衝動のままに決闘する (アルス@大罪)
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プロローグ
テンプレ感漂うプロローグ


決闘描写は無いです。
プロローグなので。


「…………知らない天井だ」

 

目が覚めると知らない天井だった。

記憶が確かなら、明日に備えた高校受験の為に早く寝ようとして、11時に寝た。しかし、寝る前に見た天井と今見ている天井が違う。

ここはいったい何処なんだ?

周囲を見回すが壁がない。ただただ広がる空間だった。

なら上のは天井じゃない?いや、天井や壁が有るか無いかはどうでもいいか。問題なのはここがどこなのか、ということか。

 

「お?目が覚めたか」

 

ふと後ろから声がして、振り返ると。

Tシャツにジーンズを履いた男性がいた。ぱっと見年上だが…………寒くないのか?

 

「気温なんてないも同然だからな。服なんてものは無くても別に問題はない。いや、体なんて無くても問題無いが正しいかな?」

「今口に出してなかったですよね?」

「心、思考を読むなんて造作もねぇよ。神だからな」

 

………………神?

……そういうことか。まだ、厨二病を患っているのか。

 

「そんな病気じゃねぇ!事実として、俺は神だ!とりあえず話を聞け!」

 

なんか、必死だ。

まぁ、口に出さずに済むならこのままでいいか。

 

「…………まぁいい。良くないけど、いい。とりあえずお前は死んだ。これはいいな?」

 

良くねぇよ!!

とりあえずってなんだ!

俺が死んだ!?俺はこうして意識あるじゃねえか!

 

「体見てみろ。見れるならな」

 

体?体ならこうして……無い……俺の体が……無い……

 

「無いだろ?今お前にあるのは意識だけ、俺が見ているのは【お前】という意識の塊だ。向こう……お前の前世での死因は心臓麻痺、急性のな。寝てる間にポックリ逝っちまったってわけだ」

 

死んだ……そうか。俺は死んだのか……

 

「…………珍しいな。大抵はここで泣き喚いたりするもんなんだが……冷静……いや、まだ実感が無いといったところか。まぁ、どうでもいいがな。

でだ、この【お前の死】という現象だが、原因がある」

 

原因?

 

「俺の部下が自分の足に躓いてお前達数百人の人生録を落としてな。所謂地獄に。そん時にお前を含めた300人程度の人生録が溶岩の風呂に埋没してな。人生録の無い人間はそこでみんな死去ってわけだ」

 

さ、300人のうちの1人か……いやそこよりも先に自分の足に躓くなよ……

 

「ふむ、まだ冷静か。これを聞いた他の299人は怒り散らしていたんだがな…………ま、人生録無くなった人間で、お前以外は病死寸前の連中なんだがな」

 

なんてそいつらと俺の人生録が一緒なんだ!!

そういうのはもっと分けるべきだろ!

 

「他の600人程度はお前と同じで、しばらくは普通に生活していけた筈なんだ。ま、すまなかったな……さて、ここからが本題だ」

 

俺の死が前振りなのにムカつく。

しかし、自称神は話を続けた。

 

「二次創作って知って…………無いか。俺の記憶ではお前はそういうのは読んでなかったもんな。まぁいいや。人生録埋没させた部下の責任もあってな。お前に新しい人生を与えることにした」

 

は?はぁ……

 

「他の299人は数年程度の差しかないからそのまま輪廻転生してもらうんだがお前だけはちょっと面白そうなんでな」

 

俺の人生をアンタの暇つぶしに使うな。

 

「暇じゃねえし。で、人間が作り上げてきた物語の中から面白そうなもんがあったんで、そこで生きてもらう。拒否権はあるぜ。ここで意識も体も死ぬか、体を変え、新たな人生を生きるかの2択ってわけだ」

 

…………その前に、その物語とやらを聞きたいんだが…………

 

「ああ、えーっと『遊戯王GX』ってやつだな。さっきあみだくじで決まった」

 

あみだで決められる俺の人生っていったい……でも遊戯王か……5D'sとかは余り見てないけどなんとかなるかな……?それに、生きられるならいいか。わかった、その世界に行くよ。

 

「ん、そか。そうなると、特典ってやつをお前にやろう」

 

特典?

 

「所謂チートってやつかな?その世界に生きるのにお前が必要だと思ったものをやる。さっき言った二次創作だと個数限定なんだが、このメーターに入れられるだけ特典をやる。願いによってはそれだけでメーターがいっぱいになるから注意しろよ」

 

言いながらだしたのは……自称神の肩くらいまでの高さ……160cmくらいか?のメーター。

特典……遊戯王GX……GXか……しかし何故GX?今やってるのARC-Vだろ?…………GX……ARC-V……じゃあ、前世で出たカード、これから出るカードを俺にくれ。あと、前世で使ってたiPodも。

 

「…………メーター全く増えてねぇな。あ、増えた。溜まるの遅えwwwで、次は?」

 

んーカードあってもあるだけになるだろうから、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラム召喚を使えるようにしてくれ。

 

ブブーッ

 

は?

 

「あ?……交渉しろだってさ。よし、じゃあペガサスだっけか?カード作ったって設定のやつ……まぁとにかくソイツに会えるようにこっちで色々弄るから、別の考えとけ」

 

は、はぁ……GXだろ……?なら、デュエルアカデミアに入学するから、入学試験の時に俺のターンの最初の手札を…………………………にしてほしい。

 

「お、メーターが無駄に溜まった。どんな基準なんだこれ?」

 

アンタのものくらい把握しとけよ……

で、今のとこ8割ってとこか……

いや、もういいや。

 

「ん?そうか。んじゃあ転生開始するぞ。ああ、そうそう。意識が戻るのはお前の自宅だ。年齢は今と変わらない状態で始めるからそのつもりでいろ。んじゃあな」

 

そこで、俺の意識は途絶えた。

 

「……さて、弄るか。えーっと……ここをこうして……いや、こうするよりこうしたほうが……うん。あとはこいつの意識をこうしてやって……よし、そんで次に…………あ、ヤベッ…………ふむ………ま、いいか。でここにこれを……よし、終わり」




今回の文字数は2000程度。次回から5000文字くらいは書きたいです。
次回決闘!とはいかず、次回は交渉フェイズです。


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交渉 VS.ペガサス&海馬

今作で初めて多機能フォームを使いました。
あと、タグにしようと思ってたものを追加しました。


目が覚めるとまた知らない天井。

少しばかりの不安を覚える。

で、転生とやらは成功したのかねぇ……

部屋の中のようで、今度はちゃんと壁があった。

で、部屋の中にある机に手紙らしきものがあった。あの自称神からだ。

書いてあった内容は、

 

1つ目、自分はデュエルアカデミアに受験していて、既に筆記は終えているが、実技はまだらしい。

筆記を受けてみたいとも思ったがまぁいいか。そこまで細かく頼んでないから注文の核さえクリアしてるならそれでいい。

 

2つ目、今日から2日後にペガサス・J・クロフォードの使いが自宅に来るらしい。交渉しろって言ってたけど、テンポ早くないか?となると、明日にも交渉の準備をしないとな。

 

3つ目、ここで家族構成の話だった。兄弟は無し、両親は数日前から海外赴任しているらしい。

…………ここの生活費は通帳に送られるらしい。いや、それはいいんだけど、俺、料理どころか家事できないぞ。

 

とりあえず、受験票を探すと、机の引き出しの中にあった。

確か原作だと筆記の成績順に新たに受験番号を用意されたはず。

…………4番。

……高くね?そこまでの成績とれる自信無いぞ。

まぁいいや。過ぎたこと考えてもめんどくさいだけだ。

とりあえず、明後日の交渉とやらに必要なものを考えるか。

 

「…………ん?」

 

考えるために少し下を向くと、視界に何か黒くて長い何かが上からやってきた。触ってみると、髪の毛?そして引っ張られる感覚。俺の?いや俺はこんなに髪は長くな…………いや、まさか。とりあえず家の中の探索とともに、洗面所を探す。どうやら家は2階建てで、2階に俺の部屋があるらしい。1階に降りると階段左の奥に洗面所があった。

鏡を見ると、

 

「な、なんじゃこりゃああ!?」

 

女顔の俺……と思われる人物が鏡に映っていた。前世と全然容姿が違う……いや、確かに容姿について頼んでないけどさ……なんで……いや待て、本当に女顔ってだけか?女の可能性は……上………無い。下……ある。

良かった……いきなり女として生きろとか無理だった……男で良かった……

 

「……良く考えたら受験票の名前と写真確認すれば良かったんじゃ……はぁ」

 

部屋に戻って受験票を見る。

……宮田龍斗……うん。名前は変わってない。

 

「……交渉の準備するか」

 

とりあえず、現物を見せた方がいいかな?とすると、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラム……ペンデュラムは一応2枚別々のカードを持っていこう。あとチューナー。計5枚は最低でも必要か。あと実際に見せる可能性を考えてデッキ作らないとな。

 

「…………カードどこだ?」

 

我ながら間抜けだ。

周囲にそれらしいものは無い。となると、机の引き出しか、あるいは別の場所か。

 

「…………無い」

 

机の引き出しは無かった。

クローゼットの下とかには流石に無いとは思うけど一応探そう。

 

「……無い」

 

となると、別の部屋か。面倒な。

 

「……あった」

 

部屋を開けて右の部屋に堂々と【カード部屋】と書かれていた。

さっき家の中探索したときに気付けよ俺。

 

「……なぁにこれぇ?」

 

部屋に入ると、ストレージは無く、アタッシュケースが所狭しと並んでいた。

 

「……シンクロ……エクシーズ……ラベルが貼ってあるのか……よいしょっと……さて、どれを……は?」

 

ケースを開けて中を見ると、【ネオス】や【N】、【宝玉獣】、【D-HERO】は流石に無かったのに、

【スターダスト・ドラゴン】のカードが40枚近くあった。確かこれって5D'sで重要なポジションだったカードだろ?あまり見てなくて、ちょっとしか見れなかったからあやふやだけど。

…………いや、でもこんなにいらねぇよ。

複数デッキ作るにしてもこんなにいらねぇだろ。念のため他のカードも見てみると、全てカードが40枚近くあった。

 

「もうちょい細かく頼んでおくべきだったなぁ……」

 

まぁいいや。

交渉用にシンクロは【スターダスト】でいいとして、エクシーズは……【ホープ】でいい。……流れとして、ペンデュラムは【オッドアイズ】と言いたいけれど、ここは【時読み】と【星読み】で。チューナーは……【ジャンクロン】でいいか。

交渉に見せるカードはこれでいいとして…………いや、待てよ。ペガサスに頼んでもルールが変わるだけか。ルールを変えてもすぐに施行されるわけじゃない。試験で使うんだ。デュエルディスクをそれようにアップデートしてもらわないといけない。デュエルディスクは社長こと海馬瀬人、つまり海馬コーポレーション(KC)が作ってるから海馬瀬人とも交渉するのか?…………青眼のサポートカードを賄賂に使おう。乙女とか乙女とか乙女とか。

 

「じゃあ次は入学試験用と念のための実演用のデッキ作成か……面倒な」

 

途中、食事と入浴を挟んだが、それ以外はデッキ作りにひたすら励んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日後

 

家のインターホンが鳴り、ドアを開けると、サングラスをしたガタイのいい黒スーツの男が2名来た。この人達か。ペガサスの使いとやらは。

しかし、手紙とは違うことが起きた。

 

「Nice to meet you.龍斗ボーイ。私はペガサス・J・クロフォード。インダストリアル・イリュージョン(I2)社から来ました」

 

ペガサス・J・クロフォード本人までやって来た。ちょっと待て。あの手紙の内容は使いが来て、そこから本社って流れじゃないのか?つまり本人登場は本社だろ?何故家なんだ?

 

「…………はじめまして。宮田龍斗です。お会いできて光栄です」

 

とりあえず、平静を装って挨拶をする。さてどうする?ここで交渉するのか?…………玄関で交渉はないな。

 

「立ち話もなんですから、とりあえずどうぞ。周りの方々も」

「ありがとうございマース」

 

居間にて待ってもらいお茶と…………煎餅しかない……だと?いや、それもそうか。来るとは思って無かったし。

 

「すみません。こんなものしか置いてなくて」

「No problem.突然訪問したのはこちらデース」

「ありがとうございます。……で、何故家に?貴方との面識は俺も、俺の親も無い筈ですが」

「夢の中の事デース。見た事のないドラゴンと見覚えの無い家、そこで私は見た事も、作った事も無い、DM(デュエル・モンスターズ)のカードに出会うというものでシタ。その夢のことは鮮明に私の脳に焼きついて離れませんでシタ。気になり、調べた結果この家に何かあると私のカンがそう告げたのデース」

 

なるほど。あの自称神が夢を使ってこの家に誘導したのか。まぁ、好都合といえば好都合なのかな。

 

「…………何度もすみません。少し、席をはずします」

 

返事を聞かずに部屋に行く。カードと念のためにデッキを持ち再び居間に。

 

「お待たせしました。見た事のないドラゴン、そして作った事もないカードとは、これのことじゃないですか?」

 

【スターダスト・ドラゴン】のカードを見せる。

 

「こ、このドラゴンデース!それにこのカードはいったい!?」

 

ただ話すと俺について話す必要があるか。まぁ、信じる信じないはペガサス次第か。話しても問題は無いだろう。

 

「…………それについては俺について少し話した方が楽ですね」

 

俺は【スターダスト】のこと、もっと言えばシンクロモンスターのこと、俺自身が転生によってそのモンスター達を得たことを話した。

 

「なるほどなるほど。転生……別世界からやってきた決闘者(デュエリスト)……シンクロモンスター……」

「しかし、ただ持っていてもこのままでは使えない。ですので、神を名乗る人物の手で貴方と交渉して、シンクロモンスター達を使えるようにしてもらおうかと。……交渉と言っても、俺にはサンプルとして、シンクロモンスター達を全種数枚を渡すくらいしかできませんが」

「それでは足りまセーン」

 

…………やはり社会人、いやこの人と交渉するのは無茶か。

とすると、あのデッキで行くのも……

 

「貴方の故郷……前世でのルール情報を提示してくだサーイ。シンクロモンスター達が居たDMのルール、現在のルールから変更する手間が省けマース」

「……他にはないんですか?俺自身に出来ることならしますよ」

「貴方にはテスターとして、シンクロモンスターを使って貰いマース」

 

……シンクロモンスターのテスター。

…………エクシーズは?

あ、いや、見せてないや。緊張してるのか。

4枚のカードを裏向きで、何も言わずに出すと。

 

「What's?……な、なんですかこのカード達は!?」

「俺の持つシンクロモンスターとは別のカードです。黒いフレームがエクシーズ、2色のフレームがペンデュラム、既存のフレームのカードはシンクロモンスターに必須のチューナーです。それらのカードも使いたいんです。テスター、ルールの提供ならしますので、お願いします!!」

「……わかりまシタ」

 

少し間を持ってペガサスは……一応上司になるのかな?いや、雇い主かな?まぁともかく、ペガサス会長は答えてくれた。

後はもう1人をどうするかだ。

 

「ありがとうございます。カードのサンプルについてはまた後ほど。それとある人物に会いたいんですが、なんとかなりませんか?」

「ある人物?」

「はい。KC社長、海馬瀬人です。俺は今、デュエルアカデミアへの入学試験を控えてまして、そこで、シンクロを使おうと思ってます」

 

テスターとしての初仕事になるし、プロを出しているアカデミアでまずシンクロ、エクシーズ、ペンデュラムを浸透させることもできるから、悪い話じゃないとは思う。

 

「それが何故、海馬ボーイに繋がるのデース?」

「デュエルディスクはKCが開発しています。つまり、ディスクのプログラムにシンクロ、エクシーズ、ペンデュラムのデータが無ければどれも使えない。使えてもテーブルの上だけですから、テスターも何もないですからね。彼の使う【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】のサポートカードを土産にお願いしようかなと」

「……OKデース。早速アポイントを取りましょう。少し時間をくだサーイ」

「わかりました。ではその間に、SPの方をお借りしてよろしいですか?カードのサンプルを渡しますので」

「いいでしょう。彼についていきなさい」

「「はっ」」

 

SP2名をつれてカード部屋にいき、同名カード2枚ずつ程度で用意して、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラムのサンプルを渡す。

チューナーも渡したし、あと必要なものはないかな?あ、乙女とか白石さん見たいな青眼サポート忘れてた。これは別のケースに入れてっと。

 

「多分これで終わりだと思います。ではすみませんが、そのケースを下……車の方がいいですかね。そこまでお願いします」

「「わかりました」」

 

今度こそ、必要なものは無いよな?

…………無い。よし、行くか。

さて、ペガサス会長はっと。

 

「終わりましたか?こちらはすぐにでもKCに向かいマース」

「わかりました」

 

なら家の鍵持って戸締りして……よし。

白石さん等が入ったケースを持ってKCへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着いた……移動が長いような……短いか。シンクロ召喚とかについて少しレクチャーしてたから時間は潰せたし。

中は少し騒ついている。ペガサス会長が来たからか、それとも元々こういう状態なのかはわからないけど。

 

「ついて来てくだサーイ」

 

会長に言われるままに会長とKCの社員と思われる人について行くと、ある一室の前で止まった。

 

「社長、ペガサス会長がお見えになりました」

「通せ」

 

ドアが開けられ、部屋の中に入ると、重力を無視しているとか噂になっているコートを着た海馬瀬人がいた。

 

「ペガサス、急用とはいったいなんだ?くだらない用なら即刻出て行け」

「今回はあるカードを見てもらおうと来たのですが……【青眼の白龍】に関連するカードを」

「【青眼】に関連するカードだと?ふぅん。見せてみろ」

 

持ってるの俺なんだけどね。会長を見ると会長もこちらを見ていて、何か考えているようだった。

 

「無論タダではありまセーン。この少年の願いを聞き入れるのが条件デース。それ次第では見せるだけでなく、そちらに3枚ずつ渡しましょう」

「どこの馬の骨とも知れぬ奴の言うことを聞けだと?何を考えている」

「会長、ここは俺が」

 

というより、俺がやってこそ意味があるだろう。

 

「はじめまして、とだけの挨拶とさせていただきます。今の貴方にとって、俺の名前なんてどうでもいいでしょうから」

「ふぅん。自分の立場を少しは弁えているようだな。続けろ」

「ありがとうございます。俺から貴方へする要望から言わせて貰います。これから見せるモンスター群を、デュエルディスクで使えるようにしてほしいんです」

「それだけの価値があるのなら考えてやる。そのモンスター群とやらを見せてみろ」

 

相手は海馬瀬人だ。【青眼】系のカードとなると……シンクロモンスターなら蒼眼か……ということで【蒼眼の銀龍】を見せる。

 

「【青眼】だと!?いや、このカード名、そしてこの白いカード……なんだこのカードは?」

 

……この人今の一瞬、自分の嫁とそれ以外のカード間違えたぞ。

なんだ?似てればそれでいいのか?

まぁいいや。

 

「そのカードの説明の前に他のカードを見てください」

 

エクシーズやペンデュラムだと青眼サポートが見当たらなかったからペガサス会長に見せた【ホープ】や【星読み】などのカードを見せ、カード達の説明だけをした。転生云々は海馬瀬人にはアウトだったはずだからそこは伏せた。流石に1日2回も同じことを言うのは面倒だった。

 

「……いいだろう。望み通り試験までにアップデートを済ませてやる。ただし、敗北は許されんぞ」

「ありがとうございます。最善を尽くします」

 

と言っても……試験はあのデッキなんだけど……不安だなぁ……




次回から漸くデュエル描写です。
知識不足なので、ミスがありましたら指摘をお願いします。


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入学試験 VSクロノス

今回からデュエルパート突入です。
前回書き忘れましたが、カード名、カテゴリー等カード関係は【】の括弧で表記します。
デュエル進行ですが、
モンスターが召喚されると
【モンスター名】
表示形式
ATK/DEF
と表記し、ターン終了時
エンド宣言したプレイヤー名
ライフポイント(本編ではLP)
モンスター
【モンスター名】:表示形式(攻または守で表記)
適用数値
魔法・罠
手札枚数
毎ターンこのように表記します。
禁止・制限リストは以下の通り

禁止

混沌帝龍ー終焉の使者ー
カオス・ソーサラー
キラー・スネーク
黒きウィッチ
サイバーポッド
処刑人ーマキュラ
聖なる魔術師
月読命
デビル・フランケン
同族感染ウィルス
ファイバーポッド
ヴィクトリー・ドラゴン
魔導サイエンティスト
魔導戦士ブレイカー
八汰烏
サウザンド・アイズ・サクリファイス
悪夢の蜃気楼
いたずら好きな双子悪魔
王家の神殿
押収
苦渋の選択
幻魔の扉
強引な番兵
強奪
心変わり
サンダー・ボルト
蝶の短剣ーエルマ
狂戦士の魂
ハーピィの羽根箒
ブラック・ホール
突然変異
遺言状
王宮の勅命
現世と冥界の逆転
第六感
刻の封印
破壊輪
ラストバトル!

制限

カオス・ソルジャーー開闢の使者ー
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
異次元の女戦士
E・HERO エアーマン
カードガンナー
クリッター
混沌の黒魔術師
スナイプストーカー
魂を削る死霊
ダンディライオン
DーHERO ディスクガイ
ドル・ドラ
深淵の暗殺者
N・グラン・モール
封印されしエクゾディア
風帝ライザー
マシュマロン
冥府の使者ゴーズ
メタモルポッド
森の番人グリーン・バブーン
黄泉ガエル
強欲な壺
天使の施し
賢者の石サバティエル
大嵐
オーバーロード・フュージョン
巨大化
高等儀式術
サイクロン
地砕き
次元融合
死者蘇生
地割れ
スケープ・ゴート
洗脳ーブレインコントロール
団結の力
連鎖爆撃
手札抹殺
ハッピー・マリッジ
早すぎた埋葬
ハリケーン
光の護封剣
封印の黄金櫃
抹殺の使徒
未来融合ーフューチャー・フュージョン
リミッター解除
レベル制限B地区
おジャマトリオ
グラヴィティ・バインドー超重力の網ー
激流葬
死のデッキ破壊ウィルス
ジュラシック・インパクト
聖なるバリアーミラー・フォースー
ダスト・シュート
血の代償
停戦協定
転生の予言
光の護封壁
マインドクラッシュ
魔法の筒
リビングデッドの呼び声

準制限

暗黒のマンティコア
DーHERO ディアボリックガイ
ネクロフェイス
闇の仮面
光と闇の竜
おろかな埋葬
増援
月の書
魔導師の力
魔法石の採掘
王宮のお触れ

あくまでこの作品の世界の禁止リストですので、現段階でまだ登場していないシンクロやエクシーズは禁止・制限にかかりません。長くなりました。では本編へどうぞ


あれから数日。

海馬さん(流石にもう海馬瀬人とか呼び捨ては無理だ。カード使えるようにしてくれた恩があるし)のおかげで試験で使いたいカードは使えるようにしてくれた。

既に販売されているデュエルディスクも、ネットワークを使って自動アップデートしてあるらしい。

で、新OSのテストを兼ねて何回か海馬さんやら、ペガサス会長、一部KC社員の方々と泊まり込みでデュエルしていたら帰らされたのが一昨日。

試験2日前である。

もうちょっと早く帰してほしかったなぁ……俺が試験で満足したいがためのキャラデッキなんだが、『負けんじゃねえコラ』と海馬さんに言われたのでちょっと調整しなければいけないから時間が少しでもほしかった。

結果ギリギリ試験日には間に合い、現在試験会場で試験待ち。

100番台からスタートして、現在20番台。…………長い。

 

「にしても遅いなぁ……」

 

デュエルの展開が。なんか、ソリティアがないというか、ただビートしてるというか……パーミッションも無いし。なんでこう似たり寄ったりのデッキばかりなんだろう……?

 

「遅いとは何がかな?」

 

横……いや、後ろから声をかけられた。聞いたことのある声だ。いや、そんなはずはない。俺が知っている声は全て社会人だ、ペガサス会長、海馬さん、KCの皆さん……じゃあ誰だ?

 

「……誰かな?自己紹介くらいはしてほしいかな」

「それはすまなかった。俺は三沢大地。受験番号1番だ」

 

三沢大地……あのエアーマンか。そして受験番号……大まかな時間軸がGXというわけじゃなくて、まんまGXか。……まぁいいや、やることは変わらない。

 

「俺は宮田龍斗。受験番号は4番だ。さっきの話だけど、遅いってのは展開がって話。1ターンにモンスター出しても1回だけ、多くて2回は遅すぎる」

「ほう……なら君はそれ以上ができると?」

「全て、毎ターンは流石にできないけど、そういうデッキなら1ターンでフィールドにモンスターを5体並べることもできるよ」

 

そういうデッキを作ればね。

 

「それはすごい。だが、そういうのは早いだけで、攻撃力が低いだろう?」

「その低いの基準はわからないけど、2000オーバー4体とかいけるんじゃないかな?」

 

昔ネタで作った貧困デッキとかでもいけたし。

 

「2000オーバーが4体!?……見てみたいな、君のデッキ」

「今日はそれができる予感がしないから、あまり期待せず見てなよ」

 

実際注文したのはそこまでの展開はできないし。

……話してたら少しは出番近づいたかな?……14番が試験を受けてる。あと9人待つのか……あ、受験生がやられた。あと8人。

 

「……寝ようかな」

「試験中だぞ?」

「…………起こしては……くれないよな。……暇だ」

 

デュエルはできない。持ってきたのが試験用のデッキしかないから、あの神のことだから試験前に頼んだ状態になりかねないし、その上いざ本番で大事故を起こす可能性が高い。

つーか何人か同時進行すればいいのに……いや、してたか。100番台から50番台まで。やるなら全員やれよ。あれか?中等部とやらから見学に来てる連中の為か?上半分程度はじっくり見せる気か?俺は別に合格したらデッキコロコロ変える予定だからいいけど、この待っている時間軸の俺の身になってほしい。……そろそろ俺の番かな?

 

[受験番号110番、デュエルフィールドに移動しなさい]

 

は?110番?100番台はもう……あ、主人公か。

 

「……人身事故で電車が遅れてたらしいな」

「……不運だな」

 

知ってるけど。

とりあえず、主人公ことガッチャさんこと遊城十代は勝利した。

原作通り……ま、俺1人がいたところで、変わらないけどな。

 

[受験番号4番、デュエルフィールドに移動しなさい]

「出番か。行ってくる」

「頑張れよ」

 

頑張れ、か……面倒だな。

 

「……受験番号4番、宮田龍斗です。よろしくお願いします」

 

とりあえずこのくらいの礼儀はないとな。緊張はない。ペガサス会長や海馬さんとの会話に比べるとの話だけど。

 

「ワタクシはクロノス・デ・メディチナノーネ。この試験での勝敗は合否には影響ないケード、勿論、勝利すれば合格する可能性は高くなるノーネ」

 

勝たないと俺は海馬さんにどやされるんだけど……

 

「デュエ〜ル!」

「……デュエル」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

クロノス・デ・メディチ

LP4000

 

なんか、ちょっと引くわ。生でクロノスのデュエル宣言を聞くのは。

 

「先攻は受験生からナノーネ」

「では、俺のターン、ドロー」

 

さて、手札は……注文通りとは少し違うけど、修正可能!

 

「手札から永続魔法、【地獄門の契約書】を発動。このカードは1ターンに1度、デッキから【DD】と名のついたモンスターを手札に加えるカード。また、自分のターンのスタンバイフェイズに1000ポイントのダメージを受けるカードです。この効果で、デッキから【DD リリス】を手札に加えます」

 

今回使うのは【DD】。赤馬さんデッキだ。アニメ見たときに勝ち負け無視してやってみたかったんだよね。少し手を加えているけど。でも俺の満足も得られて、仕事もできるいいデッキだと思う。

デッキからカードを加え、クロノスのもとへ歩き、デッキを差し出す。

 

「どうしたノーネ?」

「シャッフルしてください。こうすることでイカサマしてないという証明になりますから」

「……わかったノーネ」

 

初手イカサマみたいなモノだけどな。

クロノスは念入りにシャッフルしてデッキを返してくれた。5D's以降に出てくるオートシャッフルについてはアレは意味わからないと思う。凄いけど、カードどうやってシャッフルするのか想像出来ない。未来の技術って言えばそこまでだけど、未来すぎると思う。

 

「ありがとうございます。続けます、手札から永続魔法、【魔神王の契約書】を発動。このカードは手札、または墓地の【DD】モンスターを使い、融合召喚できます。また、自分のターンのスタンバイフェイズに1000ポイントのダメージを受けます」

「そんなカードを使うくらいナーラ、素直に【融合】を使ったほうがいいノーネ」

「効果発動。手札の【DD リリス】と【DD ケルベロス】で融合」

 

さて、クロノスを無視して、1人満足しよう。

 

「牙むく地獄の番犬よ、闇夜にいざなう妖婦よ!冥府に渦巻く光の中で、今ひとつとなりて新たな王を生み出さん!融合召喚!生誕せよ!【DDD 烈火王テムジン】!!」

 

【DDD 烈火王テムジン】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「カッコつけたとこローデ、攻撃力2000程度ナノーネ」

 

『何やってんだアイツ?』『ダサッw』とか聞こえるがスルー。俺の満足はまだ終わらない。

 

「手札からチューナーモンスター。【DD ナイト・ハウリング】を召喚」

 

【DD ナイト・ハウリング】

攻撃表示

ATK300/DEF600

 

『チューナーモンスター?』『なんだそれ?』とギャラリーの反応。

出てくるのはラストの方というか、次のアニメだもんな。

 

「【ナイト・ハウリング】の効果。召喚に成功した時、墓地の【DD】モンスターを攻撃力、守備力を0にして、特殊召喚する。ただし、この効果で特殊召喚したターン、俺は悪魔族モンスター以外を特殊召喚できず、特殊召喚したモンスターが破壊されたら、俺は1000ポイントのダメージを受ける。蘇れ、【DD リリス】!」

 

【DD リリス】

守備表示

ATK100/DEF2100→ATK0/DEF0

 

「レベル4の【DD リリス】に、レベル3の【DD ナイト・ハウリング】をチューニング!」

「チューニング!?なんなノーネ!?」

「闇を切り裂く咆哮よ、疾風の速さを得て新たな王の産声となれ!」

 

【ナイト・ハウリング】の体が緑色の3つの輪になり、【リリス】の体は白く輝く4つの星になり、一直線に連なり、3つの輪がそれを囲むように連なり、星は輪の中いっぱいに走る一筋の大きな光となった。

 

「シンクロ召喚!生誕せよ!レベル7!【DDD 疾風王アレクサンダー】!!」

 

【DDD 疾風王アレクサンダー】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

『シンクロ召喚!?』とか『なんだそれ!?』『聞いたこと無いぞ!』とか聞こえるがやはりスルー。もうちょっとで満足するから待ってなさいな。

 

「【テムジン】の効果発動。このカード以外の【DD】モンスターの特殊召喚に成功したとき、墓地の【DD】モンスターを特殊召喚できる。蘇れ、【DD リリス】!【リリス】の効果、このカードが召喚、特殊召喚に成功したとき、墓地の【DD】モンスターを手札に加えます。【DD ナイト・ハウリング】を選択。更に【アレクサンダー】の効果も発動。【アレクサンダー】も【テムジン】同様、【DD】モンスターが特殊召喚されたとき、墓地の【DD】モンスターを特殊召喚できる。【DD ケルベロス】を選択」

 

【DD リリス】

守備表示

ATK100/DEF2100

 

「チェーン処理します。チェーン2、【DD ケルベロス】を特殊召喚!チェーン1、【DD ナイト・ハウリング】を手札に」

 

【DD ケルベロス】

攻撃表示

ATK1800/DEF600

 

「そして、レベル4の【DD ケルベロス】と【DD リリス】でーーー」

「ま、またシンクロ召喚ナノーネ!?」

 

そうじゃない。

 

「ーーーオーバーレイ!!」

「ワードが違うノーネ!?」

「2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築。

この世の全てを統べるため、今 世界の頂に降臨せよ!エクシーズ召喚!生誕せよ!ランク4!【DDD 怒涛王シーザー】!!」

 

【DDD 怒涛王シーザー】

攻撃表示

ATK2400/DEF1200

 

『今度はエクシーズ召喚!?聞いたことないぞ!』『アイツ何者なんだ!?』とか……もういい?満足したよ、俺は。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【DDD 烈火王テムジン】:攻

ATK2000

【DDD 疾風王アレクサンダー】:攻

ATK2500

【DDD 怒涛王シーザー】:攻

ATK2400

魔・罠

【地獄門の契約書】

【魔神王の契約書】

伏せ2枚

手札1枚

 

これで……満足だぜ……だっけ?

まぁいいや、クロノスのターンだ。

 

「わ、ワタクシのターン。ドロー。

……手札から【トロイホース】を召喚」

 

……大嵐が来ない……手札に無いのか?無いならワンチャン勝てるぞ。いや、まだ撃たないって可能性もあるけど、それならリバース警戒しようぜって話だ。

 

「更に手札から【二重召喚】発動。このターン更に通常召喚できるノーネ。【トロイホース】を生贄に、【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】を召喚するノーネ!」

 

【古代の機械巨人】

攻撃表示

ATK3000/DEF3000

 

…………勝ったか?

 

「リバースカード、【戦乙女(ヴァルキリー)の契約書】を発動。このカードは相手ターン中、自分のフィールドの悪魔族モンスターの攻撃力が1000ポイントアップする」

 

【DDD 烈火王テムジン】

ATK2000→ATK3000

【DDD 疾風王アレクサンダー】

ATK2500→ATK3500

【DDD 怒涛王シーザー】

ATK2400→ATK3400

 

「更に、1ターンに1度、手札の【DD】カード、または【契約書】を墓地へ送り、フィールドのカードを1枚選び、破壊できる!」

「なんデスート!?」

「手札の【DD ナイト・ハウリング】を捨てて、【古代の機械巨人】を破壊!」

 

早くも退場する機械巨人……なんか、ごめん。このカードくらい妥協してもよかったかも。

 

「グヌヌ……か、カードを伏せて、ターンエンドナノーネ」

 

クロノス・デ・メディチ

LP4000

モンスター

無し

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「俺のターン。このスタンバイフェイズ、【地獄門の契約書】の効果が発動。1000ポイントのダメージを俺に与えます。この効果にチェーンして、【契約洗浄(リース・ロンダリング)】を発動。このカードは自分のフィールドの【契約書】を全て破壊し、破壊した枚数分カードをドローし、破壊した枚数1枚につき、1000ポイントのライフを回復します。チェーン処理します。チェーン2、3枚の【契約書】を破壊し、3枚ドロー。3000回復します。チェーン1【地獄門の契約書】がフィールドから離れたことで、効果は不発、ダメージはありません」

 

LP4000→7000

手札1枚→4枚

 

……心配だったけど、入ってたサイクロン。入れてて良かったサイクロン。

 

「【サイクロン】発動。フィールドの魔法・罠を破壊します。その伏せカードを破壊」

 

破壊したのは……【激流葬】……危ない……のか?外したような……当てたような……まぁいいや。

 

「バトル。【怒涛王シーザー】、【疾風王アレクサンダー】でダイレクトアタック!」

「ペペロンチーノ!!」

 

クロノス・デ・メディチ

LP4000→-900

 

「ありがとうございました」

 

さて、一応ペガサス会長と海馬さんに報告っと……。

数分後、ペガサス会長から祝福のお言葉を、海馬さんからは『当然だ』とのお言葉をいただいた。




とりあえず、これで、満足だぜ……と言わせてもらいます。
【DD】でGXの世界にシンクロとエクシーズをぶちこみたかったんです。
あとはアニメ沿いですかね。漫画は読んでないので出てもワードくらいですかね?
他の作品で見かける教育実習生は出せるか微妙です。
出てもあまり期待しないでください。
では。


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アカデミア1年目
アンティルール VS取巻


装備魔法や永続罠の対象になっているモンスターは
魔法・罠のカード名の横に《》の括弧で対象モンスター名を表記します。


試験から数日、この数日の間に合格通知が来たので、自宅にあったカードを全て寮に送った。

直前にデッキ調整も少ししたのだが、気付いたことがある。

ケースの中のカードが減ってないようなのだ。

まさかと思い一部のカードの枚数をカウント。その内半分を抜いて、翌日まで隔離。カードが単体で動くなんてオカルトが起こってないことを確認、ケースの中の枚数を確認すると、抜く前の枚数になっていた。

…………このケースを使えばシンクロやらエクシーズやらをばら撒けるぞ。

保険として数枚保存するにしてもばら撒きはできる。しないけど。

で、現在はアカデミア本校の校長室にいる。

理由は一昨日の夜にある。

 

 

 

 

一昨日

 

「よし、緑一色ができた」

 

カード枚数が減らない摩訶不思議なケースという便利な代物があるならと、実践では使える場面が限られるデッキ作りをしていると、

 

pipipi pipipi

 

携帯が鳴った。画面を見ると、『海馬瀬人』の文字。

 

「……も、もしもし」

 

恐る恐る出ると、

 

[シンクロ、エクシーズ、ペンデュラムを浸透させるために、レッド寮に行け。既に手続きは済ませてある]

「……わかりました。他にするべきことはありますか?」

[本校の校長室に行くことだ。貴様の正体を教師陣くらいには知らせておけ]

「はい。もうないでs[ブッ……ツー……ツー……]……切ったよあの人」

 

言うだけ言って……まぁいいや。過ぎたことは仕方がない。

 

 

 

 

 

というわけで、島に着き、入学式を終えてすぐに校長室へ向かうと、教師陣勢揃いといった感じで一瞬動きが止まってしまった。

とりあえず、挨拶と校長室に来た理由を言っただけで話を済ませた。

 

「なるほど、新たな召喚、新たなモンスターを広めるためにここデュエルアカデミアに……」

「はい。後は俺以外のテスター探しですね。俺以外にもテスターに成り得る人物が居れば俺を通じて、KC、I2社の海馬社長、ペガサス会長にテスターにしてもらいます」

 

そうすれば俺はテスターだからデッキをこうするとか気にせずにデッキ構築ができる。

 

「でしターラ。この、クロノス・デ・メディチが立候補しまスーノ」

「……お話はありがたいのですが、まだカードを託していいものか判断しかねますので、保留させてください」

 

教師でも使えるなら使いたいけどね。

いくら枚数が減らないといっても、無限かどうかわからない以上ポンポンカードを渡すわけにはいかない。

昨日思った。

 

「しかし、あくまで俺はこのアカデミアの一生徒ですので、他の生徒と変わらない対応をお願いします。では、失礼します」

 

さて……寮に戻るか……

 

「あ!お前変なモンスターを使ってた奴だよな!」

「アニキ、失礼ッスよ」

 

寮に戻る途中、声をかけてきたのは遊城十代だった。それとえっと……丸……丸……後で覚えよう。

 

「……シンクロモンスターのことか?それともエクシーズ……いや、両方か」

「そうそれだ!なぁ俺とデュエルしようぜ!そのシンクロとかと戦いたいんだ!」

「断る」

「なんで!?」

 

なんでって……んなもん、

 

「自分の名を名乗らない奴とデュエルする気はない」

 

自己紹介するのは礼儀だ。

 

「あ、悪ぃ。俺は遊城十代。でこいつが」

「丸藤翔ッス。アニキの弟分ッス」

 

ああ、そうだ。丸藤翔だ。思い出した、【ロイド】使う奴だ。

 

「俺は宮田龍斗。で、早速と言いたいんだが、生憎今は部屋にデッキがあってな。少し待ってろ」

 

部屋は何故か1人部屋だった。

海馬さんの差し金か、ケースが原因か……どちらにしても助かるけど。

さて、どのデッキを使おうか……ヌルヌルするデッキでいくか?試験で遅いとか言いながら俺も遅いデッキで戦うか?……アリだな。よし、やめよう。

コイツにしよう。

 

「待たせた。で、何処でやるんだ?」

「その前に、探険いこうぜ!」

「…………は?」

 

探険?何言ってんだコイツ?

…………サンダーと会うアレか。

 

「……わかった」

 

で、いろいろ連れ回された結果辿り着いたのがデュエルフィールド。確か、ブルー用だったかな。

 

「よし!ここでデュエルしようぜ!」

「……いや、ダメだろ」

「なんで!?」

 

無言である場所を指差す。丸藤と遊城はその先を見る。そこにはオベリスクの巨神兵のシンボルがあった。

 

「ここはおそらくブルーの生徒が使うためのものだろう」

「そのとーり。だからお前ら見たいな落ちこぼれのレッドがいていい場所じゃないんだ」

 

急に後ろから声がして、振り返るとブルーの生徒が3人いた。

 

「そうか……じゃあお前らデュエルしようぜ!」

 

なんでそうなる?……ぁあ、ブルーと使えば問題ないと思ったのか。それなら問題は無いとは思うけど、確かブルーの生徒はエリート気質が強かったはず……つまり、

 

「誰が落ちこぼれとやるかっての!」

 

やっぱり。

 

「えー。いーじゃんかよーデュエルデュエルデュエル〜!」

 

子供かよ……

 

「しつこいぞ!」

「ビークワイエット。静かにしたまえ」

 

ん、サンダー登場。あの髪型は寝るときもアレなのかな?……今度聞いてみようかな?

暇だし音楽聞いようかな。

 

「…………い!…………か!」

 

ん?なんか話しかけられてる?

 

「……なに?」

「人が話してるのに貴様は何をしているんだ!」

「え?いや、俺関係ないし」

「貴様もレッドだろうが!」

「そうだな。俺もレッドだ。だからなにか?会話していたのは俺とお前じゃない。遊城とだろ?なら蚊帳の外である俺がどうしていようと俺の自由だ。音楽聞いていてお前らに迷惑かかるか?かかるならどんなものか言ってみろ」

「き、貴様……!」

「貴方達、何しているの!」

 

今日は後ろから声をかけられるって占いに書いてあったか?

やけに後ろから声が飛んでくる。

俺の心臓がびっくりするだろうが。

 

「天上院君、コイツらにここの礼儀というのを教えてやろうと」

「もうすぐ歓迎会が始まるわ。ここにいるのは拙いんじゃない?」

「……チッ。いくぞ、お前ら」

 

サンダーと取巻き1号2号はその場を去っていった。……アレが3年のときにおジャマ・イエローになる男か……

あのトゲトゲしさでイエローになればいいのに…………完全に罰ゲームだな。

あ、別の曲になった。

この曲は是非とも集中して聞こう。

 

「♪ ♪ ♪♪〜」

 

ん、肩叩かれた。誰だ?

……遊城か、帰るみたいだ。俺も帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歓迎会もそこそこにして、音楽聴きながらデッキを弄っていたらPDAとかいう通信端末にメッセージが届いた。

…………誰にもアドレス教えてなかったはずなんだけどなぁ。

まぁいいや。で、誰だ?

 

[やあ、ドロップアウト達、して今夜0時、デュエルフィールドにて貴様等を待つ。互いのベストカードをかけたアンティルールだ。勇気があるなら来るといい]

 

後は不愉快な高笑いだった。

どこの悪役だよコイツ。どっちかといえば味方キャラだろ?もうちょい良い笑い方無いのか?

でもアンティか……校則違反だし、1枚程度なら取られても困らないし、欲しいカードをアイツが持っているはずがないからメリット無いんだよなぁ……一応デッキ持っていくか。見学に。

……そうだな……よし、ヌルヌルしよう。

デッキを決定したところで、ドアがノックされ、返事を待たずして開けられた。

……ノックした意味は何だ?

 

「龍斗、お前にもメッセージ来たか?」

 

遊城だった。

コイツならノックだけして突入もあり得る。しかし、会って数時間で下の名前で呼び捨てか。

まぁいいや。スルーしよう。

 

「……ああ。来たよ。アンティの話だろ?」

「ああ。もちろん行くよな!デュエル出来るんだし!」

 

コイツはデュエル出来ればなんだっていいらしい。

俺はコイツに振り回されながら生活していくのか……憂鬱だ。

 

「……まぁ、見学くらいはするかな。この学校の実力の一部でも見れそうだし」

 

テスター候補でも見つかれば儲けもんだ。

 

「じゃあ、早速いこうぜ!」

「お、おい!引っ張るな!!」

 

この他人を振り回す性格なんとかならないか!?

抵抗むなしく引っ張られ続け決闘場に到着。サンダーと取巻き1号2号が既に待っていた。

 

「フン。来たようだな」

「ああ!デュエルだ!」

 

どうやら遊城はサンダーとやるらしい。なら俺は、

 

「んじゃ、頑張れ〜。ふぁああ〜」

 

仮眠くらいは取れるだろ。

取巻きしか出来ない連中は眼中にない。サンダーは無理だろ。おジャマとXYZシリーズのハイブリッドとか頭おかしいし、十代は融合で忙しいし、目新しい人居ないしで期待出来ない。

 

「お前の相手は俺だ!俺が勝ったらお前のエクシーズだかシンクロだかを貰うぜ!」

「……お前が俺に、いや、このデッキに勝つ?……無理じゃね?」

 

時代はそう変わらないけど、カテゴリー統一と非統一なら統一してある方が回しやすいから……まぁコレでも勝てるだろ。前世じゃ1%くらいしか勝てそうもないけど。

 

「な、なんだと!?」

「まぁいいや。で、俺にどんなレアカード(笑)をくれるのかな?」

「レッドのお前がブルーの俺に勝てるわけないだろ!」

「……ふーん。まぁいいや。始めよう」

 

「デュエル!」

「デュエル」

 

取巻

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「俺の先攻、ドロー!」

 

あ、先攻取られた。

宣告制って平等じゃないよなぁ。

手札見て時間潰そ。

 

「俺は手札から【猛進する剣角獣】を召喚!」

 

【猛進する剣角獣】

攻撃表示

ATK1400/DEF1200

 

ん〜。このカードを使って……あ、でもアレがまだデッキだし、ドロー出来るかも微妙だからコッチとコレとコレで……うん。やっぱりこのデッキは焦らずゆっくりした方が安定しそう。

 

「ターンエンド!」

 

お?もう俺のターンか。

 

「ドロー」

 

ふむ。これか。で、相手の場と手札は……

 

LP4000

モンスター

【猛進する剣角獣】:攻

ATK2400

魔・罠

【デーモンの斧】《猛進する剣角獣》

伏せ1枚

手札3枚

 

え、【剣角獣】っすか。2400ですか。大きいですねー。

 

「モンスターを伏せ、カードを3枚伏せてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ3枚

手札2枚

 

「もう終わりか?俺のターン、ドロー!」

「スタンバイフェイズにリバースカード、【W星雲隕石】発動。フィールドの裏守備モンスターを全て表守備にする」

 

これで、俺の場に伏せてあった【ワーム・カルタロス】が表守備になる。

今回使うデッキは【ワーム】。そこまで強力に組んでないけど、まぁここでもいけると思う。

 

「【ワーム・カルタロス】のリバース効果。デッキからレベル4以下の【ワーム】モンスターを手札に加える。【ワーム・ゼクス】を手札に」

 

【ワーム・カルタロス】

守備表示

ATK1200/DEF500

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「フン!そんな雑魚、一撃で倒してやるさ。【二頭を持つキング・レックス】召喚!」

 

【二頭を持つキング・レックス】

攻撃表示

ATK1600/DEF1200

 

懐かしっ!!すげー懐かしいカード出てきた!アレだ、【ラギア】さんが出てきた当初、【セイバー】→【カバ】ときての妥協点になったとか噂のカードだろ?懐かしいなぁ……

 

「バトル!【猛進する剣角獣】で、【ワーム・カルタロス】を攻撃!」

「リバースカード、【和睦の使者】。このターン、俺のモンスターは戦闘では破壊されず、俺が受けるダメージは0になる……一撃で倒せなかったな」

「なっ!く、くそっ!ターンエンド!」

「このエンドフェイズ、【W星雲隕石】の効果で、俺のフィールドの光属性の爬虫類族モンスター全てを裏守備にして、裏守備にした枚数分、俺はカードをドローし、その後デッキからレベル7以上で光属性の爬虫類族モンスターを特殊召喚する」

「最上級モンスターを特殊召喚だと!?」

 

なんか驚いてるけど、前世だともっとエグかったよなぁ。【レダメ】とか、【征竜】とか。こんなのまだ甘いよな?

 

「俺のフィールドには光属性の爬虫類族である【ワーム・カルタロス】がいる。よってコイツを裏守備にして1枚ドロー。その後デッキからレベル8で光属性の爬虫類族、【ワーム・クイーン】を特殊召喚」

 

【ワーム・クイーン】

攻撃表示

ATK2700/DEF1100

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

取巻

LP4000

モンスター

【猛進する剣角獣】:攻

ATK2400

【二頭を持つキング・レックス】:攻

ATK1600

魔・罠

【デーモンの斧】《猛進する剣角獣》

伏せ1枚

手札3枚

 

「俺のターン、【ワーム・ゼクス】を召喚。効果発動。召喚成功時、デッキから【ワーム】モンスターを墓地に送る。【ワーム・ヤガン】を墓地に」

 

【ワーム・ゼクス】

攻撃表示

ATK1800/DEF1000

 

あのリバースはなんだ?【ミラフォ】か?【激流葬】ではないだろう。【クイーン】のときに使わなかったし。

カウンターも考え辛い。【和睦】止まらなかったし、まぁいつかわかるか。

 

「バトル。【ワーム・クイーン】で【猛進する剣角獣】を攻撃!」

 

【ワーム・クイーン】が小さな【ワーム・ディミクレス】を【剣角獣】に投げつけた。

あんな攻撃なんだ……なんか怖い。

 

「ぐっ!」

 

取巻

LP4000→3700

 

「続いて【ゼクス】が【キング・レックス】を攻撃!」

 

【ゼクス】は体の中央にある口から緑色の酸と思われる液体を吐き出し、【キング・レックス】を溶かした。

 

取巻

LP3700→3500

 

攻撃反応型じゃない……【カルタロス】をリバースすれば良かった……まぁいいや。

 

「【カルタロス】を反転召喚して、リバース効果発動。2枚目の【ゼクス】を手札に」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「そしてレベル4の【カルタロス】と【ゼクス】で、オーバーレイ!」

「来たか、エクシーズとやらが!」

「2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築。

異形の者達と共に戦う王の姿を見るがいい!エクシーズ召喚!ランク4!【キングレムリン】!」

 

【キングレムリン】

攻撃表示

ATK2300/DEF2000

 

「【キングレムリン】の効果発動!1ターンに1度、ORU(オーバレイ・ユニット)を1つ使い、デッキから爬虫類族モンスターを手札に加える。【ワーム・カルタロス】を手札に」

 

手札5枚→6枚

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【ワーム・クイーン】:攻

ATK2700

【キングレムリン】:攻

ATK2300

魔・罠

伏せ3枚

手札4枚

 

【クイーン】の効果使っても良かったけど、別に今じゃなくてもいいかな?

コイツが必要!って場面でもないし。

 

「俺のターン!【強欲な壺】を発動!」

 

え!?き、禁止カード!?あ、いや、こっちだと制限なんだっけ?……ズルいなぁ……

 

「【死者蘇生】を発動!蘇れ!【二頭を持つキング・レックス】!そして、【キング・レックス】を生贄に、【フロストザウルス】を召喚!」

 

【フロストザウルス】

攻撃表示

ATK2600/DEF1700

 

「更にフィールド魔法、【荒野】!

これでフィールドの恐竜族、アンデット族、岩石族の攻撃力と守備力が200ポイントアップ!」

 

【フロストザウルス】

ATK2600→ATK2800

 

…………こんなカードあったか?俺持ってないと思うんだけど……古いカードか?

効果からして他になにかありそうなんだけど……

 

「バトル!【フロストザウルス】で【ワーム・クイーン】を攻撃!」

 

【フロストザウルス】の吐くブレスで、【ワーム・クイーン】の体は凍りつき、破壊された。

 

「…………」

 

宮田龍斗

LP4000→3900

 

「どうだ!ターンエンド!」

 

取巻

LP3500

モンスター

【フロストザウルス】:攻

ATK2800

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【荒野】

手札2枚

 

え?終わり?…………マジ?何もないの?戦闘止められたら何かするのか?

それとも魔法・罠にチェーンしたりすんのか?…………わからん。

 

「……ドロー。【ワーム・ゼクス】を召喚。効果でデッキから【ワーム・ヤガン】を墓地へ。【キングレムリン】の効果でORUを1つ使い、デッキから【ワーム・リンクス】を手札に加える」

 

そろそろ終わらせたいんだけど、決め手になるカードを引けない……仕方ない。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3900

モンスター

【キングレムリン】:攻

ATK2300

【ワーム・ゼクス】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ4枚

手札4枚

 

「手も足も出ないか。ドロー!」

「リバースカード、【毒蛇の供物】。【ゼクス】と【フロストザウルス】……その伏せカードを破壊する」

「なっ!ちぃっ!」

 

なっちって誰だ?で、破壊したのは……【リビングデッドの呼び声】か。このフィールドを破壊してもよかったな。

 

「……モンスターを伏せて、ターンエンド」

 

取巻

LP3500

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

フィールド

【荒野】

手札2枚

 

マジでこのフィールドの効果が不明なのが怖い……あとで調べてみよう。

 

「ドロー。バトル。【キングレムリン】で攻撃!」

 

【キングレムリン】は爪で裏守備モンスター……【暗黒(ブラック)ステゴ】を貫き、破壊した。確か守備力も上がるから2200か……ギリギリだったな。

 

「モンスターをセット、カードを2枚伏せターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3900

モンスター

【キングレムリン】:攻

ATK2300

裏守備1枚

魔・罠

伏せ5枚

手札2枚

 

なんだこのお子様プレイング。

ガン伏せって……やったの俺だけど。

 

「ドロー!」

「【W星雲隕石】を発動。効果は説明しないぞ。伏せモンスター、【ワーム・リンクス】のリバース効果。エンドフェイズにコイツが表側表示なら1枚ドローする」

 

これで決め手になるカードを引ければいいんだが、無くても【隕石】から高レベル【ワーム】を出してゴリ押しできるけど。なんかこいつらとやり方が変わらないな。

 

「…………【猛進する剣角獣】を召喚してバトル!」

 

宣言と共に、【キングレムリン】が咆哮した。

 

「な、なんだ!?」

「【威嚇する咆哮】を発動。これでこのターン、お前は攻撃宣言できない」

「くっ!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

「エンドフェイズ、【ワーム・リンクス】の効果で1枚ドロー。【W星雲隕石】の効果で【リンクス】を裏守備にして1枚ドロー。デッキからレベル8の【ワーム・キング】を特殊召喚」

 

【ワーム・キング】

攻撃表示

ATK2700/DEF1100

 

宮田龍斗

手札2枚→4枚

 

取巻

LP3500

モンスター

【猛進する剣角獣】:攻

ATK1600

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【荒野】

手札1枚

 

「ドロー」

「ガードマンが来るわ!時間外の決闘場の使用、アンティルールでのデュエルで下手すれば退学よ!」

 

…………ふむ。逃げるか。

 

「チッ!行くぞお前ら!このデュエルの勝利は預けといてやる!」

「な!お、おい!」

 

遊城もまだ決着ついて無かったのか……

 

「遊城、行くぞ」

「いいとこだったのに〜!」

 

急いで校舎を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうだった?ブルーの洗礼を受けた感想は?」

「んー……大したこと無かったな」

「期待外れって言った方がいいのか?実際、あのターンで決まってたし」

「あら?そうなの?」

「ああ、フィールドには【ワーム】モンスターを使ってカードを破壊できる【ワーム・キング】がいたから相手フィールドを一掃できたし、そのあと手札のこの2枚でフィニッシュだ」

 

そう言って【未来融合ーフューチャー・フュージョン】と【邪龍アナンタ】のカードを見せる。墓地には既に【ゼクス】と【ヤガン】が2枚、【カルタロス】、【クイーン】がいるからフィールドと墓地だけで【アナンタ】の攻撃力が5400になっているから勝ってるんだけど、どうせなら1万オーバーで倒したかった。こっちだと【未来融合】が禁止じゃないから便利……あ、【魔導書】作ってみようかな……【神判】入りの。禁止じゃないし。

 

「俺もこのカード引いたしな」

 

遊城も手札と思われるカード【死者蘇生】を見せる。

 

「これで【フレイムウィングマン】を特殊召喚して俺の勝ちだぜ!」

「いや、無理だろ。【フレイムウィングマン】は融合召喚でしか特殊召喚できない」

「え?……あ、本当だ!じゃ、じゃあ俺の負けか!?」

「知らん。お前の墓地と互いのフィールド次第だ。それ次第で、高守備力モンスターで耐えてチャンスを待つとかな?」

 

その前に自負のカードの効果くらい把握しておけ。

 

「じゃ、俺は帰る」

「あ、待てよ!じゃあな、明日香!」

「え、ええ……」

「待ってよ〜アニキ〜!」

 

丸藤、居たのか。




【ワーム】はリアルで使ってたデッキです。【未来融合】禁止で浪漫砲撃てなくなりましたが。
これから更新は遅くなりそうです。


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覗き疑惑 VS.明日香

第7話の下書きでとんでもないミスをやらかし、修正してたら自分の中で予定してた投稿日を過ぎて今日に至ります。



アンティけしかけられて数日後。

あれから特に絡まれることはなく、平和に日常を過ごしている。

 

「DMにはモンスターカード、魔法カード、罠カードがあり、モンスターカードは通常モンスター、効果モンスター、融合モンスター、儀式モンスターに。魔法カードは通常魔法に速攻魔法、装備魔法、儀式魔法そして永続魔法フィールド魔法に。罠カードは通常罠と永続罠、カウンター罠にそれぞれ分けることができます」

 

今は授業中。

天上院明日香……だったよな?がDMのカードについての問いに解答しているところだ。

 

「スンバラシーノーネ!パーフェクトナノーネ!」

 

いや、待てよ。

 

「足りないな」

「シニョール宮田?何が足りないノーネ?」

「召喚の仕方は知らないにしても受験してここに来た生徒も、一部の中等部上がりもあと2つ、モンスターがいることを知っているはずだ。シンクロモンスターとエクシーズモンスターのことをな」

 

知らない連中も知っている連中もざわつき始めた。

……本当はまだペンデュラムがあるんだけど、見せてないからな。言うのはまだだ。

 

「そ、それデーワ。シニョール宮田。シンクロモンスター・エクシーズモンスターについて答えるノーネ」

「……時間がないので、全ては言いません。まず、シンクロモンスターとエクシーズモンスターについてですが、これらのカードは融合モンスター同様、融合デッキ……エクストラデッキに加えて決闘します。

シンクロモンスターは、自分フィールドに存在するチューナーモンスターとそれ以外のモンスターカードを墓地に送り、墓地に送ったモンスターのレベルの合計と等しいモンスターをエクストラデッキから特殊召喚できます」

 

…………説明長えな。『エクストラデッキ?』とか聞こえる。融合デッキの後に言い直しているんだからなんとなく察せるだろ。まぁいいや。

 

「エクシーズモンスターは自分フィールドに存在する同じレベルのモンスター2体以上を重ね、その上に、重ねたモンスター達のレベルと同じランクを持つエクシーズモンスターをエクストラデッキから特殊召喚できます」

「ランクとはなんナノーネ?」

「…………ランクとはエクシーズモンスターにのみ与えられた概念で、既存のモンスター達のレベルのような物です。エクシーズモンスターはランクを持つ代わりに、レベルという概念を持ちません」

「なるほどナノーネ。解説感謝するノーネ」

 

クロノスがこちらを見て片目を閉じた。……ウィンク?やめろ気持ち悪い。俺にソッチの気はないぞ。……いや、エクシーズやシンクロを使いたいがためのアピールか?……減点1だな。

次いで丸藤がフィールド魔法についての解説を求められたが、上がり症なのか、ガチガチで答えられず、周囲の連中に嘲笑われるも、遊城が受験でクロノスを倒したことを引き合いにして笑いを誘っていた。

そういえばフィールド魔法で思い出したけど、この前ブルーの奴が使っていた【荒野】って攻守上昇だけなんだな。警戒して損した。

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっとコレだろ?あとコレ。あとこのカードで核はできた。で、あとは……」

 

夜、フルモンスターデッキを作るためにパーツを探している。これは使うか?むぅ……難しい。

 

「大変だ龍斗!翔が攫われた!」

「…………同性とはいえノックくらいしろよ。で、丸藤が攫われた?なんで?」

 

そんなイベントあったか?

 

「理由はわからない。だけど、返してほしかったらブルー女子寮に来いって」

「で?なんで俺まで?」

「なんとなくだ!こういうのはお前に聞けばなんとかなりそうだしな!」

「…………」

 

三沢にでも聞けよ……

あ、アイツイエローだったか。使えん奴め。

 

「……わかった。少し待ってろ」

 

念のため複数のデッキを持っていこう。どうせデュエルがあって巻き込まれるんだろうから。巻き込まれないにこしたことはないけど。

で、わざわざボート漕いで来たのはいいんだけど。

 

「……帰っていいか?」

「呆れてないで助けてよ〜!」

 

丸藤が女子寮の風呂を覗いたらしい。

帰りたくなった。

 

「そんな度胸はないとは思っていたが、考えを改める必要がありそうだ。

しかし退学……か……新しい人生頑張るがいい。餞別にそうだな……なんかエクシーズ(ランク1。丸藤のデッキでは使えない)でもやろう。達者でな」

「ボクはやってないってば〜!」

「話してるところ悪いんだけど、貴方達、私とデュエルしない?貴方達が勝ったら覗いたことは大目に見てあげる」

「だってさ。頑張れ遊城」

「お、おう!任せとけ!あ、あと十代でいいぜ!」

 

ここでそれ言うか?まぁいいや。面倒ごとは主人公に任せよう。

 

「わかったわかった。まぁ負けても丸藤の人生が変わるか終わるだけだ。気楽にな」

「関係ないとか思ってるようだけど、貴方もやるのよ?宮田龍斗君?」

「……なん……だと……?」

「貴方達と私は言ったのだけど?」

 

…………面倒な。

一応持ってきてよかったけど。

 

「…………わかった。とりあえずゆ……十代、頑張れ」

「おう!さあ、始めようぜ!」

「ええ」

「「デュエル!」」

 

……寝よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おい、龍斗、起きろ!」

「……終わった?」

「ああ、少し前にな。明日香が凄い顔してるぞ」

 

凄い顔?目を向けると、確かに凄い形相だ。『私怒ってます』という空気しかまとってない。どうした?

 

「……で、十代は勝ったのか?」

「ああ、後は龍斗が勝つだけだ」

「そうか」

 

ならのんびりやるとしよう。

気張るのはあまり好きじゃない。

 

「待たせたな」

「……貴方、真面目にやる気はあるの?」

「全く。俺に関わることじゃないからな。それに、俺が探している人物かどうかは長い目でみるつもりだからな。1度や2度のデュエルを見逃したところで変わらんさ」

「探している人物?」

「気にするな。ただお前はデュエルしていればいい」

 

コイツも違うと思うけどな。

女子はブルーしかいないから、力の差が判りづらい。シンクロ・エクシーズを渡す人物は慎重に選びたい。

海馬さんにどやされたくないし。

 

「デュエル!」

「デュエル」

 

天上院明日香

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「私のターン、ドロー!【エトワール・サイバー】を守備表示で召喚」

 

【エトワール・サイバー】

守備表示

ATK1200/DEF1600

 

「守備表示で召喚?」

「何?」

「あ、いや。なんでもない」

 

先攻取られたのは前も取られたからいいとして、そうか、こっちは表側守備表示で召喚できるのか。やる意義が俺には無さそうだけど。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

天上院明日香

LP4000

【エトワール・サイバー】:守

DEF1600

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

ふむ。様子見か?

まぁやることは変わらん。

 

「俺のターン。ドロー。……カードを4枚伏せ、ターンエンド」

「なっ!……ふざけてるの!?」

「大真面目だ。お前のターンだ」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ4枚

手札2枚

 

「私のターン、ドロー!【融合】を発動!手札の【ブレード・スケーター】とフィールドの【エトワール・サイバー】で融合!現れよ。【サイバー・ブレイダー】!」

 

【サイバー・ブレイダー】

攻撃表示

ATK2100/DEF800

 

「俺のときにも出したモンスター!」

 

ほう。十代のときにねぇ……アニメだとここでアイツとコイツが初対決だったか。

どんな効果だったかな?あのモンスター。まぁいいや、とりあえず回復する。

 

「リバースカード【非常食】。俺のフィールドのこのカード以外の魔法・罠を墓地に送り、1枚につき1000ポイント回復する。伏せてある3枚を墓地へ」

 

宮田龍斗

LP4000→7000

 

「何を考えてるのか知らないけど、バトル!【サイバー・ブレイダー】でダイレクトアタック!グリッサード・スラッシュ!」

「墓地の罠カード【幻影騎士団(ファントム・ナイツ)シャドーベイル】の効果を発動」

「墓地から罠ですって!?」

 

墓地のカードは使ってこそだろう。

驚く必要はない。驚くなら相手ターンに手札やデッキから罠とかだろう。

 

「相手の直接攻撃宣言時、墓地のこのカードを罠カードではなく、通常モンスターカードとして、守備表示で特殊召喚する!墓地にはこのカードが3枚。よって3体のシャドーベイルが特殊召喚される」

 

【幻影騎士団シャドーベイル】×3

守備表示

ATK0/DEF300

 

「……大したことない守備力ね。ならバトル続行!【シャドーベイル】を攻撃!」

 

【サイバー・ブレイダー】のスケート靴が【シャドーベイル】を簡単に切り裂いた……刃物なのかアレ……モンスターとはいえ、他人に向けるなよ……

 

「ターンエンドよ。【サイバー・ブレイダー】は相手フィールドのモンスターが2体なので攻撃力が倍になる。パ・ド・トロワ!」

 

天上院明日香

LP4000

モンスター

【サイバー・ブレイダー】:攻

ATK4200

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

4200か……割とカモじゃね?

 

「……ドロー」

 

【カゲトカゲ】……手札が……え、もう終わりっすか?

 

「……俺はレベル4の【幻影騎士団シャドーベイル】2体で、オーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。

漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う、反逆の牙!今降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク4!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】!」

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「来たわね。エクシーズモンスター!」

「更に手札から【レッド・ガジェット】を召喚。効果発動。チェーンして手札の【カゲトカゲ】の効果」

「今度は手札から!?」

「チェーンは?」

「え?あ……な、ないわ」

「ならチェーン処理だ。【カゲトカゲ】の効果で自身を特殊召喚。そして【レッド・ガジェット】の効果で【イエロー・ガジェット】を手札に加える」

 

デッキに手を伸ばすと、

 

「待ちなさい!【サイバー・ブレイダー】は相手フィールドのモンスターが3体ならカード効果を無効にする!パ・ド・カトル!」

 

無効化か。先に【リベリオン】使わないでよかった。

 

「しかし無効になるだけで、破壊はされないんだな」

「それがどうしたの?」

「わからないなら見るといい。俺はレベル4の【レッド・ガジェット】と【カゲトカゲ】で、オーバーレイ!」

「連続エクシーズ!?1ターンに1度じゃないの!?」

 

俺は1ターンに1度しか召喚できないとは言ってないんだがな。

 

「それはお前の勝手な想像だ。条件を満たしていれば何度でも呼べる。

満たされぬ魂を乗せた方舟よ、光届かぬ深淵より浮上せよ!エクシーズ召喚!ランク4【No.101 S(サイレント)H(オナーズ)Ark(アーク) Knight(ナイト)】!」

 

【カステル】でもいいんだけどね。こっちの方が好みってだけだ。あの伏せ次第でこっちの勝ちだし。

 

【No.101 S・H・Ark Knight】

攻撃表示

ATK2100/DEF1000

 

「【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の効果!ORUを2つ使い、相手モンスター1体の攻撃力を半分にする!そして、その数値分、このカードの攻撃力をアップする!【サイバー・ブレイダー】の攻撃力を半分に!」

「なんですって!?【サイバー・ブレイダー】は相手フィールドのモンスターが2体だから攻撃力が倍になっている……つまり!」

「トリーズン・ディスチャージ!」

 

【サイバー・ブレイダー】

ATK4200→ATK2100

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】

ATK2500→ATK4600

 

これでライフを削り切れる。伏せカードが攻撃反応型じゃない限り。でもまぁ、保険はかけるか。

 

「【S・H・Ark Knight】の効果発動!ORUを2つ使い、相手フィールドに存在する特殊召喚された攻撃表示モンスターをこのカードのORUにする!」

「それって……」

「お前のフィールドのモンスターが消えるということだ。エターナル・ソウル・アサイラム!」

 

【サイバー・ブレイダー】が光る球体に姿を変え、【S・H・Ark Knight】の周りを漂った。

これで伏せカード1枚でこの攻撃を防がないといけなくなった。【ミラフォ】感パネェ。まぁそれはそれでいいんだけど。

 

「バトル!【S・H・Ark Knight】でダイレクトアタック!ミリオン・ファントム・フラッド!」

 

【S・H・Ark Knight】から多量の紫線が放たれ、天上院を襲う。

罠は使うのか?

 

「ぐうっ!」

 

天上院明日香

LP4000→1900

 

使わない、か……ならコイツは防ぐか。でないと負けるし。

 

「ラストだ。【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】でダイレクトアタック!反逆の……ライトニング・ディスオベイ!」

 

さぁ、どんなカードを使う?

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

天上院明日香

LP1900→-2700

 

 

あ、あれ?伏せカード……なんだったんだろう……

 

「……私の負けね」

「…………そうだな。俺はいらないけど、丸藤は返して貰うぞ」

「……ええ」

 

丸藤を返して貰おうとすると、

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

取巻きの1人えっと……居たはずなんだけど、名前が出てこない……いや、そもそも名前出てたか?




今回はここまでです。
次回は龍斗が別のデッキでデュエル。そしてやらかします。


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テスター VS.ジュンコ

昨日、この作品のお気に入り件数が50件を超えました。
こんな面白味の欠片も無い作品にお気に入りをして頂きありがとうございます。


なんか天上院を倒して、丸藤回収しようとしたら止められた。アレか?やっぱり返さんってやつか?別にいいけど、俺は困らないし。多分。

 

「オシリス・レッドがいい気にならないでよね!さっきのは偶然よ!」

「そうですわ!明日香さまが負けるはずがありません!」

「……ならまたやるか?俺は構わん。まぁ代償は支払って貰うがな」

「だ……代償?」

「ああ、俺がシンクロ・エクシーズを渡すに相応しい奴を探す手伝いをして貰う。それが代償だ。お前らが勝ったら無しにしてもいい」

 

負ける気はサラサラ無いがな。

それに大抵のデッキには負けないだろう、時代が違うからな。よほどの事故か、相当な強さのデッキ、使い手かということにならない限り負けることはないだろう。事故なら偶然、それ以外なら相手を讃える他ないだろうし。

だが、そんなのは極一握りだ。取巻きにそれができるとは思えない。

 

「で、誰が出るんだ?こっちからは俺が出る。十代、よく見ておけ」

「え?……わ、わかった」

「こっちはあたしが出るわ!」

 

茶髪の女生徒が出てきた……どんなデッキだったかなぁ……?

 

「デュエル!」

「…………あ、デュエル」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

枕田ジュンコ

LP4000

 

考え事してたら遅れた。

 

「先攻はあげるわ。後攻は得意みたいだし」

「先攻後攻に得意も何もないだろうが。まぁ、貰えるなら貰おう。ドロー……【融合】を発動!」

「融合!?さっきのエクシーズじゃない!?」

 

誰もデッキは1つだなんて言ってないからな。コレは十代とタッグを組むなんてことになったらと思って持ってきたデッキ、

 

「手札の【E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) シャドーミスト】と【E・HERO オーシャン】で融合!」

 

【HERO】デッキだ。

 

「影の力操りしHEROよ、大いなる水の力を得て、新たな力を我らに示せ!

融合召喚!氷のHERO!【E・HERO アブソルートZero】!」

 

【E・HERO アブソルートZero】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「【E・HERO】!?龍斗も【HERO】を使うのか!?」

「お前とタッグで戦う、なんてことになったらコイツでいこうと思って持ってきたんだ。まぁ、コイツ単体でも戦えるがな。【シャドーミスト】の効果発動!このカードが墓地に送られたとき、デッキから【シャドーミスト】以外の【HERO】モンスター1体を手札に加える。【E・HERO エアーマン】を手札に。ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【E・HERO アブソルートZero】:攻

ATK2500

魔・罠

手札4枚

 

「あたしのターン!手札から【ハーピィ・レディ1】を召喚!このカードがいる間風属性モンスターの攻撃力が300ポイントアップする!」

 

【ハーピィ・レディ1】

攻撃表示

ATK1300/DEF1400→ATK1600

 

【ハーピィ】か……だが俺の場に【アブソルートZero】がいるのに攻撃表示となると、まだ動くか。動かないなら容赦なく叩き潰すけど。

 

「更に手札から【万華鏡ー華麗なる分身ー】を発動!あたしの場に【ハーピィ・レディ】がいるとき、デッキから【ハーピィ・レディ】か【ハーピィ・レディ三姉妹】を特殊召喚できる!【ハーピィ・レディ1】は【ハーピィ・レディ】として扱うから条件は満たしてる!【ハーピィ・レディ三姉妹】を特殊召喚!【ハーピィ・レディ1】の効果で攻撃力300ポイントアップ!」

 

【ハーピィ・レディ三姉妹】

攻撃表示

ATK1950/DEF2100→ATK2250

 

まだ足りない。あと1枚で超えるかな?

 

「フィールド魔法【デザートストーム】を発動!これで風属性モンスターの攻撃力が500ポイントアップして、守備力が400ポイントダウンする!」

 

【ハーピィ・レディ1】

ATK1600/DEF1400→ATK1800/DEF1000

 

【ハーピィ・レディ三姉妹】

ATK2250/DEF2100→ATK2750/DEF1700

 

…………ギリギリ超えたか。

思いっきり超えると思ったんだが、ギリギリ250超えたところか。鳥獣族……アレでも使わせてみるか?面白そうだし。

 

「バトル!【ハーピィ・レディ三姉妹】で、【アブソルートZero】を攻撃!ハーピィーズ・トライアングル・エクスタシー!」

 

【三姉妹】が三角形の陣を作り、そこからX字状の光線が放たれ、【アブソルートZero】はそれを体全体に浴びた。

しかし、【アブソルートZero】の体は残り、体全体から冷気が溢れてくる。

 

宮田龍斗

LP4000→3750

 

「……【アブソルートZero】の効果発動。このカードがフィールドを離れたとき、相手フィールドのモンスター全てを破壊する」

「な……なんですって!?それじゃ、あたしのモンスターは!」

「凍てつけ、エターナル・コフィン」

 

【ハーピィ・レディ】達は【アブソルートZero】から溢れる冷気で凍結し、その体を散らせた。

 

「くっ……カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

枕田ジュンコ

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【デザートストーム】

手札2枚

 

「ドロー」

 

お、引いたか。なら準備からいこうか。

 

「手札から【沼地の魔神王】の効果発動。デッキから【融合】を手札に加える。チューナーモンスター【デブリ・ドラゴン】を召喚!」

 

今ドローした【デブリ・ドラゴン】。

【HERO】は【HERO】でも【ヒーローグングニール】ってやつだ。

 

「チューナーモンスター!?で、でもフィールドのモンスターがそれだけじゃシンクロ召喚は出来ないはずよ!」

 

えっと……取巻きよ。人はそれをフラグと言う。……はずだ。

 

「【デブリ・ドラゴン】の効果発動。召喚成功時、墓地の攻撃力500以下のモンスターを攻撃表示で特殊召喚できる。ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効となる。墓地より出でよ【沼地の魔神王】」

 

【デブリ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK1000/DEF2000

 

【沼地の魔神王】

攻撃表示

ATK500/DEF1100

 

「レベル3の【沼地の魔神王】にレベル4の【デブリ・ドラゴン】をチューニング!」

 

【デブリ・ドラゴン】の体が4つの緑の輪になり、【沼地の魔神王】の体は3つの白く光る星になり、輪が連なり、その間に星が入り、輪の中いっぱいに伸びる大きな光になった。

 

「神の槍の名を名に戴く龍よ、コキュートスを遡りて来たれ!シンクロ召喚!砕け!レベル7!【氷結界の龍 グングニール】!」

 

【氷結界の龍 グングニール】

攻撃表示

ATK2500/DEF1700

 

「リバースカード【奈落の落とし穴】!そのシンクロモンスターを破壊する!」

 

【グングニール】が召喚されたと思ったら落とし穴に落ちてそのまま帰ってこなかった。おい、その翼は飾りか?

でもこれで伏せが無くなったから思いっきり動ける。

 

「【死者蘇生】を発動。墓地から【E・HERO シャドーミスト】を特殊召喚し、効果発動。特殊召喚に成功した場合、デッキから【チェンジ】速攻魔法を手札に加える」

「【チェンジ】速攻魔法?」

「すぐにわかる。デッキから【マスク・チェンジ】を手札に加える」

 

できれば使いたくない手なんだが、仕方ない。

 

「【融合】を発動。手札の【エアーマン】とフィールドの【シャドーミスト】を融合」

「今度はどんな【HERO】が出るんだ?ワクワクするぜ!」

 

十代煩い。黙って見てろ。

 

「強き風纏しHEROよ、影の力と一つになりて、神秘の渦より姿を現せ!融合召喚!闇のHERO!【E・HERO エスクリダオ】!【エスクリダオ】の攻撃力は、墓地の【E・HERO】の数だけ100ポイントアップさせる。ダーク コンセントレイション」

 

【E・HERO エスクリダオ】

ATK2500/DEF2000→ATK2900

 

墓地の【E・HERO】は【エアーマン】【シャドーミスト】【アブソルートZero】【オーシャン】の4枚。計400アップ。

 

「バトル!【エスクリダオ】でダイレクトアタック!Dark(ダーク) diffusion(ディフュージョン)!」

「きゃあぁ!!」

 

枕田ジュンコ

LP4000→1100

 

「速攻魔法【マスク・チェンジ】発動。自分フィールドの【HERO】を1体墓地に送り、そのモンスターと同じ属性の【M(マスクド)・HERO】をエクストラデッキから特殊召喚する。対象は当然、【エスクリダオ】だ」

「【M・HERO】!?な、何よソレ!?」

「俺も聞いたことないぜ!」

 

2種類の【HERO】だけなら楽なんだが、シンクロをいれるとエクストラ食うからなぁ……でも仕事をするとなるとシンクロかエクシーズを使うデッキの方が良いんだよなぁ……

 

「深淵なる闇の力宿すHEROよ、漆黒の仮面を被り、その力を変化させよ!変身召喚!次元を破る闇のHERO!【M・HERO ダーク・ロウ】!」

 

【M・HERO ダーク・ロウ】

攻撃表示

ATK2400/DEF1800

 

「へ、変身召喚!?」

「ああ。これは俺が勝手にそう言ってるだけだよ。変身してるみたいだろ?」

「確かにな!俺も使ってみたいぜ!」

 

お前のデッキだとエクストラ圧迫するからやめとけ。使うならせめてこういうデッキにしろ。

 

「この特殊召喚はバトルフェイズ中のものだ。よって攻撃できる。【ダーク・ロウ】でダイレクトアタック!」

 

さて、【ダーク・ロウ】の攻撃は……飛び蹴りかよ。

 

「痛っ」

 

枕田ジュンコ

LP1100→-1300

 

まぁ勝ったからいいや。

 

「さぁ、今度こそ。丸藤は返してもらうぞ。あと、俺を止めてまで勝負けしかけて負けたんだ。代償として、シンクロ・エクシーズを渡すに相応しい人物を探す手伝いをしてもらう」

「わ、わかったわよ……」

「期限は卒業まで、一応毎回試験はする。卒業までに誰も合格しなければ、先輩、後輩、そしてお前たちはその程度ということだ。肝に銘じておけ」

 

そして俺も海馬さんにどやされると。はぁ……それだけは避けたい。ペガサス会長は『気にするな』と言ってくれたが、海馬さんの目は『他のテスターが出なければ……わかってるな?』と語っていた。しかもあの人のことだ。かなりのレベルを要求するはず。

……憂鬱だなぁ……

 

「な、なんでそこまでアンタなんかに言われなきゃならないのよ!」

「俺だって言いたくはないんだが仕方がないんだ。海馬さんやペガサス会長に…………あ」

 

コレ言って良いんだっけ?でもそこまで大々的に言う内容じゃないよな。

…………拙った?

いや、言うなとも……でも海馬さんは『教師陣くらいには貴様の正体』云々言われたな……秘密な感じだなぁ……

どやされるのか……嫌だなぁ……

 

「ち、ちょっと!海馬さんとかペガサス会長ってソレどう考えてもKCの海馬瀬人とI2のペガサス・J・クロフォードでしょ!?なんでそんなビッグネームが出てくるのよ!?」

 

やっちまったぁ…………十代やら天上院やらも疑惑の目と思われる視線を向けて来やがってるし。これは逃げられないか?いや、落ち着け。ここは言い逃れできる状況じゃないにしても、

 

「…………すまない。少し時間をくれ。色々と言えないこともあるから、話すにしても、整理してから話したい」

「な、なら言うまで人探しとやらは手伝わないわよ!」

「ああ、構わない。元々は俺1人でやる予定だったんだ。それに話せば手伝ってくれるんだ。数日程度は問題ない」

 

なんとか噛み付く取巻きを宥めて、俺と十代、丸藤は寮に戻った。

今は少し寮から離れたところにいる。

 

[なんだ?手短に済ませろ]

「俺がテスターだということって他の生徒にバレても大丈夫なんですか?それを聞きたくて」

[貴様はどうやってテスター候補を見つけ俺やペガサスに紹介するつもりだった?貴様がテスターと知らなければ生徒は貴様の正体を調べるだろう。どうしたって知られることだ、別に構わん。それだけなら切るぞ]

「あ、はい。すみません」

 

…………そりゃそうか。なんか無駄な時間を取らせたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「十代、ちょっといいか?」

「ん?ああ、もしかして昨日のことか?」

「まぁ、そんなとこだ。すまないが天上院達も呼んで俺の部屋に来てくれ」

「わかった」

 

翌日の放課後。

十代にメッセンジャーを頼んで天上院達を呼び出す。

今ブルーである彼女達に話しかけると後々面倒なことになりそうだから、既に色々目立つ十代に頼んだわけだ。俺もシンクロ・エクシーズを使ってるから目立っているが、だからこそ今は抑えた方がいいと思う。

 

「さて、一応渡されてる名刺くらいは用意したほうがいいよな。……俺の部屋に呼んだのはいいけど、このケースの壁を見せるのか……」

 

広い部屋に住みたい。もしくはあと1部屋欲しい。今玄関から2段ベッドの下の段、机とベッドの間の通路以外に所狭しとアタッシュケースが置かれている。入れる場所無いな……まぁいいや。ケースの上にでも座らせよう。

 

「龍斗ー。来たぞ……なんだこの部屋?」

「前に来ただろ。で、全員来たな。すまないがドアを閉めてくれ」

 

噂になるより、確実に知らせたい。

有らぬこと言われたらたまったもんじゃない。

 

「…………狭いわね」

「ケースだらけですわね」

「なんでこんなに……」

 

なんか言いたい放題だが、事実だから突っ込めない……

 

「ケースの中は全てカードだ。シンクロ・エクシーズもある。それでも良いならケースの上にでも座ってくれ」

「このケースの中全部そうッスカ!?」

「いや、シンクロ・エクシーズ以外も入ってる……ケースのことはどうでもいいか。俺の昨日の発言についてだったな。とりあえずコレを受け取ってくれ」

 

5人に名刺を渡す。これ教師陣にも渡したけど、教師陣の人数分で良かったんじゃ?とか思ってたのが、こんなところで役に立つとは。

 

「I2社……KCテスター!?」

「I2社及びKC所属。シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム召喚テスター及び同名スカウト。宮田龍斗。それが俺の昨日の発言に関することだ。俺の正体とでも言えばいいかな?」

「こ、こんなの信じられないわよ!」

「なら俺がシンクロ・エクシーズを使う他の理由でも言ってみろ」

「う……そ、それは……」

 

まぁでも、信じられないというのも仕方がないとは思うけど。

……話を続けよう。

 

「俺はこのデュエルアカデミアを拠点として、シンクロ・エクシーズ、そしてまだ使ってない更なる召喚法、ペンデュラム召喚を浸透させ、いずれは世界中にこれらのカードを販売させるのが目的だ」

「……でもなんでレッド寮に?貴方は入学試験を受けてたけど、筆記4位、更にはクロノス先生をシンクロ・エクシーズ・融合を使って倒したじゃない。だから私はラー・イエローになると思っていたんだけど」

 

天上院は試験を見てたのか。その事を聞いた取巻きも疑惑の目を向けてきた。

 

「海馬社長に言われてな。スタートはオシリス・レッドになったんだ。そこから上に上がるかは自由だともね。流石にこの部屋じゃ狭いから上に上がるつもりだけど」

 

できればその前にテスター候補を1人見つけたかったけど、レッドだとシンクロを十代に渡して【シンクロヒーロー】を使うくらいか?丸藤は……まだ見てないからなんとも言えないか。

まぁデッキ渡してっていうのも有りだけど、それとは別にチューナーやシンクロ、エクシーズを渡すか。

 

「でだ、十代。俺はお前にシンクロを少し渡してみたいと思ってる」

「ちょ、ちょっと待ってよ!なんで明日香さんじゃないのよ!」

「別に天上院に渡してもいいんだが、デッキごと使ってもらうことになる。デッキとの相性もあるからそれ用に調整しなきゃならん。十代の場合、昨日見せたデッキを使わせて慣らす。その後自分でデッキを組ませればいい」

「なら私にもいずれ使わせてくれるということなのね?」

「使いたければな」

 

強制はしない。そいつの都合もあるからな。だがこのアカデミアに使いたくないという奴はいないだろう。なんだかんだ言ってデュエル脳だからな。

 

「あとはえっと……」

「枕田ジュンコ!自己紹介……してないか」

「そうだな。じゃあ枕田。君にもテスターをしてもらいたい。テスターというかデッキテスターだな」

「デッキテスター?」

「俺が組むカテゴリーデッキを使って何度か決闘してもらう。その日のうちに返却してもらうが、その時に感想や問題点があれば教えてもらいたい」

 

前世は前世、こっちはこっちで発展するならその方がいいからな。流石にパワーバランス崩れたら流石に止めるけど。

 

「テスター探しってやつは?」

「それはそれでやってもらう。デッキテストの時は相手のことは気にしなくてもいいけどな。とりあえずこんなところか。何か聞きたいことがあったら後日聞いてくれ。んじゃあ解散」

「言うだけ言って解散!?」

「マイペースですわね……」

 

そうでもなきゃ胃に穴がマッハであくからな。主に海馬さんからのお小言で。




【狩場】はまだ販売していない状態です。【狩場】だともう1枚手札使うのでテンポ悪いかなあ……と思い懐かしのフィールド魔法を使いました。
そして、前回言ったやらかすは、テスターであること、社長等とのパイプがあることをうっかり喋るということでした。
次回はえっと……十代のデッキについて軽く触れます。
では


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月一テスト VS.ももえ

この話は【トークン】の存在を忘れていたためにかなり修正した思い出がある話です。


「だから何度言えば解る!?【E・HERO】の融合モンスターは融合召喚以外では特殊召喚できないから【死者蘇生】は【サンダー・ジャイアント】に使えないんだぞ!」

「い、いやぁ、つい……」

 

俺の正体について話して数日、来る月一テストに向け、十代が実技試験対策をしたいと言い出したのでレッド寮前でミラーマッチ等をしたのだが、何度やっても墓地の融合モンスターを【死者蘇生】で特殊召喚しようとして、ディスクからエラー音を響かせている。本当にコイツは……

 

「いっそのこと【死者蘇生】抜いたらどうだ?デッキ構築なら手伝ってやるぞ?」

「ホントか!?なら頼む!」

 

とはいえカードの無料提供なんざしないがな。俺のカードの大半がこの時代には無いカードだ。【シャドーミスト】とか渡したら【ネオス】が宇宙を永遠に彷徨い続けることになりかねない。それは避けた方がいいだろう。

 

「ならお前の部屋で構築しよう。俺の部屋じゃ無理だからな」

「……そうだな。あそこじゃカードを広げられない」

 

机の上なら広げられるぞ。構築は大変だがな。で、早速十代の部屋に戻ると、丸藤が壁に【オシリスの天空竜】の絵を貼り、2本の蝋燭に火を灯しその間に【死者蘇生】を立てかけ、鉢巻と頭の間に同じく【死者蘇生】のカードを3枚挟み込み祈りを捧げていた。

 

「……なにしてるんだ?丸藤」

「あ、龍斗君!何って見てわかるでしょ!?祈ってるんだよ!」

「……言い方を変えよう。何故祈ってるんだ?」

「少しでもテストで良い点を取るためだよ!」

 

…………はぁっ。

 

「んなことしてる暇あったら勉強しろ。十代。すまんが俺の部屋で頑張ってくれ。丸藤の邪魔になる」

「……わかった。じゃあな、翔」

 

結局俺の部屋でデッキ構築をするんだが。

 

「……よくこんな構成で戦ってたな」

 

モンスターが10枚しか無かった。

罠が4枚。つまり残り26枚が魔法だった。しかもほぼハイランダー。どうやって天上院に勝ったんだ?

 

「へへっ。凄いだろ!」

「胸を張るな!事故率高過ぎだろこのデッキ!専用カードも多すぎる!モンスター10枚に対して【融合】3枚!?サルベージカードも【死者蘇生】含めて3枚とかなめてんのか!?」

 

恐らく『遊城十代』というチートドローの持ち主だからこそ使えるデッキなのだろう。やばい、頭痛くなってきた。しかも【E・HERO】なのに【ミラクル・フュージョン】が1枚も無かった……ムチャクチャだ。

 

「とりあえず、コレとコレ……あとはこのカードも抜いて、代わりにこのカードを積んでこのカードも要らん。で、このカードも……」

「あ、待ってくれ!【ハネクリボー】は俺の相棒なんだ。デッキにいれておきたい」

 

いや、【ハネクリボー】はこのデッキには……ああ、AIBOさんから貰って、精霊がいるんだっけか?

 

「なら後は任せる。少しは回し易くなってるとは思うけど、せめてもうちょいモンスター増やしとけ」

「おう!ありがとな!」

 

さて、俺もテスト用にデッキを用意するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………アレって冗談じゃなかったんだな」

 

月一テスト当日。

筆記に備えて勉強するために購買部で参考書を勝ったらDMの問題が出てきた。ここのお偉いさんが考えたジョークだと流して付き合っていたら似たような問題が本番で出てきた。なんだよ【グレート・ホワイト】のフレーバーテキストって。知らねーよ。とりあえずDM問題以外はだいたいできた。DM問題は、詰めデュエルはなんとか……バニラはしばらく見たくないなぁ……

 

「ずいぶんと余裕だな」

「ん?……三沢か。入試以来か?」

「ああ。あの時は驚いたよ。まさかあんな召喚方があるなんて」

 

俺からしたら今更な召喚なんだがな。

まだペンデュラムも使ってないし。

そういえば教室に誰もいないな。

 

「他の連中は?」

「購買部に新パックを買いに行ったよ」

「新パックねぇ……」

 

多くはあのケース達の中にあるんだろうな。

大して興味も湧かない。

 

「興味無しかい?」

「全く無いね。デッキはもう出来てるんだ。今更調整する必要もない。そういう三沢はどうなんだ?」

「俺はデッキを信頼しているからね。今更ジタバタする必要もないよ」

「さいですか」

 

ならまぁ…………飯でも買うかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉さんお姉さん。ドローパンをくださいな」

「はい。1個100Dp(デュエルポイント)です」

 

購買部。

ここのスタッフに『おばさん』といって睨まれた生徒を以前目撃しているので注意が必要だ。

テスト前の腹ごしらえにドローパンというパンを買う。食べるまで中の具がわからないため運ゲー要素が色濃くでてる。ちなみにDpというのはアカデミアでしか使えない通貨代わりになる電子マネーで、デュエルするだけでも少し貰えるが、勝てば更に高い額が手に入る。

 

「ドローパン買うなんて随分余裕なのね」

「ん?天上院か……余裕も何も俺の正体を知ってれば新パック購入なんてしなくてもいいってわかるだろ?シンクロもエクシーズもまだ出ない以上。そこまで爆発的な進化はありえない。そういうお前だって余裕じゃないか」

「新パックは売り切れてたのよ」

「それは残念でした……あむ……カツか。縁起のいいことで」

 

ドローパンの中身はカツだった。

別に縁起担がなくてもいいけどハズレではないからよしとしよう。

カードパンとかでたら最悪だが……

 

「今回はどんなデッキなのかしら?」

 

そんなの相手に成り得るやつに……無いか。相手は同じ寮のやつらしいし。

なら別に言ってもいいのか。

 

「今回はシンクロメインのデッキだよ。カテゴリーは内緒だがな」

「あっさり教えてくれるのね」

「対戦相手にならないなら別に言っても問題は無い。相手は同じ寮の誰かだ」

 

なんて思ってた時期が俺にもあった。

 

「……なんで俺の相手がブルー、しかも天上院の取巻きなんだ?」

「私も貴方とデュエルしたいのです。それとも、明日香様やジュンコさんとはできて、私とはできないと?」

 

そうじゃねぇよ。なんで同じ寮の誰かとやる月一テストで他寮のやつとやるんだって話だよ。

 

「……まぁいいや。さっさとやろう」

「そうこなくては」

 

「デュエル!」

「デュエル」

 

浜口ももえ

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「私のターン、ドロー!永続魔法【波動キャノン】発動。このカードは私のスタンバイフェイズ毎に弾丸を装填します。そしてメインフェイズにこのカードを墓地に送ることで装填されていた弾丸1発につき1000ポイントのダメージを与えます」

 

…………バーンデッキ?この脳筋ワールドで?いや、俺もバーンデッキはあるよ?ロックバーンとか。しかしこの世界の多くの人間はビートを使う。なのにバーンか……面白いじゃないか。

 

「更に永続魔法【黒蛇病】を発動。このカードは私のスタンバイフェイズ毎にお互いに200ポイントのダメージを与えます。2ターン目以降、そのダメージは倍になっていきます」

 

俺のライフは現在あと3ターン以内に0になるってことか。その間に準備を整えないとな。

 

「念には念を、永続魔法【レベル制限B地区】発動」

 

…………え?【B地区】?マジで言ってるの?なんでそんなに手札良いの?お前もチートドローなの?積み込んでるの?

 

「更に【デス・ウォンバット】を召喚!これで私は効果ダメージを受けません。ターンエンドです」

 

【デス・ウォンバット】

攻撃表示

ATK1600/DEF300

 

浜口ももえ

LP4000

モンスター

【デス・ウォンバット】:攻

ATK1600

魔・罠

【波動キャノン】

【黒蛇病】

【レベル制限B地区】

手札2枚

 

これこそ最強の布陣!と言いたげだけど、除去に耐性一切無いからな?

手札に除去カード1枚もないけど。

【デス・ウォンバット】を突破できるモンスターもいないけど!

ぱっと見盛大に事故ってるけど!!

 

「俺のターン」

 

さて、これで手札は……

 

【ダンディライオン】

【レベル・スティーラー】

【ボルト・ヘッジホッグ】

【チューニング・サポーター】

【貪欲な壺】

【光の援軍】←ドローカード

 

…………微妙…………や、強いけど。状況を打開するには至らないだろう。

だが、やるしかないか……

 

「【光の援軍】。デッキトップ3枚を墓地に送って発動」

 

さあ、いいの落ちてくれよ……

 

【サイクロン】

【大嵐】

【ライトロード・マジシャン ライラ】

 

除去カードしか落ちないってどういうことだおい!

……落ちたもんは仕方ない……

 

「……デッキからレベル4以下の【ライトロード】モンスターを手札に加える。【ライトロード・ハンター ライコウ】を手札に」

 

問題はどれを割るか……【波動キャノン】はまだ時間がかかるからギリギリまで放置したいが次のターンで使われたら1000ポイントのダメージ……初期ライフの1/4は辛いだろ。

【黒蛇病】はダメージが倍になっていく。相手の4ターン目でライフの半分持っていかれる。5ターン目にはゲームオーバーだ。

【B地区】……まだ本格起動はしないから放置でも良いと思うが……【ライコウ】で除去全落ちとかになったら厳しいな。さっきデッキの中みたらトップ2枚が【ライラ】と【ライコウ】だったし……とりあえず伏せるか。

 

「モンスターを伏せ、ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

手札5枚

 

「……え?もう終わりですの?」

「ああ。これがベストだ」

 

よくよく考えたら、ここで【ライラ】あっても【B地区】で潰されるな。

レベル4だし。

 

「そうですか……私のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ、【波動キャノン】に弾丸が装填され、【黒蛇病】の効果でお互いに200ポイントのダメージを与えますが、【デス・ウォンバット】の効果で私はダメージを受けません」

 

宮田龍斗

LP4000→3800

 

「バトル!『デス・ウォンバット】で攻撃!」

 

【デス・ウォンバット】は裏守備モンスター……【ライトロード・ハンター ライコウ】を噛み砕こうとするも回避された。効果処理のためか?

 

「【ライコウ】のリバース効果。フィールドのカードを破壊できる。【黒蛇病】を破壊」

 

あとは【波動キャノン】を割って凌ぐか、撃たれる前に倒すか。

……後者なら【B地区】割れば良かったな。ミスった。

 

「そして、デッキトップ3枚を墓地に送る」

 

【クイック・シンクロン】

【カードガンナー】

【スポーア】

 

なんか凄いデッキに嫌われてる!?

【スポーア】が落ちたのはいい仕事だよ?でも【カードガンナー】は落ちないで欲しかったなあ……はぁっ……

【ライコウ】その後、自分で墓地に行った。戦闘破壊されてないな。

 

「自分のデッキを削って何を?……モンスターとカードを1枚伏せ、ターンエンドです」

 

浜口ももえ

LP4000

モンスター

【デス・ウォンバット】:攻

ATK1600

裏守備1枚

魔・罠

【波動キャノン】

【レベル制限B地区】

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン」

 

…………【ライコウ】か!

 

「モンスターを伏せ、ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3800

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

手札5枚

 

「またモンスターを伏せただけ!?ふざけてますの!?」

「以前の天上院とのデュエルでも言ったが大真面目だ」

 

手札に魔法も罠もなければこれくらいしか手がない。【貪壺】使えるけど、【スポーア】戻したくないしな。

 

「私のターン、ドロー!【波動キャノン】に弾丸が装填されます。【黒蛇病】を発動!」

 

2枚目かよ!だがアレは今引いたカード。残り1枚の手札ではやることが限られてる。まだ耐えられる……伏せモンスター……?【デス・コアラ】……あ、終わった。

 

「バトル!【デス・ウォンバット】で攻撃!」

「え?あ、【ライコウ】のリバース効果で伏せモンスターを破壊」

 

【マシュマロン】…………せ、セーフ!ギリセーフ!

 

「その後デッキトップ3枚を墓地に」

 

【ローンファイア・ブロッサム】

【ゾンビキャリア】

【レベル・スティーラー】

 

【ライコウ】さんナイス!これで次のターン動ける!

 

「ターンエンドです」

 

浜口ももえ

LP4000

モンスター

【デス・ウォンバット】:攻

ATK1600

魔・罠

【波動キャノン】

【レベル制限B地区】

【黒蛇病】

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン!」

 

……【ワン・フォー・ワン】!

 

「手札のモンスター、【ボルト・ヘッジホッグ】を墓地に送り、【ワン・フォー・ワン】発動!手札・デッキからレベル1モンスターを特殊召喚する。【チューニング・サポーター】を特殊召喚!」

 

【チューニング・サポーター】

守備表示

ATK100/DEF300

 

「かわいいモンスターですわね」

「墓地の【スポーア】の効果。墓地の植物族モンスター……【ローンファイア・ブロッサム】を除外して、このモンスターを特殊召喚!この効果で特殊召喚した【スポーア】のレベルは、除外したモンスターのレベル分アップする!」

 

【スポーア】

守備表示

ATK400/DEF800

レベル1→4

 

「レベルの上昇?意味ありますの?」

「こいつはチューナーだ。レベル1【チューニング・サポーター】にレベル4となった【スポーア】をチューニング!」

 

確かTF6で、こう言ってたはず……!

 

「リミッター解放レベル5!レギュレーターオープン!スラスターウォームアップ、OK!アップリンク!オールクリア!GO、シンクロ召喚!カモン!レベル5【TG ハイパー・ライブラリアン】!」

 

【TG ハイパー・ライブラリアン】

守備表示

ATK2400/DEF1800

 

「【チューニング・サポーター】の効果!シンクロ素材として墓地に送られたとき、カードを1枚ドローする!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

……【調律】!

 

「【調律】発動!デッキから【シンクロン】と名のついたチューナーを手札に加え、デッキトップ1枚を墓地に送る!【クイック・シンクロン】を手札に加え、デッキトップを墓地へ!」

 

……【おろかな埋葬】……まぁいい。

まだ動ける!

 

「【クイック・シンクロン】は手札のモンスターを墓地に送ることで特殊召喚できる!【ダンディライオン】を墓地に送り特殊召喚!【ダンディライオン】は墓地に送られたとき、【綿毛トークン】2体を特殊召喚する!」

 

【クイック・シンクロン】

守備表示

ATK700/DEF1400

 

【綿毛トークン】×2

守備表示

ATK0/DEF0

 

「こ、こんなにモンスターが!?」

「まだだ!【ボルト・ヘッジホッグ】はフィールドにチューナーがいるとき、特殊召喚できる!蘇れ!【ボルト・ヘッジホッグ】!」

 

【ボルト・ヘッジホッグ】

守備表示

ATK800/DEF800

 

「レベル1【綿毛トークン】とレベル2【ボルト・ヘッジホッグ】にレベル5【クイック・シンクロン】をチューニング!集いし闘志が怒号の魔神を呼び覚ます!光差す道となれ!シンクロ召喚!粉砕せよ!レベル8【ジャンク・デストロイヤー】!」

 

【ジャンク・デストロイヤー】

守備表示

ATK2600/DEF2500

 

「【ジャンク・デストロイヤー】の効果発動!シンクロ召喚に成功したとき、シンクロ素材にしたチューナー以外のモンスターの数までフィールドのカードを破壊できる!」

「そ、そんなぁ!!」

「さらに【ハイパー・ライブラリアン】の効果をチェーンする!自分か相手がシンクロ召喚に成功したとき、カードを1枚ドローする!」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

……【デブリ・ドラゴン】……いいカードだ!

 

「【ジャンク・デストロイヤー】の効果処理だ!シンクロ素材にしたのは2体!よって2枚のカードを破壊できる!【レベル制限B地区】と伏せカードを破壊!」

 

【奈落の落とし穴】……なんでそんなカードが……

 

「で、ですが!貴方のモンスターは全て守備表示!攻撃できません!」

「その通りだ。だが俺にはまだ手札がある!【貪欲な壺】を発動!墓地のモンスター5枚をデッキに戻して2枚ドロー!【クイック・シンクロン】2枚、【チューニング・サポーター】、【ライトロード・ハンター ライコウ】、【ライトロード・マジシャン ライラ】の5枚をデッキに戻して2枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札3枚→5枚

 

「【調律】を発動!デッキから【クイック・シンクロン】を手札に!」

「ま、まだやりますの……?」

 

まだまだ動けるんでな。

落ちたのは……【ジャンクロン】か……

 

「【デブリ・ドラゴン】を召喚!」

 

【デブリ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK1000/DEF2000

 

「【デブリ・ドラゴン】の効果!召喚に成功したとき、墓地の攻撃力500以下のモンスターを攻撃表示で特殊召喚する!【カードガンナー】を特殊召喚!この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効になる!」

 

【カードガンナー】

攻撃表示

ATK400/DEF400

 

「レベル1【綿毛トークン】とレベル3【カードガンナー】にレベル4【デブリ・ドラゴン】をチューニング!嘆きよ集え!捨てられた怨みを鉄に込め、龍の形に姿を変えろ!シンクロ召喚!狂え!レベル8!【スクラップ・ドラゴン】!【ハイパー・ライブラリアン】の効果で1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

【スクラップ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2000

 

「手札の【レベル・スティーラー】を墓地に送り、【クイック・シンクロン】を特殊召喚!墓地の【レベル・スティーラー】の効果!このカードが墓地にあるとき、自分フィールドのレベル5以上のモンスターのレベルを1つ下げて、このカードを特殊召喚する!【ジャンク・デストロイヤー】のレベルを1つ下げ、【レベル・スティーラー】を特殊召喚!」

 

【ジャンク・デストロイヤー】

レベル8→7

 

【レベル・スティーラー】

守備表示

ATK600/DEF0

 

「またモンスターがたくさん……」

「【スクラップ・ドラゴン】の効果発動!互いのフィールドのカード1枚ずつ破壊する!【レベル・スティーラー】と【デス・ウォンバット】を破壊!」

「そ、そん……きゃあ!!」

「再び【レベル・スティーラー】の効果!【ジャンク・デストロイヤー】のレベルを1つ下げ、特殊召喚!」

 

【ジャンク・デストロイヤー】

レベル7→6

 

「レベル1【レベル・スティーラー】にレベル5【クイック・シンクロン】をチューニング!集いし力が大地を貫く槍となる!光差す道となれ!シンクロ召喚!貫け!【ドリル・ウォリアー】!」

 

【ドリル・ウォリアー】

攻撃表示

ATK2400/DEF2000

 

「【ハイパー・ライブラリアン】の効果で1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「バトル!【スクラップ・ドラゴン】と【ドリル・ウォリアー】でダイレクトアタック!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

浜口ももえ

LP4000→1200→-1200

 

「勝者、宮田龍斗!」

 

立会いの教師による勝鬨でもって俺の試験は終わった。ギリギリ感が尋常じゃない……墓地に落ちたカードのほぼ全種類使ったぞ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさい」

「本当に疲れた……天上院、お前コイツに俺がシンクロを使うと教えたのか?だから【B地区】なんてモンが……」

「いいえ?ももえのデッキにはいつも【レベル制限B地区】のカードは入っているわ」

「…………マジ?」

「ええ」

 

…………マジでエクシーズメインで戦おう。あと、デッキ調整して回し易くする。流石にあの初手事故が怖い。

 

「負けてしまいました……」

[遊城十代君、デュエルフィールドに来てください]

「お!俺の出番か!」

「俺よりは楽なはずだから気楽にな〜」

 

十代の出番か……なんかあった気がするんだけどなんだったかなぁ……?

まぁ、俺より楽なのは事実か。流石にもうロックバーンとか相手にいないだろう。




「ちなみに聞くが、何故俺とお前がデュエルすることになったのかわかるか?」
「私が先生に頼んだのです」
「…………ブルー贔屓か」

こんな会話があったとかなかったとか。
次回も月一テストです。


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プレイングミス 十代VS万丈目

十代の月一テストを観戦します。
今回はシンクロもエクシーズもペンデュラムも出ません。


月一テスト。

対戦相手が浜口ももえ(さっき自己紹介された)で予想以上に苦戦したもののなんとか勝利。筆記試験の成績次第では昇格もありえるだろう。筆記の出来は悪いけど。くそっ!なんだよ『元々の攻撃力または守備力の下2桁が30のモンスターを全て表記せよ』って!そんなんいたか!?

…………まぁいいや。で、これから十代の実技試験なんだが、対戦相手が、

 

「万丈目君!?彼が何故!?」

 

万丈目ことサンダーが相手だった。

十代も十代で他寮の生徒が相手だった。クロノスが言うには、「シンクロ・エクシーズを扱う俺やクロノスを倒した十代に、同じ寮のやつじゃ相手にならないからブルーの人間が相手に相応しい」とのこと。更には勝てば昇格らしい。筆記試験の意義を教師陣に問いたい今日この頃だ。もっというと浜口は頼んだら俺とデュエルさせてくれたとか言ってたからブルー贔屓もあるのだろう。

十代はこの前の決着だとか言って快諾。サンダーも了承したので試験開始。

 

「「デュエル!」」

「行くぞ!万丈目!」

「万丈目『さん』だ!」

 

遊城十代

LP4000

 

VS

 

万丈目準

LP4000

 

「俺のターン、ドロー!【E・HERO クレイマンを守備表示で召喚!ターンエンドだ」

 

【E・HERO クレイマン】

守備表示

ATK800/DEF2000

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【E・HERO クレイマン】:守

DEF2000

魔・罠

手札5枚

 

「雑魚揃いのダメヒーローデッキめ。お前の脆さを見せてやる。俺のターン!」

 

いや、シナジーないデッキで戦うお前のデッキも脆いぞ。

 

「俺は魔法カード【打ち出の小槌】を発動!」

「あんなレアカードを持ってたの!?」

 

え、アレってレアカードなの?ケースの中にたくさんあるぞ?【小槌】だけでデッキを作れるくらいに。

……なんか天上院や枕田、浜口がこちらを見てる。

 

「…………なんだ?」

「アンタならああいうレアカードたくさんあるんだろうなぁって」

 

…………目が語ってるぞ。『寄越せ』って。いや、別にいいけどさ。だが俺も一学生だ。タダではやらん。

 

「…………相場の2割引なら売ってやる」

「「「ほ、ホントに!?(ですの!?)」」」

「近い!顔を近づけるな!!……だがいいのか?ここ最近のカード相場は馬鹿にならないんだぞ?一学生の小遣い程度で買えるとは思えんが……」

「ぅ……」

「…………確かに」

 

ネットで調べたんだが、【エメラルド・ドラゴン】1枚に6桁とかふざけた価格がつき、【魔導雑貨商人】に100円とか攻撃力至上主義すぎて絶句した。

魔法・罠に関してはこれといった特徴はなかったが、【おろかな埋葬】や【針虫の巣窟】が100円だった。思わず突っ込んでしまったよ、『馬鹿じゃねぇの!?』って。

 

「……でも枕田は買う必要もないんじゃないか?」

「え?なんで?」

「俺のデッキテストで色んなカード使えるじゃないか」

「でも結局返すじゃない!あたしは自分のデッキに使いたいの!」

 

大金はたいて買ったカードもいつかは使わなくなるけどな。【打ち出の小槌】はこっちだと効果が変わっていて、自身もデッキに戻るから使い回しができるらしい。【リロード】が影を潜めるな。あっちはあっちで使い道あるけど。

 

「俺は【Vータイガー・ジェット】を召喚!」

 

【Vータイガー・ジェット】

攻撃表示

ATK1600/DEF1800

 

「更に手札から永続魔法【前線基地】を発動!1ターンに1度、手札からユニオンモンスター1体を特殊召喚する!出でよ!【Wーウィング・カタパルト】!」

 

【Wーウィング・カタパルト】

攻撃表示

ATK1300/DEF1500

 

「そして、【Vータイガー・ジェット】と融合!【VWータイガー・カタパルト】!!」

 

【VWータイガー・カタパルト】

攻撃表示

ATK2000/DEF2100

 

「驚いたか十代。だが、俺のターンはまだ終わっていない。【VWータイガー・カタパルト】の効果発動!手札1枚を捨て、相手モンスターを攻撃表示にする!」

「なに!?」

 

除去されないだけマシだろ。あとコントロール奪われるとか。

 

【E・HERO クレイマン】

守備表示→攻撃表示

DEF2000→ATK800

 

「行くぞ十代。VWミサイル発射!クレイマンを粉砕しろ!」

「ぐぅうぅぅ!!」

 

遊城十代

LP4000→2800

 

「カードを1枚伏せて、ターン終了」

 

万丈目準

モンスター

【VWータイガー・カタパルト】:攻

ATK2000

魔・罠

【前線基地】

伏せ1枚

手札1枚

 

早くも手札1枚か……俺も人のこと言えないけど、手札は大切にな。ドローソースは大事だ。

 

「デュエルはまだこれからだ!ドロー!【E・HERO スパークマン】を守備表示で召喚!」

 

颯爽と登場!みたいなポージングしても守備表示だからなぁ……残念感がある。

 

【E・HERO スパークマン】

守備表示

ATK1600/DEF1400

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

遊城十代

LP2800

モンスター

【E・HERO スパークマン】:守

DEF1400

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン!【Xーヘッド・キャノン】を召喚!更に【前線基地】の効果で【Zーメタル・キャタピラー】を特殊召喚!」

 

【Xーヘッド・キャノン】

攻撃表示

ATK1800/DEF1500

 

【Zーメタル・キャタピラー】

攻撃表示

ATK1500/DEF1300

 

ふむ、十代の伏せ次第だがピンチだな。

 

「更にリバースカード【リビングデッドの呼び声】を発動!墓地からモンスターを特殊召喚する!出でよ!【Yードラゴン・ヘッド】!」

 

【Yードラゴン・ヘッド】

攻撃表示

ATK1500/DEF1600

 

決まったか?

 

「行くぞ十代!X、Y、Zで合体!」

 

…………え?

 

「【XYZードラゴン・キャノン】!」

 

【XYZードラゴン・キャノン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2600

 

「まだだ!俺は更に【XYZードラゴン・キャノン】と【VWータイガー・カタパルト】で合体召喚する!」

 

え?え?

 

「完成!【VWXYZ(ヴィトゥズィ)ードラゴン・カタパルトキャノン】!!」

 

【VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン】

攻撃表示

ATK3000/DEF2800

 

「凄いわね」

「ええ、あそこまでカードを使いこなすなんて……」

「流石に遊城十代でも……」

「いや、プレミだろ。どうみても」

「「「え?」」」

 

え?いや、え?気づいてない?

…………誰かポジション変わってくれ…………頼むから!この馬鹿どもの頭を改善してくれ!

 

「……とりあえずこのデュエルの結果がわかったらな。万丈目が負けたら教えてやる。それまでは自分で考えろ」

 

勝ったらプレミも意味がない。

 

「まだだ!【VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン】の効果発動!」

 

万丈目の宣言がトリガーとなって【スパークマン】の姿が消えた。

 

「【スパークマン】!?」

「【VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン】の効果は1ターンに1度、相手フィールドのカード1枚を除外するのさ。バトル!十代にダイレクトアタック!」

「待った!罠発動【ヒーロー見参】!」

 

確か……相手に自分の手札を裏向きで選ばせて、モンスターなら特殊召喚、違ったら墓地に送るカードか。

 

「1番右だ!」

「……ラッキー!【E・HERO バーストレディ】を特殊召喚!」

 

【E・HERO バーストレディ】

守備表示

ATK1200/DEF800

 

「無駄だ!【VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン】が攻撃するとき、相手モンスターの表示形式はこちらの自由だ!【バーストレディ】を攻撃にして攻撃!VWXYZーアルティメット・デストラクション!」

 

【E・HERO バーストレディ】

守備表示→攻撃表示

DEF800→ATK1200

 

「ぐっ!」

 

遊城十代

LP2800→1000

 

「ターンエンド。これでまた丸裸。お前を守るモンスターは1体もいやしないぜ」

 

万丈目準

LP4000

モンスター

【VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン】:攻

ATK3000

魔・罠

【前線基地】

【リビングデッドの呼び声】

手札0枚

 

ライフやフィールドを見るとサンダーが有利だが、手札の枚数では十代が有利か。ハンド・ボードのアドは枚数だけなら対等だがな。【リビングデッド】が死に札だけど。

 

「俺は、俺のデッキを信じる!俺と共に最後まで戦ってくれるモンスターがこの中にいる限り!俺は戦い続けるぜ!ドロー!」

 

なんかかっこいいこと言ってるけど、お前負けてるからな?サンダーがプレミしただけで。ふあ〜ぁ……

 

「眠い……他のデュエルフィールドもテスターになりそうなのはいないし……寝ていいか?」

「ダメに決まってるでしょ!?貴方は出番終わったけど、試験なのよ!真面目にして!」

 

怒られた。

 

「俺は【ハネクリボー】を守備表示で召喚!」

 

【ハネクリボー】

守備表示

ATK300/DEF200

 

『『『かわいい〜〜!!』』』

 

いや、今はビジュアルじゃなくて、展開を気にすべきだろ?俺も寝ようとしたけどさ。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

遊城十代

LP1000

モンスター

【ハネクリボー】:守

DEF200

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

【ハネクリボー】……しかし【VWXYZ】は攻撃時相手モンスターの表示形式を変更させる。それでなくても効果で除外。両方を回避しなければチャンスは得られない。それをたった1枚の伏せで……【ハネクリボー】のサポート?そんなカードあったか?

こっちにしかないカード?

 

「ドロー!無駄だぜ。戦闘ダメージを0にする【ハネクリボー】も【VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン】の効果で除外する!」

「だったらやってみろよ!」

 

挑発行為……前世の大会だったらジャッジキルの対象じゃね?

 

「【VWXYZードラゴン・カタパルトキャノン】の効果発動!【ハネクリボー】を除外!して、十代にダイレクトアタックだ!アルティメット・デストラクション!」

「来たぜ相棒!手札2枚を捨て、速攻魔法、【進化する翼】始動!」

 

【VWXYZ】の撃った砲撃が【ハネクリボー】に当たる直前、【ハネクリボー】から大きな翼が生えた。あったなぁ、そんなカード。

 

「ど、どういうことだ!」

「【進化する翼】によって、【ハネクリボー】が進化!【ハネクリボー】は今、レベル10!【ハネクリボー】の効果発動!その身を犠牲に、相手モンスターを全て破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える!」

「なんだと!?」

 

正確には相手フィールドの攻撃表示モンスター全てだ。守備表示なら破壊できない。

しかし【VWXYZ】は攻撃表示なので破壊され、サンダーのライフが

 

万丈目準

LP4000→1000

 

「くっ!ターンエンド!」

 

万丈目準

LP1000

モンスター

魔・罠

【前線基地】

【リビングデッドの呼び声】

手札1枚

 

1000になった。リバース無しか。

 

「俺のターン!万丈目、俺達のライフは1000。モンスターもない。ここで俺が攻撃力1000以上のモンスターを引けたら面白いよな」

「そうやすやすと!」

 

シンクロ軸だと難しいな。墓地次第か。

 

「でも引けたら面白いよな!ドロー!

…………【E・HERO フェザーマン】を攻撃表示で召喚!万丈目にダイレクトアタックだぁ!!」

「ば、バカな……!」

 

万丈目準

LP1000→0

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」

 

楽しい……ねぇ……ギャラリーを楽しませるなら【EM】使わせてみるか?

シンクロ、エクシーズは使えないがペンデュラムが…………アイツが使いこなせるとは思えねぇ……悩ましい……

 

「万丈目君が負けたわね」

「そうですね」

「ということで」

「「「さっきのプレイングミスについて教えなさい」」」

 

答えが出てこなかったか。

……まぁいいや。テスター候補に知識だけじゃなくて、こういったプレイングの解説も必要ならやってやるさ。

…………はぁ…………

 

「【XYZードラゴン・キャノン】をだしたところがプレイングミスだ。

浜口、十代のフィールドと【XYZードラゴン・キャノン】を出す直前の万丈目のフィールドは覚えてるな?」

「え、ええ……遊城十代のフィールドには【スパークマン】と伏せカードの【ヒーロー見参】が。万丈目君のフィールドには【VWータイガー・カタパルト】と、【X】、【Y】、【Z】と【前線基地】、【リビングデッドの呼び声】がありましたわ」

 

まぁこのくらいはできるか。流石に墓地を大量に肥やすデッキの墓地まで把握していたら凄いけど。

 

「で、枕田。十代のそのときのライフは?」

「2800よ」

「その通りだ。次に天上院、【X】、【Y】、【Z】の総攻撃力は?」

「えっと、4800よ」

 

計算早いな。複雑なシンクロでも使ってもらうか?……簡単なシンクロってあったか?……カテゴリー統一すれば簡単になるか?まぁいいや。置いておこう。

 

「俺なら【XYZ】に融合しないで、浜口に言わせたフィールドのまま攻めるね。【スパークマン】の守備力は【Y】、【Z】の攻撃力以下だ。そのあたりから攻撃して、あとは一斉攻撃で十代のライフは0だ」

「で、でも【ヒーロー見参】は!?」

「【ハネクリボー】と【進化する翼】があの時点で手札にあるなら使ってる。だがそうじゃないということはどちらかしかなかった。【進化する翼】なら墓地に送られてそのまま十代のライフは0だし、【ハネクリボー】なら次のターンにまたチャンスがくる。【進化する翼】と【バーストレディ】と謎の手札2枚になるからな。【バーストレディ】ならダメージが減るだけで、結局十代のライフは0になるし」

「「「…………」」」

「…………どうした?」

 

3人に凄い見られてる。

 

[見せてもらいましたよ遊城十代君。

君のデッキへの信頼感、モンスターとこ熱い友情、そして最後まで諦めないデュエル魂。それはここにいる全ての者が認めることでしょう。よって勝者である遊城君、君はラー・イエローに昇格です]

『『おめでとう〜〜!!』』

 

あいつ筆記試験遅刻した挙句に寝てたけどな。

大イビキかいて。

 

[そして宮田龍斗君。君の墓地のカードさえも使った複雑な戦略を使い勝利した君も、ラー・イエローに昇格です]

 

いや、嬉しいけど、シンクロの怖さがあの程度と思って貰うのは不本意だな。今度はまた別のデッキでいくか。

 

「おめでとう」

「ま、あたし達に勝ったんだから当然よね」

「おめでとうございます」

「んー」

 

いや、エクシーズもありだな。

【エクスカリバー】で一撃必殺とかな。

空返事しながら次の試験で使うデッキを考えていた。

で、十代が帰ってきて早速手札の確認をさせてもらうと……

 

「【ヒーロー見参】使ったときの手札?【ハネクリボー】【バーストレディ】【融合回収】【フレンドッグ】だぜ。それがどうかしたか?」

 

なんか盛大に事故ってやがった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、十代は昇格を蹴ったと」

「らしいな。寮が気に入ってるらしい」

 

『レッド寮が俺のいる寮』とかなんとか言って昇格を蹴った十代。

俺は普通に昇格を受けた。

部屋は三沢と同部屋になった。

 

「にしても、凄い量のケースだな」

「シンクロ、エクシーズがあるケースだ。それ以外のカードも大量にあるからこのくらいになる」

 

ケースの中身やら不思議性能を考えると各種5枚もあれば十分な気もするけどな。

 

「まぁ、すぐにでもブルーに上がって部屋を広くしてやるさ」

「先に上がるのは俺だよ」

「…………なら勝負だな」

「負けないさ」

 

勝つのは俺だ。




最初に【VWXYZ】を見たときの感想は
「やべぇ!カッケェ!」
でしたが、再放送されて、また見たときの感想は
「いや、その状況なら融合せずに先殴れよ」
でした。
当初はただカードを使いたいみたいなレベルでしたがある程度知識的なものを得てテンションの差に一瞬驚いた自分がいました。
さて次回は、出すか悩んだ教育実習生の話です。性格が違うかもしれませんがご了承いただければと思います。
では


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暴露 VS.龍牙

エンタメって難しいですねー……
少しストックが溜まってきてますので、執筆速度の都合と相談してしばらくは2日または3日に1話ペースで更新します。


「教育実習生?それが何かあるのか?」

 

イエローに昇格して数日、実技演習……つまりは実際にデュエルして自分のデッキの特徴を把握するための授業でやたらとイエローやらブルーやらに挑まれたものの全て難なく撃破。【スクラップ・ドラゴン】達の活躍が……いや、【レベル・スティーラー】の過労死が尋常じゃない。動き出したら1ターンに2、3回出てきては落ちてを繰り返してる。……しばらく休ませてやりたいと思い授業で毎回出すレポートの準備と称して休憩していたのだが、三沢もやってきて話しながらレポートを書いていると、『教育実習生の噂』について聞かれた。俺は何も知らないから聞き返すことになったが。

 

「ああ。なんでも教育実習生とデュエルすると、必ず魔法カードが発動せず、しかもデュエルに負けたらレアカードを取られるらしい」

 

魔法カードねぇ…………なかなか厳しいな。魔法無しでも戦えなくはないけどな。あれば早く決着できるってだけだ。多分。そんな縛りプレイとかしたことないから『魔法カードが使えない』という厳しさの実感が湧かない。……ついさっき思ったことと矛盾してるかもな。

流石に【HERO】でいくつもりはないけどな。【マスク・チェンジ】も【融合】も使えないからな。

 

「君はシンクロ・エクシーズと超レアカードがケース単位であるから狙われると思ってな。気をつけた方がいい」

「心配どうも。だが『負けたら』だろ?勝てば問題ないし、負けるつもりはない。そもそも勝負するかどうかすらわからないからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「教育実習生と俺がデュエルを?何故?」

「シンクロ・エクシーズを操る君のタクティクスを超えてこそと思いましてね。『教師とはただ教えるのではなく、教師が生徒から学ぶこともある』というのを知る良い機会でもあるから是非君にお願いしたい」

 

……3日後、授業も終わりデッキ作成・調整・十代や天上院あたりと勝負してまた調整をしようと思った矢先、校長室に呼び出された。何事かと思い校長室に行くと、件の教育実習生とデュエルしろとのこと。50連勝すれば教師になれて、現在49連勝らしい。

で、理由を聞いたら今の答えが帰ってきた。面倒な。

 

「もし、断れば?」

「シンクロ・エクシーズのテスターかどうか怪しくなりますね。I2、KCのテスターなら受けて当然かと」

 

…………面倒な。

だがテスターでなければシンクロ・エクシーズを俺が持っていることに疑問が生じる。それによる追求は避けたい。海馬さんに怒られるのは嫌だ。

 

「…………わかりました。受けますよ」

「ありがとう。では、日程だが……」

 

来週の実技演習の時間にデュエルフィールドでやることになった。

さて、噂が本当なら魔法は使えない。

モンスターと罠だけか……どんなデッキだよ…………んなもん作ったか?

…………作るかぁ?無難な選択しかしないであろう俺が。

いっそのこと魔法入れてもすぐコストにするか?【サモプリ】とか使って。でもそうすると手札の消費が激しい……手札無しでもモンスターを大量展開できるやつ…………いや、そんな都合のいいデッキ……………………あるな。アレがあったな。アレが。賭けって感じが強いけど、仕方がない。

 

「では、よろしくお願いしますよ」

「……ええ。では、失礼します」

 

軽く頭をさげて、校長室を去る。

校長室を出ると、十代に丸藤、天上院と枕田、浜口とよくいる面子が揃っていた。

 

「揃いも揃って校長室になんの用だ?」

「アンタが校長室に呼び出されたから心配してあげたんじゃない!」

「特に用ってわけじゃなかったよ。教育実習生とデュエルしろって言われただけだ。だが、心配かけたのはすまなかったな」

 

しかし、心配ねぇ……枕田ってこんなヤツだったか?…………そんなヤツなんだろう、そこまで長い付き合いでもないから全て知っているわけじゃないし。

 

「教育実習生……ってあの噂の?」

「恐らくな。噂通りなら魔法は使えん。つまりモンスターと罠だけでのデュエルになるからデッキを弄らなきゃならん」

「そんなので勝てるんですの?」

「なんとかやってみるさ。既に大枠の案は浮かんでる。あとは細かく調整するのに三沢に協力してもらうさ。お前達にも協力してもらいたい。対戦相手としてな」

 

枕田には特にな。デッキテスター初仕事の相手が俺ってことになるが……まぁコイツならなんとかなるだろう。仮にもブルーだし。

部屋に戻ってデッキを作成・調整→十代達と対戦→調整と繰り返して1週間。なんとか形になった。形になるまで3桁近く負けてる気がする。枕田には1キルされた回数が20はあるはずだ。なんで【ジャンク】渡したんだろう……形になってもあのデッキには半分程度しか削れなかった……やめよう、思い出すのは俺のテンションが鬱入るだけだ。

 

「それデーワ。本日の実技演習は教育実習生龍牙VSラーイエローのシニョール宮田のデュエルナノーネ」

「今日はよろしく。君に勝てば私は教師になれる」

「らしいですね。なんでも49連勝中だとか」

「ああ。だから負けられないんだ」

 

俺も負けるつもりはない。このデッキは枕田以外には勝てたんだ。偶然。

その偶然に賭ける。…………そういえば【インフェルニティ】の方が安定した気が…………

 

「ところで、君は珍しいカードを持っているそうだね」

「…………シンクロのことですか?」

 

言ってくるとは思ってたよ。残念ながら渡すつもりはさらさらない。

 

「そう!そのシンクロなんだがね。私はデュエリストでもあるが、コレクターでもあってね。よかったら、私が勝ったらわけてくれないかな」

「…………貴方が使える筈がないのにですか?」

「それは、私が決めることだ」

「いいや、俺が決めることだ」

 

お、顔が険しくなった。この程度で怒るなんて短気だな。

 

「シンクロはそれだけで使えるものじゃない。シンクロ単体で使えるとか思ってる時点でシンクロは扱えないよ」

「こ、このガキィ……私向かってその態度……勝って土下座させて即刻退学にしてやる……!」

「やれるものならな」

「それデーワ!デュエル開始ナノーネ!」

 

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

龍牙

LP4000

 

互いにデュエルディスクを構える。俺のは、ようやくできた新型のディスクだ。見た目は今までと変わらないけどな。

 

「俺のターン、ドロー!俺はスケール4の【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】でペンデュラムスケールをセッティング。カードを1枚伏せ、ターンエンド。そしてエンドフェイズ、【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】のペンデュラム効果で、このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスターを手札に加える。【時読みの魔術師】を手札に」

 

今回使うのはペンデュラム召喚を使うデッキだ。【DD】だと色々困るので【EM(エンタメイト)】軸だがな。ペンデュラムスケールゾーンを取り付ける場所だが今までのデュエルディスクのフィールド魔法ゾーンを更に伸ばして、1箇所。反対側に1箇所で出来上がりだ。

 

『ペンデュラムスケール?』

『もしかして、また新しい召喚か!?』

『何種類の召喚法を知ってるんだ!?』

 

十代達以外は入試以来であろう新ワードに動揺している。まぁ仕方がないだろう。だがペンデュラムカードはスケールに置く際、魔法カードとして扱われる。つまり本来は使えないはずなんだ。相手の龍牙も動揺している。

 

「な、何故だ……魔法カードは使えないはず!」

 

龍牙は狼狽えながら左手に付けている指輪に触れた。

アレがジャミングしているのか。まぁいい。追求はコイツを倒してからだ。

軽いジャブで済ませよう。

 

「『使えないはず』とはどういうことだ?」

「ッ!!な、なんでもない!」

 

校長室から部屋に戻る直前、海馬さんにこの件について尋ねたところ、なんらかのジャミングをしている可能性があるとのこと。海馬さんは相当に怒っていて、俺が使っている、ペンデュラム召喚可能型のデュエルディスクを作成する際にジャミング電波をジャミングする機能を付けたと言っていた。……なにそのなんたらジャマーキャンセラーみたいな理屈……続けよう。ただ完全には出来なかったらしく、ペンデュラム限定になってしまったが……それだけでもありがたい。

 

「そうですか。これで本当にターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札5枚

EX

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

 

「わ、私のターン!【俊足のギラザウルス】を特殊召喚!」

 

【俊足のギラザウルス】

攻撃表示

ATK1400/DEF400

 

「このカードは特殊召喚扱いで召喚できる!だがこの方法で召喚したとき、相手は墓地からモンスターを特殊召喚する!」

「だが俺の墓地にはモンスターはいない」

 

エクストラにはいるけどな。

 

「更に私は【俊足のギラザウルス】をもう1体特殊召喚して、2体の【俊足のギラザウルス】を生贄に捧げ、【超電導恐獣(スーパーコンダクターティラノ)】を召喚!」

 

【超電導恐獣】

攻撃表示

ATK3300/DEF1400

 

「バトル!【超電導恐獣】でダイレクトアタック!」

「リバースカード【ガード・ブロック】!戦闘ダメージを0にして、カードを1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札5枚→6枚

 

「くっ!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

龍牙

LP4000

モンスター

【超電導恐獣】:攻

ATK3300

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

……来た!【星読みの魔術師】!

だがどうする?エンタメするのか?このデッキ、カードを使うならエンタメをするべきだろう。だが俺のキャラじゃない…………コレと【妖仙獣】のときくらいはエンタメでいくか。

 

「すぅ…………はぁ…………」

 

ゆっくりと深呼吸する。

落ち着いて……噛むのはアウトだ。

…………よし!

 

「……Ladies & gentlemen !これより私、宮田龍斗によるシンクロ・エクシーズに続く新たな召喚方をご覧に入れます!」

 

ざわざわと周囲がざわめきだした。今回は十代や天上院も同じようにざわめいてる。俺のキャラの変化に驚いているんだろう。

 

「自分フィールドにモンスターがいないとき、このカードは発動できる!俺は、スケール8の【時読みの魔術師】とスケール1の【星読みの魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

フィールド魔法ゾーンは従来の企画の倍の長さまで展開され、それと同時に反対側のペンデュラムスケールゾーンも展開され、そこに【時読み】と【星読み】を置くと、俺の後ろに薄い青に光る柱が現れ、【時読み】と【星読み】が姿を現わす。彼ら(彼……だよな?)の下にそれぞれ『8』と『1』の数字が書かれている。

 

「これで、レベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!」

『同時に召喚!?』

『上級、最上級は生贄がいるだろ!?』

「疑問はごもっとも!しかし、ペンデュラム召喚は特殊召喚に分類されますので、問題はありません!

揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!

ペンデュラム召喚!!手札から、誇り高き銀狼!レベル4【EM シルバー・クロウ】!」

 

【EM シルバー・クロウ】

攻撃表示

ATK1800/DEF700

 

「鋭く噛みつき、世界を反転!レベル4【EM ウィップ・バイパー】!」

 

【EM ウィップ・バイパー】

攻撃表示

ATK1700/DEF900

 

「仲間の力を見せてやれ、!レベル5【EM パートナーガ】!」

 

【EM パートナーガ】

守備表示

ATK500/DEF2100

 

「応援されれば勇気凛々!レベル2【EM チアモール】!」

 

【EM チアモール】

攻撃表示

ATK600/DEF1000

 

「そして、エクストラデッキから!雄々しくも美しく輝く二色の眼!レベル7【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「ば、バカな!?こんな召喚、私は知らないぞ!」

「知らなくて当然。これは今回が初お披露目の召喚。召喚方の都合上、この特別製のデュエルディスクでなければ召喚できないのです!【EM パートナーガ】の効果発動!このカードの特殊召喚に成功したとき、自分フィールドのモンスター1体を対象に発動!【オッドアイズ】を選択!これで【オッドアイズ】の攻撃力は、自分フィールドの【EM】の数1枚につき、300ポイントアップ!現在、フィールドの【EM】は【パートナーガ】を含め4体!よって1200ポイントアップ!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ペンデュラム】

ATK2500→ATK3700

 

にしても良く回るよな。一応罠はデッキ圧縮を多く投入しているけど、なんかモンスターが多く手札にくるし、都合いい手札だしでちょっとあの自称神がなんかしてるのかと疑問を抱く。

 

「私の【超電導恐獣】の攻撃力を上回っただと!?」

 

召喚成功時に何もない……【激流葬】や【奈落の落とし穴】は無いか。

 

「【EM チアモール】の効果!1ターンに1度、メインフェイズ中に元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つモンスター1体を対象に発動!その攻撃力が元々の攻撃力より高い場合、攻撃力が更に1000ポイントアップ!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

ATK3700→ATK4700

 

「【EM ウィップ・バイパー】の効果!フィールドのモンスター1体を対象に、その攻撃力と守備力を入れ替える!【超電導恐獣】を対象に発動!コンフュージョン・ベノム!」

 

【超電導恐獣】

ATK3300/DEF1400→ATK1400/DEF3300

 

「私の【超電導恐獣】の攻守を入れ替えるだとぉ!?」

「【パートナーガ】の効果で、レベル5以下のモンスターは攻撃できませんが、問題ありません!バトル!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】で【超電導恐獣】に攻撃!螺旋のストライクバースト!」

「トラップ発動!【万能地雷グレイモヤ】!これでお前のモンスターは……何故発動しない!?」

 

龍牙の言う通り、伏せられているであろう【万能地雷グレイモヤ】は発動せず、伏せられたままだ。

 

「時空を見定める【時読みの魔術師】よ。その精緻なる力で我を守護せよ!

【時読みの魔術師】のペンデュラム効果!自分のペンデュラムモンスターが戦闘をするとき、ダメージステップ終了時まで罠カードを発動できない!インバース・ギアウィス!」

「バカな!?トラップによる防御ができないだと!?」

「【オッドアイズ】が戦闘を行うとき、相手プレイヤーに与える戦闘ダメージは倍になる!リアクション・フォース!」

 

【オッドアイズ】から放たれるブレスは、【超電導恐獣】を呑み込むだけでなく龍牙をも呑み込んだ。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

龍牙

LP4000→-2600

 

「以上、宮田龍斗によるペンデュラム召喚の初お披露目でした!」

 

頭を下げ礼をすると歓声が上がった。

中には『仇をとってくれてありがとう』といった内容のものも。恐らく龍牙と戦って負け、カードを奪われた奴だろう。

 

「み、認めないぞ!この私がラーイエロー如きに負けるはずがない!イカサマだ!」

 

歓声を消すかのように大きな声で龍牙が異議を唱えた。まぁ予想通りだがな。

 

「ほう。イカサマですか。ではその証拠を提示していただきたい。それと、この発言についても質問に答えて貰いましょう」

 

ポケットに忍ばせておいたレコーダーのスイッチを押す。すると、先ほど龍牙が言ったセリフが出てきた。

 

[な、何故だ……魔法カードは使えないはず!]

「この発言の意味はなんです?何故、貴方は俺が魔法カードを使えないと思ったのですか?」

「な、そ、それは……」

「答えていただけますよね?俺は今までのデュエル全てで魔法カードを使ってきた。魔法カードに何かトラウマでもあるわけでもないのに、何故俺が魔法カードを使えないと思っていたのか」

 

まぁ、答えの予想は恐らく海馬さんの言った通りだろう。

 

「…………これは俺の予想です。異議は最後に受け付けましょう。俺が魔法カードを使えないと思った理由、それは貴方がデュエルディスク、または貴方が身につけているものを使って魔法カードが使えなくなるジャミング電波かなにかを発していた。例えば、貴方が左手に付けているゴツい指輪とか、ね」

「い、言いがかりだ!」

「では先ほどの質問に答えてくれますよね?教師になるんでしょう?生徒からの質問くらい答えないと」

 

まぁ教師にならないけどな。負けたし。もう一度戦っても勝つし。

 

「誰がイカサマした貴様なんかに「答えなさい龍牙君」こ、校長!?」

「答えなさい龍牙君。彼の話が本当なら、君は即刻この島から出ていってもらう」

「校長!コイツはイカサマしたんですよ!?ペンデュラム召喚なんていうイカサマを!」

「彼はイカサマなんてしてませんよ。何故なら彼はーーー」

 

お、おいちょっと待て校長!アンタまさか

 

「ーーー彼はI2、KCからやってきたシンクロ召喚、エクシーズ召喚、そしてペンデュラム召喚のテスター兼スカウトなのだから」

「なっ!?」

 

この人バラしたーーー!!

テスター候補にだけ教えるつもりだったのに生徒全員にバラしたーーー!!

おかげで生徒全員が動揺して騒いでいる。

 

「宮田君。すでに海馬社長、ペガサス会長から許可はでています。安心したまえ」

 

いや、安心したまえじゃなくて!

この後の展開が面倒になるんだが!

 

「あり得ん!こんなガキがI2、KCのテスター!?」

「信じる、信じないはアンタの自由だ。俺はアンタの噂について海馬社長に聞いたよ。そして出たジャミングの可能性。そのジャミングを感知することで、ペンデュラムカード限定で魔法カードを使えるようにジャミング妨害をしていたのさ。実際、ジャミング妨害は起動していた。いや、今も起動している」

 

そう言ってディスクを掲げる。

中央部分には[Jamming Program. During startup.]と表示されている。

 

「これは今現在もジャミングされているということ。誰か、魔法カードを使ってくれ」

「そういうことナーラ、私がやりまスーノ!魔法発動【古代の機械城】!」

 

クロノスはどこからかいつも使っているデュエルコートを持ち出して起動。すぐにカードを差し込むがカードのソリッドヴィジョンすら出てこなかった。

 

「先ほど、俺が【オッドアイズ】のカードを魔法カードとして使ったとき、そこの教育実習生は左手の指輪に触れていた。恐らくその指輪がジャミングをしていたのでしょう」

「龍牙君。その指輪を私に渡しなさい」

「し、しかしこれは祖母の形見の……」

「彼の話の実証です。これが本当なら事情聴取が必要になる」

「くっ、くそっ!」

 

脱兎の如く逃げ出す龍牙。

しかし、

 

「ぐあっ!!」

 

校長が龍牙を叩き伏せていた。

 

「クロノス教諭!」

「ハイデスーノ!」

 

校長が抵抗する龍牙の左手をこじ開け、クロノス教諭が指輪を確保。

俺がそれを受け取り、ディスクの中央部分を確認する。

 

「この指輪の宝石が回転するのか。

現在、ジャミングプログラム起動中。そしてこれを回すと……」

「【機械城】が出てキターノ!」

 

ディスクの表示もなくなり、発動し続けていた【古代の機械城】が姿を見せた。何が形見だよ。思いっきり弄ってるじゃねぇか。

 

「これが証拠。そして、今までの49連勝で奪ったカードも回収しましょうか」

「その前に事情聴取がある。後ほどカードはこちらで回収しよう」

 

龍牙はやってきたクロノス以外の教師陣に囲まれてデュエルフィールドから出て行った。

さて、あとは……

 

『テスター!?』

『だからシンクロとか使えるのか!』

 

こいつらだ。まだ騒いでやがる。

 

「……鮫島校長が言ったように確かに俺はテスターだ。しばらく後に出てくるシンクロモンスター達をこの島を拠点に広めるために来た」

 

俺が話し出した途端に、周囲の連中は静まり、やがて全体が静かになった。

 

「何故ここなのか。最初はただの一学生としてこの島に来るつもりだったが、筆記試験後ペガサス会長、海馬社長に会い、紆余曲折を経てテスターになった。そして、ここから出てくるプロデュエリストに、シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムを使わせ、全世界に知らしめる。それがテスターとしての最終目的だ。君達のうち、誰かがプロになる可能性があれば、そして今俺が持つシンクロ・エクシーズ・ペンデュラムを使う気があり、且つ俺がそれを使いこなせると判断すれば、君達にカードを託そう」

 

一部を除いた全生徒が一瞬ざわついた。

新しい物好きか、あるいはシンクロモンスター達を心の底から使いたいと思っているのかはわからんが。

 

「判断基準はデュエル内容ただ1点!基本的に勝敗は問わない。もし、プロになる前にシンクロモンスター達を使いたいのなら、君達の全力を!タクティクスを!俺に見せて欲しい。以上だ。クロノス先生、そろそろ授業は終わりですよね?」

「え?あ、そ、そうナノーネ。これで今日の授業は終了ナノーネ!」

 

とりあえず、今にもやってきそうな生徒達から全力で逃げよう。うん。

脱兎の如く逃げ出す俺だった。




というわけで全生徒(あのターザンとか【もけもけ】を使うあの人を除く)にテスター暴露です。
次回はテスターがバレた後の日常的な閑話です。


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微妙な日常 VSジュンコ

本編には全く影響しなさそうな日常回です。
ジュンコがエクシーズを使います。


「【No.39 希望皇ホープ】でダイレクトアタック!」

『くそおっ!!』

 

LP1400→-1100

 

「ふむ、1ターン目にだした【ホープ】が残り続けたか」

 

テスター暴露から暇さえあればデュエルしろとやってきて、正直休む暇がない。だが、枕田やら天上院、十代が『自分達もテスター候補だ』とか言って壁になって代わりに戦ってくれるから少し休める。今は枕田が【ガガガ】で戦っていたが、結果ノーダメージだった。下級の中でも高攻撃力のモンスターで場を維持するタイプの戦い方はシンクロ・エクシーズ・ペンデュラムには勝てないぞ。

 

「次は私ね。どんなデッキがいいかしら?」

 

で、俺が持ってきた普通のアタッシュケースに入っているデッキから好きなものを使ってる戦っている。

 

「おい天上院。【聖刻】はやめろ。可哀想だから」

「あら、そうなの?あと明日香でいいって何回言ったらわかるの?」

「んなもんどうでもいい。【聖刻】は現在の環境ではアホみたいな強さだからやめろ」

「そ、そんなに強いの?」

 

枕田が恐る恐る聞いてくる。

アレと最初戦ったとき今までの自分がバカみたいに思った。(もっというと、新カテゴリーが出るたびに思ってた)

そこまで強くないだろとか思う奴もいるかもしれんが俺個人の感想だから気にしない。

 

「やってみるか?」

「の、望むところよ!」

 

デュエリストとしての性なのか、挑まれると受けてしまう枕田。やめときゃいいのに……

【聖刻】をディスクにセットして互いに構える。

 

「「デュエル!」」

 

枕田ジュンコ

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「あたしのターン、ドロー!【ゴブリンドバーグ】を召喚!」

 

【ゴブリンドバーグ】

攻撃表示

ATK1400/DEF0

 

「【ゴブリンドバーグ】の効果で【ガガガマジシャン】を特殊召喚!」

 

【ガガガ】かよ。さっさと返せ。お前さっきのデュエルの前【サイキック】使ってたろ。アレはどうした?

 

【ガガガマジシャン】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

「【ゴブリンドバーグ】は効果を使った後守備表示になる。そして、レベル4【ゴブリンドバーグ】と【ガガガマジシャン】で、オーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚!【No.39 希望皇ホープ】!」

 

【No.39 希望皇ホープ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「ターンエンド!」

 

枕田ジュンコ

LP4000

モンスター

【No.39 希望皇ホープ】:攻

ATK2500

魔・罠

手札4枚

 

「ドロー。【召集の聖刻印】を発動!デッキから【聖刻】モンスターを手札に加える。【聖刻龍ートフェニドラゴン】を手札に加え、特殊召喚!」

 

【聖刻龍ートフェニドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1400

 

「このカードは相手フィールドにモンスターがいて、自分フィールドにモンスターがいない場合、手札から特殊召喚できる。そして【トフェニ】をリリースして【聖刻龍ーネフテドラゴン】を特殊召喚!」

 

【聖刻龍ーネフテドラゴン】

攻撃表示

ATK2000/DEF1600

 

「攻撃力を下げてまで特殊召喚?」

「このカードは自分フィールドの【聖刻】モンスターをリリースすることで特殊召喚できる」

「リリースって?」

 

は?…………ああ、そっか。マスタールールじゃないんだっけ?

 

「生贄だと思ってくれて問題ない。言い方の違いだ。再開するぞ。リリースされた【トフェニ】の効果発動!」

「!!」

「このカードがリリースされた時手札・デッキ・墓地からドラゴン族通常モンスターを攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。デッキから【エレキテルドラゴン】を特殊召喚!」

 

【エレキテルドラゴン】

守備表示

ATK2500/DEF1000→ATK0/DEF0

 

「上級モンスターも攻撃力0じゃ……いや、シンクロかエクシーズなら攻撃力も意味がないわね」

「その通り。まぁだが、【エレキテルドラゴン】はレベル6、【ネフテ】はレベル5だからまだエクシーズできないけどな。今度は【ネフテ】の効果だ。1ターンに1度、手札・フィールドのこのカード以外の【聖刻】モンスターをリリースして、相手フィールドのモンスターを破壊する」

「嘘!?」

 

本当だ。しかも【聖刻】をリリースしたからモンスターがさらに出てくる。

 

「手札の【聖刻龍ーシユウドラゴン】をリリースして【No.39 希望皇ホープ】を破壊!」

「あたしの【ホープ】が!」

 

お前のじゃねえよ。渡すかわからんからな。

 

「リリースされた【シユウ】の効果。【トフェニ】同様、リリースされた時、手札・デッキ・墓地からドラゴン族通常モンスターを攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。2体目の【エレキテルドラゴン】を特殊召喚!」

 

【エレキテルドラゴン】

守備表示

ATK2500/DEF1000→ATK0/DEF0

 

「じゃあお待ちかね。レベル6の【エレキテルドラゴン】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

聖なる刻印を持つ龍よ!汝の力でさらなる同胞を呼べ!エクシーズ召喚!来い!ランク6!【聖刻龍王ーアトゥムス】!」

 

【聖刻龍王ーアトゥムス】

攻撃表示

ATK2400/DEF2100

 

さて、あのデッキには【ガガガガードナー】が入ってる。握ってるか?握ってるなら【ガイアドラグーン】で貫通するんだが……

 

「バトル!【アトゥムス】でダイレクトアタック!」

「手札の【ガガガガードナー】の効果発動!」

 

握ってたか……まぁ予想はしてたよ。握ってないことを祈って攻撃したけど。

 

「相手モンスターのダイレクトアタック宣言時、手札からこのカードを特殊召喚する!」

 

【ガガガガードナー】

守備表示

ATK1500/DEF2000

 

「バトル続行!【ガガガガードナー】を攻撃!」

「【ガガガガードナー】の効果!攻撃対象になったとき、手札1枚を捨てれば、その戦闘では破壊されない!」

 

墓地にいて欲しいカード……【ガガガガール】か?いや、この場合【ガードナー】残すために必要なさそうなカードを捨てたのか。

【ネフテ】の攻撃力は【ガードナー】の守備力と同じだし。

 

「……メイン2。カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【聖刻龍王ーアトゥムス】:攻

ATK2400

【聖刻龍ーネフテドラゴン】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「あたしのターン、ドロー!【ガガガシスター】を召喚!」

 

【ガガガシスター】

攻撃表示

ATK200/DEF800

 

【シスター】か……これピンチじゃないか?

 

「【ガガガシスター】の効果発動!召喚に成功した時、デッキから【ガガガ】と名のついた魔法・罠1枚を手札に加える。あたしは【ガガガリベンジ】を手札に加える!」

 

あ、【ヴェーラー】使えばよかったな。ミスった……って程でもないか。エクシーズで効果止めればいいし。

 

「【ガガガシスター】のもう一つの効果発動!このカード以外の【ガガガ】モンスター1体と、このカードのレベルを互いのレベルを足した数値にする。あたしは【ガガガガードナー】とこのカードのレベルを互いのレベルを足した数値に!」

 

【ガガガシスター】

レベル2→6

 

【ガガガガードナー】

レベル4→6

 

『レベル6が2体か……!』

『どんなモンスターが出るんだ…….?』

 

ランク6……たしかあのデッキには2枚しかランク6入れてなかったはず。【トレミス】か【ビヨンド・ザ・ホープ】の2択。どっちが来る?口上あれば楽なんだが、枕田は言わないからなぁ…………

 

「あたしはレベル6の【ガガガシスター】と【ガガガガードナー】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク6!【No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ】!」

「あ、【神警(神の警告)】で」

 

宮田龍斗

LP4000→2000

 

「…………え?」

 

かっこよく【ビヨンド・ザ・ホープ】登場!とはいかず、あっさり消滅してしまった。いやぁ、ライフ2000ってでかい!

 

「ライフ2000を払ってモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚またはモンスターの特殊召喚を含む魔法・罠・モンスター効果を無効にして破壊。【ビヨンド・ザ・ホープ】の特殊召喚を無効にして破壊だ」

「…………ターンエンド」

 

枕田ジュンコ

LP4000

モンスター

魔・罠

手札3枚

 

「ドロー。ふむ、【アトゥムス】の効果発動!ORUを1つ使い、デッキからドラゴン族モンスターを攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】を特殊召喚!」

 

【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2400→ATK0/DEF0

 

「さらに【ネフテ】をリリースして【聖刻龍ーアセトドラゴン】を召喚」

 

【聖刻龍ーアセトドラゴン】

攻撃表示

ATK1900/DEF1200

 

「リリースされた【ネフテ】の効果発動。手札・デッキ・墓地からドラゴン族通常モンスターを攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。【神龍の聖刻印】を特殊召喚!更に【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】こと【レダメ】の効果発動!手札・墓地からドラゴン族モンスターを特殊召喚する。【神龍の聖刻印】を手札から特殊召喚!」

 

【神龍の聖刻印】×2

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

ドラゴン族5体って圧巻だな。レベルバラバラだけど、攻撃力0とかいるけど。

 

「レベル8の【神龍の聖刻印】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」

 

【聖刻】を出すなら【エネアード】なんだけど、ここはこいつだろ。【ガードナー】怖くないし。

 

「宇宙を貫く雄叫びよ、遥かなる時をさかのぼり銀河の源よりよみがえれ!顕現せよ、そして我を勝利へと導け!

エクシーズ召喚!現れろ!ランク8!【No.107 銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)】!」

 

【No.107 銀河眼の時空竜】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「攻撃力3000!?」

「【アトゥムス】の効果を発動したターン、【アトゥムス】は攻撃できない。だが、こうすればいい。俺は【アトゥムス】でオーバーレイ!」

「エクシーズモンスターでエクシーズ召喚!?」

『そんなことできるのか!?』

 

…………しまったな。全力すぎるか。生徒が混乱してしまうな。あとで説明しないと……

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!伝説の騎士の名をもつ者よ、龍を従え戦場を駆け抜けろ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!貫け!ランク7!【迅雷の騎士 ガイアドラグーン】!」

 

【迅雷の騎士 ガイアドラグーン】

攻撃表示

ATK2600/DEF2100

 

「このカードは、自分フィールドのランク5またはランク6のエクシーズモンスター1体を素材にエクシーズ召喚できるモンスターなんだ。【アトゥムス】のように効果を発動すると攻撃できないエクシーズモンスターを素材にすると効率良く相手を攻撃できるから覚えとけ」

 

さて、これでフィールドには【ガイアドラグーン】と【時空竜】、攻守0の【レダメ】。まぁこれで勝ちだろ。【聖刻】が強いっていうのとはなんか違う気がするけど、気のせいだろ。

 

「バトルフェイズに移行し、【時空竜】の効果発動!ORUを1つ使い、フィールドのこのカード以外のモンスター効果を全て無効にし、元々の攻撃力と守備力になる。タキオン・トランスミグレイション!」

 

【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】

ATK0/DEF0→ATK2800/DEF2400

 

「攻撃力が元に戻った!?さっきの攻撃力0になるとか意味無いじゃない!ズルいわよ!」

「【ガガガ】にも【時空竜】いれてあるぞ?だからズルくない」

「え!?…………あ、本当!」

 

エクストラくらい把握しとけ。

 

「【時空竜】でダイレクトアタック!殲滅のタキオン・スパイラル!」

「【ガガガガードナー】の効果で、手札のこのカードを特殊召喚!」

「【時空竜】の効果だ。トランスミグレイションを使った【時空竜】は相手がカードを使う度、攻撃力が1000ポイントアップし、このターン2回の攻撃ができる」

 

【ガガガガードナー】

守備表示

ATK1500/DEF2000

 

【No.107 銀河眼の時空竜】

ATK3000→ATK4000

 

「そ、そんな!?」

「あくまで2回攻撃だからこのあと更に効果を発動してもあと1度しか【時空竜】は攻撃できないが1000ポイントアップは何度でも適用されるぞ。バトル続行だ」

「くっ!効果で手札1枚をコストに破壊を無効!」

 

【No.107 銀河眼の時空竜】

ATK4000→5000

 

「【ガイアドラグーン】で攻撃。こいつは本来貫通効果があるんだが、【時空竜】の効果で無効になっている。ダメージは発生しない」

「最後の手札を捨てるわ!」

 

【No.107 銀河眼の時空竜】

ATK5000→6000

 

「【レダメ】で攻撃。これでフィールド、手札0だな」

 

そして墓地にも防御できるカードはない。そして【時空竜】の攻撃が残っている。

 

「ラストだ。【銀河眼の時空竜】でダイレクトアタック!殲滅のタキオン・スパイラル!」

「きゃあぁぁぁ!」

 

枕田ジュンコ

LP4000→-2000

 

「…………これ、【聖刻】関係あるか?」

「でも【聖刻】モンスターで戦ってたし……」

「ですが、最終的に出てきたのは【聖刻】モンスター達ではありませんわ」

「枕田の出した【ビヨンド・ザ・ホープ】も【神警】で止めただけだしな」

「「「「…………」」」」

 

なんか微妙な空気になった。

 

「【アブソルートZero】でダイレクトアタック!」

「うわぁぁ!!」

 

十代は少し離れて戦っていた。

お前さっきまでデュエル見てたろ?いつのまに【HERO】取ってデュエルしてんだよ。

 




今後はたまに日常回を挟めればいいなぁ……と思ってます。それでもデュエルしてそうですけど。いや、日常というより閑話ですかね?
まぁ置いておきましょう。
次回はタイタン登場です。


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屈辱 十代VS.タイタン

だんだんと龍斗の口調やら態度が崩れてきている。そんな気がする今日この頃です。


「龍斗。エクシーズについて教えてもらいたいことがあるんだが」

 

ある日の夜。

夕食を終え、部屋でのんびりしていると、三沢がエクシーズについて質問してきた。まぁ答えは出てるんだが。

 

「断る。情報は他の生徒と共有させる。聞きたいのなら先生に頼んで教えてもらうなり、時間をとってもらって俺に講義させるんだな」

 

確率としては後者のほうが高いだろう。教師でもエクシーズについて教えることはできないだろうからな。

 

「くっ!どうしても情報を提示しないというのか!」

「提示しないとは言ってない。お前だけに教えるのは平等じゃないと言ってるんだ」

 

PIPIPI PIPIPI

 

「っと、誰だ?……十代?」

 

突如PDAが鳴り、画面を見ると『遊城十代』の文字が。メールではなく、電話だ。急ぎの用事か?

 

「もしもし。なんの用だ?」

[龍斗か!?明日肝試し行こうぜ!]

 

…………声がでかい。………肝試し?

…………タイタンだっけか…………確か立ち入り禁止の廃寮だろ?…………面白そうだが……立場を考えるとダメだ。I2、KCの人間が退学、停学なんて海馬さんに何言われるかわかったもんじゃない。

 

「面白そうだな。だが場所によっては俺は行けないぞ?テスターとしての立場がある」

[大丈夫だって!だから行こうぜ!な!な!]

 

何が大丈夫なんだ?

場所も言ってないのに……

 

「一応聞くが、場所はどこだ?何故そこに?」

 

十代の話によると、先程までモンスターカードの束からカードを引き、そのモンスターのレベル相当の怪談をするというものをしていたそうだ。そして、偶々レッド寮長の大徳寺先生がやってきて、先生も参加。ドローしたところレベル12の怪談をすることが決定。その話に使われてない寮があり、そこで何人もの生徒が行方不明になっているらしい。現在立ち入り禁止。そこに明日行こうという話らしい。

…………あれって当日じゃなかったか?……いや、俺の勘違いか。怪談→当日行ってタイタンとデュエルよりも怪談→翌日行ってタイタンとデュエルの方がまだ無理のない展開だろう。タイタンは雇われてきていたはずだしな……誰に雇われたか覚えてないけど。

 

「大丈夫な要素が見当たらないだろ。バレたらどうする?」

[立ち入り禁止ってことは誰も近づかないってことだろ?だったら誰にもバレないって!]

 

…………なんでそんなことをサラリと言えるんだ。

だがまぁ…………その理屈に賭けてみよう。

 

「…………わかった。明日また詳しくな」

[おう!また明日な!]

 

通信を切る。

 

「さぁ!エクシーズの情報を!」

「やらん。デッキの調整をするから話かけるなよ」

 

さて、タイタンとデュエルする可能性は無いとは思うが、念のため持っていこう。何でいく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝十代に会って集合時間、場所の打ち合わせをして、集合場所がレッド寮前になった。

で、集合時間。

 

「十代、丸藤と…………誰だ?」

 

【デス・コアラ】に似た、見慣れない男がいた。こんなやつ…………いたな。名前は忘れたけど、【ラー】がでる話で出てきたような気がする。ここの生徒だったか。

 

「前田隼人なんだなあ。よろしくなんだなあ」

「宮田龍斗だ。よろしくたのむ」

「じゃあ行こうぜ!」

 

十代進行のもと、俺達は廃寮に向かった。途中、前田隼人についての話題になった。授業さえ面倒臭がり出席しない人物がこういうのにやってくるのが珍しいとかなんとか。いや、授業は出ろよ。留年するぞ。そして、前田本人の談によれば、『勝つだけのデュエル』が好きじゃないらしい。

…………デュエリストに向いてないだろ。カードデザイナーにでも…………なるんだったな。

 

「お、着いたぜ!」

「……なかなか雰囲気あるな」

 

扉の壊れ方やら窓の割れ方やら、なかなかいい雰囲気だ。

眺めていると、少し離れたところからギシッと何かを踏む音がした。

 

「誰だ!」

 

十代が素早く手に持っていた懐中電灯を向けるとそこには天上院がいた。

何してるんだコイツ?

 

「明日香さん?」

「なんで明日香がここに?」

「それはこっちの台詞よ。ここがどんなところかわかっているの?(ナデナデ」

「…………俺の頭を撫でるのはなんでだ?」

「あっ!ごめんなさい。丁度いい位置に頭があったからつい」

 

最近思ったんだが、俺の身長が低い。十代の身長より頭半個低い。そして明日香の背は十代よりやや高い。そして天上院達とよく絡むせいか、段々遠慮が無くなってきて天上院や枕田、浜口が時々頭を撫でてくる。たまに屈辱を感じるので止めさせるんだが、こうして止めずに撫でてくる。

 

「つい、で人の頭を撫でるのかお前は?」

「そ、それに龍斗の髪サラサラしてて撫で心地良くって……本当にケアしてないの?」

「そんなのしない。気にしないからな」

 

最初に撫でられて止めさせたときに、『いつもどんなケアをしているの?』という感じで聞かれたが『ケアとかしない』と答えると、凄い恨めしそうな顔をされた。お前達は俺を女と勘違いしてないか?俺は男だぞ。女顔だけど。

 

「…………今度やったら相場の額でカードの買取させるか(ボソッ」

「ま、待って!それだと私達10代で借金することに……!」

 

それが嫌なら頭を撫でるのを止めるんだな。

 

「な、なら私達が貴方の指定したデッキでデュエルに勝ったら撫でさせなさい!」

 

何故コイツはそこまで必死なんだ?

ワケがわからん。

 

「…………ボクたち、肝試しに来たんだよね?」

「そのはずなんだなあ」

「はあっ……とりあえず今の話は置いておこう。えーっと、なんの話だったかな…………そうそう、ここがどんなところかわかっているのかって話だったな」

 

俺の頭云々は一度置いておこう。

多分平行線のままだ。

 

「生徒が行方不明って話だろ?そんなの俺は信じないね!」

「この寮の話は本当よ。遊び半分で来ていい場所じゃない。それにここは立ち入り禁止のはず。学校に知られたら騒ぎになるわ」

 

なんで俺に言うんだ?

テスターが騒ぎの中心にいるのは拙いと思ってるのか?

正解、大変拙い。だがテスターではなく、一学生として楽しみたい瞬間ってのもあると思うんだ。こういう肝試しとか、文化祭とか。

 

「そんなのが怖くて探険なんてできないね」

 

あれ?肝試しだろ?探険なんて聞いてない。

 

「真剣に聞きなさい十代!」

「なんだよやけに絡むな。そっちこそ俺達の質問に答えてないぜ。なんでここに?」

「……勝手にすればいいわ」

 

そう言って明日香は来た道を戻るように少し歩き、

 

「ここで行方不明になった生徒の中に、私の兄もいるの」

 

名前は確か……吹雪だっけか?セブンスターズの最初の刺客として十代に倒された【真紅眼(レッドアイズ)】使い。

そして明日香はその場を去った。

 

「……アニキ、明日香さんが今言ったこと……ボク、この話は作り話だって……」

「……まぁ、入ってみればわかるだろ。行こうぜ」

 

十代と前田、俺は丸藤を置いて寮に進入。

 

「丸藤、そこで待ってるか?」

「ぇえ!?…………待ってくれよ〜ボクも行くよ〜!」

 

中は埃を被っているもののレッド寮より豪華な内装だ。……よく考えたらレッド寮以下の設備の寮とか用意できるのか?逆に大変だろ。

 

「埃を被っているけど、オシリスレッドの寮とは大違いだなぁ。いっそ俺達、ここに引っ越さねーか?」

 

笑顔でそんなことをほざく十代。

やめとけ、バレたら退学じゃ済まないかもしれないぞ。

丸藤も前田も断固拒否といった様子。

肝試しでくるならまだしも、電気設備もままならないこの寮に3年間生活するのは俺も勘弁願いたい。

懐中電灯を壁に向けると、千年アイテムと思わしき絵が描いてある。闇のゲームについての研究か。

 

「ーーーーー!!」

「「「「!?」」」」

 

寮の奥から悲鳴が響いた。

今のは、天上院?

ああ、十代を誘う餌にされたのか。

 

「アニキ、今の声って!」

「うん、行こう!」

 

奥の部屋に行くと、そこには何も、誰もいなかった。この部屋じゃない?

十代が何かを見つけたようで、ついていくと何かを引きずった跡、そしてその途中にいかにもな目印の【エトワール・サイバー】のカード。

 

「明日香の【エトワール・サイバー】!」

 

いや、その【エトワール・サイバー】が天上院のものとは限らんだろ。実際は天上院のだけどさ。

 

「十代、何か引きずった跡があっちへ!」

 

前田が部屋の奥を指差す。

俺達は全速力で奥へ奥へと進む。

その途中の通路は土の壁に木の板を取り付けただけの簡易なもので、同じ寮の中とは思えないものだった。

進んださきには石の部屋。

そしてその奥には、棺の中で眠る天上院。

 

「明日香!」

「フフフ……この者の魂は最早深い闇に沈んでいる」

「誰だ!!」

 

足下の煙から、全身黒ずくめの大きな男が現れた。

…………よく隠れてたな。

 

「我が名はタイタン……闇のデュエリスト」

「お前、明日香に何をした!?」

「私は闇のゲームを操る闇のデュエリスト」

「闇のゲーム!?」

「ふざけんな!闇のゲームなんて、あるわけないだろ!」

 

実際はあるらしいぞ。確か、ATMとかはしょっちゅうしてたはず。

 

「試してみればわかるだろうよ小僧。ここは何人も踏み入ってはならぬ禁断の領域。我はその誓いを破る者に、制裁を下す!」

「ここでいなくなった人達も、お前のせいだな!明日香は、返してもらうぜ!」

「私に闇のゲームで勝てるなら、な。遊城十代」

 

唸る十代に、前田は背負っていたリュックの中からデュエルディスクを渡す。十代は前田に懐中電灯を渡しデュエルディスクを装着し、構える。

 

「後悔するなよ、小僧」

 

十代は天上院を見て、『今助ける』と呟いて、タイタンと向き合った。

 

「「デュエル!」」

 

タイタン

LP4000

 

VS

 

遊城十代

LP4000

 

「先手は貰った。私のターン、ドロー。【インフェルノクインデーモン】を召喚!」

 

【インフェルノクインデーモン】

攻撃表示

ATK900/DEF1500

 

「【デーモン】デッキか……!」

「ライフを払う維持コストがあるものの、相手のカード効果の対象になったときサイコロを振って指定された目がでたら効果を無効にして破壊する効果を持つモンスターだったか?」

 

だが、名前を忘れたが、フィールド魔法にそのコストを払わなくてよくなるってのがあったよな。

 

「だが、そのライフもこのカードがあれば払わなくてもいいのだよ。フィールド魔法【万魔殿(パンディモニウム)ー悪魔の巣窟ー】を発動!」

 

そうそう【万魔殿】だ。引いてたんだな。だが攻撃力上昇がないから【インフェルノクインデーモン】の攻撃力は900。そんなモンスターを立たせる?

 

「さしずめ、地獄の一丁目といったところか。ターンエンド……この小娘が気になるのなら貴様の目に映らないようにしてやろう」

 

すると天上院の入っている棺の蓋が閉まり、悪魔の骨と思われる物によって引きずりこまれていった。

 

「明日香ぁ!」

「汚いぞ!」

「卑怯者!」

 

前田と丸藤の言葉にタイタンは薄っすらと笑みを浮かべた。

 

「なんとでも言え、これが闇のゲームだ。なんならお前達も消してやろうか!」

 

タイタンの脅しに前田と丸藤は互いを抱き合って怯えていた。

…………お前らいい感じに小物だな。

 

「……ほう、そこの女は怯えないのだな」

「……俺はお前にはやられないよ。俺に挑むのは止めたほうがいい。アンタが無様に負けるだけだ」

 

それに、俺は男だ。服を見れば……こいつ部外者だったな。

 

「ふん。ならばこの小僧を葬った後で貴様を片付けるとしよう」

「十代に勝てるのならな」

 

仮にもテスター候補だし、負けるとは思えない。

 

タイタン

LP4000

モンスター

【インフェルノクインデーモン】:攻

ATK900

魔・罠

フィールド

【万魔殿ー悪魔の巣窟ー】

手札4枚

 

「俺のターンだ。ドロー!」

「このスタンバイフェイズ、『インフェルノクインデーモン】の効果で、【デーモン】モンスター1体の攻撃力が1000ポイントアップ」

「なに!?」

 

【インフェルノクインデーモン】

ATK900→ATK1900

 

攻撃力上昇か。

だがスタンバイフェイズって微妙じゃね?メインフェイズに使えるなら高攻撃力のモンスターでも置いて、効果からさらに上昇ってやるのがこの世界のやり方に……ちょっと強い?いや、そうでもないか?

 

「……なら、【E・HERO フェザーマン】を召喚!」

 

【E・HERO フェザーマン】

攻撃表示

ATK1000/DEF1000

 

【フェザーマン】?手札にまともなモンスターが他にいないのか?いや、それでも立てるなよ。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

明らかに誘ってるよな……攻撃力が劣るモンスターを立てて伏せ2枚って……

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【E・HERO フェザーマン】:攻

ATK1000

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズに【インフェルノクインデーモン】の効果で、攻撃力アップ!」

 

【インフェルノクインデーモン】

ATK900→ATK1900

 

「さらに【ジェノサイドキングデーモン】を召喚!」

 

【ジェノサイドキングデーモン】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「このカードは自分のフィールドに【デーモン】がいなければ召喚できないが……私の場には【インフェルノクインデーモン】がいるので問題ない」

 

レベル4で攻撃力2000か……デメリットが召喚規制……といっても緩いか。

さらに効果対象になったらサイコロふって指定された目が出たら無効にして破壊。ライフ払う効果も【万魔殿】で無効。なかなか面倒な。

 

「バトル。【ジェノサイドキングデーモン】で【フェザーマン】を攻撃。炸裂!五臓六腑!」

 

【ジェノサイドキングデーモン】の体から大量の虫が出てきて【フェザーマン】に襲いかかる。

 

「罠発動!【ドレインシールド】!相手モンスター1体の攻撃を無効にして、その攻撃力分ライフポイントを回復する!」

「無駄だ、【ジェノサイドキングデーモン】の効果発動!相手のカード効果の対象になったとき、ダイスを振って2か5が出れば、その効果を無効にして破壊する!」

 

タイタンの効果説明の直後、【万魔殿】中央からビリヤードの玉に似ている6個のボールが出てきた。アレは……?

 

「通常ダイスを使うが、今回はこのルーレットを使う」

 

なるほど。サイコロの代用……イカサマはしてない……よな?

 

「ルーレットスタートだ」

 

宣言と同時に炎がルーレットのボールを順々に回りだした。

一定のテンポで回る炎はやがてその速度を緩め、最終的に5で止まった。

 

「ルーレットは5。よって【ドレインシールド】は無効化され、破壊だ!そしてバトル続行!炸裂!五臓六腑!」

 

【ジェノサイドキングデーモン】から出てきた虫が【フェザーマン】を破壊し、その衝撃が十代を襲った。

 

「くっ!」

 

遊城十代

LP4000→3000

 

「だが、ヒーローの魂は受け継がれる!罠発動【ヒーロー・シグナル】!モンスターが戦闘で破壊されたとき、デッキから【E・HERO】1体を特殊召喚する!【E・HERO クレイマン】を特殊召喚!」

 

【E・HERO クレイマン】

守備表示

ATK800/DEF2000

 

「なんとか凌いだんだなあ」

「だが次のターンまでに【インフェルノクインデーモン】を処理しなければ【クレイマン】も破壊される」

「忘れてないか?これは闇のゲームだということを」

 

タイタンは懐から金色の三角錐を取り出した。アレは……千年パズル!?バカな!アレはもう無いはずだ!

 

「フフフ……消える、貴様の体が、闇に呑まれて消えていく……」

 

タイタンの持つ千年パズルから光が放たれ、

 

「「「「なっ!?」」」」

 

十代の体の一部が消滅した。

本当に千年パズルなのか!?

 

「お前のライフが0になったとき、その体は闇に呑まれて消滅する。ターンエンドだ」

 

タイタン

LP4000

モンスター

【ジェノサイドキングデーモン】:攻

ATK2000

【インフェルノクインデーモン】:攻

ATK900

魔・罠

フィールド

【万魔殿ー悪魔の巣窟ー】

手札4枚

 

十代は右手や体を見て状況を確認している。そしてデッキに指をかけ、

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローした。デュエルを続けるつもりらしい。

 

「このスタンバイフェイズ、【インフェルノクインデーモン】の効果で自身の攻撃力が1000ポイントアップ!」

 

【インフェルノクインデーモン】

ATK900→ATK1900

 

「【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドロー!」

 

遊城十代

手札3枚→5枚

 

「【融合】を発動!手札の【スパークマン】と場の【クレイマン】で融合!こい!【E・HERO サンダー・ジャイアント】!」

 

【E・HERO サンダー・ジャイアント】

攻撃表示

ATK2400/DEF1500

 

【サンダー・ジャイアント】か……相手の伏せカードは1枚もないこの状態で融合できたのはラッキーだ。しかし効果は無効化される可能性があるから、使うにしてもメイン2だ。わかってるよな?十代は……いや、そもそも融合した時に発動できるって効果だったな。

 

「バトル!【サンダー・ジャイアント】で【インフェルノクインデーモン】を攻撃!ボルティック・サンダー!」

 

【サンダー・ジャイアント】は【インフェルノクインデーモン】の前に飛び込み、右腕から電撃を放った。【ジェノサイドキングデーモン】を破壊しないのはおそらくダメージ優先で【インフェルノクインデーモン】にしたのだろう。ダメージ優先といっても差は僅か100ポイントだが……

 

「ぐうっ!」

 

タイタン

LP4000→3500

 

奴の体も消える……条件は対等ってことか。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

遊城十代

LP3000

モンスター

【E・HERO サンダー・ジャイアント】:攻

ATK2400

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「私のターン、ドロー。手札から装備魔法【堕落(フォーリン・ダウン)】を発動。【サンダー・ジャイアント】に装備」

「俺のモンスターに?」

 

【堕落】……?そんなカード……俺の記憶には無い……しかし、相手モンスターに装備ということはステータスダウンかコントロール奪取……どっちにしろ面倒な……

装備されたのか、【サンダー・ジャイアント】が黒いオーラを纏ってタイタンのもとに移動した。

 

「【サンダー・ジャイアント】!?」

「このカードを装備した相手モンスターのコントロールは私のものになるのだ」

「なんだって!?」

 

コントロール奪取……【強奪】と何か違うのか?【デーモン】が無ければ使えないカードか?…………【デーモン】デッキならありえなくはない。

そしてこれで総攻撃力4800……十代のライフを超えている。伏せカード1枚で防げるか?対象を取るカードだったら【ジェノサイドキングデーモン】に使わず【サンダー・ジャイアント】使って凌ぐくらいしか安全策は無いぞ。

 

「バトルだ。【ジェノサイドキングデーモン】で攻撃!炸裂!五臓六腑!」

「速攻魔法【クリボーを呼ぶ笛】!デッキから【ハネクリボー】を特殊召喚!」

 

【ハネクリボー】

守備表示

ATK300/DEF200

 

【ハネクリボー】は出てきた瞬間、【ジェノサイドキングデーモン】から放たれた虫によって破壊されてしまった。

 

「【ハネクリボー】の効果!戦闘で破壊されたターン、俺が受ける戦闘ダメージは0になる!」

 

よし、これならこのターンは凌げる。

 

「小賢しいマネを。カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

タイタン

LP3500

モンスター

【ジェノサイドキングデーモン】:攻

ATK2000

【E・HERO サンダー・ジャイアント】:攻

ATK2400

魔・罠

【堕落】《E・HERO サンダー・ジャイアント》

伏せ1枚

フィールド

【万魔殿ー悪魔の巣窟ー】

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!」

「このスタンバイフェイズ、【堕落】の効果で私は800ポイントのダメージを受ける」

 

タイタン

LP3500→2700

 

維持コスト、とは言い辛いがダメージを受ける続けることでコントロールを奪うカード。なかなか強力だな。

 

「永続魔法【悪夢の蜃気楼】を発動!カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

遊城十代

LP3000

モンスター

魔・罠

【悪夢の蜃気楼】

伏せ2枚

手札0枚

 

モンスターを引かない……まさかまたモンスター10枚とかそんなデッキなのか?

 

「貴様のライフは3000……そして私のフィールドにはそのライフを0に出来るだけのモンスター。貴様のフィールドに壁となるモンスターはいない……そろそろ決着をつけるとしよう」

 

そう言いながらタイタンはカードをドローして、

 

「このスタンバイフェイズ、【悪夢の蜃気楼】の効果で手札が4枚になるようにカードをドローする!」

 

遊城十代

手札0枚→4枚

 

「構わんさ。どうせこのターンで決着がつく。バトル!【ジェノサイドキングデーモン】でダイレクトアタック!炸裂!五臓六腑!」

「罠発動【聖なるバリア ーミラーフォースー】そして速攻魔法【非常食】も発動!」

「なんだと!?」

「【ミラーフォース】と【悪夢の蜃気楼】を墓地に送り、ライフポイントを2000ポイント回復する!」

 

遊城十代

LP3000→5000

 

「そして、【ミラーフォース】の効果でお前のフィールドの攻撃表示モンスター全てを破壊する!」

 

ライフを回復しつつ相手モンスターの全滅。更に手札を回復できた。このターンだけ見ると十代のプレイングというか、引きの異常さが凄まじく感じる。

 

「無駄な足掻きだ。手札の【デスルークデーモン】の効果発動。私の【デーモン】モンスターが破壊されたとき、このカードを手札から墓地に送ることで、破壊された【デーモン】モンスターを復活させる。更に【万魔殿ー悪魔の巣窟ー】の効果、戦闘以外で【デーモン】モンスターが破壊されたとき、破壊された【デーモン】モンスター以下のレベルを持つモンスターを手札に加える。【デスルークデーモン】を手札に」

 

手札を減らさずに戦線維持を図るか。

 

「そして【デスルークデーモン】の効果で蘇れ!【ジェノサイドキングデーモン】!」

 

【ジェノサイドキングデーモン】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

召喚ができないだけで、特殊召喚はできるのか……

 

「この特殊召喚はバトルフェイズ中のもの。よって攻撃可能。炸裂!五臓六腑!」

「ぐうっ!」

 

遊城十代

LP5000→3000

 

「ターンエンド」

 

タイタン

LP2700

モンスター

【ジェノサイドキングデーモン】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【万魔殿ー悪魔の巣窟ー】

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!【戦士の生還】!墓地の【フェザーマン】を手札に加え、【融合回収(フュージョン・リカバリー)】発動!墓地の【融合】と【スパークマン】を手札に戻す」

 

遊城十代

手札4枚→6枚

 

「【融合】を発動!【フェザーマン】と【バーストレディ】を手札融合!来い!【E・HERO フレイムウィングマン】!」

 

【E・HERO フレイムウィングマン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1200

 

「バトル!【フレイムウィングマン】で攻撃!フレイム・シュート!」

 

【フレイムウィングマン】の右手の龍頭から放たれた炎が、【ジェノサイドキングデーモン】を焼き尽くした。

 

「そして、【フレイムウィングマン】の効果で、【ジェノサイドキングデーモン】の攻撃力分のダメージを与える!」

「ぐううっ!」

 

タイタン

LP2700→2600→600

 

「よし!」

「追い詰めたんだなあ!」

「ぐぅ……だが、【デスルークデーモン】の効果でこのカードを墓地に送り、【ジェノサイドキングデーモン】を復活させる!」

 

しつこいくらいに【ジェノサイドキングデーモン】を使ってくるな。

 

「ターンエンド」

 

遊城十代

LP3000

モンスター

【E・HERO フレイムウィングマン】:攻

ATK2100

魔・罠

手札3枚

 

「私のターン、ドロー!【ジェノサイドキングデーモン】を生贄に、【迅雷の魔王ースカル・デーモン】を召喚!」

 

【迅雷の魔王ースカル・デーモン】

攻撃表示

ATK2500/DEF1200

 

「バトル!【フレイムウィングマン】を攻撃!怒髪天昇撃!」

 

【スカル・デーモン】の放つ雷撃により【フレイムウィングマン】は破壊されてしまい、爆風が十代を襲う。

 

遊城十代

LP3000→2600

 

「フフフ……貴様のライフが減ったことにより、貴様の体がまた消える……」

 

再び出した千年パズルから光が放たれ、十代の右腕が消滅した。

 

「あぁ!アニキの右腕が!」

「え?右足だろ?」

「「え?」」

 

丸藤と前田の見ている光景に違いが?どういうことだ?

 

「ターンエンド」

 

タイタン

LP600

モンスター

【迅雷の魔王ースカル・デーモン】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【万魔殿ー悪魔の巣窟ー】

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!……【E・HERO スパークマン】を守備表示で召喚!」

 

【E・HERO スパークマン】

守備表示

ATK1600/DEF1400

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

遊城十代

LP2600

モンスター

【E・HERO スパークマン】:守

DEF1400

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「私のターン、ドロー。【ジェノサイドキングデーモン】を召喚」

 

【ジェノサイドキングデーモン】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「バトル!【ジェノサイドキングデーモン】で【スパークマン】を攻撃!炸裂!五臓六腑!」

 

もう何度目かも覚えてないこの攻撃によって【スパークマン】は破壊。守備表示だったからダメージはないが……

 

「【スカル・デーモン】でダイレクトアタック!怒髪天昇撃!」

「ぐあぁぁぁ!!」

 

遊城十代

LP2600→100

 

「アニキ!」

「「十代!」」

 

通称鉄壁と呼ばれるライフ。だが本当にそのままになるとは限らない。

このまま十代は負けるのか……?

 

「ターンエンド。フフフ……さあ、闇に呑まれろ。貴様は立つ気力も失い、意識も闇に落ちるのだ……」

 

奴の言葉通りに、十代はフッと跪いた。そしてゆっくりと、目を閉じた。

まだライフは0じゃないのに何故!?

 

タイタン

LP600

モンスター

【迅雷の魔王ースカル・デーモン】:攻

ATK2500

【ジェノサイドキングデーモン】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【万魔殿ー悪魔の巣窟ー】

手札3枚




今回はここまで。そして次回はタイタンVS.龍斗です。


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闇のゲーム VS.タイタン

ご指摘があり修正しました。そしたら1000文字短縮されました…………
前回はこんな感じで終わりました。
11ターン目エンドフェイズ終了
タイタン
LP600
モンスター
【迅雷の魔王ースカル・デーモン】:攻
ATK2500
【ジェノサイドキングデーモン】:攻
ATK2000
魔・罠
伏せ1枚
フィールド
【万魔殿ー悪魔の巣窟ー】
手札3枚

VS

遊城十代
LP100
モンスター

魔・罠
伏せ1枚
手札2枚


「フフフ……その男の意識は闇に落ちた……デュエルすることはできん」

「そ、そんな……」

 

十代が闇のデュエリストを名乗る男タイタンとのデュエルの最中、急に跪き眠りについた。体も一部が消滅している。本当に闇のゲームなのか……?

 

「…………俺が代わる。俺とデュエルだ」

「フフフ……いいだろう。そこの小僧はもうデュエルできないのなら私の勝ちと言えよう」

 

デッキを取り出し、奴の前に行こうとしたとき、意識を失っていたはずの十代がいきなり立ち上がった。

 

「まだ、まだ俺はやれるぜ!俺のターン、ドロー!」

「十代!?」

「ば、バカな!?まだ戦う気力があるだと!?」

 

十代は勢いよくカードを引くと、自分の体を見て何かを考えているのか少し黙ると前田に向かって、

 

「隼人、今俺の右腕が消えてるよな?」

 

とか聞いてきやがった。何を考えてるんだ?

 

「え?左……だと思うけど」

 

は?右腕だろ?

俺がそう思っていると、十代は何かを確信したのか、笑みを浮かべ、

 

「なるほど、はっきり言うぜ、お前の闇のゲームは、インチキだ!」

「な、なにぃ!?」

 

インチキ……何かのトリックだと?

しかし十代、それをどうやって証明する?

 

「多分コイツはマジシャンか何かで、催眠術を使って俺達に体が消えているように見せたのさ。だから俺達や隼人の見てる光景に食い違いがあるのさ」

 

催眠術……!

だから前田と丸藤や俺の見てる光景が違うのか……!

 

「ぬぅ……コレを見ろ!」

「させるかよ!」

 

タイタンが千年パズルを取り出して見せつける。俺はデッキケースからカードを取り出して千年パズルに突き刺すように投げつける。拳銃の撃鉄を止めたりする意味不明なカードがこんな形で役に立つとは……狙い通りカードが千年パズルの眼に刺さった。

 

「し、しまった!」

 

タイタンの反応の直後、消えていたタイタンと十代の体が元に戻った。

 

「ちぃっ!バレてしまったらこのデュエルを続行する意味はない!」

 

タイタンは偽千年パズルを地面に投げると、偽千年パズルは爆発した。

 

「「逃がすか!」」

 

俺と十代は即座に奴を追う。

するとフィールドの中央に向かって黒煙が渦を巻いて集まっていく。

 

「十代!」

「うわっ!」

 

嫌な予感に従い十代を突き飛ばすと、俺とタイタンが黒煙に呑まれた。

黒煙の中は形容しがたい暗い空間。しかし目の前はしっかりと見え、煙によって息苦しいという感じはしない。

 

「な、なんだこれは!?」

「今更何を言ってる。お前の仕業だろう」

「ち、違う!私はこんなのは知らない!」

 

タイタンは演技ではなく本当に動揺していて、これが第三者によるものだということが判断できた。

 

『クリクリ〜』

「ん?【ハネクリボー】?」

 

ソリッドヴィジョンは起動していないのに何故?いや、そもそも俺は【ハネクリボー】のカードは持ってきてない。

 

「な、なんだ!?や、止めろ!来るなぁ!!」

 

急にタイタンの声がしたので、見てみると、灰色のスライムのようなものがタイタンにまとわりつき、そして、

 

「んぐぅ!?」

 

タイタンの口の中に進入した。

俺の足元にも同じものがいるが、

 

『クリクリ〜!』

 

【ハネクリボー】が近づくと距離をとる。まさか、攻撃力300程度に怯えるのか?まぁアレが口の中に入ってくるよりはマシだが……

スライム達がタイタンの中に入り終えると、タイタンの様子が変わった。

 

「さあ、始めようか。本当の闇のゲームを」

「……何を言っているんだか……本当の闇のゲーム?そんなものは存在しない」

「この空間から出るには闇のゲームで勝利するしかない。そして敗北した者は闇に魂を喰われる」

「…………まぁいいや。いいぜ、茶番に付き合ってやる」

 

タイタンの足元に落ちている俺が投げたカードを拾い、ディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

タイタン

LP4000

 

「先攻はもらう。俺のターン!モンスターをセット!カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ3枚

手札2枚

 

『伏せ』より『セット』の方がしっくりくる。十代達とデュエルしててそう思い、言い方を変えた今日この頃。

 

「私のターン、ドロー。【天使の施し】を発動。カードを3枚引き、2枚捨てる」

 

手札交換……【デーモン】デッキだろ?使い道なんて……いやまぁ普通に色々あるか。

 

「【死者蘇生】を発動。墓地より【ジェノサイドキングデーモン】を特殊召喚。更にもう一体を通常召喚」

 

【ジェノサイドキングデーモン】×2

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

攻撃力2000が2体。だがさっきまでとは雰囲気というか、何か違う。

 

「バトル!」

「リバースカード!速攻魔法【アーティファクト・ムーブメント】!フィールドの魔法・罠1枚を破壊する!」

「何をバカなことを。私の場に魔法も罠も無い!」

「バカなことを言ってるのはアンタだ!俺が破壊するのは、俺のカードだ!リバースカードを破壊し、デッキから【アーティファクト】モンスターを魔法・罠カード扱いで魔法・罠カードゾーンにセットする!そして破壊された【アーティファクトーベガルタ】の効果発動!魔法・罠カード扱いのこのカードが相手ターン中に破壊されたとき、墓地からこのカードを特殊召喚する!」

 

【アーティファクトーベガルタ】

守備表示

ATK1400/DEF2100

 

「【ベガルタ】の効果発動!相手ターン中の特殊召喚に成功したとき、自分フィールドのセットカードを2枚まで破壊する!セットカード2枚を破壊!破壊された【アーティファクトーモラルタ】、【アーティファクトーカドケウス】の効果をチェーン1、2で処理する!これらのモンスターは【ベガルタ】同様、魔法・罠カード扱いのこのカードが相手ターン中に破壊されたとき、墓地からこのカードを特殊召喚する!」

「ま、待て!モンスターを魔法・罠カードゾーンにセットするのはできないはず!」

「【アーティファクト】モンスターは共通効果の1つとして魔法・罠カード扱いで魔法・罠カードゾーンにセットできるのさ。チェーン処理だ。チェーン2、【カドケウス】を守備表示で特殊召喚!」

 

【アーティファクトーカドケウス】

守備表示

ATK1600/DEF2400

 

「チェーン1、【モラルタ】を特殊召喚!」

 

【アーティファクトーモラルタ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1400

 

「そして【カドケウス】、【モラルタ】の効果をチェーン1、2で再び処理する」

「ま、まだあるのか!?私のターンだぞ!」

 

それが【アーティファクト】モンスター達の力だ。

 

「チェーン2、【モラルタ】の効果で相手モンスターを破壊」

「ならば【ジェノサイドキングデーモン】の効果だ。ルーレットの2・5が出たときこのカードを対象にした相手カードの効果を無効にし、破壊する」

「残念だが【モラルタ】の効果は対象を取る効果ではない。よって【ジェノサイドキングデーモン】の効果は使えない」

「な、なんだとぉ!?」

 

【モラルタ】を持つ青く光る男が【ジェノサイドキングデーモン】に斬りかかり、破壊した。

 

「チェーン1だ。相手ターン中に【アーティファクト】モンスターの特殊召喚に成功したので、カードをドローする」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「ぐぅ……【ジェノサイドキングデーモン】で守備モンスターを攻撃!炸裂!五臓六腑!」

「破壊されたのは【シャドール・ファルコン】だ。【ジェノサイドキングデーモン】の効果でリバース効果は無効となるもっとも、元々効果対象がいないので発動できないけどな」

「カードを伏せ、ターンエンド」

 

タイタン

LP4000

モンスター

【ジェノサイドキングデーモン】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

さて、今回は【アーティファクト】と見せかけて【シャドール】がメインだ。だというのに【影依融合(シャドール・フュージョン)】も【神の写し身との接触(エルシャドール・フュージョン)】も引かない。【ヘッジホッグ】はあるけど、リバース効果は使えない……ちょっとデッキを間違えた感があるぞ。

 

「ドロー」

 

……【超電磁タートル】……

 

 

「レベル5の【アーティファクトーカドケウス】と【アーティファクトーベガルタ】でオーバーレイ!」

 

杖と剣がフィールドに現れた銀河を模した空間に溶けていく。

 

「な、何だ!?何が起きている!?」

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!二つの武具を重ね、不滅の剣がここに創造される!エクシーズ召喚!完成!ランク5!【アーティファクトーデュランダル】!」

 

【アーティファクトーデュランダル】

攻撃表示

ATK2400/DEF2100

 

「な、なんだこのモンスターは!?」

「このデュエルに勝てたら教えてやる。もっとも、負けるつもりは無いけどな。バトル!【アーティファクトーモラルタ】で【ジェノサイドキングデーモン】を攻撃!」

 

【モラルタ】を持っている青く光る人物が俺に【モラルタ】を投げ渡す。

俺が戦うんだな……受け取ってみると、案外軽い。

【ジェノサイドキングデーモン】の懐に飛び込み、横薙ぎに切り裂く。

 

「ぐうっ!」

 

タイタン

LP4000→3900

 

「次、【デュランダル】!」

「罠発動!【炸裂装甲(リアクティブアーマー)】!貴様のモンスターを破壊する!」

 

【デュランダル】を受け取ろうとすると、いきなり【デュランダル】が砕けた。……装甲の要素を教えろ。

 

「カードを1枚セット。ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【アーティファクトーモラルタ】:攻

ATK2100

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「私のターン、ドロー。【インフェルノクインデーモン】を召喚!」

 

【インフェルノクインデーモン】

守備表示

ATK900/DEF1500

 

「私は装備魔法【堕落】を発動。貴様のモンスターのコントロールを得る」

 

【モラルタ】とそれをもつ人物がタイタンのもとへ移動した。

それは返してもらう。

 

「リバースカード【堕ち影の蠢き】。デッキから【シャドール】カードを墓地に送る。【シャドール・リザード】を墓地に送る」

「何を企んでいるかは知らんが、そんなことをして何になるバt」

「そして【シャドール・リザード】の効果。デッキから【シャドール・リザード】以外の【シャドール】カードを墓地に送る。【シャドール・ドラゴン】を墓地に。そして【シャドール・ドラゴン】の効果で【堕落】を破壊する」

「な、なんだと!?」

 

俺のセットカードが1枚消えたが元通りだ。

 

「ぬぅ……ターンエンドだ……」

 

タイタン

LP3900

モンスター

【インフェルノクインデーモン】:守

DEF1500

魔・罠

手札2枚

 

「ドロー」

 

やっと来たか……【リザード】を落としてデッキ圧縮してよかった。

 

「魔法カード【影依融合】を発動!手札の【シャドール・ヘッジホッグ】と【超電磁タートル】を融合!

鋭利な針持つ人形よ、光持つ者を喰らい、その闇を深く、黒く染めあげろ!融合召喚!勝利を手繰れ!【エルシャドール・ネフィリム】!」

 

【エルシャドール・ネフィリム】

攻撃表示

ATK2800/DEF2500

 

「【ヘッジホッグ】の効果発動!このカードがカード効果で墓地に送られたとき、デッキから【シャドール】モンスターを手札に加える。【ネフィリム】の効果もチェーンして発動だ!チェーン2、【ネフィリム】の融合召喚に成功したとき、デッキから【シャドール】カードを墓地に送る。【シャドール・リザード】を墓地へ。チェーン1、デッキから【シャドール・ファルコン】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚

 

「さらに【シャドール・リザード】の効果で【シャドール・ビースト】を墓地に送り、【シャドール・ビースト】の効果発動。カードを1枚ドロー」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「バトル!【モラルタ】で【インフェルノクインデーモン】を攻撃!」

 

【モラルタ】を受け取り、【インフェルノクインデーモン】を斬り裂く。

 

「続いて【ネフィリム】でダイレクトアタック!

「ぐぅぅ!」

 

タイタン

LP3900→1100

 

「ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【エルシャドール・ネフィリム】:攻

ATK2800

【アーティファクトーモラルタ】:攻

ATK2100

魔・罠

伏せ0枚

手札3枚

 

「私のターン、ドロー!……【インフェルノクインデーモン】を召喚!」

 

【インフェルノクインデーモン】

攻撃表示

ATK900/DEF1500

 

「装備魔法【堕落】発動!【エルシャドール・ネフィリム】のコントロールを得る」

 

さっきと同じパターン……だがこちらに除去カードがない……

 

「バトル!【エルシャドール・ネフィリム】で攻撃!」

 

使うことは無いと思ってたが、【ネフィリム】を相手にしたくない……仕方ないか……

 

「墓地の【超電磁タートル】の効果発動」

「墓地からモンスター効果だと!?」

「相手ターンのバトルフェイズ、墓地のこのカードを除外することでバトルフェイズを終了させる。この効果はデュエル中1度しか使えない」

 

もっとも、1枚しか入れてないし、除外再利用とかも無いから関係ないけどな。

 

「ぐうぅ……カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

タイタン

LP1100

モンスター

【エルシャドール・ネフィリム】:攻

ATK2800

【インフェルノクインデーモン】:攻

ATK900

魔・罠

【堕落】《エルシャドール・ネフィリム》

伏せ1枚

手札0枚

 

「ドロー!このスタンバイフェイズ、【堕落】の効果で800ポイントのダメージを受けてもらう。そして【インフェルノクインデーモン】の攻撃力が上昇」

 

タイタン

LP1100→300

 

【インフェルノクインデーモン】

ATK900→1900

 

「バトル!【モラルタ】で【インフェルノクインデーモン】を攻撃!」

「罠発動【聖なるバリア ーミラーフォースー】!これで貴様のモンスターは全滅だ!」

 

…………【ミラフォ】が仕事した!?

いや、十代のときも仕事したか。

 

「速攻魔法【神の写し身との接触】!手札とフィールドのモンスターで融合する!」

「バトルフェイズ中に融合だと!?」

「手札の【シャドール・ファルコン】と【シャドール・ビースト】で融合!影と影重なりて、新たな影が闇より生まれる!融合召喚!閉ざせ!【エルシャドール・ミドラーシュ】!」

 

【エルシャドール・ミドラーシュ】

攻撃表示

ATK2200/DEF800

 

「【ミドラーシュ】はカード効果では破壊されない!そしてバトルフェイズ中の融合召喚のため攻撃できる!だがその前に【シャドール・ファルコン】の効果で自身をセット。【シャドール・ビースト】の効果で1枚ドロー!【エルシャドール・ミドラーシュ】で【インフェルノクインデーモン】を攻撃!シャドー・ブレス!」

「ぐうぅぅおお!!」

 

タイタン

LP300→0

 

決着直後、タイタンの足下に大量のスライムが集まりだした。

 

「ぬぅ!?な、何をする!バカな!本当に闇のゲームがあるというのか!?」

 

そう言って奴はスライム達で見えなくなった。どうなってるんだこれ?

 

『クリ〜!』

 

【ハネクリボー】の声が……いや、だからなんでソリッドヴィジョンが動いてるんだ?もうデュエルは終わったし、誰も【ハネクリボー】を使ってないぞ。

……疲れてんのかな……

【ハネクリボー】の奥に光の亀裂があった。あそこが出口か?

タイタンを置いて走る。

亀裂から出ると、元の部屋に着いた。

 

「龍斗!」

「……十代」

「無事ッスか!?」

「ああ、なんとか……伏せろ!」

「「「!?」」」

 

俺とタイタンがいた空間が急激に収縮し始め、突風が吹き荒れる。

 

「ッ!明日香!」

「十代!!」

 

十代が急に天上院を呼び、棺に飛び込む。気を失って抵抗できない天上院を抑えるつもりか。

突風は直ぐに止み、空間の収縮は止み、破裂音と共に紙吹雪が舞った。

…………空間の収縮…………どうやるんだ?

 

「龍斗君、アイツどこ行ったんスか?」

「さぁ?多分帰ったんだろう」

「多分って……」

「まぁアイツの居場所はどうだっていいだろ。とりあえず天上院を運ぶぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十代と龍斗達の移動中

 

「ヌフフ……今頃遊城十代はコテンコテンになってるはずナノーネ」

 

クロノス教諭が廃寮に進入。十代が敗北したことを確認するためだろう。

ある部屋に入ると

 

「……誰も居ない。さてはアイツしくじったノーネ?」

 

部屋の中を探索。するとすぐにある物を見つけた。

 

「…………領収書。クロノス・デ・メディチ様。……金は払ってないけど貰っておくか。アラビアータ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん…………」

「お!目が覚めたか」

 

天上院を運び出し、近くにあった切株を背もたれに座らせ。目が覚めるのを待つ。しかし直ぐに目が覚めたようだ。

 

「貴方達、どうしてここに?」

「悪かったな。変な事に巻き込んで」

 

十代はそれだけ言って【エトワール・サイバー】と廃寮で見つけた写真を渡す。

 

「……兄さん!間違いない。これは兄さんのサイン……」

 

曰く、天上院の兄は『天上院』の『天』を数字で書いていたらしい……これで少しは兄のことが解ればと十代は言っていたが、殆ど解ることはない。それがその兄本人の物かは、わからないのだから。……空気読んで言わないけど。

朝日と共にニワトリの鳴き声が聞こえた……オールした……そう思った瞬間眠気がやってきた。ね、眠ぃ……

 

「やべぇ!隼人、翔!皆が起きる前に戻るぞ!」

「それじゃ」

「サヨナラッス!」

 

3人は駆け足で寮に戻って行った。

 

「……俺も戻るか。じゃあn……ふぁああ〜」

 

少しでも寝よう。

のんびりと寮に戻る俺だった。




修正って恐ろしいです。急いで修正したので、変な部分があるかもしれませんが、見つけ次第ご指摘お願いします。
次回は十代VS翔……の見学です。
では


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退学 十代VS.翔

先日この作品のお気に入り登録が100件を超えました。
こんな駄作をお気に入り登録していただき、ありがとうございます。


「龍斗、起きろ!お前にお客さんだ」

「ん〜……あと……5時間31分……」

「やけに半端だな……それに長い……あ、いや、そうじゃなくて客が来てると言ったんだ!起きろ!」

 

昨夜…………いや、最早今日未明と言うべきか。

静かに足音一つ立てずに部屋に戻り、少し寝ようと思ったら、今日日曜日じゃん。と思い出し爆睡。

9時間くらい寝ようとぐっすり眠っていたら。同室の三沢に叩き起こされた。

 

「ん〜なんだよ寝かせろよぉ……」

「お前にお客さんだ。女性は待たせるものじゃないぞ」

 

女性……?んな知り合いなんてここの生徒くらいしか……いるじゃん知り合い。

 

「寝てるって言っといてくれ。おやすみ」

「言ったら『起こせ』と言われたんだ」

 

…………枕田か?アイツの強気な性格ならあり得そうだが……まぁいいや。とりあえず行こう。

 

「お、おいそのまま行くのか!?」

 

三沢を無視してパジャマ(何故か多くの男子生徒の寝間着はジャージだが俺はパジャマだ。ジャージだと寝れないから)のまま玄関に行くと、

 

「…………やっと来たと思ったら寝癖ついてるし、着替えてもないのね……あと、なんで(そんなもの)を持ってるの?」

 

そんなもの?…………あ、本当だ。枕持ってきてた。まぁいいや。別に困らないし。で、待っていたのは枕田ではなく天上院だった。

 

「何の用だ。さっさと用件を言え。俺は眠いんだ」

「……パジャマとか枕とかに色々言いたいけど、今度にするわ。十代と翔君が退学をかけてタッグデュエルするらしいの」

「……退学?」

 

なんでそんなことに?

天上院によると、夜中に廃寮に入ったことがバレたかららしい。で、十代と丸藤がタッグを組んで勝利すると無罪放免。負ければ即退学ということらしい。…………いやいやいや。ツッコミどころがあるだろ。

 

「…………校長室に行くぞ」

「え?あ、ちょ、その格好で!?」

 

着替える→校長室→着替える→寝るよりも校長室→寝るのほうが効率良いからな。

道中いろんな生徒に2度見とかされたが校長室へ到着。

 

「失礼します」

「だから待ちなさい!あ、失礼します!」

「…………なんて格好なのかね君は?」

「服装云々に関してのツッコミは一切聞きません。十代達の件で幾つか聞きたいこと、言いたいことがあります」

 

校長室に入ると前田と見慣れない深いグリーンの服を着た女性がいたがそれも流して本題に。

 

「まず、情報はどこからのものですか?」

「……私は『そういうことがあった』としか聞いていないんだ」

 

ふむ……情報は明かさないと。

 

「……まぁいいでしょう。次に、その情報について調べはついているんですか?」

「彼女達査問委員会が調査済みだ」

 

校長はグリーンの服の女性を見て言う。あの服は査問委員会のものか……にしても調査済み、ねぇ……

 

「随分ずさんな調査ですね。ここにいる前田、天上院、そして俺もその廃寮にいたというのに十代と丸藤だけが退学ですか……本当は調査してないんでしょう?」

「なっ!?我々の調査を否定するのか!」

「だってそうでしょう。十代と丸藤だけじゃなく、俺達もいたのに俺達を呼び出すなんてことはなかった。つまり俺達がいたという事実を知らなかったんだ。調査してないなんて言われても文句は言えないでしょう?」

 

査問委員会の女性は黙って反論してこない。まぁ仮に知っていて呼び出さないとなるとそれを問題にすればいいだけだしな。

 

「それに情報が早すぎる。寮に行ったのは昨日深夜から今朝にかけての時間だ。調査云々以前に査問委員会に情報が行く時間が短すぎる。誰かが十代達を陥れようとした可能性を考えなかったんですか?考えてその程度の調査で十代達を退学?査問委員会もたかが知れてますね。小学生以下だ」

「〜〜〜ッ!」

 

女性は顔を真っ赤にして唸るだけ……反論の『は』の字も無しかよ。

と思いきや、

 

「し、しかしタッグデュエルは既に決定し、双方納得している!」

「そうか。なら俺にもやらせろ。それで今回は退いてやる」

 

…………ついタメ口になったけどいいや。

 

「それをしてこちらにメリットなどーーー」

「メリットを求めるのが査問委員会という組織なのか。なら聞こう。曖昧な情報で生徒を退学させることでそちらが得られるメリットとやらを」

「そ、それは……」

「無いんだろう?明確な情報なら『風紀の乱れを正す』とかいった大義名分があるが、曖昧なものだ。そして今までデカい顔で色々な生徒を退学にしてきたが故に、今更退学させる生徒の人数を増やすことで生まれる疑惑の目かなんかを抑えたいとか考えてるのか?

なら言っておくが無駄だぞ。俺の要求を呑まなければこのことをPDAのネットに尾ひれつけてばら撒くからな」

「そ、そんなこと!」

「そして要求を呑めば、今回は退いてやると言っているんだ。どちらがそちらにメリットがあるか…………小学生以下の調査しかできないアンタらでもわかるよな?」

「くっ……!」

 

おやおや。このくらい海馬さんなら『好きにしろ』の一言で流すんだけどな。

 

「対戦相手はそちらに任せる。では校長先生、失礼します。あとそこのパジャマ姿の学生に言いくるめられた人も」

「なっ!き、貴様!」

 

そそくさと退散。

早く部屋に戻って寝よう。

眠くて眠くて……

 

「待ちなさい龍斗!」

「なに?眠いんだけど」

 

校長室を出て寮に戻ろうとするも天上院によって阻止された。

この野郎、俺の眠りを妨げる気か!?

 

「タッグデュエルの相手は決まってるの!?決まってないのなら寝てる暇なんてないでしょ!パートナーとの相性もあるのだからーーー」

「1人でやるんじゃないの?」

「…………え?」

 

今だ!

全力でダッシューーー

 

「だから待ちなさいって!」

 

ーーーできなかった。

肩を握り潰さんばかりの強さで掴まれてる……い、痛い!

 

「ちょ、ギブ!ギブ!」

「逃げない?」

「に、逃げる!今のお前凄い怖いから逃げるに決まってーーー嘘です!逃げません!逃げませんから!」

 

逃げる宣言したら更に威力が上がった。こいつ女の握力じゃねぇだろ……なんとか解放されるもまだ若干痛い。

 

「で、『1人でやる』ってどういうこと?」

「どういうも何も『俺にもやらせろ』って言ったんだ。良くて1VS1、もしくはそれ以上の状態になるだろ十代達の相手と2VS1とか」

 

タッグはないだろうな。眠くてイライラしてたから八つ当たりのように言いくるめた感あるし。その仕返しがくる可能性はある。…………ライフ100でスタートとかあるかもしれん……一応【緑一色】の準備をしておこう。

 

「なら私もやるわ。タッグデュエルで私をパートナーにしなさい!」

「いや、俺に言っても意味ないだろ!言うなら俺じゃなく校長なり査問委員会の連中に言え!」

「……そうね。言ってくるわ。そこで待ってなさい!動いたら承知しないわよ!」

 

言った途端走り去った天上院。

…………俺にパジャマのまま校舎にいろと?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すぅ…………すぅ…………」

「起きて、龍斗……起きなさい!」

「んにゃう!?」

 

急に起こされて変な声出してしまった……恥ずかしっ!

 

「……天上院?」

「こんなところで寝るなんて……」

「眠かったんだ。それにお前動いたら承知しないって言ったし、動いたら何されるかわかったもんじゃないし」

「な、何もしないわよ!小一時間頭を撫で回すくらいよ」

「ざけんなゴラァ!」

 

ただでさえ屈辱的だというのにそんな状態を小一時間だあ?女とはいえ蹴り飛ばすぞ。

 

「じ、冗談よ…………1%は」

「99%本気じゃねぇか!」

 

最近なんか天上院達へのツッコミ役が多い気がする。いや、間違いないだろう。特に俺の頭関連で。

 

「まぁその話は置いておきましょう」

「俺にとっては結構重要だかんな?そこんとこ理解しとけ?」

「貴方のタッグパートナーは私になったわ」

「あっそ。で?何かするわけ?」

 

デッキ貸せとかだったら1人でやる。理由は貸したデッキとタッグを組めるデッキを用意してないし、用意するのも面倒だからだ。

 

「どんなデッキでいくのか教えなさい」

「いや、教えたところでお前のデッキに変化は無いだろ?ただ混沌としたフィールドで戦うだけだ」

 

天上院自身のデッキと相性の良いデッキなんて俺は持ってないと思う。俺のデッキはテスターとして戦う事前提だからどうしてもフィールドを埋めがちだから俺のカード達の中に天上院のカードが少し隙間を埋める。そんなフィールドになると予想できる。

 

「場合によってはデッキを調整しないといけないじゃない」

「『調整』と言っても大して変わらないだろ。お前の使うのは確固としたカテゴリーではなく、通称でしかないんだから」

 

【サイバーガール】だったか?あの特に発展することなく終わったカード達。【E・HERO】はアニメ終わって少ししたら【属性HERO】出てきたし、【ロイド】……あ、【ヴァルバロイド】いたな。あと主要キャラは……こんなもんか。

 

「そこは腕の見せどころよ」

「……まぁいいや。三沢には悪いが少し外でも散歩してもらおう。部屋に来い。寮長の樺山先生には話をつけておく。デッキとカードプールを持ってこい」

 

PDAで三沢に連絡し、急いで樺山先生に話をつけ、必要になりそうな摩訶不思議ケースを取り出していると、ドアをノックする音が聞こえた。

 

「まだパジャマなの?」

「念のためケースを出してたんだよ。一学生であるお前のカードプールじゃ必要なカードがある可能性は低いからな」

 

テスター関係無しに俺はカードに困らないけどな。

 

「それはあなたがテスターだからーーー」

「俺のカードは元から俺のだ。テスターである前からな」

「どういうこと?」

「俺がテスターになる前からシンクロ・エクシーズ・ペンデュラムは俺の手にあったってことだ」

 

そういう願いだったからな。

あの交渉が無ければテスター関係無しにいろいろできたんだが……過ぎたこと考えても仕方がないか。

 

「な、何よそれ!詳しく教えなさい!」

「なんでお前に俺の全てを教えなきゃならない?お前と俺の関係はテスター候補とスカウト、またはただの友人、同級生というだけだ。その程度の関係で根ほり葉ほり聞かれなきゃいけないのか?」

「ぐ……そ、それは……」

「わかったらさっさとデッキを出せ。調整するんだろ?」

「ち、調整くらい1人でできるわよ!」

「…………そうか。なら好きにしろ。おやすみ」

「え?あ、ちょっと!」

 

天上院を無視してベッドにダイブ。三沢に連絡して別に帰ってきてもいいと伝え就寝。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍斗……龍斗!起きろ!」

「ん……んぅ……」

 

三沢が揺すり起こしにきた。なんだ?昼食か夕食か?

 

「ん、ん〜〜!……はぁっ」

 

体を目一杯伸ばして起床。

 

「…………なんだ三沢……飯か?」

「昼食の時間はもう過ぎてる。夕食はまだ先だ。また天上院君が来ているぞ」

「ん……」

 

なんだ。出て行ったのか……まぁアイツのカードだけで調整するなら俺の部屋にいる意味は無いから当然か。

やはりパジャマのまま寮の玄関まで行く。

 

「十代がこれから翔君とデュエルするらしいの。着替えてレッド寮に来なさい」

「…………果てしなく面倒なんだが」

「いいから着替えて来る!」

「……ぅーぃ」

 

なんで俺がそんなことを……面倒だなぁ……部屋に戻って着替えて部屋を出ようとすると三沢にデッキはいいのかと聞かれた。いらないとは思うけど適当に持っていく。

 

「やっと来たわね」

「眠い、腹減った、帰っていいか?」

「眠いのは知らない。帰らせない。ご飯はしっかり食べなさい」

 

人間の三大欲求を我慢しろと?

睡眠欲、食欲、帰宅欲を知らんのか?

眠い目を擦りつつ、腹をギュルギュル鳴らしながら、ちょこちょこ寮の方向をチラ見しつつレッド寮に。

レッド寮の少し奥に前田がいて、その足元は断崖絶壁。その崖の下には十代と丸藤がデュエルをしていた。

 

遊城十代

LP2800

モンスター

【E・HERO スパークマン】:攻

ATK1600

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

VS

 

丸藤翔

LP3600

モンスター

【スチームジャイロイド】:攻

ATK2200

魔・罠

手札4枚

 

ふむ。どっちのターンかわからないけど、殴ったり殴られたりといった状況か?

 

「俺のターン、ドロー!」

 

どうやら俺達が来たのは丸藤のエンドフェイズだったらしい。

 

「【融合】を発動!手札の【クレイマン】と場の【スパークマン】で融合!現れろ!【E・HERO サンダー・ジャイアント】!」

 

【E・HERO サンダー・ジャイアント】

攻撃表示

ATK2400/DEF1500

 

「決まったわね」

「どうして?まだ翔は頑張ってるんだなあ」

「【サンダー・ジャイアント】は自分より元々の攻撃力が低いモンスターを破壊する効果があるのよ。【サンダー・ジャイアント】の攻撃力は2400。【スチームジャイロイド】の攻撃力は2200。効果で破壊されてしまうわ」

「そ、そんなあ!」

 

俺の【HERO】だったら【ガイア】で殴るけどな。他に【HERO】が手札にあればそっち素材にして【スパークマン】維持して打点を少しでも確保するけど。

 

「ヴェイパー・スパーク!」

 

【サンダー・ジャイアント】の指先から放たれた雷が光の雨となり【スチームジャイロイド】を破壊する。あの雨1粒にどれほどの威力が…………

 

「さらに【E・HERO バーストレディ】を召喚!」

 

【E・HERO バーストレディ】

攻撃表示

ATK1200/DEF800

 

「バトルだ!【サンダー・ジャイアント】で翔にダイレクトアタック!ボルティック・サンダー!」

「うわぁぁ!!」

 

丸藤翔

LP3600→1200

 

「【バーストレディ】、バーストファイア!」

 

丸藤翔

LP1200→0

 

おお、ジャストキル。

確かジャストキルするとDpが少し多く貰えるんだよな。いいなぁ。少しリッチなご飯……

食べ物のことを考えてたらまた盛大に腹が鳴った。

ん?食べ物のことを考えてる間に丸藤がどっか行った。丸藤だけじゃない。前田も天上院もいない。どこにいった?と思ったら天上院は十代のところにいた。前田と丸藤はいない…………帰れる。そっと立ち去ろうとすると、ゾクッと寒気が。振り返って見ると何もない。気のせいなはずない。まさかと思って崖の下を見ると、天上院がこちらを見ていた。『帰るな』と目で訴えてる。帰ったら多分酷い目にあうだろう。……はぁ……

十代曰く、前のターンで丸藤は【強欲な壺】を発動。2枚ドローしたときに表情が変わり、デュエル後に手札を見ると【パワー・ボンド】を持っていたらしい。何故使わなかったのか聞くと『お兄さんに封印されている』とか言ったらしい。そして天上院は『翔には実の兄がいて、その人物このアカデミアの3年トップ。カイザーと呼ばれている』と伝えると、何故か十代はカイザーとデュエルすることを決意。どうしてそうなった?




次回は……現実での禁止カードを使います。


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拉致 VS.ジュンコ

えー……ソリティアというか、3ターンで決着します。


十代がカイザーこと丸藤亮とデュエルする決意をした少し後十代と別れた天上院は俺を引きずり何故かブルー女子寮に。おい、俺をどうするつもりだ。

 

「鮎川先生には話してあるわ。私のデッキ調整を手伝いなさい。あの部屋にあったケースは私の部屋にあるわ」

「今思い返すと片付けてないのにケースが無かったがお前何軽く人の物運んでるんだ?窃盗で訴えていいか?」

「後で運ぶと時間がかかるからジュンコ達に手伝って貰ったの。調整が終わったら返すわ」

 

いや、『調整が終わったら』って言っても……

 

「カードが返ってこないだろ?その辺のところわかって言ってるのか?それともカード買い取るつもりか?阿保みたいな値段になると思うんだが」

「そ、それは…………なんとかするわ」

 

絶対なんとかできないだろ…………このカード1枚の価格が頭おかしい世界で一学生が俺のカード達を買えるとは思えない。

引きずられたままだというのと、女子寮に男子がいるのとですれ違う女子達にすんごい見られてる。助けを求めようにもカードは回収したいのでもう色々諦めて達観し始めると天上院の部屋に着いたらしい。

 

「あ、明日香さん!……アンタも来たのね」

「俺のカードはどこだ。回収したら帰る」

「調整終わったら返すって言ったじゃない」

 

だから調整の為に俺のカードを使ったら帰ってこないだろ……ケースあくまで『この形を目指せ』と見せる為に用意しただけだ。

 

「とりあえず今のデッキはこういう構成なのよ」

「俺の事情は一切無視か。…………わかった。手伝ってやるから俺の肩に手を置くのはやめろ」

 

天上院の右手からドス黒いオーラが出てて恐怖する今日この頃だ。

早く帰る為にデッキと思われるカード達が机に並べられている。

…………

……………………?

………………………………!?

 

「十代よりはマシ……なのか?いや、それでも……えー……」

 

儀式と融合を使うデッキ……これどっちかにした方が良くね?とか、融合モンスター3枚に対して【融合】3枚って腐らねえ?とか、儀式モンスターを召喚できる組み合わせが狭すぎるだろ?とかどこから突っ込むべきかわからない。

とりあえず天井を見上げて一言。

 

「…………実質1VS3のデュエルになりそうだなぁ……」

「それどういう意味!?」

「どうもこうも……なんかツッコミどころ多くてパートナーというよりも敵としてカウントした方が楽だと思っただけだ」

「そ、そんなに多いの?」

「まず、

融合と儀式、どっちかの方が戦い易いだろ。

融合モンスター3枚なのに【融合】3枚って邪魔だろ。

儀式モンスター召喚するための組み合わせが狭すぎる。

儀式モンスター3種6枚なのに儀式魔法が専用儀式魔法3枚だけって何故だ。【高等儀式術】は無いのか。

最大攻撃力が2700の【荼吉尼(だきに)】なのに呼べるのがレベル4のモンスター2体をリリースしたとき限定なのは……さっきのと一緒だな。止めとこう」

「も、もう十分よ……」

 

なんか天上院が落ち込んでいた。

とりあえず、

 

「で、お前のカードプールはどこだ?」

「…………そこよ」

「ん。勝手に使うぞー」

 

【激昂のミノタウロス】……

光神機(ライトニングギア)ー桜花】……

なんだこれ……見辛い……

 

「えーっと……とりあえずデッキ片付けて……枕田、浜口。どっちか手伝え。残りは天上院と大人しくしてろ」

「わ、わかりました」

 

浜口か。どっちでもいいけどな。まぁコイツの方が使いやすいか。

 

「そのカードプールからカードを全部出せ。終わったらそうだな……種族、属性毎に分けろ。魔法・罠も種別で分けるんだ」

「え、ええ!?」

「まずはそうだな……戦士族だけ抜き出せ。そこから属性毎に分けるから」

 

地、地、地、闇、地、地、地、地、水、風、地、地…………ん?…………【終末の騎士】…………なんか凄いのいた。何故コイツがプールに……闇属性使ってなかったな。地、地、地……今【切り込み隊長】が3連続で来たな。そんなことを繰り返し途中枕田が参加したことで2時間程で整理が終わった。ここからデッキ作りか……

 

「とりあえず儀式系は全部抜く」

「えぇ!?ちょ、ちょっと待って!」

「こうすると戦士族で縛られてるな……とすると【結束】入れて……【連合軍】はどうする?いや、展開力ないからそこまでのパワーライン確保ができないだろうから【結束】だけでいいや。【ドゥーブルパッセ】……こんなの使うなら【魔法の筒(マジック・シリンダー)】で良くね?」

「無視!?それに【魔法の筒】なんてレアカード持ってないわよ!」

 

…………無い。【結束】も【魔法の筒】も無い。

俺のケースにあるかな…………ん…………デッキ入れてる普通のケース発見。

 

「誰だデッキケース入れるケース持ってきたやつ」

「ケース入れるケースって何よ……」

「文字通り。俺は複数のデッキを使うからな。それを管理するためにデッキケースごと保管するためのケースだ。まぁいいや。で……罠のケースは……あったあった。えーっと……あった、これが3枚か……また必要になったら面倒だし持っていくか」

 

あとは魔法か……あ、通常魔法しか無い……え、取りに行くの?

 

「な、なんですのその『うわ面倒臭い』って顔は」

「……んどくせぇ……はぁ……誰か寮にある俺のケース持ってくる気ないか?」

 

全員目を逸らしやがった。

…………つかもう夕飯じゃねえか!

 

「飯の時間なんで帰っていいか?明日俺の部屋に来い。また樺山先生には話つけとく」

 

連日異性を部屋に連れ込むのは良くないんだが仕方ない。作りかけで放置するのはスッキリしないから明日俺の部屋で作ろう。

…………あ、そもそもコイツらもうやること無い……

 

「もしくは、俺にそのデッキの残骸を渡して翌日受け取るかの2択だ」

「『私が調整する』っていう選択肢は無いのね……」

 

何使ったのかわからないからな。それに必要そうなカードは俺の部屋にあるから調整といってもたかが知れてる。

 

「で、どうする?明日は俺からデッキを借りて実技の授業を受けるか、どんな内容かも把握しきれないまま渡された新デッキで授業を受けるか。選べ」

「そ、そういえば、明日は実技の授業があったわね……はぁ、わかった。デッキを貸してちょうだい。それで明日は過ごすわ」

「了解」

 

何がいいかな?

今ケースの中にはっと…………

 

「そ、それ全部デッキ?」

「ああ。全部デッキだ」

 

ん、これって………………よし、これにしよう。

 

「コレ使え」

「…………【魔導書の神判】?」

「使い方を見せてやる。枕田、デッキを出してくれ。お前自身のデッキを」

「……わかった」

 

渋々といった感じだが枕田はデッキを構えた。今回はテーブルでのデュエルだ簡単でいい。

 

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

枕田ジュンコ

LP4000

 

「先攻はもらう。ドロー。あとテーブルでのデュエルだからフェイズの確認もするぞ。スタンバイ、メインフェイズ」

 

手札を軽くシャッフルして内容の確認をする。うん。見事に【神判】引かねえ。

 

「【一時休戦】発動。互いに1枚ドローして、次の相手ターンのエンドフェイズまで互いが受ける全てのダメージは0になる。ドロー」

「なんでそんなカードが?ドロー」

 

枕田ジュンコ

手札5枚→6枚

 

【強欲な壺】だと手札が溢れる可能性が高いんだよなぁ……試してないからわからんが。

で、まだ引かない。

 

「【成金ゴブリン】1枚ドローして、相手のライフが1000回復」

 

枕田ジュンコ

LP4000→5000

 

やっと引いた。ちょっとこのデッキには嫌われてるかなぁ……

 

「お待ちかね【魔導書の神判】引いたんで発動。これは墓地に行く」

「…………それだけ?」

「それだけ」

「効果は?」

「エンドフェイズに処理するからそれまで待て」

 

さて、残りの処理するか。

 

「【グリモの魔導書】発動。【グリモの魔導書】は1ターンに1度しか発動できないが、デッキから【グリモ】以外の【魔導書】と名のつくカードを手札に加える。【魔導書士 バテル】を手札に」

「モンスターをサーチするカード……」

「正確な答えではないな。あくまで【魔導書】カードをサーチするんだ。魔法・罠でも【魔導書】と書いてあればサーチできる」

 

今回みたいに【バテル】でもいいし、【セフェル】とか必要な魔法・罠でもいい。まず1枚。

 

「スマン。エンドフェイズの処理のためにカードを置かせてもらう。1枚目」

「?いいけど……」

「次、今手札に加えた【バテル】を召喚」

 

【魔導書士 バテル】

攻撃表示

ATK500/DEF400

 

「随分貧弱なステータスね」

「効果発動。召喚・リバースしたらデッキから【魔導書】の魔法・罠を手札に加える。【セフェルの魔導書】を手札に加えて発動」

「今度は何?」

 

枕田は早くもうんざりしている。

うんざりするのはこれからだぞ。

 

「【セフェル】は1ターンに1度しか発動できない。これは俺のフィールドに魔法使い族がいるときに【セフェル】以外の【魔導書】カードを見せて発動。【ゲーテの魔導書】を見せる。墓地の【魔導書】の通常魔法を選択してその効果になる。【グリモ】を選択する」

「ちょっと待って!【グリモの魔導書】は1ターンに1度じゃないの!?」

「発動はな。効果は他のカードでコピーすれば何度でも使えるんだ。続けるぞ。【グリモ】をコピーした【セフェル】の効果で【魔導書院ラメイソン】を手札に加える」

「さっきから手札が減ってませんわ……」

 

浜口。そのセリフはエンドフェイズに言うべきじゃ…………寧ろ増えるか。

 

「とりあえず2枚目。フィールド魔法【魔導書院ラメイソン】発動。3枚目。2枚セット。エンドフェイズに【魔導書の神判】の効果で、このカードの後に発動した魔法カードの枚数までデッキから【神判】以外の【魔導書】の魔法カードを手札に加える。発動したのは3枚だ。【ネクロの魔導書】、【ヒュグロの魔導書】、【アルマの魔導書】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札2枚→5枚

 

カウントのために用意した3枚を元の位置に戻す。

 

「で、その後ーーー」

「まだあるの!?」

「ある。この効果で手札に加えた数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスターを特殊召喚できる。【魔導教士 システィ】を特殊召喚」

 

【魔導教士 システィ】

攻撃表示

ATK1600/DEF800

 

「で、【神判】の効果終了なんだが」

「やっとあたしのターンね」

「いや、【システィ】の効果があるんだ」

「…………え?」

「【システィ】は【魔導書】の魔法を発動したターンのエンドフェイズに自身を除外して発動する」

「【システィ】はフィールドにいなかったのに効果を使えるのね……」

「ああ。で、【システィ】の効果で、デッキから光または闇属性の魔法使い族で、レベル5以上のモンスターと【魔導書】の魔法カードを手札に加える。光属性レベル7で魔法使い族の【魔導法士 ジュノン】と【魔導書の神判】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札5枚→7枚

 

「で、効果処理終了。手札が7枚なので1枚捨てる。【成金ゴブリン】を捨てる。ターンエンド」

「1ターン目に手札が7枚を超えるなんて初めて見ましたわ……」

「そ、そうね……」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【魔導書士 バテル】:攻

ATK500

魔・罠

伏せ2枚

フィールド

【魔導書院ラメイソン】

手札6枚

 

「あたしのターン、ドロー!【ハーピィ・レディ1】を召喚!効果で攻撃力300ポイントアップ!」

 

【ハーピィ・レディ1】

攻撃表示

ATK1300/DEF1400→ATK1600

 

「バトル!【ハーピィ・レディ1】で【魔導書士 バテル】を攻撃!」

「通す。だが、【一時休戦】の効果でダメージは0だ」

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

枕田ジュンコ

LP5000

モンスター

【ハーピィ・レディ1】:攻

ATK1600

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「ドロー。スタンバイフェイズにフィールド魔法【魔導書院ラメイソン】の効果で墓地の【魔導書】魔法カードをデッキに戻して1枚ドロー。【神判】を戻して1枚ドロー」

 

宮田龍斗

手札7枚→8枚

 

「メインフェイズ。手札の【魔導法士 ジュノン】の効果発動」

「手札から効果!?」

「手札の【魔導書】の魔法カード3枚を見せてこのカードを特殊召喚する。【ネクロ】、【ヒュグロ】、【アルマ】を見せて特殊召喚」

 

【魔導法士 ジュノン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

「攻撃力2500がこんなにアッサリ出てくるなんて……」

「特殊召喚時何かあるか?」

「無いわよ……」

 

無い……セットされてるのは【ヒステリック・パーティー】か?

もしくは攻撃反応型か……

 

「【神判】発動。リバースカード【ゲーテの魔導書】。墓地の【魔導書】魔法カード……【グリモ】を除外して発動。そのセットカードを手札に戻す」

「【ミラーフォース】が……」

 

後者だったか……

 

「【神判】のエンドフェイズ処理の為にカードを置くぞ。1枚目。次に【アルマの魔導書】発動。除外されている【グリモ】回収して発動。2枚目。【バテル】サーチして召喚。効果発動。【セフェル】サーチ。【ヒュグロの魔導書】発動。対象【ジュノン】で攻撃力1000ポイントアップ。3枚目」

 

【魔導法士 ジュノン】

ATK2500→ATK3500

 

「な、なんか1人でデッキを回してるわね……」

「龍斗さんが偶に言う『ソリティア』というやつが理解できた気がしますわ……」

 

「【セフェル】を【ネクロ】見せて発動。【ヒュグロ】コピー。対象【ジュノン】」

 

【魔導法士 ジュノン】

ATK3500→ATK4500

 

「【ジュノン】効果。墓地の【グリモ】除外して【ハーピィ・レディ1】破壊」

「淡々とあたしのカード破壊しないでよ!」

 

そういう効果だ。

 

「バトル。【バテル】と【ジュノン】でダイレクトアタック……なんかあるか?」

「無いわよ!あたしの負けよ!」

 

枕田ジュンコ

LP5000→4500→0

 

「ありがとうございました……こんな感じだ」

「私にこれを明日使えと言うの?」

 

無言で頷く。すると天上院は、

 

「……もうちょっと優しいというか、そんなデッキが……」

「探すの面倒……いや、あのケースを持ってきたお前らが悪い」

 

あのケースは他にも【征竜】とか【六武】とか所謂ガチデッキがメインのケースだからどれも色々酷いデッキで優しいやつだとネタデッキになってしまう。ネタデッキなんて渡すわけにはいかない。

 

「あのケースは色々酷いデッキばかりだからどれも変わらん。もしくはネタデッキだ。ネタデッキは他人に渡すつもりはない。あきらめろ」

「……わかったわ」

 

天上院は渋々了承。そして浜口、枕田が

 

「……私、明日の授業で明日香様とデュエルするのは遠慮しますわ……」

「あたしも……」

 

天上院とデュエルすることを拒否した。




次回はカイザーVS.十代です。


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衝動 十代VS.亮

昨日22話書こうとしたら21話でミスに気付き5000文字が消滅した作者です……そのあたりになったら更新が遅くなるかもしれません。


「【魔導書士 バテル】と【魔導法士 ジュノン】でダイレクトアタック!」

『なんだよそれぇぇぇ!!』

 

LP4000→3500→0

 

天上院に【神判】入りの【魔導】を渡し、寮に帰り天上院のデッキを作成。『放課後に受け取る』と言ってどこか嬉々とした表情で実技の授業に臨んだ。枕田、浜口両名の話によると、昨日自分で回してみたいと言って2人とデュエル。結果グルングルンに回して楽しくなったのか、今日の授業が楽しみだと言っていたらしい。

…………渡すデッキ間違えたか?いや、おそらくあのケースだと、ああなるか憂鬱になるかのどちらかだろう。

あのケースを部屋から持ち出したコイツらが悪い。俺に責任は無い……よな?

念のため俺もガチデッキを持ってきたが、なるべくなら天上院に近づかないようにしよう。

そんな一幕もあった日の夜……

 

「「デュエル!」」

 

カイザーこと丸藤亮と十代のデュエルが行われた。観客は丸藤、前田、天上院そして俺。なんでこんな状態かというと、十代はカイザーとデュエルするために『デュエル許可願』を書くもクロノスの妨害により失敗。直談判するためにブルー寮に行くも門前払い。そしてレッド寮に戻ると丸藤が島を出ると手紙を残して失踪。捜索したところ発見。カイザーと天上院がそれを偶然見かけ、何故かデュエルすることに。俺はなんか天上院に呼び出しくらった。授業で使った【魔導】を返してもらってなかったので返してもらい、とりあえず作ったデッキを渡すために天上院のもとへ来た次第。

 

「俺のターン、ドロー!……【E・HERO フェザーマン】を攻撃表示で召喚!」

 

【E・HERO フェザーマン】

攻撃表示

ATK1000/DEF1000

 

いや、十代。そこは守備表示が良いんじゃないのか?攻撃力1000以上なんて大量にいる。僅かでもダメージ減らすのが得策だろ……

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【E・HERO フェザーマン】:攻

ATK1000

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー。【サイバー・ドラゴン】を攻撃表示で召喚」

 

【サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「生贄無しで5つ星モンスターを召喚かよ!?」

「【サイバー・ドラゴン】は君の場にモンスターがいて、俺の場にモンスターがいないとき、生贄無しで召喚できる」

 

正確には『特殊召喚』だがな。

十代の伏せが反応しないとなると攻撃反応型か……いや、十代のことだ、【ヒーロー・シグナル】を引いている可能性が高い。

 

「さらに速攻魔法【サイクロン】を発動君のリバースカードを破壊」

 

先に使えよ。十代の伏せが召喚反応型だったらどうする気だったんだ?

……まぁ予想通り【ヒーロー・シグナル】だったけどさ。

 

「バトル。【サイバー・ドラゴン】で【フェザーマン】を攻撃。エヴォリューション・バースト!」

 

【サイバー・ドラゴン】から熱線が放たれ、【フェザーマン】は抵抗できず。そのまま消滅した。

 

「くっ!」

 

遊城十代

LP4000→2900

 

だから守備表示にしろと……いや、思っただけで言ってないけど……

 

「さらに魔法カード【タイムカプセル】を発動。デッキからカードを1枚選択し、このカードを【タイムカプセル】の中に入れる。2回目の俺のターンに【タイムカプセル】の中に入れたカードを手札に加える」

 

…………【封印の黄金櫃】は無いのか?情報アド与えるけど【タイムカプセル】は【サイクロン】で破壊されると除外したカードは帰ってこないんだぞ?

 

「ターンエンド」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン】:攻

ATK2100

魔・罠

【タイムカプセル】

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!【融合】を発動!手札の【E・HERO スパークマン】と【E・HERO クレイマン】を融合!来い!【E・HERO サンダー・ジャイアント】!」

 

【E・HERO サンダー・ジャイアント】

攻撃表示

ATK2400/DEF1500

 

「この瞬間【サンダー・ジャイアント】の効果発動!ヴェイパー・スパーク!」

 

【サンダー・ジャイアント】が雷を放ち【サイバー・ドラゴン】を破壊した。アニメ効果って手札捨てないんだよな。

 

「さて行くぜ!ガラ空きの本陣突破だ!【サンダー・ジャイアント】でプレイヤーへダイレクトアタック!ボルティック・サンダー!」

 

カイザーは身動き一つせずに攻撃を受けた。

 

丸藤亮

LP4000→1600

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

遊城十代

LP2900

モンスター

【E・HERO サンダー・ジャイアント】:攻

ATK2400

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー」

 

このスタンバイフェイズで【タイムカプセル】のカウントが1つ進むと。

……【黄金櫃】……

 

「手札から2体目の【サイバー・ドラゴン】を召喚。さらに魔法カード【死者蘇生】を発動!墓地の【サイバー・ドラゴン】を復活させる」

 

【サイバー・ドラゴン】×2

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「【融合】を発動。場の2体の【サイバー・ドラゴン】を融合。【サイバー・ツイン・ドラゴン】を召喚する!」

 

【サイバー・ツイン・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2100

 

最初に【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚した意味を問いたい。

 

「攻撃力が【サンダー・ジャイアント】を超えたんだなあ!」

「それだけではない。【サイバー・ツイン・ドラゴン】はーーー」

「1度のバトルフェイズに2回攻撃できる……だろ?」

 

あ、思わず口を挟んでしまった。

……こっち見んなカイザー。

 

「君はこのカードを知っているんだな」

 

まぁ持ってるしな。

 

「一応な」

「つまり【サイバー・ツイン・ドラゴン】の2回目の攻撃は十代へのダイレクトアタックになる」

 

天上院のちょっとした解説(?)も終わったところでカイザーは十代に向き直った。

 

「バトル。【サイバー・ツイン・ドラゴン】で攻撃。エヴォリューション・ツイン・バースト!」

「罠発動【ヒーロー見参】!このカードは相手に俺の手札を1枚選ばせ、それがモンスターなら特殊召喚できる!俺の手札は1枚。そしてこれはモンスターカード!【フレンドッグ】を特殊召喚!」

 

【フレンドッグ】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

【フレンドッグ】の登場も【サイバー・ツイン・ドラゴン】は一切止まらずに攻撃をする。

 

遊城十代

LP2900→2500

 

「【フレンドッグ】が墓地に送られたことで、墓地から【E・HERO】と【融合】を手札に加える。【クレイマン】と【融合】を手札に加えるぜ」

 

遊城十代

手札0枚→2枚

 

「ターンエンド」

 

丸藤亮

LP1600

モンスター

【サイバー・ツイン・ドラゴン】:攻

ATK2800

魔・罠

【タイムカプセル】

手札1枚

 

「……面白え!面白えよカイザー!このデュエル!」

「……ああ、俺もだ」

 

十代は心底楽しそうに笑う。

だが状況は圧倒的に不利だ。

【サイバー・ツイン・ドラゴン】の攻撃力は2800。十代の手札は守備力2000の【クレイマン】と【融合】のみ。さあどうする十代?このままならお前の負けだ。

 

「俺のターン、ドロー!【E・HERO バブルマン】を召喚!」

 

【E・HERO バブルマン】

攻撃表示

ATK800/DEF1200

 

「【バブルマン】の効果発動!俺の場に他のカードが無いとき、カードを2枚ドローする!」

 

遊城十代

手札2枚→4枚

 

【強欲なバブルマン】……!なんで、なんでOCGだと手札も参照するんだ……!

 

「……【融合】を発動!場の【バブルマン】と【クレイマン】を融合!【E・HERO マッドボールマン】を守備表示で召喚!」

 

【E・HERO マッドボールマン】

守備表示

ATK1900/DEF3000

 

「よし!守備力3000なら【サイバー・ツイン・ドラゴン】が2回攻撃しようが関係ないんだなあ!」

「ターンエンドだ」

 

遊城十代

LP2500

モンスター

【E・HERO マッドボールマン】:守

DEF3000

魔・罠

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー」

 

カイザーがカードを引くと同時に、地面から【タイムカプセル】が出現した。

 

「【タイムカプセル】発動後、2回目の俺のターンだ。棺に入れたカードを手札に加える」

 

丸藤亮

手札2枚→3枚

 

「……十代、いよいよ大詰めかな」

「ああ。どんな展開になるのかワクワクするぜ!」

「そうだろう。君は君の全力で以って俺に挑んできた。そして俺も全力でデュエルすることができた。俺は、君のデュエルに敬意を表する」

 

…………俺もデュエル脳になってきたか?カイザーと闘りたくなってきた。

 

「…………」

「行くぞ、十代!」

「来い!」

「【融合解除】を発動。【サイバー・ツイン・ドラゴン】の融合を解除し、【サイバー・ドラゴン】2体を特殊召喚」

 

【サイバー・ドラゴン】×2

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「そして手札から魔法カード【パワー・ボンド】を発動!このカードは機械族モンスターを融合する!場の2体の【サイバー・ドラゴン】と手札の【サイバー・ドラゴン】を融合!【サイバー・エンド・ドラゴン】を攻撃表示で召喚する!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

「【パワー・ボンド】の効果により、【サイバー・エンド・ドラゴン】の攻撃力は倍になる!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

ATK4000→ATK8000

 

「……8000……!」

 

……コイツとやるなら、アレが良い。だがまだ用意できていない……このデュエルが終わったら約束を取り付けてデッキ作りといこう。

 

「【サイバー・エンド・ドラゴン】は守備モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力を超えていれば、その数値分のダメージを与える」

「気張れ十代!このターンを凌げば、【パワー・ボンド】のもう一つの効果で、お前の勝ちだ!」

「そう、【パワー・ボンド】を使ったターンのエンドフェイズ、【パワー・ボンド】で召喚したモンスターの最初の攻撃力分のダメージを受けるリスクがある」

 

だが、それもエンドフェイズが来ればの話だ。【マッドボールマン】に効果は無く、おそらく十代の手札にダメージを無効、または攻撃を無効にするカードは無いだろう。墓地も同じだ。十代はこの攻撃で負ける。

 

「【サイバー・エンド・ドラゴン】で【マッドボールマン】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!」

 

【サイバー・エンド】の3つの首から熱線が放たれ、【マッドボールマン】は一瞬で破壊され、十代を呑み込んだ。

 

遊城十代

LP2500→-2500

 

「十代!」

「アニキ!」

「遊城十代が……負けた!?」

 

丸藤と前田が十代に駆け寄る中、

 

「楽しい……デュエルだったぜ」

「……ふ」

 

俺は、

 

「次は俺が相手だ」

 

カイザーにデュエルを挑む。

 

「……君は?」

「宮田龍斗。I2及びKCの開発しているシンクロ召喚、エクシーズ召喚、ペンデュラム召喚のテスター及びスカウトだ。だがそんな肩書どうだっていい。カイザー丸藤亮。俺とデュエルしてほしい」

「君が……いいだろう。俺も君の噂を聞いて一度デュエルしたいと思っていた」

 

いいねいいねぇ。いい空気だ。

 

「それはありがたい。だが今は生憎デッキを持ってきてない。天上院に呼び出されて貸したデッキの回収と俺が調整したアイツのデッキを返しに来ただけだからな。だから明日、この時間、この場所でデュエルだ」

「わかった。楽しみにしている」

 

早速戻ってデッキ作成、調整だ。

 

「天上院。【魔導】デッキを返せ。それとこれがお前のデッキだ」

 

最早奪い取るかのような乱暴な動作でデッキを回収し、2つのデッキを押し付けるように返して、駆け足で寮に戻る。

 

「ちょ、ちょっと!」

 

天上院の引き止めるような声も無視して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダイレクトアタック!」

「ぐっ……!負けたよ……」

 

寮に戻ると夕食の時間だった。

軽く済ませて部屋でデッキを作成。三沢とテーブルでデュエルして調整しようとしたがどうも相手が悪いのかどこが悪かったのかわかりにくい。まぁいい。何度かデュエルすれば解るだろう。

 

「もう一度だ」

「あ、ああ……だが、どうしたんだ?いつものお前らしくないというか、狂気じみてるというか」

 

三沢の言葉も気にせずデッキをシャッフルする。

ただひたすら、カイザーとデュエルしたい。今はそのことで頭の中が一杯だ。

 

「三沢。構えろ」

「はぁ……わかった。何度でも付き合ってやる」

 

言ったな?その言葉、忘れるなよ?

口角が吊り上がっているのを自覚しながらもデッキを用意し、

 

「「デュエル!」」

 

三沢とデュエルする。たが俺の意識のほとんどはカイザーとのデュエルに向いていた。

…………さぁ、楽しいデュエルにしようぜ。カイザー!




次回はこのままカイザーとデュエルです。


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進化 VS.亮

翌日昼、昼食にパンを食べながらカイザーとのデュエルに使うデッキの調整をしている。

 

「エクストラはこれでいいはず……あとはメインか?いや、しかしコンセプトを考えるとこの構成の方が……」

 

微妙にデッキの回りが悪く、カイザー相手に勝てるか微妙な状態だ。3年のトップ……【サイバー】……

 

「……このカード……うん。ならこのカードを抜いて、代わりにこうすれば……微妙か?いや、でもこれなら……よし、これでいこう」

 

これならカイザーにも勝てるはず……

 

「三沢、最後の調整に付き合ってくれ」

「またか……わかった」

 

何を呆れている三沢。『何度でも付き合う』と言ったのはお前だぞ。

 

「「デュエル!」」

 

数分後

 

「ダイレクトアタック!」

「……負けたよ。見事だ」

 

ふむ。これならいけるか。偶然な気もするが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせたな」

「いや、俺も数分前に来たばかりだ」

 

カイザーが来た。

待ちかねた。たった1日がこんなに長く感じたことはない。

周りには天上院や十代達テスター候補連中と丸藤、前田、俺がカイザーとデュエルすることを知ってついてきた三沢。

 

「いくぞ、カイザー!」

「来い」

 

ギャラリーなんていてもいなくても変わらない。ただカイザーを倒したい。それだけだ!

 

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

丸藤亮

LP4000

 

おそらくカイザーは【サイバー・ドラゴン】を1枚は握っているはず、だからこそ、先攻をもらう!

 

「俺の先攻、ドロー!モンスターをセット!カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー。【サイバー・ドラゴン】を召喚」

 

【サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

やはり持っていたな、【サイバー・ドラゴン】!

 

「いくぞ、【サイバー・ドラゴン】で守備モンスターを攻撃。エヴォリューション・バースト!」

 

【サイバー・ドラゴン】の熱線が俺の裏守備モンスター……【プロト・サイバー・ドラゴン】を焼き払う。

 

「【プロト・サイバー・ドラゴン】だと!?」

 

カイザーが驚愕の表情を浮かべ、俺は薄く笑みを浮かべるのを自覚する。

今回用意したデッキは【サイバー】デッキ。ミラーマッチに近いことをしている。だが、俺の【サイバー】は未来の【サイバー】だ。負けるわけにはいかない!

 

「どうした?まだカイザーのターンだぞ?」

「……【タイムカプセル】発動。デッキからカードを1枚選択し、【タイムカプセル】に入れる。ターンエンド」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン】:攻

ATK2100

魔・罠

【タイムカプセル】

手札4枚

 

とりあえず第一目標は達成した。

残すは勝利のみ!

 

「ドロー!【サイバー・ドラゴン・コア】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・コア】

攻撃表示

ATK400/DEF1500

 

「【コア】?なんだそのカードは?」

「え!?お兄さんの知らない【サイバー】カード!?」

 

知らなくて当然なんだがな。

 

「【サイバー・ドラゴン・コア】の効果発動!召喚に成功したとき、デッキから【サイバー】または【サイバネティック】と名のつく魔法・罠を手札に加える。デッキから【サイバー・リペア・プラント】を手札に加え、【融合】を発動!手札の【サイバー・ドラゴン】とフィールドの【サイバー・ドラゴン・コア】で融合!」

「【サイバー・ドラゴン】とそれ以外のモンスターで融合!?あのカードを召喚するつもりか!それはサイバー流の禁じ手!」

 

【キメラテック・オーバー・ドラゴン】のことか?攻撃力1600出しても意味ないだろ。

 

「光輝く機龍よ、光纏う機龍の核よ!神秘の渦で一つになりて、更なる力と姿を見せよ!融合召喚!現れろ!【サイバー・ツイン・ドラゴン】!」

 

【サイバー・ツイン・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2100

 

「バカな!【サイバー・ツイン・ドラゴン】は2体の【サイバー・ドラゴン】を融合させたときのみ召喚できるカード!」

「【サイバー・ドラゴン・コア】はフィールド・墓地にいるとき、カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う」

「そんなカードはサイバー流には……」

 

そもそも俺はサイバー流ではないんだがな。

 

「俺はI2・KCのテスター。こういうカードを持っていて不思議ではないだろ?」

 

まぁ本当は自称神に用意させたカードなんだけどな。

 

「続けよう。バトル!【サイバー・ツイン・ドラゴン】で攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!」

 

俺の【サイバー・ツイン・ドラゴン】の熱線はカイザーの【サイバー・ドラゴン】を焼き払った。

 

「続けてダイレクトアタック!」

「ぐうっ!」

 

丸藤亮

LP4000→3300→500

 

「ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【サイバー・ツイン・ドラゴン】:攻

ATK2800

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

口調が強くなった。同じサイバー流のカードに負けたくないのか。

 

「【死者蘇生】を発動!俺の墓地にいる【サイバー・ドラゴン】を復活!」

 

【サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「【融合】を発動!場の【サイバー・ドラゴン】と手札の2体の【サイバー・ドラゴン】を融合!現れろ!【サイバー・エンド・ドラゴン】!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

【サイバー・エンド】……!もう召喚してきたか!

 

「バトル!【サイバー・エンド・ドラゴン】で【サイバー・ツイン・ドラゴン】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!!」

 

【サイバー・エンド】の3つの熱線が一つになり、【サイバー・ツイン・ドラゴン】と俺を呑み込んだ。

 

「…………」

 

宮田龍斗

LP4000→2800

 

「ターンエンド」

 

丸藤亮

LP500

モンスター

【サイバー・エンド・ドラゴン】:攻

ATK4000

魔・罠

【タイムカプセル】

手札1枚

 

いいねぇ……攻撃力4000!十代のときに見せた8000には届かないものの初期ライフと同じ数値。倒しがいがある!

 

「俺はターン……ドロー!!墓地の【サイバー・ドラゴン・コア】の効果発動!」

「!墓地からモンスター効果……!」

「相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、墓地のこのカードを除外して、デッキから【サイバー・ドラゴン】と名のつくモンスターを特殊召喚する!現れろ!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

「【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】……だと?」

「【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果発動。手札の魔法カードを相手に見せることでこのカードのカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う」

 

俺はカイザーに手札の【サイバー・リペア・プラント】を見せる。

 

「カード名を【サイバー・ドラゴン】に……?」

 

前田はさっき同じような現象があったにも関わらず、この効果の意味を理解していないらしい。

 

「また【融合】か!」

「残念不正解だ!続いて【サイバー・ドラゴン・ドライ】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

「今度は【ドライ】……」

「【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!召喚に成功したとき、俺のフィールドの全ての【サイバー・ドラゴン】のレベルを5にする。【サイバー・ドラゴン・ドライ】はフィールド・墓地にいるとき、カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う。よって【ツヴァイ】と【ドライ】のレベルは4から5になる!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

レベル4→5

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

レベル4→5

 

「レベルを変更……?」

「まさか!」

「【サイバー・ドラゴン】でエクシーズ召喚するのか!?」

 

天上院と十代は流石に気付くか。

 

「俺はレベル5の【サイバー・ドラゴン】として扱う【ツヴァイ】と【ドライ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」

「これが噂のエクシーズ召喚か……!」

「新たな力と翼を手に、今この地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】……!」

「これが、【サイバー】モンスターの進化した姿だ」

「進化……」

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の効果発動!ORUを一つ使い、墓地の【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚する!蘇れ!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】!このカードは墓地にいるときカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

「墓地で【サイバー・ドラゴン】として扱うのはこの効果のため……!」

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の更なる効果!1ターンに1度、自分の手札・フィールドの【サイバー・ドラゴン】を除外して攻撃力2100ポイントアップ!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を除外!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

ATK2100→ATK4200

 

「攻撃力が【サイバー・エンド・ドラゴン】を超えた!龍斗凄えよ!」

「バトル!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】で【サイバー・エンド・ドラゴン】を攻撃!エヴォリューション・ノヴァ!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】から青白い電気が【サイバー・エンド・ドラゴン】に向かって一直線に放たれ胴体部中央に直撃。【サイバー・エンド・ドラゴン】を爆散させた。

 

「くうっ!」

 

丸藤亮

LP500→300

 

「ターンエンド。このエンドフェイズ、【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の攻撃力は元に戻る」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

ATK4200→ATK2100

 

宮田龍斗

LP2800

モンスター

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】:攻

ATK2100

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

【タイムカプセル】が地面から出てきた。もう2回目のターンか。

 

「【タイムカプセル】の効果で棺に入れたカードを手札に加える。そして手札から魔法カード【パワー・ボンド】を発動!このカードは機械族モンスターで融合召喚する!」

「だがお前の墓地に【サイバー・ドラゴン】は3体いる!【プロト・サイバー・ドラゴン】もフィールドにはいない!」

 

【サイバー・ツイン・ドラゴン】すら呼べない状況だ。何するかは予測できるけどな。

 

「手札から速攻魔法【サイバネティック・フュージョン・サポート】発動!ライフ半分をコストに手札・フィールド・墓地のモンスターを除外して、融合召喚を可能にする!」

 

丸藤亮

LP300→150

 

やっぱりな。

【サイバー】で且つ融合素材がないならコレがくる。

 

「墓地【サイバー・ドラゴン】3体を融合!更なる力を得て蘇れ!【サイバー・エンド】!!【パワー・ボンド】の効果で攻撃力は倍になる!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800→ATK8000

 

「バトル!【サイバー・エンド・ドラゴン】で【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!!」

 

【サイバー・エンド】の熱線が【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】に襲いかかる。

 

「手札の【オネスト】の効果を発動!」

「手札からモンスター効果!?」

「自分の光属性モンスターがバトルするとき、ダメージステップ時に手札からこのカードを捨て、相手モンスターの攻撃力分そのモンスターの攻撃力をアップさせる!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100→10100

 

「攻撃力……」

「10100……!?」

「これが君の全力か……!」

 

丸藤、前田、カイザーがそれぞれ反応を見せる。

 

「迎撃しろ、【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!エヴォリューション・ノヴァ!!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】の熱線を【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の電撃が掻き消し、そのまま【サイバー・エンド・ドラゴン】を爆散させた。

 

「ぐうぅぅぅ!!」

 

丸藤亮

LP150→-1950

 

「「「カイザーが……」」」

「お兄さんが……」

「亮が……負けた……!?」

 

十代達は目を見開いているが、俺は未来のカード達を使ってるんだ。負けるわけにはいかない。

 

「……俺の勝ちだ。カイザー」

「……見事だ。完敗だよ」

 

……この人なら【ノヴァ】達を渡してもいいか。きっと使いこなしてくれる。

 

「……カイザー、このカードを使ってくれ」

 

そう言ってさっき使ったデッキから【ノヴァ】を中心に、この時代にないはずの【サイバー】カードを渡す。

 

「いいのか?」

「ああ、アンタなら使いこなせると思ったからな」

「……ありがたく受け取っておこう」

 

そう言ってカイザーは俺からカードを受け取る。

 

「ん。じゃあ俺は行くよ。またいつか」

 

俺とカイザーは学年が違うからなかなか会えないからな。

 

「……今度は勝たせてもらうぞ」

 

去ろうとしたらこのセリフがやってきた。

 

「……返り討ちにしてやる」

 

フッと互いに薄く笑みを浮かべる。

そして俺とカイザーは自分の寮へと帰っていく。




次回デュエルはほぼしません。


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忘れ物 ほぼデュエルなし。

だんだんストックがなくなってきました。なるべく早く投稿できるように頑張ります。


♪〜♪〜♪♪〜♪〜

カイザーとデュエルした翌日。

前世で聴いていた音楽を聴きながら2つのデッキを作っている。1つは儀式を使うデッキ。もう1つは融合を使うデッキ。両方とも今度のデュエル用のデッキだ。

天上院のデッキは融合型と儀式型の2つにわけてあるが、融合型は素材が固定されてるし、儀式もレベル6か8の2択と限定されている。もう少し幅が欲しい。サポートに専念するのもアリだが……ん?この2つのデッキ、シンクロもエクシーズもないな……ふむ……よし、このデッキはぶっ壊そう。んーと……お、このカードは……じゃあアレとアレも入れて、このカードとこのカード……いや、こっちは使わないか?でこっちを……これってワンチャンあのカードが使えるか?……【ディアボリック・ガイ】が欲しいかなあ……でも無いもんな……【THE トリッキー】入れて……デッキ作りに集中しているとトントンと肩を叩かれ、振り向くと三沢がいた。まあコイツは同室だから当然といえば当然なんだが。イヤホンを外すと、

 

「龍斗、客だ」

「客?天上院?それとも枕田?浜口?いや、十代か?」

 

………女子率高くないか?

 

「すぐそこに来てる。行けばわかるさ」

「何を勿体つけてるんだ?……まぁいいや。行ってくる」

 

三沢が部屋のドアを指差すのでドアまで行き開けると、前田を中心にして十代と丸藤がいた。

 

「前田?それに十代に丸藤。どうかしたのか?とりあえず上がれ」

 

部屋に前田達を入れてここに来た理由を聞くと、前田の父親が来て前田を退学させると言ってきたらしい。十代と丸藤(といっても話していたのは十代だけだったみたいだが)がそれを抗議。それに対して前田の父親は『自分とデュエルして勝ったらこの話は無かったことにしてやる』と言ったらしい。

…………この話って前田の家族の問題であって十代達関係無いんだが……さすがデュエル脳達の住むせか……俺も今はこの世界の住人か。話が逸れた。

で、俺の持つカードを貸して欲しいとのこと。

 

「…………前田。俺の持つカードの多くはまだ一般には出回ってないカード達だ。ある意味反則と言っていい力を持っている。そのカード達の力を使ってまで、父親に勝ちたいのか?」

「勝ちたい!俺、やっと真剣にデュエルしたい、デュエリストになりたいと思ったんだなあ。それなのに急にこんなことになって…………俺、反則級のカードを使ってでも、父ちゃんに勝ちたいんだなあ!」

 

前田の目は真剣だ。

ふむ……確かデュエルは明朝だったな。明日には返してもらえばいいか。

 

「…………いいだろう。俺の持つカードを貸してやる」

「あ、ありがとうなんだなあ!」

「そこで、お前には選択肢がある」

「選択肢?」

「選択肢は2つ。

1つは、お前のカードと俺のカードを混ぜ合わせてデッキを作る選択肢。お前のデッキを改造するということだ。

もう1つは、お前のカードを1枚も使わずに、俺のデッキを使う選択肢。十代と丸藤は見たかもしれないが、一昨日の実技で天上院が【魔導書】のカード達でブルーの生徒を片っ端からぶちのめしていただろ?あんな感じにするってことだ」

「そ、そんなに酷かったのか十代、翔?」

 

十代と丸藤は少し目を逸らして肯定していた。十代もあのときの天上院には近寄りたくなかったのかもしれない。

俺も近寄りたくなかったからな。

 

「で、どうする?早く決めろ。デッキを改造するか、手っ取り早くデッキを受け取って回すか」

「……デッキを……俺のデッキを強くしてくれ!」

「わかった。ならデッキを渡せ」

 

前田からデッキを受け取り机にカードを並べる。

…………【コアラの行進】ってなんだよ。えーっと……墓地の【コアラ】モンスター……【コアラ】ってカテゴリーなんだな。まぁいいや。えっと、【コアラ】モンスターを特殊召喚して、手札の同名モンスターを特殊召喚する、か……【コアラ】……【デス・コアラ】……【猫シンクロ】……うん、【猫シンクロ】だろ。前田のカードを使いつつ一昨日の天上院のようになって勝つ。完璧だな。

 

「よし、まずは【デス・コアラ】採用して、あとは【レスキューキャット】とチューナー入れて……」

「ちょ、ちょっと待つッス!隼人君はシンクロ召喚を知らないッスよ!」

 

んなもん些細なことだ。後で教えればいい。

で、【サモプリ】と【コアラッコ】持ってきて……あとなんだったかな……

ああ、あのカードも持ってきて……

 

「隼人君のデッキが魔改造されていくッス……」

 

…………あれ?そもそも俺、【猫シンクロ】作らなかったか?

 

「………………………………」

 

ケースを片っ端から探す。

……あれ?無い。ガチデッキのケースが無い。

 

「………………………………?」

 

もしかして、と思いPDAを取り出して電話する。

 

[もしもし?どうかした?]

「あ、枕田か?そっちに俺のケース無いか?」

 

相手は枕田。天上院にはデッキに慣れて貰うために暫く色んな奴とデュエルさせている。浜口でも良かったがなんとなく枕田に。

 

[ケース?たくさんあるけど]

 

…………なんで?

 

「…………ケースにタグ付けてあるんだが、なんて書いてある?一部で良いから言ってくれ」

[えっと……『通常罠1』とか『通常魔法3』。あと『ガチデッキ&ネタデッキ』って書いてあるわよ]

 

…………『通常罠1』…………『通常魔法3』…………『ガチデッキ&ネタデッキ』…………これって天上院達に運ばれたケース達か?持って帰るのを忘れたのか…………

 

「了解した。すまないがそのケースは明日取りにいく。で、『ガチデッキ』のケースの中を開いてくれるか?」

[?わかった。ちょっと待ってて…………しょっと。開けたわよ]

「その中のケースにもタグがあるんだが、その中に【猫シンクロ】ってのが無いか探してくれ」

[こ、このケースの中を探すの?]

「ああ、頼む」

 

少し時間を置いて枕田が、

 

[あったわよ、【猫シンクロ】ってやつ]

「あ、あったのか。了解した」

 

やはり作っていたか。

 

[用件はそれだけ?なら切るわよ]

「ああ、手間かけたな」

[そう思うなら今度何かカードを寄越しなさいよ]

 

…………なんでこういうときはちゃっかりしてるのだろう。

 

「わかったわかった。とりあえずケースは明日取りに行って、休みになったら連絡寄越せ。そのときにカードを渡す」

[わかった。じゃあね]

 

電話を切る。そして振り向くと、三沢の顔が、どアップであった。

 

「…………近い」

「枕田とは確か天上院明日香君の友人だったな。なんで女子と電話をしている。ケースを取りに行く?女子の部屋に君の私物があるのは何故だ?」

「アイツらが勝手に持っていったのを回収し忘れただけだ。…………しまったな、レシピを聞いとくべきだった。まぁいいや。デッキ作成再開だ」

 

んー……【猫シンクロ】だから基本は獣族だろ?あとは【サイドラ】とか特殊召喚可能なモンスター。魔法・罠は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

「できた」

「……【コアラ】が少ないんだなあ」

 

【コアラ】はカテゴリーじゃないぞ。

ペガサス会長がカテゴリー認定してるから強く言えないけど、【コアラ】はカテゴリーじゃないと俺は思ってる。

 

「入ってるだけありがたいと思え。【コアラ】って名前がついていて、比較的使えそうなこのカード達が入ったデッキがコレってだけだ。別に【コアラ】無しでいいなら別のデッキを渡す」

「こ、これで!これでいいんだなあ!」

 

前田は慌てた様子でデッキを受け取る。

これ以上コアラを減らしたくないのか。

 

「ん。なら次にそのデッキのキーカードだが残念ながらコアラは関係ないぞ」

「そ、そうなのか?」

「ああ。デッキ名が【猫シンクロ】だからな。猫とは……」

 

前田のデッキから【レスキューキャット】を受け取って見せつける。

 

「この【レスキューキャット】のことだ」

「でも【レスキューキャット】の効果で召喚したカードはターン終了時に破壊されちゃうんじゃ……」

「チューナーとそれ以外を特殊召喚して、シンクロ召喚またはエクシーズ召喚すれば……あ、エクストラ忘れてた。あっぶな!早速作ろう」

 

15枚……【ナチュル・ビースト】に【ナチュル・パルキオン】……【パルキオン】入ったっけ?まぁいいや。【ディサイシブ・アームズ】……【ミスト・ウォーム】……あ、【ブリューナク】もか。それと……

 

「こんなもんか」

「これがシンクロ召喚のデッキ……」

「そんな興味深そうに見ても普通のデッキだぞ」

「いや、今までシンクロ召喚やエクシーズ召喚なんてものが無かったから、これは興味深いよ」

 

シンクロが出た頃は【猫シンクロ】は強かったな。【レスキューキャット】は禁止になったけど。

 

「で、【レスキューキャット】についてだったな。【レスキューキャット】の効果でこのカード、チューナーモンスター【Xーセイバー エアベルン】と【デス・コアラ】か【コアラッコ】を特殊召喚。【コアラッコ】を特殊召喚したら、【コアラッコ】の効果を使って相手モンスターの攻撃力を0にしてから【カタストル】か【ナチュル・ビースト】をシンクロ召喚って感じだな。これで手札消費1枚でシンクロできる」

 

他にもチューナーを【魔轟神獣ケルベラル】にするとか、【サイドラ】特殊召喚→【ジャンクロン】召喚→効果で【コアラッコ】特殊召喚→【ディサイシブ・アームズ】シンクロ召喚とかもアリだしな。

…………【コアラッコ】が過労死するか?いや、あくまで一例だ。過労死するのは【レスキューキャット】の筈。

 

「しかし【レスキューキャット】を引かない可能性が」

「【サモンプリースト】で魔法捨てて【レスキューキャット】を呼べる。他のカードを使ってシンクロ召喚もできるから戦えないことはない」

「……なるほど、だから【レスキューキャット】で特殊召喚できないモンスターが入っているのか」

 

【レスキューキャット】を使い切ったら【貪欲な壺】で回収してまたシンクロ召喚すればいい……そんなギリギリにはならないと思うけどな。

 

「とりあえず明日のデュエルまで練習しろ」

「れ、練習?デュエルモンスターズに練習があるのか?……キツいのは嫌なんだなあ」

 

さっき反則級のカード使ってでも父親に勝ちたいとか言ったのは誰だよ。

 

「シンクロ召喚できなければまともな勝負はできないのがそのデッキだ」

 

【猫シンクロ】だけじゃなく色んなデッキもそうだがな。俺が組んでる途中のデッキとか。

 

「【レスキューキャット】からのシンクロ召喚。それ以外のシンクロ召喚もできるから、その研究をしろと言ってるんだ」

「わ、わかったんだなあ」

「わかったらさっさと帰れ。俺だってデッキ組んでる途中だったんだ」

「わ、わかった。デッキ、ありがとうなんだなあ」

 

ほぼ追い返すように前田達を部屋から出す。

さて、俺のデッキ作成再開。

十代や丸藤、前田同様負けられない勝負になる。いや、いつもそうか。テスターとして、負けられない。だがあのカード達は使うから、エクストラのスペースに他のカードを入れるか。まずはメインを固めて、そこから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

体育館付近にある武道場で前田と前田の父親、前田熊蔵氏によるデュエルをするらしく、朝早くに来た十代に拉致られ見学に来ている。激しく眠い。

 

「では、これより前田隼人君の退学をかけたデュエルを行いますにゃ。僭越ながら私大徳寺がこのデュエルの立会人を務めさせていただきますにゃ」

 

大徳寺先生が立会人ね……いるのか?いや、いるか。

 

「熊蔵さん。もし貴方が負けたら隼人君がこの学校に留まることを許していただけますかにゃ?」

「良か。男に二言は無いでごわす」

 

ごわすって……前田どこの出身なんだよ……体格も性格も喋り方も似てないぞ。似てるのが鼻と髪型くらいか?

 

「隼人君。もし君が負けたら、潔くこの学校を退学して国に戻り、ご実家の造り酒屋の家業を継ぐ。いいかにゃ?」

「俺は、構わないんだなあ」

 

前田がシンクロ召喚できればまず負けることはないと思うけどな。理想は初手で【ナチュル・ビースト】か【A・O・J カタストル】を召喚かな。それで大体止まるし。罠使うなら【ナチュル・パルキオン】でも可だ。

 

「では両者とも悔いの無いデュエルをしてくださいにゃ」

「デュエル!」

「いざデュエル!」

 

前田隼人

LP4000

 

VS

 

前田熊蔵

LP4000

 

「俺のターン!……コイツで攻撃だ!【デス・コアラ】を召喚!」

 

は!?おい、ちょっ、待て!!

 

【デス・コアラ】

攻撃表示

ATK1100/DEF1800

 

【デス・コアラ】が姿を現わす。

い、いや、姿を現わすじゃなくて、何やってくれちゃってんだアイツ!本当に勝つ気があるのか!?




次回はこの続きです。


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親子対決 隼人VS.熊蔵

先日UAが20000件を超えました。

前回はこんな感じで終えてます。
1ターン目メインフェイズ1途中
前田隼人
LP4000
モンスター
【デス・コアラ】:攻
ATK1100
魔・罠

手札5枚

VS

前田熊蔵
LP4000
モンスター

魔・罠

手札6枚


前田の退学をかけ、父親である前田熊蔵氏とデュエル。そこで俺はこの世界の小学生でもやらないであろうプレイングを目撃している。先攻1ターン目、リバース効果モンスターである【デス・コアラ】を攻撃表示で通常召喚するという衝撃のプレイングだ。

 

「あんのバカ……!」

「隼人のヤツ何やってんだ!?」

「?アニキに龍斗君、どうかしたんスか?」

 

……前田のプレイングと丸藤の発言に二重の意味で呆れて思わず額に手をやる。オシリスレッドだけでランク分けしたらこの2人は確実に下の位置にいるだろう。

 

「【デス・コアラ】はリバースモンスターだ」

「あ!」

「このバカタレが!【デス・コアラ】はリバース効果で相手の手札1枚につき400ポイントのダメージを与えるカード。そんなカードをみすみす攻撃表示で出すとは、碌に勉強してない証拠!」

 

いや、勉強以前の問題じゃないか?前田は反論することなくターンを終了した。

 

前田隼人

LP4000

モンスター

【デス・コアラ】:攻

ATK1100

魔・罠

手札5枚

 

リバースも無し……事故ってるのか?それでも【デス・コアラ】攻撃表示は痛いプレミだな……

 

「おいのターン!フフッ」

 

わかりやすいくらいに口角を上げる熊蔵氏。キーカードでも引いたのか?

 

「皆さん。匠の技をしっかりと見ておくのにゃ」

 

匠?なんだ、それほどの手練なのか?

 

「薩摩次元流の極意を応用したっていう一撃必殺のデュエル。見せてもらうぜ」

 

薩摩次元流?武術か何かか?そして一撃必殺のデュエル……1killか……終わったか。キーカードを引いたみたいだし。

 

「行くぞ隼人。【酔いどれタイガー】召喚!」

 

【酔いどれタイガー】

攻撃表示

ATK1800/DEF600

 

は?【酔いどれタイガー】?なんだそのカード?聞いたことないぞ。

 

「あれが一撃必殺のカード?」

「い、いや見た目に騙されるな。ああ見えて、きっとおそろしい技を持っているに違いない」

「【酔いどれタイガー】で攻撃!泥酔パンチ!」

 

技名なんとかならないか?

 

「酒臭え……」

 

前田隼人

LP4000→3300

 

「泥酔……パンチ?」

「ていうか猫パンチ……」

「お前なんて酔っ払いの猫パンチで十分。ターンエンド」

 

前田熊蔵

LP4000

モンスター

【酔いどれタイガー】:攻

ATK1800

魔・罠

手札5枚

 

……エンドフェイズになっても何もない。バニラか?それとも……いや、考えても仕方ないか。見ていればいずれわかる。

 

「俺のターン、ドロー!……!【レスキューキャット】を召喚!」

 

【レスキューキャット】

攻撃表示

ATK300/DEF100

 

「来たぜ!【レスキューキャット】!」

「そんなモンスター。おいの【酔いどれタイガー】で粉砕でごわす」

 

まあこの攻撃力至上主義じゃあ当然の反応か。なら見て驚くといい。

 

「【レスキューキャット】の効果でこのカードを墓地に送って、デッキからレベル3以下の獣族モンスターを特殊召喚するんだなあ。【コアラッコ】と【Xーセイバー エアベルン】を特殊召喚!」

 

【コアラッコ】

攻撃表示

ATK100/DEF1600

 

【Xーセイバー エアベルン】

攻撃表示

ATK1600/DEF200

 

「【コアラッコ】の効果発動!1ターンに1度、自分の場に他の獣族モンスターがいるとき、相手の表側表示モンスターの攻撃力を0にするんだなあ!【酔いどれタイガー】の攻撃力を0にするんだなあ!」

 

【コアラッコ】がどこからか貝と石を取り出して一生懸命に貝を割っている。すると【酔いどれタイガー】は何故かリラックスし始めた。攻撃力を0にする効果ってリラックスさせることなのか?無駄な力が無くなって寧ろ上がりそうな……

 

【酔いどれタイガー】

ATK1800→ATK0

 

「【酔いどれタイガー】!?」

「行くぞ父ちゃん!レベル2の【コアラッコ】に」

 

え?いや、まて、アリだけどここは……!

 

「レベル3の【Xーセイバー エアベルン】をチューニング!」

 

…………いや、いいや。勝てば問題ない。

 

「シンクロ召喚!【ナチュル・ビースト】!」

 

【ナチュル・ビースト】

攻撃表示

ATK2200/DEF1700

 

ダメージ優先するなら【ライブラリアン】……入れてなかった気がする。

 

「し、シンクロ召喚!?なんだそのモンスターは!?」

 

あ、なんか懐かしい反応だ。

説明するか。テスターとして。

 

「……シンクロ召喚とは、フィールドからチューナーモンスターとそれ以外のモンスターを墓地に送り、墓地送ったモンスター達のレベルの合計と等しいレベルを持つシンクロモンスターを召喚する新たな召喚方のことですよ」

「は、隼人がそんなモンスターを……」

「【ナチュル・ビースト】で【酔いどれタイガー】を攻撃なんだなあ!アース・ファング!」

 

【ナチュル・ビースト】が足踏みをすると地面から牙状の岩が飛び出して【酔いどれタイガー】を貫いた。

 

「ぐうぅっ!」

 

前田熊蔵

LP4000→1800

 

「やったッス!」

「一気に大ダメージだぜ!」

「ターンエンドなんだなあ」

 

前田隼人

LP3300

モンスター

【ナチュル・ビースト】:攻

ATK2200

魔・罠

手札5枚

 

「おいのターン!【酔いどれエンジェル】を召喚!」

 

【酔いどれエンジェル】

攻撃表示

ATK1800/DEF400

 

また【酔いどれ】……ペガサス会長……何を思ってこんなモンスター達を……?

 

「更に魔法カード【お銚子一本】を発動!」

 

【お銚子一本】?

フィールドに出てきたのは酒を入れるお銚子。何かあるのか?……関係無いか。

 

「無駄なんだなあ!【ナチュル・ビースト】の効果発動!デッキの上から2枚を墓地に送って、魔法カードの発動を無効にするんだなあ!大自然の咆哮!」

 

【ナチュル・ビースト】が咆哮すると、【お銚子一本】のカードが色を失って破壊された。

 

「【お銚子一本】がフィールドから離れたことで、相手プレイヤーに500ポイントのダメージを与える!」

 

破壊されて発動するカード……珍しいな。まあ無駄だけど。

熊蔵氏が説明するも、前田に何も起こらない。

 

「な、何故発動し「【お銚子一本】はフィールドから離れる以前にフィールドに出てませんから。【ナチュル・ビースト】はカードの発動を無効にする。発動してないカードはただ墓地に行くだけです。現在の貴方は、魔法カード抜きでデュエルすることを強いられているんですよ」……くぅっ。なら永続魔法【ちゃぶ台返し】発動!」

「【ナチュル・ビースト】はデッキがある限り何度でも効果を使えるんだなあ!大自然の咆哮!」

 

……これは決まったろ。まさか【ビースト】一体で止まるとは……【パルキオン】の出番が無さそうだ。

 

「……ターン……エンド」

 

前田熊蔵

LP1800

モンスター

【酔いどれエンジェル】:攻

ATK1800

魔・罠

手札3枚

 

…………可哀想に。魔法カードが無ければほとんどのデッキが止まるからな。せめて1ターンに1度にすればなんとかなるんだが……

 

「俺のターン、ドロー!【死者蘇生】を発動なんだなあ!」

 

…………酷い。

 

「墓地から【レスキューキャット】を復活させて効果発動!」

 

【レスキューキャット】が地面から出てきたと思ったらすぐさま地面に潜っていった。

 

「デッキから【デス・コアラ】と【Xーセイバー エアベルン】を特殊召喚!レベル3の【デス・コアラ】にレベル3の【Xーセイバー エアベルン】をチューニング!シンクロ召喚!【氷結界の龍 ブリューナク】!」

 

【氷結界の龍 ブリューナク】

攻撃表示

ATK2300/DEF1400

 

「バトル!【ナチュル・ビースト】で【酔いどれエンジェル】に攻撃なんだなあ!アース・ファング!」

「ぐうぅっ!」

 

前田熊蔵

LP1800→1400

 

「トドメなんだなあ!【氷結界の龍 ブリューナク】でダイレクトアタックなんだなあ!」

「ぐぅぉぉお!」

 

前田熊蔵

LP1400→-900

 

「よしっ!隼人が勝ったぜ!」

 

罠無しの相手に勝ってそんなに嬉しいのか……?まぁ確かにやりたいこと止められないから楽だけどさ。

いや、友人の退学が無しになるのが嬉しいのか。

 

「…………」

「ん?隼人?」

「…………が………………だ」

 

前田が下を向いて何か呟いてる。微かに震えてるようにも見える。勝てたのが震えるほどに嬉しいのか?

 

「俺が、このデッキが最強なんだなあ!」

「は、隼人!?どうした!?」

 

急に前田が叫びだした。

 

「今まで使ってたデッキなんてもういらないんだなあ!このデッキがあれば、誰にも負けないんだなあ!」

 

…………もしかしてレッドにガチ渡すと思い上がるのか?

 

「前田。ハイテンションなところ悪いが、俺は『カードを貸す』とは言ったが『プレゼントする』なんて一言も言ってないぞ」

「なら俺に寄越すんだなあ!強いカードは強い俺にこそ相応しいんだなあ!」

 

ダメだ。完全にイカれてる。

……これからレッドに渡すのは控えるか……もしくは強さを抑えるか。

そしてこいつを正気に戻さなきゃな。シンクロモンスター達を渡した責任が俺にはあるしな。

 

「…………わかった。ただし条件がある」

「条件?」

「そうだ。俺にデュエルで勝ってみろ。俺に勝てたらそのデッキはくれてやる」

「ふん。おもしろいんだなあ。この最強のデッキに勝とうなんて10万年早いってことを教えてやるんだなあ!」

 

とりあえず誘い出すのには成功したな。だがなんでコイツは急にこんな強気な態度を……

 

「少し待ってろ。今はデッキがないから取ってくる」

 

…………こんなことになるとわかってたら持って来てたんだけどなぁ……




隼人君、急にどうした!?猫に対抗するなら兎しかない!助けてオピョォ!(兎じゃねぇ!
ってことで次回は隼人VS龍斗です。
では。


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暴走 VS.隼人

この辺りから投稿速度がさらに減速しそうです。


「待たせたな」

「別に、お前を倒してこの最強デッキが本当の意味で俺の物になる時間が少し伸びただけなんだなあ」

 

前田が退学をかけて父親とデュエルした。スタートでとんでもないプレミをやったものの、次ターン以降は危なげない展開で勝利。これで一件落着と行けば良かったんだが、前田が急にイカれだした。暴走した前田を止めるために俺がデュエルすることに。俺が勝てばデッキを回収し、俺が負けたらデッキは完全に前田の物になる。

 

「「デュエル!」」

 

前田隼人

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「俺のターン!【レスキューキャット】を召喚!」

 

【レスキューキャット】

攻撃表示

ATK300/DEF100

 

「【レスキューキャット】の効果発動!このカードを墓地に送り、デッキからレベル3以下の獣族モンスターを特殊召喚するんだなあ!デッキから【Xーセイバー エアベルン】と【コアラッコ】を特殊召喚!」

 

【Xーセイバー エアベルン】

攻撃表示

ATK1600/DEF200

 

【コアラッコ】

攻撃表示

ATK100/DEF1600

 

教えた通りの動きだ。ここからおそらく……

 

「レベル2の【コアラッコ】にレベル3の【Xーセイバー エアベルン】をチューニング!シンクロ召喚!【ナチュル・ビースト】!」

 

【ナチュル・ビースト】

攻撃表示

ATK2200/DEF1700

 

やはり【ビースト】……これで俺は実質魔法が使えない。

 

「ターンエンドなんだなあ!」

 

前田隼人

LP4000

モンスター

【ナチュル・ビースト】:攻

ATK2200

魔・罠

手札5枚

 

「俺のターン、ドロー!モンスターをセット!カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン!【Xーセイバー エアベルン】を召喚!」

 

【Xーセイバー エアベルン】

攻撃表示

ATK1600/DEF200

 

「バトル!【ナチュル・ビースト】で攻撃なんだなあ!アース・ファング!」

 

【ナチュル・ビースト】が足踏みをすると牙状の岩が飛び出し裏守備モンスター……【ヴェルズ・フレイス】を貫いた。

 

「【ヴェルズ・フレイス】のリバース効果で【ナチュル・ビースト】を手札に戻す。シンクロモンスターは手札に戻らず、エクストラデッキに戻るけどな」

「プレイミスなんだなあ!【Xーセイバー エアベルン】の攻撃が残ってる!戻すならコイツを戻すべきだったんだなあ!ダイレクトアタック!」

 

【エアベルン】が爪で俺を斬り裂くと同時に俺の手札を1枚貫いた。

 

宮田龍斗

LP4000→2400

 

「【エアベルン】はダイレクトアタックでダメージを与えたら相手の手札を1枚捨てさせるんだなあ!ターンエンド!」

 

前田隼人

LP4000

モンスター

【Xーセイバー エアベルン】:攻

ATK1600

魔・罠

手札5枚

 

相変わらずリバース無しか。

 

「ドロー!……【ヴェルズ・ケルキオン】を召喚!」

 

【ヴェルズ・ケルキオン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1550

 

「効果発動!墓地の【ヴェルズ・フレイス】を除外して、墓地の【ヴェルズ・カストル】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「そんなカード……【エアベルン】で捨てさせたカードか!」

「ご名答。そして【ケルキオン】はこの効果を使ったターン、更に【ヴェルズ】モンスターを召喚できる!【ヴェルズ・マンドラゴ】を召喚!」

 

【ヴェルズ・マンドラゴ】

攻撃表示

ATK1550/DEF1450

 

「俺はレベル4の【ヴェルズ・ケルキオン】と【ヴェルズ・マンドラゴ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!神槍さえも己がものにし、暗き力で支配しろ!エクシーズ召喚!閉じろ!ランク4!【ヴェルズ・オピオン】!」

 

【ヴェルズ・オピオン】

攻撃表示

ATK2550/DEF1650

 

「あれは……【グングニール】!?いや、あれはシンクロモンスターのはず……」

 

【グングニール】?…………確かに【氷結界の龍 グングニール】に似ているな。何か関係あるのか……?

……集中しよう。

 

「【ヴェルズ・オピオン】の効果発動!ORUを1つ使い、デッキから【侵略の】と名のついた魔法・罠を1枚手札に加える。【侵略の汎発感染】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「バトル!【ヴェルズ・オピオン】で【Xーセイバー エアベルン】を攻撃!アグレッション・ブリザード!」

 

【オピオン】が羽ばたくと黒い吹雪が吹き荒れ、【エアベルン】は黒く凍りつき、砕け散った。

 

「くうっ!」

 

前田隼人

LP4000→3050

 

「カードを1枚セットしてターンエンド。先に言っておこう。この【ヴェルズ・オピオン】がいる限り、俺達はレベル5以上のモンスターを特殊召喚できない。つまり、お前はシンクロ召喚の大半を封じられたということだ」

「そ、そんな……!」

「さあ、倒してみろ。最強なんだろ?お前は」

 

宮田龍斗

LP2400

モンスター

【ヴェルズ・オピオン】:攻

ATK2550

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「お、俺のターン!……ふっ。【ライトニング・ボルテックス】発動!手札から【魔轟神獣ケルベラル】を捨てて相手フィールドの表側モンスターを全て破壊!これでシンクロ召喚できるんだなあ!」

「リバースカード、速攻魔法【侵略の汎発感染】!これでこのターン、俺の【ヴェルズ】モンスターはこのカード以外の魔法・罠の効果を受けない。よって【オピオン】は破壊されない」

 

天井から幾つもの雷が落ちてくるが、【オピオン】の体全体がより黒く染まり、雷が落ちてもピンピンしていた。

 

「くっ!捨てられた【ケルベラル】の効果で自身を特殊召喚!」

 

【魔轟神獣ケルベラル】

守備表示

ATK1000/DEF400

 

「モンスターを1枚伏せ、ターンエンドなんだなあ……」

 

前田隼人

LP3050

モンスター

【魔轟神獣ケルベラル】:守

DEF400

裏守備1枚

魔・罠

手札3枚

 

「どうした?急に防戦一方じゃないか。そのデッキは、お前は最強なんじゃないのか?」

「う、うるさいんだなあ!お前なんてすぐにやっつけてやるんだなあ!」

「そうか、期待しているぞ。ドロー!」

 

……【ケルキオン】か。だが墓地にモンスターが【オピオン】で使った【ケルキオン】しかいない……

 

「俺は【ヴェルズ・サンダーバード】を召喚!」

 

【ヴェルズ・サンダーバード】

攻撃表示

ATK1650/DEF1050

 

「バトル!【ヴェルズ・サンダーバード】で【ケルベラル】を攻撃!」

 

【サンダーバード】が【ケルベラル】の背を掴み上昇。そこから急降下して【ケルベラル】を地面に叩きつけた。

 

「続いて【オピオン】で守備モンスターを攻撃!アグレッション・ブリザード!」

 

黒い吹雪によってリバースモンスター……【デス・コアラ】を破壊した。

 

「【デス・コアラ】のリバース効果でお前の手札1枚につき400ポイントのダメージを与えるんだなあ!お前の手札は3枚。よって1200ポイントのダメージなんだなあ!」

「その程度くれてやる」

 

宮田龍斗

LP2400→1200

 

「ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP1200

モンスター

【ヴェルズ・オピオン】:攻

ATK2550

【ヴェルズ・サンダーバード】:攻

ATK1650

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「さっきから大口叩いてるけど、ライフは俺の方が多いんだなあ!」

「1ポイントでもライフがあれば勝てるのがDMだろ?寧ろ重要なのはカードのアドバンテージだ」

 

800のライフなら【ガガガガンマン】で終わるけどな。

 

「なら俺に勝ってみるんだなあ!ドロー!」

 

この状況を突破するなら【オピオン】を除去するしかない。そして除去カードはあのデッキには【ライトニング・ボルテックス】と【ライトロード・ハンター ライコウ】、あとは【ミラフォ】だったはず。【ライコウ】は1ターン準備が必要だから次ターンで一気に倒しにいく。

 

「【月の書】を発動なんだなあ!これで【ヴェルズ・オピオン】を守備表示にするんだなあ!」

「【ヴェルズ・サンダーバード】の効果発動。魔法・罠・モンスター効果が発動したとき、このカードを次のスタンバイフェイズまで除外する」

 

【ヴェルズ・オピオン】

攻撃表示→裏守備

 

「でもこれでシンクロ召喚できるんだなあ!【レスキューキャット】召喚!」

 

【レスキューキャット】

攻撃表示

ATK300/DEF100

 

「効果発動!デッキから【Xーセイバー エアベルン】と【デス・コアラ】を特殊召喚!」

 

【Xーセイバー エアベルン】

攻撃表示

ATK1600/DEF200

 

【デス・コアラ】

攻撃表示

ATK1100/DEF1800

 

「レベル3の【デス・コアラ】にレベル3の【Xーセイバー エアベルン】をチューニング!シンクロ召喚!【氷結界の龍 ブリューナク】!」

「リバースカード【神の宣告】。ライフ半分をコストにモンスターの召喚、反転召喚、特殊召喚または魔法・罠の発動を無効にする」

 

宮田龍斗

LP1200→600

 

「そ、そんな……!」

「それで、どうするんだ?お前の手札は2枚。バーンカードは【デス・コアラ】のみ。しかし召喚権は使っている。墓地から特殊召喚できる効果を持つモンスターは墓地にはいない。俺の場には裏守備だが【オピオン】がいる。もう諦めろ」

「まだなんだなあ!手札1枚を捨てて【THE トリッキー】を特殊召喚!」

 

【THE トリッキー】

攻撃表示

ATK2000/DEF1200

 

「バトル!【THE トリッキー】で裏守備表示の【ヴェルズ・オピオン】に攻撃!」

 

【THE トリッキー】はマントで体を隠し一瞬で開くと剣が出てきてその剣で裏守備の【オピオン】を串刺しにした。おい、魔法使い族だろお前。魔法使え。

 

「ターンエンドなんだなあ!」

 

前田隼人

LP3050

モンスター

【THE トリッキー】:攻

ATK2000

魔・罠

手札0枚

 

「……ファイナルターンだ。ドロー。スタンバイフェイズに【ヴェルズ・サンダーバード】はフィールドに戻り、攻撃力が300ポイントアップする」

 

【ヴェルズ・サンダーバード】

ATK1650→ATK1950

 

「さらに【ヴェルズ・カストル】召喚」

 

【ヴェルズ・カストル】

攻撃表示

ATK1750/DEF550

 

「【ヴェルズ・カストル】の効果でこのターンもう1度だけ、【ヴェルズ】モンスターを召喚できる。【ヴェルズ・ケルキオン】召喚」

 

【ヴェルズ・ケルキオン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1550

 

「【ケルキオン】の効果で【オピオン】を除外して【マンドラゴ】を回収。【ケルキオン】の効果を使ったため更に【ヴェルズ】モンスターを召喚できる。【ヴェルズ・マンドラゴ】召喚」

 

【ヴェルズ・マンドラゴ】

攻撃表示

ATK1550/DEF1450

 

「がら空きだった龍斗君のフィールドに一気にモンスターが4体並んだッス……」

「レベル4の【ヴェルズ・ケルキオン】と【ヴェルズ・カストル】、【ヴェルズ・マンドラゴ】でオーバーレイ!」

「3体でエクシーズ召喚!?どんなモンスターが来るんだ!?」

「3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!世界を閉ざした災厄。黒き意思と一つとなりて、新たな破滅を生み出さん!エクシーズ召喚!破壊する邪龍!ランク4!【ヴェルズ・ウロボロス】!」

 

【ヴェルズ・ウロボロス】

攻撃表示

ATK2750/DEF1950

 

「あ、ああ……」

「【ヴェルズ・ウロボロス】の効果発動!1ターンに1度、ORUを1つ使い3つの効果から1つを使うことができる」

「3つの効果から!?凄え!それであの攻撃力かよ!」

「俺は第1の効果を使用。相手フィールドのカードを手札に戻す。【THE トリッキー】を手札に」

 

【ヴェルズ・ウロボロス】の右側の首のブレスで【THE トリッキー】を吹き飛ばし、手札に戻した。

 

「バトル!【ヴェルズ・サンダーバード】でダイレクトアタック!」

 

【サンダーバード】は今度は羽ばたいて風を起こしただけで攻撃終了となった。……モンスターだったら叩きつけるのにプレイヤーは風を起こすだけなんだな。

 

前田隼人

LP3050→1100

 

「さあ、ラストだ。【ヴェルズ・ウロボロス】でダイレクトアタック!スノーストーム・オブ・ディマイズ!」

 

【ウロボロス】の3つの首から【オピオン】のものより強烈な黒い吹雪が吹いて前田を吹き飛ばした。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

前田隼人

LP1100→-1650

 

「隼人!」

「隼人君!」

「……いててて……」

 

さっき頭をどこかにぶつけたらしい。後頭部を軽くさすっている。

 

「……前田。カードは返してもらうぞ。お前が使うには相応しくない」

「……わかったんだなあ」

 

デッキを回収し、前田のカード、【デス・コアラ】だけを渡す。

 

「……さて、余計な勝負もありましたが、前田のお父さん。貴方との勝負にコイツは勝った。在学を許していただけますね?」

「…………男に二言はない。隼人」

「は、はいなんだなあ!」

「カードの力に魅了されないよう精進するでごわす」

 

それだけ言って熊蔵氏は武道場を去っていった。

 

「は、はいなんだなあ!」

 

その日の午後には熊蔵氏はボートに乗って帰ったらしい。人力らしいが、よく沈まないな。




えーっと次回は……迷宮兄弟が出ます。前後編です。


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魔神VS神ー① VS.迷宮兄弟

迷宮兄弟戦、前後編です。


退学をかけた十代と丸藤のタッグデュエル。相手はデュエルキングこと武藤遊戯のデュエルした伝説のデュエリストの迷宮兄弟だった。過去形なのは既にデュエルは終了していて、残りライフ200とギリギリ勝利といった感じだった。まぁ勝てば残りライフなんてどうでもいいんだが。で、次は俺と天上院の番だ。

 

「次のデュエルーハ、シニョール宮田アーンドシニョーラ天上院タッグVS迷宮兄弟ナノーネ!ルールはフィールド、墓地、ライフをタッグパートナーと共有。攻撃は全プレイヤーのターンが終了するまでできないノーネ。ライフは8000でスタートナノーネ!」

「先程は不覚を取ったが」

「次は負けん!」

 

一々兄弟で台詞わけなきゃ気が済まないのか。兄、弟の順で話してくる。正直言うと鬱陶しく感じる。

 

「で、大丈夫なの?タッグ用に調整してないけど」

「なんとかする。お前モンスターがどんどんシンクロ素材になるからそこだけわかってればいい」

「わ、わかった……」

「ソレデーハ、デュエル開始ナノーネ!」

「「「「デュエル!」」」」

 

迷宮兄弟

LP8000

 

VS

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP8000

 

迷宮兄弟の兄(額に迷って書いてある方)からスタートだ。

 

「私のターン!【地雷蜘蛛】を召喚!」

 

【地雷蜘蛛】

攻撃表示

ATK2200/DEF100

 

またか。十代とのデュエルでも初ターンに出しただろソレ。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

迷宮兄弟

LP8000

モンスター

【地雷蜘蛛】:攻

ATK2200

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚(兄)

手札5枚(弟)

 

次は天上院のターンだ。

 

「私のターン!【異次元の女戦士】を守備表示で召喚!」

 

【異次元の女戦士】

守備表示

ATK1500/DEF1600

 

でた。守備表示で召喚。この召喚方のメリットって永続効果モンスター且つ守備表示のときに発動する効果のときくらいだと思うんだが……

 

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP8000

モンスター

【異次元の女戦士】:守

DEF1600

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚(天上院)

手札5枚(宮田)

 

「私のターン!【生け贄人形(ドール)】を発動!【地雷蜘蛛】を生贄に、【水魔神ースーガ】を特殊召喚!」

 

【水魔神ースーガ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2400

 

お前ら好きだな。そこそこ強いけど。

 

「すまない兄者。また兄者のカードを」

「構わん。弟の為なら安いものだ」

 

で、また【闇の指名者】か?ワンパターンだな。

 

「だがそれでは私の気が済まない。礼はさせてもらう。魔法カード【闇の指名者】発動。兄者を対象に【雷魔神ーサンガ】を宣言する!」

「先程のデュエルで見た通り、私のデッキには【雷魔神ーサンガ】はある」

「宣言したカードがデッキにあるのなら手札に加える。礼はさせてもらったぞ、兄者。さらに【カイザー・シーホース】を召喚!」

 

【カイザー・シーホース】

攻撃表示

ATK1700/DEF1650

 

「ターンエンド」

 

迷宮兄弟

LP8000

モンスター

【水魔神ースーガ】:攻

ATK2500

【カイザー・シーホース】:攻

ATK1700

魔・罠

伏せ1枚

手札5枚(兄)

手札2枚(弟)

 

「さて、俺のターンか。ドロー」

 

……シンクロデッキなのにチューナー引かねえ……そこまで墓地活用するデッキでもないし……【ライコウ】と【光の援軍】入れてるけど。まだ動けそうもないし、天上院の伏せたリバースカード確認して大人しくしておくか。

 

「モンスターをセット。カードを2枚セットしてターンエンドだ」

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP8000

モンスター

【異次元の女戦士】:守

DEF1600

裏守備1枚

魔・罠

伏せ3枚

手札4枚(天上院)

手札3枚(宮田)

 

「ずいぶん消極的だな。私のターン!リバースカードオープン!【リビングデッドの呼び声】。【地雷蜘蛛】復活!」

 

【地雷蜘蛛】

攻撃表示

ATK2200/DEF100

 

「【生け贄人形】を発動!【地雷蜘蛛】を生贄に捧げ、【風魔神ーヒューガ】をーーー」

「リバースカード【魔宮の賄賂】。魔法・罠の発動と効果を無効にして破壊し、相手はカードを1枚ドローする。【生け贄人形】はモンスターを生贄に発動するカード。【地雷蜘蛛】は無駄に墓地にいっただけだな」

「くっ……ドロー」

 

迷宮兄弟(兄)

手札5枚→6枚

 

「弟よ。お前のカードを借りるぞ」

「そのために用意したモンスター。存分に使ってくれ兄者」

「【カイザー・シーホース】は光属性モンスターを生贄召喚するとき、1体で2体分の生贄にできる!【カイザー・シーホース】を生贄に【雷魔神ーサンガ】を召喚!」

 

【雷魔神ーサンガ】

攻撃表示

ATK2600/DEF2200

 

…………【ゲート・ガーディアン】召喚させて【ライコウ】で破壊すれば良かったな。プレミした。

 

「このターンから私は攻撃できる!バトルだ!【水魔神ースーガ】で守備モンスターを攻撃!流水波!」

 

【スーガ】の口から大量の水が流れ出て裏守備モンスター……【ライトロード・ハンター ライコウ】を飲み込むが……犬掻きで器用に場に残った。効果処理のためか。以前みたいに勝手に墓地に行く気だろう。別にいいけど。

 

「【ライトロード・ハンター ライコウ】のリバース効果。フィールドのカード1枚を破壊できる!【雷魔神ーサンガ】にはご退場願おう」

「なんだと!?」

 

【ライコウ】は犬掻きのスピードを速めて【スーガ】を踏み台に宙に浮く【サンガ】に飛び乗り、噛み砕いた。そして【ライコウ】は自ら墓地に行く。

 

「そして俺のデッキトップ3枚を墓地に」

 

【レベル・スティーラー】

【極星霊デックアールヴ】

【光の援軍】

 

ふむ。落ち方が素晴らしい。

 

「自らのデッキを削るとは」

「そのリスクがわからないと見える」

 

迷宮兄弟は俺を嘲笑うように見るが、周囲の生徒、特に枕田と浜口、十代あたりは『可哀想に』と言わんばかりに迷宮兄弟を見ている。

 

「そして自分フィールドのモンスターが戦闘で破壊され、墓地に送られたことで手札から【極星獣タングニョースト】を特殊召喚する!」

 

【極星獣タングニョースト】

守備表示

ATK800/DEF1100

 

「そんなモンスター」

「我らが【魔神】達で」

「「蹴散らしてくれる」」

 

いや、だから一々交互に言わなくていいから。

 

「で、まだそちらのターンなのだが、何かすることは?」

「……カードを1枚伏せターンエンドだ」

 

迷宮兄弟

LP8000

モンスター

【水魔神ースーガ】:攻

ATK2500

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】

伏せ1枚

手札4枚(兄)

手札2枚(弟)

 

「私のターン、ドロー!…………」

 

ん?天上院がこっちを睨んでる……あ、【一族の結束】引いたのか。俺の墓地に獣族がいるからまるで使えないな。しかもあのデッキには手札を捨てたりするカードは1枚もないから完全に腐ったな。…………ふむ。

 

m9(^Д^)

 

「何よその顔!あと人を指差さない!」

「どうせこのデュエルじゃ使えないなカード引いたんだろ?手札から捨てて発動するようなカードもないから腐りまくってんだろ?だが安心しろ。俺のデッキーーー」

「そ、そうよね。それくらいのフォローはしてくれるわよね」

「ーーーにもそんなカードはないから!」

「なんでこんな人がパートナーなのよ!」

 

お前が勝手に俺のパートナーになったからだ。天上院は頭を抱えはじめた。

 

「あ、いや、あった」

「え?そ、そう……よかった……手札にあるだけになるところだったわ」

「手札1枚をコストに手札から特殊召喚するモンスターが」

「私が使えないじゃない!」

 

俺は『あった』と言っただけで、『天上院が使えるカード』とは言ってないぞ。

 

「早くデュエルを進めろ!」

「これ以上は遅延行為とみなすぞ!」

「…………私は【荒野の女戦士】を召喚!」

 

【荒野の女戦士】

攻撃表示

ATK1100/DEF1200

 

……個人的にやりたいことあるからエクシーズは勘弁してほしい。あ、でも【タングニョースト】は残したいなあ……とか思ってみたり。

 

「そんな下級モンスター」

「我らが【魔神】の」

「「敵ではない!」」

「私はレベル4の【異次元の女戦士】と【荒野の女戦士】でオーバレイ!2体のモンスターでオーバレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4!【No.39 希望皇ホープ】!」

 

【No.39 希望皇ホープ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「な、なんだこのモンスターは!?」

 

あれ?エクシーズ召喚とかクロノスが教えてないの?クロノスをチラッと見ると、俺の視線に気付いたクロノスは高速で首と手を横に振り『自分は何も言ってない』と訴えていた。

 

「ターンエンド」

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP8000

モンスター

【No.39 希望皇ホープ】:攻

ATK2500

【極星獣タングニョースト】:守

DEF1100

魔・罠

伏せ2枚

手札4枚(天上院)

手札2枚(宮田)

 

【ライボル】みたいな除去カードが来なければなんとかなりそうだな。

 

「私のターン!【死者蘇生】発動!蘇れ!【雷魔神ーサンガ】!」

 

【雷魔神ーサンガ】

攻撃表示

ATK2600/DEF2200

 

「バトル!【雷魔神ーサンガ】で【希望皇ホープ】を攻撃!雷衝弾!」

 

【サンガ】の背中の球体から放たれる雷撃が【ホープ】に向かう。

 

「【希望皇ホープ】のモンスター効果発動!ORUを1つ使い、相手モンスターの攻撃を無効にする!ムーンバリア!」

 

しかし【ホープ】の周りを漂う光球が一つ、【ホープ】の胸部に消え、背中の翼を展開して雷撃を防いだ。

 

「くっ……ターンエンド」

 

迷宮兄弟

LP8000

モンスター

【雷魔神ーサンガ】:攻

ATK2600

【水魔神ースーガ】:攻

ATK2500

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】

伏せ1枚

手札4枚(兄)

手札2枚(弟)

 

「俺のターン、ドロー!」

 

……【禁じられた聖槍】……これじゃない。なら

 

「リバースカード【神の桎梏グレイプニル】発動!デッキから【極星】モンスターを手札に加える。【極星獣タングリスニ】を手札に加え、そのまま召喚!」

 

【極星獣タングリスニ】

攻撃表示

ATK1200/DEF800

 

「そして【極星獣タングニョースト】を守備表示から攻撃表示に変更」

 

【極星獣タングニョースト】

守備表示→攻撃表示

DEF1100→ATK800

 

「この瞬間、【極星獣タングニョースト】の効果発動!このモンスターが守備表示から攻撃表示になったとき、デッキから【極星獣タングニョースト】以外の【極星獣】モンスターを表側守備表示特殊召喚できる!チューナーモンスター【極星獣グルファクシ】を特殊召喚!」

 

【極星獣グルファクシ】

守備表示

ATK1600/DEF1000

 

「チューナー」

「モンスターだと?」

「……貴様らにはこれから神を見せてやる。神話で語られる神を!」

「何をバカな!」

「神のカードはデュエルキングのみが持つカード!」

 

いや、【オシリス】や【ラー】、【オベリスク】以外にも神はいるぞ。

 

「レベル3の【極星獣タングニョースト】と【極星獣タングリスニ】にレベル4の【極星獣グルファクシ】をチューニング!」

「チューニング!?」

「また未知の召喚方か!」

 

この学校の生徒と教師は皆知っているよ。知らないのはここではお前達だけだ。

えっと……たしか口上は……ゲームで得た知識は結構覚えてるなぁ……この世界の知識はほとんど忘れてるのに……

 

「星界の扉が開くとき、古の戦神がその魔鎚を振り上げん。大地を揺るがし轟く雷鳴とともに現れよ!シンクロ召喚!光臨せよ!レベル10!【極神皇トール】!」

 

【極神皇トール】

攻撃表示

ATK3500/DEF2800

 

【トール】を召喚したが、ソリッドヴィジョンが出てこない。

 

「どうした?」

「召喚失敗か?」

 

召喚失敗と思いホッとしているのか迷宮兄弟はまた俺を嘲笑う。

 

「クロノス先生、モニターで外の様子を」

「わ、わかったノーネ!」

 

クロノスが足下を弄ると屋根と壁の中間に設置されてる巨大モニターが付き、アカデミア校舎の外を映す。そこには俺が召喚した【トール】の姿があった。

 

『で、でけえ!』

『あれがモンスター!?』

「な、なんだ!?」

「このモンスターは!?」

 

生徒も教師も迷宮兄弟も、そしてパートナーの天上院も驚愕している。

…………あれ?この位置、屋根が無かったら【トール】の股間を見上げる状態に…………よ、よかった……そんなことにならなくて本当によかった……!

 

「……これが【極神皇トール】。北欧神話で語られた神だ。俺のデッキにはあと2体の神がいる。さぁ、神々を相手にどう戦う!?」

 

内心ホッとしていることを誰にも悟らせないように、俺は笑みを浮かべた。




神とは『三極神』でした。明日香さんのデッキとの相性?そんなの気にしたら負けですよ。
次回は後編です。


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魔神VS神ー② VS.迷宮兄弟

前回はこんな感じで終わりました。

8ターン目メインフェイズ中
迷宮兄弟
LP8000
モンスター
【雷魔神ーサンガ】:攻
ATK2600
【水魔神ースーガ】:攻
ATK2500
魔・罠
【リビングデッドの呼び声】
伏せ1枚
手札4枚(兄)
手札2枚(弟)

VS

天上院明日香・宮田龍斗
LP8000
モンスター
【No.39 希望皇ホープ】:攻
ATK2500
【極神皇トール】:攻
ATK3500
魔・罠
伏せ1枚
手札4枚(天上院)
手札3枚(宮田)


十代と丸藤の退学をかけた制裁デュエルを終え、エキシビジョンとも思える俺と天上院のタッグによる迷宮兄弟とのデュエル。そこで俺は【極神皇トール】をシンクロ召喚した。

 

「……!……ふ、はははは!3体のモンスターを失った割に攻撃力3500!我ら兄弟の【ゲート・ガーディアン】には及ばない!」

 

【トール】の攻撃力が【ゲート・ガーディアン】に劣ることを指摘して高笑いする迷宮兄弟の兄。確かに攻撃力は劣るが……

 

「フィールドにいないバニラモンスターのことを語って何になる?」

「な、なに!?」

「召喚するのに2体をリリース……あ、生贄か。2体を生贄にしなければならないモンスター3体を生贄にしてようやく出てくるのに召喚方法以外の効果が無いモンスターのことを語って何になるのかって聞いてるんだ」

 

だったら【バルバロス】出せ。あのカードは普通に強いから。3体リリースで召喚すれば【サンダーボルト】と【ハーピィの羽根箒】がセットで発動できるからお得だぞ。基本妥協召喚な気がするけど。

 

「我らの【ゲート・ガーディアン】を愚弄するか!」

「そこまで言うのなら我らを倒してみせろ!」

「言われなくても。【極神皇トール】の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのモンスターの効果を無効にする!エフェクトアブソーバー!」

 

モニターに映る【トール】の角の飾りから雷が落ちて【サンガ】、【スーガ】に直撃した。……【雷魔神】が雷にやられて効果を失うってどうなんだ?

 

「これで【魔神】の効果は封じた」

「くっ……!」

「バトル!【極神皇トール】で【雷魔神ーサンガ】を攻撃!サンダーパイル!」

 

【トール】がハンマーをゆっくりと振り上げ、頭の上で止め、急速に振り下ろした。…………ふ、風圧が!『んごぉぉ!!』って音が聞こえたぞ!

 

「ぐぅぅぅ!」

 

迷宮兄弟

LP8000→7100

 

「【ホープ】で【スーガ】を攻撃!」

「相討ち狙いか!」

「ホープ剣・スラッシュ!」

 

【ホープ】が【スーガ】を一方的に切り裂いた……とはいかず【スーガ】もまけじと脚で踏みつけ相討ちとなった。

 

「カードを1枚セットしてターンエンド」

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP8000

モンスター

【極神皇トール】:攻

ATK3500

魔・罠

伏せ2枚

手札4枚(天上院)

手札2枚(宮田)

 

「私のターン!【天使の施し】発動!カードを3枚ドローして2枚捨てる。更に【早すぎた埋葬】発動!ライフ800をコストに墓地から【雷魔神ーサンガ】を復活させる!」

 

迷宮兄弟

LP7100→6300

 

【雷魔神ーサンガ】

攻撃表示

ATK2600/DEF2200

 

「更に【ハリケーン】発動!フィールドの魔法・罠を全て手札に戻す!」

 

【リビングデッドの呼び声】と【早すぎた埋葬】を使いまわされ、こっちの手札には天上院の伏せた【融合準備(フュージョン・リザーブ)】が……い、いらねぇ……

 

宮田龍斗

手札2枚→4枚

 

「再び【早すぎた埋葬】発動!蘇れ【水魔神ースーガ】!」

 

迷宮兄弟

LP6300→5500

 

【水魔神ースーガ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2400

 

「【死者蘇生】発動!墓地より出でよ!【風魔神ーヒューガ】!」

 

【風魔神ーヒューガ】

攻撃表示

ATK2400/DEF2200

 

おいおい……1ターンで揃えるのかよ……

 

「【サンガ】、【ヒューガ】、【スーガ】を生贄に」

「「【ゲート・ガーディアン】を召喚!」」

 

【サンガ】、【ヒューガ】、【スーガ】が順に重なり一瞬光ると、【ゲート・ガーディアン】になった。どうでもいいが、【ヒューガ】の腕はどこだ?

 

【ゲート・ガーディアン】

攻撃表示

ATK3750/DEF3400

 

「バトル!【ゲート・ガーディアン】で【極神皇トール】を攻撃!ゲート・デストラクション!」

 

【サンガ】が雷を当て、【ヒューガ】と【スーガ】が風と水で【トール】を流していった…………いや、【トール】が流されるような水量でもないだろ。

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP8000→7750

 

「カードを2枚伏せターンエンド!どうだ、神とやらを倒してみせたぞ!」

 

…………あのセリフが言える場面だ……

 

「それはどうかな?」

「なに?」

 

……言った!言ったぞ!

 

「このエンドフェイズ、【極神皇トール】の効果発動!」

「破壊した神の効果だとぉ!?」

「【トール】が破壊されたターンのエンドフェイズに、墓地の【極星獣】チューナーを除外することで【トール】は蘇る!再び光臨せよ!【極神皇トール】!」

 

海が割れ、そこから水浸しの【トール】が姿を現しアカデミア校舎に接近してくる。

 

【極神皇トール】

攻撃表示

ATK3500/DEF2800

 

「神に触れた者に神罰を。【極神皇トール】のモンスター効果!【トール】が自身の効果で墓地から特殊召喚された時、相手に800ポイントのダメージを与える!」

 

迷宮兄弟の兄に【トール】の角の飾りから落ちた雷が直撃した。

 

「ぐぅぅぅ!!」

「兄者!!」

 

迷宮兄弟

LP5500→4700

 

「そしてこれはエンドフェイズ。こちらのターンに移る」

 

迷宮兄弟

LP4700

モンスター

【ゲート・ガーディアン】:攻

ATK3750

魔・罠

伏せ2枚

手札0枚(兄)

手札2枚(弟)

 

「私のターン、ドロー!【異次元の女戦士】を召喚!」

 

【異次元の女戦士】

攻撃表示

ATK1500/DEF1600

 

これで【ゲート・ガーディアン】とさよならできるといいんだが……

 

「バトル!【異次元の女戦士】で【ゲート・ガーディアン】を攻撃!」

「除外はさせん!罠発動!【攻撃の無力化】!」

 

【攻撃の無力化】から突風が吹いて【異次元の女戦士】の動きを止めた。

 

「くっ……カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP7750

モンスター

【極神皇トール】:攻

ATK3500

【異次元の女戦士】:攻

ATK1500

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚(天上院)

手札4枚(宮田)

 

【ゲート・ガーディアン】の場持ちが半端ないな……いや、【ブラック・ローズ・ドラゴン】とか【スクラップ・ドラゴン】召喚すればいいだけか。

 

「私のターン!バトル!【ゲート・ガーディアン】で【極神皇トール】を攻撃!」

「罠発動!【聖なるバリア ーミラーフォースー】!相手の攻撃表示モンスター全てを破壊する!」

「は!?おい、バカ!やめろ!」

 

俺の制止も虚しく【ゲート・ガーディアン】は破壊された。

 

「え?なに?」

「こんのバカ……やってくれたよ……」

 

右手で顔の右半分を覆う。

さあどうする?【リビデ】→【ゲート・ガーディアン】特殊召喚→【トール】攻撃・破壊→俺のターンって流れか?俺のターンに入る前にリバース来る可能性もあるがそこはとりあえず置いておく。

手札は

【融合準備】

【禁じられた聖槍】

【極星霊リョースアールヴ】

【貪欲な壺】

……あれ?事故ってる?いや、【貪壺】とデッキトップに頼ろう。信じてるぜ、【デックアールヴ】!1体墓地にいるけどな!

だがピンチだ。【トール】は次墓地に行ったら帰ってこない。【リビデ】使わせたと思えば楽か?こんなことになるなら【ホープ】で攻撃したときに【聖槍】使えばよかったな……

 

「魔法カード【ダーク・エレメント】発動!墓地に【ゲート・ガーディアン】がいるとき、ライフ半分をコストにデッキから【闇の守護神ーダーク・ガーディアン】を特殊召喚する!」

 

迷宮兄弟

LP4700→2350

 

【闇の守護神ーダーク・ガーディアン】

攻撃表示

ATK3800/DEF3800

 

「……え?」

 

【ダーク・ガーディアン】?え?メイン2?あれ?

 

「どうした?我らの切り札を前に恐れをなしたか?」

「……いや、そっちがそれでいいならいいんだ。続けてくれ」

「……カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

迷宮兄弟

LP2350

モンスター

【闇の守護神ーダーク・ガーディアン】:攻

ATK3800

魔・罠

伏せ2枚

手札0枚(兄)

手札1枚(弟)

 

「俺のターン、ドロー!【貪欲な壺】発動!墓地のモンスター【極星獣タングリスニ】、【極星獣タングニョースト】、【No.39 希望皇ホープ】、【異次元の女戦士】、【ライトロード・ハンター ライコウ】の5枚をデッキに戻してシャッフル。その後2枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札4枚→6枚

 

「墓地の【レベル・スティーラー】の効果発動!」

「墓地から効果だと!?」

「このモンスターが墓地にいるとき、自分フィールドに存在するレベル5以上のモンスターのレベルを1つ下げ、このモンスターを特殊召喚する!【トール】のレベルを1つ下げ特殊召喚!」

 

【極神皇トール】

レベル10→9

 

【レベル・スティーラー】

攻撃表示

ATK600/DEF0

 

「【レベル・スティーラー】をリリースして、【極星霊デックアールヴ】をアドバンス召喚!」

 

【極星霊デックアールヴ】

攻撃表示

ATK1400/DEF1600

 

トップドローでこいつが来た瞬間にホッとした自分がいた。だけどまだ【トール】がフィールドにいるんだよなあ……よし、ロマンを追う。

 

「さらに【トール】のレベルを1つ下げ、【レベル・スティーラー】を特殊召喚!」

 

【極神皇トール】

レベル9→8

 

落ちて、出てきて、また落ちてまた出てきて……もう過労死してるな……

 

「天上院、モンスター使うぞ。レベル4の【異次元の女戦士】とレベル1の【レベル・スティーラー】にレベル5の【極星霊デックアールヴ】をチューニング!」

「え?ちょ、ちょっと!」

 

天上院がなんか言ってるけど無視だ。

 

「星界より生まれし気まぐれなる神よ、絶対の力を我らに示し世界を笑え!シンクロ召喚!光臨せよ!レベル10!【極神皇ロキ】!」

 

【極神皇ロキ】

攻撃表示

ATK3300/DEF3000

 

現れたのは【ダーク・ガーディアン】より少し小さい大きさの【ロキ】。

【トール】のような状態にならなくて助かる。

 

「これが2体目の神。【極神皇ロキ】だ」

「ふん!その程度のモンスター!」

「【ダーク・ガーディアン】の敵ではない!」

 

伏せは2枚……1枚は【リビデ】だ。残り1枚はカウンター罠じゃない限り無視していいだろう。召喚成功時に何もなさそうだし。

 

「【極神皇トール】の効果発動!さっきも説明したから説明はいらないな?エフェクトアブソーバー!」

 

【トール】の角の飾りから雷が落ちて【ダーク・ガーディアン】の力を封じた。

 

「それがどうした!」

「【ダーク・ガーディアン】の攻撃力は貴様の操る神とやらの攻撃力を上回っている!」

「バトル!【極神皇トール】、【ダーク・ガーディアン】を攻撃!」

「攻撃力の低いモンスターで攻撃!?何を企んでいるかは知らんが……罠発動!【聖なるバリア ーミラーフォースー】!これで貴様のモンスターは全滅だ!」

 

【ミラフォ】……今回は仕事させないぞ。

 

「【極神皇ロキ】のモンスター効果!1ターンに1度、バトルフェイズ中に発動した魔法・罠の発動を無効にする!」

「なんだと!?」

 

【ロキ】の目が怪しく光ると【ミラーフォース】は色を失って消滅した。

 

「さぁ、バトル続行だ!そしてダメージステップ、手札から【禁じられた聖槍】発動!【ダーク・ガーディアン】の攻撃力をこのターンのエンドフェイズまで800下げ、他の魔法・罠の効果を受けなくする!」

 

俺の右側に槍が落ちてきた……あ、危ねえ!ソリッドヴィジョンとわかってても怖え!……と、とにかく、これを投げればいいんだよな……【アーティファクト】モンスターもそうだったけど、プレイヤーに何かさせるカード多いな。槍を引き抜き、【ダーク・ガーディアン】に投げると明らかに投げた勢いよりも速く【ダーク・ガーディアン】に突き刺さった。

 

【ダーク・ガーディアン】

ATK3800→3000

 

「サンダー・パイル!」

 

再び【トール】の持つハンマーが轟音と共に振り下ろされ、【ダーク・ガーディアン】を破壊した。

 

「【ダーク・ガーディアン】が……!」

 

迷宮兄弟

LP2350→1850

 

「【ロキ】でダイレクトアタック!ヴァニティバレット!」

 

【ロキ】の右手に魔力と思われる黒いオーラが集中して球体となって迷宮兄弟の弟を捉える。

 

「罠発動!【リビングデッドの呼び声】!蘇れ!【ゲート・ガーディアン】!」

 

【ゲート・ガーディアン】

攻撃表示

ATK3750/DEF3400

 

「フィールドのモンスターの数が変化したことにより、攻撃の巻き戻しが発生。【ロキ】の攻撃は中止する」

 

【ロキ】は残念と言わんばかりに舌打ちして上空に球体を放った。

 

「カードを2枚セットしてターンエンド」

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP7750

モンスター

【極神皇トール】:攻

ATK3500

【極神皇ロキ】:攻

ATK3300

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚(天上院)

手札2枚(宮田)

 

「私のターン!……ちぃっ!バトルだ!【極神皇ロキ】に攻撃!ゲート・デストラクション!」

 

ダメージ優先か……【トール】同様、【ロキ】が流されていく……

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP7750→7300

 

「…………カードを1枚伏せ、ターンエンド」

「このエンドフェイズ、【極神皇ロキ】の効果発動!」

「なっ……!また破壊した神の効果が……!」

「【極神】達は全て、破壊されたターンのエンドフェイズに蘇生する効果がある。【ロキ】は墓地の【極星霊】チューナーを除外して、自身を墓地から特殊召喚する!」

 

【ロキ】が空間を切り裂き現れた。

 

【極神皇ロキ】

攻撃表示

ATK3300/DEF3000

 

「【ロキ】は触れた者に直接罰を与えず、俺に力を戻してくれる。【ロキ】が自身の効果で特殊召喚した時、墓地の罠を手札に戻す。【魔宮の賄賂】を手札に」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

【グレイプニル】でも良かったと思うんだが、なんとなく【賄賂】を選択。

 

迷宮兄弟

LP1850

モンスター

【ゲート・ガーディアン】:攻

ATK3750

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】《ゲート・ガーディアン》

伏せ1枚

手札0枚(兄)

手札1枚(弟)

 

「私のターン、ドロー!罠発動【融合準備】!エクストラデッキの【サイバー・ブレイダー】を見せ、デッキから融合素材となるモンスターを手札に加える。【エトワール・サイバー】を手札に!」

 

天上院明日香

手札4枚→5枚

 

「そして魔法カード【融合】発動!手札の【エトワール・サイバー】と【ブレード・スケーター】を融合!来なさい!【サイバー・ブレイダー】!」

 

【サイバー・ブレイダー】

守備表示

ATK2100/DEF800

 

で、【融合解除】→【エクスカリバー】→攻撃→勝利って流れだよな?リバースは【ロキ】がいるし。

 

「ターンエンド」

 

なんで出した!?なんで【サイバー・ブレイダー】出したんだよ!なぁ!

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP7300

モンスター

【極神皇トール】:攻

ATK3500

【極神皇ロキ】:攻

ATK3300

【サイバー・ブレイダー】:守

DEF800

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚(天上院)

手札3枚(宮田)

 

確か天上院の手札の1枚は【一族の結束】だったはず……ならあと1枚はなんだ……?まさか2枚目なんてことは……3枚突っ込んでたな……まぁいいや。あとは俺の引き次第だ。

 

「私のターン!……フッ【メテオ・ストライク】発動!【ゲート・ガーディアン】に装備する!」

 

……なんだっけそれ?

 

「これで【ゲート・ガーディアン】が守備モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力を超えていれば、その数値差分の貫通ダメージを与える!」

 

えーっと、つまり戦闘破壊耐性持ってる【サイバー・ブレイダー】がサンドバッグになるってことだな。……大ダメージ確定……

 

「更に【ディフェンス・ウォール】を召喚!」

 

【ディフェンス・ウォール】

守備表示

ATK0/DEF2100

 

「このモンスターが守備表示でいる限り、相手モンスターが攻撃するとき、このモンスターを攻撃しなければならない!」

 

ああ、さっき丸藤にやられたぬりかべモドキか。

そして【サイバー・ブレイダー】の戦闘耐性が消滅。

 

「相手モンスターが2体のため、【サイバー・ブレイダー】の攻撃力が倍になる!パ・ド・トロワ!」

 

【サイバー・ブレイダー】

ATK2100→ATK4200

 

「だがそのモンスターは守備表示!攻撃力が上がったところで無意味だ!バトル!【ゲート・ガーディアン】で【サイバー・ブレイダー】に攻撃!ゲート・デストラクション!」

 

【ゲート・ガーディアン】の攻撃が【サイバー・ブレイダー】を飲み込む。

 

「【メテオ・ストライク】によって【ゲート・ガーディアン】は貫通効果を備えている!」

「きゃあああ!!」

 

天上院明日香・宮田龍斗

LP7300→4350

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

迷宮兄弟

LP1850

モンスター

【ゲート・ガーディアン】:攻

ATK3750

【ディフェンス・ウォール】:守

DEF2100

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】《ゲート・ガーディアン》

【メテオ・ストライク】《ゲート・ガーディアン》

伏せ1枚

手札0枚(兄)

手札0枚(弟)

 

「俺のターン、ドロー!……【極星霊リョースアールヴ】を召喚!」

 

【極星霊リョースアールヴ】

攻撃表示

ATK1400/DEF1200

 

「【極星霊リョースアールヴ】の効果発動!召喚成功時、自分フィールドのモンスターを選択し、選択したモンスターのレベル以下のモンスターを手札から特殊召喚する!【極星天ヴァナディース】を特殊召喚!」

 

【極星天ヴァナディース】

攻撃表示

ATK1200/DEF400

 

「【極星天ヴァナディース】の効果発動!1ターンに1度、デッキから【極星】モンスターを墓地に送り、このモンスターのレベルを墓地に送ったモンスターと同じレベルにする!【極星獣タングリスニ】を墓地に送り【ヴァナディース】のレベルを3にする!」

 

【極星天ヴァナディース】

レベル4→3

 

「【死者蘇生】発動!墓地から【極星獣タングリスニ】を特殊召喚!」

 

【極星獣タングリスニ】

攻撃表示

ATK1200/DEF800

 

「レベル3の【極星獣タングリスニ】とレベル4の【極星霊リョースアールヴ】にレベル3となった【極星天ヴァナディース】をチューニング!」

 

ロマン達成だ!

 

「北辰の空にありて、全知全能を司る皇よ!今こそ、星界の神々を束ねその威光を示せ!シンクロ召喚!天地神明を統べよ!レベル10!最高神!【極神聖帝オーディン】!」

 

【極神聖帝オーディン】

攻撃表示

ATK4000/DEF3500

 

巨大。数ターン前に召喚された【トール】よりも巨大な【オーディン】は……スカートをはいた爺さんだった…………うぶっ……い、一瞬吐き気がやってきたぞ……

 

「……ついに揃った。『三極神』がこのフィールドに!」

 

ソリッドヴィジョンの大きさ故にやってくるであろう恐怖も屋内故にやってこない。……1人で勝手にイメージして吐き気を催したが……

 

「【極神聖帝オーディン】のモンスター効果!このターンのエンドフェイズまで【オーディン】は魔法・罠の効果を受けない!インフルーエンス・オブ・ルーン!」

 

【オーディン】の体が淡い光を纏った。

 

「【極神皇トール】のモンスター効果発動!エフェクトアブソーバー!」

 

本日何度目かの落雷。

これで【ディフェンス・ウォール】の効果が無効になった。意味はないけど一応だ。

 

「バトル!【極神皇ロキ】で【ディフェンス・ウォール】を攻撃、ヴァニティバレット!」

 

【ロキ】の右手に魔力による黒い球体が発生し、【ディフェンス・ウォール】を捉える。

 

「くっ……!(伏せたカードは【万能地雷グレイモヤ】……【極神皇ロキ】がいる以上使えない……)」

 

……リバースは使わない……いや、1枚しか無いから使えないが正しいか。【ロキ】がいる以上、罠は2重に用意しないといけないからな。

【ロキ】は球体を撃ち【ディフェンス・ウォール】を抵抗させることなく破壊した。

 

「次だ。【極神聖帝オーディン】で【ゲート・ガーディアン】を攻撃!ヘヴンズ・ジャッジメント!」

 

【オーディン】が杖を掲げると、【ゲート・ガーディアン】を光の柱が包み、爆散させた。

 

「ぐぅっ!!」

 

迷宮兄弟

LP1850→1600

 

「さあ、トドメだ。【極神皇トール】でダイレクトアタック!サンダー・パイル!」

 

【トール】のハンマーが迷宮兄弟に襲いかかる。

 

「ぐわあぁぁぁぁぁ!!」

 

迷宮兄弟

LP1600→-1900

 

「し、勝者!シニョール宮田&シニョーラ天上院タッグナノーネ!」

 

クロノスによる勝鬨があがった。

 

「ば、バカな……」

「我らが学生に2度も敗北するなど……!」

 

迷宮兄弟は動揺を隠せずにいる。俺がI2とKCのテスターだと知れば少しは落ち着くだろうか……?

 

「見事なデュエルでしたよ。宮田君、天上院さん。そして遊城君と丸藤君」

 

鮫島校長がいつの間にかデュエルフィールドに来ていた。

 

「約束通り遊城君達の退学は無しということにします」

 

あー……そんな話だったな。『三極神』揃えることに夢中で忘れてた。

 

「しかし、立ち入り禁止の寮に入ったペナルティとして、今回のデュエルに関するレポート30枚提出するように」

 

30枚か…………微妙にキツイような……いや、天上院に手札とか聞けばなんとかなるか。どこかで十代の叫び声が聞こえた気もするが無視しよう。

 




えー……ストックが尽きました。
ここからガクンと投稿ペースが落ちます。


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レポート デュエル無し

タイトル通りデュエルしません。



「やっぱり【結束】が2枚手札にあったか……」

 

校長に頼んで教室を借り、そこでレポートを作成。天上院の手札を確認してたら、最終的な天上院の手札は【一族の結束】が2枚だった。1人でデュエルする前提でデッキを構築していたから、その辺の調整案やら迷宮兄弟のエースカードである【ゲート・ガーディアン】と【闇の守護神ーダーク・ガーディアン】の対策等をレポートに書いていたらちょうど今30枚を超えた。とりあえずキリのいいところでレポート終了。

 

「ちょ、ちょっと待って。もう少しで終わるから」

 

天上院はまだ微妙に手こずってる。といってもあと10枚もないけど。

 

「…………」

 

ペンが止まった。

えーっと……『【ゲート・ガーディアン】の特徴はその攻撃力にあり、かの【青眼の白龍】を上回る3750を誇る。』……で止まっている。そこで止まるなよ。

 

「『しかし、手札から召喚する場合、【雷魔神ーサンガ】、【風魔神ーヒューガ】、【水魔神ースーガ】の3体を生贄にしなければならないと限定されており、デッキの内容が著しく固定されてしまう』」

「え?」

「いいから早く書け。続けるぞ」

「ま、待って!書くから!」

 

早くしろ。俺は帰りたいんだ。

結局残りの数枚は俺の考えた文面になりそうだな…………

 

「……あ、そうそう。お前のデッキに使ったカードは返してもらうから」

「…………え?」

「今回渡したのは今回のデュエル用に調整したものだからな。デュエルが終わったんだ。返してもらうのは当然だろ?」

 

【一族の結束】入れたのは失敗だったが……勝ったし、結果オーライってやつだ。

 

「え、じゃあ……このシンクロモンスターやエクシーズモンスターも……?」

「そうだな。まぁまた使えるかどうかは今後のお前の頑張り次第だ」

「が、頑張り……?」

「ああ。今後のデュエルの内容によってはテスター候補からテスターになって、晴れてシンクロなりエクシーズなりペンデュラムなりを使えるようになるだろう」

 

あの【サイバー・ブレイダー】のプレイングとか考えると難しい気もするが……ホントになんで召喚したんだ?

 

「…………そ、そういえば以前安く売ってくれるって……」

「ん?あー……言ったな。だがどうやっても高値は変わらんぞ?まだ未発売のカードだからな。チューナーだってそうだし」

「ぅ…………」

「そんなことするくらいならさっきも言ったがテスター目指した方がいい。金かけずに使えるからな。てかさっさとレポート書け。帰るぞ」

「ま、待って!書く!書くから!」

 

帰る宣言するとすぐにレポートに向き直る天上院。てか俺帰ってもいいだろ?待つこと数分。天上院はレポートを書き上げ一緒にクロノスに提出した。

 

「やっと終わったな」

「ええ。あ、そういえばさっきの話で思ったのだけど」

「さっきの話?」

「テスターの話よ」

 

そんな話したな。だが思うことでもあったか?

 

「どうすれば私……私達をテスターにしてくれるの?」

 

一瞬『私を』って言おうとして枕田達が脳裏に浮かんだんだろうな。『私達』に言いかえたたのは。

でもそうだな……テスターとして紹介する条件か……候補になるには普段のデュエルでの戦術を見せてもらって判断するが……

 

「そういえば候補の決定までしか決めてないな」

「あ、貴方ね……」

 

『呆れた』と言いそうな表情の天上院。俺だって大変だったんだ。【三極神】のデッキを作ったり、お前のデッキを調整したり。だがテスター候補をテスターに……そうだな……よし。

 

「んじゃあ今度テストしよう」

「テスト?」

「ああ。筆記と実技だ。いつやるかは言わない」

 

筆記テスト用の問題を考えないといけないからな。

 

「抜き打ちでやるからそのつもりでいろ。後で枕田達にも連絡しないとな……」

「合格点は?」

「テストをするって決めたばかりだからな。それも考えておくよ」

 

休みの日が良いだろうな。鮫島校長にでも頼んで教室を借りて、そこで筆記か?いや、たった数人にそれは……だが適度なスペース確保や今後の事を考えるとそうしたほうが……

 

「龍斗!龍斗!!」

「っ!な、なんだ?」

「何ボーッとしてるの?もう女子寮よ」

 

別にボーッとなんてしてないし。お前らの試験について考えてただけだし。しかし天上院の言った通り既に女子寮付近にいた。これ以上近付くのは誰かに勘違いされていろいろアウトなことになりかねない。

 

「そうか。じゃあな、また」

「ええ。試験日決まったら教えて」

 

絶対当日に言うから。

じゃないと抜き打ちにならないだろ。

しかしそろそろ本気でテスター見つけて海馬さんやペガサス会長に報告しないとな……

 

「ふぅ……疲れた」

 

寮の部屋に戻って椅子に座る。

デュエルするよりレポート書いてる方が圧倒的に疲れる。

だが座ってボーッとしてる余裕はないな。まずはテスター候補だ。

人数は4人。

 

遊城十代

 

天上院明日香

 

枕田ジュンコ

 

浜口ももえ

 

レッド1人にブルー3人か……イエローにも1人欲しいところだが、候補になりえるのが三沢くらいしかいない。もう少し様子を見るか。

次に、アイツらが使ってきた俺のデッキは……

 

十代

【ヒーローグングニール】

【ジャンク】

【ガガガ】

【EM】etc……

 

…………なんか色々使ってんな。融合にシンクロ、エクシーズにペンデュラム……ってか主人公の使ってたカード達ばっかりのような……まぁいいや。次。

 

天上院

【ラヴァル】

【魔導】

【氷結界】

【ジェネクス】etc……

 

シンクロが多いな。一ヶ所おかしなデッキ使ってるけど。次。

 

枕田

【ガガガ】

【サイキック】

【BF】

【セイクリッド】etc……

 

シンクロとエクシーズばかりか。ペンデュラムには手を出してないな……次。

 

浜口

【Xーセイバー】

【ナチュル】

【ドラグニティ】

【ガスタ】etc……

 

…………シンクロ率…………。アイツどうなってんだ?まさかエクシーズを避けてるとか意味わかんないことしてないよな……?まぁいいや。で、そうなると……ふむ、俺の様に全部に手を出すのもアリだが、ここは専門にさせるのも……海馬さんとペガサス会長に相談しておこう。

 

「えーっと、件名が『テスターについて』で……」

 

大まかな内容として、テスターにする際、俺の様に全召喚のテスターにするのではなく、一つの召喚に特化させたテスターにするのはアリなのかというもの。この内容で海馬さんとペガサス会長にメールを送信。

 

「よし。で、次が筆記の問題作成か」

 

PCを立ち上げ問題を作成する。

シンクロやエクシーズを使った詰めデュエル。これを数問用意して……ただ知らないカードが出てるなんて言われる場合を想定してサンプルにカードを用意しておこう。

あとはカードの知識だな。いくつかのカードについての知識を問う感じだ。問うのは当然シンクロやエクシーズ、ペンデュラムについて。

 

「あ、でもカードは俺の手元にしかないな…………」

 

…………掲示板でも作成しよう。それをアイツらに見てもらって勉強させとこう。他の生徒には……見せても問題無いか。とりあえず4人にメールでテスターにするためのテストをすることだけを伝える。

 

「トータル20問ってとこでいいかな……20点満点で……18点は取って欲しいな」

 

大枠はこれでいいかな……問題の配分は詰めデュエル5問、カード問題15問かな。

 

「龍斗、さっきからブツブツと何を言ってるんだ?」

 

静観していた三沢がやってきた。

 

「ああ。テスター候補4人をテスターとして海馬さんとペガサス会長に紹介するための試験の準備をな」

「し、試験……!龍斗、俺にも受けさせてくれ!」

「テスターが増えるのはありがたいが、今回は待ってくれ。お前にはシンクロ等を使った経験が足りない。それ以前に俺はお前の本気のデュエルを見ていないから、テスター候補にすらできない」

 

相手になってもらったが、あのときはデッキのテストの為だしな。

 

「な、なら今すぐデュエルを……!」

「試験の準備がある。しばらくは授業以外でデュエルしている余裕はなさそうなんだ。すまないが我慢してくれ」

 

若干無理矢理に三沢を抑えて問題を作成する。問題の難易度は同じくらいにしないとな……まずはカード問題の作成からにするか。

 

「問題は15問、均等な配分から各召喚から5問ずつだが……あ、召喚方法を問題にすれば……」

 

まずはシンクロ召喚からいこうか。

穴埋めでいいか……

 

『以下の文の空欄を埋めよ。(全て正解で1点とする)

シンクロ召喚とは自分フィールド上に存在する①[_____]とそれ以外のモンスターを墓地に送り、墓地に送ったモンスターのレベルの合計と等しいレベルのシンクロモンスターを②[_____]から召喚するものであり、③[_____]に分類される』

 

……これくらいは解けるか。てか解いてくれ。

 

「あとはカード問題でいいかな……?なら問題にするカードを決めないと……いや、チューナーについて問題出すか」

 

えーっと……お、メール来た。会長から…………ふむ。なんか話がちょいちょい脱線してるけど、専門テスターを用意する方向に決定か……あ、海馬さんとも相談済み。そうですか。了解です。

じゃあ続き続き。えーっと……

 

『以下の問いに○か×で答えよ。(各問1点)

【スキルドレイン】等のカードで効果を無効化されたチューナーモンスターでシンクロ召喚できる』

 

あとは……『【次元の裂け目】等のカードによってモンスターが除外される場合でもシンクロ召喚できる』

 

あとはカード問題でいいか。んー……

 

『【氷結界の龍 ブリューナク】の種族を答えよ』

 

『【大地の騎士ガイアナイト】の属性、レベル、種族、攻撃力、守備力を答えよ(全て正解で1点とする)』

 

これで5問とするか……最後がちょっとやる気失せそうだがこのくらいは我慢してほしい。

 

次にエクシーズかな……

 

『エクシーズ素材となっている【クリッター】がフィールドのエクシーズモンスターの効果発動のコストとして墓地に送られた。このとき、【クリッター】の効果は発動するか答えよ』

 

……こんな感じでいいか。

あとは『エクシーズモンスターのもつ概念『ランク』について記せ』

 

『フィールドのエクシーズモンスターを素材にして召喚できるエクシーズモンスターを1枚答えよ』

 

次に、『【No.11 ビッグ・アイ】の種族を答えよ』

 

『【ジェムナイト・パール】の属性、ランク、種族、攻撃力、守備力を答えよ(全て正解で1点とする)』

 

……なんかワンパターンだな。まぁ問題作ってるのが俺1人ってのもあるけど……まぁいいか。ペンデュラムについての問題にいくか。

 

『ペンデュラムゾーンに【星読みの魔術師】がセットされ、そのカードに【サイクロン】が使用された。破壊された【星読みの魔術師】はどうなるか答えよ』

 

『ペンデュラムゾーンに【時読みの魔術師】がセットされたが、【魔宮の賄賂】によって発動を無効にし、破壊された。破壊された【時読みの魔術師】はどうなるか答えよ』

 

『ペンデュラムゾーンにスケール8の【時読みの魔術師】とスケール2【EMペンデュラム・マジシャン】がセットされた。このときペンデュラム召喚可能なレベルを答えよ』

 

『以下の文の空欄を埋めよ。(全て正解で1点とする)

ペンデュラム召喚とは手札の①[_____]をペンデュラムゾーンに計②[_____]枚置き、そのカードに記されているスケールの間のレベルを持つモンスターを手札、③[_____]から同時召喚するものである』

 

『【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】の属性、レベル、種族、攻撃力、守備力、スケール(青/赤)を答えよ』

 

…………15問終わったー!あとはこれを適当に並び替えて、詰めデュエルを…………あと5問考えて、筆記は終わりだな。詰めデュエルか…………【パラディオス】→【マシュ=マック】でワンキルしろとかでいいかな……イカン、なんか燃え尽きてる感が……少し休もう。

作成した問題を保存して体を伸ばす。

パキパキと骨が鳴る。……あぐっ!今一瞬痛みが……

 

「終わったのか?」

 

三沢がデッキを持って話しかけてきた。

我慢できてないな……

 

「とりあえず筆記の3/4は終わった。あとは詰めデュエルの作成に実技で使うデッキの用意もあるし、やることがまだありそうだ」

「そ、そうか……」

 

あとは問題に使うカードや使わないダミーのカード、あとは各召喚の基礎について掲示板に書かないとな……

 

「まぁ、今はまず飯だ。腹減ったからな。三沢はどうする?」

「俺も行こう」

 

三沢はデッキを置いて俺と共に部屋を出る。

そして寮内にある食堂で寮長の作ったカレーを食べて、風呂に入って再び部屋で問題を考える。

 

「さて、どうしよう。まずは相手フィールドの状況を考えて……いや、勝ち方から逆算していくのか?」

 

早くも問題作成に躓いた。

詰めデュエルってこんなに考えるの大変なのか…………




次回はエアーマンこと三沢が寮の入れ替えを云々ってやる話です。来週までに投稿できればなぁ……とか思ってます。


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入れ替え 三沢VS.万丈目

先日UAが3万件を超えました。もう一個の二次創作と比較すると圧倒的なスピードです。


テスター試験に備え問題を作成していても授業はある。当然生徒である俺も授業を受けなければならない。

ということで、

 

「アニキ〜!頼んますよ〜!」

「おう!任せとけ!」

 

現在体育の授業でレッドVSイエローの構図で野球をしている。俺のポジションはキャッチャーだ。1ー0で負けている。要求したコースには来たがコースが甘く、十代に一発打たれて1点やられた。そして今はその十代の打順だ。

さて……さっきはインハイ投げさせて打たれた。その前の打席ではインローのボール球を打たせセカンドゴロ……投げさせる場所を考えていると、

 

「その勝負待った!」

 

という大声と共に三沢が来た。そういえばいなかったな。

 

「すみません。デュエル理論の考察に夢中になってて」

 

デュエル理論って前の授業じゃねぇか。

 

「投げられるのか?」

 

おい先生。まずは遅刻してきたことを怒れよ。

結局三沢がピッチャーに。

俺はキャッチャーとして色々相談しなければならない。

 

「で、投げられるとは言っても相手は十代だ。大丈夫なんだろうな?」

「問題無い。既にアイツを倒す計算式は完成している」

 

計算式ねぇ……まぁ、勝てるなら良いけど。

 

「来い、2番!」

「行くぞ、1番君!これが君を倒す俺の投球だ!」

 

結果、三沢VS十代は三沢の勝利。三球三振に仕留めた。

そして最終回、こちらの攻撃だ。十代がピッチャーで点差は1ー0のまま、アウトカウントは2アウトという場面で連続フォアボールで満塁に。俺もフォアボールで現在2塁にいる。そして三沢の打席。結果だけ言えば逆転サヨナラ満塁ホームランだった。しかしボールを取りに行った十代と丸藤が帰ってこない。心配した三沢が十代達のもとへ走っていき、少しすると戻ってきた。事情を聞くと三沢の打球が近くを通っていたクロノスに直撃したらしく、十代達が理不尽にも怒られていたらしい。しかし三沢が駆けつけ『自分が打ったせいだ』と言うと態度が一変しすぐにおさまったらしい。

で、今日の授業が終わって部屋に戻ると部屋の前に机やPCが置かれていた。

机の中身を確認すると俺と三沢の物だった。ドアを開けると、三沢と十代、そして丸藤がいた。

 

「三沢、何故俺の机やPCが外に出ているんだ?」

「ちょうどよかった。龍斗も手伝ってくれ」

「質問に答えろ。何故俺の机やPCが外に出ている?」

「この部屋にビッグバンを起こすためだ」

 

…………ビッグバン?

何の事かと思っていたらようはペンキ塗って数式だらけの部屋を綺麗にしようというものだった。

そういえばこいつ、何故か鉛筆とかではなくペンで数式書いてたな。大量の消しゴムじゃダメなんだな。

仕方がないので俺も手伝って部屋を綺麗にした。途中十代や丸藤、三沢が遊びだしたので蹴り飛ばしてやったが……で、現在食堂。

 

「で、三沢。十代達に協力してもらってまで部屋を真っ白にしたのは何故だ?」

 

あんなことをしなければならないほど数式を書いているのもおかしいが、数式が書いてあることなんて気にしない三沢が、いきなり部屋を綺麗にするのは何か理由があるはずだ。

三沢の話では、どうやら明日万丈目と寮の入れ替えをかけたデュエルをすることになったらしい。…………あれ?三沢ってずっとイエローだったはず……じゃあ負けるのか?

 

「なるほど。部屋を綺麗にした理由はわかった。じゃあ次だ」

「次?」

「寝る場所どうするんだ?」

 

部屋はペンキ塗りたてで寝られる場所がない。もっと言うとカードを保管する場所がない。

 

「俺は十代達の部屋に泊めてもらおうと思う」

 

なら後は俺か……

 

「前使ってたレッド寮の部屋使ったらいいんじゃねぇか?」

 

十代がそんな提案をしてきたが……

 

「空いてるのか?あと使ってもいいのか?」

 

今の俺はイエローの生徒だ。他寮の生徒がそう簡単に使えるとは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか使えるとは……」

 

とりあえず大徳寺先生に相談したところ、まるで問題ないということで使わせてもらうことに。さすがにPCの持ち込みはできなかったので、アタッシュケースだけを持ってレッド寮に移動して詰めデュエルの内容を考えることにした。

 

「相手のフィールドに【DNA移植手術】(属性:光)と【A(アーリー)O(オブ)J(ジャスティス) カタストル】、リバースは……」

 

あとライフはどうしよう……別にピッタリ0にしなくてもいいわけだから、ある程度少なくてもいいんだが……いや、ライフはラストでいいのか。まずは相手のフィールドを完成させて……それで、こちら側のフィールドを作成する。

 

「…………どうやって倒すか……」

 

ちょっと固めすぎたか?いや、しっかりと手札を用意させれば……だがそれで詰めデュエルになるのか?……三沢あたりに判断させよう。次からまた違う問題を考えればいいし、面倒だけど。

 

「手札が【ライトニング・ボルテックス】、【大嵐】、【甲虫装機(インゼクター)ダンセル】と……デッキは上から……」

 

あとはエクストラと墓地の用意か。このカードとこのカード。あとは……いらないか。あとはライフの設定をして……これでできあがり。これを適当な用紙に書いて、明日にでもPCに保存しよう。とりあえず今日は1問完成させて就寝。

翌日。ドンドンとドアを叩くような音が聞こえる。部屋のドアからではないということは別の部屋か。

ドアを開けると十代達がどこかに走って行った。

十代の部屋のドア近くに購買のスタッフがいるから事情を聞いてみるか。

 

「なんかあったんですか?」

「それがね。船の荷下ろしのために桟橋に行ったら、海にカードがこーんなに捨ててあったのさ」

 

購買のスタッフは腕を目一杯に広げて表現するが、イマイチ理解し辛い。だがカードか……少し気になるな。

 

「そうですか……ありがとうございます」

 

礼を言って俺も走って桟橋に。

そして十代達を見つけた。

 

「十代」

「あ、龍斗。これ……三沢のカードだ」

 

【ブラッド・ヴォルス】……今は禁止の【破壊輪】……他にも様々なカードが海に捨てられている。

 

「迂闊だった。このデッキは部屋の外に出していた机の中に入れてあったんだ」

「いったい誰がこんなことを……」

「折角オベリスク・ブルーに昇格のチャンスなのに〜!」

 

丸藤と十代はこの状況を嘆いている。それに対して三沢は大分冷静に見える。

 

「……三沢、時間が無い。行くぞ」

「ああ」

「え!?デッキも無いのにどうするんすか!?」

「まさか、龍斗のデッキを!?」

「アホ。三沢はそんなことする必要無い。とにかく行くぞ」

 

十代達と走って校舎に向かう。

デュエルフィールドに到着すると、そこにはクロノスと万丈目がいた。

 

「遅いーノネ。シニョール三沢」

「尻尾を巻いて逃げ出したのかと思ったよ」

「そ、それじゃあ三沢の相手って……そうか!三沢のカードを捨てたのもお前が!」

「な、なんでスート!?」

「なんの言いがかりだ十代?何故俺がーーー」

 

何も知らないとばかりに振る舞う万丈目。しかし若干だが口角が上がっているように見える。

 

「本当に言いがかりかしら?」

 

万丈目の発言を遮るように後ろから声がした。全員で振り返ると、天上院とカイザーがいた。

 

「私見てしまったの。今朝万丈目君が海岸にカードを捨てていたのを」

 

ほう……十代もそうだが、テストすると言ってあるのに随分余裕があるようだな。まぁ解いてくれれば文句は無いが……

 

「気になって事情を聞きに来たのだけど……」

「汚いぞ万丈目!やっぱりお前が!」

「黙れ!俺は自分のカードを捨てたんだ。それとも、そのカードに三沢の名前でも書いてあったのか?」

 

自分のカードねぇ……わざわざ海にまで、それも寮の入れ替えがかかっているこのタイミングでカードを捨てに行く理由があるとは思えない。

 

「俺を泥棒呼ばわりした責任は取ってもらうぞ。いかがでしょう、このデュエルで負けた方が退学というのは」

 

余程自信があるんだな。寮の入れ替えをかけるデュエルをする、つまり実力が近いと教師に判断された生徒同士だというのに。

 

「無茶苦茶だ!キーカードをなくした三沢のデッキはーーー」

「いいでしょう。デッキならあります。その条件、受けましょう」

「三沢!?」

「心配かけて悪かったな十代。捨てられたデッキは、調整用に作った寄せ集めのデッキ」

 

あのデッキには俺も世話になったな。【サイバー】を組んだときに。【破壊輪】なんてカードは出てこなかったけど。三沢は何故か制服のボタンを外し始めた。

 

「本当のデッキは、ここにある!!」

 

その発言とともに制服の中を見せる。

…………服が無かったらただの変態だな。ともかく三沢の上着の中には6つのデッキケースが付けられていた。

 

「見よ!俺の知恵と魂を込めて作った6つのデッキを!

『風』!疾きこと風の如く!

『水』!静かなること水の如く!

『火』!侵略すること火の如く!

『地』!動かざること地の如し!

『闇』!悪の闇に『光』差す!」

 

風……【ドラグニティ】……いや、【ハーピィ】か?

水……【水精鱗(マーメイル)】……

火……【ラヴァル】……

地……【クリフォート】……

闇……【甲虫装機】、【BF】、【暗黒界】と……

光……【ライロ】、【魔轟神】、【聖刻】と……こんな感じか?

 

「む、6つのデッキだと!?そんな虚仮威し、この俺の怨みの炎で焼き尽くしてやるわ!」

 

俺は6つ以上持ってるぞ。

別にデッキ1つに拘る必要はないからな。

 

「決まった。お前を倒すデッキは……コレだ!」

 

三沢はデッキケースからデッキを取り出すと同時に服を着直した。……どうやったんだ?どのデッキを選んだのかよりそっちの方が気になる。

 

「このデッキが虚仮威しかどうか、すぐにわかるぜ、万丈目!」

「こい、三沢!」

「「デュエル!」」

 

万丈目準

LP4000

 

VS

 

三沢大地

LP4000

 

「俺のターン、ドロー!俺は【地獄戦士(ヘル・ソルジャー)】を召喚!」

 

【地獄戦士】

攻撃表示

ATK1200/DEF1400

 

闇属性で戦士族で攻撃力1200……サポート多いな。いろんなカードで持ってこれる。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

万丈目準

LP4000

モンスター

【地獄戦士】:攻

ATK1200

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!」

「三沢はどのデッキを選んだんだ?」

「風?水?」

「俺は【ハイドロゲドン】を召喚!」

 

【ハイドロゲドン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1000

 

水か。

 

「いけ、【ハイドロゲドン】!【地獄戦士】を蹴散らせ!」

 

【ハイドロゲドン】の口から自身の体を構成していると思われる水を吐き出し【地獄戦士】を破壊した。

 

「くっ!だが【地獄戦士】の効果発動!このカードの戦闘で発生した俺へのダメージは相手も受ける!」

 

万丈目準

LP4000→3600

 

「こちらも【ハイドロゲドン】の効果発動!このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、デッキからもう一体の【ハイドロゲドン】を特殊召喚する!」

 

【ハイドロゲドン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1000

 

三沢大地

LP4000→3600

 

「そしてこれはバトルフェイズ中の特殊召喚のため攻撃することができる!【ハイドロゲドン】でダイレクトアタック!ハイドロ・ブレス!」

「ぐ………ぁあああ!!」

 

吐き出された【ハイドロゲドン】の水が直撃し、万丈目が吹き飛ばされた。

 

万丈目準

LP3600→2000

 

「ターンエンド!」

 

三沢大地

LP3600

モンスター

【ハイドロゲドン】:攻

ATK1600

【ハイドロゲドン】:攻

ATK1600

魔・罠

手札5枚

 

え、エクシーズしてぇ……【No.101】とか【カステル】とか召喚してぇ……

 

「俺のターン、ドロー!俺は罠カード【リビングデッドの呼び声】を発動!墓地の【地獄戦士】を復活させる!」

 

【地獄戦士】

攻撃表示

ATK1200/DEF1400

 

「さらに速攻魔法【地獄の暴走召喚】を発動!俺の手札、デッキ、墓地から【地獄戦士】を全て特殊召喚する!三沢、お前も【ハイドロゲドン】を特殊召喚しろ!」

 

【地獄戦士】×2

攻撃表示

ATK1200/DEF1400

 

【ハイドロゲドン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1000

 

「でも【地獄戦士】の攻撃力では、【ハイドロゲドン】には届かない」

「何か考えがあるはずだ」

 

考え……【バルバロス】で一掃?

 

「当たり前だカイザー!貴方のあとを継ぐのはこの俺なのだから!装備魔法【団結の力】これで【地獄戦士】の攻撃力は俺のフィールドのモンスター1体につき800ポイントアップする!」

 

【地獄戦士】

ATK1200→ATK3600

 

「【団結の力】だって!?」

「あんなレアカード持ってるんスか!?」

 

なんだ天上院、こっちを見るな。

俺は渡してないぞ。

 

「バトル!【地獄戦士】で【ハイドロゲドン】の1体を攻撃!ヘル・アタック!」

 

『ヘル』と名のついたモンスターならなんでもその攻撃名になるんだが、いいのか?

 

三沢大地

LP3600→1600

 

「どうだ三沢!俺はこれでターンエンド!」

 

万丈目準

LP2000

モンスター

a【地獄戦士】:攻

ATK1200

b【地獄戦士】:攻

ATK1200

c【地獄戦士】:攻

ATK3600

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】a《地獄戦士》

【団結の力】c《地獄戦士》

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!【オキシゲドン】を召喚!」

 

【オキシゲドン】

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

「バトルだ!【オキシゲドン】で攻撃力が上がっていない【地獄戦士】を攻撃!オキシ・ストリーム!」

「ぐっ……だが【地獄戦士】の効果でバトルによるダメージはお前も受ける!」

 

万丈目準

LP2000→1400

 

三沢大地

LP1600→1000

 

「【ハイドロゲドン】で【地獄戦士】を攻撃!ハイドロ・ブレス!」

「っ……!だからダメージはお前も受けるんだぞ!?」

 

万丈目準

LP1400→1000

 

三沢大地

LP1000→600

 

「どうして三沢君はダメージを受けるとわかって攻撃を……」

「いや、これでいい」

「え?」

 

丸藤の疑問にカイザーが最低限以下のセリフで対応。もうちょい弟に優しくてもいいような……まぁあれがカイザーなりの接し方と言われたらそれまでだけど。

 

「翔。万丈目の【地獄戦士】を見てみろよ」

 

十代に従い丸藤はフィールドに残っている【地獄戦士】を見ると

 

【地獄戦士】

ATK3600→ATK2000

 

「攻撃力が減ったッス!」

「【団結の力】で上昇する攻撃力はフィールドのモンスターの数×800」

「万丈目のモンスターを減らすことで、三沢は次のターンのチャンスを作ったのさ」

 

カイザー、十代の解説に丸藤はなるほどと言うように頷いた……だがライフ600……ガンマンラインを下回った。【ガガガガンマン】いないけど。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

三沢大地

LP600

モンスター

【ハイドロゲドン】:攻

ATK1600

【ハイドロゲドン】:攻

ATK1600

【オキシゲドン】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン!俺は【地獄戦士】と手札全てを生贄に、【炎獄魔人ヘル・バーナー】を召喚!」

 

【炎獄魔人ヘル・バーナー】

攻撃表示

ATK2800/DEF1800

 

「【ヘル・バーナー】は上級モンスターだ。しかも相手フィールドのモンスター1体につき攻撃力が200ポイントアップする!」

 

【炎獄魔人ヘル・バーナー】

ATK2800→ATK3400

 

…………いや、なんかドヤ顔してるけど、その効果の割に召喚コスト重くないか?

 

「バトル!【ヘル・バーナー】で【ハイドロゲドン】を攻撃!」

「罠発動【攻撃の無力化】!相手モンスターの攻撃を無効にして、バトルを終了させる!」

「くっ……ターンエンド!」

 

万丈目準

LP1000

モンスター

【炎獄魔人ヘル・バーナー】:攻

ATK3400

魔・罠

手札0枚

 

「良く凌いだな三沢。だが次の俺のターンで確実に終わりだ!」

「次ターンがあるとすればな」

「なに!?」

 

万丈目のセリフに返す三沢。

三沢の手札は4枚あるし、十分に耐えられるだろう。【ヘル・バーナー】を除去できなくても最悪全部守備で耐えればいいし。

 

「俺のターン!魔法カード【ボンディングーH2O】を発動!2体の【ハイドロゲドン】と【オキシゲドン】を生贄に出でよ!【ウォーター・ドラゴン】!」

 

【ウォーター・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2600

 

「俺のフィールドのモンスターが減ったことで【ヘル・バーナー】の攻撃力がダウンする」

 

【炎獄魔人ヘル・バーナー】

ATK3400→ATK3000

 

「だがまだ俺のモンスターの方が攻撃力が上だ」

 

いや、まだ手札あるし。

 

「それはどうかな?既にお前を倒す方程式は完成している!」

「これまでの闘いも全て計算の内だって言うのか!?」

 

俺を除くギャラリーが驚く中、俺はこう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………お前はどこのアストラルだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の心のツッコミは当然聞こえずデュエルは進行する。三沢の発言とともに【ウォーター・ドラゴン】のいる場所から万丈目のフィールドに向かって津波が発生。【ヘル・バーナー】を呑み込んだ。

 

「【ウォーター・ドラゴン】の効果。炎属性、炎族モンスターの攻撃力を0にする」

「なんだと!?」

 

【炎獄魔人ヘル・バーナー】

ATK3000→ATK0

 

なんだ。呑み込んでも破壊はされないのか。

 

「【ウォーター・ドラゴン】!アクア・パニッシャー!」

 

【ウォーター・ドラゴン】が水を吐き出し【ヘル・バーナー】を爆散させ、壁が無くなった万丈目を呑み込んだ。

 

万丈目準

LP1000→-1800




次回は万丈目好きの方ごめんなさい。ちょい酷い展開に……


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悲劇 VS.万丈目

注意事項です。龍斗暴走につき万丈目君が酷い目にあいます。


万丈目と三沢の寮の入れ替え……どころか退学をかけたデュエル。三沢が【ウォーター・ドラゴン】を使い【ヘル・バーナー】を無力化。実質ダイレクトアタックで万丈目を打ち破った。

 

「万丈目。お前はデュエリストとしてーーー」

「うるさい!お前がたまたま水属性デッキを選んだために俺はーーー」

「違うな」

「なに!?」

「偶然なんかじゃない。お前が教えてくれたんだ。デュエルが始まる前に」

 

デュエルが始まる前?…………万丈目が自分のデッキの中身を言ったことは無かったはずだ。

 

「『この俺の怨みの炎で焼き尽くす』つまりデュエルが始まる前から勝敗は決まっていた」

 

……いやいやいや!炎とか比喩の可能性のほうが高いだろ!?てか怨みの『炎』って表現が『水』とかってのもおかしいだろ!?そこだけでデッキを決定するのはもはや賭けじゃなくて自爆行為だろ!

 

「そして万丈目。海に捨てられたカードは間違いなく俺のカードだ」

「何故わかる!?」

「ついメモしてしまったのさ。このカードに数式を」

 

三沢がポケットから取り出したのは海に捨てられていたカードの1枚、【ブラッド・ヴォルス】。ここからは見えないが、恐らく訳のわからない数式が書き込まれているのだろう。カードに数式なんて書くなよ。

 

「これが証拠だ!こんな落書きのあるカード、世界でたった1枚だろうからな」

 

三沢は思い出の品を見るようにカードを見つめている。

 

「万丈目!カードを大切にしない者はデュエリスト失格だぞ!」

 

万丈目はショックを受けたようにガックリと項垂れる。そして何か呟いていた。

 

「シニョール三沢。ユーのオベリスク・ブルーへの編入を認めるノーネ」

 

…………そういえば、三沢には先を越されてしまったな。

 

「いえ、そのお誘いはお断りします」

 

は!?

 

「何故ナノーネ!?」

「俺は、オベリスク・ブルーに入るときはこの学園でナンバー1になった時と入学式の時に決めていたんです」

 

入学式のときから……その決意のおかげで先越されずに済んだ……でいいのかな?

 

「十代、そして龍斗。オベリスク・ブルーに入るとき、それはお前達を倒してからだ!」

 

…………俺を倒してから、ね……

 

「よし!なら今すぐデュエルしようぜ!俺も、お前と闘いたくてウズウズしてたところだ!」

「残念だが、それはできない」

「え?なんでだよ?」

「ここにあるデッキはまだ完成していない。お前達を倒すための研究材料の試作デッキにすぎない」

 

その試作デッキに負けた万丈目……なんか暗い雰囲気を纏いだしたぞ。

 

「多分。あの部屋の壁が数式で埋め尽くされたときには完成すると思う。十代の【E・HERO】を倒す7番目のデッキと、龍斗のシンクロ・エクシーズモンスター達を倒す8番目のデッキが!」

「俺を倒すデッキだって?面白え!そのときこそお前と勝負だ!」

「シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムを倒すねぇ……やってみろよ」

 

俺と十代、三沢の間で火花が散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三沢の宣戦布告の後クロノスによって解散。それぞれの寮に帰るんだが、

 

「なんの用だ宮田龍斗」

 

用事ができたので万丈目を呼び止めた。

 

「大した用じゃない。カード捨てたことが許せないってだけだ」

 

三沢達の前では気にしないようにしてたが、やはり個人的に許せないものがある。

 

「カードはI2の人達が時間をかけて作ったものだ。それをお前は……!」

「たかがカードに何をほざく!」

 

『たかがカード』だと?お前はあの人達がどれだけ苦労してカードを作ったのか知らないからそんなことが言える……何も知らないお前が……!

 

「……デュエルだ」

「なんだと?」

「デュエルしろと言ってるんだ!貴様のそのふざけた根性、俺が叩き潰す!それともなにか?格下の寮の人間に2度も負けるのが怖いのか?」

「……いいだろう……そこまで言うならデュエルしてやる!」

 

俺と万丈目はディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

万丈目準

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「先攻はもらった!俺のターン!魔法カード【天使の施し】!3枚ドローして2枚捨てる!【Xーヘッド・キャノン】を召喚!」

 

【Xーヘッド・キャノン】

攻撃表示

ATK1800/DEF1500

 

「更に永続魔法【前線基地】を発動!手札から【Yードラゴン・ヘッド】を特殊召喚!」

 

【Yードラゴン・ヘッド】

攻撃表示

ATK1500/DEF1600

 

「魔法カード【死者蘇生】!墓地より出でよ!【Zーメタル・キャタピラー】!」

 

【Zーメタル・キャタピラー】

攻撃表示

ATK1500/DEF1300

 

「3体を合体!完成!【XYZードラゴン・キャノン】!」

 

【XYZードラゴン・キャノン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2600

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

万丈目準

LP4000

モンスター

【XYZードラゴン・キャノン】:攻

ATK2800

魔・罠

【前線基地】

伏せ1枚

手札1枚

 

「お前はシンクロ・エクシーズをするために数ターンの準備がある、その準備をする前に倒してやる!」

「…………その程度か」

「なに!?」

「確かに俺は連続召喚のためには準備をしている。手札は6枚までしか持てないという制約がある以上、それ以外の場所で準備したほうがいいからだ」

 

墓地からモンスターを連続で特殊召喚したほうが展開しやすいからな。

 

「だが、今のお前にはシンクロも、エクシーズも、ペンデュラムも使う必要さえない!俺のターン!手札から【ファーニマル・ベア】の効果発動!このカードを墓地に送り、デッキから永続魔法【トイポット】を1枚、俺の場にセットする!そして【トイポット】を発動!」

 

俺の後ろにガチャガチャが出てきた。

 

「【トイポット】の効果!1ターンに1度、手札1枚を捨ててカードを1枚ドローする。それが【ファーニマル】モンスターなら手札からモンスターを特殊召喚できる。それ以外なら墓地に捨てる!手札の【エッジインプ・シザー】を捨て、ドロー!……引いたカードは【ファーニマル・オウル】。手札から【ファーニマル・オウル】を特殊召喚!」

 

【ファーニマル・オウル】

攻撃表示

ATK1000/DEF1000

 

「【ファーニマル・オウル】のモンスター効果!手札から召喚・特殊召喚に成功したときに、デッキから【融合】を手札に加えることができる!」

「【融合】だと!?シンクロやエクシーズは使わないのか!?」

「言ったはずだ。お前にはシンクロも、エクシーズも、ペンデュラムも使う必要はないと」

 

別に融合を否定しているわけじゃない。【シャドール】がいるからな……

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「墓地の【エッジインプ・シザー】の効果発動!1ターンに1度、手札1枚をデッキトップに戻すことで、このカードを守備表示で特殊召喚する!」

 

【エッジインプ・シザー】

守備表示

ATK1200/DEF800

 

「【ファーニマル・ドッグ】を召喚!」

 

【ファーニマル・ドッグ】

攻撃表示

ATK1700/DEF1000

 

「【ファーニマル・ドッグ】の効果でデッキから【ファーニマル・マウス】を手札に加える!」

 

【エッジインプ・シザー】で戻した【ファーニマル・マウス】を回収。

 

「そして魔法カード【融合】を発動!フィールドの【エッジインプ・シザー】、【ファーニマル・オウル】、【ファーニマル・ドッグ】で融合!

悪魔の爪よ!野獣の咆哮よ!煉獄の眼よ!神秘の渦で1つとなりて、新たな力と姿を見せよ!」

 

両腕を広げ頭の上で手を組み顔の前に振り下ろす。

 

「融合召喚!現れろ!すべてを引き裂く密林の魔獣【デストーイ・シザー・タイガー】!」

 

【デストーイ・シザー・タイガー】

攻撃表示

ATK1900/DEF1200

 

動物のシルエットを鋏で引き裂くショッキングな演出とともに【デストーイ・シザー・タイガー】が姿を現した。

 

「大見得切って召喚したが、俺の【XYZードラゴン・キャノン】の方が攻撃力は上だ!」

 

三沢との勝負をもう忘れたのか。確かに攻撃力が高ければ勝敗は早く決する。だがそうじゃないのなら、アドバンテージを稼げばいい。

 

「【デストーイ・シザー・タイガー】の効果発動!融合召喚に成功した時、素材としたモンスターの数までフィールドのカードを破壊できる」

「な、なんだと!?」

「リバースカードと【前線基地】そして【XYZードラゴン・キャノン】を破壊!」

 

【デストーイ・シザー・タイガー】の体から飛び出ている大きな鋏が【XYZードラゴン・キャノン】と【前線基地】、リバースカード……【リビングデッドの呼び声】を問答無用に切り裂いた。

 

「更に【デストーイ・シザー・タイガー】の効果。フィールドの【デストーイ】モンスターの攻撃力は、フィールドの【ファーニマル】及び【デストーイ】モンスター1体につき300ポイントアップする。【デストーイ・シザー・タイガー】自身が【デストーイ】モンスターなので攻撃力が上昇する」

 

【デストーイ・シザー・タイガー】

ATK1900→ATK2200

 

「バトル!【デストーイ・シザー・タイガー】でダイレクトアタック!」

 

【デストーイ・シザー・タイガー】が万丈目を爪で切りつけた。

 

「ぐぅっ……!」

 

万丈目準

LP4000→1800

 

「カードを1枚セットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【デストーイ・シザー・タイガー】:攻

魔・罠

【トイポット】

伏せ1枚

手札2枚

 

「俺は……俺は負けられない!ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドローする!」

 

万丈目準

手札1枚→3枚

 

ここで【強欲な壺】か……なかなか引きが強い。

 

「装備魔法【早すぎた埋葬】を発動!」

 

【早すぎた埋葬】……まだ【天使の施し】で捨てたモンスターがいるのか。

 

「ライフ800を払い、墓地のモンスターを復活させる!蘇れ!【Vータイガー・ジェット】!」

 

万丈目準

LP1800→1000

 

【Vータイガー・ジェット】

攻撃表示

ATK1600/DEF1800

 

「更に【Wーウィング・カタパルト】を召喚!」

 

【Wーウィング・カタパルト】

攻撃表示

ATK1300/DEF1500

 

「そして2体を合体!【VWータイガー・カタパルト】!」

 

【VWータイガー・カタパルト】

攻撃表示

ATK2000/DEF2100

 

「【VWータイガー・カタパルト】の効果発動!手札を1枚捨て相手モンスターの表示形式を変更する!」

 

【デストーイ・シザー・タイガー】

攻撃表示→守備表示

ATK2200→DEF1200

 

「バトル!【VWータイガー・カタパルト】!VWミサイル発射だ!」

 

【VWータイガー・カタパルト】からミサイルが一斉発射され【デストーイ・シザー・タイガー】を爆散させた。

 

「どうだ!これで俺はターンエンド!」

 

万丈目準

LP1000

モンスター

【VWータイガー・カタパルト】:攻

ATK2000

魔・罠

手札0枚

 

「ファイナルターンだ。このターンでお前を倒す」

「なんだと!?フィールドにモンスターもいない、手札の雑魚モンスターでなにができる!」

 

確かに手札のモンスターは攻守ともに100の【ファーニマル・マウス】しか無い。だがこれだけで十分だ。

 

「俺のターン、ドロー!リバースカード【融合準備】!エクストラデッキから融合モンスターを見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスターをデッキから手札に加える!エクストラデッキの【デストーイ・シザー・ウルフ】を見せ、デッキから【エッジインプ・シザー】を手札に加える。そして【融合準備】のもう1つの効果で墓地から【融合】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札3枚→5枚

 

「そして【ファーニマル・マウス】を召喚!」

 

【ファーニマル・マウス】

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「攻撃力100のモンスターを攻撃表示?ふざけてるのか!」

 

これから起こす悲劇を前にしてなおそんなセリフが言えるのか?

 

「【ファーニマル・マウス】の効果、メインフェイズに1度だけデッキから【ファーニマル・マウス】を2体まで特殊召喚できる!来い、2体の【ファーニマル・マウス】!」

 

【ファーニマル・マウス】×2

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「【融合】発動!手札の【エッジインプ・シザー】と【ファーニマル・ベア】を融合!

悪魔の爪よ!野獣の牙よ!神秘の渦で一つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れろ!すべてを引き裂く密林の魔獣【デストーイ・シザー・タイガー】!」

 

【デストーイ・シザー・タイガー】

攻撃表示

ATK1900/DEF1200

 

「【デストーイ・シザー・タイガー】の効果で【VWータイガー・カタパルト】を破壊!」

 

【デストーイ・シザー・タイガー】の鋏が再び万丈目のフィールドを襲う。

 

「俺のモンスターを2度も……!」

「更に魔法カード【魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)】発動!フィールド・墓地のモンスターを除外し、【デストーイ】モンスターを融合召喚する!俺は墓地の【エッジインプ・シザー】と墓地とフィールドにいる全ての【ファーニマル】モンスター計7体を融合する!」

「なっ……!?それほどの数の融合素材が必要なモンスターだと!?」

 

普通のデュエルなら使う必要も無いが、今のお前には慈悲はいらない!

 

「悪魔の爪よ!野獣の咆哮よ!煉獄の眼よ!野獣たちの牙よ!鋭き牙よ!光の渦で一つとなりて、新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れろ!すべてを切り裂く孤高の獣【デストーイ・シザー・ウルフ】!」

 

【デストーイ・シザー・ウルフ】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「8体のモンスターを使ったのに攻撃力2000……?」

 

万丈目は怪しむような視線を【デストーイ・シザー・ウルフ】に向ける。

 

「【デストーイ・シザー・ウルフ】は融合素材に使用したモンスターの数まで、1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。つまり8回の攻撃ができる」

「は、8回だと!?」

「それだけじゃない。【デストーイ・シザー・タイガー】の効果で【デストーイ】モンスターの攻撃力はフィールドの【デストーイ】及び【ファーニマル】モンスター1体につき300ポイントアップする。フィールドの【デストーイ】モンスターの数は2体。よって攻撃力600ポイントアップ!」

 

【デストーイ・シザー・タイガー】

ATK1900→ATK2500

 

【デストーイ・シザー・ウルフ】

ATK2000→ATK2600

 

「バトルだ!【デストーイ・シザー・ウルフ】でダイレクトアタック!8連撃!」

 

【デストーイ・シザー・ウルフ】が万丈目の頭から何度もかぶりついた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!ぁあ!!あああああああ!!」

 

万丈目準

LP1000→-1600→-4200→-6800→-9400→-12000→-14600→-17200→-19800

 

ふぅっ……少しスッキリした。

万丈目は頭から何度も噛みつかれた恐怖からか気絶していた。




なんで【ウルフ】はプレイヤーに連続攻撃できるんでしょう……?『相手モンスターに攻撃できる』みたいなテキストにすればこんなことにはならなかったのに……
次回は猿もといSALとデュエルです。


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動物 VS.SAL

後書きにお願いがあるのでそちらまで読んでいただければ幸いです。

色々修正しなきゃいけない気がしたので一度削除しましたが、大きな変化はなかったです。


「お〜い!万丈目〜!」

「何処ッスか〜!」

 

現在、俺と丸藤、そしてテスター候補4人の計6人で万丈目を捜索している。理由は万丈目が行方不明になったららしいとのこと(その際、万丈目のことをあれこれ言っていた生徒がいたのでもれなくカード提供はお断りする旨を伝えたが……)。万丈目はサンダーとなって帰ってくるはずだがそれを言うと色々面倒なのでスルーしようとすると天上院、枕田、浜口の3人に拉致られ万丈目の捜索に参加するはめに……

 

「……まったく……出て来なさーい!1度デュエルに負けたくらいで情け無いわよーーー!!」

「……叫ぶなら言ってくれ」

 

耳がキーンときた。

 

「お前、相変わらずキツいな」

 

いや、十代。キツいっていうレベルなのか?

 

「当然よ。最近の男子って軟弱な奴ばっかりなんだから」

「でも万丈目さんはきっと違いますわ。なんたってイケメンなんですもの!」

 

枕田のセリフに浜口が若干うっとりとした表情をする。いや、その理由は……

 

「……何ソレ?」

 

丸藤、よく俺の思いを代弁してくれた。

枕田によると以前は『三沢が素敵』と言っていたらしい。その後顔が云々言ってたが、アイツらキツいぞ?万丈目は現在あんな性格だし、三沢は壁を数式で埋めるしで……なんか変な方向に思考が脱線したな。

 

「シッ!静かに!」

 

天上院の言葉に全員が話は中断。ほとんどの面子は天上院を見るが、俺は天上院の視線の先にある茂みを見ていた。

 

「あそこに何かあるのか?」

「何か動いたのよ」

「万丈目か!?俺だ、遊城十代だ。隠れてないで出てこいよ」

 

十代が前に出て茂みに向かって話しかける。そして、『キキィーッ!』というような動物の鳴き声とともに猿……いや、正確には機械を全身に取り付けた猿が2匹出てきて……

 

「きゃあ!」

「な、なんだ!?」

 

猿達は俺たちの間に飛び込みわけのわからないくらいに揉みくちゃにして場を去った。

 

「な、なんだったんだ今の……?」

「……さぁな……ッ……」

 

あの猿ども……人の顔を何度も蹴りやがって……猿達が去ると今度は、

 

「逃げられたか……」

 

スーツ姿の男3人がやって来た。うち1人は銃を持っている。

 

「きゃあぁぁぁぁ!!」

「……枕田?」

 

枕田のと思われる悲鳴に周囲を確認すると枕田の姿が無い。声がした方向を見ると猿2匹に枕田が拉致られていた。

 

「降ろしてーーー!」

「ジュンコさんあんなところに……」

「呑気に言ってる場合じゃないだろ」

「あそこだ!」

「追え。必ず捕らえるのだ」

 

3人のうちの髭と眼鏡の男の指示によってすぐに猿が去った方向へ走っていった。

 

「俺達も追うぞ」

 

1人は銃を持っていた。枕田が巻き込まれて……なんてことになる前に枕田を奪還しないとな……面倒な……

猿2匹with枕田&男3人を追って森を抜けると崖。その先にある木に猿達と枕田がいた。

 

「もう逃げられないぞ!」

「麻酔銃で撃たれたくなかったら大人しく降りて来るんだ!」

 

俺達が追いついたころには既に狙撃体勢をとっている。……マジで面倒なことになってきた……

 

「助けてー!明日香さーん!!」

「チッ!生意気に人質なんて取りやがって」

「つーかアンタ達一体何者なんだ?」

 

十代の疑問も無視して俺達はあることに気がついた。

 

「アニキ、あの猿デュエルディスクしてるよ」

 

そう。猿がデュエルディスクをつけているのだ。まさかあの猿がデュエルを……いや、無いだろ。

 

「あの猿はただの猿ではない!」

 

髭に眼鏡の男が俺達に振り向きながら言った。いや、まぁあんな機械だらけの猿が普通の猿って言われても嘘だってすぐわかるけどさ。

 

「あの猿は我々が訓練を重ねて育て上げたデュエリスト猿だ!」

「デュエリスト猿!?」

 

えー……マジで猿がデュエルを……?

 

「その名も

Super

Animal

Lerning

略してSALだ!」

「まんまじゃん」

 

今日の丸藤は俺の心をよく代弁してくれる。

 

「博士!」

「む。つい口が滑ってしまった」

 

男2人が猿の方向に向き直すと

 

「ちょっと待った!」

 

十代が狙撃を止めた。

 

「俺に任せてくれ」

「任せる?君に何ができる?」

「もちろん。デュエルだ」

 

十代は3人の前に出て、

 

「おーいサルー!俺とデュエルだ!俺が勝ったらジュンコは返してもらうぜ!」

 

なんと猿にデュエルを挑んだ。アイツこんな胡散臭いやつらの言葉を信じるのか?

 

「アンタが負けたらどうすんのよー!?」

「え!?あ、負けたときのこと考えてなかったぜ……じゃあそうだな……お前が勝ったらお前は自由だ!」

「何よソレー!?」

 

若干枕田が狂い始めてる……

だが猿2匹のうち1匹が十代の言葉に反応したのか、頷いて前に出た。

 

「そうこなくっちゃ!」

「アニキ、猿と話してる……」

「きっと思考が猿に近いのかと」

 

十代、酷い言われようだな。

 

「はぁっ……なら俺がもう一方の猿とやろう」

 

この前三沢に授業以外でデュエルできそうもないと言っておいてコレか。我ながら意志が弱い……

 

「龍斗!?」

「どうして!?」

 

天上院と浜口が驚いているが、猿は2匹いるんだ。訓練の結果なのか、こちらの言葉に反応しているならこちらももう一方も……

 

「もう片方は俺が相手しよう。十代と同じ条件だ」

『キキッ!』

 

やはり来た。

 

「ルールは1VS1のデュエル。つまり十代とそっちの片方とは別のデュエルになる。いいな?」

『キキッ!』

 

頷く猿。

コレって訓練の結果だよな?俺の思考が猿に近いとかそんなんじゃないよな?

 

「デュエル!」

『キキッ!デュエル!』

「しゃ、喋りましたわ、あの猿!」

「デュエルの用語は機械を通して喋っておる」

 

髭に眼鏡の男が自慢気に言ってくるが、仲間の1人に注意された。まぁ雰囲気で把握よりはいいか。

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

SAL

LP4000

 

「俺の先攻、ドロー!【RR(レイド・ラプターズ)ートリビュート・レイニアス】を召喚!」

 

【RRートリビュート・レイニアス】

攻撃表示

ATK1800/DEF400

 

今回は【RR】。鉄の意志と鋼の強さを感じさせる不審者のデッキだ。……そういえば、あの不審者結局どうなったんだろ……ゲス顔の素良倒してから見てないんだよな……まぁいいや。続けよう。

 

「【トリビュート・レイニアス】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズにデッキから【RR】カードを墓地に送る。【RRーファジー・レイニアス】を墓地に送り効果発動!【ファジー・レイニアス】が墓地に送られた場合、デッキからもう一体の【ファジー・レイニアス】を手札に加えることができる!」

 

宮田龍斗

手札5枚→6枚

 

「そして【ファジー・レイニアス】は俺のフィールドに他の【RR】モンスターがいる場合、手札から特殊召喚できる!【RRーファジー・レイニアス】を特殊召喚!」

 

【RRーファジー・レイニアス】

攻撃表示

ATK500/DEF1500

 

「そして、レベル4の【RRートリビュート・レイニアス】と【ファジー・レイニアス】でオーバーレイ!」

『キキッ!?』

 

聞いたことが無い単語に動揺する猿。シンクロもエクシーズも知らないのだろう。構わず続けるが。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

冥府の猛禽よ。闇の眼力で真実を暴き、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!来い!ランク4!【RRーフォース・ストリクス】!」

 

【RRーフォース・ストリクス】

守備表示

ATK100/DEF2000

 

「な、なんだあのモンスターは!?」

 

後ろでスーツの男の1人がなんか言ってるが無視しよう。

俺には関係の無いことを言ってるに違いない。

 

「【フォース・ストリクス】の効果発動!1ターンに1度、ORUを1つ使うことで、デッキから鳥獣族・闇属性・レベル4のモンスターを手札に加える!【RRーバニシング・レイニアス】を手札に!カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【RRーフォース・ストリクス】:守

DEF2000

魔・罠

伏せ2枚

手札4枚

 

「様子見……という形の割に動きましたね」

「おそらく、さっき手札に加えたカードが重要なのよ」

 

浜口と天上院。お前ら十代の方はいいのか?

 

『『キキッ!私ノターン、ドロー!』』

 

ん?二重に声が聞こえた。しかも声の高さが違う……

 

「雌と雄で違いがあるか研究するために2匹のSALを育てたのだ」

「博士!」

「おっと、また口が滑ったようだ」

 

なるほど。まぁどちらが相手でも構わん。

 

『手札カラ【怒れる類人猿(バーサークゴリラ)】ヲ召喚!』

 

【怒れる類人猿】

攻撃表示

ATK2000/DEF1000

 

猿がゴリラ召喚した。

で、ここからどうするつもりだ?

 

『バトル!【怒れる類人猿】デ【フォース・ストリクス】ヲ攻撃!』

 

コンバットトリックするつもりか……なかなか知恵があるらしい。しかし【怒れる類人猿】の突撃も【フォース・ストリクス】が飛ぶことで空振りに終わった。

 

『カードヲ2枚伏セ、ターンエンド!』

「は?」

 

なんで攻撃したんだ?意味がわからん。

 

SAL

LP4000

モンスター

【怒れる類人猿】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「龍斗、まさか【怒れる類人猿】は攻撃可能なら攻撃しなきゃいけない効果を知らないの?」

「は?何その使い辛い効果」

 

レベル4で攻撃力2000ってそこまでのデメリットがあるのか?

 

「貴方ね……テスターならそのくらい把握しなさい」

「んな使い辛いカード効果一々覚えてられるか。俺のターン、ドロー!手札から【RRーバニシング・レイニアス】を召喚!」

 

【RRーバニシング・レイニアス】

攻撃表示

ATK1300/DEF1600

 

「そして【RRーフォース・ストリクス】の効果。自分フィールド上にいるこのカード以外の鳥獣族モンスター1体につき攻撃力と守備力が500ポイントアップする!」

 

【RRーフォース・ストリクス】

ATK100/DEF2000→ATK600/DEF2500

 

「更に前のターンに発動した【フォース・ストリクス】の効果を発動!ORUを1つ使い、デッキから鳥獣族・闇属性・レベル4のモンスターを手札に加える!2体目の【バニシング・レイニアス】を手札に加える!そして墓地に送られた【ファジー・レイニアス】の効果で3体目の【ファジー・レイニアス】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札4枚→6枚

 

「そして永続魔法【RRーネスト】を発動!1ターンに1度、自分フィールド上に2体以上の【RR】モンスターがいる場合、デッキ・墓地から【RR】モンスターを手札に加える!墓地の【ファジー・レイニアス】を手札に!」

「さっきから手札が減ってませんね」

「ええ……何を狙ってるのかしら?」

 

本当は特殊召喚したモンスターを倒すことに特化してるんだよな……

 

「早く助けてよーー!」

 

そういえば枕田を助けるのが目的だったな…………あ、プレミしたっぽいぞ。【ミミクリー】もってくれば良かった。

 

「…………【RRーバニシング・レイニアス】の効果。召喚・特殊召喚に成功したターンに1度だけ手札の【RR】を特殊召喚できる!2体目の【バニシング・レイニアス】を特殊召喚!」

 

【RRーバニシング・レイニアス】

攻撃表示

ATK1300/DEF1600

 

「フィールドの鳥獣族モンスターが増えたことで【フォース・ストリクス】の攻守がアップする」

 

【RRーフォース・ストリクス】

ATK600/DEF2500→ATK1100/DEF3000

 

「2体目の【バニシング・レイニアス】の効果で【ファジー・レイニアス】を特殊召喚!」

 

【RRーファジー・レイニアス】

攻撃表示

ATK500/DEF1500

 

【RRーフォース・ストリクス】

ATK1100/DEF3000→ATK1600/DEF3500

 

「そして手札の【ファジー・レイニアス】を自身の効果で特殊召喚!」

 

【RRーファジー・レイニアス】

攻撃表示

ATK500/DEF1500

 

【RRーフォース・ストリクス】

ATK1600/DEF3500→ATK2100/DEF4000

 

「守備力4000!?」

「攻撃力も【怒れる類人猿】の攻撃力を上回った!」

「【フォース・ストリクス】を攻撃表示に変更」

 

【RRーフォース・ストリクス】

守備表示→攻撃表示

DEF4000→ATK2100

 

「バトルだ!行け!【フォース・ストリクス】!【怒れる類人猿】を攻撃!」

『罠発動!永続罠【DNA改造手術】!フィールドノ全テノモンスターハ、宣言シタ種族ニナル!獣族ヲ宣言!』

 

…………やっちまった。【サイクロン】も【ゴッドバードアタック】もないこの状況は大人しくするべきだった……

 

【RRーフォース・ストリクス】

ATK2100/DEF4000→ATK100/DEF2000

 

【フォース・ストリクス】が突撃するも急激に減速し、【怒れる類人猿】に叩き潰された。

 

「ぐっ……!」

 

宮田龍斗

LP4000→2100

 

「何やってるのよー!」

「猿に押されてますわ」

「猿に負けたら貴方の方が学校に居られなくなるわよー!」

 

好き勝手言いやがって……一応セットしてあったが使うとは思わなかった……

 

「リバースカードオープン!速攻魔法【RUM(ランクアップマジック)ーラプターズ・フォース】!」

「「「【RUM】?」」」

 

そういえばこの手のランクアップは見せてなかったな。……詰めデュエルに使うか……?

 

「このターンの戦闘で破壊されたエクシーズモンスター1体を特殊召喚し、そのモンスターよりランクが1つ高いエクシーズモンスターを、対象モンスターを素材にエクシーズ召喚する!【フォース・ストリクス】を特殊召喚し、オーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!

獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けしその翼翻し、寄せ来る敵を打ち破れ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れろ!ランク5!【RRーブレイズ・ファルコン】!」

 

【RRーブレイズ・ファルコン】

攻撃表示

ATK1000/DEF2000

 

「このエクシーズ召喚はバトルフェイズ中のもの。よって攻撃できる!」

「でも攻撃力は1000。攻撃力2000の【怒れる類人猿】には届かない……」

「ORUを持つ【ブレイズ・ファルコン】は相手の場にモンスターがいてもダイレクトアタックできる!」

 

これなら攻撃力2000だろうが関係ない!

 

「行け!【ブレイズ・ファルコン】!」

 

【ブレイズ・ファルコン】が猿の上空に飛び、多量の爆弾を投下した。

 

『キキーッ!!』

 

SAL

LP4000→3000

 

「更に【ブレイズ・ファルコン】の効果発動!このカードが戦闘ダメージを相手に与えた時、相手モンスター1体を破壊できる!やれ!【ブレイズ・ファルコン】!」

 

【ブレイズ・ファルコン】から赤い羽根状の兵器が幾つも飛び出し【怒れる類人猿】にレーザーを放つ……ビジュアルといい攻撃といい効果といい、もう鳥獣族じゃなくて機械族だろ……

 

『罠発動!【キャトルミューティレーション】!獣族モンスターヲ手札ニ戻シ、戻シタモンスターノレベルト同ジレベルノモンスター1体ヲ手札カラ特殊召喚!【怒れる類人猿】ヲ手札ニ戻シ、【怒れる類人猿】ヲ特殊召喚!』

 

【怒れる類人猿】

攻撃表示

ATK2000/DEF1000

 

この猿、上手く躱したな。

 

「メインフェイズ2に移行する。レベル4の【バニシング・レイニアス】と【ファジー・レイニアス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

冥府の猛禽よ。闇の眼力で真実を暴き、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!来い!ランク4!【RRーフォース・ストリクス】!」

 

【RRーフォース・ストリクス】

守備表示

ATK100/DEF2000

 

「更にレベル4の【バニシング・レイニアス】と【ファジー・レイニアス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

エクシーズ召喚!来い!ランク4!【RRーフォース・ストリクス】!」

 

【RRーフォース・ストリクス】

守備表示

ATK100/DEF2000

 

「そしてORUを1つ使い、デッキから鳥獣族・闇属性・レベル4のモンスターを手札に加える!【RRーミミクリー・レイニアス】を手札に加え、もう一体の効果で【RRーバニシング・レイニアス】を手札に加える!カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP2100

モンスター

【RRーブレイズ・ファルコン】:攻

ATK1000

【RRーフォース・ストリクス】:守

DEF2000

【RRーフォース・ストリクス】:守

DEF2000

魔・罠

【RRーネスト】

伏せ2枚

手札3枚

 

『キキッ!私ノターン、ドロー!』

「リバースカード【禁じられた聖槍】!【フォース・ストリクス】の攻撃力を800下げて、他の魔法・罠の効果を受けなくする!」

 

いつぞやのように足元に槍が突き刺さりそれを【フォース・ストリクス】に投げ刺す。

 

【RRーフォース・ストリクス】

攻撃表示

ATK100→ATK0

 

「更にリバースカード【ゴッドバードアタック】!自分フィールドの鳥獣族モンスター…….【フォース・ストリクス】1体をリリースして相手フィールドのカード2枚を破壊する!【怒れる類人猿】と【DNA改造手術】を破壊!このリリースは効果ではなくコストなので問題無く発動できる!」

 

【フォース・ストリクス】が炎を纏い【怒れる類人猿】と【DNA改造手術】を破壊していった。

 

『……【怒れる類人猿】を召喚!』

 

【怒れる類人猿】

攻撃表示

ATK2000/DEF1000

 

『バトル!【怒れる類人猿】デ【ブレイズ・ファルコン】ヲ攻撃!』

「速攻魔法【月の書】!【ブレイズ・ファルコン】を裏側守備表示に変更!」

 

【ブレイズ・ファルコン】

攻撃表示→裏守備

ATK1000/DEF2000

 

【月の書】の青い光が【ブレイズ・ファルコン】に当たりその姿を消し、【怒れる類人猿】が姿を見失い元いた場所に戻った。その直後上空から【ブレイズ・ファルコン】が戻ってきた……いや、だからエフェクトがおかしい。

 

『ターンエンド!』

 

SAL

LP3000

モンスター

【怒れる類人猿】:攻

ATK2000

魔・罠

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!……!」

 

なんか引いた……!

 

「バトルだ!行け!【ブレイズ・ファルコン】!プレイヤーにダイレクトアタック!」

 

今日2度目の爆弾投下。猿の断末魔のような鳴き声もなんだか慣れてきた。…………動物虐待にはならない……よな?

 

SAL

LP3000→2000

 

「【ブレイズ・ファルコン】の効果発動!このカードが戦闘ダメージを相手に与えたとき、相手モンスター1体を破壊できる!【怒れる類人猿】を破壊!」

 

そして2度目の謎兵器。

今回はリバースがないので無事に破壊できた。ここで引いたカードを使う!

 

「速攻魔法【RUMーレヴォリューション・フォース】発動!」

『キキッ!?』

「このカードを自分のターンに発動した場合、自分フィールド上の【RR】エクシーズモンスター1体を対象に、そのモンスターよりランクが1つ高いエクシーズモンスターにランクアップさせる!【ブレイズ・ファルコン】を選択!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!

誇り高きハヤブサよ。英雄の血潮に染まる翼翻し、革命の道を突き進め!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れろ!ランク6!【RRーレヴォリューション・ファルコン】!」

 

【RRーレヴォリューション・ファルコン】

攻撃表示

ATK2000/DEF3000

 

「行け!【レヴォリューション・ファルコン】!プレイヤーにダイレクトアタック!」

 

【レヴォリューション・ファルコン】が空高く飛び、3度目の爆弾投下。猿のライフを削りきった。

 

『キキーーーッ!!』

LP2000→0

 

お、ジャストキルだ。チラッと十代を見ると向こうも終わったようだ。

 

「さて、枕田は返してもらうぞ」

「ちょっと待って」

 

猿に枕田の返却をさせようとすると、天上院が邪魔してきた。

 

「なんのつもりだ天上院。あんな場所にいたら下手すれば命に関わる大惨事になるぞ」

「えっと……」

 

天上院の話によると、直ぐ近くの岩の陰に猿の仲間と思われる集団がいるらしい。つまりあの猿は仲間のもとに帰りたくて脱走したのでは?ということらしい…………つまり猿に勝ったことで仲間のもとに帰れなくなったと……?いや、待てよ……ふむ……これなら……

 

「……事情はわかったが、枕田の安全確保が優先だ」

「龍斗!?」

「俺はデュエルアカデミアの生徒でもあるが、I2、KCのテスターでもあるんだ。そしてデュエルアカデミアはKCの設立した学校。ここで命が失われるなんてことがあればKC、つまり海馬さんに迷惑がかかる。猿、枕田を返せ」

 

無理矢理に天上院を退かせて猿に枕田を返させる。

猿は渋々といった感じで枕田をこちらに寄越し、枕田は走って天上院と浜口のもとに行った。

これで最優先事項は解決した。

 

「今だ」

 

スーツの男の1人が麻酔銃を構えると、

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

十代が射線に割り込んだ。

 

「俺は勝ったらジュンコを返せとは言ったけど、猿をアンタ達に返すとは言ってないぜ」

「流石アニキ!そうこなくっちゃ!」

 

確かにそうだが、それだけではダメだぞ十代。

 

「構わん、やれ」

「邪魔だ!」

「うわっ!」

 

髭の男の指示によって男が十代を突き飛ばすように退ける。

 

「せいっ!」

「ぐっ!?」

 

それに対して俺は男の横っ腹に蹴りをいれる。

倒れたところに銃を蹴って猿の安全を確保。

 

「丸藤!銃を取れ!絶対に渡すな!」

「わ、わかったッス!」

 

丸藤は慌てながらも麻酔銃を抱え距離を取った。

 

「俺も十代と同様、猿を返すとは言ってない。そもそも、こんな実験。動物虐待で訴えたら危険なのはそっちだ。しかも此処デュエルアカデミアはKCのもの。そっちが無許可で実験しているのは明白だ。社長は動物にデュエルさせるなんてしないからな。さぁどうする?大人しくこちらに従うか、動物愛護団体やらKCを相手に闘うか、好きな方を選べ」

 

俺の脅迫じみた説得に男達は大人しく引き下がり、どこかに行った。

一段落したところで猿に付いてる機械を外し、デュエルディスクを外そうとすると急に暴れ出して逃げられた。

 

「…………デュエルディスクだけはつけていたいんだな」

 

今までの訓練の成果か何かだろうか?いや、あのディスクのどこかを気に入っただけだろう。

 

「にゃ〜。先生の出番が無くなってしまったにゃ〜」

「「「「「大徳寺先生!?」」」」」

 

俺達が来た森から大徳寺先生がやって来た……なんでこんな所に?

 

「龍斗君のと思われるモンスターが見えたんだにゃ〜。それと、万丈目君ならこの島にはいないのにゃ」

 

……【RR】が目印になったのか……で、やはり万丈目はいないと。

 

「な、なんで!」

「先生も気になって万丈目君を探したのにゃ。そして港から出ていく万丈目を見たのにゃ〜」

「つまり、俺達のやっていたことは無駄だったと……」

 

俺を拉致した3人を見ると、あからさまに目を逸らしていた。




えーとですね。「このデッキを使ってほしい」という要望がチラホラと感想に書かれてます。もういっそのこと活動報告使って募集しよう!と思い活動報告書いたので、そちらに使ってほしいデッキ(テーマ)があればコメントください。
それと同時に特にストーリーに影響は無いとは思いますがTFキャラを参加させるか否か若干迷ってます。皆さんのご意見をお聞かせいただければと思います。↑の活動報告に書く際にチラッとコメントいただければ……もしくは感想にお願いします。

次回はテスター試験です。


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テスター試験ー① VS.ももえ

デッキテーマを募集したらかなりの要望があってびっくりしているアルス@大罪です。
TFキャラについても歓迎の意見がチラホラとあったので2、3人出そうかなと思ってます。意見から候補は現在

藤原雪乃

嶺開花

ツァン・ディレ

宮田ゆま

の4名です。意見を尊重すると雪乃さんが候補筆頭です。
話は大きく変わりますが今回からしばらくは同じ描写が続く……のかなぁと思ってます。
では本編へどうぞ。


「…………できた……」

 

ドシャアッという音が聞こえそうな勢いで机に突っ伏す。

ようやくテストに使う問題が完成した。

あとは校長あたりに教室を使わせてもらって筆記試験をして、その後に実技だ……果てしなくダルい……面倒だがこれも仕事だ。校長室に行こうとするが、時間を見てみると23時を過ぎていた。この時間に行くのは非常識だな。明日にするか。とりあえずベッドにダイブして寝る。おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

とりあえず昼休みまで授業を受け、校長室へ。

 

「…………失礼します」

 

ノックをしようとすると自動でドアが開いた……自動ドアめ……

 

「……宮田君ですか。何かありましたか?」

「テスター候補4名のテストをしたいので、教室をお借りしたいのです」

 

とりあえずノックしようとした右手を何もなかったように下げ教室を借りるお願いをしてみる。

 

「ほう、見つかったのですか」

「オベリスク・ブルーの天上院明日香、枕田ジュンコ、浜口ももえ。そしてオシリス・レッドの遊城十代です」

「ほう……オベリスク・ブルーなら学園トップのカイザーこと丸藤亮が候補になると思っていましたが……」

 

カイザーが候補?ありえないだろ。

 

「あの人とはデュエルしましたが、テスター候補なんかにはなりえない。彼には既に【サイバー】カードのエクシーズ達を渡してありますよ。テスターとしてではなく、プロとして彼にエクシーズを使ってもらいたいので」

 

俺の本心に鮫島校長は一瞬驚きの表情を見せたがすぐに笑みを見せ、

 

「そうですか。わかりました、教室をお貸ししましょう」

「ありがとうございます。では実際にお借りする日程ですが……」

 

それなりの期間使えないと思ったが、今度の日曜に教室を使わせてもらえることになった。しかもテストを監視する教師もつけてくれるらしい。とてもありがたい。

すぐさま教師を呼び出し問題を渡し用紙を作成。時間等の打ち合わせをしてその日は終了。

そしてテスト当日。

午前中に筆記試験を行い昼に俺が採点。午後に実技試験といった形で行われる。

実技でも最大20点取得可能とし、合計で30点取れば、はれてテスターとなる。

そして筆記試験終了。

結果は……

 

「…………十代……」

 

あのクラゲやってくれたな……とりあえず一番不安な十代から採点しようとしたんだが……

 

問1.

以下の文の空欄を埋めよ。(全て正解で1点とする)

ペンデュラム召喚とは手札の①[_____]をペンデュラムゾーンに計②[_____]枚置き、そのカードに記されているスケールの間のレベルを持つモンスターを手札、③[_____]から同時召喚するものである。

 

答え

①ペンデュラムモンスター

②2

③融合デッキ

 

間違えやがった。最後に間違えやがった。いや、古い言い方ならこれでいいんだが、シンクロやエクシーズが入るためにエクストラデッキに名称が変わってるから間違いだ。△?んなもの無い。次、

 

問3.

【氷結界の龍 ブリューナク】の種族を答えよ。

 

答え

ドラゴン族

 

一番やってきそうな答えを持ってきてくれた。このままじゃテスター候補のままだぞ十代……

この後の問題で【サイクロン】で破壊された【星読みの魔術師】の処理と【魔宮の賄賂】で無効化された【時読みの魔術師】の処理が逆になっているというミスをやったりという悲劇の結果、筆記試験10/20点。首の皮一枚繋がった状態で実技試験を受けることになった。

 

次は……五十音順に天上院にしよう。

 

ふむ……19/20点か……優秀優秀。

で、間違えたのが

 

問8.

ペンデュラムゾーンにスケール8の【時読みの魔術師】とスケール2【EMペンデュラム・マジシャン】がセットされた。このときペンデュラム召喚可能なレベルを答えよ。

 

答え

3か

 

あー……ミスに気付いて修正しようとして時間切れになったのか……ドンマイ。

 

次は……浜口。

 

…………?…………なんかつまらんな。18/20点。間違えたのが問3(しかも十代と同じ答え)と……

 

問4.

【No.11 ビッグ・アイ】の種族を答えよ。

 

答え

機械族(実は十代も同じ答え)

 

なんかつまらんな。…………つまらんな。

 

ラストは枕田。

…………カードステータスの問題全部空欄にしやがった……先に詰めデュエルやってたら時間切れになったのか?そこまで難しい問題はなかった筈だが……まぁいいや。とりあえず枕田は17/20点。満点無し!…………ちょっと悲しくなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、俺も軽く昼食を済ませて、外でやろうとしてた実技試験だが、校長がデュエルフィールドを貸してくれた。なので遠慮なく使わせてもらう。

実技試験は1人1時間以上時間を使わせてもらう。対戦相手は俺。次からは今回の合格者にも参加してもらって効率アップさせたい。最初の相手は……受験者にじゃんけんで決めてもらって浜口からだ。勝ち残ったのか、負けたのかは知らん。

 

「よろしくお願いしますわ」

「ん。まず実技試験の内容だが……今からここにあるカードでデッキを作ってもらう」

「デッキを……今からですか!?」

「ああ」

 

今回は不思議ケースを使って受験者にデッキを作らせる。俺が覚えている限りで、【征竜】とか【神判】といった前世で禁止されたり、されそうなカード等一部は抜いてあるがほぼ全てのカードを使ってデッキを作成させ、そのデッキでデュエルさせる。そのデュエルの内容、デッキの構成を採点するというものだ。

 

「お前達には大きく分けて2つの選択肢がある。この試験を合格したとき、どんなテスターになるかだ。1つは俺の様に全召喚を使うテスター。もう1つはどれか1つの召喚専門のテスターだ。先に聞こう。どんなテスターになりたい?」

 

俺の質問に浜口はすぐに『シンクロ召喚専門のテスター』と答えた。まぁ使ってたのがシンクロばかりだったからな……一応エクシーズを使わなかった理由を聞いたら、『なんとなく、シンクロを扱いきれるようになったら使おうと思ってた』だそうだ。

 

「ではデッキ作成を開始してくれ。時間制限は無いが、なるべく早くな」

「はい!」

 

さて、どんなデッキになるかな……?

1時間後

 

「できましたわ!」

「……そうか。じゃあ早速、そのデッキとこのデッキでデュエルだ。このデュエルも当然試験内容だからそのつもりで」

 

思ったよりかかったな。30分くらいで終わると思ったが……まぁいい。早く始めよう。

 

「はい!」

「「デュエル!」」

 

浜口ももえ

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「先攻は受験者からだ」

「私のターン、ドロー!……【ナチュル・マロン】を召喚!」

 

【ナチュル・マロン】

攻撃表示

ATK1200/DEF700

 

【ナチュル】……【ビースト】、【パルキオン】……【エクストリオ】……いや、【エクストリオ】は来ないか。

 

「【ナチュル・マロン】の効果発動!デッキから【ナチュル】モンスターを墓地に送ります。【ナチュル・レディバグ】を墓地へ」

 

【レディバグ】……確かパンプ効果あったな。しかも墓地から蘇生する効果を持ってるにもかかわらず【ゾンビキャリア】のように除外されない。だったか?

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンドです」

 

浜口ももえ

LP4000

モンスター

【ナチュル・マロン】:攻

ATK1200

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

静かな立ち上がり……【ナチュル】ならこんなもんか……?

 

「俺のターン!【静寂のサイコウィッチ】を召喚!」

 

【静寂のサイコウィッチ】

攻撃表示

ATK1400/DEF1200

 

今回使うデッキは【サイキック】。出た当初はライフ払ったり回復したり変動が激しいカード達だったが、とても面白いカード達でもある。1killできたし、たまに【サイクロン】に1killされるときがあったけどな……

 

「相手モンスターの通常召喚に成功したことで手札から【ナチュル・コスモスビート】を特殊召喚します!」

 

【ナチュル・コスモスビート】

守備表示

ATK1000/DEF700

 

現れたのは花を生やした土の塊……に目がついたモンスター。なんか踊ってるし……

 

「更に永続罠発動【ナチュルの神星樹】!」

 

浜口の後ろに大きな樹が生えてきた。

……【ロキ】よりは大きいが、【トール】や【オーディン】ほどじゃないな。

 

「効果発動。1ターンに1度、自分フィールドの植物族・地属性モンスターをリリースして、デッキから昆虫族・地属性モンスターを特殊召喚します!【コスモスビート】をリリースして【ナチュル・バタフライ】を特殊召喚!」

 

【ナチュル・バタフライ】

守備表示

ATK500/DEF1200

 

【コスモスビート】から生えてる花に【ナチュル・バタフライ】がどこからか近付いてきて、蜜を吸うと【コスモスビート】が霧散した。

 

「バトル!【静寂のサイコウィッチ】で【ナチュル・バタフライ】を攻撃!」

「【ナチュル・バタフライ】の効果発動!1ターンに1度、デッキの1番上のカードを墓地に送ることで相手モンスターの攻撃を無効にします」

 

【サイコウィッチ】が【ナチュル・バタフライ】に迫ると【ナチュル・バタフライ】は鱗粉を撒き散らし【サイコウィッチ】の体を麻痺させた。……それ永続効果のエフェクトじゃないか?

 

「……ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【静寂のサイコウィッチ】:攻

ATK1400

魔・罠

手札5枚

 

「私のターン、ドロー!【ナチュル・アントジョー】を召喚!」

 

【ナチュル・アントジョー】

攻撃表示

ATK400/DEF200

 

出てきたのは大きな向日葵の種を抱えた、葉っぱのような羽がある蟻。

 

「【ナチュルの神星樹】のもう一つ効果発動。1ターンに1度、自分フィールドの昆虫族・地属性モンスターをリリースして、デッキから植物族・地属性モンスターを特殊召喚します!」

 

植物族をリリースして昆虫族。昆虫族をリリースして植物族と使い分けられるのか……

 

「【ナチュル・アントジョー】をリリースして【ナチュル・コスモスビート】を特殊召喚!」

 

【ナチュル・コスモスビート】

攻撃表示

ATK1000/DEF700

 

【ナチュル・アントジョー】が地面に潜ると花が生え、【コスモスビート】が姿を現した。

 

「【ナチュル・マロン】の効果発動!1ターンに1度、墓地の【ナチュル】モンスター2枚をデッキに戻して1枚ドローします。【アントジョー】・【コスモスビート】を戻して1枚ドロー!」

 

浜口ももえ

手札2枚→3枚

 

「手札からフィールド魔法【ナチュルの森】を発動!」

 

浜口はドローしたカードをすぐにフィールド魔法ゾーンにセットした。するとデュエルフィールドが明るい雰囲気のある森になった。浜口の後ろの神星樹とマッチしている……ような気がする。

 

「レベル3の【ナチュル・マロン】にレベル2の【ナチュル・コスモスビート】をチューニング!大地の咆哮、森に降りかかる災厄を振り払う!シンクロ召喚!お願いします!レベル5!【ナチュル・ビースト】!」

 

【ナチュル・ビースト】

攻撃表示

ATK2200/DEF1700

 

浜口が口上……?

 

「お前が口上を言うなんてな。何があった?」

「テスターになるのでしたら先輩にあたる貴方の真似をしてみたいと思っただけですわ」

 

ニコニコと笑いながら答える浜口。

 

「続けますね。墓地の【ナチュル・レディバグ】の効果発動!【ナチュル】シンクロモンスターのシンクロ召喚に成功したとき、墓地からこのカードを特殊召喚できます!」

 

【ナチュル・レディバグ】

守備表示

ATK100/DEF100

 

「更に【ナチュル・レディバグ】の効果発動!このカードをリリースして、【ナチュル】モンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップさせます!【ナチュル・ビースト】の攻撃力をアップします!」

 

花柄のテントウムシが【ナチュル・ビースト】にくっつくと攻撃力が上昇って……理屈がわからんぞ。

 

【ナチュル・ビースト】

ATK2200→ATK3200

 

「バトル!【ナチュル・ビースト】で【静寂のサイコウィッチ】を攻撃!アース・ファング!」

 

【ナチュル・ビースト】が足踏みすると地面から牙状の岩が飛び出し【サイコウィッチ】を破壊した。

 

宮田龍斗

LP4000→2200

 

「くっ……!だが【サイコウィッチ】の効果発動!このカードが破壊されたとき、デッキから攻撃力2000以下のサイキック族モンスターを除外できる!【サイ・ガール】を除外!」

「……ターンエンドです」

 

浜口ももえ

LP4000

モンスター

【ナチュル・バタフライ】:守

DEF1200

【ナチュル・ビースト】:攻

ATK2200

魔・罠

【ナチュルの神星樹】

伏せ1枚

フィールド

【ナチュルの森】

手札2枚

 

一瞬訝しむような表情を見せたがすぐに戻しターンを終了した。

 

「俺のターン!このスタンバイフェイズ、【サイコウィッチ】の効果で除外された【サイ・ガール】が特殊召喚される」

 

【サイ・ガール】

攻撃表示

ATK500/DEF300

 

「【サイ・ガール】の効果発動。除外されたこのカードが特殊召喚されたとき、デッキトップのカードを裏側で除外する」

 

【サイ・ガール】がこちらに振り向き、杖を振るとデッキトップのカードが一瞬光った。恐らく除外されたのだろう。

 

「【沈黙のサイコウィザード】を召喚!」

 

【沈黙のサイコウィザード】

攻撃表示

ATK1900/DEF0

 

「【沈黙のサイコウィザード】の効果発動!召喚に成功したとき、墓地のサイキック族モンスターを除外できる!【静寂のサイコウィッチ】を除外!」

 

【サイコウィザード】が杖を振ると墓地から【サイコウィッチ】のカードが出てきて消えた。

 

「レベル4の【沈黙のサイコウィザード】にレベル2の【サイ・ガール】をチューニング!超常の悪魔、力交わりてここに降り立て!シンクロ召喚!見通せ!レベル6!【サイコ・デビル】!」

 

【サイコ・デビル】

攻撃表示

ATK2400/DEF1800

 

「【サイコウィザード】の効果!このカードがフィールドから墓地に送られたとき、自身の効果で除外したモンスターを特殊召喚する!チェーンして【サイ・ガール】の効果!このカードがフィールドから墓地に送られたとき、自身の効果で除外したカードを手札に加える!何かチェーンはあるか?」

「いえ、ありませんわ」

 

モンスター効果に対してリバースは使わない……攻撃反応型か?いや、それなら【バタフライ】出した意味が……

 

「……チェーン処理だ。チェーン2、除外された【緊急テレポート】を手札に」

 

宮田龍斗

手札5枚→6枚

 

【緊急テレポート】来てもなぁ……【ビースト】に止められるし……

 

「チェーン1、【静寂のサイコウィッチ】を特殊召喚」

 

【静寂のサイコウィッチ】

ATK1400/DEF1200

 

何も無いはずの空間が光り、【サイコウィッチ】が姿を現す。

 

「【サイコ・デビル】の効果発動!1ターンに1度、相手の手札をランダムに1枚選択。俺はそのカードの種類を宣言し、当たった場合このカードの攻撃力が相手ターンのエンドフェイズまで1000ポイントアップする」

 

効果発動を宣言すると浜口の手札1枚が光る。あれを当てろということか。

 

「モンスターカードだ」

「……正解ですわ」

 

残念そうに浜口は手札の【ナチュル・クリフ】を見せた。

そして【サイコ・デビル】が咆哮し攻撃力が上昇する。

 

【サイコ・デビル】

ATK2400→ATK3400

 

「バトル!【サイコウィッチ】で【ナチュル・バタフライ】を攻撃!」

「くっ……【ナチュル・バタフライ】の効果でデッキの1番上のカードを墓地に送り攻撃を無効にします!」

 

再び鱗粉で麻痺する……いや、今度は眠りだした【サイコウィッチ】……なんでこんな無駄エフェクトが……

 

「次だ。【サイコ・デビル】で【ナチュル・ビースト】を攻撃!」

 

【サイコ・デビル】が【ナチュル・ビースト】を爪で切り裂いた……サイコ感無いな。

 

「きゃあっ!」

 

浜口ももえ

LP4000→2800

 

「カードを2枚セット、ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP2200

モンスター

【サイコ・デビル】:攻

ATK3400

【静寂のサイコウィッチ】:攻

ATK1400

魔・罠

伏せ2枚

手札4枚

 

「私のターン、ドロー!……!【ナチュル・マロン】を召喚!」

 

【ナチュル・マロン】

攻撃表示

ATK1200/DEF700

 

「【マロン】の効果でデッキから【ナチュル・レディバグ】を墓地に送ります!もう1つの効果も発動!【コスモスビート】と【ナチュル・チェリー】をデッキに戻して1枚ドロー!」

 

【ナチュル・チェリー】!?いつの間にそんなカードを……【バタフライ】で落ちてたのか……!

 

「レベル3の【ナチュル・マロン】にレベル3の【ナチュル・バタフライ】をチューニング!大地の力、私の道を阻むものを薙ぎはらう!シンクロ召喚!来てください!レベル6!【ナチュル・パルキオン】!」

 

【ナチュル・パルキオン】

攻撃表示

ATK2500/DEF1800

 

……リバースが腐った……いや、まだいけるか……?

 

「ここで墓地の【ナチュル・レディバグ】2体の効果発動!【ナチュル】シンクロモンスターのシンクロ召喚に成功したとき、墓地からこのカードを特殊召喚できます!」

 

今度は2体も……!

 

【ナチュル・レディバグ】×2

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「更に【レディバグ】の効果で自身をリリースして【パルキオン】の攻撃力をアップさせます!」

 

2体の【レディバグ】が【パルキオン】にくっついて攻撃力が上がった。

 

【ナチュル・パルキオン】

ATK2500→ATK3500→ATK4500

 

「バトル!【ナチュル・パルキオン】で【静寂のサイコウィッチ】を攻撃!」

「リバースカード【聖なるバリア ーミラーフォースー】!相手モンスターの攻撃宣言時、相手の攻撃表示モンスター全てを破壊する!」

 

これが通らなくても……

 

「ーーーカウンター罠」

 

…………え?

 

「【エクストリオの牙】を発動します!【ナチュル】モンスターがいるとき、相手の魔法・罠を無効にして破壊!」

 

【ミラフォ】が色を失って破壊された……【ミラフォ】→【パルキオン】→【幽鬼うさぎ】の計画が……!それ以前にリバースカードの存在も忘れてた……

 

「その後、手札1枚を墓地に送ります。【ナチュル・クリフ】を墓地に」

 

【パルキオン】が【サイコウィッチ】を締め付けて破壊。そのまま俺にブレスを放ってきた。

俺はそれにより吹き飛ばされ、大の字に倒れた。

 

宮田龍斗

LP2200→-900




龍斗初敗北描写でした。
次回もテスター試験です。こんな感じであと3人の試験の様子を見守っていただければと思います。


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テスター試験ー② VS.ジュンコ

作者にとってリベンジのつもりで書きました。
なんとなく察してくれると嬉しいです。


えー……テスター試験。筆記試験も終わり残るは実技試験のみで、受験者4人全員の相手を俺がするんだが……最初の1人、浜口に敗北した……いきなり負けんのか俺は……

まぁいいや。負けたものは仕方がない。確か浜口の筆記試験の点数は18点だったな。

 

「ぁーちくしょー負けたー」

「大丈夫ですの?」

 

浜口がそばに寄ってきた。

いいかげん起きなきゃな……試験はまだ終わってないんだし。

 

「……浜口ももえ、実技試験終了だ。あとはデッキの構成を見せてもらって後日合格発表をする。デッキを渡してくれ」

「はい」

 

デッキを受け取り個別のケースに入れる。あと3人か……

 

「じゃあ今日はもう自由にしててくれ。お疲れ様」

「はい。失礼します」

 

浜口は軽く頭を下げてからデュエルフィールドを出た。

さて、次は誰だったかな……?

 

「入るわよ」

「……枕田か」

 

入ってきたのは枕田。筆記試験は17点だったな……浜口同様試験内容を軽く伝え合格した際、どのテスターになるか聞いたところ思いのほかすぐに『エクシーズ専門』と答えてきた。浜口あたりから軽く聞いたのか?いや、そんな時間はなかったな。まぁいいや。

 

「じゃあ、始めてくれ」

「わかったわ」

 

えっと……エクシーズか……あのデッキは……あったあった。さて、暇だな。今のうちに浜口のデッキを確認してみるか……なんか【ミラクルシンクロフュージョン】入ってる……【エクストリオ】用にピン挿ししてるのか。で……【モスキート】?効果は……どこの【ダイガスタ・スフィアード】だ?まぁいいや。……ふむ。速度は遅いけど、しっかりシンクロ召喚できたし……ってか【ナチュル】って若干パーミッションなんじゃ……ふむ……まぁ合格かな……高速展開には向いてないカテゴリーのようだし。

 

「できたわ!」

「……終わったか。ならデュエルだ。お前がどんなデッキを作ったのか見せてもらう」

「わかったわ」

「「デュエル!」」

 

枕田ジュンコ

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「先攻は受験者からだ」

「そう。ならアタシのターン、ドロー!【RRーバニシング・レイニアス】を召喚!」

 

【RRーバニシング・レイニアス】

攻撃表示

ATK1300/DEF1600

 

【RR】……面倒だな……

 

「【バニシング・レイニアス】の効果で手札から【RR】モンスターを特殊召喚できる!【RRートリビュート・レイニアス】を特殊召喚!」

 

【RRートリビュート・レイニアス】

攻撃表示

ATK1800/DEF400

 

「【トリビュート・レイニアス】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズに、デッキから【RR】カードを墓地に送る!【RRーミミクリー・レイニアス】を墓地に送って、墓地の【ミミクリー・レイニアス】を除外して効果発動!デッキから【ミミクリー・レイニアス】以外の【RR】を手札に加える!【RRーネスト】を手札に!」

 

枕田ジュンコ

手札4枚→5枚

 

…………俺より使いこなしてないか?気のせいか?

 

「永続魔法【RRーネスト】を発動!自分フィールド上に【RR】モンスターが2体以上いる場合、デッキ・墓地から【RR】モンスターを手札に加える!デッキから【RRーバニシング・レイニアス】を手札に!」

 

【ファジー・レイニアス】じゃない……いや、これ以上展開できないのなら次ターンの準備か……

 

「アタシは【バニシング・レイニアス】と【トリビュート・レイニアス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

えっと……冥府の猛禽よ。闇の眼力で真実を暴き……」

 

ん?この口上は……

 

「「鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!」……って被せないでよ!エクシーズ召喚!来て!ランク4!【RRーフォース・ストリクス】!」

 

同じ口上なら被せたくなるだろう。というかお前も口上を言うのか……

 

【RRーフォース・ストリクス】

守備表示

ATK100/DEF2000

 

「効果発動!ORUを1つ使い、デッキからレベル4・闇属性・鳥獣族モンスターを手札に加える!……【バニシング・レイニアス】を手札に加えるわ!カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

枕田ジュンコ

LP4000

モンスター

【RRーフォース・ストリクス】:守

DEF2000

魔・罠

【RRーネスト】

伏せ2枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

さて、あのリバースはなんだ……?【RR】なら【ゴッドバードアタック】や【ラプターズ・フォース】あたりか?【ゴッドバードアタック】警戒でいくか。

 

「自分フィールドにモンスターがいない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。【フォトン・スラッシャー】を特殊召喚!」

 

【フォトン・スラッシャー】

攻撃表示

ATK2100/DEF0

 

「攻撃力2100のモンスターをコスト無しで召喚!?」

「ただ、このモンスターは通常召喚できないし、俺のフィールドに他のモンスターがいると攻撃できない効果があるけどな。バトル!【フォトン・スラッシャー】で【フォース・ストリクス】を攻撃!」

 

【フォトン・スラッシャー】が剣を……投げた。投げた剣は【フォース・ストリクス】に直撃し、【フォース・ストリクス】が爆発した。

そして落ちた剣を拾いに行く【フォトン・スラッシャー】…………投げずに斬れよ。

 

「…………なんか変なモンスターね」

 

枕田の発言に【フォトン・スラッシャー】は体育座りをしていじけ始めた。無駄にエフェクト入ってるよな……

 

「あ、なんかゴメン……気を取り直して速攻魔法【RUMーラプターズ・フォース】発動!このターン戦闘で破壊された【RR】エクシーズモンスターを特殊召喚し、そのモンスターを素材にランクが1つ高いエクシーズモンスターを召喚する!【フォース・ストリクス】でオーバーレイ・ネットワークを再構築!

獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けしその翼翻し、寄せ来る敵を打ち破れ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!来なさい!ランク5!【RRーブレイズ・ファルコン】!」

 

【RRーブレイズ・ファルコン】

攻撃表示

ATK1000/DEF2000

 

…………面倒な。仕方ない、予定変更だ。

 

「メインフェイズ2に移行。【フォトン・クラッシャー】を召喚!」

 

【フォトン・クラッシャー】

攻撃表示

ATK2000/DEF0

 

「…………」

 

動かない……【ゴッドバードアタック】じゃないのか……?それともこのタイミングではないと判断したのか……だが動かないのならこちらが動く!

 

「俺はレベル4の【フォトン・スラッシャー】と【フォトン・クラッシャー】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

2つの光、新たな戦士へ姿を変え、手にした剣で敵を討て!エクシーズ召喚!斬り裂け!ランク4!【輝光子(きこうし)パラディオス】!」

 

【輝光子パラディオス】

攻撃表示

ATK2000/DEF1000

 

「【パラディオス】の効果発動!ORUを2つ使い相手フィールドの表側表示モンスター1体の攻撃力を0にし、効果を無効にする!シーリングスラッシュ!」

 

【パラディオス】のORUが剣に溶けると剣が光った。その状態で【ブレイズ・ファルコン】を切り裂くと、爆発はしないものの、青白い電気が【ブレイズ・ファルコン】を包んだ。

 

【RRーブレイズ・ファルコン】

ATK1000→ATK0

 

「ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【輝光子パラディオス】:攻

ATK2000

魔・罠

手札4枚

 

「な、なんで攻撃力が元に戻らないの!?」

「【パラディオス】の効果を受けたモンスターは、フィールドを離れるまで攻撃力が0のままだ」

「そんな……」

 

強いよなぁ……とりあえずこれで【ブレイズ・ファルコン】で【パラディオス】が破壊されることは無い。他のが来ないことを祈る……無理だな。【バニシング・レイニアス】2枚握ってる以上何かしら飛んでくるだろう……

 

「……私のターン……ドロー!……【ブレイズ・ファルコン】を守備表示に変更」

 

【RRーブレイズ・ファルコン】

攻撃表示→守備表示

ATK0→DEF2000

 

「手札から【RRーバニシング・レイニアス】を召喚!」

 

【RRーバニシング・レイニアス】

攻撃表示

ATK1300/DEF1600

 

「【RRーネスト】の効果でデッキから【トリビュート・レイニアス】を手札に加える!」

 

枕田ジュンコ

手札4枚→5枚

 

「【バニシング・レイニアス】の効果で手札から2体目の【バニシング・レイニアス】を特殊召喚!」

 

【RRーバニシング・レイニアス】

攻撃表示

ATK1300/DEF1600

 

「更に今特殊召喚した【バニシング・レイニアス】の効果で手札から【トリビュート・レイニアス】を特殊召喚!」

 

【RRートリビュート・レイニアス】

攻撃表示

ATK1800/DEF400

 

「【トリビュート・レイニアス】の効果でデッキから【ミミクリー・レイニアス】を墓地に送って【ミミクリー・レイニアス】の効果!このカードを除外してデッキから【RRーレディネス】を手札に加える!」

 

枕田ジュンコ

手札3枚→4枚

 

なんかデジャヴ。てか3体並んだな……

 

「アタシはレベル4の【バニシング・レイニアス】2体と【トリビュート・レイニアス】でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

雌伏のハヤブサよ。逆境の中で研ぎ澄まされし爪を挙げ、反逆の翼翻せ!エクシーズ召喚!羽ばたけ!ランク4!【RRーライズ・ファルコン】!」

 

【RRーライズ・ファルコン】

攻撃表示

ATK100/2000

 

「【ライズ・ファルコン】の効果発動!ORUを1つ使い、相手フィールドにいる特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力をこのモンスターの攻撃力に加える!」

 

【ライズ・ファルコン】の目の前でORUが弾けると【ライズ・ファルコン】の体が燃え上がった。こちらのモンスターには影響無いエフェクトじゃないか?

 

【RRーライズ・ファルコン】

攻撃表示

ATK100→ATK2100

 

「バトルよ!行って、【ライズ・ファルコン】!ブレイブクロー レボリューション!」

 

【ライズ・ファルコン】が体を燃やしながら爪で【パラディオス】を切り裂いた。

 

宮田龍斗

LP4000→3900

 

「【パラディオス】が相手に破壊されたとき、カードを1枚ドローする!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

枕田ジュンコ

LP4000

モンスター

【RRーブレイズ・ファルコン】:守

DEF2000

【RRーライズ・ファルコン】:攻

ATK2100

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

そういえば【ライズ・ファルコン】の攻撃力も上がりっぱなしなんだよな。なんとかあのリバースを除去しなければ……

 

「俺のターン、ドロー!」

 

……【ギャラクシー・サイクロン】!なんか強いの引いた!

 

「【ギャラクシー・サイクロン】を発動!フィールドにセットされた魔法・罠を破壊する!そのリバースを破壊する!」

 

枕田が初ターンに伏せたカードを狙う……チェーンはなく無事に【サイクロン】が破壊された。……でたよ【サイクロン】破壊するって現象。

 

「……【フォトン・サンクチュアリ】発動!フィールドに攻撃力2000守備力0の【フォトントークン】2体を守備表示で特殊召喚する!このトークンはシンクロ素材にできず、攻撃もできない。更に俺はこのターンは光属性モンスター以外召喚・反転召喚・特殊召喚できない!」

 

【フォトントークン】×2

守備表示

ATK2000/DEF0

 

「……シンクロ素材にできない?【トークン】はエクシーズ素材にできない……そんなことして何になるのよ?アタシの【ライズ・ファルコン】の餌食になるだけよ?」

「こうするのさ。俺は【フォトントークン】2体をリリース!」

 

リリースした【フォトントークン】が粒子となって集まると赤い十字架のような物が目の前に現れた。

 

「闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ!」

 

十字架を持ち、上に放り投げる。

 

「光の化身、ここに降臨!【銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)】を特殊召喚!」

 

十字架に光が集まり、竜の姿に変わった。

 

【銀河眼の光子竜】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「攻撃力3000!?【青眼の白龍】と同じ攻撃力!?」

「バトル!【銀河眼の光子竜】で【ライズ・ファルコン】を攻撃!」

 

【銀河眼の光子竜】が【ライズ・ファルコン】に迫り、

 

「【銀河眼の光子竜】の効果発動!」

 

【ライズ・ファルコン】とともに消滅した。

 

「え、ちょ、【ライズ・ファルコン】!?」

「【銀河眼の光子竜】の効果はバトルする相手モンスターと自身を除外する効果だ。メインフェイズ2に移行。この瞬間、【銀河眼】の効果で除外されたカード達はフィールドに戻る」

 

俺と枕田のフィールドに何もなかったかのようにモンスター達が戻ってくる。

しかし枕田はある変化に気付いた。

 

【RRーライズ・ファルコン】

ATK100/DEF2000

ORU0

 

「【ライズ・ファルコン】のORUが無い!攻撃力も元に戻ってる!」

「フィールドを離れたことで攻撃力の変化も無くなったんだ。ORUも同様だ。そして変化したのはそっちだけじゃないぞ」

「え?……な、なに!?」

 

枕田のデュエルディスクの墓地が光り、2つの球体が【銀河眼】の胸部中央の宝石のような場所に集まった。

 

【銀河眼の光子竜】

ATK3000→ATK4000

 

「攻撃力が上がった!?」

「【銀河眼】は自身の効果で除外したバトルフェイズ終了時にフィールドに戻るだけではなく、共に除外したモンスターがエクシーズモンスターなら、除外する直前のORU1つにつき500ポイント攻撃力を上げるんだ。カードを1枚セットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3900

モンスター

【銀河眼の光子竜】:攻

ATK4000

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「アタシのターン、ドロー!……【サイクロン】発動!その伏せカードを破壊するわ!」

 

特にチェーンできずに俺の【ミラフォ】が破壊された……本当仕事しないよな……

 

「よしっ!【RRーネスト】の効果で墓地から【RRーバニシング・レイニアス】を手札に加える!」

 

枕田ジュンコ

手札3枚→4枚

 

「そして【バニシング・レイニアス】を召喚!」

 

【RRーバニシング・レイニアス】

攻撃表示

ATK1300/DEF1600

 

「【バニシング・レイニアス】の効果で手札から【RRーミミクリー・レイニアス】を特殊召喚!」

 

【RRーミミクリー・レイニアス】

攻撃表示

ATK1100/DEF1900

 

「更に【RRーファジー・レイニアス】は自分フィールドに【RR】モンスターがいるなら手札から特殊召喚できる!【RRーファジー・レイニアス】を特殊召喚!」

 

【RRーファジー・レイニアス】

攻撃表示

ATK500/DEF1500

 

「【ミミクリー・レイニアス】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズに1度だけ、自分フィールド上の【RR】モンスター全てのレベルを1つ上げる!」

 

【ミミクリー・レイニアス】が鳴くと他の【RR】モンスター達も鳴き声を上げた。……夜、外でデュエルしたらちょっと怖いな。こいつらの鳴き声。

 

【RRーミミクリー・レイニアス】

レベル4→5

 

【RRーファジー・レイニアス】

レベル4→5

 

【RRーバニシング・レイニアス】

レベル4→5

 

「アタシはレベル5となった【ミミクリー・レイニアス】、【ファジー・レイニアス】、【バニシング・レイニアス】の3体でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けしその翼翻し、寄せ来る敵を打ち破れ!エクシーズ召喚!来なさい!ランク5!【RRーブレイズ・ファルコン】!」

 

【RRーブレイズ・ファルコン】

攻撃表示

ATK1000/DEF2000

 

2体目か……しかも【RUM】使わずに召喚……なかなか面倒なことに……

 

「バトル!【ブレイズ・ファルコン】でダイレクトアタック!ブレイズ・ボム!」

 

【ブレイズ・ファルコン】が俺の真上に移動し爆弾を投下した……

 

「うおあぁぁぁぁ!!」

 

あ、危ねえ……ソリッドヴィジョンとはいえ恐怖感が尋常じゃない。俺はコレを猿にやったんだよな……反省……

 

宮田龍斗

LP3900→2900

 

「【ブレイズ・ファルコン】の効果発動!戦闘ダメージを与えたとき、相手モンスター1体を破壊する!【銀河眼の光子竜】を破壊する!」

 

【ブレイズ・ファルコン】から赤い羽根のような兵器が射出され【銀河眼】を襲う……が何故か【銀河眼】は抵抗するように飛翔し『破滅のフォトン・ストリーム』を兵器に放つ。しかし小型故の機動力か回避され背中から撃たれ、その隙に次々と別方向から撃たれ破壊された。……抵抗エフェクトいらなくないか?

 

「【ライズ・ファルコン】でダイレクトアタック!ブレイブクロー レボリューション!」

 

今度は爪……というより俺からしたらただただ大きな鉄の塊にしか見えない。すげー怖い。

 

「ぐふっ!」

 

宮田龍斗

LP2400→2300

 

「ターンエンド!」

 

枕田ジュンコ

LP4000

モンスター

【RRーブレイズ・ファルコン】:守

DEF2000

【RRーブレイズ・ファルコン】:攻

ATK1000

【RRーライズ・ファルコン】:攻

ATK100

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

あのリバースは【レディネス】……手札のうち1枚が【クリフォトン】……入れた記憶無い【クリフォトン】……なんで入ってるんだ?……気にしても仕方ないな。とりあえず攻撃表示の【ブレイズ・ファルコン】を処理しよう。残りの手札は【銀河の魔導師(ギャラクシー・ウィザード)】と2枚目の【銀河眼】だけどな!どうしろってんだよちくしょう!!

 

「俺のターン、ドロー!」

 

……【銀河遠征(ギャラクシー・エクスペディション)】!

 

「手札から【銀河の魔導師】を召喚!」

 

【銀河の魔導師】

攻撃表示

ATK0/DEF1800

 

「【銀河の魔導師】の効果発動!1ターンに1度、このカードのレベルを倍にする!」

 

【銀河の魔導師】

レベル4→8

 

「レベルを倍に……!?」

「更に魔法カード【銀河遠征】発動!自分フィールド上にレベル5以上の【ギャラクシー】または【フォトン】モンスターがいるときのみ発動可能!デッキからレベル5以上の【ギャラクシー】または【フォトン】モンスターを守備表示で特殊召喚する!来い!【銀河眼の光子竜】!」

 

天井に銀河が広がり、【銀河眼】が姿を現わす。

 

【銀河眼の光子竜】

守備表示

ATK3000/DEF2500

 

「俺はレベル8となった【銀河の魔導師】と【銀河眼】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

現れろ!銀河究極龍【No.62】!宇宙にさまよう光と闇。その狭間に眠りし哀しきドラゴンたちよ。その力を集わせ真実の扉を開け!【銀河眼の光子竜皇(プライム・フォトン・ドラゴン)】!」

 

【銀河眼の光子竜皇】

攻撃表示

ATK4000/DEF3000

 

「攻撃力4000!?」

「バトル!【銀河眼の光子竜皇】で【ブレイズ・ファルコン】を攻撃!そして【銀河眼の光子竜皇】の効果発動!ダメージ計算時にORUを1つ使い、自身の攻撃力をフィールドのモンスターのランクの合計×200ポイントアップさせる!」

「ランクの合計!?しかも『フィールド』ってことは……」

「お前のフィールドのモンスターも参照する!」

 

【銀河眼の光子竜皇】に枕田の【RR】達の力が集中する。

 

【No.62 銀河眼の光子竜皇】

ATK4000→ATK8400

 

「エタニティ・フォトン・ストリーム!」

 

【銀河眼の光子竜皇】の攻撃が【ブレイズ・ファルコン】と枕田を包んだ。

 

「きゃあぁぁぁぁ!!」

 

枕田ジュンコ

LP4000→-3400




次回は十代とデュエルです。
そしてTFキャラの参戦候補にレイン恵が追加されてます。誰を出します?


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テスター試験ー③ VS.十代

何気に今回が初の十代とのデュエル描写です。今までは十代と誰かのデュエルでしたから……あと原作効果カードを龍斗が使います。ご注意ください。


「枕田ジュンコ、試験終了だ。あとはデッキの内容を見せてもらって後日合格発表する。因みに、ラストターンの手札はなんだった?」

「……【ダーク・アームド・ドラゴン】よ」

 

なんか呪文握ってやがった。てか召喚できてたら俺終わったんじゃ……いや、【クリフォトン】で1ターン凌げたか。にしても恐ろしい。

とりあえずデッキを受け取って次の受験者を呼んでもらう。

 

「やっと俺の番か。早くデュエルしようぜ!」

 

十代か。こいつが一番危ないんだよなぁ……筆記試験は10点。実技試験の最高点数は一応20点までとしてあるから合格点である30点にするには1killでもしないと難しいだろう。もちろん1killだけで満点になるわけじゃないが、慣れないデッキでそれくらいはやってもらわないと厳しいだろう。

言いようのない不安を抱きつつ試験内容を伝え、合格したときどんなテスターになるか聞いたところ、

 

「ん〜〜!どのカードも使ってみたいんだよな〜!よしっ!龍斗みたいに全召喚を使うぜ!」

 

と言ってきた。自らハードルを上げてきた。まぁこのテストで全召喚を使えってわけじゃないからいいけどな。すぐに試験開始。その間に枕田のデッキを確認する……ふむふむ……マジで【ダムド】入ってるし。まぁ【RR】は闇属性だから相性いい……とは思う。【ネスト】で墓地の枚数を調整できると……で、エクストラが……鳥獣族縛りか。【ダムド】抜いて【結束】ってアリか?いや、どう改造するかじゃなくて構成の評価だ。回してみるか。

ドロー。

 

【バニシング・レイニアス】

【ダムド】

【トリビュート・レイニアス】

【ネスト】

【ゴドバ】

【ラプターズ・フォース】

 

お?なんだコレ?【バニシング】→【トリビュート】→【ファジー】落としてサーチ→【ネスト】発動して【バニシング】サーチ→【フォース・ストリクス】エクシーズ、効果で【トリビュート】サーチ。2枚セットエンド……次行こう。何度か回していたら十代がデッキの構築を終えたようだ。

十代に俺のデュエルディスクと同じペンデュラムゾーンが用意された物を渡す。

 

「じゃあ行くぞ」

「ああ!」

「「デュエル!」」

 

遊城十代

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「先攻は受験者からだ」

「いくぜ!俺のターン、ドロー!【EM アメンボート】を召喚!」

 

【EM アメンボート】

攻撃表示

ATK500/DEF1600

 

【EM】……!【アメンボート】は別だけど、脳筋デッキめ……つかこれはどういった運命だ?

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【EM アメンボート】:攻

ATK500

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

十代のことだ。防御用のリバースは用意しても妨害用のリバースは用意してないだろう。気にせず展開しよう。

 

「俺のターン、ドロー!……は!?」

 

なんだこの手札は!?十代の動きを見るために手札の確認をしなかったがこれは……

 

「ど、どうした?」

「あ、いや、なんでもない。俺は手札から永続魔法【地獄門の契約書】を発動。このカードは俺のスタンバイフェイズ毎に1000ポイントのダメージを受けるが、1ターンに1度デッキから【DD】モンスターを手札に加える。【DD ケルベロス】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札5枚→6枚

 

「それって確か入学試験のときに使ったカード!」

「そうだな」

 

そして【EM】と【DDD】の激突をここで見れるとはな。

 

「次に永続魔法【魔神王の契約書】を発動。このカードも俺のスタンバイフェイズ毎に1000ポイントのダメージを受けるが、1ターンに1度手札または墓地のモンスターを素材に融合召喚する!手札の【DD ケルベロス】と【DD リリス】を融合!

牙むく地獄の番犬よ、闇夜にいざなう妖婦よ!冥府に渦巻く光の中で、今ひとつとなりて新たな王を生み出さん!融合召喚!生誕せよ!【DDD 烈火王テムジン】!」

 

【DDD 烈火王テムジン】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「1ターンで攻撃力2000……!」

「更にチューナーモンスター【DD ナイト・ハウリング】を召喚!」

 

【DD ナイト・ハウリング】

攻撃表示

ATK300/DEF600

 

「たしかそのモンスターって……」

「【DDナイト・ハウリング】の効果発動。召喚成功時、墓地にいる【DD】モンスター1体を攻撃力と守備力を0にして特殊召喚できる!ただしこの効果で特殊召喚したモンスターが破壊されたら俺は1000ポイントのダメージを受け、このターン悪魔族モンスターしか特殊召喚できない!蘇れ【DD リリス】!」

 

【DD リリス】

守備表示

ATK100/DEF2100→ATK0/DEF0

 

「チューナーとそれ以外のモンスター……いや、これってたしか……!」

「レベル4の【DD リリス】にレベル3の【DD ナイト・ハウリング】をチューニング!闇を切り裂く咆哮よ、疾風の速さを得て新たな王の産声となれ!シンクロ召喚!生誕せよ!レベル7!【DDD 疾風王アレクサンダー】!」

 

【DDD 疾風王アレクサンダー】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「【烈火王テムジン】の効果発動!他の【DD】モンスターの特殊召喚に成功したとき、墓地の【DD】モンスターを特殊召喚できる!現れろ【DD ケルベロス】!」

 

【DD ケルベロス】

攻撃表示

ATK1800/DEF600

 

「更に【疾風王アレクサンダー】の効果発動!他の【DD】モンスターの特殊召喚に成功したとき、墓地の【DD】モンスターを特殊召喚できる!【DD リリス】!」

 

【DD リリス】

守備表示

ATK100/DEF2100

 

「やっぱり入学試験のときと同じ状況!」

 

気付いていたか。まぁ全く同じってわけじゃないんだけどな。

 

「レベル4の【DD リリス】と【DD ケルベロス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

この世の全てを統べるため、今 世界の頂に降臨せよ!エクシーズ召喚!生誕せよ!ランク4!【DDD 怒涛王シーザー】!」

 

【DDD 怒涛王シーザー】

攻撃表示

ATK2400/DEF1200

 

「カードを1枚セットして魔法カード【天よりの宝札】!」

「ここで最強のドローカード!?」

 

OCGだと残念カードだがこっちだと最大6枚ドローできるというインチキカードになっている。なんだこの爆アド。

 

「互いの手札が6枚になるようにドローする!」

 

遊城十代

手札3枚→6枚

 

宮田龍斗

手札0枚→6枚

 

…………おい。

 

「俺はスケール1の【DD魔導賢者ガリレイ】とスケール10の【DD魔導賢者ケプラー】でペンデュラムスケールをセッティング!」

「ペンデュラムスケール!?嘘だろ!?」

 

俺だって嘘だと思いたいがこれが現実だ。俺の後ろに柱が現れその中には【ガリレイ】と【ケプラー】がいた。

 

「これでレベル2から9のモンスターが同時に召喚可能!

我が魂揺らす大いなる力!この身に宿りて、闇を切り裂く新たな光となれ!ペンデュラム召喚!降りかかる災いを振り払え!レベル7!【DDD 反骨王レオニダス】!」

 

【DDD 反骨王レオニダス】

攻撃表示

ATK2600/DEF1200

 

「全ての王をも統べる超越神!レベル8!【DDD 死偉王ヘル・アーマゲドン】!」

 

【DDD 死偉王ヘル・アーマゲドン】

攻撃表示

ATK3000/DEF1000

 

これで俺のフィールドには5体の【DDD】モンスター。ちょっとやりすぎたか?

 

「すげぇ!すげぇよ龍斗!こんなにモンスターを召喚するなんて!」

「偶然だ。だがこのデュエルを乗り越えられたら、恐らくテスターになれるだろう。いくぞ十代!」

「こい!」

「バトル!まずは【烈火王テムジン】で【アメンボート】を攻撃!」

 

【テムジン】が剣に炎を纏わせ斬りかかる。

 

「【アメンボート】の効果発動!攻撃表示のこのモンスターが攻撃されたとき、守備表示に変更して相手の攻撃を無効にする!」

 

【アメンボート】の周りに膜が張られ、【テムジン】の攻撃を防いだ。

 

「ならば【怒涛王シーザー】で攻撃!」

 

【シーザー】が大剣を振るい【アメンボート】を両断した。

 

「罠発動【EM リバイバル】!俺の【EM】モンスターが破壊されたとき、手札・墓地から【EM】モンスターを特殊召喚する!もう一度頼む!【アメンボート】!」

 

【EM アメンボート】

攻撃表示

ATK500/DEF1600

 

攻撃表示……また攻撃を防がれるのか……だが攻めるしかない。

 

「【疾風王アレクサンダー】で【アメンボート】を攻撃!」

「【アメンボート】の効果で攻撃を無効にするぜ!」

 

【アレクサンダー】が斬りかかるも【テムジン】のときのように防がれた。

 

「次だ。【反骨王レオニダス】で攻撃!」

 

【レオニダス】が【アメンボート】を突き刺し爆散させた。

十代に動きは無い。ならこれで!

 

「【ヘル・アーマゲドン】!十代にダイレクトアタック!」

「罠発動!永続罠【EM ピンチヘルパー】!1ターンに1度相手のダイレクトアタックを無効にしてデッキから【EM】1体を効果を無効にして特殊召喚する!」

 

【ヘル・アーマゲドン】から放たれたレーザーは突如現れた影に弾かれた。

 

「来い!【EM シルバー・クロウ】!」

 

【EM シルバー・クロウ】

攻撃表示

ATK1800/DEF700

 

結局フィールドにモンスターを残してしまったな……この攻撃をモンスター1体の状況で凌ぐか……

 

「カードを更に1枚セットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【DDD 死偉王ヘル・アーマゲドン】:攻

ATK3000

【DDD 反骨王レオニダス】:攻

ATK2600

【DDD 怒涛王シーザー】:攻

ATK2400

【DDD 疾風王アレクサンダー】:攻

ATK2500

【DDD 烈火王テムジン】:攻

ATK2000

ペンデュラム

【DD魔導賢者ガリレイ】:スケール1

【DD魔導賢者ケプラー】:スケール10

魔・罠

【地獄門の契約書】

【魔神王の契約書】

伏せ2枚

手札1枚

 

これが俺の1ターン目?嘘……だと思いたい。ここまでガン回りすると後が怖いし。

 

「俺のターン、ドロー!じゃあ俺も行くぜ!俺はスケール2の【EM ペンデュラム・マジシャン】とスケール5の【EM シルバー・クロウ】でペンデュラムスケールをセッティング!これでレベル3と4のモンスターが同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!頼むぜ!【EM】達!【EM ウィップ・バイパー】!」

 

【EM ウィップ・バイパー】

攻撃表示

ATK1700/DEF900

 

「【EM ファイア・マフライオ】!」

 

【EM ファイア・マフライオ】

攻撃表示

ATK800/DEF800

 

「【EM ディスカバー・ヒッポ】!」

 

【EM ディスカバー・ヒッポ】

攻撃表示

ATK800/DEF800

 

「【EM ペンデュラム・マジシャン】のペンデュラム効果発動!【EM】モンスターのペンデュラム召喚に成功したとき、【EM】モンスターの攻撃力を1000ポイントアップさせる!」

 

【EM ウィップ・バイパー】

ATK1700→ATK2700

 

【EM ファイア・マフライオ】

ATK800→ATK1800

 

【EM ディスカバー・ヒッポ】

ATK800→ATK1800

 

【EM シルバー・クロウ】

ATK1800→ATK2800

 

「更に【シルバー・クロウ】のペンデュラム効果で【EM】達の攻撃力が300ポイントアップする!」

 

【EM ウィップ・バイパー】

ATK2700→ATK3000

 

【EM ファイア・マフライオ】

ATK1800→ATK2100

 

【EM ディスカバー・ヒッポ】

ATK1800→ATK2100

 

【EM シルバー・クロウ】

ATK2800→ATK3100

 

攻撃力がトータル1300アップ……

 

「装備魔法【団結の力】!これで【シルバー・クロウ】の攻撃力が俺のフィールドのモンスター1体につき800ポイントアップする!」

 

【EM シルバー・クロウ】

ATK3100→ATK6300

 

前言撤回。なんか4500ポイントも上がりやがった。それよりも【テムジン】がやばい!攻撃されたら一撃で俺のライフがもっていかれる……!

 

「リバースカード!永続罠【戦乙女の契約書】!これでお前のターン中、俺のフィールドの悪魔族モンスターの攻撃力が1000ポイントアップする!」

 

【DDD 死偉王ヘル・アーマゲドン】

ATK3000→ATK4000

 

【DDD 反骨王レオニダス】

ATK2600→ATK3600

 

【DDD 怒涛王シーザー】

ATK2400→ATK3400

 

【DDD 疾風王アレクサンダー】

ATK2500→ATK3500

 

【DDD 烈火王テムジン】

ATK2000→ATK3000

 

なんだこのパワー合戦。何がどうなったらこうなった?

 

「【ウィップ・バイパー】の効果発動!1ターンに1度、フィールドのモンスターの攻撃力と守備力を入れ替える!【ヘル・アーマゲドン】の攻撃力と守備力を入れ替えるぜ!コンフュージョン・ベノム!」

 

っ!!焦って発動タイミングを誤った……!

【ウィップ・バイパー】が【ヘル・アーマゲドン】に毒を吐き出した。

 

【DDD 死偉王ヘル・アーマゲドン】

ATK4000/DEF1000→ATK1000/DEF4000

 

「バトル!【シルバー・クロウ】で【ヘル・アーマゲドン】を攻撃!」

「させるかよ!【戦乙女の契約書】の効果で1ターンに1度、手札の【DD】または【契約書】のカードを捨てることでフィールドのカードを破壊できる!手札の【地獄門の契約書】を捨て、【シルバー・クロウ】を破壊!」

 

【戦乙女の契約書】から白い羽がいくつも飛び出して【シルバー・クロウ】に突き刺さり破壊した。

 

「なら【ウィップ・バイパー】で【ヘル・アーマゲドン】を攻撃!」

 

【ウィップ・バイパー】の体が異常なまでに伸び【ヘル・アーマゲドン】を締め上げ、砕いた。

 

「チィッ!破壊されたペンデュラムモンスターはエクストラデッキに表側の状態で加えられる」

 

宮田龍斗

LP4000→2000

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド。この瞬間【ペンデュラム・マジシャン】の効果が終了して、攻撃力が戻る」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【EM ウィップ・バイパー】:攻

ATK2000

【EM ファイア・マフライオ】:攻

ATK1100

【EM ディスカバー・ヒッポ】:攻

ATK1100

ペンデュラム

【EM ペンデュラム・マジシャン】:スケール2

【EM シルバー・クロウ】:スケール5

魔・罠

【EM ピンチヘルパー】

伏せ1枚

手札0枚

 

危ねえ……【戦乙女の契約書】がなかったら終わってた……【天よりの宝札】で引けてよかった。

 

「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズ、ペンデュラムゾーンの【ガリレイ】の効果でこのカードのスケールが1から3に変更される」

 

【DD魔導賢者ガリレイ】

スケール1→3

 

「同じく【ケプラー】の効果でこのカードのスケールが10から8に変更」

 

【DD魔導賢者ケプラー】

スケール10→8

 

「そして【契約書】3枚の効果でダメージを受けるんだが……」

 

【地獄門の契約書】から光が放たれ俺に降り注ぐが、直前で【レオニダス】が受け止めた。

 

「【レオニダス】の効果で俺が受ける効果ダメージは0になる」

「デメリットを無効にするモンスター……」

 

続く【魔神王の契約書】、【戦乙女の契約書】からの光も【レオニダス】が受け止めた。

 

「【地獄門の契約書】の効果発動!デッキから【DD リリス】を手札に加え。【戦乙女の契約書】の効果発動!手札の【DD】または【契約書】を捨て、フィールドのカードを破壊する!【DD リリス】を捨て【EM ペンデュラム・マジシャン】を破壊!」

 

【戦乙女の契約書】から白い羽が飛び出して、ペンデュラムゾーンの【ペンデュラム・マジシャン】を破壊した。

 

「バトル!」

「メインフェイズ終了前に【ウィップ・バイパー】の効果発動!【レオニダス】の攻撃力と守備力を入れ替えるぜ!」

 

【ウィップ・バイパー】の毒によって【レオニダス】の力が逆転する。

 

【DDD 反骨王レオニダス】

ATK2600/DEF1200→ATK1200/DEF2600

 

「チィッ!しかしバトルは続ける!【怒涛王シーザー】!【ウィップ・バイパー】に攻撃!」

「罠発動【ドタキャン】!相手モンスターの攻撃宣言時、俺のフィールドのモンスター全てを守備表示にする!」

 

【EM ウィップ・バイパー】

攻撃表示→守備表示

ATK2000→DEF900

 

【EM ファイア・マフライオ】

攻撃表示→守備表示

ATK1100→DEF800

 

【EM ディスカバー・ヒッポ】

攻撃表示→守備表示

ATK1100→DEF800

 

「しかしバトルは続く!」

「まだ【ドタキャン】の効果はあるぜ!このターンの終了時まで戦闘・カード効果で破壊された表側表示の【EM】は墓地ではなく、手札に戻る!」

 

【シーザー】が大剣を振り切り裂くが、【ウィップ・バイパー】は光となって十代の手札に戻った。

 

遊城十代

手札0枚→1枚

 

「粘るな……お前の【HERO】とはえらい違いだ」

「へへっ……【EM】関係のカードを集めてたらこうなった」

 

十代のやつ、楽しそうに笑いやがって……これが試験だって忘れてないか?

 

「……バトル続行だ!【レオニダス】で【ファイア・マフライオ】を攻撃!【テムジン】で【ディスカバー・ヒッポ】を攻撃!」

 

【レオニダス】と【テムジン】が【ファイア・マフライオ】と【ディスカバー・ヒッポ】をそれぞれ切り裂くも、やはり光となって手札に戻ってしまった。これで壁はなくなったが、【EM ピンチヘルパー】で防がれてまた場を埋められてしまう。

 

遊城十代

手札1枚→2枚→3枚

 

「……ターンエンド。この瞬間、【レオニダス】の攻守が元に戻る」

 

宮田龍斗

LP2000

モンスター

【DDD 反骨王レオニダス】:攻

ATK2600

【DDD 怒涛王シーザー】:攻

ATK2400

【DDD 疾風王アレクサンダー】:攻

ATK2500

【DDD 烈火王テムジン】:攻

ATK2000

ペンデュラム

【DD魔導賢者ガリレイ】:スケール3

【DD魔導賢者ケプラー】:スケール8

魔・罠

【戦乙女の契約書】

【魔神王の契約書】

【地獄門の契約書】

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!」

「【戦乙女の契約書】の効果で悪魔族モンスターの攻撃力がアップする」

 

【DDD 反骨王レオニダス】

ATK2600→ATK3600

 

【DDD 怒涛王シーザー】

ATK2400→ATK3400

 

【DDD 疾風王アレクサンダー】

ATK2500→ATK3500

 

【DDD 烈火王テムジン】

ATK2000→ATK3000

 

「魔法カード【EM キャスト・チェンジ】を発動!手札の【EM】を好きな枚数デッキに戻して、戻した枚数に1枚プラスした枚数ドローする!俺は【ファイア・マフライオ】、【ディスカバー・ヒッポ】の2枚を戻して3枚ドロー!」

 

遊城十代

手札3枚→1枚→4枚

 

ここで手札交換……しかし【ウィップ・バイパー】を残してる……【DDD】の守備力の低さを利用して攻撃してくるつもりか……?

 

「俺はスケール2の【EM ドラミング・コング】とセッティング済みの【EM シルバー・クロウ】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

【ドラミング・コング】……いや、スケール3以下のペンデュラムモンスターをここで引くか……

 

「これでレベル3と4のモンスターが同時に召喚可能!」

「そうだな。だから止めさせてもらう。【戦乙女の契約書】の効果で手札から【地獄門の契約書】を捨て、【ドラミング・コング】を破壊!」

 

再三飛び出す白い羽。そして【ドラミング・コング】は登場してすぐに破壊された……若干申し訳なく思う。

 

「嘘だろ!?……【EM ウィップ・バイパー】を召喚」

 

【EM ウィップ・バイパー】

攻撃表示

ATK1700/DEF900

 

「【シルバー・クロウ】の効果で攻撃力がアップする」

 

【EM ウィップ・バイパー】

ATK1700→ATK2000

 

「【ウィップ・バイパー】の効果で【レオニダス】の攻撃力と守備力を入れ替える!」

 

【DDD 烈火王テムジン】

ATK3600/DEF1200→ATK1200/DEF3600

 

「バトル!【ウィップ・バイパー】で【レオニダス】を攻撃!」

 

【ウィップ・バイパー】に締めつけられ、【レオニダス】は苦悶の声をあげ破壊された。

 

宮田龍斗

LP2000→1200

 

「これで次のターン、3枚の【契約書】の効果で俺の勝ちだぜ!」

「知ってるか十代?そういう言葉って覆されることがよくあるって……リバースカードオープン【契約洗浄】。俺のフィールドの【契約書】を全て破壊し、破壊した枚数分ドローし、破壊した枚数1枚につき1000ポイントのライフを回復する」

 

宮田龍斗

LP1200→4200

手札0枚→3枚

 

「これで契約は破棄された」

「伏せてたカードってそれだったのか〜。ターンエンド!」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【EM ウィップ・バイパー】:攻

ATK2000

ペンデュラム

【EM シルバー・クロウ】:スケール5

魔・罠

【EM ピンチヘルパー】

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!このスタンバイフェイズに2枚の【魔導賢者】のスケールが再び変化する!」

 

【DD魔導賢者ガリレイ】

スケール3→5

 

【DD魔導賢者ケプラー】

スケール8→6

 

「まぁ、あまり意味が無いけどな。手札の【DD魔導賢者ガリレイ】の効果発動!」

「手札からペンデュラムモンスターの効果!?」

「手札のこのカードを捨て、俺のフィールドの【DD】または【契約書】を手札に戻す。【DD魔導賢者ケプラー】を手札に戻す」

 

準備完了。ここで決める。

 

「十代。ペンデュラム召喚は『召喚して終了』する召喚じゃないんだ」

「……どういうことだよ?」

「こういうことだ。俺はセッティング済みの【DD魔導賢者ガリレイ】とスケール10の【DD魔導賢者ケプラー】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

再び俺の後ろに【ケプラー】が姿を現す。

 

「これでレベル6から9のモンスターが同時に召喚可能!我が魂揺らす大いなる力!再びこの身に宿りて、闇を切り裂く新たな光となれ!ペンデュラム召喚!手札とエクストラデッキより、全ての王をも統べる超越神!レベル8!【DDD 死偉王ヘル・アーマゲドン】!」

 

【DDD 死偉王ヘル・アーマゲドン】×2

攻撃表示

ATK3000/DEF1000

 

「?ペンデュラム召喚して終わりじゃないか」

「まだだ!俺はレベル8の【ヘル・アーマゲドン】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

2つの太陽が昇るとき、新たな世界の地平が開かれる!エクシーズ召喚!現れいでよ!ランク8!【DDD 双暁王(そうぎょおう)カリ・ユガ】!」

 

【DDD 双暁王カリ・ユガ】

攻撃表示

ATK3500/DEF3000

 

「ペンデュラム召喚からのエクシーズ召喚!?」

「【双暁王カリ・ユガ】の効果で、エクシーズ召喚したこのターン、このカード以外のフィールドのカード効果は発動できず、無効化される」

 

【シルバー・クロウ】のいる柱が灰色になった。俺のフィールドのモンスターも力を失い跪いている。

 

【EM ウィップ・バイパー】

ATK2000→ATK1700

 

「バトルだ。【怒涛王シーザー】で【ウィップ・バイパー】を攻撃!」

 

【ウィップ・バイパー】を【シーザー】の大剣が両断した。

 

「くっ!」

 

遊城十代

LP4000→3300

 

「トドメだ。【双暁王カリ・ユガ】でダイレクトアタック!」

 

【カリ・ユガ】の角から黒と紫の電撃が放たれ十代を襲う。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

遊城十代

LP3300→-200




次回はテスター試験最終戦、VS明日香です。あと合格発表も同じ話でするので少し長め…………だったような気がします。そして更に予告!既にストックとして用意してある第30話の最後に、TFキャラが1人出ます。口調が違いますが、ご容赦を……


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テスター試験ー④ VS.明日香

大幅な修正が必要な指摘がありましたが……こうしてみました。


十代をペンデュラム融合ならぬペンデュラムエクシーズで倒し、十代の試験が終わった。

 

「遊城十代、試験終了だ。後はデッキの構築を見て採点し、後日合格発表をする。今日はもう自由にしていいぞ」

「じゃあ、この後の明日香のテスト見てもいいか!?」

 

お疲れ様と言おうとすると十代に見学していいか聞かれた……どうする?

別に見学してもいいとは思うが、デュエルの展開に騒いで天上院の試験を邪魔する恐れがある。

 

「…………いや、天上院だけ状況が違うというのはダメだな。遠慮してくれ」

「ちぇ〜……んじゃあ、今日は帰るとするか」

「ん。お疲れ様」

 

十代からデッキを受け取って天上院を待つ。

 

「入るわよ」

「待たせたな」

「こんなに待たせるなんて思わなかったわ」

 

もう夕方だもんな……俺も疲れてきた。

 

「さて、試験内容だが……これからお前にはそこにあるカードでデッキを作ってもらう」

「デッキを作る?『実技試験』って言うくらいだからデュエルするのだとばかり思っていたのだけれど……」

「もちろんデュエルする。作ったデッキでな」

「なるほど、どれだけ各召喚について理解しているかを把握するためね」

 

まぁそこは全員問題無いんだが、それを実践できなければ意味がない。故の実技試験だ。

 

「そして聞くことがある。お前はこの試験で合格したらどんなテスターになりたい?俺のように全召喚を扱うのか、どれか1つ専門のテスターか」

 

たしか天上院はシンクロのデッキをよく使ってたからおそらく……

 

「そうね……なら、シンクロ召喚専門にしようかしら」

 

やっぱりな。

 

「予想はしていたが、一応聞こう。何故だ?お前なら全召喚のテスターだってできると思うんだが」

「シンクロとエクシーズはある程度使えるとは思ってるけど、ペンデュラムは何か引っかかるのよ。何かまだありそうな……」

 

ふむ……ペンデュラム融合やペンデュラムエクシーズに自力で到達しつつあるのか……?十代とのデュエルを見せても良かったかもな。

 

「なるほど。ペンデュラムに引っかかりがあるから専門にしたと」

「そうなるわね」

「了解した。じゃあ、デッキを構築してくれ、制限時間は無い。始め!」

 

最後の試験開始。天上院がデッキを構築している間に十代のデッキでも見るか。……【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】が1枚!?いや、そもそもスケール8以上が無いって……どういう戦い方をするつもりなんだ……【ペンデュラム・マジシャン】等の攻撃力上昇でゴリ押しっぽいな……【ウィップ・バイパー】で低守備力モンスターのステータスを逆転させてより大ダメージを与えると……いや、でも【パートナーガ】が1枚しか無い……んん?【シルバー・クロウ】と【ペンデュラム・マジシャン】は3枚入っててなんで【パートナーガ】は1枚?上級だからか?いや、ペンデュラムにそんなの関係無いし……これダメじゃないか?よくこれで勝てると思ったな……

 

「できたわ」

 

十代のデッキ内容に驚愕していたら天上院のデッキができたようだ。

 

「……了解。では始めよう」

「その前に、賭けをしない?」

 

…………ここで賭け?

 

「アンティルールは校則で禁止されてるぞ」

「別にカードを賭けるわけじゃないわよ。私が勝ったら、十代と同じように名前で呼んでもらう」

 

…………意味がわからん。

 

「……俺が勝ったら?」

「そうね。今度お昼を奢るってどう?」

「…………恐ろしいほどに俺にメリットが無いが、いいだろう。その賭けに乗ってやる」

「そうこなくっちゃ」

「「デュエル!」」

 

天上院明日香

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「先攻は受験者からだ」

「そう。なら、私のターン、ドロー!【氷結界の軍師】を召喚!」

 

【氷結界の軍師】

攻撃表示

ATK1600/DEF1600

 

【氷結界】か……かなり厳しい……いや、まだなんとかなる……と、思いたい。

 

「【氷結界の軍師】の効果発動!1ターンに1度、手札の【氷結界】モンスターを捨てて、カードを1枚ドローする!……よし、魔法カード【浮上】を発動!墓地にいるレベル3以下の魚族・海竜族・水族モンスター1体を守備表示で特殊召喚する!来なさい!【氷結界の守護陣】!」

 

【氷結界の守護陣】

守備表示

ATK200/DEF1600

 

「【氷結界の守護陣】の効果で、このカード以外の【氷結界】モンスターがいる限り、このモンスターの守備力以上の攻撃力を持つ相手モンスターは攻撃できない!」

 

天上院のフィールドに氷の壁が作られた。

早くも終わった感が……

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

天上院明日香

LP4000

モンスター

【氷結界の軍師】:攻

ATK1600

【氷結界の守護陣】:守

DEF1600

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………行けるか?

 

「相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる!【バイス・ドラゴン】を特殊召喚!」

 

【バイス・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2000/DEF2400

 

「ただし、この効果で特殊召喚した【バイス・ドラゴン】の攻撃力と守備力は半分になる」

 

【バイス・ドラゴン】

ATK2000/DEF2400→ATK1000/DEF1200

 

「でも、それでは私のモンスターは倒せない」

「ああ。倒すためには攻撃力1600を超えなきゃならない。しかしそうすると【守護陣】の効果で攻撃できない。なかなか面倒だ。まぁ、なんとかするさ。チューナーモンスター【ダーク・リゾネーター】を召喚!」

 

【ダーク・リゾネーター】

攻撃表示

ATK1300/DEF300

 

「いくぞ。俺はレベル5の【バイス・ドラゴン】にレベル3の【ダーク・リゾネーター】をチューニング!

王者の鼓動、今ここに列をなす!天地鳴動の力を見るがいい!シンクロ召喚!レベル8!我が魂!【レッド・デーモンズ・ドラゴン】!」

 

【レッド・デーモンズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK3000/DEF2000

 

「攻撃力3000!?でもこのままじゃ攻撃できない……何をするつもり?」

「こうするだけだ。速攻魔法【禁じられた聖杯】!【氷結界の守護陣】の攻撃力を400ポイントアップさせて効果を無効にする!」

 

【氷結界の守護陣】

ATK200→ATK600

 

【守護陣】の前に聖杯が現れそれを飲んだ【守護陣】は酔っ払って周囲の氷が溶けた。

 

「これで攻撃ができる。バトルだ!」

「罠発動!永続罠【デモンズ・チェーン】!相手モンスター1体の効果を無効にして、攻撃宣言できなくする!」

 

……なんでそういうの伏せるかなぁ……友達失くすぞ……

 

「…………ターンエンド。この瞬間、【聖杯】の効果が終了して【守護陣】の攻撃力が元に戻る」

 

再び天上院のフィールドに氷の壁が張られる。

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【レッド・デーモンズ・ドラゴン】:攻

ATK3000

魔・罠

手札3枚

 

「私のターン、ドロー!【氷結界の軍師】の効果で手札の【氷結界】モンスターを捨てて、1枚ドロー!……フィールド魔法【ウォーター・ワールド】発動!水属性モンスターの攻撃力が500ポイントアップし、守備力が400ポイントダウンする!」

 

天上院と俺の足場が厚い氷となり、周囲が海のように水で埋め尽くされた。

 

【氷結界の軍師】

ATK1600/DEF1600→ATK2100/DEF1200

 

【氷結界の守護陣】

ATK200/DEF1600→ATK700/DEF1200

 

「2体のモンスターをリリースして【氷結界の虎将 ガンターラ】をアドバンス召喚!」

 

【氷結界の虎将 ガンターラ】

攻撃表示

ATK2700/DEF2000→ATK3200/DEF1600

 

現れたのは褐色の肌の禿げたおっさん。【サイバーガール】を使ってたとは思えないカードを採用したな。

しかも【ウォーター・ワールド】の効果で攻撃力が【レモン】を上回った。

 

「バトル!【ガンターラ】で【レッド・デーモンズ・ドラゴン】を攻撃!氷砕拳!」

 

【ガンターラ】が【レモン】に拳を当てると【レモン】が凍結し、粉砕された。

 

「くっ……【レモン】……!」

 

宮田龍斗

LP4000→3800

 

「【レモン】……?…………ああ、【()ッド・デーモン(・・)ズ・ドラゴン】だから……エンドフェイズに【ガンターラ】の効果で墓地にいる【守護陣】を特殊召喚する!」

 

【氷結界の守護陣】

守備表示

ATK200/DEF1600→ATK700/DEF1200

 

再三張られる氷の壁。

もう氷を見たくない。

 

「ターンエンド」

 

天上院明日香

LP4000

モンスター

【氷結界の虎将 ガンターラ】:攻

ATK3200

【氷結界の守護陣】:守

DEF1200

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【ウォーター・ワールド】

手札1枚

 

「……俺のターン、ドロー!……!【死者蘇生】発動!墓地から【バイス・ドラゴン】を特殊召喚する!」

 

【バイス・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2000/DEF2400

 

「【バイス・ドラゴン】?【レッド・デーモンズ・ドラゴン】ではないの?」

「更にチューナーモンスター【フレア・リゾネーター】を召喚!」

 

【フレア・リゾネーター】

攻撃表示

ATK300/DEF1300

 

「?【レッド・デーモンズ・ドラゴン】を蘇生した方がいいような……」

「レベル5の【バイス・ドラゴン】にレベル3の【フレア・リゾネーター】をチューニング!

漆黒の闇を裂き天地を焼き尽くす孤高の王よ!万物を砕きその力を示せ!シンクロ召喚!溶かし尽くせ!レベル8!【えん魔竜 レッド・デーモン】!」

 

【えん魔竜 レッド・デーモン】

攻撃表示

ATK3000/DEF2000

 

現れたのは【レモン】にそっくり、だがどこか違うモンスター。

 

「【レッド・デーモン】!?さっきの【レッド・デーモンズ・ドラゴン】と……」

「コイツは【レモン】の派生系……いや、もう1つの姿といったところだ」

 

詳しいことは俺も知らん。5D'sはほぼ観てないからな……ゲームしかやってないし。

 

「速攻魔法【エネミー・コントローラー】発動!フィールドのモンスターの表示形式を変更する!【氷結界の守護陣】を攻撃表示に!」

 

【氷結界の守護陣】

守備表示→攻撃表示

DEF1200→ATK700

 

「そして【レッド・デーモン】の効果発動!1ターンに1度、メインフェイズ1のときのみ、このカード以外の攻撃表示のモンスター全てを破壊する!」

「っ!このために【エネミー・コントローラー】を使ったのね……!」

真紅の地獄炎(クリムゾン・ヘル・バーン)!」

 

【レッド・デーモン】が体を小さく丸め力を溜める。そして力を解放すると辺りが炎で包まれ、天上院のモンスターが全滅した。

 

「バトル!」

「永続罠【安全地帯】!フィールドの攻撃表示モンスター1体を対象にして、対象モンスターは戦闘、カード効果で破壊されず、ダイレクトアタックができない!更にこのカードがフィールドを離れたら対象モンスターは破壊される!対象は当然【えん魔竜 レッド・デーモン】!」

 

【安全地帯】のカードが白いオーラを纏うと、【レッド・デーモン】も同じ色のオーラを纏った。

…………もう嫌だあのデッキ……

 

「……ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3800

モンスター

【えん魔竜 レッド・デーモン】:攻

ATK3000

魔・罠

手札1枚

 

「私のターン、ドロー!……【死者蘇生】発動!蘇れ【氷結界の軍師】!」

 

【氷結界の軍師】

攻撃表示

ATK1600/DEF1600

 

「チューナーモンスター【氷結界の術者】を召喚!」

 

【氷結界の術者】

攻撃表示

ATK1300/DEF0

 

チューナー……合計レベルは6……で、この状況……

 

「レベル4の【氷結界の軍師】にレベル2の【氷結界の術者】をチューニング!吹雪の中を駆け巡る咆哮、全てを吹き飛ばし己を鼓舞せよ!シンクロ召喚!私に力を!レベル6!【氷結界の虎王 ドゥローレン】!」

 

【氷結界の虎王 ドゥローレン】

攻撃表示

ATK2000/DEF1400→ATK2500/DEF1000

 

黒地に金の模様の鎧をつけた水色の虎が現れた。

……天上院も口上……

 

「【ドゥローレン】の効果発動!1ターンに1度、自分フィールドの表側表示のカードを好きな枚数手札に戻し、戻した枚数1枚につき攻撃力が500ポイントアップする!私は【ウォーター・ワールド】と【安全地帯】を手札に戻す!」

 

【ドゥローレン】が咆哮すると、フィールドと【安全地帯】が吹き飛び、【ドゥローレン】が青いオーラを纏った。

 

【氷結界の虎王 ドゥローレン】

ATK2500/DEF1000→ATK2000/DEF1400→ATK3000/DEF1400

 

「そして【安全地帯】がフィールドを離れたことで、【えん魔竜 レッド・デーモン】は破壊される!」

 

【レッド・デーモン】が纏っていたオーラが消えると、【レッド・デーモン】が突然苦しみだして消滅した。

 

「そしてフィールド魔法【ウォーター・ワールド】を発動!」

 

再びフィールドが海のように水で埋め尽くされる。

 

【氷結界の虎王 ドゥローレン】

ATK3000/DEF1400→ATK3500/DEF1000

 

「バトル!【氷結界の虎王 ドゥローレン】でダイレクトアタック!アイシクル・クロー!」

 

天上院の攻撃宣言を合図に鐘の音が響く。

 

「何!?……鐘の音……?」

「相手のダイレクトアタック宣言時、手札から【バトル・フェーダー】の効果を発動。このモンスターを特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる」

 

【バトル・フェーダー】

守備表示

ATK0/DEF0

 

「くっ……!カードを1枚伏せ、ターンエンド。この瞬間、【ドゥローレン】の攻撃力が元に戻る」

 

天上院明日香

LP4000

モンスター

【氷結界の虎王 ドゥローレン】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【ウォーター・ワールド】

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………【バトル・フェーダー】。

 

「……ターンエンド……」

 

宮田龍斗

LP3800

【バトル・フェーダー】:守

DEF0

魔・罠

手札1枚

 

「え?もう終了?」

「……ああ」

 

というより戦えるカードが無いという……

 

「……私のターン、ドロー!【安全地帯】発動!【バトル・フェーダー】を対象にするわ!そして【ドゥローレン】の効果発動!【安全地帯】と【ウォーター・ワールド】を手札に戻して攻撃力を1000ポイントアップさせる!」

 

【氷結界の虎王 ドゥローレン】

ATK2500/DEF1000→ATK2000/DEF1400→ATK3000/DEF1400

 

「【安全地帯】がフィールドを離れたことで【バトル・フェーダー】を破壊!そして【ウォーター・ワールド】を発動!」

 

【氷結界の虎王 ドゥローレン】

ATK3000/DEF1400→ATK3500/DEF1000

 

「バトル!【ドゥローレン】でダイレクト……また!?」

 

若干フライング気味に鳴る鐘。

 

【バトル・フェーダー】

守備表示

ATK0/DEF0

 

「【バトル・フェーダー】の効果でバトルフェイズ終了だ」

「…………カードを2枚伏せ、ターンエンド。【ドゥローレン】の攻撃力が元に戻る」

 

天上院明日香

LP4000

モンスター

【氷結界の虎王 ドゥローレン】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ2枚

フィールド

【ウォーター・ワールド】

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!【バトル・フェーダー】をリリースしてモンスターをセット。ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3800

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

手札0枚

 

「あっさり終わるわね」

「手札が無いからな」

 

あと俺の行動を邪魔されるし……

 

「そうね……私のターン、ドロー!【氷結界の術者】を召喚!」

 

【氷結界の術者】

攻撃表示

ATK1300/DEF0→ATK1800/DEF0

 

「そして【ドゥローレン】の効果で【術者】と【ウォーター・ワールド】を手札に戻して攻撃力アップ!【ウォーター・ワールド】発動!」

 

【氷結界の虎王 ドゥローレン】

ATK2500/DEF1000→ATK2000/DEF1400→ATK3000/DEF1400→ATK3500/DEF1000

 

攻撃力の変動が激しいし、フィールドの変化も忙しい。なんだよフィールド魔法の過労死って……

 

「更に永続罠【リビングデッドの呼び声】発動!蘇れ【氷結界の虎将 ガンターラ】!」

 

【氷結界の虎将 ガンターラ】

攻撃表示

ATK2700/DEF2000→ATK3200/DEF1600

 

「バトル!【ガンターラ】で守備モンスターを攻撃!氷砕拳!」

 

【ガンターラ】が裏守備モンスターに拳を当てると【バイス・ドラゴン】を破壊した。

 

「【ドゥローレン】でダイレクトアタック!アイシクル・クロー!」

「ぐぅ……!」

 

【ドゥローレン】の爪が俺を襲う。

 

宮田龍斗

LP3800→300

 

「ターンエンド。このエンドフェイズに【ドゥローレン】の攻撃力が元に戻り、【ガンターラ】の効果で墓地から【氷結界の守護陣】を特殊召喚!」

 

【氷結界の守護陣】

守備表示

ATK200/DEF1600→ATK700/DEF1200

 

再四張られた氷の壁。

 

天上院明日香

LP4000

【氷結界の虎王 ドゥローレン】:攻

ATK2500

【氷結界の虎将 ガンターラ】:攻

ATK3200

【氷結界の守護陣】:守

DEF1200

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】《氷結界の虎将 ガンターラ》

伏せ1枚

手札1枚

 

次のターンを生き残るには……【バトル・フェーダー】くらいか?

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………はぁ…………

 

「カードを1枚伏せターンエンド」

 

宮田龍斗

LP300

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「私のターン、ドロー!……【氷結界の紋章】発動!デッキから【氷結界の軍師】を手札に加えて召喚!」

 

【氷結界の軍師】

攻撃表示

ATK1600/DEF1600→ATK2100/DEF1200

 

「レベル4の【氷結界の軍師】にレベル3の【氷結界の守護陣】をチューニング!

神の槍、龍の姿となりて全てを貫け!シンクロ召喚!出でよ!レベル7!【氷結界の龍 グングニール】!」

 

【氷結界の龍 グングニール】

攻撃表示

ATK2500/DEF1700→ATK3000/DEF1300

 

「【グングニール】の効果発動!1ターンに1度、手札を2枚まで捨て、捨てた枚数まで相手フィールドのカードを破壊する!手札を1枚捨て、その伏せカードを破壊!」

 

【グングニール】が羽ばたくとリバースカード……【プライドの咆哮】が破壊された。

 

「……バトル。【ガンターラ】でダイレクトアタック……」

 

プレイヤーには優しいのか拳ではなくデコピンされた。それでも攻撃力3200だが……

 

宮田龍斗

LP300→-2900

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後、ある教室。

 

「じゃ、合格発表するぞー」

「その前にシャキッとしなさい」

 

うるさい。

十代達作のデッキを回してみたりして評価して3日かかったーーー試験終了してから軽く思い返すと、【安全地帯】の効果でダイレクトアタックできないのって……発動した側から見た相手にだったなと思い出し、そのプレミが原因でパーフェクトくらってたので2日くらい落ち込んでたのが主な原因だがーーーのでちょっと遅れたが合格発表だ。若干まだ引きずってるのでダラダラしてるが……

 

「えー……まずは……はぁ……浜口ももえ」

「はい」

「合格だ。テスター昇格(?)おめでとう」

「途中疑問挟みましたよね!?」

 

昇格って言葉を使っていいのか疑問だからな。

 

「これからは同じテスターとしてよろしくたのむ」

「……若干素直に喜べない気もしますが……よろしくお願いします」

「ん。……次は……枕田ジュンコ」

「…………」

 

緊張してるのか?実技で負けたから合格できるか不安ってところかな?

 

「合格だ」

「え?あ、ご、合格……」

 

一瞬意味が理解できないようなリアクションをしたがなんとか理解したらしい。

 

「まぁ実技ではこちらが勝ったけど、こちらもラストターンのドローが別のカードならまた違った結果になっただろうし、合格ラインギリギリってところだ」

「そ、そう……」

 

枕田はホッとしたような態度をしていた。俺としては浜口が合格してくれたからほぼ仕事は終わった感があるんだけどな。

 

「じゃあ次は……」

「俺だ!」

 

…………いや、十代は最後にしようかと思ってたんだが……まぁ順番は関係ないけど。

仕方ないので十代の番にしよう。

 

「えーっと……遊城十代……不合格だ」

「え!?な、なんで!?確かに実技は負けたけど!」

「まず、筆記が10点しか取れてない。あと1問間違えてたら実技試験以前に不合格だった。次に本来なら実技の敗北はあまり関係ないんだ。最大でも5点程度減点になるくらいで、筆記でそれなりに点数を取っていたら実技で挽回できたんだが……赤点ギリギリで敗北だと減点しようもないから考慮してない」

「うぐ……」

 

筆記試験がギリギリという事実に十代は軽くたじろいでいた。まぁ一応予想はしてたけど、それでもアレは……

 

「まぁあとはデッキの構築もっとどうにかしろ。何がしたいのか理解できん。以上だ。最後に天上院明日香だが」

「ええ」

「合格だ。筆記、実技ともにトップの成績。文句は無い」

 

元々自信があったのか、当然と言わんばかりの態度。ちょっとムカつくな……

 

「ただ……」

「?ただ?」

「もうちょい相手の行動を許してやれ。ちょっとデュエルしてて泣きたくなった」

 

途中でやってた相手モンスター破壊して攻撃力上げるってメリットしかないじゃないか。

 

「あ、明日香さん……」

「いったいどんなデッキを……?」

「相手モンスターのダイレクトアタック止めて次ターンに破壊して自分のモンスターの攻撃力上げて、更には永続罠使い回すのはちょっとやりすぎだ」

「「「うわぁ……」」」

 

十代、枕田、浜口が口を揃えて引いてた。

 

「まぁともかく。これからはテスター仲間としてよろしくたのむよ、明日香(・・・)

「「!!」」

「ええ。よろしく」

 

明日香に握手を求められて俺も応える。なんか後ろにいる2名の視線が痛いが無視しよう。これで合格発表は終わりだな。

 

「海馬社長とペガサス会長に連絡して、向こうの都合のいいときに紹介するから予定は空けといてくれ」

「わかったわ」

「私もいいですけど……」

「ええ……」

 

明日香は快諾。浜口と枕田は何か言い淀んでいる。

 

「どうした?」

「えっと……いつのまに……」

「明日香さんを名前で?」

 

やっぱり突っ込んでくるよな……俺としては言いたくない……なんかムカつくし……

 

「実技試験のときに龍斗と賭けをしたのよ」

「「賭け?」」

 

明日香のやつバラす気満々……まぁいいや。どーにでもなれ。

 

「デュエルで私が勝ったら名前で呼ぶ、負けたらお昼を奢るって。私が勝ったから実行中なのよ」

「そういうわけだ。わかったら帰るぞ。あと、合格したやつは実技で作ったデッキを返す。そのデッキを使ってテスターデビューしてもらう」

 

机にデッキケース3つを置く。一応タグをつけてわかりやすくしてあるけど、間違えてないよな?

 

「調整は自由だが、デッキテーマは変えるな。これで今日は解散だ。何かあったら連絡する」

「ちょっと待ちなさい!」

「私も明日香さまのように名前で!」

 

後ろから何か言われてるがとりあえず無視しよう。




テスター決定です。
次回は冬休みの話で、前回の予告通りTFキャラ参戦です。


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冬休みーKCへ デュエル描写ほぼ無し

今回の最後の方であの娘が出ます。


冬休み。

一部のリア充と言われるような人々はちょっと甘い雰囲気に、逆に嫉妬心やら劣等感といったマイナスな感情を持つ人々にとっては阿修羅を彷彿とさせる雰囲気を纏いやすいこの時期、俺と明日香、枕田と浜口のテスター陣はペガサス会長と海馬さん両名にKCに来るよう言いつけられた。

俺はアカデミアに残って冬休みをすごす予定が一瞬で消滅したのも同じ日だ。

明日香達は実家に戻るつもりだったらしく、予定に大した変化はないと言っていた。なんだこの理不尽さは。

で、現在KC前。言われた時間午前10時の10分前……つまり午前9時50分に全員集合するよう打ち合わせをしたんだが……

 

「なぜ20分前に全員集合するかな……」

 

俺が到着すると同じ交通機関を使っていたかのように全員集まった。

全員バラバラの場所に住んでいるはずなんだがこれはいったいどういうことだ?

明日香と枕田と浜口が同時に来ていたということを考えると、おそらく3人で来るように話しあったんだろう。だがこの集合時間10分前というのは……

 

「まぁいいや。行くぞ」

「え、ええ……」

「ま、待ってよ!」

「お、置いていかないでください!」

 

3人は凄い緊張している様子だ。まぁ気持ちは…………俺、初めて会ったとき緊張してなかったな……動揺してたけど。ともかく3人を引き連れてKC社内に入り、受付の人(以前デュエルしたことのある人だった)に挨拶して海馬さんのいる社長室に通される。と思ってたんだが、社長室ではなくシミュレーションルームなる部屋……たしか、デュエルディスクの現行OSのテストをするために使った部屋だったな。中に入ると海馬さんとペガサス会長が中で待っていた。

 

「おはようございます。海馬さん、ペガサス会長」

「Good morning.龍斗ボーイ」

 

ペガサス会長はにこやかに挨拶をしてくれたが、海馬さんはただこちらを睨むように見ているだけだった。

 

「えっと……紹介します。左から天上院明日香、枕田ジュンコ、浜口ももえです。3人ともテスター試験に合格しました」

 

明日香達は紹介されるとそれぞれ順に頭を下げて挨拶をした。ペガサス会長はニコニコと、海馬さんは無言のままだったが……

 

「……それで、いったいどんな理由で呼び出されたんです?ただテスターを紹介させるためじゃないですよね」

 

もしそんな理由ならいくら雇い主相手とはいえ帰らせてもらうけどな。

 

「貴様が認めたテスターの実力を見せてもらう。この俺直々に相手してやろう」

「私も相手をしマース」

 

げ……明日香達の実力……なんか嫌な予感がしてきたなぁ……はぁ……仕方ない2人には逆らえないし……

 

「……了解です。しかし、時間は大丈夫なんですか?海馬さんも会長も忙しいでしょう?」

「まずはそちらから2人出せ」

 

無視したよこの人……OSのテストのときも無視してたけどさ……3人が話しあった(じゃんけんしたとも言う)結果、枕田と浜口の2人に決定。そして枕田の相手をペガサス会長が、浜口の相手を海馬さんがすることになった。

 

『『『『デュエル!』』』』

 

海馬さんに追い出され、仕方ないのでモニタールームに明日香を引き連れて移動。中には以前デュエルした社員の方もいたので軽い挨拶をして観戦することに。

…………あれ?俺が認めたってか試験を合格したテスター……つまり明日香、枕田、浜口の実力を見るんだろ?俺…………必要ないよな?帰っちゃダメかな?……わかった明日香。帰らないから、帰らないから右肩に置いたドス黒いオーラを纏った手を退けろ!俺の考えを読むってどんな離れ業やってのけてくれてんだよ……

 

「で、龍斗君。どの娘が本命?」

「栗田さん、1killしてほしいなら素直に言ってくださいよ」

 

以前偶然6連続で1killした栗田さんがからかってきたので若干のトラウマを思い出させる。すると栗田さんは引きつった顔で『冗談だよ』と言って退散した。一応アタッシュケースいっぱいにデッキを持ってきているから記録更新を狙えるだろう。無駄に終わりそうだが……

 

「さて、枕田と浜口はっと……」

 

海馬瀬人

LP1800

モンスター

魔・罠

手札2枚

 

VS

 

浜口ももえ

LP2400

モンスター

【ナチュル・ビースト】:攻

ATK2200

魔・罠

【ナチュルの神星樹】

フィールド

【ナチュルの森】

手札2枚

 

なんか浜口がおしてる。魔法止まってるから攻め辛いのか……枕田は?

 

ペガサス・J・クロフォード

LP2000

モンスター

【ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴン】:攻

ATK3000

魔・罠

フィールド

【トゥーン・キングダム】

手札3枚

 

VS

 

枕田ジュンコ

LP1000

モンスター

【RRーブレイズ・ファルコン】:攻

ATK1000

魔・罠

【RRーネスト】

伏せ1枚

手札5枚

 

ふむ……ライフ的にはピンチ。しかしアドバンテージはしっかり稼いでるな。浜口はおそらく海馬さんのターンに移るところだろう。枕田のところはどちらともとれるが、もし会長のターンならピンチだな。逆なら勝てそうだが……割とギリギリなのか……?

 

『俺のターン!……【青き眼の乙女】を召喚!』

 

【青き眼の乙女】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

出たよ【乙女】。これで攻撃を1度無効にできるが、もう一つの効果を使う手札があるのか?

 

『カードを1枚伏せ、ターンエンド』

 

伏せただけ……【亜空間】?それともブラフ?もしくは普通に防御カードか……あ、【サイクロン】使われた。破壊されたのは……【銀龍の轟咆】?使わない……あ、【ビースト】……【マロン】召喚で【レディバグ】落として、もう一つの効果発動。墓地の【コスモスビート】と【マロン】戻して1ドロー……【神星樹】で【マロン】リリースして【バタフライ】……【死者蘇生】から【マロン】おかえりなさい。また【マロン】の効果で【チェリー】2枚戻して1ドロー……で、シンクロして【パルキオン】……なんだこの惨劇……

 

「で、【レディバグ】が効果で出てくると……」

「あのデッキに龍斗は負けたのよね」

 

明日香うるさい。あのデッキは試験用のやつだから負けても仕方ないんだよ。ってかなんか凄い回り方してないか?魔法も罠もほぼ止まって【青眼】も【パルキオン】で倒される……手札に【オネスト】あったら逆転だけど……守備表示か……【オネスト】は無いことが確定したな。

 

「これは……ほぼ決まったな」

「いくら伝説のデュエリストとはいえ、魔法も罠も止められたらね……」

 

海馬さんのデッキは【青眼】がいなければ火力不足だし、他の切り札級も【XYZ】。展開できない以上壁にしかならないしなにより手札が1枚しかない。

心の中で合掌しつつ枕田の方に目をやる。あれ?【ブレイズ・ファルコン】が【レヴォリューション・ファルコン】になってる。【レヴォリューション・フォース】でも使ったのか?このまま【トゥーン・ドラゴン】を攻撃して効果発動。【トゥーン・ドラゴン】の攻撃力を0にしてジャストキルが成立した。

 

「…………次は明日香だな。相手が海馬さんならかなりイラついてると思うから、頑張れ」

「…………相手がペガサス会長であることを祈るわ」

 

相手は海馬さんだった。枕田達がモニタールームに入ってきて栗田さんとは別の人がからかってきたので今度は『【メタポワンキル】でデュエルしましょう』と脅して引かせた。

明日香のデュエルは永続罠を使い回して海馬さんのイライラを更に強くしながら勝利した。恐るべし【ドゥローレン】。

海馬さんはこの後会議らしく役員やら社員やらに心の中で本日2度目の合掌をすることとなった。

会長も仕事があるとのことで帰ることになったが……

 

「何故そうなる?」

「アンタだけ楽しようってのは納得いかないの!なんか奢りなさいよ!」

 

KCから出ると明日香達に睨まれ脱兎のごとく逃げ出そうとするも再び明日香に肩を掴まれ断念。『もう帰ろう』と言ったところ何も話してなかったはずなのに3人揃って『何か奢れ』と脅迫された。

一応テスターも仕事なので給料を貰ってはいるから金はある。仕方がないと渋々了承。近くのファミレスでデザート類を奢ることに。

 

「あたしはコレにするわ」

「では私は……コレにしましょう」

「じゃあ私はコレね」

 

3人別々のパフェにしてきやがった。

願わくは大きなやつ1つを分けあってほしかったがそうはならなかった。

 

「アンタはどうするの?」

「…………バニラアイス」

 

なるべく安く、かつ空気を読んでそうな物を頼んだ。校内ではDpを使うから金は貯まるがそれでも節約はしておいたほうがいいからな。

 

「却下よ」

「は?」

「あたし達は皆パフェにしたの。ならアンタもパフェを頼みなさい!」

「金出すの俺なんだが……」

「それはアンタだけ楽してるからいけないの!」

 

入学試験前に泊まりこみでデュエルしてたんだが……しかし枕田は断固としてバニラアイスを許さなかった。仕方ないのでパフェを見る、たしか枕田がチョコレート、浜口が白桃、明日香がマンゴーだったな。

 

「じゃあ抹茶パフェで」

「よろしい。じゃ、注文するわよ」

 

枕田が店員を呼び出し注文する。なんか勝手にドリンクバーも頼んでいたのだがもう何も言うまい。

浜口と明日香が『適当に持ってくる』とかぬかしてきたが反論する気力も失せたので任せることに。

 

「はぁ……疲れた……」

「何もしてないじゃない」

 

わかってないな。何もしない方が疲れるんだよ。時間が長く感じるから何もしない、できない時間は地獄のように長いんだよ。そんな他愛ない話をして明日香と浜口が戻ってくると『何の話をしていたのか』とまた同じことを言わなきゃならないという事実に面倒を感じて枕田に任せることにした。

 

『お待たせしました』

 

明日香達の会話を聞き流していると店員がやってきてパフェを4つ持ってきた。暇を潰すためにゆっくりと抹茶パフェを食べていると……

 

「ちょっとちょうだい」

 

と言いながら枕田に一口取られた。

 

「…………このためにバラバラにしたのか」

「当然よ。はい。チョコレート」

 

そう言って枕田は自分のパフェを一口分掬い俺の口元に持ってくる。コレ、言ったほうがいいのか?

 

「間接キスだぞ」

 

3人の空気が凍った。そういうのは女子同士でやっとけ。俺は遠慮する。ということで自分の抹茶パフェだけ黙々と食べようとすると枕田が復活して、『あ、アンタは女の子みたいな顔だから気にしないでいいの!』と言って無理矢理に食べさせてきた。コイツ、ほんの少しとはいえ、気にしてたことを普通に言ってきたな。直後に明日香と浜口も復活して俺の抹茶パフェを掻っ攫ったり、自分のパフェを俺に食わせたりと若干同性扱いされてるような感覚に苛まれつつ、パフェと格闘していた。

 

「…………」

「明日香、無言で俺の頭に手を伸ばすな」

「いいじゃない。少しくらい撫でさせなさいよ」

「ざけんなコラ」

 

…………こんなやりとりもあったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パフェとの格闘を終え食後休憩を数分挟み、明日香達と別れ自宅へ向かう。アカデミア行きの船はしばらく無いので当分の間は自宅で冬休みをすごすことになっている。

だが、自宅が見えてきてポケットから鍵を出そうしたところで、あることに気がついた。別に鍵が無いとかではない。

自宅の前に誰かがいるのだ。キャリーバッグをそばに置いて、家の前でただ立っている同い年くらいの少女が。

 

「…………誰だ?」

 

アカデミアで見た記憶の無い奴だ。茶髪……かな?夕日やらでよくわからん。長さはそこまで長くないな。ここで立ち尽くしても仕方ないので無視することに決定し家に向かうと、気付いたのかこちらに視線を寄越してきた。そして、

 

「っ!!…………お兄ちゃん!」

 

バッグをそのままに飛び込み、抱きついてきた少女。

…………この少女は今何と言った?

 

ーーーお兄ちゃん!

 

いや、そんなバカな。転生当初の手紙には俺には兄弟はいないと書いてあったじゃないか。なのに『お兄ちゃん』?アレか?『ジャンジャジャーン!今明かされる衝撃の真実ゥ!兄と弟はいないけど妹ならいるんでーす!』とかいうオチか?いや、でも妹いるなら両親のところじゃないのか?いや、それだと何故俺だけ親元を離れてるのかという話になったりするから妹でもないだろう。

だったら何故俺は今『お兄ちゃん』と言われ抱きつかれてる?兄弟でもないとなると昔……つまり俺が俺として転生する前、仲良かった女の子が俺を『お兄ちゃん』とか呼んでたのか?

それとも、そもそもこの少女と俺には接点は一切無く、近所の不良によってこの後金を巻き上げられる展開になったりするのか?

…………少し落ち着こう。どんな関係であれこの少女の登場によって、

 

「?お兄ちゃん……?」

 

面倒なことになりそうな予感をヒシヒシと感じていることには変わりそうもないのだから。




名前を出すなんて言ってません(キリッ
すみません次回は名前が出ますんでそれまで辛抱してください……!
次回は1話で2回デュエルです!ついでに龍斗がサボります。


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冬休みー編入 デュエル2本立て

連日投稿です。あの娘の口調がおかしいと思う方がいるかもしれませんが、スルーしていただければと……


「で、誰だ?」

「っ!?ゆ、ゆまだよ!宮田ゆま!」

 

家の前で抱きついてきた少女に軽い尋問をすると泣きそうな顔をしながら自己紹介してきた。『宮田ゆま』……?どこかで聞いたような……しかし知り合いに宮田なんていないし……

 

「ま、まさか記憶喪失!?どこまで覚えてる!?ここは?自分名前わかる?」

「記憶喪失じゃない。マジに誰だ。金なら無いから巻き上げようとしても無駄だぞ」

「………そ、そうだ!メール!おばさんからメールしてもらってるよ!」

「メール?」

 

言われて一応持っているけどまるで使わない携帯の電源を実に数ヶ月ぶりに入れる。そしてすぐにメールが数十件受信された。

母親と思われる名前から送信されているメールを開いては閉じを繰り返し1番上のメールが『宮田ゆま』なる少女の言っていたメールだと思われるものだった。内容は『冬休みに従妹のゆまが自宅に行くから面倒見ろ』といったもの。送られたのはまだアカデミアにいる時期だ。従妹ねぇ……まぁいいか。どうせ次の船に乗るまでだし。

 

「………とりあえず状況は把握した」

 

携帯をしまい家の鍵を開けて中に入る。続いて宮田……紛らわしいな……ゆまでいいや。ゆまも家の中に入る。

さて、コイツを泊めるための部屋だが……適当に空いてる部屋でいいか。

つっても2階にしか空き部屋ないけど…………?

 

「…………」

「……?」

 

…………流石に2階に上げるのにキャリーバッグを女子に持たせるわけにはいかないか……

 

「バッグ貸せ。2階に上げる」

「……うん!」

 

キャリーバッグを受け取って2階に運ぶ(思いの外重かったが……)。とりあえず寝る場所はここでいいとして、次は……

 

「…………アイツはどこに行った?」

 

部屋に入ってきたはずのゆまがいない。トイレか?いや、場所は……昔来てたのなら知ってるか。とりあえず自分の部屋にデッキを入れていたアタッシュケースを運ぶと何故か部屋にゆまがいた。

トイレではなく俺の部屋にいた。何故かベッドの下を凝視してる。

 

「……ゆま、何してるんだ?」

「え!?あ、お、お兄ちゃん!?えと……お、男の人ってこういうところに本を隠すって本に書いてあったから……」

 

いつの時代だよ。それ以前に俺はお前が探してるような本は持ってないぞ。アレ18歳未満禁止だろ。俺はまだ16だ。

 

「…………お前の部屋はさっき荷物置いた部屋だ。荷物整理してこい」

「う、うん!」

 

逃げるように部屋に戻っていくゆま。

…………さて、アルバムか何かあったかな?ゆまについて情報を得られればいいんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋の中にあったアルバムやら昔の日記やらでわかったのはほとんど無く、代わりに推測できることが1つあった。まず、数少ないわかったことは、ゆまと俺は同い年ということ。

なら何故俺のことを『お兄ちゃん』などと呼ぶのかというところが推測できた点だ。

単純に俺の方が2ヶ月程度早く産まれたということ。そしておそらく母親あたりに『龍斗のほうがお兄ちゃんなんだから云々』的なことをよく言われたのを見たか何かしたのだろう。そしてその情報から俺を『お兄ちゃん』などと呼ぶのだろう。

 

「てかアイツの両親はどうした?」

「アイツ?」

「っ!?」

 

急に俺以外の声が聞こえて声のした方向を向くとゆまがいた。驚かしてくれる……

 

「アイツって誰のこと?」

「お前だ。両親はどうした?何故ここに?数日でアカデミアに戻るのに」

「あ、そう!そのデュエルアカデミアに行こうと思ってるの!」

 

いや、行こう思ってるって言ったって……

 

「入学試験はとっくに終わってるぞ。9月から1学期が始まるからな」

「今度、編入試験を受けて、合格したら編入できるんだ!それで、デュエルアカデミアに通ってるお兄ちゃんにいろいろ教えて貰おうって」

 

…………いや、

 

「俺がこっちに戻ってくる保証無かっただろ」

「ふぇ?」

 

テスターのことは……おそらく知らないだろう。俺はコイツの存在すら知らなかったし、家族にも教えてないからな。

 

「俺は本土に用事が無かったらアカデミアで冬休みをすごす予定だったんだ。俺がいなかったらどうするつもりだ?それに俺は誰にもアカデミアに行ってるなんて言ってない。何故知っている」

「帰ってくるって信じてたもん!それにお兄ちゃんがデュエルアカデミア以外に行くわけないもん!」

 

いや、信じてたって…………

それで帰ってきたら……俺帰ってきてるな。しかしそれは海馬さんとペガサス会長に呼び出されたからであってコイツが信じてたからということにはならないな。うん。それにアカデミアについても……

 

「はぁ……まぁいいや」

「出た!お兄ちゃんの『まぁいいや』!」

「は?」

 

俺そんなに言ってるか?いや、思ってることはよくあるとは思う。だが口に出すのはまず無かったと思うんだが……昔言ってたってことか?

 

「…………まぁいいや。とりあえず編入試験の内容はわかるか?筆記はあるのかとか、実技試験もするのかとか」

「えっと……筆記と実技だって書いてあるよ」

 

ゆまはポケットから何かの用紙を取り出して教えてくれた。しかし筆記と実技……基本的にはこのスタイルは変えないのか。

 

「…………勉強は自分でしろ。特に通常モンスターのことは俺には聞くな。実技はただ実践あるのみだ」

「ぅぅ……わ、わからないところは……」

「……通常モンスターのこと以外、可能な限り教えてやる」

 

通常モンスターは嫌な記憶しかないからパスだ。

 

「……よぉし!がんばる!」

 

ガッツポーズをとり自分の部屋に戻るゆま…………さて、晩飯どうするかな……

 

「お兄ちゃん!デュエルしよ!」

「…………」

 

筆記は二の次か。まぁいいけどさ。

 

「…………少し待ってろ」

 

さて、どうする?こっちで仕事はしなくてもいいとは思う。明日香達がどうかは知らんが。試験では使わないということを考慮すると、よくて融合か儀式デッキか……あったかな……

とりあえずアタッシュケースを開けデッキを選ぶ。

 

「……お、お兄ちゃん。そのケースは?」

「ん?これはデッキ入れるためのケース」

「そ、それ全部デッキなの!?」

「ああ」

 

じゃないと仕事にならないからな。

これは……?…………いけるか。よし、これに決定。

 

「準備できたぞ。早く座れ」

「えへへ……じゃーん!」

 

とくと見よ!とばかりに背後から出したのはデュエルディスク。しかもバトルシティで使用されたタイプだ。

 

「こういうこともあろうかと持ってきてるんです!」

「…………」

 

要はディスク使って外でやろうってことか。いいけどさ。

ケースの蓋の裏に取り付けてあるディスクを取って外へ。

 

「いくよ、お兄ちゃん!」

「来い」

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

宮田ゆま

LP4000

 

「先攻は貰う。俺のターン、ドロー!モンスターをセット!カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

事故ってやがる……手札に魔法が1枚も無えのはこのデッキだとキツいってレベルじゃないんだよなぁ……

 

「私のターン、ドロー!……よし!魔法カード【融合】発動!手札の【E・HERO フェザーマン】と【E・HERO バーストレディ】を融合!えっとえっと……風纏うヒーローさん。炎操るヒーローさん。今一つになりて私に新しい力をください!融合召喚!お願い!【E・HERO ノヴァマスター】!」

 

【E・HERO ノヴァマスター】

攻撃表示

ATK2600/DEF2100

 

【HERO】デッキ……しかも【属性HERO】か……いや、だったら何故【フェザーマン】?いや、いいや。

口上も突っ込まん。

 

「バトル!【ノヴァマスター】で守備モンスターを攻撃!ごめんなさい!」

 

なんか謝られた。しかし【ノヴァマスター】は謝罪を無視して裏守備モンスター……【ジェムタートル】を粉砕した。

 

「【ジェムタートル】のリバース効果。デッキから【ジェムナイト・フュージョン】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「【ノヴァマスター】の効果も発動!相手モンスターを戦闘で破壊したら1枚ドロー!」

 

宮田ゆま

手札3枚→4枚

 

「えっと……カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

宮田ゆま

LP4000

モンスター

【E・HERO ノヴァマスター】:攻

ATK2600

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!【ジェムナイト・フュージョン】発動!手札の【ジェムナイト・ガネット】と【ジェムナイト・オブシディア】を融合!

紅の真実よ、鋭利な漆黒よ!今新たな輝きとなりて現れよ!融合召喚!燃え上がれ!【ジェムナイト・ルビーズ】!」

 

【ジェムナイト・ルビーズ】

攻撃表示

ATK2500/DEF1300

 

「【ジェムナイト・オブシディア】の効果発動!このカードが手札から墓地へ送られた場合、墓地にいるレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚する!来い!【ジェムナイト・ガネット】!」

 

【ジェムナイト・ガネット】

攻撃表示

ATK1900/DEF0

 

「【ルビーズ】の効果発動!俺のフィールドにいる自身以外の表側表示【ジェム】モンスターをリリースして、そのモンスターの攻撃力分、自身の攻撃力をアップさせる!【ガネット】をリリース!」

 

【ルビーズ】が刃のついた棒を振るうと【ガネット】が全身を燃やし、その炎を【ルビーズ】に与えると消滅した。

 

【ジェムナイト・ルビーズ】

ATK2500→ATK4400

 

「こ、攻撃力4400!?」

「バトル!【ジェムナイト・ルビーズ】で【E・HERO ノヴァマスター】を攻撃!」

 

【ルビーズ】が刃……ではなく刃のついてない方で【ノヴァマスター】を突き、【ノヴァマスター】を破壊した。たまに思うんだが、ソリッドヴィジョンの演出がおかしい。

 

「ぅぅ……信じてたのにぃ……」

 

宮田ゆま

LP4000→2200

 

「…………ターンエンド。この瞬間、【ルビーズ】の攻撃力が元に戻る」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【ジェムナイト・ルビーズ】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「ぅぅ……ドロー……っ!魔法カード【融合回収】発動!墓地の【融合】と【フェザーマン】を手札に加える!」

 

宮田ゆま

手札3枚→5枚

 

「【融合】発動!手札の【フェザーマン】と【クレイマン】を融合!風纏うヒーローさん。大地のヒーローさん。不思議な渦で一つになって私に力を貸してください!融合召喚!頑張って!【E・HERO ガイア】!」

 

【E・HERO ガイア】

攻撃表示

ATK2200/DEF2600

 

「【ガイア】の効果発動!融合召喚に成功したとき、相手モンスターの攻撃力を半分にして、その数値分攻撃力をアップさせる!」

 

【ガイア】は両腕を地面に当てると、【ルビーズ】の足下から光が出てきた。

この光……【ガイア】の腕から出てるのか。それで、この光から力を吸収してると。

 

【ジェムナイト・ルビーズ】

ATK2500→ATK1250

 

【E・HERO ガイア】

ATK2200→ATK3450

 

「バトル!【ガイア】で【ルビーズ】を攻撃!コンチネンタルハンマー!」

 

【ガイア】が【ルビーズ】にその太い腕でボディブロー……姿勢を崩した首に肘をぶちこんで倒れたところをフルボッコ……やりすぎだ。

 

「…………【HERO】の攻撃じゃねえだろ」

 

宮田龍斗

LP4000→1800

 

「こ、こんな攻撃なんて知らなかったもん!ターンエンド!」

 

宮田ゆま

LP2200

モンスター

【E・HERO ガイア】:攻

ATK2200

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

今度海馬さんに頼んでみようかな……いろいろ覚悟して。

 

「ドロー。墓地の【ジェムナイト・フュージョン】の効果発動!」

「ぼ、墓地のカード効果!?」

 

やっぱり墓地やら手札からの効果って珍しいのか?よく同じようなリアクション聞くけど。

 

「墓地の【ジェムナイト】モンスターを除外して、墓地のこのカードを手札に加える!【ジェムナイト・ガネット】を除外!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「そして【ジェムナイト・フュージョン】発動!手札の【ジェムナイト・ラズリー】と【ジェムナイト・ラピス】を融合!

神秘の力秘めし碧き魔石よ。今光となりて現れよ!融合召喚!【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】!」

 

【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】

攻撃表示

ATK2400/DEF1000

 

「【ジェムナイト・ラズリー】の効果発動!このカードが効果で墓地に送られたとき、墓地の通常モンスター1体を手札に加える!【ジェムナイト・ラピス】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「そして【ラピスラズリ】の効果発動!1ターンに1度、デッキ・エクストラデッキから【ジェムナイト】モンスターを墓地に送り、フィールドの特殊召喚されたモンスター1体につき500ポイントのダメージを与える!デッキから【ジェムナイト・ルマリン】を墓地に送る!」

 

【ラピスラズリ】が胸の宝石から一直線に青白い光を放つと、【ガイア】に当たり、光の太さを増してゆまに当たった。うん。これくらいのエフェクトでいいと思う。

 

「あぅっ!」

 

宮田ゆま

LP2200→1200

 

「バトル!【ラピスラズリ】で【ガイア】を攻撃!」

 

【ラピスラズリ】が胸から今度は白い光を放ち【ガイア】を爆散させた。

 

「【ガイア】さん……」

 

宮田ゆま

LP1200→1000

 

「リバースカード【輝石融合】!手札・フィールドのモンスターを素材に融合召喚する!」

「と、罠カードの融合!?」

「フィールドの【ラピスラズリ】と手札の【ラピス】、【ジェムナイト・ガネット】を融合!空より深き青よ、碧き秘石よ、紅の真実よ!光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!現れよ!全てを照らす至上の輝き!【ジェムナイトマスター・ダイヤ】!」

 

【ジェムナイトマスター・ダイヤ】

攻撃表示

ATK2900/DEF2500

 

「【マスター・ダイヤ】は墓地の【ジェム】モンスター1体につき攻撃力が100ポイントアップする!

墓地には【ジェムタートル】

【ガネット】

【オブシディア】

【ラピス】

【ラズリー】

【ラピスラズリ】

【ルマリン】

【ルビーズ】の8枚。よって攻撃力800ポイントアップ!」

 

【ジェムナイトマスター・ダイヤ】

ATK2900→ATK3700

 

「そしてこれはバトルフェイズ中のものだ、攻撃できる。ダイレクトアタック!」

 

【マスター・ダイヤ】が持っている剣でゆまを切り裂く……なんてことはせず、剣の先のほうにある平らなところでゴンッ!という音とともに頭を叩いた。

 

「あぅっ!」

 

宮田ゆま

LP1000→-2700

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?」

「ぅ、うん」

 

ソリッドヴィジョンのはずなのに若干痛そうに頭を抱えているゆま。本当に大丈夫か?

 

「まぁデッキの中身は少しわかった。調整……ってか改造のほうが正しいか?」

「よ、よろしくお願いします!」

 

なぜ敬語。

ゆまを連れて部屋に戻り、デッキを見せてもらう。内容は俺の【ヒーローグングニール】と十代の【HERO】の間といった感じだ。エクストラは【ガイア】等の【属性HERO】だが、メインが通常モンスターの【HERO】で構築されている。

 

「先に聞くぞ。抜いてほしくないカードはあるか?」

「えっと……お兄ちゃんにお任せします」

「…………」

 

なんで若干頬を赤らめる?

まぁいいや。お任せならシンクロもエクシーズも無しで【属性HERO】にして……

 

「あっ!【フェザーマン】が!」

「…………なんだ。抜いちゃダメなのあるじゃないか」

「あっ!ち、違うよ?一緒に戦ってくれたカードだからその、思い出が……」

 

その辺の感性がイマイチわからん。まぁ今の俺にとってデュエルは半分仕事って感じっていうのもあるからだろう。このテスターの仕事が終われば少しはわかってくるのかな……

 

「……なら思い出は思い出としてカードファイルにでもしまっておけ」

「……カードファイル……持ってない……」

「…………買いに行くか」

 

財布を持って再び出掛ける準備をする。

 

「行くぞゆま」

「で、でもそんなにお金持ってないよ」

「それくらい出すから。さっさと行くぞ」

 

半ば無理矢理にゆまを連れ出す。

たしかカードショップが近くにあったな。あそこなら売ってるかな?

 

「あっ!お兄ちゃんデッキ忘れてるよ!デュエリストはいつ如何なるときもデッキは忘れちゃダメなんだよ!」

 

そんなの聞いたことないぞ。しかしなんかうるさくなりそうなので適当なデッキを選んで持っていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆまと共にカードファイルを買いに近くのカードショップに買い物。店内はそこそこ広く、デュエルディスクを使ってデュエルできるフィールドまで用意してある。しかし相変わらず【エメラルド・ドラゴン】が無駄に高い。そして【魔導雑貨商人】がワンコインで買えるお手頃プライス……

 

「……っと。カードじゃなくてファイルを買うんだよな」

 

ファイルはどこだろ?

ゆまと一緒に店内を見ていると……

 

『か、返してよ!返して!』

 

…………面倒なことに巻き込まれそうな声が聞こえた。

 

「お、お兄ちゃん!あそこ!」

 

ゆまが指差す方向に目線をやると、そこにはガラの悪い男と男の子。そして子供の視線の先には1枚のカード。さっきの声からしておそらく取られたのだろう。

 

「お兄ちゃん、助けてあげようよ!」

 

…………はぁっ。

心の中で大きくため息をつき、わざとらしく足音を立てながら近づき、

 

「フンッ!」

『ぐげっ!?』

 

男の横っ腹に蹴りをいれてやった。

男は変な声を上げながら倒れ、その拍子にカードを落とす…………【ファイヤー・ウィング・ペガサス】……え、使い辛くないか?……関係ないか。

 

「コレ、君の?」

『……あ、うん!ありがとう!』

「あっち行ってな」

 

男の子にカードを渡してゆまに男の子を任せる。

直後蹴飛ばした男が復活したようで、

 

『テメェ……何してくれてんだ……あ゛ぁ゛!?』

 

物凄い形相で睨みつけてくる。

 

「大の大人が子供にすることじゃないだろ。それを止めたまでのことだ」

『デュエルに負けたのはアイツだ!アイツのカードをどうしようが俺の勝手だろうが!』

 

…………話にならないな。

 

「……バカに何言っても無駄、か。よし、デュエルしよう。俺が勝ったら大人しく帰れ。俺が負けたら……そうだな……カードを好きなだけくれてやる。例えば……このカードとか」

 

以前ネットで数万とかいうふざけた値段で売ってた【団結の力】(あの不思議ケースから取り出した量産品)を見せびらかす。

 

『だ、【団結の力】!?……へへっ……いいぜ。やってやるよ。ついてきな』

 

男は店内のデュエルフィールドに入っていった……ああ、デュエルディスクを使いたいのか。

 

「すみません。デュエルディスク借ります」

『あ、ああ……』

 

若干呆然としている店員からデュエルディスクを借りて構える。

 

『吠え面かかせてやる』

「…………来い」

『「デュエル!」』

 

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

…………なんだこれ?

 

『俺のターン!【俊足のギラザウルス】を特殊召喚!』

 

【俊足のギラザウルス】

攻撃表示

ATK1400/DEF400

 

『更に【俊足のギラザウルス】を生贄に、【フレイム・ケルベロス】を召喚!』

 

【フレイム・ケルベロス】

攻撃表示

ATK2100/DEF1800

 

…………何そのカード。俺知らんぞ。

 

『ターンエンドだ!』

 

LP4000

モンスター

【フレイム・ケルベロス】:攻

ATK2100

魔・罠

手札4枚

 

いつの間にかいたギャラリーは『もうダメだ』だの似たような言葉しか言ってない……いや、なんとかなりそうなんだが……

 

「俺のターン、ドロー!モンスターをセット!カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ3枚

手札2枚

 

『ハッ!もう終わりかよ!あっという間だな!』

「無駄口叩いてる暇があるなら早くしろ」

 

こっちは予定をいろいろ崩されてるんだ。

 

『減らず口を!俺のターン!このままバトルだ!【フレイム・ケルベロス】で攻撃!』

「リバースモンスター【魔導雑貨商人】の効果発動。デッキトップをめくり、一番最初に出た魔法または罠カードを手札に加える。それ以外は墓地へ。いくぞ。

1枚目……【ワイト】」

『……ハハハハハ!こりゃ傑作だ!【ワイト】なんて雑魚カードをデッキに入れてるなんてな!』

 

なんか高笑いしてるが無視しよう。まだ効果処理が残ってるし

 

「2枚目……【ワイトプリンス】

【ワイト夫人】

【ネクロ・ガードナー】

【ライトロード・マジシャン ライラ】

【ワイトプリンス】

【ライトロード・ハンター ライコウ】

【魔導雑貨商人】

【魔導雑貨商人】

【ライトロード・マジシャン ライラ】

【ワイトキング】

【光学迷彩アーマー】……【光学迷彩アーマー】を手札に加える。更に墓地の【ワイトプリンス】2体の効果を発動!このカードが墓地に送られた場合、デッキ・手札から【ワイト】と【ワイト夫人】1枚ずつを墓地に送る!デッキの【ワイト】と【ワイト夫人】を全て墓地へ」

 

そして俺の手札には【ワイトプリンス】……この謎の神落ち。

 

『ターンエンドだ!』

 

チンピラ

LP4000

モンスター

【フレイム・ケルベロス】:攻

ATK2100

魔・罠

手札5枚

 

「…………ドロー。【ワン・フォー・ワン】発動。手札のモンスター……【ワイトプリンス】をコストに手札・デッキからレベル1のモンスターを特殊召喚する。来い【ワイトキング】」

 

【ワイトキング】

攻撃表示

ATK?/DEF0

 

『攻撃力が決定してない?』

「【ワイトキング】の元々の攻撃力は墓地の【ワイト】及び【ワイトキング】の数×1000ポイントとなる」

 

【ワイトキング】

ATK?→ATK10000

 

『こ、攻撃力10000!?墓地の【ワイトキング】と【ワイト】は4枚しかないだろ!?』

「【ワイト夫人】と【ワイトプリンス】は墓地にいるとき【ワイト】して扱われる。よって墓地の【ワイト】と【ワイトキング】は計10枚だ」

 

圧倒的な攻撃力に目の前の男もギャラリーもどよめきを見せる。まぁ普段見ないよな5桁の攻撃力なんて。

 

「装備魔法【光学迷彩アーマー】を発動。このカードはレベル1のモンスターに装備可能なカードで、装備したモンスターは相手プレイヤーにダイレクトアタックできる」

 

攻撃力10000のモンスターが自分のモンスターを無視してダイレクトアタックしてくるという事実に男は絶望の表情を浮かべ、ギャラリーのどよめきは更に強くなった。

 

「さぁ、バトルだ。【ワイトキング】でダイレクトアタック」

 

【ワイトキング】は【光学迷彩アーマー】を使って透明化そして、

 

『ぐあぁぁぁっ!!目が!目がぁぁ!』

 

男が目を抑えだした。おそらく目潰しされたのだろう。

 

チンピラ

LP4000→-6000

 

【リビングデッド】も【針虫】も【エンジェル・リフト】も使わなかったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、男は逮捕された。どうやらあの男はデュエルして勝った後に『アンティだった』などと言って次々とカードを奪っていたらしい。しかも思いの外逃げ足も速かったらしかったのだが、俺が【魔導雑貨商人】の効果処理をしている間に店員が通報、【ワイトキング】の目潰しに悶絶している間に到着して逮捕に至った。

 

「……しかし、現場検証とか言って客は全員追い出されファイルは買えずに終わったと……」

「あ、あはは……で、でもまた明日行こう!明日はきっと買えるよ!」

 

ゆまはポジティブだなぁ……一瞬羨ましく思った。元々閉店間際の時間だったってものあったような気がするが……

 

『あ、さっきのお姉ちゃんだ!』

 

ついさっき聞いた声に反応して前を見ると、カード奪われていた男の子がいた。母親らしき女性と一緒にいる。

 

『お姉ちゃん、さっきはありがとう!』

 

何故か俺を見てそう言ってくる。もしかして、俺のこと女だと思ってる……?女性もただ『息子のカード云々』とお礼を言ってるだけだ。ゆまは背を向けて笑いを堪えている。

 

「……俺、男なんだよなぁ……」

『『え!?』』

 

女性のお礼が謝罪に変わった瞬間だった。

 

『…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

今度は朝早くゆまとファイルを買って店内でデッキを作成。元々デッキの中身は決めていたのですぐに作成終了。冬休みということもあって朝から客がけっこうな数いたので、調整を兼ねて数人とデュエルさせた。

 

『ねぇねぇ、この後ヒマ?俺達と遊びに行かねぇ?』

 

…………こんなナンパ染みたことをされることも少々あったが、全て『俺は男だ』の一言で一蹴。

 

「そういえばゆま、編入試験はいつなんだ?」

 

調整も終わった(しなかった)ので帰宅することにし、途中でふと気になったことをゆまに聞いてみることに。用紙を見たが、日程を見てなかったし。

 

「えっとたしか…………明日だったかな?」

「明日ぁ!?」

 

のんきにデッキ調整してる場合じゃなかった。ゆまの手を取り歩く速度を上げ帰宅。筆記試験に向けた勉強をさせる。まさか明日だったなんて……




元々龍斗の名前を適当に決めたんです。ある日TFに宮田ゆまっていたなぁ……と思い出し、宮田……ハッ!となり参戦の是非を問うたわけです。
次回はあるカード達が追加されます。使うかどうかは別として……


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冬休みー試験 ゆまVS試験官

ゆまちゃんが試験に挑みます!そしてあの娘の影も……


編入試験は俺が受験したあの建物で行われた。

ゆまの筆記試験は難なく終了…………したと思われる。本人が『大丈夫』と言ってたのだからそれを信じるしかない。残るは実技のみで、アカデミア関係者なら見学可能らしいので見学することにした。編入試験を受けているのはゆまだけではなく数人いた。途中丸藤のように小柄……という言葉も相応しくない、明らかに子供だという体格の奴もいたが、思いの外強かった。試験用のデッキとはいえ教師相手に勝利していたし。なかなかやるな【恋する乙女】……そしてようやくゆまの出番だ。

 

「よ、よろしくお願いしまひゅ!」

 

物凄い勢いでお辞儀するゆま。ガチガチに緊張してやがる。…………はぁ。

後ろから見守ろうかと思ったが、知ってる顔が見えたほうが良さそうだ。ゆまの前の席に移動する。ゆまは俺の姿を捉えたと思ったら笑顔になっていた。ふむ。これで調子を取り戻せればいいけど……

 

『「デュエル!」』

 

宮田ゆま

LP4000

 

VS

 

試験官

LP4000

 

「私の先攻、ドロー!【E・HERO ブレイズマン】を召喚!」

 

【E・HERO ブレイズマン】

攻撃表示

ATK1200/DEF1800

 

「【ブレイズマン】の効果で、デッキから【融合】を手札に加えます!」

 

宮田ゆま

手札5枚→6枚

 

「ターンエンドです!」

 

宮田ゆま

LP4000

モンスター

【E・HERO ブレイズマン】:攻

ATK1200

魔・罠

手札6枚

 

【融合】を使わないのは……先攻だからか?しかしリバース無しは破壊される確率大だぞ。

 

「ふむ。私のターン、ドロー!手札から【異次元の女戦士】を召喚!」

 

【異次元の女戦士】

攻撃表示

ATK1500/DEF1600

 

げ……【次元】……面倒だな……ゆまもちょっと嫌な顔をしてる。

 

「バトル!【異次元の女戦士】で【ブレイズマン】を攻撃!」

 

【異次元の女戦士】が左手に持っている光る剣で【ブレイズマン】を一太刀で斬った。

 

「ぁぅ……!」

 

宮田ゆま

LP4000→3700

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

試験官

LP4000

モンスター

【異次元の女戦士】:攻

ATK1500

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

リバースはなんだ?【マクロコスモス】は…………無いか?いや、でもゆまのデッキがバレてると十分に……

 

「私のターン、ドロー!」

 

…………動きは無い……【マクロコスモス】では無いと。ゆまの手札には【融合】がある。後は何を召喚するか……

 

「魔法カード【Eーエマージェンシーコール】発動!デッキから【E・HERO】を手札に加えます!【E・HERO エアーマン】を手札に!」

 

【エアーマン】をサーチした……【シャドー・ミスト】じゃないのか。

 

「そして手札に加えた【エアーマン】を召喚!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

「召喚に成功したとき、【エアーマン】の効果が発動します!デッキから【HERO】を手札に加えます!【E・HERO シャドー・ミスト】を手札に!そして【融合】発動!手札の【シャドー・ミスト】と【E・HERO フォレストマン】を融合!」

 

【エスクリダオ】?いや、【ガイア】か。

 

「影に潜むヒーロー。森を守るヒーローと一つになりて、新しい力を貸してください!融合召喚!大地のヒーロー!【E・HERO ガイア】!」

 

【E・HERO ガイア】

攻撃表示

ATK2200/DEF2600

 

「っ!!…………!……なるほど、彼の関係者か」

 

ゆまの口上に反応した試験官が周囲を見回して、俺を見つけると何か納得していた。

 

「【ガイア】の効果発動!融合召喚に成功したとき、相手モンスターの攻撃力を半分にして、その数値分【ガイア】の攻撃力をアップします!」

 

【ガイア】が床に両手を当て、【異次元の女戦士】の足下から出た光が【ガイア】に力を与えた。

 

【異次元の女戦士】

ATK1500→ATK750

 

【E・HERO ガイア】

ATK2200→ATK2950

 

決まればジャストキル……あ、コレってフラグ……

 

「更に【シャドー・ミスト】の効果で、デッキから【HERO】を手札に加えます。【E・HERO オーシャン】を手札に!」

 

宮田ゆま

手札4枚→5枚

 

「バトルです!【E・HERO エアーマン】で【異次元の女戦士】を攻撃!ファン・ブレード!」

 

【エアーマン】が自身の翼についているファンを取り出し、【異次元の女戦士】に投げつける。しかし【異次元の女戦士】は攻撃を受ける直前に何かを【エアーマン】に向けて放った。

 

「【異次元の女戦士】の効果発動!このカードと戦闘したモンスターとこのカードをゲームから除外する!」

 

【異次元の女戦士】が放った物を中心に青黒いエフェクトが【エアーマン】を包み、【エアーマン】ごと消滅した。

 

試験官

LP4000→2950

 

「【ガイア】で攻撃!コンチネンタルハンマー!」

 

【ガイア】がその場で両手を組み、振り下ろすと砕けた岩が床から現れ、試験官を襲う。

 

「罠発動【ディメンション・ウォール】!自分が受けるバトルダメージを代わりに相手が受ける!」

「えぇっ!?」

 

試験官の前の空間が歪み、その中に岩が呑み込まれる。

そしてゆまの頭上から先ほどの岩が1つだけ現れ、

 

「あうっ!」

 

ゆまの脳天に直撃した。……痛そう。

 

宮田ゆま

LP3700→650

 

「ぅぅ……ターンエンドです……」

 

宮田ゆま

LP650

モンスター

【E・HERO ガイア】:攻

ATK2200

魔・罠

手札5枚

 

頭を摩りながら涙目でエンド宣言……若干可哀想に思える。

 

「私のターン、ドロー!【異次元の戦士】を守備表示で召喚!」

 

【異次元の戦士】

守備表示

ATK1200/DEF1000

 

除外ばっかりだなぁ……あの試験用デッキ……そのうち【幽閉】飛んできそう。

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

試験官

LP2950

モンスター

【異次元の戦士】:守

DEF1000

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「ぅぅ……私のターン……」

 

未だ涙目のゆま。諦めてるのか?

 

「ドロー……!【融合回収】発動!墓地の【融合】と【フォレストマン】を手札に戻します!」

 

宮田ゆま

手札5枚→7枚

 

おっ!目に力が戻ってる。

 

「【死者蘇生】を発動!墓地から【シャドー・ミスト】を特殊召喚します!」

 

【E・HERO シャドーミスト】

攻撃表示

ATK1000/DEF1500

 

「【シャドー・ミスト】の効果でデッキから【チェンジ】速攻魔法……【マスク・チェンジ】を手札に加えます!」

 

宮田ゆま

手札6枚→7枚

 

「【融合】発動!手札の【オーシャン】と【プリズマー】を融合します!姿変える光のヒーロー。母なる水のヒーローと力を合わせて、私とともに戦ってください!融合召喚!氷のヒーロー!【E・HERO アブソルートZERO(ジェロ)】…………」

 

【E・HERO アブソルートZERO】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「…………」

 

…………噛んだ。口上付きで召喚して噛んだよアイツ。ただでさえ噛むのは恥ずかしいのに口上付きで噛むと恥ずかしさは尋常じゃないだろうな。

 

「…………ぅぅ……速攻魔法【マスク・チェンジ】です。【アブソルートZERO】を墓地に送って、【M・HERO アシッド】を特殊召喚します」

 

恥ずかしいのか顔を真っ赤にして、早く終わらせようとするゆま。あれだけ淡々とするならテーブルデュエルでもいいような……まぁ気持ちはわかるけど。

 

【M・HERO アシッド】

攻撃表示

ATK2600/DEF2100

 

「【アブソルートZERO】の効果で相手フィールドのモンスターを全て破壊です」

 

【異次元の戦士】が体を凍結させ砕けた。

 

「【アシッド】の効果で相手フィールドの魔法・罠を全て破壊します」

 

【アシッド】の持つ銃から紫色の液体が出て試験官のリバースカード【ディメンション・ウォール】を破壊した。

またそれかよ。いや、【アシッド】召喚しなかったら負けてたのか。

 

「バトルです…………ぅぅ……全員攻撃ーーー!!」

 

ヤケクソか。心なしか慌てたようにゆまの全モンスターが攻撃した。

【ガイア】と【シャドーミスト】でライフ削り切れるのにな……

 

試験官

LP2950→-2850

 

【HERO】によるオーバーキルって【HERO】っぽくないよな。いや、ダークヒーローとかなら……などと変なことを考えることで現実逃避した。

この後、顔を真っ赤にしたゆまが泣きついてきたので、頭を撫でながら慰めることになったのは予想の範囲内だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後。

ゆまの合否の通知はまだ届いてないらしいが、待っていると俺が帰れなくなるので放置してアカデミアに帰ることにした。そのことを話した途端にマジ泣きされそうになったが、必死に宥めた。

 

「……本当に行っちゃうの?」

「……ああ。元々向こうで過ごすつもりだったのが、急な用事で帰ってきてただけだからな」

 

なんかまた泣きそうな顔された。

港なので周りの人の視線が若干痛いということもあり、軽く落ち着かせないと……はぁ……

 

「お前が合格していれば同じデュエルアカデミア生なんだ。そんな泣きそうな顔するなって……心配だが」

 

筆記が酷いことになってない限り……いや、実技もギリギリだったからなぁ……心配だな。

 

「だ、大丈夫だよ!信じるものは、救われるんだよ!」

 

涙目で何言ってやがるんだこの従妹は。

 

「…………いろいろ突っ込んでやりたいが、あまり時間がないからスルーするぞ。じゃあな」

 

荷物(といってもアタッシュケースくらいだが)を持って船に乗り込む。

そして大きく手を振るゆまに見送られて、俺はアカデミアに帰還した。

島に到着して船を降りると十代達が港にいた。

 

「おかえり、龍斗!」

「おかえりなさい」

「おかえりなんだなあ」

「ん。ただいま」

 

ケースを置くために十代達と寮に行く途中で、十代がサイコショッカーがなんたらとか言ってたが、適当な相槌でスルーした。なんだよサイコショッカーとデュエルしたって。

こちらの土産話はゆまの編入試験と明日香達テスター3人が海馬さんとデュエルした話くらいだが十代は同じ【HERO】使いということもあってゆまとデュエルしたがっていたが、同時に海馬さんとデュエルしていた明日香達を羨ましがっていた……本当にデュエル脳だな。

丸藤と前田は羨ましがっていたが、自分はそんなことになりたくないというような表情をしていた。

数日ぶりに部屋に戻ると、しまっておいたはずのケースが複数、部屋の真ん中に置いてあった。誰か入った……?いや、にしてもこんな置き方は不自然すぎる……

 

「……確認してみるか」

 

ケースを開けると見たことのないカードと1通の手紙が。

手紙の主は……あの自称神だった。

 

『なんかOCG化?とかいうのがされてないカードとか面白そうなの見つけたから送ってみた

(>ω<。)』

 

顔文字邪魔だ。ってかなんだOCG化されてないカードって。【天よりの宝札】でさえアニメ効果でケースにあったぞ。ともあれカードを適当に出してみると……

 

「…………レベルマイナス?」

 

エクシーズのような黒いフレームではなくグレーのフレームのカード、ダークシンクロモンスター。そして【DT】とかいうモンスター達。更には……

 

「【機皇帝ワイゼル∞】?持ってたはずだが……効果が違うのか?」

 

似たような名前のカードを入れたはずのケースを探し出し、カードを見つけた。同じ名前だし、同じ効果もあるが、違う効果もある……ふむ。同名カードだがアニメで使用されたのと、OCG化されたカードの違いか。……ちょっとデッキ組んでみよう……あ、カードのデータを海馬さん達に渡さないとデュエルディスクで使えないな。

 

「…………面倒な」

 

カードを2枚ずつ取って適当なケースに入れる。そして出かけたが、

 

「遅かったな龍斗」

 

…………十代達を忘れてた。ダッシュでカードを置いて適当に幾つかのデッキを持って戻る。

 

「すまん。ちょっとデッキ忘れてた」

「デッキ忘れたってデュエリストとしてどうなんスか……」

 

仕方ないだろ。いきなり大量のカードが送られてきたんだから。とりあえず状況確認とかしてペガサス会長に報告だな……後で。今日は帰ってきたばかりだし、十代達の相手をしよう。

十代達とともにレッド寮に行き、3人とデュエル。ときにはタッグデュエルを、ときにはバトルロイヤル(なんか集中攻撃された)でしかも何故か泊まりこみでデュエルした。

今日から数日は1日1回のペースで船が出るらしく、ギリギリまでゆまのそばにいてやってもよかったかなぁ……とか思ったのは翌日に丸藤からこの話を聞いた後のことだった。

3日後、始業式の前日にゆまから『合格通知が来たが、デュエルアカデミアに行くには数日かかるらしい』といった内容のメールが届いた。ただ、なんか絵文字やら関係無い話が多く、内容把握に10分かかるのはなんとかしてほしい。




ゆまちゃん退場ですが、少し間をおいてまた出てきます。
次回はテニスします。つまりあの人が出てきます。


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テニス VS.綾小路

アニメのこの話を見て思ったことをちょこっと龍斗が代弁します。


始業式も終わり、微妙にバタバタした(ダークシンクロモンスター等の報告で)数日。ようやく一段落して以前のように授業に参加している。

 

「今日の体育はテニスをしまーす」

『『『はーい!』』』

 

体育担当の鮎川先生の言葉に従いテニスをする。人数やグラウンドの関係で全コートがダブルスで行われるが、

 

「何故お前は真っ先に俺のところに来る?」

「貴方アレコレ理由つけてサボりそうだもの」

 

明日香がダブルスのパートナー決めのとき、他の生徒に目もくれずに俺のところに来やがった。俺は基本サボらないぞ。サボるのはテスター試験の準備のときくらいだ。十代は丸藤と、枕田は浜口とペアを組んで早速テニスをしている。俺も特に何も考えずにテニスをしていたら、

 

「あっ!」

 

十代の声がしたのでチラッと一瞬目をやったら十代の打ったボールが明日香に向かっていた。

ギリギリ届く範囲に来ていたこともありラケットをボールに当て勢いを殺すように受け止める。

 

「あ、アレ?」

 

後ろから聞きなれない声がして振り返ると、明日香の前に見慣れない男子生徒がラケットを振った後のようなポーズをしていた。…………無視しよう。

 

「十代気をつけろー」

 

悪気は無いのは明らかなので軽く注意してボールを投げ返す。

 

「わ、悪い龍斗!」

 

謝るなら明日香な気がする。

改めて試合再開……と思いきや明日香が先ほどの男子生徒に何か言われていた。少し待つかと思ったらすぐにいなくなったが……枕田、浜口。お前らいつの間に明日香の後ろに移動したんだ?明日香が2人を十代達のもとに返し(完全に物扱いされてた)、授業再開。途中何故か参加していたクロノスの悲鳴のような声が聞こえたが、特に怪我人を出すことなく授業を終えた。

放課後、『第6回くらいペガサス会長にカードを送って新OSにバージョンアップ計画』のために会長にまたカードを送った(まさかカード数枚しか1度に送れないとは……)帰り、

 

「あ、龍斗!ちょうどいいところに!」

 

枕田と浜口、そして明日香がいた。

 

「枕田。『ちょうどいい』って何がだ?何故か俺は嫌な予感しかしないんだが」

「更なるテスター候補を見つけましたわ!」

 

枕田に聞いたはずなのに、何故か浜口が答えた。テスター候補……ペンデュラムやダークシンクロなら大歓迎だな。

枕田と浜口に引っ張られる明日香についていくとある教室の扉の前で明日香が枕田と浜口に囲まれた。パッと見明日香が虐められてるようだ。実際は違うが……

 

「えっと、名前は綾小路ミツル。オベリスク・ブルー3年の」

「却下だ」

「な、何よ……」

「枕田。お前はその綾小路とかいう奴はどこの何年と言った?」

「え、オベリスク・ブルーの3年だけど」

「お前さっき浜口が言ったセリフと今お前が言ったセリフ。そしてそれが意味する事を考えろ」

 

待つこと1分。枕田も浜口も俺が何を言っているのかわからないらしい。いや、正確には俺しか理解していないらしい。明日香もわからない様子だし。

 

「いいか。浜口はさっき『テスター候補を見つけた』と言った。そして枕田は『オベリスク・ブルーの3年』と言った。

3年生、つまり卒業が近い生徒をテスターにすることはありえない。

何故ならテスターになる前に彼らは卒業してしまうし、何より彼らの進路にこの時期に大幅な変更は間に合わない可能性が少なからずある。その事を理解せずに『テスター候補を見つけた』?もう少し慎重に行動してくれ」

 

俺の長ったらしく、説教染みた言葉のラッシュに枕田と浜口は落ち込んでいた。

 

「で、でも貴方、亮……カイザーとデュエルした後、カードを渡してたじゃない。アレは……?」

「アレは彼をテスターでは無く、プロの舞台で使ってくれると思ったからだ。仮にまだ彼が進路を変えてなくても、自分の意思で、カードの力に拘らず決めてくれる。そう思ったからだ」

 

まぁ本当は使いこなしてくれると思った理由しか無いけどな。実は最近衝動に駆られて渡したけどミスったと思っていたりしている。後悔はしてないけど。

内心ビクビクしていると、丸藤が『大変だ』と走り回ってる。

何かあったのか聞くと、体育の授業中、十代が打ったボールがクロノスに直撃したらしい。そしてクロノスの怒りを買った十代は罰としてテニス部に1日体験入部させられたらしい。そしてテニス部部長に扱かれてると。いや、それは予想じゃないか?お前ここにいるじゃないか。で、テニス部の場所を探して迷子と。枕田が授業で使ったグラウンドと教えると『大変だ大変だ』と走って行った。

 

「ジュンコさん。テニス部、しかも部長って」

「ええ」

「ん?何か知ってるのか?」

「テニス部の部長はさっき話した綾小路ミツルなのよ」

 

ほう。なんか凄い偶然だな。

 

「しかもその人、あの綾小路モータースの御曹司で、カイザーに勝るとも劣らない実力って噂よ!」

 

あのカイザーに?信じられないな……よし、

 

「行こう。どうせ十代が何かやらかしてデュエルすることになると思うし」

「貴方の中で十代ってどういう扱いなの……?」

 

どういうって……主人公属性の【HERO】使い?

なんか嫌な予感もしたので適当に明日香に返答してグラウンドへ。

そこでは十代が体育の授業で変なポーズしていた男子生徒に扱かれていた。

『今日という日は今日しかない』だのと芝居がかった意味のわからないことを言っている。枕田はなんか一気にテンションが下がっていたが、浜口は顔がよければいいとテンションを維持していた。俺としては、何故3年の生徒が1年の授業に出現したのかというところを突っ込みたい。

十代はリターンの練習を50本させられることになった。

 

「48!…………49!…………ご……じゅう!」

 

バテバテになりながらも見事に50本こなした十代。そして十代が打った50個目のボールが明日香の足下に転がっていった。ん?なんでアイツ俺達と少し離れてるんだ?一緒に来てたはず……

 

「龍斗、ちょっと来て」

 

それだけ言って早足で十代のもとに行く明日香。駆け足気味に俺も明日香についていく。

 

「やぁ明日香君!嬉しいなぁ!僕に会いにきてくれ……」

 

明日香は目も合わせずに綾小路を無視して十代のもとに。

 

「さっき大徳寺先生から聞いたんだけど、万丈目君を見かけた人がいるらしいの」

 

万丈目を見かけた…………たしか姉妹校じゃなかったか?

 

「万丈目を!?どこで」

「それが……」

「離れたまえ明日香君!」

 

明日香の言葉を遮るような大声で綾小路が叫んだ。振り返ると、ついさっきにこやかに明日香に話しかけていたとは思えない怒りの表情の綾小路がいた。

 

「こういうことはあまり言いたくないがオベリスク・ブルーの妖精のような君が、オシリス・レッドの十代君や半端者のラー・イエローの生徒はふさわしくない!君にはそう、僕のような男がふさわしい!」

 

肩をいからせこちらにやってくる綾小路。

なにかとんでもない勘違いしてないか?明日香は俺と十代に万丈目の情報を提供しにきただけなんだが……

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ!なんか勘違いしてないか?俺とコイツは別に……」

「同感だ。俺と明日香は先輩が思っているような関係じゃなーーー」

「今更言い訳とは見苦しいぞ2人とも!」

 

…………この近距離でそんな大声を出すな。

 

「明日香君をコイツとか呼び捨てとは……僕が思っていたより深い関係のようだ……2人とも、僕とデュエルだ」

 

…………面倒なことになってきた。十代に面倒事を押し付けようとしたら俺が巻き込まれた。

 

「君達もデュエリストなら、ここはデュエルで決着をつけようじゃないか。勝ったほうが、明日香君のフィアンセだ!」

 

明日香まで巻き込まれた。明日香も十代も抗議しているが綾小路は無視。そして離れたところにいる浜口はなんか盛り上がっている様子。お前ちょっとポジション代われ。

 

「まずは君だ!」

 

綾小路は俺を相手に指名してきた。

 

「…………明日香本人の了承も無しに決めるなアンタは……すまない明日香、情報は後にしてくれ。まずはコイツを叩き潰す」

「…………やりすぎないでよ」

 

巻き込まれることには了承するんだな。

互いにテニスコートの両端に移動してデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

綾小路ミツル

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「先攻は僕がもらう!ドロー!魔法カード【サービスエース】発動!僕の手札1枚の種類を当てる。当たれば僕に、外れたら君に1500ポイントのダメージだ」

「魔法カード」

「即答だね……しかし残念だがモンスターカードだ」

 

【メガ・サンダーボール】……?通常モンスターか。

 

「君はこのカードの種類を当てられなかった。よって【メガ・サンダーボール】を除外し、君に1500ポイントのダメージを与える!」

 

宣言とともにカードからテニスボールほどの大きさの光が飛び出し、俺の足下で爆発した。

 

「…………」

 

宮田龍斗

LP4000→2500

 

「僕はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

綾小路ミツル

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

モンスター無し……そしてこの手札……なんとかなるだろう。

 

「俺のターン、ドロー。【ローンファイア・ブロッサム】を召喚」

 

【ローンファイア・ブロッサム】

攻撃表示

ATK500/DEF1400

 

「効果発動。俺の場のモンスターをリリースしてデッキから植物族モンスターを特殊召喚する。【ローンファイア・ブロッサム】自身をリリースしてデッキから【アロマージーカナンガ】を特殊召喚」

 

【アロマージーカナンガ】

攻撃表示

ATK1400/DEF1000

 

現れたのは若草色の髪をした研究者のような出で立ちをした女性。

 

「フィールド魔法【アロマガーデン】発動」

 

俺の背後に赤い屋根の家と花が咲き誇る庭が出現し、俺の頭上に花で出来たゲートが作られる。

 

「【アロマガーデン】の効果発動。1ターンに1度、俺の場に【アロマ】モンスターがいるとき、ライフを500回復。この効果の発動後、次の相手ターン終了時まで、俺の場のモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントアップする」

 

花のゲートから光る粒子が俺の体に注がれ、花の香りを模したエフェクトが【カナンガ】を包んだ。

 

宮田龍斗

LP2500→3000

 

【アロマージーカナンガ】

ATK1400/DEF1000→ATK1900/DEF1500

 

「【カナンガ】の効果、ライフが回復した場合、相手の魔法・罠カードを手札に戻す」

 

【カナンガ】は腰のポーチから2つの薬品を取り出して混ぜ、すぐにリバースカードのそばに放る。混ぜられた薬品はポンッという軽快な音とともにカードを吹き飛ばした。

 

「僕のカードを手札に……!?」

「バトルだ。【アロマージーカナンガ】でダイレクトアタック」

 

【カナンガ】は再びポーチから2つの薬品を取り出し混ぜるこれでもかという勢いで混ぜ、薬品を扱っているとは思えない投げ方で綾小路に放る。混ぜられた薬品は彼のそばで大爆発をおこした。

 

「ぐぅぅ!!」

 

綾小路ミツル

LP4000→2100

 

「カードを2枚伏せターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3000

モンスター

【アロマージーカナンガ】:攻

ATK1900

魔・罠

伏せ2枚

フィールド

【アロマガーデン】

手札2枚

 

「くっ……僕のターン、ドロー!魔法カード【スマッシュエース】!デッキの1番上のカードを捲り、それがモンスターカードなら相手に1000ポイントのダメージを与える!」

 

またバーンカード……おそらくバーンデッキ……

 

「……デッキの1番上のカードは【伝説のビッグサーバー】!君に1000ポイントのダメージだ!」

 

綾小路の頭上にテニスボールが出現。そしてもの凄いスピードで俺の足下に飛んできて爆発した。

 

宮田龍斗

LP3000→2000

 

「捲ったカードは墓地に送られる。そして手札から【神聖なる球体】を守備表示で召喚!」

 

【神聖なる球体】

守備表示

ATK500/DEF500

 

攻守500の通常モンスター……何をするつもりだ?

 

「カードを1枚伏せターンエンド!」

 

…………これでカイザーと互角?やはり噂は噂。信憑性にかけるな。

 

「……エンドフェイズに【カナンガ】の攻守が元に戻る。更にリバースカード、永続罠【神の恵み】。俺がドローするたびに、500ポイントのライフを回復する」

 

綾小路ミツル

LP2100

モンスター

【神聖なる球体】:守

DEF500

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「回復……では僕の伏せカードは……!」

「俺のターン、ドロー。【神の恵み】の効果でライフ回復」

 

宮田龍斗

LP2000→2500

 

「そしてライフ回復をトリガーに【カナンガ】の効果でそのリバースカードを手札に戻す」

 

再びポーチから薬品を取り出し混ぜてから投げる。

 

「【アロマージージャスミン】を召喚」

 

【アロマージージャスミン】

攻撃表示

ATK100/DEF1900

 

現れたのは白髪にも見える銀髪の少女。

 

「攻撃力100のモンスターを攻撃表示!?ふざけてるのか!!」

「フィールド魔法を忘れてないか?【アロマガーデン】の効果発動。【アロマ】モンスターがいるのでライフ回復。この効果発動後、俺の場のモンスターの攻撃力と守備力が500ポイントアップする」

 

再び俺の体に粒子が降り注ぎ、花の香りを模したエフェクトが【カナンガ】と【ジャスミン】を包んだ。

 

宮田龍斗

LP2500→3000

 

【アロマージーカナンガ】

ATK1400/DEF1000→ATK1900/DEF1500

 

【アロマージージャスミン】

ATK100/DEF1900→ATK600/DEF2400

 

「【ジャスミン】の効果発動。1ターンに1度。俺のライフが回復したことをトリガーに、カードを1枚ドローする。そしてドローしたことで【神の恵み】によってライフ回復」

 

宮田龍斗

LP3000→3500

手札2枚→3枚

 

「そうそう。言い忘れていたが、【アロマージ】達は2つの効果を持っていてな。1つはライフ回復をトリガーに発動する効果。もう1つは俺のライフが相手より上のときに発動する効果だ」

「……僕のライフは2100。そして君のライフは3500……つまり」

「効果が適用される。まずは【カナンガ】の効果を説明しておこう。【カナンガ】がいる限り相手の表側表示モンスターの攻撃力と守備力が500ポイントダウンする」

「な、なんだと!?」

 

【神聖なる球体】

ATK500/DEF500→ATK0/DEF0

 

「更に【ジャスミン】は通常召喚に加えて1度だけ手札の【ジャスミン】以外の植物族モンスターを召喚できる。まぁ残念ながら手札にモンスターがいないんだが」

 

俺の言葉に【ジャスミン】がしょんぼりと肩を落とした。なんかすまん。

 

「バトルだ。【ジャスミン】で【神聖なる球体】を攻撃」

 

【ジャスミン】が手に持っている細い杖で【神聖なる球体】を突き刺し、地面に叩きつけて割った。攻撃力の割にやることがエグい。

 

「【カナンガ】でダイレクトアタック」

 

また起こる爆発。なんか叫び声が聞こえた気がしたが爆発音でほぼ聞こえない。

 

綾小路ミツル

LP2100→200

 

「カードを1枚伏せターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3500

モンスター

【アロマージーカナンガ】:攻

ATK1900

【アロマージージャスミン】:攻

ATK600

魔・罠

【神の恵み】

伏せ2枚

フィールド

【アロマガーデン】

手札2枚

 

「僕は諦めない!明日香君を君なんかには渡さないぞ!僕のターン!」

 

いや、そもそも双方の合意がない時点でフィアンセも何もないんだが……その辺の理解をしていたら、こんなことにはなってないか。暑苦しくて人の話聞かない。なんていうか、最悪だ。面倒なことこの上ない。

 

「…………くっ!モンスターとカードを伏せてターンエンドだ……」

「このエンドフェイズに【アロマージ】達の攻守が元に戻る」

 

綾小路ミツル

LP200

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「………………ドロー。【神の恵み】でライフ回復」

 

宮田龍斗

LP3500→4000

 

「ライフ回復をトリガーに【ジャスミン】、【カナンガ】の効果だ。まずは【カナンガ】を処理しよう。そのリバースカードを手札に」

 

三度目の薬品投げ。そろそろ薬品の扱いについて説教したくなってきた。ソリッドヴィジョン相手だが……

 

「【ジャスミン】の効果で1枚ドロー。ドローしたので【神の恵み】でライフ回復」

 

宮田龍斗

LP4000→4500

手札3枚→4枚

 

「永続魔法【増草剤】発動。1ターンに1度、通常召喚をしない代わりに墓地の植物族モンスターを特殊召喚する。墓地から【ローンファイア・ブロッサム】を特殊召喚」

 

【増草剤】のカードからスプレー缶が出てきて、中身を噴出すると地面から【ローンファイア・ブロッサム】が姿を現した。

 

【ローンファイア・ブロッサム】

攻撃表示

ATK500/DEF1400

 

「【ローンファイア・ブロッサム】の効果で自身をリリースしてデッキから【アロマージーベルガモット】を特殊召喚。【増草剤】の効果で特殊召喚したモンスターがフィールドを離れたので【増草剤】は破壊される」

 

【アロマージーベルガモット】

攻撃表示

ATK2400/DEF1800

 

現れたのは赤い髪の青年。

 

「【アロマガーデン】の効果でライフ回復と攻守上昇」

 

宮田龍斗

LP4500→5000

 

【アロマージーカナンガ】

ATK1400/DEF1000→ATK1900/DEF1500

 

【アロマージージャスミン】

ATK100/DEF1900→ATK600/DEF2400

 

【アロマージーベルガモット】

ATK2400/DEF1800→ATK2900/DEF2300

 

「ライフ回復をトリガーに【ベルガモット】の効果発動。攻撃力と守備力を1000ポイントアップさせる」

 

【アロマージーベルガモット】

ATK2900/DEF2300→ATK3900/DEF3300

 

「【ベルガモット】は俺のライフが相手のライフを上回っているなら貫通効果を得る」

「こ、攻撃力3900の貫通効果だと!?」

 

リバースカードは無し。守備モンスターも下級ということはこの攻撃を防げないだろう。

 

「バトル。【ベルガモット】でダイレクトアタック」

 

【ベルガモット】が裏守備モンスターに蹴りを入れ吹き飛ばすと右手がテニスラケットのアンドロイド……【伝説のビッグサーバー】と思われるモンスターが姿を現し、綾小路を巻き込んで爆発した。

 

「うわぁぁぁぁあ!!」

 

綾小路ミツル

LP200→0

 

「ま……負けた……この僕が……う……ぅ……ぅわぁぁああ!!」

 

敗北が決定した直後、綾小路は号泣して逃げるようにグラウンドから去った。…………メンタルが弱すぎる……

 

「……まぁいいや。さて……と」

 

あの豆腐メンタルなんて言葉すら生温い脆弱すぎるメンタルについては忘却の彼方へ置いて、明日香達のいる方向を向く。

丸藤やら枕田に浜口は『勝ったら明日香のフィアンセ』というあの一方的な約束を思い出し、丸藤は微妙に落胆を、枕田と浜口は無意味に盛り上がっている。十代は意外にも無反応だ。

 

「で、俺はアレに勝利したんだが……」

「「「「……………………」」」」

 

明日香は若干の緊張を見せていて、枕田と浜口、丸藤は鬱陶しい感じに見守ってきてる。

 

「フィアンセ……つまり婚約者……もっと言えば婚約とは、双方の合意のもと築かれる関係だ。明日香の合意が無い以上あの約束……いや、暴走は気にするな」

 

『じゃあ』と言いたいことだけ言ってグラウンドから寮に戻る。実はまだ送ってないカードが数枚あるし。後ろから何か『つまらない』だの『がっかり』だのと声がするが気にしないでいこう。きっと俺には関係ない。この日の夕方、『デュエルなんて大っ嫌いだ』などと言う声がどこかから響いていたらしい。




…………ハッ!シンクロもエクシーズもしていない!……気にせずいきましょう。
なんで3年が1年の授業にいたのか理解できない作者です。
次回はターザンを追って龍斗がターザンします。


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ターザン VS.大山

今回はちょっとセーブしつつやりすぎる感じです。矛盾してるようですが、そんな感じです。


昼、ここ数日十代のドローパンの引きが悪いらしい。アカデミアが飼育している黄金の鶏が1日1つだけ生むという黄金のタマゴを使ったタマゴパンを20回連続で当てたという十代だが、1週間と数日、タマゴパンが当たらない日が続いているらしいのだ。個人的には定番の焼きそばパンでもいいと思うんだが…………

 

「……………………ドロー!」

 

十代はドローパンの袋を観察し、勢いよくパンを取る。すかさず袋を開けパンを食べる。

 

「うぁっ!甘栗パンだ……」

「これで10回連続ハズレッス」

 

俺も1つ食べてみよう。

あむ…………具無しパン…………。

 

「十代でもダメとはね……」

 

入り口からの良く聞く声に振り向くとそこにはやはり明日香がいた。その手にはドローパンが2つ。どれも食べかけだ。どっちか食い切ってから食えよ。

 

「おっ、明日香もタマゴパン狙ってるのか?」

「なっ!ち、違うわよ!私はドローの練習を!」

 

食べかけのパン2つ持って、顔を赤くしている時点で説得力無いぞ。ってかドローの練習ってなんだ。お前【ドゥローレン】で永続罠使い回して殴るだけだろ…………あと【ブリューナク】で吹き飛ばしたり。

 

「ゴメンね〜……その中にタマゴパンは入ってないんだよ」

 

トメさん(以前は名前も知らなかったが十代が教えてくれた。何故十代は名前を知っているんだ?)が申し訳なさそうな表情で現れた。トメさんが言うには、タマゴパンだけが盗まれているらしい。丸藤は凄い引きの強さとか言ってるが、それって窃盗だぞ。金払って…………ドローパン代忘れてた。レジ端末に行って代金を支払っている間に十代達は夜に張り込むことを決定したらしい。頑張れ。夢の中で応援してるぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでお前は異性の部屋に当たり前のように入ってきて堂々拉致するんだ?」

「こうでもしないと来ないでしょ」

 

眠いんだけど。

風呂も入って10時間くらい寝ようかと思っていた矢先、明日香がやってきて拉致られた。因みに着替える時間もくれなかったのでパジャマだ。ついでにアタッシュケースごとデッキを(明日香が)持ってきている。

 

「【トライデント・ドラギオン】で3連続攻撃」

「えっ、ちょっ!何それ!?」

 

何ってただの【ドラグニティ】だけども。暇なので明日香相手にデュエル。たまたま【大嵐】を引けたのでそこから【トライデント・ドラギオン】のロマン砲を撃って以前プレミでパーフェクトされた怨みを晴らすことに成功した。十代は隣で丸藤、前田とババ抜きしてる。おい、デュエルしろよ。デッキを片付けていると、トメさんが夜食におにぎりを持ってきてくれた。

幾つかある具をドローパンのように引き当てるゲームをする十代に巻き込まれ、たらこを引き当てたりと楽しく夜食を摂ることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待機している休憩室の灯りを消し、ドローパンを盗む奴が来るのをひたすら待つ。十代達レッド寮組はテーブルの下。明日香はロッカーの中。トメさんは机の下とそれぞれ隠れている。俺はすぐ動けるようにドアの近くに待機だ。そしてシャッターから何か音がした。全員がドアにへばりつく。見るとシャッターをこじ開ける人影が。アレって電動だよな……影はドローパンの籠に一直線に向かいドローパンを1つ取る。その瞬間にドアを開け、灯りを点け奴のもとへ行く。奴は上半身裸でボロボロのハーフパンツ……いや、制服か?を着ていて、『アーアアー!』と叫ぶと籠に乗りシャッターを突き破る。…………修繕費を請求しないとな……はぁ……

全員で追うと奴は森の奥に向かっていて、蔦をターザンのように伝って逃走していた。

 

「先回りするぞ!こっちだ!」

 

…………いや、このまま追う。十代達を無視して1人ターザンすることを決意した。俺はそこまで足が速くないからこのまま追ったほうが速いというのが主な理由だ。体格差からしても、奴の体重を耐えられるほどの丈夫さなら俺の体重にも耐えられるはずだし。しかしそれでも切れるんじゃないかと不安に思いつつ、なんとか奴に追い縋り十代達と合流。合流した場所はそばに滝のある山の中腹だ。奴はその滝を駆け上がる…………流石にアレは無理だ。

 

「大山君!」

「龍斗、お前あんな特技があったのか!?」

「……もうあんなことしたくない」

 

凄ぇ怖かった。

奴はトメさんが叫んだ大山なる名前に反応した。すると奴は手を滑らせ滝を真っ逆様に落ちていった……大丈夫か?しかし奴はすぐに上がってきてトメさんに挨拶していた。知り合いらしい。トメさん曰く、奴の名は大山平。オベリスク・ブルーの生徒だったが1年前に行方不明になったらしい。なんでも、よくドローパンを買うんだが例のタマゴパンを1度も手に入れられなかったらしい。更に大山が言うには筆記ではトップの成績だったが、実践では相手の場にサイコショッカーがいる状況で罠カードを引く等圧倒的に引きが悪かったらしい。ドロー力を磨くために山に籠って、ドローパンを使って実践していたと…………

 

「別にドローがデュエルの全てじゃないだろ」

「何!?」

「ドローがダメならサーチカードを使えばいい。ドロー回数を増やすカードだっていい。ドローフェイズの1回に頼る必要はないだろう」

 

寧ろデッキ改善以外の方法を教えていただきたい。プレイングなんて経験でどうとでもなるだろうし、ドローなんてようは運だ。運は改善のしようがない。

 

「1年も山籠りして得たのがドローパンでタマゴパンをゲット……非効率的だし、何より無駄だ」

「き、貴様ぁ……俺の修行が無駄だと……!」

「1年もやってそれに気付かないとは……その1年でアンタの同期は先に進んでいる。そして、DMも先へ進んだ。アンタの行為が無駄じゃないと言うのなら、見せてみろよ」

 

明日香からアタッシュケースを回収してデュエルディスクを出す。

大山もどこかから持ってきたデュエルディスクを構えた。マジで何処から持ってきた?

 

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

大山平

LP4000

 

「先攻はもらう。ドロー!【ダーク・グレファー】を召喚!」

 

【ダーク・グレファー】

攻撃表示

ATK1700/DEF1600

 

「【ダーク・グレファー】の効果発動!1ターンに1度、手札の闇属性モンスターを捨て、デッキから闇属性モンスターを墓地に送る!手札から【インフェルニティ・ビートル】を捨て、デッキから【インフェルニティ・ネクロマンサー】を墓地に送る!」

 

今回使うデッキは【インフェルニティ】。ワンショットはやろうと思えばできる程度の構築だ。たしかこのデッキ使ってるキャラが『満足』がどうのと言ってたな。

 

「カードを1枚セットしてターンエンド。さぁ、満足させてくれよ」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【ダーク・グレファー】:攻

ATK1700

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「修行の成果を見せてやる!俺のターン、ドロー!カードを1枚伏せ、【ドローラー】を召喚!」

 

【ドローラー】

攻撃表示

ATK?/DEF?

 

現れたのは石でできた巨大なローラーを付けた像。

 

「【ドローラー】は召喚に成功したときに手札をデッキの一番下に戻し、戻した枚数1枚につき500ポイントの攻撃力と守備力になる!俺は手札を4枚戻す!」

 

【ドローラー】

ATK?/DEF?→ATK2000/DEF2000

 

手札0……か。

 

「バトルだ!【ドローラー】で【ダーク・グレファー】を攻撃!ローラー・プレス!」

 

【ドローラー】はとりつけたローラーで【ダーク・グレファー】を潰した。酷い交通事故を見た。

 

宮田龍斗

LP4000→3700

 

「【ドローラー】が攻撃表示モンスターを破壊したとき、破壊されたモンスターはデッキの一番下に戻る!」

 

【死者蘇生】が使えないと……【グレファー】はそのまま放置する気満々だが……

 

「ターンエンド!」

 

大山平

LP4000

モンスター

【ドローラー】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「いきなり攻撃力2000のモンスターか」

「厄介といえば厄介だけど、龍斗なら気にしないわね」

「で、どっちが勝ってるの?」

「「「「………………」」」」

 

ギャラリーが好き勝手言ってるがトメさん、なんでこの学校の購買で働いてるんだ?

 

「……ドロー!……手札のレベル5以上の闇属性……【インフェルニティ・デストロイヤー】を捨て、【ダーク・グレファー】を特殊召喚!」

 

【ダーク・グレファー】

攻撃表示

ATK1700/DEF1600

 

「2枚目の【ダーク・グレファー】!?」

「効果発動!手札の【インフェルニティ・ガーディアン】を捨て、デッキから【インフェルニティ・デーモン】を墓地に送る」

 

あと1枚か。

 

「龍斗君、さっきから手札捨ててばっかり……」

「攻撃力2000のモンスター相手に手札減らしてどうするつもりなんだよ」

 

このデッキは手札いらないからな。捨てたりしないといけないんだ。

 

「【ダーク・グレファー】をリリースして【インフェルニティ・デストロイヤー】をアドバンス召喚!」

 

【インフェルニティ・デストロイヤー】

攻撃表示

ATK2300/DEF1000

 

「り、リリース?アドバンス召喚?」

 

大山は初めて聞いた単語なのか『?』マークを浮かべている。

明日香に目線を送ると軽〜く解説してくれた。直後の笑顔が怖い。

 

「バトル!【インフェルニティ・デストロイヤー】で【ドローラー】を攻撃!」

 

【インフェルニティ・デストロイヤー】が【ドローラー】を殴り破壊。なんかシンプルだな。

 

「くっ……!【ドローラー】をこうも容易く!」

 

大山平

LP4000→3700

 

「【インフェルニティ・デストロイヤー】の効果発動!手札0で相手モンスターを戦闘で破壊し墓地へ送ったとき、相手プレイヤーに1600ポイントのダメージを与える!」

「な、なんだと!?」

「龍斗はこのために自分から手札を捨てていたのか!」

 

【インフェルニティ・デストロイヤー】の目から赤いビームが大山に向けて放たれる。攻撃より派手だ。

 

大山平

LP3700→2100

 

「ターンエンド」

「…………エンドフェイズに永続罠【奇跡のドロー!】を発動!ドローフェイズの前にカード名を宣言する!当たれば相手に、外れたら俺に1000ポイントのダメージを与える!」

 

デッキトップのカード名を当てるか。ドローに拘るな……丸藤や前田は当てられるわけがないとか言ってるが、それってフラグなんじゃ……

 

宮田龍斗

モンスター

【インフェルニティ・デストロイヤー】:攻

ATK2300

魔・罠

伏せ1枚

手札満足

 

「…………」

 

大山はデッキトップに指を置き瞑想を始めた。カード名を当てる気満々だな。

 

「…………ドローカードは、【カードローン】!」

 

ドローしたカードをこちらに見せる…………暗くてよく見えない……

 

「ちょっと待て。確認しにいく」

 

駆け足で近寄って確認。……たしかに【カードローン】だ。

 

「確認した」

 

確認終了と同時にデュエルディスクから軽い衝撃がきた。

 

宮田龍斗

LP3700→2700

 

再び駆け足で元の位置へ。

 

「【カードローン】発動!カードをドローして相手は1000ポイントのライフを回復し、俺は1000ポイントのダメージを受ける!この効果で引いたカードはエンドフェイズにデッキに戻しシャッフルする!」

 

宮田龍斗

LP2700→3700

 

大山平

LP2100→1100

 

「【ドローボウ】発動!俺はカード名を宣言して、相手は1枚ドローする!ドローしたカードが宣言したカードなら相手の手札とフィールドのカード全てをデッキに戻す!」

 

俺のデッキトップを当てる?知らないカードばかりなのに?まぁ、知ってるカードもあるし、問題無いか。

 

「……………【死者蘇生】だ!」

 

大山の宣言に合わせてドローする。

 

宮田龍斗

手札満足→不満足

 

「……ほう。大したものだな」

 

引いたカードは【死者蘇生】だった。

効果により手札とフィールドのカード全てをデッキに戻す。

 

「ターンエンド!」

 

大山平

LP1100

モンスター

魔・罠

【奇跡のドロー!】

手札0枚

 

「手札もフィールドも0か」

「だけど相手ライフは1100。モンスターカードを引ければ大ダメージよ」

「で、どっちが勝ったんだい?」

「「「「「………………」」」」」

「まだ」

 

丸藤が2文字で解説した。本当にトメさん、なんでこの学校で働いてるんだ?

 

「俺のターン、ドロー!……【インフェルニティ・ミラージュ】を召喚!」

 

【インフェルニティ・ミラージュ】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

「攻撃力0……ドローの神に見捨てられたな!」

「いや、むしろその神とやらは俺に微笑んだ」

 

一瞬あの自称神が脳裏をよぎったが脳内でバックドロップしてやった。

 

「見せてやるよ。このデッキの、ハンドレスコンボ!」

 

そんな名前だったよな……?手札0(ハンドレス)だし。

 

「ハンドレスコンボ!?」

「【インフェルニティ・ミラージュ】の効果発動!俺の手札が0の場合、このモンスターをリリースして墓地の【インフェルニティ】モンスター2体を特殊召喚する!来い!チューナーモンスター【インフェルニティ・ビートル】!【インフェルニティ・デーモン】!」

 

【インフェルニティ・ビートル】

攻撃表示

ATK1200/DEF0

 

【インフェルニティ・デーモン】

攻撃表示

ATK1800/DEF1200

 

「チューナー……モンスター……?」

「【インフェルニティ・デーモン】の効果発動!特殊召喚に成功したとき、デッキから【インフェルニティ】カードを手札に加えることができる!【インフェルニティ・ガン】を手札に加えてセット!そして【インフェルニティ・ビートル】の効果発動!手札が0の場合、このモンスターをリリースしてデッキから【インフェルニティ・ビートル】を2体まで特殊召喚する!2体特殊召喚!」

 

【インフェルニティ・ビートル】×2

攻撃表示

ATK1200/DEF0

 

「レベル4の【インフェルニティ・デーモン】にレベル2の【インフェルニティ・ビートル】をチューニング!

戦場を駆け抜けろ大地の騎士!その槍で全てを貫け!シンクロ召喚!現れろ!レベル6!【大地の騎士 ガイアナイト】!」

 

【大地の騎士 ガイアナイト】

攻撃表示

ATK2600/DEF800

 

「し、シンクロ召喚!?なんだこれは!?」

「これが、DMの進化の1つだ。レベル6の【ガイアナイト】にレベル2の【インフェルニティ・ビートル】をチューニング!死者と生者、零にて交わりし時、永劫の檻より魔の龍は放たれる!シンクロ召喚!来い!レベル8!【インフェルニティ・デス・ドラゴン】!」

 

【インフェルニティ・デス・ドラゴン】

攻撃表示

ATK3000/DEF2400

 

「こ、攻撃力3000!?【青眼の白龍】と同じ攻撃力だと!?」

「リバースカード【インフェルニティ・ガン】!手札0の場合、このカードを墓地に送り、墓地の【インフェルニティ】モンスター2体を特殊召喚する!蘇れ【インフェルニティ・ビートル】!【インフェルニティ・デストロイヤー】!」

 

【インフェルニティ・ビートル】

攻撃表示

ATK1200/DEF0

 

【インフェルニティ・デストロイヤー】

攻撃表示

ATK2300/DEF1000

 

「レベル6の【インフェルニティ・デストロイヤー】にレベル2の【インフェルニティ・ビートル】をチューニング!地獄と天国の狭間、煉獄より姿を現せ!シンクロ召喚!出でよ!レベル8!【煉獄龍 オーガ・ドラグーン】!」

 

【煉獄龍 オーガ・ドラグーン】

攻撃表示

ATK3000/DEF3000

 

「攻撃力3000のモンスターが2体……それも1ターンで……これがハンドレスコンボ……!」

「バトル!【インフェルニティ・デス・ドラゴン】、【オーガ・ドラグーン】でダイレクトアタック!」

 

【インフェルニティ・デス・ドラゴン】と【オーガ・ドラグーン】がブレスを放ち大山のライフを削る。

 

「ぅわぁぁぁぁあ!!」

 

大山平

LP1100→-4900

 

「負けた……俺は……まだドローを極めてなかったのか……」

 

…………ドローを極めるってなんだ?十代達を見ると十代とトメさん以外はわからないといった仕草をしていた。

そして十代は大山のところへ。

 

「なぁ、お前スゲーな!ドローカードを当てるなんてさ!」

「ぇ…………」

 

大山は十代を目を丸くして見ている。

 

「今度は俺と勝負しようぜ!どっちがタマゴパンをドローできるか勝負だ!」

 

いや十代、デュエルしろよ。

翌日、大山は復学して再びオベリスク・ブルーの生徒となった。そして早速十代の挑戦を受けドローパンによる勝負を……

 

「当たった〜!」

 

2人がドローパンを選別していると聞き覚えのある声、そしてこの状況で1番聞きたくない内容が聞こえた。

声のした方を見ると明日香がタマゴパンを嬉しそうに掲げていた。

…………勝負はまた明日だな。




セーブ……トリシューラ使わなかった。
やりすぎ……別にシンクロしなくても良かった。
です。
本当は【インフェルニティ】はテニス部部長相手に使おうと思ってました。
【インフェルニティ・ゼロ】でライフ0でも生きてるZE!ってやろうと思ったんですが、【サービスエース】の効果からすると発動できないパターンあるんじゃね?と思い【アロマージ】に変更した次第。
次回はVS遊戯デッキ!の話がポロっと出てくるだけで本当はVS翔です。


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勘違い VS.翔

VS遊戯デッキ?そんな話知りませんな……
指摘があったので修正しました。


「展示の手伝い?」

 

ある日、海馬さんから電話があり開口一番に『展示の手伝いをしろ』と言われた。

 

[そうだ。近々デュエルアカデミアで遊戯のデッキのレプリカが展示される。警備は用意するが、お前も展示の準備を手伝え]

「わかりました」

 

雇い主の1人から言われたら従うしかない。しかし武藤遊戯のデッキか……展示会場には生徒、教師で満員だろうな。用はそれだけらしく、返事をした途端に電話を切られた。……ダークシンクロはどうしたんだろう……まだ完成してないのか。

数日後、翌日に展示を控えた日の夜に警備員数名がデッキが入っているであろうケースとともにやってきて、軽い挨拶の後すぐに展示の準備を開始。デュエルアカデミアからも手伝いの人員が用意され、クロノスが準備に参加するらしい。

展示室は今は使用していない倉庫を使って行うらしい。今回のためにデュエルアカデミアが発注したガラスケースや展示台を警備員数名とともに運び出し、その間にクロノスが武藤遊戯のポスターを貼る…………代われ。こっちは重い物運んで大変なんだ。展示の準備といっても大したことはせず、すぐに作業は終了した。

 

「では、我々は宿舎に。ガラスケースの鍵をお返しします」

 

クロノスは警備員からガラスケースの鍵を受け取り、警備員は用意された宿舎に向かった。

 

「…………では、クロノス先生。俺も失礼します」

「ご苦労様ナノーネ」

 

クロノスと別れて寮に戻る。

部屋に戻ると、三沢がいない。食堂……いや、風呂かな?と結論付けて今日の授業で出された課題を片付け就寝。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「デッキが盗まれた?」

「ええ。すぐに戻ってきたけど」

 

十代達と昼食中、十代達は昨日のデュエルの話をしていた。話の途中に【ブラック・マジシャン】だの【ブラック・マジシャン・ガール】だのとこの世界ではある人物のキーカードばかりが出てきたのでどういうことか聞くと武藤遊戯のデッキが盗まれたらしい。

明日香の話と俺の行動から、準備の直後に盗まれたらしい。クロノスが鍵を受け取ったのは唯一の出入り口前。つまりあの状況から、あそこは侵入不可の場所のはず……なのにどうやって……?いや、盗んだルートは置いておこう。

盗んだのはラー・イエローの神楽坂という生徒。十代の話では記憶力がズバ抜けていて、それ故にデッキを作ると他人のデッキに似てしまい、使う戦術は誰かがどこかで見たものであるため、弱点を突かれたりで勝率は良くないらしい……って三沢が教えてくれたと。おそらく勝ちたいがために伝説のデュエリストのデッキを使うことを考えたのだろう。

だが十代が神楽坂を倒してデッキを取り戻したという話だ。

 

「全生徒がデッキを見に行ったと思ってたのだけど……」

「アンタってマイペースっていうか、ズレてるというか……」

「変わった人ッス……」

 

なんかジト目で見られた。俺としては見れるのなら不法侵入なんてしなくていいだろうと思うのだが、おかしいのは俺なのか?

 

「デュエリストなら、伝説と言われた武藤遊戯のデッキを見にいくのは当然です」

「いや浜口、それはなんとなくわかるが、全生徒が見れるのなら展示開始時刻以降に見に行けばいいだけで、夜に忍びこむ理由はないだろ」

「一刻も早く見たいと思うじゃない!」

「枕田、展示される時間が決まってるならこちらがその時間を守るべきだ」

 

なんで俺はこんなにアウェーなんだ?正論言ってるのは俺だと思うんだが……1人動揺していると、携帯が振動した。おそらくゆまだろう。しょっちゅうメール寄越すし。

確認してみると…………あ、話ズレてる……えっと、つまり……あー、明日デュエルアカデミアに来るらしい。着くのは夕方か……迎えに行けそうだな。

 

「龍斗、携帯なんて弄ってどうしたんだ?」

「ん?ああ、実はーーー」

「もしかして本土にいる恋人からですか!?」

「なんだって!?」

 

いや、従妹なんだが……

浜口の勝手な妄想を丸藤が信じやがった。これは……いつぞやのテニス部部長並みの面倒臭さを感じるぞ。

 

「龍斗君……ボクとデュエルだ!ボクが勝ったらどんな娘か白状するんだ!」

「人の話を聞け丸藤。恋人なんかじゃなくてーーー」

「言い訳無用だよ!さぁ、デュエルだ!」

 

……なんでコイツ暴走してんだ?

 

「はぁっ……浜口のせいだ……」

 

今度ドローパンか何かを奢らせることで妥協して互いにデュエルディスクを構える。

 

「デュエル!」

「……デュエル」

 

丸藤翔

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「ボクのターン、ドロー!【融合】を発動!手札の【レスキューロイド】と【キューキューロイド】を融合!出でよ!【レスキューキューロイド】!」

 

【レスキューキューロイド】

攻撃表示

ATK2300/DEF1800

 

「更に【デコイロイド】を守備表示で召喚!」

 

【デコイロイド】

守備表示

ATK300/DEF500

 

「ターンエンド!」

 

丸藤翔

LP4000

モンスター

【レスキューキューロイド】:攻

ATK2300

【デコイロイド】:守

DEF500

魔・罠

手札2枚

 

「……俺のターン、ドロー!【幻獣機テザーウルフ】を召喚!」

 

【幻獣機テザーウルフ】

攻撃表示

ATK1700/DEF1200

 

現れたのは狼の体をモチーフにしたであろうヘリ。音が凄いうるさい。

 

「【テザーウルフ】の召喚に成功したとき、【幻獣機トークン】を特殊召喚する!守備表示で特殊召喚!」

 

【幻獣機トークン】

守備表示

ATK0/DEF0

 

次に出てきたのは戦闘機。ただかなり透けていて、向こう側が見える。

 

「【テザーウルフ】は【トークン】がいる限り戦闘及びカード効果では破壊されない。また俺の場の【幻獣機トークン】のレベルの合計分、このカードのレベルが上がる」

 

【幻獣機テザーウルフ】

レベル4→7

 

「まさかその【トークン】がチューナーなんてことは無いッスよね……?」

「残念だがただの風属性、レベル3、攻守0のトークンだよ。効果も無い」

 

チューナーのトークンって使い辛いような……いや、でもこういうカテゴリーなら行けるか……

 

「バトル!【テザーウルフ】で【レスキューキューロイド】を攻撃!」

「【デコイロイド】の効果で攻撃対象は【デコイロイド】になる!」

 

攻撃対象の制限か……特にやることは無く、【テザーウルフ】からアームが伸び、そこからレーザーが放たれ【デコイロイド】を破壊した。

 

「【レスキューキューロイド】の効果発動!1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘で破壊されたとき、そのモンスターを守備表示で特殊召喚する!蘇れ【デコイロイド】!」

 

【デコイロイド】

守備表示

ATK300/DEF500

 

面倒な……アレを突破するのに3回攻撃するか効果で除去するかしかないとか割に合わないだろ。

 

「……カードを3枚セットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【幻獣機テザーウルフ】:攻

ATK1700

【幻獣機トークン】:守

DEF0

魔・罠

伏せ3枚

手札1枚

 

「翔君やるわね。龍斗の攻撃を凌いだ」

「でも龍斗さんのフィールドには伏せカードが3枚……」

「守りが固そうね」

 

凄い柔らかいぞ。1枚はエンジンというか、必要なパーツだからな。

 

「ボクのターン、ドロー!【強欲な壺】!カードを2枚ドローする!」

 

丸藤翔

手札2枚→4枚

 

「…………」

 

丸藤はドローしたカードを確認するとニヤリと笑みを浮かべてこちらを見た。なにかいいカードを引いたのか。

 

「バトルだ!」

「少し待ってもらおう。リバースカード、永続罠【空中補給(エアリアル・チャージ)】!1ターンに1度、俺のフィールドに【幻獣機トークン】を特殊召喚する」

 

【幻獣機トークン】

守備表示

ATK0/DEF0

 

「そして【幻獣機トークン】が増えたので【テザーウルフ】のレベルが上がる」

 

【幻獣機テザーウルフ】

レベル7→10

 

「でも所詮守備力は0だ!行け【レスキューキューロイド】!【幻獣機トークン】を攻撃!」

「速攻魔法【ドロー・マッスル】発動!俺のフィールドの表側守備表示でいる守備力1000以下のモンスター……【幻獣機トークン】を対象に発動。俺はカードを1枚ドローして、対象モンスターはこのターン戦闘では破壊されない」

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚

 

【レスキューキューロイド】が【幻獣機トークン】に体当たりをしかけるも、上空に逃げてやりすごした。

 

「まだバトルフェイズは終わらないよ!速攻魔法【融合解除】!【レスキューキューロイド】の融合を解除して【レスキューロイド】と【キューキューロイド】を特殊召喚!」

 

【レスキューロイド】

攻撃表示

ATK1600/DEF1800

 

【キューキューロイド】

守備表示

ATK300/DEF1200

 

「【レスキューロイド】で【ドロー・マッスル】の効果を受けていない方の【幻獣機トークン】を攻撃!」

 

【レスキューロイド】が【幻獣機トークン】にのしかかり圧殺した。

 

【幻獣機テザーウルフ】

レベル10→7

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

「【空中補給】の効果だ。互いのターンのエンドフェイズに【幻獣機】モンスターをリリースするか、このカードを墓地に送る。【幻獣機トークン】をリリース」

 

【幻獣機トークン】が何処かに飛び去った……リリースじゃないだろ……

 

【幻獣機テザーウルフ】

レベル7→4

 

丸藤翔

LP4000

モンスター

【デコイロイド】:守

DEF500

【レスキューロイド】:攻

ATK1600

【キューキューロイド】:守

DEF1200

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!」

「リバースカード、オープン!永続罠【サイバー・サモン・ブラスター】!機械族モンスターの特殊召喚に成功するたびに、相手に300ポイントのダメージを与える!」

 

丸藤の背後に電波の受信機のような砲台が出現した。

今回の俺のデッキは機械族ばかり……面倒くせぇ……別にパーフェクトなんて狙ってないけど、攻撃対象は【デコイロイド】に限定されて、特殊召喚すればダメージ……

 

「【幻獣機コルトウィング】を召喚!」

 

【幻獣機コルトウィング】

攻撃表示

ATK1600/DEF1500

 

「【コルトウィング】も【テザーウルフ】同様【トークン】がいれば戦闘及びカード効果で破壊されず、フィールドの【幻獣機トークン】のレベルの合計分、レベルが上がる」

「でも龍斗君のフィールドに【幻獣機トークン】はいない」

「それでも龍斗のフィールドにレベル4のモンスターが2体……」

「エクシーズできるわ」

 

明日香や枕田はランク4を予想してるのか?確かに召喚できるが……

 

「【空中補給】の効果で【幻獣機トークン】を特殊召喚」

 

【幻獣機トークン】

守備表示

ATK0/DEF0

 

【幻獣機テザーウルフ】

レベル4→7

 

【幻獣機コルトウィング】

レベル4→7

 

「【サイバー・サモン・ブラスター】の効果で300ポイントのダメージッス!」

 

青白いレーザーが俺を襲う。俺の全身を包むほどの太さって300ポイントのエフェクトじゃないだろ。……そろそろ真剣に海馬さんにエフェクトの修正を頼もうかな……

 

宮田龍斗

LP4000→3700

 

「……レベル7となった【テザーウルフ】と【コルトウィング】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!幻さえも現実に干渉させ、新たな幻を見せよ!エクシーズ召喚!出撃せよ!ランク7!【幻獣機ドラゴサック】!」

 

【幻獣機ドラゴサック】

攻撃表示

ATK2600/DEF2200

 

現れたのは飛行機に龍を模した首を取り付けたようなモンスター。

そして【サイバー・サモン・ブラスター】が再びレーザーを放つ。

 

宮田龍斗

LP3700→3400

 

「【ドラゴサック】の効果発動!1ターンに1度、俺のフィールドにいる【幻獣機】モンスターをリリースして、フィールドのカードを1枚破壊する!ただし、このターン【ドラゴサック】は攻撃できない!【幻獣機トークン】をリリースして【デコイロイド】を破壊!」

 

【幻獣機トークン】が【ドラゴサック】の上に接続され、カタパルトのように射出。【デコイロイド】を木っ端微塵にした。

 

「ああっ!【デコイロイド】が!」

「【ドラゴサック】のもう1つの効果発動!1ターンに1度ORUを1つ使い、俺のフィールドに【幻獣機トークン】を2体特殊召喚する!2体ともに守備表示だ」

 

【幻獣機トークン】×2

守備表示

ATK0/DEF0

 

3度目のレーザー。そろそろ鬱陶しくなってきた。

 

宮田龍斗

LP3400→3100

 

「エンドフェイズに【空中補給】の効果で【幻獣機トークン】1体をリリースしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3100

モンスター

【幻獣機ドラゴサック】:攻

ATK2600

【幻獣機トークン】:守

DEF0

魔・罠

【空中補給】

伏せ1枚

手札2枚

 

「ボクのターン、ドロー!」

「スタンバイフェイズに【空中補給】を使っておこうか。守備表示で【幻獣機トークン】を特殊召喚する」

 

【幻獣機トークン】

守備表示

ATK0/DEF0

 

宮田龍斗

LP3100→2800

 

「【サイクロン】発動!【空中補給】を破壊するッス!」

 

風に飛ばされる【空中補給】……破壊ってか物理的に除外されたようなエフェクト……

 

「【空中補給】の効果にチェーンすれば【トークン】が召喚されなかったのによかったのか?」

「え!?そうなんッスか!?」

 

丸藤の発言に俺達は思わず沈黙してしまった。

 

「…………今度真面目に勉強させるか……」

 

こんなプレイングなら勝てるものも勝てない場合があるしな。

 

「……まぁいいや。続けよう」

「う、うん。このままバトル!【レスキューロイド】で【幻獣機トークン】を攻撃!」

 

【レスキューロイド】の体当たりによって【幻獣機トークン】が砕け散った。

 

「ターンエンド!」

 

丸藤翔

LP4000

モンスター

【レスキューロイド】:攻

ATK1600

【キューキューロイド】:守

DEF1200

魔・罠

【サイバー・サモン・ブラスター】

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!【ドラゴサック】の効果でORUを1つ使い【幻獣機トークン】を2体特殊召喚!」

 

【幻獣機トークン】×2

守備表示

ATK0/DEF0

 

宮田龍斗

LP2800→2500

 

「更に【幻獣機トークン】をリリースして【キューキューロイド】を破壊する!」

 

【幻獣機トークン】が再び射出され、【キューキューロイド】を破壊した。

 

「更にチューナーモンスター【幻獣機ブルーインパラス】を召喚!」

 

【幻獣機ブルーインパラス】

攻撃表示

ATK1400/DEF1100

 

現れたのは青い戦闘機。モチーフになっている動物は……わからん。

 

「チューナーモンスター……合計レベルは6……」

 

丸藤は【トークン】を使ってシンクロする先をイメージしているらしい。ならそのイメージを粉砕しよう。

 

「手札のレベル4【幻獣機テザーウルフ】にレベル3の【幻獣機ブルーインパラス】をチューニング!」

「て、手札から素材を!?」

「そんなモンスターがいたの!?」

 

丸藤が驚くだけでなく、明日香達も目を丸くしている。手札からシンクロできるモンスターを教えてなかったな。今度教えよう。

 

「【ブルーインパラス】はフィールドだけでなく、手札の【幻獣機】を素材にできるんだ!」

 

正確には手札・フィールドの【幻獣機】でなければならないんだけど、細かいところは後でいいか。

 

「幻を守護する鋼鉄の翼!音速の疾さで我がもとへ!シンクロ召喚!発進!レベル7!【幻獣機コンコルーダ】!」

 

【幻獣機コンコルーダ】

攻撃表示

ATK2400/DEF1200

 

宮田龍斗

LP2500→2200

 

「【コンコルーダ】がいる限り、俺のフィールドの【トークン】は戦闘及び効果で破壊されない」

「そ、それじゃあ龍斗君にダイレクトアタックできなんスか!?」

「いや、【コンコルーダ】を破壊すれば関係ないし、ダイレクトアタックできる効果を持つモンスターならダイレクトアタックできる」

「攻撃力2400のモンスターを破壊するなんて……」

 

いや、手段は豊富だぞ。【ミラフォ】に【ブラホ】……これ今は禁止か。じゃあ【ライボル】……【カタストル】……

 

 

「バトル!【コンコルーダ】で【レスキューロイド】を攻撃!」

 

【コンコルーダ】から鳥の脚を模した機械出てきて【レスキューロイド】を持ち上げ落とす。【レスキューロイド】は衝撃に耐えられず破壊された。

 

「くぅ……!」

 

丸藤翔

LP4000→3200

 

「ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP2200

モンスター

【幻獣機ドラゴサック】:攻

ATK2600

【幻獣機コンコルーダ】:攻

ATK2400

【幻獣機トークン】:守

DEF0

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「ボクのターン、ドロー!……【ジャイロイド】を守備表示で召喚……」

 

【ジャイロイド】

守備表示

ATK1000/DEF1000

 

「ターンエンドッス……」

 

丸藤翔

LP3200

モンスター

【ジャイロイド】:守

DEF1000

魔・罠

【サイバー・サモン・ブラスター】

手札2枚

 

「なんだもういいのか?」

「し、仕方ないんス。手札がこんなんじゃ……」

 

事故ってるらしい。だからといって手は抜かないが。

 

「俺のターン、ドロー!【幻獣機ブラックファルコン】を召喚!」

 

【幻獣機ブラックファルコン】

攻撃表示

ATK1200/DEF1700

 

「【ブラックファルコン】も【幻獣機トークン】のレベルの合計分、自身のレベルを上げる」

 

【幻獣機ブラックファルコン】

レベル4→7

 

「【ドラゴサック】の効果で【幻獣機トークン】をリリースして【ジャイロイド】を破壊!」

 

3度目の射出。こころなしか【幻獣機トークン】に疲れが見える。

 

【幻獣機ブラックファルコン】

レベル7→4

 

「バトル!【コンコルーダ】と【ブラックファルコン】でダイレクトアタック!【ブラックファルコン】の効果で【幻獣機トークン】を特殊召喚!」

 

【幻獣機トークン】

守備表示

ATK0/DEF0

 

【幻獣機ブラックファルコン】

レベル4→7

 

宮田龍斗

LP2200→1900

 

【コンコルーダ】と【ブラックファルコン】が丸藤のそばを飛行。衝撃波が丸藤を襲う。

 

「うわぁぁああ!!」

 

丸藤翔

LP3200→800→-400

 

「ま、負けた……」

「……まず俺の話を聞けよ……携帯を弄っていたのは従妹からメールが来たからだ」

「へ?い、従妹?恋人じゃなくて?」

「それは浜口の勝手な妄想だ」

 

チラリと浜口を見ると目を逸らしてやがった。あ、そういえばゆまの案内をしなきゃならないのか……よし。

 

「浜口、今度その従妹が編入してくるから、色々案内を頼んだぞ」

「わ、わかりました」

 

ピンポイントに頼んだ理由は流石に理解しているか。明日の夕方に来ることを伝えたところで昼休みが終わった。なんかタイミング良いな。




忍び込むのはよくないんでーす。
次回はゆまがアカデミアに編入。そしてあの子もやってきます。


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恋 十代VS.レイ

ということで【ライトロード】使いのレイちゃん登場です。


ゆまが編入のためデュエルアカデミアにやってくる日、浜口とともに港にやってきた。

 

「その従妹というのはどんな娘なんです?」

「どんなって言われてもなぁ……十代と同じ【HERO】使いってことくらいか?」

「そ、それだけですの?」

 

1週間しか一緒にいなかったしな。それ以前は知らん。少しすると船がやってきて、購買へ行くであろう大きな荷物に続いてゆまが来た。

 

「お兄ちゃん!」

「よく来たな。ゆま」

 

ゆまは以前のように抱きついてくるなんてことはなく、俺の隣にいる浜口を見てキョトンとした表情をしていた。

 

「お兄ちゃん、その人は?もしかして彼女さん!?」

 

何故そうなる?

 

「違うよ。同級生の浜口ももえ。お前の案内役だ」

「よろしくお願いします。ゆまさん」

 

浜口は自然に、ゆまは少し緊張気味に握手をする。

 

「よ、よろしくお願いします!あ、でも案内ならお兄ちゃんに……」

「男の俺だと案内できない場所とかあるだろ……だから女子のコイツに案内役をさせるんだ。とりあえずまず職員室に行くぞ」

 

浜口とゆまを引き連れて校舎へ向かう。ゆまは校舎内をキョロキョロと見ていたが、先に職員室に挨拶に行かせた。俺と一緒に来たこと、同じ『宮田』ということに関係者か聞かれたので普通に従妹と答えた。

 

「お兄ちゃん、有名人みたいだね!」

「有名人といえばそうかも知れませんね」

「教師なら生徒を覚えていても不思議じゃないだろ」

 

職員室を出た直後、ゆまが興奮気味に話しかけてきたので若干冷めたように対応するがゆまはスルーして尚興奮気味だ。何がゆまをここまで興奮させるんだ?

 

「校舎の案内は明日でいいだろう。浜口、ゆまを寮に連れて行ってくれ」

「わかりました」

「え?お兄ちゃんは?」

「…………男子と女子は寮が違うんだ。浜口に色々面倒見てもらえ」

「……わ、わかった……」

 

何故か納得いかないような態度で了承された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

今日は日曜だが、月一の集会があるため校舎にいる。少し早め十代達に校舎前に来るように言って、先に合流した明日香達テスターとゆまの5人で十代達を待っていると、

 

「どうしたんだよ龍斗。いきなり呼び出して」

 

その声とともに十代と丸藤、前田、あと……知らない人がやってきた。三沢も呼んだはずなんだが……アイツはまだか?まぁ先に紹介しておくか。

 

「一昨日言ってた従妹を紹介しようと思ってな。ゆま、こっちに来い」

 

ゆまには『友人に紹介する』と伝えてあったからか、特に初対面でも緊張するということはなく普通に自己紹介していた。

 

「で、こっちのメンバーなんだが、体が大きいやつが前田隼人」

「よろしくなんだなあ」

「その隣にいるのが丸藤翔」

「よろしくッス」

「で、コイツが遊城十代。お前と同じ【HERO】使いだ」

「よろしくな!お前も【HERO】使いか〜!なぁ、デュエルしようぜ!」

 

いきなりゆまとデュエルしようとするなよ十代。お前にはやることがあるだろ。

 

「十代、デュエルするのは自由だが、その前に……」

 

どこかで見たような気がする、丸藤と同じくらいに小柄な奴をチラ見しながら言う。十代は『忘れてた』と言いながら紹介してくれた。

 

「昨日編入してきたレイって言うんだ!編入してした奴はオシリス・レッドかららしいんだ」

 

編入……あーいたな。このくらいの体格で【恋する乙女】を使ってた奴。そうか合格したのか。

 

「宮田龍斗だ。よろしく」

「よ、よろしく」

 

軽く紹介したあと、明日香達も紹介することになり、直後に三沢も合流。ゆまに『俺と同室の奴で成績はトップクラス』と三沢を紹介。

勉強関連は三沢に聞くことを勧めてみたが、ゆまは俺に聞くと言っていた。三沢の方が筆記の成績良いんだけどな。

そしてこの後すぐ移動して集会へ。

集会では年に1度行われるデュエルアカデミアノース校との交流試合について校長から話があった。去年はカイザーが本校の意地をみせ勝利を収めたとか、今年も本校生徒として勝利を目指そうとか言っていた。

校舎を出ると十代がレッド寮とは違う方向に走っていた。

 

「何やってるんだ……?」

 

気になったので追うことに。少しずつ小さくなっていく十代を必死に追いかけて見えてきたのはブルー寮。十代が何故ここにと思っていると十代が木を登り始めた。……ブルーの生徒に見つかったら拙いと判断して茂みに隠れる。十代はベランダから部屋の様子を見て、戻ろうとすると……カイザーと友人または取巻きと思われる数名がやってきた。身を縮めてやり過ごすと十代が叫んだような声。その後ベランダから出てきたのは十代ではなくレッドの服を着た少女……レイだったか?木から降りて茂みに隠れた。アイツ女だったのか。女顔という訳じゃなかったのか……

 

「おじゃましました〜〜ぁぁぁ!!」

 

続いて十代がベランダから出ようとするも引きずられるように再び中へ。少し後に今度は玄関から出てきた模様。とりあえず事情を聞くために合流するか。

 

「十代」

「龍斗!?どうしたんだよこんなところで?」

「お前がこっちに走ってたから追ったんだ。何があった?」

 

十代の話では、丸藤、前田と飯の話をしながら校舎を出るとレイがブルー寮に向かって走っていたらしい。

……丸藤と前田?俺は見てない気が……まぁいいや。

レイは集会のとき終始カイザーを見ていたので何かあると思い追ったところ、カイザーの部屋でカイザーのデッキを取りだし頬に当てていた。カイザーが戻ってきたのを見て慌てて連れていこうとしたら帽子が脱げ、レイが女子ということが発覚。レイは十代を置いてベランダから飛び出した直後カイザー達が部屋に入り十代が見つかる。危うく退学かというところでカイザーに助けられ部屋を出たところで今に至ると。

後ろのブルー寮を見るフリをしてレイを見ると茂みから顔をヒョコッと出していた。男のフリをしてカイザーに……ふむ……コレって……そういうことか?

 

「龍斗、どうしたらいいと思う?」

「……お前がしたいことをすればいいと思う。お前はどうしたい?」

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日夜。

レイに事情を聞こうとした十代から連絡があり、レイに呼び出されたらしい。急いでレッド寮裏の崖に向かうと、

 

「「デュエル!」」

 

レイと十代がデュエルを始めていた。

…………何があった?

崖の上には丸藤、前田の他に明日香とカイザーがいた。

 

「龍斗?どうして……」

「十代に呼び出された。そういう明日香は?」

「ちょっと相談されてね」

 

そう言って明日香はカイザーを見る。

相談……もしかして十代かレイが何かやらかしたか?

まぁいいや。十代のデュエルを見守ろう。

 

早乙女レイ

LP4000

 

VS

 

遊城十代

LP4000

 

「ボクの先攻、ドロー!【恋する乙女】を召喚!」

 

【恋する乙女】

攻撃表示

ATK400/DEF300

 

来たな【恋する乙女】。丸藤は可愛いとか言ってるが、お前あのカード使うのが大変なの知ってるか?

 

「ボクはこれでターンエンド!」

 

早乙女レイ

LP4000

モンスター

【恋する乙女】:攻

ATK400

魔・罠

手札5枚

 

さて、十代はどう戦う?

 

「俺のターン、ドロー!【E・HERO フェザーマン】を召喚!」

 

【E・HERO フェザーマン】

攻撃表示

ATK1000/DEF1000

 

「バトル!【フェザーマン】で攻撃!」

「えぇー……勝負にならないよぉ……」

 

いや、丸藤お前……何残念な表情してんだ?

 

「でも恋すると、女性は変わるわ」

 

明日香、それは体験談か?一般論か?もし一般論ならぜひゆまには変わってほしい。アイツなんか危なっかしい感じがするし。

 

「フェザーブレイク!」

 

【フェザーマン】が翼から風とともに羽を送るが、【恋する乙女】は何事もないかのように反応が無い。

 

「【恋する乙女】は攻撃表示なら戦闘で破壊されない!」

「お、おい【フェザーマン】!?何やってるんだよ!?」

 

レイの説明の後十代がいきなり慌てだした。【フェザーマン】?目の前に突っ立っているじゃないか。

 

「【恋する乙女】の効果で、【恋する乙女】に攻撃したモンスターに乙女カウンターが1つ乗る」

 

早乙女レイ

LP4000→3400

 

「女の子にメロメロになるなんて【HERO】失格だぞー!」

 

いや十代、ただカウンターが乗っただけなんだが……十代は特に何かをすることなくターンを終了した。

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【E・HERO フェザーマン】:攻《乙女カウンター:1》

ATK1000

魔・罠

手札5枚

 

「ボクのターン、ドロー!【恋する乙女】に【キューピッド・キス】を装備!」

 

どこからともなく天使が現れ、【恋する乙女】の頬にキスをした。あれって装備したことになるのか?

 

「バトル!【恋する乙女】で攻撃!」

「な、なに!?」

 

十代は攻撃力の低いモンスターで攻撃することに驚いている。

 

「一途な想い!」

 

【恋する乙女】は両手を広げ【フェザーマン】に特攻。しかし【フェザーマン】はそれを半身をきることで回避した。

 

早乙女レイ

LP3400→2800

 

「【キューピッド・キス】の効果発動!乙女カウンターが乗っているモンスターを装備モンスターが攻撃して、ボクがダメージを受けた後、攻撃されたモンスターのコントロールを得る!」

「なっ!?お、おい【フェザーマン】!?」

 

良い感じに翻弄されて十代はペースを乱してるな。外野として見ると面白い。十代が意味わからないこと言ってるのは別として。

 

「【フェザーマン】でダイレクトアタック!」

 

【フェザーマン】の攻撃が十代を襲う。

 

「くぅぅう!!」

 

遊城十代

LP4000→3000

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

早乙女レイ

LP2800

モンスター

【恋する乙女】:攻

ATK400

【E・HERO フェザーマン】:攻《乙女カウンター:1》

ATK1000

魔・罠

【キューピッド・キス】《恋する乙女》

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!【E・HERO スパークマン】を召喚!」

 

【E・HERO スパークマン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1400

 

「バトル!すまない【フェザーマン】!【スパークマン】で攻撃!スパークフラッシュ!」

「罠発動【ディフェンス・メイデン】!」

 

【スパークマン】の攻撃が【フェザーマン】に当たる直前、【恋する乙女】が立ちはだかった。

 

「相手モンスターが攻撃するとき、攻撃対象モンスターを【恋する乙女】に変更する!」

 

早乙女レイ

LP2800→1600

 

「お、おい【スパークマン】まで!?女の子に夢中になるなー!!」

 

また十代が喚いてる……

 

「十代は男女の心の機微に疎いようね」

 

いや明日香、そうかもしれないが、【フェザーマン】も【スパークマン】も【恋する乙女】もモンスターなんだが……

 

「十代だけじゃない。1人の美女によって国が滅びることは歴史が証明している」

 

カイザー、確かに美女かもしれないが、性格は悪女だろソイツ。

 

「なるほどね。カイザーと呼ばれる男が手こずるわけよね」

 

苦笑しながらデュエルを見守る明日香。十代は何もせずにターンを終了したようだ。

 

遊城十代

LP3000

モンスター

【E・HERO スパークマン】:攻《乙女カウンター:1》

ATK1600

魔・罠

手札5枚

 

「ボクのターン、ドロー!装備魔法【ハッピー・マリッジ】!相手モンスターがボクのフィールドにいるとき、そのモンスターの攻撃力分、装備モンスターの攻撃力をアップさせる!【恋する乙女】に装備!」

 

【恋する乙女】の服装が純白のウエディングドレスになった。

 

【恋する乙女】

ATK400→ATK1400

 

「バトル!【恋する乙女】で【スパークマン】を攻撃!一途な想い!」

 

再び両手を広げて【スパークマン】に特攻。しかしまたも回避される。

 

早乙女レイ

LP1600→1400

 

「なぁ明日香」

「何かしら?」

「想いをぶつけた相手が2人、いや2体だがそれでも一途なのか?」

「そういう攻撃名なら仕方ないでしょ」

 

…………何か納得のいかないものが……

 

「【スパークマン】と【フェザーマン】でダイレクトアタック!」

「ぐぁあああ!!」

 

遊城十代

LP3000→1400→400

 

「女の子は恋をすると強くなる。不可能なんて無いの!」

 

【フェザーマン】の攻撃の余波で帽子が飛ばされたがそれを気にせず、それどころか髪を結んでいたリボンまで取ってしまった。

 

早乙女レイ

LP1400

モンスター

【恋する乙女】:攻

ATK1400

【E・HERO フェザーマン】:攻《乙女カウンター:1》

ATK1000

【E・HERO スパークマン】:攻《乙女カウンター:1》

ATK1600

魔・罠

【ディフェンス・メイデン】

【キューピッド・キス】《恋する乙女》

【ハッピー・マリッジ】《恋する乙女》

手札4枚

 

「さすがの十代もレイの前にはタジタジだな……」

「デュエルのモンスターを夢中にさせるのなんて簡単でしょ。初恋の人を追って、遥か南の島まで追いかけて来ちゃうんだもの」

 

丸藤と前田は『そうだったの!?』と驚いている。明日香はそれに対し『難しい編入試験まで突破して』と言っている。あの試験の内容知ってるのは何故だ?俺は付き添いで言ったが筆記の内容は知らないぞ。それに実技は楽に思えるんだが、それは俺がテスターだからか?

 

「俺のターン、ドロー!……女の子相手に、男の【HERO】をぶつけたのが間違いだったんだ。【E・HERO バーストレディ】召喚!」

 

【E・HERO バーストレディ】

攻撃表示

ATK1200/DEF800

 

十代は【バーストレディ】を召喚した後、『今日は迫力が違う』だのと意味のわからないことを言った。十代、お前だけ見えてる景色違わないか?

 

「【バースト・リターン】を発動!俺のフィールドに【バーストレディ】がいるとき、フィールドの【バーストレディ】以外の【E・HERO】を手札に戻す!」

 

十代の手札に【フェザーマン】と【スパークマン】のカードが加わったが、

 

【恋する乙女】

ATK1400/DEF300

 

【恋する乙女】のステータスに変化はなかった。

 

「あれ?攻撃力が発動したときと一緒だ」

 

丸藤、前田だけでなく、明日香もわからないようだ。カイザーは……表情が変わらないが解説は無しか。仕方ない。

 

「おそらく、【ハッピー・マリッジ】というカードの攻撃力がアップする効果は、発動時にのみ参照するんだろう」

「ど、どういうことッスか?」

「【ハッピー・マリッジ】の発動条件は『相手モンスターが自分フィールドに存在するとき』。発動した瞬間に条件を満たしているモンスター……今回の場合【フェザーマン】の攻撃力を参照して、それ以降はただ【フェザーマン】の攻撃力1000ポイント分上げる装備魔法になるだけ。今回のように『1000ポイント』と確定した後はモンスターが手札に戻ったりしても、あのカードが装備されていれば上がる数値は変わらない」

 

んー……少し説明が難しいな。また今度考えてみるか。いつになるかわからないけど。

 

「……【融合】を発動!【バーストレディ】と手札の【フェザーマン】を融合!来い!【E・HERO フレイムウィングマン】!」

 

【E・HERO フレイムウィングマン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1200

 

「バトル!【フレイムウィングマン】で【恋する乙女】を攻撃!フレイム・シュート!」

 

【フレイムウィングマン】の右腕の龍頭から出た炎が【恋する乙女】を包むがやはり【恋する乙女】は破壊されない。

 

「くっ……!!【恋する乙女】の効果で【フレイムウィングマン】に乙女カウンターが1つ乗る!」

 

早乙女レイ

LP1400→700

 

十代はフィールドを見て『【フレイムウィングマン】お前まで』とか言っている。嫌なら攻撃するなよ。

 

「くっ……カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

遊城十代

LP400

モンスター

【E・HERO フレイムウィングマン】:攻《乙女カウンター:1》

ATK2100

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「ボクのターン、ドロー!……カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

早乙女レイ

LP700

モンスター

【恋する乙女】:攻

ATK1400

魔・罠

【ディフェンス・メイデン】

【キューピッド・キス】《恋する乙女》

【ハッピー・マリッジ】《恋する乙女》

伏せ1枚

手札4枚

 

静かだな。流石にライフを使いすぎたか。

十代のターン……あ、【サイクロン】……リバース破壊して【フレイムウィングマン】で攻撃か……あっさりしててつまらんな……

 

「龍斗、行くわよ」

「え、あ、ああ」

 

デュエルが終わったということで十代の元へ。

 

「ガッチャ!レイ、面白いデュエルだったぜ!」

「十代、ボク……」

「おっと、みなまで言うな。そこから先はずっと見ていた後ろの奴に言えよ」

 

レイはこちらに振り向いた。そして明日香は『男の責任』とか言ってカイザーを前に押し出した。

レイは頬を染めカイザーを『亮様』と呼んだ。明日香、笑いが漏れてるぞ。

 

「ごめんなさい……昼間、寮に忍び込んだのは、ボクだったんだ。十代はそれを止めようとしただけなんだ」

 

カイザーは頷いた後、『わかっている』と言ったが、何故わかる?マジで十代かレイがやらかしたのか?

レイはカイザーがデュエルアカデミアに進学してから、どうしても会いたくてようやくここまで来たらしい。

 

「十代にはデュエルで負けたけど、亮様への想いは誰にも負けない!乙女の一途な想いを受け止めて!」

 

レイが両腕を広げた途端、一瞬だが後ろに【恋する乙女】の姿が見えた。なんだ、今何が起きたんだ?

気迫のような何かにカイザーさえも一歩下がってきた。

 

「カイザー、厄介なことに巻き込まれてるな」

「……他人事のように言うな」

 

他人事だし。小声で話していたおかげかレイには聞こえてないようだ。いや、十代が何か言っていたおかげで聞こえなかったのか。

 

「それにしても凄え迫力。デュエルと同じだぜ」

「デュエルじゃないもん……」

 

少し恥ずかしそうに抗議するレイに明日香が『そうね』と被せてきた。

 

「一途な想いは素敵よ。でも今、貴方が言ったようにデュエルのヒーローと違って本物の男性はウィンクな投げキッスじゃダメなの。デュエルも恋も気持ちと気持ちが繋がって初めて実るんじゃないかしら」

 

中にはウィンクやら投げキッスやらで落ちそうな奴もいるけどな。丸藤とかそんな感じだし。明日香の言葉にレイは勝手に恋のライバルと思い込み明日香を睨みつけていた。

 

「レイ、お前の気持ちは嬉しいが……」

 

カイザーがいざ返事をすると、レイは明日香を無視してカイザーを見つめた。明日香も若干振り回されてるな。

 

「今の俺にはデュエルが全てなんだ」

 

それだけ言ってポケットから何かを取り出し、レイに手渡した。アレは……髪留め?……レイがやらかしていたのか。

 

「レイ、故郷に帰るんだ」

 

カイザーの発言に、レイは目の端に涙を溜め、十代が噛みついた。

 

「そこまで言うことないだろ!女の子だってオベリスク・ブルーの女子寮に入れてもらえば……!」

「レイはここには居られない」

 

居られない?何故だ?まだ何かあるのか?

 

「レイにはまだ秘密があるのか?男のフリした女と見せかけて……実は男だったりして!」

 

いや十代、笑顔で言うことじゃない。いろいろおかしな事になる。

明日香は十代の隣で苦笑し、カイザーが

 

「レイはまだ小学5年だ」

 

と言った。…………小学5年?あ、十代が真っ白になった。

そして丸藤と前田が2人揃って目を丸くして驚いた。レイは『えへへ』と笑っている。

 

「なんなんだよ〜!俺ってば、小学生に苦戦したのかよ〜!」

「ごめんね十代。ガッチャ、楽しいデュエルだったよ!」

 

ジタバタする十代にレイが何故か勝ったかのように十代の決め台詞を言った。十代はコントのように転け、『これだからデュエルは楽しいんだ』と笑っていた。

 

「…………さて、帰るか」

 

いろいろ片付いたようなので帰ろうとすると、

 

「待て」

 

カイザーに止められた。

振り返ってカイザーを見ると……好戦的な目をしていた。…………そういうことかよ。

 

「アレからデッキを作り直した。久しぶりに会えたんだ、デュエルしよう」

 

デッキを取り出し構えようとするカイザー。俺は、

 

「すまない。デュエルはできない」

 

カイザーとのデュエルを断った。

 

「……理由を聞いてもいいかな?」

「……………………た」

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……デッキを忘れた」




「おい、デュエルしろよ」
「デッキ忘れたから無理」

仕方ないですよね。デッキ忘れたんですもん。
次回はデッキ忘れた龍斗にお仕置きが……


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敵討ち VS.ーーー

なんか早く投稿できました。


「いだだだだだだ!!」

 

カイザーにデュエルを挑まれたが、デッキを忘れたという理由で断ると、明日香に両肩を掴まれ尋常じゃない痛みに襲われた。

 

「デッキを忘れた!?貴方それでもデュエリストなの!?」

「し、仕方ないんだ!急いで来たから忘れ物するのは仕方がいだだだだ!!ご、ごめんなさい!謝るから肩から手をぉぉぉおおお!!」

 

ようやく解放され、肩を確認。良かった……潰れてない。

 

「今すぐ取って来なさい!」

「い、イエッサー!!」

 

おそらく今までの記録を超える速度で走っていたと思う。全速力で走り部屋から急いでデッキを選んで戻る。

 

「ぜぇ……ぜぇ……いま……ぜぇ……もどった……ぜぇ……」

 

肩で息をしながら戻ってくるとカイザーが若干申し訳なさそうな顔で、何故かレイが不機嫌そうに俺を睨んでいた。

 

「すまない龍斗。リベンジ前にレイが挑みたいらしい」

「ぜぇ……ぜぇ……?」

 

まるで意味がわからない。何故俺に?

カイザー達曰く、何故俺とカイザーがデュエルするのかレイが聞いてきて、カイザーが俺に負けたことをあっさりと言ってしまい、何を思ったのか敵討ちと称して俺に挑もうとしているらしい。

 

「ぜぇ……はぁ……俺……割とガチな……デッキ……はぁ……持ってきたんだが……」

「相手してやってくれ。俺は明日改めて挑もう」

 

コレ……断れない空気だ。とりあえず息を整える時間をもらって落ち着いたところで構えるが、

 

「レイ、これからするデュエル。しばらくの間は誰にも言わないでくれ」

「?……わかった」

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

早乙女レイ

LP4000

 

「先攻はもらう。俺のターン、ドロー!」

 

…………引かないか。だがこのカードがあれば……

 

「まずはこのカードだ。俺はスケール9の【クリフォート・ツール】をセッティング!」

 

左側のペンデュラムゾーンを展開してカードをセット。俺の後ろに青く光る柱が現れ、その中に【クリフォート・ツール】の姿があった。

 

「え、な、何!?なんなのそのカード!?」

「これはしばらく後になったら現れる新たなカードのうちの1つ。ペンデュラムモンスターだ」

「ペンデュラム……モンスター……?」

 

ゆっくりと俺の言葉を反芻し覚えようとするレイ。

 

「続けるぞ。【クリフォート・ツール】のペンデュラム効果。1ターンに1度、ライフ800をコストにデッキから【クリフォート・ツール】以外の【クリフォート】カードを手札に加える。【クリフォート・アセンブラ】を手札に加える」

 

宮田龍斗

LP4000→3200

手札5枚→6枚

 

「800ポイントも使ってカード1枚だけ……?」

「800ポイントで好きなカードをサーチできるなら安いと思うが……あーでも4000スタートだと……まぁいいや、続けよう。今手札に加えたスケール1の【クリフォート・アセンブラ】とセッティング済みの【クリフォート・ツール】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

右側のペンデュラムゾーンにカードをセット。後ろにもう1つの柱が現れ、【クリフォート・アセンブラ】が姿を見せる。そして【ツール】の下に9、【アセンブラ】の下に1の数字が浮かぶ。

 

「これでレベル2から8のモンスターが同時に召喚可能!」

「えぇっ!?」

「キープログラム入力完了。IFシステム実行。ゲート解放、出力開始。ペンデュラム召喚!来い!俺のモンスター達!レベル8【クリフォート・シェル】!」

 

【クリフォート・シェル】

攻撃表示

ATK2800/DEF1000

 

「レベル6【クリフォート・ゲノム】!」

 

【クリフォート・ゲノム】

攻撃表示

ATK2400/DEF1000

 

「一気に高レベルモンスターが2体!?」

「これがペンデュラム召喚だ。条件を満たしていれば高レベルモンスターを複数体召喚できる……だが、この【クリフォート】の多くに共通効果がある。それはリリース……つまり生贄無しで召喚できること。そして特殊召喚、生贄無しの召喚をしたら自身のレベルは4となり、元々の攻撃力が1800となる」

 

フィールドの【クリフォート】から音が発せられ、攻撃力を下げた。

 

【クリフォート・シェル】

レベル8→4

ATK2800→ATK1800

 

【クリフォート・ゲノム】

レベル6→4

ATK2400→ATK1800

 

「レベル4が2体……」

「まさか、ペンデュラム召喚からエクシーズ召喚なんてできるッスか!?」

「カードを2枚セットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3200

モンスター

【クリフォート・シェル】:攻

ATK1800

【クリフォート・ゲノム】:攻

ATK1800

ペンデュラム

【クリフォート・アセンブラ】:スケール1

【クリフォート・ツール】:スケール9

魔・罠

伏せ2枚

手札1枚

 

「あれ?エクシーズはしないんスか?」

「【アセンブラ】と【ツール】の効果で俺は【クリフォート】モンスターしか特殊召喚できない。そしてエクストラデッキに【クリフォート】は無い」

 

一応エクストラは用意してるが、まず使わない。あのカード引けないし。

 

「ボクのターン、ドロー!……【恋する乙女】を召喚!」

 

【恋する乙女】

攻撃表示

ATK400/DEF300

 

「リバースカード【スキルドレイン】。ライフ1000をコストにフィールドのモンスター効果を無効にする」

「えぇ!?じゃあボクの【恋する乙女】が……」

「ただの攻撃力400のモンスターになる」

 

宮田龍斗

LP3200→2200

 

「そして効果が無効になったことで【クリフォート】モンスターの攻撃力が元に戻る」

 

【クリフォート・シェル】

レベル4→8

ATK1800→ATK2800

 

【クリフォート・ゲノム】

レベル4→6

ATK1800→ATK2400

 

「……カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

早乙女レイ

LP4000

モンスター

【恋する乙女】:攻

ATK400

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

主力モンスターを活かせない状況でも諦めないか……ならここで更に展開するか。

 

「俺のターン、ドロー!【クリフォート・ツール】のペンデュラム効果で、ライフ800をコストにデッキから【クリフォート】モンスターを手札に加える!【クリフォート・アーカイブ】を手札に」

 

宮田龍斗

LP2200→1400

手札2枚→3枚

 

「キープログラム再入力完了。IFシステム外部からのアクセスにより停止。通常形態で運用。ゲート解放、出力開始。ペンデュラム召喚!現れろ【クリフォート・アーカイブ】!」

 

【クリフォート・アーカイブ】

攻撃表示

ATK2400/DEF1000

 

高攻撃力とされる2000オーバー3体を前にしてもレイは表情を変えない。

 

「バトル!【クリフォート・アーカイブ】で【恋する乙女】を攻撃!」

「罠発動!【ドレイン・シールド】!相手モンスターの攻撃を無効にしてそのモンスターの攻撃力分ライフポイントを回復する!」

 

【アーカイブ】からレーザーが放たれるが光のドームに阻まれレイのライフが回復した。

 

早乙女レイ

LP4000→6400

 

「次だ。【ゲノム】で攻撃!」

 

【ゲノム】の筒状の部分から出たレーザーが【恋する乙女】を呑み込んだ。

 

「きゃあ!!」

 

早乙女レイ

LP6400→4400

 

「ラスト【シェル】でダイレクトアタック!」

 

【シェル】が回転し地面に突き刺さり砂嵐がレイを襲う。

 

「ぅぅ……砂だらけ……」

 

早乙女レイ

LP4400→1600

 

「ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP1400

モンスター

【クリフォート・シェル】:攻

ATK2800

【クリフォート・ゲノム】:攻

ATK2400

【クリフォート・アーカイブ】:攻

ATK2400

ペンデュラム

【クリフォート・アセンブラ】:スケール1

【クリフォート・ツール】:スケール9

魔・罠

【スキルドレイン】

伏せ1枚

手札2枚

 

「ボクのターン、ドロー!【強欲な壺】発動!」

 

トップそれってどういう引きだよ。

 

早乙女レイ

手札3枚→5枚

 

「よし!【サイクロン】発動!【スキルドレイン】を破壊!」

 

竜巻によって吹き飛ばされる【スキルドレイン】。しかし状況は大して変わらないだろう。展開力の無いデッキではこのデッキに追いつくのは無理なのだから。このデッキしつこいし。

 

「【死者蘇生】発動!墓地から【恋する乙女】を特殊召喚!」

 

【恋する乙女】

攻撃表示

ATK400/DEF300

 

またそのカードか。

 

「モンスターを伏せて、カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

早乙女レイ

LP1600

モンスター

【恋する乙女】:攻

ATK400

裏守備1枚

魔・罠

伏せ2枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!…………このターンで終わりだな」

「ま、まだ終わってない!」

「いや、終わりだよ。キープログラム再入力完了。IFシステム実行。ゲート解放、出力開始。ペンデュラム召喚!来い!【クリフォート・ゲノム】!」

 

【クリフォート・ゲノム】

攻撃表示

ATK2400/DEF1000

 

「自身の効果で【ゲノム】の攻撃力とレベルが変更される」

 

【クリフォート・ゲノム】

レベル6→4

ATK2400→ATK1800

 

「俺は【ゲノム】2体と【アーカイブ】をリリース!」

「さ、3体のモンスターを!?」

「バカな!3体の生贄は神のカードを召喚する条件!神のカードが無い今、その条件で召喚できるモンスターはいないはず!」

 

いやカイザー、【ギルフォード・ザ・ライトニング】とか忘れてないか?

 

「【アポクリフォート・キラー】をアドバンス召喚!」

 

【アポクリフォート・キラー】

攻撃表示

ATK3000/DEF2600

 

俺の後ろの【ツール】と【アセンブラ】の間に【アポクリフォート・キラー】がズシンという音とともに現れる。

 

「フィールドから墓地に送られるペンデュラムモンスターはエクストラデッキに加えられる。そしてリリースされた【ゲノム】2体と【アーカイブ】の効果をチェーンして発動!何かチェーンはあるか?」

「え、えっと…………無いよ!」

「そうか。ならチェーン3、【アーカイブ】の効果で裏守備モンスターを手札に戻す」

「て、手札に!?」

 

裏守備モンスターの下から【アーカイブ】が姿を現し連れ去った……それ除外じゃ……

 

「チェーン2【ゲノム】の効果でフィールドの魔法・罠を破壊する。右のカードを破壊する」

 

選択したカードの上に【ゲノム】が現れ……【ディフェンス・メイデン】を破壊した。思いっきりハズした……まぁ関係無いか。

 

「チェーン1【ゲノム】で残った方の魔法・罠を破壊する」

 

破壊されたのは……【ホーリージャベリン】?なんだそれ?

 

「…………まぁいいや。【アポクリフォート・キラー】の効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力と守備力が500ポイントダウンする」

 

【クリフォート・シェル】

ATK2800/DEF1000→ATK2300/DEF500

 

【恋する乙女】

ATK400/DEF300→ATK0/DEF0

 

「ぼ、ボクの【恋する乙女】が……」

「もう1つの効果も使っておこう。1ターンに1度、相手は自身の手札・フィールドのモンスターを墓地へ送る」

 

レイは泣きそうな表情で手札のモンスターを墓地に送った。

 

「……【迷犬マロン】の効果で、このカードが墓地に送られたとき、このカードをデッキに加える」

「バトル。【クリフォート・シェル】で攻撃」

 

先程のダイレクトアタックとは違う場所に突き刺さり砂嵐で【恋する乙女】を砂まみれにした…………ちょっとやりすぎたか?

 

「ぅ……ぅぅ……」

 

早乙女レイ

LP1600→-700

 

「……スマン。やりすぎた」

 

【妖仙獣】とかのほうが良かったか?いや、普通に泣かれるだろ。相性が悪すぎる。

 

「また負けちゃった……」

「龍斗相手ってのが拙かったなぁ」

 

いや十代。相手がカイザーだと思ったから【クリフォート】持ってきたんだが……レイが相手なら……【マドルチェ】あたりか?

 

「なんなの?ペンデュラム召喚って……」

 

まぁやっぱり喰いつくよな。

 

「デュエルの前にも言ったが、故郷に帰った後、誰にも言うなよ。まだ秘密なんだ」

「わかったって」

 

少ししつこいかもしれないが、仕事の都合上仕方がない。

 

「ペンデュラム召喚。いつかI2、KCで発表される3つの召喚法の1つだ」

「いつかって……まだ発表されてないってこと?」

 

肯定し頷くとレイは更に質問をしてきた。

 

「じゃあなんでそのペンデュラム召喚を使えるの?」

「俺がI2社及びKCのテスターだからだ。ここデュエルアカデミアで3つの召喚法を浸透させることでより早く、多くの人に使いこなせるようにするのが目的だ」

 

とりあえずここまで言えばいいか?

と思ったら更に質問が

 

「じゃあ、ボクにもペンデュラム召喚できる?」

「一般に販売されたらな。ペンデュラムだけじゃなく、他の召喚法も扱えるだろう」

 

レイは『そっか』と言って何かを考えている。まさか【クリフォート】と【恋する乙女】を組み合わせようとか考えてるのか?やめとけ、事故るだけだぞ。

 

「質問はもういいか?なら帰らせてもらう。カイザー、また明日」

「ああ」

 

さて、明日はどのデッキでカイザーとデュエルしよう?




次回はVSカイザー第2戦です。


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リスペクトとは VS.亮

ちょっとストックが出来てきたような気がしないでもないので投稿します。


レイとデュエルした翌日。

朝早く帰ると思っていたが、次の船は土曜日らしい。今日は月曜日、つまり約1週間はここにいなければならない。事情を知っている全員で校長室へ乗り込み(俺は明日香に拉致られた)レイを帰るまでブルー女子寮に居てもらうようにした。

 

「あ、お兄ちゃん!何処行ってたの?」

 

教室に行くと浜口、枕田とともにゆまがいた。事情を知らない周囲の生徒がざわつくが無視一択。

 

「ちょっと校長室にな」

「校長室?ま、まさか何か悪い事したの!?」

「だったらまず職員室だろ」

 

ゆまって若干話を飛躍させるよなぁ。

一緒に来ていた丸藤達に説明を任せ授業の準備をしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業を終え、寮に戻ろうとすると校舎前にカイザーがいた。

 

「待ってたぞ龍斗」

「待たせたなカイザー」

 

既に用意していたデュエルディスクを互いに構える。

カイザーがデュエルするとわかってか生徒が周囲を取り囲む。

 

「えっと、ももえさん。あの人は?」

「オベリスク・ブルー3年の丸藤亮。トップの成績と実力から『カイザー』と呼ばれてますわ」

「「デュエル!」」

 

丸藤亮

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「先攻はもらう。俺のターン!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

早速デッキに投入してきたか。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻

ATK1500

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!カードを4枚セットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ4枚

手札2枚

 

カードを4枚伏せるという行為にギャラリーはざわつくが相手であるカイザーは

 

「……それだけか?」

 

といった冷めた反応。

 

「ああ。今回はそういうデッキだ」

 

こちらもそれだけ伝える。

 

「そうか……ならいかせてもらう!俺のターン!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果発動!1ターンに1度、手札の魔法カードを公開することでカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う!【融合】を公開!」

 

【融合】……【ツイン】、【エンド】……どっちもさせるかよ!

 

「リバースカード【アーティファクト・ムーブメント】!何かチェーンは?」

「いや、無い」

「ならこちらがチェーンする。【アーティファクトの神智】!これには?」

「無い」

「ではチェーン処理だ。チェーン3、【アーティファクトの神智】の効果で【アーティファクト・カドケウス】を特殊召喚!」

 

【アーティファクト・カドケウス】

守備表示

ATK1600/DEF2400

 

「チェーン2で俺のリバースカードを破壊してデッキから【アーティファクト】モンスターを魔法カード扱いで魔法・罠ゾーンにセットする!【アーティファクト・デスサイズ】をセット!」

「チェーン1、これで【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】は【サイバー・ドラゴン】になる」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の装甲の隙間から複数の色の光が走り、しばらくすると目が一瞬光った。

 

「チェーン処理終了したところで墓地の【アーティファクト・ベガルタ】の効果発動!」

「龍斗君、お兄さんのターンなのにどんどん自分のカードを使ってる……」

 

【アーティファクト】はそういうカテゴリーだからな。本当は【大嵐】してほしかったけど来ないなら仕方ない。

 

「魔法カード扱いの【ベガルタ】は相手ターン中に破壊されたとき、このモンスターを特殊召喚する!」

 

【アーティファクト・ベガルタ】

守備表示

ATK1400/DEF2100

 

「さっき伏せた【デスサイズ】といいその【ベガルタ】といい、【アーティファクト】というモンスターは魔法カードとして扱えるのか」

「ああ。【アーティファクト】は魔法カード扱いで魔法・罠ゾーンにセットできる効果と、魔法カード扱いのときに相手ターン中に破壊されると特殊召喚できる共通効果がある」

 

ギャラリーの誰かが『迂闊に【大嵐】を使えないな』と冷静に言っている。その発言をきっかけにギャラリーは色々意見を言い合っているようだ。

 

「【ベガルタ】の効果発動。チェーンして【カドケウス】の効果発動!」

「こちらは何もない」

「【カドケウス】の効果で相手ターン中に【アーティファクト】モンスターが特殊召喚されたので1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「相手ターン中に特殊召喚されたとき、俺のフィールドのセットされたカードを2枚まで破壊する!リバースカード2枚を破壊!」

 

【ベガルタ】を持つ赤い人影が俺に【ベガルタ】を渡す。あ、やっぱり俺がやるんだ。

 

「よいしょっと!」

 

リバースカードに【ベガルタ】を突き刺して破壊。この作業を2度する。

 

「破壊された【アーティファクト・デスサイズ】と【アーティファクト・アイギス】の効果を発動!2体とも特殊召喚!」

 

【アーティファクト・デスサイズ】

攻撃表示

ATK2200/DEF900

 

【アーティファクト・アイギス】

守備表示

ATK1200/DEF2500

 

「【アーティファクト・カドケウス】の効果を2度発動。チェーンして【デスサイズ】更に【アイギス】がチェーンされる」

「こちらは何も無い」

「チェーン4【アーティファクト・アイギス】の効果でこのターン俺の【アーティファクト】モンスターは相手のカード効果の対象にならず、効果で破壊されない」

 

【アイギス】が黄色いオーラを纏うと他の【アーティファクト】も同じオーラを纏った。

 

「チェーン3【アーティファクト・デスサイズ】の効果でこのターン、相手はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない」

「何!?ではこのターンは……」

「融合できないってことだ」

 

【デスサイズ】が黄色いオーラの上に薄紫のオーラを纏うとカイザーのデュエルディスクが薄紫のオーラを纏い、【デスサイズ】のオーラが消えた。

 

「チェーン2【カドケウス】の効果で相手ターン中に【アーティファクト】モンスターが特殊召喚されたので1枚ドロー。チェーン1も同様に1枚ドロー」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚→5枚

 

「これ、本当にカイザーのターンなの……?」

「少なくとも私の記憶ではそうよ……」

 

枕田の呆れに近い声に明日香が返す。まぁここまで動いてると、どっちのターンかわからなくなるよな。俺もこのカテゴリーが出た当初はそうだった。最近もちょっとわからなくなることがある。

 

「【プロト・サイバー・ドラゴン】を召喚!」

 

【プロト・サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK1100/DEF600

 

「【融合】だけがサイバー流ではない!速攻魔法【フォトン・ジェネレーター・ユニット】!フィールドの【サイバー・ドラゴン】2体を生贄に発動!」

 

【フォトン・ジェネレーター・ユニット】!?そんなカード入れたら事故率が……!

 

「手札・デッキ・墓地から【サイバー・レーザー・ドラゴン】を特殊召喚!」

 

【サイバー・レーザー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2400/DEF1800

 

「バトルだ!【サイバー・レーザー・ドラゴン】で【アーティファクト・デスサイズ】を攻撃!エヴォリューション・レーザーショット!」

 

【サイバー・レーザー・ドラゴン】の尾からのレーザーで【デスサイズ】はあっけなく破壊された。

 

宮田龍斗

LP4000→3800

 

「ターンエンド!」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・レーザー・ドラゴン】:攻

ATK2400

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!俺はレベル5の【アーティファクト・ベガルタ】と【アーティファクト・アイギス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

二つの武具を重ね、不滅の剣がここに創造される!エクシーズ召喚!完成!ランク5!【アーティファクト・デュランダル】!」

 

【アーティファクト・デュランダル】

攻撃表示

ATK2400/DEF2100

 

「え、エクシーズ召喚!?ももえさん!お兄ちゃんは何をしたんですか!?」

「何って、エクシーズ召喚を……まさか龍斗さんから聞いてませんの?」

 

ゆま達の方から何か聞こえるが無視しよ……あ、コレ普通に【ヴォルカザウルス】から【ガイアドラグーン】で勝てたんじゃ……まぁいいや。

 

「カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3800

モンスター

【アーティファクト・カドケウス】:守

DEF2400

【アーティファクト・デュランダル】:攻

ATK2400

魔・罠

伏せ3枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!罠発動【リビングデッドの呼び声】墓地の【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を復活させる!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

「速攻魔法【サイクロン】!フィールドの魔法・罠を破壊する!俺はこのカードを破壊する!」

 

俺は自身のそばのリバースカードを選択し、破壊する。

 

「破壊された【アーティファクト・フェイルノート】の効果で自身を特殊召喚!」

 

【アーティファクト・フェイルノート】

守備表示

ATK2000/DEF1600

 

「【カドケウス】の効果発動、チェーンして【フェイルノート】の効果で墓地の【アーティファクト】モンスターを魔法・罠ゾーンにセットする!【アーティファクト・デスサイズ】をセット!」

 

【デスサイズ】がセットされたことにカイザーの眉がピクリと動いた。再び【融合】を止められると思っているのだろうか。

 

「チェーン1【カドケウス】の効果でドローする」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「だがまだ召喚されていないなら、今のうちに畳み掛ける!【融合】を発動!」

「チェーンして【アーティファクト・デュランダル】の効果発動!1ターンに1度、フィールドのモンスター効果が発動したとき、または通常魔法・通常罠の発動時、ORUを1つ使いそのカードの効果を『相手フィールドの魔法・罠カードを1枚選んで破壊する』に変更する!」

「っ……!カード効果を書き換えるだと!?」

 

未だざわついていたギャラリーが更にざわつく。

 

「さぁ、どっちを破壊する?」

「…………そのカードを破壊する」

 

カイザーが指差したカードが砕かれ、【アーティファクト・デスサイズ】が姿を現した。

 

【アーティファクト・デスサイズ】

守備表示

ATK2200/DEF900

 

「【デスサイズ】の効果でこのターン、相手はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない」

 

再びオーラを纏うカイザーのデュエルディスク。しかしカイザーは全く動じない。おそらく手札に【融合】がもう無いのだろう。

 

「【サイバー・レーザー・ドラゴン】の効果発動!1ターンに1度、このカードの攻撃力以上の攻撃力または守備力を持つモンスターを破壊できる!【アーティファクト・デュランダル】を破壊!破壊光線 フォトン・エクスターミネーション!」

 

尾から放たれたレーザーによって【デュランダル】が砕かれた……効果も攻撃も尾からなんだな……

 

「バトル!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】で【アーティファクト・フェイルノート】を攻撃!エヴォリューション・ツヴァイバースト!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の熱線により【フェイルノート】が蒸発した。

 

「次だ。【サイバー・レーザー・ドラゴン】で【アーティファクト・デスサイズ】を攻撃!エヴォリューション・レーザーショット!」

 

再び破壊される【デスサイズ】……素直に【モラルタ】破壊すれば良かったなぁ……

 

「ターンエンド!」

 

丸藤亮

LP4000

【サイバー・レーザー・ドラゴン】:攻

ATK2400

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻

ATK1500

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】《サイバー・ドラゴン・ツヴァイ》

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!……3枚セットして【カードカー・D】を召喚!」

 

【カードカー・D】

攻撃表示

ATK800/DEF400

 

ほぼ平面な見た目の【カードカー・D】が『プップー』というクラクションとともに姿を見せた。どこかから『薄っ!』という声が聞こえたが仕方ないんだ。そういうモンスターなのだから。

 

「【カードカー・D】の効果発動!召喚に成功したターンのメインフェイズに自身をリリースして2枚ドローしてエンドフェイズになる。ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3800

モンスター

【アーティファクト・カドケウス】:守

DEF2400

魔・罠

伏せ4枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドローする!」

 

丸藤亮

手札3枚→5枚

 

「【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果発動!手札の魔法カードを見せることでカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う!【パワー・ボンド】を見せる!」

 

【パワー・ボンド】……このターンで決めるつもりか。前のターンは効果を使わずに【融合】を使った。つまり手札には【サイバー・ドラゴン】が2枚または1枚あるということ。どっちが来る……?

 

「【パワー・ボンド】を発動!【サイバー・ドラゴン】として扱う【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】と手札にいる2体の【サイバー・ドラゴン】を融合!【サイバー・エンド・ドラゴン】を融合召喚する!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

ついに来たか、【サイバー・エンド】……!

 

「【パワー・ボンド】の効果で攻撃力は倍になる!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000→ATK8000

 

攻撃力8000という数値に周囲が押し黙る。【ワイトキング】なら1万を超えるけど……それを言ったらダメだろうか。

 

「バトル!【サイバー・エンド・ドラゴン】で【アーティファクト・カドケウス】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!!」

「リバースカード!【邪神の大災害】!相手モンスターの攻撃宣言時フィールドの魔法・罠を全て破壊する!」

 

カイザーの【リビングデッドの呼び声】と俺の3枚のリバースカードが破壊される。

 

「破壊された【アーティファクト・モラルタ】、【アーティファクト・フェイルノート】、【アーティファクト・アキレウス】の効果発動!3体のモンスターを特殊召喚!」

 

【アーティファクト・モラルタ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1400

 

【アーティファクト・フェイルノート】

攻撃表示

ATK2000/DEF1600

 

【アーティファクト・アキレウス】

守備表示

ATK1500/DEF2200

 

「【カドケウス】の効果が3度発動し、【アキレウス】、【フェイルノート】、【モラルタ】の効果が発動!」

「たった1回カードを使っただけでチェーンが…………6!?」

 

レイが若干間を置いてチェーン数に驚愕している。よくチェーン理解してるな。中には理解してない奴もいるのに。

 

「何かチェーンはあるか?無ければ処理を進めるが」

「…………」

 

手札を見て考えるカイザー。おそらくチェーンできるが、【モラルタ】と【アキレウス】という新しいモンスターの効果を警戒しているのだろう。

 

「…………【融合解除】を発動!【サイバー・エンド・ドラゴン】の融合を解除!【サイバー・ドラゴン】2体と【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を特殊召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン】×2

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

「チェーン6、【モラルタ】の効果で【サイバー・レーザー・ドラゴン】を破壊」

 

投げ渡される【モラルタ】。また俺がやるのか。とりあえず駆け足で【サイバー・レーザー・ドラゴン】をつつく。つついただけで破壊される【サイバー・レーザー・ドラゴン】……

 

「…………チェーン5、【フェイルノート】の効果で墓地の【デスサイズ】を再三セットする!」

 

欲を言えば【モラルタ】をセットしたいが、無いので我慢だ。

 

「チェーン4、【アキレウス】の効果でこのターン【アーティファクト】モンスターを攻撃対象にできない。今俺のフィールドには【アーティファクト】モンスターしかいないので事実上攻撃できないということになる」

「何!?」

 

カイザーの必殺の一撃と言っていい攻撃を防いだ【カドケウス】で手札を増やせたのが大きいな。

 

「チェーン3【カドケウス】の効果で1枚ドロー。チェーン2、チェーン1も同様にドローだ」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚→5枚→6枚

 

「メインフェイズ2に移行する。【サイバー・ジラフ】を召喚!」

 

【サイバー・ジラフ】

攻撃表示

ATK300/DEF800

 

「【サイバー・ジラフ】の効果発動!このモンスターを生贄に、このターンの効果ダメージを無効にする!」

 

出てきて早々に退場した【サイバー・ジラフ】。仕事がピンポイントすぎる。てかよく回せるなそのデッキ。

 

「ターンエンド!」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン】:攻

ATK2100

【サイバー・ドラゴン】:攻

ATK2100

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻

ATK1500

魔・罠

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!俺はレベル5の【アーティファクト・モラルタ】と【アーティファクト・フェイルノート】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

灼熱の力で全てを焼き尽くせ!エクシーズ召喚!燃やせ!ランク5!【No.61 ヴォルカザウルス】!」

 

【No.61 ヴォルカザウルス】

攻撃表示

ATK2500/DEF1000

 

「更にレベル5の【アーティファクト・カドケウス】と【アーティファクト・アキレウス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!出でよ!ランク5!【セイクリッド・プレアデス】!」

 

【セイクリッド・プレアデス】

攻撃表示

ATK2500/DEF1500

 

「【ヴォルカザウルス】の効果発動!1ターンに1度、ORUを1つ使い相手フィールドの表側表示モンスター1体を破壊!そして破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!ただしこのターン、【ヴォルカザウルス】はダイレクトアタックできない!」

 

【ヴォルカザウルス】が胸部の突起から熱線を放ち【サイバー・ドラゴン】を破壊した。攻撃もあの突起からなのか?

 

「くっ……!」

 

丸藤亮

LP4000→1900

 

「更に【セイクリッド・プレアデス】の効果発動!1ターンに1度ORUを1つ使い、フィールドのカード1枚を手札に戻す!【サイバー・ドラゴン】を手札に戻す!」

 

【セイクリッド・プレアデス】が手をかざして【サイバー・ドラゴン】に光を浴びせると、【サイバー・ドラゴン】が粒子となってカイザーの手札に戻った。

 

「バトル!【ヴォルカザウルス】で【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を攻撃!」

 

【ヴォルカザウルス】が口からマグマを吐き出し【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を溶かした。攻撃と効果のエフェクトが違うあたり【サイバー・レーザー・ドラゴン】への悪意か何かを感じた。

 

「ぐぅ……!」

 

丸藤亮

LP1900→900

 

「終わりだ!【セイクリッド・プレアデス】でダイレクトアタック!」

 

【プレアデス】が持つ剣でカイザーを切りつけた。

 

丸藤亮

LP900→-1600

 

「俺の勝ちだな」

「…………ああ」

 

カイザー、表情を変えないようにしているつもりなのだろうが、悔しさが滲み出ているぞ。

ギャラリーがカイザーが負けたことにアレコレ言っているのを無視して【サイバー・レーザー・ドラゴン】の必要性等を話していると、明日香達も加わってきてレイが、

 

「勝ったには勝ったけど、なんていうか……卑怯?」

 

とか言ってきた。卑怯な要素……無いだろ。

 

「どこが卑怯なんだ?」

「えっと、効果ダメージ与えたり、手札に戻したり……正々堂々じゃないじゃない」

 

【ヴォルカザウルス】と【プレアデス】のことか。

 

「別に禁止カードでもないから問題無いだろ。それに……」

「それに?」

「対策してない奴が悪い」

 

モンスター効果で除去されるのが嫌なら【ヴェーラー】とか【幽鬼うさぎ】でも握っとけ。あ、まだ発売してないや。まぁとにかくそんな感じ。

レイ達が沈黙すること約3秒。

 

「『対策してない奴が悪い』って……」

「それがテスターの言うこと?」

「いや明日香、レイ。すでに発売しているカードでも【スキルドレイン】でモンスター効果無効にすれば【ヴォルカザウルス】や【プレアデス】は止まるじゃないか」

 

もしくは召喚成功時に【奈落】とか。

 

「これからDMはただ高攻撃力のモンスターだして殴るだけじゃ勝てないステージに突入する。フィールドだけじゃない、手札や墓地から効果を発動するなんて当たり前になる。常にギリギリの状態でのデュエル、バウンスやバーンに一々噛みつくな。嫌なら対策しろ」

「でもカイザーのようなサイバー流の人達からしたらリスペクト精神に反するんじゃ……」

「……枕田、このカードを見てもそれが言えるか?」

 

一応持ってきたもう1つのデッキを取り出しデュエルディスクにセットする。

 

「出でよ、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2100/DEF1600

 

「このモンスターは1ターンに1度フィールドにいる表側表示モンスターを自身のORUにする効果がある。どんなに強力なモンスターも『対象にならない効果』を持たなければ無力になる」

「そ、そんな……」

「それだけじゃない。ORUを使ってカード効果を無効にする効果まで持っている。互いに全力を尽くすというリスペクト精神を基本にしているサイバー流の象徴、【サイバー・ドラゴン】がそのリスペクト精神に反する効果を手にしたんだ。これで全力を尽くせるか?」

 

明日香達も俺の言葉に沈黙し、反論できない。

 

「これが、俺の知るサイバー流の成れの果てだ。リスペクト精神は結構だが、それを相手に押し付けた結果こんなカードを生みだしてしまった。少しだけ、ほんの少しだけでいいから、リスペクトとは何なのか、改めて考えてみてくれ」

 

サイバー流の人間であるカイザーを特に見てその場を離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寮に戻る途中、背後からゆまに呼び止められた。

 

「お兄ちゃん、ももえさんから聞いたけど、テスターってどういうことなの!?」

 

そういえば話してなかったな。

 

「……どこから話そうかな……」

 

転生云々は置いておこう。ややこしくなる。いや、そもそもゆまにテスターということがバレてる時点でややこしいし、面倒だな。適当に話してやり過ごすか。

 

「いつだったかな。家のカード部屋に何枚かのカードがあったんだ。フレームが白や黒、半分モンスターで半分魔法といったカード達だ」

「それが、さっき使ってたエクシーズっていうカードなの?」

「ああ。そして、アカデミア受験を決めて、残すは実技試験のみというタイミングでI2社のペガサス会長が家に来た」

「えっ、ど、どうして!?」

 

ゆまは心底驚いたらしく、目を丸くして、こちらに迫ってきた。

思わず一歩下がりそうになるがなんとか堪えて話を続ける。

 

「見たことのないドラゴン、見覚えのない家で自分が作ったことのないカード達と出会うという夢を見たらしい。そして直感的にその家を調べさせ、家に来たって言ってた。俺はチャンスとばかりにテスターになる代わりにこのモンスター達を使えるようにしてほしいって交渉したんだ。で、今こうしてテスター兼学生としてここデュエルアカデミアにいるってわけ」

 

……若干早口な気がしなくもないがなんとか説明を終えた。【アブソルート】等のゆまが持っている【属性HERO】についてはとりあえず無視しよう。

 

「そっかぁ……お兄ちゃんがI2社のテスター……だから先生達がお兄ちゃんのことを知ってたんだ」

「いや、それは教師なら知ってても不思議じゃないだろ」

 

しかしゆまは俺のツッコミを無視して自己完結している。

 

「……とにかく、俺がエクシーズ召喚を扱えるのはそういう理由があるからだ。わかったな?」

「うん、わかった!お兄ちゃん、テスターのお仕事頑張ってね!」

 

強く拳を握って応援してくれるゆま。俺はそれに『おう』と返事をして、1日も早くカード達を販売できるといいと思った。

5日後、つまり土曜日。レイが帰る日だ。朝一番の船で帰るので、朝早くに集合してレイを送ることに。

港にはレイの他に俺、ゆま、明日香、カイザー、丸藤、前田、十代がいる。それぞれがレイに一言二言声をかけて送り出す。

レイが迎えに来た両親とともに船にのり、こちらに向かって大きく手を振り『来年小学校を卒業したらまたテストを受けて入学する』と決意費用じみたことをしていた。十代は茶化すようにカイザーに振るが、カイザーは表情を変えず『そのころには俺はもういない』と言っていた。そして直後、

 

「待っててね〜!十代様〜!」

 

とレイが言った。十代の声だけがエコーしていたのは気のせいだろうか……

 

「な、なんで!?なんで俺!?」

「きっと、十代のデュエルに惚れたんでしょ」

 

狼狽える十代に明日香は手を口に当ててクスクスと笑い、カイザーは『後は任せた』とあっさり寮へ。丸藤と前田も『先に帰る』とか言って帰った。

 

「船が見えなくなるまでしっかり見送るのよ」

 

気が済んだのか明日香もそれだけ言って寮へ。

 

「俺達も帰るぞ、ゆま」

「うん!」

 

俺も寮へ戻るとしよう。後ろで十代が叫んでるが鉄の意志で無視をした。




レイ離脱です。
なんで、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】って出来たんでしょう。サイバー流って【ボンド】で溶接して【ツイン】で連打するんじゃないんですか?
次回は交流試合の代表決定戦です。おかしな構築のデッキでいきます。


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代表決定戦ー① VS.十代

交流試合代表決定戦です。まずはVS十代。前後編でお送りします。


「え、俺?」

 

ある日の、大徳寺先生の錬金術の授業が終わった時、大徳寺先生が十代に『交流試合の代表候補に選ばれた』と知らされた。

 

「そうですにゃ。同じ代表候補に選ばれたラー・イエローの三沢大地君と宮田龍斗君。以上3名の中から2人、代表を決定するのにゃ」

 

なんかサラッと俺まで選ばれていた。そういえばカイザーはどうしたんだ?

 

「先生、去年はカイザーこと丸藤亮先輩が代表だったんですよね。彼はどうしたんです?」

「彼は何か思うことがあるらしく、今年は代表を辞退してるのにゃ」

 

思うこと?……以前俺が言ったことを……まさかな。それとこれとはまた別だろう。

代表決定は3日間かけて行うらしく、誰と誰がデュエルするのかはこちらで決定していいらしい。

 

「で、どうする?アミダか何かで決めるか?」

「俺としては2日目と3日目にデュエルしたいな。十代と龍斗に対抗するためのデッキを組むのに時間がかかるのでな」

 

三沢の意見を尊重すると初日は俺と十代。2日目にどちらかと三沢、最終日に残った組み合わせとなるのか。まぁ楽に決まりそうだからいいか。

 

「俺はそれで構わん。十代はどうだ?」

「俺もいいぜ!どっちにしてもデュエルできるんだもんな!」

「じゃあ初日は俺と十代の組み合わせで決定。2日目以降はどうする?」

「じゃあ俺は三沢と最終日にデュエルだ!最終日に見てるだけなんてつまんないからな!」

 

十代の願望により決定。代表して俺が大徳寺先生に報告。ついでにレッド寮の部屋を借りることにした。三沢とは部屋が一緒だからお互いにデッキを組みにくいと思ったからだ。

早速借りた部屋で十代、三沢を相手に使うデッキを選ぶ。

十代の【HERO】にはどんなデッキがいいかな…………【HERO】?いや、【融合】なら【シャドール】の方が……でも何故か【シャドール】という気分じゃない。主人公対決で【ジャンク】?ゲームじゃないんだ、そこまでシチュエーションに拘る必要もないだろう。

 

「ん?このカード……」

 

カードを並べて見ていたらあるカードを発見。…………よし、このカードを使ってみよう。直感のような何かに従いデッキの方針が決定。で、効果が…………で、モンスターがこれだけあって、サポートが……コレ使い道がわかりにくいな。コレは不採用っと。カードを1枚1枚確認してデッキを作成し、軽く回して調整を繰り返してそれっぽいデッキができた。正直最後の1枚はロマンだと思うが別にいいだろう。

 

「次に三沢か……」

 

アイツは十代と違って研究に研究を重ねて対策デッキを組んでくるはず。カードプールによるが特殊召喚を封じるカードを使ってくるだろう。何があったかな……【クリスティア】と【虚無空間】。あと【弾圧】くらいか?【クリスティア】……【代行】?いや、【光と闇の竜】で……この世界だと金銭的に無理か。てか【虚無空間】ってこの時代にあったか?調べればいいだけだが、面倒だし破壊すればいいだけだから放置しよう。対三沢のデッキには魔法・罠を破壊するカードを多めに投入してやれば対策の対策はできるがメインとなるカードはどうしよう?……特殊召喚封じ……なんか昔そんな感じのデッキがあったような……相手は特殊召喚できないのにこっちはできるみたいな……たしかエクシーズは無かった。となるとシンクロだ。かたっぱしからそれらしいカードを探す。【黄泉ガエル】……そう、こんな感じで無限に効果を発動できるモンスターのはずだ。おそらく墓地から発動できるカード。探すこと約1時間。

 

「…………コイツだ」

 

目的の物と思われるカードを発見。この効果を活かせるようにデッキを作成。調整もしていたら既に日付が変わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シニョール・シニョーラ!お待たせしたノーネ!ただいまから、代表決定デュエル1日目を始めるノーネ!」

 

妙な芝居のかかったクロノスの宣言に生徒達が歓声で答える。

 

「本日の対戦者ナノーネ!まずは、ラー・イエローの宮田龍斗ナノーネ!そしてオシリス・レッドの遊城十代ーと」

 

俺の紹介は声を大きくしたが、十代の紹介はついでのようにサラリと終わらせやがった。

 

「いくぜ龍斗!勝って代表決定させてもらうぜ!」

「そう簡単に負けるつもりは無い」

「それでは、デュエル開始ナノーネ!」

「「デュエル!」」

 

遊城十代

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「先攻はもらうぜ!俺のターン、ドロー!魔法カード【融合】を発動!」

 

早速【融合】か。何を出してくる?

 

「手札の【クレイマン】と【バブルマン】を融合して【E・HERO マッドボールマン】を召喚!」

 

【E・HERO マッドボールマン】

守備表示

ATK1900/DEF3000

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【E・HERO マッドボールマン】:守

DEF3000

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

まずは様子を見るために高守備力のモンスターか。十代にしては珍しく消極的に思える。だが十代本人の表情はいつも通り自信満々といった感じだ。となるとあのリバースカード?……動かないとわからないか。

 

「俺のターン、ドロー!……手札からフィールド魔法【セフィラの神託】を発動!」

 

俺の背後に右に縦の配置で3つ、左にも同じ配置で3つ、真ん中にも縦に3つの配置で丸い窪みがある大樹が現れる。窪みは六角形を作るように配置されていて中央の窪みはかなり下に配置されていて、赤く光っている。

 

「【セフィラの神託】は1ターンに1度しか発動できない。また、このカードが発動したとき、デッキから【セフィラ】モンスター1体を手札に加える。【覚星騎士(アステラナイト)ーセフィラビュート】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札5枚→6枚

 

「ペンデュラムモンスター……今回使うのはペンデュラム召喚か!」

「当たっているが、同時にはずれてもいる」

「?どっちだよ。当たってるのか?はずれてるのか?」

「ペンデュラムだけじゃない。このデッキには他にもシンクロ、エクシーズ、融合、儀式と5種類の特殊召喚を組み込んでる」

 

『そんなデッキが回せるのか』とか周囲の生徒が言っているが、俺だって正直こんなデッキになるとは思わなかった。しかしここで負けても三沢に勝てば1勝1敗でまだチャンスはあるわけだし、ロマンに身を任せていいと判断したまでだ。俺は悪くない。

 

「続けよういきなりペンデュラムといきたいが、少し準備をさせてもらう。魔法カード【影依融合】発動」

「【影依融合】……まずは融合対決か!おもしれえ!来い!」

「このカードは手札、フィールドから【シャドール】融合モンスターによって決められた素材を墓地に送り、【シャドール】融合モンスターを融合召喚する」

「【シャドール】専用の融合か!どんなモンスターが来るんだ!?」

 

落ち着け、まだ効果に続きがある。

 

「また、相手フィールドにエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターがいる場合、自分のデッキのモンスターを素材にすることができる」

「で、デッキから融合!?」

「デッキから【シャドール・ヘッジホッグ】と【竜星騎士(イーサテラナイト)ーセフィラツバーン】を融合!

鋭利な針持つ人形よ、光持つ者を喰らい、その闇を深く、黒く染めあげろ!融合召喚!勝利を手繰れ!【エルシャドール・ネフィリム】!」

 

【エルシャドール・ネフィリム】

攻撃表示

ATK2800/DEF2500

 

手札1枚の消費で攻撃力2800のモンスターの出現に周囲が驚愕しているなか、対戦相手の十代は目を輝かせていた。

 

「すげぇ……!でも、攻撃力2800じゃ俺の【マッドボールマン】は倒せない。何か効果があるんだろ?」

「ご名答。【エルシャドール・ネフィリム】の効果発動。チェーンして【シャドール・ヘッジホッグ】の効果を発動。何かチェーンはあるか?」

「いや、無いぜ!」

 

だろうな。十代は相手の攻撃を防いでも、行動を妨害するカードはほぼ来ない。こちらとしてはやりやすい。

 

「チェーン2【シャドール・ヘッジホッグ】の効果。カード効果で墓地へ送られた場合、デッキから【シャドール】モンスターを手札に加えることができる。【イェシャドールーセフィラナーガ】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札5枚→6枚

 

「チェーン1【ネフィリム】の効果。融合召喚に成功した場合発動できる。デッキから【シャドール】モンスターを墓地に送る。【シャドール・ビースト】を墓地に送り、【シャドール・ビースト】の効果発動。このカードが効果で墓地に送られた場合に発動できる。カードを1枚ドローする」

 

宮田龍斗

手札6枚→7枚

 

「そしてスケール1の【イェシャドールーセフィラナーガ】とスケール7の【覚星騎士ーセフィラビュート】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺の背後に白い翼を持ち、金の装飾をした黒い鎧を纏う【セフィラナーガ】と同じく白い翼を持つがこちらは金の装飾に白い鎧を纏う【セフィラビュート】が姿を見せた。【セフィラナーガ】の下には『1』。【セフィラビュート】の下には『7』の数字が表示されている。

 

「これでレベル2から6のモンスターが同時に召喚可能!

数多の一族の力を束ねし者達よ!今その力を俺に貸せ!ペンデュラム召喚!現れろ!レベル3【英霊獣使いーセフィラムピリカ】!」

 

【英霊獣使いーセフィラムピリカ】

守備表示

ATK1000/DEF1500

 

「同じくレベル3【宝竜星ーセフィラフウシ】!」

 

【宝竜星ーセフィラフウシ】

攻撃表示

ATK1500/DEF0

 

「【セフィラフウシ】の効果を【セフィラムピリカ】を選択して発動。チェーンして【セフィラムピリカ】の効果で墓地の【セフィラツバーン】を選択して発動。チェーンは?」

「無いぜ!」

「ならチェーン2【セフィラムピリカ】の効果。このモンスターの召喚・ペンデュラム召喚に成功したとき、選択したモンスターを特殊召喚する。来い!【セフィラツバーン】!」

 

【竜星騎士ーセフィラツバーン】

守備表示

ATK0/DEF2100

 

「そして【セフィラフウシ】の効果で選択した【セフィラムピリカ】をチューナーとして扱う。この効果を使った【セフィラフウシ】がフィールドを離れる場合、デッキの1番下に戻る」

 

【セフィラフウシ】が咆哮すると、シンクロする際に現れる緑色の輪が【セフィラムピリカ】を囲み、体内に溶けていった。

 

「チューナーに!?ってことは……!」

「そういうことだ。レベル4の【セフィラツバーン】にレベル3の【セフィラムピリカ】をチューニング!

清廉なる花園に芽吹く孤高の薔薇よ、蒼き月の雫を得てここに花開け!シンクロ召喚!咲き誇れ!レベル7!【月華竜ブラック・ローズ】!」

 

【月華竜ブラック・ローズ】

攻撃表示

ATK2400/DEF1800

 

「【月華竜ブラック・ローズ】の効果発動。チェーンして【セフィラの神託】の効果発動!」

 

背後の大樹にある中央以外の窪みが白く光った。

 

「チェーン2【セフィラの神託】の効果で1ターンに1度【セフィラ】モンスターを素材にシンクロ召喚したとき、デッキのモンスターをデッキの1番上に置く。【ブリューナクの影霊衣】をデッキの1番上に」

「本当に儀式モンスターが入ってる……」

「回すのが大変だが、結構面白いぞ。チェーン1【月華竜ブラック・ローズ】の効果。このモンスターの特殊召喚に成功したとき、または相手フィールドにレベル5以上のモンスターが特殊召喚されたとき、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を手札に戻す。【マッドボールマン】を手札に」

「なにっ!?」

退華の叙事歌(ローズ・バラード)

 

【ブラック・ローズ】が花びらの翼で暴風とともに薔薇の花びらを【マッドボールマン】に向け、手札へと戻した。

 

「バトル!【月華竜ブラック・ローズ】でダイレクトアタック!」

「速攻魔法【クリボーを呼ぶ笛】!デッキから【ハネクリボー】を特殊召喚!」

 

【ハネクリボー】

守備表示

ATK300/DEF200

 

いつか聞いた黄色い声が【ハネクリボー】の登場とともにあがる。1killはできなかったか。偶然できそうな状況だったんだが……

 

「バトル続行!散華の鎮魂歌(ローズ・レクイエム)!」

 

【ブラック・ローズ】のブレス攻撃によって【ハネクリボー】が瞬殺される。

 

「【ハネクリボー】の効果で、このターン俺が受ける戦闘ダメージは0になる!」

「ターンエンドだ」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【エルシャドール・ネフィリム】:攻

ATK2800

【月華竜ブラック・ローズ】:攻

ATK2400

【宝竜星ーセフィラフウシ】:攻

ATK1500

魔・罠

フィールド

【セフィラの神託】

ペンデュラム

【イェシャドールーセフィラナーガ】:スケール1

【覚星騎士ーセフィラビュート】:スケール7

手札3枚

EX

【英霊獣使いーセフィラムピリカ】

【竜星騎士ーセフィラツバーン】

 

「【ブラック・ローズ】の効果は1ターンに1度しか使えないが、お前には厄介な効果だろう。この状況、乗り越えられるか?」

 




次回は後編です。


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代表決定戦ー② VS.十代

およそ1週間ぶりの投稿です。
前回はこんな感じで終わりました。

2ターン目エンドフェイズ

遊城十代
LP4000
モンスター

魔・罠

手札2枚

VS

宮田龍斗
LP4000
モンスター
【エルシャドール・ネフィリム】:攻
ATK2800
【月華竜ブラック・ローズ】:攻
ATK2400
【宝竜星ーセフィラフウシ】:攻
ATK1500
魔・罠

フィールド
【セフィラの神託】
ペンデュラム
【イェシャドールーセフィラナーガ】:スケール1
【覚星騎士ーセフィラビュート】:スケール7
手札3枚
EX
【英霊獣使いーセフィラムピリカ】
【竜星騎士ーセフィラツバーン】


「俺のターン、ドロー!魔法カード【戦士の生還】を発動!墓地の【バブルマンを手札に加えて守備表示で召喚!」

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

「【バブルマン】の効果発動!俺のフィールドに他のカードが無いとき、カードを2枚ドローする!」

 

遊城十代

手札2枚→4枚

 

【強欲なバブルマン】……素材になったり手札に戻ったりと忙しいな。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【E・HERO バブルマン】:守

DEF1200

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!数多の一族の力を束ねし者達よ!再びその力を俺に貸せ!ペンデュラム召喚!現れろ!エクストラデッキよりレベル3【英霊獣使いーセフィラムピリカ】!」

 

【英霊獣使いーセフィラムピリカ】

守備表示

ATK1000/DEF1500

 

「手札の【剣聖の影霊衣ーセフィラセイバー】をリリースして【セフィラセイバー】の効果発動!」

「手札を生贄に……?」

「このモンスターは手札・フィールドの自身をリリースして効果を発動し、レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように手札・フィールドのモンスターをリリースして手札から【影霊衣】儀式モンスターを特殊召喚する!フィールドの【セフィラフウシ】と【セフィラムピリカ】をリリース!古の禁術を用いて、かの力をここに操らん!儀式召喚!出でよ!レベル6!【ブリューナクの影霊衣】!」

 

【ブリューナクの影霊衣】

攻撃表示

ATK2300/DEF1400

 

「【セフィラフウシ】は自身の効果でデッキの1番下に。【セフィラの神託】の効果発動!【セフィラ】モンスターを素材に儀式召喚したとき、フィールドのモンスターをデッキに戻す!」

「で、デッキ!?」

 

背後の大樹の窪みが青く光り、同じ色の光が【バブルマン】を包み込むと粒子なって姿を消した。

 

「バトル!【ネフィリム】でダイレクトアタック!」

「罠発動!【攻撃の無力化】!攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了させる!」

 

【攻撃の無力化】からの突風に【ネフィリム】の動きが止まった。

 

「なかなか粘るな。ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【エルシャドール・ネフィリム】:攻

ATK2800

【月華竜ブラック・ローズ】:攻

ATK2400

【ブリューナクの影霊衣】:攻

ATK2300

魔・罠

フィールド

【セフィラの神託】

ペンデュラム

【イェシャドールーセフィラナーガ】:スケール1

【覚星騎士ーセフィラビュート】:スケール7

手札2枚

EX

【英霊獣使いーセフィラムピリカ】

【竜星騎士ーセフィラツバーン】

 

「俺のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドロー!」

 

遊城十代

手札3枚→5枚

 

「…………魔法カード【Eーエマージェンシーコール】を発動!デッキから【E・HERO】を手札に加える!【E・HERO ネクロダークマン】を手札に加える!」

 

【ネクロダークマン】?墓地にいて効果が使えるモンスターを手札に……【融合】を使うつもりか?【ブラック・ローズ】で吹き飛ぶぞ。

 

「【天使の施し】!3枚ドローした後、手札を2枚墓地に!」

 

このターンだけで6枚ドローしてるんだが……逆転の一手を出せるか?

 

「墓地の【ネクロダークマン】の効果発動!墓地にいるとき1度だけ、手札の【E・HERO】を生贄無しで召喚できる!来い!【E・HERO エッジマン】!」

 

【E・HERO エッジマン】

攻撃表示

ATK2600/DEF1800

 

このために【ネクロダークマン】を1度手札に加えたのか……通常召喚には【ブラック・ローズ】の効果が使えない。

 

「バトル!【エッジマン】で【月華竜ブラック・ローズ】を攻撃!パワー・エッジ・アタック!」

 

【エッジマン】が【ブラック・ローズ】を殴りつけ、【ブラック・ローズ】を爆散させた。

 

「くっ……!」

 

宮田龍斗

LP4000→3800

 

「【融合回収】発動!墓地の【融合】と【クレイマン】を手札に加える!」

 

遊城十代

手札3枚→5枚

 

手札が減らないなぁ……というか何故このタイミングで……?

 

「【融合】を発動!【エッジマン】と【スパークマン】で融合!【E・HERO プラズマヴァイスマン】を召喚!」

 

【E・HERO プラズマヴァイスマン】

攻撃表示

ATK2600/DEF2300

 

このために【融合回収】を使ったのか。

 

「【プラズマヴァイスマン】の効果発動!手札を1枚捨て、相手フィールドの攻撃表示モンスターを1体破壊する!【エルシャドール・ネフィリム】を破壊!」

 

【プラズマヴァイスマン】が【ネフィリム】の体に電気を流して焼ききった。

 

「【ネフィリム】の効果発動!このカードが墓地に送られた場合、墓地の【シャドール】魔法・罠を手札に加える!【影依融合】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「くっ……またそのカードかよ……カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【E・HERO プラズマヴァイスマン】:攻

ATK2600

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

む。【セフィラフウシ】……やれることが多くて悩む。【ブリューナク】でバウンス……ペンデュラムから【セフィラフウシ】と【セフィラムピリカ】で【メタファイズ・ホルス・ドラゴン】……どれも安全に戦えるとは思うが、あのリバースカードも気になる。…………つついてみるか。ロマン狙いつつ。

 

「数多の一族の力を束ねし者達よ!再三その力を俺に貸せ!ペンデュラム召喚!現れろ!エクストラデッキから【英霊獣使いーセフィラムピリカ】!」

 

【英霊獣使いーセフィラムピリカ】

守備表示

ATK1000/DEF1500

 

「【竜星騎士ーセフィラツバーン】!」

 

【竜星騎士ーセフィラツバーン】

守備表示

ATK0/DEF2100

 

「【宝竜星ーセフィラフウシ】!」

 

【宝竜星ーセフィラフウシ】

攻撃表示

ATK1500/DEF0

 

「【セフィラフウシ】の効果発動!対象は【セフィラムピリカ】だ。チェーンは?」

「無いぜ」

「ならチェーンして【セフィラムピリカ】の効果発動!対象は墓地の【セフィラセイバー】だ。チェーン2【セフィラセイバー】を特殊召喚!」

 

【剣聖の影霊衣ーセフィラセイバー】

攻撃表示

ATK1500/DEF800

 

「チェーン1【セフィラフウシ】の効果で【セフィラムピリカ】をチューナーに」

 

再び響く【セフィラフウシ】の咆哮。【セフィラムピリカ】を再び緑の輪が包む。

 

「レベル3の【セフィラフウシ】にレベル3の【セフィラムピリカ】をチューニング!幾多の戦場に降り立つ翼竜よ!過去の力を1つに束ね、その猛威を奮え!シンクロ召喚!奪え!レベル6!【メタファイズ・ホルス・ドラゴン】!」

 

【メタファイズ・ホルス・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2300/DEF1600

 

「【メタファイズ・ホルス・ドラゴン】の効果発動!シンクロ召喚に成功したとき、シンクロ素材にしたチューナー以外のモンスターの種類により、効果を変える!ペンデュラムモンスターを素材にしたことで、十代はお前は自身のモンスターを1体選び、そのモンスターのコントロールを俺は得る!」

「なんだって!?俺のフィールドには【プラズマヴァイスマン】しかいない……」

「まだ効果はあるぞ。ペンデュラムモンスターは通常モンスターや効果モンスターとしても扱うからもう1つの効果も使える。しかし今回は発動しない。【セフィラの神託】の効果をチェーンして発動!【セフィラ】モンスターを素材にシンクロ召喚したことで、デッキのモンスターをデッキの1番上に置く!」

 

再び大樹の窪みが白く光る。

 

「【創星神 sophia】をデッキの1番上に。チェーン1の処理だ」

「……【プラズマヴァイスマン】を選ぶぜ」

 

【メタファイズ・ホルス・ドラゴン】が【プラズマヴァイスマン】を足で掴みこちらに連れ去った……それ【強奪】じゃ……

 

「……俺はレベル4の【セフィラツバーン】と【セフィラセイバー】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

時には力を奪い、時には敵の心臓を撃ち抜く弾丸!エクシーズ召喚!撃て!ランク4!【ガガガガンマン】!」

 

【ガガガガンマン】

守備表示

ATK1500/DEF2400

 

「おお……シンクロ、エクシーズ、融合、儀式、ペンデュラムの全部を使ってきた……」

「【セフィラの神託】の効果発動!【セフィラ】モンスターを素材にエクシーズ召喚したことで、カードを1枚ドローして、手札を1枚捨てる」

 

大樹の窪みが今度は黄色く光った。エクシーズなのに黄色なんだな。別にいいけど。とりあえずカードを引く。…………もういらないか。【影依融合】を捨てよう。

 

「【ガガガガンマン】の効果発動!ORUを1つ使い、このモンスターの表示形式により効果を変える!守備表示のときは相手に800ポイントのダメージを与える!」

 

【ガガガガンマン】が目にも留まらぬ速さで十代を撃ち抜いた。

 

「ぐぁっ……!」

 

遊城十代

LP4000→3200

 

「そしてこのモンスターは自分・相手フィールドの融合、シンクロ、エクシーズ、儀式モンスターを除外することで特殊召喚できる!星々を創りし神よ!今こそその姿を現せ!【創星神 sophia】!」

 

【ガガガガンマン】が黒い球体に、【ブリューナクの影霊衣】が青い球体に、【プラズマヴァイスマン】が紫の球体に、【メタファイズ・ホルス・ドラゴン】が白い球体になり天井に飛び立った。

 

「……クロノス先生、外の映像をお願いします」

「わかったノーネ」

 

大型ディスプレイに表示されたのは2色の翼を持つ【sophia】の姿。いつぞやの【トール】や【オーディン】を思い出してか、周囲が少々ざわついている。

 

【創星神 sophia】

攻撃表示

ATK3600/DEF3400

 

「このモンスターの特殊召喚は無効化されない。そして特殊召喚に成功したとき、このモンスター以外の互いの手札・フィールド・墓地のカードを全て除外する!」

「す、全て除外だって!?」

「この効果に対し、魔法・罠・モンスター効果を発動できない!」

 

カウンターを許さない効果に周囲は『モンスターの大きさ』への感想から『モンスター効果』への動揺に騒然となった。

【sophia】はお構いなしと左手に持つ光の球体を掲げると互いのカードが粒子となって消滅した。

 

「トドメだ十代。バトル!【創星神 sophia】でダイレクトアタック!創星への破壊!」

 

【sophia】は右手の黒球を掲げると十代を一瞬だけ包んだ。

 

遊城十代

LP3200→-400

 

「…………あ、し、勝者シニョール宮田ナノーネ!」

 

クロノスの勝鬨も周囲の生徒はまだ【sophia】の効果に動揺しているのか、音一つ立てることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーちくしょー負けたー!!」

「いやー、まさかただロマンで入れた【sophia】が使えるとは……」

 

デュエルが終わってよくいるメンバー+ゆまで校舎の一角で雑談。主な内容は十代とのデュエルだ。

 

「罠が1枚も入ってないわね」

 

明日香は俺のデッキを広げて枕田や浜口、ゆまに丸藤、前田と構築を見ている。罠は……入らなかったんだ。入れたいカード入れてたら40枚になったから。てか明日香、デッキ広げるのはいいけど、1枚1枚広げるなよ。同じカードは重ねるなりしてコンパクトに広げろ。

 

「儀式モンスターが3枚だけど、儀式魔法が無いわね」

「【セフィラセイバー】にそこは任せてる」

 

仕事がピンポイントだから【影霊衣】無かったら入れてないカードだ。代わりに罠でも入れてたと思う。

 

「ペンデュラムモンスターのペンデュラム効果がほぼ無いですね。共通した効果テキストしかありませんわ」

「2枚犠牲にして毎ターン展開する感じだな。偶に凄い使い辛いモンスターもいるが、そういうカードをペンデュラムゾーンにセットすればあまり腐らなくてすむ」

 

実際そういうカードは1枚しか入れてない。使い辛いと思っていた【セフィラムピリカ】も1枚だったが、大活躍だったな。リリースされてシンクロ素材になって釣り上げて…………過労死してるか?

 

「お兄ちゃん、この【幻竜族】って新しい種族?」

「ああ、【ドラゴン族】と区別し辛いが新しい種族だよ」

 

ときおりやってくるコメントやら質問に可能な限り返答していると、丸藤から『明日もこのデッキなのか』と質問された。『明日はまた違うデッキでいく』と答えると今度はゆまが『どんなデッキなのか』と聞いてきた。そこには別に隠す必要も無いが『秘密』とだけ答えた。

とにかくこれで1勝0敗。明日の三沢戦で勝利すれば代表決定。負けても最終日に十代が負けると成績の関係で代表決定。仮に十代が勝っても全員1勝1敗になってまた別の形で決めるだけ。最後のは非常に面倒だから勝って代表の座をもらおう。




次回はVS三沢です。また違うデッキで勝負します。


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代表決定戦ー③ VS.三沢

前回投稿翌日に39度の熱を出し、未だに喉が痛い作者です。ここまで症状を引きずるのは何年ぶりでしょうか……皆リアルソリッドヴィジョンの【グスタフ・マックス】バーンを喰らえばいいんだ!と思いつつ投稿します。


「ではこれヨーリ、代表決定デュエル2日目を始めるノーネ!」

 

翌日、クロノス進行の下代表決定デュエル2日目が始まった。対戦相手は三沢だ。

 

「完成したのか?俺を倒すというデッキは?」

「ああ、理論的にこれでお前のデッキは封殺される」

 

自信満々に答えてくれる三沢に内心笑みを浮かべ、デュエルディスクを構える。

 

「来い三沢。お前の理論とやらが正しいかどうか、答え合わせといこうじゃないか」

「行くぞ、龍斗!」

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

三沢大地

LP4000

 

「先攻はもらう!俺のターン、ドロー!魔法カード【増援】を発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスターを手札に加える!【ダーク・グレファー】を手札に加え、召喚!」

 

【ダーク・グレファー】

攻撃表示

ATK1700/DEF1600

 

「【ダーク・グレファー】の効果発動!手札の闇属性モンスターを捨て、デッキから闇属性モンスターを墓地に送る!手札から【BF(ブラックフェザー)ー暁のシロッコ】を捨て、デッキから【BFー大旆のヴァーユ】を墓地に送る!」

「早速墓地を増やしてきたか」

 

三沢はある程度予想していたらしく、まったく表情を変えない。

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

【ダーク・グレファー】:攻

ATK1700

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!永続魔法【強者の苦痛】を発動!」

 

【強者の苦痛】……?こちらのモンスターの攻撃力をレベル×100下げるカード……え、予想してたカードと全然違うんだが!?

 

【ダーク・グレファー】

ATK1700→ATK1300

 

「このカードは相手フィールドのモンスターの攻撃力をそのレベル×100ポイントダウンさせる!更に【王虎ワンフー】を召喚!」

 

【王虎ワンフー】

攻撃表示

ATK1700/DEF1000

 

もう引いてやがるし!これだと準備に時間がかかる……【シロッコ】を捨てたのは拙かったか……

 

「このモンスターがいる限り、互いに攻撃力1400以下のモンスターの召喚・特殊召喚に成功したとき、そのモンスターを破壊する!お前の扱うモンスターの多くは攻撃力が低いモンスター、その攻撃力を更に下げて【王虎ワンフー】の力で封じる!これが俺の理論だ!バトル!【王虎ワンフー】で【ダーク・グレファー】を攻撃!」

 

【王虎ワンフー】が【ダーク・グレファー】に襲いかかり爪で【ダーク・グレファー】の体を切り裂いた。

 

「くっ……!」

 

宮田龍斗

LP4000→3600

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

三沢大地

LP4000

モンスター

【王虎ワンフー】:攻

ATK1700

魔・罠

【強者の苦痛】

伏せ2枚

手札2枚

 

リバース2枚に【苦痛】と【ワンフー】……面倒な布陣だな……

 

「俺のターン、ドロー!」

 

1ターンでも早くこの状況を切り抜けないとな……だがこの手札では少し厳しいか。なら少し賭けっぽいが補充してみよう。

 

「【闇の誘惑】を発動!カードを2枚ドローしてその後手札から闇属性モンスターを除外。手札に闇属性モンスターがいなければ手札を全て墓地に送る!…………【終末の騎士】を除外。モンスターとカードを1枚セットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP3600

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!【ライオウ】を召喚!」

 

【ライオウ】

攻撃表示

ATK1900/DEF800

 

【ライオウ】が召喚されると同時に俺と三沢のデュエルディスクにリングが取り付けられた。

 

「このモンスターがいる限り、互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加えることはできない!」

 

サーチ効果を使えない……それも重要だが、【ライオウ】には特殊召喚を無効にする効果があったはず。シンクロ・エクシーズに対するカードとして最適なカードだと判断したんだろう。

 

「バトル!【ライオウ】で守備モンスターを攻撃!ライトニングキャノン!」

 

【ライオウ】が電気を圧縮し、裏守備モンスターに放る。それにより裏守備モンスター……【ネクロ・ガードナー】が破壊された。

 

「続けて【王虎ワンフー】でダイレクトアタック!」

「墓地の【ネクロ・ガードナー】の効果発動!墓地のこのカードを除外して攻撃を無効にする!」

 

【王虎ワンフー】が襲いかかってくるも突如現れた半透明の【ネクロ・ガードナー】に防がれた。

 

「防がれたか……ターンエンド!」

 

三沢大地

LP4000

モンスター

【王虎ワンフー】:攻

ATK1700

【ライオウ】:攻

ATK1900

魔・罠

【強者の苦痛】

伏せ2枚

手札2枚

 

さて、なんとかターンを繋いだが状況は良くない。手札は【ダーク・グレファー】と【ゲイル】の2枚しかない。【ゴッドバードアタック】が伏せてあるが、あのリバースカードで防がれる可能性がある。もう片方のリバースカードも……とにかくドローだ。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

……【ダーク・アームド・ドラゴン】か……今の状況だと【ライオウ】で処理される。いや、処理させるのもアリか……?いやしかしコイツの制圧力は呪文クラスだったし……だがここでモンスター1体は処理しなければ……よし。

 

「俺の墓地に闇属性モンスターが3体のみいるとき、手札から【ダーク・アームド・ドラゴン】を特殊召喚できる!」

「っ!!【ライオウ】の効果発動!このモンスターを生贄にモンスターの特殊召喚を無効にする!」

 

【ダーク・アームド・ドラゴン】が姿を現わすが、デュエルディスクに付けられたリングが電流で【ダーク・アームド・ドラゴン】を拘束。【ライオウ】が突撃し【ダーク・アームド・ドラゴン】とともに消滅した。

 

「墓地の【BFー大旆のヴァーユ】の効果を墓地にいる【BFー暁のシロッコ】を選択して発動!墓地のこの2枚を除外して、【BF】シンクロモンスターを特殊召喚する!」

「墓地のモンスターでシンクロ召喚だと!?」

 

墓地から【シロッコ】と【ヴァーユ】が姿を見せ、【ヴァーユ】が独特な赤いマークと緑の輪に姿を変え、【シロッコ】が5つの星になり一直線に連なる。

 

「黒き翼よ!大いなる風に乗り、遥か彼方へ突き進め!斬り裂け!レベル6!【BFー星影のノートゥング】!」

 

【BFー星影のノートゥング】

攻撃表示

ATK2400/DEF1600→ATK1800/DEF1600

 

「……驚いたな。まさか墓地からシンクロ召喚してくるなんて」

「【星影のノートゥング】は特殊召喚された場合、相手に800ポイントのダメージを与え、相手の表側表示モンスターの攻撃力と守備力を800ポイントダウンさせる効果があるんだが、【大旆のヴァーユ】の効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効になる」

 

だがここでリバースカードが来ないというのが面倒だ。【神宣】なり【神警】なり、【奈落】でもいいから使ってほしかったが……

 

「……バトル!【星影のノートゥング】で【王虎ワンフー】を攻撃!ストーム・スラッシュ!」

 

【星影のノートゥング】が【王虎ワンフー】を切り裂く。

 

「このくらいどうということはない!」

 

三沢大地

LP4000→3900

 

罠を使わない……やはり魔法・罠へのカウンターか?

 

「モンスターをセットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3600

モンスター

【BFー星影のノートゥング】:攻

ATK1800

裏守備1枚

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!2枚目の【強者の苦痛】を発動!」

 

2枚目……!これは厳しいな……【星影のノートゥング】の攻撃力が更に下がった。

 

【BFー星影のノートゥング】

ATK1800→ATK1200

 

「【異次元の女戦士】を召喚!」

 

【異次元の女戦士】

攻撃表示

ATK1500/DEF1600

 

「バトル!【異次元の女戦士】で【星影のノートゥング】を攻撃!」

「リバースカード【ゴッドバードアタック】!俺のフィールドの鳥獣族モンスター【星影のノートゥング】をリリースし、お前のフィールドの2枚の【強者の苦痛】を選択して発動!選択したカードを破壊する!」

 

【星影のノートゥング】の体が燃え上がり三沢のフィールドに突撃する。

 

「カウンター罠【盗賊の七つ道具】!1000ポイントのライフを払い罠の発動と効果を無効にする!」

 

三沢大地

LP3900→2900

 

「だが【ゴッドバードアタック】のリリースはコスト!【星影のノートゥング】はフィールドから姿を消す!そしてフィールドのモンスターの数が変化したのでバトルが巻き戻る!」

「バトル続行!守備モンスターを攻撃!」

 

【異次元の女戦士】が斬りかかるも裏守備モンスター【ダーク・グレファー】の守備力には届かず攻撃が弾かれた。

 

「【ダーク・グレファー】の守備力は1600。僅かに【異次元の女戦士】の攻撃力より高い」

 

三沢大地

LP2900→2800

 

「ターンエンド!」

 

三沢大地

LP2800

モンスター

【異次元の女戦士】:攻

ATK1500

魔・罠

【強者の苦痛】

【強者の苦痛】

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

よし、これなら!

 

「魔法カード【異次元からの埋葬】を発動!ゲームから除外されているモンスター3体まで選択して墓地に戻す!【ネクロ・ガードナー】、【BFー大旆のヴァーユ】、【BFー暁のシロッコ】を墓地に戻す!」

 

三沢に動きはない。止めてくれても良かったんだが……まぁいいや。ならこれでどうだ?

 

「チューナーモンスター【BFー疾風のゲイル】を召喚!」

 

【BFー疾風のゲイル】

攻撃表示

ATK1300/DEF400→ATK700

 

「チューナーモンスター……来るか!」

「まだだ!【疾風のゲイル】の効果発動!1ターンに1度、相手モンスターの攻撃力と守備力を半分にする!」

「な、なんだと!?」

 

【ゲイル】が風を送ると【異次元の女戦士】の力を削いだ。風を送るだけで半減ってどうなんだ?

 

【異次元の女戦士】

ATK1500/DEF1600→ATK750/DEF800

 

「お待ちかねのシンクロ召喚だ!レベル4の【ダーク・グレファー】にレベル3の【疾風のゲイル】をチューニング!黒き旋風よ!天空へ駆け上がる翼となれ!シンクロ召喚!来い!レベル7!【BFーアーマード・ウィング】!」

 

【BFーアーマード・ウィング】

攻撃表示

ATK2500/DEF1500→ATK1100

 

「墓地の【大旆のヴァーユ】の効果を【暁のシロッコ】を対象にして発動!【大旆のヴァーユ】と【暁のシロッコ】を除外して【BF】シンクロモンスターを特殊召喚する!

黒き翼よ!大いなる風に乗り、遥か彼方へ突き進め!斬り裂け!レベル6!【BFー星影のノートゥング】!」

 

【BFー星影のノートゥング】

攻撃表示

ATK2400/DEF1600→ATK1200

 

「バトル!【星影のノートゥング】で【異次元の女戦士】を攻撃!」

 

【星影のノートゥング】が【異次元の女戦士】を襲うも、2体ともに消滅した。

 

「【異次元の女戦士】の効果でバトルした相手モンスターとこのモンスターを除外する!」

「だがバトルダメージは発生する!」

 

三沢大地

LP2800→2350

 

「続けて【アーマード・ウィング】でダイレクトアタック!ブラック・ハリケーン!」

 

【アーマード・ウィング】が飛翔し黒い羽とともに拳をぶちこんだ。

 

「ぐぁっ…………!」

 

三沢大地

LP2350→1250

 

「ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3600

モンスター

【BFーアーマード・ウィング】:攻

ATK1100

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!【王虎ワンフー】を召喚!」

 

【王虎ワンフー】

攻撃表示

ATK1700/DEF1000

 

2体目の【ワンフー】か……【苦痛】2枚の効果を考えると実質召喚できなくなった。

だが面倒具合ならこちらも負けない。

 

「先に言っておこう。【アーマード・ウィング】は戦闘で破壊されず、俺が受ける戦闘ダメージは0になる。コイツを突破できるか?」

「…………もう少し早く言ってほしかったな……」

 

三沢は手札を見てそう呟いた。手札に【異次元の女戦士】でもいるのか?

 

「ターンエンド……」

 

三沢大地

LP1250

モンスター

【王虎ワンフー】:攻

ATK1700

魔・罠

【強者の苦痛】

【強者の苦痛】

伏せ1枚

手札1枚

 

状況は互いにモンスターを除去できないために膠着している。トップに賭けるか。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………いけそうな気もするが、そうでもないような……

 

「バトル。【アーマード・ウィング】で【王虎ワンフー】を攻撃!ブラック・ハリケーン!」

「バトルダメージが0になるとはいえ、攻撃力の低いモンスターで攻撃!?」

 

【アーマード・ウィング】が【ワンフー】の横からボディブローをぶちこんだ。

 

「【アーマード・ウィング】の効果発動!このモンスターが攻撃した相手モンスターに『楔カウンター』を乗せる」

「『楔カウンター』……?」

「いずれわかるさ。いずれな。カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3600

モンスター

【BFーアーマード・ウィング】:攻

ATK1100

魔・罠

伏せ2枚

手札0枚

 

「……俺のターン、ドロー!【死者蘇生】発動!蘇れ【ライオウ】!」

 

【ライオウ】

攻撃表示

ATK1900/DEF800

 

「更に【異次元の女戦士】を召喚!」

 

【異次元の女戦士】

攻撃表示

ATK1500/DEF1600

 

「バトル!【異次元の女戦士】で【アーマード・ウィング】を攻撃!」

「墓地の【ネクロ・ガードナー】を除外して攻撃を無効にする!」

 

【異次元の女戦士】の突撃を【ネクロ・ガードナー】が受け止めた。

 

「くっ!ターンエンド!」

 

三沢大地

LP1250

モンスター

【異次元の女戦士】:攻

ATK1500

【ライオウ】:攻

ATK1900

【王虎ワンフー】:攻

ATK1700

魔・罠

【強者の苦痛】

【強者の苦痛】

伏せ1枚

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!…………?」

 

…………まぁ、いいか。

 

「【アーマード・ウィング】の効果発動!相手フィールドの『楔カウンター』を取り除き、『楔カウンター』が乗っていたモンスターの攻撃力と守備力を0にする!」

「なっ!?」

 

【アーマード・ウィング】が風をおこして【ワンフー】に乗っていた楔を吹き飛ばすと【ワンフー】の姿勢がガクッと崩れた。

 

【王虎ワンフー】

ATK1700/DEF1000→ATK0/DEF0

 

「バトル!【アーマード・ウィング】で【王虎ワンフー】を攻撃!ブラック・ハリケーン!」

 

【アーマード・ウィング】が【ワンフー】に突撃する。

 

「ダメージステップ!手札の【BFー月影のカルート】の効果発動!」

「手札のモンスター効果!?このタイミングで!?」

「俺の【BF】モンスターが戦闘を行うダメージステップ時に手札のこのカードを墓地に送り、攻撃力を1400ポイントアップさせる!」

 

【アーマード・ウィング】の背後に【カルート】が姿を現し風をおこして【アーマード・ウィング】を加速させる。【アーマード・ウィング】は加速したまま拳を【ワンフー】にぶちこんで貫通した。

 

「く……ぅぅ……!」

 

三沢大地

LP1250→-1250

 

「勝者、宮田龍斗ナノーネ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三沢、最後まで使わなかったリバースカードはなんだった?」

「ああ、カウンター罠【トラップ・ジャマー】だ。龍斗は?」

「俺は【異次元からの帰還】と【魔宮の賄賂】だ」

 

俺の出番が終わったので寮に戻って三沢と今日のデュエルについて質問をしていた。

 

「ふむ。なら【カルート】が無くても【ワンフー】戦闘破壊して……いや、デッキの1番上がまた【ワンフー】なら……」

「そういう恐ろしい発言はしないでくれ」

 

面倒で仕方ない。

 

「三沢、明日の十代戦の準備はいいのか?」

 

面倒事にならないように話題を変える。三沢は特に気にすることなく『問題無い』と言ってきた。

 

「十代のデッキの核を潰せれば戦えるはずだ」

 

デッキの核?【融合】か。それを潰す……【禁止令】か!

 

「……十代は厳しい状況だな」

「勝たせてもらうさ」

 

これ以上邪魔しないように早目に休ませてもらおう。

無事に代表決定したことだし、交流試合までのんびりするだけ……あ、交流試合で使うデッキを考えなくちゃな。




2人ともデッキに【弾圧】を入れてるにも関わらず引いてないという裏話があったりします。

次回は久々にデュエルしません。


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デッキ選び デュエル無し

龍斗が昼寝する話です。


代表決定戦3日目。

今頃十代と三沢のデュエルで盛り上がってることだろう。

何故『今頃』や『だろう』という言葉を使ったのかというと、俺が会場にいないからだ。交流試合に向けてデッキを作ろうと思うのだが、何を使うのか迷っている。この問題を解決する時間が少しでもほしいのでこうして寮に籠っているわけだ。

まず、シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムを使っていいのかどうか。俺のテスターとしての仕事はデュエルアカデミアにシンクロ・エクシーズ・ペンデュラムを浸透させ、さらなるテスター及びプロ候補の生徒に渡していくこと。交流試合の相手はデュエルアカデミアノース校の生徒。同じデュエルアカデミアだから問題無いといえば問題無いのだが、いつ発表されるかもわからない召喚法を見せていいのか?という疑問が出てきている。

海馬さんやペガサス会長に相談するくらいならいっそのこと儀式や融合で戦ったほうがいいような気もしている。

仮にこの問題が解決しても次にどのデッキを作るか。という問題が出てくる。最初の問題で仮にシンクロ等を使っても問題無いのならそれはそれで選択肢が圧倒的に増えてしまうのでそれも困る。逆に使わないにしても選択肢はそれなりにあるのでやはり悩んでしまう。

 

「…………気分転換でもするか」

 

iPodで音楽を聴きながら昼寝することにした。

しかし起きたのはなんと夕方。軽く寝るつもりが爆睡してしまいせっかくもらった時間を無駄にしてしまった。デッキテーマ決定してデッキを作成、回してみて調整とやることを考えるとマジで1日も無駄にできなくなってきた。どうする?シンクロやエクシーズを使うか?それとも向こうに合わせて融合・儀式でいくか?

 

「龍斗、デッキは決まったのか?」

 

ベッドの上で考えていると三沢が帰ってきた。

 

「いや、思考をリセットするために軽く昼寝しようとしたら起きたのがついさっきだ。代表決定戦はどうなった?」

「残念ながら負けたよ。あと1歩といったところだったんだが、逆転負けしてしまった」

「そうか。残念だったな」

「なに、まだ来年もある。気にする必要はないさ」

 

とは言いつつ若干悔しさを隠せてない。でも逆転負けということは、そこまで追い詰め……逆転?…………あ。

 

「そうか。使えるかどうかじゃなく使ってから決めればいいのか」

「龍斗?」

「ありがとう三沢。とりあえず1歩前進しそうだ」

「あ、ああ……どういたしまして」

 

まずはシンクロから決めよう。今までどんなデッキを使ってたのかまとめてみよう。

 

【DDD】一応シンクロも入っているから

【ヒーローグングニール】

【ジャンクとジャンドの境界線】…………なんだこの名前。

【極神】

【サイキック】負けたけど

【レモン】同じく負けたけど

【ドラグニティ】

【インフェルニティ】etc……

 

んー…………あ、【超重武者】使ってみようかな。よし、シンクロは決定。次にエクシーズだ。エクシーズは……

 

【DDD】上記同様

【ワーム】

【ランク4】

【聖刻】

【シャドール】【DDD】と同じ理由で

【サイバー】

【ヴェルズ】

【RR】etc……

 

シンクロより使ってるデッキが多い気がするな……ふむ。【セイクリッド】に期待しよう。頼んだぜ【プレアデス】。

次、ペンデュラム。

 

【DDD】もうこのデッキにコメントは書かない。

【EMと魔術師】ただし魔法は無い

【クリフォート】

【セフィラ】

 

思いの外少ない。んー…………よし、【妖仙獣】にしよう。エンタメだ。

……何故だ、一瞬『かませ犬』ってワードが頭に浮かんだんだが……まぁいいや。

あとは融合か。融合は少ないよな。

 

【DDD】お前なんでもアリだな……あ、書いてしまった。

【シャドール】

【サイバー】

【デストーイ】

【ジェムナイト】

 

あとは【セフィラ】とか【ヒーローグングニール】くらいか。融合……【剣闘獣】?まぁこれにしてみるか。儀式は【セフィラ】で【ブリューナクの影霊衣】を召喚したくらいだ……このさいだし【影霊衣】でいってみるのもアリか。

 

「よし。とりあえずテーマは決定した」

「どんなデッキを使うのか決まったのか?」

「とりあえず5つに絞って、前日までにデュエルを何回かして決めることにした」

「そうか。ところで龍斗、相談があるんだが……」

「相談?」

 

珍しいな。三沢が相談なんて。普段は壁に数式書いて解決してるのに。……他人が見たら怪しさ満点だな。慣れたからいいけど。

 

「ああ、交流試合で使うデッキに俺の【ウォーター・ドラゴン】をいれてほしいんだが……」

 

【ウォーター・ドラゴン】……?使うなら【ハイドロゲドン】に【オキシゲドン】、【ボンディングーH2O】がいるな。

【超重武者】……魔法入るからダメ。

いや、というよりなんでそんなピンポイントに使いにくいカードを選んだ?

 

「残念だがどのデッキにも入りそうもないな」

 

【ランク4】のデッキなら【ハイドロゲドン】くらいは入るんだが、【ウォーター・ドラゴン】はキツい。そして今回エクシーズで使うのは【セイクリッド】だし。

 

「そ、そうか……」

「扱いが難しいからな。今回使うデッキには入りそうもない。すまない」

「あ、いや。気にしないでくれ。まだアテはある」

 

十代か。せめて【ハイドロゲドン】にしてやれ。戦線維持に役立つ。

 

「さて、デッキ作りといこう」

「手伝うよ」

「ありがとう。じゃあまずモンスターのケースから……」

 

三沢が手伝ってくれたおかげで早くデッキ作りを終わらせることができた。隙あらば【ウォーター・ドラゴン】をいれようとしていたが……【影霊衣】に【ウォーター・ドラゴン】って……

そして【影霊衣】使うならエクストラの用意が必要なんじゃ……とか思ったので【リチュア(エクストラ抜き)】も作ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これを入れるとこっちがいらないし、でもこっちを入れるならこれがいらない……あーもーどうすればいいんだー!!」

 

交流試合が近づいても授業はある。授業を終えても寮に戻らず、俺と十代は教室でデッキ調整をしていた。

といっても俺は枕田や浜口、そしてゆまに相手してもらってデッキを回しているだけで、デッキ調整に悩んでいるのは十代だけだ。

 

「十代【ウォーター・ドラゴン】はどうだ?炎属性のモンスターには相性抜群だ」

「入れるなら【エトワール・サイバー】よ。ダイレクトアタックの爆発力が違うわ」

「アニキ、【パワー・ボンド】入れようよ!」

「【デス・コアラ】もオススメなんだなあ」

 

十代の周りには丸藤、前田、三沢、明日香が『自分のカードを使え』と邪魔している。

 

「とりあえず……【スサノーO】で【パルキオン】攻撃」

「…………負けましたわ」

 

浜口ももえ

LP1000→-300

 

「ふむ。【超重武者】はそれなりに動けるか」

「よくモンスターだけで動けますわね」

「墓地に魔法・罠が無いことを前提にしたカードで、慣れてないと一瞬『事故った』と思うけどな」

 

3回くらい連続で回してようやく慣れたと思うが、別のデッキに切り替えてしばらく回すとまた『事故った』と思ってしまう。

 

「【プレアデス】の効果発動。リバース選択、チェーンして【安全地帯】で【RRーライズファルコン】選択。チェーンは?」

「……無いわよ」

「じゃあチェーン2で【ライズファルコン】に【安全地帯】が適用され、チェーン1で【安全地帯】バウンス。【安全地帯】の効果で【ライズファルコン】破壊」

「あーもうムカつくわね!気持ちよくデュエルさせなさいよ!」

 

枕田は頭を激しく掻いた後こちらに怒鳴りつけてきた。

 

「そんなの対策してないお前が悪い。【ヴェーラー】くらい入れとけ」

 

もしくは【うさぎ】。【聖杯】でも可。

 

「俺は俺のためにデュエルするんだー!!」

 

枕田と口論のようなやりとりをしていると十代が急に叫んでどこかに走っていった。おそらくしつこい三沢達に怒ったのだろう。

 

「ドロー……スタンバイ……メインフェイズ……」

 

三沢達が十代を追うところを枕田と浜口が呆然と見送るなか、1人でターンを進めようとするが、チェーン確認のために仕方なく猫だましして意識をこちらに向けさせた。デュエルを終えると枕田と浜口は『明日香さんを追う』と言って走っていこうとするが、

 

「明日香の居場所わかってんのか?」

「「…………」」

 

お前ら考えて行動しろ。

 

「はぁ……アイツの居場所に心当たりがあるからその辺から探すぞ」

 

とりあえず校舎内で十代のサボりスポットは……上か。3人を引き連れてある場所に向かうと、そこでは大の字で寝ている前田となんか『もけもけ』言ってる明日香、丸藤、三沢の3人。そして十代と…………誰だ?ボロボロのオベリスク・ブルーの制服を着た男子生徒がいた。

 

「明日香さん、何してるんですか?」

「ん〜?十代のデュエルをの〜んびり見学してるのよ〜」

 

いつもの覇気が全く感じられない。なんというか、気が緩みまくってる。しかし十代がデュエル……状況は……

 

男子生徒

LP4100

モンスター

【はにわ】:守

DEF500

魔・罠

【怒れるもけもけ】

【人海戦術】

伏せ1枚

手札3枚

 

VS

 

遊城十代

LP3100

モンスター

【E・HERO スパークマン】:攻

ATK1600

魔・罠

手札2枚

 

…………何があった?何があったら【はにわ】が召喚されるんだ?てか【はにわ】ってなんだ?

 

「もけけのけーナノーネー!」

 

おかしなセリフとともに柱の上からクロノスが飛び降りた……自殺?しかし直前に着ていた謎のスーツからスラスターを噴出。そのまま滑らかに移動した。

クロノス曰く、彼の名は『茂木もけ夫』。3年前、学園の誇るナンバー1デュエリストだったらしい。3年前……なんでいるんだ?もう卒業してるはずだろ。とにかく彼は相手の戦術やリバースカードの読みと全てが天才的だったらしい。しかしある日を境に彼とデュエルしたデュエリストはやる気を無くし、島を去っていったらしい。……今の明日香達みたいになったのか。

茂木本人曰く『【もけもけ】と出会ってから皆こうなった』らしい。

そして彼の力に気付いた学園の人間は彼を専用の寮に隔離することを決定した。

海馬さんはこのことを知ってるのか?コレって……

 

「監禁なんじゃ…………?」

「ノンノンノン!彼も彼の家族も合意してるノーネ!」

 

あ、合意してるんだ。じゃあいいや。しかし何故今彼は外に?と十代が問うと茂木本人はクロノスから十代のことを聞いたらしい。そして同じDMの精霊を扱えるという予感がしたらしい。そしてその精霊をデュエルから解放したいらしい。のほほんとしていた方が精霊は幸せだからと彼は言う。しかし十代の精霊である【ハネクリボー】はこのデュエルしてることが楽しいと言っているらしい。そんなことより

 

「俺のターン、ドロー!」

「なぁゆま。枕田達を明日香のところに連れてきたから帰っていいか?」

 

非常に帰りたい。なんか明日香達が寝始めたから非常に面倒な予感がしてる。

 

「人のデュエルを見るのも勉強だよお兄ちゃん!」

「先客の明日香達が寝てるんだが」

「え!?ちょ、皆さーん!?」

 

……帰ろう。とりあえずゆまに帰ることだけ伝えると慌てて俺についてきた。

 

「お兄ちゃん、人からタクティクスを学ぶのもデュエリストだよ!」

「さっきの話を聞く限り俺もゆまも寝てしまう恐れがある。そうなればタクティクスを学べなくなるだけじゃなく起きてる十代に迷惑をかけるから帰るのがベストだ」

 

個人的にはどうやったら【はにわ】なんてカードを採用することになるのか聞きたいが、やる気無くなって云々が本当なら仕事に支障がでてしまう。そうなればクビの可能性もある。それは避けたい。

 

「そっか。私はてっきり面倒なだけかと……」

 

…………ちょいちょい俺の性格を把握してるな。

 

「それも理由の1つではある」

「あ、やっぱり」

「…………」

 

…………何故だろう。今ゆま相手にプトレノヴァインフィニティ〜ダーク・ロウのハンデスを添えて〜とかやっても良いかなと思ってる。もしくは徹底的なメタデッキとか。

やってくる衝動を抑えゆまと校舎を出る。しかし、やけに暗い。別に夜だとか曇ってるわけでもないのに何故?そう思い上を見ると……

 

キングもけもけ〜〜〜

 

…………重低音を響かせているモンスターがいた。

 

「…………ゆま、アレはなんだ?」

「わ、私知らないよ。でもでも、『もけもけ』って言ってたよ」

 

『もけもけ』……じゃあコイツが【もけもけ】なのか……コイツに出会ってから茂木もけ夫のデュエルが変わり、相手やギャラリーに影響を与えたのか……呪いか何かだろうか?

【もけもけ】は島全体に響きそうな大音量で音を出し、直後大爆発した。

十代が何かしたのか。

 

「とりあえず、寮に戻ろう」

 

うろ覚えでもいいから十代からデュエルの展開を聞けばいい。たぶん聞かないと思うけど、そう思い寮へ戻る。




何故三沢は【ウォーター・ドラゴン】単品を渡すのか……
次回は龍斗が社長に怒られる話です。


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交流試合 VS.ーーー

龍斗が怒られて使うデッキを決められる話です。


「それでお兄ちゃん、使うデッキは決まったの?」

「ああ……さっき三沢に協力してもらって決めた」

「あんな方法で決めてよかったのか?」

 

馬鹿野郎。そんなこと言ったらゆまが絡んでくるだろ。

交流試合当日、港で相手であるノース校代表が来るのを待っている中ゆまに使うデッキについて聞かれた。

 

「あんな方法?どんな方法で決めたの?」

「適当にデッキケースをシャッフルして龍斗が中身を見ることなくケースを選ぶだけだ」

「お兄ちゃん……」

 

なんかゆまに可哀想な奴を見る目で見られた。仕方ないだろ、結局決まらなかったんだ。だったらルーレット風に決めるしかない。しかし俺の考えなどわかるはずもなく、ゆま以外の面々にも同じような目で見られた。

なんとなく居心地が悪くなるがそれもすぐにおさまった。ノース校代表とその応援団が潜水艦でやってきたからだ。

ノース校の校長(市ノ瀬という名前らしい)と鮫島校長が挨拶をしていると十代が割り込んできた。早く対戦相手に会いたいらしい。

 

「で誰なんだ?俺の相手は?」

「俺だ」

「っ!誰だ?」

「俺だ」

 

声のした方を見ると見覚えある人物がいた。

 

「万丈目?万丈目だ!」

 

そう、万丈目だ。以前のオベリスク・ブルーの制服ではなく、真っ黒の服を着ている。そうか……ここでサンダーになるのか。

十代が万丈目の登場に驚愕したのは一瞬で、直後に『対戦相手は誰だ』?と聞いて万丈目が『目の前にいる』と返す。そして十代が『誰だ?』と一種のコントのようなやりとりをした後、万丈目が対戦相手だと理解していた。応援団の一部と思われる生徒が『サンダーさんを呼び捨てとは生意気』だのなんだの言っていたが万丈目が静止させる。そろそろもう1人の顔くらい拝ませてほしいな。

 

「で、もう1人は誰だ?」

「宮田龍斗…………!そうか、貴様も代表か……」

 

万丈目は俺を見て恨むような目をしたがすぐに笑みを見せていた。よほど自信があるらしい。

 

「ああ、それでもう1人いるそちらの代表は誰だ?」

「私よボウヤ」

 

潜水艦の中から姿を見せたのは、妙に艶っぽい声に薄紫の髪をツインテールにし、黒い女子制服を着た女子生徒だった。

 

「彼女は藤原雪乃。万丈目サンダーと互角の実力を持つデュエリストです」

 

市ノ瀬校長が鮫島校長に女子生徒を紹介している。とりあえず相手が誰なのかわかったので校舎に向かおうとすると、モーター音を響かせて2機のヘリが飛んできた。機首の底には『万』の文字を丸で囲ったマークがついている。

ヘリから現れた2人の男がこちらに向かって、

 

「久しぶりだな、準!」

 

と言った。ジュン……?誰だ?

 

「長作兄さん!正司兄さん!」

 

万丈目が男2人に反応した。そうか、万丈目の下の名前って『ジュン』だったか。漢字がわからんが。そして『兄さん』……どうやら兄弟らしい。

 

「何しに来たんだ?」

「もちろん、お前の勝利を祝福しにだ!」

 

万丈目の兄2人がヘリを降りるとどこからかクレーンがやってきて2人をカメラで写す。周囲を見るとカメラやマイクを持った人物が数名いた。

校長2人もなんのことだかわからないという反応で、俺達を囲っている連中の1人が言うには今年の交流試合を全国で中継するらしい。……今回は【リチュア(エクストラ抜き)】の方が良さそうだ……せっかくの【超重武者】がお蔵入りになってしまった……内心がっかりしていると携帯が振動した。

見てみると『海馬瀬人』の文字が……!慌てて電話に出る。

 

「はいっ!」

[中継の話の報告はどうした?]

 

いきなり怒られた。

 

「いえ、その……俺もたった今聞いたんですが……」

[そうか。ならいい。今年の交流試合に貴様は出るんだろうな?]

「え、あ、はい」

 

何故出る前提……いや、確かに出るけども。

 

[なら今回は俺の指定したカードをデッキに入れてデュエルしろ]

 

今までの苦労を否定された気分だ。

しかし上司の命令は聞かなければならない。泣く泣く了承。指定されたカードは以前組んだデッキに入っていたはずなので1から組むという悲劇は回避できそうだ。しかし急いで寮に戻って、校舎へ向かうハメになる。

 

「……しかしいいんですか?中継されてるんですよ?」

[構わん。夏にイベントを開催し、そこで発表することが決定している。その前振りだと思え]

 

夏って……ずいぶん長い前振りですね海馬さん。別にいいですけど。

 

「他に使うカード、逆に使わないカードは無いですか?」

[好きにしろ。以上だ]

 

…………切られた。はぁ……面倒だな……

 

「龍斗、どうかしたの?」

 

携帯を仕舞うと枕田に声をかけられた。

 

「海馬さんから指令があった。ちょっとデッキ取ってくる」

「え?デッキ持ってきてないの?」

 

ゆま、変なこと言うな。明日香が妙にイイ笑顔でこっちを見てるだろ。

 

「指令って言っただろ。『このカードを使え』って言われた。用意したデッキには入ってないから持ってこなくちゃいけないんだ」

 

だから明日香、その笑顔はやめるんだ。

十代達と別れて一先ず寮へ移動。デッキを探して、指定されたカードがあることを確認したところで走って校舎へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではここにデュエルアカデミア本校」

「ノース校」

「「対抗デュエル大会の開催を宣言する!!」」

 

テレビスタッフの煽りと校長の宣言に盛り上がりを見せるデュエルフィールド。デュエルの進行はクロノスらしい。ガチガチに固まっているのがよくわかる。

 

「信じられないノーネ!私の姿ーガ、全国に流れているナンーテ!」

 

実は流れてるのは声だけなんてオチな気がするのは俺だけだろうか。

 

「まずは第1戦!デュエルアカデミア本校カラーハ、宮田龍斗ナノーネ!!」

「…………」

 

歓声が上がるが無視してただ静かに腕を組む。まさか中継されるなんてな……遊べないじゃないか。尺とかの都合上。てかこのデッキじゃなくて【EM】の方がテレビ的に良かったんじゃ……気を使いすぎか。カードのこともあるし。

因みに出場順はさっきじゃんけんで決めた。

 

「対するノース校カラーハ、藤原雪乃ナノーネ!」

「ふふ………さぁ、いらっしゃいボウヤ」

 

コイツ中継ってわかってるのか?そんな艶っぽい声出してたらそのうちクレームくるぞ。

 

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

藤原雪乃

LP4000

 

「先攻は俺だ。ドロー!……モンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「1ターン目は様子見かしら?なんだかつまらないわね」

「案外、そういうデッキなのかもしれないぜ?」

 

【ワーム】とかそういうデッキだしな。

 

「そう。なんにしてもこのターンで判るわね。私のターン、ドロー。【マンジュ・ゴッド】を召喚」

 

【マンジュ・ゴッド】

攻撃表示

ATK1400/DEF1000

 

【マンジュ・ゴッド】……儀式デッキか。

 

「【マンジュ・ゴッド】の効果発動。召喚・反転召喚に成功したとき、デッキから儀式モンスターか儀式魔法を手札に加えるわ。【高等儀式術】を手札に」

 

ノース校の生徒は手札にキーカードを加えたことで勝利を確信したのか、無駄にテンションが高い。

 

「バトル。【マンジュ・ゴッド】で守備モンスターを攻撃」

 

【マンジュ・ゴッド】が守備モンスターに近づき、大量の腕で殴ってきた。1人集団リンチ……矛盾してるなぁ……

 

「守備モンスターは【ボルト・ヘッジホッグ】。守備力800だ。破壊される」

「ずいぶん可愛らしいモンスターね」

 

効果は意味わからんけどな。

 

「ターンエンドよ」

 

藤原雪乃

LP4000

モンスター

【マンジュ・ゴッド】:攻

ATK1400

魔・罠

手札6枚

 

リバース無し……?しかし光属性……【オネスト】が怖い……いや、今のうちに使わせれば……

 

「俺のターン、ドロー!【カードガンナー】を召喚!」

 

【カードガンナー】

攻撃表示

ATK400/DEF400

 

「貴女ふざけてるの?そんな玩具みたいなカードで……」

「このカードの恐ろしさを知らないとは、ノース校代表さんは不勉強だな。【カードガンナー】の効果発動!デッキの上から3枚まで墓地に送り、墓地に送ったカード1枚につき攻撃力が500ポイントアップする!3枚墓地に!」

 

【ネクロ・ガードナー】

【ゾンビキャリア】

【ボルト・ヘッジホッグ】

 

神落ち到来。

 

【カードガンナー】

ATK400→ATK1900

 

「デッキを削って攻撃力を上げる?そんなことするくらいなら、最初から高攻撃力のモンスターを召喚した方がいいわね」

「バトル!【カードガンナー】で【マンジュ・ゴッド】を攻撃!」

 

【カードガンナー】が両腕から弾を数発撃ち【マンジュ・ゴッド】を破壊した。

 

藤原雪乃

LP4000→3500

 

「は……ぁん!」

 

直後、マジで放送できないような声を藤原が上げた。

 

「っ!?……た、ターンエンド!」

 

無視だ。無視しろ!重要なのは俺があのカードを使えるかどうかだ!

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【カードガンナー】:攻

ATK400

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「なかなかやってくれるわね。私のターン、ドロー。来たわね、【高等儀式術】を発動!手札の儀式モンスターのレベルと同じになるようにデッキから通常モンスターを墓地に送り、儀式モンスターを儀式召喚する!【甲虫装甲騎士】2体を墓地に送り、【終焉の王デミス】を儀式召喚!」

 

現れたのは両手で大きな斧を持ち、黒を基調とした鎧に身を包んだモンスター。

 

【終焉の王デミス】

攻撃表示

ATK2400/DEF2000

 

恐らくあれが切り札なのだろう。ノース校生徒の盛り上がりが最高潮に達している。

 

「【終焉の王デミス】の効果発動。ライフ2000をコストにこのカード以外のカードを全て破壊する!」

 

え、2000?【裁きの龍】……いや、何も言うまい。

 

「ぁあ……んんっ」

 

藤原雪乃

LP3500→1500

 

ライフを失うたびに喘ぐのはやめていただきたいなぁ……

【デミス】が赤黒いオーラを纏い出した。そろそろ止めないと。

 

「チェーン【ヴェーラー】で」

 

俺の発言の直後、【デミス】を包んでいた赤黒いオーラが消滅した。

そしてプレイヤーである藤原は、

 

「……え?」

 

キョトンとしていた。

 

「手札から【エフェクト・ヴェーラー】の効果を発動。相手のメインフェイズに手札から墓地に送ることで、相手モンスター1体の効果を無効にする」

 

『悔しいでしょうねぇ』とばかりにドヤ顔してやる。

しかし藤原は面白そうな表情を見せた後更に動いてきた。

 

「墓地の【甲虫装甲騎士】2体を除外して【デビルドーザー】を特殊召喚!」

 

【デビルドーザー】

攻撃表示

ATK2800/DEF2600

 

出てきたのは巨大で赤い百足のような虫。若干引く。

 

「バトル!【終焉の王デミス】で【カードガンナー】を攻撃!」

 

【デミス】が両手に持つ斧で【カードガンナー】を薙ぎ払う。

 

「…………」

 

宮田龍斗

LP4000→2000

 

「【カードガンナー】の効果発動!破壊されたときカードを1枚ドローする!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「今更手札を増やしたところでこれで終わりよ。【デビルドーザー】でダイレクトアタック!」

「リバースカードくらい警戒しろよ。リバースカードオープン!【くず鉄のかかし】!相手モンスター1体の攻撃を無効にする!」

 

迫ってくる【デビルドーザー】にスクラップでできたかかしが体当たりをかまして止めてくれた。

 

「あら?よく粘るわね」

「【くず鉄のかかし】は発動後再びセットされる」

「っ!?それじゃあ私の攻撃はかならず1度は止められるってこと!?」

 

あぶねー。危うく1killされるところだった。

無視してるのに怒ったのか藤原は乱暴にカードを伏せてターンエンドした。

 

「じゃあエンドフェイズに【サイクロン】でそのリバースカードを破壊」

「っ!」

 

再びドヤ顔。後ろから『やることが酷い』だの何だのと聞こえるが、その声は枕田と……浜口か?

 

「お前ら聞こえてるぞー!」

 

後ろを振り返って言うと一気に静まり返った。

 

藤原雪乃

LP1500

モンスター

【終焉の王デミス】:攻

ATK2400

【デビルドーザー】:攻

ATK2800

魔・罠

手札3枚

 

「ったく……後でトラウマでも植えつけてやろうか……」

 

何がいい?【デストーイ・シザー・ウルフ】で連続ダイレクトアタック?いや、前やったな。じゃあロックデッキでトドメさせるのにターンエンドしたり?いやこれはただの舐めプか。あ、とりあえずアイツらのモンスターを【アンデットワールド】でアンデット族にして……やることがガキっぽいか?魔法・罠を封じつつモンスターの召喚を禁止する……手間かかりそうだし事故りそうだしでダメだな。んー…………

 

「ボウヤのターンよ。早くなさい」

「ん?ああ、そっか。デュエル中だったな。俺のターン、ドロー」

 

考えてたら怒られてしまった。トラウマ云々は後でいいや。

 

「モンスターをセットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP2000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「防戦一方ね。さっさと終わらせましょう、観てる人もつまらないだろうし。私のターン、ドロー。【マンジュ・ゴッド】を召喚」

 

【マンジュ・ゴッド】

攻撃表示

ATK1400/DEF1000

 

「【マンジュ・ゴッド】の効果でデッキから【終焉の王デミス】を手札に加えるわね」

 

2枚目……だが手札に加えても現状腐るような……

 

「【魔法石の採掘】。手札を2枚捨てて墓地の【高等儀式術】を手札に加えて発動!デッキから【ネオバグ】2体を墓地に送り【終焉の王デミス】を儀式召喚!」

 

【終焉の王デミス】

攻撃表示

ATK2400/DEF2600

 

あっさり出てきたー……だが手札0か。

 

「今度こそ終わりね。バトル!1体目の【デミス】で守備モンスターを攻撃!」

 

【デミス】が斧を振り上げた瞬間、裏守備モンスター……【ライトロード・ハンター ライコウ】が斧を避けた。

 

「な、何!?まさか戦闘では破壊されないモンスター!?」

「いや、ただのリバース効果モンスターだ。【ライトロード・ハンター ライコウ】のリバース効果で【デビルドーザー】を破壊」

 

【ライコウ】が【デビルドーザー】に噛みつくと【デビルドーザー】が爆散。【ライコウ】は自分から墓地に行った。

 

「その後デッキトップ3枚を墓地に」

 

【ジェット・シンクロン】

【クイック・シンクロン】

【ジャンク・シンクロン】

 

…………どういう落ち方だよ。なんだよ【シンクロン】3落ちって。

 

「粘るのはいいけれど、あまりしつこいと嫌われるわよ?」

 

まぁいいや【ジェット】落ちたし、ただ残りの2枚が痛いなぁ。【ダンディライオン】くらい落ちてくれても良かったと思うんだが……その辺どうだ?

 

「貴方聞いてるの?」

「ん?なんだ?」

 

デッキに心の中で語りかけてみたら怒られた。なんなんだいったい……

 

「……2体目の【デミス】で攻撃よ。さっきの罠は使うの?使わないの?」

「喰らったら終わりだから当然使うさ。【くず鉄のかかし】!」

 

本日2度目のかかしの体当たり。あ、ヘルメットが吹き飛んだ。

かかしだったスクラップの塊はカードに戻り再セットされたが、フィールドにヘルメットだけが残っている……

 

「……【マンジュ・ゴッド】でダイレクトアタック」

 

ヘルメットをチラチラと見ながらダイレクトアタック宣言。【マンジュ・ゴッド】も一瞬ヘルメットを見て攻撃してきた。

 

宮田龍斗

LP2000→600

 

「ターンエンド。次のターンで決めてあげるわ」

 

藤原雪乃

LP1500

モンスター

【マンジュ・ゴッド】:攻

ATK1400

【終焉の王デミス】:攻

ATK2400

【終焉の王デミス】:攻

ATK2400

魔・罠

手札0枚

 

流石にピンチか。手札にはもう【ライコウ】はいないし。墓地の【ネクロ・ガードナー】だけでは防御しきれそうもない。このドローにかけるか。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

……【ジャンク・シンクロン】……なんだよコレ。俺は主人公じゃないぞ。だが来てくれたのなら攻めるだけだ。

 

「チューナーモンスター【ジャンク・シンクロン】を召喚!」

 

【ジャンク・シンクロン】

攻撃表示

ATK1300/DEF500

 

「チューナー……モンスター……?」

「なんだ、万丈目から聞いてないのか。ならよく見ておけ」

 

大きく息を吸って叫ぶ。

 

「デュエルアカデミアノース校の生徒諸君!そして今中継を見ているデュエリスト諸君!これから諸君らにとって未知の力を見せよう!良く見ておくがいい!」

 

本校の連中はたまに見るから注目させなくても良い。【ジャンクロン】や【カーガン】見せてるからなんとなく察してると思うし。

藤原は少し不機嫌そうにこちらを睨みつけている。『この布陣を突破するつもり?』とでも言いたげだ。一撃で仕留めるつもりだが。

 

「【ジャンク・シンクロン】の効果発動!召喚に成功したとき、墓地のレベル2以下のモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する!蘇れ!【ライトロード・ハンター ライコウ】!」

 

【ライトロード・ハンター ライコウ】

守備表示

ATK200/DEF100

 

「そんなことしてなにを……」

「墓地の【ボルト・ヘッジホッグ】は自分フィールドにチューナーがいるとき、特殊召喚できる!来い!2体の【ボルト・ヘッジホッグ】!」

 

【ボルト・ヘッジホッグ】×2

守備表示

ATK800/DEF800

 

「2体!?1体目は最初に破壊したモンスターだけど、2体目なんていつ……」

「6枚、俺のデッキから墓地に送られたカードの枚数だ。これで十分だろ?」

「……自分からデッキを削っていたのはこのため……」

「理解できたようだな」

「でも所詮攻撃力800や1300のモンスター。私の【マンジュ・ゴッド】すら倒せないわ」

 

俺にはまだ手札があるというのに自信満々に言うが藤原よ、それは所謂フラグだ。

 

「墓地の【ジェット・シンクロン】の効果を発動!手札1枚を墓地に送り、このカードを墓地から特殊召喚する!」

 

【ジェット・シンクロン】

攻撃表示

ATK500/DEF0

 

「そんな低級モンスター達でどうするのかしら?」

「言っただろ?『お前達にとって未知の力を見せよう』って。レベル2の【ライトロード・ハンター ライコウ】にレベル3の【ジャンク・シンクロン】をチューニング!」

 

本校ではたまに見かける光景だがノース校では当然初の光景だ。ノース校サイドからどよめきが起きる。おそらく中継を観ている人達も同様だろう。

 

「なに!?なんなの!?」

「集いし星が新たな力を呼び起こす!光差す道となれ!シンクロ召喚!いでよ!レベル5!【ジャンク・ウォリアー】!」

 

【ジャンク・ウォリアー】

攻撃表示

ATK2300/DEF1300

 

出てきたのは紫の装甲と大きな右腕が特徴の人型モンスター。コイツが海馬さんに指定されたカード。恐らくこのカードをシンクロモンスターの代表的カードにしようと思っているのだろう。

 

「シンクロ……召喚……?なんなの?さっき言ったチューナーといいシンクロ召喚といい」

「今はまだ秘密だ。【ジャンク・ウォリアー】の効果発動!シンクロ召喚に成功したとき、自分フィールドにいるレベル2以下のモンスターの攻撃力分、自身の攻撃力をアップさせる!パワー・オブ・フェローズ!」

 

2体の【ボルト・ヘッジホッグ】と【ジェット・シンクロン】の力が【ジャンク・ウォリアー】に集中する。

 

【ジャンク・ウォリアー】

ATK2300→ATK4400

 

「攻撃力4400!?」

「まだだ!レベル2の【ボルト・ヘッジホッグ】2体にレベル1の【ジェット・シンクロン】をチューニング!

集いし衝動が新たな風となり吹き荒れる!光差す道となれ!シンクロ召喚!道を開け!レベル5!【ジェット・ウォリアー】!」

 

【ジェット・ウォリアー】

攻撃表示

ATK2100/DEF1200

 

「またシンクロ召喚!?1ターンに何度でもできるというの!?」

「【ジェット・ウォリアー】の効果発動!シンクロ召喚に成功したとき、相手フィールドのカード1枚を手札に戻す!ジェット・インパクト!」

 

【ジェット・ウォリアー】が高速でフィールドを駆け抜けると【デミス】の1体が吹き飛ばされた。

 

「私の【デミス】をこうもあっさり……」

「バトル!【ジャンク・ウォリアー】で【終焉の王デミス】を攻撃!スクラップ・フィスト!」

 

【ジャンク・ウォリアー】の右腕が巨大なオーラを纏い【デミス】を殴り貫通。そのまま藤原に突っ込んだ。

 

「ああぁぁぁぁああ!」

 

藤原雪乃

LP1500→-500

 

まずは1勝。さて、枕田達にどうやってトラウマを植えつけようか……




雪乃ことゆきのん登場です。
次回は交流試合2戦目……かな?


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ノリ デュエル無し

46話が完成してませんが投稿します。


交流試合1戦目を勝利したのでデュエルフィールドから降りるとクロノスが小声で話しかけてきた。

 

「シニョール宮田良かったノーネ?シンクロモンスターは、まだ一般には出回ってないノーニ」

「海馬社長からの命令で、【ジャンク・ウォリアー】を出すように言われたので問題ありませんよ」

「そ、そうナノーネ?」

「ええ、【ジェット・ウォリアー】等のシンクロモンスターも使っていいって言われたので。では失礼します。あとは十代が勝つのを待つだけですから」

 

勝ってくれないと面倒なことになりそうな予感がする。1勝1敗になって3戦目になるんだろう。そうなると1戦目に勝った俺が出る確率が高くなる。そうなったら今度はエクシーズか?……【ホープ】?だったら【ライトニング】使いたい。もうノース校とか視聴者とか置いてきぼりにしてクビになってもいいから早く終わらせたい。

 

「あ、来たわね鬼畜外道テスター」

 

観客席に来て早々枕田から罵声が飛んできた。どこに鬼畜やら外道やらの要素があった?前世では普通だ。寧ろとんでもなく優しいデッキだったと思うんだが。

 

「うるせーぞ枕田。【スキドレクリフォート】でボコボコにしてやろうか?あ?」

 

テスターの中で唯一ペンデュラムを使えるので言ってみたが、いいかもしれない。【魔術師】でもいいな。トラウマになるかどうかはさておき。

 

「や、やってみなさいよ!」

「言ったな?ならデッキ持ってくるからちょっと待ってろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デッキを取りに寮に戻り、普段置いてある場所から出したケースを部屋の入口で確認すると……

 

「ふぅん……ココがボウヤが住んでいる寮なのね」

「っ!?」

 

急に背後から艶っぽい声が聞こえた。

振り返ると先程相手した藤原がいた。

何故コイツがここにいる……?

 

「…………」

 

警戒しつつケースにゆっくりと近づく。

 

「そんなに警戒しなくても大丈夫よ。ただボウヤに興味があるだけ」

「……他人の部屋に許可無く入って警戒するなという方が無理だろう」

 

藤原は『つれない』とか言って、妖艶に笑う。笑える要素なんてどこにもないだろ。しかし、ずっとこのままというわけにもいかない。十代が負けたらおそらく俺が2度目の出番となり決着をつけることになるのだから。

とりあえず目的でも探ってみるか。

 

「……何が目的だ?」

 

遠回しに聞くヒマがあったらストレートに聞く。

 

「ずいぶんストレートに聞いてくるのね?言ったでしょう?『ボウヤに興味がある』って。シンクロ召喚なんて私が知らない召喚法を使うボウヤに」

 

やはり目的は……シンクロか。デュエリストは、自分が未知の召喚法によって敗北したとなるとその召喚法の持つ力に興味が沸くのは当然と言っていい。

 

「俺には『お前に興味は無く、シンクロ召喚にしか興味は無い』としか聞こえないな」

「確かにデュエリストとして、シンクロ召喚には興味があるわ。でも私が興味あるのはボウヤなの。シンクロ召喚なんてオマケにすぎないわ」

 

…………サッと先程使ったデッキケースから【ニトロ・ウォリアー】を見せる。

 

「あら?さっきとは違うモンスターね。で、そんな物見せびらかしてなんのつもりかしら?」

 

喰いつくと思ったんだが……一瞬視線をカードに移しただけですぐにこちらに視線を戻した。

…………ザァッとエクストラデッキのシンクロモンスターを見せると、

 

「…………なんのつもりかしら……」

 

なんか怒気が込められた。どうやら本気でカードに興味は無いらしい。

 

「いや、本当にカードに興味が無いのか確認しただけだ」

「そう。ならもう充分よね」

 

藤原が一歩近づいてきたので一歩下がる。

 

「…………」

「…………」

 

また近づいてきたのでまた下がる。

 

「どうして逃げるのかしら?」

「何か嫌な予感がしたからソレに従ったにすぎない」

 

こう……人生が破滅してしまうような……そんなレベルでの嫌な予感がしている。意を決したように大きく前進してきた藤原。こちらも大きく後退するが、先程ケースに近づいたのが悪かったのかケースに躓いてしまった。

 

「あらあら。転んじゃったわね」

 

藤原が隙アリとこちらに急接近してきた。少し動いたら触れてしまいそうな距離だ。どうやってこの状況を切り抜ける?まず正面は無理だろう。藤原がいる。背後はケースが障害になるだろうからこちらも無理。右に転がる?ベッドがあるから無理だ。となると左だ。

少し勢いをつけて転がろうとすると、ガッと何かにぶつかる感覚とともに止まった。バカな、左には何も無かったはず……

 

「なにをコロコロ転がってるのかしら?」

 

俺の太ももが藤原の脚に止められていた。藤原はゆっくりとこちらにのしかかってくる。

そして俺の髪に手を伸ばした。

 

「女の子みたいな髪ね。サラサラでとても綺麗」

 

ただ髪に触れ弄られてる。危害を加える気も無いらしい。なら……

 

「……髪とかどうでもいいから退いてくれないか?」

 

素直に頼んでみよう。

 

「本当につれないわね。2人の男女が密室でここまで密接してるというのに」

「本来なら勘違いしそうな状況なんだろうな。だが俺にはやらなきゃならないことがある」

 

そう、枕田と浜口をデュエルでボコボコにしてやらなきゃならない。

 

「女?」

「女?確かに女子が関わってるな」

 

何故か藤原はスッと目を細めた。何か勘違いされたか?今のうちに誤解を解くか。

 

「何か勘違いしているみたいだし、先に言うぞ。やらなきゃならないことはさっきのデュエルについて『やることが酷い』だの帰ったら帰ったで『鬼畜』だのと言ってきたからそいつをデュエルでボコボコにしないといけないってことだ」

 

なるべく丁寧に説明してやったら表情を戻し、離れてくれた。ただ……

 

「で、なんでノース校の代表がいるのよ?」

 

なんか藤原が観客席までついて来やがった。

なので観客席に戻ると枕田にいきなり突っ込まれた。ゆまはなんか頬を軽く膨らませてこちらを見てるし、丸藤は『羨ましい』とか勘違いしてる様子。明日香には『いいご身分ね』と笑顔で言われた。俺より十代のデュエルを見てやれよ。け、決して明日香の笑顔にビビったわけじゃないぞ!

明日香を視界から取り除くために十代のデュエルを見てみよう。

 

万丈目準

LP2100

モンスター

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】

手札4枚

 

VS

 

遊城十代

LP1600

モンスター

【E・HERO ワイルドマン】:攻

ATK1500

魔・罠

手札2枚

 

万丈目が有利か。墓地見たいな。それしだいで十代にも逆転の可能性があるかもしれない。

 

「せめて【属性HERO】でも渡せば良かったかなぁ……」

「【属性HERO】?」

「ゆまも使ってる融合した【HERO】のことだ。【アブソルートZERO】とか【ノヴァマスター】とか【HERO】と特定の属性のモンスターを素材にした【HERO】のことだ」

 

浜口の問いに答える。するとゆまと三沢、浜口達テスター3人は納得したように頷いた。しかし藤原だけ理解できていないらしい。というかなんでついて来たんだ。

 

「他には適当にエク……これって言っていいの?」

「シンクロは構わないと思うが、他は知らん。『使え』と言われたのは【ジャンク・ウォリアー】だけだからな。とりあえず伏せておこう」

 

枕田がエクシーズのことを言おうとしたが、藤原のことを考えて言っていいのか判断しかねたのだろう、俺に聞いてきた。簡単にエクシーズのことバラして海馬さんに怒られるなんて悲劇は避けたい。

 

「エク……?ボウヤ、なんのこと?」

「今お前が知る必要は無い」

 

一蹴すると藤原は何を思ったのか俺の左腕に自分の腕を絡めてきた。う、腕に柔らかい2つの何かが……!

腕にくる感覚を必死に意識しないようにしていると、ゆまがいきなり立ち上がった。

 

「ちょ、ちょっと藤原さん!お兄ちゃんにくっつかないでください!」

 

そのセリフとともに俺の右腕にゆまがくっついてきた。こ、こっちもか……!1人激しく動揺していると明日香がこちらを見ている。

 

「明日香、見てないで助けてくれ」

「いいじゃない。両手に花で」

 

1人は従妹だしもう1人は名と使用デッキくらいしか知らん奴だ。カイザーが偶々近くにいたので目線で助けを求めるが諦めろと言わんばかりに目を閉じやがった。これは……詰みか?

 

「藤原、離れろ」

「ボウヤが秘密にしていることを教えてくれたら離すわ」

 

ゆまは……置いておこう。たぶん藤原が離れたら離れると思うし。となると藤原を納得なりさせないといけないということなんだが、エクシーズを教えるってことだろ?『デュエルアカデミア生徒』だから問題無いとは思う。しかし『デュエルアカデミア本校の生徒』では無い……なんか微妙なラインな気がする……。それにさっき『伏せておこう』と言ったばかりだ。前言撤回が早すぎる。

 

「……お前に包み隠さず全てを話す必要は無いし、いつかわかることだ」

「いつかわかるなら今でもいいじゃない?」

「これは俺個人の話じゃなく、企業の話にもなる。俺が簡単に話していい事じゃないんだ」

 

藤原は枕田を数秒見た後、渋々といった感じで引き下がった。そして空いている席に座る。そして十代が居たと思われる席に藤原が座るが、ノース校の制服(……だよな?万丈目とコイツ以外同じような服だし)を着ているので浮いている。デュエルに視線を移す。

 

「【フレイム・ウィングマン】で【アームド・ドラゴン LV7】を攻撃!フレイム・シュート!」

 

【フレイム・ウィングマン】?【アームド・ドラゴン】って攻撃力2800のはず……あ、いや守備表示だったり……

 

【アームド・ドラゴン LV7】

攻撃表示

ATK1600/DEF1000

 

なんか攻撃力下がってる。そして【フレイム・ウィングマン】が腕の龍頭から火を吹き【アームド・ドラゴン】を倒した。

 

「バカな……俺が負けるなど……!」

 

万丈目準

LP2100→1600

 

「【フレイム・ウィングマン】の効果発動!バトルで破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」

 

万丈目は声を出さずに敗北した。

両手を床についている万丈目に兄2人が歩み寄る。流石にエリート意識があっても慰めるくらいはするか。

 

「準、貴様何をやっているんだ!自分が何をしたのかわかっているのか!」

「万丈目一族に泥を塗りおって……!」

 

『慰め』の『な』の字も無かった。

 

「すまない、兄さん達……」

「貴様、俺達の与えたカードはどうした!?」

「あのカードがあればもっと強いデッキが作れただろう!」

 

…………ここで『アンタらの集めたカードなんてシンクロモンスター達で倒してやるZE!』とか言ってもいいだろうか……どうせただ金のかかるだけのバニラだろうし。

 

「俺は、自分のデッキで勝ちたかったんだ……」

「このバカ弟がぁ!」

 

万丈目が自身の思いを言った直後、兄達のうちの1人に胸倉を掴まれた。

もう片方の兄も『だからお前は落ちこぼれなんだ』と万丈目を罵る。……そろそろ目障りに思えてきたな。

 

「やめろアンタ達!」

 

そんなことを思っていると、十代が静止させた。そして十代の後ろにはカイザーに明日香、丸藤、前田、三沢がいた。アイツらいつの間に……普段は無理矢理に巻き込むクセにこういうときはスルーかよ……

席を立つとゆまに声をかけられたが、『すぐ戻る』とだけ伝えて十代達の所へ。

 

「万丈目は一生懸命戦ったんだ!」

「他人が我ら兄弟のことに口出しするのか」

「兄弟ならなおさらそんな態度はないだろう!」

「落ち着け十代」

 

到着するころには既に口論になっていたので十代を下げる。お前の頭でどうにかなるとは思えないぞ。

 

「龍斗!」

「別に兄弟で反省会するのは構わないんだが、場所を考えてくれないか?目障りでしかないぞ」

「なんだと!?」

「誰が喋っていいと言った?アンタらエリート気取りの兄弟は勝利、結果を重視してるんだろ?だったら敗者であるアンタらには喋ることすら許されない。なにせこちらは勝者だからだ」

 

我ながら無茶苦茶な理屈だ。多分後ろの連中も、周りの生徒もそう思っているだろう。

 

「俺は十代と違って、アンタらに言いたいことを言いに来ただけだ。今回のTV中継はどうせアンタら兄弟のくだらない夢だか妄言だかのためだろ?」

「くだらないだと!?」

「我ら兄弟の野望をそんな言葉で!」

「俺は喋るなと言ったはずだ。別に夢だの野望だの持つのを悪いとは言わないさ。ただ、ソレを自分以外の誰かに押しつけるなよ。万丈目はアンタらの人形じゃない」

 

なんでこの兄弟はそんなことも理解できないんだ?もういい歳だろ……

 

「人形遊びがしたいなら自室でしてろ。あとそろそろ帰れ、邪魔だから。以上」

 

うん。とりあえず言いたいこと言った。戻ろうとするとノース校の生徒を中心に『帰れコール』が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場の空気に耐えられなくなった万丈目の兄達はヘリで帰った。

交流試合も終わったのでノース校の生徒達を見送る。

十代や丸藤が万丈目に別れの挨拶をするが、万丈目本人は『ノース校には帰らない』とか言った。曰く、本校でやり残したことがあるらしい。鮫島校長は『元々万丈目君はここの生徒だから』と万丈目が本校に戻ることを快諾。

 

「なら、私もここに残るわ」

 

万丈目が本校に戻ることが決定した直後、艶っぽい声でそんなセリフが聞こえた。

 

「ふ、藤原君!?」

「私はノース校でデュエルの腕を磨こうと思って入学したけど、ここの方が自分を高められると思うの」

 

『興味のある子もいるし』とも言っていた。一瞬寒気がしたのは気のせいだろう。

藤原は鮫島校長と市ノ瀬校長にアレコレ言って了承させた。その後市ノ瀬校長が万丈目に何か言おうとしたが、クロノスが遮った。なんでも、ミス・デュエルアカデミアから勝者側の校長にご褒美があるらしい。ミス・デュエルアカデミア……そんな人がいるのか……去年もあったと考えると2年と3年は誰か知ってるよな。その証拠にクロノスのいるステージに集まっているのは1年ばかり。俺はその様子を遠巻きに見ていると、厚化粧をしてギリギリ着れるくらいのサイズの服を着たトメさんが現れた。

 

「…………吐き気がしてきた」

「お、お兄ちゃん大丈夫!?」

 

こういうのって学生がなるものだと思っていたから、不意打ちされて微かに吐き気がしてきた。

 

「お、お兄ちゃん!トメさんが校長先生のほっぺにき、キスしてる!」

「……ゆま、実況しなくていい」

 

マジで吐きそうになる……

直後市ノ瀬校長らノース校の生徒は男泣きをしながら帰っていった。

万丈目が本校に戻ってきたのはいいのだが、3ヶ月も居なかったのでオベリスク・ブルーとして進級するのは無理らしい。進級するには出席日数に関係ないオシリス・レッドに行くしかないらしい。万丈目は『俺がコイツらと同じ寮!?』とギャーギャー言っていたが、それは自業自得というか仕方ないだろ。

 

「それじゃ、万丈目の入寮を祝して!」

『『『一!十!百!千!』』』

 

何故か十代の声とともにカウントされ、

 

『『『万丈目サンダー!!』』』

 

万丈目の名が叫ばれた。

 

「ダー♪」

 

ゆま、別にノらなくていいんだぞ。

俺の前には、『やめろ』だのなんだのと抗議するも、まんざらでもない表情の万丈目がいた。




次回はトロトロの修羅場(笑)です。


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わんこ 雪乃VS.ゆま

右足が中破したアルス@大罪です。
オリジナル……いや、閑話的な感じです。


カチャ……

 

ドアが微かに閉まる音が聞こえて、意識が浮上する。しかしまだ眠いので目を閉じたまま再び眠ろうとする。ゆっくりと俺の脚に何かが乗っかった。鬱陶しいので退けたいが脚に乗ってるのでどうしようもない。仕方ないので目を開けると

 

「あら、起きたのね。おはよう」

 

藤原がいた。

…………そんなバカな。ここは男子寮だぞ。ここに同室の奴、百歩譲って同寮の奴、千歩譲って他の寮の男子がいるならまだしも、他の寮の異性がいる……だと……?どうやら寝ぼけているらしい。もしくは夢だな。よし、寝よう。

 

「二度寝すると遅刻するわよ?まぁ私は別に構わないけれど」

 

夢の中の藤原を無視して眠りにつく。多分そのうち起きるだろう。

 

「な、何しているんだ君は!?」

 

っ!三沢が朝っぱらから大きな声をあげた。

 

「……うるさいぞみさ……」

「おはよう。2回目だけど」

 

体を起こすと目の前に藤原がいた。夢の中で見た光景だ。

 

「……三沢、何故藤原がここにいるんだ?」

「俺が聞きたい!」

「じゃあ藤原、何故ここにいるんだ?」

 

そして何故俺の上にいるんだ?

 

「ボウヤ……いえ、龍斗に逢いに来たのよ。ついでに寝顔を拝みに」

「ここは男子寮だぞ」

「そうね」

 

『そうね』って…………無駄な気がしつつも『特別な用事がない限り異性の寮に来ることは禁止されてる』と言ってみたら

 

「規則なんかに縛られるのはイヤなの」

 

やっぱり無駄だった。こういうタイプの奴は相手しないのがベストだと思う。

三沢に『とりあえず無視』と伝えつつ藤原を部屋から蹴り出してから着替え、食堂で朝食をとって授業へ。

食堂は食堂で藤原が自由人してたが全力で無視した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、なんで藤原さんがいるの?」

 

朝ゆまに会うと開口一番にそんなことを言われるハメになった。しかも妙に暗い目で。明日香の右手以外で女子に恐怖を憶える日が来ようとは……それはさておき放課後。

 

「お兄ちゃんから離れてください!」

「『お兄ちゃんお兄ちゃん』って、兄離れしたらどうかしら、お嬢ちゃん?」

 

現在目の前で修羅場ってる。内容が内容だし、ゆまが関わるとなると放置はできない。

 

「ゆま落ち着け」

「お兄ちゃん、でも!」

「『でも』じゃない。深呼吸でもして落ち着け」

 

ゆまは言われた通り深呼吸を数回した。まるで犬……いや、ちょっと表現がアレだな……『わんこ』……うむ。わんこに決定。

 

「すー……はー……で、藤原さん!お兄ちゃんに近づかないでください!」

「龍斗が誰と関わろうが龍斗の自由でしょ?」

「よ、呼び捨て!?」

「だから落ち着け」

 

ゆまの頭をコツンと小突く。ゆまは『あうっ!』と小さな悲鳴(?)をあげた。

 

「ゆま、なんでお前は藤原が俺にくっついてくるのが嫌なんだ?」

「そ、それは……そのぉ……」

 

俺の質問にゆまは頬を微かに赤らめて口ごもった。

 

「藤原、お前もお前だ。他人との接し方にとやかく言いたくないが、厳しすぎる。人の接し方にアレコレ言うな」

「…………」

 

藤原は藤原で不機嫌そうな顔をする。

んー……とりあえず、

 

「ゆま、藤原。デュエルだ」

「ふぇ?」

「デュエルすれば相手の人となりがわかるって誰かが言ってた」

 

ような気がする。ゆまは誰が言ったのかとか気にせず納得し、藤原も了承。

とりあえず意識を別方向に向けることに成功。あとはこれを機に仲良くなってくれればベストだ。

 

「「デュエル!」」

 

藤原雪乃

LP4000

 

VS

 

宮田ゆま

LP4000

 

「私の先攻、ドロー。【マンジュ・ゴッド】を召喚」

 

【マンジュ・ゴッド】

攻撃表示

ATK1400/DEF1000

 

「【マンジュ・ゴッド】の効果でデッキから【終焉の王デミス】を手札に加えるわね。カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

藤原雪乃

LP4000

モンスター

【マンジュ・ゴッド】:攻

ATK1400

魔・罠

伏せ1枚

手札5枚

 

藤原の初ターンは準備で終わるか。ただ【高等儀式術】を加えなかったってことは既に握っている……?

 

「私のターン、ドロー!魔法カード【融合】を発動!」

 

対するゆまは速攻か。

 

「手札の【E・HERO シャドー・ミスト】と【E・HERO オーシャン】を融合!

影に潜むヒーロー。母なる水のヒーローと力を合わせて、私とともに戦ってください!融合召喚!氷のヒーロー!【E・HERO アブソルートZERO】!」

 

【E・HERO アブソルートZERO】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

うん。以前のように噛むことはなかったな。良かった良かった。

 

「普通に召喚すればいいのに何故長ったらしいセリフを言うのかしら?」

「お前召喚口上バカにすんじゃねぇよ」

 

口上考えんの大変なんだぞ。

前世でやったゲームの記憶から引っ張ってきたやつも多々あるけど。

俺が絡んできたのが以外なのか藤原が目を丸くしてこちらを見たがすぐに謝ってきたのでとりあえず良しとする。

 

「続けますね。【シャドー・ミスト】の効果発動!このカードが墓地に送られたら、デッキから【シャドー・ミスト】以外の【HERO】を手札に加えます!【E・HERO エアーマン】を手札に!」

 

宮田ゆま

手札3枚→4枚

 

なるべく手札を減らさないようにしてるな。それに【アブソルートZERO】……【デミス】対策か?

 

「更に【E・HERO エアーマン】を召喚!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

「【エアーマン】の効果発動!召喚に成功したとき、デッキから【ブレイズマン】を手札に加えます!そしてバトルです!【エアーマン】で【マンジュ・ゴッド】を攻撃!ファン・ブレード!」

 

【エアーマン】が自身の翼に付いているファンを2つ取り出し【マンジュ・ゴッド】に投げる。ファンは【マンジュ・ゴッド】に突き刺さり【マンジュ・ゴッド】が爆発した。……しかし【エアーマン】のファンも粉々になり、【エアーマン】がショックを受けている。替えくらい用意しとけよ。

 

「ぁっ!」

 

藤原雪乃

LP4000→3600

 

「【アブソルートZERO】でダイレクトアタックです!」

 

【アブソルートZERO】が藤原に向けて氷の塊を複数放つ。

 

「罠発動【魔法の筒】。相手モンスターの攻撃を無効にして、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える」

 

しかし、突如現れた2つの筒の1つに吸い込まれ、もう片方の筒から細かく砕かれた氷がマシンガンのようにゆまの額を襲う。

 

「いたたたたたたたた!」

 

宮田ゆま

LP4000→1500

 

この後、ゆまは微妙に赤くなった額を気にしつつもターンエンドした。

 

宮田ゆま

LP1500

モンスター

【E・HERO アブソルートZERO】:攻

ATK2500

【E・HERO エアーマン】:攻

ATK1800

魔・罠

手札4枚

 

「私のターン、ドロー。……【高等儀式術】を発動。デッキから【甲虫装甲騎士】を墓地に送り【終焉の王デミス】を召喚」

 

【終焉の王デミス】

攻撃表示

ATK2400/DEF2000

 

なんか安定して【デミス】召喚するなぁ……どんな構築してるんだろ……?

 

「【デミス】の効果発動。ライフ2000を払い、フィールドにあるこのカード以外のカードを全て破壊する」

 

赤黒いオーラを纏い出す【デミス】。そして藤原が

 

「ぁあっ!んぁあ」

 

藤原雪乃

LP3600→1600

 

妙な声をあげた。そして【デミス】が斧でゆまのモンスターを薙ぎ払う。

 

「【アブソルートZERO】の効果発動!フィールドを離れたとき、相手フィールドのモンスターを破壊します!」

「あら」

 

ゆまの効果説明に藤原が少し驚きを見せた。

 

「ブリザード・ブレイク!」

 

【デミス】が凍結し、砕け散った。

 

「なら……【マンジュ・ゴッド】を召喚」

 

【マンジュ・ゴッド】

攻撃表示

ATK1400/DEF1000

 

「【マンジュ・ゴッド】の効果でデッキから【終焉の王デミス】を手札に加えるわね」

 

藤原雪乃

手札4枚→5枚

 

「バトル。【マンジュ・ゴッド】でダイレクトアタック」

 

【マンジュ・ゴッド】がゆまに近づいて沢山の腕でゆまをくすぐった。

 

「あはははははは!ま、待って!ははは!ほ、本当にムリ……」

 

宮田ゆま

LP1500→100

 

くすぐってライフ減るのか……アレか。酸欠か。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

藤原雪乃

LP1600

モンスター

【マンジュ・ゴッド】:攻

ATK1400

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「はぁ……はぁ……今の攻撃は効きました……」

 

『攻撃』というより、『くすぐり』だけどな。

 

「でも、負けません!私のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドローします!」

 

宮田ゆま

手札4枚→6枚

 

【ブレイズマン】召喚して【融合】サーチしてからの方が良かったと思うんだが……まぁいいや。

 

「【ヒーローアライブ】を発動!私のフィールドに表側のモンスターがいないとき、ライフを半分にしてデッキからレベル4以下の【E・HERO】を特殊召喚します!【E・HERO バブルマン】を特殊召喚します!」

 

宮田ゆま

LP100→50

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

【強欲なバブルマン】……そしてゆまのライフが僅か50に……

 

「【バブルマン】の効果発動!私のフィールドに他のカードが無いので2枚ドローします!」

 

宮田ゆま

手札5枚→7枚

 

「【死者蘇生】を発動!墓地から【E・HERO シャドー・ミスト】を特殊召喚!」

 

【E・HERO シャドー・ミスト】

守備表示

ATK1000/DEF1500

 

「【シャドー・ミスト】の効果発動!特殊召喚に成功した場合、デッキから【チェンジ】速攻魔法……【マスク・チェンジ】を手札に加えます!」

 

ゆまの手札が減ってねぇ……

 

「【融合】を発動!フィールドの【バブルマン】と手札の【ブレイズマン】を融合!

母なる水のヒーロー。燃え盛るヒーロー。今一つになりて、私に新しい力をください!融合召喚!お願い!【E・HERO ノヴァマスター】!」

 

【E・HERO ノヴァマスター】

攻撃表示

ATK2600/DEF2100

 

「バトル!【ノヴァマスター】で【マンジュ・ゴッド】を攻撃!ファイヤー・ボール!」

 

【ノヴァマスター】の頭上に3つの火球が出現し、【マンジュ・ゴッド】に向かう。

 

「罠発動【ドレイン・シールド】。モンスターの攻撃を無効にしてその攻撃力分のライフを得るわ」

 

藤原雪乃

LP1600→4200

 

しかし火球は突如現れた盾に阻まれ、盾の裏から光が出て藤原のライフを回復させた。

 

「速攻魔法【マスク・チェンジ】!フィールドの【HERO】を墓地に送って、そのモンスターと同じ属性の【M・HERO】を融合デッキから特殊召喚します!【E・HERO シャドー・ミスト】を墓地に送って、【M・HERO ダーク・ロウ】を特殊召喚!」

 

【M・HERO ダーク・ロウ】

攻撃表示

ATK2400/DEF1800

 

「【ダーク・ロウ】で攻撃!ダーク・ディメンション!」

 

なんかアレな技名の割に飛び蹴りだった。

 

「ぁあんっ!」

 

藤原雪乃

LP4200→3200

 

「【ダーク・ロウ】の効果で相手のカードは墓地に送られず除外されます!」

「っ!?……こちらのカードだけ除外するのね。酷い娘」

「そ、そういう効果なんだから仕方ないじゃないですか!それに、このデッキのほとんどはお兄ちゃんが組んでくれたんです!酷いのはお兄ちゃんです!」

 

なんか責任転嫁された。いや、確かにそのデッキの8割は俺が組んだけど。

 

「…………」

 

藤原が目つきを鋭くしてこちらを見ている。

 

「藤原、どうかしたか?」

「もし、『私のデッキを組んで』と言ったら、組んでくれるかしら?」

 

藤原のデッキを?いや、そこまで安定して【デミス】を召喚できるならそれで充分だろ。

 

「難しいな。そのデッキ以上に安定した儀式デッキとなると、思いっきり別のデッキになってしまう」

 

【影霊衣】とか。あとは……【影霊衣】?もしくは【リチュア】か?

 

「あら。私のデッキにそんな評価をしてくれるのね」

 

返答した途端、藤原は笑みを浮かべ、ゆまが頬を膨らませた。

今度はゆまか……

 

「ゆまは何頬を膨らませてるんだ?」

「なんでもないですぅー!カードを1枚伏せターンエンド!」

 

宮田ゆま

LP50

モンスター

【E・HERO ノヴァマスター】:攻

ATK2600

【M・HERO ダーク・ロウ】:攻

ATK2400

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

なんで急に不機嫌になるんだ?全くもって理解できない。

 

「ふふふ……私のターン、ドロー。【強欲な壺】を発動。カードを2枚ドロー」

 

藤原雪乃

手札4枚→6枚

 

藤原はカードを確認すると微かに目を細めた。

 

「手札1枚を捨て【ライトニング・ボルテックス】を発動。貴女のモンスターはこれで全滅」

 

どれだけモンスターを破壊すれば気がすむんだ。天井からの落雷でゆまのモンスターが全滅した。

 

「あう……」

 

ゆまの不貞腐れた表情からしょぼくれた表情に一転。そしてフィールドがガラ空きに……

 

「墓地の【甲虫装甲騎士】2枚を除外して【デビルドーザー】を特殊召喚」

 

【デビルドーザー】

攻撃表示

ATK2800/DEF2600

 

「あうあう…………」

「バトル。【デビルドーザー】でダイレクトアタック」

「と、罠発動!【聖なるバリア ーミラーフォースー】!これで貴女のモンスターは全滅です!」

 

【デビルドーザー】がゆまに体当たりを仕掛けるも鏡のような盾に阻まれ破壊された。

 

「あら、やるわね。モンスターを伏せてターンエンドよ」

 

藤原雪乃

LP3200

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

手札2枚

 

「私のターン、ドロー!……あれ?」

「「ん?」」

 

ゆまがドローしたカードを見た後、手札とにらめっこを始めた。

 

「…………え、えへへ……」

 

その後こちらを見て苦笑した。なんだ?何があった?

 

「手札事故起こしちゃった……」

 

なんだ。事故っただけか。

 

「えっと、モンスターを伏せてターンエンドです」

 

宮田ゆま

LP50

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

手札3枚

 

「ふふっ……面白い娘。私のターン、ドロー。【マンジュ・ゴッド】を召喚」

 

【マンジュ・ゴッド】

攻撃表示

ATK1400/DEF1000

 

「【マンジュ・ゴッド】の効果で3枚目の【デミス】を手札に加えるわね。更に【ネオバグ】を反転召喚」

 

【ネオバグ】

攻撃表示

ATK1800/DEF1700

 

「こ、攻撃しなくて良かったぁ……」

「攻撃力1700以下のモンスターしかいなかったのね」

「えへへ……」

 

いや、そういう情報さえなるべく晒さないほうが……

 

「バトル。【ネオバグ】で攻撃」

 

【ネオバグ】が裏守備モンスター……【オーシャン】を切り裂いた。

 

「【マンジュ・ゴッド】でダイレクトアタック」

「きゃはははは!ま、待って!く、くすぐるのははははは!」

 

宮田ゆま

LP50→-1350

 

再びくすぐられるゆま。こんな終わりで良かったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでですね、お兄ちゃんは……」

 

俺の戯言が実践されたのかデュエル以降、ゆまと藤原の仲が良い。偶に聞こえる話の内容が主に俺についてなのはどういうことなんだ?そしてゆまがサラッと藤原に俺がテスターであることをバラしていた。

 

「それで、これが前に撮った龍斗の寝顔の写真よ」

 

なんか変な写真を撮られてた。没収しようにもおそらくアレはプリントした物。データの回収は難しいだろうし、もう色々諦めた。




ゆま、【融合】サーチしないから事故るんだぞ。
それはさておき次回はなんか1万文字を超えて墓守家の皆様のところへピクニックです。


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墓守 VS.墓守の大神官

特に書くことがない……本編へどうぞ


大徳寺先生による爆発の授業……正確には錬金術の授業。現在98%ほどの確率で爆発するので俺は内心そう呼んでいる。因みに残る2%は最初の授業だ。話がズレてきてるか?とにかくその爆発の授業でいつも通り爆発を起こして授業を終えた。昼飯にしようとしたところでプリントを配られた。今度の日曜に課外授業で島にある古代遺跡でピクニックを計画しているらしい。参加は自由とのこと。

 

「お兄ちゃん、ピクニックだって」

「そうだな。ただ参加自由ってことは代休は無いんだよなぁ……」

 

自由な時間を失うことになる。のんびりデッキを組む時間を失うのは困る。ダークシンクロモンスターのデッキが思うように組めないから少しでも時間が欲しいんだが……

 

「お兄ちゃん、行こうよピクニック!」

 

予想通りの言葉に拒否したくなるんだが、多分拒否したらしたで面倒なことになるんだろう。ゆまが勝手にどっか行って大徳寺先生他数名に迷惑をかけたり……仕方がないか……はぁ……

 

「仕方ない、行ってやる」

「……っ!ありがとうお兄ちゃん!」

 

感謝の言葉とともに抱きつかれた。一瞬殺気のようなものを感じたのは気のせいじゃないはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、皆さん今日は集まってくれてどうもありがとにゃー」

「皆って言っても6人だけじゃないッスか」

 

日曜、校舎前の一角で集合した。参加したのは前田、丸藤、十代、明日香、ゆま、そして俺の6人。前田曰く、これから行く古代遺跡は火山の近くにあって、普段は立ち入り禁止らしい。

 

「にしても、俺達はオシリス・レッドの義理があるけど、龍斗達まで来るとはな」

「あの遺跡は曰く付きなのよ。闇のデュエルと関係があるって言われてるの」

 

闇のデュエル……

 

「お前の兄さんの失踪と何か関係があるのか?」

「それは、わからないけどね」

 

俺の質問に苦笑気味に答える明日香。

 

「で、龍斗はどうして参加したの?」

「ゆまが勝手に何処か行かないようにだ」

「思い出作りじゃないの!?」

 

意味がわからん。俺はお前が初めて外に出た仔犬のように駆け回って迷子になるなんてことが起きないように来ただけだ。大徳寺先生の咳払いによって全員が注目する。PDAに内蔵されている地図を見ながら解説するようだ。

 

「この古代遺跡は、『古代人のお墓』と言われているのにゃ」

 

こんな島に墓……?来るのに苦労しそうだな。それに万が一火山が噴火したら溶岩の熱で溶けそうだ。いや、でも写真を見る限り溶けたりしてない。つまりあの火山はそこまで派手に活動してない?

 

「さぁ、出発するのにゃー!」

 

大徳寺先生の掛け声に十代とゆまが『おーっ!』と元気よく答えた。

校舎の反対側に遺跡があり、校舎の裏は山が邪魔しているので少し遠回りして行くルートだ。

岩を積み上げたような道はゆまを引っ張り上げながら進み、川の上にとりあえず置いただけの丸太は前田がビビって思わぬ時間をくい、へばった前田を俺と十代が肩を貸してと異常に体力を消費したがなんとか遺跡の入口と思われる場所に到着。この先には古代のデュエルフィールドの遺跡やら墓の遺跡があると大徳寺先生は言っていた。

…………なんで大徳寺先生はそんなに元気なんだ?生徒はクタクタなのに。

 

「先生、探検の前に飯にしようぜ!」

「しょうがないにゃー。じゃ、ここでお昼にするのにゃ」

 

体力使って腹ぺこなのかほぼ全員が賛成した反対……というか返事がないのは俺だけだ。ゆまを引っ張り上げたり前田に肩貸したりと返事する気力もない。前田のやつ、重すぎだろ。

黙々とシートを広げる。

 

「はい、お兄ちゃんのお弁当」

「ん。ありがとう」

 

ゆまがリュックから出した弁当を受け取る。俺が家事全般できないのを知ってるからか、ゆまが弁当を用意してくれたのだ。移動する際は俺がそのリュックを持つわけだが、見た目が悪い弁当を作るくらいなら荷物持ちくらいはするさ。

 

「…………今龍斗君に殺意が沸いたッス」

「たしかに、ちょっと羨ましいんだなあ」

 

丸藤と前田の発言は聞かなかったことにしつつ弁当を開ける。

 

「先生はトメさんが作ってくれたお弁当にゃー」

 

大徳寺先生の発言に丸藤達の意識がシフトした。『分けろ』と喚くも大徳寺先生はこれを拒否。いそいそとリュックから取り出したのは……猫のファラオだった。どうやら大徳寺先生の弁当を食べてしまったようだ。その証拠に口の周りに米がついてる。

 

「せ、先生にも弁当分けてほしいのにゃー」

「嫌なのにゃ!先生に分ける弁当はないのにゃ!」

 

泣きながら十代達に弁当を分けてもらおうとするが、十代が先生の口癖をマネながら要望を拒否。更には全員で似たような顔をしている。

 

「ぅぅ……み、宮田君……」

「俺達くらいの年頃は良く食べるのをご存知でしょう?米一粒足りとも分けません」

 

十代達のように先生のマネなどせずシンプルに一蹴。ゆまの作った弁当に舌鼓をうっていると俺達の周りに幾つかの光が地面から細い柱のように出てきた。…………急いで弁当を回収すると光の柱が広がって周囲を包んだ。

光が収まり、周囲の様子を確認していると、前田があるものに気付いた。

太陽が3つに増え、空はオーロラのように7色で模様を変えている。

 

「こんな自然現象、見たこと無いんだなあ」

 

自然現象?んなバカなことがあるか。ほぼ間違いなくさっきの光が原因だろう。すぐに空が雷のような音とともに光った。

 

「皆、遺跡の中へ逃げるのにゃー!」

 

全員で遺跡の中へ。と思ったら十代だけが外に残っていた。

 

「十代!?」

「俺は大丈夫だ。皆はそこにいてくれ!」

 

十代はそれだけ言って来た道を戻った。あのバカ……!

 

「ゆま、ここにいろ。すぐに戻る」

「お、お兄ちゃん!?」

「先生、ゆまを頼みます」

 

ゆまを先生に任せて十代を追う。

しかし、十代に追いつく前に俺は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……気を失っていたらしい。目を開け周囲を見ると森の中だった。

…………森?遺跡の中にいたはずだ。だが森は森でもすぐ近くに建物がある位置らしい。駆け寄ってみると建物はピラミッドのようだ。

…………さっきの光が原因?それとも夢?とりあえず前者と想定して動くか。

ピラミッドってたしかエジプト王家の墓だったか?だとすると近付くのは危険か?ならどうする?ここで先生達が来るのを待つか?いや、来る保証がない。ならば行動だ。森の木々に姿を隠しながら移動しようとすると、見慣れた赤服を着たクラゲ頭が。しかも奴はピラミッドに数歩という超至近距離にいやがった。そしてクラゲ頭こと十代は羽の生えた毛玉……恐らく【ハネクリボー】とじゃれあっていた。

 

「何してるんだアイツ……?」

 

入口と思われるアーチの方向から十代に近付く黒づくめの女。十代は女と少し喋ると女が何かに気付いて十代の腕を引っ張り、階段の影に身を潜めた。するとアーチから槍を持った黒づくめが数名の男がピラミッド内部に入っていった。十代は女に何かを訴えると女とともにピラミッド内部へ。……ここは合流するか。

 

「十代」

「っ!龍斗!無事だったのか!」

 

十代に駆け寄って合流。十代の話では前田達が捕まっているらしい。ピラミッド内部の一角で女は俺達にここで待つように言ってきた。十代は早く前田を助けたいと言って抗議するが、女は墓の中は広く、闇雲に動けば衛兵に捕まると言って納得させた。

女と別れ俺達は待機するが、十代は5分ともたずに限界がきていた。

十代が喚いているとどこかから大徳寺先生のものと思われる声が聞こえた。

十代が窓のような場所に飛びつき外を見ると大徳寺先生達がいたらしい。

 

「っ!?十代!」

 

十代の声に紛れて聞こえなかったのか急に槍を持った男達と髭面の男が現れた。男達は俺達を槍で牽制しながら囲んだ。

 

「俺遊城十代!仲間を返してくれ!」

 

引きつった笑顔で要求する十代。しかし誰も十代に返答しない。十代が言葉が通じないと思っていると。

 

「お前達の言葉はわかる。今までにも、お前達の世界からやってきた者がいた」

 

髭面の男が返答した。『お前達の世界』……ここは異世界ということか?それなら景色の急な変化も理解できるが……十代はならばと自分達を元の世界に返してくれと更に要求する。

 

「それはできない。お前達は『墓荒らし』として処刑される」

 

しかし男は十代の要求を全面的に拒否。それどころか俺達を処刑すると言いだした。十代は槍を僅かに逸らして『墓荒らしじゃない』と否定するも問答無用と無言で再び槍を向けられる。

 

「今までにも処刑を逃れたる者が今までも1人いた。それには儂と試練の儀式を行い、勝たねばならない」

 

試練の儀式?すると男は懐から見慣れた物を出してこちらに見せた。

 

「それは、DM!?」

 

十代は男が出した物がDMのカードだとわかると試練の儀式を受けることを告げる。先程別れた女から受け取ったリュックからデュエルディスクを取り出す。

 

「勇気ある若者だな。負ければミイラにされるというのに」

 

まさかの負ければミイラ発言。いや、負けたときの代償くらいはあると思ってたけど、まさかミイラとは……

 

「十代、俺もやる」

 

俺もデュエルディスクを取り出して構えると、

 

「ならばその少年は私が相手しよう」

 

声とともに男達の背後から、黒い犬のような面をした男が現れた。

 

「っ!貴様……ここは神聖な場!貴様のような余所者が来ていい場所ではない!」

「余所者?同じ【墓守】の一族ではないか」

「貴様らのようなものを【墓守】の一族と認めた覚えはない!」

 

面の男は嘲笑うように髭面の男の言葉を一蹴。どうやら一族間でもいざこざがあるようだ。

 

「誰が相手でもいい。早く試練の儀式とやらをやらせろ」

 

早くケリをつけてゆまを助けないと。男達によって儀式場に連れて行かれる。下には包帯でぐるぐる巻きにされ、棺桶に入れられたゆま達がいた。

 

「待ってろ。すぐに助ける」

 

小さく呟いて面の男と対峙する。

 

「デュエル!」

「儀式開始」

 

墓守の大神官

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

デュエルが始まったと思ったら、奴は部下と思われる連中によって用意された玉座に腰掛けた。

 

「デュエルディスクを使うのに座るのか」

「これが私のやり方だ。私は裁く側、貴様は裁かれる側。立場の違いがよくわかるだろう?」

 

薄く笑みを浮かべて奴はこちらを見た。

『試練の儀式』というよりただの『裁判』という方が正しいようにも思える。勝てば全員生還。負ければ俺はミイラ、ゆま達は生き埋め……

 

「先攻は私がもらう。ドロー。手札の【墓守の司令官】を捨て効果発動。デッキから【王家の眠る谷ーネクロバレー】を手札に加え、発動。」

 

フィールドが夕焼けに染まる谷へ姿を変える。

 

「モンスターを裏守備表示で召喚。カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

墓守の大神官

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【王家の眠る谷ーネクロバレー】

手札3枚

 

【ネクロバレー】……たしか墓地に影響する効果が使えなくなる効果があったな。先に処理したいところだ。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

しかし手札に除去できるカードが無い。なら攻めていく!

 

「このカードは自分フィールドにモンスターがいない場合、手札から特殊召喚できる!【SR(スピードロイド)ベイゴマックス】を特殊召喚!」

 

【SRベイゴマックス】

攻撃表示

ATK1200/DEF600

 

俺の場にベーゴマが連なったモンスターが現れる。

 

「【SRベイゴマックス】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから【ベイゴマックス】以外の【スピードロイド】を手札に加える!【SR三つ目のダイス】を手札に加え、召喚!」

 

【SR三つ目のダイス】

攻撃表示

ATK300/DEF1500

 

「レベル3の【ベイゴマックス】にレベル3の【三つ目のダイス】をチューニング!

十文字の姿持つ魔剣。全ての敵を切り裂く力を俺に!シンクロ召喚!現れろ!レベル6!【H(ハイ)SR魔剣ダーマ】!」

 

【HSR魔剣ダーマ】

攻撃表示

ATK2200/DEF1600

 

「ほう……面白いモンスターを使うな。だが無駄だ。罠発動【奈落の落とし穴】。相手が攻撃力1500以上のモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚したとき、そのモンスターを破壊し、除外する」

 

本体より大きな剣が特徴のモンスターが現れるも、真下に現れた穴に落ちていった。

 

「くっ……カードを1枚セット。ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「私のターン。反転召喚【墓守の偵察者】」

 

【墓守の偵察者】

攻撃表示

ATK1200/DEF2000

 

出てきたのは黒のターバンに先程の槍を持った男達と同じような黒い上着を着た男。

 

「【墓守の偵察者】のリバース効果発動。デッキから攻撃力1500以下の【墓守】と名のつくモンスターを特殊召喚する。【墓守の祈祷師】を特殊召喚」

 

【墓守の祈祷師】

攻撃表示

ATK1500/DEF1500

 

青い玉をつけた杖を持った、白装束の女が姿を現した。

 

「このカードの守備力は墓地の【墓守】と名のつくモンスター1体につき200ポイントアップする。更にこのモンスターがいる限り、【墓守】と名のつくモンスター以外の墓地で発動するモンスター効果は無効となり、【ネクロバレー】が発動している限り貴様はフィールド魔法を発動できず、フィールド魔法は貴様のカードの効果では破壊されない」

 

【墓守の祈祷師】

DEF1500→DEF1700

 

これで、墓地が使えなくなったってことか……

 

「更に私達【墓守】の一族はここ【ネクロバレー】でさらなる力を得る。【ネクロバレー】の効果、フィールドにいる【墓守】と名のつくモンスターは攻撃力と守備力が500ポイントアップする」

 

【墓守の偵察者】

ATK1200/DEF2000→ATK1700/DEF2500

 

【墓守の祈祷師】

ATK1500/DEF1700→ATK2000/DEF2200

 

「更に【墓守の末裔】を召喚」

 

【墓守の末裔】

攻撃表示

ATK1500/DEF1200→ATK2000/DEF1700

 

現れたのは黒づくめで金髪の若い男。

総攻撃力が俺のライフを超えた……墓地の【三つ目のダイス】も使えない……突如下からゆまの悲鳴が聞こえた。見てみると、僅かだが、棺桶の蓋が閉まっている。

 

「ほう、長が攻撃したのか」

 

奴の言葉に十代のデュエルの様子をみる。

 

墓守の長

LP4000

モンスター

【墓守の番兵】:攻

ATK1000

【墓守の長槍兵】:攻

ATK1500

魔・罠

手札5枚

 

VS

 

遊城十代

LP1500

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札7枚

 

「貴様達のライフが減るたびに、あそこにいる者達の棺は閉じていく」

 

っ!ダメージを受ければゆま達が……

 

「【墓守の末裔】の効果発動。フィールドにいる自身以外の【墓守】と名のつくモンスターを生贄に貴様のフィールドのカード1枚を破壊する。【墓守の偵察者】を生贄に」

 

【墓守の末裔】が呪文を唱えると【墓守の偵察者】が胸を押さえ苦しみだした。【墓守の偵察者】から青白い何かが飛び出し、【ミラーフォース】が破壊された。

 

【墓守の祈祷師】

DEF2200→DEF2400

 

「大口を叩いた割にはあっけないな。バトル。【墓守の祈祷師】、【墓守の末裔】でダイレクトアタック」

「相手モンスターがダイレクトアタックするとき、このカードを攻撃表示で特殊召喚し、相手の表側表示モンスターを全て守備表示にする!【SRメンコート】を手札から特殊召喚!」

 

【SRメンコート】

攻撃表示

ATK100/DEF2000

 

上空から【メンコート】が落ちてきて、風圧によって奴のモンスター全てが守備表示になった。

 

【墓守の祈祷師】

攻撃表示→守備表示

ATK2000→DEF2400

 

【墓守の末裔】

攻撃表示→守備表示

ATK2000→DEF1700

 

「フッ……よく躱したな。私はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

墓守の大神官

LP4000

モンスター

【墓守の祈祷師】:守

DEF2400

【墓守の末裔】:守

DEF1700

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【王家の眠る谷ーネクロバレー】

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!……【大嵐】を発動!【ネクロバレー】は破壊できなくても、そのリバースカードを破壊はされる!」

 

現れた竜巻によって【ネクロバレーの王墓】が破壊される。

 

「チューナーモンスター【SR赤目のダイス】を召喚!」

 

【SR赤目のダイス】

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

周囲に6個の小さな赤い球を浮かべたサイコロが姿を見せる。

 

「【赤目のダイス】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功したとき、【赤目のダイス】以外の【スピードロイド】1体のレベルを1から6までの好きな数値に変更できる!【メンコート】のレベルを4から6に変更!」

 

【赤目のダイス】の周囲に浮かんでいる赤い球が全て【メンコート】を包む。

 

【SRメンコート】

レベル4→6

 

「レベル6となった【SRメンコート】にレベル1の【赤目のダイス】をチューニング!

その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!シンクロ召喚!現れろ!レベル7!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】!」

 

ミントグリーンの翼を持つ白い龍がフィールドに現れた。

 

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「バトル!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】で【墓守の祈祷師】を攻撃!旋風のヘルダイブスラッシャー!」

 

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】が風を纏って【墓守の祈祷師】に突撃した。

 

「ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】:攻

ATK2500

魔・罠

手札3枚

 

「私のターン。【墓守の末裔】を生贄に私自身、【墓守の大神官】を召喚する。せっかくの儀式だ、私自身が戦場に出よう」

 

【墓守の大神官】

攻撃表示

ATK2000/DEF1800

 

「私のレベルは8だが、【墓守】と名のつくモンスター1体を生贄に召喚できる。更に私の攻撃力は墓地の【墓守】と名のつくモンスター1体につき200ポイントアップする。私の墓地の【墓守】と名のつくモンスターは3体、よって600ポイントアップだ。更に【ネクロバレー】の恩恵を受ける」

 

【墓守の大神官】

ATK2000/DEF1800→ATK3100/DEF2300

 

「バトル。【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】を攻撃」

 

【墓守の大神官】が杖を軽く上げ、そのまま地面を突くと、突如【クリアウィング】が破壊された。

 

「チィッ……!」

 

宮田龍斗

LP4000→3400

 

ダメージは僅か600だが、それでもゆま達が入れられている棺桶の蓋は閉じているのだろう。こちらからはほとんど変化が無いように見えるが、それでも声が聞こえる。

 

「ターンエンド」

 

墓守の大神官

LP4000

モンスター

【墓守の大神官】:攻

ATK3100

魔・罠

フィールド

【王家の眠る谷ーネクロバレー】

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!【俊足なカバ バリキテリウム】を特殊召喚!」

 

俺の背後から後ろ足にだけ靴を履いた妙な格好のカバが現れた。

 

【俊足なカバ バリキテリウム】

攻撃表示

ATK1600/DEF600

 

「このカードは1ターンに1度手札から特殊召喚できる。そしてこの方法で特殊召喚に成功したとき、相手は自分か相手の墓地からレベル4モンスターを特殊召喚できる。しかし、【ネクロバレー】によってこの効果は無効になる」

「だが、そんなモンスターでは私を倒すことはできんぞ」

「まだだ!【SRシェイブー・メラン】を召喚!」

 

【SRシェイブー・メラン】

攻撃表示

ATK2000/DEF0

 

「俺はレベル4の【バリキテリウム】と【シェイブー・メラン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

人の知識を得て、更なる力で雲を裂け!エクシーズ召喚!撃ち抜け!ランク4!【鳥銃士カステル】!」

 

【鳥銃士カステル】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「【鳥銃士カステル】の効果発動!1ターンに1度、2つの効果の中から、どちらか1つを使うことができる!俺は2つ目の効果でORUを2つ使い、このカード以外の表側表示のカード1枚をデッキに戻す!【墓守の大神官】をデッキに戻す!」

「なんだと!?」

 

【カステル】は手に持っていた長銃を何故か上に放った。銃口が【墓守の大神官】に向いた途端に独りでに銃が発砲。そして【カステル】の手元に戻った。

 

「バトル!【カステル】でダイレクトアタック!」

 

今度はしっかりと持って発砲。

 

「ぐっ……!」

 

墓守の大神官

LP4000→2000

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3400

モンスター

【鳥銃士カステル】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「やってくれるな……私のターン。……フッ。【墓守の召喚師】を召喚」

 

【墓守の召喚師】

攻撃表示

ATK1200/DEF1500→ATK1700/DEF2000

 

現れたのは頭部に独特のペイントをした男。

 

「更に速攻魔法【ディメンション・マジック】発動。私のフィールドに魔法使い族モンスターがいる場合、私のフィールドのモンスターを生贄に捧げ、手札の魔法使い族モンスターを特殊召喚する。私は再度私自身を召喚する」

 

【墓守の大神官】

攻撃表示

ATK2000/DEF1800→ATK3300/DEF2300

 

「【ディメンション・マジック】のさらなる効果で【鳥銃士カステル】を破壊」

 

足下から現れた棺に【カステル】が取り込まれ、そのまま消滅した。

 

「更に【墓守の召喚師】の効果発動。このカードが私のフィールドから墓地に送られたとき、デッキから守備力1500以下の【墓守】と名のつくモンスターを手札に加える。【墓守の末裔】を手札に」

 

墓守の大神官

手札0枚→1枚

 

「バトル。私でダイレクトアタック」

 

墓守の大神官が杖で地面を突くと、足下に魔方陣が現れ、俺を衝撃が襲った。

 

「ぐっ!?……ああぁぁぁ!!」

 

宮田龍斗

LP3400→100

 

こ、この衝撃は……?ソリッドヴィジョンじゃない……?十代はこれをいきなり喰らってたのか……。いや、俺のことよりゆま達は……ぼやける視界の中、薄っすらと棺が見えた。しかし、ほぼ完全に閉じている。頭を振ってなんとか視界を回復させる。

 

「ふふ……ターンエンドだ」

 

墓守の大神官

LP2000

モンスター

【墓守の大神官】:攻

ATK3300

魔・罠

フィールド

【王家の眠る谷ーネクロバレー】

手札1枚

 

「俺の……ターン……ドロー!……!【サイクロン】を発動!このフィールドを破壊する!」

 

風が吹き荒れ、ガラスが割れた様な音とともにフィールドが破壊された。

 

【墓守の大神官】

ATK3300/DEF2300→ATK2800/DEF1800

 

「【貪欲な壺】を発動!墓地の

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】

【鳥銃士カステル】

【SRシェイブー・メラン】

【SRメンコート】

【俊足なカバ バリキテリウム】をデッキに戻し2枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札0枚→2枚

 

「【SRダブルヨーヨー】を召喚!」

 

数枚の刃をつけた2つのタイヤ(名前からしてヨーヨー)を持つ機械が現れる。

 

【SRダブルヨーヨー】

攻撃表示

ATK1400/DEF1400

 

「【ダブルヨーヨー】は召喚に成功したとき、墓地のレベル3の【スピードロイドを特殊召喚する!【SRベイゴマックス】を特殊召喚!」

 

【ダブルヨーヨー】が片方のヨーヨーを俺のデュエルディスクの墓地の部分に突っ込み、【ベイゴマックス】を引っ張りだした。

 

【SRベイゴマックス】

攻撃表示

ATK1200/DEF600

 

「【ベイゴマックス】の効果でデッキから【SRタケトンボーグ】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚

 

「【SRタケトンボーグ】は、俺のフィールドに風属性モンスターがいる場合、手札から特殊召喚できる!」

 

次に召喚したのは腕と脚が妙に薄いロボット。

 

【SRタケトンボーグ】

攻撃表示

ATK600/DEF1200

 

「【タケトンボーグ】の効果発動!自身をリリースしてデッキから【スピードロイド】チューナーを特殊召喚する!【SR赤目のダイス】を特殊召喚!」

 

【タケトンボーグ】が竹とんぼの姿に変形し空高く飛んでいくと、空から【赤目のダイス】が落ちてきた。

 

【SR赤目のダイス】

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「【赤目のダイス】の効果で【ダブルヨーヨー】のレベルを2にする!」

 

【赤目のダイス】の周りの赤い球2つが【ダブルヨーヨー】を包む。

 

【SRダブルヨーヨー】

レベル4→2

 

「レベル2となった【ダブルヨーヨー】にレベル1の【赤目のダイス】をチューニング!

来たれ!全てを無に帰す霞鳥!シンクロ召喚!飛べ!レベル3!【霞鳥クラウソラス】!」

 

緑と紫、2色の羽を持つ鳥が現れる。

 

【霞鳥クラウソラス】

守備表示

ATK0/DEF2300

 

「レベル3。攻撃力0……手間をかけた割に貧弱なモンスター……」

 

墓守の大神官は何か考えてるが無視して続ける。このターンで決める!

 

「【クラウソラス】の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスターの攻撃力を0にし、効果を無効にする!フェザー・イリュージョン!」

 

【クラウソラス】が羽を散らしながら墓守の大神官の周囲を飛んだ。

 

「えぇい!鬱陶しい!」

 

【墓守の大神官】

ATK2800→ATK0

 

「リバースカード【リビングデッドの呼び声】!墓地から【赤目のダイス】を特殊召喚!」

 

【SR赤目のダイス】

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「【赤目のダイス】の効果で【ベイゴマックス】のレベルを6にする!」

 

【SRベイゴマックス】

レベル3→6

 

「これは……まさか……!」

「レベル6となった【ベイゴマックス】にレベル1の【赤目のダイス】をチューニング!

その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!シンクロ召喚!現れろ!レベル7!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】!」

 

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「バトル!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】で【墓守の大神官】を攻撃!旋風の……ヘルダイブスラッシャー!!」

 

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】が墓守の大神官に風を纏って突進した。

 

「ぐおぉぉぉぉおおぉ!!」

 

墓守の大神官

LP2000→-500

 

墓守の大神官と長によってゆま達を解放してもらった直後、ゆまが泣きながら抱きついてきたので慰めることに。

 

「ぅぅ……ぐすっ……怖かったよぉ……」

「はいはいはいはい」

 

子供をあやすようにぽんぽんと背中を叩き、頭を撫でる。

 

「龍斗、こっちだ!」

 

話が終わったのか俺とゆまを先導してくれる十代。……首からペンダントのような何かをぶら下げているのは無視しよう。

アーチをくぐると俺達はこちらに来る前のものと同じ光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと元いた遺跡だった。ゆまは俺を抱き枕にして幸せそうに寝ている。

 

「むにゃ……お兄ちゃん……」

「おっ、起きたのか龍斗!」

「しーっ!静かにしろ」

 

通常のボリュームで話しかけてくる十代に口の前で指を立てて静かにさせる。とりあえずいろいろ状況を確認したい。

あの出来事は夢だったのか?いやしかしあの衝撃もそうだが、こんなところで眠ろうとした記憶がない。それに、

 

「ん?どうかしたのか?」

 

俺の声を無視してやはり通常のボリュームで話す十代の首から妙なデザインのペンダント……のような何かがぶら下がっている。あんなのはここに来る前にはなかったはず。それにあの場所から戻る前に十代はたしかにあのペンダントモドキをぶら下げていた。つまり現実だった。

…………今度から大徳寺先生の課外授業にゆまを参加させるのはなんとしてもやめさせよう。




次回はようやくセブンスターズ編です。ここまで長かった……


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真紅眼 VS.ダークネス

次話作成に苦戦しなんとか出来上がったので投稿します。未OCGがあんなにあったなんて……


静かだ。珍しく、いや最初の授業以来初と言っていいほどだ。錬金術の授業で爆発がないなんて……ここまでくるといつ爆発するかと逆に緊張してきた。しかし残り時間を見てみるとあと30秒もない。大徳寺先生は教卓に置いた道具類に手を出すことなく授業を終えた。授業時間を睡眠学習にあてていた十代はチャイムと同時に起床。トメさんお手製という弁当を取り出したが大徳寺先生が待ったをかけた。

 

「ああ十代君、お昼はちょっと待つのにゃ。これから私と校長室にいくのにゃ」

 

校長室という単語に丸藤と前田がひそひそと十代に話しかけ、万丈目が『短い付き合いだったな』と十代が退学するかのようなセリフを言った直後『万丈目君もいくのにゃ』と万丈目も呼び出されていた。他にも三沢、明日香そして俺。

大徳寺先生に連れられ校長室に行くと扉の前でクロノスとカイザーに会った。…………十代、万丈目、三沢、明日香、カイザー、クロノス……これってアレか?

 

「そうそうたる顔触れナノーネ。貴方タチーモ、校長室に呼ばれたノーネ?ティラミスフーミ、これは間違い探しデスーノ?1人だけ仲間ハズレがいるノーネ」

 

笑みを浮かべ十代を見るクロノス。しかし十代は『気にするなよ、サンダー』と変な方向にふった。コントを見終えたので校長室に入る。

 

「【三幻魔】のカード?」

 

そこで話されたのは【三幻魔】についてだった。ビンゴ……

 

「そうです。この島に封印されている、古より伝わる3枚のカード」

 

十代は『この学校はそんな昔からあったか』とか言っているが、そもそもカードがそんな前には無いだろうと俺は思う。鮫島校長の話ではカードはデュエルアカデミアの地下に封印されていて、封印が解かれると世界が破滅するとか。十代は『よくわかんないけど、凄そう』とか言っていた。話はしっかり聞けよ……

で、その【三幻魔】の封印を解こうと七星門……セブンスターズなる連中が挑戦してきたらしい。そして既に1人がこの島に来ているらしい。

 

「なんですって!?」

「でも、どうやって封印を解こうと?」

 

話を真面目に聞いている三沢は驚愕し、明日香が封印を解く方法を聞く。【三幻魔】は7つの石柱と7つの鍵で封印されている。そして俺達に鍵を守ってほしいらしい。そして守る方法がデュエル……そもそも鍵壊すって選択肢は……アカデミアをとり壊しするときとか面倒か。

 

「七星門の鍵を奪うには、デュエルに勝たなければならない。これも古からの約束事。だからこそ、学園内でも屈指のデュエリストである貴方がたに集まってもらったのです。……若干名、数合わせに呼んだものもおりますが……」

 

鮫島校長はクロノスを見ながら言うがクロノスは気付かず十代を指差す。

 

「貴方がたに、セブンスターズと戦う覚悟を持っていただけるのなら、この鍵を受け取ってほしい」

 

机の上に置いた箱を開けると、様々な形の鍵が見えた。明日香、三沢、万丈目は互いを見ているなか、十代は『面白い』とか言って鍵を受け取る。カイザーもそれに続いて、三沢達も受け取る。クロノスは道場破りがどうとか言いながら受け取る。俺は大徳寺先生を見ると

 

「先生は遠慮しておくのにゃ」

 

と心底嫌そうに両手で拒否していた。直後鮫島校長が『大徳寺先生には君達を連れて来てもらうだけ』と言って、最後の1つは俺が受け取ることに。

 

「道場破りか……俺なら1番強い奴からいくかなぁ……俺ってか?」

「それは違いマスーノ!」

 

十代に食い気味に突っ込むクロノス。1人で挑むならそれもアリだが、複数人なら後続のために弱い奴から叩くだろう。

 

「実力からして、この私もしくは、カイザーことシニョール丸藤亮ナノーネ。遊城十代、私が密かに調査トコローによると、貴方はカイザー亮にコテンパンネンに負けているノーネ。ソーデーショ?」

 

妙なイントネーションのクロノスの指摘に十代は反論できなかったが、万丈目は『そういうアンタは十代に負けた』と小さく突っ込む。

 

「クロノス先生。宮田龍斗を忘れています」

 

そしてカイザーが何故か俺の話題を投入してきた。

 

「俺は十代とデュエルした翌日、龍斗とデュエルして敗北しています。そして冬休みが明けてから再び挑みましたが、そこでも負けています」

「ホ、ホントナノーネ!?シニョール宮田、何故言ってくれないノーネ!?」

「言ってどうなるんです?それに使ったカードは未発売のカード達で、中でもアホみたいな性能のカードを使ってましたし、【ヴェーラー】も【増G】も飛んでこないなら割とあっさり勝てますよ」

 

鍵を見つめながら流す。これ、どこを鍵穴に入れるんだ?パチパチ嵌める感じか?鮫島校長から戻っていいと言われたので校長室を出るとゆまと藤原がいた。

 

「何してるんだお前達?」

「校長室に呼ばれたから何悪いことしたのかなって……」

「だからまずは職員室だろって……藤原は?」

「ゆまから龍斗が校長室に行ったって聞いたからついてきたの。面白そうだし」

 

ゆまは変な考え方してるし、藤原は大した理由が無いしで呆れてくる。

 

「……錚々たる顔触れという感じね。何かあったの?」

 

後ろにいるカイザーや十代に気付いた藤原が面倒な話題に変更してきた。

 

「外部からデュエルアカデミアを潰そうとする連中が来るらしくてな。オーナーである海馬さんが俺達7人に勝てば潰す約束をしてしまったから頑張れって話だ」

 

それっぽい感じに話す。全て言えばゆまが心配するだろうし、このメンバーで適当な話題だったと言えば藤原が勘づくだろう。非常に面倒だ。

 

「…………ふぅん」

 

ゆまはあっさり信じてくれたが、藤原は疑わしげな視線を寄越す。嫌な汗が出ているのを錯覚しつつもその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、俺の記憶では最初の刺客はダークネスこと天上院吹雪だったはず。彼の使うデッキに対抗するためのデッキを用意しつつ、違う場合に備えてもう1つ用意することにした。

 

「【陵墓】……いや、あえて【チキンレース】……召喚できる気がしないなぁ……」

 

とりあえず【陵墓】でいいか。予備のデッキが完成したのでデッキケースにしまう。そのタイミングでPDAにメッセージが届いた。差出人は明日香、相談したいことがあるらしい。2つのデッキを持って寮を出ると、ちょうど明日香が寮に到着したようだ。

 

「で、相談したいことって何だ?」

「移動しながら話すわ」

 

明日香について行く形で歩く。この方向ってレッド寮しか無いよな?

 

「十代は、強い者から倒すって言ってたけど、私は弱い奴から倒すのがセオリーだと思うの。つまり、レッド寮にいる十代か万丈目君が……」

「狙われると……」

 

静かに頷く明日香。しかしそのレッド寮の生徒にお前もクロノスも負けてるからな?……俺はお前に負けたけど。

 

「…………そうだな。極端な話、互いに7人いるんだから1人でも生き残ればいい。後続を楽にするために弱い奴から叩くのがセオリーだな」

「やっぱり……」

「だが現状、こちらは制服の色が強さを表す絶対的なステータスじゃないメンバーだ。お前はレッドの十代に負けたし、カイザーだってイエローの俺が使った【サイバー】と【アーティファクト】に負けた。こちらとしてはただいつ来てもいいように構えることくらいしかできないと思う」

 

『でも向こうはそれを知らない』とごもっともな意見で俺の意見を一蹴。若干早足になりながらレッド寮に到着すると、一室だけ妙に明るかった。部屋の電気じゃないとすると……あの部屋は……十代の部屋!俺と明日香が十代の部屋に入ると部屋全体が白い光に包まれた。次の瞬間には一瞬の落下感とともに見慣れない景色に変わっていた。

 

「ここは……?」

「……うわっ、火山だ!」

 

這うように足場の端まで行った十代が下のマグマを確認していた。十代の言葉の直後、炎が龍の形になって舞うように周囲を飛んだ直後、俺達の数m前の足場に落下。黒いコートに黒い仮面と全身真っ黒の長いダークブラウンの髪の男が炎の中から現れた。

 

「誰だ!」

「我が名はダークネス」

 

ダークネス……記憶に間違いは無いようだ。ダークネスはセブンスターズの1人と名乗った後、相手に十代を指名してきた。十代は『やっぱり1番強いのは俺か!?』と言っていた。俺なら弱い奴から叩くから十代が1番弱いということになるんだが……

 

「何故かはわからんが、このペンダントに導かれた」

 

別に大した理由は無かった。だがそれはそれでやりやすそうだな。

 

「十代、選手交代だ」

「えぇっ!?なんで!?」

「貴様、私の邪魔はさせんぞ!」

 

十代は楽しみを取られたような表情で、ダークネスはいかにも不服といった態度でこちらを見る。

 

「お前達の都合なんざ知らん。これは団体での勝負、勝つために最善を尽くすべきだ」

「だったら1番強い俺が!」

「俺なら1番弱い奴から叩く。つまり俺の理屈で言えばお前は1番弱いということだ。明日香はどう思う?」

 

若干空気な明日香に振ってみると、『え、ええ……私も龍斗の意見に賛成よ』と言っていた。十代がショックを受けた隙に明日香に頼んで十代を下がらせる。

 

「というわけで、俺が相手をしてやる」

「私の邪魔をするか」

「俺は『お前らの都合なんざ知らん』と言ったはずだ。それに今『相手をしてやる』とも言った。格上が相手してやるんだ。感謝しろよ」

 

なるべく向こうを煽って冷静さを欠かせる。これで楽に交渉できれば良いんだが。

 

「格上だと!?貴様が私より強いはずがない!」

「なら試してみるか?俺とお前、どちらが強いか」

「良いだろう!遊城十代の前に貴様から捻り潰してやる!」

 

思ったより楽な交渉だな。海馬さんやペガサス会長相手の方が何倍も面倒だ。

 

「だが、ただデュエルするのではない。闇のデュエルで決着をつける!」

 

ダークネスに合わせるように丸藤と前田の声が聞こえた。声のした方向、俺達のいる足場の更に下、マグマから僅かに出た岩場。人工的に削られたような3つの爪状の岩の間に足場と同じ色の膜に覆われた2人の姿があった。

 

「あの光の膜は時間が進むにつれて消えていく。時間をかけすぎればあの2人はマグマの中だ」

「あの2人はこの戦いには関係無いだろ!」

 

十代が2人の解放を求めるがダークネスは聞く耳持たない。

 

「大丈夫だ十代。2人が心配なら、黙って見てろ」

「そして負けた者はこのカードに魂を封印される!文字通り、互いの魂をかけてのデュエルだ!」

 

ダークネスはイラスト部分が真っ黒のカードを見せつける。

 

「そういうのはいいから、早く始めよう。こっちには時間が無いんだ」

 

ダークネスは小さく笑い、こちらは表情を変えずデュエルディスクを構え

 

「「デュエル!」」

 

闇のデュエルが始まった。

 

ダークネス

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「私の先攻、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドロー!」

 

ダークネス

手札5枚→7枚

 

「更に【黒竜の雛】を召喚!」

 

【黒竜の雛】

攻撃表示

ATK800/DEF500

 

「雛……?」

 

後ろから明日香の呟きが聞こえる。明日香の言葉とカード名の通り、赤……いや、朱色といった色の卵から顔だけ見せる黒竜が現れた。

 

「【黒竜の雛】のモンスター効果!このカードを墓地に送り、手札から【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】を特殊召喚する!」

「【真紅眼の黒竜】!?」

 

明日香の発言の直後、【黒竜の雛】は急成長を遂げ、【真紅眼の黒竜】へと姿を変えた。

 

【真紅眼の黒竜】

攻撃表示

ATK2400/DEF2000

 

「魔法カード【黒炎弾】を発動!フィールドの【真紅眼】1体を選択し、元々の攻撃力分のダメージを与える!【真紅眼】の攻撃力は2400!よって2400ポイントのダメージだ!」

 

【真紅眼の黒竜】が俺に向けて火球を飛ばす。

 

「ぐうぅぅぅぅぅ!!」

 

宮田龍斗

LP4000→1600

 

「「龍斗!!」」

 

まさかいきなりバーンなんてな……2枚目が来たらお終いだな……

それにこの衝撃……以前の墓守の大神官とのデュエルと同じ……

 

「【黒炎弾】を発動したターン、【真紅眼】は攻撃できない」

「だが、今は先攻1ターン目」

「デメリットは無いようなもの」

 

後ろで2人の解説のような呟きが聞こえる。そこじゃなくて、2枚目発動で終わることを考えていただきたい。

 

「【真紅眼の黒竜】を生贄に、【真紅眼の闇竜(レッドアイズ・ダークネスドラゴン)】を特殊召喚!」

 

【真紅眼の闇竜】

攻撃表示

ATK2400/DEF2000

 

【真紅眼】が赤いラインが体にあるワイバーン型に姿を変えた。

 

「【真紅眼】が進化した!?」

「【真紅眼の闇竜】の攻撃力は墓地のドラゴン族モンスター1枚につき300ポイントアップする」

 

【真紅眼の闇竜】

ATK2400→ATK3000

 

「攻撃力3000のモンスターを1ターンで……!」

 

明日香は【真紅眼】の進化に、十代は高攻撃力のモンスターを召喚したことに驚いているようだ。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

ダークネス

LP4000

モンスター

【真紅眼の闇竜】:攻

ATK3000

魔・罠

伏せ2枚

手札1枚

 

「俺のターン……ドロー!【大嵐】を発動!フィールドの魔法・罠を全て破壊する!」

 

フィールドに吹き荒れる嵐でダークネスの【リビングデッドの呼び声】と【激流葬】が破壊された。

 

「更に【真紅眼融合(レッドアイズ・フュージョン)】を発動!」

「【真紅眼】!?」

 

ダークネスが【真紅眼】の名前に反応した。明日香と十代も驚いているようだ。

 

「このターン、他カードによる召喚・特殊召喚ができなくなるが、俺の手札・フィールド・デッキから融合素材となるモンスターを墓地に送り、【レッドアイズ】モンスターを素材とする融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する!この効果で特殊召喚したモンスターはカード名を【真紅眼の黒竜】として扱う!」

「デッキから融合!?」

 

普段融合モンスターを使う十代からしたら便利だろうな。

そう思いつつデュエルを続ける。

 

「デッキの【真紅眼の黒竜】と【デーモンの召喚】を融合!

紅き眼の竜よ、悪魔の血肉を食らい、燃え盛る血潮の竜とならん!融合召喚!焼き尽くせ!レベル9!【悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン】!」

 

赤い肉の極一部を黒い竜の皮で覆った竜が炎を吐きながら召喚された。

 

【悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK3200/DEF2500

 

「攻撃力3200だと……!?しかし、【真紅眼】と【デーモンの召喚】による融合は【ブラック・デーモンズ・ドラゴン】のはず!」

「それはこのカードが、お前の知らない【真紅眼】の進化した姿だからだ。バトル!【悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン】で【真紅眼の闇竜】を攻撃!」

 

【悪魔竜】が巨大な赤黒い火球を吐き出す。火球は【闇竜】の体より大きく、一瞬で消滅させた。

 

「私の【真紅眼】を一瞬で……!」

 

ダークネス

LP4000→3800

 

「【悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン】の効果発動!融合召喚このモンスターが攻撃したバトルフェイズ終了時、墓地の【レッドアイズ】通常モンスターを対象として発動!対象となったモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!俺は【真紅眼の黒竜】を対象にする!お返しだ!」

 

【悪魔竜】が再び火球を放つ。

 

「ぐぉおおおおお!」

 

ダークネス

LP3800→1400

 

「カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP1600

モンスター

【悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン】:攻

ATK3200

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「私のターン、ドロー!【仮面竜(マスクド・ドラゴン)】を守備表示で召喚!」

 

【仮面竜】

守備表示

ATK1400/DEF1100

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

ダークネス

LP1400

モンスター

【仮面竜】:守

DEF1100

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!【紅玉の宝札】を発動!手札からレベル7の【レッドアイズ】モンスター1体を墓地に送り、カードを2枚ドローする!【真紅眼の黒炎竜(レッドアイズ・ブラックフレアドラゴン)】を墓地に送り2枚ドロー!」

「高レベルモンスターを墓地に……とんだ素人のようだな」

 

素人はお前だよ。まだ【紅玉の宝札】の効果は続く。

 

「その後、デッキからレベル7の【レッドアイズ】モンスターを墓地に送る。【真紅眼の黒竜】を墓地に。【紅玉の宝札】は1ターンに1度しか使えない」

「【レッドアイズ】が墓地に……ではまたあの効果が……!」

 

いや、【黒炎竜】落としたから既に……デュアル知らないのか。

 

「バトル!【悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン】で攻撃!」

「罠発動……何故発動しない!?」

「【悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン】がバトルするとき、ダメージステップ終了時まで相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できない」

「なんだと!?」

「じゃあ龍斗のモンスターを攻撃は止められないのか!?」

「そして攻撃するたびに2400ポイントのダメージを与える……なんて強力なモンスターなの……」

 

明日香、永続罠を使い回して攻撃させないお前が言うと嫌味に聞こえるぞ。

【悪魔竜】は1度咆哮すると赤黒い火球を吐き出し【仮面竜】を焼き尽くした。

 

「バトルフェイズ終了時、【悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン】の効果で墓地の【真紅眼の黒炎竜】を選択する」

「バカな!【悪魔竜】とやらの効果で選択できるのは【レッドアイズ】通常モンスターのはず!」

「【真紅眼の黒炎竜】はフィールド・墓地では通常モンスターとして扱う」

「そ、そんなモンスターが……!」

 

一歩後ずさりするダークネスに向けて【悪魔竜】が火球を放つ。

 

「ぐぁあああああああ!!」

 

ダークネス

LP1400→-1000

 

決着がつくとダークネス、俺、十代と明日香、丸藤と前田を炎のような何かが包み、俺は意識を失った。




ここでダークシンクロ使って地縛神出すか迷ってましたが、【真紅眼】対決(一方的)で良いかなぁ……とか思いました。
次回は龍斗が女の子を泣かせます。


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幻魔の扉 カミューラVS.亮

セブンスターズ編より夏休みのネタがちょこちょこ出てきて執筆に支障をきたしてるアルス@大罪です。


「…………ん……」

 

目を覚ますと目の前に泣きそうな顔のゆまがいた。なんだ、何がどうなっている?

 

「…………ゆま?」

「……っ!お兄ちゃん!」

 

声をかけてみると抱きついてきた。シャンプーなのか微妙にする甘い匂いを意識しないようにしながらすすり泣くゆまの頭を撫でる。

 

「……女の子泣かすなんてサイテー」

 

急にゆまの反対側からした声にバッと振り向くと藤原が俺が寝ているベッドに浸入していた。

 

「おはよう」

「おはようじゃねぇよ。何してんだお前」

「見てわからない?気分悪いからベッドで横になってるのよ」

 

俺にはお前が気分悪いようには見えないんだが。

相手するのも面倒なのでゆまを泣き止ませることを最優先事項にする。

 

「ぐすっ……ひっく……おにいちゃん……」

「どうしたんだよゆま?何泣いてんだ?」

 

藤原の話によると俺は寝てたというより、意識を失っていたらしい。前田によって保健室に運ばれ、明日香からゆまと藤原に話がいったらしい。ついでにこうなった原因も……明日香め……

 

「3年トップの丸藤亮、そして1年の中でもトップクラスの龍斗達を集めて何の話かと思ってたけど、私達に嘘を教えていたなんて……」

「……ゆまに本当のこと言ったら心配させると思ったからだ。他意は無い」

「私は心配しないと思った?」

「まったく。それどころかついて来ると思ったよ。俺がついて来させるかどうかは別として」

「…………」

 

脇腹を抓られた。とてつもなく痛いがゆまを泣き止ませることが優先だ。我慢……我慢……

 

「すぅ……すぅ……」

 

ゆまが寝てやがった。とりあえず藤原の手を退けさせるために攻防を静かに繰り広げていると、保健室の扉が開いた。

 

「龍斗だいじょ…………ぶか?」

「爆発しろッス」

「兄さんの様子を見るついでにと思ったら、随分と楽しそうね」

 

十代、丸藤、明日香の順で声をかけられた。心配してくれたのは十代だけだが、それより気になったことがある。

 

「明日香、『兄さん』って……見つかったのか?いつ、どこで……」

 

知っているが一応それっぽく聞いてみると、明日香は無言で隣のベッドに向かう。そこにはダークブラウンの髪の男が呼吸器をつけて眠っていた。十代の話によると昨夜俺が倒したダークネスが明日香の兄、天上院吹雪だったらしい。

そして天上院吹雪の体には2つ……ダークネスと天上院吹雪自身の魂があり、ダークネスの魂が封印されたとのこと。何故それがわかるのか確認したところ、ダークネスの魂が封印されたのを確認した明日香が意識を失う直前の兄の声を聞いたかららしい。

 

「で、ついでに俺が倒れたのを聞いたゆまと藤原が来たと」

 

藤原に確認すると静かに頷いた。

 

「ゆまったら寝ずに龍斗のそばにいたのよ」

「藤原は寝たのか」

「…………ちょっとだけ……気分悪くなったのもあって寝たわ」

 

目をそらし、若干間を空けて言われると明らかに嘘とわかってしまう。イタズラ目的か……

 

「私が寝たのかどうかより、龍斗の体の調子はどうなの?」

「もう大丈夫だ。痛みも違和感も無い」

 

高火力をいきなり喰らったからしばらく痛むかと思ったが、そんなことは無いらしい。短時間で回復するなら助かる。

 

「……ん……おにいちゃん……ふぁああ〜」

 

ゆまが欠伸しながら起きた。

 

「おはよう、ゆま」

「……ぅん……ぉはよぅ……」

 

目を擦り、しばらくすると必死な表情で俺の頬に手を添えてきた。

 

「お兄ちゃん、大丈夫!?怪我は!?痛いところは無い!?」

 

と思ったら頭やら首やらベタベタと触ってきた。心配してくれるのはありがたいが、ちょっと鬱陶しい。

 

「大丈夫だよ。心配かけたな、ごめんな」

「……っ!……お兄ちゃぁぁぁん!」

 

また泣きつかれた。さっきとは違い号泣だ。丸藤と藤原から『サイテー』とか言われてるが無視。とりあえず思い切り泣かせることにして次のセブンスターズについて考える。

誰だったかな……誰かしらが負けたはず……具体的にはクロノスと三沢あたり。三沢……【アマゾネス】……あ、三沢が負ける【アマゾネス】使いかも。【アマゾネス】……【アマゾネスの剣士】……【アマゾネスの里】……リクルート……うわ面倒臭そう……

 

「ぐすっ……もう……お兄ちゃんに傷ついてほしくない……ぐすっ……だから……私が、お兄ちゃんの代わりにデュエルする」

 

考え事していたらゆまがとんでもないことを言いやがった。

即答で『ダメだ』と言うと喰いついてきた。

 

「な、なんで!?」

「『なんで』って……ダークネスとデュエルしたからわかるが、真面目に危険なことなんだ。文字通り命懸けってやつだ。お前には無理だ」

「そ、そんなことないもん!」

「【ダーク・ロウ】のハンデス効果ど忘れする奴が言っても説得力無いぞ。1度のプレイングミスも許されないデュエルをお前にやらせるわけにはいかない」

 

あのど忘れがなければもっと楽に戦えた。だが次も今回のようなデュエルになると、プレミなんて許されない。

 

「……じゃあお兄ちゃん、私とデュエルして。勝ってお兄ちゃんに認めてもらうから」

「……いいだろう。どこまでできるようになったか、見てやる……っ!」

 

起き上がった瞬間、全身に痛みが。

 

「っ!?お兄ちゃん、大丈夫!?」

「…………だい……じょうぶだ。デュエルするんだろう?」

「そんなの良いから!お兄ちゃんの言う通りにするから、今は休んで!」

 

無理矢理に寝かせられる。すると痛みが少しずつ治まってきた。

 

「…………ゆま、お前が俺の代わりにやろうとしたデュエルに、優しさなんていらない。無慈悲に、完膚なきまでに相手を叩きのめさなければお前が、命を落とすかもしれないんだ。わかるな?」

「…………うん」

 

小さく、それでもたしかに頷いた。

 

「俺が、俺達7人が奴らを蹴散らすから、心配させるかもしれないけどちゃんと帰ってくるから信じて待っててくれ」

「…………うん」

 

とはいえ、まだ回復しきっていないことがわかった今、体を休めることに専念しないとな。『少し休む』と言って可能な限り眠ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変なんだなあ!」

 

翌日の夜。

前田が保健室に駆け込んで来た。クロノスが闇のデュエルをするらしい。兄の見舞いに来ていた明日香は無茶と言い、ゆまがクロノスを止めようと動こうとする。

それよりも三沢じゃない……となると……誰だ……?……情報収集しないといけないか……

 

「…………待て、ゆま」

「お、お兄ちゃん。大丈夫だよ、デュエルはしない。頑張ってクロノス先生を止めるだけだから!」

「……前田、俺も連れて行け」

「お兄ちゃん!?だ、ダメだよまだ寝てないと!」

 

無理矢理に体を起こそうとする俺を寝かせようとするゆま。

 

「……デュエルに干渉できなくても、万が一こちらが負けた場合の対策はできる……頼む」

「わ、わかったんだなあ!」

 

前田に背負われて湖へ。ゆまがPDAを使ってクロノスのデュエルを中継する。

 

LP3600

モンスター

【不死のワーウルフ】:攻

ATK1900

【ヴァンパイア・バッツ】:攻

ATK1000

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

VS

 

クロノス・デ・メディチ

LP2700

モンスター

魔・罠

【古代の機械城】:カウンター1

伏せ1枚

手札3枚

 

ダメージを受けたのか、クロノスのライフが減っている。つまり闇のデュエルによる苦痛がクロノスを襲っているということ。

 

「戦闘で破壊されてもデッキから同名モンスターを、攻撃力を500ポイントアップさせて特殊召喚する【不死のワーウルフ】と、デッキから同名モンスターを墓地に送って破壊を無効にする【ヴァンパイア・バッツ】……厄介な布陣ね」

 

知らないカードの情報を明日香が教えてくれて助かる。更に【ヴァンパイア・バッツ】とかいうモンスターは、アンデット族モンスターの攻撃力を200ポイントアップさせる効果もあるらしい。……パンプがしょっぱい……

 

「……だが【不死のワーウルフ】も【ヴァンパイア・バッツ】も同名モンスターを使う。3回破壊する、もしくは破壊せずに除外かバウンスで対処できる。【不死のワーウルフ】は効果破壊でもいいだろう」

 

【ブリューナク】や【トリシューラ】が猛威を振るうな。……【氷結界】……

 

「……明日香の出番だな」

「わ、私!?」

「ああ……ロックしてバウンスしての外道デュエルを見せてやれ」

 

前世では普通にある戦い方でも、この世界では外道のロックにバウンス。そんな外道(笑)デュエルなら明日香の使う【氷結界】の真骨頂だろう。しかし明日香は『外道じゃない』と怒鳴ってきた。そうだな、外道じゃないよな。友達がいなくなるだけだよな。

 

「っ!?そ、そんな…………」

 

ゆまがPDAを見てショックな声をあげた。湖に着く前に決着がついたらしい。それも最悪な形で。

 

「…………負けたのか」

「…………うん」

 

戦線を維持され、相手の切り札と思われるモンスター、【ヴァンパイアジェネシス】でクロノスの【古代の機械巨人】を破壊され、他のモンスターでトドメをさされたという状況らしい。

とりあえず前田に頼んで湖へ。そこには十代達が立ち尽くしていた。しかしクロノスの姿が無い。

 

「……十代」

「……龍斗。来たのか」

「前田に頼んでな。……クロノス先生は?」

 

十代は無言で万丈目を見る。万丈目はこちらに見えるように人形を見せた。クロノスをデフォルメしたようなデザインだ。

 

「……人形にされたのか」

「そんな……!?」

 

両手で口元を隠して目を潤ませるゆま。

 

「…………前田、来てそうそうすまないんだが、また保健室に頼む」

「わかったんだなあ」

 

ゆまも一緒に保健室へ。まずは体の調子を戻す。そして、クロノスを倒した奴を叩き潰す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

まだ調子が戻らず保健室で眠っていると、カイザーがやってきた。天上院吹雪の見舞いかと思ったが、俺に用があるらしい。

 

「頼む。【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】のカードを貸してくれ」

 

『貸してくれ』と来たか。【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の更なる姿。俺の知る【サイバー・ドラゴン】……サイバー流の成れの果て……そのカードの力が必要だと……

 

「サイバー流の象徴、【サイバー・ドラゴン】そして【サイバー・エンド】の特性から剛の力と剛の力をぶつけ合うという信条を自らの力で否定する【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】。その力を借りてでも、俺は吸血鬼カミューラを倒したい……!それほどに、今の俺は憤っている!頼む!」

 

普段表情を変えないカイザーが怒りの表情を見せ、頭を下げる。クロノスを倒されたのがよほど悔しいらしい。

 

「……三沢に連絡しておく。『エクシーズ』と書かれたアタッシュケースの中に入ってる」

 

PDAで三沢にカイザーが寮に行く旨を伝える。カイザーは『すまない』とだけ言ってイエロー寮に向かった。

夜、前田に背負われてカイザーが言っていたクロノスを倒した奴、吸血鬼カミューラの城へ。三沢、万丈目、十代が名乗り出るが、カイザーが3人を止めた。調整は終わっているらしい。

カミューラ自身もカイザーとデュエルしたいらしい。

 

「ルールはおわかりね?勝者は次なる道へ。そして敗者はその魂を、この愛しき人形に封印される」

 

カイザーはデュエルディスクを無言で構え、カミューラもそれに応じる。

 

「「デュエル!」」

 

カミューラ

LP4000

 

VS

 

丸藤亮

LP4000

 

「私の先攻、ドロー!【ヴァンパイア・レディ】を守備表示で召喚!」

 

【ヴァンパイア・レディ】

守備表示

ATK1550/DEF1550

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

カミューラ

LP4000

モンスター

【ヴァンパイア・レディ】:守

DEF1550

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

さて、カイザーのターン。どう調整した?

 

「俺のターン、ドロー。魔法カード【天使の施し】!デッキからカードを3枚ドローし、手札を2枚捨てる」

 

いきなり手札交換……?事故……いや、墓地肥やしか?え、結局【インフィニティ】使わずに【オーバーロード】する方向になったのか?

 

「【融合】を発動!手札の【サイバー・ドラゴン】2体を融合!現れよ!【サイバー・ツイン・ドラゴン】!」

 

【サイバー・ツイン・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/ATK2100

 

「更に【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

「バトル!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】で【ヴァンパイア・レディ】を攻撃!エヴォリューション・ツヴァイバースト!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】は相手モンスターとバトルするとき、攻撃力が300ポイントアップする!」

「罠発動【妖かしの紅月】。手札のアンデット族モンスター1体を墓地に送り、相手モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分のライフを回復。その後バトルフェイズを終了させる」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の熱線が突如現れた紅い月に阻まれ、月が紅い粒子となってカミューラを包んだ。

 

カミューラ

LP4000→5500

 

「速攻魔法【融合解除】!【サイバー・ツイン・ドラゴン】の融合を解除」

 

【サイバー・ドラゴン】×2

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「融合を解除してまで何を……」

 

早速使うのか、カイザー。

 

「俺はレベル5の【サイバー・ドラゴン】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

新たな力と翼を手に、今この地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「へぇ……面白いカードを使うのね」

 

初めて見るはずのエクシーズにまるで動揺した様子がないカミューラ。

大抵の奴は動揺するんだが……

 

「……俺は【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】でオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!

誇りを捨て、あらゆる力を取り込み、拒絶し、更なる高みへ登れ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!これが進化の果て!ランク6!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】に似ている、しかしどこか狂気を感じさせるモンスターがカイザーのそばに出現した。

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の攻撃力は、ORU1つにつき200ポイントアップする」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2100→ATK2700

 

最初からそれ召喚すれば楽だったな。1kill狙っての行動だろうけど。【サイバー・ツイン】の攻撃力分回復されなかっただけマシか。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】:攻

ATK2700

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻

ATK1500

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「ふふふ……ゾクゾクするわぁ……一番タイプの子だと思っただけのことはあるわ」

「悪いが、俺にも好みがある」

 

どうやらカミューラは見た目だけで相手を決めていたらしい。しかしカイザーはそれを一蹴するもカミューラは『それでこそ手に入れる甲斐がある』と言って引かない。ついてきた丸藤はカイザーを心配そうに見ている。

 

「私のターン、ドロー!【ヴァンパイア・レディ】を生贄に、【ヴァンパイア・ロード】を召喚!」

 

【ヴァンパイア・ロード】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「更に【ヴァンパイア・ロード】をゲームから除外し、【ヴァンパイアジェネシス】を特殊召喚!」

 

【ヴァンパイアジェネシス】

攻撃表示

ATK3000/DEF2100

 

「バトルよ!行け【ヴァンパイアジェネシス】!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を攻撃!ヘルビシャス・ブラッド!」

「罠発動【攻撃の無力化】!相手モンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる」

 

【ヴァンパイアジェネシス】が全身を赤い砂に変化させ、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を攻撃しようとするが、見えない壁に阻まれ失敗した。

 

「可愛くない……!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

カミューラ

LP5500

モンスター

【ヴァンパイアジェネシス】:攻

ATK3000

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー。【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!1ターンに1度、フィールドの攻撃表示モンスターをこのモンスターのORUにする!」

「なんですって!?」

「サイバネティック・アブソーバー!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の胴体部から青白いロープのような線が幾つも飛び出し、【ヴァンパイアジェネシス】を捉えORUにしてしまった。

 

「ORUが増えたことで、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の攻撃力がアップする」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2700→ATK2900

 

「強力なモンスターだな。ORUの数だけ攻撃力が増し、さらにはORUとして吸収する効果まで……」

 

隣にいる三沢が冷静に呟く。たしかに強いけど、あの効果は【インフィニティ】を暴走させる要因でしかないと思う。

 

「バトル!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】でダイレクトアタック!エヴォリューション・ツヴァイバースト!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の熱線がカミューラを襲う。

 

「罠発動【妖かしの紅月】!」

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!1ターンに1度、カードの効果が発動したとき、ORUを1つ使いそのカードの発動を無効にし、破壊する!インフィニティ・リジェクション!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】のORUが目の前で弾け、赤白いロープのような線が胴体部から複数飛び出し、【妖かしの紅月】を貫いた。

 

「ぐぅっ……!」

 

カミューラ

LP5500→4000

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2900→ATK2700

 

「更に【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】でダイレクトアタック!インフィニティ・ノヴァ!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の口から吐き出されるレーザーがカミューラを襲う。

 

「ああぁぁぁ!!」

 

カミューラ

LP4000→1300

 

「ターンエンド」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】:攻

ATK2700

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻

ATK1500

魔・罠

手札1枚

 

「すげぇ!やっぱすげぇよ、お前の兄ちゃん!」

 

十代は丸藤にそう話し、丸藤も嬉しそうに返事をした。

 

「……憎たらしい」

 

カミューラのターンになったと思ったら、カミューラの様子と声色が変わった。

 

「可愛さ余って憎さ百倍だわ!」

 

カミューラは口を普通の人よりも大きく開け、舌と牙と言っても差し支え無いほど鋭い歯を剥き出しにした。

 

「ひぅっ!お、お兄ちゃん……」

 

その様を見てしまったゆまが俺……というより前田の後ろに隠れる。俺もなんとかしてやりたいが、体が痛むのでどうにもできない。

 

「私のターン!」

 

カミューラは歯を剥き出したままデュエルを続ける。一瞬【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を睨み1枚のカードを手に取った。

 

「魔法カード【強欲な壺】!カードを2枚ドロー!」

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!ORUを1つ使い、カードの発動を無効にし、破壊する!インフィニティ・リジェクション!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】から再び線が飛び出し、カミューラの【強欲な壺】を貫く。

 

「その程度は計算済み!更に魔法カード【幻魔の扉】!」

 

カミューラがカードを発動すると、暗い緑色の扉が現れる。扉が開くと扉の向こうから強い光がカミューラを照らし、カミューラの体が2つにわかれた。

 

「【幻魔の扉】……このカードはまず相手フィールドのモンスターを、全て破壊する!!」

 

問答無用の破壊効果にカイザーも俺達ギャラリーも驚愕した。コストも無く、問答無用で相手モンスターを全滅……【サンダー・ボルト】と同じ効果じゃないか!

 

「更に、墓地のモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する!貴方の墓地から【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を特殊召喚!」

「なんだと!?」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

カミューラの声に従い【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】が姿を現わす。

 

「相手モンスターを全滅させ、墓地からモンスターを特殊召喚……それをコスト無しで発動できるカード……」

 

三沢が呟く。ぶっ壊れにもほどがある。しかし本当にコストは無いのか?

 

「もちろん、このカードを使う代償はありますわ。このデュエルに私が敗北したら、私の魂は【幻魔】のものとなる」

 

負けたらって……そんなカード使って負けろって方が難しいだろ……

 

「でも、私は闇のデュエリスト。そしてこれは闇のデュエル。どうせなら闇のデュエルらしい生贄を用意させてもらうわ」

 

そう言ってカミューラは俺達ギャラリーを見た。

 

「っ!まさか……!逃げろ、翔っ!!」

 

カイザーがカミューラの思惑に気付いて叫ぶが時すでに遅し。カミューラの片割れが丸藤の背後に飛んできた。十代達がカミューラを捕らえようとするが奴は十代達より速く動き丸藤を連れてデュエルしているカミューラのところへ移動し、丸藤の首筋に噛みついた。

 

「さぁ、私を倒してみなさい。私を倒せば、この子の魂は幻魔のものとなり、2度と戻ってこないけどね!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】でダイレクトアタック!インフィニティ・ノヴァ!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の吐き出すレーザーがカイザーを飲み込む。

 

「ぐぅあぁぁぁぁ……!」

 

丸藤亮

LP4000→1900

 

「ターンエンド!」

 

カミューラ

LP1300

モンスター

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】:攻

魔・罠

手札0枚

 

「……俺のターン……ドロー……」

 

フィールドにカードは無く手札は2枚……仮に突破できても……これは……。

 

「これでは、カイザーは攻撃できない……」

「卑怯だぞカミューラ!何故正々堂々とデュエルしないんだ!」

 

十代がカミューラに叫ぶが、カミューラは笑顔で『正々堂々だなんて虫唾が走る』と一蹴。

カイザーは俺達ギャラリーを見て、数秒するとターンエンド宣言した。

 

丸藤亮

LP1900

モンスター

魔・罠

手札2枚

 

「ふふふ……良い子ね。私のターン、ドロー。【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】でダイレクトアタック」

 

カミューラは無傷で勝利したかのように余裕な態度で攻撃した。

 

丸藤亮

LP1900→-200

 

デュエルを終えるとカイザーの姿が消えていった。カミューラは高笑いしながら姿を消した。奴の名を叫んでも姿を現さないのでやむなく城を出る。カミューラのような奴がいるとは思っていたが、実際に見ると怒りがこみ上げてくる。セブンスターズ……カミューラ……必ず叩き潰す!




次回は……秘密です。


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温泉 VS.キサラ

カミューラ戦?そんなものはなかった。
何故なら龍斗は一般人だから。


結果だけ言う。カミューラは十代が倒したらしい。

【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】で【ヴァンパイアジェネシス】を破壊して勝利。そして人形にされたクロノスとカイザーが無事に帰ってきてめでたしめでたしとなったらしい。

『らしい』というのも俺は対策を練りつつデッキを選んでいたものの体調は戻らず、ゆまと藤原に無理矢理寝かしつけられ『抜け出すかもしれないから』と言って両腕をホールドされ十代のデュエルを見ることができなかった。そしてデュエルの結果を十代本人から聞いたからだ。せっかく【ゼンマイハンデス〜やるならドローカードさえも〜】を用意したというのに……

ここ数日気分が沈むことがあったので島にある温泉施設に行くことに。何も考えずのんびり温泉に浮かんでいれば気分が変わるかもしれないと思ったからだ。……というより、それくらいしかこの島でできることが無いってだけなんだが……

 

「しかしお前達までいるとは……」

「龍斗君も泳ごうよ!」

 

温泉で泳ぐな。

服を脱いで温泉に入ろうとすると十代に丸藤、前田に万丈目がはしゃいでいた。正確にいうと十代以外の3人がはしゃいでいるんだが、いつもなら騒がしいくらいに元気なはずの十代が割と大人しい。

 

「十代、どうかしたか?」

 

妙な気持ち悪さがあるので十代に話しかけてみる。なんでも、クロノスやカイザーが一時的とはいえ人形になり、カミューラは【幻魔】に魂を奪われたのを見て、追い討ちをするかのように自分がセブンスターズの1人に負け、魂を奪われる夢を見たらしい。

 

「デュエルって楽しいものだと思ってた。でもセブンスターズとの戦いで、俺は間違ってるのかもって……」

「…………そんなことを考えていたら、お前が見た夢の通りになるだろう。迷ったら負けるなんてのは本とかでもあるパターンだと思う。迷って動きが、判断力が鈍り負ける」

 

だいたいそういう負け方するのはライバルキャラとかだと思うんだけどな。

 

「全てが全て同じ見方ができるわけじゃない。お前にとってデュエルは楽しいものでも、別の誰かからしたらそうじゃない場合だってある。お前が正しいと思ってれば、それでいいだろ」

 

あー……なんで俺こんな厨二っぽいこと言ってるんだろう。恥ずかしくなってきた。十代は俺の思ってることなど知る由もなく『そっか』と言って温泉に浮かんだ。数分もしないうちに十代が起き上がった。

 

「【ハネクリボー】?」

 

十代が急にどこかへ歩いて行った。岩の影から十代の声が聞こえたと思ったら少し遅れて前田、丸藤、万丈目の声が聞こえ、俺以外の連中の姿が消えた。…………とりあえず浮かぼうとしたら腰を何かに捕まれ、引っ張られる感覚と共に温泉の中に沈んだ。

 

「ぎゃふっ!!」

 

異常に長い落下感の後、砂地に腰から着地した。こ、腰……!砂地でも痛ぇ……!

 

「大丈夫龍斗君?凄い声出てたッスよ」

「あ、あまり大丈夫じゃない……」

 

俺以外にも十代達4人がいたらしく、丸藤に心配された。しかし丸藤達が服を着ている。俺も確認してみると俺も服を着ていた。何がどうなったらこうなる?それにデュエルディスクを使ってないのに、【デス・コアラ】や【おジャマ・イエロー】といったモンスターが複数いる。

 

「精霊達に導かれたデュエリストというのは貴様らか」

 

ふと聞き覚えのある、緊張を強いる声がして前方を見ると、

 

「………………」

 

妙な被り物をした海馬さんがいた。そんなバカなと思い眼をこすりもう一度見るが、やはり妙な被り物をした海馬さんがいた。

 

「か、海馬さん……?」

 

恐る恐る話しかけてみると、

 

「海馬?なんのことだ?俺の名は【カイバーマン】。海馬などという名前ではない」

 

やはり緊張を強いる声で、しかし海馬さんなら絶対言わない冗談を言ってきた。いや、しかし……

 

「いえ、しかし……」

「【カイバーマン】だ」

「いえ、その声は……」

「【カイバーマン】だ。それ以上でもそれ以下でも無い!」

「…………」

 

……これはダメだ。海馬さんから時折感じる鉄の意志を感じた。こういうときは触れない方がいい。……というか、海馬さんって『精霊』とか言う人じゃ無かったと思うんだが……まさか本当に別人……?

 

「アンタがここのリーダーか?なんで俺達をこんな所に呼んだんだ?ちゃんと帰す気はあるのか?それとも、お前もセブンスターズ……!」

「ふぅん。質問が多いぞ貴様。デュエルをすれば全てわかると常々ほざいているらしいではないか」

 

十代が【カイバーマン】に問いかけるが、【カイバーマン】は腕のデュエルディスクを展開して十代にデュエルを挑んだ。この微妙に話を飛ばす感じ……やはり海馬さん……?

 

「貴方の相手は私がしましょう」

 

十代もデュエルディスクを展開したところで【カイバーマン】の背後から青い目と青みがかった白い髪、民族衣装のような服装の女が現れた。

 

「私の名はキサラ。貴方の相手は私です」

 

俺を指差して【カイバーマン】と同じデュエルディスクを展開したキサラという女。しかし俺は現在デュエルディスクを……と思っていたら、左腕にデュエルディスクとデッキが。思うことはあるが、まずはデュエルだ。俺もデュエルディスクを展開して構える。【カイバーマン】から『恥を知れ』だの『己が頂点を目指すというのなら、この俺を乗り越えていけ』だのと海馬さんなら言いそうなセリフが聞こえたが無視だ。丸藤達は十代のデュエルを見るらしく、こちらに視線を向ける者はいなかった。

 

「「デュエル!」」

 

キサラ

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「私の先攻、ドロー。手札の【伝説の白石(ホワイト・オブ・レジェンド)】を捨て、魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動。手札・デッキからレベル1のモンスターを特殊召喚」

 

【伝説の白石】……チューナーだと?いや、【カイバーマン】は『精霊』と言っていた。もし、ここが精霊の住む場所なのだとしたら、存在はしている【伝説の白石】があっても不思議ではないとは思う。そしてあのカードを使ったのなら、あのデッキは【青眼】デッキか。

 

「デッキから【青き眼の乙女】を特殊召喚」

 

【青き眼の乙女】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

出てきたのはキサラとそっくりの女性型モンスター。丸藤が何かを察知したのかこちらに振り向き『綺麗』とかなんとか言いだした。万丈目は『攻守ともに0?何を考えている?』とかなんとか考察。前田は微かに頬を赤くしてボーッとしている。

 

「【伝説の白石】の効果発動。このカードが墓地に送られたとき、デッキから【青眼の白龍】を手札に加える」

 

キサラ

手札4枚→5枚

 

キサラが手札に加えた【青眼】に丸藤達が『こっちでも【青眼】』とざわめく。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

キサラ

LP4000

モンスター

【青き眼の乙女】:攻

ATK0

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

さて、今回使うデッキはなんだ?今回のは勝手に装着されてたからなぁ。

 

【超戦士カオス・ソルジャー】

【超戦士の魂】

【エフェクト・ヴェーラー】

【大嵐】

【転生の超戦士】

【超戦士の盾】←ドローカード

 

…………よりによって思いつきで作った調整中のデッキかよ。そして事故った…………いや、次のターンを凌げればあるいは……

 

「……モンスターをセット。カードを2枚セットして、ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「私のターン、ドロー。装備魔法【ワンダー・ワンド】を発動。【青き眼の乙女】に装備」

 

【青き眼の乙女】の目の前に先端に緑色の球体を付けた杖が現れるが、それを見た【青き眼の乙女】から青白い光が見えた。

 

「チェーンして【青き眼の乙女】の効果を「チェーン【ヴェーラー】」発動……」

「【青眼】は召喚させないぞ。手札から【エフェクト・ヴェーラー】の効果発動。相手モンスターの効果を無効にする」

 

【青き眼の乙女】を【エフェクト・ヴェーラー】が背後から抱きしめると、【青き眼の乙女】は顔を赤らめ光が収まった。

 

【青き眼の乙女】

攻撃表示

ATK0→ATK500

 

「……【ワンダー・ワンド】の効果で【青き眼の乙女】の攻撃力は500ポイントアップします。私はこれでターンエンド」

 

キサラ

LP4000

モンスター

【青き眼の乙女】:攻

ATK500

魔・罠

【ワンダー・ワンド】:《青き眼の乙女》

伏せ1枚

手札4枚

 

【ワンダー・ワンド】を使わない……?ならそのドロー効果を俺にくれ。切実に。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

頼む、動けそうなカードを……

 

【開闢の騎士】

 

ピン挿しカード引いた……枚数増やすか?でも枠が……いや、それよりもデュエルに集中しよう。【開闢の騎士】の攻撃力は500。セットしてある【超戦士の魂】と【転生の超戦士】を使って……返しのターンがキツいか……

 

「モンスターをセットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備2枚

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「私のターン、ドロー。魔法カード【竜の霊廟】を発動。デッキからドラゴン族モンスターを墓地に送ります。デッキから【青眼の白龍】を墓地に。【竜の霊廟】の効果で墓地に送ったのが通常モンスターなら、更に1枚ドラゴン族モンスターを墓地に送ることができます。【伝説の白石】を墓地に。更に【伝説の白石】の効果でデッキから【青眼の白龍】を手札に加えます」

 

手札5枚中2枚が【青眼】……いやな予感がする。

 

「【ワンダー・ワンド】の効果で【青き眼の乙女】とこのカードを墓地に送り2枚ドロー」

 

キサラ

手札5枚→7枚

 

「【死者蘇生】を発動。墓地より出でよ、【青眼の白龍】!」

 

【青眼の白龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

ててててーん、ててててーん……脳内にあのテーマが流れた。そんなことなど知る由もない丸藤達は【青眼】の姿に呆然としていた。

 

「更に魔法カード【融合】!」

 

【融合】!?条件は満たしているが、召喚するのか!?…………もしかして、引いてたりするのか?

 

「フィールドの【青眼】と手札の2枚の【青眼】を融合!現れろ【青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)】!!」

 

【青眼の究極竜】

攻撃表示

ATK4500/DEF3800

 

「こ、攻撃力4500!?」

 

丸藤が【究極竜】の攻撃力に驚いているが、お前の兄は攻撃力8000とか召喚してくるからな。

 

「更に魔法カード【龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)】発動!」

 

わ……【ワイアーム】が来るのか……

 

「墓地の【青眼】3体を除外し、2体目の【青眼の究極竜】を召喚!」

 

ですよねー……どっちにしても面倒だけどそういう頭ですよねー……耐性とか気にしないですよねー……【融合解除】引かれてなくて良かった。

 

【青眼の究極竜】

攻撃表示

ATK4500/DEF3800

 

「バトル!【青眼の究極竜】2体で2体の守備モンスターを攻撃!アルティメット・バースト!」

 

6つの首から放たれるブレス攻撃に俺のモンスターは跡形も無く消し飛んだ。そろそろ後がないか……次のターンでせめて1体は除去しないと……

 

「これが、私の怒りです」

「は?」

 

この状況を打破する手段を記憶しているデッキの中身から考えていると、キサラが突如意味不明なことを言いだした。『怒り』?俺、なんか怒られるようなことしたか?初対面だからそんなことはしてないはずなんだが……

 

「『何のことかわからない』といった表情(かお)ですね」

「……そうだな。何か気に入らないことでもしたか?」

 

指摘してくれたら謝るんだが……

 

「いいでしょう。なら教えてあげましょう、私の怒りを」

 

そう言ってキサラは語りだした。

…………長くなりそうだなぁ……

 

「気がつくと私は、私自身のカードは、あるアタッシュケースの中にいました。何故ここにいるのかもわからず、アタッシュケースの外を探索していると、貴方とDMの生みの親ペガサス・J・クロフォードが会話している光景が目に入りました。貴方がどういう存在なのか、そして私が、私達が何故ここにいるのか知ったのです」

 

…………話から察するに、キサラって俺の持ってるカードから生まれた精霊だということか?

 

「カードを通して精霊界に行くと、突如として生まれた精霊達によって精霊界は大混乱し、中には同じ一族で争う者達までいました。私は急いで貴方に救いを求めましたが、あろうことか貴方は私を無視したのです」

 

…………あれ?なんか話ズレてきた。

 

「自分勝手にカードを生み出し、私達の意思を、今まで生きてきた精霊達の意思を無視した貴方を私は決して許しません!」

 

……これで話は終わり……だよな?

 

「…………1つ、間違いがある」

「間違い?私の何が間違っているとーーー」

「俺はお前の言葉を無視したと言っていたが、前提が間違っている」

「前提?何が違ってーーー」

「俺は、精霊が見えないし、声を聞くこともできない」

 

食ってかかるキサラに俺ははっきりと、大きめの声で言った。すると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………えっ?」

 

キサラは心底意外といった表情を見せた。




たまには影ながらでも十代に活躍の機会を与えないと!ね!?ね!?だから私は悪くありませんよね!?
……すみません文才とか人に必要な何かがいろいろ欠けてる私が悪かったですハイ……
次回は続きです。


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責任 VS.キサラ

ようやく51話ができたので50話を投稿します。


「私達精霊が見えない……?」

「ああ。お前達が俺に何かしても、俺はそれを認識できない。無視以前の問題だ」

 

温泉で気分転換しようとしていたら、突如洞窟のような謎めいた空間に十代、丸藤、前田、万丈目とやってきた(連れてこられた?)。

そこで出会ったのは【カイバーマン】と名乗る海馬さん……に似た人物とキサラと名乗る女。十代は【カイバーマン】とデュエルすることになり、俺はキサラとデュエルすることに。キサラが【青眼の究極竜】の攻撃を『怒り』と言い、その理由を聞いたところ前提が間違っていたので微妙な空気になりつつある。

 

「し、しかし!あ、貴方が私達を生み出したのは事実です!貴方には私達を生み出した責任がーーー」

「知らん、そんなのは俺の管轄外だ」

「なっ……!?」

 

責任は俺を死なせた自称神にある。たぶん、きっと。

 

「俺にはお前達精霊のように互いの世界を行き来できない。ただカード使っているだけで、なんの力もない。責任だの救いだのは俺ではなく、自称神に求めろ」

「〜〜〜〜〜っ!」

 

キサラの発言をバッサリと切り捨て、直後にラッシュするとキサラは顔を赤くして頬を膨らませて唸った。最初はクールな印象だったが、中身は違うらしい。

 

「唸るのはいいが、ターンエンドでいいのか?」

「……カードを1枚伏せ、ターンエンドです!」

 

キサラ

LP4000

モンスター

【青眼の究極竜】:攻

ATK4500

【青眼の究極竜】:攻

ATK4500

魔・罠

伏せ2枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!……【大嵐】発動!フィールドの魔法・罠を全て破壊する!」

 

フィールドを嵐が吹き荒れ、俺の【転生の超戦士】と【超戦士の盾】を破壊し、キサラの【ミラー・フォース】と【異次元からの帰還】を破壊した……怖っ!

 

「【マンジュ・ゴッド】を召喚!」

 

【マンジュ・ゴッド】

攻撃表示

ATK1400/DEF1000

 

「【マンジュ・ゴッド】の効果発動!召喚成功時、デッキから儀式モンスターか儀式魔法を手札に加える!【超戦士の儀式】を手札に!更に墓地の【超戦士の魂】の効果発動!墓地のこのカードを除外して、デッキから【開闢の騎士】か【宵闇の騎士】を手札に加える!【宵闇の騎士】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚→3枚

 

「儀式魔法【超戦士の儀式】を発動!俺の手札・フィールドからレベル合計が8になるようリリースし、【カオス・ソルジャー】儀式モンスターを儀式召喚する!」

「か、【カオス・ソルジャー】ッスか!?」

「【青眼の白龍】に並ぶ最強戦士と言われたモンスター……」

「でも、【カオス・ソルジャー】って【カオスの儀式】で召喚するんじゃ……」

 

丸藤、万丈目、前田の順で【カオス・ソルジャー】についてあれこれ言っている。

 

「手札の【宵闇の騎士】とフィールドの【マンジュ・ゴッド】をリリース!」

 

俺の前に2つの大きな壺が現れると、【宵闇の騎士】と【マンジュ・ゴッド】がそれぞれ壺の中に入る。

【宵闇の騎士】が入った壺から闇が、【マンジュ・ゴッド】が入った壺から光が出てきて、渦を巻いて重なり球体になった。

 

「光と闇の狭間、混沌の地より出でよ超戦士!儀式召喚!降臨せよ!レベル8!【超戦士カオス・ソルジャー】!」

 

【超戦士カオス・ソルジャー】

守備表示

ATK3000/DEF2500

 

現れたのは【カオス・ソルジャー】に似ているが、鎧の装飾が派手になった戦士。

 

「【宵闇の騎士】をリリースして儀式召喚した【カオス・ソルジャー】は2つの効果を得る!まずは2つめの効果だ!相手の手札1枚を相手ターンのエンドフェイズまで裏向きで除外する!」

 

【カオス・ソルジャー】が剣をキサラに向けると残っていた手札を光に変えて消し去った。

 

キサラ

手札1枚→0枚

 

「もう一つの効果も発動!相手モンスターを除外する!」

 

今度は【青眼の究極竜】に剣を向けると、【青眼の究極竜】が闇に包み込まれ消滅した。

 

「ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【超戦士カオス・ソルジャー】:守

DEF2500

魔・罠

手札0枚

 

「私のターン、ドロー。【オネスト】を召喚」

「【オネスト】だと!?」

 

【オネスト】は手札に持ってなんぼだろう!?

 

【オネスト】

攻撃表示

ATK1100/DEF1900

 

「バトル!【青眼の究極竜】で【カオス・ソルジャー】を攻撃。アルティメット・バースト!」

 

3つの首から放たれるブレス攻撃に【カオス・ソルジャー】は一瞬耐えようとするが盾が砕け、破壊された。

 

「……っ!破壊された【超戦士カオス・ソルジャー】の効果発動!このカードが戦闘または相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合、手札・デッキ・墓地から【暗黒騎士ガイア】モンスターを特殊召喚できる!デッキから【覚醒の暗黒騎士ガイア】を特殊召喚!」

 

通常モンスターの【暗黒騎士ガイア】よりも黒い鎧を身に纏い、両手に持つ槍も赤ではなく青。馬に着けているマスクのような物もデザインが異なるモンスターが俺の背後から駆け抜けてきた。

 

【覚醒の暗黒騎士ガイア】

守備表示

ATK2300/DEF2100

 

「…………追撃はできないですか……メインフェイズ2。【オネスト】の効果発動。フィールドのこのカードを手札に戻す」

 

キサラ

手札0枚→1枚

 

「私はこれでターンエンド。このエンドフェイズ、【超戦士カオス・ソルジャー】によって除外されたカードが手札に戻ります」

 

キサラ

LP4000

モンスター

【青眼の究極竜】:攻

ATK4500

魔・罠

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………終わったな……一応発動しておくか。

 

「フィールド魔法【混沌の場(カオス・フィールド)】を発動」

 

周囲が青白い光に包まれる。

そして俺のデッキが微かに光った。

 

「【混沌の場】は発動時、デッキから【カオス・ソルジャー】儀式モンスターか【暗黒騎士ガイア】モンスターを手札に加える。【超戦士カオス・ソルジャー】を手札に」

 

宮田龍斗

手札0枚→1枚

 

「手札も無いのに儀式モンスターを手札に……?」

「アイツのことだ、どうせ墓地から効果でも使うんだろう」

 

丸藤の疑問に万丈目が答えるが、

 

「ターンエンド」

 

その予想を裏切りエンド宣言。直後丸藤達は軽くコケた。

万丈目が『何を考えているんだ』と怒鳴ってくるが、仕方ないだろ。これで耐えるしかないんだから。多分無理だろうけど。無駄な足掻きはしないでいこう。

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【覚醒の暗黒騎士ガイア】:守

DEF2100

魔・罠

フィールド

【混沌の場】

手札1枚

 

「私のターン、ドロー。【オネスト】を召喚」

 

【オネスト】

攻撃表示

ATK1100/DEF1900

 

「バトル。【青眼の究極竜】で攻撃。アルティメット・バースト!」

 

本日3度目(正確には除外した【青眼の究極竜】も攻撃したので4度目)のブレス攻撃によって【覚醒の暗黒騎士ガイア】が瞬殺された。

 

「【オネスト】でダイレクトアタック!」

 

【オネスト】が羽ばたいてこちらに滑空。

 

「ぐふぅっ!?っ!」

 

そのままラリアットで俺の首を刈ってきた。……い、一瞬意識飛んだぞ……短期間に2度も気絶とかシャレにならんぞ……

 

宮田龍斗

LP4000→2900

 

「……か、【混沌の場】の効果でこのカードに魔力カウンターを1つ置く」

 

【混沌の場】

魔力カウンター:0→1

 

「メインフェイズ2。【オネスト】を手札に戻します」

 

キサラ

手札2枚→3枚

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

キサラ

LP4000

モンスター

【青眼の究極竜】:攻

ATK4500

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

やばい、微妙に頭がふらつく……【オネスト】がラリアットしてくるとは……せめて羽を飛ばしてくると思ってたんだが……

 

「俺の……ターン……ドロー……ふぉっ!?」

 

妙な引きに変な声が出てしまった。しかしこの引きなら……

 

「墓地の光属性モンスター【開闢の騎士】と闇属性モンスター【宵闇の騎士】をゲームから除外することでこのモンスターは特殊召喚できる!現れろ!【カオス・ソルジャーー開闢の使者ー】!」

 

【カオス・ソルジャーー開闢の使者ー】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

【開闢】の登場に丸藤が無駄にテンションを上げていた。今年度2度目の【開闢】らしい。

 

「除外された【開闢の騎士】と【宵闇の騎士】の効果発動!【開闢の騎士】は除外された場合儀式魔法を、【宵闇の騎士】は除外された場合儀式モンスターを手札に加える!【超戦士の儀式】と【カオス・ソルジャー】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札1枚→3枚

 

「【開闢の使者】の効果発動!【究極竜】をゲームから除外する!」

 

【開闢】が【究極竜】の前の空間を剣で縦に一閃。すると空間が裂け穴が開き、【究極竜】が穴に吸い込まれ消滅した。

 

「このターン【開闢の使者】は攻撃できない。だがまだ動ける!【超戦士の儀式】発動!手札の【カオス・ソルジャー】をリリース!【超戦士カオス・ソルジャー】を儀式召喚!」

 

【超戦士カオス・ソルジャー】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「【混沌の場】に更に魔力カウンターを1つ置く」

 

【混沌の場】

魔力カウンター:1→2

 

「墓地の【転生の超戦士】の効果発動!」

「墓地から効果……しかしそんなカードをいつの間に……」

「あっただろ。このカードを破壊して墓地に送る機会が1度だけ」

「……っ!【大嵐】……」

 

キサラの疑問にヒントをやると悔しそうな表情をみせた。

 

「まぁこの状況は偶然の産物でしかないけどな。【転生の超戦士】は墓地のこのカードを除外して墓地の【カオス・ソルジャー】モンスターを手札に戻せる。最初に墓地に送られた【超戦士カオス・ソルジャー】を手札に」

 

宮田龍斗

手札0枚→1枚

 

「更に最初に発動した【超戦士の儀式】の効果も発動!墓地のこのカードと光属性モンスター【マンジュ・ゴッド】と闇属性モンスター【覚醒の暗黒騎士ガイア】を除外することで、手札の【カオス・ソルジャー】儀式モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する!」

 

【超戦士カオス・ソルジャー】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「攻撃力3000のモンスター3体を1ターンで並べるとは……」

「しかも3体全部【カオス・ソルジャー】ッス……」

「しかも相手の場はガラ空き。これが通れば龍斗の勝ちなんだなあ!」

「…………」

 

万丈目、丸藤、前田の順で言っているのとは対照的に、キサラは眉一つ動かさない。あのリバースカードならという自信があるのだろう。なら……

 

「俺はレベル8の【超戦士カオス・ソルジャー】と【カオス・ソルジャーー開闢の使者ー】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

生と死の狭間を彷徨いし魂よ!暗黒に澱みし恨みをこの地で晴らせ!エクシーズ召喚!斬り裂け!ランク8!【No.23 冥界の霊騎士ランスロット】!」

 

【No.23 冥界の霊騎士ランスロット】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「バトル!【超戦士カオス・ソルジャー】でダイレクトアタック!超次元斬!」

 

【カオス・ソルジャー】がキサラに斬りかかる。

 

「罠発動【攻撃の無力化】。相手の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了」

 

しかしキサラの数センチ手前で不可視の壁に阻まれた。

 

「…………ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP2900

モンスター

【No.23 冥界の霊騎士ランスロット】:攻

ATK2000

【超戦士カオス・ソルジャー】:攻

ATK3000

魔・罠

フィールド

【混沌の場】魔力カウンター:2

手札0枚

 

「私のターン、ドロー。……【オネスト】を召喚」

 

【オネスト】

攻撃表示

ATK1100/DEF1900

 

攻撃表示?何を考えて……

 

「効果発動。【オネスト】を手札に戻します」

 

……っ!?これは……!

 

「ら、【ランスロット】の効果発動。1ターンに1度、ORUを1つ使いモンスター効果、魔法、罠の発動を無効にする……っ!」

 

【ランスロット】が【オネスト】を斬り捨てる。

 

【混沌の場】

魔力カウンター:2→3

 

「【死者蘇生】発動。【オネスト】を蘇生します」

 

【オネスト】

攻撃表示

ATK1100/DEF1900

 

「【天よりの宝札】!互いの手札が6枚になるようにドロー」

 

キサラ

手札0枚→6枚

 

宮田龍斗

手札0枚→6枚

 

【天よりの宝札】……これを狙って【オネスト】を……というか、【死者蘇生】握ってたのか……

 

「良い手札です。【オネスト】の効果発動。このカードを手札に戻します」

 

キサラ

手札6枚→7枚

 

「魔法カード【次元融合】発動。ライフ2000をコストにお互いにゲームから除外されているモンスターをそれぞれのフィールドに可能な限り特殊召喚します」

 

キサラ

LP4000→2000

 

除外されているモンスター……終わったか……

 

「現れよ。2体の【青眼の究極竜】!そして3体の【青眼の白龍】!」

 

【青眼の究極竜】×2

攻撃表示

ATK4500/DEF3800

 

【青眼の白龍】×3

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「俺は、【覚醒の暗黒騎士ガイア】、【開闢の騎士】、【宵闇の騎士】の3体を特殊召喚する」

 

【覚醒の暗黒騎士ガイア】

守備表示

ATK2300/DEF2100

 

【開闢の騎士】

守備表示

ATK500/DEF2000

 

【宵闇の騎士】

守備表示

ATK500/DEF2000

 

まさか【カオス・ソルジャー】で除外したことが仇になるとは……

 

「バトル。【青眼の究極竜】で【超戦士カオス・ソルジャー】を攻撃。アルティメット・バースト!」

 

何度目かのブレス攻撃で消滅する【カオス・ソルジャー】。破壊された余波が俺を襲う。

 

宮田龍斗

LP2900→1400

 

【混沌の場】

魔力カウンター:3→4

 

「くっ……!【超戦士カオス・ソルジャー】の効果発動。デッキから【疾走の暗黒騎士ガイア】を特殊召喚」

 

【疾走の暗黒騎士ガイア】

守備表示

ATK2300/DEF2100

 

「【青眼の究極竜】、【疾走の暗黒騎士ガイア】を焼き払いなさい」

 

俺の背後から駆け抜けてきた【疾走の暗黒騎士ガイア】が止まることなくジュッという音とともに消滅した。

しかし何故【究極竜】で……?俺のライフが残るぞ?

 

「【青眼の白龍】で【ランスロット】を攻撃。滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)!」

 

【青眼】が【ランスロット】を脚で踏み潰し、そのままブレス攻撃で消滅させた。む、惨い。

 

宮田龍斗

LP1400→400

 

「残る【青眼】で騎士達を攻撃」

 

【開闢】と【宵闇】が耐えようと構えるが、ブレス攻撃に一瞬で『あ、これ無理だ』という表情に変わり消滅した。

 

「速攻魔法【瞬間融合】。フィールドのモンスターを素材に融合します」

 

…………マジか。

 

「3体の【青眼】を融合!【青眼の究極竜】!」

 

【青眼の究極竜】

攻撃表示

ATK4500/DEF3800

 

「ダイレクトアタック。アルティメット・バースト!」

 

【究極竜】のブレス攻撃が俺を飲み込む。

 

「………………」

 

宮田龍斗

LP400→-4100

 

この女、【究極竜】で決めるために【青眼】で【ランスロット】を……そう思ったのを最後に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…………」

 

目を覚ますとそこでは、

 

「ふふっ」

「ふぅん」

 

キサラと【カイバーマン】が腕を組んでいた。なんだ。なんなんだこの光景は。

 

「ん?あ、やっと目が覚めたんですか。鍛錬がなってないですね」

 

俺に気付くと早速トゲのあるお言葉をいただいた。

 

「デュエルは私の勝ちです」

「…………」

「本来なら私達精霊界の混乱を鎮めてもらうところですが、力が無い以上居ても邪魔なだけですので、さっさと帰ってください」

 

散々な言いようだった。

目を閉じて念じれば帰れるらしいので早速試して帰還。寮で【カオス・ソルジャー】デッキの調整をすることにした。




強靭☆無敵☆最強は【カイバーマン】の仕事なので、キサラは言いません。
次回は【カオス・ネクロマンサー】が活躍したあの話です。


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買収 VS.万丈目

今回は1万文字をちょっとだけ超えました。
名前だけしか出てこないカードもありますが、ご了承ください。


「校長が?」

 

キサラとのデュエルに敗北し、いつあのようにデッキがランダムで決定されるかわからないということで【影霊衣】や【シャドール】を常に持ち歩こうと思い調整をしていると、枕田と浜口が窓から俺を呼んできた。なんでも校長が呼んでいるらしい。

 

「わかった。すぐ行く」

 

メインデッキはまだほとんど調整する必要が無かったが、エクストラの調整が終わってないので不安はある。それでも戦えないことはないので、念のためデッキを持って校長室へ行くことにしよう。枕田と浜口は『今度は何があるのか興味ある』と言ってついて来るらしい。

校長室に入るとそこには十代に丸藤、万丈目そして大徳寺先生がいた。

 

「宮田龍斗……!何故貴様がここに……?」

「何故って、呼ばれたからだ」

 

軽い応酬を挨拶代わりにして校長と向きあう。

 

「それで校長、何の用です?」

「まさか、またセブンスターズ……」

 

万丈目の発言に十代は表情を固くし、丸藤はやや心配そうに十代を見る。

枕田と浜口は『何の話?』とひそひそと話している。

 

「それとは別次元の問題なのにゃー」

 

大徳寺先生がファラオを撫でながらのんびりした声で話す。

 

「突然、この学園の買収話が持ち上がってね。この学園の運命が買収相手とウチの代表とのデュエル決まることになったんだ」

 

買収……というかデュエルか……。

校長はオーナー、つまりは海馬さんのことを『変わった方』と言ってこの買収話でのワンシーンを話してくれた。

買収相手はデュエルに条件を持ちかけたらしい。その条件に海馬さんは『よかろう。未来のロードは己が手で切り開くもの。デュエルアカデミアには貴様に負けるデュエリストなど1人もおらん。貴様がデュエルに勝ったら、学園などくれてやるわ!』と啖呵を切ったらしい。

あの人らしいが、そのデュエルの条件はちゃんと聞いてたんだよな……?

 

「なら、そのデュエル俺にやらせてくれ!」

「それはできない」

 

十代がデュエル相手に立候補するが校長は即答でそれを却下。

買収相手はデュエルの相手を既に指名してきているらしい。十代と丸藤、枕田と浜口は状況を察して俺と万丈目を見る。

つまり指名されたのは俺と万丈目ということらしい。

そんな話の最中に電話がなる。校長が大徳寺先生に繋げるように指示すると、壁のディスプレイには……えっと……たしか……

 

「まさか、買収相手って万丈目グループ!?」

 

あ、そうか万丈目の兄貴達だ。

あの兄弟は政界、財界、カードゲーム界に君臨し、世界に万丈目帝国を作り上げるという野望を諦めていないらしい。しかし、カードゲーム界担当であった末っ子の万丈目がレッド生の十代に倒されたことで、妥協プランを用意することにしたらしい。

そのプランはデュエルアカデミアを買収し、カードゲーム界へ進出するための足がかりにするというものらしい。

そして万丈目は一番上の兄貴と、俺は二番目を相手するらしい。

 

「別にデュエルするのは良い。万丈目が相手するというのもどうでもいい。だが何故俺がアンタらの相手をしなくちゃならない?」

「それは貴様が俺達兄弟に恥をかかせたからだ!」

 

恥?たしかあの兄弟と会ったのは、ノース校との交流試合での1回きり。

何か言ったか?

…………ああ、妄言とか人形遊びとかか?

 

「…………なんか気にしてたのか?」

「学園を乗っ取るついでに貴様を倒す!無様に這いつくばらせてやるから覚悟しておけ!」

 

鬼気迫るというような表情で俺を指差す次男。名前は……覚えてない。

しかし、十代と丸藤は万丈目の兄貴2人はデュエルの素人。勝てるわけがないと指摘すると、ハンデとして、相手は以前金にものを言わせて手に入れたカードでデッキを組む。こちらは攻撃力500未満のモンスターでデッキを組めと言う。当然海馬さんは了承済み。

勝負は3日後、最初に長男と万丈目が勝負し、次に俺の番となる。更に俺達のうちどちらかが負ければその時点でデュエルアカデミアは買収されるこのになっている。

 

「話が終わったなら、帰らせてもらう」

「ちょ、ちょっと待てよ万丈目!」

「俺も失礼します。デッキの作成をしなければならないので」

 

万丈目が十代とやりとりしている間に校長室を出る。

すると枕田と浜口が追いかけてきた。

 

「ちょっと龍斗!待ちなさいよ!」

「先ほどチラッと出てきたセブンなんとかってなんですの!?」

「それについては明日香に聞け。あいつが話すかどうかは別として、あいつも知っているからな」

 

急いで来たのにその話か。

それより攻撃力500未満のモンスターで構築したデッキか……あ、エクストラはどうなんだ?聞いとけば良かったな。まぁいいや。とりあえずメインのみで攻撃力500未満のモンスターで戦うか。【ゴーストリック】……なんで初っ端からロック系……てかアウトだ。聖こ……いや、無理だ。

部屋に戻りアタッシュケースを開ける。しかし攻撃力500未満のカードを見つけても同じカテゴリーのカードが攻撃力500を超えていたりと割と無茶なハンデだ。

 

「…………あ」

 

ふと見つけた1枚のカード。たしかコレって……入っていそうなケースを開けては閉めを繰り返すこと十数回。

ようやくお目当てのカードを見つけることができた。

…………これなら、勝てる……と思いたい。とりあえずデッキを作ってみるか。完成したら三沢に相手してもらって終わったら調整しよう。

翌日は三沢に調整を付き合ってもらいつつ、ゆまに『お兄ちゃん、今度の勝負は大丈夫なの!?』と何故か緊張した面持ちで迫られたり、ほとんど話したことのない生徒や先輩に『大丈夫なのか?』と心配されたりしたが、実際のところほぼいつもと変わらない1日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、つまり決戦当日。

デュエルフィールドには生徒教員全員(茂木だっけか?あの【はにわ】使う奴以外……のはず)が音一つ立てずに見守るなか、デュエルアカデミアをかけたデュエル…………の一戦目が終わった。

なんと万丈目は攻撃力0のモンスターだけで、金にものを言わせて手に入れたパラレルレアだらけのデッキに勝利したのだ。しかしバーンダメージではなく、【カオス・ネクロマンサー】を使っての勝利だ。

あのカードは何故か枯れ井戸に3枚も捨てられていたらしい。【魔導雑貨商人】がうまく働いてくれればワンショットkillだってできるのに……解せぬ。

ともかく、次は俺の出番だ。

 

「さて、万丈目も言っていたことだし。俺も言って置こうか。なんの偶然か、俺のこのデッキも、攻撃力0のモンスターしかいない。もっと言うと、レベル4以下のモンスターが3枚しかない」

「なんだと!?」

 

なんか周囲から勝つ気がどうのとか聞こえる。三沢、なんか言っといてくれ。

 

「別に舐めてるわけじゃない。偶然関連カード探して、攻撃力500以上を抜いたらそうなっただけだ」

 

2種類ほど攻撃力500以上があったが、それ以外全て入ったのが奇跡だと思う。万丈目の兄貴(次男(名前を思い出せない))は気に入らないとでも言いたげな表情でデュエルディスクを構えた。俺も一歩遅れてデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

万丈目正司

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「先攻はくれてやる。アンタの兄貴は負けたからな。負け先ってやつだ」

「舐めた真似を……!私のターン、ドロー!魔法カード【融合】発動!」

 

…………積み込みを疑いたくなる引きだな。別にいいけど。

 

「手札の【ロード・オブ・ドラゴンードラゴンの支配者ー】と【神龍 ラグナロク】を融合!現れろ!【竜魔人 キングドラグーン】!」

 

【竜魔人 キングドラグーン】

攻撃表示

ATK2400/DEF1100

 

フィールドに人の上半身を持つ竜が現れる。さっきも思ったけど、パラレルレアって目がチカチカしてくる。これがホログラだったらどうなるんだ?

 

「【竜魔人 キングドラグーン】の効果発動!手札から【トライホーン・ドラゴン】を特殊召喚!」

 

【トライホーン・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2850/DEF2350

 

「ターンエンド!」

 

万丈目正司

LP4000

モンスター

【竜魔人 キングドラグーン】:攻

ATK2400

【トライホーン・ドラゴン】:攻

ATK2850

魔・罠

手札2枚

 

「…………俺のターンだな。ドロー!」

 

今頃明日香あたりがどんなデッキなのか考えているだろう。

 

「【時械巫女】を特殊召喚!」

 

【時械巫女】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

現れたのは機械族な見た目のモンスター。しかしコイツは天使族だ。

 

「このモンスターは通常召喚できないが、俺のフィールドにモンスターがいなければ、手札から特殊召喚できる」

「だが攻撃力0の雑魚モンスター!それを攻撃表示で召喚するとは!」

 

いや、コイツの仕事はこれからだし。

 

「【時械巫女】の効果発動!このモンスターをリリースすることで、デッキから【時械神】モンスターを手札に加える」

「【時械神】……?」

「ああ。この【時械神】達が、お前を倒すモンスターだ。【時械神ミチオン】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札5枚→6枚

 

とりあえずコレでいいよな?万丈目の兄貴(次男)はカードを見るとニヤリと笑みを浮かべた。

 

「私を倒す?攻撃力0で?そのモンスターは最上級モンスターというやつだろう!低レベルモンスター3枚のうち1枚を失った貴様のデッキで、私を倒せるとでも?」

「……所詮素人か。DMにおいて重要なのは攻撃力じゃない。効果だ。【時械神ミチオン】を召喚!」

 

【時械神ミチオン】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

俺のフィールドに赤を基調としたボディで、鏡面に人の顔を映したモンスターが現れる。召喚されたモンスターに万丈目の兄貴(次男)は顔を歪ませた。

 

「バカな!高レベルモンスターの召喚には、生贄が必要なハズ!」

「【時械神ミチオン】は俺のフィールドにモンスターがいない場合、リリース……生贄無しで召喚できる。バトル!【時械神ミチオン】で【竜魔人 キングドラグーン】を攻撃!」

「攻撃力0のモンスターで攻撃だと!?」

 

【ミチオン】の全身から炎が溢れ、【キングドラグーン】に浴びせられる。しかし【キングドラグーン】に反応は無い。

 

「攻撃表示の【ミチオン】が戦闘するとき発生する互いへのダメージは0になる」

「だが、貴様のモンスターは破壊される!」

「残念だが、【ミチオン】は戦闘でも効果でも破壊されない」

「なっ、なんだと!?」

 

【キングドラグーン】が攻撃をしようとするが、【ミチオン】を見たまま動かない。

 

「メインフェイズ2に移行するんだが、その前に【ミチオン】の効果発動!戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、相手のライフを半分にする」

「私のライフを半分に!?うおぉぉぉ!?」

 

天から降り注ぐ光がライフを削るエフェクトなんだな。

 

万丈目正司

LP4000→2000

 

「では改めてメイン2。カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【時械神ミチオン】:攻

ATK0

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「くっ……!私が持っていないカードを……」

「アンタが使っているのは発売済みのカード。未発売のカードを使っている相手に、素人が勝つ確率は限りなくゼロに近いだろう」

「未発売のカードだと!?」

「デュエルの条件に『未発売のカードを使ってはならない』とは言われてないからな。I2、KCでテスターの仕事をするついでにアンタの相手をしているにすぎない」

 

本音を言えば抜くことになったカードも使いたいが、他の機会に使えばいいか。

万丈目の兄貴(次男(略称募集))は顔を歪ませながらターンを開始した。

 

「……ターン、エンド……」

 

エンドフェイズまでが一瞬だ。何もしてない。

 

万丈目正司

LP2000

モンスター

【竜魔人 キングドラグーン】:攻

ATK2400

【トライホーン・ドラゴン】:攻

ATK2850

魔・罠

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ、【ミチオン】はデッキに戻る」

 

【ミチオン】の全身が炎に包まれ、デッキの中に戻っていった。

 

「手札ではなく、デッキに戻るとは!1ターンしか保たない切り札とは笑わせてくれる!」

「誰が【ミチオン】が切り札と言ったんだか……【時械神ラツィオン】を召喚」

 

【時械神ラツィオン】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

【ミチオン】と同じく赤を基調としているが肩……と思われる部分から炎を燃やし、腕を持つモンスターが現れる。

 

「に、2体目の【時械神】だとぉ!?」

「俺は【時械神】が1体しかいないとは一言も言ってないぞ。この際だから言っておこう。このデッキには9種類もの【時械神】が入っている」

「きゅっ……!?」

 

何故攻撃力4000なんだ【サンダイオン】……お前がいれば10種揃ったのに……

 

「【ラツィオン】も【ミチオン】もそうだが、【時械神】は自分のフィールドにモンスターがいなければリリース無しで召喚でき、戦闘・効果で破壊されず、互いに与えられる戦闘ダメージは0になる」

 

素人や脳筋な連中は無敵とか言いそうだが、【次元幽閉】でなんとかなる。あと【スキルドレイン】。

 

「……バトル!【ラツィオン】で【キングドラグーン】を攻撃!」

 

【ラツィオン】が左腕から炎を【キングドラグーン】に浴びせる。だがやはり反応はない。

 

「バトルフェイズ終了時、【ラツィオン】の効果発動!相手の墓地のカードを全てデッキに戻す」

 

素人相手には無意味だが、墓地アドさえ与えない。

万丈目の兄貴(次男)は訝しげに墓地のカードをデッキに戻してシャッフルした。

 

「ターンエンドだ」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【時械神ラツィオン】:攻

ATK0

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「私のターン、ドロー!」

「相手がドローしたとき【ラツィオン】の効果発動!相手に500ポイントのダメージを与える!」

 

【ラツィオン】の右手から放られた炎が次男(これで落ち着いてみる)を包んだ。

 

「くぅっ!」

 

万丈目正司

LP2000→1500

 

「【キングドラグーン】の効果発動!現れろ【ダイヤモンド・ドラゴン】!」

 

【ダイヤモンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF2800

 

またチカチカしそうなモンスター……一掃したい。

 

「カードを1枚伏せターンエンド!」

 

万丈目正司

LP1500

モンスター

【竜魔人 キングドラグーン】:攻

ATK2400

【トライホーン・ドラゴン】:攻

ATK2850

【ダイヤモンド・ドラゴン】:攻

ATK2100

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

このタイミングで特殊召喚とセット……【時械神】切れを狙ってるのか。

 

「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズ、【ラツィオン】はデッキに戻る」

 

炎に包まれ、【ラツィオン】がデッキの中に消える。

 

「……永続罠【虚無械アイン】を発動。1ターンに1度、手札の【時械神】……【時械神ハイロン】を捨て1枚ドロー」

「【時械神】を捨てるだと!?」

「【ハイロン】は俺のライフが相手より低い場合その数値差分のダメージを与える効果があるが、この状況では無意味だ。【時械巫女】を特殊召喚」

 

【時械巫女】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

「【時械巫女】の効果で【時械神メタイオン】を手札に加えて召喚」

 

【時械神メタイオン】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

…………今日、炎属性天使族ばかり召喚してるな。

 

「バトル!【メタイオン】で【キングドラグーン】を攻撃!」

 

【キングドラグーン】が【メタイオン】の炎に包まれる。

 

「バトルフェイズ終了時、【メタイオン】の効果を発動。このカード以外のモンスター全てを手札に戻し、戻した枚数1枚につき300ポイントのダメージを与える」

「全てのモンスターを戻すだとぉ!?」

 

【メタイオン】が放射状に炎を放つと、次男(これで落ち着いてみる)のモンスターを吹き飛ばし、次男を炎が包んだ。

 

「くぅっ!」

 

万丈目正司

手札2枚→4枚

LP1500→600

 

「ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【時械神メタイオン】:攻

ATK0

魔・罠

【虚無械アイン】

手札4枚

 

「くそっ!私のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドローする!」

 

万丈目正司

手札4枚→6枚

 

「【サファイアドラゴン】を召喚!」

 

【サファイアドラゴン】

攻撃表示

ATK1900/DEF1600

 

「カードを2枚伏せターンエンド!」

 

万丈目正司

LP600

モンスター

【サファイアドラゴン】:攻

ATK1900

魔・罠

伏せ3枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!」

「罠発動【砂塵の大竜巻】!貴様の【虚無械アイン】を破壊する!」

 

突如竜巻が発生し、【虚無械アイン】を吹き飛ばす。

ドローしたカードは【無限械アイン・ソフ】……手札のモンスターは1枚……

 

「……とりあえずスタンバイフェイズに【メタイオン】はデッキに戻る」

 

炎が【メタイオン】を包みデッキに戻る。

 

「【時械神ザフィオン】を召喚!」

 

【時械神ザフィオン】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

青を基調とした【時械神】が現れる。

ようやく水属性モンスターを召喚したなぁ。エフェクトが密かに楽しみだ。

 

「バトル!【ザフィオン】で【サファイアドラゴン】を攻撃!」

 

【ザフィオン】が左腕から大量の水を出し、【サファイアドラゴン】にぶつける。

 

「バトルフェイズ終了時、【ザフィオン】の効果発動。相手の魔法・罠カードを全てデッキに戻す」

 

【ザフィオン】が今度は右腕から出した水を鞭のように操り魔法・罠ゾーンのカードを吹き飛ばした。なんでここだけエフェクト凝ってるんだ……?

 

「……カードを1枚セットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【時械神ザフィオン】:攻

ATK0

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「私のターン、ドロー!【スピア・ドラゴン】を召喚!」

 

【スピア・ドラゴン】

攻撃表示

ATK1900/DEF0

 

【スピア・ドラゴン】のパラレルレアってあったんだな。こっちだけか?

 

「ターンエンド!」

 

万丈目正司

LP600

モンスター

【サファイアドラゴン】:攻

ATK1900

【スピア・ドラゴン】:攻

ATK1900

魔・罠

手札3枚

 

さっきから壁にもならないモンスターばかり。ケリをつけたいが、手札にモンスターがいない。なんとか引き当てたいところではある。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………【虚無械アイン】……だと……!?

 

「……スタンバイフェイズ、【ザフィオン】をデッキに戻す」

 

全身を水が包み、デッキに猛烈な勢いで戻す【ザフィオン】。ちょっと衝撃がキツい。

 

「……カードを1枚セットしてターンエンド」

 

……このターンの短さ。そして泥試合臭。

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「とうとうモンスターが尽きたか!私のターン!ドロー!【サファイアドラゴン】を生贄に、現れろ【エメラルド・ドラゴン】!」

 

【エメラルド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2400/DEF1400

 

あれ?…………ピンチ?……あ。このカード忘れてた

 

「バトルだ!行けぇ!【エメラルド・ドラゴン】!エメラルド・フレイム!」

「罠発動【女教皇の錫杖】相手モンスターの攻撃を無効にし、500ポイントのダメージを与える。このカードは自分のフィールドにモンスターがいない場合、手札から発動できる」

「て、手札から罠だとぉ!?」

 

手札から【女教皇の錫杖】をデュエルディスクに差し込むと、【エメラルド・ドラゴン】の攻撃が矢の形になり次男の肩に突き刺さる。

 

「ぐぅぅっ!」

 

万丈目正司

LP600→100

 

さて、ここで止まってくれるとありがたいんだが……

 

「まだだ!【スピア・ドラゴン】でダイレクトアタック!ドラゴン・スクリュー!」

 

【スピア・ドラゴン】がブレス攻撃をしてくる。

 

「…………っ!」

 

宮田龍斗

LP4000→2100

 

「さっきまでの威勢はどうした!【時械神】とやらがいなければその程度か!」

 

相手の残りライフは100。アニメ的な展開だと俺は負けるんだよなぁ……たぶん。

 

「ふん!だんまりか!私はこれでターンエンド!」

 

万丈目正司

LP100

モンスター

【エメラルド・ドラゴン】:攻

ATK2400

【スピア・ドラゴン】:攻

ATK1900

魔・罠

手札3枚

 

「……俺のターン、ドロー!」

 

……【ガブリオン】……これじゃあ勝てない……

 

「罠発動【虚無械アイン】。効果で【時械神ガブリオン】を捨てて1枚ドロー」

 

…………微妙…………だが無いよりはマシか。

 

「【時械神サディオン】を召喚!」

 

【時械神サディオン】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

召喚されたのは緑を基調とした【時械神】。

 

「バトル!【サディオン】で【エメラルド・ドラゴン】を攻撃!」

 

【サディオン】が【エメラルド・ドラゴン】に突風をぶつけるが、【エメラルド・ドラゴン】は微動だにしない。

 

「バトルフェイズ終了時に【サディオン】の効果発動!俺のライフが4000より低い場合、俺のライフを4000にする」

 

【サディオン】から緑色の粒子が降り注ぐ。

 

宮田龍斗

LP2100→4000

 

「ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【時械神サディオン】:攻

ATK0

魔・罠

【虚無械アイン】

伏せ1枚

手札2枚

 

「私のターン、ドロー!……【天よりの宝札】互いの手札が6枚になるようにドローする!」

 

ここで【天よりの宝札】……なかなか引きがいいな。……【ミチオン】……【無限光アイン・ソフ・オウル】……【女教皇の錫杖】……

 

宮田龍斗

手札2枚→6枚

 

万丈目正司

手札3枚→6枚

 

「……チッ!カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

「ならエンド前に【虚無械アイン】を墓地に送り永続罠【無限械アイン・ソフ】を発動!相手ターンに1度手札の【時械神】……【時械神ミチオン】を捨てて2枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札5枚→7枚

 

万丈目正司

LP100

モンスター

【エメラルド・ドラゴン】:攻

ATK2400

【スピア・ドラゴン】:攻

ATK1900

魔・罠

伏せ2枚

手札4枚

 

手札6枚あってモンスターを召喚せずに2枚セットしただけ……事故ってるのか……?

 

「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【サディオン】はデッキに戻る」

 

【サディオン】を突風が包み、思わず顔を腕で覆うと一瞬で姿を消した。

 

「【時械神カミオン】を召喚!」

 

【時械神カミオン】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

前のターンまで召喚された【時械神】とは異なり、重厚感のある茶色や黒のボディの【時械神】が現れる。

 

「バトル!【カミオン】で【スピア・ドラゴン】を攻撃!」

 

【カミオン】が【スピア・ドラゴン】に幾つもの岩を落とすが、ブレス攻撃に全て弾かれる。

 

「バトルフェイズ終了時、【カミオン】の効果発動!相手モンスターをデッキに戻し、500ポイントのダメージを与える。【スピア・ドラゴン】を戻してもらおうか」

「まだだ!まだ私は負けていない!速攻魔法【神秘の中華鍋】!」

 

……何故そのカードを持っている……それノーマルじゃないか。お前のデッキはパラレルレアデッキだろ?

 

「【スピア・ドラゴン】を生贄に、その攻撃力1900を私のライフに加える!」

 

【スピア・ドラゴン】が特大の中華鍋に放られ調理され、光の粒となって次男のライフに変わった。

 

万丈目正司

LP100→2000

 

直後、【カミオン】が土砂を落とす。

 

「ぐっ!デッキに戻ってなくてもダメージか……!」

 

万丈目正司

LP2000→1500

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【時械神カミオン】:攻

ATK0

魔・罠

【無限械アイン・ソフ】

伏せ1枚

手札6枚

 

「私のターン……ドロー!【天使の施し】!カードを3枚ドローして2枚捨てる!……【融合】を発動!手札の【サファイアドラゴン】、【ダイヤモンドドラゴン】、【神龍 ラグナロク】、【トライホーン・ドラゴン】、そしてフィールドの【エメラルド・ドラゴン】を融合!現れろ!【F(ファイブ)G(ゴッド)D(ドラゴン)】!」

 

【F・G・D】

攻撃表示

ATK5000/DEF5000

 

め、目がチカチカする……!デカいし光ってるしで処理とは別の意味で面倒くせぇ……

 

「更にリバースカードオープン!【リビングデッドの呼び声】!蘇れ【トライホーン・ドラゴン】!」

 

【トライホーン・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2850/DEF2350

 

……何故このタイミング?まぁいいか。

 

「ターンエンド!」

「エンド前に【無限械アイン・ソフ】を墓地に送り【無限光アイン・ソフ・オウル】を発動!相手ターンに1度、手札の【時械神】……【時械神ラツィオン】を捨てて2枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札5枚→7枚

 

万丈目正司

LP1500

モンスター

【F・G・D】:攻

ATK5000

【トライホーン・ドラゴン】:攻

ATK2850

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】《トライホーン・ドラゴン》

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【カミオン】はデッキに戻るんだが、【無限光アイン・ソフ・オウル】の効果で【時械神】はデッキに戻らない」

「な、なんだと!?戦闘でも効果でも破壊されないモンスターがフィールドに留まり続けというのか!?」

 

なんか絶望してるけど、【次元幽閉】も【スキルドレイン】も入れてないお前が悪い。

 

「メインフェイズ、【無限光アイン・ソフ・オウル】の効果発動!さっきコストで墓地に送った【無限械アイン・ソフ】も同じ効果があってな。自分のターンに1度、手札の【時械神】を特殊召喚できる。現れろ【時械神ラフィオン】!」

 

【時械神ラフィオン】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

「じ、【時械神】が……2体……!」

「バトル!【ラフィオン】で【F・G・D】を攻撃!」

 

【ラフィオン】が【F・G・D】に竜巻をぶつけるが、【F・G・D】は微動だにしない。

 

「【ラフィオン】の効果発動!相手モンスターと戦闘したダメージステップ終了時にそのモンスターの攻撃力分のダメージを与える」

「こ、攻撃力分だと!?」

 

【ラフィオン】が次男の足下から竜巻を起こして吹き飛ばす。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

万丈目正司

LP1500→-3500

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後、万丈目兄弟は大人しく帰っていった。

帰るまで長男の方が万丈目に何か言っていたらしいが興味ないので聞いてない。

 

「ゆま、そろそろ帰れ」

「も、もう一回!今度こそ勝つんだから!」

 

デュエルのあと、ゆまは俺の【時械神】に挑んできてる。しかし、今回は【サンダイオン】に加え【究極時械神セフィロン】も投入したデッキだ。ゆまのプレイングの甘さもあって割と瞬殺できる。

 

「だからなんで先攻1ターン目に【ヒーローアライブ】で【バブルマン】を攻撃表示で召喚するんだよ。【シャドー・ミスト】から【マスク・チェンジ】で【ダーク・ロウ】の方がいいだろ」

「あ、そっか!」

「…………」

 

頭痛くなってきた……




はい、万丈目正司さんとのデュエルでしたー。
次回はゆまの弱点(?)が明らかになるような気がしなくもないです。


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頭 VS.ゆま

モンハンXやってたら執筆速度がががが……


「だからなんで先攻1ターン目に【ヒーローアライブ】で【バブルマン】を攻撃表示で召喚すんだよ」

「ふぁうあうあう〜〜〜」

 

ある日の実技の授業。ここ最近生徒が授業に全然来ないなかゆまが何度も先攻1ターン目に【ヒーローアライブ】→【バブルマン】攻撃表示→2ドローをしたあとフルボッコにあってる。異常なまでの引き率で。

何度言っても直らないので頬を軽く引っ張っているんだが……頬が柔らかくて楽しくなってきた。

 

「先攻で【ヒーローアライブ】握ったら【シャドー・ミスト】。今度やったら【バブルマン】抜く」

ほれあけは(それだけは)ほれあけははんゔぇん(それだけはかんべん)を〜〜!」

「なら行ってこい」

「はい〜!」

 

引っ張られていた頬を押さえて駆けていくゆま。

 

「私のターン、ドロー!……【エアーマン】を召喚!」

 

珍しく今回は引かなかったみたいだ。

しかしゆまのことだ、終わったあとに忘れてまたやらかす。そんなヴィジョンが見える。

 

「アンタ、何呑気に見物してるのよ?」

「枕田……」

 

ゆまのデュエルを少し離れて見守っていると枕田に呆れ顔で話しかけられた。

 

「授業中なのに見物なんてしてて良いと思ってるの?」

「枕田、今は何の授業だ?」

「?デュエル実技だけど……」

「デュエルは何人でするものだ?」

「2人」

 

タッグデュエルを想定しろこの野郎。せめて2人以上って言え。

 

「今、俺とお前以外で半径1メートル以内に誰かいるか?」

「…………」

 

枕田はあたりを軽く見回して言った。

 

「……ごめん」

「いや、いい。ゆまがやらかさないか見ておく必要があるしな」

 

俺の周囲に人はいない。やってくるのは枕田達テスター仲間や十代達。あと藤原とゆまくらいだ。何故か最近非テスターの生徒の大半に避けられてる。たまに先生が指名したことで俺の相手をすることになった生徒は世界が終わったような顔をしている。

 

「勝ったよお兄ちゃん!」

 

早くもケリがついたのかゆまが駆け寄ってくる。……気のせいか犬の耳としっぽが見える。

 

「そうか。よかったな」

「うん!お兄ちゃんはデュエルしないの?」

「相手がいないからな」

 

なんか妙に避けられてるし……

 

「じゃあ、私が相手になる!」

「連戦だがいいのか、休まなくて?」

「大丈夫!お兄ちゃんが相手だもん!」

 

理屈がわからん。だがまぁ、相手してくれるなら相手してもらおうか。

互いに距離を取ってデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

宮田ゆま

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「私の先攻、ドロー!【ヒーローアライブ】発動!ライフを半分にして、【バブルマン】を特殊召喚!」

 

宮田ゆま

LP4000→2000

 

【E・HERO バブルマン】

攻撃表示

ATK800/DEF1200

 

…………おい。

 

「【バブルマン】の効果でカードを2枚ドロー!」

 

宮田ゆま

手札5枚→7枚

 

「【Eーエマージェンシーコール】を発動してデッキから【エアーマン】を手札に加えて召喚!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

「【エアーマン】の効果でデッキから【ブレイズマン】を手札に!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

宮田ゆま

LP2000

モンスター

【E・HERO バブルマン】:攻

ATK800

【E・HERO エアーマン】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ1枚

手札6枚

 

「…………ゆま、さっき俺が言ったこと覚えてるか?」

「え?さっき……………………ぁ」

 

『ぁ』じゃねぇよ。なんで1回デュエルしただけで忘れるんだよ。

 

「…………俺のターン、ドロー!【サイクロン】発動」

 

ゆまのリバースカード……【ヒーロー・シグナル】を破壊した。

 

「スケール2の【イグナイト・マスケット】とスケール7の【イグナイト・ドラグノフ】でペンデュラムスケールをセッティング」

「ぺ、ペンデュラム……3から6……ぅぅ……お、お兄ちゃん、手加減してくれると……」

「言ったこと忘れる子にはお仕置きだ。【イグナイト・マスケット】のペンデュラム効果。もう片方のペンデュラムゾーンに【イグナイト】カードがある場合、俺のペンデュラムゾーンのカードを全て破壊し、デッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を手札に加える。【イグナイト・マスケット】を手札に」

 

俺の背後に並ぶ【マスケット】と【ドラグノフ】の2体が炎に包まれて、1枚のカードとして俺の手札に加わった。

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「破壊したのと同じのを手札に……?」

「次だ。スケール2の【イグナイト・マスケット】2体でペンデュラムスケールをセッティング」

「今度は同じカードを……何を考えてるの……」

 

ゆまと枕田の疑問は聞き流してどんどんエクストラを溜めよう。

 

「【イグナイト・マスケット】の効果でペンデュラムゾーンのカードを全て破壊してデッキから【イグナイト・キャリバー】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「スケール2の【イグナイト・キャリバー】とスケール7の【イグナイト・ライオット】でペンデュラムスケールをセッティング。これでレベル3から6のモンスターが同時に召喚可能。

陽炎のように揺れ動く力、かの者に業火の鉄鎚を!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより現れろ!レベル4!【イグナイト・ドラグノフ】!」

 

【イグナイト・ドラグノフ】

攻撃表示

ATK1700/DEF1300

 

「同じくレベル4!3体の【イグナイト・マスケット】!」

 

【イグナイト・マスケット】×3

攻撃表示

ATK1400/DEF1900

 

「レベル4が4体ってことは、エクシーズ狙い!?」

「ペンデュラム召喚にこんな使い方が……」

 

ゆま、枕田の順で狙いに気づいたらしい。てか枕田、いくらお前がエクシーズ専門のテスターだとしても、これくらいは勉強しとけ。

 

「レベル4の【イグナイト・ドラグノフ】と3体の【イグナイト・マスケット】でオーバーレイ!」

「「4体でエクシーズ!?」」

「4体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

刮目せよ!白き鎧を纏う王者の姿を!エクシーズ召喚!粉砕せよ!ランク4!【No.86 H-C ロンゴミアント】!」

 

【No.86 H-C ロンゴミアント】

攻撃表示

ATK1500/DEF1500

 

「4体使って攻撃力1500……?」

 

ゆまがキョトンとしている。枕田も似たような表情だ。

 

「【ロンゴミアント】はORUの数だけ効果を得る」

「こ、効果を得る!?そ、それってたくさんあればあるだけ強くなるの!?」

「そういうことだ。1つ以上のとき、戦闘で破壊されなくなる。

2つ以上なら攻撃力と守備力が1500アップする」

 

【No.86 H-C ロンゴミアント】

ATK1500/DEF1500→ATK3000/DEF3000

 

「あ……あうあう……」

 

結果を想像したからか、ゆまがあうあう言いだした。

 

「3つ以上ならこのカードは自身以外の効果を受けない」

「せ、戦闘でも効果でも破壊できないってこと!?」

「あうあうあう……」

 

枕田はこいつの面倒さに驚愕しているが、ゆまはまだあうあうしてる。

 

「4つ以上なら、相手はモンスターを召喚・特殊召喚できない」

「しょ、召喚まで封じられた……」

「あうあうあうあうあう〜〜」

 

もうゆまの使える言語が『あう』しかない。

 

「バトル。【ロンゴミアント】で【バブルマン】を攻撃!」

 

【バブルマン】を【ロンゴミアント】の大きな槍が……吹き飛ばした。槍で刺すモーションだったが、槍が大きすぎて刺さらずに飛んでいった。ゆまを巻き込んで。

 

「あうーーー!!」

 

宮田ゆま

LP2000→-200

 

後攻1kill成立。

…………一層の事【バブルマン】じゃなくて【ヒーローアライブ】抜くか?そうすれば、こんなことにはならなかったわけで。ん〜……ちょっと相談してみるか。

 

「ゆま」

「あう〜〜……」

 

目回してる…………枕田に頼んで邪魔にならないスペースに運んでもらって介抱することに。

 

「あんなモンスターいるのね……」

「だがお前が使う【RR】には入らないぞ。素材が戦士族って指定されてるからな」

 

【DNA改造手術】で呼べなくはないだろうけど、そのために入れる枠はない。お前はただランクアップをしてればいい。その鉄の意志と鋼の強さが【RR】だ。

そう言って【ロンゴミアント】を断念させているとゆまが起きた。

 

「起きたか」

「うん……」

「んじゃあ早速だが選べ。【ヒーローアライブ】抜くか【バブルマン】を抜くか」

「選択肢増えたけど嫌だよ!お願いだからこのデッキでやらせてよぉ!」

 

なんでこんなに執着するんだ?今ゆまが使ってるデッキは、冬休みにゆまのデュエルアカデミア編入試験に向けて組み直したデッキだ。【ヒーローアライブ】はいつの間にかゆまが入れてたが、特に困らないどころかなかなか優秀だと思ったのでスルーしてた……しかしライフ払ってそのあとフルボッコにあう確率が高めだと一考せざるを得ない。

 

「しかしなぁ……せっかく使える【M・HERO】を使わないのは……」

「そ、それは……」

「そもそもなんで迷いなく【バブルマン】にたどり着くのかがわからん」

 

たしかに手札増やせるのは良いけど、【ダーク・ロウ】に繋げた方が楽だろう。

 

「なんか、体が勝手にそうするというか、なんというか……」

「十代かお前は……」

「私10代だよ!」

「は?お前何言って……ああそういうことか。違う違う。俺が言ったのは遊城十代のこと。年齢のことじゃない」

 

たしかに両方とも読み方が『ジュウダイ』だけど、まさかそんな反応するとは……

 

「…………なら、体より頭を優先させるようにするしかないかな……もしくは体が勝手に【シャドー・ミスト】を選ぶようにするとか」

「そんなことできるの!?」

「といってもやることは大したことはしない。ただデュエルし続けるだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【ヒーローアライブ】発動!ライフ半分を払ってデッキから【バブルマン】を攻撃表示で……」

「だから【シャドー・ミスト】出せよ。【バブルマン】出すにしても守備表示だ」

「あう〜」

 

特訓の内容は『大したことはしない』と言った通りただデュエルするだけだ。といっても間違えた選択肢を選ぶと頬を引っ張り最初からやり直すだけだが……枕田達テスターや十代、藤原の協力もあってかれこれ20戦。ソリッドヴィジョンを使うまでもないのでテーブルデュエルだが充分だろう。

また、あくまで【ヒーローアライブ】からフルボッコされるのを防ぐための特訓なのでデッキトップは【ヒーローアライブ】で確定させている。

 

「ゆま、何度やったらわかるんだよ」

「じゃ、じゃあ十代さんがお手本見せてくださいよ!」

 

十代が笑うとゆまが怒ってデッキを差し出す。十代は笑顔でデッキを受け取りシャッフル。手札5枚を引いて、

 

「俺のターン、ドロー!【ヒーローアライブ】発動!来い!【バブルマン】!」

 

ゆまと同じことをしていた。

 

「予想どおりだこの野郎」

「いだっ!」

 

すぐさま用意していた裏拳をお見舞い。だいたいゆまと十代の頭が同じレベルだということが明らかになった。

 

「あはは!十代さんぶたれたー!」

「いてて……ひでぇよ龍斗」

「酷いのはお前らの頭だ」

 

2人揃って同じことするとは……【HERO】使いはみんなこうなのか?

 

「なんで十代もゆまも【強欲なバブルマン】を使いたがる……」

「お兄ちゃん!【バブルマン】は【HERO】だよ!強欲じゃないよ!」

「効果がほぼ【強欲な壺】だから【強欲なバブルマン】なんだよ!」

「ふひゃあ〜ぅ〜!」

 

頭痛くなってくる謎の【先攻アライブバブルマン】問題にゆまのツッコミにイラッとして頬を引っ張ったり、ゆまの唇をくちばしのようにしたりを繰り返した俺は悪くない。

 

「いいかゆま。たしかに手札のアドバンテージは重要だが、【バブルマン】の効果は通常召喚にも特殊召喚にも対応しているぶっ飛んだ効果だ。それに対して【シャドー・ミスト】は特殊召喚にしか対応していない。ここだけ見るとたしかに【バブルマン】の方が優秀に思えるが、【シャドー・ミスト】から持ってくる【マスク・チェンジ】で【ダーク・ロウ】を召喚すれば、カード効果によるデッキ圧縮に制限をかけられるし、墓地を使用することが多いシンクロ召喚の下準備を防げる。場持ちも良いし【バブルマン】を召喚するよりメリットがある」

「え、えっと……?」

 

どこからかはわからないが、この従妹は理解できなかったらしい。

 

「じゃあ、具体的にカードを出して考えてみろ。状況はさっきと同じだ」

「う、うん!」

 

俺が指示してカードを使わせる。

【ヒーローアライブ】……【シャドー・ミスト】……【マスク・チェンジ】と進め、残りは手札によって変更していく。

 

「いきなり【マスク・チェンジ】は使わないの?」

「【シャドー・ミスト】の2つの効果は1ターンにどちらかしか使えないから、先攻ならセットして待つんだ。そして、相手がドローしたら発動するんだ。【ダーク・ロウ】を召喚し、【シャドー・ミスト】でデッキから【HERO】を持ってくる」

「ほぇ〜……」

 

感心しているのはいいけど、なんでゆまはこれができないんだ……?

この調子ではまだまだゆまの特訓は続きそうだ。はぁ…………




次回は特訓の様子を少し見せる感じです。
では、一狩り(という名のキノコ採取)行ってきます。


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予想外 ももえVS.ゆま

ゆまの謎特訓の模様をお送りします。



ゆまの謎行動矯正のための特訓開始して数日。

三沢が1日帰ってこない日があり、その翌日ようやくどこかから帰ってきた三沢がタバスコをガブ飲みするという珍行動を見せたり、それがセブンスターズとのデュエルで負けたのが原因らしく、十代が敵討ちしたりあったらしい。その数日後十代が海の8割を牛耳る貿易商のおっさんと潜水艦内でデュエルしたきり帰ってこない。

たぶん今ごろ海の藻屑となりかけて【N】や【ネオス】と会ってるのだろう。

何か違う気もするが気のせいだと思うことにして特訓を続ける。

 

「はい残念。そこは【エアーマン】で【ブレイズマン】サーチから召喚して【融合】サーチ。1枚残して手札全部セットから【バブルマン】特殊召喚からのプトレノヴァインフィニティ」

「あうあうあう〜〜〜………」

 

4日ほどかけて漸く第2段階。俺の【HERO】デッキで1ターンでどこまで動けるか考え、俺の考えと一致させる意味不難易度(何故か枕田考案)なもの。ちなみに今の手札はこんな感じだ。

 

【ヒーローアライブ】

【マスク・チェンジ】

【マスク・チェンジ】

【マスク・チェンジ】

【死者蘇生】

【E・HERO バブルマン】

 

【マスク・チェンジ】のスリーカード……というか積み込んでないのにこの引きはいったい……

 

「ほら、あと2回だから頑張れ」

 

一応目処として5回一致したら実践と決めてある。現在3回一致している。

 

「ドロー!」

 

【融合】

【融合】

【融合】

【マスク・チェンジ】

【マスク・チェンジ】

【マスク・チェンジ】

 

………………え?

 

「「…………」」

 

ゆまも予想外らしく互いを見る構図になる。【融合】3枚に【マスク・チェンジ】3枚……?いや、これは……

 

「…………ターン、エンド……」

「……うん。いいと思うぞ」

 

諦めモード突入しても仕方なかった。

念のためデッキトップを確認すると【死者蘇生】だった。この状況だと死刑宣告にしか思えなかった。

 

「……次、やるぞ」

「う、うん……」

 

念入りにシャッフルしてドロー。

 

【融合】

【死者蘇生】

【Eーエマージェンシーコール】

【増援】

【E・HERO ブレイズマン】

【マスク・チェンジ】

 

よし、ちゃんと動ける。というか選択肢が多すぎる。とりあえず【エマージェンシーコール】と【増援】で【エアーマン】と【オーシャン】サーチ。

【エアーマン】召喚から【シャドー・ミスト】サーチして……【融合】で【シャドー・ミスト】と【オーシャン】で【アブソルートZERO】。

【フォレストマン】サーチして……【マスク・チェンジ】で【エアーマン】を【カミカゼ】に。【死者蘇生】で【エアーマン】蘇生して【プリズマー】サーチ。……こんな感じか?

 

「……えっと……【エマージェンシーコール】で【エアーマン】を手札に加えて召喚。効果でデッキから【オーシャン】を手札に加える」

 

微妙に一致してないがまぁ修正できる誤差だからいいか。

この後ゆまはサーチ先に多少の違いはあったものの最終的にはイメージと同じ状況になった。

 

「よし。特訓は終わりにして、あとは実践だ」

「うん!頑張るよ!」

 

実践は数名の協力者とデュエルする。

 

「ということで浜口、相手頼んだ」

「何が『ということ』なのか聞くべきなのでしょうか?」

「あらかじめ言っておいただろう」

 

数日の間に頼んでおいた浜口に最初の相手を頼む。

枕田にも頼んであるが、最初に見つかったのが浜口だった。

 

「「デュエル!」」

 

浜口ももえ

LP4000

 

VS

 

宮田ゆま

LP4000

 

「私の先攻、ドロー!」

 

浜口が先攻……今までの特訓はゆまが先攻であることを想定していたから若干不安ではある。

 

「フィールド魔法【ナチュルの森】を発動!」

 

浜口とゆまの周囲が日が射す森に変化する。

 

「【ナチュル・クリフ】を召喚!」

 

【ナチュル・クリフ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

現れたのは赤い苔や青い木を生やした…………ぬりかべ?

 

「カードを3枚伏せ、ターンエンドです」

 

浜口ももえ

LP4000

モンスター

【ナチュル・クリフ】:攻

ATK1500

魔・罠

伏せ3枚

フィールド

【ナチュルの森】

手札1枚

 

かなり面倒な場だなぁ……おそらくセットしたカードに【賄賂】か【エクストリオの牙】があるんだろう。ゆまはこれをどう突破するか……

 

「私のターン、ドロー!【増援】を発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスターを手札に加えます!」

「カウンター罠【魔宮の賄賂】!魔法・罠の発動と効果を無効にして破壊します!その後相手はカードを1枚ドローします」

 

ゆまが引いたカードを確認すると目を輝かせた。

 

「お兄ちゃん!欲しかったモンスター引けたよ!」

 

よかったな。その鬼引きを俺にくれと切に思う。さっきの【融合】3枚【マスク・チェンジ】3枚の引きは勘弁だが。

 

「【ナチュルの森】の効果発動!相手のコントロールするカードの発動を無効にした場合、デッキからレベル3以下の【ナチュル】モンスターを手札に加えることができます!【ナチュル・マロン】を手札に!」

 

浜口ももえ

手札1枚→2枚

 

「手札が増えちゃった……でも、お兄ちゃん相手じゃないから……あ、でもでもももえさんもテスターなんだっけ!」

「ええ。シンクロ召喚専門のテスターですわ」

 

テスター云々の前にゆまよ、どんな相手でも手札増えたら面倒だから。【インフェルニティ】は別として。

 

「むむむ〜……なら、【E・HERO エアーマン】を召喚します!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

「【エアーマン】の効果発動!デッキから【E・HERO ブレイズマン】を手札に加えます!更に【融合】を発動!」

「カウンター罠【エクストリオの牙】!【ナチュル】モンスターがいるとき、相手の魔法・罠の発動を無効にして破壊します!」

「はぅっ!?」

 

両方セットしてたよこの浜口。

効果を発揮できず、色を失って消滅する【融合】。

 

「その後、手札1枚を墓地に送ります。私は手札の【ナチュル・レディバグ】を墓地に送りますね」

 

浜口ももえ

手札2枚→1枚

 

ちゃっかりパンプ要員落としやがった。

 

「更に【ナチュルの森】の効果で【ナチュル・チェリー】を手札に加えます」

 

浜口ももえ

手札1枚→2枚

 

情報アドはいいが、【ナチュル・ビースト】召喚する気満々だな。

 

「な、ならバトル!【エアーマン】で【ナチュル・クリフ】を攻撃!ファン・ブレード!」

 

【エアーマン】が投げたファンによって真っ二つに切断される【ナチュル・クリフ】。

 

浜口ももえ

LP4000→3700

 

「【ナチュル・クリフ】の効果発動!このモンスターがフィールドから墓地へ送られたとき、デッキからレベル4以下の【ナチュル】モンスターを攻撃表示で特殊召喚できます!【ナチュル・コスモスビート】を特殊召喚!」

 

【ナチュル・コスモスビート】

攻撃表示

ATK1000/DEF700

 

「速攻魔法【マスク・チェンジ】発動!【エアーマン】を墓地に送って属性が同じ【M・HERO】を特殊召喚します!風操るヒーロー。新たな力と仮面を身につけて、フィールドを駆け抜けて!変身!【M・HERO カミカゼ】!」

 

【M・HERO カミカゼ】

攻撃表示

ATK2700/DEF1900

 

「これはバトルフェイズ中の召喚なので攻撃できます!【カミカゼ】で【ナチュル・コスモスビート】を攻撃!神風一閃!」

 

【カミカゼ】が【コスモスビート】に特攻する……しかし突如現れた機械が行く手を阻む。何故か【カミカゼ】は迷うことなく突っ込んでいった。これは……

 

「罠カード【強制脱出装置】。【カミカゼ】を手札に戻しますわ」

 

ガチカード……パーミッションすぎて泣けてくる。そして次のターンには【マロン】召喚から【ナチュル・ビースト】をシンクロ召喚か。…………詰んだな。流石に相手が悪すぎた。

 

「む〜……カードを2枚伏せてターンエンドです!」

 

宮田ゆま

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「私のターン、ドロー!【ナチュル・マロン】を召喚!」

 

【ナチュル・マロン】

攻撃表示

ATK1200/DEF700

 

「【ナチュル・マロン】の効果でデッキから【ナチュル・レディバグ】を墓地に送りますね」

 

ゆま……?まだ諦めてない?……リバースカード……気がつけば仕事しているような気がする【ミラフォ】か?

 

「レベル3の【ナチュル・マロン】にレベル2の【ナチュル・コスモスビート】をチューニング!大地の咆哮、森に降りかかる災厄を振り払う!シンクロ召喚!お願いします!レベル5!【ナチュル・ビースト】!」

 

【ナチュル・ビースト】

攻撃表示

ATK2200/DEF1700

 

「【ナチュル】シンクロモンスターのシンクロ召喚に成功したので墓地の【ナチュル・レディバグ】2体を特殊召喚!」

 

【ナチュル・レディバグ】×2

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「【ナチュル・レディバグ】2体の効果発動!自身をリリースすることで【ナチュル・ビースト】の攻撃力を合計2000ポイントアップします!」

 

【ナチュル・ビースト】

ATK2200→ATK4200

 

「バトルです!【ナチュル・ビースト】でダイレクトアタック!」

「罠発動!【聖なるバリア ーミラーフォースー】!」

「あら……」

 

仕事するなぁ……【ミラフォ】って仕事しない印象があるんだが……

【ナチュル・ビースト】が【ミラフォ】に突撃し、爆発した。

 

「どうしましょうか……」

 

浜口がこちらを見て言うが、そんなの俺が知るか。召喚権使ったし手札は【ナチュル・チェリー】と不明のカードだろ?その不明のカードが使えるのなら使うくらいしか選択肢無いだろ。

 

「仕方ないですね。カードを1枚伏せ、ターンエンドです」

 

浜口ももえ

LP3700

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「私のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドロー!」

 

宮田ゆま

手札2枚→4枚

 

「魔法カード【融合】!手札の【ブレイズマン】と【オーシャン】を融合!燃え盛るヒーローよ、母なる水のヒーローと力を合わせて私と共に戦ってください!融合召喚!氷のヒーロー!【E・HERO アブソルートZERO】!」

 

【E・HERO アブソルートZERO】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「罠カード【奈落の落とし穴】でそのモンスターには退場していただきましょうか」

 

笑顔で言うな。

 

「させません!リバースカード、オープン!速攻魔法【マスク・チェンジ】で【アブソルートZERO】を変身させます!絶対零度のヒーロー。仮面と新たな武器を手に、相手を撃ち抜いて!変身!【M・HERO アシッド】!」

 

【M・HERO アシッド】

攻撃表示

ATK2600/DEF2100

 

【アシッド】か。何気に殺意あるコンボしてるが、それよりよく【奈落】躱したな。

 

「【アシッド】の効果発動!特殊召喚に成功したとき、相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊します!アシッドレイン!」

「そ、それって【ハーピィの羽根帚】じゃ……きゃあっ!」

 

【アシッド】が上空に銃撃。弾はしばらく上昇したあと、光の雨となってフィールドを溶かしつくした。浜口は銃声に驚いていたが……

 

「バトル!【アシッド】でダイレクトアタック!アシッドバレット!」

 

【アシッド】が消音器を銃に取りつけて射撃。さっき驚かれたのを気にしてるのか?

 

「たぁっ!?」

 

浜口ももえ

LP3700→1100

 

弾は浜口の眉間を捉え、撃ち抜いた。

撃たれた浜口は額を押さえて蹲った。大丈夫か?

 

「ターンエンドです!」

 

宮田ゆま

LP4000

モンスター

【M・HERO アシッド】:攻

ATK2600

魔・罠

手札1枚

 

いや、ゆま『ターンエンドです!』じゃなくて少しは心配してやれ。まだ浜口立ち上がれてないぞ。あ、立ち上がった。でも当たったところが赤くなってる。最近密かにソリッドヴィジョンが質量を持ってるのではないかと疑問に思っている。

 

「私のターン、ドロー!っつぅ……」

 

まだ微妙に痛むらしい。……首が。

 

「……【強欲な壺】発動!カードを2枚ドロー!」

 

浜口ももえ

手札1枚→3枚

 

「更に【貪欲な壺】!墓地の【ナチュル・ビースト】

【ナチュル・クリフ】

【ナチュル・コスモスビート】

【ナチュル・マロン】

【ナチュル・レディバグ】をデッキに戻して2枚ドロー!」

 

浜口ももえ

手札2枚→4枚

 

あっという間に手札が4枚に……どんな引きしてんだよ……

 

「…………モンスターを伏せて、カードを2枚伏せてターンエンドです」

 

浜口ももえ

LP1100

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ2枚

手札1枚

 

「私のターン、ドロー!…………あれ?」

 

なんか既視感。たしかこれは……

 

「事故ったのか?」

「え、えへへ……【バブルマン】が2枚……」

 

だから言うなよ。浜口も優しい目でゆまを見るな。

 

「と、とりあえずこのままバトル!アシッドバレット!」

 

撃ち抜かれたモンスターは【ナチュル・チェリー】だった。

 

「【ナチュル・チェリー】の効果発動!デッキから【ナチュル・チェリー】2体を裏側守備表示で特殊召喚できます!2体特殊召喚です!」

 

【ナチュル・チェリー】

裏側守備表示

ATK200/DEF200

 

「ターンエンドです!」

「ではエンドフェイズ前に永続罠【ナチュルの神星樹】を発動!フィールドの【ナチュル・チェリー】をリリースしてデッキから【ナチュル・レディバグ】を特殊召喚!」

 

浜口の背後に巨木が現れる。

 

【ナチュル・レディバグ】

守備表示

ATK100/DEF100

 

宮田ゆま

LP4000

モンスター

【M・HERO アシッド】:攻

ATK2600

魔・罠

手札2枚

 

【神星樹】か…………【チェリー】がこんな形で活躍するとは思わなかった。

 

「私のターン、ドロー!【神星樹】の効果で【レディバグ】をリリースして【ナチュル・マロン】を特殊召喚!」

 

【ナチュル・マロン】

攻撃表示

ATK1200/DEF700

 

「【ナチュル・マロン】の効果発動!墓地の【ナチュル・チェリー】2枚をデッキに戻して1枚ドローします!」

 

浜口ももえ

手札2枚→3枚

 

「【ナチュル・チェリー】を反転召喚です!」

 

【ナチュル・チェリー】

攻撃表示

ATK200/DEF200

 

「【ナチュル・モスキート】を召喚!」

 

【ナチュル・モスキート】

攻撃表示

ATK200/DEF300

 

出てきたのはカラフルで巨大な蚊。羽音がうるさい。

 

「レベ……と…………の【ナチュル】……………にれ……1…………ちぇ……を………んぐ!」

 

なんだって?羽音が邪魔で聞こえない。羽音で口上すら聞こえなかったが、【モスキート】と【マロン】、【チェリー】の3体を素材に出てきたのは【ナチュル・ビースト】だった。

 

【ナチュル・ビースト】

攻撃表示

ATK2200/DEF1700

 

「【ナチュル・レディバグ】を自身の効果で2体特殊召喚します!」

 

【ナチュル・レディバグ】×2

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「【ナチュル・レディバグ】の効果発動!自身をリリースして【ナチュル・ビースト】の攻撃力を1000ポイントアップします!」

 

【ナチュル・ビースト】

ATK2200→ATK4200

 

「バトル!【ナチュル・ビースト】で【アシッド】を攻撃!アース・ファング!」

 

【ナチュル・ビースト】の足踏みによって地面から突き出た岩に【アシッド】が貫かれる。すぐに消えたからよかったが、そのままだったら結構アレな映像だったな。

 

「【アシッド】さんが……」

 

宮田ゆま

LP4000→2400

 

「ターンエンドです!」

 

浜口ももえ

LP1100

モンスター

【ナチュル・ビースト】:攻

ATK2200

魔・罠

【ナチュルの神星樹】

伏せ1枚

手札2枚

 

さて、ゆまの手札は【バブルマン】2枚らしい。どこまで状況を戻せるか……

 

「私のターン、ドロー!【E・HERO バブルマン】を召喚!」

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

「【バブルマン】の効果発動!私のフィールドに他のカードが無いので2枚ドローします!」

 

宮田ゆま

手札2枚→4枚

 

「【融合回収】発動!墓地の【融合】と【ブレイズマン】を手札に」

「【ナチュル・ビースト】の効果発動。デッキの上から2枚を墓地に送って魔法を無効にします」

「うぅ〜……どうしても通してくれませんか?」

「ごめんなさい。私もデュエリスト。勝ちたいのです」

 

ゆまは涙目で浜口に問いかけるが、微かに苦笑いしてそう答えた。そりゃあ勝ちたいよな。俺だって勝ちたい。【影霊衣】使ってでも勝ちたいと思うくらいには。

ゆまの願いむなしく無効になる【融合回収】。

 

「うぅ……ターン、エンドです……」

 

宮田ゆま

LP2400

モンスター

【E・HERO バブルマン】:守

DEF1200

魔・罠

手札3枚

 

「私のターン、ドロー!【ナチュル・コスモスビート】を召喚!」

 

【ナチュル・コスモスビート】

攻撃表示

ATK1000/DEF700

 

「【神星樹】の効果で【コスモスビート】をリリースして【ナチュル・ドラゴンフライ】を特殊召喚します!」

 

【ナチュル・ドラゴンフライ】

攻撃表示

ATK1200/DEF400

 

召喚された【コスモスビート】の花から出てきたのは、赤と緑の胴体に先端がピンクの羽根の蜻蛉。

 

「【ナチュル・ドラゴンフライ】は、墓地の【ナチュル】モンスター1体につき、攻撃力が200ポイントアップします」

「あ……ぴ、ピンチ!」

 

いや、終わったよピンチのレベルじゃねぇよ。

 

「現在墓地には【ナチュル・コスモスビート】

【ナチュル・レディバグ】2体

【ナチュル・モスキート】

【ナチュル・マロン】

【ナチュル・チェリー】がいます。攻撃力1200ポイントアップです」

 

【ナチュル・ドラゴンフライ】

ATK1200→ATK2400

 

「あうあうあう…………」

「バトル!【ナチュル・ビースト】で【バブルマン】を攻撃!アース・ファング!」

 

岩に飛ばされる【バブルマン】。

ゆまはまた『あうあう』言って立ち尽くしてる。

 

「【ナチュル・ドラゴンフライ】でダイレクトアタックです!」

 

【ナチュル・ドラゴンフライ】が全身を縦にし、羽根でゆまの頬を叩く。

 

「ぶぶぶぶぶぶ!」

 

宮田ゆま

LP2400→0

 

ジャストキル。

 

「勝ちました!」

「負けましたぁ……」

 

知ってるから。なんでわざわざ報告しに来るんだよ。そして浜口、そのワキワキ動く両手はなんだ。

 

「勝ったご褒美に撫でさせてください」

「んな約束してねぇよ」

 

そんなことになるなら頼まない。

やるならゆまにやれ。

 

「いいじゃないですか!明日香さまは何度も撫でてるのに!」

「それを許容したシーンがあるのか?」

「初めて撫でたときです」

 

なんでそんなこと覚えてんだよ……てか許容してない。抵抗しなかっただけだ。

 

「それ以降は?」

「たしかに全て拒否してます。ですが!だからこそ!こういうときくらいいいじゃないですか!撫でさせてくださいまし〜〜〜!」

 

遂には駄々っ子のように暴れだした。

 

「やめろ浜口。制服が汚れる。あと下手すればスカートの中が見えるぞ」

 

目を閉じて忠告する。

 

「撫でさせてくれるまでやめません〜!」

 

はぁ……付き合ってられない。

 

「……帰るぞ、ゆま」

「えっ?ももえさんはいいの?」

「付き合ってられない」

 

帰るべく踵を返した瞬間。

 

「今です!」

 

後ろから腕をホールドされ、頭を撫で回された。

 

「ちょっ、おま、離せ!頭を撫でるな!」

「本当にサラサラの髪で羨ましいです〜。ナデナデ〜サラサラ〜」

「無視するな!」

 

このあと2時間近く撫でられ続けた。

なんだこの執念……?




次回は生涯無敗と言われたデュエルの神(笑)が登場です。ついでにあのカードも出ます。ただあっちが出てこなかったり……


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神 VS.アビドスⅢ世

今年最後の投稿となりました。



ゆまの特訓で浜口に敗北。

続いて見つけた藤原はなんとか倒した。

枕田には『鉄の意志も鋼の強さも感じられない』と言って連続ランクアップで爆殺された。お前何故そのセリフを知っている?

明日香は見なかったことにした。【デモンズ・チェーン】と【安全地帯】の使い回しなんて見なかった。微妙に楽しそうな明日香の顔なんて見てない。

十代はいつの間にか帰ってきてたが、なんかボロボロなので触れないことにした。

あと知らないうちにセブンスターズがさらに1人……正確には1組減っていた。万丈目が倒してしまったらしい。

十代の話では、七星門の鍵の盗難事件の犯人らしい。俺の鍵は盗まれてなかったぞ?という疑問が出てきたが、黒蠍盗賊団の精霊が警察官やら寮長やらに化けていたらしく、鍵の管理場所がバレていたのが原因らしい。

そういえば、そんなのあったな。

俺のとこにも来たけど、『仕事』の一言で帰したっけ。

まぁそれはそれとして。

 

「十代、今回は俺にやらせろ」

 

寮の外から突如現れたミイラに窓を破られ、無言の腹パンをくらい気絶させられ、さらに拉致され辿り着いた黄金の船。目を覚ますと明日香に膝枕され頭を撫でられていた。

 

「……何をしている明日香。手を退けろ」

「甘いわ!」

 

手を退けようとすると、もう片方の手がやってくるので起き上がる余裕もなく格闘していると同じく腹パンを喰らったのであろう十代も起きた。

船には万丈目、明日香、カイザー、丸藤、十代がいる。

丸藤とカイザー……丸藤兄弟を除いた面子の共通点は七星門の鍵を持つということ。カイザーも同じことを呟いた瞬間鳴り響く銅鑼の音。

全員が音のした方向を見ると、その奥には大きな玉座に全身を預けるように座る人影が。

十代とともに円形のステージのような場所に上がると同時に人影は俺たちと同じ場所に歩き始めた。

その人物は金の仮面を着けていて、細身の体からは性別が判断できない。

 

「お前、何者だ!?」

「余の名はアビドスⅢ世。セブンスターズの1人」

 

十代の問いに静かに答えるアビドスⅢ世。万丈目によると生涯無敗を誇った3000年前のエジプトの王らしい。……セブンスターズの力があれば3000年前の人間でも呼べるのか。

しかし生涯無敗の実力に興味がある。

こいつとデュエルしたいという衝動に駆られて先ほどの発言に至る。

 

「えーっ!?俺だってデュエルしてぇよ!」

「俺が負けたあとにでもしてろ。とにかく、俺がやる」

 

堪えきれない笑みを浮かべながらアビドスⅢ世の前に立つ。

 

「其方が余の相手か」

「ああ。3000年の間にDMがどこまで進化したのか。その一端を見せてやる」

 

臣下か何かであろう人物が『無礼』と言うがアビドスⅢ世は『構うな』と一蹴。

さっきデッキをみたら、ようやく形になったデッキで、【シャドール】も【クリフォート】も持ってきてなくて不安だがなんとかなると思う。

十代はやや不貞腐れながらステージから降りた。

 

「「デュエル!」」

 

アビドスⅢ世

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「余の先攻、ドロー!【王家の守護者】を召喚!」

 

【王家の守護者】

守備表示

ATK900/DEF0

 

「守備力0!?」

 

丸藤が守備力0のモンスターを召喚したことに驚いているが、そんなこといったら俺は攻守0の最上級モンスター召喚しただろ。【時械神】だけど。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

アビドスⅢ世

LP4000

モンスター

【王家の守護者】:守

DEF0

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!」

「永続罠【第一の棺】!」

 

俺がドローした瞬間に発動した永続罠。なんだアレは?

 

「相手ターンのエンドフェイズに【第二の棺】、【第三の棺】と順に余のフィールドに出す。3つの棺揃いし時、其方を絶望と闇が覆うであろう」

 

【第二の棺】に【第三の棺】…………絶望と闇…………特殊勝利……!?え、俺次のターンに負けるのか!?んなカードアリなのか!?

手札にあのカードか出てくる【棺】を除去できるカードは…………コレだ!

 

「【マジック・リアクター・AID(エイド)】を召喚!」

 

【マジック・リアクター・AID】

攻撃表示

ATK1200/DEF900

 

現れたのは爆弾を搭載した機械龍。

おそらく【棺】のカードは魔法カード。なら魔法カードを除去できるこのモンスターを召喚すれば対処できる。

 

「バトル!【マジック・リアクター・AID】で【王家の守護者】を攻撃!フレイム・エイド!」

 

【AID】によって爆撃される【王家の守護者】。

 

「永続魔法【機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】発動!機械族モンスターが戦闘で破壊され墓地送られたとき、そのモンスターより攻撃力が低く、同じ属性のモンスターを特殊召喚できる。カードを2枚セットしてターンエンド!」

「【第一の棺】の効果で【第二の棺】がフィールドに現れる!」

「【AID】!」

 

【AID】の効果を発動しようとするが、何故かピクリとも動かない。何故だ?魔法カードが発動したという条件は満たしたはず……あの【棺】に何かあるのか?疑問を解消すべく発動されている【第二の棺】に近づいてテキストを確認する…………特にその手のテキストは無い。

次に【第一の棺】……『相手ターンのエンドフェイズ毎に「第二の棺」「第三の棺」の順にカードを1枚手札またはデッキから自分フィールド上に表側表示で出す』…………ん?『出す』?え?その差なのか?『出された』だけで『発動』していないと?

 

「どうかしたか?」

「…………いや、なんでもない。ターンエンドだ」

 

アビドスⅢ世の問いかけにやや納得いかないからか、ぶっきらぼうに返答してしまった。しかし【AID】が発動しないのなら仕方ない。【サイクロン】引けるように祈るしかない。

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【マジック・リアクター・AID】:攻

ATK1200

魔・罠

【機甲部隊の最前線】

伏せ2枚

手札2枚

 

「余のターン、ドロー!魔法カード【死者への手向け】!手札1枚を捨て、相手モンスターを破壊する!」

「速攻魔法【禁じられた聖槍】!このターン、【AID】の攻撃力が800ポイントダウンするが、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない!」

 

【聖槍】を【AID】に突き刺すと【AID】の全身に罅が入る。

続いて【死者への手向け】のエフェクトだろうと思われる包帯でぐるぐる巻きの手が床からやってくるが、躊躇したように動きを鈍くし、何もせず床に潜っていった。まさかこのカードを使うとは……枠に余裕がありそうだからと入れておいて正解だった。

 

【マジック・リアクター・AID】

ATK1200→ATK400

 

「【ファラオのしもべ】を召喚!」

 

【ファラオのしもべ】

攻撃表示

ATK900/DEF0

 

また攻撃力900のバニラか?【ローレベル】とかいうデッキなのか?それとも舐められてるのか……。

 

「バトル!【ファラオのしもべ】で【マジック・リアクター・AID】を攻撃!」

「罠発動【フェイク・エクスプロージョン・ペンタ】!相手モンスターの攻撃宣言時に発動!モンスターはその戦闘では破壊されない!」

「だがダメージは受けてもらう!」

 

どこかで聞いたようなセリフの直後【AID】の胴部左側が斬りつけられ、俺の左腕に痛みがやってきた。

 

「ぐっ……!」

 

宮田龍斗

LP4000→3500

 

「【フェイク・エクスプロージョン・ペンタ】のさらなる効果……!ダメージ計算後、手札か墓地から【サモン・リアクター・AI】を特殊召喚する!手札から特殊召喚!」

 

【サモン・リアクター・AI】

攻撃表示

ATK2000/DEF1400

 

「やるな。余の攻撃からモンスターを守り、強力なモンスターを召喚するとは」

 

…………言えない。ようやく形になって調整してないデッキだなんて言えない。できることなら【六武衆】で圧殺したかったとかも言えない。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

アビドスⅢ世

LP4000

モンスター

【ファラオのしもべ】:攻

ATK900

魔・罠

【第一の棺】

【第二の棺】

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!【闇の誘惑】発動!カードを2枚ドローして手札の闇属性モンスターを除外。除外できないなら手札を全て捨てる。【可変機獣 ガンナー・ドラゴン】を除外!」

 

…………手札にモンスターがいない……だが……

 

「【大嵐】発動!フィールドの魔法・罠を全て破壊する!」

「!?カウンター罠【マジック・ジャマー】!手札を1枚捨て、魔法の発動を無効にする!」

 

チッ……通らなかったか……

 

「バトル!【マジック・リアクター・AID】で【ファラオのしもべ】を攻撃!フレイム・エイド!」

 

再び爆撃。しかし今度は【ファラオのしもべ】の持っていた武器の一部がアビドスⅢ世を傷つけた。

 

「ぐっ……!」

 

アビドスⅢ世

LP4000→3700

 

「続けて【サモン・リアクター・AI】でダイレクトアタック!サモン・リアクト!」

 

機関銃の乱射がアビドスⅢ世を襲う。

 

「ぐあぁぁぁ!」

 

アビドスⅢ世

LP3700→1700

 

攻撃を受けたアビドスⅢ世は膝から崩れ両手を地につけた。

 

「…………其方、何を企んでいる……?」

「俺にとってのベストはその【棺】を止めること。3つ揃えたら俺を絶望と闇が覆うとか物騒なこと言われたら、除去したくなるのは道理だ」

「余の【棺】を壊そうとした者は其方が初めてだ」

「?普通、誰でも破壊、最悪でも手札に戻すくらいはすると思うが……」

「そう……なのか……?」

 

…………妙な様子になってきたぞ。客観的な見解を求めるべく明日香達の方を振り向く。

 

「戦略もデッキもなんか普通っぽいッス……」

 

と丸藤。

 

「いくらテスターのアドバンテージを持っている宮田龍斗相手とはいえ、本当に神のデュエリストなのか?」

 

と万丈目。ってか相変わらずフルネームで呼ぶのな。まぁいいけど。

 

「どのモンスターも攻撃力1000にも届いてない通常モンスター……【棺】を揃える戦略にしては甘い」

 

とカイザー。だよな。考えてみたらその前にライフ0になったら終わりだし、それを防ぐロック要素も無い。

 

「ってかあの王様弱くねぇ?」

 

十代、それは言いすぎだ。もう少し言葉を選べ。

 

「正直、神のデュエリストと聞いて尻込みしてたけれど、私の【氷結界】なら何もさせずに倒せそうよ」

 

明日香、お前それすると凄い笑顔になるもんな。

 

「……やはり、余と本気でデュエルする者など、居なかったということか……」

 

明日香達の見解にアビドスⅢ世はそう呟いた。…………つまり、今までの相手は皆手加減していたということか。

…………気合入れてた俺がバカみたいじゃないか。

 

「…………」

「龍斗、『やる気なくなったから代わって』って顔してもダメよ」

 

明日香がやけに具体的な表現をした。お前、それどんな顔だよ。と思ったとき明日香が丸藤を指差し、丸藤が変な顔をした。お前らどんだけ息ピッタリなんだよ。

 

「……まぁいいや。カードをセットしてターンエンド」

「【第一の棺】の効果で【第三の棺】がフィールドに出る。そして【第一の棺】の効果で全ての【棺】を墓地に送り【スピリッツ・オブ・ファラオ】を特殊召喚する!」

 

【スピリッツ・オブ・ファラオ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

んなことだろうと思ったよ。1ターン前のあの焦りを返せ。

 

「……其方、王の魂を侮辱した顔をしているな」

「…………」

 

正直、圧倒的にやる気がない。もうサレンダーして帰ろうかなと思うくらいには。

 

「【サモン・リアクター・AI】の効果発動!相手フィールドにモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚されたとき、相手に800ポイントのダメージを与える」

「なにっ!?だが、【スピリッツ・オブ・ファラオ】は特殊召喚に成功したとき、墓地のレベル2以下のアンデット族通常モンスターを4体まで特殊召喚できる!」

 

【王家の守護者】×2

攻撃表示

ATK900

 

【ファラオのしもべ】×2

攻撃表示

ATK900

 

【AI】に爆撃されるアビドスⅢ世。

 

「ぐあぁぁぁ……!」

 

アビドスⅢ世

LP1700→900

 

宮田龍斗

LP3500

モンスター

【マジック・リアクター・AID】

ATK1200

【サモン・リアクター・AI】

ATK2000

魔・罠

【機甲部隊の最前線】

伏せ1枚

手札0枚

 

「余のターン、ドロー!このままバトル!【スピリッツ・オブ・ファラオ】で【マジック・リアクター・AID】を攻撃!」

 

【スピリッツ・オブ・ファラオ】の攻撃で爆散する【AID】。その破片の面が俺の額に直撃した。

 

「だっ!?」

 

宮田龍斗

LP3500→2200

 

思わず額を押さえてしゃがみこむ。

こ、これがゆまを襲う小さなギャグエフェクトの痛みか……いや、これは闇のデュエル。本来なら痛みはほぼ無いのだろう。

 

「……【機甲部隊の最前線】の効果でデッキから【トラップ・リアクター・RR】を特殊召喚……」

 

【トラップ・リアクター・RR】

守備表示

ATK800/DEF1800

 

「……【スピリッツ・オブ・ファラオ】以外の全モンスターを守備表示に変更」

 

【王家の守護者】×2

攻撃表示→守備表示

ATK900→DEF0

 

【ファラオのしもべ】×2

攻撃表示→守備表示

ATK900→DEF0

 

「…………カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

アビドスⅢ世

LP900

モンスター

【スピリッツ・オブ・ファラオ】:攻

ATK2500

【ファラオのしもべ】:守

DEF0

【ファラオのしもべ】:守

DEF0

【王家の守護者】:守

DEF0

【王家の守護者】:守

DEF0

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!永続罠【リビングデッドの呼び声】!墓地の【マジック・リアクター・AID】を蘇生する!」

 

【マジック・リアクター・AID】

攻撃表示

ATK1200/DEF900

 

「…………」

「【サモン・リアクター・AI】の効果発動!フィールドの【AI】、【RR】、【AID】を墓地に送り、手札・デッキ・墓地から【ジャイアント・ボマー・エアレイド】を特殊召喚する!」

 

【ジャイアント・ボマー・エアレイド】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

【AI】、【RR】、【AID】の3体が合体し、大型モンスターに姿を変えた。

 

「罠発動【激流葬】!」

 

そして流された。せっかく召喚したのに……!

 

「すまぬ【スピリッツ・オブ・ファラオ】……勝つにはこれしかなかったのだ……」

 

手札0フィールド0で何言ってんだ。

 

「……ターンエンド」

 

俺も出せるカードないけど。

 

宮田龍斗

LP2200

モンスター

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】

手札1枚

 

「余のターン、ドロー!【王家の守護者】を召喚!」

 

【王家の守護者】

攻撃表示

ATK900/DEF0

 

「ダイレクトアタック!」

 

【王家の守護者】が俺に向かって突っ走り、

 

「ぐほぁ!?」

 

ドロップキックしてきやがった。

 

宮田龍斗

LP2200→1300

 

「ターンエンド!」

 

アビドスⅢ世

LP900

モンスター

【王家の守護者】:攻

ATK900

魔・罠

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!【マジック・プランター】発動!【リビングデッドの呼び声】を墓地に送り2枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札1枚→3枚

 

「【おろかな埋葬】デッキから【DT(ダークチューナー) デス・サブマリン】を墓地に送る!」

「ダークチューナー?」

「龍斗、そんなモンスター聞いてないわよ!」

 

アビドスⅢ世の疑問、明日香の文句と続く。そりゃあ言ってないからな。俺だってこれが世に出るかどうか微妙だと思うし。

 

「【DT デス・サブマリン】は俺のフィールドにモンスターがいないとき、墓地から特殊召喚できる!現れろ!」

 

【DT デス・サブマリン】

守備表示

ATK0/DEF300

 

「更に【ダークシー・レスキュー】を召喚!」

 

【ダークシー・レスキュー】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

「攻撃力も守備力も低いモンスターばかり、何を企んでいる?」

「明日香、良く見てろ。これがシンクロ召喚のもう一つの形だ!レベル1の【ダークシー・レスキュー】にレベル9の【デス・サブマリン】をダークチューニング!」

 

【デス・サブマリン】が9つの星になり【ダークシー・レスキュー】のボート、そしてボートに乗っている人達に埋め込まれる。

 

「暗闇の底より聞こえし慟哭よ、死神の鎧を身に纏い、その巨躯で蹂躙せよ!」

 

口上に合わせ【ダークシー・レスキュー】から8つの黒い星が飛び出し輪を作り回りだす。その中心から黒い光の柱が現れた。

 

「ダークシンクロ!浮上せよ!レベルマイナス8!【ダーク・フラット・トップ】!」

 

【ダーク・フラット・トップ】

守備表示

ATK0/DEF3000

 

船の上に現れた巨大空母モンスター。今俺達がいる船と同じくらいの大きさのようだが、モンスター出せるのか?

 

「ダークシンクロ!?このモンスターはいったい……!?」

「アンタが寝てる3000年の間に進化したDMの一端だ。フィールドのモンスターのレベルから、【DT】のレベルを引いたレベルを持つダークシンクロモンスターをエクストラデッキから召喚する」

「レベルを引く!?【ダークシー・レスキュー】のレベルは1……【デス・サブマリン】のレベル9から引いたら……」

「マイナス8だ」

 

同じレベルだと【ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン】がいたけど、今回はこいつを選択。多分ここくらいじゃないと召喚しないかもしれないからな。

 

「【ダークシー・レスキュー】の効果発動!シンクロ素材に使用され墓地へ送られた場合、カードを1枚ドローする!ダークシンクロもシンクロ召喚と同じ扱いなのでドローする!」

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚

 

「更に【ダーク・フラット・トップ】の効果発動!1ターンに1度、墓地のレベル8機械族モンスターを、召喚条件を無視して特殊召喚できる!蘇れ【ジャイアント・ボマー・エアレイド】!」

 

【ジャイアント・ボマー・エアレイド】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「レベル9のモンスターをノーコストで召喚して、今度はレベル8のモンスターを召喚条件を無視して召喚?インチキ効果もいい加減にしなさい!」

「明日香、お前どっちの味方だ!?」

「いや龍斗君。ボクも明日香さんと同意見ッス」

 

丸藤の発言に俺以外の全員が頷いた。

敵も味方も全員が同時に。

 

「……【ジャイアント・ボマー・エアレイド】の効果発動。手札1枚を捨て、相手フィールドのカードを破壊する。手札の【デス・サブマリン】を捨て、【王家の守護者】を破壊する」

 

【ジャイアント・ボマー・エアレイド】が【王家の守護者】の頭上に飛び立ち、爆弾投下。守る術を持たない【王家の守護者】は消え去った。

 

「そのままバトル。ダイレクトアタック」

 

爆弾投下かと思っていたが、その巨体で特攻していった。

 

「うわぁぁ!!」

 

アビドスⅢ世

LP900→-2100

 

ふぅ……なんとか倒せたけど、今度から服の下に鉄板でも仕込んでおこうかな。そうすれば腹パンくらってもなんとかなりそうだし。

 

「これが全力のデュエル……進化したデュエルなのか」

 

アビドスⅢ世がそう言いながら、金の仮面を外して近づいてきた。

 

「ダークシンクロは進化の一端だと言ったはずだが……」

「まだ進化しているのか!?」

 

期待に目を輝かせて顔をグイッと近づけてきた。

一歩後ずさると向こうも一歩近づいてきた。に、逃げ場がねぇ……

 

「余が闇のデュエリストになったのか。一度でいい、全力のデュエルをしたかったからと思っていた……だが今わかった。其方と出逢うために闇のデュエリストになったのだと!」

 

今度は力説し始めたぞ。そして嫌な予感がしてきた。

 

「お前、何を言ってーーー」

「敗北した余はこれから天に逝く。だが其方も来て欲しい!余の()として!」

「ーーーーーー」

 

『俺は男だ』と言って殴った俺は悪くない。

無理矢理に連中を帰して寮に戻る道中。

 

「龍斗、ダークシンクロってなんなの!?説明しなさい!」

 

明日香に両肩を掴まれたのをきっかけに、十代達も詰め寄ってきた。

 

「シンクロの一種だ。ただ、通常のシンクロと違い、レベルを引いて召喚する。それもレベルマイナスになるようにな」

「レベルマイナス……」

「だから基本的にどの【DT】も高レベルだ」

 

だからもうちょいレベル上げろ【ダーク・エイプ】。そんなレベルじゃダークシンクロしにくい。ってかする気にならん。

 

「シンクロ召喚の一種なら私も使っていいのよね!?」

「実践の前にこんがらがらないように練習しとけ」

 

とりあえず明日香は納得……というか早く使いたいとばかりに夜空を見上げた。十代は『明日香ばかりズルい』と文句を言っていたが、もうテスター試験する余裕も無さそうなんだよなぁ……。

海馬さんの話では夏に発表があると言ってた。今はもう4月……試験問題考えて、校長から教室の使用許可もらって試験日決めてともうそんな余裕は無いだろう。それに十代1人のためだけに、そんなことしていられるわけがない。仮に三沢が候補になったとしても2人。せめてあと1人欲しいな。そうすれば明日香達3人に実技試験を任せられるし。




この話は【インフェルニティ】にして【ワンハンドレッド】と【ガチャピン】でとも思ったんですが、【インフェルニティ】使ったんで【エアレイド】にしました。
次回はデュエル無しです。明日起きたら投稿します。
それでは皆様良いお年を!


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混乱 デュエル無し

明けましたおめでとうございます。
新年最初の投稿です。


アビドスⅢ世とのデュエルから数時間、携帯が鳴り取ってみると『ペガサス・J・クロフォード』の文字が。若干慌てながら電話に出る。

 

「はい、もしもし!」

[Good morning.龍斗ボーイ]

「おはようございます」

 

朝からハイテンションなペガサス会長。

『元気にしてるか』とか『彼女はできたか』とアンタは俺の父親かと突っ込みたくなるが、それを抑えて対応した。他愛ない世間話(?)のあと、ペガサス会長は本題に入った。

 

[以前海馬ボーイからイベントについて聞いたと思いマス]

 

そういえば、夏にそんなのするって言ってたな。しかしただの発表だろ?俺に話しても仕方ないと思うんだが……

 

[そこで、龍斗ボーイを筆頭にYou達テスターにイベントに参加してもらいたいのデース]

「…………え?」

 

俺達テスター?つまり明日香達も呼べということか?

 

[But.今いるメンバーだけでは足りないのデース]

「足りない?シンクロの発表なら明日香、浜口、俺と3人もいるんですが?」

[発表はシンクロだけではありまセーン。エクシーズ、ペンデュラムも発表しマース]

 

一気に全部!?シンクロへの対応でも一般のデュエリストは混乱するだろう。それを一気に全部?混乱どころの騒ぎじゃないだろう。

 

「会長。あまり言いたくはないのですが、そんなことしたら一般のデュエリスト達は大混乱してしまいます」

[わかっていマース。But.シンクロ召喚だけ発表して他の召喚法は発表しないなんて、我慢できまセーン!早くみんなに使ってほしいのデース!]

 

我慢しろよとも言えない立場なのが辛い。

 

[そこで、龍斗ボーイ達テスターに参加させ、実演してもらいたいのデース。各召喚につき1人ずつ出てもらいたいのですが、夏休みまでにさらにメンバーを集めてほしいのデース]

「何故です?既に各召喚のテスターはいるじゃないですか」

[イベントでは各召喚につき1人が限界なのデース。つまり明日香ガールとももえガールで出演を争う形になりマース。龍斗ボーイも含めて同じように出演を争い、研鑽を積んでほしいのデース]

 

最低でも各召喚それぞれで争ってほしいらしい。つまり各召喚につき2人は必要……シンクロは問題無いとして、エクシーズで1人、ペンデュラムは2人いれば最低限ってところか。俺は最悪空いた枠に入ればいいし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、真面目にピンチだ」

「「「…………」」」

 

放課後、朝あった会話をテスター仲間である明日香、浜口、枕田に伝える。

明日香は真面目に何か考えているようだが、浜口と枕田は……

 

「ど、どどどどどうすんのよ!?」

「い、イベントとなるとテレビですよね!?ま、まだ心の準備が!」

 

非常にテンパっていた。アタフタというかオロオロというか、せわしなく動いている。漫画でしかないような慌てっぷりを目の前で見れるとは。

 

「とりあえずテスター候補である十代を勉強させろ。デッキの構築から何からな。あとは俺から三沢にも声をかけてみる。せめてあと1人、どうにか探すぞ」

 

PDAで十代に連絡しながら三沢がいるであろう寮に向かう。部屋に入ると三沢が壁に数式を書いていた。

 

「三沢」

「ん?龍斗か、どうかしたか?」

「テスターになる気はないか?」

 

三沢が数式を書いている途中で体ごと振り返ったため、数式の一行に横線が入った。

 

「今、なんと言った……?」

 

しかし三沢は気にせず聞き返してきた。もう一度同じことを言うと、今度は急にどうしたのかと聞いてくる。今朝あったことを説明すると俺の深刻な顔つきに納得がいったらしい。

 

「ただ、こちらの都合でシンクロのテスターの採用は基本的にしないが……」

「構わない!ぜひやらせてくれ!」

 

とりあえず三沢は確保。明日香達に連絡してみると、向こうも候補を見つけたらしい。流石に人手があると早いなと感心しつつ問題作成に手をつける。

翌日。

 

「明日香達の言ってた候補ってお前だったのか……」

 

朝一番に明日香達の言ってたテスター候補を連れてきてもらうよう頼んで校舎前に集合。明日香達に連れられてやってきたのは、

 

「よろしくね、龍斗」

 

藤原だった。お前儀式使いだろ?大丈夫か?……あ、【リチュア】に【グスタフ】入るよな。いやしかし……些か不安ではあるが、いないよりはマシか。ヤケになっている自覚をしつつ、次の話をしよう。

 

「明日香、枕田、浜口。これから選ぶ選択肢の中から一つ選んでくれ」

「急にどうしたの?」

 

枕田が急な話題転換に突っ込んでくるが、俺の中で藤原が候補という話は終わっているからいいんだよ。

 

「一つ、試験に使う問題の作成」

「え、アレ作るの!?」

「あの問題は龍斗さんが!?」

 

明日香と浜口が驚いてるが、俺よりディープだったり頭の回転が良いやつはもっと試験らしい問題作れるぞ。それを間違えたお前ら……不安だ……

 

「もう一つは十代と藤原の家庭教師だ。以上の選択肢の中からどちらかを2人にしてもらう。残った奴は俺と組んでもらう」

 

どう決めるかを明日香達に任せると軽くスクラムを組んで相談し始めた。

成績・実力から俺と明日香が別れるとバランス良いとは思う。俺の意見を押しつけるわけにもいかないだろうし、意外な適性があるかもしれない。

 

「龍斗、決まったわ。私とジュンコが十代達の勉強を見ることになったわ」

「了解した。なら浜口が俺と問題の作成だな」

「よろしくお願いしますね」

 

そう言いながら俺の頭に手を伸ばしてくる浜口。一歩下がってそれを避ける。

 

「くぅ……!」

「何悔しそうな顔してんだよ」

 

コイツ真面目にやる気あるのか?

遊んでる暇は無いと言って意識を切り替えさせ、図書室へ向かう。図書室にはPCが幾つか設置されていて、そのPCに浜口を座らせ、俺は椅子を借りてその横に座る。窓際の角なら誰か来てもすぐにわかる。しないとは思うが、カンニング対策だ。

 

「さて、まずは軽く前回のおさらいといこうか。問題の構成はまず各召喚の基礎を数問とカードに関する問題」

「あと詰めデュエルがありました」

 

その辺は覚えているか。

 

「その通り。今回はエクシーズ、ペンデュラムのテスターを見つけるものだから、シンクロに関連する問題を入れることができない。俺の意見として、各召喚の基礎は入れなければいけないとは思う」

「そうですわね。となると2問ほど出来上がっていることになりますね」

「あと13問前後は作るぞ」

「…………はい」

 

たかが2問だ。しかもすぐに出来上がった問題だから苦労は変わらん。

 

「基礎をしっかり理解しているかを考えるとエクシーズもペンデュラムもわりと楽だとは思うけどな」

「そうでしょうか?」

「例えば、【E・HERO アブソルートZERO】をエクシーズ素材にしたとき効果は発動するのかとか」

 

俺から出せる意見を出しつつ浜口からも意見をもらわないとな。コイツは中等部からいるんだろ?なら試験を受けた回数は多いはず。

 

「浜口、普段の試験問題はどうなっているか覚えているか?」

「試験対策に問題は保存してますわ」

 

…………思いの外優等生だった。俺なんて答え合わせしないならと速攻ゴミ箱にぶち込むというのに……

 

「なら試験問題を参考にさせてもらおう。それで大分楽に作れる」

「……龍斗さん、貴方試験問題はどうしてるんです?」

 

椅子ごと反転して視線から逃げるしかなかった。答え合わせしないなら誰だって捨てると思ってた俺が悪い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、出来ました……」

「…………よくやった……」

 

1週間後、ある教室で試験問題を完成させた俺達2人が崩れ落ちる。

試験用紙を見せてもらい、こちら用に内容を変えただけなのだが、こうなったのはほぼ徹夜して作った詰めデュエルが原因だ。出来ればもう詰めデュエルは作りたくない。途中ヤケになって【ガガガガール】と【ガガガマジシャン】で【マシュ=マック】1killさせる詰めデュエル(笑)を用意したくらいに追い込まれてた。

それもこれも全て明日香と枕田が会うたびに『試験はまだなの?』と言ってきたからだ。アレが妙にプレッシャーになった。

 

「…………なあ、ももえ……」

「…………なんです?」

 

この1週間で一種の絆が生まれ、『ももえ』と名前で呼ぶようになった。最初の1時間は若干気恥ずかしかったが。

 

「…………今度、明日香と枕田に問題作らせよう」

「…………賛成です」

 

被害妄想だとわかっている。だが、それでも、やらずにはいられなかった。

 

「…………でも、今はそれよりも寝たい。寝てもいいかな?」

「…………私も寝たいです」

「…………アラームつけて寝よう」

「…………はい」

 

果てしなく重い瞼を開けてPDAでアラームをセット。そのまま2人で眠った。アラーム音にも気づかず、帰ってこない俺達を心配したゆまに起こされたのは19:30だった。今から急いでいけば間に合うと今度は起き抜けに全力でそれぞれ寮に帰って夕飯を摂りすぐさま入浴。

ももえと相談して試験は今度の日曜を予定した。

翌日、朝一番に校長室に行き日曜の教室及びデュエルフィールドの使用を許可してもらう。またテスターが自分の勤める学校から出ることへの期待からかすぐに許可は下りた。

 

「おはよう、ももえ」

「おはようございます。龍斗さん」

 

教室に行くと試験用紙を持ったももえと会う(というより誤字等がないか確認したいのだろう)。

枕田と明日香とゆまが妙な視線を寄越すが無視だ。

 

「とりあえず半分くれ。俺も手伝う」

「そう言ってくれると思って用意してあります」

 

笑顔で用紙を寄越すももえに『わかってるじゃないか』と笑みで返し2人で誤字脱字が無いか確認。自分のが見終わったら相手が確認したものを確認する。特に段取りを決めたわけではないのに、視線すら必要とせずに用紙を交換する。

 

「確認終了」

「こちらもです」

「「…………終わったぁ!!」」

 

パチンと良い音を響かせてハイタッチ。

 

「お疲れ様」

「龍斗さんもお疲れ様です」

 

互いに労いの言葉をかける。するとここで枕田達が絡んできた。

 

「なんか、アンタ達妙に仲良くない?」

「それは、共に1週間を過ごした仲ですし」

「だな」

 

ももえに頭を撫でられても特に抵抗せず受け入れ返答する。

今ももえとは頭を撫でられても特に屈辱のようなものを感じないくらいに仲は良い。

 

「お、お兄ちゃんが頭撫でられて抵抗しないなんて……」

「…………」

 

ゆまには信じられないものを見たというような顔をされ、明日香が『なら自分も』と俺の頭を撫でてくる。一応俺も一種の実験として受け入れてみるが…………何故かムカついてくる。

 

「だぁぁぁっ、鬱陶しい!」

「っ!?な、なんでよ!なんでももえは良くて私はダメなの!?」

 

明日香の手を払うと明日香は抗議しながら俺の頭を撫でようと手を伸ばしてくる。また同じことになりそうなのでことごとく避ける。

 

「明日香さま、怒ってはいけません。まずは焦らず、じっくりと好感度を上げていくのが近道かと思います。急がば回れ、です」

 

なんかギャルゲー(だったか?)みたいな諭し方だった。俺とお前との絆はその程度だったのか?

 

「まぁ、そんな冗談はゲームから除外しまして。龍斗さん、予定はどうなってます?」

「あぁ、予定通り日曜に出来るよ」

 

冗談と言ってくれたことに内心ホッとしつつももえの言っていた内容を瞬時に把握。後はまた4人で日曜の内容について打ち合わせ。というところで授業が始まった。打ち合わせは昼休みにして真面目に授業を受ける。

 

「あ、そうだ。明日香、枕田。散々俺達にプレッシャーかけてくれたから試験問題お前らも作れ。一応条件は同じにしてやる」

「「はぁ!?」」

 

昼休みに飯を食いながらサラッと昨日ももえと話した内容を言ってみる。

 

「プレッシャーと感じたのは被害妄想だと重々承知している」

「ですが、それでも!」

「「2人にやらせたくて仕方ない!」」

「貴方達本当に仲良いわね!」

 

息の合ったセリフに明日香が突っ込むが、そのツッコミさえ褒め言葉のように感じる。ももえが『私達の苦しみを味わってください』と笑顔で今回使った試験用紙のコピーを明日香に渡し、俺が枕田に試験に使えそうなカードのデータを渡す。

 

「各召喚の基礎は共通して問題に出るものとして13問追加しろ」

「期限は1週間。他の人からアドバイスを受けるのは無しです」

 

反論を挟めないように俺とももえでたたみかけ、無理矢理やらせることになった。『俺達に『まだ出来てないの?』とか言ったのに出来ないなんて言わないよな?』と言ったら明日香と枕田は『やってやる』と意気込んでいた。

そして日曜日、2度目のテスター試験が始まる。




ということで次回から再びテスター試験です。
まだ対戦カードすら決まってませんが頑張ります。


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第二次テスター試験ー① ジュンコVS.三沢

修正版……です……


月曜日。

昨日の十代、三沢、藤原の試験は前回同様教師が筆記の監督をしてくれた。俺がその採点をしている間に明日香、ももえ、枕田の3人がログを取りながら実技試験を行った。

今日は校長に許可をもらい図書室を借り切る。そこで実技試験のログとデッキの中身を全員で見て合否を決めるわけだが……

 

「なぁ、ももえ」

「なんです?」

「いつの間にデュエルフィールドにカメラがあったんだ?」

 

ログを見て決めようと思ったら何故か教師からビデオ(DVDですらなかった)を渡された。その内容が実技試験の物だったので一番信頼できるももえに聞いてみた。

 

「入ったら既に録画する先生と一緒に用意されてました。おそらく校長先生の計らいかと」

 

ももえが入った時点で教師まで……まぁいいけど。

 

「……まぁいいや。あるならログと一緒に見よう。まずは……枕田いくか」

 

枕田の相手は誰だったかな……?

 

「ジュンコさんのお相手は三沢さんでしたね。ジュンコさんはエクシーズのテスターなので、今回の試験では一番難関と言えます!しかし三沢さんも成績トップクラス、実力も申し分無し、さらにはイケメンと隙がありません!楽しみです!」

「お、おう……」

 

興奮気味に語るももえに俺、明日香、ジュンコが心の中で一歩引いた。絆のようなものがあってもそれはそれ、これはこれだ。

 

「枕田、三沢は何のテスターに?」

「ペンデュラムって言ってたわ」

 

ほう、ペンデュラムか。どんなデッキになるか楽しみだ。ビデオを接続して再生。数秒すると枕田と三沢が映った。

 

[[デュエル!]]

 

三沢大地

LP4000

 

VS

 

枕田ジュンコ

LP4000

 

先攻は前回同様受験者からだ。

 

[俺のターン、ドロー!【ブンボーグ003】を召喚!]

 

【ブンボーグ003】

攻撃表示

ATK500/DEF500

 

ぶ、【ブンボーグ003】……!?いや、確かに【ブンボーグ】にもペンデュラムはあるけど、ちょっと予想外だった。【妖仙獣】とかが来ると思ってた。

こっちじゃバウンスはあまり来な……

 

「…………何?」

「いや、なんでもない」

 

いよな。明日香は自分のカード戻すし。【ドゥローレン】率高いし。戻してパンプで攻撃だもんな。【ブリューナク】……

 

[【ブンボーグ003】の効果発動!このモンスターの召喚に成功したとき、デッキから同名モンスター以外の【ブンボーグ】モンスターを特殊召喚する!【ブンボーグ001】を召喚!]

 

【ブンボーグ001】

攻撃表示

ATK500/DEF500

 

[【ブンボーグ001】は、俺のフィールドの機械族モンスター1体につき、攻撃力と守備力が500ポイントアップする]

 

【ブンボーグ001】

ATK500/DEF500→ATK1500/DEF1500

 

[まぁ、この効果は関係ない。レベル3の【ブンボーグ003】にレベル1の【ブンボーグ001】をチューニング!]

「シンクロ!?」

「エクシーズでもペンデュラムでもなく!?」

 

明日香とももえが驚いているが、別に驚くことはないだろう。

 

「別にエクシーズやペンデュラム以外使っちゃいけないなんてルールはないぞ」

[全てを拒絶する光、今形となりて現れよ!シンクロ召喚!現れろレベル4!【虹光の宣告者(アーク・デクレアラー)】!]

 

【虹光の宣告者】

守備表示

ATK600/DEF1000

 

シンクロ……【虹光の宣告者】……儀式……てんこ盛りだな。【セフィラ】みたいだ。

 

[し、シンクロ召喚!?ペンデュラム召喚のテスターになるんじゃないの!?]

[『他の召喚を使ってはならない』なんてルールないからな。カードを1枚伏せてターンエンド!]

 

三沢大地

LP4000

モンスター

【虹光の宣告者】:守

DEF1000

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

静かなスタートだな。

『儀式出張セット』とでも言われそうなコンボぶち込んでるけど。

ただ、儀式はペンデュラムにはなぁ……とも思う。

 

[アタシのターン、ドロー!【RRースカル・イーグル】を召喚!]

 

【RRースカル・イーグル】

攻撃表示

ATK1000/DEF500

 

「【スカル・イーグル】?レベル3?【RR】って【RUM】使うにしてもランク4スタートな印象なんだが……」

「ちょっと試行錯誤中なのよ。どの【RUM】使うかとか。他に相性のいいカードが無いかとか」

 

ログを見て思ったことを聞いてみると、枕田からそんな回答がやってきた。

枕田も枕田なりに考えてるのか……俺も追いつかれないようにデッキ構築やらタクティクスやら磨かないとな。

 

[更に魔法カード【RRーコール】を【スカル・イーグル】を対象に発動!]

[何をたくらんでいるかは知らんが、カード名からしてモンスターを特殊召喚かサーチするカードなのだろう。止めさせてもらう!モンスター効果、魔法、罠が発動したとき【虹光の宣告者】をリリースして効果発動!その発動を無効にして破壊する!]

 

【虹光の宣告者】が虹色の光を放つと【RRーコール】をかき消した。その後【虹光の宣告者】はどこかに飛んでいった。

 

「…………あれ?」

「どうかした?」

「【虹光の宣告者】の効果は?」

「え?今使ったじゃない」

 

枕田が『何を見てたんだ』という表情になる。お前こそ何を見てるんだ。

 

「【虹光の宣告者】には墓地に送られると儀式モンスターと儀式魔法を手札に加える効果がある」

「えっ、自分から墓地に行くのにそんな効果があるんですか?」

「ああ。だから儀式軸のデッキだと、三沢のやった【003】から【001】。【虹光の宣告者】シンクロ。何か止めて儀式どっちかサーチと悪さばかりするんだが……」

 

ももえの質問に解説する。シンクロをメインにしているが、儀式を使っていた明日香は真剣に聞いている。

てかお前ら、ビデオだけじゃなくてログも見ろ。【虹光の宣告者】の効果についても書いてあるから。

 

「まぁ、効果を全て発動しなきゃならないわけじゃないから、ただ儀式が無いってだけなんだろ」

 

ただ個人的にはランク3を使う【RR】を見てみたかったから、止めてほしくなかった。

 

[……ならバトル!【スカル・イーグル】でダイレクトアタック!]

[このくらい、どうということはない]

 

三沢大地

LP4000→3000

 

[カードを1枚伏せてターンエンド!]

 

枕田ジュンコ

LP4000

モンスター

【RRースカル・イーグル】:攻

ATK1000

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「……キツくないか?」

「ですね。エクシーズ召喚できませんでしたし」

「それに、三沢君のデッキが何をしてくるのかわからないのが怖いわ……」

 

結果を知っている枕田以外はだいぶ悲観的な気分でビデオを見る。

 

[俺のターン、ドロー!俺はスケール1の【ブンボーグ006】とスケール10の【ブンボーグ005】でペンデュラムスケールをセッティング!]

 

試験用デュエルディスクにペンデュラムモンスターをセット。もう揃えたか。

 

[これにより、レベル2から9のモンスターが同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!レベル2【ブンボーグ002】!]

 

【ブンボーグ002】

攻撃表示

ATK500/DEF500

 

[そしてレベル7!【ブンボーグ007】!]

 

【ブンボーグ007】

攻撃表示

ATK500/DEF500

 

[【ブンボーグ002】の効果発動!特殊召喚に成功した場合、デッキから【ブンボーグ】カードを手札に加える!その効果にチェーンして【ブンボーグ001】の効果発動!機械族モンスターを2体以上同時に特殊召喚した場合、墓地のこのモンスターを特殊召喚できる!]

 

【ブンボーグ001】

攻撃表示

ATK500/DEF500

 

[【ブンボーグ002】の効果で【ブンボーグ004】を手札に加えて召喚!]

 

【ブンボーグ004】

攻撃表示

ATK500/DEF500

 

あっという間に4体展開……そのうち1体はチューナー……しかも【ブンボーグ】の多くはパンプ効果持ち……鬼がいる。

 

[【ブンボーグ001】の攻撃力と守備力は俺のフィールドの機械族モンスター1体につき500ポイントアップする!]

 

【ブンボーグ001】

ATK500/DEF500→ATK2500/DEF2500

 

レベル1で攻撃力2500……【ワイトキング】に近い気がするが、チューナー。しかも機械族だから【リミッター解除】の恩恵を受ける。別の怖さがあるな。

 

[【ブンボーグ007】は墓地の【ブンボーグ】1体につき、攻撃力500ポイントアップする!]

 

【ブンボーグ007】

攻撃表示

ATK500→ATK1000

 

[そして【ブンボーグ002】の効果で他の機械族モンスターの攻撃力と守備力が500ポイントアップする!]

 

【ブンボーグ001】

ATK2500/DEF2500→ATK3000/DEF3000

 

【ブンボーグ007】

ATK1000/DEF500→ATK1500/DEF1000

 

【ブンボーグ004】

ATK500/DEF500→ATK1000/DEF1000

 

最後の手札、【リミッター解除】じゃないよな?そんな殺意溢れる手札じゃないよな?

 

「一瞬で攻撃力3000のモンスターになったわね……」

「永続効果なのが面倒ですね。【天罰】できません」

 

この状況になる前に対策するという考えは出てこないのか……もしくは【激流葬】で流すとか。

 

[バトル!【ブンボーグ001】で【RRースカル・イーグル】を攻撃!]

[ダメージ計算時に手札の【RRーラスト・ストリクス】の効果発動!このモンスターを特殊召喚する!]

 

【RRーラスト・ストリクス】

守備表示

ATK100/DEF100

 

「今度はレベル1……エクシーズ出来るのか?」

「…………」

「おい」

 

視線を向けるとそっぽ向かれた。

勝つ気あんのかこいつは……?

 

[そして特殊召喚した後、アタシのフィールドと墓地の魔法・罠1枚につき100ポイント、アタシのライフを回復する!]

 

枕田ジュンコ

LP4000→4200

 

【001】の攻撃で【スカル・イーグル】はなすすべなく破壊された。

 

[きゃあああああ!]

 

枕田ジュンコ

LP4200→2200

 

戦力差が圧倒的すぎる。

 

[【ブンボーグ007】で【ラスト・ストリクス】を攻撃!【ブンボーグ007】は守備モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力を超えていれば、その数値差分のダメージを与える!]

「用意周到だな。三沢のやつ」

「ま、まだ終わってないわよ!」

 

ボソッと呟いたセリフに枕田が突っ込んできた。俺は『終わった』なんて言ってないけどな。

 

[か、貫通効果!?と、罠発動【RRーレディネス】!このターン、アタシの【RR】は戦闘では破壊されない!]

[だがダメージは受けてもらう!]

[まだよ!墓地の【RRーレディネス】を除外してもう一つの効果を発動!このターン、アタシが受ける全てのダメージは0になる!]

 

【ラスト・ストリクス】ごと枕田を白いドームが覆い、攻撃を防いだ。

 

[この効果は、アタシの墓地に【RR】モンスターがいるときに使える!]

[防がれたか……ならば、レベル2の【ブンボーグ002】とレベル4の【ブンボーグ004】にレベル1の【ブンボーグ001】をチューニング!知恵と技術の結晶!今全てを吹き飛ばす力となる!シンクロ召喚!爆撃せよ!レベル7!【ダーク・ダイブ・ボンバー】!]

 

【ダーク・ダイブ・ボンバー】

攻撃表示

ATK2600/DEF1800

 

【DDB】……殺意しか感じない。

でも別に今召喚しなくても良かったような……

 

[墓地の【ブンボーグ】が増えたことで、再び【ブンボーグ007】の攻撃力がアップする!]

 

【ブンボーグ007】

ATK1000→ATK2500

 

[ターンエンド!]

 

三沢大地

LP3000

モンスター

【ダーク・ダイブ・ボンバー】:攻

ATK2600

【ブンボーグ007】:攻

ATK2500

ペンデュラム

【ブンボーグ006】:スケール1

【ブンボーグ005】:スケール10

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

[アタシのターン、ドロー!……【ラスト・ストリクス】の効果発動!このモンスターをリリースして、エクストラデッキの【RR】エクシーズモンスターを守備表示で特殊召喚する!]

「いきなりエクシーズモンスターを召喚!?」

「だけど、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効されて、ターン終了時にエクストラデッキに戻って、このターン相手が受ける戦闘ダメージは0になるのよ」

 

ももえに枕田が解説を入れると、ビデオの枕田も同じことを言っていた。

 

[来なさい!【RRーブレイズ・ファルコン】!]

 

【RRーブレイズ・ファルコン】

守備表示

ATK1000/DEF2000

 

[更に魔法カード【RUMーレイド・フォース】を発動!【ブレイズ・ファルコン】を素材にランクアップさせる!]

[ランクアップだと!?]

 

あれ?三沢にランクアップによるエクシーズ召喚って見せてないっけ?それとも【RUM】を見せてないだけか?……まぁいいや。

 

[誇り高きハヤブサよ。英雄の血潮に染まる翼翻し、革命の道を突き進め!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れろ!ランク6!【RRーレヴォリューション・ファルコン】!]

 

【RRーレヴォリューション・ファルコン】

攻撃表示

ATK2000/DEF3000

 

[【レヴォリューション・ファルコン】の効果を【ダーク・ダイブ・ボンバー】を対象にして発動!【RR】をエクシーズ素材にしている場合、1ターンに1度相手モンスター1体を対象に発動!対象モンスターを破壊して、その攻撃力の半分のダメージを与える!]

 

爆撃される【DDB】。しかし【DDB】も飛び立って回避。直後飛行機のような形に変形して【レヴォリューション・ファルコン】に突撃しようとする。【レヴォリューション・ファルコン】は火炎放射で対応。【DDB】は左に回って回避。今度は【ブレイズ・ファルコン】から引き継いだであろう羽根状の兵器で破壊を試みる。

変形を繰り返しギリギリで回避するが、【レヴォリューション・ファルコン】本体からの火炎放射が直撃。追撃とばかりに全方位からの攻撃で破壊された。

 

「……なんで素直に破壊されないんだよ」

「アタシが知るわけないでしょ……」

 

あと、【DDB】って変形するんだな。

【DDB】が破壊されたときの爆風が三沢を襲う。

 

[くっ……【ダーク・ダイブ・ボンバー】がこうもあっさりと……!]

 

三沢大地

LP3000→1700

 

[まだよ!魔法カード【RUMースキップ・フォース】を発動!]

[連続【RUM】だと!?]

[アタシのフィールドの【RR】エクシーズモンスターを素材にして、そのモンスターよりランクが2つ高いモンスターにランクアップする!対象は当然【レヴォリューション・ファルコン】!勇猛果敢なるハヤブサよ。怒りの炎を巻き上げ、大地をも焼き尽くす閃光となれ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!飛んで!ランク8!【RRーサテライト・キャノン・ファルコン】!]

 

【RRーサテライト・キャノン・ファルコン】

攻撃表示

ATK3000/DEF2000

 

白の装甲に幾つもの砲台を取り付けたモンスターが出現。他の【RR】より攻撃的な印象だな。

 

「2つもランクアップってやり過ぎでは……?」

「フィールドにいたのは攻撃力100のモンスターだけだったのにいつの間にか3000に……」

「そういうデッキなんだから仕方ないでしょう!」

 

ももえと明日香の呟きに枕田が弁明のような突っ込み。【RR】って本当【RUM】好きだよな。そしてそれは不審者がARCーVで長いこと出てきてるということ。いったいあの不審者は何者だったのだろう……?

 

[【サテライト・キャノン・ファルコン】の効果発動!【RR】モンスターを素材にエクシーズ召喚した場合、相手の魔法・罠を全て破壊する!この効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できない!]

[カウンターさせないだと!?]

 

【サテライト・キャノン・ファルコン】の砲台が三沢のリバースカードと【ブンボーグ005】、【ブンボーグ006】に照準を合わせ、跡形残らず破壊した。

 

[くっ……ペンデュラムカードはフィールドで破壊されたとき、エクストラデッキに加えられる。さらに破壊された【005】と【006】の効果発動!このモンスター達がペンデュラムゾーンで破壊された場合、墓地の【ブンボーグ】を対象に発動できる!【006】の効果で【003】、【005】の効果で【004】を対象に発動する!【004】を特殊召喚!【003】を手札に加える!]

 

【ブンボーグ004】

守備表示

ATK500/DEF500

 

三沢大地

手札1枚→2枚

 

[【サテライト・キャノン・ファルコン】の効果発動!ORUを1つ使い、表側表示の相手モンスター……【ブンボーグ007】を対象に発動!対象モンスターの攻撃力を、墓地の【RR】1体につき800ポイントダウンさせる!]

「攻撃力を下げる効果か」

「ええ。墓地にモンスターがいればいるだけ強力な効果になるわ」

 

長期戦になるほど面倒だな。ログを見るとどうやら相手ターンでも使えるらしい……。

【サテライト・キャノン・ファルコン】の砲台全てが【007】に向いた。

 

[まず1体目ー!!]

 

半透明の【スカル・イーグル】が見えたと思うと【007】の砲撃された。

え、これそういうエフェクトなのか?

 

[2体目ー!!]

 

【ラスト・ストリクス】が一瞬見えた。というか枕田も腕を挙げてカウントしている様子からしてノリノリだ。

 

[3体目ー!!]

 

【ブレイズ・ファルコン】……効果が終了したことで全身から火花やスパークを出している【007】の姿が見えた。

 

【ブンボーグ007】

ATK1500→ATK0

 

「これ二桁いったらどうカウントする気だったんだ?」

「そのときのノリ次第だと思うわ。このときもそうだったし」

 

両手で数えたりしないのか。別にいいけど。

 

[バトルよ!【サテライト・キャノン・ファルコン】!【ブンボーグ007】を攻撃!]

 

【サテライト・キャノン・ファルコン】が天井を突き抜けて飛び立った……って、え?

 

「どこ行った?」

「成層圏越えて行ったわ」

「…………」

「攻撃するためにわざわざ?」

「ええ」

 

俺の疑問に対する枕田の応答に、ももえは絶句し、明日香が質問。そして枕田が淡々と答えた。

デュエルフィールドに用意されているディスプレイには【サテライト・キャノン・ファルコン】が映っていた。背景は満点の星空……本当に成層圏越えたのか?ってかどうやってこの映像を……

 

[エターナル・アベンジ!]

 

【サテライト・キャノン・ファルコン】が背中の3対の翼を展開し、『R』を模した翼となった。胸部から放たれた砲撃は砲台からの砲撃と一つになり、【ブンボーグ007】を上から飲みこんだ。

 

[ターンエンド!]

 

枕田ジュンコ

LP2200

モンスター

【RRーサテライト・キャノン・ファルコン】:攻

ATK3000

魔・罠

手札1枚

 

攻撃を終えた【サテライト・キャノン・ファルコン】は戻ってこないらしい。まるで攻撃対象にならない効果を持っているようだ。実際持ってないけど。

 

[俺のターン、ドロー!魔法カード【機械複製術】を発動!【ブンボーグ004】を対象に、同名モンスターを2体まで特殊召喚する!]

 

【ブンボーグ004】×2

守備表示

ATK500/DEF500

 

[俺はレベル4の【ブンボーグ004】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!満たされぬ魂乗せた方舟よ!光届かぬ深淵より浮上せよ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!【No.101 S・H・Ark Knight】!]

 

【No.101 S・H・Ark Knight】

攻撃表示

ATK2100/DEF1000

 

[【S・H・Ark Knight】の効果発動!ORUを2つ使い、相手のフィールドに表側攻撃表示で存在している特殊召喚されたモンスターをこのモンスターのORUにする!]

[ORUに……!【サテライト・キャノン・ファルコン】の効果発動!ORUを1つ使って、【S・H・Ark Knight】の攻撃力を墓地の【RR】の数だけダウンさせる!]

[!?その効果は相手ターンでも使えるのか!]

 

【S・H・Ark Knight】と【サテライト・キャノン・ファルコン】の砲撃戦の末、【サテライト・キャノン・ファルコン】は吸収され、【S・H・Ark Knight】は攻撃手段を失った。

 

【No.101 S・H・Ark Knight】

ATK2100→ATK0

 

[【ブンボーグ003】を召喚!]

 

【ブンボーグ003】

攻撃表示

ATK500/DEF500

 

[【ブンボーグ003】の効果発動!【ブンボーグ001】を特殊召喚!]

 

【ブンボーグ001】

攻撃表示

ATK500/DEF500

 

[レベル4の【ブンボーグ004】とレベル3の【ブンボーグ003】にレベル1の【ブンボーグ001】をチューニング!嘆きよ集え!棄てられた恨みを鉄に込め、龍の形に姿を変えろ!シンクロ召喚!来い!レベル8!【スクラップ・ドラゴン】!]

 

【スクラップ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2000

 

[バトル!【スクラップ・ドラゴン】でダイレクトアタック!]

 

【スクラップ・ドラゴン】が枕田にのしかかる。

 

[ああああああああっ!]

 

枕田ジュンコ

LP2200→-600

 

ここでビデオが終了した。

 

「ふむ。無駄なプレイングがあったような気がするが、まぁそれなりの点数にはなるかな。三沢の筆記の点数は……」

「満点ですね。流石です!」

 

テストを取ろうとしたらももえが掻っ攫っていった。お前、三沢が話題になってるときのテンション凄まじいな。

しかし満点か。なら合格でいいだろう。あとは藤原と十代か……願わくは両方とも合格してますように……




次回と次はかなり一方的な展開になっちまいました。


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第二次テスター試験ー② 明日香VS.十代

ひゃっほーう(棒)。
なんだか一方的すぎて話がヌルヌル終わるぜぇ!
な作者です。


「次いこう。次は……明日香いっとくか」

 

明日香の相手は……十代か。

前回不合格だったから心配だな。

ログはっと……枕田とももえがログを投げ捨てやがった……まぁいいや。

 

「明日香さまは【ドゥローレン】と【安全地帯】や【デモンズ・チェーン】のコンボで相手を虐めるドSデッキ。厄介な相手と当たりましたね……」

「ももえ、ソレどういう意味かしら……?」

 

明日香が青筋を立てている。ももえが視線で助けを求めてきたが、『これはももえが悪いからフォローできない』と視線で伝える。

 

「そんなことより明日香、十代は何のテスターに?」

「そんなことって…………エクシーズって言ってたわ」

 

エクシーズか……前回は全てのテスターといってたが、今回はエクシーズに特化させてきたということか?筆記のテストは……13点……微妙……前回よりは上がってはいるが、かなり危ないな。

 

[[デュエル!]]

 

遊城十代

LP4000

 

VS

 

天上院明日香

LP4000

 

[俺の先攻、ドロー!【E・HERO エアーマン】を召喚!]

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

【HERO】……エクシーズの【HERO】って……【プトレマイオス】じゃないよな?あの無茶苦茶な構成してたやつがそんなカード使わないよな?

 

[【エアーマン】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから【HERO】を手札に加える!【E・HERO バブルマン】を手札に加える!]

 

【バブルマン】……嫌な予感がする。

 

[カードを5枚伏せる!]

 

が、ガン伏せ……手札1枚……これは……

 

[このモンスターは、手札がこのカード1枚だけの場合、特殊召喚できる!来い!【バブルマン】!]

 

【E・HERO バブルマン】

攻撃表示

ATK800/DEF1200

 

[伏せた魔法カード【増援】を発動!【バブルマン】を手札に加えて特殊召喚!]

 

【E・HERO バブルマン】

攻撃表示

ATK800/DEF1200

 

「…………十代のやつ、殺る気満々だな」

「龍斗さん、このあとの展開判るんですか?」

「俺の予想ではプトレノヴァインフィニティがやってくる。もしくは【ショック・ルーラー】」

 

呪文めいた発言にももえと枕田は首を傾げたが、明日香だけは無反応だった。

 

[俺はレベル4の【エアーマン】と2体の【バブルマン】でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!幾つもの光が、戦士となりて舞い降りる!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!【星守の騎士(テラナイト) プトレマイオス】!]

 

【星守の騎士 プトレマイオス】

攻撃表示

ATK550/DEF2600

 

「よ、弱っ!3体使った割に攻撃力弱っ!効果強いんだろうけど言わせて!攻撃力弱っ!」

 

出てきた途端に枕田が突っ込む暇さえ与えずリアクションした。十代はプトレノヴァインフィニティを使ってきたか……初ターンならこれがベストなのかな?

 

[【プトレマイオス】の効果発動!ORUを3つ使い、このモンスターを素材に、ランクが1高い【No.】以外のエクシーズモンスターにランクアップする!]

[ランクアップですって!?]

「ら、ランクアップするモンスター!?」

「でも、召喚したモンスターの効果は1度しか使えません……何を考えて……」

 

枕田とビデオ内の明日香が同じリアクションするなか、ももえは比較的冷静だった。

俺はただ無言で苦い顔をしていた。

十代、いきなり恐ろしいことしてくれやがったな。

 

[現れろランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!]

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「さ、【サイバー・ドラゴン】!?」

「【サイバー・ドラゴン】のエクシーズ……」

「枕田、ももえ。まだ先があるぞ」

 

前にも少し見せたモンスターが来るぞ。

 

[更に【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】でオーバーレイ!]

「今度はなんです!?」

[1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!これが【サイバー・ドラゴン】の進化!無限の力を解き放て!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!来い!ランク6!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】!]

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

出てきたな【インフィニティ】……

 

「あれ?このモンスターどこかで……」

「ジュンコさんも?私もどこかで見たような気がします……」

「エクシーズだからジュンコか龍斗なんだろうと思っていたけれど、ジュンコじゃないとすれば龍斗ね」

 

枕田の呟きにももえが同意。それに明日香の推理のような呟きの直後、視線が俺に集中した。

 

「…………デュエル中にこんなカードは使ってない」

「え?ならいつ……」

「ただ、カイザーとのデュエルのあと、お前らが卑怯だなんだと好き勝手言いやがるからサイバー流の成れの果てとしてコイツを見せたことはある」

 

あとは明日香に限定すれば、カイザーが召喚したな。セブンスターズのカミューラ相手に。

 

「龍斗さん、そこだけ言ってくれれば良かったのに……」

「……ごめん」

 

ももえに言われ、軽く謝る。

 

[「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】はフィールドの【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】を素材にエクシーズ召喚できる効果がある」]

 

ビデオ内の十代と説明が被るが無視して続行。

 

「この効果を使うと、十代がやったように【プトレマイオス】から【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】。そして【インフィニティ】に繋ぐ。これがプトレノヴァインフィニティだ」

「でも攻撃力は2100……そんなに強力なモンスターなの?」

「見てればわかる。たち悪いから」

[【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】はORU1つにつき攻撃力が200ポイントアップする!]

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2100→ATK2500

 

[ターンエンド!]

「これだけ?」

「黙って見てろ」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ4枚

手札0枚

 

[私のターン、ドロー!魔法カード【氷結界の紋章】を発動!デッキから【氷結界】モンスターを手札に加えるわ!]

[【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!1ターンに1度、カードの効果が発動したとき、ORUを1つ使うことでそのカードの発動を無効にして、破壊する!]

 

【インフィニティ】から赤白い線が伸び、【氷結界の紋章】を貫いた。

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2500→ATK2300

 

[……なら永続魔法【ウォーターハザード】を発動!自分のフィールドにモンスターがいない場合、手札のレベル4以下の水属性モンスターを特殊召喚できる!【氷結界の守護陣】を特殊召喚!]

 

【氷結界の守護陣】

守備表示

ATK200/DEF1600

 

[さらに【氷結界の術者】を召喚!]

 

【氷結界の術者】

攻撃表示

ATK1300/DEF0

 

[フィールド魔法【ウォーター・ワールド】を発動!これで水属性モンスターの攻撃力が500ポイントアップして守備力が400ポイントアップする!]

 

十代と明日香の足下が氷になり、それ以外のほぼ全域が水に変わった。

 

【氷結界の守護陣】

ATK200/DEF1600→ATK700/DEF1200

 

【氷結界の術者】

ATK1300/DEF0→ATK1800/DEF0

 

[【氷結界の守護陣】の効果!他の【氷結界】モンスターがいる限り、このモンスターの守備力以上の攻撃力を持つモンスターは攻撃できない!]

 

明日香の周囲に氷の壁が作られた。

 

「龍斗さん、なんだか暗い顔してますわよ」

「あ、いや、なんでもない」

 

明日香の【氷結界】を見てるとあのプレミを無意識に思い出してしまう。それが顔に出てたみたいだ。

 

[【氷結界の術者】は他の【氷結界】モンスターがいる限り、フィールドのレベル4以上のモンスターは攻撃できない!]

 

『エクシーズには関係無いけどね』と言う明日香の前で【術者】が呪文を唱える。

 

『サモサモキャットベルンベルンボチヤミサンタイ……』

 

呪文の内容がおかしいが詠唱を終えると明日香と十代の周囲に結界が張られる。

 

[ターンエンド!]

 

天上院明日香

LP4000

モンスター

【氷結界の守護陣】:守

DEF1200

【氷結界の術者】:攻

ATK1800

魔・罠

【ウォーターハザード】

フィールド

【ウォーター・ワールド】

手札1枚

 

「明日香、無駄なことしたな」

「そう言われるとそうなんだけど、なんだかムカつくわね……」

 

手札1枚、【守護陣】と【術者】でロックかけたけど、【術者】は攻撃表示。十代の【インフィニティ】に取り込まれるな。挽回も難しい。

 

[俺のターン、ドロー!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!1ターンに1度、フィールドの攻撃表示モンスターをこのモンスターのORUにする!]

[なんですって!?それじゃあ、私のロックが……!]

[サイバネティック・アブソーバー!]

 

青白い線が【術者】を絡めとりORUに変化させた。

 

[ORUが増えたことで、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の攻撃力がアップする!]

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2300→ATK2500

 

[そして、他の【氷結界】モンスターがいなくなったことで、【氷結界の守護陣】の効果は消失する!]

 

大きな音とともに瓦解する氷の壁。

 

[【強欲な壺】!カードを2枚ドロー!]

 

遊城十代

手札0枚→2枚

 

[【E・HERO シャドー・ミスト】を召喚!]

 

【E・HERO シャドー・ミスト】

攻撃表示

ATK1000/DEF1500

 

[バトル!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】で【氷結界の守護陣】を攻撃!インフィニティ・ノヴァ!]

 

【インフィニティ】の熱線が【守護陣】を飲みこんだ。

 

[【シャドー・ミスト】でダイレクトアタック!]

 

【シャドー・ミスト】が明日香の目の前までジャンプ。着地と同時にチョップした。あれ……それって【ネオス】じゃ……

 

[くっ……!]

 

天上院明日香

LP4000→3000

 

[リバースカードオープン!速攻魔法【マスク・チェンジ】!【シャドー・ミスト】を墓地に送り、同じ属性の【M・HERO】をエクストラデッキから特殊召喚する!現れろ!【M・HERO ダーク・ロウ】!]

 

【M・HERO ダーク・ロウ】

攻撃表示

ATK2400/DEF1800

 

[これはバトルフェイズ中の召喚。よって追撃できる!ダイレクトアタック!]

 

【ダーク・ロウ】の飛び蹴り……いや、飛び膝蹴りが明日香を襲う。

 

[くぅっ!!お、女の子に飛び膝蹴りするなんて……!]

 

天上院明日香

LP3000→600

 

「女……の子?」

「なによ」

「…………いや、なんでもない」

 

これ以上の突っ込みは面倒なことになると判断して話を終える。

 

[ターンエンド!]

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【M・HERO ダーク・ロウ】:攻

ATK2400

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ3枚

手札1枚

 

【インフィニティ】と【ダーク・ロウ】って十代のやつ容赦無いな。

 

「枕田、理解したか?どちらも1ターンに1度だが、攻撃表示にしても破壊できなければORUにされて強化されて、効果除去は無効にされる。面倒だろ?」

 

枕田は嫌な顔をして頷いた。

これが明日香のラストターンか。

 

[私のターン、ドロー!……魔法カード【浮上】を発動!墓地から【氷結界の守護陣】を蘇生させる!]

[【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!ORUを1つ使って、【浮上】の発動を無効にする!さらに【ダーク・ロウ】の効果でその【浮上】は除外するぜ!]

 

これで除去はしやすくなったが、手札1枚でどうするつもりだ?

 

[想定内よ!魔法カード【強欲な壺】!カードを2枚ドロー!]

 

天上院明日香

手札0枚→2枚

 

[【ダーク・ロウ】の効果発動!ドローフェイズ以外で相手がデッキからカードを手札に加えた場合、相手の手札をランダムに1枚除外する!]

[手札を除外ですって!?]

 

【ダーク・ロウ】の目が怪しく光ると一瞬で明日香の手札を掻っ攫った。

 

天上院明日香

手札2枚→1枚

 

「このとき除外されたのは?」

「……【氷結界の三方陣】よ」

「…………意味無いカード引いたな」

 

手札に【氷結界】モンスターが3枚無いと使えないカードだろ?

 

[……カードを1枚伏せ、ターンエンド……]

 

天上院明日香

LP600

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

【ウォーターハザード】

フィールド

【ウォーター・ワールド】

手札0枚

 

[俺のターン、ドロー!このままバトル!最後はやっぱり【HERO】でいくぜ!【ダーク・ロウ】でダイレクトアタック!]

 

前世でだったら『自分だけがヒーロー』とか言われそうな【ダーク・ロウ】のドロップキックが明日香を襲う。

 

[きゃああああああ!]

 

天上院明日香

LP600→-1800

 

[ガッチャ!…………んー……なーんk]

 

すごく微妙なタイミングでビデオは停止した。

 

「……完封だな。まぁ、テーマデッキからファンデッキクラスのデッキとそれ以上のデッキとの対戦なら、この結果は妥当か」

「……やけに引っかかる言い方ね」

「全て事実だろ」

 

【氷結界】があの【HERO】を突破する道筋は細すぎる。

 

「まぁ、リベンジしたいなら協力はしてやるから頑張れ。十代は合格でいいだろう」

 

興味としてデッキの中身は見させてもらうけどな。




次回は最終戦、ももえVSゆきのんです。
あと合格発表です。


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第二次テスター試験ー③ ももえVS.雪乃

注意事項です。
しっかり読んでください。
でなければももえのターンの短さ故、『あれ?連続で雪乃のターンじゃね?』等々の錯覚に陥る可能性があります。
それではどうぞ。


「ラストはももえだな」

「はい。雪乃さんはエクシーズのテスターを希望してました」

 

エクシーズか。するとペンデュラムが三沢しかいないから、その枠に俺が入ることになったな……【WE(ダブルエンタメ)】でも使おうかな……あのデッキ悪い意味でぶっ壊れてそうだけど。もしくは【魔術師】。

俺が考え事している間にももえが俺の頭を撫でながらビデオをセットしてくれた。

 

「……別にいいけどさ。頭撫でる必要無いだろ」

「そこにサラサラの髪があるのがいけないのです」

 

ちょっと突っ込んでみたら、どこかの登山家のような回答がやってきた。

明日香と枕田も手を伸ばしてくるが体を反らして回避。枕田は思いっきり舌打ちして、

 

「だからどうしてよ!どうしてももえは良くて私はダメなのよ!?」

 

明日香は俺に文句を言ってきた。

そんなの俺が知るか。

諦めが悪い明日香の両手が俺の頭を襲ってくるがこちらも両手で防御しているとももえがビデオを再生した。

 

[[デュエル!]]

 

藤原雪乃

LP4000

 

VS

 

浜口ももえ

LP4000

 

[私のターン、ドロー!魔法カード【光の援軍】!デッキの上から3枚を墓地に送って効果発動!]

 

…………【ライロ】?それとも墓地肥やし?クラウンブレードでもするのか?でもあのコンボは教えてないし……まぁ教えなくてもできるけど……

 

「…………まぁいいや。落ちたカードは【ライデン】、【おろ埋】、【サウザンド・ブレード】……」

 

ログを見て何が落ちたか確認する。

いやなカードが落ちたな。これで【トリック・クラウン】が落とせたらエクシーズできる。

 

[デッキからレベル4以下の【ライトロード】を手札に加えるわ。レベル4の【ライトロード・アーチャー フェリス】を手札に加えて、【フェリス】を手札から捨てて魔法カード【ソーラー・エクスチェンジ】発動。デッキから2枚ドローして、デッキから2枚墓地に送る]

 

【ライラ】と【ウォルフ】が落ちたのか。

 

[今墓地に送られた【ライトロード・ビースト ウォルフ】の効果発動。デッキから墓地に送られた時、このモンスターを特殊召喚する]

 

【ライトロード・ビースト ウォルフ】

攻撃表示

ATK2100/DEF300

 

[面白い子を紹介するわね。【Em(エンタメイジ) トリック・クラウン】を召喚]

 

【Em トリック・クラウン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1200

 

手札にいやがった。

 

「連続エクシーズか……お前ら藤原達をどうやって魔改造した?」

「どうって……」

「前回の試験内容を何度も振り返っただけよ」

「というか、龍斗さん。ログをほとんど見ないでよく展開読めますね」

 

この程度は読めるぞ。クラウンブレードできてるからな。今回のログは、落ちたカード見るくらいで事足りそうだし。

 

[私はレベル4の【トリック・クラウン】と【ウォルフ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!大いなる光、今目覚めて私に力を!エクシーズ召喚!来なさい!ランク4!【ライトロード・セイント ミネルバ】!]

 

【ライトロード・セイント ミネルバ】

攻撃表示

ATK2000/DEF800

 

[【ミネルバ】の効果発動。ORUを1つ使い、デッキの上から3枚を墓地に送って、その中の【ライトロード】の数だけドローする]

「さ、最大3枚のドロー!?まだ雪乃の手札は5枚なのよ!?」

 

枕田がドロー枚数に注目している。そこも強いんだけどな。

 

「枕田、注目するところはそこだけじゃない。墓地が重要な【ライトロード】で3枚も墓地を増やし、かつコストに使ったORUは【トリック・クラウン】だ」

 

枕田は理解仕切れてないのか俺のログを見だした。

 

「……?これが?」

「藤原の墓地には、既に相棒が落ちている」

[墓地に送られたのは

【ライトロード・モンク エイリン】、

【ソーラー・エクスチェンジ】、

【ライトロード・ウォリアー ガロス】。

【ライトロード】が2枚墓地に送られたから2枚ドローするわね]

 

藤原雪乃

手札5枚→7枚

 

[それだけじゃないの。墓地に送られた【トリック・クラウン】の効果発動。このモンスターが墓地に送られた場合、墓地の【Em】1体を対象に効果を発動。【トリック・クラウン】自身を選ぶわね。対象モンスターを攻守0にして特殊召喚]

 

【Em トリック・クラウン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1200→ATK0/DEF0

 

[かわりに私は1000ポイントのダメージを受けるわ]

 

【トリック・クラウン】が小さな爆弾をジャグリング。

 

『oh!』

 

しかし爆弾の1つを落とし藤原の足下で爆発した。

 

[あぁんっ!]

 

藤原雪乃

LP4000→3000

 

毎回ライフ減るたびに変な声出さないと気が済まないのか?

 

「これだけでしょ?【トリック・クラウン】ってモンスター、そこまで強いとは思えないんだけど……」

「言ったはずだ。『既に相棒が落ちている』と」

 

枕田が俺に視線を寄越したが、俺は視線を一切ビデオから外さなかった。

 

[私がダメージを受けたことで墓地の【H(ヒロイック)C(チャレンジャー) サウザンド・ブレード】の効果発動。このカードを攻撃表示で特殊召喚]

 

【H・C サウザンド・ブレード】

攻撃表示

ATK1300/DEF1100

 

「こいつが【トリック・クラウン】の相棒だ。カテゴリーが違うのに相性が非常に良い。クラウンブレード……藤原のやつ、やってくれるじゃないか」

 

三沢の【ブンボーグ】に十代の【HERO】……そして藤原の【クラウンブレードライトロード】。今回は豊作だな。

 

「別にもう勝敗はどうでもいいや。あとは、ももえがどこまでやってくれるのか見せてもらおう」

「龍斗さん。そんな傷つく言い方したら…………どうしましょう?」

「はっはっは。ももえから頭を撫でられても、どうということはないからな」

 

ももえは悔しそうに俺を睨む。

 

[私はレベル4の【トリック・クラウン】と【サウザンド・ブレード】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!燃え上がれ小さな火種!全ては勝利の布石!エクシーズ召喚!現れなさい!ランク4!【ラヴァルバル・チェイン】!]

 

【ラヴァルバル・チェイン】

攻撃表示

ATK1800/DEF1000

 

今度は【チェイン】…………何をするつもりだ?

 

[【チェイン】の効果発動。1ターンに1度、ORUを1つ使い、2つの効果から1つを選んで発動する。私は『デッキからモンスターをデッキの一番上に置く』効果を発動。デッキの【裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)】をデッキの一番上に置いて魔法カード【強欲な壺】。カードを2枚ドローするわね]

 

藤原雪乃

手札6枚→8枚

 

……【ライトロード】って、手札溢れるデッキになったのか。初めて知った。

 

[カードを2枚伏せてターンエンド]

 

藤原雪乃

LP3000

モンスター

【ライトロード・セイント ミネルバ】:攻

ATK2000

【ラヴァルバル・チェイン】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ2枚

手札6枚

 

[私のターン、ドロー!【ナチュル・バタフライ】を召喚!]

 

【ナチュル・バタフライ】

守備表示

ATK500/DEF1200

 

[カードを3枚伏せてターンエンド!]

[ならエンドフェイズに手札の【ソーラー・エクスチェンジ】を捨てて、両端の伏せカード2枚を対象に速攻魔法【ツインツイスター】発動。そのカードを破壊するわ]

 

出た謎強カード。こいつが出たワケがわからない。

俺の疑問など知る由もなく発生した竜巻に吹き飛ばされたのは【魔宮の賄賂】と【ミラフォ】。

…………たまに思うんだが、【ミラフォ】って発動するのはメインの仕事じゃなくて、破壊されるのがメインの仕事なのでは?授業中に破壊されるのをよく見るからか、そう思いつつある。

 

浜口ももえ

LP4000

モンスター

【ナチュル・バタフライ】:守

DEF1200

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「ももえのターンの短さ」

「な、なんですか!意地悪する龍斗さんなんてこうです!」

「ちょっ、見えない!せめて腕退けてくれ!」

 

ももえにヘッドロックされて乱暴に頭を撫でられる。ちょうど腕が目の近くに来てビデオが見えない。後頭部に来てる柔らかい何かはガン無視だ。

 

「貴方達、イチャつくなら帰ったら?」

「イチャついてない!つか助けろよ!」

 

どうにかヘッドロックから脱出して明日香を見たら笑顔だったが、臆せず突っ込む。すると明日香はそっぽ向いて無視しやがった。

 

[私のターン、ドロー!あら、【サイクロン】を引いたわ。その伏せカードを破壊するわね]

 

トップ【サイクロン】……【ツインツイスター】と混合してるのは、万が一手札が無いときの保険か?必要無いような気がするんだが……

 

[【ラヴァルバル・チェイン】の効果発動。ORUを1つ使い、今回も『デッキからモンスターをデッキの一番上に置く』効果を発動。【ライトロード・ビースト ウォルフ】をデッキの一番上に置くわね]

 

【ウォルフ】?なんでそのモンスターをデッキトップに?タイミングの都合か?

 

[【トリック・クラウン】の効果発動。このモンスターが墓地に送られたから特殊召喚するわね]

 

【Em トリック・クラウン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1200→ATK0/DEF0

 

[そして私は1000ポイントのダメージを受ける]

 

『HAHAHA!』

 

【トリック・クラウン】が笑いながら爆弾を藤原に投げた。

 

[ああんっ!]

 

藤原雪乃

LP3000→2000

 

[……んふふ。ダメージを受けたことで【サウザンド・ブレード】の効果発動。自身を特殊召喚]

 

【H・C サウザンド・ブレード】

攻撃表示

ATK1300/DEF1100

 

[さらに罠カード【ライトロードの裁き】発動。このカードをデッキの一番上に置くわね]

[…………それだけですの?]

[ええ。フィールドで発動する効果はこれだけ]

 

【ライトロードの裁き】……デッキトップに戻る効果とあとはどんな効果だったかな……忘れたな……まぁすぐわかるか。

 

[【ミネルバ】の効果発動。ORUを1つ使い、デッキの上から3枚を墓地に送って、その中の【ライトロード】の数だけドローする。墓地に送ったのは【ライトロードの裁き】、【ウォルフ】、【ライコウ】の3枚。【ライトロード】3枚が墓地に送られたから3枚ドローするわね]

 

藤原雪乃

手札5枚→8枚

 

[墓地に送られた【ウォルフ】の効果と【ライトロードの裁き】の効果を発動。【ライトロードの裁き】の効果は、このカードが【ライトロード】モンスターの効果で墓地に送られたら、デッキから【裁きの龍】を手札に加えるの]

 

【裁きの龍】をサーチするのか……なんか昔友達が『ジャッジメントですの!』とか言ってたけど、アレはなんだったのだろう……?

 

[そして【ウォルフ】を特殊召喚]

 

【ライトロード・ビースト ウォルフ】

攻撃表示

ATK2100/DEF300

 

[そしてレベル4の【ウォルフ】、【サウザンド・ブレード】、【トリック・クラウン】の3体でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!私はこのモンスターで、あなたの全てを支配する。あなたはもう逃げられない。エクシーズ召喚!来なさい!ランク4!【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】!]

 

【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】

攻撃表示

ATK2300/DEF1600

 

「終わったな。次のももえのターンはない。粉々。木っ端微塵だな」

「龍斗さん。あとで撫で回して差し上げますから覚悟してください……!」

 

覚悟ってどうすりゃいいんだ。

 

[今、私の墓地には【ライデン】、【フェリス】、【ライラ】、【エイリン】、【ガロス】、【ウォルフ】、【ライコウ】と【ライトロード】が4種類以上いるわ]

[それが、なんの……まさかそんな条件下で召喚できるモンスターが!?]

[ええ。墓地に【ライトロード】モンスターが4種類以上いる場合、このモンスターは特殊召喚できる。【裁きの龍】を特殊召喚!]

 

【裁きの龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2600

 

[攻撃力3000……!?]

[それと私、前のターンに【ラヴァルバル・チェイン】と【強欲な壺】を使って、もう一枚手札に加えてあるのよ]

 

表情は小さいが、藤原はものすごい笑顔なのに対し、ももえは青ざめている。そこまでしなくて良いんじゃないか?

 

[2体目の【裁きの龍】を特殊召喚]

 

【裁きの龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2600

 

[【ショック・ルーラー】の効果。1ターンに1度、ORUを1つ使って、モンスターを宣言するわね。これで私達は次の相手ターン終了時までモンスター効果を発動できない]

[わ、私の【ナチュル・バタフライ】が!]

 

【ショック・ルーラー】が電磁波を発生させると、【ショック・ルーラー】以外のモンスターが苦しそうな表情を見せたり、力なく吠えたりと動きにくそうになった。

 

[バトル。【ラヴァルバル・チェイン】で【ナチュル・バタフライ】を攻撃]

 

【チェイン】が炎を吐き【バタフライ】を丸焦げにした。

 

[それじゃあ、一斉攻撃]

[笑顔で言わないでくださいましーーー!!]

 

浜口ももえ

LP4000→1000→-2000→-4300→-6300

 

ビデオが停止した。

 

「…………まぁ、合格でいいんじゃないかな」

「龍斗、引いてるわね」

 

引いてねぇよ。ああああんなの、俺の作った【WE】ならやれる。そうだ。もしくはメタればいいじゃないか。心の中でそう何度もつぶやきつつ、藤原の筆記の結果を参考にしつつ、明日香達とともに三沢達のデッキを見てアレコレ言いあった。

 

「それはそうと龍斗さん。撫で回しの刑です」

 

このあと帰るまで撫で回された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、合格発表するぞー」

「龍斗さん、もう少しシャキッとしていただけませんか?」

 

まだ疲れが抜けないからダラけさせてくれよももえ。

翌日、ももえとともに三沢、藤原、十代を教室に集めて合格発表。

明日香達は以前言った俺とももえの小さな復讐に手一杯な様子だったので放置した。

 

「じゃあ、まずは前回落ちた十代から」

「一言多いですよ」

「別にいいじゃないか……遊城十代、合格だ。今日からテスター仲間としてよろしくたのむ」

「おう!よろしくな!」

 

十代は『ガッチャ!』とこちらにポーズを決めてくる。俺は『ただ』と前置きして、言ったほうがいいと判断したことを言っておく。

 

「プトレノヴァインフィニティは控えめにな。あれは友達なくすコンボだから」

「プトレノヴァインフィニティ?」

 

どうやら十代はあのコンボの凶悪さを理解していないらしい。

三沢、藤原も首を傾げている。

俺はため息をこぼしつつ、コンボの説明。三沢は『そんなコンボカードがあったのか』と何かよろしくないことを考え始め、藤原は意味深に微笑んだ。

当の十代はというと……

 

「あのコンボって俺のオリジナルコンボじゃないのか!?」

「残念だったな。俺が先駆者だ」

 

本当は前世の誰かだけど。とりあえず十代は置いておいて次。

 

「次は三沢だ。筆記試験トップ、満点だな。実技もペンデュラムからシンクロを使うなど、面白いものを見せてもらった。合格だ」

 

三沢は自信があったのか特に嬉しそうな様子は見せない。強いて言えば、若干口角が上がっているくらいか。

 

「個人的には、十代、藤原の2人のコンボには見劣りするとは思うけどな」

「……今日の龍斗は一言多いな……」

 

ちょっとテンション下げてやりたくなっただけだ。

 

「最後に藤原。【クラウンブレードライトロード】とはやってくれたな。合格だ」

 

今度は十代と三沢にクラウンブレードを説明する。十代はデッキに入れようとしたが、【HERO】に合わないと言って止めさせた。

 

「あと、笑顔でトータル攻撃力1万オーバーのダイレクトは可哀想だからなるべくやめてやれ」

「…………努力するわ」

 

十代と三沢が一歩無言で下がった。

 

「まぁ、なんにせよ全員合格したことを嬉しく思う。テスターのデビューとして今回使ったデッキを使ってもらうことになるが、それ以降、デッキの調整に俺のカードを使いたいなら言ってくれ」

 

預かっていたデッキを返却。

 

「次に、俺達テスターは夏休みにKC、I2主催のイベントに参加することになっている」

 

デッキを見ていた十代達のうち、三沢は緊張した面持ちをしだした。今から緊張してどうすんだよ……十代は『テレビか!?またテレビなのか!?』と興奮している。

藤原は面白そうと笑っていた。

 

「シンクロには明日香とももえ。エクシーズは十代、藤原、枕田で。ペンデュラムには俺が参戦して三沢と出演を争う形になる。イベントの関係で各召喚1人しか出れないから、出たけりゃ勝ち残れ。以上だ」

 

とりあえずテスターは確保した。このあと会長に報告して、デッキの調整して……ああそうだ、セブンスターズもどうにかしないとな……やることが多い……

 

「「すみませんでした」」

 

1週間後、ギブアップ宣言とともに枕田と明日香が揃って土下座してきて、一瞬固まった。




龍斗の言ってる【WE】はようするに【EMEm】です。
彼が転生する前は【Em】は出てなかったので。
次回は復活のベリーメロンです。


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薔薇 タイタンVS.明日香

今回は5000字行きませんでした……それもこれも明日香が……


「俺のターン、ドロー!【強欲な壺】!カードを2枚ドローする!俺はスケール3の【相克の魔術師】とスケール8の【相生の魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!これでレベル4から7のモンスターが同時に召喚可能!」

 

三沢と同部屋、さらに同じ召喚を扱うこともあり、暇さえあればデュエル。現在36戦19勝17敗。

 

「エクシーズ召喚!ランク7!【覇王黒龍オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン】!」

 

【覇王黒龍オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

最初は【EM】、【妖仙獣】が回らず苦戦したが、【WE】と【魔術師】が勝ちを俺にくれた。今は調整も終わった【EM+魔術師】でデュエルだ。たまに何かの意思を感じるのは何故だろう?こうやって、枠が余ったからと入れてみた【相生】が【相克】とセットでやってきたり……

 

「バトル!【覇王黒龍オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン】でダイレクトアタック!」

「…………負けたよ」

 

三沢大地

LP0

 

デュエルが終わったころ、PDAに連絡が入った。なんでも、明日香がタイタンに拉致されたらしい。ふむ……タイタン…………?あいつ、生きてたんだっけ?まぁいいや。とにかく、急ごう。あいつが勝てば、セブンスターズが残り……えっと……ダークネス……カミューラ……三沢が惚れたやつ……黒蠍盗賊団……アビドス…………今2人だからあと1人になるのか。そして明日香が負ければ…………あの右手から一時的に解放される!

…………いや、止めよう。言ってて辛くなってきた。それに仲間の敗北は喜べない。そう考えながら十代に言われた廃寮へ。十代は万丈目、丸藤、前田、カイザー、クロノス、そして明日香の兄、吹雪先輩がいた。そのままひたすら走って以前デュエルした場所へ。

そこではちょうど明日香とタイタンのデュエルが始まったところだった。

 

「私の先攻、ドロー!私は儀式魔法【マタドール降臨の儀式 ダーク・パセオ】を発動!手札の【デーモンの召喚】を生贄に、【デーモンズ・マタドール】を儀式召喚!」

 

【デーモンズ・マタドール】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

攻守0……それを攻撃表示……【デーモン】なんてほとんど使わないからか効果を把握してないが……まぁ、明日香ならなんとかなるだろう。シンクロを使う明日香なら【ブリューナク】か【トリシューラ】で除去できるだろうし。

 

「更にフィールド魔法【ダーク・アリーナ】を発動!」

 

タイタンが魔法カードを召喚したことで、明日香とタイタンが闇に包まれた。

 

「何も見えんぞ!」

「これはアレかな。自分が処刑されるのを察してこんなことしたのかな」

「しょ、処刑?」

 

俺の不穏な一言に、丸藤が声をかすかに裏がえした。

 

「まぁ、必要無いとは思うけど、先輩、明日香に声をかけてやれ」

 

先輩は声は出さないが『えっ』と俺を見る。なんで俺がこんな真似をしなきゃならん……今度何か奢らせよう。

 

「俺は知らんが、大切な誰かに応援されれば力が湧くものなんだろう?記憶を戻したいなら、自力で動け。何から何まで妹に甘えるな」

 

ようやく先輩は前を、明日香を包む闇を見つめ、少しずつ、かすかに、やがてはっきりと、

 

「明日香!」

 

明日香の名を叫んだ。

直後、俺達のいる場所に突風が巻き起こった。

フィールドの闇はかき消され、余裕そうな顔の明日香と、動揺しているようなタイタンがいた。

 

タイタン

LP4000

モンスター

【デーモンズ・マタドール】:攻

ATK0

魔・罠

手札0枚

 

VS

 

天上院明日香

LP4000

モンスター

魔・罠

手札5枚

 

「【ローンファイア・ブロッサム】を召喚!」

 

いつの間にか明日香のターンになっていたらしい。フィールドが消え、奴の手札が0ということは、全て伏せたにもかかわらず、明日香の【大嵐】を防げなかったのか。で、今回の明日香のデッキは【植物族】……かな?一昨日【植物族ビート】について聞いてきたし。明日香はイベントに向けて様々なシンクロ主体のデッキを試しているらしく、なんかいろいろカードをパクられた。俺のカード…………

 

【ローンファイア・ブロッサム】

攻撃表示

ATK500/DEF1400

 

「【ローンファイア・ブロッサム】の効果発動!このモンスターをリリースして、デッキから植物族モンスターを特殊召喚する!2体目の【ローンファイア・ブロッサム】を特殊召喚!2体目の効果を発動して3体目の効果で【ギガプラント】を特殊召喚!」

 

【ギガプラント】

攻撃表示

ATK2400/DEF1200

 

「いきなり攻撃力2400のモンスターを召喚だとぉ!?」

 

いきなりじゃねぇよ。ちゃんと【ロンファ】3体使ったろ?

 

「【ローンファイア・ブロッサム】の効果で召喚できるモンスターは、植物族であればレベルも、攻撃力も関係ないの!」

「でもなんで同じモンスターを3枚も墓地に……?」

 

微妙にドヤ顔している明日香の説明に丸藤が小さく呟く。

 

「第一に墓地肥やしだな。同じカードでも、あのデッキにとって墓地はアドが稼げる場所だからな。

第二に、ムダなことをしたい趣味なんだ」

 

まだ記憶の混乱があるのか、先輩からすら突っ込みは来なかった。

 

「装備魔法【スーペルヴィス】を【ギガプラント】に装備!これで【ギガプラント】は再召喚扱いになった!」

「再召喚?聞いたこともないぞ」

「【ギガプラント】のような一部のモンスターは『デュアルモンスター』といって、『フィールドと墓地では通常モンスターとして扱う』共通効果がある。フィールドにいるときに再召喚することで効果モンスターとなり、効果を発動できるようになるんだ」

 

長ったらしいセリフに十代と先輩以外が『なるほど』と言うような表情になった。しかし万丈目が『すぐに効果を発動できず、1ターンに1度しかできない通常召喚を放棄しなきゃならないモンスター』と中々辛辣なコメント。

結構強いんだけどなぁ……デュアル。

 

「【ギガプラント】の効果発動!手札・墓地から植物族・昆虫族モンスターを特殊召喚する!蘇りなさい!【ローンファイア・ブロッサム】!そしてリリース!」

 

もう姿を完全に表す前にリリースされた【ロンファ】。少し同情してしまう。

 

「【グローアップ・バルブ】を特殊召喚!」

 

【グローアップ・バルブ】

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「攻撃力100ぅ!?私をなめているのか!?」

 

全然。それどころか抹殺にかかってるよ。

 

「レベル6の【ギガプラント】にレベル1の【グローアップ・バルブ】をチューニング!」

「チューニングぅ!?あの小僧のように、謎の召喚を……!」

 

『小僧』って俺か?『謎の召喚』ってエクシーズのことか?

 

「清廉なる花園に芽吹き孤高の薔薇よ、青き月の雫を得てここに開花せよ!シンクロ召喚!出でよレベル7!【月華竜 ブラック・ローズ】!」

 

【月華竜 ブラック・ローズ】

攻撃表示

ATK2400/DEF1800

 

「墓地の【スーペルヴィス】の効果!チェーンして【月華竜 ブラック・ローズ】の効果発動!このモンスターの特殊召喚、または相手フィールドにレベル5以上のモンスターが特殊召喚されたとき、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを手札に戻す!戻すのは当然、【デーモンズ・マタドール】!」

 

問答無用といった感じで棘だらけの蔓で【デーモンズ・マタドール】を捉え、投げ捨てた。

 

「そして【スーペルヴィス】の効果。フィールドに表側表示で存在するこのカードが墓地に送られたとき、墓地の通常モンスターを特殊召喚する!」

「でも、明日香さんの墓地に通常モンスターはいないんじゃ……」

「丸藤、俺言ったよな?『デュアルモンスターは墓地では通常モンスター扱いになる』って」

 

コイツ俺の話聞いてたか?俺の心情を察したのか、カイザーがほんの少しだけ申しわけなさそうな顔をした。

 

「蘇れ!【ギガプラント】!」

 

【ギガプラント】

攻撃表示

ATK2400/DEF1200

 

「墓地の【グローアップ・バルブ】は、デッキの一番上のカードを1枚墓地に送ることで、デュエル中1度だけ特殊召喚できる!」

 

【グローアップ・バルブ】

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「レベル6の【ギガプラント】にレベル1の【グローアップ・バルブ】をチューニング!冷たい炎が世界の全てを包みこむ。漆黒の花よ、開け!シンクロ召喚!現れよ!レベル7!【ブラック・ローズ・ドラゴン】!」

 

【ブラック・ローズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2400/DEF1800

 

ダブル【ブラック・ローズ】のそろい踏み。圧巻だな。

 

「バトル!2体の【ブラック・ローズ】でダイレクトアタック!ツインローズ・ストーム!」

 

辺りをむせ返るような薔薇の花弁が突風に乗って舞う。

タイタンの叫びは、花弁同士が擦れる音と風の音でかき消された。

 

タイタン

LP4000→-800

 

薔薇の嵐が止むと、どこかの殺人現場のようにタイタンの周りは薔薇の花弁の山が作られ、タイタンの口は薔薇でいっぱいだった。

しかし薔薇はソリッドヴィジョンが消えると消滅した。

直後、タイタンの周りに以前見た灰色のスライムが。

タイタンはもがき、俺達に助けを求めるが俺達が動く暇すらなく仮面を残してスライムに飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃寮の前にて、明日香と先輩が感動の再会として抱きしめあっている。これで俺へやってくる右手の恐怖がなくなることを、空気読まずに内心祈る。切に。

 

「でも兄さん。どうして闇のデュエルの世界に……?」

「自ら望んで入ったわけじゃない。僕達は、この寮で特別授業を受けていた」

 

そしてある日、デュエルリングでテストデュエルの最中、闇の世界に取り込まれたと言う。

 

「そこは、悪夢のような世界……そこで、この世のものとは思えないデュエルの修業を続けてきた」

 

デュエルの修業?あれか。崖から落ちて軽傷で済ませるトレーニング。『この世のものとは思えない』ってことはそれの超ハード版。絶対受けたくないな。そんなトレーニング。

明日香は誰がそんな世界に取り込ませたのかと尋ねるが、先輩は今でもわからないと首を振る。

 

「だがあの日、僕を呼び出し、テストデュエルをしていたのは……大徳寺先生だった」

 

その言葉に全員が驚愕する。

直後、この場にいる全員で大徳寺先生の元へ押しかける(俺は帰ろうとするが、丸藤と前田に拉致された。こんな大人数要らないだろ)。

しかし大徳寺先生の部屋には、猫のファラオがいるだけで大徳寺先生の姿はない。

クロノス先生を職員室に行かせるが、やはり姿はなかったらしい。

俺達は思いつく限り、大徳寺先生のいそうな場所を探すが、どこにも大徳寺先生の姿はなかった。




次回は学園祭です。


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学園祭 十代VS.【マジシャンズ・ヴァルキリア】?

区切りが良いところが見つからず投稿に間ができました。
今回と次回は学園祭です。


セブンスターズとのデュエルや、夏休みのイベントに向けてのデュエルがあっても学校の行事はやってくる。

ここデュエルアカデミアでも学園祭が行われる。

学園祭は2日行われるが、基本的にはブルーかイエローの出し物を見るようだ。その証拠に学園祭1日間だというのにレッド寮ではまだ準備している。

俺を含めた鍵の所有者と三沢、カイザーはレッド寮に集合し、依然行方不明の大徳寺先生の情報を共有している。

と言っても結局何の情報も得られなかったわけだが…………

 

「どこ行っちゃったんだろうな、大徳寺先生」

 

十代が石灰を掻き集める丸藤達をぼんやり見ながら呟く。明日香は『闇のデュエリストにやられたのでは』と言うが、明日香の兄、天上院吹雪先輩がそれを否定、三沢も『先輩を闇の世界に連れていったのは大徳寺先生だから』と吹雪先輩に賛同した。

カイザーは三沢に対して『だからと言って、大徳寺先生が敵側にいるとは考えにくい』という。

十代は大徳寺先生は味方だと信じているようだ。

最終的な居場所はともかく、今もそこにいるとは限らないから俺も動くことができない。

そんなシリアスムードの中、万丈目が何故か猫じゃらしを持ってレッド寮の前をウロウロしている。

何をしているのか聞いてみると、

 

「ファラオのいるところに大徳寺はいる」

 

と言ってファラオを猫じゃらしでおびき出そうとしているらしい。地道な捜査頑張ってくれ。そう内心応援していると、十代が丸藤に気付いた。

 

「コスプレデュエルぅ!?」

 

丸藤に何をしているのか聞いた十代の反応だ。コイツは自分の寮が何をするのかすら知らなかったらしい。因みにラー・イエローは屋台を幾つか出している。料理は……失礼、家事全般ダメな俺は適当なタイミングで呼び込みをすることになっている。

前田作らしい看板には【ブラック・マジシャン】と【ブラック・マジシャン・ガール】がデュエルディスクを装着している絵が描かれている。

……前田、早くカードデザイナーになれよ。

カイザーと吹雪先輩が興味深そうに看板を見る。イエローのところまでは行ったことはあるが、レッドまでは来たことはないらしい。

 

「レッドに誰も来ないのはレッド寮には女の子がいないからッス」

「いや、イエローにも女子はいないぞ」

 

真剣な様子で腕を組んでいる丸藤に三沢が突っ込むが、丸藤の耳には届かない。三沢、強く生きろよ。

丸藤曰く、こういうのには華がないといけないらしい。そこで、と笑顔で明日香に声をかけ、

 

「レッド寮を助けると思って、お願いします!」

 

土下座した。

明日香はブルーだからという理由で断ろうとするが、吹雪先輩が『明日香のコスプレなら僕も見たい』とまさかの支援。三沢も参加する意欲を示し、十代は言わずもがな。前田が何か言いかけたがそれを遮るように丸藤がはしゃいだ。諦めた明日香らとともに衣装がある食堂へ。

食堂に入ると、【ブラック・マジシャン・ガール】のコスプレをしたトメさんがいた。一瞬吐き気のようなものがやってきたが、目を閉じて頭の中で素数を数えることで落ち着ける。

素数を数えている最中、丸藤の慟哭というのか、嘆きというのか、心の叫びのような声が聞こえる。

前田が言うには毎年【ブラック・マジシャン・ガール】はトメさんが着るらしい。そしてトメさんはコレが十八番らしい。衣装もピッタリだと言うが、俺にはピチピチというか、ギリギリにしかーーー

 

ビリィッ!

 

ーーー今、トメさんの衣装が裂けた音が聞こえた。

 

「おかしいねぇ、去年はピッタリだったのに、縮んだ?」

 

誰もトメさんが太ったとは言えなかった。

 

「お兄ちゃん、いるー?」

 

丸藤の絶望を振り払うかのようなタイミングで、ゆまと藤原が食堂にやってきた。

 

「何してるの?」

「ああ、えっと…………」

 

状況把握できていない2人に状況を最初から説明する。ゆまはコスプレデュエルにしか興味無いのか、トメさんに一瞬も目線を向けず、『楽しそう』と目を輝かせた。

 

「翔さん!女の子用の衣装はどこ!?」

「えっ?参加するんスか?」

「うんっ!」

「じゃあ、あっちッス!」

 

ゆまが参加することになったらしい。楽しそうに衣装を選んでいる。

 

「龍斗は参加しないの?」

「俺のキャラじゃないだろ」

 

藤原の問いに淡々と答えると、藤原は『それもそうね』と笑う。あまり付き合いはなくても、それくらいは把握してくれているようだ。

そういう藤原は?と聞いてみると、『キャラじゃない』と俺と似たような回答を寄越した。女子陣の衣装決めと準備だけで、レッド寮の学園祭初日が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌早朝。

 

「お兄ちゃん起きて!朝だよ!三沢さんも起きてください!」

 

テンション高めのゆまに三沢共々起こされる。

 

「おはよう、お兄ちゃん!」

「……おはよう。ゆま、なんでここに?」

「樺山先生に『お兄ちゃんを起こしに来ました』って言ったら入れてくれたよ!」

 

なんか凄い恥ずかしくなってきた。なんとか気恥ずかしさを押さえて、『着替える』と言って部屋から出てもらう。ついでに、ゆまに叩き起こされた三沢に軽く謝ると『女子に起こされるなんてなかなか無い経験だから気にするな』と言ってくれた。

着替えたあと、軽い朝食を済ませて、ゆまに引っ張られる形でデッキが入ったアタッシュケースとともにレッド寮へ。

 

「お兄ちゃんは何のコスプレするの?」

「まずは、なんでお前の頭の中で俺がコスプレすることになってるのか疑問なんだが……」

 

俺の呟きなど気にせず、ゆまは食堂へ入る。食堂には普段よりテンションを上げている前田と【ハーピィ・レディ】(サイバー・ボンテージ……だったか?を装備している)のコスプレをしている明日香の姿が。

 

「あ、明日香さん!おはようございます!」

「おはようゆま。龍斗もおはよう」

「ああ、おはよう。……凄い派手な格好だな」

 

挨拶もそこそこにゆまは着替えに奥へ行った。俺は明日香の格好に一言感想を伝える。そんな格好、恥ずかしくないのだろうか?

 

「ジュンコとももえも誘って【ハーピィ・レディ三姉妹】やりたかったんだけど、逃げられちゃったわ」

 

スルーしているあたり派手だと思ってはいるらしい。そして逃げたという枕田にももえ、賢明な判断だと思うぞ。

 

「十代は?」

「なんか、衣装をたくさん持っていって着替えてるんだなあ」

 

たくさん持って?そう思っていると、ちょうど十代がやってきた。

…………【魔導戦士ブレイカー】に【切り込み隊長】、【ギア・フリード】……カオスな格好をしてやがった。

 

「なんて格好してるんだお前は……」

「アレコレ選んでたら、何に扮してるのかわかんなくなっちまって……」

「それはコスプレとは言わないわ……」

 

苦笑する明日香に丸藤と前田が『お祭りだから』とフォロー。そして微かに聞こえた機械音。何事かと外に出ると、【XYZードラゴン・キャノン】に扮した万丈目がキュラキュラとキャタピラを動かしてやってきた。何か独り言を言ってるが、【おジャマ】が絡んでいるんだろう。見えないし聞こえないが。

やってきた万丈目に十代達がアレコレ褒めているが、それより気になることがある。

 

「万丈目、そのキャタピラ……」

「ほう、気づいたか。宮田の言う通りモーターやら仕込んで楽に移動できる代物だ」

「…………たかが学園祭に金かけ過ぎだろ……」

 

俺のツッコミに万丈目は『何事も本気でやってこそ意味がある』と返して再びキュラキュラとどこかに行った。良いこと言ってたと思うが、何故か納得がいかない。

 

「…………まぁいいや。それよりゆまは……」

「お兄ちゃん、着替え終わったよ!」

 

ちょうど着替えが終わったゆまが食堂から出てきた。ショートカットだからか若干違和感あるが、【マジシャンズ・ヴァルキリア】の格好のゆまがいた。

 

「えへへ……どうかなお兄ちゃん?」

 

クルクル回って全体を見せるゆま。若干顔が赤いのは恥ずかしいからだろうか。

 

「似合ってるんじゃないか?」

「えへへ〜」

「良いんだなあ!ショートカットもアリなんだなあ!」

 

嬉しそうにはにかむゆま。前田のテンションがさらに上がっていたが、学園祭だからだろう。

 

「あとはお兄ちゃんだね!」

「いや、俺は参加しない……って引っ張るな、話を聞けゆま!」

 

セブンスターズの件で心配かけたのが引っかかったのか、まともに抵抗できずに食堂の中へ連れていかれる。

 

「お兄ちゃんはコレ!」

 

既に衣装が決まっていたらしい。コレは…………それっぽいデッキあったかな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[あー、あー、テステス。只今より、レッド寮伝統のコスプレデュエルを開催します!]

 

丸藤の進行により始まったコスプレデュエル。俺はその様子を食堂の中から見ている。島の端だからそんなに人が来ないと思っていたが、思いの外多くの人が来ているのが見えた。

 

[実況は私レッド寮の丸藤翔が、解説はーーー]

[【XYZードラゴン・キャノン】だ]

[以上でお送りします!]

 

口元にマイクでも仕込んでいるのか、普通に喋っただけなのに、スピーカーから万丈目の声が聞こえた。本当に無駄な金をかけてやがる。

 

[まずは……【カオスモンスター・十代】に挑むデュエルモンスターはどいつだ?]

 

客席にもいるコスプレした生徒に万丈目が挑戦を促すが、『なんだアレ?』などと言った十代へのツッコミしかやってこなかった。

そんなことをよそに、吹雪先輩が明日香のコスプレ姿を写真に収め、明日香がカメラを奪おうとしていた。そういえば、吹雪先輩ってあんなキャラだったな。

 

「はい!私が挑みます!」

 

ツッコミの壁からやってきたのは、【マジシャンズ・ヴァルキリア】、つまりはゆまだった。

 

[ほう、宮田ゆまか。良いだろう、早速準備しろ]

 

元気良く返事してデュエルフィールドに駆け寄るゆま。お前、スカート短いんだから全速力はやめろよ。客席の一部男子が覗こうとしてるぞ。

 

[では、第一試合は【マジシャンズ・ヴァルキリア】!]

「よろしくお願いします!」

『『『うおぉぉぉぉぉぉおお!!』』』

 

怒号のような歓声が周囲を包む。ゆま人気だな。いや、女子のコスプレが見れたからか?

 

[対するは、【カオスモンスター・十代】!]

『なんだソレ!』

『引っ込め!』

『衣装使いすぎだろ!』

『俺と代われ!』

 

紹介された途端にやってくる罵声。聞こえてきた罵声の一部に思わず同意してしまった。いろんな衣装を使ったせいで、その分コスプレの種類が減っているのだから、ちょっと文句も言いたくなる。参加するかどうか別として。

十代はそんな罵声ラッシュに『やってられるか!』と言って衣装を全部脱いでいつもの制服姿になった。おい、コスプレしろよ。

丸藤や万丈目も『コスプレデュエルの意味が』などと言っていたが、紹介した以上仕方ないと諦めた。

 

「【HERO】対決だな」

 

十代がデュエルディスクを構えながらそう呟く。たしかにそうなんだけど、お前【インフィニティ】使うじゃねぇか。

 

「負けませんよ〜!勝ってお兄ちゃんにご褒美もらうんです!」

 

待て。そんな約束してないぞ。そして背筋に薄ら寒いものが。男子の嫉妬か何かだろう。

 

「「デュエル!」」

 

俺の状況など知る由もなくデュエルが始まった。今思ったんだが、【HERO】対決するなら【マジシャンズ・ヴァルキリア】のコスプレしなくてもいいんじゃ……女性型の【HERO】の衣装が無いのか。

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

LP4000

 

VS

 

遊城十代

LP4000

 

「私の先攻、ドロー!【E・HERO バブルマン】を召喚!」

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

初手【バブルマン】?サーチや特殊召喚するカードを引いてない?いや、そんなことはないはず。つまりまたゆまの謎行動か。

 

「【バブルマン】の効果で2枚ドロー!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

手札5枚→7枚

 

[先攻の【マジシャンズ・ヴァルキリア】、いきなり【バブルマン】で手札を増やしてきました!]

[【E・HERO】は【融合】が重要。手札を多く使うとなると、堅実な手ではある]

[なるほど!いいぞー!【マジシャンズ・ヴァルキリア】ー!]

 

丸藤と万丈目が仕事を果たそうとしているが万丈目。今や【E・HERO】はエクシーズする時代なんだ。発売はかなり先だけど。

 

「魔法カード【融合】を発動!手札の【ブレイズマン】とフィールドの【バブルマン】を融合!燃え盛るヒーロー。母なる水のヒーローと力を合わせて、私とともに戦ってください!融合召喚!氷のヒーロー!【E・HERO アブソルートZERO】!」

 

【E・HERO アブソルートZERO】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

[【マジシャンズ・ヴァルキリア】、いきなり超強力モンスターを召喚だー!]

『いいぞー!』

『頑張れー!』

『遊城の野郎をぶっ倒せー!』

 

十代の味方が誰もいない。これはやりにくそうだ。

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンドです!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

LP4000

モンスター

【E・HERO アブソルートZERO】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!」

『『『ブーーー!』』』

[ああっと!十代選手、ドローしただけでブーイングだー!]

 

…………帰ろうかな。いや、俺の相手が女子とは限らない。とりあえず様子を見るか。

 

「俺のフィールドにモンスターがいない場合、ライフ半分を払って【ヒーローアライブ】を発動!デッキからレベル4以下の【E・HERO】を特殊召喚する!来い!【シャドー・ミスト】!」

 

遊城十代

LP4000→2000

 

【E・HERO シャドー・ミスト】

攻撃表示

ATK1000/DEF1500

 

「【シャドー・ミスト】の効果でデッキから【チェンジ】速攻魔法を手札に加える!【マスク・チェンジ】を手札に加える!」

 

遊城十代

手札5枚→6枚

 

「そして【召喚僧サモン・プリースト】を召喚!」

 

【召喚僧サモン・プリースト】

守備表示

ATK800/DEF1600

 

「【サモン・プリースト】の効果発動!手札の魔法カード【エマージェンシーコール】を捨ててデッキからレベル4モンスター、【E・HERO エアーマン】を特殊召喚!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

【エマージェンシーコール】を捨てた……そしてレベル4が3体……十代が本気すぎて怖い。

 

「【エアーマン】のモンスター効果発動!デッキから【バブルマン】を手札に加える!」

 

遊城十代

手札4枚→5枚

 

「カードを4枚伏せる!」

[い、いきなり4枚も!?]

[そもそもやつのデッキは【HERO】デッキ。【サモン・プリースト】なんて入れる必要はないはず。何を企んでいる……]

 

万丈目、今は入るんだ。十代のデッキだと【ブリキンギョ】までやってくるんだ。【ヴェーラー】か【うさぎ】を握っておきたい。

 

「そして手札がこのカードだけのとき、コイツは手札から特殊召喚できる!来い!【バブルマン】!」

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

「今です!速攻魔法【融合解除】!【アブソルートZERO】の融合を解除して、融合素材になっていた【バブルマン】と【ブレイズマン】を特殊召喚!」

「げぇっ!マジかよ!」

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

【E・HERO ブレイズマン】

守備表示

ATK1200/DEF1800

 

上手いな。このタイミングで【融合解除】か。【マスク・チェンジ】ならなお良かったが。

 

「フィールドを離れたことで、【アブソルートZERO】の効果発動!チェーンして【ブレイズマン】の効果発動です!【ブレイズマン】の効果でデッキから【融合】を手札に加えます!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

手札3枚→4枚

 

「そして【アブソルートZERO】はフィールドを離れたことで、相手フィールドのモンスターを全て破壊します!ブリザード・ブレイク!」

 

十代のモンスターがたちまち凍りつき、砕かれた。

 

[【マジシャンズ・ヴァルキリア】強い!十代選手の展開したモンスターを全滅させたー!]

[良いタイミングで【融合解除】したな。曲がりなりにも宮田龍斗の従妹といったところか]

 

ゆまは歴とした俺の従妹だ。多分。こっちに転生して1年経ってないから不安だが。

 

『もっとやれー!』

『そのまま遊城十代を倒せー!』

 

さっきから十代への恨みが強い生徒がいるな。十代に負けたのか?

 

「やるなゆま。でも俺も負けないぜ!伏せた魔法カード【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドロー!」

 

遊城十代

手札0枚→2枚

 

『何してんの!?』

『なんでカード引いてんの!?』

『寧ろなんでそこに居るの!?』

「お前達そんなに俺が嫌いか!?」

 

激しく同意するぞ十代。お前ら十代のこと嫌いすぎる。

 

『『『…………』』』

「今度は無視か!?」

 

十代がアウェーすぎて泣けてくる。

 

「……やりにくいなぁ……カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

遊城十代

LP2000

モンスター

魔・罠

伏せ4枚

手札1枚

 

「私のターン、ドロー!」

『『『ドロー!』』』

 

観客の仲が良すぎて気持ち悪い。

 

「【融合】発動!フィールドの【バブルマン】と【ブレイズマン】を融合!燃え盛るヒーロー。母なる水のヒーローと力を合わせて、私とともに戦ってください!」

「『『『融合召喚!』』』」

 

ゆまに合わせて観客も叫ぶ。いつのまにそんな訓練を……

 

「もう一度お願い!氷のヒーロー!【E・HERO アブソルートZERO】!」

 

【E・HERO アブソルートZERO】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「さらに【E・HERO エアーマン】を召喚!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

「【エアーマン】の効果で、デッキから【E・HERO オーシャン】を手札に加えます!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

手札3枚→4枚

 

「バトルです!【アブソルートZERO】でダイレクトアタック!」

「罠発動!【聖なるバリア ーミラーフォースー】!相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

「はうっ!?」

 

全滅するゆまのモンスター。【ミラフォ】ってこれが仕事なんだよな。でも何故か破壊されることが仕事だと錯覚してしまう不思議。

 

[あぁっ!【マジシャンズ・ヴァルキリア】のモンスターが全滅!]

『引っ込めー!』

『【ミラフォ】は破壊されることが仕事だろ!?何使ってんだよ!』

 

強く生きろよ、十代。

 

「ぅぅ……ターンエンドです」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!【E・HERO シャドー・ミスト】を召喚!」

 

【E・HERO シャドー・ミスト】

攻撃表示

ATK1000/DEF1500

 

【シャドー・ミスト】……リバースカードに【マスク・チェンジ】があったな。

 

「バトル!【シャドー・ミスト】でダイレクトアタック!」

「【ミラーフォース】返しです!」

「速攻魔法【マスク・チェンジ】!【シャドー・ミスト】を墓地に送って【ダーク・ロウ】を特殊召喚!」

 

【M・HERO ダーク・ロウ】

守備表示

ATK2400/DEF1800

 

あえて守備表示で特殊召喚したことで【ミラフォ】を躱したか。それでも【ダーク・ロウ】は面倒だけど。

 

「【シャドー・ミスト】の効果でデッキから【バブルマン】を手札に加える!」

 

遊城十代

手札1枚→2枚

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

遊城十代

LP2000

モンスター

【M・HERO ダーク・ロウ】:守

DEF1800

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「私のターン、ドロー!【融合回収】発動!墓地の【融合】と【バブルマン】を手札に加えます!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

手札4枚→6枚

 

「【バブルマン】を召喚!」

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

「【バブルマン】の効果で2枚ドロー!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

手札5枚→7枚

 

[【マジシャンズ・ヴァルキリア】凄い!手札が増えてます!]

[しかも手札には【融合】がある。3ターン連続で融合できるぞ]

「【ダーク・ロウ】の効果発動!ドローフェイズ以外で相手がデッキからカードを手札に加えた場合、相手の手札をランダムに1枚除外する!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

手札7枚→6枚

 

「あっ!【強欲な壺】が!」

 

【ダーク・ロウ】がゆまのドローしたカードを掻っさらった。何気嫌なカード握ってやがった。しかし観客は十代を罵倒する。強く生きろよ。

 

「う〜……だったら、【融合】発動!フィールドの【バブルマン】と手札の【プリズマー】を融合!母なる水のヒーロー。姿変えるヒーローと一つとなりて、私にさらなる力をください!」

「『『『融合召喚!』』』」

「光のヒーロー!【E・HERO The シャイニング】!」

 

【E・HERO The シャイニング】

攻撃表示

ATK2600/DEF2100

 

「【The シャイニング】は、除外されている私の【E・HERO】1体につき、攻撃力が300ポイントアップします!」

 

【E・HERO The シャイニング】

ATK2600→ATK3200

 

【ダーク・ロウ】の効果で除外されるのを逆手にとったか。ただ【融合】まで除外されたのは少し痛いな。残る【融合】は墓地に1枚、手札かデッキに1枚。デッキにあるとすると【フォレストマン】で墓地から回収……いや、その前に【ダーク・ロウ】を叩けば良いのか。

 

[【ダーク・ロウ】が十代選手のフィールドにいる限り、【マジシャンズ・ヴァルキリア】のカードは墓地に行かずゲームから除外されてしまいます!]

[それを逆手に取りモンスターの攻撃力を上げたか]

『外道!この外道!』

『落ち着け!ここは遊城のモンスターを利用した【マジシャンズ・ヴァルキリア】を褒めるべきだろう!その方が好感度アップに繋がる!』

『お前頭良いな!』

 

どいつもこいつも馬鹿ばっかりだ。

 

「バトル!【The シャイニング】で【ダーク・ロウ】を攻撃!シャイニング・シュート!」

 

それって【シャイニング・フレア・ウィングマン】の攻撃じゃなかったか?

 

「罠発動【強制脱出装置】!【The シャイニング】を手札に戻すぜ!」

 

十代……お前、そんなことしたら……

 

『お前マジで何してんの!?』

『馬鹿なの?馬鹿なの?超弩級の馬鹿なの?』

 

ほら馬鹿どもに怒られた。今のお前は全面的にアウェーなんだから、そんなガチなカード使ったらそうなるのは当然だろ。俺も使うかもしれないけど。

 

「ぅぅ……た、ターンエンドです……」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

LP4000

モンスター

魔・罠

手札4枚

 

ゆまが振り返ってこちらを見ている。

若干泣きそうだ。事故ったのか?

 

「俺のターン、ドロー!【死者蘇生】発動!蘇れ【エアーマン】!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

「バトル!【エアーマン】でダイレクトアタック!」

 

【エアーマン】が何故か十代を見る。少しすると、どこか諦めたように跳躍し、ゆまに軽く一礼。

 

「ぁぅ、い、痛いのは……あんまり……」

 

ソリッドヴィジョン相手のはずなのに【エアーマン】が小さく頷いて、ゆまの額を右手の人差し指と中指でトンと軽く突いた。

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

LP4000→2200

 

『【エアーマン】……あいつ……!』

『遊城のモンスターだが、何故かあいつは許せるぞ!やってることはキザだったが!』

 

妙に【エアーマン】が好評だった。

 

「【ダーク・ロウ】でダイレクトアタック!」

「た、たしか【ダーク・ロウ】の攻撃は……飛び蹴り!」

『『『飛び蹴りだとぉ!?』』』

『遊城ィ!お前女の子に飛び蹴りすんのか!』

『それでも男か!』

 

…………明日香、飛び膝蹴りされてたな。十代の【ダーク・ロウ】に。

【ダーク・ロウ】がゆまに向かって飛び蹴りする……

 

「え?あれ?」

 

かと思いきや、ゆまにではなくほぼ真上に跳躍し、

 

「…………!きゃあああああ!あう!」

 

空中からかかと落としを決めた。

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】(宮田ゆま)

LP2200→-200

 

『鬼!鬼畜!』

『外道!下衆!』

[【マジシャンズ・ヴァルキリア】、善戦虚しく負けてしまった〜……]

 

【ダーク・ロウ】、または十代に向かう罵詈雑言。ゆまは残念そうにフィールドから客席にいる明日香の元へ行った。

 

[えー、十代選手への罵声は中断しまして、次のデュエルモンスターは誰だ?]

「俺が出よう」

 

流石にあの空気が続くのは避けたいので、女子が来ないことを祈りつつ食堂からフィールドに向かった。




コスプレしないゆきのん……だって、思いつかないんだもん。すみません、謝りますから旧式のデュエルリングを投げるのはやめてください!(土下座
次回は学園祭その②です!


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師弟 VS.【ブラック・マジシャン・ガール】

2週間ぶりの投稿は……すごいことになったデッキです。
構築が無茶苦茶です。
でも祭だから良いんです。


「俺がいこう」

 

食堂から出た俺の姿に騒めく観客席。

 

[おおっと!次のデュエルモンスターは勇者です!勇者がいます!]

 

丸藤はそういうが、そんなにハードル高いか?……まぁ、使ってた人のことを考えるとそうなのかもな。

 

[宮田龍斗め……この俺より目立つ格好を……!]

 

いや、万丈目のコスプレより目立つことはないと思うぞ。お前のコスプレ、中に電子回路積むくらい金かけてるじゃないか。俺のは用意されていた物だし。それに【青眼】程代表的じゃないにしても、お前の【XYZードラゴン・キャノン】も海馬さんが使ってたモンスターだからな?そこも踏まえた上で言ってるのか?

 

[次なるデュエルモンスターは、宮田龍斗選手が扮する【ブラック・マジシャン】だー!]

『『『うおぉぉぉおお!!』』』

 

ゆまに渡されたこの【ブラック・マジシャン】の衣装での登場。とりあえず掴みは良しとしよう。別にエンタメするわけじゃないけど。

 

[では、この【ブラック・マジシャン】に挑戦するデュエルモンスターは誰だ!]

 

万丈目のこのセリフの直後、大声を出していた観客席を含め、あたりが静まり返った。ほんの数秒さえ長く感じてしまいそうな静寂を破ったのは女子の声だった。

 

「あの、私もデュエルしたいです!」

 

声のした方を向くと、『おぉっ』という声が客席から聞こえた。

そこには【ブラック・マジシャン・ガール】にそっく…………そういえば、そんな話あったな。何も考えずにいたから忘れてた。とにかく、俺の相手には【ブラック・マジシャン・ガール】が立候補した。

観客からは絶賛の一言に尽きる言葉が出てきて、丸藤は『トメさんじゃない』と変な感動をしていた。

 

「いいですか?」

「当たり前だ!この、コスプレデュエル実行委員長、万丈目準が許可する!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】が笑顔でそう聞くと、万丈目も口角を上げて答えた。万丈目ってそんなポジションだったのか。

そんなことを思いつつ対戦カードが決定。デュエルフィールドに移動する。

 

[それでは第二試合!【ブラック・マジシャン】VS【ブラック・マジシャン・ガール】!]

 

【ブラック・マジシャン・ガール】は笑顔で客席に手を振る。それだけで男子の一部が、

 

『あの子は俺に手を振ったんだ!』

『いいや、俺だ!』

 

などと低レベルな争いを繰り広げていた。

 

[師弟対決っぽくなりましたねー!【XYZードラゴン・キャノン】さん!]

[だが、【ブラック・マジシャン】の中は宮田龍斗。【ブラック・マジシャン・ガール】の正体が誰かは知らんが、命知らずがいたものだ]

 

別に命取ったりしねぇよ。それに今回のデッキは割とネタで作ったデッキだから、勝つチャンスくらいなら全然あるぞ。

 

「よろしくお願いします!お師匠様!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】が俺に向かって言ってきた。そういう設定か?

 

「……いつでも来い」

 

別に俺がそれにのる必要はないが、無視すると敵を作るので、最低限の返事でやりすごす。直後、丸藤からデュエル開始の宣言がなされた。

 

[デュエル開始ィィィ!]

「「デュエル!」」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP4000

 

VS

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP4000

 

[先攻はボクの独断で【ブラマジガール】!]

 

おい、それでいいのか実況。

 

「私の先攻、ドロー!モンスターを裏守備表示で召喚!」

 

その場で駆け足するように足踏みしながらモンスターをセット。ただそれだけだというのに観客は『良いぞ』だの『カッコいい』だのとべた褒めだ。

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンドです!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

丸藤は【ブラック・マジシャン・ガール】のプレイングを絶賛。ただ3枚セットしただけなのにこの扱い……まぁ、祭だからいいか。

 

「俺のターン、ドロー!スケール3の【竜魔王ベクターP(ペンデュラム)】とスケール8の【竜穴の魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!」

[【ブラック・マジシャン】こと宮田龍斗選手、空気を読まずにペンデュラム召喚だぁ!]

 

丸藤の実況と同時に、首から下が闇をイメージさせる何かに包まれた【竜魔王ベクターP】と、短い金髪と濃紺のローブが特徴の【竜穴の魔術師】が、俺の背後から出てきた青く光る柱の中に現れる。

 

[手札に揃った途端ペンデュラム召喚か。容赦しないな]

 

容赦してるぞ。じゃなきゃこんなデッキは作らない。

 

『汚ねぇぞ!』

『女の子相手だぞ!手加減しろ!』

「これでレベル4から7のモンスターが同時に召喚可能!」

「えぇっ!?」

 

観客の罵声を無視してデュエル進行。【ブラック・マジシャン・ガール】は目を丸くして背後のモンスター達を見ていた。

 

「揺れ動く闇よ!秘術による呼びかけに応じ、かの者を此処に召喚せよ!ペンデュラム召喚!現れろ!レベル4!【終末の騎士】!」

 

【終末の騎士】

攻撃表示

ATK1400/DEF1200

 

「そしてレベル7!【ブラック・マジシャン】!」

[ぶ、【ブラック・マジシャン】!?]

[伝説のデュエリスト、武藤遊戯のエースモンスターを召喚だとぉ!?]

 

丸藤と万丈目の驚愕など知らんとばかりに【ブラック・マジシャン】があの独特のポーズで姿を現わす。

 

【ブラック・マジシャン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

[ななななんとぉ!【ブラック・マジシャン】が【ブラック・マジシャン】をペンデュラム召喚したー!]

「【終末の騎士】の効果発動!特殊召喚成功時、デッキから闇属性モンスターを墓地に送ることができる。デッキから【竜魔王ベクターP】を墓地に送る」

 

【終末の騎士】が剣で俺のデッキから【ベクターP】を抜き取る。…………今、どうやった?

 

[ペンデュラムモンスターを墓地へ?これにはどんな意図があるのでしょうか?【XYZードラゴン・キャノン】さん]

[あのカードである必要性か……流石の俺も、奴の考えは読めん]

[えー……解説者が仕事を放棄したところで、【ブラック・マジシャン】さん、続けてください]

「バトル!【ブラック・マジシャン】で守備モンスターを攻撃!」

「『『『黒・魔・導(ブラック・マジック)!』』』」

 

内心観客とシンクロしたことに驚きながらも【ブラック・マジシャン】は守備モンスター、【見習い魔術師】を破壊した。

 

「【見習い魔術師】の効果発動!このモンスターが戦闘で破壊された場合、デッキからレベル2以下の魔法使い族モンスターをセットできる!【見習い魔術師】をセット!」

 

む、【見習い魔術師】……攻撃するべきか、否か……とりあえず、つつくか。

 

「【終末の騎士】で攻撃!」

「【見習い魔術師】の効果で【ものマネ幻想師】をセット!」

 

…………まぁ、いいか。

 

「カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP4000

モンスター

【終末の騎士】:攻

ATK1400

【ブラック・マジシャン】:攻

ATK2500

ペンデュラム

【竜魔王ベクターP】:スケール3

【竜穴の魔術師】:スケール8

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「私のターン」

[「『『『ドロー!』』』」]

 

お前ら元気だな。

丸藤の声が聞こえたのは気のせいじゃないだろう。

 

「【ものマネ幻想師】を反転召喚!」

 

【ものマネ幻想師】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

「【ものマネ幻想師】の効果発動!召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したとき、相手モンスター1体を選択して、元々の攻撃力と守備力をコピーする!選ぶのは当然お師匠様!」

 

【ものマネ幻想師】が顔にあたるであろう鏡に【ブラック・マジシャン】を写した。

 

【ものマネ幻想師】

ATK0/DEF0→ATK2500/DEF2100

 

「さらに!【マジシャンズ・ヴァルキリア】を召喚!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】

攻撃表示

ATK1600/DEF1800

 

「バトル!【マジシャンズ・ヴァルキリア】で【終末の騎士】を攻撃!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】が魔力弾を【終末の騎士】に放ち、爆散させる。

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP4000→3800

 

[【ブラック・マジシャン・ガール】、【ブラック・マジシャン】に先制ダメージを与えたー!]

[擦り傷とはいえ、なかなかやるな]

『『『いいぞー!【ブラック・マジシャン・ガール】ー!』』』

「速攻魔法【ディメンション・マジック】!【マジシャンズ・ヴァルキリア】を生贄に、手札の【ブラック・マジシャン・ガール】を特殊召喚!」

 

っ!?ワンショット狙い!?

 

「永続罠【永遠の魂】!このカードがある限り、俺のフィールドの【ブラック・マジシャン】は相手の効果を受けない!」

「えぇーっ!?」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】が棺の中に消えると、【ブラック・マジシャン・ガール】が姿を見せた。

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

守備表示

ATK2000/DEF1700

 

[ここで我らが【ブラマジガール】の登場だー!]

『『『うおぉぉぉ!!』』』

[……【ディメンション・マジック】にはさらなる効果がある。それを【ブラック・マジシャン】は【永遠の魂】とかいう罠で、フィールドの【ブラック・マジシャン】を守ったわけだ……]

 

…………マジでビビった。これに【サイクロン】でもされたら終わってた。

 

「あちゃー、通らなかったかぁ……ターンエンドです」

「エンド前に【永遠の魂】のさらなる効果でデッキから【黒・魔・導】か【千本ナイフ】のどちらかを手札に加える。【黒・魔・導】を手札に」

「そ、そんな効果が!?」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

手札1枚→2枚

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP4000

モンスター

【ものマネ幻想師】:攻

ATK2500

【ブラック・マジシャン・ガール】:守

DEF1700

魔・罠

伏せ2枚

手札1枚

 

[【ブラマジガール】ピンチ!]

[次のターン、【黒・魔・導】で魔法・罠が一掃されるからな。あとは【ものマネ幻想師】をどう処理するかだが]

『き、汚ねぇ……女の子相手に容赦なさすぎる』

 

…………そんなに酷いか?遊びだからと無理やりな枠とか結構あるんだが……

 

「……まぁいいや。俺のターン、ドロー!【永遠の魂】の効果で、デッキから【千本ナイフ】を手札に加える」

「そっちまで!?」

[酷い!容赦なし!鬼畜!外道!]

[フィールド一掃だな]

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

手札3枚→4枚

 

いろいろ罵声が飛んでくる。……仕方ないからこのカードはとっておくか。

 

「魔法カード【黒・魔・導】!俺のフィールドに【ブラック・マジシャン】がいるとき発動できる。相手の魔法・罠を全て破壊する!」

 

【ブラック・マジシャン】が魔力弾を拡散させ、【ブラック・マジシャン・ガール】のリバースカード、【マジシャンズ・サークル】と【リビングデッドの呼び声】を破壊した。

 

「さらに【千本ナイフ】発動!【ブラック・マジシャン】がいるとき、相手モンスター1体を破壊する!【ものマネ幻想師】を破壊!」

 

【ブラック・マジシャン】の周囲にナイフがいくつも出現、そして【ブラック・マジシャン】の手にはナイフが6本、指の間に挟まれている。6本のナイフを同時に投げると、周囲のナイフも【ものマネ幻想師】に向かって飛んでいった。

 

「バトル!【ブラック・マジシャン】で【ブラック・マジシャン・ガール】を攻撃!」

「『『『黒・魔・導!』』』」

 

ここだけシンクロしてくるお前ら……まぁいいや。祭だからとりあえず許すとしよう。

【ブラック・マジシャン】の攻撃が【ブラック・マジシャン・ガール】を飲み込んだ。

 

「ターンエンド!」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP3800

モンスター

【ブラック・マジシャン】:攻

ATK2500

ペンデュラム

【竜魔王ベクターP】:スケール3

【竜穴の魔術師】:スケール8

魔・罠

【永遠の魂】

手札2枚

 

[【ブラマジガール】のフィールドにカードは無く、手札は1枚のみ!]

[【ブラック・マジシャン】は戦闘でしか破壊できない。壁モンスターを召喚してもジリ貧だな]

 

万丈目は若干諦めのようなものを漂わせるが、丸藤と観客は【ブラック・マジシャン・ガール】を応援している。

【ブラック・マジシャン・ガール】はまだ諦めてないみたいだけどな。

 

「私のターン、ドロー!【サイクロン】発動!【永遠の魂】を破壊!」

 

【永遠の魂】が破壊されるとほぼ同時に、【ブラック・マジシャン】が消滅した。

 

「あれっ?」

「表側表示の【永遠の魂】がフィールドを離れると、俺のフィールドの全てのモンスターを破壊する」

[あ、流石にデメリットはあるんだ]

[思わぬ活躍だな]

 

偶然にも関わらず、観客と丸藤は【ブラック・マジシャン・ガール】をべた褒め。

 

「よーし、なら魔法カード【死者蘇生】!お師匠様の墓地からお師匠様を特殊召喚!」

 

【ブラック・マジシャン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

「バトルです!お師匠様にダイレクトアタック!せーのっ!」

[「『『『黒・魔・導!』』』」]

「ぐぅ……っ!」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP3800→1300

 

[【ブラマジガール】強い!相手モンスターを利用して圧倒しています!]

[【ブラック・マジシャン】の切り札を奪いつつの攻撃、見事な一手だ]

 

『このまま押し切れ』といった声援に手を振って応える【ブラック・マジシャン・ガール】。こちらの手札は2枚。うち1枚がさっきまでいつでも使える状態だったが、今は腐っている。この引きで勝敗が決まるかもしれない。

 

「ターンエンドです!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP4000

モンスター

【ブラック・マジシャン】:攻

ATK2500

魔・罠

手札0枚

 

[【ブラック・マジシャン】。これがラストターンとなるか!]

「俺のターン、ドロー!……【E・HERO プリズマー】を召喚!」

[『『『【E・HERO】!?』』』]

 

【E・HERO プリズマー】

攻撃表示

ATK1700/DEF1100

 

「【プリズマー】の効果発動!エクストラデッキの【超魔導剣士ーブラック・パラディン】を見せ、デッキの【ブラック・マジシャン】を墓地に送り、このモンスターのカード名を【ブラック・マジシャン】として扱う!」

[【XYZードラゴン・キャノン】さん!これはどういうことでしょう!?]

[カード名を【ブラック・マジシャン】とすることで、【黒・魔・導】や【千本ナイフ】といったサポートカードを使えるようになった。また【超魔導剣士ーブラック・パラディン】などの融合素材にもできるのだろう]

[なるほど!つまり【ブラック・マジシャン】はここでさらに動くと?]

[おそらくな]

「魔法カード【龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)】を発動!」

[【龍の鏡】!?]

 

俺が発動したカードが意外だったのか、丸藤も万丈目も、観客も、対戦相手の【ブラック・マジシャン・ガール】も驚いていた。

 

「墓地の【ブラック・マジシャン】と【竜魔王ベクターP】を除外して融合!黒き魔術師よ、秘法操りし王よ!神秘の渦で一つとなりて、根源たる竜の姿とならん!融合召喚!始まりの竜!レベル9!【始祖竜ワイアーム】!」

 

【始祖竜ワイアーム】

攻撃表示

ATK2700/DEF2000

 

[な、なんと【ブラック・マジシャン】、いきなり強力モンスターを召喚したー!]

[【終末の騎士】で【竜魔王ベクターP】を墓地に送ったのはこのためか……]

 

通常モンスターで、スケール3だったから入れてみただけなんだよな。遊び枠に【竜穴の魔術師】入れてそこから【ベクターP】が出てきて、【ワイアーム】と【龍の鏡】がやってきた。

 

「バトル!【始祖竜ワイアーム】で【ブラック・マジシャン】を攻撃!」

 

【ワイアーム】が【ブラック・マジシャン】を……頭から飲み込んだ。

 

「お、お師匠様ぁー!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP4000→3800

 

「【ブラック・マジシャン】こと【プリズマー】でダイレクトアタック!」

 

【プリズマー】が体の前で右腕を曲げ、腕時計を見るような形になる。そして腕を右に左に少し回す……何をしてるんだ?

 

「ま、眩しっ!チカチカと眩しい!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP3800→2100

 

どうやら太陽光の反射で目を攻撃したらしい。…………地味すぎる。

しかし、なんとか状況を立て直したか。

 

「…………ターンエンド」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP1300

モンスター

【E・HERO プリズマー】:攻

ATK1700

【始祖竜ワイアーム】:攻

ATK2700

ペンデュラム

【竜魔王ベクターP】:スケール3

【竜穴の魔術師】:スケール8

魔・罠

手札1枚

 

[【ブラマジガール】のフィールドにカードは無く、手札も0!]

[このドローに全てがかかっている。逆転のデスティニードローとなるか、それとも……]

「私のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドロー!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

手札0枚→2枚

 

今引き【強欲な壺】……さて、良いカードは引けたか?

 

「んー……モンスターを裏守備表示で召喚して、カードを1枚伏せてターンエンドです!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP2100

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

[あぁ……逆転の一手とならなかったかぁ……]

[手札2枚であの【ワイアーム】とかいうモンスターを突破できるモンスターはそうそう出せんからな]

 

……【バルバロス】に【スキドレ】で……いや、何も言うまい。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………【竜穴の魔術師】か……どうする……手札のカードを使えば【ドラゴサック】が召喚できる。しかし【幻想の黒魔導師】という選択肢も……

 

「俺はセッティング済みのスケールで、ペンデュラム召喚!現れろ!レベル7、【竜穴の魔術師】!」

 

【竜穴の魔術師】

守備表示

ATK900/DEF2700

 

[【ブラック・マジシャン】、ペンデュラム召喚で召喚したのは攻撃力たった900の最上級モンスター!]

[だが守備表示。そして守備力2700……優勢だが、守りを固めてバックアップをといったところか]

「さらに魔法カード【黙する死者】!墓地の通常モンスター、【ブラック・マジシャン】を守備表示で特殊召喚する!」

 

【ブラック・マジシャン】

守備表示

ATK2500/DEF2100

 

「俺はレベル7の【竜穴の魔術師】と【ブラック・マジシャン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

幻さえも現実に干渉させ、新たな幻を見せよ!エクシーズ召喚!出撃せよ!ランク7!【幻獣機ドラゴサック】!」

 

【幻獣機ドラゴサック】

攻撃表示

ATK2600/DEF2200

 

[あ、あのモンスターは!]

[知っているのか?]

[前に龍斗君がボクとのデュエルで使ったモンスターッス!たしか……トークンを2体召喚する効果と、【幻獣機】モンスターを生贄にして、フィールドのカードを破壊する効果を持ってるッス!]

 

丸藤、よく覚えてたな。【幻想の黒魔道師】だと攻撃反応型の罠で全滅するからな。今回はコイツだ。

 

「【ドラゴサック】の効果発動!ORUを1つ使い、【幻獣機トークン】を2体特殊召喚する!」

 

【幻獣機トークン】×2

守備表示

ATK0/DEF0

 

「【ドラゴサック】のさらなる効果発動!【幻獣機トークン】をリリースし、フィールドのカードを破壊する!そのリバースカードを破壊!」

 

【ドラゴサック】が【幻獣機トークン】を射出して破壊したのは、【魔法の筒】だった……危ないところだった……

 

「このターン、【ドラゴサック】は攻撃できない。バトル!【ワイアーム】で守備モンスターを攻撃!」

 

【ワイアーム】が守備モンスター……【見習い魔術師】を飲み込んだ。

 

「【見習い魔術師】の効果で、【執念深き老魔術師】をセットします!」

「【プリズマー】、続け!【執念深き老魔術師】を攻撃!」

 

【プリズマー】が【執念深き老魔術師】を殴り倒す。……老人虐待とか思わない。

 

「【執念深き老魔術師】のリバース効果発動!相手フィールドのモンスターを破壊します!【ワイアーム】を……」

「先に言っておくと、【ワイアーム】は相手モンスターの効果を受けない」

「……選ぶのはやめておいて、【幻獣機ドラゴサック】を……」

「また、【ドラゴサック】は俺のフィールドに【トークン】がいる限り、戦闘及びカード効果では破壊されない」

「……【プリズマー】を破壊します……」

 

【老魔術師】がブツブツと呪文を唱え、破壊される【プリズマー】。

 

[相手モンスターの効果を受けない。効果で破壊されないモンスターを並べて……]

『エグいな』

『ああ』

『ちょっと追い詰められたからって容赦ねぇよ……』

[さらに【ブラック・マジシャン・ガール】は既に【強欲な壺】を使ってしまった。手札を増強することは極めて難しい]

 

散々な言われようだが突っ込むこともなくターンを終了した。

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP1300

モンスター

【始祖竜ワイアーム】:攻

ATK2700

【幻獣機ドラゴサック】:攻

ATK2600

【幻獣機トークン】:守

DEF0

ペンデュラム

【竜魔王ベクターP】:スケール3

【竜穴の魔術師】:スケール8

魔・罠

手札0枚

 

「私のターン、ドロー!おぉっ!凄いの引きましたよー!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】が笑顔を見せて、カードを掲げる。

観客は何を引いたのかと期待している。

 

「魔法カード【命削りの宝札】!手札が5枚になるようにドロー!このカードの発動後5ターン目のエンドフェイズに、私は手札を全て捨てます!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

手札0枚→5枚

 

なんだそのインチキカード。

 

「【マジシャンズ・ヴァルキリア】を召喚!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】

攻撃表示

ATK1600/DEF1800

 

「バトル!【マジシャンズ・ヴァルキリア】で【幻獣機トークン】を攻撃!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】の足下に白い魔法陣が展開される。しばらく目を閉じ、目を開けた瞬間、【幻獣機トークン】の下が照らされ、光の槍が複数現れ、【幻獣機トークン】を突き刺さした。

…………【ブラック・マジシャン】の攻撃より強そうな気がするのは何故だ?

 

「これで【トークン】は全滅!ここでいきます!魔法カード【ライトニング・ボルテックス】!手札1枚を捨て、相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊します!」

 

空から稲妻が走り、俺のフィールドに降り落ちる。【ドラゴサック】には直撃し、【ワイアーム】は体をくねらせてしばらく回避。数回の落雷を回避したものの、抵抗むなしく破壊されてしまった。

 

「私はこれでターンエンドです!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP2100

モンスター

【マジシャンズ・ヴァルキリア】:攻

ATK1600

魔・罠

手札2枚

 

[【ブラック・マジシャン】、追い詰められた!]

[ペンデュラムスケールはセッティングされているが、手札0ではペンデュラム召喚できない。しかも【ブラック・マジシャン・ガール】のフィールドには【ブラック・マジシャン】のライフを0にできる攻撃力を持ったモンスターもいる。このドローで決着がつく]

「俺のターン、ドロー!」

 

…………まだチャンスはあるか。

 

「魔法カード【貪欲な壺】!墓地の【プリズマー】

【竜穴の魔術師】

【終末の騎士】

【ドラゴサック】

【ワイアーム】をデッキに戻して2枚ドロー!」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

手札0枚→2枚

 

[【ブラック・マジシャン】も負けじとここでドローカード!]

「この勝負、もらった!俺はセッティング済みのスケールで三度ペンデュラム召喚!現れろ!【竜穴の魔術師】!」

 

【竜穴の魔術師】

守備表示

ATK900/DEF2700

 

[【ブラック・マジシャン】、勝利宣言したものの、ペンデュラム召喚したモンスターは1体!しかも守備表示!]

[残る手札が鍵ということか]

「魔法カード【死者蘇生】!蘇れ!【ブラック・マジシャン】!」

 

【ブラック・マジシャン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

[【ブラック・マジシャン】復活!]

[だが、【ブラック・マジシャン・ガール】のライフは削りきれない!さっきの【ドラゴサック】で【マジシャンズ・ヴァルキリア】を破壊しても、攻撃できない]

「俺はレベル7の【ブラック・マジシャン】と【竜穴の魔術師】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

幻を操りし者よ、留まることを知らぬ研鑽の果てに得た、新たな秘術をここに見せろ!エクシーズ召喚!惑わせ!ランク7!【幻想の黒魔導師】!」

 

【幻想の黒魔導師】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

【ブラック・マジシャン】に似た衣装から長い金髪を出した魔導師が空中に現れる……お前、浮くのか。

 

「…………どちら様?」

 

小さく呟く【ブラック・マジシャン・ガール】。あれ?お前精霊なんだろ?

精霊界って混乱してるんじゃ……俺のせいらしいけど。……まぁいいや。

 

「【幻想の黒魔導師】の効果発動!ORUを1つ使い、手札・デッキから魔法使い族通常モンスターを特殊召喚する!」

「魔法使い族通常モンスターってことは……」

「現れろ!【ブラック・マジシャン】!」

 

【幻想の黒魔導師】が杖を横に向けると、薄紫色の線で八芒星を円で囲った魔法陣が出現。そこから【ブラック・マジシャン】が現れた。

 

【ブラック・マジシャン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

[【ブラック・マジシャン】もう何度目かわかりませんが、【ブラック・マジシャン】を召喚!]

[手札0からここまで展開するとは……]

「バトル!【ブラック・マジシャン】で【マジシャンズ・ヴァルキリア】を攻撃!この瞬間、【幻想の黒魔導師】の効果発動!魔法使い族通常モンスターが攻撃するとき、相手フィールドのカードを選択して除外できる!」

「じょ、除外!?」

 

【幻想の黒魔導師】と【ブラック・マジシャン】が杖を【マジシャンズ・ヴァルキリア】に向けると、紫と緑が混ざった魔力弾が【マジシャンズ・ヴァルキリア】に向けて発射され、【マジシャンズ・ヴァルキリア】が包まれると急激に収縮し消滅した。

 

「フィールドのモンスターの数が変化したことで巻き戻りが発生。攻撃対象を選び直す。【ブラック・マジシャン】でダイレクトアタック!黒・魔・導!」

 

紫の魔力弾が【ブラック・マジシャン・ガール】を飲み込む。

 

「きゃああああああ!!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP2100→-400

 

衝撃に座り込む【ブラック・マジシャン・ガール】。しかし彼女は『楽しかった』と笑顔で言っていた。

そんな彼女を観客達は褒めていたんだが、言っていることがバラバラで最後のあたりに『よくやった』と言っていたことぐらいしかわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。全生徒、教師が集まってキャンプファイア。枕田とももえが明日香に捕まり連行、【ハーピィ・レディ三姉妹】として帰ってきた。最初は嫌々だったクセに、帰ってきたらノリノリになってた。多分ヤケになったのだろう。『写真を撮るなら順番に』とか枕田が言ってたのに、明日香は『聞いてない』みたいなリアクションだったし。

 

「楽しんでる?【ブラック・マジシャン】さん?」

「この格好じゃなければ、かなり楽しんでると思う」

 

ものすごいニヤニヤしながらやってきた藤原を半眼で睨む。コスプレデュエルを終えて着替えようとしたら、ゆまと藤原に捕まり着替える時間を奪われ、【ブラック・マジシャン】の格好のまま参加させられるハメになった。おかげで写真を撮られることがしょっちゅうだ。10人から先は数えてない。

 

「ゆまは?」

「あそこで撮影会してるわ」

 

藤原が指差した先には、照れているのかほんのり頬を赤らめながらピースサインで写真を撮っている【マジシャンズ・ヴァルキリア】の格好をしたゆまがいた。……楽しそうだからいいか。

 

「兄さん!待ちなさーい!」

 

また吹雪先輩が写真を撮ったのか、【真紅眼の黒竜】のコスプレをして、カメラを持った吹雪先輩を追いかける明日香の姿があった。【真紅眼】なんだろうけど、吹雪先輩の格好は【ロード・オブ・ザ・レッド】に見える。あのカード、まだ発売してなかったはずなんだが……

そんな場面もあったキャンプファイアも終わり、ゆまと寮に帰る途中。

 

「そういえば、十代とのデュエルのとき、お前ご褒美がどうのと言ってたな」

「えっ!?えっと、そのぉ……」

 

下手くそな口笛を吹いて誤魔化そうとするゆま。別に咎めようってわけじゃないんだけどな。

 

「何してもらおうとしてたんだ?」

「…………えっと……な、なんでもない!」

 

それだけ言って逃げるように走っていった。




本当は【ティマイオス】と【呪符竜】使おうかなと思ってたんですが、ちょっとした葛藤の末止めました。
次回は光雄君……は出ないで先に進みます。


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闇 VS.アムナエル

今回はあっさりテイストにできたので投稿です。


錬金術の授業。大徳寺先生が行方不明のためどうなるかと不安だったが、クロノスが代わりに授業するらしい。よりによってクロノスかよ。あの人オカルトとか大嫌いな人種じゃないか。今日は錬金術で代表的な『アムナエルのマーク』とかいう、円の書き損じの中心に点を書いた物を……そういえば、アレ最初の授業でやったような気がする。

 

「錬金術基本トーハ……下にあるものは上にあるもののゴトーク、上にあるものは下にあるもののゴトーシ……」

 

クロノスは大徳寺先生の物であろう本をパラパラと捲り、周囲に一瞬視線を送ったあと、本を閉じた。

 

「要すルーニ、錬金術トーハ!古代エジプトに起こーッタ!金属を金銀に変えターリ、不老不死の薬を作っターリするという、とってもインチキクサーイ、ものナノーネ!そうナノーネ!?」

 

力説するクロノス。最終的には逆に聞いてきやがった。しかし直後、実験と言って太いワイヤーのような物をペンチで曲げ、『アムナエルのマーク』に棒を取り付けたものを作成。それを薄紫色の液体に『アムナエルのマーク』を突っ込む。すると液体に浸された部分が赤く発光、実験成功かと生徒の多くが『おお……』と声を洩らした直後、やはりというか当然というか、大爆発を起こし、衝撃に驚いたのか『アムナエルのマーク』を手放してしまったらしい。その証拠に『アムナエルのマーク』がクロノスの額にひっついている。かなり熱せられているらしく、跡がついていた。

その後、クロノスが十代、明日香、三沢、万丈目、俺に校長室に行くよう言ってきた。ゆまがチラッと俺を見てきたが、呼ばれたメンバーから考えてセブンスターズか大徳寺先生に関することだろうと思いながら授業を終えてすぐに校長室へ。

校長室で言われたのはやはり大徳寺先生の話だった。内容としては島のどこを探しても、大徳寺先生は見つからず、島を出た形跡も無いというものだった。万丈目は『闇のデュエリストにやられたか』と呟いたが、明日香が注意。

 

「大徳寺先生は鍵を持っていないのだから、闇のデュエリストに狙われる可能性は低い」

 

と意見を述べると万丈目に忌々しいとばかりに睨まれた。大徳寺先生はどこかで自分達の助けを求めていると結論付けた十代は、大徳寺先生の捜索を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、貴方は何もしないの?【裁きの龍】を特殊召喚」

「【激流葬】。何もしないっていうよりできないが正しいな。校長達大人がアレコレして見つからないんだ。学生が動いたところで成果は得られないだろう」

 

十代は捜索すると言っていたが、俺は大徳寺先生の行動を予測できるので待つことにした。残りの鍵を持つ万丈目と明日香、俺の3人を倒して十代とデュエルってところだろう。負けるのは嫌なんだが、今回は負けないといけない気がする。主人公の成長のためという感じだ。非常に気が乗らない。

向こうが来るまでは暇なので藤原とゆまの2人のデュエルを見たり、デュエルしたりと暇を潰す。

 

「【裁きの龍】。効果発動」

「【幽鬼うさぎ】」

「…………さっきから【裁きの龍】に対して酷くない?」

「気のせいだ」

 

お前のタイミングが悪いだけだろう。

 

「【アブソルートZERO】に【マスク・チェンジ】で【アシッド】を特殊召喚!【アブソルートZERO】でモンスターを、【アシッド】で魔法・罠を破壊してダイレクトアタックです!」

「えっ、ちょ……負けたわ」

「やった!雪乃さんに勝った!」

 

今日は藤原の調子が悪いのか、ゆまが絶好調なのか、ゆまの勝率が高いな。普段手札事故起こしまくってるのに。

 

「次はお兄ちゃんとデュエル!この調子で勝つよー!」

「いいだろう。相手してやる」

 

5分後

 

「【レッド・デーモンズ・ドラゴン】でダイレクトアタック」

「うわぁぁん!負けたー!」

 

【レモン】で勝利。その瞬間ゆまの手札が宙を舞う。カード投げるなよゆま。

このデュエルが終わると、夕食の時間が近くなってきたので女子寮近くまでゆまと藤原を送り(送らされたとも言う)俺も寮に戻る途中、5mくらいだろうか?少し先に黄緑色に光る円の書き損じ、そしてその中心に点が描かれた物……『アムナエルのマーク』が浮かんでいた。

 

「……俺の番ってことか」

 

早足でマークに近づくと、1m手前で消え、周囲を見回すと、また数m先に浮かぶマークを見つける。そっちか。駆け足でマークを追っていく。森の中に入っていき、道無き道を進んでいくと、開けた場所にたどり着いた。広場の隅、木の下にいたのは灰色がかった外套に、口元を隠すマスクをした人物が待ち構えていた。

十中八九大徳寺先生だろうと思いながら、とりあえず知らないフリをしておく。

 

「誰だ?」

 

大徳寺先生は何も言わず、黒っぽいデュエルディスクを構える。

 

「……問答無用、か」

 

そう呟いて俺もデュエルディスクを構える。

 

「デュエル!」

 

アムナエル

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「私の先攻、ドロー」

 

マスクのせいか声が籠っているが、間違いなく大徳寺先生の声だ。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

アムナエル

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ2枚

手札4枚

 

カードを2枚セットしただけ……?イマイチ意図が読めない……

 

「…………俺のターン、ドロー!」

 

……手札にモンスターしかいない。だが、このデッキのポテンシャルなら……

 

「手札の【海皇の狙撃兵】と【海皇の竜騎隊】を捨て、手札から【水精鱗(マーメイル)ーメガロアビス】を特殊召喚!」

 

【水精鱗ーメガロアビス】

攻撃表示

ATK2400/DEF1900

 

赤い体と柄まで刃で隠れた剣を持つ魚人が現れる。

 

「墓地の【海皇の狙撃兵】の効果を右のリバースカードを選択して発動!チェーンして【海皇の竜騎隊】、【メガロアビス】の順で発動!」

「罠発動【奈落の落とし穴】。【メガロアビス】を破壊して除外する」

 

俺が選んだカードが表になった瞬間、足下に開いた穴に落ちていく【メガロアビス】。ハズレを引いたか。

 

「【メガロアビス】の効果。自身の効果で特殊召喚したとき、デッキから【アビス】魔法・罠を手札に加える。【アビスフィアー】を手札に加える。【海皇の竜騎隊】の効果。このモンスターが水属性モンスターの効果を発動するために墓地に送られたとき、【海皇の竜騎隊】以外の海竜族モンスターを手札に加える。2枚目の【水精鱗ーメガロアビス】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚→5枚

 

「【海皇の狙撃兵】の効果でセットされたカードを選択して破壊するんだが、対象が表になったので不発となる。俺はまだ通常召喚をしていないので、【水精鱗ーアビスタージ】を召喚!」

 

【水精鱗ーアビスタージ】

攻撃表示

ATK1700/DEF1100

 

白い鎧を身に付け、銛を持った人魚が現れた。人魚とは言ったが、男だ。

 

「【アビスタージ】の効果発動。召喚・特殊召喚に成功したとき、手札の水属性モンスターを捨て、墓地からレベル3以下の水属性モンスターを手札に加える。【アビスタージ】を捨て、【海皇の狙撃兵】を回収する。

そして今手札に加えた【海皇の狙撃兵】と【水精鱗ーアビスグンデ】を捨て、【水精鱗ーメガロアビス】を特殊召喚!」

 

【水精鱗ーメガロアビス】

攻撃表示

ATK2400/DEF1900

 

「【海皇の狙撃兵】でそのリバースカードを選択、墓地の【アビスタージ】を選択して【アビスグンデ】、最後に【メガロアビス】の順で効果発動」

「罠発動【激流葬】。フィールドのモンスターを一掃する」

「っ!?」

 

召喚反応型罠2枚セット!?

俺の驚愕を無視して俺のフィールドのモンスターが一掃される。

 

「……【メガロアビス】の効果で、デッキから【アビスコール】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚

 

「【アビスグンデ】の効果。このカードが手札から捨てられた場合、墓地の【アビスグンデ】以外の【水精鱗】を特殊召喚できる。【アビスタージ】を特殊召喚」

 

【水精鱗ーアビスタージ】

攻撃表示

ATK1700/DEF1100

 

「【狙撃兵】の効果は不発」

 

このターンだけで『【狙撃兵】は仕事しない』という印象がつきそうだ。いや、大徳寺先生がモンスターをセットしないからなんだけど……

 

「……バトル!【アビスタージ】でダイレクトアタック!」

 

【アビスタージ】が銛を大徳寺先生の腹めがけて投げた。

 

「…………」

 

アムナエル

LP4000→2300

 

「カードを2枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【水精鱗ーアビスタージ】:攻

ATK1700

魔・罠

伏せ2枚

手札0枚

 

初手から手札吹っ飛ばしたな……もう少し慎重に動くべきだったか?いや、召喚反応型2枚は予想外すぎた……

 

「私のターン、ドロー。私の墓地にモンスターが存在しない場合、このモンスターを特殊召喚できる。現れよ、【ガーディアン・エアトス】!」

「【エアトス】!?」

 

【ガーディアン・エアトス】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

現れたのは紛れもなく【ガーディアン・エアトス】だ。まさか大徳寺先生のデッキ……ガチ?いやでも【激流葬】……

 

「バトル。【ガーディアン・エアトス】で【水精鱗ーアビスタージ】を攻撃!」

 

【エアトス】が【アビスタージ】を斬り倒す。

 

「くっ……!」

 

宮田龍斗

LP4000→3200

 

「永続魔法【錬金釜ーカオス・ディスティル】を発動。このカードがある限り、私のカードは墓地にいかず除外される」

 

大徳寺先生の背後に、赤茶色の釜が現れる。このタイミングでそんなカードを?

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

「メインフェイズ2終了前に、永続罠【アビスフィアー】発動!デッキから【水精鱗ーアビスリンデ】を特殊召喚!」

 

【水精鱗ーアビスリンデ】

守備表示

ATK1500/DEF1200

 

青く長い髪が特徴の人魚が現れる。【アビスタージ】と違い女だ。【アビスフィアー】のエフェクトなのか、俺と俺のフィールドが泡に閉ざされる。

 

「この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。そしてエンドフェイズに【アビスフィアー】の効果!発動後、次の相手のエンドフェイズにこのカードを破壊し、このカードがフィールドを離れたことで、特殊召喚した【アビスリンデ】を破壊する!」

 

泡がパチンと音を立てて弾けると、【アビスリンデ】が苦しみだして、破壊された。

 

「破壊された【アビスリンデ】の効果発動!このカードが破壊され墓地に送られた場合、デッキから【アビスリンデ】以外の【水精鱗】を特殊召喚できる!【水精鱗ーリードアビス】を特殊召喚!」

 

【水精鱗ーリードアビス】

攻撃表示

ATK2700/DEF1000

 

赤い鎧……のようなものを身に付けたのはいいものの、魚の部分がモロに出ている魚人が現れる。

 

「これでエンドフェイズの処理を終了する」

 

アムナエル

LP2300

モンスター

【ガーディアン・エアトス】:攻

ATK2500

魔・罠

【錬金釜ーカオス・ディスティル】

伏せ2枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!」

「【カオス・ディスティル】を除外し、永続罠【マクロコスモス】。このカードがある限り、互いのカードは墓地に送られず除外される」

 

【マクロコスモス】が発動した瞬間、周囲が惑星と思われる球体が不規則に置かれた宇宙空間に変化した。

 

「そして発動時、私のフィールドに【原始太陽ヘリオス】を特殊召喚できる」

 

【原始太陽ヘリオス】

守備表示

ATK?/DEF?

 

現れたのは小さな太陽を頭部にし、包帯が人の形を模したモンスター……あんなカード、【エアトス】に入ったか?

 

「このカードの攻撃力と守備力はゲームから除外されたモンスター1体につき100ポイント。現在除外されているのは【メガロアビス】1体。よって攻撃力と守備力は100ポイントとなる」

 

【原始太陽ヘリオス】

ATK?/DEF?→ATK100/DEF100

 

「墓地の【海皇の狙撃兵】と【海皇の竜騎隊】を除外して手札の【瀑征竜ータイダル】を特殊召喚する!」

 

【瀑征竜ータイダル】

攻撃表示

ATK2600/DEF2000

 

宇宙空間に突如巨大な水の球体が出現。破裂音を響かせて、全身水色の竜【瀑征竜ータイダル】が姿を見せた。演出が派手だな。

 

「除外されたモンスターが増えたことで、【ヘリオス】の攻撃力が上昇する」

 

【原始太陽ヘリオス】

ATK100/DEF100→ATK300/DEF300

 

「バトル!【リードアビス】で【ガーディアン・エアトス】を攻撃!」

「罠発動【次元幽閉】。攻撃してきたモンスターを除外する」

 

【リードアビス】が光となって消滅した。

 

「そして、【リードアビス】が除外されたことで【ヘリオス】の攻撃力が上昇」

 

【原始太陽ヘリオス】

ATK300/DEF300→ATK400/DEF400

 

「チッ……なら【タイダル】で【ガーディアン・エアトス】を攻撃!」

 

【タイダル】がブレス攻撃で水を放ち、【エアトス】を吹き飛ばした。

 

アムナエル

LP2300→2200

 

「【エアトス】が除外されたことで、【ヘリオス】の攻撃力が上昇」

 

【原始太陽ヘリオス】

ATK400/DEF400→ATK500/DEF500

 

「ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3200

モンスター

【瀑征竜ータイダル】:攻

ATK2600

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「私のターン、ドロー。【強欲な壺】。カードを2枚ドロー」

 

アムナエル

手札1枚→3枚

 

「速攻魔法【惑星直列】を発動」

 

カードが発動した瞬間、周囲の球体が【ヘリオス】を中心にして一列に並び、視界が歪んだ……き、気持ち悪い……

 

「【惑星直列】は相手フィールドのモンスターを全て破壊し、相手プレイヤーに300ポイントのダメージを与える」

 

【タイダル】が歪んでいき、体が上下に切断され、爆風が俺を襲う。

 

「くっ……【タイダル】……!」

 

宮田龍斗

LP3200→2900

 

「【タイダル】が除外されたことで、【ヘリオス】の攻撃力が上昇」

 

【原始太陽ヘリオス】

ATK500/DEF500→ATK600/DEF600

 

「さらに魔法カード【黄色の過程ーキトリニクス】を発動。【ヘリオス】を生贄に、手札またはデッキから【ヘリオス・デュオ・メギストス】を特殊召喚する」

 

【ヘリオス・デュオ・メギストス】

攻撃表示

ATK?/DEF?

 

一瞬【ヘリオス】が惑星の影に隠れたと思うと、体が太くなり、小さな太陽が傍に寄り添っているモンスターが現れた。

 

「【ヘリオス・デュオ・メギストス】の攻撃力と守備力は、ゲームから除外されているモンスター1体につき200ポイントとなる」

 

【ヘリオス・デュオ・メギストス】

ATK?/DEF?→ATK1400/DEF1400

 

「バトル。【ヘリオス・デュオ・メギストス】でダイレクトアタック」

 

【ヘリオス・デュオ・メギストス】が上昇し、傍にある小さな太陽が【ヘリオス・デュオ・メギストス】の周囲を加速しながら回っていく。そして気のせいだろうか、少しずつ大きくなっていく。やがて人の十倍迫るであろう大きさになった太陽を俺めがけて振り下ろした。

 

「あぁぁぁぁぁぁあああ!!」

 

宮田龍斗

LP2900→1500

 

全身が芯まで焼き尽くされるような感覚に意識が飛びそうになるが、幸か不幸か踏み止まった。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

アムナエル

LP2200

モンスター

【ヘリオス・デュオ・メギストス】:攻

ATK1400

魔・罠

【マクロコスモス】

伏せ1枚

手札0枚

 

「俺のターン……ドロー!」

 

一瞬ふらつくが、なんとか堪えてカードを見る。まだ、いける。

 

「チューナーモンスター【深海のディーヴァ】を召喚……!」

 

【深海のディーヴァ】

攻撃表示

ATK200/DEF400

 

「【深海のディーヴァ】の効果発動……!召喚に成功したとき……デッキからレベル3以下の海竜族モンスターを特殊召喚できる……【海皇の狙撃兵】を特殊召喚……!」

 

【ディーヴァ】の歌声に誘われて、【海皇の狙撃兵】が現れた。

 

【海皇の狙撃兵】

攻撃表示

ATK1400/DEF0

 

「レベル3の【海皇の狙撃兵】に、レベル2の【深海のディーヴァ】を……チューニング!光を知る悪魔よ、災いをはねのける幻で活路を開け!シンクロ召喚!レベル5……!【幻層の守護者アルマデス】!」

 

【幻層の守護者アルマデス】

攻撃表示

ATK2300/DEF1500

 

「速攻魔法【惑星直列】。説明は不要だな」

 

再び視界が歪み、【アルマデス】が破壊された。

 

「ぐっ……っぅ!」

 

宮田龍斗

LP1500→1200

 

「そしてモンスターが墓地へ送られたことで、【ヘリオス・デュオ・メギストス】の攻撃力が上昇」

 

【ヘリオス・デュオ・メギストス】

ATK1400/DEF1400→ATK2000/DEF2000

 

「ターン、エンド……」

 

宮田龍斗

LP1200

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「私のターン、ドロー。速攻魔法【サイクロン】発動。その伏せカードを破壊する」

「罠発動【アビスコール】……!墓地の【水精鱗】3体を守備表示で特殊召喚する……!」

 

【水精鱗ーアビスタージ】

守備表示

ATK1700/DEF1100

 

【水精鱗ーアビスリンデ】

守備表示

ATK1500/DEF1200

 

【水精鱗ーメガロアビス】

守備表示

ATK2400/DEF1900

 

「バトル。【ヘリオス・デュオ・メギストス】で【メガロアビス】を攻撃」

 

俺への攻撃と同じ方法で攻撃され、【メガロアビス】が蒸散した。

 

「ターンエンド」

「この瞬間……【アビスコール】の効果で特殊召喚したモンスターは破壊される」

「……【ヘリオス・デュオ・メギストス】の効果で攻撃力が上昇する」

 

【ヘリオス・デュオ・メギストス】

ATK2000/DEF2000→ATK2600/DEF2600

 

アムナエル

LP2200

モンスター

【ヘリオス・デュオ・メギストス】:攻

ATK2600

魔・罠

【マクロコスモス】

手札0枚

 

フィールドのモンスターは無く、リバースカードも手札も無い。何よりこのデッキは墓地に送られて真価を発揮するデッキ。状況を覆す一手は……

 

「俺のターン……ドロー……」

 

このカードは……!

 

「チューナーモンスター【深海のディーヴァ】を召喚!……召喚に成功したことでデッキから【海皇の狙撃兵】を特殊召喚!」

 

【深海のディーヴァ】

攻撃表示

ATK200/DEF400

 

【海皇の狙撃兵】

攻撃表示

ATK1400/DEF0

 

「レベル3の【海皇の狙撃兵】にレベル2の【深海のディーヴァ】をチューニング……!システム起動、全てを壊せ、衝動のままに!シンクロ召喚!動け!レベル5!【A・O・J カタストル】……!」

 

【A・O・J カタストル】

攻撃表示

ATK2200/DEF1200

 

「バトル……!【カタストル】で攻撃!そして効果発動……!闇属性以外と戦闘する場合、ダメージ計算を行わずに相手モンスターを破壊する……!」

「っ!?」

 

【カタストル】が中心が白く、外にいくにつれて赤くなっていく光線を【ヘリオス・デュオ・メギストス】を貫いた。

 

「ターン……エンド」

 

宮田龍斗

LP1200

モンスター

【A・O・J カタストル】:攻

ATK2200

魔・罠

手札0枚

 

「私のターン、ドロー。魔法カード【洗脳ーブレインコントロール】」

「っ!?」

 

そのカードをこの状況で……!?

 

「ライフ800を払い、相手モンスターのコントロールを得る」

 

アムナエル

LP2200→1400

 

【カタストル】が大徳寺先生のもとへ行くと反転した。

 

「バトル。ダイレクトアタック!」

 

【カタストル】の光線が、俺の腹を貫き、敗北した俺の意識は闇に包まれた。

 

宮田龍斗

LP1200→-1000




【タイダル】は1枚挿しで、ランク4を入れてなかった龍斗。
次回はその龍斗がキレます。


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叫び VS.万丈目

万丈目フルパワーです。


目が覚めると森の中。

時刻を確認すると、ゆまと藤原の2人と別れてから数時間しか経っていなかった。首にかけておいた七星門の鍵が無いことから、俺が負けたあと、十代あたりが大徳寺先生を倒したのだろう。一先ずそう結論して寮に戻る。

翌日、誰が見聞きしたのかは不明だが、『十代がセブンスターズを倒した』という話が学園中に広まった。しかも十代の話によると事実らしい。

まぁ、そうでなければ、俺がここにいないわけなのだが。

となるとセブンスターズの問題は解決とみて良いだろう。【幻魔】は……どうにかする。十代が。

残りはイベントの方片付けるか。

ペンデュラムは三沢と俺の同室対決で、三沢もデッキを変えてきたが【WE】には及ばなかった。現在俺が勝ち越している。

シンクロは明日香とももえの2人か……どうなってるんだろ?

 

「…………ももえに聞くか」

 

PDAでももえに状況を確認してみると、『細かくは覚えてない』と返答。しかし互角らしい。

念のため明日香に連絡してみたが、一切反応が無い。

明日香を探すべく、奴がいそうな場所を探すと、灯台の下にいる明日香を発見。

 

「…………」

 

声をかけようと思った瞬間、隣にカイザーがいることに気付く。

…………このあたりも俺がこっちに来た影響だろう。

そう思い踵を返した瞬間、カイザーが俺に気付き、俺に声をかけてきた。

 

「龍斗、どうかしたか?」

「え?龍斗?」

 

それによって明日香も俺を見る。

一瞬止まってしまったが、何も無かったかのようにその場を去る。

先にエクシーズを処理しよう。藤原と十代と枕田だな。十代ならすぐ見つかるだろうけど、戦績までは覚えてないだろうから藤原か枕田のどちらかを当たるとしよう。

そう思っていると、

 

「なんで無視するのよ!」

「なんで追って来てんだ!?」

 

明日香とカイザーが追って来た。

割と早足で歩いているつもりだったのだが、向こうがそれ以上の速度で追って来る。

 

「私か亮に用があったんじゃないの?あんな場所に用もなく来ないもの!」

「偶然だバカ!さっさと戻れ!俺は馬に蹴られたくはない!」

「バ……っ!?ち、違うわよ!貴方何か勘違いしてるんじゃない!?」

「してないから!邪魔して悪かった!謝るから有意義な時間をお過ごしください!」

 

互いに徐々に速度を上げながら会話する俺と明日香。カイザーは何故かデッキとデュエルディスクを構えて追って来てる。お前この状況でも俺とデュエルするのか!?

 

「いいから私の話を聞きなさい!」

「ぎゃあああああああ!!」

 

明日香の右手が俺の頭蓋骨を掴んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明日香から『兄さんの話をしていただけで、決してカイザーとはそういう関係ではない』と説明の後解放され、俺がイベントに向けたももえとの戦績はどうなっているのか確認したところ、互角らしい。適当に期日を決めて出る人を決定してもらうことにした。

ももえにもPDAで連絡し、ついでに枕田の居場所を聞いてみたところ、一緒に浜辺にいるらしいので、戦績を聞いてみてほしいと伝えると、何故か拒否された。事情を聞くべく浜辺に行く。

 

「ももえ、枕田」

 

浜辺に行くと水着を着たももえと枕田を含めた数名の生徒と1人制服を着ている万丈目、サーフィンしている吹雪先輩がいた。これはどういう集まりだ?

 

「あ、龍斗さん」

「アンタ、なんでここに?」

「仕事だ。夏のイベントが近くなってきたし、セブンスターズの問題も片付いたからこっちに集中できるんでな。とりあえずももえ達に期日用意したから、その日で決定しておきたい。それで、お前の戦績は?」

 

十代に1戦勝ち越して、藤原に1戦負け越しているらしい。

あとは藤原に聞けば大凡の戦績はわかるな。

2人と別れながら藤原に連絡してみると、十代と枕田に1戦ずつ勝ち越しているとのこと。このままなら藤原がイベントに出ることになる。

しかしこれで状況把握はできた。あとは期日まで三沢とデュエルしていれば良いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、校長から俺と三沢のPDAに『七星門の鍵が盗まれた』と連絡があった。急いで校長室に行く途中、十代とカイザー、明日香のところにも連絡が行っていたらしく合流。さらに寮で走っていく明日香を見かけた枕田とももえ、藤原とゆまも追ってきた。校長室に行き事情を聞くと、鉢植えの中に隠していた七星門の鍵が入っていた箱が机の上に置かれていて、中の鍵が全て失くなっていて、代わりに1枚の紙が入っていた。紙には『浜辺で待つ。サンダー』と書かれていたらしい。

…………ぁー、たしかこれが原因で【幻魔】が出てくるんだったな。

俺以外のメンバーは焦っていたが、独り面倒な表情で走って浜辺に行く。

浜辺に到着した俺達を待っていたのは、やはり万丈目だった。

明日香が鍵を返すように一度説得してみるが、万丈目は『嫌だ』と拒否。

それに明日香が何故こんなことをしたのか聞くと、

 

「宮田龍斗!貴様とデュエルをするためだ!」

 

と返答が来た。

 

「は?」

 

万丈目の話によると、万丈目の恋の障害である俺を倒すのが目的らしい。

意味がわからない。

『くだらん』と一蹴して帰ろうとすると、どこからか吹雪先輩の声が。

 

「受けたまえ龍斗君!明日香をかけた、万丈目君とのデュエルを!」

 

吹雪先輩は何故かアロハシャツにウクレレ装備でバナナボートの上に立って、海の上にいた。

いや、それより今あの人なんて言った?『明日香をかけた』?

なんだ?どこでどうなって、そんなことになった?

万丈目と吹雪先輩の話によると、昨日の灯台での出来事の最初の瞬間、具体的には明日香とカイザーが灯台の下で会話しているところに俺が通りがかり、踵を返したところ明日香とカイザーが俺を追ったところを目撃したらしい。その後ももえと枕田と俺が親しげに話していたと言っていた。それ、全部仕事なんだが……。

しかし万丈目と吹雪先輩は俺が万丈目の恋の障害となるとし、複数の女子に声をかける女たらしの粛清として俺にデュエルを仕掛けたらしい。

後ろで枕田とももえはキャーキャー言ってるし、ゆまと藤原は何故か不機嫌だ。

吹雪先輩は『男の純情とプライドをかけたラブ・デュエルだ』とか言っている。カイザーは何かを悟ったのか『また、吹雪の悪い癖が』と呟いていた。…………ラブ?愛?え?俺、そんなもののために巻き込まれて、万丈目は七星門の鍵を盗んだのか…………?

 

「…………ふ」

「龍斗、どうした?」

「ふざけんなーーー!!」

 

十代が話しかけてきたが、無視して叫んだ。

 

「ふざけんな万丈目!そんなもののために俺を巻き込むな!折角セブンスターズの件が終わって仕事に集中できると思っていたのに!それをお前は!」

「そんなものだと!?貴様、俺の愛を侮辱するのか!」

「そうだぞ龍斗君!愛を侮辱することはこの僕が許さない!」

 

万丈目と吹雪先輩が喚いているが、俺の怒りは治らない。

 

「ぁぁもういいよ!やってやるさ!テスターも何も関係なく、あの日のように叩きのめす!」

 

デュエルディスクとキサラに敗北して以降用意していたデッキの一つをセットする。

 

「龍斗!それは……!」

「三沢さん、お兄ちゃんのデッキが何か知ってるんですか?」

「ああ……ある日から『仕事を放棄してでも使わざるを得ないときのため』と言って用意していたデッキだ」

 

三沢とゆまの会話が微かに聞こえるが、聞こえるだけでその意味まで理解はできていない。今の俺にあるのは、ただ万丈目を倒すことのみ。

 

「「デュエル!」」

 

万丈目準

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「俺の先攻だ。ドロー!魔法カード【天使の施し】!カードを3枚ドローし、手札2枚を捨てる!そして、墓地に送られた【おジャマジック】の効果発動!手札・墓地からこのカードが墓地に送られたとき、デッキから3体の【おジャマ】モンスターを手札に加える」

 

万丈目準

手札6枚→9枚

 

「さらに魔法カード【融合】!手札の【おジャマ・イエロー】、【おジャマ・ブラック】、【おジャマ・グリーン】を融合!黄、黒、緑の獣どもよ!今一つとなり、妨害の王者となれ!」

 

万丈目が何故か口上付きで融合召喚した。俺への対抗心か?

 

「融合召喚!出でよ!【おジャマ・キング】!」

 

【おジャマ・キング】

守備表示

ATK0/DEF3000

 

「【おジャマ・キング】の効果!このモンスターがいる限り、宮田龍斗!貴様のフィールドを3箇所封印する!」

 

俺の傍に小さな【おジャマ・キング】が現れ、赤い『済』の字を丸で囲った判子をデュエルディスクに3箇所押した。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

万丈目準

LP4000

モンスター

【おジャマ・キング】:守

DEF3000

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「龍斗のデッキの多くは大量召喚が鍵……モンスターを2体までしか召喚できないとなると……」

「いや、あのデッキはおそらく……」

 

十代と三沢の声が聞こえるが、干渉することなくデッキに指をかける。

 

「ドロー!手札から儀式魔法【影霊衣(ネクロス)の万華鏡】を発動!」

「ぎ……!?」

「儀式魔法!?」

 

万丈目、丸藤が声を出した。

三沢は『やはり』とか言っていたが、聞こえただけで意味無き言葉となって記憶からすぐに消え去る。

 

「このカードは儀式召喚するモンスターのレベルと同じになるように、手札・フィールドのモンスター1体をリリース、またはエクストラデッキのモンスターを墓地に送り、手札の【影霊衣】儀式モンスターを任意の数儀式召喚する!」

「はぁっ!?」

「エクストラ!?任意の数!?」

 

儀式を使っていた明日香と藤原からリアクションがあったみたいだが、気にせずエクストラデッキに手を伸ばす。

 

「エクストラデッキからレベル4の【虹光の宣告者】を墓地に送り、レベル4になるように【影霊衣】儀式モンスターを儀式召喚する!太古の力、今器に宿りて顕現せよ!異世界の住人を封印する汝の名は……ユニコール!儀式召喚!降臨せよレベル4!【ユニコールの影霊衣】!」

 

【ユニコールの影霊衣】

攻撃表示

ATK2300/DEF1000

 

白い鎧を身に纏い、赤い布を腰から垂らし、馬の尾を模した飾りをつけ、紫のマントを翻し、右手に槍を持った長髪の男性が現れる。

 

「イケメンモンスターですわー!」

「【ユニコールの影霊衣】の効果により、エクストラデッキから特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される」

 

【ユニコールの影霊衣】が槍を左側から右側に一振りすると、フィールドを白い光が包み、俺のデュエルディスクに押されていた判子が消えた。

 

「フィールドにいるだけで効果を無効にするだと!?」

「これで邪魔な効果は消滅した。さらに墓地の【虹光の宣告者】の効果発動!このカードが墓地に送られた場合、デッキから儀式モンスター、または儀式魔法を手札に加える!【トリシューラの影霊衣】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「万丈目君のモンスターの効果を封じ、高攻撃力の儀式モンスターを実質ノーコストで召喚……」

「さらに新たな儀式モンスターを手札に加えた……これを一瞬で……!」

「これが所謂『ぶっ壊れ』というのでしょうか」

 

カイザー、明日香、ももえ。ごちゃごちゃと煩い。

 

「【マンジュ・ゴッド】を召喚!」

 

【マンジュ・ゴッド】

攻撃表示

ATK1400/DEF1000

 

「【マンジュ・ゴッド】の効果発動!召喚・反転召喚に成功したとき、デッキから儀式モンスター、または儀式魔法を手札に加える!【ブリューナクの影霊衣】を手札に加えて、【ブリューナクの影霊衣】の効果発動!」

「儀式モンスターの効果を手札から発動だとぉ!?」

「【ブリューナクの影霊衣】を手札から捨て、デッキから【ブリューナクの影霊衣】以外の【影霊衣】モンスターを手札に加える!【クラウソラスの影霊衣】を手札に加えて、【クラウソラスの影霊衣】の効果発動!」

「手札に加えたモンスターを捨てて新しい儀式モンスターを手札に加えてまた捨てる?何してるんだ?」

 

十代が何か言っているが、三沢が解説でもしてくれるだろう。そう信じてデュエルを続けよう。

 

「手札のこのモンスターを捨て、デッキから【影霊衣】魔法・罠を手札に加える!【影霊衣の降魔鏡】を手札に加えて発動!レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、手札・フィールドのモンスターをリリースするか、墓地の【影霊衣】モンスターを除外して、手札の【影霊衣】儀式モンスターを儀式召喚する!」

「今度は墓地のモンスターを素材に!?」

「やりたい放題ッス……」

 

前田と丸藤だろうか。

半ば呆れともとれる声がした気がする。

 

「墓地の【ブリューナクの影霊衣】と【クラウソラスの影霊衣】を除外!太古の力、今器に宿りて顕現せよ!神より放たれし槍の継承者!汝の名は……トリシューラ!儀式召喚!降臨せよレベル9!【トリシューラの影霊衣】!」

 

【トリシューラの影霊衣】

攻撃表示

ATK2700/DEF2000

 

氷を思わせる青い鎧を纏い、青い剣を万丈目に向けた短い赤髪の男が現れた。

 

「い、イケメン祭……!は、鼻血が……!」

「も、ももえ!?落ち着きなさいよ!」

 

背後で何かが砂浜に落ちた音が聞こえた気がした。

 

「【トリシューラの影霊衣】の効果発動!儀式召喚に成功したとき、相手の手札・フィールド・墓地のカードを1枚ずつ選び、その3枚を除外する!」

「3枚も除外だと!?」

「消えされ!【おジャマ・キング】!【おジャマ・イエロー】!」

 

【トリシューラの影霊衣】が剣を掲げると、【氷結界の龍 トリシューラ】が現れ、【おジャマ・キング】を3つの首で喰らい、万丈目の手札1枚を翼で風をおこして吹き飛ばし、万丈目のデュエルディスクをブレスで一瞬凍結させて尻尾で氷を叩き割ると【おジャマ・イエロー】がデュエルディスクからヒラヒラと落ちた。

 

万丈目準

手札3枚→2枚

 

「バトル!【トリシューラの影霊衣】でダイレクトアタック!」

「罠発動!【聖なるバリア ーミラーフォースー】!これで貴様のモンスターは全滅だ!」

「手札の【グングニールの影霊衣】の効果を【トリシューラの影霊衣】を対象に発動!このカードを捨てることで対象モンスターは戦闘・効果で破壊されなくなる」

 

【トリシューラの影霊衣】の前に現れた鏡の盾を【トリシューラの影霊衣】が斬る。斬られた盾が爆散し、【ユニコールの影霊衣】と【マンジュ・ゴッド】に破片が突き刺さり爆発した。

 

「ぐぁ……っ!」

 

万丈目準

LP4000→1300

 

「カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【トリシューラの影霊衣】:攻

ATK2700

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺は……俺は負けん!天上院君をかけたデュエル……負けるわけにはいかんのだ!俺のターン、ドロー!永続罠【リビングデッドの呼び声】!墓地の【アームド・ドラゴン LV5】を特殊召喚!」

 

【アームド・ドラゴン LV5】

攻撃表示

ATK2400/DEF1700

 

「さらに魔法カード【レベルアップ!】を発動!フィールドの【アームド・ドラゴン LV5】を墓地に送り、デッキから【アームド・ドラゴン LV7】を特殊召喚!」

 

【アームド・ドラゴン LV5】の体が青白く光ると、徐々に体が大きくなっていき、光が弾けると【アームド・ドラゴン LV7】の姿となった。

 

【アームド・ドラゴン LV7】

攻撃表示

ATK2800/DEF1000

 

「バトルだ!【アームド・ドラゴン LV7】で【トリシューラの影霊衣】を攻撃!アームド・パニッシャー!」

 

【アームド・ドラゴン LV7】の拳に潰された【トリシューラの影霊衣】。

 

「…………」

 

宮田龍斗

LP4000→3900

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

万丈目準

LP1300

モンスター

【アームド・ドラゴン LV7】:攻

ATK2800

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!墓地の【影霊衣の万華鏡】の効果発動!」

「なっ、墓地から儀式魔法の効果だとぉ!?」

「俺のフィールドにモンスターがいない場合、墓地のこのカードと【影霊衣】モンスターを除外することで、デッキから【影霊衣】魔法を手札に加える!【影霊衣の降魔鏡】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「【センジュ・ゴッド】を召喚!」

 

【センジュ・ゴッド】

攻撃表示

ATK1400/DEF1000

 

「【センジュ・ゴッド】の効果発動!召喚・反転召喚に成功したとき、デッキから儀式モンスターを手札に加える!【ヴァルキュルスの影霊衣】を手札に加える!」

「手札に儀式モンスターと儀式魔法が揃った……!」

「【影霊衣の降魔鏡】を発動!手札の【影霊衣の術士 シュリット】は【影霊衣】儀式モンスターの儀式召喚をする場合、このカード1枚で儀式に必要なレベル分のリリースとして使用できる!」

「1枚で儀式召喚に必要なレベルを満たす効果!?」

 

カードを傷つけそうなほどの力で持ち、見せつけると、万丈目は目を見開いた。

 

「【シュリット】をリリース!太古の力、今器に宿りて顕現せよ!強固な盾と知識を持つ者!汝の名は……ヴァルキュルス!降臨せよレベル8!【ヴァルキュルスの影霊衣】!」

 

【ヴァルキュルスの影霊衣】

攻撃表示

ATK2900/DEF1700

 

赤とグレーのローブを身に纏った魔術師が現れる。

 

「【シュリット】の効果発動!このカードが効果でリリースされた場合、デッキから戦士族の【影霊衣】儀式モンスターを手札に加える!【ブリューナクの影霊衣】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札0枚→1枚

 

「バトル!【ヴァルキュルスの影霊衣】で【アームド・ドラゴン LV7】を攻撃!」

 

【ヴァルキュルスの影霊衣】が呪文を唱えと、【アームド・ドラゴン LV7】の足下から黒い触手のようなものが複数生えてきて、【アームド・ドラゴン LV7】を押し潰した。

 

「俺の【アームド・ドラゴン】を一撃で……!」

 

万丈目準

LP1300→1200

 

「罠発動【ヘル・ブラスト】!俺の表側表示モンスターが破壊され墓地に送られたとき、フィールドにいる最も攻撃力が低いモンスターを破壊し、その攻撃力の半分のダメージを互いのプレイヤーに与える!」

 

【センジュ・ゴッド】が火柱に飲み込まれ、溶けた。

 

「くっ……!」

 

万丈目準

LP1200→500

 

「…………」

 

宮田龍斗

LP3900→3200

 

「ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3200

モンスター

【ヴァルキュルスの影霊衣】:攻

ATK2900

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード【強欲な壺】!カードを2枚ドロー!」

 

万丈目準

手札1枚→3枚

 

「手札1枚を捨て、魔法カード【ライトニング・ボルテックス】!貴様のフィールドの表側表示モンスターを全て破壊する!」

「罠発動【儀水鏡の反魂術】!俺のフィールドの水属性モンスター1体をデッキに戻し、墓地の水属性モンスター2体を手札に加える!【ヴァルキュルスの影霊衣】をデッキに戻し、墓地の【ユニコールの影霊衣】と【影霊衣の術士 シュリット】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札1枚→3枚

 

俺の目の前に雷が落ちるが、何も破壊せず、落下地点の砂を焦がすだけだった。

 

「躱したか……!だがこれで貴様のフィールドのモンスターは消えた!【Xーヘッド・キャノン】を召喚!」

 

【Xーヘッド・キャノン】

攻撃表示

ATK1800/DEF1500

 

「バトルだ!【Xーヘッド・キャノン】でダイレクトアタック!」

 

【Xーヘッド・キャノン】の肩の砲台から放たれた弾が、俺の足下で爆発した。

 

「…………っ!」

 

宮田龍斗

LP3200→1400

 

「ターンエンド!」

 

万丈目準

LP500

モンスター

【Xーヘッド・キャノン】:攻

ATK1800

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!手札の【ユニコールの影霊衣】の効果発動!」

「また手札から儀式モンスターの効果を……!」

「このカードを手札から捨て、墓地の【ユニコールの影霊衣】以外の【影霊衣】カードを手札に加える!【影霊衣の降魔鏡】を手札に加え、発動!手札の【シュリット】をリリース!太古の力、今器に宿りて顕現せよ!凍てつく吹雪を操りし者!汝の名は……ブリューナク!儀式召喚!コイツで終わりだ!レベル6!【ブリューナクの影霊衣】!」

 

【ブリューナクの影霊衣】

攻撃表示

ATK2300/DEF1400

 

【トリシューラの影霊衣】のように氷を思わせる青い鎧を身に纏った剣士が現れる。しかし【トリシューラの影霊衣】よりも少し若い剣士だ。

 

「バトル!【ブリューナクの影霊衣】で【Xーヘッド・キャノン】を攻撃!」

 

【ブリューナクの影霊衣】が気合とともに【Xーヘッド・キャノン】を一閃。数秒の後、爆散した。

 

「ぐっ……ぅぅ!」

 

万丈目準

LP500→0

 

ソリッドヴィジョンが消えると万丈目は膝から砂浜に崩れ落ちた。

七星門の鍵を回収すべく一歩踏み出した瞬間地震が起きた。

地震はすぐに止まり、再び万丈目に近づくと、万丈目の持つ七星門の鍵全てが光を放っていた。




万丈目フルパワー、【影霊衣】に敗れる。
次回は…………ごめんなさい。自分の力じゃアレが限界でした……


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神炎皇 VS.影丸

か、怪獣大決戦(笑)です。



万丈目が七星門の鍵を盗み、『明日香をかけたデュエル』を俺に挑んできた。勘違いを拗らせた万丈目にキレて【影霊衣】で万丈目を倒したら、七星門の鍵が光りだした。

七星門の鍵が何かに引っ張られるように同じ方向に浮き上がる。

そして鍵に引っ張られて森の中に行く万丈目。

 

「万丈目!」

「『さん』だー!」

 

予想外の事態にも万丈目はいつものセリフを十代に返す。

しかし帰ってくることができそうもなかったので、俺達も万丈目を追う。

全速力で万丈目を追うが、万丈目と俺達の距離が縮まらない。それどころか徐々に万丈目が遠ざかっていく。

万丈目は上半身の力だけで抵抗し、下半身は前進を続けている。体が妙なバランスに耐えられなくなったのか、万丈目は体勢を崩して顔から地面に倒れた。

しかしそれでも鍵が止まることはなく、万丈目の顔を引きずる。

やがてブチッという音とともに鍵に付けられていた紐が切れた。

鍵を追うと、万丈目が復活した。(顔は泥だらけの傷だらけだが)

鍵は森の中から立ち籠める砂煙の中に入っていく。砂煙が晴れていくと、鍵が斜めに立てられている柱に溶けていくのが見えた。柱は森の中にぽっかりと空いたクレーターを囲むように立っていた。

 

「もしかして……」

「七星門が……」

 

七星門の鍵が7本の柱に1つずつ溶けていく様子を見て、最悪のパターンを想定してしまった吹雪先輩と明日香が呟く。

 

「開くのかー!?」

 

そして妙に高い声で元凶の万丈目が叫ぶ。その万丈目に呆れともとれる視線を向ける俺と吹雪先輩以外のメンバー。吹雪先輩は『やっちまった』と手で顔を隠して表現。俺は呆れどころか軽蔑の視線を向ける。

そして鮫島校長とクロノスがやってきて事情を聞かれる。

それに対し全員が、

 

「「「サンダーの所為で!」」」

 

と名指しで全責任を万丈目に負わせる。実際万丈目の所為だしな。

しかし万丈目は『俺の愛の所為で七星門が』とかぬかしたので、その顔面に膝蹴りをお見舞いしてやった。

 

「お、お兄ちゃん……容赦ないね……」

「許されるならもう数発ぶち込むさ」

 

それくらいに腹が立っている。俺は悪くない。学生陣が苦笑していると、クレーターの中心から黒い機械が現れた。機械から露出した装置の中から3枚のカードが現れる。

 

「あれが……」

「【三幻魔】のカード……」

 

十代に答えるように呟く。

回収すべく十代と俺が前に出ると、機械的なノイズを伴った声が聞こえた。

 

「そのカードを貴様らにやるわけにはいかんな」

 

一瞬立ち止まり、声の主を探す。するとプロペラの回転音を撒き散らして大型の黒い飛行機がやってきた。後部ハッチが開き、何かを落とす。向こうが来るまでに回収できればと思っていたが、それは危険だと判断して落ちてくる何かを見る。パラシュートが開きゆっくりと降下した何かは、【三幻魔】のカードのそばで大きな音とともに着地。脚と思われるパーツを展開し、人1人が入りそうな大きさのカプセルを取り付けた多脚型ロボットに変形した。

 

「なんだ……あのロボットは……?」

 

鮫島校長がそう呟くと、ロボットから先程と同じ声がした。『この声が誰の声か忘れたか?』と鮫島校長に問いかけると、鮫島校長が『影丸理事長』と呼んだ。

 

「時は満ちた。今ここに、【三幻魔】復活の儀式を行う」

 

十代と、膝蹴りのダメージから復活した万丈目がどういうことかと問い質す。さらに万丈目が何故七星門が開いたのかも。

影丸の話によると、最初からそういう仕掛けがされていたらしい。カードを封印したのも、七星門の鍵を鮫島校長に託したのも影丸本人らしい。

仕掛けというのは、七星門の鍵をかけてセブンスターズと俺達を戦わせることで俺達の闘志を集めることと、ミステリー物の自白を聞いているようにスラスラと話してくれた。

【三幻魔】を手に入れる目的は永遠の命と世界の覇権を欲してのこと。しかし【三幻魔】を蘇らせるにはデュエリストの闘志に満ちた空間が必要で、そのためのデュエルアカデミアらしい。

自分達が利用されていたことに憤慨した明日香達がデュエルの相手を名乗り出た。

三沢も名乗り出ようとしたが、カイザーに阻まれ、最終的には影丸に名乗ることさえ止められた。

 

「私の相手は遊城十代。お前だ」

 

影丸は十代を相手に指名。精霊の力を最も強く持つ十代でなければ意味が無いらしい。

 

「つまり、十代にデュエルを拒否させて、このロボットを解体すれば万事解決、と……」

「お兄ちゃん!?」

「ちょっと待ってろ。今ドライバーとか半田ごてとかの工具類と、面倒になったときのドリル持ってくるから」

 

ゆまを無視して踵を返したとき、柱と柱の間に電流が流れた。

 

「ここから逃がすと思っているのか?私とのデュエルに決着が着くまでここから出ることは出来んぞ」

「……チッ」

「不機嫌な龍斗って、デュエリストというより、リアリストよね……」

 

小さく舌打ちすると、藤原が呟いた。

 

「……まぁいいや。アンタを倒すまで出られないなら、倒すだけだ」

 

ホルダーに着けたままだった【影霊衣】を取り出し、ゆまと遊ぶ用に持ってきたデッキを取り出してデュエルディスクを見せつける。

 

「私の相手は遊城十代だ。貴様のような小僧に用は無い」

「へぇ。【三幻魔】ってのは、2対1のデュエルにすら勝てない程度のカードなのか。『世界の覇権』とか言うわりに、しょぼいんだな」

「…………良いだろう。遊城十代もろとも貴様を葬ってやる」

 

わかりやすい挑発に影丸は俺の参加を許可した。

ルールはこうだ。

 

1.影丸VS俺と十代の変則タッグマッチ。

 

2.ライフは影丸が8000。俺と十代が8000を共有。また、俺と十代はフィールドと墓地も共有して1人分のフィールドとする。

 

3.ターンは十代→影丸→俺→影丸→十代の順で行われ、最初の影丸のターンから攻撃可能。

 

4.互いのプレイヤーの手札またはデッキに効果が及ぶ場合、俺と十代は最後にターンが回ったプレイヤーのみに適用する。

 

以上が今回のルールだ。

万丈目も参加しようとしたが、『足手まといだ』と一蹴。

十代は前田からリュックを受け取りデュエルディスクを取り出すと、リュックから何か本が落ちた。本にカードが挟まっていたらしく、それを見るとデッキに入れ、俺とともにデュエルディスクを構える。影丸が入っているカプセルを拘束しているパーツが開き、アームが左右に現れた。左腕にあたるアームにはデュエルディスクが取り付けられていて、右腕のアームが【三幻魔】のカードを回収し、デュエルディスクのデッキに加えた。

 

「お兄ちゃん!負けないでー!」

「漢を見せなさい、龍斗!」

 

ゆまと藤原が声援を送ってくれる。丸藤と前田も十代に声援を送り、十代は『任せろ』と返す。俺は何も言わず、左手を上げるだけだ。

 

「さぁ始めるぞ。闇のデュエルを……!」

「「「デュエル!」」」

 

遊城十代・宮田龍斗

LP8000

 

VS

 

影丸

LP8000

 

「俺のターン、ドロー!【E・HERO バブルマン】を守備表示で召喚!」

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

「【バブルマン】の効果発動!俺のフィールドに他のカードがないなら、カードを2枚ドローできる!」

 

遊城十代

手札5枚→7枚

 

いきなり【強欲なバブルマン】か……事故か?

 

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代・宮田龍斗

LP8000

モンスター

【E・HERO バブルマン】:守

DEF1200

魔・罠

伏せ1枚

手札6枚(遊城)

手札5枚(宮田)

 

「私のターン、ドロー!私は、罠カードを3枚伏せる」

「あ?」

 

『罠カードを伏せる』……?舐めてるのか?

万丈目も似たようなことを思ったらしく、『デュエルしたことがあるのか』と呟いた。丸藤と前田は理解してなかったが、三沢が解説してくれた。

お前ら、ゆまでさえわかってたんだぞ。もう少ししっかりしてくれ。

 

「フフフ……だがこれこそが、【幻魔】を召喚するための条件なのだよ」

「召喚の条件……?」

 

十代が聞き返す。俺も聞き返すことはしないものの、疑問に思う。罠カードと宣言することが条件?【幻魔】で罠カードとなると【ウリア】だ。しかし召喚条件は『表側表示の罠カードを3枚墓地に送る』だったはず…………まさか、アニメ効果か?となると……ダメだ。【名推理】や【モンスターゲート】で永続罠落とす光景しか思い出せない。

 

「見せてやろう。【幻魔】の力を。罠は3枚の罠カードを生贄に」

 

3枚のカードが表になって、光の粒子になり消滅する。【融合失敗】、【罰ゲーム!】、【黄金の邪神像】…………?適当に入れた感じだな。

 

「出でよ第一の【幻魔】。【神炎皇ウリア】!」

 

【神炎皇ウリア】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

森の奥から火柱が上がり、その中から【ウリア】が姿を現わす。

【ウリア】が咆哮すると、【ウリア】を中心に風が吹き荒れた。

 

「これが、【三幻魔】が1体【神炎皇ウリア】。【ウリア】の効果発動!トラップディストラクション!」

 

【ウリア】が先程の咆哮とは違い、特殊な音波で十代のリバースカード【ミラーフォース】を破壊した。

 

「【三幻魔】に罠は通用しない。通用するのは発動ターンの魔法のみ。そして、【ウリア】の攻撃力は墓地の罠カードに枚数によって決定する。私の墓地の罠カードは3枚。よって【ウリア】の攻撃力は……」

 

【神炎皇ウリア】

ATK0/DEF0→ATK3000/DEF3000

 

「攻撃力3000のモンスターをいきなり!?」

 

ゆまが【ウリア】の攻撃力に驚いているが、【ウリア】特化のデッキだと簡単に5桁いくぞ。

 

「バトル!【神炎皇ウリア】で攻撃!ハイパーブレイズ!」

 

【ウリア】が炎を吐き、【バブルマン】を蒸発させた。

 

「私はこれでターンエンド!」

 

影丸

LP8000

モンスター

【神炎皇ウリア】:攻

ATK3000

魔・罠

手札2枚

 

「最初から攻撃力3000……2人がかりとはいえ、厳しいか……」

 

カイザーが好き勝手言ってくれるが、冗談じゃない。この手札なら、まだやれるさ。

 

「次は俺が相手だ。ドロー!相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このモンスターは特殊召喚できる!【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン】

守備表示

ATK2100/DEF1600

 

「【サイバー・ドラゴン】……しかしそれでは……」

 

鮫島校長が一瞬前のめりになったが、攻撃力の差に一歩下がってしまう。

 

「手札の【ゾンビキャリア】を捨て、チューナーモンスター【クイック・シンクロン】を特殊召喚!」

 

【クイック・シンクロン】

攻撃表示

ATK700/DEF1400

 

「チューナー……合計レベルは10だけど、【クイック・シンクロン】で召喚できるシンクロモンスターにレベル10なんて……」

 

明日香が言うように、【クイック・シンクロン】で召喚できるレベル10のシンクロモンスターはない。だが、こいつなら召喚できる。

 

「このモンスターは、俺のフィールドに存在するレベル5以上のチューナーと、同じレベルのチューナー以外のモンスターを墓地に送ることで特殊召喚できる!」

 

【クイック・シンクロン】と【サイバー・ドラゴン】が飛び立つと同時に、俺の視界の色が反転する。

 

「なに!?急に目が……!」

 

どうやら俺だけではなく、他の人の色も反転したらしい。

そして俺の視界では、【クイック・シンクロン】と【サイバー・ドラゴン】でシンクロ召喚の演出が行われていた。

 

「混沌の次元より沸き出でし力の根源!原点にして全ての頂点!この現世で、無限の渇望を暫し潤すがいい!」

 

いつもの白から反転した黒い柱が立つと、その柱以外の色が元に戻る。

 

「総てを従えろ!【アルティマヤ・ツィオルキン】!!」

 

【アルティマヤ・ツィオルキン】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

黒い柱から全身が真紅に染まった竜が、高い鳴き声とともに現れた。

 

「攻撃力0?フンッ、頂点だと総てだとの言ったわりに随分な攻撃力だな」

「アンタも所詮は攻撃力でしか判断しない老いぼれか。

俺はカードを1枚セットする。この瞬間、【アルティマヤ・ツィオルキン】の効果発動!俺のフィールドに魔法・罠がセットされたとき、【パワー・ツール】シンクロモンスターか、レベル7・8のドラゴン族シンクロモンスター1体を、エクストラデッキから特殊召喚できる!」

「シンクロモンスターを特殊召喚!?」

 

ももえが何故か驚いている。お前シンクロ召喚のテスターなんだから、このカードは把握しておいてくれ。

 

「魔神束ねし蝿の王よ!虫酸の走る世界に陰りを!貴様はもう逃げられない!レベル8!【魔王龍ベエルゼ】!」

 

【魔王龍ベエルゼ】

攻撃表示

ATK3000/DEF3000

 

メタリック・レッドの体を持ち、2つの龍頭と胴体に蝿の頭を持ち、胴体の上に黒い人の上半身がある龍が現れた。

 

「ほう、【ウリア】同じ攻撃力のモンスターを召喚したか」

「バトル!【ベエルゼ】で【ウリア】を攻撃!魔王の赦肉祭(ベエルズ・カーニバル)!」

 

【ベエルゼ】が2つの龍頭で【ウリア】を一方的に食べ尽くした。

 

「何故だ!?何故【ウリア】だけが破壊された!?」

「【ベエルゼ】はバトルでも効果でも破壊されない」

 

僅かに目を大きくした影丸に淡々と答える。

 

「アンタの縋った【幻魔】なんてその程度なんだよ。そして【幻魔】に頼りきったそのデッキでは、【ベエルゼ】も、【アルティマヤ・ツィオルキン】も倒せない。何故なら、【アルティマヤ・ツィオルキン】は、俺のフィールドに他のシンクロモンスターがいる限り、攻撃対象にも効果対象にもならないからだ」

「…………!」

「俺はこれでターンエンド」

 

遊城十代

LP8000

モンスター

【アルティマヤ・ツィオルキン】:攻

ATK0

【魔王龍ベエルゼ】:攻

ATK3000

魔・罠

伏せ1枚

手札6枚(遊城)

手札2枚(宮田)

 

「私のターン、ドロー!【神炎皇ウリア】の効果発動!」

 

【ウリア】の効果?アニメ効果ってまだあったのか。再び火柱が上がり、【ウリア】が姿を現わす。

 

「手札の罠カードを墓地に送り、墓地の【ウリア】を蘇生させる」

 

【神炎皇ウリア】

攻撃表示

ATK4000/DEF4000

 

面倒な。これじゃあ【ベエルゼ】はただのサンドバッグだ。

 

「【神炎皇ウリア】の効果発動!トラップディストラクション!」

 

再びの音波で【くず鉄のかかし】が破壊された。

 

「バトル!【神炎皇ウリア】で【魔王龍ベエルゼ】を攻撃!ハイパーブレイズ!」

 

真紅の炎が【ベエルゼ】を襲い、余波が俺にやってくる。

 

「ぐっ……!」

 

遊城十代・宮田龍斗

LP8000→7000

 

「だが、【ベエルゼ】のさらなる効果!戦闘または相手のカードの効果でダメージを受けたとき、その数値分攻撃力がアップする!」

 

俺の体から出てきた血の色の光が、【ベエルゼ】の体に吸い込まれる。

 

【魔王龍ベエルゼ】

ATK3000→ATK4000

 

「ターンエンドだ」

 

影丸

LP8000

モンスター

【神炎皇ウリア】:攻

ATK4000

魔・罠

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

十代はドローしたカードを確認した後、【アルティマヤ・ツィオルキン】を見たあと、俺を見る。モンスターを召喚するべきか考えているのだろう。

 

「…………俺は【E・HERO エアーマン】を召喚!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

召喚して攻撃する方を選んだか。それでいい。ライフが0にならなければ、【ベエルゼ】が奴を倒す。

 

「【エアーマン】の効果発動!召喚・特殊召喚したとき、デッキから【HERO】を手札に加えることができる!【E・HERO バブルマン】を手札に加える!」

 

遊城十代

手札6枚→7枚

 

「バトル!【ベエルゼ】で【ウリア】を攻撃!」

 

再び食べられる【ウリア】。だがさっきとは状況が違うぞ。

 

「【エアーマン】でダイレクトアタック!」

 

【エアーマン】がファンを投げつけ、ロボットを攻撃する。

 

「おぉ……!」

 

影丸

LP8000→6200

 

「速攻魔法【マスク・チェンジ】!【エアーマン】を墓地に送り、同じ属性の【M・HERO】を特殊召喚する!現れろ!【M・HERO カミカゼ】!」

 

【M・HERO カミカゼ】

攻撃表示

ATK2700/DEF1900

 

「この召喚はバトルフェイズ中のものだから、【カミカゼ】は攻撃することができる!ダイレクトアタック!」

 

【カミカゼ】が影丸に特攻しようと前に踏み込んだ瞬間、【カミカゼ】が消えた。と思うと既に影丸の背後に【カミカゼ】が。

 

「ぐぅ……!?」

 

影丸

LP6200→3500

 

急に影丸が入っているロボットが揺れると影丸のライフが減った。どうやら高速移動による衝撃で攻撃したらしい。

 

「ターンエンド!」

 

遊城十代・宮田龍斗

LP7000

モンスター

【アルティマヤ・ツィオルキン】:攻

ATK0

【魔王龍ベエルゼ】:攻

ATK4000

【M・HERO カミカゼ】:攻

ATK2700

魔・罠

手札6枚(遊城)

手札2枚(宮田)

 

「小癪な……!私のターン、ドロー!【神炎皇ウリア】の効果発動!手札の罠カードを墓地に送り、蘇れ【ウリア】よ!」

 

【神炎皇ウリア】

攻撃表示

ATK5000/DEF5000

 

再三現れる【ウリア】。だが【ベエルゼ】がいる限り、俺達の有利は変わらない。

 

「魔法カード【強欲な壺】!カードを2枚ドロー!」

 

影丸

手札1枚→3枚

 

「フィールド魔法【失楽園】!」

 

周囲の森が消え、雑草すら生えない広野になる。

 

「【失楽園】の効果。【三幻魔】が1体でも私のフィールドにいれば、カードを2枚ドローできる」

 

影丸

手札2枚→4枚

 

「バトル!【ウリア】で【カミカゼ】を攻撃!ハイパーブレイズ!」

 

【カミカゼ】に炎が向かうが、右拳を前に突き出すと炎が止まった。

 

「【カミカゼ】はバトルじゃ破壊されないぜ!」

「だがダメージは受けてもらう!」

 

遊城十代・宮田龍斗

LP7000→4700

 

「そして、俺達がダメージを受けたとき、【ベエルゼ】の攻撃力がアップする!」

 

今度は十代から出た光が【ベエルゼ】に吸い込まれる。

 

【魔王龍ベエルゼ】

ATK4000→6300

 

「ならば魔法カード【ライトニング・ボルテックス】!これで貴様らのモンスターを破壊する!」

 

稲妻が降り落ち、【ベエルゼ】以外を薙ぎはらう。

 

「【ベエルゼ】は効果でも破壊されない」

「カードを1枚伏せターンエンド」

 

影丸

LP3500

モンスター

【神炎皇ウリア】:攻

ATK5000

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【失楽園】

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!」

「罠発動【強制脱出装置】!その目障りなモンスターには退場してもらおう」

 

【ベエルゼ】が遥か彼方、空まで飛ばされて……星になった。

これで俺の場のカードは全滅したわけだ。

 

「……俺は魔法カード【貪欲な壺】を発動!墓地の【アルティマヤ・ツィオルキン】

【M・HERO カミカゼ】

【E・HERO バブルマン】

【クイック・シンクロン】

【サイバー・ドラゴン】をデッキに戻して2枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札2枚→4枚

 

…………そういえば、影丸は『【三幻魔】に通用するのは発動ターンの魔法のみ』とは言っていたが、モンスター効果も通用しないのか?しかし『罠は通用しない』とは言っていたが、モンスター効果に関しては説明されてないんだよな。

 

「……試してみるか。相手フィールドにのみモンスターがいるとき、このモンスターは特殊召喚できる。現れろ【バイス・ドラゴン】!」

 

【バイス・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2000/DEF2400

 

「この効果で特殊召喚した【バイス・ドラゴン】の攻撃力と守備力は半分となる」

 

【バイス・ドラゴン】

ATK2000/DEF2400→ATK1000/DEF1200

 

「魔法カード【死者蘇生】発動!墓地の【ゾンビキャリア】を特殊召喚!」

 

【ゾンビキャリア】

攻撃表示

ATK400/DEF200

 

「合計レベルは7です。龍斗さんのデッキはドラゴン族シンクロモンスターてんこ盛りデッキみたいですから……」

「レベル7のドラゴン族……」

「今アタシ、いやなカードを思い出したわ……」

 

ももえ、明日香、枕田の順。実際、召喚したいモンスターは、いやなカードだしな。

 

「レベル5の【バイス・ドラゴン】にレベル2の【ゾンビキャリア】をチューニング!清廉なる花園に芽吹く孤高の薔薇よ、蒼き月の雫を得てここに花開け!シンクロ召喚!咲き誇れ!レベル7!【月華竜ブラック・ローズ】!」

 

【月華竜ブラック・ローズ】

守備表示

ATK2400/DEF1800

 

発動しても効果が通用するかわからないから、今回は守備表示だ。後ろではももえ達が『外道』とか言ってくるが、これが重要なデュエルだってわかってるか?

 

「【ブラック・ローズ】の効果発動!特殊召喚に成功したとき、または相手フィールドにレベル5以上のモンスターが特殊召喚されたとき、相手の特殊召喚されたモンスター1体を手札に戻す!」

「無駄だ。【三幻魔】にそんな効果はーーー」

 

『通用しない』と言おうとしたのだろうか。影丸の発言を嘲笑うように【ブラック・ローズ】は棘のついた蔦を伸ばして【ウリア】を縛り、持ち上げては地面に叩きつけ、持ち上げては地面に叩きつけを繰り返し、最終的には【ウリア】が逃げるようにフィールドから姿を消した。

 

「…………え?」

 

影丸のセリフ。余程予想外だったらしい。

 

「通用したな。攻撃表示で召喚すれば良かった。ターンエンド」

 

遊城十代・宮田龍斗

LP4700

モンスター

【月華竜ブラック・ローズ】:守

DEF1800

魔・罠

手札6枚(遊城)

手札2枚(宮田)

 

「わ、私のターン、ドロー!…………ターンエンド」

 

影丸

LP3500

モンスター

魔・罠

フィールド

【失楽園】

手札3枚

 

あいつドローして終わりやがった。

このターンで決着か。

 

「俺のターン、ドロー!【E・HERO シャドー・ミスト】を召喚!」

 

【E・HERO シャドー・ミスト】

攻撃表示

ATK1000/DEF1500

 

「速攻魔法【マスク・チェンジ】!【シャドー・ミスト】を墓地に送り、【M・HERO ダーク・ロウ】を特殊召喚!」

 

【M・HERO ダーク・ロウ】

攻撃表示

ATK2400/DEF1800

 

流石十代容赦無い。

しかし大徳寺先生からもらったであろうカード、まったく使わなかったな。……まぁいいや。勝てばいい。

 

「【ブラック・ローズ】を攻撃表示に変更してバトル!2体でダイレクトアタック!」

「バカな……!この私が、【三幻魔】が敗れるなど……!」

「アンタに、そのカード達を操れる力が無かっただけのことだ」

 

影丸の呟きにそう返すと、影丸は一瞬目を見開き、何かを言おうとしたが、その前に【ブラック・ローズ】と【ダーク・ロウ】が影丸に攻撃し、影丸の断末魔が響いた。

 

影丸

LP3500→-1300

 

ソリッドヴィジョンの衝撃なのか、はたまた元からボロかったのか、原因は不明だがデュエルに決着が着くと影丸が漬けられていたカプセルが壊れ、中の液とともに影丸が吐き出された。

影丸は骨と皮だけと言っていいほどの細身で、自身の力で立つこともままならない。俺達のような若い連中を見ていて、もう一度青春を謳歌したかったというのが本当の動機らしい。

十代が影丸をあーだこーだと励ますと、何をトチ狂ったのか自力で立ち上がった。俺と十代とのデュエルを通じて生気を取り戻したのかもとか言っていた。何かおかしい気もするが、本人がそれでいいならそれでいいだろう。

その後、影丸は十代と抱擁を交わし、十代によって腰を砕かれた。恐るべし十代の決闘筋肉……。

影丸は鮫島校長が手配したヘリに緊急搬送されることになり、十代と丸藤は大きく手を振って見送った。

鮫島校長が影丸から回収した【三幻魔】を黒い機械に再度封印すると、周囲の柱が地響きとともに地面の中に戻っていった。

 

「今度こそこれで、【三幻魔】の脅威は去ったんだな」

「ええ」

 

カイザーに頷く明日香。【三幻魔】とか言ってたが、召喚されたのは【ウリア】だけだ。

 

「あとは、来週に控えた進級試験だけナノーネ」

「進級試験!?」

 

クロノスの一言に一番反応したのは十代だった。どうやら完全に忘れていたらしい。俺も通常モンスターのステータスとか確認しておかないとな。




ハモン「あれ?出番は?」
ラビエル「解せぬ」

影丸氏は【ハモン】を引いたんですが、手札が……【ラビエル】?知らない子ですね。

次回はカップ麺の話です。


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進路 隼人VS.クロノス

お久しぶりです。
ようやく次話が出来たので投稿です。
そして今更感ありますが、ARCーVの新OPにて『イヤッホォォォォ!』の人や、皆大好き『ハルトォォォ!』の人、さらには明日香が出てきました。明日香のデッキがどうなるのか個人的に興味があります。
長続きしないワクワクとともに本編へどうぞ。


「断る」

 

進級試験が控え、通常モンスターのステータスやテキストの暗記に重きを置いて勉強していると、十代と丸藤、前田がやってきた。

僅かな既視感を覚えつつも要件を聞くと、以前前田が書いた絵がカード化され、さらにデュエルアカデミアからの推薦があれば、正式にI2社のカードデザイナーとして迎え入れたいとペガサス会長から言われたらしい。しかし、前田は留年しているからという理由で推薦することはできないとクロノスが反対。明日デュエルして、その結果次第では推薦してもいいと言われたらしい。

そして、俺のデッキを借りたいとやってきたらしい。即答で断ったが。

 

「な、なんでだよ!?隼人の力になってやってくれよ!」

「俺も前田の力になってやりたいとは思う」

「だったら!」

「だが前田は、以前俺が組んだデッキを使ったあと暴走した前科がある」

 

十代にそう告げると、丸藤も前田もがっくりと肩を落とした。

 

「それに、前田自身の力で勝たなければ意味が無いだろう」

 

一言も発することなく俯いてしまう3人。前田にいたっては帰ろうと体を反転させようとしている。

 

「…………だが、前田が俺のカードでデッキを組むなら話は別だし、アドバイスくらいならしてやる」

「ほ、本当か!?」

 

前田のことなのに、自分のことのように喜ぶ十代。若干引きつつも3人を部屋に入れる。

今回はなるべく抑えつつ、勝てる。そして前田がメインでデッキを組むことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

前田の進路を決めるデュエルを見物するため(暴走しないかの監視も含め)デュエルフィールドに。

見物は俺の他にも十代、丸藤、三沢、万丈目、明日香、ゆまがいた。

 

「ゆまも来るとはな」

「お兄ちゃんのお友達は私のお友達だもん。応援しなきゃだよ」

 

屈託のない笑顔で言うゆま。そうか、とだけ返して前田を見る。気負いすぎているのか、表情が硬い。まぁ、自分の進路がかかったものとなれば当然か。

 

「「デュエル!」」

 

前田隼人

LP4000

 

VS

 

クロノス・デ・メディチ

LP4000

 

先攻は前田。俺はあのデッキを組む手伝いはしたが、正直あのデッキを回す自身は無い。

 

「俺のターン、ドロー!モンスターを裏守備表示で召喚。カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

前田隼人

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「どんな罠も、私の【古代の機械】には無力ナノーネ!私のターン、ドロー!速攻魔法【磁力の召喚円 LV2】を発動!手札から、【古代の歯車(アンティーク・ギア)】を特殊召喚!」

 

【古代の歯車】

攻撃表示

ATK100/DEF800

 

召喚された【古代の歯車】を見て、万丈目が『手加減無しか』ともらす。

 

「さらに、私のフィールドに【古代の歯車】がいるナーラ、手札の【古代の歯車】は、攻撃表示で特殊召喚できるノーネ!」

 

【古代の歯車】

攻撃表示

ATK100/DEF800

 

「そして、2体の【古代の歯車】を生贄に、【古代の機械巨人】を召喚するノーネ!」

 

【古代の機械巨人】

攻撃表示

ATK3000/DEF3000

 

あっという間に手札が2枚に。しかし出てきた【古代の機械巨人】の攻撃を前田がどう凌ぐか……

 

「罠発動!【ブレイクスルー・スキル】!相手モンスター1体の効果を、このターンの終了まで無効にするんだなあ!」

 

前田が【ブレイクスルー・スキル】を発動すると、突如現れた【エヴォルカイザー・ドルカ】に【古代の機械巨人】が殴られ、バチバチと音を立てて動きが鈍った。

 

「…………バトルナノーネ!【古代の機械巨人】で守備モンスターを攻撃!アルティメット・パウンド!」

 

ギギギ……と鈍い音を立てながら右腕を打ち出す【古代の機械巨人】。しかし効果が無効になっているからか、右腕のエフェクトは発生せず、守備モンスター……【デス・コアラ】を殴りつけるだけだった。

 

「【デス・コアラ】のリバース効果発動!相手の手札1枚につき、400ポイントのダメージを与えるんだなあ!」

「ぐっ……!?」

 

クロノス・デ・メディチ

LP4000→3200

 

「よし!隼人が先制ダメージを与えた!」

「あとは、あの【古代の機械巨人】をどう突破するかだな」

 

十代がガッツポーズをとり、三沢が残る課題を分析する。そしてゆまが顔をこちらに向けた。

 

「あのカード、お兄ちゃんの?」

「ん?ああ、【ブレイクスルー・スキル】のことか。ゆまの予想通り、あのデッキは俺のカードを入れてある」

 

途中変なカードがデッキに入ったが、まぁいいだろう。動けなくはないし。

ゆまはどこか安心したように前田のデュエルを見始めた。

 

「ターンエンドナノーネ!」

 

クロノス・デ・メディチ

LP3200

モンスター

【古代の機械巨人】:攻

ATK3000

魔・罠

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!【レスキューキャット】を召喚!」

 

【レスキューキャット】

攻撃表示

ATK300/DEF100

 

「れ、【レスキューキャット】!?」

「龍斗、あのカードは……!」

 

前田が召喚した【レスキューキャット】に丸藤は驚き、十代は『大丈夫なのか』と言いたげにこちらを見る。

事情を知らないゆま、万丈目、明日香は何も言わないにしても気になるようで、黙って視線を寄越す。

 

「【レスキューキャット】に原因があるわけじゃないと判断しただけだ。もしまた暴走するなら、また俺が止める」

「また……?」

 

ゆまが聞いてきたが、『あとで話す』とこの場での言及を避ける。

 

「また力を貸してほしいんだなあ!【レスキューキャット】の効果発動!このカードを墓地に送り、デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚するんだなあ!レベル3の【デス・コアラ】とレベル3チューナーモンスター、【Xーセイバー エアベルン】を特殊召喚!」

 

【デス・コアラ】

攻撃表示

ATK1100/DEF1800

 

【Xーセイバー エアベルン】

攻撃表示

ATK1600/DEF200

 

「チューナーデスート!?」

「チューナーだと!?」

 

クロノスと万丈目が同時に声を出す。

その後クロノスは一瞬こちらを見る。万丈目は【レスキューキャット】の効果の使い道を理解したのか、ブツブツと何かを呟いていた。

 

「レベル3の【デス・コアラ】にレベル3の【Xーセイバー エアベルン】をチューニング!シンクロ召喚!【氷結界の龍 ブリューナク】!」

 

【氷結界の龍 ブリューナク】

攻撃表示

ATK2300/DEF1400

 

「【ブリューナク】の効果発動!手札を1枚捨てて、【古代の機械巨人】を手札に戻すんだなあ!」

 

【ブリューナク】が翼を使って風を起こすと、【古代の機械巨人】が吹き飛ばされた。

 

「バトル!【ブリューナク】でダイレクトアタック!」

 

【ブリューナク】から吹雪のようなブレス攻撃が放たれ、一瞬クロノスが凍結した。

 

クロノス・デ・メディチ

LP3200→900

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドなんだなあ!」

 

前田隼人

LP4000

モンスター

【氷結界の龍 ブリューナク】:攻

ATK2300

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「……【ブリューナク】はやりすぎじゃない?」

「…………まぁもし暴走しても、今日は【アモルファージ】持ってきてるからなんとかなるだろ。たぶん」

 

明日香からの一言に曖昧に答えると、ゆまが心配そうに俺を見た。

 

「私のターン、ドロー!【強欲な壺】発動!カードを2枚ドロー!」

 

クロノス・デ・メディチ

手札3枚→5枚

 

「カードを2枚伏せ、魔法カード【大嵐】を発動!」

 

これって……十代に使ったやつか。めちゃくちゃな構成だなぁ……

【大嵐】によって前田のリバースカード、【ミラフォ】が破壊された。

 

「この瞬間、破壊された【黄金の邪神像】2枚の効果発動!私のフィールドに【邪神トークン】を特殊召喚するノーネ!」

 

【邪神トークン】×2

攻撃表示

ATK1000/DEF1000

 

「あ、あのコンボは俺とのデュエルで使った……!」

 

十代が思い出したように呟く。相手の【奈落の落とし穴】等の召喚反応型罠を除去しつつ、自分の場にリリース要員を揃える……上手いけど、事故が怖い。

 

「そして2体の【邪神トークン】を生贄に、【古代の機械巨人】を召喚するノーネ!」

 

【古代の機械巨人】

攻撃表示

ATK3000/DEF3000

 

「…………バトルナノーネ!【古代の機械巨人】で【氷結界の龍 ブリューナク】を攻撃!アルティメット・パウンド!」

 

顔面を殴られ破壊される【ブリューナク】。その余波が前田を襲う。

 

前田隼人

LP4000→3300

 

「カードを伏せ、ターンエンドナノーネ!」

 

クロノス・デ・メディチ

LP900

モンスター

【古代の機械巨人】:攻

ATK3000

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード【強欲な壺】発動!カードを2枚ドロー!」

 

前田隼人

手札2枚→4枚

 

「……!【レスキューキャット】を召喚!」

 

【レスキューキャット】

攻撃表示

ATK300/DEF100

 

「【レスキューキャット】の効果発動!【魔轟神獣ケルベラル】と【デス・コアラ】を特殊召喚!」

 

【魔轟神獣ケルベラル】

攻撃表示

ATK1000/DEF400

 

【デス・コアラ】

攻撃表示

ATK1100/DEF1800

 

「レベル3の【デス・コアラ】にレベル2の【魔轟神獣ケルベラル】をチューニング!シンクロ召喚!頼む!【幻層の守護者アルマデス】!」

 

【幻層の守護者アルマデス】

攻撃表示

ATK2300/DEF1500

 

「あいつ、何考えてるんだ?あんなモンスターじゃ、クロノスを倒せないぞ」

 

万丈目の意見も尤もだ。【古代の機械巨人】は貫通効果があるから、ダメージ軽減という意味では正しいが……

 

「魔法カード【死者蘇生】!蘇れ、【ブリューナク】!」

 

【氷結界の龍 ブリューナク】

攻撃表示

ATK2300/DEF1400

 

【ブリューナク】……?なら何故【アルマデス】を?

 

「魔法カード【融合】!【ブリューナク】と【アルマデス】を融合するんだなあ!」

「ナンデスート!?」

「シンクロモンスター同士で融合!?」

 

クロノスと明日香の声が聞こえる。

…………ぁー、そういえばこんな感じの条件だったな。

 

「融合召喚!出てこい!【旧神ノーデン】!」

 

【旧神ノーデン】

攻撃表示

ATK2000/DEF2200

 

まさか【ノーデン】の正規融合を見れるとは……いや、でも【ブリューナク】の効果……

 

「お兄ちゃん、あのモンスターは?」

「【旧神ノーデン】。融合素材はシンクロモンスターまたはエクシーズモンスターとシンクロモンスターまたはエクシーズモンスターという意味不素材のモンスターだ」

 

正直【ノーデン】=【簡易融合(カップ麺)】だと思ってたから、今の今まで素材を忘れてた。

 

「ふぇ〜……そんなモンスターがいるんだね〜……」

「レベル4だから【簡易融合】で召喚した方が楽だけどな」

 

「【旧神ノーデン】の効果発動!このモンスターの特殊召喚に成功したとき、墓地のレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる!【レスキューキャット】を特殊召喚!」

 

【レスキューキャット】

攻撃表示

ATK300/DEF100

 

「そして、レベル4の【旧神ノーデン】と【レスキューキャット】でオーバーレイ!」

 

クロノスが何か小さく呟いたが、聞きとることができなかった。

 

「エクシーズ召喚!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】!」

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

【ホープ一族】を使わないのは前田なりの慈悲だろうか……?

 

「【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の効果発動!ORUを2つ使って、相手モンスターの攻撃力を半分にして、その攻撃力を加えるんだなあ!」

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の翼の前でORUが2つとも弾けると、翼が拡がり紫電が走る。

 

【古代の機械巨人】

ATK3000→ATK1500

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】

ATK2500→ATK4000

 

「さらに魔法カード【エアーズロック・サンライズ】!」

 

前田がカードを発動すると、前田の背後から巨大な岩山と太陽が現れた。

 

「墓地から獣族モンスターを特殊召喚するんだなあ!出てこい!【ビッグ・コアラ】!」

 

岩山の頂上に影が現れる。目を凝らして見てみると、【ビッグ・コアラ】が根元から取った木を一心不乱に葉を食べていた。……マイペースすぎる。

 

【ビッグ・コアラ】

攻撃表示

ATK2700/DEF2000

 

「隼人君、【ビッグ・コアラ】なんていつの間に墓地に……」

「おそらく、【ブリューナク】の効果で手札から捨てたカードが【ビッグ・コアラ】なんだろう」

 

丸藤の疑問に三沢が答える。墓地に落とせるタイミングがそこしか無かったしな。

 

「【エアーズロック・サンライズ】の効果はまだあるんだなあ!相手フィールドのモンスターの攻撃力を、俺の墓地にいる獣族・鳥獣族・植物族モンスター1体につき200ポイント下げる!」

 

【古代の機械巨人】

ATK1500→ATK100

 

前田の墓地には【デス・コアラ】3枚、【レスキューキャット】2枚、【エアベルン】、【ケルベラル】の計7枚。攻撃力3000が見る影もない。

 

「バトル!【ビッグ・コアラ】で【古代の機械巨人】を攻撃!ユーカリ・ボム!」

 

前田が攻撃宣言したが、【ビッグ・コアラ】はしばらく葉を食べ続け、完食したところでその木を投げ飛ばす。投げられた木は轟音とともに【古代の機械巨人】を貫き爆発。爆風に巻き込まれる寸前のクロノスはどこか満足気だった。

 

「…………」

 

クロノス・デ・メディチ

LP900→-1700

 

「シニョール前田。実技試験は貴方の勝ちナノーネ。シンクロ召喚から融合召喚、そしてエクシーズ召喚とは恐れ入ったノーネ」

「あ、ありがとうございますっ!」

「デュエルアカデミア本校実技担当最高責任者として、自信を持ってシニョール前田をI2社に推薦するノーネ!」

 

翌日。

前田はI2社の専用機でI2社に飛んだ。

餞別として、今回組んだデッキは崩さずに前田に持って行かせた。あのデッキが、あいつの励みになることを祈る。




はい、皆さんも【ノーデン】は正規召喚しましょう。(既に【ノーデン】は牢獄にいますが)
次回は【サイバー】VS【M・HERO】による【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】対決です。
前後編になるかと。


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卒業ー① 十代VS.亮

やっとここまで来た感があります。
3……もしかしたら4話かけてになるかと。


終わった……今年度最後の試験が一昨日終わった。

さらに昨日、イベントの参加者が決定した。シンクロからは明日香が。エクシーズは藤原。ペンデュラムは俺が出ることになった。やはり【WE】は強かった。結果を海馬さんとペガサス会長に報告すると、海馬さんからの返答は『了解した。後はペガサスに指示を仰げ』とだけ。そしてペガサス会長からは『了解しまシタ。これから送るリストと、既存のカードの中からデッキを作成し、そのデッキでイベントに出てくだサーイ』という内容のメールと、明日香用、藤原用、俺用のリストが送られてきた。

 

「…………これ、【EM】も作れないんじゃ……」

 

リストをプリントして確認すると、【オッドアイズ】と【時読み】と【星読み】、数枚の【EM】があるが、ペンデュラムは【カレイドスコーピオン】と【ヒックリカエル】くらいだ。いくら最初だからってこれでは何も……俺の事情を知るペガサス会長から山のような既存カードのリストを見て、嘆息しながらもデッキを作ることにした。

 

「三沢。すまないがコレを藤原、こっちを明日香に渡してくれ」

「構わないが、龍斗はどうするんだ?」

「イベントに使うデッキを作る。ちょっと手こずりそうでな」

 

三沢に藤原と明日香への届け物を頼んで、デッキ作りを始める。ペンデュラムの内容から考えると、【EM】メインになるのは確定だ。どうやってキーカードを集めるか……せめて【ドクロバット・ジョーカー】入れたかった……頭を抱えているとドアがノックされた。ドアを開けると、そこにはカイザーの姿が。

 

「カイザー?」

 

カイザーは何も言わずに寮に入っていく。一瞬疑問に思ったが、何も言わずにドアを閉める。カイザーは部屋を軽く見回して、部屋の中央で反転し俺と向き合った。

 

「卒業試験で、俺は卒業模範デュエルの卒業生代表に選ばれた」

「?おめでとう」

 

なんだ急に?自慢か?いや、カイザーはそんな男ではない……筈だ。

 

「そこで、俺は龍斗、お前にリベンジする。俺は俺の持てる全力で。全てをお前にぶつける。お前も、お前の持てる全力でデュエルしてくれ」

 

それだけ言ってカイザーは部屋を出て行った。

…………あの野郎……

 

「最後の最後に面倒なことしてきやがったーーー!!」

 

ただでさえデッキ作りに頭を抱えているというのに、ここでカイザー相手のデッキ作りだと!?…………叫んでも仕方ない。まずはカイザー相手のデッキを構築済みのデッキから選定。無いなら急ピッチで作る。

 

「渡してきたぞ。それと龍斗、カイザーとの卒業模範デュエルの相手に選ばれたっていうのはーーー」

「これは……【ドラグニティ】?違う。【緑一色】……これは条件違うじゃねぇか!」

「…………本当みたいだな」

 

いつの間にか三沢が帰ってきていたらしいが、デッキ探しに集中してて気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

卒業模範デュエルに使うデッキも決定し、デュエルフィールドに行くと、どうやらカイザーたっての希望で十代と俺との2戦を行うらしく、俺は2戦目らしい。ならばと観客席に行くと明日香、ももえ、枕田、藤原、ゆま、三沢、万丈目、丸藤、吹雪先輩がポツンと座っていた。校長のいる席周辺と明日香達周辺以外は埋まっているというのに。謎だ。

 

「龍斗?貴方、模範デュエルは?」

「カイザーが十代ともデュエルしたいらしくてな。十代、俺の順ですることになってるらしい」

 

明日香が俺に気づき質問してきたので事情を説明する。状況を理解したのか、ゆまが俺の腕を取って隣に座らせたので、とりあえずそこに陣取る。俺達は中央2列を使っていて、一番前には最後列から見て右から万丈目、三沢、丸藤、明日香が座り、2列目は右隣にゆま、左隣に藤原に挟まれて俺が座り、吹雪先輩が藤原の左隣に座っている。

 

「お兄ちゃん、十代さんは勝てるかな?」

「さぁな。カイザーにもエクシーズは渡したし、かなりデッキは強化されてる。十代が昨日来なかったことを考えると、今手元にあるカードだけでカイザーに挑もうとしてる。どちらが【インフィニティ】を使いこなしているかが鍵かな」

 

あのカード返してもらってないしな。別にいいけど。量産品だし。

そう思っていると、カイザーと十代がデュエルフィールドに並んで出てきた。それと同時に上がる歓声。

歓声に一切反応せず、カイザーと十代は別れてデュエルフィールドに向かう。

 

「アニキの表情、なんかいつもと違うッス……」

 

丸藤の言う通り、十代の表情が真剣というより険しい。三沢は『昂ぶっている』と思っているらしい。吹雪先輩は『それが吉と出るか凶と出るか』と小さく呟いていた。

カイザーと十代はデュエルフィールドの両端から中央に行く。歓声が止むと、十代とカイザーが握手を交わし両端に戻りデュエルディスクを展開。クロノスの進行により卒業模範デュエルが始まった。

 

「「デュエル!」」

 

丸藤亮

LP4000

 

VS

 

遊城十代

LP4000

 

「先攻後攻は?」

「どちらでも」

「なら俺は、後攻を取らせてもらう!」

 

十代の問いにカイザーが答えると、十代は何故か後攻を選択。カイザーは一瞬目を丸くしたが、すぐにいつもの表情に戻り了承した。よって先攻はカイザーとなったわけだが…………

 

「わからんな」

「どうしたの龍斗?」

「何故十代は後攻を取ったんだ?エクシーズメインにしろ融合メインにしろ、十代は先攻で動くのが普段のスタイルだ」

 

藤原の問いに素直に答える。若干質問に質問で返したような気がしないでもないが、実際そう思ったわけだから訂正もしないが。

 

「亮の使う【サイバー・ドラゴン】は相手のフィールドにのみモンスターがいるとき、生贄無しで召喚できる。十代君はそれを研究して後攻を選んだんだろう」

 

俺の疑問に答えたのは吹雪先輩だった。わからなくはないが、どこか釈然としないものがあった。

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード【融合】を発動!手札の【サイバー・ドラゴン】3体を融合!」

 

いきなりカイザーが動いた。カイザーの初手【融合】に周囲が驚くが、俺は初手にあの手札が揃うことに驚いていた。

 

「現れろ!【サイバー・エンド】!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

「いきなり【サイバー・エンド】……」

「流石はカイザー……」

 

明日香と三沢の声がする。だが俺は何の反応もすることなく、デュエルを見続けた。

 

「魔法カード【封印の黄金櫃】発動!デッキから魔法カード【異次元からの宝札】を除外!」

 

【黄金櫃】……【タイムカプセル】から変化したな。

 

「【異次元からの宝札】……ゲームから除外されたあのカードは、次のカイザーのターンに手札に戻り、互いに2枚ドローする」

「【融合】を使うデッキは、必然的に消費する手札が多くなる。それをあのカードで補うのか」

「流石はカイザー。といったところかしら」

 

三沢のカード説明、吹雪先輩の解説、藤原の感想と続く。隣ではゆまが『ふえ〜』と声をもらしていた。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・エンド・ドラゴン】:攻

ATK4000

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

カイザーは1ターン目で手札を全て消費した。

そして十代のターンになったわけだが、何故か十代は動かない。

 

「どうした十代。お前のターンだ」

 

いやに慎重な十代に丸藤は『らしくない』と言う。

 

「俺のターン、ドロー!【ブリキンギョ】を召喚!」

 

【ブリキンギョ】

守備表示

ATK800/DEF2000

 

出てきたのはどこかの銀行で貰えたような見た目のモンスター。エクシーズメインか……だが、なおさら何故後攻を?

 

「【ブリキンギョ】の効果発動!召喚に成功したとき、手札のレベル4のモンスター1体を特殊召喚できる!【E・HERO シャドー・ミスト】を特殊召喚!」

 

【E・HERO シャドー・ミスト】

攻撃表示

ATK1000/DEF1500

 

「【シャドー・ミスト】の効果発動!特殊召喚に成功した場合、デッキから【チェンジ】速攻魔法、【マスク・チェンジ】を手札に加える!」

 

遊城十代

手札4枚→5枚

 

「俺はレベル4の【ブリキンギョ】と【シャドー・ミスト】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う、反逆の牙!今降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】!」

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の効果発動!ORUを2つ使い、相手モンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分、【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の攻撃力をアップする!トリーズン・ディスチャージ!」

「速攻魔法【融合解除】!【サイバー・エンド】の融合を解除し、3体の【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン】×3

守備表示

ATK2100/DEF1600

 

「対象がフィールドから離れたことで、【ダーク・リベリオン】の効果は不発となる」

 

やけに冷静な十代。恐らく、十代はカイザーのリバースカードが【融合解除】だと読んで【ダーク・リベリオン】を召喚したんだろう。三沢も同じ意見らしかった。丸藤は、やはり『らしくない』と呟いていた。

 

「バトル!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】で【サイバー・ドラゴン】を攻撃!反逆のライトニング・ディスオベイ!」

 

【ダーク・リベリオン】の顎が【サイバー・ドラゴン】の1体を貫き、【サイバー・ドラゴン】が爆発した。

 

「今日の俺は、前とは違う!龍斗から貰ったエクシーズの力で、アンタ同様、パーフェクトを狙うぜ!」

 

…………確かに、十代らしくないかもな。テスターの仕事も悪影響してるのか?少しばかり勝ちにこだわりすぎているような気がする。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!この瞬間、ゲームから除外された【異次元からの宝札】が、その効果で手札に戻り、互いに2枚ドローする」

 

丸藤亮

手札1枚→4枚

 

遊城十代

手札2枚→4枚

 

「そして、レベル5の【サイバー・ドラゴン】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

新たな力と翼を手に、今この地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

カイザーがエクシーズ召喚を扱えることを知らない多くの生徒が騒めく。フィールドを挟んだ向こう側に座る校長が最前列に猛スピードで移動したが、十代の行動ですぐに元の位置に戻った。

 

「罠発動【強制脱出装置】!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】を手札に戻す!」

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】はエクシーズモンスター。よって手札ではなくエクストラ……融合デッキに戻る」

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】は、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を召喚するための素材にできる。簡単には召喚させないぜ!」

 

【サイバー・エンド】を退け、【インフィニティ】の召喚を一時的とはいえ止めた十代。

 

「凄い……カイザーのエースモンスター達を退けたわ」

「でもまだ手札は4枚あるわ。十代のボウヤは防ぎきれるかしら」

 

十代のプレイングに素直な感想を述べる明日香。藤原はカイザーの手札の枚数を気にしていたが、一瞬足りとも見逃すまいと前のめりに見ていた。

 

「…………手札から魔法カード【サイバー・リペア・プラント】を発動!俺の墓地に【サイバー・ドラゴン】がいるときのみ発動可能。俺は2つある効果から1つを選択してその効果を発動する。1つは、デッキから機械族・光属性モンスター1体を手札に加える効果。もう1つは、墓地の機械族・光属性モンスター1体をデッキに戻す効果だ」

「亮の操る【サイバー・ドラゴン】は機械族で光属性。事実上【サイバー・ドラゴン】をサーチするカードというわけか」

「でも亮の墓地には【サイバー・ドラゴン】は3枚。デッキに戻すしかないわね」

 

天上院兄妹がカイザーの一手を考察しているが、カイザーは明日香の予測を超える一言で周囲を再び騒つかせた。

 

「だが、俺の墓地に【サイバー・ドラゴン】が3体以上いる場合、その両方を発動できる!」

「なに!?」

「り、両方!?」

 

十代とゆまも周囲同様騒ついた。

 

「つまり亮は、【サイバー・ドラゴン】をデッキに戻し、同じカードをサーチするということか」

「吹雪先輩、【サイバー・リペア・プラント】の2つの効果を発動する場合、テキストの上から順に、サーチから先に処理しないといけないんですよ」

 

吹雪先輩の推測を否定しておく。そんなことしたら実質【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚するカードになるぞ。

 

「デッキから、【サイバー・ドラゴン・コア】を手札に加え、墓地の【サイバー・ドラゴン】をデッキに戻す」

「新しい【サイバー・ドラゴン】か」

「俺が以前渡したカードの1枚ですよ。【リペア・プラント】もね」

 

興味深そうな吹雪先輩に小さく返す。

吹雪先輩は『ほう』と反応したが、すぐに無言になった。

 

「そして、手札に加えた【サイバー・ドラゴン・コア】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・コア】

守備表示

ATK400/DEF1500

 

「【サイバー・ドラゴン・コア】の効果発動。召喚に成功したとき、デッキから【サイバー】、もしくは【サイバネティック】と名のついた魔法・罠を手札に加える。【サイバー・ネットワーク】を手札に加える。魔法カード【強欲な壺】。カードを2枚ドローする」

 

丸藤亮

手札3枚→5枚

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン・コア】:守

DEF1500

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!【エマージェンシーコール】!デッキから【フェザーマン】を手札に加える!」

「はぁ!?」

 

【フェザーマン】!?ランク4エクシーズメインだろ!?なんでレベル3の通常モンスターが入ってるんだよ!?

思わず立ち上がると、ゆまと藤原に座らされた。

 

「お、お兄ちゃん落ち着いて」

「ゆまの言う通りよ。落ち着いて」

「だけど…………いや、すまん」

 

立っても何にもならないと思い、数秒目を閉じて落ち着かせる。

 

「魔法カード【融合】!手札の【フェザーマン】と【バーストレディ】を融合!来い!【E・HERO フレイムウィングマン】!」

 

【E・HERO フレイムウィングマン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1200

 

…………落ち着け……落ち着くんだ……ハイブリッドデッキになっただけだ。まともに動けるかどうかは度外視して……

 

「永続罠【サイバー・ネットワーク】発動!俺のフィールドに【サイバー・ドラゴン】がいる場合、1ターンに1度、デッキから機械族・光属性モンスター1体をゲームから除外できる。【サイバー・ドラゴン・コア】はフィールドと墓地ではカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱うため、効果の発動が可能だ。【サイバー・ドラゴン・ドライ】を除外」

 

カイザーがデッキから取った【サイバー・ドラゴン・ドライ】のカードが、電子回路の線を模して枝分かれしている青い線に取り込まれた。その瞬間、【サイバー・ドラゴン・コア】の背後に【ドライ】の姿が半透明の状態で現れた。

 

「この瞬間、【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!このカードがゲームから除外された場合、俺のフィールドの【サイバー・ドラゴン】1体はこのターン、戦闘・効果では破壊されない!」

「上手い。【フレイムウィングマン】は、バトルで破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える効果がある。それを先に防いできた」

「【フレイムウィングマン】は風属性だから、攻撃した後に手札か伏せてある【マスク・チェンジ】で【カミカゼ】に変身して、カイザーさんのライフを0に出来たんだけどね〜」

 

三沢がゆまに判断力で負けた……?三沢がゆまに少しばかり恨めしそうな顔を向けたから間違いないだろう。まぁ、ゆまも【HERO】使うから仕方ない。

 

「くっ……これじゃあ、攻撃できない……カードを1枚伏せ、ターンエンド」

「速攻魔法【サイクロン】発動!今伏せたカードを破壊させてもらう」

 

若干御機嫌斜めな態度のカイザーの容赦無いプレイングで、十代の伏せた【ドレインシールド】を破壊した。

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】:攻

ATK2500

【E・HERO フレイムウィングマン】:攻

ATK2100

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー。【サイバー・ネットワーク】は発動後3回目のスタンバイフェイズに破壊される。その瞬間、このカードの最後の効果で、除外されている俺の機械族・光属性モンスターを可能な限り特殊召喚し、俺のフィールドの魔法・罠を全て破壊する」

 

説明の後、【サイバー・ネットワーク】の上に青白い『1』の数字が現れた。

 

「【サイバー・ネットワーク】の効果で、デッキから【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を除外する。【サイバー・ヴァリー】を召喚」

 

【サイバー・ヴァリー】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

「【サイバー・ヴァリー】には3つの効果がある。俺は第3の効果を、墓地の【強欲な壺】を選択して発動!フィールドのこのカードと、手札1枚を除外」

 

カイザーが【異次元からの宝札】を見せると、粒子となって消滅した。

これで次のカイザーのターン、カイザーと十代の手札がまた増えることがほぼ決定した。

 

「【強欲な壺】をデッキの一番上に置く。さらに魔法カード【死者蘇生】を発動!【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「魔法カード【融合】!フィールドの【サイバー・ドラゴン】と【サイバー・ドラゴン・コア】を融合!【サイバー・ツイン・ドラゴン】を融合召喚!」

 

【サイバー・ツイン・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2100

 

「速攻魔法【マスク・チェンジ】!【フレイムウィングマン】を墓地に送り、同じ属性の【M・HERO】を特殊召喚する!現れろ!【M・HERO カミカゼ】!」

 

【M・HERO カミカゼ】

守備表示

ATK2700/DEF1900

 

エクシーズと【M・HERO】、または【E・HERO】と【M・HERO】ならまだわかる。だがここまでごちゃ混ぜなデッキは……

 

「【カミカゼ】は戦闘では破壊されないし、相手はバトルフェイズ中1体のモンスターでしか攻撃できないから、十代さんはダメージを最小限にしたんだね」

「だが守備力は1900。【サイバー・エンド】が来るまでに状況を立て直せるか……」

 

ゆまにそう返す。おそらく十代のデッキは昔のようなほぼハイランダーのデッキ。エクストラも現行ルールでは枚数制限が無いことを考えて持っているカード全てを入れたのだろう。形成逆転のカードを引ける確率がかなり低い。

 

「……バトル。【サイバー・ツイン・ドラゴン】で【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】を攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!」

 

【サイバー・ツイン】の光線で【ダーク・リベリオン】が破壊され、爆風が十代を襲う。

 

「くっ……!」

 

遊城十代

LP4000→3700

 

「ターンエンド」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ツイン・ドラゴン】:攻

ATK2800

魔・罠

【サイバー・ネットワーク】

手札0枚

 

「厳しいわね。十代のボウヤの手札は1枚。ドローしても2枚。フィールドには【カミカゼ】1体だけで伏せカードも無い。何度もあの子とデュエルしたけれど、状況を打開するカードはほぼ無いわ」

 

藤原が現状を見てそう言う。あいつ偶に意味不明なカード突っ込むからな……【強制脱出装置】をしっかり積んであるかどうか……

 

「俺のターン、ドロー!【カミカゼ】を攻撃表示に変更して、魔法カード【ヒートハート】を発動!【カミカゼ】の攻撃力を500ポイントアップさせる!」

 

【カミカゼ】が全身に炎を模したオーラを纏った。

 

【M・HERO カミカゼ】

ATK2700→ATK3200

 

「バトル!【カミカゼ】で【サイバー・ツイン・ドラゴン】を攻撃!神風一閃!」

 

【カミカゼ】が超高速で突撃し、【サイバー・ツイン・ドラゴン】の胴部に風穴を開けた。

 

丸藤亮

LP4000→3600

 

「【カミカゼ】は相手モンスターをバトルで破壊した場合、1枚ドローできる!」

 

遊城十代

手札1枚→2枚

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP3700

モンスター

【M・HERO カミカゼ】:攻

ATK2700

魔・罠

伏せ2枚

手札0枚

 

「盛り返したな」

「…………」

 

そう言っただけなのに、藤原に横腹をつつかれた。

 

「……十代。俺は今、お前を対戦相手に指名したことを後悔している」

 

カイザーがそう言うと、十代が突っかかってきた。まぁ、俺でもあんなこと言われたらカチンと来るけど。

 

「エクシーズを使うにしろ、融合を使うにしろ、お前とデュエルできることを楽しみにしていた。だが、そんなデュエルをされるなら、龍斗だけを指名するべきだったと、心の底から思っている」

 

……勝ちにこだわりすぎているとは思う。だが、そこまで言う必要を感じない。俺ならオーバーキルで叩き伏せるだけで済ませるし。十代はそれに怒り、『今日の俺は戦術、戦略共にパーフェクト』と言い張る。たしかに毎ターン最善と思われる一手をしてるつもりなんだろうけど、俺ならそもそもそんなデッキを組まない。あらゆる状況に対応しようとして、やりたい事ができなくなるのは本末顛倒もいいとこだ。カイザーは、十代に対して『これだけ言ってもまだわからないか』と諦めにも似たことを言ってカードを引いた。

 

「このスタンバイフェイズ、ゲームから除外された【異次元からの宝札】が手札に戻り、互いに2枚ドローする」

 

丸藤亮

手札1枚→4枚

 

遊城十代

手札0枚→2枚

 

「さらに【サイバー・ネットワーク】のカウントが進む」

 

【サイバー・ネットワーク】の上の『1』が『2』に変化。次のターン、【サイバー・ネットワーク】が破壊され、【サイバー】モンスターが大量発生する。

 

「墓地の【サイバー・ドラゴン・コア】の効果発動!相手のフィールドにのみモンスターが存在する場合、墓地のこのカードを除外することで、デッキから【サイバー・ドラゴン】と名のつくモンスターを特殊召喚する!」

「【サイバー・ドラゴン】を!?」

「カイザーはこの状況さえも見越して、【サイバー・ドラゴン・コア】を融合素材に使ったのか……!」

 

十代が驚くなか、三沢がカイザーのプレイングに驚嘆する。

 

「それが、亮がカイザーと呼ばれる所以だよ。明日香、今からでも遅くないぞ」

「何が!」

 

三沢にカイザーや十代の出す空気など知らんとばかりのテンションで言う吹雪先輩。後半に関しては明日香が若干怒っていた。

 

「現れろ!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

【ツヴァイ】か……【サイバー・ドラゴン】を直接召喚しないのは、手札に来てるからか?どんな引きしてるんだ……

 

「【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果発動!手札の魔法カードを見せることで、【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】はこのターン、カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う」

 

そう言ってカイザーは手札の【異次元からの宝札】を見せる。

これで【サイバー・ネットワーク】の効果が使えるようになったわけだ。

 

「【サイバー・ネットワーク】の効果でデッキから【サイバー・ドラゴン】を除外する」

「【サイバー・ドラゴン】を!?」

 

十代がカイザーの一手に驚愕しているが、次のターンの布石だろう。【サイバー・ネットワーク】が自壊してモンスターが出てくるからな。

 

「魔法カード【強欲な壺】!カードを2枚ドロー!」

 

丸藤亮

手札3枚→5枚

 

「【サイバー・ドラゴン・ドライ】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

「【サイバー・ドラゴン・ドライ】は、フィールド・墓地にいるなら、カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う。さらに【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!召喚に成功したとき、フィールドの【サイバー・ドラゴン】のレベルを5にする!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

レベル4→5

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

レベル4→5

 

「そして、レベル5となった【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】と【サイバー・ドラゴン・ドライ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

新たな力と翼を手に、再びこの地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「まだだ!俺と【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の限界は!俺は【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】でオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!

誇りを捨て、あらゆる力を取り込み、拒絶し、更なる高みへ登れ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!これが、サイバー流の進化の果て!ランク6!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の攻撃力は、ORUの数だけ、200ポイントアップする。現在のORUは3つ。よって攻撃力が600ポイントアップ!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2100→ATK2700

 

「さらに、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!1ターンに1度、フィールドの攻撃表示モンスター1体を、自身のORUにする!」

「っ!【カミカゼ】!」

 

【カミカゼ】が【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】から飛び出た青白いロープのような線に捕らえられ、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】に吸収され、ORUに変換された。

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2700→ATK2900

 

「バトル!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】でプレイヤーにダイレクトアタック!インフィニティ・ノヴァ!」

「罠発動【炸裂装甲】!相手モンスターの攻撃宣言時、そのモンスターを破壊する!」

「無駄だ!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】はORUを使うことで、相手のカードの発動を無効にできる!」

「ならこれでどうだ!罠発動【聖なるバリアーミラーフォースー】!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】が効果を発動しようと目を光らせるが、その瞬間に【ミラフォ】のカードから虹色の光が飛び出し【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を貫いた。

 

「まだ足掻くか。俺はこれでターンエンド」

 

丸藤亮

LP3600

モンスター

魔・罠

【サイバー・ネットワーク】

手札4枚




次回はこの続きなんですが、今回の半分程で終わります。


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卒業ー② 十代VS.亮

結局はこうなります。
前回はこんな感じで終わった……と思います。
7ターン目エンドフェイズ

丸藤亮
LP3600
モンスター

魔・罠
【サイバー・ネットワーク】
手札4枚

VS

遊城十代
LP3700
モンスター

魔・罠

手札2枚


カイザーの卒業模範デュエル。カイザーは俺と十代の2人を相手に指名するという暴挙に出た。2対1ではなく、1対1を連続するということで、十代、俺の順ですることに。そして十代とのデュエルの最中なんだが、

 

「何やってんだアイツ?」

 

カイザーがターンを終了すると同時に、十代が座り込んだ。なんだ?手札事故でも発生したのか?そんな無茶苦茶な構築するからだ。寧ろよく3ターンも保ったな。

しかし、十代が座り込んだのには理由があった。

 

「あ〜、もうダメだ。腹減って力が出ねぇ」

 

ぐぅ〜。という情け無い音が微かに聞こえた。その瞬間、周囲から同時に『え?』と声が出た。

 

「いやー、エクシーズも融合も使いたいし、だからごちゃ混ぜにしたのは良いんだけど、負けたくないからさ。頑張って頭使ったんだけど……正直もう無理だ!頭使うの疲れるし、楽しくない!腹も減るしな。トメさーん!トメさんいるー?」

 

十代が急に購買のトメさんを呼んだかと思うと、なんとデュエル中に食べ物を要求してきた。腹が減ってはなんとやら、ということらしく小休止決め込んで胡座かいて飯を待つ。その間にカイザーに食事の許可を得ようとすると、二つ返事で了承。2人をよそに、俺達は唖然としていた。ただ、丸藤だけは『アニキらしくなった』と言っていた。

トメさんと同じく購買の『お姉さん』ことセイコさんがおにぎりを次々と用意して、十代はペットボトルのお茶を飲みながらそれを平らげていく。それにしても良く食べるな。一皿におにぎり3つ、それを十皿は平らげた。奴の胃袋は化け物か。俺はそんなに食べられないぞ。

 

「ふー、食った食った!待たせたなカイザー、ここからが本番だぜ!」

「……来い!」

 

少し前の不機嫌さとはうって変わって、笑みを浮かべながらデュエルディスクを構え直すカイザー。

 

「俺のターン、ドロー!【E・HERO バブルマン】を召喚!」

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

「【バブルマン】の効果で、カードを2枚ドロー!」

 

遊城十代

手札2枚→4枚

 

「【強欲な壺】!カードをさらに2枚ドロー!」

 

遊城十代

手札3枚→5枚

 

「魔法カード【融合回収】!墓地の【融合】と【バーストレディ】を手札に加える!」

 

遊城十代

手札4枚→6枚

 

あっという間に手札が6枚に……ハイランダーのはずなのによく回せるよな。

 

「【融合】発動!手札の【バーストレディ】と【クレイマン】を融合!来い!【E・HERO ランパートガンナー】!」

 

【E・HERO ランパートガンナー】

攻撃表示

ATK2000/DEF2500

 

【ランパートガンナー】……ダメージが半分になる代わりに、守備表示でダイレクトアタックできる効果のモンスターだったか。攻撃表示なのはダメージが半減するのを回避するためか。

 

「バトル!【ランパートガンナー】でダイレクトアタック!ランパート・ショット!」

 

【ランパートガンナー】の右腕から放たれたミサイルが、カイザーの足下に着弾。爆風がカイザーを襲う。

 

「くっ……!」

 

丸藤亮

LP3600→1600

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP3700

モンスター

【E・HERO バブルマン】:守

DEF1200

【E・HERO ランパートガンナー】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ、【サイバー・ネットワーク】のカウントが進む」

 

【サイバー・ネットワーク】のカウントが『2』から『3』に変化し、【サイバー・ネットワーク】を電子回路を模した青白い線が包み、収縮する。カードが収縮し消滅する直前、【サイバー・ドラゴン】達が姿を現した。

 

「【サイバー・ネットワーク】発動後、3回目のスタンバイフェイズにこのカードは破壊され、除外されている機械族・光属性モンスターを可能な限り特殊召喚し、俺のフィールドの魔法・罠を全て破壊する」

 

【サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

【サイバー・ヴァリー】

守備表示

ATK0/DEF0

 

「【サイバー】モンスターが、一気に4体……!」

「この効果で特殊召喚されたモンスターは効果を発動できず、俺はこのターン、バトルフェイズを行えない」

 

興奮気味の十代。このターン攻撃されることはないし、【ランパートガンナー】がいるからダメージの心配はあまりないだろうが、次のターン【サイバー・エンド】が来たら厄介だな。

 

「【サイバー・ドラゴン・コア】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・コア】

守備表示

ATK400/DEF1500

 

「【サイバー・ドラゴン・コア】の効果でデッキから【サイバネティック・フュージョン・サポート】を手札に加える!」

 

丸藤亮

手札4枚→5枚

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

丸藤亮

LP1600

モンスター

【サイバー・ドラゴン】:攻

ATK2100

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻

ATK1500

【サイバー・ドラゴン・ドライ】:攻

ATK1800

【サイバー・ヴァリー】:守

DEF0

【サイバー・ドラゴン・コア】:守

DEF1500

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

次、もしくはさらに先のターンの準備でこのターンを終えたか。にしても【サイバー・ドラゴン】関連のモンスターが揃い踏み。【フォートレス】召喚したくなる。

 

「俺のターン、ドロー!【ランパートガンナー】を守備表示に変更!」

 

【E・HERO ランパートガンナー】

攻撃表示→守備表示

ATK2000→DEF2500

 

「バトル!【ランパートガンナー】は守備表示でも、相手プレイヤーにダイレクトアタックできる!ランパート・ショット!」

「ぐぅ……!」

 

丸藤亮

LP1600→600

 

「この効果でダイレクトアタックするとき、与えるダメージは半分になる。さらに速攻魔法【融合解除】!【ランパートガンナー】を【クレイマン】と【バーストレディ】に!」

 

【E・HERO クレイマン】

攻撃表示

ATK800/DEF2000

 

【E・HERO バーストレディ】

守備表示

ATK1200/DEF800

 

「【クレイマン】で【サイバー・ヴァリー】を攻撃!クレイ・ナックル!」

 

【クレイマン】がバニラと成り果てた【サイバー・ヴァリー】を殴り、吹き飛ばした。

 

「俺はレベル4の【クレイマン】と【バブルマン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!全ての終わりを告げる銃声よ、今響け!エクシーズ召喚!撃て!ランク4!【ガガガガンマン】!」

 

【ガガガガンマン】

守備表示

ATK1500/DEF2400

 

【ガガガガンマン】……ガンマンライン下回ったけど、これでケリつける気かよ……あのカードでトドメをさされたことのある一部の生徒から『お前マジで言ってんの』といった声が聞こえる。明日香達は声に出さないが、似たような雰囲気だ。

 

「十代さん……」

 

ゆまは若干声に出して引いていたが……

 

「【ガガガガンマン】の効果発動!守備表示のときORUを1つ使い、相手プレイヤーに800ポイントのダメージを与える!」

 

効果説明が終わった途端、周囲から大ブーイング。しかし、カイザーの伏せたカードで状況が変わった。

 

「カウンター罠【ダメージ・ポラリライザー】!ダメージを与える効果が発動したとき、その効果を無効にし、互いに1枚ドローする!」

 

丸藤亮

手札4枚→5枚

 

遊城十代

手札2枚→3枚

 

「魔法カード【天使の施し】!カードを3枚ドローして2枚捨てる!【戦士の生還】発動!墓地の【フェザーマン】を手札に加え、そのまま守備表示で召喚!」

 

【E・HERO フェザーマン】

守備表示

ATK1000/DEF1000

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP3700

モンスター

【E・HERO フェザーマン】:守

DEF1000

【E・HERO バーストレディ】:守

DEF800

【ガガガガンマン】:守

DEF2400

魔・罠

伏せ3枚

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード【融合】発動!フィールドの【サイバー・ドラゴン】、【サイバー・ドラゴン・ドライ】、【サイバー・ドラゴン・コア】を融合!現れろ、【サイバー・エンド】!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

「終わりだ十代。バトル!」

「罠発動、【リビングデッドの呼び声】!蘇れ【バブルマン】!」

 

【E・HERO バブルマン】

攻撃表示

ATK800/DEF1200

 

「そのモンスターでは、【サイバー・エンド】を止めることはできない!【サイバー・エンド】で【フェザーマン】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!」

「まだ終わらないぜ!罠発動【エレメンタルバースト】!」

「……そうか……【バブルマン】を蘇生させたのはそのため……!」

「このカードは、俺のフィールドの地・水・炎・風、この4つの属性のモンスター1体ずつをリリースして、相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」

 

ピンポイントすぎて使い辛い。そう思ったのも束の間、【ガガガガンマン】が土砂に、【バブルマン】が水流に、【バーストレディ】が赤い炎に、【フェザーマン】が白い風に姿を変え、【サイバー・エンド】と【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を粉砕した。

 

「魔法カード【一時休戦】を発動!」

 

カイザーのやつ、いつの間に俺のカード持っていった!?【インフィニティ】か!?【インフィニティ】のときに持っていったのか!?

 

「互いに1枚ドローし、次の相手ターン終了時まで互いに与えられるあらゆるダメージは無効となる」

 

丸藤亮

手札4枚→5枚

 

遊城十代

手札0枚→1枚

 

「ターンエンドだ」

 

丸藤亮

LP600

モンスター

魔・罠

手札5枚

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード【ミラクル・フュージョン】!墓地の【フレイムウィングマン】と【スパークマン】を除外!」

 

【スパークマン】……【天使の施し】で落としてたのか。

 

「現れろ!【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】!」

 

【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

「【シャイニング・フレア・ウィングマン】の攻撃力は、墓地の【E・HERO】の数×300ポイントアップする!俺の墓地には、【シャドー・ミスト】

【フェザーマン】

【バーストレディ】

【クレイマン】

【バブルマン】

【ネクロダークマン】の6枚。よって攻撃力が1800ポイントアップ!」

 

【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】

ATK2500→ATK4300

 

【ネクロダークマン】も【天使の施し】で落としてたのか。攻撃力が【サイバー・エンド】の元々の攻撃力を超えたか。

 

「お兄ちゃん、十代さん凄いね!」

「……そうだな。あんなデッキを操れる。組もうとする十代は凄いよ」

「それって褒めてないよね!?」

 

素直に『凄い』と思ってることは思ってるさ。どう『凄い』かは別として。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP3700

モンスター

【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】:攻

ATK4300

魔・罠

伏せ2枚

手札0枚

 

「カイザー!俺は手札が無い、カイザーはライフが残り少ない。本気で、【パワー・ボンド】で来い!」

 

何故か十代が【パワー・ボンド】を要求してきた。リバースカードがあるにしても、除去されたらどうするつもりだ?

 

「……俺のターン……ドロー!!」

 

カイザーの無駄に力の入ったドロー。そんなに思い切りドローしたら、カードが傷つくと思うんだが……いや、拳銃の撃鉄を止められるし、俺もカード手裏剣でタイタンが持ってた小道具を壊したような……なら大丈夫か。

カイザーは引いたカードを確認すると、そのまま頭上に掲げた。

 

「魔法カード【パワー・ボンド】!さらに速攻魔法【サイバネティック・フュージョン・サポート】を発動!ライフ半分をコストに、手札・フィールド・墓地のモンスターを除外して、融合召喚を可能にする!」

 

丸藤亮

LP600→300

 

カイザーの墓地から【サイバー・ドラゴン】のカードが3枚出てきた。今引き【パワボン】……引けなかったらテンションだだ下がりだったな。

 

「現れろ!【サイバー・エンド・ドラゴン】!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

「【パワー・ボンド】の効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は倍になる!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

ATK4000→ATK8000

 

「【サイバー・エンド】はさらなる高みを目指す!速攻魔法【リミッター解除】!機械族モンスターの攻撃力を倍にする!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

ATK8000→ATK16000

 

攻撃力5桁に多くの生徒が騒然となる中、

 

「あれに【デモンズ・チェーン】したらダメかしら?」

 

明日香の放った一言がやけに印象的だった。

 

「バトルだ!行け、【サイバー・エンド】!【シャイニング・フレア・ウィングマン】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!!」

 

【サイバー・エンド】の3つの首から高出力のエネルギーが放出されようとする中、十代が動いた。

 

「リバースカードオープン!速攻魔法【決闘融合ーバトル・フュージョン】!【シャイニング・フレア・ウィングマン】の攻撃力は【サイバー・エンド・ドラゴン】の攻撃力分、16000ポイントアップする!」

 

【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】

ATK4300→ATK20300

 

「こ、攻撃力20000!?」

 

三沢がさらなる強化に驚く。周囲もカイザーの敗北を予感する中、状況がまた一つ動いた。

 

「狙いは同じか、だがタイミングを誤ったな!速攻魔法【決闘融合ーバトル・フュージョン】!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

ATK16000→ATK36300

 

カイザーも同じカードを握ってやがった。これで勝敗はカイザーに……そう思っていると、十代とカイザーが小さく何かを言い合ったあと、十代がさらに動いた。

 

「罠発動!【決戦融合ーファイナル・フュージョン】!」

「!……負けず嫌いが!」

 

効果を把握しているのか、一瞬驚いただけですぐに笑みを浮かべた。

 

「これにより、お互いのプレイヤーはお互いのモンスターの攻撃力の、合計分のダメージを受ける!」

 

【サイバー・エンド】と【シャイニング・フレア・ウィングマン】が激突し、閃光の後に轟音とともに大爆発。

数十秒立ちこめた煙はゆっくりと空気の中に溶けていき、跪いているカイザーと大の字で倒れている十代の姿が。

 

丸藤亮

LP300→-56300

 

遊城十代

LP3700→-52900

 

引き分け……この結果に暫くの間沈黙していたが、チラホラと立ち上がる人が現れ、大歓声と拍手がフィールドを包んだ。カイザーがゆっくりと立ち上がり、十代のもとへ歩いていく中、

 

「お兄ちゃん?」

「行ってくる」

 

俺は1秒も待ってられず、席を立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、卒業模範デュエル第2戦。卒業生代表、丸藤亮。在校生代表、宮田龍斗のデュエルを始める!」

 

数分後、俺はデュエルフィールドでカイザーと対峙した。

 

「待たせたな龍斗」

「本当に待ったぞ。昨日、カイザーに指名されたときは非常に面倒だった。【幻魔】の件が終わり、仕事に集中できると思っていたからな。だが、もうそんなことどうだっていい。アンタはどうも俺を熱くさせる。楽しもう、このデュエル!」

 

抑えられない笑みを浮かべ、デュエルディスクを展開する。

 

「ああ。俺はこのデュエルで、お前に勝つ!」

 

カイザーもデュエルディスクを展開し、俺と同時に叫んだ。

 

「「デュエル!」」

 




次回は龍斗がこのテンションからやる気を一気に失くします。


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暴動 VS.亮

龍斗のテンションが下がったり、プレミしたりするいつも通りの話です。


十代とカイザーの卒業模範デュエル。融合とエクシーズのハイブリッドを実現するためにハイランダーで挑んだ十代の発動した罠カードによってドローに終わった。

そして、ようやく俺とカイザーのデュエルが始まった。

 

「「デュエル!」」

 

「先攻後攻は?」

 

十代同様聞いてみると、先ほど同様『どちらでも』と返答してきた。

 

「なら、先攻をもらう」

「……了解した」

 

これで思い切り動けそうだ。

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

丸藤亮

LP4000

 

「俺のターン、ドロー!【EM ドクロバット・ジョーカー】を召喚!」

 

【EM ドクロバット・ジョーカー】

攻撃表示

ATK1800/DEF100

 

現れたのは黒を基調とした衣装を身に纏う道化師。

 

「【EM】……たしか、ペンデュラムを操るモンスター達だったか」

「その通り。これが今回、アンタを倒すデッキだ。【ドクロバット・ジョーカー】の効果発動!召喚に成功したとき、デッキから【ドクロバット・ジョーカー】以外の【EM】モンスター、【魔術師】ペンデュラムモンスター、【オッドアイズ】モンスターのうち1体を手札に加える!【慧眼の魔術師】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札5枚→6枚

 

「フィールド魔法【天空の虹彩】発動!」

 

フィールド魔法を発動すると、天井に円形の虹が出た。

 

「フィールド魔法……お前とは2度デュエルし、何度かデュエルを見たりもしたが、フィールド魔法を使うところはほとんど見なかったな」

 

カイザーが天井の虹を見てそう呟く。たしかに、フィールド魔法使ったのって十代とやった代表決定戦以来か?あ、いや、キサラにも使ったな。

 

「【天空の虹彩】がある限り、俺のペンデュラムゾーンの【魔術師】、【EM】、【オッドアイズ】は相手の効果の対象にならない。そしてもう一つの効果発動!1ターンに1度、このカード以外の俺のフィールドに表側表示で存在するカード……【ドクロバット・ジョーカー】を対象に発動!対象カードを破壊して、デッキから【オッドアイズ】カードを手札に加える!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】を手札に!」

 

天井の虹から白い光が降り注ぐと、【ドクロバット・ジョーカー】の姿は粒子に変わり、新たにデッキからカードが出てきた。

 

宮田龍斗

手札5枚→6枚

 

「スケール4の【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】をペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

俺の左後ろから青白い柱と『4』の数字とともに【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】が現れた。

 

「カードを2枚セットして、エンドフェイズに【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】の効果発動!このカードを破壊し」

 

説明の途中で【オッドアイズ】が破壊される。

 

「デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスターを手札に加える!攻撃力700の【貴竜の魔術師】を手札に加え、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ2枚

フィールド

【天空の虹彩】

手札4枚

EX

【EM ドクロバット・ジョーカー】

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

 

「モンスター無しか……一瞬、【アーティファクト】を思い出した」

「アレは色んなデッキと合うからな。あえて言わせてもらうと、今回は違うけどな」

 

カイザーは『そうか』とだけ返したあと、デッキに手をかけた。

 

「俺のターン、ドロー!【天使の施し】!カードを3枚ドローして2枚捨てる!魔法カード【融合】!手札の【サイバー・ドラゴン】2体を融合!【サイバー・ツイン・ドラゴン】を融合召喚!」

 

【サイバー・ツイン・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2100

 

「バトル!【サイバー・ツイン・ドラゴン】でプレイヤーにダイレクトアタック!」

「速攻魔法【スケープ・ゴート】!俺のフィールドに【羊トークン】を特殊召喚する!」

 

【羊トークン】×4

守備表示

ATK0/DEF0

 

俺のフィールドに赤、青、黄、ピンクの毛の羊が現れた。

 

「このターン、俺は他のカードの効果で召喚・反転召喚・特殊召喚できない。また、フィールドのモンスターの数が変化したことで戦闘の巻き戻しが発生する」

「俺のターンに発動することで、デメリットの回避と防御を両立させたか」

 

【サイバー・エンド】を召喚されたら壁にもならなかったけどな。もし召喚されたら、もう1枚のリバースカードを使うだけなんだが。

 

「だがバトルは続ける!【羊トークン】を攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!」

 

【サイバー・ツイン】の口から放たれた光線が、ピンクの【羊トークン】を消し飛ばした。

 

「まだだ!【サイバー・ツイン・ドラゴン】は2回攻撃できる!」

 

再びの光線で黄色の【羊トークン】が消し飛んだ。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ツイン・ドラゴン】:攻

ATK2800

魔・罠

伏せ2枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!俺はスケール1の【竜脈の魔術師】とスケール5の【慧眼の魔術師】で、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺の右後ろに、白いローブを身に纏った、赤みがかった長い茶髪が特徴の【竜脈の魔術師】が。左後ろに赤茶色のローブ、両肩に紫の石を金の装飾で留めた白髪の【慧眼の魔術師】が姿を現した。

 

「物事の本質を見極める【慧眼の魔術師】よ。偽りの現実を捨て、我が望む現実に書き換えろ!【慧眼の魔術師】のペンデュラム効果!もう片方のペンデュラムゾーンに他の【魔術師】または【EM】が存在する場合、このカードを破壊して、デッキから新たな【魔術師】をペンデュラムゾーンに置く!リライティング・スケール!」

 

【慧眼の魔術師】が杖の先端に付けられたランプのような物を軽く揺らすと、【慧眼の魔術師】が粒子となり、【竜穴の魔術師】に姿を変えた。

 

「俺はデッキからスケール8の【竜穴の魔術師】と、セッティング済みの【竜脈の魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能となった!」

 

カイザーは無言でいつでもディスクに触れるように構え直す。まずはこいつだ。

 

「世界の力に干渉する【竜脈の魔術師】よ。その力の一端を掬い上げ、邪を退けよ!もう片方のペンデュラムゾーンに【魔術師】が存在する場合、手札のペンデュラムモンスター……【貴竜の魔術師】を捨て、【サイバー・ツイン・ドラゴン】を対象に【竜脈の魔術師】のペンデュラム効果!」

「速攻魔法【融合解除】!【サイバー・ツイン・ドラゴン】を、2体の【サイバー・ドラゴン】に!」

 

【竜脈の魔術師】が両刃の剣のような棒を体の前で縦に構えると、2体の【サイバー・ドラゴン】が現れた。

逃げられたか。

 

【サイバー・ドラゴン】×2

守備表示

ATK2100/DEF1600

 

「対象を失ったことで、【竜脈の魔術師】の効果は不発となる」

 

そして手札のペンデュラムモンスターを使い切った。【竜穴の魔術師】使えば良かったか?いや、これでいい……はず。

 

「揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより蘇れ!俺のモンスター達よ!」

 

【竜脈の魔術師】と【竜穴の魔術師】の間の空間に穴が開き、穴から3体のモンスターが飛び出した。

 

「レベル4!軽やかにフィールドを舞う道化師、【EM ドクロバット・ジョーカー】!」

 

【EM ドクロバット・ジョーカー】

攻撃表示

ATK1800/DEF100

 

「同じくレベル4!本質を見極める者、【慧眼の魔術師】!」

 

【慧眼の魔術師】

攻撃表示

ATK1500/DEF1500

 

「最後にレベル7!雄々しくも美しく輝く二色の眼、【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「一気にモンスターを展開してきたか」

「まだだ!俺は獣族の【羊トークン】と闇属性・ドラゴン族の【オッドアイズ】をリリース!」

 

リリースのはずだが、融合する際の渦と光が現れ、青い毛の【羊トークン】と【オッドアイズ】が渦を巻いて一つになる。

 

「野生の本能、二色の眼の龍に宿りて、新たな力を生み出さん!出でよ!野獣の眼光りし獰猛なる龍!【ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK3000/DEF2000

 

「このモンスターは融合モンスターだが、フィールドの獣族モンスターと闇属性・ドラゴン族モンスターをリリースすることで特殊召喚できる」

「【羊トークン】は生贄召喚の生贄にはできないが、特殊召喚の生贄にはできる。俺のターンで【スケープ・ゴート】を発動したのは、デメリットの回避と防御だけでなく、このための布石だったのか……!面白い。面白いぞ龍斗!」

 

最後、声のトーンが若干ヘルカイザーっぽくなったぞ。

 

「まだまだ行くぞ!レベル4の【ドクロバット・ジョーカー】と【慧眼の魔術師】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

人の知識を得て、更なる力で雲を裂け!エクシーズ召喚!撃ち抜け!ランク4!【鳥銃士カステル】!」

 

【鳥銃士カステル】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「【カステル】の効果発動!ORUを2つ使い、このカード以外の表側表示カード1枚をデッキに戻す!【サイバー・ドラゴン】をデッキへ!」

 

【カステル】が手に持った長銃を真上に放ると、長銃が独りでに発砲。弾丸は【サイバー・ドラゴン】の1体に直撃し、粒子となって消滅した。

 

「罠発動【サイバー・ネットワーク】!【サイバー・ドラゴン・ドライ】を除外し、【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果で、【サイバー・ドラゴン】はこのターン、戦闘・効果で破壊されない!」

 

【サイバー・ドラゴン】の背後に、半透明の【サイバー・ドラゴン・ドライ】の姿が見える。突破はできないか……

 

「【天空の虹彩】の効果発動!【羊トークン】を破壊し、デッキから【オッドアイズ・フュージョン】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】:攻

ATK3000

【鳥銃士カステル】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ2枚

フィールド

【天空の虹彩】

ペンデュラム

【竜脈の魔術師】:スケール1

【竜穴の魔術師】:スケール8

手札2枚

EX

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

 

「ペンデュラム召喚から融合、エクシーズに繋げるか……なるほど。これがペンデュラムの力か」

「ああ。エクシーズを除いて、フィールドから墓地に送る融合やシンクロは、条件さえ満たせれば何度でも使えるこの力。卒業するときに良い贈り物だと思ってな」

 

カイザーは目を閉じながら笑みを見せたあと、デッキに手をかけた。

 

「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【サイバー・ネットワーク】のカウントが進む」

 

【サイバー・ネットワーク】の上に青白い『1』の数字が現れた。

 

「【サイバー・ネットワーク】の効果で、デッキから【プロト・サイバー・ドラゴン】を除外!【強欲な壺】発動!カードを2枚ドロー!」

 

丸藤亮

手札1枚→3枚

 

「【サイバー・ドラゴン・ドライ】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

「【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!召喚に成功したとき、フィールドにいる全ての【サイバー・ドラゴン】のレベルを5にする!」

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

レベル4→5

 

「俺はレベル5となった【サイバー・ドラゴン・ドライ】と【サイバー・ドラゴン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

新たな力と翼を手に、今この地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「罠発動【煉獄の落とし穴】!相手プレイヤーが攻撃力2000以上のモンスターを特殊召喚したとき、その攻撃力2000以上のモンスター1体の効果を無効にして破壊する!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の真下に赤い光が漏れる大穴が開き、見えない何かによって真上から押しつぶされるように落ちていく。数秒後、ジュッという短い音が聞こえ、穴から白い光が溢れた。

 

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】が相手の効果で墓地へ送られた場合、融合デッキから機械族融合モンスターを特殊召喚できる」

「…………ぁ」

 

そんな効果あったな。すっかり忘れてた。【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】ってパンプと【インフィニティ】の素材になる以外にも役目あったんだな。

 

「…………忘れてたのか」

 

俺が小さく洩らした声に、カイザーが察したように声をかけてきた。

思わず顔を左に逸らす。

瞬間、フィールド全体が微妙な空気に包まれた。

システムが空気を読んだかのように、【ビーストアイズ】と【カステル】が振り向いた。

 

「…………続けよう。【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の効果で、融合デッキから【サイバー・エンド・ドラゴン】を特殊召喚する!」

 

気持ちを切り替えようと、穴からズズズともゴゴゴとも言えそうな重低音とともに、【サイバー・エンド】が現れた。

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

「バトル!【サイバー・エンド】で【鳥銃士カステル】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!」

 

【サイバー・エンド】が三つの首から放った光線が、【カステル】と俺を包み込んだ。

 

「ぐっ……ぅぅうう!!」

 

宮田龍斗

LP4000→2000

 

「……カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・エンド・ドラゴン】:攻

ATK4000

魔・罠

【サイバー・ネットワーク】

伏せ1枚

手札1枚

 

【煉獄】じゃなくて【奈落】にしておくべきだったな。横着して傍にあったカードを入れるのは止めよう。

 

「俺のターン、ドロー!【強欲な壺】!カードを2枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札2枚→4枚

 

ドローしたカードを確認し、手札に加えたあと、【竜穴の魔術師】に視線を向ける。

 

「世界の力の根源を見出す【竜穴の魔術師】よ。力の一端をその身に宿し、災いを消し去れ!もう片方のペンデュラムゾーンに【魔術師】が存在する場合、手札のペンデュラムモンスター……【時読みの魔術師】を捨て、そのリバースカードを対象に【竜穴の魔術師】のペンデュラム効果!」

「…………速攻魔法【サイクロン】。【サイバー・ネットワーク】を破壊する!」

 

俺が選択したカードが表になった。

俺の行動を読んで、【サイバー・ネットワーク】を破壊したか。ミスったな……先にアイツを召喚するべきだった。

 

「……【竜穴の魔術師】の効果で【サイクロン】を破壊する」

 

【サイバー・ネットワーク】が風に切り刻まれ、続いて【竜穴の魔術師】が杖を【サイクロン】に向ける。杖から赤い光が高速で伸び、【サイクロン】を貫く。

 

「【サイバー・ネットワーク】が墓地へ送られたとき、ゲームから除外された機械族・光属性モンスターを特殊召喚し、俺の魔法・罠を全て破壊する。現れろ!【サイバー・ドラゴン】達よ!」

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

守備表示

ATK1800/DEF800

 

【プロト・サイバー・ドラゴン】

守備表示

ATK1100/DEF600

 

現れた【サイバー・ドラゴン】達を見たのは数秒。すぐに【竜穴】と【竜脈】を見上げる。

 

「再び揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより現れろ!雄々しくも美しく輝く二色の眼!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「手札からレベル5!【星読みの魔術師】!」

 

【星読みの魔術師】

攻撃表示

ATK1200/DEF2400

 

「2体……しかしどのモンスターも【サイバー・エンド】を超えることはできないぞ」

「別に超える必要はないさ。魔法カード【オッドアイズ・フュージョン】発動!フィールドの【オッドアイズ】と【星読みの魔術師】を融合!

揺れ動く力持つ者、二色の眼の龍に宿りて、新たな力へと生まれ変わらん!融合召喚!吹き荒れろ!二色の眼の暴風龍!【オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF3000

 

フィールドに風が吹き荒れ、雷を撒き散らしながら、緑の体を白く縁取りした、4枚の翼を持つ龍が姿を現わす。翼を除けば、その姿は【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】と酷似している。

 

「【オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン】の効果発動!特殊召喚に成功したとき、相手フィールドの攻撃表示モンスター、つまり【サイバー・エンド】を対象に発動!対象モンスターを手札に戻す!」

 

【ボルテックス】の咆哮と同時に吹き荒れる風が激しさを増し、雷が幾つもフィールドに落ちる。

再度咆哮すると、【サイバー・エンド】を雷が襲い、続いて暴風が吹き飛ばした。

 

「バトル!【ビーストアイズ】で【サイバー・ドラゴン・ドライ】を攻撃!ヘルダイブバースト!」

 

【ビーストアイズ】が炎を吐き、【サイバー・ドラゴン・ドライ】を溶かした。

 

「続けて【ボルテックス】で【プロト・サイバー・ドラゴン】を攻撃!テンペストバースト!」

 

【ボルテックス】の口から竜巻が吐き出されるように【プロト・サイバー・ドラゴン】に向かう。竜巻の内部には雷が発生していて、【プロト・サイバー・ドラゴン】を竜巻が飲みこむと、雷が一瞬の隙もなく【プロト・サイバー・ドラゴン】を襲い、断末魔に似た咆哮を上げ、【プロト・サイバー・ドラゴン】は爆発した。

 

「俺はこれで、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP2000

モンスター

【ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】:攻

ATK3000

【オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【天空の虹彩】

ペンデュラム

【竜脈の魔術師】:スケール1

【竜穴の魔術師】:スケール8

手札2枚

EX

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

【星読みの魔術師】

 

カイザーのフィールドにカードは無く、手札は1枚のみ。ドローを含めても2枚だ。普通に考えると【ブラホ】連発でもしない限りどうこうできる状況じゃないんだが、何故だろう?嫌な予感がする。

 

「俺のターン、ドロー!【サイバー・リペア・プラント】を発動!俺の墓地には【サイバー・ドラゴン・ドライ】が2体、【サイバー・ドラゴン】が1体の計3体の【サイバー・ドラゴン】がいる。よって2つの効果を発動できる!」

 

…………止めるべきか?【ノヴァ】や【インフィニティ】は複数枚入っているとすると…………いや、ここは通すか。

 

「デッキから【サイバー・ドラゴン・ドライ】を手札に加え、墓地の【サイバー・ドラゴン】をデッキに戻す」

 

3枚目の【ドライ】を手札に……フィールドにモンスターがいないことから、既に手札に3枚目の【サイバー・ドラゴン】が?

 

「墓地の【サイバー・ドラゴン・コア】の効果発動!」

 

っ!?そんなカードいつの間に……【天使の施し】……!1ターン目に落としてやがったのか!

 

「相手フィールドにモンスターが存在し、俺のフィールドにモンスターが存在しない場合、墓地のこのモンスターを除外し、デッキから【サイバー・ドラゴン】と名のつくモンスターを特殊召喚する!」

 

落ち着け……まだそのときじゃない……はずだ。

 

「現れろ!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

守備表示

ATK1500/DEF1000

 

【ツヴァイ】?ランク4は渡して無かったと思うが……手札に魔法が?

 

「手札の【天よりの宝札】を見せ、【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果発動!カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う!」

 

次に【ドライ】を使って【ノヴァ】、【インフィニティ】か。

 

「【サイバー・ドラゴン・ドライ】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

守備表示

ATK1800/DEF800

 

「【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!フィールドの【サイバー・ドラゴン】のレベルを5にする!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

レベル4→5

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

レベル4→5

 

「魔法カード【天よりの宝札】!互いの手札が6枚になるようにドローする!」

 

丸藤亮

手札0枚→6枚

 

宮田龍斗

手札2枚→6枚

 

……ここでお前を引くのか。なら、このカードを……

 

「魔法カード【大嵐】発動!フィールドの魔法・罠を全て破壊する!」

 

む、【大嵐】…………別にいいか。

フィールドを吹き荒れる風に、伏せていた【激流葬】、2体の【魔術師】、【天空の虹彩】が破壊された。【ボルテックス】が機嫌良さそうにフィールドを飛び回っていたのは何故だ?

 

「俺はレベル5の【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】と【サイバー・ドラゴン・ドライ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

新たな力と翼を手に、今この地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】でオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!

誇りを捨て、あらゆる力を取り込み、拒絶し、更なる高みへ登れ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!これが、サイバー流の進化の果て!ランク6!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

出やがったな【インフィニティ】。

 

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の攻撃力は、ORUの数だけ、200ポイントアップする。現在のORUは3つ。よって攻撃力が600ポイントアップ!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2100→ATK2700

 

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!」

「チェーン【ヴェーラー】」

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】のさらなる効果!」

「チェーン【うさぎ】」

 

手札に集まった手札誘発モンスターを連続使用して、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】に大量のお札が張られ、爆発した。

 

「フィールドのモンスター効果が発動したとき、またはフィールドで既に表になっている魔法・罠の効果が発動したとき、手札・フィールドの【幽鬼うさぎ】を墓地に送り効果発動。そのカードを破壊する。チェーン4がこれだ。次にチェーン3、【幽鬼うさぎ】の効果は破壊するだけで無効にするわけじゃないから、【エフェクト・ヴェーラー】の効果を無効に。チェーン2は無効になっているからスルー。チェーン1はORUにできる場所が存在しないため不発となる」

 

長いし、2:1で処理は割に合わない。でも面倒なカード除去できたから、とりあえず良しとしとこう。

 

「ならば速攻魔法【サイバネティック・フュージョン・手札・サポート】!ライフ半分をコストに、手札・フィールド・墓地のモンスターを除外して、融合召喚を可能にする!」

 

丸藤亮

LP4000→2000

 

ここで止めてもいいんだが、次のカードを止めたほうが良い気がする。

 

「魔法カード【パワー・ボンド】!」

 

予感的中だ。ここを止める!

 

「ここだこの野郎!【オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン】の効果!魔法・罠・モンスター効果が発動したとき、エクストラデッキに表側表示で存在するペンデュラムモンスターをデッキに戻してそのカードの発動を無効にする!」

「なに!?このタイミングで!?」

「エクストラデッキの【星読みの魔術師】をデッキに戻して、【パワー・ボンド】の発動を無効にする!」

 

【ボルテックス】が尻尾でカイザーの持つ【パワー・ボンド】を払った。無効の仕方が暴君だ。

 

「……魔法カード【融合】!」

 

【融合】…………だと……!?

 

「墓地の【サイバー・ドラゴン】、【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】、【サイバー・ドラゴン・ドライ】を融合!現れろ!【サイバー・エンド】!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

せ、セーフ!【キメオバ】じゃないからセーフ!面倒だけどセーフ!

 

「バトル!【サイバー・エンド】で【オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!」

 

光線に呑み込まれ、断末魔をあげる【ボルテックス】。こんなことなら【パワー・ボンド】じゃなくて【サイバネティック・フュージョン・サポート】止めれば良かった。

 

「くっ……!」

 

宮田龍斗

LP2000→500

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

丸藤亮

LP2000

モンスター

【サイバー・エンド・ドラゴン】:攻

ATK4000

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

あれ?これって……いや、勝てるけど……

 

「…………まぁいいや。魔法カード【ペンデュラム・コール】。手札1枚を捨てて、デッキから名前が違う【魔術師】を2枚手札に加える。【竜穴の魔術師】と【相克の魔術師】を手札に加える。このターン、俺のペンデュラムゾーンの【魔術師】は破壊されない」

「手札にペンデュラムモンスターを揃え、破壊を防ぐ……!?だが、それでも俺の【サイバー・エンド】を超えられなければ意味は無い!」

 

…………なんか、トップ【ペンデュラム・コール】の時点で一気にやる気失せた。

カイザーはそんなことを知らず、堂々とデュエルディスクを構える。

 

「俺はスケール3の【相克の魔術師】とスケール8の【竜穴の魔術師】で、ペンデュラムスケールをセッティング」

 

俺の背後に【竜穴の魔術師】が再度現れるのとほぼ同時に、緑を基調としたローブを着て、2本の剣と円形の盾を一体化させたような武器を持った【相克の魔術師】が現れた。

 

「これでレベル4から7のモンスターが同時に召喚可能。

手札の【相生の魔術師】を捨て、そのリバースカードを対象に【竜穴の魔術師】のペンデュラム効果」

「速攻魔法【リミッター解除】!これにより、【サイバー・エンド】の攻撃力が倍になる!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

ATK4000→ATK8000

 

「何度でも揺れろ。魂のペンデュラム。天空に描け光のアーク。ペンデュラム召喚。エクストラデッキよりレベル7、【竜穴の魔術師】」

 

【竜穴の魔術師】

守備表示

ATK900/DEF2700

 

「同じくレベル7、【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「レベル4【竜脈の魔術師】」

 

【竜脈の魔術師】

攻撃表示

ATK1800/DEF900

 

「墓地の【貴竜の魔術師】の効果を、フィールドの【オッドアイズ】を対象に発動。レベル7以上の【オッドアイズ】のレベルを3つ下げ、手札・墓地のこのモンスターを特殊召喚する」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

レベル7→4

 

【貴竜の魔術師】

攻撃表示

ATK700/DEF1400

 

白いローブを纏い、U字の磁石を付けたような杖を持った少女が現れた……途端にフィールドにへたり込んだ。杖が身長より大きくて持ててないのか。涙目でこちらを見ている。……頑張れ。俺はもう帰りたいけど、決着つけるまで頑張るから。

 

「レベル4となった【オッドアイズ】に、レベル3の【貴竜の魔術師】をチューニング」

「ペンデュラムモンスターのチューナー!?」

「全てを焼き尽くす炎は、新たな命を生み出す炎と変わる。シンクロ召喚。レベル7。二色の眼持つ爆炎龍。【オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン】」

 

【オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

【オッドアイズ】の全身に炎のようなうねりをつけたようなモンスターが現れる。気のせいか、その周囲が陽炎のように揺れている。

 

「【メテオバースト】の効果発動。特殊召喚に成功したとき、俺のペンデュラムゾーンのモンスター、【竜穴の魔術師】を対象に発動。このターン、この【メテオバースト】は攻撃できなくなる代わりに、対象モンスターを特殊召喚する」

 

【メテオバースト】が青白い柱に炎を吐くと、柱が溶け、中にいた【竜穴の魔術師】がフィールドに降りてきた。

 

【竜穴の魔術師】

守備表示

ATK900/DEF2700

 

「レベル7の【竜穴の魔術師】2体でオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。

その氷は全てを封じ、命を解放する棺。龍の姿となりて現れよ。エクシーズ召喚。ランク7。二色の眼持つ凍結龍。【オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン】」

 

【オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2500

 

【オッドアイズ】の全身が凍ったようなモンスターが、薄い白煙とともに現れた。

 

「融合、シンクロ、エクシーズ……凄まじい連続召喚だ。だが、何故だ?何故【月華竜 ブラック・ローズ】を召喚しない?」

「……いや、召喚しても良いんだが……もうカイザー卒業だろ?だからせめてコイツを見せてトドメといこうかと……」

 

俺の呟きに、周囲がどよめきを見せる。攻撃力8000のモンスターをどう倒すのか気になるのだろう。

 

「対立を見定める【相克の魔術師】。その鋭利な力で、異なる星を一つにしろ。【相克の魔術師】のペンデュラム効果。1ターンに1度、フィールドのエクシーズモンスターを対象に発動。【アブソリュート】対象。対象モンスターはそのランクと同じレベルを持つモンスターとしてエクシーズ素材にできる」

「エクシーズモンスターをエクシーズ素材に……!?」

「じゃあ、レベル7になった【アブソリュート】と【メテオバースト】でオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。

二色の眼の龍よ、その黒き逆鱗を震わせ、刃向かう敵を殲滅せよ。エクシーズ召喚。ランク7。怒りの眼輝けし龍。【覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン】」

 

【覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

フィールドに降り立ったのは、機械的な6枚の翼を持つ黒竜。まるで無駄なプレイングだ。

 

「こいつは、エクシーズのペンデュラムという変わったモンスターだ」

「このモンスターが、見せたかったモンスターか?」

「ああ。これで、俺が持つカードの大半の種類を見せたことになる」

 

あとは……アレとか。

 

「こいつはエクシーズモンスターを素材に召喚したとき、相手フィールドのレベル7以下のモンスター全てを破壊し、破壊した枚数1枚につき1000ポイントのダメージを与え、3回攻撃を得るんだが、1枚も破壊できなければ意味はない。ただ見せただけだ」

「なら、どうやって俺にトドメを刺すつもりだ?」

「…………魔法カード【死者蘇生】。墓地の【ボルテックス】蘇生」

 

【オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF3000

 

「【ボルテックス】の効果は、覚えてるよな?」

「…………特殊召喚に成功したとき、相手フィールドの攻撃表示モンスターを手札に戻す……!」

「正解。というわけだ。【サイバー・エンド】を手札に戻してくれ」

 

途端、鼓膜が破れるかのようなブーイングがフィールドを包んだ。しかし、そんなことなど知らぬと【ボルテックス】が【サイバー・エンド】を吹き飛ばす。

 

「バトル。【オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン】でダイレクトアタック。反旗の逆鱗 ストライク・ディスオベイ」

 

全ての翼が開き、紫の光を放つ鋭利な翼が現れる。顎の刃が地面を抉り、カイザーの体を貫いた。

 

丸藤亮

LP2000→-1000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、十代と亮のデュエルのあとで、バウンス除去でトドメなんて……」

 

ロックしてバウンスする明日香に言われたくない。

 

「お兄ちゃん……」

 

まさかゆまに虫を見るような目で見られる日が来ようとは……

デュエルが終わったあと、暴動にも似た騒動が起き、軽く連中を葬った(死んでない)あと、寮の部屋に逃げる。ついでにイベントのデッキ作成を再開したところで、三沢(スパイ)の手引きによって明日香とゆま、藤原達がやってきて、瞬時に囲まれ逃げ道を断たれた。

目の前には仁王立ちの明日香。左右をゆまと枕田に塞がれ、ももえに背後から正座させられ、藤原は何故か俺の両頬を軽く引っ張られる。……藤原のやつ、俺に喋らせない気か。あとももえ、この状況で頭を撫でるのはやめろ。

バウンスはやめろだのカウンターはやめろだの、お前が言うなと言いたくなるお説教を明日香から頂いた。

…………そういえば、【一時休戦】について言及するの忘れてた。




これにて、『アカデミア1年目』が終了となります。
次回から夏休みを数話書いて、『アカデミア2年目』が始まります。あの当↑然↓正位置ィさんやイヤッホォォォさん。あとは……キモイルカが出てくるストーリーですね。あと、活動報告で出てきた要望を一部取り入れ、アニメでは登場しなかったあの人とか出そうかなぁ……とか密かに思ってたりします。


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夏休み
打ち合わせ デュエル無し


夏休み編です。
そして次回からマスタールール3同様先攻ドロー無しになります。
つまり次回はデュエルします。


デュエルアカデミアの一年が終わり、進級試験の結果が発表され、俺はラー・イエローからオベリスク・ブルーに昇格した。残る数日は床に広げたカード達とにらめっこして、取っては戻し、取っては戻しを繰り返し、終業式ギリギリにデッキが完成。非常にデッキの構築がおかしいが、この際ペンデュラムできればいいだろう。そして冬休み同様、居残り組と帰省組で別れ、俺はイベント関連で帰省組に。ゆまもついてくるらしい。

そして、居残り組は十代と丸藤だけだった。別れ際に、十代が何故か【M・HERO】や【インフィニティ】のカードを返すと言って渡してきた。どういうことか聞いてみると、『こっちの【HERO】を使うとあまりワクワクしないから』だそうだ。

しかし、この量産品を受け取っても、仕舞うケースが無いので、『何かあったときのために』とか適当に言って押しつけた。おそらくあのデッキは封印されたのだろうが、いつか役に立つだろう。

船に揺られること数時間、港に到着した俺とゆま、あとは明日香達テスター陣を待っていたのI2の用意したリムジンだった。

どうやら実家に帰してさえくれないらしい。まぁ、イベントまで1週間も無いし、打ち合わせとかで時間がかかるからだろう。数分後、俺達は海馬ランドに建設されたイベント会場前に到着した。

 

「お久しぶりデース龍斗ボーイ!明日香ガールにジュンコガール、ももえガールも!」

「会長……お久しぶりです」

 

会場では、ペガサス会長が笑顔で俺達を迎えてくれた。

 

「Youとは初めましてデスね。雪乃ガール」

「初めまして」

 

藤原は初対面のはずなのに、ペガサス会長に緊張することなく普段通り接している。思わず明日香達も、俺も目を丸くして藤原を見た。

お前、どれだけ図太い神経してるんだ……?

 

「そちらのガールは?」

「は、はじゅめましっ!……し、舌かんじゃ……」

 

ゆまが気になった会長が話しかけると、ゆまはガチガチに緊張したようすで盛大に噛んだ。

ダメだとわかっていても、思わずほっこりと和んでしまう。

 

「俺の従妹の宮田ゆまです。流れでついて来ちゃいまして」

「しゅ、しゅみましぇん!」

「No problem.そういうことならわかりました。彼女にもホテルの部屋を用意しましょう」

 

ホテルかよ。そう思いつつも『すみません』と謝ろうとしたが、

 

「あ、あにょっ!お兄ちゃんと一緒の部屋に……」

 

また噛んだことで、だんだん声が小さくなっていく。何故俺と同じ部屋。

ペガサス会長は何も気にしてないのか、笑顔で『わかりまシタ』と言っていた。会長に異見する気はないのか、明日香達は半歩前に出たが、すぐに下がった。藤原だけは何のアクションも見せなかった。

今日は移動だけらしく、すぐに近くのホテルに案内された。明日香達は親に連絡して、しばらくは帰らないことを伝えた。俺は両親が海外なので特に連絡せず、部屋でのんびりすることに。

部屋は高級ホテルのものなのか、一室がやけに広く、ベッドはイエロー寮のベッドより大きくふかふか。ゆまもこの部屋で寝るため、ベッドが二つあり、そのうちの一つを使ってデッキを調整する。

何度回しても余計な枚数同じカードを引いたりする。初手に【オッドアイズ】2枚だけ引いてもなぁ……調整していると、ドアがノックされた。開けると、親に連絡し終えたであろうゆまがいた。

 

「終わったのか?」

「うん!」

 

短い会話だけして、ゆまを部屋に入れる。荷物を適当は場所に置いたゆまは、ベッドを見るや否や、

 

「ベッドが大きいー!」

 

と言って、俺が占拠していなかった方のベッドにダイブし、トランポリンのようにして遊んでいる。アニメとかで見るようなことを実際にするやつ初めてみた。あとゆま、スカートでそれはやめろ。一瞬白いのが見えたから。

ため息をもらしつつ、デッキの調整。

エクシーズもシンクロもできないのがとても辛い……どうやっても展開して終わりなデッキになってしまう。嘆きつつもデッキを調整。

 

「お兄ちゃん!終わったらデュエルしよ!」

「わかった。ちょっと待っててくれ」

 

ゆまにデュエルを誘われる。

調整がてら相手になってもらおう。このデッキは何が苦手なのかわかるし、枚数の調整案も出るだろうし。

 

「よし、終わった」

 

デッキを念入りにシャッフルして、ベッド間の隙間を隔ててゆまと向き合う。

 

「じゃあ、始めよう」

「うん!負けないよ〜!」

「「デュエル!」」

 

3分後

 

「【アブソルートZERO】に【マスク・チェンジ】で【アシッド】に変身!【アブソルートZERO】の効果でお兄ちゃんのモンスターを、【アシッド】で魔法・罠を全部破壊して、ダイレクトアタック!」

「…………負けた……」

 

速攻で叩き潰された。ペンデュラム召喚も、【アブソルートZERO】に【亜空間物質転送装置】でモンスターを全滅。通常召喚で壁を置いたものの、次ターンで防御を許さないコンボをくらって敗北した。

 

「やったー!」

 

両手を上げ、笑顔で勝利を喜ぶゆま。

ちょっと悔しいので、何回か挑戦したものの、攻撃力もそうだが、【属性HERO】の前にはほぼ無力だった。

 

「あははは!お兄ちゃんへっぽこー」

「…………」

 

この発言の直後、【幻奏クリスティア】を使った俺は悪くないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………何故藤原とゆまが俺のベッドにいる?」

 

翌朝、意識が浮上して起き上がろうとしたが、何故か体が動かない。何事かと思い右を見ると、ゆまが俺の腕にしがみついていた。

左を見てみると、この部屋にいないはずの藤原が、ゆまと同じように腕にしがみついていた。ゆまはともかく、何故お前がここにいる?

 

「むにゃ……おにぃちゃぁん……えへへ…………」

 

夢に俺でも出てきてるのか、だらしない笑みを浮かべて寝るゆまの腕から、ゆっくり、慎重に腕を抜く。ゆまの拘束はさほど強くなく、想定より簡単に脱出できた。だが問題は藤原だ。

 

「……なんて格好で寝てやがるんだコイツ……」

 

ゆまは水色のシャツとズボンのパジャマなのに対し、藤原は紫の……キャミソールというやつだろうか?とにかく、布の面積が少ない。さらに布が薄いのか、素肌やら衣服とは明らかに違う黒い何かが見える。精神力の弱い男子ならおそらく過ちを犯すだろう。藤原に視線を向けず、ゆまの寝顔を見ながら腕を引き抜き……

 

「…………」

 

引き抜き……

 

「………………」

 

引き……抜き……

 

「……………………」

 

引き……抜き……!

 

「抜けねぇ!」

 

思わず叫んだ。

なんだコイツの力!?ジムトレーニングでもしてんのかというくらい強いぞ!

しかし叫んだのが原因なのか、ゆまと藤原から声がもれた。

 

「ぅぅん……おにぃちゃぁん……?」

「なによ急に……」

 

寝起きで若干舌足らずなゆまは右目を軽く擦りながら起き、藤原は不機嫌そうに起きる。

藤原はともかく、ゆまを起こしてしまった……

 

「スマンゆま。藤原、何故お前がここにいる?」

「ふぁ…………あふ……夜這いしに来たのだけれど、龍斗ったら寝ちゃってたの。代わりに寝顔を堪能させてもらったけどね」

 

何サラッと問題発言してんだ。

 

「どうやって部屋に入った?」

「ノックして、まだ起きてたゆまに入れてもらったの」

「そしたら、雪乃さんがすっごいパジャマのままお兄ちゃんのベッドにはいったから、私も入ったの!」

 

急にペラペラと喋り出すゆまに若干驚きつつも、現状に至る過程を把握。ベッドが二つある意味とか、何故藤原を追い出さなかったのかとか突っ込む気も失せ、ため息を吐いて荷物の中から私服を取りトイレで着替え、パジャマを適当な場所に投げ捨てて部屋を出る。

 

「あら、おはようございます龍斗さん」

 

部屋を出ると、私服姿の明日香とももえ、枕田と遭遇した。

明日香と枕田からも『おはよう』と挨拶されたのでこちらも『おはよう』と返す。

 

「ゆまは?」

「まだ藤原と部屋にいる。迷子になられても困るから待ってるんだ」

「雪乃が?なんで部屋に?」

 

明日香の質問に返すと、枕田から質問が飛んできた。

…………正直に答えるべきか?いや、十中八九ももえが騒ぐ。そんな確信がある。

 

「ゆまと遊ぶためだとさ。自分の部屋で寝ないで俺とゆまの部屋で寝ちまってな」

 

ほぼ嘘を話したところ、枕田は『ふぅん』と納得してくれたらしい。

 

「で、本当のところはどうなの?」

「龍斗の言ってることは嘘よ。本当は夜這いしに行ったの」

「っ!?」

 

明日香の微妙にズレた視線に疑問を覚える間もなく、背後から声がして思わずドアから跳ぶように離れると、

 

「きゃっ!?」

 

跳んだ先には明日香がいて、そのまま衝突。明日香が背中から倒れ、俺は明日香を押し倒すように倒れる。

 

「ふぎゅっ!」

 

情けない声とともに、柔らかいクッションに激突…………クッション?明日香のやつ、クッションなんて持ってたか?ゆっくりと顔を上げると、明日香が顔を真っ赤にして俺を睨んでいた。どうやら、俺は明日香の胸に顔を突っ込んだらしい……って!

 

「あ、明日香……ごめーーー」

 

『ごめんなさい』と言いきる前に、パンッと乾いた音が廊下に響いた。

 

「龍斗ボーイ、その頬、どうかしまシタか?」

「すみません。黙秘権を行使させてもらいます」

 

数分後、明日香に謝り倒してどうにか許してもらえた。そしてペガサス会長と食事するために、着替えたゆまや藤原とともにホテル内にあるレストランへ。出会い頭に頬についた赤い手形について聞かれるが、言いたくないので応答を拒否させてもらった。バイキング形式の朝食(何故かゆまは俺と同じものを取っていた)を摂り、その場で打ち合わせ。

渡された資料に目を通すと、今回のイベントを境に、ルールを大幅に変更するらしい。ライフは4000のままだが、基本的には『マスタールール3』と同じものとなるようだ。さらに禁止カードや制限カード……つまりリミットレギュレーションも更新と、ようやく意味不明なカード達が禁止になるのかと内心安堵に似た感情を得た。明日香達は『【強欲な壺】が禁止……!?』と驚いていたが、むしろなんであのカードが生きてるのか不思議だよ。

俺、明日香、藤原のイベントに出るやつは新ルール・リミットレギュレーションに対応したデッキ作り、ならびにデュエルの練習をすることとなった。俺も一年振りとなる『先攻ドロー無し』だ。ゆまにはサンドバッグになって…………昨日負けまくったな。とにかく、ゆまには相手になってもらおう。飽きたらデッキ変えるなり、相手変えるなりすればいいしな。デュエルディスクのバージョンも、マスタールールに対応したものに先駆けてアップデートしてもらい、宴会にでも使えそうな広間で全員集まってデュエルする。先攻ドロー無しに悪戦苦闘して、エラー音をあちこちから鳴らしている明日香達を笑いながら、ゆまにボコボコにされる俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍斗、今日は起きててね」

「藤原、今日は大人しくしてろよ」

「「…………」」

 

ゆまに35戦目にしてようやく1勝をもぎ取り、小休止をいれるために丸椅子に座ったところで藤原がやってきた。昨日……というか今朝のこともあるので先に止めさせようと思い、合流と同時に『大人しくしてろ』と言うと、同時に藤原に『今日も行く』と遠回しに言われた。

 

「良いじゃありませんか龍斗さん。遊びに行くくらい」

 

後ろから抱きつかれ、頭を撫でられる。犯人はももえだ。藤原の相手をしていたが、藤原がこっちに合流するときに回り込んできたのか。

 

「遊びに来るのは別に構わん。俺が寝てるベッドに侵入してくるのは止めろと言ってるんだ」

「ん〜このサラサラ髪……いつ撫でても……羨ましいですわ〜」

 

聞いちゃいねえし。てか離れろ。頭撫でるのはいいから抱きつくのはやめろ。背中に当たってるから。

 

「あーっ!ももえさんズルいです!お兄ちゃんの頭撫でてる!」

「今度はゆまか……」

 

ももえに離れるように言おうとすると、明日香と枕田のデュエルを見物していたゆまが、俺とももえを見ると駆け寄ってきた。ゆまは自分も撫でると俺の意見など聞かず俺の頭に手を伸ばしてきた。

逃げようにも、ももえに抱きつかれて身動きが取れない。首を動かしても焼け石に水だ。まさかももえのやつ、これを狙って抱きつき……もとい、拘束してるのか?

 

「意外に逃げないんですね。従妹だからでしょうか?」

「お前が抱きついてるから逃げられないんだよ!」

 

自分で抱きついてることに気がつかなかったらしい。小休止を終え、俺達は対戦相手を変えてデュエルしていった。明日香も藤原も、自分のデッキを回すのに四苦八苦して、この2人相手だとそこそこの勝率だった。

 

「【ライズ・ファルコン】で攻撃!」

「あ、【魔宮の賄賂】使いますわね」

 

枕田とももえは、ゆま同様容赦無く俺達を潰しにかかってきた。こっちの最大火力に【ライズ・ファルコン】使われたとき、マジで詰んだと思った。除去したけど。ももえは……ペンデュラムゾーンにカード置いた瞬間に【賄賂】されたり【サイクロン】されたりと、ペンデュラム召喚すらさせてもらえなかった。このデッキ、最上級モンスター多めだから何もできなかった。

そして夜。

 

「おやすみなさい龍斗」

「なら俺のベッドじゃなくて、自分の部屋行け」

 

昨日に続いて藤原がやってきた。着替えは俺とゆまの部屋に置いてあって、またあのパジャマになりやがった。目のやり場に困る。そして『眠いから寝る』と言って俺のベッドに侵入してくる。それを阻止するための攻防がたった今始まった。

 

「なんで俺が使うベッドに入ってくるんだよ。寝るならゆまと寝ろ」

「いいじゃない。減るものでもないし」

「んな格好の女子と同じベッドで寝れるかボケ!」

 

100歩譲ってゆまレベルまで布の面積と厚みを増やせ。そしてゆまと寝ろ。

 

「お兄ちゃん!提案があります!」

「却下だ」

「聞いてもくれないの!?」

 

この状況でゆまの『提案』なんか聞けるか。どうせ藤原と何か企んでるんだろ?昼間お前と藤原がヒソヒソと話してるのは目撃してんだよ。

ゆまは涙目で俺を見て、藤原は意外そうに俺を見る。俺がゆまからのお願いをなんでも聞くと思ったか?俺はゆまの傀儡じゃないぞ。

 

「う〜……こうなったら……雪乃さん!突撃です!」

「ちょっ、ゆま!怒るぞ!」

「これもお兄ちゃんと寝るためだもん!」

 

2対1では勝てなかった。

数の暴力に敗れた俺は、昨日と同じ構図で寝ることになった。

しかしそんな状態で寝られるわけもなく、睡眠時間は大幅に削られた。




次回からあっという間にイベント突入です。


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シンクロ 明日香VS.ーーー

カードに縛り加えてデッキを組むって大変ですね。
使いたいカードがまるで使えません。
今回の話から72話まででヒシヒシと感じました。


新ルールに慣れてきたところで、イベントの段取りに移る。進行……というより、以前アカデミアであった本校とノース校の交流試合で俺がやったシンクロ召喚について、ペガサス会長ならびに海馬さんから説明がされ、そこからエクシーズ、ペンデュラムに説明が動いていくらしい。そして、それぞれの召喚を使ったデッキで俺達がデュエルすることになっている。ペガサス会長に対戦相手を聞いてみたが、『Top secret』と教えてくれなかった。俺達にサプライズを受けている余裕はないんだが……

会長は非常に機嫌良さそうにイベントの打ち合わせをしていき、着々と準備(藤原とゆまの退治も込み)を完了していった。

そして、イベント当日。

 

「「「……………………」」」

 

舞台裏には、イヤホンで音楽を聴いている俺、目を閉じて集中を高めている藤原、デッキの確認をしている明日香の姿が。イベント会場にはマスコミだけでなく、一般客でも入れるらしく、かなりの人数がやってくることが予想される。

ゆま達は会場に用意されている客席で俺達を見守るらしい。俺達は用意された衣装(パッと見私服)を着て開始を待っている。

数分後、スタッフがやってきた。どうやらそろそろ時間らしい。

舞台の壁際で待機していると、ゴン……という音とともに天井が開いた……これ、海馬さんの演出……?いや、思い返すと、今までペガサス会長は見たが、海馬さんは見ていない。つまり海馬さんは今の今まで別の仕事をしていた……?そんな疑問を抱いていると、【青眼】のジェット機ではなく、KCのヘリから梯子を降ろし、そこに片手片足をかけてインカムを付けている海馬さんが、会場に設置された3つのモニターに映っていた。モニターは俺達が立つ舞台の端に1つずつ、舞台中央に取り分け大きなモニターが1つ設置されている。

海馬さんは梯子から飛び降り、背中に背負っていたバックパックから【青眼】を模した翼が広がり、エンジン音を響かせてスラスターを噴射。ゆっくりと着地した。

海馬さんとペガサス会長は平然としているが、イベントにきた一般客やマスコミは目を点にして海馬さんを見ている。

 

「あれが、海馬瀬人……」

 

生の海馬さんを初めて見る藤原がポツリと呟いた。俺はあの人の規格外っぷりは短い間に嫌ってほど味わったから、特に感動とか、登場の仕方に思うことは無かった。明日香は、会ったのが数時間程度だから慣れてないか。目を丸くしてる。海馬さんはバックパックを磯野さんに渡して、耳に手を当ててインカムのスイッチを入れた。

 

「今日はお集まりいただいてありがとうございマース!今から、我がI2社と」

「KCからの重大発表を行う」

 

ペガサス会長と海馬さん直々の進行に、マスコミ及び一般客はこのイベントの重大さに期待にもにた感情を抱いているだろう。

 

「まずは、この映像を見ろ」

 

海馬さんの上から目線な進行。そして海馬さんの背後、舞台中央の巨大モニターに映ったのは、俺と藤原の姿。

 

[デュエルアカデミアノース校の生徒諸君!そして今中継を見ているデュエリスト諸君!これから諸君らにとって未知の力を見せよう!]

 

仕事が関わっていたとはいえ、改めて見てみると恥ずかしい。映像は途中カットして、俺がシンクロ召喚する場面になっていた。

 

[シンクロ召喚!いでよ!レベル5!【ジャンク・ウォリアー】!]

 

【ジャンク・ウォリアー】が召喚されたところで映像が止まった。

 

「これは以前、あるTV局が生中継で放送した、我がKCにより設立されたデュエルアカデミア本校、ノース校の交流試合の1シーンだ。この直後、一部ネット等で騒ぎがあった」

「I2社にも問い合わせが殺到したらしいデース。But,全て『ノーコメント』と回答させてもらいました」

 

そんな騒ぎがあったのか。その手のサイトは見てなかったな。

 

「今回、この『シンクロ召喚』について説明させてもらう」

 

モニターの映像が切り替わり、プレイヤー1人分のフィールドが表示された。ただ、『マスタールール』用ではなく、『エキスパートルール』用の物だった。

 

「シンクロ召喚とは、昨今の変わり映えのないデュエルに一石を投じるために、KCとI2社が共同開発した新システムだ」

 

海馬さん言い方。言い方が酷いです。『お前達のデュエルはつまらない』って言ってるようなものです。もっとパパッと決着つけてほしいとか思ってたりしますけど、言わないほうが良いと思います。

 

「シンクロ召喚とは、自分フィールドの『チューナー』のテキストを持ったチューナーモンスターと」

 

ペガサス会長の説明に合わせ、モニターに【ジャンク・シンクロン】のカードが表示され、『チューナー』のテキストが拡大表示される。その後、カードがフィールドに置かれる。

 

「チューナー以外のモンスターを墓地に送り」

 

【ボルト・ヘッジホッグ】が表示され、フィールドに置かれる。その後2枚のカードが墓地に送られる。

 

「墓地に送ったモンスターのレベルの合計と等しいレベルのシンクロモンスターを、召喚する。これがシンクロ召喚デース!」

 

モニターに【ジャンク・シンクロン】と【ボルト・ヘッジホッグ】の2枚が表示され、カード名のあたりに『3+2=5』という式が書かれ、【ジャンク・ウォリアー】のカードが2枚のカードの上に置かれるように現れた。

 

「新システムの導入にあたり、I2社はDMのルールを一新、『マスタールール』と呼称し変更することを宣言しマース!」

 

海馬さんが説明を代わり、『マスタールール』の説明が始まる。

先攻ドロー無し、フィールドの変更、3つの召喚等の経緯、説明がされる。

 

「今日は『マスタールール』で採用される3つの召喚、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラムの実演を、I2社とKCに所属するテスター、及び彼が見つけた選りすぐりのデュエリストが行いマース!」

 

『おぉっ!』という声とともに、フラッシュの頻度が増す。

 

「それでは入場してもらいましょう。先程のデュエル映像でシンクロ召喚を使ったデュエリスト。I2社及びKC所属のテスター。宮田龍斗ボーイ!」

 

出番が来たか。ハッと短く息を吐いて舞台に一歩踏み出す。

フラッシュの嵐の中、舞台中央にいる海馬さんとペガサス会長の傍に辿り着いた。

 

「紹介に与りました、I2社及びKC所属のシンクロ、エクシーズペンデュラム召喚のテスター。宮田龍斗です。本日はペンデュラム召喚の実演、並びに各召喚実演中の解説を務めさせていただきます。よろしくお願いします」

 

一般客からであろう拍手の中、一礼する。次は……明日香の紹介か。ここは俺が進行していかないといけない。

 

「それでは、『マスタールール』で採用された3つの召喚の1つ、シンクロ召喚の実演を行いましょう!デュエルアカデミア本校所属、天上院明日香さんです!」

 

明日香にさん付け……この上ない違和感だ。集中するフラッシュと視線に、明日香は緊張を見せながらも、俺達の傍にやってきた。

 

「龍斗ボーイを含め、彼女には実戦形式の実演をしてもらいマース。その対戦相手は……海馬ボーイデース!」

「「っ!?」」

 

ペガサス会長による対戦相手の紹介に、俺と明日香が固まった。よりによって海馬さん……色々なカード渡したから、非常に嫌な予感がする。

明日香と海馬さんが舞台で距離を取り、デュエルディスクを展開する。明日香のはアカデミア仕様のデュエルディスクで、海馬さんのは……【青眼】の翼を広げたようなデザインだ。

 

「それでは、新ルール『マスタールール』にて、シンクロ召喚の実演を開始します!」

「「デュエル!」」

 

天上院明日香

LP4000

 

VS

 

海馬瀬人

LP4000

 

「先攻は私!私は魔法カード【おろかな埋葬】発動!デッキから【ボルト・ヘッジホッグ】を墓地に送る!」

「【ボルト・ヘッジホッグ】は、フィールドにチューナーがいれば墓地から特殊召喚できるモンスターです。デッキ圧縮を兼ね、いつでもシンクロ召喚ができるように準備をしているわけですね」

 

これ、解説になってるのか?

…………適当に言って誤魔化していこう。

 

「チューナーモンスター、【ジャンク・シンクロン】を召喚!」

 

【ジャンク・シンクロン】

攻撃表示

ATK1300/DEF500

 

「【ジャンク・シンクロン】の効果発動!召喚に成功したとき、墓地のレベル2以下のモンスターを効果を無効にし、守備表示で特殊召喚できる!出て来なさい。【ボルト・ヘッジホッグ】!」

 

【ボルト・ヘッジホッグ】

守備表示

ATK800/DEF800

 

「【ジャンク・シンクロン】の効果でなくても、【ボルト・ヘッジホッグ】自身の効果でこのフィールドになりますが、【ボルト・ヘッジホッグ】が自身の効果で特殊召喚された場合、フィールドを離れるとゲームから除外されてしまいます。【ジャンク・シンクロン】で召喚することにより、もう一度シンクロ召喚の素材に出来るのです」

 

長い。セリフが長い。

そう思いながらも、表情は変えない。早く終われこの仕事。

 

「レベル2の【ボルト・ヘッジホッグ】にレベル3の【ジャンク・シンクロン】をチューニング!」

 

先攻1ターン目でシンクロ……【カタストル】か。

 

「電脳世界に住む者、我が前に出でて癒しを齎せ!シンクロ召喚!現れよレベル5!【マジカル・アンドロイド】!」

 

【マジカル・アンドロイド】

攻撃表示

ATK2400/DEF1700

 

現れたのは歪な杖と……盾だろうか?盾らしきものを持った女性。

そういや、コイツもリストに入ってたな。

観客は生のシンクロ召喚に『おぉ』と声を出す。

 

「この【マジカル・アンドロイド】は、DMに新たに加わった種族の1つ、サイキック族のモンスターです。今回、我々テスター陣は、各召喚のプロトタイプとなるモンスターを使用します」

「また、今回テスター達が使用したカード達はこの後皆さんに配布し、また数日後に販売されるスターターデッキ並びに新パックに封入されマース!」

 

ペガサス会長の言葉に、マスコミ関係者含め、観客が盛大な拍手を送る。

 

「カードを1枚伏せ、エンドフェイズに【マジカル・アンドロイド】の効果発動!私のフィールドのサイキック族モンスターの数だけ、ライフを600ポイント回復するわ!」

 

【マジカル・アンドロイド】の背後から緑色の粒子が放出され、明日香に触れる。

 

天上院明日香

LP4000→4600

 

「これでターンエンド!」

 

天上院明日香

LP4600

モンスター

【マジカル・アンドロイド】:攻

ATK2400

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「ふぅん。俺のターン、ドロー!」

 

海馬さんはドローしたカードを手札に加えると、明日香を見据えた。

 

「1ターンでシンクロ召喚したことは褒めてやる。だが、シンクロ召喚による強化は貴様だけではない!」

 

い、嫌な予感がする……あの人、大人気ないことしてないよな……

 

「手札からフィールド魔法【光の霊堂】を発動!」

 

こ、この人汚ねえ!自分だけ好きなカードを思う存分使ってやがる!

そう思っている間に、海馬さんの背後に【青眼】の像が置かれた台座が出現し、スポットライトとは違う柔らかい光が台座を照らす。

 

「……海馬社長!」

「なんだ」

「立場的に言えない立場だとわかっているつもりですが、あえて言わせてもらいます!アンタ汚ねえよ!自分だけ好きなカード使うなんて!」

 

立場も弁えず海馬さんに言うと、観客は当然『どういうことか』と騒然とする。

 

「……今海馬社長が使ったフィールド魔法【光の霊堂】はもっと先に販売する予定のカードなんです。我々テスターは、今回のイベントに向けてプロトタイプのカードまでしか使用できないんですが、社長は……」

「ふぅん。デュエルはこれから新ステージに突入する。これを機に、俺に挑もうとする輩が出ないとも限らん。新システムを取り入れたこのデッキの力で、先にその思惑を砕いてやるだけだ」

「さ、最悪だ!雇い主だけど最悪だ!」

 

思わず大声を出してしまうくらいには最悪だ。

 

「チューナーモンスター【青き眼の賢士】を召喚!」

 

【青き眼の賢士】

攻撃表示

ATK0/DEF1500

 

水色のローブを着て、紺の布を首元に巻いた青白い髪で名の通り青い眼の青年が現れた。

マジで【霊堂】以外のカード入れてやがる……

 

「【青き眼の賢士】の効果発動!召喚に成功した時、デッキから【青き眼の賢士】以外の光属性・レベル1チューナーを手札に加える!【青き眼の乙女】を手札に加える!」

 

【青き眼の賢士】が杖を振ると、デッキからカードが飛び出した。

 

海馬瀬人

手札4枚→5枚

 

「【光の霊堂】がある限り、俺は通常召喚に加え1度だけ、光属性・レベル1チューナー1体を召喚できる!【青き眼の乙女】を召喚する!」

 

【青き眼の乙女】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

海馬さんの背後の像から、黄色い粒子が溢れ人の形に集まり、【青き眼の乙女】が現れた。

 

「龍斗ボーイ、チューナーモンスターを2体召喚する意味はあるのデスか?」

 

ペガサス会長はこの状況でも、解説役を続けさせるつもりらしい。

…………海馬さんはともかく、ペガサス会長の機嫌まで損ねる訳にはいかないか……

 

「……通常でしたら、避けたいことではあります。連続召喚するなら、非チューナーとチューナーを召喚してシンクロしたいですから。しかし、海馬社長が発動した【光の霊堂】と【青き眼の乙女】にはシナジーがありますから、まだ動きます」

「【光の霊堂】の第二の効果を、【青き眼の乙女】を対象に発動!手札・デッキから通常モンスターを墓地に送り、対象モンスターの攻撃力・守備力を、墓地に送ったモンスターのレベル分アップさせる!」

 

俺の不機嫌な説明を待っていたように海馬さんが動いた。

 

「だが、その前に【青き眼の乙女】の効果発動!このモンスターがカード効果の対象になったとき、手札・デッキ・墓地から僕を呼び出す!」

 

海馬さんはデッキから飛び出たカードを、右手人差し指と中指で抜き取り、頭上高く掲げた。

 

「強靭にして無敵!我が魂!【青眼の白龍】」

 

【青眼の白龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

【青き眼の乙女】が祈ると、その祈りに応えるように【青眼】が咆哮とともに現れた。

 

「これが、【青眼】……」

 

明日香は【青眼】を見てなお、怖気付くことなく気丈に振る舞う。

 

「これが、【乙女】と【霊堂】のコンボです。『対象にとる』効果である【霊堂】で攻撃力・守備力を上昇を狙いつつ、【乙女】の効果で【青眼の白龍】を生贄、『マスタールール』におけるリリース無しで召喚する。今の海馬社長は本気かと」

「【光の霊堂】の効果で、デッキから【青眼】を墓地に送り、【青き眼の乙女】の攻撃力・守備力をアップさせる!」

 

【青き眼の乙女】

ATK0/DEF0→ATK800/DEF800

 

「手札の【太古の白石】を捨て、魔法カード【ドラゴン・目覚めの旋律】を発動!」

 

どこからともなく、エレキギターの音が響く。これ、ドラゴンじゃなくても目覚める音量だぞ……

 

「デッキから攻撃力3000以上、且つ守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2枚まで手札に加える!」

「攻撃力3000以上、守備力2500以下のドラゴン族……まさか!?」

 

明日香の予想が当たっていると答えるように、海馬さんは笑みを浮かべる。

 

「デッキから【青眼の白龍】と【青眼の亜白龍(オルタナティブ・ホワイト・ドラゴン)】を手札に加える」

 

海馬瀬人

手札2枚→4枚

 

海馬さんが手札に加えた【青眼】カードに客席から動揺する声が聞こえた。

 

「これは、我がKCが開発した【青眼】カードの1枚。文字通りの亜種だ。そしてこの【亜白龍】は、手札の【青眼の白龍】を相手に見せることで特殊召喚できる!」

 

【青眼の亜白龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

【青眼】が半透明で現れたが、揺れるように消え、遥か上空から【青眼】より鋭い眼を持ち、身体中に青い線が走っている【亜白龍】が現れた。

 

「バトルだ!【青眼の亜白龍】で【マジカル・アンドロイド】を攻撃!滅びのバーンストリーム!」

 

【亜白龍】のブレスが【マジカル・アンドロイド】を瞬時に飲み込んだ。

 

「くっ……!」

 

天上院明日香

LP4600→4000

 

「【青眼】でダイレクトアタック!滅びの爆裂疾風弾!」

「罠発動【くず鉄のかかし】!相手モンスター1体の攻撃を無効にする!」

 

ヘルメットやドライヤーなどのスクラップで出来た案山子が、【青眼】の攻撃を防いだ。

 

「このカードは発動後、フィールドに再セットされる!」

「ならば【青き眼の乙女】でダイレクトアタック!」

 

【青き眼の乙女】が明日香の傍まで歩いていき、頬に平手打ちをかました。

 

「痛っ!?」

 

天上院明日香

LP4000→3200

 

「メインフェイズ2に移行する。レベル8の【青眼の白龍】にレベル1の【青き眼の賢士】をチューニング!伝説となりし咆哮よ、堅固なる力で我が僕を守る盾となれ!シンクロ召喚!出でよ!レベル9!【蒼眼の銀龍】!」

 

【蒼眼の銀龍】

守備表示

ATK2500/DEF3000

 

フィールドに、【青眼】の眼よりも濃い青の眼を持った龍が現れる。その体は光を反射し、銀色に輝いていた。

 

「【蒼眼の銀龍】がシンクロ召喚に成功したとき、俺のドラゴン族モンスターは次のターンまで効果の対象にならず、効果では破壊されない!」

 

【蒼眼の銀龍】が翼を広げると、翼から白い光の粒が降り注ぎ、【亜白龍】に白い光が宿った。

 

「カードを1枚伏せ、エンドフェイズに墓地に送られた【太古の白石】の効果発動!このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズ、デッキから【青眼】を召喚する!」

「【青眼】を!?でも、【青眼】は既に手札に1枚、墓地に2枚ある……なら、召喚するのは【亜白龍】の方ね」

 

残念だが明日香、【亜白龍】は一度自身の効果で特殊召喚しないと、他のカードの効果で召喚できないんだ。

 

「貴様ごときデュエリストに、この俺のデッキが測れるものか!俺は【白き霊龍】を特殊召喚!」

 

【白き霊龍】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

【青眼】より少しばかり小さな龍が召喚された。

 

「【青眼】じゃない!?【青眼】を召喚するんじゃないの!?」

「【青眼の亜白龍】は、その効果の性質の関係で、一度自身の効果で特殊召喚したカードでないと、他のカードで特殊召喚できません。また、【白き霊龍】は、ルール上【青眼】モンスターとして扱う、所謂ルール効果を持っています」

 

明日香だけでなく、客席の人達も同じことを思っていると判断し、すかさず解説を入れる。

 

「【白き霊龍】の効果発動!このモンスターの召喚・特殊召喚に成功したとき、相手フィールドの魔法・罠1枚を対象にし、対象カードを除外する!」

「なんですって!?」

 

【白き霊龍】が咆哮すると、セットされていた【くず鉄のかかし】が消滅した。

 

「俺はこれで、ターンエンドだ」

 

海馬瀬人

LP4000

モンスター

【青き眼の乙女】:攻

ATK0

【青眼の亜白龍】:攻

ATK3000

【蒼眼の銀龍】:守

DEF3000

【白き霊龍】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【光の霊堂】

手札2枚

 

アドバンテージは圧倒的に海馬さんが有利。むしろ次のターンで倒す気満々といった様子だ。腕組んで構えてるし。

明日香の手札はドロー込みで3枚。さて、何を見せてくれる?

 

「私のターン、ドロー!墓地の魔法カード【おろかな埋葬】を除外して、手札の【マジック・ストライカー】を特殊召喚!」

 

【マジック・ストライカー】

攻撃表示

ATK600/DEF200

 

「【マジック・ストライカー】か。確かにそのモンスターの能力なら、俺にダメージを与えられるが、俺の【青眼】達の前には塵芥に等しいぞ!」

 

海馬さんのフィールドにいる【青眼】は、それぞれ自分の存在を誇示するかのように咆哮する。【乙女】が後ろでガッツポーズをとっているが、何故だろう……和む。中身があのキサラなら気味が悪いが。

 

「速攻魔法【緊急テレポート】!手札・デッキからレベル3以下のサイキック族モンスターを特殊召喚する!デッキからレベル3チューナーモンスター【サイコ・コマンダー】を特殊召喚!」

 

【サイコ・コマンダー】

攻撃表示

ATK1400/DEF800

 

砲台付けた……UFO?に乗った緑の服着たやつが現れた。

 

「レベル6……いや、墓地にはあのモンスターがいたか」

 

一応、イベントだという事がわかっているのか、態とらしく海馬さんが口にした。

 

「私のフィールドにチューナーがいる場合、墓地の【ボルト・ヘッジホッグ】は特殊召喚できる!」

 

【ボルト・ヘッジホッグ】

守備表示

ATK800/DEF800

 

「レベル3の【マジック・ストライカー】とレベル2の【ボルト・ヘッジホッグ】にレベル3の【サイコ・コマンダー】をチューニング!

散りし戦士の魂、今ここに不屈の戦士の雄叫びとならん!シンクロ召喚!天地を揺るがせ!レベル8!【ギガンテック・ファイター】!」

 

【ギガンテック・ファイター】

攻撃表示

ATK2800/DEF1000

 

最上級モンスターを1ターンで召喚したことに、客席から驚きの声が上がったが、攻撃力が【亜白龍】に及ばないとわかると、すぐに静まり返った。

 

「【ギガンテック・ファイター】の攻撃力は墓地にいる戦士族モンスターの数だけアップする!今私の墓地には2体の戦士族モンスターがいて、貴方の墓地には戦士族モンスターはいない。よって攻撃力は200ポイントアップ!」

 

【ギガンテック・ファイター】

ATK2800→ATK3000

 

「バトルよ!【ギガンテック・ファイター】で【青眼の亜白龍】を攻撃!ギガンテック・スマッシュ!」

 

この状況での相打ち狙いに騒めく客席。海馬さんのリバースはなんだろうな?

攻撃に海馬さんは反応せず、【ギガンテック・ファイター】が【亜白龍】を右拳で殴り、直後にブレスで【ギガンテック・ファイター】を倒し、【亜白龍】が力尽きるのを見届けた。

 

「この瞬間、【ギガンテック・ファイター】の効果発動!このモンスターがバトルで破壊されたとき、墓地の戦士族モンスター1体を選択し、特殊召喚できる!蘇れ!【ギガンテック・ファイター】!」

 

【ギガンテック・ファイター】

攻撃表示

ATK2800/DEF1000→ATK3000/DEF1000

 

「【ギガンテック・ファイター】の効果は破壊された後、つまり墓地で発動します。墓地にいる戦士族、自分自身を特殊召喚することで、相打ちでも実質相手のみを破壊し、さらには新しいモンスターとして扱われるため、追撃も可能にしたんですね」

「このまま追撃よ!【白き霊龍】を攻撃!」

 

【ギガンテック・ファイター】の右拳に、【白き霊龍】はなす術なく打ちのめされた。

 

「ふぅん……」

 

海馬瀬人

LP4000→3500

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

天上院明日香

LP3200

モンスター

【ギガンテック・ファイター】:攻

ATK3000

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ、【蒼眼の銀龍】の効果発動!墓地の通常モンスターを特殊召喚する!」

「通常モンスターを!?つまり……!」

「墓地より蘇れ!我が魂!【青眼の白龍】!」

 

【青眼の白龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「永続罠【リビングデッドの呼び声】!墓地より【青眼の亜白龍】を特殊召喚!」

 

【青眼の亜白龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「【青眼の亜白龍】の効果発動!1ターンに1度、このモンスターの攻撃を放棄する代わりに、相手モンスター1体を対象にし、破壊する!」

「攻撃力3000でモンスターを破壊する効果!?龍斗!コレどんなインチキよ!」

 

俺に振るな。おそらく前世で俺が死んだあとに出たカードだろう。【Em】とかも。

 

「滅びのバーンストリーム!」

 

攻撃と効果が同じ名前なのは良いんですか?【亜白龍】は攻撃とまったく同じ動きで【ギガンテック・ファイター】を破壊した。

 

「魔法カード【融合】を発動!フィールドの【青眼の亜白龍】と手札の【青眼】を融合!

伝説となりし二頭の龍よ!今一つとなりて新たな伝説をこの地に刻め!融合召喚!双頭の白龍!レベル10【青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)】!」

 

【青眼の双爆裂龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

現れたのは双頭の【青眼】。体には青く発光している線が走っている。

 

「【青眼の双爆裂龍】は【青眼の白龍】2体を融合素材にします。【亜白龍】はフィールドと墓地では、カード名を【青眼の白龍】として扱う効果があります。効果を使って攻撃できなくなったモンスターを素材に新たなモンスターを召喚……海馬社長、容赦無いですね」

 

明日香のリバースカードは1枚だけ。手札は0、墓地で使えるカードも無い。これは厳しい……いや、決まったか?

 

「【蒼眼の銀龍】を攻撃表示に変更!」

 

【蒼眼の銀龍】

守備表示→攻撃表示

DEF3000→ATK2500

 

「バトル!【青眼の双爆裂龍】でダイレクトアタック!」

「罠発動【リビングデッドの呼び声】!【ギガンテック・ファイター】を特殊召喚!」

 

【ギガンテック・ファイター】

攻撃表示

ATK2800/DEF1000→ATK3000/DEF1000

 

「ふぅん。バトルは中断しメインフェイズ2に移行する。レベル8の【青眼の白龍】にレベル1の【青き眼の乙女】をチューニング!

伝説となりし咆哮よ、その魂を新たな伝説のために研ぎ澄ませ!シンクロ召喚!新たな伝説!レベル9【青眼の精霊龍(ブルーアイズ・スピリット・ドラゴン)】!」

 

【青眼の精霊龍】

守備表示

ATK2500/DEF3000

 

青い眼と【青眼】よりも白い、純白と言ってもいい体の龍が現れる。

 

「【青眼の精霊龍】は1ターンに1度、墓地で発動する効果を無効にできます。海馬社長は【ギガンテック・ファイター】を封じるつもりなのでしょう」

「ターンエンドだ」

 

海馬瀬人

LP3500

モンスター

【蒼眼の銀龍】:攻

ATK2500

【青眼の双爆裂龍】:攻

ATK3000

【青眼の精霊龍】:守

DEF3000

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】

フィールド

【光の霊堂】

手札1枚

 

「私のターン、ドロー!」

 

明日香はドローしたカードを確認したあと、海馬さんのフィールドを見つめる。【ギガンテック・ファイター】の効果は【精霊龍】が妨害してくる。【双爆裂龍】と相打ちしても追撃ができない。そもそも【双爆裂龍】は戦闘で破壊されないけどな。ドローしたカードが魔法・罠だとすると、やれることは一つだろう。

 

「バトル!【ギガンテック・ファイター】で【蒼眼の銀龍】を攻撃!ギガンテック・スマッシュ!」

 

【ギガンテック・ファイター】の右拳が【蒼眼の銀龍】の体を貫いた。

 

海馬瀬人

LP3500→3000

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

天上院明日香

LP3200

モンスター

【ギガンテック・ファイター】:攻

ATK3000

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード【死者蘇生】発動!墓地から【白き霊龍】を特殊召喚!」

 

【白き霊龍】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「【白き霊龍】の効果で貴様のリバースカードを除外する!」

「速攻魔法【イージーチューニング】発動!墓地のチューナーモンスター【サイコ・コマンダー】を除外してその攻撃力分、【ギガンテック・ファイター】の攻撃力をアップさせる!」

 

【ギガンテック・ファイター】の全身から白い煙が上がった……【サイコ・コマンダー】の要素0だ。

 

【ギガンテック・ファイター】

ATK3000→ATK4400

 

「【青眼の精霊龍】を攻撃表示に変更」

 

【青眼の精霊龍】

守備表示→攻撃表示

DEF3000→ATK2500

 

「バトル!【青眼の双爆裂龍】で【ギガンテック・ファイター】を攻撃!双爆裂疾風弾(ツイン・バーストストリーム)!」

 

双頭から放たれるブレス攻撃を両腕で真正面から受け止め、跳ね返した。

 

海馬瀬人

LP3000→1600

 

「【双爆裂龍】はバトルで破壊されない。そして【双爆裂龍】の効果発動!このモンスターの攻撃で相手モンスターが破壊されなかった場合、その相手モンスターを除外する!」

 

【双爆裂龍】が再度ブレス攻撃を放ち、【ギガンテック・ファイター】を塵一つ残さず消滅させた。

 

「【白き霊龍】でダイレクトアタック!ホワイト・バースト!」

 

【白き霊龍】が球体のブレスで明日香を攻撃する。

 

「くぅっ…………!」

 

天上院明日香

LP3200→700

 

「トドメだ。【青眼の精霊龍】でダイレクトアタック!」

 

【青眼の精霊龍】が白い電気を放出しながらブレスを放ち、明日香を呑み込んだ。

 

「あああぁぁぁああ!!」

 

天上院明日香

LP700→-1800




社長ってすごいですよね。『闇属性モンスターの攻撃力を3倍にする』とかいうふざけたカード持ってたんですから(アニメでの話です)。
次回はゆきのんが縛りプレイ(意味深)です。


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エクシーズ 雪乃VS.ーーー

エクシーズの説明って難しい。そう思う71話です。


「これが!シンクロ召喚という力を手に入れた【青眼】の力だ!」

 

……こういうのって、テスターである俺達が勝つのがセオリーなんじゃないのか?いや、実戦なんだから勝たなかった明日香が悪いと言われるとそれまでなんだけど。

俺の考えていること、イベントなんざ知らんとばかりに、海馬さんの高笑いが会場に響く。

まぁ、海馬さんもシンクロ使ったからいいけどさ。

満足気な海馬さんと、悔しそうな顔の明日香が俺とペガサス会長の傍に戻ってくる。

 

「えー……シンクロ召喚は基本的には低レベルモンスターの連続召喚が重要になってきます。いくら海馬さんに憧れていても、無理なデッキ構築で高レベルモンスターばかりのデッキにしないことをオススメします」

 

なんで俺が海馬さんのフォローをしなきゃならないんだ……あ、この人上司なんだった……はぁ……

 

「次へ行きましょう。次は……エクシーズ召喚の実演ですね。デュエルアカデミア本校所属、藤原雪乃さんです!」

 

明日香と同じように登場する藤原。しかし緊張している様子は無い。本校とノース校の交流試合の映像に映っていたから、微妙に声が聞こえる。

 

「さて、雪乃ガールの相手デスが……私が相手デース!」

 

でしょうね。明日香の相手が海馬さんだったんだから、俺か藤原の相手は貴方でしょう。予想できたために、会場の反応は少し冷めたものだ。

 

「?みんなNo reactionデース。Why?」

 

会場の反応に不服そうなペガサス会長。首を傾げている。

 

「……会長。さっき海馬社長が出てきたんですから、貴方が俺か彼女のどちらかの相手をすることは十分に予想できますよ」

「Oh!そうでした!それならNo reactionなのも納得デース」

 

大げさなリアクションを取るペガサス会長。身振りで藤原に準備させると、ペガサス会長も釣られるようにデュエルディスク(何故かアカデミア仕様だ)を構える。

 

「ではエクシーズの実演、始めてください」

「「デュエル!」」

 

藤原雪乃

LP4000

 

VS

 

ペガサス・J・クロフォード

LP4000

 

「私の先攻ね。【召喚僧サモン・プリースト】を召喚」

 

【召喚僧サモン・プリースト】

攻撃表示

ATK800/DEF1600

 

「このモンスターは召喚に成功すると守備表示になる」

 

【召喚僧サモン・プリースト】

攻撃表示→守備表示

ATK800→DEF1600

 

フィールドに出ると同時に『グキッ』という重い音がしてその場にうつ伏せの状態で腰を浮かせて倒れる【サモプリ】。守備してないな。

 

「【サモン・プリースト】の効果発動。手札の魔法カード【破天荒な風】を捨てて、デッキからレベル4モンスターを特殊召喚。【聖鳥クレイン】を特殊召喚」

 

【聖鳥クレイン】

攻撃表示

ATK1600/DEF400

 

プルプルと腕を震わせて杖だけを構えると、2対4枚の翼を持った白鳥が現れ、藤原に白や黄色の光の粒をかけた。

 

「【聖鳥クレイン】は特殊召喚に成功したとき、カードを1枚ドローする」

 

藤原雪乃

手札3枚→4枚

 

「【サモン・プリースト】の効果でレベル4モンスターを揃えつつ、失った手札を【クレイン】の効果で補充する。初手としてはかなりいい手札ですね」

 

一応解説役を続行。海馬さんはこちらに視線を向けず、ジッとペガサス会長と藤原のデュエルを見ている。こっちに絡んでくるつもりはなさそうだ。

 

「私はレベル4の【聖鳥クレイン】と【サモン・プリースト】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

私の戦いはここから始まる!白き翼に望みを託せ!エクシーズ召喚!ランク4!【No.39 希望皇ホープ】!」

 

【No.39 希望皇ホープ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「フィールドにいる同じレベルのモンスターを、召喚したいエクシーズによって指定された数重ね、その上にエクシーズモンスターを重ねて召喚する。これがエクシーズモンスターです。

エクシーズモンスターはレベルを持たず、代わりにランクを持ちます。ランクとレベルの違いですが、ランクを持つモンスターはレベルに関するサポート、並びに効果をほぼ受けません。『レベルを持たないということは、レベル0ではないのか?』と思う方もいると思いますが、それですと『レベル0というレベルを持つ』ことになるので、微妙に誤りとなります」

「カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

藤原は俺の説明を無視してデュエルを続ける。まぁ、客席の人が聞いていればそれでいいけど。

 

藤原雪乃

LP4000

モンスター

【No.39 希望皇ホープ】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「私のターン、ドロー!魔法カード【トゥーンのもくじ】を発動!デッキから【トゥーン】カードを手札に加えマース!」

 

ペガサス会長のデッキはやはり【トゥーン】か。藤原のデッキには【トゥーン】は無かったはずだから、【トゥーン・ワールド】を除去しないと、大ダメージを期待できないか。

 

「デッキからフィールド魔法【トゥーン・キングダム】を手札に加え、コレを発動しマース!」

 

ペガサス会長の頭上にポンッというようなコミカルな音とともに、緑色の本が現れパラパラとページが捲れていき、白い煉瓦造りの城が飛び出した。

 

「このカードは発動するとき、デッキの上から3枚を裏向きで除外しマース!このカードがフィールドにある限り、カード名を【トゥーン・ワールド】として扱い、私のフィールドにいる【トゥーン】モンスターは雪乃ガールのカードの効果の対象にならず、私のフィールドの【トゥーン】モンスターが破壊される場合、デッキの一番上のカードを身代わりにできマース!」

 

会長はにこやかに説明しながら、手札の1枚を取った。

 

「このモンスターは、相手のフィールドにのみモンスターがいる場合、手札から特殊召喚できマース。【トゥーン・サイバー・ドラゴン】!」

 

【トゥーン・サイバー・ドラゴン】

守備表示

ATK2100/DEF1600

 

城から勢いをつけて飛び出したのは、デフォルメした【サイバー・ドラゴン】。何がおかしいのか、『ニシシ』と笑っている。

 

「カードを2枚セットしてターンエンドデース!」

 

ペガサス・J・クロフォード

LP4000

モンスター

【トゥーン・サイバー・ドラゴン】:守

DEF1600

魔・罠

伏せ2枚

フィールド

【トゥーン・キングダム】

手札2枚

 

「【トゥーン】モンスターを守備表示で召喚し、【トゥーン・キングダム】で守る。貫通効果、または効果ダメージでないとペガサス会長のライフを削れない……ペガサス会長、これがエクシーズ召喚の実演ってこと忘れてるのでは……?」

 

ペガサス会長は『フフフ』と笑っているだけで返答を寄越さない。俺の上司はこんな人ばかりか。

 

「私のターン、ドロー」

「罠カード【トゥーン・マスク】を【希望皇ホープ】を対象に発動しマース!手札またはデッキから、【希望皇ホープ】のランク以下のレベルを持つ【トゥーン】モンスターを、召喚条件を無視して特殊召喚しマース!」

 

【トゥーン・マスク】に描かれている青とも緑とも言えるマスクが飛び出し、【ホープ】の前に数秒止まる。しばらくすると、マスクが城の中に入っていき、本とは思えないポンプ運動の後、【トゥーン・仮面魔道士】が城から飛び出した。

 

【トゥーン・仮面魔道士】

守備表示

ATK900/DEF1400

 

「【トゥーン・仮面魔道士】はダメージを与えると、カードを1枚ドローできる効果がありますが、【ホープ】はエクシーズ素材……ORUを使うことで攻撃を無効にする効果があります。

まともにダメージを与えるにはあと1体、もしくは次の次のターンにならないといけません。前者まだしも、後者になるころには大ダメージを受ける恐れがあります。ペガサス会長の考えがわかりかねる一手ですね……」

「何を企んでいようと、私のやれることは変わらないわ。カードを伏せ、ターンエンド」

 

藤原雪乃

LP4000

モンスター

【No.39 希望皇ホープ】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

藤原のターンの短さ。貫通効果も対象を取らない除去カードも引いてないなら仕方ないか。

 

「私のターン、ドロー!魔法カード【トゥーン・ロールバック】。これで【トゥーン・サイバー・ドラゴン】は2回攻撃できマース!」

 

【トゥーン・サイバー・ドラゴン】の背後に影が浮かぶ。2回目は影がするのか。【ロールバック(巻き戻し)】なのに。

 

「2回攻撃……でも、【ホープ】は攻撃を無効にする効果を持ってるわ」

「But.それにはORUが必要。連続攻撃してしまえば止められまセーン。全モンスターを攻撃表示に変更しマース!」

 

【トゥーン・サイバー・ドラゴン】

守備表示→攻撃表示

DEF1600→ATK2100

 

【トゥーン・仮面魔道士】

守備表示→攻撃表示

DEF1400→ATK900

 

「バトル!【トゥーン】モンスターは【トゥーン・ワールド】が存在し、相手のフィールドに【トゥーン】モンスターがいないなら、プレイヤーにダイレクトアタックできマース!【トゥーン・サイバー・ドラゴン】でダイレクトアタック!エヴォリューション・バースト!」

 

【トゥーン・サイバー・ドラゴン】の光線が藤原を襲う。

 

「あぁんっ!」

 

藤原雪乃

LP4000→1900

 

いつもの放送できるのか怪しい声を出す藤原。一瞬で会場が騒めいた。

 

「藤原。マスコミとかいるんだから、そんな声出すな。編集する人達が大変だろう」

「そんな声ってどんな声かしら?」

 

挑発的な笑みを浮かべて俺を見る藤原。コイツわかってて言ってるな……『いや、いい』と諦めてペガサス会長に続行を促す。

 

「【トゥーン・サイバー・ドラゴン】でダイレクトアタック!エヴォリューション・バースト・セカンド!」

「【ホープ】の効果発動!ORUを1つ使い、モンスターの攻撃を無効にするわ。ムーンバリア」

 

【ホープ】の翼が展開し、光線から藤原を守る。

 

「Oh!片方を止めにきましたか!なるほど、では【トゥーン・仮面魔道士】でダイレクトアタック!」

 

【トゥーン・仮面魔道士】が藤原の顔の周りを飛び回ったと思うと、藤原の口には長いゴムが咥えられていた。【トゥーン・仮面魔道士】はそのゴムを引っ張っていく…………ご、ゴムパッチン……しかし藤原はそれを受けるようなキャラじゃない。当たり前のように口を開け、ゴムが【トゥーン・仮面魔道士】の顔に直撃。【トゥーン・仮面魔道士】は顔を押さえて悶絶した。

 

藤原雪乃

LP1900→1000

 

それでも藤原のライフは減るし、【トゥーン・仮面魔道士】は破壊されない。痛みが和らいだのか、【トゥーン・仮面魔道士】は言葉になっていない文句を言ったあと、ペガサス会長のデッキトップのカードをペガサス会長に与えた。

 

「【トゥーン・仮面魔道士】は相手プレイヤーにダメージを与えるとカードを1枚ドローさせてくれマース。メインフェイズ2、永続魔法【フィールドバリア】を発動。このカードがある限り、お互いにフィールド魔法を破壊できず、フィールド魔法を発動できまセーン」

 

【トゥーン・キングダム】を薄い緑色の膜が覆う。

 

「そして2体のモンスターをリリースし、【トゥーン・ブラック・マジシャン】をアドバンス召喚しマース!」

 

城から【ブラック・マジシャン】を小さくしたようなモンスターが飛び出るが、【フィールドバリア】の膜にぶつかり頭を強打。目尻に涙を浮かべて膜を杖で突くが、膜は微動だにしない。【トゥーン・ブラック・マジシャン】は城に戻り一瞬で戻ってくると、円を描く道具、コンパスのような物で膜に円形の穴を開け、そこから脱出。

疲れたのかその場で横になった。

 

【トゥーン・ブラック・マジシャン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

「【ホープ】も【トゥーン・ブラック・マジシャン】も攻撃力2500。しかし【トゥーン・ブラック・マジシャン】は【トゥーン・キングダム】で守ることができる。ダメージを防ぐ一手ですね」

「ターンエンドデース!」

 

ペガサス・J・クロフォード

LP4000

モンスター

【トゥーン・ブラック・マジシャン】:攻

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【トゥーン・キングダム】

手札1枚

 

ふと海馬さんを見てみる。ライバルの武藤遊戯のエースモンスターである【ブラック・マジシャン】が、【トゥーン】とされたのをどう思うのか……

海馬さんの表情は先程と変わらない。特に思うところはないということか?

 

「私のターン、ドロー。【ゴブリンドバーグ】を召喚」

 

【ゴブリンドバーグ】

攻撃表示

ATK1400/DEF0

 

「【ゴブリンドバーグ】の効果発動。召喚に成功したとき、手札のレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる」

「罠発動【トゥーンのかばん】!私のフィールドに【トゥーン】モンスターが存在し、相手プレイヤーがモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚したとき、そのモンスターをデッキに戻しマース!」

「カウンター罠【神の宣告】。ライフの半分をコストに、【トゥーンのかばん】の発動を無効にするわ」

 

藤原雪乃

LP1000→500

 

【トゥーンのかばん】が天井から当てられた光に消え、【ゴブリンドバーグ】のコンテナから【聖鳥クレイン】が現れた。

 

【聖鳥クレイン】

攻撃表示

ATK1600/DEF400

 

【ゴブリンドバーグ】

攻撃表示→守備表示

ATK1400→DEF0

 

「【クレイン】の効果で1枚ドロー」

 

藤原雪乃

手札2枚→3枚

 

「良いカードを引いたわ。魔法カード【破天荒な風】。次の私のスタンバイフェイズまで、【ホープ】の攻撃力と守備力を1000ポイントアップさせるわ」

 

【No.39 希望皇ホープ】

ATK2500/DEF2000→ATK3500/DEF3000

 

「バトル!【希望皇ホープ】で【トゥーン・ブラック・マジシャン】を攻撃!この瞬間、【ホープ】の効果を発動!ORUを1つ使って、【ホープ】の攻撃を無効にするわ」

 

藤原の行動に『何をやってるんだ』というような声がチラホラと聞こえる。これは……アレか。藤原のデッキの最大火力。

 

「速攻魔法【ダブル・アップ・チャンス】。モンスターの攻撃が無効になったとき、そのモンスターはもう一度攻撃できる。そして、そのモンスターの攻撃力は倍になる!」

 

【No.39 希望皇ホープ】

ATK3500→ATK7000

 

かの【F・G・D】を超える攻撃力に、歓声が上がる。そして【トゥーン・ブラック・マジシャン】を【ホープ】の剣が切り裂いた。

 

「Oh〜〜〜〜!」

 

ペガサス・J・クロフォード

LP4000→-500




次回はペンデュラムですね。相手は……教えません。
ペンデュラムしないとまともにモンスターを召喚できないデッキでデュエルします。


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ペンデュラム VS.ーーー

やっと73話がまとまってきました。
ペンデュラム無しでは戦えないデッキの正体はいかに?な72話をどうぞ。


ホッと内心息を吐く。

明日香と海馬さんのデュエルは両者ともにシンクロ召喚を使ったから妥協できたが、ペガサス会長はメインデッキに入れた【トゥーン】モンスターだけでデュエルしていた。これで藤原が負けたら『エクシーズは弱い』なんて印象を持たれかねない。この点においては、藤原が勝ってくれたことに感謝だ。藤原が明日香の横にきたところで俺の出番だ。

 

「それでは最後、ペンデュラム召喚の実演です!解説はシンクロ、エクシーズを見せてくれた天上院明日香さん、藤原雪乃さんにお願いしましょう」

 

それだけ言って前に出る。

さて、俺の相手は誰だろう?

ペガサス会長も海馬さんもデュエルしたから、また出てくるなんてことはないと思う。この世界では知ってて当然といえるデュエリスト2人が出てきて、最後は誰も知らないスタッフなんてこともないと思う。となるとI2社にもKCにも所属していない、且つ有名なデュエリストか?

 

「ペンデュラム召喚の実演を行う龍斗ボーイの相手。それは……」

「我がKCとI2社の合同会議にて選出したデュエリスト。バトルシティベスト4…………城之内克也!」

「っ!」

 

俺が出てきた場所とは反対の場所からスモークが上がり、金髪の男性がやってきた。

 

「城之内ボーイは今回のイベントの日程に合わせられ、且つ誰もが知るデュエリスト。彼を相手に龍斗ボーイがどんなデュエルを見せてくれるのか、非常に楽しみデース!」

 

ペガサス会長の言い方が、『暇なやつ探した』と言ってるように聞こえる。しかし城之内……さんは特に気にする様子もなく、こちらに歩み寄った。

 

「城之内克也だ。よろしくな!」

「……宮田龍斗です。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

差し出された右手に、こちらも右手を差し出して握手する。

城之内さんは握手のあと、その右手の親指を後ろに向けた。

 

「そこから見てたけどさ。スゲーなシンクロにエクシーズって!俺の【真紅眼】とかもあんな力を手に入れられるとなると、デュエリストとして楽しみだぜ!」

 

貴方の【真紅眼】は融合とエクシーズで強化されますよ。なんて言ったらどんな反応するだろうか?仕事中だから言わないけど。

 

「ペンデュラムを忘れないでくださいよ」

「忘れてねーよ。あの2人が選んだお前の実力、見せてもらうぜ!」

 

そう言うと、城之内さんは俺から距離をおいて、バトルシティで使用されたデザインのデュエルディスクを構える。

こちらも数瞬おくれてデュエルディスクを展開。

 

「それでは、デュエル開始デース!」

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

城之内克也

LP4000

 

…………じゃ、若干事故った。な、なるべく表情に出さないようにしよう。

 

「俺の先攻!モンスターをセット、永続魔法【補給部隊】を発動!このカードは1ターンに1度、俺のフィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、カードを1枚ドローします!そして、スケール4の【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】をペンデュラムゾーンにセット!」

 

俺の右後ろに【オッドアイズ】が柱とともに現れる。

 

「ペンデュラム召喚は現在のデュエルディスクでは使用できない。実演が終了次第、ペンデュラム召喚に対応した新型デュエルディスクと、現在使用されているデュエルディスクを交換する」

「明日以降、全国のカードショップでも交換できマース!So.今日デュエルディスクがなくても安心してくだサーイ!」

 

海馬さんとペガサス会長の計らいに『おお』という声と拍手が起こる。

 

「カードを1枚セットして、エンドフェイズに【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】のペンデュラム効果!このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のモンスターを手札に加えます!攻撃力1200の【時読みの魔術師】を手札に!ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

【補給部隊】

伏せ1枚

手札2枚

EX

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

 

「フィールドで破壊されたペンデュラムモンスターは、墓地ではなく融合デッキ、『マスタールール』におけるエクストラデッキに表側で加えられます」

「ペンデュラム召喚では、手札以外にもエクストラデッキに表側で加えられているモンスターも召喚できるから、必要なカードをサーチして、ペンデュラム召喚するモンスターを溜めているのね」

 

明日香と藤原が解説している。2人でやるなんてズルいぞ。

しかし客席だけでなく、城之内さんからも声がきた。

 

「ペンデュラム召喚はどうした?」

「手札のカードではペンデュラム召喚ができなかったんですよ。手札が整うまでは耐えるだけです」

 

瞬間、客席から心配の声が聞こえる。心配するなら【ドクロバット・ジョーカー】をくれ。もしくは【慧眼】。欲を言ったら【魔術師】使わせてくれ。

 

「待っててやろうか?」

「お気遣いなく。むしろガンガン攻撃してきてください。【補給部隊】でデッキ圧縮できるんで」

 

俺の頼みに近い言葉に城之内さんは『そうか』と目を閉じて、すぐにこちらに鋭い視線を向けた。

 

「なら本気でいくぜ!俺のターン、ドロー!【鉄の騎士 ギア・フリード】を召喚!」

 

【鉄の騎士 ギア・フリード】

攻撃表示

ATK1800/DEF1600

 

攻撃力1800のアタッカーか。

 

「バトルだ!【ギア・フリード】で守備モンスターを攻撃!鋼鉄の手刀!」

 

【ギア・フリード】の上段斬りで、俺のセットモンスター【EM ヒックリカエル】が破壊された。

 

「破壊された【EM ヒックリカエル】はペンデュラムモンスター。墓地に行かず、エクストラデッキに加えます!そして【補給部隊】の効果で1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンドだ!」

 

城之内克也

LP4000

モンスター

【鉄の騎士 ギア・フリード】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!……【EM ウィップ・バイパー】を召喚!」

 

【EM ウィップ・バイパー】

攻撃表示

ATK1700/DEF900

 

現れたのは尻尾の一部が手で握れるようになった、シルクハットを被った紫の蛇。

 

「【ウィップ・バイパー】の効果発動!1ターンに1度、フィールドのモンスター1体の攻撃力と守備力をターン終了時まで入れ替える!コンフュージョン・ベノム!」

 

【ウィップ・バイパー】が【ギア・フリード】に噛みつこうとしたが、相手が鉄の塊と判断したのか、頭に紫色の毒を吐いて戻ってきた。

 

【鉄の騎士 ギア・フリード】

ATK1800/DEF1600→ATK1600/DEF1800

 

「【ギア・フリード】の攻撃力と守備力を入れ替えた!?」

「バトル!【ウィップ・バイパー】で【ギア・フリード】を攻撃!」

「罠発動【悪魔のサイコロ】!このカードはダイスを振って、出た目の数だけ相手モンスターの攻撃力を下げる効果だ!……少し前は、出た目の数だけ相手モンスターの攻撃力を割る効果だったんだけどな。ペガサスの野郎、なんでこんな効果にしやがったんだ……」

 

効果説明すると、城之内さんは突然愚痴りだした。

 

「割っていく効果だと、割り切れない攻撃力のときの計算が面倒だからじゃないですか?」

「そーなのか?」

 

俺の見解を述べると、城之内さんは先程より少し高い声でペガサス会長に聞きだした。するとペガサス会長は『その通りデース』とにこやかに答えた。

『ふーん』と城之内さんは理解してるのか、してないのかわからないような対応の後、『とりあえず』と言って効果処理を始めた。

 

「ダイスロール!」

 

【悪魔のサイコロ】から黒い二頭身の悪魔が赤いサイコロとともに現れ、サイコロを振った。大きさのわりに少し高いコロコロという音とともに転がり、『2』の目が出た。

 

「出た目は『2』!攻撃力が200ポイントダウンする!」

 

【EM ウィップ・バイパー】

ATK1700→ATK1500

 

【ウィップ・バイパー】が【ギア・フリード】の全身を締めつけるが、頭部に拳骨をくらい、涙を流してどこかに行った。

 

宮田龍斗

LP4000→3900

 

「……【補給部隊】の効果で1枚ドローします」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3900

モンスター

魔・罠

【補給部隊】

伏せ2枚

手札3枚

EX

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

【EM ヒックリカエル】

 

「【補給部隊】の効果で手札を増やして、ペンデュラム召喚のチャンスを待っている状況ですね」

「でもフィールドはガラ空き。状況はかなり不利よ。龍斗はどうするつもりかしら?」

 

藤原、解説というより実況っぽい気がするのは俺だけか?

城之内さんは気にすることなくカードを引く。

 

「俺のターン!魔法カード【融合】を発動!手札の【ワイバーンの戦士】と【ベビードラゴン】を融合!【ドラゴンに乗るワイバーン】を召喚!」

 

【ドラゴンに乗るワイバーン】

攻撃表示

ATK1700/DEF1500

 

現れたのは黄土色の体の龍に乗った、曲刀を持つ緑色のトカゲ。『ワイバーン』と名前にあるが、あれはトカゲだ。

 

「罠発動【強制脱出装置】!【ドラゴンに乗るワイバーン】を手札に戻してもらいます」

「なんだと!?」

 

巨大な機械の【ドラゴンに乗るワイバーン】が吸い込まれ、天井部分から空高く吹き飛ばされた。

 

「くっそー……そんなカードで防いでくるかー……ならバトルだ!【ギア・フリード】でダイレクトアタックだ!」

 

【ギア・フリード】が俺を袈裟斬りに切り裂く。

 

「ぐ……っ!」

 

宮田龍斗

LP3900→2100

 

「ぃよっしゃぁ!俺はこれで、ターンエンドだ!」

 

城之内克也

LP4000

モンスター

【鉄の騎士 ギア・フリード】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

ガッツポーズをとる城之内さん。こちらとしてはせめて【オッドアイズ】を引きたいところだ。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………本当に【オッドアイズ】引いたよ。

とりあえず、【EM】使ってるからエンタメしないとな。一度目を閉じて深呼吸。ゆっくりと目を開け、両腕を上げた。

 

「Ladies & gentlemen !皆様、大変お待たせしました!これより、ペンデュラム召喚をご覧に入れます!」

 

『ようやくか』というような声が聞こえた気もするが、それよりも大きく『おお』と期待の篭った声が会場中から聞こえた。

 

「このカードは、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できます!スケール8の【時読みの魔術師】とスケール4の【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺の背後に【時読み】と【オッドアイズ】が現れる。城之内さんはショーか何かを見ているように、目を輝かせて【時読み】と【オッドアイズ】が宙に浮いていく様子を見ている。

 

「これでレベル5から7のモンスターが同時に召喚可能!揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!

ペンデュラム召喚!エクストラデッキより蘇れ!雄々しくも美しく輝く二色の眼!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「2体のペンデュラムモンスターを、永続魔法として左右のペンデュラムゾーンにセットすることで、ペンデュラム召喚の準備が完了します」

「ペンデュラムゾーンにセットされたペンデュラムモンスターに記されたスケール間のレベルを持つモンスターを最大5体特殊召喚する。これがペンデュラム召喚よ」

「いきなりレベル7のモンスターを召喚……これがペンデュラム召喚か……!」

「このターンはこれだけですが、手札やエクストラデッキの状況によっては5体同時召喚だってできますよ」

 

明日香と藤原が解説している間、城之内さんはペンデュラム召喚された【オッドアイズ】を面白そうに見ていた。

 

「では行きます。バトル!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】で【ギア・フリード】を攻撃!【時読みの魔術師】のペンデュラム効果で、俺のペンデュラムモンスターがバトルする場合、相手プレイヤーはダメージステップ終了時まで罠を発動できません!」

「罠が使えないだって!?」

「螺旋のストライクバースト!」

 

【オッドアイズ】のブレスが【ギア・フリード】を吹き飛ばす。

 

「【オッドアイズ】がバトルするとき発生する相手へのダメージは倍になります!リアクション・フォース!」

「倍だと!?ぐぁっ!」

 

【オッドアイズ】のブレスが地面を滑り、城之内さんに直撃した。

 

城之内克也

LP4000→2600

 

「エンドフェイズ、【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】の効果発動!このカードを破壊し、デッキから【星読みの魔術師】を手札に加えます!これと同時に【時読み】の効果!もう片方のペンデュラムゾーンに【魔術師】か【オッドアイズ】が存在しないなら、このカードのスケールは4になります!」

 

【オッドアイズ】が破壊されると同時に、【時読み】のいる柱に浮かぶ『8』の数字が『4』に変化した。

 

「ターンエンドです!」

 

宮田龍斗

LP2100

モンスター

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】:攻

ATK2500

魔・罠

【補給部隊】

伏せ1枚

ペンデュラム

【時読みの魔術師】:スケール4

手札3枚

EX

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

【EM ヒックリカエル】

 

「今手札に加えた【星読みの魔術師】はスケール1のペンデュラムモンスター」

「おそらく龍斗は次のターンで【星読み】と【時読み】でペンデュラム召喚の準備をするつもりね」

 

おい明日香、何情報アド渡してるんだよ。

そう突っ込む間もなく城之内さんがターンを進めた。

 

「俺のターン!魔法カード【運命の宝札】!」

 

運命の……宝札?嫌な予感がする名前だな……

 

「このカードは、サイコロを1度振って、その目の数だけドローするカードだ!」

 

最大6枚のドローって何その恐ろしいカード。最低でも1枚圧縮……【成金ゴブリン】みたいなライフ回復はないのだろうか?

そう思っている間に白いサイコロがカードから飛び出し、『3』の目を示した。

 

「出た目は『3』だ!カードを3枚ドロー!」

 

城之内克也

手札1枚→4枚

 

「その後デッキの上から、引いた枚数と同じ枚数だけ、ゲームから除外するぜ!」

 

最大12枚のデッキ圧縮……これだけ聞くと、【強欲で貪欲な壺】みたいだな。あっちは10枚除外してから2枚ドローだけど。

 

「永続魔法【デンジャラスマシン TYPEー6】発動!」

 

城之内さんの右側に、円盤を台座で固定し、棘の装飾を施された機械が現れる。機械の右側には巨大なレバーが設置されており、円盤には6つの球体が取り付けられ、球体には『?』が表示されている。

 

「このカードは、俺のスタンバイフェイズに6つの効果の中から1つがランダムに発動するカードだ!」

 

6つの効果……またサイコロか?この人サイコロ好きだなぁ……

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

 

城之内克也

LP2600

モンスター

魔・罠

【デンジャラスマシン TYPEー6】

伏せ3枚

手札1枚

 

「モンスター無し……終わったわね」

「【時読み】は罠を、【星読み】は魔法を封じる効果がある。次のターンで2体目の【オッドアイズ】召喚されてデュエル終了ね」

 

だからそういうことは言うなよ。情報アドは大切だぞ。

 

「それでは、ペンデュラム召喚の第二幕と参りましょう!俺のターン、ドロー!俺は、セッティング済みの【時読みの魔術師】とスケール1の【星読みの魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

【星読み】が柱とともに現れると、【時読み】がいる柱の『4』の数字が『8』に変化した。

 

「これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!

もう一度揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより蘇れ!【EM ヒックリカエル】!」

 

【EM ヒックリカエル】

守備表示

ATK0/DEF800

 

「【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「そして、手札からレベル7!【オッドアイズ・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

【オッドアイズ】……【オッP】から角……で良いんだよな?……を抜いたような龍が現れ

 

「罠発動【奈落の落とし穴】!」

 

着地音すらなく穴に落ちていった。

【オッドアイズ】が2体とも……

 

「相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚したとき、そのモンスターを破壊してゲームから除外するぜ!」

「……ペンデュラム召喚は複数体を同時に召喚する。【奈落の落とし穴】は条件を満たしたモンスターを全て除外する……」

 

まさか【奈落】なんてガチなカードをデッキに入れているとは……ギャンブルカード満載のデッキかと思えば【奈落】……全く手が読めん……

 

「【補給部隊】の効果で1枚ドローします」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

……2枚目の【補給部隊】……

 

「バトル!」

「速攻魔法【スケープ・ゴート】!」

 

城之内さんの発動したカードから、赤、青、黄、ピンクの羊が現れた。

 

【羊トークン】×4

守備表示

ATK0/DEF0

 

「【オッドアイズ】!【羊トークン】を攻撃!【星読み】と【時読み】のペンデュラム効果で、ペンデュラムモンスターが攻撃するとき、魔法・罠は発動できません!螺旋のストライクバースト!」

 

【オッドアイズ】がピンクの【羊トークン】を消し飛ばす。

 

「2枚目の【補給部隊】を発動して、ターンエンドです!」

 

宮田龍斗

LP2100

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】:攻

ATK2500

【EM ヒックリカエル】:守

DEF800

魔・罠

【補給部隊】

【補給部隊】

伏せ1枚

ペンデュラム

【星読みの魔術師】:スケール1

【時読みの魔術師】:スケール8

手札2枚

 

「【星読み】も【時読み】もペンデュラムモンスターが攻撃するときにしかその効力を発揮しない。攻撃される前に【スケープ・ゴート】を発動することで上手く躱したわね」

 

明日香が【スケープ・ゴート】の使用タイミングを評価するように解説。藤原はもう飽きたのか、口を開くことなく俺と城之内さんのデュエルを見ている。会長はニコニコと柔らかい笑みを浮かべ……海馬さんは『興味無し』と目を閉じている。アンタ自由すぎるよ。

 

「俺のターン!スタンバイフェイズに【デンジャラスマシン TYPEー6】の効果発動!」

 

【デンジャラスマシン TYPEー6】のレバーが独りでに降り、球体がスロットマシンのように縦回転を始める。ゆっくりとレバーが上がっていき、上がりきったところで縦回転は徐々に減速していく。6つの球体は全て『3』を示した。

 

「ぃよっしゃぁ!出たのは『自分はカードを1枚ドローする』効果!1枚ドローだ!」

 

城之内克也

手札2枚→3枚

 

顎をしゃくれさせながらガッツポーズとり、そのままカードを引く城之内さん。しゃくれさせる意味がわからない。

 

「魔法カード【おろかな埋葬】!デッキから【真紅眼の黒竜】を墓地に送るぜ!」

 

【真紅眼】……?【正統なる血統】でも握ってるのか?

 

「伏せカードオープン!魔法カード【ハリケーン】!フィールドの魔法・罠を全て手札に戻すぜ!」

 

……おそらく今日で日の目を見ることは無いであろうカードが出てくるとは……吹き荒れる風によって互いのカードが吹き飛ばされる。面倒なことを……

 

「さらに装備魔法【早すぎた埋葬】!ライフ800ポイントを払って、墓地から【真紅眼】を復活させるぜ!」

 

城之内克也

LP2600→1800

 

【真紅眼の黒竜】

攻撃表示

ATK2400/DEF2000

 

この世界だと激レアである【真紅眼】の登場に、会場が盛り上がる。

 

「装備魔法【闇竜族の爪】!これで【真紅眼】の攻撃力を600ポイントアップさせるぜ!」

 

【真紅眼の黒竜】

ATK2400→ATK3000

 

【真紅眼】の爪が銀色に変わった。

 

「バトル!【真紅眼】で【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】を攻撃!黒炎弾!」

 

【真紅眼】の炎が【オッドアイズ】を焼き尽くし、熱波が俺のライフを削る。

 

「くっ……!」

 

宮田龍斗

LP2100→1600

 

「【デンジャラスマシン TYPEー6】をもう一度発動して、ターンエンド!」

 

城之内克也

LP1800

モンスター

【真紅眼の黒竜】:攻

ATK3000

【羊トークン】:守

DEF0

【羊トークン】:守

DEF0

【羊トークン】:守

DEF0

魔・罠

【デンジャラスマシン TYPEー6】

【闇竜族の爪】《真紅眼の黒竜》

【早すぎた埋葬】《真紅眼の黒竜》

手札0枚

 

こっちの手札が7枚に……しかもフィールドに【ヒックリカエル】がいるから【時読み】が使えない……明日香も藤原も同じことを言っていた。【ブラホ】……何故お前を使っちゃいけないんだ…………嘆いていても仕方ない。ターンを進めよう。

 

「俺のターン、ドロー!【補給部隊】を2枚発動!カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP1600

モンスター

【EM ヒックリカエル】:守

DEF800

魔・罠

【補給部隊】

【補給部隊】

伏せ1枚

手札5枚

 

「状況はかなり不利ね。おそらく、龍斗のデッキには【真紅眼】の攻撃力を超えるモンスターが入っていない」

「罠か魔法で【真紅眼】を、もしくは【早すぎた埋葬】を破壊しないといけないわね」

 

【サイクロン】と【大嵐】入れてるんだけどなぁ……引かない……。

 

「俺のターン!スタンバイフェイズに【デンジャラスマシン TYPEー6】の効果発動!」

 

再びレバーが下がり、ルーレットが始まる。そして『1』の数字が表示された。

 

「…………出たのは、『自分の手札を1枚捨てる』効果だ。俺の手札は1枚だけだから、このカードを捨てるぜ」

 

前のターンのテンションとは雲泥の差と言えそうなほど低いテンションで手札のカードを墓地に送った。

 

「バトルだ!【真紅眼】で【EM ヒックリカエル】を攻撃!黒炎弾!」

 

【真紅眼】の炎によって、『【ヒックリカエル】の丸焼き』が出来上がった。

 

「……攻めてきますね。次のターン、ペンデュラム召喚がやってくるというのに」

「攻めていかないと勝てないからな。それに、俺の【真紅眼】を倒せるモンスターはそうはいねぇよ」

「なら、その自信を砕くまでです。【補給部隊】2枚の効果でカードを2枚ドローします!」

 

宮田龍斗

手札5枚→7枚

 

「やってみろよ!ターンエンドだ!」

 

城之内克也

LP1800

モンスター

【真紅眼の黒竜】:攻

ATK3000

【羊トークン】:守

DEF0

【羊トークン】:守

DEF0

【羊トークン】:守

DEF0

魔・罠

【デンジャラスマシン TYPEー6】

【闇竜族の爪】《真紅眼の黒竜》

【早すぎた埋葬】《真紅眼の黒竜》

手札0枚

 

自信満々にエンド宣言する城之内さん。こちらの手札は、今引いたカードで十分に勝利を手に入れられる。

 

「それではペンデュラム召喚の実演、最終章と参りましょう!俺のターン!俺はスケール1の【星読みの魔術師】とスケール8の【時読みの魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺の背後に再び【星読み】と【時読み】が揃った。

 

「これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!

揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ!手札からレベル7!【メタファイズ・アームド・ドラゴン】!」

 

【メタファイズ・アームド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF1000

 

銀色の装甲を纏った【アームド・ドラゴン LV7】が現れる。素の攻撃力ではこのモンスターが、このデッキの最高火力だ。

 

「同じくレベル7!【オッドアイズ・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「レベル6!【EM カレイドスコーピオン】!」

 

【EM カレイドスコーピオン】

守備表示

ATK100/DEF2300

 

鋏の代わりに盾を持ち、尾が万華鏡になったサソリ。万が一、特殊召喚されたモンスターが大量に出たときの保険だ。必要なくなったけど。

 

「そしてエクストラデッキからレベル2!【EM ヒックリカエル】!」

 

【EM ヒックリカエル】

守備表示

ATK0/DEF800

 

「レベル7!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

とりあえず出せるだけ出してみる。【メタファイズ・アームド・ドラゴン】を中心に、2体の【オッドアイズ】が左右を固め、端を【EM】で埋めただけなんだが……端と中心部の迫力の差が激しい。

 

「5体同時召喚……でもそれじゃあ」

「装備魔法【団結の力】を【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】に装備!俺のフィールドのモンスター1体につき、攻撃力と守備力が800ポイントアップ!」

 

城之内さんのセリフに被せたようだが、気のせいだろう。

というか、【オッP】の方を中心にするべきだったか?

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

ATK2500/DEF2000→ATK6500/DEF6000

 

「こ、攻撃力6500だぁ!?」

「ペンデュラム召喚は大量展開できますから、【団結の力】使った脳筋フィニッシュになるのが主流になるんじゃないですかね?しばらくは」

 

攻撃宣言→【サイクロン】で返り討ちだけどな。【聖槍】も可。

会場は攻撃力6500がそんなに珍しいのか、【真紅眼】が召喚されたときより盛り上がっている。

 

「とりあえず、情報提示を兼ねて【カレイドスコーピオン】の効果を【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】を対象に発動!これで【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】は、特殊召喚されたモンスター全てに1度ずつ攻撃できます!」

 

『まぁ、1度しか攻撃しませんが』と苦笑しながら言う。そろそろトドメといこうか。

 

「バトル!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】で【真紅眼】を攻撃!螺旋のストライクバースト!【オッドアイズ】は相手モンスターとバトルするとき、相手プレイヤーに与えるダメージを倍にする!リアクション・フォース!」

 

【オッP】のブレスが【真紅眼】、その後ろにいる城之内さんを飲み込んだ。

 

「ィワァァァァァクッ!」

 

城之内克也

LP1800→-5200




ペンデュラム無しでは戦えないデッキ……下級が【ヒックリカエル】、【ウィップ・バイパー】、【時読み】しかなく、あとは上級、最上級で構成された重量感あるデッキでした。ペンデュラムの印象を観客に残すために、下級を抑えたら抑えすぎた感じですハイ。
次回は打ち上げ前の一悶着です。これもイベントの一環です。


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イベント終了後 VS.一般人

イベントのメインが終わり、カードの配布したりする話です。


「以上をもって、シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム召喚の実演を終了する!」

「それではこれより、スターターデッキと新パックの配布を始めマース!龍斗ボーイ、明日香ガールと雪乃ガールも手伝ってくだサーイ!」

 

城之内さんとのデュエルを終えたと思った瞬間、海馬さんとペガサス会長の背後に大量のダンボールが現れた。黒服の人達とともに。

打ち合わせでデッキやパックの配布は決まっているので、特に慌てることもなく所定の位置につく。

スターターデッキも新パックもそれぞれ3種類用意してあり、シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム召喚に対応したデッキ。それを強化しやすいパックとなっていて、俺はペンデュラム召喚対応のデッキとパックを渡すことになっている。明日香はシンクロ、藤原はエクシーズだ。

数に限りがあるので、1人1つのデッキと5パックとされた。

俺達テスターは一般客に、海馬さんとペガサス会長はマスコミに配布することになっている。たまたまデュエルディスクを持ってきていた人には、KCの人達が新型と交換している。

一般客の大半は小学生以下の年齢層だが、たまに中学生・高校生のやつも来る。小学生くらいの男の子に『俺の方が上手くペンデュラムを使えるようになる』とナマイキなこと言われたときは、『やってみろ』と挑発的な笑みを浮かべてしまった。

 

「えへへ……」

「…………」

 

何故お前まで並んでるんだよ。ゆま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全て配布し終えて、マスコミは編集やら何やらのために会場を後にし、一般客にはテーブルがいくつも用意され、その場で開封、デッキの改造に励んでいる。

 

「えっと……あとは一般客のデュエルの相手くらいか?」

 

状況確認のために明日香と藤原に聞いてみると、少し疲れた様子で2人が頷いた。一般客はここで組んだデッキを使って、俺達テスターや同じ一般客を相手にデュエルができる。俺達はさっき使ったデッキと、別にデッキを用意してある。明日香は【氷結界】を、藤原は【クラウンブレードライトロード】。俺は適当にいくつか持ってきた。ペガサス会長や海馬さんの話をざっくり纏めると、自重しなくていいらしい。さすがに相手を選ぶけどな。

 

「疲れたか?」

 

先程の明日香と藤原の様子が気になったので声をかけてみる。

 

「デュエルや解説はそうでもないんだけどね……」

「デッキとパックを配るときにナンパされたのよ……私も明日香も……」

 

…………まぁ、2人とも美人とかのカテゴリーに入らなくはないだろうし。ナンパされても不思議じゃないだろう。明日香は握力お化けで、藤原は俺のベッドにとんでもないパジャマで侵入してくるけど。

『お疲れだったな』とだけ伝えると、何故か2人とも恨めしそうに俺を睨む。

 

「なんで貴方は無事な顔してるのよ……女顔のクセに!」

「名前から男だとわかったんだろう。男とわかっててナンパするような奴いたら、俺は速攻で逃げる」

 

あと手をワキワキと動かしながら近づくのをやめろ。ゆっくりと近づく明日香に対し、俺もゆっくりと後退する。

 

「お兄ちゃん!見て見て!凄いの当たったよ!」

 

状況を打ち破る救世主が背後からタックルしつつ現れた。タックル直後抱きついて俺に当たったというカードを見せてくる。

 

「ん。どれど……れ…………」

 

【エルシャドール・ネフィリム】(シークレット仕様)

 

…………いや、強いけど、お前の【HERO】に入れるつもりか?【シャドール】モンスターいないだろ?

 

「?お兄ちゃん?」

 

沈黙した俺に、ゆまは『どうしたの?』と首を傾げて俺を見つめる。俺は『いや』と前置きして、

 

「確かに凄いのが当たったな。それで、デッキに入れるのか?」

「ううん。融合素材になるのが【シャドール・ファルコン】しかないから、残念だけど諦める」

 

いや、【ファルコン】も当ててるのかよ。一応【ファルコン】もチューナーだから、シンクロのパックに入ると思ってたんだが、何故ペンデュラムのパックに……まぁいいや。

 

「兄ちゃん!オレとデュエルだ!」

 

デッキを組んだのか、小学生くらいの男の子がデッキをデュエルディスクにセットして、俺にデュエルを挑んできた。

 

「わかった。じゃあこっちに行こうか」

 

テスター陣がデュエルしたステージに移動してデュエル。相手はエクシーズを使うつもりだったみたいだが、デッキの構築が酷くエクシーズ召喚の準備もままならなかった。仔犬のようについてくるゆまを連れ、男の子がいたテーブルまで戻り、今男の子が持ってるカードを使ってデッキ構築の手伝いをした。これでエクシーズできる……はずだ。

 

「兄ちゃん、ペンデュラム使うんだろ?なんでエクシーズのデッキ組むんだよ?」

「今回たまたまペンデュラム召喚を見せるために出たけど、俺はエクシーズもシンクロも使うよ」

 

男の子と友達であろう子達にも『へぇ〜』と感心される。ゆま、何故お前は誇らしげなんだ?お前の話は出てないだろ。

 

「龍斗さん、頑張ってますわね」

「ひゃあっ!?」

 

急に背後から声がして、テーブルにいた子達と一緒にビクッと肩を震わせ、振り返ってみるとももえがニコニコと笑っていた。ゆまは……驚きすぎて椅子から落ちた。

 

「ももえか。おどかすなよ」

「ごめんなさいね。明日香さま達と違って随分熱心だったので」

 

言われて明日香と藤原を探す。見つけた先では、明日香と藤原、枕田が呑気に談笑していた。お前ら仕事……いや、俺がやりすぎなだけか。言われたのは『デュエルの相手』だしな。

 

「……ちょっとデッキの内容が酷かったから直しただけだ」

「兄ちゃん酷え!」

 

男の子がショック受けてるが、『レベルがバラバラすぎて何もできなかったのは誰だよ』と言うと、『ぐはっ!』とその場に突っ伏した。お前ノリがいいな。

 

「龍斗!」

「ん?枕田?」

 

さっきまで談笑していた枕田が、慌てたように話しかけてきた。

 

「ちょっと来なさい!」

「ちょ、引っ張るな!」

「お、お兄ちゃん待って!」

 

腕を掴まれ、そのままステージまで引っ張られる。ステージには染めたであろう金髪の男と、藤原と明日香が対峙していた。

 

「来たわね龍斗」

「『来た』というより、『拉致された』方が正しい気がするが……」

 

藤原に迎えられたが、俺としては、何故俺がここにいなければならないのか

理解できない。そう思いつつ藤原の発言に訂正を試みるが、藤原はスルーし男を指差す。

 

「龍斗、今からあのボウヤとデュエルしてほしいの」

 

そしてこの発言である。

心底面倒なので『はぁ?』と嫌そうな表情で言ってみるが、聞く耳持たずに明日香が経緯を説明し始める。

端的に言うと、藤原と明日香をかけて俺とあの男がデュエルすることになった。

 

「…………俺、関係無いだろ」

 

と文句を言ってみると、藤原が俺より弱い男に興味はない。とほざいたらしい。藤原に非難の目を向けてみるが、藤原当人は意味深に笑うだけ。横目で男を見てみると、早くしろと言わんばかりにイラついていた。……面倒な。

 

「……暴れられても面倒だしな。仕方ない」

 

左腰からデッキを取り出し、ディスクにセットしつつ前に出る。

 

「やっと出てきたな!」

「面倒だから早く済ませよう。いくぞ」

 

嫌々ディスクを展開する。男はイラつきを更に強めてディスクを展開した。

 

「「デュエル!」」

 

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「オレの先攻だな。オレは【切り込み隊長】を召喚!」

 

【切り込み隊長】

攻撃表示

ATK1200/DEF400

 

「【切り込み隊長】の効果発動!召喚に成功したとき、手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる!【ハウリング・ウォリアー】を特殊召喚!」

 

【ハウリング・ウォリアー】

攻撃表示

ATK800/DEF700

 

銀の鎧の所々にスピーカーを取り付けた戦士が現れる。

 

「へへ……早速行かせてもらうぜ!レベル3の【切り込み隊長】と【ハウリング・ウォリアー】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!出ろ!【グレンザウルス】!」

 

【グレンザウルス】

攻撃表示

ATK2000/DEF1900

 

赤い皮膚で頭部から炎を噴き出している恐竜型モンスターが現れる。エクシーズか……というか【グレンザウルス】の効果ってなんだっけ……?まぁ、初期エクシーズは大して怖くないから気にしないでいいか。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

LP4000

モンスター

【グレンザウルス】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

攻撃力2000のモンスターに、いつの間にか集まり見物している子供達からは諦めたような声が聞こえる。お前ら、明日香と藤原が1ターンで攻撃力2000オーバーのモンスターを召喚したの見てただろ?

 

「俺のターン、ドロー!」

「さっさと終わらせろよ。これからお楽しみがあるんだからさ!」

 

勝ちを確信してるのか、下卑た笑みを浮かべて挑発してくる男。俺のデッキがさっきと同じだと思ってるのか?

 

「フィールド魔法【メタモルF(フォーメーション)】を発動!」

 

俺の足下が青く光る。今回使うデッキは【メタルフォーゼ】。通常モンスターのペンデュラムモンスターと融合召喚をメインに設定したデッキだ。

 

「このフィールドがある限り、俺のフィールドの【メタルフォーゼ】モンスターの攻撃力と守備力が300ポイントアップし、俺のペンデュラムゾーンに【メタルフォーゼ】カードが存在する限り、効果モンスター以外の俺のフィールドの【メタルフォーゼ】モンスターは相手の効果を受けない」

「効果を受けない!?……チッ、面倒なカードを……!」

 

舌打ちして一瞬手札のカードを見たあと、俺を睨めつける。無視して手札のカード2枚を見せつける。

 

「俺はスケール1の【メタルフォーゼ・シルバード】とスケール8の【メタルフォーゼ・スティエレン】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺の背後に独特なフォルムのジェット機に乗った女性と、バイクに乗った戦士が現れる。戦士とは言ってもサイキック族だが。

 

「これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能となったわけだが、先にコイツを召喚しよう。レベル1の【おもちゃ箱】を召喚!」

 

【おもちゃ箱】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

俺の足元に、赤いリボンでラッピングされた白い箱がコトッという音とともに置かれた。

 

「攻撃力0……ハッ!効果を受けないとか言っておきながら、攻撃力0の壁にもならないモンスターとはな!」

「【メタルフォーゼ・シルバード】のペンデュラム効果発動!」

「おい、オレが喋ってるだろうが!」

 

男が何か言ってるが、一々聞いてやる義理も義務もない。さっさと終わらせて戻りたいんだ。

 

「1ターンに1度、このカード以外の俺のフィールドの表側表示カード1枚を対象に発動。対象は【おもちゃ箱】だ。対象カードを破壊し、デッキから【メタルフォーゼ】魔法・罠を俺のフィールドにセットする!【錬装融合(メタルフォーゼ・フュージョン)】をセット!」

 

【シルバード】が柱から飛び出し、【おもちゃ箱】を吹き飛ばす。【おもちゃ箱】が開き、その中から2つの影と、裏向きのカードが現れた。

 

「【融合】……!?お前、ペンデュラムを使うんじゃ……!?」

「【おもちゃ箱】の効果発動!このカードが破壊され墓地へ送られた場合、デッキから攻撃力、または守備力が0でカード名が異なる通常モンスター2体を表側守備表示で特殊召喚できる!現れろ【メタルフォーゼ・スティエレン】、【竜剣士マスターP】!」

 

【メタルフォーゼ・スティエレン】

守備表示

ATK0/DEF2100

 

【竜剣士マスターP】

守備表示

ATK1950/DEF0

 

【スティエレン】がバイクのエンジン音を響かせながら現れ、同時に赤茶色の翼と尻尾を持ち、金と銀の鎧を纏った剣士が現れる。【スティエレン】がフィールドに止まると、乗っているバイクが青い光を放った。

 

「【メタモルF】の効果で、【スティエレン】の攻撃力と守備力が上昇する」

 

【メタルフォーゼ・スティエレン】

ATK0/DEF2100→ATK300/DEF2400

 

男は手札とフィールド、ディスクに目を向けたあと、口角を上げてこちらを見た。

 

「だが、守備表示じゃオレの【グレンザウルス】は倒せないぜ!」

「誰がこれで終わりだと言ったんだか……【シルバード】の効果でセットされた魔法カード【錬装融合】を発動!フィールドの【スティエレン】と【マスターP】を融合!黒鉄の魂を持つ者よ、竜の力と一つとなりて、伝説を手にせよ!融合召喚!『アダマント』の名を持つ者!レベル5【メタルフォーゼ・アダマンテ】!」

 

【メタルフォーゼ・アダマンテ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2500

 

肩にバイクの車輪を取り付け、腰のあたりから炎を噴き出すマフラーを伸ばし、ハンドルと思われる筒から炎で出来た刃をもつ人型モンスターが現れる。

 

「オレの【グレンザウルス】の攻撃力を超えるモンスターを……!」

「【メタモルF】の効果で攻撃力と守備力が上昇」

 

【アダマンテ】の装甲が青く光る。

 

【メタルフォーゼ・アダマンテ】

ATK2500/DEF2500→ATK2800/DEF2800

 

「墓地の【錬装融合】の効果発動!」

「墓地から魔法カードだと!?」

 

もうテンプレと言ってもいいのではないかと思うセリフを無視して、墓地から【錬装融合】を取り出す。

 

「墓地のこのカードをデッキに戻し、1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

……モンスターじゃなかったか。まぁいい。

 

「揺れ動く力、鋼鉄の意志のもと、伝説を導け!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより蘇れ!【メタルフォーゼ・スティエレン】!」

 

【メタルフォーゼ・スティエレン】

守備表示

ATK0/DEF2100

 

「【竜剣士マスターP】!」

 

【竜剣士マスターP】

攻撃表示

ATK1950/DEF0

 

「そして手札から【メタルフォーゼ・ゴルドライバー】!」

 

【メタルフォーゼ・ゴルドライバー】

攻撃表示

ATK1900/DEF500

 

黄金のプレートを装着した男が、黄金の四輪バギーに乗り、ドリフトしながら登場した。

 

「【メタモルF】の効果で【メタルフォーゼ】モンスターの攻撃力と守備力が上昇する」

 

【メタルフォーゼ】モンスター達の乗り物が青く発光する。さっきから人の部分が強化されてない。

 

【メタルフォーゼ・スティエレン】

ATK0/DEF2100→ATK300/DEF2400

 

【メタルフォーゼ・ゴルドライバー】

ATK1900/DEF500→ATK2200/DEF800

 

「罠発動【統制訓練】!お前のフィールドのレベル5以下のモンスター、【メタルフォーゼ・スティエレン】を選択して発動!フィールドに存在する、選択したモンスターと違うレベルを持つモンスターを全て破壊する!」

「【スティエレン】のレベルは2。よってレベル2以外のモンスターを破壊するが、俺のフィールドにいる【ゴルドライバー】と【アダマンテ】は【メタモルF】の効果で破壊されず、【マスターP】だけが破壊される」

 

この発言の直後、何も言わずに【マスターP】は爆発した。

 

「バトル!【アダマンテ】で【グレンザウルス】を攻撃!双炎斬!」

 

【アダマンテ】が両手の筒から噴き出る炎で【グレンザウルス】の体を3つに斬った。

 

「オレの【グレンザウルス】が……!」

 

LP4000→3200

 

「【ゴルドライバー】でダイレクトアタック!」

 

【ゴルドライバー】がエンジン音を響かせて男にドリフトで突撃。

しかし何かを踏んだのか、車体が跳ね上がり、錐揉み回転しながら男に向かっていった。

 

「ぉわぁ!?」

 

妙な声を出しながら男は回避。しかしライフは減らされる。

 

LP3200→1000

 

「メイン2。ペンデュラムゾーンにいる【スティエレン】のペンデュラム効果発動!フィールドの【スティエレン】を破壊して、デッキから【メタルフォーゼ・コンビネーション】をセットする」

 

モンスターとしてフィールドにいる【スティエレン】を、ペンデュラムゾーンにいる【スティエレン】が背後から猛スピードで激突し、どこかからカードを1枚持ってきて裏側で俺のフィールドにセットした……交通事故……いや、それよりもドッペルゲンガー……

 

「…………カードを2枚セットしてターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【メタルフォーゼ・アダマンテ】:攻

ATK2800

【メタルフォーゼ・ゴルドライバー】:攻

ATK2200

魔・罠

伏せ3枚

フィールド

【メタモルF】

ペンデュラム

【メタルフォーゼ・シルバード】:スケール1

【メタルフォーゼ・スティエレン】:スケール8

手札1枚

EX

【竜剣士マスターP】

【メタルフォーゼ・スティエレン】

 

「お、オレのターン!」

 

1ターンで追い込まれたと思ってるのか、声を震わせながらカードを引く。

 

「クソッ!モンスターを裏守備表示で召喚!カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!」

「永続罠【メタルフォーゼ・コンビネーション】を発動しておこう。効果の説明は使うタイミングが来たらしてやる」

「…………ターンエンド!」

 

LP1000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

悪態をつきがらカードをデュエルディスクに叩きつけ、俺がカードを発動すると、イラつきながらターンを終了した。

 

「俺のターン、ドロー!【シルバード】のペンデュラム効果発動!フィールドの【ゴルドライバー】を破壊して【錬装融合】をセットする!」

 

【シルバード】がバギーごと【ゴルドライバー】をどこかに拉致し、代わりに【錬装融合】を持ってきて、フィールドにセットした。

 

「揺れ動く力、鋼鉄の意志のもと、伝説を導け!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより蘇れ!【メタルフォーゼ・スティエレン】!」

 

【メタルフォーゼ・スティエレン】

守備表示

ATK0/DEF2100

 

「【メタルフォーゼ・ゴルドライバー】!」

 

【メタルフォーゼ・ゴルドライバー】

攻撃表示

ATK1900/DEF500

 

「【竜剣士マスターP】!」

 

【竜剣士マスターP】

攻撃表示

ATK1950/DEF0

 

「そして手札から【メタルフォーゼ・ヴォルフレイム】!」

 

【メタルフォーゼ・ヴォルフレイム】

攻撃表示

ATK2400/DEF2000

 

赤いボディとキャタピラが特徴の乗り物に乗った人型モンスターが轟音とともに現れる。

 

「よ、4体同時召喚……!?」

「【メタモルF】の効果で【メタルフォーゼ】達の攻撃力と守備力が上昇」

 

【メタルフォーゼ・スティエレン】

ATK0/DEF2100→ATK300/DEF2400

 

【メタルフォーゼ・ゴルドライバー】

ATK1900/DEF500→ATK2200/DEF800

 

【メタルフォーゼ・ヴォルフレイム】

ATK2400/DEF2000→ATK2700/DEF2300

 

「そしてセットされた魔法カード【錬装融合】を発動!【スティエレン】と【アダマンテ】を融合!黒鉄の魂を持つ者よ、堅固なる力と一つとなりて、新たな伝説をこの地に刻め!融合召喚!『オリハルコン』の名を持つ者!【メタルフォーゼ・オリハルク】!」

 

【メタルフォーゼ・オリハルク】

攻撃表示

ATK2800/DEF2200

 

黄金の鎧と、背に背負う4つの車輪が特徴のモンスターが炎で出来た斧2本を持って現れる。

そして【メタモルF】の恩恵で攻撃力と守備力が上昇し、全身の鎧が青く光る。

 

【メタルフォーゼ・オリハルク】

ATK2800/DEF2200→ATK3100/DEF2500

 

「永続罠【メタルフォーゼ・コンビネーション】の効果を、墓地の【アダマンテ】を対象にして発動!1ターンに1度、融合モンスターが融合召喚された場合、墓地にいるその融合モンスターよりレベルが低い【メタルフォーゼ】モンスターを対象にして発動する。【オリハルク】のレベルは8、【アダマンテ】は5だ。よって条件は満たしている。このカードの効果で対象となったモンスターを特殊召喚する!蘇れ!【メタルフォーゼ・アダマンテ】!」

 

【メタルフォーゼ・アダマンテ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2500→ATK2800/DEF2800

 

「っ……これじゃあ、モンスター1体で召喚したのと同じじゃねぇか!」

「そうだな。だが喜べ。【オリハルク】は効果モンスターでもある。【メタモルF】の効果で守られることはない」

「お兄ちゃん!今回黙ってたけど、みんなやり過ぎだと思ってると思う!」

 

背後から聞こえたゆまの突っ込みに、見物している子供達が無言で頷いた。

海馬さんだってはっちゃけていたのだから、別にいいだろ?

 

「別にいいんじゃない?龍斗が私のために本気だと思えば、可愛いと思えるけれど」

「でも、やり過ぎっていうのもわからなくはないわ」

 

別に藤原のためではないけどな。かといって明日香のためでもない。もし藤原と明日香がいなくなったら、俺1人で子供達の相手をしながら、ゆまを見てなきゃいけなくなる。それを避けたいだけだ。

 

「バトル!【ヴォルフレイム】で守備モンスターを攻撃!」

「罠発動【和睦の使者】!これでオレのモンスターは破壊されな」

「カウンター罠【ブローニング・パワー】!俺のフィールドのサイキック族モンスター、【メタルフォーゼ・ゴルドライバー】をリリースして発動!魔法・罠の発動、モンスターの召喚・特殊召喚のいずれか1つを無効にして破壊する」

 

男に割り込むように発動したカウンター罠により、【ゴルドライバー】は表になった【和睦の使者】に突撃。ドリフトしてカードを破壊した直後、派手にスリップして車体が跳ね上がり、バギーが大爆発した…………薄っすらとバギーに乗っていた人物が笑みを浮かべてサムズアップしているのが見える。

 

「【ゴルドライバー】さーん!」

 

ゆまも見えるらしく、【ゴルドライバー】の名を叫んでいた。

 

「そしてバトルは続行される!」

 

【ヴォルフレイム】がキュラキュラとキャタピラ音を鳴らして守備モンスター、【岩石の巨兵】を砕き、男に突撃していく。

 

「【オリハルク】の効果で、【メタルフォーゼ】モンスターが守備モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力を超えているなら、その数値差の倍のダメージを与える」

「ば、倍!?う、うわぁぁぁ!!」

 

男は【ヴォルフレイム】から逃げようとするが、下敷きにされライフを失った。

 

LP1000→-400

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デュエルが終了すると、男はショックを受けたのか、その場から動かず、連れと思われる頭の悪そうな女に連れて行かれた。いや、連れて行かれたというか、蹴り転がされたというのが正しいか。ともかく、面倒事を終えた俺達は仕事に戻り、一般客が全員帰るまでデュエルやデッキ構築のアドバイスをしていった。そして現在。

 

『かんぱーい!』

 

イベントの終了を記念して、俺達が泊まっているホテルの大広間で、KCとI2社の合同パーティーが催された。会社の枠を超えて食事しながら談笑している大人組と、俺達テスター+ゆまという形になっているのが基本だ。しょっちゅう大人組が絡んでくるので、疎外感のようなものはあまり無い。

あとは、KCの栗田さんを先攻1ターンキルしたり、リベンジしてきた栗田さんが後攻1ターンキルされたりしたくらいで賑やかなパーティーになるはずだった。

 

[宮田龍斗]

 

突如、広間のスピーカーから俺の名前が呼ばれた。声の主は海馬さんだ。

何事かと思い海馬さんを探すと、海馬さんは広間の奥にいて、マイクを持っていた。『なんです?』と声をかけると、

 

[この俺とデュエルしろ]

 

海馬さんにデュエルを強要された。




次回、社長VS龍斗!
ちょっとやり過ぎ感ありますが、気のせいだと思いたいです。


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仕置き VS.海馬

2週間ぶりくらいの投稿になります。



シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムの紹介、実演のイベントを終え、KCとI2社によるパーティーの最中、海馬さんにデュエルを強要された。

 

「別にデュエルするのは良いですけど、理由は?」

「そこの小娘共は1ターンで新召喚の実演をしたにもかかわらず、貴様だけが4ターンもつまらんデュエルをしていたからな。その仕置きだ」

 

暴君だ。だったらもう少しペンデュラムモンスターを使わせてもらいたかった。海馬さんもそのくらいわかってるはずなのに……

 

「……わかりました。でも、俺もやらかしますよ」

「ふぅん。その気概ごと粉砕してくれる!」

 

自信満々にデュエルディスクを展開する海馬さん。

周囲の人達は俺と海馬さんから距離を取ってデュエルする環境を整える。

俺もデュエルディスクを腕につけ、デッキをセット。展開する。

 

「いきます!」

「来い!」

「「デュエル!」」

 

海馬瀬人

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「俺の先攻!手札の【太古の白石】を捨て、魔法カード【ドラゴン・目覚めの旋律】を発動!」

 

大ボリュームでエレキギターの音が響く。イベント中も【太古の白石】捨ててたけど、あの2枚をセットで引く能力でもあるのだろうか?いや、そんな非科学的な……

 

「デッキから攻撃力3000以上、守備力2500以上のドラゴン族モンスターを2枚まで手札に加える」

 

そう言ってこちらに見せた2枚のカード。1枚は【青眼の白龍】。もう1枚は……

 

「【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】……」

 

儀式モンスター……イベントで使ったデッキにあんなカード入れてたのかよ……召喚されなくて良かった……

海馬さんは薄い笑みを浮かべて新たなカードを手に取った。

 

「手札の【青眼】を相手に見せることで、【青眼の亜白龍】を特殊召喚する!」

 

【青眼の亜白龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「さらに儀式魔法【カオス・フォーム】を発動!手札の【青眼】をリリース!」

 

海馬さんが【青眼】のカードを墓地に送ると、フィールドに【青眼】が現れ、その周囲を5つの銀色の機械が取り囲み、【青眼】に黒い光を当てる。

 

「混沌より出でし力よ!我が魂を依り代に、全てを破壊せよ!」

 

黒い光が【青眼】を侵食し、やがて黒い球体になる。

 

「【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】!」

 

【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF0

 

球体が爆発するように弾け、どこか機械的な姿に変わった【青眼】が現れ咆哮した。その咆哮は、広間が揺れていると錯覚するほどに大きい。

 

「そしてエンドフェイズに移行し、【太古の白石】の効果発動!現れろ!【青眼の白龍】!」

 

【青眼の白龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「ターンエンド!」

 

海馬瀬人

LP4000

モンスター

【青眼の亜白龍】:攻

ATK3000

【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】:攻

ATK4000

【青眼の白龍】:攻

ATK3000

魔・罠

手札1枚

 

3体の【青眼】……海馬さんはこの圧巻とも言えるフィールドに満足感を得たのか、腕を組んで薄い笑みを浮かべている。

だが、今回の俺のデッキも酷いデッキだ。負けるつもりはない。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………来たな。このデッキの壊れカードその1!

 

「俺はスケール5の【竜剣士ラスターP】と、同じくスケール5の【Em(エンタメイジ) ヒグルミ】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

カードをデュエルディスクにセットすると、深い青色の翼と尻尾を持つ剣士と、星柄の魔法使いの帽子から炎の体のモンスター、【ヒグルミ(壊れカードその1)】が青白い柱とともに現れた。今回使うのは【WE】。最初はネタのつもりで組んだのだが、調整しているうちにぶっ飛んだデッキに化けた。

 

「【竜剣士】と【Em】デスか……【竜剣士】は様々なモンスターと力を合わせるのが特徴デスが、【Em】と相性は良かったのでショウか?」

「私達は何度か、ペンデュラムのテスターである三沢大地という男子生徒と、彼のデュエル見ましたが……」

「あのデッキでデュエルする龍斗さんは……」

「見たこと無いですね」

 

ペガサス会長の疑問に、明日香、ももえ、枕田の順で答えた。

 

「ペンデュラムを2枚用意できたようだが、スケール5が2枚ではペンデュラム召喚はできまい」

「誰が『この2枚でペンデュラム召喚する』って言いました?これは下準備ですよ。【竜剣士ラスターP】のペンデュラム効果!1ターンに1度、対となるペンデュラムゾーンのカードを破壊し、デッキから同名カードを手札に加える!【ヒグルミ】を破壊して【ヒグルミ】を手札に!」

 

【ラスターP】が【ヒグルミ】に剣を向けると、【ヒグルミ】が粒子になって消滅し、俺に盾を向けるとデッキからカードが1枚飛び出した。

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「自らカードを破壊して、同じカードを手札に……?」

「意味があるのかしら?」

 

KC、I2の人達が次々と疑問を口にする。

まぁ、知らないとそうなるよな。

明日香達テスター……いや、ゆまもいるから学生陣と言ったほうがいいか。学生陣も何をしているのかと首を傾げていた。

 

「破壊された【ヒグルミ】の効果発動!戦闘・効果で破壊された場合、デッキから【ヒグルミ】以外の【Em】を特殊召喚できる!来い!【ダメージ・ジャグラー】!」

 

【Em ダメージ・ジャグラー】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

俺の前で突如赤い煙が上がり、煙から青い帽子とマントを纏い、『?』と書かれた4つ赤い球をジャグリングしているモンスターが飛び出した。ペガサス会長は驚いたような顔になった後、意味深に笑った。

 

「そして手札に加えた【ヒグルミ】をペンデュラムゾーンにセット!速攻魔法【揺れる眼差し】!互いのペンデュラムゾーンのカードを全て破壊する!」

「だが俺のペンデュラムゾーンにカードは無い」

「ええ。よって俺のペンデュラムゾーンのカードだけを破壊する!」

 

直後、背後にいた【ラスターP】と【ヒグルミ】が破壊され、火の粉が海馬さんに降り注ぎ、俺のデュエルディスクに光が降り注ぐ。

 

「この効果で破壊したカードの枚数につき、効果を適用していく!1枚以上破壊した場合は、相手に500ポイントのダメージを与える!」

「この程度、どうという程でもない」

 

海馬瀬人

LP4000→3500

 

「そして、2枚以上破壊した場合、デッキからペンデュラムモンスターを手札に加える!【EM モンキーボード】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「【ヒグルミ】の効果は1ターンに何度でも使える!破壊された【ヒグルミ】の効果で、デッキから2体目の【ダメージ・ジャグラー】を特殊召喚!」

 

【Em ダメージ・ジャグラー】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

「そしてレベル4の【ダメージ・ジャグラー】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

小さな火種よ、万物を焼き尽くす業火となれ!エクシーズ召喚!燃え盛れ!ランク4!【ラヴァルバル・チェイン】!」

 

【ラヴァルバル・チェイン】

守備表示

ATK1800/DEF1000

 

「【ラヴァルバル・チェイン】の効果発動!ORUを1つ使い、2つの効果から1つ選び、その効果を使う!デッキからカードを1枚墓地に送る効果を選択し、デッキから【BFー精鋭のゼピュロス】を墓地に送る!」

 

【チェイン】が俺に向かって炎を吐くと、デッキからカードが燃えながら墓地に送られた。

 

「スケール1の【EM モンキーボード】をペンデュラムゾーンにセット!」

 

俺の右後ろに、青い衣装を着て一輪車に乗った、歯がピアノの鍵盤になっている猿が現れる。壊れカードその2だ。

 

「【モンキーボード】は、対となるペンデュラムゾーンに【EM】がいない場合、スケールが4になる」

 

【モンキーボード】の下に浮かぶ『1』の数字が『4』に変化。

 

「そして【モンキーボード】のペンデュラム効果!このカードをペンデュラムゾーンにセットしたターンの俺のメインフェイズに発動でき、デッキからレベル4以下の【EM】を手札に加える!【EM ドクロバット・ジョーカー】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「墓地の【ダメージ・ジャグラー】の効果!このカードを除外して発動し、デッキから【ダメージ・ジャグラー】以外の【Em】を手札に加える!【Em トリック・クラウン】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「【EM ドクロバット・ジョーカー】を召喚!」

 

【EM ドクロバット・ジョーカー】

攻撃表示

ATK1800/DEF100

 

「そ、そういえば龍斗って、まだ通常召喚してなかったわね……」

「エクストラや墓地、ペンデュラムゾーンからサーチをしてばかりで忘れてたわ……」

「そしてまだペンデュラム召喚してませんわ……いったいいつになったらターンが回るのでしょう……?」

「あうあう〜?」

「あっ、ゆま大丈夫?」

 

明日香、枕田、ももえは俺のプレイングにドン引きし、ゆまは処理が追いつかなくなり目を回し、藤原がゆまを受け止めた。

 

「【ドクロバット・ジョーカー】の効果発動!召喚に成功したとき、デッキから【ドクロバット・ジョーカー】以外の【EM】モンスター、【魔術師】ペンデュラムモンスター、【オッドアイズ】モンスターのうち1体を手札に加える!【EM リザードロー】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「そしてスケール6の【EM リザードロー】と、セッティング済みの【EM モンキーボード】で、ペンデュラムスケールをセッティング!対となるペンデュラムゾーンに【EM】が存在するので、【モンキーボード】のスケールが1になる!」

 

【モンキーボード】の下に浮かぶ『4』の数字が『1』に変化するのと同時に、赤を基調とした衣装を着たトカゲが現れた。

 

「これでレベル2から5のモンスターが同時に召喚可能!

2つのエンタメ。揺れ動く力の下、今同じステージに並び立て!ペンデュラム召喚!

先ずは手札からレベル4!【Em トリック・クラウン】!」

 

【Em トリック・クラウン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1200

 

「同じくレベル4!【EM ペンデュラム・マジシャン】!」

 

【EM ペンデュラム・マジシャン】

攻撃表示

ATK1500/DEF800

 

「そしてエクストラデッキからレベル4!【Em ヒグルミ】!」

 

【Em ヒグルミ】

攻撃表示

ATK1000/DEF1000

 

「【ペンデュラム・マジシャン】の効果発動!フィールドの【ヒグルミ】と【トリック・クラウン】を選択して発動し、選択したカードを破壊し、破壊した枚数だけ、デッキから【ペンデュラム・マジシャン】以外の【EM】を手札に加える!【EM ギタートル】と【EM リザードロー】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札2枚→4枚

 

「そして破壊された【ヒグルミ】と【トリック・クラウン】の効果を、自身を対象に発動!【トリック・クラウン】の効果から処理して、自身を攻撃力と守備力を0にして特殊召喚し、俺に1000ポイントのダメージを与える!」

 

【Em トリック・クラウン】

攻撃表示

ATK1600/DEF1200→ATK0/DEF0

 

『AHAHAHA!』

 

出てきた【トリック・クラウン】は、古典的なデザインの爆弾を数回リフティングし、爆発寸前で俺に向かって蹴飛ばしてきた。目の前で爆発し、非常に煙たい。

 

「…………ケホッ」

 

宮田龍斗

LP4000→3000

 

「…………次に【ヒグルミ】の効果で、デッキから【Em ミラー・コンダクター】を特殊召喚!」

 

【Em ミラー・コンダクター】

攻撃表示

ATK600/DEF1400

 

大きな丸い鏡の体から細い手脚が生えたモンスターが現れる。何故【ヒグルミ】の効果に制限が無いんだ……?まぁ、グルグル回るからいいけど。

 

「モンスターを破壊したのに、フィールドのモンスターの数が変わってない……」

「これ、龍斗の1ターン目なのよね……?」

「その通りです……私、ちょっと頭が痛くなってきたので、向こうで休んできますね。ゆまさんも連れて行きますわ」

 

ここでももえが脱落。ゆまを藤原から預かり離れていった。

 

「俺はレベル4の【ドクロバット・ジョーカー】と【ミラー・コンダクター】、【ペンデュラム・マジシャン】でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

天に煌めく星々よ!騎士を型取りて大地に降り立て!エクシーズ召喚!ランク4!【星守の騎士 プトレマイオス】!」

 

【星守の騎士 プトレマイオス】

攻撃表示

ATK550/DEF2600

 

「ゲッ!【プトレマイオス】……」

「ジュンコ、女の子なんだから『ゲッ!』とか言わないの」

「【プトレマイオス】の効果発動!ORUを3つ使い、このモンスターを素材に、ランクが1つ高い【No.】以外のエクシーズモンスターにランクアップする!」

 

【プトレマイオス】の周囲を漂う光球が全て弾け、天井に空いた銀河を模した穴に【プトレマイオス】が吸い込まれた。

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!

新たな力と翼を手に、今この地に舞い降りろ!エクストラ・エクシーズ・チェンジ!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「さらに!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】でオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再々構築!

誇りを捨てし機龍よ!全てを拒絶し、吸収し、限界を超えてさらなる高みを目指せ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!成れの果てを見せろ!ランク6!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!1ターンに1度、フィールドの表側攻撃表示モンスターを自身のORUにする!【青眼の亜白龍】を吸収する!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の胴体から飛び出た幾つもの青白いロープが【亜白龍】を捉え、吸収した。

 

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】は、自身のORUの数だけ攻撃力を上げる!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2100→ATK2700

 

「貴様……俺の【青眼】を……!」

 

【亜白龍】でさえ吸収されるのが嫌なのか、怒りの表情を見せる。本家は放置してるんだから別にいいと思うんだが……イベントのときはあんな表情しなかったし。

 

「……【リザードロー】のペンデュラム効果発動!対となるペンデュラムゾーンに【EM】が存在する場合、このカードを破壊してカードを1枚ドローする!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「……自分のフィールドに魔法使い族モンスターが存在する場合、このモンスターは手札から特殊召喚できる!【ジゴバイト】を特殊召喚!」

 

【ジゴバイト】

攻撃表示

ATK1500/DEF200

 

緑色の体で、筋肉が発達した二足歩行のトカゲが現れた。

 

「俺はレベル4の【ジゴバイト】と【トリック・クラウン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

我が戦いはここから始まる!白き翼に望みを託せ!エクシーズ召喚!来い!ランク4!【No.39 希望皇ホープ】!」

 

【No.39 希望皇ホープ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「俺は【希望皇ホープ】でオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!

出でよ!混沌を光に変える使者!カオス・エクシーズ・チェンジ!ランク4!【CNo.39 希望皇ホープ・レイ】!」

 

【CNo.39 希望皇ホープ・レイ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

【ホープ】を黒く染め、2本の細い腕と黒い大剣を追加したようなモンスターが現れる。

 

「【ホープ・レイ】……たしか、相手の攻撃力を下げて、自分の攻撃力を上げる効果だったっけ?」

「そうね。でも発動条件が、龍斗のライフが1000ポイント以下のときでないといけないから、今のままでは無理よ」

 

枕田の確認にも似た質問に藤原が答える。

 

「そして!【希望皇ホープ・レイ】でオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再々構築!

一粒の希望よ!今、電光石火の雷となりて闇から飛び立て!ランクアップ・シャイニング・エクシーズ・チェンジ!ランク5!【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】!」

 

【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

両肩に大剣を取り付け、一部の鎧が外れた【ホープ】が、雷を放って現れた。

 

「バトル!【ライトニング】で【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】を攻撃!」

「攻撃力が劣るモンスターで攻撃?攻撃力を変化させるカードでも手札にあるのかしら?」

 

藤原、お前【ライトニング】の効果把握してないのか。エクシーズのテスターなんだから把握しておけ。

 

「このモンスターが戦闘する場合、相手はダメージステップ終了までカードの効果を発動できない!そして【ライトニング】のさらなる効果!【希望皇ホープ】を素材にしている場合、相手モンスターと戦闘するダメージ計算時、ORUを2つ使い発動!自身の攻撃力を5000にする!」

「ごっ……5000!?」

 

明日香が驚きすぎたのか、一瞬言葉が詰まった。

そして【ライトニング】のORU2つが弾け、電気を放出すると、【ライトニング】が放っていた雷が激しさを増した。

 

【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】

ATK2500→ATK5000

 

「ホープ剣……ライトニング・スラッシュ!」

 

両肩の大剣を外し、【カオス・MAX・ドラゴン】を十字に斬り裂いた。

 

「くっ……!俺の【青眼】を1ターンで2体も……!」

 

海馬瀬人

LP3500→2500

 

「カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3000

モンスター

【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】:攻

ATK2500

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】:攻

ATK2700

【ラヴァルバル・チェイン】:守

DEF1000

魔・罠

伏せ1枚

ペンデュラム

【EM モンキーボード】:スケール4

手札3枚

EX

【Em ヒグルミ】

【Em ヒグルミ】

【竜剣士ラスターP】

【EM リザードロー】




はい、今回使うのは【WE】こと【EMEm】です。
壊れ祭りですね。
次回はこの続きと、ゆきのん&ゆまと勝負です。


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挑戦 VS.海馬

数日全然書けずにいましたが、代わりに小ネタが浮かびました。
前回はこんな感じで終わったと思います。

2ターン目エンドフェイズ

海馬瀬人
LP2500
モンスター
【青眼の白龍】:攻
ATK3000
魔・罠

手札1枚

VS

宮田龍斗
LP3000
モンスター
【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】:攻
ATK2500
【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】:攻
ATK2700
【ラヴァルバル・チェイン】:守
DEF1000
魔・罠
伏せ1枚
ペンデュラム
【EM モンキーボード】:スケール4
手札3枚
EX
【Em ヒグルミ】
【Em ヒグルミ】
【竜剣士ラスターP】
【EM リザードロー】


イベントを終えてI2社、KCによるパーティーの最中、海馬さんに仕置きと称したデュエルを強要された。海馬さんは先攻1ターン目で【青眼】モンスターを3体召喚されたが、こちらも【WE】を駆使して2体を突破した。

 

「龍斗!」

 

エンド宣言した直後、枕田が近づいてきた。怒っているのか、俺を睨んでいる。

 

「アンタ、ターンが長すぎよ!みんなを見てみなさい!」

 

枕田が自身の背後を指差す。その先には、その場に座り込んでいるKC、I2社の社員とももえ、ゆまの姿が。明日香は引きつったような笑みを浮かべ、藤原は子供を見守っているかのような笑みだ。その視線が俺に向いているのが気になる。ペガサス会長は、視線をこちらに向けているが、何か考えているのか、顎に右手を当てている。

 

「アンタのターンが無駄に長いから、みんなダウンしちゃったじゃない!」

「いや、あんな手札になったら仕方ない。多分誰だって長くなる」

 

初手に【ヒグルミ】と【ラスターP】、【揺れる眼差し】が揃ったら多少の誤差があってもああなるだろ。

 

「小娘、デュエルの邪魔だ。さっさと失せろ」

 

海馬さんの発言に、枕田は海馬さんに向かって何かを言いそうになったが、相手が海馬さんだとわかると何も言わずに下がっていった。

 

「デュエル再開だ。俺のターン!…………墓地の【太古の白石】を除外し、墓地の【青眼】を対象に効果を発動する!」

 

【太古の白石】の効果……別に止めなくてもいいか。

 

「通します」

「墓地から【青眼】を手札に加える」

 

海馬瀬人

手札2枚→3枚

 

「そして、手札の【青眼】を見せることで、手札の【亜白龍】を特殊召喚できる!」

 

【亜白龍】か……それは面倒だな。

 

「その特殊召喚にカウンター罠【神の通告】!ライフ1500をコストに、モンスター効果の発動、モンスターの特殊召喚を無効にして破壊する!」

 

宮田龍斗

LP3000→1500

 

【亜白龍】が姿を現そうとすると、俺の頭上から雷が発生し、【亜白龍】を消し飛ばした。

 

「ならばバトルだ!【青眼】で【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を攻撃!滅びの爆裂疾風弾!」

 

【青眼】のブレス攻撃が【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を爆散させた。

 

「ぐっ……!」

 

宮田龍斗

LP1500→1200

 

「魔法カード【復活の福音】!墓地より【亜白龍】を特殊召喚!」

 

【青眼の亜白龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「【亜白龍】の効果発動!このターンの攻撃を放棄する代わりに、相手モンスター1体を対象にし、破壊する!滅びのバーンストリーム!」

 

【亜白龍】のブレスによって、【ライトニング】が爆散した。

 

「俺はレベル8の【青眼】と【亜白龍】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

現れろ、【No.46】!雷鳴よ、轟け!稲光よ、煌めけ!顕現せよ!我が僕となりし龍!【神影龍 ドラッグルーオン】!」

 

【No.46 神影龍ドラッグルーオン】

攻撃表示

ATK3000/DEF3000

 

海馬さんのフィールドに、金の翼膜と体毛を持った銀龍が現れた。

 

「【ドラッグルーオン】の効果発動!俺のフィールドに他のモンスターが存在しない場合、ORUを1つ使い、3つの効果の中から1つを発動できる!俺は『手札のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する』効果を選択し、【青眼】を特殊召喚!」

 

【ドラッグルーオン】のORUが大量の粒子になると、再び集まって【青眼】の姿になった。

 

【青眼の白龍】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「ターンエンド!」

 

海馬瀬人

LP2500

モンスター

【No.46 神影龍ドラッグルーオン】:攻

ATK3000

【青眼の白龍】:攻

ATK3000

魔・罠

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!まずは【ラヴァルバル・チェイン】の効果発動!ORUを1つ使い、デッキからモンスターをデッキトップに置く効果を発動!【稲荷火】をデッキトップに!そしてセッティング済みの【モンキーボード】とスケール6の【リザードロー】でペンデュラムスケールをセッティング!そして、【リザードロー】のペンデュラム効果でこのカードを破壊し、1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「そして墓地の【ダメージ・ジャグラー】を除外してデッキから【Em ハットトリッカー】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

「ま、また長くなりそうな動きね……」

「良いんじゃないかしら。龍斗が楽しそうなら」

 

明日香は頭痛でもきてるのか、頭を軽く押さえている。藤原、お前タフだな。他の人はほぼ全員ダウンしてるのに。

 

「俺は、スケール6の【EM ギタートル】とセッティング済みの【EM モンキーボード】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺の背後にギターを胴体にした亀が現れた。

 

「2つのエンタメ。揺れ動く力の下、ステージの第二幕を開けろ!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより蘇れ!【竜剣士ラスターP】!」

 

【竜剣士ラスターP】

攻撃表示

ATK1850/DEF0

 

「【Em ヒグルミ】!」

 

【Em ヒグルミ】×2

攻撃表示

ATK1000/DEF1000

 

「レベル4の【Em ヒグルミ】にレベル4の【ラスターP】をチューニング!」

「シンクロ召喚!?」

「エクシーズだけじゃないのね」

 

俺がシンクロ召喚することに、何故か明日香は驚き、雪乃は感心していた。

 

「燃え盛る焔よ!竜剣士を包み、新たな力を授けよ!シンクロ召喚!焼き切れ!レベル8!【爆竜剣士イグニスターP(プロミネンス)】!」

 

【爆竜剣士イグニスターP】

攻撃表示

ATK2850/DEF0

 

赤い鎧を着に纏った剣士が、竜の翼を広げて俺のフィールドに降りたった。

 

「ほう。【カステル】は使わんのか」

「【ラスターP】は【竜剣士】モンスター以外の素材に使えないので。【イグニスターP】の効果発動!1ターンに1度、デッキから【竜剣士】モンスターを守備表示で特殊召喚できる!2体目の【ラスターP】を特殊召喚!」

 

【イグニスターP】が地面に剣を突き立てると、【イグニスターP】が炎の竜巻に包まれる。数秒もすると、竜巻が消え、【ラスターP】が【イグニスターP】の前に現れた。

 

【竜剣士ラスターP】

守備表示

ATK1850/DEF0

 

「【イグニスターP】のさらなる効果!【ラスターP】を対象に発動!対象カードを破壊し、フィールドのカード1枚をデッキに戻す!【ドラッグルーオン】には退場してもらう!」

 

【イグニスターP】が剣先を【ドラッグルーオン】に向けると、【ラスターP】が【ドラッグルーオン】に突撃。体格差をもろともせず、【ドラッグルーオン】を押していく。【ドラッグルーオン】が広間の壁に激突すると、【ラスターP】も【ドラッグルーオン】も爆発した。

 

「俺の【復活の福音】を回避したか」

「というか、俺のエクストラの都合上、回避せざるを得ないだけです。破壊するカード無いんで。続けます。このモンスターは、俺のフィールドにモンスターが2体以上存在する場合、手札から特殊召喚できる!【Em ハットトリッカー】!」

 

【Em ハットトリッカー】

攻撃表示

ATK1100/DEF1100

 

何もない空間から、手袋とブーツ、ゴーグルと帽子だけのモンスターがポンッと音を立てて現れた。

 

「そしてこのモンスターは、俺のフィールドに魔法使い族モンスターがいる場合、手札から特殊召喚できる!来い!【稲荷火】!」

 

【稲荷火】

攻撃表示

ATK1500/DEF200

 

尻尾の根本から炎が燃え盛る狐が現れた。

 

「俺はレベル4の【ハットトリッカー】と【稲荷火】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

人の知識を得て、更なる力で雲を裂け!エクシーズ召喚!撃ち抜け!ランク4!【鳥銃士カステル】!」

 

【鳥銃士カステル】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「【カステル】の効果発動!ORUを2つ使い、【青眼】をデッキに戻す!」

 

【カステル】が空中に銃を放り投げ、独りでに発砲。【青眼】をデッキに戻した。

 

「くっ……!」

 

フィールドのモンスターが全滅したことに、苦々しい表情を見せる海馬さん。

 

「バトル!【イグニスターP】でダイレクトアタック!炎龍の剣閃!」

 

【イグニスターP】が鞘も無いのに剣を左腰に添えて居合の構えをとる。数秒の後に、その場で居合斬りすると、炎の龍が現れ、海馬さんに向かっていき、そのまま飲み込んだ。

 

海馬瀬人

LP2500→-350

 

デュエルを終え、海馬さんに開口一番『最初からそれくらい動け』と無茶を言われた。『あんな縛りだと客にわかりやすくすることも含めてあの辺りが限界だった』と言い返してしまった。

この状態で再開できそうもないということで、パーティーはそのままお開きとなった。

明日は学生陣のために、海馬さんとペガサス会長が海馬ランドを貸し切りにしてくれるらしく、枕田はガッツポーズをして、ゆまは『ふわぁ〜い』と微妙に声を上ずらせて右拳を力無く上げていた。

そして部屋にて。

 

「いや、まだ通常召喚してないから【ドクロバット・ジョーカー】サーチして召喚しろよ」

「えっ?あ、わ、わかってるわよ!」

 

『さっきのデッキを回してみたい』というゆまの無謀な挑戦に、明日香達も『参加する』と言ってきたので、部屋でマスタールール先攻1ターン目を想定してデッキを回させることに。1ターン回したらデッキを元に戻して次の人が回すという形で枕田からスタート。

何故か俺のベッドの上で回し、今【モンキーボード】から【リザードロー】をサーチしたところだ。

俺はゆまのベッドと俺のベッドの間に胡座をかき、枕田に口出ししながら、ゆまのベッドに寝転んでいるももえに頭を撫でられ、藤原を膝枕している。藤原は何度か退かしたのだが、その度に膝に帰ってくるので諦めた。ゆまと明日香は俺とは俺のベッドを挟んだ反対側にいる。

 

「えっと……次は……ペンデュラム……【稲荷火】、【ジゴバイト】、【ペンデュラム・マジシャン】……ペンデュラム2枚破壊して……」

「龍斗さん。よくこんなデッキ作りましたね」

「最初は【EM】と【Em】のハイブリッドのネタのつもりだったんだけど、調整してたらこんなデッキに……」

 

枕田は頭を抱えながら必死にデッキを回す。といっても、もうすぐ終わるだろうが。

 

「えっと……えっとぉ……あー!もう無理!これ以上は無理!」

「じゃあ、次は私の番ね」

 

枕田が諦めたところで明日香の番に。この次は藤原、ももえ、ゆまの順か。

明日香がベッドの上に乗り、枕田がゆまとともに只でさえ動き辛いベッドの間にやってきた。

 

「ゆま、回せそうか?」

「が、頑張る!だからお兄ちゃん、今日も一緒に寝よう!」

「ゆま、私も忘れちゃダメよ」

 

藤原、お前はいい加減自分の部屋で寝ろ。そう突っ込むが、藤原はどこ吹く風と俺のツッコミを無視する。ももえは何か妄想してるらしく、耳元でキャーキャー言っている。とてもうるさい。そして明日香の様子がおかしい。

 

「…………明日香」

「何かしら?」

 

笑顔で振り向く明日香。何か気に障ることでもしたのか、笑顔が怖かった。ももえもキャーキャー言うのを止め、『ひっ!』と小さな悲鳴を上げた。

 

「…………【インフィニティ】よりも、【プトレマイオス】で止めてみろ。【ルーラー】で魔法止めて、相手ターンで【プトレマイオス】を【アザトート】にすれば、モンスター効果も止まるから」

 

これ以上は無理と判断したのか、【チェイン】、【ルーラー】、【インフィニティ】が並んだ布陣で片付けていたので口出ししてみる。すると明日香は『ありがとう』と怖い笑みのまま藤原と代わる。そしてゆまが俺の脚の上に座った。頭が邪魔して藤原が回してる様子が見えない。

 

「ゆま、ちょっとズレてくれ。見えない」

「う、うん!」

 

さっきの明日香が怖かったのか、硬い表情のまま少し左にズレるゆま。丁度右肩が俺の顎を置ける位置に来たので顎を乗せる。

 

「ふひゃあぁ!?」

 

突如ゆまが奇声を発し、ももえが再びキャーキャー言いだしたが、気にすることなく藤原のデッキ回しを見物する。明日香と枕田のを見ていたからか、口出しの必要が無さそうだ。順調に回していき、口出しすることなく終わった。そしてももえの番だ。

 

「龍斗さん!」

「ん?」

「手札事故です!」

 

そういって5枚のカードを見せてくる。

 

【EM リザードロー】

【Em ミラー・コンダクター】

【神の通告】

【エフェクト・ヴェーラー】

【Em ハットトリッカー】

 

……何もできないな。

 

「もう一度チャンスをください!」

「俺に言うな。言うなら明日香達に言え」

 

明日香達の了承を得て再度デッキを回す。そしてゆまの番だ。

 

「お兄ちゃん!手札にモンスターしかいないよ!」

「デッキのモンスターは30枚くらいだからな。当然だろ」

「あう〜……」

 

さっき使った魔法・罠って【揺れる眼差し】と【神の通告】くらいだったから、そのくらいはわかってるだろうに。ゆまの傍に近寄って、なるべく丁寧に効果を説明してデッキ回しを手伝うことにした。

一通り回して、寝ることにしたのだが……

 

「…………」

「ぅ〜…………」

「…………」

 

明日香とももえ、枕田の3人は大人しく部屋に戻ったのだが、藤原とゆまは昨日までと変わらず俺のベッドで俺と寝ようとする。それを阻止すべく、ベッドの前で藤原、ゆまと睨み合う形に。睨み合う中、ゆまは今にも吠えそうな様子で唸っている。

ゆまは放置でいいだろう。同じ部屋だし、従妹だから。

ただし藤原、お前はダメだ。その格好で男と寝るのは付き合ってる奴、もしくは家族とだけにしろ。

 

「やぁーっ!」

「…………っ!」

 

俺の視線が藤原に行った瞬間、微妙な気合いとともに、ゆまが中腰で突撃してくる。避けるか?いや、避けたらゆまがベッドに激突する。そう判断してゆまを受け止め、腕を腰に回して軽く持ち上げる。

 

「うひゃあ!?」

「っ!!」

 

ゆまが奇声を発したその瞬間、ベッドに突っ込む藤原に体全体でぶつかる。大して重くはないが、ゆまの体も使ったので、そこそこダメージはあるはずだ。

 

「お、お兄ちゃん!あんまり持ち上げないで!ぱ、パジャマが……!」

 

俺の腰に手を回していたはずの左手はパジャマのシャツを抑え、右手は床についている。ゆまを降ろしてその場に放置し、ゆっくりと立ち上がる藤原に対峙する。ゆまは少し乱れたパジャマを直している。

 

「いい加減諦めろ。この部屋で寝るのは構わん。百歩譲ってな。だが、俺と同じベッドは絶対に断る!」

「諦める?それは龍斗、貴方の方よ!ゆま!」

「て、てやー!」

 

横からやってくるゆまと、正面の藤原とのバトルは続く。まだ夜は明けそうもない。




【真青眼】氏は『召喚するタイミング無くね……?』と言ってストライキ起こされました。
次回はゆきのんの苦手な『肉まん我慢大会』です(大嘘)。


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海馬ランド デュエル無し

日常って難しい……


俺は無力だ。昨日の夜にそう痛感した。結局、ゆまと藤原の2人に押し切られ、3人一緒に寝かされた。

2人があっさり寝たのに対し、俺は両腕にゆまと藤原がしがみついたことによって身動きが取れない状況で、さらには2人の寝息がすぐ傍で聞こえてまったく眠れない状況が長時間続いた。

だからーーー

 

「…………」

「くっ…………」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【ダイガスタ・エメラル】:攻

ATK1800

【No.17 リバイス・ドラゴン】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ1枚(【強烈なはたき落とし】)

手札1枚

 

VS

 

藤原雪乃

LP4000

モンスター

魔・罠

手札0枚

 

朝っぱらから藤原にデュエルを挑み、【ゼンマイハンデス〜やるならドローカードさえも〜】を使ってしまった。後悔も反省も無い。ちょっとした満足感、達成感ならある。

 

「…………私のターン、ドロー!」

「カウンター罠【強烈なはたき落とし】。そのカードも捨ててもらう」

「くっ……!好きにしなさい……」

 

そう言いながら【トリック・クラウン】を捨てる藤原。たとえ【トリック・クラウン】が来ても、墓地に【サウザンド・ブレード】がいないから怖くない。藤原は諦めたようにターンを終えたので、このままトドメを刺した。

 

「よし、満足した!」

「……そう。良かったわねじゃあーーー」

 

藤原が何か言おうとしていたが、言いきる前に着替えに行き、そのまま部屋を出る。

明日香達と合流し、着替えを終えたゆま、藤原とともにレストランで軽い朝食を摂る。円形のテーブルに座り、俺の右にはゆま。左に藤原。正面に明日香。俺から見て明日香の右側、つまりゆまと明日香の間には枕田が座り、ももえは明日香の左側だ。

 

「お兄ちゃん、最初は何から行く?」

 

ゆまは朝食のパンを食べながら、どこから持ってきたのか、海馬ランドのパンフレットを広げて見せてくる。

 

「ゆま。時間はまだあるんだから、後でいいだろ」

「ぁ……えへへ」

 

誤魔化すように笑うゆま。

 

「楽しみだから、待ちきれないんだもん」

「貸し切りだから、周り放題だもんね。アタシも気持ちはわかるわ」

 

ゆまに枕田が同意する。昨日思いっきりガッツポーズとってたもんな。明日香も楽しみなのか、チラチラとゆまが持っているパンフレットを見ている。

ゆまと枕田は、アレに乗りたいだのコレが楽しみだのと盛り上がって食事どころではない。『食べろ』と言うと、大人しく食べるのだが、すぐに話しだす。

一口の量の差か、俺だけ早く食べ終わったので、最終手段に移行することにした。

俺が使っていたフォークでゆまのミニトマトを取る。

 

「ゆま」

「ふぇ?」

 

振り返ったゆまの口元にミニトマトを向ける。

 

「口開けろ」

「…………ふぇ!?」

 

最終手段。それは、『自分で食べないなら俺が食べさせる』だ。ももえがキャーキャー言いだしそうな状況なのだが、ゆまの朝食を終わらせるためにはこれが最善だ。

 

「えっと、その、お、お兄ちゃん!?」

「龍斗さんがゆまさんに、あ、あ、あーんを……!」

「…………」

 

ももえは両手を頬に当ててこちらを凝視し、藤原の無言の視線が突き刺さる。枕田は目を丸くして固まり、明日香は黙々と朝食を胃袋に収めていく。そしてゆまが顔を真っ赤にして混乱している間に、明日香は残り少ない朝食を終え、俺を射殺さんばかりの視線を寄越す。

 

「ゆま、混乱してないで早くしろ」

「え、えっと……えっと……」

 

ゆまは左右を見て狼狽える。ここで止めてもダメか。ということでゆっくりとミニトマトを近づける。

 

「んぐ」

 

やがてミニトマトがゆまの唇に触れた。ゆまは口を開け、ミニトマトに匹敵するのではと思えるほど顔を赤くしたままミニトマトを咀嚼する。

 

「次いくぞ」

「ま、待って!自分で食べる!食べるから!」

 

そう言って顔を真っ赤にしたまま食事を再開した。

枕田も明日香に言われて慌てて食事を再開。

 

「龍斗」

「ん?」

 

藤原に呼ばれて振り返ると、こちらを向いて、目を閉じて口を小さく開けている藤原がいた。

 

「……何してるんだ?」

「私も食べさせて」

「は?」

 

なんで俺が藤原に飯を食べさせなきゃならない?それに残り少しだろ。それくらい自分で食え。

 

「ゆまにしたんだから、私にもしてくれたっていいじゃない」

 

突っ込む間もなく、理由になってない理由を語る藤原。

ももえから『ドロ沼』とか『三角関係』とか不吉な言葉が途切れ途切れに聞こえる。勝手にゆまと藤原と俺の関係を発展させないでもらいたい。

 

「ゆまは全然食べないから、無理矢理食わせただけだ」

「つまり、私も食べなければ良いわけね」

「従兄妹間なら、あの絵面になってもさほど問題無いと判断しただけだ。究極的に言ってしまえば他人のお前にやると、知らない人が見たら勘違いするだろ」

「私は勘違いされてもいいけど?」

 

意味深な笑みを浮かべる藤原に、思わず絶句してしまった。対照的にももえがテンション上がりすぎて椅子から落ちていたが、構ってられない。

ゆまと枕田からはチラチラと視線が来る。

明日香はゆまから預かったパンフレットを見るフリをして俺を睨みつける。

 

「……俺が嫌だからやらない。ゆま、部屋にいるから、終わったら呼んでくれ」

 

ゆまがもの凄い勢いで首を縦に振るのを見ながら席を立つ。1人で部屋に戻り、着替え等の荷物の整理をして時間を潰していると、ゆまがやってきた。

 

「お兄ちゃん、食べ終わったよ!」

「そうか。じゃあ行くか」

「うん!」

 

さっきの出来事が尾を引いているのか、微妙に顔を赤くしたままだが笑顔で頷くゆま。

明日香達と再度合流すると、ゆまと枕田が『早く行こう』と急かす。『慌てなくても海馬ランドは逃げない』と言いつつも、少し駆け足で海馬ランド内へ。

 

「ぉおー!お客さんが誰もいない!」

「これが貸し切りの景色……!」

 

駆け足で先行した枕田とゆまの微妙な感動の仕方に呆れにも似た感情を抱きつつ、『貸し切りの景色』とやらを後ろから見る。

スタッフ以外の人が誰もいない景色は、少し寂しさを感じる。待ち時間を気にしなくて良いんだけど。

 

「アイツら元気だな」

「良いんじゃないですか?楽しそうで」

 

ポツリと呟いた俺に、ももえが返す。まぁ、楽しそうなのは良いんだけどな。駆けていくゆまと枕田についていくと、ゆまがあるアトラクションの前で振り返り、アトラクションを指差した。

 

「お兄ちゃん、コレ!コレに乗ろう!」

 

指差したアトラクションは『ネオ・ブルーアイズコースター』。この1年の間に開発したらしい【青眼】の頭をモチーフにした『ブルーアイズコースター』の改良版。【真青眼の究極竜】をモチーフにしたコースターに乗り、前作より高低差、長さを大幅パワーアップさせたコースを猛スピードで進む絶叫マシンだ。

 

「明日香さんも、ももえも早く!」

 

枕田に催促された明日香は仕方ないと言いたげな顔で、ももえは落ち着いた様子で枕田の元に歩いて行った。

 

「龍斗は行かないの?」

 

少し後ろからついてきていた藤原に声をかけられた。

 

「行くぞ。ただ……」

「ただ、何?」

「初っ端から絶叫マシンって、ゆまが大丈夫なのか心配なだけだ」

 

それだけ呟いて『ネオ・ブルーアイズコースター』に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆「うぉわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

「龍斗、大丈夫?」

「ゆま〜、生きてる〜?」

「ふわぁ〜う〜……」

 

恐るべし『ネオ・ブルーアイズ』……360°ターンや垂直落下、連続カーブ等で体をめちゃくちゃに振られすぎて気持ち悪い。ゆまも同じらしく、『ネオ・ブルーアイズコースター』近くのベンチで枕田の膝を枕にして横になって目を回している。

俺はその隣のベンチに座り、天を仰いでいる。

俺の隣では、藤原がゆっくりとハンカチを団扇代わりにして扇いでくれている。

 

「無理せず横になったら?」

「…………」

 

返事をしようものなら、今朝のサラダや目玉焼き達が口から出ていく気がして口を開く気にならない。

というか明日香達が無事なのがムカつく。俺の方が早く飯を食い終えたのに。

返答しないのをどんな解釈をしたのか、藤原に無理矢理横にさせられ、藤原の顔と女性特有の膨らみを同時に拝む構図になった。所謂膝枕か。

 

「…………」

「顔を青くしながら睨まれても怖くないわよ」

 

『何のつもりだ』という意味を込めて睨んでみたが、藤原はのれんに腕押しといった様子で効果が無い。

それどころか頭を撫でてきやがった。

普段なら屈辱がやってくるが、それ を上回る気持ち悪さで動く気にならない。

 

「龍斗が抵抗しない……?もしかして……」

 

明日香が何か勘付いたのか、藤原と代わるように頭を撫でてきた。

 

「やっぱり、気持ち悪くて腕を動かす気にならないのね!なら、今までお預けくらってた分、思いっきり撫で回させてもらうわ!」

 

嬉々とした表情で俺の頭をワシャワシャと撫でる。やめろ明日香。頭が……揺れる……

 

「あ、明日香さんズルい!アタシも撫でたい!」

 

隣のベンチから枕田の声がするが、それよりも気持ち悪い……揺れる……視界が揺れる……

 

「明日香。龍斗の顔色が酷いことになってるわ」

「きっと頭を撫でられてるからよ。もう少しで終わらせるわ」

 

数分後、満足したのか明日香が手を離した。ギリギリ……本当にギリギリで吐かなかった。

思わぬ攻撃から十数分後、『今度はもう少しゆっくりしたやつを』ということでやってきたのは、一定時間で内部構造が変わる中、規定時間内に『宝物』と称する物を探し、ゴールを目指す『迷宮壁ーラビリンス・ウォールー』。

内部構造が毎回変化するので、何度でも楽しめるのが魅力らしい。

 

「絶対クリアするわよ!」

 

右拳を握りしめ、クリア目指して燃える枕田。

 

「複数人で行動するんだから、作戦を立てないと……」

 

枕田と同調し、ガチで攻略しようとしている明日香。

 

「が、頑張りましょう!」

 

『ネオ・ブルーアイズ』の洗礼から復活し、意気込むゆま。

 

「ゆまさん。あまり無理しないでください」

 

ゆまの傍にいて、少し心配そうなももえ。そして……

 

「……あ、あんまり走ったりしないでくれよ……」

「龍斗、やっぱりもう少し休んだ方が」

 

若干気持ち悪さが残る俺と、俺を支える藤原。最初は肩を貸してもらっていたが、アトラクション前で藤原に寄りかかる構図に。

そんな俺を見かねたのか、枕田がこちらを向いた。

 

「情けないわね。本当にアタシ達のテスターの先輩なの?」

 

文句は明日香にも言ってほしい。アイツが俺の頭を乱暴に撫でなければもう少しマシだったのだから。

しかし、そんなことを言う気にもならず、藤原に支えてもらいながらアトラクションに向かった。

 

「制限時間は1時間、内部構造が変化する際ーーー」

 

スタッフの女性が枕田達に説明している間、その場に座り込み、調子を少しでも戻そうと瞑想する。ゆっくりと息を吸って、ゆっくりと息を吐く。

瞑想と数回の深呼吸のおかげか、なんとか調子が戻ってきた。

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 

目を開けると、ゆまが心配そうに俺を見ていた。『もう大丈夫だ』と言ってゆまの頭を軽く撫でて立ち上がる。

 

「龍斗、復活したわね?じゃあ行くわよ!」

 

なんか枕田がリーダーのようになってたが、別にいいかと思い、何も言わずに枕田についていった。

迷宮に入り、分かれ道を右に左に、ときには間違いと判断して戻って迷宮を進む。

迷宮に入って15分程経った頃、突如ウーッという警報音のような音が鳴った。

 

「なんだ?」

「内部構造が変わるのよ」

 

枕田が周囲の床を見る。見てみると、俺と藤原、ももえのグループ、ゆま、明日香、枕田のグループと分けるような位置に赤いラインが光っている。

それを確認した直後、床から周囲の壁と同質の物がゆっくりとせり上がって、俺達を分断した。

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

 

壁の向こうからゆまの声と壁を叩く音が聞こえる。

しかしすぐにゆまの声も、壁を叩く音も聞こえなくなり、代わりに枕田の声が聞こえてきた。

 

「お互いに宝物を目指すわよ!その方が合流しやすいはず!」

「……了解した。ゆま、明日香と枕田のいうこと、ちゃんと聞くんだぞ」

「わ、わかってるよぉ!」

 

ゆまが勝手にどこか行かないように釘を刺しておいて、宝物を目指す。ももえが携帯を使って、枕田と連絡しながら宝物がありそうな所を目指すことおよそ30分。

 

「龍斗さん。ジュンコさん達が宝物を見つけたようです」

 

どうやら合流する前に見つけたらしい。直後、再び警報音が鳴った。

 

「2人ともこっちへ」

 

藤原とももえの2人と距離を詰め、分断されないようにする。しかし、いつまで経っても壁は現れない。

 

「…………ここは変化しないみたいだな」

「そのようですわね」

「…………行くか」

 

枕田達と合流するつもりでゴールへ向かう。若干時間が無いので早足で。右に曲がり、戻って左に曲がり、迷宮を進むこと約10分。ももえに声をかけられた。

 

「龍斗さん、タイムアップだそうです」

「タイムアップ?」

「時間切れってことよ」

 

いつの間にか俺の右腕に絡んでいた藤原に、『意味はわかってる』と突っ込んでおく。時間設定あったんだな。

そう思っていると、近くの壁が床に埋まっていき、一直線の道が出来た。どうやら時間切れになるとこうなる仕様らしい。

 

「くーやーしーいー!」

 

迷宮を出ると、枕田がこう言いながらジタバタと暴れていた。

ゆまより元気かもしれない。

 

「あ、お兄ちゃ……って雪乃さんズルい!私も!」

 

移動中も決して俺から離れなかった雪乃を見つけると、ゆまは対抗するように俺の左腕にしがみついた。

 

「藤原、ゆま、暑いんだけど」

「良いじゃない。こんなイイ思いできるんだから」

 

藤原がそう言いながら右腕を強く抱きしめ、柔らかい感触を押し付ける。

それを見たゆまが必死な表情でさらに強くしがみつく。

 

「…………ゆま、痛い」

「あ、ご、ごめんね」

 

謝りながらパッと腕から離れる。

しかし、すぐにくっついてきた。藤原を離さない限りずっとこのままなのか……面倒な。

 

「両手に花でいい気分ね」

 

ゆまと藤原を離そうとすると、明日香の声が。背中が薄ら寒くなった。恐る恐る明日香を見てみると、妙に良い笑顔で俺を見ていた。枕田とももえが冷や汗をかきながら、ジリジリと下がっていく。

 

「あ、明日香もお兄ちゃんに抱きつきますか?」

 

屈託の無い笑顔で明日香に切り込むゆま。やめろ。そんなことしたら俺の腕が潰される。明日香は『遠慮する』とだけ言って次のアトラクションへ。

次に行くのは、ももえリクエストのホラーハウス『リビングデッドの呼び声』。

【おろかな埋葬】に描かれる墓をモチーフにした乗り物に2人で乗り、現れるアンデットモンスター達を【仕込みマシンガン】を模した銃で撃っていくアトラクションらしい。

2人までしか乗れないので、カードを使ってペアを決める。このアトラクションをリクエストしたももえがデッキを取り出し、カードを6枚抜く。適当にシャッフルして俺達の前に裏向きで出した。

 

「同じカードの人がペアでよろしいですね?」

 

ももえ以外の全員が頷き、カードを手に取る。

一斉に自分のカードを確認する。

俺が引いたカードは【ナチュル・ビースト】だ。

 

「お兄ちゃん、何を引いたの?」

 

何を期待しているのか、目を輝かせたゆまが俺が引いたカードを覗いてくる。

何も言わずにカードを見せると……

 

「【ナチュル・パルキオン】じゃない……」

 

あからさまにがっくりと肩を落とした。一瞬だが、ゆまの頭に垂れた犬耳が見えた。

 

「ゆまと私がペアみたいね」

 

【パルキオン】に反応したのか、明日香がやってきて、ゆまとペアになった。俺とペアになるのは枕田とももえ、藤原のうちの誰かになるんだが、枕田とももえが談笑していることから、俺とペアになるのは藤原なのだろう。

 

「藤原」

「っ!な、何かしら?」

「…………お前が引いたのはコレか?」

 

顔色が悪いように見えるが、とりあえずと藤原のカードを確認するために俺が引いたカードを見せる。

 

「え、ええ……そうよ……」

 

俯きながらカードを渡してくる。

 

「顔色悪いが、大丈夫か?」

「だ、大丈夫よ。ありがとう……」

 

聞いておいてなんだが、とてもそうは見えない。しかし、本人が大丈夫と言うのだから、無理に追求もできない。

『あまり無理はするな』とだけ伝えてカードをももえに返す。

アトラクションに突入する順番は、必死の形相で一番手を希望した藤原と俺のペア。続いてゆまと明日香のペア。最後に枕田とももえのペアとなった。

 

「それでは、いってらっしゃーい!」

 

【おろ埋】型の乗り物に藤原が俺の右隣になる形で乗り、スタッフの女性とゆま達に見送られた。

 

「…………」

「藤原、本当に大丈夫か?」

 

いざ始まると、藤原は顔を青くして俺の右腕にギュッとしがみつき、目を閉じて震えだした。

無理に追求できないと思っていても、つい心配してしまうほどに。

藤原が返事をする前に、前方から【13人目の埋葬者】がやってきた。

 

『カタカタカタカタ』

「ひっ!」

「…………」

 

骨をカタカタと鳴らしながらやってくる【13人目の埋葬者】。

藤原の短い悲鳴を聞きながら、特に恐怖も無く乗り物に設置されていた【仕込みマシンガン】っぽい銃を撃つ。反動も無く、音だけが響く中、【13人目の埋葬者】は砕け散った。

 

「…………怖いのか?」

 

チラッと藤原に視線を向けながら聞いてみる。

 

「そ、そそそそんにゃ訳ないじゃーーー」

『ァァァァ…………』

「ひぅっ……!」

 

出てきた【リボーン・ゾンビ】に怯んだ藤原の代わりに銃を連射する。4発撃って3発外したが、4発目で首を吹き飛ばした。

 

「…………怖いんだな?」

「…………!!」

 

確信を持って聞き直すと、藤原は観念したのか何も言わず、必死に首を縦に振ることで答えられた。だから顔色が悪かったのか。

 

「…………このアトラクションが終わるまで耳塞いでろ。終わったら肩でも叩いて教えるから」

「…………!!」

 

何かに掴まってないとダメなのか、首を横に振った。

…………はぁ。

半ば無理矢理右腕を解放させて、藤原の頭を俺の胸に抱く形にする。

右手で藤原の右耳を、俺の体で左耳を塞いだ状態だ。

 

「辛いだろうけど、我慢しろよ」

「…………」

「っ!?」

 

掴まるにしても服だけになると思っていたが、思いっきり爪が刺さってる。

痛みに耐えながら左手に持った銃一丁だけでアトラクションに挑む。

【二人三脚ゾンビ】、【ファイヤー・デビル】、あとは……【死者の腕】だったか?デュエルアカデミアでの授業で出てきたアンデット族通常モンスターが多く出てきたが、迷わず撃ち抜く。3発に2発外すが……。

最後は【マーダーサーカス・ゾンビ】、【鎧武者ゾンビ】、【ドラゴン・ゾンビ】が撃っても撃っても復活するステージだったが、しばらくすると勝手にゴールにたどり着いた。

アレはなんだったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーという訳だ」

「雪乃さんズルいです!お兄ちゃんにあんなに抱きついて!」

 

藤原が俺に抱きついていたのを、後ろからゆまに見られていたらしく、藤原がゆまにポカポカと肩を叩かれている。しかしダメージは無いようで、苦笑しながら『ごめんなさいね』と謝っている。

俺も明日香と枕田とももえに何故あんなことになったのかと説明を要求され、面倒ながらも説明することに。

 

「雪乃って怖い物が苦手だったのね……」

 

明日香が申し訳無さそうに、雪乃に視線を向ける。

 

「らしい。アイツのことを考えると、その手のアトラクションはやめたほうがいいな」

「あとは絶叫系ね。アンタがダウンするし」

 

枕田が嫌味ったらしい表情で俺を見る。アレは『ネオ・ブルーアイズ』がおかしいだけだ。もしくはお前ら。

 

「となると、海馬ランドのアトラクションの1つ、『激流葬』に行けませんね。絶叫系ですし」

 

『激流葬』。流木を模したコースターに乗って水が流れるコースを進む絶叫系アトラクションだ。ラストは高所から高速で落ちて大量の水を被るので着替えが必須らしい。

このことがあるので、枕田がももえに『着替え持ってきて無い』と突っ込んだ。

しかし、その手のアトラクションはレインコートのような防水用具を用意されるのでは?と指摘したことで『激流葬』に挑むことに。

コースターに乗る前に、やはりレインコートを渡され、3人1組で最前列とその後ろに乗る。

ゆまと藤原を両隣に、前から2番目に乗る。

 

「わくわく!」

 

右隣に座るゆまは今の気持ちを口にしながら、笑顔で前を見る。

左隣の藤原は前に座るももえと写真がどうのと話している。

俺の前に座る明日香と、その右隣の枕田はゆまの頭を撫でている。ゆまは何も気にしていないというか、撫でられている事実が眼中に無いようだ。

アトラクションが始まり、ゆったりと川を模したコースを進む。

コースは全体的に薄暗く、周囲に用意された灯りと、その近くで展開される2人の男女のデュエル……のような何かしか見えない。いや、デュエルはしてるんだが、セリフ長いし、召喚するのが聞いたことないモンスターばかりだしで道中を楽しみ辛い。

 

「ふにゃっ!」

 

【落とし穴】系の罠がポンポンと発動し、その度に大小の差はあるが、カクンとコースターが落下する。そして同時に右隣から妙な悲鳴が聞こえる。

デュエルが大詰めといったところで、コースターが数メートル上昇し、デュエルしている女性の方が動いた。

 

「これで終わりよ!【激流葬】!」

 

瞬間ーーー

 

「「「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」」」

「ぷひゃあぁぁぁ!!」

 

コースターが急降下し、前方や左隣から悲鳴のような歓声が、そして右隣から変な声が海馬ランドに木霊した。

降下先には大量の水があり、コースターが水溜まりに突入。レインコート等無意味とばかりに俺達を濡らした。

 

「ぶるぶるぶる!」

 

ゆま、首を回して水を飛ばすな。

アトラクションが終わり、ゆま達が『激流葬』内の受付のようなところで何かしたあと、昼食は移動しながら食べられる軽食で済ませ、次々とアトラクションに挑む。藤原のことを考慮して、ホラー系アトラクション以外の全てを制覇し、お土産を購入。大分増えた荷物を持って帰宅した。




次回は夏休みといえば、海!プール!ということで水着回(笑)です。


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プール VS.ジュンコ

水着回です。ポロリは無いです。


「お兄ちゃん、プール行こ!」

 

海馬ランドでのイベントと、アトラクションほぼ制覇から数日。

両親は夏休み初日に帰ってきてたのだが、イベント等で俺が帰って来れず、初めてあったのが再び海外に行く当日だった。まぁ、俺個人が気まずく感じてたから好都合ではあったのだが……

 

「…………ゆま。お前帰った意味無いだろ」

 

ゆまは夏休みは俺の家ではなく、ゆまの家に帰省することになっていたのだが、僅か数日で、しかも昼前に遊びに来た。

文句を言ってみたものの、ゆまは勝手に俺の着替え等を用意して俺を連れ出した。

電車に乗って10分程。改札を出ると明日香、ももえ、枕田、藤原がいた。

 

「おはよう」

「おはようございます」

「遅いわよ」

「おはよう龍斗、ゆま」

 

明日香、ももえ、藤原に挨拶を返し、枕田に形だけ謝っておく。

そしてゆまに右腕を、藤原に左腕を掴まれそのまま連行される。

駅のそばにある大型プールが目的地らしい。

ゆまがあのプールがああで、このプールがどうのと楽しそうに話してくる。

話の途中だったが、プールに到着し、別れてロッカーで着替える。

ロッカーに入った瞬間、他の客に目を丸くして見られたが、おそらく顔が原因だろう。気にせずに着替えたのだが……

 

「…………なんでデュエルディスクとデッキがあんだよ……」

 

ゆまが用意した荷物の中には俺の水着の他にデュエルディスクとデッキが入っていた。道理で重いわけだ……ゆまが用意した弁当だと思ってたんだが……

とりあえずロッカーを出る。

ゆま達を待っていると、監視員か何かの女性が必死の形相で駆け寄ってきた。

 

「あ、貴女なんて格好してるんですか!」

 

なんて格好……?普通に水着着てるだけなんだが……やはり何も知らないと男だと思ってもらえないのか。

 

「男が男物の水着着て何か問題が?」

「そんな嘘は通用しませんよ!私の目が黒いうちは、そんな大胆なことさせませんからね!」

「あ、ちょ、ちょっと!」

 

女性に腕をとられ、そのまま休憩室と思われる部屋に連行され、ロッカーに行かせてもらって、持ってきた学生証代わりのPDAを見せてなんとか納得してもらい、平謝りされた。

 

「あ、お兄ちゃんどこ行ってたの?」

 

部屋を出ると、ゆま達が着替え終わっていた。

 

「女に間違えられて休憩室みたいな所に連れてかれてた」

 

ゆまの問いに返答すると、『あはは』と乾いた笑みを返された。

 

「えっと、どうかなお兄ちゃん?」

 

話題を切り替えようとその場で一回転する。どうやら水着のことを聞いているらしい。

ゆまが着ていたのは、ピンクのフリルがついた水着。恥ずかしいのか、微妙に頬が赤くなった。

 

「ん?……似合ってるんじゃないか?」

 

適当に対応したのが不満なのか、ゆまは『む〜』と唸って頬を膨らませる。

 

「ダメよ龍斗。女の子相手にそんな対応しちゃ」

 

背後から甘ったるい声とともに藤原が右腕に抱きついてきた。藤原は黒のビキニを着ていて、海馬ランドのときは普通の服だったが、今回は露出の激しい水着だ。ほぼダイレクトに柔らかい感触が腕にやってくる。

コイツ、夏休みになった途端こういう絡みが増えたような気がする…………勘弁してほしい。対応に困る。

 

「どう龍斗?似合ってるかしら?」

「……見てないのに答えられるか」

 

とりあえず離れるように誘導すると、藤原はすんなりと離れた。

なるべく凝視しないように、しかし不満を買わない程度に藤原を見る。

 

「…………似合ってるんじゃないか?」

 

ゆまのときと同じ回答をしたら、不満な顔をされた。だったら最初から聞かないでほしかった。

呆れられながらも藤原とゆま、白を基本とし、紐が青のビキニを着た明日香、水色と白のボーダーのビキニのももえ、黄色を基本に白の水玉模様の水着の枕田が軽い準備運動のあと、プールに入って行った…………一瞬、西瓜やメロンが脳裏をよぎったのは何故だろう……?

 

「お兄ちゃんも入ろうよ!」

 

ゆまが誘って来るので、俺も軽く準備運動をしてからプールに入る。

 

「ぶっ……!?」

 

瞬間、顔面に衝撃がやってきた。

俺のすぐそばで水音がしたので見てみると、ピンクと黄色、白、無色のビニールでできたビーチボールが。

 

「油断大敵よ!」

 

どうやら犯人は枕田らしい。

 

「枕田……他の客の迷惑を考えろ」

「ちゃんと考えたわよ。周りに人がいないのも確認してね」

 

大型施設故か、プールはそれなりの人数が入っても余裕がある。しかし迷惑になる可能性は0じゃないんだが…………まぁいいや。考えるのが面倒になってきた。

小さく文句を言いながらもビーチボールを投げ返す。ボールは枕田の前で着水し、跳ねた水が枕田の顔にかかった。

 

「きゃっ!やったわねー!」

 

ビーチボールをももえに渡し、俺に向かって水をかけてくる。

とっさに潜り、ゆまの背後に移動し浮上する。

 

「ゆまの盾」

「ひゃあ〜〜!」

 

枕田はゆまの盾を気にすることなく、水をかけてきた。ゆまの悲鳴を気にすることなく、水のラッシュがやってくる。俺はゆまの背中に左手を添えながら右手だけで反撃し続ける。正直両手を使っている枕田に威力、範囲の両方で勝てる気はしないが、防戦一方よりマシだろう。

 

「も、もう無理〜」

 

小さな反撃をしていると、ゆまに限界が来たのか、反転して俺に抱きついてきた。

その瞬間、盾を失った俺は枕田がかけてくる大量の水を被り、勢いに任せて水面に体を浮かせた。

 

「龍斗の負けね」

「女の子に抱きつかれたから寧ろ龍斗の勝ちじゃないかしら?」

 

明日香と藤原が好き勝手言ってくる。プールに浮かぶ俺を見下ろし、耐久力を失った元盾ことゆまは『あう〜』と情けない声を出しながら耐久力の回復を図っていた。

ゆまが回復している間、俺は抱きつかれて動くことができず、明日香達のビーチバレー擬きをのんびり眺め、回復した途端、ウォータースライダーに全員で突撃することに。ウォータースライダーは2人1組で滑る企画らしかったので、じゃんけんの要領でペアを決めることに。

数回のあいこの後、ペアになった枕田の楽しそうな絶叫とともにウォータースライダーを滑っていった。

ゆまとももえ、藤原と明日香のペアもウォータースライダーを滑る。

 

「ふわぁ〜!?」

「なん……!?」

 

俺と枕田、藤原と明日香は無事に滑ったが、ゆまとももえだけは、滑り切る直前に浮き輪が跳ねたことでプールに投げ出され、頭からダイブする悲劇に見舞われた。

思わぬ悲劇の後、一度プールを出て昼食にすることに。プールの近くで食事することはできないが、昼食用に食堂があるのでそこで昼食だ。

ロッカーに置いた荷物を回収して再度合流してから行く。

やや大型の円形テーブルを囲み、正面にももえ、俺の右隣に枕田、反対側にゆま。ゆまとももえの間に明日香、枕田とももえの間に藤原が座る。

明日香達は自作したと思われる弁当だが、俺はゆま作だ。それぞれおかずを交換しながらワイワイと話す。

 

「枕田の玉子焼きもなかなか……」

「…………ふと思ったんだけど」

 

枕田からもらった玉子焼きを食べていると、枕田が話題を切り替えてきた。

 

「アタシと雪乃って、龍斗に名前で呼ばれてないなって」

「……そういえばそうですわね」

 

枕田の話に、ももえが同意した。

 

「ゆまは従兄妹でしょ。明日香さんは龍斗との勝負に勝ったから。ももえは一緒にテスター試験の問題作りがきっかけ。アタシと雪乃だって、この前のイベントを一緒に乗り切った仲間なんだから、名前で呼んでくれてもいいじゃない!」

 

ゆま、明日香、ももえを見ながら語ったあと、俺に向かって身を乗り出した。

力説されてもな…………

 

「だから龍斗!アタシと雪乃の名前呼びをかけてデュエルよ!」

 

いや、ここプールなんだから泳ぎで勝負とかも…………いやそれ以前に別に呼んでほしいなら呼んでもいいんだが……枕田の言う通り、イベントをやりきった仲だし。

 

「はい、お兄ちゃん」

「…………ゆま……」

 

俺が『別に名前で呼んでもいい』と言おうとする前に、ゆまが俺のデュエルディスクとデッキを渡してきた。

 

「さぁ龍斗、構えなさい!」

「…………はぁ…………」

 

枕田もデュエルディスクとデッキを用意している。

何を言っても無駄な気がしたので、ため息を吐いてデュエルディスクにデッキをセットする。

他の客やプールのスタッフは、デュエルをするとわかると、俺達から距離を取った。外でやろうと思ってたんだが、スタッフの人達がテーブルや椅子を退けてスペースを作る。

 

「行くわよ龍斗!」

「……来い」

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

枕田ジュンコ

LP4000

 

「先攻は龍斗よ!」

「……俺のターン!永続魔法【ダイナミスト・チャージ】を発動!発動時の効果処理として、デッキから【ダイナミスト・プテラン】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札4枚→5枚

 

最近発売したペンデュラムモンスターに子供は喜ぶが、未だ発売されていないカードを見て、大人は俺達に気付いたみたいだ。

 

「俺は、スケール3の【ダイナミスト・プテラン】とスケール6の【ダイナミスト・アンキロス】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺の背後に、機械で構成されたオレンジを基調としたプテラノドンと、青い体に突起を複数付けた恐竜、アンキロサウルスが現れる。右に【プテラン】、左に【アンキロス】の構図だ。

 

「これでレベル4と5のモンスターが同時に召喚可能!数多の破壊を繰り返すものよ!種を越え、今ここに力を齎せ!ペンデュラム召喚!レベル5!【ダイナミスト・レックス】!」

 

【ダイナミスト・レックス】

攻撃表示

ATK2400/DEF2200

 

黄緑色のボディのティラノサウルスが現れる。

ペンデュラムによるものもあるだろうが、現れた上級モンスターに盛り上がる見物人。明日香は『1体だけ?』とほざいていた。仕方ねえだろ手札にいるモンスターこれだけなんだから。

 

「カードを2枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【ダイナミスト・レックス】:攻

ATK2400

魔・罠

【ダイナミスト・チャージ】

伏せ2枚

ペンデュラム

【ダイナミスト・プテラン】:スケール3

【ダイナミスト・アンキロス】:スケール6

手札0枚

 

「アタシのターン、ドロー!【RRートリビュート・レイニアス】を召喚!」

 

【RRートリビュート・レイニアス】

攻撃表示

ATK1800/DEF400

 

「【トリビュート・レイニアス】の効果発動!デッキから【RR】を墓地に送る!【RRーレディネス】を墓地に!」

 

【レディネス】?普段は【ミミクリー】から【ファジー】とデッキを圧縮していくのに、珍しいな。

 

「このモンスターは、アタシのフィールドに他の【RR】がいるとき、手札から特殊召喚できる!【RRーファジー・レイニアス】を特殊召喚!」

 

【RRーファジー・レイニアス】

攻撃表示

ATK500/DEF1500

 

手札にいたのか。なら納得できなくはない。他に手はあったような気もするが……

 

「アタシはレベル4の【ファジー・レイニアス】と【トリビュート・レイニアス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実を暴き、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!来て!ランク4!【RRーフォース・ストリクス】!」

 

【RRーフォース・ストリクス】

守備表示

ATK100/DEF2000

 

ペンデュラム同様、エクシーズに盛り上がる見物人。しかしそれも一瞬で、守備表示、かつ攻撃力100というのもあってかすぐに静かになった。

 

「効果発動!ORUを1つ使い、デッキからレベル4・闇属性・鳥獣族モンスターを手札に加える!【RRーバニシング・レイニアス】を手札に!さらにORUとして墓地に送られた【ファジー・レイニアス】の効果で、2枚目の【ファジー・レイニアス】を手札に加える!」

 

枕田ジュンコ

手札4枚→5枚→6枚

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

「永続罠【連成する振動】!1ターンに1度、俺のペンデュラムゾーンのカード1枚……【ダイナミスト・プテラン】を対象に発動!対象カードを破壊して1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札0枚→1枚

 

【プテラン】が粒子となって空間に漂う。それを見て、自らスケールを崩したことに疑問を口にする見物人。答えの代わりに、さらにカード効果を処理する。

 

「【ダイナミスト・チャージ】のさらなる効果!俺のフィールドの【ダイナミスト】カードが表側でエクストラデッキに加えられた場合、そのカードを手札に加える!」

 

周囲を漂う粒子が俺の手元に集まり、カードに再構成された。

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚

 

【連成する振動】と【ダイナミスト・チャージ】によって実質損害無しで手札を増やすコンボに、見物人から『ほう』感嘆の声が洩れる。

 

「……アタシは改めて、ターンエンド!」

 

枕田ジュンコ

LP4000

モンスター

【RRーフォース・ストリクス】:守

DEF2000

魔・罠

伏せ2枚

手札4枚

 

「俺のターン、ドロー!俺はスケール3の【ダイナミスト・ステゴザウラー】とセッティング済みの【アンキロス】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

先程まで【プテラン】がいた場所に、緑色のステゴザウルスが現れる。

 

「これでレベル4と5のモンスターが同時に召喚可能!数多の破壊を繰り返すものよ!種を越え、再度力を齎せ!ペンデュラム召喚!レベル4!【ダイナミスト・プテラン】!」

 

【ダイナミスト・プテラン】

攻撃表示

ATK1800/DEF1200

 

「同じくレベル4!【竜剣士ラスターP】!」

 

【竜剣士ラスターP】

攻撃表示

ATK1850/DEF0

 

「ら、【ラスターP】……」

「この前の海馬社長とのデュエルを思い出すわね……」

 

藤原と明日香の引いたような声が聞こえる。別に【ラスターP】はそこまで活躍してないけどな。むしろ【ヒグルミ】を思い出すだろ。

 

「レベル4の【ダイナミスト・プテラン】にレベル4の【竜剣士ラスターP】をチューニング!」

「ちょっ、本気出しすぎじゃない!?」

 

手抜きしたら負けるかもしれないからな。出せるカードはどんどん出すさ。

 

「燃え盛る焔よ!竜剣士を包み、新たな力を授けよ!シンクロ召喚!焼き切れ!レベル8!【爆竜剣士イグニスターP】!」

 

【爆竜剣士イグニスターP】

攻撃表示

ATK2850/DEF0

 

「フィールドの【ダイナミスト】モンスターが表側でエクストラデッキに加わったことで、【ダイナミスト・チャージ】の効果発動!エクストラデッキに加わった【ダイナミスト・プテラン】を回収する」

 

宮田龍斗

手札0枚→1枚

 

「【イグニスターP】の効果発動!1ターンに1度、デッキから【竜剣士】モンスターを守備表示で特殊召喚できる!【竜剣士マスターP】を特殊召喚!」

 

【竜剣士マスターP】

守備表示

ATK1950/DEF0

 

「そして、【ダイナミスト・プテラン】を召喚!」

 

【ダイナミスト・プテラン】

攻撃表示

ATK1800/DEF1200

 

「このモンスターは、俺のフィールドの【竜剣士】ペンデュラムモンスターとペンデュラムモンスター1体をリリースすることで、エクストラデッキから特殊召喚できる!【マスターP】と【プテラン】をリリース!竜の力、揺れ動く力と溶け合い、新たな力と生まれ変わらん!【剛竜剣士ダイナスターP(パワフル)】!」

 

【剛竜剣士ダイナスターP】

攻撃表示

ATK2000/DEF2950

 

全身青の鎧に、身の丈より大きい外部ユニットと大剣、大楯を装備した剣士がズシンと音を立てて現れた。

 

「バトル!【ダイナミスト・レックス】で【フォース・ストリクス】を攻撃!」

 

【レックス】のボディ横に付けられている電子機器から電気が漏れ、同時に牙にも電気が走る。咆哮しながら【フォース・ストリクス】に走っていき、【フォース・ストリクス】を噛み砕いた。

 

「速攻魔法【RUMーデス・ダブル・フォース】発動!このターンにバトルで破壊された【RR】エクシーズモンスターを対象に発動!対象モンスターを特殊召喚して、そのモンスターを素材に、倍のランクを持つエクシーズモンスターをエクシーズ召喚する!」

 

倍のランク、つまりランク8か。

 

「【フォース・ストリクス】を対象に、【フォース・ストリクス】を特殊召喚し、オーバーレイ!2つの太陽昇るとき、新たな世界の地平が開かれる!」

 

?この口上は……!いや、確かに召喚できるが、マジで召喚するのか!?

 

「ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!今こそ玉座に!ランク8!【DDD 双暁王カリ・ユガ】!」

「お前も大概じゃねぇか!」

 

【DDD 双暁王カリ・ユガ】

攻撃表示

ATK3500/DEF3000

 

「【双暁王カリ・ユガ】の効果!エクシーズ召喚に成功したターン、このカード以外のフィールドのカード効果は発動できず、無効化される!」

 

【カリ・ユガ】が右腕を上げると、俺のペンデュラムゾーンの【ステゴザウラー】と【アンキロス】がいる柱が灰色になり、フィールドのモンスターは上から抑えつけられるように膝をついた。

 

「さらに【カリ・ユガ】の効果発動!ORUを1つ使い、フィールドの魔法・罠を全て破壊する!【大嵐】!」

「確かに効果は一緒だがそれでいいのか!?」

 

俺のツッコミも虚しくフィールドに暴風が吹き荒れ、枕田の【エクシーズ・リボーン】と、俺の【ステゴザウラー】、【アンキロス】、【ダイナミスト・チャージ】、【連成する振動】、そしてセットしていた【ダイナミスト・ラッシュ】が破壊された。

 

「……メインフェイズ2に移行。俺はレベル8の【イグニスターP】と【ダイナスターP】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

魔界の力で作られし意志よ、永遠に癒されぬ破壊の衝動にその身を委ねよ!エクシーズ召喚!現われろランク8!【魔海城アイガイオン】!」

 

【魔海城アイガイオン】

守備表示

ATK?/DEF3000

 

青の外装を取り付けた巨大な城が、プール全体の上に現れる。

 

「攻撃力が決まってない……?」

「コイツの攻撃力はあとで決定する。ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【ダイナミスト・レックス】:攻

ATK2400

【魔海城アイガイオン】:守

DEF3000

魔・罠

手札0枚

EX

【ダイナミスト・プテラン】

【ダイナミスト・ステゴザウラー】

【ダイナミスト・アンキロス】

【竜剣士ラスターP】

【竜剣士マスターP】

 

ターンエンドの宣言とともに、【レックス】がゆっくりと立ち上がった。

 

「アタシのターン、ドロー!」

「【アイガイオン】の効果発動!1ターンに1度、相手のエクストラデッキのカードをランダムに除外する!」

「エクストラデッキのカードを除外!?しかもアタシのターンに!?」

 

【アイガイオン】の中央にある窪みから枕田のデュエルディスクに向かって細く赤い光が放たれ、エクストラデッキの【サテライト・キャノン・ファルコン】を除外した。

 

「このモンスターの攻撃力は、この効果で除外したモンスターの攻撃力と同じになる」

 

【魔海城アイガイオン】

ATK?→ATK3000

 

「攻撃力3000……でも守備表示……なら、【RRーバニシング・レイニアス】を召喚!」

 

【RRーバニシング・レイニアス】

攻撃表示

ATK1300/DEF1600

 

「除外だけがコイツの効果じゃないぞ。【アイガイオン】の効果発動!ORUを1つ使い、除外されている【サテライト・キャノン・ファルコン】をエクストラデッキに戻して【カリ・ユガ】を破壊する!」

「相手ターンにも使えるの!?」

 

【アイガイオン】のORUが弾け、6つの砲台が【カリ・ユガ】に向き、【サテライト・キャノン・ファルコン】を6分割したものを発射。【カリ・ユガ】を撃ち抜いて、弾丸となった【サテライト・キャノン・ファルコン】は枕田のエクストラデッキに戻った。

 

「くっ!【バニシング・レイニアス】の効果で、手札の【ファジー・レイニアス】を特殊召喚!」

 

【RRーファジー・レイニアス】

攻撃表示

ATK500/DEF1500

 

「アタシはレベル4の【バニシング・レイニアス】と【ファジー・レイニアス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!2体目の【フォース・ストリクス】!」

 

【RRーフォース・ストリクス】

守備表示

ATK100/DEF2000

 

「【フォース・ストリクス】の効果で【バニシング・レイニアス】を手札に加えるわ!【ファジー・レイニアス】の効果で3体目を手札に!」

 

枕田ジュンコ

手札3枚→4枚→5枚

 

「魔法カード【RUMーアストラル・フォース】を発動!アタシのフィールドのランクが1番高いエクシーズモンスターを対象にして、対象モンスターを素材に同じ種族・属性を持つランクが2つ高いエクシーズモンスターをエクシーズ召喚扱いで特殊召喚する!【フォース・ストリクス】を対象に、オーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!誇り高きハヤブサよ、英雄の血潮に染まる翼翻し、革命の道を突き進め!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れなさい!ランク6!【RRーレヴォリューション・ファルコン】!」

 

【RRーレヴォリューション・ファルコン】

攻撃表示

ATK2000/DEF3000

 

「【レヴォリューション・ファルコン】の効果発動!【RR】を素材にエクシーズ召喚したこのモンスターは、1ターンに1度、相手モンスターを対象にしてそのモンスターを破壊、さらにその攻撃力の半分のダメージを与える!」

 

【レヴォリューション・ファルコン】が【アイガイオン】の上空に飛び立ち、爆撃。【アイガイオン】は破壊され、小石程度の大きさ瓦礫が雨のように俺を襲う。

 

「細々と鬱陶しい……!」

 

宮田龍斗

LP4000→2500

 

「バトルよ!【レヴォリューション・ファルコン】で【ダイナミスト・レックス】を攻撃!レヴォリューショナル・エアレイド!」

 

攻撃力が劣るモンスターでの攻撃に、見物している人達のほぼ全員が何故と言いたげに首を傾げる。無反応なのはゆま達くらいだ。

 

「【レヴォリューション・ファルコン】の効果発動!特殊召喚されたモンスターとバトルするとき、相手モンスターの攻撃力と守備力を0にする!」

 

上空からの一方的な攻撃に、【レックス】はただ呆然と【レヴォリューション・ファルコン】を見るしかできない。

 

【ダイナミスト・レックス】

ATK2400/DEF2200→ATK0/DEF0

 

そして力を失った【レックス】は、【レヴォリューション・ファルコン】の爆撃によって破壊された。

 

「ぐぅっ!!」

 

宮田龍斗

LP2500→500

 

「ターンエンド!」

 

枕田ジュンコ

LP4000

モンスター

【RRーレヴォリューション・ファルコン】:攻

ATK2000

魔・罠

手札4枚

 

さて、手札もフィールドもカードは0。特殊召喚したモンスターも【レヴォリューション・ファルコン】に潰される。

俺が生き残るには、【レヴォリューション・ファルコン】を除去し、次の枕田のターンのエクシーズ召喚を止めるくらいしかない。

 

「俺のターン、ドロー!……魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動!デッキトップ10枚を裏側で除外し、カードを2枚ドローする!」

 

宮田龍斗

手札0枚→2枚

 

「10枚って、随分デッキを削るわね」

「手札が無いからな。仕方ない」

 

余裕を持った表情で俺に話しかける枕田。俺はそれに嘆息気味に返して、引いたカードを確認する。

 

「……永続魔法【ダイナミスト・チャージ】発動!発動時の効果処理で、デッキから【ダイナミスト・ブラキオン】を手札に加える!」

「レベル5のモンスターを手札に……ペンデュラム狙い?」

「ご明察。俺はスケール3の【竜剣士マスターP】とスケール6の【ダイナミスト・ブラキオン】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

【竜剣士マスターP】と紫のボディに、脚代わりに三角形のキャタピラを取り付けた首長竜が俺の背後に並ぶ。

 

「2つの竜の魂よ、種の壁を越え大地に並び立て!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより現われろ!【ダイナミスト・レックス】!」

 

【ダイナミスト・レックス】

攻撃表示

ATK2400/DEF2200

 

「【ダイナミスト・プテラン】!」

 

【ダイナミスト・プテラン】

攻撃表示

ATK1800/DEF1200

 

「【ダイナミスト・アンキロス】!」

 

【ダイナミスト・アンキロス】

守備表示

ATK1500/DEF2000

 

「【ダイナミスト・ステゴザウラー】!」

 

【ダイナミスト・ステゴザウラー】

守備表示

ATK1600/DEF1800

 

「【竜剣士ラスターP】!」

 

【竜剣士ラスターP】

守備表示

ATK1850/DEF0

 

1度に5体のモンスターを召喚したことに、見物人は叫ぶような歓声を上げる。

しかしなぁ……

 

「…………まぁ、これも仕事だと思えばいいか。ペンデュラムゾーンの【マスターP】の効果発動!このカードがペンデュラムゾーンにあるときに1度だけ、自分、または相手のペンデュラムゾーンのカードを破壊できる!【ダイナミスト・ブラキオン】を破壊!」

 

【マスターP】が【ブラキオン】に向かって柱から飛び出し、柱ごと【ブラキオン】を切り裂く。

 

「そして【ブラキオン】がエクストラデッキに表側で加わったことで【ダイナミスト・チャージ】の効果発動!【ブラキオン】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札0枚→1枚

 

「そして、【プテラン】をリリースして、【ブラキオン】をアドバンス召喚!」

 

【ダイナミスト・ブラキオン】

攻撃表示

ATK2000/DEF800

 

「攻撃力2000のモンスターをアドバンス召喚……【レヴォリューション・ファルコン】と相打ちにするつもり?」

「【レヴォリューション・ファルコン】は特殊召喚したモンスターとのバトルにはかなり強いからな。だが目的はこっちだ。レベル5の【ブラキオン】と【レックス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!灼熱の力で全てを焼き尽くせ!エクシーズ召喚!燃やせ!ランク5!【No.61 ヴォルカザウルス】!」

 

【No.61 ヴォルカザウルス】

守備表示

ATK2500/DEF1000

 

「【ヴォルカザウルス】の効果発動!1ターンに1度、ORUを1つ使い相手フィールドの表側表示モンスター1体を破壊し、元々の攻撃力分のダメージを与える!」

「墓地の【RRーレディネス】の効果発動!アタシの墓地に【RR】がいるとき、このカードを除外することでこのターン、アタシが受ける全てのダメージは0になる!」

 

【ヴォルカザウルス】の胸部の突起から放たれる熱線で【レヴォリューション・ファルコン】は破壊される。爆風が枕田を襲うが、【レディネス】の効果で発生したドーム状の膜が枕田を守る。

 

「…………ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP500

モンスター

【No.61 ヴォルカザウルス】:守

DEF1000

【ダイナミスト・アンキロス】:守

DEF2000

【ダイナミスト・ステゴザウラー】:守

DEF1800

【竜剣士ラスターP】:守

DEF0

魔・罠

【ダイナミスト・チャージ】

ペンデュラム

【竜剣士マスターP】:スケール3

手札0枚

 

エクストラ見たらランク5にボリューム持たせすぎてた。帰ったら調整しよう。

 

「アタシのターン、ドロー!魔法カード【死者蘇生】!墓地の【フォース・ストリクス】を特殊召喚!」

 

【RRーフォース・ストリクス】

守備表示

ATK100/DEF2000

 

「さらに【RUMーレヴォリューション・フォース】発動!【フォース・ストリクス】を素材にオーバーレイ!ランクが1つ高い【RR】エクシーズモンスターをエクシーズ召喚する!

獰猛なるハヤブサよ、激戦を切り抜けしその翼翻し、寄せ来る敵を打ち破れ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!来なさい!ランク5!【RRーブレイズ・ファルコン】!」

 

【RRーブレイズ・ファルコン】

攻撃表示

ATK1000/DEF2000

 

「バトルよ!ORUを持つ【ブレイズ・ファルコン】は相手モンスターを無視してダイレクトアタックできる!」

 

【ブレイズ・ファルコン】が俺の真上に移動し、大量の爆弾を投下し、羽根型の兵器が四方八方からビームを撃ってきた。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

宮田龍斗

LP500→-500

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、アタシが勝ったんだから名前で呼びなさい!」

「いや、そもそもデュエルに勝とうが負けようが名前で呼んでほしいなら呼んでもいいんだけどな」

 

デュエルが終わり、スタッフや見物していた人達と協力して、テーブルや椅子を元の位置に戻しプールに戻ると、ビシッと俺を指差して枕田……ジュンコに命令された。

 

「まだ呼んでもらってない!」

「……ジュンコ」

「っ!よ、よろしい」

 

急にそっぽ向いたジュンコ。女子の扱いって本当に面倒だ。とりあえず放置しよう。

 

「じゃあ、次は私ね」

 

背後から甘ったるい声とともにのしかかるように抱きついてくる藤原……雪乃。

 

「……雪乃。離れろ」

「ふふっ。イ・ヤ・よ」

 

拒否の後、より強く抱きついてきやがった。




夏休み編がこれで終わりで、次回から2年生です。
早速新キャラ出ます。


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アカデミア2年目
進級 VS.ーーーー


先に謝っておきます。すみません、こんな結果になって。(土下座)


夏休みが終わり、俺は正式にオベリスク・ブルーの生徒になった。

新入生歓迎会で無駄に高い自尊心を持った1年が挑んできたので、【終焉のカウントダウン】で特殊勝利して心をへし折ってやった。でも仕方ないとも思う。

【終焉のカウントダウン】と【一時休戦】が初手にあって、【一時休戦】を使ったら2枚目の【一時休戦】を、そして2枚目を次のターンに使ったら3枚目を引いてしまったのだから。他にもフリーチェーン罠で攻撃を止めていたら、15ターンくらいで新入生が泣いてしまった。

デュエルが終わったあと、クロノスに『やりすぎナノーネ』と軽く注意されてしまった。

 

「エド・フェニックス…………」

 

歓迎会を終えると、明日香からPDAに連絡があり確認して見ると、プロとして活躍中のエド・フェニックスが十代にデュエルを挑んだらしい。それも昨日の売れ残りの8パックで組んだデッキとも言えない紙束で。

エド・フェニックス…………【DーHERO】を使う奴……

 

「……【ディアボリックガイ】くれねぇかな……?」

 

無意味に願望を口にする。あのカードがあれば組みやすくなるデッキがあるから、ダメ元で……やめとこう軽く張り倒される未来しか見えない。

内心ため息を吐きながらイエロー寮のものよりフカフカのベッドに身を預け、瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝早くにゆまから連絡を受けた。なんでも今年度からデュエルアカデミアに来た2年の女子が、俺に会いたいと言っているらしく、デュエルディスクとデッキを持って来いというものだった。

夏休みのイベントが原因か?と思いつつ、とりあえず集合場所に指定された校舎前に行く。

 

「あ、お兄ちゃーん!」

 

校舎前に行くと、体を目一杯伸ばして手を振るゆまと、ピンクの髪をウェーブさせた女子がいた。

 

「えっと、この女の子みたいな顔の人が、私のお兄ちゃんの宮田龍斗」

「余計なこと言うな」

「あうっ!」

 

ゆまが俺を女子に紹介しようとしたが、変なことを言ったので頭を小突いて中断させる。

 

「ぅ〜……この子が、お兄ちゃんに会いたいって言ってたツァンさんだよ」

 

微妙に涙目になり、左手で頭を押さえながらも、右手で紹介するゆま。

紹介されたツァンという女子は、見るというより睨むというのが正しく思えるほどに俺を見ていた。

 

「……宮田龍斗だ」

「ボクはツァン・ディレ。あんたのデュエルは3回見た」

 

3回……イベントとそのあとの雪乃に言われたやつと……あとはどこだ?いや、そもそもなんでデュエルを見た回数のことを言うのかわからん。あ、デッキが毎回違うからその辺を突っ込みたいのか?そのためにわざわざ編入してきたのか?変なやつだな。

 

「1回目は、あんたが【ワイト】が入ったデッキでデュエルしてるところ」

 

【ワイト】?イベントでも雪乃のときも使ってない。もっと言うと夏休みに使ってないぞ。

 

「お兄ちゃん、冬休みに私とカードファイル買いに行ったときだよ!たぶん!」

 

復活したゆまが指摘してくれて思い出した。確かに使ったな。だがそれよりも……

 

「……ゆま、お前そんな昔のことを覚えていられる記憶力があるんだな」

「なんか酷いっ!」

 

涙目が戻ってきたゆまを無視してツァン……あ、名前の雰囲気からして『ツァン』が名前で『ディレ』が苗字か。ともかくディレは話を進める。

 

「次にテレビで。シンクロ召喚を使ってた」

 

……雪乃とのデュエルか。海馬さんに言われて【ジャンク・ウォリアー】を使うことになったやつだ。アレがきっかけなのか、雪乃が本校に来ることになったんだよな。

 

「最後に夏休みの新召喚の発表で」

「これで3回だな。で?何故そんなことを言うんだ?」

「試したいの」

 

そう言ってたデュエルディスクを構える。

 

「複数のデッキを使いこなすあんたに、ボクのデュエルがどこまで通用するのか、試したいの!」

 

……ただデュエルしたいだけか。

だからデュエルディスクを持って来いと。というか、使いこなしてない。使いこなしてたら負けた回数はもっと少ないからな。

 

「朝っぱらからデュエルするとは……」

「お兄ちゃん、頑張って!」

 

ディレの傍からガッツポーズで応援するゆまに右手を上げて返事して、こちらもデュエルディスクを構える。適当にデッキ持ってきたけど大丈夫かな……

 

「「デュエル!」」

 

ツァン・ディレ

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「あっ」

「?」

「お兄ちゃん?」

 

手札を見て思わず声が出た。これは……持ってくるデッキ間違えたな。適当に持ってきたらガチなデッキになってしまった……

 

「な、なんでもない」

 

ディレの訝しむような顔とゆまの声に噛みながらデュエルを始めさせる。

 

「……ボクの先攻!ボクは永続魔法【六武の門】を発動!」

 

ディレの背後に和風の門が現れる。

 

「このカードは、フィールドに【六武衆】モンスターが召喚・特殊召喚されるたびに、武士道カウンターを2つ置く。そして、ボクのフィールドの武士道カウンターを好きな数取り除くことで効果を変えていく!」

 

そしてその効果に『1ターンに1度の制限』が無い。ぶっ壊れてる。

 

「さらに永続魔法【六武衆の結束】を発動!このカードは、【六武衆】モンスターが召喚・特殊召喚されるたびに武士道カウンターを1つ置く。そしてカウンターが乗ったこのカードを墓地に送ることで、乗っていたカウンターの数だけドローできる!」

 

【門】と【結束】が揃った。大体の展開は読めるし、その後のブーイングと絶望も見える。もうちょっとしっかりデッキを選んでくれば良かった……

 

「【六武衆ーイロウ】を召喚!」

 

【六武衆ーイロウ】

攻撃表示

ATK1700/DEF1200

 

黒い鎧を上半身につけ、長刀を右肩に担いだ男が現れた。

 

「この瞬間、【六武の門】と【六武衆の結束】にカウンターが乗る!」

 

【門】に描かれている家紋にある6つの穴のうち、上下中央の穴が青く光り、【結束】のソリッドヴィジョンに家紋の上半分が浮かび上がった。

 

「このモンスターは、ボクのフィールドに【六武衆】モンスターがいる場合、特殊召喚できる!【六武衆の師範】を特殊召喚!」

 

【六武衆の師範】

攻撃表示

ATK2100/DEF800

 

長い白髪で右目を眼帯で隠したイカツイ男が現れる。

それと同時に、【門】に描かれている家紋の右上と左下が青く光り、【結束】のソリッドヴィジョンに家紋が完全に浮かび上がった。

 

「【六武の門】の武士道カウンターを4つ全て使って、効果発動!デッキから【六武衆の師範】を手札に加える!【師範】はボクのフィールドに1体しか存在できないから、特殊召喚はしないよ」

 

なら何故今サーチした。【師範】破壊されてからでもいいだろう。俺の手札に魔法・罠除去無いんだから。

 

「さらに【六武衆の結束】を墓地に送って2枚ドロー!」

 

ツァン・ディレ

手札2枚→4枚

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

 

ツァン・ディレ

LP4000

モンスター

【六武衆ーイロウ】:攻

ATK1700

【六武衆の師範】:攻

ATK2100

魔・罠

【六武の門】《武士道カウンター:4》

伏せ2枚

手札2枚

 

「……なぁ、デッキ変えちゃダメか?」

「だ、ダメに決まってるでしょう!!」

「お兄ちゃん!私もそれは無いと思う!」

 

ダメ元でデッキチェンジの許可を願ったがやはりダメか。でもなぁ……

 

「……俺のターン、ドロー」

「お兄ちゃん、やる気が凄い無いよ!」

 

ゆまにやる気の欠片も見せずに『スマンスマン』と謝る。仕方ない。

 

「俺は手札から永続魔法【六武の門】を発動!」

「ろ、【六武の門】!?」

 

ディレの驚きをよそに、俺の背後にディレの背後にあるのと同じ門が現れる。今回使うのは【六武衆】。ディレのと違ってぶっ壊れてるアイツらが大量に入っているガチデッキだ。

 

「効果の説明はしないぞ。さらに永続魔法【六武衆の結束】を発動!追加だ。魔法カード【紫炎の狼煙】を発動!デッキからレベル3以下の【六武衆】を手札に加える!【真六武衆ーカゲキ】を手札に!」

「真……?」

「ああ。お前が使っている【六武衆】の昔の姿。初代【六武衆】といった設定らしい」

 

ディレの呟きに返すと『せ、設定……』と呟いていた。

 

「【真六武衆ーカゲキ】を召喚!」

 

【真六武衆ーカゲキ】

攻撃表示

ATK200/DEF2000

 

機械……というより絡繰式と思われるアームと腕に刀を1本ずつ計4本持った男が『ハァッ!』という掛け声とともに飛び出した。そしてディレのターンも同じエフェクトで【門】と【結束】にカウンターが乗る。

 

「初代って言うわりには攻撃力がショボいんだけど?」

 

嘲笑うような、挑発するようなディレの態度を無視して次のカードに手をかける。

 

「【カゲキ】の効果発動!召喚に成功したとき、手札のレベル4以下の【六武衆】を特殊召喚できる!チューナーモンスター【六武衆の影武者】を特殊召喚!」

 

【六武衆の影武者】

攻撃表示

ATK400/DEF1800

 

【カゲキ】が刀を掲げると、縦に長い兜をつけた武士が【カゲキ】の傍に現れ跪く。そして【門】と【結束】に再びカウンターが乗る。

 

「チューナー!?【六武衆】がシンクロするの!?」

「これが【真六武衆】だ。シンクロを取り入れ、特殊召喚しすぎて相手を選ぶんだ。【カゲキ】は他の【六武衆】がいると攻撃力が1500アップする」

 

【真六武衆ーカゲキ】

攻撃表示

ATK200→ATK1700

 

「一気に1500ポイントも!?」

「【門】の効果で【結束】から2つ、【門】から2つ武士道カウンターを取り除いてデッキから【真六武衆ーキザン】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「【門】の効果のコストに【結束】のカウンターを……!?」

「同じ名前のカウンターだからな。普通に使えるぞ」

 

まさか今まで【門】からしか取り除いてなかったのか?よく使う気になったな。

 

「このモンスターは手札に他の【六武衆】がいる場合、手札から特殊召喚できる!【六武衆の師範】、【真六武衆ーキザン】を特殊召喚!」

 

【六武衆の師範】

攻撃表示

ATK2100/DEF800

 

【真六武衆ーキザン】

攻撃表示

ATK1800/DEF500

 

黒い鎧と刀を持った黒い長髪の男が現れ、【門】の家紋の円が全て青く光り、【結束】に家紋が浮かんだ。

 

「【キザン】は俺のフィールドに他の【六武衆】が2体以上いる場合、攻撃力と守備力が300ポイントアップする」

 

【真六武衆ーキザン】

ATK1800/DEF500→ATK2100/DEF800

 

「再び【結束】と【門】のカウンターを2つずつ取り除いて、デッキから【真六武衆ーキザン】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚

 

「レベル3の【カゲキ】にレベル2の【六武衆の影武者】をチューニング!魔を斬り伏せる者、仕えし者らとともに力を示せ!シンクロ召喚!レベル5!【真六武衆ーシエン】!」

 

【真六武衆ーシエン】

攻撃表示

ATK2500/DEF1400

 

赤い鎧から竜のような金の翼が出ている武将が現れる。そしてカウンターが乗る。

 

「【紫炎】!?シンクロモンスターになったの!?」

「【門】のカウンターを4つ取り除いてデッキから3枚目の【キザン】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「そして【キザン】を手札から特殊召喚!自身の効果で攻撃力と守備力が300ポイントアップ!」

 

【真六武衆ーキザン】

攻撃表示

ATK1800/DEF500→ATK2100/DEF800

 

「【門】と【結束】のカウンターを2つずつ取り除いて、デッキから【真六武衆ーミズホ】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「そして3枚目の【キザン】を特殊召喚!」

 

【真六武衆ーキザン】

攻撃表示

ATK1800/DEF500→ATK2100/DEF800

 

「も、モンスターが5体……!」

「お兄ちゃん……凄いよ!ツァンさんが使ってる【六武衆】、こんなに強いんだね!」

 

まだ一般には販売してないけどな。

 

「【門】のカウンターを2つ取り除いて、【師範】の攻撃力を500ポイントアップさせる!」

 

【六武衆の師範】

ATK2100→ATK2600

 

「龍斗、こんなところにいたのね」

「バトル!【シエン】で【六武衆の師範】を攻撃!」

「罠発動【次元幽閉】!攻撃してきた相手モンスターを除外する!」

 

攻撃宣言と同時に後ろから雪乃の声が聞こえたが、ディレは気にすることなく面倒な罠を発動した。

 

「【シエン】の効果発動!1ターンに1度、相手が発動した魔法・罠を無効にして破壊する!」

「嘘っ!?」

 

【シエン】の翼が上を向き、羽ばたく。翼が空気を押し、【シエン】を加速させて【次元幽閉】を突き破り、ディレの【師範】に向かって刀を大上段に構えて振り下ろした。

 

「【紫炎】にこんな効果が……」

 

ツァン・ディレ

LP4000→3600

 

「【キザン】で【イロウ】を攻撃!」

 

【キザン】が【イロウ】を袈裟斬り、しかし【イロウ】に変化は無くその場に立ち尽くす。【キザン】が刀を鞘に収めると爆発した。…………いや、斬られろよ。

 

ツァン・ディレ

LP3600→3200

 

「くっ……!罠発動【諸刃の活人剣術】!ボクの墓地から【六武衆】2体を攻撃表示で特殊召喚する!戻ってきて!」

 

【六武衆ーイロウ】

攻撃表示

ATK1700/DEF1200

 

【六武衆の師範】

攻撃表示

ATK2100/DEF800

 

2体の【六武衆】が刀を杖代わりにして、片膝をついて現れた。肩で息をしている。

 

「【師範】で【師範】を攻撃!」

 

俺の【師範】がディレの【師範】を縦に斬った。

 

ツァン・ディレ

LP3200→2700

 

「2体目の【キザン】で【イロウ】を攻撃!」

 

先程と同じく袈裟斬り、納刀、爆発。

もうこういうエフェクトで固定らしい。

 

「くぅ!」

 

ツァン・ディレ

LP2700→2300

 

「【キザン】でダイレクトアタック!」

 

【キザン】がディレの額を刀の柄で小突いた。

 

「痛っ!?」

 

ツァン・ディレ

LP2300→200

 

「……なんとか生き残った……次のターンで逆転して」

「次は無いぞ」

「えっ!?」

 

ディレの台詞を遮り、メインフェイズ2に移行する。

 

「俺はレベル4の【真六武衆ーキザン】2体でオーバーレイ!」

「エクシーズ!?シンクロとエクシーズって同時に融合デッキに入るの!?」

 

今はエクストラデッキな。という突っ込みはせずに台詞を続ける。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!終焉を告げる銃声よ、今響け!エクシーズ召喚!ランク4!【ガガガガンマン】!」

 

【ガガガガンマン】

守備表示

ATK1500/DEF2400

 

「効果発動!ORUを1つ使い、このモンスターの表示形式により効果を変える!守備表示のとき、相手プレイヤーに800ポイントのダメージを与える!」

「そんな!?」

 

【ガガガガンマン】がディレの額めがけて銃を撃ち抜いた。

 

「痛っ!」

 

ツァン・ディレ

LP200→-600

 

デュエルが終わり、デュエルディスクをしまうと、雪乃が右腕に絡んできてディレとゆまの方を見た。

 

「あの娘はたしか、今年編入してきた……」

「ツァン・ディレだってさ。なんか、俺のデュエルを数回見たらしく、自分がどこまでやれるのか試したかったんだと。あと離れろ」

 

雪乃はディレとゆまを睨むように見つめる。ディレは後攻1killくらって落ち込んでいるのか俯いていて、ゆまがなんかオロオロしてる。

 

「えっと……えぇっとぉ!」

 

俺を見てディレを見て、ディレをフォローしようとして言葉が見つからず俺を見て、しかしやっぱり自分がとディレを見てとループしてるようだ。その様子を見た雪乃が小さく吹き出してた。

見かねた俺はため息を吐いてディレとゆまに向かって歩き出す。

足音が聞こえたのか、ディレはピクリと肩を揺らし、顔を上げた。

顔を真っ赤にして俺を睨むディレは、

 

「絶対…………絶対リベンジしてやるんだからぁぁぁ!!」

 

と叫んで走り去っていった。

なんだアイツ……?




ツァンはまだ出ます。
次回は出ないですけど……


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恐竜 VS.剣山

前回の投稿後急に忙しくなり、時間が取れても思うように書けない日々が続き1ヶ月経ってしまいました。

今回は剣山登場の話です。


ディレとのデュエルからおよそ1週間。

ディレは同じ学年ということで授業で見かけることはあっても、絡んでくることはない。しかし俺を見ると何かを決意したように俺を睨んだあと、その場を立ち去る。おそらくデッキを弄ってるんだろう。いつリベンジに来られても、今度はそこそこの強さのデッキで相手しよう。

 

「ディスク狩り?」

 

そんなことを思っていたある日の昼休み、明日香達と飯を食っていたら、ジュンコから『ディスク狩り』なる話を聞いた。

校舎近くの森を抜けたところに人工の川があり、そこにかかる橋でデュエルを挑まれ、負けるとデュエルディスクを取られるらしい。

 

「あくまで噂なんだけどね。イエローの生徒にやられたらしいの」

「ブルーの男子生徒はプライドが高いのが多いから、あまり話さないけどね」

 

雪乃も知っているらしく、ジュンコの話に補足した。

 

「で、それが?」

「十代達が行った備品倉庫って、その川の向こうよね?」

 

十代と丸藤はクロノスに捕まり予備のデュエルディスクを備品倉庫から運んでいる。手伝いを求められたが、『腹減った』と言って拒否した。

しかしそれで合点がいった。

アイツらが絡まれると予想してるのか。

 

「大丈夫だろ。アイツには【M・HERO】っていう自分だけが正義の集団があるし」

「【ダーク・ロウ】とかですね……」

「そうね……」

 

ももえと雪乃がゆまを見る。勝敗はともかく、使われたからな。

 

「だ、【ダーク・ロウ】は悪くないです!ヒーローは正義の味方なんですぅ!」

 

わずかに怯んだゆまが必死に抗議する。

冗談だとももえと雪乃が流したことで特に【M・HERO】について話が膨らむことはなかった。

 

「だが、予備のデュエルディスクを取り出さざるを得ないほどにやられてるとなると、結構な実力なのか?」

「そうね。やられたっていう人数はわからないけど、噂になるくらいの実力はあるはずよ」

「…………」

 

進級して早々ということは1年か。2年3年でそういうことする奴はいない……と思いたい。

女子陣が話す中、俺は『ディスク狩り』をしている奴とデュエルしようかどうか悩んでた。

 

「龍斗が挑むに1票」

「アタシも」

「私もですわ」

「お兄ちゃんなら挑むと思います!」

「全員一致みたいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後。

昨日の昼休み以降十代と会うことがなく、『ディスク狩り』にあったのか気になったためレッド寮へ。

久し振りに思えるレッド寮は、半分ほどが万丈目の家で経営している工事業者による改修工事により見えなくなっていた。

ともかく十代の部屋のドアをノックしてみると、

 

「誰ザウルス?」

 

変な語尾で、日焼けした肌と鍛えられた体、さらにドレッドヘア、制服も改造制服というどこから突っ込めばいいのかわからない男子が出てきた。制服はラー・イエローだ。

 

「……この部屋の住人、遊城十代の友人の宮田龍斗だ。お前は?」

 

ドレッドヘアの男子は俺の名前を聞いた途端、俺を指差した。

 

「あ、アンタが宮田龍斗ザウルス!?I2社、KCのテスターの!」

「…………たしかにそうだが、お前は?」

 

語尾に突っ込むのはあとにして名前を尋ねる。

 

「俺としたことが名乗ってないドン。俺はティラノ剣山!十代のアニキの弟分ザウルス!」

 

右手の親指で自分を指差して自己紹介するティラノ剣山という男子。

ティラノ剣山……十代の弟分……?あー、いた……ような気がする。デッキの中身は欠片も覚えてないが。

 

「ティラノ剣山……ね。で?なんでラー・イエローの生徒がレッド寮に?」

「十代のアニキの下で、カリスマを磨くためザウルス!」

 

カリスマ?…………アイツ、変なのに絡まれてるな。とりあえず、話を転がしても良いことはなさそうと判断して『そうか。頑張れよ』と言って話を終える。

 

「そういう宮田先輩こそ、オベリスク・ブルーの……生徒が……」

「ん?」

 

急にティラノ剣山……長いな……剣山でいいか。剣山は言葉が途切れ途切れになってきた。

 

「な、なんで宮田先輩はオベリスク・ブルーザウルス!?宮田先輩は中等部の生徒だったドン!?」

 

急に肩を掴まれ揺すられる。痛い、明日香にやられたときと同じくらい肩が痛い。

 

「落ち着け。俺は高等部編入組だ。レッドからイエロー、ブルーへと上がっただけだ」

 

首がガクンガクンと揺れながらも答えると、剣山は納得したのか『す、すまなかったドン』と自分のしたことに気付いて謝った。

 

「えっと……宮田先輩は十代のアニキに何か用ザウルス?」

「ああ、昨日友人に『ディスク狩り』っていう奴の話を聞いてな。昨日アイツと……アイツと同じ部屋の丸藤が会ってる可能性があってな。その確認をと」

 

剣山は話を聞くと『いや〜』と自分の後頭部を掻いて照れ臭そうに言った。

 

「その『ディスク狩り』、俺のことだドン」

「…………」

 

照れてんじゃねぇよ。内心突っ込んで思考を切り替える。

何故コイツが十代のことをアニキと慕うか。

昨日のことを考えると、おそらく十代とデュエルして、剣山の心境に変化があって十代のことを慕うようになった。ってところか。

 

「…………とにかく、十代が無事そうならいい。邪魔したな」

「待つドン!」

 

踵を返したところで、剣山に待ったをかけられた。

 

「ここで会ったのも何かの縁。宮田先輩、アンタにデュエルを挑むザウルス!」

 

懐からデッキを取り出し、俺に突き出す剣山。

 

「…………まぁ、いいけど」

 

レッド寮前で互いに距離を取る。

剣山はレッド寮を背後に、俺はその反対側に。

 

「行くドン!」

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

ティラノ剣山

LP4000

 

「俺の先攻か。俺はモンスターをセットし、永続魔法【進化の代償】を発動!」

「し、進化ザウルス!?」

 

剣山が『進化』という単語に反応した。

別に珍しい単語でもないと思うが……まぁいいや。

 

「このカードは1ターンに1度、【エヴォルド】モンスターの効果でモンスターを特殊召喚した場合、フィールドのカード1枚を破壊できる!」

「【エヴォルド】……先輩のデッキは【エヴォルド】モンスターが中心のデッキザウルス?」

「どうかな?オマケ程度に入れたカードかもしれないぞ?カードを2枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

【進化の代償】

伏せ2枚

手札1枚

 

「どんなモンスターが相手でも、俺は恐れないドン!俺のターンザウルス!ドロー!【セイバーザウルス】を召喚!」

 

【セイバーザウルス】

攻撃表示

ATK1900/DEF500

 

赤いトリケラトプスが現れる。

コイツのデッキは【恐竜族】か?

 

「バトルザウルス!【セイバーザウルス】で攻撃!」

 

地響きとともに【セイバーザウルス】が猛進し、緑色の体とDNAの二重螺旋の模様を尻尾に持った小さなトカゲ、【エヴォルド・ウェストロ】を跳ね飛ばした。しかし、何事も無かったかのように俺の前に戻ってきた。

 

「【エヴォルド・ウェストロ】のリバース効果!デッキから【エヴォルダー】モンスターを特殊召喚できる!【エヴォルダー・ケラト】を特殊召喚!」

 

【エヴォルダー・ケラト】

攻撃表示

ATK1900/DEF1400

 

黄色と黒の体と【ウェストロ】と同じDNAの二重螺旋の尻尾、鼻先に小さな角を持った恐竜が現れた。

 

「え、【エヴォルダー】?【エヴォルド】と違うモンスターザウルス?」

「【エヴォルド】は【エヴォルダー】モンスターに進化するって設定らしい」

「せ、設定って、はっきり言うドン……」

 

疑問に答えてやったのに、呆れたような声を出しやがった。

 

「……まぁいいや。【エヴォルダー・ケラト】は【エヴォルド】モンスターの効果で特殊召喚されたとき、攻撃力か200ポイントアップする!」

 

【エヴォルダー・ケラト】

ATK1900→ATK2100

 

「【セイバーザウルス】の攻撃力を上回ったドン!いや、それよりも……」

 

剣山は呟きながら【進化の代償】を見る。

 

「【進化の代償】の効果!と言いたいんだけどな。ダメージステップ中には効果が使えないんだ」

「そ、そうなのかザウルス?助かったドン……」

 

ホッと胸をなでおろす剣山。

わかりやすいというか、なんというか……

 

「安心するのはいいが、ターンを進めてくれないか?」

「あっ、そうだったザウルス!カードを2枚伏せて、ターンエンドだドン!」

 

ティラノ剣山

LP4000

モンスター

【セイバーザウルス】:攻

ATK1900

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「俺のターン」

「あ、いた。お兄ちゃーん!」

 

デッキに手をかけたところで、背後からゆまの声が。振り返ってみるとゆまと明日香、ももえ、ジュンコ、雪乃、十代、丸藤といったいつものメンバーがゾロゾロとやってきていた。

 

「なんでデュエルしてるの?」

「昨日聞いた『ディスク狩り』について十代に聞きに来たらこうなった」

「ん〜?よくわかんないよ」

 

首を傾げるゆまの頭を撫でながら、『とにかく、偶々こうなっただけだ』と言うと今度は理解したらしい。というか理解出来なかったらゆまの頭を心配してた。

 

「お兄ちゃん、頑張ってね!」

「ああ」

 

ゆまは俺と剣山のデュエルが良く見える位置に移動している十代達のところに合流し、そこからまた声援を送ってくれた。

 

「すまない。俺のターンだな、ドロー!魔法カード【強制進化】!俺のフィールドの【エヴォルド】モンスター、【エヴォルド・ウェストロ】をリリースして発動!デッキから【エヴォルダー】モンスターを特殊召喚する!【エヴォルダー・ディプロドクス】を特殊召喚!」

 

【エヴォルダー・ディプロドクス】

攻撃表示

ATK1600/DEF800

 

紫の皮膚とDNAの二重螺旋模様の尻尾の首長竜が現れる。

 

「【進化の代償】の効果でリバースカードを破壊する!」

 

【進化の代償】からDNAの二重螺旋で作られた円が広がり、剣山のリバースカード、【化石発掘】を破壊した。

 

「そして【強制進化】の効果で特殊召喚されたモンスターは、【エヴォルド】モンスターの効果で特殊召喚された扱いとなる。よって【エヴォルダー・ディプロドクス】の効果!【エヴォルド】モンスターの効果で特殊召喚されたとき、相手フィールドの魔法・罠を破壊する!」

 

【ディプロドクス】が尻尾を振り上げ、リバースカードを叩き割る。

 

「【ミラー・フォース】が……!」

 

「バトル!【ケラト】で【セイバーザウルス】を攻撃!」

 

【ケラト】が猛烈な速度で【セイバーザウルス】の横に走っていき、首元を噛みちぎった。

 

「っ……!流石にやるドン……」

 

ティラノ剣山

LP4000→3800

 

「【ケラト】の効果!【エヴォルド】モンスターの効果で特殊召喚されたこのモンスターが、相手モンスターを戦闘で破壊した場合、デッキから【エヴォルド】モンスターを手札に加える!【エヴォルド・ラゴスクス】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚

 

「そして【エヴォルダー・ディプロドクス】でダイレクトアタック!」

 

【ディプロドクス】が剣山の傍に尻尾を振り下ろす。

 

「ぅあっ!」

 

ティラノ剣山

LP3800→2200

 

「メイン2。【エヴォルド・ラゴスクス】を召喚!」

 

【エヴォルド・ラゴスクス】

攻撃表示

ATK1200/DEF500

 

体の表面が緑、裏が黄色のトカゲが現れる。

 

「【ラゴスクス】の効果発動!召喚に成功したとき、デッキから【エヴォルダー】モンスターを墓地に送る!【エヴォルダー・エリアス】を墓地に送る。そして罠カード【進化の特異点】!俺の墓地の【エヴォルド】モンスター、【エヴォルド・ウェストロ】と【エヴォルダー】モンスター、【エヴォルダー・エリアス】を選択して発動!エクストラデッキから【エヴォルカイザー】モンスターを特殊召喚し、選択したモンスターをそのモンスターのORUにする!」

「墓地のモンスターでエクシーズ召喚ザウルス!?」

 

剣山が驚いているが、エクシーズ召喚じゃないんだよな。蘇生制限に引っかかるし。

 

「……まぁ、あとで言えばいいや。太古の時代の遺伝子が、予期せぬ来訪者を拒絶する!現れろランク6!【エヴォルカイザー・ソルデ】!」

 

【エヴォルカイザー・ソルデ】

攻撃表示

ATK2600/DEF1000

 

全身が青い細身の竜が上空から静かに降りてきた。

剣山は【ソルデ】の姿を呆然と見ている。

 

「これが【エヴォルド】モンスターの進化の終着点の1つだ。爬虫類族から恐竜族を経て、ドラゴン族になった」

「恐竜さんが、ドラゴンに……」

「そして、これも進化の形だ。俺はレベル4の【エヴォルダー・ケラト】と【エヴォルダー・ディプロドクス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!太古の時代の遺伝子が、裁きを下す竜となる!エクシーズ召喚!裁けランク4!【エヴォルカイザー・ラギア】!」

 

【エヴォルカイザー・ラギア】

攻撃表示

ATK2400/DEF2000

 

緑とも青とも言える色を白に滲ませた3対6枚の翼を持った竜が現れる。

 

「ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【エヴォルカイザー・ソルデ】:攻

ATK2600

【エヴォルカイザー・ラギア】:攻

ATK2400

【エヴォルド・ラゴスクス】:攻

ATK1200

魔・罠

【進化の代償】

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターンザウルス!ドロー!」

 

剣山はドローしたカードを手札に加えると、俺のモンスターを見据えた。

 

「【始祖鳥アーキオーニス】を召喚!」

 

【始祖鳥アーキオーニス】

攻撃表示

ATK300/DEF1300

 

青い体毛と黄色い羽を持った鳥型モンスターが現れる。

 

「さらに魔法カード【超進化薬・改】!【アーキオーニス】をいけに……リリースして発ドン!」

 

まだマスタールールでの言い回しに慣れてないのか、『生贄』と言いかけた剣山。

 

「このカードは、自分フィールドの鳥獣族モンスターをリリースして発動し、手札の恐竜族モンスター1体を特殊召喚するザウルス!現れろ!【究極恐獣(アルティメットティラノ)】!」

 

【究極恐獣】

攻撃表示

ATK3000/DEF2200

 

金の角を生やした黒い恐竜が現れる。まぁ、すぐいなくなるけどな。

 

「【エヴォルカイザー・ソルデ】の効果発動!相手がモンスターの特殊召喚に成功したときORUを1つ使い、そのモンスターを破壊する!」

「なっ!?ここにきてそんな効果アリザウルス!?」

 

批難ともとれる剣山の声を無視して、【ソルデ】の全身が青白く光り、【究極恐獣】を粒子にした。

 

「この布陣にどう挑むのか楽しみだったけどな。【ラギア】はORUを2つ使うことで魔法・罠の発動、モンスターの召喚・特殊召喚を無効にできるし」

「そ、それじゃあ先輩は、俺が【アーキオーニス】を召喚することを止めることもできたドン!?」

「そういうことになるな。だが決して嘗めているわけじゃない。結果的に残ったその手札を警戒した結果、【アーキオーニス】の召喚は通しても問題無いと判断しただけだ」

 

セットしてあるのは【砂塵のバリアーダスト・フォースー】ってのもあるしな。

剣山は手札を数秒見たあと、肩を落としてターンを終えた。

 

ティラノ剣山

LP2200

モンスター

魔・罠

手札1枚

 

「まだシンクロやエクシーズ、ペンデュラムが浸透してない現状で、えげつない布陣を用意したわね」

「か、【カリ・ユガ】を使えば倒せますよ!」

 

明日香が冷静に言う中、ジュンコがやけにピンポイントなこと言っていた。だがそれは【ソルデ】対策なだけで【ラギア】対策にはなってない。そう思っていたらももえが同じことをジュンコに言っていた。

 

「ぅぅ〜…………お兄ちゃん!これはどうしたら良いの!?」

 

ゆまは頭を抱えて必死に対策を考えていたが、ギブアップしていた。

というか今聞くな。

 

「あとで教えてやるから待ってろ。俺のターン、ドロー!このままバトル!【エヴォルカイザー・ラギア】でダイレクトアタック!」

 

【ラギア】が6枚の翼で風を起こした。風による攻撃らしい。炎属性なのに。それ言ったら十代の【フレイムウィングマン】も風属性なのに炎で攻撃するが……

 

「ぐわぁぁぁぁ!!」

 

ティラノ剣山

LP2200→-200

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「剣山君はどっか行ってなよ!」

「丸藤先輩が行けばいいドン!」

 

ゆま達女子陣が剣山と軽い挨拶を済ませ、俺達はゆま達に先程の俺が敷いた布陣の突破策を教えていた。教えるといっても、たった1枚のカードで済むわけだが。ちなみに丸藤と剣山は何かいがみ合っている。

 

「【ペンギン・ソルジャー】をセットして攻撃されるのを待つ。攻撃されたらリバース効果で【ラギア】も【ソルデ】も除去できる」

「ぺ、【ペンギン・ソルジャー】……」

「そんなカードに負けるのね……」

 

【ペンギン・ソルジャー】の存在を忘れていたジュンコは片頰をヒクヒクとさせ、雪乃は少し感心していた。

 

「あくまで『この布陣のままなら』ってだけなんだけどな。さっきの状況でまた【強制進化】されたら除去されて終わりだし。というか、シンクロとエクシーズはその殆どがバウンスに弱いから」

 

テスター仲間とゆまに言いながらデッキを片付け、まだいがみ合っている丸藤と剣山を見る。

あいつら仲悪いなぁ……




次回は翔がイエローに行くことになった話です。
相手のデッキが原型を留めてないですが……


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昇格 翔VS.胡蝶

思いっきりデッキ弄ったらこうなっちゃいました。


「明日香が?」

 

剣山と出会った翌日。

ゆまから連絡があった。

明日香が寮を出ていったらしい。こんな出来事あったか?疑問に思いつつ明日香のPDAにメールを送ってみる。数分後返信があり、レッド寮にいるらしい。ゆまに連絡して一緒にレッド寮に行く。

 

「明日香」

 

改修工事が終わったらしい万丈目の部屋に行ってみると、明日香がワインレッドのフリフリのドレスを持って十代、丸藤、剣山、万丈目と話していた。明日香の足下には大きな鞄が。

 

「あっ、龍斗」

 

俺とゆまに気付いた明日香に何故こうなったのか聞いてみる。

明日香によると、クロノスとナポレオン教頭とかいうちんちくりんのおっさんの2人が『アイドル養成コース』なる物を勝手に作り、その筆頭に明日香に声をかけたらしい。

…………海馬さんに言ったら……いや、『そんなくだらん事で連絡するな』とか言ってきそうだ。止めておこう。

そしてドレスはクロノスとナポレオンの暴挙の証拠として持ってきたらしい。

最近はレッド寮も潰そうとしているとかで十代が珍しく怒っていた。

 

「十代!大変だ!」

「わひゃあ!」

 

突如ドアが開けられ三沢がやってきた。いきなりのことでゆまがビックリしたのか変な悲鳴も聞こえたが……

 

「あれ、三沢。なんか久しぶり」

「そう言えばいたよね。三沢君」

「そういや同学年だったな。夏休み中会ってなかったから忘れてた」

 

十代、丸藤、俺の順で口にする。酷いと思ってはいるが、口が勝手に動いてしまった。三沢は少しだけ傷ついたように目を閉じ、『いたんだ』と呟いた。

 

「えっと……三沢さん、何かあったんですか?」

「あ、ああ」

 

ゆまが何があったのか聞こうとしたが、先に万丈目に促され、部屋の左側にコの字を左右反対にした配置で置かれているソファに座る。万丈目を一番奥にして、こちらこら見て右隣に明日香、丸藤、十代が座り壁側のソファを埋める。向き合う形に置かれたソファの一番ドアに近いところに三沢が。その左隣にゆま、俺、剣山が座る。

三沢の話によると、クロノスとナポレオンの策略というか、小物臭溢れんばかりの動きで丸藤とオベリスク・ブルーの生徒とデュエルすることが決まったらしい。

これを聞いた丸藤は驚き、十代は羨ましそうな顔をしていた。十代、お前そんなにデュエルしたいのか。

 

「相手の名は胡蝶蘭。これに勝てば、翔はラー・イエローへのランクアップが認められるらしい」

 

相手の名前に明日香が補足してくれた。

その胡蝶蘭とかいう生徒は、『インセクト・プリンセス』という渾名を持つブルーの中でも指折りのデュエリストらしい。使うデッキが丸わかりすぎる。

 

「渾名からして昆虫族使いか。【虫除けバリアー】入れればある程度止まるだろ。まだ昆虫族のシンクロもエクシーズも発売してないから、大掛かりなパワーアップはしてない」

 

ペンデュラムも【カレイドスコーピオン】しか出てきてない。【甲虫装機(インゼクター)】は出てこなくていい。世界が荒れる。

 

「でも、僕の【ビークロイド】も出てきてないッスよ」

 

弱々しい声で返す丸藤。万丈目は『荷が勝ちすぎてる』とコメント。十代は『相手が強ければ強い程燃える』と十代らしいセリフを言う。しかし丸藤は、『自分なんかじゃ皆の前で恥を晒すだけ』と言って部屋を出ていった。そして剣山が丸藤を追う。

 

「翔……」

「2年になっても、気の弱さは変わらないか」

 

まぁ、そう簡単に変わってもこちらが困るんだが。接し方とか。

 

「お兄ちゃん、なんとかならない?」

 

友人を助けてあげたいのだろう、ゆまが助けを求めてきた。

 

「……別にただ勝たせるのは簡単なんだが……」

「何か問題があるのか?」

 

渋る俺に三沢が問いかける。

 

「十代は実際に見たし、ゆまにも前に話したが、俺が前田にデッキを貸したことがあってな」

「デッキを?」

 

三沢に頷き返す。そして十代が思い出したように『あっ』と声を出した。

 

「隼人の父ちゃんとのデュエルのときか」

「ああ。俺が貸したデッキでデュエルした後、アイツが暴走して『自分が最強だ』なんてことを言い出したアレだ」

 

ゆまもそれを聞いて思い出したのか『でもその後、お兄ちゃんが戻したんでしょ?』と言う。

 

「あの気の弱さだからな。簡単に暴走しそうで怖い」

 

暴走する度に戻すのも面倒だし。というとゆまは頭を抱えて必死にアイデアを出そうとしていた。

結局ゆまにアイデアは浮かばず、長居しても仕方ないので解散し、それぞれ寮に戻ることになった。明日香はクロノス達に対する抗議のつもりか、万丈目の部屋で寝泊まりするらしい。そして万丈目は十代の部屋に。

十代、丸藤、剣山、万丈目とあの部屋で寝泊まりするとなったら狭すぎる気もするが、誰かを部屋に泊めるつもりはないので、万丈目と十代には何も言わずにブルー寮に戻る。

夕食と入浴を済ませ部屋に戻ると、PDAにメッセージが来ていた。

差出人は丸藤。

 

「カードの催促か……?」

 

そう思いながら見てみると、デッキの強化を手伝ってほしいという内容だった。俺のカードを使うつもりもないらしい。

……強化出来るのか?不安に思いつつ寮を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

不安と後悔を胸に抱いてデュエルフィールドの観客席に向かう。

昨日は十代にも見られたくないということで、ブルー寮まで戻ってデッキを弄ることになった。

最初は真面目にデッキを弄っていたが、丸藤の持ってるカードに偏りがあり、デッキに1枚しか入らずに断念をすることになるなど、思ったよりも時間がかかり、ヤケクソというか、深夜のテンションに任せてデッキを作った部分がある。

事故らないと良いんだが……

今日は平日だが、このデュエルを見たい生徒のために自習となっている。

丸藤というより『カイザーの弟がデュエルする』という話題性が観客を集めているようだが……

 

「あ、お兄ちゃん!こっちこっち!」

 

ゆまに呼ばれて隣に座る。

俺のいる場所は丸藤の後ろの席の一番奥から3番目の列で、通路側に雪乃、雪乃の左隣に俺、ゆまとなっている。

後ろにはジュンコ、ももえ、剣山が座り、一番奥には万丈目、十代、明日香が座っている。

…………誰かいないような気がするが……まぁいいや。

丸藤の相手の胡蝶蘭とかいう人は、赤紫のボリュームのある髪を腰のあたりまで伸ばした女子生徒だ。髪型がなんというか、虫の羽っぽい。俺の印象でしかないが。

 

「アナタが丸藤翔?地味な子ねぇ。亮サマの弟君だなんて、とても思えないわ」

 

胡蝶は右手で胸元のロケットを開ける。ここからだと中身は見えないが、先程のセリフからしてカイザーの写真でも貼ってあるんだろう。

十代と剣山は彼女の態度に憤慨。明日香の話では、カイザーの熱狂的なファンらしい。

胡蝶はオシリス・レッドとのデュエルには乗り気ではないが、勝てばクロノスがカイザーのいるプロリーグ、デュエル・ワールドリーグに紹介してくれるらしい。

 

「クロノス先生って、プロリーグにコネでもあるのか?」

「そんな話、聞いたこと無いけど……」

 

俺の疑問にジュンコが答える。ももえは補足として『カイザーは実力でワールドリーグに行ったはず』とも言っていた。

カイザーが行った実績とでも考えているのだろうが、カイザーまだプロ1年目だぞ。コネになるとは思えない。

 

「「デュエル!」」

 

胡蝶蘭

LP4000

 

VS

 

丸藤翔

LP4000

 

考えごとをしている間にデュエルが始まった。

先攻は胡蝶。昆虫族デッキ……どんなデッキになるのだろう……

 

「私の先攻!モンスターをセットしてターンエンド!」

 

胡蝶蘭

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

手札4枚

 

静かなスタート……

 

「僕のターン、ドロー!魔法カード【シールドクラッシュ】!フィールドの守備表示モンスター1体を破壊する!」

 

丸藤が発動した【シールドクラッシュ】によって、胡蝶の裏守備モンスター【代打バッター】が破壊された。

 

「【代打バッター】の効果発動!このカードが墓地に送られたとき、手札の昆虫族モンスターを特殊召喚できる。【ドラゴンフライ】を特殊召喚!」

 

【ドラゴンフライ】

守備表示

ATK1400/DEF900

 

脚が異常に発達し、腕にも見える巨大な蜻蛉が現れる。リクルーターだったか?

 

「守備力900……なら、【スチームロイド】を召喚!」

 

【スチームロイド】

攻撃表示

ATK1800/DEF1800

 

デフォルメされた蒸気機関車が現れる。前輪の軸が伸び、腕のようになっている。

 

「バトル!【スチームロイド】で【ドラゴンフライ】を攻撃!」

 

【スチームロイド】が突進し、【ドラゴンフライ】を跳ね飛ばす。

そして丸藤が小さくガッツポーズをとる。

 

「ふふ……【ドラゴンフライ】が戦闘で破壊されたことで、デッキから攻撃力1500以下の風属性モンスターを特殊召喚できる。現れろ!【アルティメット・インセクト LV3】!」

 

【アルティメット・インセクト LV3】

攻撃表示

ATK1400/DEF900

 

青い表面に赤と黄色で作られた目玉のような模様を持つ巨大なイモムシが現れる。口のあたりから薄紫色の体液がポタポタと垂れている。

 

「キモ……」

「お、お兄ちゃん!レベルモンスターだよ!確かに見た目は気持ち悪いけど、すっごく珍しいんだよ!」

 

ゆまがフィールドを見ないように顔をこっちに向け、両手を自身の顔の左側で視界を狭める。

お前正直だな。視界に入れたくないのか。

……俺もゆまのこと言えないか。『キモい』って言ったし。

 

「そうよ龍斗。未発売のカードをたくさん持ってるアンタからしたらどうでもいいのかもしれないけど、すっごくレアなんだから」

「そうです。万丈目さんの【アームド・ドラゴン】程ではありませんが、それでも滅多に見ることのないカードなんです!」

 

ジュンコとももえも、手で視界を狭めてこっちに顔向けて話しかけてくる。お前ら自分に正直すぎる。

 

「でも、所詮攻撃力1400ッス!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

丸藤翔

LP4000

モンスター

【スチームロイド】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「私のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ、【アルティメット・インセクト LV3】を墓地に送り、手札またはデッキから、【アルティメット・インセクト LV5】を特殊召喚する!」

 

【アルティメット・インセクト LV5】

攻撃表示

ATK2300/DEF900

 

【アルティメット・インセクト】が成長し、メタリックブルーの体となり、背中から生えた脚で体を支える虫になった。

 

「ひぅっ!」

 

チラッと見てしまったのか、ゆまが小さな悲鳴を上げた。

反対側に座る雪乃を見てみると、少し顔を顰めていた。

 

「雪乃、大丈夫か?」

「ええ。ちょっと見た目は気に入らないけど、大丈夫よ」

 

雪乃は大丈夫なようだが、後ろでジュンコが『キモッ!』と言ったり、ももえが俯いて【アルティメット・インセクト】を視界に入れないようにしている。

 

「あの虫さんの攻撃力は2300。丸藤先輩のモンスターじゃ敵わないドン」

 

剣山は見た目を気にしないようで、冷静に状況を見る。別にあのモンスターじゃなくても、【スチームロイド】は攻撃されたら攻撃力が下がるから、今の攻撃力は関係ないんだけどな。

 

「【アルティメット・インセクト LV3】の効果で特殊召喚されたこのモンスターがいる限り、相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする!」

 

【スチームロイド】

ATK1800→ATK1300

 

「【スチームロイド】の攻撃力が!」

「バトル!【アルティメット・インセクト LV5】で【スチームロイド】を攻撃!確か【スチームロイド】には、攻撃されたら攻撃力が500ダウンする効果もあったわね」

 

胡蝶がいやらしい笑みを浮かべながら言うと、丸藤はそれを忘れていたようで、ハッとした表情を浮かべる。

 

【スチームロイド】

ATK1300→ATK800

 

【アルティメット・インセクト】がカサカサと動き、尾の先についた二本の棘で【スチームロイド】を突き刺した。

 

「うわぁっ!」

 

丸藤翔

LP4000→2500

 

「私はこれでターンエンド!」

 

胡蝶蘭

LP4000

モンスター

【アルティメット・インセクトLV5】:攻

ATK2300

魔・罠

手札4枚

 

「諦めた?サレンダーしてもいいのよ」

「ま、まだッス!僕のターン、ドロー!」

 

胡蝶の挑発に似た発言に、丸藤は諦めないとカードを引く。

 

「お兄ちゃん、翔さん負けないよね。大丈夫だよね」

 

ゆまが心配そうに丸藤をチラチラと見ている。ジッと見ないのは、【アルティメット・インセクト】がいるからだと思う。

 

「まぁ、あのモンスターをどうにかする手段はいくつかある」

「本当!?」

 

期待が篭った眼差しで近寄ってくる。近い。凄く顔が近い。

 

「【パワー・ボンド】から【リミッター解除】までいけば、大抵の奴は一撃だろう」

「まさかの力技!?」

 

耳元で大声を出すな。他にも選択肢があるんだが、どれになるかは丸藤次第だからな……丸藤の手札に期待しよう。

 

「永続罠【リビングデッドの呼び声】!墓地から【スチームロイド】を特殊召喚!」

 

【スチームロイド】

攻撃表示

ATK1800/DEF1800→ATK1300

 

「そんなモンスター復活させてどうする気?」

「まだまだッス!【ステルスロイド】を召喚!」

 

【ステルスロイド】

攻撃表示

ATK1200/DEF0→ATK700

 

黒いV字型の飛行機が現れる。

 

「攻撃力1200?何を考えてるの?私の【アルティメット・インセクト】の効果で、攻撃力が下がるのよ。わかってるの?」

 

いや、今の丸藤のデッキにはアレがあるから……

 

「攻撃力なんて関係無いッス!フィールドにレベル4のモンスターを揃えることが重要なんッス!」

「レベル4のモンスターを揃える……!?まさか!?」

「お兄ちゃん、まさか翔さんにカードをあげたの?」

 

胡蝶を含めた全方位から視線がやってくる。なんで丸藤がパックとか構築済みデッキを買ったっていう発想が出ないんだ。

 

「昨日俺が言ったこと忘れるのはこの頭か?変なこと言うのはこの口か?」

「ふにやぁう〜!?」

 

左手で頭を揺らすように撫で、右手でゆまの両頬を円を描くようにこねると、ゆまが妙な悲鳴を上げた。

 

「俺はデッキ作成の手伝いをしたくらいで、カードは1枚足りともあげてない。わかったか?」

「う!うー!」

 

頬をこねられながらなのが原因か、返事がおかしかったが頷いていたので良しとしよう。

手を離すと、ゆまはあうあう言いながらこねられた頬をマッサージしていた。

 

「僕はレベル4の【スチームロイド】と【ステルスロイド】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4!【鳥銃士カステル】!」

 

【鳥銃士カステル】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500→ATK1500

 

丸藤が間違えて買ったというペンデュラムのパックで当てたスーパーレア枠。そして丸藤のデッキ唯一のエクシーズ。

ペンデュラムのパックは、まだペンデュラムモンスターの数が少ないからか、エクシーズやシンクロが紛れているらしい。

 

「【カステル】のモンスター効果!ORUを2つ使い、このカード以外の表側表示カードを対象に、そのカードをデッキに戻す!【アルティメット・インセクト】をデッキに!」

 

【カステル】が持っている銃を逆に持って【アルティメット・インセクト】に接近。体の右から左に向かってフルスイングし、フィールドの外に吹き飛ばした。

銃が【アルティメット・インセクト】に当たるとき、クシャァッ!と嫌な音が聞こえたが……

 

「【アルティメット・インセクト】がフィールドから消えたことで、僕のモンスターの攻撃力が元に戻る!」

 

【鳥銃士カステル】

ATK1500→2000

 

「バトル!【カステル】でダイレクトアタック!」

 

【カステル】が発砲。一発分の発砲音だが、胡蝶の体の数箇所に弾が当たった。散弾ってやつか。

 

「ぐぅっ!!」

 

胡蝶蘭

LP4000→2000

 

防戦一方となるかと思いきや、1ターンで反撃にでる丸藤に、ギャラリーが声援を送る。

 

「ターンエンド!」

 

丸藤翔

LP2500

モンスター

【鳥銃士カステル】:攻

ATK2000

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】

手札4枚

 

「【リビデ】なかったらキツかったな。でも【ドバーグ】入れるっていう選択肢もネタとしてはワンチャン……」

「宮田先輩」

「?」

「あ、宮田先輩じゃなくてこっちの宮田先輩ザウルス」

 

剣山が俺の呟きに突っ込もうと名前を呼んだら、ゆまが先に反応した。同じ『宮田』だしな。いつかはこんなことが起きるとは思っていた。剣山はゆまも『宮田』であることを考慮したのか、それぞれ下の名前で呼ぶことになった。

 

「私のターン、ドロー!【ドラゴンフライ】を召喚!」

 

【ドラゴンフライ】

攻撃表示

ATK1400/DEF900

 

「さらに魔法カード【孵化】を発動!【ドラゴンフライ】をリリースして、デッキから【ドラゴンフライ】よりレベルが1つ高い昆虫族モンスターを特殊召喚する!【アルティメット・インセクト LV5】を特殊召喚!」

 

【アルティメット・インセクト LV5】

攻撃表示

ATK2300/DEF900

 

「また出てきた!」

 

【アルティメット・インセクト】が本当に嫌なのか、ゆまが少し大きな声を出してしまった。

幸い、周囲も同じような声を出しているのでデュエルしている2人にゆまかどうかを判別できなかったが……聞こえてたら怒られてたかもな。

 

「【LV3】の効果で特殊召喚されたわけじゃないから攻撃力を下げられないけど、そのモンスターを倒すには充分ね。

バトル!【アルティメット・インセクト LV5】で【鳥銃士カステル】を攻撃!」

 

【アルティメット・インセクト】の棘で刺され消滅する【カステル】。

 

丸藤翔

LP2500→2200

 

「ターンエンド!」

 

胡蝶蘭

LP2000

モンスター

【アルティメット・インセクト LV5】:攻

ATK2300

魔・罠

手札3枚

 

丸藤のデッキにエクシーズはもう無い。【貪欲】入れてあるからそれで回収したいが、墓地にモンスターが3枚しか無いからそれも無理。魔法・罠による効果除去、高攻撃力モンスターを召喚の二択くらいか。

 

「僕のターン、ドロー!【サブマリンロイド】を召喚!」

 

【サブマリンロイド】

攻撃表示

ATK800/DEF1800

 

青と黄色の潜水艦が現れる。

 

「バトル!【サブマリンロイド】は相手プレイヤーに直接攻撃できる!ダイレクトアタック!」

 

【サブマリンロイド】が床に溶けるように潜り真っ直ぐ接近。1〜2m手前でUターンした直後、胡蝶の足下が爆発した。おそらく魚雷による攻撃だろう。

 

「ああぁぁぁ!」

 

胡蝶蘭

LP2000→1200

 

「【サブマリンロイド】は攻撃したあと、守備表示になる!」

 

【サブマリンロイド】

攻撃表示→守備表示

ATK800→DEF1800

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

丸藤翔

LP2200

モンスター

【サブマリンロイド】:守

DEF1800

魔・罠

【リビングデッドの呼び声】

伏せ1枚

手札3枚

 

「私のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【アルティメット・インセクト】はさらなる成長を遂げる!現れろ!【アルティメット・インセクト LV7】!」

 

【アルティメット・インセクト LV7】

攻撃表示

ATK2600/DEF1200

 

体の光沢が無くなり真っ青になり、大きな羽音を立ててフィールドを飛び出した。よく見ると、赤く光る粉が丸藤のフィールドに向かって飛んでいる。

 

「【LV5】の効果で特殊召喚されたこのモンスターがいる限り、相手モンスターの攻撃力と守備力が700ポイントダウンする」

 

【サブマリンロイド】

ATK800/DEF1800→ATK100/DEF1100

 

「さらに【アルティメット・インセクト LV3】を召喚!」

 

【アルティメット・インセクト LV3】

攻撃表示

ATK1400/DEF900

 

「バトル!【アルティメット・インセクト LV3】で【サブマリンロイド】を攻撃!」

 

【サブマリンロイド】に向かって、ゆっくりと進む【アルティメット・インセクト LV3】。無駄に動きがリアルだ。

 

「罠カード【進入禁止!No Entry!!】発動!フィールドの攻撃表示モンスター全てを、守備表示にする!」

 

黄色い輪が【アルティメット・インセクト】2体を縛りつける。

 

【アルティメット・インセクト LV3】

攻撃表示→守備表示

ATK1400→DEF900

 

【アルティメット・インセクト LV7】

攻撃表示→守備表示

ATK2600→DEF1200

 

「くっ……!ターンエンド!」

 

胡蝶蘭

LP1200

モンスター

【アルティメット・インセクト LV3】:守

DEF900

【アルティメット・インセクト LV7】:守

DEF1200

魔・罠

手札3枚

 

「アナタ、オシリス・レッドでも落ちこぼれで、遊城十代の腰巾着なんでしょう!?腰巾着なら腰巾着らしく、さっさとやられなさいよ!」

 

イライラを隠すことなく癇癪を上げる胡蝶。オシリス・レッドの生徒に苦戦しているというのが許せないのだろう。

オベリスク・ブルーの生徒はプライド高い奴が多いから、大して珍しくないが。

あ、でも女子はそうでもないのか?

 

「?どうしたのお兄ちゃん?」

「いや、なんでもない」

 

思わずゆまを見てしまう。ゆまはそれに気付いて僅かに首を傾げたが、『なんでもない』と言うとすぐにフィールドに目をやった。

 

「たしかに、僕は小さいころから背中を追いかけてきた。お兄さんやアニキの背中を……でも、もう決めたんだ!僕はもう追いかけない!強くなって、一緒に歩いて行くって!」

 

強い意志を感じさせる語気で言い返す丸藤。背後で十代が丸藤の名前を小さく呟いていた。

 

「僕のターン!魔法カード【ビークロイド・コネクション・ゾーン】発動!手札の【ドリルロイド】、【スチームロイド】、フィールドの【サブマリンロイド】を融合!【スーパービークロイドージャンボドリル】を融合召喚!」

 

【スーパービークロイドージャンボドリル】

攻撃表示

ATK3000/DEF2000→ATK2300/DEF1300

 

「…………」

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「いや、【ビークロイド・コネクション・ゾーン】なんてカード、入れて無いと思うんだが……【パワー・ボンド】と【融合】は入れたんだが……」

「ならあのカードと、【パワー・ボンド】を入れ替えたんだろう」

 

俺の疑問に何故か万丈目が答えた。

顔を半分だけ1番奥の席に向けると、十代が万丈目から受け取ったと思われる白い封筒から1枚のカードを取り出していた。

十代はカードを見ると、目を見開いて万丈目に掴みかかる寸前まで詰め寄った。おそらくあのカードが丸藤の【パワー・ボンド】なのだろう。

 

「なんて陰険なことするドン!」

 

状況を理解した剣山が席を立って限界まで詰め寄る。明日香も万丈目を非難しようと眉を吊り上げている。

 

「万丈目さんがこんなことをする方だったなんて……」

「ショックだわ……」

 

雪乃は興味無しと視線すら万丈目の方に向けない。

 

「そんな小物に成り下がったボウヤに興味は無いわ」

 

状況をわかってるのか聞こうとしたら、言いたいことはわかってるとばかりに先に言われた。

……まぁいいや。ゆまは……

 

「さ、サンダーさんがドロボーを……け、警察に……あ、でも盗ったカードは十代さんに渡したから……お兄ちゃん、弁護士さんって119番だっけ!?」

 

とんでもなくテンパっていた。

とりあえずゆまを落ち着かせていると、万丈目が丸藤から無理矢理渡されたと必死に自身を弁護していた。

まぁ俺としては勝てるからいいけど、何故【パワー・ボンド】を……

 

「バトル!【ジャンボドリル】で【アルティメット・インセクト LV7】を攻撃!【ジャンボドリル】は守備モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力を超えていれば、貫通ダメージを与える!」

「【アルティメット・インセクト】の守備力は1200……でも、それでも私のライフは残る!」

「速攻魔法【リミッター解除】発動!これで【ジャンボドリル】の攻撃力が倍になる!」

 

【スーパービークロイド・ジャンボドリル】

ATK2300→ATK4600

 

キュラキュラとキャタピラ音を響かせて【アルティメット・インセクト】を押し潰す。その際クシャァッと嫌な音が聞こえ、思わず顔を顰める。

【ジャンボドリル】はそのまま直進し、胡蝶を轢いた。

 

「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

胡蝶蘭

LP1200→-2200

 

丸藤は自分の勝利を知らしめるように、右手を高々と上げてVサイン。

後ろでは十代達が歓声を上げていた。

 

「お兄ちゃん、翔さん勝ったよ!すごいよ!」

 

ゆまは丸藤の勝利を自分のことのように喜んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【パワー・ボンド】に頼っていた、ね……」

 

デュエルに勝利したことで、丸藤はイエローに昇格できるようになり、丸藤はこれを承諾した。

万丈目や剣山は『クロノスの思う壺』だの『レッド寮の存続』だのと言って丸藤を止めようとする。

しかし、十代は丸藤の『強くなるためにイエローに行く』という思いを理解していて、丸藤の背中を押し、快くイエローに送り出した。

しかし、あくまでイエローに昇格しただけであって、レッド寮に泊まることの方が多いらしい。

十代の弟分に寮まで同じになった剣山といがみ合うことが増えたのは、必然だった。

アイツら進歩しないな……




裏設定的なものですが、翔のデッキには【ガイアナイト】と【ニトロ・シンクロン】が入ってるので、そこから【ユーフォロイド・ファイター】にも行けるという無茶な構成になってます。
次回は復活のツァンです。


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リベンジ VS.ツァン

このデッキの使い方、おかしいかもです。


「つまり、墓地=使い終わったカードを置く場所ではなく、第2の手札として使うことで……」

 

今年度初の月一試験を控えた俺達デュエルアカデミアの生徒・教師が泣きついてきた。

生徒側は『シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムの問題を解ける自信が無い』と。

教師側は『生徒達の答えに×をつけられる自信が無い』と。教師しっかりしてくれ。

これも一気に3種類も導入した結果だろうと諦め、俺が生徒側に講義するような形で各召喚の基礎と実戦で見られるパターンを教え、他のテスターには教師を任せた。十代には無理だと思うので女子にしか任せてないが……

テスト1週間前に1日1種類の召喚法を教えているのだが、問題の作成は間に合うのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして試験当日。

筆記は終わって現在昼休み。十代、丸藤、剣山、明日香、ジュンコ、ももえ、雪乃、ゆまといった顔なじみの連中と食事だ。何故かゆまが張り切って弁当を用意してくれたが、お前勉強したのか?

俺は復習を兼ねた講義のお陰か、ほぼ全ての問題をあっさり解くことができた。厄介だったのは通常モンスターのフレーバーテキストと、絶版になっているであろう半端なステータスのモンスターの名前を聞いてくる問題。

レベル2の地属性・炎族、攻撃力400守備力450の通常モンスターっていたのか?

俺の永遠の課題は通常モンスター……というより初期に販売されたカード達になりそうだ。

 

「龍斗君。その玉子焼きを」

「やらん」

「龍斗先輩。そのアスパラベーコンを」

「やらん」

 

さっきから丸藤と剣山が俺の弁当からおかずを貰おうとしてくるが、言い切る前に拒否してやる。お前ら購買で買った弁当があるだろうが。

 

「なんでさ!?なんで分けてくれないの!?」

「そうだドン!女子お手製の弁当なんて羨ましすぎるザウルス!」

 

立ち上がって俺を指差す丸藤と剣山。お前らなんでこういうときだけ仲良いんだよ……

ゆまは俺の隣で苦笑いしているだけで関わる気はないらしく、明日香とジュンコは笑いもせず俺と丸藤、剣山のやり取りを見ている。

 

「ゆまさんを巡って3人の殿方が争う……ドロドロの展開です!」

 

ももえは凄く楽しそうだ。十代は完全に我関せずといった感じで、丸藤の弁当からおかずを取っていた。無断で。

 

「ゆま。明日は私が龍斗のお弁当を作るから、龍斗の好き嫌いを教えてくれるかしら?」

「お兄ちゃんのですか?えっと……」

 

雪乃が空気を読まずゆまに俺の弁当を作ると言いだした。そしてゆまはなんでもないように俺の好きな食べ物から答えていく。

 

「龍斗君なんて爆発すればいいッスー!」

「龍斗先輩なんて刺されればいいザウルスー!」

 

雪乃の発言の直後、丸藤と剣山は物騒なセリフを残してどこかに走り去って行った。

しばらくすると丸藤と剣山の弁当を十代が平らげていた。お前、3人前……

昼休みを終え、実技試験が始まる。皆同じ寮の生徒とデュエルしていく。

 

「【ダーク・ロウ】でダイレクトアタックです!」

 

ゆまは珍しく危なげなく勝利。俺達相手だとよく事故るのにな。

 

「【ホープ・ザ・ライトニング】で攻撃!ORUを2つ使い、攻撃力を5000にする!」

 

ジュンコは【RR】から一旦離れ、【代償ガジェット】で【ホープ・ザ・ライトニング】を召喚し相手を圧殺していた。相手も【ホープ】を召喚していたが、進化系には勝てなかった。

 

「【ドゥローレン】の効果で【安全地帯】を手札に戻して【ガイアナイト】を破壊!そのままダイレクトアタック!」

「【ビースト】と【パルキオン】でダイレクトアタックです!」

「【エッジマン】で【ガチガチガンテツ】を攻撃!パワー・エッジ・アタック!」

 

十代と明日香、ももえはいつも通りだった。

試験を終えたゆま達を労い、俺と雪乃の番になった。雪乃と当たるのかと思いながらフィールドに行くと、ピンクのショートカットをウェーブさせた女子生徒、ツァン・ディレがいた。

どうやら俺の相手は彼女らしい。

 

「ようやくアンタを倒す切り札が手に入った。今日ここでリベンジしてやる!」

 

気合い十分とデュエルディスクを展開するディレ。

俺もデッキをシャッフルしてデッキホルダーにセットし、デュエルディスクを展開した。

 

「「デュエル!」」

 

ツァン・ディレ

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「ボクの先攻!ボクは【六武衆ーザンジ】を召喚!」

 

【六武衆ーザンジ】

攻撃表示

ATK1800/DEF1300

 

赤茶色の鎧を着て、薙刀を持った男が現れる。【門】と【結束】は引かなかったのか。

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

ツァン・ディレ

LP4000

モンスター

【六武衆ーザンジ】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………手札にモンスターがいない……流石にモンスター少なすぎたか?罠だらけだぞ。

 

「カードを5枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ5枚

手札1枚

 

「ごっ、5枚!?ターンエンド!?」

「ちょっと龍斗!今アナタ変なこと言わなかった!?」

 

正面のディレは慌て、隣のフィールドでデュエルしている雪乃からもツッコミがきた。落ち着いているのは俺だけで、デュエルを見ている生徒・教師は周囲の人とアレコレ話し合っている。

 

「ふ、ふざけてるの!?」

「いたって大真面目だ。手札にモンスターがいない以上仕方ないだろ」

 

周囲から『手札事故』だの『ブラフ』だのと聞こえる。

 

「……なら、このままアンタを倒すだけ!ボクのターン、ドロー!永続魔法【六武の門】を発動!」

 

トップ【門】か……残る手札が何か気になるな。

 

「【六武衆ーニサシ】を召喚!」

 

【六武衆ーニサシ】

攻撃表示

ATK1400/DEF700

 

緑の鎧を着て、長さが異なる刀を2本持った男が現れる。長い刀は右手に、短い方を左手に逆手持ちしている。

 

「【ニサシ】は他の【六武衆】がいるなら1ターンに2回攻撃できる!さらに【門】にカウンターが乗る!」

「今のうちに発動しておこう。罠発動【針虫の巣窟】!チェーンは?」

 

ディレは俺が発動したカードのテキストを読んだあと、『無いよ』と返した。

 

「なら俺がチェーンする。罠発動【幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダーク・ガントレット】!」

 

『これには?』と問うと、ディレはまた『無い』と返した。まぁ、【六武衆】でカウンターといったら【六尺瓊勾玉(むさかにのまがたま)】くらいだと思うしな。

 

「チェーン2、【ダーク・ガントレット】の効果で、デッキから【ファントム】魔法・罠を墓地に送る!【幻影騎士団シャドーベイル】を墓地に!」

 

これでダメージを抑えることができる。

 

「チェーン1、デッキの上から5枚を墓地に送る」

 

【幻影騎士団サイレントブーツ】

【幻影騎士団ダスティローブ】

【幻影騎士団ラギッドグローブ】

【幻影騎士団クラックヘルム】

【幻影騎士団フラジャイルアーマー】

 

…………モンスターしか落ちてない。そしてデッキに入れた【幻影騎士団】モンスター全種類が落ちた……墓地でも動けるカテゴリーだから良いんだが……手札にモンスターが……悩ましい。

 

「バトル!」

「永続罠【幻影霧剣(ファントム・フォッグ・ブレード)】!【六武衆ーニサシ】を対象にして発動!このカードがフィールドに存在する限り、対象モンスターは攻撃できず、攻撃対象にならず、効果が無効化される!」

 

【ニサシ】に【幻影霧剣】が装備され、そこから白い霊のようなモノが現れ【ニサシ】に取り憑く。

すると【ニサシ】の表情が虚ろになり、ダラリと腕を下ろした。

 

「【ニサシ】!?くっ……でもまだ【ザンジ】が残ってる!ダイレクトアタック!」

「墓地の罠、【幻影騎士団シャドーベイル】を発動!」

「墓地の罠!?」

 

俺の講義を聞いてなかったのか、墓地からカードを使ったことに驚くディレ。

 

「相手モンスターのダイレクトアタック宣言時に発動し、このカードを通常モンスター扱いで守備表示で特殊召喚する!」

 

【幻影騎士団シャドーベイル】

守備表示

ATK0/DEF300

 

「でも所詮守備力300!【ザンジ】!攻撃して!」

 

【ザンジ】が【シャドーベイル】を切り裂く。

 

「このカードの効果で特殊召喚された【シャドーベイル】は除外される」

「ボクはこれでターンエンド!」

 

ツァン・ディレ

LP4000

モンスター

【六武衆ーザンジ】:攻

ATK1800

【六武衆ーニサシ】:攻

ATK1400

魔・罠

【六武の門】《武士道カウンター:2》

伏せ2枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!……魔法カード【増援】発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスターを手札に加える!【幻影騎士団ラギッドグローブ】を手札に加え、墓地の【幻影騎士団ダスティローブ】の効果発動!」

「今度は墓地からモンスターを……」

「墓地のこのカードを除外し、デッキから【ダスティローブ】以外の【幻影騎士団】カードを手札に加える!【幻影騎士団サイレントブーツ】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「そして【幻影騎士団ラギッドグローブ】を召喚!」

 

【幻影騎士団ラギッドグローブ】

攻撃表示

ATK1000/DEF500

 

青黒い簡素な鎧で青い炎の体を包み、肘のあたりまで腕を隠すほど大きな手甲を装備したモンスターが現れる。

 

「このモンスターは、俺のフィールドに【幻影騎士団】モンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる!【幻影騎士団サイレントブーツ】を特殊召喚!」

 

【幻影騎士団サイレントブーツ】

攻撃表示

ATK200/DEF1200

 

茶色の革の衣装を着た人影が現れる。

 

「俺はレベル3の【ラギッドグローブ】と【サイレントブーツ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

戦場に倒れし騎士たちの魂よ。今こそ蘇り、闇を斬り裂け!エクシーズ召喚!ランク3!【幻影騎士団ブレイクソード】!」

 

【幻影騎士団ブレイクソード】

攻撃表示

ATK2000/DEF1000

 

【シャドーベイル】のように馬に乗った騎士の構図だが、乗っているのは全身鎧の馬に似た別の動物で騎士の脚が動物の体に埋まっている。さらに得物は先が折れた金の大剣で、それを片手で担いでいる。

 

「ORUとなった【ラギッドグローブ】の効果!」

「ORUになったモンスターの効果!?」

「このカードを素材にした闇属性エクシーズモンスターに効果を与える!【ラギッドグローブ】の効果を得た【ブレイクソード】の効果発動!エクシーズ召喚に成功した場合、自身の攻撃力を1000ポイントアップする!」

 

【幻影騎士団ブレイクソード】

ATK2000→ATK3000

 

「こ、攻撃力3000!」

 

ディレが驚いているが、問題はここからだ。召喚成功時に何も無いとなると、ディレのリバースカードは【奈落】のような召喚反応型の罠ではない可能性が高くなった。残るは攻撃反応型とカウンター罠、フリーチェーンの別物。

【ブレイクソード】の効果を使えば、ディレのフィールドのカード1枚を破壊できるが、六武衆のカウンター罠【六尺瓊勾玉】がある…………動いていいか。

仮に破壊されても、効果で素材が特殊召喚される。そこから切り返せるからな。

 

「【ブレイクソード】の効果!互いのフィールドのカード1枚ずつを対象に発動!対象となったカードを破壊する!【幻影霧剣】と【ザンジ】を対象にする!」

「【ザンジ】の効果で、【ニサシ】を代わりに破壊する!【ニサシ】、ごめん!」

 

【ブレイクソード】が駆け出し、【ザンジ】を斬ろうと迫るが、【ザンジ】を押し退けて【ニサシ】が前に出て【ザンジ】を庇う。本来対象にしたカードでないにしろ相手のカードを破壊した【ブレイクソード】は、続いて【幻影霧剣】を踏み倒した。

 

「バトル!【ブレイクソード】で【ザンジ】を攻撃!」

「罠発動!【和睦の使者】!このターン、ボクのモンスターはバトルで破壊されず、ボクが受ける戦闘ダメージは0になる!」

 

【ブレイクソード】が【ザンジ】に向かって駆け出すと、ディレが発動した【和睦の使者】のカードから人が数人現れ、ブツブツと何かを唱えると光の球が出現し、【ブレイクソード】に向かって発射。【ブレイクソード】はこれを回避するが、近づくのは危険と判断して攻撃を止めた。

…………和睦する気ないだろ。徹底抗戦の構えじゃねぇか。

 

「……墓地の【幻影騎士団フラジャイルアーマー】の効果!墓地のこのカードを除外し、手札の【幻影騎士団】カード、または【ファントム】魔法・罠……【幻影騎士団シャドーベイル】を墓地に送って発動!」

「チェーンは無いよ」

 

聞こうと思ってたことを先に言われた。まぁ楽だからいいけど。

 

「ならカードを1枚ドローする!」

 

宮田龍斗

手札0枚→1枚

 

「…………ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【幻影騎士団ブレイクソード】:攻

ATK3000

魔・罠

伏せ2枚

手札1枚

 

「ボクのターン、ドロー!魔法カード【死者蘇生】!ボクの墓地から【ニサシ】を特殊召喚!」

 

【六武衆ーニサシ】

守備表示

ATK1400/DEF700

 

「【ニサシ】を特殊召喚したことで、【六武の門】にカウンターが乗る!そして4つ溜まったカウンターを取り除いて、デッキから【六武衆の師範】を手札に加える!」

 

ツァン・ディレ

手札1枚→2枚

 

「このカードは、ボクのフィールドに【六武衆】がいる場合、手札から特殊召喚できる!【六武衆の師範】を特殊召喚!さらに【門】にカウンターが乗る!」

 

【六武衆の師範】

攻撃表示

ATK2100/DEF800

 

「そしてチューナーモンスター【ハネワタ】を召喚!」

 

【ハネワタ】

攻撃表示

ATK200/DEF300

 

毛球に羽と触角、口と目を貼り付けたようなモンスターがポンッという音もともに現れた。

チューナー……シンクロか。でも何故【ハネワタ】?それしか無かったのか?

 

「レベル4の【ザンジ】と【ニサシ】に、レベル1の【ハネワタ】をチューニング!」

 

レベルの合計は9……そしてこの時期に【トリシューラ】はいなかった筈だから……

 

「シンクロ召喚!これがアンタを倒す切り札!レベル9!【ミスト・ウォーム】!」

 

【ミスト・ウォーム】

攻撃表示

ATK2500/DEF1500

 

体と同じ紫色の煙を出している虫が現れる。

 

「【ミスト・ウォーム】の効果発動!シンクロ召喚に成功したとき、相手フィールドのカードを3枚まで手札に戻せる!アンタのフィールドのカードは3枚。全部手札に戻す!」

 

【ミスト・ウォーム】がディレの周囲で円を描くように回ると、体から出ている煙がこちらにやってきて、【ブレイクソード】とリバースカード2枚を消し去った。これ、『除外』か『墓地に送る』のほうが正しいと思うんだが……

 

宮田龍斗

手札1枚→3枚

 

「これで邪魔者は消えた!バトル!【ミスト・ウォーム】でダイレクトアタック!」

 

【ミスト・ウォーム】が錐揉みしながら俺の横を通り過ぎ、衝撃波が俺を襲う。

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

宮田龍斗

LP4000→1500

 

「これでトドメ!【六武衆の師範】でダイレクトアタック!」

「さっき俺が【シャドーベイル】を捨てたのを忘れたか!墓地の罠【幻影騎士団シャドーベイル】と【幻影騎士団ダーク・ガントレット】の効果発動!【シャドーベイル】は相手のダイレクトアタック宣言時に、【ダーク・ガントレット】は俺のフィールドにカードがない場合に、相手のダイレクトアタック宣言時に発動できる!【シャドーベイル】を通常モンスター、【ダーク・ガントレット】を効果モンスター扱いで、守備表示で特殊召喚する!」

 

【幻影騎士団シャドーベイル】

守備表示

ATK0/DEF300

 

【幻影騎士団ダーク・ガントレット】

守備表示

ATK300/DEF600

 

【シャドーベイル】とともに、腕と胴体、頭だけの鎧が【師範】の前に現れる。

 

「この効果で特殊召喚された【ダーク・ガントレット】は、墓地の【ファントム】魔法・罠1枚につき、守備力が300ポイントアップする!俺の墓地の【ファントム】魔法・罠は1枚。よって300ポイントアップ!」

 

【幻影騎士団ダーク・ガントレット】

DEF600→DEF900

 

「でもどっちも【師範】の敵じゃない!【シャドーベイル】を攻撃!」

 

【師範】が再び動き、【シャドーベイル】を斬り裂いた。

 

「俺の【幻影騎士団】モンスターが破壊されたことで、手札から【幻影騎士団フラジャイルアーマー】の効果発動!このモンスターを特殊召喚する!」

 

【幻影騎士団フラジャイルアーマー】

守備表示

ATK1000/DEF2000

 

青いプレートと、骨を思わせる装飾の鎧が現れる。鎧と鎧の間から青い炎が漏れ、首の部分に顔は無い。

隣のデュエルフィールドから小さな悲鳴が聞こえた気がしたが、無視して前を見る。

 

「ボクのターンにモンスターを並べた……エクシーズはさせない!罠発動【六武衆推参!】。墓地の【ザンジ】を特殊召喚!」

 

【六武衆ーザンジ】

攻撃表示

ATK1800/DEF1300

 

「【門】にカウンターが乗るよ。そしてこれはバトルフェイズ中の召喚だから攻撃できる!【ダーク・ガントレット】を攻撃!」

 

【ダーク・ガントレット】が【ザンジ】に蹴り飛ばされる。せめて斬れよ。

 

「ターンエンド!この瞬間、【六武衆推参!】の効果で特殊召喚された【ザンジ】は破壊される」

 

ツァン・ディレ

LP4000

モンスター

【ミスト・ウォーム】:攻

ATK2500

【六武衆の師範】:攻

ATK2100

魔・罠

【六武の門】《武士道カウンター:4》

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!墓地の【幻影騎士団ラギッドグローブ】の効果!このカードを除外して発動し、デッキから【幻影騎士団】カード、または【ファントム】魔法・罠を墓地に送る!【幻影翼(ファントム・ウィング)】を墓地に送る!」

「罠を墓地に……またボクの攻撃を防ぐつもり……?」

 

ディレが警戒するようにデュエルディスクを構え直す。本当は俺だって【シャドーベイル】とか落としておきたかったんだけどな。先に落として今の手札みたいになったら負ける可能性高くなりそうだったからな……

 

「今墓地に送った【幻影翼】を除外して、同じく墓地の【幻影騎士団クラックヘルム】を対象に、【幻影翼】の効果発動!対象モンスターを特殊召喚する!」

 

【幻影騎士団クラックヘルム】

守備表示

ATK1500/DEF500

 

騎士甲冑の手と頭の部分だけのモンスター。しかし顔を守る部分が割れ、中の顔が見えている。

【クラックヘルム】を見たのか、(雪乃)の声が震えてる。

 

「りゅ、龍斗っ!早くそのモンスターを消して!今すぐに!」

 

アイツ俺に声かける余裕があるみたいだな。チラッと見てみると、目を閉じて顔を背けていた。必死だった。

 

「……レベル4の【クラックヘルム】と【フラジャイルアーマー】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う、反逆の牙!今降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】!」

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

【ダーク・リベリオン】が現れた、というより【フラジャイルアーマー】と【クラックヘルム】が消えたことに対して、雪乃がホッと息を吐いた。お前本当にホラー苦手だな。

 

「【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】のモンスター効果!ORUを2つ使い、相手モンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分【ダーク・リベリオン】の攻撃力をアップする!【ミスト・ウォーム】を効果の対象に!」

「っ!さっき倒せてたら……いや、ボクの手札、向こうの墓地からしてどうしても……」

「トリーズン・ディスチャージ!」

 

【ダーク・リベリオン】の翼から紫電が走り、【ミスト・ウォーム】に伸び、力を奪う。

 

【ミスト・ウォーム】

ATK2500→ATK1250

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】

ATK2500→ATK3750

 

「バトル!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】で【ミスト・ウォーム】を攻撃!反逆のライトニング・ディスオベイ!」

 

【ダーク・リベリオン】が飛翔し、低空飛行しながら、顎から伸びている刃で床を抉り、【ミスト・ウォーム】に突き刺した。

 

「くぅっ……!」

 

ツァン・ディレ

LP4000→1500

 

「カードを3枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP1500

モンスター

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】:攻

ATK3750

魔・罠

伏せ3枚

手札0枚

 

「くっ……ボクのターン、ドロー!……【六武の門】のカウンター4つを取り除いて、デッキから【六武衆の露払い】を手札に加える!」

 

ツァン・ディレ

手札1枚→2枚

 

「【ミスト・ウォーム】だけでアンタを倒そうだなんて思ってない。他にも対策は用意してる!【六武衆の露払い】を召喚!」

 

【六武衆の露払い】

攻撃表示

ATK1600/DEF1000

 

他の【六武衆】とは異なり鎧は着ておらず、僧侶のような出で立ちの女性が現れる。

 

「【六武衆の露払い】の効果発動!他の【六武衆】がいるときに、【露払い】をリリースしてアンタのモンスターを破壊する!」

「永続罠【幻影剣(ファントム・ソード)】!【ダーク・リベリオン】を対象に発動し、対象モンスターの攻撃力を800ポイントアップする!」

「いくら攻撃力を上げても、【露払い】の効果で破壊されるよ!」

「そして、対象モンスターが破壊される場合、このカードを身代りにできる!」

「そんなっ!?」

 

【露払い】が【ダーク・リベリオン】に飛びかかるが、【幻影剣】から放たれた骸骨の柄をもつ剣に貫かれ、【露払い】と【幻影剣】の両方が消滅した。

 

「くっ……!【師範】を守備表示に変更……」

 

【六武衆の師範】

攻撃表示→守備表示

ATK2100→DEF800

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

ツァン・ディレ

LP1500

モンスター

【六武衆の師範】:守

DEF800

魔・罠

【六武の門】《武士道カウンター:2》

伏せ1枚

手札0枚

 

悔しそうに歯噛みしながらターンを終えるディレ。

今のうちに攻めたいところか。

 

「俺のターン、ドロー!」

「罠発動【強制脱出装置】!今度こそ、そのモンスターには消えてもらうよ!」

 

執念と言ってもいいと思えるディレの行動に、【ダーク・リベリオン】がフィールドから摘み出された。

 

「……墓地の【幻影剣】を除外し、墓地の【幻影騎士団クラックヘルム】を対象に【幻影剣】のさらなる効果発動!」

「っ!また墓地からモンスターを召喚する気!?」

「ちょっ、龍斗!?なんでそのモンスターなの!?」

 

俺が【クラックヘルム】を対象にしただけで雪乃が迫ってきた。アイツも試験中のはずと思いながら見てみると、すでに決着がついていた。

 

「雪乃、俺はまだ試験中なんだが」

「そんなのはどうでもいいの。重要なのは、龍斗が私の苦手なモンスターを使おうとしてるということよ」

 

そりゃあお前にとって俺の試験結果なんてどうでもいいだろう。『俺にとっては試験結果は重要なんだよ』と言って雪乃をフィールドから押し出し、ディレに向き直る。

 

「…………【幻影剣】の効果で、対象モンスターを特殊召喚する!」

 

【幻影騎士団クラックヘルム】

守備表示

ATK1500/DEF500

 

「さらに罠発動【幻影騎士団シェード・ブリガンダイン】!このカードを通常モンスターとして、守備表示で特殊召喚する!」

 

【幻影騎士団シェード・ブリガンダイン】

守備表示

ATK0/DEF300

 

肩まで覆いそうなY字の鎧が現れる。ただ、隠せるのが肩と胸の部分くらいしかない。

 

「レベル4の【クラックヘルム】と【シェード・ブリガンダイン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う、反逆の牙!今降臨せよ!エクシーズ召喚!再び現れろ!ランク4!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】!」

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の効果発動!トリーズン・ディスチャージ!」

 

再び【ダーク・リベリオン】の翼から紫電が走る。

 

【六武衆の師範】

ATK2100→ATK1050

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】

ATK2500→ATK3550

 

「バトル!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】で【六武衆の師範】を攻撃!反逆のライトニング・ディスオベイ!」

 

【ダーク・リベリオン】の顎が【師範】の胸を貫いた。

 

「カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP1500

モンスター

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】:攻

ATK3550

魔・罠

伏せ2枚

手札0枚

 

「ボクのターン、ドロー!魔法カード【貪欲な壺】!墓地の【ザンジ】

【師範】

【ニサシ】

【ミスト・ウォーム】

【露払い】をデッキに戻して2枚ドロー!」

 

ツァン・ディレ

手札0枚→2枚

 

ドローしたカードを確認すると、ディレは一瞬顔を顰めたが、すぐに表情を戻して1枚のカードをこちらに見せた。

 

「魔法カード【増援】!デッキから【六武衆の露払い】を手札に加えて召喚!」

 

【六武衆の露払い】

攻撃表示

ATK1600/DEF1000

 

「これで【六武の門】にカウンターが溜まった!4つ取り除いて【師範】を手札に加えて、自身の効果で特殊召喚!」

 

【六武衆の師範】

攻撃表示

ATK2100/DEF800

 

「【露払い】の効果発動!【露払い】自身をリリースして、【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】を破壊する!」

 

俺のターンでも使えたが、セットして正解だったな。

そう思いながらセットしたカードを発動する。

 

「リバースカードオープン!速攻魔法【RUMー幻影騎士団ラウンチ】!」

「【RUM】!?」

「このカードは、互いのターンのメインフェイズに、ORUを持たない闇属性エクシーズモンスター1体を対象に発動!対象は当然【ダーク・リベリオン】!

そして、対象モンスターとこのカードを素材に、ランクが1つ高い闇属性エクシーズモンスターにランクアップする!」

「魔法カードまで素材に!?」

 

ディレが若干前のめりになった。まぁ、ORUが2つになるから、気持ちはわかる。

 

「【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】で、オーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!

煉獄の底より、いまだ鎮まらぬ魂に捧げる、反逆の歌!永久に響かせ現れよ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!出でよ、ランク5!【ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン】!」

 

【ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

【ダーク・リベリオン】に骨のような装飾、手首に刃を付けた竜が現れる。

 

「対象を失ったことで、【露払い】の効果は不発となる」

「くっ……カードを1枚伏せて、ターンエンド……」

 

ツァン・ディレ

LP1500

モンスター

【六武衆の師範】:攻

ATK2100

魔・罠

【六武の門】《武士道カウンター:2》

伏せ1枚

手札0枚

 

「俺のターン、ドロー!【ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン】の効果発動!【ダーク・リベリオン】を素材にしている場合、1ターンに1度、ORUを1つ使い、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象に発動する!対象モンスターの攻撃力を0にし、その元々の攻撃力分、このカードの攻撃力をアップさせる!」

「攻撃力を0に!?」

「レクイエム・サルベーション!」

 

【ダーク・レクイエム】の翼の付け根あたりにある大小異なる4つの球体から、黒い靄が飛び出し、【師範】を拘束し抵抗力を奪う。攻撃力を上げるエフェクトが無いのは何故だ。

 

【六武衆の師範】

ATK2100→ATK0

 

【ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン】

ATK3000→ATK5100

 

「こ、攻撃力5100……!?」

 

ディレが1歩2歩と後退りながら【ダーク・レクイエム】を見る。

 

「バトル!【ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン】で、【六武衆の師範】を攻撃!」

「と、罠発動!【聖なるバリアーミラー・フォースー】!」

「……あのときのように【次元幽閉】なら良かったのにな!罠発動【幻影翼】!【ダーク・レクイエム】の攻撃力を500ポイントアップさせ、このターン、【ダーク・レクイエム】は1度だけ戦闘・効果では破壊されない!」

 

ディレの【ミラフォ】から虹色の光が幾つも飛んでくるが、青い光が【ダーク・レクイエム】を包み、光を防ぐ。

そして【ダーク・レクイエム】が飛び立つと翼を広げ、骨格の間の空間がステンドグラスのように光り出す。

 

【ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン】

ATK5100→ATK5600

 

「鎮魂のディザスター・ディスオベイ!」

 

【師範】に向かって滑空し、【師範】を顎の刃で貫き、そのままディレにまで突っ込む。

 

「きゃあぁぁぁぁああ!!」

 

ツァン・ディレ

LP1500→-4100

 

激突する際に起こる風に乗って、ディレの悲鳴が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試験を無事終え、丸藤、剣山、明日香、ジュンコ、ももえ、雪乃、ゆまと筆記試験の自己採点と比較をしようと集まったのだが……

 

「…………」

 

何故かゆまがディレを連れて来た。

妙な心地悪さを覚えながら自己採点し、他の奴と比較する。

 

「翔さん勝負!82点!」

「負けたッスー!」

 

丸藤は頭を抱えて、62点という微妙な点数の試験用紙を落とす。ゆま、お前結構高いな。

 

「龍斗、勝負よ!」

 

雪乃に挑まれて無言で試験用紙を見せる。右上に96点と書かれている。

 

「…………」

 

雪乃は何も言わずに戻っていった。あいつ何点なんだ……?

 

「ちょっ、ツァンさん何ですかその点数!!」

 

雪乃との勝負の直後、ももえの声が響いた。相手はディレらしい。

何事かと全員が集まってディレの試験用紙を見る。

そこには、100と書かれていた。

ディレはかなり、いや、とんでもなく優秀なやつだった。




何気にゆまの成績が良かった件。
次回は超大画面テレビを見る話です。


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観戦 エドVS.亮

お久しぶりです。
生きてます。


月一試験から数日、今日はプロデビュー以来10戦負けなしのカイザーと、30戦負けなしのエド・フェニックスのデュエルが行われるということで、教師公認の下、教室に集まって生徒・教師全員でデュエルを見ることに。

3学年全員が1つの教室に入るのは無理なので、各学年ごとに集まって観戦する。

十代、丸藤、剣山、明日香、ジュンコ、ももえ、雪乃、ゆま、万丈目、月一試験以後一緒にいるようになったディレ、そして俺で固まって席に着く。

俺達は横3列で座り、右からジュンコ、ももえ、雪乃、ゆまが最前列に座り、明日香、十代、ディレ、俺が中央に。

最後列に、一席開けて万丈目、剣山、丸藤が座る。

 

「お兄ちゃん、ツァンさん!どっちが勝つと思う?」

 

ゆまはこちらに振り返って俺とディレに話しかけてくる。

どちらが勝つか……。

 

「カイザーかな。エクシーズ渡したし」

「ボクも……ってエクシーズモンスターを渡した!?なんで!?なんで渡したの!?」

 

俺の意見に同調したディレが、物凄い勢いでこちらに顔を向けた。

俺の両肩を掴んで前後に揺すってくる。

ゆまが慌てて止めようとするが、ディレは止まる様子がない。

 

「カイザーになら渡してもいいと思っただけだ。他意は無い」

 

揺すられながら答える。

直後に解放され、乱れた髪を整える。

ディレは何か言おうとしていたが、丸藤と剣山、万丈目、十代を見た後、少し下を向いて、『フンッ!』と不機嫌そうに前を見て、

 

「女たらし」

 

と口にした。

この数日でわかったのだが、ディレは俺に対してちょくちょく罵倒してくる。

俺以外にもしているが、他の連中に対しては『バカ』とシンプルに罵しるのだが、何故か俺に対してだけはレパートリーが多い。

昨日はゆまがデュエル理論の授業で問題に正解し、褒めてやったら『シスコン』と言われ、その前は雪乃が腕に絡んできただけで『変態』と言われた。

傷心しながら前を見ると、ちょうど中継が始まった。

好カードということもあってか、会場は超満員で、観客は今か今かと待ちわびているようだ。

デュエルフィールドに青い火柱が上がり、床下からカイザーとエドが現れた。

2人とも女性のファンが多いのか、登場とともに黄色い声が上がる。

それを聞いた万丈目が、面白くなさそうに着席したまま体育座りした。器が小さい。

 

「バカみたい」

 

小さく呟いたディレの一言が万丈目の心をダイレクトアタックし、万丈目が真っ白になった。

 

[君がエド・フェニックスか。デュエルアカデミアでは入れ替わりになってしまったが、いつか戦いたいと思っていた]

 

カイザーはデッキをデュエルディスクにセットしながらエドに話しかける。

 

[お手柔らかに。センパイ]

 

どこかバカにしたような態度で返答するエド。カイザーはすぐに臨戦モードに意識を切り替えた。

 

[いくぞ!]

[[デュエル!]]

 

エド・フェニックス

LP4000

 

VS

 

丸藤亮

LP4000

 

[僕のターン!]

 

マスコミの情報によると、エドは今回のデュエルでは今まで温存していた自分の本来のデッキでデュエルするとのこと。

俺としては【HERO】デッキだとわかっているので、他の連中に比べると面白味に欠けるものがある。

 

[僕のモンスターは、コイツだ!]

 

自身満々といった様子でモンスターカードをディスクに置いた。

 

[カモン!【フェザーマン】!]

 

【E・HERO フェザーマン】

攻撃表示

ATK1000/DEF1000

 

会場の観客、俺達デュエルアカデミアの生徒、そしてカイザーが驚く中現れたのは紛れもなく【フェザーマン】だ。しかし、十代が使う【フェザーマン】に比べると肌が黒い。

 

「【フェザーマン】!【フェザーマン】だよお兄ちゃん!」

 

ゆまは驚くというより興奮していて、大型ディスプレイの【フェザーマン】を指差してこちらを見ている。

以前はゆまもデッキに入れていたから、プロが使ってて嬉しいのだろうか。

 

「わかってるから、ちゃんと見とけ」

 

ゆまの意識をディスプレイに向けさせる。

 

[カードを1枚伏せ、ターンエンド]

 

エド・フェニックス

LP4000

モンスター

【E・HERO フェザーマン】:攻

ATK1000

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「エドのデッキは、俺と同じ【HERO】デッキ……」

 

十代が小さく呟く。確かに【HERO】としては一緒なんだが、エドが使うデッキは【DーHERO】だから、本気ってわけじゃないんだよなぁ……

 

「あの伏せカードは【マスク・チェンジ】かな?」

「初手に【カミカゼ】か……だが【シャドー・ミスト】を使ってないから最初から【マスク・チェンジ】使ってもいいと思うけどな」

「あっ、そっか。う〜……」

 

ゆまの予想にあくまで『俺ならこうする』というニュアンスで伝えると、ゆまは頭の上に両手を置いて考えだした。

 

[俺のターン、ドロー!相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このモンスターは特殊召喚できる。現れろ!【サイバー・ドラゴン】!]

 

【サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

カイザーのデッキに不可欠なモンスター、【サイバー・ドラゴン】を召喚しても、カイザーは手札のカードを手に取り、攻め手を増やす。

 

[さらに【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を召喚!]

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

[バトル!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】で【フェザーマン】を攻撃!そして、【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果により、攻撃力が300ポイントアップ!]

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

ATK1500→ATK1800

 

【ツヴァイ】の熱線により【フェザーマン】が破壊され、爆風がエドのライフを削る。

 

エド・フェニックス

LP4000→3200

 

[罠発動【ヒーロー・シグナル】!デッキから【E・HERO バブルマン】を特殊召喚!]

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

[【バブルマン】のエフェクトにより、僕のフィールドに他のカードがないので2枚ドロー!]

 

エド・フェニックス

手札3枚→5枚

 

手札を補充して、【サイバー・ドラゴン】の追撃からライフを守ったか。

 

[まだ【サイバー・ドラゴン】が残っている!エヴォリューション・バースト!]

 

【サイバー・ドラゴン】の吐き出した光線によって消し飛ばされる【バブルマン】。攻撃エフェクトが変化したな。

 

[カードを1枚伏せ、ターンエンド]

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン】:攻

ATK2100

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻

ATK1500

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

[僕のターン、ドロー!魔法カード【死者蘇生】発動!蘇れ【バブルマン】!]

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

[【バブルマン】のエフェクトで2枚ドロー!]

 

エド・フェニックス

手札5枚→7枚

 

[魔法カード【死者転生】を発動!手札を1枚捨て、セメタリーの【フェザーマン】を手札に戻し、魔法カード【融合】を発動!手札の【フェザーマン】と【バーストレディ】を融合!カモン!【E・HERO フェニックスガイ】!]

 

【E・HERO フェニックスガイ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1200

 

黒い肉体に炎のような赤い模様を描き、右腕には大きな爪、1対2枚の翼を持った人型モンスターが召喚される。

 

「えっ?【フェザーマン】と【バーストレディ】で融合できるのは【フレイム・ウィングマン】なんじゃ……」

 

丸藤が疑問を口にするが、【Great TORNADO】と【ノヴァマスター】も同じ素材で召喚できるぞ。

ゆまが同じことを思ったのかわざわざ振り返って丸藤に説明を始めた。

 

「私や十代さんが使う【E・HERO】は、同じ素材でも別の融合モンスターを召喚できるのが特徴なんです。【フェザーマン】と【バーストレディ】ってだけでも、十代さんの【フレイム・ウィングマン】、今エドさんが召喚した【フェニックスガイ】、私の使う【ノヴァマスター】と【Great TORNADO】を召喚できるんです!」

「えぇーっ!?そうだったのか!?」

 

ゆまの説明に十代が驚き、俺と十代以外がコケた。

 

「十代さん!?」

 

珍しくゆまが突っ込む。いつもは弄られて終わりなのにな。

万丈目も後ろから十代に迫っていたが、十代は気にした様子もないどころか万丈目に見向きもせずに『だから同じ【HERO】でも違うモンスターが入ってるのか』と目を輝かせていた。

 

「龍斗さん、貴方ならあの素材で何を召喚します?」

 

ももえが質問してきた。ゆまも気になるのかこちらに視線を向ける。あの素材でか……なら……

 

「今の場面なら【ワイアーム】だな」

 

他のモンスターの効果受けないし、カイザーのデッキに通常モンスターはいないはずだから戦闘破壊されないし。攻撃力高めだし。

 

「【HERO】じゃないよ!?」

「召喚できるんでしょうけど!普通そこは【HERO】じゃありません!?」

 

2人から突っ込まれた。召喚できるのだから問題ないだろう。まぁ、【サイバー・エンド】が出てきてたら【Great TORNADO】にするけどな。

 

[そして墓地の【ネクロダークマン】のエフェクトにより、手札の上級【HERO】をリリース無しで召喚できる!【E・HERO エッジマン】を召喚!]

 

【E・HERO エッジマン】

攻撃表示

ATK2600/DEF1800

 

「【死者転生】で【ネクロダークマン】を墓地に送って、融合素材を回収して上級モンスターを2体並べた……凄いわね」

 

ジュンコが食い入るようにデュエルを見ながら呟く。その隣にいるももえも同意していた。

 

[バトル!【エッジマン】で【サイバー・ドラゴン】を攻撃!]

[永続罠【サイバー・ネットワーク】!俺のフィールドに【サイバー・ドラゴン】が存在する場合、1ターンに1度、デッキから機械族・光属性モンスターをゲームから除外できる!【サイバー・ドラゴン・ドライ】を除外!]

[だが、それでは僕の攻撃は止まらない]

[【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!このカードがゲームから除外された場合、俺のフィールドの【サイバー・ドラゴン】1体は、このターン戦闘・効果では破壊されない!]

[それでも、バトルによるダメージは免れない!]

 

【エッジマン】が【サイバー・ドラゴン】に突撃するが、【サイバー・ドラゴン】を破壊することができず、衝撃をカイザーに与えるだけに終わった。

 

丸藤亮

LP4000→3500

 

[【フェニックスガイ】で【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を攻撃!]

 

【フェニックスガイ】が右腕の爪で【ツヴァイ】を切り裂く。

 

丸藤亮

LP3500→2900

 

[カードを1枚伏せ、ターンエンド]

 

エド・フェニックス

LP3200

モンスター

【E・HERO バブルマン】:守

DEF1200

【E・HERO フェニックスガイ】:攻

ATK2100

【E・HERO エッジマン】:攻

ATK2600

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

[俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【サイバー・ネットワーク】のカウントが進む。このカードは、発動して3ターン目の俺のスタンバイフェイズに破壊される]

 

【サイバー・ネットワーク】の上に青白い『1』の数字が浮かぶ。

 

[そしてメインフェイズに、【サイバー・ネットワーク】の効果でデッキから【プロト・サイバー・ドラゴン】を除外]

 

デッキ圧縮して引きたいカードを引きやすくしたか。

 

[魔法カード【サイバー・リペア・プラント】を発動!このカードは、俺の墓地に【サイバー・ドラゴン】がいる場合のみ発動可能なカード。墓地にいる【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】は墓地にいる場合、カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱うので発動可能となる。2つの効果のうち1つを発動する。俺はデッキから機械族・光属性モンスター1体を手札に加える。【サイバー・ドラゴン・ドライ】を手札に加え、召喚!]

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

[【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!このカードの召喚に成功したとき、フィールドの【サイバー・ドラゴン】のレベルを5にする!【サイバー・ドラゴン・ドライ】は、フィールドと墓地ではカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う。よって、【サイバー・ドラゴン・ドライ】自身のレベルも上がる!]

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

レベル4→5

 

[俺はレベル5となった【サイバー・ドラゴン・ドライ】と【サイバー・ドラゴン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

新たな力と翼を手に、再びこの地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

[出たーっ!エクシーズ召喚!最近I2社、KCから発表された新召喚の1つ!カイザー亮の切り札の1枚がここで現れた!]

 

さっきまで無言だった実況が急に喋りだした。

雑誌やネットでの情報では、カイザーは【インフィニティ】は使わず、エクシーズモンスターは【ノヴァ】だけを使っているらしい。俺や十代相手には躊躇なく使ってたクセに……

 

[【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の効果発動!ORUを1つ使い、墓地の【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚する!ORUとして墓地に送られた【サイバー・ドラゴン・ドライ】を特殊召喚!]

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

[バトル!【サイバー・ドラゴン・ドライ】で【バブルマン】を攻撃!]

 

【ドライ】の熱線が【バブルマン】を爆散させた。

 

[続いて【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の効果発動!1ターンに1度、手札・フィールドの【サイバー・ドラゴン】を除外し、攻撃力を2100ポイントアップさせる!]

 

【ドライ】の全身が青く燃え、【ノヴァ】と一つになった。

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

ATK2100→ATK4200

 

[【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】で【フェニックスガイ】を攻撃!]

[罠発動【ドレインシールド】!]

 

【ノヴァ】の光線が、エドのフィールド全体を覆うドーム状の光に行く手を阻まれる。

 

[相手モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分のライフを得る!]

 

エド・フェニックス

LP3200→6400

 

「【インフィニティ】を使わないからそうなるんだ……」

「【インフィニティ】?」

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の進化形のことよ」

 

俺の呟きにディレが質問し、俺の代わりに雪乃が答えた。攻撃力アップの永続効果、攻撃表示モンスターをORUに変換する起動効果、効果の発動を無効にする誘発即時効果についても補足しておいてくれた。

 

「そ、そんな強力カードをどうして使わないの?」

「今の環境だと、アレ使ったら十中八九勝てるからな。もう少しカードが販売されたら別だろうけど」

[カードを1枚伏せ、ターンエンド。ターン終了とともに、【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の攻撃力は元に戻る]

 

丸藤亮

LP2900

モンスター

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】:攻

ATK2100

魔・罠

【サイバー・ネットワーク】

伏せ1枚

手札2枚

 

[僕のターン、ドロー!魔法カード【融合】を発動!手札の【スパークマン】とフィールドの【フェニックスガイ】を融合!カモン!【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】!]

 

【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

手脚と頭に銀色の装甲を着け、機械的な翼を背に持つ、身体が緑色のモンスターが現れる。

 

[【シャイニング・フェニックスガイ】のエフェクト!セメタリーの【E・HERO】の数だけ、攻撃力が300ポイントアップ!]

 

今エドの墓地には【バブルマン】

【フェザーマン】

【バーストレディ】

【スパークマン】

【ネクロダークマン】

【フェニックスガイ】の6枚がある。

 

【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】

ATK2500→ATK4300

 

「攻撃力が【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の2倍になったドン!」

「私の【HERO】じゃ、あんなに高い攻撃力のモンスターを出せないよ!」

 

剣山とゆまが興奮しながら言う。

ゆまの【HERO】は効果による除去か、相手の攻撃力を下げて倒すのが基本だからな。【ガイア】なら攻撃力4000オーバーもいけるが、相手依存だしな。

 

[バトル!【シャイニング・フェニックスガイ】で【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】を攻撃!]

 

【シャイニング・フェニックスガイ】が翼から青白い電気を発生させ、全身に纏う。

 

[シャイニング・フィニッシュ!]

 

エドの言い放った攻撃名とともに、雄叫びをあげて【ノヴァ】に突進する【シャイニング・フェニックスガイ】。

 

[【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の効果は相手ターンでも発動できる!手札の【サイバー・ドラゴン】を除外し、攻撃力が2100ポイントアップ!]

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100→ATK4200

 

[だが、それでも【シャイニング・フェニックスガイ】の攻撃力が上だ!]

 

【ノヴァ】が攻撃力を上昇させたが僅かに届かず、そのまま【シャイニング・フェニックスガイ】によって破壊されてしまった。

 

丸藤亮

LP2900→2800

 

[【エッジマン】でダイレクトアタック!]

 

【エッジマン】が腕の刃を展開し、カイザーを殴りつける。

 

[ぐっ!!]

 

丸藤亮

LP2800→200

 

[僕はこれで、ターンエンド]

 

エド・フェニックス

LP6400

モンスター

【E・HERO エッジマン】:攻

ATK2600

【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】:攻

ATK4300

魔・罠

手札0枚

 

[カイザー亮、絶対絶命のピンチ!ここから巻き返しなるか!?]

 

実況のセリフをかき消すように、デュエルアカデミアの生徒・教師は『カイザーが勝つ』と言うようなことを繰り返し言っている。

丸藤も俺の後ろで『お兄さんは負けない』と言っている。

 

[俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【サイバー・ネットワーク】のカウントが進む!]

 

【サイバー・ネットワーク】の上の数字が『2』に変化する。次のターンには、除外した【サイバー・ドラゴン】達が出てくる。

 

[……【サイバー・ヴァリー】を召喚!]

 

【サイバー・ヴァリー】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

【サイバー・ヴァリー】か。なら戦闘ダメージでやられることは少なそうだな。

 

[カードを1枚伏せ、ターンエンド]

 

丸藤亮

LP200

モンスター

【サイバー・ヴァリー】:攻

ATK0

魔・罠

【サイバー・ネットワーク】

伏せ2枚

手札0枚

 

[カイザー亮逆転の一手ならず!ピンチのままエド・フェニックスにターンが渡ります!]

[僕のターン、ドロー!このままバトルだ!【エッジマン】で【サイバー・ヴァリー】を攻撃!]

[【サイバー・ヴァリー】の効果発動!このモンスターが攻撃対象にされたとき、このモンスターを除外しカードを1枚ドロー!そしてバトルフェイズを終了させる!]

 

丸藤亮

手札0枚→1枚

 

[僕はカードを1枚伏せ、ターンエンド]

[まだ終わらせない!速攻魔法【サイクロン】!フィールドの魔法・罠を破壊する!俺は、俺のフィールドの【サイバー・ネットワーク】を破壊!]

 

突如出現した竜巻によって、カイザーの【サイバー・ネットワーク】が破壊された。

 

[カイザー亮、自分のカードを自ら破壊!これは明らかなプレイングミス!]

 

実況が好きなことを言っているが、カイザーがそれを否定するために口を開く。

 

[【サイバー・ネットワーク】の効果!このカードがフィールドから墓地へ送られたとき、除外されている俺の機械族・光属性モンスターを可能な限り特殊召喚し、俺のフィールドの魔法・罠を全て破壊する!現れろ!【サイバー・ドラゴン】達!]

 

【サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】×2

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

【プロト・サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK1100/DEF600

 

【サイバー・ヴァリー】

守備表示

ATK0/DEF0

 

[この効果で特殊召喚されたモンスターは効果を発動できず、このターン、俺はバトルフェイズを行えない]

 

だが今はエドのターン。実質デメリットは効果の発動を封じられただけ。そしてエンド宣言したことで、自動的にカイザーにターンが回る。そしてさりげなく破壊される【ダメージ・ポラリライザー】。

 

エド・フェニックス

LP6400

モンスター

【E・HERO エッジマン】:攻

ATK2600

【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】:攻

ATK4300

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

[カイザー亮、一瞬でモンスターを5体召喚!しかし攻撃力ではエド・フェニックスのモンスターには及ばない!]

[俺のターン、ドロー!魔法カード【パワー・ボンド】!フィールドの【サイバー・ドラゴン】、【サイバー・ドラゴン・ドライ】、【プロト・サイバー・ドラゴン】を融合!現れろ!【サイバー・エンド・ドラゴン】!!]

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

[【パワー・ボンド】の効果により、【サイバー・エンド】の攻撃力は倍になる!]

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

ATK4000→ATK8000

 

[カイザー亮、ここで【サイバー・エンド・ドラゴン】を召喚!しかし、これでもエド・フェニックスのライフを削りきれない!]

 

残る手札は1枚。【リミ解】か【一時休戦】か……

 

[バトル!【サイバー・エンド】で【シャイニング・フェニックスガイ】を攻撃!速攻魔法ーーー]

[カウンター罠【攻撃の無力化】。攻撃を無効にし、バトルを終了させる]

 

【リミ解】を発動しようとしたであろうカイザーの言葉を遮って発動した【攻撃の無力化】。

【サイバー・エンド】の三つの首が、それぞれの口内に溜めたエネルギーを放出することなく、動きを止めた。

 

[そしてカイザー亮。君のターンは終了し、【パワー・ボンド】のエフェクトにより【サイバー・エンド・ドラゴン】の元々の攻撃力分のダメージを受ける]

 

丸藤亮

LP200→-3800

 

[決まったーーッ!!ラストはまさかの【パワー・ボンド】のデメリットでの決着!カイザー亮、連勝記録を10で止めました!]

 

このあと、実況により今回のハイライトに切り替えられ、ハイライトが終わると勝者のエド・フェニックスへのインタビューになった。

インタビュアーからは当然のように、『何故この時期に本来のデッキである【HERO】デッキを使ったのか』という質問が出てくる。

それに対してエドは『入学したデュエルアカデミアに自分と同じ【HERO】デッキ使いがいる』と十代と思われるデュエリストのことを話し、『自分の方が早く作ったのだが、そのデュエリストがマニアの中で有名になってしまった』と言い出す。

 

「…………ここだけ聞くと、単に目立ちたがり屋なだけに聞こえるな」

 

使うデッキが被らないなんてことはまずありえないのにな。多くのカードは市販されているのだから被って当然だ。

 

[先日、そのデュエリストがカイザーと引き分けたと聞きました。ならば、そのカイザーに勝つことで、僕の方が強いということを証明したわけです]

 

…………【インフィニティ】っていう奥の手使わなかった、極端な言い方すると手抜き、舐めプしたのにカッコつけてもな。俺がそう思っている間に、エドはインタビューを使って十代に宣戦布告をした。

 

「よかったなゆま。プロに狙われなくて」

「ふぇ?」

 

十代への宣戦布告に呟くと、ゆまがよくわかってなさそうに振り返った。

 

「お前も【HERO】使いだろ」

「あっ、そっか!」

『…………』

 

ゆまのボケに周囲の全員が閉口した。




2人目の【HERO】使い、エドに知られず。
次回はゆまが不機嫌になる話です。また観戦モードです。


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ゆまが怒った ゆまVS.ツァン

およそ1ヶ月ぶりの投稿です。
タイトル通りゆまがおこです。
変なネタ入ってますが、そこはスルーをお願いします。


エド・フェニックスによる宣戦布告を受けた十代。

今すぐにでもデュエルしたいらしく、ウズウズしている。

 

「十代、どのデッキを使うつもりだ?」

 

十代は基本的に融合召喚メインの【HERO】デッキを使うが、エクシーズメインの【M・HERO】もある。どっちを選んでもいいが、カイザーとの卒業デュエルのときのようなハイブリッドはやめてもらいたい。

 

「エドが融合を使うんだ。俺も融合を使うぜ!」

 

そう返したあと、デッキを調整すると言って、十代は寮に戻っていった。

翌日、エドはデュエルアカデミアには現れず、肩透かしをくらったような気分のまま授業を受け、いつもの面々とともに昼休み。

最近ゆまと交代で雪乃が作ることになった俺の弁当を黙々と食べる。

 

「後ろから刺されろッス」

「折れればいいドン」

「…………」

 

丸藤と剣山が毎回呪詛を唱えるのにも慣れてきたが、ディレの視線だけはどうにも慣れない。何か言いたいことがあるのか聞いても、『別に』としか返ってこない。非常に居心地が悪い中弁当を平らげる。

 

「お兄ちゃん、デュエルしよっ!」

 

食べ終わったらゆまがデュエルを挑んできた。特に断る理由も無いので応じる。

デュエルディスクを使わずに、その場にカードを並べる。

 

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

宮田ゆま

LP4000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数ターン後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮田龍斗

LP1200

モンスター

魔・罠

手札4枚

 

VS

 

宮田ゆま

LP3100

モンスター

【E・HERO ブレイズマン】:攻

ATK1200

【M・HERO アシッド】:攻

ATK2600

魔・罠

手札4枚

 

「【ブレイズマン】でダイレクトアタック!」

「……何もない……」

 

宮田龍斗

LP1200→0

 

【エレキ】デッキで挑んだが、互いに手札事故が発生。【エレキリギリス】によるロックで粘ったが、ゆまの勝ちパターンといえる【アブソルートZERO】→【アシッド】でフィールドを一掃される。セットしていた【エレキトンボ】のおかげで後続を出せたが、3連続【強制脱出装置】で壁となるモンスターを用意させてもらえず敗北した。

 

「勝ったー!」

「良かったわね」

 

両腕を上げて喜びを表すゆまの頭を雪乃が撫でる。

ゆまは何も言わず気持ちよさそうに目を細めている。未だにももえ以外にされると屈辱感に襲われる俺とはえらい違いだ。

 

「…………」

「龍斗、悔しいからってここで黙々とデッキを見直さない。帰ってからやりなさい」

 

デッキを広げていると、明日香が近づいてきた。あわよくばと思っているのか、頭に手を伸ばしてくる。

当然のようにその手を払うと、明日香は『チッ』と舌打ちした。

 

「一般人、それも妹に負けるテスターってどうなの?」

「…………」

「龍斗さん!」

 

舌打ちした明日香を睨んでいると、ディレが俺に対して非常に重い一言を放った。ディレの罵倒で傷心し、ゆまに負けてショックを受けていた俺にはトドメと言っていい一言を放たれその場に伏せる。

ももえに心配されたが、個人的なショックが大きかった俺はその場に伏せたまま、

 

「……どうせ俺は偶然テスターになった一般人ですよーだ……」

 

キャラがぶれた。

 

「ツァンさん!お兄ちゃんを虐めちゃダメですっ!」

 

ゆまがツァンに立ち向かう。怒っているのか、頬を膨らませている。

 

「今回はたまたまデッキが回らなかっただけで、いつもは私より強いんです!」

「でも負けたのは事実じゃない」

 

ゆまのフォローにディレが冷たく言い放つ。

険悪なムードの中、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。

 

「げっ、チャイム鳴っちゃった。龍斗、早く行くわよ!」

 

次の授業はジュンコと同じなのだが、動く気力が無く、その場に伏せたままでいると、ジュンコに襟を掴まれズルズルと引き摺られていった。

 

「む〜〜〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後の授業中に復活し、寮に戻ろうと校舎前に行くと、ゆまが頬を膨らませて腕を組んで仁王立ちしていた。アイツは何をしているんだ?

午後の最後の授業で一緒だった雪乃、十代、丸藤と顔を見合わせてからゆまのもとへ行こうとすると、俺達より先にディレが校舎前に行った。

そしてゆまがディレに声をかけ、少しの間話したあと、

 

「「デュエル!」」

 

いきなりデュエルしだした。

なんでそんなことになるのかと気になり、全員で駆け寄る。

ゆまに事情を聞いてみると、昼休みにディレが俺を虐めたので、俺に謝らせるためにデュエルすることになったらしい。

…………何故お前が出てきた。

止めようとしたが、ゆまが泣きそうな顔になったので、諦めて見物することに。

 

「私の先攻!手札から魔法カード【融合】発動!手札の【E・HERO シャドー・ミスト】と【E・HERO ブレイズマン】を融合!

影に潜むヒーロー。燃え盛るヒーロー。今一つになりて、私に新たな力をください!融合召喚!一緒にツァンさんをやっつけて!【E・HERO ノヴァマスター】!」

 

【E・HERO ノヴァマスター】

攻撃表示

ATK2600/DEF2100

 

「なんで、アンタ達兄妹は召喚するたびに変なこと言うの?」

「変なこと……?お兄ちゃん、私変なこと言った?」

 

ディレの疑問にゆまは答えられない。それどころか変なことを言ったという自覚がないらしい。キョトンとした様子で俺を見ている。

 

「召喚口上のことだろ。基本はただの演出だが、ペガサス会長に披露したら受けてたぞ。個性が出て面白いって」

 

故にデュエルディスクのアップデートをした一年前に、融合召喚の演出が変えられた。アレがなかったら【DDD】の連続召喚に口上が追いつかず微妙な空気になっていたと思う。

ディレは俺の回答に『ふーん』とだけ言ってゆまに向き直った。

……実は俺の召喚口上は結構パクりが多いとは言わない。言ったら面倒だから。

あと雪乃。なんで俺を見るんだ?ゆまはあっちだぞ。

 

「【シャドー・ミスト】の効果発動!このカードが墓地に送られたら、デッキから【シャドー・ミスト】以外の【HERO】を手札に加えます!【E・HERO エアーマン】を手札に加えて、そのまま召喚!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

「【エアーマン】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから【HERO】を手札に加えることが出来ます!【バブルマン】を手札に!」

 

宮田ゆま

手札2枚→3枚

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドです!」

 

宮田ゆま

LP4000

モンスター

【E・HERO ノヴァマスター】:攻

ATK2600

【E・HERO エアーマン】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

「ボクのターン、ドロー!永続魔法【六武の門】を発動!このカードは、ボクのフィールドに【六武衆】が召喚・特殊召喚されるたびに武士道カウンターを2つ乗せ、取り除いた個数によって効果を変える!さらに【六武衆ーヤイチ】を召喚!」

 

【六武衆ーヤイチ】

攻撃表示

ATK1300/DEF800

 

黒い鎧に黄色の線が入った男が、いつでも矢を射れるように弓を構えて現れた。

それと同時に【門】にカウンターが乗る。しかし、ゆまのモンスターを倒すことはできない。【六武衆】でゆまの【エアーマン】と【ノヴァマスター】を倒すことができるのは……【シエン】……いや、アレはまだ発売してないか。となると……厳しいか?

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

ツァン・ディレ

LP4000

モンスター

【六武衆ーヤイチ】:攻

ATK1300

魔・罠

【六武の門】《武士道カウンター:2》

伏せ2枚

手札2枚

 

何故攻撃表示で召喚したのか。俺が疑問に思う中、ゆまはデッキに手をかける。

 

「私のターン、ドロー!【E・HERO ブレイズマン】を召喚!」

 

【E・HERO ブレイズマン】

攻撃表示

ATK1200/DEF1800

 

「【ブレイズマン】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから【融合】を手札に加えます!」

 

宮田ゆま

手札2枚→3枚

 

「そして【融合】を発動!フィールドの【ブレイズマン】と【エアーマン】を融合!燃え盛るヒーロー、風操るヒーローと一つになりて、新たな力を貸してください!融合召喚!来てください!【E・HERO Great TORNADO】!」

 

【E・HERO Great TORNADO】

攻撃表示

ATK2800/DEF2200

 

緑をベースに太いオレンジの線が入った身体、腕や肩の関節部には白とオレンジの装甲を取り付け、膝の辺りまで隠れるほどの黒いマントを纏ったヒーローが現れる。

 

「【Great TORNADO】の効果発動!融合召喚した場合、相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力と守備力は半分になります!タウン・バースト!」

 

【Great TORNADO】を中心に竜巻が発生し、【ヤイチ】の攻撃力と守備力を下げる。

 

【六武衆ーヤイチ】

ATK1300/DEF800→ATK650/DEF400

 

「バトルです!【ノヴァマスター】で【ヤイチ】を攻撃!」

「罠発動【和睦の使者】!これで【ヤイチ】は戦闘で破壊されず、ボクが受ける戦闘ダメージは0になる!」

 

【和睦の使者】から出てきた数人の人が呪文を唱えると、ディレのフィールドに光のドームが現れ、【ノヴァマスター】の攻撃を防いだ。俺のときは徹底抗戦の構えだったと思うんだが……

【ヤイチ】は未だに弓を構えたままで、疲れてきたのか、若干腕が震えている。

 

「むぅ……ターンエンドです!」

 

宮田ゆま

LP4000

モンスター

【E・HERO ノヴァマスター】:攻

ATK2600

【E・HERO Great TORNADO】:攻

ATK2800

魔・罠

伏せ1枚

手札2枚

 

不貞腐れたように右頬を膨らませてエンド宣言するゆま。

そしてこのタイミングで剣山以外の面子が合流してきた。

明日香が何故ゆまとディレがデュエルしているのかと聞いてきたので軽く説明。

 

「愛されてるわね。お兄ちゃん」

 

説明を聞いたジュンコがニヤニヤと笑いながら寄ってくる。ももえは両手を頬に当てキャーキャー言っている。

ジュンコにどう返答すべきか困った俺は、『ふん』とだけ返してゆまとディレのデュエルを見た。

 

「ボクのターン、ドロー!【六武衆ーヤリザ】を召喚!」

 

【六武衆ーヤリザ】

攻撃表示

ATK1000/DEF500

 

全身青の鎧を着た槍使いが現れる。鎧の左腰からはケーブルが槍に繋がれていて、槍先は青白く発光している。

 

「【門】にカウンターがさらに乗る!そして【ヤイチ】の効果発動!ボクのフィールドに他の【六武衆】がいる場合、1ターンに1度セットされた魔法・罠を破壊できる!」

 

【ヤイチ】が弓の弦から手を離し、放たれた矢がゆまのリバースカード、【ミラー・フォース】を撃ち抜いた。

 

「まだまだ行くよっ!このカードは、ボクのフィールドに【六武衆】がいる場合、手札から特殊召喚できる!【六武衆の師範】を特殊召喚!」

 

【六武衆の師範】

攻撃表示

ATK2100/DEF800

 

「今【門】に乗っているカウンターは6つ。【門】の効果でカウンターを2つ取り除いて【六武衆】または【紫炎】の攻撃力を500ポイントアップさせる!ボクは【ヤリザ】の攻撃力をアップさせて、その同じ効果を合計3回、【ヤリザ】に注ぐ!」

 

【六武衆ーヤリザ】

ATK1000→ATK2500

 

【門】から【ヤリザ】に光が注がれ、【ヤリザ】の持つ槍の先が青白いものから赤黒く光るものに変化した。得物の変化に驚いたのか、【ヤリザ】は槍とディレを交互に見ている。

 

「でも、攻撃力は【ノヴァマスター】より低いです!」

「バトル!【ヤリザ】はボクのフィールドに他の【六武衆】がいるなら、ダイレクトアタックができる!【ヤリザ】でダイレクトアタック!」

 

【ヤリザ】は自分の槍の変化に戸惑いながらも、【ノヴァマスター】と【Great TORNADO】をすり抜け、ゆまに頭突きをかました。槍使えよ。

 

「はぎゅっ!」

 

宮田ゆま

LP4000→1500

 

頭突きされたゆまは舌を噛んだのか、目尻に涙を浮かべ、口を両手で押さえてこちらに走ってきた。

 

「ひた、ひたかんら!ふーって!ふーって!」

 

『舌噛んだ』はわかったが、『ふーって』ってなんだ。雪乃に翻訳を頼むと、

 

「舌噛んだから、舌をふーふーしてほしいみたいよ」

 

と返ってきた。別の刺激で誤魔化そうという考えらしい。雪乃の翻訳は正しいと、ゆまは何度も頷いている。

そんなので痛みが和らぐとは思えないのだが、ゆまは口を開けて催促してくる。

仕方ないとため息を吐いて、ゆまの舌に優しく息を2回吹きかける。

ゆまは顔を赤くして『ありがとうお兄ちゃん!』と駆け足でディレの前に戻った。

 

「……もういいの?」

「まだヒリヒリするけど、大丈夫ですっ!」

 

律儀に待っていたディレは『そう』と言って手札のカードをディスクにセットした。

 

「速攻魔法【六武ノ書】!【六武衆】2体をリリースして、デッキから【大将軍 紫炎】を特殊召喚する!」

 

【大将軍 紫炎】

攻撃表示

ATK2500/DEF2400

 

【ヤイチ】と【ヤリザ】が消滅すると、赤茶色の鎧に黒いマントを羽織った髭面の男が現れる。

 

「【紫炎】がいる限り、相手は1ターンに1度しか魔法・罠を発動できない!」

「い、一回しか使えないんですか!?」

 

ゆまの【HERO】デッキは魔法カードを多用するから、結構キツい状況だな。

 

「さらに罠発動【六武衆推参!】!墓地の【六武衆】を特殊召喚する!戻ってきて!【ヤリザ】!」

 

【六武衆ーヤリザ】

攻撃表示

ATK1000/DEF500

 

「【六武の門】にカウンターが乗る!さらにこの特殊召喚で、【ヤリザ】はまた攻撃できる!【ヤリザ】でダイレクトアタック!」

「っ!」

 

ゆまは再び来るであろう頭突きに備えて身を固くして目をギュッと閉じる。

その様子を見た【ヤリザ】はゆまの前で止まり、

 

「たっ!?」

 

デコピンをお見舞いした。だから槍を使えって。

 

宮田ゆま

LP1500→500

 

「ターンエンド。この瞬間、【六武衆推参!】の効果で特殊召喚されたモンスターは破壊される」

 

足下が爆発し、【ヤリザ】が破壊される。

 

ツァン・ディレ

LP4000

モンスター

【六武衆の師範】:攻

ATK2100

【大将軍 紫炎】:攻

ATK2500

魔・罠

【六武の門】《武士道カウンター:2》

手札0枚

 

「もう一度【ヤリザ】を召喚されたら、ゆまの負けだな」

「対策としては、【ヤリザ】の効果を使うために必要な【六武衆】。現状でいえば【師範】を破壊することかしら」

 

俺の呟きに明日香が対策を言う。あとは、このターンでディレに勝つくらいか。これは対策じゃないな。

 

「私のターン、ドロー!」

 

まだ舌がヒリヒリするのか、舌を出してこのターンの動きを考えるゆま。

【紫炎】によって魔法の発動に制限がかかっているが、ディレは手札もリバースカードも無いから、素直にモンスター展開して攻撃で良いと思うけどな。

 

「バトルです!」

 

モンスターを召喚しない……手札に【バブルマン】がいるのはわかっているが、それ以外のカードはモンスターじゃないのか?

 

「【Great TORNADO】で【紫炎】を攻撃!スーパーセル!」

 

【Great TORNADO】がゆっくりと回転を始め、回転速度を上げていく。やがて周囲の空気を巻き込んで巨大な竜巻を発生させる。

その様子を見ていると、右腕に何かがくっついた。

 

「…………雪乃、何をしている?」

「風で飛ばされちゃうじゃない」

 

くっついた物の正体は雪乃だった。

風で飛ばされるって……これはソリッドヴィジョンだろ。そう突っ込むが、雪乃は風で聞こえないというように『ん?』と首を傾げ、さらに右腕に絡む力を強くした。

……攻撃が終わったら離れるか。そう判断した俺は再度デュエルを見る。

強くなっていく竜巻の頂上が【紫炎】に向かって動く。

 

「【紫炎】の効果!このカードが破壊される場合、代わりにフィールドの【六武衆】を破壊できる!【師範】を身代わりに!」

 

【紫炎】に向かっていく竜巻の中に飛び込む【師範】。一瞬風が強く吹き、竜巻が消滅すると、竜巻に向かったはずの【師範】が居らず、代わりに【Great TORNADO】が宙に浮いていた。

 

ツァン・ディレ

LP4000→3700

 

「まだ【ノヴァマスター】がいます!【紫炎】を攻撃!ファイヤー・ボール!」

 

【ノヴァマスター】が火球を3発撃ち、【紫炎】を焼き尽くす。

 

「【紫炎】……」

 

ツァン・ディレ

LP3700→3600

 

「【ノヴァマスター】の効果発動!相手モンスターを戦闘で破壊した場合、カードを1枚ドロー!」

 

宮田ゆま

手札3枚→4枚

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドです!」

 

宮田ゆま

LP500

モンスター

【E・HERO ノヴァマスター】:攻

ATK2600

【E・HERO Great TORNADO】:攻

ATK2800

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「ボクのターン、ドロー!魔法カード【死者蘇生】!戻ってきて!【ヤリザ】!」

 

【六武衆ーヤリザ】

攻撃表示

ATK1000/DEF500

 

再三現れる【ヤリザ】。若干顔色が悪いようにも見える。

 

「【門】のカウンターを4つ使って、デッキから【六武衆の師範】を手札に加えて特殊召喚!」

 

【六武衆の師範】

守備表示

ATK2100/DEF800

 

「バトル!【ヤリザ】でダイレクトアタック!」

「させません!罠発動!【強制脱出装置(お兄ちゃん対策)】!【ヤリザ】を手札に戻します!」

 

俺対策ってなんだ。ピンポイントすぎるだろ。そう思いながら【ヤリザ】が手札に戻っていくのを見る。

 

「くっ……モンスターをセット。ターンエンド……」

 

ツァン・ディレ

LP3600

モンスター

【六武衆の師範】:守

DEF800

裏守備1枚

魔・罠

【六武の門】《武士道カウンター:2》

手札0枚

 

「私のターン、ドロー!魔法カード【融合回収】発動!墓地の【エアーマン】と【融合】を手札に加えます!」

 

宮田ゆま

手札3枚→5枚

 

「そして【エアーマン】を召喚!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

「【エアーマン】の効果発動!デッキから【フォレストマン】を手札に加えて、【融合】を発動!手札の【バブルマン】と【フォレストマン】を融合!

母なる水のヒーロー、森を守るヒーローと一つになりて、お兄ちゃんをいじめるツァンさんにお仕置きしてください!融合召喚!来てください!【E・HERO ガイア】!」

 

【E・HERO ガイア】

攻撃表示

ATK2200/DEF2600

 

【ガイア】を召喚したのはいいが、口上が私怨に満ちているぞ。

 

「【ガイア】の効果発動!融合召喚に成功した場合、相手モンスター1体の攻撃力を半分にして、その数値分、このカードの攻撃力をアップさせます!【師範】の攻撃力を半分に!」

 

【ガイア】が両腕を地面に当てると、【師範】の足下が光り、力を奪う。

 

【六武衆の師範】

ATK2100→ATK1050

 

【E・HERO ガイア】

ATK2200→ATK3250

 

「バトルです!【エアーマン】で【師範】を攻撃!ファン・ブレード!」

 

【エアーマン】が両翼のファンを掴み、【師範】に投げる。【師範】は抵抗すらできずに切り裂かれた。

 

「【師範】……!」

「続いて【ノヴァマスター】で裏側の【ヤリザ】を攻撃!ファイヤー・ボール!」

 

【ノヴァマスター】が放った火球が裏側表示の【ヤリザ】を焼き尽くす。今日は大活躍だったな。リリースされたり破壊されたり。

 

「【ガイア】と【Great TORNADO】でダイレクトアタック!」

 

【ガイア】が両腕を組んで地面を殴り、その衝撃で飛び出した岩と、【Great TORNADO】が竜巻を発生させてディレに突撃する。

風の音で、ディレの断末魔は聞こえなかった。

 

ツァン・ディレ

LP3600→800→-2450

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デュエルを終え、ディレに形だけ謝ってもらい、ゆまが満足したところで雪乃に問い詰められた。

 

「どうして私のときは説明しないで、彼女のときには説明したの?」

 

まるで要領を得ない。『意味がわからん』と返すと、

 

「召喚口上のことよ。私のときは『バカにすんな』で済ませて、ツァンのときにはちゃんと説明したでしょ。それは何故?」

 

こんな返答が。

雪乃に言ったのは1年の中頃……よく覚えてるな。

 

「……お前は些細なことだと割り切って、ディレの場合はそういかないと思った。だから説明しただけだ。実際、あのときお前は引き下がっただろ?」

 

最後の一言が効いたのか、雪乃は不貞腐れたように俺の右腕にしがみついた。離そうとするが、今度はゆまが左腕にしがみつく。そしてそれを見たジュンコは『またか』と言いたげな表情でこちらを見て、ももえはキャーキャーと叫び、明日香が怖い笑顔を見せ、ディレが『やっぱり女たらし』と罵る。

遅れて合流した剣山に、『事故ればいいザウルスー!』と言われて逃げられた。

丸藤と十代に助けを求めようとしたが、剣山を追いかけて既に遠くに行っていた。

今日はゆまに負け、ディレに心を折られ、精神的疲労が原因なのか早く就寝。それにより、校舎前で響いた爆発音に気付かなかった。




次回はエドVS十代……は変更点思い浮かばなかったのでスルーして、天上院兄妹の対決です。
1ターンに1度、レベル4以下の獣戦士サーチして他の獣戦士の攻撃力400アップさせるモンスターって、【天キ】より質悪くないですか?そう思うのは私だけ?


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アイドル 明日香VS.吹雪

龍斗が自分のことを棚に上げたり、あの人の趣味がバレたりする話です。あと明日香のアイドル化をかけたり。


「十代が負けた?」

 

ゆまに負けたりディレに精神攻撃をくらったりした昨日、早く寝ていつも通り起床し、いつも通り学校に行くと明日香にアイアンクローを決められ、ディレに『役立たず』と罵られ、ゆまに抱きつかれて両腕を拘束され、その間にジュンコと雪乃に頭を撫で回された。

何故こんな目にあわなければならないのか……

ももえの話によると、昨日の夜にエドがアカデミアにやってきたらしい。そして今朝早くに十代とデュエルすることになり、結果は十代の負け。そのショックなのか、十代は気を失い保健室にいるらしい。

そしてその場にいなかった俺にお仕置きするために待ち伏せていたと……俺悪くないような……腑に落ちないところはあるが、ともかく保健室に向かうことに。

保健室に入ると、十代が保健医であり、女子寮の寮長でもある鮎川先生に診察されていた。十代のそばには万丈目、剣山、丸藤がいた。

 

「十代、大丈夫……じゃなさそうだな」

 

十代の顔には気力というか、元気がなく、雰囲気も暗い。

 

「アニキ、カードが見えなくなったって……」

「カードが?」

 

十代が起きたのは少し前。デュエルを終えて散らばったらしいデッキを丸藤が集め、預かっていたらしい。そして十代が起きてデッキを渡したら、カードの絵柄が真っ白に見え、精霊の声も聞こえなくなったと言ったらしい。

そして鮎川先生に診てもらうことになったと……

 

「身体的には問題無いわ。ただ、エド君とのデュエルが、よほどショックだったのね……」

 

デュエルでショック……十代は『参ったな』と言って保健室を出る。丸藤がついて行こうとしたが、『1人になりたい』と言ってそれを拒否。そのままどこかに行ってしまった。

丸藤が十代を心配している中、俺は剣山といつの間にか保健室にいた三沢によって、明日香が住み着いているレッド寮の万丈目の部屋に連れていかれる。作戦会議とか言っていたが、何の作戦だ?ディレもよくわかっていないようだが、ジュンコとももえが部屋の隅っこで教えている。できれば俺にも教えてもらいたい。

 

「十代がデュエルできなくなった今、学園はチャンスとばかりにレッド寮を潰しにくるだろう」

 

三沢が現状を説明してくれた。

ああ、アレか。レッド寮を潰すとか言っていたやつ。

丸藤、剣山、三沢、明日香、ゆまの表情が暗くなる。雪乃は興味無さそうにデッキを弄っている。自由だ。

1人不適な笑みを浮かべている万丈目は落ち込むな。自分がいると皆を鼓舞する。

それが効いたのか、暗くなっていた連中がやる気を取り戻した。

ディレの方も説明が終わったのか合流してきたタイミングで寮の外からエレキギターだろうか?演奏が聞こえた。

デッキを広げていた雪乃以外の全員で音が聞こえた場所にいく。

レッド寮から港へと繋がる橋の下から音が聞こえ、覗いてみると、アロハシャツを着た吹雪先輩がボートの上に立ち、頭の上にスピーカーを乗せて小さなエレキギターを演奏していた。シュールだ……

剣山は初めて見たらしく『突き抜けた人』という印象らしい。

理屈はわからないが、独りでにボートが動いていくのについていくと、近くの崖に到着。明日香が何か用なのか聞くと、ブルー寮に連れて帰ろうとしに来たらしい。

今度の相手は吹雪先輩なのかと思ったのか明日香が『まさか』と呟く。それに答えたのは吹雪先輩ではなく、

 

「そのまさかナノーネ」

 

ボートを背負い、ウェットスーツを着てシュノーケルとフィンをつけたクロノスだった。独りでにボートが動いていたのはそういう理屈か。身体張ってるなぁ……

前へ進もうとしながら、明日香にブルー寮、アイドル養成コースなる場所に戻るように促す。しかし、促すだけで、ボートの船尾部分が崖に引っかかって前に進めていない。

 

「お断りします。私達はレッド寮を守ると決めたんです」

 

キッパリと断る明日香に、吹雪先輩は『可愛いアイドルになるのがそんなに嫌なのか』と問う。

俺としては、その後ろでクロノスが背負っているボートの所為で前に進めず、崖から落ちそうになっているのが気になって仕方ない。

ゆまも同じようで、小さな声で『クロノス先生が落ちそう』と言っている。

丸藤は状況がよくわからないのか、どういうことなのかを聞こうとすると、明日香が先んじて説明してくれた。

どうやら、クロノスは吹雪先輩と明日香でユニットを組ませようとしているらしい。

 

「…………イイ!」

「良くないわよ!」

 

それを聞いた万丈目が何かを想像したのか、目をハートにして叫んでいた。

そしてそれに明日香が即反応。

ここで止まれば良かったのだが、万丈目のそばにいた三沢がとんでもない一言を放った。

 

「確かに、年齢的にはギリギリだ」

 

この一言に、明日香のビンタが炸裂。三沢のライフを一気に削ると同時に、頬に明日香の手形を残す。

 

「今のは、先輩が悪いドン……」

「珍しく剣山君に同意ッス」

「てか三沢。16、17でギリギリってお前……もしかしてロリなのか……?」

 

剣山と丸藤に続くように放った俺の一言に、周囲の空気が凍った。

 

「三沢さんがロリコン……!?」

「そ、そんなことって……!」

「いや、しかし、天上院君で年齢ギリギリということは……三沢、貴様ぁ!」

 

ももえとジュンコが動揺し、万丈目が俺が言ったことを脳内で確認。同じ発想に至ったのか、批難するように三沢を指差し、ディレは声を大にして『キモッ!』と罵り、雪乃はどこか汚物を見るような目で三沢を見ている。

 

「?」

 

ゆまはよくわかっていないらしく、首を傾げていた。

しかし、今重要なのは三沢の趣味(ロリコン)ではなく、明日香のアイドル化の是非の方だ。そう思い直した俺達は三沢を放置して吹雪先輩とクロノスに向き直した。

吹雪先輩は何か考えていたようで、少しの間を置いて、

 

「まさか明日香、この衣装が嫌なのかい?」

 

そう言ってクロノスから受け取った明日香の等身大のパネルを見せた。

デュエルアカデミアの女子制服より露出の激しい赤い衣装だ。正直、目のやり場に困る。

『それもある』という明日香に対し、『それなら』と言って今度はオレンジのチェック柄の衣装の明日香の等身大パネルを出す吹雪先輩。

肩を震わせて『いい加減にして』と言う明日香をわがままと言う吹雪先輩。その間に2つの等身大パネルを畳むクロノス。

 

「いや、わがままなのは吹雪先輩達だと思うんだが……」

 

俺がそう言っても、吹雪先輩はスルー。先輩相手でもイラッときたので、

 

「ふにゃぁ!?」

 

ゆまの頬を伸ばすことで紛らわせる。柔らかい。ゆまの頬で遊んでいると、吹雪先輩から万丈目に話が振られた。万丈目を味方だと思っているらしい。吹雪先輩と仲良いみたいだしな。だが、今度は天上院に自分達の絆は誰にも壊せないと言われる。兄妹の間で揺れる万丈目は、

 

「罵るなら罵るがいい!だが!俺には決められない!決められないんだ……」

 

そう言ってその場に崩れた。

 

「ロリコンに優柔不断野郎に……この集団は大丈夫なのか?」

 

俺も俺で何かありそうだが、そのことについては置いといて万丈目と三沢にチクリと口撃してみる。

しかし、2人には思いの外ダメージが大きかったらしく、真っ白になった。

結局、天上院兄妹は平行線のまま、決着がつきそうもないと判断し、デュエルで決着をつけることになった。

翌日、授業を潰すわけにはいかないので、放課後にデュエルすることになったのだが、デュエルフィールドに『歌うデュエル』がなんたらとアナウンスが流れている。

生徒の進路がかかっているとも言えるデュエルを見せ物にする気満々だ。

 

「【WE】を渡せば良かったか……」

「お兄ちゃん、それは吹雪先輩が泣いちゃうかも……」

 

俺の呟きにゆまが苦笑する。

今俺はデュエルフィールドの明日香が出てくるらしい場所のそばに座っている。フィールドに入ろうとしたら座席表があったのには驚いた。

ジュンコとももえは吹雪先輩の場所に走っていった。味方が2人消えた。

明日香側には残った面子で3列を確保。

最前列には剣山、丸藤、ディレが座り、真ん中の列に雪乃、俺、ゆまが、最後列には万丈目がいる。

十代は来なかった。

 

「アニキがデュエルを見ないなんて、初めてだよ……」

 

悲しげに言う丸藤。

直後にフィールド全体の照明が落とされた。クロノスの紹介により、天井から衣装を着た吹雪先輩がワイヤーに吊るされて降りてくる。

あの人、【真紅眼】じゃなくて【EM】使った方が合ってる気がする。もしくは【Em】。

 

『キャ〜〜!ブッキー!!』

 

ワイヤーを使って宙を舞う吹雪先輩がある場所に着くと、黄色い声が。ファンか何かだろう。ジュンコとももえが居そうだ。

 

「吹雪先輩、凄い人気だね」

「あんなチャラそうなやつのどこがいいんだか……」

 

ゆまは吹雪先輩の人気に感心しているが、ディレから棘のある一撃が飛んでいった。もっとも、当の本人には届いていないが……

吹雪先輩はフィールドに降り立ち、右手人差し指を頭上高く立てて一言。

 

「僕の指差す先にあるものは?」

『天!』

 

ファンの返答。

 

「ン〜〜ジョイン!」

 

…………ファンには大受けみたいだが、個人的にはスベった。

吹雪先輩が声援に答える中再び照明がつき、続いて明日香が紹介され、スモークとともに現れた。

…………白鳥の乗り物に直立した状態で。

 

「明日香も可哀想にな。あんなのに乗せられて」

「龍斗、今回やけにキツくないかしら?」

「L!O!V!E!ラブユー明日香!」

 

雪乃にそう言われたが、そうだろうか?俺としては普通のつもりなんだが……

あと万丈目、うるさい。後ろのやつらに迷惑だから立つな。

2人がフィールドに揃い、今回のデュエルについて確認しあう。吹雪先輩が勝てば明日香はブルー寮に戻り、吹雪先輩とユニットを組む。明日香が勝てばレッド寮に残る。吹雪先輩の中ではもうユニット名まで決まっていて、『ブッキーとアスリン』でいくらしい。

 

「微妙だ」

「いや、無いだろ」

 

いつの間にかディレの隣に座っていた三沢に突っ込む。

明日香にとって、いろんな意味で負けられない戦いが始まった。

 

「「デュエル!」」

 

天上院吹雪

LP4000

 

VS

 

天上院明日香

LP4000

 

「僕の先攻だ。僕は【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】を召喚!」

 

【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】

攻撃表示

ATK2000/DEF1600

 

【パンサーウォリアー】?吹雪先輩が使うのは【真紅眼】だったはず……今回に向けて別のデッキを用意したのか?

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

天上院吹雪

LP4000

モンスター

【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「私のターン、ドロー!フィールド魔法【祝福の教会ーリチューアル・チャーチ】を発動!」

 

明日香が発動したフィールド魔法によって、周囲が教会の内部に変化する。

後ろで万丈目が何か妄想していたが、それを察知した明日香に怒られた。

他人の妄想まで察知するとは……恐ろしいやつ。ちなみに、ゆまはうっとりとした表情で妄想していた。明日香の声も届いてなかった。

それにしても、明日香のデッキにあんなカードは…………あ、シンクロデッキじゃないのか。

 

「【リチューアル・チャーチ】の効果で、手札の魔法カード【リチューアル・チャーチ】を捨て、デッキから光属性の儀式モンスターまたは儀式魔法を1枚手札に加える!【機械天使の絶対儀式】を手札に!」

 

儀式デッキ……そういえば去年、明日香のデッキを弄ったが、あれから変わったのか……?というかどこかで見たような……

 

「【サイバー・プチ・エンジェル】を召喚!」

 

【サイバー・プチ・エンジェル】

攻撃表示

ATK300/DEF200

 

機械で出来たピンクの球体に手足と羽、天使の輪をつけたようなモンスターが現れる。

 

「【サイバー・プチ・エンジェル】の効果発動!召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから【サイバー・エンジェル】モンスターか【機械天使の儀式】を手札に加える!【機械天使の儀式】を手札に!」

 

サーチが多いな……だが儀式魔法しかサーチしてない。

 

「【機械天使の儀式】を発動!フィールドのレベル2、【サイバー・プチ・エンジェル】と、手札のレベル6【サイバー・エンジェルー弁天ー】をリリースして、レベル8の【サイバー・エンジェルー荼吉尼ー】を儀式召喚!」

 

【サイバー・エンジェルー荼吉尼ー】

攻撃表示

ATK2700/DEF2400

 

腕が4本ある女性型モンスターが現れる。肌は青く、左右の腕には刃の大きさが異なる片刃の剣、残った腕で先端に金の輪が4つほどついた長い棒を持っている。

 

「【荼吉尼】のモンスター効果。儀式召喚に成功した場合、相手は自身のフィールドからモンスター1体を墓地へ送らなければならない!」

 

破壊を介さず、強制的に墓地に送る効果。『効果を受けない効果』をスルーできるらしい。

 

「【荼吉尼】の効果にチェーンして墓地の【弁天】の効果を発動!このカードがリリースされた場合、デッキから天使族・光属性モンスター1体を手札に加える!」

 

「【弁天】にそんな効果が?……チェーンしよう!速攻魔法【スケープ・ゴート】!僕のフィールドに【羊トークン】を4体、守備表示で特殊召喚!」

 

【羊トークン】

守備表示

ATK0/DEF0

 

赤、青、黄、ピンクの毛の羊が現れた。

これで吹雪先輩は【パンサーウォリアー】を守れる。

 

「……【弁天】の効果で、【サイバー・エンジェルー韋駄天ー】を手札に!」

 

天上院明日香

手札2枚→3枚

 

「そして【荼吉尼】の効果で、僕は【羊トークン】を墓地に」

 

破砕音とともに破壊されるピンクの【羊トークン】。

 

「まだ終わらないわよ!儀式魔法【機械天使の絶対儀式】を発動!儀式召喚する【サイバー・エンジェル】のレベルと同じになるように手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに墓地の天使族か戦士族モンスターをデッキに戻し、手札の【サイバー・エンジェル】儀式モンスターを儀式召喚する!」

 

墓地のモンスターを……アイツもしかして、いつの間にか俺のカードパクった?最近のパックには【機械天使の絶対儀式】なんて無かったはずだし、それ以前にも無かった……と思う。

あとで聞いてみよう。

 

「墓地の【弁天】をデッキに戻して、【サイバー・エンジェルー韋駄天ー】を儀式召喚!」

 

【サイバー・エンジェルー韋駄天ー】

攻撃表示

ATK1600/DEF2000

 

全身がピンクで、赤い装甲を付けた女性型モンスターが現れる。

 

「【韋駄天】の効果発動!儀式召喚に成功した場合、デッキ・墓地から儀式魔法を手札に加える!デッキから【機械天使の儀式】を手札に!」

 

天上院明日香

手札1枚→2枚

 

「バトル!【荼吉尼】で【羊トークン】に攻撃!」

 

【荼吉尼】が棒を振り回して赤の【羊トークン】に襲いかかる。

 

「罠発動【ダメージ・ダイエット】!」

 

「アイドルたる者、時にはスタイル維持のためのダイエットも必要!【ダメージ・ダイエット】は、このターン僕が受ける全てのダメージを半分にする!【荼吉尼】の効果は知っているよ。守備モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力を超えていれば、その数値差分のダメージを与える」

 

余計なことを言いながらダメージを軽減しようとする吹雪先輩。

隣でゆまが自分の腹を見ていた。

 

「ゆま、お前には必要ないから」

「なんで考えてることがわかるの!?」

 

吹雪先輩の発言の直後にそんなことしてたら誰だってわかる。

ディレ、何故俺を恨めしそうに見る?

 

「それでも、ダメージは通る!」

 

【荼吉尼】が【羊トークン】を棒でフルスイングし、吹雪先輩にぶつけた。

 

「くっ!」

 

天上院吹雪

LP4000→2650

 

「【荼吉尼】の効果は確かに貫通効果。だけど、兄さんの言ったことは正確じゃないの」

「正確じゃない?それは一体……」

「【荼吉尼】の効果は、私のフィールドの儀式モンスター全てに貫通効果を与える!」

 

儀式モンスター全体に貫通効果……【パンサーウォリアー】を守った結果、大ダメージを受けることになったのか。

 

「シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムの登場に、私の【サイバー・エンジェル】は進化した!【韋駄天】で【羊トークン】を攻撃!【荼吉尼】の効果で貫通ダメージをくらいなさい!」

 

【韋駄天】が【羊トークン】を蹴り飛ばし、吹雪先輩の顔に直撃した。しかし、シンクロ等の登場で進化……マジでカードパクった?

 

「あ、アイドルの顔にぶつけるなんて……」

 

天上院吹雪

LP2650→1850

 

まだアイドルじゃないというツッコミはどこからも来なかった。似た扱いだからだろうか?

 

「ターンエンド」

 

天上院明日香

LP4000

モンスター

【サイバー・エンジェルー荼吉尼ー】:攻

ATK2700

【サイバー・エンジェルー韋駄天ー】:攻

ATK1600

魔・罠

フィールド

【祝福の教会ーリチューアル・チャーチ】

手札2枚

 

1ターンでライフを半分以上削られた吹雪先輩に、ファンの女子生徒達から『負けないで』と声援が送られる。

それに吹雪先輩は笑顔で感謝を送り、デッキに手をかけた。

 

「僕のターン、ドロー!【不屈闘士レイレイ】を召喚!」

 

【不屈闘士レイレイ】

攻撃表示

ATK2300/DEF0

 

「さらに装備魔法【愚鈍の斧】!このカードを【レイレイ】に装備し、攻撃力を1000ポイントアップ!さらに効果を無効にする!」

 

【不屈闘士レイレイ】

ATK2300→ATK3300

 

「【不屈闘士レイレイ】は、レベル4で攻撃力2300という強力モンスター。でも攻撃を終えると守備表示になってしまい、その守備力は0……あの先輩、ただチャランポランなだけじゃないザウルス!」

 

剣山がそう言うと、三沢が『吹雪先輩はかつて、カイザーの唯一のライバルと言われていた』と言った。それを聞いた丸藤がショックを受ける。まぁ、カイザーとは性格から何から共通してる部分が無いからな。気持ちはわかる。

 

「バトル!【不屈闘士レイレイ】で、【荼吉尼】を攻撃!」

 

【レイレイ】が四足歩行の動物のように突進してくる。普通に走ったほうが楽だと思うんだが……身体構造的に。獣戦士だからか?

 

「墓地の【機械天使の儀式】の効果!」

「墓地の儀式魔法を!?」

 

吹雪先輩が若干態とらしく驚く。十代や三沢はそうでも無かったが、他のテスターは墓地のカードを結構使うから、驚きはあまり無いんだろう。

 

「私の光属性モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、このカードを身代わりとして除外できる!」

「だが、バトルダメージは受けてもらう!」

 

【レイレイ】が【荼吉尼】にタックルするが、【荼吉尼】はそれを受け止める。互いのモンスターが破壊されることは無かったが、ダメージが衝撃波となって明日香を襲う。

 

「くっ……!」

 

天上院明日香

LP4000→3400

 

「【羊トークン】をリリースして、【パンサーウォリアー】で【韋駄天】を攻撃!」

 

【パンサーウォリアー】が右手に持ったサーベルで【韋駄天】を切り裂く。

 

天上院明日香

LP3400→3000

 

「メインフェイズ2。僕は【パンサーウォリアー】と【レイレイ】でオーバーレイ!」

 

吹雪先輩がエクシーズ……ランク4……【ホープ】か?

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!大空へ羽ばたき雲を突き抜けろ!エクシーズ召喚!ランク4!【鳥銃士カステル】!」

 

【鳥銃士カステル】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

【カステル】……丸藤だけじゃなく吹雪先輩も当てていたのか。

 

「カステルのモンスター効果!ORUを2つ使い、【荼吉尼】を対象にして発動!」

「手札の【エフェクト・ヴェーラー】の効果で【カステル】の効果を無効に」

「えっ?」

 

明日香が吹雪先輩のセリフに被せるようにして発動した【ヴェーラー】が半透明の状態で出現し、【カステル】に猫だましをする。銃を撃とうとした【カステル】は驚き、銃を撃つことなく元の体勢に戻った。

 

「くっ……カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

天上院吹雪

LP1850

モンスター

【鳥銃士カステル】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ2枚

手札0枚

 

「リバースカードがあるけれど、状況は明日香が有利かしら?」

「微妙だな。手札わかってるから、あのリバースカードが除去系だと吹雪先輩が有利だと思う」

 

雪乃にそう返す。他には、蘇生系だと生き延びる可能性があるってくらいか?

 

「私のターン、ドロー!」

「罠発動【強制脱出装置】!【荼吉尼】には手札(幕裏)に帰ってもらう!」

 

手札を幕裏って言うな。そう思いながらも手札に戻される【荼吉尼】。

 

「……墓地の【機械天使の絶対儀式】と【リチューアル・チャーチ】の2枚をデッキに戻して、墓地の【サイバー・プチ・エンジェル】を対象に、フィールド魔法【リチューアル・チャーチ】の効果!対象モンスターを特殊召喚!」

 

【サイバー・プチ・エンジェル】

攻撃表示

ATK300/DEF200

 

【サイバー・プチ・エンジェル】はたしか、デッキから【サイバー・エンジェル】をサーチできたな。そして手札には【荼吉尼】と【機械天使の儀式】……決められるか?

 

「【サイバー・プチ・エンジェル】の効果発動!召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから【サイバー・エンジェル】か【機械天使の儀式】を手札に加える!【サイバー・エンジェルー美朱濡(ビシュヌ)ー】を手札に!」

 

天上院明日香

手札2枚→3枚

 

「そして儀式魔法【機械天使の儀式】を発動!フィールドのレベル2、【サイバー・プチ・エンジェル】と手札のレベル8、【荼吉尼】をリリースして、レベル10の【サイバー・エンジェルー美朱濡ー】を儀式召喚!」

 

【サイバー・エンジェルー美朱濡ー】

攻撃表示

ATK3000/DEF2000

 

腕を4本持ち、背中に大きな金のギアを背負い、腰のあたりから光の翼を広げた女性型モンスターが空中からフィールドに降り立つ。攻撃力とレベルからして、あのモンスターが明日香の最終兵器なのだろう。

 

「【美朱濡】の効果発動!儀式召喚に成功した場合、相手フィールドのエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、1体につき1000ポイントのダメージを与える!」

 

…………確定したな。融合モンスターだけじゃなく、シンクロやエクシーズにまで影響する儀式モンスターなら、これしかない。

 

「あの野郎……テスターの仕事に関係無いカードパクりやがった……!」

「落ち着いて龍斗。勝負のついでにシンクロ以外のカードのテストをしたと思えばいいじゃない」

 

雪乃にそう諭されるが、それならば言ってほしかった。しかし、昨日は明日香にカードを渡してないから、それ以前に持っていったことになる。

…………やっぱりあとで問い詰めよう。

俺が決意している間に、【美朱濡】が背負うギアから光の玉がいくつも出てきて一度集まり、吹雪先輩のフィールドに降り注ぎ、【カステル】を破壊した。

 

「【荼吉尼】ではなく、新しいカードを使ってくるとは……」

 

天上院吹雪

LP1850→850

 

「バトル!【美朱濡】でダイレクトアタック!」

「まだ終わらせないよ!罠発動!永続罠【リビングデッドの呼び声】!その効果で【不屈闘士レイレイ】を特殊召喚!」

 

【不屈闘士レイレイ】

攻撃表示

ATK2300/DEF0

 

「フィールドのモンスターの数が変化したことで、バトルは巻き戻される。【レイレイ】を攻撃対象に変更して攻撃!」

 

【美朱濡】の顔の横からバイザーが現れ、【美朱濡】の目を隠す。翼を【レイレイ】に向けて、光を放つ。【レイレイ】は抵抗することなく光に飲み込まれた。

 

天上院吹雪

LP850→150

 

「これで、【美朱濡】の攻撃は終了し、僕のターンに」

「それはどうかしら?」

「何?」

 

勝利を確信した笑みを浮かべる明日香。

 

「【美朱濡】の効果には続きがあるの」

「続きだって!?」

「儀式召喚に成功したことで発動する効果を使った【美朱濡】はこのターン、1ターンに2回攻撃できる!」

「なんだって!?」

 

【美朱濡】の2回目の攻撃宣言により、吹雪先輩は光に飲み込まれた。

 

「明日香ーーーー!!」

 

天上院吹雪

LP150→-2850

 

吹雪先輩が明日香の名を叫び、デュエルは決着した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「十代君が!?」

 

デュエルが決着したあと、デュエルフィールドに集まる。

吹雪先輩は明日香をアイドルにし、恋の歌を歌い、普通の女の子に戻ってもらおうとしていたらしいが、男子にアイアンクロー決める時点でもう戻れないと思う。

そして、吹雪先輩が俺達のそばに十代がいないことに気付いたので、十代がどうしているのか教えることに。

吹雪先輩は心配して何かしようとしていたが、三沢に『自分達にできることはない』と止められる。

しかし、この件からしばらくの後、十代がデュエルアカデミアから姿を消した。




次回は『アイドル候補はもっといてもいいんじゃね?』ってことでゲスト登場。ついでに龍斗が巻き込まれます。


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別のアイドル VS.嶺開花

今回限定(の予定)のゲストキャラです。
今作はマスタールール4には非対応の予定です。10期のカードは一部使うかもですが……
デュエルディスクの機構考えたり、作品内での変更が大変なので。


十代が行方不明になったのは、明日香のアイドル化をかけた兄妹デュエルから2日程経った頃。

丸藤、剣山、明日香、ジュンコ、ももえ、吹雪先輩、万丈目、雪乃、ディレ、ゆま、俺の11人で島中を探したが、結局見つかることは無かった。しかも途中、万丈目と連絡が取れなくなり、捜索対象が増えて寮に帰ったのは夜遅く。

今朝には戻ってきたらしいが、どこで何をしていたのか問い正そうとレッド寮の食堂に10人で行くと、真っ黒だった制服が真っ白になり、『光の結社』や『斎王』といった単語を並べだした。

 

「…………変な宗教団体に入信したのか」

「お兄ちゃん、デュエルアカデミアにしゅーきょー団体なんてあるの?」

 

吹雪先輩が俺の代わりにゆまの質問に『そんなのは無かったと思うけどなぁ……』と言っていた。

とりあえず、ゆまには『万丈目には近づくな』と言って俺の背中に隠れさせる。

 

「……とりあえず、万丈目は使えそうもないから、部屋に行こう」

 

万丈目の部屋を住処にしている明日香に促して、今後の話をすることに。

 

「十代が行方不明で万丈目が宗教団体に入信。戦力を失ったとなると、クロノスとえっと…………あの……ちんちくりんの……」

「ナポレオン教頭です」

 

ももえの指摘に『それだ』と言ってももえを指差す。

とにかくあの2人はこっちに攻めやすくなった。明日香のときより更に状況が悪化したと言っていい。

ゆまと丸藤、剣山は少し不安そうに下を向く。

 

「まぁ、切り札が無いわけじゃ無いけどな」

「ホントザウルス!?」

 

俺の呟きに剣山が瞬時に反応。ここまでの反応をされるとは思わず、驚いてしまった。

 

「デュエルアカデミアのオーナーはKC社の海馬瀬人。オーナーの権力を使えばレッド寮は守れる…………と思う」

「お、思うって……」

 

『思う』の一言に丸藤は再び不安そうに下を向く。実際、あの人が動いてくれれば、この問題は一瞬で片付くだろう。極論、海馬さんがクロノスとナポレオンに『クビ』と言ってしまえばいいのだから。言うかどうかはともかく。

 

「あの人に頼むのは嫌なんだよ。俺の雇い主の1人だし、あの人の頭のキレには追いつけないから、言い包められる可能性もある」

「たしかに、海馬瀬人と真正面から対峙するのはちょっとね……」

 

夏休みに体験した明日香が苦笑しながら、同意してくれる。ジュンコとももえも同意見らしい。無言で頷いてる。

 

「そして俺達は『レッド寮を守る』側の集団だ。『レッド寮を潰す意味』を消さないとならないが、レッド寮の存続の鍵を握ると言っていい十代が行方不明な以上、俺達にできることはほとんど無い。やってくるクロノスとナポレオンを逐一追い払うくらいだ」

「どうしてアニキがレッド寮存続の鍵を握ってるんスか?」

「学園、つまりクロノス臨時校長とナポレオン教頭は、天上院君のアイドル化のように、学園から有力なデュエリストを輩出し、学園の知名度を上げることが目的。ラー・イエローやオベリスク・ブルーの生徒からプロに行くが、オベリスク・ブルーの生徒に匹敵する実力を持った十代がプロに行けば、レッド寮の存続意義を持てる。だが、十代が行方不明な以上、レッドからプロに行ける生徒は万丈目くらいだが、万丈目はブルーへの昇格も目指しているから、事実上十代が鍵を握っていると、龍斗は思っているんだ」

 

丸藤の疑問に、三沢が答える。

三沢、お前いつの間に……

 

「最初からいた!」

 

顔に出ていたのか、何も言っていないのに大声で言われた。

しかし、三沢以外の全員が『本当に?』と言いたげに三沢を見る。

 

「お兄ちゃん、三沢さんって最初からいた?」

 

ゆまが小声で聞いてくる。ゆまにまで存在を忘れられる三沢……

 

「……ともかく、俺は三沢の存在感とか、レッド寮存続の為の何かを話すためにこっちに来たんじゃない」

「じゃあ、なんでここに?」

 

話題を切り替えようとして、雪乃に問われる。応える前に明日香に指差して、

 

「明日香が仕事に関係ないカードを持ち出したことに文句を言うためだ」

「っ!」

 

明日香は俺の発言に『面倒なことになった』というような表情を見せ、俺から顔を背ける。

 

「この前の吹雪先輩とのデュエルで使った【美朱濡】とかいうカード。夏以前に販売されなカードなら、【カステル】を除去できるテキストにはなっていない筈だ。だが、実際に【カステル】を除去できたということは、お前俺の部屋からカード借りてくとき、パクっていったろ」

「結構緊張感ある場面だったのに最後でラフになった!」

 

ゆまが何かうるさいが、『待て』と言ってゆまの額に手を当てると、躾けられた犬のように静止した。

 

「あ、後で返すつもりだったのよ」

「だとしても無断で持っていくなよ。相手が相手なら窃盗で訴えられるぞ」

 

『訴えられる』というのが効いたのか、明日香は珍しく申し訳無さそうに俯いた。

 

「別に使うのはいいとは思うが、今後は勝手に持っていくな。いいな?」

「…………ごめんなさい」

「ん。よろしい」

 

小さな声だが、謝ったのでこの件は終わりだ。もっと言うと俺の目的が終わった。

 

「じゃあ、暇だからデュエルでもしようか。誰か相手してくれ」

「では私が」

 

暇つぶしのデュエルを申し出るとももえが相手を名乗り出た。デュエルディスクを使わないテーブルデュエルだ。取りに行くの面倒だし。

 

「「デュエル!」」

 

【ウィジャ盤】

【死のメッセージ「E」】

【死のメッセージ「A」】

【死のメッセージ「T」】

【死のメッセージ「H」】

 

やばい。事故った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シニョール宮田居まスーノ?」

 

翌日早朝、クロノスが部屋にやってきた。先日の明日香アイドル化の事はまだ終わっていないらしい。

明日香は見た目、デュエルの実力ともにアイドル養成コースの筆頭候補だったらしいが、明日香だけがアイドル候補では無かったらしい。デュエルの実力は明日香には劣るものの、それでも見た目がいい女子は多くいるとのこと。

そしてカリキュラムの一つとして『魅せるデュエル』の実践をする相手に俺を指名してきた。

既にフィールドの設営、一般生徒への告知も済ませてあるらしい。無駄に手の込んだことをしてきやがった。

カードのテストもついでにできるし、切り札はまだ生きている……筈。特にデメリットは無いので受けることに。

 

「それで、いつやるんです?」

「今日の放課後ナノーネ」

 

かなり急だった。デッキの調整をすると言ってクロノスには部屋を出ていってもらい、使うデッキを決めて校舎に向かった。

昼休み、ゆま達にも俺がアイドル養成コースの生徒の1人とデュエルする話がいったらしく、問い詰められた。『何故デュエルするのか』とか『勝てるのか』とか聞かれたが、『今朝言われた』『負けるつもりはない』と順次応答していく。

 

「大丈夫ですっ!お兄ちゃんは負けません!」

 

ゆまだけは俺を100%信じているようで、満面の笑みを浮かべていた。

そして放課後。

デュエルフィールドの観客席には多くの男子生徒が今か今かとデュエルが始まるのを待っていた。

俺はフィールドに立ち、相手が来るのを待つ。後ろからゆまの声が聞こえるから、皆後ろにいるのだろう。ただ、ゆまから応援されると周囲の男子の視線が突き刺さるのが気になる。

やがて照明が落とされ、俺とは反対側の出入口にスポットライトが当たる。

スモークが上がり、ディレのものより赤めのピンクの髪で2つの輪を作った独特の髪の女子生徒がよくわからない歌を歌いながら現れた。

これも『魅せるデュエル』とやらの一環なのだろう。デュエル要素皆無だが。

 

「どーもー!」

 

元気よく挨拶してくる女子生徒。やたらテンション高いな。

 

「アタシの名前は嶺開花(リンカイホウ)。よろしくー!」

 

自己紹介してきた嶺という生徒に、俺も自己紹介しておく。

 

「今日はデュエルの相手をしてくれてありがとう!」

「こちらもカードのテストができるから、気にする必要はない」

「そっかー。I2とKCのテスターサンだもんね。大変そう」

 

こちらに合わせて頷く嶺。

『でも』と前置きして、

 

「アタシも夢への第一歩があるから、負けないよ!」

 

と強気にデュエルディスクを構えた。

こちらもやや遅れてデュエルディスクを展開。

 

「「デュエル!」」

 

嶺開花

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「先攻はアタシ!モンスターとカードを1枚ずつ伏せてターンエンド!

さぁ、アタシの伏せたカードは何かなぁ?」

 

嶺開花

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

モンスターを裏守備か……リバースモンスター……相手のデッキがわからない以上、迷うこともないか。

 

「俺のターン、ドロー!俺はスケール2の【魔界劇団ーワイルド・ホープ】とスケール3の【魔界劇団ービッグ・スター】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺の右後ろに髑髏とV字の独特の飾りをつけた帽子を被り、ラッパの先端をボールにつけたような形の銃を2丁腰につけた全身青のモンスター【ワイルド・ホープ】が、左後ろに全身黒尽くめの隻眼のモンスター【ビッグ・スター】が現れる。

今回のデッキは【魔界劇団】。

『魅せるデュエル』ということで、こちらもエンターテイメント感あるカテゴリーのデッキを用意した。

 

「今回はペンデュラムかー!君はいつも違うデッキだから、どんなデッキか楽しみだったんだぁ。でも、スケールが2と3だと、ペンデュラム召喚できないよ?」

「結論を出すにはまだ早いぞ。【ワイルド・ホープ】のペンデュラム効果!対となるペンデュラムゾーンの【魔界劇団】カードのスケールを、ターン終了時まで9にする!」

「ペンデュラムスケールを変える効果!?」

 

嶺が驚くなか、【ワイルド・ホープ】が【ビッグ・スター】の下に浮かぶ『3』の文字を銃で撃ち抜く。『3』の文字が横に回転し、数字が『9』に変わった。

 

「これでレベル3から8のモンスターが同時に召喚可能!

It's show time!闇の舞台の幕開けだ!ペンデュラム召喚!現れろ!レベル8【魔界劇団ーデビル・ヒール】!」

 

【魔界劇団ーデビル・ヒール】

攻撃表示

ATK3000/DEF2000

 

全身が青紫色の異形の悪魔がファイティグポーズを取りながら現れた。

 

「いきなり攻撃力3000!」

「念には念を。魔法カード【魔界台本「ファンタジー・マジック」】を【デビル・ヒール】を対象に発動!」

 

【デビル・ヒール】のもとに台本が現れ、それを読み始める。

 

「これにより、このターン【デビル・ヒール】の攻撃で破壊されなかったモンスターは、ダメージステップ終了時に手札に戻る」

 

説明を終えると、【デビル・ヒール】は台本を真ん中から引き裂いて床に叩きつけた。なんてことをしてやがる。

 

「バトル!【デビル・ヒール】で守備モンスターを攻撃!」

 

【デビル・ヒール】が両手を組んで守備モンスターに振り下ろす。

攻撃は綺麗に通り、一瞬だけ【見習い魔術師】が姿を見せた。

 

「破壊された【見習い魔術師】の効果発動!デッキからレベル2以下の魔法使い族モンスターを裏側守備表示で特殊召喚するよ!【執念深き老魔術師】を特殊召喚!」

 

【執念深き老魔術師】……除去したいが……仕方ない。

 

「【デビル・ヒール】の効果発動!このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、墓地の【魔界台本】を1冊、フィールドにセットする!さっき使った【魔界台本「ファンタジー・マジック」】をセット!」

 

床に叩きつけられた台本だった紙束を集め、その場に正座。履いているズボンからテープを取り出し、丁寧に台本に貼り付け修復。何もなかったかのように俺と【デビル・ヒール】の間に置き、裏側のカードになった。

 

「カードを1枚セットして、ターンエンド!この瞬間、【ワイルド・ホープ】の効果で変更されていた【ビッグ・スター】のスケールが元に戻る」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【魔界劇団ーデビル・ヒール】:攻

ATK3000

魔・罠

伏せ2枚

ペンデュラム

【魔界劇団ーワイルド・ホープ】:スケール2

【魔界劇団ービッグ・スター】スケール3

手札1枚

 

「アタシのターン、ドロー!まずは【執念深き老魔術師】を反転召喚!」

 

【執念深き老魔術師】

攻撃表示

ATK450/DEF600

 

「【執念深き老魔術師】のリバース効果発動!【デビル・ヒール】を破壊!」

 

【執念深き老魔術師】が呪文を唱える。

 

『ボチテンシヨンタイボチライロヨンシュ……』

 

呪文が全て墓地関連でどこか聞き覚えがある。

墓地関連の呪文によって破壊される【デビル・ヒール】。墓地にはいかないが。

 

「【魔導戦士 ブレイカー】を召喚!」

 

【魔導戦士 ブレイカー】

攻撃表示

ATK1600/DEF1000

 

「【ブレイカー】は召喚に成功したとき、魔力カウンターを1つ乗せ、攻撃力が300ポイントアップ!」

 

【魔導戦士 ブレイカー】

ATK1600→ATK1900

 

「バトルだよ!【ブレイカー】でダイレクトアタック!」

 

【ブレイカー】が猛スピードで接近し、俺を袈裟斬りする。

 

「ぐっ!」

 

宮田龍斗

LP4000→2100

 

「続いて【執念深き老魔術師】でダイレクトアタック!」

 

【老魔術師】が杖を構え、黒い球体を作り俺に飛ばす。球体は俺の目の前で爆発し、衝撃波が俺を襲う。

 

「ちぃっ……!」

 

宮田龍斗

LP2100→1650

 

「メインフェイズ2!【ブレイカー】の効果発動!魔力カウンターを取り除いて、フィールドの魔法・罠を1枚破壊するよ!【ワイルド・ホープ】を破壊!」

「チェーンして永続罠【連成する振動】を発動!1ターンに1度、俺のペンデュラムゾーンのカード1枚を対象に、対象カードを破壊し、1枚ドローする!【ワイルド・ホープ】を破壊!そしてドロー」

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚

 

「そして、【ブレイカー】の効果は対象を失ったことで不発となる」

「でも、【ワイルド・ホープ】を失ったことで、ペンデュラム召喚はできなくなったよ!」

「そいつはどうかな?」

 

自信を持って言う嶺に言ってやると、『えっ?』と目を丸くした。

 

「【ワイルド・ホープ】の効果発動!戦闘・効果で破壊された場合、デッキから【ワイルド・ホープ】以外の【魔界劇団】モンスターを手札に加える!【魔界劇団ーファンキー・コメディアン】を手札に!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「【ファンキー・コメディアン】はスケール8のペンデュラムモンスター。これで、ペンデュラム召喚ができるな」

「やるね〜。アタシはカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

嶺開花

LP4000

モンスター

【執念深き老魔術師】:攻

ATK450

【魔導戦士 ブレイカー】:攻

ATK1600

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

【老魔術師】が攻撃表示のまま……誘ってるな。手札に魔法・罠除去は無い……いや、そもそも【サイクロン】とか入れてたか?

 

「……まぁいいや。俺のターン、ドロー!俺はセッティング済みの【ビッグ・スター】とスケール8の【魔界劇団ーファンキー・コメディアン】で、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

前のターンまで【ワイルド・ホープ】がいた場所に、4本の腕を持つ黄土色の肌の太ったモンスター【ファンキー・コメディアン】が現れる。

 

「これでレベル4から7のモンスターが同時に召喚可能!

It's show time!闇の舞台、第二幕を開けよう!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより現れろ!レベル4【魔界劇団ーワイルド・ホープ】!」

 

【魔界劇団ーワイルド・ホープ】

攻撃表示

ATK1600/DEF1200

 

「【デビル・ヒール】はレベル8だから、ペンデュラム召喚できないにしても、1体だけ?」

「その通りなんだが、第二幕は第三幕への準備ってやつだ。【ワイルド・ホープ】の効果発動!1ターンに1度、俺のフィールドの【魔界劇団】モンスター1種類につき、攻撃力が100ポイントアップする。といっても、今は1種類しかいないから、100ポイントしかアップしないけどな」

 

【魔界劇団ーワイルド・ホープ】

ATK1600→ATK1700

 

「バトル!【ワイルド・ホープ】で【執念深き老魔術師】を攻撃!」

 

【ワイルド・ホープ】の2丁の銃が【老魔術師】の身体を撃ち抜いた。

 

嶺開花

LP4000→2750

 

「カードを2枚セットして、ターンエンド!この瞬間、【ワイルド・ホープ】の攻撃力が元に戻る」

 

宮田龍斗

LP1650

モンスター

【魔界劇団ーワイルド・ホープ】:攻

ATK1600

魔・罠

伏せ3枚

【連成する振動】

ペンデュラム

【魔界劇団ービッグ・スター】:スケール3

【魔界劇団ーファンキー・コメディアン】:スケール8

手札2枚

EX

【魔界劇団ーデビル・ヒール】

 

「アタシのターン、ドロー!アタシはチューナーモンスター【氷結界の風水師】を召喚!」

 

【氷結界の風水師】

攻撃表示

ATK800/DEF1200

 

目が前髪で隠れている人型モンスターが現れる。男なんだか女なんだかパッと見わからないな。しかしチューナー……シンクロか。

 

「いっくよー!レベル4の【ブレイカー】にレベル3の【風水師】をチューニング!

聖なる魔道士、契約に従い かの者を撃ち砕かん!シンクロ召喚!レベル7【アーカナイト・マジシャン】!」

 

【アーカナイト・マジシャン】

攻撃表示

ATK400/DEF1800

 

白いローブで全身を包んだ魔法使いが音も無くフィールドに降り立つ。

 

「【アーカナイト・マジシャン】の効果発動!シンクロ召喚に成功したとき、このカードに魔力カウンターを2つ置く!」

「罠発動【激流葬】!モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したとき、フィールドのモンスターを全て破壊する!」

 

天井から降り注ぐ大量の水によって押し潰される【アーカナイト・マジシャン】と【ワイルド・ホープ】。ついでに俺と嶺も水浸しになってしまった。

 

「うぇ〜〜ぐしょぐしょ〜……」

 

嶺の嘆きに内心同意しつつ、次の一手だ。

 

「破壊された【ワイルド・ホープ】の効果で、デッキから【魔界劇団ーサッシー・ルーキー】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

俺がデッキからカードを手札に加えている間に、嶺は犬のように身体を回して水を弾いた。ソリッドヴィジョンのはずなんだがなぁ……

 

「気を取り直して……永続罠【リビングデッドの呼び声】を発動!戻ってきて!【アーカナイト・マジシャン】!」

 

【アーカナイト・マジシャン】

攻撃表示

ATK400/DEF1800

 

再び現れる魔術師。『今回こそは活躍する』と意気込んでいるのか、杖を力強く握っている。攻撃力400のままだけどな。

 

「さらに罠発動!

【バスター・モード(モーーーード)】!」

 

妙にカード名を長く叫びながら発動した【バスター・モード】。前のターンにセットしたのはアレだったのか。

 

「【アーカナイト・マジシャン】をリリースして、パワーアップさせるよ!拘束術式解除!」

 

嶺の掛け声に合わせて【アーカナイト・マジシャン】の手脚に、魔法陣が展開される。魔法陣が収縮し、身体に入り込むと、【アーカナイト・マジシャン】の身体が光を放つ。

 

「【アーカナイト・マジシャン/バスター】!」

 

【アーカナイト・マジシャン/バスター】

攻撃表示

ATK900/DEF2300

 

光が消え、ローブの代わりに朱色と紺の鎧を着た【アーカナイト・マジシャン】に姿を変えた。

 

「【アーカナイト・マジシャン/バスター】の効果発動!このカードに魔力カウンターを2つ置く!」

 

【アーカナイト・マジシャン/バスター】の周囲に、緑色の光球が2つ現れ、エクシーズモンスターのORUのように漂い始めた。

 

「【アーカナイト・マジシャン/バスター】は、自身に置かれている魔力カウンター1つにつき、攻撃力が1000ポイントアップする!」

 

【アーカナイト・マジシャン/バスター】

ATK900→ATK2900

 

「バトル!【アーカナイト・マジシャン/バスター】でダイレクトアタック!」

「まだ終わらせない!罠発動【ペンデュラム・リボーン】!俺の墓地またはエクストラデッキからペンデュラムモンスターを特殊召喚する!蘇れ【デビル・ヒール】!」

 

【魔界劇団ーデビル・ヒール】

攻撃表示

ATK3000/DEF2000

 

「【デビル・ヒール】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功した場合、相手フィールドのモンスター、【アーカナイト・マジシャン/バスター】を対象に、ターン終了時まで俺のフィールドの【魔界劇団】モンスター1体につき、攻撃力が1000ポイントダウンする!」

 

【デビル・ヒール】が大きく息を吸い、【アーカナイト・マジシャン/バスター】に向かって吐き出す。

 

「臭っ!!なんか臭っ!!」

 

背後にいた嶺にも届いているらしく、鼻を摘んでいた。

 

【アーカナイト・マジシャン/バスター】

ATK2900→ATK1900

 

「フィールドのモンスターの数が変化したことで、巻き戻しが発生する。さぁ、どうする?」

「バトルは中止〜。メインフェイズ2で【アーカナイト・マジシャン/バスター】の効果発動!このカードの魔力カウンターを2つ取り除いて、相手フィールドのカードを全て破壊する!」

 

鼻を摘みながらとんでもないこと言いやがった。

 

「タダではやられない!【連成する振動】の効果で、【ビッグ・スター】を破壊し、カードを1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「いっくよー!カタストロフ・レイ!」

 

【アーカナイト・マジシャン/バスター】の周囲の魔力カウンターが静止し、収縮する。数秒間収縮したまま止まり、一気に爆発した。爆発の光に眼を閉じ、轟音が止み、ゆっくりと眼を開くと俺のフィールドのカードが全て吹き飛んでいた。

 

「破壊された【魔界台本「ファンタジー・マジック」】の効果発動!」

「破壊した魔法の効果!?」

 

一応再セットしたカードが活きてくるとは俺も思わなかった。あまりウケは良くない効果だけどな。

 

「俺のエクストラデッキに【魔界劇団】ペンデュラムモンスターが表側表示で存在し、セットされたこのカードが相手の効果で破壊された場合、相手フィールドのカード1枚を対象に発動!【アーカナイト・マジシャン/バスター】を対象に。対象カードをデッキトップに戻す」

「デッキ!?ちょっ、ちょぉっ!?」

 

日本語になっていない嶺の言葉を無視してフィールドから消える【アーカナイト・マジシャン/バスター】。そして観客席から凄まじいブーイングが。カイザーとの卒業模範デュエルを思い出すな。

 

「……カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

嶺開花

LP2750

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

【リビングデッドの呼び声】

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!俺はスケール2の【魔界劇団ーサッシー・ルーキー】とスケール8の【魔界劇団ーダンディ・バイプレイヤー】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

手の甲にあたる位置に目玉の装飾をつけた肘まで隠す指ぬきグローブのようなものをつけ、膝にも目玉の装飾をつけたグレーのオーバーオールを着たモンスター【サッシー・ルーキー】が右後ろに、どこか支配人のような印象のある服を着た、青い肌のモンスター【ダンディ・バイプレイヤー】が左後ろに現れる。

 

「これでレベル3から7のモンスターが同時に召喚可能!

It's show time!闇の舞台、第三幕の幕を開けよう!ペンデュラム召喚!現れろ!【魔界劇団】のスター達!」

 

【サッシー・ルーキー】と【ダンディ・バイプレイヤー】の間の空間から、2体のモンスターが現れる。

 

「エクストラデッキから、【魔界劇団ーワイルド・ホープ】!」

 

【魔界劇団ーワイルド・ホープ】

攻撃表示

ATK1600/DEF1200

 

「そして【魔界劇団ービッグ・スター】!」

 

【魔界劇団ービッグ・スター】

攻撃表示

ATK2500/DEF1800

 

「バトル!【ワイルド・ホープ】、【ビッグ・スター】でダイレクトアタック!」

 

召喚時は【ビッグ・スター】の効果で魔法・罠を発動できないから良いとして、攻撃宣言時に何か来るかと思ったが、嶺は何も発動せずに2体の攻撃に飲み込まれた。

 

「ぅわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

嶺開花

LP2750→-1350

 

「これにて終幕」

 

未だ止まぬブーイングの中、頭を下げながら右手を胸に、左腕を広げるように礼をすると、【ビッグ・スター】も俺に合わせるように礼をした。

エンタメって難しい……

デュエルを終えて、嶺がセットしたカードが何か聞いてみると、【黒魔族復活の棺】だったらしい。『魅せるデュエル』において、魔法・罠による効果破壊はウケが良くないからという理由で除去系はほとんど無いと言っていた。警戒して【サッシー・ルーキー】サーチして損した気分だ。

デュエル内容に納得がいかない男子連中から逃げ、十代と丸藤の部屋に立て籠もったが、剣山によって強行突破され、バウンスはするなと明日香に説教された。だからお前に言われたくないっての……

 

「龍斗聞いてるの!?」

「聞いてるよ」




次回は十代が帰ってきてエドとデュエルです。9期【DーHERO】とかは入ってないです。


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ネオス 十代VS.エド

先日のARCーVにて、遊矢がスケール3とスケール10でペンデュラム召喚しましたが、何故レベル2のチューナーが紛れていやがったのか……【EM】で【オッドアイズ】で【シンクロン】なチューナー……サポート範囲広すぎないでしょうか?

ともかく本編へどうぞ。


「ふいーん……ういーん」

 

夜。

よくわからない声、というより音を発するゆまの頬を伸ばして遊びながら、明日香の部屋でテレビを見る。見るのはプロデュエルだ。

エドに負けて以来、戦績が芳しくなかったカイザーが、どこかで吹っ切れたのか【インフィニティ】のカードを躊躇無く使い出した。ただ、ヘルカイザーとしては活動していない。トップリーグで活躍を続けているからだろう。

 

「今日もカイザーの勝ちか。【インフィニティ】使ってるし、現環境ならおかしくはないけどな」

「皆、ちょっと来てほしいザウルス!」

 

先程十代と丸藤の部屋に戻った剣山が部屋に戻ってきた。何やら慌てている様子。

部屋を出ると、寮の前に昼間には無かった看板が立てられていた。

看板には、翌朝レッド寮の存続をかけたデュエルをして、学園側の代表が勝った場合、レッド寮を即刻潰すというような内容が書かれていた。

 

「強行手段に来たな。ナポレオンもクロノスも本気で潰しにきている」

「龍斗、どうするの?」

 

看板を見ながら呟く俺に、明日香が真剣な面持ちで聞いてくる。

どうするって言われても……

 

「【メタポワンキル】……【Xーセイバーハンデスループ】か【ゼンマイ】……最悪【ウィジャ盤】かエクゾディ---」

「龍斗先輩、不吉な名前しか言ってないドン」

「正面から立ち向かうという発想は無いのかしら?」

 

どのデッキで戦うか、あるいは戦わせるかを考えていると、剣山と明日香に呆れたような視線を向けられた。

 

「よし、全員で相手の代表とバトルロイヤル方式でデュエルしよう。そうすれば勝てる」

「最悪な答えがやってきたザウルス……」

「お兄ちゃん、多分クロノス先生達が『それはダメっ!』っていうかも」

 

剣山に呆れを通り越して侮蔑ともとれそうな視線を向けられ、ゆまに提案を却下された。

仕方ない。正面から叩くか。

 

「それじゃあ、俺が行こう。大丈夫。ちゃんと正面から叩くから」

「さっきからの発言から不安しかないのだけど……」

 

明日香に心配されながら、デッキを決めるためにブルー寮に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、霧が出ていて、朝日も登りきっていないような時間。

 

「お兄ちゃん起きて!」

「がふっ!」

 

テンション高めのゆまにダイブで起こされた。

不機嫌全開で何故こんなことをしたのか聞くと、

 

「負けちゃいけないデュエルだよ!無理矢理にでも起こせって明日香さんに昨日言われたの!」

 

善意100%の笑みのゆま。

明日香め……ゆまに余計なこと吹き込みやがって……しかしそれを実行するゆまもゆまだ。

 

「とりあえず、起こしてくれたのはありがとう。でもな……やり方ってもんがあるだろ!」

「ふにゃあぁ!?」

 

俺の上に乗ったままのゆまを倒し、上下の立場を逆転させ、ゆまの上に馬乗りに。そのまま頬を引っ張る。

 

「ふにーん!」

「今度あんな起こし方したらマジで怒るからな!わかったら返事!」

「ふぁい!ふぁい〜!」

 

腕をパタパタと振るが、ほぼ無抵抗のゆま。小さな仕返しをしていると、突如ガチャッという音がドアから聞こえた。

 

「…………」

「…………」

「……ふいーん」

 

ドアの方にゆまと一緒に視線を向けると、雪乃が目を丸くしてこちらを見ていた。

 

「…………事案ね」

 

それだけ言って静かにドアを閉める雪乃。不穏なことを言って逃がすバカはいないだろう。

 

「待て雪乃!」

 

急いで雪乃を追いかける。誤解を解くのに10分かかった。

 

「…………疲れた」

 

急に起こされ、誤解を解いてと朝からバタバタしすぎだ。もう疲れた。

ゆまと雪乃に両腕を拘束され、『離れろ』と抗議しながら校舎に行くと、既に明日香と剣山、丸藤、ジュンコ、ももえ、ディレがいた。

 

「朝から爆破されろッス」

「もげればいいドン」

 

予想通りやってきたイエロー2人からの呪詛を聞き流し、クロノスとナポレオン、そして対戦相手が来るのを待つ。

 

「雪乃、ゆま。いい加減離れろ」

「ふふ……イ・ヤ・よ」

「も、もうちょっとだけ」

 

雪乃とゆまに離れてもらおうとするもあっさり却下される。

 

「……すまない明日香、ジュンコ、ももえ、ディレ。2人を俺から引き剥がしてくれ」

 

女子陣に雪乃とゆまを引き剥がすように頼む。

 

「自分でどうにかすれば」

「もうちょっと眺めさせてください」

「2人が満足するまで待てばいいんじゃない?」

「自分でなんとかしなさい」

 

ディレ、ももえ、ジュンコ、明日香の順で拒否される。特にももえは欲望100%で拒否しやがった。

残るは剣山、丸藤だが、この2人がやると絵面的に拙いので却下。

両腕にやってくる柔らかい感触に危ない気持ちになりながらも、諦めてため息を吐いたところで、怪しげな笑い声が聞こえた。

 

「今日でレッド寮が潰れるというのに、お気楽なのでアール」

 

校舎側の霧の向こうからやってきたのは、ナポレオンとクロノス。

ナポレオンはニヤニヤと笑みを浮かべていて、自信が伺える。

クロノスはどこか不安げな様子。誰が来るのかわからない。もしくは呼んだ人物が本当に来るのかわからないようだ。

 

「俺が相手をします。俺の相手は誰ですか?」

 

腕から離れない雪乃とゆまを意識しないようにしながら、俺が代表としてデュエルすることを主張する。

俺の対戦相手は背後から現れた。

 

「僕だ」

 

やってきたのはプロデュエリスト、エド・フェニックス。

思いもよらぬ人物の登場に、俺とナポレオン以外の連中が驚いていた。

 

「僕が、君の相手をする」

「…………」

 

周囲の驚愕を無視して俺の目の前に立つ。

俺はプロとのデュエルに笑みを隠しきれずにいた。

ナポレオンに促され、校舎内のデュエルフィールドに向かう。

道中、ゆまや剣山、丸藤に心配されたが、俺としては【インフィニティ】を使わなかったとはいえ、カイザーに勝ったデュエリストとのデュエルを楽しまずにはいられそうもなかった。

デュエルフィールドに立ち、デュエルディスクを構える。

エドはそれをきっかけにスイッチを切り替えたのか、プレッシャーとも言えそうな気迫が伝わってきた。

デッキをセットして、いざデュエルの宣言をしようと息を吸った瞬間、

 

「ちょっと待ったぁ!!」

 

フィールドに響いた声で、デュエルが始まることは無かった。

聞き慣れた、しかしここ数日聞くことが無かった声に、全員が声がした方に視線を向ける。息を切らして、頭や肩に葉を載せた十代が、エドの背後にあるフィールドの出入口にいた。

十代が俺達の方に走ってきて、観客席に行った明日香達も最前列まで駆け降りてくる。

 

「今までどこ行ってたんスか?」

 

丸藤の最もな質問に、十代は『ボートで海を彷徨っていたら新しい【HERO】デッキに出会った』と答えた。宇宙からの光がどうのと、言葉だけで聞いたらよく……いや、まったくわからない内容だが、おそらく【ネオス】や【N(ネオスペーシアン)】に出会ったのだろう。

丸藤や剣山は、十代がカードが見えるようになったことに喜んでいた。

そして、完成したデッキをエドに見てほしいと思っていたらしく、俺とチェンジを要求してきた。

 

「前にセブンスターズとデュエルしたとき、譲ってやったから良いだろ!」

 

と言われて無理矢理チェンジさせられた。それを言われると強く言えないので、諦めてデュエルディスクを渡す。

ナポレオンが渋っていたが、いつの間にかフィールドに来ていた三沢に、

 

「このデュエルはオシリス・レッドの存続をかけたデュエル。オシリス・レッドの十代に代わるのならば、問題は無いはず」

 

と言われてほぼ無理矢理了承させる。

剣山を中心に、いつもの連中に引っ張り上げてもらい観客席にショートカットで移動する。

そして中央付近の段に2列で座る。

前の列に丸藤、剣山、明日香が座る。

後ろに雪乃、俺、ゆま、ディレ。

ももえとジュンコは十代とエドが同時に見れる場所にいた。前も似た位置にいたらしい。自分に正直だな。

 

「行くぞ、エド!」

「何度やっても同じだ!」

「「デュエル!」」

 

エド・フェニックス

LP4000

 

VS

 

遊城十代

LP4000

 

「僕の先攻だ!カモン【DーHERO ダイヤモンドガイ】!」

 

【DーHERO ダイヤモンドガイ】

攻撃表示

ATK1400/DEF1600

 

背中、手脚からダイヤモンドを生やしたような【HERO】が現れる。

 

「お兄ちゃん、あれがエド・フェニックスさんの【DーHERO】だよ。十代さんはあの【HERO】達に負けちゃったの」

 

ゆまが前回いなかった俺に説明してくれる。知ってるけどな。

 

「【ダイヤモンドガイ】、エフェクト発動!デッキの一番上を確認し、それが魔法カードだった場合、セメタリーに送って、次の僕のターンにエフェクトが発動する!僕が引いたのは魔法カード【デステニー・ドロー】」

 

当たり前のように通常魔法を墓地に送るエド。そういうデッキだとしても、相当な運だと思うのだが……

 

「明日香、前回のデュエルでエドが【ダイヤモンドガイ】の効果で魔法以外が出たことはあるか?」

「え?無かったけど」

「…………そうか」

 

明日香の即答に、その豪運を俺とゆまに分けてくれと思わずにはいられなかった。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

エド・フェニックス

LP4000

モンスター

【DーHERO ダイヤモンドガイ】:攻

ATK1400

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

十代の新デッキの初動、どう動く?

 

「エド、これが俺の新しい仲間だ!現れろ!【N・アクア・ドルフィン】を攻撃表示で召喚!」

 

【N・アクア・ドルフィン】

攻撃表示

ATK600/DEF800

 

イルカの頭と人の首からしたを組み合わせたモンスターが現れた。

 

「…………言っちゃいけないんだろうけど、キモいな」

「お、お兄ちゃんっ!」

 

内心同じことを思っているのか、ゆまが注意するも、あまり口調が強くない。

 

「龍斗聞こえてるぞー!!キモいってなんだよキモいってー!」

 

小さな声で言ったつもりだったのだが、聞こえていたらしい。だったら言わせてもらおう。

 

「十代、イルカはイルカだから良いんだ。イルカの頭と人を合体させた見た目は絶対認めん!」

「そこまで言うか!?」

 

『絶対』を強調していうと、十代と【アクア・ドルフィン】がショックを受けていた。

 

「くっそー……絶対龍斗に認めさせてやる!魔法カード【融合】!手札の【フェザーマン】と【バーストレディ】を融合!現れろ!マイフェイバリットカード【フレイム・ウィングマン】!」

 

【E・HERO フレイム・ウィングマン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1200

 

【フレイム・ウィングマン】……まためちゃくちゃなデッキ構成みたいだな。

 

「【アクア・ドルフィン】の効果発動!手札を1枚捨て、相手の手札からモンスターを1枚選ぶ。エコー・ロケーション!」

 

【アクア・ドルフィン】の口から音波が発生し、エドの手札からモンスターを選ばせる。出てきたのは身長ほどもある大きな盾のような物を両腕に1つずつ持つ、長いオレンジの髪の上半身裸の男。

 

「【ダイハードガイ】!?」

「そして、俺のフィールドに選んだモンスターの攻撃力より高いモンスターが存在している場合、選んだモンスターを破壊し、500ポイントのダメージを与える!」

「【ダイハードガイ】の攻撃力は800……」

「そして、俺のフィールドには攻撃力2100の【フレイム・ウィングマン】がいる!よって、【ダイハードガイ】を破壊し、500ポイントのダメージだ!パルス・バースト!」

 

再びの【アクア・ドルフィン】からの音波により、【ダイハードガイ】が爆破され、衝撃がエドを襲う。自分のフィールドに高攻撃力のモンスターがいれば、使えそうな効果だが、手札を5枚も消費して500ダメージと相手の手札1枚破壊という現状は割に合わないと思う。

 

エド・フェニックス

LP4000→3500

手札3枚→2枚

 

「バトル!【フレイム・ウィングマン】で【ダイヤモンドガイ】を攻撃!フレイム・シュート!」

 

【フレイム・ウィングマン】の右腕の龍の頭が炎を吐き、【ダイヤモンドガイ】を焼き尽くす。

 

エド・フェニックス

LP3500→2800

 

「そして、【フレイム・ウィングマン】の効果で【ダイヤモンドガイ】の攻撃力分のダメージを与える!」

「ただではやられない!罠発動【デステニー・シグナル】!」

 

エドが発動した罠から光が伸び、十代の頭上へ。光は天井で『D』の文字を影で描いていた。

 

「僕のモンスターがバトルで破壊されたとき、デッキから【DーHERO】を特殊召喚する!カモン!【DーHERO ディフェンドガイ】!」

 

【DーHERO ディフェンドガイ】

攻撃表示

ATK100/DEF2700

 

全身が石のブロックでできているようなモンスターが現れ、【デステニー・シグナル】の処理が終わると【フレイム・ウィングマン】がエドの前に飛び移り、先程と同じ攻撃をエドに行った。

 

「ぐぅっ……!」

 

エド・フェニックス

LP2800→1400

 

「守備力2700……【アクア・ドルフィン】じゃ破壊できないか……」

 

攻撃力600じゃあ、多くのモンスターを破壊できないだろう。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【E・HERO フレイム・ウィングマン】:攻

ATK2100

【N・アクア・ドルフィン】:攻

ATK600

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

早くも手札0……どうやってリカバリーするつもりだ?

 

「僕のターン、ドロー!メインフェイズにエフェクト発動!【デステニー・ドロー】!手札の【DーHERO】1枚を捨て、カードを2枚ドローするのが本来のエフェクトだが、【ダイヤモンドガイ】のエフェクトでの発動にはコストはなくなる!よって2枚のドローのみ!」

 

エド・フェニックス

手札3枚→5枚

 

コスト無しで手札が2枚増えた……本当に豪運だな。

 

「あの豪運があれば、宝くじ買うだけで生計立てれそうだな」

「駄人間まっしぐらじゃない」

 

俺の呟きに、ディレから棘のあるツッコミが返ってきた。俺がやるわけじゃないんだから俺を睨むな。そんな意思を持ってゆまを盾にする。

 

「お兄ちゃん、最近私の扱いが酷くない!?」

「そんなことないぞー」

「龍斗、棒読みがすごいわよ」

 

雪乃に突っ込まれながらもゆまを盾にしてディレの視線から免れ、十代のデュエルに意識を向ける。

 

「カモン【DーHERO ダンクガイ】!」

 

【DーHERO ダンクガイ】

攻撃表示

ATK1200/DEF1700

 

ドレッドヘアにグレーの装甲をつけたモンスターが現れる。

 

「また新しい【DーHERO】……!」

 

目を輝かせる十代を無視して、エドは手札のカードを取り、十代に見せつける。

 

「魔法カード【死者蘇生】を発動!蘇れ!【ダイヤモンドガイ】!」

 

【DーHERO ダイヤモンドガイ】

攻撃表示

ATK1400/DEF1600

 

「【ダイヤモンドガイ】のエフェクト発動!デッキの一番上のカードは……魔法カード【ギャラクシー・サイクロン】!エフェクト確定!」

 

また通常魔法……てか最新カード……たしかに【ダイヤモンドガイ】の効果を考えると、【サイクロン】よりは相性が良いかもしれないが……それを当たり前のように手に入れて、当たり前のように効果で的中させるとは……

 

「さらにフィールド魔法【ダーク・シティ】を発動!」

 

エドと十代の周囲が影で真っ黒に染まった街並みに変わる。

 

「バトル!【ダイヤモンドガイ】で【フレイム・ウィングマン】を攻撃!」

「攻撃力が低いモンスターで攻撃!?」

 

エドの攻撃宣言に丸藤が驚くが、おそらくフィールド魔法の効果か、手札に攻撃力を変化させるカードがあるのだろう。

 

「この瞬間、【ダーク・シティ】のエフェクト発動!【DーHERO】が相手モンスターを攻撃したとき、相手モンスターの攻撃力がこちらより高い場合、【DーHERO】の攻撃力が1000ポイントアップする!」

「アニキの使う【スカイスクレイパー】の【DーHERO】版ザウルス!?」

 

【DーHERO ダイヤモンドガイ】

ATK1400→ATK2400

 

力を増した【ダイヤモンドガイ】が【フレイム・ウィングマン】の腹に拳を入れた。

【フレイム・ウィングマン】は膝から崩れ落ち、倒れたあと爆発した。爆発する要素教えろ。

 

「【フレイム・ウィングマン】……!」

 

遊城十代

LP4000→3700

 

「まだだ!【ダンクガイ】で【アクア・ドルフィン】を攻撃!」

 

【ダンクガイ】の右手にバスケットボール程の大きさの光球が現れ、【アクア・ドルフィン】の頭にダンクシュートした。エグい。

 

「【アクア・ドルフィン】!」

 

遊城十代

LP3700→3100

 

「【ダンクガイ】のエフェクト発動!手札の【DーHERO】を捨て、500ポイントのダメージを与える!」

 

今度は先程より少し小さい光球が現れ、十代に投げ飛ばす。

 

「くっ!」

 

遊城十代

LP3100→2600

 

「ターンエンド!」

 

エド・フェニックス

LP1400

モンスター

【DーHERO ダイヤモンドガイ】:攻

ATK1400

【DーHERO ダンクガイ】:攻

ATK1200

【DーHERO ディフェンドガイ】:守

DEF2700

魔・罠

フィールド

【ダーク・シティ】

手札2枚

 

1ターンで逆転されたな。十代の手札は0。フィールドはリバースカード1枚のみ。とてもデュエルが始まって1ターンしかプレイしていないとは思えない状況だ。

 

「俺のターン、ドロー!」

「スタンバイフェイズに【ディフェンドガイ】のエフェクト発動!十代、1枚ドローしろ」

「いいのか?」

「エフェクトなのだから仕方ない」

 

相手にドローさせる効果か。この状況では助かる効果だな。十代は『ラッキー』と言いながらカードを引いた。

 

遊城十代

手札1枚→2枚

 

「墓地の【ネクロダークマン】の効果発動!墓地にいるときに1度だけ、手札の【E・HERO】をリリース無しで召喚できる!これが俺の新たな【E・HERO】だ!来い、【ネオス】!」

 

【E・HERO ネオス】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

全身が銀色で胸に青い球が1つある人型モンスターが現れる。前世で子供の頃に見たテレビ番組を思い出す。

 

「僕の知らない【E・HERO】だと!?」

 

新たな【HERO】の登場に驚くエド。隣でゆまが『新しい【HERO】さん!』と目を輝かせている。もっと近くで見ようと身体を前にもっていくが、危ないので制服の上を掴んで阻止する。しかしそれでも前に行こうとして、前に座る剣山の頭に上半身が乗る形に。

 

「み、見えないけど、柔らかい膨らみが頭に……」

 

…………ゆま、マジで落ち着け。

 

「バトル!【ネオス】で【ダンクガイ】を攻撃!ラス・オブ・ネオス!」

 

ゆまが【ネオス】をより近くで見ようとしている間に、十代がバトルフェイズに移行して攻撃宣言していた。【ネオス】が飛び上がり、落下する力も加えた手刀で【ダンクガイ】を切り裂く。

 

「【ダンクガイ】……!」

 

エド・フェニックス

LP1400→100

 

残りライフ100。あと一歩で十代の勝ちなんだが、この100がどう響くのか……

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP2600

モンスター

【E・HERO ネオス】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ2枚

手札0枚

 

対する十代も手札0。【ディフェンドガイ】のおかげで次のターンには2枚まで回復するが、融合召喚を基本とする十代のデッキでは厳しい。

あ、でもたしか【ネオス】は【融合】いらないんだったな。じゃあいけるか。

 

「僕のターン、ドロー!メインフェイズにエフェクト発動!【ギャラクシー・サイクロン】!フィールドにセットされた魔法・罠を1枚破壊する!前のターンにセットしたカードを破壊!」

 

エドの墓地から竜巻が発生し、十代のセットした【ミラー・フォース】を破壊した。

こういう場面でも破壊されるあたり、呪いか何かかけられているのかとも思える。

 

「【DーHERO ディスクガイ】を召喚!」

 

【DーHERO ディスクガイ】

攻撃表示

ATK300/DEF300

 

頭に被ったヘルメットから伸びたコードで繋がった背中のバックパックと、両手首、腰に銀色の円盤……CDをつけた青とグレーの全身タイツの男が現れる。

何故かあのモンスターから【ヒグルミ】や【プトレマイオス】と同じ雰囲気を感じる。

 

「そして、【ディスクガイ】、【ダイヤモンドガイ】、【ディフェンドガイ】の3体をリリース!」

「3体の【DーHERO】を!?」

 

十代が驚く中、3体の【DーHERO】が粒子となり1つに集まる。

 

「現れろ!【DーHERO ドグマガイ】!」

 

【DーHERO ドグマガイ】

攻撃表示

ATK3400/DEF2400

 

粒子と粒子が固まり、悪魔のような姿の【HERO】となった。

 

「バトル!【ドグマガイ】で【ネオス】を攻撃!デス・クロニクル!」

 

【ドグマガイ】の胸から黒い光線が【ネオス】に放たれ、【ネオス】は飲み込まれて爆発した。

 

「【ネオス】!」

 

遊城十代

LP2600→1700

 

「あぁ!新しい【HERO】さんが……」

 

前のめりになっていたゆまが、悲しそうに下を向いて戻ってきた。あとで十代に見せてもらえばいいのに……

 

「ターンエンド!いくら新しい【HERO】を手に入れても、【DーHERO】はその上を行く!」

 

……何故か無性にゆまとデュエルをさせたくなった。【M・HERO】を見たらどんな反応するだろう……?

 

エド・フェニックス

LP100

モンスター

【DーHERO ドグマガイ】:攻

ATK3400

魔・罠

フィールド

【ダーク・シティ】

手札1枚

 

ライフを回復することなくターンを終えたか。

しかし十代の手札は0。エドのフィールドにいた【ディフェンドガイ】も消えて手札の回復が厳しくなった。

 

「俺のターン、ドロー!」

「この瞬間、【ドグマガイ】のエフェクト発動!」

 

エドの効果発動宣言の直後、【ドグマガイ】と十代を紫の光が包んだ。

 

「うわぁぁぁああ!!」

 

遊城十代

LP1700→850

 

直後、叫び声とともに十代のライフが半分になった。紫の光か消えると、十代は体制が崩れた状態で立っていた。

 

「【ドグマガイ】は相手のスタンバイフェイズに、相手のライフを半分にするエフェクトがある!」

 

エドの説明のあと、ゆっくりと体制を戻し、引いたカードを確認してエドに見せつけた。

 

「……魔法カード【貪欲な壺】!墓地の【アクア・ドルフィン】

【フェザーマン】

【バーストレディ】

【ネクロダークマン】

【フレイム・ウィングマン】の5枚をデッキに戻し、カードを2枚ドロー!」

 

遊城十代

手札0枚→2枚

 

ここでドローソースを引いたか。だが、【ドグマガイ】の攻撃力を2枚のカードで超えるのは難しい。【火の粉】は無いのか?

 

「…………永続罠【リビングデッドの呼び声】!蘇れ!【ネオス】!」

 

【E・HERO ネオス】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

最初のターンに伏せていたのは【リビングデッドの呼び声】だったのか。

 

「そして【N・フレア・スカラベ】を召喚!」

 

【N・フレア・スカラベ】

攻撃表示

ATK500/DEF500

 

人より少し大きい炎が飛び出し、炎が弾けるとカブトムシを擬人化したようなモンスターが現れた。

……たしか『スカラベ』って『フンコロガシ』だよな。じゃあ、あれはフンコロガシの擬人化なのか。

 

「これが【ネオス】と【N】の力だ!フィールドの【ネオス】と【フレア・スカラベ】をデッキに戻し、コンタクト融合!」

 

【ネオス】と【フレア・スカラベ】が天井に向かって飛び上がり、1つになる。

 

「コンタクト融合!?」

「【ネオス】と【N】の融合には、【融合】のカードを必要としない!

現れろ!炎の【ネオス】!【E・HERO フレア・ネオス】!」

 

【E・HERO フレア・ネオス】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

フィールドにクワガタを擬人化したようなモンスターが現れるが、融合素材を考えると、やっぱりフンコロガシの擬人化なのだろうか……

【ネオス】の面影はステータスくらいか?

 

「【融合】を必要としない融合……だが、【ドグマガイ】の方が攻撃力は上だ!」

「それはどうかな?」

「なんだと!?」

「【フレア・ネオス】は、フィールドの魔法・罠1枚につき、攻撃力が400ポイントアップする!俺のフィールドには【リビングデッドの呼び声】。エドのフィールドには、フィールド魔法の【ダーク・シティ】がある。よって攻撃力は800ポイントアップ!」

 

【E・HERO フレア・ネオス】

ATK2500→ATK3300

 

「さらに!魔法カード【Hーヒートハート】!これにより、【フレア・ネオス】の攻撃力が500ポイントアップ!」

 

【E・HERO フレア・ネオス】

ATK3300→ATK3800

 

「バトル!【フレア・ネオス】で【ドグマガイ】を攻撃!バーン・ツー・アッシュ!」

 

【フレア・ネオス】が浮き上がり、身体を炎に包む。

 

「この光……」

 

エドが【フレア・ネオス】を見ながら『光』がどうのと言っているが、【フレア・ネオス】からは炎は見えても光は見えない。エドにしか向けられていないのか?

炎に包まれた【フレア・ネオス】はそのまま突進し、【ドグマガイ】を貫いた。

 

エド・フェニックス

LP100→-300

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ〜……」

 

デュエルが終わり、レッド寮の明日香の部屋にて、ゆまが十代に【ネオス】のカードを見せてもらっている。破るなよ頼むから。

丸藤と剣山は十代が戻ってきたことに喜びっぱなし。ジュンコとももえ、ディレは女子寮に帰った。雪乃は俺の右腕に絡んでいる。左腕で剥がそうとするが、どうしても剥げない。明日香は助けてくれなかった。

 

「これで、ナポレオン教頭とクロノス臨時校長も、迂闊にレッド寮を潰せなくなったわね」

「そうだな。海馬さんに連絡せずに済みそうでなによりだ」

 

エドとのデュエルに勝利したことで、レッド寮の存続は一先ず安心ということになった。1度だけとはいえ、プロデュエリストに勝利した十代という戦力の増強は、ナポレオンとクロノスにとってはこちらを攻めにくくなったはずだ。あとはどうやって諦めさせるかだが……




次回は【ネオス】の弱点的な話だったり、クロノスがレッド寮廃止に反対したりな話です。


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ネオスの効果 VS.十代

次の話の前置き的な感じです。


「…………これはまた……」

「凄いッス」

「凄いドン」

「凄えだろ」

 

褒めてない。

十代に新しいデッキの調整をすると言われて見物しに十代の部屋に行くと、前回のデュエルが奇跡と思えた。丸藤と剣山も同意見らしい。床に広げられたデッキを見て呆然としている。

デッキ枚数が60枚。【融合】と【ミラクル・フュージョン】、【バブルマン】以外は1枚だけしか入っていない。こんなデッキで勝った十代が凄いのか、こんなデッキに負けたエドが弱いのか……判断に迷う。

エクストラは【ネオス】を素材にしたモンスターを限界まで入れ、余った枠に【フレイム・ウィングマン】等のカードを入れて15枚。

 

「【ネオス】を使うなら、【ネオス】を中心にデッキを構築すれば楽だろ。

他の【HERO】は正直入る枠がほとんど無いと思うんだが……」

 

あとこの【C(コクーン)】というカード。【N】に進化するようだが、【N】がレベル3のモンスターである以上入れる意義を感じない。

横から口出しする俺の言葉が耳に入っていないのか、十代はあーでもないこーでもないと四苦八苦しながら60枚デッキを調整。完成したらしいので、テストプレイに付き合うことに。

レッド寮の前に移動して互いにデュエルディスクを展開する。丸藤と剣山は見学だ。

 

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

遊城十代

LP4000

 

デュエルが始まると、俺達の声が聞こえたのか、明日香が部屋から出てきた。

 

「先攻は俺だ。俺の墓地に魔法・罠がない場合、このモンスターは手札から特殊召喚できる!【超重武者ビッグワラーG】を特殊召喚!」

 

【超重武者ビッグワラーG】

守備表示

ATK800/DEF1800

 

機械でできた草履1セットを重ねて、頭を付けたようなモンスターが現れる。

ノース校との交流試合で御蔵入りになった【超重武者】デッキで相手になってやる。

 

「そして【ビッグワラーG】は、機械族モンスターをアドバンス召喚する場合、2体分のリリースにすることができる!【ビッグワラーG】をリリースして、レベル8の【超重武者ビッグベンーK】をアドバンス召喚!」

 

【超重武者ビッグベンーK】

攻撃表示

ATK1000/DEF3500

 

二又の槍を持った大男が現れ、槍の柄を地面に突き刺して仁王立ちになった。

 

「【ビッグベンーK】の効果!召喚・特殊召喚に成功した場合、自身の表示形式を変更する!」

 

【超重武者ビッグベンーK】

攻撃表示→守備表示

ATK1000→DEF3500

 

表示形式が変わったが、【ビッグベンーK】は微動だにしない。これが守備表示で先にこの状態になったのか?

 

「いきなり守備力3500!?」

「アレを突破するのはかなりキツいドン!」

 

丸藤と剣山は【ビッグベンーK】の守備力に驚いている中、明日香は十代がどう突破するのか気になるようで、十代に視線を向けていた。

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【超重武者ビッグベンーK】:守

DEF3500

魔・罠

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!【E・HERO バブルマン】を召喚!」

 

【E・HERO バブルマン】

攻撃表示

ATK800/DEF1200

 

「【バブルマン】の効果発動!場に他のカードがないので2枚ドロー!」

 

遊城十代

手札5枚→7枚

 

いきなり【強欲なバブルマン】か。無駄に枚数が多い今のデッキにはありがたいカードだ。

 

「魔法カード【フェイク・ヒーロー】発動!手札から【E・HERO】を特殊召喚する!来い!【ネオス】!」

 

【E・HERO ネオス】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

早速登場した【ネオス】。60枚デッキのはずだが、思いの外回っているのか?

 

「さらに永続魔法【魂の共有ーコモンソウル】発動!【ネオス】を対象に、手札の【N・フレア・スカラベ】を特殊召喚!」

 

【N・フレア・スカラベ】

攻撃表示

ATK500/DEF500

 

「【コモンソウル】の効果で、【ネオス】の攻撃力は【フレア・スカラベ】の攻撃力分アップする!」

 

『今は関係無いんだけどな』と笑みを浮かべる十代は、すぐに次の手を見せた。

 

「【ネオス】と【フレア・スカラベ】でコンタクト融合!」

 

【ネオス】と【フレア・スカラベ】が飛び上がり、遙か上空で1つになる。

 

「現れろ!【フレア・ネオス】!」

 

【E・HERO フレア・ネオス】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「【フレア・ネオス】の攻撃力は、フィールドの魔法・罠1枚につき400ポイントアップする!」

 

【E・HERO フレア・ネオス】

ATK2500→ATK2900

 

「だが攻撃力2900では、守備力3500の【ビッグベンーK】は倒せないぞ」

「カードをさらに2枚伏せる。これで、攻撃力がさらに800ポイントアップだ!」

 

【E・HERO フレア・ネオス】

ATK2900→ATK3700

 

「攻撃力3700!【ビッグベンーK】の守備力を上回ったッス!」

「バトル!【フレア・ネオス】で【ビッグベンーK】を攻撃!バーン・ツー・アッシュ!」

 

【フレア・ネオス】が全身に炎を纏って【ビッグベンーK】に突撃してくる。

 

「手札の【超重武者装留ファイヤー・アーマー】の効果発動!手札のこのカードを捨て、俺のフィールドの【超重武者】1体を対象に発動!ターン終了時まで、対象モンスターは守備力が800ポイントダウンし、戦闘・効果で破壊されなくなる!」

 

【ビッグベンーK】が炎をモチーフにした鎧を身に纏い、【フレア・ネオス】の攻撃を受け止めた。

 

【超重武者ビッグベンーK】

DEF3500→DEF2700

 

「手札から防いでくるか……俺はこれでターンエンド!」

 

攻撃を防がれたが、十代は楽しそうに笑顔を見せ、ターンエンド宣言。

すると、【フレア・ネオス】が7色の光に包まれた。

 

「【フレア・ネオス】……!?」

 

戸惑う十代を尻目に、【フレア・ネオス】は十代のデュエルディスクに戻っていった。

丸藤、剣山、明日香はもちろん、十代も戸惑い、デュエルディスクに戻った【フレア・ネオス】に呼びかけていた。

 

「おそらく【フレア・ネオス】……もっと言えば、【ネオス】の融合体はターンエンドと同時にデッキに戻る効果なんだろう」

「マジで!?だから【フレア・ネオス】がデッキに……」

 

推測に近いニュアンスで十代に声をかけたあと、俺はデッキトップのカードに手をかける。

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【E・HERO バブルマン】:攻

ATK800

魔・罠

【魂の共有ーコモンソウル】

伏せ2枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー!このモンスターは俺の墓地に魔法・罠が存在しない場合、手札から特殊召喚できる!チューナーモンスター【超重武者ホラガーE】を特殊召喚!」

 

【超重武者ホラガーE】

攻撃表示

ATK300/DEF600

 

赤茶色の鎧と法螺貝が特徴の小さい人型モンスターが、法螺貝を吹きながら現れた。

 

「レベル8の【超重武者ビッグベンーK】にレベル2の【超重武者ホラガーE】をチューニング!

荒ぶる神よ、千の刃の咆哮と共に砂塵渦巻く戦場に現れよ!シンクロ召喚!出陣せよレベル10!【超重荒神スサノーO】!」

 

【超重荒神スサノーO】

守備表示

ATK2400/DEF3800

 

肩と肘から先、膝から下が緑、それ以外が黒のカラーリングで、肘と膝には黄色い円筒状の部品が付いた数メートルの大きさの人型モンスターが薙刀を持ってフィールドに胡座をかいた。

 

「守備力3800!?」

「さらに手札の【超重武者装留ダブル・ホーン】は、フィールドの【超重武者】モンスター1体にこのカードを装備カード扱いで装備する!」

「だけど、龍斗の【スサノーO】は【超重武者】じゃーーー】

「そして【スサノーO】は自身の効果でルール上、【超重武者】として扱える。よって装備可能だ」

 

十代に割り込むように解説しながらカードをデュエルディスクに差し込むと、巨大な2本の青いツノを持った鎧が現れ左右に分かれ、【スサノーO】の肩に装備される。

 

「バトル!」

「守備モンスターしかいないのにバトルッスか!?」

「【スサノーO】は守備表示のまま攻撃できる!」

「守備表示で攻撃してくるザウルス!?」

 

丸藤と剣山が驚いているが、十代は面白いものを見ているように笑顔を見せる。明日香は真剣にデュエルを見ていて、何を考えているのかわからない。

 

「このとき、守備力を攻撃力として扱いダメージ計算する!」

「……ってことは、攻撃力3800の攻撃ってことか!」

「そういうことだ。【スサノーO】の攻撃!クサナギソード!」

 

【スサノーO】が胡座をかいたまま前進し、薙刀で【バブルマン】を斬り裂いた。

 

「【バブルマン】!ぐっ……!!」

 

遊城十代

LP4000→1000

 

リバースカードを発動する気配が無い。もしかして【フレア・ネオス】の攻撃力を上げるために魔法カードをセットしたのか?

 

「【ダブル・ホーン】を装備したモンスターは、1度のバトルフェイズに2度攻撃できる!ダイレクトアタック!」

 

【スサノーO】の肩に装備された【ダブル・ホーン】が分離し薙刀の刃を覆うように装備し直され、十代を突いた。

 

「ぅわぁああ!!」

 

遊城十代

LP1000→-2800

 

3ターンでの決着に丸藤、剣山、明日香が唖然としていたが、60枚のほぼハイランダーデッキなら、事故を起こしていても仕方ないと思えた。

部屋に戻って再調整することにし、先程より強く口出しをした。結果、【ネオス】を軸にしたデッキになったが、肝心の【ネオス】が1枚しかないのが怖いところではある。

 

「なんか、【ネオス】が疲れてるぞ」

 

丸藤や剣山にもテストプレイに付き合ってもらったら、デュエル中に十代がこう呟いた。1度のデュエルに最低3回も【ネオス】を特殊召喚したら疲れるだろう。

しかし、よくも1枚しかない【ネオス】をポンポンと召喚するなぁ。相変わらずの引き運に感心する。

 

「お兄ちゃ〜〜〜ん!!」

 

感心しながら十代のデュエルを見ていると、雪乃と焦った顔のゆまが走ってきて、

 

「ダイブっ!」

 

攻撃宣言とともに、ゆまが俺にダイレクトアタックしてきた。具体的には抱きつきながら飛び込んできた。急な攻撃に、俺は対処できずに倒れてしまう。

 

「ふい〜〜ん!」

「それで雪乃、何かあったのか?」

 

ダイレクトアタックによって倒れた俺はとりあえず起き上がり、仕置きにゆまの頬を引っ張り、雪乃から事情を聞くことに。

雪乃の話によると、図書室に用があり、寮からついてきたゆまを連れて用を済ませた帰りに職員室でクロノスとナポレオンの口論が聞こえたらしい。内容はレッド寮の廃止。

それを聞いたゆまが慌ててこちらにやってきて俺にダイレクトアタックしてきたということらしい。

 

「クロノス臨時校長はレッド寮廃止に反対していたけれど、ナポレオン教頭が優勢だったわ」

「そうか…………いや、クロノスがレッド寮廃止に反対ということは、多少はこちらの味方になりつつあるということか……?」

 

つい最近までレッド寮を潰そうとしていたのに、ここにきて反対に回るということはそういうことなんだろう。

 

「ゆま、おつかい頼めるか?」

「う?」

「クロノスを俺の部屋に呼んでくれ。俺はその間に準備する」

 

頬を引っ張りながらゆまにクロノスを呼んでもらう。

十代達と別れて寮に戻り、ゆまがクロノスを探している間にケースからカードを探す。

カードを見つけたところで、ドアがノックされた。

 

「シニョール宮田、呼んだノーネ?」

「入ってください」

 

部屋にやってきたクロノスを、備え付けてあるソファに座らせ、テーブルを挟んで対面しているソファに座りながら、ケースをテーブルに置く。

 

「聞きましたよ。貴方がレッド寮の廃止に反対していると」

 

素直に言うと、クロノスは目を丸くして何故か周囲を確認し、こちらに顔を寄せて小声で話してきた。この部屋に盗聴の類をする意味はないだろうに。

 

「……なんで知ってるノーネ?」

「偶然職員室を通ったゆまと雪乃から聞きました。こちらとしては戦力が、それも教師がこちらについてくれるのはありがたいのですが、念のために聞きます。レッド寮の廃止に反対なんですか?」

 

小声のクロノスに対して普通の声で対応して質問を返す。するとクロノスは少し気恥ずかしそうに視線を逸らした。

 

「……シニョールの言う通りナノーネ」

「そうですか。では……」

 

理由は聞かず、テーブルの上のケースを開ける。

ケースにはクロノスが使っている【古代の機械】が入っている。それもまだ発売していないカードばかりが。

 

「レッド寮廃止に関連することでデュエルすることもあると思いますので、クロノス先生にはこのカード達をお貸ししましょう」

 

クロノスは何度もカードと俺を見て、本当にいいのかと聞いてくる。

俺が無言で頷くと、クロノスは恐る恐るカードに手を伸ばした。

客観的に見ると、俺が悪役に見えなくもないかもしれないな。




次回はクロノス対ナポレオンです。


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存続か廃止か クロノスVS.ナポレオン

寝起き&久しぶりの投稿です。



翌日。

レッド寮の前でクロノスとナポレオンがデュエルコートを構えて対峙していた。

クロノスとナポレオンとの話は平行線どころか互いの口調が気に入らないという話に脱線し、デュエルで決着をつけることに。

クロノスが勝ったらレッド寮は存続。

ナポレオンが勝ったらレッド寮は廃止。

ここまでは別に問題はない。クロノスが勝てばいいのだから。

しかし、そのデュエルを見届ける俺、十代、丸藤、剣山、明日香、ジュンコ、ももえ、ゆま、雪乃、ディレの視線はレッド寮の食堂側にあるパワーショベルと、反対側で準備運動をしているグレーの作業着を着た数人の男の人達に向いていた。

 

「何故パワーショベル……」

「あの人達はいったい……」

 

俺と丸藤の呟きに答えられる者はいなかった。

 

「「デュエル!」」

 

ナポレオン

LP4000

 

VS

 

クロノス・デ・メディチ

LP4000

 

そしてデュエルが始まった。

 

「クロノス先生、勝てるの?」

「一応こっち側に来たってことで、昨日の夜にカードは貸したが、微妙だな」

 

ジュンコの疑問に答えてやりたいが、断定出来ない。曖昧な答えにディレが『はっきりしなさいよ』と俺に視線を飛ばして言う。カード渡して数時間なんだが、御構い無しだった。

 

「吾輩の先攻!【トイ・ソルジャー】を召喚!」

 

【トイ・ソルジャー】

攻撃表示

ATK800/DEF300

 

黒いズボンと靴、赤い軍服を着た人型のおもちゃが現れる。デュエリストとモンスターのギャップが凄い。

 

「お兄ちゃん、あのモンスター可愛いね」

「ナポレオン教頭が召喚したっていうギャップが凄いけどな」

「ちょっ、お兄ちゃん!しーっ!しーっだよ!」

 

ゆまの感想に付け加えると、ゆまが慌てたように口の前で人差し指を立てた。

 

「カードを3枚伏せて、ターンエンドでアール!」

 

ナポレオン

LP4000

モンスター

【トイ・ソルジャー】:攻

ATK800

魔・罠

伏せ3枚

手札1枚

 

リバースカードが3枚か。攻撃反応型は【古代の機械】には無力に等しいが、それ以外が3枚なんていう状況は厄介だな。

 

「私のターン、ドロー!」

 

クロノスはドローしたカードを手札に加えて、6枚になった手札をジッと見つめ、右手を上げた。

 

「ちょっと待ってほしいノーネ」

 

俺とレッド寮のそばにいる作業員以外のやつらが転けた。

あるよな。デッキを組んだのはいいけど、効果把握してないって。

 

「龍斗、あんた……」

「慣れないカードを使わせるなんて……」

 

ディレが起き上がりながら、俺を睨み、明日香が笑顔で迫ってくる。

 

「仕方ないだろ。デッキ作ってまだ1日も経ってないんだから」

「だったらデュエルのあとでいいじゃない!」

「それだと遅いだろ」

 

今度はジュンコが突っかかってきたのでそれに対応。そしてももえは何かを発散するために俺を抱きよせて頭を撫で始めた。

 

「ももえさん、次は私ですっ!」

「ゆま、ももえ。デュエル見えないから」

 

視界は空を映し、腰がかなり反っている。かなりキツい。

 

「フムフム……それデーハ、

古代の機械猟犬(アンティーク・ギアハウンドドッグ)】を召喚!」

 

【古代の機械猟犬】

攻撃表示

ATK1000/DEF1000

 

身体が青緑色の鉄で出来ている犬が、篭った音とともに現れ、そのタイミングでももえから解放された。この低い音は鳴き声のつもりなのだろうか?

 

「【古代の機械猟犬】の効果発動!召喚に成功した場合、相手プレイヤーに600ポイントのダメージを与えるノーネ!」

 

クロノスの説明の直後、【古代の機械猟犬】が駆けだし、ナポレオンの背後へ。そして、

 

「ギャアァァァァァァでアール!!」

 

ナポレオンの頭に噛みついた。そしてナポレオンの頭に抱きつくような状態に。

 

ナポレオン

LP4000→3400

 

「バトルナノーネ!」

「罠発動【トイ・キャノン】でアール!」

 

クロノスがバトルフェイズに移行した瞬間にナポレオンが罠を発動。ナポレオンのフィールドに大砲と2体の【トイ・ソルジャー】が現れた。

 

「このカードは相手モンスターを強制的に守備表示に変更させ、相手プレイヤーに400ポイントのダメージを与えるのでアール」

 

大砲に弾が装填され、【トイ・ソルジャー】達によって大砲がナポレオンに向けられる。

対象モンスターがナポレオンの頭にいるからな。

 

「ちょっ、まっ、待つのでアール!」

 

ナポレオンの制止も虚しく、弾が放たれ、ナポレオンを直撃。大爆発した。

そして、何も被害を受けていないクロノスのライフが減少する。

 

クロノス・デ・メディチ

LP4000→3600

 

「ゲホッ!ゲホッ!……クロノス臨時のライフが減ったことにより、その数値分、レッド寮を破壊するのでアール」

 

爆煙の影響で顔が真っ黒になりながら物騒なことを言うナポレオン。

直後、パワーショベルが動き出し、レッド寮を破壊した。

その光景を見た十代達は愕然としている。

 

「攻撃できないノーネ……それナーラ、メインフェイズ2!【古代の機械猟犬】の効果発動!いい加減戻ってくるノーネ!」

 

未だナポレオンの頭に噛みついている【古代の機械猟犬】が、クロノスのフィールドに戻っていった。

 

「このカードは自分のメインフェイズに手札・フィールドから【アンティーク・ギア】融合モンスターによって決められたモンスターを墓地に送り、【融合】無しで融合召喚するノーネ!」

「【融合】無しで融合召喚でアルか!?」

「手札の【古代の機械巨人】とフィールドの【古代の機械猟犬】を融合!

古代の機械魔神(アンティーク・ギア・デビル)】を融合召喚!」

 

【古代の機械魔神】

守備表示

ATK1000/DEF1800

 

ナポレオンの驚いた顔をクロノスがドヤ顔で無視して融合召喚したのは、【古代の機械猟犬】と同じ色の鉄で出来た悪魔のようなモンスター。

 

「……【古代の機械巨人】を使った割に貧弱なステータスでアール」

「召喚口上も無いわね。私達側なのに」

 

ナポレオンはニヤニヤと笑みを浮かべ、雪乃がデュエルに関係無いコメントをする。それ言ったら丸藤と剣山もディレも召喚口上無いからな。

 

「ステータスだけが私の【古代の機械】ではないノーネ。【古代の機械魔神】の効果発動!1ターンに1度、相手プレイヤーに1000ポイントのダメージを与えるノーネ!」

 

【古代の機械魔神】の腕代わりに左右に3つずつ付いている砲台をナポレオンに向け、一斉に砲撃した。

 

「ぬぅぅぅ!」

 

ナポレオン

LP3400→2400

 

「そして、ナポレオン教頭のライフが減ったことにより、レッド寮を修復させるノーネ!」

 

修復?という疑問が一瞬俺達に生まれたが、その疑問はすぐに解消された。

パワーショベルの反対側で準備運動をしていた作業員達が一斉に走り出し、破壊されたレッド寮をたちまち直していったからだ。

普通、こういうのって期間が長いものだと思っていたのだが……違うのか?

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドナノーネ!」

 

クロノス・デ・メディチ

LP3600

モンスター

【古代の機械魔神】:守

DEF1800

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

とりあえず効果で与えたダメージによってレッド寮は完全に元通り。職人の技と言えば良いのかわからんが、そんなものを感じた。

 

「吾輩のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ、【トイ・ソルジャー】の効果を発動するのでアール!デッキから【トイ・ソルジャー】を任意の数特殊召喚するのでアール!」

 

【トイ・ソルジャー】×2

攻撃表示

ATK800/DEF300

 

手札を消費せずにモンスターを並べた……ちんちくりんのクセになかなかやる。

 

「ときにクロノス臨時。戦に必要な力が何かわかるでアールか?」

 

急に戦について語り出したぞ。

クロノスはナポレオンの問いに答えられず、ナポレオンがドヤ顔で『戦力、機動力、そして最も重要なのは決断力』と言い、次いで『オシリス・レッドに拘るクロノスにはその3つの力が無いと小さい身体で上から目線で見下すように胸を張った。

そしてクロノスは好き勝手言われたのが気に入らないのか、『そういうのは自分に勝ってから言え』と叫んだ。

これは『デュエル』であって『戦』ではないのだから、ナポレオンの発言に意味は無いと思うんだけどな。

 

「これが戦に必要な力その1、戦力でアール!吾輩はレベル3の【トイ・ソルジャー】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築でアール!エクシーズ召喚!ランク3!【No.20 蟻岩土ブリリアント】!」

 

【No.20 蟻岩土ブリリアント】

攻撃表示

ATK1800/DEF1800

 

赤紫と銀色の身体の巨大な蟻が現れる。戦力って言う割に微妙なカードを使う……さっきの【トイ・ソルジャー】2体の攻撃力の合計よりはマシだが……

 

「戦に必要な力その3、決断力!魔法カード【強行軍】を発動!このターン、吾輩の全てのモンスターの攻撃力を半分にし、ダイレクトアタックを可能にするのでアール!」

 

この状況だと強さを感じ難いが、攻撃力やモンスターに関して特に指定がないから、【F・G・D】でもダイレクトアタックさせることができるということか。……先に全体除去すれば良いとか思うのは悪いのだろうか?

 

「担え、銃!」

 

ナポレオンの号令により【トイ・ソルジャー】が銃を肩に乗せる。

 

「目標、クロノス臨時!」

 

次の号令で足踏みを始める。

 

「駆け足、始め!」

 

そして走り出す。しかし、クロノスの前で止まった【トイ・ソルジャー】は、その場に座り込んで息を乱していた。たった数m走っただけだろ。

 

【トイ・ソルジャー】

ATK800→ATK400

 

【No.20 蟻岩土ブリリアント】

ATK1800→ATK900

 

【蟻岩土ブリリアント】にいたっては何もしていないのに攻撃力が半減した。妙なところで仕事しないな。

 

「勝利を得るために、戦力を半減させる決断力も、ときには必要なのでアール」

 

必要な力を半減させてまで使うのだろうか?それに攻撃力1800の【蟻岩土ブリリアント】の効果を使えば、【古代の機械魔神】を破壊できたのに……その後に別のモンスターが飛んでくるけど。

 

「そして、これが戦に必要な力その2、機動力でアール!魔法カード【鼓笛隊】!これにより、吾輩の攻撃力1000以下のモンスターの攻撃力を2倍にするのでアール!」

 

笛やドラムを演奏している【トイ・ソルジャー】が8体ほど現れ、フィールドの【トイ・ソルジャー】と【蟻岩土ブリリアント】の攻撃力をアップさせる。機動……力……?

 

【トイ・ソルジャー】

ATK400→ATK800

 

 

【No.20 蟻岩土ブリリアント】

ATK900→ATK1800

 

「【蟻岩土ブリリアント】の効果発動でアール!ORUを1つ使い、吾輩の全てのモンスターの攻撃力を300ポイントアップさせるのでアール!」

 

【蟻岩土ブリリアント】のORUが弾け、キシャァッ!という鳴き声をあげ、【トイ・ソルジャー】と【蟻岩土ブリリアント】の攻撃力を上げる。

 

【トイ・ソルジャー】

ATK800→ATK1100

 

【No.20 蟻岩土ブリリアント】

ATK1800→ATK2100

 

「【トイ・ソルジャー】!()ぇー!」

 

ナポレオンの号令により、【トイ・ソルジャー】が発泡。コルクが飛び出してクロノスの股間を撃ち抜いた。……痛恨の一撃に十代、丸藤、剣山の3人は痛々しい表情になり、明日香は微妙な表情で明後日の方向を向き、ジュンコとももえは顔を赤くして視線を逸らし、雪乃は『あら』と驚くだけ。ゆまは『み、見てないよ!私、何も見てないよ!』と誰に言っているのかわからない言い訳をし、ディレは『なんでモノ見せてんのよー!!』と俺の胸倉を掴み前後に揺する。俺に文句を言わずにソリッドヴィジョンに余計な手を加えたKCの人に言え。

 

クロノス・デ・メディチ

LP3600→2500

 

クロノスは受けたダメージに思わずしゃがみ込む。目尻に涙を溜めながら、『生徒の個性を伸ばすことこそが真の教育』とか言っているが、格好と先ほどの状況から反応し難い。

 

「【蟻岩土ブリリアント】でダイレクトアタックでアール!」

 

【蟻岩土ブリリアント】が大顎をクロノスに振り下ろす。

 

「ヒギャァァァア!!」

 

クロノス・デ・メディチ

LP2500→400

 

急所を撃ち抜かれて動けないクロノスに大顎の一撃。思ってたより強いな。ナポレオン。そして猛烈な勢いで破壊されるレッド寮。かすかに万丈目の悲鳴が聞こえた気もする。事実なら色々まずい…………気のせいだと祈ろう。

 

「さらに永続罠【不平等条約】を発動!これにより、クロノス臨時がドローするたびに、クロノス臨時は100ポイントのダメージを受け、吾輩は100ポイントのライフを回復する、美しくも不平等な条約なのでアール!」

 

俺の祈りを知ってか知らずか、ナポレオンが追い討ちをかけにきた。数値がしょっぱいのが救いか。

 

「吾輩はこれでターンエンドでアール!これと同時に、吾輩のモンスターの攻撃力が元に戻るでアルが、半減した攻撃力を倍にして、実質元の数値なので、数値は変わらないでアール」

 

ナポレオン

LP2400

モンスター

【トイ・ソルジャー】:攻

ATK1100

【No.20 蟻岩土ブリリアント】:攻

ATK2100

魔・罠

【不平等条約】

伏せ1枚

手札0枚

 

「クロノス先生、ピンチッス!」

「龍斗先輩、どうにかできないザウルス!?」

「ドロー次第じゃないか?」

 

剣山の危機感がある問いに、我ながら呑気に返答する。ディレが俺を睨んできたが、この状況で俺にもディレにもできることがないとわかっているからか、何も言わなかった。

 

「私のターン、ドロー!」

「この瞬間、【不平等条約】の効果により、クロノス臨時に100ポイントのダメージを与え、吾輩のライフを100回復するのでアール!」

 

クロノス・デ・メディチ

LP400→300

 

ナポレオン

LP2400→2500

 

ナポレオンの発動した永続罠により2人のライフが変動。それによってレッド寮も破壊される。

 

「永続魔法【古代の機械要塞(アンティーク・ギアフォートレス)】を発動!」

 

クロノスの背後に、歯車のような形の建造物が集まった要塞が現れる。

 

「このカードがある限り、【アンティーク・ギア】モンスターは召喚・特殊召喚されたターン、相手の効果の対象にならず、相手の効果で破壊されなくなっターリ、【アンティーク・ギア】カードの効果の発動に対し、相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できなくなるという、シニョール宮田からもらった、インチキ臭いカードの1つナノーネ!」

 

確かにあげたけどその言い分はあんまりだと思う。効果を聞いて同じ意見になったのか、丸藤や剣山、ゆまは苦笑いしながら俺を見ていた。その間、ナポレオンは一瞬リバースカードを見て、悔しそうな顔をしていた。

 

「さらに、【古代の機械飛竜(アンティーク・ギアワイバーン)】を召喚ナノーネ!」

 

【古代の機械飛竜】

攻撃表示

ATK1700/DEF1200

 

青緑色の鉄でできた竜が現れる。さっきからクロノスのフィールドに出てくるモンスターが同じ色ばっかりなんだが……

 

「【古代の機械飛竜】の効果発動!デッキから、同名カード以外の【アンティーク・ギア】カードを手札に加えるノーネ!【古代の機械猟犬】を手札に!」

 

クロノス・デ・メディチ

手札3枚→4枚

 

手札に加えた【古代の機械猟犬】を見て嫌そうな顔をするナポレオン。さっき噛みつかれたからな。

 

「【古代の機械魔神】の効果発動!ナポレオン教頭に1000ポイントのダメージナノーネ!」

 

【古代の機械魔神】でダメージを与えるクロノス。このままバーンダメージで押し切れるか……?

 

「ぬぅぅぅぅ!」

 

ナポレオン

LP2500→1500

 

「そして、レッド寮が修復されるノーネ!」

 

パワーショベルの痕跡すら残すまいと、作業員達が急ピッチでレッド寮を修復していく。しかし、クロノスが受けたダメージが大きいからか、修復しきれていない。

 

「バトルナノーネ!【古代の機械飛竜】で【トイ・ソルジャー】を攻撃ナノーネ!」

 

【古代の機械飛竜】が【トイ・ソルジャー】を上空から踏みつけた。

 

「ぬぅ……クロノス臨時のクセに小癪な!」

 

ナポレオン

LP1500→900

 

そして、ナポレオンのライフが減ったことで、再びレッド寮が修復される。

 

「私はこれでターンエンドナノーネ!」

 

クロノス・デ・メディチ

LP300

モンスター

【古代の機械魔神】:守

DEF1800

【古代の機械飛竜】:攻

ATK1700

魔・罠

【古代の機械要塞】

伏せ1枚

手札4枚

 

「クロノス臨時、【トイ・ソルジャー】を破壊したけど、【蟻岩土ブリリアント】がいるから、このままじゃ負けるドン!」

「でも、伏せカードがあるわよ。それできっと」

「さっき使わなかったからきっとブラフザウルス!」

 

剣山の発言にジュンコが希望を述べるが、それもすぐに否定される。

あのデッキの罠って……何入れてた?

 

「吾輩のターン、ドロー!このままバトルでアール!」

「バトルフェイズに罠発動!【マジカルシルクハット】!デッキから2枚の魔法・罠カードを攻撃力、守備力共に0の通常モンスターとして、フィールドのモンスター1体と合わせて裏側守備表示でセットするノーネ!デッキから【歯車街(ギア・タウン)】2枚をセットし、【古代の機械飛竜】を裏側守備表示にするノーネ!」

 

空中に黄色い『?』がついた黒いシルクハットが3つ現れ、そのうちの1つが【古代の機械飛竜】を隠し、3つのシルクハットが重なったり3つに分かれたりを数回繰り返し、フィールドに置かれた。

これでクロノスが戦闘ダメージを受けることは無くなった。

 

「ぬぅ……無駄な足掻きを……【蟻岩土ブリリアント】で【古代の機械魔神】を攻撃でアール!」

 

大顎に挟まれて爆散する【古代の機械魔神】。これでバーンダメージによるジャストキルは無くなった。

 

「この瞬間、【古代の機械魔神】の効果が発動するノーネ!戦闘で破壊され、墓地へ送られた場合、デッキの【アンティーク・ギア】モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚するノーネ!」

「召喚条件を無視でアルか!?」

「出るノーネ!【古代の機械巨人】!」

 

【古代の機械巨人】

攻撃表示

ATK3000/DEF3000

 

「来たぜ!クロノス先生の切り札!」

 

十代がクロノスの勝ちを確信したかのようにガッツポーズを取り、ナポレオンは悔しそうにリバースカードを見る。

 

「そして、バトルフェイズ終了と同時に、【マジカルシルクハット】の効果でセットされていた2枚の【歯車街】は破壊されるノーネ!」

 

フィールドに置かれた真ん中と左のシルクハットが破壊された。

 

「そして、【歯車街】が破壊されたことにより、【歯車街】の効果を発動するノーネ!このカードが破壊され、墓地に送られたトーキ、手札・デッキ・墓地から【アンティーク・ギア】モンスターを特殊召喚できるノーネ!私の新たなる切り札の登場ナノーネ!デッキから

古代の機械熱核竜(アンティーク・ギア・リアクター・ドラゴン)】を2体特殊召喚!」

 

【古代の機械熱核竜】

攻撃表示

ATK3000/DEF3000

 

青緑色の身体に黄色いカバーで覆ったコアを露出した竜が2体現れる。

たしか、あのモンスターが攻撃する場合、相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できなかったはず。あのリバースカードがフリーチェーンならまだ可能性がありそうだが、あの様子ではその可能性も無さそうだ。

 

「ぬ、ぬぅぅ……ターンエンドでアール……」

 

ナポレオン

LP900

モンスター

【No.20 蟻岩土ブリリアント】:攻

ATK2100

魔・罠

【不平等条約】

伏せ1枚

手札1枚

 

「私のターン、ドロー!」

「永続罠【不平等条約】の効果でクロノス臨時に100ポイントのダメージを与え、吾輩のライフを回復するのでアール!」

 

クロノス・デ・メディチ

LP300→200

 

ナポレオン

LP900→1000

 

「構わないノーネ!バトル!【古代の機械熱核竜】で【蟻岩土ブリリアント】を攻撃するノーネ!」

 

【古代の機械熱核竜】が尻尾を振り、先端を【蟻岩土ブリリアント】に突き刺した。

 

ナポレオン

LP1000→100

 

「これでラストナノーネ!【古代の機械巨人】!アルティメット・パウンド!」

 

【古代の機械巨人】の拳圧がナポレオンに向かい、直撃した。

 

ナポレオン

LP100→-2900

 

「あり得ないでアール……吾輩の辞書に『敗北』などという文字は……」

「それなら、これを機にしかと刻んでおくノーネ」

 

その場に座りこんで呟くナポレオンにクロノスがそう返す。しかし、その背後で作業員達がレッド寮を元通りにする工事をしていて、その音が邪魔している。

デュエルの最中もそうだったが、締まらない人だ。

兎にも角にも、レッド寮は元通りになり、オシリス・レッドとレッド寮は無事存続することになったので良しとしよう。




次回はオリジナル回です。
主に龍斗と雪乃、ゆまの3人しか出ません。


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