ノーカラテ・ノーニンジャ (酢豆腐)
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ソニックブーム=サン改善計画

ニンジャスレイヤーの二次創作です。一番好きなニンジャはソニックブーム=サンで一番好きなヤクザはアベ=サンです。

なお猥褻は一切ない。


「ザッケンナコラー!居るのはワカッテンコラー!スッゾオラー?」

 

ヤクザバウンサーのフマトニの強烈な前蹴りで、トンカツ・スシ店舗「大きい満足」のシャッターが激しく波打つ。

 

時間といえば草木も眠る丑三つ時。この深夜取り立て行為は債務者に精神的プレッシャーをかけるための巧妙なヤクザ・テクニックだ!コワイ!

 

通用口から寝ぼけ眼の店主がまろびでる!

 

「アイエエエエエ!?フマトニ=サン!?返済期限は三日後の筈では...」

 

「スッゾコラドグサレガッコラー!」

 

「アイエエエエエ!?」

 

店主は土下座しながら失禁!フマトニは無慈悲にも、ワインレッドのヤクザシューズを履いた足で店主の頭を踏みにじる!何たる非道!

 

「テメェみてぇな重債務者はなぁ...いつ夜逃げするかも分からねぇから、搾れるときに搾っとくんだよ!分かったら万札出せオラー!」

 

「アイエエエエエ!?」

 

 

 

 

 

数十分後、フマトニはベンツ型ヤクザモービルの中で先程回収したばかりの万札とクレジット素子を弄びながら、事務所のグレーターヤクザに通信をいれていた。

 

「ドーモ、フマトニです。」

 

「どうだフマトニ=サン!上手くやれたか?」

 

「えぇ。案の定夜逃げの準備をしてやがったので、現金とクレジット素子根こそぎにしてやりましたよ。」

 

事務所に詰めているグレーターヤクザは上機嫌な声でフマトニを労った。

 

フマトニはヤクザ歴6年目の、レッサーとグレーターヤクザの中間に位置する若手ヤクザホープだ。

 

債務者の追い込み、そして暴力的なヤクザカラテ。この二つはフマトニが殊に得意とするものだった。

 

新興組織ソウカイヤといち早く提携したヤバレカバレクランは、その勢いに任せて勢力拡大を行い、各所で抗争を繰り広げている。

 

その為、フマトニもスラックスにはドスダガーを吊し、大口径オートマチックヤクザガンを一挺、ヤクザスーツの内側のホルスターに吊している。更に代えの弾倉もたっぷりと持ち歩いている。

 

カラテと用心で、既に二度の襲撃や突発的小競り合いを凌いでいた。

 

実際LAN直結型ではないものの、枯れた技術の集大成とでもいうべきAY50シリーズの大口径ヤクザガンの重みをフマトニは頼もしく感じた。

 

今日の仕事はこの万札と素子を事務所の金庫に放り込んで、報告して終いだ。今日は新たに拡大した領土に、ミカジメの徴収と威圧感アッピールを行ったので疲れているのだ。早く事務所の仮眠室の安らぎフートンにくるまりたい。

 

モービルを運転しながら、フマトニは欠伸を噛み殺す代わりにZBRガムを噛み締めた。

 

ヤクザモービルを飛ばし、事務所へ向かえばいつも通りにクローンヤクザの見張りが立っている。

 

「ドーモ、フマトニ=サンお疲れ様です。」

 

「ドーモ。」

 

律儀に会釈を返し、事務所の階段を昇る。

 

もう早朝ともいうべき時間なので、クローンヤクザの他には即応要員と夜間責任者であるグレーターヤクザのモチダぐらいしか起きている者はいない。

 

「ドーモ、モチダ=サン。只今帰りました。」

 

「フマトニ=サン!ご苦労だったな。まぁコブ茶でも飲んでリラックスしろ!」

 

モチダは大柄な身体を窮屈そうにストライプのヤクザスーツに詰めた、強面の中年だ。刀傷や銃創が彼のソンケイを一層強める、そんな男だ。

 

 

「今回も中々の成果だな。フマトニ=サン。」

 

「ありがとうございます。」

 

「後、二三度カチコミに参加して、も少しソンケイを積めばお前もグレーターとして認められるかもな!オヤブンもお前には目をかけてらっしゃる!」

 

「ハイ!」

 

(グレーターヤクザ?確かに、ソンケイとカラテを積むべく他の奴が嫌がるような殺人クエスト・テッカバレイド・鉄砲玉。何でもやってきた。最早アバラなどは殆どクローム置換してある。恐らく、今の俺は本来とは違う未来を歩んでいるんだろう。

 

だが、俺が生き延びる為には仕方ない。ニンジャスレイヤー=サンと闘って生き延びる為には!)

 

おお、ゴウランガ!フマトニは何を知っているというのだろうか!?

 

それはある日の事だった。フマトニのニューロンに恐るべき死のイメージが飛来したのだ。

 

凄まじいカラテ戦闘の記憶と待ち受ける未来が、ある種の集合知と共にフマトニにディセンションした。集合知はオタクと名乗り、カラテあるのみとのコトダマを残した。

 

時折気まぐれめいてコトダマを残す以外、オタクは何も応えなかった。だが、何としてもソニックブーム改善計画を達成しなくてはならない。

 

さもなければ、待つのは死あるのみ!

 

「何にしろ今日は休め!いつ敵対クランの襲撃が有るかも分からんからな!休むのも仕事の内だ。」

 

「ハイヨロコンデー!」

 

フマトニは事務所内に小さいながらも、自分のスペースをもらっている。

そこにはベッドと衣装掛け、そしてバイオバンブーで補強された木人が置いてある。凡そ畳で7枚程度の広さだが、ここはフマトニの城だった。

 

ヤクザジャケットを掛け、シャツとスラックスを脱ぐ。

 

フンドシ一丁になったフマトニは、木人を前にカラテを構えた。

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」

 

三連掌打!掌底が捩じ込まれ、木人が軋みをあげる。木人が動くことで向かってくるバンブー強化された棒をも掌打で捌く!

 

殺人的なコッポ掌打だ。実際、週に一度はシンジュクの殺人コッポドージョーに通って修練を積んでいる。

 

「イヤーッ!ダッテメッコラー!イヤーッ!イヤーッ!ドグサレガッコラー!ワドルナッケングラー!」

 

分厚いコンクリート部屋な為、腹の底からヤクザスラングを響かせても何の問題も無い。

 

全身にみなぎるカラテを木人に全てぶつけてしまうまで、眠れそうにはなかった。

 

朝日が激しくカラテするフマトニの影を照らし出していた。



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コード・オブ・コンダクト#1

ヤクザが出て殺す!


BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!

 

フマトニのオートマチックヤクザガン、AY55から49口径重金属弾頭がフルオートで射出される。

 

「ダッテメッコラー!」「アババーッ!?」「スッゾスッゾスッゾコラー!」「アバーッ!?」「テメッヤバレカバレクランコラ...アバーッ!?」

 

指向性爆薬で敵対クラン事務所のドアを破壊し、グレネードを放り込み、先陣を切って突っ込む。

 

いつものフマトニのやり方だった。こうやってソンケイを積み重ね、来るべきイクサへの経験値をも高める。フマトニはテッカバ・レイドこそ見せ場だと考えていた。

 

(何事も暴力で解決するのが一番だ!)

 

「ドグサレガッコラー!」

 

敵対クランの構成員10名以上を皆殺しだった。壁には血飛沫がべっとりと付き、敵対クラン事務所は血の海だ。ナムアミダブツ!

 

当然、フマトニも無傷では済まない。鉄砲玉に任せるべき先陣を一緒になって突っ込んでいくのだから。

 

「フマトニ=サン、ドシタンス!?」「ドシタンス!?」「アイエッ...傷が!?」

 

軽めのZBRタバコをくわえ、タフさを演出する。フマトニ率いるヤクザ分隊5名の内、クリアリング略奪と後方警戒を任せた2名以外が焦った表情で近付いてくる。

 

「ンー?...脇腹に一発もらっただけじゃねぇか。騒ぐんじゃねぇ。」

 

無造作に医療用ピンセットを銃創に突っ込み銃弾を摘出!凄まじい苦痛がフマトニを襲う。じっとりとした汗が、横顔を伝い、落ちる。勿論、表情は変えない。

 

「火ぃ出せや。」「ヨロコンデー!」

 

ヤクザ分隊員がヤバレカバレクランのエンブレイムが刻まれたライターを手渡す。

 

タバコに着火し、くわえ直すとそのまま腰のドスダガーを抜き放ち、高火力ライターで熱する。

 

ゴウランガ!ベトコンじみて熱したドスダガーを傷口に押し当て、焼きふさいだのだ!恐るべきヤクザサバイヴ能力!

 

3名のレッサーヤクザ分隊員はその光景から目が離せない!フマトニの全身からソンケイが滲み出ていた。

 

(...ザッケンナ、ザッケンナ、ザッケンナ!クソ痛ぇぞ!ブッダファック!)(だが、防弾チョッキなんか着ようもんならビビってると思われる。それは実際マズイ。取り敢えずは、硬硬度軍用サイバーゴーグルでも買って急所守るか... 命が幾つ有っても足りやしねぇぜ。)

 

そう、実際ソウカイヤだけがニンジャ組織な訳ではない。まだまだニンジャが徐々に増え始めた時期、ネオサイタマの裏社会は混沌の戦国時代と言える。

 

(今が〈いつ〉なのか知りてぇ。ニンジャスレイヤー=サン出現の契機となる、マルノウチ抗争。あれがいつ起こるかで状況が変わってくる。あの集合知もカラテあるのみしか言わねぇ以上はカラテしかない、か?)

 

「よし!ズラカッゾー!」

 

「「「「「ハイヨロコンデー!」」」」」

 

フマトニの号令に合わせ、強化防弾シールドとチャカガンを保持したヤクザ分隊員が前進する。続いてフマトニ、ショットガンで武装した熟練テッポウダマヤクザ、チャカガンだけを構えたレッサーヤクザが2人、後詰めのショットガンヤクザが油断なく隊列を整える。

 

レッサーヤクザ達は揃いの黒ヤクザシャツにじっとりとした汗を滲ませ、フマトニに続く。

 

「お前ら、もう少しで装甲バンで抹茶が飲めるからな!シマッテコーゼ!」

 

レッサーヤクザ分隊員達の極度の緊張、そして疲労を見てとったフマトニが発破をかける。奥ゆかしい心づかいだ。

 

「「ハイ!」」

 

装甲ヤクザバンの後部ハッチが開き、フマトニ達を招き入れる。

 

「よし、出せや!」

 

「ハイヨロコンデー!」

 

装甲ヤクザバンで待機していた運転席のヤクザが、威勢の良い声を上げる。ソウカイヤやヨロシサンとの繋がりもあるヤバレカバレクランではあるが、江戸時代からの伝統的クランであるヤバレカバレクランはフェイス・トゥ・フェイスを重んじる。

 

故に当然、運転ヤクザもリアルヤクザだった。

 

「お疲れ様でした。抹茶です。」

 

極めてスムーズなドライビングで揺れも少ない車内では、抹茶がヤクザアサルト分隊全員に供される。

 

熟練テッポウダマヤクザは奥ゆかしく、フマトニが抹茶に口をつけるのを待っている。

 

「お前ら気にすんな。リラックスしろや。」

 

「ハイ!」「ハイ!」

 

フマトニ自身もヤクザガンの残弾確認や、レッサーヤクザに負傷した箇所の包帯を巻かせたりする作業をさせている。

 

「戦況はどうだ?」

 

指令部からの無線IRCを確認していた運転手ヤクザが、一瞬だけオート運転に切り替え報告する。

 

「極めて順調です。一部、ショックブラスターを装備した兵隊が詰めていた事務所が有ったらしく激しい抵抗が見られたそうですが。殆どの敵拠点は制圧済みだそうです。」

 

「そうか、でないと困るがな。わざわざソウカイヤのネットワーク担当ニンジャに敵拠点の炙り出しまでしてもらったんだ、失敗は許されねぇ。面子の問題だ。」

 

ヤバレカバレクランはその武力と昔気質のフェイス・トゥ・フェイス、そしてその狂暴さをもって畏れられている。

 

この大規模攻勢で、ネオサイタマのヤクザ勢力図を塗り替える。ソウカイヤ、ニンジャ、そしてヤバレカバレクランが暗黒街の天下を取るのだ。

 

幸いなことに、今はブッダもネオサイタマの死神も眠っている。フマトニも貪欲にカラテ、そしてソンケイを積む機会が多く有り、実際その成長は著しい。

 

この前など、テクノギャング15名を素手のカラテで制圧しソンケイを示した。実際それ以降、そのストリートでのミカジメ徴収などのビズはスムーズになった。

 

「最後は敵のホンマルを落とす。だったよな確か?」

 

「デスネー」

 

指令部からの指示では、キング・オブ・ゴリラクランの本拠地事務所の包囲制圧に合流しろとのことだった。当然のように、敵対クラン構成員はジェノサイドめいて虐殺する指示も出されている。

 

「イサオシだ!イサオシを挙げてインセンティブ取得スッゾ!シマッテコーゼ!」

 

「「「「「「ハイヨロコンデー!」」」」」」

 

若く、無鉄砲なヤクザ達の眼はギラギラとケモノめいて光り、差は在れど皆全身に危険なカラテがみなぎっている。

 

その中でも一際強く鋭い眼光をみせるのがフマトニだ。

 

(さて、どうなることやら... 相手もさるもの、対ニンジャ戦闘なんかも在るかも...なぁんてな)




アニメイション最新話やコミカライズ新刊など、ニンジャアトモスフィアが豊富だ。備えよう。


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コード・オブ・コンダクト#2

「やれるか?フマトニ=サン。」

 

「勿論です、ボス。任せて下さい。」

 

キング・オブ・ゴリラヤクザクランの本拠地事務所を前に、のっぴきならない作戦会議をしているヤクザ達が居る。

 

先ほど発言した2人、片や危険極まりないヤバレカバレヤクザクランのオヤブンであり、片や熟練武闘派尖兵ヤクザのフマトニだ。背後には彼の率いるヤクザアサルト分隊が傾注姿勢で控えている。

 

「お前ら、聞いての通りだ。タフなビズになるだろうが覚悟は出来てるな?」

 

「「「「「ハイ!」」」」」

 

「イサオシ、クランの名誉、そしてソンケイだ。お前らの積んできたソンケイを見せろ!」

時刻は0530、払暁戦から始まった抗争は敵対クランホンマルの攻囲戦で終わりを告げようとしている。

 

これから、フマトニ率いるヤクザアサルト分隊は正面から攻勢をかける。その間にオムラからソウカイヤを通じて供与された大型ヘリから、本命の精鋭ヤクザ部隊が降下強襲する手筈になっている。

 

 

「スッゾスッゾスッゾスッゾスッゾコラー!」

 

フマトニのマントラめいたヤクザスラングと共に、ヤクザアサルト分隊が突入を開始!

 

先頭は防弾シールドヤクザとフマトニだ。

 

「ヤバレカバレクランテメッコラ...アバーッ!?」

「タマトッタルゾコラー!」

 

BRATATATATA!

 

49口径重金属弾頭弾がフルオートで20発ばらまかれる。即座にリロードし、弾幕を形成する。

 

2階エントランスホール突入までにアンブッシュを仕掛けてきたテッポウダマを、既に5人以上は殺害していた。

 

フマトニの獣めいたヤクザ直感力、ヤクザガン弾幕、防弾シールドの効果が最大限かつ複合的に発揮された結果だった。

 

しかし、フマトニ率いるヤクザアサルト分隊の快進撃もエントランスまでだった!

 

ナムサン!鉄条網と土嚢で要塞化した通路より、キング・オブ・ゴリラヤクザクランの兵隊ヤクザがショックブラスターを用いた砲撃を繰り返してきたのだ!

 

運の悪い防弾シールドヤクザがネギトロめいた死体と化す!咄嗟の判断でエントランス受付カウンターに身を隠すヤクザアサルト分隊。

 

しかし砲撃は続く、このままではジリー・プアーだ!(注:徐々に不利のこと)

 

「ガハハハハ!ヤバレカバレクランナニスルモノゾッコラー!」

 

KABOOM!KABOOM!

 

このままではカウンターも削りとられ、分隊壊滅で全員がネギトロだ。おお、ブッダ!救いは無いのですか!?

 

実際、精鋭ヤクザ部隊がラベリング降下を行った上層階も激戦が繰り広げられており、救援可能性は低い。後続とて、唯一無傷だったのがフマトニ率いる分隊だったからこその正面攻勢指示であり、救援可能性は低い。

 

「カネコ=サン、お前俺についてこい。」

 

ソードオフショットガンヤクザは、ティアドロップ型サイバーサングラスを押し上げ不敵に笑う。

 

「ハイヨロコンデー!」

 

「シノダとヤマはチャカで援護しろ。俺らが隙を作るから、ミノモ=サンはタイミング見てそいつら連れて突っ込んでこい。」

 

「ヨロコンデー!」

 

決断的にカウンター陰から飛び出すフマトニ達!

 

「ダッテメッコラー!ヤバレカバレだオラー!」

 

BRAMN!BRAMN!BRATATATATATA!

 

チャカと大口径ヤクザガンの銃火に、一瞬相手が怯む。

 

フマトニと並走するカネコが、切り詰められたショットガンをぶっぱなしまくる。

 

「ウオオオオオオオオッ!タマトッタルゾー!」「ヤバレカバレクランコラー...アバーッ!?」「テメッコラ...アババーッ!?」「テメッコラ...テメッユルサネッゾコラー!」

 

ナムサン!敵の砲撃ヤクザの反撃だ!出力を一点に集中させた、恐るべき威力の空気砲がカネコに迫る。これはオタッシャ重点か!?カネコはネギトロにされてしまうのか!?

 

「シャッコラー!」

 

BRATATATATATA!

 

ウカツ!身体を晒していた敵の砲撃ヤクザは重金属弾頭弾を複数被弾し、ビクビクと奇妙なダンスを踊る。

 

銃撃の主がそのままの飛び込みタックルめいた勢いでカネコを吹き飛ばす!

 

「タマトッタレコラー!行けぇ!」「グワーッ!」

 

おお、ゴウランガ!恐るべき威力の空気砲撃を前に、フマトニが前蹴りでカネコを吹き飛ばしたのだ。当然フマトニは正面から被弾!ズタボロにされ吹き飛び、崩れ落ちる!

 

「アババババババーッッッ!?」

 

「アニキ!?」「アニキ!?」

 

フマトニの示したソンケイ、そのあまりの凄味にレッサーヤクザが動揺する。しかし迫る張り手!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」

 

ショットガンヤクザのミノモが、ショットガンを乱射しながら要塞線に迫る!レッサーヤクザの2人もチャカ連射だ!すかさずカネコも伏射を続ける!

 

「スッゾコラー!」「スッゾ!」「ワドルナッケングラー!」「タマトッタルゾー!」「アバッ!?」「アバーッ!?」「アバッアバーッ!?」

 

瞬く間に首無し死体やら何やらが量産される!ニチロ・ウォーのリヨジューン攻略戦めいてアビ・インフェルノだ!

 

かくしてヤクザアサルト分隊は要塞線の突破に成功した。

 

おお、だが我らのフマトニは力無く横たわったままだ!ナムサン!このまま、彼の物語は終わってしまうのか!?

 

その時!フマトニのニューロンに飛来する声在り!

 

((ドーモ、フマトニ=サン。カゼ・ニンジャです。))

 

(ウオオオオオオッ!死にたくねえ!死にたくねえ!)

 

フマトニの体感時間が極限まで引き延ばされ、痛みが遠ざかる。ズタボロの肉体に見合わぬ冷静な状況判断力がフマトニの下へと帰ってくる。

 

((スイギョマツ、フウライマツ、ウンライマツ!死にたくないとあれば正にワタリ・シップよの。オヌシは今から半神的ニンジャ戦士存在へと生まれ変わるのだから!水の行く末、雲の行く末、風の行く末は誰にもわからぬ。そしてオヌシの行く末もまた然り。オヌシの行く末を決められるのはただオヌシ自身のみ!そのエゴを貫き通せるだけのカラテをオヌシにくれてやろう。))

 

(カゼ・ニンジャ=サン...?ニンジャ...ニンジャナンデ?)

 

((そうだ!今日からはオヌシがカゼ・ニンジャクラン統領であり、ワシと同一の存在になるのだ!よいか。ひたすらソニックカラテとジェットカラテを磨くのだ。そしてどうか、どうかもう一度クランを再興してもらいたい。ああ、口惜しや。ジツ頼りのサンシタにまでソニックカラテが侮られる!ワシがもうしばらく生きておったなら!フマトニ=サン、いや、今日からオヌシはソニックブーム=サンだ!ソニックブーム=サン!オヌシは生きろ!生きてエゴを貫き通すのだ!美味い飯を食うでも、オイラン遊びがしたいでも良いのだ!エゴ、カラテ、そしてフーリンカザンだ!フウライマツを忘れるな!けして誰かに自分自身の主体者たる権利を譲り渡すでないぞ!))

 

カゼ・ニンジャの力強い声がニューロンに響き渡る!ゴウランガ!カゼ・ニンジャ!本来であれば、フマトニ=ソニックブームに宿るニンジャソウルはカゼニンジャクランのグレーターニンジャ位階のものであるはずだった。だがしかし、フマトニの貪欲に鍛え上げたヤクザカラテ、ソンケイ、そしていつぞやの未来予知めいた集合知がカゼ・ニンジャその人のソウルを呼び寄せたのである!骨のある貪欲さ!ゴウランガ!おお、ゴウランガ!

 

ソニックブームは、まるで頼りになる戦友が肩を貸して起き上がらせてくれたような、そのような感覚を味わった。

 

「ウオオオオオオオッ!スッゾコラドグサレガッコラー!」

 

決断的に跳ね起きるソニックブーム!おお、その衣装は!?ワインレッド生地のヤクザシャツめいた金糸のニンジャ装束に白いスラックス装束、強風のカンジが彫られたメンポ、そしてワインレッドのヤクザシューズである!しかしどれもカラテが満ち満ちており、オムラ製パワードスーツよりも実際堅牢だ!

 

全身から危険で、そして自由な逆巻く風めいたカラテが迸る。そして一瞬で色つきの風となったソニックブームは、先に上層階へ向かわせたヤクザアサルト分隊員達を追って、上層階へと移動するのだった。



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コード・オブ・コンダクト#3

それはともかく、アニメイションの「スッゾコラー!」は「スッゾォ?コラァ...!」めいて実際ドスがきいていることですね。コワイ!


「ミノモ=サン!?...シノダァ、カネコ...!」

 

前進させたヤクザアサルト分隊を追って、最上階に辿り着いたソニックブームが目にしたのはネギトロめいた死体と化したミノモに、X字に胴体を切り開かれたシノダ、倒れ伏すカネコ、ヤマの姿だった。そして、部隊壊滅の憂き目にあった精鋭ヤクザ降下部隊...

 

そして... ヤクザの...ニンジャ!

 

「ドーモ、初めまして。ジャックナイフです。」

 

ダークスーツ、左右の手に構えたナイフ。そして口元を覆う、残忍な、の文字が刺繍されたバンダナ。間違いなくニンジャである。

 

そして、油断ならない先制オジギだ!

 

「ドーモ!ソニックブームです!ワドルナッケングラー!」

コワイ!オジギと共にヤクザスラングを発するソニックブームをジャックナイフが冷やかな目で見る。

 

「非ニンジャのクズが幾ら死のうと関係無いだろ?ソンケイ?昔気質?ファックだぜ!」

 

「テメッコラ、じゃあテメェんとこのオヤブンはどうしたんだぁ...?」

 

ヤクザ幹部めいたソンケイを滲ませながらソニックブームが凄む。

 

「当然殺した。俺はこれから金庫の金を持ってオイランとネンゴロするんだ!」

 

ナムアミダブツ!義理とはいえ擬似的親子関係を結ぶヤクザにあって、親殺しは大罪だ!ソニックブームの堪忍袋は殆ど限界に近い!

 

「ダッテメッコラー!親殺しッコラー!ユルサネッゾコラー!」

 

オジギ姿勢から瞬時に間合いを詰め、掌打で殴りかかる!吹き荒ぶ風を纏った打撃を二本のナイフが受ける。メキシコに棲息する毒サソリめいた構えのジャックナイフ!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

打撃と刺突の激しい応酬だ!だが、地のカラテ力量の差からソニックブームが徐々に押している!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!?」

 

ジャックナイフの歯が吹き飛び、顎が上を向く。その瞬間、再び体感時間が極限まで引き延ばされた。

 

次の瞬間、ソニックブームは巨大なハンマーシリンダーの動力室に居た。当然物理的風景ではない。ソニックブームのローカルコトダマ空間である。巨大なジェネレータの唸り、沈黙する12の並列シリンダー、そこに直結された巨大な鉄槌。それがソニックブームの心象風景にして、ニンジャのイクサで使われるカラテの源泉ともなる場所だった。

 

 

「ドーモ、ソニックブーム=サン。また会ったな。」

 

声がした方向を振り向けば、ライオンめいた髪型の偉丈夫だ。上半身は裸だがカゼ紋の刻まれたガントレットを装着し、下半身には薄緑色のニンジャ装束。凄まじいまでの存在感だ!

 

「ドーモ、カゼ・ニンジャ=サン。てっきりもう融けていなくなってしまったものかと...」

 

ソニックブームが深々と頭を下げる。実際壮絶な死の光景を幻視してから、ソニックブームは幾分か奥ゆかしくなっている。

 

「自分の後継者にしようという者に、何のインストラクションも与えぬセンセイが居るか?否。断じて否!敵はサソリニンジャクランのサンシタよ。サンシタ相手のイクサとは経験を積むには実際ちょうど良い。これからお前に、ソニックカラテチョップを授けよう。」

 

おお、ゴウランガ!平安時代より絶えて久しいカゼ・ニンジャクランが、ソニックカラテが不死鳥めいて現代に蘇る瞬間だ!

 

「オヌシは実際、カラテを全身にみなぎらせるイメージが強固だ。だからこれほどの心象風景が描ける。大きくて凄い、だから強い!誰もがオヌシを無視することなど出来なくなる!先ずはザゼンせよ、深く息を吸い深く息を吐くのだ。ひたすら繰り返し、カラテ粒子を供給し、この巨大なイメージを稼働させるのだ!」

 

「ハイ!」

 

言われた通りにアグラ姿勢をつくり、チャドー呼吸めいて深く息を吸い上げ、吐くソニックブーム。

 

「スゥーッ!ハァーッ!スゥーッ!ハァーッ!スゥーッ!ハァーッ!スゥーッ!ハァーッ!スゥーッ!ハァーッ!スゥーッ!ハァーッ!スゥーッ!ハァーッ!」

 

不完全ながらも、意図せずチャドー呼吸を行ったソニックブームの全身にカラテが満ち、逆巻く風が全身から激しく迸る!

 

同時に12連並列シリンダーが稼働を始め、ピストン運動が強烈なエネルギーを生み出す。生み出されたエネルギーは直結された巨大な鉄槌を降り下ろす力になる!撃鉄めいて降り下ろされる鉄槌!

 

「今だ!ソニックブーム=サン!敵を切り裂け!ニンジャのイクサはカラテが物を言うことを教育してやれ!イサオシだ!」

 

体感時間が戻り、ソニックブームの腕には先ほどよりも勢いと鋭さを増した風が巻き付く!今のソニックブームのチョップはカタナよりも遥かに鋭い!

 

「スッゾスッゾスッゾスッゾスッゾスッゾスッゾコラー!」

 

「ア、アバババーッ!?サ!ヨ!ナ!ラ!」

 

ソニックブームの断頭チョップがジャックナイフの首から上をケジメする!サツバツ!ジャックナイフは首を残して爆発四散!

 

「大丈夫か!ヤマ!カネコ!」

 

「半分ぐらい死んでますな。」「デスネー」

 

「そんだけ元気なら大丈夫だな!とりあえずZBRを注射してやるから寝てろ!」

 

「「ヨロコンデー...」」

 

無針注射器を取りだし、息のあるもの全てに手早く処置を済ませると、ソニックブームはIRCで報告を行った。

 

HUMATONI@YABAREKABARE:状況終了

 

共有IRCチャットからは歓喜のカチドキコマンドがひっきりなしに届く。

 

この抗争の勝利で、ヤバレカバレクランとソウカイ・シンジケートは大きく躍進することだろう。

 

マルノウチ近辺、トコロザワピラー周辺地域の利権は確保された。ニンジャの暴力、フェイス・トゥ・フェイスを重んじるヤクザの機動力と人脈、ネコソギファンドの経済力。ネオサイタマの裏社会を牛耳るには過分な程の力!

 

間違いなく、この日がソウカイヤ躍進の切っ掛けの一つだろう。泳ぎ始めたマグロめいて、最早誰にもその勢いは止まらない。止められない。



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スカウト・バイ・スカウト#1

◆猥褻は◆ヒロイン重点回な。カワイイヤッター!◆一切ない◆


「ドーモ、初めまして。ソウカイヤ・威力部門シックスゲイツ統括部長のゲイトキーパーです。名刺をどうぞ。」

 

ミラーめいた装束のニンジャ、ゲイトキーパーから名刺を受け取り自身の座布団から見て右斜め前に、名刺入れと隣り合わせて配置する。

 

おお!ソニックブームの額から汗が一滴、豪華な接待部屋の畳に垂れ落ちる。緊張しているのか!?

 

(ブッダファック!ゲイトキーパー=サンだと!?あの、のっぴきならないソウカイヤ首領ラオモト・カンの右腕が俺に何の用だ!?まさかとは、まさかとは思うがデイリか?オヤブンは無事なのか?アーッ、ワカラナイ!)

 

「ドーモ、ゲイトキーパー=サン。ヤバレカバレクラン所属、ソニックブームです。お噂はかねがね伺っております。名刺をどうぞ。」

 

ヤバレカバレクラン・ヤクザバウンサー、決断的武力、頼りになる。等のコトダマが力強くショドーされた名刺を、奥ゆかしく両手で渡す。普段の何倍も丁重なアイサツだ!レンドリース・キャットめいて大人しいソニックブーム!コワイ!

「頂戴いたします。では早速、本題に入らせて頂きたく思います。今日の用件なんだが、簡単に言うならばヘッドハンティングといったところだ。勿論、オヤブンの許可は得ている。後は君の意志次第なんだが...」

 

 

「ヘッドハンティングと申しますと?」

 

ソニックブームは内心の焦りをソンケイで覆い隠す。実際幹部ヤクザに就任してからはタフな交渉も何度もこなしてきた。あの日、ニンジャとなったソニックブームは危険な交渉の席にもってこいの人材と言えたからだ。

 

「私は確固とした理念の下にシックスゲイツを組織した。ともすれば無軌道な暴力の発露に走りがちなニンジャ存在を、ラオモト=サンという清濁併せ呑む器の下に統率し、ニンジャの威力によって混沌のネオサイタマに秩序をもたらすという。」

 

「アッハイ。」

 

「これからもニンジャ存在は増加し続けるだろう。それらのニュービーニンジャの管理育成の為、直属の信頼できる部下が必要だ。無論、ニンジャを管理育成する以上は手練れのニンジャでなくてはならない。そこで君だ、ソニックブーム=サン。君の組織人としての力量とカラテを鑑みて、君しかいないと感じた。どうかソウカイヤ秩序の確立に力を貸してくれないか。」

 

最早、ソニックブームの脂汗は止まらない。明らかにソニックブームをスカウトに来るタイミングが早いのだ。しかもオヤブンは承諾済みだという。何たる根回し、何たる交渉力か!ソニックブームに逃げ場無し!ゴウランガ!ゲイトキーパー!

 

「...ヨロコンデー」

 

「おお、やってくれるか!ではソニックブーム=サン、君は今日からシックスゲイツ・ニンジャ人材育成室室長だ。早速明日から、トコロザワピラーに9時までに出勤してくれ。いいね?」

 

「アッハイ。」

 

おかしい。なにかがおかしい。実際嵐のように去っていくゲイトキーパーを見てソニックブームは頭を抱えた。

「オヤブン、お世話になりました。」

 

オヤブンより授かった偉大なるドスダガーを、返す。つまりはソニックブームがヤクザではなくなるということだ。今後はソウカイヤ組織の一員として行動するという、精神的ケジメでもある。

 

「いや、世話になったのは此方の方よ。そのドスダガーはそのまま持っておけ。」

 

「オヤブン...」

 

「盃を。」

 

オヤブンが隣に控えるオイランから盃を受け取り、たっぷりとサケを注ぎソニックブームに手渡す。ソニックブームは一度くるりと盃を回し、一息にサケを飲み干す。そして今度はソニックブームが盃を満たし、オヤブンに手渡す。オヤブンもまた一息で飲み干した。

 

 

「参ったなァ...」

 

夜半のネオサイタマ。欺瞞的な自然を演出する公園空間にて、ソニックブームは異様であった。昼間はマケグミサラリマンが昼食を摂っているベンチに、どっかりと座り込みZBRタバコを燻らせている。

 

当然のように周囲は無人。人が来たとしても、ソニックブームに気付くと人が皆怖じ気づいて去っていくのだ。今もモヒカンパンクスがビクつきながら足早に通り過ぎていった。

 

「アイエエエエ...ヤクザナンデ?」

 

(まだゲイトキーパー=サンが現役って点から、マルノウチ抗争までは時間が在ると分かった。それは収穫だ。それにしてもなぁ、ゲイトキーパー=サンの思想と俺がボンヤリと考えてた事が実際似てる。確かにつまらんガキをのさばらせるよりか、俺らが管理メント重点する方が遥かにイイ。後はスカウト部門に配属された先で、信頼できるニンジャ戦士が居るといいが...)

 

「君がソニックブームか?」

 

 

カネモチ・ディストリクト的制服を着た...ニンジャ!ニンジャの女子高生!

 

カラスめいた漆黒の髪、クロスカタナエンブレムのバッジを着けたブレザー、学内規則違反の黒玉色Yシャツにリボン、青い光の宿る瞳。そしてその胸囲は実際豊満だった。しかしその身体に満ちるのは、あまりにもアブナイ過ぎるカラテ!ソニックブームは即座に戦闘態勢に移行!

 

「アァン?ナンオラー!」

 

一見、女子高生とヤクザにしか見えない2人が殺気を滲ませる異様な光景!コワイ!たまたま近くにいたサラリマンがしめやかに失禁!

 

「ドーモ、ドミナントです。そう噛みつくなよ。センセイが直々にスカウトしたっていうから気になって会いに来たんだ。ちょうど入れ違いだったのかな、君の所属していたクランのヤクザに聞いたらココに居るって言うから。」

「ダッテメッコラー?スッゾオラー?ガキはお家帰ってろオラー!」

 

「ボクはガキじゃない!ドミナントだ!無礼だぞ!」

 

タバコを捨て、ヤクザシューズで踏みにじり、消す。おもむろに立ち上がると両手を合わせて、オジギだ!

 

「チッ。ドーモ、ドミナント=サン!ソニックブームです!」

 

「これだから野良犬は...!どうもボクには君がね、センセイが直々にスカウトして役職を任せるほどのニンジャ人材には思えないのさ。所詮ヤクザなど野良犬!ヤクザ上がりのニンジャなど劣等に決まっている!」

 

青く燃える瞳がソニックブームを蔑むようにねめつける。

「ダッテメッコラー!ソマシャッテコラー!スッゾオラー!」

「馬の骨めいた野良犬でないと言うならば!カラテを見せろ!」

 

ドミナントの改造ブレザーからエメイシが飛び出す!即座に青い燐光を放つエメイシを指に装着!何らかのエンハンスメント・ジツがはたらいているのか!?ソニックブームの四肢を狙ってエメイシが飛来!

 

 

「スッゾオラー!」

 

ハヤイ!ハヤイ過ぎるチョップ速度が真空波を起こす!ソニックカラテチョップだ!返す刀で残りのエメイシも全て迎撃!ワザマエ!

 

「まだまだエメイシは残っているぞ。イヤーッ!」

 

青い燐光を纏ったエメイシが不規則な軌道でソニックブームに迫る!

 

「スッゾコラドグサレッガコラー!」

 

ナムサン!取りこぼしたエメイシがソニックブームの太股に突き刺さる!

 

引き抜きエメイシを破壊!

 

 

この勝負、互いに譲らずだ!

 

「思ったよりもやるね!ソニックブーム=サン!」

 

「ソマシャッテコラー!」

 

ソニックブームの怒りがソウルの力を引き出す!カゼ・ニンジャ由来の精密なカゼ操作ジツでスリ・アシが加速!一瞬でドミナントのワン・インチ距離に飛び込む!コッポ掌打とエメイシの打撃の応酬だ!

 

「イヤッ!イヤッ!イヤッ!イヤッ!イヤッ!イヤッ!イヤッ!イヤヤヤヤヤーッ!」「イヤッ!イヤッ!イヤッ!イヤッ!イヤッ!イヤッ!イヤッ!イヤッ!...ンアーッ!?」

 

ワンインチ打撃戦を制したのはソニックブームだ!ワザマエ!コッポ掌打はソニックカラテ技術で風を纏うことで、通常の三倍のニンジャ打撃力を実現している!

 

たちまちドミナントは脳震盪を起こし、行動不能に陥る。下半身から力が抜けたところにソニックブームの決断的ジェットヤクザ・ケリ・キックだ!武骨なヤクザシューズがドミナントの下腹部に突き刺さる!当然のように三倍!吹き飛ぶドミナント!

 

「おのれ雑種ッ...ンアーッ!オゴッ、オゴゴーッ!」

 

転がり、血や胃液を吐くドミナント。最早、最初の威勢はどこにもない。ショッギョムッジョ!

 

太股の激しい出血ダメージの他にも、近距離でジェットカラテを行使した代償として、ソニックブームも裂傷を負っているが精密なカゼ操作・ジツで自爆ダメージは最小限に抑えられている。ゴウランガ!カゼ操作・ジツ!

 

ソニックブームが優勢だ!

 

「ドミナント=サン。テメェの優等カラテとやらの浅い底が見えてきたぞ!まだ続けるってんならなぁ、エエッ?スッゾオラー!」

 

コワイ!色々と傷を負い、実際青少年のなんかがアブナイ状態なドミナントの顔の横、コンクリ舗装道路にヤクザ・ケリ・キックがめり込む!

 

「ア、アイエエエエ...」

 

「ソマシャッテコラー!ゴメンナサイシロッオラー!」

 

ZDOOM!再びヤクザ・ケリ・キック!威圧的だ!

 

「アイエエエエ!ゴメンナサイ!」

 

「なぁ、ドミナント=サン。俺にもお前の気持ちはよく分かる。そりゃニンジャとしてのキャリアは自分と大して変わらねぇような奴が、役職付きでスカウトなんてされて来たら腹立つよなぁ?ン?」

 

「アイエッ...?」

 

おお、一体どうしたというのか!ソニックブームの声音が唐突にやさしみを帯びる。イクサのプレッシャーに耐えかねて人格が分裂してしまったのか!?

 

いや、違う!これはキタカゼ・アンド・タイヨウメソッドだ!激しく冷たくされた後に、やさしみを示されると実際効果が三倍だ!

 

「ドミナント=サンはその若さに比べて、かなりのワザマエだ。積み上げてきたソンケイを感じるぜ。実際、俺はソウカイヤじゃあ新参者よ。だからこそ、これも何かのご縁かもしれねぇ。ここは一つよろしくしてもらいてぇところだ、エエッ?頼むぜ先輩?」

 

「アイエッ...?先輩?」

 

「先輩だ!ドミナント=サン!」

 

「...そうか、ボクにも後輩が。」

 

転がったままドミナントが呟く。ニンジャは本能的に弟子や後輩に自身の存在した証を残したがるものだ。ドミナントのニューロンに一片の温かみ。

 

「よろしく頼むぜ、先輩。実際頼もしいカラテだ。頼もしい。...ほら、起きてくれ。」

 

手を差し伸べるソニックブーム。おお、何たる!何たるヤクザ幹部人心掌握・ジツか!ドミナントの心からは敵愾心が消え、ソニックブームへの親しみすら生まれている!

 

「ありがと、コウハイ。君のカラテも中々だったよ、ソニックブーム=サン!」

 

顎を腫らしながらドミナントが微笑んだ。実際、ドミナントは才気ばしった鼻持ちならない小娘で、邪悪なソウカイニンジャだ。だが、だからこそカラテを通じて身内として認めた者には強いやさしみを見せるものだ。それがモータルには共感可能性の低い狂気的心理であっても。

 

「顎がかなり痛むだろ、先輩?」

 

「君こそ太股の血が止まってないぞ。」

 

「グハハハハハハ!」

 

「フフフフフハハハハ!」

 

「ユウジョウ!」「ユウジョウ!」

 

両拳を叩きつけ合い、血みどろで笑い合うニンジャ二人という、モータルなら重度NRS不可避な光景を尻目にネオサイタマの夜は更けていくのだった。



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スカウト・バイ・スカウト#2

◆迷いが実際ない◆メンターヤッター!ワレラのソニックブーム、カナリのソニックブーム、スゴサのソニックブーム!◆パーツ一体感◆


「ムッハハハハ!ゲイトキーパー=サン、其奴がお前のイチオシするヤクザニンジャか?」

 

トコロザワピラー上層階、ここにはのっぴきならないソウカイヤの首領、ラオモト・カンの私室が在る。

 

今、ソニックブームはゲイトキーパーに連れられて首領ラオモトに謁見していた。

 

「ハイ、ラオモト=サン。ソニックブーム=サンは実際ニンジャキャリアは日が浅いものの、確かなカラテを持っております。」

 

「ムッハハハハ!確かによく練り上げられたカラテだ!それに一時間前出社とは律儀な男よ。タイムイズマネーをよく理解しておる!ムッハハハハハハハハ!」

 

「ありがとう存じます!」

ソニックブームは勢いこんで一礼。ラオモトの発する凄まじいまでの圧力。ソニックブームのニンジャ第六感がラオモトに宿る複数のニンジャソウルを感知している。これは一体!?

 

気を抜くとドゲザしそうになる身体を、ソンケイとカゼ・ニンジャの独立独歩の気風が押し留めた。一見すると、ソニックブームは汗一つかかず涼しげな佇まいだ!ワザマエ!

 

かつてのカゼニンジャクランは、その独立独歩の気風を疎ましく思った腐敗ニンジャ達に徹底して弱点を研究され、囲まれ棒で叩かれた為に勢力を減ずるインシデントが発生したことはあまりにも有名だ!だが、今回の相手はのっぴきならないソウカイヤ首領ラオモト・カンだ!この度胸ある骨太な振る舞いはラオモト的にポイントが高い!

 

「まこと数を揃えるのは容易であっても、オヌシのような骨のあるニンジャ戦士は中々おらん!励めよ、ソニックブーム=サン!ムッハハハハ!ムッハハハハハハハハ!」

 

 

 

「ソニックブーム=サン。実際にラオモト=サンにお会いしてみてどう思った?」

 

トコロザワピラーの各フロアについて説明を受けながら、ソニックブームは歩く。

 

「ゲイトキーパー=サンの仰る通りの大器だと、思いました。」

 

「左様。ラオモト=サンこそ、この混迷のネオサイタマをひいては日本を統べるべきお方よ。やはりソニックブーム=サンをスカウトして良かった。共にソウカイヤを盛り立てていこう。」

 

「ハイ!ゲイトキーパー=サン!」

 

「うむ、君には期待している。ゆくゆくは私に代わってニンジャ戦士人材の管理以外にも、ヤクザや裏社会関連事業の統括を任せたいものだ。励めよ。」

 

「ハイ!」

 

「では、先ずは君のオフィス...といってもトレーニングフロアの一部にデスクとUNIXを置いただけだが。に、案内しよう。後の事はドミナント=サンを附けるから、アレに案内させなさい。」

 

「ヨロコンデー!」

 

「しかし、ソニックブーム=サン。アレと随分派手にやり合ったようだが...今後はトレーニングスペースなり試験場なりでやるようにな。」

 

「ハイ!スミマセン!」

 

実際慈悲深い!本来ならばシンジケート構成員同士の私闘など、ケジメ案件ものだ!だが許されている。

 

「アレも中々の素質が在るので目をかけてやっていたが...ソニックブーム=サンに突っ掛かっていった挙げ句にやられている様ではな。すまんな、ソニックブーム=サン。」

 

「いえ、ドミナント=サンとはユウジョウしましたので!」

 

「そうか。君が本格的にニンジャ人材育成室の仕事を始めたら、アレは君の下に配しても良いかもな。」

 

そう言っている間に、トレーニングフロアに到着した。トコロザワピラーのエレベーターは実際静穏で奥ゆかしい。

 

エレベーターが開くと、ドミナントがオジギ姿勢でゲイトキーパーを出迎えた。

 

「おはようございます、センセイ!」

 

「うむ、ではドミナント=サンは伝えた通りにせよ。私はこれからラオモト=サンに随伴してビズが在るのでな。」

 

「ハイ!センセイ!」

 

そのままエレベーターで下っていくゲイトキーパーを、二人は奥ゆかしくオジギ姿勢で見送った。

 

「で、ソニックブーム=サン。昨日ぶりだね?」

 

顎に治癒促進パッチを張ったドミナントがソニックブームにウインクする。カワイイ!

 

「ドーモ、先輩。今日はアンタが案内やら業務連絡やらをしてくれンのかい?エエッ?」

 

ドミナントが一つ溜め息をつき、ツカツカと革靴を鳴らしながらソニックブームに近づく。強化セラミック材の床はピカピカに仕上げられ、ぼんやりと二人を映し出す。

 

「君は、凄まないと、話が、出来ないのか!」

 

もはやソニックブームとドミナントの距離はワン・インチだ!青い眼光がソニックブームを捉えて逃がさない!ソニックブームの方が頭一つ分、背が高いため自然とドミナントは見上げる形になる。ショートカットのカラスめいた色合いの髪から、女子高生アトモスフィアが発せられる。ソニックブームはたじろいだ。

 

加えて顔が近い!顔が近いのだ!

 

「オイオイ...顔が近ぇよ、勘弁してくれ。」

 

「変なことを気にするな!君が役職付きとはいえ、ボクは二年も先輩だぞ!もっと敬いなよ、ネンコだよ!ネンコ!」

 

ネンコとは古来から伝わる、ある視点から見て目上の者を敬う考え方のことで年功序列とも言われる。

 

「アイアイ。しっかし、ネンコなんて良く知ってやがるなァ。」

 

「ムゥーッ、とにかく仕事の話だ!これがトレーニングフロアの機材目録、こっちがスカウト可能性の在るニンジャ人材リスト、このリストは現在育成中のニュービーだ。で、センセイからの指示だけど育成中のニュービーから一人見込みの有りそうなの選んで、少しでも使いものになるように試してみろって。」

 

ソニックブームに憑依したソウルが、弟子をとれとでも言うように一瞬身じろぎした。カゼ・ニンジャクラン再興を願うニンジャソウルが。

 

各トレーニングルームの様子が分かる管理室がソニックブームのオフィスだ。ゲイトキーパーはデスクとUNIXだけの部屋と称したが、ソウカイヤ程の組織がスカウトしたニンジャにそのような不必要な冷遇をするわけがなかった。

 

戦略チャブめいた大きさのモニター付きデスク、そしてデスクトップUNIXが用意されている部屋の中、危険極まりないニンジャ戦士二人が顔を付き合わせてニュービーのトレーニング光景をモニタしている。

 

「こいつもこいつも、そっちのあいつも全部サンシタだ!こんな中から磨けば光りそうな奴を探せなんて、センセイも無茶を仰る!」

 

ドミナントが鼻息荒くまくし立てる。彼女は、彼女の尊敬するゲイトキーパーが組織したシックスゲイツに末端とはいえ、サンシタが所属していること、そしてそれがラオモトの役に立たないであろうこと予見し、激怒しているのだ!

 

「西のザイバツとの抗争も激化しそうだというに、サンシタばかりとは!」

 

ドミナントの怒りは収まらない!しかしソニックブームは彼女ではなく、別の方を見ていた。正確には、戦略チャブめいたデスクのあるトレーニングルームを映すモニターを見ていた。

 

「ドミナント=サン、悲観するのは早そうだぜ。」

 

「何!?素質が有りそうなのが居たのか?」

 

ソニックブームは冷酷なヤクザ幹部の目でドミナントを見つめ、頷いた。

 

「そこの一番右上のモニターの奴だ、ヤバレカバレの素質がある。一を極めるのに向いているタイプだなァ。」

 

「右上というと...コイツか。このイマイチな木人拳トレーニングをしている奴が?図体ばかりでカラテパンチに重みが無い。野良犬のカラテだ。」

 

「ドミナント=サン、こいつはイメージが出来てないだけさ。強烈なイメージが在れば...化けるぞ。」

 

「そこまで言うのか。何々...リストに依れば、そいつはオニヤス・カネコ、ソウカイヤクザのレッサー位階だったみたいだな。君と同じヤクザだが、カラテに関してはどうだろうな。」

 

ドミナントは静かに目を閉じて息を吐いた。ザゼンめいて怒りを収めるためだった。



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スカウト・バイ・スカウト#3

\先輩/


「ドーモ、オニヤス=サン。ソニックブームです。」

 

「ドーモ、オニヤス=サン。ドミナントです。」

 

「ドーモ、はじめまして。オニヤス・カネコです。オレなんぞに御二人は一体何の御用なんで?」

 

さっそく殺気を隠そうともしないドミナント!露骨!あの、ゲイトキーパー肝いりでソウカイヤ入りしたソニックブームと才気に溢れる女子高生ニンジャが自分を呼び出すとは何事なのか?

 

オニヤスは胴着に袴姿だが、実際全身が汗ばんでいた。

 

「オイオイ、ドミナント=サン。ちょっとよさないか。」

 

「ふん。」

 

ドミナントは殺気を消したが、そのままムッツリと黙り込みオニヤスを睨み付けた。ブッダデーモンめいた眼光である。コワイ!

 

未だにドミナントはオニヤスがサンシタ以下のカスであると信じきっているのだ!

 

「まぁ、なんだ。オニヤス=サン。端的に言うならテメェには見込みがある!今のお前はカラテのイメージが固まっていない為に、サンシタ以下に甘んじているがな。それに俺様も元はヤクザよ、テメェみたいな野郎を見ると一端の漢にしてやりたくなるじゃあねぇかエエッ?」

 

「オレに見込みが...?」

 

オニヤスは先日、意地の悪い先輩ニンジャに手も足も出ずにやられたばかりだった。オニヤスの取り柄はと言えば、ラオモト家への強烈な忠誠心。これだけだ。

 

「そうだ!オニヤス、テメェには見込みがある!今、人事預かりになっているニュービーの中なら間違いなくお前がピカイチよ!」

「オレが...?ラオモト=サンのお役に立てるように...?」

 

オニヤスは呆然とした。突然現れたこの男は、自分に向かって見込みがあるというのだ。あのような明らかに下劣なニンジャに敗れた自身に。だが、ソニックブームの言葉はしみじみとオニヤスの心に染み込んだ。それはソニックブームが身に纏うソンケイか、カラテか、暴力のプロフェッショナルとして生きてきた背景がもたらすシンパシーからか、様々な理由に依るものだろう。

 

「そうだ、お前にはカラテパンチだけを仕込む。どんな状況下でも必ず敵にパンチを叩き込む狂犬だ!」

 

「ウ、ウオオオーッ!アニキ!オナシャス!」

ドゲザ!オニヤスは瞬時に身を投げ出しドゲザした。

 

「立てよ、オニヤス。誰にもお前を軽んじさせやしないぞ!今日からお前は俺の舎弟だ!ヒサツ・ワザにジェットツキも教えてやろう。」

 

「アニキ!」

 

ゴウランガ!ヤクザにヤクザを掛けて100倍だ!しかしドミナントはカヤの外だ。

 

「話はまとまった?ドゲザなんてしてる暇が有ったらチョップの一つも打った方が良いんじゃない?」

 

冷淡なドミナントの物言いだが、オニヤスは動じなかった。

 

「ハイ!アネゴ!」

 

「ア、アネゴ?それってボクのことか?」

 

「ハイ!」

 

「聞いたかい?ソニックブーム=サン!これがネンコだよ!ネンコ!」

 

「アー、あんまりはしゃぐなよセンパイ...」

 

「君は先輩に対する敬意が足りないぞ!ソニックブーム=サン!」

 

青い燐光が空中に先輩の二文字を決断的にショドーした。

 

「ハイハイ。オニヤス=サン、とりあえず瓦割りから教えてやるよ。それがキホンテキだ。カラテ全ての土台になる、分かるかエエッ?」

 

「ハイ!アニキ!」

 

「分からなくても良いから、教える通りにパンチを降り下ろせ。いいな?」

 

「ハイ!アニキ!」

 

瓦割り修練用特殊合金カワラを前に、オニヤスはインストラクションを受けていた。

 

オニヤスを囲むニンジャは二人。何時ものワインレッド・ヤクザスタイルにキメたソニックブームと、黒玉色の目立つ女子高生ニンジャ装束のドミナントだ。

 

「オニヤス=サン、しっかり引手を取れ!降り下ろす突手に引手の勢いが加わって100倍だ!」

 

「ハイ!アニキ!」

 

特殊合金カワラに拳頭が垂直降下!ワザマエ!10枚重ねられた特殊合金カワラの内、4枚が割れて砕けた。

 

「ス、スゲェ...今までは一枚しか割れなかったのに...」

 

「そうだ!それが正しく力が加わった時のテメェのニンジャパンチ力ってわけだ!最終的には一度に20枚は割ってもらうぞ!」

 

「20!?20枚ですかい!?」

 

「ザッケンナコラー!オニヤステメッコラー!ビビってンジャネッゾオラー!」

 

「グワーッ!」

 

ソニックブームの目にも止まらぬソニックカラテ右ストレート!コワイ!

 

「テメッコラー!ヤクザでニンジャダロガッコラー!」

 

「そうは言ってもアニキ...俺は...「イヤーッ!」...グワーッ!」

 

ナムサン!ソニックブームの掌打!オニヤスは目を白黒させる。

 

「テメッコラ、変わるのになぁ時間が掛かるとか自分は弱いとか思ってる奴は一生腰抜けのままだッコラー!ヤバレカバレ見せてみろッコラー!」

 

「アニキ...」

 

「ドミナント=サン、カワラ100枚積んでくれ!」

 

「コウハイ、それは無茶だ!100枚だぞ!?」

「見本をやるには必要だ!ドミナント=サン、頼む!」

 

ヤクザ幹部特有の凄み!ソンケイだ!ドミナントの青い瞳をソニックブームの目線が捕らえて離さない。

 

 

「ムゥーッ、どうなっても知らないぞ!」

 

ニンジャ筋力で素早く100枚のカワラを積み上げるドミナント。準備は整った。

 

「アニキ...まさか、本当に?」

 

ソニックブームは答えない!アグラメディテーションだ。

 

「スゥーッ!ハァーッ!」

 

かっ、と目を見開くとソニックブームは下半身に力を込める。ZDOOM! スプリント跳躍したソニックブームの直下の床に、クレーターめいた穴!

 

飛び上がり空中で中段ジェットツキを構える!風を掴み引手を取り、打ち下ろす!おお、ゴウランガ!100枚の特殊合金カワラはスチロールめいて粉砕。ゴウランガ!ジェットカラテ!

 

「おお、おぉぉ、これが...カラテ...!」

 

着地するソニックブーム。右拳を負傷、そして近距離ジェットカラテの自爆ダメージで身体の各所を負傷!だが精密なカゼ操作・ジツで被害は最小限だ!ワザマエ!

 

「オニヤス=サン、今のジェットツキはハヤイ過ぎる拳速が生み出す衝撃波を纏い、カラテパンチと共に叩きつけるワザだ。ソウル由来のソニックカラテはともかく、ジェットツキはお前にも出来るはずだ。圧倒的踏み込みからのジェットツキ! これをやってる自分をイメージしてみろ?エエッ?カッキェーだろうが?」

 

「ハイ!アニキ!」

 

オニヤスの目から涙が一滴こぼれた。

 

 

「やれやれ、君もニンジャになってから三年も経っていないだろうに無茶苦茶をやる。カラダニキヲツケテネ!」

 

ソニックブームの拳にバイオ包帯を巻きながら、ドミナントは呆れたように言った。だが、その目付きはブッダエンジェルめいて優しい。

 

「アー、スミマセン。悪ぃな先輩。手当てなんてしてもらっちまって...」

 

「本当だよ!光栄に思いたまえ!」

 

二人は戦略チャブがある部屋、ソニックブームのオフィスに戻っていた。

 

モニターの中では、一人、オニヤスがトレーニングを続けている。ひたすら降り下ろす動作を身体に馴染ませるように、との指示を忠実に守っているようだった。もはや他のニュービーはソウカイマンションに帰宅するか、オイラン遊びに繰り出しているというのにだ!

 

「なぁ、先輩?」

 

「どうした?コウハイ。」

 

「一瞬の狂気があれば、誰でも本当は一瞬で変われるんじゃねぇかと、そう思うんだ。つまりヤバレカバレだ。オニヤスは見込みが在るんじゃないですか、エエッ?」

 

「...そうだな。そうかもしれないな。」

 

トコロザワピラー眼下のネオサイタマの夜景はブッダデーモンの宝石箱めいて美しい。昼間は味気無いコンクリと鉄筋、強化ガラスの構造物が美しく様変わりする光景は、一見サンシタに見える者の中にも磨けば光る原石が在るのではないか、という心持ちにドミナントをさせた。

 

「...センチメントだな。」

 

「エエッ?」

 

ソニックブームがドミナントの方を向く。

 

「何でもないよ。」

 

ドミナントはかぶりを振って微笑んだ。



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メンター・アンド・アプレンティス#1

朝9時。一般的なサラリマンにとっては始業時間だが、ソニックブームは既に一時間前に出社しIRC端末でソウカイネット・ミッションリストをチェックしていた。

 

そもそも、ヤクザ時代は事務所の一室に住み込み、ニンジャとなってからはトコロザワ・ピラーのトレーニングルームを一つもらって住んでいる。

 

私物などジュラルミンバック一つに納まる量でしかなく、暴力を生業とする者としていつでも塒はかえられる様に気を付けていた。この業界では奥ゆかしさを欠いた者から死んでいく、ソニックブームが生き残っている事が彼のヤクザ奥ゆかしさの証明と言える。

 

ソニックブームがそのような暮らしで出社も早いため、舎弟のオニヤスは7時に出社してトレーニングをしていた。今はソニックブームの背後に彫像めいて微動だにせず、休めの姿勢で待機しているが。

 

その時、突如として強化セラミックフスマが開け放たれる!

 

「ドーモ、ソニックブーム=サン!インストラクションの時間だ。タイムイズマネー!三分で訓練中のニュービーを全員、一番広いトレーニングルームに呼べ!」

 

ナムサン!のっぴきならないソウカイ・シンジケートの首魁、ラオモト・カンのエントリーだ!

 

「ドーモ、ラオモト=サン!直ぐに取り掛かります!」

 

オジギ後、0.05s程でモニターとマイクに取り付くソニックブーム!

 

《ドーモ、ニュービー野郎共!人材育成室のソニックブームだ!ラオモト=サンからインストラクションが在るので、今すぐ12Aトレーニングルームに集合!遅れた奴はセプクだ!以上!》

 

「ア、アイエエエエ!?」「ナンデ!?ラオモト=サンナンデ!?」「あたし今体温何度あるのかなーッ!?」「アイエエエエ!?」

 

ニュービー・ソウカイニンジャ達がモニターの中で慌てふためく様を見てラオモトが笑う。しかし、ソニックブームもオニヤスも気が気でなかった。どうみても...機嫌が悪いのだ!

 

「ソニックブーム=サンと、そこのはソニックブーム=サンの舎弟か?トレーニングルームに移動するぞ。それと、今日はニュービー共にカラテパンチのインストラクションを行うが丁度良い。貴様ら二人が受けろ。」

 

ソニックブームは冷や汗が止まらない!

 

「そのぅ...まだ、把握しておりませんが...俺たちがラオモト=サンのパンチを受けるということで...?」

 

ソニックブームに宿るニンジャソウルが、カゼ・ヨロイを全力展開せよと囁いてくる。囁くといってもソウルが身じろぎするだけだが。

 

「ムッハハハ!何を当然の事を!心配するな、ソウカイヤはあたら有為の人材を爆発四散させたりはせん!ムッハハハ、ムッハハハハハハ!」

 

(ア、アイエエエエ...こんなのって無いぜ!いい加減にしろよソウカイヤ...)

 

前を歩いていたラオモトがピタリと止まる。

 

「それとも、何か異議があるか?」

 

コワイ!ラオモトの背中から可視化されたカラテが立ち上る!

 

「恐れ入ります!ラオモト=サンからカラテパンチを直接頂けることで二倍のインストラクション効果、俺とオニヤスの二人で更に効果が四倍点になりますので!今後の指導にどう活かそうかと、思案しておりました!」

 

「ムッハハハ!流石は元ヤクザ幹部、口が上手いことよな!それともゲイトキーパー=サンに仕込まれたか?」

 

「ハイ!恐れ入ります!」

 

「ムッハハハ!ムッハハハハハハ!」

 

強化セラミックフスマを開き、ラオモトを先頭に進むと50忍を優に越えるニュービーがドゲザ姿勢で待機していた。

 

ラオモトがソニックブームに視線をやる。概要を説明しろということだ。

 

「ニュービーの野郎共!テメェらは所詮ゴジュッポ・ヒャッポに過ぎねぇ弱体者よ!そこで今から、ラオモト=サンが手本を見せて下さるからニューロンに刻み込め!分かったか!」

 

トレーニングルームを「ハイヨロコンデー!」の唱和が包む。

 

「では、ラオモト=サン。お願いします。」

 

「ムッハハハ!よく見ておけ!ムッハハハ!...イヤーッ!」

 

「グワーッ!」

 

インパクトの瞬間に凄まじい勢いで捻りが加えられ、ソニックブームのカゼ・ヨロイを貫通する。鳩尾に圧力!吹き飛ばされるが、空中で宙返りし新体操めいて着地!ワザマエ!

 

「ムッハハハ!ソニックブーム=サン、中々良いぞ!次!」

 

オニヤスが緊張した面持ちで、ラオモトの前に立つ。

 

「オナッシャス!」

 

「ムッハハハ!イヤーッ!」

 

「グワーッ!...アバッ!?」

 

カラテをみなぎらせる以外に防御手段の無いオニヤスは、アクションムービーめいて壁に激突!ナムサン!爆発四散か!?

 

いや!オニヤスは耐えた。気絶してはいるものの、オニヤスはソニックブームとのカラテトレーニング重点の中でニンジャ耐久力をも鍛えていたのだ!スゴイ!

 

「ムッハハハ!これがカラテパンチだ!ニュービー共、励めよ!ムッハハハ!ムッハハハハハハ!」

 

ソニックブームとオニヤスを置いて、ラオモトは去っていった。タイムイズマネーを体現するかのような、嵐めいたインストラクションタイムだった。

 

ソニックブームが声をかけなければ、ニュービー達はラオモトが去っていった方向へのドゲザから立ち上がれないところである。身体が立ち上がることを拒否するのだ!コワイ!

 

「解散!各自トレーニングを再開しろ!訓練用クローンヤクザを使い切った奴は申請を出しにこい。以上!」

 

「ハイヨロコンデー!」の唱和!

 

「オニヤス=サン!オニヤス=サン!起きろッコラー!」

 

気付の右ストレート!コワイ!

 

「・・・アニキ!見えました!理想のカラテパンチが!アニキのジェットツキとラオモト=サンのインストラクションで100倍です!」

 

気絶状態から復帰し、やおら立ち上がるとオニヤスは捲し立てはじめる。それほど今の一撃で得るものは多かったのだ。そしてソニックブームもその意見には同意していた。ソニックブームもまた、ジェットツキやソニックカラテ左右ストレートに関して更なる成長の道筋を見出していた。最後の一瞬で凄まじい捻りを加えることで、ソニックブームのジェットツキは現在の凡そ10倍の威力にまで向上することだろう。

気絶状態から復帰したばかりというのに、オニヤスはエアカラテスパーリングを始めている!その場で!

 

「オニヤス=サン。この一か月というもの、テメェにはベーシック・カラテ・アーツである瓦割りトレーニングだけをやらせてきた!その間俺はといえば、ソウカイヤ温泉旅行に備えて末端の綱紀粛正だ!お陰で更にカラテを練り上げる事ができた!俺が何を言いてぇか分かるか?エエッ?」

 

「ハイ!アニキ!実践が必要です!」

 

実際、以心伝心な。一ヶ月半経過した師弟関係は順調であった。

 

「そうだ!だが、なかなか丁度いい敵なんてのはいねぇ!だから俺を殴れ!」

 

「アイエッ...それは...」

 

「クチゴタエスルナー!」

 

ソニックカラテ左ストレート!

 

「グワーッ!ハイ!」

 

「鉄は熱いうちに叩かないと冷える。ミヤモト・マサシの言葉だ。今すぐやるぞ!パンチを構えろ!」

 

「ハイ!アニキ!」

 

オニヤスが構えるのは、拳頭を相手に向けて威圧する変則的ヤクザボックス・スタイルだ!

 

「来い!」

 

「ハイ!イヤーッ!」「グワーッ!」カラテパンチ左ストレート!「イヤーッ!」「グワッコラー!もっと腰入れろッコラー!」カラテパンチ右ストレート!だが、浅い!「ハイ!イヤーッ!」「グワーッ!踏み込み!」カラテパンチ左ストレート!威力の乗り方が甘い!「ハイ!イヤーッ!」ZDOOM!「グワーッ!良いぞ!」ソニックブームの鳩尾にカラテパンチ右ストレートが突き刺さる!

 

「良し!次は一点を狙ってひたすらハヤク突くようにしろ!ラッシュだ!」

 

「ハイ!アニキ!」

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!」

 

ワザマエ!オニヤスの左右カラテパンチストレートラッシュだ!そこらのサンシタではまず間違いなく爆発四散するであろう!

 

だが、相手はシックスゲイツスカウト部門ののっぴきならないヤクザニンジャ、ソニックブームである!足を肩幅逆八の字に開き、拳を握り、足を踏ん張り微動だにしない。まるでパンチ一本すら見逃さないとでも言うように。ゴウランガ!師弟!

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!」

 

パンチのラッシュはオニヤスの血中カラテが尽きるまで続いた。

 

そして1000回はラッシュのループを終えた辺りから、徐々にオニヤスのパンチが音速を突破し始めた。ジェットツキだ!

 

最早ソニックブームのヤクザニンジャ装束はボロボロであり、上半身は裸に近い。オニヤス自身もジェットツキの自爆ダメージに加え、ソニックブームのニンジャ耐久力の塊とも言える肉体を殴り続けた事で拳にダメージが蓄積している。

 

「オニヤステメッコラー!ラストキバレッコラー!」

 

「イイィヤーッ!ザッケンナコラー!」

 

ゴウランガ!ジェットツキだ!

 

「グワーッ!」

 

ジェットツキを喰らったソニックブームが吹き飛ぶと同時にオニヤスも倒れた。

 

弟子に遂にジェットツキを修得させたソニックブームは安らかな顔で気絶した。

 

師の想いに応えられた安心感を表情に湛えて、オニヤスもその場に崩れ落ち気絶した。

 

その惨状を発見したドミナントが、「おいおい、こんなのってないぞ...ヤクザニンジャいい加減にしろよ...」と、苦笑しながら二人を医務室に運んだ。

 

後には荒れ果てたトレーニングルームが残されたが、得られたものは比較にならないほど価値あるものだった。



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メンター・アンド・アプレンティス#2

◆温泉◆ソウカイヤ御一行様◆旅行◆


「ムッハハハ!今日の連絡事項は他でもない温泉旅行についてだ!今年の温泉旅行先は中国地方の温泉マンジュウの美味い温泉宿に決まった。シックスゲイツの六人、インターラプター、ヒュージシュリケン、アースクエイク、ビホルダー、ガーゴイル、バンディット。そしてゲイトキーパー=サン含む人事部四人は同行せよ!ムッハハハ!」

 

「ハイ!ヨロコンデー!」

 

このようなのっぴきならない会議の最中ではあるが、温泉旅行というものについて読者諸氏に説明しておこう!

 

温泉旅行とは古来より権力者が功ある部下を労い、人心を掌握するために行ってきたサービスのことだ。ラオモトはタイムイズマネーを重んじるが、来るべき対罪罰影業組合抗争に向けて部下を団結させモチベーションを上げさせる必要を認めていた。

何たる決断的組織管理メントか!

 

ここでソニックブームが最近取り組んできた綱紀粛正が活きてくる。邪悪なニンジャソウルに憑依された者達は、恐るべきシックスゲイツとラオモトの右腕たるゲイトキーパーが温泉旅行で不在となれば直ぐにでも私腹を肥やしたり、オイラン遊びにうつつをぬかしたりし始めるだろう。

 

適度にガス抜きをするのは必要だ。だが、過剰なミカジメ徴収、組織の威や名誉を貶める行為は許されない。その為の綱紀粛正である。

 

この決断的綱紀粛正行為メントでソウカイヤの中にソニックブームの名を知らぬニンジャは居なくなった。

 

「温泉旅行か...」

 

「楽しみだねっ!ソニックブーム=サン!」

 

ドミナントが無邪気に跳びはね、ソニックブームにまとわりつく度、ドミナントのバストが揺れる。不変の真理めいてドミナントのバストは豊満であった。

 

「俺にはブレイコの経験なんてないんだぞ...」

 

ナムサン!ブレイコというのは恐るべき査定システムの事である。これは日常の業務以外で気が緩むように仕向け、奥ゆかしさや気づかいを発揮出来るかをチェックするという卑劣だが実際有効な査定方法だ。ブレイコが始まる際にはその場で最も地位の高い者がブレイコ・チャントを宣言するのが習わしである。おぉ、ナムアミダブツ!

 

ソウカイヤは実力主義の組織だが、あまりにも奥ゆかしさを欠いた振る舞いをすればキリステの対象になりかねない。

 

カラテと狂気/侠気の信仰者、純粋暴力の使徒たるソニックブームにはいささか荷が重いことであった。

 

「ふむん。流石の君にもブレイコの経験は無いか...だが安心しろ。ブレイコの最中はボクが守ってやる!」

 

「アー...マジに頼むぜ先輩。俺はともかくオニヤスやゲイトキーパー=サンに累が及ぶのは耐えられねェ」

 

実際歴史上、ブレイコ期間中の危険な選択ミスのためにムラハチにあった者やキリステの対象になった者は少なくない。

 

 

ドミナントの先輩力が試される!カラダニキヲツケテネ!

 

話しながら歩いていた二人であったが、前方からオブシディアン色のニンジャ甲冑に身を包んだ青年が歩いてくることに気付いた。

「ドーモ、ダークニンジャ=サン。お疲れ様です」

 

ソニックブームが道をあけ、ヤクザめいて武骨なオジギをする。

 

「ドーモ、ソニックブーム=サン。お疲れ様です。温泉旅行が楽しみですね」

 

ダークニンジャが奥ゆかしくオジギをして話しかける。だがその声色からは何も感じられない。だが、ソニックブームは奥ゆかしさの中に、恐るべき刃の存在を確かに感じ取った。

 

ドミナントはむっつりと黙り込み、ダークニンジャに挑戦的眼差しを向けているがダークニンジャは全く気にした様子が無い。

 

この強力なニンジャ戦士はソニックブームとほぼ同時期にソウカイヤ入りし、めきめきと頭角を現して今やラオモトの懐刀めいた立ち位置にいる。ソウカイヤ内には第二のゲイトキーパーとの呼び声も高い。

「先を急ぐのでこれにて」

 

ダークニンジャは歩み去って行った。

 

「...ボクはまるっきり奴のことが気に食わないね」

 

「オイオイ、先輩それは奥ゆかしくないぜ。実際ラオモト=サンが認めるほどの実力者だろ、エエッ?」

 

ドミナントの青い瞳に浮かぶのはイサオシへの執着、そしてダークニンジャへの強烈な対抗心だ。師であるゲイトキーパーを狂おしく敬愛する彼女は、自分以外の他者がゲイトキーパーの後継、もしくはそれに近い何かとしてラオモトに貢献することが許せない。ドミナントのニンジャ邪悪さの根源は独占欲と功名心だ。実際、ゲイトキーパーに目をかけられているソニックブームと彼女の関係が上手くいっているのは、幸運とソニックブームの奇跡的なバランス感覚によるものだった。

 

「だからこそ、さ。アイツみたいな有能者の皮を被って何を考えてるか全く周囲に顕さない奴は、土壇場になると裏切るものなんだ。ボクは詳しいからわかるんだ!」

 

ソニックブームは苦笑したが、あながちドミナントの言うことが完全に与太話と断じれる自信は無かった。ソニックブームの優れたヤクザ幹部洞察力がダークニンジャの抱える闇の一片を察知したと言っても良い。

 

「大丈夫だ、ドミナント=サン。いざとなれば俺たちで何とかしよう。ヤクザニンジャとエリートニンジャ、あとは危険極まりないテッポウダマニンジャまで揃ってやがるんだからなァ?」

 

「そうだね!ボクとソニックブーム=サンを掛けて、あとオニヤスも足して120倍だ!」

 

なんという危険なカラテ掛け算か!だが実際、この三忍であれば通常戦力の完全武装機械化歩兵連隊でも容易に制圧可能なのだ!ドミナントは上機嫌に自説を披露した。

 

「しかし、リムジンバスの手配等はともかくとしてシックスゲイツの皆さんの中には実際初対面も多いんだよなァ」

 

「そうなのかい?よく、ビホルダー=サンと一緒に居るところは見るけど。ボクを放っぽった上でね」

 

「おいおい、センパイ勘弁してくれよ。ビホルダー=サンは同じようなヤクザ上がりで、カラテ鍛練を重点してる人だから話が合うって訳だ。分かるかエエッ?」

 

「ムゥーッ。分かんないもんね!」

 

唇を突きだしてそっぽを向く姿は、いかにも年頃のティーン女子高生めいた雰囲気を醸し出している。だがニンジャだ。

 

「はいはい。センパイも俺ともっとカラテしてぇんだろ?わーかったよ、分かった分かった」

 

「まぁ、それでいっか。オニヤスも付き合わせよ?」

 

「そうだな。温泉旅行前にガッツリしごいとかねぇとなァ...!」

 

 

 

トコロザワ・ピラー、トレーニングルーム。時刻は0900、重ラバー製ダルマがジェット・ツキを連続的に受け、空中に浮いていた。

 

「イヤーッ!」ソニックブームのジェット・ツキだ!「イヤーッ!」オニヤスのジェット・ツキだ!「イヤーッ!」ソニックブームのジェット・ツキだ!「イヤーッ!」オニヤスのジェット・ツキだ!「イヤーッ!」ソニックブームのジェット・ツキだ!「イヤーッ!」オニヤスのジェット・ツキだ!「イヤーッ!」ソニックブームのジェットツキだ!「イヤーッ!」オニヤスのジェット・ツキだ!「イヤーッ!」ソニックブームのジェット・ツキだ!「グワーッ!」

 

おぉ、ジェット・ツキが連続的に当たる事で空中に浮いていた重ラバー製ダルマが徐々にオニヤス側にずれていき、最後の一撃でオニヤスに激突したのだ!

 

なんという危険なカラテ鍛練法か!これは平安時代以前のカゼ・ニンジャクランが生み出したソニックカラテの鍛練方法の一つである!

 

「オニヤス、おいオニヤス、大丈夫か?」

 

「ハイ!アニキ!」

 

オニヤスは従順な闘犬めいて飛び起き、重ラバー製ダルマを担いで戻ってくる。

 

「これは本来、鉄球で行うんだがまだまだテメェはジェット・ツキに慣熟してないからなァ?エエッ?」

 

「恐れ入りやす!」

 

「楽しそうなことやってるね」

 

フスマを開いてエントリーしてきたのは、女子高生の...ニンジャ!

 

「ドーモ!アネゴ!」

 

「ドーモ、オニヤス=サン。僕も手加減さえ出来ればなぁ。」

 

「センパイのエンハンスメントされたエメイシは殺傷力高過ぎんだよな」

 

「それなんだよね。殺して良い相手ならともかくさ」

 

「しかしセンパイ、学校はどうした?」

 

「ボクはニンジャだし、頭が良いから大丈夫。」

 

ブッダファック!なんという大雑把な理論か!

 

「今日は温泉旅行前の最後の追い込みってことでしたが、アネゴはともかくオレまでお供することになるとは思いませんでした」

 

「その事については、弟子にとったからには色々経験させろっていう意図だろう。ラオモト=サンはお前やドミナント=サンを随伴させることで、人材育成室としてのソウカイヤへの貢献を考えさせるおつもりだろうな」

 

大体あってはいるが、オニヤスに関してはラオモトの気紛れである!ナムサン!

 

 

「温泉旅行中、オニヤスは俺とドミナント=サンから離れるなよ。ヒュージシュリケン=サンやアースクエイク=サンはやや邪悪だし、インターラプター=サンは実際戦闘狂でアブナイ過ぎる」

 

中距離からソニックカラテで攻撃出来るソニックブームならまだしも、近距離で自爆ダメージ覚悟でジェット・ツキをラッシュする戦法を採るオニヤスは、インターラプターの絶対防御カラダチとの相性が最悪に近い。

 

「ハイ!アニキ!」

 

「そういうソニックブーム=サンはブレイコ未経験なんだから、ボクから離れないように」

 

「アッハイ。それを言われると弱るぜ」

 

ソニックブームが困った表情で頷くと、ドミナントはその豊満な胸を張り、任せろというかの如き仕草をした。



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メンター・アンド・アプレンティス#3

ドーモ、読者の皆さんお疲れ様です。しばらくメキシコでライオンと戦ったり、ココナッツもぎ研修を行っていたため執筆が遅れましたがケジメはしません。わかりましたね?

なお、メキシコではどっかの英国諜報員みたいなロマンスめいたなんかも有ったことが今回の話の原動力になったというのは有名な話だ。◆猥褻これが大好き◆


「アーイイ...凝り固まった身体が解れていく...休むのも任務だから仕方ない...アーイイ...重いんだよなぁ、コレ」

 

浮力によって湯に浮かぶ二つの豊満を手で支えるように掬い上げ、ドミナントは嘆息した。実際これは金持ち故の苦労めいて傲慢な悩みだった。どれほど多くの女子高生が合格基準バスト胸囲値に足りず、チアマイコの道を諦めたかをドミナントは知っている。だが、一切の同情は無かった。何故ならそのマケグミ共はニンジャではなかったからだ。ニンジャである自分が他の女より遥かに美しく魅力的で、実際強いのはドミナントにとっては当たり前に過ぎる事実なのだ!ブルジョワ!

 

湯を手で掬って、肩口から腕にかけて塗りたくるようにかけていく。雪のハッコウタ・マウンテンめいた美しい肌だ。そして事実、ドミナントは厳冬期のハッコウタ・マウンテンよりも無慈悲であった。

 

「激しく前後にー動くー」

 

肩までお湯につかり、人気アンドロイドデュオであるネコネコカワイイの曲を口ずさむ。ネコネコカワイイとは豪華客船上での発表以来、爆発的人気と一大ブームを巻き起こしたオムラのテックの結晶体の事である。

女子高生の例に漏れず、ドミナントもネコネコカワイイのファンの1人だった。

 

「ほとんど違法行為ーっと、しかしソニックブーム=サン大丈夫かな...?」

 

鋼鉄よりも堅いバイオバンブー製の仕切り壁の向こうから漂ってくる殺伐としたアトモスフィア、ドミナントはソニックブームの身を案じずにはいられない!

 

 

 

「ムッハハハ!温泉で飲むサケは格別よなぁ、ソニックブーム=サン?」

 

「ハイ!」

 

「この温泉旅行は実際シックスゲイツの忠勤に報いるための旅行。そう硬くならずとも、よい。」

 

おぉ、ナムサン!ラオモトが右隣にいて硬くなるなというのは実際難しい!

 

左隣にはラオモト第一の臣下にして、類いまれなるトンファー使い、シックスゲイツ創設者であるゲイトキーパーが控えている。アツカン=サケをラオモトのオチョコに注ぐのも彼だ。

 

ゲイトキーパーが左隣なのは当たり前にしても、ソニックブームがラオモトの右隣を占めているのは驚きと嫉妬の目をもって迎えられた。しかもラオモトの指示によって隣で湯に浸かっているのだ。

 

脂汗をかきながらもヤクザビジネスの話でラオモトと盛り上がるソニックブームに対して、ヘルカイトなどは殺意のこもった視線を向けている。そしてラオモトはそれすら楽しんでいる節が有るのだ。

 

 

その時だ!邪悪なニンジャ戦士ヘルカイトが仕掛けた!

 

「ソニックブーム=サン!オツカレサマデス!一杯いかがですか...!」

 

ジョチュからサケとオチョコを受け取ったヘルカイトがソニックブームに手招きする。もちろん罠だ。この露天風呂の配置上、ソニックブームがヘルカイトのもとに向かうためにはラオモトの前を横切る必要がある。これは実際大変なシツレイだ!

 

読者の中に、目上の人と露天風呂に浸かった経験がある方はいらっしゃるだろうか。そうはいないだろう。皆さんの疑問は分かる。何故、一度風呂から上がってヘルカイトの居る場所まで半円移動しないのか、という疑問だ。

 

お答えしよう。それは日本独自にして平安時代の昔から続く伝統的ルールだからだ。一度風呂に浸かったからには、目上の人より先に風呂から上がることは大変なシツレイとなる。故に一流のサラリマンほどショドーやハイクのみならず、チャドーやカラテにも長じていることが多い。のぼせるまで目上の人に付き従うことは、それだけで忠誠心の一種の証明となるのだ。

 

では、潜ってラオモトの前を通れば良いとの策を思い付く知恵者な方もおられるだろう。確かにそれはこの事態を切り抜けるためのただひとつの方法だ。テヌグイさえなければ。

 

このシツレイ・トラップは平時であれば、罠を仕掛けた側のヘルカイトも仕掛けられたソニックブームも双方が処罰されかねないアブナイなトラップだ。だが、今はブレイコ状況下にある上にヘルカイトは実際センパイだ。後に残るのはセンパイの誘いに対して失態を犯した後輩だけだ。おぉ、なんという悪辣なフーリンカザンか!

 

(ざまぁないなソニックブーム=サン!お前の死因はラオモト=サンの逆鱗に触れたことによる憤怒死だーッ!)

 

ソニックブームの状況判断は一瞬だった。正座姿勢で頭を下げる半ドゲザ姿勢とでもいうべき姿勢を水中で取り、髪を温泉に浸けないようにしながら半潜航したのだ!

 

(テヌグイ!?テヌグイが消えただと!)

 

ヘルカイトは驚愕した。先程まで存在したテヌグイが消え去ったのだ。

 

そして驚愕するヘルカイトの隣にソニックブームが浮上! 同時にソニックブームの頭上にテヌグイが舞い降りた。潜航する瞬間にソニックカラテ頭突きをテヌグイに放ち、テヌグイを空中へ移動させていたのだ!シツレイ・トラップ敗れたり!潜航するソニックブームに意識をとられたヘルカイトにテヌグイを妨害する術はなかった。ゴウランガ!見事なフーリンカザンだ!

 

「ドーモ、ヘルカイト=サン。杯頂戴いたします。」

 

実際スルドイすぎる眼光がヘルカイトを貫く!ソニックカラテの達人の制空圏内でトラップを仕掛けるというのはこういうことだ!

 

「アイエッッ...ドーゾ、オットットット」

 

「オットットット。ありがとうございます。」

 

しめやかに飲み干すソニックブーム。

 

「ムッハハハハハ!二人とも中々の余興であったぞ!ブレイコ状況下でも邪悪さを失わないハングリーさと頭の回転の速さは評価しよう!風呂の時間はここまでだ!この後は宴席の準備が整うまで各自自由に過ごせ。ゲイトキーパー=サンはビジネスの話があるのでついてこい。以上!」

 

 

 

 

 

 

「...てなことがあってなァ。」

 

「ふぅん。やっぱり大変なことになってたんだね。でも、ボクがいないことに耐えてよく頑張った!感動した!」

 

宿のソファーに腰かけるソニックブームの肩を揉むのはオニヤスだ。そして隣にはドミナントがトックリを手に微笑んでいる。

 

シックスゲイツやラオモトに囲まれ極限の緊張下にあったソニックブームの肉体は硬く凝り固まっていた。それを察したオニヤスとドミナントがリラクゼーションを図っているところである。

 

「いくらヘルカイト=サンが野心を隠そうともしない態度で他のシックスゲイツから嫌われてるといっても、罠にかかっていたら囲んで棒で叩いてくる奴もいたかもしれないからね。本当に良かった...」

 

アースクエイクやヒュージシュリケンはまさにそのタイプだろう。

 

そんな話をしていると、宿のジョチュが三人を呼びにきた。

 

「宴席の準備が整いましたので、二階大広間へお越し下さいドスエ」

 

「よーし、たくさん食べるぞ!ソニックブーム=サンもシマッテコーゼ!」

 

ドミナントがネコネコカワイイジャンプを決める。豊満が揺れた。

 

「あぁ、ドミナント=サンもオニヤスもシマッテコーゼ!」

 

邪悪ニンジャ戦士存在の宴はまだまだ続く。



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メリークリスマス・ソウカイヤ

冷たいビル風が身を切るようなネオサイタマ。ツチノコストリートを歩くのは一人のヤクザニンジャだ。金糸のニンジャ装束にワインレッドのヤクザシューズ、今日はワインレッドのバイオ水牛皮の頑丈なコートを身に付けている。名はソニックブーム。

 

「寒過ぎるだろコレは...ザッケンナコラ、ネオサイタマッコラー...」

 

時たま漏れ出るヤクザスラングはすれ違うヨタモノやパンクス、スモトリ崩れにゴスを足早にさせ軽度のYRS(ヤクザ・リアリティ・ショック)を促すには実際十分な威圧感を伴っていた。

 

「アイエエェェ...コワイ!」

 

これがヤクザだ。純粋暴力の使徒、ヒエラルキーの上位に位置するもの、いや、かつては位置していたもの。だが、ソニックブームはヤクザニンジャだ。ヤクザでもなく、ニンジャでもない。ヤクザニンジャなのだ!紛れもなくこの瞬間、この場において、彼は半神的ニンジャ存在にして絶対的上位者であった。コワイ!

 

「クリスマス・ソウカイにも参加出来ず、俺は今日もビジネス...何がクリスマスダッコラー!」

 

独身中年男性サラリマンめいて毒づくソニックブームだが、世間は残酷なまでにクリスマス一色!オムラ・ホビーカンパニーの最新型ゲーム機のコマーシャルが街頭モニターには流れ、ネオサイタマの掃き溜めツチノコストリートですらイルミネーションで飾り付けられている。おぉ、クリスマス!

 

なお、クリスマス・ソウカイにはドミナントとオニヤスが代理出席しているので読者の皆様におかれては安心してもらいたい。

 

ソニックブームがクリスマスなのにも関わらず、こうしてネオサイタマの掃き溜めを足早に進まざるをえない事には一つの理由がある。

 

ニンジャスカウト人事案件だ。しかも、極めて手練れのニンジャに関する、だ。ドミナントやオニヤス、もしくは他のスカウト部門ニンジャでは荷が重いとの、上位の判断が有った結果がコレだ。加えて言うなら、ミラーめいた装束のニンジャ上司から慎重にコトに当たれとのアドバイス付きでもある。

 

「っと、ここか。先方が指定した待ち合わせ場所ってのは。」

 

ソニックブームの目の前にある建物はツチノコストリートの猥雑な建造物や胡散臭い住人達の中にあって、かなり異質と言えるものだ。

 

それは奥ゆかしい小料理屋であった。スシ・ソバ・サケのシンプルなチョウチンに、おなしやすの文字がショドーされた暖簾。場違いな奥ゆかしさである。恐らく暖簾を潜った先の一つ目の玄関口には用心棒が詰めていることだろう。この手の店は大抵二重玄関を採用しているものだ。

 

案の定ソニックブームが暖簾を潜った先には用心棒が詰めていた。それも三人もだ。

 

「いらっしゃいませお客様。当店はどなたかのご紹介の無いお客様の入店は御断りしております。紹介状はお持ちですか?」

 

ソニックブームの発するヤクザ幹部めいたアトモスフィアに負けず、丁寧に声をかけてきたのはマゲを結った重サイバネとおぼしき用心棒だ。

 

他のダークスーツを着た用心棒達は沈黙を保っている。

 

「ドーモ、フマトニと申します。今日はフロストバイト=サンと此方のお店で約束があり、参上した次第です。確認をお願いします。」

 

マゲを結った重サイバネ用心棒が片耳を押さえるような仕草で通信を行う。小型インカムが仕込まれているのだろう。

「御待たせ致しましたフマトニ=サン、奥へとお進み下さい。メリークリスマス。」

 

マゲを結った重サイバネ用心棒がイタズラっぽく笑い引戸を引く。ヒノキの手動扉だ。ソニックブームは警戒心を一段と高めた。どうやら待ち合わせの相手はニンジャと化す前から、それなりの立場と収入が有ったようだ。

 

待ち合わせ相手の情報がこれほど少ないのはソニックブームも初めてだった。ソウカイ・ネットを用いても相手の情報が出てこないとあれば、相手がどれほど情報セキュリティを固めているのかがうかがい知れるというものだ。

 

分かっているのはフロストバイトというニンジャネームと、最近傭兵働きを始めたということ。そしてその名を一躍高めたのが、ニルヴァーナトウフ社重役暗殺事件だ。これはヨロシサン系列の傘下に入る事に反対する複数の重役が口に豚足を詰め込まれて殺害されていたもので、公式的にはトレーニングの休憩中に豚足を喉に詰まらせて事故死、夜中に軽食の豚足を喉に詰まらせて事故死、フランス料理店のトイレで自前で持参した豚足を喉に詰まらせて事故死、ということになっている。

 

中にはカウンターと座席があり、カウンターの中では一見してマスターイタマエ・シェフと分かる老齢の男が料理をしていた。

 

「いらっしゃいまし。そこのサブロが奥へご案内致します。サブロ!」

 

「ハイヨロコンデー!」

 

老イタマエの弟子とおぼしき青年がぺこりと一礼し、無言のソニックブームを先導した。店の最奥 部へソニックブームをいざなったサブロはカーボンフスマ越しに声をかける。その後、ソニックブームに一礼すると、後程酒と料理を自分が持ってくる旨を告げてサブロは去っていった。

 

しめやかにフスマを開く。目線の先には、泰然と構えファー付きタクティカルコートを身にまとい、バラクラバ越しにも美しいであろうことが窺える女ニンジャがいた。

 

「ドーモ、ソウカイヤ人事部のソニックブームです。コチラお名刺です、ドウゾ」

 

「チョウダイシマス。元ネオサイタマ湾岸警備隊、特殊作戦群キツネ部隊のフロストバイトです。...これが知りたかったのでしょう?」

 

開口一番強烈なフロストバイト真実がソニックブームを襲う!ソウカイネットを総動員しても得られなかった情報をいとも容易く与えてきたのだ!

 

テーブルを挟んで座り、対面する。フロストバイトの全身には油断ならぬカラテがみなぎっている。底冷えするような殺気がソニックブームをなめ回すようだった。

 

 

だが、ラオモトほどではない。

 

ソニックブームもまた、タフな姿勢、鋭い眼光、逆巻く風の様な凄烈なカラテに一片の曇りもなし!

 

「トクシュブタイか。道理で情報が出てこないわけだ。だが、これでますますソウカイヤはフロストバイト=サン、貴女のスカウトに本気になるだろう。勿論、俺を派遣してくるところからも既にソウカイヤの姿勢は読み取れると思うが。」

 

ソニックブームが口火を切る。

 

「ソニックブーム、元グレーターヤクザ、金糸のニンジャ装束、ソニックカラテの使い手。私は好きよ?その格好。威圧感アッピールに効果的だわ」

 

「それは意外だな。てっきり何のタクティカルアドバンテージもないって扱き下ろされるのかと思ってたぜ」

 

ただならぬアトモスフィアが室内に満ちるが、フロストバイトが座るように手で促し、料理とサケを待つことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フロストバイトが贔屓するだけあってスシもソバも大した一品だった。特にマグロスシの赤身とトロはキイッポン・サケと抜群の組み合わせ。こういう店を一つ行き付けにしておくと何かと実際やりやすいものだ。

 

「まさかフロストバイト=サンもオスモウが好きだとは思わなかったな。俺は実際ゴッドハンド=サンの大ファンでな」

 

先ほどからオスモウトークはかなり盛り上がっている。おぉ、卓上を見よ!何と言うトックリの数か!いくらニンジャ解毒力があるとはいえ、ニンジャとて酔うのだ!

 

「ワカル。ゴッドハンド=サンのテッポウは実際たまらん。ソニックブーム=サンは中々見る目がある」

 

ナムサン!口元までたくしあげられたバラクラバ越しにも白磁の陶器めいた肌が赤く染まっているのがワカル!

 

「一旦整理しよう。俺はフロストバイト=サンをスカウトしにきた。ここまではOK?」

 

「ワカル。ワカル。」

 

「もう一度整理すると、俺はフロストバイト=サンをスカウトしにきた。で、今度キルオスモウを一緒に観に行く流れだ」

 

「ワカル。そのとおり」

 

なんたることだろうか。この奥まった密談向きの一室には二人の泥酔ニンジャを止めるものなどいない!

 

「もう一度整理しよう。フロストバイト=サンは俺にスカウトされたので今日からソウカイヤだ。このクロスカタナのカッキェーなバッジをあげよう」

 

「アリガト。ワカルワカル」

 

実際特に豊満でもないバストが若干迷彩ニンジャ装束を押し上げているが、ソニックブームは特に気にもせず無遠慮に迷彩ニンジャ装束の襟元にクロスカタナエンブレムを吸着させる!

 

「さらに整理しよう。フロストバイト=サンはソウカイヤなのでこれから出勤です」

 

「ワカルワカル。ナンデ?」

 

「先ほどから俺のIRC端末にザイバツニンジャがマルノウチ近辺に急襲をかけてきたので出勤しろと」

 

「ワカルワカル。ザイバツって食べれる?」

 

「食べれません」

 

「じゃあカラテだ。私は技巧者気取りの手を無惨に破壊するのが大好きなんだぞ!」

 

「整理するとこれからカラテですね?」

 

ブッダミット!なんという大雑把なブルシット状況判断か!?

 

こうしているまにもペイン・オブ・ソウカイヤ誕生の瞬間が一刻また一刻と近付いている。

 

しかしソニックブーム、今だけはアルコールに包まれてあれ!アルコールに包まれてあれ!



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(・火・) <アーソン=サンのネオサイタマシャドウラン

◆リハビリ重点短編な◆


(これまでのあらすじ)新興ヤクザ組織ソウカイヤに所属する邪悪なヤクザニンジャ・エージェントであるアーソンは実際存在否定可能な忍材であり、つい先日も違法薬物メン・タイの仕切り値について完全武装ロシアンマフィアとアブナイかつタフな交渉をまとめたところだ。インセンティブを求め、アーソンは今日も危険なビズに赴こうとしていた。

 

 

アーソンの朝は早い。

夜明けとともに目覚め、身体を解すために先ずは風呂に入る。これは古代ローマニンジャ文明時代から続く肉体調整手法であり、テルマエないしはアサシャンと呼ばれる。そしてアーソンの身体は十分に温まり、ひかる。

 

『5ー5ー5ー5ー5ー♪』『5ー5ー5ー5ー5ー♪』

 

風呂から上がると即座にニンジャ装束を生成し、シャドウボクシングを行う。常に格上との戦闘を想定した動きをとる。カラテだ。

 

「シューシュシュ!シューシュシュシュ!」

 

『今夜サッキョーライン降りたー♪』『駅前の雨が止む前にー♪』

 

高級小型ステレオから無限ループ再生され続けるネコネコカワイイの歌声とともにアーソンの致命的ボックスカラテは冴えを増してゆく。周りの光景がスローモーになり、引き延ばされてゆく。アーソンは完全にカラテに没入していた。

 

その状態で1時間、シャドウボクシングを継続する。そのうちに拳から青白い超自然の炎が吹き出し、アーソンの上半身にヨロイめいて纏わりつきはじめる。ニンポ?そうではない。これはニンジャのジツだ。

 

アーソンのソウルから現出したジツはカトン・ジツの1種であり、カトン・ジツはまさにミヤモト・マサシの残した警句「宝石がよく採れる山では実際粗悪品もでる」そのものであり、多くの種類や威力の強弱が存在する。

 

『激しく上下に動くーほとんど違法行為ー♪』

 

「イイイィィィヤーッッッ!」

 

スウェー回避からのワイクルー!引いたところから一気に踏み込み、盾めいた防御姿勢を取りながら低空移動し、飛び上がりざまに両拳を叩き込む残虐ムエタイカラテ奥義である。

 

ニンジャ考古学に明るい方ならば、電子戦争より遥か以前かつて存在したタイ帝国が欧米列強の干渉をはね除けられたのは、この残虐なムエタイカラテ奥義を極めたニンジャ戦士ラーマ・コタロの力に依るものであることをご存知だろう!ゴウランガ!ムエタイ!

 

それはさておき、アーソンの現在の住まいはというと、かつては何らかのドージョーだったと思わしき一室である。ヤカタバンナ・ストリートではよくある間取りのこの雑居ビルの一室が、アーソンの城であり、王国であり、ドージョーであった。

 

彼の荷物は最小限であった。ネコネコカワイイのお宝ポスター、高級小型ステレオ、ヤクザスーツ一式を何着かとヤクザシューズ。そして短いながら凶悪な鉤爪の付いたガントレット、炎を意味する神秘的なルーン・カンジを象ったメンポ。装備品はどれもドウグ社の作である。全てスーツケース1つに収まるだけの財産であり、これがアーソンのヤクザ感覚の表れだった。居着かないこと。これが長生きする秘訣である。

 

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「ラオモト=サン、アーソン=サンよりメン・タイ仕切り値の件で報告が」

 

天守閣めいたオフィスでは、のっぴきならないソウカイヤ首領ラオモトが重要案件の報告に耳を傾け、マキモノに目を通していた!

 

「ムッハハハ!タイムイズマネー!早速報告せよ!」

 

ゲイトキーパーがIRCでアーソンに入室を促す。

 

「ドーモ、失礼致します。違法薬物メン・タイについての交渉の件、ご報告致します。ロシアとの為替の影響による原材料のバイオキャビア高騰から、仕切り値を上げざるを得ないだろうという見通しでしたが、今回現地でバイオチョウザメ養殖用地を確保。養殖用池の整備後は年間10トン以上の安定した原料供給を図れる見込みです」

 

ニンジャ鎖頭巾に<炎>メンポ、純白のヤクザスーツ姿のアーソンがしめやかに入室し、報告!ニンジャの・・・ビジネスマン!

 

「ムッハハハ!ムッハハハハハハ!グッドビズ!」

 

ラオモトが満足気に笑い、身振りで報告を続けるよう促すと同時に、ゲイトキーパーが手元のUNIXから3Dエクセルデータを会議室の壁面に投影する。

 

「事前にアーソン=サンから提出されていた資料です。今回確保出来た用地はおよそ2000エーカー。そこに彼等現地マフィアの要塞、兵舎、養殖施設を建造させる計画だな?」

 

アーソンが内心の緊張をおくびにも出さず首肯する。

 

「次回以降の図式としては行きの便では湾岸警備隊横流し品の火器とクローンヤクザを積み込み、帰りはキャビアを満載して戻らせます」

 

今回のビズでアーソンは10人近い地権者を焼いている。現地協力マフィアの重武装化は必須であった。また、継続的にクローンヤクザを購入させ続けることで、ソウカイヤにはヨロシサン製薬より莫大なキックバックが振り込まれるのだ!何たる暗黒搾取ビジネスモデルであろうか!ブッダよ、眠っているのですか!

 

「して、施設の建造費用については?」

 

「こちらから建設作業用のクローンヤクザを50体ほど貸出し、造営を終えた段階で彼らに与える運びとなりました」

 

「生まれながらのヤクザであるクローンヤクザのデモンストレーションも兼ねて、だな。国外販路の開拓にもなるか・・・」

 

ゲイトキーパーが何事かラオモトに囁く。ラオモトは特に拒否する様子もなく頷く。

 

「さて、アーソン=サン。今回はご苦労だった。今後もメン・タイ関連については君に一任しよう。それと簡単な仕事を頼みたいので後程打合せを。時間になったら連絡するのでトコロザワ・ピラー内に居てくれ」

 

「ハイヨロコンデー!」

 

勢いよく一礼するとそのままムーンウォークし、再度一礼して自動扉を抜けて退出!ワザマエ!

 

「ゲイトキーパー=サン、奴には臨時ボーナス重点!そして当初の予定通りメン・タイの仕切り値は上げろ!原価維持差額マネーだ!ムッハハハハハハ!ムッハハハハハハ!」

 

「承知しました」

 

な、なんたる非道!メン・タイ中毒者やドラッグニュービー、弱小ヤクザからさらに搾取しようというのか!?目を覆わんばかりの鬼畜行為ではあるが、これによりソウカイヤが得る利益は数億円にも上る。恐るべき暗黒金融搾取戦略といえよう!

 

 

 

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「さて、先ほど軽く触れた簡単な仕事の件だが・・・」

 

ゲイトキーパーがおもむろにミラーめいたニンジャ装束の懐から、1枚の写真を取り出す。

そこには派手な装いのいかにもカチグミ子弟とおぼしき女子高生が写っている。撮影場所もこれまたいかにもなサイバーゴス・クラブである。

 

「一見するとカチグミ子弟が同じような境遇の者共とつるみ、クラブで我が物顔で振る舞っているようにしか見えませんが・・・もしや我々の庇護下にあるクラブで誘拐が?」

 

ゲイトキーパーが重々しく頷く。

 

「以前から彼女の父君より少し分からせてやって欲しい、という話はされていた。しかし、つい今しがた事情が変わったのだ。君の懸念に近い事態が発生した」

 

「・・・と申しますと?」

 

「我々の支配地域にあり、クローンヤクザレンタル契約を締結しているクラブで彼女は誘拐された。警備のクローンヤクザは殺害され、客にも幾らかの怪我人が出た。面子の問題なのだよアーソン=サン。ニンジャを送り込み威圧感アッピールと人質の奪還が必要だ」

 

人質のプロファイルデータが投影され、現在地、誘拐時の映像、敵集団の情報が合わせて表示される。

 

「重サイバネ者が1名、それ以外に障害に成りうる要素は存在しない。電子的サポートはダイダロス=サンがIRCを通じて行う。骨伝導インカムを使用せよ。質問は?」

 

「有りません。直ぐに仕事にかかります」

 

勢いよく一礼するとそのままムーンウォークし、再度一礼して自動扉を抜けて退出!ワザマエ!

 

ソウカイヤの面子はアーソンの双肩にかかっている!走れ!アーソン!走れ!



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メリークリスマス・ニンジャヘッズ

メリークリスマス!みんな!ニンジャスレイヤーRPGがやろうぜ!
なんか本編でもたくさんリアルニンジャが登場してタノシイだからTRPGの導入風味短編書きました。文章カラテが落ちていたのでコミックで決断的に復習重点な。


「ボブ、本当に良いのかい?」

 

「もちろん!ニンジャマスターもやってみたかったところだし、実際無問題な」

 

ボブ、あなた、ロクチョにアヤセ。四人は友人同士でその上全員が重篤なニンジャヘッズ存在だ。世間はクリスマスイブで盛り上がり、恋人達がイルミネーションにうっとりするか激しく前後しているにも関わらず四人が集まったのには理由がある。

 

ニンジャコンセントレーションを終えた四人の前には待望のブツがあった。そう、ニンジャスレイヤーRPGである。

 

「製品版リリースまでイチジツ・センシュの思いだったよ!なぁ!」

 

「確かに」

 

「アーッ!早く邪悪なニンジャ存在になって何の罪もないモータルを虐殺したい!特にゲイシャとサイバーゴス野郎重点!髪は紫とかピンクとかのなよっとしたやつがいい!」

 

「オットット!今の発言はやや邪悪でしたね」

 

「オットット!ユウジョウ!」

 

「ユウジョウ!」

 

ロクチョの発言に対してあなたは忍殺語を引用する形で応える。これは実際あなたの高い知能指数を示していると言えよう。

 

「じゃあ早速キャラメイクからやっていこう」

 

ボブに促されあなたはたて続けに四回ダイスを振る。6.6.6.1つまりジツ持たないこと以外はかなり強力なニンジャを生み出したことになる。

 

「ワオー!なんてダイス運だ!」

「凄い!美的!」

「ゴウランガ!」

 

友人達に誉めそやされ満更でもないゆるんだ表情をさらした瞬間、ダイスが異常発熱し声すら上げる間もなくあなたは光の奔流に呑み込まれたのだった。

 

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次に目を覚ますと、そこはバイオ溶液に満たされたシリンダーの中だった。ぼんやりと発光するバイオ溶液は心地よくバイオニンジャの肉体を包み込んでくれる。バイオニンジャ!?ワッザ!?

 

一瞬、何の違和感もなくバイオニンジャという自己認識を受け入れていた自分に驚く。俺はニンジャなどではなくただの学生で・・・本当にそうか?ニンジャスレイヤーRPGや日頃のカラテ鍛練、ニンジャコンセントレーションが実を結び、何らかのシンピテキがはたらいたことで俺は半神的ニンジャ存在になったのでは?

 

俺の自我が音をたてて崩壊していくのが認識できる。そしてニンジャソウル移植バイオ生体胚から培養されたバイオニンジャの肉体にモータルの脆弱なソウルが宿ればこうなるのも納得できる。俺は重篤ニンジャヘッズだから詳しいんだ。

 

(・・・何で俺は消滅しないんだ)

 

薄れゆく自我の中、ぴたりと自身のソウルの消滅が止まったことを感じる。視界が暗転し、辛うじて残った自我がニューロンの中を駆け巡る。そしてローカルコトダマ空間へと流れ着いた。

 

(ここは・・・)

 

ジンジャ・カテドラルめいた空間にゼンめいたアトモスフィアが満ちている。遠目からでもその見事さがわかる彫像が幾つも幾つも立ち並んでいるのだ。その中でも一際巨大で目を引く、頑強そうな肉体に多腕を生やしそれぞれの手に異なる武器を持った異形のニンジャ神像の前、神像をそのままスケールダウンしたかのような異形のニンジャが仁王立ちしていた。もしも自分に肉体があれば確実に失禁は免れないであろう!

 

(アイエッ・・・)

 

「何故ここにモータルの魂が?まぁいい。お前、ニンジャになれるぞ!喜べ!」

 

(アイエェェェ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?)

 

「俺は実際ティターン・ニンジャクランのグレーターニンジャでな!俺のティターンカラテは無敵だからお前もなんかカラテとかイアイドとかしろ!」

 

(アイエッ・・・俺は実際ただの学生で・・・)

 

「クチゴタエスルナー!」

 

(アイエェェェ!?)

 

「リアルニンジャとて初めはモータルだ!とにかく今日からお前は俺だから!ティターンカラテの無敵感をアッピール重点!な?わかったか!」

 

(アッハイ)

 

「とにかくティターンカラテを活かしたダブルイアイドとかを鍛えてみろ!鍛えたカラテをどう振るうかはお前のエゴ次第ゆえ適当にしとけ!とにかく強そうなニンジャネームを名乗ってカラテ重点だからな!

 

(アッハイ。カラテします)

 

「よし!そろそろ俺はおられぬから!オタッシャデー!」

 

(アッハイ。オタッシャデー)

 

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シリンダーに新たなニンジャ戦士の姿が反射し、写る。その2mはあるかのごときニュービーニンジャはおもむろに4本腕の手のひらを合わせてアイサツを繰り出した。世界に、そして自分自身に対して!

 

「ドーモ、ノトーリアスです!俺のダブルイアイドは無敵だぜ!」

 

「お前はノトーリアスだ」

 

「そうだ。俺はダブルイアイドの使い手、ノトーリアスだ!」

 

「俺は!ノトーリアスだ!イヤーッ!」

 

CRAAAASSSSHHH!バイオ溶液で満たされたシリンダーが内側から砕かれ、破片と粘着質な水滴が飛び散る。

先程まで気付かなかったがプラント内には既に警報が流れている。そこら辺にあった戦闘試験用の数打ちのカタナを2本掴み取り、両腰にマウントすれば戦闘バイオニンジャ兵器として遺伝子レベルで刻まれた戦闘衝動増幅因子が活発に活動を始める。

 

「おっとこれも忘れずに持ってかなきゃな」

 

投げ出されるようにして研究机に置かれていたバイオインゴットを生成したニンジャ装束の胸元にしまう。

 

「無くなる前にカラテ、万札、バイオインゴット補給重点な。イヤーッ!」

 

指差し確認めいて呟き全力跳躍!プラントの天井を突き破り脱出!

外はちらほらと雪が降り、遠くにはさながら貪婪なブッダデーモンの宝石箱めいてネオサイタマの明かりが見える。

 

「まさかクリスマスか?クリスマス・・・マルノウチスゴイタカイビル・・・ウッ」

 

恐ろしい可能性に思い至ったノトーリアスはかぶりを振り考えるのをやめた。

 

「イヤーッ!」

 

そしてカラテシャウトとともに夜の闇に消えていったのだ。

こうしてまた一人の恐るべきニンジャ戦士がネオサイタマへと解き放たれたのだ。ネオサイタマのドクロめいた赤い月がカラダニキヲツケテネ!と言っていた。

 

 



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