結末だけを見る者 (倉咲杏ト)
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結末だけを見る者
当たり前だと思うが、大体のポケモン、人間は物語を始めから見るだろう。
何故ならば、それが先も分からず楽しいからだ。僕の名言。
シャワーズという種族である僕、クラサキは、水タイプでありながら標高の高い場所に住んでいる。
人間達はグラス地方と呼んでる、地名の理由はこの地方がグラス状の形をした一枚岩だから。
この地方、いつ崩れるか分からず、補強工事を行っている。さっさと僕も水に流れてここから離れたいね、危険だし。
このままいると崩れ落ちて、僕が終焉を迎えてしまう未来が見える。
不思議でしょ? 未来を断言できるなんてさ。
そう、なぜこの名言が生まれたか、それは未来を予知できるから。ただし自由自在に見れるわけでもなく、最後という言葉がキーらしい。
ちょっとした物語の最後、プロの試合の最後、自分自身の最後まで……。
更に特徴として僕は他人の未来を変えることはできないが、自分の未来を変える事ができる。
未来が変われば、新たに未来が映像として頭に入ってきて、僕はその未来を変えに行く、それが結末を見る者としての、唯一の楽しみだ。
ここで余談を一つ、一人面白い結末を持つ大男がいて、その男は……言わないでおこう、楽しみはとっておくものさ。
気になるなら生きてみるといい、これも僕の名言。
名言を二つ言った所で、僕は主人のとこに戻ろうと思う、勿論帰れるという結末が待っているね。
今日の最後の天気は雨。
現在は晴れている。
ここで僕の主人がどんな人物か紹介してみようと思う、興味無いなら読み飛ばしても構わない。
ドジでマヌケで頭の悪い女の子だ、当初はオドロキを隠せなかったが、今は慣れている。
ここでクラサキ心の句『できるなら じぶんじしんが かいぬしに』
あんまり良くない句を作ったとこで、飼い主に甘える。純粋に喜んでくれるのが彼女のいいとこだ。
……悪いとこの方が多いけどね。
それでも僕はこのトレーナーが好きだ、だからもっと生き延びてほしい。そのためにも、未来を伝えるためにも、ポケモンの言葉を理解できる人間を探す必要がある。
とにかくここから離れさせるために、イッシュ地方のガイドブックを彼女のバッグから取り出した。
「いいわねイッシュ地方。今度旅行いきましょ!」
期限は明後日、ガイドブックをもう一度突き出す。
「もう。しょうがないなー、明日出発ね」
どうにか乗ってくれて、一安心の溜息。
安心してモンスターボールの中へと戻り、昼寝についたのであった。
つづく
実際続くかどうかは分かりません。
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