デジモンテイマーズ〜another adventure〜 (TRACK)
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全ての始まり、誘われるテイマー達

〜登場人物紹介〜
新田誠治(17)
高2、前回大会の準優勝者
性格は楽観的かつ、お調子者

神田恭子 (16)
高1、前回大会優勝者
冷静沈着、クールビューティー

秋山遼 (14)
中2、第二回大会優勝者
実家は福岡
爽やかさが命


1990年代後半から一気に加速したネットワークシステム、その影響は職場から子供達の遊び場まで広く浸透し、やがて擬似生命体を生み出すに至った。

 

その擬似生命体の名は、

 

デジモン

 

デジタルモンスターの略称であり、子供達の間では携帯ゲームやカードゲームのキャラクターとして人気を博している。

最早社会現象といってもいいだろう。

 

「よっしゃー!レアカードゲットぉ!!」

 

休日には玩具屋の店頭に設置されたカードダスの前に、子供達の列ができ、当たったカードの価値によって一喜一憂する子供達…

 

「所詮子供の遊びだろう?」

 

大人達はそれを見て笑う。

 

しかし、それが所詮子供の遊びのために作り出されたキャラクターに過ぎないのか…

 

それはまだ誰にも分からない…

 

 

ー東京ー

巨大なホールの中に、一人の少年と少女が向かい合っている。

 

〜第2回デジタルモンスターズカードゲーム大会〜

 

そう銘打たれた大会の決勝、会場のボルテージは頂点に達している。

 

「もらった!!オプションカード、超進化プラグインS!!」

 

少年が叫べば、チッと一つ舌打ちをして、向かい合っていた少女が視線を下に落とす。

 

「WINNER!秋山遼選手!」

 

「俺の勝ちだね、牧野さん!」

 

少年は爽やかに微笑むと、ふてくされた少女に向かって手を差し伸べた。

 

「チッ…ムカつく」

 

牧野と呼ばれた少女は、不機嫌そうに少年の手を払いのけると背を向けて去って行った。

 

「はは、何だよつれないなぁ」

 

自分より幾分か年下の少女にそんな冷徹な態度を取られても、彼の爽やかさに微塵も陰りは見えない。

 

ー秋山遼ー

この第二回大会の優勝者である彼は、これで晴れてアノード・カソードテイマーと呼ばれる、テイマーの頂点に立ったのだった。

 

『テイマー』デジモンにのめり込む少年少女達はお互いをこう呼ぶ。

様々に用意されたオプションカードを使いこなし、デジモンと共に戦いを繰り広げる彼等にとって、アノード・カソードテイマーの頂点に立つことは憧れであり、目標でもあ

った。

 

「さぁ、秋山選手!こちらへどうぞ!!」

 

司会者に案内されて、チャンピオンのトロフィーを渡される。

若干14歳、まだ夢や希望に憧れる彼にはまさに今世紀最大の歓喜と呼べる瞬間だった。

 

「すっげぇぜ!遼ぉ!」

 

「まさか全国区のチャンピオンになっちまうとはなぁ、しかも相手はデジモンクイーンだぜ!」

 

興奮した面持ちの友人達に手を振り、笑顔を向ける。

 

幸せな…瞬間だった。

 

ーPM.8:30東京国際空港ー

 

「うん、母さん今から帰るよ。あ、優勝おめでとうって?ははなんだか照れるなぁ…」

 

フライトまでの時間が僅かに迫ったころ、遼は地元福岡へ一本の電話をかけていた。

 

「おーい!遼早くぅ!」

 

「了解、了解!今行くよ」

 

友人に急かされて、電話を切る。

 

「ふぅ、早く福岡に帰りたいなぁ…」

 

そして、福岡行きの航空機に乗り込む遼…東京はビルの明かりが眩しすぎて彼は目がおかしくなりそうだった。

 

「なんだよしみじみとさぁ!遼、そんなことより俺のデッキ見てくれよチャンピオン!!」

 

「あ、うん…分かった」

 

目を輝かせてカード構築のアドバイスを求める友人に、チャンピオンになったことを再認識させられる。

 

「ごめんちょっとトイレ行ってくるよ」

 

ここで彼はトイレに立った。一息ついて、手を拭こうとポケットに手を伸ばす。

 

「ん?なんだこれ…」

 

ハンカチが入っているはずのポケットに、何か固い感触を感じて不思議に思う。

 

「これって…デジヴァイス!?」

 

驚きだった、それはまるで幼いころからずっと憧れてきたデジモンの…

 

ガタッ!ガタッガタッ!?

 

「!?なんだ…」

 

デジヴァイスを握りしめて、トイレから飛び出した。

 

「り、遼ぉ!!飛行機が、飛行機が落ちてる!!」

 

「なんだって!?」

 

機内の警報がけたたましく鳴り響く、そして…

 

「うわぁぁぁー!!?」

 

不自然に錐揉み回転しながら落下して行く飛行機、そしてそこで遼は目を閉じた。

 

 

 

 

ーそこから先のことを、彼は覚えていないー

 

 

そう、次に目覚めた時彼はもうーこの世界にはいなかったのだから…

 

 

 

 



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幻想か現実か

『昨日発生した東京国際空港発、旅客機三機の同時墜落事故に関してニュースをお伝えします。奇跡的にも死者は確認されておりませんが、行方不明となっているのは、福岡市在住の秋山遼さん(14)と…尚現在なんらかの事件性がある模様として警察が調査を開始しております。』

 

カードゲームの大会が終わったその翌日、チャンピオンが大事故に巻き込まれるという驚天動地の自体が起こっていた。

 

「おい、遼ってやつの他に行方不明になってるのって…」

 

「ああ『初代デジモンクイーン』と、第一回大会の準優勝者だよな…」

 

この事件は『デジモン』に彼等が魅入られたのではないのか…子供達の間ではそう噂された。

そしてその推測は、あながち間違ってはいないのかもしれない。

 

ー何処か知らない土地の荒れ果てた荒野ー

 

「んんっ…僕…は」

 

ぼんやりと、ブラックアウトしていた視界が戻っていく。

 

「えっ!?」

 

遼は、跳ね起きた。

何故ならその復活した視界が捉えたのは見たこともない世界の光景だったから…

奇妙な岩が連なって、不気味な雄叫びが聞こえてくる。

 

ーここは、どこだ?ー

 

ー僕は飛行機の中に…ー

 

「まさか、ここって!?」

 

「天国じゃないわよ、残念だけどね。まして地獄でもないわ。」

 

声のした方向を振り向くと、一人の少女が立っていた。

年は遼より、一つか二つ上そんな大人びた印象だった。

 

「あ、貴女は!?」

 

そう遼は知っている、この少女のことを…圧倒的な強さで前回のデジモンカード大会に君臨した『初代デジモンクイーン』

 

ー神田恭子ー

 

「し、初代デジモンクイーンが何で…」

 

『デジモンクイーン』そう呼ばれた恭子の目が一気に険しくなった。

 

「その名で呼ばないで!!」

 

すごい剣幕だ…

 

「……ごめん、ちょっと嫌なのその名前、私のことは『恭子』でいいわ」

 

「は、はい!!」

 

「あっはっは、お前もいちいちうるせーなぁ恭子ぉ!」

 

「!?」

 

また声がして、ぱっとそちらの方を見る。そこには高校生くらいの少年がいた、そして遼はこの少年のことも知っている。

 

ー新田誠治ー

 

前回大会では恭子の次点に及んだものの、その実力は折り紙つき、はっきりいって遼の憧れのような存在だった。

 

「おっ!秋山遼だっけか?お前よくやったなぁ!!」

 

「えっ!?」

 

「いやいや、よくやったよ!デジモンは男のロマン!!デジモンクイーンなんて呼ばれて調子乗ってる誰かさんみたいに女子に負けてちゃいかんよなぁ!」

 

「…自分は私に負けたくせによく言うのね、負け犬誠治!」

 

「んだと!クソデジモンクイーン!!」

 

「もう一回言って見なさいよ!私はそう呼ばれるのが嫌だって言ってるでしょ!!」

 

前回大会の実力者による、口喧嘩が始まってしまい、遼は呆然とその光景を眺める。

 

「ちょ、喧嘩しないで下さい!恭子さん!!新田さん!!今は喧嘩してる場合じゃないでしょ!」

 

慌てて遼が仲裁に入る。

どうやらこの二人は仲があまりよろしくないらしい…前途多難だ。

 

「それで、遼君はここが何処なのか分かる?」

 

ようやく落ち着いたのか、恭子にそう聞かれるが、遼は飛行機の中にいて気を失った後のことをよく覚えていなかった。

 

「だーかーらーここは、デジタルワールドだって言ってんだろ?」

 

新田が口を挟むと、恭子がきっと睨む。

 

「あんたは黙ってて!!ここがデジタルワールド?なに馬鹿なこと言ってんの?」

 

「はぁぁ!?だって、お前も持ってんだろデジヴァイスを!俺たちはアレに呼ばれたんだよ、選ばれたんだって!!」

 

遼はそう言われて、デジヴァイスを手に握りしめたままなのに気付いた。

 

ーあの飛行機事故は、デジヴァイスは夢じゃない?ー

 

幾つもの疑問が胸を駆け巡る。

 

「あのー、お二人もやっぱり何か事故に巻き込まれて?」

 

「ええ、そうよ」

 

恭子はゲストとして大会へ参加した後仙台へ、誠治は札幌から静岡へそれぞれ帰る途中の飛行機の中で事故に巻き込まれていた。

そして、彼等の共通点はただ一つデジモンカードゲームの実力者であること。

恭子は頑なにデジモンの関連性を否定しているが、遼はどこか心の中で確信していた。

 

ーここは、デジタルワールドー

 

「ゲヘヘッ!!人間だぁ、人間がいるぞぉ!!」

 

そしてその確信は、やがて明確なものに変わる。

 

ー何故なら彼等の目の前にー

 

「なっ!?なんだこいつ!」

 

「デジ…モン?」

 

ーデジモンがいたからー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まだまだ未熟者ですが、頑張って連載していきたいと思います。TRACKです、ペースは基本的に一日一話1000〜2000の感じで進めます。



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