっていますが、投稿をお楽しみに。」

 

アキ「じゃあバイバーイ!」



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ヌイラジ!#5

あけましておめでとうございます!黒城です!
本編じゃなくてごめんなさい。


ヌイ「チャッラッラ♪チャッラッラ♪チャララララ〜ラ♪チャッラッラ♪チャッラッラ♪チャララララ〜ラ♪チャ〜ラッラッラッ♪チャ〜ラッラ♪ヌイラジ!」

 

 

 

 

ヌイ「はい、あけおめことよろ。不ー知カンス火です。」

 

アキ「あけましておめでとうかも!秋津洲だよ!」

 

ヌイ「えーと…PKCの最後の投稿が11月8日なので、だいぶ久しぶりですね。」

 

アキ「ひっそりと書き始めた新連載の仮面神姫も入れたら月一投稿は一応守ってることに…なるかも?」

 

ヌイ「楽しみに待っているかは分かりませんが、約150人のお気に入り登録者様、お待たせして本当に申し訳ありません。」

 

アキ「だいたいデュエルリンクスのせいかも。」

 

ヌイ「白鍵足りなすぎワロエナイ。」

 

 

 

 

ヌイ「そんなわけで本当に申し訳無いのですが、久しぶりの更新はヌイラジでお茶を濁します。」

 

アキ「本当にごめんなさいかも。じゃあお便り読んでくかも!」

 

 

 

ヌイ「では最初のお便りは…ラジオネーム誘惑☆魔性さん『不知火さん、秋津洲さんあけましておめでとうございます。』

はい、あけましておめでとうございます。あと、私は超絶クールビューティー駆逐艦不知火ではなく不ー知カンス火です。」

 

アキ「どの口が言うかも…」

 

ヌイ「え〜…『だいぶ昔の話になるんですが、第十二・五話のおまけのシュークリーム。曙ちゃんがそれを食べて、マロンクリームが合わないって言っていましたが、何故でしょう?

私は美味しいと思うのですが…単純に曙ちゃんの口に合わなかっただけなのでしょうか?』はい、これは漣さんに回答を頂いています。秋津洲さん。」

 

アキ「はいはーい!えっとね、『分量間違えて栗入れすぎちったww(・ ω<)ゞてへぺろ♡』

みたいかも。」

 

ヌイ「なにやってんですかあのネラーは。」

 

アキ「ま、まぁ間違えたのが練習でよかったかも!」

 

ヌイ「では、次いきましょう。ラジオネーム

ライトニングピースさん。『不知火さん、秋津洲さん、あけましておめでとうございますなのです!』

違うのです。私はエレガントレディ駆逐艦不知火ではなく不ー知カンス火なのです。」

 

アキ「大言壮語もいい加減にするかも。」

 

ヌイ「どこがですか!駆逐艦不知火はパーフェクトプリンセスと謳われる最高級にして最美麗な駆逐艦ですよ!」

 

アキ「分かったからさっさと続きを読むかも。」

 

ヌイ「なんか今回冷たくないですか?まぁいいでしょう。えっと続きは…『第十五話で、ルーさんは、深海棲艦の部隊にあまり良い印象を持ってない様に見えたのですが、もしかして反戦派の深海棲艦もいるのでしょうか?もしいるのなら、この作品では分かり合えるんじゃないでしょうか?

私は戦うのはあんまり好きじゃないので、みんな仲良くなれたら嬉しいのです!』」

 

アキ「このヌメヌメと違ってとっても良い子かも!」

 

ヌイ「なんですか⁉︎私何かしましたか⁉︎さっきからマジで冷たくないですか⁉︎不ー知カンス火に落ち度でも⁉︎」

 

アキ「いいからお返事するかも!」

 

ヌイ「アッハイ。今作品では、負の感情から生まれたという深海棲艦ですが、その負の感情にも様々な種類が存在します。

その中には、戦争や戦いを憎んだり嫌ったりする感情もあるので、戦闘に消極的な深海棲艦もきっといるでしょう。

もしかしたら、そういった方とは同盟を結んだりするかもしれませんね。」

 

アキ「ライトニングピースさんも平和のために頑張ってね!」

 

ヌイ「で、なんでさっきから冷たいんですか?いい加減に理由を教えてください。」

 

アキ「…5S’s」

 

ヌイ「はい?」

 

アキ「どうして5S’sのヌイラジのアシスタントは漣さんだったの⁉︎」

 

ヌイ「…はは〜ん、もしかしてヤキモチですか〜?」

 

アキ「ち、違うかも!別に誘われなくて寂しいとかじゃないかも!」

 

ヌイ「秋津洲さんったらも〜♡大丈夫ですよ?あれはカードの解説が必要だったんで、遊戯王のルールに詳しい漣さんにアシスタントを頼んだんですよ。別に漣さんに乗り換えたとかそんなんじゃないですから!」

 

アキ「そ、そうだったんだ…でもそれなら私も遊戯王のルールちゃんと勉強するかも!だから私も呼ぶかも!」

 

ヌイ「…オラもう我慢出来ねぇ…!」

 

アキ「…あれ?不ー知カンス火ちゃん?」

 

ヌイ「あぁ^〜秋津洲可愛すぎなんじゃ^〜」

ゴソゴソ

 

アキ「ちょっ!そこは⁉︎」

 

ヌイ「お姉さん格納庫まさぐっちゃうぞぉ〜!」

 

アキ「あっ♡ヒャンッ!こら!やめるかもっ!」

 

ヌイ「今から姫初めしましょうね〜♡」

 

アキ「そこはダメッ♡アンッ♡ほんとに、やめ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通信エラーです

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こんなオチですまない…


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ヌイラジ! #6

活動報告のアンケートへの釣り!


ヌイ「チャッラッラ♪チャッラッラ♪チャララララ〜ラ♪チャッラッラ♪チャッラッラ♪チャララララ〜ラ♪チャ〜ラッラッラッ♪チャ〜ラッラ♪ヌイラジ!」

 

ヌイ「…ハイッ!ヌイラジ!第6回目は特別編!」

 

アキ「番長のコミュの現状を確認していくかも!」

 

ヌイ「え?何故こんな事をするのかって?

諸事情によりアンケートを取ろうと思ったのですが、普通に活動報告に書いても誰も見てくれないんじゃね?ってことで、その告知の為です。」

 

アキ「正直これでも規約違反な気がするかも…」

 

ヌイ「また朝潮ちゃんに怒られてしまいますね。」

 

アキ「いや、そこは運営じゃないの⁉︎」

 

 

 

 

ヌイ「さて、番長のコミュ確認前に、一通メールが届いてるんで、そっちから片付けちゃいましょう。秋津洲さんお願いします。」

 

アキ「了解!ラジオネームリッキィさん!

『どうも!初めまして!質問があるのですが、仮面神姫ではわた…永山早苗さんの出番は…ヌイ「はい!秋津洲さん!ストップ!」

 

アキ「ふぇっ?どうしたの不ー知カンス火ちゃん?」

 

ヌイ「そのメールはあれです。手違いでこちらに来てしまったみたいですね。

えぇ、さっさと削除です。スレが違います。

では!本題に入りましょう!」

 

 

 

 

 

ヌイ「えーと?では現状確認の前にフラグの立たないキャラの確認?」

 

アキ「こっちの原稿にあるかも。深海棲艦、陽介君とクマ君、それと鎮守府スタッフの面々、それにチビたち…駆逐艦のことかな?にはフラグはどう足掻いても立ちません立たせません。

グ腐腐な展開もロリコンフラグもへし折っていくみたい。」

 

ヌイ「だそうですよみなさん!では、前置きはこのくらいにして、現状確認していきましょう。」

 

アキ「番長目線でやってくよ!」

 

 

 

 

ヌイ「まずは島風ちゃんですね。」

 

アキ「えっと、『妹みたいな存在で関係は良好だが、最近は仕事が忙しくてあまり構って上げられていない』かも!」

 

ヌイ「次は金剛さん。」

 

アキ「『どうやら好意を持たれている様子。だがアプローチが過激なこともあり注意が必要。この事で他の艦娘ともトラブルになることがあるので、彼女の人間関係にも気を配る必要がある。…胃が痛い。』うわぁ…」

 

ヌイ「…つ、次は武蔵さん!」

 

アキ「『副官として信頼出来る戦艦。弟のように扱われている?

逆セクハラが辛い。見た目の(性的な)暴力も辛い。とりあえず、飲みに連れていくという約束は果たさねば…』そういえばそんな約束してたかも。」

 

ヌイ「お次は天龍さん。」

 

アキ「『ちょっと学力に不安が残るが、妹思いの良くできた姉貴分。これからもいい友達でありたい』中々の高評価かも!」

 

ヌイ「ただし友情end待った無し。次は龍田さん。」

 

アキ「次のカンペは?あぁ、こっちね。えっと…『秘書艦としてはあらゆる面で平均以上の艦娘。男性恐怖症については、天龍と相談しながら慎重に対処していきたい』」

 

ヌイ「ぶっちゃけ1番ヒロインらしい立場。次はフブキチちゃん。」

 

アキ「『しっかり者の常識人。だが何故か一歩引かれている…俺、何かしたか?』」

 

ヌイ「大体陽介のせい。お次は龍驤さん。」

 

アキ「あれ?…あ、あったかも。『現在、佐伯湾鎮守府唯一の航空戦力。結構な負担をかけてしまっているので、早く次の空母の子を迎えようと思う』」

 

ヌイ「新艦フラグktkr!お次は足柄さん。」

 

アキ「『金剛と同じく、俺に好意を持っていると思われる。だがその好意に、僅かな違和感を感じる。気のせいか?』」

 

ヌイ「感の良い方なら多分もう足柄さんのコミュシナリオの結末が読めちゃいますね。

最後は…海鳴 渚さん…マジ?」

 

アキ「『市役所の人。市政と関わっていく上で、パイプ役となってくれている。オカルトに興味があるそう』」

 

ヌイ「フラグを立てるには何かしらキッカケを作っていかないと難しいですね。」

 

アキ「一般の方だから、仕事以外じゃあんまり会ったりしないもんね。」

 

 

 

 

ヌイ「…はい!大体こんなものですかね?抜けてる人はいないよね?」

 

アキ「アンケートの回答の参考にしてほしいかも!」

 

ヌイ「では、特別編としてお送りさせていただいた今回のヌイラジ!

この辺で締めさせていただきます。

メインパーソナリティは私、不ー知カンス火と。」

 

アキ「アシスタントの秋津洲でお送りしました〜!」

 

ヌイ「ではご閲覧ありがとうございました。」

 

アキ「アンケートよろしくね〜!」




活動報告も見てね!


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本編
第一話 プラモデルと机の角


初投稿。導入部分のためまだ艦これの世界には行きません。


残暑も過ぎ去った9月下旬のシルバーウィーク。高校3年生になった鳴上悠は自宅にて友人を待っていた。

 

今日は彼の親友である花村陽介とクマが連休を利用して八十稲羽から遊びに来る日である。彼もとても楽しみにしており、部屋の掃除や料理の下ごしらえなど、もてなす準備も完璧である。ちなみに他のメンバーは、天城は旅館の仕事、里中はその手伝い。完二は補習、直斗は仕事で警察へ、りせはPVの撮影らしい。

 

 

 

『ピンポーン』

時間になり玄関のチャイムが鳴る。

 

陽介「よーう!悠!久しぶりだな!元気してたか?」

 

クマ「クマ〜!センセ〜久しぶりクマ〜!」

 

悠「2人ともよく来たな。ていうか、夏休みには会ってたし、久しぶりというほどでも無いんじゃないか?」

 

陽介「まあ、細かい事は気にすんなよ。とりあえず上がらせてもらってもいいか?」

 

悠「ああ、悪い。上がってくれ。」

 

陽介・クマ「お邪魔しまーす(クマ〜)」

 

 

 

 

 

〜悠の自室〜

陽介「これが悠の部屋か。堂島さんのとこの部屋とはまた違った雰囲気だな。」

 

悠は皆を自室へと案内する。白を基調とした明るく清潔感のある部屋だ。ベッドに勉強机、テーブルに本棚、そしてその気になれば飛び込めるくらいの画面サイズのテレビが置いてある。

 

悠「まあ、置いてある物は大差ないがな。」

 

クマ「センセ〜、荷物(主にクマ皮)はどこにおけばいいクマ?」

 

悠「そこの隅に置いといてくれ。」

 

クマ「わかったクマ〜。…オリョ?センセ〜、この船のプラモデルは何クマ?かっこいいクマ!」

 

 

 

そう言うとクマは本棚に飾ってあった軍艦のプラモデルを指差す。

 

悠「ん?ああ、それは最近作ったやつで『島風型 1番艦 駆逐艦 島風』っていうんだ。受験勉強の息抜きに作ってみたんだが、思いの外複雑で苦労したんだ。」

 

というと悠はプラモデルを手に取りテーブルに置いて2人に見せる。

 

陽介「へー、てかお前勉強しろよ…」

 

悠「志望校は既に模試A判定だ。」

 

陽介「」

 

クマ「ねぇねぇセンセ〜?この船に書いてある字は何て読むクマ?」

 

クマは船にプラモデルにペイントしてある文字を指差す。

 

悠「それは『疾風迅雷鳴上島風(しっぷうじんらいなるかみしまかぜ)』と読むんだ。ハイカラだろ?」

 

陽介「お前本当に受験生かよ…まあ、(オブラートに包みつつ)オリジナリティーがあって結構かっこいいけどさ。」

 

悠「だろう?まあ、ちょっとやり過ぎたかとも思ったんだが不特定多数に見せるわけでもないしな。」

 

そう言うと悠はプラモデルを手に取り本棚に戻そうと立ち上がるが…

 

ガツンッ!

 

悠「グハァ!」

 

あろうことかテーブルの角に小指をぶつけ倒れこむ。この瞬間、悠には全てがスローモーションのように見えた。驚く2人とテレビの脇に立て掛けてあった十握剣(とつかのつるぎ)が自分の方に倒れてくる様子、そして正面のテレビ…

 

陽介「悠〜!」

クマ「センセ〜!」

悠「ウワァ〜!」

 

悠は島風のプラモデルと十握剣と共にテレビの中へ落ちていってしまった…

 




テレビの中に落ちてしまった鳴上悠。落ちた先はなぜか海の上。そして隣には見知らぬ美少女。
悠「そっとしておこう。」
?「なんでよ!」
次回ペルソナ4 the K.C.
シャドウ?いいえ、あれは深海棲艦
悠「なんだあいつらは!」
?「キャー!助けて〜!」


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第二話 シャドウ?いいえあれは深海棲艦

初バトル回。戦闘描写がちゃんと出来ているか不安。


悠「ウワァ〜!」

?「キャア〜!」

ザッパーン!

悠「ゲホッ!ゲホッ!いたたた…ここは…海か?」

 

悠は周りを見渡す。一面青い海が広がるここは、悠の知っているテレビの中の世界とはまるで違うところのようだ。

 

?「イッターい!何これ?どこ?ねぇ!悠!」

 

悠「とりあえず状況確認だな。」

 

 

 

悠はまず、自分の体になにか異常が無いか確認した。

 

悠(…ずぶ濡れだが怪我は無さそうだな。足についているこの機械は何だ?見た所これのお陰で海の上に立てているようだな。あと何故八十神高校の制服になっているんだ?)

 

?「ねぇ?悠?聞いてる?無視はヒドイんじゃないかな?」

 

悠(所持品は…一緒に落ちた十握剣とポケットに入っていたメガネか…武器があるだけましだな。)

 

?「ちょっと!聞いてる?私の声聞こえてるよね?もしかして私だけ死んで幽霊になっちゃってるとかじゃないよね?」

 

悠(ペルソナは…出せそうだな。とりあえずイザナギに…?「テェーイ!」

 

ビシッ!

 

悠「あ痛っ!」

 

先程から隣にいた謎の美少女にチョップされた。

 

?「無視しないでよ!2人しかいないんだから助け合っていこうよ!」

悠「あぁ…えっと、すまん…」

 

?「もーう、しっかりしてよね。…ていうか、さっきから私のこと見ようともしないよね?なんで?」

 

 

悠が直視できないのも無理は無い。その少女の服装はヘソ出しで明らかに寸足らずのセーラー服。それだけならまだいい。極め付けは間違いなく下着が見えている超ミニスカートに、そのチラチラ見えている下着がなんとも名状しがたいYの字なのだ。

 

 

悠(そっとしておきたいが…覚悟を決めるか…顔も見ずに話すのはやはり失礼だからな。)

「いや、考え事をしててな。とりあえず自己紹介からだな。君は何故か俺の事を知っているみたいだが、俺の名前は…

 

?「知ってるよ!鳴上悠でしょ?てかさ、もしかして私の事誰だかわかってない?ヒドイよ!島風の事忘れちゃったの?」

 

悠(中々せっかちな子のようだ。それより…)

「今、島風といったが、もしかして…

 

?「そうだよ!鳴上島か…ぜ…」

 

 

突然、喋り続けていた島風が喋るのをやめ、「あわわわ…」と言いながら悠の後ろを指差す。

 

 

悠「どうした?突然黙って。ん?後ろがどうし…」

 

 

ザブーン!

島風が指差す方を見ると巨大な魚のバケモノが4体、こちらに向かってかなりのスピードで進んできており、更にそのすぐ後ろに人型の何かが海面を滑るようにして後に続いており、その腕には砲身だろうか?武器のようなものを装備している。

 

悠(何だあれは⁉︎シャドウ?いや、違う。仮面が無い。だが、味方では無いようだな…)

 

カチャッ

 

悠「まずいっ!島風!よけ…」

 

ドゴーン!

 

悠「ぐあぁっ!」

島風「キャア〜!」

 

突如、なんの警告も無しに人型の何かがエネルギー弾を撃ってきた。

直撃こそしなかったものの、爆発の余波で2人とも吹き飛ばされ距離を離されてしまった。

 

 

 

 

悠「くっ、しまった!これが狙いか!」

 

吹き飛ばされた島風を魚のバケモノが取り囲み、悠の前には人型の何かが立ちはだかる。どうやら各個撃破するつもりらしい。

 

悠「やるしかないようだな!」

 

悠はポケットからメガネを取り出しかける。そして…

 

「ぺ・ル・ソ・ナ!」

 

お決まりのセリフと共にイザナギが召喚される。

 

悠「さあ、始めようか!」

 

悠は水面を駆ける。駆けるというより滑るなのだが、流石は我らが番長。いつの間にか足に付いていた謎技術の海面スケートシューズも瞬時に使いこなす。

 

悠(意外と安定しているな。これならっ!)

 

悠は一気に加速し敵の正面に躍り出る。これに敵の表情が一瞬驚いたように見えたがすぐに元の無表情に戻る。

 

悠「ハッ!」

 

カキンッ!

一気に接近し一撃をお見舞いしようとするがさすがに防御され、鍔迫り合いの様相をとる。だが、これでいい。

 

悠(今だ!)「イザナギ!ジオ!」

バチィンッ!

 

敵の注意を自分に逸らし、本命のジオを死角となっている真上から撃ち込む。

 

アァァッ!

敵の苦しむ声が聞こえる。しっかり効いているようだ。

 

バシュー!

 

敵は接近戦は不利と理解したようですぐさま距離を離し再び砲撃を行う。それも先程のように単発ではなく連続して撃ち込んでくる。

 

ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!

 

悠は砲撃を躱すが、躱す度に島風との距離が離される。

 

悠(まずいな。先の事を考えるとSP(精神力)は節約しときたいんだが…ん⁉︎あの光は!)

 

『ペルソナ〜!』

 

悠(何っ⁉︎何故島風がペルソナを?くっ、とにかくこいつを倒さないとどうにもならないな。)

 

向こうでは何故か島風がペルソナを召喚していた。自らの影と対峙することなく発現したそれは魚のバケモノと戦っており、制御にも問題は無さそうである。

 

悠(仕方ない。短期決戦だ!一気に決める!)

「チェンジ!ミカエル!」

 

悠はペルソナをイザナギからミカエルへと変える。

 

悠(ミカエルなら物理耐性に火炎無効。無傷とはいかないがこいつ一体の弾幕なら十分突破出来る!)

「いくぞ!正面突破だ!」

 

悠は敵の砲撃に真正面から突っ込み、ギリギリで回避し、最短距離を駆け抜ける。無論全てを躱しきれる筈もなく、何発かもらってしまうもミカエルの耐性のお陰でかすり傷程度で済んでいる。

 

悠「そこだ!」

 

ザシュッ!ザンッ!ズバッ!

 

イザナギよりも遥かにステータスの高いミカエル。それにより悠の身体能力も先程の比ではなくなっており、一撃が遥かに重くなっていた。敵はこの連撃を受け切れず体勢を崩す。

 

悠「隙あり!ペルソナー!」

 

ミカエル「天の一撃を受けてみよ!『天軍の剣』!」

 

ギィヤャャー!

 

ミカエルによる物理最強クラスの魔法が放たれる。天軍の剣は人型のそれの胴体を完全に消し飛ばし、敵の断末魔が響く。四肢と頭だけになったそれは完全に機能を停止し海へと沈んでいった。

 

悠「勝ったか…しかしシャドウの様に消えないのか…人型だった所為もあって生々しかったな。よし、島風の所へ急ごう!」

 

悠は、人型の敵の最期に感傷を覚えつつも、島風の所へ急ぐのであった。




島風「ウワーン!なにこいつら!こっち来ないでよ〜!」
グォォー!
不気味な唸り声をあげて島風に迫り来る魚の怪物。その時、島風の頭に声が響く。
『我は汝、汝は我。汝、今こそ双眸見開きて今こそ発せよ』
次回ペルソナ4 the K.C.
島風覚醒
島風「これが…私?」


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第三話 島風覚醒

前回悠が戦っていたのは重巡リ級ノーマルです。ペルソナの耐性もあって楽勝でしたね。
「じゃあ、マサカドなら物理無効、火炎無効をデフォで持ってるからこれで無双じゃね?」
なんて思ってる方もいると思いますが、ある一定の強さを超えた艦船の攻撃属性は万能物理にする予定です。無双は出来ません。あしからず。
長くなってしまいましたが、第三話始めます。お楽しみ頂ければ幸いです。


島風「キャアー!」

バシャーン!

島風「痛たた…うっ、な、なによあんた達…こっち来ないでよッ!ヒ、ヒャアッ!」

グォアァァァッ!

 

島風を取り囲む魚のバケモノが一匹、島風に飛びかかる。これを島風はなんとか躱すも、

 

島風「ちょッ!待って!ウワァッ!」

 

続けざまに二匹目が飛びかかる。が、すばしっこい島風には中々当たらない。だが、反撃したくとも出来ない。何故なら島風は、艦娘なら必ず持っている筈の艤装が足の機関部のものしか無いのだ。

 

島風(どうしよう…このままじゃ食べられちゃうよ…私、こんなところで死んじゃうの?そんなのやだよ!私、まだ死にたく無い!)

 

グォォッ!

 

島風「わっとッ!」

(そうだ…こんなとこじゃ死ねない…私は『疾風迅雷』の『鳴上島風』なんだ!悠だって戦ってるんだ!私にも…出来る!)

 

島風は覚悟を決める。正直どうすればいいかは何も思いついていないのだが、その『決意』と『自分自身を信じる心』が…

 

 

 

覚醒する

島風の頭に声が響く

 

 

 

『我は汝、汝は我。汝、双眸見開きて、今こそ発せよ』

 

 

 

「ペルソナー!」

 

 

島風は目の前に現れたカードを手刀で横薙ぎにする。

 

カードが砕け、光と共に、島風の心が困難に立ち向かう為の力となってその姿を現わす。

 

「私の名はツクヨミ。貴女が貴女である限り、貴女の歩く(みち)を照らしましょう。」

 

 

そして島風の頭にツクヨミの情報が流れ込む。

 

島風(…うん。いける。今ならなんだって出来る!)

「いくよ!ツクヨミ!ガル!」

 

島風のその一言によりツクヨミが風の魔法『ガル』を発動する。

ビュウゥ〜ッ!

ガァア⁉︎

 

魚のバケモノが一匹、ガルによって空中に投げ出される。

 

島風「ツクヨミ!突撃!」

 

間髪入れずに無防備なところを追撃する。

ドゴォ!

鈍い音がしたかと思うと、バケモノの頭部は陥没しており、そのまま沈んでいく。

 

島風「よしっ!あと三匹!」

 

グォォッ!

 

しかし敵も黙って見ているわけがない。残りの三匹は口を大きく開き、中の砲身を露出させ、狙いを定める。

 

島風「そんなの無駄だよ!ツクヨミ!」

ツクヨミ「疾風の如き俊足を!スクカジャ!」

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

三匹は砲撃を放つも、スクカジャによってスピードを強化された島風にはかすりもしない。

 

島風「後ろがガラ空きだよ!ツクヨミ!ジオ!」

 

凄まじいスピードで敵の攻撃を回避した島風は、そのまま背後に回り込みジオによる雷をお見舞いする。

 

バチィンッ!

グボォォッ!ブシュー…

 

どうやら弱点だったようだ。一撃で黒焦げになり、そのまま沈んでいく。

 

島風「いいね!いいね!私、今すっごい輝いてる!」

 

島風は力を手に入れて調子に乗ってしまう。そして、こういう時にミスは起こる。

 

島風(あとは…使ってないのは一つだけだね。もちろん試しちゃうよ!)

「ツクヨミ!ハマ!」

 

バケモノの浮いている水面に神聖な光を放つ魔方陣が浮かび上がり、そこから三枚ほどお札がバケモノを取り囲み、強烈な光を放つ。

 

島風「………あり?」

 

しかしなにもおこらなかった!

それもそのはず。ハマとは、聖なる光で敵一体を低確率(・・・)で即死させる魔法である。

光属性が弱点なら有効だが、そうでないならただのフラグとなる魔法。見事なフラグ回収である。

 

島風「えぇっ⁉︎失敗⁉︎」

グォォッ!

 

バケモノ達はこの隙を突き島風に二体同時に飛びかかる。

 

島風(あ、終わった…)

 

『伏せろ!島風!』

 

島風「へっ⁉︎」

 

聞こえた声に反射的に身を屈める。

 

悠「イザナギ!スラッシュ!」

 

間一髪のところで悠が島風の下へ躍り出る。

 

悠「はあぁぁッ!」

ザシュッ!ズバッ!

 

そのままイザナギと共に突っ込んでくる二体を叩き斬る。

バチ…バチバチ……

真っ二つになったそれは、そのまま慣性に従い、悠と島風の上を通り過ぎ…

ドゴォ!

爆散しバラバラとなって海へ沈んでいった。

 

悠「ふぅ、ギリギリだったな。島風、大丈夫か?」

 

島風「悠!……うぅ、グスッ、怖かったよ〜…でも私、頑張ったよ?」

 

悠「ああ、俺が来るまでよく頑張ったよ。お疲れ島風。ところで、お前が使っていたペルソナは…

 

『おーい!そこのあなたたちー!無事ですかー!』

 

おっ!救助か?ともかく話が出来そうな人達みたいだな。島風、俺たちは助かったぞ!おーい!こっちだ!」

(しかし…この世界はなんなのだろうか…無事に元の世界に戻れるといいのだが…)

 

なんとかバケモノを倒し、話の通じそうな人達とも出会えた悠と島風。しかし、未だこの世界のことを何も知らない二人。果たして悠は無事に元の世界へ帰ることが出来るのか…




無事に救助された二人。
連れて行かれたのは海軍の基地。そこで二人は、この世界について衝撃の事実を知る事となる。
悠「そんな…ボーキサイトが主食だなんて…」
島風「お米じゃないの?あんなの食べられないよ!」
霧島「あれは正規空母の方たちだけですから…」
腹ペコ空母「?」
次回ペルソナ4 the K.C.
提督番長誕生?
悠「俺が提督ですか?」
?「その話、ちょっと待ってもらおうか?君が提督に相応しいか私が試してやる!」

オマケ(という名の補足。本編とはあまり関係無い独自解釈なので、スルーしても問題ありません。)

やぁ!みんな大好き、爆笑ギャグ理事長の幾月だよ!
今回は島風君のペルソナ、ツクヨミの戦闘面の解説のためにゲスト出演さ!じゃあ、早速始めようか。

ツクヨミは島風君のペルソナらしく、スピードタイプのペルソナだね。使用スキルはガル系、ジオ系魔法、ハマ系の魔法。スピードに関わる補助スキル、スクカジャとかだね。あとは申し訳程度に物理系を少々かな。
え?なんかツクヨミのイメージと違う?それにはちゃんと理由があるんだ。今からそれを説明するよ。

ペルソナのタイプの分け方にはある程度法則があってね、一つはそのペルソナのアルカナに依存するアルカナ依存タイプ。もう一つがそのペルソナ自身の特徴や神話に依存するペルソナ依存タイプ。最後にそのペルソナを宿した人物の特徴に依存する使用者依存タイプ。中には例外もあるだろうけど、基本はこの3つだよ。

例を挙げると、アルカナ依存タイプは魔術師のアルカナなら魔力が上がりやすかったり、恋愛なら回復魔法が得意、といった感じだね。
ペルソナ依存タイプは、みんな大好きジャックフロストならブフ系が得意、力自慢の軍神アレスなら力のステータスが高いといった感じだね。

今回は敢えて分けてるけど、アルカナ依存タイプとペルソナ依存タイプは相互に依存しあっててね、正義のアルカナなら天使のペルソナが大多数を占め、得意な魔法もハマ系といった感じにね。

じゃあ、最後の使用者依存タイプの解説だよ。
これは使用者の性格や身体能力に依存するタイプで、分かりやすい例だとペルソナ3の伊織順平君のペルソナ、ヘルメスがいい例だね。
アルカナは魔術師で、神話だと神々の伝令役や泥棒の神様なんだけど、何故かパワータイプで魔力がまるで伸びないんだ。スキルも物理系中心だよ。
これは伊織君があまり頭が良くない、運動は結構得意だという特徴をペルソナが反映してるんだね。

島風君もこのタイプだね。島風君自身の速さからツクヨミのステータスはスピードタイプになり、使用スキルは疾風迅雷からガル系とジオ系。スピードタイプということもあり、最初からスクカジャを覚えているね。ハマ系はツクヨミの要素からきてるよ。物理系は…ご都合主義かな?はっはっはっ!

じゃあ、最後にたった今思いついたギャグを…
通報があったのはここですか!
ウワァ!アイギス!一体どうしたんだい?
先程、『腐れ外道が長々と能弁垂れてウザい。何とかして。』との通報があったので………幾月ィィッ!お前は絶対許さない!
全砲門解放!フルバースト!
え?
ズドドドドドドド!
ドゴォ!ドゴォ!ドゴォ!
ピチュンッピチュンッピチュンッ!
ちょっとま、グギャー!汚物は消毒であります!
ドゴーン!
島風「………………また見てねッ!(^_−)−☆」


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第四話 提督番長誕生?前編

活動報告にもあるように、長くなりそうな説明回。投稿期間に間が空かないようにもしたいので、前後編に分けさせてもらいます。
あと、お気に入りが13件になってました。こんな駄作にお付き合い頂き有難うございます。


時はほんの少し遡る。

 

 

〜〜海軍本部近海〜〜

 

 

霧島「はーい。みんな、一旦全体止まって!そろそろ目標のポイントに着くから、作戦の確認をするわよ?」

 

「はいっ!」「了解だ。」「ウィース」

 

霧島「今回は、味方の偵察隊が発見した敵の輸送航路に向かい、敵の輸送船団を強襲します。この作戦が成功すれば、現在進行中の敵前線基地の攻略が楽になるわ!」

 

日向「あぁ、必ず成功させる。ところで霧島、そろそろ偵察機を飛ばしておかないか?敵の護衛艦の数を確認しておきたい。」

 

霧島「えぇ、分かったわ。じゃあ…偵察機持ちの艦は偵察機を飛ばして!それ以外の艦は偵察隊からの電報が入るまで待機!今のうちに武装のチェックとか済ましちゃってね?」

 

霧島「じゃあ…お願いね〜」

日向「頼んだぞ。」

高雄「偵察機、発射します。」

ビューン……

 

隼鷹「うーし、じゃあ酒でも飲んで…」

 

木曽「止めろ。作戦中だ。」

 

隼鷹「えー…」

 

五十鈴「えー…じゃないわよ!当たり前でしょ!てか、なんでお酒持って来てんのよ!」

 

霧島「こらー、隼鷹さーん?真面目にやって下さいね〜!」

 

隼鷹「集中砲火かよ!私の装甲薄いんだぞ!」

 

日向「それは船体の装甲だろ。むしろお前の心の装甲は戦艦並みだろう?」

 

隼鷹「うわーん!私の味方はいないのか?あ!高雄!お前は私の味方だよな!」

 

高雄「あ、すいません。聞いてませんでした。」

 

隼鷹「」

 

霧島「ん、ほら、みんな?偵察機から電報が入ったわよ。ふざけるのもそろそろ終わりにしてね〜。」

 

 

 

日向「どうやら敵は予定通りの航路をとっているようだな。」

 

高雄「護衛艦の数は…戦艦1、重巡2、駆逐3、戦艦が少し厄介ですがいつも通りやれば大丈夫ですね。」

 

霧島「……不味いわね。」

 

隼鷹「ん?どうした?」

 

霧島「私達がとる航路から大分西に逸れた方に二人…一人は艦娘みたいだけど武装が無い。もう一人は…学生?男の子?剣を持ってるらしいけど…とにかく、このまま放置しておいたら不味いわ。」

 

木曽「たとえはぐれ部隊でも深海棲艦に見つかったら一巻の終わりだな。」

 

五十鈴「なにそれ…でもこっちの任務はどうすんのよ?救助に行ってたら敵の部隊は行っちゃうわよ?」

 

日向「仕方ないな…部隊を二つに分けるしかない。霧島、振り分けは旗艦のお前に任せる。」

 

霧島「そうね…救助の方は私が一人で行くわ。輸送船団の強襲は…日向、あなたが旗艦になって指揮をとってもらえるかしら?」

日向「霧島、一人で大丈夫か?」

 

霧島「大丈夫、大丈夫!私は高速戦艦なのよ?最悪、二人を抱えて全速力で逃げ切ってみせるわよ。」

 

隼鷹「無茶して大破なんてすんなよ〜?」

 

霧島「それはこっちのセリフ。あなた装甲薄いんだからね!気をつけてよ?」

 

隼鷹「ウグッ、今それ言うか〜?」

 

高雄「見事なブーメランですね。」

 

隼鷹「うるせー!」

 

木曽「おい、話がまとまったならさっさと作戦を開始するぞ。霧島、そっちは任せた。」

 

五十鈴「じゃあまた後でね?お互い、良い報告が出来るように頑張りましょ!」

 

霧島「ふふっ。えぇ、もちろんよ!また後でね!」

シュバーッ!

 

日向「…よし!私達も行くぞ!」

「はいっ!」「了解だ」「了解です」「パーっと行こうぜ〜!」

 

 

 

 

霧島「……無事で居てくれると良いんだけど…」

 

霧島は皆と別れ、要救助者を探す。

 

アァァッ!

しばらく進むと、深海棲艦のものと思われる絶叫が聞こえた。

 

霧島「なに⁉︎今の⁉︎ん、あれは…戦ってる⁉︎あれは巨人?あ!消えた?

あっちの艦娘の子もよく見えないけど何か出してる?

なっ!あの子突っ込むつもり⁉︎え?嘘…無事なの?流石にあれは私でも小破くらいはしちゃうわね。

うわぁ、凄いわね。剣で重巡リ級をぶっ飛ばしたわ。え?なに⁉︎天使⁉︎」

 

ピキーン!ザシュッ!

 

霧島「キャア!え?嘘…一撃であんなに…胴体が完全に消し飛んでるじゃない…戦艦の主砲並みかしら?」

 

救助の事など完全に忘れ、少年の戦いに観入ってしまう霧島。声をかけることも助太刀に入る事もせずに只々見ているだけである。

 

『伏せろ!島風!』

 

ザシュッ!ズバッ!

 

霧島「うわぁ〜。一刀両断…」

 

ドゴーン!

 

 

霧島「はっ!私ったら何してるのかしら!おーい!そこのあなたたちー!無事ですかー!」

 

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

霧島「……鳴上悠君に鳴上島風ちゃんね!私は、金剛型 4番艦 戦艦 霧島よ!よろしくね!」

 

簡単に自己紹介を終えた三人。

 

悠(ハイカラで綺麗なお姉さんだが…戦艦…装備品を見る限り、恐らくは軍人か何かだろうな。下手に逆らわない方がいいな。)

 

悠は霧島を見て、軍の関係者と当たりをつける。

 

悠(島風、あの人は恐らく海軍か何かの関係者だ。大人しく従おう。)

島風(うん。わかった。)

 

霧島「うーん…聞きたい事は沢山あるんだけど、まずは安全な所まで行かないとね。二人とも付いてきてもらえるかしら?」

 

悠「はい、わかりました。」

 

ザザ〜ッ

霧島の先導で海を進む悠と島風。

 

悠(ふむ、さっきまで気づかなかったがこの海を移動する為の靴はSPをほんの少しずつだが消費するみたいだな。)

「島風」

 

島風「ん?どしたの?」

 

悠「この海を移動する為の靴は、どうやらSP…あ〜、ペルソナを使うときに消費する心のエネルギーみたいなものなんだが、どうやらこの靴はそれをつかって動いてるみたいなんだ。島風はどうだ?何か感じないか?」

 

島風「うーん…そういえばなんかちょっとずつ減ってる感じ。てか、ペルソナって何?」

 

悠「そこからか…ペルソナっていうのは…」

 

 

 

番長説明中……

 

 

 

島風「へぇ〜。つまりペルソナは自分の分身みたいなものなんだ?それで悪い奴らをやっつけると。」

 

悠「ああ。悪い奴らをやっつけるかは分からないが、この力に島風が目覚めたってことは、何か島風が立ち向かわなければならない何かがあるんだろうな。」

 

島風「そっか!じゃあ、頑張らないとだね!もちろん悠も一緒だよ!」

 

そう言って、島風は屈託のない笑顔を悠に向ける。

 

悠(真っ直ぐないい子だ。この子の為にも頑張らないとな。)

「ああ!もちろんだ!」

 

霧島「二人ともー!そろそろ着きますよー!」

 

どうやら、島風にペルソナについて説明しているうちに目的地に着いたようだ。

 

 

 

 

〜〜海軍本部〜〜

 

 

霧島「ようこそ!ここが『深海棲艦討伐軍』通称『海軍』の本部基地よ!」

 

連れてこられたのは海軍本部基地。海に直接繋がっているゲートを通り、中に入る。

 

霧島「ちょっと待っててもらえるかしら?」

 

そう言うと霧島は、岸のすぐ側の海面にある、中央に『帰投』と描かれているパネルのようなものに乗る。

 

ピカァー…

 

すると、霧島が一瞬光に包まれたかと思うと、武装が解除されていた。

 

悠(凄い技術だな…)

 

島風「うわー!霧島さんだっけ?あの人の大砲が消えちゃったよ!」

 

そのまま霧島は壁際にある機械に向かい何かをしている。

 

霧島「…これでよし。二人とも〜?『ゲストカード』を発行するから、その『帰投パネル』の上に乗ってくれるかしら?」

 

悠「あ、はい。分かりました。」

 

島風「はーい!これに乗ればいいのね?」

 

ピカァー…

 

悠たちの武装も光と共に解除され消える。

 

霧島「これでよしっと!二人ともこっちに来てもらえる?」

 

悠と島風は、霧島の方へと向かう。

 

霧島「はい!これが『ゲストカード』よ!当分はこれがあなた達の身分証明書代わりになるわ。無くしちゃダメよ?」

 

悠と島風はゲストカードを手に入れた!

 

悠「あの、俺たちの装備品は…」

 

霧島「ああ、あれは一旦こっちで預からせてもらうわ。ここは軍の本部だし、武器を持ったままってのも安全面からしてもちょっとあれだしね。」

 

悠は十握剣を一時的に失ってしまった…

 

霧島「とにかく、あなた達は元帥に一度会ってもらうわ。アポはとってあるから心配しないで。」

 

悠「元帥ですか?軍のトップにいきなり会えだなんて…軍についてはよく分かりませんが、普通は遭難者なんかの対応をする場所に案内するべきじゃ…」

 

霧島「…それはね、あなた達が普通じゃないからよ。盗み見るつもりとかはなかったんだけど…見ちゃったのよね。あなた達が、巨人やら天使やらを出して深海棲艦と戦っているのをね。

それを私の司令官に報告したら、その司令官が元帥に報告したのよ。そしたら元帥がえらく興味を惹かれたらしいわよ。」

 

悠(しまった…まさか見られていたとは…これで下手な誤魔化しは出来なくなったな。

しかし、深海棲艦か…シャドウではないと思ってはいたが、全く知らない存在だな。…分からないことが多過ぎる…)

 

悠は心配そうな表情を浮かべ、どうしたものかと思案する。

 

霧島「もうっ!そんな顔しないの!よく考えて?これはチャンス。どうせあなた達、行く当てないんでしょう?」

 

悠「どういう事でしょうか?確かに行く当てなんてありませんが…」

 

そう、今の悠たちは行く当ても無く、頼れる人も居ない。ここで何とかしなければ八方ふさがりなのだ。間違っても投獄だの実験台だのにはなってはならない。

 

霧島「いい?ここで元帥に気に入られれば、軍に居場所が出来るわ。身分も保証されるし、キツいかもしれないけどちゃんと職にも着ける。だからそう悲観しないで?私もちゃんとフォローしてあげるから!

さっ!いつまでもここで話してるわけにもいかないわ!元帥の執務室に行きましょう!」

 




後編へ続く…


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第四話 提督番長誕生?後編

どうも。本来なら同時に投稿すべきだった後編です。
かなり長くなりました。マジビビるわ。

今回はこの作品の世界観についての話がありますが、かなーりファンタジー色が強いというか、史実を完全無視です。
『ちゃんと戦争しろや!』な方はそっ閉じをお願いするくらいです。
書いてて恥ずかしくなったのは秘密。

また、この作品に出てくる提督などの艦娘とP4以外の登場人物はオリキャラとなります。

では、投稿が遅くなりましたが第四話後編をお送りします。お楽しみ頂ければ幸いです。


〜〜海軍本部・元帥執務室〜〜

 

コンコン

「入りなさい」

霧島「失礼します!」

 

ノックをして中に入る霧島。

 

霧島「ほら、あなた達も入って?」

 

悠達も促され中に入る。

 

悠「失礼します。ほら、島風も。」

島風「うん。失礼しまーす。」

 

 

「おお、よく来た。立ち話もなんだ、とりあえずはそこのソファーに座ってくれ。」

 

悠「ありがとうございます。」

 

島風「ふぅー、立ちっぱなしで疲れちゃったよ。」

 

立派なカイゼル髭の老人に促されソファーに座る。その老人も机から悠達の対面のソファーに移る。

 

三嶋「まずは自己紹介だ。私は深海棲艦討伐軍元帥、三嶋源蔵(みしまげんぞう)だ。そして、この大男が…」

 

そういうと元帥の隣に立っていた男性が自己紹介をする。

 

大山「僕は大山泰山(おおやまたいざん)。佐世保鎮守府に所属する提督で階級は大佐。君達を案内してきた霧島は、僕の部隊の艦娘なんだ。」

 

悠(名前の通り大きな人だ。でも優しそうな人だ。三嶋さんは元帥なだけあって貫禄が凄いな…怒らせたら大変そうだ…)

「俺は鳴上悠と言います。よろしくお願いします。島風、お前も自己紹介だ。」

 

島風「あ、うん。鳴上島風です。よろしくお願いしまーす。」

 

三嶋「ん?島風、貴艦は艦娘であろう?貴艦の艦型、艦種、艦番はどうしたのだ?まさか…分からないのか?」

 

島風「へ?えーと…あ!疾風迅雷です!」

 

三嶋「……」

大山「……」

 

悠「いや!違います!彼女は島風型駆逐艦一番艦島風です!」

(おい!島風!なんだ、その答えは!流石にマズイぞ!)ヒソヒソ

 

島風(だって!分かんないんだもん!しょうがないじゃん!てか、私の名前は鳴上島風だし!あんな長くないよ!)ヒソヒソ

 

三嶋「はぁ…まぁよい。とりあえず、私達は君達の素性を知りたい。話してもらえるかな?」

 

悠「あ、はい。分かりました。信じて貰えるか分かりませんが…」

 

番長説明中……

 

 

 

三嶋「つまり…要約すると君達は異世界から来たと。」

悠「はい。そうです。」

 

悠は、マヨナカテレビについてや、テーブルに小指をぶつけたせいでこの世界に来たことを上手く誤魔化しつつ、事のあらましを伝える。言霊使いは伊達じゃない。

 

三嶋「ふむ…深海棲艦のこともあるからな。異世界人が居ても不思議ではないか…」

 

悠「あの…深海棲艦とは一体なんなのですか?この軍の名前にも入っていますが…あと、この世界についても教えてもらえませんか?分からない事が多過ぎて…」

 

三嶋「分かった。少し長くなるが、構わんな?」

 

悠「大丈夫です。お願いします。」

 

 

 

 

 

 

この世界は4つの大きな大陸と多数の島々。そして、豊かな海によって形作られている。

そして、この世界には我々人類の他に妖精という種族がいる。

大きな体と力、優れた知能をもつ人類。小さいがとても器用で不思議な技術をもつ妖精。

二つの種族は多少の小競り合いはありつつも、何千年もの間、お互いに助け合い、平和に暮らしておった。

 

しかし、この平和は突然終わりを迎えた…

突然、海から異形の怪物が現れた。そう、深海棲艦だ。

もちろん我々も戦った。だが、平和だったこの世界にはまともな兵器など無く、瞬く間に制海権を奪われてしまったのだ。

 

海が奪われれば海洋資源は取れなくなり、物流は止まる。数年の間は備蓄や陸路、空路による輸送に頼っていたがやはり限界があった。

 

皆が絶望していた。そんな時だった。

海の上を隊列を組みながら滑る少女達の姿。

その体には不釣り合いな武装。

深海棲艦と互角に渡り合う力。

そう艦娘がこの世界に現れたのだ。

 

 

 

三嶋「それから私達は艦娘と共に深海棲艦と戦っている。奪われた制海権も40%程は何とか取り戻せた。これがこの世界の現状だ。」

 

大山「今も戦いは続いているんだけど、正直人出不足なんだ。特に提督の職に就けるような優秀な指揮官がね。」

 

三嶋「そう。鎮守府の運営、任務を遂行する為の作戦の立案、冷静に正しい判断を下せる精神力。そして何よりも艦娘達をまとめ上げる事の出来る『カリスマ性』すなわちリーダーシップに優れた人物。

だが、そんな人間はそうそう居ない。

…だがどうやら君はそれを持っていそうだな。」

 

悠「どういう事でしょうか?」

 

大山「元帥、まさか…」

 

三嶋「ふっ…大山大佐。流石に察しがいいな。そう、いきなりで悪いが鳴上悠、君には提督になってもらいたい。」

 

悠「ちょっと待ってください!俺は一介の学生ですよ?軍隊の指揮を取れなんて言われても…流石に無理があります。」

 

霧島「そうですよ!さっきから脇で黙って聞いてましたが、いくら深海棲艦と戦えるからっていきなり提督の職に就くだなんて…第一に彼は学生ですし、それに間違いなく他の提督や艦娘からも反感を買いますよ!」

 

三嶋「なるほど。霧島、貴艦の言い分も一理ある。だが…大山大佐、君はどう思うか?」

 

大山「私は賛成です。元帥の仰る通り、彼からは特別な何かを感じる。何より元帥の人を見る目は確かですから。」

 

三嶋「そういう事だ。自慢じゃないが、人を見る目には自信がある。彼には間違いなく提督の素質がある。」

 

霧島「ですがッ…!」

 

大山「霧島」

 

霧島「うっ、すみません…」

 

 

霧島は尚も反論しようとするが、大山大佐に止められ口を閉じる。

 

 

 

三嶋「さて…鳴上悠、君には二つの選択肢がある。我々、深海棲艦討伐軍に入隊し提督となるか。行く当ても無くこの世界を彷徨うか。考えるまでも無いと思うがね。

無論、君が提督になれば、それ相応の待遇を約束しよう。」

悠(確かに軍に入ればここでの生活は保証されるだろう。それに元の世界に帰るための手段や情報なんかも当ても無く探すよりはよっぽど楽だろうな…よし。)

 

悠「分かりました。その話…

 

 

 

「その話、少し待って貰おうか!」

バタンッ!

 

 

悠の声を遮るようにドアが開けられ艦娘と思わしき一人の女性が入ってくる。

 

三嶋「…戻っていたのか『武蔵』」

 

武蔵「ああ。元帥、敵前線基地の攻略は無事に成功した。これが報告書だ。それより…」

 

武蔵は悠の方を向き…

 

武蔵「彼に提督をやらせるつもりか?私は反対だ。一介の学生風情が軍のプレッシャーに耐えられるとは思えないな。」

 

悠の提督着任に反対する意思を示す。

 

霧島「盗み聞きはあまり感心できないわよ?」

 

武蔵「報告に来たら偶々聞こえてしまっただけだ。他意はないぞ?」

 

島風(ねぇ、なんかすごい人が来たね。)ヒソヒソ

 

悠(ああ、すごいおっぱ…ではなくかなりの立場にいるみたいだ。マズイぞ…このままだと最悪宿無し、金無し、ホームレスだ。)ヒソヒソ

 

島風(えぇっ!ダメだよ!死んじゃうよ⁉︎頑張って悠!)ヒソヒソ

 

悠(ああ、もちろんだ!)ヒソヒソ

 

悠「あの、武蔵さん。」

 

武蔵「ん?なんだ少年?ここは君のいるべき所では無いぞ?」

 

悠「武蔵さんは、俺が提督になるのを反対なんですよね?」

 

武蔵「ああ、君には悪いが到底務まるとは思えないな。」

 

悠「なら、俺の実力を証明すれば認めてくれますか?」

 

武蔵「確かに、提督たる実力を持っていると証明出来れば私とて文句は無い。だがどうやって証明するつもりだ?何かいいアイディアでも?」

 

 

悠は少しの間考え、そして

 

 

 

「俺と戦って下さい」

 

 

 

武蔵「…ふっ。ふふふ、あっはっはっはっ!

君、正気か?人間が艦娘、しかもこの私と戦うだと?…ふざけるな!」

 

三嶋「いや、中々いい案じゃないか。採用しよう。」

 

武蔵「は?」

 

霧島「な⁉︎元帥⁉︎」

 

大山「待ってください元帥!幾ら何でもこれは…鳴上君、君も一体何を…」

 

三嶋「なに、結局は他の提督や艦娘を抑え込む材料が必要だったのだ。丁度良いではないか。」

 

大山「…無様な敗けを晒した時は?」

 

三嶋「その時はもう海軍に居場所は無いだろうな。」

 

武蔵「いや待て。そうだな…鳴上悠、君が勝てば提督に着任する事を認めよう。但し、私が勝ったら君は私のボーイだ。」

 

悠「ボーイ?一体何をするんですか?」

 

武蔵「まあ、要は召使いだ。私が飽きるまでこき使ってやる。覚悟しておけ。」

 

悠「ふっ。望むところだ!」

 

大山「いいのですか元帥?」

 

三嶋「ああ、構わん。よし、ならば明日ヒトサンサンマル。演習海域にて特別演習として手配しておく。大山大佐、彼らの世話は任せたぞ。」

 

大山「了解です。さあ二人とも、とりあえず食堂に行こうか?お腹空いてるだろう?

霧島、君は二人の部屋の手配を頼む。」

 

霧島「了解です。お任せを。」

 

大山「すまないね。さあ、行こうか。」

 

悠「はい、ありがとうございます。行くぞ島風。」

 

島風「はーい。」

 

大山「では、失礼します。」

 

武蔵「私も行くか。では元帥これにて失礼するよ。」

 

皆で一礼し部屋から退出する。

 

 

 

 

 

 

皆が退出した後。三嶋元帥は天井を見上げ、

 

三嶋「…青葉。居るのだろう?出て来なさい。」

 

青葉「あちゃー、ばれてましたか。よっと。」

 

天井の一部分が開き、中から艦娘が降りてくる。

 

三嶋「この一部始終を記事にするつもりか?」

 

青葉「いや、まあ、そうですね〜…元帥のお許しが頂ければ…」

 

三嶋「なら少し頼まれてくれるか?」

 

青葉「私に出来ることなら…」

 

三嶋「ならば今回の件は号外で発行しろ。遅くとも明日朝には間に合うように。

それとこの特別演習は観戦の為に輸送船を観客席代わりに出す。なるべく大勢が観戦に来るような記事を頼む。

そして…」

 

 

三嶋元帥は机に向かい、一枚の書類を取り出し何かを書いている。

 

 

三嶋「…よし。この書類も印刷して今回の号外に折り込んでくれ。但し、この書類を折り込んだ新聞は艦娘だけに渡せ。分かったな?」

 

青葉「はい?この書類を…って⁉︎転属届け⁉︎しかも元帥の判が押されて…マジですか?」

 

三嶋元帥が渡した書類は悠の部隊への転属届け。そう、三嶋元帥は悠の勝利を確信していた。

 

三嶋「さあ、もう行け。この件についてやらなければならない事が山積みなのだ。」

 

青葉「確かに承りました。不肖青葉、この任務成功させてみせます。では。」

 

そういうと青葉は駆け足で部屋を飛び出していった。

 

三嶋「鳴上悠か…失望させてくれるなよ…」

 

 

 

 

〜〜海軍本部・食堂〜〜

 

 

大山「はぁ…大変な事になってしまったね。」

 

悠「すみません…勝手な事を言って…」

 

大山「いや、君を責めている訳ではないよ。ただ、君の今後を思うと…ね。」

 

時刻は既に午後8時を回っていた。

悠と島風は、大山大佐に連れられ食堂に来ていた。霧島は部屋の手配に行っており、別行動だ。

ちなみに食べているのは悠は鯖味噌定食。島風はカレー。大山大佐はお腹は空いていないのだろか?コーヒーだけを注文し飲んでいる。

悠は、食事が元の世界と殆ど似ている事に安堵しつつも、軽率だったのではないか?と少しばかり落ち込んでいたが…

 

島風「ファイジョーフラヨユウ(大丈夫だよ悠)ユウハフホインヤカラ(悠は強いんだから)!」モグモグゴクン

「絶対勝てるよね!ヤマヤマも心配しないで大丈夫!」

 

島風が励ます。

 

悠(ずいぶんと楽天的だな。しかし…ヤマヤマ?)

「ああ、絶対に勝ってみせる。それより、ヤマヤマって、まさか…」

 

島風「うん!大山泰山、山が二つ入ってるからヤマヤマだよ!」

 

悠「…大山さん、すみません。言って聞かせますんで…」

 

大山「あははは!いや、大丈夫だよ。変に畏まられるよりも、僕としてもこういう方が楽でいいよ。いっその事、鳴上君も僕の事をヤマヤマって呼ぶかい?」

 

悠「いえ、流石に遠慮しておきます。」

 

雑談を交わしつつ食事をする三人。

 

 

 

 

しばらくして食事も終わった頃、霧島が大きめの紙袋を持ってこちらに来た。どうやら部屋の準備が終わったようだ。

 

霧島「あら?丁度食べ終わったのかしら?ナイスタイミングね!鳴上君、島風ちゃん、お味はいかがだった?」

 

島風「うん!美味しかったよ!」

 

霧島「そう、よかったわ。鳴上君はどう?」

 

悠「元の世界とあまり変わらないものだったので、安心して食べられました。もちろん美味かったですよ?」

 

霧島「お口に合って何よりです。じゃあ、部屋に案内するけど、大丈夫かしら?」

 

悠「はい、よろしくお願いします。」

 

大山「じゃあ、鳴上君、島風さん。僕は仕事があるからこれで失礼するよ。霧島、後は頼めるかな?」

 

霧島「はい。お任せください。」

 

悠「大山さん。今日はありがとうございました。」

 

島風「ヤマヤマまたね〜!」

 

大山「うん。じゃあまた明日。おやすみ、二人とも。」

 

霧島「じゃあ、こっちも行きましょうか?」

 

悠「はい。分かりました。」

 

 

 

〜〜海軍本部・出張者用寄宿舎〜〜

 

 

霧島「この部屋よ。」

 

悠と島風は霧島に案内され、部屋に着く。

道中、奇異の目で見られる事もあったが霧島がフォローを入れてくれたので、大した騒ぎにはならなかった。今はあまり目立ちたくはない悠にとっては、これは有難かった。

 

霧島「ゴメンね?急な話だったのと、大規模な作戦の直後で部屋がいっぱいで…一部屋しか取れなかったの。普段はガラガラらしいんだけど…

鳴上君?島風ちゃんに変な事しちゃダメよ?」

 

島風「しちゃダメよ?」

 

悠「しませんよ!島風も真似しなくていいから!」

 

霧島「心配はしなくて良さそうね。じゃあ、はいこれ!」

 

悠「これは?」

 

 

悠は先程から霧島が持っていた紙袋を渡される。

 

 

霧島「パジャマ代わりのジャージと下着が二人分はいってるわ。必要でしょ?

あとその学ラン、少し破けてるわ。どうする?預けてくれれば妖精に直してもらうけど…」

 

悠「ありがとうございます。学ランは…どれ位かかりますか?」

霧島「あっという間に…とまではいかなくても、明日の朝には直ってるわ。」

 

悠「それならお願いします。」

 

そう言って悠は学ランを脱ぎ、霧島に渡す。

 

霧島「確かに預かったわ。明日の朝8時頃迎えに来るから、学ランもその時に渡すわね。じゃあ、私もそろそろ行くわ。ゆっくり休んでね?」

 

悠「はい、ありがとうございます。おやすみなさい。」

 

島風「霧島お姉さん!また明日ね!」

 

 

 

 

室内に入った悠と島風。部屋の中はワンルームマンションとビジネスホテルを足して2で割ったような趣きで、ユニットバス、デスク、ベット、小さいながらも冷蔵庫と洗濯機も備え付けられていた。

 

悠(洗濯機は…なんとか使えそうだ。部屋干しだと少しばかり匂うかもしれないが仕方ないな。問題は…)

 

そう、この部屋には一つ大きな問題がある。それは…

 

悠(ベットが一つしかない⁉︎)

 

そうなのだ。この部屋にはベットが一つしかない。まあ、サイズはセミダブルなので二人でもスペースは十分なのだが…

 

悠(よし、チェンジ!ダイソウジョウ!)

 

持ってて良かったダイソウジョウ。紳士諸君には悪いがToLoveルな展開にはならない。あしからず。

 

悠「島風、風呂はどうする?先に入るか?」

島風「うん!先に入っちゃうね!」

 

 

島風入浴中…

入浴シーン?そんな物はない。

 

 

島風「あがったよ〜!」

 

悠「早いな…ちゃんと洗ったのか?」

 

島風「大丈夫、大丈夫!……フワァ〜…ねぇ悠?もう眠いから先に寝てていい?」

 

悠「それなんだが、ベットが一つしかないだろ?俺は床で寝るから、島風はベットで…」

 

島風「え?私は一緒で大丈夫だよ?それに床じゃよく寝れないよ?明日は、私達の運命が決まる大事な勝負があるんだよ!ちゃんと寝なきゃダメです〜!」

 

悠「そうか。じゃあお言葉に甘えるとするか。ありがとう島風。俺も風呂に入ってくるよ。」

 

持ってて良かったダイソウジョウ!(大事な事なので二回言いました。)

 

 

番長入浴中…

番長の入浴シーン?ゲームかアニメで見られると思うぞ!

 

 

悠「ふぅ、サッパリした。ジャージもサイズがぴったりだ。ちゃんと寝れそうだな。

島風は…もう寝てるか…」

 

そう言って悠はベットの空いているスペースに潜り込む。

ダイソウジョウのおかげで煩悩は抑えられているので問題は無い。

 

悠(明日で俺と島風の運命が決まる…少し大袈裟かもしれないが、少なくとも負けてしまったら俺の運命は…

いや、ネガティヴな事を考えるのはよそう。明日は絶対に勝つ!元の世界に帰るための第一歩だ!)

 

こうして長い一日が終わった。

鳴上悠の新たな旅路はまだ始まったばかり…

この先、どんな未来が待ち受けているのか…

それは誰にもわからない…

 

to be continue...

 




青葉「号外!海軍週報号外だよー!なんとあの超弩級戦艦の武蔵に勝負を挑む人間が現れたー!ただの大バカか?はたまた真の英傑か?
詳しくは号外を読んでねー!」

?「Fuun?今日はFree time!休みだから暇潰しにBattle Watching! ありですネー!」

?「おい、見ろよこれ!武蔵と人間が戦うとかただの公開処刑じゃねーか!間宮券のトトカルチョも武蔵が1.1で人間の方が…10倍だってよ!まぁ暇潰しには丁度いいな。観に行こうぜ!」
?「そうね〜、じゃあお昼食べたら行きましょうか?」
(…ふふふ、鳴上悠ねぇ…それに折り込んであるこの書類、元帥の印…手元の間宮券は…10枚もあるわね♪10倍にしちゃいましょう♪)

?「はわ〜!武蔵さんが戦うのですか!絶対に観に行くのです!」

次回ペルソナ4 the K.C.
最初の試練!武蔵VS鳴上悠

大山「マズイ!主砲が直撃したぞ!」
島風「いやぁー!悠ー!」
悠「こんな所で倒れる訳には…いかないんだ!ペルソナー!」


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第五話 最初の試練!武蔵VS鳴上悠 前編

はい。かなりの期間が空いてしまいましたが、第五話前編をお送りします。
またしても前後編に分けさせてもらいます。ほんとすみません…
前編では武蔵戦前の様子を描写しています。ガチな編集さんなら添削でバッサリカットしてしまいそうな感じなのですが、書きたかったんです…書いてしまったんです…勘弁してくだぁしゃ〜…orz
あと、お気に入り数が32になっていました。ビビるわ!こんな駄作に付き合ってくれている皆様に本当感謝です。



只今の時刻は午前6時前。窓からは朝日が差し込んでいるが…

 

島風「スースー…」

悠「スースー…」

 

どうやら二人はまだ寝ているようだ。

 

島風「うーん…」ゴロンッ

ドスッ!

悠「ガハッ⁉︎」

 

寝返りを打った島風の肘が、丁度悠の首に直撃した。

 

悠「ゲボッ…。あれ?ここは…そうか、俺は異世界に来たんだったな。」

 

島風の肘打ちで目を覚ました悠は、自分の置かれている状況を確認し始める。

 

 

悠(俺はたまたまテレビに落ちた。そしたら、いつものテレビの中ではなくこの世界の海に落ちた。

そして…島風との出会い。

息つく間もなく深海棲艦との戦い。

救助に来てくれたハイカラ眼鏡美人の霧島さん。

海軍本部で三嶋元帥にスカウトされたかとおもったら、武蔵という艦娘に反対されて、戦う事になったんだよな。)

「約束の時間までまだ結構あるな。とりあえず顔を洗って着替えるか…」

 

身支度を整え、すぐに出られるようにするが、いかんせんやる事がない。

 

悠「…ネコショウグン!」

パキィン!

 

何故か、ペルソナ『ネコショウグン』を呼び出し…

悠「ゴロニャーン♡」

愛で始めた。

ネコショウグン「フシャッ!」

ザシュッ!

悠「フワッ!」

引っ掻かれた…

悠「何でだ⁉︎お前は俺だろう?今の俺が暇なことくらい分かるだろ!」

 

悠は挫けない。約束の時間の8時までまだ

2時間弱はあるのだ。二度寝する気にもなれない悠は、再びネコショウグン(自分自身)を撫でようとするが…

 

ネコショウグン「ニヤアァァァッ!」

悠「何ッ!」

ネコショウグンは悠に飛びかかり…

ガブゥッ!

悠「ぎゃあ〜!」

悠の頭に噛み付いた。

悠「痛いッ!おいッ!やめろ!」

 

 

 

島風「うーん…もう、悠ってばうるさい…ってウワァ!何そのネコ!メッチャ噛み付いてるし!」

 

悠が騒いでいたせいで、目を覚ましてしまった島風。

 

悠「おはよう島風。すまない、起こしてしまったようだな。」

 

爽やかな笑顔で朝の挨拶をする悠。ただし頭にネコショウグンが噛み付いている…シュールな絵だ。

 

島風「てか、何そのネコ?どっから入って来たの?痛くないの?」

 

悠「あ、こいつはネコショウグンっていう俺のペルソナなんだ。戻れネコショウグン!」

ニャー…

ネコショウグンは悠の一言で心に戻ったが…

ピュー!

 

島風「あ、消えた。悠は色んなペルソナが…って!血が!頭から血がピューッて!」

 

悠「ん?あ、本当だ。まぁこれくらいなら大丈夫だ。ティターニア!ディアラマ!」パキィン!

 

ネコショウグンに噛まれた傷から血が噴き出るが、悠は慌てずにティターニアを召喚し、回復魔法を使う。

 

ティターニア「まったく、大事な戦いの前だというのに…ディアラマ!」

 

島風「ウワァ!妖精?すごーい!傷が治ってる!ねぇねぇ、他には何がいるの?見せて見せて!」

 

島風は、興奮した様子で悠に他のペルソナも見せろとねだる。

 

悠「そうだな…じゃあ、ジャックフロスト!」

パキィン!

 

ジャックフロスト「ヒホー!ジャックフロストだヒホー!よろしくだホ!」

 

島風「わぁ!かわいい〜!ねぇ、もっといっぱい出して!」

 

悠「そうか?それじゃあ…」

 

 

 

 

 

〜〜出張者用寄宿舎・悠、島風の部屋前〜〜

 

 

午前7時55分

霧島「バッチリ5分前ね。起きてくれてるといいんだけど。」

 

悠と島風の部屋の前に来たのは霧島だ。

約束通りの時間に迎えに来るのは流石霧島である。

コンコン、

霧島「霧島よ〜?もう準備出来てるかしら〜?」

………しかし返事がない。

霧島(しょうがない、起こしますか〜。)

悠達が、まだ寝ていると判断した霧島はドアを開ける。

ガチャ、

 

霧島「悠君〜、島風ちゃーん?起きてるかしら…」

 

「我が名はベリアル!我を呼び出すとは…貴様、覚悟は出来ているのであろうな!」

 

霧島「」

 

島風「わー!凄いぞー!強そーだぞー!」

 

悠「ん?あ、霧島さん、おはようございます。」

 

霧島「失礼いたしました〜。」

 

悠「え?霧島さん?ちょっと待ってください!ベリアル!とりあえず戻れ!」

 

 

 

番長説明中……

 

 

 

霧島「つまり、さっきの悪魔はペルソナっていうあなたの心の一部で、あれの力を使って戦うのね。」

 

悠は霧島にペルソナについて簡単に説明する。霧島もあれが悪いものではないと知り、安心したようだ。

 

悠「はい。そうです。他にもたくさんいますよ?見ます?」

 

霧島「いえ…遠慮しとくわ。それより、朝ごはん食べに行くわよ?私の仲間も待たせてるから早く行きましょ?」

 

島風「うん!早く早く!競争だよ!」

 

悠「おい、島風。場所分かるのか?」

 

島風が走り出そうとするので声をかける悠。

 

島風「…わかんない!」

 

危うく迷子になるところだった。

 

霧島「あ、そうだ。はい!学ラン、修繕終わったわよ。」

 

悠「ありがとうございます。」

 

悠は霧島から学ランを受け取り着る。

 

霧島「じゃあ、行きましょ?はぐれちゃだめよ〜。」

 

 

 

〜〜海軍本部・食堂〜〜

 

 

 

大山「おお、悠君に島風君。おはよう、昨日はよく眠れたかい?」

 

島風「おはようヤマヤマ〜!」

 

悠「おはようございます大山さん。おかげさまでよく眠れました。」

 

?「ほう、そいつが例の人間か?」

 

?「ふーん?まだ学生?無事でよかったわね。」

 

悠「えっと…あなた達は?」

 

大山「おっと、みんな、彼に自己紹介を…」

 

木曾「言われなくてもやるさ。俺は軽巡、木曾だ。よろしく。」

 

五十鈴「私は五十鈴よ。よろしくね。」

 

悠「よろしくお願いします。」

 

島風「よろしくお願いしまーす!」

 

霧島「他のみんなは?」

 

大山「日向は伊勢と何処かへ出かけたそうだ。高雄は隼鷹に飲まされて、二日酔いで部屋にいるよ。隼鷹は…」

 

?「はーい!ここにいるぜ〜!」

 

大山「うわっ!酒臭っ!隼鷹、朝から呑んでるのか…」

 

突然、大山の後ろから一升瓶を持った女性が大声で自己紹介をする。

 

隼鷹「どもっ!隼鷹でーす!よろしくなっ!」

 

悠「あ、はい。よろしくお願いします。」

 

隼鷹「なになに〜?お堅いね〜?もうちょいさぁ、なんていうの?フレンドリーにいこうぜ〜!」

 

どうやら隼鷹は、既に出来上がってるようだ。

 

悠「いえ、流石に目上の方にそれは…」

 

島風「じゃあ、ヨッちゃん?」

 

隼鷹「なんか駄菓子みたいだから却下!」

 

島風「じゃあ…ジュージュー!」

 

隼鷹「あたしゃ肉かい!却下だよ〜。ほらほら〜、もっとなんかないの〜?」

 

島風「え〜…うーんと…」

悠(隼鷹さんは島風に任せてそっとしておこう。)

 

悠は、隼鷹に酔っ払い特有の面倒くささを感じ、そっと距離を置く。

 

霧島「ごめんね?彼女、大きな作戦の後はいつもああなのよ。それより朝ご飯食べましょ?」

 

悠「そうですね。頂きましょうか。」

 

 

番長朝食中…

 

 

悠「ごちそうさまでした。」

島風「ごちそうさまでしたー。」

 

霧島「さて、じゃあ作戦会議と行く前に…悠君の実力を知りたいから、まずは演習海域に行きましょ!みんなも付き合ってもらうわよ〜?」

 

五十鈴「え?私達も?まあいいけど。」

 

隼鷹「よーし!艦載機じゃんじゃん飛ばしちゃうぜ〜!ヒャッハー!」

 

木曾「すまん。俺は用事があるから付き合えん。午後の演習は観に行ってやる。悪いな。」

 

霧島「あら残念。司令はいかがなさいますか?」

 

大山「そうだね。視察艇を出して見に行くよ。演習海域で落ち合おう。」

 

霧島「了解です。では後ほど。」

 

島風「ねぇねぇ!早く行こっ!ほら、ダッシュ〜!」

 

 

 

〜〜移動中・出撃ゲート前通路〜〜

 

 

ザワザワ、ヒソヒソ、

「ねぇあれって…」「かわいそうに、」

「あいつじゃね?」「戦うの?」

 

悠(なんだか昨日より視線が痛い…)

 

移動中、悠は沢山の人から見られていた。

昨日も好奇の目で見られる事はあったが、今日はその比ではない。

 

悠「あの、なんかすごい見られているんですが…」

 

霧島「…気にしちゃダメよ?えーと、あれよ、みんな休みでヒマなのよ。だから見ない顔がいるって事で、ね?」

 

悠「…そういうものでしょうか?」

 

霧島「そうよ。だから気にしちゃダメ。下手に相手したら余計面倒よ?」

 

五十鈴「まあ、気持ちのいいものではないわね。でも、どうしようもないから我慢しときなさい?」

 

隼鷹「んー…まあ、あれだ。飲むかい?」

 

悠「いえ、未成年なんで。」

 

 

悠は霧島に何事かと聞いてみるが、気にするなと返されるだけである。そこに…

 

 

 

?「あー!ようやく見つけましたよ〜!」

 

霧島「ゲッ!」

 

?「ゲッ!とはなんですか!失礼ですね!まあ、霧島さんには用はないんで、あっち行っててください。あなたが鳴上悠さんですね!私、海軍広報課の青葉と申します。」

 

いきなり現れた、海軍広報課を名乗る青葉という女性は霧島を押しのけ、悠に詰め寄る。

 

悠「は、はぁ…それで俺になんの用ですか?あまり時間は無いんですが。」

 

青葉「ええ、実はですね、試合前の鳴上選手にインタビューをと。あ、海軍週報号外は読んでくれました?あれ、私が書いたんですよ!」

 

悠「いえ、読んでませんが…」

 

青葉「なんと!まあ、そんなこともあろうかと、じゃじゃーん!持ってきてあるんですよ〜!はい!とりあえずささっと目を通してもらえますか?」

 

悠「は、はぁ…」

 

 

悠は青葉から新聞を受け取り目を通す。

新聞には悠と武蔵の演習について書かれていた。

 

 

悠「なっ!これは…」

 

霧島「あちゃー…見ちゃったか〜。」

 

島風「なになに〜?私にも見せて〜!」

 

悠「うわっ!大丈夫だ!お前にも見せるから!」

 

島風は、悠から新聞を奪い取るようにして読み始める。

島風「へー……難しい漢字が読めない…」

 

五十鈴「あーもうっ!こっち来なさい!どの字が分からないの?」

 

島風「えっとね…」

 

 

青葉「いや〜、あなたも大変ですね〜。海軍の殆どの方が、あなたが負けると思っていますが、それについてはどうお考えで?」

 

青葉は島風には目もくれず、何食わぬ顔でインタビューを始める。

 

悠「それは…仕方ないですね。まあ、下馬評がどうだろうと、俺は全力で戦うだけですから。」

 

青葉「ほほーう、なるほど。じゃあ…ズバリ聞きますが、勝ち目はありま…」

 

霧島「はい!そこまでー!私達は忙しいの!悪いけど、あなたの取材には付き合ってられないわ。」

 

長くなりそうだったので、霧島がすかさずストップをかける。

 

青葉「えぇー⁉︎そんな〜…せめて一言!意気込みをお願いします!」

 

悠「絶対に勝つ。負けられない理由があるからな。」

 

青葉「絶対ですか〜…お忙しい中ありがとうこざいました〜!」

 

霧島「ほら青葉、もういいでしょう?」

 

青葉「いや、すいません。では、失礼しますね〜!あ、勝者にはインタビューするんで。よろしくお願いします!」

 

青葉はそう言い残して去っていった。

 

 

 

悠「俺が注目されてるのは、あの新聞のせいだったのか…」

 

霧島「ごめんね?余計なプレッシャーをかけたくなくて黙ってたのよ。」

 

悠「いえ、全然大丈夫ですよ。これくらいなら、世界の終わりを賭けた最終決戦なんかよりもずっと楽ですよ。」

 

霧島「そう言ってくれると助かるわ。」

 

五十鈴「今、スルーしちゃいけないような発言があったんだけど…」

 

霧島「ダメよ。突っ込んだら2クールとちょっとくらいの時間がかかる話になるわ。」

 

霧島さん…メタ発言はやめてください…

 

島風「ねー…早く行こうよ〜…」

 

霧島「そうね、こんな所で話している場合じゃないわね。行きましょう。」

 

 

 

〜〜出撃ゲート〜〜

 

 

霧島「じゃあ、こっちに来てもらえる?」

 

出撃ゲートに来た悠達は駅の券売機に似た端末の前に集まる。

 

霧島「この『ターミナル』で私達は出撃や帰投、外出なんかの管理をしてるの。要はタイムカードみたいなものね。ここのターミナルは出撃と演習、遠征の申請に使うのよ。」

 

悠(あまり難しいことではなさそうだが、聞き逃さないようにしないとな。)

 

霧島は端末の説明を始めると同時に操作をしていく。

 

霧島「使用するには、この艦娘カードをタッチ…悠君と島風ちゃんは、まだ登録が済んでないからゲストカードね。

そしたら、色々演習のメニューがあるでしょ?その中から自主訓練を選んでちょうだい。」

 

悠達は言われた通りに操作をする。

 

霧島「そしたら旗艦になるか、随伴艦になるかって出るから、随伴艦になるを選んで、

そしたら旗艦を選ぶ画面になるから、私を選んでくれる?装備のボタンは触らないでね。」

 

悠「これでいいですか?」

 

霧島「はい、よく出来ました!これが旗艦になるとちょっと面倒なのよね…オーダーされた任務の最終確認とかしなきゃいけないから、ここら辺、なんとかならないのかしら?」

 

 

最後は愚痴っぽかったが、とにかく準備は終わったらしい。

 

 

霧島「さっ!出撃よ!みんなついてきて!」

 

そう言うと、霧島は出撃と書かれたパネルに乗る。すると一瞬光に包まれ、装備の装着が行われる。

 

悠「よし!島風、俺たちも行くぞ!」

島風「お〜!」

 

悠と島風も後に続く。

 

悠「うわっ!…凄いな、一瞬で装備されたぞ。」

 

出撃パネルに乗った悠に足の艤装が装備され、十握剣が目の前に現れる。

 

島風「すごいね!一瞬だよ!」

 

五十鈴「あら?あなた、武器はどうしたの?」

 

いつの間にか装備を終えていた五十鈴が、島風に武器が無いことをたずねる。

 

隼鷹「マジかよ!まあ〜、やるのは鳴上の実力チェックだけっしょ?平気平気!」

 

島風「やっぱりみんな持ってるの?私だけ持ってないって変かな?」

 

五十鈴「そりゃあねぇ…基本はみんな何かしら装備してるわよ?居ないわけじゃないけど、少数派ね。」

 

隼鷹「まっ、鳴上のやつが提督になったら作ってもらいな!その為にはまず、鳴上に武蔵を倒してもらわなきゃな!」

 

悠「ああ。島風、すまないが待っててくれ。必ず勝つ。」

 

島風「うん!」

 

霧島「みんな〜?お喋りもいいけど早く行くわよ〜!」

 

悠「はい!今行きます!」

 

 

 

 

〜〜海軍本部近海・演習海域〜〜

 

 

霧島「はい!到着!」

 

悠達は海軍本部から少し行った所にある、演習海域に到着する。天気は快晴、波も穏やかである。

 

霧島「さっそくで悪いんだけど、あなたの力、見せてもらえるかしら?…そうね、まずは一番使い慣れているものを見せてもらえるかしら?」

 

悠「はい、分かりました。」

 

悠はポケットからメガネを取り出し、それをかけ…

 

悠「イザナギ!」パリィン!

 

イザナギを召喚する。

 

五十鈴「うわっ⁉︎なんか出てきたわよ!」

 

隼鷹「うひゃー!これは驚いた!これが武蔵に勝つための秘策ってわけか。」

 

霧島「あら、朝見た悪魔じゃないのね。…これはこれで怖いけど…」

 

悠「これが俺のペルソナ『イザナギ』です。能力は高くは無いですが、一番使いやすいですね。」

 

島風「私も出せるよー!ペルソナー!」

 

悠「なっ⁉︎待てっ!お前は…」

 

パリィン!

 

悠「遅かったか…」

(島風がペルソナを使えるのは秘密にしときたかったんだがな…)

 

島風は悠が制止する前にペルソナを召喚してしまう。

 

五十鈴「あなたも出せるの⁉︎」

 

隼鷹「マジかよ…私も出せるかね?」

 

悠「いえ、ペルソナを出すには、基本は自分の心の闇と向き合う必要がありますから…オススメはしませんよ?最悪、自分自身に殺されますから。なぜか島風は最初から使えましたけど。」

 

隼鷹「ちぇー、なんだよー…まあいいや。早く使ってみせてくれよ!」

 

悠「分かりました。ほら島風、お前はペルソナをしまっといてくれ。」

 

島風「え〜…ツマンナイの…ツクヨミ戻って〜。」

 

悠はイザナギの力を使う前に、島風にペルソナを消させる。

 

悠「行きますよ!ジオ!」バチィン!

 

悠がイザナギに指示を出すと、イザナギはジオによる雷を落とす。

 

五十鈴「キャッ!雷?当たったら痛そうね…」

 

隼鷹「でもあれじゃあ、武蔵は落とせないぜ?」

 

霧島「ふむふむなるほど…じゃあ今度は最大火力を見せて?」

 

悠「え?最大ですか⁉︎ちょっと待ってください!」

(最大と来たか…本気で最大火力だと…巻き込んだら最悪だ…少し抑えめでいこう。)

 

 

悠「よし、いきますよ!」

 

霧島「了解よ!」

 

悠「チェンジ!ルシフェル!メギドラオン!」

 

ルシフェル「刮目せよ!メギドラオン!」

 

 

ドゴーン!

反逆の天使の一撃が放たれ、大爆発を起こす。コンセントレイトやヒートライザを使わない未強化の一撃だが、それでもかなりの威力だ。

 

 

 

 

霧島「キャァー!」

五十鈴「イヤー!」

隼鷹「ちょっ!まっ!ウワァー!」

島風「うわぁー!すごーい!さいきょーだ!」

 

 

 

 

悠「どうですか?その気になればあれを2倍以上に出来ますが…」

 

霧島「………ええ、あれなら武蔵といえどもただでは済まないわね…」

 

五十鈴「何よそれ!反則じゃない!いくらなんでも強すぎよ!」

 

隼鷹「いや、そうでもないぜ?」

 

五十鈴「どういう事よ?あんなの当たったら私なら大破間違い無しよ!」

 

隼鷹「当たればな。あの技には弱点がある。」

 

霧島「弱点?何かしら?」

 

隼鷹「おいおい…艦隊の頭脳のあんたが分かんないのかよ…まあいいや。

いいか?あの技は爆発するまでにタイムラグがある。大体1秒半から2秒フラットってとこか?

それだけの時間があれば、どんな技か知ってれば、高速艦なら全力で飛ばせば直撃は避けられるだろうし、そうじゃなくても防御姿勢をとるなり出来ちまうんだよ。」

 

霧島「あなた…本当に隼鷹?」

 

隼鷹「おいコラ!なんだそれ!こちとら真面目に考えてんだぞ!」

 

霧島「ご、ごめんなさい…つい…」

 

隼鷹「はぁ…まぁいいや。つまり、武蔵にはその、なんだっけ?メギドラオン?は、それだけで撃っても直撃は無いだろうな。

あの天才ならセンスと感で、初見でも見切られちまうだろうな。」

 

島風「え〜⁉︎じゃあどうするの?必殺技無し?」

 

霧島「そうねえ…セオリー通りにいくと、手数が多くて隙の少ない攻撃で、相手の隙を作ってく感じかしらね?」

 

悠「それが一番妥当でしょうね。」

 

隼鷹「それがそうもいかねぇんだよな〜これが。」

 

悠「どういうことですか?」

 

隼鷹「武蔵は戦艦、しかも超弩級のな。手数でいくにしても、威力がある程度ないと通用しないぜ?

駆逐、軽巡が装備出来る主砲位の威力の攻撃は一切通用しないとみていいな。」

 

霧島「一切効かないってのは言い過ぎかもしれないけど、武蔵なら無視して攻撃してきそうよね。」

 

悠「どうしたものでしょうか…」

 

一同が悩んでいると…

 

大山「おーい!みんなー!」

 

悠「あ!大山さん!こっちでーす!」

 

 

 

 

 

 

 

 

大山「さっき、物凄い爆発があったけど大丈夫だったかい?」

 

視察艇に乗ってやって来た大山は先ほどの爆発が何だったのかと尋ねる。

 

悠「ああ、あれは俺の魔法です。安心してください。」

 

大山「あれを君が⁉︎なるほど…武蔵に勝負を仕掛けたのは勝算があったからなのか…」

 

悠「はい。今はどう戦うか、皆で考えていた所です。」

 

島風「ねえヤマヤマ。何か武蔵の弱点って無いの?」

 

大山「うーん…そうだね、武蔵は装備が重たいから、移動速度が遅いんだ。

だから僕はインファイトに持ち込んで、ゼロ距離で一撃必殺がいいと思う。接近してれば主砲も当てられないだろうしね。」

 

悠「なるほど。ならどう近づくかですね。」

 

霧島「なら、次は耐久と装甲のチェックね!武蔵の攻撃に耐えられなければ近づく事もままならないわよ!」

 

悠「どうやってチェックするんですか?」

 

霧島「それはね…五十鈴?武器の弾薬は演習用の物になっているかしら?」

 

五十鈴「もちろん!いつでもOKよ!」

 

悠「まさか…」

 

霧島「今からあなたに向けて砲撃するから、しっかり防いでね?躱しちゃダメよ?装甲のチェックなんだから防御してね?」

 

悠「ち、ちょっと待ってください⁉︎」

(くっ、砲撃を完全に防げるペルソナは…物理無効と炎無効を両立してるやつ…よし)

「チェンジ!マサカド!」

 

悠は物理無効と炎無効を両方持っているマサカドにチェンジする。

 

悠「よし!準備OKです!いつでもどうぞ!」

 

島風「悠?怪我しないでね?」

 

五十鈴「よーし、じゃあいくわよ!砲撃開始!」

 

演習弾を使い、悠に向けて砲撃を行う五十鈴。

 

悠「…」

 

しかし、悠は防御もせずに棒立ちである。

 

五十鈴「ハァッ⁉︎ちょっと!危な…!」

 

ドーン!

 

悠「…よし。大丈夫でーす!」

 

だが、悠には傷一つ付いていない。

 

五十鈴「え?無傷?いくら演習弾といっても、当たるとかなり痛いはずよ?」

 

悠「今の俺は、物理的なダメージと炎のダメージを無効化するんで、全然痛くないですよ?」

 

隼鷹「へぇー…そらっ!」

 

悠が五十鈴と話しているところに、隼鷹がいきなり艦載機を飛ばしてきた。

 

五十鈴「は?隼鷹⁉︎何してんのよ!」

 

ズダダダダ!

ドゴーン!

 

艦載機による機銃と爆撃が悠に降り注ぐが…

 

悠「効かないな。」

 

隼鷹「ウソーン⁉︎マジかよ!スゲーな!演習弾とはいえ無傷たぁ恐れ入った。これなら勝てるぜ!」

 

島風「よーし!私もいくよー!」

 

悠「ん?…ちょっとまっ…」

 

島風「ツクヨミ!ジオ!」

 

悠「グハァー!」

 

マサカドの弱点は雷。元の威力は小さいとはいえ、弱点の攻撃が飛んでくるとは思っていなかった悠はもろに食らってしまった。

 

大山「おい!悠君!大丈夫か!」

 

悠「ええ…なんとか。今使っているペルソナは雷が弱点なんで。まぁ、元の威力は小さいんで大丈夫です。」

 

島風「ごめんね悠…」

 

悠「大丈夫だ。これくらいなら全然平気だ。」

 

霧島「大丈夫ならいいけど…大事をとってこれで戻りましょうか?データも取れたし、お昼を食べて作戦を練るわよ!」

 

 

 

 

〜〜海軍本部・食堂〜〜

 

 

本部に戻り、昼食を取り終えた悠達は、残りの短い時間を使って作戦をまとめていた。

 

霧島「じゃあ、作戦はこうね。まず、マサカドで武蔵の攻撃を無効化し、一気に接近。相手が動揺してくれれば儲け物ね。

接近したらマサカドと連携して攻撃。マサカドの攻撃は武蔵には通るのかしら?そこのところはどう?」

 

悠「多分大丈夫だと思います。俺のペルソナの中では上の下位の強さなので、無視は出来ないと思いますよ?」

 

霧島「なら大丈夫ね。そして連携で武蔵に隙が出来たら、ルシフェルで一気に決めるわよ!」

 

大山「うん。悠君が砲撃を無力化出来るのが大きいね。

最悪、マサカドのままで一方的に攻撃し続けるのもありだから、上手く立ち回ってくれ。」

 

悠「はい、分かりました。色々とありがとうございました。」

 

大山「ははは!礼を言うのはまだ早いぞ?礼は武蔵に勝ってから受けようじゃないか!」

 

隼鷹「そうだぜ〜!お前が勝ったら祝勝会だ!バッチリ決めてこい!」

 

五十鈴「そろそろ時間よ?出撃ゲートに向かいましょう?」

 

悠「よし!行くか!」

 

 

 

 

 

〜〜出撃ゲート〜〜

 

 

悠達は、武蔵との決戦に行くために出撃ゲートに来ていた。周囲には悠を見ようと沢山の人達が来ており、かなり混雑している。

 

悠「では、行ってきます。」

 

大山「ああ、僕も輸送船から応援させてもらうよ。頑張って!」

 

霧島「頑張ってね!あなたなら絶対に勝てるわ!」

 

隼鷹「悠の勝利で酒が飲めるぞ〜っと!てなわけで…祝勝会、楽しみにしてろよ〜?」

 

五十鈴「はぁ…隼鷹ったらこんな時までお酒の事を…いい?油断は禁物よ?気を引き締めていきなさい!」

 

島風「悠!絶対に勝ってね!信じて待ってるよ!」

 

悠「ああ!みんなありがとう!勝ってくるぞ!」

 

 

悠は皆の声援を受け、一人決戦の海へと向かっていった。

 

 

大山「さあ、僕達も船着場に行って輸送船に乗ろう。早くしないといい席が取られてしまうからね!」

 

霧島「はい司令!行きましょう!」

 

島風(悠…頑張ってね。)

 

霧島「島風ちゃーん?こっちよー!」

 

島風「はーい!」

 

後編へ続く…




ピンポンパンポーン…ここから先は読まなくても大丈夫な補足と独自解釈の説明です。読まなくても本編が理解出来ない何てことにはなりません。面倒な方、クソ外道理事長が嫌いな方は読まなくても大丈夫です。

やあ!またしても僕の出番かな?幾月だよ!
今回はこの作品における鳴上君のペルソナ能力についての設定と、オリジナル設定の艦娘カードについてちょっと解説させてもらうよ。
今作品の鳴上君はかなり特殊な設定かもしれないね。
まずペルソナ4に登場するペルソナ全て(仲間のペルソナを除く)が使えるんだ。
ただし!ペルソナの合体による補正は全て無し。スキルの引き継ぎなんかも無しだよ。
ペルソナの使えるスキルはそのペルソナの初期スキルとレベルアップで覚えるもののみ。
ペルソナのステータスは合体直後の未強化のものを採用してるよ。

次は艦娘カードについてだね。
このカードはタイムカードの他に、燃料や弾薬の消費量の一括管理、補給の申請に海軍内部の施設のみだけど、電子マネーとしても使える便利なカードだよ。
この作品の中に限った話だけど、このカードを導入してから艦娘達の違反行為がぐっと少なくなったんだ。例を挙げていくと…
その一
ボーキサイトの水増し請求が無くなったよ。艦娘カードを導入するまでは、書類を書いて申請してたからね。嘘の報告をしてボーキサイトを沢山持っていく艦娘がいたそうだよ。艦娘カードを導入してからは、消費した資材は全て一括管理されるようになって水増し請求が出来なくなったのさ。
その二
出かけたと思っていた艦娘が夜になっても寮に戻らず、次の日の朝、ボロボロになって帰ってきたっていうことがあったらしいんだ。提督の許可無く夜戦に行っていたみたいだね。
艦娘カードを導入してから、許可無く出撃が出来なくなったからこういう事は無くなったよ。
こんな感じだね。
ちなみに艦娘カードのデザインはゲームの図鑑のイラストをそのまま使ってる感じかな。鳴上君のは本編にはまだでてないけど、ステータス確認画面の立ち絵に、艦種のところには番長と書かれているイメージかな?伝わってるかい?
作者にコラの技術なり絵心があれば良かったんだけど…無いからね。
こればっかりはこの作品を見ている誰かが描いてくれるのを祈るしかないね。
今回の解説はここまで!じゃあ…前回はアイギスに襲撃されて言えなかった素敵なギャグを…
させるかーでありまーす!
うわぁ!また!
おっと、昔の口調に一瞬戻ってしまいました。さあ、そこの鬼畜!今度は逃がしませんよ!
ちょっと待ってよ!今の僕はニュクス復活なんて考えてないし、真面目に解説の仕事をしてるじゃないか!なんでこんなことをするんだい?
ぶっちゃけ私怨です。
そっかー。
クタバレー!
ズドドド!ドガーン!ドゴーン!ズガガガガ!
ギャァぁァァァッ!

島風「………次も見てね!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆」


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第五話 最初の試練!武蔵VS鳴上悠 後編

どうも、第五話後編です。
戦闘描写って難しいですね。擬音語がちゃんと使えてるか心配でなりません。
あと、内容を盛りすぎたかも…最初からクライマックスみたいなノリになってしまいました。
そんな心配事だらけの素人小説。お楽しみ頂ければ幸いです。



〜〜海軍本部近海・演習海域〜〜

 

武蔵「よく来たな。逃げなかったことは褒めてやろう。」

 

悠「…武蔵、悪いが勝たせてもらう。こんなところで立ち止まってる訳にはいかないからな。」

 

武蔵「チッ。口の減らないやつだ。」

 

悠「ならさっさと始めよう。」

 

悠と武蔵は、わずかに言葉を交わし睨み合う。

両者の間は約30m。

 

 

『演習…開始!』

輸送船のスピーカーから、元帥の合図が響く。

 

 

〜〜輸送船・甲板〜〜

 

 

観客席代わりに用意された輸送船には、沢山の人で賑わっている。

双眼鏡やオペラグラスで二人の演習を観る人もいれば、お酒を飲みながら観戦する人。中には、勝手に観測機や偵察機を持ち出して、飛ばしている艦娘もいる。

 

大山「いよいよ始まったか…」

 

島風「悠は大丈夫だよね?」

 

霧島「ええ、あれだけ強いんだもの。きっと大丈夫よ。」

 

 

 

武蔵「いくぞ!」

 

ガチャ!

ドン!ドン!ドン!

 

先制攻撃は武蔵。15.5cm3連装副砲を放つ。しかし、悠を狙わずに海面を撃つ。

 

バシャーン!

 

悠「くっ!水が!目くらましか⁉︎ペルソナァ!」

 

マサカド「小賢しい真似を!五月雨切り!」

 

ズバァッ!

悠はマサカドの五月雨切りで水柱を振り払う。

 

武蔵「ほう、それがお前の力か。なかなか面倒だな。」

 

視界が開けると、既に武蔵にかなりの距離をとられている。100mはあるだろう。

 

悠(これが狙いか。だが、これくらいの距離なら!)

「一気にいくぞ!」

 

悠は、足に力を込めて一気に加速する。

 

武蔵「馬鹿が。策も無しに突撃とは…喰らえ!」

 

ドゴーン!

 

武蔵は悠の動きに合わせて主砲を撃ち込む。

 

悠(来た!無効化して…)

 

ズガーン!

 

悠「ガハァァァァッ!」

(な⁉︎無効化出来ない⁉︎どういう事だ)

 

マサカド(小僧!マズイぞ!やつの攻撃、万能属性が混ざっておる!耐性では完全には防げんぞ!)

 

悠(なんだと!くそっ!なら遠距離から魔法で攻めるか?)

 

 

 

武蔵(ふむ、耐えるか…しかし元帥も何を考えているんだ?『実弾を使え、最悪殺しても構わん』か…まぁいい、私はこの生意気な学生を潰すだけだ。)

「どうした?もう終わりか?」

 

悠「まだまだァッ!」

 

 

ズガーン!

 

大山「なっ!あの威力、まさか実弾か⁉︎」

 

隼鷹「はぁ⁉︎演習弾じゃねぇのかよ!てか、悠のやつ、防げてねーぞ!」

 

島風「ねえ!悠が吹っ飛ばされたよ!悠には攻撃効かないんじゃないの⁉︎」

 

霧島「まさか…防げない例外があったとでもいうの⁉︎くっ、もっとしっかりデータを取っておくべきだったわ…」

 

島風「悠…」

 

 

悠(仕方ない…こいつだ!)

「チェンジ!ジン!」

 

ジン「いきますぞ〜!アギダイン!」

 

悠は、物理無効と火炎吸収を持つジンに切り替え、アギダインを放つ。

巨大な火炎弾が武蔵に放たれるが…

 

武蔵「はんっ、舐めるなよ。この武蔵の装甲…伊達ではないぜ!」

 

バシュゥゥ!

 

あろうことか武蔵はアギダインの炎に突っ込み…

 

武蔵「ウラァァッ!」

 

ブワァァッ!

炎を跳ね除け、一気に悠に迫る。

 

悠「なに!」

 

武蔵「ほら?どうした?この距離ならその剣が使えるぞ?お得意なんだろう?」

 

悠「いいだろう!その挑発に乗ってやる!」

 

キィン!カキン!ギィン!

悠は敢えて挑発に乗り、当初の作戦通りインファイトで戦う。

 

武蔵「ほら!どうした!一太刀くらい浴びせてみせろ!」

 

悠「お望み通りに!チェンジ!マサカド!」

 

マサカド「いくぞ!刹那五月雨撃!」

 

ヒュンヒュンヒュン!

 

マサカドの神速の突きが武蔵に襲いかかる。

ガギン!カキン!ガギン!

 

武蔵「くっ!」

悠「そこだ!」

 

悠は、武蔵がマサカドの攻撃を受け止めている隙に斬りかかる。しかし…

 

武蔵「舐めるなぁッ!」

ドゴン!

 

悠「ガフッ!」

バシャンッ!

 

悠「ゴホッ!なんだ今のは⁉︎」

 

武蔵「私の主砲は特別製でな。そのあまりの威力ゆえにその衝撃も凄まじい。近くにいる駆逐艦くらいなら吹き飛ばしてしまうほどにな。」

 

そう、武蔵は主砲の衝撃を利用して悠を吹っ飛ばしたのだ。

 

武蔵「ほら、隙だらけだ。よっ!」

ドゴン!

悠「ガッ!」

 

吹き飛ばされ、体制を崩した悠に、武蔵は右フックを見舞う。

 

武蔵「オラァッ!」

バキィ!

悠「ガッ!」

 

そして続けざまに前蹴り…いわゆるヤクザキックを胸にお見舞いする。その時、悠から嫌な音がした。

 

悠(まずい…今ので肋骨が…)

「くっ…ペルソナァッ!」

 

バロン「ガァァ!ポイズンミスト!」

ブハァ〜!

 

武蔵「む?煙幕?いや、毒か⁉︎ちっ!」

 

悠はポイズンミストを使い、身を隠すと同時に武蔵から距離を取る。

 

悠「よし…ゴホッ!とにかく回復を…」

 

 

 

武蔵「はんっ、この程度でどうなるとでも思っているのか?そらっ!」

パシュン

 

毒霧に巻かれた武蔵は、すかさず観測機を飛ばし…

 

武蔵「スカイビューアー起動!」

 

武蔵は眼鏡のスイッチを押す。すると、観測機に搭載されたカメラからの映像が、武蔵の眼鏡に映される。

 

武蔵「……見つけた!弾着観測射撃いくぞ!」

 

 

 

 

大山「まずい…劣勢だ。」

 

五十鈴「ええ…なんか動きもぎこちないし…このままじゃ負けるわよ。」

 

隼鷹「あの霧があるうちに体制を整えられるかねぇ…」

 

霧島「ん?なっ⁉︎あれは観測機⁉︎」

 

大山「なんだって!じゃあ霧に紛れても意味が無いぞ!」

 

 

悠「よし…ペル…」

ドゴン!

ヒュー

悠「なっ⁉︎」

ズガーン!

悠(あの霧で狙いはつけられなかったはず…くっ…まずい…意識が…)

 

 

大山「まずい!直撃だ!」

島風「いやぁー!悠ー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜悠の精神世界〜〜

 

 

 

俺は負けたのか?というより生きているのか?みんな…済まない…

 

 

おい!相棒!もう終わりか?

 

…陽介?

 

俺たちさ、今までもこんなピンチ、たくさんあったよな?

それでも諦めずに戦ってきたじゃねえか!こんくらいで諦めんなっ!

 

全く、ちゃんと修行しないからこんなふうになっちゃうんだぞ〜?

リーダーはまだ全力、出してないっしょ?

大丈夫!みんなついてるから!

 

里中…

 

鳴上君、あなたはみんなを沢山助けてくれた。だから今度は私達の番。

頑張って!帰り、待ってるから!

 

天城…

 

そうっすよ!先輩!あんたはこんなとこでくたばっていいような人じゃねえ!

先輩!漢、見せてください!

 

完二…

 

クマ、まだ先生に恩返し全然出来てないクマ!だから死んじゃダメクマ!クマの力も使うクマ!

 

クマ…

 

先輩…大丈夫。離れてても繋がってるから。

私、待ってるよ?無事に帰ってきてね?

先輩、大好きだよ!

 

りせ…

 

先輩、実を言うと、僕はあまり心配していないんです。だって鳴上先輩ですからね。

ええ、根拠なんてありませんよ?強いて言えば…経験ですかね?

いつも通り戦って、いつも通り勝ってください。帰り、待ってますから。

 

直斗…

 

 

ま、そういうこったな。相棒、死ぬんじゃねえぞ!

 

 

 

…ありがとうみんな。行ってくる!

 

 

 

 

 

 

 

〜〜海軍本部・演習海域〜〜

 

 

武蔵「終わったか…戦えるといっても所詮この程度か…」

 

武蔵は、水面に浮かぶ血塗れの悠に、背を向け立ち去ろうとするが…

 

 

『いえ、まだですよ。』

 

 

武蔵「ッ!誰だ!」

 

武蔵は後ろを振り返る。そこには、光り輝く騎士のような姿をした、3mほどの『何か』がいた。

 

武蔵(な、なんだこれは⁉︎まずい!足がすくんで…)

「お、お前は何なんだ⁉︎」

 

『私は伊邪那岐大神(イザナギノオオカミ)。鳴上悠の心に宿りし始祖神。』

 

神を名乗るそれに武蔵は…

武蔵「神だと?ふざけるな!そんなものがいてたまるか!消えろっ!」

 

ドゴーン!

主砲を一発放つ。が…

 

『…止めておきなさい。私には効きません。』

 

武蔵(主砲が通じない⁉︎くそっ!動け!私の足!)

 

 

 

 

大山「なんだ…あれは?」

 

霧島「わかりません…」

 

五十鈴「なんていうか…神々しいわね。」

 

隼鷹「ははは…武蔵のやつ、動けなくなってるぜ…主砲もまるで効いちゃいねぇ…」

 

島風(あれは…私には分かる…本物の神様…ツクヨミがそう言ってる…)

「悠ー!立ってー!頑張れー!」

 

 

 

 

『彼は世界。彼は希望。この光をここで消すわけにはいきません。』

 

武蔵「希望?どういう事だ⁉︎」

 

『彼はいずれ、真実に至る。あの時のように、海の底に眠る真実を掴むでしょう。』

 

武蔵「抽象的すぎて分からん!何が言いたい!」

 

『そろそろ時間ですね。立ちなさい、希望の子よ。その身に秘めた、無限の可能性を再び示す時です。』

 

キラキラキラキラ…

 

武蔵「おい!まて!消えるな!」

 

伊邪那岐大神は、光の粒子となって悠の中へと消えていき、その傷を癒していく。

 

武蔵(なっ⁉︎怪我が治っていくだと⁉︎)

 

悠「ふう…待たせたな、武蔵。ブランクがあったからな。不甲斐ない戦いを見せてしまったが、今からは大丈夫だ。さぁ、続きをやろう!」

 

 

 

大山「鳴上君が立ち上がったぞ!」

霧島「鳴上くーん!いけー!」

隼鷹「よっしゃー!負けるなー!」

五十鈴「やったわ!って、まだ勝ったわけじゃないのよ!これからよ!」

島風「悠ー!頑張れー!負けるなー!」

 

 

 

武蔵「…バカな⁉︎お前は死んだはずだ!何故生きている⁉︎何故立ち上がる⁉︎」

 

悠「あぁ、これくらいなら割とよくあったからな。…来ないならこっちからいくぞ!」

 

武蔵「くっ⁉︎」

 

悠(陽介、力を貸してくれ!)

「マダ!」

 

マダ「グオォ!マハラギダイン!」

 

マダの放ったマハラギダインが武蔵を飲み込む。

 

武蔵「グアァッ!」

(なんだ⁉︎さっきの炎とは威力がまるで違うぞ!)

 

武蔵「チィィッ!調子に乗るなよ!食らえ!」

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!

 

武蔵は炎を食らいながらも距離を取り、副砲を放つ。

 

悠(頼むぞ里中!)

「チェンジ!フツヌシ!」

 

フツヌシ「小僧!共にいくぞ!」

 

悠はフツヌシを召喚し、身構える。

ドゴーン!

 

悠に砲撃が着弾するが、

 

悠「ウオォォッ!」

武蔵「なに!」

 

悠にダメージは殆ど無い。フツヌシのスキル『仁王立ち』により、全てのダメージは半分になっているからだ。

そのまま悠は武蔵に突っ込み、斬りかかる。

 

ガキィン!

 

武蔵「くうぅ!」

(重い!なんだ?今までのやつとは別人だ!)

 

フツヌシ「よし!小僧!そのまま抑えていろ!イノセントタック!」

 

スギャーン!

 

武蔵「グアァッ!」

 

悠が武蔵と鍔迫り合いをしている隙を突き、フツヌシがイノセントタックを放つ。

 

武蔵(くっ!装甲を少し抜かれたか⁉︎)

 

悠(天城、頼んだ!)

「隙あり!チェンジ!スカアハ!」

 

スカアハ「いくよ嬢ちゃん!マハブフダイン!」

 

巨大な氷塊が武蔵に襲いかかる。

 

武蔵「なっ!グフッ!」

 

悠「よし!調子が戻ってきた!ブランクももう大丈夫だな。」

 

 

 

 

 

武蔵「…くっくっくっ、あーはっはっはっ!中々やるじゃないか!さっきまでの戦いが嘘のようだ!

どうやら貴様は本物のようだな!だが…勝つのは私だぁ!」

 

ドゴーン!

武蔵は再び主砲を放つ。

 

悠「くそっ!」

ズガーン!

 

武蔵「どうだ!この武蔵の主砲、伊達ではないぜ!」

 

悠はこれを躱しきれずに食らってしまうが、

 

悠(さっきは冷静さを失って、回復が疎かになってしまったからな。今度は余裕を持って回復しておこう。りせ!頼む!)

「チェンジ!イシュタル!」

 

イシュタル「まだまだいけますよね?メシアライザー!」

キュイーン!

 

光が悠を優しく包むと、悠の傷が全て消える。

 

武蔵「回復まで出来るのか⁉︎なんてやつだ!」

(まずい、長期戦は不利だ!弾着観測射撃で一気に決めるしかない!)

「それっ!行ってこい!」

ブゥーン!

 

武蔵は弾着観測射撃のために観測機を飛ばす。

 

悠「あれは飛行機⁉︎そうか!あれで上空から見てたのか!」

(なら!完二!漢を見せる時だ!)

「チェンジ!オーディン!」

 

オーディン「そのような玩具で、神たる我をどうこう出来ると思うな!万物流転!」

ビュオオオッ!

 

オーディンの万物流転によって、竜巻が巻き起こり、観測機を墜落させる。

 

武蔵「竜巻だと⁉︎くそっ!観測機が!」

 

 

 

 

大山「おお!鳴上君が押してるぞ!」

 

霧島「ええ!きっと、あれが彼の本来の力でしょうね。」

 

隼鷹「いっぺん死んで頭冷えたのかね?」

 

五十鈴「なんにせよ、これが最後のチャンスよ!ここで流れがまた武蔵に傾いたらもう終わりよ!鳴上ー!ここで決めなさーい!」

 

島風「いけー!頑張れー!悠ー!」

 

 

 

武蔵「ここまで追い込まれるのは久しぶりだ!まったく、楽しくなってきてしまったじゃないか!もっとだ!もっとやろう!」

 

悠「悪いが、それには答えられないな。そろそろ終わりにしよう!」

 

武蔵「そうか。なら、幕引きにしようか!貴様の敗北という形でな!」

ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!

 

武蔵は主砲を連射する。興奮はしているが、その狙いは正確無比。それを悠は迎え撃つ。

 

悠(直斗!迎撃頼む!)

「チェンジ!ノルン!」

 

ノルン「運命は既にこちらの手の内。マハガルダイン!」

ゴオォォ!

 

凄まじい風か悠の周囲に巻き起こり、武蔵の砲撃を防ぐ壁となる。

 

悠「そのまま続けて!」

 

ノルン「これが勝利への布石!ランダマイザ!」

 

武蔵「なんだ⁉︎身体が重く⁉︎」

 

ノルンのランダマイザにより、攻・守・速、全てのステータスが減少する。

 

悠(最後はクマ!お前だ!)

「チェンジ!ルシフェル」

 

ルシフェル「始まりの光を今ここに…光あれ、明けの明星!」

 

武蔵「な⁉︎うわぁぁー!」

ズウォーン!

 

ルシフェルの明けの明星が、凄まじい光りを放ち、一瞬だけ、演習海域は真っ白に染まる。

 

シュウゥゥ…

 

武蔵「ウグゥ…ゴホッ!ゼェゼェ…」

(な、なんという一撃だ…大破、してしまったか…)

 

武蔵は明けの明星をまともに受け、膝をついてしまう。そこに背後から…

 

チャキッ…

悠「これで俺の勝ちですね?」

 

悠が武蔵の首に剣を突きつける。

 

武蔵「…ああ、完敗だ。お前の勝ちだ。」

 

それに武蔵は両手を上げて降参の意を示す。

 

 

 

 

『そこまで!勝者、鳴上悠!』

 

 

 

 

 

「ウオォォッ!」「キャー!」「スゲー!」「勝ちやがった!」「私の間宮券がぁ〜!」「ウフフフ♪10倍♪10倍♪」

 

悠の勝利が決まった瞬間、輸送船から歓声が上がる。

 

島風「やったぁ〜!大勝利だね!」

 

大山「ああ!これで彼も提督だ!」

 

霧島「やりましたね!司令!」

 

隼鷹「ヒャッハー!祝杯だぁ〜!祝勝会だぁ〜!」

 

木曾「あいつ、やりやがったな。」

 

五十鈴「木曾!いつの間に⁉︎居たなら声かけなさいよ!」

 

木曾「いや、ずっと後ろに居たんだがな。声をかけようとしたんだが、演習が始まってしまってな。声をかけるタイミングを失った。」

 

五十鈴「そう…とにかく!鳴上が勝ったわ!やっぱりお祝いとかするのかしら?」

 

 

 

 

 

武蔵(ふふふ…負けた。これで二度目か。一度目は姉の大和に、そして二度目がこいつか…)

「なぁ、名前、もう一度教えてくれないか?」

 

悠「ん?あぁ、鳴上悠だ。」

 

武蔵「そうか。悠、子供だなんだと馬鹿にしてすまなかった。お前は一人前の戦士だったよ。」

 

悠「いや、俺なんてまだまだだ。武蔵、立てるか?」

 

悠は武蔵に手を差し伸べる。

 

武蔵「ありがとう。よっと。」

 

武蔵はその手を掴み、立ち上がる。

 

悠「よし!みんなのところにも…ど…」

フラッ

 

武蔵「おっと!緊張の糸が切れたか?」

 

悠は限界を迎えたのか、倒れそうになるが、それを武蔵が支える。

 

悠「スースー…」

 

武蔵「こいつめ、こんな所で寝るとは。まだまだ子供だな。まぁ、今は許してやるか。おやすみ、悠。」

 

 

武蔵に勝利した鳴上悠。

これから、彼にはどのような出会い、そして試練が待ち受けているのか…

今はただ休ませてあげよう。

 

 

to be continue...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




?「ん…ここは?」
?「ヨウ。起キタカ。」
?「君は…人間?」
?「イヤ、違ウネ。俺ハ深海棲艦。戦艦レ級・flagshipダ。オ前ハ?」
?「僕の名前?僕は…」

次回ペルソナ4 the K.C.
空ッポノ欲望



「足立 透だよ」


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第六話 空ッポノ欲望

はい、第六話でございます。
キャベツ…もとい足立が参戦です。
活動報告に書いたヤバいシーンは次回に持ち越し。1クッション置かせてもらいます。もし、沈めてほしくない艦娘がいたらご一報ください。詳しくは活動報告のログにあります。
また、今回は地の文が行方不明になってしまいました。
勢いで書いたらこんななっちゃいました。安定しないね。ちゅらいね。
こんな不安定な素人小説、お楽しみ頂ければ幸いです。


〜〜太平洋・地図にない島〜〜

 

 

?「フンフンフーン♪」

鼻歌を歌いながら浜辺を散歩する一人の少女。ただし、その肌は灰色。

 

?「ン?」

少女は何かを見つける。

 

?「コレハコレハ珍シイ、人間ガコノ島ニ流レ着クトハ。コノアタッシュケースハコイツノカ?」

 

少女は倒れている人間を担ぎ、アタッシュケースを拾って帰路につく。

 

?「見ツケタノガ俺デヨカッタナ。優シイ優シイレ級様ガ助ケテヤロウ。」

 

 

〜〜深海棲艦軍本部基地・レ級自室〜〜

 

 

 

?「うーん…あれ?ここは…?」

 

レ級「オオ、起キタカ。」

 

?「君は…人間?」

 

レ級「イヤ、俺ハ深海棲艦、戦艦レ級flagship。レフトデモ呼ンデクレ。オ前ハ?」

 

?「レフちゃんね。僕は足立透。よろしくね。」

 

レフ「アァ、ヨロシク。」

 

 

足立「ところで…ここはどこなんだい?僕は町で買い物をしてた筈なんだけど…」

 

レフ「ココハ深海棲艦軍本部基地。オ前ハ浜辺ニ倒レテイタノサ。ソレヲ俺ガ見ツケテ自分ノ部屋ニ運ンダンダ。

感謝シロヨ?モシカシタラ殺サレテタカモシレナインダカラナ。」

 

足立「そ、そぅ。ありがとう。質問ばっかりで悪いんだけど、深海棲艦ってなんだい?君は人間じゃないのかい?」

 

レフ「アー…知ラナイ?…足立、オ前ノ国ハドコダ?」

 

足立「え?日本だけど?てか、君もそうじゃないの?日本語使ってるし。」

 

レフ「イイコトヲ教エテヤル。コノ世界ニ日本ナンテ国ハ無イゾ?」

 

足立「………あはは、そんなまさか…」

 

レフ「……」

 

足立「本当に?」

 

レフ「アァ。」

 

足立「………ええぇっ!じ、じゃあここは…異世界?」

 

レフ「サアナ。ダガ、ソノ様子ジャア多分ソノ予想デ当タリダロ。」

 

足立「ね、ねぇ、地図!地図ない?世界地図!」

 

レフ「チョット待ッテロ…アー…」ゴソゴソ

「アッタゾ。ホラヨ。」

 

足立「ありがと。えーと…あ!なんだ!あるじゃーん!ほら、ここに日本が…」

 

レフ「ソノ島国ハ日ノ本国(ヒノモトノクニ)ダ。名前ハ似テイルガナ。違ウゾ?」

 

足立「…え?だって形も一緒だし…。…あー!分かったぞ!パラレルワールドってやつでしょ⁉︎うーん、なんだか冴えてるぞ!」

 

レフ「ヨカッタナ、謎ガ解ケテ。合ッテルカ知ランガ。」

 

足立「…ええぇぇっ!ちょっと待って!これどうすんのさ!僕、どうやって元の世界に帰ればいいのさ!」

 

レフ「落チ着ケ。ホラッ、オ前ト一緒ニ拾ッタアタッシュケースダ。コレニナニカヒントガアルカモシレナイゾ?」

 

足立「え?なんだろ?僕のなの?まぁいいや。開けるよ?」ガチャッ

「えっと…これは銃?ハンドガンってやつかな?こっちは靴?」

 

レフ「オオ、マリンフローターダナ。」

 

足立「マリンフローター?」

 

レフ「ソレハ海ヲ移動スル為ノ装備サ。カナリ良イモノダゾソレ。普通ノ靴サイズマデ小型化サレテルノハカナリレアダ。」

 

足立「ふーん…結局手掛かり無しかぁ…」

 

レフ「…ナルホド。ヨシ、足立、ウチノボスニ会ワセテヤル。」

 

足立「え?どういうこと?」

 

レフ「ソノアタッシュケースノ中身、マルデ戦エト言ワンバカリノモノダ。ドウセ行ク当テモ無イダロウ?深海棲艦軍デ働イタラドウダ?ナニ、俺ニ任セロ。」

 

足立「え?えぇっ⁉︎ちょっと待って!」

 

レフ「待タン。善ハ急ゲダ、イークーゾー。」

 

足立「ちょっ!引きずらないで!てか、力強ッ!」ズルズル

 

 

 

 

〜〜深海棲艦軍本部基地・指令室〜〜

 

 

レフ「入ルゾ〜。」ガチャ

 

足立「はぁ…結局連れてこられちゃったよ。」

 

?「ハァ…オイレフ、ノッククライシタラドウダ?」

 

レフ「ハイハイ、ソレヨリ面白イヤツヲ連レテキタゾ。ホラッ、アイサツ。」

 

足立「どうも、足立透です。浜辺に倒れていた所をレフさんに救助されました。」

 

戦艦水鬼「私ハ深海棲艦軍司令官、戦艦水鬼。…貴様、人間カ?」

足立「あ、はい。異世界出身みたいですけど。」

 

戦艦水鬼「異世界?ドウイウ事ダ?」

 

足立「僕、こっちに来る際の記憶が無くって。覚えているのは、町で買い物をしてた筈って事だけ。気づいたらこの世界に居て…。なんでこの世界に飛ばされたのか全然分からなくて。」

 

戦艦水鬼「ハァ…今ハ余計ナ事ヲシテル暇ハ無イノダガ…」

 

レフ「マァ、ソウ言ウナヨ。ソレヨリサ、コイツ仲間ニシナイカ?」

 

戦艦水鬼「ナニヲ馬鹿ナ事ヲ…使イ物ニナルノカ?」

 

レフ「知ラン。ダガコイツ、銃トマリンフロータート一緒ニコッチニ流レ着イテイタンダ。試ス価値クライハアルダロウ。」

 

戦艦水鬼「…オイ、足立トイッタカ?貴様ハ戦エルノカ?」

 

足立「え?えっと…」

(ペルソナ能力は…多分大丈夫かな?でも何と戦うんだ?)

「戦うのは大丈夫だと思うけど、何と戦うんだい?それに、僕は君達の事を何も知らないんだけど?」

 

戦艦水鬼「…レフ、オ前説明シテナイノカ?」

 

レフ「…スマン。」

 

戦艦水鬼「ハァ…足立、少シ長クナルゾ?」

 

足立「構わないよ。」

 

戦艦水鬼「サテ、何カラ話シタモノカ…」

 

 

 

 

私達、深海棲艦ハ初メカラコノ世界ニイタワケジャナイ。

コノ世界ニクル前、私達ハ単ナル負ノ感情ト記憶ノ塊ダッタ。

囮ヲ強要サレタ船、無謀ナ特攻ヲセザルヲエナカッタ艦隊。退路ヲ断タレ、嬲リ殺シニサレタ艦隊。建造サレタハイイガ、出来損ナイ、失敗作トサレ、マトモニ戦ウコトモナク解体サレタ船。

コウイッタ不当ナ扱イヲ受ケタリ、悲惨ナ最期ヲ迎エタ艦隊ヤ、ソノ乗組員達ノ想イ、ソノ塊トシテ、何モ無イ空間ヲタダ漂ウダケダッタ。今マデモ、コレカラモ、ズットソウナル筈ダッタ。

シカシ、私達ハコノ世界ニ深海棲艦トシテ生マレ変ワッタ。

理由ハ分カラナイ。ダガ、ソレデモヨカッタ。

私達ハ過去ノ無念ト怨ミヲ晴ラス為。散ッテイッタ同士ノ弔イノ為。

ソシテ何ヨリモ、私達ガ幸セニナレル世界ヲ作ル為。

私達ノ目的ハ、私達ヲ使イ捨テノ捨テ駒ニシタ人間ヘノ復讐ト、深海棲艦ノ、深海棲艦ニヨル、深海棲艦ノ為ノ国ヲ作ルコト。

ダガ、ソウ簡単ニ事ハ運バナカッタ。

人間ドモニ味方スル存在。『艦娘』

人間ダケナラコノ世界ヲ制圧スルノハ簡単ダッタダロウ。ダガ、突然現レタ、私達ト正反対ノ存在デアル艦娘達ハ人間ト手ヲ組ンダ。

ソコカラハ戦争サ、殺シ殺サレ…ダガ、私達ハ退ク訳ニハイカナイ。必ズコノ戦争ニ勝チ、私達ノ世界ヲ作ル。死ンダ者達ノ為ニモナ…

 

 

 

 

戦艦水鬼「マァ、コンナトコロダ。何カ質問ハ?」

 

足立「…僕と似てるな…」

 

戦艦水鬼「ン?似テイルダト?」

 

足立「いやいや!君達の過去と比べるなんて、とてもおこがましいんだろうけどさ。

…僕は少し前まで警察官だったんだ。その中でもキャリア組っていう、いわゆるエリートだったんだけど、僕のことが気にくわない上司がいてね。

その上司に些細なミスで揚げ足取られて、あーだこーだ難癖付けられて地方の田舎に左遷されちゃったんだ。

おかげで出世の道は閉ざされちゃったよ。

もう何もかもがどーでもよくなってね。

そんで、殺人、犯罪教唆、脅迫と色々やっちゃった訳。

まっ、最後は正義の味方に倒されて、『僕は何やってるんだろう』ってなってね。

そんで、裁判で執行猶予付きの実刑判決もらってね。そしたらいつの間にかこの世界に飛ばされてたのさ。

……あのさ、僕にも何か出来ることは無いかな?なんていうかさ、ほっとけないっていうか、罪滅ぼし…じゃなくて…とにかく!僕は君達の力になりたいんだ。…だめかな?」

戦艦水鬼「……ソコマデ言ウナラ入隊テストダ。

内容ハ鹵獲サレタ仲間ノ救出。潜水艦偵察部隊ノ報告ニヨルト、敵輸送船内ニ囚ワレテイルソウダ。

敵輸送船内ニ潜入シ、速ヤカニ仲間ヲ救出、仲間ヲ連レテ無事ニ撤退出来レバ合格ダ。

ホラッ、海図ト作戦要項ダ。準備ガ出来次第出撃ゲートニ来ルヨウニ。」

 

足立「え⁉︎あっ!はい!が、頑張ります!」

 

レフ「フフフ、ヨカッタナ。チャッチャト準備シテ行クゾ。」

 

足立「うわっ!また!引きずらないで〜!」

 

 

 

 

〜〜深海棲艦軍本部基地・出撃ゲート〜〜

 

 

足立「よし、準備オーケー!」

 

戦艦水鬼「ヨシ、言ッテオクガコレハ実戦ダ。シクジレバ殺サレルト思エ」

 

足立「わ、分かったよ。ん?君達は?」

 

リコリス「私ハ飛行場姫。ミンナカラハリコリスッテ呼バレテルノ。コノ子ハ…」

 

ホッポ「ホッポチャンダヨ!」

 

足立「そっか。よろしくね。」

 

リコリス「アノ…姉ヲ助ケテ下サイ!私達ヲ逃ス為ニ囮ニナッテ…ソレデ捕マッチャッタノ…オ願イシマス!」

 

ホッポ「オ願イ!ホッポノオ姉チャンヲ助ケテ!」

 

足立「任せておいて!こう見えて僕、結構強いんだよ!きっと助けてみせるから!じゃあ、行ってくるよ!」

 

 

 

 




無事…とは言い難いものの、敵輸送船内への侵入に成功した足立。
そこで足立が目にしたのは、水夫から暴行を受ける湾港棲姫の姿だった。
湾港棲姫「オ願イ…モウヤメテ…」
足立「おい…何してんだよ!お前らー!」

次回ペルソナ4 the K.C.
伊邪那岐禍津神(イザナギノマガツカミ)

足立「任務変更だ…お前ら全員皆殺しにしてやる!」


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第七話 伊邪那岐禍津神

どうも、一週間以上間が空いてしまいましたね。黒城です。
今回は足立が湾港棲姫を救出に向かう話。足立が無双する上、艦娘轟沈。人によっては不快な思いをすると思いますので要注意。

お陰様で第七話投稿の時点で通算UA7889、お気に入り件数64件。
台本形式というハーメルン内ではあまりよろしくない方式、安定しない文体、etc…恒例になりつつあるこの一文ですが、こんな駄文にお付き合い頂きありがとうございます!
読んでくださる方がいる限りは、完結に向けて頑張りますのでよろしくお願いします!





〜〜深海棲艦軍本部基地・近海〜〜

 

 

足立「いや〜、気持ちいいねこれ。本当に海の上を滑ってるよ。」

 

基地を出発した足立は、マリンフローターを試しながら進んでいく。

 

足立「おっと、遊んでる場合じゃないな。えーと…地図はと…」

足立は海図を取り出し、しばらく眺めたていたが…

 

足立「………読めない…」

足立は海図が読めなかった…

 

足立「…うわぁ〜…ヤバい…今から戻って聞きに行くの?カッコ悪いなぁ…。」

 

レフ「オーイ!足立ー!」

 

足立「ん?あぁー!レフちゃん!助かったー!」

 

 

 

足立「ちょうどいい所に来てくれたよ!実はさ、海図が読めなくて困ってたんだよね。」

 

レフ「ソンナコトダロウト思ッタゾ。途中マデ一緒二行ッテヤルカラ感謝シロ。ホラ、海図貸シナ。」

 

足立「あ、はい。よろしく頼むよ。」

 

レフ「…フーン。ヨシ、コッチカ。ツイテコイ。」

足立のピンチに駆けつけたレフは、海図を受け取り、足立を先導する。

 

 

 

 

数時間後…

 

グウゥゥ〜

足立の腹の虫が鳴く。

足立「ううぅ…お腹空いた…朝も食べてないのにこれはキツイな…」

 

太陽の位置は南中、つまりお昼時。普通なら昼食を取り始める時間であり、無論足立も例外ではない。むしろここまで休み無しで海を進んでいるのでかなりの空腹である。

しかも、この世界に飛ばされたタイミングが朝食の買い出しに出ていたところであり、足立は朝食抜きの状態なのだ。

 

レフ「ン〜、少シ休憩スルカ。アト少シデ目標ノポイント二到着スルカラ、今休憩シトカナイトナ。」ごそごそ…

 

そう言うと、レフは懐から何かを取り出し、足立に渡す。

 

レフ「ホラ、携帯食ト水ダ。味ハ、マァ、オ察シダガ、空腹ヨリハマシダロ?」

 

足立「ありがと。モグモグ…なんだろ?カ◯リーメ◯トのプレーン?そんな感じだね。うん。モグモグ…美味しくは無いけどそこまで悪いもんじゃないね。」

 

レフ「モグモグ…ソウイエバオ前、人ヲ殺シタコトガアルンダヨナ?」

 

足立「ん、そうだね。僕が直接殺したわけじゃ無いけど。」

 

レフ「ドウイウ事ダ?」

 

足立「ん〜、ちょっと長くなるけどいいかい?」

 

レフ「アア、ワカッタ。」

 

 

キャベツ説明中…

 

 

 

レフ「フーン。田舎ニ左遷サレテイライラシテル時ニ、ナンパニ失敗して頭ニキタカラ、ソノ女ヲ突キ飛バシタラテレビノ中二落チタ。ソシテ数日後ニ変死体トシテ発見サレタト。

ソノ後ハ、同ジ能力ヲ持ッタ人間ヲソソノカシテ、自分ノ代ワリニテレビ二落トサセテイタト。

罪ガ軽イ上ニ、執行猶予ガ付イテイタノハ立証出来ナイカラカ。」

 

足立「要約ありがとう。こんな僕だけど、一応反省はしてるよ?今も罪を償いたいって気持ちはちゃんとあるしね。」

 

レフ「ソウカ。ダガ、敵ヲ殺スコトヲ躊躇ウナヨ?戦争ニ罪ノ意識ハ持チ出スナ。生キ残リタケレバナ。」

 

一応は罪の意識がある足立に、レフは躊躇うなとくぎを刺すが…

 

足立「まっ、そこらへんは割り切っていくしかないね。」

 

足立はそう軽く返す。罪の意識はあっても、罪の重さは気にしていないようだ。

 

レフ「フーン…ソロソロ行クカ。思ッタヨリ話シ込ンデシマッタカラナ。飛バスゾ。」

 

 

 

 

再び歩を進める二人。しばらくするとレフは立ち止まり、懐からやたらゴツい双眼鏡を取り出して、辺りを見回す。

 

レフ「ココラナンダケドナー。」

 

足立(あのパーカーの中、色々入ってるな。中はどうなってるんだろ?)

 

レフが周囲を見回している間、足立はしょうもない事を考えている。緊張感の欠片もない。

これからとんでもない事をされると知らずに…

 

 

 

 

レフ「見ツケタゾ。輸送船ダ。」

 

しばらくして、レフは目標の輸送船を見つける。

 

レフ「チッ、案ノ定ガチ艦隊デ護衛シテヤガル。空母2隻二戦艦1隻、重巡1隻、軽巡2隻カ。コレジャ普通ノ方法ジャ潜入ハ無理ダ。」

 

足立「そんな!せっかくここまで来たのに⁉︎」

 

足立が驚きの声を上げるが、それに対し、レフはニヤリと笑みを浮かべる。

 

レフ「イヤー?方法ナラチャーントアルゼー?」

 

足立「…なんだか凄い嫌な予感がするんだけど…」

 

レフ「ジャアイクゾー!」

 

そう言うと、レフは足立の襟首をいきなり掴むと…

 

足立「へ?」

 

レフ「オンドリャー!」

 

足立「ウワアァァァァァァァァッッッッ!」

 

輸送船に向かっておもいっきりぶん投げた。

 

レフ「ナイスピッチ俺。我ナガラ良イコントロールダ。」

 

空を飛んで行く足立を満足そうに見送った後、レフも輸送船に向かいながら大声を上げる。

 

レフ「サテ、モウ少シダケ手伝ッテヤルカ。オイ!雑魚共!チョット遊ンデヤルヨ!」

 

 

 

 

〜〜輸送船内・甲板〜〜

 

 

ドガシャーン!

足立「痛たた…普通の人間だったら死んでたぞ…」

 

レフに投げ飛ばされた足立は凄い音を立てて甲板に墜落した。

その時、墜落した音を隠すかのように、大きな爆発音と大声が響く。

「ギャハハハハ!」

「深海棲艦が出たぞー!」

 

足立(レフちゃん…囮になってくれたのかな?よし!今のうちに!)

 

 

 

レフ(…ソロソロ中二入ッタカ?俺モ撤退スルカナ〜)

「オット〜、ソロソロオヤツノ時間ダ〜。コレニテ失礼スルヨ。次ハモウチョイ楽シマセテクレヨナ〜!」

 

瑞鶴(ずいかく)「あ!こら!待ちなさーい!」

 

翔鶴(しょうかく)「瑞鶴!深追いは駄目よ!私達の任務は輸送船の護衛よ!」

 

瑞鶴「む〜…」

 

 

〜〜輸送船・船内〜〜

 

 

足立「こちらスネ◯ク、敵の輸送船内に侵入した。なーんちゃって!……一人でやっても虚しい…」

 

輸送船内に侵入した足立だが、やはり緊張感の欠片も無い。まさにお気楽刑事ここにありだ。

 

足立「さっさと見つけて脱出しないとね。まったく…生きた心地がしないよ〜…」

 

少しばかりビビりながらも、銃を構えながら慎重に進んでいく。

ズッコケ刑事と思われがちだが、足立はエリートである。真面目にやればかなり有能であり、今回は人命…もとい艦命がかかっているので、足立も真面目モードである。

その甲斐あって、足立はどんどん奥へと進んでいく。

 

 

そうしているうちに、足立は一つの部屋に辿り着く。

 

足立「ここは…倉庫?中から人の声がするな。ちょっとだけ覗いてみるか。」

 

足立は中に入ると、複数の人影を見つけ、慌てて物陰に隠れる。

 

足立(危な〜…ん?あれは…もしかしてあの子が湾港棲姫?)

 

物陰から覗いた先には、鎖で繋がれている湾港棲姫と、ざっと10人位の水夫の姿があった。

 

「この人類の敵が!」ドガッ!バキッ!

「アハハハッ!いい気味だ!」

「おら!なんとか言ったらどうだ!」バキッ

 

湾港「グッ…ガハッ…」

 

足立(なんだよこれ…酷い…とにかくあいつらがこの部屋から出て行くまで我慢だ…)

 

「ほらほら〜、反応無いとつまんないなぁ〜…そらっ!」ドガッ!

 

湾港「グゥッ!ウウウ…」

 

足立(我慢だ…我慢…)ギリギリ…

 

暴行を加えられる湾港棲姫を目の当たりにし、自己中心的な筈の足立の心に怒りがこみ上げてくる。今までの足立からは、考えられない変化だ。あの事件を通して足立も成長したという事だろうか。

 

「ん?なんだこれ?はっ!深海棲艦のくせにリボンなんかつけてやがる!」

「はぁ?本当だ、へへへ…」

 

湾港棲姫の髪に結ばれていたリボンを見つけた水夫はそれを解いて奪う。

 

湾港「イヤッ!ヤメテ!返シテ!」

 

「ん?ようやく口を利きやがったな。」

「よっぽどこれが大事なんだろうな。」

「よっし!このリボン燃やしてやろうぜ!」

 

湾港「ソンナ!オ願イ!ヤメテッ!」

 

「はっ!深海棲艦に言われて止めるわけないだろ?お前がどんな顔するのか楽しみだな。」

 

そう言って、水夫の一人がライターでリボンに火をつけようとする。

 

湾港「イヤァァー!」

 

足立「やめろー!」

 

とうとう我慢出来なくなった足立は物陰から飛び立し…

 

足立「ウワァー!」

 

「なんだ!お前、グァァッ!」

 

リボンを持っていた水夫を、警察仕込みの柔術で床に叩きつけ、リボンを取り返す。

 

足立「ハァハァ…これ、大事な物みたいだね。ちょっと待ってて…」

 

足立はリボンを結び直そうとするが、イマイチ上手く結べない。

 

足立「あはは…ちょっと不恰好だけど、今はそれで我慢してて。後で自分で直しといてね?」

 

湾港「エ?ア、アリガト…アナタハ…」

 

足立「あぁ、僕は君の救出に来たんだ。詳しい話は後でするよ。その前に…」

 

「なんだお前は⁉︎くそっ!侵にゅ…」

 

 

 

 

 

 

 

パァンッ!

 

 

 

 

 

 

 

「ガハッ!…」ドサッ…

「ヒッ!」

「な、殺し…」

 

足立「はぁ…やっぱり世の中クソだな…

任務変更、この子を助けてさっさと脱出するつもりだったけど、気が変わったよ。お前ら全員皆殺しにしてやる!」

 

 

空っぽだった足立の心に怒りの炎が燃え上がる。自分の為ではなく、他人の為に燃え上がるそれは、禍々しくも美しい輝きを放ち、マガツイザナギに新たな力をもたらす。

 

 

 

足立「ペルソナー!」

 

マガツイザナギは、伊邪那岐禍津神(イザナギノマガツカミ)に覚醒した!

 

「ヒイィッ!」

「ば、化け物!」

 

足立「空間殺法!」

 

足立が伊邪那岐禍ツ神に指示を出すと同時に、その剣が振るわれ、一振りで空間を切り裂いていき…

 

ザシュッ!グシャ!ザクッ!グチャ!

 

一瞬で、倉庫内にいた水夫を全員細切れにした。

 

 

足立「ふぅ…ちょっとやり過ぎたかな?そこら中血まみれだよ。ていうか、やってしまった…もう人間側には戻れないぞ…」

 

湾港「あ、あの…」

 

足立「あ、ごめんごめん、今その鎖を外すから。伊邪那岐禍津神!」

 

足立は再び伊邪那岐禍津神を召喚し、

 

足立「木っ端微塵切り改!」

 

湾港「キャアッ!」

 

湾港棲姫を繋いでいた鎖や枷を切り裂き、破壊する。

 

湾港「モット優シク外シテホシカッタ…」

 

足立「ご、ごめん。」

 

湾港「助ケテクレテアリガトウ。ソレデ、アナタハ一体何者ナノ?」

 

足立「僕は足立透。君たちの仲間に入れてもらう為の試験ってことで、君の救出に来たんだよ。」

 

湾港「人間ナノニ?アナタ、変ワッテルノネ。」

 

足立「ははは…とにかく僕について来て!この船を制圧するよ〜!」

 

 

 

 

足立は湾港棲姫を連れ、船内を駆け回り、水夫達を始末していく。

 

「来るなー!」

「ギャアー!」

パァンッ!パァンッ!

ザシュッ!グサッ!

「マズいぞ!本部にれんr、ガフッ!」

 

足立「ペルソナー!」

 

その姿はまさに鬼神の如く。実際の戦闘は全て艦娘頼みの人類は、なす術も無く足立に殺されていく。

 

 

そして粗方船内を回り終えた足立と湾港棲姫は、最後の部屋となる操舵室の前に来ていた。

 

足立「さて、残るはここだけだね。じゃあ、開けるよ…」

ガチャ、

 

足立「ん?開かない…チッ、鍵なんかかけやがって…湾港さん、ちょっと下がっててもらえるかな?」

 

湾港「ワカッタ。」

 

足立は湾港棲姫を後ろに下がらせると、扉に向かってペルソナ魔法を叩き込む。

 

足立「木っ端微塵切り改!」

 

明らかにやり過ぎな方法で扉をバラバラにする。

 

「ヒイィッ!」

「くそっ!もうここまで!」

「本部に連絡は取れたのか⁉︎」

「今、救援を要請しています!」

 

足立「さーて、なんだか余計な事してるみたいだね?それっ。」

 

 

 

パァンッ!

 

 

 

「」ドサッ…

「おい!大丈夫か⁉︎」

「貴様〜!」

 

水夫の一人、服装から将校クラスと思われる人物が日本刀で足立に斬りかかる。

 

足立「はぁ…テトラカーン。」

 

しかし、その剣は足立に届くことは無く、自らを切り裂いた。

 

「グゥッ!」

「船長!」

 

足立「面倒くさいな〜。無抵抗で殺されてよ〜?勝てないって分かってるんでしょ?命乞いとかしないの?まぁ、命乞いしたって殺すんだけどね。空間殺法!」

 

 

足立「ふぅ…これで制圧完了!」

 

湾港「…多分マダダト思ウ。コノ船ヲ護衛シテル艦娘ヲ倒サナイト帰レナイ…アト、コノ船ノ通信システムヲ破壊シナイト…」

 

足立「あー…まだやる事があるのか…どれ壊せばいいか分かる?」

 

湾港「ウン。コレト、コレト…」

 

 

 

パァンッ!パァンッ!パァンッ!

 

 

 

足立は湾港棲姫に破壊すべき機材を教えてもらい、銃を撃ち込み破壊する。

 

足立「よし、これであとは艦娘ってやつだけだね。」

 

湾港「ドウスルノ?」

 

足立「ん〜…ちょっと考えさせて。」

 

 

 

 

キャベツ思考中……

 

 

 

 

 

足立「よし、湾港さん、この船ってまだ動いてるんだよね?」

 

湾港「ウン。マダ動イテル。」

 

足立「じゃあさ、一旦止めてもらっていいかな?」

 

湾港「?ワカッタケド…何ヲスルツモリ?」

 

足立「まぁ見ててよ。」

 

 

 

 

 

 

瑞鶴「もぅ…なんだったのかしら?さっきの深海棲艦。」

 

名取「えっと…わかりません。攻撃らしい攻撃も最初の一発だけでしたし…」

 

摩耶「本当、訳ワカンね〜よな。ひたすら回避に徹してたし、何が目的だったのかね?」

 

酒匂(さかわ)「おやつっていってたから、お家に帰る途中だったんだよ!」

 

陸奥「もう、みんな!過ぎたことを言っても仕方ないわよ?今は任務に集中して!」

 

翔鶴「…⁉︎ねぇ、ちょっと待って!輸送船が止まったわよ!」

 

陸奥「あ〜!もうっ!なんでこうトラブルばっかりなのよ〜!」

 

 

 

 

 

 

足立「ふーん。あれが艦娘かー。」

 

輸送船を停止させた後、足立は甲板に出て、敵の様子を見ていた。

 

足立「よしよし、船が止まって戸惑ってるな。作戦開始!」

 

足立は艦娘が混乱している様子を見て、行動を開始する。

 

 

 

 

足立「ウワァー!助けてくれー!」

 

足立はわざとらしく大声を上げて助けを求める。

 

陸奥「⁉︎どうしたの!船が止まってるけど、何があったの⁉︎」

 

足立「実はこの船、鹵獲した深海棲艦を載せてたんだけど…それが暴走して!」

 

摩耶「なんだと!」

 

酒匂「ウワァー、それは大変だ!」

 

翔鶴「輸送船の護衛に、私達空母や戦艦が投入されてたのは、そういうことだったのね。」

 

足立「ねぇ!とにかくヤバいんだよ!今から飛び降りるよ!マジだよ!あぁ⁉︎もうそこまで来てるー!え、えーい!」

 

瑞鶴「えっ⁉︎ちょっ!」

 

翔鶴「くっ!間に合って!」

 

足立は大袈裟に芝居を打ち、海へ飛び降りる。

が、水面に叩きつけられることは無かった。

翔鶴がギリギリ間に合い、足立を受け止めたのだ。

 

翔鶴「ふぅ…ギリギリね。」

 

陸奥「翔鶴さん!ナイスキャッチ!」

 

足立「いや〜、本当有難いよ。こんな無防備に近づいて来てくれたんだもん。」チャキッ

 

翔鶴「えっ?モゴッ⁉︎」

 

足立は、自分を抱き抱えている翔鶴の口に銃を突っ込み…

 

 

 

 

 

 

 

 

パァンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭を撃ち抜いた。

銃弾は喉から後頭部にかけて貫通し、翔鶴は崩れ落ち沈んでいく。

足立は、沈んでいく翔鶴を振り解くと、水面に立つ。

 

足立「ふぅ。まずは一人。」

 

瑞鶴「あ…あ……」

 

陸奥「あなた…何て事を!」

 

酒匂「な、何が起こってるの⁉︎酒匂分かんない!」

 

名取「待ってください…あの人、海の上に立ってますよ…」

 

摩耶「おい…訳ワカンねーよ⁉︎何がどうなってんだ!」

 

瑞鶴「翔鶴ねぇ…沈んで…嫌…ウソ…う、ウアァァッッッッ!」

 

陸奥「なっ!落ち着いて瑞鶴さん!一旦陣形を整えないと!」

 

姉の翔鶴が沈んだショックで瑞鶴はパニックになり、足立に艦載機を飛ばして攻撃を仕掛ける。

 

足立「何キレちゃってんのさ。戦争で死人が出るのは当然なのに。空間殺法!」

 

足立はすかさず伊邪那岐禍津神を召喚し、空間殺法で艦載機をバラバラにする。

 

瑞鶴「え…ウソ…私の艦載機が…全滅…⁉︎」

 

陸奥「瑞鶴さん!お願い!早く下がって!」

 

足立「残念。遅いよ!木っ端微塵切り改!」

 

伊邪那岐禍津神の木っ端微塵切り改が、瑞鶴に襲いかかる。

 

瑞鶴「キャアァァ!」

 

名取「早く!こっちです!」

 

間一髪、直撃する寸前で、名取が瑞鶴の腕を掴み、引っ張る。だが、躱しきれずに…

 

瑞鶴「イヤァァッッ!私の腕がぁぁ!」

 

足立「あーあ、中途半端に避けるからそんな風になるんだよ。素直に当たってれば苦しまずに死ねたのに。」

 

陸奥「名取さん!瑞鶴さんを連れて逃げなさい!摩耶と酒匂ちゃんは私に続いて!この男を倒すわよ!」

 

摩耶「了解だ!」

 

酒匂「ぴゃああぁぁぁ!私も⁉︎こうなりゃヤケだ〜!」

 

足立「逃すと思ってんの?マハランダマイザ!」

 

敵の撤退の指示に素早く反応した足立は、マハランダマイザで動きを鈍らせる。

 

名取「あれ…?いつものスピードが出ない⁉︎」

 

摩耶「なんだ⁉︎身体が重く⁉︎」

 

足立「消し飛べ。アンティクトン!」

 

伊邪那岐禍津神は、バリアに包まれたごく少量の反物質を生み出し、撤退しようとしていた名取と瑞鶴の真上に向けて打ち上げる。

二人の上に到達した瞬間、反物質を包んでいたバリアが弾け、対消滅エネルギーが破壊をもたらす。

 

対消滅エネルギーの暴走が収まった跡には名取と瑞鶴の姿は無かった。無論、他の三人も無事では無い。

 

摩耶「ウグゥ…今のはヤバかったぜ…」

 

酒匂「ぴゃあ…痛いよ…」

 

陸奥「痛たた…くっ⁉︎名取!瑞鶴!どこ!」

 

足立「うひゃー。凄いね、まさか僕もここまでの威力とは思わなかったよ。完全に消し飛んじゃうなんてね〜。」

 

摩耶「テメェー!いい加減にしやがれー!」

 

摩耶は怒りにまかせて主砲を撃ちまくる。

 

足立「グアァッ!痛っ!熱っ!あぁっ!もう!無駄な抵抗はやめてくれないかな!」

 

酒匂「ヒュゥ!攻撃は普通に効く⁉︎」

 

陸奥「なら!私の主砲で!全砲門、開け!」

 

陸奥は砲門を解放し、全力で砲撃を仕掛ける。

 

足立「さすがにあれはマズい!間に合え!テトラカーン!」

 

 

ズガーン!

 

 

陸奥「やったの?」

 

足立「くっ…さすがに効いたよ。君達のステータスを下げてなかったら危なかったね。」

 

足立はギリギリのところでテトラカーンを発動させていた。テトラカーンで跳ね返した一発をほかの砲撃と相殺させてダメージを最小限に抑え込んだのだ。

 

足立「僕もそろそろ疲れたから、終わりにさせてもらうよ。ヒートライザ!」

 

足立は自らに強化魔法を使い、

 

足立「もう一回!霊魔集中!」

 

伊邪那岐禍津神に魔力を集中させる。

 

摩耶「マズい!デカイのがくるぞ!」

 

酒匂「ぴゃああぁぁぁ!まだ死にたくないよ〜!」

 

陸奥「…やるしか無いわよね。摩耶、酒匂、後は頼んだわよ!」

 

陸奥は、足立が力を溜めている隙に接近する。

 

摩耶「ちょっと待てよ!何する気だ!」

 

陸奥「今この男を倒しておかないと、きっと大変なことになるわ!…みんな、ごめん!」

 

 

 

 

 

 

足立「さぁ、最後に…なっ!」ガシッ!

 

陸奥「捕まえた!周りが見えなくなるくらい集中してたみたいね!さぁ、一緒に沈んでもらうわよ!」

 

そう言うと、陸奥は自らの第三砲塔に火を放ち…

 

足立「クソッ!テトラ…」

 

 

 

 

 

 

ドゴォーン!

 

 

 

 

 

自爆した。

 

 

 

 

 

摩耶「おい…ウソだろ…自爆だなんて、陸奥の姉御らしくねぇよ!おい!返事しろよ!」

 

酒匂「ぴゅー…グスン…みんな死んじゃった…」

 

摩耶「チクショー!私がもっと強ければ…」

 

酒匂「ヒグッ、グスン…」

 

 

 

「そうだね」

 

 

 

摩耶・酒匂「!!!」

 

 

 

 

足立「いやー、まさか自爆とは…マガツイザナギのままだったら死んでたね。

ふふふ…じゃあ、さよなら。メギドラオン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜深海棲艦軍本部基地・埠頭〜〜

 

 

レフ「ン〜、マダカナマダカナ〜。」

 

レフは、埠頭で海を眺めて足立の帰りを待ちわびている。

 

戦艦水鬼「…アノ男ガソンナニ心配カ?」

 

レフ「インヤ、全然?ボスノ方コソ、コンナトコロマデドウシタヨ?ナンダカンダ言ッテ心配ナンダロ?」

 

戦艦水鬼「フンッ!寝言ハ寝テカラ言ウンダナ。」

 

レフ「ハイハイ…ウン?アレハ…」

 

戦艦水鬼「ナ!何故人間共ノ輸送船ガ!」

 

戦艦水鬼は輸送船に向けて攻撃を仕掛けようとするが、

 

「おーい!無事に帰って来たよ〜!」

 

レフ「チョッ!待テ!アレニ足立ガ乗ッテルゾ!」

 

戦艦水鬼「ハァ⁉︎ドウイウ事ダ?」

 

 

 

 

 

 

足立「ただいま〜っと!足立、只今帰還しましたであります!」

 

レフ「オオ!ヨク帰ッテキタナ!ハハハ、ボロボロジャナイカ。」

 

足立「まあね。少し死にかけたし。そんな事よりさ!湾港さん!」

 

足立は湾港棲姫に下船するよう促す。

 

湾港「…ボス、只今戻リマシタ…」

 

戦艦水鬼「…湾港棲姫。」

 

湾港「…ハイ。如何ナル罰モオ受ケシマス。」

 

戦艦水鬼「……フフフ、ヨクゾ戻ッテ来テクレタ…落トサレタ基地ノ事ナラ気ニスルナ。ホラ、オ前タチ?」

 

リコリス「姉サン?姉サンナノ!」

 

ホッポ「ウワァーン!オ姉チャーン!」

 

湾港「リコリス!ホッポチャン!心配カケテゴメンネ!本当ゴメンナサイ!」ギュー!

 

 

 

足立「姉妹の感動の再会、そんで抱擁。これにて一件落着かな?試験は合格ってことでいいのかい?」

 

戦艦水鬼「アア。ダガ、コノ船ハ一体ドウシタノダ?」

 

足立「この船?クルーを皆殺しにして湾港さんごと持ってきたんだよ。」

 

戦艦水鬼「…護衛ニ艦娘ガ就テイタ筈ダガ、ソレハドウシタノダ?」

 

足立「あぁ、こっちも結構やられちゃったけど、全員沈めて来たよ。…もしかして死体とか装備とか持ってきた方が良かったかな?」

 

戦艦水鬼「ナッ!全滅サセタノカ!」

 

レフ「マジカ!ヤルナ足立!」

 

戦艦水鬼「…ヨシ、ワカッタ。今カラオ前…イヤ、足立透。貴官を我ガ軍ニ迎エヨウ。」

 

レフ「ヤッタナ足立!」

 

足立「よっしゃー!これでダメとか言われたらどうしようかと思ったよ!」

 

戦艦水鬼「時ニ足立ヨ、貴官ガ戻ッテクルトハ思ッテイナカッタノデナ、部屋ノ用意ナド何モ出来テイナイノダカ…」

 

レフ「ジャア、部屋ノ用意ガ出来ルマデ、俺ノ部屋ニ居候ダナ。」

 

足立「え?いいの?じゃあお世話になります!」

 

 

 

〜〜深海棲艦軍本部基地・司令室〜〜

 

 

時刻は深夜…深海棲艦といえど、睡眠は取らなくてはいけない。殆どの者が眠りについている中、司令室に明かりを灯し、まだ起きている者がいる。戦艦水鬼だ。

 

戦艦水鬼「フフフ…レフノヤツメ。トンデモナイ拾イ物ヲシテクレタモノダ。マサカココマデトハ…」

 

戦艦水鬼は密かに偵察機を足立に尾けており、今はその偵察機が撮影してきた一部始終を見ている。

 

戦艦水鬼「コレナラ勝テル!ククク、次ノ大規模作戦ノ会議ガ楽シミニナッテキタゾ!」

 

 

フッフッフッ…ハーハッハッハッ!

 

 

 

次の日、夜中の司令室に魔王が出るという噂が流れるが、それは別のお話。




隼鷹「オッス!私隼鷹!悠が武蔵に勝利したから打ち上げだー!酒が飲める酒が飲める酒が飲めるぞー!」
大山「隼鷹、盛り上がってるところ悪いんだけど、祝勝会は『甘味処間宮』でやるからね?お酒は出ないよ?」
隼鷹「」


次回ペルソナ4 the K.C.
新たな出会い!新しい旅立ち!


悠「新しい出会いか、楽しみだな!」
島風「仲良くなれるかな?」
悠「島風なら大丈夫だ!」


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第八話 新たな出会い!新しい旅立ち! 前編

どうもです。黒城です。難産です。
一ヶ月以上かけても書き終わらないという…そのくせクオリティは据え置きorz
これ以上間が空くのはまずいので、とりあえず今書いてある分から、キリのいいところまでを前編として投稿させてもらいます。


〜〜ベルベットルーム〜〜

 

 

悠(ここは…ベルベットルーム?)

 

イゴール「ようこそ、ベルベットルームへ。」

 

悠「イゴールさん!」

 

悠は、武蔵との戦いの後、意識だけがベルベットルームに来ていた。

 

イゴール「お久しぶりでこざいます。

さて、あなた様は今、新しい旅路を歩まんとしております。

どうですかな?よろしければタロットであなた様のこれからをの未来を占って差し上げますが?」

 

悠「占い…そうですね、せっかくですからお願いします。」

 

イゴール「わかりました…では、カードをお引きになってください。」

 

悠は山札からカードを一枚引く。

運命のカードを引いた。

 

イゴール「ふむ…もう一枚よろしいですかな?」

 

イゴールに促され、もう一枚カードを引く。

今度は恋愛、ただしリバースだ。

 

イゴール「なるほど…どうやら近いうちに新たな出会いがあるご様子。

ただ、女性関係に苦労しそうですな。軽率な行動は慎むべきです。」

 

悠(女性関係…そうか、提督になったら艦娘が部下になるんだよな。)

「わかりました。ありがとうございます。」

 

イゴール「では、もう少し先の未来を見てみましょう。では…」

 

再びカードを引く。戦車のカードだ。

 

イゴール「なるほど…あなた様の旅路において、戦いは避けられぬ運命のようですな。

もう一枚引いて頂けますかな?」

 

悠は山札からカードを引く。

 

悠「なっ!」

 

悠が引いたのは死神のカード。しかも正位置だ。

 

悠「イゴールさん…これは…」

 

イゴール「戦いの果てに、あなた様は重大な選択を迫られる。

ふむ、確かに死神のカードは不吉の象徴のようなカード。ですが、終わりという意味では審判の逆位置の方が致命的でございます。

死神のカードの意味は転換期、ターニングポイント、今までの自分を終わらせ、新しい自分へと生まれ変わる。

こういった意味も持っておりますので、悲観的にならない方がよろしいでしょう。」

 

悠「なるほど。カードの解釈にも色々あるんですね。」

 

イゴール「その通りでこざいます…そろそろお時間のよう。また、近いうちにお会いになるでしょう。では…」

 

ベルベットルームから悠の意識が現実へともどっていく。

 

 

 

 

 

悠が現実へと戻り、一人になったイゴールは、タロットカードの山札からおもむろにカードを引く。

 

イゴール「…これは⁉︎」

 

イゴールの引いたカードは何も絵柄が描かれていない真っ黒なカード。しかし、すぐにそのカードの絵柄は道化師のカードに変わった。

 

イゴール「…どうやら此度の旅路も過酷なものになりそうですな。こちらも万全の状態で手助け出来るようにせねば…」

 

 

 

 

〜〜出張者用寄宿舎・悠、島風の部屋〜〜

 

 

悠「うーん…フワァ…」

 

島風「あっ!悠!」

 

悠は寄宿舎のベットで目を覚ます。その傍で島風が声を上げる。どうやらそばにいてくれたみたいだ。

 

悠「おはよう島風。」

 

島風「悠、体は大丈夫?あれから一日中寝てたんだよ?」

 

悠「そうだったのか…心配かけたな。たっぷり寝たから、体の調子もバッチリだ!」

 

島風「よかった〜!そうだ!悠が起きたらヤマヤマ呼んでこなきゃだったんだ!悠は部屋で待ってて!全速前進〜!」

 

島風はそう言うと、大山大佐を呼びに部屋を飛び出していった。

 

悠「さて、今のうちに出られるように準備しとかないと…」

 

 

 

大山「やあ、鳴上君。調子はどうだい?痛むところとかは?」

 

霧島「おはよう、って言ってももう1時過ぎなんだけどね。起きても大丈夫なの?」

 

島風が飛び出していってから10分程で大山大佐と霧島が悠の元に訪れる。二人とも心配してくれているようで、二言目には気遣いの言葉が出てくる。

 

悠「はい。大丈夫です。」

 

大山「それはよかった。今から祝勝会も兼ねてお昼に行こうと思うんだけど、お腹空いてるかな?」

 

大山大佐に空腹かと尋ねられると、途端にお腹が空いてくる。丸一日寝ていれば当然だろう。

 

悠「はい。今ならスペシャル肉丼の完食タイムの新記録が出せそうです。」

 

大山「ははは、スペシャル肉丼が何かは分からないけど、よかったよ。もう出れるかい?」

 

悠「はい、大丈夫です。…あれ?そういえば俺の学ランは…?」

 

悠は出かける為に学ランを羽織ろうとするが、肝心の学ランが無い。

 

霧島「やっぱりぼろぼろになってたから、あなたが寝てる間に直してもらったわ。はい、どうぞ!」

 

悠「何度もすみません。ありがとうございます。」

 

悠は新品同様になった学ランに袖を通す。やっぱり番長はこうでなければ。

 

島風「は〜や〜く〜!お腹空いた〜!」

 

待ちきれないのか、島風が駄々をこね始める。

 

大山「はは、じゃあ行こうか!」

 

 

 

 

〜〜甘味処間宮〜〜

 

 

大山「よし、着いた。ここだよ。」

 

大山大佐の案内で連れてこられたのは、甘味処間宮というお店だ。

 

悠「お昼に甘味…」

 

大山「あぁ、そこら辺は大丈夫。甘味処ってなってるけど普通の軽食もあるから。

まぁ、スイーツが自慢の喫茶店と思ってくれていいよ。」

 

 

 

「いらっしゃいませ〜!」

中はなかなかに混んでおり、すぐには座れそうにない。大人しく待っていようと思い、順番待ちの為の椅子に腰掛けようとする。が、

 

「大山提督〜!こちらです〜!」

 

大山「鳴上君、席はとってあるから待たなくて平気だよ。分かった〜!今行くよ〜!」

 

席に着くと、隼鷹、五十鈴、木曾の三人の他に見知らぬ女性がいた。

 

悠「どうも。大山さん、こちらの二人は?」

 

大山「あぁ、まだ会ってなかったんだったよね。この二人も僕の部隊の艦娘だよ。日向、高雄、自己紹介を。」

 

日向「伊勢型 2番艦 航空戦艦の日向だ。よろしく。」

 

高雄「高雄型 1番艦 重巡洋艦、高雄です。よろしくね。」

 

悠「鳴上悠です。よろしくお願いします。」

 

日向「聞いたぞ、あの武蔵を倒したそうじゃないか。やるな。」

 

高雄「私も見たかったわ…誰かさんにしこたま飲まされたせいで行けなかったのよね…」

 

隼鷹「いや、だから何度も謝ってるじゃん!」

 

高雄「これで何度目ですか!まぁ、乗せられて飲んじゃう私も悪いんですが…それでも限度ってものが…」

 

五十鈴「はいはい、喧嘩はあとにしてちょうだい。もうお腹ぺこぺこよ!早く注文しましょ?」

 

霧島「そうね。スイマセーン!注文お願いしまーす!」

 

「はーい!ただいまお伺いしまーす!」

 

悠「え⁉︎まだメニューも見てないんですが⁉︎」

 

島風「悠ってばおっそーい!私は間宮パフェ戦艦級!」

 

悠「それ絶対食べきれないだろ!」

 

隼鷹「私は熱燗で。」

 

悠「まるで反省の色無し!」

 

「申し訳ございません。当店ではアルコールは扱っておりませんので…」

隼鷹「…うん。知ってた。言ってみただけだし…(泣)」

 

悠「泣くほど⁉︎」

 

木曾「俺はおにぎりセット、食後にお汁粉。」

 

五十鈴「私はタマゴサンドにコーヒーと間宮パフェ軽巡級で。」

 

悠(おっと、ツッコミをしてる場合じゃない。ボケはそっとしておいて早く決めなくては…)

 

島風「あっ!悠は間宮パフェ鎮守府丸ごとスーパーデラックスで!」

 

悠「島風ー!勝手に決めるなー!」

 

アハハ!ワイワイガヤガヤ…

 

 

各々の注文も済み、しばらくすると、料理が運ばれてくる。ちなみに悠が頼んだのはBLTサンドにコーヒー。デザートは頼んでいない。何故なら…

 

島風「…悠〜、もう無理〜…」

 

悠がサンドイッチを食べ終わってすぐ、島風が悠に助けを求める。

 

悠(やっぱり…そっとしておくわけにもいかないな。)

悠「ほら、あとは俺が食べるから、あったかいお茶でも飲んでるといい。」

 

島風「はい〜…」

 

悠は島風がパフェを残すだろうと思って、デザートを頼まなかったのだ。

しかし、流石は戦艦級というだけあって中々の大きさだ、3人前はあったであろうそれを、島風は約3分の1、要するに一人前を食べてギブアップ。

だが、この程度の量、スペシャル肉丼を完食した悠にとっては敵ではない。

 

悠「モグッ、中々美味いな。しかし、なんで甘味処なのに軽食も扱っているんだろうか?」

 

島風「さぁ?美味しいからいいじゃん?」

 

悠「大山さんは何か知ってますか?」

 

大山「ん?そうだね…確か、最初は本当に甘味だけだったんだけど、艦娘達や海軍に勤めている人達の要望で、メニューがどんどん増えていったらしいね。近々店名を喫茶間宮に変えるとかっていう話もあるくらいだよ。」

 

霧島「でも、甘味処間宮は全国の鎮守府にチェーン展開しててね、店名の変更には反対してるとこもあるみたいなの。大変よね〜。」

 

そんなたわいもない話をしながらパフェを食べる。

そんな穏やかな時間が過ぎていく…が、それをぶち壊しにする大きな声が店内に響く。

 

「あー!見つけましたよー!」

 

 

 

 

 

霧島「ゲッ!マスゴミ!」

 

青葉「マスゴミ〜⁉︎心外です!青葉は真っ当な記者です!ジャーナリストです!あっ、私は間宮パフェ軽巡級改二とフライドポテト、あとカフェオレをホットで。」

 

マスゴミ…もとい青葉は無理矢理悠の目の前に座ると、ササッと注文を済まし、

 

青葉「さぁ〜!約束通り勝利者インタビューですよー!」

 

半ば強引にインタビューを始めるのだった。

 

 

 

 

軽く1時間ほど質問攻めにされた悠。

質問内容は、好きな食べ物といった定番や、ペルソナ能力についてなど、真面目なものから、好きな食べ物は先に食べるか、後にとっておくか、などどうでもいいものまで、とにかく沢山の質問をされた。

 

青葉「おっと!もうこんな時間!さっさと記事に纏めないと!

でわでわ鳴上さん!本日はありがとうございました!失礼しますー!」

 

青葉はようやく満足したのか、荷物をまとめ、駆け足で去っていった…

 

悠「ようやく終わった…」

 

大山「ははは…災難だったね。そろそろ出ようか?」

 

日向「ん?これは…青葉のやつ、支払いを私達に押し付けていったな…」

 

大山「えっ⁉︎………僕が払わなきゃかい?」

 

日向「まぁ、そうなるな。」

 

大山(お金大丈夫かな…?)

 

 

 

 

「お会計が17400円になります。」

大山「」

(…これは予想外だ。まさか、青葉さんが改二のパフェを頼んでいたなんて…)

 

大山は予想外の金額に驚いている。

これは、青葉が頼んだ改ニのパフェのせいである。

甘味処間宮のパフェにはランクがあり、通常のパフェ、ちょっと贅沢なパフェ改、そして、今回青葉が頼んだスペシャルな改二。

どれくらい違うかというと…例えるなら、普通のパフェがスーパーカ◯プ、改ニはハーゲンダ◯ツ、価格に直せば3倍以上の差があるだろう。

 

大山(マズイな、財布には一万と五千円。お金を下ろすのを後回しにするんじゃなかったな…)

 

 

 

?「あら?あれは…」

 

?「ん?どうした?」

 

?「ふーん…ねぇ天龍ちゃん、あれ、鳴上提督じゃない?私ちょっといってくるね?」

 

?「あっ!ちょっと待てよ!俺も行くぜ!」

 

 

 

 

大山大佐が財布と睨み合いを続けている。

そんな時に2人組の女性から声をかけられた。

 

?「はい、お会計。私たちのとまとめてお願いね〜?」

 

大山「え?ちょっと、君、いいのかい?」

 

?「えぇ、鳴上提督には良い思いをさせてもらいましたし。」

 

悠「ん?俺に?」

 

?「えぇ〜。あなたが武蔵さんに勝ってくれたおかげでトトカルチョが大当たりよ〜♪

だ・か・ら・幸せおすそ分けよ♪」

 

大山「なんだか申し訳ないね。このお礼はいつか必ずさせてもらうよ。」

 

?「いいえ〜、お礼ならあとでた〜っぷり鳴上提督から頂くから平気よ?」

 

悠「えっ⁉︎俺から⁉︎どういう事だ?」

 

?「今度からあんたの部隊で世話になるってことだ。」

 

悠「俺の?」

 

天龍「あぁ、そういえば自己紹介がまだだったな。俺の名は天龍。そんでこいつが、」

 

龍田「天龍型軽巡洋艦、2番艦の龍田です。よろしくお願いしますね〜?」

 

悠「俺は鳴上悠。こちらこそよろしく頼む。だが、俺の部隊ってどういうことだ?」

 

天龍「だーかーらー!チッ、こいつを見な!」

 

そう言うと、天龍は一枚の紙を取り出し、悠に見せる。

 

悠「転属届け?」

 

天龍「そういうことだ。正式な手続きはまだだが、ほぼ確定だぜ?」

 

悠「なるほど。すまない、まだ提督になることに対して実感が持てなくてな。」

 

龍田「ですよね〜。ついこの間まで学生だったんでしょう?大変だと思うけど、私達のためにも頑張ってね〜?」

 

悠「ああ。期待に応えられるように頑張るよ。」

 

天龍「じゃあ俺たちはもう行くぜ。」

 

龍田「では、失礼しますね〜。」

 

 

 

 

 

店を出た後、天龍は龍田に話しかける。

 

天龍「しかしよぉ、間宮券使っちまってよかったのか?もったいなくないか?。」

 

龍田「ふふふ、天龍ちゃんはなーんにも分かって無いのね〜。恩を売るってとっても大事なのよ〜?それに、まだ沢山あるから問題無いわよ?」

 

天龍「はぁ〜…恩を売るねぇ…我が妹ながら腹黒いこって。」

 

龍田「お褒めの言葉ありがとう〜♪」

 

天龍「別に褒めちゃねーんだけどな。」

 

龍田「……ねぇ天龍ちゃん、今度は優しい提督だといいわね。」

 

天龍「……あの様子なら大丈夫だろ。まっ、もし何かあっても、俺がお前を守ってやるから心配すんな!」

 

龍田「ありがとうね、天龍ちゃん。」

 

 

〜〜海軍本部・甘味処間宮前〜〜

 

 

悠「大山さん、今日はありがとうございました。ずっとお世話になりっぱなしで申し訳ないです。」

 

店の外へ出た悠は、大山大佐に改めてお礼を言う。

思い返せば、何から何まで大佐と大佐の艦娘の世話になっており、お金も勿論だが、彼らの時間を、見ず知らずの自分の為に割かせてしまったことを、悠は申し訳なく思っていた。

だが大山は笑って返す。

 

大山「ははは、大丈夫だよ?これはただ僕がお節介焼きなだけだからね。」

 

Prrrrr.Prrrrr.

そんな中、電話の着信音らしき音が鳴る。

 

霧島「ん?電話?はい、もしもし?……うん、………わかってるわよ。…大丈夫、明日には戻るから、はい、伝えとくわ。……じゃあね。」

 

悠(この世界にも携帯電話はあるのか。しかも霧島さんのはスマホっぽいな。俺もなんとかして手に入れておきたいな。)

 

霧島「あの〜…司令、(さざなみ)さんから、『早く帰ってきて下さいご主人様!曙がご主人様に嫌われたと勘違いして大変なんです!』と。あと、お土産忘れないようにとのことです。

ていうか司令、携帯の電源、会議の後から切りっぱなしじゃないですか?漣さんが司令に繋がらないって言ってましたよ?」

 

大山「うおっと!しまった!切りっぱなしだったか。まぁ確かに本当ならもう佐世保に帰ってたからね。」

 

悠「すみません、俺のせいで…」

 

大山「いやいや!鳴上君は悪くないよ。何度も言うようだけど、僕がお節介なだけだから。しかし、これは帰らないとマズイかな?」

 

霧島「えぇ、これ以上待たせたら漣の胃に穴が空きそうですし。書類も溜まっているでしょうから。」

 

大山「そうか…鳴上君、悪いんだけど、僕らは佐世保に帰らなきゃいけなくなってしまったよ。本当なら提督の仕事のこととか教えてあげたかったけど、すまないね。」

 

悠「いえ、十分すぎるくらいにお世話になりました。本当にありがとうございました。」

 

大山「どういたしまして。じゃあ、僕らは荷物を急いでまとめなきゃだから、これで失礼するよ。部屋への道は大丈夫かい?」

 

悠「大丈夫です。最悪誰かに聞きますんで、心配しないで下さい。」

 

大山「出発は明日の朝になると思うけど、それまでに、もし何かあったら遠慮なく頼ってくれていいからね?では、失礼するよ。」

 

 

 

 

 

〜〜海軍本部・倉庫〜〜

 

 

大山達と別れた悠と島風は、そのまま部屋に戻ってもやる事がないので、海軍本部を散策していた。その結果…

 

悠「……ここは何処だ?」

 

島風「迷子だね…」

 

二人はいつの間にか倉庫の立ち並ぶ区画に来ていた。本当は工廠に行って妖精を見たかったのだが、『とりあえず大きな建物の方に行こう』という方針のもと、適当に移動したのが良くなかった。

同じような見た目の倉庫は、ここら一帯の地理に疎い悠を迷子にさせるには十分だった。

 

悠「どうする?戻るか?」

 

島風「もうちょっと歩こうよ。何か見つかるかもよ?」

 

悠「そうか、じゃあもう少し奥に行ってみるか。」

 

 

 

 

悠と島風は再び歩を進める。しばらく進むと波止場にたどり着く。どうやら端まで来たようだ。

 

悠「良い風だな。」

 

島風「そうだね。波も穏やかだし、戦争してるとは思えないよ。」

 

ここから見た海はとても穏やかだ。

しかし、少し沖に出れば、そこは命の保証は無い戦場。そのギャップが二人を感傷的な気持ちにさせる。

 

島風「悠、私頑張るよ。なんで深海棲艦が襲ってくるのかは分かんないけど、理不尽な悪意には負けたくない。それに元の世界にも帰らなきゃだしね。」

 

悠「そうだな。力を貸してくれるか?」

 

島風「もっちろん!頑張ろうね悠!」

 

 

 

 

二人は、波止場にそって歩いて行くと、人影を見つける。武蔵だ。

彼女は波止場に佇み、海を眺めながら物思いにふけっているようで、悠と島風には気づいていない。

 

悠(あれは、武蔵?考え事をしているのだろうか?そっとしておくべきか?)

 

島風「あー!武蔵だ!おーい!」

 

武蔵「ん?」

 

悠(どうやらそっとしておけないみたいだな。)

 

悠は苦笑しつつ、武蔵に向かって手を振った。

 

 

 

 

 

武蔵「あれから調子はどうだ?いきなり倒れるから驚いたぞ?」

 

開口一番、またしても体の心配をされる。

 

悠(体は丈夫な方なんだがな。)

「ああ、丸一日寝ていたからな。問題無い。」

 

武蔵「そうか。しかし、なぜこんなところまで来たんだ?大山大佐達とは一緒ではないのか?」

 

悠「実は…」

 

 

 

番長説明中……

 

 

 

武蔵「なるほど、なら私が案内してやろう。」

 

悠「いいのか?」

 

武蔵「どうせ暇だったしな。それより、いつの間にか敬語じゃ無くなってるな?」

 

悠「昨日の敵は今日の友って言うだろう?嫌なら直すが…」

 

武蔵「別に構わないさ。好きにしてくれ。」

 

島風「わーい!ムサしゃん、早く行こうよ〜!早く妖精見たい〜!」

 

武蔵「…ムサしゃん?」

 

島風「うん。武蔵さんを略してムサしゃん!カワイイでしょ!」

 

武蔵「よし、普通に武蔵さんと呼べ。」

 

島風「やだ!」

 

武蔵「……」

島風「……」

 

武蔵「フンッ!」ブンッ!

 

悠「!!」

 

武蔵は、ムサしゃんというアダ名が気に食わなかったようで、島風を捕まえようとするが…

 

スカッ!

 

島風「おっそーい!そんなんじゃ捕まんないよ〜!」

 

武蔵「…いいだろう。ガキが舐めやがって!」

 

悠「武蔵がキレた⁉︎島風!早く謝れ!武蔵も落ち着け!」

 

島風「ヘーイ!鬼さんこちらー!」

 

武蔵「この…!クソガキがぁ!おとなしく捕まりやがれー!」

 

悠「聞く耳持たず⁉︎」

 

突如始まった島風と武蔵の鬼ごっこ。

島風の足の速さは知っていたが、武蔵も負けず劣らずの速さだ。あの艤装を使う為に、普段から鍛えているのだろう。

しかし、島風は捕まらない。なぜなら…

武蔵「獲った!」

 

武蔵が島風に肉薄すると、

 

島風「あっまーい!ペルソナー!」パリィン!

ツクヨミ「疾きこと島風の如し!スクカジャ!」

 

武蔵「なっ!お前も出せるのか⁉︎」

 

島風「ふっふーん!あなたって遅いのね!」

 

島風はペルソナを使い、スピードを強化したのだ。拮抗していたバランスが崩れ、武蔵はだんだん離されていく。

だが…

 

悠「ネビロス!デカジャ!」パリィン!

島風「オゥッ!」

 

悠がすかさずデカジャをかけ、島風の強化を打ち消す。いきなりスピードを落とされた島風は足をもつれさせ、その間に武蔵が島風を捕まえる。

 

武蔵「捕まえたぞ!」

 

島風「そんな〜⁉︎悠が妨害しなきゃ勝ってたもーん…悠のバカ〜。」

 

武蔵「さて、どうしてくれようか?」

 

悠「はぁ…武蔵も島風も落ち着け。

島風、お前の人懐っこさは一つの才能だ。

だけど、年上の人や目上の人には礼儀正しくしないと、怒られたり嫌われたりしちゃうぞ?。」

 

島風「はーい…」

 

悠「武蔵もだ、いくら何でも沸点が低すぎじゃないか?

子供の言うこと一つ一つで、いちいち腹を立てていたらきりがないぞ?

大人の寛容さでしっかり受け止めなければな。」

 

武蔵「なぜ私まで説教されなければ…」

 

島風「えっと…武蔵さん、ごめんなさい。」

 

武蔵「…いや、私も大人気なかったな。済まなかった。」

 

島風「ふふ!仲直りだね!じゃあ、ムサしゃんって呼んでいい?」

 

武蔵「まだ言うか…分かった、好きにしろ。」

 

島風「わぁーい!ムサしゃーん!」

 

悠「仲直りも済んだか。じゃあ行くか!ムサしゃん!」

 

武蔵「お前が使うな!気色悪い!」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜海軍本部・工廠〜〜

 

 

悠「ここが工廠か。」

 

島風「うわー、色んな機械があるねー。

あっ!あのちっちゃいのが妖精かな?ちょっと触って…」

 

武蔵の案内で工廠に着いた二人。

早速島風は妖精に触ろうとするが、

 

武蔵「やめとけ、彼らは仕事中だ。邪魔してやるな。

それと、あまり奥へは行くなよ?一部の部屋は機密保持の為に、妖精以外立ち入り禁止になっているからな。」

 

島風「はーい!」

 

島風は1人、走って行ってしまった。少し心配だが大丈夫だろうか?

悠と武蔵は会話を交えつつ、島風の後を歩きながらついていく。

 

悠「艦娘や提督でも入れないのか?」

 

武蔵「ああ、妖精は病的なまでに平和主義だからな。

自分達の兵器開発技術が流出して、人間同士の争いに使われないようにしているんだ。

艦娘の建造と艤装の開発も必要に迫られて仕方なくやっているらしいぞ。」

 

悠「…深海棲艦を倒す為か。」

 

武蔵「さすがに妖精達も無抵抗で死ぬつもりは無いらしい。まぁ、もっとも、Mr.バミューダの知恵と技術が無ければその抵抗すら出来なかっただろうが。」

 

悠「Mr.バミューダ?」

 

武蔵「ああ、普遍的無意識による記憶の共有と、それによる平行世界の存在証明なんていう事を、科学やオカルトなど、様々な視点から研究していた妖精の学者だ。

Mr.バミューダが建造技術を確立する前は、海を渡る艦娘を直接スカウトするという形を取っていたらしいのだが、リスクの割にリターンが小さかったそうだ。

最悪、艦娘を見つける前に深海棲艦によってスカウトに出た船が沈められるなんて事もよくあったらしいな。

事態を重く見たバミューダは、自らの研究を応用して、艦娘の建造技術を生み出した。

言わば、全ての艦娘の親ともいえる存在だな。」

 

悠(平行世界の研究⁉︎その妖精なら、元の世界に帰る方法について何か知ってるかもしれない!)

「武蔵、Mr.バミューダは今はどこにいるんだ?」

 

武蔵「…艦娘の建造技術を生み出し、他の妖精にノウハウを伝えた後に失踪した。どこにいるかは誰も知らん。」

 

悠「なっ⁉︎そうか…何か手掛かりは無いのか?」

 

武蔵「…バミューダの残した日記があるにはあるが…難解な暗号で書かれていてな。

分かっている事は、神隠しの海に行ったということだけだな。」

 

悠(神隠しの海…バミューダ…ん?バミューダ⁉︎まさか…俺の推測が正しければあの海域に…だが、この世界に存在するのか?いや、そもそもこの世界はどんな世界なんだ?後で世界地図を借りて確認するか。

とりあえず、確信が持てるまでこの事は黙っておこう。)

「そうか、神隠しの海か…どこにあるんだろうな…」

 

武蔵「分からん。そういった伝説や言い伝えのある海は結構な数があるが、深海棲艦が現れてからというものの、そういった海域は計器類はまるで機能しなくなり、しかも天気は基本悪天候、おまけになぜか強力な深海棲艦もウロついている。

何度か捜索隊を派遣しようとしたが、全て散々な結果に終わった。

無論、バミューダ海域も捜索しようとしたが、深海棲艦に阻まれて捜索にならなかったそうだ。まぁあそこは辿り着くのも現状では不可能だろうしな。」

 

悠(あ、なんだ…バミューダ海域あるのか。しかし、辿り着く事さえ出来ないとは…。)

 

島風「おーい!二人ともおっそーい!はやくはやく〜!」

 

いつまで経っても追いつかない二人に痺れを切らした島風は、大声を上げて二人を呼ぶ。

 

悠「ああ!今行く!」

 

しばらくの間、武蔵の案内で工廠を見学した。

 

 

 

 

〜〜海軍本部・食堂〜〜

 

 

工廠の見学を終え、武蔵と別れた悠と島風は、夕食をとるために、少し迷いつつも食堂へ向かった…はいいのだが、ここで一つ問題が発生した。

 

悠(しまった!お金が無い!)

 

そう、ずっと大山大佐の世話になっていた二人はお金を持っていないのである。

 

島風「悠…どうしよっか?」

 

悠「うーん、これ以上大山さんにお世話になるのは気がひけるし…」

 

島風「元帥さんは?お給料前借りさせて貰おうよ!」

 

悠「三嶋元帥に?…あの人には借りを作るのは避けたいんだが…」

 

?「おや〜?お困りのようですね!」

 

島風と相談をしていると、背後から声をかけられる。

 

悠「誰だ?って青葉さん?」

 

島風「こんばんはー!」

 

青葉「どうもどうも!昼間はありがとうございました!おかげでいい記事が書けそうですよ!そんな事より何かお困りみたいですが?」

 

悠「実は…」

 

 

 

番長説明中……

 

 

 

青葉「なるほど、今まで大山大佐に世話になっていたからお金が無いと。」

 

悠「はい。俺はいいとしても、島風はお腹が空いていまして。」

 

島風「そうなの。どうしたらいいかな?」

 

青葉「ふーむ…では、これ。貰ってください!」

 

青葉は悠の話を聞くと、自分の財布から一万円札を抜き、悠に手渡す。

 

悠「え⁉︎いや、悪いですよ⁉︎」

 

青葉「人の好意は素直に受け取っておくものですよ〜?取材のお礼の意味もありますんで、素直に受け取って下さい!

あ、あと、敬語も止してくれますか?他人行儀なのって、私嫌いなんですよね〜。」

 

悠「そうか、なら敬語はやめようか。ありがとう青葉。」

 

島風「青葉さんありがとうございます!」

 

青葉「どういたしまして!では、私は用事がありますので、これにて失礼させてもらいますよ。」

 

悠「青葉ー、ありがとうー!」

 

島風「またね〜!」

 

その場を立ち去る青葉、その背に別れの挨拶をかけると、青葉は手を振って応え、そのまま歩いていった。

 

悠「青葉のおかげで当分は大丈夫だな。」

 

島風「悠!早くごはん〜!」

 

悠「分かった分かった!まずはこいつを崩さなきゃだな…」

 

 

 

 

 

 

 

 



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第八話 新たな出会い!新しい旅立ち! 中編

分かりやすく、簡潔にまとめられるようになりたい…orz
所々強引に話を進めてる感もありますが、勘弁してくだぁしゃ〜…


〜〜海軍本部・元帥執務室〜〜

 

 

場面は変わり、元帥執務室。

コーヒーの香りが漂う室内。三嶋元帥は夕食を取らずに、自分でコーヒーを入れ、書類に目を通している。

 

コンコンッ

 

ふと、部屋のドアがノックされる。

 

三嶋「入れ。」

 

青葉「失礼します。」

 

三嶋「青葉か。」

 

部屋を訪ねてきたのは青葉だった。

 

青葉「報告します。鳴上悠は本日ヒトサンヒトマルに目を覚ましました。

その後、大山大佐等と共に昼食。その際に取材と称し、体調の確認を行いましたが、問診では特に異常は見られませんでした。歩き方などの立ち振る舞いにも不自然な点は見られませんでしたので、健康状態は特に問題は無いかと。

大山大佐等と別れた後は、工廠を見に行こうとして倉庫で迷い込つつも、武蔵と会い、その際に一悶着ありましたが無事に解決、その後、武蔵の案内で工廠の見学を行っています。

その後、ヒトハチサンマル頃に食堂に夕食を取りにくるも、お金が無くお困りのようでしたので、取材のお礼として現金一万円を渡しておきました。

この時点で特に問題は無いと判断、監視を終了。報告は以上です。」

 

青葉はどうやら一日中悠のことを尾けて監視しており、その報告に来たようだ。

 

三嶋「御苦労。では予定通り明日から鳴上悠の短期提督研修を実施するとしよう。」

 

悠の体調に問題無しと判断した三嶋元帥は、悠の提督着任に向け、次のステップに進めるようだ。

 

青葉「期間はどのくらい設けるおつもりで?大体…一月くらいですか?」

 

三嶋「一週間だ。」

 

青葉「は?一週間⁉︎いやいやいや、さすがに無理でしょう⁉︎正直スケジュール詰め込み過ぎだと思いますよ!武蔵さんとの演習のときだって、一週間くらいの猶予をあげるのかと思ったら翌日にやるとかおっしゃいますし、少し焦りすぎじゃないですかね?」

 

青葉は、三嶋元帥の無茶とも思える日程に苦言を呈するが…

 

三嶋「演習は、大規模作戦の直後で人が多いうちにやるべきだと思ってな。デモンストレーションのタイミングを逃すわけにもいかんだろう。

それに、提督の仕事自体はそう難しいものではない。書類の作成や資源の管理などの事務仕事や、戦略論、戦術論は基本を抑えておけば問題無い。そして、最後にモノを言うのは経験と勘だからな。

必要最低限の知識を詰め込むだけであれば、あやつなら一週間もあればなんとかなるだろう。」

 

青葉「はぁ、さいですか…分かりました。では、もう一つ報告したいことが…」

 

三嶋「…それは私の秘書艦としてか?それとも特務師団長(・・・・・)としてか?」

 

青葉「特務師団長としてです。」

 

三嶋「聞かせてもらおうか?」

 

青葉「例の輸送船と、その護衛の艦娘の反応がロストしました。」

 

三嶋「…ふむ。それで?」

 

青葉「あらら、驚かれないのですね?」

 

三嶋「想定の範囲内だ。敵の指揮官を拉致したようなものだからな、深海棲艦の奴らが取り返しに来るだろうとは思っていた。」

 

青葉「いや〜、それがですね今回の件、少し、いや、かなりおかしいんですよ。まず、先に反応がロストしたのは輸送船の方。普通ならば艦娘が護衛についているので、真っ先に輸送船が沈む何てことは無いはずなんですが、艦娘は全艦健在、そんな中で輸送船の反応だけがロスト。

その後、艦娘達も次々と沈められて全滅。

極め付けは救援要請の通信ログですね。

これを聞く限りでは、どうやら船内に何者かが潜伏しており、機を見て破壊工作を開始したと考えられるのですが…この何者かが問題なんですよね〜…」

 

三嶋「どういうことだ?」

 

青葉「それが…ログによると、それは黒い鎧の巨人のバケモノ。意味不明です。パニックになってたみたいで、言ってることがめちゃくちゃなんですよ。」

 

三嶋「…よし、青葉特務師団長。その輸送船の反応がロストしたポイントに向かい、調査を実施せよ。隊の編成は任せる。」

 

青葉「了解です、青葉にお任せを。では、失礼します。」

 

ガチャ、バタン。

 

青葉が退室した後、三嶋元帥は大きく溜息をつく。

 

三嶋「ふぅ…」

 

?「お疲れのようね。」

 

三嶋「ッ⁉︎何者だ!」

 

一人しか居ないはずの部屋に、突然女性の声が響く。

 

?「鳴上悠の関係者…と言えば分かるかしら?」

 

三嶋「なんだと⁉︎」

 

?「フフ、そう警戒しなくてもいいのよ。あなたに危害を加えるつもりはないわ。むしろいい話を持ってきたのだけれども。」

 

三嶋「…フッ!」

 

ガタンッ!

パァン!

 

三嶋元帥は素早い動作で机の引き出しに隠し持っていた短銃を侵入者に向けて発砲する。

だが…

 

 

?「無駄よ。私には効かないわ。」

 

三嶋「チッ…」

 

?「お話、聞いてもらえるかしら?」

 

三嶋「…嫌だと言っても聞かせるのだろう?勝手にしろ。」

 

?「物分かりがよくて助かるわ。さて、何から話しましょうか…」

 

 

 

 

〜〜海軍本部・地下・???〜〜

 

 

青葉(はぁ〜…彼は大丈夫なんでしょうか?無理なスケジュールで身体を壊さなければいいですけど…

ま、今は目の前の問題を片付けないと…)

 

青葉は元帥への報告を済ませたあと、海軍の人間でも殆どの者が知らない秘密の地下室へ来ていた。

 

ガチャ、

青葉は扉を開け、中に入る。

中はバーカウンターにビリヤード台などが設置された少し薄暗い部屋。危ない人間の集まりに使われそうな部屋である。

 

青葉「皆さーん?いますか〜?」

 

168「あら?団長?遅かったわね。」

 

雪風「だんちょー!お帰りなさい!」

 

どうやらこの部屋は特務師団の溜まり場のようだ。

 

青葉「はい、ただいま!いい子にしてましたか?」

 

雪風「はい!雪風はいい子にしてました!だからお仕事ください!」

 

青葉「すみませんねぇ。暗殺の仕事は今は無いんですよ。」

 

雪風「む〜…雪風つまんないです。」

 

青葉「拗ねない、拗ねない。あれ?シオイは部屋の隅で何やってるんですか?」

 

401「ブツブツ…ブツブツ…」

 

168「ああ、あれね。折角サルベージした大物に逃げられてショックだったみたいよ。そっとしておきましょ?」

 

青葉「なるほど。その件でイムヤ、あなたは私と一緒に調査に行ってもらいますよ?いいですね?」

 

168「えっ?あたし?まぁいいわ。いつ出発するの?」

 

青葉「明日朝一で出ますよ?準備しといてくださいね?」

 

168「了解よ。」

 

雪風「雪風はどうしましょうか?」

 

青葉「あー…適当に訓練でもしててください。間違っても通り魔事件なんて起こさないでくださいよ?」

 

雪風「ひどいですだんちょー!雪風、そんなことしません!」

 

青葉「はいはい、雪風はいい子ですもんね〜。」ナデナデ

 

雪風「むふふ〜。雪風、ナデナデされるの大好きです!」

 

青葉「じゃあ私は部屋に戻りますよ。皆さんも夜更かしはほどほどにしといてくださいね。」

 

168「あら、もう帰るの?一杯くらい付き合いなさいよ。」

 

青葉「遠慮しておきます。新聞の記事を書かなくてはいけないので。」

 

168「もぅ、ツレないわね。」

 

青葉「調査が終わったら付き合ってあげますよ。では、おやすみなさい皆さん。」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜海軍本部・艦娘寮・武蔵の部屋〜〜

 

 

再び舞台は移る。

時刻は深夜、武蔵は窓から月を眺め、今日一日の事を思い返しているようだ。

 

武蔵(…説教されたのなんて久しぶりだったな。一体何時以来だろうか…

しかし…今日は楽しかったな…ん?楽しかった?ふっ、そういえば、楽しいなんて思うのも久しぶりだな。)

 

武蔵は、今はもう主のいないベットを一瞥した後、一枚の写真が入った写真立てを手に取る。

 

武蔵(あいつなら、鳴上悠なら、私の心に空いた、この穴を埋めてくれるのだろうか…

しかし、私は海軍最強の戦艦。私情での異動は許されないだろうな…)

「姉さん…」

 

武蔵は写真を見ながら小さく呟いた。しかし、その声に応える者はいない…

 

 

 

そして夜が明ける。

 

 

 

 

〜〜海軍本部・港〜〜

 

 

早朝、悠と島風は大山大佐の見送りのために港に来ていた。

なかなか大きな客船が停まっており、多くの艦娘と提督達が慌ただしくそれに乗り込んでいく。

 

大山「悪いね。見送ってもらって。」

 

悠「いえ、この4日間ありがとうございました。お世話になりました。」

 

島風「お世話になりました!ヤマヤマ!またね!」

 

大山「どういたしまして!これからも何かあったら頼ってくれていいからね?

そうだ!もし時間が出来たら佐世保に来るといいよ。歓迎するよ!」

 

悠「はい。その時はよろしくお願いします。」

 

 

ピィー!

どうやら出航が近いようだ。あたりに汽笛の音が鳴り響く。

 

 

霧島「司令〜!早くしてくださーい!」

 

大山「おっと!今行くよ〜!じゃあ悠君、島風君、頑張るんだよ?」

 

悠「はい!」

 

島風「もっちろん!」

 

 

そう言葉を交わすと、大山大佐は船に乗り込んでいく。

 

ピィー!

再び汽笛の音が響くと、タラップが片付けられ、船が出航する。

 

悠「ありがとうございました〜!」

 

島風「また会おうね〜!」

 

悠と島風は大声をあげ、手を振り、最後の挨拶を力一杯する。

それに、大山大佐とその艦娘達が手を振り応える。

悠と島風は、船が見えなくなるまで見送っていたのだった。

 

 

 

〜〜海軍本部・元帥執務室前〜〜

 

 

悠「元帥に会うのは三日ぶりか…」

 

島風「なんだか緊張してきた…」

 

大山大佐の見送りを終えた悠と島風は、元帥執務室前に来ていた。

食堂で朝食を食べていた際に、館内放送で呼び出されたのだ。

指定された時間に間に合うよう食事を済ませ、部屋の前へ向かうと、そこには先客がいた。

 

武蔵「ん?なんだ、お前らか。」

 

悠「武蔵か、おはよう。」

 

島風「おはようムサしゃん!」

 

武蔵「ああ、おはよう。」

 

悠「武蔵も呼び出されたのか?」

 

武蔵「…まあな。とにかく、さっさと中に入ろう。」

 

ガチャ、

 

武蔵「来たぞ、元帥。」

 

悠「ちょっ!ノックはどうした!あ、三嶋元帥、おはようございます!」

 

島風「おはようございま〜す!」

 

三嶋「三人ともよく来た。早速だが、鳴上悠、貴官の提督着任についてなのだが、まずは研修を受けてもらう。」

 

悠「研修ですか?」

 

三嶋「ああ、本来なら海軍学校にて3年間学ばなければならないのだが、そんな余裕はないのであろう?」

 

悠「はい。さすがに3年はちょっと…」

 

三嶋「期間は一週間だ。教鞭は武蔵、お前がとれ。」

 

武蔵「なんだ?そのために呼ばれたのか?」

 

三嶋「いや、お前にはもう一つある。」

 

武蔵「もう一つ?なんだ?」

 

三嶋「ああ、最近のお前は出撃しても覇気が無かっただろう?だが、どうだった?鳴上悠との一戦は?久しぶりに本気で戦えただろう?」

 

武蔵「…そうだな。確かにあれだけ気分が高揚したのは久しぶりだな。」

 

三嶋「ふむ、武蔵よ、お前はどうしたい?」

 

武蔵「……私は…どうするもなにも、私は大和型二番艦だ。姉の大和亡き今、私は海軍の切り札としての役目を果たさなければならない。」

 

三嶋「……聞き方が悪かったな。お前のそれは建前だろう?本心はどうだ?」

 

武蔵「本心だと?話して何になる?何か変わるのか?変わらないだろう!責任ある立場の私が私情を押し通す訳にはいかない!」

 

島風(なんだか私、空気だね…)ヒソヒソ

悠(安心しろ、俺もだ。)ヒソヒソ

 

三嶋「…そうか。ならばこちらにも考えがある。

大和型戦艦2番艦武蔵、貴艦は此度の特別演習において、規則を破り、実弾を使用したな?」

 

武蔵「なっ⁉︎それは元帥の命令で…!」

 

三嶋「言い訳はいい。武蔵よ、罰として貴艦は佐伯(さいき)湾鎮守府に左遷だ。鳴上悠の下で己を鍛え直すんだな。」

 

武蔵「……は?」

 

悠「ひ?」

島風「ふ?」

 

三嶋「なんだ?不服か?」

 

武蔵「ふふっ…ハハハッ…ハァーハッハッハッ!まさか、こうなる事を見越して私に実弾を使わせたのか?」

 

三嶋「さて?どうだろうな?鳴上悠よ、武蔵を頼んだぞ。」

 

悠「はい!任せてください!」

 

島風「え?ムサしゃん一緒に来るの⁉︎」

 

武蔵「ああ!これからよろしく頼むぞ!ビシバシ鍛えてやるからな!」

 

島風「お、オゥッ…お手柔らかにお願いします…」

 

悠「よろしくな、武蔵。」

 

武蔵「ふっ、この私が仲間になるんだ、研修といえど容赦はせんぞ?私に相応しい提督になれるかな?」

 

悠「望むところだ!」

 

 

 

三嶋「それと、もう一つ。」

 

悠「なんでしょうか?」

 

どうやら研修の件以外にも話があるらしい。

 

三嶋「新人提督には、始めに当面のパートナー、いわゆる初期艦となる艦娘を本部で斡旋しているのだが、その艦娘も一緒に連れて行って研修を受けてくれ。」

 

そう言うと、三嶋元帥は館内放送で、その艦娘を呼び出す。

 

 

『吹雪型一番艦駆逐艦吹雪!至急元帥執務室に来られたし!繰り返す!吹雪型一番艦駆逐艦吹雪!至急元帥執務室に来られたし!』

 

 

………しばらくすると廊下を走る足音が聞こえ、この部屋の前で止まった。が、すぐには入って来ない。呼吸を整えているのだろう。

 

「スゥ〜、ハァ〜、よし!」

 

ガチャン!

 

吹雪「吹雪型一番艦駆逐艦吹雪!只今参りました!」ピシッ!

 

入ってくるなり、ピシッと敬礼をする。真面目な性格のようだ。

 

吹雪「もしかして、私の配属先が決まったんですか⁉︎そうなんですか⁉︎」

 

三嶋「そうだ。そこの少年が貴艦の提督だ。鳴上悠よ、この艦娘が貴艦の初期艦となる『吹雪型一番艦駆逐艦・吹雪』だ。」

 

吹雪「あなたが私の司令官ですね?はじめまして、吹雪です!よろしくお願いいたします!」

 

悠「鳴上悠だ。よろしく。それでこっちが…」

 

島風「疾風迅雷!鳴上島風でーす!よろしくね!」

 

吹雪「えっ?あっ、はい!よろしくお願いします!」

 

武蔵「大和型二番艦戦艦・武蔵だ。よろしくな。」

 

吹雪「………ふえぇッ!大和型って…えぇ⁉︎うわぁ!はじめまして!吹雪です!」

 

悠「これで4人か。鳴上ハイカラ艦隊がいつでも出撃出来るな!」

 

どうやら、いつも四人でテレビ探索してたので、色々勘違いしているようだ。

しかも、テンションが上がっているのか、持ち前の天然センスを如何なく発揮した艦隊名を披露する。しかし…

 

島風「えぇ〜…何その名前〜、ダサいよ〜!」

 

悠「なっ!」

 

非情な宣告である。

 

島風「うーんとね…最速島風艦隊がいいと思う!」

 

武蔵「どっちも大差ないわッ!そんなものを考える前に研修だ!」

 

ここで武蔵のツッコミが炸裂するが、悠は食い下がる。

 

悠「くっ、だが、艦隊名は重要だと思うぞ!」

 

武蔵「確かにそうだが気が早い!」

 

悠「しかし…そうだ!吹雪さん!君は何かないかな?」

 

分が悪いと判断した悠は、あろうことか吹雪にキラーパスを出す。

 

吹雪「ふぇっ⁉︎わ、私ですか⁉︎」

(なんですかそれ⁉︎そんなの急に振られても困りますよ!)

 

悠「ああ!かっこいいのを頼むぞ!」

 

武蔵「吹雪、こんな馬鹿なことに答える必要は無いぞ?」

 

吹雪(えぇ〜…いきなり板挟みなんですけど〜…)

「え、えーと…」

 

三嶋「おい、貴様ら!下らん話は後にしろ!」ドンッ!

 

悠「す、すみません…」

 

怒られた…馬鹿である。

 

武蔵「ほらみろ!お前のせいで怒られたではないか!」

 

三嶋「武蔵!お前も黙れ!まったく…研修には第3会議室を手配しておいた。それと参考書だ。持っていけ。」

 

悠「ありがとうございます。」

 

島風「オゥッ…なかなか分厚いね…」

 

武蔵「必要最低限の要点をまとめてやるしかないな。まあ、任せておけ。」

 

悠「ああ、頼む。」

 

吹雪(この人が司令で大丈夫かな〜…)

 

悠達は参考書を受け取り、部屋を後にしようとしたそのとき、

 

 

コンコンッ

 

 

三嶋「ん?誰だ?まあいい、入れ。」

 

天龍・龍田「失礼します。」

 

入ってきたのは天龍と龍田だ。

 

悠「ん?確か、天龍に龍田だったか?」

 

天龍「おお!鳴上じゃねーか!こいつはちょうどいいな。」

 

龍田「私たち、転属届を提出しにきたのよ。」

 

三嶋「そうか。なら書類はこちらで預かろう。ふむ…ついでだ、お前達も一緒に研修を受けてこい。」

 

天龍「…へ?」

 

三嶋「へ?ではない。お前達も研修を受けろ。秘書艦になったときに役に立つだろう。」

 

天龍「……あー!俺、これから用事があったんだったな!悪いがちょっと行けねーわ!いやー、残念だなー!(棒)」

 

龍田「天龍ちゃん…はぁ…」

 

どうやら天龍は勉強があまり好きではないようだ。テキトーな言い訳で誤魔化そうとしており、龍田はそんな姉を見て、呆れ顔で溜息をついている。

 

龍田「申し訳ありません元帥。天龍ちゃんは私が責任をもって研修に連れて行きますんで…」

 

天龍「おい!龍田!おまっ!裏切るのか!」

 

龍田「裏切るも何もサボりはよくないよ〜?」

 

三嶋「そうか。手続きはこちらで進めておく。行ってこい。」

 

武蔵「よし。お前達、会議室に行くぞ。」

 

悠「そうだな。では元帥、失礼します。」

 

島風「失礼しまーす。」

 

天龍「勉強かよ〜…マジか〜…」

 

吹雪「あの…」

 

天龍「あん?…誰だお前?」

 

吹雪「あ、私、吹雪型一番艦駆逐艦の吹雪といいます。よろしくお願いします。」

 

天龍「ふーん、俺の名は天龍。まっ、仲良くやろうや。」

 

龍田「私は龍田よ〜。よろしくね〜?」

 

吹雪「はいっ!よろしくお願いします!」

 

武蔵「おい!自己紹介は後にしろ。さっさと行くぞ。」

 

吹雪「は、はーい!」

 

天龍「しゃーねー…行くかぁ〜…」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜海軍本部・第3会議室〜〜

 

 

武蔵に連れられやってきたのは、第3会議室。各々適当に腰掛け、武蔵はホワイトボードを準備している。

 

武蔵「よし、早速始めたいところだが、その前に改めて自己紹介をしておこうと思う。互いの名前くらいは覚えるように。」

 

どうやら研修を始める前に自己紹介を行うようだ。

 

武蔵「まずは私からだ。私は大和型二番艦戦艦・武蔵だ。左遷という形で悠の艦隊に加わることになった。よろしく頼むぞ?」

 

天龍「……はぁ!マジかよ!大和型っつったら建造例があんたも含めて2件しかないんだろ!よく元帥が手放す気になったな…てっきり教官役として来てるもんだと思ってたぜ…」

 

吹雪(武蔵さんと同じ艦隊…うわぁ〜、もしかして私、期待されてるの⁉︎期待に応えられるように頑張らなきゃ!)

 

武蔵「よし、次は…悠、お前だ。」

 

悠「ん?俺か。俺は鳴上悠。ついこの間まで普通の高校生だったんだが、色々あってこの世界に迷い込んでしまったんだ。元の世界に帰るまでの間だがよろしく頼む。」

 

天龍「へー、てことは…別の世界の人間なのか。」

 

悠「ああ、そうなる。」

 

吹雪「へー、じゃないですよ!軽く流しちゃダメですよ天龍さん!」

 

龍田「提督の世界では、みんな武蔵さんと戦っていた時のを出せるんですか?」

 

吹雪「うわっ!スルーですか⁉︎そうなんですか⁉︎」

 

武蔵「落ち着け吹雪。私たちも似たようなものだろう。」

 

吹雪「そうですけど〜…」

 

悠「あはは…。多分ほとんどの人は出せないだろうな。俺もこの力、ペルソナって言うんだが、神様からの貰い物なんだ。元々素質はあったらしいから、力の覚醒を促されたって感じだな。」

 

龍田「貰い物ですか?」

 

悠「ああ、長くなるから詳しい説明は省くが、まあそんなとこだ。」

 

島風「じゃあ次は私ね!私は『疾風迅雷』鳴上島風でーす!よろしくね!」

 

吹雪「鳴上?そういえば島風さんは、司令官とはどんな関係なんですか?」

 

島風「うーんとね…なんだろ!ねえ悠わかる?」

 

悠「俺がこの世界に迷い込んで、海に落ちた時、隣にいたのが島風なんだ。まぁ…妹みたいなものか?」

 

島風「だってさフブキチ!妹だって!」

 

吹雪「ちょっ、フブキチって…」

 

武蔵「よし、次は天龍型の2人!」

 

天龍「よっしゃ!俺の名は天龍。よろしくな!」

 

龍田「天龍型二番艦の龍田よ。よく私が姉だと間違われるんだけど、私が妹だからね〜?天龍ちゃんがお姉ちゃんよ〜?」

 

天龍「なんだその嫌味たっぷりな自己紹介は…まるで俺が頼りないみたいじゃねーか…」

 

龍田「そんなことないわよ〜。頼りにしてるわよ、お姉ちゃん♪」

 

天龍「調子のいい奴め…まっ、とにかく、俺たち2人は世界水準軽く超えてっから、頼りにしてくれていいぜ?」

 

悠「ああ、頼むぞ!」

 

島風「よろしくね!天ちゃん、タッちゃん!」

 

天龍「お、おぉ、よろしくな。」

 

龍田「ねぇ鳴上提督?島風ちゃんはニックネームを付けたがる癖でもあるのかしら?」

 

悠「あぁ、どうもそうらしい。嫌なら言ってくれていいぞ?なんとか止めさせてみるからな。」

 

龍田「いえ〜、大丈夫ですよ?このくらいなら可愛いものです♪」

 

武蔵「最後は吹雪!」

 

吹雪「はっ、はいっ!吹雪型一番艦駆逐艦・吹雪です!

吹雪型のネームシップを務めさせていただいております!

吹雪型の名に恥じぬよう、精一杯頑張りますので、どうかよろしくお願い致します!」

 

悠「よろしくなフブキチ!」

島風「これから一緒に頑張ろうねフブキチ!」

天龍「足引っ張るんじゃねえぞフブキチ!」

龍田「仲良くしましょうねっ♪フブキチちゃん♪」

武蔵「吹雪型1番艦の力…見せてもらうぞフブキチ!」

 

吹雪「なんでもうそのアダ名が定着してるんですか〜!」

 

 

武蔵「よし、全員自己紹介終わったな!では早速授業を始めよう!」

悠「よろしく頼む。」

 

 

※ここから授業を行うのですが、その様子はダイジェストでご覧下さい。

 

その1〜〜資源〜〜

 

武蔵「鎮守府の運営で最も大事なのは資源の管理だ。燃料、弾薬、鋼材、ボーキサイト。

普段から節約を心がけ、ここぞという時に使おう。

特にボーキサイトは採れる量自体が少ないからな。艦載機を使う空母の運用は計画的に行うように。」

 

悠「ボーキサイト…空母…うっ、頭がっ!」

 

島風「ボーキサイトは食べ物じゃないよ〜!」

 

武蔵(何か悪い夢でも見たのか?)

 

 

 

その2〜〜陣形〜〜

 

武蔵「縦一列に並ぶ攻撃重視の陣形。これは何という陣形だ?島風?」

 

島風「えっと…前へならえ陣?」

 

武蔵「島風…予習はしてないのか?」

 

悠「すまん。難しい言葉だと覚えにくいと思って、そう教えてしまったんだ。」

 

武蔵「はぁ…わかった。後で正しい名称を教えとけ。

じゃあ…天龍!かわりにお前が答えろ!」

 

天龍「えっ⁉︎俺かっ!えっと…た、たんたてじん?」

 

悠「……」

 

武蔵「…フブキチ、正しい答えは?」

 

吹雪「…単縦陣(たんじゅうじん)です。」

 

天龍「////」

 

龍田「天龍ちゃん…(呆れ)」

 

武蔵「天龍、お前は今日居残り補修な。」

 

天龍「ちくしょー!」

 

 

その3〜〜艦種〜〜

 

武蔵「いいか?艦娘には、艤装によりいくつかの種類に分けられるんだ。

私なら戦艦、天龍は軽巡洋艦、フブキチは駆逐艦だな。」

 

吹雪「もういいです。諦めました。フブキチでいいです。」

 

悠「なら俺は何になるんだ?」

 

武蔵「お前はな…司令艦だ!」

 

悠「」

島風「」

天龍「」

龍田「」

吹雪「」

 

武蔵「………なんだ!私がボケてはいけないのか!おいっ!何とか言え!」

 

悠「あー…その、すまない。」

 

武蔵「謝るなっ!余計惨めになるわっ!」

 

 

 

こんな感じで1週間、真面目に授業を進めつつ、ボケを交えながら研修を受けたのだった。

 

 

 

 

 

〜〜北方海域〜〜

 

 

青葉「ここが例のポイントですね。」

 

168「ふーん、じゃあ私は海底の捜査に行くわ。見張りよろしくね?」

 

青葉「了解ですよ〜。些細なことも見逃さないでくださいね〜。」

 

168「はいはい。イムヤ、潜水開始!」

 

悠達が研修を受けている間、青葉は潜水艦の艦娘、伊168を連れて、例の輸送船のロストしたポイントへ調査に来ていた。

 

青葉「さーて、待ってる間暇ですね〜。何してましょうか?」

 

168が潜水し、一人になった青葉は早速暇を持て余し始める。が、

 

青葉「んー?偵察機が敵影を見つけたみたいですね。丁度いい。暇つぶしに付き合ってもらいますか!」

 

青葉はそう言うと、敵艦のいる方向に向き直り…

 

青葉「さぁーて…どう痛ぶってあげましょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ペルソナ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

168「ふぅー。青葉〜!」

 

青葉「お帰りなさいイムヤ。何か見つかりましたか?」

 

168「海底には艦載機の残骸と空薬莢ばかりだったわ。だけど、その空薬莢の中に一つだけ、変なのがあったのよ。」

 

そう言うと、168は小さな空薬莢を青葉に渡す。

 

青葉「んー、小さいですね。どれどれ…」

 

青葉はバックからノギスを取り出しサイズを測る。

 

青葉「直径9ミリ、ケース19ミリ。艦娘のものではありませんね…」

 

168「えっ⁉︎それって…」

 

青葉「お手柄ですよイムヤ。さぁ、深海棲艦が来る前に帰りますよ。」

 

青葉は空薬莢をバックにしまい、168と共に北方海域を後にするのだった。



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第八話 新たな出会い!新しい旅立ち! 後編

すっごく遅くなりましたが、第八話後編。お送りします。
こんな筈では〜…
しかも無駄に長い…
気合い!入れて!読んで下さい!(字余り)


〜〜海軍本部・元帥執務室〜〜

 

 

三嶋「一週間の研修、ご苦労だったな。」

 

悠「はい。ありがとうございます。」

 

一週間の研修を終えた次の日の朝、再び元帥に呼び出された悠たち。これでようやく提督になれると思っていたのだが…

 

三嶋「さて、では次は戦闘訓練を行ってもらう。実戦で動けるよう、しっかりと学んでこい。

これも期間は一週間。明日から始めてくれ。武蔵、頼んだぞ。」

 

武蔵「了解した。」

 

天龍「おいおい、ちょっと待てよ。なんで戦闘訓練なんてやんなきゃいけねーんだよ?提督の研修は終わったんだろ?俺らの訓練は赴任先の鎮守府に行ってからでよくないか?」

 

龍田「ちょ、天龍ちゃん、ちゃんと敬語使おうよ〜…」

 

戦闘訓練を行うと言った三嶋元帥に、自らの疑問をぶつける天龍。ただしタメ口…敬語を使いなさい…

 

三嶋「…鳴上悠、貴官は自ら海に出て戦うのであろう?」

 

悠「えぇ。提督の仕事をこなしながら、出撃するつもりですが?」

 

天龍「でもよ、出撃するっていっても、鳴上はめちゃつえーじゃん?訓練なんているか?」

 

三嶋「確かに鳴上悠、貴官だけならば、戦うのはどうにでもなるだろう。しかし、艦隊を組んでの出撃では、武蔵との演習のような戦い方をすれば味方を巻き込みかねん。正しい隊列の組み方や連携の取り方を実戦を通して学ぶといい。

比較的安全で、設備や備品の整っている本部近海にて事前に訓練を行っておくことで、佐伯に着いた時にすぐにでも出撃出来るだろう。

嫌ならやらなくてもいいが…貴官らに着任してもらう予定の佐伯湾鎮守府は、佐伯市を中心とする宇和海周辺の市町村からの要望により、新たに設立される鎮守府だ。

宇和海は、最近になって荒れ始めてきたと聞く。少なくとも艦娘の護衛がなければ漁も出来ないくらいにはな。」

 

悠「つまり、素人には危険な海だと?」

 

三嶋「あぁ、建造されたばかりの吹雪や島風は特にだ。分かったか、天龍?」

 

天龍「なるほどな。確かに素人にゃアブねーか。」

 

島風「お話終わった?早く行こー!早く早く!」

 

三嶋「待て、あと一つ話がある。」

 

長い話にとっくに飽きていた島風は、皆を急かすが、元帥に呼び止められる。

 

島風「えー…まだ何かあるの〜…もう飽きちゃったよ。」

 

悠「我慢しろ島風。話が終わったら遊ぼうな?」

 

島風「はーい。」

 

三嶋「実は転属希望者が来てな、既に手続きは終えている。研修に使った第3会議室に待たせてあるから、顔を合わせてこい。それが終わったら、今日は自由にしてくれて構わん。話は以上だ。」

 

悠「はい。失礼します。」

 

武蔵「失礼します。ほら、行くぞお前たち!」

 

 

 

 

 

 

〜〜第3会議室〜〜

 

 

新しい仲間がいるという、第3会議室までやってきた悠たち。当然だが、部屋の中に人の気配がする。

コンコンッ

悠は念のためノックをしてみる。すると、

 

?「はーい?入ってもOKダヨー?」

 

入室の許可が無事下りたので、部屋に入る一行。

 

悠「失礼します。」

 

?「oh!もしかしなくても鳴上提督デスカー?」

 

悠「はい、貴方が転属してくれた艦娘ですか?」

 

金剛「YES!私がイギリスからの帰国子女で、金剛型1番艦・戦艦の金剛デース!よろしくお願いシマース!」

 

悠「はい、俺は鳴上悠といいます。こちらこそよろしくお願いします。ああ、みんなも自己紹介を…」

 

天龍「言われなくってもやるっつーの。」

 

 

 

艦娘自己紹介中…

 

 

 

金剛「島風に武蔵に、天龍、龍田、それにフブキチ。バッチリ覚えたヨ!」

 

吹雪「ああ…やっぱりそうなるんですね。お約束ってやつですよね?私、知ってました…ハァ…」

 

武蔵「では、今日はこれで解散なのだが、その前に明日の集合場所と時刻を教えとくぞ。明日から朝、マルキュウマルマル、出撃ゲート前に集合だ。当然だが、5分前行動だからな。余裕を持って来るように。では、解散!」

 

天龍「よーし、龍田、どうする?間宮でも行くか?」

 

龍田「行かないよ〜?天龍ちゃんは私と一緒に補習ね?大丈夫だよ、ちゃーんと優しく教えるから〜。」

 

天龍「」

 

吹雪「では、私も失礼しますね。」

 

武蔵「ああ、ではな。さて、私も行くか。悠、遅刻するんじゃないぞ?」

 

悠「大丈夫だ。そっちこそ遅れるなよ?」

 

 

各々がやるべきことをやるために部屋を後にする。会議室には、悠と島風、金剛の3人だけが残った。

 

悠「そうだ。金剛さん…」

 

金剛「stopデース悠。堅苦しい敬語はno thank youネー!歳も多分そんなに離れてないはずダヨ?もっとfriendlyでOKデース!」

 

敬語で話す悠を遮り、普通に話せと言う金剛、イギリス帰りの影響だろうか?

 

悠「そうですか…いや、違うな。じゃあ金剛、一つ聞いてもいいか?」

 

金剛「of courseダヨー!あ、でもでも、commonSenseの範囲内でお願いシマース。」

 

悠「ありがとう。じゃあ質問させて貰うが、なぜ戦艦である君が、俺みたいなぽっと出の新人の部隊に入ろうと思ったんだ?」

 

島風「あー!それ、私も気になる!強い戦艦ならもっといいとこ行けたんじゃないかな〜?って私思ったもん。」

 

金剛「気になりますか?うーん、そうですね提督の悠には話しておいた方がいいかもしれませんネー。」

 

そう言うと、金剛はポツポツと自分がこの部隊に来た理由を話し始めた。

 

金剛「実は私にはsister、妹がいるんデス。

比叡っていうんデスが…どこで育て方を間違えたのか、lesbianになってしまったのデース…

比叡が着任した時、私はeldersisterとして頑張ろうと、比叡にたくさん世話を焼いたのデス。

何せ初めての妹だったので、私も甘やかし過ぎたんですかね、そうしたら、常に私の後ろをfollowed、付いてくるようになってしまって、私のことを『お姉様』と呼ぶようになってしまったのデース。

これだけなら私もまだ悩まずに済んだのデスが…だんだんとapproachがescalate、過激になってきたのデース。

歩いている時に腕を組んで来ようとしたり、食事の時は『アーン』をしようとしてくるし、お風呂の時も背中を流すといって変な所をtouchしてくるし…挙げ句の果てには夜中に私のbedにdiveしてるんですよ!

私はlesbainではアリマセーン!normalデース!」

 

島風「オゥッ⁉︎いきなり大声出さないでよー!」

 

話しているうちに、当時の事を思い出して、怒りがこみ上げてきたのか、語気を荒げる金剛。

 

金剛「oh,sorry. ついheatupしちゃったネー。

とにかく、比叡の度重なるapproachに困っていました。提督にも相談をしていたのですが、いい解決策も見つからず、比叡のセクハラに耐える毎日デース。

そんな時です、大規模作戦で私は提督と仲間達と本部に来ていました。

作戦も無事に終了し、提督はみんなにholidayをくれました。

比叡は留守番だったので、久しぶりに1人で過ごす時間、そのときに悠、貴方の特別演習の新聞を貰ったのデース。

演習を見た後、これは比叡と距離を置くchanceだと思い、私は提督に部隊の転属を進言しました。

提督の説得と、比叡にバレずに転属の準備をするので大分時間がかかりましたが、無事にこっちに来れたデース。

長くなっちゃったケド、これが私が転属した理由デース。」

 

つまり、要約すると、『妹の比叡が私の貞操を狙っててヤバいから逃げてきた』という訳である。

 

悠「なるほど…それは大変だったな。」

 

一通り話し終えた金剛は、悠の手を取り…

 

金剛「こんな理由だけど…私の事、使ってくれますか?」

 

上目づかいで懇願する。

 

悠(カワイイ………)

 

金剛「悠?」

 

悠「はっ!いや、使ってくれだなんて、むしろこっちからお願いしたいくらいだ。」

 

金剛「それは良かったデース!じゃあこれからよろしくネ!」

 

島風「ムー…えいっ!」ゲシッ!

 

悠「痛ッ!」

 

どことなーく漂っていた良い雰囲気を吹き飛ばすように、島風は悠の脛を蹴りつける。

 

悠「なんだ島風?いきなり蹴るなよ、痛いじゃないか。」

 

島風「ふーんだ!悠がデレデレしてるのが悪いんだもーん!」

 

悠「悪かったよ島風。ほら、外でかけっこでもしよう!そうだ、金剛も来るか?」

 

金剛「いえ、無事に手続きが終わった事を、前の提督に連絡しなきゃなので、遠慮しておきマース。」

 

悠「そうか、じゃあまた明日な!行くぞ島風!」

 

島風「おー!私が1番速いんだからー!」

 

金剛の話も終わり、悠と島風も会議室から出て行く。

1人残された金剛、彼女は2人を見送ったあと、不敵に微笑んだ。

 

金剛(フッフッフッ…まずは第一段階をclearネー。提督の業務には艦娘のmental careも含まれていマース。

mysister比叡を口実に使って、二人きりの状況を作る…

比叡のapproachからescapeしつつ、悠とBurningLoveをmakingデース!

まさに一石二鳥ネー!

前の提督はwomanでしたから、恋なんて出来ないと思っていましたが…私のFirstLove…絶対に逃がしまセーン!

待ってて下さいね悠!youのheartは私が絶対にgetしてみせマース!)

 

果たして、金剛の恋は叶うのだろうか…

 

 

 

 

〜〜海軍本部・資料室〜〜

 

悠「ふむ、地名が所々違うが、大陸や島々の形は、元の世界と殆ど変わりが無いみたいだな。」

 

金剛と別れた後、昼食を済ませ、島風とひとしきり遊んだ後、資料室で地図を広げていた。まぁ資料室といっても、小さな図書室という趣で、機密に触れるような物は一切置いていないのだが。

ちなみに島風はと言うと…

 

島風「スゥ〜…スゥ〜…」

 

遊び疲れたのか、絶賛お昼寝中である。最初のうちは悠と一緒に地図を見ていたのだが、すぐに寝てしまい、今は悠の学ランが掛けられている。

 

悠(これは…パラレルワールドってやつなのか?元の世界と似てはいるが、まさか北アメリカ大陸と南アメリカ大陸がひとまとめにされているとは…)

 

一通り地図を見終わった悠は地図を片し、大量の新聞が纏めてあるラックから、新聞を幾つか取り出し、見出しの記事を読んでいく。

 

悠(…謎の怪生物に謎の海賊、これは深海棲艦のことだな。ワシントン合衆国襲撃…ワシントン?あぁ、アメリカの名前が変わっているのか。紛らわしいな…)

 

悠は、微妙な変化をしている地名に悪戦苦闘しながら、新聞を読み進めていく。

 

悠(アメリカ大陸崩壊…兵器の開発をしていないのが仇となったみたいだ。記事を読む限り、殆ど一方的だったみたいだな。)

 

そこからは、深海棲艦の記事ばかりだったが、ある時を境に一変する。

 

悠(世界を救う少女、『艦娘』の出現…Mr.バミューダの研究成果…)

 

そこからは、徐々に艦娘のあげた戦果が一面を飾るようになり…

 

悠(これは最近の記事か、艦娘達の活躍により、日ノ本国の制海権が40%まで回復…世界規模で見たら10%、いや5%にも満たないだろうな…)

 

悠は、一通り目を通し終えると、疲れた様子で伸びをする。

 

悠(ん〜…ふぅ、少し疲れたな。とりあえず収穫はあったかな?もう夕方か。さて、そろそろ島風を起こすか。)

 

「島風、ほら、そろそろ起きろ。」ユサユサ

 

島風「ん…フワァ、おはよ…」

 

悠「おはよう、島風。一旦部屋に戻ってから夕飯にしよう。」

 

島風「はーい…」

 

悠(どうやら、予想していたよりも遥かに厳しい世界情勢みたいだ。元の世界に帰れるのは何時になるやら…)

 

 

 

 

〜〜出撃ゲート〜〜

 

 

翌日、武蔵の指示通りに出撃ゲート前に来た悠と島風。念の為、15分前に来ると、

 

悠「おっ、みんないるな。おはよう!」

 

島風「おはようございまーす!」

 

武蔵「ふっ、おはよう。時間通りに来たな。」

 

龍田「おはようございます提督。」

 

天龍「ウースッ、鳴上。」

 

悠「金剛とフブキチは?」

 

武蔵「いや、まだだ。とりあえず、今日はお前に旗艦をやってもらうからな。先に艦隊編成の手続きを済ませてしまうぞ。来い。」

 

 

番長手続き中……

 

 

艦隊の編成も、後は金剛とフブキチを入れるだけである。

 

悠「ん?一つの部隊に6人までだと武蔵があぶれる形になるがいいのか?」

 

武蔵「ああ、今回は、お前を含めた新人の航海練習が主になるからな。内容によって、部隊編成は変えていくから心配するな。」

 

悠「わかった。しかし、まだ2人は来ないのか?」

 

武蔵「8時53分か。9時までに来なければ、私たちだけで出るぞ。いいな?」

 

悠「ああ、わかった。」

 

 

 

金剛「ギリギリsafeネー!」

 

吹雪「はぁはぁ…ご、ごめんなさい!遅れました。」

 

武蔵「はぁ…8時58分。本当にギリギリだな。次からは置いていくからな!」

 

吹雪「は、はい!申し訳ございませんでした!」

 

金剛「oh…sorry.善処シマース。」

 

武蔵「よし、出撃するぞ!準備はいいな!」

 

 

 

 

〜〜海軍本部近海・演習海域〜〜

 

 

悠達は、ほどなくして演習海域に着いたのだが、吹雪の様子がおかしい。妙にフラついているのだ。

 

悠「フブキチ、大丈夫か?なんかフラフラしてないか?」

 

吹雪「へっ!あ、いえ、大丈夫で、キャア!」

 

悠に声をかけられた吹雪は、驚いてバランスを崩してしまう。

 

悠「危ない!」

 

転けそうになった吹雪を、悠が受け止め支える。

 

吹雪「あ…ありがとうございます。」

(キャア〜!私、司令官に抱きとめられてます!)

 

悠「フブキチ?」

 

吹雪「あ!すみません!すぐにどきますね!」

 

悠「あ、ああ。しかし…もしかして海に出るのは初めてか?」

 

吹雪「うっ…はい。まだ建造されてから一週間と2日しか経っていないもので…」

 

悠(なるほど、確かにこのまま実践には出せないな。)

「ヤバくなったらちゃんと言ってくれ。俺も出来る限りフォローするからな。」

 

吹雪「はい、ありがとうございます!」

 

金剛(shit!面白くないデスネー…正直羨ましいデスガ、私じゃあの手は使えマセーン。まぁ、悠のreactionを見る限り、特に意識はしていないようです。ここは静観しておきマース。)

 

 

武蔵「よーし、この辺でいいだろう。注目!これからお前達には、悠を旗艦として、陣形を組みながらの航海訓練をしてもらう!私が先行し、指示を出すから、指示通りに陣形を組み、私に追従するように!では行くぞ!」

 

武蔵の号令と共に、訓練内容が伝えられる。

 

悠「よし!みんな行くぞ!」

一同「オーッ!」

 

こうして、航海訓練が始ま 「てっ、ちょっと待ってくださーい‼︎」

吹雪が大声を上げ、皆が足を止める。

 

金剛「oh.フブキチ、toiletデスカー?」

 

吹雪「違いますよ!」

 

島風「じゃあ何?早く行こうよ〜。」

 

吹雪「……なんで司令官がいるんですかー⁉︎」

 

今更である。

 

武蔵「お前、悠について何も聞いてないのか?」

 

吹雪「ええ!聞いてませんとも!なんで艤装着けてるんですか⁉︎なんで海の上に浮いてるんですか⁉︎なんかあまりにも自然に一緒に来てたんでスルーしちゃうとこでしたよ!」

 

悠「落ち着けフブキチ。」

 

吹雪「これが落ち着いていられますかー!」

 

島風「ていうか、それっぽいこと結構話題に出てたと思うんだけど?」

 

吹雪「うぐっ、たとえ話題に上っていたとしても、先入観から司令官が自ら出撃するなんて思いませんよ!」

 

島風「でもそれってただの言い訳だよね?」

 

吹雪「だって〜…知らなかったんですもん〜…」

 

龍田「常識で頭が凝り固まってるみたいね〜。」

 

天龍「鳴上、ちゃんと説明してやった方がいいんじゃね?」

悠「そうだな…」

 

 

番長説明中……

 

 

吹雪「な、なんて無茶苦茶な…」

 

悠「そんな訳で、俺も出撃するからよろしくな!」

 

武蔵「終わったみたいだな。今ので10分は無駄になったぞ。」

 

吹雪「うっ、すみません…」

 

武蔵「まぁ今回は、事前に説明していなかった悠にも責任はある。さぁ、遅れを取り戻すぞ!」

 

 

 

艦隊訓練中……

 

 

 

悠(流石に一日中だとモモとふくらはぎにくるな…受験勉強ばかりで身体が鈍ってしまったみたいだ。早朝ランニングでも始めるか?)

 

途中、昼休憩を挟みつつ、一日中訓練を行った悠達。太陽は西に傾き、空の色が変わりつつある。

若干の疲労を見せる悠だが、艦娘達は慣れているのか、割と涼しい顔をしている。約2名を除いて…

 

吹雪「ま、まだ終わらないんですか…一日中動きっぱなしで足が…」

 

島風「うぅ…なんかふらふらする…」

 

武蔵「そうだな…日も暮れてきたし、そろそろ戻るか。よし、これより帰投する!ゲートで艤装を外し、点呼を終えるまでが訓練だ!最後まで気を抜くなよ!」

 

こうして、艦隊は帰投を開始するが…

 

島風「あれ?艤装が…」

 

突如、島風の艤装の動きが鈍くなり…

 

悠「島風!」

 

島風が倒れそうになるが、悠がそれを抱きとめる。

 

悠「どうした!気分が悪いのか?」

 

武蔵「なんだ!大丈夫か!」

 

島風「うぅ…SP…切れた…」

 

悠「はぁ…なんだ、良かった。体調が悪いとかじゃないんだな?ほら、おんぶしてやるから。」

 

島風「うん…ごめんね悠。」

 

武蔵「一体なんなんだ?原因は?」

 

悠「実は…」

 

 

 

番長説明中……

 

 

 

武蔵「なるほど。燃料と弾薬が一緒くたにされている感じか。ペルソナには強いなりのリスクがあるみたいだな。お前は平気なのか?」

 

悠「あぁ。俺はレベル99まで鍛えたからな。無駄使いしなければ、結構余裕がある。」

 

武蔵「ふむ、これは予定を変更しなければだな。悠、そのSPはどうしたら増えるんだ?」

 

悠「最大値を伸ばすには、経験を積んでレベルを上げるしかないな。

回復するには、一晩寝るか、ちょっと休憩するだけでも多少は回復するな。あとは専用のアイテムか、一部の食品…お菓子とかか?それを食べれば回復するぞ。ただし普通の食品は微々たる量しか回復しないからな。実戦じゃあ使えないだろう。」

 

武蔵「わかった。今は早く戻って休ませてやろう。」

 

金剛(shiiiiiiiiiiit!!!ヤバいデース!悠におんぶされてる島風がvery羨ましいデース!ムムム…私も体調が悪くなればしてもらえるでしょうか?)

 

 

 

 

〜〜帰投ゲート〜〜

 

無事に帰って来た一行は武蔵の号令で点呼を取る。

 

武蔵「番号!」

悠「1!」

島風「2〜…」

天龍「3!」

龍田「4!」

吹雪「5〜…」

金剛「6デース!」

 

武蔵「デースはいらん!全く…では、これで今日は解散だ!各自、身体のケアはしっかりしとくように!解散!」

 

一同「お疲れ様でしたー!」

 

吹雪「はぁー…疲れました…」

 

天龍「おい、フブキチ。」

 

吹雪「はい。なんでしょうか天龍さん?」

 

天龍「お前は無駄な力が入り過ぎ。そんなんだから疲れるんだよ。

足はあくまで舵取りだ。前に進むのは、艤装のエンジンが勝手にやってくれるさ。戻ったらアイシングちゃんとやっとけよ?」

 

吹雪「あ、ありがとうございます!」

 

龍田「あら〜?天龍ちゃんったら優し〜!」

 

天龍「からかうんじゃねーよ!俺は先輩として当然の事をだな…」

 

龍田「天龍ちゃ〜ん、私も疲れちゃった〜♪おんぶして〜♪」

 

天龍「人の話聞けよ!」

 

 

悠「島風〜?大丈夫か?歩けるか?」

 

島風「うん。少しダルいけど大丈夫。」

 

金剛「hey,島風、無理は禁物ダヨ?」

 

島風「コンちゃんも心配してくれてありがとうね。」

 

金剛「コ、コンちゃんデスカー…」(なんて微妙なsense…)

 

悠「よし、まずは夕飯だな。金剛も一緒にどうだ?」

 

金剛「OK!ですが、私はshowerを浴びてから行くので、先に行って待っててくれますか?」

 

悠「わかった。じゃあ食堂で落ち合おう。」

 

その後、金剛と世間話をしながら夕食を食べた。

 

悠(のはいいが…なんかやたらとベタベタしてきたな…イゴールさんの占いにも気をつけろみたいな結果がでてたから、次もああされたらそれとなく注意してみるか…)

 

 

 

 

 

〜〜出撃ゲート〜〜

 

 

次の日の朝、同じ時間に集合した一同。今日は遅刻者もいないようだ。

 

武蔵「よし!全員揃ったな!まずは昨日、島風の艤装が急停止した原因だが、ペルソナ使い特有のものらしい。根本的な解決方法は一つ。練度を上げる事だ。

そこで、本来ならあと2日は航海訓練をする予定だったが、急遽予定を変更し、海戦演習を行う事にする。」

 

吹雪「じっ、実戦ですか…?」

 

武蔵「心配するな。要は他の艦隊との練習試合だ。使用する弾薬も演習用の物だ。轟沈する心配は無い。」

 

天龍「久しぶりの戦闘か!腕が鳴るぜ!」

 

金剛(これはchanceデース!ここでMVPをgetすれば…

妄想悠『金剛…流石だな。もうお前無しでは俺の艦隊は成り立たない。一生俺についてきてくれるか?必ず幸せにしてみせる。』

キャ〜!follow you! 絶対に放しまセーン!

…まぁ、流石にこれだけじゃこうはならないでしょうが、好感度を上げるにはうってつけデース!)

 

龍田「相手はどうするんですか?」

 

武蔵「あぁ、ランダムマッチングで同格の相手を探す。空母のいない艦隊と当たると有難いんだかな。」

 

島風「大丈夫!こっちには悠がいるもん!絶対負けないよ!」

 

武蔵「あー…それなんだがな、悠。」

 

悠「なんだ?」

 

武蔵「お前は見学な。」

 

悠「」

 

島風「えー!なんでー?」

 

武蔵「当たり前だろう。始まったと同時にあの天使…ルシフェルだったか?それを呼んでみろ。一方的な展開になるのが目に見えるわ。」

 

悠「仕方ないか。わかった、大人しくしてるよ。」

 

武蔵「よし、お前ら!私を旗艦として出撃するぞ!」

 

 

 

〜〜演習海域〜〜

 

 

こうして演習海域に来た一行なのだが…

 

「こっちに来た〜!」

「キャア〜!」

「落ち着け!陣形を崩すな!島風!」

「任せて!スクカジャ!」

「shit! 生意気ネ!Baining…Looove!!」

「今だ!合わせろ龍田!」

「は〜い!いくよ〜!」

 

悠(………………暇だ。)

 

最初こそ驚きはしたものの、マヨナカテレビで戦っていた悠は、使っている武器が違うだけで、戦い自体は見慣れているのだ。要するに『飽きた、俺も混ぜろ!』という心境である。

そんな時ある事件(?)が起きる。

 

 

 

 

〜〜出撃ゲート〜〜

 

 

それは、6日目に起きた。

 

愛宕「さーて、みんな〜?今日は演習よー!体調は大丈夫?」

 

比叡「気合い・入れて・いきます!」

 

加賀「油断も慢心も無いわ。早く行きましょう。」

 

望月「あー…ダルい…帰っていーいー?」

 

川内「駄目だよ!今日S勝利したら夜戦やらせてくれるって、提督が言ってたんだから!絶対勝つよ!」

 

北上「まっ、私らは適当に魚雷打ちまくっとけばいいっしょ?」

 

望月「そだね〜。それで適当に流しちゃおうか〜。」

 

川内「ダーメーだーよー!絶対夜戦〜!」

 

愛宕「うふふ、じゃあエントリーしちゃうね?」

 

?「あっ!すいません!ちょっといいですか?」

 

愛宕「あら?あなたは…」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜演習海域〜〜

 

 

武蔵「よーし!お前たち!準備はいいか!」

 

一同「はいっ!」

 

今日も今日とて演習に励む武蔵達。そのかいあって、島風と吹雪の練度も10に達した。

だが、今この場に悠の姿は無い。用事があると島風に言い残し、朝から何処かに出かけているようだ。

 

吹雪「しかし、司令官は何の用事なんでしょうか?島風さんにも詳しい事は教えて無いみたいですし…」

 

金剛「気にしても仕方ないデース。でも…悠がいないとやる気がhalfデース…」

 

武蔵「そこっ!無駄口を叩くな!敵艦載機!来るぞ!対空射撃よー…い?」

 

島風「どうしたのムサしゃ…ん…」

 

天龍「な、なんじゃこりゃー!」

 

龍田「提督がいないのってこういうことだったのね〜…」

 

 

ルシファー「オッス」

 

 

金剛「oh…Lucifer…」

 

吹雪「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」

 

艦載機を迎撃しようとした武蔵達の前に現れたのは、まさかのルシファーである。その後ろに、申し訳なさそうに艦載機が追従している。

 

ルシファー「いくぞ小娘共!」

 

武蔵「はっ!来るぞ!金剛!」

 

呆気にとられていた武蔵だったが、すぐに切り替え、金剛に指示を出す。

 

金剛「分かってますヨ!皆さん!私達のbackに!」

 

ルシファー「マハジオダイン!」ズガァァッ!

 

凄まじい雷が雨の様に降り注ぎ、艦隊を襲う。

 

武蔵「ぐあぁッ!」小破!

金剛「くうぅぅッ!」小破!

 

龍田「武蔵さん!金剛さん!」

 

武蔵「私達は大丈夫だ!それより早く迎撃態勢を整えろ!」

 

龍田「了解です!」

 

マハジオダインを撃ち終わったルシファーはそのまま消えていくが、その影から艦載機が襲いかかってくる。

 

龍田「対空射撃用意!撃ち方始め!」

 

天龍「クソがッ!なんて数だ!」

 

吹雪「全ては相手にしてられません!こっちに向かってきてる機体だけ撃ち落としましょう!」

 

島風「ツクヨミ!ジオ!ジオ!ジオ〜!うわーん!きりが無なよ〜!」

 

武蔵「チィッ!あのバカがアアァァァッッッ!」ドゴーン!

 

武蔵は、遥か遠くに見える敵艦隊に向けて砲撃を行うが、いかんせん距離が離れすぎている。届きこそするものの、当たりはしない。

 

武蔵「島風!私にスクカジャを!」

 

島風「えぇ⁉︎いいけど、どうする気?」

 

武蔵「悠を…あの馬鹿野郎をぶん殴ってくるんだよ!」

 

島風「オ、オォゥ!ツクヨミ!スクカジャ!」

 

武蔵「いいか!今から私が切り込んで、相手の注意を逸らしながら悠を抑える!お前達はほかの奴らを頼んだ!金剛、指揮はお前がとれ!」

 

金剛「任せてくだサーイ!」

 

 

 

川内「うわぁ〜!すごいすご〜い!これならS勝利頂きだね!」

 

加賀「慢心は駄目よ。早く砲撃戦に備えなさい。」

 

北上「いや〜、やっぱ迫力が凄いね〜。こりゃ私の出番は無しかな〜?」

 

比叡「そうですね!あれだけやればかなりのダメージを与えた筈です!」

 

愛宕「流石鳴上提督ね〜♡」

 

悠「フッ」ドヤァ!

 

加賀「……!艦載機から入電…何かが凄いスピードで近づいてきてるわ…構えて。」

 

早くも勝ちのムードが漂っていた部隊に緊張が走る。

 

比叡「ここは私が!弾着観測射撃いきます!」

 

どうやら比叡が先陣を切るようだ。偵察機を飛ばし、索敵を開始する。

 

比叡「見つけた…主砲!斉射!始め!」

 

比叡が砲撃を放つ。が…

 

比叡「…えっ?躱された⁉︎」

 

加賀「超至近弾…曲芸みたいな躱し方をされたみたいね。普通じゃないわ。」

 

愛宕「愛宕!続くわよ!」

 

続いて愛宕も弾着観測射撃を行うが…

 

愛宕「また外した⁉︎なんでなの〜!」

 

悠(何故だかもの凄く嫌な予感がする…)

 

北上「こりゃーマズイかもね。川内〜、魚雷の準備しといて〜。」

 

川内「えっ?うん、わかった。」

 

愛宕「来るわよ!」

 

 

 

武蔵「な〜る〜か〜み〜悠ー!」

 

 

 

悠「」

 

接近してきたのは、もちろん武蔵。しかもかなりキレている。

 

愛宕「えっ!武蔵さん⁉︎」

 

北上「うわ、最悪じゃん。川内と私は下がっとくよ〜。」

 

川内「えっ?なんで?倒さなきゃ!」

 

北上「私らじゃ無理無理。あの人は鳴上提督に任せとけばいいっしょ。それより…ほかの連中が来るよ。私らはそっちのお相手をしなきゃね〜。」

 

 

 

 

悠「なっ⁉︎演習相手ってお前らだったのか⁉︎」

 

武蔵「貴様は何をやっとるんだー!」

 

悠「いやっ⁉︎見学ばかりだと、体が鈍ってしまうと思ったんだ!だから他の艦隊の演習に混ぜてもらおうと…」

 

武蔵「そういう事なら一言相談してほしかったな!」

 

悠「わ、悪かった!お、落ち着け!」

 

武蔵「落ち着け?これが落ち着いていられるかっ!この際だ!リベンジマッチといこうじゃないか!」

 

悠「くそっ!やるしかないようだな!」

 

 

 

 

愛宕「武蔵さんは鳴上提督に任せて、私達は残りの艦の相手をするわよ!主砲!撃て〜!」

 

加賀「制空権はこちらにあります。偵察機が落とされる心配はありません。」

 

比叡「敵の砲撃⁉︎来ます!」

 

 

 

金剛「武蔵がdecoyになって悠を抑えているうちに、なんとか頑張るヨ〜!baining looove!」

 

天龍「俺らは主砲の射程距離が短いからな。射程に入るまでは回避に専念するぞ!」

吹雪「了解です!」

 

龍田「私達、装甲薄いから、一発もらったらそれでアウトだからね〜?」

 

島風「大丈夫!私が一番早いもん!」

 

 

 

愛宕「いくわよ〜!パンパカパーン!」ドゴォン!ドゴォン!

 

天龍「喰らうかー!」ガキィン!

 

龍田「あら〜?死にたがりさんは貴女かしら〜?」ガキィン!

 

天龍と龍田のコンビは剣と薙刀で敵の砲撃を弾き、接近する。

 

川内「なかなかやるね!だけど…これはどうかな!」バシュゥ!

 

天龍「なっ!しまった!」ドゴォ!

 

が、川内の魚雷が直撃する。さすがに水中の魚雷は剣では防げないようだ。

 

龍田「天龍ちゃん⁉︎」

 

川内「よっし!まずは一人!」

 

龍田「あらー…いけない子ね…殺されたいのかしら?」←低音

 

川内「ヒッ⁉︎いや!これ演習だから!落ち着いて!」

 

龍田「バラバラにしてあげるね♪」←デビルスマイル(天然)

 

川内「に、逃げろ〜!」

 

龍田「あら〜…逃げちゃった♪天龍ちゃん大丈夫〜?」

 

 

 

 

吹雪「ひゃあ!また⁉︎敵艦載機来ます!」

 

金剛「さすがは加賀ネ!島風!」

 

島風「任せて!ツクヨミ!」

 

ツクヨミ「疾風の如き俊足を!スクカジャ!」

 

金剛「さーあ!It a showtime!」

 

 

 

 

 

加賀(流星の数が少し不安ね…このまま押し切れるかしら?)

 

比叡「加賀さん!金剛お姉様が凄いスピードで!」

 

戦闘が長引き、艦載機の数が減ってきている所に、スクカジャの強化でスピードアップした金剛が接近する。

 

加賀「ッ!近づけないで!」

 

北上「いや、近づけちゃっていいよ〜?」

 

加賀「貴女⁉︎なにを言ってるの⁉︎」

 

近づけるべきでは無い筈だが、北上は敢えて近づけろと言う。

 

北上「私の魚雷で沈め…はしないけど、戦闘不能に追い込んで見せるよ。ここまでいいとこ無しだしね。」

 

加賀「…任せるわ。」

 

北上「了解!」

 

 

 

金剛「さーて!ここまでnearに来れば…」

 

北上「私の魚雷の的だね。」バシュゥ!

 

近づいてきた金剛に北上の魚雷が迫るが…

 

金剛「shit! ですが、当たらないヨ〜!」

 

北上「速っ!金剛型ってこんな速かった⁉︎」

 

北上はスクカジャの補助を計算にいれていなかった。

 

金剛「この距離なら外さないネ!buining looove!」ドカーン!

 

北上「……あちゃー。やられちゃったか〜。」大破!

 

 

 

 

加賀「まずいですね…川内は怯えて使い物になりませんし…」

 

川内「龍田サンコワイ龍田サンコワイ龍田サンコワイ龍田サンコワイ龍田サンコワイ龍田サンコワイ龍田サンコワイ」

 

愛宕「そうね、ちょっと卑怯だけど、駆逐艦の子を狙って判定勝利だけでも取りましょう!」

 

比叡「よーし!ガンガン撃ちますよ〜!」

 

 

 

 

作戦を変更した敵艦隊の砲撃に晒される駆逐艦2人。正直いつ当たってもおかしく無い。

 

吹雪「ひゃあ!うわぁ!危なっ!」

 

島風「フブキチ大丈夫⁉︎」

 

吹雪「な、なんとか!」

 

島風「よーし…ツクヨミ!ハマ!」

 

ここで苦し紛れに島風がハマを発動。

 

比叡「ん?この光は何でしょうか?」

 

ピカー!

 

比叡「ヒッ、ヒェー!」即死!

 

島風「あ、当たった⁉︎」

 

吹雪「自分で驚くんですか⁉︎」

 

島風「あ、倒れたね。」

 

吹雪「愛宕さんが向かいましたよ!」

 

愛宕「比叡ちゃん!大丈夫!…比叡ちゃん?」

 

倒れた比叡の口元に耳を傾ける愛宕。

 

愛宕「…………息して無い。」

 

島風・吹雪「えぇ〜‼︎」

 

 

 

 

悠「ゼェゼェ…」←HP約半分(ただしメシアライザー×3)

 

武蔵「ハァハァ…」←中破

 

演習など関係無しに、殴り合いと砲撃合戦の2人だったが、お互いに疲れが出てきており、息も上がっている。が…

 

悠「ん?ちょっと待て武蔵。何かおかしく無いか?」

 

辺りの様子がおかしい。

 

武蔵「ハァハァ…なんだ?」

 

悠「いや、急に静かになったというか…」

 

そう。先ほどまで鳴り響いていた砲撃音が止んでいるのだ。

 

武蔵「恐らく決着がついたのだろう。私達もそろそろ終わりに…」

 

 

「衛生兵!衛生へーい!」「落ち着いて。こういう時は素数を数えるのよ。3.14159265353979……」「それは円周率ですよ〜!」「ヒエイサンガシンダ!!」「コノヒトデナシ!」「うわ〜ん!ごめんなさーい!」

 

 

武蔵「悠!」

 

悠「分かっている!」

 

 

 

 

悠「みんな!何があった!」

 

島風「悠!グズッ、ヒック、戦艦のお姉さんが!ハマで死んじゃった…どうしよう…ごめんなさい…」

 

悠「大丈夫だ!イシュタル!サマリカーム!」パリィン!

 

イシュタル「もう大丈夫よ。サマリカーム!」

 

比叡「ん…あ、あれ?はっ!寝てません!寝てませんよ!」

 

愛宕「比叡ちゃん⁉︎」

 

加賀「ッ⁉︎大丈夫ですか!」

 

川内「ヴア〜ン!よかったよ〜!」

 

北上「いや〜、久しぶりに焦ったよ。まさかいきなり死ぬなんてさ〜。」

 

武蔵「はぁ、大事にならずにすんだか。」

 

悠「そうだな。とりあえず演習は中止だな。」

 

 

 

 

〜〜帰投ゲート〜〜

 

 

望月「あ、お帰り〜。」

 

愛宕「ただいま〜♪」

 

演習を中止し帰投すると、出撃を代わってもらった望月が艦隊を出迎える。

 

望月「どうだった?鳴上提督?」

 

悠「ああ、ハプニングもあったがいい運動になったよ。ありがとう。ほかの皆さんもありがとうございます。」

 

武蔵「うちの提督が迷惑をかけた。すまなかったな。」

 

愛宕「いえ〜、私達もいい経験になりましたし。では、これで失礼しますね〜。」

 

愛宕達と別れの挨拶を交わす悠と武蔵。

彼女らと別れ、悠も帰り支度を始めるが…

 

悠「ふぅ、色々あって疲れたな…今日は早めに休もう…」

 

武蔵「待て。今日の件でお前には言いたい事が山程あるのだ。帰さんぞ?」

 

悠「…………まぁ、落ち着け。」

 

武蔵「おーい島風〜?」

 

島風「何〜?ムサしゃん?」

 

武蔵「ほら、小遣いをやるからみんなと間宮にでも行ってこい。」

 

島風「ありがとう!悠とムサしゃんはどうするの?」

 

悠「もちろん俺も 武蔵「私はこいつと話があるからな、お前たちだけで行け。」

 

悠「」

 

武蔵「ほらっ!行くぞ馬鹿提督!」ズルズル

 

哀れ…首根っこを掴まれて引きずられていく悠…

 

金剛「ドナドナドーナードー…」

 

天龍「荷馬車がゆーれーるーってか?」

 

金剛「武蔵はvery angryデース…私達に出来る事は、悠が無事に帰って来ることを祈るだけネ…」

 

 

 

 

その夜、悠は武蔵に深夜まで説教をされた…(ただし後半は殆ど愚痴。)

 

 

 

 

 

〜〜食堂〜〜

 

 

悠「フワァ〜…」

 

金剛「大丈夫デスカ悠?」

 

悠「あぁ…なんとか…」

 

龍田「報告・連絡・相談は基本ですよ?提督。」

 

悠「……あぁ、武蔵にも言われた…」

 

翌朝、珍しく朝食の時間に全員揃っており、同じテーブルで朝食を摂る一行。

 

武蔵「その様子では出撃は無理そうだな。昨日まで演習漬けで、練度も予定より早くあがっているしな…そうだな…今日は休みにしてしまうか!」

 

天龍「おお!いいね!」

 

島風「わーい!何して遊ぼっか!」

 

吹雪「お休みですか?いざそう言われると、何をすればいいのか分からないですね…」

 

悠「いいのか?」

 

武蔵「なに、今日で指定された訓練の期間は終わりだ。それに元帥の事だ。明日、訓練終了の報告をしたら、すぐに佐伯に行けと言われるさ。お前たちも、遊ぶのはいいが、早めに荷物を纏めておけよ?」

 

艦娘's「はーい!」

 

悠「そういえば、佐伯市ってどんな所なんだ?ちょくちょく名前は出てくるが…」

 

武蔵「正式な着任命令は明日にされるからな。まあ、そこでも近海の状況くらいしか教えてもらえないだろう。どんな街か気になるなら自分で調べることだ。」

 

悠「そうか。まっ、何も知らない街を、一から開拓していくのも楽しそうだ。」

 

島風「ねえねえ悠!ご飯食べたらかけっこしよっ!いいでしょ?」

 

悠「すまん…せっかく休みになったんだ。午前中は寝かせてくれ…」

 

島風「え〜…しょうがないな〜…」

 

悠(俺たちは特に準備するものも無いしな…今日はゆっくりさせてもらおう…)

 

 

今日は一日ゆっくりと過ごした。

 

 

 

 

〜〜元帥執務室〜〜

 

 

三嶋「ご苦労だったな。急ごしらえだが、これで提督研修及び、戦闘訓練は終わりだ。」

 

悠「はい。ありがとうございます。」

 

悠達は、訓練の報告をしに、元帥の元へ来ていた。

 

三嶋「では、鳴上悠。貴官をこれより、我々深海棲艦討伐軍・提督として迎え入れる。階級は新米少佐だ。これから頑張ってくれたまえ。」

 

悠「はい、頑張ります!」

 

三嶋「それに伴い、貴官と島風のゲストカードを正式なものに変更しなければならん。既に話は通してある。一階の受付に行ってくるといい。」

 

悠「分かりました。」

 

三嶋「その後は鎮守府着任のために荷物を纏めておけ。明日の朝に船を出す。分かったな?」

 

悠「はい。分かりました。」(武蔵の言った通りだな。)

 

三嶋「以前にも少し話したと思うが、貴官には別府県の佐伯湾鎮守府に着任してもらう。」

 

悠(別府?確か大分の温泉地だよな…また地名がごっちゃになってるのか…)

 

三嶋「あそこは中々良い所だ…年に一回、休暇をとっては別府の温泉街を巡ったものだ。もし、休みが取れたら行ってみると良い。

そうだな…私から餞別だ。受け取れ。」

 

そう言うと、何か書状のような物を書いて悠に渡す。

 

悠「これは何でしょうか?」

 

三嶋「私が懇意にしている旅館への紹介状だ。それがあればVIP待遇が受けられるだろう。」

 

悠「それは凄い!」

 

三嶋「さあもう行け。私も暇では無いのだ。」

 

悠「はい!失礼します!」

 

悠は高級旅館への紹介状を手に入れた!

 

 

 

〜〜海軍本部・1Fエントランス〜〜

 

 

金剛「hey!悠!凄いの貰っちゃいましたネー!」

 

天龍「まさかあの堅物がこんなんくれるとはな!」

 

龍田「いつかみんなで行きたいわね〜。」

 

悠「そうだな、いつかみんなで行こう。」

 

武蔵「その前に、まずは宇和海の安全を取り戻すのが先だ。」

 

皆、元帥から貰った紹介状が気になるようだが、武蔵の言う通り、それより先にやる事がたくさんある。

 

島風「そだね。それより、早くカード貰いに行こう!」

 

吹雪「司令官の艦娘カード…いえ、男性だから艦息カード?」

 

天龍「どう違うんだよそれ?」

 

吹雪「ですから、娘って字が息子になるんですよ、多分。」

 

武蔵「というより、ついてくるつもりか?今日はもう全員でやる事は無いからな。解散でいいんだぞ?」

 

金剛「昨日のholidayで準備は大体終わってしまいましたしネ〜。」

 

天龍「ぶっちゃけみんなヒマなんだよ。」

 

武蔵「はぁ…こんな大勢で行っても邪魔になるだけだ。散った散った!」

 

「えー!」「boo!boo!」「横暴よ〜!」

 

武蔵「うるさい!周りの迷惑を考えろ!」

 

「しょうがねーなー」「仕方ないですね」「muuu…」

 

武蔵の言葉に渋々引き下がるヒマな彼女達。

 

武蔵「ようやく行ったか…よし、受付に行くぞ。」

 

 

 

 

〜〜海軍本部・1F受付〜〜

 

 

受付娘「はい、これが島風様の艦娘カードでございます。」

 

島風「オゥッ!これが私の艦娘カード!」

 

受付娘「無くさないようにしてくださいね。」

 

悠「俺のカードは?どうなっているんだ?」

 

受付娘「申し訳ありません。鳴上様のカードはまだ出来ておりません。」

 

武蔵「何故だ?元帥から話が通っているはずだ。」

 

受付娘「はい。カードのデータは出来ているのですが、鳴上様の写真が無いので、ご本人様がお越しになられたら写真撮影をさせていただこうと…」

 

悠「そうか、じゃあ早速撮ってもらおう。」

 

受付娘「はい。機材の準備は出来ておりますので、こちらにどうぞ。」

 

どうやらカードを作るには、写真が必要なようで、悠達は撮影ブースに案内される。

 

妖精「はい!じゃあ撮るよー!3・2・1・はい!」パシャッ!

 

悠(右手を高く上げ、人差し指を天に立て、左手は腰に当て、グイッとひねる!どうだ!)←Saturday Night fever!なポーズ

 

妖精「……それでいいのかい?」

 

悠「ああ!ハイカラだろ?」

 

武蔵「却下だ!」

 

悠「何故だ!こんなにもハイカラなのに⁉︎」

 

武蔵「新作の宣伝は余所でやれ!」

 

悠「メメタァッ!」

 

結局、悠のカードは普通の写真を使う事になった…

 

 

 

 

 

〜〜海軍本部・港〜〜

 

 

翌朝、悠と島風が港へ行くと、既に全員が揃っていた。

 

悠「みんな!おはよう!」

 

島風「おはようございまーす!」

 

武蔵「ふっ、来たか。」

 

天龍「よっ!艤装の積み込みは終わってるみたいだぜ。」

 

龍田「いつでも出航出来るみたいよ〜。」

 

金剛「新生活のSTARTデース!ドキドキとワクワクが止まりまセーン!」

 

吹雪「天気も快晴です!絶好の旅立ち日和です!」

 

悠「よし!船に乗り込もう!」

 

?「その前に提督就任への意気込みを!」

 

船に乗り込もうとした悠に背後から声がかけられる。

 

悠「ん?青葉さん!どうしたんですか?」

 

青葉「いや〜、元帥が代わりに見送ってこいとのことでして〜。」

 

どうやら声の主は青葉のようだ。元帥の代わりに見送りに来たらしい。

 

悠「そうですか。提督に就任したからには、海の平和は俺が守ってみせます!」

 

青葉「若さ溢れる良い心構えです!では、お気をつけて、行ってらっしゃーい!」

 

悠「よし!今度こそ乗り込もう!」

 

一同「おー!」

 

悠達が船に乗り込むと、すぐに船が動き出し、出航する。

 

悠(本部がどんどん遠ざかっていく…今後の目標は2つ。宇和海から深海棲艦の脅威を取り除く事、元の世界に帰るための手掛かりをつかむ事。これから忙しくなりそうだ…)

 

 

 

to be continue…




無事、佐伯湾鎮守府に到着した悠達。しかし、その鎮守府は普通では無かった…
青い服のお姉さん「ようこそ。佐伯湾鎮守府へ。久しぶりね。」
妖怪長鼻「ようこそ。ベルベット工廠へ。あぁ、少しばかり内装を変えさせていただきましたよ?」
青い服のお兄さん「武器の開発や改修は私にお任せください。」
強欲な妖精「ん?アイテム屋?私が仕切ってるよ!何?ぼったくり⁉︎このアイテムは中々手に入らないからこれ位でいいの!」
悠「こんなの絶対おかしいよ!訳が分からないよ!」


次回ペルソナ4 the K.C.
ぼくのかんがえたさいきょうのちんしゅふ


補給のバイトさん「ラッシャッセー!燃料、弾薬満タンですね!」
悠「何であんたまでいるんだー!」


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第八・五話 束の間の休息その一

どうもです。黒城です。外伝です。
第1章が終わってキリがいいのと、投稿間隔がかなーり空いてしまった事へのお詫び…になるかわかりませんが、投稿します。
当然外伝なので、本編とリンクはしてますが、読まなくても問題ありません。が、ちゃっかり新キャラ、しかもオリキャラが出ます。
ちなみに、今回はキャラ崩壊が激しいです。あと、最後の方は胸糞注意。


エピソード1・漣さんの憂鬱

 

 

漣(どうも!大山大佐の初期艦の(さざなみ)です!今日から3日間、ご主人様は第一艦隊と共に本部へ出張です!)

「と、いう訳でご主人様の留守は私と曙で守っちゃいます!」

 

曙「何で私まで…」

 

漣「同じ第七駆逐隊じゃないですか!トゥギャザーしようぜー!」

 

曙「黙れ。うるさい。」

 

漣「とかなんとか言って〜!一緒に正門の掃除を手伝ってくれる曙ちゃんマジツンデレww」

 

曙「別にあんたの為じゃないし。」

 

漣「ご主人様の為ですか〜?」

 

ズバシャー!

 

漣「ああ⁉︎折角集めたゴミが!」

 

曙「あんたが余計な事言うからよ!」

 

 

 

 

漣(あれから3日。今日はご主人様が帰ってくる日!何ですが…)

 

漣「曙〜…そろそろ寝なよー。」

 

曙「寝ないわよ。」

 

漣「でもそろそろ日付も変わっちゃうよ〜…」

 

曙「第一艦隊が帰ってくるのよ。誰かが出迎えなきゃでしょうが。」

 

漣「…曙が出迎えたいのはご主人様でしょ?」

 

曙「うるさい!あんたはもう寝ろ!」

 

 

 

漣(結局一晩中寝ずに待っていたみたい…)

 

曙「」←コックリコックリ…

 

漣(あーあー、船漕いじゃってるよ…)

「ほら曙〜、今日は私が待ってるから。部屋戻って寝てきたら?」

 

曙「うん…そうする…」

 

漣(……素直⁉︎)

 

 

漣「曙!」

 

曙「な、何よ!大声出して…」

 

漣「はい。」つスマホ

 

曙「…携帯?」

 

漣「曙ちゃん!ラブコールですよ!ラブコール!」

 

曙「は、はあぁぁっっ!!」

 

漣「ご主人様に早く帰ってきてほしいんでしょ?」

 

曙「だ、誰があんな奴…」

 

漣「まーまー、そう言わずに。あー!手が滑ってご主人様の携帯にかけてしまったー!」

 

曙「っ!ちょっ!あんたっ!」

 

漣「………あれ?」

 

曙「どうしたのよ?」

 

漣「会議中ですかねー?繋がりません。」

 

曙「…ホッ」

 

漣「何ホッとしてるのさ〜!こうなったら出るまでかけまくりますよ〜!」

 

曙「ちょっ!迷惑だから止めなさいよ!」

 

漣「かっとビングだ!私!」

 

 

曙「グスッ…ヒッグ…」

 

漣「まさか1日かけ続けても無理とは…」

 

曙「もういい…きっと私が悪態ばっかりついてたから…糞提督に嫌われちゃったんだ…」

 

漣(泣き顔曙ちゃんktkr!ってそれどころじゃないですよ!ヤバくないこれ⁉︎)

 

曙「……」トコトコ…

 

漣「あ!どこ行くんですか⁉︎」

 

曙「工廠…解体してもらうの…」

 

漣「ちょっ!おまっ!ご主人様〜!早く来てくれ〜!」(ク○○ン感)

 

 

漣(この後霧島さんに電話したら色々解決しました…あと、曙が帰ってきたご主人様に『お帰りなさい』と言ったら頭を撫でられていました。照れて悪態をつきながらも撫でられている曙の照れ顏は、ご飯3杯はいけますね!でも…

……誰が私も労ってほしい…ハァ…)

 

 

 

 

 

 

 

エピソード2・青葉と168の飲み会

 

 

168「カンパーイ!」

青葉「はいカンパーイ!」

 

ここは特務師団の溜まり場の秘密の地下室。

仕事を終えた2人は、仕事前に約束していた飲み会…というにはささやかだが、とにかく2人でお酒を飲んでいた。

が、楽しい飲み会の筈なのだが、青葉の表情は若干引きつっているようにも見える。

 

青葉(さーて…始まってしまいましたね…イムヤは酒癖が悪いですからね…なんとか逃げなければ…)

 

そう、168はあまり酒癖がよろしくないのだ。

 

168「プハァッ!やっぱり最初の一杯は生よね!」

 

折角のバーカウンターも、バーテンダーなんてものはいないので、使わない。

テーブルにツマミや缶ビール、ワインの瓶を広げ、ソファーにだらしなく座る2人。

完全に宅飲みの様相である。

 

青葉(不味いですね…何故か最初からテンションが高めです…酔いが回るのも早そう…)

 

168「ほらっ!青葉も飲みなさいよ!」

 

青葉「じゃあ…」チビチビ…

 

168「何チビチビ飲んでんのよ〜!もっとガッといきなさいよ〜!」

 

青葉「いや、こういうのは自分のペースってものが…」

 

 

数時間後……

 

青葉(あー…ヤバい。逃げるタイミングが見つからない…てか、私も酔ってきちゃいましたよ…)

 

168「……ん〜なんかさ、青葉って可愛いわよね?」

 

青葉「…いきなり何言ってるんですか。訳分かりませんよ。」

 

いきなり青葉のことを可愛いと言う168。

青葉は意味不明な発言を適当に流す。

 

168「…プハァ。いや、なんかね。うん。ちょっと髪下ろしてみてよ?」

 

168はワイングラスの中身を飲み干すと、グラス越しに青葉を眺めながら、やっぱりよく分からない事を言う。かなり酔っているようだ。

 

青葉「髪ですか?まぁ、いいですけど…」シュルル…

 

とりあえず、言われた通りに髪を下ろす青葉。

 

青葉「どうですか〜?満足ですか〜?」

 

168「うん。なんか良くなった!何て言うの?お淑やかになったというか…」

 

168は、髪を下ろした青葉を見て褒めるのだが、普通に褒めてもしっくりこないようだ。

しばらく考えて言葉を探す。

 

168「そうだ!胡散臭さが抜けたんだわ!」

 

大変失礼である。

 

青葉「はぁ!何言ってるんですか!ぶっ殺しますよ!」

 

168「え〜、でも、なんかマスゴミ感が抜けたっていうかさ。」

 

青葉「誰がマスゴミですか!『美しきジャーナリスト・青葉』に向かってなんたる暴言!」

 

168「あんたも相当酔ってるわね!美しきジャーナリストって!あははは!」

 

青葉「ウガー!笑うんじゃねーですよ!」

 

青葉も168も相当酔っ払っているようで、青葉に至っては、普段の掴み所の無い飄々とした感じが完全に無くなっている。

 

青葉「このっ!」

 

168「キャッ!」

 

青葉は怒りに任せて168に掴みかかると、168はそのまま押し倒されてしまう。

 

168「あ、青葉…」

 

青葉「イムヤ…」

 

168「優しくしてね…」スッ…

 

青葉が168に馬乗りになったこの状態。168は覚悟を決めたのか目を閉じる。

そして青葉は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴンッ!

 

青葉は一切の躊躇無く、168にゲンコツを落とした。

 

168「イッターい!何すんのよ!」

 

青葉「何って…てっきり殴られる覚悟を決めたのかと思いまして。」

 

168「普通ここはキスするもんでしょ⁉︎」

 

青葉「いや!しませんよ!バカですかあんた!」

 

168「むー!こうなったら…ぜーったいにキスしてやるんだから〜!」

 

168は青葉を跳ね除けると、マウントポジションを奪う。

 

青葉「ちょっ!やめっ!」

 

168「ほらっ!おとなしく…!」

 

青葉「うぎぎ…顔を近づけないでくださいよ!」

 

168「くっ、しぶといわね!」

 

意地でもキスをしようとする168と、それを全力で拒む青葉。

 

青葉「いい加減に…しろー!」

 

168「負けるか〜!」

 

こうして、特務師団長の夜は更けていくのだった…

 

 

 

 

 

 

エピソード3・幸運の雪風

 

某月某日、深夜。某鎮守府前。

草木も眠る丑三つ時。そんな真夜中に、少女が1人、街灯の下で、1枚の書類に目を通していた。

 

雪風「今日のお仕事は…えっと、護衛任務の料金を、海軍が決めた額よりも高額にして、その差分をピン撥ねしている提督さんがいるそうです!

でも…上手く躱されて大変みたいなんです…だから雪風が海軍のお掃除をしちゃいます!雪風、出撃します!」

 

彼女の名は雪風。だが、普通の雪風では無い。特務師団に所属する影のエリートだ。

その幸運スキルで数々の極秘任務を成功させてきた。

今日は、そんな彼女の仕事を拝見してみようと思う。

 

雪風「正門前に来ましたけど…鍵が開いてますね…不用心ですね♪」

 

雪風は幸運だ。彼女が潜入する施設は何故か戸締りが甘い。

 

雪風「えっと…どっちへ行けばいいんでしょう?とりあえずこっちに行きましょう!」

 

雪風は幸運だ。多少遠回りになってしまっても、何故か監視カメラの死角を進むことができる。

 

雪風「司令室?人の気配がします!ここですね!」ガチャッ

 

提督「…誰だこんな夜更けに?寝ろと言われても仕事が残ってるから…」

 

雪風は幸運だ。彼女が掃除の日に限って標的は1人でいるのだ。

 

雪風「雪風…お掃除しに来ました♪」

 

提督「ッ!何者だ⁉︎うちの雪風じゃないな!」

 

雪風「分かりますか?鋭いんですね!」

 

提督「クソッ!深夜の見回り当番は何をしているんだ!」

 

提督は慌てて非常用の警報器に手を伸ばすが…

 

雪風「じゃあ…お掃除、始めてもいいですか?」

 

提督「あれ?なんで動かない!クソッ!動け!動け!」カチッ、カチッ、カチッ

 

雪風は幸運だ。標的が外部に応援を呼ぼうとしても、何故か機器が全て故障している。

 

 

 

提督「おーい!誰かー!侵入者だー!おーい!」

 

雪風「むぅ、うるさいですね。さっさと綺麗にして帰りましょう!」

 

提督「なんでだ!なんで誰も来てくれないんだ!クソッ!誰か!頼む!来てくれー!」

 

雪風は幸運だ。標的がどれだけ叫ぼうとも、その声は誰にも届かない。

 

 

 

雪風「ペルソナ…サマエル!」

提督「う、うわ、ウワアァァァッッッ!」

 

 

 

雪風「ふう、綺麗になりました!あとはこのゴミを袋に入れて…サメさんに食べさせれば終わりです!」

 

雪風は幸運だ。ここまでの事をしているにも関わらず、誰にも気付かれない。

無論、脱出する時も何も起こらない。

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府近海〜〜

 

 

雪風「そーれ!サメさーん!ご飯ですよー!」

 

雪風は幸運だ。死体を海に投げ入れると、すぐにサメが寄ってきて、骨も残さず食べてしまう。

しかも、深海棲艦の気配も無い。

 

雪風「よし!任務完了です!団長にご褒美をもらいに行きましょう!」

 

 

 

 

 

 

〜〜海軍本部・特務師団の溜まり場〜〜

 

 

雪風「団長〜!任務完了です!」

 

青葉「おお!お帰りなさい雪風。」ナデナデ

 

雪風「ムフー、もっと撫でてください!」

 

青葉「雪風は甘えん坊ですね〜。ほら、ご褒美にケーキがありますよ〜!」

 

雪風「わぁい!ありがとうございます!」

 

雪風は幸運だ。任務が終われば、優しい団長と美味しいケーキが待っているのだから…

 

彼女の仕事はいかがだっただろうか?

次は貴方の鎮守府に、雪風が掃除に現れるかもしれない…

 

 

 

 

 

 

 

エピソード4・足立の深海ライフ

 

 

〜〜深海棲艦軍本部基地・レフの部屋〜〜

 

 

足立「グァー…スピィー…」

 

ここは、深海棲艦軍本部のレ級フラグシップの部屋。その部屋で足立がいびきをかきながら寝ている。

その部屋に、小さな襲撃者が現れた。

 

ホッポ「起キロ足立〜!遊べ〜!」

 

いきなり部屋に現れたのは北方棲姫、愛称はホッポちゃん。

彼女は何の躊躇も無く、無防備に寝ている足立にダイブする。

 

足立「グゴォー…ぐ、ゴファッ!」

 

ホッポ「オー、起キタカ?」

 

足立「ゴホッ…うん。お願いだから優しく起こしてね…てか、これ言うの何度目?」

 

ホッポ「ダメ。足立ハ優シク起コシテモ起キナイ。」

 

足立「そっか〜。そっか〜…ZZzz…」

 

ホッポ「寝ルナ〜!」

 

 

 

〜〜港湾棲姫の部屋〜〜

 

 

足立「いっただっきまーす!」

 

港湾「ハイ、召シ上ガレ♪」

 

 

足立が港湾棲姫を助けてから、かれこれ半月。足立はこうして港湾棲姫達の部屋で食事をするのが当たり前になっていた。

港湾棲姫が、助けてもらったお礼がしたいというのと、姉を助けたという事でホッポちゃんにやたらと懐かれてしまった事。

食堂もあるが、周囲からめっちゃちょっかいを出されて落ち着いて食事が出来ない。

レフに一回作ってもらった事もあるが、まあ…その…お察し。これなら足立のキャベツフルコースの方が遥かにましという出来だった…

 

 

リコ「足立サン、醤油トッテー。」

 

足立「はい。醤油。」

 

リコ「サンキュー。」

 

ちなみにこの子は飛行場姫。愛称はリコリス、もしくはリコ。

出会った当初は敬語だったのだが、いつの間にかタメ口。港湾曰く、心を開いている証拠らしい。なので、足立も気にしないことにしている。

 

リコ「足立サン、今日ハ休ミナンデショ?」

 

足立「うん。今日は訓練も事務仕事も無いよ。」

 

リコ「ジャア、イ級ノショーデモ見ニイカナイ?」

 

ホッポ「イ級ショー!見ル!」

 

足立「イ級ショー?」

 

リコ「行ケバ分カルワヨ!オ姉チャン、ソウイウコトダカラ…」

 

港湾「分カッテルワ。オ弁当作ッテ見ニ行キマショウ♪」

 

足立「え?結構遠い?」

 

リコ「ウウン。スグソコノ駆逐艦ノ生簀。」

 

足立「本当にすぐそこだね…てか、基地内でショーって…」

 

港湾「駆逐艦ヤ軽巡洋艦ノ御披露目会ミタイナモノナンデス。

優レタ艦ヲ育テタブリーダーニハボーナスガ出ルカラ、結構本格的デスヨ。」

 

足立「へぇ、じゃあ期待していいんだね?」

 

港湾「エェ。ホッポチャンモ大好キナンデスヨ。」

 

リコ「ソウイエバレフサンハ?イツマデ経ッテモ来ナイケド?イツモナラ、俺ニモ食ワセロッテ来ルノニ。」

 

足立「ああ、なんか用事があるから出かけるって書き置きがあったよ。最低でも3日は戻らないらしいよ。」

 

リコ「ソウナンダ。何カ任務カシラ?」

 

ホッポ「早ク!良イ席トラレル!」

 

ホッポちゃんは待ちきれ無いらしく、凄い勢いでご飯を掻き込みながら、皆を急かす。

 

足立「はいはい、わかったから!」

 

 

 

 

 

〜〜駆逐艦生簀・観客席〜〜

 

 

司会のヲ姉さん「ハーイ!ミンナ〜!今日ハイ級ショーヲ見ニ来テクレテアリガト〜!」

 

足立(あれって…僕の隣のデスクのヲ級さんだよね⁉︎あの泣きぼくろ…間違いない!

ほかのヲ級さんと比べても、人一倍クールで、会話も『ヲッ』しか言わないあの⁉︎)

 

足立が密かにショックを受けているが、そんなことは御構い無しにショーは進んでいく。

 

飼育員のヲ姉さん「ヲッ!」

 

司会のヲ姉さん「オーット!凄イ!空中3回転ヒネリダァ〜!」

 

ホッポ「スゴイゾ足立!スゴイ回ッテルゾ!」

 

足立「ちょ、暴れないで!落ちる!」

 

飼育員のヲ姉さんが杖でイ級に指示を出す。

イルカショーも真っ青のアクロバティックな演技だ。

足立に肩車されているホッポちゃんも大喜びだ!

 

足立(でも、レフちゃんはどこ行ったんだろ?出撃の予定は無かったはずなんだけどな。うーん気になる…)

 

 

 

 

 

 

 

 

エピソード5・mad scientist

 

 

 

〜〜とある孤島〜〜

 

 

レフ「久シブリニ来タガ、ドウナッテイルカナ〜?」

 

ネ級「止マレ!ココハ立入禁止ダ!」

 

レフ「アァン?俺ダヨ。レ級flagship様ダ。通セ。」

 

ネ級「モ、申シ訳ゴザイマセン!ドウゾ!」

 

レフ「マッタク…新人カネ〜…」

 

 

レフはとある孤島に来ていた。ジャングルの中に建てられた、大きな建物が、ここにはかなりの設備があることを示している。

 

 

レフ「アー、工作棲姫ノヤツハ奥カ?」

 

無人の建物を進んでいくレフ。

ある程度奥へ行くと、大きな工廠ドックに辿り着く。

薄暗い内部に向けて目的の人物に呼びかける。

 

レフ「工作棲姫〜?イルカ〜?」

 

しかし返事が無い。

仕方なく明かりのついている一室、コンピュータールームに向かう。

 

レフ「工作棲姫〜?入ルゾ〜?」

 

?「ン?オオ!レフ殿!オ久シブリデゴザル!」

 

中にいたのは、深海棲艦特有の白い肌に、ボサボサの黒髪ロング。ヨレヨレの白衣にグルグル眼鏡の深海棲艦。工作棲姫だ。

 

レフ「久シブリダナ。」

 

工作「半年振リ位デゴザルカ?」

 

レフ「ソウダナ。表ノハ新シイ部下カ?敵ト客ノ区別クライツクヨウニ教育シトケ。」

 

工作「コレハ失礼。」

 

レフは挨拶を済ませると、早速本題に入る。

 

レフ「研究ハドウダ?進ンデイルカ?」

 

工作「エエ!オカゲサマデ!今回ハカナリノ自信作デスヨ!マダ完成ニハ遠イデスガ。」

 

レフ「ドレドレ…?」

 

工作「フッフッフッ…コレデゴザル!ジャジャーン!」

 

工作棲姫がドックの電気を点けると、そこには輸送型ワ級が繋がれていた。

 

レフ「ナンダ?タダノ輸送艦ジャナイカ。」

 

工作「オヤ〜?気ヅキマセンカ?ヨーク見テクダサイヨー?」

 

レフはワ級をよく観察してみる。

何の変哲もない輸送艦。特徴としては、正面についている人型の像のような物。なのだが…

 

レフ「…アァ、ナルホド。コイツハ、ヤバイナ。」

 

工作「デショウデショウ!フォルムコソワ級デスガ、コノ艦ハ…艦娘ニ取リ憑キ、ソノ力ヲ奪ウ…ソノ名モ寄生型!」

 

そう、その像の部分に艦娘がいたのである。

 

工作「弱ッチィ駆逐艦娘ヤ軽巡洋艦ノ艦娘ジャア、スグニ吸収サレテ、イマイチシックリ来ナカッタンデスガネ。

シカシ、レフ殿ガ鹵獲シテキタ戦艦ノオカゲデ一気ニ研究開発ガ進ミマシタヨ!」

 

レフ「アレヲ使ッチマッタノカ⁉︎マァイイケド。イツ完成スルンダ?」

 

工作「ソーデスネー…アト2、3ヶ月ッテトコデスカネ?何分精神力ガ強イモンデ、中々コントロールガ出来ナインデスヨ。

デスカラ今ハ精神ヲ破壊スル為ニ色々ヤッテルンデスヨ。」

 

レフ「流石ハ最強ノ戦艦ト言ワレテイタダケハアルナ。」

 

工作「マダ意識ガアルンデスヨコレ。猿轡外シテミマス?」

 

レフ「止メトクワ。ドウセ『殺シナサイ』トカシカ言ワナイダロ。」

 

工作「ヨク分カリマシタネ。」

 

レフ「シカシ…クックックッ、姉妹ノ再開ガ楽シミダナァ…」

 

工作「喜ンデクレルトイイデスネェwwプギャーww」

 

レフ「アァ、キット涙ヲ流シナガラ殺シ合ッテクレルサ。」

 

そうして、邪悪な笑みを浮かべる工作棲姫とレフであった。

 

 



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第九話 ぼくのかんがえたさいきょうのちんしゅふ 前編

どうもです。お久しぶりです。黒城です。
夏の大規模作戦で、更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
今回の前編では、鎮守府に到着してからの午前中の様子をお送りします。区切らないと、また長くなりそうだったので。
午後の様子は後編で。


〜〜元の世界・悠の自室〜〜

 

 

陽介「相棒〜!」

 

一旦場所は移り、元の世界の悠の自室。

どうやら、悠がテレビに落ちた直後の様だ。

 

クマ「えらいこっちゃ〜!」

 

陽介「マズイことになっちまったぞ…悠の事だ、あいつのシャドウが出る事は無いだろうが…」

 

クマ「でもでも、一人で戦い続けるのは無理があるクマよ!」

 

陽介「でも!このテレビは何処に繋がってるかわかんねーんだぞ!迂闊に入れねーっての!」

 

クマ「そこは大丈夫クマ!迷子になっても、クマが帰りのテレビを出すクマ!」

 

陽介「…そうか!お前そんな能力あったな!すっかり忘れてたぜ。」

 

クマ「センセーの捜索もお任せクマ!センセーのニオイならバッチリ覚えてるクマ!」

 

陽介「よし、一応万が一の為にみんなにメールしとくか…」

 

 

陽介メール中…

 

 

陽介「うっし!テレビに入る前に武器をなんとかしねーと。悠のやつ、去年使ってたやつの余りとかしまってないか?」

 

クマ「あ、それならクマ持ってきたクマ。」

 

陽介「はぁ⁉︎ばっ、アブねーだろ⁉︎警察とかに見つかったらどうする気だったんだよ!」

 

クマ「今はそんな事言ってる場合じゃないクマ。さっさとセンセーを助けに行くクマよー!」

 

陽介はマルアークを、クマは精霊牙を装備した!

 

陽介「なあクマ、防具もあったりしないか?」

 

クマ「さすがにかさばるから無理だったクマ。武器があるだけありがたいと思うクマ。」

 

陽介「まっ、しょうがねえか。行くぞクマ!」

 

クマ「ガッテンショウチ!」

 

こうして、陽介とクマもテレビに飛び込むのであった…。

 

 

 

 

 

〜〜海軍本部・元帥執務室〜〜

 

 

再び舞台は艦これ世界に戻る。

 

三嶋「そうか、行ったか。」

 

青葉「えぇ、無事に出発しましたよ。」

 

見送りを終えた青葉は、書類仕事で手が離せない三嶋元帥に報告を行いながら、自らも書類の整理を手伝う。

 

コンコンッ、

 

そんな時、執務室のドアがノックされ、来客が来たことを告げる。

 

三嶋「入れ。」

 

足柄「失礼します。」

 

入って来たのは、妙高型・重巡洋艦の足柄だ。

 

足柄「あら?青葉、あなたもいたの?」

 

青葉「いや〜、書類整理を手伝えと捕まってしまいまして…」

 

足柄「あら、頑張ってね。」

 

青葉「手伝ってはくれないんですか〜…」

 

三嶋「おい、足柄。用があるなら早くしろ。」

 

足柄「あっ!申し訳ありません!こちらの書類なんですが…」

 

青葉と少しばかり言葉を交わした足柄は、三嶋元帥に急かされ、一枚の書類を提出する。

 

三嶋「転属届けか。」

 

足柄「えぇ!私も是非!鳴上提督の下で戦いたいと思いまして〜!」

 

その書類は例の転属届け。だが、三嶋元帥と青葉の反応は…

 

三嶋「悪いが期限切れだ。」

 

足柄「えっ!何で⁉︎いや、何故でしょうか?」

 

期限切れと断られた足柄は、理由を尋ねると、それに青葉が答える。

 

青葉「彼等は今朝、着任予定の鎮守府に向かいましたよ?一足遅かったですね。」

 

足柄「え、えぇ〜!!」

 

 

足柄(ま、マズイわ…家出同然で誰にも言わずに鎮守府を飛び出して来たのよ…

今更戻れないわ。というより戻りたくないわ。

妙高姉さんは提督とケッコンカッコカリ、那智姉さんもなんか近所の魚屋の息子さんといい雰囲気だったし、羽黒も羽黒で近所の洋菓子店のパティシエと仲良くなってるし…

ここで引き下がってはダメよ私!こんなとこで挫けちゃ、『年下のイケメン彼氏ゲットだぜ大作戦!』が発動する前に終わってしまうわ!)

「元帥!鳴上提督の着任先の鎮守府は何処ですか?」

 

 

元帥「聞いてどうする?」

 

足柄「追いかけます!」

 

元帥「帰れ。」

 

足柄「そんなっ⁉︎」

 

早速挫けそうである。

が、そこで青葉が助け船を出す。

 

青葉「まぁ元帥、いいんじゃないですか?

幾ら鳴上提督が優秀でも、彼だけで戦い続ける訳にもいきませんし。

新人提督では、武蔵はおろか、金剛の出撃資源の工面にも苦労するでしょうから、燃費と戦力のバランスが良い重巡洋艦がいても良いと思いますよ?」

 

元帥「確かに、その様な考え方もあるな。」

 

青葉(それに、このまま居座られても面倒ですよ?)ヒソヒソ

 

元帥「…分かった。この転属届けを受理しよう。鳴上提督は別府県佐伯市の鎮守府、佐伯湾鎮守府に向かった。ただし、交通費、もしくは燃料費は貴艦持ちだ。」

 

足柄「あ、ありがとうございます!」

 

三嶋元帥は、青葉の意見を聞き入れ、足柄の転属を許可した。理由としては後者の方が大きそうだが…

 

青葉「貸し一つ。ですよ足柄さん?」

 

足柄「分かってるわよ!今度会ったら何か奢るわ。」

 

青葉「期待して待ってますよ〜。」

 

足柄「では元帥、失礼いたします。」

(待っててね、私の未来の旦那様!貴方の足柄が今行くわよ〜!)

 

 

 

 

 

 

 

〜〜輸送船・甲板〜〜

 

 

悠「いい香りだな…ズズッ…うん、旨い。」

 

金剛「そう言ってもらえて嬉しいデース!」

 

悠「スコーンが作れるってことは、金剛は料理出来たりするのか?」

 

金剛「of course!もちろんデース!洋食なら任せてクダサーイ!」

 

武蔵「いつもは緑茶だが、たまには紅茶もいいものだ。」

 

金剛「今回は船の上なので、Water bottle ですが、鎮守府に着いたら、淹れたてをtreatしますネ!」

 

悠「そうか。その時はよろしくな。」

 

悠達の乗る輸送船。その甲板で金剛が予め用意しておいた紅茶とスコーンで、佐伯湾鎮守府に着くまでの間、ティータイムを楽しんでいた。

 

島風「このサクサク美味し〜!」

 

天龍「おいっ!いくら何でも食べカスこぼし過ぎだろ!」

 

龍田「島風ちゃ〜ん?お口拭きましょうね〜。」

 

吹雪「いや〜、平和ですね〜。」

 

金剛(ふふふ…いい感じデース。船内で手持ち無沙汰になるであろうと思って用意した、teaとscone,favorableデース!

これで、家庭的で気配りのできる女性という評価も固いデース!こういった積み重ねが物を言いマース!

し・か・も!naturalに悠をtea partyに誘う事に成功デース!Congratulations!)

 

運良く深海棲艦にも会わず、平和な航海を続ける悠達。しかし、悠は佐伯湾鎮守府に、目を逸らしたくなる様な現実が待ち受けていることを、まだ知らない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府〜〜

 

 

一向「着いたー!」

 

無事、佐伯湾鎮守府に到着した悠達。それぞれが手荷物を持ち、船から下船すると…

 

?「ようこそ。佐伯湾鎮守府へ。」

 

武蔵「む?ここの職員か?」

 

?「ええ。」

 

先に来ていた鎮守府の職員が出迎える。

 

悠「ん?どうした武蔵?」

 

武蔵「あぁ、先に来ていたここの職員が出迎えに来ていてな。」

 

悠「そうか。はじめま…し…て…」

 

職員の姿を見た悠が固まる。

何故ならその職員は…

 

マーガレット「久しぶりね。」

 

悠「マーガレットさん⁉︎なんで⁉︎」

 

島風「どうしたの悠?知り合い?」

 

そう、あの一年でお世話になった、力の管理者のマーガレットだったからだ。

 

 

 

 

 

 

予期せぬ再開を果たした悠は戸惑いを隠せない。何故なら、『契約』はイザナミを倒した時点で終わっていたと思っていたからだ。

 

悠「マーガレットさん、何故ここに?契約は完了した筈なんだが?」

 

マーガレット「私達、力の管理者の仕事は、困難に立ち向かうペルソナ使いへの援助。

既に主に聞いたと思うけど、貴方は新しい旅路を歩み始めているわ。」

 

悠「だから貴女もこの世界に?」

 

マーガレット「ええ。貴女の旅路の行く末を見届けるためにね。」

 

悠「…一つ聞いてもいいか?」

 

マーガレット「何かしら?」

 

悠「マーガレットさんの力で俺を元の世界に帰したりは出来ないのか?」

 

マーガレット「残念ながら無理ね。」

 

悠「やはりか…一応理由を聞いてもいいか?」

 

マーガレット「本来なら、この世界と貴方の世界は繋がってはいないの。それが、何かの因果か、貴方の自宅のテレビと道が繋がってしまった…私達もすぐに後を追ったわ。でも、そこである問題が起きたの。」

 

悠「問題?」

 

マーガレット「…何者かが道を閉ざした。それも、かなりの力を持った存在。

主と共に調べて見たけれど、どうやら一方通行になっているようなの。私達の力では道を開くことは出来ないわ。」

 

悠「そうか…」

 

マーガレット「気を落とさないで頂戴。今も調査は続けているから、何か分かったら伝えるわ。

それよりも、この鎮守府を案内するわ。まずは寮に向かうから、艦娘の皆さんも荷物を持ってついてきてくれるかしら?」

 

 

 

〜〜寮へ向かう道中〜〜

 

 

金剛「hey!悠!彼女は一体何者デスカー?」

 

吹雪「私も気になりますね。知り合いみたいですけど、どういう関係なんですか?」

 

悠「あの人は、去年ペルソナ絡みでお世話になったんだ。彼女の助けが無ければ俺はここにはいないかもな。」

 

金剛「フーン…」(このreactionは、特に問題は無さそうデスネー。)

 

悠「あっ、そうだ!みんな!絶対に彼女、マーガレットさんを怒らせるなよ!俺なんかよりよっぽど強いからな!」

 

武蔵「そうか。…そうか。」

 

悠「フリじゃないぞ武蔵!本気でやめてくれ!」

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・寮〜〜

 

 

マーガレット「着いたわ。ここが貴方達の住まいとなる寮よ。」

 

鎮守府の港から歩いて5分程、寮に到着する。

 

マーガレット「一階には、食堂、大浴場、リネン室、洗濯機なんかもリネン室に置いてあるわ。あとは…談話室に、酒保もあるわ。それと、貴方の部屋も一階よ。」

 

悠「分かった。」

 

金剛「私達のroomはどうなってマスカー?」

 

マーガレット「二階から上は全て艦娘用の部屋、全室二人部屋で、和室タイプと洋室タイプ、両方用意してあるわ。」

 

龍田「じゃあ、天龍ちゃんはいつも通り私と一緒ね〜。」

 

マーガレット「そうね。今は一人で使えるけど、人が増えてきたら問答無用で相部屋になるから、今のうちに気心の知れた友人と同じ部屋にしておくのをお勧めするわ。」

 

悠「俺の部屋はどんな感じなんだ?」

 

マーガレット「貴方の?もちろん特別製よ。」

 

悠「特別製?」

 

マーガレット「これは口で説明するより見てもらったほうが早いわね。行きましょうか。」

 

 

 

マーガレットの案内で悠の部屋となる一室の扉の前に来た一行。

 

マーガレット「ここが貴方の部屋よ。一応四人部屋になっているわ。」

 

悠「四人部屋?そんなに広いのか?」

 

マーガレット「ええ、開けてみて。」

 

悠は、促されるままに扉を開ける。

するとそこは…

 

悠「」

 

金剛「oh.まるで一戸建てのようなentranceネー。」

 

武蔵「ふむ。中々の広さだな。ここは居間か。」

 

吹雪「うわぁ〜!階段です!二階もあるみたいですよ!」

 

島風「スゴいね悠!…悠?」

 

室内を見てから、フリーズしてしまった悠。

驚きの表情で固まってしまっている。

 

悠「なんで…」

 

島風「悠?」

 

そして…彼は叫んだ。

 

悠「なんで堂島さんの家なんだ〜!」

 

 

 

マーガレット「気に入ってもらえたかしら?貴方があの一年を過ごした家の間取りや内装を、出来る限り再現してみたのだけれど。」

 

悠「いや!確かに慣れ親しんだ家だけども!やり過ぎだろ!」

 

マーガレット「そうね。この部屋を作ったから、入居出来る艦娘の人数が、本来の予定の100人から90人になってしまったのはやり過ぎたかもしれないわね。」

 

悠「ちょっ!それはまずいだろ!」

 

マーガレット「大丈夫よ。貴方がその分戦えば、何の問題も無いわ。」

 

悠「全然大事ょば無いぞ!」

 

武蔵「悠、少し落ち着け。」

 

悠「フー、フー…あぁ、すまん。少し興奮してしまった。」

 

マーガレット「じゃあ、私は先に食堂へ行っているわ。皆さんも、お好きな部屋に荷物を置いたら食堂に来てちょうだい。昼食にしましょう。」

 

言うだけ言って、マーガレットは食堂に向かってしまった…

その後に続いて、天龍と龍田、吹雪が部屋を出て行く。

 

悠「はぁ…仕方ないか。とりあえず荷物の整理をしよう…」

 

武蔵「そうだな。」

 

金剛「teasetは食器棚に置いちゃいマース。」

 

島風「私は荷物が殆ど無いからやる事ないや。先に食堂行っててもいい?」

 

悠「いや、全員の荷物整理が終わったら…ん?全員?」

 

荷物の整理を始める四人、だがここで、悠は一つの違和感に気づく。

 

悠「……武蔵、金剛。何してるんだ?」

 

武蔵「何って、荷物の整理だが?」

 

金剛「それ以外に何かありますカー?」

 

悠「荷物整理なら自分の部屋に行ってやるといい。」

 

金剛「HAHAHA.おかしな事を言いますね悠、Myroomはここデスヨー?」

 

悠「違うだろ!ここは俺の部屋だ!勝手な事は…」

 

武蔵「まあそう言うな。四人部屋だし問題は無いだろう。」

 

悠「いや、問題だろ!いい年した男女が同じ部屋で過ごすなんて、何かあったらどうする気だ⁉︎」

 

武蔵「何も起きんさ。お前が何もしなければな。信頼しているぞ?」

 

金剛(まぁ、私は起こす気満々なんですけどネー…)

 

悠「前途多難だ…」

 

島風「大丈夫?悠?」

 

悠「あんまり大丈夫じゃないかな…」

 

部屋割りの時点で、先行きが不安になる悠であった…。

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・寮・食堂〜〜

 

 

マーガレット「あら、遅かったわね。」

 

悠「一悶着あったからな…」

 

荷物の整理を終えた悠は、食堂に来ていた。ちなみに、武蔵と金剛の部屋割りだが、結局悠は押し切られてしまい、同じ部屋に住む事となった。

 

マーガレット「そう。まあいいわ。ここが食堂よ。」

 

食堂は、広さこそ大きいものの、一般的な学校の食堂と大差ないような内装である。違いをあげるとしたら、食券の販売機が無いくらいだろう。

 

悠「中々の広さだな。」

 

マーガレット「当然よ。いずれは沢山の艦娘が利用するでしょうからね。」

 

天龍「おーい、マーガレットさんよぉ、食堂に来たはいいけどよ、昼飯はどうすんだ?」

 

待ちくたびれた様子の天龍が、会話に割って入り、昼食の催促をする。

 

マーガレット「大丈夫よ。ちゃんと用意してあるわ。」

 

悠「昼食は誰が作るんだ?パートのオバちゃんでも雇ったのか?」

 

マーガレット「いえ、ちゃんとした料理人を雇ったわ。ついでだから紹介しておきましょう。」

 

そう言うと、マーガレットは厨房へ入っていき、中の人を呼びに行く。

 

 

 

マーガレット「待たせたわね。彼がそうよ。自己紹介をお願いできるかしら?」

 

マーガレットが連れてきたのは、鋭い目つきとがっしりした体格、そしてなにより…

 

悠(この感じ…ペルソナ?)

 

荒垣「コックの荒垣真次郎だ。よろしく頼む。これでいいだろ、戻っていいか?」

 

マーガレット「ええ。では食事にしましょう。」

 

悠「ちょっと待ってください!」

 

自己紹介を終え、厨房に戻ろうとする荒垣を、悠が呼び止める。

 

荒垣「あぁ?なんだ?」

 

悠「あなたは…もしかしてペルソナ使いではありませんか?」

 

武蔵「なんだとッ⁉︎」

 

天龍「なんだよ、こいつも鳴上と同じだって言うのか?」

 

悠「ペルソナ使いは惹かれ合うらしいからな。どうなんですか?荒垣さん?」

 

荒垣「…確かに俺はペルソナ使いだ。だがな、だったらどうしたてっんだ。俺はコックだ、今更戦う気なんてねーよ。」

 

悠「そ、そうですか。」

 

荒垣「まっ、旨い飯ならいくらでも作ってやる。そこは期待してくれて構わねー。」

 

荒垣は、ペルソナ使いである事をあっさりと認めたが、戦う気は無いと言う。

 

武蔵「待て!荒垣真次郎!力がありながら何故戦わん!こうしている今も、深海棲艦の奴らがこの世界の海を荒し回っているんだぞ!」

 

だが武蔵は、力があるのに戦おうとしない荒垣が気に食わないのか、理由を問い詰める。

 

荒垣「……俺の戦いはもう終わってんだ。

それに、俺はこの世界の人間じゃねーしな。いや、それどころか、まともな人間ですらねー。」

 

悠「どういう事ですか?」

 

 

 

 

 

荒垣「…俺はな、一回死んでんだよ。」

 

 

 

 

 

武蔵「なっ!」

 

天龍「つまり…どういう事だ?」

 

龍田「もしかして〜…幽霊さん?」

 

金剛「unbelievable!とてもそうは見えまセーン!」

 

吹雪「で、でも、現にあなたはここで生きてますよね⁉︎死んでるなんておかしいですよ⁉︎」

 

荒垣の語る真実に全員が驚く。それを見て、荒垣は溜息を吐きつつ、話を続けていく。

 

荒垣「はぁ…。俺は確かに一度死んだ。犯した罪を清算する為にな。」

 

島風「罪…?何か悪い事したの?」

 

荒垣「まっ…色々とな…。そんで俺は地獄に行く為に、三途の川で順番待ちをしてたんだがな。」

 

悠「そこにマーガレットさんが現れたと。」

 

荒垣「いい読みだ。そうだ、あの女が急に現れたかと思ったら、渡し守りに金を握らせて、俺をこの世界で生き返らせやがった。」

 

武蔵「無茶苦茶だな…賄賂で人が生き返るとは…」

 

荒垣「分かってもらえたか?何であれ、俺は一度死んでんだ。戦い抜いて、その結果に満足してな。

そんな奴が、生きてる奴らの世界にチョッカイかけるわけにもいかねーだろ。ほらっ、これで話は終わりだ。メシにするぞ、さっさと取りに来い。」

 

荒垣は戦わない理由を説明し終わると、食事の準備の為に厨房に戻る。

後には、重苦しい空気が残る。

 

悠「…ほらっ!みんな、昼飯にしよう!荒垣さんは、料理に自信があるみたいだからな。楽しみだ!」

 

悠は、そんな空気を吹き飛ばそうと、皆にわざと大きな声で明るく話しかける。

 

島風「…そうだね!よーし!私が一番早く食べちゃうぞー!」

 

天龍「島風〜、早食いは消化に悪いからやめとけよ〜。」

 

 

 

 

悠「ほぅ、カレーですか。」

 

悠はカウンターで料理を受け取る。メニューはカレーとサラダのようだ。

 

荒垣「あぁ。やっぱり海軍ったらカレーだしな。」

 

荒垣も、悠に返事を返しつつ、自分の分をよそる。

 

悠(クンクン…スパイスのいい香りだ。市販のルーではこうはいかないだろうな。)

 

荒垣「さっさと行け。他の奴らが待ちくたびれてんぞ。」

 

悠「あ!悪い!今行く!」

 

脳内でカレーの批評を始めようとしていた悠が、荒垣の声で現実に引き戻されると、悠は慌てて皆のいる席に駆けて行った。

 

荒垣「たくっ…。同じワイルドでもあいつとはまるで違うな…。まっ、当然か。ハムッ、…まあまあの出来だな。」

 

 

 

 

一同「「「いただきまーす」」」

 

全員揃ったところで、いただきますをする一同。いただきますは大事だよね。

 

悠「‼︎⁈⁈⁉︎美味い!」

 

島風「むーッ!ほいしー!」

 

武蔵「口に物を入れたまま喋るな!…しかし、本当に美味いな。」

 

龍田「そうね。こんな美味しいカレー初めてだわ〜。」

 

悠「深いコク…スパイスの香り…ただ辛いだけでは無く、野菜の甘みか?甘さも感じられる…一体いつから煮込んでいたんだ?」ブツブツ…

 

吹雪「なんか司令官がブツブツ言ってますよ…」

 

天龍「そっとしとけ。それより冷める前に食っちまう方が大事だぜ。」

 

金剛(これは…すごくDeliciousデース。後でrecipeもらえるでしょうか?)

 

みんなで美味しいカレーを食べた!

 



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第九話 ぼくのかんがえたさいきょうのちんしゅふ 後編

未成年の飲酒、ダメ!絶対!
どうもです。黒城です。
後編は、特にキャラ崩壊が激しくなっております。
シリアスなんて居なかった。


「「「ごちそうさまでした〜!」」」

 

カレーを食べ終え、食器を片す一同。

 

悠「ごちそうさまでした、荒垣さん。美味かったです。」

 

荒垣「そうか。そりゃ何よりだな。」

 

金剛「Hey!Mr.荒垣!curry very Deliciousでした!それで!よかったらrecipeをもらえたらな〜なんて!」

 

礼を言う悠と金剛。金剛はついでにレシピがもらえないかと尋ねる。

 

荒垣「レシピ?ああ、別に構わねえが…」

 

金剛「thank you 荒垣!promiseデスヨ〜!」

 

金剛は、約束を取り付けると皆の元へと戻っていく。

 

荒垣「テンションの高い奴だな…」

 

悠「あはは、ああいうのは苦手ですか?」

 

荒垣「まあな…」

 

悠「そうですか。悪い子じゃないんで、あんまり邪険にしないでくれると嬉しいです。」

 

荒垣「善処する。」

 

悠「頼みますよ?あ、そうだ。俺も料理出来るんで、何かあったら呼んでください。手伝いますから。」

 

荒垣「ああ、何かあったら頼むわ。」

 

 

 

悠「で、次はどこを案内してくれるんだ?」

 

昼食を食べ終えた悠達は、次に行く場所をマーガレットに尋ねる。

 

マーガレット「次は鎮守府本棟…の前に酒保の店主に挨拶していきましょうか。」

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・寮・酒保〜〜

 

 

マーガレット「ここが酒保よ。生活に必要な最低限の物は揃うようにしてあるわ。」

 

食事を終えた一行は酒保に案内される。

店内はコンビニ程の広さで、そこかしこに陳列途中と思われる商品の段ボールが置かれている。

と、悠達に気付いたのか、奥から人が出てくる。

 

?「あっ!いらっしゃいませ〜!でもごめんね〜!まだ準備中なの。」

 

一行を出迎えたのは、派手なメイクの妖精。だが、この世界の妖精とは大きさがまるで違う。というか、人間サイズである。

 

マーガレット「トリッシュ、自己紹介を。」

 

トリッシュ「はいはい、言われなくてもやるっての!私はトリッシュ!このお店の店主よ。よろしく〜!」

 

悠「ああ、よろしく。この店は、どんな商品を扱ってるんだ?」

 

トリッシュ「基本はそこらにあるコンビニと変わんないわ。

で・も!あんたみたいなペルソナ使い向けの、スペシャルなアイテムも取り扱ってるわよ!」

 

悠「へぇ、どんなアイテムなんだ?」

 

トリッシュ「ちょっと待ってて!とってくるわ!」

 

そう言うと、トリッシュは商品を取りに奥へ戻る。

 

 

武蔵「おい、マーガレット。あの妖精のコスプレ女はなんだ?本来なら酒保は、本部のスタッフが管理する筈だが?」

 

マーガレット「ペルソナ使いの為のアイテムは、この世界では手に入らない。

だから、そのアイテムを生成することの出来る存在が必要だったのよ。」

 

武蔵「信用出来るんだろうな…」

 

マーガレット「ええ。品質は問題無いわ。品質はね…」

 

 

ほどなくして、トリッシュが奥から段ボールを一つ抱えて戻ってくると、レジカウンターの上に中のアイテムを広げ始めた。

 

トリッシュ「まずは、定番の傷薬、軟膏薬、ヒールゼリーに緊急医療セット。体力回復はこれね!

まだまだあるわよ!ソウルドロップ、スナフソウル、チューインソウル、ソウルフード。

ペルソナ召喚の為のSP回復はこれでばっちりよ!」

 

中から出てきたのは、1年前にもお世話になった、懐かしい回復アイテム。

 

悠「中々の品揃えだ。SP回復アイテムがあるのは嬉しいな。」

 

トリッシュ「でしょでしょ!でもね、まだ目玉商品を出してないんだなこれが!」

 

悠「目玉商品?」

 

トリッシュ「フッフッフッ…それはね…これよ!」

 

トリッシュが取り出したのは、美しい装飾が施された一本の瓶。

 

悠「これは…⁉︎まさかソーマ⁉︎」

 

ソーマ、それはパーティ全員のHP・SPを全回復させる奇跡の薬。だが、その貴重さ故に、使うのを躊躇いがちになる。そんなアイテムである。

 

トリッシュ「おぉ〜!お目が高いねお客さん!で・も!これはただのソーマじゃ無いんだなこれが!」

 

だが、どうやら普通のソーマとは違うようだ。

 

トリッシュ「これはね、普通のソーマの効果に加え、艦娘の艤装の修復、更には燃料と弾薬を一瞬でマックスまで補給してくれる奇跡の薬だよ!

その名も『ソーマ・トリッシュブレンド』!開発期間は多分10年!」

 

とんでもないチートアイテムである。

 

悠「そいつは凄いな!いくらなんだ?」

 

トリッシュ「20万。」

 

悠「………は?」

 

…参考までに言うと、装備していた艦娘が、轟沈する程のダメージを受けた際、耐久値・燃料・弾薬をマックスまで回復してくれる装備品、『応急修理女神』は、一回使い切りで、艦これゲーム内でのお値段は、おひとつ500円である。

 

トリッシュ「20万円だよ!ほんとは倍とったっていいんだから!さぁ!買いなさい!ほら!買いなよ!買えッ!」

 

悠「…よし、みんな!次に行こう!」

 

トリッシュ「はぁ!何それ!あんた軍人だろ!金で勝利が買えるんだよ!これくらい安いでしょうが!くそっ!ばーか!貧乏人!」

 

…酒保を後にした一行だった。

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・本棟〜〜

 

 

マーガレット「ここが鎮守府の本棟よ。」

 

寮を後にし、鎮守府本棟へやってきた一行。

裏手の職員玄関と思わしき入り口から中に入る。

 

マーガレット「本棟は三階建てで、一階は受付、応接室、海軍の外向けの資料の展示、甘味処間宮もテナントではいってるわ。」

 

悠「なるほど。」

 

マーガレット「この一階だけは、一般開放もされているから、一般のお客様に失礼の無いように。」

 

悠「わかったか?天龍?」

 

天龍「なんで俺なんだよ、島風に言えよ。」

 

悠「いや、お前が一番口が悪いからな。」

 

天龍「仕方ねーだろ!敬語なんて柄じゃねーんだよ!」

 

島風「天ちゃんは敬語使えないの?」

 

龍田「そうなのよ〜、天龍ちゃんおバカだからね〜。何度か教えようとしたんだけど、どうしても不良みたいな感じの敬語になっちゃうの。」

 

天龍「こらそこ!俺は馬鹿じゃねー!ちょっと勉強が苦手なだけだ!」

 

吹雪「それを馬鹿って言うんじゃ…」

 

天龍「なんか言ったか!」

 

吹雪「いえ!何も!」

 

 

マーガレットの案内は続いていく。

 

マーガレット「二階は会議室と資料室が主よ。任務のブリーフィングは会議室でお願いするわ。」

 

天龍「なんでだ?別に会議室じゃなくたっていいんじゃね?」

 

金剛「Yes.こんな堅苦しい場所でやらずに、tea timeの出来る場所でやるべきデース。」

 

武蔵「馬鹿者、情報の漏洩を防ぐ為だ。どこから情報が漏れるかわからないんだぞ?」

 

天龍「はぁー…深海棲艦がわざわざスパイを送ってくんのか?」

 

武蔵「敵は深海棲艦だけでは無い。反戦を掲げる過激な団体にも気を配る必要がある。わかったか?」

 

天龍「なるほどな、念には念をってわけか。」

 

 

マーガレット「三階は執務室、艦隊司令室、放送室があるわ。普通は提督が司令室で艦隊の指揮をとるのだけど…」

 

龍田「鳴上提督は使う機会が少なそうですね〜。」

 

悠「前線で直接指揮をとれるからな。」

 

吹雪「やっぱり出撃する気なんですね。」

 

悠「ああ、みんなは俺が守ってみせる!」

 

吹雪「本当は私たちが守る側なんですけどね〜…」

 

マーガレット「さて、こんなものかしらね。さぁ、次に行きましょう。」

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・出撃ゲート前〜〜

 

 

マーガレット「ここが出撃ゲートよ。ここは、本部のものと大差ないから飛ばすわね。場所だけは覚えておいて。」

 

出撃ゲート前に来た一行だが、どうやらここには用はないようだ。

 

マーガレット「そして、あっちに見える建物が補給棟と艤装の工廠(こうしょう)よ。」

 

マーガレットが指し示す先には…

 

島風「エム…オー…イーエル石油?」

 

悠(もう嫌な予感しかしない…)

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・補給棟〜〜

 

 

悠(うわー…MOEL石油まんまだー…)

 

悠達は、ガソリンスタンド・MOEL石油…もとい、補給棟に来ていた。

正直、ガソリンスタンドの設備で、艤装に補給が出来るかはかなり怪しいが、わざわざこんな風に作り変えているのだから大丈夫だろう…多分。

そして、中から赤い帽子の店員が出てきて、こちらに駆け寄ってきて…

 

?「らっしゃーせー!燃料満タンで?」

 

悠「ウンシッテタ。MOELセキユノカンバンミタトキカラシッテタ。」

 

?「おや、つまらないですね。もっと驚いてもらえると思っていたのですが…」

 

武蔵「なんだ?また知り合いか?」

 

イザナミ「どうも、私は補給棟の管理を任されたイザナミと申します。」

 

武蔵「イザナミ?また大仰な名前だな。」

 

イザナミ「大仰…ですか。この名に恥じぬ力は持ち合わせているつもりですがね。」

 

武蔵「ほう…」

 

悠「やめろ武蔵。イザナミ、いくつか質問をさせてもらうぞ。いいな?」

 

正気を取り戻した悠は、武蔵を諌め、警戒しつつも情報を手に入れようと、イザナミに質問をする。

 

イザナミ「ええ、構いませんよ?」

 

悠「…お前は、間違いなく俺が倒したはずだ。なぜここにいる?」

 

イザナミ「ああ、確かに私は貴方に倒されました。ですが、殺すまではいかなかったようですね。

まぁ、貴方に倒された事によって、力は霧散し、一時期は実体を持てないレベルまで弱体化しましたが。」

 

どうやら悠は、イザナミを完全には倒せなかったようだ。

 

イザナミ「それから半年程で、ようやく実体を持てるまでに回復しましてね。」

 

悠「…そしてまた、人の望みを見極める為に現れたのか?」

 

イザナミ「いえ、それについてはもう結論は出ていますよ。他ならぬ貴方が…その答えを示したではないですか。」

 

悠「なら何故!今再び俺の前に現れた⁉︎」

 

悠は、イザナミの目的が読めずに声を荒げる。それに対し、イザナミは…

 

イザナミ「…暇だったのですよ。」

 

悠「………は?」

 

イザナミ「本当は、力がある程度戻ったら黄泉に帰る予定だったのですが…。

ほら、私、MOEL石油でバイトしてたじゃないですか?」

 

悠「…そういえばしてたな。」

 

イザナミ「それでですね、貴方達を監視していた間は、特にお金を使う事もありませんでしたし、余ってたんですよね、バイト代。

正直、このまま黄泉に帰ってもバイト代が無駄になってしまうので、どうせなら見聞を深めようと、1人の人間として、旅に出る事にしたのです。」

 

悠「そうか…」(イザナミも正面から人と向き合おうと思ってくれたのか…)

 

イザナミが人の事を理解しようとしてくれたことに、悠は感銘を受けた、が…。

 

イザナミ「それでですね…最初はディズ◯ーランドに行ったんですよ!あ、シーも行きました!」

 

悠「………え?」

 

イザナミ「ランドとシー、どちらもとても楽しかったです。ところで、なんで千葉にあるのに名前に東京が入るんでしょうね?知ってます?」

 

悠「イエ、シラナイデス。」

 

どうやら、ただ旅行に行っただけのようだ。もう色々と台無しである。

 

 

 

 

イザナミが行ってきた旅行のお土産話に付き合った…

 

 

 

イザナミ「それで、久慈川さんのライブに行ったのですが…」

 

マーガレット「イザナミ様、そろそろ本題に入らせていただいてもよろしいかしら?」

 

30分ほど、一方的に話を聞かされてウンザリしたのか、マーガレットが口を挟む。

 

イザナミ「…そうね。でもまだ、話し足りないのだけれど…」

 

マーガレット「イ・ザ・ナ・ミ・様?」

 

イザナミ「…仕方ありません。続きはまたの機会にしましょう。」

 

どうやら、ようやく本題に入るようだ。

 

イザナミ「ここでは、燃料と弾薬の補給や、艤装の修理を行っています。

艤装の修理については、お代の代わりに、燃料と鋼材を、艦種と破損具合に応じて頂きます。」

 

天龍「あんたが修理すんのか?出来るようには見えねーけど、大丈夫か?」

 

イザナミ「ええ、私が行うのは修理というより、復元なので。」

 

吹雪「復元?」

 

イザナミ「はい、そうですね…少々お待ちください。」

 

そう言うと、補給棟の隣に建っている建物、(恐らくは艤装の工廠だろう)に入っていく。

しばらくすると、小さめの主砲を持って戻ってきた。

 

吹雪「あっ!私の12.7㎝連装砲!」

 

どうやら吹雪の艤装のようだ。ご丁寧に名前シールまで貼ってある。

 

イザナミ「では、こちらの主砲で実演しましょう。」

 

イザナミは、そう言うと…

 

イザナミ「それっ!」

 

連装砲を上へ投げ…

 

イザナミ「フッ!」バチィンッ!

 

雷を落とした!

 

吹雪「うわぁ〜!!私の連装砲がぁ〜!」

 

憐れ、吹雪の連装砲は完全に壊され、無残な姿を晒す。

 

吹雪「うぁ〜…そんな〜…」

 

吹雪は涙目になりながら、連装砲を拾い上げる。

 

イザナミ「あの…大丈夫ですから泣かないでください。」オロオロ

 

吹雪「だってぇ…もうグチャグチャで…ヒッグ…」

 

武蔵「おい、どうするつもりだ?」

 

イザナミ「今から、破損した艤装を復元します。さあ、貸してください。」

 

吹雪は震える手で連装砲をイザナミに渡す。

 

イザナミ「いきますよ…ハアァァッッ!」

 

イザナミが念を込めると、連装砲が霧に包まれていく。

 

イザナミ「………ふぅ、終わりましたよ。」

 

時間にして僅か1分程。イザナミは、息を吹きかけ霧を散らすと…

 

吹雪「直ってる!直ってますよ!うわぁ〜!よかった〜!」

 

武蔵「バカな!一体どうなっている!」

 

悠「まさか…」

 

イザナミ「さすがに鳴上君は気付きますか。」

 

悠「あの1年間の無限ループの応用か?」

 

イザナミ「御名答。時間を巻き戻し、壊れる前の状態に戻しました。機械の寿命が破損の原因でない限りは復元可能です。」

 

武蔵「…なるほど。修復にかかる時間はどうなっている?」

 

イザナミ「大体はさっきの主砲と同じ時間で復元出来ますよ。」

 

吹雪「すごいですね!これなら、反復出撃も楽になりますよ!」

 

武蔵「これが他の鎮守府に知れたらちょっとした内乱になりそうだな…」

 

龍田「ちょっと待ってもらえますか〜?」

 

ここで、龍田が口を挟む。

 

龍田「これって、艤装は直りますけど、私達の怪我はどうすればいいのかしら?」

 

マーガレット「ああ、それなら私達スタッフに言ってもらえれば回復するわよ。

ただし、トリッシュはダメよ。彼女も回復魔法は使えるのだけど、法外な料金を請求されるわ。

必ず、彼女以外のスタッフに頼んでちょうだい。魂が天に召されていない限りは、どんな怪我でも治してあげる。」

 

悠「俺も回復魔法は使えるからな。遠慮なく言ってくれ。」

 

龍田「は〜い♪でも、これだと高速修復材が必要なくなっちゃいますね〜。」

 

マーガレット「そうね、必要の無いアイテムは買い取りも検討させてもらうわ。」

 

 

 

悠「ていうか、イザナミはどうやってここに来たんだ?」

 

イザナミ「旅を終えて、黄泉に帰る途中に三途の川に寄ったのですが、そこでたまたまマーガレットさんと会いまして…」

 

悠「ソウナノカー」(多分、荒垣さんのついでに連れてきたな…)

 

 

 

 

補給棟を後にした。

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・艤装工廠〜〜

 

 

イザナミに別れを告げ、隣の艤装工廠に向かう一行。

入口の手前では、マーガレットの着ている服とそっくりな青い服の上に、多機能エプロンをつけたイケメンが、ソワソワしながら待っていた。

 

マーガレット「…ここは後にして建造工廠に向かいましょう。」

 

?「そんなっ!姉上っ!無視しないでくださーい!」

 

マーガレットは、そんな声を無視して次に行こうとする。

 

悠「マーガレットさん、さすがに無視は可哀想じゃ…」

 

マーガレット「仕方ないわね…」

 

 

 

テオドア「初めまして。(わたくし)、マーガレットの弟のテオドアと申します。どうぞ、お気軽に『テオ』とお呼びください。」

 

悠「テオさん、よろしくお願いします。」

 

テオドア「ここ、艤装工廠では、艦娘の艤装の開発と改修を行っています。

御入用の際は是非ご相談ください。最高の艤装をご提供させて頂きます。」

 

マーガレット「それと、テオは雑用もやってくれるわ。何かあったら頼んでも構わないわよ。」

 

テオドア「姉上っ⁉︎」

 

悠(…そっとしておこう)

 

どうやら、力関係はマーガレットの方がずっと上のようだ。

 

マーガレット「さあ、次で最後よ。建造工廠で主が待っているわ。」

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・建造工廠〜〜

 

 

マーガレット「着いたわ。ここが建造工廠…いえ、ベルベットルームと言った方が貴方には馴染みが深いかしら?」

 

着いたのは、一見すると倉庫の様な建物。

だが、問題はその扉。

 

悠(ベルベットルームへ続くドアと同じ…青く光るドアか…)

 

島風「なんか光ってるね。」

 

マーガレット「さあ、開けてちょうだい。」

 

悠は、意を決して扉を開け、皆と中へ入る。

 

 

 

 

〜〜ベルベットルーム〜〜

 

 

イゴール「ようこそ、ベルベットルームへ。」

 

ベルベットルームの中へ入る一行。

内装は、以前のリムジンの車内の様なものから、大きく様変わりしており、部屋の中央に円形のテーブル、イゴールの座っているソファー、それと向かい合う様に置かれたL字のソファー、弾き手のいないピアノ。そして、イゴールの真後ろのステージ。

そして、相変わらず全てが青い。まるで深海にいるかのようだ。

 

悠「どうも、イゴールさん。」

 

島風「うわぁ!すごい鼻だね!」

 

イゴール「お褒め頂きありがとうございます。さぁどうぞ、お掛けください。」

 

天龍「スゲー部屋だな、真っ青だ。」

 

金剛「Yes.一面 deep blue デース。」

 

龍田「でも、なんだか落ち着くわね〜。」

 

イゴール「ここは、夢と現実、物質と精神の狭間にある部屋。この青は、心の海を表しており、心をリラックスさせる効果があります。」

 

吹雪「心の海、ですか?」

 

イゴール「左様でございます。この部屋は、ペルソナの召喚を行う部屋。

心の海から新たなペルソナを呼び出す際に、精神が乱れていると、ペルソナが暴走する危険がございますので。」

 

吹雪「ということは、私達にもペルソナが⁉︎」

 

イゴール「いえ、申し訳ありませんが、今回はペルソナ召喚は行いません。」

 

吹雪「あっ…そうですか。」

 

イゴールの説明を聞き、自分もペルソナを持てると思った吹雪だったが、イゴールはペルソナ召喚を行わないそうだ。

 

悠「ペルソナ召喚をしない?」

 

イゴール「左様でございます。今回の私の役目は、在りし日の戦いの記憶を、この世界に呼び寄せ、新たな生命として生み出す…

そう、艦娘の建造…いえ、『艦娘召喚』を執り行います。」

 

悠「艦娘召喚?」

 

どうやらイゴールは、艦娘の召喚を行ってくれるようだが…

 

武蔵「艦娘を生み出すだと?建造技術は妖精しか知らないはず。どうする気だ?」

 

そう、艦娘の建造技術は妖精が独占しているはずなのだ。

 

イゴール「ペルソナ召喚の際には、心の海から、神魔の類の記憶・記録・知識を呼び寄せ、ペルソナとして契約者の心に宿らせます。

艦娘召喚を行う際は、呼び出す記憶を軍艦のものに変えることで、艦娘召喚を行います。

幸いにも、術式の殆どはこの世界に、一種の法則として直接刻み込まれている様子。媒介となる資源があれば、召喚することは容易でしょう。」

 

どうやらペルソナ召喚と手順が似ているらしい。

 

武蔵「随分と簡単に言ってくれるな。」

 

イゴール「この技術や術式を生み出した妖精が、手順さえ理解していれば、構造や概念を、深く理解せずとも使えるレベルにまで作り込んでくれたおかげですな。

艦娘建造を生み出したMr.バミューダは間違い無く天才でしょう。」

 

武蔵「…貴様は艦娘についてどこまで知っている?私自身でさえ、全ては知り得ないそれを。」

 

イゴール「海軍に勤める妖精と同程度でございます。方々に手を尽くし、調べては見たものの、この術式の根源に至ることは出来ませんでした。」

 

悠「イゴールさんにも分からないんですか?」

 

イゴール「左様でございます。」

 

どうやら艦娘建造には、イゴールにも知り得ない秘密があるよう。

 

イゴール「さて、ここで召喚を行えれば良いのですが…どうやらお疲れのご様子。」

 

悠「うっ!えぇ、まぁ、色々ありまして…」

 

イゴール「今日はもうお休みなさった方がよろしいかと。艦娘召喚は明日に行いましょう。」

 

悠の疲れを見抜いたイゴールは、艦娘召喚を明日に見送ることにするようだ。

 

イゴール「それでは…また明日。御機嫌よう。」

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・寮・悠の自室〜〜

 

 

悠「疲れた…」

 

悠は、自室で布団を敷き、倒れこむ。

鎮守府の施設を見て回った後、食堂で夕飯を食べ、今に至る。どうやら精神的にかなり疲れている様子。

 

悠「今日は色々あり過ぎた…特にイザナミ…なんでいるんだよ…

駄目だ眠い…まだ風呂にも入ってないんだ…

………ZZzz…ZZzz…」

 

 

 

 

 

悠「ZZzz……う、うーん、あれ?」

 

部屋で布団を敷いた後、そのまま寝てしまった悠。だが、どうやら目を覚ました様子、

 

悠(どうやら少し寝てしまったみたいだ。今は…午後11時か、皆寝てるだろうか?風呂は…万が一大浴場で誰かと鉢合わせたらまずい。部屋の風呂で済ませよう。)

 

 

番長入浴中…

 

 

悠(ふう、サッパリした。だが、中途半端に寝たせいで目が冴えてしまった…少し散歩にでも行くか。)

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・建造工廠裏〜〜

 

 

悠は、夜の散歩と洒落込み、鎮守府内を散策する。

だが、外灯が必要最小限しか付いてないらしく、中々に暗い。

 

悠(ベルベットルームの扉は相変わらず夜でも光ってたな。ここから先は資源倉庫だったか?先に行っても何もなさそうだ…ん?)

 

工廠の裏に回った所で、戻ろうかと思っていたが、その工廠の裏手に、ベルベットルームと同じ光を放つ扉を見つける。

 

悠(裏口か?)

 

悠は、近付いてよく調べてみる。

 

悠(看板がある…『BAR・Velvet』か。)

 

どうやらバーらしい。

 

悠(うーん…変な事してたらあれだし…マーガレットさんには前科もあるからな…入ってみるか。)

 

カランカラン

ドアを開けるとベルが鳴り、店主に来客を告げる。

 

悠(ベルベットルーム…じゃないな。中は青いけど…)

 

?「あら…いらっしゃいませ。」

 

中に入ると、店主らしき女性から挨拶を受ける。

 

悠「あ、どうも。」(子供?マーガレットさんじゃない?中学生くらいか?)

 

?「ふふ…貴方はここ、BAR・Velvet の初めてのお客様よ。さっ、座って?」

 

悠「ああ、そうさせてもらうよ。所で君は…」

 

早霜「私は、早霜(はやしも)。ここのバーテンダーよ。」

 

悠「えっと、この店は君が1人で?」

 

早霜「ええ、お酒は、イゴール様が仕入れて来てくれます。店の方は、私が1人で、切り盛りしてるの。」

 

どうやら、彼女とイゴールで店を経営している様子。

 

早霜「ねぇ、貴方、名前は?教えてもらえるかしら?」

 

悠「ああ、すまない。自己紹介がまだだったな。俺は鳴上悠、ここの提督だ。」

 

早霜「ふふふ、提督でしたか。あんまり若いから、迷子かと、思ったわ。」

 

悠「迷子?」

 

早霜「そう、迷子。自分を見失い、人生に迷ってしまった、迷子。」

 

悠「人生に迷った覚えは…あるが、もう解決してるからな、見当違いじゃないか?」

 

早霜「あら、そう。見当違い、ごめんなさいね。

ふふ、お詫びに、一杯奢ってあげる。お酒は、イケる口?」

 

悠「すまない、未成年だから飲酒はNGだ。」

 

早霜「なら、ノンアルコールのカクテル。作ってあげる。」

 

そういうと、早霜はシェーカーを取り出し、ジュースを注いでいく。

 

早霜「オレンジ、レモン、パイナップル。ふふふ、もしかしたら、飲んだ事が、あるかもしれないわね。」カシャカシャカシャ

 

悠(早霜さん、すごくシェーカーが似合うな。バーの雰囲気も相まって、ミステリアスでハイカラだ。)

 

ジュースを注ぎ、シェーカーを振る。その姿は、とても様になっており、悠は思わず見惚れてしまう。

 

早霜「さあ、『シンデレラ』。お口に合えば、いいのだけど。」

 

悠「いただきます。」

 

悠は出されたカクテル、『シンデレラ』を一口飲む。

 

悠「うん、美味いよ。ありがとう。」

 

早霜「それは何より。」

 

悠「ところで、この店は君1人で大丈夫なのか?見た所、中学生くらいの年だと思うんだが。」

 

シンデレラを飲んだ悠は、入ってきた時から気になっていたこと。そう、子供が何故バーテンダーなんてやっているのか、を聞いてみた。

 

早霜「はい?」

 

悠「いや、君みたいな子供が、夜中にバーで仕事なんて大丈夫なのかって…」

 

 

早霜「…私、24よ。」

悠「は?」

 

 

早霜「ふふふ…酷いわね。お姉さん、ちょっと、傷ついたわ。」

 

悠「いや、その、すみません…」

 

どうやら早霜は、年上のお姉さんだったようだ。

 

早霜「そうね…」

 

早霜は、少しの間何かを考え、カクテルを作り始める。

 

早霜「ビーフィータージン…シャルトリューズ ヴェール…3/4、1/4…」カシャカシャ…

 

ほどなくして、一杯のカクテルが出来上がる。

 

早霜「お姉さんを、子供扱いした罰よ。ふふふ…それを飲み干せたなら…許してあげる。」

 

悠「…このカクテルは?」

 

早霜「『グリーン・アラスカ』と言うのよ。味は、飲んでからの、お楽しみ。」

 

ハーブの香りのするそれは、綺麗な緑色をしている。だが、今の悠には、それがとても毒々しく見えた。

 

悠「い、いただきます。」

 

悠は、恐る恐る口をつける。

 

悠「……ハーブの香りとシトラスの風味…そして…ゴファッ!」

 

一口飲み、味わおうとするも、あまりの度数の高さに耐え切れず吹き出してしまった。

 

悠「」

早霜「ふふふ、さすがに、無理だったわね。グリーン・アラスカは、度数40度越えの、上級者向け。お子様の貴方には、まだ早かったかしら?」

 

悠「…俺は………」

 

早霜「これに、懲りたら、私のことを、子供扱いしてはダメよ。」

 

悠「…俺は、負けん!」ガッ!

 

早霜「負けない?…ちょっと!」

 

悠は、先ほど吹き出したにも関わらず、グラスを掴む。

 

キング・鳴上「俺が…キングだ!」←場酔い

 

早霜「待ちなさい!まさか、一口で酔いが、回ったの⁉︎」

 

キング・鳴上「ウオォォッッ!!」

 

一気飲み、ダメ!絶対!

 

キング・鳴上「ゴブフゥ!ゴフェッ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生は真実、片時も夢ならず。

 

もとより誰もが知る・・・

 

真実とは、選び取るもの・・・

 

眼差しと意志とで、見出されるもの。

 

それを得てこそ、己も真実となる。

 

過去と未来を結ぶ糸たりうる。

 

けれど今、客人の定めは途切れ、

 

未だ真実は、闇深き海の底の中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「」チーン

早霜「これ、どうしましょう?」

 

to be continue…

 

 

 




鎮守府に着いた初日から、色々ありすぎてお疲れな悠。
悠「頭がガンガンする…やらかしてしまった…あれ?俺、ベットになんて寝てたのか?」
早霜「あら?目、覚めた?」←同じベット
悠「アィエエエ!」


次回ペルソナ4 the K.C.
初めての建造!


早霜「昨日は、凄かったわね…」
悠「建造って…こっち⁉︎夢だ!夢だと言ってくれー!」







ここから先は、オマケと言う名の幾月理事長の作品解説となります。
読まなくても、何ら問題はありません。

やあ!久しぶり!夏休みはどうだったかな?幾月だよ。
今回は、第七話の足立戦で、もしかしたら艦娘が勝ってたかもしれないっていう裏設定があることが、キャラ紹介で明らかになったけど、それについて、細かいことを説明していくよ。
では、一体どのような行動をとればよかったのか、箇条書きでまとめてみるよ。

1.仲間が死んでも冷静でいられること。
2.陣形に拘らず、固まらないようにばらけること。
3.アウトレンジで攻めること。

大体はこの3つだね。じゃあ、1つずつ解説してくよ?

まず一つ目、仲間が死んでも冷静でいられること。
これは、いきなり翔鶴さんが殺されて、パニックになった瑞鶴さんと、旗艦としての責任と勝ちを急いだあまり、自爆した陸奥さんに言えることだね。
パニックになって、隊の統率を乱すのは問題外だし、砲撃が通用するにも関わらず、安易な自爆で、頭数を減らすのも愚策だね。

二つ目、陣形に拘らず、固まらないようにばらけること。
これは、足立さんの使用するスキルに対抗する策の一つだね。
足立さんのスキルは、基本的に攻撃範囲が円形を描くものだね。
空間殺法は、多少融通は利くと思うけど、とにかく、的を絞らせないようにするのがポイントだね。
P4のゲームとは違って、広い海上が舞台だから、距離を開けるのは比較的容易になってる。それをうまく使おう!
この際に、足立さんを中心に囲むようにすればもっといいね。周囲360°に気を配らなきゃならなくなるから、かなり有利になるよ。

そしてその3、アウトレンジで攻めること。
これは、近接攻撃を喰らわないようにする為。スキル発動の予備動作を見切る為。何より、ペルソナ魔法による攻撃よりも、砲弾のスピードの方が早いから(一部例外有り)、比較的安全な遠距離から集中砲火すれば、反撃を封殺しつつ、テトラカーンも破って一方的に攻撃出来るよ。

大体こんな感じかな?
当然分かってくれてると思うけど、これは、あくまでもこの小説内に限ったことだからね?他所様のところでは、この設定を引き合いに出しちゃダメだよ?
さて、アイギスは…
当然いますよ?
…やっぱりいるんだね。
さあ、お前の罪を数えなさい!
…はっはっは、僕だってやられっぱなしじゃないよ!今回は用心棒を雇ったんだ!先生!お願いします!
俺の名は天龍、フフフ、こわ、
ルシファー!ゴットハンド!
ドゴオ!
先生〜⁉︎なんでルシファーが⁉︎
今回はワイルド仕様のスペシャルな私、彼との絆の力!受けてみなさい!
ひえぇぇ〜!

島風「……………………………次回もよろしく!*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*」








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第十話 初めての建造!

すまん、前回の次回予告、あれは嘘だ。
どうもです。黒城です。
とりあえず番長はまだDTでございます。
それと、今回はちょっとだけえっちぃ表現を使わせていただいてます。
R-15のタグが付いているので、大丈夫だとは思いますが、一応注意喚起。
もひとつ。今回は、キリの良いところで区切ったので、かなり短めになりました。うす塩のポテチをつまむくらいの軽い気持ちでどうぞ。


〜〜寮・悠の部屋前〜〜

 

 

金剛(ササッ!route clear!OK!)

 

草木も眠る丑三つ時。抜き足差し足忍び足で、悠の部屋の前にやってきた金剛。

 

金剛(フッフッフッ、誰にも気付かれてないデスネー!doorにlockが付いていないザル設計なのは昼間のうちにcheckedデース!)

 

どうやら、良からぬ事を企んでいる様子。

 

金剛(そ・れ・で、は!『お花を摘みに行ったあと、寝ぼけて悠の部屋で寝ちゃった作戦』start!)

 

ガチャ…

 

金剛(オジャマシマース…)

 

音を立てないよう、慎重にドアを開ける金剛。一切の明かりの無い、真っ暗な室内を手探りで進む。が、

 

金剛(……おかしいデース。人の気配が感じられまセーン…。)

 

それもそのはず。今、悠はBAR velvetでぶっ倒れて眠っているのだ。

 

金剛(huum…何処に行ったんデスカネー?)

 

悠が、何故部屋にいないかを思案する金剛。

そんな時、足にフンワリ柔らかな感触が。

 

金剛(…これは、悠の布団!)

 

金剛は、その場にしゃがみ布団を撫でる。

 

金剛(………ちょーっとだけなら…)

 

一瞬躊躇うも、意を決し、悠の布団に潜り込む金剛。

 

金剛(…あんまり暖かく無いデース。どうやら結構前にroomを出たみたいデース。でも、ほんの少し悠のflavorが…)

 

金剛は、枕に残った悠の残り香をクンカクンカする。

 

金剛(…………ンッ!フワァ〜…。)

 

と、突然、金剛の体がビクンとする。

 

金剛(これはなんというdrug…クセになっちゃいマース…)クンカクンカ…

 

 

 

 

 

 

 

〜〜BAR・velvet〜〜

 

 

「起きて…。ねえ、起きて。」

 

悠「うーん…あれ?ここは…?」

 

耳元で囁く声に、意識の覚醒を促され、目を覚ます悠。

 

早霜「おはよう。ここは私の部屋よ。」

 

悠「君は…ああ、そうか。昨日は酔い潰れたんだったな。すみません、世話になったみたいですね。」

 

早霜「はい、水。それを飲んだら、早く戻りなさい?初日から朝帰り、なんてなったら…まずいでしょう?」

 

悠「!そんな時間なのか⁉︎」

 

悠は、慌てて部屋にかけてある時計を見る。

針は午前4時を指していた。

 

悠「…4時?」

 

早霜「よっぽど、早起きな子がいない限りは、大丈夫だと思うわ。」

 

どうやら、気を利かせて、早めに起こしてくれたようだ。

 

早霜「フワァ〜…ごめんなさい、私も眠いの…早く行ってもらえると、助かるわ。」

 

だが、その為に、早霜もあまり眠れていないよう。あくびを噛み殺しながら悠を急かす。

 

悠「すみません、俺のせいで…」

 

早霜「いいのよ。そのかわり、次はお友達も、連れてきて?」

 

悠「はい、じゃあ失礼します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜寮・悠の部屋前〜〜

 

 

悠「よし、無事に戻って来れたな。」

 

誰にも見つからずに、自室に戻って来れた悠。早めに起こしてくれた早霜に感謝だ。

 

悠「くっ…頭が痛い。確か総員起こしは6時だったはず。少し寝て治ればいいが…」

 

少しでも睡眠をとりたい悠は、部屋に入る。

すると…

 

悠「……なんか変な匂いが…」

 

部屋の中から、甘い香りの中に、ほんの少し生臭さが混じった妙な匂いがする。目を凝らし、暗い部屋を見渡すと、布団が盛り上がっているのが見えた。どうやら誰かがいるらしい。

 

悠「…南無三!」バサァッ!

 

悠は、意を決して布団を捲ると…

 

金剛「ZZzz…ZZzz…」

悠「」

 

そこには、はだけたパジャマ姿の金剛が、幸せそうに寝息を立てていた。

とても可愛らしいが、何故か布団が湿気っぽいし、妙な匂いもより一層強く感じられる。

 

悠「…そっとしておこう。」

 

諦めて、居間の座布団を使って寝た…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜寮・居間〜〜

 

 

武蔵「…なんでこいつは居間で寝てるんだ?」

 

只今の時刻は、午前5時半。

 

武蔵は、日課となっている早朝ランニング、(といっても10分から15分程度の軽いものだが)を行うために、ジャージに着替え、下に降りてきた所で、居間で寝ている悠を見つけた。

何故自室でなく居間で寝ているのか?疑問は尽きないが、悠に聞かなくては何も分からない。

 

武蔵「はぁ…おい、起きろ〜。」ユサユサ

 

悠「…ん、あぁ、誰だ?」

 

武蔵は、悠の体を揺すって起こす。

 

悠「ふぅ〜…体が痛い…」

 

目を覚ました悠は、体を起こし、伸びをする。

 

悠「武蔵か、おはよう。」

 

武蔵「ああ、おはよう。何故居間で寝てたんだ?寝辛かったろうに。」

 

悠「あ〜…実は…」

 

 

 

番長説明中…

 

 

 

武蔵「夜中に散歩に行って戻ってきたら、いつの間にか金剛が寝ていたと。」

 

悠「ああ、下手に起こしてセクハラ扱いされても困るからな。」

 

悠は、バーでの一部始終は話さずに武蔵に説明する。

 

武蔵「…夜の散歩にしては随分と長い散歩だったな?いったい鎮守府を何周したんだ?ん?」←バーサク系スマイル

 

悠「分かった、全部話す。だからその笑顔はやめろ。」

 

どうやら、全て…とはいかないが、何かあったのだろうと見透かされているようだ。

 

 

番長再度説明中…

 

 

武蔵「なるほど。鎮守府内にバーを見つけて、酔っ払って朝帰りか。いい御身分だなぁ?えぇ?」

 

全てを話した悠。どんな処遇を受けるのか戦々恐々だ。

 

悠「す、すまん。だが、ほとんど事故みたいなものだったし、勘弁してくれないか?」

 

武蔵「なら、今度は私も連れて行ってもらおうか?無論お前の奢りだ。」

 

だが、武蔵はそこまで怒ってはおらず、悪戯な笑みを浮かべ、次は自分も連れて行けと言う。

 

悠「分かった。給料が入ったら一緒に行こう。」

 

武蔵「ふっ、言ったな?お前の財布が空になるまで飲んでやるから、覚悟しておくんだな。」

 

悠「お、お手柔らかに頼む。」

 

武蔵と飲みに行く約束をした。

 

武蔵「さて、あとは金剛の奴だな。」

悠(あっ…察し…)

 

 

 

 

 

〜〜寮・悠の部屋〜〜

 

 

『マルロクマルマル。おはようございます。朝になりました。総員起床してください。今日も1日頑張りましょう。』

 

寮の館内放送で、総員起こしの放送が響く。

ちなみに総員起こしの放送を行っているのはマーガレット。かなりの棒読みである。

 

金剛「ウーン…朝、morningデスカ?」

 

金剛は、総員起こしの放送を聞き、体を起こす。

 

金剛(結局悠は帰って来なかったみたいデース。仕方ないデス。誰かに気付かれる前に、さっさとMyroomに戻りましょう。)

 

金剛は、素早く身なりを整え、ドアを開ける。

 

ガチャ、

 

武蔵「おはよう金剛。」ニッコリ

 

ガチャリ、

 

ドアを閉め部屋に戻る。

 

金剛(oh my god…)

 

 

 

 

〜〜寮・居間〜〜

 

ガミガミ!クドクド!

ーーー!ーーーー!

アーダコーダ!

sorry!sorry!

 

 

島風「朝からうるさ〜い…なんでムサしゃん怒ってるの〜?」

 

悠「自業自得だ、そっとしておけ。」

 

金剛(mission failed デース…でも!こんなトコでくじけちゃNO!なんだからね!)

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・ベルベットルーム〜〜

 

 

朝の騒動の後、皆と食堂で落ち合い朝食を済ませ、昨日行うことの出来なかった『艦娘召喚』を行う為に、悠達はベルベットルームに来ていた。

 

イゴール「ようこそ、ベルベットルームへ。」

 

悠「おはようございますイゴールさん。」

 

イゴール「おはようございます。こちらにおいでなさったという事は、艦娘召喚を行うという事でよろしいですかな?」

 

悠「はい、一応、建造申請の書類は持ってきたんですけど、大丈夫なんですか?」

 

イゴール「えぇ、問題ありません。では、今必要な艦種は…」

 

イゴールは、書類を受け取ると、品定めをするように皆を見渡す。

 

イゴール「おや、航空母艦の方がいらっしゃいませんな。」

 

悠「はい。そのせいで、本部での演習も結構苦労したみたいで。」

 

イゴール「ならば、正規空母、と言いたい所ですが、開港したてのこの鎮守府では、運用は難しいでしょう。ですから、ここは燃費の軽い軽空母の召喚を行うことにしましょう。よろしいですかな?」

 

悠「はい、おねがいします。」

 

悠の返事を聞くと、イゴールは席を立ち、ステージへ上がる。

 

武蔵「お手並み拝見といくか。」

 

 

イゴール「では…始めましょう。」

 

パチンッ!とイゴールは指を弾く。すると、ステージ上に、各種の資材が現れる。

 

島風「すごーい!魔法使いみたーい!」

 

イゴール「燃料300、弾薬30、鋼材400、ボーキサイト300。こちらの資材が、軽空母召喚の為の媒介となります。

そして…召喚される艦娘の核となるのが…」

 

そう言うと、イゴールは手のひらに収まる程度のガラス玉のようなものを、どこからともなく取り出す。中には何か液体のようなものが入っている。

 

イゴール「これは、原初の水球。一般には、開発資材と呼ばれているものでございます。」

 

悠「あれが核になるのか。」

 

天龍「なんだかんだいって、俺らも初めて見るな。」

 

龍田「私たちが運んだりする時は、厳重に梱包されてるものね〜。」

 

金剛「What’s inside it ?中は何ですカ〜?」

 

イゴール「こちらには、出来たばかりの地球の原初の海と、ほぼ同じものが入っております。生命のスープとでもいいましょうか?」

 

そう説明しながら、イゴールは準備を進める。

 

イゴール「さあ、準備はこれで終わりです。では、いきますよ…」

 

イゴールは、懐から白紙のカードを一枚取り出すと、ステージの上に並べた資材にかざしていく。と、資材は光の粒子となってカードに吸い込まれていき、吸い込む度に、カードが輝いていく。

 

吹雪「綺麗…神秘的ですね。」

 

全ての資材を取り込んだカードは、胎動するかのように明滅を繰り返す。

 

イゴール「艦娘…召喚!」

 

宙に魔法陣が描かれ、そこにカードを投げ込む。すると、光が強くなり…

 

 

 

 

 

 

 

ビー!ビー!ビー!

警報音と共に赤く輝き始めた。

 

イゴール「……」

 

悠「これって…」

 

イゴール「何か予定外の事象が起きている様子…」

 

悠「予定外って!これ俺知ってますよ!ペルソナ合体に失敗した時と同じじゃないですか!」

 

武蔵「おい!大丈夫なのか⁉︎」

 

吹雪「なんですか⁉︎失敗ですか⁉︎」

 

イゴール「ッ!空間に亀裂が⁉︎」

 

そして、光が弾け…

 

 

 

 

 

 

 

?「うわぁぁぁッッッ!」

?「クマァァァッッッ!」

?「軽空母、りゅ、グハァッ!」

 

ドカシャーン!

 

 

 

召喚されたと思われる、りゅナントカさんの上の空間の亀裂から、2人の艦娘らしき子が降ってきて、りゅナントカさんに直撃した。

 

?「痛って〜…くっそ、着地失敗かよ…」

 

?「クマァ…お尻が割れるかと思ったクマ。」

 

?「もう割れてんだろ…」

 

悠「えーと…」

 

イゴール「よかったですな。一度の召喚で3人も呼び出すとは、中々運が良いご様子。」

 

武蔵「軽巡洋艦・阿武隈と軽巡洋艦・球磨か。」

 

島風「クマクマコンビだね!」

 

阿武隈?「ん?」

悠「ん?」

 

唖然としていると、武蔵が阿武隈と呼んだ方の艦娘と目が合う。

 

阿武隈?「………!」

悠「………?」

 

すると、阿武隈が驚きと喜びが混ざったような表情を浮かべ…

 

阿武隈?「相棒!良かった!無事だったんだな!」

 

悠「…は?」

 

悠を相棒と呼んだ。

 

阿武隈?「は?じゃねーよ!すぐに会えて良かったぜマジで。お前がテレビに落ちた時は久しぶりに焦ったからな…」

 

悠「………どちら様で?」

 

阿武隈?「まさか…お前⁉︎記憶がっ⁉︎俺だよ!陽介!花村陽介!」

 

 

 

 

 

 

 

悠「……………………ハあアァァぁァァァァァッッッッッッ!」

 

 

 

 

 

 

 

とぅーびーこんてぃにゅー…

 




悠「俺と陽介が殴りあった場所は⁉︎」
阿武隈?「鮫川の河川敷!」
悠「俺の通り名は⁉︎」
阿武隈?「鋼のシスコン番長!」
悠「陽介のお宝はベットの下のダンボールの中?」
阿武隈?「その通り…って、おいっ!なんで知ってんだよ⁉︎」


次回 ペルソナ4 the K.C.
『最適化』


悠「このツッコミのキレは…陽介!」
阿武隈?「だからそうだって言ってんだろ!」
球磨?「クマ、美少年から美少女にクラスチェンジしちゃったクマ!これでセンセ〜を逆ナンするクマ!」
阿武隈?「ツッコミきれねーからお前は黙っとけ!」


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第十一話 『最適化』

自分の語彙力の無さにビビる。どうもです。黒城です。
ギリギリ一月経つ前に投稿出来ました。
今回は久しぶりにシリアスさんが仕事します。ほんのちょっとですが…。


陽介?「うわぁぁぁッッッ!」

クマ?「クマァァァッッッ!」

?「軽空母、りゅ、グハァッ!」

 

痛って〜…。相棒の部屋からテレビの中に突入したはいいが、盛大に墜落しちまった…。しかも誰か下敷きにしちまってるし…。大丈夫か?この子?

 

陽介?「痛って〜…くっそ、着地失敗かよ…」

 

クマ?「クマァ…お尻が割れるかと思ったクマ。」

 

陽介?「もう割れてんだろ…」

 

 

クマのアホな発言にツッコミつつ、顔を上げる。その時、自分の声がやたら甲高くなっていて疑問に思った。けど、顔を上げたその時、目に飛び込んできたあいつの顔を見て、そんな疑問は吹っ飛んだんだ。

 

陽介?「相棒!良かった!無事だったんだな!」

 

本当によかった。俺は、相棒が無事だった事から湧き出る安堵感と嬉しさからそばに駆け寄る。

 

悠「は?」

 

陽介?「は?じゃねーよ!すぐに会えて良かったぜマジで。お前がテレビに落ちた時は久しぶりに焦ったからな…」

 

だが、なんだか様子がおかしかった。まるで、俺のことが分からないみたいに…。

 

悠「……どちら様で?」

 

なっ⁉︎本当に俺のことが分からないのか⁉︎

 

陽介?「まさか…お前⁉︎記憶がっ⁉︎俺だよ!陽介!花村陽介!」

 

くそッ!まさか、頭でも打ったのか⁉︎

とにかく俺は名前を名乗る。こんなんで思い出してくれる訳は無いだろうが、何もしないよりはマシだ!すると…

 

悠「……………………ハアァァぁァァァァァッッッッッッ!」

 

相棒は、聞いた事も無い叫び声を上げた…。

 

 

 

 

 

悠「一旦状況を整理しよう。」

 

陽介?「お、おぅ。」

 

悠は、なんとか持ち直し、状況を整理し始める。

 

悠「まず、俺たちは新しい仲間を増やす為に、イゴールさんに艦娘の召喚を頼んだ。」

 

陽介?「…それで?」

 

悠「そしたら失敗した。」

 

陽介?「おいっ!訳分かんねーよ!端折り過ぎだっての!」

 

陽介らしい艦娘の阿武隈は、その甲高い声でツッコミを入れる。その脇では…

 

クマ?「アループスーいちまんじゃーく〜♪」

 

島風「こやりのうーえで♪」

 

軽巡・球磨。おそらく中身はクマだろう。そのクマと島風がアルプス一万尺をしていた。

 

悠「いつのまに…」

 

陽介?「おいクマ!少しだ、ま…誰だよ⁉︎」

 

クマ?「クマはクマクマ。女の子になってもやっぱりクマは可愛いクマだクマ〜♪」

 

陽介?「…………まさか。」

 

変わり果てたクマ?の様子を見て、陽介?は、認めたくなかった真実から、やはり逃げられないのかと、青ざめる。

先ほどから、チラチラと視界に入る、自身が着ているセーラー服。白魚のような綺麗な手。

なによりも、自分では間違いなく出せないはずの高い声。

 

金剛「Hey!阿武隈!これ、使うといいヨー!」つ手鏡

 

そこに、トドメを刺すように、金剛が手鏡を陽介?に渡す。

 

陽介?「あ、どうも。……ウオォォッッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽介?「なんじゃこりゃ〜!!!」

 

 

 

 

本日二度目の絶叫が、ベルベットルームに響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

イゴール「どうやら、艦娘召喚の『最適化』に巻き込まれてしまったみたいですな。」

 

悠「最適化?」

 

どうやらイゴールは、こんなことになってしまった原因を知っているようだ。

 

陽介?「なんだよそれ…。てか、鼻長いな…悠、この人…人でいいのか?誰なんだ?」

 

イゴール「紹介が遅れました。私、鳴上様のサポートをさせていただいております。イゴールと申します。」

 

陽介?「あ、よろしくお願いします。」

 

イゴール「さて、そもそも、何故艦娘は『娘』なのか、皆さんは考えたことがありますか?」

 

「無いデース」「無いわ〜」「ねーな」「無いな」「無いですね」

皆、一様に考えたことは無いと答える。

 

イゴール「そうでございますか。では、もしも、『艦娘』が『艦息』だったら、どうなっていたか。少なくとも、男性の身体能力がありますから艦娘よりも強くなったでしょうな。」

 

イゴールは、もしもの話を続けていく。

 

イゴール「さらに言うならば、わざわざ意思のある艦娘を呼び出すよりも、軍艦そのものを呼び出す、もしくは建造してしまえば、それは人の道具として、思いのままに操れた筈です。」

 

イゴール「ですが、そうはいかなかった。それは何故か?

答えは、この世界そのものが争いを拒んでいるからでございます。

もし、艦息が建造されて、それが人類に反旗を翻したら…。軍艦を建造し、深海棲艦を滅ぼしたはいいが、その艦を使い、今度は人間同士で戦争を始めたら…。

無いとは言い切れませんが、女性は男性よりも攻撃性も、野心も少ない。

そして、人として自我を持たせることにより、道具として悪用されぬようにした。

つまり、最適化とは世界が示した妥協点にございます。

花村様とクマ様は、その修正に巻き込まれたわけでございます。」

 

陽介?「つまり、俺らは単なるとばっちりで…」

 

イゴール「…運が悪かった。としか言えませんな。」

 

陽介?「…元に戻る方法は?」

 

イゴール「残念ながら…。少なくともこの世界にいる間は戻れません。」

 

陽介?「そ、そんな…どうすりゃいいんだこれ…」

 

悠「陽介…まぁ、なんだ、可愛くてハイカラな女の子でよかったじゃないか。これが、アバドン系だったら…考えたくもないな。」

 

陽介?「相棒…いまいち慰めになってねーよ…」

 

 

 

武蔵「話は終わったか?」

 

イゴールの説明が終わり、うなだれている陽介と、それをなんとか慰めようとする悠。

そこに、武蔵が口を挟む。

 

イゴール「はい、これで説明は終わりでございます。」

 

武蔵「そうか。なら悠、そこで伸びている軽空母、龍驤(りゅうじょう)と言うのだが、起こせるか?」

 

悠「ああ、わかった。」

 

今まで気絶したままほったらかしにされていた不憫な軽空母に、悠は回復魔法をかけるため、ペルソナを呼び出す。

 

悠「カハク!」パリィン!

 

カハク「何々⁉︎ダウンしてる!トドメ刺すの?アギる?アギっちゃう?」

 

悠「違う!回復だ!」

 

カハク「なんだ、ツマンナイの〜。えいっ!リパトラ!」

 

龍驤「う、うーん…。あいたたた…」

 

悠「大丈夫か?」

 

龍驤「えーと、確かうち、ここに呼ばれて…」

 

悠「ああ、俺が呼んだんだ。君の力を貸してほしい。」

 

龍驤「そかそか、じゃあ君が提督さんやな。なら、自己紹介せんとな。

うちが軽空母・龍驤や。独特なシルエットでしょ?でも、艦載機を次々繰り出す、ちゃーんとした空母なんや。期待してや!」

 

どうやら気絶していた事はうやむやになった模様。しかし…

 

悠「独特なシルエットか…」ジー…

 

龍驤「な、なに?そんなじろじろ見んといてよ?」

 

島風「駆逐艦にしか見えないね!」

 

悠「ブッ!」

 

島風、爆弾投下。

 

龍驤「な、なんやて〜!誰が幼女やねん!うちはこれでも日本海軍最古参の空母なんやで!表に出ろや!うちの実力、しっかり見せたる!」

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・防波堤〜〜

 

 

龍驤「さぁ仕切るで! 攻撃隊、発進!」

 

ベルベットルームから出た一行は、防波堤にて、龍驤の航空ショーを見ることとなった。

 

龍驤は、手に持っていた巻物を広げる。そこには、飛行甲板が描かれている。

そして、懐から、かなり大雑把だが、飛行機のシルエットを形どった紙を取り出すと、それは宙に浮き、飛行甲板の巻物の上を滑るように飛んでいき、その過程の中で、艦載機へと姿を変え大空を舞う。

 

龍驤「どうや?上手いもんやろ?」

 

悠「ああ、すごいな。」

 

島風「りゅうちゃんすご〜い!ねえねえ、私にもやらせて〜!」

 

龍驤「あっはっは、ゴメンな〜?これ、うち専用やから。そもそも君、駆逐艦やろ?」

 

島風「駆逐艦じゃないもん!疾風迅雷だもん!」

 

龍驤「し、疾風迅雷?提督、この子もしかしてアホちゃう?」

 

悠「あー…島風はちょっと出生が特殊なんだ。その事についてはおいおい説明させてくれ。今はそれよりも…」

 

陽介?「うおー!なんだ今の⁉︎見たかクマ⁉︎紙が飛行機になったぜ!」

 

クマ?「すごいクマね〜!ジュネスのおもちゃ売り場にも置くクマ!」

 

陽介?「いや、無理だろ⁉︎あんなのどこのメーカーも扱ってねーよ!」

 

悠「陽介たちに現状を伝えないとな。」

 

 

 

 

 

〜〜寮・食堂〜〜

 

 

陽介?「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺は花村陽介。今はこんな(なり)だけど、男だ。」

 

クマ?「こんにちは、美しいお嬢さん方。僕はクマと言います。是非仲良くしてくださいね?」

 

陽介?「キャラ作ってんじゃねーよ。普通にやれ普通に。」

 

二人に現状を説明する為に、寮に戻ってきた一行。昼前という事もあり、食堂で陽介とクマの自己紹介が行われていた。

 

悠「ありがとう、陽介、クマ。皆も自己紹介を頼む。」

 

 

 

 

 

陽介?「成る程な。深海棲艦に艦娘か…。

異世界に飛ばされたってだけでもキャパがヤバイってのに、まさか戦争に巻き込まれてるなんてな…」

 

お互いの自己紹介を終え、現状を二人に伝えた悠。いきなり突きつけられた『戦争』という現実に、二人は顔を曇らせる。

 

クマ?「思ってたより深刻ね〜。クマたちはこれからどうなるクマ?」

 

悠「とりあえずは、この鎮守府で働いてもらおうと思う。」

 

陽介?「まあ、そうなるよな。他に行くあてもねーし。」

 

クマ?「任せんしゃい!悪い奴らはこのクマが懲らしめてやるクマ!」

 

悠「まあ、どんな仕事をしてもらうかはおいおい考えるとして…。それよりも先に決めなくてはいけない事がある。それは…」

 

悠は、仕事の話は後回しにし、他に重要な話があるという。わざわざ一息置いて、発表された議題は…

 

悠「二人の呼び名だ。」

 

 

 

武蔵「わざわざ溜めておいてそんな議題とはな。普通に今まで通り呼べばいいだろう?」

 

どんな話かと思えば、二人の呼び名を決めるというもの。武蔵の言う通り、今まで通り呼べば済む話である。他の皆も武蔵の意見に頷いている。

 

悠「すまない。説明が足りなかったな。陽介、クマ、ペルソナを出してみてくれ。」

 

陽介?「は?ペルソナ?いやいや、テレビの中じゃないと出せないだろ?」

 

悠は、説明の為に二人にペルソナを出すように言う。が、陽介は出せないと思っている様子。

 

悠「…イザナギ!」パリィン!

 

そこで、悠はイザナギを召喚し、ペルソナ召喚が可能という事を示す。

 

龍驤「うひゃあ!な、なんやそれ!」

 

悠「あ、すまん龍驤。驚かせてしまったみたいだな。悪いが話が先に進まないから、ペルソナについては後で説明させてくれ。陽介、クマ。」

 

陽介?「成る程な。OK、いくぜ!タケハヤスサノオ!」パリィン!

 

クマ?「いっちゃうクマよ!カムイモシリ!」パリィン!

 

悠に促され、ペルソナを召喚する二人。

 

金剛「Wow!二人もPersonaUserだったのデスカ!」

 

武蔵「悠の関係者だからもしもと思っていたが…」

 

吹雪「駆逐艦の影がますます薄くなりそう…」

 

島風「わーい!仲間ー!」

 

龍田「あー…成る程ね〜。」

 

天龍「?龍田、何か分かったのか?」

 

皆、二人のペルソナ召喚に、三者三様の反応を見せるが、龍田は何かに気づいた様子。

 

龍田「鳴上提督はね、戦力過多による異動を警戒してるのよ。」

 

悠「流石だな龍田。そう、このまま馬鹿正直に、俺の仲間がやってきたと報告すれば、恐らくは、提督として別の場所に異動になる。

たとえ虚偽の報告をしても、元の呼び名で呼んでいる所を見られれば怪しまれるかもしれない。まぁ、念の為と言うわけだ。それに…」

 

悠は、呼び名を変える理由を説明し、言葉を続ける。

 

悠「いつまでも名前欄が『陽介?』に『クマ?』じゃやりにくいからな。」

 

吹雪「メタいですよ司令官!」

 

悠「まあ、そんな訳でみんなも考えてくれ。」

 

吹雪「スルーしないでくださ〜い!」

 

 

悠「といっても、クマは奇跡的に名前の読みが一緒だからな。そのままで大丈夫だろう。見た目が軽巡洋艦の球磨になっているから…表記はクマ(球磨)にすれば読者にも分かりやすいな。」

 

吹雪「さっきからメタいですよ司令官!感想欄が荒れても知りませんよ!」

 

悠「そんなツッコミをするフブキチも十分メタいがな。」

 

吹雪「揚げ足を取らないでください!」

 

悠「と、いう訳で、『第1回・チキチキ!女の子になっちゃった陽介のニックネームを考えよう選手権!』の開催をここに宣言する!」

 

金剛・島風・クマ(球磨)「イェーイ!」

 

 

武蔵「…部屋に戻ってもいいか?」

 

メタ発言をしながら、企画の説明をする悠に対し、武蔵は半ば呆れながら部屋に戻ろうとするが、

 

悠「武蔵、そんなこと言うなよ。これは、陽介とクマ(球磨)と早く打ち解けてほしいと思って考えたレクリエーションでもあるんだ。」

 

悠はそれを引きとめようとする。がそこに陽介の援護射撃が飛んでくる。

 

陽介?「あ〜、悠?そんなことしなくても俺は大丈夫だからさ。それより、他にやる事が沢山あるんじゃないのか?俺の事よりそっちを優先した方が…」

 

陽介も陽介で、この企画によって、要らん不幸が自身に降りかかってくるのでは無いかと考えているようだ。

かつての合コン喫茶と同じ匂いを感じるこの企画を、できるだけ悠を傷つけないように止めようとするが…

 

悠「大丈夫だ。この鎮守府はまだプレオープンもして無いからな。やる事が殆ど無い。」

 

陽介?「…軍の施設にプレオープンなんてあるのか?」

 

武蔵「ある訳無いだろう…。だが、仕事が無いのは事実。行政との顔合わせもまだだからな。依頼も入ってこない。」

 

どうやら失敗したようだ…。

 

悠「まあ、そんな訳だ。付き合ってくれ。」

 

天龍「まあ、どうせヒマだしな。付き合ってやるか〜。」

 

武蔵「…昼食が出来たら呼んでくれ。」

 

金剛「No!武蔵!悠がやろうと言っているんデスヨ!togatherしなきゃNoデース!」

 

 

 

 

 

ニックネーム案集計中…

 

 

 

悠「えっと、『阿武助』『ヨークマ』『ハナクマ』『阿武村』…女の子っぽいニックネームとは言い難いな。」

 

吹雪「元になってる名前が女の子のものではありませんしね。」

 

龍田「ギリギリ『ハナクマ』が採用圏内ですかね〜。」

 

島風「ねえ悠!」

 

クマ(球磨)「クマ〜…イマイチいいのが思いつかんクマね〜。」

 

陽介?「いや、もういいだろ?このままじゃ捻り過ぎて、ぜってー変なのになるだろ?」

 

島風「悠ってば!」

 

悠「おっと、なんだ島風?」

 

ニックネーム案の集計結果をまとめて、考え込む悠に、島風がプリプリ怒りながら話しかけてきた。

 

島風「私の案が入ってないよ⁉︎なんで?」

 

どうやら、自分の考えたニックネームがハブられている事にご立腹なようだ。

 

悠「…いや、それはだな…」

 

島風「この中だったら私のが一番だもん!」

 

金剛「ほー、No. 1デスカー!是非聞かせてクダサーイ!」

 

島風「それはね…『花ちゃん』だよ!」

 

陽介?「ッ!」

 

悠「あちゃ〜…」

 

クマ(球磨)「オヨヨ〜…」

 

そう、島風の考えたニックネームは、『花ちゃん』

乗り越えたとはいっても、陽介にとってはある種のトラウマでもあるニックネーム。

悠とクマはこの事を知っており、わざと候補から外していたのだ。

だが、陽介は…

 

陽介?「いや、良いんじゃねーか?女子のあだ名でもよくありそうだし、俺もそれなら呼ばれ慣れてるからな。」

 

悠「陽介…いいのか?」

 

陽介?「ああ…。小西先輩の事、忘れた訳じゃねーし、今でも思い出すとセンチな気分になっちまうけどさ…だからって、そのあだ名で呼ぶな〜!なんて言ってたらさ、きっと、天国の先輩に女々しいって笑われちまうぜ。」

 

悠「そうか。なら、決定だな。」

 

花ちゃん(陽介)「じゃあ、俺の事は『花ちゃん』って呼んでくれ!」

 

「やった!やっぱりわたしが1ばーん!」「OKデース!」「分かりました!」「そうさせてもらうわ〜」「おう!分かったぜ!」

「ようやく決まったか…」「分かったで!これからはそう呼ばせてもらうわ。」

 

金剛「muuu…どうせなら、もっとflowerのfactorを増やしまショー!後で部屋からflowerのhair accessoryを持ってきマース!」

 

龍田「あら〜、じゃあ私も探してみようかしら〜?」

 

花ちゃん(陽介)「ははは…お手柔らかに頼むぜ…」

 

荒垣「おーい!お前ら〜!メシが出来たから持ってけ〜!」

 

悠「あ、はーい!」

 

 

 

陽介?「なあ、名前欄まで花ちゃんにするつもりか?逆に分かりにくくなりそうじゃね?」

 

悠「そうか?なら、名前欄はクマ(球磨)に倣って陽介(阿武隈)にしとくか。」

 

 

 

武蔵「なあ、花村…ではなく花ちゃん。」

 

無事に陽介のニックネームも決まり、皆で昼食を取っていると、唐突に武蔵が陽介に話しかける。

 

陽介(阿武隈)「ん?何ですか?」

 

武蔵「先程の話に出てきた、小西という人物は…」

 

陽介(阿武隈)「あ〜…小西先輩は、俺が片想いしてた人で…」

 

武蔵「過去形か。つまり…」

 

陽介(阿武隈)「はい…とある事件に巻き込まれて…」

 

武蔵「…そうか。辛くは無かったのか?」

 

陽介(阿武隈)「そりゃあ辛かったですよ。でも、俺は一人じゃない。相棒にクマ、それに、他にも仲間がいますから。そいつらに支えられたり、支えたり…。

もしかしたら、一人じゃ立ち直れなかったかもしれないっす。あいつらには感謝ですね。」

 

武蔵「…そうか。すまない、変な事を聞いたな。」

 

陽介(阿武隈)「いえいえ、これくらいなら全然大丈夫っすから。」

 

 

 

悠「今日の昼は海鮮塩焼きそばか…。あっさり塩味に、魚介の旨味が最高だな!」

 

金剛「向こうは a little serious デース…

悠、そんな暢気に焼きそばすすってていいんデスカー?」

 

悠「ああ、陽介は強いからな。まあ、正直『花ちゃん』の案が上がった時はヒヤリとしたが、あの様子ならそっとしておいて大丈夫だろう。」

 

金剛「…understand.」(かなりのrelianceデスネー…。花ちゃんは、enemyに回すと厄介そうですが、上手くfriendに出来れば…。根回しはやっておくべきデスカネー…)

 

 

 

「「「ご馳走様でした〜!」」」

 

陽介(阿武隈)「いや〜!美味かったな!相棒の料理に勝るとも劣らないな。」

 

昼食を食べ終え、一息つく一同。

 

悠「うちの鎮守府の食堂のコックは一流だからな。」

 

荒垣「褒めても何も出ねーぞ〜。」

 

悠が褒めたのが聞こえていたのか、厨房から荒垣が返事をする。

 

金剛「dessert出してもいいんだからね!」

 

荒垣「考えといてやるよ〜。」

 

陽介(阿武隈)「あはは…相棒、ちょっとトイレ行ってくるわ。何処にあるんだ?」

 

悠「ああ、食堂を出てすぐの階段の脇に…ん?」

 

陽介(阿武隈)「ん?どした?」

 

悠「陽介…」

 

陽介(阿武隈)「な、なんだよ?」

 

悠「…女子トイレの使い方は分かるか?」

 

陽介(阿武隈)「………」

 

陽介は、無言でトイレに向かった…。

 

 

 

 

 

 

数分後……

 

悠「陽介…大丈夫だったか?」

 

陽介(阿武隈)「俺、こんな形で女の子の秘密ってやつを見たく無かったよ…」

 

戻ってきた陽介は、全てを悟ったかのような、全てを諦めたかのような、そんな表情だった…。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜寮・武蔵の部屋〜〜

 

 

武蔵「ふぅ…」カラン…

 

時間は飛んで、午後11時。武蔵は部屋で一人、酒を飲んでいた。ちなみに飲んでいるのは、ジョニーウォーカー黒というウイスキー。香り高く、心地よい甘みが特徴らしい。

 

武蔵「花村陽介…彼は大切な人を失った…。だが、仲間、悠のおかげで立ち直れた…」

 

武蔵は、独り言を呟きながら、少なくなったグラスのウイスキーを呷る。

 

武蔵「私も変われるだろうか…」

 

 

 

武蔵「姉さん…」

 

武蔵の呟きに返事は無く、グラスの氷が音を鳴らすのみ…。




マーガレット「今後の日程が決まったわ。鎮守府開港記念の観艦式を県知事さんはやりたいらしいわよ。」
悠「観艦式か…。」
マーガレット「先方との会議なんかもあるから、先ずは秘書艦を決めてもらえる?」


次回 ペルソナ4 the K.C.
第一次秘書艦戦争

武蔵「秘書艦なら、この武蔵に任せておけ!」
島風「秘書艦って、悠と一緒にいれるんだよね?じゃあ私がやる!」
金剛「hey!悠!私なら前の鎮守府で秘書艦をやっていたことがアリマース!」
悠「くっ⁉︎ここは…一番良識のありそうな、龍田さん!」
龍田「あの、ごめんなさい。私は辞退させてもらうわ…」
悠「えっ⁉︎そんな!何で!」
天龍「………」


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第十二話 第一次秘書艦戦争

ちょっとずつでも、上手に書けるようになっていると思いたい。
どうもです。黒城です。
今回は、ギャグ成分少なめです。まーじめーなはーなしー。
そんでもって気付いたら、十二話投稿時点でのUAが2万とんで1225いってました。感謝感激雨霰!


『ーーー!なんだこれは⁉︎』

 

 

 

『陽動ーーーは何をーーーー⁉︎』

 

 

『ーーーー私たちはーーー罠ーー』

 

 

 

『撤退ーーー』

 

 

 

 

 

『殿はーーーーー駆逐ーーーー無理』

 

 

 

 

 

 

 

『武蔵ーーーーー』

 

 

……待ってくれ!姉さん!

 

『ごめんね?ーーーーー』

 

……なぜ謝る⁉︎

 

『あの時は守れなかった』

 

 

『だからーーーーーーー今度こそ』

 

『後悔ーーーー守るのがーー』

 

 

ならっ!置いていかないでくれっ!

 

 

『私の一番のーーーー』

 

ーーーーーーーー

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

 

 

 

武蔵「姉さーーーん!」

 

武蔵「ハァハァ…チィッ…ここ2週間ほど、見なくなっていたと思っていたら…」

 

悪夢に魘され、飛び起きる武蔵。時計に目をやると、針は午前3時を指している。

 

武蔵「花村と、あんな話をしたからか…」

 

武蔵はベットから降り、水差しからグラスに水を注ぎ、一気に飲み干す。

 

武蔵「んぐっ、んぐっ、はぁっ……最悪の目覚めだな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜寮・食堂〜〜

 

 

 

陽介(阿武隈)「おーう!相棒!おはよう!」

 

悠「ん?陽介か、おはよう。…しかし、その見た目には中々慣れないな。」

 

陽介(阿武隈)「しゃーないな。俺自身もまだ戸惑ってる感じだし。」

 

悠「ん?髪下ろしたのか?」

 

陽介(阿武隈)「ああ、あの髪型は俺には出来ん。昨日、シャワー浴びる時に解くのも一苦労だったんだぜ?」

 

マーガレット「みんないるかしら?」

 

いつものように(といっても、佐伯湾鎮守府に来てまだ3日なのだが)食堂で朝食を食べながら話をしていると、昨日は姿を見せなかったマーガレットが現れる。

 

悠「どうした?何かあったのか?」

 

マーガレット「ええ。3日後に、県知事さんが挨拶に来るみたいよ。」

 

悠「そうか!ようやくこの鎮守府も始動するんだな!」

 

やっと事が進むと、悠は喜ぶ。

 

マーガレット「その件なんだけれど、向こうが鎮守府開港記念として、観艦式をしたいと言っているのよ。」

 

悠「観艦式?」

 

聞き慣れない式典の名前に、悠は思わず聞き返す。

 

武蔵「要は私たちの航行ショーだ。この鎮守府を知ってもらう良い機会だな。やって損はないだろう。」

 

マーガレット「話を続けるわ。この件の打ち合わせも、同じ日に行うから、『秘書艦』を決めておいてちょうだい?」

 

金剛「‼︎‼︎」キュピーン!

 

悠「秘書艦か…。そういえばどうするか考えてなかったな。」

 

金剛「Hey!Hey!Heeeey!悠!秘書艦なら私をchoiceするといいネー!」抱きっ!

 

悠「おわっ!金剛!急に抱きつくな!危ないだろ!」

 

秘書艦というワードに、敏感に反応した金剛は、我先にとアピールを行う。

 

金剛「私を秘書艦にすれば、tastyなteaで執務もバッチリネー!」

 

悠「…確かに。美味しいお茶は、仕事をする上では大事だな。」

 

悠は、美味しいお茶に心を惹かれるが、

 

武蔵「悠、こいつのしでかした事を忘れたのか?」

 

悠「…確かに。」

 

武蔵は、悠に昨日の深夜にあった事件を思い出させる。

 

武蔵「まあ、なんだ。秘書艦とは、その鎮守府で一番優秀な艦がなるべきだと私は思うんだが。どうだ?」

 

悠「…まあそれも一理あるな。」

 

島風「ねえ悠?」

 

悠「ん?なんだ島風?」

 

遠回しに自分を秘書艦に勧める武蔵の問いに、考えを巡らせていると、島風が話しかけてくる。

 

島風「秘書艦って、なったらずっと悠と一緒にいられるんだよね?」

 

悠「ん〜、まあそうなるかな?」

 

島風「じゃあ私がやる!」

 

悠「ッ‼︎ちょっ…」

 

金剛「hey!ちょっと待つネー!島風にはdesk workはimpossibleだと思いマース!

あと、厳しい武蔵と all days で一緒にいたら、悠の息が詰まっちゃいそうデース!」

 

武蔵「ほう、言ってくれるじゃないか?この変態淑女が。」

 

金剛「なっ!あ、あれはちょっとした気の迷いデース!私はhentaiじゃないデース!」

 

武蔵「ふんっ、その気の迷いで悠の貞操が危険に晒されるというのが分からんのか?」

 

金剛「by mutual agreement なら何も問題nothingデース!艦娘法にも書いてありマース!ていうか、そういうideaを思いつく武蔵はムッツリデース!そんな武蔵に私のことをhentai呼ばわりされたくないネー!」

 

武蔵「なっ!だ、誰がムッツリだ!」

 

島風「ねえ悠、二人はケンカしてるから私に決めちゃおうよ!」

 

武蔵・金剛「抜け駆けは許さん!NOなんだからネー!」

 

 

 

 

悠(…何でケンカが始まってるんだ。)

 

悠は助けを求めようと、視線を他の皆に向けるが…

 

陽介(阿武隈)「」メソラシ

クマ(球磨)「ヒュ〜ヒュ〜」音の出ない口笛

吹雪「あはは…」苦笑い

天龍「あ〜!食後の茶はうまいな〜!」どうでもいい話で誤魔化す

龍田「あら〜…」困ったように首かしげ

マーガレット「」既にいない

荒垣「」厨房の奥に退避完了

 

悠(誰も助けてくれそうにない⁉︎)

 

龍驤「はぁ…しゃーないなー。ほらー!3人とも!提督が困ってんで!しょーもない事でケンカすんなや!」

 

悠(龍驤はん!)

 

見兼ねた龍驤が仲裁に入る、が…

 

武蔵「ガキが知ったような口を聞くな!」

金剛「childはお呼びじゃないデース!」

島風「りゅうちゃんは黙っててよ!」

龍驤「誰がガキやコラー!やんのかぁ!あぁん!表出ろや!その無駄にデカい乳削ぎ落としたるわ!」

 

悠(龍驤はーん⁉︎)

 

救いは無かった…。

 

 

ギャーギャー!

ワーワー!

ヤイノヤイノ!

カバディカバディ!

 

 

悠(マズい…。これは収拾がつかないぞ。)

 

悠がこの場をどう治めるか思考を巡らせる。

 

悠(問題の先延ばしはNGだ。一番良いのは、皆を納得させることのできる理由をつけて、俺が秘書艦を決める事。)

 

悠(まずは陽介とクマは無理だ。機密保持の為に、お偉いさんと会う時や、大きな会議に帯同は出来ない。)

 

悠(次に島風とフブキチ。仕事をちゃんと教えれば、しっかりやってくれそうだが、俺自身も未体験の領域だ。俺が仕事に慣れるまでは厳しい。というわけで除外。)

 

悠(金剛は…やっぱり貞操が危ない。これさえ無ければ…)

 

悠(武蔵…厳しいのは問題無いが、見た目の暴力がヤバい。俺も男だ。性欲だって人並みにある。ダイソウジョウで煩悩を払うのも限界があるしな…)

 

悠(龍驤はんは、常識があるかと思いきや、コンプレックスを刺激されるとすぐにキレるようだ。地雷を踏まなければ大丈夫だろうが、危険な事に変わりはない。)

 

悠(天龍は…馬鹿だ。あと口が悪い。フォロー仕切れるかが分からん。)

 

悠(そして、龍田。お淑やかで丁寧。よく気が利くし、それでいて頭も良い。天龍弄りのジョークも中々。

…あれ?これって龍田で良くないか?)

 

考えがまとまった悠は、早速龍田に秘書艦の件を打診する。

 

悠「なぁ龍田。」

 

龍田「何ですか〜?私じゃあれは止められないわよ〜?」

 

悠「いや、そうじゃない。いや、一応そうでもあるのか?」

 

龍田「はっきりしませんねー?」

 

悠「す、すまない。実はだな、龍田さえ良ければなんだが、秘書艦をやって貰えないか?」

 

龍田「ッ⁉︎」

 

悠「無理にとは言わないが、色々考えた結果、龍田が一番…」

 

龍田「…申し訳ないけど、辞退させて貰うわ…」

 

悠「適任…って、えっ⁉︎」

 

悠が話を終える前に、食い気味で断られる。

 

龍田「失礼します。」

 

一言挨拶をし、そのまま退出する龍田。

 

悠「何か頼み方が悪かったのか?」

 

悠は、何が悪かったのかを考えるが、いまいち理由が分からない。

 

悠「しかし…これどう収拾を図ればいいんだ?」

 

 

ギャーギャー!

ワーワー!

ヤイノヤイノ!

カバディカバディ!

クリーククリーク!

 

 

天龍「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府本棟・執務室〜〜

 

 

悠「………ふぅ。大体こんなものか?」

 

朝食を食べ終えた後、ケンカをしていた四人に、なんとか停戦協定を結ばせた悠は、新艦建造の報告書を書く為に執務室へ来ていた。結局秘書艦は決まっていないので、一人でだが。

粗方書き終え、FAXで書類を送ろうとしたその時、

 

コンコンッ

 

悠「どうぞ〜」

天龍「邪魔するぜ。」

 

ノックの主は天龍だ。一瞬、手伝いに来てくれたのかとも思ったが…

 

悠(無いな。)

 

執務などの頭脳労働が苦手そうな彼女が、書類仕事を手伝うイメージが出来ず、その考えを振り払う。

では、一体天龍は何しに来たのだろうか?

悠がそれを尋ねる前に、天龍が口を開く。

 

天龍「あ〜…その、なんだ、今朝は龍田が悪かったな。」

 

悠「ああ、それか。」

 

どうやら今朝、悠が龍田に秘書艦の件を打診したことについて謝罪に来たようだ。

 

悠「わざわざ謝りに来るなんて、律儀なんだな。大丈夫だ、気にしてない。…でも食い気味で断られたのはちょっとショックだったな…」

 

天龍「気にしてんじゃねーか…」

 

悠「なぁ天龍、お前からも頼んでみてくれないか?正直、龍田が一番適任だと思うんだ。」

 

天龍「あ〜…鳴上。それな、まず俺の話を聞いてくれないか?」

 

悠「ああ、構わないぞ?」

 

天龍は、悠の頼みを承諾する前に、話を聞けという。

 

悠(何だろうか?何か欲しいものでもあるのか?)

 

悠は何かご褒美をねだられるのかと思っていたが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天龍「あいつは…龍田は、男性恐怖症なんだ。」

悠「ッ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

思っていた以上にヘビーな話題に、思わず悠は絶句する。が、そんな悠に構わず、天龍は話を続ける。

 

天龍「…理由はまだ話せねー。お前の事を信用してないわけじゃねーけど、俺の独断で話せる内容じゃないからな。

一時期は酷かったぜ…。男を見るだけでヒステリーを起こしたりさ…。

一応本部でカウンセリングなんかも受けて、普通に口を聞けるくらいにはなったんだけどな…。

それでも完治したわけじゃなくてよ、男に触られたり、二人っきりになると…」

 

悠「再発か…」

 

天龍「ああ、黙ってて悪かった。今まで、この話を聞いた奴らは俺らを受け入れてくれなかったからな。」

 

悠「女性の提督の所に行くっていう選択肢は無かったのか?」

 

天龍「そりゃあ考えたに決まってんだろ。でもな、まず大前提で女性提督は数が少ない。その少ない女性提督の鎮守府も、保有枠に空きが無かったり、そもそも天龍型はもう居たりでさ。

さすがに本部の連中もお人好しばかりじゃない。戦えない艦娘は解体されちまう…。

んで結局、新人の提督の所に着任するしかなかったわけなんだけどよ、その提督連中に渡される書類に、龍田の症状についても書いてあってな、そんな不安定な奴を使うわけにはいかないって。そりゃあ当然だよな、多少練度があっても爆弾抱えてるやつより、健全なやつを選ぶよな普通。」

 

悠「俺の所に来たのは…」

 

天龍「その書類審査を誤魔化せると思ったからだ。」

 

悠「そうか。」

 

天龍「…軽蔑するか?」

 

悠「いや、お前は妹の為に今までずっと頑張ってきたんだろ?軽蔑なんてしないさ。

…俺にも従姉妹の妹がいてな、結構仲も良かったんだ。

けど、ある日、その子が誘拐事件に巻き込まれてな。その時はもう死に物狂いで救出に向かったさ。だから俺も、妹の為に頑張る天龍の気持ち、少しは分かるかな?」

 

天龍「そ、そうか…。ありがとな。」

 

悠に認めてもらえた天龍は、安堵し、悠に礼を言う。

 

天龍「それでだ、話を戻すけどよ。」

 

粗方、龍田についての話を終えた天龍は、話を戻し、龍田の秘書艦着任についての話を始める。

 

天龍「俺もこのままじゃ良くないのは分かってる。正直、どうなるかは分かんねーけど、龍田が前に進む為には、乗り越えなきゃなんねーって思うんだ。」

 

悠「それじゃあ…!」

 

天龍「ああ、俺からも説得してみる。…だけど、普通に頼んでも断られちまいそうなんだよな〜…」

 

悠「何か、龍田を納得させる案を考えないとだな…。

…よし、こんなのはどうだ?」

 

 

悠、作戦説明中…

 

 

天龍「それなら何とかなるか?」

 

悠「これなら再発の条件もクリア出来るし、理由の筋も通ってる。あとは…天龍、お前次第だ。」

 

天龍「分かったぜ。こっちは何とかしてみせる。鳴上は、他の連中にどう話すか考えとけよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜寮・食堂〜〜

 

 

悠「あ、龍田、おはよう。」

 

翌朝、食堂に来た悠。皆揃っているようだ。

心なしか、空気がピリピリしているような気がする…。

が、先ずは天龍の説得が成功したかを確認する為に、龍田に話しかける。

 

龍田「…鳴上提督。あの、昨日は申し訳ありませんでした…。」

 

悠「いや、気にするな。君の事情を知らなかった俺が悪い。それで…」

 

龍田「天龍ちゃんから話は聞きました。」

 

悠「そうか。天龍まで巻き込んどいて、こう言うのもなんだが、嫌なら断ってくれてもいいんだぞ?」

 

龍田「いえ…秘書艦の件…お受けします。貴方のこと…信じてみようと…思います。」

 

悠「そうか!ありがとう龍田!」

 

どうやら天龍は成功したようだ。天龍の方を見ると、

天龍「」(`・ω・´)b

いい笑顔で作戦が成功した事を伝えてくれた。可愛い。

 

悠「よし!みんな、朝食の途中ですまないが、ちょっと話を聞いてくれないか?」

 

 

 

悠「秘書艦の件なんだか…」

 

金剛「もちろん私をchoiceしてくれるんですよネ!」

 

悠「真面目な話なんだ。遮らないでくれ。」

 

金剛「oh…sorry…」

 

悠「え〜…ゴホンッ。」

 

話を始めようとすると、いきなり金剛に遮られるが、悠の真面目な顔に、流石の金剛も身を引く。そして咳払いをし、話を再開する。

 

悠「秘書艦の件なんだが、俺は、天龍と龍田の両名にやってもらおうと思う。」

 

武蔵「ほう…この私を差し置いてその二人を選ぶと…納得のいく説明はしてくれるんだよな?」

 

悠「ああ、もちろんだ。まず、俺は色んなバイトには手を出してきたが、本格的なデスクワークなんて物はまともにやった事がない。

恐らく、簡単な書類でも、初めのうちはそれなりに時間がかかるだろう。

そこで、特例として、仕事に慣れるまでの間、秘書艦を二人置く事にした。」

 

どうやら、悠の作戦というのは、天龍と龍田を一緒に秘書艦にするということだったようだ。

 

武蔵「…まあ、その考えは間違ってはいない。だが、天龍と龍田でなければならない理由は?」

 

悠「まず、二人はここに来る前にも、鎮守府にいた事がある。つまり経験者ということだ。さらに、二人は姉妹艦で仲も良い。阿吽の呼吸とでも言おうか、そのコンビネーションを持つのは今のこの鎮守府にはこの二人しかいない。つまり…」

 

武蔵「あー、分かった。もういい。私の負けだ。」

 

悠「ん?なんだ?まだ途中なんだが?」

 

武蔵「お前の言わんとする事はもう分かったさ。好きにしろ。我ながら、これしきの事で少し熱くなりすぎていたようだ。」

 

金剛「muuu.…でも…」

 

武蔵「金剛、提督の決めた事だ。」

 

金剛「OK…了解しました。」

 

どうやら納得してくれたようだ。金剛は渋々といった様子だが…。

 

島風「え〜!なんで〜!私も秘書艦やる〜!」

 

と、ここで島風が駄々を捏ね始める。もちろん悠は予想済みだ。

 

悠「なあ、島風。」

 

島風「悠!何で私じゃないの〜⁉︎」

 

悠「とりあえず、この紙を見てくれないか?」

 

島風「…何これ?」

 

悠「これは、俺が昨日書いた報告書だ。いいか?秘書艦になるって事は、この報告書みたいな書類をたーーーくさん書かなくちゃなんだぞ?出来るか?」

 

島風「…一日中書いてなきゃいけないの?」

 

悠「うーん…少なくとも、遊べる時間は休みの日以外は無くなっちゃうかな?」

 

島風「…やっぱり止めとく。」

 

悠「ははは、そうか。」(計画通り!)

 

悠「と、いうわけで、秘書艦は天龍(てんたつ)コンビにやってもらう!改めてよろしくな、天龍、龍田!」

 

天龍「おう!任せときな!」

龍田「はい。こちらこそよろしくお願いしますね〜♪」




悠「今日は待ちに待った観艦式だ!みんな!頑張れ!応援してるぞ!」
「ポーイ!」「にゃしぃ!」「ぷっぷくぷぅ〜!」「れれれ、レディはききき緊張なんてしないんだから!」
吹雪「約1名物凄い緊張してますけど…。」
金剛「What will be, will be. 成るように成りマース!たくさんtrainingしてきたから、きっとsuccessデース!」


次回 ペルソナ4 the K.C.
観艦式

?「ワシは認めんぞ!こんなガキが提督など!ワシの孫と歳が殆ど変わらんではないか!もういい、軍になんぞ頼らん!」

?「大変だ悠!爺ちゃんが漁に出ちまった!海には深海棲艦がいるってのに!頼む!爺ちゃんを助けてくれ!」
悠「くそッ!間に合えー!」


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第十二・五話 花ちゃんの鎮守府暮らし

外伝とかって本編よりも筆が進みますよね?どうもです。黒城です。
今回は、オチ無しヤマ無しほのぼの日常系に仕上がってるかと…。
秋イベで荒んだ心の癒しになれば幸いです。
それと、この話は、書き方をガラッと変えてます。もしかしたら今後もこういった事があるかも知れませんが、よろしくお願いします。


(うへ〜…流石は相棒。異世界でも修羅場るとは…)

 

 

俺は、小鉢に入ったひじきの煮物をつまみながら、秘書艦がどうだと騒いでいる連中を眺める。

あ、今、悠と目が合った。とりあえず目を逸らしておこう。

…あいつには悪いが、もう修羅場に巻き込まれるのは御免だ。

 

 

(まっ、自業自得だよな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんかすみません。一緒に連れてきてもらっちゃって。」

 

「ははは、別にいいって。あんな事になってちゃ誰だって居にくいしな。」

 

「クマもフブキチちゃんとお話ししたかったから丁度良かったクマ。」

 

 

朝食を急いで食べ終えた俺は、とばっちりを喰らう前に食堂を出て、談話室に来ていた。

あとついでに、同じく居心地の悪そうにしていたクマとフブキチ(本人曰く『吹雪』という名前だそうだが)も連れてきた。

とにかく、その2人と相棒について色々話してたんだ。

 

 

「いや〜、しかしセンセーも大変クマね〜。」

 

「無自覚のうちに口説いてるからな。あいつ。」

 

「司令官は、元の世界でもモテモテだったんですか?」

 

「まあな。悩み相談みたいな事してたら、いつの間にか…てのがえーと…8人?いや9人だったか?全員把握してるわけじゃねーけど、これくらいはいたな。」

 

「うわあ…」

 

 

話の流れで、フブキチに相棒の天然ジゴロっぷりを話してやると、引いてた。

すまん相棒、お前の評価を下げちまったみたいだ。

 

 

「あら、ここにいたのね。」

 

「あれ?マーガレットさん?なんか用っすか?」

 

 

皆でたわいのない話を続けていると、マーガレットさんがやってきた。

悠のやつに、何も知らされずに天上楽土に連れてかれて、この人にボコボコにされたのも今ではいい思い出だな…(遠い目)

 

 

「はい、これ。貴方にもね。」

 

「ん?カード?何すかこれ?」

 

「40枚集めて闘うクマ?」

 

「デュエルッ!ってどう見たって違うだろ…」

 

「あと39枚拾うクマ!」

 

「だから!ちげーって言ってんだろ!」

 

「クスクス…」

 

 

ほら見ろ!フブキチに笑われてんじゃねーか!うわ〜…なんか恥ずい。

しかし、このカードは何だ?見た所、阿武隈…今の俺の姿がプリントされてるけど。

 

 

「あの、このカードは?」

 

「これは艦娘カード。身分証よ。それ以外にも、出撃や外出の手続きに使ったり、電子マネー機能も付いてるのよ。

でも、今は仮登録しかしていないから、出撃と外出は出来ないわ。」

 

「へ〜…」

 

「ほ〜、ほいっとな。」ピッ!

 

 

あっ、あのクマ!談話室の自販機に早速使ってるし!もうちょい説明聞いてからにしろよな…。

 

 

『お金が足りません。チャージして下さい。お金が足りません。チャージして下さい。』

 

「クマぁ…」

 

「金は入ってないのか…」

 

 

ちょっとがっかり。つーか、気を利かせてちょっとくらい入れといてくれても良くね?

 

 

「ふふふ、給金が入るまでは我慢しなさい?それまでに戦果を上げることね。そうすれば貰える金額も増えるはずよ。」

 

「だとよクマ。」

 

「オヨヨ〜…」

 

「艦娘カードがきたってことは、花ちゃんさんとクマさんも出撃…は仮登録ということで出来ませんが、鎮守府のそばで海上訓練が出来ますよ!どうです?海に出てみませんか?」

 

「おっ!いいな!話には聞いてたけどさ、実際どんなもんかは知らないからな。ワクワクするぜ!」

 

「クマの華麗な舞に驚くがいいクマよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほー、ここから出撃するのか〜。」

 

「はい。あそこの端末、ターミナルって言うんですけど、あれで手続きが出来ますよ。」

 

「どことなく、き・ん・み・ら・い・て・き☆クマね!」

 

「ウゼェ。」

「しどい!」

 

 

俺たちは、フブキチの案内で出撃ゲートに来た。もっと機械がごちゃごちゃしてるもんかと思ってたけど、意外とスッキリしてんな。

 

 

「えーと、艤装はどっから持ってくるんだ?それっぽい部屋が見当たらねーけど。」

 

「あ、それなら心配しなくて大丈夫ですよ。出撃する時に、格納庫から転送されますんで。でも、自分でメンテナンスする時は、艤装の工廠に行って下さいね?」

 

「おぅ、了解。」

 

 

しかし転送か…。どう考えてもオーバーテクノロジーだよな。どんな感じなんだろうな?

 

 

「…はい、これで訓練の申請が終わりました。さぁ、行きましょう!」

 

「おっしゃー!」

「出発クマー!」

 

 

フブキチにターミナルの使い方を教わりながら、海上訓練の申請を終える。そこまで難しくはないな。これなら次からは1人でも大丈夫そうだ。

 

 

「では、出撃パネルに乗って…」

 

「これか?…うおぉっ!」

「ホトバシルー!」

 

 

なんか光ったぞ!本当に大丈夫なのか!

 

 

「……ふぅ、光ったのは一瞬だけか。

ん?おぉ!足になんか着いてんな!武器もでてくんのか!便利だな。なぁ、クマ…クマ⁉︎」

 

「クマ、出撃クマー!」

 

「な、なんですかそのくま風の着ぐるみは〜!」

 

 

クマのやつ、まさか艤装がガワだとは…。

ほら見ろ〜、可哀想に…フブキチのやつテンパってんぜ…。

 

 

「いや〜、良かったクマ!正直失くしたと思ってたクマ。」

 

「流石は司令官のご友人ですね…。司令官も大概非常識でしたが…これは予想外過ぎますよ〜…」

 

「あ〜…なんか、すまん。」

 

「あ、いえ、こちらこそ取り乱してしまってすみません。」

 

「何ぼさっとしてるクマ!さっさと行くクマよ〜!」

 

「誰のせいだよ!たくっ…」

 

「あはは…では、気を取り直して行きましょうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…うおっと!中々難しいな!」

 

「前に進むのは艤装のエンジンがやってくれます!私たちは舵取りに専念しましょう!」

 

「スイー♪スイー♪」

 

「なんであいつはあんな上手いんだよ…」

 

「多分、重心が低いので、バランスが取りやすいのかと。」

 

「なるほど…」

 

 

鎮守府の港の海上で、航行訓練を始める俺たち。ガキの頃の自転車の練習を思い出すぜ。

つーかクマのやつ、マジでなんであんな上手いんだよ…。どっちかっつーと鈍臭い方だぜ?あいつ。

てか、そもそもなんでクマ皮で海の上走れんだよ…。

まぁ、あいつの生態は謎だらけだしな。気にしないようにするか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨースケ!いくクマよ〜!カムイモシリ!マハブフダイン!」

 

「よっし!あらよっと!良い風頼むぜ!タケハヤスサノオ!」

 

「え〜…何でもう私より上手くなっちゃうんですか〜…」

 

 

小一時間ほどで、艤装の扱いにも慣れた俺とクマは、ペルソナを使って波を起こし、サーフィンの要領で遊び始める。

でも何故か、フブキチが恨めしそうな視線を送ってくる…。何でだ?

 

 

「よ〜し!次はクマがいくクマよ〜!ビックウェーブカモ〜ン!」

 

「うっし!いくぞクマ!青春の風!」

 

「そーい!」

 

「なぁ、フブキチもやるか?結構楽しいぜ?これ。」

 

 

良い感じに波を起こし、クマを波に乗せながら、フブキチにもやってみないかと誘う。

仲間外れ…ってわけじゃねーけど、ほっとくわけにもいかないからな。

 

 

「え?私がですか?」

 

「そ、波の加減もある程度は出来っから、とりあえずやってみない?」

 

「…えぇ!やりましょう!」

 

「おっ!やる気だな!じゃあまずは小さめの波から慣らして…」

 

「いえ、花ちゃんさんと同じくらいでお願いします!」

 

「は?いやいや、いきなりは危ないだろ?」

 

「私は…戦闘では、きっとお二人より弱いです…。でも!艦娘としては私の方が先輩なんです!吹雪型ネームシップの誇りにかけて、飛んで見せます!」

 

 

ヤバい。なんか変なスイッチ入ってるし…。

あとサーフィンは波に乗るものであって飛びはしないからな?いや、上級者とかは飛んでるかもしれないけど。

 

 

「さあ!遠慮は入りません!きてください!」

 

「チッ!後悔するなよな!ペルソナァッ!」

 

「吹雪、いきまーす!」

 

 

…気合いを入れて波に乗るフブキチ。

あ、こけた。いや?立て直した⁉︎

 

 

「キャアァァッ!」

 

 

飛んだぁ⁉︎てか、やっぱりダメじゃねーか!

くっ!マズい!飛んだ先にクマが!

 

 

「キャアァァッ!」

「クマ?クマァァァッ!」

 

 

…フブキチのドロップキックがクマの顔面に突き刺さった。あーあ…フブキチはなんとか着地したみてーだけど、吹っ飛ばされたクマは?

 

 

「クマァァァ!皮が!クマの毛皮がぁぁッ!海の水でカピカピになるクマァァァッ!」

 

 

…怪我はねーみたいだ。

たくっ、フブキチも無茶しやがって…。

 

 

「ほら見ろ。だから言っただろ?小さめの波から慣らしてけって。」

 

「す、すみません…」

 

「怪我は無いか?」

 

「はい、大丈夫です。」

 

「ならよし!クマ〜?大丈夫か〜?」

 

「ダメクマ…早く戻ってクマ毛のお手入れしないと大変な事になるクマ…」

 

「しゃーねー、戻るとするか〜。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほい、到着っと。」

 

 

フブキチのドロップキックでお開きとなった訓練(途中から遊んでたが)から戻ってきた俺たち。

帰投パネルとやらに乗ると、行きと同じように光に包まれ、艤装と装備が消える。本当どうなってんだこれ?

 

 

「早く艤装工廠とやらに行くクマ!フブキチちゃん!どっちクマ⁉︎」

 

「慌てないで下さい。まずは帰投報告をしないと…」

 

「ムムムゥ…」

 

 

フブキチの指示通りに手続きを進めていく。

こっちの方もやり方を覚えとかないとな。

 

 

「終わったクマ?終わったクマ?」

 

「うるせぇよ!少しは落ち着いてらんねーのか!」

 

「…はい、終わりましたよ!」

 

「じゃあ早く案内するクマ!」

 

「おいクマ、頼み方おかしいだろ。」

 

「分かりました。こちらです。」

 

「スルーかよ!」

 

 

クマのやつ…よっぽどクマ皮が心配らしいな。フブキチももう少し疑問に思ったりしろよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみませーん!テオさーん、居ますかー?」

 

 

俺たちは、フブキチの案内で艤装工廠にやってきた。とりあえずだな、隣のMOEL石油は何なんだよ!何であるんだよ!

 

 

「おや、皆さん。如何なさいました?」

 

「あ、イザナミさん。こんにちは。」

 

「はい、どうも。」

 

 

「……………………………………………………………………………………………………」

「……………………………………………………………………………………………………」

 

「ウオォォォッッッッ!」

「クマァァァッッッッ!」

 

 

なんかいる〜!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ、つまり今はもう世界を滅ぼす気は無いと。」

 

「ええ、安心して下さい。滅びませんよ。」

 

「………」

 

「おや?今流行りのギャグを、私風にアレンジしてみたのですが…。面白く無かったですか?」

 

 

あれから、イザナミに事情を説明された。

ついでに、こっちの事も説明しておいた。

もう世界を滅ぼす気は無いって言っても、やっぱ心臓に悪いわ…。

 

 

「まあいいでしょう。で、何か用があったのではありませんか?」

 

「あ、そういやそうだったな…」

 

「実は、クマのクマ皮が海の水でビシャビシャになっちゃったクマ…お手入れしないとクマ毛がゴワゴワのカピカビになるクマ〜!」

 

「ああ、それなら私が元に戻しましたよ?」

 

「クマ?どういう事クマ?」

 

「見てもらった方が早いですかね?まだしまっていないので、そこにありますよ?」

 

 

イザナミはそう言うと、ガソリンスタンドの方を指差した。そっちをに見ると、濡れていたはずのクマ皮が、乾いた状態で台車に載せられてた。

…間違いなくクマ皮は濡れ鼠になってた筈だ。こんな短時間で乾くもんなのか?

 

 

「実はかくかくしかじかで。」

 

「ふーん…。って!かくかくしかじかで分かるか!」

 

「フムフム…ちゃんと乾いてるクマね。お塩も吹いてないクマ。」

 

「あ〜…もういいや…。クマ、乾いてんならもう行こうぜ?」

 

 

なんかどっと疲れた…。早くこの場から立ち去りたいぜ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ昼か。どうする?もう食堂行くか?」

 

「私は構いませんよ?」

 

「今日のお昼は何クマね?」

 

 

艤装工廠を後にしてから、少し歩いていた俺たち。ふと空を見上げると、太陽は南中に差し掛かろうとしていた。

そこで俺は、2人に食堂に行かないかと誘う。

荒垣さんの作る料理はかなり美味いからな。楽しみだぜ!

 

 

 

「おっ?まだ誰も来てね〜のか。」

 

「いいじゃないですか。居たら居たで朝みたいになってもあれですし。」

 

 

食堂に到着した俺たち。どうやら少し早く来すぎたようで、俺たち以外には誰も居なかった。

 

 

「荒垣さーん。今日の昼飯は何すか〜?」

 

「今作ってっから黙って待っとけ。」

 

 

とりあえず、荒垣さんに今日のメニューを聞いてみるが教えてくれない。

なんつーか、職人気質っぽいな。

 

 

「クンクン、クンクン。」

 

「何してんだクマ?そんなに腹減ってんのか?」

 

 

ウォーターサーバーで水をもらって席に着くと、クマが厨房の方に向かって匂いを嗅ぎ始めた。

確かに良い匂いだな。こりゃ生姜の香りか?腹が鳴りそうだぜ!

 

 

「…やっぱりガッキーからペルソナの匂いがするクマ。」

 

「はぁ?あの人が?」

 

「あれ?聞いてなかったんですか?荒垣さんってペルソナ使いらしいですよ?」

 

「…マジでっ⁉︎」

 

 

腹減ってたんじゃねーのかよ!てか何だよそれ!聞いてねーよ!

悠の奴め…イザナミの事といい、ちょこちょこ大事な事話し損ねてんじゃねーか…。

 

 

「まぁでも、荒垣さんは戦う気は無いらしいですよ?」

 

「そりゃまた何で?ペルソナ使えんなら一緒に戦ってくれりゃあいいのにな。」

 

「本人曰く…

『俺の戦いは終わった。死にはしたが、結果には満足してな。

そんな死人が、今を生きてる奴にちょっかいかけるわけにはいかない。』

みたいな事を言ってましたね。」

 

「…えっ⁉︎あの人死んでんの⁉︎」

 

「たまげたクマね!」

 

「あ〜…、えっとですね、一応は生きてるみたいですよ?なんでも、三途の川の渡し守に、マーガレットさんが頼んで生き返らせてもらったそうです。」

 

「…滅茶苦茶だな。」

 

「おーい!出来たぞ〜!持ってけ〜!」

 

「おっ!出来たみたいだぜ!」

 

「お〜!早く食べるクマ〜!」

 

 

荒垣さんについて色々聞いているうちに、昼食が出来たみたいだ。

うっひょ〜!ウマそ〜!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいクマ〜…。ヒマなんだけど〜…。」

 

「クマに言われても…クマ、クマっちゃうクマ〜!」

 

「30点。」

「しどい!」

 

 

俺たちは昼食(豚の生姜焼き定食だった。勿論美味かったぜ!)を食べ終え、再び談話室に行くが、特にすることも無くダラけていると…。

 

 

「む、ここにいたか。」

 

「あ!武蔵さん!お疲れ様です!」

 

「ウッス。」

 

「ムサしゃんだクマ!何か用クマ?」

 

「ムサしゃん言うな!ったく…。ほら、花ちゃん、クマ、暇してるならこれでも読んでおけ。」

 

 

そう言うと、武蔵さんに一冊の本を渡された。なになに…艦隊指揮(イチ)

 

 

「あの〜、これは?」

 

「艦隊指揮の基本を纏めたものだ。他にもあるのだが、今用意出来たのがそれしか無くてな。他の教科書も、用意出来しだいくれてやるからしっかり勉強しろよ?」

 

「…はい。」

 

 

あぁ…逃れられない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

「グカー…すぴー…」

 

「こいつめ…。始めてすぐに寝やがって…」

 

「あはは…」

 

「悪いなフブキチ。付き合ってもらって。」

 

「いえ、これくらいはお安い御用です。」

 

 

あれから俺は、武蔵にもらった教科書で、艦隊指揮について勉強をしている。分からないところはフブキチに聞いているから、今の所はつまづかずにやれている。

しかし…クマのやつ、すぐに寝やがった。

正直こうなるんじゃないかとは思ってたけどさ、もうちょい頑張る姿勢ってもんを見せてほしかったぜ…。

 

 

 

 

「悠〜?Are you there?」

 

「あれ?金剛さん?」

 

 

しばらく勉強を続けていると、金剛さんだったか?が談話室にやって来た。どうやら悠のことを探してるみたいだ。

 

 

「Oh!フブキチに花ちゃん!にクマはsleepingデスネー。

実は悠を tea time に誘おうと思ってたのデスが…、can not find デース…。Do you know his whereabouts ?」

 

「ちょっ…、えっと?今なんて?」

 

「金剛さん、単語だけならまだしも、文になっちゃうとさすがに分からないです。」

 

 

英文だと分からないと素直に伝えるフブキチ。正直俺も分からなかった…。受験生なのにな、俺…。

 

 

「oh sorry 2人は悠の居場所を知ってますカー?」

 

 

金剛さんは、すぐに日本語で言い直してくれた。しかし、残念ながら悠の居場所は俺も知らん。

 

 

「すんません。知らないっすね。」

 

「私も…。力になれずすみません…」

 

「 no problemデース!そうだ!悠は見つかりそうにありませんから、良かったら tea time しませんカー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Welcome to my room!」

 

 

あれから、金剛さんにお茶に誘われた俺たちは、勉強を切り上げ、クマを起こし、金剛さんの部屋に来ていたが…。

 

 

「堂島さん家じゃねーか!」

 

「クマビックリ!」

 

「司令官も似たような反応してましたね〜。」

 

 

もう何でもありな気がしてきたぞ…。

てか、堂島さん家の間取りを再現してるって事は、ここって悠の部屋じゃねーのか?

…まさか。

 

 

「えっと、ここって悠の部屋じゃないんすか?」

 

「悠のroomでもありますネー。このroomのcapacityは4人なのデース!私と悠の他に武蔵と島風がroom share してマース。」

 

 

ほらみろ!てか、一緒に暮らしてんのさっき言い争いしてた面子じゃん!

 

 

「Sit down please. I get ready for tea time.」

 

「や、だから全部英語だと分からないって…」

 

「muuu…今のはeasyだと思ったんデスガ…」

 

 

ぐおぉ…俺の英語力の低さがモロに…。

筆記なら結構点は取れるんだぞ!ただちょっとリスニングはあんまりやってなくてだな…って誰に言い訳してんだ俺…。

 

 

「とにかく、座って待っててくだサーイ。私は紅茶の用意をしてキマース。」

 

 

結局全部日本語に言い直してくれた…。

 

 

「ヨースケはダメダメクマねー!」

 

「うるせぇよ!お前だって分かんねーだろ!」

 

 

 

 

 

しばらくして金剛さんがティーセット一式とクッキーを持ってきてくれた。

紅茶かぁ、ペットボトルかパックのやつしか飲んだことねーけど、金剛さんはどうやら茶葉から淹れてるっぽいな。

 

 

「Here's your tea.」

 

「頂きます。」

 

「フーフー」

 

「へぇ〜、やっぱペットボトルとは違うな。」

 

 

紅茶を一口飲むと、ペットボトルの物とは違う格調高い香りが鼻に抜ける。

…まぁ、具体的にどう違うかはよく分かんねーけど。

 

 

「こっちのクッキーは?」

 

「それも私がmakingしたヨー!」

 

「サクサク!ムシャムシャ!」

 

「おいっ!そんないっぺんに食うなよ!」

 

「美味し〜!今度私にも教えてくれませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ!花ちゃん!お好きなhair accessory をchoiceしてくだサーイ!」

 

「すげー量っすね…」

 

「あ、これ可愛い!」

 

「oh!フブキチ!nice choice デース!どれどれ〜?」

 

「あ、ありがとうございます!どうです?似合いますか?」

 

「フブキチちゃんかわい〜クマ!」

 

 

あれから俺たちは、お茶をしながら、金剛さんの持ってきた髪飾りを見ている。

そーいや花の髪飾りを俺に付けるとか言ってたな。

…しかしすげー量。どれにすっかな…。

おっ?これ良いんじゃね?

 

 

「金剛さん、このピンクの花の髪飾りは?」

 

「花ちゃん?それはカリンの花飾りデース!uniqueだったので思わず買っちゃいマシタ!それがfavoriteデスカー?」

 

「ああ、ちょっと鏡貸してくれ。」

 

「良く似合ってますよ!花ちゃんさん!」

 

 

俺が選んだのはカリンの花飾りがついたヘアピンだ。しかし、カリンの花のヘアピンなんてよくあったな。

直感で選んだとはいえ、我ながらマイナーな花を選んだもんだぜ。

 

 

「金剛さん、これ貰ってもいいっすか?」

 

「of course!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ夕飯か〜。」

 

「ガッキーは何を作ってくれるクマね?」

 

 

お茶を頂いた後、俺たちは金剛さんと別れ、外をブラついている。

鎮守府という場所柄か、海に沈んでいく夕焼けが目に眩しい。

 

 

「あ!司令官!お疲れ様です!」

 

「おー!センセー!こっちクマ〜!」

 

「ん?フブキチ?陽介とクマも一緒か。」

 

 

3人で夕陽を眺めていると、本棟の方から悠が歩いて来た。フブキチはいち早くそれに気づき、挨拶をする。

 

 

「悠!姿が見えないと思ったらどこ行ってたんだよ?」

 

「新艦建造の報告書を書くので、本棟の執務室にいたんだ。」

 

「あー、それって俺らの?」

 

「ああ、ちゃんと提出しないと経費が貰えないからな。」

 

 

早速お仕事か。まぁ、こいつの事だ。デスクワークくらいは軽くこなすだろ。

 

 

「ん?陽介、そのヘアピンは?」

 

「これか?カリンの花のヘアピン。金剛さんに貰ったんだ。言ってたろ?花のファクターを増やすだなんだってさ。」

 

「そういえば言ってたな。…カリンの花か。陽介にはピッタリかもな。」

 

「は?何で?」

 

「カリンの花言葉は『可能性』なんだ。そして、陽介のアルカナの魔術師にも可能性の意味があるんだ。」

 

「へー…」

 

 

流石相棒、博識だな。しかし、そうか、可能性か…。

直感で自分のアルカナと同じ意味の花を選ぶなんてな。これも運命ってやつ?

 

 

「そういや悠。」

 

「何だ?」

 

「お前、今朝の3人とルームシェアしてるんだってな?金剛さんから聞いたぜ?」

 

「…ああ、ていうか陽介、今朝、無視しただろ?」

 

「相棒の修羅場に直接巻き込まれんのはもう懲りてんだよ!」

 

「…ああ、あのバレンタインデー…。あれは酷い事件だったな。」

 

「本当だよ!たくっ…。まあなんだ、直接は助けてやれねーけどさ、一緒に考えてやるくらいは出来るぜ?どうやってあの3人をなだめるつもりだ?」

 

「ああ、それならなんとかなりそうだ。」

 

「まあ、いざとなったら俺も体張って…って、なんとかなる?」

 

「協力者が出来たからな。もうこの件では陽介の手を煩わせる事も無いだろう。安心してくれ。」

 

「あ、ああ…。それならいいんだ!安心したぜ!」

 

「じゃあ俺は荒垣さんの手伝いに行くから。また夕食の時間にな。」

 

「おぅ!また後でな!」

 

 

相棒は話を終えると、寮の方へと歩いて行く。なんだ、解決してんのか…。

 

 

「ヨースケ、フられちゃったクマね。」

 

「いや、振った振られたとかって話じゃねーから。」

 

 

…なんだよこの妙なもやもやした感じ。

次はすぐに助け船、出してやるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ〜…疲れた。」

 

「ピリピリしてたクマね〜。」

 

「ああ、金剛さんと武蔵さんな。直接言い争うような事はなかったけど、お互い視線だけで牽制し合ってたな…」

 

 

俺は夕飯を食べ終えた後、クマと部屋に戻ってきた。

てか、何で夕飯の時間で疲れなきゃなんねーんだよ…。あれか?戦艦の眼光ってのは周りにも影響すんのか?

 

 

「なー、ヨースケ。」

 

「なんだよ。さっさとシャワー浴びて寝ちまおうぜ?」

 

「クマたち、元の世界に帰れる?」

 

「んだよ、そんな事聞くなよ。」

 

「そんな事とは何クマ!ヨースケは不安にならないクマか?」

 

「いいかクマ?帰れるか、じゃねー。絶対に帰るんだ。不安になる暇があんなら武蔵さんに貰った教科書でも読んどけ。

大丈夫だ、相棒もいるんだ。どんなピンチだって俺たちは乗り越えてきただろ?今回もなんとかなるさ。」

 

「クマ…。ヨースケが良いこと言ってるクマ。気持ち悪いクマ…」

 

「んだよっ!人がせっかく励ましてやってんのに茶化してんじゃねーよ!」

 

 

たくっ…。クマの奴め。

…まあ俺も不安を感じない訳じゃない。

いきなり異世界に来たかと思えば、帰れなくなるし、見た目も性別も変わっちまうし…。

でも俺は悲観しない。元の世界に帰れる可能性を信じる!無くても作ってやる!

確かに…俺一人じゃ無理かも知れない。でも俺は一人じゃない。仲間がいる、相棒がいる、ちょいドジだがクマだっている。だから前を向いていける。

それが『魔術師』だろ?自分のアルカナの事くらいは知ってるっての。

…我ながらクサイな。まあ、心の中でくらい何言ったっていいよな?誰かに聞かれる訳でもないしな。

さっ!明日も早いんだ。さっさとシャワー浴びて寝るか〜。

 

 

「ほらクマ、さっさとシャワー浴びちまえよ〜。後がつかえてんだからな〜。」

 

「だったら一緒に入っちゃうクマ!クマが背中を流してやってもいいクマよ?」

 

「うるせー!さっさと入れ!」




オマケ 本編とは全然関係無い季節ネタ

〜〜佐世保鎮守府・執務室〜〜


大山「今年のクリスマスは何を作ろうか…。七面鳥、食べたいんだけど空母の子達が絶対ケンカするよね。ん?これはシュークリームのケーキかぁ…。」

ガチャッ、

霧島「司令、そろそろ演習の時間ですよ〜?」

大山「うおっと!もうそんな時間かい?」ササッ!

霧島「…司令、今何を隠しました?」

大山「いや?何も?って、霧島!やめっ!」

霧島「クリスマスケーキのパンフレットですか…。司令、ケーキ作りは執務が終わってからにして下さいね?」

大山「え⁉︎それじゃあほとんど時間が取れないじゃ…」

霧島「はい?」

大山「いや、別に、あははは〜…」

霧島「まあいいです。とにかく!私は演習に行ってきますから、さぼらずに仕事して下さいね?」

大山「うん。霧島、いってらっしゃい!」

ガチャッ、バタン

大山「…よっし!」






〜〜佐世保鎮守府・厨房〜〜


漣「クーリスマスが今年もやーてっくるー♪」

大山「悲しかった、出来事を、消し去るように〜♪」

漣「あ!ご主人様!」

曙「クソ提督?何しに来たのよ?」

大山「いや、今年のクリスマスケーキの相談にね。」

漣「今年はどうします?去年は…普通のショートケーキにモンブランにブッシュ・ド・ノエルを作りましたね。」

大山「うん、そうだったね。で、今年はこれを作ろうと思うんだけど…」パンフレット開き

漣「シューツリー?ほうほう。」

大山「これならケーキを楽しみつつ、シュークリームに色んなクリームを詰めれば、飽きずに食べられると思うんだ。」

漣「なるほどなるほど。良いんじゃないですか?」

大山「漣ならそう言ってくれると思ってたよ!差し当たっては、色んなクリームを試してみたいんだけど、手伝ってくれないかな?」

漣「わっかりました!」

曙「…ねえクソ提督、仕事はどうすんのよ?」

大山「後でやるから大丈夫。それよりシュー生地作りを手伝ってくれるかい?」

曙「はぁ…何すればいいのよ。」(後で霧島さんにメールしておこう…)




漣「生クリーム、カスタード、チョコレート、ストロベリー、モカ、マロン、レアチーズ…。沢山作りましたね〜。」

大山「僕的にはもっとフルーツ系のクリームを試したかったかな?」

漣「また後で材料を買いに行きましょう!」

曙「」モキュモキュ

漣「あー!ボノノもう食べてる!」

曙「別にいいじゃない。…マロンはモッタリし過ぎてシューと合わないわね…」

漣「私も食べりゅぅぅぅ!」

大山「ははは!さて、僕も一つ…」

霧島「一つ、なんですか?司令?」

大山「」

霧島「演習から戻ってみれば…何してるんですか?書類は片付いているんですよねぇ?」メガネクィッ

大山「き、霧島!」つシュークリーム

霧島「大体あなたはいつも…ムグッ!何するんですか!」

大山「霧島、聞いてくれ。僕は君たちみたいに戦うことが出来ない。いつも君たちに任せっきりだ。でも、だからこそ、こういった特別な日は、休ませてあげたい、労ってあげたい、楽しんでもらいたい。
その為なら僕に出来ることは何だってする。
特に霧島。君にはいつも秘書艦をやってもらって、本当に助かってる。だから僕は、霧島に1番喜んでもらいたいんだ。」なでなで

霧島「司令…」キュンッ♡

曙(何かしらこの茶番…)

霧島「あの、その、この霧島、司令にそこまで想ってもらっているなんて…」モジモジ

漣(ご主人様!今です!)

大山(ごめん!霧島!)

霧島「でも、その、私も司令のことが…」モジモジ

曙「あのー…霧島さん?」

霧島「しっ、司令のことがっ!てっ、あれ?曙さん?司令は?」

曙「漣のバカと一緒に逃げましたよ…」

霧島「………………あのクソ司令〜!マイクチェックの時間だオラァッ!」ダッシュ!





曙「……あれ?これ後片付け私一人でやるの?」

艦!


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第十三話 観艦式

あけましておめでとうございます!(遅刻)どうもです。黒城です。
このお話で第2章の鎮守府着任編が終了です。
本当は大晦日か元日に上げたかったのですが…お飾り材料を膝に受けてしまってな…。
では第十三話お楽しみください。


〜〜佐伯湾鎮守府・本棟・応接室〜〜

 

 

県知事「どうも、私は別府県知事の高橋義昭(たかはしよしあき)と申します。」

 

悠「俺…じゃなくて、私はこの佐伯湾鎮守府を任された鳴上悠と言います。これからよろしくお願いします。」

 

 

悠が天龍と龍田を秘書艦に指名してから3日が経ち、当初の予定通り別府県知事が鎮守府を訪ねてきていた。ジェントルマンな風貌で、スーツがよく似合う。

 

 

高橋「はっはっはっ。いや、話には聞いていましたが若いですね。」

 

悠「まあ、色々事情がありまして。」

 

龍田「どうぞ。粗茶ですが…」

 

高橋「おや、すまないね。ありがとう。」

 

天龍と龍田がお茶を持ってくる。やはり龍田の動作には気品がある。まるで何処かのお嬢様のようだ。

 

悠(龍田に秘書艦を頼んで正解だったな!)

 

 

悠は心の中で、俺の眼に間違いはなかったとガッツポーズ。

ちなみに天龍は、ボロを出さないようにお盆を持って大人しくしている。

 

 

しばらく世間話をしていると、ふと高橋県知事が腕時計を見て一言呟く。

 

高橋「…ふむ、市長さんが来ませんね。」

 

悠「市長?佐伯市の市長さんもいらっしゃるんですか?」

 

高橋「えぇ、観艦式の設営、運営は市の方と協力しなければですからね。担当者と一緒にそろそろ来るはずなのですが…」

 

コンコンッ、

 

悠「どうぞ〜」

 

ガチャッ、

 

マーガレット「失礼します、佐伯市市長がいらっしゃったわ。市長、こちらです。」

 

部屋に入ってきたのは、作業着に身を包んだハゲ頭の初老の男性と、セミロングの茶髪にスーツの若い女性だ。

 

市長「遅くなって申し訳ない!資料を纏めるのに時間がかかってしまってね!」

 

担当者「市長が落っことして散らかしたからでしょうが!」

 

市長「渚君…。そんなに怒らなくてもいいじゃないか。それより!君が提督か!いや!なかなかイケメンじゃないか!はっはっはっ!」

 

悠「ど、どうも。鳴上悠と言います。」

(市長まで来るのか⁉︎聞いてないぞマーガレット!)

 

市長「私は佐伯市長の木下聡(きのしたさとし)だ。よろしく頼むよ。で、彼女が…」

 

担当者「私は海鳴渚(うみなりなぎさ)です。この鎮守府と市政のパイプ役ですね。」

 

高橋「これで役者は揃いましたね。では早速観艦式について、概要だけでも纏めましょうか?ああ、予算は県の方からも、多少なら融通しますが、基本は市と鎮守府の方で設営と運営を行って下さいね?」

 

皆の自己紹介が終わり、観艦式についての会議が始まる。

 

 

 

 

悠「では、会場は佐伯港で、2週間後に。」

 

会議は、悠が思っていたよりもすんなりと進み、小一時間ほどで終わる。

 

渚「ええ、鎮守府のすぐそばですし、一般の方の受け入れも楽です。」

 

悠「…ですが、本当に大丈夫ですか?2週間後だと、まともに準備出来るとは思えないのですが。」

 

ここで悠はもっともな質問をする。この手のイベントはかなり前から準備を行わなくてはならない筈だ。学校の文化祭でさえ、準備期間を2カ月以上、規模によってはもっと取るだろう。

 

渚「あー、まあぶっちゃけると、大分前…鎮守府が出来ると決まった時から市の方で計画を練ってましたからね。いわばこの会議は鳴上提督へのプレゼンです。」

 

木下「はっはっはっ!だから心配しないでくれ!いい観艦式になるようにお互い頑張ろう!」

 

高橋「当日は私もお邪魔させてもらいますよ?いや、今から楽しみです。」

 

話がまとまったという事で、皆は荷物をまとめ、帰り支度を整える。

 

高橋「では、また2週間後に。では。」

 

木下「じゃあ鳴上君!また会おう!よーし、戻ったら最後の詰めだ!」

 

渚「では、詳しいスケジュールは後でFAXします。予定の変更などがあったら私の方から連絡しますんで、鳴上提督の方でも何かあったら、私に繋ぐように言ってくださいね?では失礼します。」

 

悠「はい、また2週間後に。」

 

 

ガチャッ、バタン…

 

 

 

 

悠「………寝耳に水だ。」

 

龍田「2週間後ですか〜。結構ハードなスケジュールになりますね。」

 

天龍「………」

 

悠「天龍?」

 

龍田「あっ、天龍ちゃん、もう喋って大丈夫よ?」

 

天龍「…ん?そうか、いや〜…疲れた…」

 

悠「お前は立ってただけだろう…」

 

龍田「とにかく、一旦皆を集めて話し合いましょう。」

 

 

 

 

 

 

〜〜会議室〜〜

 

 

悠「…というわけなんだ。」

 

悠は皆を会議室に集め、先程の会議の内容を皆に伝える。

 

武蔵「また急だな…」

 

島風「予定はっやーい!」

 

吹雪「梯形陣での艦隊運動の訓練が必要ですね。」

 

陽介(阿武隈)「面子はどーすんだ?」

 

悠「とりあえず、礼砲を撃てない俺、島風、陽介、クマは除外だな。」

 

武蔵「そして私も燃費の都合上無理だ。」

 

悠「つまり、金剛を旗艦として、龍驤、天龍、龍田、吹雪…どうやってもあと1人足りないんだ。」

 

金剛「New face を建造デスカー?」

 

悠「ああ、イゴールさんに駆逐艦を1人召喚してもらおう。」

 

 

マーガレット「いえ、4人にしておきなさい?」

 

悠「マーガレットさん⁉︎何でですか?」

 

陽介(阿武隈)「てか、今どっから出てきたんだよ…」

 

 

新艦建造の話を進めていると、どこからともなくマーガレットが現れ、4人召喚しろと言う。

 

マーガレット「理由はこれ。本部から任務のオーダーが来ているわ。鎮守府近海の哨戒と琉球王朝からの輸送船の護衛よ。」

 

龍田「輸送船護衛任務のスケジュールはどうなってますか?」

 

マーガレット「ちょうど観艦式の予定日と被るわ。護衛任務に出撃する艦は観艦式には出られないわね。ついでに言うと、哨戒任務を行う艦は練習量が足りなくなるからこちらも厳しいわ。」

 

悠「そればっかりは仕方ないな。えっと…ペルソナはなるべく人目に晒す訳にはいかないから、輸送船の護衛は天龍、龍田、龍驤にやってもらって…哨戒はペルソナ組に頼むと。」

 

龍驤「カツカツやな〜、こら新人さんを建造せなあかんわ。」

 

悠「よし、ペルソナ組、陽介、クマ、島風は鎮守府近海の哨戒任務!

天龍、龍田、龍驤は輸送船護衛任務!

金剛、フブキチは新艦の召喚が済み次第、その4名と共に観艦式の練習を頼む!

まずはベルベットルームに行こう!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜ベルベットルーム〜〜

 

 

イゴール「確かに…。駆逐艦4隻の召喚、承りました。」

悠「はい、お願いします。」

 

ベルベットルームに来た一行。悠は書類をイゴールに渡し、召喚の手続きを済ませる。

 

イゴール「駆逐艦のレシピはAll30。さぁ、いきますよ…!」

 

イゴールは、前回と同じようにカードを資材にかざし、資材をカードに込めると、魔法陣を描き、そこに投げ入れる。

 

龍驤「は〜、綺麗やね〜。うちの時もこんなんやったん?」

 

悠「ああ、ちょっとしたトラブルもあったが大体こんな感じだったよ。」

 

そして、光が溢れ、一枚目のカードから艦娘が召喚される。

 

パァァ…

夕立「こんにちは、白露型駆逐艦夕立よ。よろしくね!」

 

続けて2人目。

 

パァァ…

睦月「睦月です。はりきって、まいりましょー!」

 

3人目

 

パァァ…

暁「暁よ。一人前のレディーとして扱ってよね!」

 

そして…

 

 

 

 

 

 

ビー!ビー!ビー!

 

悠「またかよ!」

龍驤「なんやなんや⁉︎何があったん?」

武蔵「魔法陣がうさぎに⁉︎」

 

 

 

ウサミンパゥワアァァー!

 

卯月「やったぁ! でたっぴょん! 卯月でっす! うーちゃんって呼ばれてまっす!」

 

 

イゴール「おお!どうやら、本来なら建造では出会うことの出来ない艦娘が召喚されたようですな。」

 

悠「よかった…また誰か来たらどうしようかと…」

 

クマ(球磨)「心臓に悪いクマね。」

 

悠「よし…気を取り直して自己紹介だ。みんなも頼む。」

 

 

 

自己紹介中……

 

 

 

 

悠「トラブルもあったが無事に仲間が増えたな。」

 

龍田「自己紹介も済みましたし、私たちは打ち合わせに行ってきま〜す。天龍ちゃん、龍驤さん行きましょう?」

 

天龍「おう!」

 

龍驤「なんや?妹さんの方が仕切るんか?いいんかい天龍?」

 

天龍「ああ、頭脳労働は龍田担当だからな。」

 

自己紹介が終わると、龍田は天龍と龍驤を連れて、護衛任務の打ち合わせに行った。龍田が仕切るのならば間違いはないだろう。

 

悠「じゃあこっちは観艦式予行練習と哨戒任務だな。これが哨戒ルートだ。頼んだぞ。」

 

悠は、予めマーガレットから預かっておいた、哨戒ルートの書かれた海図を島風たちに渡す。

 

島風「……花ちゃん、これ読める?」

 

陽介(阿武隈)「なんだ?島風貸してみ?……海図なんて読めねーよ!」

 

クマ(球磨)「ヨースケ、ツッコミが雑クマ。」

 

金剛「oh…そういえば中身はnormal high school student だったネー。」

 

卯月「え〜!海図、読めないっぴょん⁉︎ダメダメっぴょん!」

 

夕立「阿武隈さん海図読めないっぽい?」

 

睦月「武勲艦…だったよね?阿武隈さん。」

 

暁「しょうがないわね!レディーな私が代わりに見てあげるわ!」

 

陽介(阿武隈)「好き勝手言ってんじゃねーよ!自己紹介聞いてなかったのかよ!俺は阿武隈さんじゃないの!花村陽介っていうの!中身は普通の高校生なの!」

 

卯月「でも読めないのは事実っぴょん。」

 

陽介(阿武隈)「くっ、それは追々勉強するっての!」

 

卯月「今読めなきゃ意味ないんですぅ〜!」

 

吹雪「あー、2人とも落ち着いて、こんな事で喧嘩しないでください。」

 

卯月「別に喧嘩してないぴょ〜ん!事実を言っただけですぅ〜!」

 

陽介(阿武隈)「くっ、こいつ…!」

 

どうやら卯月は人をからかうのが好きなようだ。

悠(これは要注意だな…)

 

武蔵「仕方ない、新艦の肩慣らしの為にも、これからここにいる全員で哨戒ルートを一周しよう。ほら、準備するぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜出撃ゲート〜〜

 

 

金剛「Standby OK!」

 

吹雪「皆さん大丈夫ですか?」

 

夕立「大丈夫っぽい!」

睦月「平気にゃしぃ!」

卯月「いけるぴょん!」

暁「も、問題ないわ!」プルプル…

 

吹雪「金剛さーん!暁さんがプルプルしてまーす!」

 

金剛「Hey 暁!relaxデスヨー!」

 

マーガレットさんに艦娘カードを作ってもらい、出撃ゲートで艤装を装着して着水。

暁以外は問題ないようだ。

 

陽介(阿武隈)「よっし!じゃあ行くか!」

 

クマ(球磨)「クマも準備オッケークマ!」

 

悠「……ちょっと待て⁉︎クマ⁉︎それはなんだ!」

 

クマ(球磨)「何って…愛くるしきクマの真の姿クマ。」

 

出撃準備が完了し、皆艤装をつけるが、何故かクマは艤装ではなくクマ皮に身を包んでいた。

 

悠「それ…大丈夫なのか?」

 

陽介(阿武隈)「あぁ、3日前に実証済みだ。」

 

武蔵「悠といい、このクマといい、お前らの世界はどうなっているんだ…」

 

陽介(阿武隈)「多分俺たちがズレてるだけです…」

 

暁「…あっ!うわぁ〜!みんな!見て見て!クマさんがいるわ!」

 

夕立「本当っぽい!でも何でここにいるの?」

 

睦月「睦月はクマよりネコが好きにゃしぃ。お呼びでないぞよ?」

クマ(球磨)「ガーン⁉︎」

 

卯月「うーちゃんもクマよりうさぎさんが好きぴょん。」

クマ(球磨)「グハァッ!」

 

夕立「私もクマよりわんちゃんの方が好きっぽい!」

クマ(球磨)「もう止めて!クマのライフは0よ!」

 

暁「そ、そうよ!クマさんが可哀想よ!」

クマ(球磨)「あ、暁ちゃん!」

 

哀れクマ、子供達の素直な意見にクリティカルを頂戴しまくる。まぁ暁が味方についてくれているのが唯一の救いか。

 

島風「悠の仲間って変な人ばっかりだね。」

 

悠「島風もその1人だぞ?」

 

島風「えっ⁉︎」

 

悠「う・そ!」

 

島風「もーう!バカにしてるでしょ〜!」

 

悠「はははは!」

 

武蔵「おい、そろそろ行くぞ。」

 

悠「おっと、そうだな。じゃあ武蔵は留守番を頼む。」

 

武蔵「は?私も行くぞ?」

 

悠「やめて下さい資材が無くなってしまいます。」

 

武蔵「大丈夫だ艤装は使わん。悠、もうちょっとこっちに来い。」

悠「?」

 

お喋りもほどほどに出撃しようとするが、武蔵もついて来るつもりらしい。

 

悠(どうするつもりだ?)

 

とりあえず言われたままに岸へと近づく悠。

 

武蔵「よし、じゃあ剣はこっちに置いとけ。そしたらこちらに背を向けて屈め。」

 

悠「こうか?」

 

武蔵「ああ、落とすなよ?」ノシッ!

 

悠「!!!」ポヨン!

 

…武蔵は屈んだ悠におぶさった。おんぶである。

 

悠(今、俺の背にはとても幸せな2つのお山が当たっている。まるでマシュマロのようなそれは、武蔵が俺の背の上で姿勢を直すたびにムニュムニュと形を変えるのが背の触覚を通して伝わってくる。つまりなんというか…)

「ここが天竺か!!」

 

武蔵「うおっ⁉︎急に大声を出すな!」

 

悠「いや、エルドラドか⁉︎」

 

天竺とエルドラドに謝れ。

 

武蔵「まあいい…。ほら、しっかり支えろ。落としたら…怖いぜ?」

悠「あ、ああ。い、いくぞ?」

 

ムニュ

 

悠(今、俺の掌には武蔵の太ももがやわらか戦車している。しっかり鍛えているから硬いと思っていたその太ももは、程良い柔らかさを持ち、軽くしか力を込めていない筈の指が優しく沈みこんでいく。まあ要するに…)

「極楽浄土!」

 

武蔵「…ふむ。悠、私の胸と太ももはどうだ?」押し付け〜

 

悠「!!!」

 

武蔵「ほーら、なんか言ったらどうだ?ん?」ムニュムニュ

 

悠「ちょっ!おまっ!」

 

結論・武蔵はエロい。

 

金剛「Stooooooop!何いちゃついてやがるネー!やっぱり武蔵はむっつりデース!」

 

武蔵「ん?なんだ?羨ましいか?だが仕方がないのだ…。私も一緒に行くには悠におぶさるしかないのだ。許せ…金剛。プッ…クククッ…」

 

金剛「〜〜〜〜!!」

 

悠(え⁉︎もしかしてこの2人、あんまり仲良くない⁉︎)

 

武蔵「さあ行くぞ悠!はいよー!」

 

悠「ちょっ!脇腹蹴るな!」

 

金剛(ちっ…、まさか武蔵がこんなdrasticなactionをとるとは…。本人は悠と私をからかっているくらいにしか思ってないみたいなのがsaving grace デース。秘書艦の件もありますし、このままではtoo late ネー。何か手を打たないとまずいデース。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾・鎮守府周辺海域〜〜

 

 

武蔵を背に乗せた悠を先頭に、海を進む一行。

時折、武蔵が海図を見ながら指示を出し、索敵を進めていく。

 

武蔵「ふむ、ここまで敵影見ズか。」

 

クマ(球磨)「クンクン、クンクン。」

 

陽介(阿武隈)「ん?どーしたクマ?」

 

クマ(球磨)「海の匂いに混じって嫌な匂いがするクマ。シャドウみたいな匂いクマ〜…」

 

悠「シャドウみたいな?」

 

クマ(球磨)「そー。でもでも、シャドウとは違う匂いクマ。でも気をつけるクマ。」

 

悠「おそらく深海棲艦だろう。みんな!気を引き締めて行くぞ!」

 

どうやらクマの鼻センサーに、深海棲艦が引っかかったようだ。全員に警戒を促し、先に進む。

 

クマ(球磨)「匂いが近いクマ!近くにいるクマ!」

 

金剛「偵察機より入電!find enemy!」

 

索敵を密にし、再び先に進む一行。しばらくして、クマの鼻センサーと金剛の偵察機が敵を探知する。

 

悠「よし!先ずは航空戦!」

 

金剛「Let's go 悠!」

 

悠「……」

 

島風「…?どうしたの?早くペルソナ出さないと!」

 

悠「両手が塞がって無理だ!」

 

全員「「「はぁーー!!」」」

 

幸せの重みの代償は、思ったよりも大きかったようだ。

 

武蔵「悠!なんとか片手くらい離せないのか⁉︎」

 

悠「無理だ!波で足元が不安定だから、両手でバランスをとらないとまずい!」

 

陽介(阿武隈)「仕方ねぇ!クマ!いくぞ!」

クマ(球磨)「ガッテンショウチ!」

 

「「ペルソナァ(クマァ)!」」

 

卯月「なんか出たっぴょん!」

暁「はにゃぁぁ!」

 

悠の様子を見かねて、2人がペルソナを召喚し、航空戦を行う。

 

陽介(阿武隈)「くそっ!遠隔操作なんて初めてなんだよこっちは!」

 

クマ(球磨)「あいたたた!めっちゃ撃たれてるクマ!」

 

航空戦の都合上、どうしてもペルソナとの距離が開いてしまう為、自身の感覚をペルソナとより深くシンクロさせなければならない。

深くシンクロする事で、ペルソナの視界から物を見れたり、より精密な挙動もとれるが、その間はダメージのフィードバックもいつも以上に発生する上に、かなりの集中力が必要な為、使い手が無防備になってしまう。また、SPの消費も激しくなる。

出来るなら制空権争いは、空母系の艦娘に任せたい。

 

悠「陽介!クマ!制空権を確保出来たのならすぐに戻れ!」

 

陽介(阿武隈)「おう!」

クマ(球磨)「りょーかい!」

 

敵艦の対空砲火により多少のダメージを受けたものの、無事に制空権を確保する。

 

悠「相手は⁉︎」

 

陽介(阿武隈)「デカい魚のバケモノが2匹とメカっぽいのが一体だ。」

 

金剛「駆逐艦と軽巡洋艦ネ!次は私のturn!」

 

航空戦が終わり、砲撃戦が始まる。

金剛は主砲を構え…。

 

金剛「全砲門!fire!」

 

敵の旗艦と思われる、軽巡洋艦に向け主砲を放つ。

 

金剛「sit!イ級が庇ったネ!」

 

武蔵「だがそのイ級は落とせたようだな。よし!駆逐艦隊!金剛に続けー!」

 

睦月「主砲…撃て〜!」

 

卯月「うーちゃんの攻撃〜!」

 

夕立「素敵なパーティーっぽい!」

 

暁「あわわわ⁉︎ちょっと待って!」

 

ドゴン!ドゴン!と、12㎝単装砲と12.7㎝連装砲が砲撃音を響かせ、敵艦に砲撃を浴びせる。

が…。

 

へ級「」ヒョイヒョイ

イ級「」ホイホイ

 

夕立「外れたっぽい!」

 

睦月「敵艦、未だ健在にゃしぃ!」

 

吹雪「敵艦から砲撃!来ます!」

 

敵艦隊は、砲撃を躱しながらこちらとの距離を詰め、砲撃を行おうと試みる。が、

 

陽介(阿武隈)「させるかよ!」

 

敵艦隊の詰めた距離を、陽介がさらに詰め寄り…。

 

陽介(阿武隈)「おりゃぁぁっ!」

 

ザシュ!ザシュ!

 

一瞬でイ級に肉薄し、側面を斬りつけ…

 

イ級「ギイィィィ!」

 

陽介(阿武隈)「まだまだぁ!タケハヤスサノオ!」パリィン!

 

陽介(阿武隈)「ブレイブザッパー!」

 

怯んだ隙にブレイブザッパーを放ち、イ級を両断する。

真っ二つになったイ級は、断末魔を上げる間もなく沈んでいった。

 

陽介(阿武隈)「うっし!こいつら見た目ほど強くないぞ!」

 

吹雪「花ちゃんさんが強過ぎるんです!」

 

クマ(球磨)「ヨースケ!後ろ後ろ!」

 

陽介(阿武隈)「ん?うおぁ!」

 

イ級を倒して、気が緩んだ陽介にへ級の砲が向けられ…

 

島風「ツクヨミ!」パリィン!

 

島風「お願い!ジオ!」

 

バチィン!

 

へ級「!!」

 

るも、島風がジオでへ級の動きを止める。

 

陽介(阿武隈)「ナイス!サンキュー島風!」

 

金剛「今がchance!皆さん!ボッコボコにしちゃってクダサーイ!」

 

吹雪「酸素魚雷!いっけー!」

睦月「主砲も魚雷もあるんだよ!」

卯月「うーちゃんボンバー!」

夕立「二次会は無いっぽい!」

暁「そ、それー!」

 

駆逐艦による雷撃が、ジオで動けなくなっているへ級に迫り…

 

陽介(阿武隈)「は⁉︎まっ⁉︎俺まだ離脱してねーよ!う、ウオォォッ!」

 

ついでに陽介にも迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴーン!

 

 

 

モクモク…

 

金剛「………oh…」

 

悠「やっちゃったな…」

 

吹雪「ご、ごめんなさい!その場のテンションに任せて攻撃してしまいました!」

 

夕立「阿武隈さんも一緒にボコボコっぽい?」

 

睦月「大丈夫かなぁ?」

 

やがて煙が晴れ…

 

陽介(阿武隈)「何さらすんじゃボケー!死ぬかと思ったわ!」

 

陽介だけが姿を現わす。どうやらへ級は沈んだようだ。

 

卯月「意外とピンピンしてるぴょん。」

 

悠「大丈夫か陽介?」

 

陽介(阿武隈)「ああ、見た目が派手なわりに大したダメージは受けてないぜ。」

 

武蔵「まだ駆逐艦たちの練度は低いからな。魚雷の威力もそれ相応だ。」

 

悠「よし、陽介の無事も確認できた。この調子で哨戒を進めよう。」

 

 

 

この後、皆で哨戒を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・帰投ゲート〜〜

 

 

悠「ふぅ、ただいまー!」

 

金剛「艦隊帰投デース!」

 

武蔵「よし、悠、下ろしてくれ。」

 

哨戒を終え、鎮守府に帰ってきた一行。

 

悠「陽介、航路は大体分かったか?」

 

陽介(阿武隈)「まあ、なんとかな。」

 

悠「じゃあ当初の予定通りに頼むぞ。」

 

陽介(阿武隈)「ああ、任しとけ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして皆が各々の役割をこなし…

 

 

 

陽介(阿武隈)「島風!そっち行ったぞ!」

島風「まっかせて!」

クマ(球磨)「サポートは任せんしゃい!」

 

 

龍田「天龍ちゃんだめよ?艦攻の射線に入っちゃ。」

天龍「分かってんだけどな〜…」

龍驤「うちのコース取りが悪いんかも知れへん。戻ったら卓上演習やな。」

 

 

金剛「one・two・three・four!」

駆逐艦’s「ファイブ・シックス・セブン・エイト!」

金剛「Very good ネー!」

 

 

悠「ニャア〜」

ネコ「にゃう?」

悠「」つ猫じゃらし

ネコ「にゃふ〜!」

武蔵「ゆ〜う〜?書類は片付いたのかな〜?」

悠「ひ、ヒエェ〜!」

 

 

 

 

 

 

 

あっという間に2週間が過ぎた。

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・出撃ゲート〜〜

 

龍田「では、行ってきますね。」

 

観艦式当日の早朝、総員起こしの放送も鳴らない午前4時。龍田たちは護衛任務の為に出撃ゲートに来ており、悠も見送りに来ていた。

 

天龍「あーあ…俺も観艦式に出たかったぜ。」

 

悠「そう拗ねないでくれ。戦闘を行う可能性がある任務だからな、新人に任せるわけにもいかないだろ?」

 

龍驤「その理屈で言うと、うちには任せられんみたいに聞こえるんやけど?」

悠「龍驤は日本海軍の最古参なんだろ?そんな艦を新人扱いするなんてとんでもない。」

 

龍驤「期待されてるって事でええんやな?」

 

悠「ああ、頑張ってこい!」

 

龍驤「そかそか〜、まっ、うちに任せとき〜や!」

 

龍田「帰投予定時刻はフタマルマルマルです。戦況により多少の前後はあると思いますので、少し遅くなっても心配しないで下さいね〜?」

悠「分かった。」

天龍「よっしゃー!久々の任務だ!腕が鳴るぜ!じゃあ行ってくる!」

 

龍田「では、また後ほど。待ってよ天龍ちゃ〜ん!」

 

龍驤「提督、吉報待っとってな!」

 

悠「いってらっしゃーい!」

 

3人が出撃し、ゲート内は静寂に包まれる。

 

悠「……よし!こっちも頑張らないとな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯市・佐伯港〜〜

 

 

悠「本日は佐伯湾鎮守府観艦式にお越しいただき、ありがとうございます。」

 

現在の時刻は午後1時半。軍服に身を包んだ悠が鎮守府着任のスピーチを行っている最中だ。

このスピーチの終わった後に艦隊の御披露目が行われる手筈である。

 

悠「…この海の平和を取り戻す為に、粉骨砕身努力する所存です。どうか皆様よろしくお願いします。」

 

パチパチパチパチ

 

悠のスピーチが終わり、やや控え目な拍手が鳴る。

 

渚「鳴上提督、ありがとうございました。では、これより艦隊の御披露目を…」

 

?「ちょっと待たんかい!」

 

司会を務めている渚が進行を行っている所に、筋骨隆々な1人のお爺さんが、来賓席から大声をあげて割って入る。

 

渚「ちょっ…!おじいちゃんっ…!」

 

?「渚!止めるんじゃないわい!こんな若造が提督?ふざけるな!大体こいつはうちの(たけし)と同じくらいではないか!」

 

渚「はーい!警備員さーん!連れてってー!」

 

?「なっ!何をする⁉︎離さんかい!くそぉ!ワシはこんな若造認めんぞ〜!」

 

渚「…はいっ!申し訳ありません!では気を取り直して艦隊の御披露目と参りましょう!」

 

どうやら渚の祖父は、悠の提督着任に反対のようだ。彼が座っていた来賓席のパネルには『佐伯市漁協組合・組合長 海鳴豪旗(うみなりごうき)』と書かれている。

 

悠(やっぱり快く思ってない人もいるみたいだ。早く皆に認めて貰えるように頑張らないとな。)

 

 

 

程なくして、金剛たちが港内に入ってきて観艦式が始まる。

一糸乱れぬ艦隊運動。2週間という短い期間でここまで統率がとれた航行が出来るのも、金剛の指揮能力と指導力の高さの賜物である。

 

 

 

金剛「礼砲構えー!…撃てー!」

 

 

ドゴン!ドゴン!

 

観客席に主砲がよく見えるように静止し、金剛の号令と共に礼砲が放たれる。

 

金剛「一同、敬礼!」

 

礼砲を撃ち終えると、観客席に向き直り敬礼をして、そのまま帰投する。

 

 

 

 

渚「…ではこれにて、観艦式を終了とさせていただきます。佐伯湾鎮守府の皆様、ありがとうございました。」

 

 

 

金剛たちが帰投した後、市長や県知事の講評を聴き、それで式は閉幕となった。

もっとも、一般の方は金剛たちが帰投した後直ぐに散ってしまい、まともに話を聴いているのは関係者のみだったが。

 

 

悠(ふぅ、トラブルもあったが無事に終わったな。留守番している陽介たちと頑張ってくれた金剛たちに何か買って帰るか。)

 

悠が身支度を整え、出店の出店しているエリアに行こうとしたその時。

 

木下「やあやあ!鳴上提督!お疲れ様!」

 

渚「お疲れ様です。」

 

悠「市長さん、海鳴さん、お疲れ様です。」

 

木下市長と渚が話しかけてきた。

 

渚「いやぁ、スピーチの時はうちのおじいちゃんが…すみませんでした。」

 

悠「いえ、大丈夫です。ああいった反感を買うのも織り込み済みです。」

 

木下「いやぁ、若いのにしっかりしてるなぁ!うちの娘の婿養子にほしいくらいだ!」

 

悠「あははは…」

 

2、3、言葉を交わし、満足した木下市長は、

 

木下「じゃあ私はこれで失礼するよ。渚君、後は頼んだよ?」

 

渚「はい、お疲れ様でした。」

 

悠「お疲れ様でした。」

 

席を外す。どうやらそのまま市役所に戻るようだ。

 

渚「改めて、ごめんなさい。うちのおじいちゃんも本当は、ようやく鎮守府が出来るってすごい喜んでたの。立派な軍人さんが佐伯の海を守ってくれるって。」

 

鳴上「そこに俺みたいな若者が来たら、確かにがっかりしますね…」

 

渚「うん、本当にごめん。おじいちゃんには私からも言っておくから。」

 

?「あっ!おーい!姉ちゃーん!」

 

悠と渚が2人で話していると、大きな声で姉、(おそらく渚のことだろう)を呼ぶ声が響く。

 

?「はぁはぁ…」

 

渚「ちょっ!武!そんなに息切らしてどうしたの⁉︎」

 

どうやら渚の弟らしい。

 

武「いや、大変なことになって…ん?そっちの人は?姉ちゃんの彼氏?」

 

渚「違います!この人が鎮守府の提督さんよ。ほら!ちゃんと挨拶しなさい!」

 

武「えっ!マジで⁉︎あんたが提督なのか⁉︎」

 

悠「あ、あぁ、鳴上悠だ。よろしくな。」

 

武「ちょうど良かった!頼む!じいちゃんを助けてくれ!」

 

悠「落ち着け。まずは何があったか話してくれないか?」

 

渚「そうよ武。おじいちゃんがどうしたのよ?」

 

武は、自己紹介もせずに捲したてる。一体何があったのだろうか?

 

武「じいちゃんが…じいちゃんが漁に出ちまったんだ!」

 

悠「なっ!」

 

武「俺は止めたんだけど…聞いてくれねーんだ…。もう待てないって…あんな若造には何も変えられないって…」

 

渚「ち、ちょっと⁉︎どーすんのよ!このままだと、おじいちゃんもお父さんみたいに…!」

 

悠「えっと、武っていったか?」

 

武「あ、ごめん、名乗ってなかった。俺は海鳴武(うみなりたけし)、佐伯第一高校の3年…って!自己紹介してる場合じゃないんだよ提督さん!」

 

悠「俺のことは悠でいい。どうやら同学年みたいだからな。武、君のおじいちゃんが向かった方角は分かるか?」

 

武「え?同学年?って、そうじゃない…。多分あっち。深海棲艦が出る前によく行ってた漁場に行ったと思うんだ。」

 

武は、祖父が向かったと思われる方角に向かって指を指す。

 

悠「そうか。渚さん、鎮守府に救助の要請を出しといてください。俺は先に行ってます。」

 

渚「え?分かったけど、先に行くって…?」

 

悠「本当はマズイんだろうが…、人命には代えられない!」

 

 

 

悠「ペルソナ!」パリィン!

 

 

 

セイテンタイセイ「ウキー!さっさと行くぜ!乗りな!」

 

悠「頼むぞ!」

 

渚「な、な、さ、さる?」

武「は?え?」

 

 

人命が最優先。悠はセイテンタイセイを呼び出し、共に筋斗雲に乗り…

 

セイテンタイセイ「ヒャッハー!」

 

海へと飛び立つ。

 

渚「は、ははは…」

武「夢でも見てんかな、俺…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾〜〜

 

 

豪旗「ふんっ!」

 

武の制止を振り切った彼の祖父、豪旗は海上で漁を始めていた。

 

豪旗「久しぶりじゃな…こうして網を張るのも…」

 

現在、海はとても穏やか。豪旗はタバコをふかしながら空を見上げる。

 

豪旗「(つよし)のやつがあの化け物どもに殺されちまったのも、こんな日だったなぁ…」

 

ギャオオォォ!

 

豪旗「ッ!!」

 

物思いに耽っていた豪旗を、深海棲艦の咆哮が現実に引き戻す。

 

豪旗「ちっ…ワシもここまでか…」

 

 

いつの間にか、駆逐艦イ級、ロ級が視認できる距離にまで迫っていた。

イ級とロ級の口が開き、砲身が露わになり、砲撃の用意が整い…

 

豪旗「渚…武…すまん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「謝るなら直接謝ってください!」

 

 

 

 

豪旗「声⁉︎どこから⁉︎」

 

 

 

悠「セイテンタイセイ!」

 

セイテンタイセイ「分かってるての!空間殺法!ウキー!」

 

空から、セイテンタイセイの空間殺法が深海棲艦を蹴散らし…。

 

 

 

シュタッ!

 

 

悠「無事ですか⁉︎」

 

漁船の甲板に悠が着地する。

 

豪旗「なっ⁉︎お前さんは…⁉︎」

 

悠「話は後!早く離脱を…!」

 

ドゴン!ドゴン!

 

悠「新手か⁉︎」

 

セイテンタイセイが向かった逆方向から砲撃が飛んでくる。軽巡へ級を旗艦とした水雷戦隊のようだ。

 

悠「チェンジ!アタバク!」パリィン!

 

悠はすかさずペルソナを変え、

 

悠「船を守れ!」

 

物理無効を持つアタバクを盾代わりにして砲撃を受け止め、

 

豪旗「こ、これは仏様⁉︎」

 

悠「ブレイブザッパー!」

 

そのまま接近してきた艦を叩き斬るが、

 

悠「くっ!数が多い!」

 

戦況は不利なようだ。悠は艤装を装備せず、ペルソナを使ってここまで来たため、結構な量のSPを消費しており、しかも周囲を囲むように複数の敵艦、約10隻が陣形を組んでいる。

 

悠「陽介たちが来るまで持つか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「あーもう!結局妙高姉さんに見つかって遅れに遅れたわ!うぅ…まだ大丈夫よね?鳴上提督がもう彼女を作ってたら全部がパーよ!

…ん?あれは…深海棲艦!となに⁉︎仏像⁉︎

よく分からないけど、漁船が襲われてるみたいね!今助けるわよ〜!砲撃戦…よーい!撃てー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「くっ!アタバク!」

 

ドゴン!ドゴン!

 

比較的体が大きいアタバクで敵艦の砲撃を受け続ける悠。物理的なダメージは受けずとも、爆発によって発生する熱によるダメージが、悠の体に蓄積していく。

 

悠(魔法を使いたいが、ここに来るまでにSPを使い過ぎた!メギドラオンは船を巻き込む恐れがあるからどのみち使えないが、回復も満足に出来ないのは辛いな…だからと言ってレベルの低いペルソナに切り換える隙もあるか怪しい…)

 

?「砲撃戦…よーい!撃てー!」

 

悠「ッ!陽介たちか⁉︎いや、違う⁉︎」

 

この劣勢を覆す為に悠が策を練っていると、聞き慣れない女性の声とともに砲撃音が響く。

 

 

ドゴーン!

 

その砲撃は、漁船に迫っていた1隻の敵艦を沈める。これで残りは9隻。

 

?「大丈夫ですか⁉︎」

 

悠「あなたはっ⁉︎」

 

足柄「私は重巡洋艦の足柄よ!って、鳴上提督⁉︎」

 

悠「俺のことを知ってるんですか?って、今はそんなことはどうでもいい!とにかく助かりました!」

 

足柄「どういたしまして!ゆっくり自己紹介したいところだけど、まずはこいつらを片付けるわよ!」

 

悠「よし、これなら…!チェンジ!ヨシツネ!」

 

ヨシツネ「守りは俺たちに任せな!ヒートライザ!」

 

足柄「ッ!これは!よーし、いけるわ!さぁ、かかって来なさい!」

 

たまたま近くを通りかかった、足柄という艦娘に助けられた悠。

緊急事態の為、言葉を交わすのは最低限にし、共同戦線を張る。

海上を自由に動ける足柄に、なけなしのSPを使いヒートライザをかけ、守りに専念する悠。

 

足柄「撃てッ!撃てッ!撃てー!」

 

突然現れた増援に浮き足立つ敵艦隊。漁船を囲んでいた包囲網が瞬く間に崩れていく。

が、敵も馬鹿ではない。

 

足柄「チッ!陣形を組み直してきたわね!」

 

どうやら敵艦隊は、漁船を沈めるよりも足柄を片付ける方が先と判断したようだ。

足柄にヘイトを集中させるため、敵艦は陣形を複縦陣に組み直し、足柄と撃ち合いを続ける。

だが、それが命取りとなる事を深海棲艦たちは知らない。

 

悠(この船を中心に円陣を組まれていては、全ての艦を攻撃の範囲内に収めるのは難しい。だが!複縦陣の今ならまとめて倒せる!)

 

悠「これならいける!足柄さーん!」

 

足柄「なに⁉︎」

 

悠「敵を一網打尽にします!一旦下がってください!」

 

足柄「了解よ!」

 

悠「一発勝負だ!ヨシツネェ!」パリィン!

 

ヨシツネ「応!秘技・八艘飛び!」

 

 

ヨシツネが宙を舞い、深海棲艦の陣の中心で、目にも留まらぬ速さで刀を振るう。

 

ドゴォーン!

 

ヨシツネに切り刻まれた複数の駆逐艦が爆発し、砕け散る。弾薬にでも引火したのだろうか?

 

 

足柄「やったわ!私たちの勝利よ!」

 

悠「いや!まだだ!」

 

へ級「ガガッ…ピー!」

 

他の艦に庇われたのか、旗艦である軽巡へ級を討ち漏らしたようだ。

 

ヘ級「コレハタイヘン!ツヨイニンゲントカンムス!ヲーサマニホウコク!ホウコクー!」

 

足柄「し、喋った⁉︎」

 

ヘ級「スタコラサッサー!」

 

1隻だけ残ったヘ級は、いきなり喋りだしたかと思うと、古臭いセリフとともに逃げていく。

 

足柄「待ちなさーい!」

 

悠「待って下さい!もう脅威は去りました!深追いするよりも、漁船を港に送り届けなければ。」

 

足柄「そ、そうね。ごめんなさい。」

 

豪旗「あ、貴方様は…」

 

悠「あ!海鳴さん!大丈夫ですか?…海鳴さん?」

 

今まで、船内に隠れていた豪旗が出てきた。だが、様子がおかしい。

 

豪旗「誠に申し訳ございませんでした!」

 

悠「は?どうしました⁉︎」

 

豪旗「貴方様が仏の御使いだとは!存じ上げなかったとはいえ、数々の非礼、心よりお詫び申し上げます!」

 

悠「え⁉︎いや、俺はそんなんじゃなくて…」

 

豪旗「何卒、何卒御慈悲を!」

 

悠「え、えーと…、許します。」

 

豪旗「おお!なんと慈悲深い御心!有り難や…有り難や…」

 

悠「え、えぇ〜…」

 

熱い手のひら返し。どうやらペルソナを見て、悠の事を神様か何かと勘違いしているようだ。

 

足柄「あははは…まあ、下手に反感を買うよりはいいんじゃない?」

悠「ですね…」

 

 

「おーい!相棒〜!」

 

 

悠「おっ!陽介!おーい!こっちだ〜!」

 

足柄「これにて一件落着ね!」

 

悠「はい、港に帰りましょう!」

 




島風「平和だった佐伯の海に突如として現れた深海棲艦!」
龍驤「奴らは漁船や輸送船を襲ったりでやりたい放題や!」
天龍「だが俺たちは、あいつらのアジトを突き止めることに成功したぜ!」
悠「さあ!覚悟しろ!海賊ヲー!」

次回 ペルソナ4 the K.C.
対決!海賊ヲー!

海賊ヲー「ゴムゴムノー!艦載機!」
悠「その技名は止めろ!」


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第十三・五話 佐伯湾のぬし釣り

1周年記念ですよ!どうもです。黒城です。
思ってたより早く書きあがったので、フライングですが1周年記念の外伝を投稿。
先に謝っておきます。不知火嫁の方々、本当に申し訳ございませんでした。では、十三・五話をお楽しみください。


〜〜佐伯湾鎮守府・寮・悠の自室〜〜

 

 

『あなたの〜鎮守府に〜、艦ネット明石〜!』

 

『て・い・と・く・さんの、欲の友!』

 

『はーい!今夜も始まりました、艦ネット明石!執務が忙しくて、ショッピングにも出かけられない提督さんのために!今夜も素敵な商品をご紹介しまーす!

司会進行はいつも通り私、明石と!』

 

『アシスタントの夕張です!』

 

 

悠「………」

 

 

『本日最初にご紹介する商品はこちら!

屋外レジャーを楽しみたい!でもそんな休みは取れない…。そんな提督さんに!

明石印のバク釣れ!海釣りセット!』

 

『ワァーオ!このセット、いつもすぐ売り切れちゃうんですよね!明石さん!』

 

『ええ!鎮守府暮らしの提督さんなら、このセットがあればすぐに釣り人デビュー出来ますよ!』

 

『で、どんなセット内容なんですか?』

 

『それ、聞いちゃいます?このセットは…

まず!良くしなる!カーボン製の竿!

絡まりにくい、明石謹製の電動リール!

強すぎて取扱注意な特殊繊維の釣り糸!

第六駆逐隊プロデュースのキュートなルアー!』

 

『すごーい!盛りだくさんね!』

 

『実は!本日はこれだけじゃないんです!』

 

『えぇ!まだ何かあるの⁉︎』

 

『本日は特別!このセットにさーらーに!こちら!大容量クーラーボックス!』

 

『これなら釣った魚のキープも楽ですね!』

 

『さらにさらに!万が一の為の明石印のライフジャケットもつけちゃいます!』

 

『心配性の秘書艦さんもこれで安心ね!』

 

『本日限りのこのバク釣れセット!どうですか〜?』

 

『でもでも、お高いんでしょ〜?』

 

『そんなことはありません!なんと!こちらの商品!お値段なんと!49,800円!』

 

『ヒュー!ワンダフォー!』

 

 

悠「………」

プルルルル…プルルルル…

……………………

 

明石印のバク釣れ!海釣りセットを注文した。

 

 

悠(そろそろ寝るか…。)

 

悠はテレビを消し…

 

『続いてご紹介する商品はこちら!

危ない水着!』

 

悠「!!!」

 

『嫁艦とのイチャイチャがマンネリ化したあなた!いかがですか!』

 

『え?水着だけ見せられてもよく分からない?ごもっともでございます!では、夕張さん!試着ですよ!試着!』

 

『えっ⁉︎ちょっ⁉︎聞いてないんだけど!』

 

『さっ!巻いてますから早く早く!』

 

『そ、そんな〜!』

 

悠(もう少し起きてるか…)

 

 

 

 

 

 

 

夜更かしして寝不足になった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

〜〜寮・悠の部屋・ダイニング〜〜

 

 

悠「ん?ダンボール?」

 

どうやら注文していた商品が届いたようだ。

悠は、明石印のバク釣れ!海釣りセットを手に入れた。

 

悠「早速、今夜辺りに行ってみるか…」

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・桟橋〜〜

 

 

悠「…よし。それっ!」

 

仕事を終えた悠は、予定通り釣りを始める。

 

悠(…しかし、佐伯の海はどんな魚が釣れるんだろうか…)

 

 

 

30分後…

 

悠(あ、そういえば天龍が書いてたあの書類、漢字大丈夫だったかな…)

 

なかなかヒットしないが、持ち前の根気でじっと待ち続ける悠。そこに…

 

グォン!

 

悠「!!うおっ!いきなりか!くっ、かなりの大物だぞ!」

 

しなる竿、重たいリール、どうやら大物がかかったようだ。

 

悠「ウオォォォ!」

 

 

暫しの間、巨大魚と格闘を続け…

 

悠「ペルソナァ〜!」

 

ザッパーン!

 

ベチャッ!

 

釣り上げた魚は宙を舞い、桟橋におちる。

 

悠「よっし!…どんな魚だろうか?」

 

悠は、釣り上げた魚に懐中電灯の光を向けると…。

 

?「いひゃいでふ。」

悠「」(なんだこれは⁉︎テ○テアリーナ⁉︎)

 

魚の着ぐるみを着た女の子がそこにいた。口にルアーを引っ掛けて…。

 

悠「…そっとしておこう。」

 

?「まひなひゃい。ほのふあーをなんほかひなひゃい。」

 

悠「…しょうがないな。」

 

グイー!

 

?「いひゃいでふ!」

悠「我慢してくれ!」

 

ブチィッ!

 

?「〜〜〜〜!!」

悠「よしっ!」

 

?「…血がドバドバれれくるんでふが…」

 

悠「うおっ!ピクシー!」パリィン!

 

ピクシー「何やってんのさ〜…。ディア!」

 

パアァァ…

 

女の子の口からルアーを外し、回復魔法をかけてやる。

 

?「…止まりましたね。まだ疼きますが。」

 

悠「ふぅ…。で、君は一体何者なんだ?」

 

?「私ですか?私は…」

 

悠は、彼女が何者なのかを尋ねると、女の子ははみ出ているピンクの髪を整え…ワザとらしく一拍置くと…

 

「私は、佐伯湾の主。不ー知カンス火(しーらカンスぬい)です。」

 

 

悠「……………」

 

不ー知カンス火「…なんですか?不ー知カンス火に落ち度でも?」

 

悠「帰ってもいい?」

 

不ー知カンス火「ふざけないで。1周年記念なんだから付き合いなさい。」

 

悠「なんの⁉︎」

 

この小説のです。

 

不ー知カンス火「では、見事私を釣り上げた貴方の願いを、この3つの中から叶えてあげましょう。」

 

悠「…俺が決めるんじゃないのか?」

 

不ー知カンス火「ムチャぶり防止策です。では、お選び下さい。」

 

 

1.新しい装備がほしい。

2.休みがほしい。

3.お前が…欲しい!(迫真)

 

 

悠「えっと、じゃあ」

 

不ー知カンス火「3ですか。ふふっ、貴方も好きですね///」

 

悠「選んでないから!1!いっちばーん!」

 

不ー知カンス火「そこまで必死に否定されると傷つきます。」

 

悠「黙れ両生類。」

 

不ー知カンス火「魚類です。」

 

不毛なやり取りである。

 

不ー知カンス火「まぁ、いいでしょう。では…この宝箱をどうぞ。」

 

悠「ほう…じゃあ開けるぞ?」

 

不ー知カンス火「チャラララ、チャラララ、チャラララ、チャラララ、チャラララ、チャラララ、チャラララ、チャラララ…」

 

悠「………」ガチャ、

 

不ー知カンス火「ゴマだれ〜!」

 

悠「うるさいよ!」

 

不ー知カンス火「宝箱を開けるときには『ゴマだれ〜』は付き物です。」

 

悠「はぁ…もうそっとしておこう。で、中身は…」

 

宝箱の中身は…

 

 

[12.7㎝単装高角砲]New!

 

 

悠「要らんわ!」

 

不ー知カンス火「なっ!レア装備ですよ!」

 

悠「こいつの性能を言ってみろ!」

 

不ー知カンス火「火力+1に対空+3です。」

 

悠「産廃じゃないか!」

 

不ー知カンス火「なんですか!不ー知カンス火に何か落ち度でも⁉︎」

 

悠「落ち度しかないよ!」

 

産廃装備を渡されてキレる悠。不ー知カンス火も逆ギレする始末である。

 

不ー知カンス火「だったら…こっちを開けるといいでしょう!」

 

宝箱「チャリ…チャリ…」

 

悠「これ絶対刈り取る者入ってるよね!」

 

不ー知カンス火「さあ!」

 

悠「ふざけるな!」

 

不ー知カンス火「そうですか。なら!自分で開けるまで!」ガチャ!

 

悠「あっ!」

 

刈り取る者「チャリ…チャリ…。ドーモ、カリトル=モノデス、ハイクを詠め。」銃構え〜

 

不ー知カンス火「さぁ!やってしまいなさい!」

 

宝箱の中から刈り取る者が現れ、その銃を…

 

[マッドアサルト]

 

不ー知カンス火に向けた。

 

不ー知カンス火「ッ!何故不ー知カンス火に銃を向けるのですか!」

 

ズドドドド!

不ー知カンス火「キャアァァッ!」

 

不ー知カンス火「フフ……不ー知カンス火を怒らせたわね……!」大破!

 

悠「ちょっ!服は!」

 

不ー知カンス火「あ……いやん。」

 

大破した不ー知カンス火は、着ぐるみがボロボロになり、中の肌色が色々見えてしまっている。

 

不ー知カンス火「これでは不ー知カンス火ではなく、ただの不知火になってしまいます。」

 

悠「そんな事はどうでもいい!」

 

刈り取る者「レア装備狩リノ恨ミ…ココデ晴ラサデオクベキカー!」

 

悠「逃げるんだヨォォッッ!」ヒョイ!

 

不ー知カンス火「ひゃっ!お姫様抱っことは中々大胆ですね///」

 

悠「お願いだから黙ってて〜!」

 

刈り取る者「待タンカイゴラー!」

 

 

 

この後、夜が明けるまでめちゃくちゃ逃げた…

この件で、悠が裸の少女を抱えて走り回る、ロリコン変態提督のレッテルを貼られるのはまた別のお話…。

 



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第十四話 対決!海賊ヲー! 前編

困った時の前後編。どうもです。黒城です。
遅れに遅れて結局書ききれず、前後編に分けるって、どうなのさ読者?
え?聞かんでも分かるだろって?
…いや、ホントすんません。
そんなこんなで第十四話、始まります。


〜〜宇和海・御五神島・廃校・保健室〜〜

 

 

 

ここは、松山県(元の世界では愛媛県にあたる)の西方約33㎞の位置にある、御五神島(おいつかみしま)という無人島。

かつては人が住んでいたが、深海棲艦が現れてから、島民はみな本土へ移り住んだ為、現在は無人島となっている。

だが今、誰もいないはずのこの島。その廃校の保健室から、何者かの大声が響いていた。

 

 

 

?「ナニ〜!失敗シタダトヲ〜!」

 

ヘ級「モウシワケゴザイマセン!ツヨイカンムストニンゲンニジャマサレマシタ!」

 

どうやら声の主は、先ほど海鳴豪旗の漁船を襲撃した深海棲艦とその主のようだ。

 

?「餌付ケシタ駆逐艦ハドウシタ〜!」

 

ヘ級「ゼンメツシマシタ〜!」

 

?「ノオォォォ〜〜〜!!!」

 

ヘ級「ドウシマスヲーサマ!」

 

ヲー「大事ナ干物ヲ勝手ニ使ッタノガルーチャンニバレタラ…」

 

ヘ級「オカンムリノオオメダマ!オセッキョウ2ジカンコース!」

 

ヲー「仕方ナイ…。自分ノ失敗ハ自分デ取リ返ス!」

 

ヘ級「!!イケマセン!ソトハキケン!ココデマッテル、ルーサマトノヤクソク!」

 

ヲー「ウルサイ!待ッテテモルーチャンニ怒ラレル!ダカラココモ危険ダ!私ハ行クゾ!ルーチャン怖イ!」

 

ヘ級「アア!ヲーサマ!イカナイデェー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ニ時間後…

 

 

ルー「戻ッタヨ〜!ヲーチャーン?ヘ級〜?」

 

ヘ級「ルーサマ!オカエリナサイマセ!」

 

ルー「タダイマヘ級〜、オ魚獲ッテキタヨ。…アレ?ヲーハ?」

 

ヘ級「………テヘペロ!」

 

ルー「………アノバカガァ!」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・寮・食堂〜〜

 

 

足柄「足柄よ。砲雷撃戦が得意なの。ふふ、よろしくね。」

 

場面は変わり、佐伯湾鎮守府に移る。

悠は、無事に豪旗を港に送り届けた後、逃げるように鎮守府に戻ってきていた。

その後皆を食堂に集め、足柄に自己紹介をしてもらっている。

 

悠「よろしくお願いします。じゃあ皆も自己紹介を。」

 

 

 

いつものように自己紹介中……

 

 

 

足柄「これでこの鎮守府の子は全員かしら?」

 

悠「いえ、護衛任務に出ている子達が3人います。夜の8時に帰ってくる予定ですので、その時に挨拶してください。」

 

足柄「ええ、了解よ。」

 

悠「さて、後は…」

 

武蔵「民間人の前でペルソナを使った事についてだな。」

 

そう、今は足柄着任よりも、一般の人にペルソナが露見してしまった事についての対応を考えなくてはいけない。

 

陽介(阿武隈)「帰ってくる途中で一部始終は聞いたけどよ。これ、かなりマズくね?」

 

悠「目の前で使ってしまったからな。誤魔化しようが無い。」

 

金剛「でも、こちらにmaliceが無いのは分かってくれてますよネ?」

 

悠「それは多分大丈夫だと思う。」

 

島風「ねぇ、どれくらいの人にペルソナ見られちゃったの?」

 

悠「分かっているのは3人だな。他にも見られたかもしれないが…。」

 

プルルルル…プルルルル…

 

どうするかと話し合っている最中、食堂に内線電話のコール音が響く。

 

悠「内線か?…はい、もしもし。」

 

マーガレット『もしもし?漁業組合の方から電話が入っているわ。繋ぐわね?』

 

悠「えっ⁉︎マジですか⁉︎」

 

マーガレット『そうよ。じゃあまた後で。』

 

悠「ちょっ!」

 

武蔵「どうした?顔色が悪いぞ?」

 

悠「漁業組合から電話だ…。みんな、静かにしていてくれ…。」

 

 

 

番長電話中…

 

 

 

時間にして2分ほどだろうか?悠は受話器を戻し溜息をつく。

 

金剛「…theyはなんて?」

 

悠「色々話したいから今から来れるかと…」

 

武蔵「そうか。ならば行くしかあるまい。」

 

悠「ああ、みんなは待っていてくれ。こういう事は提督の仕事だからな。」

 

クマ(球磨)「一人で大丈夫クマ?」

 

悠「電話口からだと敵意は感じられなかった。こっちから何かしなければ平気だろう。」

 

陽介(阿武隈)「そっか、本当に大丈夫なんだな?」

 

悠「多分な。じゃあ、支度して行ってくるよ。」

 

そうして、悠は出かける支度を整える為に退室した。悠が部屋を出た後も、室内には不安な空気が漂う。

 

島風「大丈夫かなぁ…」

 

武蔵「私達には祈るくらいしか出来ん。しかし…時間が空いてしまうな。よし!座学の授業でもするか!」

 

陽介(阿武隈)「………」抜き足差し足忍び足…

 

武蔵「どこへ行くんだぁ?」

 

陽介(阿武隈)「ひっ!あ、いやさ、参考書を取りに…あははは。」

 

武蔵「そうか。ちゃんと戻ってこいよ?戻らなかったら…」

 

陽介(阿武隈)「イエス!マム!」

 

足柄「個性的な子ばかりね、武蔵。」

 

武蔵「ああ、もう少し落ち着いてもらいたいものだがな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯港・佐伯市漁業組合事務所〜〜

 

 

悠「ふぅ。港には着いたが…組合の事務所はこれか?」

 

港の中にある漁業組合の事務所に到着した悠。

恐る恐る扉を開け、中に入る。

 

悠「すみませーん?」

 

シーン…

 

やや控えめに人を呼んでみるが返事が無い。

 

悠「すみませーん!」

 

渚「はーい!」

 

今度は大きな声で呼んでみる。すると、奥から渚の声が聞こえてきてすぐに小走りでこちらに向かってくる。

 

渚「ごめんなさい、待たせちゃったわね。」

 

悠「いえ、それよりも…」

 

 

 

悠「いつの間にか口調が変わりましたね?」

 

渚「そっちツッコむ⁉︎」

 

悠「あ〜、その、会議の時は敬語でしたので」

 

渚「一応上司の前だったからね。それより…」

 

悠「はい、分かっています。俺の事ですよね。」

 

渚「そう…。じゃあ単刀直入に聞くわ。あなたって…」

 

悠「………」ゴクリ…

 

 

 

渚「デビルサマナーなの?」

悠「………はい?」

 

どんな質問が来るか身構えていた悠だが、予想の斜め上をいく質問に、思わず聞き返してしまう。

 

渚「…ゴメン。何言ってるか分かんないよね。えっと、この本、私の好きな小説なんだけど…」

 

そう言うと、渚は一冊の本を悠に渡す。

 

悠「デビルサマナー・葛の葉ライドウ対超力兵団?この本が何か?」

 

渚「この本の主人公の葛の葉ライドウが、悪魔や神の力を借りて、帝都の平和を裏から守る正義の味方っていう筋書きなんだけど…」

 

悠「成る程。言いたい事は大体分かりました。ですが、俺の力はデビルサマナーではありません。」

 

渚「うっ…、でも、あなたが召喚したおさるさんは…」

 

悠「…少し長くなりますよ?」

 

渚「…うん、分かったわ。じゃあ応接室に行きましょ?お爺ちゃんもそこで待ってるわ。」

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯市漁業組合事務所・応接室〜〜

 

 

 

豪旗「おお!来たか!まあ座れ!」

 

悠「どうも。怪我とかは大丈夫ですか?」

 

豪旗「おかげさまでピンピンしとるわい。」

 

渚の案内で応接室に通された悠。そこには豪旗が待っていた。とりあえずは敵意は感じられない。

 

豪旗「さて…海の上じゃあ、気が動転しちまっててな、お前さんのことを神様かなんかと思っちまったが…実際のとこはどうなんだ?」

 

悠「渚さんにも言いましたが、少し長くなりますよ?あと、あまり人には聞かれたく無い話なんですが…」

 

渚「それなら大丈夫、人払いはしてあるわ。さあ聞かせてちょうだい!」

 

悠「…渚さん、ずいぶん乗り気ですね。」

 

渚「あはは、学生の頃はオカ研で色々調べてたからね。あの頃は手の届かなかった神秘が目の前にあるのよ!そりゃあワクワクしちゃうわよ!」

 

悠(渚さんのことが少し分かった気がする…)

 

渚「はよ!鳴上君はよぅ!」

 

悠「わ、分かりました。…何から話したものか…」

 

 

 

 

 

番長説明中……

 

 

 

 

 

 

渚「ふぇ〜…ペルソナ…心の鎧…」

 

豪旗「分かったような分からんような…とにかく、味方ってことでいいんだな?」

 

悠「はい。」

 

なんとか説明を終えた悠。渚は理解出来たようだが、豪旗にはイマイチ伝わっているのか怪しい。

 

渚「ねえ!ちょっと呼び出してみてくれない?ちょっとだけでいいからさ!」

 

悠「え?うーん…じゃあこんな時の定番を…」

 

普段の真面目な彼女は何処へやら。目の前の不思議に、子供のように目を輝かせている。

 

悠「ジャックフロスト!」パリィン!

JF「呼ばれて飛び出てヒホホホーン!」

 

渚「きゃあ〜!何これ可愛い〜!」

 

JF「おいらはジャックフロストだヒホ!」

 

渚「知ってるわ!EUの方に伝承が伝わっている霜の妖精ね!」

 

豪旗「全く…渚!年を考えんかい!恥ずかしいじゃろ!」

 

渚「年も何も私はまだ25よ!これくらいはしゃいだって許されるわ!」

 

豪旗「いいから黙らんかい!」

 

悠「あははは…」

 

とりあえず、こんな時の定番であるジャックフロストを呼び出した悠。喜んでくれてなによりだ。

 

豪旗「すまんのぅ、提督さん。」

 

悠「いえ、大丈夫です。お話はこれで終わりですか?」

 

豪旗「いや、あと一つ。お前さんに頼みたいことがある。」

 

悠「仕事の依頼ですか?」

 

豪旗「ああ。」

 

 

ペルソナについての説明は終えたが、どうやらまだ話があるらしい。

 

 

豪旗「宇和海にいるあいつら…深海棲艦ったかのぉ。奴らの親玉を倒してほしいんじゃ。」

 

悠「親玉?」

 

豪旗「宇和海に深海棲艦が現れたのは何も昨日今日ってわけじゃねえ。何年も前から駆逐艦って奴はいてな、奴らはこちらから手を出さなきゃ向こうも何もしてこんかった。

だがなぁ、ある日、そいつは現れた。皆で網を張っとったときじゃ。仲間の一人が海の上に女の子が立ってるなんて言い出してな、嘘だと思って目を向けっと、本当にいたんじゃよ。

見た目はヘンテコな帽子を被った顔色の悪い嬢ちゃんなんだが、ヤバい奴ってのはすぐに分かった。こっちを見る目が狩人のそれだったからのぉ。

それからは地獄だぁ…。帽子からでっかい甲虫みたいな生き物が湧いてきたと思ったら、あっちゅう間に空を埋め尽くして爆弾を落としてきやがった!

なんとか避けた船も、後からやってきた奴の兵隊にめちゃくちゃにされて…。

その時に逃げ切れたのはわしの船だけだった…。

それからわしらは、艦娘の護衛無しには漁に出られなくなった。少しでも沖に出れば奴の兵隊に襲撃される…。

しかも奴は狡猾で残忍。いつも狙うのは護衛をつけていない船だけ。大人しかった駆逐艦の深海棲艦も凶暴化しちまった。

…頼む!仲間と息子の仇を!どうか、どうか討ってくれんか!」

 

悠「…分かりました。すぐにとはいきませんが、仲間と相談してみます。」

 

豪旗「頼むぞ!親玉が居なくなりゃあ、わし達もまた沖へ漁に出れる!」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯市漁業組合・玄関〜〜

 

 

 

渚「今日はありがとうね鳴上君。」

 

悠「渚さん?礼を言うのはまだ早いですよ?」

 

話も終わり、鎮守府へと帰ろうとする悠。そこに渚が声をかけてきた。

 

渚「そんなことはないわ。今日、お爺ちゃんを助けてくれたじゃない。」

 

悠「それは…当たり前の事をしただけで…」

 

渚「そういう事よ。助けてもらったらお礼を言う。当たり前でしょ?」

 

悠「はははっ、そうですね。」

 

渚「………あなたは、父の、お父さんの仇を取ってくれるの?」

 

悠「…吉報、待っててください!」

 

渚「っ!うんっ!頑張ってね!」

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・寮・食堂〜〜

 

 

悠「ただいま〜!」

陽介(阿武隈)「おっ!相棒!お帰り!」

クマ(球磨)「センセーお帰りクマ〜!」

島風「悠お帰り〜!」

 

漁業組合から戻ってきた悠。皆を探して寮の食堂に来てみたが、どうやら当たりだったようだ。

 

武蔵「で、どうだったのだ?」

 

悠「ん?武蔵か。大丈夫だ、問題無い。」

 

武蔵「そうか、それはなによりだ。」

 

悠「しかし…テーブルの上がすごいことになってるな。」

 

武蔵「ああ、ちょっと授業をな。」

 

悠のいない間に行われていた授業のせいで、テーブルの上は参考書やら海図やらで散らかってしまっている。

 

悠「よし、勉強は一旦中止!漁業組合の組合長さんと話してきたから、その報告をさせてくれ。」

 

 

 

 

番長報告中……

 

 

 

陽介(阿武隈)「…よかった〜!どうなる事かと思ったぜ!マジで。」

 

金剛「What a relief! 話の分かる人でよかったデース!」

 

足柄「それに、次にやる事も決まったわね!」

 

吹雪「組合長さんの話から推測すると…ここの制海権を握っているのは正規空母ヲ級を旗艦とした部隊みたいですね。」

 

悠「ああ、それについては明日作戦を考えよう。それより…金剛、フブキチ、夕立、睦月、暁、卯月。観艦式お疲れ様!

今日の夕食は、荒垣さんにいいものを作ってもらうように頼んであるから、天龍達が帰ってきたらみんなで食べよう!」

 

卯月「ご馳走ぴょん⁉︎」

 

夕立「楽しみっぽい!」

 

暁「ご馳走と言ったらきっとハンバーグね!レディな私が言うんだもの!間違いないわ!」

 

睦月「私はお寿司がいいかにゃ〜?あっ!わさびはちゃんと抜いてね?」

 

悠「あははは…残念だけどハンバーグでもお寿司でもないんだ…」

 

暁・睦月「「えぇ〜!」」

 

悠「でも、きっと驚くぞ!メニューは夕食まで秘密だけどな!」

 

暁「よーし!天龍達が帰ってきたらすぐ連絡出来るように全員ゲートで待機よ!総員!私に続け〜!」

ぴょ〜ん!にゃしい!ぽーい!

 

今日の夕食がご馳走と知り、はしゃぐ駆逐艦たち。とても微笑ましい。

 

悠「元気なのはいい事だな。」

 

荒垣「だな。」

 

悠「うおぉっ⁉︎荒垣さん⁉︎気配消して近くの止めて下さいよ…」

 

荒垣「そりゃ悪かった。それより、厨房手伝ってくんねーか?人数が多いから一人じゃ間に合わねー。」

 

悠「分かりました。」

 

金剛「helpが必要デスカー?私もtogetherシマース!」

 

足柄「なになに⁉︎料理⁉︎私も手伝うわ!」

 

金剛・足柄「「……むっ!」」

 

目と目が合う〜、瞬間〜、(同じ人を)好きだと〜、気づいた〜。(アカン)

 

金剛「Fried food しか作れそうにないwolfはお呼びじゃないデース!」

 

足柄「マズイ料理世界一の英国かぶれに言われたくないわね。」

 

金剛「You Do not Damn you!」

 

足柄「何よ!やるっての!」

 

ギャーギャー!ワーワー!

 

悠「…二人でやりますか。」

荒垣「だな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜太平洋・宇和海境〜〜

 

 

天龍「そろそろか…あぁ〜疲れた〜…夕陽が眩しいぜ〜…」

 

龍驤「せやね〜、帰ったらひとっ風呂浴びたいなぁ〜…」

 

龍田「あとちょっとだから頑張りましょ〜?」

 

所変わってこちら、護衛任務を終え帰投中の天龍達である。

疲労の色は見えるものの、艤装の損傷や怪我は見受けられない。どうやら無事成功したようだ。

 

天龍「やっぱり琉球から本部までは遠いよな。片道半日だぜ?」

 

龍田「外洋の泊地にお使いに行くよりはマシでしょ?それに、思ってたより早く終わってよかったじゃない。」

 

天龍「まあな〜…」

 

龍驤「……ん!ちょい待ち!」

 

部隊に緊張が走る。龍驤が偵察機代わりに飛ばしていた一機の艦攻が何かを発見。

 

天龍「どうした⁉︎」

 

龍驤「スクランブルや!敵艦載機確認!」

 

龍田「っ!天龍ちゃん!」

 

天龍「チィッ!敵影は⁉︎」

 

龍驤「敵機が7時の方角から接近中!艦の姿はまだ見えん!行くで!艦載機発艦!」

 

天龍「龍田!機銃の準備だ!艦載機の接近に備えろ!」

 

龍田「了解よ!」

 

龍驤「…なっ!あかん!数が多い!」

 

天龍「大丈夫か⁉︎」

 

龍驤「マズイでこりゃ!今敵影を確認した!機動部隊、正規空母や!」

 

天龍「クソがッ!なんでこんな近海にいるんだよ!龍驤!」

 

龍驤「分かっとる!上手いこと艦載機を囮にして撤退するで!」

 

龍田「天龍ちゃん…」

 

天龍「大丈夫だ…、死なせねぇ!3人全員で帰るぞ!」

 

 

 

 

 

Continued to Part…



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第十四話 対決!海賊ヲー! 中編

久々の本編。だが短い。どうもです。黒城です。
さすがに本編を進めないとヤバいと思い、キリの良い所で以下略。
いつも通りと言えばそうなんですが…
とりあえず読んでやって下さい。


〜〜佐伯湾鎮守府・出撃ゲート〜〜

 

 

 

暁「まだ帰ってこないのかしら…」

 

睦月「お腹空いたよぉ…」

 

卯月「ヒマっぴょん…」

 

夕立「お腹と背中がくっつくっぽい…」

 

只今の時刻は午後8時半。

駆逐艦4人娘が、天龍達の帰りを待っている。

しかし、予定の方は時刻を過ぎても帰ってくる様子はない。そこに、

 

悠「おーい!」

 

暁「司令官?」

 

悠「その様子だと、まだ天龍達は戻ってないみたいだな。俺も一緒に待つよ。」

 

 

悠も合流し、共に出迎えの為に待つ。

 

………………………………

……………………………

…………………………

………………………

 

 

しかし、なかなか帰ってこない天龍達。

時刻も、午後9時を回ってしまっている。

 

暁「島風ちゃんじゃないけど、おっそーい!

レディーを待たせるなんてどうかしてるわ!」

卯月「ぷっぷくぷぅ〜…お腹ペコペコぴょん…」

 

夕立「うー…」

睦月「にゃー…」

 

悠「仕方ないな。食堂に行って、みんなに先に食べるように言ってくれ。」

 

暁「司令官は?」

 

悠「俺はここで待ってるよ。誰も出迎えてくれなかったら、天龍達も寂しいだろうしな。」

 

卯月「ごめんぴょん…。うーちゃんはもう限界ぴょん…」

 

夕立「提督さんも無理しないでね。」

 

睦月「じゃあ、あとはお願いしますにゃしい。」

 

4人娘を見送り、一人ゲートで天龍達を待つ悠。彼自身も空腹だろうに…。

 

悠「しかし…遅いな。何事も無ければいいが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜太平洋・宇和海境〜〜

 

 

時間は巻き戻り、午後6時。完全に陽が落ちるまであと少しといったところか。

敵の艦載機は、完全に陽が沈む前に撤退している。だが…

 

天龍「………」

 

龍田「天龍ちゃん!お願い!返事をして!」

 

天龍「…うるせぇよ龍田。傷に…響く…」

 

龍田「っ!天龍ちゃん!」

 

龍驤「すまんっ…うちのせいや…うちがもっと周りを見てりゃあ…」

 

どうやら天龍が負傷しているようだ。決して浅くないその傷、大破と見て間違いない。

原因は制空権争いに気を取られて、回避行動が疎かになった龍驤を、天龍が庇ったからだ。

いくら生前は歴戦の空母だったとしても、建造されたばかりで、艦娘としての練度は低かった龍驤。

軍艦としての戦い方と、艦娘としての戦い方は別物。龍驤はそのギャップを埋めきれなかった。

敵機を感知する電探も、周囲を警戒する見張り員もいない。もちろん発着艦の指示を出す管制塔も無い。いや、たとえ電探や見張り員があったとしても、艦載機から送られて来る情報を含め、全てを一人で処理し、艦隊の皆に伝え、艦載機への指示を出す。今の龍驤に、任務の終了間際で疲弊している彼女に、それらが出来るだろうか?

突然の奇襲、強大な敵戦力、疲弊した心体、そして艦娘としての練度不足。これらの要因が絡まりあい、結果として注意力の散漫を引き起こし、天龍の大破に繋がった。

 

天龍「悪りぃ…ちっと肩貸してくれ。」

 

龍田「動ける?」

 

天龍「ギリギリだ…。龍驤、機銃使えるか?」

 

龍驤「あ、あぁ、使えるで。」

 

天龍「よし…夜になったら艦載機は使えないからな…こんなんでも無いよりはマシだろ…。」

 

そう言うと、天龍は機銃を龍驤に渡す。

動けない彼女が持っているよりもましだろう。

まあ現状は、威嚇程度にしか使えないだろうが…。

 

龍驤「…よし!ちゃんと動くな。」

 

龍田「私は天龍ちゃんを曳航するわ。護衛は任せますね。」

 

龍驤「ああ、任せとき!」

 

天龍「すまねぇ…頼むぜ。」

 

龍驤「敵の追撃が来る前に撤退するで。闇に紛れながら静かにや…。すまんな天龍…長なるけど気張ってやぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・出撃ゲート〜〜

 

 

 

グゥー…

 

悠「さすがに腹が減ったな…」

 

あれから天龍達をずっと待ち続けている悠。

騒ぐ腹の虫をなだめるようにさすっていると…

 

島風「悠?いる?」

 

悠「島風?どうした?」

 

島風がお盆を持ってやってきた。お盆の上にはおにぎりとペットボトルのお茶が載っている。

 

島風「はい、荒垣さんが持ってけって。」

 

悠「ありがとう島風。」

 

悠は礼を言うと、おにぎりを一つ手に取り口に運ぶ。

 

悠「うん、美味い。助かったよ。」

 

島風「どーいたしまして!…ねえ、まだ天ちゃんとタッちゃんとりゅうちゃんはまだ帰ってこないの?」

 

悠「ああ、いくらなんでも遅すぎる…」

 

悠「………」

 

島風「…悠!!」

 

悠「!!うおっと!どうした大声出して?」

 

島風「お話ししよ!楽しいお話!」

 

悠(どうやら不安が顔に出ていたようだ。島風に気を遣わせてしまったな。)

「そうだな…俺の仲間の話でいいか?」

 

島風「うん!聞かせて!」

 

 

 

 

 

しばらく島風に特捜隊の仲間の話をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチッ…カチッ…カチッ…

 

島風「スゥ〜…スゥ〜…」

 

現在時刻は午後11時を回っている。ゲート内には、時計の秒針の音に、話し疲れて眠ってしまった島風の寝息、そして波の音が聞こえるのみである。

 

悠(武蔵か金剛に連絡して部屋に連れて行ってもらうか?)

 

自分の膝で寝ている島風の髪を撫でながら、そんなことを考えていると…

 

…………!………。

つい……!は…………う……!

 

悠「ッ!帰ってきたか!」

 

ゲートの向こうから、わずかだか声が聞こえる。

 

 

 

 

龍驤「艦隊帰投や!早く!」

 

龍田「天龍ちゃん!もう大丈夫よ!」

 

天龍「いちいち大袈裟なんだよ…。イテテ…」

 

?「強ガルンジャナイヲ!手当シタッテイッテモ、ソノ場シノギノ応急処置シカシテナインダゾ!」

 

悠「みんな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「イシュタル!」パリィン!

 

イシュタル「よく頑張りましたね!メシアライザー!」

 

パァァッ!

 

天龍「……スゲェな。本当に治ってやがる…」

 

龍田「鳴上提督、ありがとうございます。」

 

龍驤「ホンマによかった…。うちのせいで…すまんかった天龍。」

 

 

帰ってきた天龍達に回復魔法をかける悠。

天龍が大破していると聞いたときは驚いたが、すぐに気持ちを切り替え、慌てることなく処置を施す。

ちなみに島風は、起こすのもあれなので学ランをかけて寝かせてある。普段は10時には寝てしまっているため、よく眠っている。

 

 

?「ヨカッタナ!ジャア約束ハ守ッテモラウゾ!」

 

悠「……うん。報告は疲れているだろうから明日…と言いたいところだが…」

 

 

悠「彼女(?)は誰!」

 

 

?「ヲ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヲー「私ハ海賊ノ『ヲー』ダ!ソイツラガ夜ノ海デ困ッテタカラ、手ヲ貸シテアゲタンダ!」

 

龍驤「よく言うわ。『暗いよ〜、怖いよ〜、ルーちゃーん!』言いながら泣きわめいてたくせに〜。」

 

どうやら天龍達はこの深海棲艦に助けられたようだ。

 

悠(ふむ、ちみっこい体に不釣り合いな2つの大きな果実。トランジスタグラマーってやつか?

…まあ、それはそっとしておいて。)

「どういう経緯でそうなったのか聞かせてもらえるか?」

 

天龍「ああ、分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜回想〜〜

 

 

こいつと会ったのは、帰投途中の航路で、深海棲艦の機動部隊に奇襲を受けてから、何とか逃げ切って、完全に暗くなるのを待っていた時のことだ。

 

 

龍驤「…暗いな。」

 

龍田「羅針盤も見にくいわね。迷わないように注意しましょう。」

 

天龍「…待てッ!何か、聞こえねぇか?」

 

 

撤退行動を開始しようと準備を始めた時、どこからか泣き声が聞こえたんだ。

 

 

龍田「どうします?」

 

天龍「…駆逐艦のガキかもしれねー。拾って帰るぞ。」

 

龍驤「はぁ⁉︎何言っとるん!そんな余裕、うちらには無いやろ!」

 

天龍「悪りぃな龍驤。いつまでも泣かれてちゃ耳障りなんだよ。傷に響いて仕方ねぇ。」

 

龍田「全く…天龍ちゃんったら。素直に可哀想だから助けてあげたいって言えばいいのに。」

 

天龍「っ!!バカやろッ!別にそんなんじゃ…あいててて…」

 

龍田「ほら〜、大声出すと傷に触るわよ〜。」

 

龍驤「はぁ、しゃーない。その怪我もうちのせいやもんな。まっ、大破した天龍よりは使えるやろ!」

 

天龍「何だとコラァッ!…あいたたた…」

 

龍田「ちょっと!出血が!もうっ!天龍ちゃん!大人しくしてて!龍驤さんも止めてください!」

 

龍驤「す、すまん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天龍「…ありゃ何だ?」

 

龍驤「ボッチの深海棲艦やな。」

 

龍田「何だか色々おかしいわね。」

 

ヲー「ヒッグ…グスン。ウエェェン…ルーチャーン…」

 

泣き声がした方に近づいてみると、一人の深海棲艦…多分空母ヲ級。俺らが知ってるやつよりもチビなやつが、トボトボ泣きながら歩いてたんだ。

 

龍田「…暗くてよく見えないけど、あの子が手に持ってるのって…」

 

天龍「でっかいパチンコだな。」

 

…あんなのどーすんだよ。

 

龍驤「なぁ、あれってうちらを襲った空母と違うん?」

 

龍田「多分違うわね。深海棲艦の正規空母は、特殊な杖を使って艦載機に指示を出しているらしいの。あんな手作り感満載のパチンコじゃあ無理よ〜。」

 

ヲー「ッ⁉︎」

 

天龍「マズイ!気づかれた!」

 

遠目から様子見をしていると、敵もこっちに気づいたみたいでよ。こっちに接近してきたんだが…

 

ヲー「オ姉サン達誰ダヲ?」

 

ふつーに話しかけられた。

 

天龍「…あ〜、えっとだな。」

 

龍田「私は龍田って言うの。私に寄りかかってるのが、私のお姉さんの天龍ちゃん。で、こっちが友達の龍驤ちゃんよ〜。あなたは?」

 

ヲー「私ハ…ヲーダヨ。」

 

龍田「ヲーちゃんね?ヲーちゃんはどうして1人で泣いてたのかな?」

 

ヲー「エットネ…」

 

 

 

ヲーちゃん説明中……

 

 

 

天龍「んだよ…ただの家出娘じゃねーか。」

 

要約するとこうだ。

貧しい生活から抜け出す為に海賊になろうとして、子分を増やす為に保存食を使っちまったらしい。

結局作戦も失敗に終わったみたいだぜ。

それで、姉貴分に怒られるのが嫌で逃げてきたと…深海棲艦にもこんなアホがいるなんてな。

 

龍驤「どうにかしてやりたいけどなぁ…」

 

龍田「難しいわね。早く帰って、天龍ちゃんの怪我も治さなきゃだし。」

 

ヲー「片目ノオ姉サンハ怪我シテルノ?」

 

天龍「ああ、ちょっとドジっちまってな。」

 

ヲー「私、救急セット持ッテルヨ!」

 

龍驤「マジでか!なあなあ、ちょっと使わせてくれへん?」

 

ヲー「ジャア…取引、スルヲ!」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーー

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

悠「で、その取引の内容は?」

 

天龍「使った包帯やら消毒液の補給と、飯に寝床。あと食料、保存の効くやつを分けてくれだとさ。」

 

悠「分かった。ヲーちゃん、天龍が世話になったみたいだな、ありがとう。救急セットと食料は明日準備させてもらうけど、いいかな?」

 

ヲー「ソンデイイヨ、ソレヨリオ腹空イタ。何カ食ベサセテホシイナ!」

 

悠「うーん…何かあるか分からないが…。3人はヲーちゃんをとりあえず食堂に案内してあげてくれ。俺も島風を部屋に連れて行ったらすぐ行く。」

 

龍田「…あの、提督は疑わないんですか?」

 

悠「ん?ん〜、悪い子じゃないみたいだし、大丈夫じゃないか?龍田もそう思って一緒に連れてきたんだろ?」

 

龍田「…それもありますが、私達の事は?深海棲艦と通じて、この鎮守府を堕とそうとしているかもしれないんですよ?」

 

悠「龍田、出会ってまだ一月程度だが、俺たちは仲間だ。疑うもんか。仮にそうだったとしたら…ブン殴ってでも目を覚まさせてやるさ。」

 

龍田「鳴上提督…」

 

悠「じゃあ俺は島風を部屋に送ってくるから、後で食堂で落ち合おう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍田「本当に…貴方は、馬鹿みたいに真っ直ぐで…優しいのね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜寮・食堂〜〜

 

 

悠「さて、冷蔵庫の中は…」

 

悠は、島風を部屋に送り届けたあと、食堂で冷蔵庫の中をチェックしていた。…どうやら謎の草は無いようだ。

 

ヲー「ゴッハン!ゴッハン!」

 

テーブルでは、ヲーがやかましく騒いでいる。

 

天龍「コラッ!静かにしろ!他のみんなが起きてきたら面倒だろ!」

 

悠「期待に応えられるように頑張らねば…」

 

 

 

悠「……冷蔵庫の中には、冷やご飯と卵、封の開いたウインナー、あと野菜の切れっぱしか…

ステーキ肉は…天龍達の分だな。

よし、ケチャップがあるからオムライスにしよう。」

 

 

トントントン…

 

ジュー!

 

昔ながらのオムライスが出来た!

 

悠「よし!出来たぞ!みんなの分も作ったから、持って行ってくれ!」

 

 

 

 

 

 

ヲー「ウンマァーイ!」

 

天龍「ハフハフ…鳴上もなかなかやるじゃねーか!」

 

龍驤「ホンマやな!荒垣さんの手伝いしとるだけはあるわマジで。」

 

悠「ありがとう。ん?龍田?あんまり食べてないな。口に合わなかったか?」

 

龍田「…こんな遅くに食べたら、ねぇ?」

 

悠「あ〜、すまない、そこまで気が回らなかったな。」

 

龍田「というわけで、もっとお肉を付けたほうがいい龍驤さんにあげちゃいまーす♪」

 

龍驤「んやそれ!喧嘩売っとんのか!…まあ、もらうけどな。」

 

天龍「もらうんかよ…」

 

龍驤「そやで〜、残したらモッタイナイオバケが出るんやで〜!」

 

悠(大阪のオバちゃんみたいだな。)

 

 

 

 

皆で遅めの夕食を食べた。

 

 

 

龍驤「じゃあ、ヲーちゃんはうちの部屋に泊めるっちゅーことでええな?」

 

悠「ああ、頼んだ。」

 

ヲー「オ世話ニナルヲ!」

 

天龍「で、明日は朝イチ…午前4時で倉庫から物資を取ってきて、ヲーの奴をみんなに感づかれる前に送り出すと。」

 

悠「必要な物は俺の方で荷造りしておくから、ばれないように頼む。」

 

食事を終えた一行は、明日の予定を立てている。

寮からゲートまでのルートや、部屋を出る時間など、細かく打ち合わせをする。

敵意が無いとはいえ、深海棲艦が鎮守府にいると分かれば、事情を知らないメンバーがどう動くか分からないからだ。

 

天龍「しっかし…フワァ…回復してもらったのにめちゃ寝み〜…」

 

時刻は既に深夜0時を回っており、任務の疲れもあるのか、天龍は眠たそうに欠伸をした。

 

悠「あ、そういえば言うのを忘れてたが、回復魔法は傷は治すが、疲労や失血…流した血は戻らないからな。3人は朝の仕事のあとは休みにしておくから、しっかり休んでくれ。」

 

龍田「提督の魔法も万能じゃないのね〜。」

 

悠「この世に完璧なものなんて無いさ。だから俺たちは助け合って生きている。足りない所を補う為にな。

さっ!今からだと…4時間も寝れれば良いとこか。遅刻は厳禁だぞ!武蔵はいつも5時には起きてランニングしているからな、遅れれば遅れるほどバレる危険性は上がる。では、解散!」



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第十四話 対決!海賊ヲー! 後編

何とか一月経つ前に続きを上げれたぜ!どうもです。黒城です。
これにてヲーちゃん編が一区切り…しないんだな〜
やっぱり短いので、前・中・後編をまとめて読んでもらうと、良い感じの文字数になると思います。



〜〜佐伯湾鎮守府・出撃ゲート〜〜

 

 

悠「こっちが医療品のリュックで、こっちにはα米とか缶詰の保存食が入ってる。」

 

天龍「いつの間に…よくあったな。」

 

悠「倉庫に備蓄があってな、少し拝借してきた。」

 

只今の時刻は午前4時半。ヲーを送るために出撃ゲートに集合した5人。予定の4時を過ぎているのは、ヲーに渡す物資を集めていたからだ。

 

龍田「はい、ヲーちゃん。もう海賊なんてしちゃダメよ〜?」

 

ヲー「………」

 

だが、ヲーの様子がおかしい。先ほどからずっと黙っている。

 

龍驤「なんや〜、黙って。どしたん?あ、分かったで!眠いんやろ!起きる時も相当グズッとったしなぁ。」

 

ヲー「……」

 

龍驤「な、なんやマジで…。うち、なんか気に触るようなこと言ったか?」

 

ヲー「行カナイ…」

 

悠「ん?」

 

ヲー「私、ココノ子ニナル!」

 

悠「はいぃぃっっっ!」

 

 

 

 

 

 

天龍「急にどうしたんだよ。姉貴分のとこに帰んなくていいのか?」

 

ヲー「ドウセ戻ッテモ怒ラレル。ソレニ、ココナラ美味シイゴ飯トフカフカベッド、オ風呂モドラム缶ジャナイチャントシタイイヤツ使エルシ。アトマダ眠イ…」

 

どうやらヲーは、この短時間の間で、鎮守府の暮らしに味を占めた様子。

 

龍田「どうしましょう提督?」

 

悠「これは…困ったな。」

 

龍驤「あー!我儘言わんと!さっさと自分家帰りや!」

 

ヲー「ヤダヤダー!帰ッタッテルーチャンニ怒ラレルダケダモン!」

 

悠「あー!分かった!ヲーちゃん、俺も一緒に謝りに行ってあげるからさ、な?」

 

ヲー「…代ワリニゲンコツモラッテクレル?」

 

悠「げ、ゲンコツ…。分かったから、一緒に帰ろう?な?」

 

ヲー「」こくっ(頷き)

 

悠「よし、じゃあ龍驤、悪いがまた預かっててもらえるか?朝のミーティングを終えたら迎えに来る。朝ご飯もそれまでは我慢しててくれ。」

 

龍驤「はいはい、任せとき。」

 

悠「天龍と龍田は、予定通り休みでいいからな。」

 

天龍「了解!」

龍田「わかったわ。」

 

悠「じゃあ、バレないうちに戻ろう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・本棟・会議室〜〜

 

 

悠「よし、みんな聞いてくれ。」

 

あれから部屋に戻り二度寝をした後、朝食の時に会議室に集まってほしいことを伝え、今に至る。

会議室には、天龍達を除いた艦娘全員が揃っている。

 

悠「まずは天龍達だが、昨日の深夜に帰投した。道中、敵の機動部隊による奇襲を受けて遅くなったそうだ。このことから、疲労の色が濃かった3人は、今日は休みにしてある。」

 

島風「てんちゃん達大丈夫なの?」

 

悠「ああ、ただ結構疲れているからな。今日はそっとしておいてあげよう。」

 

武蔵「機動部隊…つまり、」

 

足柄「組合長さんの話に出てきた奴らね!」

 

悠「ああ、その可能性が高い。そこでまずは、水雷戦隊だったか?軽巡洋艦と駆逐艦による部隊で偵察を行う。そうだな…4人小隊(フォーマンセル)を2つでいこう。

もし発見したら、無理せずすぐに撤退してくれ。その後は、偵察結果の情報を元に、武蔵を旗艦にした水上打撃部隊で一気に叩く!」

 

金剛「Leave it to me! 」

 

武蔵「おい、私を出していいのか?」

 

悠「ああ、出し惜しみは無しだ。その代わり、きっちり決めてくれよ!」

 

足柄「ねぇ!私は?」

 

悠「足柄さんにも打撃部隊に入ってもらいます。基本は撃ち漏らしや小型艦の相手ですが、状況に応じて対応を変えて下さい。」

 

足柄「つまり遊撃手ね!了解よ!」

 

悠「それと…陽介!クマ!」

 

陽介(阿武隈)「おう!俺らはどうすりゃいいんだ?」

 

クマ(球磨)「どんなお仕事でもバッチコイクマ!」

 

悠「2人には、偵察部隊と打撃部隊の両方に参加してもらう。キツイと思うが頼めるか?」

 

陽介(阿武隈)「分かった。任せとけ!」

 

クマ(球磨)「ウォー!燃えてきたー!」

 

陽介(阿武隈)「張り切りすぎてガス欠になんなよ〜?」

 

悠「あはは!じゃあ次は偵察部隊の割り振りだ。第一水雷戦隊は陽介を旗艦に、夕立、睦月、卯月の4名。第二水雷戦隊は、クマを旗艦に、島風、フブキチ、暁でいく。頼んだぞ!」

 

夕立「頑張るっポイ!」

 

睦月「睦月、任務了解です!」

 

卯月「うーちゃんにお任せッピョン!」

 

吹雪「こんな時でもフブキチなんですね…」

 

島風「よーし!誰が一番早く見つけるか競争だよ!」

 

暁「あかちゅき!…じゃなくて…暁!任務了解であります!」

 

金剛「あれ?そーいえば悠は do するネ?」

 

テキパキと編成を伝える悠だが、その本人の名前が入っていないことに気づいた金剛が、悠にその旨を尋ねる。

 

悠「俺は単騎で普段の哨戒任務をやるから。悪いな、効率を考えると、この割り振りが1番なんだ。」

 

金剛「OK.understand.」

 

無論これはヲーを送り出す為の策である。建前としては、これ以上は無いだろう。

金剛も、この答えに特に疑問を持つことはなく、そのまま作戦会議は進んでいく。

 

悠「よし、じゃあ次は偵察部隊の航路だが…」

 

 

 

作戦会議中…

 

 

 

悠「…こんなところか。みんな、手筈通りに頼むぞ!」

 

陽介(阿武隈)「うっし!じゃあ行ってくるぜ!」

 

クマ(球磨)「どっちが先に見つけるか勝負クマ〜!」

 

悠「では、第一水雷戦隊!第二水雷戦隊!速やかに出撃し、敵が潜んでいると思われる海域を調査せよ!

水上打撃部隊は出撃に備え、工廠で各自艤装のメンテナンスの確認!

さぁ!作戦開始!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜寮・龍驤の部屋〜〜

 

 

コンコンッ

 

龍驤「はーい?どちらさんで〜?」

 

悠「俺だ、龍驤。」

 

龍驤「おー、今開けるで〜。」

 

ガチャリ

 

作戦会議を終えた悠は、当初の予定通りヲーを迎えに来ていた。

 

悠「ヲーちゃんは?」

 

龍驤「ちゃんといるよ?すぐに出られるで?ヲーちゃーん!提督が迎えに来たで〜!」

 

龍驤がヲーを呼ぶと、ヲーが奥から出てきた。

 

ヲー「…ヤッパリ行クノ?」

 

悠「あぁ、もし鎮守府で暮らすにしても、家族に黙って家を出るのは、やっぱり良くないしな。きっと君のお姉さんも心配しているよ?」

 

ヲー「…ワカッタ。」

 

鎮守府を出ることを若干渋るヲーだが、姉の事を引き合いに出すと、案外すんなりと言う事を聞いてくれた。

 

悠「」チラッ

 

龍驤「」(^_−)−☆

 

何故かと思い、視線を龍驤に向けると、ウインクをされた。どうやら龍驤が説得していてくれたらしい。

 

龍驤「さっさと行きーや!あんまりぐずぐずしてっとマズイんちゃう?」

 

悠「おっと!そうだな。じゃあヲーちゃん行こうか。」

 

ヲー「ヲー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜宇和海・御五神島〜〜

 

 

ヲー「ココガヲータチノ住ンデル島ダヨ。」

 

悠は、皆が出撃したのを確認したあと、ヲーの案内で彼女が住むという御五神島に来ていた。

 

悠「ここは…無人島か。まあ、そうじゃなきゃ深海棲艦が住めないよな。」

 

放棄されて久しい港を見て、こんな近くにも戦争の影響が出ている事を肌で感じる悠。

 

?「ヲーサマ〜!」

 

悠「⁉︎」

 

感傷に浸っていると、つい最近何処かで聞いたような機械音声が聞こえてきた。

 

ヲー「ヘ級!」

 

ヘ級「ゴブジデナニヨリ!」

 

悠「あ〜…ヲーちゃん。この…子?は?」

 

ヲー「私ノ子分ノヘ級ダヨ!」

 

ヘ級「……」

 

悠「……」

 

ヲーの子分だというヘ級。しかし、このヘ級に何か引っかかる物を感じ、暫し見つめ合う。

 

ヘ級「……」

 

悠「……」

 

ヘ級・悠「「アァ〜ッッ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「お前は昨日の!」

 

ヘ級「ヒェェ〜!ツヨイニンゲン!ヲーサマ!コイツデス!ワタシタチノジャマヲシタニンゲンデス!」

 

ヲー「ウッソマジデ⁉︎」

 

ヘ級「ソノトオリデゴザイマス!ヤラレタコブンノカタキヲトルノデス!」

 

悠「ちょっ!落ち着け!まずは話を!」

 

ヲー「オマエノセイダッタノカー!一宿一飯ノ恩義ハアルケド、ソレトコレトハ話ガ別ダヲ!

ヘ級!荷物持ッテ下ガッテテ!」

 

ヘ級「カシコマリ!」

 

ヲー「サア構エロ!」

 

悠「クソッ!やるしかない!」

 

 

どうやら昨日の襲撃は、ヲーが主犯だったようだ。恨まれて当然と言えばそうだが、話し合いの余地さえ与えられないのは中々に辛い。

 

 

ヲー「イクゾ!イデヨ、我ガ僕!」

 

ヲーは、長鼻の狙撃手が使ってそうな(ただし作りはお粗末である)でっかいパチンコを天に向けて掲げると…

 

ヲー「……」

 

悠「……」

 

何も起こらない。

 

悠「…あの〜?」

 

ヲー「チョット待ッテ!オイ!出テコイ!」ガンガン!

 

何も起こらなかったため、若干焦りながら頭の帽子(?)を叩き、僕とやらを呼ぶ。

 

スポンッ!

 

?「キー!」

?「キー!」

?「キー!」

 

すると、ヲーの帽子(?)の目のような模様。どうやらハッチのようなものらしい。

そこが開き、中から白くて丸っこい生き物が3匹飛び出てきた。

口や目の中は燃えるようなオレンジ色であり、若干火の粉のような物が漏れている。

 

悠「あれは…資料にあった…確か新型の深海艦載機!」

 

まさかの強敵に、悠は驚きを隠せない。

 

悠「クッ!」

 

動揺しつつも、剣を構え、すぐに反応出来るよう感覚を研ぎ澄ます。

 

ヲー「カンチャン!サイチャン!キー君!イクヨ!」

 

ヲーは距離を取り、パチンコを構える。

 

ヲー「マズハカンチャン!タイアタリダ!」

 

カンチャンと呼んでいる艦載機をパチンコにセットし、放つ!

 

カン「キー!」

 

悠「フッ!」

 

ガキィン!

 

カン「キィ〜⁉︎」

 

だが、見切れぬ速度ではない。刃を痛めぬように、剣の腹で叩き落とす。

 

悠(…ただの体当たりだと⁉︎)

 

ヲー「ウワァ〜⁉︎カンチャ〜ン!クッソ〜!次ハサイチャン!カミツキ攻撃ダ!」

 

再びパチンコに艦載機をセットし、2匹目を放つ!

 

サイ「キィ〜!」

 

悠「はっ!」

 

ガキィン!

 

サイ「キュイ〜ッ!」

 

だが、やはり見切れぬ速度ではない。再び叩き落とすと、泣き声を上げながら主の元へと戻っていく。

 

悠(機銃や爆弾はどうしたのだろうか?)

 

ヲー「ウワァーン!サイチャ〜ン!コノママジャ負ケチャウヲ!キー君!フルパワーデイクヨ!」

 

そして、最後の3匹目が装填され、思い切りゴムを引く。

ギリギリとゴムの軋む音が、距離の空いている悠にまで聞こえそうなくらいに…。

 

悠(これは…まあ、オチは予想出来るな。)

 

ヲー「イクゾ〜!ウルトラスーパーミラクルグレードデンジャラ…」

 

ブチィッ!

 

ヲー「ヲォッ!」バシャーン!

キー「キキィ〜⁉︎」

 

 

無理に引きすぎたのか、ゴムがパワーに耐え切れずにちぎれ、その反動で思いっきり後ろに倒れた。

 

悠「やっぱり…。ヲーちゃ〜ん!大丈夫か〜?」

 

ヲー「ガホッ!ゴホッ!ウエェ…ビショビショ…」

 

悠「これは…濡れてボディラインが強調…じゃなくて…!そのままじゃ風邪をひくから、陸に上がって乾かそう。」

 

悠は、倒れたヲーに近づき手を差し伸べるが、払い除けられてしまう。

 

ヲー「マダ勝負ハツイテナイヲ…!」

 

悠「その壊れたパチンコでか?」

 

ヲー「ウッ…。デ、デモ!コレデ殴ラレルト痛イゾ!」

 

悠(見上げた闘志だ。パチンコを使って艦載機を飛ばしていた辺り、通常の発着艦システムは故障しているのだろう。それに、唯一の手段であるパチンコも壊れた。これ以上争う必要は無いんだが…、少し脅かしてみるか。)

「ヲーちゃん!素直にいう事を聞いてくれないなら、俺も本気でいくぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「ぺ・ル・ソ・ナ!」パリィン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「咆えろ!セト!」

 

セト「ガオオォォォッッッッ!!!」

 

ヲー「」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヲーを脅かす為に、ペルソナの中でも中々に恐ろしい見た目の、悪神セトを召喚する悠。

 

悠「さあ!マルカジリされたくなければ降参して…ん?」

 

ヲー「ア………ウゥ……ヒック…」

 

悠「え?ちょっ…⁉︎」

 

ヲー「ウワァーン!ルーチャ〜ン!」

 

ヘ級「ヲーサマ〜!」

 

悠「しまった!泣かせてしまった!クッ!とりあえず落ち着かせなければ…!」

 

天を(つんざ)くセトの咆哮で、ヲーは泣き出してしまった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチパチパチ…

 

悠「落ち着いたか?」

 

ヲー「ウン…」

 

あれから悠は、ヲーを陸に上げ、ヘ級に持ってこさせた木の枝や紙とアギで火を焚き、ヲーの身体を乾かしながら何とか落ち着かせる事に成功した。

 

悠「あのなヲーちゃん、海賊ってのは悪い事なんだ。分かるか?」

 

ヲー「ソレハ…デモ…」

 

悠「デモもストも無しだ。ヲーちゃんだって、お姉さんやヘ級がイジメられたり、大事な物を取られたり壊されたりしたら嫌だろう?」

 

ヲー「…ウン。」

 

悠「俺たちだって一緒さ。だからもう海賊なんて止めよう?しなくても大丈夫なように、これからも食べ物とかは分けてあげるからさ。」

 

ヲー「ウン…ワカッタ。」

 

悠は、ヲーに海賊をやめさせる事に成功した!

 

 

 

 

 

 

 

ヲー「…オカシイナ?」

 

悠「ん?どうした?」

 

何とかヲーの説得に成功した悠。だが、ヲーの様子が少しおかしい。急に辺りをキョロキョロ見回し始める。

 

ヲー「コレダケ騒ゲバ、ルーチャンガ途中デ来テモイインダケド…」

 

悠「確かにそうだな。」

 

確かに、普通なら戦闘音はもとより、セトの咆哮で異常に気付き、こちらに来てもおかしくは無い。

 

ヲー「ヘ級、何カ知ラナイ?」

 

ヘ級「ハッ!ホウコクヲワスレルトコロデゴザイマシタ!

ルーサマハケサ、アサニナッテモモドラナイ、ヲーサマヲサガシニイキマシタ!

イレチガイデゴザイマス!」

 

悠「何ッ!マズい!」

 

ヲー「へ?」

 

ヘ級「ナゼデゴザイマショウ?」

 

悠「今、俺の勤めている鎮守府では、宇和海の制海権を握る機動部隊の撃退作戦を、現在進行形で進めているんだ…」

 

ヲー「ツマリ?」

 

悠「うちの部隊と君のお姉さんがかち合ったら…」

 

ヘ級「タゼイニブゼイノダイピンチデゴザイマス!」

 

ヲー「ナ、ナンダッテー!」

 

悠「これは四の五の言ってる場合じゃないな。」

 

ヲー「ドウスル気?」

 

悠「今動いている部隊に事情を説明して、もしそれらしい艦を見つけても攻撃しないようにしてもらう。」

 

ヲー「ルーチャン探シハ?」

 

悠「それは後。居場所の分からないお姉さんより、航路の決まっている俺の仲間に会いに行った方が確実だ。」

 

ヘ級「ソレデ、ソノオナカマサンニモ、ルーサマサガシヲテツダッテイタダクノデスネ!」

 

悠「あ、ああ、その通りだ。…見た目によらず賢いんだな…」

 

ヘ級「ナンタルヘンケン!」

 

悠「す、済まない。とにかく急ごう!いつ最悪の事態になるか分からない…!」

 

ヲー「ルーチャン捜索隊!シュッパーツ!」

 

ヘ級「カシコマリ!」




陽介(阿武隈)「ここまでは異常無し…」
夕立「ねぇ!見て見て!あっちに人影が見えたっポイ!」
陽介(阿武隈)「ん?…あれは、深海棲艦!」
睦月「当たりにゃしぃ!」
卯月「うーちゃんたちでやっつけて、手柄を総取りぴょん!」

クマ(球磨)「ん〜…クマの鼻センサーにビンビンに感じるクマ〜!敵が近くにいるクマ〜!」
島風「よぉ〜し!一番槍はもらったぁ!」
吹雪「ちょっ!撤退して報告に行きましょうよ〜!」
暁「そ、そうよ!無理はいいい、いけないわ。吹雪さんの言う通り撤退しましょう?」
島風「あれぇ〜?アッキー怖いんだ?じゃあ待ってていいよ?」
暁「なっ⁉︎べ、別に怖くなんて無いんだから!いいわ、この暁の力、見せてあげる!」
クマ(球磨)「よっしゃ〜!全軍!突撃クマ〜!」
吹雪「お願いだから私の話も聞いて〜!」

次回 ペルソナ4 the K.C.
見敵!機動部隊RED!

悠「急ぐぞ!うちの奴らはなんだかんだ言って血の気が多いからな!」
ヲー「ルーチャン待ッテテ!今行クヨ!」
ヘ級「ルーサマ〜!ドウカゴブジデ〜!」


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第十五話 見敵!機動部隊RED! 前編

遊戯王5S’sも書いてるから放置にはなってないセーフ!どうもです。黒城です。
…こっちの更新遅れて本当すみません…。楽しみに待ってくれていた方には申し訳ない。え?待ってた人なんているのかって?ひ、100人くらいはいるやい!

まぁ、謝罪と自虐はこの辺にして…
今回は陽介に頑張ってもらいます。陽介頑張れ!


〜〜太平洋・四国近海・深海簡易泊地周辺〜〜

 

 

ルー「ヲー!…チッ、本当ニドコ行ッタンダヨ…電探ノバッテリーモ何時マデ保ツカワカンナイッテノニ…」

 

時間は早朝まで遡る。

一晩経っても戻らないヲーを探しに、海を駆ける戦艦ル級のルー。

始めは拠点近くの小島や岩場などを探していたが中々見つからず、しびれを切らしたルーは、電探を使い外洋まで足を伸ばしていた。

 

ルー「…ン?反応アリ⁉︎複数⁉︎」

 

探し続け数時間。電探に反応が出る。が、その反応は複数。

しかも、いつの間にか周囲を囲まれているようだ。

 

「………」

 

ルーの周りを囲むのは、深海棲艦の駆逐艦と軽巡洋艦。

ジッとルーを見つめていたが、しばらくすると包囲の一部が開く。

開いた先には、重巡リ級と雷巡チ級、そして…

 

ヲ級「コンナ所ニ戦艦ノハグレカ。貴様、所属ハドコダ?」

 

ルーの目の前に現れた空母ヲ級。

しかしその見た目は、探していたヲーとは似ても似つかない、スレンダーな長身と鋭い目つき。

そう、彼女は宇和海一帯で通商破壊を行う深海棲艦の部隊、その旗艦、空母ヲ級だ。

 

ルー(チッ…ハズレジャン。テカヤバクネ?絶対コイツラカタギジャネーヨ…)

 

ヲ級「オイ、聞イテイルノカ?貴様ノ所属ハ?」

 

ルー「イヤ、エット…」

 

リ級「エリヴィヲ様、恐ラク彼女ハ先日落トサレタ前線基地ノ艦カト。」

 

ルー「‼︎ソウ、ソレ!ソンデココマデ逃ゲテキタンデスヨ!」

(ブッチャケ何ノ話カワカンナイケド…トリアエズ乗ッカットケ!)

 

ヲ級「…ホウ、ナラバ私ノ艦隊デ使ッテヤロウ。アリガタク思ウガイイ、貴様ノヨウナ敗残兵ヲ使ッテヤルンダカラナ。」

 

ルー「ア、アリガトウゴザイマス〜…」

 

ヲ級「貴様、弾薬エネルギーハアルノカ?」

 

ルー「エ?イヤ、今ハチョット〜…」

 

ヲ級「チッ、マア盾代ワリニハナルダロウ。」

 

ルー(ナニコイツ!上カラ目線デチョ〜ムカツクンデスケド!)

 

チ級「エリヴィヲ様、ピケット艦隊ヨリ入電ガ入リマシタ。」

 

ヲ級「佐伯ノ奴等ガ動キ出シタカ。規模ハ!」

 

チ級「小規模ノ水雷戦隊ノヨウデス。恐ラク偵察隊カト。」

 

ヲ級「此処ヲ嗅ギ付カレテモ面白クナイ。出撃スルゾ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜太平洋・宇和海境〜〜

 

 

睦月「カモメさーん!」

 

夕立「あっ!トビウオが跳ねたっぽい!」

 

陽介(阿武隈)「おい!隊列を崩すなよ!」

 

卯月「うーちゃんのパンをあげるピョン!ってうわぁぁ!いっぱい来すぎピョン!」

 

陽介(阿武隈)「コラァ〜!俺の指示に従えっての〜!」

 

任務中だというのにほのぼのとした雰囲気を醸し出しているのは、陽介の率いる水雷戦隊。

駆逐艦の子供達は、陽介の指示など何処吹く風で、もはや遠足状態だ。

 

陽介(阿武隈)「くそぅ…日差しもそうだが照り返しも暑い…。ガキンチョどもは言うこと聞かねーし…はぁ…」

 

愚痴を漏らしながら、初夏の日差しが眩しい空を見上げる陽介。

空には、何故か持っていた卯月のパンめがけて突撃するカモメと、そのカモメの向こう、遥か上空を飛ぶ黒い影。

 

陽介(阿武隈)「ん?なんだありゃ?」

 

 

 

それに気づいた陽介は目を細め、ピントを合わせ正体を確認すると…

 

 

 

陽介(阿武隈)「ちょくじょーー!!!」

 

「「「ふぇ?」」」

 

 

ドゴーン!ドゴーン!

 

 

陽介が叫ぶのとほぼ同時に爆撃が始まる。

 

陽介(阿武隈)「危ねぇ!」

卯月「ひゃあ!」

 

卯月を突き飛ばし、庇う陽介。だが…

 

陽介(阿武隈)「ガハァッ!」

 

卯月「花ちゃん⁉︎」

 

代わりに自らが爆炎を浴びる事となる。

ペルソナの耐性により熱によるダメージは無いものの、その衝撃は陽介の背中に叩きつけられ、肺の中の空気を一気に押し出す。

 

陽介(阿武隈)「ゴホッ!ゴホッ!」

 

睦月「花ちゃん!大丈夫⁉︎」

 

夕立「対空射撃するっぽい!」

 

陽介(阿武隈)「待てっ!」

 

爆撃の被害を少しでも軽減する為に、夕立が対空射撃を行おうとするが、陽介はそれを制止する。

 

陽介(阿武隈)「お前たちは鎮守府に戻って援軍を連れて来い!」

 

夕立「花ちゃんはどうするっぽい?」

 

陽介(阿武隈)「俺はここに残って敵の足止めだ。」

 

卯月「そんなのだめピョン!1人じゃ死んじゃうピョン!」

 

睦月「私たちも一緒に戦います!」

 

陽介(阿武隈)「お前たちじゃ足手まといなんだよ!さっさと行け!」

 

卯月「で、でも!」

 

1人残ろうとする陽介。共に戦おうと食い下がる睦月たち。彼女たちに再び爆撃が襲い来る。

 

陽介(阿武隈)「チィッ!ペルソナァッ!」

 

ゴオォォォ!

 

陽介はこれをマハガルダインでまとめて吹き飛ばすと、再び睦月たちに向き直り怒鳴り声をあげる。

 

陽介(阿武隈)「こんな時くらい言うこと聞けっての!俺1人じゃお前ら庇いきれねーんだよ!」

 

睦月「でも!」

 

陽介(阿武隈)「うるせー!さっさと行けー!」

 

夕立「…行こう2人とも。」

 

睦月「夕立ちゃん…。」

 

卯月「…絶対、ぜ〜ったい死んじゃダメピョン!死んじゃったら花ちゃんのお墓にラクガキしてやる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽介(阿武隈)「行ったか…」

 

あれから何度か敵艦載機を退け、睦月たちを逃すことに成功した陽介。

 

陽介(阿武隈)「ったく、息つく暇くらいくれだっていいだろ…」

 

艦載機が飛んできた方角からは、駆逐軽巡の群れ。

 

陽介(阿武隈)「イイぜ…やってやろうじゃねえか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽介(阿武隈)「こっから先は通さねえ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヲ級「ハハハ!見上ゲタ根性ダ!」

 

ヲ級の杖からは、艦載機から送られてくる映像

がホログラムで映し出されており、1人残って戦う陽介の映像が流れている。

 

リ級「コノ艦娘、妙ナ力ヲ使イマスネ。」

 

ヲ級「ダカラドウシタ?確カニ驚異的ナ力デハアルガ、アノ様子デハ長クハ持ツマイ。」

 

ルー(ヒドイナ…数デ嬲リ殺シニスルツモリカ?)

 

ヲ級「チ級、コノ動画ヲ本部ヘ送ッテオケ。」

 

チ級「承リマシタ。」

 

ヲ級「サア、ソロソロ私タチモイクカ。相手ハ手負イノ獣ダ、油断セズ確実ニ沈メルゾ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜瀬戸内海・四国沿岸〜〜

 

 

クマ(球磨)「なーんもいないクマね〜。」

 

島風「つまんなーい!何でもいいから早く出てこーい!」

 

こちらは瀬戸内海の四国沿岸を探索するクマの部隊。敵の本隊どころか駆逐艦の一隻すら見当たらない。

それというのも、現在瀬戸内海・宇和海・太平洋四国沿岸の深海棲艦は、ほぼ全ての艦が空母ヲ級の指揮下に入っており、現在は陽介との戦闘を行っている最中だからだ。

そんな中、クマは鼻センサーを全開にして、そこら中嗅ぎ回っている。

 

クマ(球磨)「クマ!鼻センサーに来たクマよ!そこクマ〜!」

 

ようやく反応を察知し、深海棲艦を見つけるが…

 

いきゅう「イキュ?」

 

暁「…小っちゃいわね。」

 

吹雪「イ級の幼生でしょうか?」

 

いきゅう「キュ〜?」

 

クマ(球磨)「こんなのやっつけても弱い者イジメにしかならないクマね…」

 

「おーい!クマー!みんなー!」

 

クマ(球磨)「クマ?あ!センセー!こっちクマ〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「会えてよかった。首尾はどうだ?」

 

無事にクマ隊と合流出来た悠たち。とりあえずは偵察の成果を聞くが、

 

吹雪「イ級の幼生が1匹見つかったくらいしか…」

 

大したものは見つかってない様子。

 

クマ(球磨)「それはそうと、そっちのお連れ様は誰クマ?」

 

島風「お〜?」

 

ヲー「ヲ〜?」

 

島風・ヲー「「オー!」」

 

暁「何やってるのよ島風!早くこっち来なさい!その子深海棲艦よ!食べられちゃうわよ!」

 

ヘ級「ダレモトッテタベタリナドイタシマセン!ドコノヤバンジンデゴザイマショウカ!」

 

暁「へ?キャ〜!」

 

悠「落ち着け暁。」

 

吹雪「司令官、とりあえず説明してもらっていいですかね…」

 

 

 

番長説明中……

 

 

 

吹雪「そんなことが…」

 

クマ(球磨)「クマたちの仲間を助けてくれてありがとうクマ。」

 

ヲー「大シタコトハシテナイヲ。」

 

暁「ほ、本当に大丈夫なの⁉︎後ろからドカーンってされないわよね⁉︎」

 

悠「落ち着け暁。」

 

島風「アッキーってやっぱりビビりだよね〜!」

 

暁「な、なによぅ!暁は立派なレリィなのよ!別にビビってなんかないし!」

 

悠「2人とも止めろ。とりあえずみんなにはヘ級をつけるから、敵の機動部隊を探しつつ、ルーちゃん…戦艦ル級も探してくれ。」

 

吹雪「了解です、司令官!」

 

ヘ級「デハナルカミサマ、ヲーサマノコトヲヨロシクオネガイイタシマス。」

 

 

 

悠「よし、次は陽介たちのとこだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜太平洋・宇和海境〜〜

 

 

陽介(阿武隈)「これで…ラストォッ!」

 

ザシュッ!ドゴォン!

 

陽介(阿武隈)「はぁはぁ…」

 

何とか敵の艦隊を退け、肩で息をする陽介。

上空からの艦爆による爆撃、艦攻の魚雷。

海上では、駆逐軽巡の砲撃と魚雷。

蓄積するダメージの回復と、少しでも被弾を減らすために【青春の風】を連発していたこともあり、かなり消耗している。

そこへ…

 

ヲ級「ヤァ艦娘君、調子ハドウカナ?」

 

陽介(阿武隈)「ッ!テメェは⁉︎」

 

空母ヲ級が現れる。

 

ヲ級「ハハハ!ソウ睨ムナ。サテ、一応聞イテオクガ我等ノ軍門ニ下ル気ハ?」

 

陽介(阿武隈)「あるわけないだろ!」

 

ヲ級「ソウカ…ソレハ残念ダ。リ級、チ級、始末シロ。」

 

リ級・チ級「ハッ!」

 

陽介(阿武隈)「負けるかァッ!」

 

 

再び始まる戦闘。

陽介は凄まじいスピードで斬りこむが、

 

ガキィン!

 

リ級「中々早イデスネ。」

 

陽介(阿武隈)(なっ⁉︎さっきの奴らよりずっと硬え!)

 

腕の砲身で受け止められてしまう。

 

チ級「立チ止マッテイテイイノデスカ?」カチャリ

 

ドォン!

 

陽介(阿武隈)「しまっ!グハァ!」

 

攻撃を受け止められ、足が止まった隙を突かれ砲撃を食らい吹っ飛ばされてしまう。

 

リ級「コンナモノデスカ。」

 

チ級「疲労ガアルトハイエ呆気ナイデスネ。」

 

ヲ級「何ヲシテイル!マダ敵ハ沈ンデイナイゾ!ボサットスルナ!」

 

リ級・チ級「!!」

 

陽介(阿武隈)「はっ!その通りだ!タケハヤスサノオ!ブレイブザッパー!」

 

今度は敵が油断した隙に、こちらが不意を突く。

 

リ級「ガァッ!」大破!

 

チ級「ナッ⁉︎コノッ!死ニ損ナイノクセニ!」

 

陽介(阿武隈)「誰が死に損ないだ!まだピンピンしてるっての!次はお前の番だ!」

 

チ級「オノレッ!コレデモ食ラエッ!」バシュゥゥッ!

 

リ級を大破に追い込んだ陽介。そこに、逆上したチ級の魚雷が迫る。

 

陽介(阿武隈)「そんな攻撃当たるかよ!」

 

だが、陽介は魚雷をひらりと躱していくが、

 

ドゴォン!

 

陽介(阿武隈)「グハッ!」

 

ヲ級「私モ忘レテモラッテハ困ルナ。」

 

ヲ級の艦載機による爆撃が上空から襲いかかる。

 

陽介(阿武隈)(くそっ!飛行機が邪魔でまともに戦えねえ!だったら!)

「ペルソナァ!」

 

ゴオォォォ!

 

ヲ級「クッ⁉︎マタソノ風カ!」

 

陽介は上空に向けマハガルダインを放ち、艦載機を散らすと、チ級に向けて一気に突っ込む。

 

陽介(阿武隈)「これで邪魔するやつはいない!」

 

チ級「当タレ!当タレ!何故ダ!何故当タラナイ!」

 

陽介(阿武隈)「ハアァァァッッッ!」

 

ザシュ!ズバァ!

 

陽介の双剣が、二度、煌めく。

一振り目は装甲を斬り裂き、二振り目は首を、命を刈り取る。

 

……………ボチャン。

 

もはや声も出せなくなったチ級はそのまま沈んでいく。

 

陽介(阿武隈)「さて…次はどっちだ?」

 

リ級「ヒ、ヒイィィ!」

 

大破しているリ級は、自身の状態と、目の前で見せつけられた陽介の強さでパニックに陥り、そのまま逃走しようとするが…

 

ドゴォン!

 

陽介(阿武隈)「な…⁉︎」

 

ヲ級「勇将ノ下ニ弱卒無シ…」

 

パチパチパチ…

 

ヲ級「天晴レダ。数的不利ヲ覆シ、我ガ艦隊ヲ全滅サセルトハ。」

 

ヲ級は、自らの部隊を退けた陽介に拍手を送る。

 

陽介(阿武隈)「…あいつは、お前の仲間じゃなかったのかよ…」

 

ヲ級「仲間?敵ニ恐怖シ背ヲ向ケルヨウナ軟弱者ナド、我ガ艦隊ニハ必要ナイ。ソレニ、アノ程度ナラ代ワリハイクラデモイルサ。」

 

陽介(阿武隈)「テメェッ!」

 

ヲ級「サァ!第二幕トイコウ!」

 

ヲ級は両腕を芝居掛かった仕草で、大仰に広げ、次の戦闘の開幕を宣言する。

 

陽介(阿武隈)(クソッ!マズい…このままじゃジリ貧だぜ…)

 

再び陽介は数的不利に嵌り、今度こそ一方的なリンチとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞こえてきたのは深海棲艦の艦隊の雄叫びでもなく、砲撃の音でもなく、ましてや魚雷の音ですら無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念ダケド、第二幕ノキャストハ全員オ休ミヨ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二幕の中止を告げるアナウンスだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヲ級「キ、貴様⁉︎」

 

陽介(阿武隈)「な⁉︎あんたは⁉︎」

 

?「ハイ、オ土産。」

 

ボチャン。

 

突如現れた新手の深海棲艦。だが、明らかにヲ級の部下とは様子が違う。

先程ヲ級に向けて投げたのは、重巡リ級の首から下…いや、肩から下が無くなったモノ。

 

ヲ級「…弾薬エネルギーハ無カッタノデハナカッタノカ?」

 

?「アァ〜………ゴメン。アレネ…ウ・ソ♪」

 

ヲ級「貴様…ヨクモ…ヨクモ裏切ッタナ!負ケ犬ノ分際デェ!」

 

?「ハッ!誰ガ負ケ犬ダバァーカ!私ハ生マレモ育チモ瀬戸内海ダッテノ!アンタラミタイナ卑怯者ナンカ知ルカ!」

 

 

 

 

?「テナ訳デ!沈メェ!」

 

 

 

 

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!

 

 

 

 

ヲ級「ナッ!グオォォォッッッ!!!」

 

 

 

 

 

ほぼゼロ距離で放たれた主砲。爆音とヲ級の叫び声が響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「君、大丈夫?」

 

ヲ級に戦艦級の主砲をぶちかました深海棲艦が、陽介に近寄り声をかける。

 

陽介(阿武隈)「大丈夫に見えるなら眼科に行くことを勧めるぜ?」

 

?「案外元気ソウジャン。」

 

陽介(阿武隈)「そうでもねーっての。

まっ、助けてくれてサンキューな?俺は花村陽介。あんたは?」

 

ルー「私ハ『ルー』。トコロデサ…」

 

陽介(阿武隈)「…ちょっと待った。どうやらあいつ、まだやる気みたいだぜ?」

 

 

 

 

 

 

話を進めようとする、ルーと名乗る深海棲艦。

だが、陽介は異変に気付き、話を制止する。

 

視線の先には、膝をつき、(うずくま)っているヲ級。

だが、様子がおかしい。

赤い(もや)のようなものが少しずつだが彼女の体から湧き出ており、それに合わせ海面に波紋が広がる。

 

 

 

 

 

 

ヲ級「オノレ…オノレェェッッッ!許サンゾ…許サンゾ貴様等!生キテ帰レルト思ウナヨ!」

 

 

 

 

 

 

ヲ級「ハアァァァッッッ!」

 

 

 

 

 

 

ヲ級の雄叫びと共に、その靄は次第にはっきりと視認できるようになり、明滅を繰り返すオーラのようなものとなってヲ級を包み、彼女を中心に発生していた波紋は波となり、海面を激しく揺らす。

それだけでは無い。先程、ルーの主砲で与えた傷も瞬く間に回復していく。

 

 

 

 

 

 

陽介(阿武隈)「マジかよ…なんだありゃ…界◯拳かよ…」

 

ルー「コリャヤッバイネ…」

 

 

 

 

やがて波が収まり、オーラも安定して赤の光を放つようになると、彼女は立ち上がり、こちらを見据え…

 

 

 

 

 

 

ヲ級(élite)「私ニコノ力ヲ使ワセタコト…後悔サセテヤル!」



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第十五話 見敵!機動部隊RED! 後編

お久しぶりです。どうもです。黒城です。
お久しぶりといっても5S’sも入れると月一投稿ギリギリセーフ。…正直忘れられてないか心配ですが。
今回でようやくヲーちゃん編が終わります。
結局シリアスを貫けなかったよ…
お楽しみ頂ければ幸いです。どうぞ。


ヲ級(élite)「全機発艦!」

 

陽介(阿武隈)「うぉっ!しまった!」

 

ルー「アブナッ!」

 

赤いオーラを纏ったヲ級が艦載機を発艦させ、2人の間に割り込むように突っ込んでいく。

 

ヲ級(élite)「サァ、マズハ貴様カラダ!」

 

紅く輝く瞳を陽介に向けるヲ級。

第二ラウンドのゴングが響く。

 

 

 

 

キィン!ガキィン!カン!カン!ギャィィン!

 

陽介(阿武隈)「クソッ!ハアァァッ!」

 

ガキィン!

 

ヲ級(élite)「ハンッ、見エテイルワ!」

 

陽介(阿武隈)(こいつ…強え!)

 

双剣と杖で打ち合う2人。はたから見れば拮抗している様に見えるが、実際はヲ級からは攻めておらず、陽介の攻撃を完封し、確実な隙を窺っている。

 

陽介(阿武隈)(ルーさんとやらは…期待出来そうにねぇな。)

 

そしてルーは、ヲ級の艦載機に周囲を囲まれ、対空装備を持たない彼女は回避と防御を余儀なくされている。

とてもじゃないが、包囲を振り切りこちらの援護に来るのは無理そうだ。

 

陽介(阿武隈)(こりゃ本格的にヤベェ!)

 

陽介は思考を続けながらも攻撃の手は休めない。この均衡が崩れ、流れが敵に傾けば、逆転の一手となり得るペルソナ召喚は恐らく出来なくなる。

ペルソナ召喚の為の隙を作るために、何としても一撃をお見舞いしダウンを奪いたい。

 

陽介(阿武隈)「これならどうだぁァァッッッ!」

 

二刀を大上段に振り上げ、いっそ杖ごと斬りつけてやろうと渾身の力を込めて振り下ろす。

 

 

 

ニヤリ。

 

 

 

双剣と杖がぶつかり合う寸前、ヲ級は笑みを浮かべた。

 

 

 

ガキィン!

 

 

彼女は双剣を受け止めると、瞬時に杖を回す。

 

シャァァァッッッ!

 

半回転、力の流れを逸らされた双剣は杖をこする様にして受け流される。

 

一回転、返す刀…もとい返す杖で陽介の腕を回転に巻き込み、重心を崩しつつ、脇に回り込む。

 

陽介(阿武隈)「ウオォォッ⁉︎」

 

バランスを崩し、転倒する陽介。

脇に回り込んだヲ級は、杖の遠心力を殺さないように回しながら掌で滑らせ、石突きの部分を掴み、構えを取る。

その構えはまるでゴルフのドライバーショットの様。

遠心力を使い大きく振り上げられた杖を…

 

 

 

 

 

振り抜く。

 

 

 

 

 

 

 

ガゴンッ!

 

 

 

 

 

 

転倒し倒れこむ陽介は、顔面を杖の頭部分に取り付けられた玉石で思い切り殴られ、水切りの様に水面を転がる。

吹き飛ばされている間じゅう、鈍い音が頭の中で反響し、鼻の奥は鉄の匂いで満たされる。

 

陽介(阿武隈)「〜〜〜〜⁉︎」

 

3回ほど水面を跳ねたところで何とか踏ん張り立ち上がろうとするが、そこで陽介は痛みを知覚し、顔を抑えながらその場で蹲ってしまう。顔を抑えるその手からは血が溢れ、真っ赤に染まる。

回復しようにも痛みで精神集中がおぼつかない。いわゆるダウン状態というやつだ。

 

陽介(阿武隈)(まず…鼻が…折れ…)

 

ヲ級(élite)「フン、頭蓋ヲカチ割ルツモリデ振リ抜イタノダガ…思ッタヨリ頑丈ダナ。ダガ…」

 

ヲ級は杖を頭上に掲げると、ルーに纏わりついていた艦載機の一部…(それでも30機だが)が上空へ舞い上がる。

 

ヲ級(élite)「終ワリダ。」

 

陽介に標準を合わせるのは深海艦上爆撃機。

 

陽介(阿武隈)(あ、ダメだ。負けた。)

 

陽介は理解してしまった。今の自分にはあの爆撃を防ぐ術が無いことを。

 

ルー「〜〜〜〜!〜〜⁉︎」

 

遠くでルーが何か叫んでいる様に聞こえるが、生憎と、彼女の周囲にいる艦載機にかき消されて内容が分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、自分の背後からの声はよく聞こえた。

 

 

 

 

 

「対空砲火…撃てえぇぇッッッ!」

 

 

 

 

勇ましさと凛々しさを併せ持つ声で号令をかけるのは、最近知り合った頼れる姉貴分。

 

 

 

 

 

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドド!

 

 

 

 

 

 

機銃の音がけたたましく響く。

尋常じゃない量の弾丸は弾幕となり、上空の敵機を一網打尽にする。

 

そして、声の主は陽介に近づくと肩に手を置き…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武蔵「待たせたな!あとは私たちに任せておけ!」

 

 

 

 

増援の到着を告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武蔵「睦月、卯月、夕立!花村を連れて下がっていろ!」

 

「「「了解!」」」

 

武蔵の指示を受けた駆逐艦たちが陽介に肩を貸し、後方へ下がる。

 

卯月「花ちゃん大丈夫ピョン⁉︎」

 

睦月「生きててよかったよぉ〜!」

 

夕立「顔中血まみれっぽい…!早く手当てしなきゃ!」

 

陽介(阿武隈)「…あんがとな。正直死ぬかと思った…」

 

睦月「どういたしまして!護衛は私たちがやるから休んでて!」

 

卯月「こっちに来た艦載機は全部うーちゃんが落としちゃうピョン!任せるピョン!」

 

夕立「花ちゃん、こっち来て!消毒とかするっぽい!」

 

陽介(阿武隈)「すまねぇ…後は頼む…」

 

ここで陽介の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

武蔵「よし、金剛!足柄!砲撃ヨーイ…撃てえぇぇッッッ!」

 

金剛「buining looove!」

 

足柄「この瞬間を待ってたわ!いっけぇぇぇッッッ!」

 

武蔵は後方へ下がる駆逐艦を確認した後、金剛と足柄と共に攻撃を開始する。

今回増援として来たのは、救援要請に向かった陽介の隊の駆逐艦、睦月、卯月、夕立。

そして、偵察終了後に出撃予定だった主力部隊の武蔵、金剛、足柄の6隻。

主力部隊が来たならば、空母ヲ級…それがたとえエリートクラスでも、それが一隻だけならば相手取るのは容易い。

ヲ級もそれには気付いており…

 

 

 

 

ヲ級(élite)(チィッ!戦艦ダト⁉︎不味イ…艦爆モ先ホドノ砲火デホボ全滅。此処ハ…)

「一旦退ク!」

 

ヲ級は、ルーに向かわせていた艦載機に指示を出し、『眼』と『盾』として運用する。

眼とした艦載機を通じ弾道を読み、躱しきれない砲撃は艦載機を犠牲にし、ベクトルを逸らす。

『船』だったあの頃ではまず出来なかった芸当。小さく小回りの効くようになった艦載機を脳波にリンクさせ、直感的に操作。

通常のAIによる操作とも合わせて脳への負担を極力減らし、ある程度距離をとったところで背を向け、全速で逃走する。

 

金剛「sit!このままじゃ逃しちゃいマース!」

 

足柄「もう私の砲じゃ射程圏外よ!」

 

逃走に全力を注ぐヲ級はあっという間に点となり、目視する事すら危うい距離まで進んでしまう。

だが、武蔵は余裕を崩さない。

 

武蔵「狼狽えるな!何の為の観測機だ?何の為の46㎝砲だ?奴の艦載機は制空権を放棄し、自らの守護に徹している。」

 

足柄「つまりなんだって言うのよ!」

 

武蔵「弾着観測射撃だ!」

 

 

武蔵は何時ぞやの演習の時と同じく観測機を放つと、眼鏡のスイッチを入れ、スカイビューアーを起動させ、前回は使用しなかった長距離弾着観測射撃補助システムも起動させる。

 

武蔵「危険だから離れていろ!」

 

金剛「言われなくてもデース!」

 

clothes observation shooting system set up(弾着観測射撃システム起動)

sign of enemy confirmation(敵影確認)

course prediction(進路予測)

spotting Simulate(弾着シュミレート)

elevation correction(仰角修正)

retry(再試行)

correction complete(修正完了)

countdown(カウントダウン開始)

 

−three

 

−two

 

−one

 

武蔵「全砲門、開けっ!」

 

−zero

 

武蔵「撃てえぇぇッッッ!」

 

ドゴォォン!

ドゴォォン!

ドゴォォン!

 

轟音と共に放たれる46㎝主砲。

もう既に見えなくなったヲ級めがけ、砲弾が空を割く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヲ級(élite)「ガハッ!ゴホッ、ゴホッ…自食改装(オートファジー)ノ副作用カ…危ナカッタ…戦闘中ニ発症シテイタラ…」

 

血を吐きながら撤退を続けるヲ級。どうやらエリートクラスへと改装する際に、自食改装(オートファジー)という技術を使ったようだ。

本来なら、艦娘と同じように資材を用意し、工廠にて改装を行うことでエリートクラス、フラグシップクラスへと改装されるのだが、

この自食改装という技術は、自らの臓器の一部を資材へと還元し改装を行うというもの。

発動すれば、正規の改装と同じように、基礎能力の強化。損傷や燃料、弾薬の回復。コンディションを平時の状態に戻すといった恩恵を得ることが出来るが、当然使用した部位は回復の対象にならず、また不完全な改装となる為、上昇したステータスは時間が経つにつれ減少していき、また、失った臓器によって身体に不調が現れるなど、あくまで一時凌ぎにしかならないのだ。

 

だが、それでも何とか逃げ切ったと、安堵の表情を浮かべ独り言を漏らすヲ級。

 

ヲ級(élite)「サテ…ココハ一旦切リ上ゲ軍本部ヘト帰投カ?仮泊地ノ始末モセネバ…」

 

彼女は今後について思案を巡らし、泊地へと舵を切る。

この時、彼女は完全に油断していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズゴォォォオンッッッ!

 

 

 

 

それは呆気ない幕切れだった。

射程外へ逃げたと完全に気を緩めていた。

ヲ級は知らなかった。

あの場には陽介以外にも、規格外(・・・)がいたことに。

 

武蔵の放った46㎝主砲はヲ級に着弾。炸裂した爆炎は一瞬のうちに彼女を轟沈させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武蔵「…敵空母の轟沈を確認。フッ、まぁこの程度、この武蔵にかかれば造作もない。」

 

金剛「Congratulations!」

 

足柄「やったわ!これで宇和海…いえ、瀬戸内海の制海権は完全に取り戻せたわね!」

 

武蔵「…で、後はお前だけだが?」

 

敵の指揮艦を沈めた武蔵。仲間の賞賛を受けつつも、警戒は解かずに最後の1人…彼女たちが到着して以降、傍観に徹していた戦艦ル級に視線をむける。

 

ルー「OK、降参。私ハアンタラト争ウ気ハ無イシネ。」

 

武蔵「敵意は無いと?」

 

ルー「ムシロアノゴーマンチキヲ沈メテクレテアリガトウッテ、オ礼ヲ言イタイクライヨ。」

 

武蔵「どういうことだ?」

 

ルー「チョットヒト…ジャナクテ空母ヲ探シテルノ。アンタガ沈メタヲ級ト同型艦ナンダケド、背ハチッチャイクセニ胸ハデカイオ子チャマ空母。ソノ子ヲ探シテル最中ニアイツラニ絡マレタノヨ。」

 

武蔵「…もしかしてあれか?」

 

ルーが武蔵に事情を説明している最中、小さな人影がこちらに向かってくる。

近づくにつれ、徐々にその姿がはっきりと確認出来るようになる。どうやら2人組のようだ。

 

ヲー「ルーチャーン!」

悠「おーい!みんなー!」

 

武蔵「お呼びだぞルーちゃん?」

 

ルー「マッタク…。コノバカヲー!ドコ行ッテタノヨ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヲー「ウェ〜ン!ルーチャーン!」

 

ルー「ハイハイ、見ツカッテヨカッタヨ。」

 

金剛「Reunion was fill with emotion デース!」

 

悠「感動的だな。グスン…でも何でみんないるんだ?」

 

夕立「ちょっと提督さん!そっちより花ちゃんの怪我を治してほしいっぽい!説明は後でするっぽい!」

 

悠「陽介の?」

 

ルーとヲーの感動的な再会に、御涙頂戴してた悠。だが、夕立に若干キレ気味に声をかけられる。すぐに気持ちを切り替え、そちらに向き直ると…

 

陽介(阿武隈)「」チーン…

 

悠「ウワァァァ!陽介ェェェ!!!」

 

睦月「さっさと回復するがよいぞ!」

 

卯月「早くペルソナ出すッピョン!」

 

 

 

番長メシアライザー中…

 

 

 

悠「…怪我は治ったが目を覚まさないぞ!」

 

卯月「死ぬほど疲れてるからだピョン。そっとしとくピョン。」

 

陽介に回復魔法をかけたが、強い疲労のせいか陽介は気を失ったままだ。

呼吸は安定しているので大丈夫だろう。

 

悠「そうか…。じゃあ陽介は俺が背負ってくよ。みんなお疲れ様!とりあえず帰投して、クマ隊も帰ってきたら報告会だ。ヲーとルーにも来てもらうが…いいな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・本棟・会議室〜〜

 

 

悠「じゃあ2人と一隻と3匹?は難民ってことでいいんだな?」

 

ルー「ソダネ。厳密ニハ違ウカモダケド、ソウイウ認識デ間違イナイヨ。」

 

あれから無事帰投し、陽介を鎮守府本棟の医務室に寝かせて来てから会議室に集まった一同。

ちなみにクマ隊は既に帰投しており、誰もいないと暇を持て余していた模様。

休んでいた天龍、龍田、龍驤も加わり、今はヲーとルーの身の上話を聞いて処遇を考えている最中だ。

へ級?イザナミとお茶してるよ?

 

島風「行くとこないんならここに住んじゃいなよ!いいでしょ悠⁉︎」

 

悠「うーん…しかしなぁ…」

 

ルー「私カラモ頼ムヨ。雑用クライシカ出来ナイケド、アノ暮ラシハ正直シンドイ。

ソレニ、モウ弾薬エネルギーモ切レチャッタシ…」

 

暁「私は嫌よ!こういうのししししんちゅ〜の虫って言うのよ!危険だわ!」

 

卯月「しが1個多いピョン。」

 

睦月「あと使い方も違うよね?」

 

暁「な、何ケチつけてんのよ!」

 

天龍「でもよ、ここまで関わっといて今更放っぽり出す訳にもいかねーだろ。」

 

足柄「うーん…やっぱり元の居場所に戻ってもらって、食料支援とかをしてく形が無難じゃないかしら?」

 

ヲー「イヤダヲ!アソコハ満足ニオ風呂ニモ入レナインダヨ!火ヲ点ケルノニモ一苦労ナノ!」

 

皆の意見は見事に分かれる。

がここで「みんな〜、クマの話を聞いてほしいクマ!」と、クマが手を挙げる。

 

悠「いいぞクマ、言ってみてくれ。」

 

クマ(球磨)「クマはここに住ませてあげたいクマ。みんなでいた方が楽しいクマ!

それに、クマは昔、クマがシャドウ…化物だってわかった時、クマはみんなと一緒に居られないと思ったクマ。それでも、センセイや陽介、特捜隊のみんなは優しく迎えてくれたクマ。

だから今度はクマの番クマ!」

 

悠「クマ…」

 

武蔵「しかし…お前とは事情が違う。深海棲艦とは、国、世界レベルで敵対しているんだぞ?」

 

クマ「ウグゥ…で、でも…」

 

クマの気持ちも分からなくはないが、それを一蹴する武蔵。彼女たち深海棲艦を匿うということは、最悪反逆者の烙印を押されてしまう可能性だってある。

が、そこに…

 

?「いえ!クマ様の仰る通りです!」ドアバァーンッ!

 

全体的に青い服装、そしてその上に、奥様方に人気の多機能エプロンを身につけたイケメンが派手な音を立てて会議室に乱入する。

 

悠「テオさん⁉︎」

 

テオドア「クマ様のお優しい心、私いたく感動しました!私からもそちらのお二人を此方でお雇いすることをお願い申し上げます。」

 

若干芝居がかったようなアクションを交え、2人を雇うよう、隈の浮かぶ目から涙を流し訴えるテオドア。

 

悠「…本音は?」

 

テオドア「もう1人で鎮守府の掃除は嫌なのです!姉上は端から端まで毎日全部1人でやれと!

ちょっとでも手を抜けば平手打ちされ全てやり直し!

サボろうものならメギドラオン!

お願いします悠様!どうか!情けを!私めにお情けを〜!」ドゲザ〜!

 

悠「ちょっ!テオさん⁉︎分かった!分かりましたから顔を上げて下さい!」

 

テオドア「っ!今分かったと言いましたね!」

 

悠「あっ!しまった!」

 

テオドア「言質!言質取りましたからね!今更無しとか言わないで下さいよ!」

 

悠「くっ…しかし…」

 

テオドア「ではルー様、ヲー様、これからよろしくお願いいたします。」

 

世にも珍しい力の管理者の土下座に、思わず言質を取られてしまう悠。

テオドアは有無を言わさない勢いで捲し立て、退室しようとし、去り際に一言。

 

テオドア「もし約束を反故にしましたら…」

 

悠「…しましたら?」

 

テオドア「ストライキ起こしますので。それでは失礼いたします。」

 

悠(ストライキなんて起こしたらマーガレットさんにフルボッコにされるんじゃ…)

 

言うだけ言って去っていくテオドア。

唖然とする一同。

 

龍驤「あ〜…提督はん?」

 

悠「なんだ龍驤…?」

 

龍驤「どないするん?」

 

悠「マーガレットさんになんとかしてもらうしかないだろ…」

 

ルー「ア〜…ナンダ?結局居テイイノカ?」

 

悠「…部屋を用意するから今日はとりあえず泊まっていってくれ…」

 

ヲー「ヤッタ!島風!鎮守府ノ案内シテ!」

 

島風「うん!じゃあね…最初は一階の間宮さんに行こう!」

 

吹雪「ちょっ⁉︎甘味処間宮は一般の方も利用するんですよ!マズイですって!」

 

悠「…フブキチ、島風とヲーちゃんのことは頼んだぞ。俺はマーガレットさんの所に行ってくる…」

 

吹雪「へ⁉︎ちょっ⁉︎おまっ⁉︎」

 

龍田「あら〜…心配だから私たちもついていきましょうか〜。」

 

天龍「おい、たち(・・)って何だ?俺もか⁉︎」

 

龍田「天龍ちゃんと龍驤さんのことで〜す♪」

 

龍驤「何ちゃっかりうちまで巻き込んでんねん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後めちゃくちゃ交渉した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・寮・悠の部屋・居間〜〜

 

 

悠「疲れた…」

 

あれからマーガレットとの交渉を終えた悠。

1日の仕事納めに、一癖二癖どころではないあの女傑との交渉は、悠の精神を疲弊させるには十分すぎる過酷な業務だった。

 

島風「ねぇ悠、大丈夫?」

 

悠「何とかな。だが、これでどうにかマーガレットさんに根回ししてもらえるよ。」

 

島風「じゃあヲーちゃんこっちに住めるんだね!」

 

悠「ああ、仲良くするんだぞ?」

 

島風「うん!」

 

悠(…うん。これで今回の任務は終了。色々あって疲れた…今日はもう寝よう…)

 

 

 

 

 

 

 

 

番長就寝…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「ふわぁ…」

 

武蔵「ん、おはよう。」

 

悠「おはよう武蔵。」

 

翌朝、総員起こしの10分前程に目が覚めた悠。

居間には、早朝ランニングの後にシャワーを浴びたと思われる武蔵が、朝の情報番組を見ながら寛いでいた。

 

武蔵「ああ、そうだ。マーガレットから封書を預かっているぞ。」

 

悠「封書?」

 

武蔵「ランニングの最中にな。見積書がどうとか言っていたな。」

 

悠「多分ヲーちゃんとルーさんの生活費なんかのだと思う。」ビリビリ

 

封を開け中を確認すると、思った通り、ヲーとルーの生活にかかる費用の見積書だ。

 

武蔵「あの2人の?」

 

悠「ああ、2人は深海棲艦だからな。生活費の予算はまず降りない。一般の職員として雇用するのも戸籍なんかが無いから無理。

だから2人の生活費は俺の給料から天引きすることになったんだ。」

 

武蔵「2人分だと結構な額になるんじゃないのか?大丈夫か?」

 

悠「何とかな。2人には悪いが、俺の給料で賄えるように本当に最小限にしてある。

…うん。概ね予想通りだ…な…⁉︎⁉︎」

 

武蔵「ん?どうした?」

 

見積書を確認している最中、突如絶句し、驚きと困惑の表情を浮かべる悠。

何事かと、武蔵は後ろから書類を覗き込む。

 

武蔵「なになに…食費に光熱費…まぁ良心的だな。最後に…事務手数料⁉︎」

 

内容はこうだ。

食費約3万円、

光熱費約1万5千円、

日用品等の雑費約2万円、

これが2人分で月々計13万円。

 

それになぜか事務手数料、一人当たり10万円。

 

もう一度言おう。事務手数料が一人当たり10万円である。2人分で20万円である。

 

もっと言うと、悠の今月貰うであろう初任給は、階級が新米少佐なので固定給30万に任務などの戦果褒賞をプラスし、そこから鎮守府での生活費や税金、年金、保険料などを天引きした額が手取りとなる。

 

恐らくだが…赤字になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「……………………………………………………」

 

武蔵「お、お〜い?悠〜?」

 

悠「マーガレットォォォッッッ!!キッサマァァァ〜ッッッ!!!」

 

ドアバァーン!ドォーントシメール!

 

ウオォォォォォ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武蔵「………行ってしまった…」

 

金剛「へ〜イ、goodmorning…とは言い難いネ〜…悠の大声で fresh morning air が台無しデース…」

 

島風「なに〜…?朝からうるさ〜い…」

 

武蔵「…あれだ。こういう時は、こう言うんだったな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武蔵「そっとしておこう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continue…




悠「待ちに!」
島風「待った!」
クマ(球磨)「給料日クマ〜!」

吹雪「とりあえず私は貯金を…」
悠「なんて保守的なんだフブキチ!水雷魂が泣くぞ!」
吹雪「え、えぇ〜?」

島風「えへへ〜♪なに買おっかな〜♪」
悠「島風はとりあえず服な?」

次回 ペルソナ4 the K.C.
待ちに待った給料日!

陽介(阿武隈)「俺も男もんの服買わねーとだな。」
悠「陽介はその前に俺と一緒に参考書を見に行こう。」
陽介(阿武隈)「何でだよ⁉︎嫌だよ!ふざけんなよ!」
悠「陽介が大学落っこちたら親御さんにどう言えばいいんだ!」
陽介(阿武隈)「知らねーよ!お前は俺の先生かっ⁉︎」


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第十六話 待ちに待った給料日! 前編

2月・3月は忙しかったのよ…どうもです。黒城です。
お久しぶりの本編更新。今回はヲーちゃん編の後日談的な話。この話で第3章が終わりかな?まあ、前後編に分けちゃうんですけどね!間開けすぎてヤバいからね!(泣)
2月と3月は艦これの光作戦とリアルのケ号(決算・研修)作戦でした…ちゅらいね…。
最低月一投稿のペースを取り戻したいですね…
ではお楽しみ下さい。


〜〜陽介の精神世界〜〜

 

 

陽介「これは…夢か?思い出せ。あれからどうなった?

確か、敵のカウンターを喰らって…爆撃されそうなところで助けが来て…

そうだ、それで安心して気絶したんだっけ…」

 

?「よ…け……君…」

 

 

陽介「しっかし、何だこりゃ?俺の姿は男に戻ってるし…まあ夢だからこれがむしろ普通か?

そんで?あっちにジュネス、こっちにゃ小西酒店、あれは八十神高校、堂島さん家に藍屋、完二ん家の反物屋にりせちーの豆腐屋、天城旅館、相棒と殴り合った鮫川の河川敷を挟んでずっと向こうは…昔いた街か?

そんで俺の現在地は…鎮守府の屋上か…」

 

?「よう…す…く…」

 

陽介「そんでもって…学校の方角から聞こえるのは俺を呼ぶ声。…まさかシャドウじゃねーだろうな?

…よっし!うだうだしてても仕方ねー!声のする方に行ってみっか!」

 

 

 

 

 

 

〜〜精神世界・八十神高校・武道館〜〜

 

 

陽介「ここは武道館か。そーいや柔道の授業でしか来たことねーな。」

 

?「むぅ〜…!遅いんですけど〜!早くこ〜い!」

 

陽介「なんか最近聞いた声だな…。し、失礼しまーす。」

 

?「あっ!やっと来た!ずぅ〜っと、あなたを呼んでたんだよ!」

 

陽介「お、お前は⁉︎」

 

?「でもようやく会えた。私は長良型軽巡洋艦・6番艦の阿武隈。よろしくね。」

 

陽介「あ、ああ。よろしく。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿武隈「さて!今まで沈黙を守っていた私が、こうして夢の中であなたを呼んだ理由…分かる?」

 

陽介「いや、ちっとも分かんねーよ!つうか君は何なんだ⁉︎」

 

阿武隈「だから〜!私はあなたなの!あなたがこっちの世界に来る時、あなたの身体が阿武隈になった事で、私の魂も一緒に呼ばれたの!つまり、あなたと私は二心同体なの!」

 

陽介「ま、マジか…。つまり君は俺の新しいペルソナみたいなもんか?」

 

阿武隈「残念だけど、私はペルソナとしての力はおろか、艦娘の力も持ってないの。」

 

陽介「そりゃなんで?」

 

阿武隈「陽介君の心がパンクしちゃうから。ペルソナなんて大っきな力を抱えてるのに、そこに何百人っていう軍人と軍艦の力…要は艦娘の力をまるまる入れたら、陽介君の心は耐えられない。

だから今の私が持ってるのは、大戦での記憶と軍人としての経験だけなの。」

 

陽介「なるほど。」

 

阿武隈「ここまで言えば、なんであなたを呼んだか分かるでしょ?」

 

陽介「…ごめん。ちっとも分かんね〜。」

 

阿武隈「むぅ〜!つ・ま・り!あなたが怪我すると私も痛いの!陽介君、ヲ級に鼻折られたでしょ?あれ、私もものすご〜い痛かったんだから!」

 

陽介「俺が弱かったからだな…悪ぃ…」

 

阿武隈「…陽介君は弱い訳じゃないよ。君は、人との戦い方を知らないだけ。

陽介君は、スサノオのことをどれ位知ってる?」

 

陽介「えーと、確かイザナギの息子でアマテラスの弟。あとは…天の岩戸の原因ってことと、ヤマタノオロチを倒したってくらいか?」

 

阿武隈「それだけ知ってれば話は早いね。

今の陽介君は、スサノオに頼って剣を振ってるの。スサノオの剣技はきっと凄かったんだろうけど、天の岩戸伝説とヤマタノオロチ伝説の知名度が大き過ぎて、対怪物用の剣になっちゃってるの。

天の岩戸のお話は剣術関係ないし、ヤマタノオロチの時も酔わせて倒したせいもあって、スサノオの剣の腕は一般的には不明瞭なの。

それに、陽介君が今まで戦ってきたのもシャドウっていう化物でしょ?だから何とかなっちゃってて、ちゃんとした剣術を学ぶ機会が無かったってことだね。」

 

陽介「なるほどな。そりゃ負けても当然か。てか、何で俺のことをそんなに知ってるんだ?」

 

阿武隈「言ったでしょ?今の私はあなたでもあるの。だから、浅い所にある記憶とか知識は私でも観れたんだ。あ!心配しないで!人に知られたくないような大事な記憶や想いは観れなかったから!」

 

陽介「おい!てことは観ようとはしたんだな!」

 

阿武隈「えへへ…」

 

陽介「笑って誤魔化してんじゃねーよ!」

 

 

 

 

 

 

 

陽介「はぁ…で?途中で話が逸れたが、結局俺に呼びかけた理由は?」

 

阿武隈「あ、そうだった。今までの話を聞いて、陽介君は自分に足りないものが何か分かったかな?ていうか、分かってくれないと困るんだけど…」

 

陽介「あ〜…あれか?剣術の基礎?」

 

阿武隈「正解!というわけで、陽介君にはこれから毎晩夢の中で私と特訓です!」

 

陽介「………は?」

 

阿武隈「やっぱりこういうのは、口だけじゃなくてちゃんと型を見てもらった方がいいと思うの!百聞は一見に如かずって言うしね!」

 

陽介「ちょっ〜と待ってください阿武隈さん!睡眠っていうのは体を休めるだけじゃなくて、記憶の整理とか脳を休めるとか色々あるんですよ?」

 

阿武隈「なんで急に敬語?まあいっか、そろそろ起きる時間みたいだしね。

じゃあね陽介君!また夢で待ってるよ!」

 

陽介「おい!待て!ただでさえ忙しいのに夢の中まで特訓って!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府・本棟・医務室〜〜

 

 

陽介(阿武隈)「ふざけんな〜!」ガバッ!

 

悠「うおっと!ビックリした!」

 

陽介(阿武隈)「ん?あれ?悠か。えっと、ここは…?」

 

悠「鎮守府の医務室だ。しかしいきなり飛び起きるなんて、なんか変な夢でも見たか?」

 

陽介(阿武隈)「いや、すまん。ちょっとな。」

 

陽介が飛び起きると、そこは鎮守府の医務室。傍には様子を見に来ていた悠がおり、叫びながら飛び起きた陽介を心配そうに見つめている。

 

陽介(阿武隈)「あ〜…どんくらい寝てた?」

 

悠「…大体21時間くらいだな。」

 

悠は時計を確認し、逆算する。ちなみに現在時刻は午前9時。

 

陽介(阿武隈)「ほぼ丸一日じゃねーか…任務はどうなったんだ?」

 

謝罪もそこそこに、現状の確認と事の顛末を悠に尋ねる陽介。

 

悠「ああ、無事に終わったよ。陽介以外はな。どうしてあんな無茶したんだ?一歩間違ってたら死んでたぞ?」

 

陽介(阿武隈)「すまん…無茶っつーか、最初は1人でどうにかなる計算だったんだけどさ…敵の指揮官がやたら強くてな…」

 

悠「陽介がそこまで言うか…」

 

陽介(阿武隈)「ああ、お前も気をつけろよ?今回の一件で分かったが、相手はシャドウでも化け物でもない。

確固たる意志を持った''ヒト''だ。」

 

悠「ああ、分かっている。だが、だからこそ話し合えば分かり合えるんじゃないか?」

 

陽介(阿武隈)「…本気で言ってんのか?」

 

悠「勿論だ。ちゃんと証拠もあるぞ?」

 

陽介(阿武隈)「証拠?」

 

悠「ああ、陽介が共闘した深海棲艦の戦艦がいただろ?あの人とその仲間の空母を非合法だが難民としてうちで受け入れる事にした。」

 

陽介(阿武隈)「ああ〜、ルーさんだったか?はぁ、マジか。まあ確かにあの人はなんか普通だったな。

はぁ…でもな?1つだけ言わせてくれ。」

 

悠「なんだ?」

 

陽介(阿武隈)「足立の時みたいに1人で突っ走るのだけはやめろ。あの時はあいつが見逃してくれたから良かったが…」

 

悠「分かった。約束する。」

 

陽介(阿武隈)「頼むぜ相棒?」

 

そうして2人はどちらともなく手を出し、指切りの代わりに握手をする。

 

 

 

 

 

悠「…こうして触ってみると本当に女の子の手なんだな。」

 

陽介(阿武隈)「はぁっ!アホかっ!気色悪い事言うんじゃねーよ!離せ!」

 

 

…締まらない2人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府・寮〜〜

 

 

それから、「腹減った〜」と陽介が言うので、館内放送で皆に陽介が目を覚ました事と、今後の話し合いをするために会議室に集合するように伝えると、念のため2人で寮に向かう。

 

寮に着くと、寮の前に海軍ジャージを着た1人の女性が立っていた。

 

ルー「ヨッ。」

 

深海棲艦のルーだ。どうやら2人を待っていたよう。

 

陽介(阿武隈)「よっ。って、あんたは確か…仲間を探してた…ルーだったか?」

 

ルー「覚エテテクレタンダネ。」

 

悠「どうしたんだ?出迎えに来てくれたのか?」

 

ルー「マア、ソレモアルケド、一応オ礼言ットコウカナッテ。アイツラ倒スノハ1人ジャ無理ダッタ。アンタカラ見タラ私モ敵ノ筈ナノニ、手ヲ貸シテクレテアリガトネ。」

 

陽介(阿武隈)「なんだそんなことか。それならこちらこそだ。あんたがいなかったら嬲り殺しにされてた。サンキューな!」

 

お互いに礼を言い合い微笑む2人。和やかな雰囲気で何よりだ。

 

悠「よし、じゃあ俺は一旦執務室に戻って資料のコピーとか取ってくるから、陽介はみんなが集まる前に朝飯食べちゃってくれ。」

 

陽介(阿武隈)「おう、ここまで付き合わせちまって悪かった。じゃあ2人ともまた後でな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府・本棟・会議室〜〜

 

 

時間が少し飛んで会議室。

皆席に着いているが、陽介とチビたち4人は未だにじゃれ合っている。(実際は陽介が一方的に髪を弄られているのだが)

あの一件で懐かれてしまったようだ。

 

悠「おーい?そろそろ始めるから着席してくれ〜。」

 

「「「「はーい!」」」」

 

悠「よし!じゃあ始めるか!天龍、龍田、これを皆に配ってくれ。」

 

仲良くするのは大いに結構だが、放っておくと会議が始められそうにないので一声かけてから、傍に控えていた天龍と龍田に指示を出す。

 

龍田「あら〜!これって給与明細ね〜!じゃあ、お名前呼ぶから呼ばれた人は取りに来てね〜。」

 

悠「ヲーちゃんとルーさんは給料は無いが、日常生活に必要な物を揃えさせたから、会議が終わったら天龍と龍田と一緒に酒保に行ってくれ。」

 

「「「「!!!!」」」」

 

給与明細という言葉に過剰反応する約4名。

言わなくてもわかると思うが、まあ、中高生組だ。

大人組は慣れているのか、特にリアクションは無し。

チビたちは「給与明細ってなにピョン?」みたいな感じでイマイチ分かっていないようだ。

 

天龍「よーし!呼ぶぞ〜!まずは武蔵!お疲れ!」

 

武蔵「うむ、貰っておこう。」

 

龍田「フブキチちゃーん?」

 

吹雪「はい!ありがとうございます!」

 

天龍と龍田が給与明細を皆に配っている間、悠はホワイトボードに何かを書いている。

 

しばらくして、給与明細を配り終えると同時に、悠の作業も終わったようだ。

 

悠「配り終わったな?今日集まってもらったのは給与明細を配るだけじゃない。

今後の予定なんだが…」

 

悠は、ホワイトボードに書いた今後の予定を順に説明していく。

 

悠「まず、今回の任務で瀬戸内海を脅かす深海棲艦の部隊を潰すことができた。

が、残党がいないとも限らないし、また別の部隊がいるかもしれない。

なので今日から一週間は特別哨戒として、日中だけでなく夜間の哨戒も行うことにしようと思う。」

 

吹雪「夜まで哨戒ですか…また何で?」

 

龍田「んー、フブキチちゃん?統率力と兵力を失った残党たちが昼間に活動したらどうなりますか〜?」

 

吹雪「えっ?えーと、哨戒してる私たちと戦闘ですか?」

 

龍田「半分正解。多分戦闘と呼べるものにはならないわ。あえて言うなら…''駆除''かしら?」

 

吹雪「あはは〜…そうですか…」

 

龍田「つまり、それだけ戦力に開きがあるの。ルーさんの話だと、敵の部隊の主力は軒並み潰したそうよ。

そんな状態で、指揮を取れるレベルの深海棲艦が生き残ってたら、発見されやすい昼間に動くかしら?」

 

吹雪「なるほど。私たちの目をかいくぐるために夜に動くわけですね!」

 

悠「正解だフブキチ。

と言うわけで…日中の哨戒は、龍驤を旗艦として、フブキチ、暁、夕立、睦月、卯月の6名で。

夜間の哨戒は、俺を旗艦に、金剛、足柄、天龍、龍田、陽介で行う。

島風とクマは、みんなの疲労や怪我などの状況によって適時交代してもらう。

武蔵は、夜間の哨戒中の間は提督代理として権限を委託させてもらう。

ここまでで何か質問はあるか?…特に無いなら次にいくぞ。」

 

 

いつの間に決めていたのか、悠はこれから一週間行う特別哨戒の人員の割り振りを皆に伝える。

日中は敵との遭遇率が低いことを考慮し、艦載機による索敵の可能な龍驤をメインに、経験値の少ない駆逐艦たちを。

夜間は戦闘が予想されるため、悠を筆頭とした戦闘経験のある主力メンバーで固めてある。

状況に応じて柔軟に対応するために、強力なユニットである島風とクマをあえて控えに回し、夜間に悠が不在の間、万が一の際に指揮を執ることのできる武蔵を提督代理に据える。

皆もこの人事に不満は無いようで、特に質問なども無く、会議は次へ進む。

 

 

悠「この一週間はキツイだろうが、みんなで頑張ろう。特に夜間の哨戒担当は、生活のリズムが崩れてしまうかもしれないが何とか乗り越えていこう。

そして、この一週間を越えたら…」

 

悠は皆に檄を飛ばしながら、クルリとボードを回転させ、面を変えると…

 

悠「やーすーみーだあぁぁぁ!!!」

ババーン!!

 

 

 

 

 

 

 

金剛「Hey!悠!どういうことネー⁉︎」

 

悠「そのまんまの意味だ!この鎮守府に来てから、今までみんな休み無しで頑張っていたからな!給料も入ったことだし、一週間後、哨戒が終わった翌日から二日間、完全に休みとする!

もちろん外出もいいぞ!」

 

「「「「「「「イェーイ!!」」」」」」

 

金剛(お出かけeventキター!)

 

悠の休み宣言に皆が歓声を上げる!

特に未成年組のテンションがスゴい。

 

悠「ただし!外出についてはちょっと条件をつけさせてもらう。

先ず初日は、中高生組…俺、陽介、クマ、島風、フブキチ、天龍、龍田で街の情報を集め、2日目はその情報を基に大人組と子供組で出かけてもらう。大人組は子供たちの世話を頼んだぞ?」

 

金剛(What!)

 

夕立「あれ?もしかして私も子供組っぽい⁉︎

ちょっと待って提督さん!」

 

悠「ならそのぽいぽい言うのをやめなさい。」

 

夕立「私のアイデンティティと引き換えっぽい⁉︎」

 

 

 

ギャーギャー!

ポイポイ!

 

 

 

 

金剛(…確かにこの組分けは一見するとefficientデース。でも乙女の Six senseだとどうも釈然とシマセーン…。

駆逐艦のお世話なら、very attachedな花ちゃんが妥当なはず。

…もしかして…avoid me(避けられてる)⁉︎)

 

悠と夕立が年齢について口論する中、金剛は、休日の組分けについて考えこむ。

果たして、悠の考えには裏があるのか?

金剛の推測は当たっているのか?

彼女の恋路に霧が立ち込める。

 

金剛(考えれば考えるほどthink negative デース…こうなったらdirectに…!)

「Hey!悠!お出かけのcastingなんだけど…

 

悠「とにかく!これについては、万が一の際の為の戦力の確保も兼ねてるんだ!異論は認めないぞ!

俺はこれから漁協に報告に行くからこの件について話があるなら帰って来てからにしてくれ。」

 

夕立「むぅ〜!夕立子供じゃないのに!胸のカップサイズだってC寄りのBっぽい!」

 

悠「聞いてないから!だいたい胸のサイズなんて言ったら…」チラッ…

 

龍驤「あぁ?なんや?なんでこっち見たんや?」

 

悠「いや!なんでもない!今話したことはプリントにまとめてコピーしたのがあるから各自持っていってくれ!解散!」

 

 

 

 

 

 

 

金剛「Oh…sit…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第十六話 待ちに待った給料日!後編

ギリギリセーフ!どうもです。黒城です。
今回はアンケートの結果を踏まえて、島風、龍田、金剛のコミュ回。
と見せかけて何故か陽介の説教回でもあります。

ちゃんとコミュが進んでるようにかけてるか不安…。




〜〜佐伯港・佐伯市漁業組合事務所〜〜

 

 

悠「というわけで、無事に敵の指揮艦を沈めることが出来ました。ですが、残党がいないとも限らないので、これから1週間は夜間にも哨戒と偵察を行います。

漁の再開は安全を確認できてからということでお願いできますか?」

 

豪旗「ああ!本当に、本当にありがとう!

感謝するぞ鳴上提督!」

 

皆に今後の予定を伝えた悠は、依頼の完遂を伝えるために漁業組合に来ていた。

これに、組合長の豪旗は大変喜び、電話を手に取り漁師仲間に片っ端から電話をかける。

 

豪旗「おい!漁の再開の目処が立ったぞ!

ああ、あの若いのがやってくれたわ!ガッハッハッ!おう!船や網の手入れをしとけよ?

1週間後だ!間違えるんじゃねえぞ!」

 

本当に嬉しそうに笑いながら電話をかける豪旗。悠もそれを見て嬉しくなる。

 

悠「では、俺はこれで失礼しますね?また何かあったら鎮守府の方に連絡下さい。」

 

豪旗「ん?おぉっと⁉︎お前さんのことを忘れとったわ!うむ、また何かあったら頼らせてもらうからの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府・寮・談話室〜〜

 

 

金剛「Hmm…」

 

足柄「何よ、難しい顔しちゃって。どうしたの?ライバルのよしみで聞いてあげてもいいわよ?」

 

 

所変わって寮の談話室。ソファーに座る何やら思案顔の金剛を見かけた足柄は、何事かと声をかける。

2人は悠を巡るライバルではあるが、足柄は元々気さくで世話焼きな性格なため、少しくらいは話を聞いてあげようと思ったようだ。

 

 

金剛「Ms.fryerデスか。実は最近、悠に避けられているんじゃないかと…」

 

足柄「…話が進まないから私の呼び方についてはとりあえず不問にしてあげるわ。

それで、避けられてるって?何かしたの?」

 

金剛「ま、まぁ…causeの心当たりはありますネ。」

 

足柄「一体何したのよ?彼に避けられるって相当よ?」

 

金剛「You want to hear my story?」

 

足柄「分からないわけじゃないけど、ちょいちょい英語で話すのやめてくれる?正直面倒よ。」

 

金剛「Oh sorry. 」

 

足柄「はぁ…まあいいわ。話してもらえる?」

 

 

金剛回想中…

 

 

金剛「というわけデース…」

 

足柄「うん。避けられて当然。欲望に身を任せてはいけないといういい事例ね。」

 

金剛「そこまで言う必要ありますカー?」

 

足柄「あるわよ?とりあえずあなたのおかげで過度な性的アプローチは逆効果ってことが分かったわ!」

 

金剛「What⁉︎」

 

足柄「貴重な情報ありがとう!よーし!これで戦えるわ!」

 

金剛「ちょっ!」

 

金剛はしまったと思った。

足柄は相談に乗るふりをして、悠の情報を自分から聞き出そうとしていたのだと。

そう彼女は考えたのだが…

 

足柄「さあ!作戦を考えるわよ〜!

あ、そうだ。ねぇ金剛?今のあなたに出来るのは、地道に信頼を取り戻すことよ。

まずは鳴上提督に謝ることから始めたらどうかしら?

話を聞く限り、提督にはまだ謝ってないんでしょ?」

 

金剛「!!」

 

足柄「敵に塩を贈るのはこの辺にしときましょうか。じゃあね金剛!最後に笑うのはこの足柄よ!」

 

足柄はきちんとアドバイスを残して去っていった。なんだかんだ言って狼は身内には優しいのだ。

 

金剛「Thank you 足柄…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯市・駅前商店街〜〜

 

 

 

悠「うーん、佐伯市はあんまりおっきな街じゃないみたいだな。」

 

陽介(阿武隈)「商店街はしっかりしてるが…俺らが遊ぶようなとこじゃねぇな。」

 

 

あれから時間が飛んで1週間。

当初の予定通り鎮守府から街に遊びに来た鳴上提督一行。(ちなみに皆の服装は島風のみジャージ。他の皆は普段の制服である。)

哨戒任務も滞りなく終わり、何故か鎮守府前まで延びていた市営バスの路線をありがたく使わせてもらい、とりあえず駅前に来てみたが…

 

 

島風「ゆ〜う〜、つまんなーい!」

 

 

そう、若者の琴線に触れるものが少ないのだ。

 

八百屋に魚屋、精肉店、金物屋から駄菓子屋まで、昔ながらの商店街といった趣であり、オサレな雑貨屋やカフェなんてものはもちろん、ゲーセンなんかも残念ながら無いようだ。

悠個人としては、昔からありそうな老舗っぽい洋食屋や、ハイカラな喫茶店、いかにもな町のケーキ屋さん、怪しい骨董屋など、行ってみたいお店もあったのだが、今回は集団行動な為、フラリと立ち寄るなんてことも出来ずに、内心歯痒い思いをしていたりもする。

 

悠(後で1人で来るか…)

 

とりあえず一通り商店街を見て回った一行は駅前に戻り、どうしたものかと悩んでいると…

 

 

天龍「おーい!」

 

天龍が何か見つけたのか、手を振りこちらを呼んでいる。

 

龍田「どうしたの天龍ちゃん?」

 

天龍「おう!これ見てくれよ!」

 

吹雪「ワオンモール行きのバス停ですね。」

 

悠「ワオンモール?」

 

龍田「確か…大型商業施設の名前だったような…」

 

陽介(阿武隈)「ふーん、そこなら色々あるんじゃね?」

 

クマ(球磨)「てきじょー視察クマね!」

 

陽介(阿武隈)「お前はジュネスの回し者か…」

 

悠「じゃあここに行ってみるか。」

 

島風「さんせー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜ワオンモール〜〜

 

 

島風「うお〜!大っきいね〜!」

 

悠「確かに…かなりの敷地面積だ。」

 

吹雪「鎮守府より大きかったりするんですかね?」

 

バスに揺られること15分。

駅から離れた郊外に作られた商業施設、『ワオンモール』に着いた一行。

手近な入り口から中に入り、まずはパンフレットを探す。

 

悠「お、あったあった。」

 

島風「悠、最初はどこに行くの?」

 

悠「そうだな。まずは腹ごしらえしたいんだが、みんなはどうだ?」

 

午前中は商店街を散策していたため、ワオンモールに着く頃にはちょうどお昼時となっており、それなりに歩いてもいた一行は、皆お腹が空いているのか、特に反論もなく悠の持つパンフレットを全員で覗き込んで、どこ行く?何にする?などと姦しく騒ぎ始める。

 

悠「ちょっ⁉︎ほら!近いから⁉︎自分らでパンフもらってこい!」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜フードコート〜〜

 

 

なんだかんだ騒いだが結局意見がまとまらず、フードコートで各々好きなものを食べようということになった。

 

悠「島風は牛丼でいいのか?」

 

島風「うん!テレビで速いって言ってたもん!どれくらい速いのかな〜?」

 

悠「速さ基準なのか…」

 

天龍「あん?速さなら蕎麦の方が速いんじゃねーの?」

 

島風「えー?でも蕎麦って茹でるじゃん。」

 

天龍「ばっかお前、蕎麦茹でんのなんてチョチョイのチョイだっての。」

 

龍田「正直どっちでもいいわ〜。私は何にしようかしら?」

 

ある程度フードコート内は混んでいたが、無事に席を取ると、皆それぞれが食べたいものを求めて散り散りになる。

 

島風「悠!牛丼行こ!」

 

悠「え?俺も牛丼なのか?」

 

島風「ほら、早く早く!」

 

 

お昼チョイス中…

 

 

「「「いただきまーす!」」」

 

各々好きなものを買ってきて、全員揃ってから食べ始める一行。

悠と島風は牛丼。悠はフライドチキンのお店をチラチラと見ながらも、島風に引きずられ仕方なく同じメニューに。

陽介はビフテキ。ここなら里中に食われずにすむとのこと。

クマはラーメン。はがくれのラーメンの方が美味しかったクマー、と余計なことを言いながらズルズルと麺を啜っている。

吹雪はハンバーガー。普通だ。

龍田はS◯UW◯Y的なサンドイッチ。エビとアボカドメインで野菜たっぷりヘルシー。

天龍はてっきり蕎麦かと思っていたが、パスタにしたようだ。アサリが入っているのでおそらくボンゴレだろう。

 

 

 

「「「ごちそうさまでした〜!!!」」」

 

 

食事を終え、これからどうするかと、再びパンフレットを開き話し合う。

 

悠「島風に服を買ってやらなきゃなんだよな〜。」

 

陽介(阿武隈)「確かにあの痴女みたいなのとジャージだけじゃマズイよな。」

 

悠「あとは参考書も買わないとだし。」

 

陽介(阿武隈)「え?」

 

龍田「あら、じゃあ私たちが島風ちゃんの服を見繕っておくから、提督と花ちゃんは本屋に行ってきていいわよ?」

 

陽介(阿武隈)「ちょっ!なんで参考書⁉︎」

 

悠「だって俺たち受験生だし。」

 

陽介(阿武隈)「いや、今は俺艦娘…」

 

悠「元の世界に帰った時に今まで勉強した分忘れても知らないぞ?」

 

陽介(阿武隈)「…いや、まあ、そうだけどさ、え?マジで言ってんの?」

 

悠「泣き付かれても俺は知らないぞ?」

 

陽介(阿武隈)「だーッ!分かった!勉強すりゃいいんだろ!はぁ…」

 

悠「まあ、面倒と思うかもしれないがやっておいて損はないしな。じゃあ島風を頼んだぞ?」

 

龍田「任せてください。」

 

天龍「うっし、じゃあ俺も島風に服選んでやるよ!」

 

吹雪「私も何か買おうかな〜。」

 

陽介(阿武隈)「クマはどうする?」

 

クマ(球磨)「勉強はクマ分かんないから島風ちゃんの方に行くクマ。」

 

悠「よし、じゃあ俺たちは書店に向かうか。集合はどうする?」

 

天龍「この中央広場でいいだろ。」

 

悠「分かった。ここに…そうだな買い物が終わってなくても3時に一旦集まろう。」

 

 

 

 

 

〜〜凸屋書店〜〜

 

 

一旦皆と別れ、陽介と共に書店にやってきた悠。参考書を手に取り元の世界の物と比較し、役に立つかどうか品定めしていく。

 

悠「どうやら理数系の科目と現国は使えそうだな。」

 

陽介(阿武隈)「やっぱ歴史は完全に別モンだな。これ見ろよ、こっちの世界じゃアーサー王が実在してたらしいぜ?」

 

悠「あはは、んな馬鹿な…マジだ⁉︎」

 

衝撃の世界史である。

 

悠(読み物として買っていくのもありかな…)

 

2人で見て回ったため、あまり時間はかからずに使えそうな参考書をピックアップできた。

だが、これはあくまで建前だ。悠は陽介に、確実に2人だけで話したいことがあったため、このような手段を選んだのだ。

 

悠「なあ、陽介。」

 

陽介(阿武隈)「ん?どした?」

 

悠「こっちの世界に来てから仲良くなった子はいるか?」

 

陽介(阿武隈)「ん〜…そうだな、チビたちもそうだけど、フブキチとはよく連んでるな。」

 

悠「そうか。…じゃあ陽介はフブキチのことをどう思ってる?」

 

陽介(阿武隈)「どうって…友達とか同僚とか?そんな感じだけど?」

 

悠「じゃあ恋愛感情は?」

 

陽介(阿武隈)「はぁ?別にねーけど?てかなんだよ?急に変なこと聞いてきて。どした?」

 

悠「…俺たちはいつか元の世界に帰るだろ?」

 

陽介(阿武隈)「まあ、そりゃな。」

 

悠「その時、仲よかった子と別れる時どうなる?」

 

陽介(阿武隈)「は?まぁ、泣きながらお別れ言ってさようなら?」

 

悠「それが恋人だったら?」

 

陽介(阿武隈)「そりゃあ………ああ、そういうことか。」

 

悠「ああ、今生の別れになる。

俺が八十稲羽からまた都内に戻った時…あれも確かに『別れ』だったが、あれはまた会えるっていう確証があった。

だが、この『別れ』は2度と会うことが出来ない。間違いなく悲恋になるだろう。」

 

陽介(阿武隈)「あれか?金剛のアプローチを上手くかわしてんのも…」

 

悠「あまり仲良くなりすぎても別れが辛くなるからな。なら、最初から一定の距離感で接すれば…」

 

陽介(阿武隈)「おい、ちっと歯ぁ食いしばれ。」

 

悠「は?」

 

パァンッ!

 

悠「痛ッ!急に何するんだ⁉︎」

 

陽介(阿武隈)「お前なぁ!それじゃあ金剛の想いを踏みにじってんのと同じだぞ!

適当にいなして、気持ちに気付かないフリして!それでもあいつが諦めずに向かってきても、まともに向き合わない!それこそ悲恋じゃねーか!」

 

悠「別にそこまでは言ってないだろう!」

 

陽介(阿武隈)「言葉にしてないだけだろうが!向き合えよ!俺と殴りあった時みたいに!

真っ正面から今俺に言ったことぶつけてみろよ!別れが辛くなるからお前とは付き合えないって!」

 

悠「だが、それで金剛がショックで戦えなくなったらどうする気だ!今の俺は学生じゃないんだ!海軍提督という責任ある立場なんだぞ!戦力の穴はどうする?」

 

陽介(阿武隈)「責任なんて言葉使って逃げてんじゃねーよ!いいぜ、もしそうなったら俺が金剛の分まで戦う。それでいいだろ?」

 

悠「陽介…なんでそこまで…」

 

陽介(阿武隈)「…今のお前は少なくとも、俺が憧れた『鳴上悠』じゃない。

海軍提督なんてもんに自分らしさを潰されたただの学生だ。

俺が憧れた、尊敬した『鳴上悠』は、人の気持ちに正面から向き合って、他人の悩みを自分のことのように悩んで、そいつの想いを全部受け入れる。そんな人間だ。

海軍?提督?それがどうした!

悠!そんなんに惑わされて真実を、自分らしさを見失うな!

お前がその責任を背負いきれないなら、俺も一緒に背負ってやる!だから真実から逃げんな!」

 

悠「…陽介、ありがとう。そうだな、俺らしくなかった。知らないうちに責任に潰されかけてたみたいだ。金剛ともちゃんと向き合ってみるよ。」

 

陽介(阿武隈)「へへっ!気にすんな!それよりだな…周りの目が〜…」

 

悠「あ…」

 

 

さっさと参考書を買って、逃げるように書店を出た。

 

悠(どうしよう、もうあの店使えない…)

 

 

 

 

 

 

〜〜中央広場〜〜

 

 

書店であんなことがあったため、予定よりずっと早く集合場所に来てしまった悠と陽介。

どうしたものかと、とりあえず手荷物を近くにあったコインロッカーに入れ、話し合った結果、島風たちがいるであろうショップに行ってみることにした。

 

 

〜〜ファッションエリア〜〜

 

 

悠「うーん…たくさんショップがあるな。」

 

陽介「あいつらもそんな金持ってねーだろうし、ファストファッションの店に行ってみようぜ。」

 

パンフを頼りにお目当の店に行くと、店内から聞き慣れた声が聞こえてくる。どうやら当たりのようだ。

 

島風「あれ?悠どしたの?」

 

悠「買い物が早く終わっちゃってな。こっちの様子を見に来たんだ。」

 

龍田「あら鳴上提督、丁度良かったわ。今何着か選んで試着して貰おうと思ってたとこなの。提督も見てもらえるかしら?」

 

悠「ああ、もちろんだ。」

 

図らずも島風のファッションショーを見ることになった悠。

2人は試着室へと入っていく。

 

待ってある間はヒマなのだが、陽介の声が聞こえた方に視線を向けると、

 

 

店員「彼氏さんにですか〜?」

 

陽介(阿武隈)「いや、自分のですから。」

 

店員「あら!こちらはmen'sの売り場ですよ!ボーイッシュなのが好みならちゃんとこちらにご用意してありますからね!」

 

陽介(阿武隈)「いや⁉︎いいですから⁉︎」

 

店員「さっ!行きましょう!お客様は可愛らしいですからね!きっとなんでもお似合いですよ!」

 

陽介(阿武隈)「ちょっ⁉︎ほんといいですから⁉︎おい、引っ張るんじゃねぇよ!話聞けよ!」

 

 

 

悠「そっとしておこう。」

 

 

 

それから程なくして、試着室のカーテンが開き、ジャージから着替えた島風が出てくる。

 

島風「どうかな悠?」

 

1着目はTシャツにホットパンツ。

元気で活発な島風に良く似合っている。

 

悠「うん、良く似合ってる。島風は足が綺麗だからな。いいんじゃないか?」

 

島風「へへっ!ありがとっ!じゃあ次ね!」

 

再び試着室に戻ると、次の服に着替える島風。

 

島風「じゃーん!どう?」

 

お次はフリルの付いたブラウスにロングスカート。普段の島風とは違う、清楚なお嬢様スタイルだ。

 

悠「へぇ、こういうのも良いな。よそ行きの服にぴったりだ。」

 

島風「ふへへ///ありがとっ!」

 

褒められて照れる島風は、三度試着室に戻り着替える。

 

島風「これで最後なんだけど、どうかな?」

 

最後に着てきたのは白のワンピースだ。

なんて言うかもう、素材が良いから何着ても似合うんだね。

 

悠「一緒に浜辺を散歩したい。」

 

島風「えっ?」

悠「えっ?」

 

島風「そっか///じゃあ…次のお休みに一緒に行こうね!」

 

悠「お、おう!」

 

悠(しまった!声に出てた!)

 

龍田「提督〜?」ジト目

 

悠「な、なんだ龍田?」

 

龍田「お触りは禁止されています〜。その手、落ちても知りませんよ〜?」

 

悠「濡れ衣だ!」

 

 

 

 

〜〜中央広場〜〜

 

 

あれから他のメンバーとも合流し、一旦ロッカーに荷物を預ける。ちなみに先ほど島風が試着した服は全部悠が買った。島風も自分のお金を出そうとしたが、いつの間にか会計が済んでいた。

悠は、妹を甘やかすのは兄の義務だとか言っていたそうな。

そして、適当に冷やかして回ろうということでみんなで色々見て回っているのだが…

 

 

悠「…あれ?みんなは?」

 

天龍「ん?どうした鳴上?」

 

悠「いや、どうやらはぐれたらしい。」

 

龍田「あら〜…どうしましょう。」

 

混雑する店内を行き来するうちにはぐれてしまったようだ。

店内はかなりの人口密度で、油断するとぶつかってしまいそうになるくらいには混んでいた。

 

 

そんな時、

 

ドンッ!

龍田「ッ!」

 

「おっと!ごめんよお嬢ちゃん。こら!待ちなさい!」

 

龍田が家族連れのお父さんにぶつかってしまった。その男性は龍田に一言謝ると、勝手気ままに走り回る子供を追いかけていった。

 

龍田「あ…あ…⁉︎」ガクガク…

 

悠「ん?龍田⁉︎どうした⁉︎」

 

突如龍田が自身の肩を抱いて震えだした。顔からも血の気が引いている。

 

天龍「マズい!しっかりしろ龍田!ほら、ベンチまで歩けるか?」

 

龍田「」コクコク

 

天龍がすぐに肩を貸し、龍田をそばのベンチまで連れて行く。

悠はそれを見て、近場の自販機にダッシュで向かい水を購入する。

 

悠「大丈夫か龍田?ほら水だ。」

 

悠は龍田に水を差し出すが、

 

悠(あっ!しまった!龍田は男に触れないんだった!)

 

だが龍田は…

 

龍田「あ、ありがとうございます。」

 

龍田は悠から水を受け取り(・・・・・・・・・)、それを飲み始める。

 

天龍(はぁ⁉︎今鳴上の手から直接受け取ったぞ⁉︎)

悠(まるで訳がわからんぞ⁉︎)

 

 

しばらく龍田が落ち着くまでその場で休憩し、その間に悠が皆を探しに行くことに。

付き添いで龍田のそばに残った天龍は、龍田の心境を測りかねていた。

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府・寮・自室〜〜

 

 

 

またまた時間が飛んで夜の10時。

あれからみんなとなんとか合流し、龍田が体調を崩したと説明。(男性恐怖症についてはもちろん伏せてある)

さすがに調子の悪い仲間をそのまま連れ回すわけにもいかないので、今日はそのまま帰投という流れになった。

 

街の情報をまとめるのは吹雪に押しつ…いや任せて、居間で寛いでいる悠。

そんな彼に声をかける女性が1人。

 

武蔵「おう、ヒマそうだな。」

 

悠「ん?武蔵か。どうした?」

 

武蔵「なに、約束を果たしてもらおうと思ってな。今から出られるか?」

 

悠「ん?ああ!そういえばBARに連れて行くって約束だったな。ちょっと待っててくれ。着替えてくる。」

 

 

番長着替え中…

 

 

悠「お待たせ…って金剛?」

 

悠が着替えを終え再び居間へ戻ると、そこには金剛も来ていた。

 

金剛「アハハ…good evening 悠。」

 

武蔵「ほら、ビビってないで自分で言え金剛。」

 

悠「?」

 

金剛「あのー…私もtogetherしてもいいですか?その…話したいこともあるので。」

 

悠「…ああ、分かった。武蔵はいいのか?」

 

武蔵「構わんよ。既に事情も聞いてしまったしな。これで突き放せというのも無理だ。」

 

悠「そうか。じゃあ案内するからついて来てくれ。」

 

 

 

 

 

 

〜〜BAR・Velvet〜〜

 

 

悠「ここがBAR・Velvetだ。」

 

武蔵「建造工廠の裏にこんなものがあったとは…」

 

悠「昼間は何故か跡形もなく消えてるからな。じゃあ入るか。」

 

 

カランカランッ

 

 

早霜「…あら?あら!いらっしゃい、お久しぶりね。大体3週間ぶり、くらいかしら?」

 

悠「そうだな。友人を連れてまた来ると言っていたのに、遅くなってすまない。」

 

早霜「別に、いいわ。それよりも、ご紹介、してくれる?」

 

悠「ああ、ここの鎮守府に所属している艦娘の…」

 

武蔵「戦艦・武蔵だ。よろしくたのむ。」

 

金剛「私はイギリスからの帰国子女で、金剛型1番艦・戦艦の金剛デース!よろしくお願いシマース!」

 

早霜「私は、早霜。ここのバーテンダーよ。よろしく、お願いするわ。さあ、掛けて頂戴?」

 

 

 

 

 

武蔵「さて、今日は悠の奢りだからな!財布を気にせず飲めるな!金剛も遠慮無く頼むといい。」

 

悠「まて!気にしろ!それなりに買い物したから無尽蔵に飲まれても困るぞ!」

 

金剛「アハハ…では私はワインをお願いシマース。」

 

武蔵「早霜、何かいいウイスキーはあるか?」

 

早霜「そうねぇ…」

 

早霜は後ろの棚から赤ワインの瓶とウイスキーの瓶を取り出し、グラスに注いでいく。

 

早霜「ウイスキーの、飲み方は、どうする?」

 

武蔵「ストレートで。」

 

早霜「あら、いける口?」

 

武蔵「なに、明日は出かけるからな。少量で済ます為さ。」

 

 

程なくして、武蔵と金剛の前にお酒が出される。

 

早霜「ワインは、世界最高峰のシャトー

『シャトー・ラフィット・ロートシルト』の2010年。当たり年の、ものね。

ウイスキーは、『ラガウーリン』の12年ものよ。」

 

金剛「What⁉︎」

 

悠「なんか高そうなんですけど!」

 

早霜「グラスでなら、そう、値は、張らないわ。そうね…シャトーが、2800円。ラガウーリンは1250円、でいいわ。」

 

悠「一杯でか⁉︎」

 

早霜「これでも、だいぶ、オマケしてるのよ?」

 

悠は高級ワインとウイスキーの値段に戦慄し、顔を青くしている。

 

悠「よし2人とも、大事に飲めよ!」

 

武蔵「グビグビ…プハァッ!美味い!もう一杯!」

 

悠「ウワァァァ〜!!!」(泣)

 

 

悠がいいと言っていないのにも関わらず、すぐに2杯目が武蔵に出される。

今度は一気飲みはせず、ポケットにでも忍ばせていたであろう文庫本を読みながら、チビチビと舐めるようにしている。

金剛は何か言いたげにしているが、なかなか口を開かない。

 

しばらくペラペラと本のページをめくる音だけが響いていた店内だが、意を決したのか、金剛は悠に向き直り…

 

金剛「その…悠、鎮守府に着任した夜の事なんだけど…」

 

悠「ああ…俺の部屋に忍び込んで勝手に寝てた…」

 

金剛「…不快な思いをさせて申し訳ありませんでした…」

 

金剛は鎮守府に着任した初日の夜の事件の事を悠に謝罪した。

 

金剛「私もあの時は功を急ぎすぎたというか、魔が差したというか…」

 

悠「…そうか。」

 

金剛「ですから…その、私は悠のことを無理矢理手篭めにしようとかは思っていないから…もし、この件が原因で私を避けているのなら…もう避けないでくれますか?」

 

悠「…あんなことがあったから、俺も少々過敏になってたんだ。不安にさせたなら謝る。すまなかった。」

 

金剛「…悠!」

 

悠「でも、今日のしおらしい金剛もこれはこれで可愛いから、ちょっとくらいイジメるのもありかな?」

 

金剛「あー!そういうのはNo thank you デース!ちゃんと構ってくれなきゃ No なんだからね!」

 

悠「あははっ!」

 

金剛「ふふっ!」

 

お互いの非を認め、仲直りをして笑い合う2人。

 

武蔵(全く…世話がやけるな…)

 

 

 

こうして、初めての休日の夜は更けていくのだった。




大山大佐「うーん…カタログスペックは問題ないはずなんだけど…」

霧島「すごい被弾率ですね…データを越えています。」

大山「困ったな…戦力がある程度揃ってるうちじゃあ、彼女の居場所が無いぞ…」

霧島「そうだ!司令!こういう作戦はいかがでしょう?」

かくかくしかじか

大山「あ〜…でも大丈夫かなぁ?」

霧島「大丈夫かと、彼…鳴上提督は私の計算によると100%お人好しです!」


次回 ペルソナ4 the K.C

欠陥戦艦更生計画

?「左遷だなんて…やっぱり私は欠陥戦艦なのね…」




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