東方燕狼歌 (福音の魔弾)
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第一話 死

どうもはじめまして福音の魔弾です。
うまくありませんが見ていってくれると嬉しいです
精一杯頑張っていきたいのでよろしくお願いします。


「ここ何処だ?」

 

 目が覚めると俺は何かが渦巻いた場所にいた。

 その渦は何か玉のような物体を巻き込んでいった。

 

「なんだあれ?」

 

「あれは魂を食らう渦さ」

 

「誰だお前」

 

 いつの間にか俺の隣に男が立っていた。

 暗くてよく見えないが体付きからして男だろう。

 俺はその男に聞いてみた。

 

「あんた此処がどこだか知ってるのか?」

 

「ああ知ってるよ、でも君ももうすぐあの玉のように吸い込まれていくんだ」

 

 ・・・・なんだって、俺はその言葉が一瞬理解できなかった。

 男はさらにこう言った。

 

「まあ、今日は気分がいいから答えてやるがここは死んだ魂を秘密裏に回収しているんだ。

 死神や閻魔に気づかれないように魂を回収して新しい魂を作る実験を行なっているんだ。

 君もそのうちの魂の一つさ」

 

 ・・・まて、ということは俺は死んだのか、そんな馬鹿な?!

 

「そんな驚いた顔しなくても。

 そうだねぇ、特別に君が死ぬ時の記憶をみせてあげよう」

 

 

 眩しい光が俺を包んだ、次の瞬間俺は目が覚めた。

 

「?!」

 

 目が覚めるとそこは俺の部屋だった。

 何だ今の夢、夢?あれどんな夢見てたんだっけ?

 ・・・まあ、いいかそれよりも今何時・・・8時だと・・・!

 

「やばっ、遅刻する!」

 

 俺は急いで学校に行く準備をして家をでた。

 

 

 

 

 

   -学校-

 

 

 

 

 

 ガラッ!

 

「滑り込みセーフ!」

 

「アウトだバカ者!」

 

「ぐはっ!」

 

 教室に入った瞬間に担任からの拳骨をくらわされた。

 

「痛って~!! 先生体罰はなしだろ、体罰は!!」

 

「うるさいわ!! 遅刻常習犯のお前には愛の鞭が必要なのだ!!

 まあ、いいとっとと席に座れバカ者」

 

 

 

「へ~い」

 

 まったく教室に入った瞬間拳骨なんて鬼かうちの担任は、さっさと席に座ろ。

 

「今日の連絡をゆうぞ、この頃事故が多いので全員気をつけろとのことだ。

 あとついでに不審者も出るのでるらしいので気をつけろとのことだ。

 連絡以上終わり」

 

 

 

 ―休み時間―

 

「おーい、音霧~」

 

「なんだ、ミジンコ?」

 

「ひどっ!! それが親友に対する扱いか!!」

 

「うるさいぞミジンコそれ以上騒ぐともぎ取るぞ」

 

「どこをですか!!!」

 

 俺の名前は、音霧(おとぎり) (ゆう)

 まあ、少し喧嘩が強いただの高校生だ。

 次にこのうるさいミジンコ・・・もといこいつの名前は天津(あまつ) (りく)

 まあ、俺の悪友だ。

 

「なんのようだ陸、つまらん用事だったらもぐからな」

 

「だからどこをですか!!」

 

「うるさい要件を言え」

 

「ひどいな・・・お前今日の放課後空いてるか?」

 

「残念ながら、今日は無理だ。バイトがある」

 

「そっか、分かったサンキュ」

 

「すまんな」

 

「いや気にするな、お前だって忙しいんだろうし」

 

 こいつはバカのくせにこうゆうところはしっかりしてるからな。

 

「珍しいな、お前が俺を誘うなんて

 またなんか企んでんのか?」

 

 こいつとは親友だがこいつは家が貧しいから結構忙しくてあまり遊びにはいけないんだが。

 

「いや~、バイトの先輩に合コンやるから人数合わせしとけとか言われてるから

 まずお前に声かけてみたんだよ~。」

 

 予想以上にくだらんことだった!!

 

「お前俺がそーゆーの苦手なこと知ってんだろうが」

 

「お前だってそろそろ彼女の一人でも欲しくなってくるお年頃じゃないのかな~と思いまして。」

 

「やっぱお前もぐわ」

 

「ごめんなさい調子に乗りましたすみませんでした!!」

 

「まあいい、そろそろチャイムなるから席帰れ」

 

「ん、了解」

 

 

 ―放課後―

 

 何か今日は気分が悪いな、こんな時は家で寝るに限るんだが、

 今日バイト入ってるからなとっとと行くか。

 

 なんだのあの車、こっちに向かってかなりのスピードで走ってくるけど、

 ・・・俺は一瞬目を疑った。

 なぜかって、そりゃあ車に誰も乗ってないんだから!!

 

「なんだそりゃ?!」

 

 ありえない!! 車に誰も乗ってないのに車のスピードがさらに加速した。

 なるほど、俺を轢く気ですかそうですか、最悪だ・・・

 車を避けようにもここは一本道あの車が俺を狙ってるのなら確実に轢いてくるはず。

 クソッ、こうなったら・・・

 

「突っ込む!!」

 

 俺は車に向かって走り出した。

 車に轢かれる瞬間にあの車を飛び越えれば・・・

 車と飛び越える瞬間俺は光に飲み込まれた。

 




頑張って幻想入りまでにつないでいきたいたいと思います。
よろしくお願いします_(._.)_


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第二話 転生

 目が覚めると俺はまた何かがうす巻いた場所にいた。

 どうなってるんだ?

 確か俺は車を飛び越えれたはずだ。

 なのにどうして死んだんだ?

 

「それはね、君が飛び越えると同時にあの車が爆発したのさ

 それで君は死んだ、死因は爆死ってね」

 

 ・・・・・・そうか、俺は死んだのか、

 

「そう残念がることはないよ、君もすぐにあの渦の中に入るのだから

 そしたら君は、新しい魂の一部として生きるのだから」

 

「あら、残念それは無理よ」

 

「?!」

 

 いつの間にか金髪の女性が立っていた。

 

八雲(やくも) (ゆかり)か?」

 

「ええ、そうよあなたの実験は幻想郷に悪影響を起こすから潰しに来たの」

 

「酷いなあ、俺はこの実験に生涯を捧げてきたんだぜ、あと少しで完成までもう少しだって言うのに」

 

「あら残念ねでも、おしゃべりはこのくらいにしておきましょう、あなたは今すぐ死になさい!!」

 

「案外せっかちだな、まあ俺を殺したところで意味はないんだが」

 

「どうゆう意味?」

 

「簡単だ、ここの場所に俺や魂以外がいたらこの渦は消滅する。

 証拠に見てみろ渦に亀裂がはいってるだろ、お前が侵入した時点で俺の実験は失敗なんだよ」

 

「あら、それならなんであなたはその魂を隣においているの?」

 

「それはなあ、こうするためだ!!」

 

 次の瞬間俺はまた光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー???ー

 

 

「・・・・・・」

 

 ここはどこだ、なんで声がでない、体も動かない

 

「なんでこんなところに赤ん坊が」

 

 なんだこのおっさん、ダメだ状況が理解できない。

 ・・・・まてこのおっさん俺のことを赤ん坊って言ったか?

 

「まさかこんな小さな赤ん坊が捨てられているとは思いもせんかった」

 

 ・・・・待て、とゆううことは今の俺の姿は赤ん坊なのか?!

 ありえねぇ?! これが一番ありえねぇ?! 

 

「まあ、此処で拾ったのも何かの縁,育ててみますか!」

 

 まあいいか、死んでないだけマシだしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー渦の中ー

 

「あなた、これが狙いだったの」

 

「いや、残念ながら失敗したまさか人格を持った状態で転生するのは予想外だ」

 

「あなた本当に何が狙いなの?」

 

「言っただろ、俺は新しい魂を作ってみたかったって」

 

「まさかあれが?!」

 

「いや、あれは違う、あれは魂の結合体、簡単に言うと失敗作だよ。」

 

「ならなんであなたは彼を過去に飛ばしてまで転生さしたの?」

 

「なぜかって、気分だよ。

 ここが誰かに侵入されたら彼の魂を転生しようってそう思ったんだ。

 特に理由はないよ、八雲 紫さん」

 

男はそう説明すると

 

「さて、それじゃあそろそろ俺は消えるよ」

 

「逃がさないわよ」

 

「残念ながら、逃げるんじゃないんだよ。

 俺の存在は元から不安定だったから文字どうり消えるんだよ。

 さて、そろそろこの存在も限界だな、じゃあな八雲 紫もう会うことはないだろうが」

 

「ええ、さようなら永遠に・・・」

 

 

 そしてこの空間には誰もいなくなった。

 

 

 

 ー人里ー

 

 俺がこの人里のおっさんに拾われてから5年の月日が経った。

 この5年間でかなり状況が整理できたと思う。

 まず、ここは過去の世界だ、いわゆるタイムスリップってやつだな。

 さらに、新しく生まれ変わった身体だがたぶんこれは転生とかゆうやつだろう。

 特に不便ではなく、はっきり言って転生前よりも動きやすい。

 不便なところといえば、体の感覚がいまいちつかめていない。

 今のところ、これが現状だな。

 あの時はかなり混乱していたが今では結構慣れてこの里の一員になれた。

 

「なあ、父さん今日はどうするんだ?」

 

「今日は祭りだからな、仕事終わらせて一緒に回るぞ!!」

 

「ん、わかった」

 

「おいおい息子よ、もっと喜んでもいいんだぜ」

 

「そんな、喜ぶ歳でもないよもう」

 

「若い奴が何言ってる、まあいい、今日の祭りでは騒ぎまくるぞ~」

 

 これが俺を拾ったおっさん・・・もとい俺の親父、王千(おうせん) 雪人(ゆきと)それがこのおっさんの名前だ。

 はっきり言ってこのおっさんはかなり強い、俺みたいな奴が何人かかっても絶対勝てない。

 それぐらいこのおっさんは強い。

 

「行ってくるぞ」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

 

 

 ー祭りー

 

「息子よ~楽しんでるか~ ヒック」

 

「父さん、早速酔ってるね」

 

「がははは!!、祭りだからなの飲まずにやってられるか~

 まあ、お前も飲め~」

 

「子供に飲ませようとするな!!」

 

「がはははは!!まあお前も楽しそうだから良かったのお~」

 

 まったくこのおっさんは、まあ、本当に楽しんだが・・・

 照れくさくて言えるか!!

 

 なんだか里の門の方が騒がしいな・・・

 なにかあったのか?

 

「鬼だーーーー!!!鬼が来たぞーーー!!」

 

「いやだーーー!!喰われるーーー!!」

 

「助けてくれーーーー!!」

 

 鬼だって?!そんなものが存在するのか?!

 でもこの人たちの慌てよう普通じゃない・・・本当にいるのか

 

「王千さん、お願いします。助けてください!!」

 

「分かった行ってくる・・・・」

 

「父さん鬼って・・・・・」

 

「大丈夫だ父さんに任せておけ」

 

 任せろたって相手は鬼だぞ?!

 いくらこのおっさんが強いからって勝てるわけないだろ!!

 

「よお~王千久しぶりじゃな」

 

「何しにきた鬼の総大将自ら・・・」

 

「いや~、うちのバカどももがお主に負けたと聞いてな久しぶりに血がたぎってきたのじゃ。

 相手せい、王千お主が勝ったらこの里にはもう手出しわせんわ、じゃが主が負けたらこの里はもらうぞ。」

 

「いいだろう、だがここで殺し合うわけにはいかないな場所を移すぞ」

 

「よかろう、殺し合いの場所に案内せい」

 

「父さん!!」

 

「大丈夫だ問題ない」

 

「王千お主、息子ができたのか?」

 

「ああ五年前ほどにな・・・」

 

「かっかっか、お主に息子の~、で相手は誰じゃ「いないぞ」・・・なぜじゃ?」

 

「この子は山で拾ったんだ。

 そんなくだらないこと言ってないでとっとと行くぞ」

 

「かっかっか、そうじゃのそろそろ抑えれそうにないわい」

 

 そう言って鬼たちは親父について行った。

 クソッ、危険だが追いかけるしかないな・・・

 そう思って俺は親父たちのあとをつけていった・・・・

 



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第三話 覚醒

ども~、福音の魔弾です~。
ゆっくりしていってね。


 ー森の中ー

 

 あいつらを追ってみたが、かなり森の奥まで進むな・・・・

 一応、バレないように気配を殺してるけど正直いつバレてもおかしくない。

 でもここまで来たんだ、もう後戻りなんて出来るか。

 お、あいつらが止まったな・・、ここで勝負をするのか。

 

「殺し合いの場所はここだ。」

 

「かっかっか、さて、勝負の前にそこに隠れておるもんでで来い。

 出てこなければ殺すぞい。」

 

 やばいバレた!!

 どうする、このまま隠れてたとしても確実にやられる。

 逃げたとしても逃げ切れる自身もない。

 ここは・・・出ていくしかないか。

 

「ほお、里からずっとつけていたのはお主じゃったか」

 

「なっ!、なんでここまで追ってきた馬鹿息子!!」

 

「心配だったからだよ!!」

 

「だからってこんなところまで追ってくるな馬鹿息子!!」

 

「かっかっか、まあよいじゃないか、王千観客は多いほうが盛り上がるじゃろ。

 萃香(すいか)!!王千の息子守ってやれい。」

 

「あいよ、わかったよ鬼燐(きりん)

 

 そう言われて来たのが萃香と呼ばれる少女?だった。

 見た目からしてかなりちっさい子供だが・・・

 角があるからこの子も鬼なんだろうけど・・・・

 でも分かることがひとつだけある。

 それは俺が戦っても間違いなく勝てない・・・

 あと・・・・この子酔ってない?

 

「なあ、まさかあんた酒飲んでる?」

 

「おうよ、こんな日には酒飲んで見るのがいいからね~」

 

「・・・・・」

 

 うわぁ・・・、酔っぱらいに守らせるってどうなのよ俺の扱い。

 確かに勝手についてきたことは悪かったと思ってるよ・・・

 でも!!いくらこの子が強いからって酔っぱらいに守られるほど俺も弱くわないぞ!・・・たぶん

 あれ、でもなんで俺守られなきゃいけないんだ?

 

「ったく・・馬鹿息子には後でオシオキするとして、始めるか鬼の総大将。」

 

「そうだねぇ、そろそろ始めるとするかねぇ」

 

「「殺し合いを」」

 

「坊主は私の後ろいな、じゃないと死ぬよ。」

 

「!!は、はい・・」

 

 

 ーside 王千ー

 

 まずは、先手必勝!!

 

 王千の右拳が鬼燐の顔面を狙うが・・・

 

「甘いよ!!」

 

 これは、簡単に受け流される。

 お返しとばかりに一撃を叩き込んできたが、俺はその攻撃を左拳でねじ伏せる。

 

 鬼燐も負けんとばかりに打ち込んでくるが、すべての攻撃が王千の攻撃によって相殺される。

 

「やっぱり、お主の能力は厄介じゃのぉ」

 

「そう言いながらも俺の能力を相殺してんのはどこのバカだ」

 

「かっかっか、やはり戦いはこうじゃないとたぎらんのぉ。

 そう思わんか王千よ。」

 

「うるさいぞ!この戦闘狂(バトルマニア)こっちは必死に抵抗してんだ。

 お前がそんな余裕見せるんだったら、あっとゆうまに終わらせるぞ!!」

 

「かっかっか、そうじゃのぉ・・

 これならどうじゃ!!」

 

「っく!!」

 

 わずかつかの間の攻防、どちらも引くことのない殴り合い。

 その攻防を破ったのは鬼の方だった。

 はじめは捌ききれてた攻撃も次第に捌ききれなくなり、

 鬼が圧倒的に有利な展開となっていた。

 

「っ父さん!!」

 

「だから、前に出るなって言ってるだろうが」

 

「だけど・・・」

 

 

 

 ペチャ

 

 

 俺の頬に何かが飛んできた・・・・

 俺は飛んできたものを確かめると・・・

 これは血・・・?

 

「っえ」

 

 真っ赤な血だ、赤い血だ。

 血だ血だ血だ血だ血だ血だ血だ・・・・

 目の前が真っ赤で染まると・・

 

『ねぇ、なんでお兄ちゃんは生きてるの・・・?』

 

 次の瞬間俺の何かが決壊した・・・・・

 

 

 

 ーside王千ー

 

 クッソ、やっぱりこいつは一筋縄じゃいかないな、

 簡単に俺の能力を相殺しやがって、圧倒的に俺が不利じゃないか

 こいつもかなり余裕みたいだしさっさと勝負をつけなくては・・・

 

 

「が、がああ、ガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

「「?!」」

 

 な、なんだ!!この殺気は!!

 

 殺気の方向に視線を向けると萃香と何かが戦っていた。

 その戦っている相手をよく見ると息子の史輝だった。

 

「っな!!」

 

 おいおい悪い冗談はやめてくれよ・・・・

 あいつは子供だぞなんでこんな殺気がでてんだよ。

 おかしいだろ・・・!!

 

「おいおい、王千よ、お主が拾った子はなんじゃ

 鬼神の類いか何かか、凄まじい殺気じゃのお~

 でも萃香に見張らせっとたのは正直正解じゃったな。

 他のものじゃったら確実に勝てんかったろうな。」

 

「そんな呑気なこと言ってる場合か!!

 さっさと止めるぞ!!」

 

「かっかっか、心配性じゃのぉ。

 大丈夫じゃ萃香とて手加減くらいはしてるじゃろて。」

 

 こいつはあてにできない、こうなったら俺一人でも!!

 

 次の瞬間、萃香が巨大化した

 

 んなっ!!あの馬鹿が息子を殺す気か?!

 

 萃香の拳が振り下ろされる瞬間俺は走り出していた。

 

 

 ーside音霧?ー

 

 真っ赤だ、何もかもが真っ赤だ・・・

 なんでだろう、苦しい、苦しい、苦しい、

 ダメだ、壊したい・・・何もかもを壊したい!!

 あははははははははははははははははは!!

 そうだ壊せばいいんだ。壊してしまえなにもかも!!

 そうだ、まず目の前にいるこいつから壊そう。

 

「が、がああ、ガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

「なんだこいつ、いきなり暴れ出して!!」

 

 あははははははははは!!

 すごい、すごい、もっと避けて見せてよ!!

 あははハハハハハハハハハハハハ!!

 

「なんなんだいこの坊主はこの私がおされるだって・・

 ッチ、しょうがないねぇ、少し痛いけど我慢しな!!」

 

 

     「 ミッシングパワー 」

 

 

 巨大化した萃香の拳が音霧に向かってくるが。

 

「あはははははははは、剛血(ごうけつ)!!」

 

「っな?!」

 

 その拳を受け止めていた。

 ところどころ血が吹き出しているがまったく気になっていないようである。

 それどころかさらに嬉しそうに

 

「すごい、すごいよもっと遊ぼう!!」

 

「こいつぁ、厄介だね・・・・」

 

「いくよ!!金剛血(こんごうけつ)!!」

 

「ック!!」

 

 力一杯の蹴りを巨大化した萃香の胸に叩き込んだ。

 巨大化した萃香は防御が間に合ったが吹き飛ばされてしまった。

 

「なんちゅう、馬鹿力だ・・・」

 

「あはははははははははは!!」

 

「おい馬鹿息子とっとと戻らねぇか!!」

 

「あはははははははははは!!」

 

「こいつぁ、俺が責任もってやるしかないか・・・」

 

 

 

 いざ開戦の時!!




展開が強引な気がしますがそんなこと知りません
次の話は王千vs音霧期待しててくださいね。


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第四話 記憶

王千vs音霧さあ、いったいどうなるのやら


「あはははははははははは!!」

 

「いくぞ馬鹿息子!!」

 

 先手必勝とばかりに王千に向かって突っ込んでいき顔面を狙うが、

 

「ッガ?!」

 

 いとも簡単に攻撃を受け流され、胸に蹴りを叩き込まれ吹き飛ばされた。

 

「これで少し頭が冷えたか?」

 

 王千の能力、力を倍にして返す程度の能力で悠の攻撃を倍にして返したのだ。

 確実に捉えたので普通なら骨が何本か逝っているのだが・・・

 

「あはははははははははは!!」

 

「ッチ!!」

 

 悠はなんなく立ち上がりまた王千に向かって突っ込んでいった。

 

「なっ!?速い!!」

 

 突っ込んだ悠は王千に驚異的なスピードで蹴りを放った。

 王千はとっさに受け流してカウンターを決めた。

 音霧はまた吹っ飛んだが、すぐに体勢を立て直し突っ込んできた。

 音霧の攻撃は当たれば驚異だが、王千はそれを読み切り完全に受け流しカウンターをきめていた。

 

「クソッ!!いい加減におとなしくしろ!!」

 

「ッガ?!」

 

 悠は何度も突っ込んでは吹き飛ばされていたが、すぐに体制を立て直し突っ込んでいった。

 まるでその姿は獣そのものだが、王千相手ではただ突っ込んでくる的だった。

 そんなことを続けているうちに悠に変化が起きた。

 いきなり両腕から血が勢いよく吹き出したのだ。

 

「っな!」

 

「あははははははは!!」

 

 悠から吹き出した血が、腕に集結していき少し歪だが爪のような形に変化した。

 その爪を纏わせて王千に向かって突っ込んでいった。

 

「ッチ!!刃物系は苦手だが・・・・」

 

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!」

 

 王千は紙一重のところで悠の攻撃を避けながら、カウンターを決めていた。

 さすがに、王千も早々に勝負をつけなければいけないと思ったのか、悠を吹き飛ばしたあと距離をとった。

 悠はすぐに体制を立て直し王千に向かって突っ込もうとしたが・・

 

「おい、馬鹿息子・・・少し痛いが我慢しろよ!!」

 

 

烈一式(れついちしき)波紋(はもん)

 

 

「ッガ?!」

 

 王千が拳を前に構えた瞬間、悠の体が吹き飛び、王千はさらに連撃を叩き込んだ。

 

 

想合式(そうがっしき)、|想蓮花葬《そうれんかそう!!」

 

 

 目にも止まらぬ速さで連撃を叩き込み悠を地面に叩きつけ決着がついた。

 想蓮花葬を叩き込まれた悠は動かなくなった。

 

 

 ー悠の夢の中ー

 

 ・・・・ここはどこだろう

 確か俺は、おっさんと鬼の戦いを見てたはずだけど・・・・

 これはあれかなんかまた死んだとかゆうやつか?

 にしては、なんか意識がはっきりしてるな・・・

 ん?なんだあれ?

 

 悠の前に白くふわふわした玉がやってきた。

 

「これ、なんだ?」

 

 その玉を覗いてみると、悠は玉の中に吸い込まれた。

 

「うわ!!なんだこれ?ここどこ?!」

 

 玉に吸い込まれた悠がいた場所はどこかの建物の中だった。

 だが、その建物の中に悠は見覚えがあった。

 

 確かここって、子供の頃に来たショッピングモールか?

 とゆうことは、これって俺の転生前の記憶?

 にしては、なんか違和感があるんだが・・・気のせいか?

 

 悠が周り見回していると、悠は目の前にいる仲良さげな家族が目に入った。

 少し厳しそうな顔をして体格がガッチリした男

 物腰が柔らかそうで優しいそうな女性

 とても無邪気に笑っており天真爛漫そうな女の子

 少し物静かだがとても嬉しそうな男の子

 この家族を見て悠は思い出していた。

 

 あれって、俺の家族・・・

 とゆうことは、まさかこれは・・・・

 

 ドーン!!

 

 悠が何か思い出した瞬間、何かが爆発した。

 その爆発は連鎖的に大きくなっていき建物が崩れ始めた。

 そして、崩れた建物の一部が目の前の自分の家族に落ちていった。

 

 ・・・グシャ

 

 嫌な音がした、建物が崩れる音が聞こえるが何か肉のようなものが潰れる音がはっきりと聞こえた。

 その瞬間、ああ・・死んだな。と思った。

 自分にも瓦礫などが降ってきているが、通り抜ける。

 自分の家族が潰された瓦礫の中を見てみると、母と父は完全に潰れて死んでいる。

 妹は足が潰れており、体の上に瓦礫の一部が乗っていて今にも押しつぶされそうだった。

 自分を見てみると、瓦礫が運良く重なっていて潰れていなく擦り傷程度で済んでいた。

 だが、目の前の妹の様子と瓦礫に潰された両親の姿がはっきり見えていた。

 

「お父さん・・お母さん・・お兄ちゃん・・痛い・・痛いよ!!」

 

 叫んでいる妹に必死に手を伸ばしていたが・・・

 

「嫌だよ・・死にたくないよ・・・嫌だ嫌だ嫌だ!!」

 

 妹が暴れて手がつかめず、無傷の自分を見つけたのか妹がこちらを向いてこう言った。

 

「なんで、お兄ちゃんはその程度ですんでるの?私はこんなに痛いのに・・なんでなんで?!」

 

 そして

 

「なんで・・・お兄ちゃんは生きてるの?」

 

 そう言いながら崩れた瓦礫の下敷きなって妹が死んでいった。

 

「あ、ああ、アアアアアアアアアアアアア!!」

 

 妹が死んだのに耐え切れなくなったのか、自分は叫び出していた・・・・

 次の瞬間、場面が早送りのように過ぎていった。

 自分を見るとその体はやせ細っており、もう死にかけていた。

 だが、自分はこう思った。

 

「そうだ、僕が家族の分まで生きなきゃ・・・・」

 

 そして過去の俺は瓦礫の下敷きになった妹の腕を引きちぎりその腕を食べ始めた。

 その血をすすり肉を食べていた。

 そしてまた場面が早送りで進み、救助隊の人間に助けられていた。

 

 場面が終わったのかいつの間にかまたさっきのよくわからない場所にいた。

 

「ああ、そうだったな俺は妹を食べたんだっけ・・・

 それで、俺は家族の分まで生きないとって思ってたな・・・

 なんでこんなことを忘れちまってたんだろう。

 それで・・それで・・・」

 

 俺がその場で泣いていると・・光に包み込まれていった。



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第五話 告白

目が覚めるとそこは見慣れた天井だった。

 

「お、やっと起きたか。」

 

「あれ、なんで俺・・・・」

 

「うん?お前覚えてないのか?」

 

「なにを・・・って痛っ!!」

 

「無理すんなよ、普通の人間なら死にかけん技をかけたからな。」

 

「技をかけたって・・え、なにじゃあこの状況って親父のせいなのか?」

 

「そのとおりだ」

 

「なんでこんなことになってんだよ説明しろ!!」

 

「うーん、説明は難しいのだが・・・」

 

 親父はそう言って腕を組んで考えていた。

 

「簡潔に言うぞ、お前がいきなり暴れ出したから俺がボコッて大人しくさせた!」

 

「っは?」

 

「いやだから、お前が・・」

 

「いやそれはいいよ!!分かったから!!」

 

「うーん、そうか」

 

「そうかじゃねえよ・・・」

 

 とゆうことはなにか、俺が追跡>見つかる>観戦>暴走>ボコられる。

 なんだこれ・・・・

 

「お~い、王千持ってきぞ~い!」

 

「?!」

 

 この声は確か・・・

 

「やっと持ってきたか、遅かったな鬼燐。」

 

「いや~作らすのに手間取っただけじゃからな問題はないぞ。」

 

「そうか、礼を言う」

 

「気にするな、お主と儂の中じゃろて、カッカッカ。」

 

「あの~」

 

「うん?なんじゃい坊主?」

 

「なんで、あなたがここにいるんですか?」

 

「うむ、それはなこれを持ってきたからじゃ。」

 

 その手には薬を入れておく箱があった。

 

「それはなんですか?」

 

「これはな、鬼の一族に伝わる秘薬じゃ。

 どんな傷もあっとゆうまに治してしまうぞい。」

 

「はあ・・・」

 

 何この状況・・・

 

 

 ー少年に説明中ー

 

 

「・・・とゆうことはなんですか、親父と鬼燐さんは昔からの喧嘩仲間で今回の騒動もただ単に久しぶりに喧嘩したいから村に押しかけてきてこんな状況になってしまったと?」

 

「まあ、そーゆーことじゃな。」

 

「はっはっは、まあお前が付いてきたことにはビックリしたがな。」

 

「・・・親父こうゆうことは言っとけよ・・・・」

 

「まあ、すまんすまんww」

 

「かっかっか!!」

 

「はぁ~・・・・」

 

「さて、それじゃ坊主のことを説明してもらおうかの。」

 

「おいおい、鬼燐こいつは能力が有ったことにも気づいて「・・分かりました説明します。」どうゆうことだ・・・」

 

「俺はこの時代の人間じゃありません。」

 

「「この時代(じゃと)?」」

 

「はい、俺はこの時代より遥かに遠い未来にいました。」

 

「まてまて、俺がお前を拾った時にはお前は赤ん坊だったぞ?」

 

「確かに俺は、親父に拾われたときは赤ん坊だった、それは間違いない。でも俺も確証があるわけじゃないんだ。」

 

「どうゆうことだ?」

 

「多分だけど、未来の俺の肉体は死んだが魂がこの時代に転生したんじゃないかと俺は考えています。」

 

「ふむ、まあ簡単に言うと坊主は未来の人間だと。」

 

「はいそのとおりです。」

 

「ふ~む、それなら能力自体はその時代から持っていたのかの~?」

 

「それについてはいいえです。この時代に来てから初めてこの能力があることが分かりました。」

 

 あの戦闘初めてこんな能力があることが分かったからな。

 

「ふむ、ならお主の能力は予測はつくがどんな能力なんじゃ?」

 

「・・・・たぶん血液を操る程度の能力です。」

 

「まあ、そうだろうな。」

 

「じゃあ、坊主お主の本当の名前はなんじゃ?」

 

「音霧 悠と言います。」

 

「いい名前じゃな・・・」

 

「う~ん・・・」

 

「どうしたんだよ親父?」

 

「これからお前のことをどう呼んだほうがいいか迷ってな・・」

 

「あー・・・、じゃあ悠でお願い。」

 

「・・・そうだな、あまり変わらんし悠でいいか。」

 

「ありがと。」

 

「こっちでの名前はなんじゃったんじゃ?」

 

王千(おうせん) 悠人(ゆうと)です。」

 

「なんじゃ、あまり名は変わっとらんのか。」

 

「まあ、偶然ってのもあるもんだな。」

 

「そうだね・・・」

 

「まあ、質問はこれくらにして、ほれ、この秘薬を飲まんか。」

 

「ありがとうございます。」

 

「あとの、そのなんじゃ・・・その言葉使いどうにかできんか?

 さっきから背中がむず痒くてたまらんわい。」

 

「まあ、そうゆうことなら・・・」

 

 なんだろうこの薬・・・・すごく危険な感じがするんだが気のせいか?

 まあ、いいか・・・

 

「〇!△$□%#◆※!?」

 

 音霧がその薬を飲んだ瞬間、奇声を上げ始め、激しく痙攣(けいれん)をそしてそのうち動かなくなった。

 

「相変わらずすごい薬だな・・・」

 

「かっかっか!!お主も坊主の時にはこの薬を飲ませたかのぉ。」

 

「ああ、お前に無理やり飲まされて完全に飛んでたな。」

 

「で、実際のところどうするんじゃ?」

 

「まあ、俺の技を伝授しようかとは思ってるんだ。

 こいつたぶんこの村を出ていくからせめてでもってな。」

 

「ふむ、じゃったら儂らも少しじゃが手伝おう。」

 

「お前らが手伝った日にはこいつが死ぬわ・・・」

 

「大丈夫じゃ、儂らとて手加減はできるわい。」

 

「その手加減で何人の男共がやられたか・・・」

 

「それは・・・ほら、あれじゃ・・なんとゆうか・・」

 

「・・・・・・・」

 

「すまんかった。」

 

 鬼凜がしたことは土下座だった・・・

 鬼の総大将が土下座する状況って何?

 

「はぁ・・・・まあいい、一応稽古をつけてやってくれ。」

 

「うむ分かった。萃香も会いたがっておったしの。」

 

「萃香が?」

 

「いやなに、この坊主に吹き飛ばされてから「勝負してやるーーー!!」とかほざいてたからな。」

 

「ああ、終わったな・・・・」

 

「かっかっか、まあなんとかなるじゃろうて。」

 

「はぁ・・・・」

 

 

 

この日から悠の苦難の少年時代の幕が開けた。




ー後書きのようなものー


作者「さあ、遅くなってしまいましたが、主人公設定の紹介です。いえーーーーーい!!」

悠 「作者・・・テンション上げすぎだ。」

作者「気にすんな!!。あと、強さなのですが人間レベル、下級妖怪レベル、中級妖怪レベル、上級妖怪レベル、最上級妖怪レベル、最強妖怪レベルの6段階で分けたいと思います。」

ではまずこちらから!


名前 転生前 音霧 悠
   転生後 王千 悠人 (苗字が二個あるので呼び名を悠で統一したいと思います)


能力 血を操る程度の能力

歳 6才

種族 人間?

性格 初対面の人には敬語などを使うが知り合いになったらかなりの暴言をはかれる。案外面倒見が良かったりする。恋愛などは苦手らしい。

見た目 黒髪で目付きが少し悪く藍色の着物を着ている。

強さ 暴走時、中級妖怪レベル
   通常時 人間レベル(運が暴走時よりも低い)

作者「まあこんなもんだね、にしても悠、君通常時の運が暴走値より低いとかカス同然だね。」

悠 「うるさいよ作者!!お前後で絞めてやる・・・」

作者「おお、こわいこわい、悠君はこわいでちゅね。」

悠 「そうかそうか、殺す!!」

作者「あははははは、6才のカスが俺に勝てると思ってんのか。」

悠 「お前、強くなったら確実に息の根止めてやる・・・」

作者「っは!やれるもんならやってみろよ。」

作者に死亡フラグが立ちました・・・

作者「うそ!?」

悠 「まあ期待してろ。」

作者「まってまって!!え、俺死ぬの?!」

悠 「それではまた次回」

作者「うそだーーーーーーーー!!」


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第六話 厄日

ども、福音の魔弾です。
相変わらずの駄文ですが見ていってね。


あれから4年の年月が過ぎていた・・・・

 

「はぁ・・・・」

 

「なにため息なんてついてんのさ」

 

「いや、少し昔のことを思い出してたんだよ。」

 

「そうかいそうかい、まあ困ったことがあったらこの萃香姉さんに任せなさい!!」

 

「わかってるよ、萃香姉さん。」

 

この人じゃねえや、この鬼は伊吹(いぶき) 萃香(すいか)

まあ、過去の暴走で吹き飛ばした鬼さんです。

それにしてもホントにこの4年間は地獄だったな・・・

親父や鬼凜さん萃香姉さん達のシゴキに耐え続けた俺の少年時代・・・

やばい泣けてきた。よく生き残ってこれたな俺・・・

 

「さて、そろそろやりますか。」

 

「そうだね、悠もかなり強くなってるけどまだまだ私にゃ追いつけないよ。」

 

「ま、頑張ってみるさ!!」

 

ー少年気絶中ー

 

まあ、勝てるわけがないよね!!

いや~もうボッコボコ、ひどいよね・・・

いくらルールが5分間耐え続けるにしてもこれはひどい

逃げてもすぐに捕まるし技で迎撃しようとしたら力で叩き潰されるし・・・

 

「はぁ・・・・・」

 

「なんだい、悠そんなため息ついてさあ?」

 

「・・・勇義姉さん」

 

この鬼は星熊(ほしぐま) 勇義(ゆうぎ)

なんか萃香姉さんと同じ鬼の四天王に入っているらしい。

あれ・・・今思えば、これはあれだ絶対勝てないじゃん!!

 

「どうかしたか?」

 

「いや、自分の愚かさに今気づいた。」

 

「悠がアホなのは今更だよ。」

 

「ひどいな、勇義姉さんは・・」

 

「ま、ここで会ったんだ、久しぶりに稽古つけてやるかね。」

 

「あははは・・・・・」

 

不幸だ・・・・・

 

ー少年気絶中ー

 

「死ねる・・・これで鬼凜さんにでも会うものなら死んでしまう。」

 

「おや~、悲しいねぇ~せっかく悠坊の稽古をつけてやろうかと思ったんじゃが。」

 

「あははは・・・・」

 

 死んだ・・・

 

「かっかっか、せっかくじゃ稽古じゃなくてお仕置きをしてやろうかね~。」

 

これはあれだ・・・うん・・

 

「逃げるが勝ちだ!!」

 

「かっかっか、追い駆けっこかの、いいじゃろ逃げ切ってみせい。」

 

「いやーーーーーーーー!!」

 

何だ今日は厄日か!!

 

少年逃走<失敗<お仕置き<ボッコボコ<気絶<復活<帰宅

 

ー自宅ー

 

「・・・・・・」(バタッ)

 

「お前の修行中に何があった!?」

 

「あ~無理死ねる・・・・」

 

今日はあれだほんとに厄日だ。

 

「あら、大変そうね。」

 

「・・・ん?」

 

顔を上げてみるとそこには紫の服を着た金髪の女性が立っていた。

 

「どうも、紫さん」

 

「その様子だと、鬼凜達には会えたみたいね。」

 

「ああ、なんか今日は不幸だと思ったらゆかりさんの仕業でしたか・・・」

 

「フフ・・・・」

 

この人との名前は八雲 紫さんだ。

この人はスキマ妖怪って言う種類の妖怪らしい。

はっきり言って俺はこの人が苦手だ。この人が関わるとロクな事に遭わないんだ・・・

 

「で、今日はなんのようですか?」

 

「あら、用がなければ来てはいけないの?」

 

「いえ、別にそう言うわけじゃ・・・」

 

「いやなに、俺が呼んだだけだ。」

 

「珍しいね、親父が紫さん呼ぶなんて。」

 

「まあ、ちょっとな・・・・」

 

「じゃあ私は帰るわね。」

 

「おう、あとは任せたぞ。」

 

「分かったわ。」

 

なんの話だろう?まあ多分俺には関係ないことだな!!

 

「じゃあ楽しみに待っててね。」

 

そう言って紫さんはスキマの中に消えていった。

 

「さて、悠も帰ってきたことだし飯にするか。」

 

「わかったよ。」

 

この時、俺はまだ知るすべもなかった。自分の身に降りかかる面倒ごとに・・・・



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第七話 少年の思い出 上

さあ、主人公がこの4年間何をしてきたかのお話です


「今日からお前に稽古を付ける!」

 

「・・・・?」

 

いきなり何言い出してんだこのオヤジは・・・

 

「そんな不思議そうな顔するなよ・・・」

 

「いや、いきなり何言い出してんだこの親父はとか思ってはないよ。」

 

「そんなこと思ってたのかよ!!」

 

「まあ、それは置いといて、なぜに稽古?」

 

「まあ、簡単に言うと、悠・・・お前は弱すぎる。」

 

そうなのだ、この悠はかなり弱いのだ。

暴走時にはかなりの強さを誇るが、通常時は弱すぎるのだ。

未来での喧嘩の方法を知っていても体が追いつけなければ意味がない。

そのため、子供の喧嘩で全敗している結果なのだ・・・

 

「それで稽古?」

 

「そうだ。お前を鍛えて将来は鬼と渡り合えるぐらいまで強くする。」

 

「いや、それは無理だろ。」

 

「そんなことはない、お前だって頑張れば強くなれるんだ!」

 

「まあ、稽古するのは問題ないけど・・・どんなことするの?」

 

「基本は体づくりだな、その次には精神を鍛えて、技や能力の訓練だな。」

 

「なあ、気のせいかもしれないけどすごく嫌な予感しかしないんだけど・・・」

 

「気のせいだ。」

 

「そうか、ならいいかな。能力とかも早く使えるようになりたいし。」

 

「よし!じゃあ今からやるぞ!!」

 

「わかったよ。」

 

ー少年移動中ー

 

「・・・ここ何処?」

 

その場所は木々で囲まれており滝やら大きな岩などがある。

 

「ここはな俺が昔に使っていた修練場だ!」

 

え?、何・・まさかこんな場所で稽古するの・・・

 

「死ぬわ!!」

 

「大丈夫だ、死なない程度に鍛えるから!」

 

「いやいや!!おかしいだろ!

なんだよこの場所、稽古に失敗したら確実に俺の命が消え去るよ?!」

 

「大丈夫だ問題ない。

ああ、あと言い忘れていたがこの次くらいの稽古には鬼も参加することになってるぞ。」

 

「はぁ?!」

 

「いや~鬼凜達がお前のこと鍛えたいとか言い出してな、

断るに断れなかった。スマン・・・」

 

なにそれ~

ああそうかこれは悪い夢なんだ。

早く目が覚めろ俺ーーーーーー!!

 

「残念だがこれが現実だ・・・」

 

「不幸すぎる・・・」

 

「まあ、頑張れ!!」

 

 

 

   ~地獄の稽古 開始~

 

 

 

「さあ、まずは体力を作るから走り込みだな。」

 

おっ?案外普通だな。

 

「さあ、家からこの修行場までを10往復してこい!」

 

・・・今なんっつた?

家からここまで約20kmはあるぞ!!それを10往復・・だと!!

 

「いやいや、おかしいだろ家からここまでかなりの距離があるぞ!?」

 

「なにを言っている、これはお前の体力をつくるための稽古だ文句を言ってないで走ってこい!!」

 

「ああもう!分かったよ走ってくればいいんだろ!!走れば!!」

 

もうこうなったらヤケクソだやってやる!

 

ー9時間後ー

 

「・・お・・わっ・・た・ぞ」

 

「よし、次は水運びだ!」

 

「み・・ず・はこ・・・び・・?」

 

「そうだ、ここから里のふもとにある湖から水を運んでくるんだ。

まあ3往復くらいかな。」

 

「・さ・・との・み・ずう・・・み・だと・・?!」

 

距離 30km程です。

 

「さあ逝ってこい。」

 

「・・字・・が・ちげ・・・え・・・よ。」

 

この日から俺の少年時代が地獄のような日々に変わったんだ・・・・

 

 

 

「お~い、王千来てやったぞい。」

 

「よお、鬼凜。ほかの鬼共はどした?」

 

「いや~の、お前の稽古を受けたいという鬼がな萃香と勇義しかおらんかった・・」

 

「まあ、大勢でこられても困るが・・・

で、その二人はどこだ?」

 

「お前のとこの坊主に会いに行ったぞい。」

 

「おい、それってまずいんじゃないか・・・」

 

「あ・・・・・・・・・」

 

「あ・・・、じゃねえよ!!

俺たちも早く行くぞ!!」

 

一方その頃、悠は・・・・

 

「・・・し・ね・・・る・・」

 

死んでいた・・・

 

「お、あいつかい萃香?」

 

「そうだよ。」

 

「でもなんか倒れてないかい?」

 

「そうだね、倒れてるね。」

 

「「・・・・・・・」」

 

「・・・まあ、このままじゃ鬼凜達が来るからさっさと終わらせようか。」

 

「・・・そうだね。」

 

萃香と勇義が悠に近づいていった。

 

「おい、王千の息子・・・生きてるか~」

 

「・・だ・れ・・・で・・すか?・・・」

 

「萃香この子、今にも死にそうなんだけど・・・」

 

「・な・・に・か・・よう・・が・あ・・る・・ん・です・・か?・・」

 

「いやなに、あんたが萃香を吹き飛ばしたって言うからどんな奴か見に来たんだよ。

でも、なんでこんなことになってるんだい?」

 

「・・ああ・・・そ・・れは・・・」

 

ー少年説明中ー

 

「アッハッハッハ!!それじゃあ、なにかい王千の修行を受けたら動けなくなっちまったって!!

萃香言うのもなんだけどさほんとにこんな奴に吹き飛ばされたのかい?」

 

「・・・うん、なんかこんな姿を見たら吹き飛ばされた自分が情けなくなるよ・・」

 

「・・・す・・み・ま・・せん・・・」

 

「一体どうなってるんだ(じゃ)?」

 

悠の運命はどうなるのか!!

 



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第八話 少年の思い出 中

「・・・・・・ん」

 

 あれ、俺いつのまに家に帰ってきたんだっけ?

 ・・・・・ああ、思い出した・・・

 確か鬼凜さんにこの家まで運ばれてあの危険な薬を飲まされたんだっけ。

 にしても、あの薬どうにかならないかな・・・

 そのうち死ぬような気がするんだが。

 

「おお、起きたか。」

 

「ん・・・おはよ、親父」

 

「おう、おはよう。」

 

「俺っていつまで寝てた?」

 

「そうだな、今が夕刻くらいだから、ざっと半刻程度だな。」

 

 結構寝てたのか俺・・・・

 それにしても何か騒がしいな?

 

「それで、今どうなってるの?」

 

「ああ、それなんだがな・・・」

 

「お~い、王千早くせんと萃香たちに全部飲まれてしまうぞい。」

 

「ああ、今行く!!」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「なあ、親父まさかと思うが、飯の前に酒を飲んでんじゃないだろうな?」

 

「仕方がないんだ・・・あいつらが来た時点でこうなることは分かりきっていたことなんだ。」

 

「・・・まさか、俺が気絶してからずっと飲んでたのか?」

 

「そうだ・・・」

 

「はあ~~~」

 

 とゆうことは何か、向こうの部屋でずっと酒盛りをしてんのか・・・

 はあ~、頭痛くなりそうだ・・・

 

「まあ、お前も起きたんだ、一緒に飲むぞ。」

 

「子供に酒を飲まそうとするな!!」

 

「まあ、いいじゃないか」

 

 はあ~最悪だ・・・・

 

 

 

「お、やっと来たかい。」

 

「・・・・・」

 

「おう、待たせてすまないな。」

 

「坊主もやっと起きてきたかい。」

 

「お、なんだいなんだい、坊主が来たってことは坊主も飲むのかい?」

 

「おお、そりゃいいね。」

 

「「「あははははは!!」」」

 

 だめだ、この鬼たち完全に出来上がってんじゃねえか・・・

 え、なに俺この中で酒飲まないといけないの?

 やばい、泣きそう・・・・

 

「諦めろ・・・」

 

「はあ~~~」

 

「なんだいなんだい、これから飲もうってゆうのにため息なんてついちゃってさ。」

 

「そうだよ、萃香吹っ飛ばしたこと気にしてるんだったらそれこそ飲まないとねぇ~」

 

「お、そうだ、萃香、勇義お前たちこの坊主と姉弟の契でも交わしてみたらどうだい?」

 

「姉弟の契?」

 

「ようするに、血は繋がってないけど、私たちは家族だ!みたいな感じの契りさ。」

 

「私はいいと思うよ、萃香あんたはどうなんだい?」

 

「私も文句はないよ。」

 

「それじゃ、ほい、この杯に入ってる酒を飲みな。」

 

 これを飲んだらこの鬼たちと姉弟になるのか・・・面白いそうじゃないか。

 

 俺は鬼凜さんに渡された杯を手に取りそれを飲み干した。

 

「これで、私たちは姉弟だ!

 これから私のことは萃香姉さんと呼びなさい。」

 

「それなら私は勇義姉さんだね。」

 

「分かったよ、萃香姉さん、勇義姉さん。」

 

「さあ、こっから酔いつぶれるまで飲むよ~」

 

「さあ、飲みな!」

 

 ・・・え、まだ飲むの?

 明日は間違いなく二日酔いになるけど、まあいいか。

 

「分かりました分かりました!!

 飲めばいいんだろ飲めば!!」

 

 こうなったらやけだ、酔いつぶれるまで飲み続けてやる!!

 

 俺はそこらへんに転がっている酒の入った器を拾って、一気に飲み干した。

 

「いい飲みっぷりだね~」

 

「ほら、もう一杯のみな。」

 

 そしてこの宴会は酒がなくなるまで続いた。

 

 

 

 ~後日談~

 

「あ~~~~死ねる・・・・」

 

 たしかに二日酔いになったが、そんなこと関係ないと言わんばかりに

 そのあと容赦なく修行させられた・・・・・

 無念・・・・orz



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第九話 少年の思い出 下

さあ、紫様の登場だ。
まあ、主人公は相変わらず不幸ですけどねww


なぜこうなった・・・・

 

俺は今空を飛んでいた。

飛んでるというよりも落ちてるっていったほうがしっくりくるな。

高さはどれくらいかって?

多分1000mくらいかな?

まあ、簡潔に今どんな状況かというと、上空1000mくらいからパラシュートなしのスカイダイビングだな・・・・

このまま落ちたら死ぬって?

ああ、そんなことは分かんてんだよ。

 

「最悪だーーーーー!!」

 

なぜこんな状況になったかって?

まあ、それは昨日の出来事が原因だな・・・

 

 

ー昨日ー

 

 

・・・ああ今日も死にかけたな、

なんだよ10時間全力ダッシュっておかげで全身がプルプルしてんじゃねえか。

しかも途中で萃香姉さんに追いかけられるし。

ほんと、このままだと俺死ぬんじゃないか心配になってくるよ・・・・

はぁ~~

 

「・・・・・ん?」

 

俺が家に帰っている途中に金髪の女性が歩いていた。・・・あれ、この人どこかで見たことあるんだが?気のせいか?

 

「あら、こんにちわ。」

 

「あ、どうもこんにちは。」

 

「ねえ、あなたこの近くに王千っていう人の家を知らないかしら?」

 

「家に何かようですか?」

 

「家?・・・・ああ、あなたが王千のところの子供ね。初めまして、私の名前は八雲紫よ。

あなたのお父さんとはちょっとした知り合いなの、それで用事があるから案内してくれるかしら?」

 

「まあ、俺も家に帰る途中なのでいいですよ。」

 

「ありがと。」

 

 ー少年移動中ー

 

「親父ー、今帰ったよ~。」

 

「おお、やっと帰ってきたか。

・・・・・ん、誰だお前その後ろにいるのは?」

 

「あらひどいわね、久しぶりに会ったって言うのに私の顔忘れちゃったの?」

 

「・・・・まさか、紫か?」

 

「その通りよ、久しぶりね王千。」

 

「確かに久しぶりだな、前あったのが何年前だったけ?」

 

「たしか30年くらいじゃなかったかしら、それにしても驚いたわよ、あなたに子供がいるなんて。

しかもこの子、能力持ってるでしょ。」

 

「・・・ああそうだよ、そいつは能力を持ってるよ。

だが、体ができてないからかなり弱いぞ。」

 

「へぇ~そうなの?」

 

「まあ、お前が興味を持つのはわかるがあまり手を出すなよ。」

 

「わかってるわよ、それで王千あなたにお願いしたいことがあるんだけどいいかしら?」

 

「まあ、昔から世話になってるからな、でどんな用事だ?」

 

「ええ、あなたに行ってもらいたいところがあるのよ。

そこは、妖黒谷(ようこくだに)へ行って欲しいの。」

 

「・・・妖黒谷にか?」

 

「ええ、最近そこの妖怪たちが活発になってきてちょっと手が付けられない状況なの。」

 

「まあ、あそこはお前じゃ干渉できないからな。」

 

「そうなの、だから行ってくれる?

あなたが行ったらあそこの妖怪も少しは大人しくなるし。」

 

「・・・うーん、だがこいつの修行とかを見ないといけないんだが・・」

 

「それなら私が見るわよ。」

 

「いや、お前が関わるとろくなことにならないんだが?」

 

「いいじゃない、別に食べるわけじゃないんだから。」

 

「うーん、お前はどう思う?」

 

って俺に振るのかよ。・・・・待てよ、それなら明日は修行ないんじゃないか?

明日は休日になる・・・・これを逃す手はない!!

 

「俺は大丈夫だから、行ってきたら?」

 

「そうか、それじゃ行ってくるか。」

 

「じゃあ、引き受けてくれるってことね。」

 

「ああ、いつ行けばいい?」

 

「それじゃ、今から行ってくれる?」

 

「・・・・おい、今からだと?」

 

「ええ、だって私たち妖怪は夜に活発になるものだからね。」

 

「待て!、俺にも準備とゆうものが!」

 

「それじゃ、行ってらっしゃい。」

 

そう紫さんが言った瞬間、床がいきなり裂けて親父が下に落ちていった。

・・・・え、いったいどうなってんの?

 

「ふふ、相変わらず面白いわね。」

 

おいおい、なんなんだこの人!

いとも簡単に親父を落とすなんて!

 

「あなた一体何ものなんですか?」

 

「あら、言ってなかったかしら、私の名前は八雲紫、妖怪の賢者なんて言われているわ。」

 

「妖怪の賢者・・・・」

 

「ええ、あとあなた。」

 

「なんですか?」

 

「明日あなたの能力を見せてもらいたいのだけどいいかしら?」

 

「別にいいですけど。」

 

「ふふ、それじゃ、また明日に来るからよろしくね。」

 

そういって紫さんは裂けた空間の中に消えっていった。

・・・はぁ~不幸だ。

 

 

ー現在ー

 

それでまあ、紫さんは来たんだがあの人俺の能力を見た瞬間「あなたの力のどんなふうに使えるか見せて頂戴」なんて言って俺をこの空の上に放り出しやがった。

萃香姉さんたちでもこんなひでぇことはしないのに。

いや、同じくらいか。

・・・でもさすがにこれこのまま行ったら死ぬと思うんだがどうしよう?

俺の能力はこんな空中で使えるしろもろでもないんだけど。

こうなったらイチかバチか色々やってみるか。

 

そう考えた俺は、まず両腕から血を吹き出させた。

そして、血を少しづつ長方形状に固めていき一気にそれを伸ばした。

 

「ッグ?!」

 

だが、それが地面に付いた瞬間、反動が大きすぎてそれが折れた。

次に手に残った血を液体に戻して自分の背中に集めていきそれが少しずつ形になっていき翼のような形になった。悠はその血で出来た翼を羽ばたかせるが勢いは変わらず落下していった。

しかも初めて血で翼を作ったためか血の形成に必要な血や気力などをかなり消費した。

 

やばいな・・・・・次、失敗するとさすがに洒落にならんぞ・・・

しかも、かなり落ちてきてるし、このままいけばグシャって潰れるぞ!

どうする、どうする?!

 

そう考えている間にもどんどん落下していきもう半分も距離がない状態である。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

そして何を思いついたのか、悠は叫びながらその血の翼で自分の体を覆い球体のような形にり地面に落下していった。そしてその血で出来た球体が地面に衝突すると地面にクレーターができるが強度が足りなかったのか血の破片がそこらじゅうに飛び散った。

 

「あら、さすがに助けたほうがよかったかしら?」

 

だがそのクレーターが出来た部分を覗いてみると、悠の体は傷と血まみれではあったが致命傷や潰れている箇所はなく五体満足で生きていた。

 

「ふふ、これからこの子がどうなっていくか楽しみね。」

 

その姿をみた紫は不敵に微笑んでいた。

 

 

  ~後日談~

悠は無事であったが、そんな無茶なことをした紫を王千や鬼凜さん達が

追っかけ回したのはまた別のお話。



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第十話 妖黒谷

まあ、そんなこんなで俺はこの4年間過ごしてきたな。

確かにあの頃の俺とは比べ物にならないほど強くはなったが、

親父たちには、全く勝てないな。この前だってあと少しで蹴りが入りそうだったのに次の瞬間ボコボコにされるし・・・・・

でも、親父たちが言うには体は出来上がってきてるがどうも実践経験が足りないらしい。

それを補えばそこらへんの妖怪には負けないとか言ってたな。

 

「でも親父、その実践経験て主に本気の殺し合いだろ。」

 

「まあ、簡単に言うとそうだ。」

 

「ならその実践経験をどうやって積むんだよ、さすがに萃香姉さん達と殺し合いをする訳にはいかねえし。」

 

「ああ、それについては問題はない。」

 

「・・・・ああ?」

 

「そのためにも、お前は行ってもらうとこがある。」

 

「・・・・どこに行くんだ?」

 

「その場所は妖黒谷だ。」

 

 

ー次の日ー

 

妖黒谷(ようこくだに)またの名を罪餓谷(つみがだに)と言われている。

その谷の規模自体は小さいが、多くの妖怪、人間、神がいる。その全てが罪を犯しすぎた者たちである。

その場所は光がまったくと言っていいほどなく、稀に妖怪すら殺してしまう有毒性のある霧などが吹き出したりする。そして常に殺気が飛び交っているらしい。 

それをまとめる妖怪がいるらしいが、その妖怪の力がここ数年で落ちているらしい。

そのためこのところ暴れる者が多くそのうち地上に侵出してきそうなのだ。

4年前に親父が暴れる奴らを鎮圧したので慎重に動く奴らが多くなってきたらしい。

 

まあ、親父が説明してくれたのはこのくらいかな。

でもそんなとこで修行して来いなんて死にそうだよ・・・・

まあ、確かに実践経験を積めそうだけど失敗したら確実に死ぬところに行かせなくてもいいだろと思うのは俺だけなのか?

 

「さて、文句ばっか言ってないで行ってくるか。」

 

「妖黒谷についたらまず長の紅音(あかね)に会いに行け。」

 

「ああ、わかってるよ。」

 

夢來(むらい) 紅音(あかね)、妖黒谷の者たちをまとめる長であり、その強さは大妖怪に匹敵する。

己の能力で妖黒谷を囲っており誰も彼女には逆らえないらしいが、その能力が最近不安定なため力の制御が難しくなっており紅音自身の力が落ちているらしい。そのため暴動を起こす者が増えてきているらしいのだが・・・・

 

「その夢來って人に会って修行を付けてもらえって話だろ。」

 

「そうだ、その場所には紫のやつが送っていってくれるが、気をつけろよ。

前に俺が鎮圧したからといって気を抜いていい場所じゃないからな・・・」

 

「ああ分かったよ。」

 

「準備はいいかしら?」

 

「大丈夫です。」

 

「それじゃ行きましょうか」

 

「はい」

 

さて、これからどうなることやら。

 

 

ー妖黒谷ー

 

「っう!?」

 

ヤバイ、なんだここ、気持ち悪すぎる。

これが妖黒谷・・・・確かにこれは気を抜いたら死ぬな。

 

「あら、大丈夫かしら?」

 

「ええ、結構きついですけど大丈夫です。」

 

「そう、それじゃ紅音呼んでくるから少し待っててね。」

 

「分かりました。」

 

ああ、それにしてもホント気持ち悪いな・・・

こんな場所での修行か辛いな・・・・・・!

 

ガキン!!

 

「なんだ?!」

 

「おいおい俺様の攻撃を受け止めてるんじゃねえよ人間風情が・・・・」

 

いきなり厄介事かよ・・・・めんどくさいな。

 

「まあ、おとなしく死んどけや。」

 

「嫌だね!!」

 

そう言って俺は妖怪が突き出した腕をおもむろにつかみ投げ飛ばした。投げられた妖怪は体をひねりながら地面に着地すると同時に爪を悠に向かって伸ばしてきた。

 

これは、今のままじゃ避けられねえな。

よし、やるか・・・

 

「剛血、2倍!!」

 

爪があと少しで悠を捉える瞬間に、悠の姿が消えた。

 

「なに!!」

 

「これで終わりだ」

 

「なっ!!」

 

いつの間にか悠は妖怪の懐に潜り込んでいた

そして、拳を構えた瞬間・・・

 

「((王千直伝おうせんじきでん))・((波紋|はもん))!!」

 

「ッガ!!」

 

そのまま妖怪は吹き飛んで動かなくなった。

 

「ああ、死ぬかと思った。」

 

親父にいろんな技教えてもらってよかった・・・死んでないよな・・・?

 

「あら、倒しちゃったの?」

 

「へえ、やるわね。」

 

「?!」

 

俺はその声に反応して距離をとろうとしたが・・・

 

「つれないわね~」

 

「お姉さんたちと遊びましょう!!」

 

「姉はもう結構です!!」

 

その女二人が同時に襲ってきてその攻撃を避け続けるが、

少しづつだが女達の攻撃が悠に当たり始めていた。

 

「ックソ!!」

 

「「ほらほら、どうしたのもっと遊びましょうよ!!」」

 

「ッガ!!」

 

女達の蹴りが同時に入って吹き飛ばされた。

女達は追撃を仕掛けずその場でとどまっていた。

 

「・・・なんのつもりですか?」

 

「私たちは遊んでるのよ、別にあなたみたいな子供を殺すつもりはないから安心して遊ばれなさい」

 

「なんで俺はこんなめんどくさい人たちに絡まれるかな・・・・」

 

「「ふふ、じゃあいかせてもらうわよ!!」」

 

「・・・剛血純度3倍、王千直伝・|流水(りゅうすい)

 

女達がさっきのように攻撃を仕掛けるが、いきなり攻撃が当たらなくなっていた。

拳、蹴りなどを同時に繰り出しても完全に攻撃をいなし、受け流していた。

しかも、その受け流した攻撃の勢いを利用してカウンターを決めていた。

女達も負けじと攻撃を仕掛けるが・・・

次の瞬間、空気が変わった。

 

「なに、やってるのあなたたち?」

 

そこには真紅の髪の女性が立っていた。

 

「「あ、紅音・・・」」

 

「私の前で面倒なことを起こさないでよ、潰すわよ。」

 

「・・・わかったわ、私たちも楽しめたことだし帰りますよ」

 

「そう、ならとっとと帰りなさい。」

 

「ええ、それじゃ、坊やまたね。」

 

「はあ・・・・」

 

そう言うと二人の女は去っていった。

 

「災難だったわね・・・」

 

「いえ、別にそれはいいんですけど・・・あなたが紅音さんですか?」

 

「そうよ、私が妖黒谷の長の夢來紅音よ。それであなたが王千の息子ね」

 

「はい、そうです。」

 

「まあ、ここで修行するなら今みたいな事態が確実に起こるけどいいの?」

 

「はい、別にそれはいいです。」

 

「そう、なら歓迎するわ、ようこそ妖黒谷へ。」

 

 




ー後書きのようなものー

「さあ今回の後書きのようなものは技の紹介ですね。」

「おっ、作者まだ死んでなかったんだ?」

「死んでねえよ、死亡フラグは立てちまったけどまだ死んでたまるか!!」

「早く死んで俺に自由をよこせ。」

「嫌に決まってるだろうが!!
くそ、主人公の分際で・・・・」

「はっ・・・・主人公だからな!(どやぁ~)」

「ドヤ顔やめろし・・・・」

「はいはい、とっとと説明しろよ」

「わかったよ」

それでは説明します。
まず、剛血(ごうけつ)についてですが、これ自体は単なる身体能力の強化ですね。
2倍3倍など言ってましたが、これの使う主人公の上限自体は4倍が最高です。

次に紹介するのは、波紋(はもん)これは王千から教わった技で拳を構え拳圧を飛ばす技ですね。相手との距離が近ければ近いほど絶大な威力を誇ります。

そして最後に紹介するのがこれ!!
流水(りゅうすい)これは、主人公のパーソナルスペースを把握して攻撃を受け流せるようにする技ですね。(制空圏みたいなもの)

「まあ、紹介はこんなもんですかね。」

「と言っても、まだ技はあるんだがそれは次回のおたのしみー。
楽しみに待っててくれ。」

「「それじゃ、さようなら」」


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第十一話 暴動

・・・・この頃、戦闘シーンが多い気がする。


「はあ!!」

 

「遅いわよ!!」

 

蹴りを放つがそれが届く前に叩き落とされ、お返しとばかりに蹴りを飛ばしてくるが、その蹴りを紙一重のところで避け距離をとった。

 

「危ないですね・・・」

 

「へえー、今のを避けるようにはなっているのね。それじゃ、もう少し本気出さしてもらうわよ!」

 

「それは勘弁願いたいですね!!」

 

紅音が目にも止まらぬ速さで連撃を放つが、それに合わせるように悠また攻撃を当てていた。

 

 

悠がこの妖黒谷に来て約半年程度の月日が流れていた。

紅音と最初に会ったその頃は妖黒谷で暮らす上で必要なことを教えてもらい、生きていく上での最低限の知識と戦闘方法などについて教えてもらってい、最近では妖黒谷の妖怪たちや紅音本人との組手などをしていた。

そのおかげで今の悠の強さは中級妖怪と対等に戦えるぐらい成長していた。

 

「それにしても、ほんと強くなったね。」

 

「まだまだですよ。」

 

「謙遜しなくたっていいよ、今のあんたは強くなったよ。」

 

「あはははは・・・・」

 

そう言っても、多分俺はこの人が本気になったら1秒も持たないような気がするよ。

 

「そうそう、紫からあんたに伝言よ。」

 

「・・・紫さんから?」

 

「ええ、そろそろ萃香たちを抑えれそうにないから早く帰ってきてとの事よ。」

 

「・・・・・・・・」

 

・・・・ああそう言えば、萃香姉さん達に行ってきますって言ってねえや。

これ今戻ったら俺今度こそ死ぬんじゃないかな・・・?

いや!!萃香姉さん達のことだ、きっと許してくれるに違いない!!

そう俺は信じている!!

・・・いやきっと!!

・・・そうだといいな~

ダメだ絶対帰り次第追いかけ回される・・・・・

それで捕まったら・・・・嫌だこれ以上考えたくない・・・・・・

 

「はあ~~~~」

 

「なんか、大変だね・・・・」

 

「それじゃ、一旦帰ることにします。

これ以上萃香姉さんを待たせることになったら・・・考えるだけでも恐ろしい・・・・」

 

「ああ、わかったよ。どうせまた来るんだろ?」

 

「ええ、また修行つけてくださいね。」

 

「ああ、わかって・・・・なんだい?」

 

「どうかしたん「静かに」・・・」

 

ドーン!

ドーーン!

ドーーーーン!!

 

「これ何の音ですか?」

 

「まさか?!」

 

そう言って紅音さんは飛び去ってしまった。何かまずい気がするな・・・・

どうする、このまま追っていても足でまといになるし、かと言って追わないとまずい気がするし。

ああ、なんでこう俺は面倒ごとに巻き込まれるんだよ!!

そう言って紅音の飛び去った方向に進もうとするがその場にとどまり。

ついでだ、あれも持っていくか・・・・

岩場に置かれている2本の剣を持って紅音の後を追った。

 

 

ー妖黒谷広場ー

 

「これはひどいな・・・・・」

 

この広間には戦えないものや戦うのが嫌になった者たちが集う場所なのだが、そこには死体がいくつも転がっており、生きているものいるがほとんどの者が重傷だった。広間の場所が所々穴が空いているので多分

 

「一体何が起こってるんだよ・・・・」

 

悠は広場を後にすると、出たすぐ先に紅音と覆面を被った集団がいた。

 

「お前達、なんてことをしてくれたの戦えない者達を殺すなんて・・・・・覚悟は出来てるんでしょうね。」

 

「ふん、覚悟か!貴様こそ出来ているんだろうな、紅音!

我々は今日こそ貴様を殺してこの妖黒谷を俺様が支配してやる。だからまずは手始めにこの広場の連中を殺してやったのだ!この妖黒谷に戦わないものは必要ねえからな!

前の時には王千の奴に邪魔をされたが今度はそうはいかんぞ!!」

 

「王千も甘い・・・・ここにいる連中はどっちにしたって罪を持っているんだ殺してたほうが楽だって言うのに・・・まあいいわ、ありがたく思いなさいあなた達の罪を今から償わせてあげる。」

 

「ほざけ!!力が落ちている貴様が我々に勝てると思うな!!お前たちやってしまえ!!」

 

そう言って覆面を被った連中が紅音に襲いかかろうとしたが、

黒い影がいきなり突っ込んできて何体かは吹き飛ばされていた。

 

「王千直伝・空震脚(くうしんきゃく) (ばく)

 

 

そう言った瞬間、その周辺にいた覆面の連中は吹き飛ばされていた。

 

「大丈夫ですか、紅音さん?」

 

「まったく、ここまで追ってきたのかい?」

 

「ええ、心配でしたから。」

 

「私が心配されるなんて、私の力もかなり落ちているね。」

 

「充分強いですって・・・・・」

 

「ん?あんたそれ持ってきたのかい。」

 

「ええ、たぶん必要になると思ったんで・・・・」

 

「今回はその直感に感謝しときな。」

 

「ええ、そうしときます。それにしても、たくさんいますね。」

 

「大丈夫だよ、こいつらはそこまで強くはないから。あんたでも余裕で勝てるんじゃないかな?」

 

「そうなんですか?まあそれでも安心はできませんが。」

 

「ああ、でもこれだけは言っておくよ。これは稽古じゃなくて、本当の死合いだよ。

覚悟を決めてないものは死ぬからあんたも殺す気がないなら下がってな。」

 

「・・・・・わかってます。」

 

「そうかい・・・・それじゃ、始めますかね。」

 

「わかりました。」

 

「なんだ貴様は!!」

 

「俺?別に俺の名前をあんたに教える必要はないな。」

 

「ふざけおって!!貴様も殺してやる!!貴様らやってしまえ!!」

 

「右を任せたよ。」

 

「わかりました。紅音さんも怪我だけはしないでくださいよ!!」

 

「わかってるよ!!まったく歳はとりたくないもんだね!」

 

そう言って二人はその集団に突っ込んで行った。

 




ー後書きのようなものー

「今回の後書きのようなものは前回の続きですかね。」

「まあ、そうだろうな。」

「でも、俺思うんだよね・・・・」

「何が?」

「前書きにも書いてるんだが・・・・戦闘回数多くないか?」

「・・・・確かに多いな・・・」

「・・・・なぜだ・・・」

「俺が知るか!しかもそれで一番被害でてんの俺だからな!」

「まあ、ぶっちゃけると悠が不幸なのはどうでもいいんだよ。」

「ぶっちゃけやがった!!」

「しかも、原作介入までかなり遠い・・・」

「それは自業自得だろ・・・・」

「さて、悠のせいで話が横にそれてしまったが、前回に続き技の説明をしていきます。」

「いや、てめぇがいきなり愚痴り始めるからだろうが!!おい作者こんな愚痴を見てもらった読者さんに謝っとけよ!」

「申し訳ございませんでした!!!!(作者渾身の土下座!)」

「「・・・・・・」」

「さて、作者も土下座したことだし技の説明をしていくぜ」

それでは説明します。
この空震脚(くうしんきゃく)は空気を震わせる技で威力自体弱いですが、範囲が広くいろいろ応用することができ種類としては三つあります。(王千の場合は五つです)

まず、さっき悠が使っていた空震脚・(ばく)、これは空気を震わせ周りの物や人を弾き飛ばす技で、小石程度の物を弾き飛ばすと弾丸並みのスピードが出ますね。

次に空震脚・(あつ)、これは空気を震わせ周りの空気を下に押し込む技で、相手の動きを一時的に止めることなどができる。

そしてこれで最後、空震脚・()、周りの空気を振動させ物などを浮かせたりその場に止めたりすることができる技で、威力はないが、範囲が広く小さなものであれば完全に固定することができる。(人間など重すぎる物は不可能)

「さて今日はこれくらいかな」

「そうだな、まあ作者がいきなり愚痴り始めたときにはダメかと思ったが・・・」

「気にするな!!俺はこの小説を終わらせる気はまだまだねぇぜ!!」

「なら愚痴るなよ・・・・」

「・・・・・ごめんなさい。」

「まあ最後にまた謝っとくか?」

「そうだな、では読者の皆様・・・愚痴ったりして・・・・」

「申し訳ございませんでしたーーーー!!」

「「では、また次回」」


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第十二話 絶狼剣と天燕剣

さあ、戦闘開始だ!


くそ、めんどくさいな・・・

確かに俺よりは弱いけど量が多過ぎる。

やっぱ、覚悟決めて殺すしかないな・・・・

 

「どうしたどうした!!さっきまでの勢いは!!」

 

「クッ!!剛血3倍!!」

 

「ギャ!!」

 

埒があかねえ!!やっぱこれを抜くしかないか・・・

 

「・・・・・・・・ふぅー」

 

「何止まってるんだよ!!」「舐めてんのか人間が!!」

「死ね!!」「今だやっちまえ!!」

 

そう言うと奴らは一斉に襲いかかってきたが・・・・

悠は腰に携えている剣のうちの1本を握り。

 

「はっ!!」

 

次の瞬間何かがきらめき、襲いかかってきた奴らを全員切り裂いていた。そして切られていた奴ら全員が死んではいないがほとんどが致命傷なのでまず確実助からず次々に倒れていった。

 

「・・・・・・・」

 

そう言うと悠は、その覆面を被った奴らから出た血溜まりに剣を近づけ・・・

 

「吸い上げろ、絶狼剣(・・・)

 

そう言い上げると、血溜まりから血がどんどん吸われていった。そして、そこに血がなくなるとその剣は禍々しく光っていた。

 

「これが血を吸う度に禍々しさと鋭さが増す絶狼剣だ。あまり殺したくはないが、死にたい奴からかかってこい。」

 

そう言うと悠から発せられる殺気が増していたが、

目の前の敵がどうでもいいかのように悠はこれを貰った時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悠あんたに渡すものがあるんだけどいいかい?」

 

「・・・・・? 俺に渡すもの?」

 

「今のあんたはその身体能力だけで弱い人間とか妖怪を殺すことができるけど、

強い奴が出てきたときにあんたの能力だけじゃさすがに無理がある。

だからあんたに武器をあげるよ。」

 

「武器っていったって、俺武器とか使ったことはそんなにありませんよ?」

 

「別にいいんだよ、私が武器の扱い方とか教えるんだから。

あんたはつべこべ言わず受け取る!」

 

「はぁ・・・・」

 

「と言っても、その渡す武器自体がいわくつきなんだけどね・・・・」

 

「えっ!」

 

「まあ、見せたらわかるでしょう。いいからついておいで。」

 

そう紅音に言われると悠は紅音の後について行くと、そこには祠のような場所があった。

その祠からは何か嫌な雰囲気が出ているんだが・・・・

紅音はそんなこと気にせず祠の扉を開けた。

そしてその中には、2本の剣が飾られており、紅音はその2本の剣を手に取りこちらに持ってきた。

 

「これがあんたの武器となる絶狼剣(ぜつろうけん)天燕剣(てんえんけん)よ。」

 

「絶狼剣と天燕剣?」

 

「ええ、どちらもいわくつきの剣だけどまさしく両方とも名刀にふさわしい剣だよ。」

 

「紅音さんが言うから本当に名刀なんでしょうけど、どうしてその剣がいわくつきなんですか?」

 

「ああそれはこれから説明するよ。

まずこの絶狼剣だけどこれは血を吸い上げるんだよ、その血の相手が強ければ強い程、禍々しさと鋭さが以上に増すまあいわゆる妖刀だね。しかもその鋭さゆえ切れないものがないときた。

これの前の持ち主なんだけど、死んでたよ血が一滴もない状態でね。たぶん前の持ち主がこの絶狼剣に血を一滴も残さずに吸い付くされたんじゃないかと私は思うんだよね。

でも、あんたの能力ならこれに血を吸い付くされることはないかなと思ってこれを渡すんだよ。」

 

「まあ、確かに俺の能力だったら扱えるかもしれませんけど・・・・」

 

「大丈夫だよ、あんたなら使いこなせると私は信じてるからね。」

 

「紅音さんがそこまで言うなら・・・」

 

「次にこの天燕剣なんだけど、わからないんだよね・・・・

この神々しさからして神刀なんじゃないかなって思ってるんだけど、私が抜こうとしたんだけどこれ抜けないんだよ。これについて調べてみたんだけど、持ち主が全員が行方不明なんだけど話によると

なんでもこの天燕剣は抜けばすべての事象、空間、さらには次元すらを切り裂けるらしいんだけどその持ち主は絶対行方不明になる剣らしんだよ。でも私はあんたなら抜けてこれを完全に扱えるんじゃないかと思ってるんだよ。」

 

「なんでですか?」

 

「勘だよ、勘。ま、無理にでも押し付けるけどね」

 

「押し付けるって・・・・このいわくつきの剣をですか。」

 

「まあ、いいじゃないか。たとえ、この天燕剣が抜けなくてもこの絶狼剣を扱えるようになってればかなり戦闘が楽になるはずだよ、あとこの天燕剣なんだけど持ってるだけで守護が付くっぽいよ?」

 

「守護がついたところで死に方が行方不明って最悪じゃないですか・・・・・」

 

「細かいことはいいんだよ!!さあ、今からあんたに剣術叩き込むから覚悟しな!!」

 

「わかりましたよ、その代わり死なない程度にしてくださいね?」

 

「保証はできないよ。」

 

「・・・・・はぁ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後からホント何度死にかけたことか・・・・

まあ、そのおかげで今こうして使えるんだけどね。

 

「おいっ!なにそんなガキに手間取ってんださっさと殺してしまえ!!」

 

「残念だけどもう残ってる奴はあんたしかいないよ。」

 

「クソッ!!」

 

覆面のリーダーらしき男が逃げ出そうとしたが・・・

 

「あんた、私の能力から逃げ切れると思ってるのかい?」

 

そう紅音が言った瞬間に男の足がなくなっていた。

 

「ぎゃーーーーー!俺の・・・俺の足が!?」

 

「うるさい口だね、黙らないと次は腕を消すよ・・・・?」

 

「ま・・待って!! 命だけは助けてくれ!!」

 

「うるさい、お前は今から私がする質問に答えればいいんだ。

まず、お前がこいつらの親玉だね。」

 

「そ・・・そうだ」

 

紅音の質問に男は顔を青くしながら答えた。

 

「次にこの暴動の黒幕は誰だい?」

 

「し・・知らない!!俺は知らない!!」

 

「そうかい・・・」

 

次の瞬間、男の片腕が消えた・・・・

 

「ぎゃーーーーー!!う・・腕が!?」

 

「さあ、答えな。」

 

「う・・・本当に知ら・・・」

 

男が否定しようとした瞬間、首がはね飛ばされた。

 

「?!誰だい!!」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

そこには、黒い着物を着て手ぬぐいで顔を隠している男の姿があった。

 

「あんたがこの暴動の黒幕かい?」

 

「ああ、そうだ。」

 

「へぇ~、黒幕自ら登場とは、私に殺される覚悟は出来てるんだろうね。」

 

「お前にそれはできないぞ?」

 

「言ってくれるね・・・・・その言葉が遺言でいいね。」

 

「・・・・・・さっさとかかってこい」

 

「言われなくても!!」

 

紅音はその男に突っ込んでいった瞬間、地面の下から結界が発動され二人の姿が消えてしまった。

 

「な!!」

 

その場に取り残された悠には呆然とすることしかできなかった・・・・・



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第十三話 陰謀

「それで、二人は消えてしまったんだな?」

 

「ああ、それは間違いない・・・・」

 

「なぜお前はそんなに面倒ごとに巻き込まれんるんだ?」

 

「それは俺が聞きたいよ・・・・」

 

「まあ、今はそんなことを言ってる場合ではないな。あと言っておくがこの戦いに紫や萃香たちは参戦できないからな。」

 

「なっ!どうしてだよ親父!!」

 

「お前、紅音に聞かなかったか?」

 

「あっ!」

 

「そういうことだ・・・・・」

 

そう、この妖黒谷には不可侵の条約が結ばれていて紅音自身の許可がなければ外の妖怪や人間はこの場所に干渉できないのだ。だが親父は特別でいつでもこの妖黒谷に入ることができるのだが。

 

「クソ!!どうにもできないのか!!」

 

「落ち着け、確かに紫たちは戦に参戦できないが、今、紅音の場所を探ってくれている。」

 

「え・・・・でもそれじゃ「まあ聞け」・・・分かった。」

 

「確かにこの妖黒谷は紅音の能力によって許可がないと入れないんだが、

紫、あいつは別だ。あいつの能力はスキマを作り出すことができるからこの妖黒谷にも侵入はできる。

まあ、侵入したところで紅音に気づかれるんだが・・・・

今は非常事態だ。紅音が黙っている限り紫がバレることはない。だから紫には紅音の場所を探してもらってるんだ。」

 

「と言うことは、もう少しで紅音さんの場所がわかるんだな。」

 

「そういうことだ。」

 

「わかった、それなら待つ・・・」

 

「ああ、その怒りは紅音をさらった奴らにぶつけろよ・・・」

 

「わかってるよ・・・・」

 

そうして悠たちは紫の報告が来るのを待っていた。

 

 

 

 

ーside 紅音ー

 

ああ失敗したよ・・・・

 

紅音がさらわれてすでに5時間が経過していた。

紅音の状態は手足を鎖で繋がれおり札を貼られいる。さらには、結界まで張られていて完全に身動きがとれない状態になっていた。

 

「気分はどうだ・・・・・・」

 

「最悪に決まってるよ・・・・」

 

「クックック・・・・まあ、そのうち開放してやるから辛抱してろ。」

 

「はっ!どうせその代わり空間を解けとか言い出すんだろうね。」

 

「そんなことはどうでもいい」

 

「どうでもいい?」

 

「ああ、今はそんなことよりもやらねばならないことがあるのだ。

そのために貴様を利用させてもらうがな。」

 

「へぇ、私が協力をするとでも思ってんのかい?」

 

「いや、どう考えても貴様が俺に協力をするとは思わんからな。」

 

「だったらどうするってんだい?」

 

「まあ、説明してやろう。貴様自身でな!」

 

「なっ!」

 

紅音の体に何か糸のようなものがまとわりつき、紅音の意識は真っ暗になった。

 

 

 

 

ーside ???ー

 

「クックック・・・・これであの邪魔な王千を消すことができる。」

 

「そう上手くいくかな?」

 

そこには少年のような人物がいた。

 

「?!・・・・なんだ貴様か・・・」

 

「ふふ、そんなに焦って君らしくもない。」

 

「俺が焦っているだと、笑わせるな。

貴様に俺の何がわかるというのだ!!」

 

「そうだね・・・もちろん何も分からないよ。」

 

「だったら「でもね、君の感情は読めるよ」・・・・なに?」

 

「君は間違いなく焦っている。なぜかは知らないけどね?」

 

「・・・・ふん、相変わらず貴様はやりづらい。」

 

「そうかい?僕は君と話をするのが結構好きなんだけどね。」

 

「・・・・・・」

 

「はは、そんな怖い顔しないでよ?殺したくなっちゃうだろ。」

 

この場の空気が凍りついた。

それはまるでこの場所だけが世界から完全に隔離されてしまったんじゃないかと思うほどに・・・

 

「冗談ですよ?」

 

「・・・・っく、それで要件を言え!」

 

「ええ、そうでしたね。要件は簡単です。この妖黒谷を手に入れたあと、あのお方が君に会われるようなので一応言っておきたくてね。」

 

「なに? あのお方が来られるのか?」

 

「ええ、君がこの作戦を成功させた場合だけどね。」

 

「分かっている。これで手駒は揃ったのだ、問題なく作戦は成功させる。」

 

「ふふ、では健闘を祈りますよ。」

 

「ああ、分かったからさっさと帰れ。」

 

「では、生きていたらまた逢いましょう。」

 

「・・・・・ふん」

 

そう言うと少年らしき人物は闇へと溶けていった。

 

「相変わらず、気味の悪いやつだ。まあいい、この作戦さえ成功すれば俺はあの方を殺すことができるのだ。」

 

男はそう言うと紅音へと視線を向けた。

 

「さあ、起きろ紅音。今から貴様と共にあの忌々しい奴らを消してやるからせいぜい働けよ。

ハハハハハハハ!!」

 

男は狂ったように笑っていた。その声は不気味な空に消えていった。

 

 

 

 

 

ーside 悠ー

 

「見つかったわよ。」

 

紫がそう言うと・・・・

 

「紅音さんはどこにいるんですか?」

 

「ここから南のところにある洞窟ね。」

 

「ああ、あそこですか。」

 

「じゃあ、とっとと行くぞ。」

 

「分かってるよ。」

 

僕もこれ以上待つこともできそうにないしな・・・・

 

「ごめんなさいね、私もこれ以上は干渉できないのよ。」

 

「分かっている。では行ってくる。」

 

「じゃあ行ってきます。」

 

「ええ、行ってきます。」

 

そう言うと、悠と王千は走り去っていった。

 

 

 

 

 

確かにそこに紅音はいた・・・・紅音はさらった奴と一緒に。

 

「嘘だろ・・・」

 

「おいおい、なんの冗談だ紅音」

 

「・・・・・・・」

 

「クックック、遅かったじゃないか王千」

 

「・・・・お前誰だ?」

 

「ああ、これが初めましてだな、王千よ。そしてサヨナラだ。」

 

「何言ってんだお前? っでお前が紅音を操ってるのか?」

 

「クックック、そう思うならさっさとくればいいじゃないか?」

 

「ああそうかい、それじゃそうさせてもらうぞ!」

 

次の瞬間、王千が男に向い出そうとしたが瞬間、紅音がそれを邪魔しようとしたが、

 

「させない!」

 

悠がその攻撃を受け止めて、王千はそのまま男に向かって行った。

 

「紅音さん元に戻ってください!!」

 

「・・・・・・・」

 

紅音は無言のまま、悠に蹴りを放ってきた。

悠はその蹴りを紙一重のところで避け後ろに後退したが、紅音は蹴りを放ったあとそのまま追撃を行い悠に迫っていった。

 

「ッチ!剛血4倍!!」

 

悠は自分の肉体を限界まで引き上げて、その追撃を躱しきり距離を置いた。

 

「わかりました、俺が紅音さんあなたを止めます。」

 

「・・・・・・・・」

 

さあ、戦いの幕開けだ。



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第十四話 血という名の毒・・・

「ッチ!!」

 

悠は今まで教わった攻撃を試しているが、紅音はそれを完全に受け流しカウンターを決めてきていた。

 

強いのはわかってたけど、ここまで差がでると泣きそうになる・・・

クソ!どうにかしてこの状況を打開しないと・・・・

 

「・・・・・・・」

 

「はぁ!!」

 

紅音に回し蹴りを叩き込もうとするが、蹴りを放つ前に止められ投げ飛ばされた。

悠はその投げ飛ばされた勢いを利用して紅音突っ込むが、紅音は突っ込む俺に対して弾幕を展開していた。

だが、悠は速度を緩めず突き進んだ。弾幕がところどころ被弾していくが最低限の動作で弾幕を回避し、紅音の懐に潜り込み殴ろうとするが、逆に死角から蹴りを叩き込まれた。

 

「っぐ!! 流水!!」

 

体勢がよろけた悠に紅音はさらに連撃を加えてきた。

悠は反射的に流水を使い受け流そうとするが、防御の対応が追いつかずかなり攻撃いさらにはまた吹き飛ばされてしまった。悠は受身をとり体勢を整え距離とった。

 

「はぁはぁ・・・・・」

 

「・・・・・」

 

このままだとやばいな・・・

流水を使っても対応が間に合わないし、波紋や震空脚を使ってもそれを放つ前に攻撃を止められる。

普通の攻撃じゃあ簡単に受け流されるし、どうすればこの状況を打開できる・・・・?

 

悠は考えていた実践経験は少ないが、今まで培ってきた経験を活かし、どうすれば相手に有効な攻撃を当て、倒すことができるのかを・・・・・そして、悠は閃いた。

 

イチかバチかだがやってみる価値はあるな・・・・・

 

悠はそう思うと、拳を地面に構えて技を繰り出した。

 

「波紋!! 空震脚・爆!!」

 

悠が技を繰り出すと地面が少しだひび割れ、そして次の瞬間その割れた地面の欠片が弾丸のような速度で四方八方に飛び散った。

紅音は、その飛び散った欠片をたたき落とすが、全てはたたき落とせなかったのか欠片が紅音の腕に刺さっていた。

残りの欠片を紅音は避けようとするが、回避をした先に悠が一瞬で詰め寄り右拳を叩き込んできた。

紅音は回避しようとするが間に合わず、悠の拳が紅音の顔を捉えた。悠はそのまま止まらず連撃を叩き込んでいく。

紅音は避けようとするが、何発か攻撃を当てられていた。さすがに効いたのか、紅音は少したじろいでいた。悠はまた距離を取り同じ技を繰り出す。紅音は飛んできた欠片を弾幕で撃ち落とうとするが、いくつかの欠片は弾幕を貫いて紅音の体に刺さった。欠片が刺さると同時に悠は紅音に突っ込みかかと落とし叩き込もうとするが紅音はその蹴りを難なくよけるが、悠はその瞬間を待っていた言わんばかりにかかと落としを地面に叩きつけた。

 

「空震脚・(あつ)!!」

 

その瞬間、紅音の動きが一瞬の止まり、悠はそのスキを見逃さず、拳を構え技を繰り出していた。

 

「これが俺の全力の波紋だ!!」

 

そう叫ぶと悠の拳は紅音の体に入り込み紅音吹き飛ばした。

紅音は瓦礫の中に吹き飛ばされ、動かなかった。

 

「・・・・・やったのか?」

 

悠はそう言うと体が限界なのか、その場に倒れ込んだ。

 

ああ、死ぬかと思った。ほんと能力を使わないと危ないところだったぜ。

 

そう、悠の作戦はこうだった。

まず、自分の血を拳から流して波紋で地面を砕く、そうするといくつかの欠片に血を付着させることにより欠片の強度を上げた。そうして空震脚・爆でその欠片を全方位に飛ばす。

さすがに地面の欠片だから避けようとはせず、叩き落とそうとしていたが血で強度を上げた欠片は壊れずにそのまま紅音に刺さったのだ。

次は避けようとしたが、悠が避ける先に先回りをし攻撃を叩き込んだ。しかも運が良かったのか何発か当たった攻撃は急所だった。紅音たじろいだスキにまた同じ技を繰り出し、しかもその欠片の強度を最大まで上げていた。

それでいくつかの欠片は弾幕を貫き紅音に刺さり、その瞬間かかと落としで決めに行くが、これがイチかバチかの賭けだった。そのまま、攻撃を紅音に受け止められていたら決め手をなくしていた。だが、悠はそんな賭けに勝ったのだ。

紅音はかかと落としを避け。そのまま悠は空震脚・圧で動きを止め、全力の波紋を紅音に叩き込んだのだ。

 

「・・・・・勝った・・・・勝ったーーーー!!」

 

倒れながら悠は叫ぶが、次の瞬間悠は腹を蹴られ吹き飛ばされた。

 

「っぐ!」

 

そのまま悠は吹き飛び壁に衝突する。次は顔を掴まれまた投げ飛ばされた。また投げ飛ばされ、次も投げられ、悠は受身も取れずに投げ飛ばされ続けていた。

 

一体何が起きてるんだ?!

 

悠は訳が分からず焦るが、攻撃の手は緩められない。

そして、悠は王千が戦っている場所に投げ飛ばされた。

 

 

 

ーside 王千ー

 

「お前、奇妙な物を使うな。」

 

「クックック、貴様には奇妙に映るかもしれんがこれはかなりの殺傷性を持った武器だぞ。」

 

「だろうな、だが当たらなければどうということはない。」

 

王千はそう言うと男に気弾を放つが、男はその気弾を避け小さな卵もような物を投げてきた。

王千はその卵ような物体から飛び退いた。

次の瞬間その卵のようなものが爆発した。そう、これはこの時代にはない手榴弾の技術を応用したものだ。爆発の威力はかなりのもので、さすがの王千も避けなければいけない代物だった。

他にもこの男は、銃や小型ミサイルのようなこの時代ではありえない技術を使い王千の攻撃を防いでいた。

 

「くっくっく、どうした王千、元鬼の四天王がこの非力な俺を倒せない訳がないよなぁ!」

 

「・・・・! なぜ俺が、元鬼の四天王だと知っている!」

 

「貴様に教える必要はないぞ」

 

「なら、その体にに直接聞くまでだ!!」

 

そう言うと王千が男に突っ込もうとした瞬間二つの黒い影が飛んできた。

そのうちのひとつは、ボロ雑巾のような状態の悠ともうひとつは、服がボロボロになった紅音の姿だった。

 

「クックック、残念だったな、これで貴様が俺に勝つことは不可能に近いぞ。」

 

「ッチ!」

 

「・・・そうだ、いいことを思いつたぞ。」

 

男はそういうと、悠に近寄り注射器のような物を悠に刺そうとしていた。

 

「おいやめろ!!」

 

「クックック!!そんなにこの小僧が大事か?」

 

「大事に決まってんだろうが!」

 

「それでは一ついいことを教えてやろう。」

 

「いいことだと?」

 

「そうだ、この容器の中にはな強い妖怪や、位の高い神などの血が大量に入っている。

ここまで言えば分かるよな、そうだこれは毒だ。人間どころか妖怪だって即死できるほどの致死性をもった毒だ。これをこの小僧に刺すとどうなるんだろうなぁ?」

 

「この、腐れ外道が・・・・・」

 

「クックック、まあ俺も鬼じゃないお前に猶予を与えてやる。紅音の攻撃を耐え続けたらこの小僧を解放してやってもいいぞ。まあ、貴様には選択肢はないんだがな。」

 

「・・・・分かった好きにしろ。」

 

「いい覚悟だ。紅音やれ」

 

そう男が言うと紅音は王千を殴り飛ばし、そしてそのまま連撃を叩き込んだ。

王千は抵抗をせずただ一方的に紅音にやられ続けられていた。

その姿をみて男はただ不敵に笑っていた。

 

ー数時間後ー

 

紅音の攻撃を数時間受け続け、さすがに限界に達し王千は地面に這いつくばっていた。

 

「元鬼の四天王とはいえ、無様だな。」

 

「さっさと、そいつを離せ・・・・」

 

「ああ、いいだろう解放してやろう!!」

 

男は悠の首に注射器のようなものを刺し、王千に向かって蹴り飛ばした。

 

「貴様!!」

 

王千が飛びかかろうとするが紅音がそれを阻んでいた。

そして、毒を注入された悠の体が激しく痙攣をしていた。

 

「悠!!」

 

王千が叫ぶが悠の体は急に動かなくなったが、次の瞬間、悠の体から血が溢れ出した。

 

「なんだこれは!! こんな症状はなかったはずだぞ?!」

 

男は驚き悠に対してさらに注射器のようなものを刺したが血は止まらずまるで生き物のように蠢き、

いつの間にか悠が立ち上がっていた。

 

ーside 悠ー

 

熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い・・・

 

血液が沸騰してるみたいだ、頭が溶ける、俺の体が千切そうだ。眼球がはじけ飛びそうだ。脳に酸でもぶち込まれた感じがする。体の骨の関節が全部逆になりそうだ。胃が裂けそうだ。心臓が破裂しそうだ。口の中が乾く、喉が灼ける。皮膚が灼けただれそうだ。一体なんなんだこれは!!

俺の体に何が起こっている?!血が熱い、まるで溶岩でも入れられたぐらい熱くて体が溶け始めそうだ!!俺の血に何が起こってるんだ?!

落ち着け!!落ち着くんだ俺!!まず俺の体がどうなってるのかを調べろ!!

どうやる?! 俺の能力を使うんだ!!急げ急げ!!早くしないと死ぬ間違いなく死ぬ!!

なんだこれは、俺の血じゃない血が入ってきて俺を殺そうとしてるのか?!

クソッ!!どうする、どうすればこの血をどうにかできる?!

そうだ!!この血を俺の血に変えればいいんだ!でもどうやって?そんなことを考えてる暇はない急いでやらないと死んでしまう!!

まずは、どのくらい血を入れられた?どこまで侵食している?どのくらい俺に適合できる?

急げ急げ急げ!!いらない血は外に放出しろ。無駄なことを考えるな。速くもっと速く!!

 

悠が外に血を放出させるが、また新しく血が入れられてきた。

 

また・・・・!!熱い熱い熱い!!でもこれはさっきと同じタイプの血だ、これなら!!適応させろ、適合させろ、この俺に合わせろ!!

 

悠がこの血を完全に支配下に置いた瞬間、悠の意識は覚醒した。



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第十五話 暴動の終幕

ーside ???ー

 

「き、貴様・・・・」

 

なんなのだ、こいつは!!

この致死性の高い毒を大量に投与したのに死ぬどころか、威圧感を増して立ち上がっただと!?

ふざけるな、なんなのだ、どうしてこうなった、俺の作戦は完璧だったはずだ!!

こうなったら、こいつが惚けてるスキに殺せば問題ない!!

 

「し、しねぇ!!」

 

男は銃を取り出すと悠に向けて撃とうとするが、悠はその銃の銃身を手で握り破壊した。

そして、男の肩を無造作に掴むと。

 

「邪魔・・・・・」

 

そう言い放ち、男を片腕で投げ飛ばし、男は瓦礫に突っ込んだ。

 

「こんな、この俺の計画がこんなガキに邪魔されなぞありえんのだ・・・・」

 

男はそう言うと意識を手放していた。

 

 

 ーside 悠ー

 

なんだろう、体が軽いし力がみなぎってくる。でもさすがに血を出しすぎたかな、足元が少しふらつくな。あとこの線みたいなものなんだろう?

 

悠は目覚めてから自分の体の状況を整理していた。

悠が状況を整理しているといきなり隣にいた男が銃を向けてきたが反射的にそれを手で握り破壊してしまった。そして、そのまま男の肩を掴み投げ捨てた。

 

「邪魔・・・・・」

 

ビックリしたなぁ、いきなりなんだってんだ?

とゆうか、今のって銃だよな?なんでこの時代にあるんだ?まあいいか・・・・

それにしても、かなり投げられまくったのにダメージがほとんど無いな・・・

しかも、力もかなり上がってるみたいだし。あの血のおかげか?

まあいいや。それよりも今どんな状況なんだ?

 

悠はそう思うと周りを見回し、状況を確認した。

 

今の状況、倒したはずの紅音さんが親父を踏みつけてる・・・・

しかも親父はかなりボロボロだし、あとさっき、投げた奴って紅音さんを操ってた奴だよな?

ほんとどうなってるんだ?

 

「めんどくさいことになってるな。」

 

悠はそう言うと、紅音の方を向き睨みつけた。

 

「さて、紅音さん?まだ操られてますか?それならまだ戦うわけですがどうでしょうか?」

 

「・・・・・・・」

 

悠が紅音がまだ操られているかを確認のために聞いてみたが、紅音は無言で悠に向かって蹴りを放った。

 

「うぉ!!」

 

悠はそれを難なく回避し距離をとった。

 

それにしても、なんなんだこの線?

なんか、色違いの線が紅音さんにいろいろ巻き付いてるけど?そのうちの大半が真っ黒な線で覆われているし、しかもその線の軌道上に蹴りが来たから簡単に避けれたけどよくわからん。

 

悠は絶狼剣ではなくもう一つの剣、天燕剣を構え、そして紅音ですら抜けなかった天燕剣が簡単に抜けた。

その刀身はとても美しく何もかもを透き通ってそうな色をしており、触ったら壊れてしまいそうな感じのとても幻想的で美しい剣だった。

 

「・・・・・・・・・・・っは!!」

 

やべ、完全に見とれてた!!と言うかなんだよこの剣!!芸術がわからない俺でも見とれるってどんだけすごいんだよ、でもこれ切れるのか?確かにこの剣からは力みたいなものが出てるけど、これってぶつかり合ったりしたら折れるような気がするんだが・・・・

 

「っと危ないな・・・」

 

剣に見とれていた悠に紅音は容赦なく弾幕を叩き込もうとしたが、悠は反射的にその弾幕を天燕剣で切り裂いていた。その切られた弾幕は二つに別れ飛んでいった。

 

おいおい、どんな切れ味してんだこの剣?弾幕を切った感触さえなかったぞ?

待てよ・・・・ たしかこの剣は空間や事象を切れるって言ってたからこの意味の分からん線も切れるのか?

 

悠はそう思うと剣を構え線に振り下ろすと、その結果線はきれいに切れていた。

 

へぇ、この線もやっぱ切れるのか、なら紅音さんに巻きついているあの黒い線も切れるのか?

 

悠はそう思うと、一瞬で懐に入り込み黒い線の一部を切断すると、いきなり紅音が苦しみだし、動きが止まった。

 

「っが!!」

 

その瞬間に悠は残りの黒い線をすべて切断していた。そうすると紅音の動きが完全に止まり紅音の目に今まで失われていた生気があった。

 

「あ、紅音さん?大丈夫ですか?」

 

「・・・・ああ、大丈夫だよ、それにしてもあんたいきなり強くなったねぇ?私が操られて能力は出なかったけど身体能力の方は全力だったはずなんだよその状態で私を圧倒してるし、しかも、私でも抜けない天燕剣を抜いてるし、ホント驚いたよ。」

 

「あはは・・・・・」

 

「しかも、あいつにかけられた洗脳の術式を解除してしまうし、一体どうやったんだい?」

 

「ああ、なんか血を適合させてから見えるんですよ変な線が、よくわからないんですけど紅音さんの体に巻きついていた黒い線から嫌な感じがしたんでそれをこの天燕剣で切ったら紅音さんにかかっていた洗脳が解けたんだと思います。」

 

「ふぅん? 変な線ねぇ? それにしてもまあ、あの男好き勝手やってくれたわね。

 その罪は今ここで償わなせるから少し待ってて。」

 

「あの男なら多分、向こうの方に投げ飛ばしたんですけど見えますか?」

 

「あっちの方だね、任せな確実に息の根を止めてやるから。」

 

「待て紅音、俺も行く・・・・」

 

「お、親父!!」

 

「無理しちゃダメだよ王千。」

 

「大丈夫だ、この程度なら問題はない。」

 

そう言うと王千は立ち上がり紅音に近づいていった。

 

「まあ、あんたが言うんだから大丈夫なんだろうね。」

 

「ああ、あと奴は色々おかしな武器を持ってたからなさすがに一人では危ないだろう?」

 

「よく言うよ、その相手に対してかすり傷すらおってなかったあんたが私の心配をするわけないだろ?」

 

「まあいいから聞け。」

 

そう言うと王千は紅音にそばに行き小声で話をしていた。

はじめは笑っていた紅音だが次第に顔からその笑がなくなり真剣な顔つきになってた。

 

「それは、本当なんだろうね?」

 

「ああ間違いない、だがどうやって奴が俺のことを知ったのかが問題だ。

そのためにも一緒に行かせてくれ。」

 

「わかったよ。でもそれなら悠はどうする?」

 

「それなら、紫に頼んでるから問題はない。」

 

「わかったよ、好きにしな。」

 

「というわけだ、悠お前は先に帰って萃香達と待ってろ。さすがにあいつらも限界だろうからな」

 

「あっ・・・・・」

 

「今思い出したみたいだな・・・・」

 

あははははは、これって俺死ぬんじゃないかな?確実に・・・・

いや、理由を言えば萃香姉さんたちもわかってくれるはずだ!!

でもまあ、人体のいくつかは覚悟しないといけないんだろうな・・・・・

 

「はぁ~~~~~~」

 

「まあ、そのなんだ・・・・死ぬなよ・・・」

 

「不吉なこと言うな!!」

 

こうして悠の妖黒谷での異変は幕を閉じた。

家に帰り待っていたのは、まあ地獄なんだがそれはまた別のお話・・・・・

 

 




ー隠蔽された話ー


グッ、ここは・・・どこだ?
確か俺はあのガキに投げ飛ばせれて・・・それからどうなった?

「やあやあ、やっと起きたのかい?」

「む?なんだ貴様か・・・ということは貴様が俺をここまで運んだのか?」

「ええ、そうですよ。
大変でしたよー、妖黒谷の管理者の紅音とあの元鬼の四天王の王千から気づかれずにあなたを運びだすのは苦労しましたよ。」 

「それについては、礼を言ってやるが、それにしてもここはいったいどこだ?」

「ああ、ここは私が作り上げた空間のひとつですよ。」

「ああ、そういえば貴様の能力は空間を作り出す程度の能力だったな。」

「厳密には違いますが、まあおおむねそんな感じですかね?」

「それにしても、あのガキは想定外だった。」

「・・・・?」

「まさか、この俺の作戦があんなガキに止められるなぞ、思いもしなかった。」

「ああ、あの子供ですか。」

「次は真っ先にあのガキから殺して王千の息の根を止めてやる・・・・!」

「残念ながらあなたに次はありませんよ?」

「・・? 貴様何を言っておる?」

「いえだから、あなたに次はありませんよ?あの方を裏切ろうとしたあなたに次があるわけないでしょう?」

「なっ!」

「気づかれてないとでも思いましたか?それはなんとも間の抜けたことで。まあ、あなたの処遇は私が決めるのですが・・・
あと、あなたに面白いことを教えてあげますよ。あなたは私の能力を空間を操る程度の能力と言いましたが違います。私の能力は相手の能力を喰らい扱えるようにする程度の能力ですよ?」

「・・・・まさか!」

「ええそのまさかですよ?今からあなたの能力を喰わせていだだきます。」

「ふ、ふざけるな!?」

「いえいえ、ふざけるなんてとんでもない。それでは最後に遺言はありますか?5秒以内言ってください。それがあなたの残りの命の長さだ。」

「い、いやだ!俺にはまだするべきことが・・・」

「残念ですが時間です。では、惨たらしく僕に喰われてください。」

そう言うと少年は男の喉元に噛みつき、喉を噛みちぎった。
だがそれだけでは終わらず、少年は腕、足、胴、頭を順番に食べていった。
その姿はまるで、野獣のごとく男の体を喰い尽くし・・・

「ふぅ~、不味い!!ホント腐りきってるな~。ああ~気分わる。」

少年はそう言うと手を前にかざし空間を作っていた。

「さて、これからどうなって行くんでしょうね。
アハ、アハハ、アハハハハハ!!」

少年はその狂った笑い声と共に空間に消えていった。


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第閑話 妖怪の山

この話なんですが時間軸は妖黒谷へ行く前の時間軸です。


やあ、みんな元気か?いつも面倒ごとに巻き込まれている悠だ。

もちろん今も面倒ごとに巻き込まれてるぜ。どんな面倒ごとかだって?

ああそれは・・・・・・

 

「そこの侵入者おとなしく捕まりなさい!!」

 

「最悪だーーーーーーー!!」

 

なんでこんなことになってるかだって?それは数時間前に遡る・・・・・・・

 

 

ー数時間前ー

 

「なあ、悠よ。」

 

「なんだ親父?」

 

「お前に頼みたいことがあるんだが。」

 

「なんだよ?」

 

「いや、この手紙と酒を萃香に届けてやってくれ。」

 

「萃香姉さんに?でも持って行くなら親父が行けばいいじゃないか?」

 

「いや・・・・ちょっとな・・・」

 

「・・・・?」

 

どしたんだ親父の奴?苦虫を潰したような顔して?

なんかまた面倒ごとになるような気がするが?

 

「まあ、いいけどさ。思えば萃香姉さんたちってどこに住んでるんだ?」

 

「ああ、あいつらが住んでいるのは妖怪の山ってところだ。

あそこは、いろんな妖怪や神がいるが一番力を持っているのが鬼だな。その部下の天狗共が妖怪の山の警備をしているはずだから、そいつらに、鬼の萃香に会いに来たっていえば通してもらえるはずだ。まあたぶん面倒ごとにはならんはずだ。」

 

「ん、じゃあ、萃香姉さんにこの手紙と酒を届ければいいんだな。」

 

「ああ、頼んだぞ。」

 

「それじゃ早速行って来ます。」

 

まあ、めんどくさい事にならないといいけど・・・・・

 

 

 

 

 

 

ー妖怪の山ー

 

 

 

 

 

「へえー、ここが妖怪の山か・・・・」

 

それにしても、案外近くに在ったんだな。修練場からそんなに遠くなかったし・・・

ま、そんなことはいいか。早く萃香姉さんにこれ渡して帰ろう。

 

「止まりなさいそこの人間!!」

 

「・・・・・?」

 

なんだ?・・・・犬?

 

「ここは、人間の立ち入ってよい場所ではありません。早々にこの山から立ち去りなさい!!」

 

「いや、俺はこの山に用があってきたんだけど・・・・・あんた天狗か?」

 

「ええそうです。この山の警備を任せれている白狼天狗の犬走(いぬばしり)(もみじ)です。それでこの山にいったいどんな用事ですか?」

 

しぶしぶと言った感じだが白狼天狗の椛は悠の言葉に耳を傾けた。

 

「いや、この山に住んでいる萃香姉さんにこの手紙と酒を渡しに来たんだけど・・・」

 

「嘘をいえ!! 萃香様に弟様はいない!!」

 

「いや、だから「問答無用!この場を立ち去らないのであれば実力で排除します!!」・・・・

・・・はぁ~めんどくさい事になったな。」

 

「おとなしく捕まりなさい!!」

 

「嫌だよ!!」

 

悠はそう言うと突っ込んできた天狗の頭上を飛び越えた。

そしてそのまま悠は山の中に入っていった。

 

「ま、待ちなさい!!」

 

はあ、めんどくさい事になったけどさっさと萃香姉さん探して山を降りよう。うんそうしよう。

 

「人間の癖に速いですね・・・・ですが天狗をあまりなめないでください!!」

 

「っげ!」

 

天狗は空に浮きかなりの速さで追いかけてきた。

 

「おいおい!飛べるとか反則だろ!!」

 

「なにをふざけたこと言ってるんですか!天狗が飛べないわけないでしょう!!」

 

・・・・それもそうか。

それにしてもやばいな、このままだと追いつかれるし・・・身体能力上げるか。

 

「剛血3倍」

 

悠は剛血を発動させ木々を避けながら走っていったが、天狗も負けずと悠を逃がさまいと空中から悠を追いかけ、人間と天狗の追いかけっこが始まったのだ・・・・。

 

 

 

 

一方その頃、王千の家

 

「お~い、王千遊びに来たよ~!」

 

「・・・・・っは?」

 

「どしたんだい王千そんな天狗に剣でも投げられたような顔して?」

 

「いや、それは危ないだろ・・・・」

 

「ハッハッハ!それもそうだね!でもあんたなら軽々と避けるだろ?」

 

「まあそうだが、それにしても萃香?なんでお前ここに「私たちもいるよ王千?」・・・・」

 

「かっかっか、どうしたんじゃ王千?そんな諦めた顔して?」

 

「それにしても悠はどこ行ったんだい?修練場にいなかったけど?」

 

「・・・・・・・・妖怪の山に行ったよ・・・」

 

「「「「・・・・え?」」」

 

「あいつの不幸もここまで来たら一種の能力だな・・・・・」

 

 

 

 

そして現在・・・・・

 

「待ちなさい!!」

 

「だから嫌!!」

 

あれから結構走ってるけどしつこいな・・・

はぁ、なんでこう俺は面倒ごとに巻き込まれるのかなぁー

心折れそうだけどさっさと萃香姉さんたちに会ってとっとと帰ろう・・・・

 

「あやややや、どうしたのですか椛?スクープですか!!」

 

「侵入者です!!私では追いつけないので射命丸先輩が捕まえてください!!」

 

「いいですよ、捕まえたあとは私の好きにするから面倒ごとは任せましたよ椛?」

 

「なっ!そ、そんな~」

 

なんか増えてる・・・・・・

あれも天狗か?それにしても萃香姉さんどこにいるんだよ・・・・・

 

そんなことを考えていると黒い翼が生えている天狗が一瞬にして距離を詰めてきた。

悠はその速度に驚き横に飛ぼうとしたが・・・・・

 

「え、ちょ、ちょっと!!」

 

「あっ・・・・・」

 

悠が曲がると同時に天狗も曲がってきてぶつかってしまっていた。

 

「もう一体何なんですか、私が曲がる方向に曲がるなんて、そのせいでぶつかってしまったじゃないですか・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

なんだ?顔の上に柔らかいものが・・・・

 

「しゃ、射命丸先輩・・・・・」

 

「ん、なんですか?なにかお尻の下に・・・・・」

 

「「「・・・・・・・」」」

 

この瞬間誰もが無言になっていた・・・・

 

現状報告! 椛追いつく>悠は文とぶつかる>その結果悠は文の尻の下敷きになる>文がそれに気づく・・・・以上報告終了!!

 

「い、いやーーーーーーーーー!!」

 

「ぐふっ!!」

 

顔を真っ赤にした文が悠の顔面を全力で蹴りつけた。

悠はそのまま吹っ飛び痙攣を起こしていた。

 

「しゃ、射命丸先輩お、落ち着いて・・・」

 

「椛!離しなさい、そうじゃないと殺れません!!」

 

「殺っちゃダメですよ!!捕まえて天魔様のところに連れて行って処遇を決めてもらわないと!」

 

「離しなさーーーーーい!!!」

 

このとき妖怪の山には、文の無残な叫び声が聞こえたとさ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「天魔様、侵入者を捕まえてまいりました!」」

 

「そう、ご苦労さまね、文、椛。」

 

「いえ、仕事ですから!」

 

「そう、でもなぜ文はそんなに不機嫌なのかしら?」

 

「なんでもないです!!」

 

「だったらいいのだけど・・・・・それにしてもこの妖怪の山にどんなご用事があったのですか侵入者さん?」

 

「別に侵入をするつもりはなかったんだよ。」

 

「ならなぜ?」

 

「この酒と手紙を萃香姉さんに届けたらとっとと帰るつもりだったんだよ。」

 

「あなたまだそんなことを言っているんですか!!」

 

「事実だからしょうがないじゃないか・・・」

 

「この!!」

 

「やめなさい椛、私にはこの者が嘘を言っているようには思えないのです。」

 

「ですが天魔様・・・」

 

「それは萃香様達が帰ってきたときに分かることです。違いますか?」

 

「う、それは・・・」

 

「椛、諦めたほうがいいですよ。天魔様が決めたのなら私たちじゃどうにもできないんだから。」

 

「でも・・・」

 

「それで、まだ俺に聞きたいことがあるんですか?」

 

「ええ、もちろん。それでは聞きますがあなたは人間ですか?」

 

なんでそんなこと聞くんだ?まあ確かに人間離れしたとこがあるけどさ・・・・

 

「多分人間だと思うよ。」

 

「それでは次にあなたはお酒飲めますか?」

 

「・・・・・・・はっ?」

 

「いえ、だからお酒ですよ。飲めるんですか、飲めないんですか?」

 

「いや、飲めるけどなんでそんなことを聞くんだよ。」

 

「いえいえ、今から私と飲み比べをしませんか?」

 

「・・・・・なんでだよ。」

 

「う~ん、なんでと言われましても、あなたと飲みたくなったからではいけませんか?」

 

「いけません!!天魔様、勤務中にお酒などいけません!!しかも侵入者と飲み比べって言語同断です!!」

 

「いいじゃないですか椛、私だってたまには羽目を外したいんですよ・・・」

 

「ダメです!!ほら射命丸先輩も止めてくださいよ!」

 

「椛、諦めなさい・・・」

 

「そ、そんな~」

 

「大変だな・・・・お前・・・・」

 

「今、帰ったよ~」

 

「悠、無事かい~」

 

「まあ、捕まってたら修行の量を増やすけどね~」

 

「・・・・・・・・・」

 

ああ、逃げたい・・・・

 

 

この日妖怪の山では宴会が行われたとさ・・・・・・



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第十六話 旅立ち

あの妖黒谷の暴動から数日が経っていた。

その時の暴動の首謀者らしき男には逃げられたが、妖黒谷の被害は少なかった。

その代わり妖黒谷の管理人の紅音のダメージが原因か能力がかなり不安定になり結界が保てなくなっていた。そのため逃げ出したものもいるがその全員が行方知れずとなっていた。

妖黒谷に残ったものは、八雲紫の提案により幻想郷と呼ばれるところに移住していった。

 

「う~ん、それにしてもなー、なんなんだろこの能力?

前みたいに血は操れるけど、この線はなんなんだろな?」

 

「まあ、そんなに考えても仕方がないよ。」

 

「まあ確かにそうだけど。でもね萃香姉さんいくら俺でもそんな岩投げられたら死ぬからね。」

 

「当たらなければいいだけだよ!」

 

「ちょ!!」

 

萃香が投げた岩を悠は難なくよけるがその避けた瞬間に萃香に腕を掴まれて投げ飛ばされた。

悠はそのまま受身を取るが、萃香がそのまま追撃をしてきて紙一重のところで回避をしていた。

 

「ちょ、萃香姉さん、危ないって!!」

 

「そう言いながらもかなり避けれるようになってるじゃないか。私も嬉しい限りだよ!!」

 

ああもう、なんでこう萃香姉さんは俺に修行をつけたがるのかな・・・・・

ああ、俺も萃香姉さんたちみたいな怪力が欲しいな。

 

そう悠が願ったあと、悠の蹴りが地面に入り地面が割れた・・・・・・・

 

・・・・・はっ?なにこれ?

 

「おぉ!!悠いきなり地面割るなんてやるじゃないか!!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ萃香姉さん!!」

 

「ん?なんだい?」

 

「いや、おかしいだろ、ただ俺が蹴っただけで地面が割るなんて!」

 

「でも、全力でやったなら割るだろ?」

 

「まあ、そうだけども!!けど、さっきの蹴りは全くっていっていいほど軽い蹴りだったんだよ!」

 

「どういうことだい?」

 

「わ、わからない・・・・」

 

なんなんだ俺の体に何が起こってるんだ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりそれは、あの毒のせいじゃないか?」

 

「やっぱそうだよなぁー」

 

「でもそん時は変な線が見えるだけだった。」

 

「でも今日の修行では、悠が私たちみたいな怪力を手に入れたいと思ったら鬼並みの怪力で地面を割った。」

 

「うーん、わからん。」

 

「やっぱり新しい能力じゃないのかい?」

 

「やっぱそうだよな~」

 

うーん、でも俺が望んだだけで萃香姉さんたちみたいな怪力を手に入れられたのはいいけど、

使い方が全くわからないな。

しかもこの線のこともあるし・・・・・

 

「悠、気になるんだったら天魔のところにでも行くかい?あいつの能力なら悠の能力もわかると思うんだけど?」

 

「ああ、そういえばそうじゃの。確かに辰未の能力なら悠の能力がわかるの~。」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、そうじゃよ。辰未の能力はの見る程度の能力じゃ。」

 

「見る程度の能力?」

 

「まあ、そこんところは天魔に会ってからでいいじゃないか。」

 

「それじゃ、行くよ悠!」

 

「・・・・え、今から?」

 

「今からに決まってるじゃないか。悠も自分自身の能力について知りたいだろ。」

 

「まあ、そうだけど。でも今から行ったら夜になるよ?」

 

「悠、忘れたのかい?私たちには簡単に移動できる方法があるじゃないか。」

 

・・・・あったっけそんな方法?

 

「ゆ~か~り、出番だよ。」

 

「なによ、萃香・・・?」

 

萃香姉さんが紫さんを呼んですぐスキマが開き紫さんが出てきたが・・・・・

なんというか・・・・ひどい状態だった・・・・・

 

「ゆ、ゆかり・・・っぷ!!」

 

「なによ、萃香呼んどいていきなり笑うなんてひどいじゃない・・・ふぁ~~」

 

「ゆ、紫さん?自分の顔とか・・・見たほうがいい気がしますけど・・・っぷ!!」

 

「なによ、悠までそんな笑いをこらえた顔して・・・分かったわよ、

自分の顔を見てくればいいんでしょ・・・・・・」

 

そう言う紫に萃香が鏡のようなものを渡して、紫が自分の顔を見た瞬間・・・・・

 

「な、なにこれーーーーーーーーーーーー!!」

 

「あははは・・・もうだめ!!、あはははは!!いきなりそんな顔で出てきたら笑うしかないよ!!」

 

「・・・・っぷ!!」

 

「かっかっか!!」

 

そう、今の紫の姿はひどい状態なのだ。いつも綺麗な髪は乱れまくり、目には隈ができて、服は寝巻きで出てきており顔には小麦粉のような粉が付きまくっていた・・・・

 

「ちょ、ちょっと待ってて!!今すぐ直してくるから!!」

 

「「「「あはははははははははは!!」」」」

 

「笑いすぎよ!!!」

 

そう言って紫はスキマの中に帰っていった。

それから2時間ぐらいたった頃に紫はいつもの状態で帰ってきた。

だがその時のみんなの目は笑いに堪えていたとさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、私に悠君の能力を見てもらいたいと?」

 

「ああそうだよ。」

 

紫の騒動のあと、スキマを使い無事に妖怪の山についた悠たちはすぐに天魔こと、天羽(てんう)辰未(たつみ)さんに会いに行った。

萃香姉さんたちがいきなり辰未さんに会いに来たので天狗たちはかなり混乱してパニックになっていたが辰未さんはこのことを予期していたのかのごとく堂々と座っていた。

 

「すみません辰未さんいきなり押しかけてしまって。」

 

「いえいえ、いいんですよ別に。この山の上司は萃香様たちなのでこんなことは日常茶飯事ですよ。

あと、かわいい悠君のためです断る訳がないじゃないですか。」

 

「あ、ありがとうございます///」

 

「お、悠照れてるねぇ~。」

 

「べ、別に照れてなんか!!」

 

「悠君?別にもっと甘えてもいいんですよ?」

 

「え、遠慮しときます・・・・・」

 

「う~ん、残念。」

 

俺がこの妖怪の山に侵入したあと萃香姉さんたちがなんとかしてくれたんだが、そのあとの宴会でなぜかこの辰未さんに気に入られてしまっていた。しかもそのあと、椛がかなり必死に謝ってきたっけ・・・・

でも、文はすごく俺のこと睨んでたよなぁ~

 

「あれ、そういえば椛たちは?」

 

「椛たちなら、いつも通り警備や記事をやってますよ。」

 

「そうですか、二人とも元気にやってますか?」

 

「ええ、元気すぎて困るくらいですよ。」

 

「それなら良かったです。」

 

「さて、それでは本題の悠君の能力についてですが、今の悠君の能力は前の能力が変化しているのと新しく能力が出てきています。」

 

「それで悠の能力はなんなんだい?」

 

「まず、悠君の血を操る程度の能力ですが、それが流れを操る程度の能力になっています。」

 

「ま、まって辰未さん!!能力が変わってるのになんで俺は血を操れてるの?」

 

「それについてですが、血液って体の中を移動してますよね?だからなんの問題も無く血を操ることができているんですよ。あと、悠君だけに見える変な線のことですが多分は色々な流れだと思います。」

 

「いろいろな流れ?」

 

「ええ、例えば空気の流れとか、相手の動きの流れとかそんな感じの流れが見えてるんですよ。」

 

「だったら俺が見ている線はずっと見えると?」

 

「いえ、制御ができるようになったら見える線を選んだりできるはずですよ。」

 

なるほど、結構な線が今も見えてるけどこれを制御できれば問題がないわけだ。

 

「じゃあ、俺が萃香姉さんたちみたいな怪力が使えたのは?」

 

「それは、もう一つの能力の力を統べる程度の能力が発動したんじゃないかと思います。」

 

「力を統べる?」

 

「ええ、怪力や魔力、脚力など力がついた文字を悠君は扱えるんですよ。

例えば悠君が脚力が欲しいと願えばそれを扱えるようになりますが、早く走りたいと願っても早くは走れません。要するに悠君が力が欲しいと願えばその力が操れるんですよ。でも同時に使えるのは2つの力ぐらいですね。」

 

「なるほど、どうして俺が萃香姉さんたちみたいな怪力を使えたかが分かりました。ありがとうございます。」

 

「いえいえ、悠君の力になれれば私も嬉しい限りですよ。」

 

「うっ・・・///」

 

「でも、悠君に一つ言わなければいけないことがあります。」

 

なんだろう俺に言わなければいけないことって、かなり真剣な顔になったしかなりやばいことなのかな?

 

「・・・・それはいったいなんですか?」

 

「今の悠君は人間ではありません。前から悠君の種族が分かりずらかったんですが今の悠君の状態は妖怪でも、神でも、私でもわからないのですが今の悠君はどの種族にも入らないのです。しかもそのせいで悠君の体は不老になっています。」

 

「・・・・・・え。」

 

「大変辛いと思いますが、これが私が言わないといけないことです。」

 

まて、まってくれ・・・・今の俺が人間じゃない?しかも前から?

まあ、確かにあの毒を入れられたときには人間やめたような気がしたけど実は前から人間じゃなかったのか?・・・・まあいいか

 

「いいんですか!!」

 

「・・・・あの、辰未さん俺の心を見ないでくれますか?」

 

「ああ、ごめんなさい。でもそんな簡単に決めていいんですか?」

 

「ああ、別にいいんですよそんなことは。」

 

「軽いですね・・・」

 

「やっぱり悠は変わらないねぇ。」

 

「かっかっか、さすが王千の息子だけのことはある!」

 

「・・・・・え!!悠君、王千さんの息子なんですか?!」

 

「ああそうだよ、なんだい辰未、知らなかったのかい?」

 

「知りませんよそんなこと!!初耳ですよ!というか王千さん結婚してたんですか?!」

 

「かっかっか、結婚はしてないぞ。」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「ああ、そうじゃ。悠はこの山の近くで拾われたらしんじゃ。」

 

「そうなんですか、ホント驚きましたあの王千さんの息子だったなんて・・・・・」

 

「まあ、人生なんてそんなもんじゃ。」

 

「まあ、そうですよね。それで悠君はこれからどうするんでうすか?」

 

「う~ん、それなんだけど俺、旅に出たいと思ってるんですよ。」

 

「旅?」

 

「ええ、この世の中のことも知らないといけないし、何よりこの能力を制御したいですしね。」

 

「そのための旅だと?」

 

「ええ、まあ、ついでに不老になったんですから旅とかしてみたいじゃないですか。」

 

「まあ、私はいいと思いますけど王千さんが許すでしょうか?」

 

「ああ~そのことなんだけど悠?悠がどうしても旅に出たいんだったら王千からの許可は貰ってるよ。」

 

「もらってんの?!」

 

「いや~そのなんじゃ、実は悠を鍛えていたのは悠がいつか旅に出るときまでに強くしようってことで悠を鍛えていたんだよ。」

 

「そ、そうだったのか・・・・・」

 

「まあ、少し寂しくなるけど私たちは賛成だよ。でもその代わりちゃんと帰ってきなよ。」

 

「もちろん、いくら遅くなろうと帰ってくるよ。」

 

「ならいいんだよ。」

 

「それじゃ、今夜は悠の旅立ちを祝って王千の家で宴会だーーー!!」

 

「「「おー!!」」」

 

「ああ、結局こうなるのね・・・」

 

そうして悠の知り合いすべてが王千の家に集まり宴会が行われた。

 

 

 

 

~ある夜の会話~

 

 

「行くんだってな・・・」

 

「うん・・・・」

 

「いいか、悠? お前が一体何ものであろうともお前は俺の自慢の息子だ。」

 

「なあ、親父・・・・恥ずかしくないか?」

 

「すげぇ、恥ずかしいわ!」

 

「あはははは。」

 

「あはははは。」

 

「「あははははははは!!」」

 

これが悠が旅立つ前にした最後の会話だった。

 

 

 

 

 

ー次の日ー

 

「こんなに来なくても良かったと思うんだけど・・・・?」

 

悠の旅立つみんなで見送ろうということになり悠の知り合い全てが見送りに来ていた。

 

「いいじゃないか、私たちの弟の旅立ちの門出だ賑やかな方がいいだろ?」

 

「かっかっか、まあ元気でやるんじゃぞ!」

 

「そうだよ、しかも負けて帰ってきたらまたしごいてやるからね!」

 

と萃香姉さん、勇義姉さん、鬼燐さんがそう言いい。

 

「そうだよ、悠あんたは私を負かしたんだ無駄死になんてするんじゃないよ。」

 

「ふふっ、悠が旅にでる歳になんてホント時間が流れるのは早いわね。

あと悠、旅が終わったら幻想郷に来なさい歓迎するわよ。」

 

と死ぬなと紅音さんと旅が終わったら幻想郷に来ないかと紫さんが言いうと

 

「道中を気お付けてください悠さん。寂しくなりますが泣かずにまってます。」

 

「まあ、死ぬんじゃないわよ。」

 

「悠君、体調には気お付けてくださいね?」

 

と涙目になっている椛、いつもどうりで素っ気ない文、俺の体調を心配してくれている辰巳さん

 

「まあ、気お付けて行ってこい!!」

 

と最後に王千が言うと

 

「行ってきます!!」

 

悠はそう言うと後ろを振り向かず走り出していた。

 

こうして悠の旅の幕が明けた。この先悠に一体どんなことが起きるのかそれはまた次のお話・・・・




ー後書きのようなものー


オリキャラ紹介コーナー!!

作者  「いえーーーーーーーーーい!!」

悠   「だからテンション高いって・・・」

作者  「そんなことはいいんだよ!! さてこのコーナーはこの俺、作者が悠と一緒にオリキャラの紹介をしていきたいと思いますので早速行きたいと思います。」

ではまず最初に悠の育て親、王千雪人についての紹介です。

名前   王千(おうせん) 雪人(ゆきと)
種族   半人半妖(鬼) 
能力   相手の力を倍にして返す。
能力説明 相手が殴ろうとしてもその殴る力を能力で倍にして返すことができる。
見た目  いつもだらしなく服を着ていて、髪は短くボサボサしていて結構だらしない格好をしている。
強さ   最上級妖怪レベル

作者  「まあ、こんな感じですかね?」

悠   「確かに紹介方法はこんな感じだな。」

作者  「でもすごいよねぇ。男で一つでお前を育てたんだから。」

悠   「まあ、そのことに関しては感謝してもしきれないけど」

作者  「いつか王千の過去についても書こうと思っていますので期待していてください。」


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第十七話 都

やあ、みんな元気か?悠だ。

まあ、旅に出てから数日たったんだが困ったことに迷った・・・・・・

いや~、萃香姉さんたちにここから近い都の場所を聞いていたんだがものの見事に迷った。周りを見ても辺り一面が森でここがどこだか全くわからん・・・・・

しかも、強くはないけど妖怪共が俺を襲ってくるし・・・まあ、全部撃退してるけどね。

そろそろ、食料の方も限界だし・・・・・う~ん、どうしたものか。

 

悠はそんなことを考えながら森の中を歩いていたが、雲行きが怪しくなり雨が降ってきそうな天気になってきていた。

 

「ああ、これは降るな・・・・」

 

そう思い、どこか雨宿りできそうなところを探すと、雨宿りできそうな大きな木があったのでそこに腰を落とした。

 

ザアーーーーー

 

悠が雨宿りをして少し経った瞬間、雨がすごい勢いで降り注いでいた。

 

「うわー危なかったな・・・・」

 

悠はそう思うと背負っている荷物を降ろし、中身を見ていた。

その中身には悠が旅に出る直前に萃香たちが祝いにいろんなものを詰めた荷物を渡してきたのだ。そこまでの大きさではないが結構な量が入っている。

 

「思えばみんな何をくれたんだろう?」

 

この数日間結構疲れて中身を確認してなかったからな・・・・・

 

まず、最初に取り出したのが紅葉の入ったお守りで、そのお守りには椛と刺繍(ししゅう)がされていた。

 

お!これは椛からか、やっぱこういうの貰うと嬉しいな。

うん、これは腰にでも付けとこうか。

 

悠は腰に付けた後、次の荷物を確認していた。

その中には黒色の袴や袖の長い服やコートのような服が一式あった。

悠がその服を開けると紙のようなものが落ちてきて、その紙には天羽辰未と達筆な字で書かれていた。

 

これは辰未さんからか、しかも服だからホントありがたいな・・・

 

悠は心の中で辰未に感謝しつつ次々と荷物の中のものを取り出していった。

 

まず、紅音からはサバイバル生活に必要な道具一式、萃香からは水を入れたら酒に変わる瓢箪が1つと杯が2つずつ、勇義からはロザリオの首飾りが1つで、鬼燐からは鬼に伝わる秘伝の秘薬が一袋、文からは手帳とペン?が1つずつ。

 

ほんと結構な量があるな・・・とゆうか、鬼燐さん・・・鬼の秘薬を一袋って俺に死ねと?

まあ少しづつなら問題はないんだろうが・・・いや、問題ありか・・・少しづつでも気絶する自信が俺にはあるね!!まあ、萃香姉さんは予想がついたけど、まさか文まで入れてるとは思わなかったな・・

だが、なぜこの時代にペンがある?ペンが出てくるのってかなり先のはずなんだが・・・なぜだ?

まあいいか、ありがたいことには変わりないんだけど、謎だ・・・・・・

さて、この感じだと最後は親父のだな。

 

そして悠が取り出したのは袋と紙と腕輪だった。

袋には路銀が入っており、紙には都までの地図、腕輪には少し特別な力を感じる・・・・

 

・・・・親父、確かにありがたいけど・・・・・地図が入ってるなら言ってくれよ!!

まったく・・・でもこれでここがどこかがわかるはずだな。

 

悠はそのまま地図を見ているといきなり何かが飛んできた。

しかも、かなりのスピードがあるので地面にそれがぶつかった瞬間、地面にクレーターが出来ていた。

 

「・・・・・いきなりなんだ?」

 

悠はそう思いクレーターの中を覗くと妖怪の残骸が無残にもクレーターの中で飛び散っていた。

 

「なにが起きてるんだ?」

 

悠はその妖怪の残骸が飛んできた方向に向かって走り出していた。

少し走ったその先には、傘を持った緑髪の女性が微笑みながら妖怪共の頭を握り潰したり、傘を振るえば妖怪が無残な残骸と化していた・・・・・・

 

おいおい、まじかよ・・・・

 

悠の本能が危険を感じまくっているが、圧倒的な力を目の前に悠の足が動かなかった。

そして、その緑髪の女性が妖怪共を殺し終わり次の瞬間、悠の方に視線を向けた。

 

「そこにいるのは誰かしら?」

 

見つかった?!やばいな逃げれるか?いや無理だな、じゃあ戦って勝てば・・・論外だな。

ならどうする、どうしたらいい・・・?

 

「早く出てきなさい、さもないと消し飛ばすわよ?」

 

ああ、これはマジで死ぬ覚悟しないといけないな・・・・・・

さて、剛血4倍、これで少しはましか。

 

そして悠が姿を表すと、その女性は楽しそうに微笑んでいた。

 

「あら、こんなところに子供なんて、迷子?」

 

「いえ、迷子ではないですね。」

 

「なら、何をしているのかしら?」

 

「旅ですよ。」

 

「旅?あなたみたいな子供が?面白い冗談ね。」

 

「一応本当のことなんですけどね。」

 

「ならあなたは、私みたいな妖怪に出会ったらどうするのかしら?」

 

「もちろん逃げますよ、まあ、逃げても追いつかれるでしょうが。」

 

「ええ、その通りね。」

 

「だから、迎撃しながら逃げようかなと思うんですけど、どうですか?」

 

「まあ、確かに可能ではありそうだけどかなり低い可能性だけどね。」

 

「それじゃ、逃がしてくれるんですか?」

 

「別に、見逃してあげてもいいんだけど、条件があるわ。」

 

「いったいどんな条件ですか?」

 

「そうね、じゃあ殺しはしないから、私と少し戯れない?」

 

「戯れるって・・・・・人体のいくつかなくなるのを覚悟しろと?」

 

「ええ、まあそうね。」

 

「分かりました。生き残れるならその条件飲みますよ。」

 

「よかったわ、それじゃ早速・・・」

 

女性はそう言うと目の前から消えた。

 

「戯れましょうか!!」

 

次の瞬間、悠の上で傘を振りかぶり叩きつけてきた。

悠はそれを皮一枚のところで回避し距離をとった。

 

「あら、今のは避けるなんてなかなかやるわね。」

 

「あはは、どうも・・・・」

 

何だ今の、速いすぎて動きが見えないし、さっき避けれたのはマジで偶然だな。

だがどうする?迎撃をしようにも迂闊に近づいたら一瞬でやられるし、今の俺には、中距離からの攻撃方法が波紋しかないからな・・・・・どうする?

 

「あら、来ないのかしら?ならこっちからいかせてもらうわよ!」

 

「やばっ!!」

 

くそ、こんな時に瞬発力や動体視力があれば!!

 

悠が少し後ろに下がると、ギリギリ体をそらすことにより攻撃を回避していた。

 

「へぇ~すごいわね、今のも回避出来るなんて思いもしなかったわ。」

 

「はぁはぁ・・・・どうも・・・・」

 

あぶねぇ!この能力がなかったらやばかったな・・・・・てか、いつのまに俺能力を発動させたんだ?

まあいいか、どうにかして避け続けないと・・・・・

 

「じゃあ、これはどうかしら?」

 

女性は傘を前にかざすと傘の先に光が集まり・・・

 

 

  「マスタースパーク」

 

 

「ヤバッ!?」

 

その集まった光が悠に向けて発射されると同時に天燕剣を抜きマスタースパークを切り裂いた。

女性はマスタースパークが切られたことに驚いていたが、次第にその顔が凶悪な微笑みを醸(かも)し出していた。

 

「凄いわね、まさかマスタースパークを切る人間がいるなんて驚いたわ。」

 

「さすがに、同じことをやれと言われても無理なような気がしますが・・・・」

 

「面白いわねあなた・・・・名前なんて言うの?」

 

「・・・・悠です。そういうあなたの名前は?」

 

「ふふ、風見(かざみ) 幽香(ゆうか)よ。」

 

「そうですか、じゃあ風見さんさっきのやつ切ったってことでそろそろ俺を逃がしてくれませんかね?」

 

「・・・まあいいわ、それなりに楽しめたし。それに悠とはまた会えそうだしね。」

 

「俺としては次会うときは戦いたくはないですね・・・・・」

 

「どうなるかはあなた次第よ。」

 

「そうですか・・・・あと、聞きたいことがあるんですけど?」

 

「何かしら?」

 

「都ってどっちですか?」

 

「・・・・悠ってそんなことも知らずに旅をしてるの?」

 

「気にしないでください」

 

「まあいいわ、都はここを東に行ったとこにあるわ。じゃあ、次会うときはもっと強くなっててね?」

 

「ええ、できるだけ強くなりますよ。」

 

「その言葉が聞けただけども嬉しいわ。じゃあね悠。」

 

「ありがとうございました風見さ「幽香でいいわ」・・・幽香さん。」

 

そう言うと幽香は森の中へ消えていった。

 

「それにしてもさすがに死ぬかと思った・・・・」

 

いや、さすがにあれが切れたのは運がよかった。この能力がなかったら絶対直撃してたな・・・

しかも、あれで本気を出してないんだから本気はどれだけ強いんだよって話だよ・・・・

さて、都の場所の方向も分かったことだし、地図見ながら行きますか!!

 

悠はそう思い立つと都に向かって走り出していた。

 

 

~都~

 

 

さて都に来たのはいいが、どこで金を貯めよう・・・・・

さすがにこんなガキを面倒みてくれるとこなんてそうそうないだろうしな。

 

悠がまず都に来た理由は生活に必要な路銀を集めることだった。

王千から必要最低限の路銀は貰っているがさすがに旅をする途中で路銀が尽きてしまう。

そのためにもまずは路銀を貯めなければいけない。

 

「ほんとどうするかなぁ~」

 

悠がそんなことを考えているところに3人の男が悠の目の前に立ちふさがっていた。

 

「おいおい、子供がこんなところにきてんじゃねぇよ。身ぐるみ剥がしちまうぞ。」

 

「ぎゃはははは!!それいいな!!」

 

「まあ痛い目みたくなかったらとっとと金目のもの置いてお家に帰りな」

 

「「「ぎゃははははは!!」」」

 

「はぁ~」

 

悠は溜め息をつくと目の前にいた男の一人を殴り飛ばしていた。

当然男たちは何をされたかが分かっておらずに呆然としていた。

 

「すみませんね、邪魔です。」

 

「こっ、このガキ!!」

 

「ぶっ殺してやる!!」

 

活き込んだ男たちが悠を殴ろうとしたが悠はそれを受け止め男たちを軽々と投げ飛ばした。

 

「はぁ~、なんで俺はこう面倒ごとに巻き込まれるのかな?」

 

悠がそう嘆いているところに白髪の老人が悠に声をかけた。

 

「そこのお前さん?」

 

「ん?何かようですか?」

 

「お前さんかなりの実力者と見た。それで、すまんがお前さんに頼みたいことがあるんじゃが?」

 

ああ、また面倒なことになりそうな予感が・・・・・・・

 

「はあ、それでなんでしょうか?」

 

「お前さんに、かぐや姫の護衛を任せたいのじゃ。」

 

「かぐや姫?」

 

かぐや姫ってあのかぐや姫か?竹取物語の?てか実在したのかよ!!

 

「なんじゃお前さん、かぐや姫を知らんのか?」

 

「いえ、俺はこの都に来たばかりですので今、都がどうなっているか知らないんですよ。」

 

「なんと、お前さんその歳で旅をしとるのか!!これは驚きじゃ!」

 

「と言っても、駆け出しなんですけどね。」

 

「じゃが、その歳で旅とはなかなか出来るもんじゃないぞ。儂の息子にも見習って欲しいものじゃ。」

 

「息子さんがいらっしゃるんですか?」

 

「おお、そうじゃ!!それで話は戻るのじゃがその儂の息子が命を落とすくらいっだったらかぐや姫の護衛をしたくないと言い出してな、困っておったところなんじゃ。そこでお前さんがその男共を一瞬のうちに吹き飛ばすところをみての、お前さんに息子の代わりにかぐや姫の護衛を任せたいのじゃ。大丈夫じゃ金は払う見たところお前さん金に困っとるんじゃろ。」

 

「ええ、そうですが。」

 

「じゃったら大丈夫じゃ!お前さんがこの話を受けてくれたらそれ相応の金は渡すどうじゃ引き受けてくれんか?」

 

う~ん、かなり怪しいけどこのチャンスを逃すと金は入ってこないよな~

めんどくさいけど受けるか。

 

「分かりました、その代わり護衛に失敗してもその金額の半分をください。もちろん断りませんよね?こっちは無理をしてそちらの条件に乗っているんですから。」

 

「それくらいいじゃろ、なんなら先払いでもいいぞ。」

 

「それはいくらなんでも気前が良すぎませんか?」

 

「いいんじゃよそのくらい、金なら腐るほどあるからの。」

 

「・・・・じゃあ、お願いします。」

 

「ははは、いいぞ!では引き受けてくれるんじゃな?」

 

「もちろん。」

 

「よし、なら早くかぐや姫のところへ行くぞい。」

 

「分かりました。」

 

こうして悠はこの老人の話に乗りかぐや姫の屋敷へ足を運んでいた。

このあと起きることも知らずに・・・・・・



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第一八話 出会い

やあ、みんな元気か?老人からかぐや姫の護衛を引き受けた悠だ。

まあ今がどんな状況かというと・・・・・

 

「どうしてこうなった・・・・」

 

悠の周りには屈強な男や年老いている陰陽師などが座っていた。

その中に悠も座っているのだが周りから見てみると悠のような歳の男は一人もいなかった。

だからなのか、その座ってる中で悠が悪い意味で目立ってしまっていた。

 

「なぜこのような子供を・・・」

「貧相な格好をしおって・・・」

「こんな奴がかぐや様の護衛なるなんてありえないな。」

「餓鬼はさっさと家に帰れと言うのだ・・・」

 

はぁ~、まさかこんなことになるなんて思わなかったな。

まあ、引き受けた俺も悪いんだけどな・・・・まさか面接があるなんて思う訳がないだろ・・・・

あの爺さんも面接があるならあるって言えばいいのに・・・・・

ああ、めんどくさい・・・・・

 

「それではこれからかぐや様の身辺を警護していただく者を決めたいと思いますので、

呼ばれた方は奥の部屋へどうぞ、そこでかぐや様の身辺を警護するにあたってふさわしいかを翁殿に決めていただきます。ですが、たとえ翁殿がふさわしいと思われてもかぐや様が認めなければその者にはこの屋敷の警備を任せられます。」

 

「じゃあ、なんだたとえ翁殿に認められてもかぐや姫に認められなければそいつはかぐや姫の警備はできないってのか?」

 

「ええ、そのとおりでございます。」

 

「じゃあ、楽勝じゃねえか!」

 

「ほっほっほ、お主のような粗忽者がかぐや姫に認められるわけがなかろうに。」

 

「っへ、てめぇのようなしわしわジジイだけには言われたくねえな」

 

「・・・・お主、死にたいようじゃな・・・」

 

「っは、てめぇなんざ片手だけでひねり潰してやるよ!」

 

「お二方、ここでの私闘は禁止されております。これ以上そのような問題行為を起こすようなら、

即刻この屋敷から立ち去りなさい。」

 

「「・・・・・・」」

 

「ではお二方の了承も頂けましたのでこれより、かぐや様の警護をするにあたって誰がふさわしいかを決めたいと思いますので、右の方から一人ずつ奥の部屋へどうぞ。」

 

この屋敷の警護をしている者がそう言うと、右の人から順に奥の部屋に入っていった。

悠の順番は最後になるのでかなり時間が余るのだが、時間を持て余している悠に隣に座っている大男が声をかけてきた。

 

「おいおい、かぐや姫の警護にてめぇみたいな餓鬼は必要ねぇんだよとっとと家に帰って母親にでも甘えてろ。」

 

「・・・・・・・」

 

「おい、怯えて声も出ないのか?どうなんだよさっさと言いな!」

 

「・・・・・・・はぁ~」

 

「ああん?」

 

悠はこの大男に対して深い溜め息を吐いていた。

その溜め息を聞いて大男は怪訝な顔をしていた。

 

「五月蝿いですよ、静かにできないんですか?

ああすみません無理そうですね、あなたみたいな熊のような顔をした人に静かにしろって呼吸をするなってことと同じことですね。すみません、無理なことを言ったことを謝らせてください、熊みたいな人?」

 

悠がそう言うと大男は顔を真っ赤にして悠に怒鳴り散していた。

 

「っな?!俺の顔が熊みたいだと!!ふざけるな餓鬼が!!ぶち殺してやる!!」

 

「少しは落ち着いたらどうですか?この場での私闘は禁止されていますよ。」

 

「うるせぇ!!知ったことかそんなことは!てめぇみてぇな餓鬼はとっとと殺しちまったほうがこの世の中のタメになるん!だから死んどけ!!」

 

大男が悠に殴りかかろうとするが、悠はその拳を首を少し傾けることにより大男の攻撃を回避した。

大男はそのまま攻撃を続けているが、悠はその攻撃を全て躱していると、騒ぎを聞きつけた屋敷を警備していた人間に連れて行かれた。

 

「ああ、めんどくさかった。」

 

「最後の方どうぞ。」

 

ああ俺の番か・・・・

 

 

 

 

「キャーーーーーーーーーーーー!!」

 

悠がかぐや姫の面接をするために奥の部屋に行く途中で女性の悲鳴が聞こえた。

悠はその悲鳴を聞くと同時にその悲鳴の方向に走り出していた。

そしてすぐに悲鳴の聞こえた部屋の襖(ふすま)を蹴り飛ばしたが、その部屋の中には老人が気を失って倒れておりそのすぐ近くでさっき連れて行かれたはずの大男が少女をに飛びかかろうとしていた。悠はそれを見た瞬間に大男の懐に入り込み顎に回し蹴りを叩き込んだ。大男はそのまま吹っ飛び頭から壁にめり込んだ。

 

「・・・・・やりすぎた。」

 

悠はそう思うと壁にめり込んだ大男の足をおもむろに掴み引っこ抜きそのまま投げ捨てた。

その騒ぎを聞きつけたほかの警備をしていたものが到着し大男を鎖で拘束し連れていった。

この騒ぎのせいで今回のかぐや姫護衛の面接が中止になり屋敷に呼ばれていたもの全員が帰らされていた。悠も帰ろうとしていたが、さっきまで気絶していた老人に呼び止められた。

 

「ありがとう、お主のおかげで助かったよ。それで助けた礼がしたいのだがいかがかな?」

 

「お礼は必要ないですよ。俺が助けたくて助けたんですから。」

 

「いやいや、さすがにかぐやを助けてくださった方に礼もせずに返すなど失礼極まりない、是非ともお礼をさせてはくれまいか?」

 

「そんなだからお礼は・・・・・・は?」

 

え、今なんてったこの人?俺が助けた少女がかぐや姫・・・・・マジで?

じゃあそのかぐや姫を呼び捨てに出来るこの人って・・・まさか?!

 

「えっと、聞きたいことがあるんですけど?」

 

「なにかな?」

 

「あなたは、この屋敷の主の翁さんですか?」

 

「うむ、そうじゃが・・・まさかお主わしの顔を見たことがないのかの?」

 

「ええ、まあ・・・・・」

 

「ふむ?めずらしいがまあいいじゃろ。それで礼を受け取って貰えんかね?」

 

「・・・・分かりました、そのお礼をありがたく頂戴させてもらいます。」

 

「そうか、では明日のこの時間にこの屋敷に来てくれ、そこでお主に礼を渡そう。」

 

「分かりました。ではまたこの時間に・・・・」

 

悠はそう言うと屋敷を出ていった。

 

 

 

 

 

それにしてもさっき助けた爺さんが竹取の翁で女の子の方がかぐや姫か・・・・

まさか竹取物語が本当に実在するなんてな・・・・・待てよ、ということは今の時代は平安ぐらいなのか?・

まあいいか、さて昼飯でも食って寝るところでも探すか・・・・

 

悠は昼食を食べれるところを探そうとした矢先に橋の上で複数の男が少女を囲んでいた。

 

「おいちょっと付き合ってくれよ~」「いいじゃないか少しくらい。」「もう面倒だから強引にでも連れていかね?」「さっさと来いよ。」

 

ああ、めんどくさい・・・・なんでこう目の前に面倒ごとがあるんだよ・・・・はぁー・・・

 

悠は少女を囲んでいる集団に近寄るとそのうちの一人を橋から蹴り落とした。

 

「邪魔・・・」

 

「なんだこのガキは!」「おいひとり落とされたぞ!」「てめぇ!!」「ぶっ殺してやる!!」

 

男たちが全員悠に飛びかかっていったが、その全員が橋の上から叩き落とされていた。

悠は男たちを橋から叩き落とした後少女に声をかけた。

 

「大丈夫かい?」

 

「うるさい!誰が助けてくれっていった!!」

 

少女はそう言うと悠に向かって石を投げつけて走り去っていった。当然のように悠は投げられた石を避けると悠は前をみてが少女を探したがは既に少女は走り去っていた。

 

・・・・まあいいか、俺のお節介だし・・・・

 

悠はそう思うと昼飯を食うところと宿を探すのを再開した。

 

 

 

ー次の日ー

 

 

まあ、来たのいいんだけどやっぱりでかいなこの屋敷・・・・・さっさと俺を貰って都を出るか・・・・

 

そう思うと悠は屋敷の門の前まで来ると、昨日の老人・・・翁が門の前に立っていた。

 

「おお、来てくれたか。」

 

「さすがに約束を反故にするわけにはいきませんから。」

 

「若いのにいい心がけじゃな。さて礼なんじゃがここではなんだ屋敷の中で渡そう。」

 

「いえ、別にここでもいいんですが。」

 

「まあ良いではないか、聞けばお主その歳で旅をしていると聞いての、その旅の話をかぐやに話して欲しいのじゃ。」

 

「・・・・まあ、それくらいならいいですけど。」

 

「すまんのぉ、では行くかの?」

 

翁はそう言うと悠を連れて屋敷の中へ入っていった。

屋敷の廊下をどんどん歩いていくと一番奥に部屋があり、悠はその部屋に見憶えがあった。

 

「あのこの部屋って・・・・・」

 

「そうじゃ、お主が儂とかぐやを助けてくれた部屋じゃな。まあこの部屋なんじゃが実際はかぐやの寝室なのじゃ。」

 

「ああなるほど。」

 

「ふむ、理解を得られたところで・・・・かぐや入るぞ。」

 

「どうぞ。」

 

部屋から返事が聞こえると、翁は部屋の襖を開けた。

そしてその中には昨日助けた少女が座っていた。

 

「昨日は助けていただき誠にありごとうございました。私がかぐやでございます。」

 

「はじめまして、悠です。」

 

これが悠となよ竹のかぐや姫・・・・いや、蓬来山(・・・)輝夜(・・)との出会いだった。




ー後書きのようなものー


第2回オリキャラ紹介コーナー!!

作者・悠 「「いえーーーーーーーーーい!!」」

作者 「珍しくテンション高いな・・・・」

悠  「いや、引くなよ・・・・」

作者 「まあ、そんなどうでもいい悠はほっといて、今回紹介するキャラはこの方鬼の総大将の鬼燐さんです!!」

悠  「おいっ!」

作者 「ではどうぞ!」


名前   戦乃(いくさの) 麒麟(きりん)
種族   鬼
能力   相手の能力を無力化する程度の能力
能力説明 自分が触れるとその能力を完全に無効にすることができる
外見   髪は短髪で色は黒。額に一本の角があるが先っぽが欠けている。いつも首にリングを付けていて、目の色は紫だが本気を出すと赤黒く染まるらしく能力も変わるらしい、服装はジーパンにシャツといったラフな格好をしている。(王千とは元喧嘩仲間らしい)
BWH  殺されたくないので一言!! 
強さ   最強妖怪レベル

悠  「・・・・え~」

作者 「もちろん、鬼の四天王の中でも最強ですから。その鬼の中には鬼子母神って呼んでる奴らもいるらしいが、本人はその呼ばれ方は好きではないらしいぜ。」

悠  「よく俺、この人に鍛えられて死ななかったな・・・」

作者 「悠が若干欝になりかけてるのでここいらで終了します。」

作者・悠 「ではまた次回」


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第一九話 妖怪退治

・・・・よお、みんな・・・かぐや姫に会えた悠だ。

かぐや姫に会えてから数週間がたっているんだが俺は未だこの都に住んでいる。とゆうか翁さんの屋敷に住んでいるんだ。

なぜかというと、俺はお礼をもらってさっさとこの都を出ていくつもりだったんだが、翁さんに頼まれて正式にかぐや姫の護衛をしてくれと頼まれてしまった。あの爺さんとの約束もあるわけだから引き受けたわけだが・・・・・

 

「悠~早く持ってきよ~」

 

「だから自分でもってこいよ・・・」

 

「嫌よ、めんどくさいもの」

 

「はぁ~」

 

結構後悔してるんだ・・・かぐや姫は確かに綺麗だったよ・・・ああ綺麗だったさ!!

姫ってことは分かるんだよ、でもこいつの生活態度がニートみたいだし、面倒なことをよくするんだよ・・・ん?なぜただの護衛の俺とかぐや姫が仲良さそうだって?まあ、ちょっとあってな・・・・

あれは、かぐや姫と会って4日ぐらいのことだったかな?まあ、その時の話をしてやろう。

 

 

 

「悠さん、ちょっと相談したいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

 

「なんでしょうか?」

 

「いえ、買ってきて欲しいものがあるのですが」

 

「そういうのは、俺みたいな護衛ではなく侍女たちのかたに頼めば良いのではないでしょうか」

 

「むっ、別にいいじゃない」

 

「嫌ですって・・・」

 

「買ってきなさいよ!」

 

「嫌だって!」

 

「なによ!私がお願いしてるのよ、買ってきなさいよ!」

 

「嫌だっつてんだろ!」

 

そう言って悠は部屋を出ようとするが、かぐや姫が悠の腕をつかむと外に向かって思い切り投げ飛ばした。投げ飛ばされた悠は障子を突き破り中庭に投げ飛ばされたが、体を捻り着地した。

 

「何しやがる!」

 

「あなたが、私の頼みを聞かないからよ!」

 

「はぁ?ふざけんなよ、なんでお前の言うことなんて聞かなきゃならないんだよ!」

 

「そんなの私が姫だからに決まってるじゃない!」

 

「知るか!しばき倒すぞ!」

 

「やってみなさいよ!そんなことする前に私が倒してあげるわよ!」

 

「ああ、いいぜ。やれるもんならやってみろよ!」

 

 

 

と、まあこんな感じに子供みたいな理由で喧嘩しちまってな。その時の損害がたしか中庭がほぼ全壊したぐらいだったかな?うん、そのせいで翁さんにはかなりしかられたけどな。

てか、かぐや姫がそこらへんの奴らより強いってどゆこと?とまあ、たぶんその喧嘩がきっかけでかぐや姫とは仲良くなったのかな?

まあそのせいで面倒ごとが増えたわけだが、結構楽しいから特には気にしないな。

 

「にしても悠ってお人好しよね」

 

「そうか?」

 

「そうよ、前だって私が屋敷を抜け出したいって言ったら文句言いながらも付いてきてくれたじゃない」

 

「あのな、俺の仕事はお前の警護なのだから当たり前だろ。」

 

「でも、普通だったら止めるわよ?」

 

「どうせ俺が止めったって抜け出してただろうお前・・・・」

 

「まあ、その通りなんだけどね。あ、そうそうお爺さんが呼んでたわよ。」

 

「翁さんが?」

 

「急ぎの用件だって言ってたけど」

 

急ぎの用件?護衛のことについてか、それとも最近都を騒がしている妖怪のことか?まあ、どっちでもいいけどな。

 

「わかった、俺は翁さんの所に行ってくるけどお前はどうする?」

 

「私も一緒に行くわよ」

 

「ん?ついてくるのか?」

 

「行くわよ、とゆうか私も呼ばれてるし」

 

「そうなのか?」

 

「そうなの、だから早く行くわよ」

 

「はいはい、了解しましたよ。」

 

そういって悠と輝夜は翁のいる部屋に向かっていった。

 

 

 

ー翁の部屋ー

 

「で、翁さん急ぎの用件てなんですか?」

 

「その事なんじゃが、お主の耳にも入っとるかもしれんが最近都を騒がしておる妖怪がいるじゃろ。その妖怪をお主に退治して欲しいという依頼を預かってきたのじゃ」

 

やっぱり、妖怪退治か・・・あれ、でも依頼を預かってきた?

と言うことはこれって翁さんからの以来じゃなくてほかの誰かからの依頼?

 

「翁さん聞きたいんですけど、この用件って翁さんからの依頼じゃないんですよね?」

 

「ああ、そうじゃ」

 

「ならどうして俺にそんな妖怪退治の以来がやってくるんですか?

普通そういった用件ってその妖怪退治を専門にしている陰陽師に話が行くはずなんですけど?

なぜ、俺みたいなただの護衛にそんな依頼が来るんですか?」

 

「いや、実はなこの依頼を頼んできたのは帝様なのじゃ」

 

ふ~ん、帝様ね・・・・・ん?帝様?

 

「なぁ、翁さん帝様って確か天皇だよな?」

 

「うむ、そうじゃが」

 

「待って、なんでその帝が俺みたいな奴に妖怪退治を依頼するんだよ・・・」

 

「そのことなのじゃが、帝様は輝夜を気に入っておってな。

そのため帝様は輝夜の護衛のお主に実力があるかどうかを試すためにこの依頼をしてくださったのじゃ」

 

うわ~、天皇すら虜にしてんのかあいつの美貌は・・・・美貌以外は残念な奴なのに・・

まあいいか、面白そうだし受けるか。

 

「翁さん、その期限ていつまでですか?」

 

「おお、受けてくれるか!それで期限なんじゃが1週間じゃ。

それまでに退治ができなかったらお主を護衛から外さねばならんからな・・・

儂や輝夜もお主のことを気に入っているからなんとしても成功させてくれ、頼んだぞ。」

 

「分かりました、期限までには終わらせてきますよ」

 

さて、ちょっと行ってきますか!!

・・・・ん?あれ、ちょっと待てよ?

 

「翁さん、その間かぐやの護衛はどうするんですか?」

 

「それな心配いらん。帝様が信用を置ける護衛の方を何人か送ってきてくれるらしいから大丈夫じゃ」

 

「そうですか、ならちょっと行ってきますよ」

 

「え~、悠行くの~?」

 

「いや、行かないとダメだろうが・・・」

 

「ぶーぶー!!」

 

「まあ、さっさと終わらして戻ってくるから待ってろ」

 

「分かったわよ・・・」

 

さて、かぐやの了承も得たことだし行ってきますか!

 

<pf>

 

悠は屋敷を出てから噂のや聞き込みの情報を整理しながら街の中を歩き回っていた。

 

さて、俺が聞いた噂だとその妖怪は、全長3メートルの蜘蛛だったり、いくつもの頭を持った大蛇だったり、目玉がいくつもある人間だったりとその妖怪の情報が曖昧なんだよな・・・・

さっき聞き込みをしてみたけど出現する場所もバラバラでどこに出るかもわからない。

だけど、まあ、一つだけ分かった事があるとすればその妖怪は必ず深夜に現れるってことくらいか。

うーん、これだけじゃまだ情報が足りないな・・・・どうするかな?

 

そう考えつつ悠は街中を歩き回り情報をかき集めていった。

その情報を集めていく内に悠は一つの違和感に気がついた。

 

・・・まてよ、思えばこの妖怪騒ぎ誰ひとりとして犠牲者がいない?

襲われた奴の話では必死に走って逃げ出したらいつの間にかいなくなっていたらしいな・・・

いくら弱い妖怪でも人間くらいのスピードには追いつきそうなんだが、これは偶然か?

 

「ああ、わからん!!」

 

悠はそう叫ぶと、目の前にある団子屋の中に入っていった。

 

「・・・へい、いらっしゃい」

 

店の中に入ると客は誰もおらず店主らしき人物しかいないなく、閑古鳥が鳴いていた。

 

「ご注文は?」

 

「団子を3つ、あと聞きたいことがあるんですが?」

 

「なんです?」

 

「最近ここら辺で妖怪が出たって噂があるんですが詳しく聞かせていただけませんか?」

 

「ああ、その噂ね・・・確かにここらで出たって話は聞いたよ。そのせいで客は来ないわ、従業員たちはやめちまうわで・・・商売あがったりだよ・・・」

 

なるほど・・・客や従業員がいないのはそのせいか。

 

「へい、団子お待ち」

 

「どうも」

 

「それで、噂ね・・・俺が聞いた話じゃ確か、顔はサル、胴体はタヌキ、手足はトラで、尾はヘビらしいんだけど、そんな奇妙な妖怪も存在するんだねぇ」

 

「・・・・はい?」

 

あれ、どっかで聞いたことがあるような・・?

 

「店主、もう一回その噂、聞いていいか?」

 

「ああ、別にいいが、顔はサル、胴体はタヌキ、手足はトラで、尾はヘビらしいんだ。」

 

「・・・・ああ、なるほど思い出したよ」

 

「ん?なにをだい?」

 

「ああ、気にしないでこっちの話だから。」

 

「そうかい?」

 

思えばかぐや姫もいるんだ、この妖怪がいてもおかしくはないな。俺の記憶が正しければこいつの名前は(ぬえ)だったはずだ、思えば平安時代ぐらいに出てきたんだったな。

さて、たぶん今、都を騒がしてる妖怪は鵺に決まったかな?

でも、こんな特徴があるのにどうして噂がバラバラだったのかわからないが、まあいいか。

まあ、あとは夜を待つだけだがにしても、この団子うまいな・・・

 

悠がそんなことを考えているとひとりの少女が店の中に飛び込んできた。

そのあとに続くように男たちが3人入ってきた。

 

「な、なんだ?」

 

「邪魔するぞ」

 

入ってきた大男たちは少女の前に立って喋りだした。

 

「お嬢ちゃん、そろそろ観念してくれ。」

 

「いやだ!」

 

「全く面倒なガキだな・・・」

 

「動けなくして持ち帰るかやっぱ?」

 

「いや、これは大事な商品だ。傷がつくのはいささかまずい」

 

・・・いや、なんだこの急展開、てか俺を俺の席を挟んでそんな会話するなよ・・・

ほら、店主だって今にも泣き出しそうな顔してるじゃないか。

 

「お父様が私を売ったなんて嘘だ!!」

 

「嘘じゃない、君は間違いなく私たちの依頼人に売られたんだよ。」

 

「その通りだぜお嬢ちゃん。言うけどお嬢ちゃんは邪魔だったんだよね、依頼人にとっては。」

 

「だから、君は売られたのだよ。まあ、殺されないだけでもありがたいと思いなさい。」

 

「そ、そんな・・・うそだ・・」

 

いや、だからね、俺を挟んでそんな重い話をするなって。にしても団子とお茶が美味いな~

 

「あ、あんたたち。面倒事なら外でやってくれ!店の中でやられのは迷惑だ!」

 

「ああん、何だあんた?死にたいの?」

 

「ひぃぃ!」

 

「おい、あまり脅かすな。すまんな店主、これも仕事なのだ。この少女を捕まえしだいこの店から早急に出よう」

 

「旦那も気前がいいねぇ、俺だったらこのおっさん殺してるぜ」

 

「だから、やめろっと言っている。」

 

「冗談だって旦那、にしてもこの店客がいねえな」

 

「ふむ、この頃の妖怪騒動で外出する者も少ないからな」

 

「ふ~ん、じゃあ、このガキはそれを承知で外に出てるってわけか?」

 

「・・・・・・」

 

「おい、なんとか言ったらどうなんだ?」

 

軽薄そうな男が悠に向かって言った。

だが悠はそれを全く気にせずに団子を食べていた。

 

「無視してんじゃねぇぞ、このガキ!」

 

軽薄そうな男が悠に掴みかかったが、その男は店の外に弾き飛ばされた。

 

「「なっ!!」」

 

まったく、なんで俺はこう面倒ごとに巻き込まれるのかな。まあ、これも人生だと諦めるか。

さて・・・・どうするかな、この状況

 

「貴様、今何をした?」

 

「別に、ただ掴まれたから投げ返しただけだよ」

 

「投げただと・・・あの一瞬でか?」

 

「っそ、第一仕掛けてきたのはそっちだ。だから俺は自分の身を守った」

 

「ふむ、確かにな。その点に関しては謝ろう。すまなかった」

 

「いや、気にしちゃいないさ。でもな、今の話を聞いて俺はあんたたちの仕事を邪魔することにしたよ」

 

「なんだと?」

 

おお、殺気丸出しで睨んじゃってこわいなぁ~

 

「だから、この娘を渡さないって言ってるんだよ」

 

「ふざけるな!」

 

「旦那まあ、落ち着きなさい。」

 

「これが落ち着いて「いい加減黙れ旦那・・・殺すぞ」・・ック!」

 

物静かな男が旦那と呼ばれる男をたしなめた。

 

「すまなかったな。なんと言ってはなんだが取引をしないかい?」

 

「取引?ふ~ん・・・」

 

「ああ、君はその少女こちらに引き渡せばいい。その代わり君を見逃すそれでどうだい?」

 

「・・・話にならないな」

 

「なら、交渉決裂だ!」

 

物静かな男は悠を狙い、旦那呼ばれた男は少女の方へ飛びかかっていた。

 

「まったく、めんどくさいな」

 

悠は団子についていた串を旦那と呼ばれた男に投げつけ、物静かな男の懐に一瞬で入り込んで店の外に突き飛ばした。

旦那と呼ばれた男は串ギリギリのところで避けていたが、体勢が崩れており持ち直そうとしている。

悠はそのまま旦那と呼ばれた男に踏み込み回し蹴りで店の外に弾き飛ばした。

 

「いっちょあがり」

 

「「・・・・・」」

 

その様子を見ていた少女と店長は唖然としていたが、悠はそのまま席に戻り残っていた団子を食べ始めた。

 

「あ、あんたいったい何者だい?」

 

「俺はただの旅人だよ、っでお前はどうするんだ?」

 

「え?」

 

「だから、お前はこれからどうするんだって聞いてるんだよ」

 

「私は、お父様に会いにいくんだ!」

 

「ふ~ん、で、お前はこれからどうするのかな?」

 

「お前じゃない!私には、藤原(ふじわらの)妹紅(もこう)って名前があるんだ!!」

 

「ふ~ん・・・そうかい、まあ、頑張るんだな。店長、ここにお勘定置いとくよ。」

 

「あ、ああ」

 

さて、団子がうまかったことだし、鵺退治に行きますかね!

 

 




駄文しか書けなくなってきた・・・orz


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