IS<インフィニット・ストラトス> 緑青色の守護者 (ユンピョー)
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プロローグ
「すぅ・・・」
とある場所に向かうモノレールの中、一人の少年が暇つぶしに読んでいた文庫本を閉じ、
一息ついた。
髪型は短く刈った黒の短髪で、顔立ちは温和でありながらもどこか凛々しさがあり、キリッ
とした目元がそれを助長する。背丈はおよそ170程で肩幅が広い。服装は黒と赤のラインが
入った白ランを着用している。
「もう少しか」
少年は独り言を呟くと傍らに置いてある布製の細長い入れ物を一瞥し、それから自分の利き
手である右手を凝視した。
先月、俺は叔父の伝手でISを触らせてもらった。すると頭に知識が流れ込み、困惑するまま
俺は“2人目の男性パイロット”と銘を打たれてしまった。だが直後に俺は、この顛末は試練
だと察した。
あの時生き残って“しまった”、何も守れなかった俺に対する試練だと。
なればこそ、俺は耐えてみせよう。前に進んでみせよう。もう後悔しない。
あの時から決めたんだ。人々を守る、俺と同じ人間を作らない、人の役に立つ人間になると。そのためなら俺は・・・。
少年は心中で決意を固めると握り拳を作り、窓の景色を眺めた。
窓からは、建造物が列挙している施設が見えた。
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第1話 転校生は男
「転校生?」
朝の騒がしい教室の中、世界初の男性パイロット織斑一夏は、初耳だと言わんばかりにきょとん
とした表情で呟いた。
「そっ。ウチのクラスに転校生が入ってくるらしいのよ。それも、“男”の」
一夏を取り囲む女子の中で、背丈が低く、ツインテールと脇を開けた制服が特徴的な少女、凰
鈴音が朝急に出回った噂の説明をする。
「急な話だな。この時期に転校生とは」
もう何回この一言を聞いただろうか。
ポニーテールと凛々しい面構えが特徴的な箒の言葉に一夏はデジャブを感じ、内心歯噛みしながらそうだなと同意した。
「まぁ何にせよ、その転校生がどの様な殿方かは気になりますわね」
あくまで興味の内ですがとセシリアは言葉を続け、ウェーブのかかったブロンドの長髪をいじる。
「そうだね。うーん、優しい人とかかな?」
シャルは中性的な顔立ちを思案顔にし、自分の予想を言う。
「いや、大層な猛者だろうな」
艶やかな銀髪と眼帯が特徴的なラウラは口元に笑みを浮かべ、転校生に期待を寄せる。
「・・・正義感の・・・ある人」
水色の髪を少し揺らしながら、簪は小声で答える。
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