ラノベヒーローズのドタバタライフ (銀音)
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彼らの朝風景
21××年——————。
この日本という小さな島国では、100年前となんら変わらない時間を歩みつつあった。人口密度もそれなりに高く十人十色の人々がそれぞれの目的を持ってこの地を踏み、酸素を吸って生きている。
だが、100年前とは違う点が一つある。
それは以前まではあり得ない、再現することは不可能と言われた『魔法』と呼ばれるものが現実に存在しているということである。時には人が消えて別の場所に移動したり、時には一人の人間では到底無理であろう乗用車3台を触れることなく持ち上げたり…
このような現象が起こることが徐々に増え始め、このまま放置していれば犯罪に使用してしまう者も出てくる可能性を危惧しはじめた日本政府は、ある装置の建設を始めた。
そして数年の歳月をかけて完成させたのは巨大な石柱の形をした魔法消滅機器『モノリス』。これを日本の中心である東京都に設置し、人々の持つ魔力を霧散させ強制的に無効化させた。
だが、人間の体は小さな宇宙と言われているだけあり、そのモノリスさえも上回る魔力を持つ者が現れ始めたのだ。…といっても、モノリスの力も強大であるためその数は限りなく少ないが。
政府はその強い魔力を持つ者を見つけては保護(という名の捕縛)し、やむおえない時以外の魔法の使用、モノリスの破壊を固く禁じさせ、左手首に監視と封印を目的としたクリスタルの入った枷(シャックル)を取り付け、専用の住居へと移動させた。そのほうがもし何かあったときでも一般人への被害を極限まで減らせるからだ。
こうして、日本の平和は依然保たれている。…はたしてこれが、『正しい』ということなのかどうかは、神のみぞ知るところである。
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「おらあああ!!朝飯できたぞおおお!!さっさと来やがれえええ!!」
東京の一角にひっそりと佇む尞建物[皐涼荘(こうりょうそう)]では、早朝から叫び声が響いていた。そのときに近くにある電柱に止まっていた雀が驚いて飛び去っていたことも仕方がないことだろう。
そんな外の事情は露知らずに叫びをあげた本人である里見蓮太郎は紺色のエプロンを腰に巻き、荘のリビングにあるキッチンに立ち温まったコンソメのスープをおたまでグルグルとかき回していた。
「おはよう。蓮太郎」
「おっす。達也」
しっかりと己の学校の制服を着こなし、身だしなみをバッチリ整えてリビングにやってきたのは一応この荘の管理人をしている司波達也だ。
「今日はパンか?お前にしては珍しいな」
「ちょっと寝坊しちまってさ…悪いな」
「いや、構わない。作ってくれるだけで本当にありがたいからな」
「……そうかよ」
達也の言葉に照れくさそうに笑うと蓮太郎は達也の席にコーヒーを置いた。
不意に、ドタドタと荒々しい足音が響き「どわあ!?」という悲鳴がしたと思ったら直後に激しい落下音が聞こえた。これにより一瞬リビング共々静寂が広がったが、ほどなくして再び、今度はゆっくりとした足音でその人物は現れた。
「あはは…お二人ともおはようございます~…」
「当麻…またお前は…」
蓮太郎がハア…と呆れたようにため息をつく。
そんな彼にはは…と引きつり笑いを浮かべた上条当麻は、いそいそと自分の席について先ほどの落下でついた傷を確認した。見たところ大したものは無く、痛みもさほど気にしないもので当麻はほっと息をついた。
「当麻」
名前を呼ばれそちらを向くと、達也がその手にハンカチを持ち当麻の頬を優しく擦った。どうやら汚れがついてしまっていたらしい。
「……取れたぞ」
「ああ…ありがとう達也」
へにゃと当麻が笑うと、達也も満足気にうなづいた。
「さて…あと二人か」
あと1分来なかったら卍固め+朝飯抜きにしてやろうか。という蓮太郎の物騒な考えに無意識に反応したのか、最後の二人が慌てたようにリビングの扉をくぐった。
「お、おはよう!まだ大丈夫だよな!?」
「チッ…命拾いしたな」
「おい。どこの悪人のセリフだそれは」
ふ~っと安心したように息を吐いた織斑一夏と白い目で蓮太郎を見る暁古城。これで荘のメンバーは全員である。
全員が自分の席に着席し、手を合わせる。
「「「「「いただきます」」」」」
お前ら本当に男子高校生かと疑問に思われても仕方ないくらいの綺麗な挨拶をして、メンバーはいつも通りに朝食を取り始めた。
「うええ…やっぱ気持ちわりい…朝飯食わなきゃダメか…?」
「何度もダメだって言ってんだろ。少しでもいいから食え」
「古城はすぐ倒れるからな。食べておけ」
「…達也が言うなら」
「俺は無視か」
「昨日朝っぱらから卍固めしてきたやつなんか信用できるか」
「お前が一時間も寝坊するからだろうが」
「喧嘩すんなよお前ら…当麻そこの蜂蜜とって」
「はいよ…って蜂蜜かよ。一夏って見かけによらず甘党だよな…」
「なんだよ見かけにって……そういえばさっきすごい音してたけどどうしたんだ?」
「うっ……それは…」
「…また転んだのか」
「派手にな。大方慌てて走ってきて足滑らせて階段から落ちたんだろう」
「ちょ…っ達也!」
「落ちたのかよ!?怪我は!?大丈夫なのか!!」
「大丈夫だ問題ない」
「…何気頑丈だよな。当麻って」
「上条さんはそこだけが取り柄ですから」
「自慢になってねえぞ」
「うぐ」
和気あいあいと朝食をとる5人。さて、苗字も通う学校も全く異なる彼らがなぜ、このように集い、共同生活を送っているのか。答えは一つである。
その左手首に光る5つの手枷(シャックル)。
そう。彼らは数少ないモノリス以上の力を持つ…
『魔術師』である。
いかがだったでしょうか?これからのんびり執筆していこうと思います。
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設定
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皐涼荘(こうりょうそう)
日本政府が創設した『魔術師』専用の住居の一つ。中には魔封じの簡単な結界が施されているらしいが荘の住人には全く意味のない代物になっている。
魔術師
魔法消滅機器モノリスをも上回る魔力を持った人間。魔法の性質は人によってさまざま。日本政府の保護監視対象にもなる。一般には魔術師ではなく『魔力持ち』と呼ばれる場合が多い。
現在の荘の住人↓
司波達也(魔法科高校の劣等生)
皐涼荘の管理人。だが、実際の管理は政府が行っているので名ばかりのもの。
感情が顔にほとんど出ないが、ノリが良く愉快犯。ことの始まりは大抵この人から始まる。荘のルールも彼が決めるらしいが、古城いわく「自分がやりたいことを俺たちを巻き込んでやっているだけ」とのこと。怒らせると怖い。真顔+凍てつく視線+氷のブレス(すさまじい毒舌)のトリプルコンボを食らわされる。シスコン。妹のことになると我を忘れることが多い。
魔法は自己修復魔法。小型の銃を携帯し、そこに魔力をこめて発射する。ただ、他の住人と比べると魔力の量は少ない。
里見蓮太郎(ブラック・ブレット)
皐涼荘の住人。料理担当その1。
個性的な周りに振り回され、色々と苦労を重ねている不憫な人。だが、荘の生活は嫌いじゃない。古城とは時々衝突するがなんだかんだで仲がいい。買い物に行くとほとんど必ず迷子の女の子が付いてきます。最近は近くの公園で小学生の女の子たちに囲まれる日々。何だお前なんかフェロモンでも持ってんじゃないのか。
魔法は錬金術。今は技術的に未熟なため銃しかまともに作れない。達也とは異なり、弾を錬金し発射する。その弾丸はなぜか真っ黒で本人もよくわからないという。
上条当麻(とある魔術の禁書目録)
皐涼荘の住人。掃除担当その1。
荘のムードーメイカーであり、トラブルメイカー。本人はいたって何も悪くないのに急に道端から黒猫が飛び出してきて派手に転んだり、ボールが頭に直撃したり財布を落としたりと心と体に生傷が絶えない蓮太郎とは別の意味で不憫な人。おかげで口癖は「不幸だああああ」になりました。最近は偶然見かけた教会らしき場所で白いシスター服(?)を着てた行き倒れの少女に焼きそばパンをあげたら懐かれました。
魔法は右手で触れたものの魔力を消し去る幻想殺し(荘の住人は触れられても魔力が消えるのは一時的なもの)。また力を込めれば右手から魔力の塊を射出できる。
織斑一夏(インフィニット・ストラトス)
皐涼荘の住人。料理担当その2。
マイペースな性格をしており荘の癒しになっている。ほんわかと笑うその顔はなぜか抱きしめて頭をなでたくなる(←主に達也が被害者)。本当は共学の高校を受けようと考えていたのだが、試験場で迷ってしまい間違えて女子高のほうへと入ってしまい、本人も本人で気づかぬままそこで試験を受けてしまい試験管も試験管で名前だけで判断して入学を許可してしまい晴れて女子高への入学を果たした。最初は転校も考えたが、持ち前の適応力で学校に馴染みこのままでもいいかなと考え始めている。
魔法は青の混じった白い炎を身にまとい、身体能力を跳ね上げさせる。達也ほどではないが自己修復魔法も使える。
暁古城(ストライク・ザ・ブラッド)
皐涼荘の住人。掃除担当その2。
本人は不服に思っているが、荘の末っ子ポジション。いつも貧血気味で日光に弱く「まるで吸血鬼みたいだ」といわれるがちゃんとした人間です。外に出るときは必ずフードを被る。朝にめっぽう弱く蓮太郎に卍固めで起こされることもしばしば。また朝食も自分ではまともに取らないため、荘の住人に無理やり口に突っ込まれることも多々ある。そんな日々を過ごしていくうちに口癖は「勘弁してくれ…」になった。本人曰く年下の幼なじみがいるらしい。
魔法は眷獣を召喚する。様々な眷獣を使役しているがまだ覚醒していないものもいるらしい。その覚醒条件は本人にも不明である。
かなり苦しい設定ですいません…。出したいキャラがまだいるので徐々に増やしていこうと思います
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