東方観察録 (野良犬)
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「アサダヨー」

リハビリがてら衝動的に書いた。
反省はしているが後悔はしてない。

ごめんなさいごめんなさい。
他の小説に浮気してごめんなさい。


 私の朝は早い。

 別に無理して起きる必要は無いのだけど自主的に早起きする。

 理由は簡単。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 我がプリティマイマスターの寝顔を堪能する為である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は就寝中のご主人様を起こしてしまわないようにゆっくりと上半身を起こした後、枕元に座り込んでご主人様の御美しい御尊顔を目に焼き付ける。

 

 ちなみにさっきの地文で分かるように、私はご主人様と同衾している。

 羨ましいか?

 だが譲らん。

 断固拒否。

 指を咥えて悔しがれ。

 

 少し脱線した。

 次元を超えた嫉妬の視線など無視して観察観察ぅ~。

 

 柔らかな金糸が如き輝きのボブカットの髪。

 千人中千人が美少女と称える事請け合いの整った容姿は陶磁器人形(ポーセリン・ドール)のようだ。

 見る者を魅了するサファイヤの如き瞳は残念ながら今は瞼で隠れてしまっている。

 まあ、だからと言ってご主人様の魅力(みりき)は微塵も衰えたりはしないがな!

 むしろ私だけに見せてくれる無防備な寝顔に鼻血が出そうです。

 血なんて流れてないが。

 淡水色の肩出しナイトドレスも素晴らしい。

 光に透かせば身体のシルエットが見えそうなくらい薄く滑らかな肌触りの生地で出来ている。

 おかげでご主人様の身体の起伏がナイトドレスの上からでもはっきりと分かる。

 溢れる色気で溺れそう。

 このドレスをご主人様に勧めた過去の私GJ。

 そしてこれを作った無愛想な白髪眼鏡にもGJと言ってやろう。

 ちなみに私もお揃いのナイトドレスを着ていたりするが、まあどうでもいい事だろう。

 こんな『つるぺたすとーん』な体型なんぞ諸君も興味あるまい?

 誰だ諸君て。

 

 さて、名残惜しいが今日はご主人様の自称友人が来訪する予定がある。

 ご主人様には心行くまで惰眠を貪って欲しいところではあるが致し方ない。

 たとえ相手が白黒とはいえ客人はもてなさねば。

 たとえ相手が白黒とはいえな。

 大事な事だから二回言った。

 

 ご主人様の柔らかほっぺをぷにぷにつついて起こす。

 

「………んん~」

 

 瞼がピクリと動き、ムズがるように顔を枕に沈めるご主人様。

 

 え? なにこの可愛い生き物。

 誘ってんの? ねえ、誘ってんの?

 

 ご主人様の誘惑(曲解)に抗う事など私に出来るはずも無く、髪の隙間から見えている耳に狙いを定める。

 微睡(まどろ)みから熟睡に入る瞬間を狙って耳を甘噛み。

 

―――びくっ

 

 あぐあぐ。

 

―――びびくんっ

 

 うん、Delicious(とても美味しいです。の意)

 

 耐え切れなくなったご主人様が私を掴んで耳から離し、こちらに寝惚け眼を向ける。

 蒼い宝石のような瞳が朝日を反射してキラキラと輝いている。

 あと若干焦点が合ってない。

 そんなお顔も愛らしいです、ご主人様。

 

 私は昨晩用意しておいた『きょうのよてい』を取り出して見せる。

 どこに持ってたのかって?

 乙女の秘密だ。

 言わせんな恥ずかしい。

 

 しばらくぼーっと『きょうのよてい』を見ていたご主人様。

 のろのろとした動きで起き上がり「ん~っ」と両腕を伸ばす。

 ああいう仕草をしてる人を見ると脇腹にちょっかい掛けたくなるのは私だけか?

 

「うん、そう、そうね。今日は魔理沙が来る日だったわね……」

 

 ようやく意識がはっきりしたらしいご主人様がこちらを向いて一言。

 

「おはよう上海。起こしてくれてありがとう」

「シャンハーイ!」

 

 気にしなくていいぞ、ご主人様。

 私が好きでしてる事だし。

 

「ただ、あの起こし方は止めてくれない?」

「ダガコトワル!(腕でバッテン)」

「…………はぁ(この子、どうしてこうなったのかしら?)」

 

 止めるわけなかろう。

 一日の活力ですことよ?

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――『上海観察日記』より抜粋――

 

 やはりあの上海人形はどこかおかしい。

 

 元々あの子は私のサポートを任せる為の特別製として作製した子。

 その関係で他の上海人形とは違う命令を設定してある。

 弾幕以外の魔法もいくつか使えるようにも設定してある。

 その全てを私はきちんと覚えてるしメンテナンスの時にも確認した。

 異常はどこにも無かった。

 

 だというのに、あの子は設定した覚えの無い行動をする。

 

 何か予定がある日は早めに起こしてくれたり。

 私や交流のある人物にイタズラっぽい事をしたり。

 他の上海人形達を指揮して家事を行ったり。

 片言だけど会話が出来るようになったり。

 (第一声は魔理沙に対する「バカジャネーノ」だった。意外と口が悪いらしい)

 魔法で音楽を鳴らしながら他の上海人形達と一糸乱れぬダンスを踊ったり。

 (後で聞いたら「エムエムディー」と答えた。意味が分からない)

 設定した覚えの無い魔法を使ったり。

 (イオラと言うらしい。従来の魔力爆発より強力だった)

 

 とにかくおかしい。

 どう考えても自立しているようにしか思えない。

 でも、それを証明する決定的な証拠は見つからない。

 

 この子を観察していれば何か分かるのだろうか?

 とりあえず、引き続き観察日記をつけるとしよう。

 

 まあ、悪い子ではないし。



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「キガエルヨー」

ゆっくりしていってね!!!


 諸君。

 準備はいいか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビューティフルマイマスターことアリス・マーガトロイドの生着替えがはっじまーるよー!

 

 実況兼お手伝いはワタクシ、上海人形(特別仕様)がお送りしまっす!

 

 映像?

 誰が見せるか。

 ご主人様の艶姿は安くない。

 

 変わって欲しい?

 だが断る。

 嫉妬に悶えて咽び泣け。

 

 時空を超えた抗議の嵐なんぞ華麗にロマンキャンセル。

 状況開始である。

 

 まずは今着ている肩出しナイトドレスを脱がすとしようか。

 私は量産型上海人形こと通称『妹達(シスターズ)(そう呼んでるのは私だけ)』に指示を出す。

 私達に身を任せてくれるご主人様の寛大さに敬礼。

 脱がせやすいように手足を動かしてくれるご主人様の優しさに感謝。

 最初の頃は少しキョドってたが、あれはあれで初々しくてイイモノだった。

 

 さて、ここで諸君等に伝える事がある。

 実はご主人様『寝る時は下着を着けない派』なのだ。

 つまり、今私の目の前に何があるのか。

 良く訓練された諸君であれば容易に想像が付くだろう。

 今更だが諸君て誰だ。

 

 私は今、この世の奇跡と対面している。

 白磁器の如き肌理(きめ)細やかな白い肌。

 大き過ぎず、小さ過ぎず、張りにも形にも欠点一つ無い美乳。

 太過ぎず、細過ぎず、抱き締め心地の良さそうな括れ。

 程よい大きさと顔を(うず)めたくなる魅力を併せ持った安産型のお尻。

 万国共通で男性を魅了するという「ウエストとヒップの比率0.7」の体型が実現化されている。

 

 大人でもなく、少女でもなく、完全なる不完全。

 其はまさに至高の黄金律の体現者なり。

 

 つまり何が言いたいかってーと、ご主人様マジ最高って事。

 愛と美の女神アフロディーテも裸足で逃げ出す事請け合い。

 むしろ嫉妬で神の呪いを掛けられるレベル。

 まあ、神の呪いもご主人様の美貌によって存在すら許されず浄化されるだろうがな!

 ちなみに下も金だ。

 どこがとは明言しないが。

 

 さて、非常に勿体無いがいつまでもご主人様をマッパで居させる訳にもいかない。

 万が一あの破廉恥女が今のご主人様を見たら何をするか分かったもんじゃないし。

 という訳でご主人様に服を着せてゆく。

 

 レースをあしらった上下お揃いの純白の下着(ご主人様お手製)

 ノースリーブの青いロングスカートワンピース(ご主人様お手製)

 肩にはフリルと青いラインをあしらったケープ(ご主人様お手製)

 黒いニーソックスと焦げ茶色のロングブーツ(ご主人様お手製)

 首元・腰にはお揃いのレースをあしらった赤いリボン(ご主人様お手製)

 頭にはフリルをあしらったヘアバンド代わりの赤いリボン(ご主人様お手製)

 

 ご主人様の服飾・裁縫技術がパネェ件について。

 内も外も上から下まで全部お手製ですよ。

 ッベーわ、まじッベーわ、ご主人様。

 私達に出来無い事を平然とやってのける!

 ソコにシビレル! アコガレル!

 

 んな事考えてる内に、姿見でご主人様が最終チェック。

 お褒めの言葉を頂いた。

 頭撫でられた。

 照れた。

 デレた。

 私が。

 向けられた笑顔に鼻から忠誠心が溢れ出そう。

 

 そしてご主人様のターン。

 私、脱がされてます。

 いやん。

 はいはい、バカやってないで着替え着替え。

 ちなみに私は『寝る時も下着を着ける派』です。

 シュミーズとドロワーズだけど。

 なんか無いと落ち着かない。

 違うよ?

 そんな痴女みたいな格好できるかとか思ってないよ?

 

 長袖の青いロングスカートワンピース(ご主人様お手製)

 肩にはフリルをあしらったケープ(ご主人様お手製)

 可愛い白のフリフリエプロン(ご主人様お手製)

 白いソックスと焦げ茶色のローファー(ご主人様お手製)

 首元には赤いリボンタイ(ご主人様お手製)

 頭には大きな赤いリボン(ご主人様お手製)

 

 ここでもご主人様の服飾・裁縫技術が猛威を振るってる件について。

 ここまで拘るか、ご主人様。

 嬉しいからいいけど。

 

 ご主人様に納得するまで弄くられた後、私達はリビングへ向かう。

 その際、最後の仕上げを実行。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ご主人様のヘアバンド代わりの赤いリボンを猫耳バンドに掏り換える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うむ、バレてない。

 ニャンコなご主人様。

 ニャリス爆誕である。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――『上海観察日記』より抜粋――

 

 いつもの様に上海を観察していると一つの疑問が浮かび上がった。

 

 私の目が無い所では上海はどういう行動を執るのか?といったもの。

 

 そこで私は上海に休暇という名目で一時的な自由時間を与えてみた。

 「外にでも遊びに行ってきなさい」と言って。

 最初はきょとんとしていた上海も状況を理解したのか笑顔で出かけていった。

 

 ふよふよと飛んでいく上海を見送り、姿が見えなくなったら魔法発動。

 上海に仕込まれている、上海の見聞きしているモノを受信する魔法を観察の為に使用。

 テーブルの上に置いた水晶球に繋げた。

 映った映像は魔法の森の中。

 の、はずなんだけど……。

 

 そこに映っていた物体は何と言えばいいのだろう。

 そう、しいて言うなら………………生首?

 生首っぽい饅頭?

 しかも魔理沙に似てる。

 「ゆっくりしていってね!!!」とか言ってる。

 何あれ。

 この短い時間で何があったの?

 

 目頭を揉んでもう一度映像を見てみた。

 

 増えてた。

 今度は霊夢っぽいヤツが。

 何なの、ホントに。

 

 上海はソレ等と遊ぶ事にしたらしい。

 抱きついたり、上に乗ったり、追いかけっこしたりしていた。

 動揺したりすることはないのだろうか、あの子。

 

 ふと怖い考えが脳裏に浮かんだ。

 もしかして―――

 

 ―――私似のアレもいるのだろうか?

 

――追記――

 

 饅頭型怪生物からお土産を貰ったらしい。

 『ゆっくり名物 ゆっくり饅頭』

 アレ等を模した妙にリアルな出来の饅頭だった。

 

 意外に美味しかった。



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シロクロガキタヨー

基本的に上海(中の人)は人の名前を呼びません。
全て彼女の独断と偏見による名称になります。


――バアアアァァァンンッッ!!

 

 ご主人様と来客の準備を済ませていると、入り口の扉が勢いよく開かれた。

 誰かがズカズカと無遠慮に入って来る。

 ちなみにニャリスはバレた。

 現在ネコ耳は魔法で小さくして私に装備させられてる。

 

「邪魔するぜー」

 

 入って来たのは魔女っ娘姿で竹箒を肩に担いだ白黒。

 ご主人様と同じく魔法の森に居を構え、『霧雨魔法店』を営んでいる家出娘。

 幻想郷の各地に出没し魔法関連の品を無断で持ち出す窃盗犯。

 本人曰く「死ぬまで借りてるだけだぜ」らしい。

 バカジャネーノ。

 「弾幕は火力(パワー)だぜ!!」が信条な自称・普通の魔法使い。

 

 その名も『霧雨 魔理沙』

 

 腹ペコ姫とみょんに春度が奪われた事によって長く続いた冬の異変で初めて出会った。

 それ以来、時々ここに来訪(襲撃)するようになった招かれざる客ナリ。

 

 まあ、ご主人様が来訪を許可している時は持て成すが。

 ちなみに「弾幕は頭脳(ブレイン)。常識よ」がご主人様の信条。

 

「はぁ……せめてノックぐらいしなさいよ」

「固い事言うなよ。私とお前の仲だろ?」

「どんな仲よ」

「『同じ森の中に住んでる』仲だぜ」

「ホントどうでもいい仲じゃない」

 

 そんな割といつも通りの掛け合いをする二人。

 私はご主人様を椅子へ促す。

 ついでに白黒も妹達を動かして座らせてやる。

 

「で? 何で上海はネコ耳着けてんだ?」

「お仕置きよ」

「どんなお仕置きだよ」

 

 茶菓子を用意しつつ、妹達に茶の準備を指示する。

 私は白黒の半径1m以内には近づいたりせぬが。

 

「相変わらずこっち来ないなぁ」

「自業自得でしょうに。あんな事すれば警戒されても仕方が無いわ」

「ちょっと魔が指しただけなんだけどなー」

「その出来心の所為で今もこうだけどね?」

「ぬぐっ……シャンハ~イ、そろそろ許してくれよ~」

「フシャー!(私は貴女を警戒しています。の意)」

 

 両手を振り上げて威嚇。

 

「まだ駄目みたいね」

「うぅ……先は長いぜ……」

 

 テーブルに突っ伏す白黒を無視して妹達が持ってきた茶を淹れる。

 出涸らしじゃないだけありがたいと思うがいいわさ。

 

 ぬ?

 何で私が白黒を警戒してるか知りたい、とな?

 よろしい。

 ならば諸君に語って聞かせようではないか。

 

 あれは長い冬が終わったある日の事。

 「慰労や親睦を兼ねた宴会を開催する」という知らせが来た。

 それを聞いたご主人様がその宴会に参加すると言いだした。

 珍しい、と思ったね。

 ご主人様って基本的に他人に無関心で物事に拘らないさっぱりとした性格してるし。

 人見知りという訳じゃないんだけども。

 で、まあ当然私もついて行った。

 本気じゃなかったとはいえ、ご主人様を倒した紅白・白黒・ミニスカメイドもいるみたいだし。

 

 ご主人様は私が護る キリッ

 

 みたいに気合いいれてた。

 コラそこっ!

 異変で既に負けてる m9(^Д^)プゲラ とか言うなし!

 

 で、紅白の神社に着いて宴会開始。

 参加者は結構いた。

 

 紅白・白黒・ミニスカメイド・紅い家のおぜう

 金髪七色リ・紫もやし・中国・赤髪コウモリ

 腹ペコ姫・みょん・⑨・保護者の緑・白いの

 オレンジな黒猫・尻尾もっさり・胡散臭いの

 乳ましい雪女・五月蝿ん姉妹・ご主人様・私

 

 ごった煮状態である。

 まさにカオス。

 

 まあ、そんな状態でも改めてご主人様と一緒に挨拶回りしたわけだ。

 初めて見る顔も多かったし。

 私はご主人様の僕らしくカーテシーでご挨拶。

 優雅さアピールである。

 ご主人様が「教えてないのに…」とか「どこで覚えたのかしら…」とか呟いてたが知らぬ。

 

 ミニスカメイドと金髪七色リが同じくカーテシーで返してくれた。

 みょんも座礼で返してくれた。

 結構嬉しかった。

 他の奴等は割りとユルかった。

 

 ミニスカメイドはやり慣れてるのか完璧で上品だった。

 実に瀟洒なメイドである。

 金髪七色リは少しぎこちなかったけど一生懸命なところが可愛かった。

 実にほっこり和んだ。

 みょんはきっちり正座して双手礼による敬愛礼。

 何であの子、座礼の作法とか知ってんの?

 武士だから?

 

 おぜう?

 紅白口説いてたけど?

 腹ペコ姫?

 みょんに持って来させてた大量の差し入れ1人で食べてたけど?

 この二人、酔った勢いでセクハラする幼女(おっさん)と桃色の悪魔にしか見えん。

 まさにカリスマブレイクとノーカリスマ 。

 ダメ主sめ。

 ご主人様を見習うがいい。

 

 まあ、そんなこんなで白黒の番になったんだ。

 白黒は紫もやしに絡んでたけど。

 改めて自己紹介したあとも魔法使い同士な事もあってか三人で割りと話は続いてた。

 次第にお互いの魔法の話題になったんだけど、白黒が興味深そうに私を見だしたんだ。

 ご主人様の作品たる私に興味を持つのも理解出来るからとりあえず愛想良くしてのだよ。

 

 そしたらこの女何してきたと思う?

 いきなり私を鷲掴んでひっくり返したあげく、スカートの中覗きやがったDeath。

 乙女のスカートを無断で覗くなんざとんだ破廉恥女ですぜ。

 お返しに、そのまま渾身のサマーソルトで顎カチ上げてやったがなっ!

 天井ブチ抜いて首から下がプラーンってなってる白黒を見て少しは気が済んだ。

 ちなみに周りはこの惨状を白黒の宴会芸だと思ったらしい。

 結構受けてた。

 

 そんな経緯があって私はコヤツを警戒し続けてる訳なのだよ。

 分かったかね、諸君?

 諸君って誰だ。

 

「な~、上海ってばよ~」

「プイッ」

「せめてこっち向いてくれよ~」

「ツーン」

「よしわかった。私のスカート捲れ! それでお相子だ!」

「バカジャネーノ」

「orz」

 

 私を構おうとする白黒とあしらう私。

 あの宴会以来ずっとこんな感じ。

 意外に粘りおるわコヤツ。

 あとご主人様?

 微笑ましく見るの止めてくれない?

 「なんだかんだ言って仲良いわよね貴女達」とか言わないでよ。

 あーほらぁ、白黒が復活したじゃん、もー。

 

 その後は復活した白黒がご主人様と魔法談義したり。

 めげずにアタックしてくる白黒をいなしたり。

 色々やってたらいつの間にか白黒が泊まってく事になってた。

 急な話だから当然着替えとか持ってない白黒。

 風呂上りの着替えは私が用意してやった。

 

 フリフリすけすけのネグリジェをな!!

 

 もちろん穿いてない。

 むしろ穿かせない。

 裾を気にしながら顔真っ赤にしてもじもじしてる白黒。

 フヒヒ♪

 

 ご主人様にバレて怒られた。

 ちぇっ。

 仕方ないので穿かせてやった。

 

 その後、寝静まった二人の寝顔を観察しながら思う。

 ご主人様は女神。

 これはハッキリ分かんだね。

 

 そしてもう一人。

 さっきまでブーたれてた白黒。

 コヤツもご主人様ほどじゃないとはいえ腐っても美少女だな。

 

 白黒の癖に生意気な。

 とりあえず脱がしておこう。

 ブルマ的リアクションを期待。

 朝が楽しみである。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――『上海観察日記』より抜粋――

 

 

 あの怪生物との邂逅から、週1回の頻度で上海に休暇を与えていた。

 今のところ上海はアレとは3回ほど遭遇している。

 

 東風谷 早苗っぽいモノ。

 十六夜 咲夜っぽいモノ。

 そして……私っぽいモノ。

 

 ええ、いたわ。

 いたわよ、私っぽいモノ。

 できれば見たくなかったけど。

 しばらく魔法の森の中は歩きたくない。

 バッタリ遭遇したら嫌だし。

 

 今日も上海は外へ出かけた。

 映像から判断するに霧の湖に向かっているらしい。

 が、少し周りの様子がおかしい。

 いつもは沢山の妖精が飛び回っているのに、今日に限って全く見かけない。

 何か嫌な予感がした。

 

 辿り着いた湖の畔に水色の人影が見えた。

 服の色と体格の小ささから氷妖精だと思ったわ。

 

 ―――ソイツが振り返るまでは。

 

 似ているのは姿形だけ。

 ソイツは普段の氷妖精とはかけ離れた雰囲気を身に纏っていた。

 

 両腕を左右に真っ直ぐ伸ばし、今にも走り出しそうなポーズでこちらを凝視してくるソレ。

 その瞳はあらゆる光を際限なく飲み込む様に黒く、暗く、澱んでいた。

 私が直接見られている訳でもないのに、身体中を這い回る悍ましいナニカを感じた。

 

 しばらく上海と対峙していたソレは、おもむろに彼女の周囲を回り始めた。

 決して上海から目を逸らさず、次第に数を増やしながら走り回るソレ。

 気付けば総数は既に20体以上。

 

 上海は完全に包囲された。

 

 走りながら首を上下左右に小刻みに振動させるソレ。

 脳が浮くような感覚に襲われる。

 

 持ち上げるように首を外し、ゴロゴロと転がして他のソレ等に渡していく。

 首は無限に湧いて出てきた。

 自分の口から出た悲鳴が何処か遠くに聞こえる。

 

 巨大で真っ黒な眼孔のソレ等の生首が映像一杯に、埋メ尽クサレタ。

 

 気持チガ悪イ

 

 吐キ気ガ止マラナイ

 

 頭蓋ノ内側デ

 

 何カガ…………

 

 私は意識を失った。

 

 

 

 目覚めたら上海が帰ってきていた。

 特に変わった様子も無く、他の上海人形達と夕食の仕込をしている。

 いつもと変わらない光景である事に、何故か寒気を感じた。

 

 アレについてはとにかく忘れる事にしよう。

 

 幻想郷に実在する数多くの怪異達。

 ソレ等が霞むほどの言い知れない不安感と根源的恐怖を感じさせるアレ。

 

 深く関わってはいけない気がする。

 理解してはいけない気がする。

 

 だから、忘れよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たとえ、視界の端に―――

 

 ―――水色のナニカが、映っているとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――“ノい‡――

 

 だ

   レ

  か

   が

 ワ

    た

  シ

   を

 ず

  ッ

    と

 ミ

   テ

  い

    ル




フィギュアに触れた事のある人なら一度は魔理沙と同じ事をした事があるはず。
野良犬もした事がある。
あのなんとも言えない衝動に抗える人っているんでしょうか?


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